第9回帝国議会　衆議院　本会議　第46号　明治29年3月25日

1. 会議録本文

本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。

• 000・会議録情報

  　　明治二十九年三月二十五日（水曜日）午後一時二十三分開議
  　　　　━━━━━━━━━━━━━
  　　　　議事日程　第四十六號　明治二十九年三月二十五日
  　　　　　午後一時開議
  　　　第一　地方學事通則中改正法律案（政府提出貴族院送付）　第一讀會の續（特別委員長報告）
  　　　第二　地方税經濟に於て臨時土木費の爲に起債及地租制限外賦課の件法律案（政府提出）　第一讀會
  　　　第三　右議案の審査を付託すへき特別委員の選舉
  　　　第四　重要輸出品同業組合法案（政府提出）　第一讀會
  　　　第五　右議案の審査を付託すへき特別委員の選舉
  　　　第六　北海道鐵道敷設法案（貴族院提出）　第一讀會の續（特別委員長報告）
  　　　第七　家祿賞典祿處分法案　第一讀會の續
  　　　第八　明治二十七年法律第二十號中改正法律案　第一讀會の續（特別委員長報告）
  　　　第九　帝國圖書館設立の建議案（鈴木充美君外三名提出）
  　　　第十　棉作改良奬勵費豫算案に關する建議案（喜多川孝經君外二名提出）
  　　　第十一　牛痘苗製造業者處分に關する建議案（脇坂行三君外三名提出）
  　　　第十二　絹織物保護建議案（久保九兵衛君外三名提出）
  　　　第十三　水産傅習所官設建議案（改野耕三君外五名提出）
  　　　第十四　測候所増設に關する建議案（濱田儀一郎君外二名提出）
  　　　第十五　天氣豫報暴風警報を全國に普及する建議案（多田作兵衞君外三名提出）
  　　　第十六　高等學校を獨立せしむるの建議案（波多野傳三郎君外五名提出）
  　　　第十七　義勇兵團設置建議案（直原守次郎君外一名提出）
  　　　第十八　別格官幣社を臺灣に建設するの建議案（北原信綱君外二名提出）
  　　　第十九　水火消防組に關する法律案　第一讀會の續（特別委員長報告）
  　　　第二十　山形縣下郡界變更法律案　第一讀會の續（特別委員長報告）
  　　　第二十一　日光山社殿修繕に關する請願　（請願委員長報告）
  　　　第二十二　大和國古社寺保存に關する請願　（請願委員長報告）
  　　　第二十三　鐵道敷設上本位軌道採用に關する建議案　（特別委員長報告）
  　　　第二十四　廣軌鐵道に關する建議案　（特別委員長報告）
  　　　第二十五　明治二十二年法律第十號改正法律案（片岡健吉君外八名提出）　第一讀會
  　　　第二十六　港灣調査の建議案（目黒貞治君外四名提出）
  　　　第二十七　炭量調査所設置に關する建議案（藤金作君提出）
  　　　第二十八　裁判所管轄に關する法律案（山田泰造君外一名提出）　第一讀會
  　　　第二十九　保安條例廢止法律案（西村眞太郎君外二名提出）　第一讀會
  　　　第三十　開港法案　第一讀會の續（特別委員長報告）
  　　　第三十一　府縣農事試驗場國庫補助法案　第一讀會の續（特別委員長報告）
  　　　第三十二　府縣制改正法律案　第一讀會の續（特別委員長報告）
  　　　第三十三　大分縣豐後國佐賀關海峽に燈臺及浮標設置に關する建議案（毛利莫君外二名提出）
  　　　第三十四　國勢調査執行建議案（江原素六君外三名提出）
  　　　第三十五　木曾揖斐兩川間閘門設立に關する請願　（請願委員長報告）
  　　　　━━━━━━━━━━━━━

