1. 会議録本文
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000・会議録情報
明治二十八年三月二日(土曜日)
午前十時五十一分開議
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議事日程 第三十二號 明治二十八年三月二日
午前十時開議
第一 明治二十三年法律第二十五號中追加法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會の續(特別委員長報告)
第二 日本銀行課税法案(衆議院提出) 第一讀會の續(特別委員長報告)
第三 日本銀行條例中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會の續(特別委員長報告)
第四 明治二十三年法律第七十三號貯蓄銀行條例中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會の續(特別委員長報告)
第五 郵便條例中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會の續(特別委員長報告)
第六 郡制改正法律案(衆議院提出) 第一讀會
第七 右議案の審査を付託すへき特別委員の選舉
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001・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 一昨日本院ニ於テ衆議院提出酒造稅則中改正
法律案ヲ否決致シマシタル旨ヲ衆議院ニ通知致シマシテゴザイマス、昨日男
爵金子有卿君ヨリ二十二人ノ贊成ヲ以テ府縣稅徵收法中改正法律案ヲ發議セ
ラレマシテゴザイマス中村良謙君二月二十六日貴族院令第一條五項ニ依リ
貴族院議員ニ任ゼラレタル旨内閣總理大臣ノ通牒ヲ受領致シマシテゴザイマ
ス、中村良謙君ノ席次ハ吉村角次郞君ノ次ニ相成リマスル、部屬ハ第一部ニ
編入ニ相成リマス、保存林地法案特別委員會ニ於テ委員長ニ公爵二條基弘君、
副委員長ニ藤村紫朗君當選ニ相成リマシテゴザイマス、議事日程ニ移リマス、
明治二十三年法律第二十五號中追加法律案、政府提出衆議院送付、第一讀會
ヲ開キマス、特別委員長報告、
〔子爵岡部長職君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=1
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002・岡部長職
○子爵岡部長職君 此法案ニ就キマシテ特別委員ハ一度ノ委員會ヲ開キマ
シテ速ニ結了ヲ致シマシタノデアリマス、此第五條ヲ追加スルト云フコトニ
就キマシテ段々政府委員ニモ質問ヲ致シマシタデゴザイマスルガ、此追加ス
ルノ必要タル所ノ理由ハ誠ニ簡單ニシテ明瞭ナルモノデアリマス、其大要ハ
旣ニ此法案ノ理由トシテ記載シテアリマスル通リ諸君ニ於キマシテモ御熟讀
ニ相成リマシタルコトデアリマス、最早大體ハ此極簡單ナル理由書ニ皆籠ッテ
居リマスルト考ヘマスル、此現行、卽チ鎖店銀行紙幣交換基金特別會計法ニ
依リマスルト此特別會計ナルモノハ國立銀行條例第九十八條ニ依リマシテ定
メラレタル所ノ鎖店銀行紙幣交換基金ノ特別會計ニ止マッテ居ルノデス是
レハ卽チ官命ヲ以テ鎖店ニ相成ッタル所ノ國立銀行ニ止マルノデアリマス、
所ガ平穩鎖店ヲ爲シ又ハ營業滿期ニ至リタル國立銀行ニシテ發行紙幣ノ交換
ヲ結了シテナカッタル時ノ其處分ト云フモノニ對シテノ制規ト云フモノハ今
日マデ缺ケテ居ッタノデアリマスル實ハ此特別會計法ヲ明治二十三年ニ制
定サルル時ハ如何ニシテ今日提出アル所ノ修正案ノ精神ヲデス、網羅シテナ
カッタラウカト云フコトハ詰リ其節當局者ニ於テハ氣ガ付カナカッタノデア
リマシタカ何カ是レガナケレバ此特別法ト云フモノヲ完成シタト云フコトハ
申サレナイノデアリマス、依リマシテ此度此追加法律案ノ出マシタノハ至極
尤ナ事デアッテ、此法律トシテ必要缺クベカラザルコトト考ヘラルル故ニ委
員會ニ於キマシテハ速ニ全會一致ヲ以チマシテ此追加案ハ可決スベキモノト
結了致シマシタノデアリマス、此段御報告ニ及ビマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=2
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003・松本鼎
○松本鼎君 本案ハ單簡ナモノデアリマスカラドウカ讀會ヲ省略シテ速
ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=3
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004・小原重哉
○小原重哉君 松本君ニ贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=4
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005・山田卓介
○山田卓介君 松本君ニ贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=5
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006・鹿園實博
○男爵鹿園實博君 松本君ニ贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=6
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007・吉村角次郎
○吉村角次郞君 松本君ニ贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=7
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008・渡邊甚吉
○渡邊甚吉君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=8
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009・下郷傳平
○下〓傳平君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=9
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010・瀧口吉良
○瀧口吉良君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=10
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011・根岸武香
○根岸武香君 松本君ニ贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=11
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012・梅原修平
○梅原修平君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=12
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013・由利公正
○子爵由利公正君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=13
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014・武井守正
○武井守正君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=14
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015・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 松本君ヨリ讀會省略ノ發議ガゴザイマシテ定
規ノ贊成ガゴザイマス之ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス、
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=15
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016・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 三分ノ二以上ト認メマス、
明治二十三年法律第二十五號鎖店銀行紙幣交換基金特別會計法第四條ノ次
ニ左ノ一條ヲ追加ス
第五條本法ハ平穩鎖店ヲ爲シ又ハ營業滿期ニ至リタル國立銀行紙幣交換
基金ノ會計ニモ之ヲ適用ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=16
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017・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 他ニ御發議ガナイト存ジマスニ依ッテ表決ニ
付シマス、原案ヲ可トスル諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=17
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018・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 過半數デゴザイマス、本案ハ卽チ可決セラレ
マシタ、日本銀行課稅法案、衆議院提出、第一讀會ノ續ヲ開キマス、特別委員長
報告、
〔子爵谷干城君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=18
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019・谷干城
○子爵谷干城君 諸君、本案ハ去ル二十八日ニ委員會ヲ開キマシテ直ニ其
日結了致シマシテゴザイマス、デ委員會ノ結果大略ヲ御報道致シマス此法
案ニ附キマシテ委員會ニ於キマシテ起リマシタル所ノ議論ハ大別シテ二種ニ
ナッテ居ル、デ總テ此日本銀行ト云フモノハ大ニ組織ヲ異ニシタモノ總テ國
家的ノ働ヲサスル目的デ設立シタルモノデアルカラシテハドウモ是レヘ向
ケテ課稅ヲスルハ不當デアルト云フ先ヅ大略論ト、サウシテ一ハ如何ニモ日
本銀行ノ設立サレタ主意ハ右論者ノ通リデ決シテ單ニ一會社利己的ノ目的デ
立テタモノデナイ十分ニ政府ノ機關トシテ働カスル目的デ拵ヘタモノデアル
ニ相違ハナイ、併ナガラ一方カラ見レバ一ノ株主組織ニナッテ居ルト見タトキ
ニハ之ヲドコマデモ課稅スベキモノデナイト斷言スルコトハ出來ナイ、デ若
シ此戰後日本ノ財政上ニ必要ヲ生ジテ總テ此會社稅、營業稅、所得稅ノ類ロノ
モノニ一層稅ヲ賦課セヌナラヌト云フコトニナッテ來タトキニハ日本銀行ト
雖モ普通相當ノ課稅ヲスルコトハ免ルベカラザルモノデアル、併シ今日是レ
ヘ斯ノ如キ過當ナル稅ヲ課スルト云フコトハ甚ダ其意ヲ得ヌ譯デアル斯ウ
云フ先ヅ大略·······大體ヲ摘ンデ申セバ二種ノ論〓デアリマス、依ッテ兩論者ノ
結局歸著致シマスル所デハ此課稅法案ハ今日ニ於テ決シテ可決スベキモノデ
ナイ否決スベキモノデアルト云フハ全會······全委員一致デ決シマシテゴザイ
マスル、デ此今申シタ所ガ先ヅ大略デゴザイマスル、デ是レハ其固ヨリ諸君ニ
於カレマシテモ定メテ御同感ノ事トハ存ジマスルケレドモ委員會ニ於キマシ
テ出マシタ議論ヲ重立ツ樣ナ所ヲ取摘ンデ御話ヲ申上グテ置キマスル、デ抑〓
此中央銀行ノ成立チマシタ事柄ハ御承知ノゴザイマスル通リ明治十六年デ
ゴザイマシタガ彼ノ先達テ延期論ノ起リマシタ時ニ······國立銀行延期論ノ起
リマシタトキニ屢〓論モゴザイマシタル通リ紙幣ノ統一ヲ計リ又不換紙幣ノ
弊害ヲ一掃シテ兌換券ニ······不換紙幣ヲ兌換券ニ引換ヘルト云フ其扱ヲサ
スルニハドウシテモ聢ト信據スベキ鞏固ナル銀行ガナクテハナラヌ、ソコデ
是レガ其日本銀行設立ノ一ツノ理由トナッテ居ル、又國庫金ト云フ年々各地
ヨリ取立ツル所ノモノ、是レ等ノ事ノ扱ト云フモノハ役人デ扱ハセタラ宜シ
サウニアリマスガ、併シ役人デ之ヲ扱フト云フコトニナリマスルト無益ニ國
庫ニ積置クト云フ樣ナコトニナリマスル、或ハ又此金錢上ノコトデゴザイマ
スルト中〓此一厘一毛ノ差引勘定等ノコト、夫レヲドウモ役人ガスルト云フ
ハ餘程困難ナルコト詰リ其扱ヒ等ノ事ハ一ツノ技藝ニ屬シテカラニ最モ熟
練ヲ要スル事柄デアル、夫レ故ニ此夥シイ國庫金ヲ扱フニ付テハ迚モ役人デ
ヤッテ十分ニナイノミナラズ役人ニ扱ハスレバ一ツ所ニ堆積シテカラニ夫レ
ヲ十分遊バセナイト云フコトハ出來ナイ、是レニハ鞏固ナル責任アル銀行ヲ
設立シテ之ヲシテ其任ニ當ラシムルト云フノガ卽チ此設立ノ一ツノ大ナル源
因ニナッテ居ル、デ或ハ之ニ反對スル者ハ曰ク夫レハ鞏固ナル銀行ト云ヘバ
何ゾ獨リ日本銀行ノミナラム又大キナ十五銀行ノ如キモノハ非常ニ大キナ
モノデアル、斯ウ云フモノニヤラシテ置ケバ夫レデ足ルト云フ論モアルカモ
知レマセヌガ、本員抔ガ考ヘルト決シテアー云フモノニ任シテハ行クマイト
思フ、ト云フモノハ詰リ其貨幣ヲ始終貨幣デ流通サシテ少シモ遊バセナイ樣
ニ分配ヲスル必要ヨリ私立銀行ハ起ッタモノデアル、夫レヲ良シ如何ニ輩固
ダト云ウタ所ガ唯株其他長年期ノ此貸付トシテ懷手デ居ザッテカラニ利ヲ占
メルト云フ銀行デハ到底此國家的ノ働ヲ委任スルコトハ出來ナイ、斯ウ云フ
銀行デ見タトキニハ詰リ唯一ツノ營業ノ固定資本ヲ作ル樣ナ理窟ニナッテ銀
行ガ唯單ニ其株券公債ノ利デ〓ッテ行クト云フコトニナッテ銀行ノ働ハセナ
イ樣ニナル、サウ云フモノニ迚モ國庫金ヲ扱ハセルト云フコトハ出來ルモノ
デナイ夫レデ國庫金ノ出入ヲ扱ハセルニハ聢トシタ信用アリ又政府ノ嚴重
ナル監督ノ下ニ立ツ所ノ銀行ガナクテハナラヌ、デ卽チ是レガ其大ナル目
的ノ一ツデアリマス又單ニ此一ツノ銀行ノ利益ノミヲ目的トシテ立テテ居
リマスル銀行デ見マシタトキニハ自分ノ利益ニサヘナレバ他ハ或ハ顧ミヌ
ト云フコトニシマシテモ之ヲ責メルコトハ出來ナイ、ケレドモ玆ニ一ツノ此
中央銀行ト云フモノガアッテ是レガ丁度譬ヘテ申セバ身體ノ血液ノ製造場ト
云フ樣ナ理窟ニナッテ、夫レヨリシテ段々ニ此血液ヲ循環サスル樣ニ公平ニ
夫レヲ循環サシテ行ク樣ニナリマスレバ決シテ其一ト所ヘ貨幣ガ堆積シテ、
一方ニ餘ッテ居リ一方ニ缺乏シテ居ルト云フ樣ナ憂ガナイ樣ニ出來ラルル、
是レ等ノ事モ卽チ此日本銀行ヲシテ單ニ自己ノ利益ノミナラズ總テ社會ノ金
融ヲ圓滑ナラシメル所ノ目的ノ一ツデアル、又今申ス通リ中央銀行ニ於キマ
シテハ政府ヨリ大ニ責任ヲ負ウテ居リ又政府ヨリ國庫金ノ取扱ヲ命ゼラレテ
夫レヲ堆積セヌ樣ニ流通サセテ行ク責任ガアルモノデアリマスカラ、隨ッテ
各地方ニ各立シテ居ル所ノ小銀行等ニナリマスレバ······地方ノ銀行ノ不和不
圓滑ニナッテ居ル樣ナモノモ中央銀行ヲシテ責任ニ當ラシメ各〓銀行ト銀行
トノ間ヲ圓滑ニシテ行クコトヲ圖ラセルニモ中央銀行ト云フモノハ大ニ與ツ
テ功ノアル譯デ、詰リ或ハ氣ニ入ラヌ人モアリマスルカ知リマセヌガ中央銀
行ト云フモノハ各銀行ノ先ヅ親方ト看做シテ宜カラウ、夫レデ各銀行ノ間
ニ立ッテカラニ成ルベク之ヲシテ圓滑ニ運動セシムルト云フノ責任ガアル
ノデス、斯ノ如クスルナレバ自然ト各地方ニ金モ十分ニ平均シ金利モ甲乙丙
トヒドイ不平均ノナイ樣ニ出來ルト云フノ見込デ成立ッタモノト見ユルノデ
アリマス、今日ニ於テ靑森宮崎ト云フ樣ナ所ノ金利ヲ見テモ非常ニ高クナツ
テ居ルガ是レ等ハマダ日本銀行ノ十分ニ其責任ヲ盡サヌ所ト本員抔ハ考ヘテ
居ルサウ云フ所ハ彼ヲシテ責任ヲ負ハシメ十分ニ平均ヲ得セシムル樣ニシ
タイト云フ考デアリマス、大約右申シマシタ樣ナ理窟デカラニ日本銀行ハ單
ニ自己ノ利益ヲ目的トセズ卽チ國家ノ利益ヲ目的トシテ立テタモノデアリマ
スルカラシテハ普通ノ利己的ノ銀行同樣ニ見ルコトノ出來ナイト云フコト
ハドノ論者デモ委員會ニ於キマシテハ異論ハナカッタノデアリマス、所ガ此
本案ノ主意ハ詰リ之ヲ推シテ考ヘテ見ルト日本銀行ト云フモノハ紙幣發行ノ
權ヲ專有シテ居ル甚ダ不埒ナ仕方デアル、是レヘ一ツ保護稅ヲカケテヤレト
云フ樣ナコトニ聞ユル、唯利ガ多イカラ取ルト云フ樣ニ聞ユル若シサウ云
フ樣ナ······萬一事ト見タナラバ甚ダドウモ是レハ不當ナ事ト言ハナケレバ
ナラヌ、夫レ故ニ如何ニ此多少ノ稅ヲカケヌナラヌト云フ論者デ見マシテモ
會社稅ト云フモノヲ十分ニ取ルト云フコトニ至ッタ所デ初メテ此日本銀行モ、
外竝ニ稅ヲ徵收サセテ宜カラウト云フ考ガアリマスル、ケレドモ紙幣發行ノ
權ヲ與ヘラレテ居ルカラ是レヘモテイテ罰金ヲカケテヤレト云フ樣ナ精神ハ
誠ニドウモ其意ヲ得ヌ事柄デアリマス、詰リ要スルニ本案ハ委員會デ今申シ
マシタ通リ全委員一致ヲ以テ否決シテ然ルベシト云フ考デアリマスルカラ、
ドウゾ諸君ニ於カレマシテモ其思召デ否決ニナラムコトヲ希望致シマスル、
〔子爵由利公正君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=19
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020・由利公正
○子爵由利公正君 本員ハ唯今委員長ガ申サレマシタ通リ委員ノ一人デア
リマシテ矢張リ此本案ニハ不同意ヲ致スモノデアリマス、唯今委員長カラ委
シク此要領ヲ盡サレマシテ贅言ヲ用フルニ及バヌカト考ヘマスナレドモ本
員ハ此會計ノ起リマシタ頃カラ聊カ國家經濟ノ上ニ就ギマシテ歷史ノ關係ガ
アリマスルカラ本員等ガ記憶シテ居リマスルコトヲ要領ダケヲ一言申上ゲテ
置キマスガ必要ト思ヒマスルカラ、聊カ此前來卽チ經濟ノ根源ヲ立テラレマ
シタコトヲ承知シテ居ルダケヲ申サウト思ヒマス、抑〓維新前ノ經濟ト申スモ
ノハ諸君モ御承知デアラレマセウガ至ッテ僅々タル小サイモノデアリマシテ
迚モ此百万ノ金ヲ左右スル抔ト云フコトハ舊幕府ノ經濟ト雖モ思寄ラザルコ
トデアリマス、夫レ故ニ維新ノ當座ニ當リマシテ國家ノ大事件トナリマシタ
ル所ヘ如何ニ人心·······精神ヲ盡シマシテモ經濟ノ動キヤウハ一切アリマセ
ヌ、固ヨリ朝廷ニ御金ガ別段貯ヘテアル譯デハゴザイマセヌシ、又天下ノ融通
ト云フモノガ至ッテ小サイモノデアリマスカラ金ヲ借リヤウモアリマセヌ、
又金ノ出ドコロモ積ンデアル所モドコニモアリマセヌ、夫レ故ニ已ムヲ得ザ
ルニ出マシテ金札ノ發行ガ出來マシタノデアリマス、此金札發行ト云フ時分
ニ於キマシテハマダ今日ノ國債ト云フ言葉ノ發明ガゴザリマセヌデ初ニ議事
ヲ興サレマシタノガ日本全國ノ人民ノ頭ニ積リマシテ一人前一圓ノ借金ヲス
