1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
勞働基準法案(政府提出)(第九號)
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昭和二十二年三月十四日(金曜日)午後一時十七分開議
出席委員
委員長 矢野庄太郎君
理事 小島徹三君 理事 椎熊三郎君
岩本信行君 江崎眞澄君
山口好一君 綿貫佐民君
小川半次君 荒畑勝三君
伊藤卯四郎君 山崎道子君
石田一松君 野本品吉君
野村ミス君
三月十三日委員關谷勝利君辭任につきその補闕として小川半次君を議長において選定した。
出席國務大臣
厚生大臣 河合良成君
出席政府委員
文部事務官 剣木亨弘君
厚生事務官 吉武惠市君
厚生事務官 寺本廣作君
運輸政務次官 逢澤寛君
運輸技官 小西桂太郎君
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本日の會議に付した議案
勞働基準法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=0
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001・矢野庄太郎
○矢野委員長 前會に引續き會議を開きます。質疑に入ります。——荒畑勝三君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=1
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002・荒畑勝三
○荒畑委員 この勞働基準法はまことに畫期的な革新的な立法でありまして、われわれといたしましては多大の贊意を表するものであります。私などから見ますると、この勞働基準法はほとんど現内閣の唯一の功績だとさえも考えられるくらいであります。かような畫期的な革新的な立法でありますのと、特に勞働調整法が通過いたしました際に附帶決議がございまして、この勞働基準法をできるだけ早く出すということが要望されておりまするので、こう押し迫つて出てまいつては、これを十分に審議いたしておるひまもないくらいでありますが、これはわれわれが惡いのではない。政府がまつたく惡いので、責任は政府にあるのであります。しかしこの法案が時日がないために審議未了になりますことを私は恐れますので、たとい多少不完全なところがありましようとも、一應實施をいたして、その不完全な點はおいおいに修正改定してまいることにして、とにもかくにもその基礎をつくることが現在最も必要であると思いますから、この際はあまりこまかい點は申しませんつもりでありますが、まだ私ども多少は不滿な點がこざいますので、少し質問をいたしたいと思います。
勞働者が人たるに値する生活を營むための必要を充たすべき勞働條件。これを法律で規定する。これは一面から見ますと、資本主義の發展の初期の段階にありましては、勞働條件の規制というものは、これは勞資當事者間の自由な契約に委ねられておるのであつて、國家があえて干渉しなかつた。いわゆるレツセフエールの政策がとられておつたのでありますが、だんだんその後歴史的な發展を見まして、世界を通じて國家が法制によつて勞働條件の適正化をはかる。自由契約勞働に對して法律上の制限干渉を加える。そういう傾向になつてまいつております。資本主義國を通じて種々なる勞働法制が布かれました結果、あるいはなかんずヴエルサイユ平和條約が規定いたしました國際勞働規約の制定、みなその例であると思うのであります。この現在の勞働基準法案もまたその一例にほかならないと思うのでありますが、こういう運動の歴史的な意義というものは、資本主義が發展いたすに伴つて、資本家の勞働者を搾取する程度がだんだん激しくなつて、また貧富の懸隔によつて勞働階級の窮乏がだんだん激しくなる。從つてまた階級鬪爭がだんだん激しくなつてまいりまして、社會不安が激化される。そういう形勢を反映しておるものと思うのであります。これは資本主義の必然の成行きでありますが、しかしこれはまた資本主義の發達にとつて非常な障害となる大きな力でありまして、資本主義の必然の矛盾なのでありますが、この矛盾を解決できないまでも、多少とも緩和して、社會の總體的な安定、竝びに繁榮を保つ。そういうことが國家的な必要となつてきた。從つてまた勞働力を保全し、勞働者を保護するということが、國家の必須な要請となつてまいらざるをえないのでありますが、こういう社會的、經濟的、政治的基礎の上に國際勞働規約にいわゆる勞働憲章、その根本原則であります勞働を商品とみなさないというような、社會正義の觀念が生れてまいつたのであります。要するにかような勞働者を保護して勞働力を保全する。勞働力というものを單なる商品と見ず、商品扱いをしないという社會正義の觀念の基礎には、ただいま申しましたような社會的、經濟的、政治的な、物質的な基礎が存する、かように私は思うのであります。こういう物質的な基礎の上にたつた社會正義の觀念、これはまたこの勞働基準法の根本精神にほかならない。かように思うのであります。また從つてこの基準法の根本精神というものは、こういう時代の要望と申しますか、その風潮、傾向を代表しているものであります。でありますから他人の勞苦によつて利益を得る、あるいは他人の勞苦によつて快樂を得るということを不正だと見る。そういうことは不正だ。そうしてそいう不正から勞働階級及び一般勤勞大衆を保護するということが、本立法の私は基礎的な觀念でなければならないと、こう私はこの勞働基準法の立法の精神というものを解釋するのでありますが、各條の質問にはいるに先だちまして、本會議でも、政府はどういう理念の上にこの基準法を制定したかというような質問も出ておりましたが、こういう私の解釋に對しまして、政府は何らかの見解があるかどうか。これを一つ承りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=2
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003・吉武惠市
○吉武政府委員 ただいま荒畑委員からお話がございました勞働法制に對する發達の經路については、理論的に申しますとあるいはそういうふうな傾向をたどつてきたのかも存じません。私どもも、勞働の條件は兩當事者が契約自由の原則によつて決定されるべきものでありますけれども、それが一方が力強くして一方が力が弱いために、公正なる條件が結ばれない。勢いいわゆる俗に言われる搾取と申しますか、不當使用という傾向に流れがちであつたのであります。そこで御承知のように、いわゆる組合法という團結權の保障を與えまして、その弱い者が固まつて、そうして對等によつて結ぶという方法が一方には講ぜられますとともに、また一方單なる組合の自治的なる方法によつて獲得するというばかりでなしに、やはり國家がこの程度のものはどうしても必要だという最小の線は、これを法律をもつて保護を圖るというのが、大體各國とも行われてきた歴史であろうかと思います。その根本を、ただいまいろいろ資本主義的な矛盾その他についての理論的な解明がありましたが、その理論は別といたしまして、とにかく今日の状態においても、ただ勞働者の自治的な團結だけに任すというだけでは法の完璧は期せられない實情でございますので、やはり憲法でも、その點を法律をもつて基準を定めるということをうたつております。とともに、本法におきましても、勞働者が人として、商品でなく、人格者として生活を營み得る最小限度の條件というものを、法律をもつて定めるという趣旨のもとにつくつたものであります。最後に御質問になりました、他人の力によつて快樂を得るということが不正であるということを前提としてつくつたのかどうかというお尋ねでありますけれども、本法は人たるに値する最小限度の條件を確保する、それ以下によつて使用することは、いけないという趣旨において規定したのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=3
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004・荒畑勝三
○荒畑委員 解釋は實はどちらでもよろしいのであります。勞働力が單なる商品ではなくして、獨立の自由なる人格を認めて、その人たるに値する生活を確保するための勞働條件を法的に規定するということが、本法の根本目的であることには變りはないのでありますが、そういたしますと、この法律がはたして眞に勞働者が人たるに値する生活を營むだけの條件を確保できるかどうかということは、この法律の文句ではできないのであります。文句がどんなに立派に完全にできておりましよとも、これがほんとうに有效適切に運營されるのでなければ、その目的はおそらくは達せられますまい。これは必ずしもこの法律に限つたことではないでありましようが、特に勞働力を單なる商品とみない。勞働者の獨立の人格を尊重して、人たるに値する、人間らしい生活をし得るだけの勞働條件を確保するということは、これは日本のこういう領域における根本觀念の一つの革命であると私は思う。この革命を遂行する大きなてことなりますこの法律を、完全に施行いたすための運用ということが、最も重要なキーであると私は思う。どんなに條章が完全にできておりましても、運營の點でもし畫龍點晴を缺きますならば、全く死文化するに止まると存ずるのであります。そこでそういう意味で申しまして、本案の第十一章の監督機關の規定が、本案の死活の問題であると申しても私は過言ではないと思うのであります。これは現在の情勢から申しましても、また今後の事情を豫想して考えましても、既に日本の資本主義というものは、海外の植民地、海外市場を失つてしまつて、わずかに狹小なる、しかも資源に乏しい國内市場が殘されているに過ぎない、そのわずかに殘されたる資源に乏しい國内市場によつて、資本主義が立つていこうとしますならば、從來搾取の對象でありました海外市場、海外植民地における利潤の搾取が、今後は内地において行われるようになる。從來とても内地で行われなかつたわけではありませんが、内地における資本主義的な利潤の搾取が強化する傾向が起るのではないかと私は考えるのであります。それでなければ日本の資本主義はとても立つてゆかぬ。ですから、これは好む好まぬにかかわらず、また資本家の主觀の問題でなく、客觀的に見ればこういう社會的な形勢が今後起つてくることを避けることはできないと存ずるのであります。從つてまた勞働の強化というようなことも行われる。基準法の裏を濳る、骨拔きにするというような運動も豫想されないことはない。そういう危險が多分に存すると私は思う。資本家に本法の遵守というようなことを望むことは、木によつて魚を求むるようなものであつて、資本家の善良なる意思にまつて本法の適用が期待されるわけはありません。工場法の制定運動のために財産を蕩盡し、半生を費したロバート・オーエンを日本の資本家に求めることはまつたく夢に過ぎない。從つて本法の監督機關というものが非常に強力であつて、水も漏らさぬような緻密なものであつて、資本家の裏をかく、本法を骨拔きにするような企てを嚴重に取締るのでなければこの法案の精神はとうてい活かすことはできなかろうと私は思うのであります。ところで、この第十一章の監督機關を九十七條、九十八條、九十九條、百條というふうに百五條までの規定を見て感じますことは、あまり官廳的な機構という感じがいたすのであります。こういう官廳的な機構は、こういう革新的な法の精神を活かす上にはどうもあまりに舊態依然たる感があるのであります。革新的な法の精神に副うような、もつと革新的な機構制度が必要なのではないか。勞働基準監督官というものはどういう人によつて構成されるかはわかりませんが、はたして勞働條件の實情を知つてる人が選ばれるかどうか、また勞働者大衆との接觸が十分な人が選ばれるかどうか、使用者に買收されるような危險がありはしないか。往時の工場監督官というものが、警察官のほとんど片手間の仕事であつたのが工場法をまつたく死文化してしまつた一つの大きな原因であつたと思うのでありますが、もし勞働條件の事情も知らないし、勞働者大衆との接觸もないし、ただ單に官吏になつた、監督官に任命されたということだけの、いわゆる普通のお役人であつては、勞働者と接觸するよりもむしろ資本家に接觸する機會が多く、勞働者に買收されるおそれはありませんが、資本家に買收されるおそれは多々あると思う。かつては鑛山會社の鑛山所長の大抵は、鑛山監督局長の古手がなつていたというのが實情であつたと同じように、そういう資本家との因縁情實ができる危險がお役人であつては免れがたいのではないかと思う。そこでこの法律を嚴重に施行する上に、最も多くの利害を感ずるものは、この法律の受益者である勞働者自身であらうと思ふ。勞働者は自分たちの働いております工場の勞働條件の細目をすみからすみまで心得ておる。その下で働いておるのでありますから、その條件のいいか惡いかによつて毎日直接の影響を受けておる人間であります。昨日でしたか一昨日でしたか厚生大臣は、勞働基準監督官は特別の知識を有する人間でなくてはならないというような、だれかの質問に對する御答辯がありましたが、そういう意味で勞働基準監督官としての最善の知識をもつておる者は、工場に働いておる勞働者が一番適格者だとも言えるのであります。でありますから、この監督機關を單なる今までの古いお役所ふうな機構ではなく、大いに民主的な制度といたし、またこの法の運用を效果あらしめるために、勞働組合の代表者あるいは工場の勞働者の代表、これに勞働條件を監督しまた工場の實情を査察する權限を附與するというようなことが、私はこの法の活用運用の上に非常に效果をもたらすゆえんではないかと思うのでありますが、こういうふうにお改めになる點については、どういうふうにお考えになりますか、またはそういう政府に意思はないかどうか、この點を一つお伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=4
