1. 会議録本文
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000・会議録情報
明治二十八年三月十二日(火曜日)午後一時二十一分會議
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議事日程 第四十六號 明治二十八年三月十二日
午後一時開議
第一 通貨及證券模造取締法案(政府提出貴族院送付) 第一讀會の續(特別委員長報告)
第二 會計法中改正法律案 第一讀會の續(特別委員長報告)
第三 特別輸出港規則追加法律案(中島又五郎君外一名提出) 第一讀會
第四 特別輸入港法案(中島又五郎君外一名提出) 第一讀會
第五 棉花製品戻税法案(稻葉市郎右衞門君外一名提出) 第一讀會
第六 鑛業條例改正法律案 第一讀會の續(特別委員長報告)
第七 砂鑛採取法中改正法律案(恒松隆慶君外二名提出) 第一讀會
第八 製茶試驗場設置建議案(丸尾文六君外七名提出)
第九 工業學校設置に關する建議案 (特別委員長報告)
第十 清韓露語學校設置に關する建議案(堀越寛介君提出)
第十一 小包郵便擴張の建議案(名倉次君外一名提出)
第十二 千葉縣茨城縣境界變更法案(木村格之輔君外三名提出) 第一讀會
第十三 北海道土人保護法案(鈴木充美君外五名提出) 第一讀會
第十四 區裁判所管轄區域變更法律案(目黒貞治君外一名提出) 第一讀會
第十五 議院法改正法律案 第三讀會
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001・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 本日ハ議長ガ差支デゴザイマシテ、私ガ代理ヲ致シ
マス是ヨリ報告ヲ致シマス
〔町田書記官期讀〕
恒松隆慶君ヨリ山陰道施政方針ニ關スル件ニ付政府ヘ質問書ヲ提出セラレ
タリ
議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
大日本私立衞生會設立傳染病〓究所ニ撰拔〓究生ヲ置クノ建議案
提出者土居光華君重岡薫五郞君
特別委員長及理事左ノ通リ當選セラレタリ
明治二十二年法律第四號會計法中改正法律案審
査特別委員長元田肇君
同理事村上芳太郞君
特別委員左ノ通リ指名セリ
屯田兵土地給與規則中追加法律案審査特別委員
森本確也君磯部十藏君
江原素六君小鷹狩ニ凱
櫻井勉君杉村寛正君君君
田江彌三郞君中村彥次
江島久米雄君
〔左ノ質問書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ茲ニ揭載ス〕
山陰道施政方針ニ關スル質問趣意書
右成規ニ據リ提出候也
明治二十八年三月十二日
提出者恒松隆慶
贊成者渡邊新太郞
外二十九名
山陰道施政方針ニ關スル質問趣意書
一隱岐國海底電信線之件
隱岐國ハ島根縣下ニ屬スル孤島ニシテ日本海中四箇ノ島嶼ヲ以テ國ヲ成シ
其内地ニ最モ近キ處尙二十三海里ノ外ニアリ戶數七千餘人口三万四千海產
物少カラス農產物亦タ發達ノ望ナキニアラスト雖モ交通ノ便ナキヲ以テ諸
事內地ニ後レ國內西〓福浦浦〓等大船ノ出入ニ自由ナル有數ノ良港アルヲ
以テ交通ノ便ヲ得ハ其進步期シテ俟ツヘシ殊ニ西〓港ハ三百(類ニヨニ肝=パニオード)(十)■六十
灣內深ク數千噸ノ巨艦モ能ク風波ヲ避クルニ足リ日本海中稀ニ見ル所北面
警備上缺クヘカラサル良港タリ之レニ內地ト接續スル電信線ノ設ナキハ國
防上經濟上共ニ策ヲ得サルモノトス政府曩キニ第六議會ニ一度之レカ豫算
案ヲ提出シ衆議院ヲ通過シタルモ解散ノタメ貴族院ヲ通過セサリキ之レヲ
本議會ニ提出セサルハ何故ナルヤ將來政府ノ之レニ對スル方針如何
一遞信事業之件
電信郵便ノ商工業發達ニ與テ力アルヤ論ヲ俟タス山陰道各國殊ニ島根鳥取
兩縣ノ如キハ交通不便ニシテ爲メニ百般事業振起セス電信郵便ノ增設ヲ望
ムヤ久シ屢〓之レカ請願建議等ヲ爲スモノアルモ政府之レヲ顧ミス政府ハ
之レニ對シテ果シテ如何ナル方針ヲ持スルヤ
一河川治水之件
山陰道中河川ノ大ナルモノ石見國〓川出雲國斐伊川伯耆國日野川因幡國
千代川トス是等ハ流域二十里乃至五十里ノ大河ニシテ殊ニ〓川ハ藝備石三
州ニ橫流シ中國第一ノ巨川タリ各舟楫ノ便利アリト雖モ屢〓出水シ沿岸ノ
蒙ル損害尠カラス郷川ノ如キ尋常ノ出水ヲ以テ見ルモ尙三十尺ノ昂キニ至
ルアリ一昨年斐伊川日野川千代川ニ於ケル出水ノ如キ其慘狀見ルニ忍ヒス
之レヲ要スルニ得岸林野ノ制度適當ヲ缺クト河身改修ノ方針定ラサルトニ
基因ス然ルニ政府ハ是等河川ニ關シ何等ノ處置ヲモ施サス政府ハ之レニ對
シ將來如何ナル方針ヲ持スルヤ
右議院法第四十八條ニヨリ質問致候間速ニ答辯アラン事ヲ希望候也発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=1
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002・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 日程ニ入リマスル前ニ議場ニ御諮ヒヲ致シマスノ
ハ橋本久太郞君ハ病氣ニ附キ本日ヨリ十二日間ノ諸暖ノ件ガゴザイマス
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=2
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003・島田三郎
○副議長(島田三郎君) 御異議ガナイト認メマスル、是ヨリ質問ノ何ガ出テ
居リマス-恒松隆慶君
〔恒松隆慶君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=3
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004・恒松隆慶
○恒松隆慶君(七十番) 諸君、私ガ玆ニ提出致シマシタル所ノ質問書ハ山陰
道地方ニ對スル政府ノ施政方針ニ關スル事柄デゴザイマスルガ是ハ條約改
正トカ、又ハ軍事ト云フヤウナ全體ニ關スル事柄デハゴザイマセズ、唯一局
部ニ限リタルコトデゴザイマスルデ、此貴重ナル時間ヲ費シマスノハ甚ダ好
マシカラヌコトデハゴザイマスルケレドモ、又玆ニ巳ムヲ得ズシテ此質問ヲ
致シ聊カ諸君ノ御〓聽ヲ煩シタイト云フノデゴザイマス、我山陰道ノ有樣ヲ
見マスルニ、名其實ヲ現シマシテ、唯一帶ノ山脈ヲ境ト致シマシテ、山陽道ニ
比シマスルト事々物々退步致シテ居リマス、人智ナリ又商業上ノコトナリ總
テガ皆雲泥天壤畫夜等あらゆる反對ノ語ヲ以テスル程ノ懸隔ヲ致シテ居リマ
ス、唯丹波ノ國デ五郡、丹後ガ京都府ニ屬シ、又丹波ノ二郡但馬ガ兵庫縣
ニ屬シテ居リマスル其他ニ比シマスルト云フト多少進步致シテ居ルヤウ
ニ考ヘラレマスルケレドモ、誠ニ全體ハ痛嘆ノ至ニ堪ヘナイ次第デゴザイマ
スル、デ我山陰道ガ斯ノ衰頽致シテ居リマスルノハ畢竟海陸ノ交通不便ナ
ルニモ起因スルコトデアラウト信ジテ居リマスルノガ、海ニハ宮津、墳濱
田ノ良港モアリマスルケレドモ航海ノ全タカラズ、陸ニハ先キニ國道モ開
通ヲ計リマシタケレドモ、何分嵯峨タル山嶽デゴザイマスルデ、容易ニ交通
ノ便ガ是デ整フタト云フ譯合ニハ往カヌノデゴザイマス、詰リ鐵道ガ未ダ敷
設セラレズ、爲ニ物貨ノ運輸ガ意ノ如クナラズシテ、山陽道ニ比シテ微々ト
シテ振ハザル譯合デゴザイマス、抑〓此山陰道ノ土地タルハ一葦帶水ヲ隔テ
マシテ、露領及朝鮮國ニ對峙シ、我邦北門ノ鎖鑰關鍵デアリマスルガ、國防
上ヨリ見マスルニ、又經濟上ヨリ見マスルモ、鐵道ノ急須ノ必要ナルコトハ
論ヲ俟タナイコトデゴザイマス、往年第四議會ニ於キマシテ鐵道敷設法ヲ議
シマスル時ニ當リマシテ、此山陰道ハ-縱貫鐵道ト云フモノハ第二期ニ屬
セラレタモノデゴザイマス、其當時第二期ニ屬セラレタモノハ、征〓ノ事件
モ未ダ起リマセズ、西伯利亞鐵道ノ工事モ未ダ竣功セラレザル時デアリマス
又加フルニ國家經濟上ノ緩急ヲ計リタルコトデアラウトモ考ヘマスケレド
モ、今日ハ東洋ノ形勢ガ大ニ一變致シマシテ、我邦ハ東洋平和ノ主宰者タル地
位ニ立ッテ居リマスル、又西伯利亞ノ鐵道モ駸々乎トシテ歩ヲ進メテ浦鹽斯
德港ニ達スルノ期モ近キ今日デアリマスル一日モ之ヲ卒忽ニスル譯ニ往カ
ナイト思ヒマスルガ、併シ此鐵道ニ就キマシテハ早晩私共カラモ第一期ニ繰
上ゲタイト云フコトノ計畫ヲ致シテ居リマスケレドモ、何分重大問題ノコト
故ニ輕々ト又之レヲ提出スル場合ニ往カナイノデゴザイマス、是等ニ就イテ
ハ他ニ熱心ノ御方モゴザイマスル、ソレ等ト十分協議シ、又鐵道ノ如キニハ望
月君ノ如キ熱心ノ人モゴザイマスルカラ、是等モ此事ニ就イテハ考ノアルコ
トヽ考ヘマスルソコデ此鐵道ノ事ハ極ク必要ノコトデゴザイマスルケレド
モ、是ハ次期ノ議會ヲ待ッテ先ヅ方針ヲ定ムルト致シマシテ、別ニ此事ハ玆ニ
質問ヲ致スト云フ場合デモゴザイマセヌガ、玆ニ質問ヲ致シマスル一一三ノ要
項ト云フモノハ電信、郵便、河川ニ就イテノコトデゴザリマスガ是等ニ就キ
マシテハ政府ガ山陰道ニ對シマシテハ大ニ冷淡ニ付スルノ方針デハナイカ
ト云フ所ノ疑ガゴザリマス、此質問ヲ致シテ是等ニ關スル計畫ヲ爲サウト考
ヘマスルノデゴザリマス、島根縣鳥取縣民ハ政府ガ我山陰道ヘ對シマスル方
針ニ就イテハ、冷淡デナイカト豫テ疑ヲ懷イテ居リマシタノハ啻ニ疑ヲ懷
イテ居ルノミデナイ、政府ノ爲スコトハ大ニ總テ放任ト云フヤウナ有樣ニ
ナッテ居リマス、抑〓電信、郵便、河川等ノ事ニ就イテモ、度々其地方ノ議
會カラ政府ニ就イテ建議ヲスルトカ、又地方有志カラ請願スルトカ、建議ス
ルトカ云フヤウナコトガアリマシテモ、政府ハ更ニ知ラヌ顏ヲシテ、是ニ一
向構ハヌノデゴザリマス右ニ就キマシテ我山陰道ガ疲弊致シテ居ルコト
ハ、政府ハ一向構ヒガナイデアラウカト云フコトノ疑ガゴザリマス、抑、、茲ニ
一二ヲ舉ゲテ申シマスレバ第一隱岐ノ國ノ海底電信ノコトデゴザリマス、
此電信ニ就キマシテハ既ニ昨年第六議會ノ節架設費豫算モ要求セラレマシ
タガ、併シ解散ノタメニ遂ニ成立ニハナラザッタノデゴザリマスガ、當議
會ニ於テ必ズ此案ガ提出ガアルコトデアラウト信ジテ居リマシタニモ拘ラ
ス、今日マデ豫算ト云フモノヲ提出セラレナイノデゴザリマス、是等ハ軍國
多事ト云フ際デ中止セラレタモノト思ヒマスルケレドモ、何分是等軍國多事
ダカラト云ッテ、緩急モ度ラズ何モ斯モ事業ヲ躊躇スルハ聊カ其當ヲ失シタ
モノデナイカト云フ考モアルノデゴザリマスガ、實ニ此事ニ就キマシテハ
建議案モ私ハ出シタイト考ヘマシタガ、先ヅ以テ建議案ヲ出シマスヨリハ
政府ノ意向ヲ問フテ其後ニ致シテ差支ナイト考ヘマスソコデ問ヲ致シマス
ノデゴザリマスガ、、隱岐ノ國ハ諸君モ御承知ノ通、日本海中ノ一孤島デゴザリ
マシテ、內地ニ最モ近キ所デモ尙ホ二十三海里ノ外ニアル位デゴザリマス、又
國內ニハ西〓ナリ福浦ナリ浦〓等ノ港ガゴザリマシテ、是等ハ孰モ大船ノ出
入自由ナル良港デゴザリマス、又西〓港デゴザリマスルト港內モ水ガ深ク、
又加フルニ港口モ巨巖ノ橫ルナクシテ、數千噸ノ巨艦モ輙ク風波ヲ防グコト
ガ出來マス殊ニ日本海中稀ニ見ル所ノ港灣デゴザリマスカラ、一朝日本海
中ニ戰雲ガ起ルコトアレバ諸外國ノ著目スル所デアリマス、此隱岐ノ國ト對
馬ノ國トデアリマスルガ、是等對馬ノ國ニハ既ニ電信モ架設セラレテアリマ
ス又警備隊モ置カレテゴザイマスルガ隱岐ノ國ニハ未ダ警備隊ナリ電信
ノ架設ガナイデゴザイマス、島根縣會ハ曩ニ交通ノ便ヲ圖ランガタメ補助
ヲ與ヘテ汽船ノ定期航海ヲ奬勵シテ居リマスガ、電信ノナイガタメニ通知ガ
後レテ、いつモ議會ヲ開會スル時分ニ、議會ヲ召集致シマスニ、隱岐ノ國
ノ議員ハ議會開會ノ當日ニ間ニ合ッタコトハナイノデゴザイマス、又行政
上急要ノ事柄ニ就イテ、知事ガ島司以下ヲ召集致シマスルニモ、是ト同樣
ノ有樣デアリマス、又非常ノ事ガアッテ、豫備トカ後備トカヾ召集セラレマ
スニモ、是亦容易ニ召集ニ應ジ難イ、又殊ニ昨年アタリハ彼地ニハ最モ甚シ
キ赤痢病ガ流行致シマシタ殆ド一千人ノ患者ヲ出シマシタガ、詰リ是等
モ內地カラノ交通ガ不便デ總テノ取締豫防ガ行屆カナイ所カラシテ、斯ノ
如キ慘狀ヲ來シタ譯合デゴザイマス、誠ニ隱岐ノ國ニ海底電信ノ必要ナリト
云フコトハ目下誠ニ止ミ難イコトデゴザイマスルデ是ハ政府ニ於テハ當
議會ニ豫算ガ出マセナイデモ、後ノ議會ニハ定テ是等ノ事ハ出ルデアラウ
トハ信ジテ居リマスルガ、併ナガラ是等ニ對シテハ如何ナル方針ヲ持ッテ居
ラレルデアラウカト云フコトヲ間フノデゴザイマス、又第二ニハ遞信事業ノ
コトデゴザイマスルガ郵便電信等ハ商業ノ發達ニ關係ヲ有シテ居ルト云フ
コトハ勿論論ズルマデモナイデゴザイマスルガ、是ガ又山陰道ノ如キハ
到ル處山嶽ガ多クシテ、交通ノ不便ニモ拘ラズ、郵便電信ノ設ガ少イノテゴ
ザイマス是等ニ據ラナケレバ時事ヲ辨知スルコトガ出來ナイ、又有無相通
ズルコトノ利益ヲ起スコトガ出來ナイデ實ニ甚ダ困ッテ居ルノデゴザイマ
ス、然ルニ山陰道ニ於テ、此必要ノタメニ電信郵便ノ架設局數ノ少イタメニ
地方ノ公衆ガ多年不便ヲ致シテ、是ガタメニ此地ニハ局ヲ置イテ貰ヒタイト
請願トカ或ハ建議トカ云フコトヲ屢〓致シテ居リマスケレドモ、何ノ答モナ
イデゴザイマス、是ガ一々山陰道ノ島根縣トカ鳥取縣トカ云フコトニ就
イテ委シク述べテ居リマスルト時間ヲ費シマスカラ、島根縣ニ就イテ大要ヲ
申シテ置キマセウ、石見ノ國ニ於テハ〓津ト云フ所ハ戶數ガ六百八十餘デ
ゴザイマス、此處ハ〓川ノ下流デ商業ノ盛ナル所デゴザイマス此處ニハド
ウシテモ電信局ガナケネバナラヌ、又小包郵便ヲ開カネバナラヌ、又三隅此
處ガ濱田益田ノ間デ適當ナ土地デアル、又大田ト云フ所ハ千戶モアッテ郡
ノ中央ニ居リマシテ、及隣郡ヨリ大ニ商民抔モ集リマスルヤウナ所デ、多
年此地ニハ電信局ヲ設置セランコトヲ熱心ニ其心配ヲ致シマシテ、是ガタ
メニハ全部デモ金ヲ出スト云フマデニ致シテ居ルコトデゴザイマスルケレド
も、いつかな運ガ付カナイ、又温泉津ト云フ所ハ港ガアッテ、此所ニハ電信
分局ヲ置カレ、小包ヲ開カレテモ宜カラウト云フ處デゴザイマス、ソレカラ
川本ト云フ所ハ戶數ガ六百餘モアルガ、餘程山ガ多イ處デ、大郡デゴザイマ
ス此所ニハ郡役所アリ、警察署アリ、諸會社アリ、備後ノ國三好ヨリ〓津
迄ノ間總テ舟楫ノ便ノアル處デ、大ニ商人抔ガ集リ、物產モ集ル所デアリ
スルガ、此處ニ局ガナイ、ソコデ邑智郡アタリヨリ電信ヲ一ツ懸ケニ出ル
ニハ濱田カ大森ニ出ナケレバナラヌ、サウスルト近クテ五里、遠クテ十五
六里モアルト云フヤウナ有樣デゴザイマス、而シテ此出雲ニ往キマスルト云
フト平田、是ガ戶數ガ千四百戶位ゴザイマシテ、松江宍道湖ノ間ニ汽船ノ交
通ガアリ、物產ノ集ル所ガゴザイマス、又宍道、是ガ戶數ガ八百餘位アリ
やべ、是ガ廣島ヨリ松江マデ交通スル國道ノ開ケタ所デゴザイマス、是ガ極
ク必要ナ所デゴザイマス又其他大原郡デ一箇所、飯石郡デ一箇所ハ是非
增設ガナケレバナラヌ、是等ニ就キマシテハ地方有志者ガ是マデ創設ノ建議
ヲ致シテ、是ガタメニ創設費ノ全部ナリ一部分ナリノ寄付デモ致シマスカラ
シテ、ドウカ早ク設計ヲ立テヽ下サレタイト云フコトヲ是マデ屢〓運ンデ居
リマスケレドモ、いつかふ何ノ次第モ付カナイノデ困ッテ居ルノデゴザイマ
ス、是等ハ縱シ政府ニハ金ガナクテ出來ナイト云フナラバ、地方カラ全部トカ
幾分出スト云フナレバヤラレルカ、金ヲ出シテモヤラレナイカ、金ヲ出シテ
モヤラナイト云フナラバ、尙ホ政府ニ於テハ是等ノ地方ニ對シテ決シテ電信
ナリ或ハ郵便小包ト云フヤウナモノハ擴張增設ヲスルト云フ方針ガアルカ
ナイカト云フコトヲ問フノデゴザイマス、第三ニハ河川治水ノコトデゴザイ
マスガ、是ガ亦我山陰道ハ山岳ガ多イノデ、山骨暴露突兀不毛ノ方ガ過半デ
ゴザイマスル故ニ、常ニ出水ガ多ク害ヲ被ルコトガ多イノデゴザイマス、旣
ニ島根鳥取ノ如キハ一昨年ハ非常ノ水害デゴザイマシテ、島根縣ノ如キハ川
ガ多クシテ或ハ斐伊川、〓川、飯梨川、伯太川、髙津川、鳥取縣デハ千代
川日野川トカ云フヤウナ所デハ最モ被害ハ多イノデゴザイマス而シテ
又昨年出水ヲ致シマシタタメニ、縣民ノ生命財產ヲ失ヒマシタコトハ實ニ甚
シイコトデゴザイマス、一度水害ニ罹リマシタモノハ恐クハ十數年ヲ經マ
セネバ民力ヲ囘復スルコト出來ナイノガ、近來ハモウ三四年ノ間ニハ必ズ
一二度ノ出水ニ遭フヤウナ譯デ、是等ハ畢竟河身改修ヲ怠ルト、沿岸林野ノ
制度宜シキヲ得マセズシテ、土砂ノ扞止、水源ノ涵養ヲ努メザルニ依リマ
ス其タメニ此害ヲ生ズルデアラウカト考ヘマスガ、政府ハ斯ノ如ク縱令出
水シテ治水ニ苦シミマスル所ノ山陰道各地方ニ對シテハ如何ナル方針ヲ取ラ
レテ居ルカ、又島根縣出雲國ニ於キマシテハ斐伊川ト云フ河ハ是ハ隨分い
かい河デゴザイマシテ、被害ガ重ニゴザイマスル、此河ハ地方經濟ノ悉皆支
辨デゴザイマシテ年々是ガタメニ一縣下ハ苦ンデ居リマス、ソコデ議會カ
ラモ之ヲ國庫ノ負擔ニシテ貰ヒタイト云フコトヲ言ッテ居リマスガ、此河ハ下
流ガ稍〓平坦ノ所ガアッテタメニ交通ノ便利ガアルタメニ、關係ノ町村有志
者モ時々寄合ヲシ易イカラ屢〓集會シテ協議ヲ爲シ、之ガタメニ大分奔走モ
致シ、又此區カラ選出セラレタ代議士モ此斐伊川ニハ熱心ニ心配セラレマ
スルタメニ、昨年第六議會ノ時モ湯本君其他ノ御心配デ、此斐伊川ハ他ノ川
ト共ニ建議ニモナリマシタ、又今年モ請願ヲ出ストカいろ〓〓致シテ當議會
カラモ建議ヲ致シタヤウナ有樣デゴザリマスルガ、是ヨリ又外ニ石見ノ國デ
ハ〓川ト云フノガアリマス、是ハ藝、備、石三州ニ橫流致シマシテ、其流域ト
云フモノハ殆ド五十里位ゴザリマシテ、中國デハ是ガ第一ノ巨川デアリマ
ス、其利害ノ關係ヲ有スル所ノ段別ヲ言フテモ十數万町、戶數モ二万以上モ
アル面積ハ二百四十七方里餘リデゴザイマシテ、舟楫ノ往來スル所ノ便利
ガゴザイマシテ、其舟楫ノ通ズル所ハ殆ド四十里バカリノ處デゴザイマ
ス、陰陽ノ間ノ物貨ノ運輸ハ之ニ依リマシテ、陰陽ノ交通ハ此河ニ依タテ、
稍〓補ッテ居ルト云フヤウナ有樣デアル、鐵道ナリ或ハ汽船ナリニ代ルダケ
ノ隨分利益ノアル河デゴザイマス、然ルニ此河川中ニ數箇ノ難瀨ガアルノデ
ゴザイマス、其難瀨ノ重ナルモノヲ申シマスレバにこせあふら糸瀨あをへ
瀨千丈ケ瀬ト云フヤウナ數箇ノ難瀨ガゴザイマシテ、之ガタメニ舟楫ノ便ヲ
缺クノデアリマス、又覆沒ヲ來シマシテ、年々夥多ノ貨物ヲ流シ、人命ヲ損
傷スルコトハ尠カラザルコトデゴザイマス既ニ過ル明治十四五年ノ頃ハ廣
島縣ノ三次郡長及同縣ノ有志者林豪一(「簡單ニ願ヒマス」ト呼フ者アリ)其他
ノ人ミガ石見ノ國ノ邑智郡ナリ那賀郡ナリノ郡長及有志者等トモ交涉致シマ
シテ、兩縣下シテ此河川ノ改修調査ノ業ノコトヲ一ツ兩縣廳ニ持出シテ、此
事ニ著手ヲ致シタイト云フコトデ心配致シタコトガアルノデゴザイマス、
然ルニ此當時ニ於テ島根縣ニ於キマシテハ國道ノ改修、工事ノ計畫ガアッ
テ、四五年間ニ殆ド百万圓バカリノ金ヲ費シタト云フ時デゴザイマスルデ、
止ムヲ得ズ此豫算ノ調査ノコトモ出來ズ、豫算ヲ議スルコトモ出來ナカッタ
ノデアリマス、廣島縣ニ於テ其豫算モ議セラレタト云フコトデゴザイマシタ
ケレドモ何分一方ノ島根縣ガ其時出來マセザッタタメニ一時中止トナ
リ、其後又廣島縣ニ於テハ山陽鐵道トカ、宇品ノ築港トカ言フテ、南洋ニ對
スル事業ノ急務ノタメニ、爾來〓川ニ對スルコトハ中止同樣ニナッタ有樣デ
ゴザイマスガ、再三島根縣會ハ全會一致ヲ以テ可決シ、建議シタル位デゴ
ザイマス斯ノ如キ舟楫ノ便ガアリ最モ大ナル河デゴザイマスナレバ、是等
ハ政府ハ是等ノ河川ニ對シテハ、將來如何ナル方針ヲ執ラレルデアルカ、全
國ノ河川ニ對スルコトハ漸次改修ノ方ニ著手スル方針デアルデアラウカ、又
出水被害ノアル時ハ被害ノ大小輕重ニ依ッテ救濟ノ道ヲ設ケラレルトカ、
又〓川ノ如キ大ナル河ハ、何等ノ方針ヲ以テスルカ、全國ノ河川ノ等級デモ
定メテヤラレルカ、是等ノコトハ議會カラ建議ヲ致サナイデモ、政府ニ於テ
ハ是等ハ構ハナイ、十分承知シテ居ルト云フヤウナ譯合デハナカラウガ、建
議ヲ致サネバいつマデモ大ナル河ガアリ、交通ノ便利ガアルヤウナ河デモ、一
向政府ニ於テハ顧ミナイト云フ方針デ居ラレルデアラウカ、ドウデアラウカ
ト云フコトヲ尋ネルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=4
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005・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 請願委員長ノ報告ガアリマス-高橋安爾君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=5
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006・高橋安爾
○高橋安爾君(百六十五番) 請願委員會ノ結果ヲ報告致シマスルガ、本月十
一日ノ請願委員會ニ於テ院議ニ付スベキモノト決定セルモノガ、祿高追加下
付ノ件一ツ、愛媛縣小山宗太外四名ノ請願復祿ノ件一ツ、廣島縣今井潔外三
十九名請願舊苗木藩復祿ノ件一ツ、岐阜縣土居政雄外三百三十名請願復族祿
ノ件一ツ、福岡縣川上吉平外三十六名請願、以上ハ院議ニ付スベシト決定シ
アルモノニ係リマス、次ニ院議ニ付スルヲ要セザルモノト決定セル分ハ佩
刀復古ノ件一ツ、小學校〓課目中ヘ擊劍術ヲ差加ヘルノ件一ツ、次ハ政府ヘ
參考トシテ送附スベシト決定セルモノガ郡分合ニ關スル件一ツ、是ハ山形縣
ノ人民ノ請願ニ係ルモノデゴザイマス、堺表殉難舊土佐藩士ヲ靖國神社ニ合
祭ノ件一ツ、印旛沼開鑿ノ件一ツ、模範排水器設置ノ件一ツ、尙ホ請願文書
表ノ第八ハ既ニ印刷濟ニナッテ居リマスカヲ、直ニ諸君ノ御手許ニ配布致シ
マス以上報告ニ及ビマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=6
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007・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 是ヨリ議事日程第一、通貨及證券模造取締法案第一
讀會ノ續ニ移リマス-二百七番
第通貨及證券模造取締法案第一讀會ノ續(長報告越南米
〔小坂善之助君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=7
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008・小坂善之助
○小坂善之助君(二百七番) 通貨及證券模造取締法案ノ審査特別委員會ノ經
過及結果ヲ報告致シマス委員會ハ本月八日ニ第一囘ヲ開キマシテ、委員長
理事ノ互選ヲ致シマシテゴザイマス、委員長ニハ本員、理事ニハ重岡薫五郞
君ガ當選セラレマシテゴザイマス、而シテ昨十一日ニ再度委員會ヲ開キマシ
テ、政府ヨリハ添田大藏書記官ガ御出席ニナリマシテ、審議ノ末ニ貴族院修
正ノ如クニ可決致シマシテゴザイマス、尤モ此國債證劵ト云フ中ニ大藏省
證券ト云フモノガアルヤ否ヤト云フコトニ就イテ、聊カ疑モアッテ議論モゴ
ザリマシテゴザリマス、是ハ大藏省證券ト雖モ公債證書ト同ジク國家ノ義務
ニ屬スルモノデアルカラ、國債證券ト云フ中ニ無論含蓄シテ居ルモノト認メ
マシテ、別段修正ヲ加ヘズ、其儘可決致シマシタ次第デゴザイマス、デ委員
會ニ於テ可決致シマシタ理由ハ、政府委員ガ參考トシテ携帶セラレマシタ所
ノ數多ノ五圓一圓ノ模造兌換紙幣ヲ見マスニ、其中ニ隨分能ク出來テ居リマ
スルノガ多々アリマスルノデス、ソレ等ガ山間僻地ニ段々行使スルモノガ多
クナッテ來ルト云フ所ノ事實ト、ソレカラ又近來ニ至リマシテ、朝鮮國ニ於
テ之ヲ行使スル者ガ大分アリマスルト云フコトヲ、京城ノ第一國立銀行ノ支
店又ハ仁川ノ郵便局等ヨリシテ、之ヲ送ッテ參ッタ品ガアリマス、デ而シ
テ此公債證書デアリマス、公債證書モ此無記名整理公債ト云フモノガ大分模
造品ニ能ク出來テ居リマスル、ソレ等モ見マスルト云フト、表面ノ如キハ字
畫ヲ僅ニ省イテアル、裏面ノ如キハ英吉利文字ガ逆サニ植ヱテアルト云フ位
ノコトデ、隨分之ヲ取扱ッタ者デナケレバ、是ニはまるト云フコトハナイト
ハ言ヘナイノデ、現ニ東京市內ニアル所ノ或ル質屋ガ此公債證書ヲ抵當ニシ
テ、金ヲ貸シタト云フ事實ガアル、ソレ是レ此取締法ガナクテハナラヌト云
フコトデ、此取締法案ノ必要ナルコトハ申スマデモナイコトデゴザリマスカ
ラシテ、一日モ早ク此取締ヲ附ケルガ宜シイト云フコトデ、委員會ハ可決致
シマシタ次第デゴザイマス、是ガ委員會ノ報告デゴザイマス、尙ホ私ガ一
個ノ何ト致シテ諸君ニ望ミマスノハ、極ク簡單ナ法案デゴザリマスカラシ
テ、成ルベク讀會ヲ省略セラレテ、直ニ確定議ニセラレンコトヲ希望致シマ
ス
(「贊成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=8
-
009・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 委員長ノ唯今ノ請求ニハ讀會省略ノ請求ガゴザイマ
シテ、別ニ御異論モナイヤウデス-ソレデハ讀會省略ニ致シテ、全體ノ起
立ヲ問ヒマス、本案ニ同意ハ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=9