ルト云フ積リデアッタ、果シテ三千万ガ始リデ、サウシマシテ其後三千万ヲ
以テ······事ガ起リマシタル所、諸藩ノ經濟ガ立行キマセヌ、諸藩ト云フモノ
ガ平常事ナキトキニハ差支モ無カッタガ、起ッテ參リマシテ聊カ事アルト云
フト少シモ運轉ヲスルコトガ出來ナイ、夫レデ諸藩ノ上カラ頻ニ此金札發行
ノ增加ヲ求メラレマシタ、朝廷ニ於テモ深ク御議シニナリマシタ、我ミニ於
テモ其初ハ金札發行ノ事ヲ主張致シマシタガ過度ニ發シマシテハ是レガ他日
ニ至ッテ、跡ノ取締ヲスルコトガ出來マイト考ヘマスカラ數度ビ反對ヲ致シ
タノデアリマシタガ、其實際上、其當座ノ結末ヲ付ケルコトガ出來マセヌタ
メニ又二千万增シテ五千万御造リニナルコトニナリマシタ、其後マダ足ラヌ
ニ附イテ民部省ノ札ガ出マシタ、委シイコトハ申スニ及ビマセヌガ大要ハ右
樣ナ勢デ已ムヲ得ズ七千万程其時ニ金札ガ出來マシタノデゴザイマス然ル
所平定ニ至リマシタ所デ、ドウカ此國家經濟ノ基礎ト云フモノガ一ツ定マリ
マセヌトナラヌト云フコトハ我〓豫テ心配ヲ致シテ居リマシタガ、殘念ナ
ガラ其跡ノ始末ヲ付ケルコトハ出來マセヌデ、私共病氣ニナリマシテ且又御
免ニナリマシテ田舍ニ歸リマシタ、其跡續イテ大藏省ニ於テハ非常ニ心配ヲ
サレマシタガ容易ニ此不換紙幣ノ跡ヲ取繕フコトガ中ミ容易ニ出來マセヌ
デ、容易ナラヌ苦心ヲサレマシタノデゴザイマス、旣ニ明治七八年ノ頃ニナ
リマシテハ引換金ハモウ殆ド其趣ヲ改メマシタガ、經濟ノ根本ガ据ラヌト云
フコトガ輿論ニナッタ位デ、是レハ皆サン御承知ノコトデ容易ナラヌ心配ヲ
サレタコトデゴザイマス、夫レカラ後、國立銀行ト云フモノヲ起シテ天下ヲ
融通スルコトヲ發明サレマシテ、サウシテ公債證書デ以テ國立銀行デ造ルコ
トガ出來マシタガ、是レモ亦出來テ見マシタモノノ此公債證書ガ殘ラズ國立
銀行ニナッテ各箇ノ札ガ出テ、是レガ國家ノ經濟ヲ全ク紊スコトニナリ、是レ
ガタメニ大藏省ニ於テハ餘程心痛サレタモノト見エマス、其時分ニ私ハ掛ッテ
居リマセヌカラ知リマセヌガ容易ナラヌ御心配ガアッタコトト見エマス、夫
レカラ段々國家經濟ノ事ハ官吏直接ニ金融ノ平均ヲ得サセルコトハドウ苦
心ヲシテモ出來マセヌ、又出來得ベキ事柄デ無イ、且又之ヲ統一スルワザニ
至リマシテモ經濟上總テ狙ヒヲ取ラナケレバナラヌ、如何ニモ大藏省デ之ヲ
直ニ行レマシタトキニハ手元ニ於テ如何樣ナ財源ガアリマセヌデモ他カラ見
タトキニハ何カ都合ノ宜イトキニハ紙幣ヲ造ラシテ都合ノ惡ルイトキニハ隱
シテ居ルカト云フ懸念ガナイデモナイ、或ハ全クナイト云フコトハ保證スル
コトハ出來マセヌ、夫レ故ニ右等ノ筋合モ明ニスルタメニ日本銀行ト云フモ
ノヲ起サレマシテ、サウシテ此政府ト民間トノ間ニ立ッテ唯今委員長ヨリモ
申サレマシタ金融ノ圓滑ヲ圖ラセ、又兌換銀劵ノ發行ヲ許サレマシテ通貨ノ
統一ト云フコトヲ圖ラレテ、サウシテ此大藏省ノ管轄ノ下ニ於テ決シテ私ニ
一ノ營利的ニ運動スルコトハ出來ヌト云フコトニナッテ居ルノデアル、右樣
ナ性質ヨリシテ成立ッタモノデゴザイマス故ニ今日ノ日本經濟ノ機關トシテ
誠ニ必要ナ働ヲナシテ居ルモノデ、現在ガ若シ今日ノ征〓事件デモ起リマシ
タニナリマシテ此日本銀行ト云フ設ケガ無カリマシタナラバ今日日本ハドウ
デアリマセウカ、隨分是レハ容易ナラヌ經濟上ニ關係ヲ起スコトデアラウト
思ハレマス、然ルニ斯ノ如キ何億万ト云フ公債ヲ募ラレマスニ當リマシテモ、
人民ノ精神トハ申ス條、如何ニ精神ガ奮ヒマシテモ之ヲ圓滑ニ運轉ヲ付ケ
ルト云フコトノ機關ガアリマセヌナラバ之ニ應ズルコトハ出來ヌ其機關ト
ナッテ働クト云フ場合ノアレバコソ大藏省モ今日ハ必ズ經濟ノ運轉ニ苦勞ヲ
サレルト申シテモ運轉ガ著イテ行クト云フノハ此機關ガ働イテ行クカラ
デアラウト思フ側カラ私ハ信用ヲシテ居ルノデ、右樣ナ場合ニ斯樣ナ法案ガ
出テ來ルト申シマスルモノハ畢竟是レハ經濟ノ事ト申スモノハチヨット一通
リノ議論ノ外ニ立ツモノデアリマスルタメニ一家ノ經濟ハ詳シイ人ト申シ
マシテモ國家經濟ニハサウ詳シクハナイ者ガ多イモノデアリマスルカラ全
ク我ニガ信ジテ居リマス程大切ナモノト云フコトヲ思ヒマシタ以上ハ今日ノ
場合ニ斯樣ナ案ガ出テ來ルモノデハナイト存ジマスナレドモ、知ル人ノ少イ
タメニ斯樣ナ案ガ出デ來ルモノト氣付キマシタカラ我ミハ內閣委員ニ此頃穿
鑿ヲ致シマシテ一通リ御要領ヲ書イテ貰ヒマシタノハ卽チ御手許ヘ差上ゲテ
置キマシタ書付ノ通リデアリマス、右樣ナ次第デアリマスカラ願ハクハ諸君
ハ今日ノ景況ヲ御承知ニナルト共ニドウゾ此法案ハ成立チマセヌ樣ニ希望致
シマス、聊カ歷史上ノ關係ガアリマス故ニ一言敷衍ヲ致ス譯デアリマス
〔侯爵醍醐忠順君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=20
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021・醍醐忠順
○侯爵醍醐忠順君 本員不案內ナル銀行ニ附キマシテ口ヲ開クハ甚ダ如何
デハゴザイマスガ我ガ意見ヲ誠ニ簡短ニ一言申述ベタイ此課稅ノ多少ノ所
ハ甚ダ不案內、是レハ重過ギルト云フモンカ少イト云フモンカソコラモ甚ダ
不案內、不案內ナラ默ッテ居タガ宜イ樣ナモノデアリマスケレドモ本員ハ
他ノ銀行ニ課稅ガアッテ此銀行バカリ免稅ニナッテルト云フ其一〓ダケガド
ウモ此案ニ付キマシテ反對ノ〓ヲ能ウ見出シマセヌデゴザイマスドウモ尤
ト言ハザルヲ得ヌト思ヒマス樣デ、唯其一言デゴザイマス、如何ニモ行政ノ
方デハ國家經濟ノ色〓御用ニモ立ッテアル銀行ノ事、特別ノ扱ノアルモ無理
ナラヌ譯、先刻谷君其他ノ御辯明モ誠ニ無理ナラヌ次第デゴザイマスガ本
員ノ考デハ若シ他ノ銀行ニ課稅ガアッテ國家經濟ノ御用ニハ立ッテルトハ
言フ條、日本銀行ノミ免稅ニナルト云フ〓ガドウモ此議案ヲ無理ト云フ〓ヲ
能ウ見出サヌ、夫レ故ニ總テ申スマデモナイ譯デスケレドモ御互輩立法參與
ノ各〓ハ總テマア公平均一ナルコトハドウモ贊成セザルヲ得ヌト斯ウ信ジマ
ス、又此課稅ノ法案ト云フモンハ先刻モ申シマシタ通リ色ミ國家經濟ノ御用
ニハ立ッタルトハ言フモンノドウモ矢張リ他ノ銀行ニ課稅ガアルカラハド
ウモ之ニ課稅スルト云フノハ公平均一ナル法案ト信ジマス故ニ、ドウモ此課
稅ノ法案ハ本員等ノ贊成セザルヲ得ヌ譯、唯公平一般ヲ以テドウモ反對ハシ
難イト云フ一點デゴザイマス、本員ハ此案ニ贊成ヲ致シマス、唯其一言···
(政府委員田尻稻次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=21
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022・田尻稻次郎
○政府委員(田尻稻次郞君) 唯今醍醐侯爵ノ御心配ノ廉ハ誠ニ御尤ナ事デ
アリマスルガ私ヨリ一言申上ゲテ置キマシタ方ガ御安心ニモナラウト思ヒマ
スルカラチヨット申上ゲテ置キマス、成ル程國立銀行ニハ御承知ノ通リ發行
紙幣ノ千分ノ七ノ稅ガ課シテアリマシテ日本銀行ニハ發行稅ト云フモノハ唯
今課シテナイデス、併ナガラ其代リニ御承知ノ通リ段々先輩諸君カラモ御話
ノアリマシタ通リニ此紙幣償還ノトキニ二千二百万ト云フ金ヲバ無利子デ國
庫ニ立換ヘテアルトカ何トカ云フ國家的ノ働ガ致シテアリマスルシ、其他又
國庫金ノ取扱ト云フモノヲバ······大抵五十万カラシテ六十万バカリ入リマ
ス、大方五十七万圓バカリ入ルノヲバ、夫レヲバ段々低減致シマシテ、二十
三年カラ起リマシテ低減致シマシテ唯今デハ四十万ヤリマシテ、サウシテ三
十年ニナリマスルト最早一文モヤラズニ國庫金ノ取扱ヲタダスルト云フコト
デ、間接ニハ大變重イ稅ガ課シテアルト云フ結果ニナッテ居マスルカラ、强
チ直接ニ課稅ト云フモノガナイト云ウテモ夫レダケノコトハ金錢上シテ居ル
ト云フコトニナリマスルカラ、强テ其〓ニ附イテ不公平ハナイト存ジマスル
カラ一言申上ゲテ置キマス、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=22
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023・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 別ニ御發言ガゴザイマセネバ第二讀會ヲ開ク
ヤ否ヤノ決ヲ採リマス、本案第二讀會ヲ開クベシトスル諸君ノ起立ヲ請ヒマ
ス
起立者少數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=23
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024・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 少數デゴザイマス、依ッテ本案ハ二讀會ヲ開ク
ベカラズ、廢案ニ決シマス、次ニ日本銀行條例中改正法律案、衆議院提出、
第一讀會ノ續ヲ開キマス、特別委員長報告、谷子爵、
〔子爵谷干城君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=24
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025・谷干城
○子爵谷干城君 本案ハ御承知ノ通リ唯今否決ニナリマシタ案ト聯帶シテ
成立ツノデアリマス、旣ニアレガ否決ニナッタ以上ハ無論否決スベキモノト
存ジマスル、一應御報告致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=25
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026・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 表決ニ付シマス、本案第二讀會ヲ開クベシト
スル諸君ノ起立ヲ請ヒマス、
起立者ナシ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=26
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027・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 起立者ゴザイマセヌ、卽チ本案モ廢案ニ決シ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=27
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028・小笠原壽長
○子爵小笠原壽長君 本員ハ緊急動議ヲ提出致シマス、少シク其理由ヲ簡
短ニ述べマセウト思ヒマス、其動議ト申シマスモノハ議事日程ヲ變更シテ政
府提出ノ通貨及證券模造取締法案ノ第一讀會ヲ開クト云フ動議デゴザイマ
ス、其理由ハ此度提出ニナリマシタ通貨及證券模造取締法案ハ諸君モ御承知
ノ如ク第五議會ニ於キマシテハ紙幣模造取締法案ト云フ名目デ政府ヨリ提出
ニナリマシテ、其案ハ貴族院ヲ通過致シマシテ衆議院ニ囘リ、同院ノ委員會
モ決議ニナリマシテ愈、、明日ノ議事日程ニ上ラウト云フ前日ニ衆議院ガ解散
ニナリマシタタメニ議決ニ至ラズシテ今日マデ其儘ニナッテ居リマスル然
ルニ近來ニ至リマシテハ益〓模造紙幣ノ跋扈スルニ至リマスルノミナラズ、
旣ニ公債證書マデモ模造スルニ至ッテ居リマス、故ニ良民ノ害ヲ被リマスル
コトガ非常ニ多クナリマシタケレドモ、然レドモ其取締ノ法ガゴザイマセヌ
カラドウスルコトモ出來マセヌノデゴザイマス、其上過日政府委員モ申サレ
マシタル通リ近來ニ至リマシテハ模造紙幣ガ外國卽チ朝鮮國ニモ參ル樣ニ
ナッテ參リマシタ、然ルニ諸君モ御承知ノ如ク一昨日朝鮮國ヘ三百万圓貸與
スルコトヲ議決ニナリマシタニ附キマシテハ兌換紙幣ニテ朝鮮國ヘ貸與ニナ
リマス趣デゴザイマスカラ、左樣ニナリマスルト益"模造紙幣ガ朝鮮國ヘ參
リマスルコトデアラウト本員ハ考ヘマス、サウナリマスルト日本人民サヘ模
造紙幣ハ知ラズ識ラズ受取リマスルコトデゴザリマスルカラ朝鮮人ハ猶更容
易ニ模造紙幣ト云フコトハ見分ケガ付キマスマイ、サウナリマスルト日本ノ
信用上ニモ餘程關係ヲ及ボスコトデアラウト本員ハ考ヘマス、故ニ政府ニ於
テハ一日モ速ニ取締ル法案ヲ發布ヲシテ十分ノ取締ヲシタイト云フコトデア
リマスシ、本員モ此事ハ一時モ忽ニスベキモノデナイト考ヘマス依ッテ議
事日程ヲ變更致シマシテ其取締法案ヲ議シタイト云フコトデアリマス、ドウ
ゾ滿場諸君ニ於テモ御贊成アリマシテ此緊急動議ガ議場ニ成立チマスコトヲ
希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=28
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029・谷干城
○子爵谷干城君 誠ニ必要ナル動議ト思ヒマスカラ贊成ヲ致シマス、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=29
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030・岡部長職
○子爵岡部長職君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=30
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031・伊達宗敦
○男爵伊達宗敦君 議事日程ヲ變更シテ第四ノ前ニ之ヲ入レヤウト云フ緊
急動議ガ提出ニナリマシタ、サウシテ其理由トシテ御速ニナッタ所ヲ承ッタ
ガ是レハ何モ通貨及證券模造取締法案ノ理由ト云フモノデ其別段緊急動議ノ
御趣意ニハ承ラナカッタ、ナゼ此議事日程ガ濟ンデ其後トヘ追加シテハ往ケ
ナイノデアリマスカ、ドウシテ此第四ノ前ニ緊急動議トシテ御載ニナラネバ
ナラヌ必要ガアリマスカ、夫レハ他ニ御趣意ガアルコトト思ヒマスガ承リタ
イ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=31
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032・小笠原壽長
○子爵小笠原壽長君 他ニ別段趣意ハナイ、一日モ早ク議決シテ一日モ早
ク政府ガ發表ニナルコトヲ希望致シマスカラ一時モ早ク議シタイト云フ考デ
アリマス、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=32
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033・由利公正
○子爵由利公正君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=33
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034・千阪高雅
○千阪高雅君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=34
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035・小原重哉
○小原重哉君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=35
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036・下郷傳平
○下〓傳平君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=36
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037・竹内惟忠
○子爵竹內惟忠君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=37
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038・唐橋在正
○子爵唐橋在世君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=38
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039・伊達宗敦
○男爵伊達宗敦君 唯今質問ヲ致シタコトニ附イテ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=39
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040・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 伊達男爵、マダ發言ヲ與ヘテ居リマセヌ、外ニ
マダ發言スルモノガアリマスカラ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=40
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041・立花種恭
○子爵立花種恭君 贊成、
〔「贊成贊成」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=41
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042・伊達宗敦
○男爵伊達宗敦君 私モ贊成シヤウト思ッテ理由ヲ簡單ニ述べマス、唯今
長〓ト議事日程第四ノ前ニ之ヲ載セテ議サウト云フ緊急動議デ又明瞭ナル最
モ理由アルコトヲ御述ニナリマシタ、私モ之ニ贊成ヲシマス、其譯ハ最早他ニ
餘リ議案モアルマイト思ヒマス、今日議シテ仕舞ヘバ明日ヨリハ必ズ休ミニ
ナルダラウト思ヒマス、故ニ之ニ贊成シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=42
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043・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 小笠原子爵ノ議事日程ヲ變更シテ通貨及證劵
模造取締法案ノ第一讀會ノ續ヲ直ニ開クト云フ此動議ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ
請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=43
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044・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 過半數デゴザイマス、依ッテ議事日程ハ變更ニ