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005・吉武惠市
○吉武政府委員 ただいま荒畑さんの、監督が最も必要だ、それについて、運用についての御意見でございましたが、私どももこの法律を施行する上において、最も重要視いたしておりますのは此の監督機關であります。この法律はお話にもありましたように大體は世界的な水準ではありますが、日本の從前の法律から見ますならば相當進歩的な法律でございますので、これを施行いたします上におきましては、相當困難と努力が伴うと思つて覺悟しております。從前の工場法でさえも、これを施行する上におきましては實は相當苦勞をしておつたのであります。ただいまいろいろ過去における監督官等についての御意見がございましたが、私どもも十數年前に監督官をやりましたが、私ども手前みそのことを申し上げはなはだ恐縮ではありますが、當時の監督官は、やはり勞働者保護のために眞に誠意をもつて監督にあたつてきたつもりであります。ただ數多い中でありますから、時にはいろいろな話も聞き、また間違いもあつたかも存じませんけれども、少くとも全般的には、監督官はいろいろな干渉迫害の中をとにかく工場法の線を確保するために相當の苦勞をしてきたのでありますが、この法律を施行する上におきましても、なお今後幾多の困難が伴うことを私どもは實は考えておるのであります。ただいまこの監督機構に民主的な民間の機構を參畫さしたらどうかという御意見でありましたが、この法律の監督は、いざという時にはこれについて告發の權限もありますので、やはり專任の監督官の制度によることが私は望ましいと思つております。要は人選をどうするかというところにあるのではなからうかと思います。ただ從前の役人の經驗だけということでなく、お話の民間から經驗のある人あるいは勞働問題に對する熱意のある人、しかも純眞にして誘惑にあわない、そういう人選に大いに考慮を要することであらうと思います。この點につきましてはこのたびの監督機構の擴充についてはわれわれ特に注意を拂うつもりでおるのであります。なお先ほど御意見の中にありましたように、いろいろな勞働者代表なり、使用者代表等を交えた一つの機構といたしましては、監督機構の中に勞働基準委員會というものを設けまして、これによつて本法の施行竝びに改正等について調査審議する機構を九十八條においておるのであります。これはこの法律を施行いたしましてまた幾多の改正を要する點も出てくるでありましよう。また中にはやつてみたけれども、實は實情に合わない、行き過ぎという點もありましようし、また不足という點もありましよう。そういう點をただ官僚の人が気づいて考えるということではなく、そういう使用者代表なり、勞働者代表を交えた民主的な機構によつてとりあげていく、そういう法律の問題ばかりではなく、實際の法律の施行が圓滑に行われておるか、無理がないか、あるいはまた徹底していないか、監督官のやり方に遺憾な點はないかということも、常に御研究を願いまして、そうして必要があれば行政官廳に建言をするというふうな方法をとつておるのであります。それから今後は組合がどんどん發達してまいりまして、組合のあるところでは組合の力自體においても是正ができ、監督ができると思いますが、組合のないところもまだまだ小さいところにはたくさんございます。本法には特に百四條において、監督機關に對する勞働者の申告の權限を與え、いつ何時でも、もしこの法律に違反するような事實があるならば、それを行政官廳なり監督官なりに申告をすることを許しておるのであります。それを申告したからといつて、あいつはこういうことを言つたからすぐ首にするとか、あるいは左遷するとかいうことのないように、身分の保障まで與えておるのであります。こういうような方法等をも併せていくならば、監督はうまくやつていけるのではなかろうかと考えておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=5
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006・荒畑勝三
○荒畑委員 この勞働基準委員會でありますが、これでは單に諮問に應じる、あるいは建議をするというくらいでありまして、私はこれでは大した力があるものにはならぬと思うのであります。ただ意見を具申する。あるいは諮問があつた場合にそれに答えるというくらいのことで、これではどうもはなはだ力が弱いと思うのであります。この第百四條は、なるほど勞働者が身分をこのために保障されて、工場内の命令違反を監督官に申告することができる。こういうことになつております。これは特定工場の勞働者に非常に大きな權利が與えられているわけでありますが、申告することができるというだけでなく、少くとも一定の工場内で働いている勞働者の代表、あるいはその勞働組合の代表者は、その工場内の勞働條件の規正ということに對して監督査察するというような權能が與えられることが必要ぢやないかと思う。つねに勞働基準監督官がやつてきて見まわつておるわけでもありますまいし、ただ單に勞働者が申告することができるというだけでは、非常にその點が力が弱いのぢやないか。もつと基準監督官とまで行かなくとも、基準監督官に準じたような、その工場内の事情を監督査察する權能を與える。こういう考えをここに實現できないものでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=6
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007・吉武惠市
○吉武政府委員 そういう御意見も一つの考え方でありますが、實際問題としては、組合等がございますれば、組合内においてそういうことは事實上審議され、取上げられてゆくものでありましようし、またかりに組合がございませんでも、今後の情勢といたしましては、いわゆる勞働者あたりのお互いの連絡なり、あるいは活動によつて、今お話になりましたようなことは事實上取上げられてゆくべきものと私どもは考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=7
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008・荒畑勝三
○荒畑委員 この勞働基準監督官の採用任命という中に、ただいま官吏を任命するというだけでなく、民間からも採用するというようなお話がありました。それは私は非常に贊成なのでありますが、實際に勞働組合運動に關係し、かつ長い勞働生活の體驗をもつておつた、それだから誰でもいいというわけにはもちろんまいりません。その中で人格も高い、またその能力もある人でなければなりますまいが、しかしただ民間のいわゆる知識人と申しますか、あるいはよく何かにひつぱり出される、專門の知識があるとかいうことだけでなく、實際にみずから勞働生活の體驗のある人を、特に勞働組合運動を實際にやつてきている、また現にやつておる人を基準監督官に採用任命するというような方針をおもちでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=8
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009・吉武惠市
○吉武政府委員 今ここで組合の指導者であつた者を入れるかどうかという點については、ちよつとお答えしにくいのでありますけれども、先ほど申しましたように、勞働監督というものは單なる事務的な問題でございませんで、やはり勞働問題に對するほんとうの熱意がなければとてもできない仕事であります。從いましてそういう熱意のある人と言えば、やはりそういう問題に對する經驗のある人あたりからもとらなければなりませんので、今ここで組合の指導者を入れるかどうかということは申し上げにくうございますけれども、御趣旨のように勞働問題に對する眞に熱意のある、經驗のある者は、どしどし登用して行くつもりであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=9
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010・荒畑勝三
○荒畑委員 その次には適用事業の範圍ということが問題になるのでありましようが、この中で他の點は別としまして、ただ一つお伺いしたいのですが、八條の但書に「家事使用人については適用しない」ということがあります。家事使用人と言えば、女中などがそのおもなる對象になると思うのでありますが、女中というものは全國に何でも二十萬近くあるという話でありまして、明白に給料をもらつて人のために働いている。これをどういうわけではずされるのか。私は當然この適用範圍にはいるべき對象と思うのですが、その點。
それから第八條の十四の「旅館、料理店、飮食店、接客業又は娯樂場の事業」この接客業という中には、たとえば藝者などもはいる。そうすると藝者などの場合には、特に年少の藝者などの場合には、六十以上の女子の深夜業禁止とどういうような關係が起りますか。またそういう藝者とかなんとかいうような職業でない、眞面目な女中などについても、日本の女中というものは、ほとんど自分の時間がない。朝でも晝でも晩でも、夜中でも、命じられれば仕事をしなければならぬ。その點は政府の言われることとまるで話が違うのでありまして、こういうものこそ私は大いに保護しなければならない、非常に封建的な、昔ながらの制度のもとに生活をしているのですから、これこそ私は本法によつて人たるに値する生活を多少ともできるように、保護してやらなければならぬだろうと思うのであります。殊に女中の中には十六、七というような少女もおりましようし、深夜業禁止という條項に當然該當するような事情が女中とか、藝者とか——接客業という中に藝者などもはいれば、そういうものが皆ひつかかつて來ると思うのでありますが、そういう點についてはどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=10
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011・吉武惠市
○吉武政府委員 適用事業については家事使用人は適用しておりません。これはお話のありましたような女中を意味しておるのでありますが、今日の日本の状況では、やはり家庭に住みまして、家庭人の一員として生活をしておるので、これを直ちに就業時間何時間、賃金いくらと申しましても、なかなかむずかしいことでありますから、この點は除いたのであります。それから第二の例の旅館、料理店、接客業等の女子の問題でありまするが、これにつきましては特にその業態の性質から申しまして、深夜業は禁止しておりませんが、しかし十八歳未滿の者につきましては、これはやはり特に保護する必要がございますので、深夜業を認めないというような方針をとつておるのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=11
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012・荒畑勝三
○荒畑委員 私は別に藝者に懇意ではありませんから、特に藝者の肩をもつ必要はないのでありますが、實際問題として考えると、これは藝者の若い十八歳未滿の深夜業を禁じたとしても、勞働者なんかと違つて勞働基準監督官に申告するというようなこともできますまいし、またそういうところに勞働基準監督官が一々臨檢査察するということもできますまいし、實際上こういうふうにいつておつても、私はできないのじやないかと思うのです。それから前貸金をどうするとか、前借金をどうするとか、契約勞働をどうするとかいうような保護の規定がありまするが、藝者などには昔から養女の形式をとつて、そうして血を搾るというような制度も行われているように聞いておりますし、こういう點はただこう書いただけでは、これは勞働者の場合と違つて、實際の問題として、しかもこういう法律によつてその人間らしさを保たれるべき保護を受けるべき對象でありながら、實際にはやはり放置されて、この法律の恩惠を受けられないという實情が多いということになるのじやないかと思うのです。こういう點はただここでは規定されただけに止まつてしまう。そういう點でもう少し何か具體的な方針がおありでしようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=12
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013・吉武惠市
