1. 会議録本文
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000・会議録情報
明治二十九年一月二十三日(木曜日)午前十時四十五分開議
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議事日程 第七號 明治二十九年一月二十三日
午前十時開議
第一 船舶檢査法案(政府提出) 第一讀會
第二 右議案の審査を付託すへき特別委員の選舉
第三 船舶職員法案(政府提出) 第一讀會
第四 右議案の審査を付託すへき特別委員の選舉
第五 船舶職員懲戒法案(政府提出) 第一讀會
第六 右議案の審査を付託すへき特別委員の選舉
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=0
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001・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 本日ハ蜂須賀議長所勞ニ附キマシテ、本員代理
ヲ致シマス、去ル二十日本院ニ於テ可決致シマシタル〓國償金ノ一部ヲ市町
村立小學校ノ基本金ニ充ツルノ建議書ハ卽日政府ニ提出致シマシテゴザイマ
ス、次ニ治安警察法案特別委員會ニ於キマシテ、委員長ニ男爵槇村正直君、
副委員長ニ村田保君當選ニ相成リマシテゴザイマス、議事日程ニ移リマス、
船舶檢査法案政府提出第一讀會ヲ開キマス、書記官ヲシテ提出文ノミヲ朗讀
致サセマス
〔有賀書記官朗讀〕
船舶檢査法案
右
勅旨ヲ奉シ帝國議會ニ提出ス
明治二十九年一月二十日
內閣總理大臣侯爵伊藤博文
遞信大臣白根專一
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス〕
船舶檢査法
第一條日本船舶ハ左ニ記載スルモノヲ除ク外此ノ法律ノ規程ニ依リ檢査
ヲ受クヘシ
一海軍艦船艇
二登簿噸數十五噸未滿若クハ積石數百五十石未滿ノ帆船
三湖川其ノ他靜穩ノ海上ヲ航行スル帆船
四櫓權ノミヲ以テ航行スル船舶
第二條此ノ法律ニ依リ檢査ヲ受クヘキ船舶ハ左ノ四種トス
一遠洋航船
二近海航船
三沿海航船
四平水航船
第三條船舶ノ檢査ハ船舶ヲ日本船舶トシテ初メテ航行ノ用ニ供スルトキ
其ノ航行期間滿了ノトキ及航行期間內特ニ必要アルトキ之ヲ行フ
第四條登簿噸數十五噸以上若クハ積石數百五十石以上ノ船舶ノ檢査ハ其
ノ所在地ヲ管轄スル船舶司檢所之ヲ行ヒ登簿噸數十五噸未滿ノ汽船ノ檢
査ハ其ノ仕出地ノ地方官廳之ヲ行フ
第五條檢査官吏船舶ヲ檢査シ遞信大臣ノ定ムル檢査規程ニ適合スルモノ
ト認ムルトキハ本船ノ航路定限、旅客定員、汽壓制限及航行期間ヲ定メ管
轄官廳ヨリ船舶檢査證書ヲ交付スヘシ
第六條檢査ヲ受ケタル船舶ノ所有者又ハ船長ニ於テ船舶檢査證書ノ受有
前ニ船舶ヲ航行ノ用ニ供セントスルトキハ檢査官吏ハ其ノ請求ニ依リ假
證書ヲ交付シテ之ヲ許可スルコトヲ得
第七條檢査官吏ハ何時ニテモ船舶ニ臨視シ若シ特ニ檢査ヲ爲スノ必要ア
リト認ムルトキハ其ノ航行ヲ停止スルコトヲ得
第八條船舶ノ檢査ニ對シ不服アル者ハ其ノ事由ヲ具シ遞信大臣ニ再檢査
ヲ申請スルコトヲ得但再檢査ノ決定ニ對シテハ不服ヲ申立テ又ハ裁判所
ニ訴フルコトヲ得ス
再檢査ヲ申請シタル者ハ其ノ決定前船舶ノ原狀ヲ變更スルコトヲ得ス
第九條遞信大臣ノ特ニ定ムル場合ノ外船舶檢査證書若クハ假證書ヲ受有
セスシテ船舶ヲ航行ノ用ニ供シ又ハ船舶檢査證書若クハ假證書ニ記載ス
ル船舶ノ航路定限、航行期間ヲ超エテ航行シタル者ハ三十圓以上三百圓
以下ノ罰金ニ處ス
詐僞ノ所爲ヲ以テ船舶檢査證書若クハ假證書ヲ受ケ又ハ汽壓制限ヲ超エ
テ航行シ又ハ檢査官吏ノ臨視ヲ拒ミ又ハ航行停止ノ命ニ違背シ又ハ必要
ナル屬具ノ整備ヲ爲サスシテ船舶ヲ航行ノ用ニ供シタル者亦同シ
船舶檢査證書若クハ假證書ニ記載スル旅客定員ヲ超エテ旅客ヲ搭載シタ
ル者ハ十圓以上百圓以下ノ罰金ニ處ス
第十條前條ノ罪ヲ犯シタル者ニハ刑法ノ數罪倶發ノ例ヲ用井ス
前條ノ罰則ハ商事會社ニ在テハ其ノ所爲ヲ爲シタル業務擔當ノ任アル社
員若クハ取締役ニ之ヲ適用ス
第十一條船舶ノ航路定限、航行期間、旅客定員及汽壓制限ニ關スル規程其
ノ他此ノ法律ノ施行ニ必要ナル細則ハ遞信大臣之ヲ定ム
附則
第十二條此ノ法律ハ明治三十年七月一日ヨリ施行ス
第十三條明治十七年第三十號布告西洋形船舶檢査規則ハ此ノ法律施行ノ
日ヨリ廢止ス
第十四條明治十七年第三十號布告西洋形船舶檢査規則ニ依リ交付シタル
船舶檢査證書ハ其ノ有效期間滿了マテ效力ヲ有ス
第十五條此ノ法律施行ノ際現存スル積石數百五十石以上ノ帆船ハ遞信大
臣ノ定ムル順序ニ依リ漸次檢査ヲ受クルマテ船舶檢査證書ヲ受有セスシ
テ航行ノ用ニ供スルコトヲ得
第十六條此ノ法律ハ外國ノ船籍ニ屬スル船舶ヲ借入レ帝國各港ノ間又ハ
帝國ト外國トノ間ニ於テ航行ノ用ニ供スル者ニモ亦之ヲ適用ス
〔國務大臣白根專一君演壇ニ登ル〕
()國務大臣(白根專一君)諸君、此法律案ニ就キマシテ、大體ノ趣旨ヲ玆ニ
陳述致シテ置キマス、現行法ノ西洋形船舶檢査規則ハ十七年ニ制定ニナリマ
シタモノデアリマシテ、其規則タルヤ、今日ノ海運增長ニ應ジマシテハ不
完全タルヲ免レヌ所ノモノガ澤山アリマス、デ此際此法律案ヲ發布致シマシ
テ、大ニ此船舶ノ檢査ヲシテ周到確實ナラシムルト云フコトヲ目的トシテ此
法案ヲ編制致シマシタル譯デアリマス、抑〓船舶ノ檢査ト申シマスルモノハ
其船體ノ堅牢ト、又航行上ノ安全ヲ保ツヤ否ヤト云フコトノ是ガ大凡ノ要〓
デアリマスル、デ此要〓ヲシテ、失ハザラシムルヲ以テ目的トシテ其法案ヲ編
制致スト云フコトハ申スマデモナイコトデアリマスル、然ルニ現行法ニ於キ
マシテハ卽チ讀ンデ字ノ如キ譯デアリマシテ、西洋形船舶檢査規則デアリマ
スルカラ日本形船ニ其檢査ノ力ヲ及スコトガ出來マセヌ、日本形ノ檢査タル
ヤ、勿論西洋形同樣ノ檢査ヲ爲スト云フコトハ出來マセヌ、是ハ汽船ニマレ、
帆船ニマレ、自カラ帆船ハ帆船、汽船ハ汽船ノ檢査ヲ致ス譯デアリマスルカ
ラ······然ルニ現行法ノ如キハ前ニ陳述致シマシタル通ニ日本形船ニ及バヌ、
而シテ日本形船ハ果シテ其構造ノ堅牢ナルヤ又運行上ノ安全ヲ保ツヤ否ヤト
云フコトニ就イテハ或ハ西洋形ノ汽船帆船ヨリハ其資格ニハ乏シイ若シ之
ヲ分析シテ申シマスレバ日本形船ハ或ハ其構造ノ堅牢ト云フコトハ純粹ナル
モノデアレバ許シテ宜シイカモ知レヌ、ナレドモ航行ノ安全ヲ保ツコトニ於
テハ日本形ハ甚ダ其力ニ乏シイ、況ヤ數年前ヨリ間ヒノ子船ト稱ヘルモノガ
現出致シマシテ此船ノ形ハ西洋形ニアラズ又日本形ニアラズ、日本形ニ類似
スルモノガ就中多イ、何故類似スルモノガ多イカト申シマスルニ畢竟此船舶
ノ檢査ヲ免レルト云フノ趣意ニ外ナラヌデアラウト想像致シマスノデアリマ
ス、ソレデ孰レノ點ヨリ考ヘマシテモ最早今日ノ海運ノ進度ニ於キマシテハ
船ト申シマスル以上ハ西洋形ニ拘ラズ又日本形ニ拘ラズ如何ナル船體デモ或
ル程度マデハ一切舉ゲテ其形式ニ偏セズシテ之ヲ檢査スル所ノ必要ヲ認メマ
シタノデゴザイマス、是ハ卽チ本案ニ有リマスル所ノ第一ノ箇條デアリマス
而シテ從來ノ法律ニ依リマスルト西洋形船ニ附キマシテハ此航行ノ期間ト云
フモノガ六箇月又ハ十一一箇月ト限ッテアリマス、是ハ能ク事實ニ照シマシテ考
ヘマスルト强チ六箇月十二箇月ヲ以テ法律ニ於テ之ヲ定メルト云フノハ甚ダ
當ヲ得ヌコトヽ考ヘマスル、汽船デゴザイマシテモ帆船デゴザイマシテモ其
船ノ構造又製作ヲ致シマシテカラノ年數經過ニモ依ルコトデゴザイマス、況
シテ汽船ト帆船ト同一ノ航行期間ヲ以テ處置ヲ致シマスルト云フモノハ甚ダ
其當ヲ得ヌデゴザリマスデ今般ノ法律ニ於キマシテハ是等ノコトヲ避ケマ
シテ其航行期間ト云フモノハ汽船又ハ帆船皆其宜シキ所ニ定メマシテ一切
此法律ニ於テハ航行期間ヲ定メヌ、而シテ遞信大臣ノ職權ヲ以チマシテ司
檢官吏ヲ出シマシテ其凡ソノ標準ヲ定メマシテ人民ノ營業ニ差問ヘヌヤウニ
又檢査ノ效力ヲ失ハナイヤウニ然ルベキ程度ヲ示シマシテ其ヲ以テ處理致サ