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=0

  ---

• 001・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　是ヨリ諸般ノ報告ヲ爲シマスル
  〔佐脇書記官朗讀〕
  政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  明治二十九年度歲入歳出總豫算追加案
  明治二十九年度特別會計歲入歲出豫算追加案
  政府ヨリ左ノ通牒アリタリ
  一會計檢査院法中改正法律案
  一會計檢査官退官ニ關スル法律案
  右法律案ハ緊急ノ件ニ付議院法第二十七條但書及第二十八條但書ニ依リ
  議定相成度此段及要求候也
  明治二十九年三月二十五日內閣總理大臣臨時代理
  樞密院議長伯爵黑田〓隆
  衆議院議長楠本正隆殿
  貴族院ヨリ送付セラレタル議案左ノ如シ
  會計檢査院法中改正法律案
  會計檢査官退官ニ關スル法律案
  貴族院ヨリ囘付セラレタル議案左ノ如シ
  靜岡縣下郡廢置法律案
  福島縣下郡廢置法律案
  岐阜縣下郡廢置及郡界變更法律案
  貴族院ニ於テ會計檢査官懲戒法案ヲ否決、兩院協議會ノ成案ニ係ル明治二
  十八年度特別會計歲入歳出豫算追加案(乙)ヲ可決シタル旨同院ヨリ通牒ア
  リ
  議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  鐵道建築規定ニ關スル建議案
  提出者福田久松君市島謙吉君
  戰死病死者遺族扶助ニ關スル建議案
  提出者高木正年君丸尾文六君
  小鷹狩元凱君江藤新作君
  藤田達芳君
  田中正造君松島廉作君田口卯吉君沼田宇源太君大竹貫一君金尾稜嚴君ヨリ
  陸軍軍用品買入ニ關スル件ニ付再質問書ヲ田中正造君四宮有信君ヨリ小
  金ケ原開墾地ノ所有權ヲ細民ヨリ奪ヒタル件、田中正造君ヨリ明治二十七
  年ニ於ケル臨時總選舉ノ期日ヲ故ラニ遷延シタル件、遼東還附ノ罪責ヲ以
  テ軍隊及衆議院ニ歸セントシ且ツ外ニ於テハ更ニ三國ニ請托シ內ニ於テハ
  國民ヲ瞞著シタル件、橫濱築港不正工事ニ對スル責任者未定ニ關スル件、足
  尾銅山鑛毒ニ關スル件、北海道炭礦鐵道會社ノ情弊除去ニ關スル件、肥後
  熊本ニ在ル大官林ト細川家ノ私有小山林トヲ交換セシ件、陸奧外務大臣ノ
  曠職ニ關スル件、衆議院議員濱野茂拘留通知ニ關スル件、三浦安ヲ宮中顧
  問官ニ奏薦シタル件、朝鮮國居留商人ニ退去ヲ命シタル件ニ付政府ニ質問
  書ヲ提出セラレタリ
  特別委員長及理事左ノ通當選セラレタリ
  輸出羽二重檢査所法案審査特別委員長坪田仁兵衞君
  同理事小室重弘君
  〔左ノ質問書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
  陸軍軍用品買入ニ關スル再質問趣意書
  陸軍軍用品買入及軍夫雇入ニ關シ去ル十二月二十八日八箇條ノ質問書ヲ提
  出セシニ當局者ハ一月二十四日ニ至リ長文ノ答辯書(二十一日附)ヲ囘附報
  告シタリ之ヲ前議會ニ於ケル罐詰買上ノ質問ニ對スル傲慢無禮ノ答辯ニ比
  スレハ頗ル穩當ニシテ精細ナルヲ見ル特ニ軍夫小頭ノ給料ニ關スル件及軍
  吏苅屋酉之助ノ變死ニ關スル件ハ不充分ナガラモ了解スル所アルニ至リタ
  リト雖トモ其他石炭毛布罐詰ノ買上ニ關スル答辯ハ猶ホ其要領ヲ得サル〓
  少ナカラス依テ巳ムヲ得ス更ニ左ノ質問ヲ提出ス
  一石炭ノ需用ニ就テ海軍ノ方高價ノ石炭ヲ要スヘキ筈ナルニ陸軍ノ方却
  テ髙價ノ石炭ヲ買入レタルハ平準ヲ得サルカ如シ如何トノ問ニ對シ當
  局者ハ先ツ其買上ケノ來歷ヲ述ヘ然ル後チ幾多ノ統計ヲ示シテ其然ラ
  サルヲ辯シタリト雖トモ其統計ニハ誤謬ノ比較アルノミナラス其買上
  ケノ來歷ヲ述フルニ當リテモ至ツテ精密ヲ缺キ人ヲシテ其要領ヲ捕捉
  スルニ苦マシムルモノアリ先ツ其統計ニ就テ言ハンニ當局者ハ
  陸軍省買上石炭代價比較表
  発祥時
  陸軍省海軍省比較ノ差
  事由一噸平均代事由一噸平均代
  自二十七年六月至二十円自二十七年七月至二十円
  八年四月運送船ニ給與六·二四九八年二月期間ニ於テ陸六·〇一八
  セシ分軍省ト同法ヲ以テ購買
  自二十八年四月至同斷五·四七七ノ分
  十月前同斷自二十七年六月至同八
  月間ニ於テ陸上ニテ購五·八八〇
  買セシ分
  徵發購買(陸上受領)五·七八〇円
  平均五·八六三平均五·八九三〇三〇
  トノ比較表ヲ示シテ海軍省買上ケノ代價陸軍省買上ケノ代價ニ比シテ
  三錢ノ高貴ヲ見ルト說クモ是レ寧ロ牽强ト言ハサル可ラス蓋シ眞正ニ
  陸海軍兩省ノ買上代價ヲ比較センニハ其同時期間ニ買上ケタル石炭ノ
  一噸平均代價ヲ以テセサル可ラス特ニ二十八年四月十七日ハ媾和談判
  巳ニ平和ノ結局シテ雙方ノ調印ヲ了ハリタル時ナルヲ以テ軍用諸品ノ
  代價大抵低減ニ傾キ石炭代價ノ如キハ特ニ低下シタルニ當局者ハ四月
  十五日以後ハ强ヒテ之ヲ低下セシメタル如ク揚言シ其低下シタル價格
  ヲ以テ直チニ以前ノ代價ト混淆平均シテ之ヲ他ニ比較セントスルハ決
  シテ當ヲ得タルモノニアラス今若シ眞正ニ陸海軍兩省ノ買上代價ヲ比
  較センニハ左ノ如クスヘシ
  陸軍省買上石炭代價比較表(其一)
  海軍省
  陸軍省海軍省比較ノ差
  事由一噸平均代事由一噸平均代
  自二十七年六月至二十円自二十七年七月至二十円
  八年四月運送船ニ給與六·二四九八年二月期間ニ於テ陸六·〇一八
  セシ分軍省ト同法ヲ以テ購買
  セシ分
  自二十七年六月至同八
  月ノ間ニ於テ陸上ニテ五·八八〇
  購買セシ分
  徵發購買(陸上受領)五·七八〇円
  平均六·二四九平均五·八九三〇·三五六
  是レ二十七年六月ヨリ翌二十八年四月ニ至ル期間ニ於テ陸海軍兩省ノ
  買上ケニ係ル石炭代價ヲ比較シタルモノニシテ其差實ニ陸軍省ノ買上
  代價ニ於テ三十五錢六厘ノ高貴ヲ見ル斯ノ如キハ到底不可有ノ事ナル
  ヘキニ當局者ハ實際斯ル買上ケヲ爲シタルノミナラス却テ牽强附會ノ
  統計ヲ示シテ之ヲ瞞過セントス其狡默點誠ニ驚クヘキニアラスヤ唯二
  十八年四月十五日以後ニ在テハ前ニモ述ヘタル如キ情勢ノ結果トシテ
  左表ノ如キ現象ヲ呈セリ
  陸軍省買上石炭代價比較表(其二)
  海軍省
  陸軍省海軍省比較ノ差
  事由一噸平均代事由一噸平均代
  自二十八年四月至同年十円円
  月運送船ニ給與セシ分五〇四七七徵發購買(陸上受領)五·七八〇
  円
  平均五●四七七平均五·七八〇〇·三〇三
  卽チ陸軍省ノ買上代價海軍省ノ分ニ比シ參拾錢參厘ノ低廉ヲ見ル(四月
  以前ハ前ニモ述ヘタル如ク陸軍省買上代價參拾五錢六厘ノ高貴ヲ見タ
  リ)ニ至リタリト雖モ之レスラ相當ノ差額ト言フヘカラス蓋シ軍艦水雷
  艇等ノ航駛ニ要スル石炭ハ其品質至テ精良ヲ要スルヲ以テ內國炭ヲ購入
  スルニ當リテモ精選ニ精選ヲ加ヘ或ハ時ニ高價ノ英炭ヲ購入使用スルモ
  之ニ反シ陸軍ハ運送船ニ用ユルモノナルヲ以テ左マテ精良ノ石炭ヲ購入
  使用スルヲ要セス言ヒ換フレハ海軍ニテハ上等ノ石炭ヲ要スルモ陸軍ニ
  テハ中等若クハ下等ノ石炭ニテ事足ルナリ從テ其買上代價ノ上ニ著シキ
  差異ヲ見ルハ當然ノ事ナリトス今日〓開戰ノ當時ニ於ケル石炭ノ普通相
  場ヲ見ルニ一噸ニ付上等四圓貳參拾錢中等參圓五六拾錢下等參圓以下ナ
  リ然ルニ陸海軍兩省ノ買上ケタル實際ノ代價ハ共ニ六圓內外ニ達シ普通
  相場ニ比シテ著シキ高貴ヲ見ルモコハ兵馬倥傯ノ際トテ無理ナラヌ事ナ
  レハ深ク咎責スヘキニアラス唯普通相場ニ於テ上炭ト中炭トノ間已ニ七
  八拾錢ノ差異アリ上炭ト下炭トノ間ニハ壹圓貳參拾錢ノ差異ヲ見ル以上
  ハ上炭ノミヲ使用スル海軍省ノ買上代價ト中炭若クハ下炭ヲ使用スル陸
  軍省ノ買上代價トノ間ニハ依然七八拾錢乃至壹圓貳參拾錢ノ差額ヲ見サ
  ルヘカラス然ルニ其實際ノ差額僅々參拾錢參厘ニ過キサルハ誠ニ奇怪ト
  言ハサルヘカラス手短カニ之ヲ言ヘハ陸軍省ノ買上代價ハ海軍省ノ分ニ
  比シテ更ニ數層ノ低廉ヲ見サル可ラス然ルニ實際ハ斯クノ如シ是レ陸軍
  省ノ買上代價海軍省ニ比シテ高貴ナリト言フ所以當局者猶ホ然ラスト言
  フ乎
  次ニ(一)石炭ノ代價ハ前後其方法ヲ異ニシタルヲ說キナカラ卽チ日本郵船
  及大阪商船ノ兩株式會社以外ノモノヨリ借リ上ケタル船舶ニ要スル石炭
  ハ始メハ其船主自ラ好ンテ日本郵船株式會社ノ石炭ヲ使用シ中頃船主ノ
  請求ニ依リテ其自辨ト爲シ後チニハ政府特ニ命シテ日本郵船株式會社ヨ
  リ其供給ヲ爲サシムル事ト爲シタリト言ヒナカラ毫モ其時期ヲ示サヽル
  カ如キ(二)日本郵船及大阪商船兩株式會社以外ノモノヨリ借リ上ケタル
  船舶ノ船主カ自辨シタル石炭ノ噸數及其一噸ノ平均代價ヲ示サヽルカ如
  キ(三)日本郵船株式會社ニ委托シテ石炭ヲ供給セシムル事ニ決シタル後
  チ大阪商船株式會社及三井物產會社ハ依然其自辨ニ任セシヤ又兩會社カ
  自辨シタル噸類及ヒ一噸ノ平均代價ハ如何程ナリヤヲ示サヽルカ如キ
  (四)海軍ニ在リテハ門司ノ石炭置物ヨリ軍艦ヘノ運送ニ掛ル艀船其他積
  入人夫等ノ雇賃等ハ總テ石炭代價ノ外ノ仕拂ヲ爲シタリト雖トモ陸軍省
  ニ於テハ同場ヨリ運送船ニ積込ミマス一切ノ費用ハ石價代價ニ含有スル
  ヲ以テ云々ト言ヒ乍ラ其石炭一噸ニ要スル費用ヲ示サヽルカ如キ(五)二
  十八年四月十五日ヨリ同十月三十一日ニ至ル間ニ於テ借上ケタル船舶ノ
  數及其船舶中ニ在リタル廉價ノ殘炭ノ噸數及其一噸ノ平均代價ヲ示サル
  カ如キ要スルニ不精密極マル答辨ト言ハサル可ラス今一々詳細ノ說明ヲ
  求ム
  一毛布類營業ニ毫末關係ナキモノヨリ多額ノ毛布ヲ買上ケタルト毛布週送
  ノ遲々タリシトハ如何トノ問ニ對シテハ當局者モ非常ノ場合實ニ巳ムヲ
  得サルニ出テタルモノニシテ甚タ之ヲ遺憾トストノ懺悔ヲ爲シタレハ强
  ヒテ之ヲ追窮スルノ要ナキモ其府下京橋、日本橋、神田ノ三區ノミニテ
  スラ純粹ノ毛布卸業者歷々三十七名ノ多キニ及フニ其中買上ニ接シタル
  モノ僅カニ三名ニ過キサルカ如キハ決シテ默々ニ附スヘカラス
  今陸軍省經理局ニテ取扱ヒタル分ヲ見ルニ其買上ニ係ル毛布ノ數三十三
  万三千四百十六枚ニシテ代價總額百六万七千圓餘ニ達シ而シテ其ノ供給
  者ハ凡テ十三名(內橫濱一名大阪一名)ナリ翻テ府下ノ毛布卸業者ノ數ヲ
  見ルニ前ニモ述ヘタルカ如ク單ニ京橋、日本橋及ヒ神田ノ三區ノミニテ
  巳ニ三十七名ノ多キニ達ス故ニ苟モ經理局ニシテ少シク注意スル所アリ
  テ毛布ノ供給ヲ是等在來ノ卸業者中ニ求メハ其買上ケニ就テ左シタル困
  難ヲ感セサリシナラン言換フレハ其供給者ハ純粹在來者ノ毛布卸業者ノ
  ミニテ優ニ餘リアリシナラン然ルニ經理局ハ殆ント是等在來ノ卸業者ニ
  注意スルコトナク却ッテ毫末毛布業ニ關係ナキモノヨリ巨額ノ買上ヲ爲
  シ爲メニ府下數十名ノ毛布卸業者中其ノ買上ケニ接シタルモノ僅カニ一二
  名ニ過キサルノ奇觀ヲ呈ス假令其間ニ言フヘカラサルノ醜事ナシトスル
  モ此ノ如キハ決シテ止ムヲ得サル結果ナリトシテ默過スヘキニアラス況
  ンヤ醜評紛々聞クニ忍ヒサルモノアルニ於テオヤ
  當局者ハ辯シテ言フ當時毛布ノ需用供給ニ付テハ非常ノ平均ヲ失ヒタル
  ヲ以テ普通ノ購買方ニノミ依ルトキハ軍隊ノ給養上ニ不容易不都合ヲ釀
  成スルノ恐レアルニ依リ其所有者ノ如何ヲ問ハス毛布ノ供給ヲ申出ツル
  モノアルトキハ唯其品質適當ニシテ代價モ亦相當ト認ムルモノハ總テ之
  ヲ購入スルノ止ムヲ得サル必要ニ迫ラレタリト余等ト雖トモ此ノ辯解ヲ
  以テ必スシモ强辯曲解ナリトハ爲サス只當時果シテ斯クマデノ必要ニ迫
  ラレタリトスレハ純粹ノ毛布卸業者ハ大〓第一著ニ其ノ買上ニ接スルコ
  ソ當然ノ情理ニシテ而シテ毫末毛布業ニ關係ナキモノヽ店裡巨額ノ毛布
  ヲ藏スルカ如キ事アルヘカラス然ルニ其實際ハ全ク之ニ反シ純粹ノ毛布
  卸業者ハ前ニモ述ヘタル如ク其買上ニ接シタルモノ甚タ少ナク而シテ毫
  末毛布業ニ關係ナキモノヽ店裡ニハ巨額ノ毛布ヲ藏シ機ヲ見テ輙ク其買
  上ケニ應スルヲ得タリ是レ余等ノ怪ンテ而シテ問ハント欲スル所ナリ
  次キニ怪ムヘキハ其買上時期ノ前後ニ依テ代價ニ著シキ差異アルコトナ
  リ之ヲ詳言スレハ毛布ノ代價始メテ廉ニシテ後チニ貴ク而シテ之ヲ買上
  クルハ始メノ廉クナル時ニシテ後ノ貴キ時ニ多カリシコト是レナリ
  毛布ノ數代價總額平均一枚
  枚ノ代價
  二十七年十一月迄一二九、一〇一円円二·三七一
  ニ買上ケタル分三〇六、一六四·八五六
  二十七年十二月後二〇四、三一五七六〇、九〇六·一一五三·七二四
  ニ買上ケタル分
  比較ノ差七五、二一四四四五四、七四一·二五九一·三五三
  平均一枚ノ代價ニ於テ壹圓參拾五錢參厘許ノ差額ヲ見ル誠ニ非常ノ差額
  ト言ハサルヘカラス
  案スルニ當局者カ外征軍隊ニ向ッテ防寒具ヲ輸送スル準備ヲ爲スハ遲クモ
  十一月頃迄ナラサルヘカラス十一月頃マテニハ略〓外征軍隊ノ數ニ相應
  スヘキ毛布ヲ買上ケテ之ヲ輸送スルノ準備ヲ爲サヽルヘカラス反面ヨリ
  之ヲ言ヘハ十一月頃マテニ買上ケタル數ハ頗ル夥多ニシテ之ヲ十二月以
  後ノ買上ケ額ニ比スレハ寧ロ勝ルアルモ劣ルコトアルヘカラス然ルニ其
  實際ハ全ク之ニ反シ十一一月後ノ買上ヶ額十一月マテノ買上ケ額ニ比シテ
  却テ七万五千三百十四枚ノ多キヲ見ルノミナラス其ノ代價ニ於テハ前ニ
  モ述フル如ク平均一枚ニ付キ一圓三十五錢三厘ノ高貴ヲ見ル今之ヲ十二
  月後ノ買入總額二十万四千三百十五枚ニ對照積算スレハ實ニ二十七万六
  千四百三十八圓十九錢五厘ノ巨額ト爲ル而シテ是レ全ク當局者ノ怠慢貪
  虐ヨリシテ生シタル損失ナリト言ハサルヘカラス是レ單ニ經理局ニテ取
  扱ヒタル分ニ就テ言フノミ其ノ全國ニ涉リテハ果シテ幾干ノ損失ナルヤ
  遽カニ測知スヘカラサルナリ但〓十一月マテニ買上ケタルモ毛布ノ中ニ
  ハ量目ノ少クシテ代價ノ廉ナルモノアリ從ッテ平均一枚ノ代價十二月後
  ニ買上ケタル分ニ比シテ稍〓低廉ナルヲ見ルハ決シテ怪ムヘキニアラス
  ト雖モ其差額一圓三十五錢餘ノ多キニ及フハ實際不可有ノ事ナリト言ハ
  サルヘカラス特ニ一月以後ハ徐々暖氣ニ向フヲ以テ毛布ノ代價ノ如キハ
  自然低下スヘキ筈ナルニ毫モ左ル傾キヲ見サルノミナラス當局者ハ其以
  前ニ比シテ却ッテ高貴ノ價ヲ以テ其ノ買上ケヲ爲ス奇怪ニアラスシテ何
  ツ
  當局者ハ復タ需用ノ夥多ナリシト毛布ノ拂底トヲ以テ之カ口實ト爲サン
  トセン然レトモ巳ニ幾タヒモ述ヘ來リタルコトク當局者ハ府下ノ毛布營
  業者ヲ取調フル事タモ爲サス從ッテ三十七名ノ毛布卸業者中其買上ニ接
  シタルモノ僅ニ三名ニ過キサル奇怪ノ現象ヲ呈シ而シテ他面ニ於テハ毫
  末毛布業ニ關係ナキ者スラ巨額ノ毛布ヲ藏シテ輙ク其買上ニ應シタルヲ
  見レハ其口實モ亦決シテ首肯スヘカラサルナリ
  之ヲ要スルニ當局者ノ答辯ハ未タ盡サヽル所アルノミナラス却ツテ益〓
  疑惑ヲ增サシムルモノアリ依テ上記ノ〓ニ就イテ更ニ詳細ノ答辯ヲ求
  ム
  且ツ十二月迄ト一月ノ後ニ買上ケタル毛布ノ數及ヒ內地各衞戍病院備附
  品竝ニ後備諸隊ニ支給シアル毛布ヲ引上ケタル數ハ如何程ナルヤ
  一牛肉罐詰ノ買上ニ關シテハ問フ所答フル所ニアラス答フル所問フ所ニ
  違フテ特ニ其要領ヲ得ル能ハス且ツ當局者ハ往々「第八議會ニ於テ巳
  ニ答辯シタル如ク云々」ト述ヘ去ラントスルモ第八議會ニ於ケル答辯
  ハ更ニ其要領ヲ得サルモノナリ依テ今重ネテ其疑〓ヲ列舉シテ精細ナ
  ル答辯ヲ促カス
  一「明治二十七年六月朝鮮國ニ事變ノ生シタル際出征軍隊用トシテ牛肉罐
  詰ノ需用ヲ生セシヤ當時其營業者中資力確實ニシテ製法完全ト認ムル
  者甚タ尠ナク咄嗟ノ需用ニ當リ其之ニ應シ得ヘキ適當ノモノ寡ナカリ
  シヲ以テ舶來品ニシテ普通商賈ノ手ニ貯藏シアルモノ及ヒ漸次輸入シ
  來リタルモノ等ヲ買收シ以テ纔カニ其需用ヲ充タセシカ爾後該品ノ需
  用增加スルニ隨テ其供給者續々內地ニ興起セシニ依リ陸軍省ハ內地ノ
  製造品ヲ購買シ其需用ニ供シタルモ時將サニ夏季ニ際シタルノミナラス
  其製造所ノ如キモ俄カニ設立セシモノナルニ依リ製造方ニ就イテモ不充
  分ヲ免カレサルカ爲メ腐敗品多ク又僅少ノ時間ニ多數ノ需用品ヲ製造
  スルヲ以テ自然其監督上ニモ行屆カサル廉アルニ依リ粗製品又ハ其荷
  造リ等ニ不完全ノ所爲アルヲ認メタリ故ニ陸軍省ニ於テハ該品調査委
  員ヲ選定シ一昨二十七年十月十五日ヲ期シ全國內重モナル牛肉罐詰製
  造營業者ヲ陸軍省ニ會同セシメ該品ノ製造方法等ヲ協議シタリ云々」
  ト云ヘルニ就テハ余等亦當局者ノ注意ヲ諒ス唯當局者巳ニ「製造方ニ就
  テモ不充分ヲ免レサルカ爲メ腐敗品多ク又僅少ノ時間ニ多數ノ需用品
  ヲ製造スルヲ以テ自然其監督上ニモ行屆カサル廉アルニヨリ粗製品又
  ハ其荷作リ等ニ不完全ノ所爲アルヲ認メ」テ斯ル注意ヲナスニ至リ乍
  ラ言ヲ「至急ノ需用」「臨時ノ必要」ニ托シテ其矯正未タ屆カサル罐詰ヲ
  續々買上ケタルハ甚タ其意ヲ得難シ當局者ハ辯シテ言フ「若シ其供給
  ノ時機ヲ過マルトキハ軍隊ノ生命ニ關係スルヲ以テ云々」ト然リ供給
  其時機ヲ過レハ軍隊ノ生命ニ關係スルニ相違ナシ然レトモ是ヲ〓ル
  ノ故ヲ以テ現ニ粗製品若クハ腐敗品多キヲ認メタルモノヲ買上ヶ週送
  スルハ寧ロ妄慢不親切ノ處置ナラスヤ之ヲ反言スレハ當局者ハ粗製品
  若クハ腐敗品軍隊ノ生命ニ關係ナシト爲ス乎抑モ亦當局者斯ル處置ヲ
  取ルノ外其道ナカリシト言フ乎
  二當局者ハ「時將ニ夏時ニ際シタルヲ以テ(中略)腐敗品多ク」ト云フモ寒
  季ノ候モ亦腐敗シテ用ニ適セサリシモノ頗ル多カリシハ掩フヘカラサ
  ルノ事實ナリ當局者ノ答辯スル如クンハ陸軍省ニ於テハ明治二十七年
  十月十五日ヲ期シ全國內重ナル牛肉罐詰製造營業者ヲ陸軍省ニ會同セ
  シメ同省ニ於テ選定シタル該品調査委員ヲシテ其製造方法ヲ協議セシ
  メタリト云フ果シテ然ラハ寒季ニ入ルノ前巳ニ其製造方法等ヲ協議シ
  テ粗製濫造ノ弊ヲ矯正シタルモノ特ニ氣候全ク寒冷ニ向ヒタルニ於テ
  腐敗品ノ如キハ稀有若クハ皆無ナラサルヘカラス然ルニ其實際ハ全ク
  之ニ反ス其理由如何
  三當局者カ曾テ指定セルカ如キ資格ヲ有スル牛肉罐詰製造業者ハ從來東京
  ニ一人モアルナシ勿論海苔若クハ貝類等ノ罐詰製造業者ハ多少是レナ
  キニアラサルモ牛肉罐詰製造業ニ至リテハ頗ル是等ト技術ヲ異ニシ決
  シテ期日ノ間ニ熟練シ了ルヘキニアラサルヲ以テ是ノ罐詰製造者ハ到
  底當局者ノ指定セル如キ資格ニ適合スヘキ牛肉罐詰製造者タル能ハス
  然ルニ牛肉罐詰ノ需用大ニ增加スルヤ一朝十八箇所ノ牛肉罐詰製造所
  突如トシテ出來シ當局者亦之ヲ認容シテ牛肉罐詰ノ製造供給ヲ命シタ
  リ是實ニ奇怪ノ處置ニシテ破格ノ沙汰ト言ハサルヘカラス今步ヲ讓リ
  テ斯ノ如キ破格ノ沙汰ヲ爲スモ巳ムヲ得ストセハ元來牛肉罐詰ノ本場
  タル關西地方ニ於テハ更ニ幾多ノ罐詰業者出テヽ著シク製造力ヲ增加
  シタルコト固ヨリ疑フヘクモアラス故ニ若シ當局者ニシテ能ク之ヲ奬
  勵シテ其供給ヲ努メシメハ必ラスシモ運送不便代價不廉品質不良製造
  無經驗ノ東京ニ於テ巨額ノ牛肉罐詰ヲ買上クルノ要ナク必然其本場ト
  シテ運送モ便ニ代價モ廉ニ且ツ品質良好製造熟練ナル關西地方ニ於テ
  優ニ其需用ヲ充タスヲ得タルヤ明カナリ然ルニ當局者ノ爲ス所此ニ出
  テスシテ彼レニ出ツ其意ノ在ル所甚タ奇怪トスヘシ此〓ニ就イテ當局
  者ハ曰ク「關西ノ製造中或ハ器械ノ破損又ハ職工中流行病ニ罹ルモノ
  等ヲ生シタメニ其製造ヲ辭シタルモノ等種々ノ故障ヲ生シタルタメ注
  文數ニ異同ヲ生シ右ノ如キ結果ヲ招クニ至リタリ」ト夫レ然ランシカ
  モ是等ノ故障惟リ東京ニ起ラスシテ重ニ牛肉罐詰ノ本場タル關西地方
  ニノミ生シタルハ亦誠ニ了解シ難キ事ナリトス如何且ツ其ノ所謂故障
  ノ事跡ヲ明細ニ說示セヨ
  四答辯書ニ依レハ當局者ハ「各地方ノモノヨリ其標本ヲ提出シ終ラサル
  內至急ノ需用アリシ」ト言ヘトモ二十七年十月十五日全國內重ナル牛
  肉罐詰製造者ヲ陸軍省ニ會同セシメタル時ハ各地方營業者ハ當局者ヨ
  リ發シタル達ニ依リ卽チ滿二箇年以上牛肉罐詰製造業若クハ牛肉罐詰
  販賣業ニ從事セシ證明書具製造所ノ位置製造ノ方法每日ノ出來高製造
  場ノ建物及ヒ其ノ製造器具建物ハ自己ノ所有ナルヤ借家ナルヤノ證明
  書等ニ標本トシテ四十目入レノ罐詰三箇二斤入レノ罐詰三箇ヲ添フヘ
  シトノ規定要件ヲ充タシテ出頭セシモノナルヲ以テ其ノ會同ノ當時巳
  ニ標本ヲ提出シ了リタルハ明々白々ナル事實ナリトス然ルニ當局者ハ
  其ノ會同日卽チ十五日以後ニ至リ却テ十五日以前ヨリモ巨額ノ供給ヲ
  東京ナル一夜作リノ牛肉罐詰者ニ命シ而シテ其ノ理由ヲ以テ各地方ノ
  モノヨリ其標本ヲ提出シ終ハラサル內至急ノ需用アリシト云フご請求
  ントス十五日以前ハイサ知ラス十五日以後ニ在テハ決ジテ斯ル事實ノ
  存在スヘキ筈ナシシカモ猶ホ此言ヲ爲ス是レ虛妄讒誣ノ最モ甚タシキ
  モノニシテ當局者カ其ノ非行ヲ瞞過セントスル一片ノ遁辭ト見ルノ外
  ナシ當局者以テ如何トナス
  五答辯書ニ依レハ海軍省ニテハ內地製造品ノ持久保存ニ堪エサルヲ恐レ
  テ常ニ舶來ノ罐詰ヲ買入レ使用ストアルモ實際神戶ニ於テ常ニ少ナカ
  ラサル罐詰ヲ購入使用シツヽアルニアラスヤソハ免モ角モトスルモ海軍
  省ニテハ腐敗ノ恐レアリトテ內地製造品ニシテ縱令熟練ノ製造ト雖ト
  モ容易ニ買入レサル事例モアルニ陸軍省ニ於テ之ニ鑑ミテ努メテ精良
  ノ品ヲ買上クルコトヲ爲サス却テ內地ニ於テ牛肉罐詰ノ本場トシテ海
  軍省スラ少ナカラサル購入ヲ爲シツヽアル關西地方ヨリ買取ルコトヲ
  薄クシ製造ノ不熟練品質ノ不良ニ加フルニ運送ノ不便代價ノ不廉ヲ以
  ニュームシリアルリングリーグのフィールカルハ〓〓ニ對シテハ不經濟軍隊
  六東京ノ商人某ガ嘗テ納付シタル一万餘箇ノ牛肉罐詰ハ不適當品ナリト
  テ宇品ナル檢査官ヨリ突戾サレタルハ掩フ可ラサルノ事實ナリ然ルニ
  其後某ハ巧ニ之ヲ變裝シテ再納シ當局者亦之ヲ買上ケタリトノ噂サア
  ルハ眞乎且ツ斯ル不正ノ所爲アリタル某ニ爾後依然罐詰ノ供給ヲ命シ
  タルハ如何
  七東京ノ屠畜場ハ淺草ト芝ノ二箇所ニ在リ單ニ淺草ノ屠畜場ニ就テ見ル
  ニ日〓開戰ノ前マテハ馬ノ屠殺數半箇年平均三四百頭乃至五六百頭ニ
  過キサルニ開戰後則チ明治二十七年七月ヨリ十二月ニ至半箇年ニ於テ
  ハ其數實ニ二千六百九十九頭ノ多キニ達シタリ是レヲ以テ推スニ其後
  ノ屠殺數決シテ少ナカラサルヘシ而シテ未タ馬肉販賣營業者ノ增加シ
  タルヲ聞カス夫レカアラヌカ二十七年七月以降東京牛肉罐詰製造所ニ
  於テ馬肉ヲ混合使用スルトノ風評紛タレシア起リ今治世ノ氣鐵ヲ免
  ス果シテ其事アリンカ夫レトモ實際馬肉販賣營業者ノ增川シタルモノ
  アリヤ警視廳ヘ照會ノ上二十一年七月ヨリ六月迄ト二十七年七月ヨリ
  十二月迄トノ馬屠殺數ノ比較表及馬肉販賣營業者ノ增減比較表トヲ明
  示センコトヲ求ム
  八答辯書ハ罐請買上ケノ額代價供給者等ヲ揭クルモ其買上ケ日時ヲ明示
  セス依テ今一々詳細ナル說明ヲ求ム
  右成規ニ依リ更ニ提出候也
  明治二十九年三月二十二日
  提出者口中卯正松島廉作
  大 大 田 田輔一吉造沼田宇源太
  竹貫金尾稜嚴
  贊成者第一2
  外三十九名
  小金ケ原開墾地ノ所有權ヲ細民ヨリ奪ヒタル件ニ關スル質問趣意書
  下總國小金ケ原開墾地ハ明治二年以來政府カ細民ノ救助授產ノ爲メニ多少
  ノ保護ヲ與エテ開墾セシメタル者ニシテ其當初自力ヲ以テ開墾シタル原野
  田畑ハ其私有ト爲スヲ得ヘシトノ規定ヲ爲セリ是ヲ以テ細民ハ相與ニ熱心
  勞働シテ其開墾ニ從事シタリ然ルニ其後政府ハ小金ケ原開墾地ノ全土ヲ舉
  ケテ之ヲ東京ノ某有力會社ノ所有トナセシヲ以テ從來熱心ニ之ヲ開墾セシ
  細民ハ法律上全ク其所有權ヲ失フコトヽナレリ斯ノ如ク前後反覆ノ處置ヲ
  爲シ多數細民ノ安處ヲ奪フテ少數富豪ノ所有トナシタルハ誠ニ殘忍暴戾ノ
  處置ト言ハサルヘカラス
  政府ハ如何ナル理由アリテ斯ル殘忍暴戾ノ處置ヲ爲シタル平此事ニ關シテ
  ハ本員嘗テ第六議會ニ於テ質問シタルモ政府未タ答辯スル所アラス且ツ被
  害人諸氏ハ第八議會ニ於テ狀ヲ具シテ請願スル所アリ其請願ハ院議ニ附シ
  採擇スヘキモノト決セラレテ政府ニ囘付セラレタルモ政府ハ今猶ホ之ヲ不
  問ニ處置スル所アラス是レ亦如何ナル理由アリテ然ル平今重ネテ之ヲ質ス
  右成規ニ依リ提出候也
  明治二十九年三月二十二日
  提出者田中正造四宮有信
  贊成者松島廉作
  外四十三名
  明治二十七年ニ於ケル臨時總選舉ノ期日ヲ故ラニ遷延シタル件ニ關
  スル質問趣意書
  第六議會ハ明治二十七年六月ヲ以テ解散セラレタリ
  顧ミルニ二十七年六月ハ征〓役ノ端ヲ啓キタル時ニシテ越エテ七月八日以
  後ニ至レハ日〓兩國互ニ戰ヲ宜シテ盛ンニ交戰ニ從事シタリ
  左レハ此前後ハ軍國ノ事務多端ニシテ帝國議會ノ協賛ヲ待ツヘキモノ亦少
  ナカラサルノ秋ナリ從ツテ一日モ早ク總選舉ヲ施行シテ帝國議會ノ召集成
  立ヲ計ラサルヘカラス
  然ルニ當局者ハ毫モ之ヲ計ラサルノミナラス却テ法律ノ規定ノ許ス限リ其
  日時ヲ遷延シ法定期限將サニ盡キントスル九月一日ニ至リテ漸ク之ヲ執行
  セリ飜ッテ第七議會ノ召集ヲ見ルニ軍國ノ事務ニ關スル議案緊急ノ協賛ヲ
  要スルモノアリトノ故ヲ以テ法定正則ノ手續ヲ履ムコトヲ爲サスシテ之ヲ
  召集セリ之ヲ詳言スレハ議會召集令ハ少クトモ其召集期日四十日前ニ發表
  スヘキニ事ノ緊急ヲ要スルモノアリトテ其間僅カニ二十五日ヲ置ケリ
  事ノ緊急ヲ要スルモノアルハ誠ニ然リ故ニ當局者ガ法定正則ノ手續タモ履
  マスシテ議會ノ召集ヲ奏請シタルハ敢テ之ヲ咎メサルヘシ唯斯クマテ忽急
  ニ召集スル程ナラハ何故ニ解〓後ノ總選舉ヲ故ラニ遲々シテ法定期限ノ最
  終マテ遷延シタル乎
  若シ軍國緊急ノ事務突如トシテ九月十月頃ニ起リタリトセハ則チ巳ム巳ニ
  其端ヲ六月ノ始メニ發シ七月ニハ豐島ノ變牙山ノ戰アリ八月ノ始メニハ互
  ニ宣戰ノ
  詔勅ヲ發シタルニ於テ猶ホ總選舉ノ施行ヲ遲々シ一日モ緩フスヘカラサル
  帝國議會ノ召集成立ヲ遷延シタルハ一ハ當局者カ偏ニ當時ノ所謂對外硬派
  ノ氣鋒ヲ恐レ對韓對〓ノ政策ニ其容喙ヲ蒙フルヲ避ケントシ一ハ軍國ノ多
  事ヲ好機トシテ私ヲ營ミ利ヲ貪ホラントスルノ惡意ニ出テタルモノト見ル
  ノ外ナシ當局者猶ホ能ク然ラスト辯解スルヲ得ル乎
  右成規ニ依リ提出候也
  明治二十九年三月二十一一日
  提出者田中正造
  贊成者松島廉作
  外四十四名
  遼東還附ノ罪責ヲ以テ軍隊及衆議院ニ歸セントシ且ツ外ニ於テハ更
  ラニ三國ニ請托シ內ニ於テハ國民ヲ瞞著シタル件ニ關スル質問書
  遼東半島ノ還附ハ千古ノ大屈辱ナリ外交上未曾有ノ大失敗ナリ當局者ハ百
  方言ヲ構ヘテ其罪責ヲ這レントスルノミナラス其還附ヲ爲スニ際シテ益〓
  失態ヲ極メ世人ヲシテ其意ノ在ル所ヲ知ルニ苦シマシム依テ今之ヲ列舉シ
  テ當局者ノ明答ヲ求ム
  一三國ノ異言ニ驚キテ遼東ヲ還附スルヤ其當局者及之ヲ辯護スルモノ
  ハ曰ク是レ外交ノ罪ニアラス軍隊ノ力萎弱シタルカ爲メナリト
  前後殆ント一年間千百里ノ外ニ懸征シ酷暑祁寒ノ苦ヲ凌冒シテ干戈
  ノ交爭ニ從事ス幸ニ百戰百勝ノ奇功ヲ奏セリト雖モ亦更ニ强大ナル
  新敵ヲ逆エテ之ト驅逐スルハ固ヨリ至難事ニ屬ス乃チ至難事ニ屬ス
  ト雖モ忠勇義烈死ヲ視ル歸スルカ如キ我陸海貔貅ノ士ハ其當時更ニ
  一快戰ヲ爲シテ以テ彼ノ倨傲亡狀ヲ挫カント欲セサルモノ一人タモ
  是レナカリシナリ
  余等ノ聞ク所ヲ以テスレハ三國ノ異言公然我カ有司ニ通セラレシハ
  四月二十三日ノ朝ニ在リ而シテ其旅順ナル征討總督府ニ傳達セラレ
  タルハ同日ノ夜ニ在リ是ニ於テ同地ニ在ル陸海軍ノ重ナル將校ハ其
  夜直チニ大總督小松宮彰仁親王殿下ノ御乘船威海衞丸ニ集リテ評議
  スル所アリ斷然三國ト開戰スルコトニ決シテ更ニ之ニ關スル軍議ヲ
  凝ラセリ其軍略ナリト言フヲ聞クニ
  海軍ハ佐世保ヲ根據トシ長崎近海ニ於テ先ツ露艦ヲ擊破シ
  陸軍ハ旅順口ヲ本陣トシテ左ニ〓ヲ追ヒ右ニ露ニ逆フ
  ニ在リ翻ツテ糧食ヲ顧レハ幸ニ猶數箇月ヲ支フルニ足リ一時本國ト
  ノ通航斷絕スルモ左シタル困難ヲ感スル事ナカリシヲ以テ軍氣特ニ
  振ヒ上下踴躍シテ一快戰ヲ冀ハサルナシ
  是ニ於テ樺山海軍軍令部長ハ其翌二十四日ノ朝伊集院海軍大佐ヲ從
  ヒ御用船立田丸(速力二十節)ニ乘シテ威海衞ニ赴キ此處ヨリ他ノ御
  用船ニ乘換エテ直チニ歸國ノ途ニ就キ立田丸ハ更ニ南駛シテ澎湖島
  ニ赴キ事ノ〓末ヲ診ケテ同島ナル伊東聯合艦隊司令長官ヲ招キ相共
  ニ急ニ應スルノ方略ヲ劃セントセリ
  然ルニ本國ニ於テハ此日(乃チ二十四日)早クモ廣島ノ會議ニ於テ
  「第三國トハ和親ヲ破フルヘカラス新タニ敵國ヲ加フルハ斷シテ得
  策ニアラス」トノ議ヲ決シ越エテ二十六日山縣陸軍大臣ハ其議ヲ齎
  ラシテ旅順ナル征討總督府ニ向ッテ出發シ航途中樺山軍令部長ト行
  違ヒタリ
  山縣陸相ノ旅順ニ達スルヤ大總督小松宮殿下ハ、大山、野津、山地
  川上、佐久間等ノ諸將ヲ其乗船威海丸ニ招キ更ニ評議スル所アリシ
  ニ山縣陸相ハ其使命ヲ〓ケ且ツ其使命勅諭ニ出ツルヲ報シテ諸將
  ヲ慰諭セントセリ
  然ルニ是等ノ諸將ハ何レモ前議ヲ執リテ決戰ノ硬意見ヲ主張シ甚シ
  キハ陸相ニ向ヒ「闇下ハ目下本國ニ於テ拾萬ノ國民軍ヲ募集シ且ツ
  種種ノ準備ヲ全フシ出征軍ヲシテ後顧ノ患ナカラシムルノ大責任ヲ
  有スルニアラスヤ然ルニ今其大責任ヲ措キテ遠ク此ニ來ル夫レ將タ
  何ノ意ソ若シ單ニ勅諭ヲ傳フルノミナラハ固ヨリ闇下ヲ待タス
  盍スソレ速カニ歸リテ其責任ヲ全フスルコトヲ努メサル」ト難詰斥
  罵スルモノアリ或ハ陸相ノ乘船橫濱丸ニ詰メカケテ反抗ノ激論ヲナ
  スモノスラアルニ至レリ然レトモ陸相ハ偏ニ其使命陛下ノ親勅ニ
  出ツルヲ述ヘ且ツ新タニ三國ヲ敵トスルノ不可ヲ說キ開戰論者モ事
  ノ勅命ニ出テタルニ畏ミテ淚ヲ飮ミツヽ之ニ從ヘリ
  夫唯然リ是ヨリシテ人々相見テ相悲ミ失望怨嗟ノ聲途ニ滿チ軍氣頓
  ニ衰耗スルニ至リシナリ
  且ツ之ヲ聞ク新聞記者某海城ニ至リ同地駐陣中ノ大島旅團ヲ訪ヒ談
  偶〓三國ノ異言遼東ノ還附ニ及ヒシニ將校士卒舉リテ切齒扼腕セサ
  ルナク次クニ血淚ヲ以テセリト而シテ其下士兵卒ノ携持スル所ノ手
  帳ヲ閱スルニ劈頭軍費支出ノ議決及ヒ帝國議會ノ感謝狀ヲ提起シ次
  キニ勅語及長官ノ說諭等ヲ記錄シ相與ニ語リテ曰ク帝國議會ニシ
  テ斯クノ如シ我等豈ニ空シク生還スヘケンヤト意氣斯クノ如シ則チ
  是レ眞ニ國民的戰爭ニシテ苟クモ國民內ニ奮躍シ帝國議會亦其後
  援ヲ爲サン限リハ彼等ハ勇往邁進唯死ノ榮生ノ辱ナルヲ知リテ十百
  國ヲ敵トスルモ怖ルヽ所ナカリシナリ
  若シ夫レ遼東ニ於ケル我カ軍事行政ノ成蹟及ヒ遼東ノ土壤形勢ノ如
  キハ事少ク岐路ニ渉ルモ亦全ク關係ナシト云フニモアラサレハ序ヲ
  以テ之ヲ記セン
  聞クカ如クンハ我兵ノ海城ニ入リシハ二十七年十二月四日ニ在リ而
  シテ十五六日ノ頃ハ早クモ行政事務大略ナカラモ整頓シ其月末ニハ
  行政上ノ報告書ヲ調製スルニ至リタリトノコトナリ
  營口ノ如キモ占領後直チニ自治制ヲ布キ公會ヲ設ケ區長ヲ選ヒ(支
  那人ヲ以テ之ニ充テ)且ツ支那人二百名ヲ撰ンテ自治的巡邏ト爲シ
  以テ行政ヲ監督セシメタルノミナラス到處便所ヲ設ケテ市街ノ〓潔
  ヲ計リ飮料水ヲ良選シテ市民ノ衞生ニ資シ更ニ進ンテ商業ノ便ヲ計
  ル等凡ソ一般ノ行政速カニ其緒ニ就キ同地ノ民ヲシテ堯舜以來ノ良
  治蹟ニシテ眞ニ仁義ノ軍タルヲ稱シテ巳マサラシムルニ至レリ而シ
  テ其當時同時ニ駐陣セシ軍隊ハ僅カニ後備一大隊ニ過キサリシト云
  フ
  是レ一二ノ例ヲ舉ケタルニ過キス然カモ之ヲ以テ我カ軍隊ノ手腕カ
  如何ニ俊秀ナルヤヲ知ルヘク且ツ其俊秀ノ手腕ヲ廣ク且ツ長ク遼東
  ノ野ニ伸ハサシメハ必ラス全土ノ民ヲシテ深ク我ニ信服セシムルニ
  至リタルヲ知ルヘキナリ
  世ニハ遼東ノ地ヲ以テ不毛磽确ノ地ト爲シ〓モスレハ之ヲ以テ其ノ
  還附ノ辯解ト爲サントスルモノナキニアラス是レ思ハサルノ甚シキ
  モノヽミ遼東ノ野不毛磽确ヲ以テ目スヘキハ僅カニ其海岸ノ地ノミ
  少シク進ンテ內地ニ入レハ其土質地味寧ロ我カ內地ノ中等以上ニ位
  スルヲ見ル其野ニ產スル黍ノ高サ馬背ニ達スルカ如キ若クハ梨桃杏
  及松栢楊柳ノ所々ニ繁生スルカ如キ以テ之ヲ徵スルニ足ルヘシ且ツ
  英佛聯合軍ガ〓京ヲ陷レントシテ先ツ大連灣ニ據リタルノ往時ハ同
  灣ノ沿邊樹木欝蒼トシテ繁殖シアリタリト言ヘハ其附近一帶元來樹
  木ノ生殖ニ適セサルノ地ニアラス唯在棲ノ官民若クハ貪欲若クハ淺
  慮ヨリシテ妄芟濫伐遂ニ之ヲ盡シテ復タ顧ミル所ナカリシヲ以テ今
  ノ禿兀ヲ致セルナランノミ特ニ其內地ニ於ケル田畝ノ畦々大〓互ニ
  一哩ヲ隔ツト言ヘハ直ニ所謂大農法ヲ施行スルヲ得ヘク之ヲ我カ內
  地ノ片々タル小農的田畝ニ比シテ其利便固ヨリ同日ノ談ニアラス
  翻ツテ軍事的眼孔ヲ以テ之ヲ觀察スレハ遼東ノ地タル〓韓ノ間ニ介
  在シテ北近ク露領ニ臨ム據テ以テ立ツアラハ西滿〓ノ死命ヲ制スヘ
  ク東朝鮮ノ安固ヲ保ツヘク陸ニハ强露ノ南下ヲ抑エ海ニハ列强ノ跋
  扈ヲ拒クヘク誠ニ得難ク失フヘカラサルノ形勝タリ今更ニ仁川ヨリ
  京城ヲ過キリ平壤義州大東溝ヲ經テ海城ニ至ル一線ト大連灣ヨリ金
  州ヲ過キテ旅順ニ達シ更ニ北シテ復州蓋平營口ヲ越ヘ以テ海城ニ連
  絡スル一線トヲ畫シテ鐵道ヲ敷設セハ遼東ノ守備ノ上ニ幾干ノ利便
  ヲ與フルヤ遽カニ測知スヘカラス其ノ運輸交通ニ便資シテ農工商業
  ヲ發達セシムルノ效益ハ之ヲ說クノ要ナカランノミ聞ク我カ軍事當
  局者ノ中ニハ既ニ此ニ著目シテ大體ノ測量及ヒ設計ヲ爲シタルノミ
  ナラス遼東北邊ノ要樞タル海城ノ如キハ防禦工事既ニ落成シ大砲ノ
  据付ケモ亦巳ニ了リテ防守ノ準備全ク整頓シタリシトノ事ナリ
  斯ノ如キ形勢ノ地ハ遽ニ之ヲ獲ント欲シテ獲ヘカラス幸ニ我レハ連
  戰連捷ノ偉功ニ依リテ之ヲ占獲シ斯クノ如キ經營ヲ爲シタルモノ固
  ヨリ未來永却之ヲ失フヘカラス然ルニ外交當局者ノ淺慮ニシテ怯臆
  ナル前ニハ三國ノ異言ノ將サニ來ラントスルヲ看破シテ豫カシメ之
  ヲ防制スル能ハス(特ニ松方伯及民黨一部ノ有志カ懇切ナル勸告ヲ
  ヲ爲シタルニモ拘ハラス輕々ニ遼東ヲ割取シ)後ニハ其ノ干渉的忠
  言ノ既ニ來リタルニ於テ斷然正ヲ取リ義ニ仗リテ之ヲ拒斥スル能ハ
  ス徒ラニ倉皇狼狽シテ計ノ出ツル處ヲ知ラス巳ムナク之ニ屈從シテ
  幾万貔貅ノ士カ流血曝骨ノ餘ニ獲タル土壤ヲ〓廷ニ還附シ而シテ其
  ノ還附ノ罪責ヲ以テ外征軍隊ノ萎微衰弱ニ歸セントス抑モ何ノ心ソ
  ヤ余輩固ヨリ軍事上ノ機密ヲ發露セント欲スルモノニアラス唯彼ノ
  怯懦狡獪ノ徒カ罪ヲ他ニ嫁シテ自ラ這レントスルノ界劣醜陋ヲ惡ミ
  且ツ忠勇義烈ナル我ガ陸海貔貅ノ士ノ爲メニ其寃ヲ辯セント欲シ卽
  チ聞知スル所ヲ舉ケテ當局者ニ問フノミ
  嗚呼實際ノ事實斯クノ如シ當局者猶ホ然ラスト爲シテ我カ軍隊ヲ誣
  ヒントスル平
  一當局者ハ外征軍隊ノ力萎弱シタルヲ以テ遼東ヲ還附スルノ巳ムヲ得
  サルニ至リタリト誣ユルノミナラス更ニ步ヲ進メテ曰ク「現在ノ軍
  隊ガ忠勇無雙ナルハ直チニ以テ軍備ノ充實ト爲スヘカラス」「軍隊ノ
  力足ラサルカ爲メ外交上勝利ヲ得ストセハ是レ軍隊ノ力ヲ充實スル
  ノ計ヲ怠リシモノニ責任アルナリ而シテ誰カ軍隊ノ力ヲ充實スルノ
  計ヲ疎怠セシモノツ」ト是レ衆議院カ嘗テ海軍經理部內ノ弊賣ヲ指
  摘シテ苟モ之ヲ改革セサル限リハ軍艦製造ノ舉ニ協贊ヲ與ヘサラン
  トシタルヲ言フモノニシテ取リモ直サス遼東還附ノ罪責ヲ衆議院ニ
  歸セントスルモノナリ
  案スルニ政府カ始メテ軍艦製造費ヲ議會ニ要求シタルハ第一議會ノ
  時ニ在リ其要求總額ハ五百貳拾壹萬餘圓支出年限ハ五箇年ニシテ議
  會ハ之ヲ協贊シタリ今ノ吉野須磨龍田ノ三艦ハ則チ之ニ依リテ製造
  セラレタルモノ
  次ニ要求シタルハ第二議會ノ時ニ在リ衆議院ハ此時ヨリシテ海軍經
  理部內ニ種々ノ弊資伏藏スルヲ覺リ之ヲ指摘シテ先ツ其改革ヲ促カ
  シ苟モ之ヲ改革セサル限リハ其經營ニ係ル軍艦製造ノ要求費ヲ協贊
  セサラントシ豫算委員會先ツ之ヲ否決シタルニ第二議會ハ不幸ニシ
  テ解散セラレタルヲ以テ軍艦製造費モ亦本議ニ上ラスシテ止ミタリ
  其要求額ハ實ニ貳百七拾五萬圓ニシテ當局者ノ設計ハ明治二十五年
  度ヨリ明治三十年度ニ至ル六箇年ヲ期シ二千七百噸ノ巡洋艦一艘
  (卽チ横須賀ニテ製造中ナル明石艦)ト千八百噸ノ報知艦一隻(卽チ
  呉ニテ製造中ナル宮古艦)トヲ製造スルニ在リシナリ
  越エテ第三議會ニ至リ政府ハ再ヒ同樣ノ製艦費ヲ要求セシモ衆議院
  ハ前囘ニ於ケルト同一ノ趣意ヲ以テ全ク之ヲ否拒セリ
  然レトモ政府ハ頑トシテ海軍經理部內ノ弊竇ヲ革ムルコトヲ爲サス
  却テ第四議會ニ至リテハ以上ノ設計ニ加フルニ甲鐵戰艦二隻(卽チ
  英國ニテ製造中ナル富士八島ノ二艦)ノ製造設計ヲ以テシ其製造費
  合セテ一千八百餘萬圓ヲ要求スルニ至レリ是ニ於テ衆議院ハ怫然ト
  シテ怒リ斷乎トシテ再ヒ否拒ノ意ヲ示シ更ニ進ンテ政府ノ頑冥ヲ糺
  彈上奏シテ聖裁ヲ仰キ奉リシニ其年(明治二十六年)ノ二月十日
  優渥ナル詔勅燠發セラレテ局面一變シ當局ノ有司漸ク議院ノ意ヲ
  容レテ海軍經理部內ノ弊實ヲ改革スルノ形情ヲ示シタルヲ以テ議院
  ハ遂ニ政府ノ要求ヲ認諾シ數年間結ンテ解ケサリシ軍艦製造費ノ紛
  爭ハ玆ニ一段落ヲ告ケタリ當時ノ設計ニ依レハ巡洋艦及ヒ報知艦ハ
  二十六年度ニ起業シテ三十一年度ニ竣工セシメ甲鐵戰艦ハ同年度ニ
  起業シテ三十二年度ニ竣工シムル豫定ナリシカ後チニ至リ甲鐵戰艦
  ノ製造費ハ其支出年限ヲ改正シテ三十年度マテニ繰上ケ以テ其竣工
  ヲ急クコトヽ爲セリ
  以上ノ事實ニ依テ之ヲ見ルニ衆議院ガ實際軍艦製造費ヲ否決シタル
  ハ第二議會及第三議會ノ時ニ在リ而シテ其否決シタル軍艦製造費ハ
  總額二百七十五万圓ニシテ之ニ依リテ製造セラルヘキ軍艦ハ二千七
  百噸ノ巡洋艦一隻ト一千八百噸ノ報知艦一隻トニ過キス而シテ其ノ再
  次ノ否決ニ依テ軍艦製造ノ上ニ蒙ムリタル影響ハ起業竣工共ニ一箇
  年ニ遲延シタルニ過キス則チ二十五年度ノ起業一年ヲ遲クシテ二十
  六年度ト爲リ三十年度ノ竣工亦一年ヲ延ハシテ三十一年度ト爲リタ
  ルノミ
  果シテ然ラハ政府カ其製造ヲ要求シタル初年ニ於テ協賛ヲ與フルモ
  其ノ竣工ハ明治三十年度ヲ待タサルヘカラス明治三十年ヲ待ツテ
  始メテ竣工スヘキ軍艦ハ到頭到底明治二十七八年ノ征〓役ニ其ノ用
  ヲ爲スヘクモアラス到頭到底明治二十七八年ノ征〓役ニ其用ヲ爲ス
  ヘクモアラサルモノ夫レ如何ニシテ明治二十八年ニ起レル遼東還附
  テウ大屈辱ニ些ノ因果ヲ保ツヘキ今若シ强ヒテ海軍擴張ニ反對シテ
  所謂軍備充實ノ計ヲ疎怠シタルモノヲ求メハ內閣總理大臣伊藤博文
  侯コソ其ノ人ナラメ侯嘗テ貴族院ニ於ケル地價修正案委員會ニ於テ
  安場議員カ地價ヲ修正シテ數百万圓ノ收入ヲ減センヨリ寧ロ之ヲ以
  テ軍艦製造費ニ充ツルノ急要ナルヲ見スヤト詰問シタルニ對シ冷カ
  ニ答ヘテ言ヘリ
  今ノ世ノ中ニ海陸軍海陸軍ト云フコトカ頻リニアル至極宜シイ併シ
  未タ物ガ不足デアルツウ云フ事バカリ言ッタンジヤ何ニモナラナイ
  日本ノ全體ノ收入ト云フモノハ幾ラデアルト云フニ八千万圓ト〓算
  ヲ見テ宜シイ其中デ陸海軍ニ幾ラ金ヲ使ッテ居ルカト云フト二千六
  百万圓ト云フ金ヲ卽チ明年ニ向ッテ出シテ置キマシタ此二千六百万
  圓ハ全歲入ノ幾ラニ當ッテ居ルカト云フト先ヅ三分ノ一弱ニ當ッテ
  居ル此割合ハ如何デアルカ·····夫レデ擴張々々ト云フ論モアルケレ
  ドモ力ニ應ジタ擴張而シテ其中ノ急ナルモノヲ擇ンデヤルト云フ外
  ハナイ·····能ク海陸軍擴張ノ事ヲ御議論ナサル御方〓ハ其邊ニドウ
  ゾ御注意ヲ願ヒタイモノデアル唯聲バカリジヤイケナイ夫レデ今日
  ハドウ云フ武器ガ必要デアルカ是ハ實ニ〓究セザルヲ得ヌ事デアル
  從テ其入費ハ莫大ノモノデアルトテモ今ノ御話シ申シタ事ヨリエラ
  イコトヲヤレト云フノハモットエライ英雄豪傑ガ出タトキニヤラシ
  タラバ宜カラウソウシタラ多分御望ミノコトモ出來ルデアラウ
  ト見ヨ伊藤侯ハ海軍ノ擴張軍備ノ充實ニ關シテ當時斷々トシテ反對
  ノ意見ヲ言明セルニアラスヤ顧ミルニ伊藤侯カ斯クノ如キ言明ヲ爲
  シタルハ實ニ明治二十六年十二月ニシテ日〓開戰ノ時ヲ隔ツル僅カ
  ニ半歲(日〓戰爭ノ端ヲ明治二十七年六月ニ發ス)ナラスシカモ猶ホ
  斯クノ如キ意見ヲ以テ立テリ故ニ今ニ步ヲ讓リ假リニ伊藤侯等ノ言
  ヘルカ如ク外交上未曾有ノ屈辱ヲ招キタルノ罪責專ラ軍隊ノ力ヲ充
  實スルノ計ヲ怠リタルモノニ歸スヘシトセハ最モ重ク其罪責ヲ負フ
  ヘキモノハ他人ニアラスシテ伊藤侯等ナラサルヘカラス
  之ヲ要スルニ衆議院カ海軍經理部內ノ弊實ヲ鳴ラシテ再次軍艦製造
  費ヲ否決シタルハ毫モ遼東還附ノ大屈辱ト因果ヲナサス而シテ若シ
  其大屈辱ヲ招キタルハ海軍ノ擴張ニ反對シテ軍備充實ノ計ヲ疎怠シ
  タルモノアルニ基クトセハ帝國議會開設ノ前ニモ後ニモ軍艦ノ製造
  ヲ急クコトヲナサス却ツテ日〓開戰ノ時ヲ隔ツル僅カニ半歲ノ前マ
  テ海軍擴張ニ反對ヲ表シタル伊藤侯及ヒ其同僚コソ其罪責ニ任セサ
  ルヘカラス嗚呼事理ノ明白斯クノ如シ當局者猶ホ然ラストシテ我カ
  衆議院ヲ誣ヒントスル平
  一露獨佛三國ハ遼東還附ノ忠言ヲ爲スト同時ニ若シ日本ニシテ其忠言
  ヲ容レハ其還附ニ對スル報償ニ就テハ相與ニ盡力スル所アルヘシト
  ノ申込ヲ爲セリ
  特ニ獨逸ノ如キハ其報償金ニ就テ盡力スル所アルノミナラス〓廷ヲ
  シテ遼東ヲ他國ニ割讓セス且ツ其地ニ砲寨ヲ築カサルノ約ヲ爲サシ
  ムヘシト明言シ露西亞モ亦其一時占領ヲモ非トスルモノニアラサル
  ヲ明言シ佛蘭西ニ至リテハ外ニハ覺書ニ於テ日本ニ對シテ對抗ノ地
  ニ立ツモ裡ニハ旅順金州ヲ十五年間ノ占領トシテ以テ一方ニハ露國
  ヲシテ永久占領ニアラサルノ名ニ安ンセシメ一方ニハ日本ヲシテ十
  五年間ノ占領ヲ利トシテ局面ノ變遷ヲ待タシメントノ議スラ有シタ
  リト聞ク
  是等ノ申込ニ對シ我カ政府ハ日〓間ノ案件ニ永ク第三國ノ干渉ヲ容
  ルヽヲ避ケントシテ全然之ヲ辭謝シ遼東ノ還附ニ關スル一切ノ處置
  ハ凡ヘテ日〓兩國間ニテ之ヲ協定スルノ地步ヲ取リ而シテ其ノ當時
  此措置ヲ以テ變通ノ要ヲ得タルモノトシテ白ラ之ヲ誇稱シタリ
  然ルニ愈〓〓廷ト還附ニ關スル商議ヲ爲サントスルニ當リ我カ當局
  者俄然從前ノ意氣ヲ舍テヽ其ノ前言ヲ翻ヘシ我レヨリ辭ヲ界フシテ
  三國ノ容喙干渉ヲ乞ヒ其周旋ニ依テ漸ク三千万兩ノ報償金ヲ獲北京
  ニ於ケル林李兩全權ノ會商ハ單ニ相互ノ調印ヲ爲ス一片ノ儀式ニ過
  キサルコトヽ爲セリ
  夫レ一タヒ三國ノ干渉ヲ容レテ遼東ヲ還附ス其ノ還附ノ商議ヲ爲ス
  ニ際シテ復タ多少ノ容喙ヲ免カレサルハ固ヨリ見易キ理勢ナリトス
  然ルニ當局者ハ還附ニ對スル報償ニ就イテ盡力スル所アラントノ三
  國ノ申込ヲ辭謝シ日〓間ノ案件ハ日〓兩國ニテ協定セント揚言ス是
  レ斯ル見易キ理勢ヲ見ル能ハサリシニ由ル乎言換ユレハ還附ノ商議
  ニ對シテハ三國ハ復タ容喙スルコトナシト信セルニ由ルカ將タ多少
  ノ容喙アルモ巧ミニ之ヲ拒斥セント欲セシニ由ル乎
  想フニ斯クノ如キ前後反覆ノ言動ハ啻ニ當局有司ノ威信ヲ損スルノ
  ミナラス延キテ國家ノ體面ヲ害スルコト甚タ深大ナリ當局者ハ之レ
  ヲ是レ顧ミスシテ斯クノ如キ反覆ノ言動ヲ爲シタル平抑モ亦他ニ巳
  ムヘカラサル事由アリテ然リシ乎
  且ツ夫レ遼東ノ還附ハ是非ナシトスルモ愈〓之ヲ還附スルニ當リテ
  ハ更ニ媾和條件ノ實行及ヒ東洋永遠ノ平和ヲ擔保スルニ足ルヘキ條
  件ヲ〓廷ト協定シ置ク所ナカルヘカラス例セハ媾和條件ノ實行ヲ完
  了スルマテ遼東半島ヲ依然我カ占領ノ下ニ置クカ如キ〓廷ヲシテ還
  附地ヲ他國ニ貸與割讓セス又其ノ地ニ砲寨ヲ築カサルヲ約セシムル
  カ如キ其最モ緊要ナルモノニシテ而シテ之ヲ約定シ置クハ聊カ以テ
  我レノ威信ヲ保チ敗辱ヲ濟ヒ且ツ還附ノ趣旨ヲ貫徹スル所以ノ途ナ
  リト信ス
  是等ノ條件ハ決シテ不理不當ノ要求ニアラサルノミナラス露佛獨三
  國ハ前ニモ記ンタル如ク嘗テ自ラ是等ノ條件ヲ協定スルコトニ就テ
  周旋盡力スル所アラント明言シタル程ナレハ之ヲ成立セシムルコト
  決シテ難事ニアラサリシナラント信ス然ルニ我カ當局者ハ是等ノ條
  件ニ就テ一モ〓廷ト協定セス又協定セントシタル形跡タモアラス是
  レ他ニ見ル所アリテ然リシ乎抑モ亦之ヲ協定シ置クノ要ナシト信シ
  タルニ由ル平希クハ其ノ詳ヲ聞クヲ得ム
  遼東還附ハ今古未曾有ノ大屈辱ナリ一般國民相與ニ之ヲ痛悲シテ感
  奮興起シ以テ其ノ洗雪ヲ圖ル所ナカルヘカラス特ニ當局ノ有司タル
  モノハ速カニ其ノ屈辱ヲ招キタル罪責ヲ引キ且ツ自ラ臥薪甞膽ノ苦
  ヲ甘ンシテ一般國民ヲ率ユル所ナカルヘカラス
  然ルニ我カ當局者ハ嘗テ此ニ出ツルノ意ナキノミナラス却テ遼東還
  附ノ詔勅出テタルノ卽時各府縣知事ニ密諭シ之ヲシテ更ニ其部下
  ノ郡長市町村長ニ訓諭シテ祝賀ノ電報ヲ發セシメ且ツ郡長市町村長
  ヲシテ陰ニ陽ニ其地方ノ民衆ヲ慫通煽動シテ祝宴會ヲ開カシムルノ
  處置ヲ取レリ是レニ於テ府縣知事及ヒ郡長市町村長ノ多クハ未タ其
  事情ヲ詳知スルニ及ハスシテ唯々祝電ヲ發シ且ツ祝宴會ノ開設ヲ慫
  慂煽動シ甚タシキハ祝電ノ遷延ヲ憂フルノ餘リニヤ縣廳若クハ郡役
  所ニ於テ一時其ノ電信料ヲ立替エ其管下ナル市町村長ノ名ヲ以テ打
  電シタル所スラナキニアラス
  加之遼東還附ヲ憤慨シテ其善後ヲ策セント欲シ之ヲ筆ニシテ新誌ニ
  揭クルモノハ發行停止ヲ命シ之ヲ口ニシテ公衆ニ訴フルモノハ中止
  解散ヲ命シ毫モ之ヲ表白スルヲ許サス斯クノ如キハ行政官公吏ノ職
  權ヲ濫用妄使シタルモノニシテ常情ヲ有スルモノヽ到底爲スヲ得ヘ
  カラサル否ナ爲サント欲スルノ意タモ生スヘカラサル妄慢放姿ノ言
  動ナルノミナラス實ニ國民ノ元氣ヲ抑沮シ敵愾心ノ發揚ヲ害スルコ
  ト最モ甚シク從ッテ遼東還附ノ大屈辱ヲ洗雪スル所以ノ途ヲ塞クモ
  ノナリト信ス
  獨リ當局者ハ然ラスト爲シテ斯ノ如キ處置ヲ取リタルモノナリヤ聞
  クカ如クンハ伊藤首相陸奧外相ハ前後反覆ノ詔勅發表ヲ奏請シタ
  ルノ故ヲ以テ偏ニ陛下ノ御意ヲ損セシコトヲ恐レ故ラニ祝電ヲ發
  セシムル等ノ處置ヲ爲シテ之ヲ慰メ奉ラントシタルナリト果シテ然
  ルヤ否ヤ
  右成規ニ依リ提出候也
  明治二十九年三月二十一一日
  提出者田中正造
  贊成者松島廉作
  外四十四名
  橫濱築港不正工事ニ對スル責任者未定ノ義ニ付質問趣意書
  橫濱築港ハ一日ヲ緩フスヘカラサル事業ナリ故ニ第八議會ニ於テ之ニ關ス
  ル議案ヲ可決セリ然レトモ之ト同時ニ築港工事ノ龜裂ニ對スル〓末ヲ質問
  シ而シテ其責任ノ孰レニ歸スヘキヤヲ問ヒタルニ政府ハ之ニ對シテ明瞭ノ
  解答ヲ爲サス畢竟スル所外國人某カ當時其設計監督ノ任ニ在リタルノ故ヲ
  以テ其罪責ヲ之ニセント欲スルモノヽ如シ案スルニ工事ノ設計ト工事ノ
  擔任トハ其任務全ク相異ナレリ從テ其責任ハ亦明カニ區劃スル所ナカルヘ
  カラス則チ工事ノ設計ニ關スル責任ハ設計者全ク之ヲ負ヒ工事ノ擔任ニ關
  スル責任ハ擔任者一切之ヲ引受ケサルヘカラス之ニ依テ見ルニ外國人某ハ
  工事ノ設計者ニシテ工事ノ擔當者ニハアラス故ニ工事ノ設計ニ失策アレハ
  其罪責ヲ外國人某ニ歸スヘシト雖モ工事ノ擔任上失策アレハ其責任者ヲ他
  ニ求メサルヘカラス而シテ橫濱築港不正事件ハ實ニ工事擔當上ノ失策ニ基
  クモノナリ故ニ其罪責ハ外國人某ニアラスシテ他ノ工事擔任者ニ歸セサル
  ヘカラス然ルニ第八議會ニ於ケル政府ノ答辯ニ依レハ却テ之ヲ工事設計者
  タル外國人某ニ歸セントスルニ似タリ今ヤ某ハ死シテ在ラス死者ニ口ナシ
  政府將タ之ヲ利トシテ斯ノ如キ言ヲ爲スカ不二不理ノ最モ甚シキモノト言
  ハサルヘカラス左レハ工事ノ擔任者タル我國ノ官吏中其罪責ヲ歸スヘキモ
  ノナカルヘカラス政府ハ果シテ之ヲ求メテ其責任者ヲ得タリヤ否ヤ
  右成規ニ依り提出候也
  明治二十九年三月二十二日
  提出者田中正造
  贊成者松島廉作
  外四十四名
  足尾鋼山鑛毒ニ關スル質問趣意書
  足尾銅山鑛毒ノ件ニ關シテハ第二第三ノ兩議會ニ涉リ本員ヨリ再三質問書
  ヲ提出シタルニ政府ハ其ノ最後ノ質問ニ對シテ遂ニ答辯ヲ爲サス然ルニ近
  來聞ク所ニ依レハ政府ハ銅山ノ鑛主古河市兵衞ヲ庇護シ郡吏等ヲ使嗾シテ
  其流毒ヲ蒙ムルヘキ土地所有者ニ對シ田畑一段步ニ付各三四圓宛ノ金ヲ與
  ヘ而シテ爾後永遠該毒ニ關シテ苦情ヲ申立テ間敷旨ノ書類ヲ認メテ强制的
  ニ之ニ捺印セシムルノ處置ヲ取レルモノヽ如シ現ニ栃木縣足利郡ノ郡吏靑
  木某等ハ管下ノ町村ニ出張シテ右ノ如キ金圓ヲ配與シ若シ其內諭ヲ奉セサ
  ルモノアレハ强制脅迫シテ之ヲ從ハシムルナト恰モ古河ノ手代同樣ノ暴虐
  ヲ逞フセリサレハ栃木縣足利郡毛野村ノ內大字川崎富田村ノ内大字奧戶吾
  妻村ノ内高橋下羽田諸村ノ人民ハ其弊ニ耐ヘスシテ痛ク慨歎スル所アリ卽
  チ昨二十八年三月中農商務及內務ノ兩省ニ向ツテ哀訴ノ書面ヲ提出シタル
  ニヨリ流石ノ縣官郡吏モ一時其非行ヲ中止シ近項ニ至リ再ヒ其ノ暴虐ヲ逞
  ウシツヽアリト云フ
  該銅山ノ鑛毒カ群馬栃木ノ兩縣ニ及ホス損害ハ嘗テ再三質問書ヲ提出シタ
  ル時ニ於テ已ニ之ヲ詳述シタレハ今重ネテ說クノ要ナカラン唯栃木縣ノ某
  村人民ヨリ之ニ關スル分析願書ヲ差出シタルモ何等行違ニモアランカ全縣
  廳ハ之ヲ採用セサルノミナラス郡衙ハ同地方質朴ノ人民カ其鑛毒ヨリシテ
  生スル眼前ノ損害ニハ頗ル熱心ニ著目スルモ其將來ノ損害ニハ比較的ニ注
  意スルコト薄キヲ幸トシテ若干ノ金ヲ與ヘテ之ヲ誘惑シ依テ以テ將來ニ對
  スル殘忍ノ誓約ヲ爲サシメツヽアルハ實ニ不仁暴戾ノ沙汰ト言ハサルヘカ
  ラス抑モ地方ノ縣官郡吏タルモノハ其ノ地方人民ノ安全自由ヲ保護スルコ
  ソ當然ノ職責ナルニ彼等ハ其ノ職責ヲ盡サヽルノミカ却テ加害者古河市兵
  衞ト同心一體ト爲リ日夜之レカ爲メニ周旋奔走ス而シテ是レ實ニ中央政府
  ノ內訓使嗾ニ基クト云フ
  政府ハ何カ故ニ斯ル不仁暴戾ノ處置ヲ爲スカ若シ自ラ之ヲ內訓使嗾セスト
  言ハヽ何カ故ニ縣官郡吏ノ處置ヲ默過スル乎
  右成規ニ依リ提出候也
  明治二十九年三月二十一一日
  提出者田中正造
  贊成者松島廉作
  外四十四名
  北海道炭礦鐵道會社ノ情弊除去ニ關スル質問趣意書
  鐵道事業ヲ營ム會社ヲシテ他ノ營業ヲ兼ネシムルハ國家經濟ノ許サヽル所
  ナリ故ニ法律ノ明交ヲ以テ之ヲ禁止セリ
  然ルニ獨リ北海道炭礦鐵道會社ハ其除外例トシテ鐵道ト炭礦トヲ兼業セリ
  是ヲ以テ其ノ財政屢〓紊亂シ且ツ利益ヲ壟斷スルノ情弊遂ニ巳マス
  此事ニ關シ本員及ヒ其他二三ノ議員ハ從來屢〓其情弊ヲ指摘シテ之カ改革
  ヲ促セシモ政府ハ單ニ鐵道ト炭礦トヲ兼業セシムルモ其不利ナルヲ見スト
  テ顧ミル所ナク而シテ何故ニ不利ヲ見サルヤハ毫モ之ヲ解說スル所アラス
  依テ今其兼業上何故ニ不利ヲ見サルヤニ就テ詳細ノ說明アランコトヲ求ム
  右成規ニ據リ提出候也
  明治二十九年三月二十一一日
  提出者田中正造
  贊成者松島廉作
  外四十四名
  肥後熊本ニ在ル大官林ト細川家ノ私有小山林トヲ交換セシ件ニ關ス
  ル質問趣意書
  肥後熊本ニ大官林アリ立田山ト云フ近ク熊本ノ市街ニ添フテ頗ル風致ニ富
  ミ生植スル所ノ樹木大〓楠樹ニシテ一等官林ニ屬ス實ニ三百年前ノ往時加
  藤〓正ノ植付ケタルモノナリト云フ左レハ其代價五六年前ニ於テ巳ニ六拾
  五萬內外ニ相當シ如今ハ諸材騰貴ノ故ニ壹百萬圓內外ニ達セリトナリ
  斯ル大價値アル大官林ハ政府宜シク之ヲ保護培養シテ其ノ利益ヲ舉クルヲ
  努ムヘキナリ然ルニ政府ハ國國ノ舊藩主細川家ヨリ其山內ニ同家歷代ノ墳
  墓アルヲ以テ其ノ全部ヲ同家私有ノ山林ト交換シ吳レヨトノ歎願ヲ爲シタ
  ルニ際シ直チニ之ヲ許諾交換セリ而シテ其ノ所謂私有山林ナルモノハ僅カ
  ニ貳萬圓內外ノ價値ヲ有スル雜木疎生ノ小山林ナリト云フ
  百萬圓以上ノ價値ヲ有スル大官林ヲ以テ僅々貳萬圓內外ノ價値ヲ有スルニ
  過キサル小山林ト交換スルハ不注意不經濟ノ處置ニシテ不正モ亦極マレリ
  ト言フヘシ政府ハ何カ故ニ斯ル不正不注意不經濟ノ處置ヲ爲シタル乎
  聞ク細川家ノ歎願ヲ容レテ速ニ其交換ヲ許諾シタルハ當時ノ農商務大臣陸
  奥宗光氏ナリト陸奧氏猶幸ニ外務大臣トシテ政府ニ在リ冀クハ詳カニ其事
  由ヲ聞クヲ得ム
  此事ニ關シテハ余嘗テ第六議會ニ於テ質問スル所アリタリ然レトモ第六議
  會ハ其當時恰カモ解散ノ不幸ニ接シタルヲ以テ其ノ答辯ヲ得ルニ及ハス依
  テ重ネテ之ヲ質問ス
  右成規ニ依り提出候也
  明治二十九年三月二十一一日
  提出者田中正造
  贊成者松島廉作
  外四十四名
  陸奧外務大臣ノ曠職ニ關スル質問趣意書
  外務大臣陸奥宗光伯病ヲ養フテ舞子若クハ大磯ニ臥スコト巳ニ一年有餘帝
  國議會ニ顏出シセサルハ實ニ第六議會以來ナリトス
  斯クノ如キハ其職責ヲ曠フスル最モ甚タシキモノト言フヘシ
  方今國事多端ヲ極メ外交事務特ニ頻繁ヲ加フ是時ニ當リ其局ニ鞅掌スルモ
  ノ非常ノ黽勉警戒ヲ以テスルニアラサレハ忽チ緩急其機變ニ處スル所以ヲ
  失シ延キテ國辱民憂ヲ招クコトナシトセス否ナ遼東ノ事朝鮮ノ事共ニ巳ニ
  國ノ辱トナリ民ノ憂トナリタルヲ見ルシカモ猶曠職空責伯ノ如キモノヲシ
  テ依然其局ニ當ラシメハ更ニ幾多ノ屈辱憂患ヲ招クヤモ測リ知ルヘカラ
  ス
  然ルニ政府ハ之ヲ替ユルノ意ナキノミナラス却ッテ厚待優遇ノ意ヲ盡スモ
  ノヽ如シ是レ政府ニ於テハ斯クノ如キ曠職闕勤モ外交處理ノ上ニ沮滯蹶敗
  ヲ招クコトナシト信スルニ由ル乎抑モ亦陸奥伯自ラハ之ヲ以テ其ノ職責ヲ
  曠フスルモノニアラスト思惟スル乎請フ其ノ詳ヲ聞カム
  右成規ニ依リ提出候也
  明治二十九年三月二十一一日
  提出者田中正造
  贊成者松島廉作
  外四十四名
  衆議院議員濱野茂拘留通知ニ關スル質問趣意書
  東京府第十區選出議員濱野茂ノ拘留ニ就テハ議會召集ノ當時司法大臣ヨリ
  其通知アルヘキ筈ナリト信ス然ルニ今日ニ至ルマテ其沙汰ナキハ如何
  右成規ニ依リ提出候也
  明治二十九年三月二十一一日
  提出者田中正造
  贊成者市島謙吉
  外四十四名
  三浦安ヲ宮中顧問官ニ奏薦シタル件ニ關スル質問趣意書
  元東京府知事三浦安ハ鑄鐵會社不正事件ニ對シ監督ノ責ヲ全フセサルモノ
  ナリトシテ府會市會及ヒ區會ヨリ屢〓不信任ノ決議ヲ受ケタリ
  シカモ靦然其ノ職ニ在リテ自カラ引決スルコトヲ爲サス却テ上長ノ當局ト
  相通シテ再次市區會ノ解〓ヲ謀リタル爲メ益〓府民一般ノ信ヲ失ヘリ
  斯クノ如キハ陛下ニ奏請シテ速カニ其職ヲ去ラシメサルヘカラス然ルニ
  政府ハ嘗テ此ニ出ツルノ意ナキノミナラス却テ之ヲ奏薦シテ宮中顧問官ノ
  榮職ニ就カシム是レ啻ニ信賞必罰ノ途ヲ誤マルモノナルノミナラス實ニ最
  モ〓廉ヲ要シ最モ神聖ヲ保ツヘキ君側ヲ瀆スモノナリト信ス
  政府ハ何故ニ斯ル奏薦ヲ爲シタル乎
  右成規ヲ依リ提出候也
  明治二十九年三月二十一一日
  提出者田中正造
  贊成者松島廉作
  外四十四名
  朝鮮國居留商人ニ退去ヲ命シタル件ニ關スル質問趣意書
  朝鮮國駐在ノ領事カ時ニ居留民ニ退去ヲ命スルノ權ヲ有スルハ明治十六年
  三月ノ公布ニ係ル〓國朝鮮國居留日本人民取締規則ノ明定スル所ナリ然レ
  トモ其權ヲ使用スルニ當リテハ切ニ愼重ヲ加ヘスンハ屢〓無辜ノ居留民ヲ
  苦メテ其自由ト利益トヲ害スルニ至ルヘシ特ニ幾多ノ商廛ヲ構ヘテ諸方ニ
  復雜ノ關繫ヲ有シ且ツ巨額ノ商品ヲ控ヘテ一瞬ノ機ヲ爭フ商人ニ退去ヲ命
  スルニ當リテハ更ニ大ニ愼重ヲ加ヘサルヘカラス然ラサレバ其人ヲシテ偉
  大ノ損失ヲ蒙ラシムルノミナラズ畢竟スル所餘多ノ商人ヲシテ安ンシテ其
  業ニ從フ能ハサラシムルニ至ラン
  然ルニ頃日ノ報ニ依レハ元山領事上野專一ハ其地居留ノ商人梶山新介葭瀨
  忠太郞ノ兩人ニ治安妨害風俗壞亂ノ虞アリトテ一一年間ノ退去ヲ命シタリト
  云フ本員等ノ聞ク所ヲ以テスレハ彼ノ兩人ハ朝鮮ニ渡航シテ日韓貿易ニ從
  事スルコト玆ニ殆ト二十年其間釜山ハ勿論仁川ニ元山ニ往復奔走シテ商業
  ニ從事スルノ傍ラ創業ノ際萬事不整頓ナリシ居留地ノ事ニ就キテモ盡瘁ス
  ル所アリ且ツ商業會議所學校寺院病院及ヒ其他居留地行政機關等ノ設置ニ
  就テ熱心ニ其心力ヲ勞シ以テ漸ク今日ノ觀アルニ至ラシメタルノミナラス
  梶山氏ハ現ニ元山商業會議所ノ議長トシテ葭瀨氏ハ其議員トシテ依然公共
  ノ爲メニ盡シツヽアリシトノ事ナリ斯クノ如キ人ミハ至著至大ナル事由ア
  リテ萬朝鮮ニ居ラシムルノ不可ヲ見タルニアラサルヨリハ漫ニ之レヲ退去
  セシムルカ如キ事アルヘカラス
  然ルニ今兩人ハ治安妨害風俗壞亂ノ虞アリトテ突然退去ヲ命セラレタリ其
  所謂治安妨害風俗壤亂ノ虞ハ果シテ如何ニ著大ナルモノアリシ平如何ニ著
  大ナル事由アリテ治安妨害風俗壤亂ノ虞アルモノトハ認メタル乎
  本員等ノ察スル所ニ依レハ是レ上野領事カ其權ヲ濫用シタルモノト見ルノ
  外ナシ政府夫レ是レヲ如何ニ處セントスル乎
  右成規ニ依リ提出候也
  明治二十九年三月二十一一日
  提出者田中正造
  贊成者松島廉作
  外四十四名