○吉武政府委員 ただいまお話がありましたように、接客業につきましては、從前そういう封建的ないろいろな契約なり慣行がありまして、なかなかそれが一擧にして改善されることはむづかしい問題だと思つております。しかしながら、むずかしいといつてこれを放置するわけにまいりません。やはりいわゆる人として生活ということを考え、また今後の女子の問題を考えまするならば、とにかく思い切つて改むべきものは改めなければならないと思うわけであります。本法につきましては、やはりその點を嚴格にいま規定しておるわけであります。從つてこれを施行する際におきましては、相當困難が伴うと思いまするが、これはいわゆる業者の方に對する教育なり、あるいは宣傳と申しますか、指導という點も強くやらなければならぬと思います。また監督の方法もむずかしいとは思いますが、やはりその方面に多少とも經驗があると申しますか、熱意のある人をも登用いたしましていろいろやつていく途もありはしないかと思つております。困難な事情は考えられますが、こういう方面の封建的な取扱いにつきましては、できるだけ早い機會に改めていきたいという考えをもつている次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=13
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014・荒畑勝三
○荒畑委員 私の親戚に、横濱で女郎屋をやつているのがあります。私も横濱でそういう業態の中で生れた人間ですが、せんだつても話を聞きますと、横濱で進駐軍から賣淫行爲をしてはならぬ、それから客を上げてはならぬというような嚴重な、ほとんど貸座敷營業が成り立たないような命令を受けている。だから、いわゆる接客婦を置いて、客がそこで飮んだり食つたりするくらいのことで、上に上つてはならぬ、賣淫行爲をしてはならぬというのですから、その命令通りいけばカフェーみたいなものしかやれない。ところが、進駐軍がそういう命令を出しても、裏で警察が、まあそんなことは言うが、それでは實際やれないだろうから、默認するからというのでやらせている。もしこんなことが行われれば、こういう規定などは百あつても何にもならぬ。私は政府委員が、これに萬全の努力をいたすというただいまのお言葉を信じてやめますが、そういう取締りをいたす上に、その衝に當たる官吏が酒、女で殺されないように、一つ御注意を願いたいと思います。
次に賃金支拂の規定であります。これはたしか昨日土井君の質問だつたと思いますが、二十四條の第二項の賃金を毎月一囘以上一定の期日を定めて支拂うという命令では足りないから、少くとも二囘以上ということにしたらどうかという質問でしたが、政府の御答辯では、やはりこれは一囘ということの御答辯だつたと思います。またそれを繰返すような質問ですが、それは平時のことで、今日のように物價の高騰している際には、賃金の支拂期日というのはなるべく間を短くして、幾たびにも拂う方が、少くとも賃金と物價とのつり合がとれていくのじやないか。賃金を支拂われる期間が長ければ長いほど、受取つた賃金が物價に比して價値が減るという状態になるのであります。だから賃金をなるべく小刻みにもらつた方が少しでも多くのものが買える。同一の額で少しでも多くのものが買えるという實情にあると思います。二囘に賃金を拂われる、あるいは一週ごとに拂われる、あるいは月ごとに拂われる、その拂われる賃金というものは勞働者が資本家に貸しておるのです。勞働を前貸をしておる。資本家の方が借主なんです。ですからその前貸をしておりますのを拂われるのでありますから、これはなるべくほんとうならば賃金に利子をつけて拂うべきである思います。それがほんとうだと思う。そういう意味から申しましても週給——毎週拂うということが、一番よい方法である。が少くとも二囘以上にする。毎月一囘以上というのではなくて、これを三囘以上に定めるということが、私は最低の必要であるとこう考えますが、そういうふうにこの點を改めてはどうか。その點を伺いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=14
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015・吉武惠市
○吉武政府委員 賃金の支拂いの問題でございますが、これは昨日も土井さんから御質問がありまして、大臣からもお答えがあつたのでありますが、お話のように最近の物價の情勢、生活状態から見ますると、一月では苦しいものもございましよう。また業態によりましては現在でも週給のところもあると思います。けれどもこの前も申し上げましたように、本法はあらゆる方面に適用があるわけでありまして、工場でいわゆる日給的に、日々生産をやつておるようなものにつきましては、御説のような制度も望ましいかと思いますけれども、一方いわゆる職員と申しますか、そういうような方面におきましては、大體一月々々の月給制の制度というものが、むしろ週給というよりも實情に適しておるのじやなかろうかという感じもするのであります。それから今日の物價の變動を御指摘になつてのお話でございますが、一月間に變動する場合もございましようけれども、しかしこれはごく臨時的な變動期のことでありまして、この法律は實は恆久的な制度、恆久的と申しましても、そう變えないという趣旨ではございませんけれども、大體勞働條件に對する基本的な制度でありますので、今日のごく臨時的な状態だけをもつて、全體の制度をそういうふうにするということは、考えものではなかろうかと思つておるわけであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=15
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016・荒畑勝三
○荒畑委員 恆久的な制度であるから、毎月一囘以上としておくという理由は少しもない。恆久的な制度であつても、週給制にしても少しも差支えのあることはないと思いますが、これはそれだけにしておきます。
次に二十六條の「使用者の責に歸すべき事由による休業の場合においては」云々、これは本會議のときにも質問された方があるようでありますが、使用者の責に歸すべき事由ということが、明白でないこともずいぶん多かろうと思います。勞働者の責にも歸せられないが、しかし使用者の責にも歸せられない。しかも休業するというような場合がずいぶんあるのじやないか。今後ますます多くなるのじやないかと思います。そういう場合には一體どうなるのか。たとえば資材がないとか、原料がないとか、電休だとか石炭がないとかいうようなことで休まなくちやならぬ場合もありましようが、これは必ずしも使用者の責にばかりも歸せれない事由と言わなければならぬ。あるいはむしろ政府の責に歸すべき事由であるのかも知れない。ですからこれはやはり勞働者の責に歸すべきでない事由による休業の場合においてはというふうに、そういう意見もたしか本會議で出ましたが、そういうふうに修正する方が私は最も公正ではないかと思うのですが、その點いかがでしよう。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=16
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017・河合良成
○河合國務大臣 今お話の通りに、勞働者の生活の方の状態から言いますると、勞働者の責に歸すべき事由にあらざる事由をもつてというふうにした方がいいと思いますけれども、と言うて使用者の責に歸すべき事由にあらざるものに對して、使用者に負擔をやらせるということも、ちよつとどうかと思うのです。そこが非常に惱みのあるところです。これは一つのコンベン・セイシヨンの考えからきておると思いますから、やはり事業者對勞働者ということの問題の解決には、この線よりほかには仕方がない。そのほかの問題になりますと、今御指摘になるように國家の責と言える事由もありましようし、國家の責と言えぬような事由もありましよう。天然自然の責に歸すべき事由もありましようが、そういう場合は、一般國民は憲法二十五條により生活の保護その他を受くべきという線へ戻つて、一視同仁的に國家がそれに對處していくという建前へ戻らざるを得ないのではないか。今御指摘のように一つの缺陷を呈することは私も同感でありますが、この法律における事業者の責任としては、これより進むのはどうかというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=17
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018・荒畑勝三
○荒畑委員 それはそれだけにいたしまして、次に第五章の安全及び衞生、危害の防止、危險業務の就業制限、この中に私はこういう規定を入れることが必要じやないかと思う。これはただ勞働者の健康とか衞生とかいうことを保護するに止まつておりまして、大體世間とは關係ない。勞働者だけの保護の問題であります。ところが勞働者と世間と密接な關係を持つている勞働者を保護すると同時に、世間も保護する。勞働者を保護しないために、世間も存外迷惑をこうむるというような性質の事業があると思います。たとえば鐵道などの運輸事業、これはただ勞働者だけ保護すればいいというのでなく、その運輸事業に從事している勞働者の扱う公衆の生命、健康というようなものも、同時に保護しなければならぬ。ところがそういう規定がここに一つもないのです。たとえば勞働者の技術が非常に不熟練である。あるいは施設や装置に非常な缺陷があるというと、そのために社會が大きな危害をこうむるという問題が、當然に起つてくると思うのであります。ここで私が申したいのは、せんだつて起りました八高線の鐵道事故の問題でありますが、あれは國鐵始まつて以來の大慘事だと言われています。一千人も犧牲者が出た。浦和の檢事局が檢證した結果機關手の佐野一治という人が技術が未熟で、それが原因でこういう事故が起つたという斷定が下されたそうでありますが、この技術未熟が原因となつてこういう事故を起した當の責任者の機關手の佐野一治という人はどうなりましたか。たとえば刑事責任を負うことになりましたかどうですか。運輸當局のお答えを聽きたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=18
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019・逢澤寛
○逢澤政府委員 荒畑委員から、ただいま主として八高線の悲慘事に對しまして、その原因が青年運轉手に屬しておるかという御質問のように拜承いたしたのでありますが、あの八高線の事件につきましては、しばしば本院におきましても話題になり、問題になりまして、運輸當局といたしましては非常に恐縮をいたしておる次第であります。御承知のようにあの線路の状態は非常に條件の惡い所なんで、私ども若干鐵道ということについては經驗をもつておるのでありまするが、最惡のカーヴ、最惡の勾配になつておるのであります。現場の實情はそうでありますが、それにもつていきまして、運轉手が二十何才の未熟な運轉手だということも一つの條件になつております。しかしながらいろいろの調査をやりました結果は、かつて聲明をいたしておりますように、三倍からの超過人員を乘せまして、加うるにその乘客の方々が多量の荷物をもつておりました。それにスピードも、御指摘になりましたように速度計などの不完備なせいもあつたのでありますが、その主たる原因は車の重心を失つた、車がもしも鋼鐵車でありましたならば、ああした大きな被害にも及ばずに濟んだことでありましようが、ちようど客車の不足のために木製車を使用しておりました關係上、それに加うるに今申し上げましたような三倍からの定員過剩人員が非常な荷物をもつておつたそれに速度が加わりましたために客車の重心を失つたというような、いろいろの惡い條件が四つも五つも加わつておつたようなことになつておりますので、責任があの機關手に屬するかどうかということにつきましても、當局といたしましてもいろいろ調査をいたしました。それでその後技術試驗をやつておるのでありますが、その結果によりますると、あの運轉手の成績はあまりいい方ではなかつたそうであります。まあ中位ということであつたのであります。それから機關助手の成績は良好な成績をもつております。もう一人ついておるところの助手の成績も、これもいい成績をもつておる。こういう結果を生じております。つきましては、その責任の所在につきましては、今司法當局でも調査しておるのであります。私の方でもどういうふうにするかということをまだ決定はいたしておりません、さように御承知を願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=19
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020・荒畑勝三