セル積デアリマス、又此現行法律ニ於キマシテハ檢査ニ附イテ一切不服ヲ申
立ツル所ハ有リマセヌ一度司檢官ガ檢査ヲ致シマシタ以上ハ之ヲ以テモウ終
決ノモノト致シマスル、是ハ餘リ酷デアラウト思イマス、數千數百ノ檢査ヲ致
シマスル上ニ就キマシテハ其邊ニ於キマシテハドウモ是ハ何トカ申立テルヤ
ウニシテ前ノ處分ヲ取消テ貰イタイト云フ苦情ガ無キニシモアラズト思イマ
スカラ此苦情ハ又更ニ申立テル所ノ門戶ヲ開イテ宜シク船舶所有者ヲシテ遺
憾ナカラシメントスル譯デアリマス、又此現行法ニ於キマシテハ雇入外國船
舶ニ就イテ檢査ヲ致スト云フコトノ條項ハ一切ゴザリマセヌ、是ハ甚ダ不完
全ナルコトデアラウト思イマス、ト云フモノハ縱ヒ外國船デゴザイマシテモ
我國ノ人ガ之ヲ雇入レマシテ帝國各港或ハ帝國ト外國トノ間ニ於テ之ヲ使用
致シマス時ニ當リマシテハ必ヤ其我國ノ船舶司檢官ノ檢査ヲ經ルト云フコト
ハ貨物ノ保全又生命ノ保存ニ於キマシテモ必ズ必要ノ事デゴザイマシテ單ニ
外國船ダカラト申シテ檢査ヲセヌト云フコトハ或ハ帝國ノ航海權ニモ差響キ
ヲ生ジヤウト思イマスカラ是等ノ用意ヲ致シテアルノデアリマス、要スルニ
今般ノ法律ノ編制ハ檢査ノ目的ヲ障害致シマセヌ限リハ成ルベク船舶所有者
ニ便利ヲ與ヘルト云フ所ノ條項モ處々ニ見ヘテ居リマスカラ其邊ヲ以テ目的
ト致シテ居リマス、〓船舶檢査ノ事ニ附キマシテハ第二議會ニ於キマシテ政
府ハ西洋形帆船檢査廢止ノ件ヲ當院ニ提出致シマシテ當院ノ協賛ヲ求メマシ
ク、然ルニ當院ニハ之ヲ否決ニナリマシテアリマス、デ政府ハ其否決ニナリ
マシタ當院ノ院議ヲ重シジマシテ成ルベク取締ヲ致シマシテ從來ノ施行ノ〓
ムベキモノハ改メ又設クベキモノハ設ケマシテ何トカシテ一般船舶ノ取締ヲ
仕ヤウト云フ考デ著手ヲ致シマシタコトデゴザリマス、併ナガラ如何セン法
律ヲ以テ編制ヲ致シマスコトハ出來マセヌ、云ハヾ眞ノ行政上ノ手心デアリ
マスカラドウモ完全ヲ期スルコトハ出來ナカッタデゴザイマス、デ今般ハ帆
前船檢査ヲ廢スルト云フ唯一項ノミナラズ全般船舶ノ檢査規則ヲ改正致シマ
シテ本法案ノ如ク編制ヲ致シタ譯デゴザイマスカラ其邊ハ矢張充分ナル之ガ
結果ヲ生ズルト認定致シテ居リマスノデゴザリマス、大要前陳述致シマシタ
所ノ趣旨デゴザリマスカラ宜シク諸君ノ御協賛アランコトヲ望ミマスデゴザ
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=1
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002・長谷川貞雄
○長谷川貞雄君 大體ニ就イテ一ツ質問致シタイガ宜シウゴザリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=2
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003・黒田長成
○副議長(侯爵黒田長成君) 宜シウゴザリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=3
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004・長谷川貞雄
○長谷川貞雄君 此大體ハ至極結構ナ案ト存ジマス、從來ハ西洋形船舶ノ檢
査ノミヲ行ッテ居リマシタガ此度ハ擴張致シマシテ日本形船マデ檢査ヲナサ
ルト云フコトハ實ニ結構デアリマス、併シ此日本形ハ非常ニ數ガ多イコトデ
ゴザイマシテ唯今遞信大臣ノ御述ニナッタ中ニモ充分其意思ハアリマシタガ
西洋形船ハマア數ハ僅デアリマス、殊ニ造船ノ仕方ガ幾分カ一定シテ居ルコ
トデゴザリマスガ日本形船ニ至リマシテハ唯今大臣ノ御述ノ如ク從來ハ免角
一定致シテ居リマシタガ近頃ハ和洋折衷ノ船ガ大分多ク出來マシタヤウデ所
謂間ヒノ子船ガ多イヤウデアリマス、アレ等ハ別段造船學上ノ式ニ依ッテ出來
タモノデモナイヤウニ承ッテ居リマス、是ハ餘程檢査ノ上ニ御難儀デアラウト
思ヒマス、加之五十石以上ノ船ニ致シマシタ所ガ七八千ノ數ハ有ウカト想像
ヲ致シマス、之ヲ一時ニ檢査ナサルト云フコトハ隨分ノ大事業ト考ヘマス
ルガ、是ニ就キマシテハ司檢所ノ數デモ餘程殖ヤシテナサル御見込デゴザイ
マスカ或ハ又何年間ニ此檢査ヲ仕遂ルト云フヤウナ豫メ御見込ガ立ッテ居ル
コトヽ考ヘマス、其邊ヲ第一ニ一ツ伺ヒタイ、第二ハ本案第三條デゴザイマス
ガ、三條ニ航行期間滿了ト云フコトガゴザイマスルガ航行期間ヲ定ムルト云
フヤウナコトハ第五條ニ見ヘテ居リマスガ、從前ハ六箇月十二箇月ト區別ヲ
致シテ檢査ヲ致シテ居ルヤウデゴザイマスガソレヲ廢メテ此始テ航行用ニ供
スルトキト航行期間滿了ノトキニ檢査ヲスルト云フヤウニ見ヘマスルガ此航
行期間ト云フモノハドウ云フコトヲ御定メニナルノデゴザイマスカ、例
鐵船ハ何年木船ハ何年或ハ船ノ構造ニ依ッテ何年ト云フ保存期限ヲ御定メニ
ナル譯デアリマスルカ、サウシマスルト若シ其間ニ或ハ破損致シテ修覆復ル
カ又ハ船ノ構造ヲ變ルトカ機關ヲ仕變ルトカ云フ場合ニハ若シ此航行期間ニ
サウ云フコトガ起ッタナラバドウシテ檢査ヲナサイマスカ、ソレガ第二箇條、
其二箇條ヲ一ツ承リタイノデゴザイマス、政府委員ニドウカ御答辯ヲ願ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=4
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005・佐藤秀顯
○政府委員(佐藤秀顯君) 唯今ノ長谷川君ノ御質疑ニ御答ヲ致シマス、日本
形船ナリ間ヒノ子船ナリノ構造ハ御懸念ノ通固ヨリ西洋形ノ汽船ナリ帆船ト
ハ別デアリマスガ、詰リ日本形船ハ日本形船トシテ相當ノ構造ト云フモノガ
アル卽チ一定ノ式ト云フモノガアルノデゴザイマス、ソレデ其式ニ適フテ居
リマシテ航行ノ用ニ供セラルヽヤ否、果シテ相當ノ航路區域ニ航海ノ安全ヲ
保ツコトガ出來ルカ否ト云フコトヲ檢査致シマシテ、其船固有ノ式ニ適フテ
居リマシテ其式ニ相當スル航路區域ヲ與ヘテ差支ナイモノデアリマスレバ相
當ノ航行期間ヲ定メテ檢査證書ヲ渡スト云フコトニ致シマス積デアリマスカ
ラ決シテ汽船又ハ西洋形帆船ト同一ノ檢査法ト云フコトデハアリマセヌカラ
シテ檢査スルニ出來ナイト云フ譯デハナイノデゴザイマス、ソレデ檢査ヲ受
クベキ數ハ一寸唯今マデノ數ニ比シマスルト殆ド十倍許リニ爲ルノデゴザイ
マリ、固ヨリ非常ナ增加デゴザイマスカラシテ檢査官吏ノ定員ハ無論增シテ
參リマセズバナリマセズ又司檢所モ今日ノ所デハ東京大阪函館長崎ノ四箇所
ニ限ッテアリマスルノヲ來年度卽チ二十九年度ニ於テ愛知縣下ノ熱田ト新淘
縣下ノ新潟ニ出張所ヲ置キマシテ都合出張所ヲ合セマスト六箇所マデハ增ス
積デアリマスガマダソンナコトデハ不便利ヲ感ジヤウト存ジマスカラ出張所
ハ更ニ四五箇所モ此改正法律ヲ實行致シマスルマデニハ殖ヤシマシテ人モ相
當ニ增スコトニシテ遺憾ノナイコトニ仕ヤウト存ジテ居リマス、ソレカラ第
三條航行期間ハ最初船舶ヲ始テ航行ノ用ニ供スルトキトソレカラ航行期間滿
了ノトキト又航行期間內特ニ必要アルトキトニ行フノデアリマスガ初ニ航行
ノ用ニ供スル時ニハ卽チ第一囘檢査デ其時ニハ始テ航行期間ナリ又航路區域
ナリ總テノコトヲ定メマシテ此船ニハドレ程ノ資格ガ有ルト云フコトヲ極メ
ルノデアリマス、十二箇月ナリ又帆船ニ致シマスレバ二箇年ナリ三箇年ナリ
ノ航行期間ヲ其時ニ定メマシテ其航行期間ノ滿了致シマシタトキハ卽チ十二
箇月後或ハ三箇年ノ後デアリマス、其時ニハ又改メマシテ更ニ相當ノ資格ヲ
與ヘルノデアリマス、又航行期間內特ニ必要アルトキト申シマスルノハ卽チ
十二箇月ナリ三箇年ナリノ內ニ臨時海難ニ罹リマシテ修繕ヲ要シマスル箇所
ガ有リマストカ云フ場合ニ檢査ヲスルコトデアリマス、檢查ノ仕方ハ其三回
ニ分ヲテヤッテ參リマスレバソレデ差支ナイ考デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=5
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006・名村泰藏