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=1

  ---

• 002・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　唯今報告ニ及ビマシタル檢査院ニ關スル法律案ハ、
  政府請求ノ通緊急事件トシテ議スルコトニ承諾ヲ請受ケマス、是ハ明日ノ日
  程ニ揭ケマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=2

  ---

• 003・田中正造

  ○田中正造君(二百九十番)　議長、二百九十番

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=3

  ---

• 004・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　是ヨリ會議ヲ開キマスル質問ノ辯明ガアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=4

  ---

• 005・中村克昌

  ○中村克昌君(百七十一番)　質問ノ事ニ就イテ一言致シタイ會期モ既ニ切
  迫致シテ居リマシテ、提出ノ議案中悉ク議了スルコトガ出來マイト思フテ居
  リマス多少議案ガ殘ラウト思ヒマス位デアリマスカラ、此時ニ當ッテハ質
  問ノ演說ハ成ルベク止メテ、質問ノ趣意書ノ朗讀ニ致シタイト思ヒマス(「ヒ
  ヤ〓〓」ト呼フ者アリ)朗讀ダケニ致シタイト思フ今明日ニ議會モ迫ッテ居
  リマスルカラ卽チ此場合ニ限ッテ質問演說ヲ略スルコトヲ私ハ茲ニ申述べ
  テ、諸君ノ御贊成ヲ請ヒタイト思ヒマス
  (「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ「贊成々々」ト呼フ者アリ)
  〔円中正造君演壇ニ登ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=5

  ---

• 006・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　成ル程時日ハ切迫シテ居ルケレドモ、議長ヨリモ注意
  ヲシテ成ルタケ事ヲ簡單ニ取詰メテ演說ヲサシタラ宜カラウト思フ
  〔「ヒヤ〓〓」ト呼フ者アリ「差支ナイ」ト呼フ者アリ深山聳峮君「議場ニ
  ドウカ御諮リヲ願ヒマス」ト呼フ「議長ノ宣告通簡單ニヤレバ差支ナ
  イ」ト呼フ者アリ「先決問題」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=6

  ---

• 007・東尾平太郎

  ○東尾平太郞君(二百八番)　先例モアリマスカラ、斯樣ナ事ハ先決問題デ決
  スベキモノデハナイ
  〔「議長ノ權ニ從フベシ」ト呼フ者アリ〕
  〔草刈親明君「議場ニ諮ルノハ當リ前ダ······」ト呼フ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=7

  ---

• 008・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　右樣ナ事ハ多數ヲ以テ制スルト云フコトハ餘リ穩デ
  ナイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=8

  ---

• 009・深山聳つら

  ○深山聳峮君(二百三十番)　議長ハ偏頗デアル

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=9

  ---

• 010・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　偏頗デハナイ公平ナル考ヲ以テ右樣ニスルノデアル
  成ルベク簡單ニ願ヒマス
  〔「ヤルベシヤルベシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=10

  ---

• 011・田中正造

  ○田中正造君(二百九十番)　中村克昌君ニ申上ゲルノハ何デゴザイマスガ
  却テ讀ム方ガ長クナルデス、ソレ故ニ私ガ述べタ方ガ宜カラウト思ヒマス
  却テ讀ム方ガ長クナル
  (深山聳峮君「田中君ガ述ベルト長クナル」ト呼フ〕
  (東尾平太郞君「遠慮ナクヤルベシ」ト呼フ〕
  (野口褧君「簡單ニヤルベシ」ト呼フ〕
  〔「長クヤルベシ」ト呼フ者アリ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=11

  ---

• 012・田中正造

  ○田中正造君(二百九十番)　是ガ殘ラズヂャナイデス、半分項マデ往ケバ終
  へn昨日··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=12

  ---

• 013・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　成ルタケ要點ダケ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=13

  ---

• 014・田中正造

  ○田中正造君(二百九十番)　昨日聊カ大分疲レテ居リマスルカラ、今日ハ弱ツ
  テ居リマスルカラ長タヤレト仰シセッテモ長クハヤラズニ致シマスルカラ、ド
  ウカ暫ク御靜聽ヲ願ヒマス、一體質問ハ議場ニ反對ハナイノデ、政府ニ對ス
  ル質問デゴザイマスル(深山聳峮君「質問ニ反對ハナイケレドモ君ノ演說ニ反
  對デアル」ト呼フ)一體二三度ニ提出シタイト思ヒマシタケレドモ何分先頃
  以來議場ノ許可ヲ得テ引込ンデ居リマスルヤウナ譯デゴザイマスルノデ、今
  日ハ十二通ノ質問書デゴザイマスデ今日ノ此複雜ナル腐敗ノ世ノ中ニ於テ
  十二通ヤソコラノ質問デ事ガ盡キル譯デハナイ十通ャ二十通ャ三十通デ盡
  キル譯デハアリマセヌガ唯其中デ一ツノ的ヲ切ッテサウシテ見ヤウト思フ
  ノデアルカラ政府ヲ攻擊シヤウト云フコトガ目的ヂャナイ攻擊スル事モ
  ナイヂヤナイ、アルケレドモ、其中ニハ色ミ辯解ノ必要モアルノデ又政
  府ヲ攻擊スルト云フコトハ惡ルイ事デハナイ、眞正ノ攻擊ナラバ攻擊ハ謹デ
  承ラナケレバナラナイノデアル、亂暴ノ攻擊ハ善クナイ不忠ノ臣ト云フヤ
  ウナ者ハ容赦ハナラナイノデアル、亂暴ナ攻擊ハ惡ルイガ、眞正ノ攻擊ハ有
  難ク聽カナケレバナラナイノデアル二十三年前マデハ一文ナシノ政府ガ、
  二十七年ノ戰爭ニ二千六百万圓ノ金ガ出來タノハ何デアル是ハ卽チ攻擊ノ
  結果デアル今ノ海軍ガ改正ガ出來タ、善クナッタト云フノハ何デアル攻
  擊ノ結果デアルカラシテ、皆攻撃ハ結構ナモノデアルノデ、ソレデ昨日來豫
  算ト云フモノガ飛出ルト同ジ事デアル今日ニ爲ッテ十二通ノ質問ヲ出スト
  云フコトヲバ、矢張是ハ政府ガ昨日豫算ヲ出スト同ジ事デアッテ不穩當ニ爲ッ
  テ居ルノデアルデ、私ハ病氣ト云フモノヲ以テ私ノハ申譯ヲスルケレドモ
  是ハ卽チ不穩當ニ相違ナイノデアル故ニ政府ニ明日マデニ必ズ答辯ヲセヨ
  ト云フコトヲコチラカラ求メナイノデアル併ナガラ此議員ト云フモノハ一
  人シテ此万事ヲ取調ベナケレバナラズ、且不便ノ位置ニ居ルケレドモ政府
  ハ數万ノ官吏ガ分業デヤッテ居リマスルカラシテ、明日ニモ答辯ガスレバ出
  來ルノデアル、其答辯ヲ磊々落々ニ正直ニヤレバ卽坐ニモ出來ルノデ、答辯
  ニ時間ノ掛ルノハ卽チ何トカ遁辭ヲ拵ヘル時間ナノデアル併ナガラ質問書
  ノ提出ガ遲イカラシテコチラカラハ必ズ明日マデニ答辯セヨトハ言ハナイ
  ガ德義ガアレバシナケレバナラナイノデアル德義ヲ重ンズレバシナケレ
  バナラナイノデアル申スマデモナイ諸君、本年ハ容易ナラヌ課稅法案モ
  通過シテ、前途ニハ四億ト云フ歲費ヲ前途ニ見込ンデアルノデアル負擔シ
  テ居ルノデアル、四面ハ强國ガ我國ノ隙ヲ窺ッテ居ルノデアル內ハ申スマデ
  モナク今日ハ殆ド腐敗ノ極度ニ達シテ居ルデアル是ニ至ッテハ謹デ財政
  ヲ整理シテ精神的ニ國家ノ事ヲヤッテ往カナケレバ迚モ日本ハダメナノデア
  ル日本ガダメニナッテシマフカラシテ、此陸軍ノ軍用品ノ買上ニ就イテハ
  質問ト云フモノハ四億万ノ金ヲ前途ニ見込ム何トシテカラガ是マデノ通デ
  ハ此金ガ水泡ニ歸スル故ニ、此質問ヲスルノハ隨分貴重ナ原案モゴザイマ
  セウケレドモナカ〓〓國家ニ於テ大切ナル質問ノ積デゴザリマスルデ前
  陸軍ノ軍用品買上ノ質問ヲ致シマシタノガ、十二月二十八日ノ日デアッテ、
  當局者ハ一月二十四日ニ至ッテ長イ答辯ガアリマシタ、其答辯ハ尤モ從來ノ
  答辯ニ比スレバ從來ノ傲慢無禮ノ答辯ニ比スレバ非常ニ穩當ナル精密
  ナル答辯デアッタノデアル、其答辯ノ中デ軍吏ト云フ此軍ニ使フ軍吏ト軍夫ト
  云フモノヽ關係シタ事ト小頭ノ給料ソレカラ軍吏ノ苅谷酉之助ノ騙取ノ事
  件ト云フコトハ答辯ノ上デ分ッタノデアル稍〓分ッタノデアル、凡ソ答辯
  ヲ受ケテ分ッタト云フコトハ此二ツガ二十三年議會以來始テナノデアル
  併ナガラ其他ノ石炭ノ事ト、毛布買上ト云フコトニ就イテト罐詰トニ就イ
  テハマダ要領ヲ得ナイカヲ、ソレデ是ハ理窟カラ云ヘバ陸軍大臣ハ知ラナケ
  レバナラナイ筈デアルケレドモ、或ハ此答辯書ヲ拵ヘル者ノ間違デアッタト
  キニハ往ケナイカラ、陸軍大臣ニ今一遍書面ヲ出スノデアル其石炭ノ話ト
  云フモノハ、私ヨリハ此藤君ガ能ク御承知デゴザイマスガ、此調ハ藤君ノ力モ
  藉リテ調ベタノデゴザイマスガ、石炭ノ前質問ト云フモノハ、海軍省ト陸軍省
  デ、御承知ノ如ク海軍ハ良イ石炭ヲ使ハナケレバナラヌ陸軍ハ運送船デア
  ルカラ石炭ハ中以下ノ石炭デ宜シイト斯ウ云フノデアッテ、普通ノ相場ニスル
  ト石炭ノ相場ハ海軍ハ四圓五十錢上等ノ普通ノ相場ノ石炭ヲ使ハナケレバ
  ナラナイガ陸軍ハ三圓五十錢ヨリ一一圓五十錢ノ石炭デ宜イノニ、却テ海軍
  ヨリモ陸軍ノ石炭ガ高クナッテ居ルカラ可笑シイト云フ質問デアル所ガ海
  軍ノ方ハ矢張石炭ガ高イト云フ調ヲ寄越シタノデアル所ガ幾ラ高イカト云
  フト陸軍ノ調査ニ依ッテ此石炭ト云フモノハ尤モ所ニ依ッテ相場ヲ異ニ
  シマスカラ隨分東京アタリデハ色〓四圓五十錢ト申シマシタノハ其當時
  ノ馬關邊ノ近傍ニ徵發スル所ノ徵發石炭ノ代價デゴザイマスカラ、高イ石炭
  ヲ買フ人ハ大層安イト思召ス御方ガアルカモ知レナイ、サウ云フ譯デアリマ
  シテ此陸軍ノ方ハ安クテ宜イノガ、陸軍ノ方ガ高イト云フノハ矢張陸軍
  ノ方ガ安イト云フ答辯ガ幾ラ安イカト云フト陸軍ノ方ガ僅ニ三錢ダケ安
  ク出來テ答辯書デ出來タノデ、ソレ等ハ統計表ヲー答辯ノ統計表ヲ能ク取
  調ベテ見ルト云フト其統計ガチット間違ッテ居ルノデアル何故間違ッテ
  居ルト申シマスルト此陸軍ノ方ノ石炭ヲ買ヒマシタノハ媾和條約ガ出來
  タトキニ石炭ガ安クナタトキニ澤山買ッタノヲ之ヲ一緒ニシタ海軍ノ
  方ハ高イトキニ買ッタトキノ石炭ノ價デゴザイマスカラ、更ニ此陸軍ト海軍
  ト同ジ時間ト同ジ手續デ買ッタ統計ヲ拵ヘマスルト云フト八六電池ソクトガーニ
  五錢六厘ト云フ高クナル諸君、是ダケハ諸君ニモ訴
  ナイ、陸軍ハ殆ド一圓安ノモノデ間ニ合フベキモノガ三十五錢六厘ト、同ジ
  時間ニ買ッタモノデ見ルトサウナルノデゴザイマスカラ是ダケハ如何ニ簡
  單ニ御話ヲスレバトテモ、御訴ヲ申シテ置カナケレバナラヌ、デ斯樣ナ譯デゴ
  ザイマシテ如何ニモ不都合ナ買方デアル不都合ナ買方デアルガ、是ニ於
  テ私ノ演說ニ不公平ガアルナラバ是ハドノヤウニ御評シガアッテモ宜シイ
  ガ一體此物ヲ買フト云フコトニ就イテ、彼ノ廣島ニ於テ豫テ演說ヲシテ置
  キマシタケレドモ公平ニ物ヲ公ケニ買ッテ私ガナケレバデス一カノ
  米ヲ千兩出シテ買フコトガアルノハ軍國ノ習デアル巳ムヲ得ナイ時デア
  ル併ナガラ之ヲ口實ニ泥坊ヲスルト云フニ至ッテハ一錢一厘デモ容赦ハ
  ナラナイ、斯ウ云フ譯デ此石炭ノ買上方ハ如何ニモ是ハ高ク出來テ普通
  ヨリハ餘程高ク出來テ居リマスルカラ宜シクナイガ、答辯書ニ不慣ダト云フ
  コトガゴザイマスルカラ、其通不慣デアッタモノト見エテ、政府ガ買上ゲマ
  スルニハ先ヅ生產地方カラ仲買ニ移リ、仲買カラ郵船會社ニ移リ、郵船會
  社カラ商船會社ニ移ッテソレカラ政府ノ手ニ來ルノデアル、軍國ノ場合デ
  アルカラ、直チニ徵發スレバソレデモ無理サヘシナケレバ宜イノデ當リ前ヨ
  リモ五十錢ナリ六十錢ナリ高クサヘ買ヘバ立派ノ話デアル此手續モ四ツモ
  五ツモ經テ來ルト云フコトヲヤッタカラ高クナッタノデ、是ハ慣レナイト云
  フ答辯ガ至當ナ話デアッテ公ケノ買ヒ方デアルカラシテ、其高イト云フヲ
  以テ此質問ノ要旨トハシナイノデアル啻ニ海軍ヨリモ陸軍ガ高ク買ッタト
  云フニ至ッテハ如何ニモ餘リ奇怪千萬ノ話デアル又質問ヲ受ケタカラト
  云ッテ磊々落々ト統計ヲ作ラズシテ-統計ヲ狂ハシテ、サウシテ辯護シ
  ヤウト云フヤウナ統計表ヲ狂ハセルト云フヤウナコトハイケナイ故ニ此事
  ヲ石炭ニ就イテノ質問ヲ致スノデ、ソレデ其次ハ毛布ノコトデゴザイマスル
  ガ石炭ノ事ハ先ヅ買上ガ素人デアッタト萬々讓ッテ、サウ致シマシテカラガ、
  毛布ノ事ト云フモノハ、直チニ軍人ガ之ヲ著ナケレバナラナイ防寒具デ、大
  切ナノデ、之ヲ必要ノ時間ニ少ク買ッテ追〓必要デナイ時間ニナッテ澤山買ッ
  タ、デ、追〓必要デナイ時間トハ何デアル、十二月ノ下旬カラ一月、二月ト云フ
  モノハ、ソロ〓〓暖氣ニ向フ方デアルカラ、相場ガ安クナル時分デアルトキハ
  多ク買ッテ前ノ九月頃カラ心掛ケテ、十月、十一月ト云フトキニ多ク仕入レナ
  ケレバナラヌトキニ少イデ、安イ時ガ高クテ、安カルベキ時ニ一圓二十錢以上
  高ク買フテ、其時ノ品ノ多ク買ッテアルト云フコトハ譯ノ分ラナイ話デア
  ルデ、ソレカラ毛布ト云フモノハ何故ニサウ必迫シタカト申シマスルト
  云フト答辯者ノ-政府ノ答辯ニハ如何ニモ毛布ガ必迫デアッテ、コチラ
  デ入用ノトキニ東京中デ毛布ガナカッタカラ、衞戌病院其他守備隊ノ古毛布
  マチノ近傍ノヲ引上ゲテ戰爭地ニヤッタ位デアッテ如何ニモ毛布ガ必迫デ
  アッタト云フコトヲ申ス、斯樣ナコトデ如何ニモ毛布必追デアッタト云フ
  カト思ヘバ東京ノ此毛布類ヲ、之ヲ毛布類ヲ賣捌ク所ノ卸店ト云フモノカ
  ラ買ハナイノデアル京橋、神田、日本橋ノ三區ニ於テ三十七軒ト云フ問屋
  ガアルガ、此問屋カラ買ハナイノデアル不思議ナ話デアルマルデ買ハナ
  イノデナイ三十七人ノ中カラ僅ニ三人シカ御買上ニ爲ッタノハナイ其他
  ハ平日毛布ヲ取扱ハナイ素人ノ家カラ買ッタノデアルソレデ如何ニモ毛布
  ガナイカラ、衞戌病院ノガマデ引上ゲタト云フノハ如何ニモ分ラナイ話デア
  ル、此ニ至ッテハ少シモ容赦ノナラナイ話デアッテ、是ハ何カ上ノ方ノ役人ハ
  知リマセヌデモ下ノ方ノ小役人共ニハ商人ト申合ハシテー先ヅ此所デ
  罵詈ガ始ルト先ノ演說ガ出來マセヌカラ何カヤッタノニ相違ナイノデア
  ルソレカラ其次ハ、ソレデ僅ニ毛布ハ幾ラ買ッタカト申シマスト百六万圓デ
  アル百六万圓デアッテカラ、ソロ〓〓安クナル方ノ期ニ至ッテ買ッタノガ
  七十六万圓デアッテ、早ク毛布ヲ仕入レナケレバナラナイト云フトキニハ
  三十万圓シカ買ハナイノデアル、遲ク仕入レテ軍人ニモ困ラセテ、ソレデ損害
  金ガ百万圓ノ中デ二十七万圓ト云フノハ、餘計ノ金ヲ此毛布ヲ賣ッタヤツニ餘
  計ニヤッタヤウニナッテ居ル是ガ平日毛布ノ卸賣商ナラバ宜シイガ、素人
  カラ多ク之ヲ買上ゲテアルノデアルカラシテ、不思議千万ノ話ト云フコト
  ハ是ハ宜ク諸君ニ訴ヘ申シテ置クコンナ譯デ、アトノ金ヲ遣シテハ國家
  ガ幾ラ議決シテモ四億万圓ガ十億万圓デモ間ニ合ハナイ話デアル、是ハ著物、
  今度ハ口ニ入レルモノハ鑵詰罐詰ノ事ハ松島廉作君ガ是ハ私ヨリモ委シ
  ウゴザイマスガ、私ハ簡單ニ述ベマスル是ハ前ニ昨年委シク議論ヲシテ置
  キマシタカラ此處デ重複ヲ致シマセヌガ唯此罐詰デー罐詰モ亦從來ア
  ル處ノ罐詰屋カラ買ハナイデ無理ニ罐詰屋ヲ十八軒拵ヘテ罐詰ヲ寒中ニ
  腐ル罐詰ヲ買ッテ居ルノデアル答辯書ニハ何ントアル早ク急イデ買ハナ
  ケレバ軍人ノ生命ニ關係ガアル大キナ事ヲ言ッテ不熟練、價ノ高イ品ノ
  惡ルイ不便ナル處ノ東京ニ十八軒ト云フ罐詰屋ヲ拵ヘテ寒中ニ腐ルヤウ
  ナ罐詰ヲヤッテアル西京ニハ皆熟練ナ罐詰屋ガアル、此西京ニハ義理一通
  リニ少々ハ申付ケタガ、之ヲ質問スルト西京ノ罐詰屋ハ虎列刺病デ大層死ン
  ダモノガ多イ、道具ノ毀レタノヤ器械ノ毀レタノガ多イト申シテ居ル成ル
  程ソンナ事ハアルカモ知レマセヌガ如何ニモ妙ナ答辯デアル、ソレカラ十月
  十五日ノ日ニ答辯書ニ依レバ罐詰ノ取締ヲソンナ不正ナ取締ヲ附
  ケタノガ十月十五日、ソコデ十月十五日ニ取締ヲ付ケタト云フ日ト前ト後ト
  ヲ見ルト、前ニハ少シ買上ゲテ澤山ナ不正ハナイノデアル取締ヲ付ケタト
  云フ日カラ先キガ却テ不正ガ多イ、是ガ如何ニモ分ラナイ、悉ク私ハ玆ニ統
  計ヲ持ッテ居リマスルカラ、休憩所ニ於テ御覽ナサリタイト云フ御方ニハド
  ナタニモ御覽ニ入レル、取締ヲ付ケタト云フ日カラ先キガ惡ルクナッテ出來
  テ居リマス斯樣ナ譯デ先ヅ簡單ニ述ベテ置キマスルガ、如何ニモ憤慨ニ堪
  ヘナイノハ馬ノ肉ヲ何處ヘヤッタカ馬肉ガ非常ニ多ク-其時分ニ數千頭
  ノ馬ヲ屠殺シタケレドモ、此馬ノ肉ノ往キ場ガナイ斯樣ナ譯デゴザイマス
  ルカラシテ、陸軍ハ能ク警視廳ニ問合セテ、サウシテ此馬ノ肉ガ殊更ニ煑賣
  店ガ殖エナイデ、何十頭ト云フ馬ノ肉ガ無クナッタト云ッテ見レバ是ハ卽
  チ罐詰ノ中ヘ入レタニ相違ナイ、警視廳モ又能ク公平ニ國家ノタメデアルカ
  ラ、唯國家ノ忠臣義士ト稱スベキモノヽ愛宕館ノ集會ヲ裁判所ヘ引ッ張ッテ
  往クノガ能デモナカラウ又演說ノ中止解散ヲスルノガ能デモナカラウ、コ
  ンナ事ヲ見付ケテ私ガ質問スルノヲ幸ニ陸軍省ヘ明白ニ之ヲ屆ケルモ宜イ
  伊東巳代治君バカリ怖ハガッテブル〓〓手ガ顫ヘテ居ルヤウデハ日本ノ警視
  ハ出來マセヌゼ(「ヒヤ〓〓」ト呼フ者アリ)昨年モ第八議會ニ於キマシテ
  モ薩長ガ折角軍功ヲ奏シテモ薩長ノ奸商御用商人ノタメニ此軍功ヲ
  沒スルト云フコトヲ私ハ此處デ豫メ宣告ヲシテ置イタ位デゴザイマスルガ、
  果シテソレニ來タノデアル一體軍程金ヲ使ッテ損ナモノハナイガ、國ノ腐
  敗ヲ改正スルノハ軍ノ損ヲ償フデアル一昨年來ノ軍用金ハ國家ヲ腐ラス金
  ニ爲ッタノデアル、斯ノ如キ事ハ諸君、今日ヨリ御互ニ能ク力ヲ盡サナケレ
  バ何ヲ以テ此國ヲ維持致シマセウカ、デ、斯樣ナ譯デ此軍用品買上ノ御話ハ之
  ヲ極短ニ述ベテ、是ガ一番長イノデゴザイマスルカラ是デ止メマス(「簡單
  々々」ト呼フ者アリ「國家ノ大事ダ十分ヤリタマヘ」ト呼フ者アリ)其次ハ議員
  ノ總選舉ヲ何ノタメニ延期シタノデアル二十七年ノ六月解散シテ、其後カ
  ラ朝鮮事件ガ始ッテ、日〓戰爭ガ明治二十七年ノ六月端ヲ發シテ居ルノデア
  ルソレデ其以前始ッテ何ノタメニ法律ノ極度、今日アツテ明日ナシト云フ
  九月一日ニナッテ始メテ議員ヲ選舉スルマデニ之ヲ延シタノハ何デアルカ
  サモアルベシ六月議院ガ解散ニナル、ソレカラ朝鮮事件ガ起ッタガ、軍ヲ
  スルト云フ決心ガナクテ二万ノ軍隊ヲ送出シタ、四十日モ兵隊ヲ朝鮮ニマゴ
  ツカセテ、內輪デハソレ米相場、ソレ石炭ダ、ソレ毛布ダ、ソレ罐詰ダ、錢
  儲ハ此時ナリト斯ウ云フ心持デヤラレテ溜リマスルカ、議員ガ出テ來ル
  ト八ケ間敷イ、其間ニ株式ヲヤルノハ此時デアル、隨分當路ノ人デ手ヲ出シ
  テ失敗シタ人モアリ、又儲ケタ人モアルト云フコトヲ聞イテ居ル諸君ノ耳
  ハ吾ミヨリ賢イ疾クニ御存ジノ筈デアルソンナ事ヲ議員ニ喙ヲ容レラレ
  テハ溜ラナイ成ルベク遲ク選舉シヤウ彼等ガ出テ來ルト對外硬派ガヤカ
  マシイ遲イ方ガ宜イト云ッテ宣戰媾和モ何モ極ッテシマツタ後デ-宣戰
  ノ布令ガ出タ後デ議員ヲ集メル方ガ宜シイト思ッタノカ思ハナイノカ免
  角國家ノ一大機關ノ此帝國議會ノ組織ヲ軍國多事ノ際ニシナイト云フノガ何
  處ニ在ル、成ルタケ遲クシテ一日モ猶豫ノナクナッタトキニ至ッテシタノデ
  アル、十月廣島ニ議會ヲ四十日召集スルト云フコトノ正則ヲ履ム能ハザラシ
  メタ臨時議會ハソレデシ宜シイノデアラウ、成ルベク四十日ヲ履ムノガ正當
  デアル斯ノ如キ忙ガシイモノヲ斯ノ如ク遲ク選ムト云フコトハ何ノコトデ
  アルカ、明カニ吾〓議員ガ集マッテ來レバ對外硬派ガヤカマシイ錢儲ノ邪
  魔ニナルカラ遲ク選ムト云フテ明ニ答辯スルガ宜シイ是ガ天眞爛熳ノ答辯
  デアル、此答辯ナラ明日ニモ出來ルノデアル、サウ云フヒドイ目ニ打ッタリ
  叩カレタリ國民ノ代表者ガ廣島デ何ト云フ議論ヲシタカ昨年ノ第八議會
  ニドウ云フ議論ヲシタカ國民ハ軍國ニ當ッテハ宜シク其當路者ニ心配ヲ掛
  ケナイヤウニ後楯ト爲ッテヤラナケレバナラナイ何モ大抵ナ事ハ蟲ヲ堪ナ
  ケレバナラナイト云フノガ既ニ尾崎行雄君ノ演說ニモ明言シテアル長谷場
  純孝君其他ノ諸君ノ演說モ皆速記錄ニ載ッテ居ル、斯ノ如ク擲グラレタリ踏マ
  レタリシタ身體ガ、國ヲ念フ者ト己ノ椅子ヲ吝ガル者トデハ此位違フモノデ
  アル、ソレデドウカ軍人ノ無事健康ヲ祈リ、當局者ノ無事健康ヲ祈ッテ居ッタ
  ノハ軍國ノ時デアル、是ハドナタノ御考モ申スマデモナイ一轍ノ事デア
  ル然ルニ此當局者ハ遼東半島還附以來ト云フモノハ妙ナ風ニ狂ッテ仕舞ッ
  テ遼東還附ノコトハヤカマシク言フデハアリマセヌガ是ガタメニ妙ナ風
  ニ狂ッテシマッテ自分ガ何カ輿論ノ攻擊ヲ避クルガタメニ軍人ガドウモ
  弱カッタ或ハ軍備ガ不十分デアッタ、ソレダカラ據ナイト云フヲ以テ之ヲ御
  用新聞ニ書カセ自ラ唱ヘテ居ル是ガ第二ノ質問デゴザイマシテ遼東還
  附ノ罪責ヲ以テ軍隊及衆議院ニ歸セントシテ、內ニ於テハ國民ヲ瞞著シ外
  ニ於テハ三國ニ請托ヲシタ是ガ第二ノ質問デゴザイマス先ヅ始メカラ極
  ク要領ダケヲ申シマスレバ、此要〓ト云フモノハ軍隊ト衆議院トノ此演
  說ヲスル要點ハ軍隊ト衆議院ガ今無實ノ罪ヲ被ッテ居ル、國家カラ······之ヲ辯
  護シナケレバナラナイ又政府ニ瞞著サレタタメニ、日本ノ國民ガ殆ド無氣
  力ノ如ク世ノ中ニ見エタノデアル敵愾心ヲ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=14

  ---

• 015・星亨

  ○星亨君(八番)　委員會ヲ是ヨリ開キタイト思ヒマスガ、田中君ノ演說ハ長
  イノデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=15

  ---

• 016・田中正造

  ○田中正造君(二百九十番)　アナタガ御論ガアレバ星亨君ト議論ヲシマセ
  ウ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=16

  ---

• 017・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　委員會ノタメニデスカ、星亨君·····

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=17

  ---

• 018・田中正造

  ○田中正造君(二百九十番)　御忠告デスカ、長イカ短イカト云フ······御忠告
  ナラ宜シイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=18

  ---

• 019・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　成ルタケ短ク

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=19

  ---

• 020・田中正造

  ○田中正造君(二百九十番)　短クト云フ御忠告ダサウデスカラ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=20

  ---

• 021・星亨

  ○星亨君(八番)　餘程長タ掛ルノデスカ-豫算委員會ヲ開キマスカラ、議
  場ノ許可ヲ請ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=21

  ---

• 022・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　豫算委員會ヲ開クニ依ッテ、退席ノ請求ガアリマス、
  御承認ヲ請ヒマス
  〔「十分ニヤリタマヘ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=22