○荒畑委員 まだ決定しておらないというならば斷言は差控えますが、こういう場合にはいつも機關手とかあるいは運轉手とかがその責任を問われる、刑事の責任を問われるというのが過去多くの例であります。現に浦和檢事局では機關手の技術未熟がこの事故の最大の原因だ、こう言つておるという新聞記事もあつたくらいであります。今も逢澤政府委員のお話のごとく、佐野という機關手はわずか二十才餘りの青年で、就職後わずか六箇月にしかならぬとか、當日初めて運轉に當つたというような新聞記事がある。それからまた機關車が久しく修理のために入庫していて當日初めて出動した。ヱアー・ブレーキの壓力針がなかつたとか、あるいは乘客がすし詰めで、積載重量を遙かに超過していた。そういうような原因もあつたでありましよう。またアメリカ進駐軍の第八軍鐵道局からは、この事故の原因は列車のエア・プレツシヤーがなかつたことによるという發表もあつたようであります。まだはたして責任の所在がどこにあるかということがはつきり確定されておらないということでありますが、こういうことを考え合わせますと、私はこの責任の所在が佐野機關手になかつたということだけは明らかであろうと思う。鐵道線路が磨滅しておるといふことも、これは明らかであります、何も八高線に限つたことではない。青森から下關まで、日本の鐵道の幹線のうち危險な箇所が六十四箇所もあるという話も伺つておる。またレールだけでも今年中に取替えを要するものが二萬トンあるのであるが、そのうちで新品はわずかに三千八百トンに過ぎない。そういう事實もあるという話でありますが、それだけでも鐵道の線路の磨減破損というものが鐵道事故の多くの主因をなしておるということは明白です。もし強いて個人的な責任を掘り出しまするならば、當人が技術が未熟であつたということでありましようが、しかし技術の未熟ということは、はたして佐野機關手に責任を轉嫁する理由となるのでありましようか。技術の未熟な者をこういう危險な鐵道に機關車を運轉させるということが、ほんとうの責任である。そこに責任がある。それをやらしたのはすなわち鐵道當局であります。何も當人が技術の未熟を隱して、いかにも技術が優秀であるかのごとく僞つてこの運轉に當つたわけではありますまい。その十分な檢査を行わないで、そんなわずか就職して六箇月ばかりの技術未熟な人間に運轉をさした。しかも非常に危險な箇所に運轉をさした。その機關車には當然備えていなければならない裝置も備わつていなかつたというようなことは、これは當人の個人の責任ではなくして、まつたく鐵道當局の責任であると思う。從つて私はその責任がどこにあるにせよ、當日の機關手が技術未熟な佐野一治君にその責任がなかつということだけは明らかであろうと思う。ところがこういう場合にはいつも機關手が責任のやり玉に上げられるのが常であります。電車の運轉手が誤つて人をひいても、線路をちよろちよろ歩いたり、線路をむやみに横切つたりするのが惡いのでありますけれども、やはり運轉手が刑事責任を問われるというのが普通でありますが、私はその危害の防止ということを、この安全及び衞生というところか、あるいはその他適當なところのどこでもよろしいのでありますが、十分にこういう場合の刑事責任というものに對しては、特に運輸勞働者ということになるでありましようが、勞働者のそういう刑事責任などに對して保護するような規定がどこかに設けられることは望ましいし、設けることが必要ではないかと思うのでありますが、この點運輸當局及び厚生省のお考えはいかがでありましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=20
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021・小西桂太郎
○小西政府委員 荒畑さんのお話の中で、多少事實と相違しておる點がございますので、その點を訂正いたしまして、それからお答えすることにいたします。機關手は二十二歳でありましたが、就職は十七年一月に就職いたしておりまして、機關手になつたのは大體六箇月前ということでございます。
それから事故の原因でございますが、これは檢察當局竝びに東京鐵道局が共同で調査いたしまして、特に技術的な關係では鐵道當局が車輛、線路、その他にわたりまして詳細に調査いたしました結果、ああいう支線區ではございますが、最近お召列車を運轉いたしましたこともございますので、線路に關しましてはまず間然するところはないという状態でございます。車輛につきましても、進駐軍關係でエア・プレツシヤーがあつたとかなかつたとかということがございますが、これも技術的に調査いたしました結果、そういうことは何らかの思い違いか、あるいは誤解か、制動器の機構にも、あるいは車輛自體にも非常にたくさん乘客が乘つておりましたために、多少スプリングがセツトしておりまして、普通の状態より惡い状態になつておりましたことは明らかでありますが、機構上特別に缺點があるというふうには判定しかねるような状態であります。大體現場は千分の二千ミリの下り勾配のところに二百五十メートルのカーヴ、先ほど政府委員から御説明のありましたように、非常に惡い條件のところでございまして、五十五キロの速度制限をしてございます。これは佐野機關手も十分承知しておるわけであります。そのところを大體推定いたしました速度が、これは計算上からも出ますし、また實驗的にもいろいろ立證されておるのでありますが、いろいろ惡い條件が競合すると考えまして、推定いたしました速度、當時の速度というものは大體八十キロを超えるくらいの速度である。制限速度から比べますと二十五キロか三十キロ近くオーヴアーしておつたということが、はつきり技術的に推定されております。大體カーヴの速度制限の個所というものは、制限速度の倍の速度を出さなければひつくり返らないということが常識になつております。從つて五十五キロ制限がありますれば、百キロ以上の速度を出さなければ轉覆しない。それは遠心力によつて線路の外側に轉覆防止のために勾配がついておるのでありますが、これを飛び越して轉覆するためには倍ぐらいの速度にならなければならぬということになるのでございます。これは普通の状態で考えるわけでありまして、現在旅客が定員の三倍も乘つている。そのときにおいてはおそらく一車に四百人近くも乘つておつたのぢやないかと推定されるのであります。しかも買出しの客が多く、荷物もうんと載つておる。從つて列車の重量というものは相當多くなつておる。また立つている客が非常に多いのと、棚に芋その他の重量品が載つておりましたために、客車全體の重心が著しく高くなつておつた。大體機關車の重心は軌條上一・五〇メートル、客車で一・二〇メートルぐらいが普通でございますが、當時の推定の客車の高さは、おそらく一・七〇メートルぐらいになつておつたのぢやないかと思います。また佐野機關手の技倆未熟の點から、二百五十メートルの下り勾配で急制動をかけたためのシヨツクそれからまた、先ほど申し上げましたように、客車のバネがセツトしておりました關係、その他から非常に惡い條件が競合することを考えて、今の下り勾配の速度を推定いたしますと、大體八十キロ以上ということになります。いずれにいたしましても、制限速度から五十キロ近くもオーヴアーしているという點から、下り勾配で、その機關手を調べましたところから申しましても、制動の方法その他に難點がありまする點から、機關手の未熟だということについては異論がないところであります。ただ、こういう未熟な機關手を使つた當局に責任があるのではないかということになりますと、まさに仰せの通りでありまして、この點は、そういう未熟の機關手を使いました者に對する責任というものは當然あろうかと考えております。これに對する處分その他につきましても考慮されている次第であります。ただ一般的に御承知願つておきたいのは、現在全國に約二萬人の機關手がおりますが、この中約一萬人というものは二十四歳未滿の機關手であります。戰爭中に鐵道がどれほど大きな負擔をかけさせられたか。これは戰爭をしたのだからそのときの運輸當局が惡かつたのだと言つてしまえばそれまででありますが、國全體として非常に無理をさせられた。鐵道もその犧牲者の一人です。好んで十九や二十の機關手を使うわけではない。二十一になると全部兵隊にとられてしまう。なおかつ荷物を送らなければならぬ。人も送らなければならぬ。あらゆる無理を敢行された結果がここに露呈されておる。これを直ちにやめろ、三十くらいのを使えと言つたところでどこから取つてくるか、現在の機關手を何とかして再教育をし、この技倆を優秀なものにし、設備もよいものにし、また輸送力も殖やす、何とかすべての無理、まずい點を拂拭して、一日も早く皆さんの滿足できるような立派な鐵道にしたいということで、運輸當局はやつておるつもりでございますが、現状は今申しましたように、非常に戰爭中の無理が今露呈されつつある。事故のごときもはなはだ恥かしい次第でありますが、一時の十倍くらいになつておる。これは全部お前たちが惡いのではないかと言つてしまえばそれまででございますが、しかしこれはよくお考えになれば、單に鐵道だけぢやない。あらゆるものが戰爭の結果荒廢し、ひどい状態になつておる。これを囘復するためにあらゆる努力をしておる、こういう點の御諒解を願いたいと思います。從いまして、一機關手の責任だと當局は責任を囘避する意思は毛頭ないのであります。しかし現在どれほど戰爭のために荒廢されて、鐵道が努力して何とかうまくやつていきたいと考えておるかという點もお考えになつていただきたいと思います。機關手の再教育、その他仰せのようにエア・プレツシヤーでなくてスピード・メーターがついていなかつたのでありますが、恥かしい話でありますけれども、現在ほとんど全部の機關車にスピード・メーターはついておりません。しかし機關手は多年の經驗によりまして大體五キロや十キロの速度の違いはあるかもしれませんが、五十キロの制限速度のとき、九十キロも百キロも出すようなまぬけた機關手はそうたくさんないということは常識でもわかります。そういうような状態の機關手を使わなければならぬというところにもいろいろ理由があると思いますが、しかしその點につきましては運輸當局としては責任を負うべきものだと私は考えております。こういうようなわけでございまして、勞働者の保護の規定に、一般公衆に非常に大きな利害關係があります基準法に、そういう意味の何らかの規定を附け加えられることは、私といたしましてむしろ非常に結構なことじやないかと思つているくらいでございますが、實情はこの通りでございます。從いまして非常な努力はしておりますが、また再教育その他につきましても、今後もあらゆる努力を傾注していくつもりでございますが、實情は今申し上げましたようなわけで、この點荒畑さんの御諒解を得ておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=21
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022・吉武惠市
○吉武政府委員 ただいま荒畑さんの御質問の最初にございました、一般的世間に對する問題を基準法で考えてないかどうかという御質問がございました。これは一應ごもつともでありますが、この法律はいわゆる勞働條件の基準をきめる法律でございまするので、やはり別個の法律體系によらざるを得ないかと思つております。ただ御質問の御趣旨に多少副うた規定といたしましては、これは工場内の勞働者保護の立場から規定したものでありますが、第四十九條に御趣旨のような規定をつくつておるのであります。使用者は經驗のない勞働者に危險なような仕事をさせてはならないという規定をおきました。また使用者は必要な技能を有しない者を特に危險な業務につかせてはならないというようにいたしまして、大體今まで災害のありましたような點を考慮して、こういう業態については大體これくらいの經驗というようなものを命令で規定をするつもりでおります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=22
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023・荒畑勝三
○荒畑委員 次に第六章女子及び年少者に關する規定であります。「滿十五歳に滿たない兒童は、勞務者として使用してはならない。但し、滿十四歳以上の兒童で、命令で定める義務教育の課程又はこれと同等以上と認める課程を修了した者については、この限りでない。」これは私はやはり滿十四歳以上の兒童で、義務教育の課程を終えたか、またはこれと同等以上であつても、やはり滿十五歳に滿たない者は勞働者として使用しないという規定が、この法の本筋であり、またそういうふうにすべきじやないかと思うのであります。これは教育の問題だけじやない。次代の國民の健康なり、また壽命なりの問題に一番重點がおかれなくてはならぬと私は思う。單に教育だけの問題ならば、それは義務教育の課程を終えたか、あるいはそれと同等以上の力があると認めた者は、滿十五歳に滿たない者でも使つていいかもしれないけれども、それはそういうものではなかろうと私は思う。なるべく年少の者は勞働につかせないということが、次代の國民の壽命なり、健康なりの上に重要なる意義をもつておるのではないかと思うのでありまして、ここはやはり滿十五歳に滿たない兒童は、勞働者として使用してはならぬという一本槍でいきたいと思うのですが、この點を一つお伺いしたい。なるほどそういうふうに少年だからというて、仕事につくことを禁ずるのは、非常に重要ではあるが、しかしこれは當人または家族なりの生活の問題とも關係するから、あながちそうばかりも言つておれないという御意見もあろうと思います。しかし實は少年勞働者を採用するということが、おとなの勞働者の賃金を低下させる大きな原因になるのであろうと私は思う。一家の主人が働いても滿足な賃金が得られないから、かわいい子供を工場にやる。女房も工場にやる。またそのために貨金が減るというようないたちごつこをやる。人に値する生活というものは、なにも食つていければそれで濟むというものではなかろうと思う。食つていくだけでなく、人間が健全な家庭を營み、一家團欒の樂しみを得る、これが人たるに値する生活の重要な要素でなければならぬと思うのであります。そういう意味から申しましても、少年を勞働させる、女房を勞働させるということは、勞働者の家庭を破壞するものであります。そういう點で少年にはできるだけ勞働させない。また少年勞働を禁ずることが、私はおとなの賃金水準を上げる一つの方法でもあると思いますので、ここのところは今言つたように訂正されることを要求するのでありますが、この點についてお伺いをいたしたい。