ナリマシテ、通貨及證券模造取締法案ノ第一讀會ノ續ヲ開キマス、特別委員長
報告、
〔侯爵中御門經明君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=44
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045・中御門經明
○侯爵中御門經明君 此通貨及證券模造取締法案ノ委員會ノ經過及結果ノ
御報告ニ及ビマス、此案ハ既ニ昨年五月本院ニ於キマシテ可決セラレマシタ
ル所ノ紙幣模造取締法案ト文字ニハ少々相違ガ出來テ居リマスルケレドモ其
取締法ノ精神ニ於テハ毫モ異リマセヌノデゴザイマシテ、委員會ニ於キマシ
テハ此法案ノ必要ナルコトハ全會一致ヲ以テ可決セラレマシテゴザイマス、
夫レカラ此第一條ニ揭ゲテゴザイマスル所ノ紙幣兌換劵模造ノ如キニ至リマ
シテハ政府委員ヨリ參考ノタメニ此實物ヲ委員會ヘ提出致サレマシテゴザイ
マスル、夫レハ餘程澤山ナ種類デゴザイマス、其中ニモチヨット眞ノ紙幣若ク
ハ兌換劵ト竝ベマシテモ尙ホ模造タルコトガ一見シテハ分リ惡クイ位善ク出
來タノガゴザイマスル樣ナ譯デアリマシテ、中ニ細カイ字ヲ能ク讀ンデ見マ
スルト或ハ此玩弄劵ハ子供ニ貸與スルコトヲ得ルトカ、若クハ子供ニ於テ大
人シク遊ベトカ云フ樣ナコトガ書イテアリマスケレドモ、文字ヲ一々讀ミマ
セヌ限リハ一見眞僞ガ分ラヌ位ニ出來テ居ルノガ澤山ゴザイマス此事ハ旣
ニ昨年本院ノ會議ニ上リマシタ時分ニ委シク御承知ニナッテ居ル通リデゴザ
イマスルガ、此度此第一條ニ國債證券及地方債證券ト云フモノガ加ハリマシ
テゴザイマス、此地方債證券ト云フコトニ附イテハ未ダ模造シタト云フコト
ハ發見セラレヌ趣デアリマスルガ、國債證券卽チ公債證書ニ至リマシテハ旣
ニ模造ガ出來テ居リマシテ、是レモ委員會ヘ政府カラ提出サレテ參考ノタメ
ニ示サレマシテゴザイマス、夫レハ百圓ノ公債デアリマシタガ如何ニモ是レ
モ模造デアルカト云フコトハ說明ニ依ッテ承知スル位ニ能ク出來テ居リマス、
斯ウ申シマスルト然ラバ模造デナクシテ僞造デアリサウナモノデアルト云フ
疑モアルカモ知レマセヌガ夫レハ餘程巧ニ出來テ居リマシテ、例ヘバ中ニ本
人トゴザイマス所ガ木人ト書キ、或ハ裏ノ橫文字ハ大字ノ所ハ悉ク倒サマニ
入レテアル、細字ノ所ハ露西亞文字デ何ガ書イテアリマスルカ一向洋學者モ讀
メヌ樣ナモノガ澤山竝ベテアルト云フニ過ギナイ拵ヘ方デアリマス、或ハ又
篆書デ書イテアリマス所ノ大日本政府抔ト云フ所ハ政府ト云フ字ガ大變畫ヲ
多クシテ、形ハ能ク似テ居リマスルガ丸デナイ字ガ載セテアルト云フ樣ナコ
トデアリマシテ、全ク子供ノ玩弄物ニ拵ヘタト云フ樣ナ譯ニ出來テアルノデ
アリマス、夫レ故ニ右等ノ物ヲ以チマシテ國民ヲ欺キマスルト云フコトニ至
リマシテハ隨分甚シイ社會ニ害ヲ及ボスト云フコトハ申スマデモナイコトデ
アラウト思ヒマス、然ルニ唯今申上ゲマスル通リ刑法ニ在ル所ノ僞造トカ變
造トカ云フコトニハ當篏ラヌモノデアリマスカラ、之ヲ取締リマスルニハ是
非此法案ガナクテハナラヌト云フコトハ最モ見易イ話デアラウト思ヒマス、
夫レ故ニ委員會ニ於キマシテハ此第一條ニ揭ゲテゴザイマスル所ハ總テ最モ
必要ナモノト決定致シマシタノデアリマス、夫レデ第二條ニ於キマシテハ別
段委員會デハ議論モゴザイマセナンダ、此三條ニ至リマシテ斯ク修正ヲ致シ
マシタノハ是レハ修正案ハ既ニ各員ノ御手元ヘ囘ッテ居ル筈デアリマス、此
三條ニ「第一條ニ揭ゲタル物件ハ」ノ「ハ」ト云フ字ノ下ヲ拔キマシテ「刑法ニ
依リ沒收スル場合ノ外」ト云フ十三字ヲ加ヘマシタノデアリマス、此理由ハ
原案ニ依リマスルト「第一條ニ揭ケタル物件ハ何人ノ所有ヲ問ハス警察官ニ
於テ之ヲ破毀スルコトヲ得」トアリマスノデ、破毀スルコトガ出來ルト云フ
コトニナルト夫レハシテモ宜シ、シナクテモ宜イト云フコトニナルデ甚ダ嚴
重ナル取締ノ法案ノ上ニ於テ如何ナル精神デアルカト云フコトヲ政府委員ニ
承リマシタ所ガ、此「得」ト云フ文字ヲ用ヒタノハ本案ノ第二條ニ於テ罰セラ
レル時分ニハ、卽チ裁判所ニ於テ之ヲ處分スルノデ、裁判所デ處分スル時分
ニハ刑法ノ總則ニ依ッテ無論沒收サレルノデアル、又其他之ヲ詐僞取財其他ノ
犯罪ノ用ニ供シタル時分モ亦裁判所ニ於テ刑法上ニ於テ無論沒收サレルノ
デアル、夫レ等ヲ破毀スルハ不都合デアルカラ夫レハ訓令ヲ以テ夫ミ破毀ニ
附イテハ訓令ヲ下スモノデアル、夫レデ若シ裁判所ニ於テ證據ニ供ヘ若クハ
裁判所ニ於テ沒收セラルベキモノナレバ巡査ガ······警察官ガ破毀スルコトハ
決シテサセヌノデアル、斯ウ云フコトデアッテ夫レ等ハ破毀スルコトハ出來
ナイ、其他ハ皆破毀スルノデアル、斯ウ云フ答辯デゴザイマス、如何ニモサウ
ナクテハナラヌコトト委員會ニ於テハ認メマシタノデアリマス、サウナクテ
ハナラヌト云フ以上ハ右等ノ事ハ訓令デ種々ニ面倒ヲスルヨリモ此法律ノ上
ニ於テ明ニ刑法上ニ於テ沒收スベキモノハ破毀スルコトハ出來ナイ其他ノ
モノハ悉ク破毀スルト云フコトニ決定シタナラバ政府ノ此本案ヲ出サレタ趣
意ガ貫徹スルデアラウト斯ウ云フ所カラ致シマシテ「刑法ニ依リ沒收スル場
合ノ外ハ總テ之ヲ破毀スヘシ」ト、得ルト云フコトヲ廢メマシテ必ズ破毀シテ
仕舞フ斯ウ云フコトニ本條ヲ修正致シマシタ譯デアリマス、此第四條ニ於キ
マシテハ旣ニ是レハ昨年本院ニ於キマシテ本院ノ委員會デ加ヘマシタ條デゴ
ザイマシテ諸君モ御承知デ別段此度モ委員會ニ於テ第四條ニ附イテハ議論モ
ゴザイマセヌ、右樣ナ譯デゴザイマスルデモウ旣ニ昨年本院デ大多數ヲ以テ
可決セラレタル法案ト一向異ナッタ所ハゴザイマセヌデ速ニ可決アラムコト
ヲ希望致シマス、
〔政府委員添田壽一君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=45
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046・添田壽一
○政府委員(添田壽一君) 此法案ノ第三條ノ御修正ハ政府ノ提出案ノ意味
ヲ明瞭ニ致サレタノデアルト認メマスカラ謹ンデ同意ヲ表シテ置キマス、故
ニ成ルベク速ニ議了セラレムコトヲ希望致シマス、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=46
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047・名村泰藏
○名村泰藏君 議長チヨット政府委員ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=47
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048・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 名村君、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=48
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049・名村泰藏
○名村泰藏君 此原案ノ第一條ニ製造シ又ハ販賣スルコトヲ得ズトアリマ
スガ此製造シ又ハ販賣スル是レハマア販賣スルニハ廉ク賣ル、是レハ模造
紙幣トカ何トカ云ッテ賣ルト云フコトニナルデアラウト思フ、ソコヲ禁メルト
云フコトハ固ヨリ御同意デアルガ、其夫レヲ買ウテ卽チ僞造紙幣デ云ヘバ使
用スルト云フ樣ナ場合ガ時トシテアルカモ知レナイ、其時ニハ如何ノ處分ニ
ナリマスカ夫レヲチヨット··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=49
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050・添田壽一
○政府委員(添田壽一君) 御答ヲ致シマス、其場合ニ於キマシテハ仲買人
デゴザリマスレバ矢張リ販賣ノ罪ニ處セラレマス然ラズシテ唯夫レヲ行使
致シマスレバ詐欺取財ヲ以テ罰シマス積リデゴザリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=50
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051・名村泰藏
○名村泰藏君 マ一ツ、詐欺取財ヲ以テ處罰スルト云フコトハ是レマデ裁
判所デモ色ミニ相成ッテ居リマシテ、或ハ詐欺取財ヲ以テ罰シタコトモアリ
或ハ罰セザルコトモアル、其邊ハ擬律上ノ一ノ疑問ニナッテ居ル點デゴザリマ
ス、若シサウ云フ御趣意デアルナラバ其箇條ヲ玆ニ加ヘタ方ガ宜イト思フ、
夫レカラ第二條ニ前條ニ違犯シタル者ハ一月以上三年以下ノ重禁錮ニ處シ云
云トアル、其權衡ハ何ヲ標準ニ取ラレマシタコトデゴザリマスカ、其邊ヲチ
ヨット·発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=51
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052・添田壽一
○政府委員(添田壽一君) 御答ヲ致シマス、此裁判ノ區々ニナッテ居リマ
スコトハ是レハ司法官ノ獨立ヲ尊ブ以上ハ如何トモスルコトハ出來マセヌ
ガ、先ヅ私ノ解釋デハ無論詐欺取財ヲ以テ罰セラレルコトト存ジマスノデ此
ニ揭ゲテナイノデゴザイマス、夫レカラ第二條ノ刑ノ定メ方デゴザリマスガ、
是レハ極其正確ナル割出方デハゴザリマセヌガ、先ヅ詐欺取財ヨリハ輕カラ
ズ通貨僞造罪ヨリハ重カラズト云フ邊デ、マア玆ラガ宜カラウト存ジマシテ
斯クナッテ居リマス譯デゴザリマス、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=52
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053・馬屋原彰
○馬屋原彰君 本員モ政府委員ニ一ツ質問スルコトガゴザリマス、此第三
條ノ場合デゴザリマスルガ警察官ニ於テ之ヲ破毀スル·······破毀スベシトナリ
マシタガ、此破毀スベシト直リマシタノハ此破毀ト云フコトハデス、文字ノ通
リ卽チ之ヲ破リ毀ハスト云フコトデスガ、此卽チ三條ニ揭ゲテアル所ノ物件
ハ法律上ノ卽チ禁制物件ニナルノデゴザイマス、シテ見ルト是レハ無論刑法
ノ上デハ宣告シテ沒收スルモノデアル又其他ノ法律ニ於キマシテモ無論是
レハ禁制品デアレバ取上ゲルト思ハレマスガ玆ニ破毀トナッテ居ルノハ何カ
·ソコヲチヨット御答辯ヲ願ヒタイ、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=53
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054・添田壽一
○政府委員(添田壽一君) 御答ヲ致シマス、是レハ製造販賣ヲ禁ゼラレテ
居リマスガ大體ニ於テ禁制物ト云フコトハ少シク困難デアラウト存ジマス、
卽チ製造販賣ノ所爲ハ禁ゼラレテ居リマスガ此物其物ハ禁制物デアルト云
フコトハ少シク言憎クカラウカト存ジマス、夫レカラ破毀ト致シマシタル理
由ハ沒收ト云フコトハ餘程是レハ大權デアッテ人民ノ財產權ヲ全然奪フコト
デゴザリマスカラ左樣ナ大權ヲ警察官ニ與ヘズトモ破毀ト云フコトニシテ卽
チ再ビ行使スル憂ヲ絕ツコトサヘ出來レバ國家ノ目的ハ達スル譯デゴザリマ
スカラシテ、沒收ヨリハ破毀ト致シタ方ガ財產權ヲ保護スルコトニナリマス
カラ破毀ト致シマシタ譯デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=54
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055・名村泰藏
○名村泰藏君 マ一ツ甚ダ御面倒デゴザイマスガ、今模造紙幣ヲ私ハ知
ラズシテ居リマシテ取ッテ見タ所ガ模造紙幣デアッテ夫レヲ默マッテ使
用シタト云フ場合ガ又生ズルコトモアラウト思ヒマスガ、其時ハドウ云フ御
處分ニナリマスカ、矢張リ詐欺取財ヲ以テ處分スルト云フ御意見デアルカ一
應····発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=55
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056・添田壽一
○政府委員(添田壽一君) 御答ヲ致シマス、私ハ未ダ此裁判所ノ經驗ハゴ
ザリマセヌ、且又司法官トシテノ事ハ極暗ウゴザリマスルガ故ニ聢トハ存ジ
マセヌガ、全ク知ラズシテ善意ヲ以テ使ヒマシタ場合ハ詐欺取財ト云フコト
ハ出來ナカラウカト存ジマス、ソコハ裁判官ノ鑑定ニ全任致シマスルノ外ナ
イト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=56
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057・馬屋原彰
○馬屋原彰君 先刻ノ御答辯ハ能ク分リマシテゴザリマスガ御面倒ナガラ
モウ一應御尋致シタイ、此三條ノ特別委員ニ於キマシテ修正ニナッタ所ハ政
府ニ於キマシテモ全ク御異存ハナイト云フ御說明デアリマシタガ、抑〓此第三
條ノ一體法文ノ精神ト云フモノハ本員ガ考ヘマスルニハ唯此第一條ニ揭ゲ
テアル所ノ物件ノ取扱方ヲ示スノガ此法文ノ精神デアラウカト思フノデゴザ
イマスト申シマスルモノハ此度此特別委員ニ於キマシテ修正ニナッタ上カ
ラ少シ疑ヲ起シテ居リマス、此原案ノ文章デアリマスレバ破毀スルコトヲ得
ト書イテアル、是レハ卽チ此條ト云フモノハ警察官ニ對シテ直ニ此命令的ニ
立ッタ法文デナクシテ此物件ノ取扱方ヲ示シタモノデアルカラ矢張リ之ヲ得
ト云フコトニシテアルノガ普通ノ例文デ却ッテ其方ガ宜カラウカト云フ疑ガ
アル、然ルニ此修正ニ附イテハ全ク御同意デアルト云フコトデスガ、此精神ハ
物件ノ取扱上デナクシテ主トシテ警察官ニ向ッテ之ヲ破毀シロト云フ命令的
ノ趣意デ此第三條ハ成立ッテ居ルノカ、ソコヲ承リタイ、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=57
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058・添田壽一
○政府委員(添田壽一君) 御答ヲ致シマス、是レハ決シテ直接ニ取扱ヲ定
メル條デハゴザイマセヌ、卽チ斯ノ如キ公益ニ害アルモノヲシテ再ビ世上ニ
害ヲナサシメザル趣意ノモノデゴザリマス、或ハ此法律デ實ハ持ッテ居ルモノ
マデモ罰シタイト云フ氣味モゴザイマスケレドモ、御承知ノ通リ所謂オモチャ
ト俗ニ稱スルモノデ、罪ノナイ子供ヤラ老人ガ持ッテ居マセヌトモ限リマセ
ヌ、故ニ夫レヲ持ッテ居ルコトヲ罪トスルコトハ甚ダ酷ニ類シマスル、故ニ成
ルベク跡ヲ絕タシタイト云フ所カラシテ破毀ト致シマシタノデゴザリマス
夫レデ御了解ヲ願ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=58
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059・馬屋原彰
○馬屋原彰君 少シ本員ガ御尋シタ趣意ガ能ク御分リニナラヌデアラウト
思ヒマスカラ今一應······本員ノ御尋致シマシタノハ今度ノ委員會ニ於キマシ
テ、「スルコトヲ得」トアルノヲ、「スヘシ」ト直シタニ附イテ疑ヲ生ジタノデア
リマス、ト云フモノハ是レハ他ノ法律ニ比ベテ見ルト凡テ官廳ナリ警察官ニ
對シテ直接ニ何ミスベシト云フコトハ極少イ、例ヘバ近ク本院ニ於テ決議ニ
ナリマシタ質屋取締法案ト云フモノノ內ニモ多々ゴザリマス、卽チ贓物ノ取
扱犯罪ノ嫌疑アル物品ト云フモノヲ取引シタルコトガアル場合ハ卽チ警察官
ニ對シテ、ベシト云ハズシテ得トシテアルト云フモノハ直接ニ命令シナイ、原
案ノ墨書ノ通リ丁度ツコニ當ッテ居ル、然ルニ其殊更ニスベシトナッタカラシ
テサウスルト第三條ノ元ノ精神ト少シ違ガ出テ來ル樣ニナラウト思フ、ツ〓
デ此第三條ノ精神ヲ御尋スルノデゴザリマス分リマシタカ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=59
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060・添田壽一
○政府委員(添田壽一君) 御答ヲ試ミマス、スルコトヲ得ト云フダケノ御
論デゴザリマスレバ卽チ法律ガ夫レダケノ權能ヲ與ヘタノデゴザイマスス
ベシト云フコトハ法律ガ命令ヲスルノデアル、結局同一事ト認メマシテ同意
ヲ致シマシタ、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=60
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061・名村泰藏
○名村泰藏君 餘リクドウゴザリマスルガチヨット政府委員ニ······唯今問
ヒマシタ模造紙幣ヲ知ラズシテ取ッテ夫レヲ使ッタトキハドウナサルト問ヒマ
シタトキ裁判所ノ鑑定ニ依ッテ詐欺取財トスルコトモアル、又シナイコト
モアルト云フ、斯ウ云フ御答デアッテ見ルト甚ダ不安心ナ法律ト云ハナケレ
バナラヌ、故ニ裁判官ノ鑑定ニ依ッテ詐欺取財ヲ以テ罰スル又ハ詐欺取財ト
サレヌト云フコトハ甚ダ不權衡デアラウト思フ、既ニ刑法ノ百九十三條ニ僞
造紙幣或ハ變造貨幣ヲ受取ッテ、夫レヲ受取ッタ後ニ知リツツ使用シタル所
ノモノハ罰金ニ處セラレル、然ルニ此模造紙幣ヲ取ッテ夫レヲ知ラズ識ラズ
受取テ夫レヲ知ッテ模造紙幣ナルコトヲ知ッテ使ッタトキニハ或ハ詐欺取財
トナリ或ハ無罪トナル、サウ云フ不權衡ノコトデハ我ミハ大變コハイコトト
考ヘマスガ、其邊ハドンナモノデアリマスカ一應承リタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=61
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062・添田壽一
○政府委員(添田壽一君) 最前私ノ申上ゲマシタコトガ、言葉ガ足ラナカッ
タカ少シク行違ガアル樣ニ存ジマス、模造紙幣ヲ受取ッテ夫レヲ知ラズシテ
行使シタル場合ニ於テハ或ハ詐欺取財ニナルマイト云フコトヲ最前ハ申上ゲ
タ積リデゴザイマス、若シ模造紙幣タルコトヲ知ッテ行使シマシタナラバ公
明正大ナル裁判官ハ必ズ詐欺取財ヲ以テ罰セラルルコトト信ジマス、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=62
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063・松岡康毅
○政府委員(松岡康毅君) チヨット一言申述ベテ置キマスルノハ唯今名村
君ノ御尋ニ依ルト此法案ガ甚ダ不完全ナモノデ不權衡ナモノデアルト云フ樣
ナ御疑問ガゴザイマシタガ、夫レハ受取ッタ後ニ惡意デ使ッタトカ或ハ其行
使シタト云フ事柄モ或ハ利益ヲ得タノカ、此行使ノ仕樣ニモ依リマセウシ、
何レサウ云フ事柄ハ皆活キタ事實ノ上ノ裁判デゴザイマスガ、玆ハ模造物ノ