  ---

• 023・田中正造

  ○田中正造君(二百九十番)　三國ノ威嚴ニ驚イテ、ソレカラ以來ト云フモノ
  ハ實ニ界劣ナ事ガアルノデアル之ヲ自ラ辯護スルガタメニ軍隊ノ力ガ萎
  弱シタ、軍隊ハ申上ゲルマデモナイ、千百里ノ外ニ遠征シテ、暑イ極度、寒
  イ極度、非常ナ苦心ヲシテ居ル軍隊デアッテ此者ニ何ノ弱イト云フ名ヲ被
  ラセルト云フコトハ軍人ニ取ッテハ此上モナイ不名譽ノコトデアル是ハ
  力ヲ盡シテ此寃ヲ雪ガナケレバナラヌノデアル、是ハモウ誰彼ニ拘ラズ、此ヤ
  ウナ事ガアッテハ聞捨ニハナラヌノデアル、其證據ハ決シテ軍人ガ弱イト云
  フヤウナコトハナイ立派ニ其時分ニ說ガアッタノデアル、卽チ三國ノ干渉
  ト云フモノガ當局ノ有司ニ傳ッタノハ二十八年ノ四月二十三日ノ朝デアル
  其時分旅順ニ在ル所ノ征討大總督府ノ下ニ達シタノハ其同日ノ夜デアルワ
  レデ同地ニ居ル所ノ陸海軍ノ重ナル大將將校達ハ、其晩直チニ小松宮殿下ノ
  御乘船威海丸ト云フ船ニ集ッテ評議ヲ盡シテ、三國ガ愈ゞ干涉スルナラバ、此
  ニ一快戰ヲ開イテ之ニ當ルト云フコトノ決議ニ爲ッテ其軍略ハ海軍ハ佐世
  保ヲ根據トシ、長崎デ露船ヲ擊破シ陸軍ハ旅順ヲ本營トシテ、左ニ〓國ヲ
  邀ヘ右ニ露西亞ヲ迎ヘテ、愉快ナル一戰ヲヤリ、日本國ノ光ヲ世界ニ輝ス
  ハ此時デアルト斯ウ勇ミニ勇ンデ居ッタノデアルカラ勇ミデハナイ、顧ミ
  マスレバ兵糧ト云フモノハ數月間ヲ支ヘルダケノ兵糧ガアルカラ、尙更軍氣
  ハ振ツテ、實ニ腕ヲ撫シ、銃ヲ磨クト云フヤウナ、文章ニ書ケバ其實况ハ實
  ニ此位ノ勢デアッタノデアル、ソレダニ依ッテ樺山海軍軍令部長ハ其翌日
  卽チ二十四日ニ立田丸ニ乗ッテ直チニ威海衞ニ往ッテ威海衞ニ居ラレタ
  海軍大佐ノ伊集院ト云フ人ヲ御連レナスツテ威海衞デ御用船ニ乗込ンデ、
  伊集院海軍大佐ト澎湖島ニ當時居ラレタ所ノ伊東聯合艦隊司令長官ヲ迎ニヤ
  リ自分ハ本國ニ飛ンデ來タノデアル、是ト行違ヒニ山縣君ガ旅順ニ行ッタ
  ノデアルデ、廣島ノ會議ガ惜イカナ其二十四日ノ日ニ、新ニ三國ヲ敵トスル
  ノハ不利益デアルト云フコトニ極ッテ山縣陸軍大將ハ旅順ニ出掛ケラレ
  テ是ト樺山トガ行違ツタト云フコトハ諸君モ既ニ御承知デアリマセウ、
  ソコデ山縣大將ハ旅順口ヘ參リマスト云フト直チニ此山縣君ガ參ツタカ
  ラ又評議ヲ小松宮殿下ノ御乘船威海丸ニ開イテ、種々山縣陸軍大將ニ向,
  テ非常ニ不平ヲ述べタノデアル其不平ノ中ニ證據ガアル「閣下ハ陸軍大臣
  トシテ今國民軍ヲ十萬募集スル身體デアリナガラ此處マデ御出ニナルト云フ
  ノハ當ラナイ話デアル」山縣大將ハ勅諭ノ趣ヲ以テ諸將ヲ說諭スル「勅諭ヲ
  持ッテ御出ニナルナラバ他ノ人ガ御出ニナッテモ間ニ合フ話デアル容易ナラ
  ナイ責任大責任ヲ持ッテ居ラルヽ閣下ガ御出ニナルニハ及バナカッタ」ト云
  フ斯ウ云フ不平ノ議論ガアッタ位デゴザイマスカラシテ陸軍ト云フモノ
  ハ決シテ左樣ナル此行政部內ニアル人ミガ陸軍ノ軍隊ガ萎〓シテ居ッタ
  カラト云フヤウナ、ソンナモノデハナカッタノデアル大山君野津君、山路
  君、佐久間君等ノ人ミガ今ノ議論ヲシタノデアル、又山縣君ノ乘ッテ居ル所
  ノ船マデ押掛ケテ議論モアッタノデアル、併ナガラ奈何セン勅諭デアルカ
  ラ、是ハ默止難ナイ、淚ヲ呑ンデソレニ從ッタ從ッタト同時ニ此軍氣ハ沮
  喪シテ仕舞ッタノデアル、ソレヨリ以來今日ニ至ルマデ此國家ノ軍氣ノ沮喪
  シタノハ是デアルノデアリマス是ガ軍人ガ弱クッテ軍氣ガ沮喪シタノカ
  廣島ノ大本營ノ決議ガ三國トハ決シテ爭ハヌト云フノ決議カラ基イタノデ
  アルカ廣島ノ決議ヲシテ必シモ惡イト此處デ言フ演說ヲスルノデハナイ
  軍氣ヲ沮喪サセ、軍氣ガ振ハナイト云フコトヲシテ軍人ノ罪ニ歸スルト云フ
  ニ至ッテハ是ハ軍人ノタメニ述べテ置カナケレバナラヌコトデアル國家
  ノタメニ述べテ置カナケレバナラナイソレデモ尙ホ足リナイノデ軍人ガ
  弱イト云フト軍人ヲ怒ラセル故ニ、軍人ハ弱クナイ器械ガ足リナイ道具
  ガ乏シイ國會ガ之ニ反對シタカラ十分ノ軍ガ出來ナカッタナドト云フヤ
  ウナコトヲ世ノ中ノ人ガ經濟ニ暗イト思ッテサウ云フコトヲ專ニ流布ス
  ルト云フニ至ッテハ衆議帝國議會ニ罪ヲ歸ス、其中ニ衆議院ニ罪ヲ歸スノデ
  アル是ハ一通リ極簡略ニモ自分ノ寃罪デアレバ述ベテ置カナケレバナラナ
  イノデアル、軍氣沮喪ノ事ハ諸君モ御承知ノ如ク、第一議會ニ於テ五百一一十一
  万ト云フモノヲ立派ニ政府ノ請求通リ可決シテ居ルノデアル第二議會ニ於
  テ始テ海軍ノ經理部ノ弊實ヲ發見シタノデアル醫學ガ進步スレバ病ノ數モ
  多クナルコトヲ見出スト云フコトハ仕方ガナイ第二議會ニ於テ海軍ノ內部
  ヲ改正シナケレバナラヌ、改良ヲ盡サナケレバナラナイ、內部サヘ改良スレ
  バ金ハ惜ム譯デハナイト云フノデ之ヲ否決シタ第三囘ニモ否決シテ、第
  四囘デ斯ノ如ク議會ガ解散サレテモ、ソレニモ拘ラズ海軍ノ內部ヲ改正シヤ
  ウトシタ、第四議會ニ於テハ政府ハ更ニ大ナル海陸軍擴張案ヲ出シタカラシ
  テ其時ニ大衝突ガ起ッタノデアル此時ノ議會ハ幾ラカ少シ位ハ骨ガアッ
  タヤウニ見ヱル、其衝突ノ結果上奏案トナリ、詔勅ト爲リテ、ソレデ政府ト
  議會ト協議會ヲ開イテ、祕密會ニ於テ相談ガ纒ッテ軍艦ヲ製造スルコトニ
  爲ッタノデアル是ヨリ以來軍艦ノ製造ハ滯リナシニ來テ居ル其軍艦ヲ拵
  ヘル所ノ年限ヲ起算致シマスレバ軍艦ノ規模ハ二十六年度ヨリ三十一年度
  マデニ至ッテ三十一年ニナッテ竣功ヲ告グルノデアル三十一年度ニ竣功
  ヲ告ルトキハ此二十八年ノ遼東還付ヲスルトキニ何ノ關係ガアルカ斯
  ノ如キ事ハ政府ハ知ッテ居リナガラ、之ヲ經濟抔ト云フコトハ餘リ口ニ言
  ハナイ所ノ軍人社會ニ觸レテ、地方ノ或ハ知事ヤ郡長ヤ巡査抔ニ戶々之
  ヲ話シテ步カセル、實ニドウモ乞食ノヤリ方ノヤウナヤリ方ヲ致シテ居ル
  斯樣ナ譯合デ先ヅ諸君モ古イ事デアルカラ皆御承知デゴザイマセウケレド
  も、ソレダケ軍艦ガ必要ナレバ、何ゼ國會ガ開ケナイ前ニ、其前ニナゼ軍艦ヲ
  セッセト造ッテ置カナイノデアルカ其時分ハ二十三年ハ國會ガ開ケルトヤ
  カマシイト云フノデサア山林ノ分捕、官有物ノ分捕、舞蹈會ノ稽古、斯ウ
  ダ、既ニ呉抔ニ至ッテハ此軍艦ヲ拵ヘル所ヲ拵ヘナイデ旣ニ海軍省ノ役人
  ノ遊ブ倶樂部ヲ造ッタ斯ウ云フ譯デゴザイマシテ、隨分今日ノ陸軍省ノ如
  クデアッタ、陸軍省ノ經理部ノ如クデアッタ所ガ議會ノ攻擊デ海軍ハ過ヲ改
  ムルニ吝ナルナク承ル所ニ依レバ會計部ノ役人ヲ二人召捕ッテ獄ニ叩込ン
  ダト云フ手際ガアルソレハ公ニナラヌガ德義上聞込ンダコトガアルカラ
  之ヲ言フノデアルソレヲ過ヲ改ムルニ吝ナルナク昨年-一昨年ノ戰爭ニ
  於テハ石炭ノ價ト云ヒ罐請ノ買入ト云ヒ陸軍省ニ優ルコト數等、成ル程
  未ダ譽メル程ニハ往カヌガ陸軍省ニ比スレバ立派ナ事デアル斯樣ナ譯デ
  アッテソレデモ是デモ衆議院ガ一年タリトモ二年タリトモ軍艦ヲ拵ヘルコ
  トヲ遲クシタハ衆議院ガ反對シタカラデアルト云ヘバソレナラバ其罪モ受
  ケマセウガ其罪ヲ受ケルニハ衆議院獨リデハナイ伊藤總理大臣ガ第一ニ
  其罪ヲ受ケナケレバナラヌ伊藤總理大臣ハ貴族院ニ於テ二十六年-二十
  五年ノ暮ダ、貴族院ニ於テ地價修正ノ委員會ニ於テ、安場議員ガ地價修正ヲシ
  テ五百万六百万ノ金ヲ使フヨリ之ヲ以テ海軍ノ軍艦ヲ造ッテハ如何デアル
  ト云フ說ニ對シテ、伊藤總理ハドウ云フ其時ニ演說ヲ爲サレタカドウ唯
  口デバカリサウ云フコトヲ言チャア困ル伊藤君ノ演說ハ玆ニモゴザイマ
  ス歲出歲入ヲ能ク見ナケレバイケナイ歲入大凡八千万圓トアルヲ、二
  千六百万圓ヲ海陸軍ニ支出シテアルヂャナイカ、其上ニ海軍ヲ擴張シロ軍
  艦ヲ造レト云ッテ騒イダ、所ガ、金ガナイジャアドウ出來ルモノカ二千六百
  万圓ハ支出シテアルノデアルト云フ議論ハ玆ニ速記錄ヲ讀メバ長ウ
  ゴザイマスガ、伊藤君ノ演說ハ玆ニ在ル、此伊藤君ノ演說ハ支那ト戰爭
  ノ始ル六箇月前、此六箇月前ニ此議論ガチヤント速記錄ニ載ッテ居ル、サ
  ウスルト議會ガヤカマシク言ッタハ二十三年四年デ伊藤君ノ議論ハ
  二十六年ノ十二月デアッテ戰ノ始ッタノハ二十七年ノ六月デゴザイマスカ
  ラタッタ六箇月前マデハ此演說ヲ維持シテ來タジャアリマセヌカダカラ
  軍艦ヲ製造スルノガ惡ルカッタト製造スルノヲ怠ッタノヲ惡ルカッタト
  云ヘバ第一番ニ伊藤總理ヲ指サナケレバナラヌ又二十三年ノ當時ニ山
  縣ガ總理ノ時ノ演說ニモ軍艦ヲ拵ヘタカッタガ金ガ實ニナカッタカラ拵ヘ
  ナカッタガドウゾ諸君是カラハ拵ヘテ呉レイト云フ演說ガゴザイマス卽
  チ二十三年マデハ金ヲ粗末ニシテ使ッテシマツタト云フコトモ明カデアリマ
  ス、斯樣ナ譯デアリマスカラ、衆議院ガ軍艦製造ヲ怠ッタト云フ語氣ヲ以テ、
  世ノ中ノ經濟ニ餘リ明ルクナイ所ノ軍人ノ中ノ人ミヤ、或ハ地方ノ商人、農民
  ニ向ッテ巡査ノ手ヤ軍吏ノ手ヲ藉リテ、議會ヲ讒謗シテ步ルカセルト云フヤ
  ウナソンナ小サイコトデハ到底三國ノ人ガ出タラ驚クデゴザイマセウヨ、
  斯樣ナ譯デゴザイマスカラ、是デ議院ノ寃罪ハ私ハ申開ガ立ッタ、モウ立派
  ニ立ッタソレカラ更ニ是カラ伊藤内閣ニ聞カント欲スルコトハ三國ノ干
  渉ガ來タ時ニ、此三國ノ方ニ於テモ其當時ニ於テハ表面的ハ隨分好意デア
  ルノデアル其內心ハ分ラナイガ、獨逸ノ如キハ〓廷ニ遼東ヲ還シタナラバ
  他國ニ讓ラセナイト云フ約束ヲシテ上ゲヤウ、砲臺ヲ造ラナイ約束ヲシテ上
  ゲヤウト云フコトハ獨逸ガ明言シテ居ル露西亞ト雖モナンデモ俄ニ新領地
  ヲ急ニ還ヘシテシマハナケレバナラヌト云フノデハナイノデアル又佛蘭西
  ニ於テモ聞ク所ニ依レバ十五年間ハ先ヅ占領シテ置イテ局面ノ一變スル
  ノヲ見ルノモ一ツ仕事デアルト云フヤウナコトモ聞イタ、併ナガラ其當時ノ
  當路ノ人ト云フモノハ此三國ノ世話ニナッテ宜イ時ハ宜イガ又惡ルイ時
  ハ惡ルイト云フ見込ガゴザイマシタモノカ、之ヲ刎付ケテ〓國ノ事ハ相對デ
  ヤッタノハ宜カッタ、宜カッタケレドモナゼサウナラバ其通ニヤッテ往カナ
  イカ其後日〓ノ間ニドウモ商議ガ捗ラナイト云ッテ三國ヲ賴ンデ漸ク三千
  万ているヲ取ッタノハドウモ先見ノナイ話デアル、又申後レマシタガ、遼東還
  附ノ時デモサウデアル松方伯ハ容易ニ違東ヲ取ッテハイカヌ、是ハ餘程考
  ヘ物デアル、又民黨ノ有志デ彼ノ地ニ赴イテ居ル者ガ、一度取ルナラバ
  長ク取ッテ持ッテ居ラルヽナラバ御取リナサイ、取ッテ見タガ直グ離スト云フ
  ナラバイッソ御取リニナラヌガ宜イト云フコトヲ彼ノ地ニ往ッテ居ル者ガ
  伊藤ニ之ヲ御忠告ヲ申シタノデアル所ガ其時ハ大膽デ手モナク或ハ輕躁
  ト云フカ或ハ其時ダケノ大膽ト云フカ、此遼東ヲ割取ッテ立派ナル勢デアツ
  タガ、本物ガ出掛ケテ來ルト又グヅ〓〓ト爲ッテシマッテ之ヲ還シテシマツ
  久還シテシマッタノモ還シタノモ矢張磊落ニドウモ之ハ遣リ損ナッタ
  ト云ヘバ宜イガ、ドウカシテ其非ヲ蔽フニハ詔勅ヲ出シ直サナケレバナラナ
  イ其非ヲ蔽フト蔽ハザルニ拘ラズ詔勅ハ出サナケレバナラヌガ、國家ガ先
  鞭ヲ附ケテ國家カラヤカマシク言ハナイ中ニ祝宴會ヲ開カセル內務大臣ヨ
  リ知事ニ、知事ヨリ郡長ニ、郡長ヨリ戶長ニ達シテ、先ヅ遼東還付ハ目出度
  ト云ハナイガ先ヅ媾和談判ガ濟ンデ御目出度、祝電ヲ打テト云ッテ各村長
  各戶長ヘ殆ンド訓諭シタ、各村長ハ未ダ其事ヲ能ク知ラナイ中ニ媾和談判ハ
  調フテ目出度イト云フ祝電デアルカラ何ニ異論ヲ言フ者モナク先ヅ之ヲ
  大本營ニ向ケテドン〓〓祝電ヲ打ッタ、大本營ニハ祝電ガ山ヲ成シタカラ之
  ヲ畏多イ方ニ出シテ己ノ首尾ノ惡ルイコトヲ之ヲ補ッタノデアル斯樣ナ小
  細工ヲ以テ世ノ中ヲ纒メテドコマデモドコマデモ之ガ人民ヲ愚弄シタト云フ
  コトデアル己ノ非ヲ蔽ハンガタメニハ何事デモナスノデアル殊ニ電報
  ヲ以テ人ヲ譽メテ貰ヒタイ譽メラレタイト云フコトハ、町村長ヤ何カヲ賴
  ンデヤルト云フコトヲシナイデ、一個人デヤル分ハ吾〓ハ言ハナイ森槐南
  ヲ使ッテ百詩ヲ作ッテ-己ヲ褒メタ詩ヲ作ッテ貫ッテ居レバ政治海カラ
  攻擊ハシナイノデアル、町村長ヲ使ッテ電報ヲ打タセルト云フヤウナ事ヲシ
  テ畏多イ所ノ首尾ヲ繕フテ、サウシテ早ク先ヅ勳章ヲ取ッテシマッタ上
  ガリニ演說會ヲシテ襤褸ノ出ル分ハ、マサカニ取ッタ勳章ヲ取ラレハシナ
  イ其前ニ首尾ヲ書カレテハ溜ラナイ、演說ヲサレテハ溜ラナイ、發行停止、
  演說解散、勳章ハ一日モ早ク下カラ頂戴ヲスル風ヲシナケレバマズイ大
  磯ニ飛ンデ行ク宮內大臣ガ御迎ニ出ル、アヽ其位ガ分ラナイジヤ仕方ガナ
  イ、軍人バカリ顯微鏡ハ使ハナイ、立法院ニモ顯微鏡ト云フモノハアル、蟲眼
  鏡モ持ッテ居ル、次ニ目錄ダケヲ讀ミマス、是ハ八議會ニ質問ヲ致シマシタケ
  レドモ答辯ガゴザイマセヌカラ申シマスガ是ハ橫濱築港ノ不正工事ノ一件
  デ責任者ガ未ダ定マラナイデ居ル、是ハ第一ニ困ルノハ死ンダ人ニ罪ヲ脊負
  ハシタノデアル是レ決シテ容赦ノナラナイ事デアル外國人ヲ雇ッテ外
  國人ガ橫濱築港ノ設計ヲ請負ッテ居ル、所デ責任者ヲ質問スルト云フト、
  外國人ガ此責任者デ死ンダト云フノデゴザイマス此外國人ハ設計ノ方ヲ賴
  マレタノデアッテ、工事ノ方ヲ賴マレタノデハナイカ設計トハ卽チ堤ヲ長ク
  スル高クスルト云フノガ設計デアル、工事ノ方ハせめんとヲ買フ、敲付ケル
  是ガ工事ノ方デアル、工事ノ方ニ關係ノナイ設計者ノ方ニ、工事ノ罪ヲ持ッ
  テ行カウトスル此人ハ死ンダ、死人ニ口ナシダ、外國人ダカラ宜イト云フ
  不親切デハ日本國ノ帝國議會ハ聽流シハシナイノデアル、是ハ宜シク責任
  者ヲ定メテ、昨年泥棒ヲ捕マヘテ出セトマデ申シテアルノデゴザイマス其
  後責任者ヲ召捕ッテアルヤ否ヤ、隨分召捕ッテ置イテモ世ノ中ニ發表シナイ
  コトモアルカラ、召捕ッテ處分シタト云フナラバソレデ宜イカラ、ソレヲ質
  問致ス、ドウモ今日ノ所ハ責任ノ事ハ餘程ヤカマシク言ハナイト、殆ド無政府
  ノ有樣デアル、的ヲ切ッテ何處ヲ見テモ無政府デアル先ヅ民間ノ方ノ側ノ
  一例ヲ申セバ是モ前ニ長イ質問ガアッテ細カニ演說シテアリマスカラ今
  日喋々述ベマセヌガ、足尾鑛山ノ鑛毒事件、是モ今日差掛ッテ困ルコトハ
  クドク講釋ヲスルノデハナイ、田畑ニ害ガアッテ困ルト云フノニ地方官ガ
  郡長ガ古河ニ使ハレテ、サウシテ人民ニ一段ニ就キ二圓金ヲヤルカラ
  是デ永世子々孫々マデ苦情ヲ言フナト云フ書附ヲ取リサウシテ判ヲ强奪シ
  テアル是ハ栃木縣ノ足利郡デ斯樣ナ事ヲシテ居ルノデゴザイマス、此事ヲ
  御話スレバ是デ一時間モ掛リマスケレドモ、差當ッテノ事ハ此地方ノ役人
  小役人共-オトナシイ役人ハ是ハ古河ヲ怖ガッテ居ル又古河ハ今ノ
  外務大臣ニ緣故ガアルカラ小サクナッテ居ル腹ノ腐ッタ役人ハ古河ノ奴隷
  ニ爲ッテ居ル、日本帝國ノ役人ガ、一個人ノ古河市兵衞ノ奴隷ニ爲ッテ己
  ノ管下ノ人民ヲ强迫シ、壯士ヲ使ヒ三兩ノ金ヲ取リ二圓ノ金ヲ取リ、サウ
  シテ子々孫々マデ苦情ヲ言ハナイト云フ判ヲ捺セ捺サナケレバナグルトマ
  デ役人ガヤラカシテ居ル、是ハ無政府ト言ハナケレバナラナイ、ワレデ其地方
  ノ者ハ水ガ飮メナイノデアル、斯樣ニ困ッテ居ル位デアルノニ、一方ヲ顧ルト
  廣島デハ一昨年八十五万圓繰出シタ金ガ、廣島ノ市中ニ良イ水ヲ引クト云ッテ
  出シタ金デアルガ、今日無利息デ何處ヲマゴ付イテ居ルカ分ラナイ、一昨年八
  十五万圓大藏省ガ壓制シテ引出シタ金デアル、軍國ノ勢デ引出シタ金デアル
  ガ、其金デ何故直グニ普請ヲシナイノデアル、今日マデ何處ヲ其金ガマゴ付イ
  テ居ルノデアル、其利息ハ誰ガ使ッテ居ルノデアル、斯樣ニ一方ニハイラナイ
  飮料水ノ費用ヲ引出シテ居テ此鑛毒ノ地方ノ人民ハ困ル、良イ水ガナイト
  云フ難儀デアル、ドッチヲ見テモ無政府ト名ヲ附ケルヨリ別ニ仕方ガナイ、斯
  樣ナ譯デ議論ヲスレバ際限ノナイ話デゴザイマスケレドモ、先ヅ的ヲ切ツ
  テ據ナイ所ダケヲ御話シテ置カナケレバナラナイ、北海道炭礦鐵道會社ノ事
  モ工藤君カラ質問ガ出マシタケレドモ是ハ工藤君ノ質問ノ所デハナイ、其
  他ノ事デアル、凡ソ鐵道會社ガ他ノ事業ヲ兼ネルコトノ出來ナイト云フノハ
  國家ノ經濟ガ許サナイ法理モ許サナイノニ、其理由ノ說明ガナイ又肥後
  ノ熊本ノ立山ト云フ山林ハ今日ノ價デ凡ソ百万圓五六年前材木ノ安イ
  トキデモ六七万圓ノモノハアル今日物價騰貴、材木ハ殊ニ騰貴シテ居リマ
  スカラ、百万圓ノ代價ノアル此立山ヲ二万圓ノ山ト殆ト二万圓位ノ山ト
  交換シタノハドウ云フ理由デアルカ、之ヲ聽カナケレバナラナイ、其當時
  ノ農商務大臣ハ誰デアル、幸ヒ今內閣ニ椅子ヲ占メテ居ル所ノ外務大臣陸奥
  宗光君デアル陸奧宗光君ハ之ヲ承諾シタノデアル、此承諾ニ依ッテ久シク
  御病氣デ當時引込ンデ居タ人ガ、之ヲ許可スルトキバカリ農商務省ニ出テ判
  ヲ捺シテ直グ歸ッテ又蒲團ヲ冠ッテ寢タト云フ事實デアル斯クマデ皮肉
  ヲ計イテハ御氣ノ毒デゴザイマスケレドモ、幾ラ耳ガ痛クテモ寢テ居テ金ガ
  儲カッタカラソレハ勘忍シナケレバナラナイモウ是カラヤラセル譯ニハ
  行カナイ、小金原ノ開墾地小金原ノ開墾地ヲ、諸君ガ御熟知ノ如クモウ
  明治二年以來拓カセタ地面デ、一人ニ就イテ三町ヤル四町ヤルー段々拓
  イタ地面ヲ政府ガ屆カナイト言ッテ、三井某ニ世話ヲサセテ、サウシテ地券狀
  ヲ渡ストキニ三井某ニヤッテシマッタカラ人民ニ所有權ガナイノデ、ソレカ
  ラ以來大騷ニ騷イテ居ルガ、今日マデ其處置ヲ著ケナイ東京ヲ距ル僅ニ二
  十里外ノ地、ソレニ今日デハ此三井ト云フ會社ハワンナ細カシイコトハ嫌デ
  アルカラ飛ンダ迷惑デアル就イテハドウカ道ガアレバ返シテヤリタイト
  言ッテ居ルト云フコトヲ聞イテ居ルノデゴザイマスルガ、何ガ關聯シテ是ハ
  處置ヲ付ケナイノデアルカサウナレバ千葉縣ノ知事ハ何事ヲシテ居ル千
  葉縣ノ知事ハ何事ヲシテ居ルト申シマスルト云フト是ハ此小金ケ原ノ貧民
  ノ地面ヲ取上ゲル世話ヲシテ、人民ノ墓所マデ取上ゲテシマヅタイ墓地マ
  デ取上ゲテシマッタ、ソシナコトヲシテ居ッテ、一方ハ何ノ仕事ヲスルカト
  云フト千葉町ノ共有地カ何カヲ人ヲ廻シテ買占メテ此處ヘ女郞屋ヲ拵ヘ
  テ金儲ケヲスルコンナ事ヲヤッテ居ル今日ノ政府ハ女郞屋ヲ拵ヘルガ好
  キデアル、明治十五年以前ト云フモノハ苟モ日本政府ハ娼妓ト云フモノヲ
  耻ヂタモノデアル租稅ニ娼妓ノ賦金ト云フモノハ地方ニ在ルケレドモ、娼
  妓カラ稅ヲ取ッタト云フテハ耻ヅルト云フテ、之ヲ租稅ノ中ニ加ヘナカツタノ
  デアル明治十五年前ノ政府ハ先ヅ高尙ト謂フテモ宜イ、此女郞ノ稅抔ト云
  フモノハ之ヲ表向ニスルコトヲ耻ヂタ先ヅ立派ナ政府ト謂ッテモ宜イ今
  日ノ政府ハ政府ガ先立チデ女郞屋ヲ拵ヘル世話マデシナクモ宜ササウナモ
  ノデアル一方ハ人民ノ墓地、先祖ヲ祠ッタ墓場マデモフンダクリ一カ、
  明地ヲ買占メテ女郞屋ヲ拵ヘテ地代ヲ上ゲテ、斯ウ云フコギタナイ人間ニ
  知事ニ爲ラレテ頭ノ上ニ居ラレテハ迷惑ノ話デハゴザイマセヌカ、千葉縣
  ノミナラズ、臺灣ニ於テモ先項來公娼ヲ拵ヘルト云フコトヲ臺灣ノ御政治
  始臺灣ハ後進者ナリ創業者ナリ未開者ナリト云フテ居ルデゴザイマセ
  ウ、未開ト謂ッタラ後年者、後進者ト謂ッタラ幼年者デアル、此幼年ナル者ニ女
  郞屋ヲ見セルト云フノガ御政治始ト云フノデアルカラ、如何ニモ前途心配ノ
  話デゴザイマスル、ソラ群馬縣、ソラドコ知事ト云フモノハ暇ガアルカナ
  イカ何デモ女郞屋ヲ拵ヘルト云フコトガ今日ノ半仕事デアル是等ハ錢モ
  何モ掛ラヌ、今日カラ一言言ヘバ直ルコトデアルカラ、斯クマデニ成果テナ
  イデモ宜カラウト思フ、是ダケニ乞食染ミナイデモ宜カラウト思フ、免ニ角馬
  鹿デモ知事ダ、御役人デアル其役人ガ先立チデ、甚シキハ警部抔ヲスルヤ
  ツガ女郞屋ノ周旋ヲスルト云フヤウナコトハモウ珍シクナイノデアル、實
  ニモウドウモ殘念至極ノ話デアルサウカト思ヘバ陸奧君ハモウ第六議會
  以來、此議場ニ顏ヲ一度モ出サヌノデアル、對外硬派ノ反對演說、條約厲行
  ノ反對演說ヲシテ、議場ノ反對ヲ食ッテ、少シク演說ヲ早クシマッテ、御逃
  込デモゴザイマスマイガ、急イデ歸ッタ切リ、今日マデ議場ヘ御顏ヲ出サナイ
  ノデアルソレデ先ヅ此大臣ノ職務ガ勤マルモノデゴザイマセウカ、是ガ一
  ツノ不審、外務大臣曠職ニ關スル件-サウシテ御病氣デモゴザイマセウカ
  ラ一個人トシテハ見舞ハナケレバナラヌガ、舞子ノ濱、大磯殆ド多難ノ
  際ニ一年間モ引込シデ居ル、其往復ノ無駄ノ手間ヲ費シ、時機ヲ失シワ
  レデモ立派ニ往クナラバ宜シイガ、イツモヤリ損イガ多イ、少シハ國家
  ノタメヲ考ヘテ呉レナケレバナラヌノデアラウト思フ之ヲ政府ハ許シ
  テ自分モ耻トシナイ、許ス許サヌノミナラズ、此者ヲシテ厚ク待遇ヲシ
  テ之ニ爵位ヲ進メル、マア何ト云フコトデアルカ、物ノ失策、國ノ耻辱ヲ
  遺シ病氣ヲ病氣トシ、公事職務ガ勤マラナイノモ耻トセズ、廉耻ヲ知ラ
  ズ、此者ヲシテ厚ク遇スルト云フニ至ッテハ一體日〓ノ戰功-日〓ノ戰
  功ハ是ハ誰ノ戰功デアルカ、國民ノ戰功デアル今ノ行政官獨リノ勳功デ
  ハナイ殘ラズ國家舉ゲテノ勳功デアルノデアル其勳功ヲ分配スルヤ宜
  シク公平デナケレバナラヌノデアル、失策ヲシタ、國辱ヲ與ヘタ人間ガ勳章
  ヲ取ルナラバ、誰カ侯伯タラザルモノハナカラウト思フノデアル近頃口幅
  廣ク言フヤウデゴザイマスケレドモ衆議院議長、副議長ニ何カ賜ッタト云
  フコトハ何ノ事デアル何故賜ルナレバ伊藤總理ト議長ト同ジニ之ヲ取扱ハ
  ナイノデアルカ、衆議院何ガ失策ガアル、國民ノ代表者何ガ失策ガアル、伊藤
  ノ功ト云フノデハナイ、伊藤モ總理ノ椅子ヲ踐ンデ居ルカラ卽チ代表者デ
  侯爵大勳位ニ爲ッタノデアル代表者ノ力、木偶デモ、木像デモ、此代表者
  ト云フカラ取ル、伊藤老イタリト雖モ、楠本議長老イタリト雖モ、伊藤木偶
  ナリ楠本議長木像ナリ、楠本議長木偶ナリ伊藤木像ナリト雖モ、之ヲ假
  定メテドッチヲ賢明ト云ヘバ雙方賢明ト謂ハナケレバナラヌ、同ジ人ヲ何
  故侯爵ニシナイカ降ッテモ何故島田三郞ヲ伯爵ニシナイノデアル分ッタ
  話デアル是ハ私ガソレダケ譯ノ分ラヌ政府デハナカラウト思フノデアル
  是ニハ味ノアル話ダラウト思フ今日皮肉ヲ評イテヤル、是ハサウスルコト
  ハ心得テ居ルケレドモ、之ヲ一度ニ遣ッチャ往ケナイカラ二度ニ遣ル、二
  度ニ下ゲル其間ニ恩惠ヲ賣ッテ間ガアレバ私恩ヲ賣ッテサウシテ侯爵
  ト伯爵ニシヤウト一度デハ生捕レナイカラ殘シテ置イテ二度目マデニ
  二人ヲ生捕ラウ、其手ヲ喰ウト云フ所ノ楠本君、島田君デナイノデアル、其
  手ヲ喰フ人バカリ多イカラ、矢張喰フト思ッテ殘シテ置イタケレドモ、ソレ
  ハ往ケナイ、早速侯爵ト伯爵ニシナケレバナラヌノデアル其位ノ事ハ知ッ
  テ居ルソレデモ彼等ハ却テ失策ガアリ失策ガアリ國ニ耻辱ヲ與ヘタ
  ノデアル、ソレニアル以上ハ其上ニシナケレバナラヌノデアル一四、一段
  上ニシナケレバナラヌ先ヅ假ニサウ云フコトヲ功ヲ論ズルノニ功ヲ差引
  ヲシテ惡事ヲ言フノハ、先ヅ是ハ宜クナイトシタ處ガ、幾ラマケタ處ガ總
  理大臣ダケノ位置ヲ踐マセナケレバナラヌノデアル、是ハ唯一場ノ話トシナ
  イノデアル、吾ミハ之ヲ眞面目ニ言フタノデアル、如何ノ故ニ立法部ヲ斯ノ
  如ク輕ク取扱フノデアル何故ニ之ヲ輕ク取扱フノデアルカデモウ一ツ
  ハ衆議院議員濱野茂君カ拘留ニ爲リマシタ是ハ諸君ガ御承知ダガ、此議會
  ニ通知ガゴザイマセヌ是ハナケレバナラヌ是ハ面倒ナ事ハナイ、多分忘
  レタデゴザイマセウカラ忘レタナラバ忘レタト云フ答辯デ宜シイ、次ハ三
  浦安-東京府知事三浦安ヲ宮中顧問官ニシタト云フコトハ如何デアル彼
  ハ府民ノ不信任ヲ得タ者デアル、府民ノ反對ヲ受ケ、府會ヲ解散シテ怨ヲ受
  ケタ者デアル此怨ヲ受ケタ者ヲ宮中ニ一ツ集メ二ツ集メシタトキハ宮
  中ハ怨ノ府ト爲ルノデアル、宮中ヲシテ怨ノ府トスルト云フコトヲバ、是ガ
  忍ベルカ宮中ト云フモノハ何レノ處デモ綺麗デナケレバナラヌ其中ニ
  宮中ノ顧問ハ最モ〓淨潔白ノ人物デナケレバナラナイ、人間ハ幾ラ不器量デ
  モ器量ガ足リナイデモ先ヅ精神ノ良イ正直ノ人間ト云フモノヲ宮中ニ
  集ムベキモノヲ、斯ノ如キ汚ラハシイ者ヲ宮中ニ入レテ君側ヲ穢シテソ
  レデ心ニ快シトスル大臣、卽チ鹿ヲ以テ馬トス爲ス、鹿ヲ以テ馬ト爲スコト
  ハ此事デアル鹿ヲ以テ馬ト爲ス、斯ノ如キ譯デアッテハ君ノ側ニハ忠臣
  ガ少クナッテ、依奸邪智バカリヲ以テ皇室ノ中ニハ依奸邪智ノヤツバカリニ
  爲ルノデアル、態トサウシテ皇室ノ信用ヲ薄カラシメル事ヲスルノデアルカ、
  但シハ伊藤總理ハ秦ノ趙高ノ眞似ヲシテ、己レノ意見ガドノ位行レルカ、三浦
  ヲ今度宮中ニ入レテヤカマシク云フヤッガ世ノ中ニアルカナイカ一ツ試シテ
  見ル、己レノ勢力試シニヤッタノデアルカ、何ニカ是ニハ仔細ガナケレバナラ
  ヌ斯ルマデノ馬鹿々々シイ事ヲスル伊藤總理大臣デハナイト今日マデハ信
  ジテ來タノデアル、如何ニ何デモ是ダケデハナイト思ッテ居ッタノデアル、是ニ
  於テハ國家ノタメニ-國家ノタメニ國ノ人民ノ怨ノアル者ヲ君側ニ置ク
  ト云フニ至ッテハ命チヲ懸ケテ聞カナケレバナラヌノデアル、又朝鮮ノ事
  ハ昨日モ遂ニ私ハ諸君ニ御迷惑ヲ掛ケマシタケレドモ、朝鮮ノ居留民ニ退
  去ヲ近頃命ジタ事件、是モ聞カナケレバナラナイノデアル領事ト云フモノ
  ハ今日退去ヲ命ズルコトハ日本ノ法律デアル、然レドモ此法律ト云フモ
  ノハヽ內閣ノ內閣ノ鼻息ヲ窺ッテ使フ法律デモナシ、外國ノ鼻息ヲ窺ツ
  テ使フ法律デモナイ此法律ヲ妄用サレタリ或ハ詔用サレタリ、「トウ」ハ
  ヘツラウ、謟ッテ用ヒラレテハ困ルノデアッテ、此領事ノ上野專一トカ云フ
  人ハ之ヲ此居留人民ノ梶山新介、葭瀕忠太郞ト云フ商人、此二人ハ治安妨
  害風俗壞亂ノ虞ガアルト云ッテ、三年間ノ退去ヲ命ジマシタノデゴザイマ
  ス是ニハソレダケノ理由ガアルノデゴザイマセウカラ其理由ヲ聞クノデ
  ゴザイマスガ、先ヅ此二人ノ品行ヲ諸君ニ御訴ヘ申シマスレバ、此二人ト云
  フモノハ、朝鮮ニ渡航シテ以來、日韓貿易ニ從事スルコト殆ド二十年、其間
  ドウ云フコトヲシタカト云ヘバ公共ノ事務ハ勿論、商業會議所ノ事ト、學校
  ノ事、寺院ノ事、病院ノ事、居留地ノ事、行政機關ノ設置ニ就イテ最モ與ツ
  テ力ノアル人デアルト云フコトヲ聞イテ居ル、サウシテ朝鮮ニ於テ、今日昨年
  來マデニ至ラシメタニ就イテハ、ソレ〓〓カノアッタト云フコトニ聞イテ居リ
  マス陽ハニ-梶山氏ハ陽ハニ梶山氏ハ元山商法會議所ノ議長デゴザイマ
  ス、葭瀕ト云フ人ハ其議員デアッテ、共ニ公共ノタメニ盡シツヽアッタノデア
  ル、故ニ自治的貿易、政府ノ餘リ世話ニナラナイ商人、政府ノ世話ニナラズ
  ニ外國ヘ輸出品ヲ出スコトニ就イテ、隨分立派ナ商人デアッタ、其上餘力アッ
  テ、前ノ仕事ヲ爲スコトニモ從事ヲシタコトデアリマス、此者ヲシテ治安妨
  害、風俗壞亂ノ虞アルト云フニ至ッテハ非常ナ事ガナケレバナラナイー
  非常ナ事ガナケレバナラナイ、斯樣ナ者ヲ、斯樣ナ有功者ヲシテ-斯樣ナ有
  功者ヲシテ、僅カ己ガ氣ニ喰ハナイカラシテー萬一己レガ氣ニ喰ハナイカ
  ラシテ治安妨害、風俗壞亂ノ虞ガアル抔ト云フ、斯ウ云フコトヲスルノハ卽
  チ治安妨害、風俗壞亂ナノデアル、ドウモ私ハ孰ガ治安妨害、風俗壞亂デアル
  カ分ラナイ領事ノ方ガ或ハ治安妨害風風壤亂デハナイカト思フ、デ、斯ノ如
  ク有爲、役ニ立ツ人間ヲシテ、ヤタラニ科人ニスルニ至ッテハ實ニ困ッタ話
  デアル、更ニ政府ノ側ノ人ミハドウデアル外國公使抔ト云フモノハ實·
  他ノ公使ハ措イテ、佛、獨、露此三國ニ往ッテ居ッタ所ノ公使抔ハ、揃モ揃ッテ
  間拔ケナ譯デゴザイマシタ、昨年抔ト云フモノハサウシテ是ハ卽チ風俗
  壞亂、治安妨害ノ公使デアルノデアルカラ遼東ヲ奪ハレタコイツモ風俗壞
  亂デアルノダ今又朝鮮在留ノ人ガドン〓〓殺サレテ、之ヲ一向ニ無頓著デ
  アルト云フコトハ治安妨害此上モナイノデアル國ヲ賣ッタト言ッタナラバ
  言葉ガ不穩當デアルダラウ一番朝鮮ニ就キ、遼東ヲ還付スルニ就イテモ
  尤モ神經的如何ニ好意ガアルカハ知レナイガ、表面ニ現レタ處デハ憎イ露西
  亞デアル彼ニ如何ナル好意ガアッテモ、形ニ現レタ處ニ於テハ許スベカラ
  ザル敵デアルノダ、此露西亞ニ御世辭ハ使ヒマスマイガ、餘程御世辭者ト見エ
  テ、近頃ハ勳章、御褒美ガ來タ、是ガ出テ欣喜、喜色面ニ溢ル斯ウ意氣地
  ナシガ卽チ風俗壞亂ト云フモノデアルノダ(拍手起ル)無罪ノ商人ヲ退去ヲ
  命ズ、是ニ就イテハ相當ナル立派ナル辯解ガナケレバナラヌカラシテ之ヲ
  承ルノデゴザイマス以上十二通ノナンデゴザイマス、中ニハ落チタノガア
  ルカモ知レマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=23

  ---

• 024・星亨

  ○星亨君(八番)　豫算委員會ノ報告ヲ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=24

  ---

• 025・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　星亨君
  〔星亨君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=25

  ---

• 026・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　豫算ニ就イテノ報告ガアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=26