それから「行政官廳の許可を受けて、滿十二歳以上の兒童をその者の修學時間外に使用することができる。」これもなるほど修學時間を含んだ時間内で使えるんだから、そのために修學には差支えないのだ、こういう御見解でありましようが、しかしこれは十二歳かそこらの子供に、働くのと勉強するのと二重の負擔をかけるものであつて、身心に必ずしもいい影響は及ぼさないと私は思う。子供はむしろ學校へ行つて、遊び半分學ぶということを唯一つの仕事にするようでなければ、私はほんとうに次代の健全な國民はできないと思うのでありまして、この點についてもぜひ修正をしてもらいたいというのですが、以上の點についてまずお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=23
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024・吉武惠市
○吉武政府委員 ただいま荒畑委員のお話のごとく、十五才未滿の年少者を働かせるのはよくないという點につきましては同感でございまして、この法律の五十六條におきましても、最低年齡は滿十五歳といたしまして、原則としてはもうそれ以下はいかぬという方針をとつておるのであります。ただ二項の點はここに掲げてありますよにう「第八條第六號乃至第十七號」と申しますると、これは大體農業的または商業的の方面でありまして、工業的な方面は一切これを許しておりません。またこれは商業的、農業的方面であるから一切十二歳以上を許すという趣旨ではございませんで、原則は十五歳未滿はいかぬ。ただしかしただいまお話のうちにもありましたように、十五歳以下が一切いかぬということになりますると、今日の實情は、大した勞働でなしに、ごく輕微であり、しかもそれが兒童の健康、福祉に害でなくて、多少とも收入の途があつて、あるいは勉強もするとか、生活の援助にもなるというものもあろうかと思いますので、そういう弊害のないものにつきましては例外的に許可で許そうという趣旨でございます。なお例外的に許す場合におきましても、第六十條の二項におきまして、そういう今の例外をなす場合であつてもその勞働時間は修學時間を含めて一日七時間以上はいけないということになりまするから、修學時間を除きまするとごくわずかな時間でありまして、今日行われておるものといたしましては、朝學校へ行きがけの前にちよつと新聞の配達をするとかいうようなことは、これはまあ認めてよかろうという考えでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=24
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025・荒畑勝三
○荒畑委員 お話はよくわかりました。ただ私は一般的に申しましても、少年勞働者の就業年令を引上げることが望ましいと思うのでありますが、それと關連しまして當然問題になつてくるのは勞働時間の問題、これはしばしば問題になりますから、詳しいことは申し上げませんが、實働八時間か拘束八時間かという問題であります。私は理想的に申せば八時間どころじやない。七時間にも六時間にも時間を短縮して、そうして失業者を産業に吸收する。それが賃金競爭を防止もするし、從つてまた勞働者の生活水準を維持するゆえんでもあると存ずるのでありますが、しかしそれはなかなか言うべくして行われないのであります。實際問題としてはやはりこの八時間ということが最適の規定であると存じますが、しかし少くとも實働八時間でなく拘束八時間これが最も望ましいと思うのであります。これはそういうふうに御訂正になる御意思はないでありましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=25
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026・河合良成
○河合國務大臣 この問題につきましては、將來に對しましてはまつたく御同感でございますけれども、ただいまの國情、あるいは技術の關係、それから資材の蓄積の關係その他からみまして、どうしてもこういう程度でゆかなくちやならぬ。しかし理想としましては、できるだけ勞働者に十分な時間を與えて、健康と文化の方へそれを向けるということを、國家の理想としていくべきものだということについては、まつたく御同感であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=26
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027・荒畑勝三
○荒畑委員 それから六十五條の産前産後、六十六條の育兒時間、六十七條の生理休暇の問題については、もう山崎君より大分詳しい質問がありましたから、六十五條六十六條の問題でありまするが、これはいずれもその當人が休暇を請求した場合には就業さしてはならぬとか、請求した場合には與えなくちやならぬとかいうことになつております。要するに當人の個人の任意の條項になつておるのでありますが、この法の精神から申しますれば、これはやはり強制條項にすることがよいのじやないかと思います。その點どうでございますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=27
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028・吉武惠市
○吉武政府委員 六十五條の産前産後でありますが、産前につきましてはやはり本人の請求によつてやるというのが大體國際條約におきましても採擇されております。ただ産後につきましては、やはりこれは絶對的に忌避しなければなりませんので、本法におきましても産後については請求なくして就業を禁止しておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=28
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029・荒畑勝三
○荒畑委員 これもやはり現在の状況における生活ということに關係してくるのでありましようが、強制條項でなく任意ということになりますと、やはり生活のためには苦しいのをがまんして、請求したいのをしないということが起つてきて、こういう條文があつてもなんにもならぬというようなことが多く起りはしないか。そういう點を私は一番おそれる。もつともこれは生活のことも考えなければならぬですから、從つて社會保險なんというものが竝行して制定されなければ、大して意味はないのかもしれません。まあ私はそういうふうに思いますが、ただいまの御答辯でそこは結構であります。
それから、社會保險なんかと關連して考えられますことは、第八章の災害補償の項目であります。これは災害補償保險法に關連してまいるのでありますが、これはもう災害補償保險法が制定されなければ、そういう裏づけがなければ災害補償の條項というものは空文に過ぎない。これは誰でも認めているところであります。今日の新聞によりますと、災害補償保險法もいよいよ本きまりになつたということでありますが、これは非常に結構なことであります。ただかようにこの議會の會期が切迫しておりまして、はたしてこの保險法が議會を通過する見込みがあるかどうか。その自信が政府におありかどうか。もし不幸にしてこれが審議未了というようなことになりますと、この災害補償の裏づけになるものがない。そうすると、この基準法は通つたけれども、保險法の方は通らぬということになりますと、この基準法に規定されています災害補償は、災害補償保險法が通らない間、その過渡的にはどういう方法をおとりになるか。それをひとつ伺いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=29
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030・河合良成
○河合國務大臣 ただいま災害補償保險法につきましては關係筋と協議をしておりますので、ただいまの私どもの見込みではこの會期中には兩院を多分通過することができるという見込みでおります。しかし正確には實は申し上げることはできぬのであります。萬一これが遲れるということになりますると、その間といえどももちろんこの事業者の義務はなくなるわけじやありませんから、この法律においてやつていけることは疑いありませんが、直ちに臨時議會もどうせ總選擧後は開かれることであります。それでこの法律がいつから實施すべきかということは實はまだきまつておりません。できるだけ早い機會において實施はしますけれども、よほど廣汎な規定でありますから、小さい事業家その他の企業者には相當知らせなくちやなりません。災害保險の内容はそう周知させる必要がありませんので、保險制度の實施を早くやつていきますが、そこらとにらみ合わせてできるだけ間隙のないような方法をとつていくつもりであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=30
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031・荒畑勝三
○荒畑委員 最後に、この基準法は勞調法との關係もございまするし、法案そのものが性質から申しましても、私は本法が通過いたしました曉は、急速に實施をする必要があると思います。なるほど廣汎な法律でありますから、これを知らせなければならぬというただいまの厚生大臣のお説はもつともであります。それも必要でありましようし、また免れないことでありましようが、しかしそういういろいろな手續にもかかわらず、できるだけ早く實施をすると同時に、嚴重に施行してもらいたい。情、容赦をせずに施行していただきたい。それでなければ、この法の目的とするところはまつたくただ文字を羅列したというに過ぎなくなつて、この法の精神が死んでしまうと私は思うのであります。せつかくの畫期的な、革新的な法律というものも、今までの工場法に少し毛の生えたようなものになつてしまうおそれがありますので、いろいろな手續を見込んでの上で、できるだけ早く嚴重に施行していただきたいと思うのであります。ただしかし私どもといえども、本法の規定、なかんずく災害補償の實行ということが、日本の今日のように産業が破壞しており、生産が沈滯しておるというような實情を思いまするときに、日本の産業に相當大きな負擔になるということは、これは爭われないと思う。特に中小企業家にとつてはなみなみならぬ負擔になろうと思うのであります。これは吉武政府委員も御承知であつたと思いますが、せんだつて中央勞働委員會の席上で、たしか日清紡の重役であつたと思いますが、今の日本の産業ではこの法律の規定に對する負擔能力はありませんというように言つておつた。それがはたして事實であるかどうかはわかりませんが、そういうふうに言つておる人さえもある。隨分中小企業家の中には實際に負擔能力のない者も出るかもしれないと思います。これは私は基準法の實施にあたつて今後豫想せられる非常に大きな矛盾であろうと思う。これをやらなければ勞働者は救われない。また勞働者が、この法によつて十二分でないまでも、ある程度までほんとうに人たるに値する生活を營むだけの勞働條件が確保されるのでなければ、勞働者が素裸になつて日本の産業の復興に邁進しようという氣は起りますまい。そのためにも、私は勞働者を保護し、勞働力を保全するという本法の實施がぜひ必要であると思うのであります。しかし一面ではこれを急速に、嚴重に實施するということが、一部の企業家にはなみなみならぬ負擔をかけるということも事實なんでありますから、これは本法の實施にあたつて、非常に大きな予盾に當面せざるを得ないことになると私は思うのであります。從つて企業家が地域的であるとか、あるいは業種別であるとか、それぞれの關係に從いまして協同組合のような組織をつくりまして、連帶責任でこの負擔を補償する。特に災害補償保險のような負擔を補償するという制度を設けてはどうかと思うのであります。またできればそういう規定をも挿入したならばどうかと思うのでありまするが、こういう點について、政府當局はどういうふうにお考えでありましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=31
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032・河合良成
○河合國務大臣 ただいまのお尋ねの通り、この法律はできるだけ迅速に實施するつもりでおります。また實施も、工場によりまして、全體にわたりまして嚴正に行うという考えでおります。ただこの機會にちよつと申し上げたいのは、從來工場法の適用で大體勞働基準法の適用の調子を知つた工場につきましては、直ちにこれは嚴正な態度をもつて行えますけれども、今まで工場法の適用を受けなかつたような、産業全體に廣汎にわたりますので、初めてそういう法律の適用を受ける部類がなかなか多い。そうしてその組織の非常に小さいものがあります。こういうものにつきましては、今度つくりまする工場監督官の制度をできるだけ早く充實、教育をしまして、そうしてこれで指導よろしきを得たいという考えをもつております。またただいまの協同組合的のことで、いろいろ事業家側がなるべくリスクを分散するなり、あるいはまた企業の基礎をがつちりさせまして、そうして勞働者側にできるだけ利益を與えるということにつきましては、一般の産業、特に中小工場政策としまして、その面はできるだけ推進していきたいという考えであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=32