取締ヲ主トシテヤルノデゴザイマスル、色ミ變化シテ行使ヲスル上ニ變化シ
タ其事實ノ裁判ヲスルト云フコトハ裁判官ニ任スノデゴザイマスカラ、此法
ノ上ニ不權衡ダノ粗漏ダノト云フコトハ決シテナイ積リデアリマス、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=63
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064・名村泰藏
○名村泰藏君 サウ致シマスト刑法ノ百九十三條ハ是レハ知ッテ使ヒマシ
タ時、知ラズシテ取ッテ知ッテ使ヒマシタ其時ニハ「貨幣ヲ取受スルノ後ニ於
テ僞造又ハ變造ナルコトヲ知リ之ヲ行使シタル者ハ其價格二倍ノ罰金ニ處
ス、但其罰金ハ二圓以下ニ降スコトヲ得ス」ト斯ウ定メテアル、是レハ私ガ他
カラ釣ヲ取ッテ來タ、其釣ト云フモノハ五拾錢ノ變造或ハ僞造ノ紙幣デアッタ
ト云フコトハ知ラナカッタ、ケレドモ取ッテ後ニ夫レヲ知ッテ私ガ矢張リ五十錢
ニ使ッタト云フ時ニ、卽チ此刑法ニ依ッテ見ルト二圓ノ罰金ニ處セラルル、若
シ夫レガ二圓デアッタナラバ卽チ二倍デアルカラ四圓ノ罰金ニ處セラルルト
云フコトガ定ッテ居ル、僞造シタリ變造シタル紙幣貨幣デスラ罰金ニ止マル位
ノモノデアルノニ、模造デアッタモノガ取ッタ後ニ模造ト云フコトヲ知ッテ使
フ、夫レガ裁判官ノ目ガネニ依ッテ或ハ詐欺取財ニナルトカ或ハ夫レガ無罪ニ
ナルトカ云フコトガアッテハ私ハ實ニ不權衡極マルト思フ、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=64
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065・松岡康毅
○政府委員(松岡康毅君) 少シモ不權衡デモナケレバ不都合デモナイ、サ
ウ云フコトハ裁判官ノ卽チ活キタ裁判デ、法律ニ成文ガナイカラ無罪ダト云
フコトハナイ或ハ使ヒ樣ト言ヒマスレバ模造紙幣デ無クトモ反古紙モ使ヒ
樣ニ依ッテ詐欺ノ手段ナリ方法ナリガ具ッタナラバ詐欺取財ダト言ヘマセウ
シ、決シテサウ云フモノガ茲ニ何モ書イテナイカラ起ルト云フノデハナイノ
デゴザイマスカラ、裁判ノ上デドウ云フモノガ有ルカ無イカト云フコトハ玆
ニハ何ノ關係モナイコトト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=65
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066・蜂須賀茂韶
○議長(候爵蜂須賀茂韶君) 時刻ニナリマシタニ依ッテ休憩致シマス、
午後零時二十分休憩
午後一時二十八分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=66
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067・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 本日午前可決ニナリマシタル政府提出明治二
十三年法律第二十五號中追加法律案ハ內閣總理大臣ヲ經由シテ裁可ヲ奏請シ
及可決ノ旨ヲ衆議院ニ通知致シマシテゴザイマスヽ本日衆議院提出日本銀行
課稅法案ヲ否決シタル旨衆議院ニ通知致シマシテゴザイマス、本日公爵近衞
篤麿君ヨリ三十名ノ贊成ヲ以テ日英新條約ニ關スル質問書ヲ提出セラレマシ
タニ依ッテ政府ニ轉送致シマシテゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=67
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068・近衞篤麿
○公爵近衞篤麿君 議長、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=68
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069・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 唯今少シ申落シマシタカラ補ッテ置キマスガ、
日本銀行課稅法案及日本銀行條例中改正法律案、此二ツヲ否決シタル旨ヲ衆
議院ニ通知致シタノデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=69
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070・近衞篤麿
○公爵近衞篤麿君 議長、質問ノ理由ヲ述べタウゴザイマスガ宜シウゴザ
イマスカ、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=70
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071・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 宜シウゴザイマス、
〔左ノ質問書ハ朗讀ヲ經ザルモ參照ノタメ茲ニ載錄ス〕
日英新條約ニ關スル質問主意書
一本條約第十一條ハ沿海貿易ニ關スル條章ニシテ其第一項ハ沿海貿易ノ制
限トシ第二項ハ輸入船舶二港巳上連航ノ事ヲ規定セルモノトス然ルニ第
三項但シ書ニハ「本條約ノ期限間是迄ノ通リ大不列〓國船舶カ帝國ノ現
開港場ニ積荷ヲ運搬スルコトヲ許スコトヲ承諾ス」トアリ然ラハ第三項
但書ハ第一項第二項規定ノ效力ヲ抹殺セシ者ニシテ沿海貿易ノ規定ハ現
條約ト異ナル無キ結果ヲ生セスヤ此ノ如ク實行ノ意ナキ條件ヲ前項ニ規
定シ更ニ末項ヲ以テ之ヲ取消シタルハ如何ナル理由ニ出ツル哉
且ツ本條第三項中「現開港場間ニ積荷ヲ運搬ス」トハ海外仕出シ港ニ於テ
積載セル貨物ノミヲ謂フヤ將タ帝國開港場ノ一ニ於テ積載シ他ノ一港ニ
於テ船卸スヘキ貨物ノ運搬ヲモ包含スル哉
一本條約第十八條ニ本條約實施ニ至ラバ外國人居留地ハ我カ市區ニ編入セ
ラレテ地方組織ノ一部ト爲ルヘク尤從來ノ永代借地券ハ有效ノモノト確
認セラレ其借地券ニ載セタル條件ノ外ニ何等ノ條件ヲモ附セサルヘシト
規定セリ
今ノ居留地果シテ市區ニ編入セラレテ地方組織ノ一部ト爲レル已上ハ自
ラ地方稅ヲ負擔セサルヘカラス然ルニ地方稅中地租割ノ如キ市稅地租附
加ノ如キ特別稅地租割ノ如キハ都テ借地人ニ賦課スヘカラサルハ當然ナ
リトス然ルトキハ政府ハ地主ノ資格ヲ以テ該地方稅ヲ國庫ヨリ支出スヘ
キ見込ナリ哉
本條第三項ニ外國人居留地公共ノ目的ヲ變セサル限リ永代無稅ニテ保存
セラルヘキモ土地收用權ニハ從フヘシト規定セシモ第二項外國人一箇人
ニ貸與セシ土地ニ就キテハ其條件ヲ規定セス然ラハ反テ外國人一箇人ノ
借地ニハ土地收用權ヲ施行シ得サルモノト認ムルノ外ナシ是レ何等ノ理
由ニ出ル哉
一本條約第十九條ノ規定ヲ審按スルニ印度外十一箇所ノ英領及其殖民地ニ
此條約ヲ適用セストアリ
然ラハ此ノ印度外十一箇所在籍ノ英人ハ追テ新タニ條約ヲ結フマテハ我
國ニ對シテ無條約國人タルヘキヤ將タ本條約ノ規定ニ從ヒ我帝國ニ渡來
シ內地何レノ所ニモ居住シ自由ニ輸出入貿易業ヲ始メ其他ノ商業ニ從事
スルヲ得ルコト英本國ノ臣民ト異ナル所ナキ哉
又我帝國ノ臣民ハ前項ニ反シ該十二箇所ノ英領地內ニ於テ本條約ノ規定
ニ據リテ業務ニ從事スルコトヲ得サルモノナリ哉
又本條約第二條ニ於テハ兩締盟國ノ一方ノ臣民ニシテ他ノ一方ノ版圖內
ニ住居スル者ハ陸海軍護國軍等ニ論ナク總テ强迫兵役ヲ免除セラレ且服
役ノ代償タルヘキ一切ノ納金ヲ免カレ又一切ノ强募公債及軍事上ノ賦斂
捐資ヲ免カルヘシト相互平等ニ規定セラレシニ「キムバーレー」伯ハ本條
約調印ト同日ノ公文ヲ以テ英國ノ或ル殖民地及領地カ本條約第二條ニ記
載シタル兵役ニ關スル規定ニ從ハサル條件ヲ以テ本條約ニ加入スヘキコ
トヲ請求シ靑木公使ハ之ヲ承諾シタリ是ニ由リテ我カ臣民ハ印度外十一
箇所ノ英領地內ニ渡航シ業務ヲ營ムニハ其地ノ兵役ニ服セサルヘカラス
兵役代償ノ納金ヲ拂ハサルヘカラス軍事上ノ課稅捐資强募公債ニ應セサ
ルヘカラサルカ之ニ反シテ我國內ニ渡航シ業務ヲ營ム印度外十一箇所ノ
英領地ノ英國々民ハ此等ノ義務ニ服スルコトナカルヘキ哉
英領地ノ海關稅率ハ各領地自主ノ制定ニシテ英本國ノ稅率ト等一ニ非サ
ルナリ故ニ我カ貿易ヲ英領地ニ輸入センニハ各〓其地方ノ稅率(濠洲諸港
現稅率ハ原價ニ對シ多キハ六割少キモ二割)ニ從ヒ課稅セラレサルヘカ
ラス之ニ反シテ各英領地ノ貨物ハ本條約ノ規定ニ從ヒ議定書附屬稅目ニ
由リテ我國ニ輸入スルノ便宜ヲ得ヘキヤ又ハ此條約外トシテ我國定稅率
ヲ以テ課稅スヘキ哉
一本條約第二十一條ニ據レハ本條約實施ノ通知ハ調印ノ日ヨリ四箇年ヲ經
タル後何時ニテモ爲スコトヲ得ヘシトアリテ我カ實施通知ノ權ニ於テ毫
モ拘束セラルヽ所ナシ然ルニ本條約調印ト同年月日ニ靑木公使ヨリ英國
キムバーレー伯ニ致セル公文ニハ日本各法典ノ實施ニ至ルマテ本條約實
施ノ通知ヲ爲サヽル旨ヲ確約シテ本條約ニ規定セル通知權ヲ拘束シタリ
卽チ我
天皇陛下ノ御批準アラセラルヘキ條約正文ヲ一片ノ公文ヲ以テ更定シタ
ルモノニアラス哉
一稅率ノ制定及ヒ變更ハ帝國議會ノ協賛ヲ經サルヘカラサルコト憲法第六
十二條ニ明定スル所ニ係ル然ルニ靑木公使及キムバーレー伯ノ記名調印
セル議定ノ附屬稅目ハ帝國議會ノ協賛ヲ經スシテ某品目ノ從價稅率ヲ變
更セリ是レ憲法ノ正條ニ相反スルモノニアラス哉
一本條約中ノ正文ニ係ラス海關稅率、法典實施、英國殖民地及領地ニ關スル
規定ノ如キ總シテ議定書又ハ公文ヲ以テ本條約當然ノ作用ヲ拘束シテ其
大要領ノ實ヲ失ヒ反テ同年月日ニ發シタル議定書及公文ニ實效ヲ有スル
コトニナリタルハ何等ノ理由ニ出ツル哉
將本條約ト全然表裏セル議定書公文ヲ果シテ率由スヘキ者トスル哉
右議院法第四十八條ニ依リ政府ニ對シ及質問候也
明治二十八年三月二日
質問者公爵近衞篤麿
贊成者公爵二條基弘
外二十九名
〔公爵近衞篤麿君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=71
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072・近衞篤麿
○公爵近衞篤麿君 諸君、軍國多事ノ今日ニ當リマシテ軍國ノ事ニ關係ノ
ナイ問題ヲ持出シテ內閣ノ諸公ヲ煩ハスト一云フコトハ甚ダ忍ビナイコトデア
リマス、併ナガラ今囘ノ戰爭ハ益、良結果ヲ奏シマシテ戰フ每ニ必ズ勝チ攻ム
ル每ニ必ズ取ルト云フノ有樣デゴザイマス、此有樣デ往ッタナレバ戰爭ノ終
局ノ後ニ於テハ日本ノ地位ハ如何ナル處マデ高マルデアラウカ、又諸外國ハ
必ズ我國ヲ見ルニ於テ決シテ從前ノ通リノ眼ヲ以テ見ナイデアラウト云フコ
トハ想像ガ出來ルノデアル、果シテ我國ガ地步ヲ進メルモノトシタナレバ又、
之ニ對スルダケノ我國ノ責任ト云フモノガ夫レダケ重クナルト云フコトハ覺
悟ヲシナケレバナラヌト思フシテ見タナレバ將來ニ日本ガ夫レダケノ地步
ヲ進メルモノトシタナラバ今日ヨリシテ苟モ我國ノ國權ノ消長ニ關係スルコ
トデアルナレバ十分ニ攷究シテ置クト云フコトハ決シテ是レハ徒勞デナカラ
ウト思フ、其國權ニ關スル事柄デ其最モ大ナルモノハ何デアルカト三ロッタナレ
バ卽チ條約ノ事デアル、夫レガ今日此戰爭ノ最中デアルニモ拘ラズ此問題ヲ
持出シテ政府ニ質問ヲスル次第デアリマス、我國ノ條約改正ニ從事シマシタ
ノハ彼ノ故岩倉大使ガ歐米諸國ヲ巡迴セラレタトキニ始ッテ今日ニ至ルマデ
數囘ニ及ビマシタ、併ナガラ未ダ一度モ其效ヲ奏シタコトハナイノデ、或ハ先
方ノ不同意ニ依ッテ廢棄ニナッタコトモアリ、或ハ國民ノ輿論ガ之ヲ攻擊シタ
ガタメニ終ニ無效ニ歸シタコトモアル、夫レ故ニ今日マデノ條約改正ノ談判
ノ沿革ヲ見タナレバ實ニ失敗ノ歷史デアルト云フコトハ爭ハレヌ事實デアル
ト思フ、然ルニ昨年七月十六日ヲ以テ我ガ全權公使ノ靑木子爵、英國ノ外務大
臣きむばーれー伯トノ記名調印シタル所ノ通商航海條約ト云フモノハ卽チ同
年八月二十七日ヲ以テ御批准ニナッテ居リマス、其當時此新條約ガ世ノ中ニ現
レルト同時ニ實ニ立派ナ對等ノ條約ガ出來タト言ッテ隨分世ノ中デハ之ヲ持
囃シタノデアリマス、此ノ如ク此日英條約ト云フモノハ世ノ中ニ歡迎セラレ
タケレドモ尙ホ其條約ノ正文ト云フモノヲ熟讀玩味スルト云フト或ハ其箇條
ノ中ニ衝突スル樣ナ矛盾スル樣ナ箇條ガナイトモ言ハレズ、或ハ本條約ノ明
文ト云フモノヲ議定書又ハ公文ヲ以テ打消シタ樣ナ姿ニナルト云フコトモ
此條約ヲ見タ人ハ必ズ心付カレルデアラウト思フノデス、是レハ實ニ我ガ國
權ノ消長ニ大ナル關係ヲ有スルモノデアルガ故ニ政府ノ考ノアル所ヲ確メテ
尙ホ將來ニ大イニ攷究シヤウト云フ考デアルノデス、デ今少シク疑ノ存スル
所ヲ舉ゲタナレバ殆ド箇條每ニ疑ヲ存シナケレバナラヌト云フ嫌ガアルノデ
ス、併ナガラ夫レハ甚ダ煩ハシイコトデ小サナ問題抔ヲ敢テ責ムルニモ及ブ
マイト思フ、夫レ故ニ今此ノ所デハ其煩ヲ避ケテ只主要ノ二三〓ヲ質問シヤ
ウト思フノデアリマス、本條約中ニ就キマシテ最モ主要ナル〓ハ何デアルカ
ト言ッタナレバ先ヅ沿海貿易權ノ事デアル、居留地制度ノ事デアル、海關稅率
ノ事デアル、又法典ノ條件ノ事ノ如キデアル、其他ニモアリマセウケレドモ先
ヅ是レ等ノ事柄ヲ我〓ハ最モ〓究シテ置キタイト思フノデス、夫レデ此質問
趣意書ニ書イテアリマスル事柄ヲ順次ニ說明致サウト存ジマス、先ヅ始ニ此
沿海貿易ノ事ニ就イテ聊カ述ベヤウト思ヒマスガ、我國ノ如キ海國ニ於キマ
シテハ航海事業ノ發達ヲ圖ラナケレバナラヌト云フコトハ是レハ申スマデモ
ナイコトデアル況ヤ又此戰後ニ於テ東洋ノ航海權ヲ握ラナケレバナラヌ、
サウデナイトキニハ一一億餘万圓ノ軍費ヲ費シ幾多ノ生命ヲ犧牲ニ供シテ此日
本ガ名譽ナル勝利ヲ得ナガラ其結果モ半バ其效ヲ失ッテ仕舞フデアラウト
思フ、我ガ政府ハ必ズ大イニ航海業ノ發達ヲ圖ラネバナラズ又圖ラルルデア
ラウト云フコトハ私ノ信ジテ疑ハヌ所デアリマス、然ルニ此日英條約ノ規定
スル所ニ就イテ見マスルトドウ云フコトガアルカ、本條約ノ第十一條「兩締
盟國ノ沿海貿易ハ本條約ニ於テ規定スルノ限ニ在ラス各其法律、勅令及規則
ニ從ヒ之ヲ規定スヘキモノトス、然レトモ日本國皇帝陛下ノ版圖內ニ於ケル
大不列〓國臣民又ハ大不列〓國皇帝陛下ノ版圖內ニ於ケル日本國臣民ハ此事
項ニ關シテハ各右法律勅令及規則ヲ以テ他ノ外國臣民或ハ人民ニ許與シ若ハ
許與セラルヘキ諸權利ヲ享有スヘキモノトス」斯ウ云フコトガ第一項ニアリ
マス、デ第十項ハ沿海貿易ニ制限ガ附ケテアル、第二項ニ於キマシテハ「大不
列〓國皇帝陛下ノ版圖內ノ二箇以上ノ港ヘ仕向ケタル荷物ヲ外國ニ於テ積載
シタル日本國船舶及日本國皇帝陛下ノ版圖內ノ一一箇以上ノ港ヘ仕向ケタル荷
物ヲ外國ニ於テ積載シタル大不列顛國船舶ハ外國貿易ヲ許サレタル仕向港ノ
一ニ於テ其ノ積荷ノ一部ヲ陸揚シ而シテ其ノ最初ニ積載シタル荷物ノ剰餘ヲ
陸揚スル爲メ他ノ一港若ハ數港ヘ進航スルコトヲ得ヘシ但シ常ニ兩國ノ法律
及稅關規則ニ從フヘキモノトス」斯ウ云フコトガアリマシテ是レハ輸入船
舶ガ二ツ以上ノ港ヲ連航スルコトニ就イテノ規定デアリマス、夫レデ是レダ
ケデアレバ誠ニ立派デアル、然ルニ其第三項ノ但書ニハドウ云フコトガアリ
マスカト云フト「但シ日本國政府ハ本條約ノ期限間是迄ノ通リ大不列〓國船
舶カ帝國ノ現開港場間ニ積荷ヲ運搬スルコトヲ許スコトヲ承諾ス尤大阪新
潟及ヒ夷港ハ此ノ限ニ在ラス」殆ド此第三項ノ但書デ以テ前ノ二項ハ抹殺シ
テ仕舞ッタ樣ナモノト見エルノデアリマスデ此ノ如キ條約ヲ承諾セラレタ
ト云フモノハ如何ナル理由デアルカ、沿海貿易ノ事ハ最モ能ク將來ニ於テ注
意シナケレバナラヌ所ノコトデアル、然ルニ其事柄ヲ立派ニ前ノ二項ニ於テ
揭ゲテ置キナガラ第三項ノ但書ヲ以テ消滅ニ歸セシムルト云フコトハドウ云
フ理窟デアルノカ夫レデモ更ニ差支ナイト云フ御見込デアルカト云フコト
ヲ伺ヒタイ、是レガ先ヅ一ノ問デアリマス、且ツ此條ノ第三項中ニ「現開港
場間ニ積荷ヲ運搬ス」ト云フコトガアリマス、是レハ海外仕出港ニ於テ積載
スル所ノ貨物ノミヲ言フノデアルカ、將タ又帝國開港場ノ一ノ港ニ於テ積載
セル他ノ港ニ於テ船卸スル貨物ノ運搬ヲモ意味スルノデアルカ、夫レ等モ
ツ伺ヒタイト云フ條項ノ一デアル、此沿海貿易ノ事ハドゴノ國デモ隨分喧マ
シイ制限ヲ立テテ居リマシテ、英國ノ如ク總テ自由主義ヲ執ッテ居ル樣ナ國
デアリマシテモ尙ホ彼ノ航海律ト云フモノガアッテ、既ニ此三四十年前マデ
行ッテ、居ッタト云フ位ナコトデアル、況ヤ我國ノ如クマダ鎖國ノ夢ノ醒メ
テカラ後僅ニ二三十年シカ過ギナイ位ノ國デアッテ、殊ニ海國デアリナガラ
航海ノ事ニ闇イ國ニ在ッテハ尙更注意スベキコトデアルト思フニモ拘ラズつ
此條約ニハ此ノ如キ規程ノアルト云フコトハ甚ダ不審ニ堪ヘヌノデアリマス
カラ此一箇條ヲ先ヅ第一ニ伺ヒタイノデアリマス、夫レカラ其次ニアリマス
ノハ居留地ノ事デアリマス是レハ本條約ノ十八條、第十八條ニハ「大不列
〓國政府ハ同政府ニ關スル限ハ左ノ取極ニ同意スヘシ、日本國ニ在ル各外國
人居留地ハ全ク其ノ所在ノ日本國市區ニ編入シ爾後日本國地方組織ノ一部ト
ナルヘシ」斯ウ云フコトデアリマシテ、居留地制度ト云フモノハ全ク是レデ廢
スルト云フコトニ外觀上ナッテ居ル、サウシテ其是レマデノ居留地ト云フモノ
ハ日本ノ市ノ中ニ組入レルト云フコトニナッテ居ル、是レハ誠ニ結構デアリマ
スガ、併ナガラ從來カラ永代借地券ト云フモノガアリマシテ、夫レハ矢張リ有
效ノモノト確認セラレテ、其借地券ニ載セタル條件ノ外ハ總テ何等ノ條件ヲ
モ附セサルベシ、ト此中ニ書イテアル、然ラバ此今ノ居留地ト云フモノガ果シ
テ市區ニ編入サレテ地方組織ノ一部トナッタ以上自カラ地方稅ノ負擔ト云フ
モノガナケレバナラヌ、然ルニ地方稅ノ中デ地租割ノ如キ、市稅地租附加ノ如
キ、特別稅地租割ノ如キ、總テ借地人ニ賦課スルコトガ出來ナイモノニナル
所ガ其借主ハ外國人デアル、地主ハ誰レカト云ヘバ政府デアル、シタナラバ其
地主ノ資格ヲ以テ其地方ノ借地料ト云フモノハ政府ガ負擔スルノデアルデア
ラウカ、是レガ先ヅ質問ノ一ツノ箇條デアリマス、夫レカラ其次ハ此箇條ノ第
三項「外國人居留地公共ノ目的ノ爲メ無借料ニテ既ニ貸與シタル各地所ハ永
代ニ保存セラルヘシ且該地所ニシテ最初貸與シタルトキノ目的ニ使用セラル
ル限ハ總テノ租稅及徵收金ヲ免スヘシ但シ土地收用權ニハ從フヘキモノトス」
斯ウ云フコトガアル、夫レデ此箇條ハ居留地ノ中公共ノ目的ノ爲メニ貸與シ
テアル所ノ地所ハ其目的ヲ變ヘナイ、例ヘバ公園デアレバ何時マデモ公園デ
置ク限リハ永代無代デ貸シテ置ク、併ナガラ土地收用權ニハ從ハナケレバナ
ラヌ、若シモ其公園ノ內ニ鐵道線路ヲ敷クトカ或ハすてー志よんヲ置クトカ
云フ場合ニハ夫レハ土地收用權ノ作用ニ從ハナケレバナラヌト云フコトガア
リマス併ナガラ特ニ土地收用權ニ從ハナケレバナラヌト云フコトガ出テア
ルケレドモ外國人一個人ノ借リテ居ル所ニ附イテハ何モナイ、シテ見レバ外
國人一個人ノ借リテ居ル卽チ公共ノコトデナイ所ノ地所ニハ土地收用權ハ施
行スルコトガ出來ナイト云フコトヲ規定シタ樣ニ解釋ガ出來ルノデアリマ
ス其邊ハドウ云フモノデアルカ、夫レモ質問ノ一ツ、マー居留地制度ノ事ハ
