第10回帝国議会　衆議院　本会議　第13号　明治30年2月24日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  　　明治三十年二月二十四日（水曜日）午後一時二十三分開議
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  　　　　議事日程　第十三號　明治三十年二月二十四日
  　　　　　午後一時開議
  　　　第一　（總追第五號）明治二十九年度歳入歳出總豫算追加案
  　　　第二　（特追第三號）明治二十九年度特別會計歳入歳出豫算追加案
  　　　第三　（總追第六號）明治二十九年度歳入歳出總豫算追加案
  　　　第四　鐵道敷設法中改正法律案（政府提出）　第一讀會の續（特別委員長報告）
  　　　第五　作業會計法中改正法律案（政府提出）　第一讀會
  　　　第六　右議案の審査を付託すへき特別委員の選舉
  　　　第七　狩獵免許税徴收に關する法律案（政府提出）　第一讀會
  　　　第八　右議案の審査を付託すへき特別委員の選舉
  　　　第九　罹災救助基金法案（政府提出）　第一讀會
  　　　第十　右議案の審査を付託すへき特別委員の選舉
  　　　第十一　家祿賞典祿處分法案（深山聳つら君外三十八名提出）　第一讀會の續（特別委員長報告）
  　　　第十二　祿高整理公債法案（深山聳つら君外三十四名提出）　第一讀會の續（特別委員長報告）
  　　　第十三　家祿賞典祿整理處分法案（目黒貞治君外三名提出）　第一讀會の續（特別委員長報告）
  　　　第十四　特赦復權に關する建議案（小室重弘君外一名提出）　（特別委員長報告）
  　　　第十五　千葉縣茨城縣境界變更法律案（木村格之輔君外七名提出）　第一讀會
  　　　第十六　國學院補助に關する建議案（穐山忠夫君外三名提出）
  　　　第十七　會計法中改正法律案（元田肇君提出）　第一讀會
  　　　第十八　不正肥料販賣取締法發布の請願（特別報告第一號）　（請願委員長報告）
  　　　第十九　庄内川改修の請願（特別報告第二號）　（請願委員長報告）
  　　　第二十　函館に市制を施行するの請願（特別報告第三號）　（請願委員長報告）
  　　　第二十一　廣島縣賀茂部阿賀村を同縣安藝郡へ分合の請願（特別報告第四號）　（請願委員長報告）
  　　　第二十二　商法中會社合併に關する法規制定の請願（特別報告第五號）　（請願委員長報告）
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• 001・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　是ヨリ諸般ノ報告ヲ爲シマス
  〔田中書記官朗讀〕
  政府ヨリ明治二十七年度歲入歲出總決算、明治二十七年度各特別會計歲入
  歲出決算、明治二十七年度歳入歲出決算檢査報告ヲ提出セラレタリ
  政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  保稅倉庫法案
  關稅定率法案
  明治三十年度歲入歲出總豫算追加案(總追第一號同第二號)
  明治三十年度各特別會計歲入歲出豫算追加案(特追第一號同第二號)
  豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲナスヲ要スル件
  小室重弘君提出ニ係ル緊急勅令廢止ニ關スル質問ニ對シ大隈外務大臣樺山