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010・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 多數、是テ確定ト認メマス、日程ノ第二ニ移リマス、
會計法中改正法律案第一讀會ノ續田艇吉君
第二會計法中改正法律案第一讀會ノ續(總會
(長報告
〔田艇吉君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=10
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011・田艇吉
○田艇吉君(百七十八番) 委員長ニ代リマシテ會計法改正法律案審査委員會
ノ經過及結果ヲ御報告致シマスル、此委員會ハ數日前一囘ヲ開キマシテ、委
員長ニハ元田肇君、理事ニハ本員ガ當選ヲ致シマシテ、引續イテ尙ホ審査會
ヲ開キマシタ、其審査ノ結果ト致シマシテハ卽チ元田氏提出案ノ通リ、此
曾計法第六條ノ第一項ニ「但シ豫備費ハ款項ノ外ニ置クヘシ」ト云フコトニ
致シマシテ、是マデ豫備費モ矢張款項ノ中ニアリマスガ、是ハ款項以外ニ置
キマシタ方ガ、憲法ノ精神ニモ能ク適應スルヤニ認メマスカラシテ、卽チ會
員中一名ヲ除クノ外殘ラズ之ニ贊成ヲ致シテ可決ヲ致シタ次第デアリマス、
尙ホソレニ就イテ別段ニ詳細ノ理由ハ辯明ヲ致シマセヌ、詰リ是ガ適當デア
ルト認メタ次第デアリマスカラ、ドウカ御贊成アランコトヲ希望致シマス
〔政府委員大藏次官法學博士田尻稻次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=11
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012・田尻稻次郎
○政府委員(田尻稻次郞君) 唯今提出ノ案ニ就キマシテ一言申上ゲマスル
ガ、是ニ依リマスルト此會計法ノ第六條ニ但書ヲ附ケテ「豫備費ハ款項ノ
外ニ置クヘシ」ト云フコトデゴザイマスガ、委員會ニモ出席致シマシテ、段
段委員ノ御方ミトモ意見ヲ鬪ハセマシタガ、政府ノ見マス所デハ此但書ガ附
イタ所ガ、今モ此六十四條ノ第二項ニ關ル見解ト云フモノヲ變更スルト云フ
コトハ湧イテ來ナイ、卽チ此六十四條ノ第二項ノ款項ニ超過スルト云フコ
トハ豫備費ガ款項ノ中ニアルナシニ拘ラズ、他ノモノト云フモノ、卽チ他ノ
費用ト云フモノハ悉ク款項ニ分レテ居マスカラ、其款項ニ超過スルモノガア
ルト云フ時ハ矢張御承知ノ通ニ是マデ政府ガ取リマシタ意見ト云フモノニ
ハ少シモ之ガタメニ束縛ヲセラレテ以テ違ヲ生ズルト云フコトハナイ、ソ
レ故ニ此改正ト云フモノハ則チ此豫備費支出ト云フコトヲ檢束スルト云フヤ
ウナ原案者ノ積デアリマシタケレドモ、一向ツレニハ效力ガナイ且又政府
ノ見マス所デハ此豫算ト云フモノハ款項ニ分ツト云フコトハ、憲法ノ精神
デモアリマスシ、此六十四條ト云フモノヽ第一項ニハソレヲ推測シテ、第二項
デハ旣ニ款項ト云フモノニ分ツト云フヤウナコトガ見エテ居リマスシ、特ニ
會計法ノ第六條ニ於キマシテ御承知ノ通ニ經常臨時ノ二部ニ大別シテ以テ、
各部中ニ於テ之ヲ款項ニ區分スルト云フコトガアル以上ハ、ドウシテモ豫算
ハ款項ニスルガ、當初カラノ目的デアル、之ヲ改メテ豫算ト云フモノヲ款項
外ニ置クト云フコトハ、却テ豫算ノ極マリト云フモノ、是マデノ慣習ト云フ
モノニ反シマスルカラ、宜シクアルマイ而シテ此案ト云フモノハ豫備費
ト云フモノハ御承知ノ通ニ國家ノ歲出ニハ違ヒナイ、國家ノ歲出デアル以上
ハドウシテモ豫算ニ組ンデ、款項ニ分ッテ是ハ豫算ニ編成スルト云フコトガ
正シイ途デアル、デ此豫算デ既ニアル以上ト云フモノハ款項ニ組ムト云フ
コトガ是マデノ此豫算ノ編成ノ方法デモアリマスルシ、其法ト云フモノガ能
ク順序ガ立ッテ宜カラウ、是ヲ款項ト云フモノニ區別セヌデモガ、唯何トナ
クアルト云フト、或ハ之ヲ曲解シマスレバ、豫算外ノモノデアリハセヌカト云
フコトガ、ソコ〓〓ノ條項カラ引當テ來ルト思ヒマスカラ、サウ云フヤウナ
ルコトニナリマスルト、是ガ豫算外ト云フヤウナル疑ガ生ジテ來ルト、サウス
ルト遂ニハ是ハ帝國議會ノ協贊ヲ經ズトモ使ヘルト云フヤウナ豫算ノ外デア
ルカラ宜シイト云フヤウナコトニナッテ來ルト、是ハドウシテモ會計ガ大變不
取締ノ事ニナル、ソレデ却テ此改正ト云フモノハ、今ノ發案者ノ希望ヲ達セラ
ルヽダケノ效能ガナクシテ、而シテ是ガ出タナラバ、其極ト云フモノハ非常
ノ所ニ立至リマシテ、會計上ノ不取締ヲ來シハシナイカト云フ憂ガアリマス
カラ、此案ニハ遺憾ナガラ同意ヲ致スコトガ出來ナイト云フ考デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=12
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013・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 小西甚之助君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=13
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014・田艇吉
○田艇吉君(百七十八番) 議長発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=14
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015・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 唯今小西君ガ通告ニ依リマシテ發言ヲ··
〔小西甚之助君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=15
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016・小西甚之助
○小西甚之助君(六十三番) 諸君、本員ハ本案ニ向ニテ反對ノ意見ヲ述べヤ
ウト云フモノデゴザリマス、本案ニ向ッテ反對ノ意見ヲ述べマスルコトハ
本員將ニ頗ル困難ノ地位ニ立ツコトヲ感ジマス、何トナレバ本案ハ憲法上
ニ於テ議會ノ權利ヲ擴張シヤウトスルモノデゴザイマスカラ、之ニ反抗スル
コトハ取モ直サズ議會ノ權利ヲ擴張スルコトニ反抗スルガ如キ外觀ヲ裝フカ
ラデゴザイマス、特ニ本會ノ趨勢ヲ察シマスルニ、恰モ一瀉千里的ニ通過スベ
キ模樣ヲ認メマスルガ故ニ、本員ガ其理由ヲ直論致シ、其意義ヲ詳說致シテ、
遺憾ナキヲ得マスルコトハ、最モ難事タルニ屬スルコトヲ信ズルノデゴザ
イマス、然レドモ本員ト雖モ又本曾ノ一分子デゴザイマス、豈ニ其權利ノ擴
張ヲ欲セザルモノデゴザイマセウカ、其權利ノ擴張ハ素ヨリ希望シテ萬々巳
マザルコトデアル、然レドモ其擴張ハ憲法ノ中ニ望ムモノデアル、決シテ憲
法ノ外ニマデ逸シテ望マウトハ致スモノデナイ憲法ノ明文ガアル以上ハ、
默シテ之ニ甘ンズル覺悟デアル何トナレバ憲法ノ外ニ逸シテ權利ヲ張ルト
云フコトハ、是ヲ張ルト同時ニ憲法ヲ破ルモノデアルカラデゴザイマス、議會
ノ權利ハ憲法ヨリ來ルモノデアル而シテ來ル所ノ憲法ヲ破ル、是ヲ張ル所
以ハ決シテ是ヲ張ル所以ノ途デアリマセヌ、故ニ本員ガ特ニ本論ニ入ッテ述べ
ヤウトスル所、言々皆至正ニ出デ、語々總テ至公ニ係ッテ、毫末モ其間ニ勝手
がまーき私ヲ挾マナイ心得デゴザイマスカラ、諸君冀クハ其說ノ壯ナラザル
コトヲ見テ、徒ラニ其言ヲ縮メ語ヲ低ウスルモノト認メラレヌコトヲ本論ニ
先ッテ豫メ此事ヲ願フテ置クノデアル本員ハ其會計法ヲ改正致シテ、豫備
費ヲ款項ノ他ニ置カウトスルモノデアッテ、其理由ハ憲法第六十四條ノ第二
項ニ謂フ所ノ豫算ノ款項ニ超過シタル支出ハ、憲法六十九條ニ云フ所ノ豫備
費ヲ以テ補充スベキモノデアルカラ、此豫備費ノ支出ハ豫算ノ款項以外ニ置
カナケレバナラヌト云フモノデゴザイマス、偖此理由ヲ取來ッテ、之ヲ別段
ニ意譯シテ見ルト、或ハ斯ウ云フコトニナルノデアル、現行法デハ豫備費モ亦
款項中ノ一費目デアル、然ルニ補充ナルモノハ、款項ニ超過シタル支出ニ
向ッテセラルヽモノデアルカラ、款項中ノモノタル豫備費ノ不足モ、亦豫備費
ヲ以テ補充スルト云フ最モをかし〓結果ヲ生ズルカラ、豫備費ハ款項ノ外ニ
放チテ、此をかしツ結果ヲ避ケタイト云フコトガ、卽チ是デアリマス、成程其
結果アリトシマシタナラバ、隨分をかしツヤウデアル、然レドモ自己ヲ以テ自
己ヲ補ヒ、自己ヲ以テ自己ニ充ツルト云フコトハ、一般ノ普通ノ道理ニ於テ爲
シ能ハザルコトデゴザイマス、然ラバ玆ニ所謂超過ノ支出ニ生ズベキ款項ナ
ルモノハ、豫備費以外ノ款項ヲ指スコトハ、言フヲ俟タザルコトデアル、然ル
ニ文字ニ尙拘泥シテ款項ノ超過支出ニ向ッテ充用スルモノナレバ、充用ノ元
資ハ支出ノ款項外ニ置カナケレバナラヌト致シマスレバ到底文字ニ拘泥ノ
結果ハ豫備費ナルモノハ豫算以外ニ置カナケレバナラヌト云フ理窟ニナ
ラザルヲ得ヌコトデアル、何トナレバ豫備費トテ又是レ一ノ豫算ニ外ナラザ
ルコトデアルノニ元來豫備費ハ豫算ノ不足ヲ補充スルモノデアルカラ、豫
算タル豫備費ノ不足モ亦豫備ヲ以テ補充シナケレバナラヌト云フ極クこ〓
窮屈ナル理窟ニ陷ルモノデアルカラデゴザイマス、然レドモ諸君、豫算ニ超
過シタル支出ナル語ハ、豫備費以外ノ豫算ニ超過シタル支出ヲ指スコトハ
何人ニアッテモ疑フマデモナイコトデハゴザイマセヌカ、果シテサウデゴザ
イマスルナラバ、款項ニ超過シタル支出ヲ補充スル費目ガ豫備費デアルカラ
ト言ッテ、强ヒテ此豫備費ヲ款項外ニ放逐シヤウト云フコトハ詰リ款項ノ
文字ニ抱泥シタル極クここ狹キ論旨ト言ハナケレバナラナイコトデアル、殊
ニ彼ノ憲法第六十四條第二項ノ豫算ノ款項ナル文字ハ、決シテ會計法ニアル
ヤウナ款項節目抔云フヤウナ制限セラレタル極クこゝ狹イ意味ノモノデハナ
クテ、唯汎博ニ豫算ノ事項ト云フガ如キモノデアリマス、卽チ豫算ノ款項ニ
超過シ云々ハ豫算ノ事項ニ超過シ云々デアッテ、之ヲ平タク申スルナラバ、
唯單ニ或ル事柄ノ費用ガ豫算ニ超過シ云々ト解スベキモノデゴザイマス何
トナレバ憲法中ニハドコニモ款項ニ分ツト云フ豫算編成法ヲ示シテナイ
カラノコトデゴザイマス、又況ヤ此憲法第六十四條第二項ノ支出ハ元
ト元ト豫備費ヲ以テ補充セラルベキ支出デハナイニ於テヲヤデアル願クハ
少シク此事ヲ辯ジヤウト思ヒマス、此六十四條ノ二項ナルモノハ政府ヲシテ
豫算ノ額外、又ハ豫算ノ設置外ニ於テ責任ヲ持ッテ臨機ノ支出ヲ爲サシメヤ
ウガタメニ設ケタルモノデアッテ、決シテ豫備費ヲ以テ補充スベキ支出ノ場
合ヲ規定シタルモノデハナイノデアル、若モ其場合デアルナラバ、何故ニ憲
法六十九條ニ殊更ニ文ヲ重ネテ「避クヘカラサル豫算ノ不足ヲ補フ爲ニ云々」
ト豫備費支出ノ場合ヲ蛇足ニ規定シマスルカ、又何故ニ前ニハ「豫算ノ款項
ニ超過シ」ト言フテ、後ニハ「避クヘカラサル豫算ノ不足ヲ補フ爲」ト云フガ
如キ同ジ場合ヲ云フニ、異ナリタル文辭ヲ用ヒマスルゾ是等ノ二〓カラ考
ヘテモ明ニ六十四條ノ二項ト六十九條ハ互ニ關係ヲシナイデ、全ク別物デ
アルト云フコトヲ信ズルニ餘リアルコトデアル、蓋シ六十四條二項ノ文意
ト、六十九條ノ文意トガ、偶〓丁度類似シテ居リマスルガ故ニ、茲ニ混同ヲ
來シマシタコトデゴザイマセウケレドモ、此二者ノ間ニハ自ラ徑庭ガアリ
決シテ混合同視スベキモノデハナイ、大ニ似テ非ナルモノデゴザイマス
體此六十四條ノ第二項ナルモノハ、返スミニモ六十九條トハ別物デアツテ
毫モ關係ヲ有シテ居ラナイモノデアル唯同ジ所ハ豫算ノ軌道外ニ逸シテ支
出スルノ一事デアル、然レドモ是ハ唯外面上ニ於テ同ジバカリデアル、軌道
外ニ逸シテ支出スベキ財源ハ卽チ異ナッテ居ルノデアリマス、玆ニ殊更ニ財
源ト云ヒマシテ······政府ハ六十四條ノ二項ニ依ッテ、他ノ財源ヲ以テ超過支
出ニ充テマスコトアルニ列ベテ申シマセウガタメニ、申シマシタコトデゴザ
イマシテ、ちよっと此事ハ割註ヲ致シテ置カナケレバナラナイ、元來此第二
項ナルモノハ第一項ニ對シテ連絡ヲ取ッタニ外ナラナイ、第一項ノ明文ニ曰ク
「國家ノ歲入歳出ハ每年豫算ヲ以テ帝國議會ノ協贊ヲ經ヘシ」是ハ歲入歲出ハ
豫算的ニ事前ノ協賛ヲ必要トスルコトヲ示シタルモノデアル、第二項ノ明文
ニ曰ク「豫算ノ款項ニ超過シ又ハ豫算ノ外ニ生シタル支出アルトキハ後日帝
國議會ノ承諾ヲ求ムルヲ要ス」是レ歲出ハ實算的ニ事後ノ承諾ヲモ必要トス
ルコトヲ定メタルモノデアル、故ニ第六十四條ハ國家ノ歲出ハ必ズ帝國議會
ノ協贊ヲ求ムルコトヲ必要トシテ、サウシテ其協贊ヲ求ムル場合ハ、豫算的
ニ求ムル場合ト實算的ニ求ムル場合トノ二ツアルコトヲ示シテ、其豫算的ニ
求ムルハ事前ニ於テスルコト實算的ニ求ムルハ事後ニ於テスルコトヲ定
メタルモノデアルシテ見マスレバ一面ヨリ見ルナラバ、第二項トテモ矢張第
一項ノ如ク歲出ハ議會ノ協賛ヲ經ルヲ要スルモノゾヨト云フニ過ギザルコト
デアル、異ナル所ハ唯豫算ト實算ト又事前ト事後トニ分ルヽノミデアル、歲
出ト協賛トノ關係ハ少シモ異ナラザル所デゴザイマス、提出者ハまさか右第
一項ヲ以テ六十九條ト牽聯スルトハ言ヒ能ハザルコトデアラウ、果シテサウ
デゴザイマスナラバ第二項モ亦六十九條ト牽聯スルトハ言ヒ得ベカラザル
次第デハゴザイマセヌカ、何トナラバ既ニ述べタルガ如ク、第二項トテモ矢
張第一項ノ如ク歳出ハ議會ノ協贊ヲ經ルヲ要スルモノゾヨト云フニ過ギザル
モノデアリマス是レ本員ガドコマデモ別物云々ト主張シテ止マザル所以デ
ゴザイマス又提出者ニ於キマシテハ會計法ノ法文ヲ現在ノ儘ニ存シテ置イ
タトキニハ、政府ハ憲法第六十四條第二項ノ法文ニ附會ヲシテ、常ニ豫備費
以外ノ支出ヲ爲スニ至ルト斯ク言ハレマスケレドモ、元トミミ六十四條ノ第
二項ハ六十九條ト別物デアルト云フコトハ、前ニ論ジマシタ次第デゴザイマ
スカラ、此憂ハ決シテナイモノデアル、六十四條ノ第二項ノ支出ハ臨機別途
ノ支出デゴザイマスレバ毫モ豫備費ヲ款項中ニ置クト、款項內ニ存スルト
ノ關係ハナイモノデアル又提出者ハ斯クナルトキハ憲法第六十四條ノ法文
ノ精神ハ消滅シテ仕舞ッテ、憲法第七十條ノ非常緊急ノ場合ニ限ッテ、僅一
勅令ヲ以テ法律ニ代ラセタルマデノ精神ヲ滅却シテ、其七十條ヲシテ實際無
效ニ歸セシムルニ至ルト言フテ居ル是レ果シテ何タル誤解デアルカ提出
者ガ憲法第六十四條ノ二項ト、七十條トハ各〓性質場合ノ異同アルコトヲ辯
ジナイモ亦甚シイモノト言ハナケレバナラナイ、七十條ハ緊急ノ場合ニ於
テ財政處分ヲ爲シ得ベキコトヲ規定シタルモノデアル、サウシテ此所謂財政
ノ處分トハ、或ハ一時ノ繰替ヲ爲ストカ、或ハ新稅ヲ起ストカ、或ハ國債ヲ募
ルトカ云フヤウナ類ヲ指スノデアル、又廣島ノ議會ニ提出セラレタル軍事公
債案ノ如キ、若シ當時內外ノ狀形ニ依ッテ議會ヲ召集スルコトノ能ハザル場
合デアッタナラバ、屹度此七十條ニ依ッテ政府ガ勅令ヲ以テ是等ノ處分ヲ爲
シ得ルモノデアッタノデアル、而シテ是ト事變ッテ第六十四條ノ第二項ノ規
定ハ實際ノ支出ハ假定ノ豫算ノ軌道外ニ爲シ得ル場合ヲ示シタルモノデ
アッテ、殊ニ又必シモ此第七十條ノ如ク非常緊急ノ場合ニ限ラナイデ、平時ト
雖モ爲シ得ルコトデアリマス、斯ク申シマスルナラバ或ハ言フカモ分ラナ
イ七十條ハ廣ク必要ナル財政ノ處分ヲ爲シ得ルモノデアル故ニ或ハ一時
ノ繰替處分ヲ爲スコトヲモ得ベク、新稅處分ヲモ爲スコトモ得ベク、國債處分
モ爲スコトヲ得ベシ、獨リ是等ノ財源處分ノミニ限ラナイ臨時支出處分
ヲモ爲シ得ベキコトハ財政處分ト云フ中ニ包含スルモノデハナイカト斯樣
ニ言フモノガアルカモ分ラナイ、成ル程財政處分ト云フ上カラ見レバ、支出
處分モ包含スルモノヽ如ク見エマス然レドモ彼ノ六十四條ノ二項ニ依ッテ
考ヘマスルトキハ支出處分ニ在ッテハ-支出處分ニ在ッテハ全ク此七
十條ニ包含セシメナイデ、之ヲ六十四條ノ二項ニ讓ッタルモノト知ラルヽノ
デアル何トナレバ豫算額以外ナルト、豫算設置以外ナルトヲ問ハナイデ兮
モ臨時支出ノ處分ヲ爲シ得ベキコトハ、彼ノ六十四條ノ二項ニ於テ當然其權
能ヲ授ケテアルカラデアル、憲法ノ文字ハ嚴正ナルモノデアル、何ゾ同ジヤ
ウナ權能ヲ二タ處ニ規定スルガ如キコトガゴザリマセウカ、果シテサウデゴ
ザリマスレバ七十條ハ支出處分ニ關係ナイコトハ誠ニ明ナルコトデアル、
又提出者ガ既業ニ關係ナイコトヲ自白シテ居ルヤウナコトデアル、何トナレ
バ提出者ハ七十條ハ法律ニ代ルベキ勅令ヲ發シ、僅ニ之レヲ爲スヲ得ル云々
ト說明シテアルカラデゴザイマス、ワレ勅令ヲ以テ代ルベキ法律、卽チ此勅
令ヲ以テ元〓規定スベキモノハ何故デアルカ、譬ヘバ繰替處分法ヤ、新稅法
ヤ國債法等ノ類デアルカラデアル、是等ノ法ハ其姓質トシテ法律ヲ以テ規
定セナケレバナラヌモノデアル、サウシテ支出ノ如キハ法律ニアラザル所ノ
豫算ヲ以テ規定スルコトガ本來當然ノ性質タル以上ハ、提出者ガ法律ニ代ル
ベキ勅令ヲ發シ、僅ニ之ヲ爲スヲ得ルノガ七十條ナリト宣言シマシタコト
ハ誠ニ自ラ七十條ノ處分中ニハ支出處分ヲ包含シナイコトヲ認メタルモノ
ト言ハズシテ何デゴザリマセウカ論ジテ玆ニ至リマスレバ本員ノ所說ハ
頗ニ明瞭ヲ得タルモノト信ズル、然レドモ玆ニ最モ注意スベキ點ハ、七十條
ト六十四條二項トノ間ニ一種ノ關係アルコト、卽チ是デアル、七十條ニ依ツ
テ處分スル時ハ、必ズ是ト同時ニ六十四條ノ二項ニ依ッテ處分セラルベキコ
トデアル、卽チ七十條ニ依ッテ財源ノ處分ヲ爲セバ必ズ六十四條二項ニ於
テ支出ノ處分ガアルコトデアル、サウデナケレバ、七十條ノ處分ノ效果ガナ
クナッテ仕舞ッテ、則チ財源ヲ作ッテ人ヲ作ラヌコトヽナルカラデゴザリマ
ス、故ニ此七十條ノ處分アレバ又均シク六十四條二項ノ處分ヲ見ルコトヽ覺
悟ヲシテ居ラナケレバナラヌ、聊カ混淆ヲ避クルガタメニ、此〓ヲ申シテ置
キマス偖前述ノ如キ理由デアリマスレバ今假ニ一步ヲ讓ッテ豫備費ヲ款
項內ニ置ク時ハ政府ハ款項ニ超過云々ノ名義ヲ唱ヘテ款項超過ノ正條タ
ル第六十四條ノ第二項ノ款項超過ノ明文ノミヲ濫用ヲ致シテ、其實豫備費ヲ
以テ支出スベキモノデアル、眞義ヲ打忘レテ仕舞ッテ、則チ六十四條ノ法文
ノ精神ハ消滅スルモノトシマスルモ決ンテ是ガタメニ彼ノ七十條ヲシテ實
際無效ニ歸セシムルガ如キコトハ斷ジテナイモノト私ハ思フノデアル況
ヤ其第六十四條ノ第二項ハ、決シテ豫備費ヲ以テ支出スルノ方法デナイニ於
テヲヤジヤ、返スミニモ第七十條ガ實際無效ニ歸スルナドハ、思ヒモ寄ラヌコ
トデアル、以上述來リマシタ所ヲ約言ヲ致シマスレバ提出者ガ第一憲法第
六十四條第二項ノ支出ヲ豫備費ヲ以テ補充スルコトニ自認スルハ誠ニ誤解
ノ甚シキモノデアル、第二憲法第六十四條ノ第二項ノ規定ヲ右ノヤウニ思惟
スルノハ憲法ガ政府ヲシテ豫算ニ牴牾澁滯ナカラシムルガタメニ、臨機
ノ支出ヲ責任的ニ利用シテ、法意ヲ知ラヌモノデアル、第三假ニ右六十四條
第二項ハ豫備費ヲ以テ補充支出スルモノト解シテ考ヘマシテモ、所謂款項ニ
超過云々ノ款項ナル文字ハ、汎博ナル意義デアッテ、豫算編成的ノ款項デハ
ナイノデアル、第四憲法六十四條第二項ノ精神ハ豫備費ヲ款項內ニ存シ置ク
モ決シテ消滅セシムルモノデナイノデアル第五憲法第七十條ハ全ク別物
デアッテ、六十四條ニ關係ヲシテ居リマセヌガ故ニ、豫備費ヲ款項內ニ存シ
タカラト云ッテ、決シテ爲メニ此七十條ヲシテ實際無效ニ歸セシムルガ如キ
コトハ斷ジテナイモノデアリマス、此五ツノ理由アリマスルヲ以テ、本員
ハ斷々乎トシテ本案會計法ノ改正案ニハ反對ヲ表スルモノデアル、諸君ドウ
カ憲法上議會ニ不利益デアルカラト云ッテ、公平無私ノ見解ヲ枉ゲラルヽト
云フヤウナコトハナカラヌコトヲ、切ニ希望シテ止マザルモノデゴザリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=16
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017・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 田艇吉君
〔田艇吉君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=17
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018・田艇吉
○田艇吉君(百七十八番) 此會計法ノ改正ニ就キマシテハ恐ラク反對ハナ
カラウト思ヒマシタ、所ガ意外ニモ唯今小西君カラ縷々ノ反對說ガアリマシ
タナリ、又政府委員カラノ辯明モアリマシタ、就キマシテ聊カ之レヲ贊成ス
ルノ意味ヲ一二申上ゲテ、諸君ノ御參考ニ供サウカト思ヒマスデアリマス、實
ニ此政府委員ノ說明ニ依リマスルト云フト、元ト此豫算ト云フモノハ必ズ
款項デヤルベキモノデアル、款項デナイ以上ハ、則チ豫算デナイカラシテ、
萬一此議決ニシテ通過スル場合ニ於テハ、遂ニ其弊タルヤ或ハ豫備費ナルモ
ノハ議會ノ協賛ヲ經ルニ及バズシテ、政府ガ濫ニ勝手ニ設ケルト云フヤ
ウナコトニナラヌニモ限ラヌ、款項以外ニアッタナラバ則チ豫算ト云フコト
ハ出來ヌト云フノ理由ヲ以チマシテ、大ニ反駁ヲシ、從テ此第六十四條第二
項ノモノトハ固ヨリ違フト云フ-豫備費ト云フモノハ異ナル所ノモノ
デアルト云フコトヲ辯明ニナリマシタデアリマス、如何ニモ現行會計法ニ依
リマスレバ、則チ第六條ニ於キマシテ「歳入歳出ノ總豫算ハ之ヲ經常臨時ノ二
部ニ大別シ各部中ニ於テ之ヲ款項ニ區分スヘシ」トアリマスルカラ、款項デ
ナケレバ、則チ豫算デナイト云フコトモ言ヘルカモ知レマセヌガ、ソレガ則
チ不都合デアル、故ニ是ニ但書ヲ設ケテ豫備費ト云フモノヲ、款項以外ニ置
カウト云フンデアリマスル、既ニ法律ニ於テ款項以外ニ於テ豫備費ト云フダ
ケハ豫算ト雖モ款項以外ニ置クト云フコトヲ明ニ致シマシタ以上ハ、固ヨ
リ政府ガ勝手ニ豫備費ト云フモノヲ增減ヲシタリ、或ハ議會ノ協贊ヲ經ヌト
云フヤウナ譯ニ往カヌト云フコトハ則チ明瞭ナコトデアリマシテ、縱令款
項以外ト雖モ豫備費ナルモノハ豫算デアルト云フコトモ、從テ明ナルモノト
考ヘルノデアリマスル、抑〓此案ノ起ッタ理由ト申シマスルモノハ、既ニ諸君
モ數囘ノ議會ニ於テ御經驗モアリマスルコトデアリマスルカラ、理由ヲ別段
申上グナクテモ疾クニ御了解ノコトヽ考ヘマシテ、最前委員會ノ報告ノ時
ニ於キマシテモ、別段ニ申上ゲナンダ次第デアリマスル其譯ト申シマスル
モノハ、此豫備費ト云フモノハ憲法ノ明條ニ依リマスルト、避クベカラザ
ル豫算ノ不足ヲ補フタメニ、又ハ豫算ノ外ニ生ジタル必要ノ費用ニ充ツルタ
メトアリマスル、アリマスルガ、第六十四條第二項ト何カ異ナル所ガアリマ
スルカ、唯文字上ニ於キマシテ豫算ノ款項ニ超過スト、第六十四條ノ二項ニ
ハ見エテ居リマスルガ、此第六十九條ノ豫算ノ不足ヲ補フト云フノハ事實
ニ於テ則チ矢張款項ニ超過シタモノデハアリマセヌカ、款項ニ超過スルカラ
シテ、則チ不足ガ生ジタ譯デアッテ、款項ニ超過セヌ以上ト云フモノハ、不
足ト云フコトニハナラヌデアリマスル、スレバ事實ニ於テハ同一ノモノデアッ
テ、少シモ異ナル處ガアリマセヌ、又其異ナル處ノナイト云フニ就キマシテ
ハ一ツノ茲ニ參照トセニヤナラヌコトモアリマスル、其譯ト云フノハ
此第七十條ニ於キマシテハ、則チ此次ノ議會ニ於テ、帝國議會ニ提出シテ承
諾ヲ求メルト云フコトガアリマスル其豫備費ノモノモ亦七十條ノモノモ政
府ガ-豫備費ハ固ヨリ豫算ノ中デハアリマスルケレドモ-政府ガ勝手
ニ使ッテ後日帝國議會ノ承諾ヲ求メルモノニナッテ居リマスルナリ七十
條ハ則チ公共ノ安全ヲ保持スルタメ緊急ノ需要アル場合ニ於テ政府ガ特ニ適
當ノ處分ヲ爲シテ、後日議會ノ協賛ヲ求ムルト云フコトデアリマスル、卽チ
豫備費ニハ固ヨリ事後ノ承諾ヲ求ムル以上ハ、其所ニモ必ズ其明文ガアルベ
キモノト考ヘルデアリマスル、然ルニ其明交ヲ置カズシテ、第六十七條第二
項ノミニ置イタト云フモノハ、卽チ其物ノ同一デアルカラシテ、豫備費ノ所ニ
於テ別段ニ其明文ヲ設ケイデモ一ヲ以テ相照シテ、同ジ歸著ヲ一ニスルコト
ニナルト云フ次第デアラウト私共ニ於テハ考ヘル次第デアリマスル、抑〓此
事實ニ照シテ考ヘルノニ若ヤ唯今小西君ガ言ヘル如ク、此第六十四條第二
項ノモノト云フモノハ、全ク豫備費外ニシテ政府ハ適宜ニ豫備費外ニ之ニ依ッ
テカラニ、支出ヲ爲シ得ラレルコトニナリマシタナラバ、殆ド豫算ト云フモノ
ハアッテナキガ如キ事實ニナリマシテ、豫算ノ有無ニ拘ラズ、政府ハ必要ト認
メレバ、何時デモ之ニ依ッテ支出シ得ラレルト云フコトノ結果ニナリマス果
シテ然ルトキニハ、遂ニ會計紊亂ノ源トナッテ、其檢束ヲ爲スト云フコトノ途
ヲ得ヌノデアリマスル、ソレ故ニ是マデノ第一期以來ノ帝國議會ニ於キマシ
テモ、此第六十四條第二項ニ於テ卽チ豫算外ト認メテ支出スル經費ニ就キマ
シテハ或ハ愛岐震災ノ如キ費用、其支出ニ於テ止ムヲ得ヌト云フトキニハ、
承認ヲシタコトモアリマスケレドモ、其他ノ箇條ニ於キマシテハ誠ニ必要
ト認ムル費用ト雖モ、多ク云々致シテ承諾ヲ與ヘナイコトニナッテ議會ハ
全ク之ヲ豫備費ノ支出ニ對シテ、持チ得ベキ所ノ條項デアルト云フコトニ、
是マデ見テ居ルコトデアリマスル、ソレ故ニソレニ就イテ今マデ政府ノ辯明
スル〓ニ於テ、聊カ口實アルト云フモノハ此豫備費ト雖モ矢張豫算ノ款項
デアルジヤナイカ、豫算ノ款項デアルカラシテ、豫備費ノモノヲ此第六十四