先ヅ其位ニシテ置キマシテ其次ニ本條約第十九條「本條約ノ規定ハ法律ノ許
ス限ハ大不列顛國皇帝陛下ノ殖民地竝ニ其ノ海外領地ニ適用スヘシ但シ左ニ
列記スル所ハ此限ニ在ラス印度加奈太領地ニユー、フワウンドランド、喜望峯
殖民地」云々サウシマスルト云フト此條約ト云フモノハ法律ノ許ス限リハ
英國ノ殖民地ニハ成ルベク適用スルコトガ出來ル、併ナガラ是〓ノ所ハナラ
ヌト云フ箇所ガ十二箇所アリマス殆ド英國ノ殖民地ノ重ナルモノ主要ナ
ルモノハ大抵此中ニ網羅シテアル、サウシテ見ルト此條約ハ英吉利本國バ
カリニハ適用スルケレドモ其外ノ殖民地ニハ適用スルコトガ出來ナイ結果ニ
ナル樣ニ見エマス若シモ夫レガ事實デアルナラバ是レ等ノ印度以下十一箇
所ト云フ所ノモノハ矢張リ英國民デアルニハ違ヒナイガ夫レ等ノ人トハ更ニ
日本ハ特別ノ條約デモ結バナケレバ無條約國ノ人間ト見ナケレバナラヌノデ
アルドウモサウヨリ解釋ハ出來ナイノデアリマス、其邊ヲ伺ヒタイ夫レ
カラ本條約ノ規定ニ從ウテ我ガ帝國ニ渡來シ內地何レノ所ニモ居住シ自由ニ
輸出入貿易等ヲ始メ其他ノ商業ニ從事スルコトヲ得ルコトガ英國本國ノ臣民
ト異ナルコトハナイノデアルサウスルト云フト少シ權衡ヲ失フ樣ニ見エル
ノデアリマス、若シモ印度其外十一箇所人民ガ日本ヘ來テ商業ヲ營ミ或ハ
各種ノ業ニ從事スルコトガ出來ルト見タナラバ若シモ日本人ガ印度ナリ其外
ノニ往ッテ十分夫レダケノ權利ヲ得ルコトガ出來ヌト云フ場合ガアッタナラ
バ是レハ頗ル平等ヲ缺クモノト謂ハナケレバナラヌ、所ガ十九條ノ規定デ見
ルトドウモサウ云フ嫌ガアル樣ニ思ハルヽ又本條約ノ第二條ニ「兩締盟國
ノ一方ノ臣民ニシテ他ノ一方ノ版圖內ニ住居スル者ハ陸軍、海軍、護國軍、民
兵等ニ論ナク總テ强迫兵役ヲ免カレ且其ノ服役ノ代リトシテ取立ル所ノ一切
ノ納金ヲ免カレ又一切ノ强募公債及軍事上ノ賦歛或捐資ヲ免カルヘシ」斯ウ
云フコトガアリマスガ、是レハ勿論英國ノ本國ト日本トノ間ニ在ッテ對等條
約デアッテ相互ノ間ニハ此通リ規定サレテアルカラ少シモ差支ナイ樣ニアリ
マス、併ナガラ此本條約ト共ニ同一ニ調印サレタ所ノ公交ガアリマスガ、其
公文ニハ英國ノ或ル殖民地及領地ガ本條約第二條ニ記載シタル兵役ニ關スル
規定ニ從ハザル條件ヲ以テ本條約ニ加入スベキコトヲ請求シ靑木公使ハ之ニ
承諾ヲ與ヘテ居ル之ニ依ッテ見ルト我國ノ臣民ハ印度其外十一箇所ノ殖民
地ニ往ッタ時分ニハ矢張リ其兵役ニモ服サナケレバナラヌト云フ樣ナ結果ガ
出テ來ルノデアリマス、又其外强迫兵役ハ勿論ノ話軍事上ノ事或ハ其外
ノ負擔ハ總テ印度其外ノ殖民地ノ人民ト同ジ樣ニ負擔ヲシナケレバナラヌト
云フ樣ナ疑ガ此本文ニ依ッテ見ルト生ジテ來ルノデアリマス、其邊ハ如何ナ
モノデアリマスカ又英吉利領地ノ海關稅率ト云フモノハ各領地ハ皆自主ノ
制度デアッテ英本國ノ稅率トハ皆異ナッテ居ルノデアル、デ我國ノ品物ヲ英
吉利ノ領地或ハ印度デアルトカ或ハ其外ノ加奈太喜望峯デアルトカ云フアタ
リヘ持ッテ往ッタ時分ニハ其土地ソ稅率ニ從ハナケレバナラヌ、之ニ反シテ
英領地ノ貨物ハ英本國ノ品物ト同ジ樣ニ日本ヘ持ッテ來テ日本デハ此間規定
サレタ議定書中ニ在ル稅率ヲ以テ賦課サルヽト云フコトデアッテハ是レ又頗
ル不權衡ノ至ト思フノデアリマス、シタナラバ是レ等ノ諸國ニハ更ニ又一定
ノ稅率ト云フモノヲ以テ課稅スベキデアルカ如何デアルカ、夫レカラ其次ニ
於キマシテハ本條約ノ第二十一條ニ於テ「本條約ハ調印ノ日ヨリ少クモ五箇
年ノ後迄ハ實施セラレサルモノトス而シテ日本帝國政府ニ於テ本條約ヲ實施
セント欲スル旨ヲ大不列〓國政府ニ通知シタル後一箇年ヲ經ルニ非サレハ實
施セラレサルモノトス尤此ノ通知ハ調印ノ日ヨリ四箇年ヲ經タル後何時ニテ
モ爲スコトヲ得ヘシ又本條約ハ其ノ實施ノ日ヨリ十二箇年間效力ヲ有スルモ
ノトス」斯ウ云フノデアリマス、然ルニ本條約ト同一ニ調印ヲセラレタ所ノ
靑木公使トきむばーれー伯トガ調印サレタ公文ハ日本各法典ノ實施ニ至ルマ
デハ本條約實施ノ通知ヲナサザル旨ヲ約ス、斯ウ云フコトガアルノデ、シテ
見ルト云フト從來法典ト云フコトハ始終條約ノ條件ノ一ツニナッテ居ッタノ
ガ今度條約ノ正文バカリヲ見ルト更ニサウ云フ條件ハナイケレドモ矢張リ此
公文ヲ見マスト其條件ガ附イテ居ルモノト思ハルヽノデアリマス、所ガ
天皇陛下ノ御批准ニナッタ所ノ條約ノ正文ト云フモノヲ僅ニ夫レニ附帶スル
所ノ公文ヲ以テ之ヲ更訂シタト云フノハ······改メタ樣ナ姿ノアルハ是レハド
ウ云フモノデアルカ、是レモ一ツノ質問ノ箇條デアリマス、夫レカラ又稅率制
定及變更ノ事ハ總テ帝國議會ノ協賛ヲ經ナケレバナラヌト云フコトハ憲法ノ
示ス所デアル、然ルニ此議定書ヲ御覽ナサレバ分ルガ靑木公使トきむばーれ
-伯トノ記名調印シタル議定書ノ附屬稅目ヲ以テ帝國議會ノ協贊ヲ經ズシテ
直ニ定メテ仕舞ッタ、是レハ若シヤ憲法ノ正條ニ反シテ居ルモノデハナイカ、
是レモ質問ノ一ツ、本條約ノ正文ニ拘ラズ海關稅率又ハ法典實施英國殖民地
及領地ニ關スル規定ノ如キハ總テ議定書或ハ公支ヲ以テ本條約ニ規定スル所
ノモノヲ拘束シテ仕舞ッテ夫レガタメニ本條約ノ要領ヲ失ッテ却ッテ其同ジ
時ニ發布シタ所ノ公文ト議定書ト云フモノヲ以テ取消シタガタメニ其本條約
デナイ所ノ議定書ト公文ト云フモノガ實效ヲ奏スル樣ニナッテ來タ、夫レハ
ドウ云フ譯デアルカ、何ガ故ニ本條約ニ規定シタ所ノモノヲ公文又ハ議定書
ヲ以テ夫レヲ拘束シ或ハ變更シタノデアルカ、先ヅ私ノ質問シタイト云フ所
ハ其位デアリマス、尙ホ其外ノ箇條ハ幾ラモアリマセウケレドモ此位ノ事ガ
大眼目ト思ハルルカラ政府ニ於テハドウカ詳細ニ······勿論此事ハ政府ノ樞機
ニ屬スル樣ナコトデ言フコトノ出來ヌ樣ナコトガアルカモ知レマセヌ、ケレ
ドモ差支ナイ限ハ御示アラムコトヲ希望スルノデアリマス、之ヲ以テ此質問
書ヲ提出致シマシタ理由ト致シマス、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=72
-
073・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 午前ノ會議ヲ繼續致シマス、···別ニ御發言
ガゴザイマセネバ第二讀會ヲ開クベキヤ否ヤノ決ヲ採リマス、本案第二讀會
ヲ開クベシトスル諸君ノ起立ヲ請ヒマス、
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=73
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074・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 過半數デゴザイマス、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=74
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075・小笠原壽長
○子爵小笠原壽長君 議事日程ヲ變更シテ直ニ第二讀會ヲ開クト云フ動議
ヲ提出致シマス
(「贊成」ト呼ブ者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=75
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076・柴原和
○柴原和君 本員ハ考ヘマスルニ唯今議事日程變更ノ說モ出マシタナレド
モ是レハ則チ午前ノ會ニ段々此隣席ノ名村君カラ質問モゴザイマシテ、其質
問ノ主意ヲ考ヘマスルト政府委員ノ答モゴザイマシタナレドモ其答ハ或ハ要
領ヲ得ヌコトガアラウト思ヒマス、又二讀會ニ於キマシテ修正シタイコトモ
アラウト考ヘマス、又巳ニ此第三條ニ警察官ニ於テ之ヲ破毀スルコトヲ得トア
ルノヲ破毀スベシトシテアリマス、是レモ本員等ハ元ノ黒イ字ノ方ガ宜イト
云フ考デアリマス、ドウカ是レハ定規ノ日數ヲ與ヘテ第二讀會ヲ開カレムコ
トヲ希望致シマス、唯今ノ議事日程ヲ變更スルコトニハ不同意デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=76
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077・立花種恭
○子爵立花種恭君 小笠原子爵ノ動議ニ贊成致シマス、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=77
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078・竹内惟忠
○子爵竹內惟忠君 小笠原君ニ贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=78
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079・槇村正直
○男爵槇村正直君 小笠原子爵ニ同意ヲ致シマス、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=79
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080・谷干城
○子爵谷干城君 小笠原子爵ノ動議ニ贊成致シマス、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=80
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081・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 議事日程ヲ變更シテ直ニ第二讀會ヲ開クト云
フ小笠原子爵ノ動議ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=81
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082・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 過半數デゴザイマス、直ニ第二讀會ヲ開キマ
ス、第一條第二條ヲ問題ニ供シマス、朗讀ヲ致サセマス、
〔山本書記官朗讀〕
通貨及證券模造取締法
第一條貨幣、政府發行紙幣、銀行紙幣、兌換銀行券、國債證券及地方債證劵
ニ紛ハシキ外觀ヲ有スルモノヲ製造シ又ハ販賣スルコトヲ得ス
第二條前條ニ違犯シタル者ハ一月以上三年以下ノ重禁錮ニ處シ五圓以上
五十圓以下ノ罰金ヲ附加ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=82
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083・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 第一條第二條、原案ヲ可トスル諸君ノ起立ヲ
請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=83
-
084・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 過半數デゴザイマス、第三條、
〔山本書記官朗讀〕
第三條第一條ニ揭ケタル物件ハ何人ノ所有ヲ問ハス警察官ニ於テ之ヲ破
毀スルコトヲ得
〔山本書記官「委員會ノ修正ニハ『第一條ニ揭ケタル物件ハ刑法ニ依
リ沒收スル場合ノ外何人ノ所有ヲ問ハス警察官ニ於テ之ヲ破毀ス
ヘシ』トナッテ居リマス」ト述ブ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=84
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085・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 別ニ御發言ガナケレバ決ヲ採リマス、第三條、
委員ノ修正ヲ可トスル諸君ノ起立ヲ請ヒマス、
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=85
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086・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 過半數ト認メマス、第四條、
〔山本書記官朗讀〕
第四條第一條ニ揭ケタル物件ニハ明治九年布告第五十七號ヲ適用ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=86
-
087・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 第四條、原案ヲ可トスル諸君ノ起立ヲ請ヒマ
ス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=87
-
088・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 過半數デゴザイマス、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=88
-
089・小笠原壽長
○子爵小笠原壽長君 議事日程ヲ變更シテ直ニ第三讀會ヲ開クト云フ動議
ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=89
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090・中御門經明
○侯爵中御門經明君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=90
-
091・下郷傳平
○下〓傳平君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=91
-
092・槇村正直
○男爵槇村正直君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=92
-
093・立花種恭
○子爵立花種恭君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=93
-
094・日野西光善
○子爵日野西光善君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=94
-
095・關田可通
○關田可通君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=95
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096・楫取素彦
○男爵楫取素彥君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=96
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097・渡邊甚吉
○渡邊甚吉君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=97
-
098・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 議事日程ヲ變更シテ直ニ第三讀會ヲ開クト云
フ小笠原子爵ノ動議ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=98
-
099・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 過半數デゴザイマス、直ニ第三讀會ヲ開キマ
ス、朗讀ヲ省キマス、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=99
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100・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 原案ヲ可トスル諸君ノ起立ヲ請ヒマス、
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=100
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101・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 過半數デゴザイマス、次ニ明治二十三年法律
第七十三號貯蓄銀行條例中改正法律案、衆議院提出、第一讀會ノ續ヲ開キマ
ス、特別委員長報告、
〔子爵林友幸君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=101
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102・林友幸
○子爵林友幸君 御報道申シマス、明治二十三年法律第七十三號貯蓄銀行
條例第三條第四條第五條第六條ヲ左ノ通リ改正スト云フ是レガ本文デゴザイ
マス、是レハ本員共ニ託サレマシテ兩度程委員會ヲ開キマシタ、其委員會ノ
次第ヲ御報道申シマスルニハ此貯蓄銀行條例ガ定マリマシテ今日改マルノヲ
見マスルト餘程區域ガ狭ウゴザイマシテ遂ニ銀行······貯蓄銀行社會ノ事業ガ
中ミ行レ兼ネル樣ナ形デゴザイマス、折角法律ガ出來テ居ルモノノ其業務ノ
發達ガ鈍ウナリマシテ大ニ其困ッテ居ル所カラシテ少シク之ヲ寛ニシテ業務
ヲ手廣ウ致サウト云フコトニ止マリマス、其寛ニシタノハ第一ニ第四條ノ貯
蓄銀行ノ拂戾ノ保證トシテ資本金ノ······資本金額ノ半數ノ金額ヲ利付國債證
劵其他ヲ以テ供託所ニ預ケテ置ク次第デアッタサウデゴザイマス、夫レヲ今
度四分ノ一ト致シマスカラ夫レヲ又半分ニシテアリマスカラチヨット少イ形
デゴザイマス、然レドモ此少イ形ハ此所デハ緩メマスガ其先キノ六條ニ至リ
マシテ大ニ又ソコヲ押ヘル所ガゴザイマス期限六箇月以內ニシテ現金ノ預
リ高ヲ以テ夫レヲ押ヘ夫レニ應ズル四分ノ一ヲ又供託所ニ預ケルト云フ譯
デ、前ノ方デハ緩メテ先キノ方デ押ヘルト云フノデアルカラ其取締法ハ大藏
省ニ於キマシテ之ヲ以テ存分ニ出來ル形デゴザイマス、種々玆ニハ疑問モゴ
ザイマシテ內閣委員トモ屢〓承リ合セマシタ所ガ格別ノ差ツドイモナイ、先
ヅ斯ウ云フ所ニ致シテ置イタ方ガ宜カラウト····併シ又之ヲコッチノ申シマ
スルノニハ然レバ此位ノコトニナッタラ良イ方法ドモガアッテ法律等デモ又
近日ニ提出デモセラレル御心組ガアルカナイカト云フコトモ尋ネマシタガ、
未ダ其事ハゴザイマセヌガ先ヅ之ヲ以テヤレバ格別差支モアルマイカラ此儘
ニシテ置カウト云フコトデゴザイマス、夫レデ此案ジノ出マス所ハ末ノ項ノ
爲換手形約束手形ニ限ルベシ·····貯蓄銀行ハ國債證券及地方債ノ證劵ヲ之ヲ