  內務大臣ヨリ左ノ答辯アリ
  衆議院議員小室重弘君ヨリ緊急勅令廢止ニ關スル質問ニ對シ外務內務兩
  大臣ヨリ答辯書提出ニ付及御囘付候也
  明治三十年二月二十四日
  內閣總理大臣伯爵松方正義
  衆議院議長鳩山和夫殿
  衆議院議員小室重弘君提出緊急勅令廢止ニ關スル質問ニ對シ別紙答辯書
  差進候也
  明治三十年二月十九日
  內務大臣伯爵樺山資紀
  外務大臣伯爵大隈重信
  衆議院議長鳩山和夫殿
  (別紙)
  衆議院議員小室重弘君提出緊急勅令廢止ニ關スル質問ニ對スル
  答辯書
  一緊急勅令ヲ帝國議會ニ提出シ其ノ承諾ヲ求ムルハ將來ニ施行スル必要ア
  ル場合ニ限ル政府ハ旣ニ其ノ必要ナキヲ認メ之ヲ廢止シタルニ於テハ帝
  國議會ノ承諾ヲ求ムルヲ要セサルモノトス故ニ明治二十七年勅令第百三
  十四號ノ先例ヲ襲ヒ明治二十九年勅令第二百四號ノ」諾諾ヲ求メサルハ憲
  法ノ條規ニ違背セサルモノト信ス
  一明治二十九年勅令第一一百四號ハ將來ニ施行スルノ必要ナシト認メタルニ
  於テハ政府ハ進テ憲法上ノ權限ニ依リ速ニ之カ廢止ノ手續ヲ取ルハ啻ニ
  違法ノ行爲ニアラサルノミナラス其ノ盡スヘキ當然ノ責務ナリ其ノ議會
  閉會ノ期日ニ迫レルヤ否ハ行爲ノ合法違法ヲ決定スルニ何ノ關係ヲ有セ
  ス且議會若シ緊急勅令ト同一ノ法規ヲ存置スルノ必要アリト認ムルニ於
  テハ自ラ其ノ法律案ヲ提出スルコトヲ妨ケス故ニ帝國議會ノ決議權ヲ無
  效ナラシメタルモノニアラスト信ス
  一政府ハ朝鮮國渡航ノ自由ヲ禁止スルノ必要ナキヲ認メタルニ依リ速ニ其
  禁令ヲ廢止シ渡航ノ自由ヲ舊狀ニ復シタルコトハ實ニ緊急ノ必要アリタ
  ルニ依レルモノト信ス
  一政府ノ行爲ハ憲法ノ條章ヲ遵奉シテ踰越セス將來ノ惡例ヲ作ルモノニア
  ラスト信ス
  右及答辯候也
  明治三十年二月十九日
  內務大臣伯爵樺山資紀
  外務大臣伯爵大隈重信
  鉛木充美君外一名提出ニ係ル獨逸公使ニ關スル質問ニ對シ大隈外務大臣ヨ
  リ左ノ答辯アリ
  衆議院議員鈴木充美君外一名ヨリ獨逸公使ニ關スル質問ニ對シ外務大臣
  ヨリ答辯書提出ニ付及御囘付候也
  明治三十年二月二十四日內閣總理大臣伯爵松方正義
  衆議院議長法學博士鳩山和夫殿
  衆議院議員鈴木充美君外一名提出ニ係ル獨逸公使ニ關スル質問ニ對スル
  別紙答辯書差進候也
  明治三十年二月一日
  外務大臣伯爵大隈重信
  衆議院議長鳩山和夫殿
  (別紙)
  衆議院議員鈴木充美君外一名ノ提出ニ係ル獨逸公使ニ關スル質問
  ニ對スル答辯
  明治二十九年十二月三十日午後二時四十分項成城學校生徒前田政市有門周
  二ノ兩名カ麴町區上二番町二十番地前ノ阪路ヲ下ルノ際外國人一名二頭馬
  車ニテ自身ニ馬ヲ馭シ阪路ヲ上リ來リ阪ノ中途ニ來ルノ頃同外國人ト右兩
  名トノ位置ハ一斜線上ニアリテ其間一間一尺程ヲ隔テリ然ルニ同外國人ハ
  突然車上ヨリ鞭ヲ以テ先ナル前田政市ヲ打タントセシモ達ヒス續テ鞭ヲ擧
  ケテ有門周二ノ帽子及面部ヲ毆打シ且ツ突クコト三囘ニ及ヒ其儘馬車ヲ馳
  セ近傍ナル煉瓦造リノ大家ニ入リタルヲ以テ右兩名ハ直チニ之ヲ追跡シ門
  前ニアリシ巡査ニ尋ネタル上右外國人ハ獨逸國公使ナルコトヲ知リ得タリ
  トテ右ノ〓末前記前田政市有門周二ノ兩名ヨリ居出タル趣ヲ以テ警視總監
  ヨリ右書面ヲ本大臣ヘ進達セリ依テ本大臣ハ獨逸國公使ニ向テ右出來事ニ
  關スル當時ノ情狀ノ通報ヲ求メタル處同公使ヨリ前記ノ日若クハ其他ノ日