  ---

• 027・星亨

  ○星亨君(八番)　是ヨリ豫算委員會ノ結果ト經過ヲ御報道致シマス、總豫算
  追加ガ癸丑ト云フノガ總豫算追加ニ爲ルソレカラ丙丁-特別會計ハ丙丁
  デゴザイマスソレニモウ一ツノ豫算外國庫ノ負擔トナルベキ契約ヲ要スル
  ト云フ議案、此五ニ就イテ御報道致シマス、ソレデ其總豫算ト特別會計トハ
  各〓聯關シテ居リマスカラ總豫算ノ癸ト云フノト、特別豫算ノ丙トヲ御報
  道致シテ、ソレニ次イデ又豫算外國庫ノ負擔トナルベキ契約、之ヲ御報道致
  シ其次デハ總豫算ノ丑ト云フ方ト特別會計ノ丁、之ヲ同時ニ御報道致セ
  バ宜カラウト考ヘル第一ニ總豫算ノ卽チ癸、特別豫算ニ於テ丁、是ハ昨日
  會議ヲ開キマシテ昨日直チニ議了致シマシタノデアル是ハナンデアルカ
  ト云ヘバ此帝國大學ニ於テ冶金科、冶鐵トカ、鐵ヲ鑄ルコトノ學科ガアル
  サウデアリマスソレヲ〓授スル人ガ目下足リナクナッテ、缺員ニ爲ッタカ
  ラ、ソレヲ補ハナケレバナラヌ然ルニ今迄是ガ遲クナッタ理田ハ今マデ
  ハ野呂博士ト云フ人ガ此科ヲ持ッテ居ラレタサウデ、然ルニ如何ナル譯カ拘
  留ト爲ッタノデアル、ソレデソレガ濟メバ矢張前ノ通ノ譯デゴザイマスル
  ガ、長ク掛ルデアラウト云フコトデ、待ッテ居ッタケレドモ迚モ濟ムマイ長
  ク掛ルノデアラウト云フコトデアルカラ、此會期ノ遲クナフタニモ拘ラズ差
  出シタノデアル、而シテ若シ此冶金ノ學科ヲシテ他ニ之ヲ持ツ人ガナケレ
  バ、ソレガタメニ課業ヲ休マナケレバナラヌト云フコトニ爲リマスカラシテ
  巳ムヲ得ズ豫算シテ請求シタト云フコトデアル故ニ豫算委員會ニ於テハ遲
  キ今日ノ時期切迫ニモ拘ラズ、昨夜ハ遲クナリ夜ニ入ッテ之ヲ決議シタ位デ
  ゴザイマスソレデ是ハドウデアルカト云ヘバ詰リ冶金ノヤウナ術ハ我國
  ニ於テハマダ不十分デアッテ、斯ウ云フコトヲスル人ハ少イ野呂其他ゴザ
  イマスケレドモ野呂ハサウ云フ譯デアリ、其他ノ人ハ別ニ製鐵所ノ方ニ囘
  ルガタメニ需要ガ多クシテ供給ガ少イト云フコトニ爲ッテ居ル、故ニ外國人
  ヲ雇フノ外ハナイト云フコトデ外國人ヲ雇フ、斯ウ云フコトノ豫算デアル
  ソレデ總豫算ニ於テ則チソレダケノモノヲ特別豫算ニ組込ミ總豫算ニ於テ
  -一般豫算ニ於テソレダケノモノヲ取ッテ、サウシテ特別ノ歳出入ノ方ヘ組
  入レル斯ウ云フコトニナリマスカラ癸ト云フノハ唯總豫算トシテ其金ヲ
  國庫ヨリ出ス、ソレカラ丙ト云フノハソレヲ特別會計トシテコチラヘ入レ
  ル、是ダケニ止ルノデアルサウシテ唯御注意ヲ願ヒタイノハ此特別ノ方
  デハ外國人ヲ雇フニ五千幾ラト云フ支出ニ爲ッテ居ルノニ收入ノ方ハ四千
  幾ラト云フコトニ爲ッテ居ルカラ、支出ト收入ト合ハナイヤウニナッテ居ル、是
  ハ今マデ野呂ニ向ッテ與ヘタ所ノ給料ト云フモノガ收入ノ中ニ這入ルコトデ
  アリマスカラ收入ハ四千何ガシデモ支出ノ方ノ五千何ガシニ當ルコトニ爲
  ル、是ダケガ或ハ御質問デモアラウト思ヒマカラ念ノタメ其事ヲ申上ゲテ置
  キマス、サウシテ次ハ豫算外國庫ノ負擔トナル、是ハ卽チ外國人デモゴザイマ
  スシ、一寸參ルト云フ譯ニモ往キマセヌカラシテ、三年間ノ約束ヲスル、サウ
  スルガタメニ此事ヲ諸君ノ御協賛ヲ得テ置カナケレバナラヌト云フコトニ爲
  リマスカラ卽チ癸ト丙トサウシテ豫算外國庫ノ負擔トナル此三案ノ結果ト
  經過ヲ御報道シタノガ唯今ノ通リデゴザイマス是ヨリハ丑、丁、是ニ就イテ
  御報道致シマスガ、丑ハ卽チ是ハ總豫算デゴザイマシテ、是ハ其所謂丁ノ方ノ
  特別豫算ニ於テ鐵道ノ事デゴザイマスガ、是ヲ卽チ可決致セバ其鐵道ニ對シ
  テ公債ヲ發シナケレバナラヌ、其公債ヲ拵ヘ、製造發行スルノ費用デ、總豫
  算ニ爲ッテ居リマス、丑ト云フ總豫算ト云フモノハ鐵道公債ヲ發行スル所
  ノ證書ヲ拵ヘル事ト、サウシテ發行スル費用、之ガ卽チ大藏省所管デ一万何
  ガシト云フコトニナッテ居ル、次ニ此丁ナル特別會計ハ鐵道建築費ニ於テ福島
  靑森、敦賀富山、ソレカラ八王子名古屋、篠ノ井鹽尻、此追加豫算デゴザイ
  マスル、是ハ先ニ昨日協議會ノ結果ト致シマシテ、此二十八年度ノハ昨日極
  リマシタノデゴザイマス、是レ亦昨日極ッタカラ今日豫算ヲ提出シナケレバ
  ナラヌヤウナ結果ニ爲ツタノデ已ムヲ得ナイ譯デ、卽チ衆議院ニ於テハ法律
  ガ極ッタ上、事ガ極ッタ上、又法律ガ極ッタ上デナケレバ豫算ヲ議セナイト
  云フ議論ニ爲ッテ居リマスカラ卽チ昨日ノ結果、協議會ノ結果ヲ御報道ニ
  爲リマシタカラシテ從ヲテ之ヲ昨日出シテ來ラレ今日私共ガ議シタノデア
  ル是ダケヲ豫算委員會ノ經過結果トシテ御報道致シマスガ、願ハクハ時期
  モ切迫致シ、又此事ハ今申スガ如ク必要缺クベカラザル事デゴザイマスルカ
  ラ議事日程ヲ變更セラレテ直チニ可決アランコトヲ希望致シマス
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=27

  ---

• 028・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　議事日程ノ變更ハ別段御異議ナシト心得マス
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
  (癸)明治二十九年度歲入歲出總豫算追加
  (丙)明治二十九年度特別會計歲入歳出豫算追加
  豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スルモノ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=28

  ---

• 029・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　議事日程ハ變更致シマシタ、而シテ此豫算案ハ癸ノ部、
  丙ノ部、ソレヨリ豫算外國庫ノ負擔トナルベキ契約ヲ爲スヲ要スルモノ皆
  文部省ニ關係シタル關連シタルモノデアルニ依ッテ三案ヲ合セテ決議ヲ採リ
  マスル三案共ニ御同意ノ諸君ハ起立
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=29

  ---

• 030・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　大多數、因テ癸、丙及豫算外國庫ノ負擔トナル契約ヲ
  要スルモノハ總テ確定ヲ報ジマス次ハ丑ノ部ニ就イテ決議ヲ採リマスー
  是ニハ御異議ゴザイマセヌカ
  (丑)明治二十九年度歲入歲出總豫算追加
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=30

  ---

• 031・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　別段御動議ナクバ確定ト決シマス
  異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
  (丁)明治二十九年度特別會計歲入歲出豫算追加

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=31

  ---

• 032・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　次ハ又大藏遞信兩省ノ所管ニ關スル特別會計豫算追加
  案卽チ丁ノ部此案モ御動議ナクバ同ジク確定ヲ報ジマス
  (「異議ナシ」ト呼プ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=32

  ---

• 033・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　次ハ日程ノ第一、地方學事通則中改正法律案一讀會
  ノ續野口勝一君
  第地方學事通則中改正法律案第一讀會ノ續(お前に至って、
  (政府提出貴族院送付)(長報〓

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=33

  ---

• 034・野口勝一

  ○野口勝一君(二百九十一番)　是ハ是カラ申上ゲマスガ、此地方學事通則中
  改正法律案ハ昨日委員會ニ於キマシテ原案通決定ニ爲リマシタモノデゴザ
  イマス此段ヲ御報道致シマス、ソレカラ是ハ簡單ナモノデゴザイマスカラ、
  是ハ最早讀會ヲ省略シテ決議ニナルヤウニ滿場ニ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=34

  ---

• 035・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　該案ハ委員長報告ノ通讀會ヲ省略スルコトニ御異議ゴ
  ザイマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
  地方學事通則中改正法律案(政府提出貴族院送付)確定議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=35

  ---

• 036・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　卽チ讀會ヲ省略シマスル御動議ナキヲ以テ該案ノ
  確定ヲ報ジマスル次ハ第二ノ日程ニ移リマスル、地方稅經濟ニ於テ臨時土
  木費ノ爲ニ起債及地租制限外賦課ノ件法律案第一讀會、朗讀ヲ省略シマスル
  第二地方稅經濟ニ於テ臨時土木費ノタメニ起債第一讀會
  及地租制限外賦課ノ件法律案(政府提出)
  〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲メ玆ニ揭載ス〕
  地方稅經濟ニ於テ臨時土木費ノ爲ニ起債及地租制限外賦課ノ件法律
  案
  第一條府縣制ヲ施行セサル府縣ニ於テ臨時土木費ヲ要シ地方稅ノ負擔ニ
  堪ヘ難キ場合ニ於テ府縣知事ハ府縣會ノ議決ヲ取リ內務大臣大藏大臣ノ
  認可ヲ得三十箇年以內ノ償還期限ヲ定メ公債ヲ起シ又ハ借入金ヲ爲スコ
  トヲ得但償還ノ初期ハ三年以內トスヘシ
  第二條府縣制ヲ施行セサル府縣ニ於テ臨時土木費ヲ要スル場合ニ於テ府
  縣知事必要ナリト認ムルトキハ府縣會ノ議決ヲ取リ內務大臣大藏大臣ノ
  認可ヲ得テ地租三分一ヲ超過スル地方稅ヲ土地ニ賦課スルコトヲ得
  第三條第一條ノ借入金ヲ爲スニ當リ府縣會ノ議決ニ依リ內務大臣大藏大
  臣ノ認可ヲ得テ其ノ府縣ノ備荒儲蓄金ヨリ其ノ年度初現在高ノ三分一マ
  テ借入ルルコトヲ得但本條ノ借入金ニ對シテモ相當ノ利息ヲ拂フヘキモ
  ノトス
  前項ノ場合ニ於テ臨時急施ヲ要シ府縣知事ニ於テ府縣會ヲ招集スルノ暇
  ナシト認ムルトキハ常置委員ヲシテ府縣會ニ代テ議決ヲ爲サシムルコト
  ヲ得常置委員ハ其ノ議決ヲ府縣會ニ報告スヘシ
  第四條第一條ノ認可ヲ得ントスルトキハ府縣會ノ議決ヲ經タル公債募集
  ノ方法又ハ借入ノ方法、利息ノ定率及償還ノ方法ヲモ併セテ內務大臣大
  藏大臣ノ認可ヲ受クヘシ
  第五條此ノ法律ハ明治二十九年四月一日ヨリ施行ス
  第六條明治二十三年法律第三號及法律第七十四號ハ此ノ法律施行ノ日ヨ
  リ之ヲ廢止ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=36

  ---

• 037・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　質問ガナケレバ日程ノ第三、委員ノ選舉ニ移リマス
  第三右議案ノ審査ヲ付託スヘキ特別委員ノ選擧

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=37

  ---

• 038・吉本榮吉

  ○吉本榮吉君(八十二番)　議長指名···

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=38

  ---

• 039・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　特別委員ハ吉本君ノ動議、議長指名ニ御異議ナシト認
  メマス因テ其通決シマスル
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=39

  ---

• 040・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　次ハ日程ノ第四ニ移リマスル、重要輸出品同業組合法
  案第一讀會、朗讀ヲ省略致シマス
  第四重要輸出品同業組合法案(政府提出)第一讀會
  〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
  重要輸出品同業組合法案
  第一條重要輸出品ノ製造又ハ販賣ニ關スル營業ヲ爲ス者ハ同業者又ハ密
  接ノ關係ヲ有スル二種以上ノ營業者相集リテ本法ニ依リ同業組合ヲ設置
  スルコトヲ得
  重要輸出品ノ品目ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  第二條同業組合ハ組合員協同一致シテ營業上ノ弊害ヲ矯正シ信用ヲ保持
  シ其ノ他共同ノ利益ヲ增進スルヲ以テ目的ト爲スヘ
  第三條同業組合ヲ設置セムトスルトキハ豫メ地區ヲ定メ其ノ地區內ノ同
  業者五分ノ四以上同意ノ上地方長官ヲ經由シ農商務大臣ノ認可ヲ請フヘ
  シ但二種以上ノ營業者相集リ組合ヲ設置セムトスルトキハ各種營業每ニ
  五分ノ四以上ノ同意ヲ要ス
  第四條同業組合設置ノ地區內ニ於テ組合員ト同一ノ業ヲ營ム者ハ其ノ組
  合ニ加入スヘシ但營業上特別ノ情況ニ依リ農商務大臣ニ於テ加入ノ必要
  ナシト認ムル者ハ此ノ限ニアラス
  第五條同業組合ハ法人トス
  同業組合ハ其ノ名義ヲ以テ營利ヲ目的トスル事業ヲ爲スコトヲ得ス
  第六條同業組合ハ組合相互ノ氣脈ヲ通シ其ノ目的ヲ達スル爲メ地方長官
  ヲ經由シ農商務大臣ノ認可ヲ經テ同業組合聯合會ヲ設置スルコトヲ得
  一府縣內ニ數箇ノ同種組合アル場合ニ於テ其ノ三分ノ二以上ノ同意ニ依
  
  ヘシ
  ノ組合ニシテ其ノ地區二府縣以上ニ跨ル場合ニ於テハ其ノ加入スヘキ
  組合聯合會ハ農商務大臣ノ定ムル所ニ依ル
  第七條同業組合ノ定款ハ組合創立會ノ議決ヲ以テ同業組合聯合會ノ定款
  ハ同業組合聯合創立會ノ議決ヲ以テ之ヲ定メ地方長官ヲ經由シ農商務大
  臣ノ認可ヲ受クヘシ
  第八條同業組合及同業組合聯合會ノ定款ノ變更ハ各其ノ定款ノ規程ニ從
  ヒ之ヲ議定シ地方長官ヲ經由シ農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
  第九條同業組合及同業組合聯合會ニ於テハ諸般ノ事項ヲ議定スル爲メ各
  其ノ定款ノ規程ニ從ヒ組合員中ヨリ議員ヲ選舉スヘシ
  第十條同業組合及同業組合聯合會ハ諸限ノ事務ヲ處理スル爲メ者其ノ定
  款ノ規程ニ從ヒ役員ヲ置クヘシ
  第十一條同業組合及同業組合聯合會ハ各其ノ定款ニ於テ檢査規程ヲ定メ
  各組合員ノ營業品ヲ檢査シ之ニ檢査證ヲ附スルコトヲ得
  第十二條同業組合ノ定款ニハ違約者ニ對シ二百圓以下ノ過怠金ヲ科スル
  ノ條項ヲ設クルコトヲ得
  第十三條同業組合ノ經費ハ組合員ニ於テ負擔シ同業組合聯合會ノ經費ハ
  聯合各組合ニ於テ負擔スヘキモノトス
  組合員ニシテ事情酌量スヘキ者アルトキハ組合會議ノ議決ニ依リ特ニ經
  費ノ負擔ヲ輕減若クハ免除スルコトヲ得
  第十四條同業組合ノ經費ヲ納期ニ納メサル者アルトキハ組合會議ノ議決
  ニ依リ市町村ノ收入役ニ囑托シテ之ヲ徵收スルコトヲ得
  收入役ノ督促ヲ受クルモ經費ヲ納メサル者ハ五十圓以下ノ過料ニ處ス
  第十五條同業組合及同業組合聯合會ノ役員ノ就任及經費ノ豫算竝ニ徵收
  法ハ地方長官ヲ經由シ農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
  經費ノ決算ハ地方長官ヲ經由シ農商務大臣ニ報告スヘシ
  第十六條同業組合及同業組合聯合會ハ行政廳ニ建議スルコトヲ得又行政
  廳ノ諮問及商業會議所ノ請求ニ應シ調査報告ヲ爲スヘキモノトス
  第十七條農商務大臣ハ公益上必要ト認ムルトキハ左ノ處分ヲ爲スコトヲ
  得
  一同業組合ヲ設ケシメ又ハ既設組合ノ地區ヲ變更セシムルコト
  二同業組合聯合會ヲ設ケシムルコト
  三營業品ノ檢査規程ヲ設ケシムルコト
  第十八條農商務大臣ハ同業組合及同業組合聯合會又ハ其ノ役員ノ行爲若
  クハ組合會議及組合聯合會會議ノ議決法律命令ニ違背シ又ハ公益ヲ害シ
  若クハ同業組合及同業組合聯合會ノ目的ニ違背スルモノト認ムルトキハ
  左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
  一役員又ハ議員ノ全部又ハ一部ノ改選ヲ命スルコト
  二議決ノ取消及會議若クハ行爲ノ停止ヲ命スルコト
  第十九條第四條ノ規程ニ違犯シタル者又ハ同業組合若クハ同業組合聯合
  會ノ檢査ヲ受ケサル營業品ニ其ノ檢査證ヲ附シタル者又ハ僞造若クハ模
  造ノ檢査證ヲ營業品ニ附シタル者ハ二圓以上百圓以下ノ罰金ニ處ス
  第二十條本法ノ施行ニ必要ナル規程ハ農商務大臣之ヲ定ム
  附則
  第二十一條本法ハ明治二十九年六月一日ヨリ施行ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=40

  ---

• 041・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　御質問ナキヲ以テ進デ日程ノ第五、委員選舉ニ移リマ
  ス
  第五右議案ノ審査ヲ付託スヘキ特別委員ノ選舉

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=41

  ---

• 042・吉本榮吉

  ○吉本榮吉君(八十二番)　是モ議長指名ニ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=42

  ---

• 043・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　前同樣議長指名ノ委員ニ付託スルニ御異議ナシト認メ
  マスル因テ其通決シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=43

  ---

• 044・深山聳つら

  ○深山聳峮君(二百三十番)　玆ニ緊急動議ヲ提出致シマス、本日ノ日程第七、
  第八ヲ此第六、第七ノ所ニ變更致シタイ其譯ハ昨日モ申シマシタガ本員
  ハ成ルベク片時モ早ク本院ノ通過ヲ切望致シマス、就イテハ、貴族院ヨリ提出
  ノ議案ハ政府案ノ次ニ附ケルト云フコトハ衆議院ノ規則ニモアリマスガ
  併ナガラ本會ノ同意ヲ得マシテ此場合ニハ緊急ヲ要スル問題ヲ先キニ致シ
  タイト考ヘマス滿場ノ同意ヲ得タイ
  (「贊成」「反對」ノ聲交〓起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=44

  ---

• 045・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　日程ノ第七及八ヲ第六ノ上ニ繰上ゲルト云フ日程變更
  ノ動議ガアリマス決議ヲ採リマス日程ノ變更ニ同意ノ諸君ハ起立
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=45

  ---

• 046・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　少數ト認メマス、日程ノ第六ニ移リマス、卽チ北海道
  鐵道敷設法案第一讀會ノ續

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=46

  ---

• 047・小畑岩次郎

  ○小畑岩次郞君(二百一二十六番)　本員ハ緊急動議ヲ提出致シマス、此議事日
  程ノ第三十二、卽チ府縣制法案デゴザイマス此法案ハ本院デ結了致シマシ
  テモ尙ホ貴族院ニ囘サナケレバナラヌ案デゴザイマス、目下誠ニ急要ニ迫ツ
  テ居ル案デゴザイマスカラ、此處ニ變更致シマシテ、直チニ終了アランコト
  ヲ望ミマス
  (「贊成」「反對」ノ聲交〓起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=47

  ---

• 048・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　日程ノ第三十二ノ議案ヲ繰上ゲテ、直チニ議題ニ供シ
  タイト云フ日程變更ノ動議
  〔「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=48

  ---

• 049・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　小畑岩次郞君ノ日程變更ノ動議ニ同意ノ諸君ハ起立
  起立者

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=49

  ---

• 050・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　少數ト認メマス
  〔「異議ヲ申立テマス」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=50

  ---

• 051・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　閉鎖相變ラズ記名投票ヲ用ヒマス--贊成ノ諸君
  ハ白ニ氏名ヲ記スルコトヲ要シマス反對ハ靑-是ヨリ點呼ヲ始メマス
  (町田書記官氏名ヲ點呼ス〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=51

  ---

• 052・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　開匣ヲ致シマスル-開鎖
  〔書記官投票ノ數ヲ計算ス〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=52

  ---

• 053・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　投票ノ結果ヲ報ジマスル
  總數百七十九
  可トスル者九十二
  否トスル者八十五
  無效二
  卽チ議事日程變更ニ決シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=53

  ---

• 054・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　府縣制改正法律案、-委員長多田作兵衞君
  府縣制改正法律案第一讀會ノ續(特別委員
  長報告

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=54

  ---

• 055・多田作兵衞

  ○多田作兵衞君(二百一一十五番)　今日ノ場合デゴザイマスカラ極簡單ニ報告
  致シマス府縣制改正法律案ハドナタニモ御囘シシテアリマスル通、各條ニ
  就イテ大分ノ修正ヲ加ヘマシタ是等ノ事ハ大體ニ於テ少モ變更ハ致シテ居
  ラヌノデゴザイマシテ此法律ヲ實地ニ施行致シマスレバ成ルベク差支ノ
  ト云フ所カラ當局者トモ打合セヲ致シマシテ、斯ノ如ク修正致
  ツァミカスタミナミニ此修正ノ理由ヲ一々御報道ヲ申スト云フコトデハ大分ノ時間ヲ費
  御質問ガゴザイマスナラバ各條ニ就イテ御答ヲ致スコトニ申
  上ゲテ置キマス
  〔「贊成々々」「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=55

  ---

• 056・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　二讀會ヲ開クベシト云フ決議ヲ採リマス
  異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=56

  ---

• 057・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　二讀會ヲ開クコトニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=57

  ---

• 058・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　然ラバ御異議ナキヲ以テ二讀會ヲ開クベキモノト決シ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=58

  ---

• 059・小畑岩次郎

  ○小畑岩次郞君(二百三十六番)　直チニ二讀會ヲ開キ、讀會ヲ省略シテ確定
  ニナランコトヲ
  〔「贊成」ノ聲起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=59

  ---

• 060・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　小畑君ノ動議、直チニ二讀會ヲ開クコトニ御異議ハゴ
  ザイマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=60

  ---

• 061・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　御異議ナキヲ以テ直チニ二讀會ヲ開クコトニ決シマス
  府縣制改正法律案第二讀會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=61

  ---

• 062・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　朗讀ヲ省略致シテ、委員會ノ修正案ヲ議題ト爲シマス、
  而シテ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=62

  ---

• 063・吉本榮吉

  ○吉本榮吉君(八十二番)　全部ヲ議題ニ付セラレンコトヲ
  〔「贊成」ノ聲起ル〕
  〔工藤行幹君「盲判ダ盲判ダ」ト呼フ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=63

  ---

• 064・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　第一章ヲ以テ先ヅ議題ト爲シマス
  一括シテ」ト呼フ者アリ又「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=64

  ---

• 065・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　第一章ハ御異議ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=65

  ---

• 066・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　御異議ナシト認メマス、因テ第一章ハ委員會ノ修正通
  決シマス
  (「全部ヲ一括シテ議題ト爲スヘシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=66

  ---

• 067・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　此案ニハ別段贊成反對ノ通告モアリマセヌ、因テ以
  下ハ全部ヲ以テ議題ト爲シマス
  〔豐田文三郞君「ソンナ馬鹿ナ事ハアルモノカ、一遍デモ讀ンダカ」ト
  呼フ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=67

  ---

• 068・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　御異議ノアル處ハ御發議ヲ請ヒマス
  (「異議ナシ」ト呼フ者多シ「決議」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=68

  ---

• 069・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　全部ニ就イテ決議ヲ採リマス
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=69

  ---

• 070・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　別段御異議モナイ、因ッテ全部ヲ委員會ノ修正案通ニ
  決定シテ宜シウゴザイマスカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=70

  ---

• 071・楠本正隆

  ○議長(楠木正隆君)　御異議ナケレバ第二章以下全部モ亦委員會ノ修正案通
  ニ決定ヲ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=71

  ---

• 072・草刈親明

  ○草刈親明君(二百三十二番)　直チニ三讀會ヲ開カレンコトヲ望ミマス
  〔「贊成々々」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=72

  ---

• 073・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　草刈君ノ動議、直チニ三讀會ヲ開クコトニ御異議アリ
  マセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=73

  ---

• 074・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　然ラバ直チニ三讀會ヲ開キマス
  府縣制改正法律案第三讀會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=74

  ---

• 075・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　該案全部ニ御異議ナシト認メマス、因テ該案ノ確定ヲ
  報ジマス次ハ第六ニ進ミマス、北海道鐵道敷設法案、第一讀會ノ續福
  田久松君
  第六北海道鐵道敷設法案(貴族院提第一讀會ノ續(特別委員
  出長報告

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=75

  ---

• 076・福田久松

  ○福田久松君(八十四番)　私カラ御報道致シマス、極短クゴザイマスカラ席
  カラ申シマス0.本案ニ就キマシテハ私カラ御報道申シマス本案ハ調査ノ御
  依託ヲ受ケマシテ前後二一囘ノ委員會ヲ開キマシテ卽チ其結果ニ依ッテ諸君
  ノ御手許ヘ差上ゲマシタ通ノ議決ヲ致シマシタ、卽チソレハ唯九條デ、一箇條
  加ヘルト云フダケノ決議デゴザイマス、其他ハ總テ貴族院カラ囘付ニナリマ
  シタ通ノ決定ヲ致シマシタ、ソレデ委員會ノ大體ノ模樣ヲ申上ゲマスガ、此九
  條ヲ加ヘルト云フ御說ガ一ツ、ソレカラモウ一ツハ私設鐵道ニ許ス場合ニ
  ハ相當ノ利子ヲ附スルト云フ御說ト、二ツシカ出マセヌデスソレデ此第九
  條ヲ入レルト云フダケノ說ハ多數ヲ得マシテゴザイマスガ、相當ノ利子ヲ附
  シタイト云フ御說ニハ多數ノ贊成者ガゴザイマセヌ是ハソレマデニハ心配
  スルニハ及ブマイ、ソレハ政府ノ心得モアラウシ、其時ノ經濟社會ノ又模樣モ
  アラウソレマデニハ此法律デ立入ラヌデモ宜カラウト云フ御趣意カラ、過半
  數ノ贊成ガゴザイマセヌ、ソレデ右ノ通ニ委員會ハ決シテゴザイマス、勿論此
  案ハ一寸シタ案デゴザイマスルガ免ニ角三百万圓ノ公債ヲ募ルト云フ案デ
  ゴザイマスカラ案ハ一寸シテハゴザイマスルガ經濟市場ニ非常ノ關係ヲ
  有ッテ居リマスカラ質問應答ハ政府委員トモ澤山ゴザイマシタ併ナガラ
  ソレヲ一々委シク申上ゲマスト期日切迫ノ際デ面倒デゴザイマスカラ略シ
  マスガ、其模樣ハ御質問ガアレバ御答致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=76

  ---

• 077・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　此案ハ貴族院ヨリノ送付ニシテ、委員會ノ修正ハ此案
  ノ末ニ新ナル一條ノ挿入ガアルノミデゴザイマス、因テ時日モ切迫ノ際デ
  アルニ依リ是ハ讀會ヲ省略シテ決議シタ方ガ議事ノ進行上便利ダラウト思ヒ
  マスガ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者多シ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=77

  ---

• 078・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　然ラバ讀會ヲ省略シテ決議ヲ採リマス
  北海道鐵道敷設法案(貴族院送付)確定議
  (「委員會ノ修正ニ贊成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=78

  ---

• 079・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　第八條マデハ原案ノ通ニテ御異議ゴザイマセヌカ
  我ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=79

  ---

• 080・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　御異議ナキヲ以テ第八條マデハ原案ノ通決シマス、末
  尾ニ委員會ノ修正案ニ於テ新ナル一條ノ挿入ガアリマス
  〔「異議ナシ」ト呼フ者多シ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=80

  ---

• 081・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　是レ亦御異議ナキヲ以テ、委員會ノ修正通ニ決シマス
  而シテ右ノ通該案ノ確定ヲ報ジマス、次ハ第七、家祿賞典祿處分法案
  第七家祿賞典祿處分法案第一讀會ノ續
  [小鷹狩元凱君演壇ニ八豆ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=81

  ---

• 082・小鷹狩元凱

  ○小鷹狩元凱君(二百六十三番)　此案ハ昨日最後ニ出シマシタ所ノ案デゴザ
  イマスルガ人數ノ少數ニ爲ッタガタメニ定數ヲ缺キマシテ今日ニ爲リマシ
  タノデ(「簡單」ト呼フ者アリ)勿論極簡單ニヤリマスノデゴザイマスルガ少
  少修正文ガゴザイマスカラ其事ヲ一寸一口諸君ニ御通知申上ゲテ席デ申
  上ゲマスト餘リ偏鄙ニ居リマスカラ御分リ兼ネヤウト存ジマスデ登壇致
  シタ譯デゴザイマスカラ極簡單ニヤリマスデ御聽キヲ願ヒマス總體此
  本案ハ全會一致ヲ以テ贊成サレタト申シマスルコトハ昨日申上ゲテ置キマ
  シタガソレ故ニ今日ハ此修正ニ爲ッタ理由ダケヲ一寸申上ゲマス第一條
  ノ明治三年九月十日藩制施行ト申シマスルノハ此家祿賞典祿ノ處分ヲスル
  モノハ藩制施行ヨリ後レマスルト云フ御考カラ此提出者ノ本員ガ出タ譯デ
  ゴザイマスルガ元ト祿制ト云フモノハ彼ノ明治二年ノ六月十七日ニ諸侯ガ
  版籍ヲ奉還致シマシテソレヨリ版籍奉還ヲ致シタ以上ハ版土ト云フモノ
  ハ悉ク諸侯ガ朝廷ヘ返還ヲ致シマシテ就イテハソレ
  リマス所ノ一般士卒ト云フモノガ殘ラズ此六月十七日ニ於キマシテ、日式咖喱博物館
  ト云フモノハ一時ナクナッタ譯デゴザイマスソレ故ニコソ
  十五日ニ彼ノ行政官ヨリノ達ガゴザイマシテ藩主ハ是マデノ領分ノ現高ノ
  十分ノ一ヲ以テ藩主ノ祿ト定メラレ、ソレニ標準シテ一般ノ藩臣ニソレ〓〓
  適當ノ祿ヲ更ニ與ヘルヤウニト云フ其標準ヲ立テヽアルコトデゴザイマス
  カラ之ヲ明治三年ノ九月十日ノ藩制施行ト云フコトニ致シマスルト、成ル
  程藩制施行ト申シマスルコトハ、大ニ是カラ一變致シマシテ、彼ノ藩政ノ
  藩ノ政ヲ施シマスル階段ノ一段落ヲ進メタ譯デハゴザイマスルガ此祿ト
  申シマスルモノハ其以前ニ既ニ制定ニ爲ッタ譯デゴザイマシテ又此明治
  三年九月十日ノ後ト致シマシテモ往々定メラレタ譯デ强チ藩制施行ト云
  フ日ヲ以テ定メルト申シマスルノハ稍〓穩當ヲ〓ク譯デゴザイマスカラ唯
  今申シ上ゲマシタ如ク此版籍奉還ト申シマスルモノニ致シマスト、明治三年
  九月十日前、凡ソ一箇年間。程ノ間ニ處分ヲ誤ッタモノモ洩レナキ譯デアル
  若モ明治三年九月十日藩制施行ノ後ニ致シマスルト卽チ版籍奉還後一年間
  程ニ於テ彼ノ處分ヲ誤ッタト申シマスルモノハ、巳ムヲ得ズ十分ニ受取ル所ノ
  權利ガアルニモ拘ラズ、此思典ニ加ラヌト云フ譯デゴザイマシテ朝廷ヨリ
  一視同仁ノ思澤ヲモ〓クト云フ譯テゴザイマスカラ、ソレ故ニ版籍奉還ト云
  フ日カラ致シマスレバ一人モ漏レナクシテ恩澤ヲ受ケルト云フ處ヨリシ
  テ、版籍奉還ノ以後カラノモノト云フコトニ爲ッタ譯デゴザイマスソレカ
  ラ其次ニ矢張第一條ノ第一行ニ「有セシ」トゴザリマスガ之ヲ「有スヘキ」ト
  直シマシタノハ、此先キノ第一項ニ家祿賞典祿ヲ全ク給與セザルモノト云フ
  ノガ原案ニゴザイマシテ、此一項ニ於キマスルト畢竟家祿賞典祿ヲ全ク給與
  セザルモノヽタメニ此恩典ガアル譯デゴザイマスルノニ、然ルニ之ヲ(有名)
  シ」ト致シマスルト、此藩制施行ノトキニハ既ニアッタモノヽヤウニモ見エマ
  スルシ、又版籍奉還ノ以後ト致シマスレバ、前ニモ申シマシタ如ク版籍奉還ノ
  日ニハ一般ノ者ガ諸侯ヲ始メ諸侯ノ臣子タル士卒ニ至ルマデ殘ラズ家祿
  俸祿ト中シマスルモノハナクナッタ譯デアリマスカラ、其版籍奉還ヨリ以後
  家祿賞典祿ヲ有スベキト斯ウ致シマスルト、誤ノタメニ遂ニ處分ヲ受ケマシ
  テ家祿ヲ貫ハヌモノモ、又此後彼ノ前ニモ申シマシタ明治三年六月二十七
  日ノ行政官ノ達ニ依ッテソレノ處分ニナリマシタモノモ洩レル譯ハナイ
  コトデゴザイマスカラソレ故ニ「有スヘキ」ト之ヲ直シマシタ譯デゴザイマ
  ス、ツレカラ第一條ノ但書ニ「正當ノ手續ニ依リ」ト云フ文字ガゴザリマスル
  ガソレデハ甚ダ區域モ分ラヌコトデゴザイマスルシ殊ニ此次ニゴザリマ
  スル所ノ彼ノ明治二十七年ノ二十號ノ改正モアルコトデゴザイマスルノデ
  之ヲ明ニ致シテ「常事犯罪ノ爲」ト致シマスレバ其事柄モ能分ルト申ス處ヨ
  リシテ「常事犯罪ノ爲彼ノ正當ノ手續ニ依ルト云フコトニ消シマシテ「常
  事犯罪ノ爲」ト之ヲ改正ニ爲ッタノデゴザリマス、ソレカラ其次ハ第一項ノ修
  正デゴザイマス是ハ唯語路ノ直シデゴザイマシテ「初メ給與セサルモノ」ト
  ゴザイマシタノヲ「ル」ノ字ヲ「リシ」ト致シマシテ唯是ハ語路ヲ調ベタマデ
  ノコトデゴザイマシテ、何ニモ意味ノ變フタ譯デハゴザイマセヌ、其次ハ第三
  條ノ二行目デゴザイマスルガゝ此第三條ノ二行目ノ大藏省ト申シマスルノハ
  一般ノ法律ニ多クハ大臣トゴザイマスルカラソレデ是ハ「大藏大臣」ト「省」
  ノ字ヲ「大臣」ト變ヘタ譯デコザイマス是ダケガ此家祿賞典祿處分法案ニ就
  キマシテ修正致シタデ此段御報告致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=82

  ---

• 083・工藤行幹

  ○工藤行幹君(百二十番)　一寸質問ヲ致シタイ、此法律ガ成立チマスルト、
  誠ニ吾〓一個人モ誠ニ有難イ事デゴザイマスルガ矢張一條ノ第二項抔ニ至ッ
  タナラバ大變吾ヽハ大キナ金ヲ貫ヘテ宜カラウト思ヒマスカラ極有難ィ
  事ト思ヒマスルガ併ナガラ又現今軍備擴張トカ、國家ノ費用ト云フモノガ實
  ニ容易ナラヌ場合デアル然ルニ斯ノ如キ法律ヲ出シテ國家ガ行屆クナラ
  バ結構ナ事ダト思ヒマスガ此藩籍奉還後ノ第一項、二項ニ當ッテ居ル者ハ
  之ヲ悉ク遣ルト云フタナラバ或ハ國家ノ經濟ノ許サス維持ニ堪ヘラレヌ
  程ノ事ガアリハセヌカト云フ私ハ心配ヲ抱イテ居ル故ニ凡ソ之ニ對シ
  テ此法律ガ通過シテヤルナラバ凡ソドレダケノ公債證書ヲ發行シテ更〓
  士族ニ祿ヲ呉レナクチャナラヌガ定テ御取調モアツタダラウト思ヒマス
  若シ委員會ニ於テソレ等ノ調ガナイト云フナラバ政府委員ノ御答デモ宜
  イガ〓略其事ヲ承ラヌケレバ吾ミモ委員ノ一人トシテ、此高ガ幾ラニモ爲ル
  カ國家ノ經濟ガドウ云フ工合ニ爲ルカト云フコトヲ承ラヌデ之ヲ議スルト
  云フコトハ出來ヌカラ因テ委員長ガ御答ガ出來ルナラバ委員長カラ御答ヲ
  得タイ委員長ガ御答ガ出來ナイナラ政府デ-政府委員カラ御答アランコ
  トヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=83

  ---

• 084・小鷹狩元凱

  ○小鷹狩元凱君(二百六十三番)　是ハ前日提出者ノ深山君カラモ委シク御話
  ニナッタコトデアリマスガ)凡ソ數ハ四百九十万圓餘、五百万圓未滿デアラ
  ウト云フコトデゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=84

  ---

• 085・工藤行幹

  ○工藤行幹君(百十番)　サウ云フ委員長ノ方ノ御見込ナレバ宜シイノデゴザ
  イマスガ尙ホ政府委員ニ御尋シタイ此法律ガ施行スレバ果シテ此委員
  ノ調ベタ通四百五十万圓、六十万圓デ出來得ルヤ否ヤト云フノ政府委員ノ御
  見込ガアラウト思ヒマスカラソレヲ承リタイ
  〔政府委員大藏省國債局長曾根靜夫君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=85

  ---

• 086・曾根靜夫

  ○政府委員(曾根靜夫君)　工藤君ニ御答ヲ致シマスルガ、先ヅ大藏省ガ是マ
  デ講願書ノ出マシタ數ニ就イテ、〓略ノ金額ヲ計算シテ見タコトガアリマス
  ノデゴザイマス是ハ一千万以上ニ及ブト大藏省ハ認メタ併シソレハ請願
  書ニ出テ居ルモノヽミニ就イテ計算シタノデアリマス本案ハ藩制施行ノ時
  ヲ起點ニシテ原案ガアリマス處ヲ委員會ニ於テ尙ホ又遡ッテ版籍奉還ト云
  フコトニ爲リマシタ故斯ウナリマスルト云ト幾許ノ金額ニ爲ルト云フコト
  ハ、決シテ其推算モ出來ナイ是ハ非常ナ巨額ニ爲ルモノト本員ハ認メテ居
  ルノデアリマス(「ノウノヽ」ト呼フ者アリ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=86

  ---

• 087・工藤行幹

  ○工藤行幹君(百十番)　政府委員ニ今一應御尋ヲシマスガ、此家祿ノ事ニ就
  イテハ第一期ノ議會以來種々請願ノアルノデゴザイマスル、ソレヲ其時ニ此
  衆議院ハ或ハ至當ト認メタ事ハ政府ニ轉送シテ居ル積デアル然ルニ爾來政
  府ハ何等ノ事モセナイト謂ハナケレバナラヌ何モ其治績ガ見エナイカラ
  政府ハ唯てーぶるノ中ヘ突込ンデ置イタラウト思ヒマスガ果シテ何ノ詮議
  モシナイノデアリマスカ又或ハ取調ベテ是ダケノ分ハヤラナクチヤナラヌ
  ト云フヤウナ見込デモ立ッテ居ルノデゴザイマスルカ是マデ此人民ノ願出
  ニ就イテ衆議院ハ之ヲ政府ニ轉送シテ居ルモノニ對シテ政府ハ如何ナル
  取調ヲシテ居ルカ其取調ノ程度ハ如何ナル場合マデ運ンデ居ルカト云フコ
  トノ政府ノ意思ヲ承リタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=87