置クノデゴザイマスガ、夫レニハ少シ案ジガゴザイマシタガ是レハ其確實ナ
モノデナケレバ固ヨリ取ラヌ、地方債證券ト云フトモ猥ニ拵ヘサシタモノデ
ハナイ譯デ、地方長官ガ承知ヲシテ尙又其村ノ見積リヲシ、殊ニ知事ヨリシテ
內務大臣ニ、內務大臣ヨリシテ大藏大臣ヲ經由シテ、孰モ確實ト見ル所ヲ以テ
許シテアルモノデゴザイマス之ヲ以テ株券ヨリモ薄イ······手薄イコトモア
ルマイト云フ斯ウ云フコトニナリマシテ、委員一統ハ全會一致ヲ以テ此案ヲ
其儘ニシテ通過致シタイト云フコトニ決議致シマシテゴザイマス、ドウゾ御
同感ノ御方ハ御贊成ヲ希フ所デゴザイマス、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=102
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103・小松行正
○男爵小松行正君 御論モナイ樣デゴザイマスカラ、又簡單ナ案デゴザイ
マスカラ讀會省略ヲ致シタイト思ヒマス、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=103
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104・久保田譲
○久保田讓君 チヨット質問ヲ致シマス、第四條ノ貯蓄拂戾ノ保證トシテ地
方債劵ヲ備ヘ置クト云フ今度ノ改正デアリマスルガ、此地方債券ニハ餘程慥
ナモノモアッテ、卽チ東京府ノ公債デアルトカ或ハ大阪ノ府債トカ云フ樣ナモ
ノハ殆ド國債證券ト同樣ノ位ノモノデアラウト存ジマスルガ、中ニハ極貧乏
ナ小イ町村抔ノ地方債モアラウカト考ヘラレルデアリマスガ、此地方債劵ノ
中ニハ隨分危險ナモノモアルヤニ承ッテ居リマスガ、其邊ハ政府デハ御取調ニ
ナッテ地方債券デ一向危險ナコトハナイト云フ御考デゴザイマスカ、一應承リ
マスル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=104
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105・添田壽一
○政府委員(添田壽一君) 御答ヲ致シマスデゴザイマスガ、御承知ノ通リ
ニ此地方債ト申シマスルモノハ各〓自治〓體ニ關係シテ居リマスル法律ニ依ッ
テ始メテ發行スルモノデアリマシテ、卽チ府縣郡區町村水利組合抔ガ永久ノ
利益ト爲ルベキ事業等ノ支出ノタメニ起ス所ノ負債トシテ生ジマスルモノデ
アリマシテ其愈〓世上ニ募リマスル前ニハ内務大藏兩大臣ノ嚴重ナル調査
監督ヲ經ルモノデゴザイマスカラ、今仰セラレマシタ如ク國債證券ニモ讓ラ
ヌモノモアル位デ、其他將來市町村アタリカラ出スモノノ中ニモ全ク確實ナ
モノバカリト云フコトハ言ヘナイカモ知レマセヌガ、併シ先ヅ今日ノ市町村
制等ニ依ッテ出シマスルモノデゴザイマスレバ卽チ市町村ノ收稅權ト云フモ
ノノ擔保モアリマスル故ニ先ヅ懸念ハナイコトト存ジマス、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=105
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106・久保田譲
○久保田讓君 モウ一ツ伺ヒマス、地方債券ハ悉ク內務大藏兩大臣ノ許可
ヲ得テデナカラネバ出來ヌト云フ樣デアリマシタガ併シ市町村制ニ依リマス
レバ左樣デモナイカト本員ハ確トハ覺エマセヌガサウ考ヘテ居リマス慥カ
三箇年以内ニ償還ノモノハ內務大藏兩大臣ノ許可ヲ得ズシテ地方債券ヲ發
行スルコトガ出來ルコトニ考ヘテ居リマス、尙ホ町村債ト云フモノハ將來町
村ノ利益ノタメデナケレバ發セラレナイト云ウテ町村制ノ中ニ夫〓發スベ
キ場合ガ決メテ書イテアル樣ニ思ヒマス、且ツ舊イ市町村制ノ發布前ノ餘
程舊イ町村ノ負債ト云フモノガアル、夫レハ今日デモ地方債券ヲ發行スルコ
ドカ出來ル、是レハ制度上ノ話デアリマスガ免ニ角實際ニ於テ危險ナ地方債
劵ガ澤山アルト承リマシタガ其邊ヲ伺フノデアリマスガ政府ニ於テ御調
ニナリ是レハ確デアルト云フ確實ナ保證デアレバ本員ハ敢テ何モ申サヌ次第
デアリマス尙ホモウ一應確ニ承ッテ置キタウゴザイマス、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=106
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107・添田壽一
○政府委員(添田壽一君) 御答ヲ致シマス、成ル程三箇年以內ノモノハ兩
大臣ノ認可ヲ得ル限デハゴザイマセヌ、ケレドモ御承知ノ通リ市町村ト云フ
モノハ稅ヲ取立テル大權ヲ持ッテ居テ、其證劵ハ之ヲ擔保トシテ成リ立ッテ
居リマスカラ一個人ノ負債證券トハ大ニ異ッテ居リマスカラ、是レハ確實
ト申上ゲテ差支ナィ積リデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=107
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108・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 別ニ御發議ガゴザイマセヌケレバ第二讀會ヲ
開クヤ否ヤノ決ヲ採リマス、本案第二讀會ヲ開クベシトスル諸君ノ起立ヲ請
ヒマス、
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=108
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109・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 過半數デゴザイマス、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=109
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110・堤功長
○子爵堤功長君 日程ヲ變更シテ直ニ第二讀會ヲ開カレムコトヲ····発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=110
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111・小笠原壽長
○子爵小笠原壽長君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=111
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112・林友幸
○子爵林友幸君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=112
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113・山田卓介
○山田卓介君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=113
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114・下郷傳平
○下〓傳平君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=114
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115・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 議事日程ヲ變更シテ直ニ第二讀會ヲ開クト云
フ堤子爵ノ動議ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=115
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116・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 過半數デゴザイマス、直ニ第二讀會ヲ開キマ
ス、是レハ別ニ修正モゴザイマセヌニ依ッテ全部ヲ列ネテ問題ニ供シマス
朗讀ハ省キマス、
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經ザルモ參照ノタメ茲ニ載錄ス〕
明治二十三年法律第七十三號貯蓄銀行條例第三條第四條第五條第六條左ノ
通改正ス
第三條貯蓄銀行ノ取締役ハ在任中ニ生シタル銀行ノ義務ニ付連帶無限ノ
責任ヲ負フモノトス
但シ其ノ責任ハ退任後二箇年ノ滿了ニ因リテ消滅ス
第四條貯蓄銀行ハ貯蓄預金拂戾ノ擔保トシテ預金總高ノ四分ノ一ヨリ少
ナカラサル金額ヲ利付國債證劵又ハ地方債證券ニテ備ヘ置キ之ヲ供託所
ニ預ケ入ル可シ
但シ擔保金額カ資本金半額以上ニ及フトキハ商業手形及確實ナル會社
ノ債券又ハ株劵等ヲ用ウルコトヲ得
第五條前條ノ金額ハ每半箇年末日現在ノ預金高ニ依リ之ヲ定ム
第六條預ケ人ハ第四條ノ供託諸證券ニ就キ優先權ヲ有ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=116
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117・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 原案ヲ可トスル諸君ノ起立ヲ請ヒマス、
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=117
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118・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 過半數デゴザイマス、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=118
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119・堤功長
○子爵堤功長君 三讀會モ同樣直ニ開カレムコトヲ······発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=119
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120・山田卓介
○山田卓介君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=120
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121・大原重朝
○伯爵大原重朝君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=121
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122・林友幸
○子爵林友幸君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=122
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123・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 議事日程ヲ變更シテ直ニ第三讀會ヲ開クト云
フ堤子爵ノ動議ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス、
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=123
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124・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 過半數デゴザイマス、直ニ第三讀會ヲ開キマ
ス、朗讀ハ省キマス··原案ヲ可トスル諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=124
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125・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 過半數デゴザイマス、可決致シマシタ、次ハ
郵便條例中改正法律案、衆議院提出、第一讀會ノ續ヲ開キマス、特別委員長
報告、
(男爵小澤武雄君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=125
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126・小澤武雄
○男爵小澤武雄君 本案特別委員會ノ經過及結果ヲ御報告ニ及ビマス、此
案ハ郵便條例中第一條ノ四項ノ中ノ「農產物種子」ト云フノヲ四項カラ取除ケ
テ五項ヲ置クニ止マルノデゴザイマス、此農產物ノ種子ノ稅ヲ一一錢ノモノヲ
一錢ニスルト云フダケノコトデ、是レハ甚ダ農業上ニ於テハ必要ナモノデア
リマシテ、又之ヲ稅ヲ減ジタ所ガ格別ニ差支モナイト申スコトデアリマス、デ
此タメニ減ズベキ金額モ調ベテ見マシタガ漸ク一一十八年度ノ豫算ノ中一千四
百十二圓是レ程ノ減ジニナルノデアリマス此四種ノ郵便ノ箇數ト云フモノ
ハドノ位アルカト云フコトヲ調ベテ見マシタガ二十六年度ニ於テハ七万四
千九百六十九箇、二十八年度ノ豫定ハ十一万千五百四十六箇位ナモノデゴザ
イマス此割合ヲ以テ是レカラ先キ年々增シテ行クノデ凡ソ二割位增サウト
云フコトデゴザイマス、此後二割增シタ所ガ二百九十四圓四十六錢位ノ增デ
アリマスカラ郵便總體ノ收入ノ上カラ見レバ瑣々タルコトデ一向實ハナイ
實際ノ效用ハドウ云フモノデアルカト顧ミマスルト此種子ヲ郵送スルノハ多
クハ交換デアル、甚ダ農業上ニ必要ナモノデアリマス、米國抔ニ於テハ種子
ノ郵稅ハ無稅ニモナッテ居リマス位デアリマスカラ、我國ニ於テモ減稅ニ
ナッテ至當ナ事デアラウト云フノデ政府モ此案ニ同意シタノデアリマス、夫
レデ是レマデノ第一條ノ四項ハ書籍、帳簿、各種ノ印刷物、寫眞、書畫、繪
圖、罫紙、營業品ノ見本及雛形、農產物種子、是レダケアルノデアリマス
此中デ農產物ノ種子ヲ取除ケマシタラ跡ノ物ハ書籍其他見本等モ稅ヲ減ジテ
貰ヒタイト云フ說ガ起リ是レハ不權衡デハナイカト云フ說ガ起リハセヌカ
ト委員會デ調ベテ見マシタガ、是レハ農產物ノ種子ダケ減稅ニナッテモ差支ナ
イノミナラズ却ッテ是レガ適當デアル、書籍其他見本ヲ遞送スルハ學校ノ在ル
所トカ商店ノアル所ニ送ルノデアリマスカラ先ヅ市外デ村落ヲ成シタ所ガ
多イ、且ツ商品ノ見本ハ金錢ヲ取扱フ者ガヤルノデアリマスカラ僅ノ稅ハ一
向感ジナイ農產物ノ種子ノ方ハ山間僻地マデモ交換ヲ及ボシテ來ルカラ甚
ダ必要デ、金錢デ賣買スルモノデナイカラ聊ノ郵稅デモ隨分苦痛ヲ感ズル次
第デアリマス夫レ故ニ四項ノ中カラ農產物ノ種子ダケ取除イテモ一向差支
ハナイノミナラズ適當デアルト申スコトデ特別委員會ハ一致ヲ以テ可決シタ
譯デゴザイマス、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=126
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127・小松行正
○男爵小松行正君 此案モ簡單ナル案デゴザイマスカラ御修正說モゴザイ
マセヌケレバ矢張讀會ヲ省略致シタウゴザイマス、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=127
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128・渡邊甚吉
○渡邊甚吉君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=128
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129・關田可通
○關田可通君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=129
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130・根岸武香
○根岸武香君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=130
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131・梅原修平
○梅原修平君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=131
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132・小澤武雄
○男爵小澤武雄君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=132
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133・堤功長
○子爵堤功長君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=133
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134・小笠原壽長
○子爵小笠原壽長君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=134
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135・山田卓介
○山田卓介君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=135
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136・中島永元
○中島永元君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=136
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137・下郷傳平
○下〓傳平君 贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=137
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138・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 小松男爵ノ讀會省略ノ要求ニハ成規ノ贊成ガ