條第二項デ同一ノモノト見タトキニハ卽チ款項ニ超過シタト云フ文字ハ當
ラヌデハナイカト云フコトヲ以テ、豫備費外ニ之ヲ適用スルコトニナッテ居
リマス、ソレガ卽チ是マデ政府ノ此第六十四條第二項ノ款項ト云フコトニ就
イテ、豫備費外ノ支出ヲマア濫用スルト云フコトノ理由デアルガ如キ有樣ニ
ナッテ居リマスルカラ、ソレ故ニ今日ハ此豫備費ト云フモノハ款項以外ニ於
テ、全ク此憲法第六十四條第二項ガ卽チ豫備費支出ノ結果ノ承認ヲ求ムル手
續ニナルト云フコトヲ明ニスルノガ、適當デアルト云フコトニ考ヘマシタ次
第デアリマス、卽チ提出者ノ意モソレニ外ナラヌモノト推考致ス次第デアリ
マスル、斯ル議會ノ權能ニ附キ關係ノアルコトデアリマスルカラ、ドウカ諸
君ハ之ニ御贊成ニナランコトヲ希望致シマス、尤モ小西君ガ七十條ノコトモ
種々御辯解ニナリマシタガ、如何ニモ七十條ノコトニ就キマシテハ非常ノ
場合等ハ出スコトモアリマセウ、必シモ七十條ガアルカラ、此或ハ剩餘金支
出ノ如キコトガアッテモ差支ナイト云フ譯ニハ參リマセヌガ、固ヨリ斯ウ云
フコトニ檢束ヲ加ヘル以上ハ、或ハ豫備費ヲ幾分カ餘地ヲ置イテカラニ、實
際差支ヘヌ場合ノ考ト云フモノハ議會ニ於テナケレバナラヌモノト思ヒマ
スルシ、又萬一豫備費デ差支ヘルトキニハ臨時帝國議會ヲ開イテ協贊ヲ求
メルガ宜イデアリマスルナリ又其事柄ニ依リマシテハ、七十條ヲ適用スル
コトモアリ得ラルヽデアリマスルカラ、豫備費ト云フ金額ニシテ相當ノ額ヲ
置ク以上ト云フモノハ事實ニ於テ少モ差支ナク、則チ國家ニ在ルベカラザ
ル剩餘金抔ヲ目當ニシテ、會計ノ紊亂ヲ釀シ、豫算權ノ蹂〓ヲ受クルト云フ
ヤウナコトノナイヤウニ致シタイト云フコトニ、私等ハ熱望デアリマスルカ
ラ本案ヲ贊成致シマシタ次第デアリマス、宜シク御贊成アランコトヲ希望
致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=18
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019・金尾稜嚴
○金尾稜嚴君(二百四十七番) 議長発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=19
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020・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 金尾稜嚴君
〔金尾稜嚴君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=20
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021・金尾稜嚴
○金尾稜嚴君(二百四十七番) 諸君、本案ハ憲法ニ關係ノアル大切ナ問題デ
アリマスルカラ、如何ニ軍國多事ノトキトハ申シナガラモ、最モ愼重ニ攻究
ヲ致サネバナラヌ大切ナ問題デアラウト思ヒマスル、本案ノ可否ヲ決セント
スルニ先立ッテ、先ヅ左ノ問題ヲ設ケテ決定シマシタナラ、一番早ク分ルデ
アラウト思フ、ドウ云フコトデアルカト言ヒマセバ第一ニ從來政府ノ行ヒ
來リマシタ所ノ豫備費以外ノ支出ナルモノハ、法文不備ノタメデアルカドウ
カ、斯ウ云フコトヲ一ツ決定シタインデ、第二ハ若シ法文不備ノタメデアル
トシマスレバ、會計法第六條ノ不備ナルガタメデアッタカドウカ、第三ニ
果シテ會計法第六條ノ不備ニ起因シタモノ、從來豫備費以外ノ支出ナルモノ
ハ法文不備ノタメデアッタト決定ガ附キマシタナラバ、吾ミガ是マデ豫備
費以外ノ支出ニ就イテ、政府ノ行爲ヲ責メ、憲法違反ナドト云フコトハ上
奏ユモナリ決議ニモナリ、解散問題ノ一ニモナッタ大切ナ事柄デアリマス
ルガ、斯ノ如ク吾ミガ政府ヲ責メタト云フノハ無理デハナカッタカドウデア
ルカ、斯ウ云フコトヲ一ツ決定シマシタナラ、明瞭ニ分ルデアラウト思フ、
提出者モ理由書ノ中ニドウ云フテ居ルカト云フニ、初メカラ憲法第六十四條
第二項ニ「豫算ノ款項ニ超過シ又ハ豫算ノ外ニ生シタル支出アルトキハ後日
帝國議會ノ承諾ヲ求ムルヲ要ス」トアル、第六十九條ニハソレガタメニ支出
スベキ所ノ豫備費ヲ設クベシト云フコトガアル、又會計法ノ第七條ニハ「豫
算中ニ設クヘキ豫備費ハ左ノ二項ニ分ツ、第一豫備金、第二豫備金云々」ト
アル、斯ノ如ク此法文ヲ照應シテ見レバ、前後ノ法文彼此相照應發輝シテ甚
ダ明白ナル所ナリトス、斯ウ書イテゴザイマス、實ニ此通デアル、一〓ノ疑
モナイノデアル、法文ニ少シモ不備ナ點ハナイノデアルソレデアルカラシ
テ、今日迄政府ノヤリ來ッテ居ル所ノ豫備以外ノ支出ト云フコトニ就イテ
ハ吾ミハ政府ノ行爲ハ全ク憲法ニ違反シタモノデアルト云フコトヲ今日マ
デ責來ッタノデアル、然ルニ提出者ハ其次ニ至ッテサリナガラ-サレバ豫
備費ナルモノハ豫算ノ款項以外則チ豫算案中ノ所謂款項ノ外ニ置カルベキコ
トハ、論ヲ竢タザル所ナルニ、會計法第六條ニハ「歲入歲出ノ總豫算ハ之ヲ
經常臨時ノ二部ニ大別シ各部中ニ於テ之ヲ款項ニ區分スヘシ」トノミアリ
テ、豫備費モ亦通常款項ノ中ニ置クモノヽ如キ觀アルハ前後牴觸セル嫌ナ
キ能ハズ、斯ウアル、此提出者ノ前後牴觸セル嫌ガアラウカト言ハルヽガ、
吾ミハ少モ分ラナイノデアル、會計法第六條ノ款項ト云フ中ニハ、所謂豫備
費モアリマセウ、併ナガラ其第六條ノ款項ト云フ言葉ノ中ニ、豫備費ガアル
カラト申シテ、憲法六十四條ノ款項ト云フ文字ノ中ニ豫備費ガ籠ッテ居ルト
云フコトハドウシテモ言ヘナイ、提出者ハ曾テ豫算ニ就イテモ三通リニ使ヒ
分ケテアル、斯ウ言ハレタ、第一ニ唯豫算ト云フ中ニ、第一豫備費第二
豫備費ヲ除イテ豫算ト云フトキ、第一豫備費ヲ籠メテ豫算ト云フトキ、第二
豫備費マデ籠メテ豫算ト云フトキ、ト同ジ豫算ト云フ言葉ニモ三通リアルト
言ハレタ、其通リデアル、款項ト云フ言葉ニモいろ〓〓アル、會計法第六條ニ
謂フトキノ款項ダト言ヒマセバ、其中ニ固ヨリ豫備費モ籠ッテ居リマセウ、
ソレガ籠ッテ居ルカラト云フテ、憲法第六十四條ノ豫算ノ款項ニ超過スト云
フ言葉ノ中ニ、第一豫備費第二豫備費ガ籠ッテ居ルベキ筈ガナイノデアル、
何故斯ク申シマスルカナレバ、若シ曲解者ガアッテ無理ニ解釋ヲシテ、此
憲法第六十四條ノ款項ト云フ中ニハ第一豫備費モ第二豫備費モ籠ッテ居ル
款項デアル、斯ウ言ヒマスレバ、此第六十四條ノ法文ニハイラナイ文字ガ澤
山書イテアル、款項ト云フカラ豫備費モ款項デアルカラ籠ッテ居ルト言ヘ
バ第一豫備費バカリデハナイ第二豫備費モ籠ッテ居ラネバナラヌ、其第
二豫備費ハドウデアルカト云ヘバ豫算外ニ生ジタル必要ノ費用ニ充ツルタ
メニ斯ウ云フコトノタメニ設ケテアル第二豫備費デアル其第二豫備費迄ガ
此六十四條ノ豫算款項ニ超過スト云フ言葉ノ中ニ籠ッテ居リマシタナラ
バ、則チ六十四條ノ豫算ノ款項ニ超過シト云フノハ總豫算ニ超過シタト云
フト同ジコトニナル總豫算ニ超過シタト同ジ意味ニナリマスレバ、何ノ必
要ガアッテ、其次ニ又ハ豫算ノ外ニ生ジタル支出ト云フコトヲ何故憲法ニ書
イタデゴザイマセウカ、サウシテ見マスルト、斯ノ如ク曲解スルナラバ、憲
法ノ書キヤウガ惡ルイト言ハネバナラヌ、冗語デアル、贅文デアルト云フコ
トガナクチヤナラヌ、憲法ノ惡ルイ筈ハアリマセヌカラ、是ハ曲解スル者ガ
惡ルイニ違ヒナイ、出來ナイコトヲ解釋スルノデアリマス如何ニ政府ト雖
モサウ云フ解釋ハ出來ナイモノデアラウト吾ミハ思フデアル、然ルニ元田君
ハ頻ニ其款項ト云フコトニ政府ハ重キヲ置キ、ソレヲ據所トシテ斯樣ナ解
釋ヲスル何所カラ御聞ニナッタカ、サウ云フコトヲ御辯明ニナリマスル
ガ唯今政府委員ノ言ハレタ所デ、本員ハ元田君ノ御想像ガ間違ッテ居ッタ
ト云フコトガ分ル、政府委員ハ何ト言ハレタカ、六十四條ノ款項ト云フ文字
ノ中ニハ豫備費ガアラウガアルマイガ構ハナイ、斯フ言ッテ居ル、元田君
ハ必ズ其所ニ豫備費ト云フモノガナクテハイケナイ、斯ウ云フコトニ政府ガ
解釋シテ居ルヤウニ御聽取ニナリマシタカラ、斯ウ云フ改正案ヲ御提出ニナ
リマシタラウガ、政府委員ハサウデハナイナイト云フノハドウデアリマ
入、元田君ノ改正案ノ通リ通過シマシタ所ガ、政府ハ「又ハ豫算ノ外ニ生シ
タル支出アル時ハ」ト云フコトガ六十四條ニアルカラ、之ヲ曲解シテ矢張豫
備費以外ノ支出ヲヤルニ違ヒナイ、豫備費ヲ款項以外ニ置キマシタ所ガ、豫
算ノ外ニソレヲ置クト云フノハドウシテモイケナイ、矢張豫算デアル、サウ
スルト「又ハ豫算ノ外ニ生シタル支出」ト云フテアルカラ、豫備費モ豫算デア
ル、豫備費以外ノ支出ヲシテモ宜シイト斯ウ解釋ヲスルニ違ヒナイ、是モ固
ヨリ間違ッタ解釋ニハ違ヒナイ驚入ッタ解釋デハアリマスガ、又款項ト云
プ二字ヲ據ロトシテ、解釋スルヨリハ少シハ此方ガ穩デアル、斯ノ如ク論ジ
テ見マスルト此改正案ト云フモノハ進ンデハ少シモ豫備費以外ノ支出ヲ
政府カラスルコトノ出來ナイヤウナ效力ヲ持ツコトガ出來ヌ、退イテハドウ
デアルカ、唯徒ラニ蛇足ヲ畫クト斯ウ云フコトニナル、サリガラ玆ニ斯ウ
云フコトガゴザイマセウ、政府モ從來豫備費以外ノ支出ヲ六十四條ニ依ッテ
ヤッテ居ルヤッテ居ルト云フモノヽ良心ニ顧ミタラ大方快クハナイデア
リマセウ是ハ甚ダ心持ハ宜クナイ種々ナこじつけノ理窟ヲ云フケレド
モ、良心ニ顧ルト甚ダ心持ガ宜クナイ、何カ機會ガアッタラ、是ヲ一ツ止
メタイモノジヤト云フコトハ過ヲ知ル所ノ政府ナラ知ルニ違ヒナイ、然レ
ドモ何カ其機會ガナクテハ止メラレナイ、此所デ此改正ノ案ドモガ通過致シ
マシタナラバ、始テソレガ機會ニナリ、今マデ政府ガヤッタノハ、全ク法文
不備ノ〓ガアッタカラヤッタノデアル、斯ノ如ク法文ノ整ッタ此上ハ、モウ
是カラハ政府ハヤラナイト斯ウ云フカモ知レマセヌ、サウスルト政府ガ良心
ニ顧ミテ何カ止メタイト云フ考デモ持ッテ居リマスレバ、始テ之ガ效能ヲ爲
シマセウガ、政府委員ノ云フ所ニ依レバ、サウデモまさかナイヤウデアル、
是ハ豫算ノ款項ノ中ニ、豫備費ガアラウガアルマイガ、政府ハ六十四條ニ依ッ
テヤル、ソレハ豫算ノ外ニ生ジタル支出ト云フ言葉ニ就イテ、政府ハサウ云
フ曲解ヲスルノデアリマセウサウシテ見ルト實ニ何ニモナラヌ效能ノナ
イ改正ト言ハナケレバナラヌ、若シ元田君ノ言ハルヽコトガ通過シ、政府モ
過ヲ悟ッテ、之ヲ機會ニシテ、今マデノ惡ルイコトハモウ是カラハセナイト
斯ウ云フコトデアリマスルナラ議院ハドウデアリマセウ、今日マデ政府ヲ
批難シマシタガ、ソレハ全ク法文不備ノ點デ、政府ハ言ッタノデアル議會
ガ憲法違反ダト言ッタノハ、大早計ダ大間違ト云フコトニナル、サウ云フ結
果ニナリマシタナラ、始テ此元田君ヨリ御提出ニナッタ所ノ改正案ハ私ガ
名ヲ付ケルト剰餘金支出期滿免除法案ト云フ名デモ付ケタラ宜カラウト思
フ、是ヨリ外ノ效能ハナイノデアル、要スルニ進ンデハ豫備費以外ノ支出ヲ
喰留メルダケノ功用モナシ、退イテハドウデアルカ、從來此議院ニ於テ唱ヘ
來ッタ所ノ豫備費支出ノコトニ就イテノ政府ノ批難トモ申シマスルモノハ
全ク議院ノ批難シタノハ間違デアル、憲法不備ノタメニ、政府ハ法律不備ノ
タメニ、政府ハヤッタノデアルト云フコトニナレバ、始テ期滿免除-剩餘
金ノ期滿免除ニデモナリマセウガ、其他ニ私ハ少シモ必要ヲ見ナイノデアリ
マス、斯ノ如キ理由デアリマスカラ、有名ナル所ノ法律家ノ元田君ノ御提出ニ
ナッテ、委員會ニ於テハ殊ニ通過シマシタ所ノ議案デ反對シマスノハ甚
ダ遺憾デアリマスガ、此議院ノ中ニモ從來豫備費支出ノコトニ就イテ憲法
違反ナドト云フコトヲ言ハナイ御方モアル言ハナイ御方ガ之ヲ御提出ニナ
リ之ニ御贊成ナサルノハ御尤ナコトダト思ロマスル、憲法違反ト云フコ
トヲやあましく言ッタ人ガ、之ニ御贊成ニナルト云フニ至ッテハ少シク御
考ガ違ロハシマイカト思フ、ドウカ軍國多事ノ時デアリマスガ、斯ノ如キ重
要ノ問題ハ申上グルマデモナイ、十分ニ御熟考ノ上デ、可否ノ御決定アラン
コトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=21
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022・元田肇
○元田肇君(九十三番) 私ハ議場ニ請求ガゴザイマスルガ、本員ハ旣ニ一ト
度發議ノ趣意ヲ演說致シマシテゴザイマスルガ、私ノ提出ノ趣意ガ未ダ全
ク盡シテ居ラヌト考ヘマスル故ニ、聊カ趣意ヲ辯明致サウト思ヒマスカラ、
少シノ間··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=22
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023・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 辯明ニ留ッテ居レバ宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=23
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024・元田肇
○元田肇君(九十三番) 若シ辯明以外ニ渉ッタナラバ、御制止ヲ願ヒマス
〔元田肇君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=24
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025・元田肇
○元田肇君(九十三番) 私ハ特ニデハゴザイマセヌ、衆議院規則ニハアリマ
スルケレドモ、發議ノ趣意ヲ辯明スルノ機會ヲ與ヘラレマシテ、滿場諸君ニ
御禮ヲ申シマスデゴザイマスデ多分ハ上ガラヌデ置キタイト考ヘマシタ
ガ、田君ノ御贊成ノ演說ヲ下サレタ以外ニ於テハ唯攻擊ノミト云フコトデ
實ハ私ノ豫想ニ反シタコトデ、提出ノ理由ヲモウ少シ申上ゲナケレバナラヌ
コトニナッタ譯デゴザイマス私ノ提出致シマシタノハ斯ウ云フ趣意デ提
出致シマシタデ唯今ノ二百四十七番ノ演ゼラレマシタノハ提出者ハ曾テ
六十四條ノ第二項ニ依ッテ政府ガ豫備費等ヲ支出致シマシタノヲ是認シタル
論者デアルソレ故ニ之ヲ提出シタカラシテ、諸君ニ於テ注意シナケレバナ
ラナイ、之ヲ直スト云フト、政府ガ前ニ違憲デアルト吾ミノ唱ヘタ所ノ趣意
ヲ至當ト認ムル機會ヲ與ヘル、油斷ハナラヌゾト云フヤウナ滿場ノ如何ニモ
人氣ヲ惹起ス所ノ御演說ヲ以テ、私ノ提出シタ趣意ヲ申サレルコトデアリマ
スカラ、私ハ實ニ遺憾ニ堪ヘナイノデアリマス(「人氣論ジヤナイ」ト呼フ者
アリ)私ノ提出シマシタ趣意ハ、此會計法ナドノコトニ至リマスルト云フ
ト隨分憲法ニ議論ガ及ンデ、面倒ナ問題デアリマスルガ、幸ニ此議會ニ於
テハ誠ニ滿足ナル議會ノ有樣デアッテ、政治ノ問題ヲ攻究スルニ一番宜イ議
會デアル何カ行掛リガアルカト云ヘバ行掛リモナシ、斯樣ナ場合ニ於テ、
苟モ其體裁ヲ得ナイモノ、或ハ不當トスルモノ、人ノ口實ヲ爲スト云フヤウ
ナ不完全ナ法律ガアルナラバ、此平穩無事ノ今日ニ於テ、矯正シテ後日誤ナ
イヤウニ又誤ガ爲シ得ベカラザルト云フコトニ益〓確實ナルヤウニ致シテ
置キタイト云フノガ、私ノ精神デ之ヲ提出致シマシタノデゴザイマス私
ガ此案ヲ提出致シマシタニ就キマシテハ私一個ノ提出デアッテ、カラニ他ニ
ドウ斯ウト云フ交渉ヲ致シタ問題デハナイ、又同志ノ者ニモ交涉ヲ致シタ問
題デモナイノデアリマス、唯豫算ノ編成ニ於キマシテ、斯クナラナケレバナ
ラナイト云フ觀念カラ出マシタ次第デアリマス、デ其次第ハモウ多辯ハ致
シマセヌガ、六十九條ノ法文ヲ讀ンデ見マスル、則チ憲法六十九條ノ法文ヲ
讀ンデ御覽ニナレバ第六十四條ノ第二項ニ豫算ノ款項以外ニ置カナケレバ
ナラヌモノデアルト云フコトハ爭ハレヌコトニナッテ居ル、避クベカラザル
豫算ノ不足ヲ補フタメニ豫算ノ外ニ生ジタル費用ニ充ツルタメトアッテ、豫算
ト云フ當リ前ノ款項ノ外ニ置ケト云フコトハ編成上サウナラナケレバナラナ
イト確信シテ居ル次第デアリマスデ唯今此問題ニ就イテ種々ナ反對ノ攻擊
ガゴザイマシタケレドモ、私ハ小西君ノ御意見トハ提出ノ趣意ニ於テ見解ヲ
異ニスル者デアル、凡ソ國家ノ歲出入ニ於キマシテ殊ニ歳出ノ中ニ於キマシ
テ、剩餘金ノ如キ變體ノ幽靈然タル金ガ殘ッテ居ルコトハ決シテナイモノト
確信シテ居ル者デゴザイマス、剩餘金ノ如キモノガアレバ小西君ノ言フヤウ
ナ事柄ハ出テ來ルカ知レマセヌガ、ソレハナイモノデアル、則チ何ガ歲出ノ部
ニアルカト言ヘハ、年々ニ使用スル款項ニ見積ッタ入用ノ萬一ノ不足ヲ補
フタメノ豫備費ガ据エアッテ、此外ニ金ハナイ筈デアル是ガ則チ本體デア
ルト私ハ看做スノデアル、此本體ニ基イテ憲法ガ出來テ居ルモノデアルド
ウスルカト云ヘバ、款項デ往ク、款項ノ費用デ足ラヌトキハ、豫備費ヲ設ケ
テ置クゾト、ソレデ足ラナイ必要ナ意外ナコトガ起ッテ來タトキニハ、財政
上必要ノ處分ヲシナケレバナラヌカラ、第七十條ノ緊急勅令ヲ以テ之ヲ處
分スルト云フコトニ定メタノハ、私自身ノ信ズル所ニ據リマスレバ、實ニ憲
法上明白ノ事實デアルト思フノデゴザイマス、偶:剰餘金ト云フヤウナ妙ナ
モノガ出テ來テ、此間ニ種々ナル誤解ト申シテハ、私ノ目カラ見タ誤解デアッ
テ、眞僞如何カハ存ジマセヌガ、私ハ誤解ナルモノヲ生ジテ種々ナ議論ヲ出
スヤウニナッタト思ヒマスガ是ハ變體ナル話デアル、歲出入ノ中ニ於テ豫
算ハ款項ニ設ケタモノガ足ラヌトキノタメニ豫備費ヲ置ク其外使ッテ宜
イカ分ラヌモノヽアルベキ筈ガナイノデアル、則チ憲法ニ其道理ハナイモノ
ニシテアル、無イ場合ニハドウスルカト云ヘバ、六十九條-デハアリマセ
ヌ、七十條ノ勅令ニ依ッテスルト云フコトニ憲法ガナタテ居ルコトヽ確信シ
テ疑ハヌノデゴザイマス、サウシマスルト、豫算ノ款項ニ是非區別ヲシヤウ
ト云フニハ、何ガ命ズルカト云ヘバ、憲法ニアラズシテ、會計法第六條ガ命
ジテ居ルノデアル、此命ジタ法ガ間違ッテ居ルカラシテ、是ハソレヲ矯メテ
款項ノ外ニ置クト云フコトニシタ方ガ、當然デアル、是ハ憲法カラ來タコトデ
ハアリマセヌカ知リマセヌガ、私ノ豫テ豫算ノ原則トシテ聞イテ居ル所ニ依
レバ、款項ノ流用ヲ許サヌト云フヤウナコトヲ聞イテ居ル、本院ニ於テモ其
主義ヲ執ッテ居ルコトヽ確信シテ居リマス、然ルニ此款項ト云フハ何ヲ云フ
カト云ヘバ、則チ政府ノ編成シテ議會ノ承諾ヲ求メテ來ル豫算ニ違ヒナイ、
豫算ノ款項ノ流用ハ相許サヌト云フコトガ原則トナッテ、本院ガ之ヲ確認シ
テ居リナガラ、大藏省ノ款項ノ中ニ不足アルトキニハ勝手次第ナル流用ス
ル豫備費ヲ置イテ置クト云フノハ如何ナモノデアリマセウカ、是レ豫算ノ編
成上ニ於テ款項ノ外ニ置カナケレバナラヌ、是等ノ款項ト異ナル地位ニ置カ
ナケレバナラヌト云フコトハ、明ト信ジテ則チ斯ク修正シヤウト思フノデゴ
ザイマス、デ甚ダ歎ハシキコトデアリマスルノハ、旣往ノ成績ニ就イテ發議
者ハ何ヲ云フタコトノアル人デアルゾト云フヤウナ事柄デ、本案ノ廢棄ニ屬
セラルヽコトニ至ッテハ、如何ニモ痛歎ニ堪ヘナイ、其以外ニ於テ果シテ左
樣ナコトニ豫算ノ編成上ナラニヤナラヌモノデアルカ、又サウデナクシテ、
私ノ言フノガ間違ッテアルト云フコトデアルナラバ、反對セラルヽモ遺憾ハ
ゴザイマセヌト云フコトハ私ノ言フ通ニ體裁ハサウデアルガ、
履歷ニ於テ
私ハ能ク覺エナイ、果シテ違憲問題ト云フニ私ガ反對ヲシタト云フコトハ
私ハ覺エナイ吾〓ノ同志トナッテ居ッタ者ノ中ニハ反對シタ人ガアルカ
知ラナイガ、憲法違反デナイト云フコトニ私ハ主張シタト云フコトハ覺エナ
イヤウニ思ヒマス、唯至當デアルト云フコトヲ言フタコトガアル、事實止ム
ヲ得ザル場合デアッタカラシテ、此支出ハ事實止ムヲ得ヌ次第ニアルト云フ
コトニ同意ヲシタコトガアル、唯滿場ノ諸君ノ氣ヲ惡ルウサルヽヤウナコト
ヲ以テ苟且ニモ此會計法ノ改正案ノ否決ニナリマスルノハ、殘念デナリマ
セヌカラ、一應申シテ置キマス、ソレデ大抵申上ゲマシタガ、政府ガ辯明セ
ラレタト云フ趣意ハ、聽キマセナカッタガ、ソレハドウ云フコトヲ言ッタ所
ガ無妄ナコトヲ言フノニ頓著スルコトハナイ、議院ハ豫算編成ノ體裁宜シキ
ヲ得ルヤウニ、馬車馬ノ如ク改正シテ往キサヘスレバ宜シイ、政府委員ガド
ンナニ改正スルト言ッテモ、橫著ナ政府ハ橫著ヲスルニ極リ切ッテ居ルカ
ラ、私ハ政府ガ斯ウヤルカラト云フコトヲ標準ニシタノデハナイ當然爲ス
ベキ編成方法ニシヤウト云フノガ趣意デアリマスデ此所デ辯明ハ終リマス
んや、私ハ旣往ハ勿論政府ノ不都合ナコトヲシタノハ、十分ニ消滅スル譯デ
ハナイ、憲法上ニ於テ間違ッタコトヲヤッタト云フコトハ飽クマデ明デ
アレバ、決シテ此改正ノタメニ消滅スルコトハナイト云フコトハ二百四十
七番ノ說ノ通ノ趣意デ、本案ヲ提出致シマシタノデゴザイマスガ、又一面ニ
ハ之ヲ後會ニハサウ云フ不都合ナコトヲシナクナルカ知ラヌ、本員ハ偶〓之
ヲ機會ニ與ヘテモ、政府ガ從前ノ如ク不道理ノコトヲシナイヤウニナルト云
フコトハ、誠ニ喜ブコトデアッテ、何處マデモ不道理ノコトヲサセルト云フ
ヤウナコトハ、甚ダ歎息スルデゴザイマス、此邊ハ本員提出ノ趣意ノ重モナ
ル理由デゴザイマスカラ、願クハ此豫算編成ノ體裁ニ於テ、斯クナルベキモノ
デアルヤ否ヤト云フコトニ、御著目ノ上ニ、贊否ヲ御決シアラムコトヲ偏ニ
切望致シマス
(「討論終結」ト呼フ者アリ「贊成」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=25
-
026・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 討論終結ノ發議ガアッテ贊成ガアッタヤウニ思ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=26
-
027・尾崎行雄
○尾崎行雄君(二百三十九番) 他ニ議論者ガナクバ、本員ハ反對ノ趣意ヲ簡
明ニ辯ジタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=27
-
028・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 尙通告順ニ從ヒマスト、末廣君ノ順ニナッテ居リ
ス
〔「討論終結」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=28
-
029・島田三郎
○副議長(島田三郞君) サウ致シマスルト、討論終結ノ動議ガ成立チマセヌ
ケレバ通告順ニ依リマスルシ、成立チマスレバ其通致シマス、討論終結ニ
同意ハ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=29
-
030・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 多數ト認メマス、討論終結ニナリマシタ、是ヨリ二讀
會ヲ開クヤ否ヤノ決議ヲ採リマス、二讀會ヲ開クニ同意ハ起立ヲ請ヒマス
起立者少數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=30
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031・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 少數ト認メマス、是ヨリ第三ノ日程ニ移リマス、特
別輸出港規則追加法律案第一讀會-中島又五郞君
第三特別輸出港規則追加法律案第一讀會
(中島又五郞君外一名提出)
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
明治二十二年法律第二十號特別輸出港規則中左ノ通追加ス
第一條ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ本條明示外ノ品種ハ必要ニ應シ大藏大臣之ヲ定ム発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=31
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032・吉本榮吉
○吉本榮吉君(六十四番) 其前ニちよっと申サナケレバナリマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=32
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033・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 中島君ニ發議ヲ許シマシタガ、あなたノハ議事ノ順
序ニ就イテノ發議デゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=33
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034・吉本榮吉
○吉本榮吉君(六十四番) 順序ニ就イテ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=34
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035・島田三郎