  ---

• 088・曾根靜夫

  ○政府委員(曾根靜夫君)　工藤君ニ御答致シマス至極御尤ナ御尋デアリマ
  ス政府ハ帝國議會開會以來此復祿ト稱ヘマスル請願ニ就キマシテハ貴
  衆兩院ヨリ或ハ採擇スヘシト云フ御意見ガ附イテ居リ或ハ又採用スベシト
  認メルト云フヤウナル趣意ヲ以テ添書ガ附シテアリ或ハ其內ニハ參考トシ
  テ囘スト云フ部類モアリマスガ免ニ角人民ノ休戚ニ關スル事柄デアリマス
  ルカラ、政府ハアリトアラユル記錄ニ就キマシテ取調ベタノデアリマス政府
  ハ貴衆兩院ノ議ヲ重ズルヤ、決シテ等閑ニ附シテ居ラナイノデアリマス審
  ニ取調ベテ見マシタ處ガ、何分今日ノ事態之ヲ容レル途ガナイノデアリマ
  ス因テ巳ムヲ得ズ政府ハ拒絕スルコトニ廟議ヲ決シマシテ既ニ此第九議
  會ニ於キマシテモ貴族院ノ方ヨリ旣ニ百件近イ此復祿ノ請願書ヲ御囘シニ
  ナッテ居ルノデアリマス、ソレ等ニ就キマシテモ政府ハ存在シテ居リマス
  記錄ニ照シマシテ調査ヲスルダケハ調査ヲ致シ詮議ヲスルダケハ詮議ヲ
  盡シタノデアリマスケレドモ
  トニ廟議ヲ決シマシテサウシテ人民ニハ指令ヲシテシマヒマシタノデ
  マス單ニ人民ニ指令ヲシタト言ヒマシテハ"text "〓〓＼何カ貴衆兩院カラ囘{"title "〓〓
  對シテ政府ガ指令ヲシタカト云フヤウナ御疑ガアルカモ知レマセヌガサ
  デハナイ
  バ請願人ニ於テハ最早兩院ヲ通過シタニ依ッテ之ニ當ル金額ヲ下ゲテ呉
  レト云フヤウナル請願ガ門戶ヲ更ヘタ行政部ノ方ヘ陸續ト請願書ガ出マス
  アリマス、其請願ニ就キマシテハ、政府ハ採用セヌコトニ廟議ヲ決シマ
  シテテサウシテ殘ラズ「詮議ニ及ヒ難シ」ト云フ指令ヲ附シテ、所管ノ地方官
  ヘ囘シテシマヒマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=88

  ---

• 089・工藤行幹

  ○工藤行幹君(百十番)　今一應簡短ニ承リタイ本員等ノ見ル所ニ依リマ
  ルト此家祿處分ノ事ニ就イテハ出願ガ澤山アッテ、其內ニ千差萬別デアルガレ一至ス
  極尤ノヤウニ思ハレルモノモアル或部分ニ至ッテハ同性質ノモノニシテ
  方ニハ渡シテ他ノ一方ニハ渡サヌト云フガ如キ類モアルト思ヒマス、ワ
  等モ既ニ政府ニ轉送シテ居ルト思ヒマスガ唯今政府委員ノ言フ所デハ殘
  ラズ採用ハ出來ヌト云フコトニ承ッタヤウノデゴザイマスガ果シテ是マデ
  衆議院カラ囘シタモノニ一廉モ採ルベキ廉ガナイト云フノデゴザイマスカ
  或ハ多數ハ採ラナイトモ幾分カ其中ニ採ルベキ廉ガアルト云フ御見込ノモ
  ノガゴザイマスカ、一廉モ採ルベキモノガナイト云フ極端ナ論デアルカ、其
  邊ヲ承リタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=89

  ---

• 090・曾根靜夫

  ○政府委員(曾根靜夫君)　政府委員モ均シク人デアリマスカラ、單ニ事情ノ
  一方ヨリノミ見マスレバ隨分多數ノ請願中ニハ憫諒スベキモノデアル氣
  ノ毒デアルト思フモノモナキニシモアラズデアリマスケレドモ、御承知ニ爲ッ
  テ居リマセウ明治九年ノ百二十三號ノ布告ト云フモノガアリマシテ卽チ
  今日ヨリ見レバ一ノ法律此法律ヲ以テ斷然打切ッテアリマス如何樣ナ事
  情ガアッテモ採用セヌト云フコトニ爲ッテ居リマスノデ此法律ノ有效ナル
  以上ハドウアッテモ政府ハ今日之ヲ容レル途ガナイデアリマス如何ニモ
  憲法發布以前ニ於キマシテハ一二特別ノ行政處分ヲシタコトガアルノデア
  リマスケレドモ憲法發布以降ニ至ッテハ一モ採用スル途モナシ、又採用
  シタコトモナイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=90

  ---

• 091・工藤行幹

  ○工藤行幹君(百十番)　尙ホ一應御尋致シマス、唯今政府委員ノ御答ニ依レ
  バ或ハ憫諒スベキモノガアルトカ何トカ云フコトヲ言ハレマスルガ吾
  吾ハ政府ニ對シテ哀願スルト云フヤウナ事ヲ取次グノデハナイ法律ニ依ヅ
  テ相當採ルベキモノガアルト云フコトヲ認メテ之ヲ申立テルノデアッテ昔
  ノヤウニ哀願スルト云フヤウナソンナ界屈ナ根性ハ毫モ持ッテ居ラヌノデ
  アル、併シ唯今政府委員ハ何號トカノ法律ニ依ッテ其以降ハ出來ヌト云フ
  成ル程法律ト云フモノハサウデゴザリマセウガ、今一應承リタイノハ、此事
  柄ニ就イテ全ク政府ノ過誤ニ出タコトハ明ニ證據ガアッテモソレヲ採ラヌ
  ト云フノデゴザイマスルカ現ニ其證據ガ歷々トシテアッテ、同ジ種類ノ中ノモ
  ノデ一方ニハ下付ニ爲リ一方ニハ下附ニ爲ラヌト云フガ如キ政府ノ現
  ニ取扱ニ爲ッタモノデ政府ノ役員ノ取扱ノ過誤カラ出タモノデアッテモ採
  ラヌト云フノデアリマスカ其處ヲ伺ヒタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=91

  ---

• 092・曾根靜夫

  ○政府委員(曾根靜夫君)　明治九年ノ百二十三號ノ布告ヲ御覽下サルト善ク
  分リマス縱令官吏ガ萬一ニモ調違等ガアリマシテモ此法律ガ有效ナル以
  上ハ之ヲ容ルヽ途ハナイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=92

  ---

• 093・深山聳つら

  ○深山聳峮君(二百三十番)　政府委員ニ一應伺ヒマス、工藤君ノ質問ニ對シ
  テ政府委員ガ答ヘラレマシタ事ヲ聽キマスルトドウモ今日ニ於テ之ヲ處分
  スルノ途ガナイノデアル、ソレ故ニ採用スルコトガ出來ナイト云フヤウニ答
  辯ヲセラレタヤウニ覺エマスガ是ニ至ッテ尋ヲ起サナケレバナラヌ此途
  ガナイト云フコトヲ政府委員ガ唱ヘラレルノハ何ヲ根據トセラルヽカト云
  ヘバ、取リモ直サズ彼ノ明治六年ノ三十五號ノ布告、及明治九年百二十三號
  ノ布告ヲ以テ彼ノ期限後ニ至ジテハ如何ナル事情アリト雖モ採用セスト
  云フコトガ達シテアル故ニ之ヲ採用スルノ途ガナイノデアルト云フコトヲ
  根據トシテ言ハレルコトデアラウト考ヘル卽チ此事ハ過日來此委員會ニ於
  キマシテモ、政府委員ガ之ヲ根據トシテ跳付ケルノ材料ニシタノデアリマス
  所デ尙ホ本會ニ於テ工藤君ノ御尋ニ對シテ彼ノ說ヲ唱ヘラレテ居ル甚ダ吾
  成ル程此三十五號ノ達及九年ノ百二十三號ニ依レバ或ハ採用セ
  如 フラント云フコトモ書イテアル然ラバ其以來ハ悉ク採用シテ居ラヌカト言ハナ
  處 力 ケ 子 吾レバナラヌ然ルニ採用シテ居ル、ソレハ何處デアルカト言ヘバ彼ノ愛
  高知ノ如キ鹿兒島ノ如キ澤山ニ之ヲ採擇シテカラニ、其以後
  分ヲシテ居ルノデアル其處分シタ〓末ヲ申シマシタナラバ斯クミヽノ
  次第デゴザイマス卽チ明治十四年一月二十五日ニ於テ、鹿兒島縣ノ卽チ鹿
  兒島藩ノ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=93

  ---

• 094・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　アナタノハ議論デアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=94

  ---

• 095・深山聳つら

  ○深山聳峮君(二百三十番)　決シテ議論デハナイ政府ニ對シテ聞クノデア
  ル、質問デアル-村田經衞外九名ニ對シテ四千三百三十圓ト云フ金ヲ渡シ
  タ、卽チ家祿誤謬處分ト云フ訂正ヲ許可シタソレカラ又明治十四年ノ四月
  十四日同藩ノ面高俊吉外六百四十六名ノ者ヘ、十九万四千五百圓ヲ下賜シテ
  アル是前同斷デアッテ家祿處分誤謬訂正デアルソレカラ明治十四年五
  月二十四日ニ同藩ノ上面〓次郞外五名ヘ對シテ五百圓ヲ同樣與ヘテ居ルソ
  レカラ明治十五年六月二十三日同藩ノ山内喜納治ト云フ者ニ六百三十五圓ト
  云フモノヲ下賜シテ居ル明治十五年ノ九月六日同藩ノ鎌田宗之丞ヘ四百七
  十圓ト云フモノヲ處分シテ居ルソレカラ明治十七年三月十二日ニ同藩ノ松
  下矢一外二名ニ對シテ三百三十圓ヅツト云フモノヲ與ヘテ居ルソレカラ明
  治十八年ノ五月一日ニ同藩ノ益滿新左衞門ト云フ者ニ對シテ三百三十五圓ト
  云フモノヲ與ヘテ居ルソレカラ又高知縣ノ高知藩武市半平太外六名ノ者ニ
  對シテハ明治二十二年ノ十二月ニ五十五石六斗七升ノ石高ニ對スル金祿公
  債證書ヲ與ヘテ居ル尙ホ其外愛知縣ニモ與ヘテアルノテゴザイマス澤山
  デアリマスカラ略シマス是等ハ彼ノ百二十三號及明治六年ノ三十五號ト云
  フ達ヲ御覽ニナラヌノデゴザイマスカ是ハ卽チ此達ヲ以テ一切採用セヌト
  云フナラバ此等ノ卽チ處分ハ何ガ故ニシタノデアルカ之ヲ採用シタナラ
  バ何ヲ以テ今日出願シテ居ル所ノ者ニ對シテ不當處分ヲ改メルコトガ出
  來ヌノデアルカ、彼等モ均シク臣民デアル、何ノ罪ガアッテ此處分ヲセヌノ
  デアルカ承リタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=95

  ---

• 096・曾根靜夫

  ○政府委員(曾根靜夫君)　深山君ニ御答ヲシマスガ、如何ニモ百二十三號ノ
  布告發布ノ後、愛知縣、鹿兒島縣高知縣等ニ處分ヲシタ事ガアルコトハ
  本員モ記錄ニ依ッテ見テ居リマス併シ此內高知縣ノ分、是ハ特旨ニ出テ居
  ルモノト記憶シテ居ルソレカラ愛知縣ノ分ハ當時當局者ガ法律ノ解釋ヲ
  今日トハ異ニ致シ其タメニ處分ニ爲ッテ居ルソレカラ鹿兒島ノ分モ矢
  張是ハ明治九年ノ百二十三號ノ布告ノアルニモ拘ラズ、當時ノ當局者ガ、今
  日トハ法律ノ解釋ヲ異ニシテ處分ガシテアルノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=96

  ---

• 097・深山聳つら

  ○深山聳峮君(二百三十番)　尙ホ一言

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=97

  ---

• 098・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　是ハ如何デゴザイマスカ、答辯ノ趣意ハ能ク分リマシ
  タト思ヒマスガ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=98

  ---

• 099・深山聳つら

  ○深山聳峮君(二百三十番)　特旨ト云フコトヲ聞キタイ、特旨ト云フノハド
  ウ云フノデアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=99

  ---

• 100・曾根靜夫

  ○政府委員(曾根靜夫君)　特旨ト云フコトハ、極平ッタク言ヒマスレバ至
  尊ノ思召ニ出テ居ルト云フコトデアル

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=100

  ---

• 101・深山聳つら

  ○深山聳峮君(二百三十番)　然ラバ其金ハ皇室費カラデモ出テ居リマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=101

  ---

• 102・曾根靜夫

  ○政府委員(曾根靜夫君)　ソレハ國庫ヨリ出テ居ルト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=102

  ---

• 103・深山聳つら

  ○深山聳峮君(二百三十番)　ソレデハ同ジ事ダ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=103

  ---

• 104・草刈親明

  ○草刈親明君(二百三十二番)　私ハ一言御尋致シマス、此鹿兒島縣等ノ訂正
  處分ノコトニ就イテ深山君ノ御問ヒニナリマシタ祿高ト云フモノハ當局
  者ガ法律ノ解釋ヲ誤ッタト云フコトデアル斯ウ云フ御答ト承知致シマス
  當時ノ官吏ガ法律ノ解釋ヲ誤ッテサウシテ國庫ノ費用ヲ徒ラニ之ヲ鹿兒島
  縣人ニ與ヘタト云フコトナラバ、是ガ囘復ノ途ヲ現今ノ政府ガ講ジナケレバ
  ナラヌモノト思ヒマス、卽チ不當處分取消ノ方法ヲ今日ハシナケレバナラヌ
  モノデアルト思フ、然ルニ現政府ハ先キノ官吏ガ爲シタ事ハ法律ヲ誤ッテ
  サウシテ誤謬ノ處分ヲシタノデソレガタメニ徒ラニ國庫ノ費用ヲ費シタト
  云フコトヲ御認ニナッテ居ルニ拘ラズ、今日マデ訂正ノ御處分ガナイノハド
  ウ云フモノデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=104

  ---

• 105・曾根靜夫

  ○政府委員(曾根靜夫君)　草刈君ニ御答ヲ致シマス、本員ハ法律ノ解釋ヲ異
  ニシテ居ッタト御答ヲ致シタノデアリマス、深山君ニ對シテ法律ノ解釋ヲ誤ッ
  タトハ申シマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=105

  ---

• 106・草刈親明

  ○草刈親明君(二百三十二番)　法律ノ解釋ヲ過ッタト言フモ、異ニシタト言
  今ノ政府カラ見タラ同ジテアリマセウ法律ノ解釋ヲ異ニシテサウ
  シテ誤ツヲ仕事ヲシタソレニ法律ノ解釋ヲ異ニシテ誤ッテ處分ヲシタノモ
  同ジ事デアル少シク責任ヲ有シテ御答ニナルコトヲ望ミマス餘リ無責任
  ダ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=106

  ---

• 107・重野謙次郎

  ○重野謙次郞君(二百三十九番)　私ハ贊否ニ苦ミマスカラ一言御問シタ
  イ深山君カラノ御話ト、委員長ニ代ッテノ報告ヤ何カデ稍〓分ッテ居リマ
  シタガ今ノ御答辯ニ依リマスト家祿復祿ヲ下ゲルト云フコトハ法律ニ
  依ッテ請願ヲ容レナイト云フコトニナルダラウト思フ元ト此請願ト云フモ
  ノハ臣民ガ特有ノ權利デアル、又政府之ヲ許否スルノハ法律ニ依ッテ許
  否スルモノデアルト云フコトハ明デアルト思フ然ルニ今ノ御答ニ依ッテ見
  ルト特旨ニ依ッテ下ゲタト云フコトガ出來ルノデアル斯ウ云フコトデス
  カ特旨ト云フコトハ一體ドウ云フコトデスカ私ハ今マデ考ヘタ所デハ
  政府ハ下ゲナイト云フノハ法律上當箝マラヌノデアルト云フコトデアツタト
  思フ然ルニ特旨ニ依ッテ法律ニ依ラズシテ下ゲタト云フコトデアレバ、此
  後モ特旨ニ依ッテ下ゲルト云フコトニ爲ルデアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=107

  ---

• 108・曾根靜夫

  ○政府委員(曾根靜夫君)　重野君ニ御答シマスガ高知ノ分ノ武市半平太其
  他七八名ノ者ト覺エテ居リマス是ハ非常ナ勤王家デアリマシタ故、其當時
  思召ヲ以テ復族、復祿ト云フ處分ガシテアルト云フコトハ記錄ニ依ッテ見
  ルダケノコトデ將來ニ向ッテサウ云フコトヲスルカト云フ御尋デアリマス
  レバ、ソレハ今日ハ法律ノ在ル以上ハ法律ニ依ッテ致シマスケレドモ、特旨
  ト云フコトハ本員ガ答辯ノ限デナイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=108

  ---

• 109・草刈親明

  ○草刈親明君(二百三十二番)　今一應伺ヒタイ、唯今ノ特旨ト云フコトハ、非
  常ノ勤王家デアルガ故ニ特旨ヲ以テ復祿ノ處分ヲナシタト云フ其言葉カラ考
  ヘテ見レバ今日復祿ノ請願ヲシテ居ル者ハ悉ク逆賊ト認メルノデアリマス
  カ其中ニハ勒王家ハ一人モナイト云フノデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=109

  ---

• 110・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　此上ハ議論ニ爲リマスサウナラ登壇ヲ促シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=110

  ---

• 111・曾根靜夫

  ○政府委員(曾根靜夫君)　本員ハ本案ニ對シマシテ聊カ反對ノ意見ヲ述ベマ
  ス依ッテ御〓聽ヲ煩シマス本案ノ委員會ヘ本員ハ出席致シマシテ去ル二
  十一日二十二日ノ兩日間ニ段々政府ガ本案ニ同意ノ出來ヌ所以ヲ陳述致シマ
  シテアリマスソレハ速記ニ爲ッテ居ル筈デアリマス故定メテ諸君ニ囘ツ
  テ居リマスガマダ囘ッテ居リマセヌカ知レマセヌガ囘ッテ居リマスレバ諸
  君ニ於テ最早·御了承ニ爲ッタコトヽ承知シテ居リマス餘リ長イ事ハ申シマ
  セヌガ本案ニ對シマシテハ政府ハ絕對的ニ反對ヲ表明致シマスナゼ政府
  ガ本案ニ對シテ絕對ニ反對スルカト云ヘバ反對アラテモ本案の實際執行ノ
  出來ヌモノト見テ居ルノデアリマス前ニ工藤行幹君ヨリ御質疑ノ時分ニ
  應申述ベマシタ通リ元ト此案ト云フモノハ段々帝國議會開會以來貴衆兩院
  ニ復祿ト唱ヘル請願書ガ出マシテソレニ起因シテ斯ウ云フコトニ爲ッタラ
  ウト本員ハ考ヘマスガ、此事ニ就イテハ政府ハ盡スダケノ詮議ヲ盡シ、種々取
  調ヲ致シテ見タノデアリマスガ、何分今日ノ事態之ヲ容レルコトガ出來ナイ
  此木案ノ提山ニ爲リマシタ理由書ヲ讀シア見マシテモ、凡ソ御精神モ分ッテ
  居リマスガ(深山聳峮君「百二十三號ノ釋解ヲ過ッテ居ル政府委員ハ止メタマ
  ヘ」ト呼フ又「貴重ノ時間ダ窮シタ答辯ハ止メタマヘ」ト呼フ者アリ)暫ク御聞
  キ下サイドウアッテモ政府ハ本案ニハ反對ヲシナケレバナラヌ理由ト云フ
  モノハ、之ヲ實行スルコトガ出來ヌト云フノガ一ノ理由デアリマスモウ
  ッ
  〔「窮シタ答辯ハ止メ給ヘ」ト呼フ者アリ「ヤリ給ヘ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=111

  ---

• 112・楠本正隆

  ○議長(楠木正隆君)　成ルタケ靜肅ヲ要シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=112

  ---

• 113・曾根靜夫

  ○政府委員(曾根靜夫君)　明治六年ノ三十五號、九年ノ百二十三號布告ト云
  フモノハ決シテ今日之ヲ廢止スベキ必要ハナイト思ヒマス
  (深山聳峮君「頭ノ禿ゲタ無能力者ハダメダ」ト呼フ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=113

  ---

• 114・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　靜肅ニナサラナケレバイケマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=114

  ---

• 115・曾根靜夫

  ○政府委員(曾根靜夫君)　ナゼ政府ガ本案ニ反對シ、又實行ガ出來ヌト云フ
  コトハ一通リ祿制ノ沿革ト云フモノヲ諸君ノ御〓聽ニ入レタイト存ジマス
  諸君ニ於テモ御承知ニ爲ッテ居リマセウガ、抑ふ此祿制ノ改革ト云フモノハ
  (「止メロ」ト呼フ者アリ「謹聽々々」ト呼フ者アリ)明治二年ノ六月各藩ガ藩籍
  ヲ奉還致シマシテ
  〔「ダメダ〓〓止メロ〓〓」ト呼フ者アリ「政府ノ意見ヲ聞カナケレバ分
  ラヌ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=115

  ---

• 116・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　諸君言語ノ上ニ於テ敬意ヲ失ハヌヤウニ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=116

  ---

• 117・曾根靜夫

  ○政府委員(曾根靜夫君)　先ヅ成ルベク御靜聽ヲ願ヒマス、明治二年ノ六月
  各藩ガ版籍ヲ奉還シマシテ藩知事ト云フモノニ爲リマシタ藩知事ト爲リ
  マシタケレドモ其時ト云フモノハ此各藩ノ藩士ノ祿ト云フモノニハ少モ手
  ヲ著ケテ居ナイ矢張舊來ノ儘デ居ッタノデアリマス決シテ版籍奉還ノタ
  メニ各藩ノ士族ノ秩祿ノ增減ノ事ハ手ガ著イテ居ラヌノデアル又此權限モ
  各藩ノ知事ト云フモノニ委任シテアッタノデアリマス、ソレカラ越テ明治三
  年ノ九月十日ニ藩制施行ト云フコトガアリマス是ハ御承知ノ通リ藩制施行
  ト云フコトハアリマシタガ其第六項「功アッテ祿ヲ增シ罪アッテ祿ヲ褫キ
  及ヒ一切ノ死刑ハ朝裁ヲ請フヘシき」斯ウ云フコトガアリマスニ依リ、明治三年
  ノ藩制施行ト云フトキニ賞罰ニ依ッテ祿ヲ增減スルト云フ權限ハ中央政府ニ
  移ッタノデアリマスケレドモ其他賞罰ニ依ラザル祿ノ增減ハ依然トシテ各
  藩ノ藩主ノ權限ニ委任シテアッタノデアリマス其翌年卽チ明治四年ノ七月
  十四日ニ至ッテ廢藩置縣ト云フコトガアル是ハ諸君モ御承知ノ通明治ノ
  歷史ニ於テ一大變革デアル此時ニ當リマシテ始テ各藩ノ各士族ノ秩祿ト云
  フモノヲ中央政府ハ引繼ヲ受ケタノデアリマスソコデ廢藩置縣ニ至ツタ故
  ニ中央政府ト云フモノハ各藩ヨリ引繼ヲ受ケテサウシテソレ〓〓支給ノ
  途ヲ立テナケレバナリマセヌカラ各地方官ヘ命ジ明治四年七月二十四日太
  政官ヨリ布告ヲ發シテサウシテ各藩ノ士族ノ祿高ト云フモノヽ調査ヲ爲シ
  タノデアリマス、其明治四年ノ七月一十四日ノ太政官ノ布告ヲ發シテ各藩ノ
  士族ノ祿高ト云フモノヽ調査ニ著手致シタ、之ガ卽チ今日大藏省ニ存在シテ
  居ル各藩士族ノ祿高帳ナルモノデ是ヨリ以前ノ祿ニ關スル記錄ト云フモノ
  ハ中央政府ニハ一切無イノデアリマス斯ウ云フ次第ニ爲ッテ居リマスニ依
  リ本案ノ通或ハ藩制施行ノ時ヲ起點ニシ、若クハ封土奉還ノ時ヲ起點トスル
  斯ウ云フコトニ爲リマシタ所ガ、奈何セン中央政府ニハ藩制中ノ祿高ニ關ス
  ル記錄ト云フモノハ一モナイノデアリマス假ニ此本案ヲ實行スルト致シタ
  所ガ其祿高ハ各藩ノ士族ハ幾許取ッテ居ッタヤラソレヲ支給セヌノハド
  ウ云フ次第デ支給セヌノヤラ少モ分ラナイ卽チ各藩知事ノ適宜ノ處分ニ任
  カシテ居ッタノデアル斯ウ云フ次第デアルニ依リ本案ガ縱令通過致シマ
  シタ所ガ、各藩知事ノ腦膸次第ニ或ハ增シモシ、或ハ減ラシモシテ居ッタ
  時分ノ事ヲ今日ヨリ一一十年前ニ遡リマシテ、是ハ當デアル、是ハ不當デアル
  是ハヤルベキモノデアル是ハヤルマジキモノデアルト云フ調査ヲシヤウト
  言ッタ所ガ決シテ是ハ出來マセヌ譯デアルノデアリマス、斯ウ云フ次第デ
  アリマス故、ドウシテモ本案ハ執行スル途ガナイ、執行スル途ノナイモノハ
  同意ヲ表スルコトハ出來マセヌノデアリマス是ガ卽チ本案ニ反對スル要領
  デアリマス
  〔「討論終結」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=117

  ---

• 118・首藤陸三

  ○首藤陸三君(二百七番)　今到底調ガ付カナイト云フ御演說デアリマシタ
  ガ愛知縣其他ノ諸縣ノ舊士族ニ金祿ヲ下渡サレタトキハ何ノ證據ニ據ッ
  タノデアリマス縱令政府委員ノ言ハレル通、當時解釋ヲ異ニサレテアッテ
  も、何カ原簿ガナケレバ愛知縣ノ士族ニ向ッテ三十餘万圓ト云フ所ノ金祿公
  債證書ヲ下渡サルベキ筈ガナイノデアル果シテ政府委員ノ言ハレタ通、到
  底今各地ノ請願書士族ヨリ貴衆兩院ヘ提出シタ所ノ請願書ハ悉ク採ル
  ベキ所ノ帳簿ガナイト云フ御說明ノヤウニ承リマシタガ果シテ左樣デアリ
  マスカ、且ツ愛知縣其他ノ諸縣ニ下渡サレタノハ、ドウ云フ帳簿ニ依ッテ下渡
  サレマシタカ吾ミノ信ズル所ニ依ルト愛知縣ノ士族ニ三十餘万圓ト云フ
  モノヲ下ゲタト、元ト同一ナル種類ノモノガアッテ、ソレ等モ今日請願ヲシ
  テアルノデアリマス何ノ帳簿ニ依ッテ下渡サレタカ、明確ナル御答ヲ得
  タイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=118

  ---

• 119・曾根靜夫

  ○政府委員(曾根靜夫君)　帳簿ハ一切無イノデアリマス、其當時處分シタノ
  ハ彼ノ申立ヲ信用シテ處分シタコトヽ見エマス
  〔「採決」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=119

  ---

• 120・直原守次郎

  ○直原守次郞君(七十九番)　唯今ノ御演說ニ就イテ一寸御質問申上ゲマス
  ガ政府ガ此案ヲ防グノハ唯執行ガ出來ナイト言フノデアリマスカ、或ハ
  其途ガナイト云フノハ是マデノ法律ニ抵觸スルト言フノデアルカ、或ハ今
  日ノ事態ガ許サヌト言フノデアルカ其要〓ヲ承リタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=120

  ---

• 121・曾根靜夫

  ○政府委員(曾根靜夫君)　御答シマスルガ今日ノ法律云々ト云フコトハ、
  苟モ今日諸君ガ法律ヲ御立案ニナル權限ヲ御持チニ爲ッテ居ル以上ハ此席
  ニ於テ申シハ致シマセヌ申シハ致シマセヌガ此處ヘ提出ニ爲ッテ居リマ
  ス案ガ縱シ本院ヲ通過致シマシタ所ガ、決シテ是ハ執行スルコトノ出來ヌ
  法案ト政府ハ見テ居ルソレ故ニ反對スルノデアリマス
  (「採決」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=121

  ---

• 122・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　最早諸君ノ質問モ盡キタリト認メマス、因テ······

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=122

  ---

• 123・工藤行幹

  ○工藤行幹君(百十番)　私ハ少シ意見ヲ述べタイモウイケマセヌカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=123

  ---

• 124・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　前ニ述ベタル理由ニ依リ此案モ亦讀會ヲ省略シタ方ガ
  宜シカラウト思ヒマスガ如何デゴザイマスカ
  〔「異議ナシ」「異議アリ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=124

  ---

• 125・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　讀會省略ニ御異議ナシト認メマス、因テ讀會ヲ省略シ
  テ決議ヲ採リマス
  家祿賞典祿處分法案確定議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=125

  ---

• 126・工藤行幹

  ○工藤行幹君(百十番)　少シ私ハ是ニ就イテ意見ヲ述ベタイ
  (「討論終結」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=126

  ---

• 127・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　一寸御待チナサイ、愈〓質問ガ濟ンデ···

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=127

  ---

• 128・工藤行幹

  ○工藤行幹君(百十番)　此案ノタメニ私ハ惜ムベキ事ガアルカラ一言申シタ
  イ
  (「採決」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=128

  ---

• 129・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　此場合、討論終局ト云フ御方ガアルガ、未ダ討論ガナ
  イノデアル討論ガナイ前ニ終局ノシヤウガナイ-工藤行幹君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=129

  ---

• 130・工藤行幹

  ○工藤行幹君(百十番)　私ハ極ク簡單ニ申シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=130

  ---

• 131・草刈親明

  ○草刈親明君(二百三十二番)　ソレナラ私モ贊成ノ通〓ヲ······

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=131

  ---

• 132・工藤行幹

  ○工藤行幹君(百十番)　此提出者ニ對シテ私ハ御忠告ヲ申スノデアル、私ハ
  此案ニ絕對的ニ反對デハナイ誠ニ是マデノ出願者ノ所ヲ見レバ、至極御尤ナ
  事モ往々アルノデゴザイマス故ニ、私ガ此趣意ヲ徹底シタイカラ之ヲ御忠告
  申スト云フノデ其御忠告ノ要點ハ之ヲ延シタラドウデアラウカト云フノ
  デアルト云フノハ政府ト此提出者ト極端カラ極端ニ趨ッテ居ルノデゴザイ
  マス何故ナレバ政府ハ絕對的ニ誤ッメモノマデヤラヌト云フノハ實ニ不
  當極ッタ事デアル又委員會ニ於テ版籍奉還後ト云フコトハ、ドウモ私ノ
  考デハ是カラ以後ト云フコトハ實ニ實際ニ行ヒ難イト云フヤウナコトガア
  ルダラウト思フノデゴザイマスソコデ此多クノ中ニ是〓ノ者ハヤル是
  是ノ者ハヤラヌト云フ、此區別ノ事ハ餘程調査シテ掛ラナケレバ玉石混淆ス
  ルヤウナ譯ニ爲ルダラウト云フコトヲ私ハ憂フル今ヤ會期將ニ明日ヨリナ
  イト云フトキニ政府ハ斯ノ如ク絕體的ニ反對シテ居ルモノヲ、貴族院デハ
  ドウナルカ知レナイケレドモ之ヲ否決セラレテ見レバ一般ノ請願者ノ不
  幸申スマデモナイ今此處デ一日ノ中デ之ヲ否決セラレタ所ガ何ニモナラヌ
  カラ斯ウ云フ切迫ノ時ニアラズシテ之ヲ吾〓ハモウ少シ調査シテ此次
  ノ會期ニ於テ能ク此期限ノ立テ方抔ハ餘程能ク注意シテ掛ラナクテハナルマ
  イ、或ハ此三年ノ九月十日藩制施行以後ト書クノモアリ、版籍奉還ト云フヤウ
  ウナコトニ爲フタラバ最モ困難ヲ極メルダラウト思フ是ハ極端カラ極端
  ニ趨ツテヤッテハ、却テ請願者ノ本意ニモ反キ、一體ノ人情ニモ反クモノデア
  ルカラモウ少シ之ヲ提出者ハ御見合セニナッタラ宜カラウト云フコトヲ私
  ハ忠告スル併ナガラソレモ出來ヌト云フナラバ私ハ巳ムヲ得ズ反對致ス
  ノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=132

  ---

• 133・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　工藤行幹君ノ意見ハ、決議ヲ延期シタイト言フノハ何
  時マデノコトデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=133

  ---

• 134・工藤行幹

  ○工藤行幹君(百十番)　迚モ此會期ハイケナイカラシテ、之ヲ引イテシマッ
  テサウシテ·

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=134

  ---

• 135・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　然ラハ、アナタノハ本案ニ對スル一ノ反對說ト心得マ
  ス決議ヲ採リマス
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=135

  ---

• 136・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　委員會ノ修正案ヲ以テ決議ヲ採リマス、全部委員會ノ
  修正案ニ同意ノ諸君ハ起立
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=136

  ---

• 137・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　多數ト認マス、因テ委員會ノ修正案通該案ノ確定ヲ報
  ジマス、次ハ日程ノ第八明治二十七年法律第二十號中改正法律案第一讀會ノ
  續關信之介君
  第八明治二十七年法律第十一一號中第一讀會ノ續(特別委員)
  改正法律案長報告
  〔關信之介君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=137

  ---

• 138・關信之介

  ○關信之介君(百十四番)　諸君、私ハ委員長ニ代リマシテ明治二十七年法律
  二十號改正案ニ關スル委員會ノ經過及其結果ヲ御報道致シマス本案ニ就キ
  マシテハ本月二十一日ノ午前九時ヨリ委員會ヲ開キマシテ委員長ニハ多田
  作兵衞君理事ニハ村上芳太郞君ガ當選致サレマシタデゴザイマス然ルニ
  最早議會閉會ノ期モ目睫ノ間ニ迫ッテ居リマスル故ニ同日午後一時ヨリ更
  ニ會議ヲ開キマシテ提出者ニ向ヒ又政府委員ニ向タテ交〓質問ヲ爲シタ結
  果同日議了スルコトガ出來マセヌデ其翌二十二日ハ日曜日ナルニモ拘ラ
  ズ午前九時ヨリ會議ヲ開キマシテ、直ニ審議討論ノ末大多數ヲ以テ修正案ノ
  如ク可決致シマシタ次第デゴザイマス此委員會ガ此修正案ヲ滿場一致ヲ以
  テ可決致シマシタルニ至リマシタ所ノ理由ヲ之ヲ聊カ申上ゲマスルノハ甚
  ダ必要ノ事ト考ヘマスナゼナレバ先刻曾根政府委員ハ他ノ是ト殆ド類似シ
  テ居ル所ノモノニ向ッテモ非常ナル反對ヲ致シマシタガタメニ、此案ニ向ッテ
  反對ヲ致スニ相違ナイト思ヒマス故ニ吾〓委員會ガ此案ヲ贊成致シマシ
  理由ヲ簡單ニ述べマスル、元來此法案ト云フモノハ明治二十二年勅令第十
  二號大赦ノ思典ヲ全タカラシメントスルモノデゴザイマス之ヲ詳言致シマ
  スレバ帝國議會開會以來彼ノ勅令第十二號大赦令ニ依リ恩典ニ浴シマシ
  タ所ノ士族ガ其族ニ伴フ祿ニ代フル所ノ公債證書ヲバ下付ヲ請ヒ而シ
  テ大赦ノ恩典ヲ全カラシムルコトヲ希望スト云フコトノ請願ト云フモノ
  ハ帝國議會開會以來今日ニ至ルマデ陸續當院及上院ニ參ッテ居ル次第デクア
  リマス、而シテ此上下兩院ニ於テハ、此請願ハ理由アルモノト認メマシテ悉ク、此請願ハ理由アルモノト認メマシテ悉
  採擇シ、且ツ前期議會ノ如キニ至ッテハ政府ハ唯本院及上院ノ熱望ヲ採納シテ
  而シテ此事ニ關スル定案ヲ出サナイト云フモノハ甚ダ不都合ノ話デアル故
  ニ速ニ此定案ヲ出スベシト云フ所ノ建議ヲ爲シタルニモ拘ラズ、此本期議會
  ニ向ッテモ素知ラヌ顏ヲシテ居ルノデゴザイマス故ニ吾〓ハ卽チ委員會及
  此當院ニ於テ當院自ラ此立案ヲ改メマシテ而シテ玆ニ法律案ト致シマシテ
  提出スルニ至リマシタ次第デゴザイマス、然ルニ明治二十七年ノ法律第二十
  號ト云フモノハ如何ナルモノデアルカト云フト、諸君御承知ノ如ク明治三
  年九月十日ヲ以テ分界ト致シマシテ明治三年九月十日以前ノ者ニハ勅令第
  +二號ノ恩典ノ全部乃チ族ヲ復スルト共ニ祿ヲ與ヘ又明治三年九月十日以
  ノ者ニハ族ヲ與ヘタノミデ祿ヲ與ヘナイト云フヤウナ次第デゴザイマス
  斯ノ如キハ決シテ國家ガ大赦復權ノ者ヲ待ッノ道ニ適ッタモノトハ考ヘラレ
  マセヌゝ故ニ吾·ハ((前輩々々)下呼ノ者アリ)マア諸君ノ箇車上云フコ
  アリマスカラ直グニ言ヒマス、吾ミガ此改正ヲ希望致シマシタルノハ明治維
  新後ノ臣民ハ卽チ均シク王土ノ臣民デアリマシテ大赦ノ恩典ニ浴スレバ均
  シク年號ノ如何ニ依ッテ此恩典ニ浴スル者ト浴セヌ者ガアルベキ筈ガナイ
  故ニ本案ノ如ク改正スルナラバ普ク其恩典ニ浴スルコトガ出來マシテ彼
  ノ沒祿ノタメニ活路ヲ失ヒ路頭ニ彷徨シツヽアル舊士族ヲシテ此恩典ノ有
  難イ事ヲ知ラシメ而シテ此國家及吾ミ立法部ガ此國民ヲ待ッニ就イテ偏重
  偏輕ノ處置ガナイト云フコトヲ知ラシメントスルニ外ナラナイノデゴザイマ
  ス是カラ政府委員ノ反對シマシタコトヲ申述べマシテハ往ケマセヌカ(「モ
  ウ宜シイ簡單々々」ト呼フ者アリ)斯ノ如キ次第デアリマスカラ滿場一致ヲ
  以テ本案ニ御贊成アランコトヲ希望致シマス且ツ又此案モ前案ト均シク讀
  會ヲ省略致シマシテ直チニ御決議アランコトヲ希望致シマス
  (政府委員大藏省國債局長曾根靜夫君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=138

  ---

• 139・曾根靜夫

  ○政府委員(曾根靜夫君)　本案ニ對シテハ前囘ニ於テ政府ハ絕對的反對デ
  アルト云フ所以ノ要領ヲ述ベテ置キマシタデ、最早長イ事ハ申述べマセヌ
  申述べマセヌガ本案ヲ尙ホ熟覽致シマスルニ、是ハ御承知ニモ爲ッテ居リ
  マス通、委員會ニ於テハ藩制施行以後ト云フモノヲ、維新ヨリ明治九年八月
  太政官第百八號布告マデノ間ニ於テ云々ト斯ウ云フコトニ御修正ニ爲ッテ居
  リマ·ス王政維新ト云フ其時期ト云フモノハ思フニ是ハ德川氏ガ大政返上
  致シマシテ間モナク大詔ノ出マシタ此時期ヲ指スコトヽ認メマス又之ニ相
  違ナイノデアリマスサウ致シテ見マスルト本案ハ王政維新ノ布告ノ出マ
  シタ時カラ明治八年ノ太政官第百八號ノ布告、卽チ金祿公債證書條例ノ出マ
  シタマデノ間ニ於テ國事犯ノタメニ祿ヲ沒收セラレタル者ハ、其沒收セラレタ
  當時ノ祿高ニ基イテ之ヲ處分スル、斯ウ云フ法案ニ爲ッテ居リマス、左樣致
  シマスルト是ハ取リモ直サズ王政維新以後ノ國事犯ノ收祿ト云フモノハ盡
  ク此法律ノタメニ處分換ヲシナケレバナラヌト云フコトニ爲リマス先ヅ重
  ナル方カラ數ヘマスレバ諸君モ御承知ノ通、奧羽兩國ノ諸侯卽チ一旦滅藩
  ト爲リマシテ新ニ藩ヲ立テラレマシタ者センレータルハウニルクノールズノート
  分カヲ削ラレタ者、是等ノ者ハ盡ク其收祿
  ルト云フコトニ爲リマス一例ヲ舉ゲテ見マスレバ會津ハ二十八万石デア
  リマシタガ、卽チ其二十八万石ノ高ヲ戾シテヤルト斯ウ云フコトニ爲リマ
  ス又仙臺デ言ヒマスレバ舊ト六十有餘万石デアッタノヲ一旦滅藩ニナリ
  マシテ更ニ二十何万石ト云フモノヲ新封セラレテアリマス故ニ其沒收セラ
  レタ高卽チ六十何万石ト云フモノニ戾ッテ之ヲ處分シテヤル斯ウ云フ注文
  ニ爲ッテ居ルノデアリマス、蓋シ起草案者ノ精神ト云フモノハ(「サウデナイ」
  ト呼フ者アリ)サウ云フ精神デハアルマイトハ本員モ推察ハスルノデアリマ
  スケレドモ、奈何セン法文ハサウナッテ居ル、法文ガサウナッテ居ルガ故ニ
  是ガ通過致シマスレバ其法文ニ依ッテ之ヲ執行シナケレバナラヌ斯ウ云
  フコトニ爲ル左樣ナ事ガ今日出來得ルモノデアリマセウカ又爲ス必要ガ
  アルモノデアリマセウカ是ハ申スマデモナク諸君ノ腦裏ニ能ク分ッテ居ル
  コトヽ存ジマス、旁~政府ハ此法案ニ對シテハドウアッテモ是ハ執行ガ出
  來マセヌト申サナケレバナラヌ執行ガ出來マセヌ故ニ絕對的ニ反對ヲスル
  所以デゴザリマス、前囘ニ於テ一應申述ベマシタノニ附加ヘマシテ、尙ホ此
  事ヲ申述ベテ置キマス
  〔「採決々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=139