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033・荒畑勝三
○荒畑委員 これで私の質問を終ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=33
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034・矢野庄太郎
○矢野委員長 野村ミス君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=34
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035・野村ミス
○野村委員 私の伺いたいことは、前の方の御質問によりまして、多少重複したところもございますけれども、まつたく同じというわけではございませんから、私の伺いたいことをお伺いいたします。私は日本の勞働賃金の評價の根據はいずこにありや迷わされます。基準法には最低賃金として第二十八條、第二十九條、第三十條に、また技能者として第七十條に漠として命令でこれを定むるとありますが、私はもつと深く研究した職業の種別の分析によるところがあつて欲しいと思ひます。すなわち長年の經驗者、技術者、技術優秀者、危險性のある職業、晝夜勤務者、鐵道從業員、警察官たる——學識ある者、勤勉にして優秀な成績をあげ得る者等によりまして、賃金の高低を定むるようになつていますかどうか伺いたい。
〔委員長退席、椎熊委員長代理著席〕
年齢や家庭の事情によつて定められるのは感心いたしません。なぜかと申しますと、これは進歩性がないからであります。この賃金の評價のことをお伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=35
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036・寺本廣作
○寺本政府委員 勞働賃金評價の基準はどこにあるか、というお尋ねであつたと思います。なお職業別にその職業の種類、危險度、勞働時間の長さというようなものによつて具體的に、詳細にきめるようにしたらどうかという御意見であります。この法律といたしましては、最低賃金を定めます場合には、一定の事業または職業に從事する勞働者について、最低賃金をきめるということを規定しております。その際職業をいかなる程度に分類するか。小さく分類するか、大きく分類するかということ。それからその職業についておのおのいかなる賃金をきめるかということは、賃金委員會において詳細討議の上決定することにいたしております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=36
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037・野村ミス
○野村委員 この賃金委員會でもつて、勞働者につきましてほんとうのことがおわかりでございましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=37
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038・吉武惠市
○吉武政府委員 賃金委員會につきましては、その業態に經驗のあるような、勞働者側の代表なり、あるいは使用者側の代表なりを交えてやりまするから、大體わかります。また必要があれば專門家を呼んで意見を聽くこともできまするし、それは十分檢討をするつもりでおります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=38
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039・野村ミス
○野村委員 それがわかれば結構でございます。次は子持ち婦人の勤勞でございますが、夫が未だ海外から引揚げないでいる婦人、また夫に戰死されました方、戰禍で夫をなくしました方、こういう未亡人が子供を抱えて生活と鬪つておる人がたくさんございます。とうてい生活保護法の扶助だけでは生活ができませんので、工場へ通つて働いたり、女教員になつて生活をしておる方がたくさんございます。女教員の方には未亡人でない方もたくさんおられます。この子持ちの勤務者に安心して勤務ができるような託兒所を、學校においては學校衞生部のような所で預かるようにしてやれば、母親は安心して勤めに出られると思います。ただいまは都會も田舍も共通でございまして、子供を連れての通勤はまことに危險でございます。ゆえにこのような子持勤務者のために、工場なり學校の近くに住宅の必要を感じます。このような條項が見當りませんが、どこの條項に含まれておるのでございましようか。規則だけでなく、早く實現していただきたいものだと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=39
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040・河合良成
○河合國務大臣 工場の女子勞働者の託兒の施設につきましては、これは全國的に相當の程度にやつております。主として社會局でやつておりますが、私も東京市で助役をやつておりまする時に、ちようど戰爭中で、戰時託兒所を東京市内に非常にたくさんつくつた實驗をもつておりますが、また各工場内においても、その施設がだんだん進行しておりまして、もちろん十分ではありませんが託兒所としましては相當の設備ができておると考えております。住宅の問題は、これは女子の子持ちの勞働者に限つた問題でなく、一般往宅不足の問題がありますので、この點は國民全體に對する住宅不足の問題としてはなはだ心痛しておるところでありまするが、御承知のような事情で、まだ十分その點はいつておりません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=40
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041・野村ミス
○野村委員 そこで、私は子持ちではございませんでしたが、自分の經驗上ちよつと子持ちの女教員の優遇につきまして御説明申しあげます。學校を出ただけの若い教師では、初等科の教育にはまことに不適任者が多いのでございます。そこでこの若い女教員の方方が、教育者としての實をあげることが、年取つた方よりも、殊に何と申しますか未熟なのであります。それですから、女教員はどうしても二十五歳以上の方を初等科の教師として擔任さしていただきたいと思うのでございますが、二十五歳以上の女の方と申しますと、どうしても子持ちが多いのでございます。それで家庭にはいつて子持ちになりますと、大概の人は學校をやめてしまいます。そうしますと年とつた女教員の方で、初等科擔任の先生がまことに少いのでございまして、これは國家にとつて大變損なことだと思うのであります。そこでさつきも申しましたように、學校衞生部がところところに置いてありますから、そういうところに女教員の子供を預からして勤務させるようにしたらどうかと思うのであります。これは文部省の方になりますでしようか、どうでしようか。ちよつとお伺いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=41
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042・吉武惠市
○吉武政府委員 ただいまの御意見ごもつともな點がありますが、これは文部省の關係になりますので、私からどうというわけにはまいりませんが、一般の子持ちの方で働かれる方につきましては、託兒所の施設が確かに必要であります。この法律では強制的になつておりまするので規定してございませんが、實際の勞働關係に對するわれわれの指導といたしましては、そういうものにはできるだけ託兒所をつくるように指導して行きたいと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=42
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043・野村ミス
○野村委員 今子持ちの女教員の方が大變に苦しんでおるのでございます。お子さんを他人の家に預けてまいりますと、御自分のお子さんがとても惡い方に感染するのでございます。そしてそのお子さんを晝間は他人の家に預けて、夜また連れて來たり、また忙しいときには、よその家に預けつぱなしにして日曜くらいに連れて來る。そういう女教員の方がたくさんあるのでありまして、これでは女教員の家庭が非常に淋しい家庭にもなりますし、教員のお子さんのためにもよくないだろうと思います。これはぜひそういう子持ちの方のお子さんを、しつかり預かるような方法をとつていただきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=43
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044・椎熊三郎
○椎熊委員長代理 野村君に申し上げますが、文部省の關係者がおりませんから、御質問の趣旨は關係當局に傳えて、別な機會に答辯をいただきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=44
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045・野村ミス
○野村委員 結構でございます。
次も文部省と厚生省の兩方に關係したことでございます。義務教育のことはよく分りますが、義務教育以外の中等科というのがございます。六・三・三の三の下級の方ですが、そういう中等科を、向學の希望の方には、工場のような所で働きながら勉強のできるような方法は、この條項には見えないようでございますが、そういう條項があるのでございますか。もしなんだつたらこういうものを入れていただくわけに行かないものでございましようか。働きながら勉強するということは大變よいことと存じますが‥‥。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=45
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046・吉武惠市
○吉武政府委員 本法では十五歳未滿の者は働かしてはならないということを原則としてとつております。先ほどから御議論がありましたが、ただ商業とか農業のような、そういう方面で、ごく輕微なものには、例外として十五歳以下の十二の者も使えますが、しかしその場合はやはり就學を妨げないことにして、しかも就學時間を含めて七時間でありますからこれは差支えなからうかと思います。お尋ねの點はおそらく十五歳以上で、いわゆる教育の便宜が得られるようにというお尋ねだと思いますが、その點につきましては、滿十五歳から滿十八歳までの者は働くことはできますが、就業時間に非常に嚴格な制限がございまして、大體一日八時間の原則を嚴守させ、例外を認めておりませんから、一日八時間の時間外で勉強することができるのじやないかと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=46
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047・野村ミス
○野村委員 そうしますと、工場で働きながら勉強する、中等科程度を卒えるようにするというわけには行かないのでございましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=47
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048・吉武惠市
○吉武政府委員 でございますから、晝間働く者につきましては夜學に行く便宜がございますし、また夜働く者は晝間行くことができるかと思いますけれども、しかし十五歳から十八歳まではやはり深夜業を禁止しておりますから、大體は晝間働いて夕方から夜學に行つて中等科を卒えるような方法をとることになるかと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=48
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049・野村ミス
○野村委員 工場あたりで青年學校というものがございます。この青年學校はこんどこの中等科の方に變るのでございましようか。文部省のなんでございますが……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=49
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050・吉武惠市
○吉武政府委員 これは文部省の方の關係でございまして、私よく存じませんが、青年學校は新しく何か切替ができまして、何か新制高等學校とかいうような制度に切り替るそうでございますから、その方でやれるようになりはしないかと思います。これは文部省の方に屬しますので、御質問の點は傳えまして、また後の機會にお答えいたすようにいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=50