○副議長(島田三郞君) ソレデハ中島君暫ク-吉本榮吉君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=35
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036・吉本榮吉
○吉本榮吉君(六十四番) 私ハ第三ト四ヲ合併シテ決議ヲ採ラレルコトニ致
シタウゴザイマス、是ハ出入ノ差ガアルノミニシテ、同一ノ種類ノモノデア
リマスカラ、今提出者ガ說明セラルヽニモ、此第三第四ハ聯絡シテ自然分
リマス、此特別委員ニ掛ケテモ、同一ノ委員ニ掛ケナケレバナラヌヤウナ譯
デアリマスカラ、總テ聯絡シテ決議ヲ採ラレンコトヲ希望シマス
〔「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=36
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037・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 贊成ガアリマスカ
(「贊成」ト呼フ者アリ「の-〓〓」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=37
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038・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 是ハ贊成ガアリマシテモ、議長ハ議事ノ順序ニ於テ、
是ハ決議ニ諮ヒマセヌ、唯今御發議ノ理由ハ委員ヲ選プト云フ時ニ、御發議
ニナッテ宜シカラウト思フ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=38
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039・吉本榮吉
○吉本榮吉君(六十四番) 委員ヲ選ム時デ宜シイヤウデハアルガ、提出者ノ
意見ヲ述ベル時デモ、兩方聯絡シテ居ルコトデアリマスカラ旁〓以テ相合
シテ決議ヲ採ラレンコトヲ望ミマス(「のー〓〓」ノ聲起ル)贊成モアリマスカ
ラ其事ニ取計ハレルコトヲ願ヒマス
(「聯絡ハシテ居ラナイ」ト呼フ者アリ〕
〔中島又五郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=39
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040・中島又五郎
○中島又五郞君(百六十七番) 諸君、此議事日程ニ揭グラレマシタ所ノ第三
ハ特別輸出港ノ追加法律案デゴザイマスガ、此特別輸出港ノ追加法律案ヲ議
シマスルニハ、輸入-第四ニ揭ゲテゴザリマスル特別輸入港法案ノコトニ
幾ラカ關係致シテ居リマスカラ、特別輸入港法案ノ事柄ニ就キマシテモ、此間
ニ述ベマスルノハ、大ニ便利デアラウト思ヒマス、再三演壇ニ登リマシテ、
貴重ノ時間ヲ費スノモ如何ト思ヒマスカラ、此兩樣相混ジマシテ、(28)
特別輸出港ノコトニ及ビ、ソレヨリ特別輸入港法案ノコトニ及ブ積デアリマ
スカラ、此段豫メ御斷ヲ致シテ置キマス、ソレデ此本員ガ特別輸入港法案、
特別輸出港追加法案ト此二ツヲ提出シテゴザイマスルガ、元來特別輸入港ト
云フモノヲ設ケタイト云フ趣意ト申シマスルモノハ唯外國品ノ輸入ノ便利
ヲ與フルト云フコトニノミ關係シタ譯デハゴザリマセヌ、理由書ニモ揭ゲテ
ゴザイマシタガ、マダ我邦ニ於テ製造致シマセヌ所ノ品物、則チ機械類ノ如
キ例ヘバ製鐵、又ハ製絲、、、或ハ紡績等ノ器械ニ屬シマスルモノデアルト
カ、又ハ量目ノ澤山カヽル鐵道用具ノ如キれいるト云フ如キモノ、又ハ工業
用ノ原料ニ供シマスル所ノ線デアルトカ云フ如キモノニハ特別輸入ノ規則
ヲ設ケタ方ガ、卽チ工業發達上ニ於テ頗ル便利デアルト云フコトヲ考ヘタ
次第デアリマス、抑〓此農業上ニ於キマシテハ大〓發達ノ度モ限度ノアル
モノデゴザイマスケレドモ、工業上ノコトニ於キマシテハ實ニ一定ノ限度ハ
ナクシテ、幾許ノ進步ヲ致スカ計リ難イ程ノモノデゴザイマス、ソレ故ニ我邦
ノ有樣ヲ考ヘテ見マスルト、一ノ紡績事業ニ致シマシテモ、明治二十四年-
三年四年頃カラ本年ニ至リマスルマデハ頗ル進步ノ速ナルモノデ、其頃
カラ計ッテ見マスルト明治二十四年頃ニハ三百六十-三十六万本ノ錘ヲ
用ヒタモノデ、ソレガ日本全國ノ有樣デアッタモノガ、最早今日ハ餘程數多
ク相成リマシテ、七十三万本モ用井ルト云フヤウナ僅四五年ノ間ノ進步ガ斯
ノ如キ有樣デゴザリマス、ソレハ何故ト申シマスレバ、元來我邦ノ如キハ工
銀モ餘程安ウゴザイマスルシ、又氣候モ宜シイ、又我邦ノ國民ノ性質トシ
テ、此工業上ノ長技ヲ有シテ居リマスル、或ハ指先ガ利クトカ手ガ利クト
カ云フヤウナコトモゴザリマス、又工業用ニ最モ多ク費シマス石炭等ノ如キ
物ハ殊ニ我邦ニ於テ富ンデ居リマスル、是等ノ事ヨリシテ、此工業上ノ進
步ハ著々進ンデ參リマスルノデアリマス、所ガ今日ノ有樣ハ如何デアルカト
考ヘテ見マスルト、我邦ニ於テ開港場ハ姑ク措キマシテ、其他ニ特別輸出港
ト云フモノガ、十一箇所開カレテゴザイマス、其特別輸出港モ品物ハ僅五品
ニ限ラレテ居リマス、米、麥、麥粉、石炭、硫黃ト云フ五品ニ限ラレテ居リマ
ス、十一箇所ノ特別輸出港ヲ設ケテ置キナガラ、品物ハ僅五品ヲ限ラレテ居
ル然シテ此場所ヘハ輸入ヲ-外國品ヲ輸入スルコトハ出來ナイコトニ相
成ッテ居リマスルワレガタメニ品物ヲ外國カラ取寄セル場合ニ至リマスル
ト一々開港場ニ持込ンデ開港場カラ、之ヲ更ニ船ヲ雇フテ、二重ノ手數ヲ
費シテ持込マナケレバナラナイ有樣ニナッテ居リマスル、ソレ故ニ器械ノ如
キ屢〓積卸ヲ致シマス場合ニハ破損等ノ憂モアリマス、餘程損害モ生ズル、
又原料ノ-工業用ノ原料ニ使フ綿ニ致シマシテモ屢〓船ニ積ンデ運搬ヲ致
シマスレバ二重三重ノ運賃ヲ要スルヤウナコトニ相成リマシテ、遂ニ其製
作物ガ其價ヲ增シマスル、ソレガタメニ輸出ヲ致シマシテモ、外國ノ競爭ニ
於テモ幾ラカノ直段ノ高イ所カラシテ、其影響ヲ蒙ル虞モゴザリマスルノ
デ、故ニ一方ノ特別輸入港ノ方ニ於キマシテハドウカ今ノ現在アリマスル
所ノ輸出港ノ中ニアル最モ必要ナル場ヲ選ミマシテ、此次ノ日程ニ載ッテ居
リマスル三箇所ノ場所ヲ選ンデ、門司、口ノ津、四日市ト云フ此三箇所ニ對
シテ、特別輸入ヲ致シタイ其品物ハ前申シマスル通リ、殊ニ目方ノ重イ所
ノ鐵道用具デアルトカ、或ハ器械類ノ破損シ易イ器械類デアルトカ、又ハ最
モ我邦ニ於テ多ク外國品ノ輸入致シマス所ノ綿ノ如キモノヲ特別ノ輸入港
ニ、之ヲ直ニ輸入シ得ラレルヤウニ致シタイト云フ一方ノ考デアル、又一方
ノ特別輪出港ノ追加法律案ヲ前申シマスルヤウナ僅五品ニ止ッテ居リマスル
ガ故ニ、之ヲ致シマスルニモ僅五品限デアリマスカラ、其他最モ我邦ニ重
要ナ產出物ガアッテモ之ヲ出スコトガ出來マセヌ、隨分今日ハ或ハせめんと
ノ如キ、或ハ菜種ノ如キ、或ハ木炭ノ如キ、或ハこうくすノ如キ、隨分外國
ニ輸出スベキモノガ澤山アルノデゴザイマス、現ニ石炭ノ特別輸出ヲ許サレ
テゴザイマス、石炭ノこうくすトハ格別差ハナイ、差ハナイケレドモ石炭
ハ特別輸出スルコトガ出來テ、こうくすハ更ニ開港場ニ參ラナケレバ出スコ
トガ出來ナイト云フ不便ガゴザイマス、是等ノ特別輸出港ヨリ出シ得ラルヽ
ヤウナコトニ相成ッタナラバ、輸出ト云フモノヽ增スノミナラズ、又一方ノ
特別輸入港ノ法案ヲ許可サルヽナラバ、從テ輸出輸入相俟ッテ大ナル便利ヲ
得ルデアラウト考ヘマスル、此特別輸出港追加法律案ニ於キマシテハ別段
ニ品柄ハ限ッテ居リマセヌガ、本文第一條ニ於テ品物ハ五品ニ限ラレテ居リマ
スガ、唯ソレニ但書ヲ加ヘマシテ「本條明示外ノ品種ハ必要ニ應シ大藏大臣之
ヲ定ム」ト致シマシタ故ニ我邦ノ重要ナル物產ヲ取調ベテ、此港ヨリハ斯々
ノ品物ヲ出ス方ガ便利ダト云フコトガ調査上擧ヲテ參ッタナラバ、之ヲ許スガ
宜シカラウト考ヘマス、今日ノ如ク法律ニ於テ「五品ニ限リ云々」トシテアッ
テハ、如何ニ大藏大臣ニ於テ此品ハ重要品デアルカラ、特別輸出港ヨリ出シ
タイト考ヘテモ詰リ兩議院ノ-上下兩院ノ協贊ヲ經ナケレバ一品タリ
トモ出スコトハ出來マセヌ、ソレ故ニ但書ニ此ゆとりヲ附ケテ置キマシタナ
ラバ他日其時其便ニ應ジテ大藏大臣ガ之ヲ許スコトガ出來マス、故ニ甚ダ
便利デアラウト考ヘマス今日敢テ品種ヲ限ル譯デハゴザイマセヌガ、但書
ニ於テゆとりヲ附ケテ置クノハ他日此進步ノ一日々々ト進步致シテ往キマ
ス、進ミマス所ノ工業物、又我邦ノ產出物ニ對シテ、大ナル便利ヲ與ヘラル
ルデアラウト考ヘマスソレカラ尙ホ此輸入ノコトニ至リマシテモ、今日ノ
九州邊ノ場所ハ諸君モ御承知ノ通リ、實ニ氣候モ宜シウコザリマスシ、又
賃金モ安イシ、將來興ルベキ所ハ九州地方ニ大ナル工業場ガ起ルデアラウ
ト云フノハ何人モ豫想シテ居ル所ノ場所デゴザリマス、今日ニ於キマシテ
モ現ニ紡績會社ガ-數箇所ノ紡績會社ガアル、久留米ニモゴザイマスシ
三池ニモゴザイマス、熊本ニモゴザイマス、鹿兒島ニモアルト云フヤウナコ
トデゴザイマスカラ、將來モ尙ホ續々起ルデゴザイマセウガ、偖其紡績會社
ノ使フモノヽ綿絲ノコトニ就イテモドウデアルカト云ヘバ支那地方カラ參
リマスモノハ、門司-下ノ關-長崎ヘ這入リマシテ、長崎カラ之ヲ積出
サシテ、長崎カラ更ニ船デアルトカ、蒸氣デアルトカ云フモノニ積ンデ、彼
ノ天草洋ヲ通リ、隨分海上ノ惡シイト云フ田母岬ト云フ所ヲ迴ッテ、サウシ
テ漸ク口ノ津若クハ三角ノ方ニ這入ッテ參ルノデゴザイマス、是ガ直ニ口ノ津
ニ其綿ガ這入リ得ラルヽヤウニナリマスレバ、從ッテ其空船ヲ以テ、又直ニ
石炭ヲ積出ストカ、或ハこうくすヲ積出ストカ、米ヲ積出スト云フヤウナ便利
ガアルデアラウト考ヘマス、又印度地方ノ方カラ參リマス綿ハ何處ニ這入
ルカト云フト、多クハ神戶ニ這入リマス、其神戶ニ這入ッテ神戶デ積卸ヲシ
テ、更ニ船ニ載セテ門司ニ這入リ、門司カラ又汽車ニ載セテ、各地ノ久留米
トカ熊本ト云フ方ニ·運轉致スト云フノデアリマス是ガ直ニ門司ニ這入リ得
ラルヽヤウニナリマスレバ是亦數度ノ積卸ノ手數モ省ケ、大ニ價ガ減ジ
テ、從テ製作品ノ價ガ安ク相成ルデアラウト考ヘル此品物タルヤ左程むづ
かしいモノデゴザイマセヌ、或ハ今日ノ五品ニ於テハ僅ニ無稅品デアルカ
ラ宜シイ、綿ノ如キ器械ノ如キ若シ這入ッタナラバ是ハ有稅品デアルカ
ラ、大ニ手數ガ增スデアラウカト云フ御疑ガアルカモ知レマセヌケレドモ、
取調ベル所ニ依レバ、格別手數ノ增ス譯デモゴザリマセヌ、因テ政府ノソノ
當局者ノ話デハ、今日ノヨリ凡ソ一倍モ增スデアラウカト云フ御話デアリマ
スガ左樣ニ增スコトハナカラウト思ヒマス、今日ニ致シタ所ガ、僅ニ門司
ノ如キハ二千四百圓、口ノ津ガ千六百圓位ノモノデゴザリマス、之ニ一倍ヲ
シタ所デ、門司ガ二千四百圓、口ノ津ガ千六百圓、四日市ハ今日少シモ稅關
ノ設ガゴザリマセヌカラ、金ハ掛ッテ居リマセヌ、尙ホ本員等ノ取調ベル所
ニ依リマスレバ、大〓一箇所ニ就イテ、一千圓モ增シタナラバ十分デアラウ
ト云フ考デゴザリマス、僅ニ三千圓位ノ增加ヲ致シテ、三箇所ノ港ニ特別輸
入ヲ設ケ得ラルヽヤウニ相成リマスレバ、從テ輸出品モ增シ、又其地方ニ居
ル所ノ工業家ノ發達ヲ圖ルコトニ相成リマスソレ此便利タルヤ獨リ工業者
其者ノ便利ノミナラズ、帝國ノ工業ヲ發達セシムルニ大ナル基ヲ開クノデア
ラウト考ヘマスル、故ニ一方ノ特別輸入港ノ-輸出港ニ於キマシテハ右
ノ但書ヲ添ヘマシテ、尙ホ大藏大臣ニ此ゆとりヲ附ケテ、將來生ズル所ノ產
出物ノ取調ヲ爲シテ、之ヲ許スト云フコトニナラバ一方ニ向ッテハ其特別
輸出港ノ中ノ或三箇所ヲ限ンテ便利ナル重量ナル、重イ所ノ鐵道用具デア
ルトカ、破損シ易キ器械デアルトカ、最モ多ク使フ所ノ工業用ノ原料ノ綿デ
アルトカ云フモノニ、特別輸入ヲ許サレタイト云フノガ、精神デゴザイマ
ス、大要說明ハ右ニ止メテ置キマスドウカモウ追こ會期モ迫ッテ居リマス
カラ諸君ノ御贊成ヲ受ケマシテ、此案ヲ特別委員ニ付セラルヽナラバ願
クハ一週間ノ日ヲ限ッテ取調アランコトヲ希望致シマス次第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=40
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041・末廣重恭
○末廣重恭君(百七十三番) 質問ヲ致シタウゴザイマス-大ニ疑惑ヲ生ジ
マスカラ、二三箇所伺ヒマス第一番ニ輸出港規則追加法案ヲ見マスト、是
マデ輸出港ニハ五品ト法律ニ定メテアルノニ今度ハ大藏大臣ニ必要ニ應ジ
テ之ヲ定メト言ッテ、立法官ノ權能ヲ殺イデ謹デ行政官ニ獻上ヲセラルヽノ
法案ト見ル、凡ソ是ガ矢張輸出ヲサセテ宜イモノナラバ、立法官ノ權能ヲ以
テ是レミニト調上ゲテ、法案ヲ作ッテモ宜カリサウナモノデアルガ、斯ク
一摑ミニシテ大藏大臣ニ獻上ヲシナケレバナラヌト云フノハ、如何ナル趣意
デアルカ、是ガ一ツデアル、次ニ特別輸出法案ヲ見ルト云フト「帝國臣民鐵軌
鐵道用具器械類及內地製造用原料云々」トアル、一方ハ鐵ノコトバカリ書イ
テアル、一方ハ內地製造用ノ原料ト云フコトヲ書イテアルガ、先刻提出者ノ御
說ヲ承レバ、餘程是ハ紡績ナドニモ關係スルコトデアル、サウスルト折角輸
出港法案ダガ、一方ニハ鐵道、一方ニハ綿ノ如キモノバカリデアッテ、殆ド
是ハ鐵道會社ノ役人カ紡績會社ノ役人ノ目カラ見タ利益ノ外ナイヤウナ法案
デハナイカト云フコトヲ、甚ダ怪ムノデアルサウシテ尙ホ次ニ在ルノハ前
ニ鐵軌鐵道用具器械類云々ト書イテ、立派ニ箇條デ示シタト思フ「但シ特別
輸入港ニ輸入スル物品種類ノ細條ハ大藏大臣之ヲ定ム」ト云フコトデアッテ、
前ニ記載シタモノハ一向不確デアッテ、更ニ又細則ヲ以テ區域ヲ定ムルト
云フコトデアルガ、是ハドウ云フ御考ニナッタノデアルカ、況ヤ今日外國
カラ輸入スルモノヽ中ニ、各般ノ物品ノ中ニ提出者ガ唯今言ハレタヤウニ、
內地ノ製造工業ニ必要ナル所ノ蒸汽-蒸汽機械ト云フヤウナモノハ夥シク
這入ッテ居ル是等ヲ此法案ニ記載セズシテ、專ラ鐵道ノコトノミ御計畫ニ
ナッタノハドウ云フ御考デアルカ、是等ヲ明白ニ御示ヲ願ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=41
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042・中島又五郎
○中島又五郞君(百六十七番) 分リマシタ、御答致シマス、此特別輸出ノ追
加法律案ノ中ニ但書ヲ添ヘテ、大藏大臣ニ其品種ハ大藏大臣ノ定ムル所ニ任
スルト云フノハ、權利ヲ-自己ノ權利ヲ殺イダノデハナイカト云フヤウナ
ル御尋ト考ヘマスガ、第一ハ本員ハ既ニ特別輸出港ト云フ法律ガゴザイマシ
テ、其輸出港ニ於テ重ナル種類ハ定マッテアル以上ハ、則チ其他ニ品物ヲ殖
スト云フヤウナルコトハ左程議會ノ權利ニ關係スルトハ考ヘヌ、ト云フモ
ノハ特別輸出港ヲ開クトカ開カヌトカ云フコトニハ眞ニ立法部ニ關係スベ
キコトデ、其中ノ品物、菜種ハ今年能ク出來タカラ、菜種ヲ出スガ宜シイ、
米ハ今年能ク出來タカラ、米ヲ出スガ宜シイ、今年ハ米ガ足ラヌカラ、止メ
ルト云フヤウナコトハ行政官ニ任シテ議會ノ權利ニ妨ナイト考ヘテ居ル品
物ハ指スコトハ出來ナイカト云フ御尋デアルガ、前ニ申シマシタ通礦物デア
ルトカ、せめんとデアルトカ藥種デアルトカ木炭デアルトカ云フモノハ輸
出ニ出ルモノデアル、併シ是ダケ限ッテ更ニ玆ニ或品物ガ生ジタトキニ、實
ニ是ヲ輸出シタナラバ、其土地ノ便益-其近傍ノ港カラ產出ノ近傍カラ出
シタナラバ、宜シイト云フテモ議會ノ協賛ヲ經ナケレバナラヌカラ、甚ダ
不便デアル、故ニソレ等ノ便利ハ行政官ニ任シテ決シテ差支ナイト云フノデ、
此但書ヲ添ヘタノデアル、特別輸出港ニ於キマシテハ-特別輸出港ノ品物
ヲ見マスルト鐵道デアルトカ、或ハ製作物ノ原料、卽チ綿デアルトカ云フ
モノ是ハ紡績會社ノタメ、若クハ鐵道會社ノタメニ出來タモノヽ如クニ見
エルガ、如何デアルカト云フ御尋ノヤウニ聽取リマシタガ、此中ヲ御覽ニナッ
タラ能ク分ラウト思ヒマス、「器械れーる鐵道用具器械類及內地製造用ノ
原料」トゴザイマスルデ、鐵道ノ事ハ固ヨリアル、或ハ蒸汽器械ノ如キハ、
固ヨリゴザイマス、其他製鐵器械モアラウシ、種々ノ器械、大ナル器械モア
ラウ、ソレデ蒸汽罐ハ除ケテ居ルト云フ譯デナイ、是モ器械ノ一部ニ提出者
ハ見テ居ル、ソレカラ内地製造用ノ原料ト云フハ、專ラ綿ニ重キヲ置イテア
ルタ、併ナガラ他ニ工業場ガ澤山起ッテ斯ウ云フ原料ヲ取寄セナケレバナラ
ヌト云フ譯ナラバ、則チ其原料ヲ加ヘルコトハ豫想シテ居ル、强チ綿ニ限
ラナイ綿ノ外ハ出來マセヌト云フノデアリマセヌカラ、是又ゆとりヲ附ケテ
置キマスソレカラ物品ノ種類ハ大藏大臣之ヲ定ムトアッテモ、器械ト云フ
テモ時計ノ器械モゴザイマセウ、或ハ紡績ノ如キ、一万錘モ紡グ如キ大キナ
器械モゴザイマセウ、ソレヲ今日此所デ何々ノ器械、何々噸數ノ器械ナドヽ
云フコトヲ法律ニ於テ定メル必要ハナイト考ヘマス故ニ是等ハ大藏大臣ガ
其時ノ景況ニ依ッテドウ云フ器械ヲ許シテモ宜イ、ドウ云フ器械ハ許サナ
ィ、是〓ノ器械ハ許スト云フコトヲ定ムルハ是レ又行政官ノ固ヨリ適當ノ
處置ト考ヘル、器械ノ中ニモ種々ゴザイマス故、原料ト云フ中ニ今日ハ第一
ニ綿ヲ目指シテ居ルガ、其他ニ生ズルデアラウ、前ニ特別輸出港ニ於テ但書
ヲ添ヘタト同樣ノ精神ヲ以テ、ゆとりヲ附ケテ居ルカラ、左樣ニ御承知ヲ願
ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=42
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043・小畑岩次郎
○小畑岩次郞君(二百八十一番) 質問ヲ致シタウゴザイマスガ、此輸入港法
案ノ中ニ、今末廣君カラ御質問ガゴザイマシタガ、其種類ト云フモノハ、製
造用ノ原料ト、鐵道用ノ器具器械ト云フモノニ限ッテ居ルヤウニ交面上ニ依ツ
テ見ルト見エル、其他ニ三角ノ輸入器ニ就イテハ、海外カラ輸入スル產物
ノ中一番重イモノハ何ミデアルカト云ヘバ、砂糖デアル、綿デアル、或ハ近
來支那地方カラ來ル肥料豆糟豆ト云フヤウナ類ノモノガ一番重モナモノデア
ル、綿ハ如何ニモソコニアルヤウデアルガ、砂糖ノ如キハ如何ナル考デアル
カ、砂糖ノ如キハ其儘使用スルコトモ出來ズ、或ハ菓子ニ製造スルノ原料デ
アルト云フテモ宜イ、斯ル輸入スル品物ニ就イテハ砂糖ノ如キハ幾ド一千
万圓ニナッテ居リマスルガ、サウ云フモノハ此中ニ這入ッテ居ラヌ積リデア
リマスカ、ソレカラ第二條ニ「外國船-但其外國船ヲ以テ直チニ輸出事業
ニ使用云々」ト云フコトガ書イテアルガ、輸出港規則ト云フモノハ一方ニ立
派ニアルノニ、輸出ニ關係シタコトヲ輸入港法案ノ中ニ加ヘテアルノハ、ド
ウ云フ譯デアリマスカ、ソレカラ輪出港ノ規則ノ中ニ今末廣君ノ質問ガアッ
テ略〓分リマシタガ、輸出港規則ト云フモノハ品物ヲ限ッテ所謂石炭ガ出ル
ト云ヘバ石炭ヲ出ス港ガ是迄輸出港ニナッタノデ、所謂釧路ノ如キハ硫黃ト
ナッテ居ルガ、此但書ノ如キハドコノ港デモ其港ニ入ルベキ必要ガアッタナ
ラバ、ドコデモ大藏大臣ガ其港ヲ限ッテ許スト云フ意味ガ、此輸出港規則ノ
如キ一般ニ大藏大臣ガ品物ヲ極メテ許スト云フ、或ハ云フト此上ニ輸入ス
ル品物ヲ十トシテ、大藏大臣ガ極メル、ソレハ何處ノ港デモ這入ッテ來ルト
スルカ、或ハ此港ハ是ハ許ス、此港ハ是ハ許スト云フ趣意デアルカ、其意味
ヲ聽キタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=43
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044・中島又五郎
○中島又五郞君(百六十七番) 御答致シマス、最初ノ御尋ハ此品物ガ限ラレ
テ居ルヤウニ見エル、或ハ砂糖ノ如キ、豆ノ如キハ、隨分外國カラ這入ルデ
ハナイカ、ソレラハドウ云フ考デアルカト云フ御尋ト了解シマシタガ、別ニ
其事ハ提出者ハ見テ居リマセヌ、其事ハナゼ見テ居ラヌカト申シマスルト、
惡ロシイ目方ノ掛ルモノヲ續々取扱ヲスルニハ大變ニ無用ノ手數ガ掛ルト
云フ其弊ヲ防グト云フノガ一ツデアル、今一ツハ毀ハレ易イ破損シ易イ物ヲ
積卸ヲスルノガ不都合デアルカラ、其弊ヲ矯メヤウト云フノガ一ツデアル、
今一ツハ今日モウ日々ニ僅四五年ノ間ニ數倍モ增加シタル如キ此紡績會社ノ
如キ、是等ニ向ッテ綿ヲ是ハ餘程積量ノ多イ-目方ガ輕クシテ、積量ノ多
イモノヲ屢〓積卸ヲスルト云フノハ大變不便デアルカラ、此弊ヲ防ギタ
イト云フノガ、此趣意デゴザイマス別段ニ見テ居リマセヌ、或ハ砂糖モ札
幌製糖會社ノ如キ惡ルイ砂糖ヲ外國カラ輸入シテ、之ヲ再製シテ更ニ白砂糖
ニスルナラバ或ハ之ヲ原料ト云フコトノ解釋ガ出來マスカ知レマセヌケレ
ドモ、其處マデハ見テ居リマセヌカラ、左樣御了解下サイ、ソレカラ次ノ御尋
ハ特別輸出港ト云フ法律ガアルニモ拘ラズ特別ノ輸出港規則ノ第二條ノ規定
ニ從フベシト書イテ、一方ノ輸入港ノ規則ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=44
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045・小畑岩次郎
○小畑岩次郞君(二百八十一番) 輸出事業·······船ノコトヲ輸入規則ノ中ニ書
イタノハドウ云フ意味デアルカ、斯ウ云フノデアリマス、輸入事業ニ使用スル
モノナラバ、此規則ニシテモ宜イケレドモ、一方ノ法律アルニモ拘ラズ······発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=45
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046・中島又五郎
○中島又五郞君(百六十七番) 分リマシタ、一方ニ法律ガアリマスニ依タテ、
輸出ノ船ヲ以テ-輸入ノ船ヲ以テ、若シ之ヲ直チニ空船ニナッテ仕舞フカ
ラ、之レヲ特別輸入ノ規則-輸出ノ規則ヲ以テ、特別輸入ニ這入ッタ船ヲ
空船デ出スノハイカヌカラ、之ヲ積ミタイ場所ニハ一方ノ規則卽チ特別輸
出港ノ規則ニ依ッテ、其手續ヲ盡ス······空船デ逐出ス譯ニハ往カヌ、此船ハ
惜イモノデ、此船ニ物ヲ詰メテ持ッテ往キタイト云フトキニハ其場合ニハ
更ニ其手續ヲ盡セト云フノ便宜ヲ圖リマシテ、双方這入ル時ト出ル時ノ手續
ヲ示シタモノデアリマス、ソレカラ今一ツハ但書此但書ハ提出者ノ考ト致
シマシタ所ハ、特ニ必要ノナイ港ニ許サヌナラヌコトハナカラウ、丁度今御
尋ノ如ク釧路ニ硫黃ヲ許シタト云フヤウナ或港ニ於テ是ガ專ラ澤山出ルナラ
バサウ云フコトニシテ宜カラウト思フ、大藏大臣ガ時宜ニ依ッテ許ス限ハ
其港限リニ許シテ宜カラウト云フ考デ、廣ク書イタノデアリマス、尙ホち
よっと少シ述殘シマシタカラ、ちよっと述べマス、ソコデ唯今迄ノハ特別
輸出港ノ方ヲ申シマシタガ、特別輸入港ノ規則ハ特別輸出港ノ規則ト變リ
ハナイ、僅ニ第一條ト二條トガ少シ變リマシタノデ、ちよっと御參考ニ-
特別輸出港ノ規則モ御參考ニ供ヘテ置キマシタガ、ソレト對照シテ御覽下サ
レバ差ガナイ、右申上ゲタ如クデゴザイマスカラ、ドウカ宜シク御贊成ヲ願
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=46
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047・眞下珂十郎
○眞下珂十郞君(二百七十番) 議長発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=47
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048・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 御質問デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=48
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049・眞下珂十郎
○眞下珂十郞君(二百七十番) 質問デス-大〓分リマシタが、此三港タケ
ニ止メマシタノデゴザイマスガ、此四日市ト云フモノヲ以テ、此方ニ充テ
ル、或ハ越前ノ敦賀デアルトカ、伏木ト云フ所ニハ四日市カラ先程御說明ノ
通運搬スルト云フコトニ就イテハ······ソレカラ門司下ノ關ハ接近シテ居ルノ
デゴザイマスガ、門司ノ方ガ都合ガ宜イノデアルカ、否ヤ、ソレト又此皆
サンモ御聽ニナッタデゴザイマセウガ、諸般ノ織物ト云ヒ、又諸般ノ藥種ノ
如キモノ硝子ノヤウナ細カイモノハ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=49
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050・中島又五郎
○中島又五郞君(百六十七番) 下ノ方カラ御答致シマスガ、硝子抔ハ全ク見
テ居リマセヌ、サウ何デモ斯デモ許シテハ開港ト同ジコトニナリマスカラ、
次ハ門司ト下ノ關ト二ツヲ相對シテ居ルガ、門司ノ方ガ宜イカト云フ御尋デ
アリマスガ、固ヨリ門司ガ宜イト見タノデアリマス、又九州ノ方ベ持込ミマス