○名村泰藏君 一寸政府委員ニ質問致シマス、此第三條ノ所デゴザイマスガ
舊法デ見マスルト、一旦檢査ヲ受ケテ後船ノ模樣ヲ變更シタ時ハ屆出ヲナシ
テ更ニ檢査ヲ受ケルト云フコトガ今ノ現行法ニ有リマスガ此第三條ニハドン
ナ手續ニナリマスカ船體ヲ變更シタ場合ニハ此檢査ノ仕樣ガ如何ナリマスル
カ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=6
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007・佐藤秀顯
○政府委員(佐藤秀顯君) 矢張航行期間內デアリマスコトナレバ屆出ヲ致サ
セマシテ檢査ヲスルコトデアリマスカラ從前ト其邊ニ於テハ差ハナイノデア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=7
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008・名村泰藏
○名村泰藏君 今一ッ······其明文ヲ此處ヘ揭グズトモ檢査ハ出來ルト云フ御
考デゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=8
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009・佐藤秀顯
○政府委員(佐藤秀顯君) 「航行期間內特ニ必要アルトキ」ガ卽チ今御尋ノ場
合デアリマスガ屆出ヲスルトカ此方カラシテ不審ガアル場合ニハ臨視ヲ致ス
ト云フコト等ノ此法律ニ規定シテゴザイマセヌ部分ダケハ細則デ示ス心得
デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=9
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010・名村泰藏
○名村泰藏君 第四條ノ「其ノ所在地ヲ管轄スル」ト云フコトハ今日船籍規則
ト云フモノガ行ハレテ居リマスルト船籍法ト云フモノニ依テ此所在地ヲ定メ
マスルコトハ容易イコトデアリマスガ船籍法ガ行レテ居ナイ今日デアリマス
レバ此所在地ハドウシテ御定メニナルノデゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=10
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011・佐藤秀顯
○政府委員(佐藤秀顯君) 御答ヲ致シマス所在地ト申シマスルモノハ卽チ其
船ノ居ル所ヲ管轄スルト云フ意味デアリマスカラ例ヘバ橫濱ニ定繫港ヲ持ッ
テ居リマス船デ函館ニ居リマシタ場合ニ航行期間ガ滿了致シマシタトカ、又
航行期間內デアルニシテモ臨時檢査ノ必要ノアッタ場合トカデアリマスレバ
卽チ函館ノ船舶司檢所ト云フ意味デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=11
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012・名村泰藏
○名村泰藏君 成程サウスルトナンデスナ、船ノ唯居ルト云フダケデアッテ
此船ハ橫濱ナリ、或ハ長崎ナリヲ本トシテ居ル、持主ハ長崎デアル長崎ガ定繫
港デアルト云フ極メ方ヂヤアナイノデゴザイマスナ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=12
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013・佐藤秀顯
○政府委員(佐藤秀顯君) 左樣デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=13
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014・名村泰藏
○名村泰藏君 ソレカラ此檢査官ト云フモノハ今日ノ司檢官ニ致サセルモノ
デアリマスカ又ハ別ニ司檢官ト云フ者ヲ拵ヘテ第一ノ檢査ニハ何人デ檢査ス
ル、遞信大臣ニ不服ヲ申出ルトキハ何人デ檢査ヲスルトカ其邊ハドウ云フ手
續デアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=14
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015・佐藤秀顯
○政府委員(佐藤秀顯君) 御答ヲ致シマス、矢張船舶司檢所ノ司檢官ヲ以テ
此檢査官吏ニ當テル積デアリマス、又再檢査ノ場合デアリマスナラバ無論同
一ノ者ニハ命ゼラレマセヌガ矢張司檢官ノ內ノ積デアリマス、人ハ二人ヲ以
テスルトカ或ハ三人ヲ以テスルトカ云フ限ハ無イノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=15
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016・内藤政共
○子爵内藤政共君 一寸質問致シマス、第四條ノ所デゴザイマス、十五噸以
上或ハ百五十石以上ト云フコトニナクテ居ル此ノ所ハドウ云フコトニナリマ
スカ、是マデノ規則ニ依リマスト云フト日本形船舶ハ五百石以上ノモノハ新
造スルコトハナラヌト云フコトガアリマス、然ルニ當今マデノ所デハ五百石
以上ノモノデ或ハ千石モ積メルヤウナモノガ有リマスガ日本形船舶デハ五百
石未滿ト云フモノハ或ハ四百九十九石ト云フヤウナ誠ニ際ドイ所ノモノニ是
ガナッテ居リマス、其實際ノ積載ニ至ッテハ千石以上モ積メルト云フヤウナ
モノモ隨分澤山ゴザイマス、又新造スルコトガ出來ヌト云フコトカラ或ハ古
船ノ板子一枚アルト云フ其板子ヲ以テツレデ船ヲ拵換ヘタ、新造ノ名義デナ
ク修繕ノ名義デ僅カ板子一枚ヲ以テ往テ其船體ヲ拵ヘルト云フヤウナコトデ
是マデ七八百石ノ船ヲ用井テ居ッタコトモ澤山アリマスソレデ其內ニモ此五
百石未滿五百石以上ト云フコトニナリマスルト誠ニムヅカシイコトデアリマ
ス、僅ナ尺ノ取方デ以テ五百石以上ニモ爲レバ五百石未滿ニモ爲ル、甚シキニ
至うテハ船幅ガ三尺モ變ッテ書イテアル是ト云フモノハ定テ私ノ考ヘル所デ
ハ司檢官ガ皆其地方官デ以テ檢査ヲ致スト云フコトデドウモ船舶ノ檢査ト云
フモノニハ慣レヌ素人ノコトデアルカラ斯ル間違ガ出來ルノデアラウト考ヘ
ル、サウシテ見ルト此檢査法ニ至ッテモ百五十石以上或ハ十五噸ト云フコト
ガアリマスガ、其十五噸、或ハ百五十石、是ガ間違ノ本ニ爲ッテ百五十石ノ
モノデアルト云フコトヲ縣官ガ認メテ居ッテモ實際取ツテ見ルト五百石以上
或ハ千石以上ト云フ船ガ出來ルヤウナコトニナリハシマイカト考ヘル、其處
ラ邊ノ所ハ地方官デ以テ調ベルニハ何カモソット見易イ規則デモ作ルト云フ
コトカ、間違ノ出來ヌヤウナ規則デモ作ルモノカ何カト云フコトノ御見込ガ
有ルノデスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=16
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017・佐藤秀顯
○政府委員(佐藤秀顯君) 御答致シマス、此船舶ノ積量ヲ測度致シマスノニ
ハ、船舶積量測度規則ト云フモノガ有リマシテ西洋形デアリマスナラバ百立
方尺ヲ一噸ト致シマスシ、又日本形デアリマスナラバ十立方尺ヲ一石トスル
コトハ極ッテ居ルノデアリマシテ測度ノ際ニ不慣レノタメニ錯誤ガ無イト云
フコトヲ申上ゲル工合ニハ參リマセヌガ、何ニシロ一定ノ方法ハ示シテアル
ノデゴザイマス、デ此第四條デ十五噸以上若クハ百五十石以上ノ船舶ノ檢査
ハ地方官デハ致シマセヌ、其所在地ヲ管轄スル船舶司檢所デスル筈デアリマ
スカラ此上ハ尙ホ一層綿密ニ今御懸念ノアリマシタヤウナ錯誤ハ假リニ是マ
デ有ッタモノト致シマシテモ此後ハ無イコトニ是非サセナケレバナラヌノデ
アリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=17
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018・内藤政共
○子爵内藤政共君 モウ一ツ伺ヒマス、少々私ノ伺ヒマシタ〓トハ御答ガ
違クテ居リマスカラソレヲ一寸伺ヒマス、私ハ今ノ噸數ヲ測リソレカラ石數
ヲ測ルノハドレダケノ立方尺デアルカト云フコト抔ヲ伺ッタノデハナイ、ソ
レ等ハモウ分リ切ッタ筈デゴザイマス、ソレ等ハ伺ヒマセヌガ又今ノ御答ニハ
地方官デヤルノデハナイ百五十石以上ノモノハ其所在地ノ船舶司檢所デヤル
ノデアルカラ其處ラノ所ハ間違ハナイト云フ、ソレモ能ク分ッテ居リマス、
併ナガラ是ガ今度新造シマスナラバ新造シマスルト云フ屆ハ必ズ地方官デ調
ベルニ違ナイト思フ、然ルニ其新造スル船ハ百五十石以上ニ當ルベキモノデ
アルカ、百五十石以下ノモノデアルカト云フコトヲ定メルノハ地方官デ定メ
ネバナリマスマイト考ヘマス、ソレハ如何ニシテ御定メニナリマスカ、是ハ
百五十石未滿ノモノデアルト云フコトヲ見ルノハ餘程ムヅカシカラウ、既
唯今ノ御答中ニモ百立方尺或ハ十立方尺ト云フ御定メニ爲ッテ居ル、ソレハ
其尺ヲ取ッテ見ル所ニ至クテハ誠ニヤサシイモノデアリマスガ船ノ如キモノ
ハ決シテ家ノ如キ四角ナ物デ誰ガ算當シテ見テモ分ルト云フモノデアリマセ
ヌ船ハ皆アノ御承知ノ通ナ船ノ格好デアリマスカラナカ〓〓尺ノ取リ方ガム
ヅカシイモノデアル、故ニ今日マデト云フモノハ五百石未滿ノ船デアツテモ
千石以上ノモノガ澤山ニ有ル、ソレハ政府委員ニハ御覽ニナラナイカ知ラヌ
ガ私ハワレヲヤッテ居ルコトデアルカラ是マデ何十艘見タカ······或ハ何百艘
二番のテ居ルカサウ云フモノガ澤山ニ有ル、殆ド日本形船舶······間ヒノ子船
ト云フモノハ皆サウ爲ッテ居ルト云フ有樣デアリマスカラ其事ヲ伺クタノデ
アル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=18
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019・佐藤秀顯
○政府委員(佐藤秀顯君) 御答ヲ致シマス、矢張新造ヲ致シマシタ場合ニモ
御承知ノ通丁度五百石以上ノモノハ二十年一月カラ禁止ニ爲クテ居リマスカ
ラ是ハ出來ル筈ノナイモノデアリマスガ其以下百五十石以上デアリマシタナ
ラバ新造致シマシタモノデモ始テ航行ノ用ニ供スルトキニハ船舶司檢所ノ檢
査ヲ受ナケレバナラヌノデアリマスカラ是ハモウ地方官デ檢査ナリ測度ヲス
ル限リデハナクナルノデゴザイマス、此法律ガ實行ニナリマスレバ······ソレ
デ御分リニナリマシタカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=19
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020・内藤政共
○子爵内藤政共君 サウ致スト百五十石未滿或ハ十五噸未滿ノモノモ矢張地
方官デヤルモノデハナイノデアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=20
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021・佐藤秀顯
○政府委員(佐藤秀顯君) 御答ヲ致シマス、ソレハ地方官デヤルノデゴザイ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=21
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022・内藤政共
○子爵內藤政共君 サウ致シマスト十五噸未滿或ハ百五十石未滿ト地方官ガ
認メタ所ノモノガ其倍ヨリ大キナモノガ出來ルヤウニナリハ致シマセヌカト
云フ懸念ヲ伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=22
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023・佐藤秀顯
○政府委員(佐藤秀顯君) ソレハサウ云フ錯誤ヲ發見致シマスレバ無論犯則
デアリマスカラ司檢所ノ檢査ニ移シマスルノミナラズ相當ノ制裁ヲ與ヘナケ
レバナラヌデアリマスルガ分ラナイ場合ハドウスルカト云フ御尋ハ今此箇條
ニ餘リ關係ガナイト存ジマスカラ別ニ申上ゲル折モ有ルデゴザイマセウ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=23
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024・内藤政共
○子爵內藤政共君 モウ一遍伺ヒマス、成程取除ケノ場合ハ是ハ如何ニシテ
モ致方ガナイト思ヒマス、併ナガラ十艘ノ船ナラ凡ソ八九艘マデ間違〃テ居
ルノハ是ハ取除ケノ場合トハ云ヒナガラ餘リ間違ッタコトヽ思ヒマス、今日
マデノ場合ハサウデゴザイマスカラ此以上ハ玆ラハドウナルカ斯ウ云フコト
ヲ伺ヒタイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=24
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025・佐藤秀顯
○政府委員(佐藤秀顯君) 今マデハ御承知ノ通日本形船ニ附イテハ測度ナリ
取締ナリハ一般ニ法律デ設ケタモノモアリマセズ地方官ニ一任シテアッタノ
デアリマスカラ今御話ノヤウナコトガアルカモ知レマセヌガ此際之ヲ實行シ
テ參リマストキニハサウ云フ不始末ハ必ズ無クシナケレバナラヌト存ジマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=25
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026・小原重哉
○小原重哉君 本員モ少シク委員ニ質問致シ度ク存ジマス、第一條ノ第二項
ニ有ル噸數ノコトデゴザイマス、此登簿噸數ハ汽船モ帆船モ單ニ算率ハ同一
デゴザイマスルカ。將タ區別ノ立クテアルノデゴザイマスカソレヲ伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=26
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027・佐藤秀顯
○政府委員(佐藤秀顯君) 小原君ニ御答ヲ致シマス、登簿噸數ハ全體ノ噸數
カラ致シマシテ機關室ト乗組員ノ室ニ充テマス席ダケヲ除イタモノヲ登簿順
數トスルノデゴザイマス、是モ先刻申述マシタ積量測度規則ニ明記シテアル
度リ方デアリマス、帆船ニハ固ヨリ機關室ト云フモノハゴザイマセヌカラ乘
組員ノ室ダケヲ除イタモノヲ登簿噸數トスルノデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=27
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028・谷干城
○子爵谷干城君 少シ私ハ入費ノコトヲ御尋致シマス、總テ此法律ハ如何ナ
ル結構ナ法律デモヒドウ手數ガ掛リ入費ガ餘計掛ルモノデハ堪ラヌ、法律ノ
結果デ金ハ出サヌナリマセヌカラ此法律ガ宜イカラト云ッテ直グニ御同意ト
云フ譯ニハ行カヌ、況ヤ今日ハ費用ノコトニ附イテハ餘程注意ヲセネバナラ
ヌ時デアル、本員抔ノ考ニ於テハ實ハ大抵ノコトナラヒドウ入費ノ要ルト云
フ法律案ハマア御斷リヲシタイト云フ考デアリマス、第一ニ御尋ヲスルノハ
是ハ改良シテ擴張スルニ附イテハ如何バカリノ入費ヲ要スルヤ否ヤ、第二ハ
夥シイ和船ヲ檢査スル所ノ人員、今ノ人員ニ較ベテ如何バカリ增加ニ爲ルヤ
否ヤ、此二箇條ヲ承ッテ置キタイト思フ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=28