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051・野村ミス
○野村委員 そうすると、こんどは工場の方では學校のようなものは習うことはできないのでございますか。この法律で行くと。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=51
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052・吉武惠市
○吉武政府委員 その點が今の文部省の方に屬しますので、ちよつとわかりかねます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=52
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053・椎熊三郎
○椎熊委員長代理 野村君、ただいま當局の方から文部省の關係を呼びにやつておりますから文部省關係はその時にしていただいて、他の問題に移つていただきとうございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=53
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054・野村ミス
○野村委員 文部省の關係はこれだけでございます。男女青年が兩親の手もとを離れて、工場で働きながら勉強するという場合、ただ形式的の學問だけでなく、父としての嚴格な愛情をもつた指導者、母として温かい優しい愛情をもつた寮母のような方、こういう方の御指導によりまして將來を明るい希望に導く方法こそ日本再建のもとと考えます。この基準法にあります寄宿舍の條項は大變に立派な條項でございますが、これをこの通り實現さしていただきたいことを切に望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=54
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055・椎熊三郎
○椎熊委員長代理 剣木政府委員に申し上げます。ただいま文部省關係の質問が野村君からありましてそれは働きつつ勉強させるということは大變いいことだが今のようなこの法律では働きながら勉強する時間がなくなつてしまうじやないかということが一つ。第二點は工場内にあつた青年學校というものが、この規定の實施によつてどういうふうに變つてゆくのか、そういう點についてお答えを願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=55
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056・剣木亨弘
○剣木政府委員 昨日もちよつとここで申上げましたが、青年學校の、いわゆる義務教育を卒えまして滿十五歳を越えたあとの勤勞青年の教育の問題でございますか、これにつきましては昨日も申上げましたが、刷新委員會におきまして相當論議されまして、その働きつつ學びます場合におきまして、その教育を一定の期間、十八歳までぐらいを義務にいたしますか。もしくはその一定の時間をその教育を受けますことに對して、その使用主に對しまして義務を課せるか。この二つの方法において論議せられたのでございますが、刷新委員會といたしましては一應十八歳まで、一定の時間を義務にしたらどうかというふうに一應意見が纏つたのでございます。これにつきまして文部省といたしましては、大衆青年の教育について、直ちに今囘これを義務制にするということは、現在の義務教育を九年に延長すること自體が、國家の現状におきまして非常に困難な状況でございますので、これを一遍に十八歳まで義務教育を延長するということは、非常に困難であるという考え方が一つ。また今までの青年學校の教育は、一面軍事教練等と關連いたしまして、ある程度義務制にいたしましたのは、一つの強制であつて、眞に立派な大衆青年に魅力ある教育内容でなかつた。だからほんとうに大衆青年をひきつけるためには、この教育内容をほんとうに立派なものにしていかなければならぬ。しかる後に義務制なり、いろいろな、使用主に義務を課そうとかいうことを考えなければなぬというので、新制の高等學校におきましては、夜間のみ、もしくは一年をいわゆる定時制の高等學校というものを置くことも認めまして、從つて施設の向上等におきましても、そういつたような高等學校を設け得ることにいたしまして、その高等學校の教育内容は正規の高等學校と、勿論その職場々々によつていろいろな異つた教育をいたしますけれども、その程度におきましては、大體同じことを教えまして、その高等學校を出ました場合におきましては、定時制でありましようが、夜間制でありましようが、やはり新制の大學に對する入學資格を認めていこう。そうすることによつて働きつつやはり上の學級にまで進むことのできる希望をもたせていこう。そういうふうに實質的にまず變えていきましてしかる後にこの義務制の問題等を考えていきたい。そういうふうにただいまのところ考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=56
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057・野村ミス
○野村委員 今の御答辯大變に私嬉しく感じます。このことを自分の知つておる、範圍内において、工場に勤めておる青年男女にお話しいたしまして、將來明るい希望で働くようにしたいと存じます。大體これはいいことでございます。今の青年男女は大變にこれをみんな望んでおつたのでございますけれども、こういう向學の機會がなかつたものでございますから、休みとなると映畫館にいつたりなどして、方々に遊んで堕落してしまうのが多いのでございます。
最後に私は自分の愚見をちよつと述べさしていただきまして、この質問を終ります。この法律は大變結構なよい法律案で、どうしてもこれは必要なのでございます。規則だからしかたがない、守らなくてはならないというのが法の精神ではないと私は思います。法律のあるなしにかかわらず、これだけのことは道徳上やらなくてはならないと、自發的に實行していくように監督官廳のよき指導を望みまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=57
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058・椎熊三郎
○椎熊委員長代理 小川半次君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=58
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059・小川半次
○小川(半)委員 私は本委員會に中途から參加いたしましたので、從つてさきに御質問されたことと重複する場合があると存じますが御諒承願いたいと存じます。
私は本法律案を檢討いたしまして、これに關連する二、三の點を質し、厚生當局の意見を求めたいと思うものであります。大體におきまして本法律案はイギリスの工場法、アメリカの公正勞働標準法と比較、對照いたしまして、決して見劣りのする法律案でないことをまず率直に認めるものであります。しかしながらおよそ法律というものは、いずれの法律を問わず、きわめて抽象的なものであるのでありまして、これを活かすも殺すも、その法律を運用する國民によつて決定されるのであります。いかに完全な法律でありましても、これを運用する國民の熱意と協力がなかつたならば、決してよき効果をあげ得ないのであります。また比較的平凡であり、内容において無味乾燥な法律でありましても、これを運用する國民の理解によつてよき効果をもたらすものであることを冒頭に申し上げておきたいと思うのであります。しからば現在のわが國内の客觀情勢は、この法律を有効適切に運用し得る状態にあるかと申しますと、必ずしもそうでなく、きわめて不安定な、かつ不自然なる状態におかれておると思うのであります。もちろんわが國の勤勞大衆は、わが國においてこうした勞働基準法のごとき法律の制定を久しく熱望していたのでありまして、この法律の制定によつて、現在の立場より以上、働く者にとりて好條件になることについては勤勞大衆のだれもが滿足し、好感をもつことは事實であります。しかしながらこの法律によつて強制勞働が禁止され、中間搾取が排除され、最低賃金が確保され、その他人たるに値する生活を營むための必要な諸條件が明示されたところで、それが現在の惡性インフレの實生活に對處するには何ら効果なきものであり、かつ保障されるものでないことを勤勞大衆はよく知つておるのであります。勞働條件の原則であり、新時代の脚光を浴びて生まれた畫期的な勞働憲章とも言うべき本法律を歡喜躍動して迎えるには、わが國の勤勞大衆はあまりにも疲れ過ぎており、去勢されておるのであります。今日勤勞大衆の聲なき聲は、この法律よりも勤勞所得税の撤廢こそ切實なる問題として望んでおると思うものであります。本委員會におきましても石田委員が申されましたごとく、目下のわが國情はアメリカ、イギリス、その他諸外國と比較いたしまして、經濟的な面におきましても、社會施設や文化施設の點におきましても、はなはだしく大差のあることは論ずるまでもないところであります。アメリカ、イギリス、その他の諸外國におきましては、社會組織自體が勤勞大衆に對する保護的な體制となつておるのでありまして、働きながら文化人として遲れないだけの文化施設がある。また萬一失業いたしましても、不安を感ずることのないように失業保險制度があり、その他社會施設、保健衞生の施設が完備されておるのであります。これらは働く者にとつて無限の力であり、泉であるのでありまして、働く者もその家族も不安のない生活ができるのであります。本法律案第四十三條には、使用者は勞働者を就業させる建築物及びその附屬建物についての必要な處置を規定されてありますが、終戰後辛うじて業務を營んでおる中小工業者は、はたしてこれらの設備ができるかどうか。もちろんわが國の大工場におきましては、從來からの比較的これらの施設は完備されていたのでありますが、中小工業にはほとんど完全なる施設ができていないのであります。もちろん大資本大企業の壓力下に置かれたわが國の中小工業者には、今日までそうした施設を完備する實力がなかつたと申してもよいのであります。財閥が解體され、大工場は賠償の對象となりたる以上、今後のわが國の産業は中小工業に依存しなければならないのであります。が今日の中小工業者は必ずしも經營がゆたかであるとは申されないと思うのであります。それらの業者が今直ちに本法律に適する諸設備ができるかどうか。またその資材について農林省、商工省等との連絡がついておるかどうか承りたいと存じます。
なお勤勞所得税についても、厚生省は勤勞者の親として、その撤廢を大藏省當局に要請すべきものと思いますが、今日までその交渉をされた事實があるか。また今後これについての厚生省當局の御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=59
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060・吉武惠市
○吉武政府委員 ただいま小川委員の御質問中の第一點、法律はいくら完備いたしましても、その法律を施行する上において、國民の熱意と協力を得なければだめだというお説につきましては、まつたく同感であります。われわれこの法律を施行する上におきましても、十分國民の間に趣旨の徹底をはかりまして、眞に國民のこれに對する御協力を要望する考えでおります。
第二の點は、今日の日本の客觀情勢下においては、この法律に盛られた各種の勞働條件に關する問題よりも、惡性インフレに惱む生活難に困つている。これらの點に關して考えざるを得ないじやないかという點につきましても、まつたく同感であります。こういう敗戰後の状況でございまして、一擧にこの状況が改善されることはむずかしいと思いまするが、だんだんと産業の復興によりまして、これらの點が一日も早く是正されることを、われわれも熱望しておる次第であります。
なお第三の點といたしまして、諸外國においては各種の社會施設、あるいは社會保險の制度がありまするが、わが國に未だその制度のないという御意見につきましても、同感でございまして、これまた日本の國情が漸時改善されるに從いまして、これらの社會施設が速やかに完備されんことを、われわれも待望してやまぬ次第であまりす。
次に中小工業者に對してこの法律との關係についての御憂慮でありますが、この法律はお話のごとく、從前の勞働保護法に比べますれば、確かに數段の進歩的な色彩をもつておりまするので、從來の中小工業者にとりましては、多少これのために困難を來す場合があるかとも思いまするが、しかし從前のごとく、勞働條件の低い、低賃金、低條件下において成り立つ産業というものは、やはりほんとうの産業の基礎をなすものではございません。特に敗戰後の今日におきましては、新らしき確乎たる基盤のもとに、この産業が再建されなければならないと思うのでありまして、そのためには勤勞者が安んじて、喜んで生産意欲に燃えるという基盤の上に、再建されることが望ましいと思います。從いましてこの施行の當初におきましては、多少の苦しさはあるかと思いまするが、この苦しさを越えて、眞に安定した勤勞意欲のもとに、一日も早く産業の再建されんことを望む次第であります。