一、門司ニ揚ゲル方ガ餘程便利ト認メマシタ故ニ、此案ノ如ク致シマシタ
ノシ、ソレカラ四日市ノ方ガ開イタナラバドレダケノ範圍內デ其品物ガ囘
ルカト云フ御尋ノヤウニ了解致シマシタガ、四日市ト云フ所ハ今日ハ特別
輸出港ハ開イテ居リマスケレドモ、一品モ輸出ガナイ、外國ニ對シテ出ルコ
トハナイ、何故出ナイカト云フト、特別ノ輸入ト云フモノデ、更ニ品物ヲ持ク
テ這入ル船ガアルナラバ、出ルニ相違ナイ、所ガ這入ルモノガナイカラ
空船ヲ持込ンデ來テ、更ニ積出サナケレバナラヌカラサウスルト船ノ片道
ハまるデ無用ナ賃錢ヲ費ス譯ニナリマスカラ、ソレガタメニ引合ハナイ、引
合ハナイカラ、特別輸出港トナッテ居テモ輸出ガナイノデアリマスカラ、寧
ロ神戶ニ揚ゲテ神戶カラ取寄セル方ガ得デアル、併シ出ナイカラ四日市港ハ
輸出物ガナイカト云フト、四日市ニハ獨リ外國バカリデハゴザイマスマイ
ケレドモ、千六百四十六万圓カラノ輸出物ガアッタト云フコトデゴザイマ
ス、是ハ私ガ直チニ自分ガ輸出ノ取扱ヲ致シタノデハアリマセヌカラ、自
分ガ取扱ヒシタトハ申シマセヌ、斯ウ云フ譯デゴザイマスカラ、是ガ獨リ外
國ヘ出ルノデハアリマスマイケレドモ、詰リ四日市ノ港ハ役ニ立タナイ港デ
ハナイケレドモ、右申ス通リ出ナイト云フノハ、前ノ理由デ出ナイノデアリ
マス、ソレカラ是ハドレダケノ範圍ニ跨ルカト云フコトハ、大〓彼ノ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=50
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051・眞下珂十郎
○眞下珂十郞君(二百七十番) 北ハ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=51
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052・中島又五郎
○中島又五郞君(百六十七番) 北ノ方ハ越前加賀カラ彼ノ邊マデ囘ルト考ヘ
マス先ヅサウ云フ考デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=52
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053・吉本榮吉
○吉本榮吉君(六十四番) 此議題ハ矢張第三番バカリデスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=53
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054・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 論及スルト云フコトニ發議者ハ致シテ、矢張決議ハ
別ニ採リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=54
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055・吉本榮吉
○吉本榮吉君(六十四番) 委員付託
(「贊成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=55
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056・吉本榮吉
○吉本榮吉君(六十四番) 序ニ申シテ置キマスガ、議會ノ期日モナイデアリ
マスカラ、こちらデ決議ヲシテ委員ニ付託シテ、サウシテ又貴族院ニ迴ス
到底本議會デハ結了ニ至ラナイカラ、是カラト云フモノハ法律案ハ諸君
提出ナイコトニ致シタイ、今マダ議ニ掛ラヌ所ハ撤囘セラレタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=56
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057・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 六十四番ニ御問合セ致シマスガ、委員ノ選方ハ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=57
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058・吉本榮吉
○吉本榮吉君(六十四番) 是マデノ通リノ議長ノ指名発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=58
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059・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 六十四番ノ說ニ贊成ガゴザイマスカラ、之レヲ決議
ニ諮ヒマス
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ「異議アリ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=59
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060・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 一人デモ異議アルト云フコトデゴザリマスレバ、決
議ニ諮ヒマス、委員說ニ同意ハ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=60
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061・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 多數デゴザリマス
〔吉本榮吉君「法律案モ提出致サヌコトニナリマシタート呼フ(笑聲起
ル)〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=61
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062・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 第四ノ特別輸入港法案ニ移リマス
第四特別輸入港法案(中島又五郞君外一名提出)(第一讀會)
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ掲載ス〕
特別輸入港法案
第一條帝國臣民鐵軌鐵道用具器械類及內地製造用原料ヲ海外ヨリ輸入ス
ル爲特別輸出港ノ內左ノ諸港ヲ特別輸入港トス但シ特別輸入港ニ輸入ス
ル物品種類ノ細條ハ大藏大臣之ヲ定ム
一豐前國門司
一肥前國口ノ津
伊勢國四日市
第二條前條輸入事業ニ使用スル爲外國船ヲ雇入レムトスルトキハ大藏大
臣ニ出願シ外國船雇入免狀ヲ受クヘシ但シ其ノ外國船ヲ以テ直ニ輸出事
業ニ使用セムトスルトキハ特別輸出港規則第二條ノ規定ニ從フヘシ
第三條特別輸入港ニ於テ船舶ノ出入及輸入品ノ船卸ニ關スル事項ハ總テ
外國貿易ノ手續ニ依ルヘシ
第四條第一條ノ輸入事業ニ使用スル船舶ハ其ノ使用中沿海貿易ヲ爲スコ
トヲ得ス犯ス者ハ五百圓以上千圓以下ノ罰金ニ處シ外國船ニ在テハ第二
條ノ認可狀ヲ取上クヘシ
第五條此ノ法律ヲ改正又ハ廢止スルトキハ六箇月前ニ公布スヘシ
第六條此ノ法律施行ニ關スル細則ハ大藏大臣之ヲ定ム
第七條此ノ法律ハ明治二十八年七月一日ヨリ執行ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=62
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063・中島又五郎
○中島又五郞君(百六十七番) 第四ノ特別輸入港法案モ前ニ論及致シテゴザ
リマスカラ、多分諸君ハ御了解ト考ヘマス、ドウカ直チニ御決議ヲ願ヒマス
〔「贊成々々」ノ聲起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=63
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064・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 百六十七番ニ御問合セ致シマスガ、直チニ決議ヲ〓
ルノデゴザリマスカ委員ニ付託スルノデゴザリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=64
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065・中島又五郎
○中島又五郞君(百六十七番) 前ト同ク委員付託ノ御決ヲ願ヒマス
(「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=65
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066・島田三郎
○副議長(島田三郎君) 異議ナイト認メマスカラ、前ノ委員ニ付託致スコト
ニ決シマス、是ヨリ第五ニ移ルノデゴザリマスルガ、提出者ノ請求ガアッテ、
是ハ延期シタイト云フコト第六ヘ直チニ移リマス、鑛業條例改正法律案第
一讀會ノ續-中村彌六君
第六鑛業條例改正法律案第一讀會ノ續(特別委員0
長報告
〔此時中村彌六君缺席ス〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=66
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067・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 列席ノ諸君ニ御問合致シマスガ、是ハ中村彌六君ガ
報告ニナルベキ譯ニナッテ居リマスガ··
〔此時中村彌六君著席ス〕
〔中村彌六君演壇ニ登ル〕
〔「簡單ニ願ヒマス」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=67
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068・中村彌六
○中村彌六君(百六十一番) 簡單ニヤリマス-鑛業條例ノ委員會ノ結果ヲ
御報道致シマスルガ、此條例ハ御承知ノゴザリマスル通リ、最早數囘議會ニ
提出ニ相成リマシテ、其間未ダ委員ノ審議中ニ會議ガ終リ、又ハ解散ノ厄抔
ニ遭ヒマシテ、此本會ノ議事ニ上ラズニ仕舞ヒマシタモノデゴザリマス今
日マデ幾多ノ審議ヲ經マシタ所ノ案デゴザリマス、此案ノ大體ハ御承知モゴ
ザリマスル通リ、今日ノ鑛業條例ニ就キマシテ、施業案ト云フヲ廢止スル事、
又鑛區ノ制ヲ廢スルコト試掘ノ制ヲ取除クコト、又鑛山監督署ヲ廢止シマ
スル事、是ガ大體ノ趣意デゴザリマス、元來此現今ノ鑛業條例ハ最初此議會
ノ開ケマスル時ニ當リマシテ、未ダ實施前デゴザリマス實施前ニ當リマシ
テ未ダ實施セザルニ先ンジテ、此條例ヲ實際ニ行フコトノ難キコトト、又不
適當ナルコトハ初期ノ議會ニ於キマシテ、此議院ガ十分認メテ論ジマシタ
程ノ事デゴザリマシタガ、其當時ニ當リマシテ、時ノ農商務大臣ハ何ヲ致セ、
此實施ノ期限ガ此目前ニ迫ッテ居ルカラシテ、當局大臣モ多少修正セネバナ
ラヌト云フ考モアリ、又實施ノ曉ニ及ンデ不都合ガアッタナラバ、之ガ修正
ニ吝ナラヌト云フコトヲ未ダ實施前ヨリシテ、殆ド修正ヲ豫約シテ發布ニ
ナリマシタ程ノ條例デゴザリマス、ソレヨリシテ今日マデ實施致シマシタ所
ガ、丁度此修正案ニゴザリマスル通リニ施業案ト云フヤウナルモノハ誠ニ
其名ハ立派デゴザリマシテモ、其實唯々鑛業者ニ對シテ手數ヲ掛ケ、爲
鑛山監督署ノ事ヲ繁縟ナラシムルト云フ外ハナイコトニナリマス又鑛區ノ
制ノ如キモ同一デゴザリマシテ、又此監督ノ事ニ就キマシテモ同樣デゴザリ
マシテ、是等ハ皆此度政府委員モ實施ノ上、經驗ノ上ヨリシテ、修正案ガ宜
イト云フコトニ同意致サレマシテゴザリマス、此條例中デ最モ重キヲ置キマ
シテ、審議致シ、又ソコニ議論ノゴザリマシタノハ試掘ノ制度ト、ソレヨリ
シテ鑛業稅ノ一端デゴザリマス、卽チ課稅ノ方法デ、是ニ就キマシテハ試掘
ノ事ハ今日迄ノ如クシテ置イテ宜イト云フ反對モゴザリマシテ、是ニハ大分
議論モゴザリマシテ、數囘委員會ノ討議ヲ經マシタノデゴザリマスカラ、此
各理由ト致シマシタ所ヲ一言述ベルノ必要ガアルト考ヘマス、此重モナル
所ハ試掘ノ制ト課稅ノ事デゴザリマス、試掘ノ事ハ先ヅ大體精神カラ申シマ
スルト云フト、鑛物ノ有無良否ト云フコトヲ探檢致シマスルモノデゴザリマ
シテ、地表ヲ開鑿シタリ、又ハ是ニ試錘ヲ下スト云フヤウナコトデ、誠ニ道
理上ハサモアッテ必要ノ手順ノ如クニ見エマスケレドモ、偖實際ト云フモノ
ハ大ニ是ト違ヒマシテ、此試掘ト云フモノハ其實ハ大ニ此精神ト相反シマ
シテ、唯試掘ニゴザリマスト云フト御承知ノ通リニ唯出願ノ時ニ十圓ノ手
數料ヲ拂フダケデゴザリマシテ、是ニ對シテ負擔ト云フコトハゴザリマセヌ、
又出願ノ手續ト云フモノガ、甚ダ容易ナルガ故ニ、世ノ狡猾ナルモノハ、是ニ
乘ジマシテ、唯むやみニ大キナ土地ヲ試掘ノ願ヲ出シテ、占メテ居ッテ、サ
ウシテ他ノ者ニ之レヲ賣付ケルト云フコトノ惡弊ガ玆ニ生ジテ參リ、是モ試
掘ノ出願期限ハ一年デゴザリマスカラ、一年過ギタラバ如何ナ事ヲスルカト
云フト、尤モ一年ノ追加願ハ出來マスガ、其年限ハ最早仕方ガナイト云フ
時ニナルト、直チニ廢業屆ヲ爲シテ、廢業屆ヲスルト同時ニ、あちらカラ親
戚朋友ノ名ヲ以テ、直チニ又試掘願ヲ出スト云フコトニナッテ居ル、其度ニ
僅ニ十圓ノ手數料ヲ出スバカリニ止マリマシテ、サウシテ其實權ト云フモノ
ハ以前ト同一ノ者ノ手ニアル、サウシテ其甚シキニ至リマスト云フト茲ニ
立派ナル鑛山ガゴザリマスルト是非此鑛山ト云フモノガ大變ニ盛ニナッテ
來レバ、此隣ノ鑛區ト云フモノヽミ必要ニナルダラウト云フコトヲ目當ニシ
テ、立派ナル鑛山ガアルト云フト、誠ニ吹ケバ飛ブヤウナ一文ナシノ人デ
モ、此ぐるりト云フモノヽ試掘ノ借區ヲ願ヲテ、斯樣ニ網ヲ張ッテ居ル、眞
正ナル所ノ鑛業者ハ必ズ是ガタメニ巳ムヲ得ズ、莫大ノ金ヲ取ラレタルコト
モ澤山アルノデゴザイマス、唯其實權ヲ握ッテ置イテ、サウシテ其物ヲ眞正
ノ鑛業者ニ賣渡スト云フノガ是ガ目的デゴザリマスル、斯樣ナ實際ニ至リマ
スルト弊ガゴザリマスル、ワレガ故ニヤ、此二十六年度ノ鑛山監督署ノ報告
ヲ見マスルト、凡ツ取扱フ件數ガ二万千餘件ゴザリマスルガ、其中デ眞正ニ
鑛業ヲ營ンデ採掘スルト云フコトノ出願ト云フモノハ二万ノ中デ僅五千シ
カナイノデゴザリマス、其他一万五千-一万五六千ト云フモノハ則チ此試
掘ノコトニ相成ッテ居ル又實際ノ採掘ノ有樣ヲ見マスルト云フト未ダ今
日ノ詳細ノ事ハ分リマセヌガ、大阪ノ監督署ヲ除キ、外ニ致シマシテ試掘ノ
願ト云フモノガ十一億カラニナッテ居リマスル、十一億坪數ニナッテ居ッ
テ、丁度眞正ノ採掘願ヲシテ居リマスルモノガ、二億三千餘万坪デゴザリマ
ス二億三千餘万坪ニ對シマスル殆ド五倍近クノ-四倍六分バカリノ試掘
願ガ出テ居リマス是ガ願ガ出テ居ルデハナイ、試掘ノ權ヲ持ッテ居ルノデ
ゴザリマス、名ハ故ニ立派デゴザリマスルケレドモガ、是ハ實際ニ至リマス
ルト云フト、眞正ノ鑛業ノ發達ヲ害シマスルモノデゴザリマスルガ故ニ、是
等ハ廢スルト云フノガ卽チ原案者ノ趣意デゴザイマシタガ、段々審議ノ上、
若モ之ヲ全廢致シマシテ、最初カラ採掘ヲ致スト云フ者ノミ許可ニ至リマス
レバ、又中ニ此十一億万坪モゴザイマスル中デ、眞正ナル所ノ試掘者モアリ
マスルカラシテ、是等ノモノガ爲ニ大ニ害ヲ蒙ルト云フヤウナコトモアリハ
セヌカト云フヤウナコトカラシマシテ、全ク委員會デゴザリマスルト、一方
ニハ此弊害ヲ去リ、一方ニハ眞正ノ鑛業者ヲシテ便利ヲ得セシムルガタメ
ニ採掘願ヲスルト同時ニ、試掘ノ願ハ二箇年ノ間ト云フモノハ、併セテ出
願ヲスルコトヲ得ルト云フコトニシマシテ、一方ニ此弊ヲ去リ、一方ニ其便
利ヲ得ルト云フコトニ致シマシタデゴザリマスデ課稅ノコトニ至リマスル
ト云フト、是モ從來ハ鑛業稅ト借區稅ト二ツゴザリマシタガ、御承知ノゴザ
リマスル通リ、鑛業稅ト云ヒマスルモノハ甚ダ不十分ナ結果ヲ來シマシ
テ、到底名ハ實-一方ニ於テ借區デゴザイマシテ、特許權ニ對シマスル所
ノ鑛區稅ヲ取リ、一方ニハ鑛業ノ上リ高ニ對シテ純益ニ稅ヲ課スルト云フ方
法デ、立派ナヤウナモノデハゴザイマスルガ、此實到底是ガ行ハレナイノデ
ゴザリマシテ、現ニ今日マデ當局者モ十分困ラレテ居ッタト云フ事實ハ十
分デゴザリマスルシ、又眞正ナル營業者モ實ニ其煩ニ堪ヘナイノミナラズ、
顯ル不結果不公平デゴザリマシテ、若シ之ヲシテ眞正ニ此法律面ノ通ニ致シ
マセウト思ヒマスルニハ、僅ニ二十万圓前後ノ稅ヲ取リマスル所ニ對シテ、
之ニ數倍スル所ノ費用ヲ掛ケナケレバ其目的ヲ達スルコトガ出來ヌト云フ結
果ニ相成リマシタ、ツレデ原案デハ之ヲ日本鑛法ノ當時ニ事實上遡リマシテ
讓業ト云ヒマスルモノヽ此鑛區ニ對シマシテハ、國ノ所有ヲ占領シテ、其
鑛物ヲ採ルト云フコトノ特許ヲ與ヘマスルガ故ニ、其土地ヲ占領シ、其鑛業
ノ特許ヲ得ルニ對シテノ稅ヲ占領地ニ就イテ、ドレダケト云フモノヲ課スル
ガ相當デアル故ニ稅ノ性質ヲ異ニ致シマシテ、鑛業特許稅ト云ヒマシテ、
是ニ課スルヤウニ致シマシテ、今日迄弊ノ澤山アリ、不公平ノ澤山アリマス
ル所ノ鑛業稅ハ廢シマシタンデゴザリマス是ニ依リマシテ、併ナガラ其
稅奉ト云ヒマスルモノハ原案デゴザリマスルト石炭ガ一圓、其他ノ金屬
ガ二圓ト云ヒマスルノヲ、前稅法ヨリ致シマシテ七十錢、又金屬ニ致シマシ
テ二圓ト云フモノヲ、一圓四十錢、卽チ三割方減ジタノデゴザリマス、是ニ
依リマシテ、一方ニ於キマスルト、鑛業者ノ鑛業稅總テノ事ニ就イテノ甚ダ
手數ヲ煩シマシテ業務ヲ妨グラレタト云フコトヲ去リマシテ一方ニ於テ
ハ又政府ニ於キマシテハ爲メニ此業務ト云フモノガ、大變簡便ニナリマス、
課稅ノ法モ簡便ニナリマシタガ故ニ、ツレダケノ餘力ト云フモノハ十分アリ
マスカラ、鑛業ノ監督ノ方ニ施シ得ルト云フコトノ見込ガ立チマシタンデゴ
ザリマシテ、是ニ就キマシテモ政府ハ矢張全然此法ノ方ガ簡便ノー理事者
ニ於テ便利ダト云フコトノ同意ヲモ致シタンデアリマス、併シ玆ニ一言申シ
テ置カナケレバナリマセヌガ、是ハ〓區脫ハ廣業ノ特許權ニ對シマスル稅デ
コザリマシテ、委員會ニ於キマシテハ、今日段々ト稅源モ求ムル所デゴザリ
マスルシ、是ヨリシテ鑛業ニ稅ヲ課サウト思ヒマスルナラバ、矢張純益ニ課セ
ナケレバナラヌ、鑛業稅ト云フモノモ到底課スルノ必要ハ認メテ居リマスル
ガ是ハ鑛業條例中ニ入レズシテ、單獨ノ法律トシテ是ハ速ニ此單獨ノ法律
ノ編成ヲ致スコトニモ力ヲ致シ、又政府ニ於テモ此法律ノ編成ヲ希望スルト
云フ此精神ヲ以チマシテ、此鑛業特許權ニ對シマシテ、鑛區ヨリ課稅スルト
云フコトニ致シマシタンデゴザリマス、デ是ニ依リマシテ稅額ニ對シマシ
テ、或ハドノヤウナ不足デモ生ジハセヌカト云フ御見込モゴザリマスルカ知
レマセヌガ、殆ド五万圓近クト云フモノハ是ガタメニ一方ニハ手數ヲ簡單
ニ致シマシテ、五万圓近ク殖エマシタノデゴザリマス、ソレノミナラズ、從
來借區+云フモノガ無稅デゴザリマシタガ故ニ言フベカラザル惡弊ガ生ジ
マシタガ故ニ、是ハ鑛業ノ特許權ヲ與ヘマスル、此占領ニ對シマスルコトニ
對シマシテ、今日採掘ノ半バノ稅ト云フモノヲ課スルコトニ相成ッタ、今日
十億万モゴザリマスルガ其中ノ大部分ト云ヒマスルモノハやまこガ持ッテ
居リマスルモノデゴザリマスルガ故ニ、或ハ多少ノ稅デモ掛リマスルト云ヒ
マシタナラバ、重モニソレ等ハ棄ツル者ガ澤山出ルデアラウト思ヒマス假
ニ之レヲ半分ニ致シマシタ所ガ十八万圓位ハ此試掘ノ方カラシテ殖エテ參リ
マスル積デゴザリマス、是ニ實際ノ上デ稅額ニ於テ減ル筈ハナイヤウニ思ハ
レマス、唯玆ニ此〓ニ於キマシテハ大分矢張委員會ニ反對モゴザリマシ
テ、是ハ大鑛業者ト云フモノヲ利シテ、小鑛業者ト云フモノニ不利ヲ與ヘル
ト云フヤウナ反對モゴザリマシタガ、是ハ決シテ左樣ナ譯デハゴザリマセ
ヌ、先ツ其大鑛業者ト名ケマスルモノハ、八十三ゴザリマシテ、反對論者-
此大鑛業者ト名ヅクルモノハ石炭デ申シマスルト云フト、一万噸以上ヲ採掘
スル所ノモノデ、大ト申シマシタ所ガ其標準ガ立タナイノデ、面積ノ大キナ
ノヲ太鑛業者トスルカ、或ハ其鑛業ヲ營ンデ居ルモノヽ貫富ノ定度ニ依ッ
テ大鑛業者ト小鑛業者ヲ別チマスルカ、其邊ノ定義ガ分リマセヌガ、免モ
角モ其事業ノ計畫ノ大キナルモノヲ以テ、大鑛業者ト看做シテ宜シイト考ヘ
テ居リマス是ニ對シマシテ利スルガ如ク致シマシテ、-利スルガ如キ論
法ヲ以チマシテ、反對モゴザイマシタケレドモガ是ハ大ニ事實ヲ誤ッテ居
ルノデゴザイマシテ、却テ是ハ小鑛業者ト名ケル者ニ對シテ利益ノアル案
デゴザイマス其事ハ詳細玆デ辯ジテモ宜シウゴザイマスガ、先刻簡單ト云
フヤウナ御言葉モゴザイマスルシ又此事ニ就キマシテハ藤金作君ガ精密ニ
御調ニナッテ居リマスルデ、同君ノ發議通告モゴザイマスカラ、同君ノ詳細
ナル所ノ御說明ニ讓リマスルデ、ソレヲ御聽下サレタナレバ、十分ニ御分リ
ニナルコトヽ考ヘマス、又モウ一ツハ鑛山監督署ト云ヒマスルモノヲ廢止ス
ル原案デゴザイマシタガ段々審議ノ末斯ノ如ク試掘ノ制モ改メ施業案モ
廢シ、鑛夫ノ制モ改メテ段々斯ウ致シテ參ッタナラバ、前ノ二万餘件ノ中
ニ於キマシテ一万五千件アリマスルヤウナコトガ幾分カ皆事業ガ閑ニ相
成リマスルシ、其他總テノコトガ此法律ニ依リマシテ、簡單ニ相成リマスル
ガ故ニ、其餘力ヲ以テ今日ニ反シテ大ニ此眞正ニ鑛山ヲ監督スルト云フコト
ニ力ヲ盡サシメテ見ルガ宜シイ又政府ニ於テモ左樣ナッタナラバ十分
ノ監督ガ屆クデアラウト云フコトヲ明言致サレマシタガ故ニ、委員會ニ於キ
マシテハ此鑛山監督署ト云フモノハ先ヅ平ラニ申シテ見マシタナラバ試
驗的ニ二三年置イテ見テ、其結果ニ依ッテ之ヲ廢止スルモ敢テ遲キニアラヌ
ト云フコトデ、之ヲ現時ノ儘存在スルコトニ相成ッタノデアリマス、デ委員
會ノ審議ハ凡ソ斯ノ如キデゴザイマスルカラ、願クハ委員會ニ於ケルガ如ク
滿場一致ヲ以テ、此案ヲ御通シアランコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=68
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069・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) 私ハ委員長ニちよっと御尋致シマス、御提出ニ
ナッタ原案ニ依リマスレバ、鑛山監督署ヲ廢スルコト試掘ノ制ヲ廢スル
コトヽ云フノデゴザイマス、現行ノ鑛業條例トハ大變ニ精神モ相違シテ居リ
マス、委員會ニ於キマシテ御修正ニ相成リマシタ所ヲ見マスレバ現行法ト
殆ド相違ナイヤウニナッテ居リマス、唯違ヒマスルノハ提出ノ理由ニゴザイ
マス第五ノ課稅法ヲ改メルコトヽ云フ一點デアルヤウデゴザイマス末文
ノ現行條例徵稅實收額十七万餘圓ノ中十一万六千九百二十五圓餘鑛業稅、金
六万千九百四十三圓餘ハ鑛區稅デゴザイマスガ、是ハ何ニ依ッテ御取調ニナッ
タノデゴザイマスカト云フコトヽ、第二ニハ私ガ第十三統計年鑑表ヲ見マ
スレバ委員長ノ則チ此議案ノ統計トハ大變違ッテ居リマシテ、二十七年度
ノ豫算デサウシテ鑛業稅ト云フモノハ十七万六千三百二十九圓、鑛區稅ハ三
万八千七百三十八圓併セテ二十一万五千六十七圓ト見エテ居リマス、此計算
ニ依リマスレバ、本員ノ考ニ依ッテ見マスルトキハ鑛業條例ヲ鑛業法ト改
正シマシテ、サウシテ其委員會ノ決議ニ相成リマシタ此第四十四條ノ如ク致
シマスレバ、現ニ今日ノ鑛業稅及鑛區稅ノ中ヨリ少クモ十万位ノ減額ヲ見ル
デアラウト思ヒマスルデゴザイマス、其故ハ簡略ニ申シテ見マスレバ、先ヅ
委員會ノ修正ニ依ッテ見マスルノニ、鑛業稅ハ此鑛區ノ一千坪ニ就キマシ
テ七十錢ノ鑛業稅ヲ-鑛區稅ヲ納メル斯ウゴザリマスルガ現行ノ法ニ
依ッテ見マスレバ三十錢ノ鑛區稅ニナッテ居ル、ソコデ一万以上ト見マシ
テモ、先キニ申シマスル通リ、鑛區稅カラ取リマス所ノ金圓ガ三万八千圓デ
ゴザイマスルガ故ニ、是ヲ二倍以上トシマシテモ十万圓ニ涉ラナイト思
フ、十万圓ニナリマセヌトシマスレバ、二十一万圓ノ金ノコトデゴザリマス
カラ十一万圓程殘リマスルガ、斯樣ニ致シマスレバ、試掘ノ方ニ於テ大變
多クナッテ居ラウト思ヒマス、試掘ニ附イテ現行法ヲ見マスレバ、金額ヲ納
メテ居ルノデ、試掘ト申シマスルモノハ、試掘ヲ將來出願シマスレバ、其利益
ガ收マル、試掘ヲ出願スルモノガナクテ今日ノ儘デアレバ、其稅金ハ取上
ラヌデ、十八万圓取上ガルト云フ御說デゴザリマシタガ、要スル所此〓ニ於
キマシテハ現ニ取上ガル所ノ稅金ガ十一万若クハ十万ノ不足ヲ現ズルガ、此
不足ト云フモノハドノ途ヲ以テ充テラレルカト云フコトヽソレカラ試掘稅
十八万圓ノ見込アルト云フコトハ何ニ依ッテ御取調ニナッテアルヤト云フ
コト、此二ツノ〓ヲ御尋致シマスガ故ニ、御答ヲ得タク存ジマス、此〓サヘ