  ニ於テ馬車鞭ヲ以テ何人タリトモ毆打シタルコトナシ然シ同公使ハ前記ノ
  日午後三時頃一二ノ學生ニ出遭ヒシコトアリシカ其際聊カタリトモ彼等靑
  年者ヲ煩シ若クハ辱シムルノ意思ナク只〓レニ彼等ノ前ニ其ノ鞭ヲ振レリ
  然ルモ若シ鞭ノ一端眞ニ彼等學生ニ觸レ之カ爲メ彼等學生ニ於テ屈辱セラ
  レタリトスルカ如キコトアラハ深ク遺憾トスル所ナルヲ以テ此旨彼等靑年
  者ニ傳ヘラレンコトヲ希望ストノ趣囘答アリタルニ付警視總監ヲシテ右ノ
  旨趣ヲ前記前田政市有門周二ノ兩名ヘ傳達セシメ置キタリ
  右及答辯候也
  明治三十年二月一日
  外務大臣伯爵大隈重信
  貴族院ニ於テ東京大阪砲兵工廠据置運轉資本增加ニ關スル法律案、千住製
  絨所据置運轉資本增加ニ關スル法律案、臺灣總督府特別會計法案、鐵道公
  債及事業公債利子支拂期改正法律案ヲ可決シタル旨同院ヨリ通牒アリ
  議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  郡制中改正法律案
  提出者久保九兵衞君谷澤龍藏君
  元田肇君ヨリ日獨條約ニ關スル件ニ付政府ニ質問書ヲ提出セラレタリ
  特別委員左ノ通指名セリ
  明治二十八年度豫備金支出ノ件外三件審査特別委員
  堀內賢郞君平田箴君南野道親君
  高田早苗君武富時敏君折田兼至君
  毛利莫君松本重太郞君小西甚之助君
  蠶種檢査法案審査特別委員
  小畑岩次郞君脇坂行三君井上利右衞門君
  朝倉親爲君佐藤忠望君堀越寬介君
  東尾平太郞君松尾寛三君大島信君
  〔左ノ質問書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
  日獨條約ニ關スル質問書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治三十年二月二十四日
  提出者元田肇
  贊成者新井毫
  外三十二名
  質問書
  一本月十七日外務大臣大隈伯ハ本院ニ於テ日獨條約第十七條ノ特許權商標
  權等ニ付テハ兩國全權委員ノ締結セル議定書ニ依リ改正條約實施以前ノ
  今日ヨリ之ヲ獨逸國臣民ニ認許シタルモ之ニ關スル裁判權ハ帝國之ヲ有
  セスト公言セラレタリ然ルニ該議定書第四號ニ依レハ「兩締盟國ハ他ノ
  一方ノ臣民カ發明見本(實用ニ供スル見本共)雛形商標製造商社號及其
  他ノ商號ノ保護ニ關シ法律ニ定メタル條件ヲ遵守スルトキハ各其版圖內
  ニ於テ該臣民ニ右ノ保護ヲ與フルコトニ同意ス」トアリテ別段裁判權ニ
  關シ治外法權ノ特約ナシ然則該議定文ニ所謂「保護ニ關シ法律ニ定メタル
  條件ヲ遵守スルトキハ各其版圖內ニ於テ該臣民ニ右ノ保護ヲ與フルコト
  ニ同意ス」トアルハ則右保護ニ關スル法律ヲ遵守シ獨逸國版圖內ニ在リ
  テハ獨逸國ノ裁判權ニ服スヘク帝國ノ版圖内ニ在リテハ帝國ノ裁判權ニ
  服スルノ趣旨ナルコト明白ナリトス假リニ該議定文ハ裁判權ニ關シ規定
  セサルモノトスルモ他ニ治外法權ヲ置クノ特約ナキニ付一方ノ版圖內ニ
  於テノ爭訟ハ其國ノ裁判所之ヲ審判スヘキカ如ク他ノ版圖內ニ於テノ爭
  訟ハ亦其國ノ裁判所之ヲ審判スヘキハ固ヨリ當然ノ條理ニシテ此間些ノ
  疑ヲ容ルヘキナシ而ルニ外務大臣大隈伯ハ我邦駐在ノ獨逸領事ニ於テハ
  是等商標等ニ關シ生スル爭訟ニ付裁判權ヲ有セサルコトヲ明認シナカラ
  我帝國ニ於テモ亦裁判權ナシト斷言セラレタルハ本員ノ解スル能ハサル