  ---

• 140・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　決議ヲ採リマス、該案モ亦前例ニ從ヒ讀會ヲ省略シテ
  決議ヲ採ルコトニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
  明治二十七年法律第二十號中改正法律案確定議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=140

  ---

• 141・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　御異議ナシト認メマス因テ讀會ヲ省略シマス委員會
  ノ修正案ヲ議題ト爲シテ決議ヲ採リマス、委員會ノ修正案ニ同意ノ諸君ハ起
  立
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=141

  ---

• 142・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　多數、卽チ委員會ノ修正案通該案ノ確定ヲ報ジマス、
  玆ニ報告ノ件ガアリマス
  〔町田書記官朗讀〕
  貴族院ヨリ囘附セラレタル議案左ノ如シ
  日本勸業銀行法案
  農工銀行法案
  河川法案

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=142

  ---

• 143・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　此河川法案ノ貴族院ノ修正ハ、印刷ノ上諸君ノ御手許
  ニ最早御配布申シテ置キマシタ其他ノ案ノ修正ハ今日中ニ御配布致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=143

  ---

• 144・湯本義憲

  ○湯本義憲君(百六十五番)　私ハ唯今御報告ニ相成リマシタ河川法案、之ヲ
  議定スルガタメニ議事日程ノ變更ヲ提出致シマス滿場ノ諸君既ニ議會モ今
  明日ニ至リ此法案ハ過般追加豫算案モ議定ヲ致シマシタ位ノ場合デゴザリ
  マスドウカ議事日程ヲ變更致シテ此場合ニ於テ議了致スコトヲ御同意ア
  ランコトヲ切望致シマス
  (「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=144

  ---

• 145・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　湯本義憲君ヨリ直チニ河川法案ヲ議スガタメニ日程變
  更ノ請求ガアリマス
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=145

  ---

• 146・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　滿場御異議ナシト認メマスル、日程ハ變更致サレマシ
  タ卽チ河川法案ヲ以テ議題ト爲シマスル
  河川法案(貴族院囘付)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=146

  ---

• 147・湯本義憲

  ○湯本義憲君(百六十五番)　私ハ此席ヨリ簡單ニ述ベマス······

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=147

  ---

• 148・星亨

  ○星亨君(八番)　修正案ノ文ヲ御朗讀ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=148

  ---

• 149・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　湯本君該案ハ貴族院ノ修正ヲ朗讀シテ、修正全部
  ニ就イテ同意スルヤ否ヤノ決議ヲ採リマス朗讀ヲ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=149

  ---

• 150・湯本義憲

  ○湯本義憲君(百六十五番)　然ラバ暫ク控ヘテ居リマス
  〔町田書記官朗讀〕
  河川法案修正
  目錄中第六章ノ「爭議」ノ二字ヲ削ル
  第四十二條「流水若クハ敷地」ヲ「河川」ニ改ム
  第六章ノ「爭議」ノ二字ヲ削ル
  第五十九條削除以下條數順次繰上ゲ
  第六十一條一項ノ四行中但ノ下「主務大臣若ハ」ノ六字ヲ加フ
  同條二項削除
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=150

  ---

• 151・湯本義憲

  ○湯本義憲君(百六十五番)　私ハ此法案ニ就キマシテ、一應此削除及其外ニ
  就キマシテ贊成ヲ表シタイト考ヘマス唯今朗讀ニ爲リマシタ
  (「贊成々々」ト呼フ者アリ「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者多シ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=151

  ---

• 152・湯本義憲

  ○湯本義憲君(百六十五番)　然ラバ私モ贊成スルダケニ止メテ置キマス
  〔「全部異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=152

  ---

• 153・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　貴族院修正ノ全部ニ就イテ同意スルヤ否ヤノ決ヲ採リ
  マス
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=153

  ---

• 154・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　一ノ御異議ナキヲ以テ同意ヲ爲スコトニ決シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=154

  ---

• 155・坪田仁兵衞

  ○坪田仁兵衞君(百七十番)　委員會ヲ開キタウゴザリマスカラ退場ノコト
  ヲ請ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=155

  ---

• 156・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　坪田仁兵衞君-何ノ委員會デゴザリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=156

  ---

• 157・坪田仁兵衞

  ○坪田仁兵衞君(百七十番)　羽二重檢査所ノ委員會デゴザリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=157

  ---

• 158・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　羽二重檢査所ニ關スル委員會ノタメニ退席ノ請求ガア
  リマス御承認ヲ請ヒマス
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=158

  ---

• 159・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　日程ハ第九ニ移リマス、帝國圖書館設立ノ建議案
  小室重弘君
  第九帝國圖書館設立ノ建議案(鈴木充美君外三名提出)
  〔左ノ建議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ掲載ス)
  帝國圖書館設立ノ建議案
  國立圖書隙ノ急次テムの待待ニス盲字内外ノ調書シ國民ラシテ共替
  識學藝ヲ〓磨セシムルト同時ニ前代ノ藝文ヲ存留シ之ヲ後代ニ傳ヘ以テ徵
  憑スル所アラシムルハ國家要務ノ一ナルヘシ歐米諸國カ國立圖書館ヲ設ケ
  テ其ノ規模ヲ宏大ニシ其ノ目的ヲ高遠ニシ該博周到ナル注意ヲ此ニ致ス蓋
  シ此ノ意ニ外ナラサルナリ本邦夙ニ東京圖書館ノ設ケアリ其ノ公衆ヲ裨益
  スルコト淺少ナラスト雖モ其ノ設備未タ完全ナラス其ノ規模尙ホ狹小ニシ
  テ國家ノ需用ニ充ツルニ足ラス故ニ國立圖書館ヲシテ其ノ效用ヲ完カラシ
  メムト欲セハ宜ク東京圖書館ヲ中央便利ノ地ニ移シ之ヲ帝國圖書館ト稱シ
  大ニ其ノ規模ヲ擴張シ其ノ設備ヲ完全ニスヘシ而シテ其ノ設立ノ方法組織
  及ヒ經費ノ如キニ至テハ之ヲ當局者ノ計畫ニ待タム
  右及建議候也

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=159

  ---

• 160・小室重弘

  ○小室重弘君(八十八番)　是カラ述ベマス是ハ大分講釋ヲシマスト長クナ
  ル譯デゴザリマスデ要ヲ摘ンデ是カラ申シテ置キマスガ全體私共ガ帝國
  圖書館ノ設立ヲシヤウト云フコトヲ建議シマスル要領ハ日本ニハ國立ノ圖
  書館卽チ日本ノ帝國ガ建テタ所ノツんべてあるらゆべらりサウ云フ
  組織ガ不十分デアリマス今日ノ現狀デ見マスト東京圖書館ナルモノガゴ
  ザリマスケレドモ是ハ甚ダ規模ガ小サイモノデ、建築モ亦薄弱デアリマシ
  テ到底帝國ノ圖書記錄ヲ蒐集シテ置イテ、公衆ヲ此間ニ自由ニ閱覽セシメ
  テ便益ヲ得セシムルト云フコト或ハ其圖書記錄ヲ十分ニ整頓ヲ致シテ長
  ク之ヲ保存シ、前代ノ文物ヲ徵憑スルト云フコトニ就キマシテハ甚ダ其組
  織ガ不完全デアル不十分デアルデゴザリマス、今ノ此東京圖書館ノ外ニ在ッ
  テハ公開卽チ公ケニ開イテ何人デモ圖書館ト云フモノニハ誰デモ這
  入ルコトガ出來ル最モ廉價ニ見ラレル大學トモ云フベキ斯ウ云フ場所ハ
  東京圖書館ノ外ニ公開シテナイアトノモノハ內閣ノ記錄圖書ノ書庫デゴザ
  イマストカ、帝國大學圖書館トカ、博物館デゴザイマストカ是ハ卽チ宮内省
  ノ管轄デアルソレ等ハ孰モ公開ハシナイノデアリマスカラソレ等ノモノ
  ニ就イテハ一般ノ圖書館ノ利益ヲ受クルコトガ出來ナイ又今日ニ當リマシ
  テハ日本ニ在ル大切ナル書籍ガ散逸シテシマフ或ハ蠹蝕シテシマフ若
  クハ海外ニ失ヘルト云フコトガ澤山ニゴザリマス譯デアッテ、又高價ナル書物
  ハ一私人ノ資力ヲ以テ得ルコトガ出來ヌモノハ國ノ力ヲ以テ保存シテ置カ
  ナケレバナラヌ、又之ヲ貯ヘナケレバナラヌ現ニ日〓戰爭ニ就イテモ
  是等ノ記錄ニ徵シ又其歷史ヲ調ベルト云フ場合ニ當ッテハ立派ナ洋學者デ
  ゴザリマシテモー獨佛戰爭ノ事ノ事抔ニ就イテ困ッテ居ッタ者ガアッテ偶〓
  東京圖書館ニ於テソレ等ノ書物ガアッテ益ヲ得タト云フコトデゴザリマスカ
  ラ國ノ中ニドウシテモ斯ウ云フモノガ完全ニ造ッテ置カナケレバナラナ
  イソレデゴザイマスカラ今日ニ於テ此圖書館ナルモノヲ大ニ擴張ヲ致シ
  テ本當ノ帝國獨立ノ圖書館ヲ造リ卽チ英吉利ノ獨立圖書館ノ如ク或ハ獨
  逸ニ於ケル圖書館ノ如キヤウナモノニシテヤリタイノデアリマス此案ニ依
  ルト經費ヲ一年ニ三万圓程支出ヲ致シシマタナレバソレニ依ッテ爲シテ往
  クコトガ出來ヤウ併ナガラ其建築ヲ完全ニスルトカ或ハ分室ノ法ヲ設ケ
  ルトカ、若クハ書架棚ヲ造ッテ之ヲ保存スルノニ適當ナル位置ヲ撰プト云フ
  コトニ就イテハナカ〓〓書籍館ニハ書籍館ノ專門ノヤリ方ガアリマスカラ
  玆ニ講釋ヲスルト長クナリマスカラシテ略シテ置キマス右ノ次第ナルガ
  故此建議案ヲ提出シタノデゴザイマスカラ、何卒御贊成アランコトヲ希
  望致シマス
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=160

  ---

• 161・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　此建議案ハ別段御動議ナキヲ以テ確定ヲ報ジマス、次
  ハ日程ノ第十棉作改良奬勵費豫算案ニ關スル建議案,喜多川孝經君
  第十腐作改良獎勵費豫算案ニ關スル建議案
  (喜多川孝經君外二名提出)
  〔左ノ建議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ茲ニ揭載ス〕
  棉作改良奬勵費豫算案ニ關スル建議案
  將來十箇年間每年金五千圓ヲ制限トシ棉作改良奬勵費トシテ國庫ヨリ支出
  シ米國種アツプランド棉種子購入分與及耕作者ヘ奬勵費ヲ給與スヘキ兩件
  ノ爲政府ヨリ其ノ豫算案ヲ議會ニ提出アラムコトヲ望ミ茲ニ之ヲ建議ス
  右建議候也
  〔喜多川孝經君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=161

  ---

• 162・喜多川孝經

  ○喜多川孝經君(百六番)　諸君、棉作奬勵ノ事ニ附キマシテハ最早別段ニ其
  效能或ハ必要等ノ事ヲ述べナクテモ御承知ノ事デモアリマスカラ之ヲ略シマ
  スルガ唯修正ヲシナケレバナラヌノデ玆ニ私ハ現ハレマシタ次第デゴザイ
  マス其修正ヲ唯今玆デ申上ゲマスルカラ其修正ノ又理由書ヲモ之ヲ讀立
  テマシテ其理由書ノ事修正ノ理由ヲ御承知置キヲ願ヒタウ存ジマス
  修正ノ文ハ此樣ニ致シマスルノデ
  將來五箇年間每年金參万圓ヲ制限トシテ國庫ヨリ支出シ以テ米國種アップ
  ランド棉種子購入分與及ヒ耕作者ヘ奬勵費ヲ給與スヘキ兩件ノ爲メ政府ヨ
  リ其豫算案ヲ議會ニ提出アラムコトヲ望ミ茲ニ之ヲ建議ス
  斯ウ致シマスル一寸斯ウ訂正致シマシタニ就イテ理由書モ自カラ變ルノデ
  ゴザイマスカラ是モ一々演說口調デ申シマスルト大變暇ガ掛リマスカラ
  其理由書ヲ讀ミマスルデドウカソレデ御承諾ヲ請ヒマス
  近來我邦紡績事業ノ發達ニ依リ海外棉花ノ輸入量頓ニ多キヲ加ヘ最近一箇
  年ノ如キハ輸入棉花一千六百五万圓ヲ超ヘ尙ホ將來ノ狀勢益多量ノ棉花ヲ
  需要スルニ至ラントス之ヲ往年盛ニ棉花ヲ輸入セルニ比スレハ工業ノ發達
  上大ニ祝スヘキモ我邦棉作ノ頻年大ニ衰頽セルハ實ニ憂慮ニ堪ヘサルナリ
  蓋シ本邦固有ノ棉花ハ其質紡績業ノ細糸ニ適セサルト栽培上ノ經濟彼ニ及
  ハサル不利アレハナリ卽チ本邦棉ハ其資質纖維短キノミナラス肥料灌漑等ニ
  多量ノ出費ヲ要スルモ米國種アッフランド棉ハ纖維長ク栽培上ニ肥料灌漑
  共ニ多キヲ要セス且ツ本邦棉ノ成育セサル瘠地ニモ却ッテ良好ノ結果アル
  モノナレハ本邦人ニシテ是レカ栽培ニ熟達セハ彼ノ隆盛ニ赴クヘキ紡績事
  業ノ全需用額ヲ急ニ充ス能ハサルモ以テ其幾分ヲ供給シ得ルハ勿論本邦棉
  作ノ衰頽ヲ挽囘シ得ヘキヤ必セリ但シ今日往々アッフランド棉花栽培ノ困
  難ヲ唱道スルモノアルハ畢竟二十年前勸農局等ニテ試作セル結果ノ不良ナ
  リシニ依ルモ全國ノ篤志者就中兵庫鹿兒島山口諸縣ノ老農ハ爾來今日ニ至
  ル迄連綿試作ヲ繼續シテ良成績ヲ得該棉花ノ本邦風土ニ適スルコトヲ實徵
  セルノミナラス亦ク好果ヲ顯ハセリ又タ東京ニ於テモ一昨年來有志者ノ組
  織ニ係ル棉作奬勵會ナルモノ起リ米國ヨリアッフランド綿種ヲ購入シ耕作
  法ノ印刷物ヲ添ヘ全國棉作地ニ栽培ヲ奬勵シツヽアリト聞ク然リト雖モ棉
  花ノ如キ國家獨立ニ〓クヘカラサル必需品ノ改良奬勵ヲナスニハ當然國庫
  ノ力ヲ以テスヘキナリ故ニ政府ハ三万圓ヲ制限トシテ豫算案ヲ議會ニ提出
  セラレンコトヲ望ム此レ全國棉作地タル二府二十七縣三百十八郡ノ每郡ニ
  五畝步ツヽノ試作地八ケ所ヲ設ク卽チ百二十七町二段步ニ對シ一箇所ニ二
  圓ツヽノ依囑試驗費ヲ與ヘ是ニ一段步十磅ノ割合ニテ種子ヲ配與スルトキ
  ハ一万二千七百餘圓トナル但シ一磅ノ購入運搬配布代ヲ一圓ト見積リタル
  ナリ此他尙ホ一段步ニ一一百斤ヲ產スルト見テ棉作段別二百町步ニ達スル迄
  一斤ニ付キ參錢ツヽノ奬勵金ヲ與フル爲メ一万二千圓ヲ要スルトスレハ合
  計殆ント參万圓トナル是レ本建議案ヲ提出スル所以ナリ
  斯ウ云フノデゴザイマス、ソレカラ一寸申添ヘテ置キタイト存ジマスルノハ
  此間現ニ綿絲輸入稅ヲ廢セラレマシタコトデゴザイマスカラ、之ニ伴フテ
  益〓此棉作ト云フモノハ頽廢スルコトハ疑ヒナカラウト信ジマス且ツ此綿
  絲輸入稅ヲ廢セラルヽトモ十分ニ此內國デ產出スルコトニ至リマスレバ
  決シテ外國カラ輸入ト云フヨリハ寧ロ十分ニ利益ヲ得ルト云フコトハ疑ナイ
  コトデゴザイマス故ニ此〓カラ申シマシテモ一ツ此奬勵費ヲ出シタイト云
  フ考デゴザイマスカラドウゾ其邊ノ御承知置ヲ願ヒタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=162

  ---

• 163・小畑岩次郎

  ○小畑岩次郞君(二百三十六番)　質問ガアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=163

  ---

• 164・早川龍介

  ○早川龍介君(二百十一番)　此問題ハ簡單ノモノデアリマスカラ、討論ヲ用
  ヒズシテ決セラレンコトヲ請ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=164

  ---

• 165・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　通告モアルニ依リ、討論ヲ用ヒズシテ、決スルハ穩デア
  リマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=165

  ---

• 166・小畑岩次郎

  ○小畑岩次郞君(二百三十六番)　私ハ質問ヲ止メテ直グニ反對ノ演說ヲ始メ
  マス此案ハ誠ニ分ラヌ建議案デアリマス、經濟上カラ言ヒマスルト餘程ク
  ロウトガ拵ヘタヤウデアルガ甚ダ經濟ヲ誤ッテ居ル、初メ五千圓トアリマシ
  タカラ本員モ五千圓ハ左程ノモノデアルマイ翌年ニ爲リマシタナラバ澤山
  ノ種ニ爲ルデアラウ之ヲ三年ノ後ニ至ッタナラバ此棉ノ種ト云フモノハ全
  國ニ亙ッテ非常ナ澤山ナル種ガ出來ルト斯ウ思ツテ居タット
  ト云フモノハ他ノ豆ヤ米ト違ヒマシテ北京市公安局西城分局採ッタダケノ種ハ皆殘ル
  ヤ豆ノ如ク直グニ他ニ潰シ
  ガ棉一本ニ種ガ出來テ百粒出來タナラバ、百粒トモ種ニ爲ッテ地方ニ囘ルコ
  トガ出來マス所ガ此改正ヲ見ルト三万圓ノ種ヲ購フソレヲ四五年ノ間
  米國カラ購フト云フ甚ダ不經濟ノ話デ私共ノ見マシタニ假ニ初年ニ三万
  圓ヲ購ッタトスレバ、翌年ハ米國カラ仰カヌデモ三万圓ノ元種ハ翌年ハ非常
  ナ種ニ爲ルソレヲ尙ホ五箇年モ三万圓宛ト言ッタナラバ、日本ニ種ガ非常ニ
  殖エテ五箇年後ハ棉作ガ仕方ガナイ程種バカリアルコトニ爲ル初年ノ三万
  圓ト云フモノハ宜カラウト思フガ、國庫カラ三万圓ノ金ヲ出シテ購フト、云フ
  コトハ甚ダ不可デアリマス斯ルモノハ棉ノ出來ル土地ニ於テ地方費
  ヲ以テ必要ナモノナラバ購フガ宜イ一個人ニシテ購フガ宜イ之ヲ國庫カ
  ラ金ヲ出シテ棉種マデ購ハナケレバナラヌト云フヤウナ今日ハ地方ノ經濟ト
  公認財務人心必要ナモノト認メタナラバ地方デ十分購フコトガ出來ル而
  ノ如キハ今更喋々言ハヌデモ數年前カラ日本ニ渡ッテ來テ
  ソレノ〓試驗モシ、試作モシテ居ル、良イモノナラバ一般ニ行レテアルベキ筈
  デアル、スル所ガ玆ニ置イテアル如ク成績ヲ皆得ルヤ否ヤト云フコトハ今
  日マデノ試驗ノ上ニ於テ明カニ云フコトハ出來マセヌ、況シテヤ(「簡單々々」
  ト呼フ者アリ)地方デスベキモノヲ國庫カラ購フト云フコトデアレバ
  年購ッテ宜シイモノヲ五年モ三万圓ヅツ購フト云フコトハ甚ダ分ラヌ、初年
  三万圓購フテ其種ヲ日本ニ擴ゲマシタナラバ五年ノ末ハ實ニ棉種ガ澤山ニ
  ナッテ仕樣ガナイヤウニナルソレデモ矢張米國カラ三万圓モ種ヲ購フ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=166

  ---

• 167・早川龍介

  ○早川龍介君(二百十一番)　餘程誤解ヲシテ居ル

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=167

  ---

• 168・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　決議ヲ採リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=168

  ---

• 169・早川龍介

  ○早川龍介君(二百十一番)　餘程誤解シテ居リマスカラ一寸一言シナケレバ
  ナラヌ三万圓年々種バカリ購フト云フ譯デハナイノデアル種類ヲ三種ニ
  分ッテ出來タ所ノ種ノ補助ヲスルノデアル(「計論終結」ト呼フ者アリ)討論終
  結ハ分ッテ居リマスガ、大間違ノ事ヲ言ッテ居ラレテハ困リマスカラ·

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=169

  ---

• 170・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　決議ヲ採リマス、喜多川孝經君ノ修正案-喜多川君
  ノ修正案ニ同意ノ諸君ハ起立
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=170

  ---

• 171・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　少數ト認メマス、因テ喜多川君ノ修正案ハ否決セラレ
  マシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=171

  ---

• 172・小室重弘

  ○小室重弘君(八十八番)　一寸緊急動議ヲ出シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=172

  ---

• 173・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　一寸御待ナサイ原案ニ就イテ決議ヲ採リマス
  (「本人ガ自ラ修正ヲシテ居ル」ト呼フ者アリ「原案ハ無クナッタ」ト呼
  フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=173

  ---

• 174・喜多川孝經

  ○喜多川孝經君(百六番)　私ハ全體提出者デ御話ヲシタカッタガ、早ク〓ミト
  云フノデ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=174

  ---

• 175・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　修正案ト云フコトニ爲ッテ提出シテアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=175

  ---

• 176・喜多川孝經

  ○喜多川孝經君(百六番)　ドウカ斯ウ云フコトハ一ツ能ク提出ノ理由ヲ述べ
  サセテ貰ハヌト困ル

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=176

  ---

• 177・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　喜多川君ノハ修正案トシテ議長ノ手許ニ提出シテア
  ル修正案ハ決議ヲ採ッタ處ガ其修正案ハ卽チ否決シタガタメニ原案ニ就
  イテ決議ヲ採ルガ當然デアル原案ニ對シ同意ノ諸君ハ起立
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=177

  ---

• 178・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　是レ亦少數、因テ該建議案ハ全ク否決致シマシタ、諸
  君此間ニ於テ一應御相談致シテ置ク事ガゴザイマス最早議會ハ明日一日
  ト爲リマシタニ就イテハ本院ニ於テ決議ヲシタルモノヲ貴族院ニ送付ス
  ルニハ一時ヨリ會議ヲ始メルコトニ致シマスト餘程不便ニ相成ルノミナラ
  ズ、其用ヲ爲シマセヌニ依ッテ、玆ニ特別ナル協議ヲ請フテ、明日ハ午前十時ヨ
  リ會議ヲ開キタイト思ヒマス
  (「贊成々々」「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=178

  ---

• 179・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　卽チ滿場御一人ノ異議ナキヲ以テ、明日ハ十時ヨリ會
  議ヲ始メルコトニ決シマス是ヨリ續イテ報告ガアリマス
  (佐脇書記官朗讀)
  政府ヨリ明治二十九年歲入歲出總豫算追加案ヲ提出セリ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=179

  ---

• 180・谷澤龍藏

  ○谷澤龍藏君(百六十一一番)　一寸唯今ノ御協議ノ事ニ就イテ一言述ベタイ
  ソレハ別デハアリマセヌガ、滿場ノ容ルヽ所ト爲リマシタナラバサウシタイ
  ト云フ考デアリマス、此中ニ建議案ガアル、建議ハ明日ニ囘ッテモ宜イモノデ
  アッテ、此中ニハ法律案ガアル、此法律案ノ中ニハ急グ案モアリマセウ若シ
  可決ヲシタナラバ貴族院ノ方デ又協贊ヲシナケレバナラヌ、否決スレバ其儘
  デアリマスガ故ニ法律案ダケヲ先キニ議シテ行ッタナラバ餘程提出者モ
  滿足スルコトヽ思ヒマス、其事ヲ述べテ置キマス(「緊急動議トスレバ宜シイ」
  ト呼フ者アリ)ドレト言ッテ指ストイカヌデスカラ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=180

  ---

• 181・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(五十番)　議事ノ進行ヲ私ハ最モ希望致シマス、此建議案ハ皆
  理由書ガ附イテ居リマスカラ能ク見テ贊否ノコトハ決心シテ居リマスデ殊
  更ニ提出者ガ登壇シテ理由抔ヲ述ベラレズ、ドシ〓〓問題トシテ決議ヲシテ
  行クト云フコトニ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=181

  ---

• 182・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　日程ノ第十一ニ移リマス、牛痘苗製造業者處分ニ關ス
  ル建議案脇坂行三君
  第十一牛痘苗製造業者處分ニ關スル建議案(脇坂行三君外三名提出)
  〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ茲ニ掲載ス〕
  牛痘苗製造業者處分ニ關スル建議案
  政府ハ明治七年牛痘種繼所ナルモノヲ創設シ爾來痘苗製造ヲ以テ一ノ官業
  ト爲シ來リタルニ同十九年之ヲ大日本私立衞生會ニ引繼キ且訓令ヲ發シテ
  民間ニ向ッテ大ニ奬勵ノ策ヲ採レリ是ニ於テカ該製造者續々興起シ許多ノ
  資產ヲ抛チ幾多ノ辛苦ヲ累ネ以テ之カ進步發達ヲ圖ル然ルニ今ヤ政府再ヒ
  痘苗製造ヲ官業トスルノ議案ヲ提出シ其ノ案衆議院ヲ通過シタリ抑ヽ牛痘
  苗製造ノ事タル國家衞生上重大ノ關係ヲ有スルモノナルニ依リ官業ニ移ス
  ハ素ヨリ當然ナリト雖モ之カ爲民間製造者ハ條チ其ノ業ヲ失ヒ不測ノ損害
  ヲ蒙ルヘキヲ以テ政府ハ此等製造者ニ對シ相當ノ補償ヲ爲シ扶濟ノ道ヲ立
  ツルノ義務アリ依テ政府ハ速ニ適當ノ方法ヲ設ケ之カ處分ヲ爲サムコトヲ
  望ム
  右及建議候也
  〔脇坂行三君演壇ニ登ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=182

  ---

• 183・脇坂行三

  ○脇坂行三君(四十三番)　簡單ニ述べマセウト思ヒマスガ、モウ御贊成サヘ
  下サレバモウ述ベルコトモアルマイト思ヒマスガ(「贊成々々」ト呼フ者アリ
  「簡單々々」ト呼フ者アリ)極簡單ニ申述べマスデ、ゴザリマス元來此建議
  案ト云フモノハ諸君モ御承知ノ通、過日當院デ結了ヲ致シマシタ豫算案ノ結
  果トシテ已ムヲ得ズ此建議案ヲ提出致シマシタ次第デゴザイマス是ハ諸君
  モ既ニ御承知ノ事デゴザリマスガ簡單ト云フ御說デゴザリマスカラシテ
  シュウージング ットコーン述ベマセヌ詰リ要スルニ是迄此牛痘苗ノ製造ガ民間業ト致
  シテヤッタノデアリマスソレヲ今般變算ノ結果ト致シマシテ官業ニ
  移ッタノデゴザイマスサウ致シマスレバ(恒松隆慶君「モウ宜シイ」ト呼フ)
  是マデ民間業ト致シテ居リマシタ卽チ當業者ハ忽チ其營業ヲ禁止セラレマ
  シテ而シテ營業禁止ノ結果トシテ、糊口ノ途ヲ絕ツト云フコトニ爲ル(「贊
  成々々」ト呼フ者アリ)ソレ故ニ此建議案ヲ出シテ政府ニ於テハ是ニ向ツテ
  相當ノ處分ヲセラレルヤウナコトニ致シタイ其處分ト申シマスルモノハ
  卽チ今日マデ營業ヲ致シテ居リマシタ(「簡單々々」ト呼フ者アリ)所ノ民間業
  者ニ向ッテ(「贊成々々」ト呼フ者アリ)ソレ等ニ向ッテ救濟ノ途ヲ講ゼラレル
  ヤウニ致シタイ(「贊成々々」ト呼ヒ議場騷然)是ガ建議ノ要領デゴザイマス
  モウ是ダケデ止メマスドウゾ滿場一致ヲ以テ御贊成ヲ願ヒマス
  (「贊成々々」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=183

  ---

• 184・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　該案ノ決議ヲ採リマスル
  「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ「贊成々々」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=184

  ---

• 185・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　該建議案ニハ何等ノ御動議ナキヲ以テ卽チ確定ヲ報ジ
  マスル

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=185

  ---

• 186・小室重弘

  ○小室重弘君(八十八番)　私ハ緊急ノ動議ヲ出シマス(平島松尾君「ヨシタマ
  ヘ」ト呼フ)日程ノ第二十一ニゴザイマス日光山社殿修繕ニ關スル請願ト云フ
  モノハ一個人ヤ一人ノ議員ガ建議案トシテ出シタモノトハ自ラ違フモノデ
  アルソレデアルノニ此請願ノ事ニ就イテハ今年ノ日程ニハ何時デモ尻ノ
  方ニ在ル、本員ハ甚ダ遺憾ニ堪ヘヌノデアル是ハ重要ナ件デアリマスル(議
  場雖然)故ニ今日ニ於テ通過サレルコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=186

  ---

• 187・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　日程變更ニハ討論ヲ用ヒマセヌ日程ノ第二十一ニ在
  ル請願ヲ繰上ゲテ直チニ議スベシト云フ議事日程變更ノ動議
  (「贊成々々」ト呼フ者アリ「不贊成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=187

  ---

• 188・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　此議事日程變更ノ動議ニ同意ノ諸君ハ起立
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=188

  ---

• 189・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　少數、因テ小室君ノ日程變更ノ動議ハ否決シマシタ
  次ハ日程ノ第十二ニ進ミマスル-絹織物保護建議案
  第十二絹織物保護建議案(久保九兵衞君外三名提出)
  〔左ノ建議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
  絹織物保護建議案
  我國輸出品中近來一大長足ノ進歩ヲ爲シ一箇年一千餘萬圓以上ノ重要物產
  ニ達シタルモノ實ニ絹織物ナリトス然ルニ去ル二十七年ヨリ此ノ織物ニ粗
  製濫造ノ惡弊甚シク蔓延シ以來奸商輩ハ此ノ機ニ乘シ奇利ヲ博セムト欲シ
  製造者及練染整理者等ニ謀リ藥品又ハ糊入等ノ暴惡手段ヲ施シ以テ重量ヲ
  附著セシメ廉價賣込ヲ競爭シテ止マル處ヲ知ラス故ニ昨年春季ニ至テ諸外
  國市場ニ於テ日本製絹ノ不正品ナルコトヲ看破シ顧客ノ擯斥ヲ受ケタル
  コト甚シク爾來其ノ結果トシテ輸出先ヨリ物品ノ積戾シトナリ注文品ハ悉
  ク破約トナル等實ニ嗟嘆措ク能ハサル所ナリ爲ニ機業者ノ破產スル者蓋シ
  少シトセス之ヲ救濟スルノ方法タル當業者ノ獨立以テ企及スヘカラスト信
  ス今ヤ戰後帝國ノ經濟ニ注目シ殖產興業ノ道ヲ講スル者豈此ノ一大財源ヲ
  默置スヘキノ秋ナラムヤ故ニ政府ハ速ニ輸出絹織物ニ對スル檢査法及地方
  同業組合規則ヲ制定セラレムコトヲ望ム
  右建議ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=189

  ---

• 190・早川龍介

  ○早川龍介君(二百十一番)　是ハ昨日他ノ案ト併シテ·····

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=190

  ---

• 191・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　直チニ決議ヲ採リマスル
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=191

  ---

• 192・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　此建議案ニハ別段御異議ゴザイマセヌカ
  (異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=192

  ---

• 193・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　御異議ナシト認メマス、卽チ該案ノ確定ヲ報ジマスル、
  次ハ日程ノ第十三、水產傳習所官設建議案
  第十三水產傳習所官設建議案(改野耕三君外五名提出)
  〔左ノ建議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ茲ニ掲載ス〕
  水產傳習所官設建議案
  水產事業ヲ發逹セシムルハ國家經濟上目下ノ急務タリ而シテ之ヲ發達セシ
  ムルニハ當器ノ人材ヲ養成スルヨリ急ナルハナシ曩ニ大日本水產會ニ於テ
  水產傳習所ヲ設ケ水產ニ必要ナル技術ヲ練習セシムルコト既ニ數年ニ及フ
  ト雖モ元來水產ニ關スル技術ハ其ノ區域廣汎ニシテ練習ニ費用ヲ要スル少
  カラス到底私設協會ノ獨力之ヲ維持スル能ハサルヲ以テ適當ノ費額ヲ支出
  シ速ニ之ヲ官設シ以テ當器ノ技術者ヲ養成シ水產業ノ擴張ニ資セムコトヲ
  希望ス
  右及建議候也

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=193

  ---

• 194・平島松尾

  ○平島松尾君(百八十四番)　モウ異議ガナイヤウデアリマスカラ、別ニ說明
  ハ致シマセヌガ(「モウ宜シイ贊成々々」ト呼フ者アリ喜多川孝經君「私共モ
  說明ハシナイ」ト呼フ)水產ノ發達ニ就イテ特ニ人ヲ養フト云フコトハ目下
  ノ急務デゴザイマス(「モウ宜シイ贊成々々」ト呼フ者アリ議場騒然)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=194

  ---

• 195・星亨

  ○星亨君(八番)　ソレガ濟ミマシタラバ私ハ建議致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=195

  ---

• 196・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　該建議案ニハ別段御異議ゴザイマセヌカ
  異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=196

  ---

• 197・楠本正隆

  ○議長(楠木正隆君)　御異議ナシト認メマス、卽チ該建議案ノ確定ヲ報ジ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=197

  ---

• 198・星亨

  ○星亨君(八番)　今日日程ノ第十四ヨリ十八マデヲ同時ニ會議ニ掛ケラレン
  コトヲ望ミマス(「贊成々々」ノ聲起ル)ト云フモノハ皆建議デアッテ是ニ反
  對スル人ハ反對シ贊成スル人ハ贊成シ分ッテ居リマスカラ、之ヲ一々分
  ケテ議題トスルニハ及ブマイト思ヒマス
  (「贊成々々」ト呼フ者アリ「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ議場騒然〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=198

  ---

• 199・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　諸君、少シク靜肅ヲ要シマス第十八マデ一括シテ決
  議ヲ採ラウト云フノハ今マデ右樣ナ事ハアリマセヌガ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=199

  ---

• 200・星亨

  ○星亨君(八番)　イヤ、決議デハアリマセヌ、議題ニ掛ケテソレデ一々決議
  ヲ採ッテ下サイト云フノデアリマス
  〔一ノウ〓〓」「贊成々々」ト呼ヒ議場騒然〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=200

  ---

• 201・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　サウ云フノデスカ然ラバ別段御異議ガナイケレバ第
  十八マデヲ以テ議題ト致シマス
  「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=201