確マリマシタナラバ此鑛業條例ト云フモノガ〓正致シテ利益ガアルカ利益
ガナイカハ、此一ツデゴザイマスカラ、此〓ヲ確メテ置キタウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=69
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070・中村彌六
○中村彌六君(百六十一番) 宜シウゴザイマス、是ハ原案ニゴザイマスル通
リ二十七年十二月二十五日ノ現在ノ何ニ依リマシタンデゴザイマス、デ統
計年鑑ニハいつノ數ガ上ッテ居リマスルカ、現在ノ鑛區坪數、其種類ニ依リ
マシテ三十二万三千ト云フモノガ、是ハ原案者ノ調デゴザイマス、是ヨリシテ
三割ヲ減ジマシタ所ノモノガ、二十二万六千五百四十二圓九十錢一厘二毛
ト云フモノガ、是カラ出テ來ルノデゴザイマスデソレヨリシテ此二十六年
度ノ實收額デゴザイマス、是ハ此官衙ノ調ニ依ルベキ所ノ調デゴザイマス、
則チ農商務デ實收致シマシタ所ノ報告書ニ依リマシテノ調査-是ガゴザイ
マスル、ソレヲ差引キマシタル所デ、差引カズニ是ガ十七万八千八百六十八圓
九十九錢五厘、是ヨリシテ差引キマスルト四万七千六百七十ニ一圓九十錢何某
ト云フモノガ、今度則チ試掘デナクシテ殖エマスル高ニナリマス、デ唯今ノ所
ノ三十錢カ七十錢ニナルト云フ何デゴザイマスルガ、是ハ炭區デゴザイマス
レバ七十錢、金屬デゴザイマスルト云フト一圓四十錢デゴザイマスル、デ是
等ノ差ト云フモノハ同一ノモノデゴザイマセヌ、デ坪數モ違ッテ居リマス
ル、デ斯樣ニ相成ッテ參ル、デ又實際ハ此試掘ノ課稅ガゴザイマセイデモ
既ニ四万七千有餘圓ガ殖エマスルガ、委員會ノ見込デゴザイマスルト云フ
ト今日ノ鑛業ノ發達上カラ見マスルト云フトずんとマダ〓〓試掘ニ對シ
マスル鑛區稅ガナクトモ殖エル積リデゴザイマス、承ル所ニ依リマスルト云
フト、九州ダケニ致シマシテモ、殆ド一億近クモ殖エテ來ルト云フコトデゴ
ザイマス、デ此鑛業ノ發達ノ趨勢ヨリ見マスレバ、是ハ二十七年十二月二十
五日ノ現在數ニ依リマスレバ今日ノ調デアリマスレバ、僅カ二箇月ノ間デ
モ亦大ナル數ヲ得ルコトヽ思ヒマス、是ニ增スニ未ダ此試掘ニ對シマスル
稅ガ參リマスルカラシテ、是ハ殖エルト申シマシタノハ、試ニドウ云フヤウニ
計算シタカト云フ御話デゴザイマスレバ、申上グマスルガ、是ハ七十錢ノ
半分デゴザイマス、半額ヲ納メル皆炭區ト-炭鑛ト見マシタ所ガ、七十錢ノ
半額デ三十五錢ニナル、千坪デ三十五錢デゴザイマスカラ、十一億カラゴザ
イマスルカラシテ、極ク少ナク見込マシテモ、其位ノ高ハ-半分試掘ヲ捨
テルト見マシタ所ガ、モウ十万以上ト云フモノガ殖エルト云フコトハ是ハ
目ノ子算用デモ知レマスコトデアリマス、況ヤ其間ニ試掘ヲ致シマスルト云
フコトハ必シモ炭鑛バカリデモゴザイマセズシテ、金屬ノ鑛山モ澤山ゴザ
リマス、是ハ此半額ト致シマシテ三十五錢デナクテ、是ハ七十錢ニナリマス
ルカラ、是等ハサウ云フ所カラ割出シタンデゴザリマス、尙ホ此試掘ノ現在
數ナドモ十分當局者ニ承リマシテ、今朝モ既ニ此表モ得マシタガ、何サマ
大阪鑛山監督署ダケノ調ハ未ダ參ラヌカラ分ラヌガ、全國ノ秋田、東京、大
阪-今ノ所デ調バッテ居ル所ダケデゴザイマシテ、十一億一千四百四十九万
三千八百二十六坪ト云フコトニナッテ居リマスカラ、是等ノ數カラ割出シタ
ノデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=70
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071・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) 詳細分ッタノデゴザイマスガ、此理由書ノ中
ニ二十六年度ノ實收額ハ先刻申上ゲマシタ通ニナッテ居リマスガ、此〓ニ
就キマシテハ、是ヲ併セテ政府委員ニモ承ッテ置キタウゴザイマス、統計年鑑
ノ方トハ計算ノ上ニ於テ現ニ二十六年度ニ致シマシテ、一万圓以上ノ違ガア
ル、其違ハドウ云フ點デゴザイマスルカ、御調ニナリマシタラどちらガ本
當デアルカト云フコトヲ、委員長ガ御調ニナリマシタナラバ、委員長カラ承ッ
テ置キタイ、又農商務省デ御調ニナリマシタナラバ、農商務省カラ承リタ
イト思ヒマス、ソレカラ委員長カラ承リマシタ所デハ此鑛業稅ト云フモ
ノヲ廢シマシテ、鑛區稅ト云フモノニナリマスレバ、彼ノ足尾銅山ノ如キハ
現今ノ稅金ノ三分ノ一ニ充タナイ程ニ減ズルト云フコトニ聞イテ居リマス、
サウ云フ〓ハ御調ニ相成ッタノデゴザイマセウカ、又其結果ハドウ云フ差
引計算ニナッタカト云フコトヲ御尋致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=71
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072・中村彌六
○中村彌六君(百六十一番) 是ハ一々鑛山ニ當ッテハ調ベマセヌデゴザイマ
ス、一々唯鑛業ノ何ニ對シマシテハドレガドレダケニ當ルト云フコトハ
能ク調ベマセヌデゴザイマスルガ、此委員會ノ修正ニナリマシタル前ノデゴ
ザイマスレバ、調ベタノデゴザイマス、是ニ至リマスルト云フト、たーか三
池デゴザイマシタカ、多少減ズルト云フダケデ、是ハたいシタ違ハナイヤウ
ニ見エマス-三池ガ殖エマシテ、左樣デゴザイマス-是ハ一々此各鑛山
ニ就キマシテ調ベタノデハゴザイマセヌ、其邊ハ先刻申上ゲマシタ通、委員
會デハ調ベマセヌデゴザイマスケレトモ、藤金作君ガ十分詳細ノ說明ガアラ
ウト思ロマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=72
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073・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) 然ラバ併テ政府委員ニ承リマス、此改正案ニ
ゴザイマスガ、此統計年鑑ノ金額ノ違フコト、及足尾銅山ヨリ得ル所ノ稅金
ノ高ヲ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=73
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074・吉本榮吉
○吉本榮吉君(六十四番) 此議會モ會期モ少ナイカラ、委員會ノ御調ガ延引
ニナッテ居リマスレバ直チニ確定モ致シタイ積リデアリマスガ、念ノタメ
ニ一應御尋致シマスルガ、此提出案ノ第三條デ見マスルト、鑛山局ノ官吏ハ
鑛業人ト又礦業ニ關スル社員等ニナルコトハ出來ヌ、斯ウ云フコトニナッテ
居リマスルガ、然ルニ委員會ノ御調デ見マヽレヽ七第三條ノ二項ニ鑛業人
未成年風癲白痴又ハ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=74
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075・中村彌六
○中村彌六君(百六十一番) ちよっと申上ゲマスガ、是ハ唯今最初ニ申スベキ
筈デゴザイマシタガ、是ハ挿入ノ箇所ガ印刷ノ間違デゴザイマス、是ガ前
後致スノデゴザイマス、是デ見マスルト、農商務省ノ鑛山監督署ノ署長ハ風
癲白痴ノヤウニ見エマスガ、是ハ甚ダ不都合デゴザイマス、是ハ正誤致シマ
ス、ソレヨリシテ第六條ニ至リマシテ、序ニ申シマスルガ、六條ノ採掘人ノ
賣買、讓與、書入トアリマスルノガ、鑛業特許ノ抵當讓與、斯ウナルベキ筈
デゴザイマシタガ、是ハ謄寫ノ間違デゴザイマス、併セテ是ダケヲ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=75
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076・植田理太郎
○植田理太郞君(九十番) 私モ委員長ニちよっと御尋致シマス、此改正案ニ
依リマスルト租稅ガ課シテゴザイマス、所デ此從前ヨリ當局者カラ一箇年
ナラ一箇年ノ期限ヲ以テ認可ニナッテ居リマスル所ノ默可シツヽアル所ノ地
ニモ矢張稅ヲ課セラレルノデゴザイマスカ、其期限中ハ無稅デ宜イノデゴ
ザイマスカソコヲ一應確メタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=76
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077・中村彌六
○中村彌六君(百六十一番) 是ハ附則ヲ御覽ニナレバ分リマスガ、附則ニ規
定シテゴザイマスル附則ノ新第五十六條デゴザイマス、皆此前ノ法律ト云フ
モノハ廢止ニナリマスルカラ、新ニ玆デ勿論出マシテ、今日ノ許可ヲ得テ居
リマスルモノニ至リマシテモ、矢張賦課スル譯デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=77
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078・植田理太郎
○植田理太郞君(九十番) サウシマスト既往ニ遡ルノデアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=78
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079・中村彌六
○中村彌六君(百六十一番) 既往ニ遡ルノデハゴザイマセヌ、則チ今日ノ鑛
業條例ガナクナッテ、此條例ガ往クノデゴザイマスカラ、新タニ法律ノ制裁ヲ
受ケルト云フコトニナリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=79
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080・中村克昌
○中村克昌君(百四十一番) 委員長ニ御尋ヲ致シマスガ、唯今正誤ヲ述べラ
レタ第三條ノ二項デ、今度之レガ一項ニナリマスルガ、此一項ハ現行法ノ第
四條ノ趣意デアッテ、農商務ニ在職ノ官吏ハ鑛業人トナルコトヲ許サヌト云
フコトノ意デアリマスカ本員ハ是ニ就イテ二次會ノ場合ニ修正ヲ致サウト
思ヒマスガ、議長ノ御手許マデ-果シテ現行法ノ四條ノ精神デゴザイマセ
ウト思ヒマス念ノタメニ伺ッテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=80
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081・中村彌六
○中村彌六君(百六十一番) 左樣デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=81
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082・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 植田理太郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=82
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083・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) 先刻私ノ政府委員ニ御尋致シマシタコトヲ併
セテ御尋致シテ置キマス、先刻御尋ヲ致シマシタノハ、此統計年鑑ニ依ッテ
見マスレバ、二十六年度ノ收入ハ十七万九千二百五十四圓ニ相成ッテ居リマ
シテ、サウシテ唯今ノ委員長ノ報告ニ依リマスレバ、十七万八千八百六十八
圓九十九錢五厘トゴザイマスルカラ、殆ド一万圓近クノ減額デゴザイマス、
其減額ノゴザイマスル〓ハ、ドウデアルカト云フコトヽソレカラ其次ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=83
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084・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 質問デゴザイマスレバ演說ガ濟ミマシテ、其間ニ質
問ニナッテ宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=84
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085・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) 併ナガラ····発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=85
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086・島田三郎
○副議長(島田三郞君) ソレデハ二百二十六番ニ許シタ覺ハゴザイマセヌカ
ヲ差止メマス-植田理太郞君
〔植田理太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=86
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087・植田理太郎
○植田理太郞君(九十番) 諸君、私ハ此改正案ニ反對スルノ一人デゴザイマ
ス此改正案ニ反對デゴザイマスルガ、其中最モ反對セニヤナラヌト云フノ
ハ、此試掘ニ課稅シテヤルト云フ〓デゴザリマス、此試掘ノ業タルヤ、其性
質上眞ニ國家事業デゴザイマス如何トナレバ其目的ハ鑛層ヲ探明シ以テ營
業的ノ採掘出來得ルヤ否ヤヲ確メルマデノコトデゴザイマス、故ニ試掘人
ハ其試掘中要スル所ノ費用ハ決シテ償却ノ見込アルベキモノデナイデゴザイ
マハ眼前是ニ投ズルハ單純ニ鑛層ノ性質ヲ知悉センガタメニノミ、斯ル目
的ヲ以テ施業シツヽアル所ノ試掘地ニ對シテ、課稅セント欲スルハ實ニ苛
酷ナコトデアラウト私ハ.考ヘル、況ヤ又此課稅ハ鑛業上ノ發達ヲ大ニ害スル
ノ虞アルデゴザイマス、如何トナレバ富豪大家ニアッテハ此ニ々タル資金固ヨ
リ關セザレドモ、無資力者ニアッテハ大ニ困難ヲ感ズルノ虞アリト思ヒマス、
故ニ爲ニ或ハ鑛業上缺クベカラザル試掘出願ノ數ガ減ズルカモ計リ難ナイノ
デゴザイマス、デ此反對論者ガ言ヒマスルニハ此惡漢往々試掘ノ認可ヲ得
ルト雖モ、其業ヲ爲サズシテ、却テ人ヲ欺イテ他ニ賣却スル虞ガアル、爲 は
鑛業大ニ害スルモノデアル、斯ウ云フノデゴザイマス、決シテサウデナイ、
今之ヲ課稅スル時分ニハ、是非トモ此賣買ノ權利ヲ許シテヤラニヤナラヌ、シ
テ見マスレバ前ヨリモ尙ホ弊害ガひどく增スガヤウニ私ハ考ヘマス、又此現
行法律デ見マスルト云フト、鑛業稅鑛區稅ト此二種ニ分ッテ居リマス、是ガ
眞ノ公平均一ナルモノデアラウト私ハ考ヘル、デ此改正デ見マスルト云フト
唯鑛區稅トノミニナッテ居ル、シテ見マスルト云フト、此日本ノ少數ナル所
ノ大鑛業者ノ大ニ利スル所トナッテ、多數ノ小鑛業者ガ大ニ困難ヲスルノデゴ
ザイマス、故何ナレバ大略取調ベテ置キマシタガ、栃木縣ニゴザイマス足
尾銅山ノ現行法律ニ據リマスル所ノ課稅デゴザイマス、一箇年一万三千六百
七圓二十四錢九厘、是レ納メテ居ルノデ、此改正法律ニ據リマスルト二千
六百二十九圓三十八錢七厘、差引減ズルコトガ一万九百七十七圓八十五錢七
厘現行法ヨリ減ズルノデゴザイマス、シテ又此小鑛山ヲ比較シテ見マシタ所
ガ秋田縣ノ十二貫目ト云フ字ノ銅山、是ハ現行法ニシマスルト百十八圓
七十二錢九厘ヲ納メテ居ル、改正法ニ據リマスルト云フト五百四十九圓九十
六錢、是レ差引增スコトガ四百三十圓二十三錢一厘增スノデゴザイマス、
デ如何ニモ公平ヲ保タニヤナラヌト云フ原因カラ出テ居リマスル、此改正案
デゴザイマスニ、却テ此不公平ガ甚シキモノト言ハザルヲ得ヌノデゴザイマ
ス、何分此案外ニハ種々深キ意味ガアルヤウニ私ハ考ヘテ居リマスルケレド
モ、其意味タルヤ判然私ガ承知シマセヌモノデゴザイマスカラ、唯公平無私
ノ考ヲ以チマシテ、此案ニ反對スルノ所以デゴザイマス、諸君幸ニ公平ノ御
考ヲ以テ、我說ニ御同意アランコトヲ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=87
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088・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) 政府委員ニ御尋致シマス、先刻既ニ其端〓ヲ
啓イテゴザリマスガ、統計年鑑ニ記載シテ居ル所ト、政府ガ中村君ニ御話ニ
相成ッタト云フヤウナコトノ二十六年度ノ鑛業鑛區ノ統計金額ニ殆ド一万圓
近クノ差違ガ生ジテ居リマス、どちらガ眞實デアルカト云フコトヲ確メタイ、
第二ニハ統計年鑑ニ據リマスレバ、二十七年度ノ收入ノ豫算ト云フモノガ二
十一万ト致シテアルノデアル、ドウ云フ譯デ二十六年度ガ十七万ナノニ二
十七年度ガ二十一万ト云フ殆ド三四万圓ノ增額ガアルト云フノデゴザイマ
ス、第三ハ足尾銅山ノコトデゴザイマスガ、足尾銅山ノコトニ就イテハ、唯今
植田君ノ御話ノ通ノコトデアルヤ否ヤト云フ此〓ニ就キマシテ、先ヅ第三ノ
尋ヲ致シマス、ソレカラ政府委員ガ御同意ダト申シマスルカラ、是モ政府
委員ニ伺ッテ置キマスルガ、どあたカモ既ニ御發議ニ相成リマシタ通リ、此
修正案ニ依ッテ見マスレバ、農商務省ノ在官者ハ是等ノ營業ヲ爲スコトガ出
來ナイト云フ明文ガ記載ニナッテ居リマス、所ガサウシマスレバ、農商務省
ノ官吏以外ノモノナラ在官者デアッテモ、是等ノコトノ出來ルト云フ精神デ、
其箇條ヲ御書加ヘニナッタモノデアリマスカ否ヤノ〓ヲ伺ヒマス私ノ考ヘ
ル所ニ依ルト、農商務省ノ官吏ダケガ斯ウ云フ會社ニ這入ラレナイコトノヤ
ウニ思ッテ居リマス
〔政府委員農商務次官金子堅太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=88
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089・金子堅太郎
○政府委員(金子堅太郞君) 草刈君ニちよっと御尋致シマスガ、あすこニ居
リマシテ能ク御質問ガ一々聽取レマセヌデアリマシタガ、第一ノハ二十六年
度ノ豫算額ニ就イテ差違ガアルノハ、ドウ云フ譯カト云フノカト·発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=89
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090・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) どちらが本當カト云フノデス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=90
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091・金子堅太郎
○政府委員(金子堅太郞君) 左樣デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=91
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092・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) 左樣デス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=92
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093・金子堅太郎
○政府委員(金子堅太郞君) 二十六年度ノ豫算額卽チ鑛業稅ト鑛區稅ノ豫算
額ハ二十一万五千零六十七圓零三錢九厘デゴザイマス、是ガ豫算額デス、所
ガ御承知ノ通リ實收入ニ就キマシテハ豫算程參ラヌコトデゴザイマス又
或ル場合ニ於テハ豫算ガ增シマスルノデゴザイマスガ、實收入ハ-二十六
年度ノ實收額ハ十七万八千八百六十八圓九十九錢五厘ト云フノガ、是ガ實收
額デゴザリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=93
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094・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) 所ガ其點デアリマスガ、統計年鑑デハ十七万
九千トナッテ居リマス、八千デハナク、九千トナッテ居ル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=94
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095・金子堅太郎
○政府委員(金子堅太郞君) 農商務省ノ方ノ調デハ八千デス、ソレデ差引收
入ガ三万六千減ッテ居リマス、ソレカラ二十七年度ノ豫算額ハ矢張豫算不成
立デアリマスタメニ、前年度ニ依リマシタカラ、二十一万五千ニナリマシタ
ノデ、ソレカラ第二ノ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=95
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096・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) 足尾銅山ノコト発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=96
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097・金子堅太郎
○政府委員(金子堅太郞君) 足尾銅山ニ如何程ノ收入ガアルカト云フコトデ
スカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=97
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098・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) 植田君ノ言ハレタ通ノコトデス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=98
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099・金子堅太郎
○政府委員(金子堅太郞君) 足尾ニ就イテノ特別ニ調ベタモノハ、今持チマ
セヌデゴザイマスガ、殊更ニサウ云フ御質疑ガアラウト思ッテ、足尾ノ事ヲ
特別ニ調ベタモノハ玆ニハアリマセヌガ、御入用デアリマスレバ、調ベテ申
シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=99
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100・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) ソレカラ在官者ノコトニ就イテハ、農商務省
ノ官吏ニ限ッテ營業ガ出來ナイト云フコトニ致シマシタノハ、ドウ云フコト
デアルカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=100
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101・金子堅太郎
○政府委員(金子堅太郞君) 農商務省ノ鑛山局トカ鑛山監督署ノ者デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=101
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102・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) 修正案ヲ御朗讀ニナッタモノト思フテ、申シ
マセヌデシタガ·····発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=102
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103・金子堅太郎
○政府委員(金子堅太郞君) 現行法ガサウナッテ居ルノデス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=103
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104・草刈親明