なお勤勞所得税についてのお尋ねでございましたが、從前のごとき勤勞所得税につきましては、私どもも芳しく思つておりません。しかしながら勤勞者が一切の税制の建前からゆきまして、必ずしもいいとも言えないのじやないかと思つておるのであります。要するに生活がしにくい、その下の方面に高い税率の勤勞所得税が課せられることがよくないということであろうと思うのでありまして、この點につきましては、大藏當局におきましてもつとに考慮されておるというふうに聞いておりますので、われわれといたしましてもその線に沿うて努力いたしたいつもりであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=60
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061・小川半次
○小川(半)委員 大體におきまして了承いたしましたが、勤勞所得税の點におきましては、多少意見を異にするものがありますが、後日の問題といたしまして、まずこの問題につきまして厚生當局は親心をもつて、大藏當局に當られるよう希望いたしておきます。
次に失業保險制度の創設についてお伺いしたいと思います。過日本委員會におきまして、たしか中原委員がこの問題について質問されたとき、吉武局長は、失業保險の問題はただいまのところ研究の程度のものであつて、いまだこれについての準備はできていないとお答えになられたのでありましたが、これは吉武局長のお考え違いではないかと存じます。現に厚生省におきましては、昨年の九月十日附でもつて、失業保險制度の要綱案を發表しております。勤勞者にとりて一番不安なものは失業の問題でありまして、特に現代のわが國の状態は、好むと好まざるにかかわらず、深刻なる失業問題の襲い來ることは必然であります。現在働いている者の間にも、いつ失業者として路頭に迷わねばならないかもしれないという不安感があるのであります。失業者の氾濫は一面犯罪發生の起因となり、あるいは道徳の頽廢となつて、いたずらに社會不安を惹起するのみでなく、ひいては産業の再建にも多大の支障を來すこととなるのでありまして、この失業者救濟に對する施策こそ刻下の緊要なる要務と言わねばなりません。もちろん失業者の救濟は授職救濟をもつてその第一義となすものでありますが、現下の經濟界の事情が尨大な軍需補償の打切、これを中心としての企業の一大整理を行わねばならぬ現段階において、その應急的な效果を期待することは困難と思わねばならぬのであります。ここにおいて當面の失業者對策として、次善の施策を國家の責任において考究することが迫られておるのであります。その最も適切と認められるものとして失業保險制度の創設が必要と思うのであります。勤勞者階級に一番安心感と希望をもたらすものは失業保險制度であるのであります。そうした以上、勞働基準法と竝行してこれを實施すべきことが當然であり、またわれわれもこれに向つて努力をしなければならぬという覺悟を有しておるのでありますが、厚生當局におけるところの、これに對しての御見解をお伺いしたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=61
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062・吉武惠市
○吉武政府委員 私が先だつて申し上げました點、多少言葉が足りなかつたために誤解を招きましたことははなはだ遺憾に存じますが、厚生省といたしましては全然準備をしていないわけではございませんで、ただいま御指摘になりましたように、つとにこの問題につきましては調査、審議を進め、その準備はしております。ただこれをすぐとりあげてやるかどうかについて、未だ決定をしていないという程度に御諒承を願いたいのであります。失業保險制度はお話のように、いわゆる失業の不安から勤勞者を救い、安んじて生産に當らせる制度でありますから、望ましいことはお話の通りであります。ただこれにつきましてはいろいろ財政上の問題等もございまして、相當考慮を要する問題でありまするので、目下檢討をしておるというふうに御諒承をいただきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=62
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063・小川半次
○小川(半)委員 次に第九十二條に關連しまして、勞働協約の問題についてお伺いしたいと存じます。先にも申し述べましたごとく、今日の勞働者は惡性インフレの影響を受けて定時間勤務の收入ではとうてい一家を支えていけないのでありまして、そこで殘業によつて收入を増加したいというのがいつわらざる勞働者の心理ではなかろうかと思うのであります。勞働者がこうした立場に立つて、使用者に對して一日一時間ないし二時間殘業の勞働協約を結んだ場合、その勞働協約は第九十二條に牴觸するものであるかどうかお伺いしたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=63
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064・吉武惠市
○吉武政府委員 ただいまの御質問でございますが、本法に牴觸しない限り有效でございます。その點多少掘り下げてお答えを申し上げたいと思います。就業時間につきましては第四章の勞働時間において原則八時間制をとつておりますが、これは原則でありまして、第三十六條におきまして使用者は當該事業場に勞働者の過半數で組織する勞働組合があります場合には、その勞働組合、勞働組合がない場合にはその勞働者の過半數との間に書面による協定、すなわちこれが協約でございますが、それを結べば時間の延長を許すことになつております。從つてただいまの御質問の點は協約があればできるのでありまするが、ただこれは一般青年男工及び女子についてでございまして、特にこの中に年少者、たとえば十八歳未滿の者あるいはごく例外の場合は十五歳以下の者を使う場合がございますが、そういう者については法律でもつて八時間の原則を嚴守させる、協約によつてもいけないという規定がございますから、そういうものについてはかりに協約を結びましても、それはいけないことに相なりますので、御諒承いただきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=64
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065・小川半次
○小川(半)委員 殘業の時間等には限度があると思うのでありますが、しかしまた一方日本國憲法第二十八條におきましては、「勤勞者の團結する權利及び團體交渉その他の團體行動をする權利は、これを保障する。」とあります。もし勞働組合が團結の力でもつて相當長時間の殘業を要求し、またこれについての勞働協約を使用者に要求した場合、はたしてこの問題はどういう工合に取扱うべきものであるか明示されたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=65
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066・吉武惠市
○吉武政府委員 ただいま御質問の點でありますが、普通の業態につきましては、協約によつて延長の許されるものについては制限をしておりません。ただしかし三十六條の末尾にもありますように、坑内勞働でありますとかその他危險有害な業務につきましては、かりに兩者間の協約をいたしましても、これは健康に影響する問題でございますから、二時間以上を越えてはならないという制限をおいておるのであります。ただしかし今のお話のようにこの制限のない部面についてのお話でありますが、組合の方が團結をもつて過度の殘業を要求するということはほとんどないのではないかと思うのでありますが、要するにその殘業を要求することはいわゆる收入の點を考慮しての要求であろうと思うのであります。その點でございますならば、むしろ要求としては殘業によつて勞働條件をあげるということよりも、そうでなくして正規勞働時間内において最低の生活を保障する要求として現われるのではないかと思うのであります。しかしいろいろな業態におきましては、いわゆる八時間だけではやれないで延長を必要とする場合もあろうかと思いまして、本法では彈力をもたして一切それを協約に委ねておる状況でございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=66
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067・小川半次
○小川(半)委員 次に第五十六條に關してお伺いしたいと存じます。先ほど荒畑委員が本條の第二項を削除して、滿十五歳に滿たない兒童は勞働者として使用してはならない。この一本建にした方が適當と思うと申されましたが、私もこれと同意見をもつものであります。しかし今直ちにこれを實施するとすれば、推定二十萬の少年工が失業者となり、その家庭はそれだけ收入の途を絶たれることになりますので、これに對する何らかの對策があるのであるか。あるいはこれらの家庭は生活保護法によつて保障されるものであるか。この點についての見解を承りたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=67
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068・吉武惠市
○吉武政府委員 ただいまの御質問まことにごもつともの點でございまして、今度の最低年齡が引上げられることになりますと、從前働き得た者が働けなくなる。その生活の問題は實は私どもも憂慮しておるのであります。そうかと申しまして、ただこれを許しておきましては、せつかくのこの法律の趣旨が達せられません。そこで本法といたしましては百二十八條におきまして六箇月間はこれを猶豫する規定をもつております。なお滿十六歳以上の者につきましては一年間これを猶豫するというある程度の猶豫期間は設けておるのであります。しかしこの猶豫期間をこしらえますと、やはり御指摘のような問題が考えられるのであります。しかし六箇月ないし一年の間に本法の適用を受けないような方法なり、あるいは收入の方法なりが講じられていくのではなかろうかというふうに考え、われわれといたしましてもそういう方面に指導と申しますか、もちろん注意をしていくつもりでおります。それでもなおかつ生活に困る者が出ますれば、もちろん生活保護法等によりまして生活の保障をしていかなければならぬとは思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=68
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069・小川半次
○小川(半)委員 私の申しました推定二十萬人の少年工は、この法律の適用外にはいるのでありまして、この法律の適用の範圍内といたしますれば相當多數の少年工があると思います。なお生活保護法によつて保護せられるといたしましても、現在の生活保護法の範圍内の金額ではとうていこれらの家族を救い得ることはできないと思います。ですから何らかの形において、これらの少年工を有する家庭の家族が生活を支えていけるような對策を今のうちから考究されることが必要と思いまして一言申し上げた次第であります。
次に同じく荒畑委員から先ほど藝者の身分についての意見が出たのでありますが、私はまだ藝者の身分にまで達していない十二三歳の——東京では半玉と申しますが、實は私は京都でありまして、京都では舞子といつておりますが、この舞子が京都では祇園を初め約二百名餘りあるのでありまして、いずれも十二三歳、小さい子供になると十一歳ぐらいの舞子がおるのでありまして、こうした少女たちの身分はこの法律によつて保護されるものか、あるいは適用外に置かれるものか明示していただきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=69
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070・吉武惠市
○吉武政府委員 ただいまの問題につきましては、施行までに十分研究をいたすつもりでおります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=70
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071・小川半次
○小川(半)委員 それでは時間も四時ですから、私の質問はこの程度に止めたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=71
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072・椎熊三郎
○椎熊委員長代理 本日はこの程度にいたしまして、明日は午前十一時より開會いたします。本日はこれにて散會いたします。
午後四時二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009213758X00419470314&spkNum=72
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