ゴザイマシタ讀會省略ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=138
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139・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 三分ノ二以上ト認メマス讀會ハ省略サレマ
シタ、
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經ザルモ參考ノタメ玆ニ載錄ス〕
明治十五年第五十九號布告郵便條例中左ノ通改正ス
第一條中「四種」ヲ「五種」ト改メ四「農產物種子」ノ五字ヲ刪除シ「五農產物
種子」ノ一項ヲ加フ
第七條、第八條、第十三條及第六十二條中「第四種」ノ下ニ「第五種」ノ三字ヲ
加フ
第十七條ニ左ノ一項ヲ加フ
「第五種郵便物重量三十匁每ニ三十匁未一錢」
滿亦同シ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=139
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140・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 原案ヲ可トスル諸君ノ起立ヲ請ヒマス、
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=140
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141・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 過半數デゴザイマス、本案ハ可決ニナリマシ
タ次ニ郡制改正法律案、衆議院提出、第一讀會ヲ開キマス是レハ長イ法
案デゴザンスニ依ッテ提出文ノミヲ朗讀致サセマス
〔山本書記官朗讀〕
郡制改正法律案
右憲法第三十八條ニ依リ貴院ニ提出候也
明治二十八年二月二十五日
衆議院議長楠本正隆
貴族院議長侯爵蜂須賀茂韶殿
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經ザルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス〕
郡制
第一章總則
第一款郡及其ノ區域
第一條郡ハ其ノ區域内ニ在ル町村ヲ總括シ法律上一個人ト等シク權利ヲ
有シ義務ヲ負擔シ郡ノ公共事務ハ官ノ監督ヲ受ケテ自ラ之ヲ處理スルモ
ノトス
第二條郡ノ廢置分合及郡界ノ變更ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム
郡界ニ當ル市町村ノ境界ヲ變更スルトキハ郡界モ亦自ラ變スルモノトス
第三條郡內ノ町村ヲ變シテ市ト爲シ若ハ市ヲ變シテ郡內ノ町村ト爲スハ
其ノ市會町村會ノ申請ニ依リ內務大臣之ヲ定ム
第四條第二條、第三條ノ處分ニ付其ノ財產處分ヲ要スルトキハ府縣參事
會之ヲ議決スヘシ但シ特ニ法律ノ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラス
第二款郡條例及規則
第五條郡ノ公共事務ニシテ此ノ法律中ニ明文ナク又ハ特例ヲ設クルコト
ヲ許セル事項ハ其ノ郡ニ於テ特ニ條例ヲ設ケテ之ヲ規定スルコトヲ得
郡有財產及營造物ニ關シ規則ヲ設クルコトヲ得
郡條例及規則ハ法律命令ニ牴觸スルコトヲ得ス
郡條例及規則ハ各郡慣行ノ公告式ニ依リ之ヲ公告スヘシ
第二章郡會
第一款組織及選舉
第六條郡會ハ郡內各選舉區ニ於テ選舉シタル議員ヲ以テ之ヲ組織ス
選舉區ハ一町村ヲ以テ一選舉區ト爲スヘシ但シ土地ノ狀況ニ依リ數町村
ヲ合シテ一選舉區ト爲スコトヲ得
町村制第百十六條第二項ニ該當スル町村ハ一組合ヲ以テ一町村ト看做ス
ヘ
第七條郡會議員ノ數ハ十五名以上三十名以下トス
郡會議員ノ配當法ハ人口ヲ標準トシ郡條例ヲ以テ之ヲ定ム
郡會議員ノ選擧區及議員ノ配當法ヲ改正スルトキハ議員全數ヲ改選スヘ
シ
第八條郡內ノ町村公民ニシテ町村會議員ノ選舉權ヲ有スル者ハ其ノ選舉
區內ニ於テ郡會議員ノ選舉權ヲ有ス
町村會議員ノ被選舉權ヲ有スル者ハ其ノ郡内ニ於テ郡會議員ノ被選擧權
ヲ有ス
住居ヲ移シタル爲町村ノ公民權ヲ失ヒタル者其ノ住居同郡内ニ在リ其ノ
他ノ要件ヲ失ハサルトキハ仍郡會議員ノ被選舉權ヲ有ス
左ニ揭クル者ハ郡會議員タルコトヲ得ス
一所屬府視廳トモ陳諒府ハ警縣官吏竝ニ檢事
二其ノ郡ノ官吏及有給吏員
三神官僧侶又ハ諸宗ノ〓師
四小學校〓員
前項ノ外官吏ニシテ當選ニ應セムトスル者ハ本屬長官ノ許可ヲ受クヘシ
第九條郡會議員ハ名譽職トス其ノ任期ハ四年トシ每二年其ノ半數ヲ改選
ス若其ノ員數二分シ難キトキハ初囘ニ於テ多數ノ一半ヲ解任セシム初囘
ニ於テ解任スヘキ者ハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
退任ノ議員ハ再選セラルヽコトヲ得
第十條議員中缺員アルトキハ遲クモ三箇月以內ニ補缺選舉ヲ行フヘシ補
缺議員ハ其ノ前任者ノ殘任期間在職スルモノトス
第十一條郡會議員ノ選舉ハ郡長ノ告示ニ依リ其ノ選舉區內ニ於テ郡長ノ
指定シタル町村長之ヲ行フヘシ其ノ告示ハ通常選舉ハ七十日前臨時選舉
ハ十日前之ヲ發スヘシ
第十二條町村長ハ通常選舉ヲ行フ每ニ其ノ選舉前五十日ヲ限リ各選舉人
ノ資格ヲ記載シタル選舉人名簿ヲ製スヘシ
選舉人名簿ハ其ノ調製ノ翌日ヨリ七日間町村役場ニ於テ關係者ノ縱覽ニ
供スヘシ若關係者ニ於テ異議アルトキハ同期限內ニ之ヲ町村長ニ申立ツ
ヘシ町村長ニ於テ修正スヘシト決定シタルトキハ選擧前三十日ヲ限リ之
ニ修正ヲ加ヘテ確定名簿ト爲シ之ニ登錄セラレサル者ハ何人タリトモ選
舉ニ關スルコトヲ得ス
前項町村長ノ決定ニ不服アル者ハ名簿確定後七日以內ニ郡參事會ニ訴願
スルコトヲ得
本條ニ依リ確定シタル名簿ハ次期ノ通常選舉マテ之ヲ据置キ臨時ノ選舉
ニモ亦之ヲ使用スルモノトス
確定名簿ト雖郡參事會及府縣參事會ノ裁決又ハ行政裁判所ノ判決ニ依リ
訂正スヘキモノハ町村長ニ於テ其ノ通知ヲ受ケタル時ヨリ二十四時間以
內ニ之ヲ訂正シ其ノ旨町村內ニ告示シ且當人ニ通知スヘシ
第十三條選舉ヲ行フ町村長ハ選舉前七日ヲ限リ選舉ノ場所日時及選舉ス
ヘキ議員ノ數ヲ公告スヘシ
第十四條選擧掛ハ名譽職トシ選舉ヲ行フ町村長ニ於テ臨時ニ選舉人中ヨ
リ二名若ハ四名ヲ選任シ其ノ町村長若ハ代理者ハ其ノ掛長トナリ選舉會
ヲ開閉シ其ノ會場ノ取締ニ任ス
投票ハ午前七時ニ始メ午後六時ニ終ル
第十五條選舉開會中ハ選舉人ノ外何人タリトモ選舉會場ニ入ルコトヲ得
ス選舉人ハ選舉會場ニ於テ協議又ハ勸誘ヲ爲スコトヲ得ス
第十六條選舉ハ投票ヲ以テ之ヲ行フ投票ニハ被選舉人ノ氏名ヲ記シ封緘
ノ上選舉人自ラ掛長ニ差出スヘシ但シ選舉人ノ氏名ハ投票ニ記入スルコ
トヲ得ス
選舉人投票ヲ差出ストキハ自己ノ氏名及住所ヲ掛長ニ申立テ掛長ハ選舉
人名簿ニ照シテ之ヲ受ケ封緘ノ儘投票函ニ投入スヘシ但シ投票函ハ投票
ヲ終ル迄開クコトヲ得ス
第十七條投票ニ記載ノ人員其ノ選舉スヘキ定數ニ過キ又ハ不足アルモ其
ノ投票ヲ無效トセス其ノ定數ニ過クルモノハ末尾ニ記載シタル人名ヲ順
次ニ棄却スヘシ
左ノ投票ハ之ヲ無效トス
一人名ヲ記載セス又ハ記載セル人名ノ讀難キモノ
二被選舉人ノ何人タルヲ確認シ難キモノ
三被選舉權ナキ人名ヲ記載スルモノ
以上三種ノ投票中他ニ列記ノ被選舉人ニ付テハ仍其ノ效アリトス
四被選舉人氏名ノ外他事ヲ記入スルモノ但シ爵位職業身分住所又ハ敬
稱ヲ記スモノハ無效ト爲スノ限ニ在ラス
投票ノ受理竝ニ效力ニ關スル事項ハ選舉掛假ニ之ヲ議決ス可否同數ナル
トキハ掛長之ヲ決ス
第十八條選舉ハ選舉人自ラ之ヲ行フヘシ他人ニ託シテ投票ヲ差出スコト
ヲ許サス
第十九條議員ノ選舉ハ有效投票ノ多數ヲ得タル者ヲ以テ當選トス投票ノ
數相同キモノハ生年月ノ長者ヲ取リ同年月ナルトキハ掛長自ラ抽籤シテ
其ノ當選ヲ定ム
第二十條選舉掛ハ選舉錄ヲ製シテ選舉ノ〓末ヲ記錄シ選舉ヲ終リタル後
之ヲ朗讀シ選舉人名簿其ノ他關係書類ヲ合綴シテ之ニ署名スヘシ
投票ハ之ヲ選舉錄ニ附屬シ選舉ノ效力ヲ確定スル迄之ヲ保存スヘシ
第二十一條選舉ヲ終リ當選人定マリタルトキハ選擧掛長直ニ當選人ニ通
知シ同時ニ郡長ニ報告スヘシ
當選人當選ノ通知ヲ受ケタルトキハ五日以内ニ其ノ當選ヲ承諾スルヤ否
ヤヲ郡長ニ屆出ヘシ
一人ニシテ數箇所ノ選舉ニ當リタルトキハ同期限內ニ何レノ選舉ニ應ス
ヘキコトヲ郡長ニ居出ヘシ
前二項ノ屆出ヲ其ノ期限內ニ爲サヽルトキハ當選ヲ辭シタルモノト視做
スヘシ
第二十二條議員ノ當選ヲ辭シ又ハ承諾ノ屆出ヲ爲サヽル者アルトキハ郡
長ハ七日以內ニ町村長ニ命シテ更ニ選舉ヲ行ハシムヘシ
二人以上投票同數ニシテ年長者若ハ抽籤ニ依テ當選ヲ得タル者其ノ當選
ヲ辭シ又ハ承諾ノ屆出ヲ爲サヽルトキハ第一ニ抽籤ノ爲當選ヲ失ヒタル
者ヲ當選人トシ次ニ年少ノ爲當選ヲ失ヒタル者ヲ當選人トス郡長ハ直ニ
本人ニ通知スヘシ
第二十三條當選人確定シタルトキハ郡長ハ直ニ當選證書ヲ附與シ及管內
ニ告示スヘシ
第二十四條選舉人選舉ノ效力ニ關シテ訴願セムトスルトキハ選舉ノ日ヨ
リ十四日以內ニ郡參事會ニ申立ルコトヲ得
第二十五條當選人其ノ當選ノ際資格ノ要件ヲ有セサルコト發覺スルトキ
ハ其ノ當選ヲ無效トス
當選人當選後資格ノ要件ヲ失フトキハ議員ノ職ヲ失フモノトス
第二十六條郡會ニ於テ其ノ議員中議員タルノ資格ヲ有セサル者アルコト
ヲ發見スルトキハ其ノ議決ヲ以テ之ヲ郡長ニ通知スヘシ
第二十七條郡會議員選擧權被選舉權ノ有無選舉ノ效力及選舉人名簿ノ正
否ハ郡參事會之ヲ裁決ス
郡參事會ノ裁決ニ不服アル者ハ府縣參事會ニ訴願シ府縣參事會ノ裁決ニ
不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
訴願又ハ出訴ノ爲執行ヲ停止スルコトヲ得ス但シ裁決確定シ若ハ判決ア
ルニ非サレハ更ニ選舉ヲ行フコトヲ得ス
第二十八條郡會議員選舉ニ關スル罰則ハ明治二十三年(五月)法律第三十
九號市町村會議員選舉罰則ヲ適用ス
第二款職務權限及處務規程
第二十九條郡會ノ議決スヘキ事件左ノ如シ
-郡條例及規則ヲ設クル事
二郡ノ歲入出豫算ヲ定ムル事
三決算報告ヲ認定スル事
四郡有不動產ノ賣買交換讓渡讓受竝ニ質入書入ノ事
五歲入出豫算ヲ以テ定ムルモノヲ除ク外新ニ義務ノ負擔ヲ爲シ及權利
ヲ棄却スル事
六郡有財產ノ管理及營造物ノ維持方法ヲ定ムル事
其ノ他法律命令ニ依リ郡會ノ權限ニ屬スル事項
第三十條郡會ハ郡ノ事務ニ關スル書類及計算書ラ檢閱シ郡長ノ報告ヲ
請求シテ事務ノ管理議決ノ施行竝ニ收入支出ノ正否ヲ監査スルノ職權ヲ
有ス
第三十一條郡會ハ其ノ權限ニ屬スル事件ヲ郡參事會ニ委任スルコトヲ得
第三十二條郡會ハ郡ノ利害ニ關スル事件ニ付意見書ヲ監督官廳ニ出スコ
トヲ得
第三十三條郡會ハ官廳ノ諮問アルトキハ意見ヲ陳述スヘシ
第三十四條郡會議員ハ選舉人ノ指示若ハ委囑ヲ受クヘカラス
第三十五條郡會議員ハ自己及其ノ父母兄弟若ハ妻子ノ一身上ニ關スル事
件ニ付テハ會議ノ承諾ヲ經ルニ非サレハ郡會ノ議事ニ參與シ及其ノ議決
ニ加ハルコトヲ得ス
第三十六條郡會ハ議長副議長各一名ヲ互選スヘシ其ノ任期ハ二年トス
議長副議長共ニ故障アルトキハ臨時議長ヲ互選スヘシ
議長副議長辭職又ハ其ノ他ノ事故ニ係リ缺位トナリタルトキハ後任者ヲ
互選スヘシ其ノ後任者ハ前任者ノ殘任期間在職スルモノトス
第三十七條郡長若ハ特ニ郡長ノ委任ヲ受ケタル郡官吏郡吏員及郡參事會
員ハ郡會ノ議事ニ參與スルコトヲ得但シ議決ノ數ニ加ハルコトヲ得ス
第三十八條郡會ハ每年一囘通常會ヲ開クヘシ其ノ他必要アルトキハ其ノ
事件ニ限リ臨時會ヲ開クコトヲ得
郡會ハ郡長之ヲ招集ス若議員三分ノ一以上ニ於テ臨時ノ招集ヲ請求スル
トキハ之ヲ招集スヘシ其ノ招集竝ニ會議ノ事件ハ開會日ヨリ十日以前ニ
告示スヘシ但シ急施ヲ要スル場合ハ此ノ限ニ在ラス
郡會ハ郡長之ヲ開閉ス
第三十九條郡會ハ議員半數以上出席スルニ非サレハ會議ヲ開キ議決ヲ爲
スコトヲ得ス但シ同一ノ議事ニ付招集二囘ニ至ルモ議員猶半數ニ滿タサ
ルトキハ此ノ限ニ在ラス
第四十條郡會ノ議決ハ過半數ニ依ル可否同數ナルトキハ議長ノ決スル
所ニ依ル
第四十一條郡會ニ於テ議長副議長及名譽職參事會員ノ選舉ヲ行フトキハ
一名每ニ匿名投票ヲ爲シ有效投票ノ過半數ヲ得タル者ヲ以テ當選トス若
過半數ヲ得タル者ナキトキハ最多數ヲ得タル者二名ヲ取リ之ニ就テ決選
投票セシム其ノ二名ヲ取ルニ當リ同數者アルトキハ年長ヲ取リ同年月ナ
レハ議長自ラ抽籤シテ之ヲ定ム此ノ決選投票ニ於テハ最多數ヲ得タル者
ヲ以テ當選トシ若同數ナレハ年長ヲ取リ同年月ナレハ抽籤ヲ以テ當選ヲ
定ム其ノ他第十六條、第十七條、第十八條ヲ適用ス議長選擧ノ場合ニハ議
員中ノ年長者ヲ以テ假議長トス
第四十二條郡會ノ會議ハ公開ス但シ議長ノ意見又ハ郡長ノ要求若ハ議員
三名以上ノ發議ニ依リ可決シタルトキハ傍聽ヲ禁スルコトヲ得此ノ場合
ニ於テハ討論ヲ用井スシテ其ノ可否ヲ決スヘシ
第四十三條議長ハ議事ノ順序ヲ定メ會議及選舉ノ事ヲ總理シ其ノ日ノ會
議ヲ開閉シ議場ノ秩序ヲ保持ス
第四十四條會議中此ノ法律若ハ議事規則ニ違ヒ其ノ他議場ノ秩序ヲ紊ス
議員アルトキハ議長之ヲ警戒シ又ハ制止シ又ハ發言ヲ取消サシム命ニ從
ハサルトキハ議長ハ當日ノ會議ヲ終ル迄發言ヲ禁止シ又ハ議場ノ外ニ退
去セシムヘシ若强抗ニ涉ル者アルトキハ警察官ノ處分ヲ求ムルコトヲ得一
議場騒擾ニシテ整理シ難キトキハ議長ハ當日ノ會議ヲ中止シ又ハ之ヲ閉
ツルコトヲ得
第四十五條傍聽人公然可否ヲ表シ又ハ喧騒ニ涉リ其ノ他議事ノ妨害ヲ爲
ス者アルトキハ議長ハ之ヲ制止シ若命ニ從ハサルトキハ之ヲ退場セシメ
必要ナル場合ニ於テハ警察官ノ處分ヲ求ムルコトヲ得
傍聽席騒擾ナルトキハ議長ハ總テノ傍聽人ヲ退場セシムルコトヲ得
第四十六條郡會ニ書記ヲ置キ議長ニ隸屬シテ庶務ヲ掌理セシム
書記ハ議長之ヲ選任ス
第四十七條郡會ハ書記ヲシテ議事錄ヲ製シ議決及選舉ノ〓末竝ニ出席議
員ノ氏名ヲ記錄セシムヘシ議事錄ハ議長及議員一一名以上之ニ署名スルヲ
要ス其ノ議員ハ會議ノ初ニ於テ之ヲ定メ議事錄中ニ其ノ氏名ヲ記載シ置
クヘシ
第四十八條郡會ハ議事規則及傍聽人取締規則ヲ設クヘシ
第三章郡行政
第一款郡參事會郡吏員及委員ノ組織選任
第四十九條郡ニ郡參事會ヲ置キ左ノ職員ヲ以テ之ヲ組織ス
一郡長名
二名譽職參事會員五名
名譽職參事會員ハ郡條例ヲ以テ其ノ定員ヲ增減スルコトヲ得1
第五十條郡參事會ハ郡長ヲ以テ議長トス議長故障アルトキハ出席會員
中ヨリ臨時議長ヲ互選スヘシ
第五十一條名譽職參事會員ハ其ノ郡內ニ於テ郡會議員ノ被選舉權ヲ有ス
ル者ノ中ヨリ郡會之ヲ選舉ス其ノ任期ハ四年トシ每二年其ノ半數ヲ改選
ス若二分シ難キトキハ初囘ニ於テ多數ノ一半ヲ解任セシム初囘ノ解任者
ハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム但シ任期滿限ノ後ト雖後任者就職ノ日迄在職スル
モノトス
退職者ハ再選セラルヽコトヲ得
郡會ハ每通常會ニ於テ名譽職參事會員ノ補充員トシテ正員ト同數ヲ選舉
シ闕員アルトキハ郡長ニ於テ補充員中投票多數ノ順次ニ依リ之ヲ補充シ
仍關員ヲ生シタル場合ニ於テハ三十日以內ニ臨時補闕選舉ヲ行フヘシ但
シ其ノ補充シタル者ハ前任者ノ殘任期間在職スルモノトス
第五十二條名譽職參事會員ハ第八條第四項ニ掲載スル職ヲ兼ヌルコトヲ
得ス
父子兄弟タルノ緣故アル者ハ同時ニ郡参事會員タルコトヲ得ス
第五十三條名譽職參事會員ノ選舉ニ就テハ郡參事會自ラ其ノ效力ノ有無
ヲ議決ス
當選者中其ノ資格ノ要件ヲ有セサル者アルコト發覺シ又ハ就職後其ノ要
件ヲ失フ者アルトキハ其ノ人ノ當選ハ效力ヲ失フモノトス其ノ要件ノ有
無ハ郡參事會之ヲ議決ス
前項ノ議決ニ不服アル者ハ府縣參事會ニ訴願シ其ノ府縣參事會ノ裁決ニ
不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第二十七
條第三項ヲ適用ス
第五十四條郡長ハ郡會ノ議決ヲ經テ郡費ヲ以テ支辨スル公共事務ニ從事
セシムル爲有給吏員ヲ置クコトヲ得但シ郡長之ヲ任免ス
第五十五條郡長ハ郡會ノ議決ヲ經テ臨時或ハ常設ノ委置ヲ置キ郡ノ公共
事務ヲ分掌セシメ又ハ郡有財產及營造物ノ一部ヲ管理セシムルコトヲ得
委員ハ名譽職トシ其ノ選舉ノ方法及任期ハ郡會ノ議決スル所ニ依ル
第二款郡參事會竝ニ郡吏員ノ職務權限及處務規定
第五十六條郡參事會ノ職務權限左ノ如シ
一郡會ノ權限ニ屬スル事件ニシテ其ノ委任ヲ受ケタルモノヲ議決スル
事
二郡會ノ權限ニ屬スル事件ニシテ臨時急施ヲ要シ郡長ニ於テ郡會ヲ招
集スルノ暇ナシト認ムルトキ郡會ニ代テ議決スル事
三郡會ノ議決シタル範圍内ニ於テ郡有財產ノ管理營造物ノ維持及公共
事件ノ執行方法ニ關シ必要ナル事項ヲ議決スル事
四郡ノ收入支出命令曾計及出納金庫ヲ監視スル事
五郡ノ權利ヲ保護シ郡ノ證書及公文書類ノ保管ヲ監視スル事
六外部ニ對シ郡ヲ代表シ郡ノ名義ヲ以テ訴訟及和解ヲ爲シ郡ノ權利義
務ニ關シ他廳又ハ人民ト商議スル事
七郡會ノ議案ニ付郡長ニ對シ意見ヲ述ヘ及會議ニ報告スル事
八官廳ノ諮問ニ對シテ意見ヲ述フル事
其ノ他法律命令ニ依リ郡參事會ノ權限ニ屬スル事項
第五十七條郡參事會ハ郡長之ヲ招集ス
會員半數以上ノ請求アルトキハ郡長ハ郡參事會ヲ招集スヘシ
第五十八條郡參事會ノ會議ハ郡會議員ノ外傍聽ヲ許サス但シ郡參事會ノ
決議ニ依リ郡會議員ノ傍聽ヲ禁スルコトヲ得
第五十九條郡參事會ハ名譽職參事會員半數以上出席スルニ非サレハ會議
ヲ開キ議決ヲ爲スコトヲ得ス但シ同一ノ議事ニ付招集再囘ニ至ルモ名譽
職參事會員猶半數ニ滿タサルトキハ此ノ限ニ在ラス
郡參事會ノ議決ハ過半數ニ依ル可否同數ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依
ル
議決ノ事件ハ之ヲ議事錄ニ記載シ議長及名譽職參事會員二名以上之ニ署
名スヘシ
第六十條第三十五條ノ規定ハ郡參事會ニモ亦之ヲ適用ス但シ同條ノ
規定ニ依リ會員減少シテ正當ノ郡參事會ヲ開クコトヲ得サルトキハ郡長
ハ補充員ヲ以テ臨時之ニ充テ仍其ノ數ヲ得サルトキハ郡會議員ニシテ其
ノ事件ニ關係ナキ者ヲ臨時ニ指名シ其ノ不足ヲ補充シテ第四十九條ノ定
數ニ滿タシムヘシ
第六十一條町村制ノ規定ニ依リ郡參事會ノ權限ニ屬スル事件ニシテ二郡
以上ノ町村ニ交涉スルモノアルトキハ其ノ郡長ノ具狀ニ依リ府縣知事ニ
於テ其ノ事件ヲ管理スヘキ郡參事會ヲ指定スヘシ二府縣以上ノ町村ニ交
渉スルモノアルトキハ其ノ府縣知事ノ具狀ニ依リ內務大臣ニ於テ之ヲ指
定スヘシ
第六十二條郡長ハ郡會及郡參事會ノ議事ヲ準備シ其ノ議決ヲ執行ス
第六十三條郡會ニ於テ名譽職參事會員ヲ選舉セス又ハ郡參事會成立セス
又ハ郡參事會招集ニ應セサルトキハ郡長ハ郡參事會ノ權限ニ屬スル事件
ヲ專決處分スルコトヲ得
非常事變ニ際シ郡參事會ヲ招集スルノ暇ナキトキハ郡長ハ郡參事會ノ職
務ヲ專決處分スルコトヲ得
本條ノ處分ハ次囘ノ郡會ニ報告スヘシ
第六十四條郡吏員ハ郡長ノ指揮ヲ受ケ公共事務ニ從事ス
第六十五條郡長ハ郡吏員ヲ監督シ又懲戒處分ヲ行フコトヲ得懲戒處分ハ