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029・佐藤秀顯
○政府委員(佐藤秀顯君) 谷子爵ニ御答ヲ致シマス、唯今豫算ヲ致シマシタ
所デハ船舶檢査ナリ竝ニ職員ノ試驗ヲ受ケマス者ノ非常ニ增シマスニ拘リマ
セズ帆船ノ檢査ハ無論汽船程ニ繁密ニ渉ラナケレバナラヌ譯デアリマセヌタ
メニ入費ハ二十九年度ノ豫算ハ船舶司檢所全體デ四万六千百圓餘ニナッテ居
リマスガ·
〔子爵谷干城君「增加デハナイノデスカ」ト述フ〕
イェ二十九年度ノ豫算デアリマスガ、此法律ガ實行ニナリマスルノハ三十年
度ニナルノデアリマスカラ三十年度カラシテドレ程增シマスカト〓算ヲ致シ
マシタ所デハ四万六千百圓ニ對シマシテ增ス所ハ四万千圓許リ、八割一分許
リノ增加ニナッテ居リマス、ソレカラ定員ハ唯今司檢官ハ十二人デアリマ
ス、ソレカラ司檢官補ガ十五人デアリマスノヲ凡ソ倍數ニ增スコトガ必要デ
アラウト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=29
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030・谷干城
○子爵谷干城君 分リマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=30
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031・兒玉淳一郎
○兒玉淳一郞君 本員モ質問ガゴザイマス、若シ此司檢官ガ誤リヲ致シタト
キニハ遞信省ハドウ云フコトヲ以テ司檢官ヲ御取締ニナルコトデゴザイマス
カ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=31
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032・佐藤秀顯
○政府委員(佐藤秀顯君) 御答ヲ致シマスガ職責ヲ誤リマシタ者ハ一般ノ官
吏服務紀律ナリ又懲戒法ニ依リマシテ取締ル外ハナイノデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=32
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033・兒玉淳一郎
○兒玉淳一郞君 尙ホ伺ヒマスガ私ハ固ヨリ船ノ事ニハ素人デゴザイマスガ
此司檢官ニ爲ル人ノ資格ハドウ云フ工合ニシテ定メラレマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=33
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034・佐藤秀顯
○政府委員(佐藤秀顯君) 枝衛官ノ任用ト同ジコトヽ御承知下スッタラ宜カ
ラウト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=34
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035・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 他ニ御發議ガゴザイマセネバ本案ノ特別委員ノ
選舉ニ移リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=35
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036・西五辻文仲
○男爵西五辻文仲君 此特別委員ハ成規ノ通九名ト致シテ推薦ハ議長ニ御委
任ヲ致シタイ、且ツ次ノ二法案モ牽連シテ居ルモノデアリマスカラソレガ極
マリマシタ以上ハ矢張同一委員ニ付託スルコトヲ此場合ニ申シテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=36
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037・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 一寸西五辻男爵ニ申シマスガ唯今ハ議事日程第
二ノ場合デアリマスカラソレダケ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=37
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038・調所廣丈
○調所廣丈君 唯今ノ發議ニ贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=38
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039・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 唯今西五辻男爵ヨリ本素ノ特別委員選定方ヲ議
長ニ委任シテ人員ハ定規ノ九名トスルト云フ動議デ、此動議ニ贊成ノ諸君ハ
起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=39
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040・黒田長成
○副議長(侯爵黒田長成君) 過半數デゴザイマス、次ニ船舶職員法案、政府提
出、第一讀會ヲ開キマス、提出文ノミヲ朗讀致サセマス
〔有賀書記官朗讀〕
船舶職員法案
右
勅旨ヲ奉シ帝國議會ニ提出ス
明治二十九年一月二十日
内閣總理大臣侯爵伊藤博文
遞信大臣白根專一
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス〕
船舶職員法
第一條日本船舶ニハ此ノ法律ノ規程ニ依リ船舶職員ヲ乗組マシムヘシ
船舶職員ト稱スルハ船長、一等運轉士、二等運轉士、機關長及一等機關
士ヲ謂フ
第二條船舶職員免狀ヲ有スル者ニアラサレハ船舶職員タルコトヲ得ス
第三條船舶職員免狀ハ左ノ十二種トス
甲種船長
甲種一等運轉士
甲種二等運轉士
乙種船長
乙種一等運轉士
乙種二等運轉士
丙種船長
丙種運轉士
機關長
一等機關士
二等機關士
三等機關士
第四條各船舶ニ乘組マシムヘキ船舶職員ノ定員及其ノ免狀ノ種類ハ第一
號表ニ依ル
第五條船舶職員免狀ハ遞信大臣ノ定ムル試驗規程ニ依リ試驗ヲ受ケ合格
シ且船舶職員名簿ニ登錄ヲ受ケタル者ニ授與ス
海軍艦船艇ニ乗組ミ運航若クハ機關運轉ニ從事シ又ハ商船學校全科卒業
證書ヲ有シ遞信大臣ニ於テ船舶職員試驗規程ニ合格スト認ムル者ニハ試
驗ヲ用井スシテ相當ノ免狀ヲ授與スルコトヲ得
第六條左ニ記載スル事項ニ該當スル者ハ船舶職員試驗ヲ受クルコトヲ得
ス又此ノ法律ニ定ムル船舶職員タルコトヲ得ス
一公權ヲ剝奪セラレ復權セサル者及公權停止中ノ者
二家資分〓又ハ破產ノ宣告ヲ受ケ復權セサル者及身代限ノ處分ヲ受ケ
債務ノ辨償ヲ終ヘサル者
三瘋癲白痴若クハ身體不具ナル者
四船舶職員免狀ノ行使ヲ禁止セラレタル者及其ノ行使停止中ノ者
第七條高等ノ免狀ハ下等ノ免狀ニ代用スルコトヲ得
甲種船長ノ免狀ハ他ノ船長及運轉士ノ免狀ニ對シ甲種一等運轉士ノ免狀
ハ他ノ運轉士ノ免狀ニ對シ甲種二等運轉士ノ免狀ハ乙種各運運士及丙種
運轉士ノ免狀ニ對シ乙種船長ノ免狀ハ乙種各運轉士ノ免狀ニ對シ乙種一
等運轉士ノ免狀ハ乙種二等運轉士ノ免狀ニ對シ丙種船長ノ免狀ハ丙種運
轉士ノ免狀ニ對シ各高等ノ免狀トス
機關長ノ免狀ハ一等機關士以下ノ免狀ニ對シ一等機關士ノ免狀ハ二等機
關士以下ノ免狀ニ對シ二等機關士ノ免狀ハ三等機關士ノ免狀ニ對シ各高
等ノ免狀トス
第八條左ニ揭クル者ハ二十圓以上二百五十圓以下ノ罰金ニ處ス
-第四條ニ違背シ相當ノ船舶職員ヲ乘組マシメサル者
二第二條及第四條ニ違背シ相當ノ船舶職員免狀ヲ受有セスシテ船舶職
員ト爲リタル者
三第六條ニ違背シ船舶職員ト爲リタル者