○草刈親明君(二百二十八番) ソレハ惡ルイノデ-惡ルイノヲ玆ニ御加ヘ
ニナッタト云フノハ、ドウ云フノデスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=104
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105・金子堅太郎
○政府委員(金子堅太郞君) ソレハ御承知ノ通リ農商務省ノ鑛山局及鑛山
監督署ノ者ハ日本全國ノ鑛山ヲ監督シテ居ルモノデゴザイマシテ、其不十
分ナルコトモ摘發モ致シ、又犯罪者ガアレバ法律ニ依ッテ、ソレ〓〓處分ヲ
モスベキモノガ、利益ノ分配トカ、株主トカ、或ハ役人ニナッテ居リマスレ
バ、ドウモ公平ノ處分ガ出來ナイト云フ普通ノ原則カラ出タモノト思フ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=105
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106・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) サウスルト地ノ官吏ハ會社員ニナッテモ宜
シイノデアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=106
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107・金子堅太郎
○政府委員(金子堅太郞君) 直接ニ監督シテ居ルモノヲ除クノ外ハ、普通ノ
營業若クハ普通ノ株主ニハナリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=107
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108・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 藤金作君
(「討論終結」ト呼フ者アリ「贊成々々」ノ聲起ル〕
(草刈親明君「モウ一時間モ費シタカラ討論終結ニ贊成」ト呼フ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=108
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109・中村彌六
○中村彌六君(百六十一番) 是ハ從來ノ倒ニ依ノテ贊成ト反對デゴザイマス
カラ登壇致シマスヤウニ
〔藤金作君演壇ニ登ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=109
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110・藤金作
○藤金作君(百二十四番) 本案ニ就イテハ最早委員長カラ詳細ノ報告モアリ
マスシ、反對者ノ御論モアリいろ〓〓質問モアッタ末デ、討論終結ノ場合
デアリマスカラ、私モ登壇スルノハ難澁デゴザイマスガ、簡單ニ此稅額ノコ
トニ就イテ御議論ガアリマスカラ、是ダケヲ一ツ述ベマシテ、私ハ終ルコト
ニシヤウト思ヒマス、鑛業稅改正法案ハ此法案ノ通ニナルガ、最モ當局者竝
ニ實業家ニ於テモ甚ダ便利ヲ得ルニ相違ナイデアリマス是ハモウ前々會期
カラ始終本會デハ贊成ノアッタ方デゴザイマス、然ルニ一番困難ナルハ試掘
ノ制ヲ廢スルト云フノト、稅法ノ變ルト云フノト此二點ガ衝突シテ居ルコ
トデアリマス、然ルニ現行ノ稅法ハ鑛區稅竝ニ鑛業稅ノ二ツデアリマスカ
ラ、法律ノ明文ニ於テハ甚ダ宜シイデアリマスル併ナガラ實際ハ徵稅スル
ト云フコトニ至ッテ、何分行ハレヌコトニナッテ居リマスル全ク有名無實
卽チ鑛業稅ハ販賣代價ノ百分ノ一トアリマスケレドモ、是ハ隨意稅ノ如キモ
ノニナリマシテ、納メルモノモアリ、納メナイモノモアルト云フコトニナツ
テ、名ノミアッテ其實ノナイト云フコトニナッテ居リマス是ハ甚ダ當局者
モ厭フテ居ル場合デアル又實業者モ是レガタメニハ自ラ不安心ニ考ヘテ
居ル次第デアリマス是ニ依ッテドウカ之ヲ簡單ニ一ツ〓正シヤウト一云フ點
カラ鑛區稅ノ-日本坑法時代ノ稅額ニ改メルコトニ原案ニハナッテ居リ
マシタケレドモ、又實地ノ有樣ヲ委シク調査シテ見マスルト、日本坑法時代
ト今日トハ變リマシテ、鑛區ノ坪數ナドガ非常ニ增額致シマシテ、何分日本
坑法時代ノ通デハ又稅額ニ堪ヘナイト云フコトモアリマスカラ、原案ニ對
シテ三割ヲ減ジマシテ是ガ適當デアルト云フ考デ、石炭ハ千坪ニ七十錢、
金屬類ハ一圓四十錢トナッテ居ル其結果ニ依リマシテ、稅額ノ當リヲ今日
現在ノ鑛區ニ計算ヲ致シテ見マスルト云フト大ニ稅額ガ增シテ來ル割合ニ
チリマスルカラ、此割合ノ算出スル所ダケヲちよっと述べテ置カウト存ジマ
ヌル、二十六年ノ十二月ノ現在ノ數ニ於テハ草刈君ガ述ベラレマシタ如
ク十七万八千八百六十八圓九十一錢五厘デアル、之ヲ〓正法案ニ依リマシ
テ、尙ホ三割ヲ下ゲマシタ所カラ、現在今日ノ借區坪數ヨリ計算シタモノデ
ゴザイマスガ、今日ノ借區ノ面積ニ乘ジマシテ、石炭ハ一億三千四百五十三
万七千五百七十一坪、之レニ七十錢ヲ乗ツテ九万四千百七十六圓六十錢、金
屬類ノ鑛區ガ一億零三百三十三万千五百五十六坪、此稅金ガ十四万四千六百
六十四圓八十錢、此計二十三万八千八百四十一圓四十錢、斯樣ニナリマスル
カラ、改正ヲ致シマスルト、現借區ニ對シテモ凡ソ五万圓カラ增額スル割合
ニナリマス、此試掘ト云フモノガ實ニ今日ハ非常ナ試掘願ガ流行ニナッテ居
マシテ、委員長ガ述ベマシタ如ク、十一億千四百四十九万三千八百二十六坪
ト云フ莫大ナル試掘ノ面積ニナリマシテ、之ニ半額ノ稅ヲ乘ジマスト云フト
大ニ其試掘ノ數ハ減ルデアラウト存ジマス、假ニ私ガ計算スル所デハ百
分ノ六十ハ試掘願ヲ取消スモノト致シマシテ、百分ノ四十ガ相殘ルモノト
シテ是ヨリ計算ヲ致シマシテ、彼ノ石炭ト金屬類ノ比例ニ依ッテ四分六分
ニ分ケテ、石炭ハ六分金屬類ハ四分ト云フ割合カラ半額ノ稅ヲ乘ジマスルモ
ノトシマシテモ、此二ツノモノヨリ計算スル所ノ稅額ハ二十八万三千七百六
十三圓六十錢、斯ウ云フ稅カ徵收スルコトガ出來得ル譯デアル、之ニ依ッテ
前ノモノト二ツ併セマスト云フト、都合五十二万二千六百零五圓ト云フ高ニ
ナリマスル、此中現行法ノ十七万八千八百六十八圓九十一錢五厘ヲ差引致シ
マスト云フト差引增額スル金額ガ三十四万三千七百三十六圓ト云フ額ガ新
ニ稅ヲ增スコトニナルト云フ計算デアリマス、此試掘ヲ廢スルト云フ〓ニ就
イテ植田君ノ御議論モゴザリマシテ、私モ其御議論ノ上ニ於テハ聊カ同感
ノ所モアリマスガ、又實際ノコトヲ考ヘマスト我福岡縣ノ如キニ於キマシテ
モ、石炭ノ試掘ノ出願高モ三億二千万坪ト云フ出願ヲ致シマシテ、ソレハノ
驚クベキ試掘顧ノ流行デアリマス、ソレハ無理ニ手數料ヲ-登記印紙ヲ貼
リマシテ、出願致シマシテ、いろ〓〓ノ弊害ガ生ジテ、實ニ今日デハ町村長
抔モ困ッテ居ルト云フコトヲ續々通知ヲ致シマシテ、此間ニ於テ地方長官ト
監督署長ト公益ニ害ガアルトカナイトカ云フ〓ニ就イテ、推合等ノ手數ヲ要
スルコト實ニ非常ナコトデアリマスドウカシテ此試掘ノ制モ必要デア
ル又此弊害ト云フモノモドウカ無イヤウニ致シタイ、從ッテ實業社會
ノ迷惑モシナイト云フコトニシタイト云フ考ヨリシテ、私ハアノ植田君ノ
說ト原案者ノ說トノ間ニ立ッテ、大ニ心配ヲ致シテ、調査シタ所ノ結果トシ
テ、斯ウ云フ修正案ニ成立ッテ居ル譯デアリマス、此所ヲ能ク諸君御察シアッ
テ、ドウカ鑛業條例ノ改正ハ今日ニ於テ必要デアルト云フコトヲ、御考ヲ
願ヒタイ、且ツ又鑛業ノ今日勃興シテ居ル有樣ハ如何ノモノデアルカト云フ
コトヲ簡單ニ申上ゲテ置キタイデゴザリマス、明治十七年ノ項迄ハ石炭借區
ガ五百八十万坪デアリマシタモノガ、今日ハ一億三千万坪以上ニナリマシ
タ旣ニ二十何倍ト云フモノニナリマシタガ其時ナカッタモノヽ此試掘顧
ト云フヤウナモノハ既ニ十一億何千万坪ト云フモノニナリマシテ、殆ド十
七年頃ノ鑛區ノ坪數ノ百何十倍ト云フ面積ニナッテ來テ居リマス、是ガタメ
ニ地方長官ナリ監督署長ナリ、非常ナ迷惑ヲ致スコトハ實ニ困ッタ次第デ
アルソレカラ又其割合ニ產額ハナイデゴザリマス、產額ノ割合ハ漸クニシ
テ十年間ニ三倍程增シテ居リマスガ、此場合ニ於テ唯今ノ〓正案位ノ稅額ヲ
課シテ置イテ追ミ之ヲ一ノ稅源ト爲シタイト云フコトハ、私共又委員一同ニ
考ヘテ居ル次第デアッテ、當局者ニ於テモ是ハ今日三千万圓ハ旣ニ此鑛業ヨ
リ產額ガアルカラ、追ッテ百万圓以上ノ稅源ハ之ニ充タスコトガ出來ヤウト
云フコトハ、孰モ考ヘテ居ル次第デゴザリマスケレドモ、最早此議會中ニハ
單獨ナル鑛業稅法案ト云フモノモ調査スルコトモ出來マセヌカラ、是ハ次ノ
議會ニ讓ルト云フ考ヲ以テ居ル譯デアリマス、ドウカ一ツ御贊成アランコト
ヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=110
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111・目黒貞治
○目黒貞治君(百二十五番) ちよっと御尋致シタイ、唯今改正スルトキニナッ
テハ、大層此鑛業稅ノ多ク取レマス所ヲ御述ニナリマシタガ、此取レマセ
ウト云フノハ、思フニ唯見込ニ過ギナイカト思フヤウデアリマスト云フモ
ノハ今ノ試掘卽チ試掘者カラ多ク取ルト云フ方ガ多イヤウニ考ヘマス就イ
テハ私ガ斯ウ云フコトヲ一ツ聞キタイ委員會デたしか御調ニナッタト云フ
コトモ承知致シテ居リマスガ、材料ハ藤サンガ御持デアリマセウ、第一日
本ノ今鑛山-鑛業ノコトヲヤッテ居ルモノ、此大事業者ト云フモノハ古
河市兵衞、ツレナラ其次ニハ三菱、其次ニ藤田、其次ニ岩崎、其次ニ住友、是等
ノ人〓ハ現在ノ規則ニ依ッテ納ムル所ノ稅額ト、今度改正スル所此案ニ依ッ
テ納ムル所ノ稅額ノ比較シタ御調ガアルヤウニ承ッタ、是等ガドウ云フコト
ニナリマスカ、殖エル方デアリマスカ、減ズル方デアリマスカ、ちよっと此
金額ト、此人ミノ持ッテ居ル其鑛山ノ數ト、箇所トヲちよっと參考ノタメニ、
一應伺ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=111
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112・藤金作
○藤金作君(百二十四番) ソレダケ簡單ニ御答ヲ致シマス、成程私ガ調ベテ
居ルノヲ御覽ノ上ノ御尋デゴザリマスカラ最早是ハ御承知デアルコトハ
分ッテ居リマスケレドモ、改メテ御問デアリマスカラ、御答致シマス(「モウ
宜イ〓〓」ト呼フ者多シ)モウ諸君ガ宜イト云フコトデゴザリマスカラ-成
ルタケ御免ヲ蒙リタイ
〔「討論終結」ト呼フ者多シ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=112
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113・目黒貞治
○目黒貞治君(百二十五番) ドウカ藤サンニ御答ヲ願ヒタイ(「無用々々」「モ
ウ宜イ」ト呼フ者アリ)やかましい、本員ガ必要デ質問スルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=113
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114・藤金作
○藤金作君(百二十四番) ソレデハ簡單ニ御答致シマス、御尋ノ如ク古河市
兵衞ノ納ムル鑛業稅ハ一一万九千四百九十六圓デアリマス、ツレニ對シテ此鑛
法ニナリマスルト-改正案ニナリマスルト一万三千八百八十五圓程減リ
日々、ソレカラ三菱モ少シ減リマス、併ナガラマダ他ニ試掘ヲ願ッテ居ル者
ガ是等ノモノハ澤山アルガ、ソレヲ以テ埋メ合セルト又多クモナル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=114
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115・目黒貞治
○目黑貞治君(百二十五番) ちよっと現在ノ所デハ皆減ル方デゴザイマス
カ、試掘ハ姑ク措イテ相手ニナラヌカラ、現在ヤッテ居ル所ノ鑛業者デアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=115
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116・藤金作
○藤金作君(百二十四番) 唯今述ベタ所ガ減ズルノデゴザイマスカラ、今二
ツヲ調ベタ所デハ減ズルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=116
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117・目黒貞治
○目黒貞治君(百二十五番) 其他ハ如何デゴザイマス、此大モノ四五人ヨリ
出ルモノハナイ、又此鑛業モ澤山-大モノ四五人デアリマス、日本國中ノ
仕事ヲヤッテ居ル、此仕事ハ何千万圓ノ仕事ヲヤッテ居ル一年ニ何千万
ノ利益ヲ取ッテ居ルカ此鑛山ハ二束三文デ政府ノ財產ヲ受ケタノデアル、
サウシテ今日納メテ居ル稅金ハ幾ラデアリマスカ、却ッテ稅ヲ取ラウトシテ
モ、今ノ試掘ナドヽ云フモノハ當テニナルモノジヤナイ、大事ナコトデ
アルカラ、安ラカニ虚心平氣ニ盧心平氣ノ適當ノ決議ヲシタイト思ヒマス
カラ、少シ時間ヲ假シ給ハランコトヲ願ロマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=117
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118・藤金作
○藤金作君(百二十四番) ソレデハ四五人ノコトデゴザイマスカラ、朗讀シ
やく、住友吉右衞門ガ納ムル所ノ現行稅額ハ六千二百二十七圓、圓、以下ハ切
捨テヽ讀ミマス、ソレカラ合名會社ノ藤田組ト云フガ六千五百二十圓、三菱
ト古河ハ最前述べマシタ、ソレカラ三井鑛山ガ二万千二百四十二圓、是ダケ
デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=118
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119・目黒貞治
○目黑貞治君(百二十五番) ソレハ現在デ、改正ニナリマスルト発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=119
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120・藤金作
○藤金作君(百二十四番) 改正ニナリマスト、差引ハ先刻述べマシタ如ク
(「合計ハ」ト呼フ者アリ)合計ハ出來テ居リマセヌ、モウ先刻ヨリ述ベマシテ
一番減ルモノガ、一万三千圓ト一万五千圓、ソレラ二人ガ-アトハまる
デ減ッタ所ガ、住友トカ三井組ト云フヤウナ大キナ者ハ、別ニ鑛區ヲ澤山持ッ
テ居リマスカラサウ痛苦ヲ感ズルコトハアルマイト考ヘマス、私ハ實ニ此
統計ノ事ハ餘程委ク調ベテ居ルカラ、諸君ガ御許ニナレバ三四時間位ハ述べ
ル材料ハ持ッテ居リマスガ諸君ガ御厭デアルカラ、務テ辭退スル譯デアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=120
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121・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 討論ガ盡キタト考ヘマス、二讀會ヲ開クヤ否ヤノ決
議ヲ採リマス二讀會ヲ開クニ同意ノ諸君ハ起立ヲ請ヒマス
起立者少數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=121
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122・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 少數デゴザイマス
(「萬歲」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=122
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123・齋藤良輔
○齋藤良輔君(百七十番) 議事日程ノ變更ヲ求メマス、ト云フモノハ此頃委
員ニ付託セラレタ震災地方租稅特別法案ト云フモノヲ、之ヲ議シタイモノデ
ゴザイマス
〔「贊成々々」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=123
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124・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 百七十番カラ議事日程變更ヲ御求ニナリマシテ、大
略御述ニナリマシタ、之ヲ決ヲ採リマス、議事日程變更ニ同意ノ諸君ノ起立
ヲ請ヒマス
起立者少數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=124
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125・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 少數デゴザイマス、日程ノ第七ニ移リマス
第七砂鑛採取法中改正法律案(恒松隆慶君外二第一讀會
名提出)
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
明治二十六年法律第十號砂鑛採取法中ヘ更ニ左ノ通第三條ヲ挿入シ現行法
第三條ヲ第四條トシ以下逐條順次繰下ク
第三條採取ノ事業ヲ讓渡セムトスルトキハ所轄鑛山監督署長ヲ經由シ農
商務大臣ノ許可ヲ受クヘシ
共同採取人中ニ於テ除名スルトキハ所轄鑛山監督署長ニ屆出ヘシ
〔恒松隆慶君演壇ニ登ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=125
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126・恒松隆慶
○恒松隆慶君(七十番) 諸君、私等ガ砂鑛採取法案ノ改正追加案ヲ提出致シ
マシタデ、其理由ヲ述ベント欲シマスルガ、其前ニ多少字句ノ誤字ト脫字ガ
ゴザイマスデ、之レヲ御訂正ヲ前ニ願ヒタイト存ジマス、前ニゴザイマス所
ノ「左ノ通リ第三條ヲ挿入ス」ト云フ所ノ「ノ通リ」ト云フ三字ヲ削リマシ
テ「左ノ一條ヲ挿入ス」斯ウ致シマシタ、ツレカラ其次デ「逐條」ト云フ二條ヲ
削リマス、ソレカラ本文ノ三條ニ「讓渡セ」ノ「セ」ノ字ヲ「サ」ノ字ニ直シマ
ス、三條ノ一項デ「除名スルトキハ」ト云フ文字ノ下ヘ「其人名ヲ」ト云フ五文
字ヲ挿入致シマスノデ、斯ク私等ガ改正ヲシヤウト云フノハ現行法ノ第二
條ノ次ヘ、更ニ第三條ヲ加ヘマシテ、第三條ヲ第四條ニ致シマシテ、以下
順次繰下ゲルト云フ次第デゴザイマス、新ニ之ヲ設ケマスノハ、唯今述べマシ
タ第三條ノ通デゴザイマスガ此「砂鑛ヲ採取セントスルモノハ所轄鑛山監
督長ヲ經由シテ農商務大臣ノ許可ヲ受クヘシ」現行ノ第三條ニアリマシタガ、
其砂鑛ノ採取ヲ讓渡スノ場合ニハ讓渡人ハ廢業ヲナシ、讓受人ハ新ニ出願
ヲシテ除名ノ場合ニハ共同採取人ガ一旦廢棄シテ更ニ出願スルト云フ如キ、
無用ノ手續ヲ要シマスルガタメニ、當業者ハ少ナカラヌ不便ヲ蒙リマス、砂
鑛中デ最モ大キイモノハ砂鐵ノ業デゴザイマスガ、此我邦ニ鐵ノ事業ハ最モ
近來多ク外國カラ輸入モ致シマスケレドモ、是等ノ材料ト云フモノハ最モ
砂鐵ニ依ルモノデ、過日製鐵所ノ事モ建議致シタ場合モゴザイマス。デ是等
ノ事モ大ニ手ヲ著ケナケレバナラヌト云フコトガアルデアラウト思ヒマス
デ砂鐵ノ事業ニ就イテハ、公益ヲ害セザル限ハ、當業者ニ便利ヲ與ヘテ、此
業ノ發達ヲ促スガ必要デアルト信ジテ居リマス、ソレ故ニ吾〓ハ讓渡及除名
ニ關スル規定ヲ設ケテ、當業者ニ其自由ヲ與ヘ是マデ蒙リ居タル不便ヲ除キ
マシテ、此業ヲシテ益〓發達セシメヤウト思フノデゴザイマス、而シテ是
ニ自由ヲ與ヘルノモ、公益ヲ害スルト云フコトノナイ限ハ、之ヲ與ヘテ差支
ナイト考ヘマス、政府ニ於キマシテモ、改正案ニハ聊カ不同意ハナイ、固ヨリ
同意ノコトデアラウト確信シテ居ル、又諸君ニ於キマシテモ自由權利ヲ自重
セラレマス御方デゴザイマスルカラシテ、是等ハ無論御贊成下サレマシテ、
速ニ本案ノ成立アランコトヲ望ミマスノデゴザイマス
(「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=126
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127・田中鳥雄
○田中鳥雄君(五番) 本案ノ改正ハ唯今恒松君ノ御演說ノ通リ、誠ニ單簡ナ
モノデアリ、最モ明瞭デゴザイマスカラ、讀會ヲ省略シテ、直ニ今日可決
アランコトヲ希望シマス
〔「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=127
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128・島田三郎
○副議長(島田三郎君) 讀會省略ハ異議ガナイヤウデゴザイマスカラ、讀會
省略ハ諸君ハ可認セラレタルモノト認メマシテ、直ニ決議ヲ採リマス
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=128
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129・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 本案同意ノ諸君ハ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=129
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130・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 多數デ確定致シマシター-日程ノ第八ニ移リマス、
製茶試驗場設置建議案-一一百九十番大原君
第八製茶試驗場設置建議案(丸尾文六君外六名提出)
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
製茶試驗場設置ノ建議
製茶ノ販路ヲ擴張シ其ノ發達ヲ圖ラムト欲セハ須ラク其ノ品質ヲ精良ニシ
其品位ヲ齊一ニシ以テ海外諸國ノ好尙ニ適セシメサルヘカラス然ルニ其ノ
製造方法ハ〓ネ未タ舊套ヲ脫セスシテ其ノ品位ノ優美ナルニ比シ其ノ品質
ノ佳良ナラサル者多ク而モ其ノ製費ハ他ノ產茶諸國ニ比シ却テ多額ヲ要ス
ルモノヽ如シ今ニシテ製造方法ヲ改善スルト同時ニ製費節減ノ方法ヲ講セ
スムハ斯開港以來輸出額漸次增加シ將來益〓多望ナル一大國產ヲ以テ遂ニ
挽囘スヘカラサル悲境ニ沈淪セシムルヤ計リ難シ曩キニ政府ハ茶業組合規
則ヲ發布シ茶業者ヲシテ組合ヲ設ケシメ這般改善ノ方法ヲ計畫セシメタリ
ト雖未タ以テ目的ヲ達スルニ至ラス故ニ政府ハ宜シク製茶試驗場ヲ設置シ
之ニ學士及斯業ニ堪能ノ者ヲ招集シ之ヲ計畫シ諸般ノ試驗ヲ爲サシムヘシ
依テ速ニ明治二十八年度ニ於テ豫算ヲ提出セラレムコトヲ望ム
〔大原重右衞門君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=130
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131・大原重右衞門
○大原重右衞門君(二百九十番) 諸君、私ハ少シ風邪デモゴザイマスシ、申
シマスル趣意ガ御徹底致シマセヌカト考ヘマスケレドモ、免ニ角本案ノ說明
ヲ致ス考デ此壇ヘ登ッタ譯デゴザイマスカラ、暫時·······此本案ヲ說明スルニ
當リマシテ、先キニ一ノ訂正ヲ加ヘテ置カウト考ヘマス此訂正ハ私共ハ誠
ニドウモ以テ遺憾トスル所デアリマスケレドモ、實ニ今日軍國多事ト云フ一
聲ハ、本年此本案ヲシテ豫算ニ上ラシムルト云フコトハ到底むつかしいコ
トヽ本員ハ考ヘルノデアリマス、先ヅサウ云フ有樣ニ立至リマシタカラ、此處
デ本員ハ此建議ノ訂正ヲ致シマス此建議案ノ一番末文ノ「依テ」ト云フ、末
項ノ「依テ」ト云フ二字ヲ削リマスデゴザイマス、ソレカラ「明治二十八年度」
ノ「八」ト云フ字ヲ「九」ト替ヘマスルデゴザリマス、則チ明年ノ會議ニ此本案
ヲ提出セラレムコトヲ遺憾ナガラ政府ニ建議スルト云フノデゴザイマス(田
中鳥雄君「「速ニ」ト云フ字ハドウスルノデスカ」ト呼フ)「速ニ」モ削リマス、ソ
レカラ此本案ノ目的ト致シマス所竝ニ其方法等ニ就イテ述べヤウト思ヒマ