譴責解職及十圓以下ノ過怠金トス但シ解職ノ懲戒處分ハ郡參事會ノ議決
ン酸シ
前項ノ處分ニ不服アル者ハ府縣參事會ニ訴願シ府縣參事會ノ裁決ニ不服
アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第三款給料及給與
第六十六條郡吏員ノ給料竝ニ旅費日當額ハ郡會ノ議決ヲ以テ之ヲ定ム
第六十七條郡會議員名譽職參事會員及委員ニハ旅費日當ヲ給スルコトヲ
得但シ其ノ支給額及支給方法ハ郡條例ヲ以テ規定スヘシ
第四章郡ノ會計
第六十八條郡ノ權利義務ニ屬スル諸費及法律命令若ハ慣例ニ依リ郡ノ負
擔トナル事件ニ關スル費用ハ其ノ郡ニ於テ之ヲ支辨スヘシ
第六十九條郡ノ支出ニ充ツル費用ハ郡有財產ヨリ生スル收入其ノ他雜收
入ヲ以テ充ツルモノヽ外ハ郡内各町村ニ分賦ス其ノ分賦ハ府縣稅ノ課目
ニ依リ郡會之ヲ議決ス但シ本條ノ分賦法ニ據リ難キ事情アルトキハ郡會
ニ於テ特別法ヲ設ケ內務大藏兩大臣ノ認可ヲ得テ施行スルコトヲ得
各町村分賊ノ額ハ各町村ニ於テ之ヲ町村ノ豫算ニ編入シ町村稅トシテ徵
收シ其ノ總額ヲ郡金庫ニ納ムヘシ
第七十條郡内ノ或部分ニ對シ特ニ利益アル土木事業ヲ起ストキハ郡會
ノ議決ニ依リ該部分ノ町村ニ對シ通常分賦額ノ外其ノ利益ノ厚薄ニ應シ
特ニ夫役現品ヲ增課スルコトヲ得
第七十一條郡ハ天災事變ノ爲已ムヲ得サル支出又ハ其ノ郡ノ永久ノ利益
トナルヘキ支出ヲ要スルニ當リ通常ノ歲入ヲ增加スルトキ郡內町村ノ負
擔ニ堪ヘサルノ場合ニ限リ郡會ノ議決ヲ以テ郡債ヲ起スコトヲ得
郡債ヲ起スノ議決ヲ爲ストキハ併セテ起債ノ方法利息ノ定率及償還ノ方
法ヲ定ムヘシ
郡債償還ノ初期ハ三年以內ト爲シ年々ノ償還步合ヲ定メ起債ノ時ヨリ三
十年以內ニ還了スヘシ
歲入出豫算內ノ支出ヲ爲スカ爲必要ナル一時ノ借入金ニシテ其ノ年度內
ノ收入ヲ以テ償還スヘキモノハ本條ノ限ニ在ラス但シ郡參事會ノ議決ヲ
經ルコトヲ要ス
第七十二條郡長ハ每年其ノ翌年度ニ關スル歲入出豫算ヲ調製スヘシ但シ
郡ノ會計年度ハ政府ノ會計年度ニ同シ
豫算ハ郡會ノ議決ニ付スルノ前郡參事會ノ審査ニ付スヘシ若郡長ト郡參
事會ト意見ヲ異ニスルトキハ郡參事會ノ意見ヲ豫算ニ添ヘ郡會ニ提出ス
ヘシ追加又ハ臨時ノ豫算ニ就テモ亦同シ
內務大臣ハ省令ヲ以テ豫算調製ノ式ヲ定メ竝ニ費目流用ニ關スル規定ヲ
設クルコトヲ得
第七十三條豫算ハ每年郡會ノ議決ヲ取リ之ヲ府縣知事ニ報告シ竝ニ郡慣
行ノ公告式ニ依リ其ノ要領ヲ告示スヘシ追加又ハ臨時ノ豫算ヲ議定シタ
ル場合ニ於テモ亦同シ
郡ノ費用ヲ以テ支辨スル事業ニシテ數年ヲ期シテ施行スヘキモノ又ハ數
年ヲ期シテ其ノ費用ヲ支出スヘキモノハ郡會ノ議決ヲ以テ其ノ年期間各
年度ノ支出額ヲ定メ繼續費ト爲スコトヲ得
豫算ヲ郡會ニ提出スルトキハ郡長ハ併セテ其ノ郡有財產明細表ヲ提出ス
へシ
第七十四條歲入出豫算中ニ豫備費ヲ設クヘシ豫備費ハ郡長ニ於テ郡參事
會ノ議決ヲ經テ已ムヲ得サル豫算外ノ支出又ハ豫算超過ノ支出ニ充ツル
コトヲ得但シ郡會ノ否決シタル費途ニ充ツルコトヲ得ス
第七十五條郡ノ收支命令ハ郡長之ヲ發スヘシ
第七十六條郡ノ會計ヲ管理スル郡官吏ハ前條ノ命令アルニ非サレハ支拂
ヲ爲スコトヲ得ス又其ノ命令アルモ支出ノ豫算ナキカ又ハ豫備費支出及
費目流用ノ規定ニ依ラサルトキハ支拂ヲ爲スコトヲ得ス
第七十七條郡ノ出納及金庫ハ每月例日ヲ定メテ檢査シ及每年少クモ一囘
臨時檢査ヲ爲スヘシ檢査ハ郡長之ヲ爲ス臨時檢查ニハ名譽職參事會員一
名以上ノ立會ヲ要ス
第七十八條決算ハ郡長會計吏ニ命シテ會計年度後三箇月以內ニ調製シ郡
參事會ノ審査ヲ經テ之ヲ次囘ノ通常郡會ノ認定ニ付スヘシ
決算報告書竝ニ之ニ關スル郡會ノ議決ハ郡長ヨリ之ヲ府縣知事ニ報告シ
竝ニ決算ハ郡慣行ノ公告式ニ依リ其ノ要領ヲ告示スヘシ
第五章郡組合
第七十九條地形ノ便利又ハ其ノ郡ノ事情ニ依リ數郡ニ一郡役所ヲ置キ其
ノ事務ヲ共同處分スル爲其ノ郡ノ協議ニ依リ內務大臣ノ認可ヲ得テ數郡
ノ組合ヲ設クルコトヲ得
法律上ノ義務ヲ負擔スルニ耐ユヘキ資力ヲ有セスト認ムル郡ニシテ數郡
組合ノ協議整ハサルトキハ府縣參事會ノ議決ヲ以テ內務大臣ノ認可ヲ得
其ノ組合ヲ設ケシムルコトヲ得
第八十條數郡組合ノ協議ヲ爲ストキハ郡組合會ノ組織事務ノ管理法竝
ニ其ノ費用ノ負擔方法其ノ他必要ナル事項ヲ併セテ規定スヘ
前條第二項ノ場合ニ於テハ其ノ數郡ノ協議ヲ以テ前項ノ事件ヲ規定スヘ
シ若其ノ協議整ハサルトキハ府縣參事會ニ於テ之ヲ定ムヘシ
本條ノ規定ハ內務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第八十一條第七十九條第八十條ノ協議ハ其ノ關係町村長及町村會ニ於テ
選舉シタル一名ノ協議員ヲ以テ之ニ充ツルモノトス
第八十二條第七十九條ノ組合ヲ廢止シ又ハ變更セムトスルトキハ內務大
臣ノ認可ヲ受クヘシ
第六章監督
第八十三條郡ノ行政ハ第一次ニ於テ府縣知事之ヲ監督シ第二次ニ於テ內
務大臣之ヲ監督ス
第八十四條此ノ法律中別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外郡ノ行政ニ關スル
府縣知事又ハ府縣參事會ノ處分若ハ裁決ニ不服アル者ハ內務大臣ニ訴願
スルコトヲ得
前項ノ訴願ハ其ノ事件ノ處分若ハ裁決ヲ受ケタル日ヨリ二十一日以內ニ
其ノ理由ヲ具シテ提出スヘシ
此ノ法律ニ指定スル場合ニ於テ郡長ノ處分又ハ郡參事會ノ裁決ニ不服ア
リテ府縣參事會ニ訴願セムトスル者ハ處分又ハ裁決ヲ受ケタル日ヨリ十
四日以內ニ訴願スヘシ又府縣知事ノ處分又ハ府縣參事會ノ裁決ニ不服ア
リテ行政裁判所ニ出訴セムトスル者ハ裁決ヲ受ケタル日ヨリ二十一日以
內ニ出訴スヘシ
行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得ヘキ場合ニ於テハ內務大臣ニ訴願スルコ
トヲ得ス
第八十五條監督官廳ハ郡行政ノ法律命令ニ背戾セサルヤ其ノ事務錯亂澁
滯セサルヤ否ヲ監視スヘシ監督官廳ハ之カ爲行政事務ニ關シテ報告ヲ爲
サシメ豫算及決算等ノ書類帳簿ヲ徵シ竝ニ實地ニ就テ事務ノ現況ヲ視察
シ出納ヲ檢閱スルノ權ヲ有ス
第八十六條郡會招集ニ應セス又ハ成立セサルトキハ郡長ハ府縣知事ノ指
揮ヲ請ヒ處分スルコトヲ得
前項ノ處分ハ次囘ノ郡會ニ報告スヘシ
第八十七條郡會又ハ郡參事會其ノ議決スヘキ議案ヲ議決セサル場合ニ於
テ其ノ事緊急ヲ要スルトキ又ハ法律命令若ハ慣行ニ依テ郡ノ負擔ニ屬ス
ル行政上又ハ公益上必要ノ費用ヲ否決シ若ハ議決スト雖必要ノ給需ヲ缺
クトキハ郡長ハ府縣知事ニ具狀シ其ノ指揮ヲ請フヘシ
前項ノ處分ハ次囘ノ郡會又ハ郡參事會ニ報告スヘシ
第八十八條第八十六條、第八十七條ノ場合ニ於テハ府縣知事ハ府縣參事
會ノ議決ヲ經テ指揮スヘシ但シ歲入出豫算ニ係ルモノハ原案ノ金額以內
ニ於テ適當ノ金額ヲ定メ指揮スルコトヲ得
第八十九條郡會又ハ郡參事會ノ議決其ノ權限ヲ超ヘ法律命令ニ背キ又ハ
公益ヲ害スト認ムルトキハ郡長ハ自己ノ意見ニ依リ又ハ監督官廳ノ指揮
ニ依リ理由ヲ示シテ議決ノ執行ヲ停止シ之ヲ再議セシメ猶其ノ議決ヲ改
メサルトキハ府縣參事會ノ裁決ヲ請フヘシ其ノ權限ヲ超ヘ法律命令ニ背
クニ依テ議決ノ執行ヲ停止シタル場合ニ於テ府縣參事會ノ裁決ニ不服ア
ル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第九十條郡會ハ內務大臣之ヲ解散セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ
三箇月以內ニ議員ヲ選舉スヘシ
前項解散ノ場合ニ於テハ名譽職參事會員モ亦解職スルモノトス
郡委員ハ郡會ノ解散ニ依リ解職スルノ限ニ在ラス但シ郡會ノ議決ヲ以テ
之ヲ改選スルコトヲ得
郡會解散ノ後選舉結了ニ至ル迄ノ問急施ヲ要スル事件アルトキハ郡長之
ヲ專決處分スルコトヲ得
前項ノ處分ハ次囘ノ郡會ニ於テ認定ヲ受クヘシ
第九十一條左ノ事件ニ關スル郡會ノ議決ハ內務大臣及大藏大臣ノ認可ヲ
受クルコトヲ要ス
一新ニ郡債ヲ起シ又ハ其ノ額ヲ增加シ若ハ償還ノ方法ヲ變更スル事
第九十二條左ノ事件ニ關スル郡會ノ議決ハ內務大臣ノ認可ヲ受クルコト
ヲ要ス
一郡條例ヲ設クル事
第九十三條左ノ事件ニ關スル郡會ノ議決ハ府縣知事ノ認可ヲ受クルコト
ヲ要ス
一郡ノ規則ヲ設クル事
二郡有不動產ノ賣却交換讓渡竝ニ質入書入ノ事
三第七十條ニ依リ郡內ノ或部分ニ對シ特ニ夫役現品ヲ增課スル事
四第七十三條第二項ニ依リ繼續費ヲ定メ及其ノ年期內ニ議決ヲ變更ス
ル事
第七章附則
第九十四條郡內總町村ノ共有ニ屬スル財產及營造物ハ郡内總町村ノ聯合
又ハ組合ヲ以テ設立セル小學校ヲ除クノ外此ノ法律施行ノ日ヨリ郡ノ所
有ニ歸シ其ノ權利義務共同時ニ郡ニ移ルモノトス
第九十五條府縣制ヲ施行スル迄ノ間府縣參事會ニ屬スル職務ハ府縣知事
之ヲ行フ
第九十六條島司ヲ置ケル島嶼ニ於テハ別ニ勅令ヲ以テ其ノ制ヲ定ム
第九十七條此ノ法律ニ依リ始メテ議員ヲ選舉スルニ付郡會及郡參事會ノ
職務ハ郡長ニ於テ之ヲ行フヘシ
第九十八條此ノ法律施行ノ後ハ町村制第百二十六條第三ニ定ムル附加稅
徵收ノ許可ハ地租ハ五分ノ一ヲ超過スルトキ之ヲ要スルモノトス
第九十九條此ノ法律ハ町村制ヲ施行シタル各府縣ニ於テ明治二十九年四
月一日ヨリ施行スルモノトス但シ内務大臣ハ地方ノ情況ニ依リ期限前ト
雖之ヲ實施スルコトヲ得
第百條明治十一年第十七號布告郡區町村編制法明治二十三年法律第三
十六號郡制其ノ他此ノ法律ニ抵觸スル成規ハ此ノ法律施行ノ日ヨリ總テ
之ヲ廢止ス
第百一條內務大臣ハ此ノ法律施行ノ責ニ任シ之カ爲必要ナル命令ヲ發布
スヘシ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=141
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142・柴原和
○柴原和君 本案ニ附キマシテ少シ政府委員ニ御尋ヲ致シマス、本案ハ地
方ニ取リマシテハ重大ノ案デゴザイマスガ、是レハ政府案デハゴザイマセヌ
衆議院提出デゴザイマスガ、是レニハ現行ノ郡制トハ餘程違ッテ居リマシテ餘
程改ッテ居リマス然ルニ其重立ッタルモノハ大地主ノ制ヲ廢セラレマシタノ
ト複選法ナゾヲ無クシテゴザイマス、是レ等ガ餘程重立ッタモノデアリマス、
大地主抔ト云フモノハ郡內ニ一万圓以上ノ地價ヲ持チマシタ者デ、是レ等ヲ
郡會ニ加ヘマスノハ餘程必要ナ事デアリマス、又複選法ナゾハ選擧權ヲ擴充
致シ直接ノ選舉法トハ違ヒマシテ種々ノ弊害ヲ防グコトト考ヘマス、政府モ
是レニハ不同意ヲ表セラレルコトト考ヘテ居リマス然ルニ衆議院ノ速記錄
ヲ見マスルニ少シモ反對ヲ致シ不同意ヲ表サレタノガ見エザルノミナラズ、
卽チ其速記錄ヲ見マスルニ同意ヲ表サレテ居ル樣ニ見エマスカラ、ソコラヲ
チヨット伺ヒタイ、チヨットソコヲ讀ミマスガ、衆議院ノ速記錄ノ或ル議員
ノ申サレタ事ガ是レニ書イテゴザイマスニチヨット大意ヲ舉ゲテ申シマス
「彼ノ大地主ノ制ノコトニ至ッテモ其範圍ヲ狭小シ又ハ複選法ノ不都合ナル
不備ナル所ヲ全クスルト云フ〓ノ如キハ政府委員ニ於テモ同意ヲスルト云フ
コトヲ明言サレテ居ル」云々トアリマス、實ニ是レ等ノ事ハ本員ハ郡制ニ
於テハ大切ノ事デアリマス、又各府縣ノ所ニ於テ郡制ヲ施行シテ居ル所ハ三
分ノ一モナイト考ヘマス、本員ナゾハ卽チ明治二十三年ニ郡制ヲ布カレル前
年ニ內務大臣ハ地方官ヲ治ク召サレマシテ府縣郡制ノ事ハ諮問ニナリマシ
テ、本員モ其節ハ地方官ニ居リマシテ諮問ヲ辱ク致シマシテ、數十日ノ間餘
程〓究ヲ致シマシタ、其節大地主ノ制ノ事又複選法ノ事ハ誠ニ必要デ、卽チ郡
會ナゾノ機關デゴザイマシテ郡會ナゾヲ圓滑ニスル誠ニ骨子デアリマス、夫
レヲ拔カレタノニ同意デアルト云フコトハ甚ダ如何ト考ヘマスデ其事ノ御意
見ヲ御尋申スノデゴザイマス、モウ一ツ御尋····発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=142
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143・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 柴原君ハ御質問ノ如クニモアリ御意見ノ樣デ
モアリマスガ如何デゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=143
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144・柴原和
○柴原和君 質問デゴザイマス、御意見ヲ聞クノハ矢張リ質問ト考ヘマス、
モウ一ツ質問シマスルノハ此度提出ノ第九十九條デガス「此ノ法律ハ町村制
ヲ施行シタル各府縣ニ於テ明治二十九年四月一日ヨリ施行スルモノトス」ト
ゴザイマス、目今ノ府縣郡制ト申スモノハ府縣知事ノ具申ニ依リマシテ內務
大臣ガ定メテ施行スル樣ニシテアリマス、然ルニ此度ノ如ク是レガ可決ニナ
リマシテ是レガ用ヒラレル日ニナリマスレバ卽チ此大地主ノ制ヲ廢セラレマ
スト唯今全國各府縣ノ三分一程施行ニナッテ居ルト考ヘマス其郡會ノ議員ハ
悉ク改選シナケレバナラヌ樣ナ騒ガ出來マス、紛擾ガ出來マス、夫レ等ニ拘
ラズ、明治二十九年四月一日ト申セバ僅ナコトデアリマス、夫レニ施行ガ出
來マスコトデ御同意ニナッテ居リマスカ此二點ヲ御尋申シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=144
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145・江木千之
○政府委員(江木千之君) 簡短デゴザイマスカラ此處カラ·······衆議院ノ速
記錄ノコトハ前後通シテ讀ンデ見マスレバ必シモ唯今御述ニナッテ居ル樣ニ
モナラヌト思ハレマスガ、併シ衆議院速記錄ノ解釋ヲシマスル代リニ本案ニ
對シテ政府ノ執ル所ノ意見ノ要〓ヲ述べマシタナラバ自然御了解ニ相成ルコ
トカト考ヘマス、第一ニ此郡制改正案ニ對シマシテ政府ハ不同意ヲ表シテ居
リマスルノハ現行ノ複選法ヲ廢シテ直接選舉ニスルト云フコトハ是レハ政府
ハ決シテ同意ヲ表スルコトハ出來マセヌノデゴザイマス、尤モ現行ノ複選法
ニ附イテ不備ナ〓ヲ補フト云フ如キコトハ敢テ異論ハナイノデゴザイマス
夫レカラ第二ニ大地主ノ制ヲ廢スル事、是レモ政府ハ決シテ同意ヲ表スルコ
トハ出來マセヌ、併ナガラ條項ノ不備ナル所ヲ補フト云フガ如キ修正ナラバ
是レ亦敢テ不同意ハナイノデゴザイマス、夫レカラ改正案ノ要〓ニナッテ居リ
マスルノハ郡ヲ法人トシテ自治ヲ許スト云フコトガ是レモ重ナル筒條ニナッ
テ居リマスルガ、郡ヲ法人トナスト云フコトニ附イテハ不同意ハゴザイマセ
ヌ、併ナガラ自治ヲ許ス、此自治ヲ許スト云フコトヲ漫然ト許スコトハ同意ハ
シ兼ネルノデゴザイマス或ハ法律勅令ノ範圍內ニ於テ是レダケノ自治ヲ許
スト云フコトデアレバ是レハ敢テ不同意ハナイノデゴザイマス唯廣ク自治
ヲ許ス、少シモ制限ヲ加ヘズシテ自治ヲ許スト云フコトニ至ッテハ不同意ナノ
デゴザイマス、夫レカラ其次ニ改正案ノ極要〓ニナッテ居リマスルノハ郡條例
規則ノ制定ヲ許スコトガ這入ッテ居リマス、是レハ郡ニ自治權ヲ與ヘルコトデ
餘程重大ナコトデアリマス之ニ附キマシテモ法律勅令ノ範圍內ニ於テ條例
規則ヲ設ケルコトヲ許スト云フナレバ同意ヲ致シマスルガ漫然ト條例規則
ヲ設ケルト云フコトニ同意ハ致シマセヌノデゴザイマス夫レカラ郡ノ組合
ヲ設ケルト云フコトハ是レモ新シイコトデゴザイマス、併ナガラ郡ノ組合ト
云フコトハ小郡デアッテ資力ノ乏シイモノデアッテ之ニ限ッテ組合ヲ許スト云
フコトデアレバ是レハ政府ハ異論ハナイノデゴザイマス其次ニ郡參事會ノ
權限ヲ擴張スル郡會ノ權限ヲ擴張スルト云フ樣ナ箇條ガアリマスルガ、是レ
等モ或ル〓マデハ同意シテ差支ナイノデゴザイマス、要スルニ此郡制改正案
卽チ現行ノ郡制ヲ根底ヨリ變革スルト云フ如キ案ニ對シテハ政府ハ決シテ同
意スルコトハ出來マセヌノデゴザイマス併ナガラ條項ノ不備ヲ補ヒ又ハ箇
條ニ修正ヲ加ヘル如キハ敢テ不同意ハゴザイマセヌ、從ッテ九十九條ニ附イ
テノ御尋デゴザイマスルガ、是レ等ノ條項ニ附イテハ或ハ同意ヲ表スベキモ
ノガアリ或ハ同意ヲ表スベカラザルモノガアリマス、九十九條ノ如キハ決
シテ同意ヲ表スル方デハアリマセヌノデゴザイマス、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=145
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146・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 本案ノ審査ヲ付託スベキ特別委員ノ選舉ニ移
リマス、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=146
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147・平松時厚
○子爵平松時厚君 此委員ハ議長ニ選定ヲ御依賴致シタイ、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=147
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148・小原重哉
○小原重哉君 平松子爵ニ贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=148
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149・山田卓介
○山田卓介君 平松子爵ニ贊成、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=149
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150・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 平松子爵ヨリ委員ノ選定ハ議長ニ託スル、此
動議ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=150
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151・蜂須賀茂韶
○議長(侯爵蜂須賀茂韶君) 過半數デゴザイマス、明後四日ノ議事日程ヲ
御報告ニ及ビマス、午前十時開議、第一、請願委員長公爵德川家達君報告、
第二、商業會議所條例中改正法律案、政府提出、衆議院送付、第二讀會、第
三、屯田兵土地給與規則中追加法律案、政府提出、第一讀會ノ續、特別委員
長報告、第四、官給ニ係ル屯田兵ノ建物及馬匹ノ讓渡質入書入ニ關スル法律
案政府提出、第一讀會ノ續、特別委員長報告、本日ハ散會、
午後二時四十一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000803242X03218950302&spkNum=151
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