四船舶職員免狀ヲ貸付シ之ヲ行使セシメタル者
第九條前條ノ罪ヲ犯シタル者ニハ刑法ノ數罪倶發ノ例ヲ用井ス
前條ノ罰則ハ商事會社ニ在テハ其ノ所爲ヲ爲シタル業務擔當ノ任アル社
員若クハ取締役ニ之ヲ適用ス
附則
第十條此ノ法律ハ明治三十年七月一日ヨリ施行ス
第十一條明治十三年第二十八號布告及明治十四年第七十五號布告ハ此ノ
法律施行ノ日ヨリ廢止ス
第十二條明治九年第八十二號布告同年第九十四號布告及明治十四年第七
十五號布告ニ依リ授與シタル免狀ハ第二號表ニ依リ各相當ノ免狀ト交換
スヘシ其ノ交換ノ手續及時期ハ遞信大臣之ヲ定ム
前項ニ掲掲タル各種ノ舊免狀ハ新免狀ト交換スルマテ之ニ代用スルコト
ヲ得
第十三條積石數百五十石以上ノ帆船ニハ此ノ法律施行ノ日ヨリ一箇年ヲ
限リ第二條及第四條ヲ適用セス
第十四條遞信大臣ハ積石數百五十石以上ノ帆船ニ乗組ミ三箇年以來其ノ
運航ヲ掌リ且此ノ法律施行ノ際現ニ船長ノ職ヲ執リ年齡二十歲以上ノ者
ニハ此ノ法律施行ノ日ヨリ一箇年ヲ限リ試驗ヲ用井スシテ相當ノ船舶職
員免狀ヲ授與スルコトヲ得
第一號表
航路定限船舶種類登簿噸數
積石數
遠汽三百噸未滿
洋
船三百噸以上
航
帆三百噸未滿
船三百噸以上
船
百噸未滿
汽
近
五百噸未滿
海
船五百噸以上
航
十五噸以上二百噸未滿百五十石以上二千石未滿
帆五百噸未滿
二千石以上
船
船五百噸以上
百噸未滿
沿汽
二百噸未滿
海
船二百噸以上
航
帆十五噸以上二百噸未彌
船百五十石以上二千石未滿
船二百噸以上上
二千石以
汽百噸未滿
船航水平
船百噸以上
職員名稱免狀種類定員
士長甲種船士長一
一機一船等轉甲種一等運轉
機關運士長一等機關士士
等關二等機關
士長甲種運船士長一
等運運轉轉甲種一等轉轉
一機二一船等士種二等運士
機關士長一機甲關長一
等關等機關士一
一船士長甲甲種一等運轉轉士士一一
等運轉種二等運
船長甲種船長一一
-等等運運轉士甲種一等運轉士
二轉士甲種二等運轉士一
機船長二乙種等運轉士一
關長等機開士一
種船一
一機一船等轉士長士長二一乙乙種-等運轉士士士長一
機關運等機關一
等關等機關一
種運船一一
等等轉轉種-等轉轉
一機二一船機關運運士長士士長一機甲甲甲種ニ等運士長士士長一
關一一
等關等機關
船長丙種運轉士一
船長丙種船士長一
一等運轉士丙種運轉一
一船長甲種船長一一
等等運運轉轉士甲種ー等運轉士士
二士甲種二等運轉一
機船長乙種二等運轉士-
關長三等機關士一
機船長長乙種一等運轉士士一
關二等機關一
種船一
一機一船等轉士長士長二一乙乙種一等運轉士士士長
機關運等機關
等關等機關
船長丙種運轉士一
船長丙種船士長一
等運轉士丙種運轉一
機船長乙種二等運轉士一
開長三等機關士一
機船長長乙種等運轉士士
關二等機關
第二號表
新舊免狀對照表
舊免狀新免狀
甲種船長甲種船長
甲種一等運轉手甲種一等運轉士
甲種二等運轉手甲種二等運轉士
甲種一等機關手機關長
甲種二等機關手一等機關士
乙種船長乙種船長若クハ丙種船長
假免狀船長乙種船長若クハ丙種船長
乙種一等運轉手乙種一等運轉士若クハ丙種運轉士
假免狀一等運轉手乙種一等運轉士若クハ丙種運轉士
乙種二等運轉手乙種二等運轉士若クハ丙種運轉士
假免狀二等運轉手乙種二等運轉士若クハ丙種運轉士
乙種一等機關手一等機關士
假免狀一等機關手一等機關士
乙種二等機關手二等機關士
假免狀二等機關手二等機關士
小形船船長乙種二等運轉士
小形船機關手三等機關士
(國務大臣白根專一君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=40
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041・白根專一
○國務大臣(白根專一君) 此法案ハ船舶檢査法案ト自ラ關聯致シテ居ルモノ
デアリマス、船舶ノ檢査ニ於キマシテ檢査結了ヲ致シテ其效力ノアル船舶ハ
遠洋ニ近海ニ沿海ニ平水ニ其船ヲ運行スルコトガ出來ル、又其機關モ充分備ッ
テ居リマスルガ之ヲ操縱スル所ノ船舶ノ職員ト云フモノヽ資格竝ニ免狀ノ效
力及乘組員ノ制限ト云フモノヲ法律デ定メテ置キマセヌト機關ハ充分ナリト
雖モ之ヲ動カス〓ニ至リマシテハ此船舶ノ職員ト云フモノハ最モ重要ナ部分
ニ居ルモノデアリマス、就中此法案中ニ於キマシテモ第一號表ノ如キハ其海
ノ性質ト竝ニ汽船ノ噸數、帆船ノ噸數、日本形ノ積石ト云フモノニ應ジマシテ
其乗組員ヲ定ムル表デアリマスガ是ハ餘程熟考ノ上此表ヲ編製シタ譯デアリ
マス、ト申シマスモノハ船ヲ第一動カスモノハ是ハ申スマデモナイ譯デアリ
マスガ是ダケノ職員ヲ必ズ要スルト斯ウ法律デ定メル以上ハ其職員ハ職員ノ
有ルモノデ法律ノ制定上デ若シ不完全ト云フコトデアリマスルト此船ハ危險
ニ至リマス、此法律ハ船ヲ危險ニ至ラシムル結果ニ爲リマス、サリナガラ餘
リ準備ヲスルガ宜シイトシマシテモ是ダケノモノヲ制度ヲ備ヘテ完全ニシタ
イト云フト一ノ船舶ニ多クノ職員ヲ乘セヤウトスルト現今ノ汽船帆船ノ數ノ
ミヲ以テシテモ一人增シテモ千五百人位增スト云フコトニナリマス、ソレデ
此制定方ニ附イテハ申上グルマデモアリマセヌガ諸君ニ於カレマシテモ充分
ニ御審議ヲ盡サレンコトヲ特ニ望ムノデアリマス、其外現行ノ法律ニ於キマ
シテハ是ハ數年前ニ出來マシテ許多ノ歲月ヲ經テ居リマスカラ今日ノ海運ノ
情況ニ適應セヌモノガ多々アリマス、是ハ一〓玆デ陳述ヲ致シマセヌガ例ヲ
舉ゲテ申シマスレバ日本形船ニ附イテノ職員ノコトハ一切舉ゲテアリマセヌ
カラ此法案デハ檢査法ニ陳述致シタ通デアリマス、皆籠ッテ居リマス、職員
ヲ置クト云フコトガアリマス、又外國政府ノ免狀ヲ持ッテ來マスル者ハ其外
國政府ノ免狀ガアル故ニ我政府デハ更ニ試驗ヲ要セズシテ船舶職員タラシム
ルノガ今日ノ制度デアリマス、本法ニ於テハ假令外國政府ノ免狀ヲ受有シテ
居リマシテモ此法案ニ於テハ必ズ本法ノ試驗ヲ經マシタ上デナケレバ帝國ノ
船舶ニハ乗込マセヌト云フコトニシタ譯デアリマス、先ヅ簡單ニ大要ヲ申セ
バ左ノ如キモノデアリマスカラ宜シク諸君ノ御協贊アランコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=41
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042・内藤政共
○子爵內藤政共君 御質問ヲシマス、此第三條ノ甲種船乙種船ト云フハ定メ
テ今度新ニ設ケラレタル所ノモノデ是レマデノ日本形船ノ船長ト爲ルベキモ
ノダラウト考ヘマス、サウ致シマスト是マデハ帆船デナケレバ乙種ノ者ガ乗ッ
テ居ラナケレバイケナイノデアリマスガソレガ今度ハ此法案ニ據リマスルト
西洋形日本形ガ無クナリマスカラ乙種デナクテモー内種デユク譯デアリマス
カ、如何デアリマスカ、ソコヲ伺ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=42
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043・佐藤秀顯
○政府委員(佐藤秀顯君) 唯今ノ御問ニ御答ヲ致シマス、總テ御問ノ通デア
リマス、乙種ハ小サイ汽船ニ乘組ミマス者ノ名稱ト致シマシテー内種ハ總テ帆
船ニ限ルコトニシタノデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=43
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044・黒田長成
○副議長(侯爵黒田長成君) 別ニ御發議ガゴザリマセネバ本案特別委員ノ選
舉ニ移リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=44
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045・調所廣丈
○調所廣丈君 本議案ノ付託委員ハ矢張前委員ニ委託ナルヤウニ致シタウゴ
ザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=45