ス、卽チ其目的ト致シマス所ハ、諸君モ御承知ノ如ク、此製茶ト云フモノハ是
マデ此本邦ニ於キマシテハ重ニ手ヲ以テ之ヲ製造シテ居ルヤウナコトデア
リマス、一切機械ノ力ヲ藉ルト云フコトハシナイノデゴザイマシタガ、ドウ
モ唯今追く海外諸國競爭モ甚シクナッテ來マスルシ、今日ノ有樣ニ於キマシ
テハ到底多少機械ヲ應用スルト云フコトニシナケレバ、迚モ競爭場裏ニ向〃
テ勝ヲ決スルト云フコトハ如何デアラウカト云フ恐ガアリマスルカラ、
ソレデ多少機械ヲ應用スルト云フコトヲ、攻究シタイト云フ考デアル、又一
ヲニハ此唯今マデ製茶ノ法ト云フモノハ唯現品ヲ以チマシテ、何カシテ
製造シテ居ルノデアッテ、其施術ノ巧拙ニ依リマシテ、茲ニ或ハ善イ茶トナ
リ惡ルイ茶トナルト云フコトニナッテ居リマスヤウナコトデゴザイマス、重
ニ學理ノ之ヲ應用スルト云フヤウナコトハ出來ナカッタノデアリマス、其間
多少學理ノ考ノアル人ガアリマシテモ、深ク攻究シ、又委シク之ヲ精査シテ、
然ル後ニ是ニ學理ヲ應用スルト云フヤウナコトハ、出來ナカッタノデゴザ
イマス、是等モ今日最モ緊急ノコトヽ存ジマス、デ此二ツノモノヲ以テ、此
本試驗場ヲ設置致シタイト云フ考デゴザイマス、所ガ目的ハ大變大キナヤ
ウナ目的デアッテ、殊ニ高尙ナ目的デアル、然ルニ其金額ハ幾ラト申シマス
ルト、私ノ豫算致シマシタ所ニ於キマシテハ卽チ一箇年ノ經費ハ一万圓ト
云フ考デゴザリマス、此一万圓ノ金ヲ當局者ニあてがひマシテ、當局者ニ此
一万圓ノ金ヲ以テ十分ニ製茶ノ方法ヲ攻究セラレンコトヲ希望スル考デゴザ
リマスソレカラ此本案ヲ提出シタ理由ヲ少シク述ベタイト思ヒマス、此
理由ヲ述ベルニ先チマシテ、少シク維新以來ノ茶業ノ歷史ヲ述べテ置キタイ
ト思之、是ハ本案ニ密接ノ關係ガアリマシテ、餘程必要デアリマスカラ、簡
單ニ述ベタイト思ヒマス、抑〓本邦ノ製茶ハ明治元年ノ輸出高ハ僅ニ千十一
万五千五百九十三斤デゴザイマシテ、此代價ハ三百五十八万千七百六十八圓
九十五錢トナリマス、卽チ百斤十六貫目ニ就キマシテ、三十五圓四十錢ト云
フ高價ニ賣却ニナッテ居リマス、ソレカラ十年ヲタチマシテ、明治十年ニ於
キマシテハ輸出額ガ增シマシテ二百七十一万八千百六十六斤ト云フコトニナ
リマシタ、ソレカラ其代價ハ四百三十七万五千二百七十四圓六十五錢ト云フ
コトニナリマシテ、卽チ百斤ノ價二十一圓十一錢ト云フコトニ下落致シマシ
タ斯ノ如ク輸出額ハ增加致シマシタガ、其代價ニ於キマシテハ實ニ百斤
ニ就キマシテ十四圓二十九錢下落ヲシテ居ル卽チ凡ソ六割弱ノ下落ヲシテ
居ルノデアリマス、製茶家ハ追く收支相償ハナクナリマシテ、其結果粗製濫
造ト云フ最モ悲シムベク、最モ本業ノタメニ前途ノ氣遣ハシイ所ノ弊害ガ、
此場合ニ起ッタ譯デゴザイマス、而シテ此茶ノ下落ト云フコトハ獨リ此本
邦ノミ此下落ニ掛ッタト云フ譯デハゴザイマセヌ、此當時ニ至リマシテハ、
世界ノ產茶國ハ大〓皆此災ニ罹ッタ譯デゴザイマス、斯ノ如クニシテ海外
諸國ヨリモ不正ノ製茶ガ追ミ輸入ヲ致サレマシタガ故ニ英國ノ如キハ明治
八年度ニ於キマシテ、食料品及藥品販賣條例ト云フ一ノ法律ニ製茶ノコトヲ
追加致シマシタ譯デゴザリマス、是等モ本案ニモ必要ニアラウト考ヘマスカ
ラ短ウゴザイマスガ、ちよっと讀ミマス、斯ウデゴザリマス
英國食料品及藥品販賣條例拔萃
茶ニ關スル特別法
三十條千八百七十六年一月一日以後大英國及愛蘭ノ各港ヘ商品トシテ輸
入シ陸揚ケセラレタル總テノ茶ハ稅關吏ノ選定セシ檢査員ノ檢査ヲ經ヘ
キモノトス該檢査員ハ大藏省ノ認可ヲ受クルモノニシテ茶ヲ審査及分析
スルヲ目的トス該檢査員ニ於テ必要ト認メタルトキハ見本ヲ取リ可及丈
速カナル便法ヲ以テ之レヲ分析員ニ交付分析セシムヘシ
此分析ニ依リテ該品ニ他物若クハ消耗茶ノ混淆セル事ヲ發見スルトキハ
該品ハ稅關吏ノ許可ナクシテ賣買スル事ヲ得ス但稅關吏ハ內國ノ消費若
クハ船舶使用又ハ輸出用等適當ト認メタル條件ヲ以テ指定スヘシ
審査及分析ニ由リテ分析者ハ人生ノ〓料ニ適セスト認メタルトキハ之ヲ
沒收棄却ス或ハ稅關吏ノ指圖ニ據テ處分セラルヘシ
本條例中消耗茶トハ浸潤煎烹若クハ其他ノ手段ヲ以テ其固有ノ品質勢力
及精分ヲ耗失シタル茶ヲ指稱包含スルモノトス
斯ウ云フヤウナ者ガ出マシタ、ソレカラ又北米合衆國ハ明治十六年ニ當リ
マシテ、是ハ諸君モ御承知デアラウト思ヒマスガ、贋茶造輸入禁止條例ト云フ
モノヲ發布致シマシタノデゴザリマス、是ハ長ウゴザリマスデ、其一節ヲ是
モ亦讀上ゲマス、贋造茶輸入禁止條例(「簡單々々」ト呼フ者アリ)極ク簡單デ
ス
米國贋造茶輸入禁止條例拔譯
第一條本條例決議以來個人若クハ會社ニ於テ疑似ノ雜葉又ハ消耗シタル
茶葉ヲ贋雜シ若クハ藥品其他有害ノ物質ヲ多量ニ含有シテ飮用ニ不適當
ナル商品ヲ製茶ト稱シ販賣ノ目的ヲ以テ之ヲ合衆國內ニ輸入スルハ法律
違反ノ所爲タルヘシ凡テ此ノ如キ商品ノ輸入ハ本條例ヲ以テ之ヲ禁止ス
ルモノトス
第七條本條例中消耗ナル語ヲ適用セル茶葉ハ浸潤烹煎等ノ方法ニ由リテ
固有ノ性質勢力又ハ精分ヲ消耗セシメタル各種ノ茶葉ヲ指稱包含スルモ
ノトス
前項(「簡單」ト呼フ者アリ)成ルベク簡單ニ遺リマス(一六十八シカナイ」ト呼
フ者アリ「議長閉會ヲ願ヒマス」ト呼フ者アリ「謹聽々々」ト呼フ者アリ)斯ウ
云フ旣ニ條例モ英米各國ニ施イテアリマスコトデアリマスカラ、皆其粗惡不
正ノ茶ヲ輸入スルコトハ出來マセヌカラ、十分品質ヲ改良致シマシテ、且ツ
製造法ニ改良ヲ加ヘマシテ、成ルベク價ヲ安クシテ、賣ルト云フコトガド
ウシテモ必要ナコトデゴザリマス、ソレカラ此明治十年以後ノ此製茶ノ變遷
ヲ述ベヤウト思ヒマスガ、併ナガラ諸君ガ大變御厭倦ノヤウデアリマスカラ
(「分リマシタト」呼フ者アリ)ソレダケハ略シマシテ、直ニ此本案ヲ提出致
シマシタ所ノ理由ニ入ッテ少シク述ベタイ(小室重弘君「議長、定數ニ滿チマ
セヌ」ト呼フ)サモナイト本案ノ說明ガ足ラヌ(「簡單」ト呼フ者アリ「謹聽」
ト呼フ者アリ)昨二十七年ニ於キマシテハ日本ノ製茶ハ實ニ七百七十万圓臺
卽チ明治二十六年ノ七百七十万圓ヨリ上リマシテ、九百三十万圓ノ輸出ヲ爲
シテ居ル、斯ノ如キ盛況ヲ御覽ニナリマシタナラバ或ハ內地ノ改良ノ如キ
ハ餘リ必要ナラヌト云フヤウナ御感ジモナイトハ申サレマセヌガ、是ハ則チ
昨年北米合衆國ニ於キマシテ、彼ノ生絲ノ好況ナリシト同一ノ理由ニ依リマ
シテ、則チ一昨年ノ不景氣ノ反動ナルモノハ、海外爲替相場ノ下落ヨリ生ジタ
ル現象デアラウト私ハ確信スルノデゴザリマス、因テ今年モ幸ニ海外爲替相
場ニ變動等モナケレバ結構デアリマスガ、免ニ角茲ニ一朝變動ガアリマシタ
場合ガ起リマシタナラバナカ〓〓昨年ノ如キ高價ニ都合宜ク賣往クコトハ
到底覺束ナイト考ヘマスノデゴザリマス、ソレデ製茶家ハ到底サウ云フ有樣
ニナリマシタナラバ不景氣ノ嘆聲ヲ發シナケレバナラヌト思フノデアル
今試ニ是ヨリ茶畑一段步ノ計算ヲ舉ゲタイト思ヒマス、是ハ委シク書イテ
來マシタガ、略シテ申上ゲマス結局其一段步ノ利益ハ稍ク一圓二十四錢八
厘トナリマス(「サウ一樣ニ參ラヌ」ト呼フ者アリ)尤モ茶畑ニ依リマスガ、
平均コンナモノデゴザリマス、是ヨリ利益ノアル所モゴザリマスガ、ナイ所
モゴザリマス、田地ノ半額ノ純益ニモナラヌヤウナ譯ニナッテ居ル、斯ウ云
フヤウナ場合カラ製茶家ハ一意製造費ヲ節省セシメンガタメニ、製造粗惡ニ
陷ル弊害ガ起ッテ來ル、是レ第一ニ製造法ニ改良ヲ加ヘナケレバナラヌ理由
デアエウト思ヒマス、ソレカラ目下茶畑ノ減少デゴザリマス、則チ統計表ノ
示ス所ニ依リマスレバ、明治二十五年ニハ六万二千六百二十七町八段步ノ茶
畑ガゴザリマシタガ、翌二十七年卽チ昨年ニ至リマシテハ六万千八十八町
二段步ニ減少シマシタ卽チ差引イテ千五百三十九町六段步ノ減少ヲ致シテ
居ル、若シ將來製茶ガ尙ホ一層唯今ヨリ不景況ニ趨キマシタナラバ實ニ此
蠶茶ト申サルヽ第二ノ物產タル茶ニ對シテ、實ニ恐ルベキコトデアラウト思
ヒマス是レ卽チ第二ノ理由デゴザリマス、ソレカラ次ニ製造方法ノ事デ
〓、日本茶ノ製造ハ海外貿易ノ始マリマシタヨリ此方、當初ヨリ外觀ヲ主ト
シテ遣ッテ居ル、寧口茶ニ肝要ナル所ノ色澤香味ト云フコトハ二段ノ事ニ致
シマシテ、ドウシテモ此形狀ト云フモノヲ主トシテ、遣ルト云フ其習慣ハナ
カナカ固クシテ拔ケヌヤウナ工合ニナッテ居ル、ソレカラ又外國卽チ外商ニ
於キマシテモ、其習慣ガ付イタ譯デゴザリマシテ、重ニ形狀ヲ主トシテ買入
レテ居リマス、ソコデ此形狀ノ日本ニ一種特色ノ美ナル形狀ハ、海外諸邦
ノ模倣ノ出來ナイモノデゴザリマスカラ、此〓ハ大ニ宜イノデアリマスケレ
ドモ玆ニ一ツ困リマスコトハ、此形狀ヲ宜クセンガタメニ、大變手數ガ掛
ルノデゴザリマス、手數ヲ掛ケルト共ニ製造費ガ大變高ク附クノデアル、ワ
レデ既往ニ依ッテ、人夫薪炭等ニ〓乏ヲ訴ヘマス所ニ於キマシテハ、曩ニ述
ベマシタ所ノ組惡品ガ隨分澤山出來ルノデゴザリマス、之ヲ改良シマスニ
ハドウシテモ本案ノ如クセネバナルマイト思フソレカラ次ニ北米合衆國ニ
於ケル製茶ノ代價デゴザリマス、今私ガ米國ノ代價ヲ舉ゲマスノハ、米國ハ
實ニ此製茶ニ取リマシテハ實ニ唯一ノ大利害ヲ有スル國デゴザリマシテ、
則チ明治二十一年ヨリ二十五年ニ至ルマデ平均致シマシタ所ガ、則チ日本製
茶ノ八割一分六厘六毛ト云フ茶ハ米國ヘ向ケテ輸入ヲシテ居ル、則チ日本製
茶賣込額ヲ一千万圓トスレバ實ニ米國ニハ八百十六万圓餘ノ需要シテ居ル
ノデゴザイマスソレデ此茶ノ價格ニ(「定數ニ滿チマセヌカラ閉會ヲ願ヒマ
ス」ト呼フ者アリ)簡單ニヤリマス米國ノ茶ノ價格ヲ舉ゲマスレバ、則チ此
茶ノ代價ノコトハ分ルト思フ、則チ米國ニ於キマシテ、茶ノ相場如何ヲ見マ
スレバ此明治二十五年ニ於キマシテ、本邦ノ製茶ハ一ぽんどニ就キマシテ
平均十四せんとト云フコトニナッテ居ル、支那茶ハ十七せんとニナッテ居
ル、加那太ハ十九せんとニナッテ居ル、ソレカラ印度モ同ク十九せんとニナッ
テ居ル、ソレカラ香港ガ二十せんとト云フコトニナッテ居ル、英國ガ二十一
せんとデアリマシテ日本ハ實ニ一番最低度ニアルノデゴザイマス、斯ウ云
フ譯デアリマスカラ、前段ニ述ベマシタ如ク、製造費ハ却テ割合ニ多額ヲ
要スル譯デアッテ、而シテ其直段ハ安イト云フコトニナッテ居リマスルカ
ラ、大ニ此場合ニ力ヲ盡シマシテ、此茶ノ改良ヲ圖ルト云フコトヲセナケレ
バナラナイト思ヒマス、則チ第四ノ理由デゴザイマス、次ニ米國ニ於キマス
ル製茶ノ需要者變遷ノ有樣デゴザイマス、デ貿易開始ノ當時ニ於キマシテハ
製茶ヲ飮用致シマスル者ハ、重ニ上流社會ノ人デアッタノデゴザイマス
ル故ニ彼ノ形狀ノ美ナル製茶デアリマシテ、縱令其價ガ高クアリマシテ
モ一向平氣デ、之ヲ買取ッタンデアル、然ルニ其需要ト云フモノハ、段々
下〓一般ヘモ追〓趨イテ來タンデアリマスル是ガ則チ米國ニ輸入額ヲ增シ
マシタル所ノ原因トモナッテ居ルノデアリマスル、ソレデ今日ノ場合デハ
此需要增加ト共ニ價格ノ低廉ナル製茶ヲ供シマスルノガ、實ニ今日ノ必要
ノコトヽ考ヘルノデアル、併ナガラ價格ガ低廉デアルト申シマシテモ、形狀ニ
十分注意ヲ致シマセヌト、所謂粗製濫造ニ至リマシテ、海外諸國ノ產茶ニ對シ
テ競爭ヲ致サナケレバナリマセヌカラ、十分此邊ニ注意ヲセナケレバナラ
ヌ、卽チ價格ノ低廉ト品質ノ善良ヲ力メナケレバナラヌ譯デゴザイマスル、
是レ則チ第五ノ理由デゴザイマス、ツレカラ是ハマアいろ〓〓種類ヲ分ケテ
論ジマシタ譯デアリマス、則チ各論シタンデアル(「モウ分リマシタ」ト呼フ者
アリ)是カラ總論ニ渉ッテ少シ述ベタイト思フノデアリマスルガ、併ナガラ
諸君ニ於キマシテ大變御迷惑ヲシテゴザイマス、旣ニ分ッタト云フ御聲モ聽
エマスル譯デゴザイマスカラ、唯降壇ニ際シマシテ、一言申シ置キタイト思
フソレデ唯今此世界ノ產茶ノ有樣ハ如何ト申シマスルト實ニ段々進步シ
テ居ル彼ノ日本ノ戰シツヽアリマスル所ノ支那國ノ如キモ產額ハ追く增
シテ居リマス米國ニ向ッテノ輸入ハ大變減ジテ居リマスル、又英國ヘ向ッ
テノ輸入額ニ減ジテ居リマスルケレドモ、外ニ又販路ヲ求メマシテ、非常ニ
產額ヲ增シテ居ル、又印度ノ如キ總テ產額ガ增シテ居ルノデアル、デ本邦モ
今日ニ於キマシテ、餘程其注意ヲ加ヘマセヌ時ニハ、大ニ他日悔ヲ遺スコト
ガアラウト思ロマス、願クハ諸君ニ於キマシテモ、ドウカ此〓ヲ御諒察下サ
レマシテ、滿場一致デ御可定ニナランコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=131
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132・小畑岩次郎
○小畑岩次郞君(二百八十一番) 私ハ簡單ニ述ベマスルガ、此案ハ大贊成ヲ
シテ、反對ヲナサル御方ハアルマイト思ヒマス、茶ノ如キハ實ニ日本ノ物產中
ニ於テ蠶絲ニ次グ物產デアル、又販路ニ於キマシテモ、亞米利加ト云ヒ露
西亞ト云ヒ、追〓望ノアルコトデゴザイマス此試驗ヲシ、又此製造法ニ
注意シテ、改良ヲ加ヘナケレバナラヌコトハ、多々ゴザイマス、此重ナル物
產ニ對シテ、政府ハ今日ノ有樣ニ棄置クト云フコトハ實ニ不都合ノコトヽ
私ハ思フノデアル、故ニモウ議會モ既ニ期モ迫ッテ居リマスルシ、直ニ本案
ハ議決アランコトヲ希望致シマス
(「贊成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=132
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133・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 中村君ノ通告ガ出テ居リマスルガ、唯今ノ發議ガ成
立チマセヌケレバ、直ニ中村君ノ通〓ニ移リマス、唯今ノ場合ニ於テ討論終
結ト云フ動議モ出テ居リマセヌカラ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=133
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134・中村克昌
○中村克昌君(百四十一番) 直ニ採決スルナラバ、議論致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=134
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135・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 免ニ角正格ノ解釋ヲ下シマスレバ、何故ニ討論終
結ト云フ動議ガ出ナイカ、二百八十一番ノ不規則ノ發議ハ討論終結トハ認メ
ラレマセヌ、諸君ガ何處マデモ討論ヲ續ケルト云フ考ト認メマスカラ、通〓
ニ從ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=135
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136・中村克昌
○中村克昌君(百四十一番) 提出者ハ長ク御述ニナリマシタガ、私ハ極テ短
ウゴザイマス、此處デ反對ヲ致シマス提出者ノ御說ガ初カラつひ聽取リマ
セヌデゴザイマシタガ要スルニ提出者ノ御議論ハ席上ノ御議論デアッテ、
製茶ガ收支償ハヌトカ、或ハ一段步ニ就イテ一圓餘ノシカナイト云フコトハ
ナイノデゴザイマス、本員抔モ長ク此業ニ從事致シテ居ッタコトモアリマス
ガ、ナカ〓〓ソンナコトハアリマセヌ、此茶業ノ改良ヲ計リ則チ製法ヲ改メ
ル、或ハ粗惡ノ品ヲ製造セヌヤウニ改良スルト云フコトハ、至極宜イコトデゴ
ザイマス、製茶ハ固ヨリ我邦ノ國產中最モ至要ナルモノデゴザイマス、ケ
レドモ政府ニ於テモ曩ニ明治二十年デゴザイマシタカ、茶業組合規則ト云
フモノヲ設ケテ是等ノ心配ヲ致サレテ、茶業ノ進步ヲ計リマシタケレド
モナカ〓〓其利益ト云フモノガナイノデゴザイマス、利益ガナイノミナ
ラズ、地方ニ依ッテハ、費用バカリ掛ッテ、殆ド當業者ガ苦ンダコトデアル、
此茶業組合抔ト云フモノハ互ニ吟味ヲ致シマスルコトガ、營業ヲ進步サセ
ルト云フコトニ就イテハ必要ナコトデアリナガラ、其實際ニ至ルト利ガナ
カッタノデアル、殊ニ茶業ノ試驗場抔ト云フモノヲ設ケマシテ、學者ヲ集メ
ルトカ、或ハ熟達ノ者ヲ集メテ、議論ヲサセルトカ言ハレマスルケレドモ
何ソ今日試驗場ヲ設ケテ、學者ヲ集メ、討論ヲサシテ、〓究ヲ致サウトシテ
モ、決シテ利益ノナイモノト思フ、況ヤ一万圓位ノ金ヲ掛ケテ、ドウシテ此
利益ヲ見ラレルモノデアリマセウカ、全ク席上ノ議論ト言ハナケレバナラヌ、
殊ニ近來隨分茶業抔ノコトハ引合ハナイト申シマスルケレドモ、追〓當
業者ガ心配ヲシ、或ハ細キモノガ亞米利加ニ往クトカ、或ハ長イモノガドノ
國ニ向フトカ、隨分著々改良ヲ致シテ居ルノデゴザイマス、併ナガラ茶園ガ
追〓減ルト云フコトハ、是ハ時勢ノ然ラシムルモノデアル、全ク獨リ日本バ
カリデナク先刻提出者モ言ハレマシタ通リ、世界中何レノ國デモ、茶ハ不景
氣ヲ受ケテ居ルノデ、殊ニ茶園ガ減ツタト云フノハ、他ニ原因ガアルコト
デ、隨分東京最寄リ關東地方ニ於テ、茶園ノ減リマシタノハ、全ク養蠶ニ壓倒
セラレ、桑園ト茶園ト比較致シマスルト、茶園ノ方ガ利益ガ薄イノデアル、ソ
レ故ニ遂ニ茶園ガ減ルト云フ結果ヲ全ク來シテ居ルノデアル、是ハ事實デア
〓、併ナガラ提出者ノ述べラレマシタヤウニ一年ニ一万圓ノ金ヲ掛ケテ、
此試驗ヲ致スト云フヤウナコトハ、先ヅ私ハ利益ハナイト考ヘマスカラ、此
場合ハ此建議ヲスルノ必要ガナイ、又提出者ハ先程原案ヲ改メラレテ、二十
九年度ニ豫算ヲ出シテ貰フト云フコトニ改メラレタヤウデスガ、縱令二十九
年度ノ豫算ト雖モ、本員ハ此試驗場ヲ設ケルト云フコトハ不同意デアリマス、
何ゾ此場合今日ハ宜シク當局者ニ任セテ置クガ宜シイ、任セテ置テ差支ナイ
ト信ズルノデアル、試驗場ヲ設ケマシテ金程ノ利益ガナイ、現ニ茶業組合モ
成立シテ居リマスカラ、私ハ之ニ反對シテ、此建議ノ必要ナシト考ヘマス
〔「討論終結」ト呼フ者アリ「贊成々々」ノ聲起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=136
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137・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 討論終結ノ聲ガ起リマシテ贊成ガゴザリマスカラ、
討論終結ノ決ヲ採リマス、討論終結ニ同意ノ諸君ハ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=137
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138・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 多數デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=138
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139・石原彦太郎
○石原彥太郞君(二百八十七番) 議長発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=139
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140・島田三郎
○副議長(島田三郞君) 討論ハ終結致シマシタガ、此決議ニ關係シタ御發議
デアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=140
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141・石原彦太郎
○石原彥太郞君(二百八十七番) 左樣デゴザイマス、唯今此場ヲ見マスルト、
定數-非常ニ減少デ、六十名以內ト考ヘマス、決議ハ明日ニ延サレンコト
ヲ.
(「無用々々」呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=141
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142・中島又五郎
○中島又五郞君(百六十七番) ドウゾ委員付託ニ願ヒタイ
(「定數ガアリマスカ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=142
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143・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) 私ハ確ニ制規ノ人間ガ居ルト思ッテ居リマス
ケレドモ、今日ハ決ヲ採ルコトダケ御控ヲ願ヒタイ、何トナレバ決ヲ採リマ
シテ、サウシテ異議者ガアッテ、指名〓呼デモ致シマシタ結果如何デゴザイマ
スカ、甚ダ心配デゴザイマス
〔「委員付託贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=143
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144・島田三郎
○副議長(島田三郞君) サウ致シマスト、委員付託ノ說ニ贊成ガアリマスカ
ラ、是ガ決ヲ採リマス、採リマシテソレデ其結果ニ依リマシテ、更ニ決議ノ
宣告ヲ別ニ致シマス中島君ガ委員付託ノ說ヲ提出ニナリマシテ、是ニ贊成ガ
ゴザイマス、是ニ同意ノ諸君ハ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=144
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145・副議長(島田三郞君)
○副議長(島田三郞君) 多數デゴザイマス
〔「多數ナラバ異議ノ申立ヲ致シマス」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=145
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146・副議長(島田三郞君)
○副議長(島田三郞君) 贊成ガゴザイマセヌカラ直チニ委員付託ニ決シマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=146
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147・中島又五郞君(百六十七番)
○中島又五郞君(百六十七番) 先例ニ依ッテ議長ノ指名ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=147
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148・田中鳥雄君(五番)
○田中鳥雄君(五番) 異議ノ申立ヲ前カラシテアリマスガ··
〔「無用々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=148
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149・副議長(島田三郞君)
○副議長(島田三郞君) 贊成ガゴザイマセヌカラ、宣告致シマシタ、委員付
託ニナリマシタ、尙ホ會ノ散ジマスル前ニ、御報道申シテ置キマスルコトガ
一二箇條ゴザリマス、日程ノ事ニ就イテ御報道致シタイコトデゴザイマスカ
ラ、暫ク御著席ヲ-日程ヲ宣告致シマスル前ニ、是非御報道シテ置クベキ
尙ホ許可ヲ受クベキコトガゴザイマス、片岡健吉君ガ今日ヨリ十二日間
請暇ノ請求ガゴザリマス
(「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=149
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150・副議長(島田三郞君)
○副議長(島田三郞君) 是ハ許可ニナッタモノト認メマス、次ニ先刻議長ニ
託セラレマシタ委員ノ指名デゴザイマスガ、是モ今日直グニ御報道致シマス
〔佐脇書記官朗讀〕
特別輸出港規則追加法律案審査特別委員
木村誓太郞君小室重弘君中島又五郞君
山本三太郞君堤猷久君野口代治君
鹿島秀麿君志波三九郞君末廣重恭君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=150
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151・副議長(島田三郞君)
○副議長(島田三郞君) 次ノ會ヲ開キマスル日ト、竝ニ日程ハ更ニ御報道致
シマス-散會
午後五時四十六分散會
衆議院議事速記錄第四十四號正誤
頁段行誤正
七七〇下二五利益例規
衆議院議事速記錄第四十五號正誤
頁段行
八〇二上一六〔濱名信平君演壇ニ登ル〕ノ
十字ヲ脫ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X04618950312&spkNum=151
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