  ---

• 202・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　卽チ第十八マデヲ議題ト致シテ一議案宛各〓別ニ決議
  ヲ採リマス
  〔「贊成々々」ト呼ヲ者アリ〕
  第十四測候所增設ニ關スル建議案(濱田儀一郞君外二名提出)
  第十五天氣豫報暴風警報ヲ全國ニ普及スル建議案(多田作兵
  衞君外三名提出)
  第十六高等學校ヲ獨立セシムル建議案(波多野傳三郞君外五
  名提出)
  第十七義勇兵團設置建議案(直原守次郞君外一名提出)
  第十八別格官幣社ヲ臺灣ニ建設スルノ建議案(北原信綱君外
  二名提出)
  〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
  測候所增設ニ關スル建議案
  氣象測候ノ農事及航海ニ必要ナルハ辯ヲ俟タス殊ニ本邦ノ如キ四面環海ノ
  國ニ在テハ最モ必要トスル所ナリ而シテ此ノ業ヲシテ稍?完全ナラシメム
  ニハ全國ニ於テ百數十箇所ノ地方測候所ヲ要ス然ルニ政府ハ本業ヲ地方稅
  ニ一任シ居ルヲ以テ現今其ノ數纔ニ行政區劃ト相當スルニ過キス其ノ位置
  ノ如キ殊ニ不規則ヲ極ム今ヤ帝國ノ版圖大ニ擴マリ各般ノ實業ハ勿論航海
  事業ノ如キ亦大ニ振起セムトスルノ時ニ當リ一日モ速ニ其ノ完成ヲ期セサ
  ルヘカラス依テ政府ハ地方測候所ヲ主務大臣ノ直轄ニ歸セシメ爾今國費ヲ
  以テ其ノ完備ヲ計ルノ案ヲ建テ次期帝國議會ニ其ノ豫算ヲ提出セラレムコ
  トヲ望ム
  右建議候也
  天氣豫報暴風警報ヲ全國ニ普及スルノ建議案
  人類ノ氣海ニ住ムハ猶角鰲ノ水界ニ泳クカ如シ故ヲ以テ百般ノ事物一トシ
  テ氣象ノ關係ヲ脫スルモノアルコトナシ往年以來氣象測量ノ業漸次擴張セ
  ラレ人民ノ幸福大矣ト云フヘシ然レトモ天氣豫報暴風警報ノ如キ至大ノ利
  便アルニ拘ラス僅ニ東京新聞ニ記載セラレテ東京市民ノ利用タルニ過キス
  本年三月ニ至リ氣象臺氣象通報規程ヲ發表シ人民ノ氣象通報ヲ依賴スルヲ
  許セリト雖モ其ノ費用ヲ要スルコト鮮少ナラサルカ故ニ未タ以テ全國人民
  ヲシテ齊シク其ノ利ヲ蒙ラシムルコト能ハス豈惜ムヘキニアラスヤ若能ク
  中央氣象臺ヲシテ全國市郡區役所ノ電信所在地ニ開廳セルモノニ對シ日々
  測定セシ天氣豫報ヲ送發シ暴風ノ虞アル場合ニ於テハ特ニ暴風警報ヲ送
  發セシメ各市郡區役所ヲシテ適宜ノ方法ヲ以テ更ニ之ヲ其ノ管下ニ布知セ
  シメハ其ノ利スル所必ス廣大ナルヲ信ス而シテ送發ノ經費ハ普通電信ヲ用
  フルモノトスルモ猶五万圓以上ニ上ラサルヘク之ヲ無稅電報トナスモ亦不
  可ナキカ如シ要スルニ此ノ擧ヤ失スル所僅少ニシテ得ル所廣大ナリ其ノ人
  生ニ對シ非常ノ便益ヲ與フルコト知者ヲ待タスシテ知ルヘキノミ當局者ニ
  於テ速ニ方案ヲ具シ議會ニ提出アラムコトヲ望ム
  高等學校ヲ獨立セシムルノ建議案
  〓育ヲシテ行政ノ下ニ隷屬セシムルノ不可ナルハ固ヨリ論ナシト雖モ高等
  〓育ニ於テ特ニ其ノ然ルヲ見ル熟〓明治四年文部省設立以來〓育ニ關スル
  法令變遷ノ跡ヲ按スルニ五年學制ヲ定メラレ十二年學制ヲ廢シテ〓育令ヲ
  制定セラレ十三年前令ヲ改正セラレ十八年復タ前令ヲ改正セラレ終ニ十九
  年ニ至リテ現行ノ帝國大學令師範學校令小學校令中學校令及諸學校通則ヲ
  公布セラレタリ
  現行ノ官制ニ據レハ支部省ハ全國ノ〓育ヲ管理スル所ナリ〓育ハ國家ノ元
  氣ヲ養成スルモノナルニ拘ラス政府ノ同省ヲ視ルコト之ヲ他ノ諸省ニ比シ
  テ寧口輕キカ爲ニヤ大臣ノ更迭頗ル頻繁ニシテ所謂席未タ暖カナラサルノ
  大木有年大利麵0淮南路德国际海防汛流淌老年大杯香住
  森有禮大山巖榎本武揚芳川顯正大木喬任河野敏鎌井上毅西園寺公望是レナ
  リ法令ノ改正每ニ〓育ノ方針多少變更セラルヽノミナラス大臣ノ更迭亦〓
  育ノ方針ニ多少ノ影響ヲ及ホスヲ免レス
  是ノ故ニ〓育ト行政ト深ク相關聯スルノ弊ヲ除却セムカ爲ニ文部省所轄ノ
  帝國大學京都帝國大學高等商業學校第一第二第三第四第五ノ各高等學校札
  幌農學校東京工業學校東京美術學校大阪工業學校東京盲啞學校遞信省所轄
  ノ商船學校ノ如キニ〓國ヨリ收入スル償金ノ中ヨリ相當ノ資金ヲ賦與シテ
  斷然獨立セシムルノ要ヲ見ル而シテ其ノ管理法ノ如キニ至テハ當局者自カ
  ラ意見ノアルアラム政府ハ速ニ案ヲ具シテ帝國議會ノ協賛ヲ求メラレムコ
  トヲ望ム
  右及建議候也
  義勇兵團設置建議案
  外其ノ侮ヲ禦キ內其ノ土ヲ守リ以テ一國ノ獨立ヲ全フシ平和ヲ保タムト欲セ
  ハ必スヤ武備無カルヘカラス我國ハ工業通商ヲ以テ立ツヘキモノナレハ世
  界ノ平和ヲ以テ特ニ利アリトナスナリ今ヤ我國ハ東洋ノ平和ヲ維持スルノ
  日的ヲ以テ大ニ兵制ノ擴張ヲ計畫スル所アラムトス擴張完成ノ後ハ兵數更
  ニ倍ストスルモ歲月ノ久キヲ經ルニ非スムハ能ハス且ツ擴張完成ノ後ト雖
  モ兵數餘リアリト謂フニ非ス是レ國力ト國勢ト相待テ其ノ程度ヲ參酌シ以
  テ之ヲ定メタレハナリ若夫レ國費ヲ增加スルナク而シテ兵數ヲ增加スルノ
  道アラハ斷シテ之ヲ行フヘシ國家一朝事有レハ則チ戈ヲ執リ命ヲ致シ以テ
  護國ノ任ニ當ルハ固ヨリ國民ノ本分ナリ我國ハ巳ニ徵兵令ヲ布キ現役豫備
  後備ノ制アリ又國民軍ノ設アリ然レトモ第一國民軍ハ複習ノ法未タ行ハレ
  ス而シテ第二國民軍ハ集團ノ實未タ舉ラス國民皆兵ノ名アリテ其ノ實ナシ
  夫レ全國ノ壯丁ヲ驅テ盡ク兵事ノ〓育ヲ受ケシムルハ蓋シ能クスヘキノ事
  ニ非ス故ニ義勇兵團ノ制ヲ許シ〓シテ國民兵籍ニ在ル者ヲシテ軍隊ヲ組織
  シ兵事ヲ實習シ以テ內國防禦ノ一端ニ備フルコトヲ得セシムヘシ此ノ制タ
  ルヤ地方人民ノ義舉ニ成ルモノナレハ其經費モ亦タ有志ノ義捐ニ出テシム
  ヘシ斯ノ如クスルトキハ則チ國民軍ノ實舉リ國費ヲ增加スルコトナクシテ
  兵數ヲ增加シ其ノ利益ハ獨リ有形上ニ於ケルノミナラス無形上ニ於テ最モ
  大ナリトス卽チ我國民ヲシテ普ク愛國奉公ノ精神ヲ奮起シ著シク規律節制
  ノ習慣ヲ養成セシムルニ足ルヘシ其ノ編製練習監督ノ方法等ハ當局者ニ於
  テ之ヲ制定シ速ニ施行セラレンコトヲ望ム
  右及建議候也
  別格官幣社ヲ臺灣ニ建設スルノ建議案
  謹テ惟ルニ故近衞師團長能久親王殿下金枝潢流ノ身ヲ以テ臺灣叛徒征討ノ
  任ニ當リ給ヒ銷金鑠石ノ熱地ヲ冒シ瘴烟毒霧ノ蠻境ニ入ヲレ韜略其ノ機ヲ
  制シ綏撫其ノ宜シキヲ得サヒラレ我帝國ノ光威ヲ發輝シ我版圖ノ領有ヲ擴
  充セラル惜哉偉業成ルニ及ムテ癘氣ノ冒ス所トナリ軍中ニ薨去シ給ヘリ鳴
  呼殿下ノ如キハ精誠日月ヲ貫キ忠烈神鬼ヲ感シ躬ヲ以テ國ニ殉セラル者
  ニシテ眞ニ國家ノ柱石ト謂フヘキナリ今ヤ天下萬民其ノ偉業ヲ仰向シ親王
  ヲ臺灣神社別格官幣社ニ奉祀シ奉ラムコトヲ切望ス因テ國祭ヲ執行シ新皇
  土ヲ永遠ニ鎭護マシマサハ國家ノ威典萬民ノ本分之ニ過キス
  右建議候也

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=202

  ---

• 203・早川龍介

  ○早川龍介君(二百十一番)　ドウゾ十八ノ時ニナリマスレバ是ハ修正ガ唯一
  字アリマスカラ其時ニ唯一言致シタウゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=203

  ---

• 204・濱田儀一郎

  ○濱田儀一郞君(二百八十三番)　私ハ此十四ノ日程ニ就キマシテ少シ意見ヲ
  述べマス登壇シマセウカ·
  (恆松隆慶君「登壇ヤ何カシマスト反對シマスゾ」ト呼·ヒ「贊成々々」ノ
  聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=204

  ---

• 205・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　反對ガアリマセヌニ依ッテ·······第十四ノ議案ニ御動議
  ガナクバ決定ヲ報ジヤウト思ヒマスガ·
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=205

  ---

• 206・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　然ラバ第十四ノ建議案ハ確定ヲ報ジマス次ハ第十五ニ
  就イテ決ヲ採リマス
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=206

  ---

• 207・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　何等ノ御異議ナキヲ以テ該建議案モ亦確定ヲ報ジマス
  ル次ハ第十六ニ就イテ決ヲ採リマス
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=207

  ---

• 208・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　此建議案ニ就イテモ御異議ナキヲ以テ卽チ確定ヲ報ジ
  マス次ハ日程ノ第十七ニ就イテ決ヲ採リマス
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=208

  ---

• 209・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　日程ノ第十七ノ建議案ニモ亦何等ノ御異議ナキヲ以テ
  該案ノ確定ヲ報ジマスル次ハ第十八是ニハ早川君ノ修正ガアリマス
  (早川龍介君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=209

  ---

• 210・早川龍介

  ○早川龍介君(二百十一番)　是ハ唯此仕舞ニ唯一字、一寸一字ダケノ修正ヲ
  致シマスズット末文ニ「國家ノ威典」トゴザイマスガ是ハ盛ナルト云フ「盛」
  ノ字ニ改メタイ(「モウ宜シイモウ宜シイ」ト呼フ者アリ)是ハ全ク··デ是
  ハモウ能ク諸君モ御承知デ、既ニ貴族院モ通過致シテ居リマス此議案デアリ
  マスカラ、諸君ガ長ク述ベヨト仰シヤッテモモウ分リ切ッタコトデアリマスカ
  ラ述ベマセヌ、ドウゾ此案ハ全會一致ヲ以テ御贊成アランコトヲ望ミマス
  〔「贊成々々」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=210

  ---

• 211・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　別格官幣社ヲ臺灣ニ建設スルノ建議案
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=211

  ---

• 212・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　該建議案ニハ早川君ノ修正說ガアリマス、此修正說通
  ニテ御異議アリマセヌカ
  (「早川君ノ修正通異議ナシ」ト呼フ者アリ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=212

  ---

• 213・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　御異議ナキヲ以テ早川君ノ修正通該建議案ノ確定ヲ報
  ジマス次ハ日程ノ第十九、水火消防組ニ關スル法律案ニ移リマス
  第十九水火消防組ニ關スル法律案第一讀會ノ續特別委員
  長報告

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=213

  ---

• 214・山田忠兵衞

  ○山田忠兵衞君(四十九番)　委員會ノ結果ヲ極簡單デゴザイマスカラ此處デ
  申シマス是ハ委員會ニ於キマシテハ此案ノ如キハ市町村ノ自治ニ一任ス
  ルガ最モ適當デアルト云フ趣意デゴザイマス(「モウ宜シイ宜シイ」ト呼フ者
  アリ)諸君ノ御手許ニ囘シテゴザイマス通、修正致スコトニ委員會全會一致ヲ
  以テ可決致シマシタカラ、此修正案ノ通ドウカ贊成アランコトヲ望ミマス
  (「贊成々々」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=214

  ---

• 215・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　該案ハ委員會ノ修正案ガアリマスガ、是亦前例ニ從ヒ
  讀會ヲ省略シテ決議ヲ採リマシテ宜シウゴザイマスカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=215

  ---

• 216・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　然ラバ讀會ヲ省略致シマスル
  水火消防組ニ關スル法律案確定議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=216

  ---

• 217・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　此案ハ委員會ノ修正案ニ御異議ゴザイマセヌカ
  異議ナシ」ノ聲起ルし

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=217

  ---

• 218・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　御異議ナキヲ以テ委員會ノ修正案通該案ノ確議ヲ報ジ
  マス
  〔佐脇書記官朗讀〕
  政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  臺灣ニ施行スベキ法令ニ關スル法律案
  明治二十九年度歲入歲出總豫算追加案

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=218

  ---

• 219・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　次ハ日程ノ第二十、山形縣下郡界變更法律案第一讀會
  ノ續谷河尙忠君
  第二十山形縣下郡界變更法律案第一讀會ノ續(特別委員)
  (長報告

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=219

  ---

• 220・谷河尚忠

  ○谷河尙忠君(十番)　是ハ元ト小松町、中郡村、大川村大塚村四箇村ヲ南
  置賜郡ニ編入スルト云フ提出案デゴザイマシタノヲソレデハ地方ニ或ハ紛議
  ガアルト云フヤウニ聞キマシタニ就イテ、唯四箇村內デ小松町中郡村ノ二
  箇村ダケヲ南置賜郡ニ編入スルト修正シタノデアリマス
  (「贊成々々」ノ聲起ル

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=220

  ---

• 221・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　是レ亦前例ノ通讀會省略スルコトニ御異議アリマセヌ
  カ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=221

  ---

• 222・楠本正隆

  ○議長(楠木正隆君)　御異議ナキヲ以テ讀會ヲ省略シマスル
  山形縣下郡界變更法律案確定議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=222

  ---

• 223・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　委員會ノ修正案ニ御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=223

  ---

• 224・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　委員會ノ修正案ニ御異議ナシト認メマス、卽チ其通確
  定ヲ報ジマス次ハ日程ノ第二十一日光山社殿修繕ニ關スル請願
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
  第二十一日光山社殿修繕ニ關スル請願(請願委員
  長報告

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=224

  ---

• 225・深山聳つら

  ○深山聳峮君(二百三十番)　モウ說明セヌデモ宜シウゴザイマス
  〔「宜シイ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=225

  ---

• 226・深山聳つら

  ○深山聳峮君(二百三十番)　宜シケレバ略シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=226

  ---

• 227・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　是ハ卽チ請願デアリマス採擇スルヤ否ヤノ決ヲ採リ
  マス
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=227

  ---

• 228・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　卽チ御異議ナシト認メマス、因テ此請願ニ採擇スベキ
  モノト決シマス、次ハ日程ノ第二十二、大和國古社寺保存ニ關スル請願
  第二十二大和國古社寺保存ニ關スル請願ご依頼人長報告
  (「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=228

  ---

• 229・野口けい

  ○野口褧君(二百二十二番)　若シ贊成ナレバ宜シイガ、贊成ガナササウナレ
  バ說明スル
  (「贊成々々」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=229

  ---

• 230・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　該請願モ亦御異議ナキヲ以テ採擇スベキモノト決シ
  マス次ハ第二十三、鐵道敷設上本位軌道採用ニ關スル建議案、及第二十四、
  廣軌鐵道ニ關スル建議案、是ハ委員會ノ報告デハ一〓ニ爲ッテ居ッテ、纏メ
  テ一案ニ爲ッテ居リマスカラ、此二案ヲ併テ共ニ議題ト爲シマスル
  第二十三鐵道敷設上本位軌道採用ニ關スル建議案特別委員
  長報告
  第二十四廣軌鐵道ニ關スル建議案特別委員)
  イップル告

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=230

  ---

• 231・市島謙吉

  ○市島謙吉君(二百二番)　賛成デアリマスレバ說明ハ致シマセヌガ
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕
  (田口卯吉君「反對」ト呼フ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=231

  ---

• 232・市島謙吉

  ○市島謙吉君(二百二番)　反對ナレバ報告シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=232

  ---

• 233・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　該案ニハ反對贊成ノ通告ガアリマスガ、其反對ノ通〓
  者ガ出席ガアリマセヌ免ニ角決議ヲ採リマス
  〔田口卯吉君「免ニ角是ハ演說ヲ聽キタイ」ト呼フ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=233

  ---

• 234・市島謙吉

  ○市島謙吉君(二百二番)　此案ガ違ッテ居リマスカラ其修正ダケヲ中シマス、
  此報告ニハ題ヲ揭グマセヌノガ慣例ニ爲ッテ居リマスノヲ、誤ッテ題ヲ揭グ
  タノハ間違ッテ居リマス
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=234

  ---

• 235・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　起立ニ問ヒマス、委員會修正ノ建議案ニ同意ノ諸君ハ
  起立
  起立者多農

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=235

  ---

• 236・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆、右)　多數、因テ六員會ノ修正案通建議案ノ確定ヲ報ジマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=236

  ---

• 237・市島謙吉

  ○市島謙吉君(二百二番)　二十三ト二十四ハ纒メテ一案ニ爲ッテ居リマスカ
  ラ左樣御承知ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=237

  ---

• 238・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　日程ノ第二十四廣軌鐵道ニ關スル建議案ハ、前ノ決議
  ノ結果當然消滅致シマスルガ-委員會ノ修正案デハ併テ一案ニ爲ッテ居ル
  カラ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者多シ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=238

  ---

• 239・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　次ハ第二十五、明治二十二年法律第十號改正法律案第
  一讀會、朗讀ヲ省キマス
  第二十五明治二十二年法律第十號〓正法第一讀會
  律案(片岡健吉君外八名提出)
  〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
  明治二十二年法律第十號改正法律案
  明治二十二年法律第十號附則第四十三條第一項ヲ左ノ通改正ス
  「醫師ハ」ノ下ニ「當分」ノ二字ヲ加ヘ尙ホ左ノ但書ヲ加フ
  但シ內務大臣ハ適當ト認ムル地ニ就キ明治三十年一月一日ヨリ逐次醫
  師ノ調劑ヲ禁止ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=239

  ---

• 240・多田作兵衞

  ○多田作兵衞君(二百二十五番)　餘程關係ガゴザイマスカラシテ鄭重ニ扱ヒ
  タイト思ヒマスカラ、議長指名ノ委員ニ託シタイ
  (「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=240

  ---

• 241・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　委員付託ガ先決問題ト爲リマシタ、多田作兵衞君ノ議
  長指名ノ委員ニ付託スルト云フ動議
  (「贊成々々」ト呼フ者アリ「反對」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=241

  ---

• 242・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　是卽チ先決問題ノ決議ヲ採リマス、委員說ニ同意ノ諸
  君ハ起立
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=242

  ---

• 243・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　多數ト認メマス、因テ議長指名ノ委員ニ付託スルコト
  ニ決シマス次ハ第二十六、港灣調査ノ建議案ニ進ミマス
  第二十六港灣調査ノ建議案(目黑貞治君外四名提出)
  〔左ノ建議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
  港灣調査ノ建議案
  今ヤ我帝國光威四表ニ宣揚シテ國家百年ノ大計ヲ定メムト欲スルノ隆運ニ
  際シ其ノ宜ク施設計畫スヘキモノ一ニシテ足ラス而シテ全國ノ港灣ヲ調査
  シテ先ツ其ノ大方針ヲ確定シ以テ海國永久ノ基礎ヲ定メムコトハ一日モ忽
  諸ニ附スヘカラサルモノナルヲ信ス
  海國ナルモノハ彼ノ大陸接續ノ邦國ニ於ケルト大ニ其ノ趣ヲ異ニシ港灣ハ
  所謂國家ノ門戶ナルヲ以テ獨リ船舶ニ利便ヲ與フルノミナラス內外物貨ノ
  聚散皆之ニ據ラサルナキハ勿論海陸國防ノ要務モ亦實ニ重キヲ此ニ存ス隨
  テ日ニ月ニ延長セシメムトスル國內縱橫ノ鐵道線路ノ如キ亦皆多ク之ト聯
  絡セシハヘキ必要アリ凡ソ海國百般ノ事殆ント之ト相關聯セサルモノナシ
  ト謂フモ過言ニアラサルヘシ故ヲ以テ全國ノ港灣ヲ調査シ之カ大方針ヲ確
  定スルハ卽チ海國永久ノ大基礎ヲ定ムル所以ニシテ最モ急務ナリト謂ハサ
  ルヘカラサルナリ
  顧ミテ我國千百ノ港灣如何ヲ觀察スルニ其ノ單ニ內國運輸ニ便スルモノハ
  暫ク置キ目下我國ノ大門戶トモ稱スヘキ五港ノ如キハ悉ク幕政當時ノ情況
  ニ因リ開カレタルモノニシテ其ノ現今及將來ニ對シ果シテ適當ナルヤ否ヤ
  ニ至テハ旣ニ巳ニ疑問ノ存スル所其ノ他各種ノ要港ニ至テモ是非ノ論紛然
  錯出殆ント一定スル所ヲ見ス是レ皆從來周到ナル調査ナクシテ之カ大計大
  方針ノ未タ確立セサルニ職由セスムハアラス今日ニシテ速ニ之カ調査ニ從
  事セスムハ海國百般ノ施設其ノ順序本末ヲ過リ將來ノ悔ヲ遺スアラムコト
  ヲ懼ル
  故ニ政府ハ宜ク先ツ之カ大方針ヲ確定スルノ目的ヲ以テ港灣調査費ヲ國庫
  ヨリ支出シ速ニ全國港灣ノ査察測定ニ從事セシメ大ニ我海國永久ノ大基礎
  ヲ鞏フセラレムコトヲ望ム而シテ其ノ順序方法ノ如キハ固ヨリ之ヲ當局者
  ノ算劃ニ一任スヘシ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=243

  ---

• 244・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　此建議案ニハ御異議アリマセヌカ
  (「大贊成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=244

  ---

• 245・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　御動議ナキヲ以テ該建議案ノ確定ヲ報ジマスル、次ハ
  第二十七、炭量調査所設置ニ關スル建議案
  第二十七炭量調査所設置ニ關スル建議案(藤金作君提出)
  (左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
  炭量調査所設置ニ關スル建議案
  石炭ハ國家經濟上ニ於テ最モ必要ナルコト固ヨリ論ヲ俟タス今ヤ我國石炭
  ノ需用ハ國運ノ進步ニ伴ヒ軍艦商船鐵道其ノ他諸般ノ工業上ニ於テ逐年
  益〓增加ノ勢アリ而シテ我國各地ノ炭田ハ果シテ能ク其ノ需用ニ應スヘキ
  炭量ヲ有スルヤ否ヤ顧フニ世人カ夙ニ深ク望ヲ屬シタル北海道炭層モ爾來
  調査ノ步ヲ進ムルニ及ヒテ意外ニ其ノ炭量寡少ナルノ實ヲ表セリ又九州ニ
  於ケル豐筑炭田モ最近ノ調査ニ據レハ炭量甚タ多シトセス其ノ他肥前肥後
  及本州各地ノ炭田ニシテ未タ實地踏査ヲ經サル稍ヾ著ノノノノノリ
  是レ亦其ノ炭量ハ知ルヘキノミ特ニ本州炭田ノ石炭ハ炭質良好ナラスシテ
  到底艦船鐵道其ノ他强大ナル火力ヲ要スル需用ニ充ツルコト能ハスト云フ
  果シテ然ラハ我國石炭ノ前途大ニ憂慮スヘキモノアルヲ以テ豫メ今日ニ於
  テ之カ用意ナカルヘカラス當局者ハ宜ク炭量調査所ヲ設置シ速ニ當該者ヲ
  シテ事ニ之ニ從ハシムヘシ
  右建議ス
  (「異議ナシ贊成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=245

  ---

• 246・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　御異議ナキヲ以テ是亦確定ヲ報ジマス、次ハ第二十八、
  卽チ裁判所管轄ニ關スル法律案
  第二十八裁判所管轄ニ關スル法律案(山田泰造第一讀會
  君外一名提出)
  〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
  裁判所管轄ニ關スル法律案
  第一條東京地方裁判所管內京橋區裁判所芝區裁判所麴町區裁判所下谷區
  裁判所本所區裁判所ヲ廢シ更ニ東京區裁判所ヲ設置シ從前各區裁判所ノ
  管轄區域ヲ以テ東京區裁判所ノ管轄トス
  第二條東京農裁判所開庭ノ如日ハ司法天臣之ヲ定也但東京畿裁判所開
  廳マテハ仍ホ從前ノ各區裁判所ヲシテ之ヲ管轄セシム
  〔「委員付託」「卽決」ト呼フ者アリ〕
  〔山田泰造君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=246

  ---

• 247・山田泰造

  ○山田泰造君(二百八十七番)　一寸申シマス、是ハ簡單ニ申上ゲマスルシ、
  尙ホ諸君ニ願フ儀ガゴザイマスルガ是ハ卽決ニ願ヒタイト思ヒマス、ソレ
  デ大晦日ト云フ場合デゴザイマスルカラクダ〓〓シク申シマセヌ殊ニ理
  由ハ簡單ニ一カラ七マデアリマスルカラ諸君ガ御覽ニナッタコトヽ思ヒ
  マス尙ホ此處テ申上ゲマスルノハ此理由ニ依。テ殆ド御承知ト思ヒマス
  ルガ本院ヲ通過致シマスレバ貴族院ニ於カレマシテモ至急通過ガ出來ル望モ
  ゴザイマスルカラドウカ滿場一致ヲ以テ御贊成ヲ請ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=247

  ---

• 248・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　該案ハ前例ニ依リ讀會省略デ直チニ決シテ宜ウゴザ
  イマスカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
  裁判所管轄ニ關スル法律案確定議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=248

  ---

• 249・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　然ラバ讀會ヲ省略シマス、-何等ノ御動議ナキヲ以
  テ該案ノ確定ヲ報ジマス-尙ホ報告ノ件ガアリマスル
  〔佐脇書記官朗讀〕
  臺灣ニ施行スヘキ法令ニ關スル法律案
  右法律案ハ緊急ノ事件ニ付議院法第二十七條但書及第二十八條但書ニ依リ
  議定相成度此段及要求侯也
  明治二十九年三月二十五日
  內閣總理大臣臨時代理
  樞密院議長伯爵黑田〓隆
  衆議院議長楠本正隆殿

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=249

  ---

• 250・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　該案ハ政府ノ請求ニ依ッテ緊急事件トシテ明日ノ日程
  ニ上ボセマス、次ハ日程ノ第二十九ニ移リマス
  第二十九保安條例廢止法律案(西村眞太郞君外第一讀會
  二名提出)
  〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
  保安條例廢止法律案
  明治二十年勅令第六十七號保安條例ヲ廢止ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=250

  ---

• 251・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　是レ亦前例ニ依リ讀會ヲ省略スルコトニ御異議ゴザイ
  マセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
  保安條例廢止法律案確定議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=251

  ---

• 252・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　御異議ナケレバ讀會ヲ省略シマス、-該案ニ對シ御
  異議ゴザイマセヌカ、御異議ナシト認メマス因テ該案ノ確定ヲ報ジマス、次
  ハ第三十、開港法案第一讀會ノ續小畑岩次郞君
  第三十開港法案第一讀會ノ續一個證件特里香り

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=252

  ---

• 253・小畑岩次郎

  ○小畑岩次郞君(二百三十六番)　是ハ委員會ニ於キマシテハ報告ヲ各員ニ
  囘シテアリマス通、本院ニ於テ否決スベキモノナリト云フ決議ニ爲リマシタ
  委シイ事ハ申シマセヌ
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=253

  ---

• 254・高木正年

  ○高木正年君(百二十九番)　一言簡單ニ申シテ置キタウゴザイマス、委員會
  ノ報告反對デス
  〔「無用々々」ト呼フ者アリ「ヤルベシ」ト呼フ者アリ〕
  〔高木正年君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=254

  ---

• 255・高木正年

  ○高木正年君(百二十九番)　私ハ此該案ニ贊成ノ演說ヲ致スンデ、一體此案
  ハ提出者ガ〓席ヲ致シテ居リマシタガタメニ、提出者ノ此案ニ贊成ノ人ノ
  ナイタメニ少數ノ意見モ立タヌト云フコトニナリマシタケレドモ、全ク病氣
  缺席ノタメニ少數ノ意見ガ出マセヌノデ事實ハ出ル筈デアッタノデ一言
  致シテ置キマスルガ、此案ハ委員會ニ於テ政府自身モ、委員自身モ此案ニ就
  イテ此案ノ趣意ニ少シモ反對ハナカッタ、唯政府ハ外交ノ上掛引トシテ諸君ガ
  本年之ヲ可決セラレテハ、何分殘ッタ所ノ外交條約ニ差響ガ來ルカラ止メテ欲
  シイト云フタメニ斯ノ如キ政府ノ反對ノ一言ヲ以テ委員會ハ否決ヲ致シタ
  ノデゴザイマス此位分カラヌ議論ハナイ筈デアル條約改正モ段々進デ
  參ッテ僅ニ二三ノ國ノ殘ッテ居ッタダケデ然ルニ其二三ノ國ニ對シテノ
  掛合ノ上デ開港ト云フコトノ港ノ數ヲ澤山法律デ極メテ出スノハ條約改
  正ノ上ニ差支ヘルト云フ如何ニモ不可思議ナル分カラヌ理窟ヲ以テ政府ハ
  反對シテ居ルデ法律案ハ法律ノ施行此開港ノ時期ト云フモノハ命令
  ヲ以テ定メルト云フコトデアル以上ハ若シ條約改正ニ響ガアルト云フコト
  ガアルナラバ條約改正完成ノ上デ其時期ヲ政府ガ定メテ差支ナイ法案
  ガ通ッテモ少シモ外交ノ上ニ響キガナイ是ガ政府ノ反對ヲシタ理由デ吾
  吾ハ此反對ハ少モ理由ガナイモノト認メル願ハクハ諸君ハ此案ハ國家貿
  易ノ上ニ就イテ至大ノ關係ヲ有ツ利益ノアル所謂富國ノ基ヲ爲ス所ノ開港
  法案デゴザイマスカラ、諸君ハドウゾ全會一致ヲ以テ御贊成相成ルヤウニ願
  ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=255

  ---

• 256・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　該案モ亦讀會ヲ省略スルコトニ御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
  開港法案確定議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=256

  ---

• 257・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　卽チ讀會ヲ省略シテ決議ヲ採リマス-該案同意ノ諸
  君ハ起立
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=257

  ---

• 258・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　少數、卽チ該案ハ否決サレマシタ、次ハ第三十一、府
  縣農事試驗場國庫補助法案、是ハ第一讀會ノ續トアリマスガ、二讀會ヲ續トア
  ルベキヲ印刷ノ誤リデゴザリマスー-該案モ亦前例ニ依リ讀會ヲ省略スルコ
  トニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=258

  ---

• 259・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　然ラバ讀會ヲ省略致シマスル
  第三十一府縣農事試驗場國庫補助法案確定議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=259

  ---

• 260・谷澤龍藏

  ○谷澤龍藏君(百六十一一番)　是カラ簡略ナ事デスカラ是カラ委員長ノ說明
  ヲ致シマス本案ハ修正原案トモ否決シマシテ本會ニ於テハ廢棄スベカラ
  ザルモノト爲ッテ殊ニ委員トシテ起草ヲ囑託セラレマシタカラ別册ノ通ニ
  起草致シマシタコトデゴザリマス此案ハ御囘シ申シテアリマスカラ是一
  依ッテ御諒知アランコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=260

  ---

• 261・大原重右衞門

  ○大原重右衞門君(百五十九番)　本員ハ第六條ニ少シ修正ガ致シタイ、此府
  縣勸業ト云フ間ニ「茶」ノ字ヲ加ヘタイ、是ダケノ修正デ、此事ハ餘程利益ノ多
  イ仕事デアッテ此本案ヲ可決スル以上ハ此事ハ必ズ加ヘテ置カナケレバ
  ナラヌコトヽ本員ハ信ズルノデ本案ニ就キマシテハ此事ヲ加ヘルコトガ是
  非必要デアル此本案ノ完備ヲ望ミマスレバ、是非共此茶ト云フ字ヲ加ヘテ
  置カナケレバ行クマイト思ヒマス願ハクハ諸君御贊戌ヲ請ヒマハ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=261

  ---

• 262・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　サウ致シマスト「蠶業ト」アリマスノヲ「蠶茶業」ト改メ
  マスルノカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=262

  ---

• 263・大原重右衞門

  ○大原重右衞門君(百五十九番)　左樣デゴザリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=263

  ---

• 264・小畑岩次郎

  ○小畑岩次郞君(二百三十六番)　私ハ全部反對デ細カイ事ハ申シマセヌガ
  先キニ申シマスル通、農事試驗場ノ如キハ地方經濟デスベキ事デゴザイマ
  シテ國庫カラ補助スベキモノデハアリマセヌ補助スルノ必要ハ本員ハ認
  メヌト思ヒマスカラ本案ハ絕對的ニ反對ヲ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=264

  ---

• 265・星亨

  ○星亨君(八番)　委員會ニ二度出テ來タンデアリマスレバ、全體本會ガ容レ
  ルカ容レナイカト云フコトノ極リガ付カヌデハ往カヌト思ヒマスソレトモ
  各條ニ就イテ御採リニナルノデゴザイマセウカ、此案ヲ果シテ容レルカ、容レ
  ナイカト云フコトヲ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=265

  ---

• 266・田口卯吉

  ○田口卯吉君(二百六十九番)　唯今此全廢論ヲ出シマシテ宜シウゴザイマス
  カ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=266

  ---

• 267・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　讀會ヲ省略シテアリマスカラ宜シイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=267

  ---

• 268・田口卯吉

  ○田口卯吉君(二百六十九番)　本員モ此案ハ全廢ヲ希望致シマス、別ニ委シ
  イコトハ申シマセヌカ免ニ角地方議員府縣會議員ガ必要ナリト認メレ
  バ必要ダケノ金ヲ出スニ違ヒナイ地方ノ自治ニ任シテ府縣會議員ガ自
  分ノ其地方ニ適當ナルダケノ金ヲ出サナイカラ國會議員ガ此處デ新ニ金ヲ
  出シテ其府縣ニ起サナケレバナラヌト云フ必要ハナイ成ル程府縣會議員
  モ勸業熱心ナル人ノ意ノ如ク金ヲ出サヌカ知レマセヌガソレハ矢張國會
  議場ニ於テ本員等ノ意見ガ通ラヌト同ジデセウ他ニ苦情ノ云フベキ筈ハナ
  イ(「無用々々」ト呼フ者アリ)是ハ必要ハナイト思フソレダケヲ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=268

  ---

• 269・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　此案ハ新ニ委員ガ起草シタモノデアリマス、此案ヲ採
  用スルヤ否ヤノ決議ヲ採リマス讀會ヲ省略シテアリマスカラ、直チニ確
  定ノ議ヲ採リマス該案全部ニ同意ノ諸君ハ起立
  起立者少數
  (「多數々々」ト呼フ者アリ「少數々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=269

  ---

• 270・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　少數ト認メマスル、因テ該案ハ全ク否決ト爲リマシタ
  (恆松隆慶君「遺憾ナガラ異議ヲ申立テマセヌ」ト呼フ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=270

  ---

• 271・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　第三十二ハ日程變更ニ依リ既ニ繰上ゲテ結了ヲ報ジマ
  シタ次ハ第三十三、大分縣豐後國佐賀關海峽ニ燈臺及浮標設置ニ關スル建
  議案
  大分縣豐後國佐賀關海峽ニ燈臺及浮標設
  置ニ關スル建議案(毛利莫君外二名提出)
  〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ茲ニ揭載ス〕
  大分縣豐後國佐賀關海峽ニ燈臺及浮標設置ニ關スル建議案
  大分縣豐後國北海部郡佐賀關岬ト愛媛縣伊豫國西宇和郡佐田岬トノ海峽タ
  ル我帝國西南海ヨリ內海ニ入ルノ咽喉ト爲ス之ヲ佐賀關海峽ト唱フ峽中魚
  ヲ生スル極メテ夥シク種類亦甚タ多ク其ノ味絕美ト稱ス漁者日夜寒暑風雨
  霧雪ヲ論セス舟ヲ放チテ釣スル者網スル者其ノ數幾百ナルヲ知ラス又南ハ
  伊豫土佐日向大隅薩摩琉球北ハ藝備播攝長防ノ船舶往來スルモノ常ニ繁シ
  殊ニ宇品呉神戶大阪ト臺灣トノ間ヲ往復スル船舶ハ一ニ此ノ峽ニ由ラサル
  ヲ得ス況シヤ外洋ト內海トヲ進退スル潮勢ノ盛ナル時ニ當リテハ帆船ハ潮
  ニ向テ進ムコト能ハス汽船ト雖モ全速力ヲ盡スニ非サレハ決シテ進ムコト
  ヲ得ス其レ此ノ如キ要路ナルカ故ニ漁者及航海者ノ保護上速ニ關岬ニ燈臺
  ヲ平瀨權現二暗礁ニ浮標ヲ設置セラレムコトヲ望ム
  右建議候也
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=271

  ---

• 272・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　議案ニ對シテハ別段御動議ナシト認メマス、因テ該案
  ノ確定ヲ報ジマスル次ハ第三十四、國勢調査執行建議案
  國勢調査執行建議案(江原素六君外三名提出)
  〔左ノ建議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ茲ニ揭載ス〕
  國勢調査執行建議案
  國勢調査ハ全國人民ノ現狀卽チ男女年齢職業身上ノ有樣宗〓、〓育、生國、
  住地、住家不具者等ノ事實及農商工鑛漁其ノ他ノ產業及財產ニ至ルマテ
  家別人別ニ就キ精細ニ現實ノ狀況ヲ調査スルモノニシテ一タヒ此ノ調査ヲ
  ケトブハキハ全国ノ情勢之ヲ筆上ニ見ルヲ得ヘシ此ノ國產記法ハ織リ現状ヲ
  セムカ國勢ヲ審知スルノ基礎何ニ由リテ立タムヤ且此ノ調査ハ獨リ現
  明ニスルノミナラス囘ヲ累ヌルニ隨ヒ益と國勢進步ノ程度ヲ明確ニスルコ
  トヲ得ルモノニシテ政治上經濟上實業上共ニ必要缺クヘカラサルモノナ
  通牒答ム北京台港台味界風渉一名古屋市中村區南大学生育科学研究科研究科联共メニュー
  國立憲政體ノ今日ニ及ヒ未タ之ヲ施行セサルハ實ニ一大闕〓ト言ハサルヘ
  カラス頃日確信スヘキ歐洲ノ報告ニ據レハ昨年七月瑞西國伯爾尼府ニ開キ
  タル萬國統計會ニ於テ次囘ノ調査期限ヲ議決シ西暦一千九百年卽チ我明治三
  十三年ト定メ從來各國ノ執行期是ニ先ツモノハ之ヲ延シ後ルヽモノハ之ヲ
  繰上ヶ萬國同一時日ニ其ノ調査ヲ執行セムコトヲ望ミ各政府ニ向テ其ノ承
  諸フホノ既ニ被國(マペ書ヲリタリト間ケリ共闘ニテモ同年ハ恰金
  千五百六十五年ニ當ルヲ以テ是ヨリ繼續シ每五年ニ調査セハ六十五年七十
  年ト五箇年每ニ一囘トナリ大ニ便宜ヲ得ヘシ故ニ政府ハ速ニ調査ノ計畫ヲ
  定メ其ノ準備ヲナサムコトヲ望ム
  右建議候也
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=272

  ---

• 273・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　是レ亦御異議ナシト認メマスル、因テ該建議案ハ可決
  セラレマシタ-次ハ日程ノ第三十五ニ移リマス
  木曾揖斐兩川間關門設立ニ關スル請願一請願委員
  長報告
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=273

  ---

• 274・深山聳つら

  ○深山聳峮君(二百三十番)　委員長ニ代ッテ報告ヲ致サウト思ヒマスガ··
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ「ソレニハ及バヌ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=274

  ---

• 275・深山聳つら

  ○深山聳峮君(二百三十番)　然ラバ止メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=275

  ---

• 276・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　此請願ヲ採擇スルニハ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=276

  ---

• 277・楠本正隆

  ○議長(楠本正隆君)　御異議ナシト認メマス、因テ採擇スルコトニ決シマ
  ス日程ハ玆ニ終リヲ告ゲマシタ明日ハ決議ノ通午前十時ヨリ會議ヲ
  始メルコトニ致シマスル其日程ハ書式ヲ以テ御報道ヲ致シマスル、今日ハ
  是デ散會ヲ報ジマスル
  午後五時三十二分〓會
  〔左ノ日程ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ茲ニ揭載ス〕
  議事日程第四十七號明治二十九年三月二十ハ日(木曜日)
  午前十時開議
  第臺灣ニ施行スヘキ法令ニ關スル法律案(政府提
  出緊急事件)
  第二會計檢査院法中改正法律案(政府提出貴族院送
  付緊急事件)
  第三會計檢査官退官ニ關スル法律案(政府提出貴族
  院送付緊急事件)
  第四日本勸業銀行法案(政府提出貴族院囘付)
  第五農工銀行法案(政府提出貴族院囘付)
  第六靜岡縣下郡廢置法律案(政府提出貴族院囘付)
  第七福島縣下郡廢置法律案(政府提出貴族院囘付)
  第八岐阜縣下郡廢置及郡界變更法律案(政府提出貴
  族院囘付)
  第九明治二十六年度歲入歲出決算
  第十明治二十三年法律第百六號中改正法律案(中村彌第一讀會
  六君提出)
  第十一鐵道敷設法第二條中改正法律案(加賀美嘉兵衞第一讀會
  君外七名提出)
  第十二飯匙蛇毒醫學〓究竝ニ該蛇懸賞捕獲ニ關スル建
  議案(大島信君提出)
  第十三米原敦賀間鐵道柳ケ瀨隧道改修及水害補助ニ關
  スル建議案(小畑岩次郞君提出)
  第十四鐵道建築規定ニ關スル建議案(福田久松君外一
  名提出)
  第十五戰死病死者遺族扶助ニ關スル建議案(高木正年
  君外四名提出)
  第十六商法第六章第百七十五條修正ノ件ニ付請願(特(請願委員0
  別報告第五號)長報告
  第十七商工同業組合ニ關スル法律制定ノ請願(特別報請願委員
  告第六號)長報告
  第十八府縣境界變更ニ關スル請願(特別報告第十號)請願委員)
  長谷川
  第十九復族祿ニ關スル五十三件(特別報告第十一號)ヘ請願委員0
  (長報告
  第二十私立尋常中學校ニ關スル請願(特別報告第十二(請願委員
  號長報告
  第二十一民勢調査施行ノ請願(特別報告第十三號)一長報告諸願委員
  第二十二復祿ニ關スル請願六十九件(特別報告第十四請願委員
  號七穀米
  第二十三豐後國日田郡管轄替ノ請願(特別報告第十五請願委員
  號長報告
  第二十四復族祿ニ關スル請願五十九件(特別報告第十請願委員
  六號)長報告
  第二十五庄內川改修ノ請願(小室重弘君外二十九名要
  求
  第二十六鐵道敷設法中追加ノ請願(北原信綱君外三十
  四名要求)
  第二十七區裁判所出張所設置ノ請願(波多野傳三郞君
  外三十二名要求)
  衆議院議事速記錄第四十四號正誤
  頁段行誤正
  七三四下一 〓名聲勵精
  衆議院議事速記錄第四十五號正誤
  頁段行誤正
  七六四上一七專問者質問者

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000913242X04618960325&spkNum=277