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046・柴原和
○柴原和君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=46
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047・冷泉爲紀
○伯爵冷泉爲紀君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=47
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048・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 本案ノ特別委員ハ前委員ト同一委員ニ付託スル
ト云フ調所君ノ動議ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=48
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049・黒田長成
○副議長(侯爵黒田長成君) 過半數デゴザイマス、次ニ船舶職員懲戒法案政
府提出第一讀會ヲ開キマス、是モ提出文ノミヲ朗讀致サセマス
〔有賀書記官朗讀〕
船舶職員懲戒法案
右
勅旨ヲ奉シ帝國議會ニ提出ス
明治二十九年一月二十日
内閣總理大臣侯爵伊藤博文
遞信大臣白根專一
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス〕
船舶職員懲戒法
第一章總則
第一條船舶職員免狀ヲ受有スル船長、運轉士機關長、機關士其ノ職務ヲ行
フニ當リ左ノ事項ニ該當スルトキハ海員審判所ノ裁決ヲ以テ懲戒ヲ加フ
·)
一正當ノ理由ナクシテ其ノ船舶ヲ放棄シタルトキ
二過失懈怠又ハ不當ノ所爲ニ因リ自他ノ船舶ヲ問ハス之ニ損害ヲ加ヘ
若クハ之ヲ沈沒セシメタルトキ
三過失懈怠又ハ不當ノ所爲ニ因リ人ヲ殺傷シタルトキ
四海難ニ罹リ其ノ船舶又ハ船客乘組員ヲ救助スルノ方法ヲ盡ササルト
キ
五海難ニ罹リタル船舶アルコトヲ認メ正當ノ理由ナクシテ其ノ船舶又
ハ船客乗組員ヲ救助スルノ方法ヲ盡ササルトキ
六職務上ノ義務ニ違背シ又ハ職務ヲ怠リタルトキ
七亂醉粗暴其ノ他ノ失行アリタルトキ
第二條懲戒ハ左ノ三種トス
一免狀行使ノ禁止
二免狀行使ノ停止
三譴責
第三條前條懲戒ノ適用ハ所爲ノ輕重ニ從ヒ海員審判所之ヲ定ム
第四條免狀行使ノ停止ハ一月以上五年以下トス
第五條海員審判所ハ左ノ原因アルトキハ審判ヲ行ハス
一確定裁決
二時效
第一條各號ニ該當スル者ハ廢業ノ故ヲ以テ懲戒ヲ免ルルコトヲ得ス
第六條時效ノ期間ハ審判ヲ受クヘキ事件ノ生シタル日ヨリ五年トス
第七條調書ノ調製期間ノ計算及書類ノ送達ニ付テハ此ノ法律ニ規定スル
モノヲ除ク外刑事訴訟法ノ規程ヲ準用ス
第二章海員審判所ノ組織及管轄
第八條海員審判所ハ地方海員審判所及高等海員審判所ノ二トス
地方海員審判所ハ船舶司檢所ニ置キ高等海員審判所ハ遞信省ニ置ク
第九條海員審判所ニハ審判所長審判官、理事官及書記ヲ置ク
審判所長、審判官、理事官及書記ノ定員竝ニ其ノ任用ニ關スル規程ハ勅令
ヲ以テ之ヲ定ム
第十條地方海員審判所ノ審判ハ審判長及審判官ヲ併セテ三人高等海員審
判所ノ審判ハ審判長及審判官ヲ併セテ五人ノ列席合議ヲ以テ之ヲ行フ
第十一條地方海員審判所ノ管轄區域ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十二條審判ニ付スヘキ事件ノ管轄權ハ其ノ事件ノ生シタル船舶ノ定繫
場ヲ管轄スル地方海員審判所ニ屬ス
同一ノ事件ニ付二箇以上ノ地方海員審判所管轄權ヲ有スルトキハ其ノ事
件ノ生シタル地ニ最モ近キモノノ管轄トス
第十三條地方海員審判所ノ理事官又ハ被審人ハ其ノ事件ヲ他ノ地方海員
審判所ニ移付スルノ申請ヲ爲スコトヲ得
前項ノ申請ヲ爲ス者ハ審判期日前ニ管轄海員審判所ヲ經由シテ高等海員
審判所ニ申請書ヲ差出スヘシ
高等海員審判所ハ前項ノ申請アリタル場合ニ於テ審判上便益ナリト認ム
ルトキハ其ノ決定ヲ以テ他ノ地方海員審判所ニ該事件ヲ移付スルコトヲ
得
前項ノ場合ニ於テ該事件ハ移付ヲ受ケタル地方海員審判所ノ管轄權ニ屬
ス
第十四條高等海員審判所ハ左ノ場合ニ於テ理事官又ハ被審人ノ申請ニ依
リ何レノ海員審判所ニ於テ本件ヲ審判スルノ權アルヤヲ決定ス
一權限アル地方海員審判所ニ於テ法律上ノ理由若クハ特別ノ事情ニ因
リ審判權ヲ行フコトヲ得サルトキ
二二以上ノ地方海員審判所審判權ヲ有シ又ハ有セストノ確定裁決ヲ爲
シタルトキ
第十五條前條ノ申請ヲ爲ス者ハ高等海員審判所ニ其ノ趣意書ヲ差出ス
高等海員審判所ハ書類ニ依リ其ノ申請ヲ決定ス
第十六條審判官ノ除斥、忌避及囘避ハ刑事訴訟法ノ規程ヲ準用ス
第三章審判前ノ手續
第十七條船舶司檢所司檢官、同司檢官補、警察官吏、市町村長及浦役人ニ於
テ海難及此ノ法律ニ依リ審判ニ付スヘキ事實アリタルコトヲ認知シタル
トキハ直ニ其ノ事實ヲ詳記シ管轄地方海員審判所ノ理事官ニ報告スヘ
シ
第十八條領事官及貿易事務官帝國外ニ於テ前條ノ事實アリタルコトヲ認
知シタルトキハ證憑ヲ集取シ管轄地方海員審判所ノ理事官ニ報告スヘシ
シ
第十九條理事官審判ニ付スヘキ事實アリタルコトヲ認知シタルトキハ證
憑ヲ集取シ又必要ニ應シ實地臨檢スルコトヲ得
第二十條理事官ハ職權ヲ以テ又ハ遞信大臣ノ命ニ依リ審判ノ開始ヲ地方
海員審判所ニ申立ツヘシ
前項ノ申立ヲ爲ストキハ證憑其ノ他必要ノ書類ヲ添附スヘシ
第四章地方海員審判所ノ審判
第二十一條地方海員審判所ハ理事官ノ申立ニ因リ又ハ職權ヲ以テ審判ヲ
開始スヘキヤ否ヤヲ決定ス但職權ヲ以テスル場合ニ於テハ理事官ノ意見
ヲ聽クヘシ
第二十二條地方海員審判所ニ於テ下調ヲ必要ナリト決定スルトキハ審判
所長ハ審判官ニ其ノ下調ヲ命スヘシ
第二十三條下調ノ命ヲ受ケタル審判官ハ被審人ヲ呼出シテ之ヲ訊問スル
コトヲ得
受命審判官ハ必要ナル證憑ヲ集取スヘシ
受命審判官ハ證人鑑定人ヲ呼出シ又ハ通事ヲ命シ若タハ臨檢ヲ爲スコト
ヲ得
被審人ノ訊問對質、證人訊問竝ニ鑑定ニ關シテハ此ノ法律ニ規定スルモ
ノヲ除ク外刑事訴訟法ノ規程ヲ準用ス
第二十四條被審人若クハ證人正當ノ理由ナクシテ受命審判官ノ呼出ニ應
セサルトキハ受命審判官ハ引致狀ヲ發シテ之ヲ引致セシムルコトヲ得
引致狀ハ理事官ノ命令ニ因リ巡査又ハ憲兵上等兵之ヲ執行ス其ノ執行ニ
付テハ刑事訴訟法ニ定メタル勾引狀執行ノ手續ヲ準用ス
第二十五條被審人逃走シ又ハ逃走ノ虞アルトキハ受命審判官ハ免狀行使
ノ假停止ヲ爲シ若クハ之ヲ差押フルコトヲ得
第二十六條被審人又ハ證人疾病其ノ他正當ノ事故アリテ呼出ニ應スルコ
ト能ハサルコトヲ疏明スルトキハ受命審判官ハ其ノ所在ニ就テ之ヲ訊問
シ若クハ他ノ地方海員審判所ニ其ノ訊問ヲ囑託スルコトヲ得
第二十七條受命審判官下調ヲ終リタルトキハ調書及一切ノ證憑ヲ審判所
長ニ差出シ審判所長ハ直ニ之ヲ理事官ニ送付スヘシ
理事官ハ三日以內ニ意見ヲ付シ其ノ書類ヲ審判所長ニ還付スヘシ
第二十八條地方海員審判所ハ審判期日ヲ定メ被審人ヲ呼出スヘシ
第二十九條審判ハ之ヲ公開ス但安寧秩序又ハ風俗ヲ害スルノ虞アルトキ
ハ地方海員審判所ノ決定ニ依リ其ノ公開ヲ停止ス
第三十條第二十三條乃至第二十六條ハ地方海員審判所ノ審判ノ場合ニ
モ亦之ヲ適用ス
第三十一條開廷中秩序ノ維持ハ審判長ニ屬ス審判長ハ審判ヲ妨クル者又
ハ不當ノ言語ヲ發スル者ヲ退廷セシムルコトヲ得
第三十二條被審人及證人ノ訊問ハ審判長之ヲ爲ス
審判官及理事官ハ審判長ニ告ケ被審人及證人ヲ訊間スルコトヲ得
第三十三條理事官ハ審判ニ立會ヒ其ノ意見ヲ述フルコトヲ得
第三十四條被審人ハ補佐人ヲ用フルコトヲ得但地方海員審判所ノ認許シ
タル者ニ限ル
第三十五條地方海員審判所ハ呼出ヲ受ケタル被審人審判期日ニ出頭セサ
ルトキハ闕席裁決ヲ爲スヘシ但被審人ノ疾病其ノ他ノ故障ニ依リ審判ヲ
行フコト能ハサルトキハ決定ヲ以テ其ノ審判ヲ延期又ハ中止スルコトヲ
得
第三十六條刑事裁判手續中ハ被審人ニ對シ審判ヲ開始スルコトヲ得ス
被審人刑事訴追ヲ受ケタルトキハ其ノ事件ノ判決ヲ終ルマテ醫用ヲ中止
スヘシ
第三十七條理事官及被審人ハ本案ノ裁決アルマテ何時ニテモ管轄違ノ申
立ヲ爲スコトヲ得
地方海員審判所ハ職權ヲ以テ管轄違ノ言渡ヲ爲スコトヲ得
第三十八條地方海員審判所ニ於テ前條ノ申立ヲ却下シタルトキハ本案ノ
裁決ヲ待タス直ニ高等海員審判所ニ控告スルコトヲ得
第三十九條裁決ニハ其ノ理由及證憑ヲ明示スヘシ
第四十條裁決及裁決始末書ノ原本ハ審判ヲ爲シタル地方海員審判所之
ヲ保存スヘシ
第五章高等海員審判所ノ審判
第四十一條理事官及被審人ハ地方海員審判所ノ裁決ニ對シ高等海員審判
所ニ覆審ヲ求ムルコトヲ得
第四十二條覆審請求ノ期間ハ裁決言渡アリタル日ヨリ七日トス
闕席裁決ニ對スル覆審請求ノ期間ハ被審人自ラ裁決ノ送達ヲ受ケタル日
ヨリ十四日トス
第四十三條覆審ノ請求ヲ爲スニハ其ノ請求書ヲ原地方海員審判所ニ差出
スヘシ
原地方海員審判所ハ直ニ該請求書及一件書類ヲ高等海員審判所ニ送付ス
ハン
第四十四條高等海員審判所ノ審判ニ付テハ地方海員審判所ノ審判ニ關ス
ル規程ヲ適用ス
第四十五條高等海員審判所ハ覆審ノ請求ヲ理由アリトスルトキハ原裁決
ヲ取消シ更ニ裁決ヲ爲スヘシ
其ノ請求ヲ理由ナシトスルトキハ裁決ヲ以テ之ヲ棄却スヘシ
第四十六條高等海員審判所ノ裁決ニ對シテハ不服ヲ申立テ又ハ裁判所ニ
出訴スルコトヲ得ス
第六章執行處分
第四十七條懲戒ハ裁決確定ノ後之ヲ執行ス
第四十八條免狀行使ノ禁止ヲ言渡シタルトキハ其ノ審判ヲ爲シタル海員
審判所ニ於テ免狀ヲ取上ケ遞信省ニ送付スヘシ
免狀行使ノ停止ヲ言渡シタルトキハ其ノ審判ヲ爲シタル海員審判所ニ於
テ免狀ヲ取上ヶ期間滿了ノ後之ヲ本人ニ還付スヘシ
免狀行使ノ禁止若クハ停止ヲ言渡サレタル者海員審判所ニ免狀ヲ差出サ
サルトキハ海員審判所ハ其ノ免狀ヲ無效ト爲シ官報ニ告示スヘシ
第七章罰則
第四十九條海員審判所又ハ受命審判官ヨリ免狀行使ノ假停止若クハ差押
ヲ受ケタル者其ノ職務ヲ執リタルトキハ船舶職員法第八條ノ罰則ヲ適用
ス
第五十條海員審判所又ハ受命審判官ヨリ證人トシテ呼出サレタル者及
鑑定又ハ通事ノ爲メ呼出サレタル者正當ノ理由ナクシテ呼出ニ應セス若
クハ其ノ義務ヲ盡ササルトキハ二圓以上四十圓以下ノ罰金ニ處ス
第五十一條證人トシテ海員審判所ニ呼出サレタル者僞證ヲ爲シタルトキ
及鑑定又ハ通事ノ爲メ海員審判所ニ呼出サレタル者詐僞ノ陳述ヲ爲シタ
ルトキハ一月以上一年以下ノ重禁錮ニ處シ五圓以上五十圓以下ノ罰金ヲ
附加ス
賄賂其ノ他ノ方法ヲ以テ人ニ囑託シテ僞證又ハ詐僞ノ鑑定通事ヲ爲サシ
メタル者亦同シ
前二項ノ罪ヲ犯シタル者其ノ事件ノ裁決言渡ニ至ラサル前ニ自白シタル
トキハ本刑ヲ免ス
附則
第五十二條此ノ法律ハ明治三十年七月一日ヨリ施行ス
第五十三條海員審判所ノ事務章程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十四條此ノ法律施行ノ際西洋形船船長運轉手機關手免狀規則第十條
ニ依リ審問中ノ事件ハ此ノ法律ニ依リ管轄權ヲ有スル地方海員審判所ノ
管轄トス其ノ旣ニ審問ノ判定ヲ受ケタルモノハ第五章ノ規程ニ依リ高等
海員審判所ニ覆審ヲ求ムルコトヲ得
〔國務大臣白根專一君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=49
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050・白根專一
○國務大臣(白根專一君) 此法案ハ前ノ船舶職員法ニ關聯ヲ致シテ居リマシ
テ職員法ヲ右ノ如ク定メマスル以上ハ船舶職員ニ對シテノ懲戒法ト云フコ
トガ必要ヲ來シテ居リマス、尤モ現行法ニ於キマシテモ、之ヲ懲戒スルコト
ハ載セテアリマスル、サリナガラ此法タルヤ海難或ハ事故ノ有ッタ時分ニハ
遞信大臣ハ司檢官吏ヲシテ之ヲ査定致サセマシテ遞信大臣自ラ承認ヲ與ヘテ
決行スルコトニナッテ居リマスル諸君モ御承知ノ通官報ニ時々登錄シテア
ル所ノ形式ニナッテ居リマスル、併シ此事柄ヲ考ヘテ見マスルニ甚ダ重イ事
柄デアラウト考ヘマス、何トナレバ海難事故ニ就キマシテ、其被告人一人ノ
事ニ關係ヲ止メマセヌ、其審判ノ致方ニ就キマシテハ或ハ運輸營業者ノ損失
トナリ、或ハ保險業體ノ者ニ影響ヲ及シ、就中外國人ニ關係ヲ致シ外國船舶
ニ關係ヲ致スト斯ウ云フヤウニ、此外之ヲ列舉シマスレバ澤山有リマスルガ、
隨分其關係モ大ナルモノデアリマスル、故ニ今日ノ如キ單純ナ行政處分ニ之
ヲ任カシテ置キマシテハ、甚ダ將來ニ於テ差支ヲ生ズルコトハ必然デアリ
マスル、故ニ裁判組織法ニ據リマシテ成ルタケ行政ノ權力ヲ以テ立入ラヌヤ
ウニ致シマシテ、特殊ノ官衙ニ於テ之ヲ審判致サセルト云フコトニ致スガ最
モ性質上カラ論ジマシテモ、今日ノ實際カラ論ジマシテモ、當然デアラウト考
ヘマスル、且ツ又唯地方審判所ノミヲ以テ終結ト致シマスルト、或ハ被告人其
他ノ關係ヲシテ寃抂ヲ懷カシムルト云フヤウナコトガ有ウト考ヘマスカラ、
高等審判所ト云フモノヲ設ケマシテ、二審ノ制ヲ執ッテ其邊ニ於テ遺憾ナカラ
シムルト云フコトヲ期シテ居リマスル、先ヅ大要斯ノ如キ精神ヲ以テ編制ヲ
致シマシタカラ、是亦諸君ニ於キマシテ宜シク御協賛アルヤウ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=50
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051・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 別ニ御發議ガゴザイマセネバ本案ノ特別委員ノ
選舉ニ移リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=51
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052・西五辻文仲
○男爵西五辻文仲君 此案モ前ノ特別委員ト同樣ノ委員ニ付託スルコトヲ提
出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=52
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053・小原重哉
○小原重哉君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=53
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054・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 西五辻男爵ヨリ本案ノ特別委員ハ前二件ノ特別
委員ト同一ノ委員トスルト云フ動議ガゴザリマス、此動議ニ贊成ノ諸君ノ起
立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=54
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055・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 過半數デゴザリマス、就キマシテハ是ヨリ直ニ
此三件ノ特別委員ヲ指名致シマスデゴザリマス、船舶檢査法案外二件ノ特別
委員ニハ侯爵細川護成君、伯爵萬里小路通房君、子爵伊東祐麿君、子爵內藤
政共君、箕作麟祥君、名村泰藏君、男爵吉川重吉君、森岡昌純君、武井守正君、此
九名ノ御方ニ御委託致スコトニ致シマス、次ノ議事日程ハ後トヨリ御報告ニ
及ビマス、本日ハ〓會
午前十一時四十八分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000903242X00718960123&spkNum=55
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