  所ナリ知ラス右ハ外務大臣大隈伯ノ失言ニ非ルナキ乎若シ外務大臣大隈
  伯ノ失言ニ非ストセハ政府ノ見ル所亦我帝國ニ裁判權ナシトスル乎
  二抑裁判權ノ得喪ハ國權ノ伸縮ニ關スル甚タ大ナリ故ニ若シ政府ニ於テモ
  大隈外務大臣ノ公言セシ如ク我ニ裁判權ナキモノトセハ該議定ノ事項ハ
  我ニ寸毫ノ益ナクシテ徒ニ貴重ノ權利ヲ獨逸國ニ讓與シ從テ最惠國條款
  ノ規定アル他ノ締盟各國ニ對シ悉ク是等ノ特權ヲ認許セサルヲ得サルニ
  至ルモ我ニ於テハ裁判權ヲ失シ國權ヲ毀損スルコト甚シキモノナリ政府
  ハ何故ニ斯ル重大ノ過失アル當局全權委員靑木周藏子ヲ寛假シ今日ニ至
  リタリトスル乎
  右及質問候也

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• 002・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　元田肇君
  〔元田肇君演壇ニ登ル〕

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• 003・元田肇

  ○元田肇君(百十二番)　諸君私ハ單簡ナル質問デゴザイマスルガ、其質問ノ
  關係致シマスルコトハ重大ナル關係ヲ我國權ノ上ニ持ット存ジマスルカ
  ラシテ、ドウカ諸君ニ於テ暫クノ問、此質問ノ趣意ニ御耳ヲ御借シ下サラン
  コトヲ切望致シマスルコトデゴザイマス質問ノ次第ハ唯今述べマス趣意デ
  ゴザイマスガ本月十七日本院ニ於キマシテ、外務大臣大隈伯爵ノ外交ノ方
  針ニ對スル御演說ガアリマシタ、其際本員ヨリ大隈外務大臣ニ對シマシテ
  日獨條約ノ上ニ就イテ見マスルノニ條約改正卽チ改正シタル條約ノ未ダ實
  施セラレザル今日ヨリ獨逸帝國臣民ニ對シテハ我帝國ハ是マデ與ヘテナ
  イ所ノ專賣特許、商標權等ノ享有ヲ許スト云フコトガ規定致シテアリマスル
  デ是等ハモウ明ナコトデアリマスルガ、此條約文ニ添フタル所ノ議定書ニ
  於キマシテハ若シ是等ノ專賣特許或ハ商標等ニ就イテ、爭訟事件ガ起ッタ
  時分ニハ裁判ハ何レノ國ガスルト云フコトニ就イテ、如何ナル意見ヲ政府
  ハ持ッテ居ルデアリマセウカト考ヘマシテ大隈外務大臣ニ質問ヲ致シマシ
  タ所ガ、本員ニ於キマシテハ誠ニ意想外ノコトデアリマシタ我日本帝國ニ
  ハ此事ニ就イテハ裁判權ナシト云フコトヲ、大隈外務大臣ハ斷言セラレタコ
  トデアリマスル私ハマサカニ斯ル議定ニナッテ居ルコトデハアルマイ政
  府ノ見ル所モ左樣デハアルマイト信ジマシタ故ニ間違デハナカラウカト考
  ヘマシテ、再三問返シマシテゴザイマスガ斷ジテ裁判權ハナイト云フコト
  ヲ確言セラレタコトデアリマス、デ、此事ニ就イテ裁判權ノ有無ハ實ニ非常
  ナ關係ヲ持ッコトデアラウト思ヒマスル條約改正ヲ急イダ中ニ於キマシ
  テ、治外法權ト云フモノガ尙ホ日本ニ存シテ居ルト云フコトガ最モ吾〓ノ
  條約改正ヲ急イダ一ノ原因デアリマスル、然ルニ近項歐米各國ト新ニ條約
  改正ガ出來テ、其出來タ條約ハ何デアルカト言ヘバ治外法權ト云フ〓ハシ
  キモノガ取除ケラレルト云フコトハ吾ミ稍〓滿足ヲ表レタル所ノ部分デア
  リマスル、然ルニ此條約ハ何時カラ行レルカト云ヘバ向フ二箇年若クハ二
  箇年半ニ實施サレルト云フコトガ今日ノ希望デアリマスケレドモ果シテ是
  ガ二箇年半ノ後ニ至ッテ實施セラルヽヤ否ヤト云フコトハ未ダ實施セラレ
  ナイ今日カラ見マスレバ分ラヌコトデアリマスル或ハ是ガマア左樣ナコト
  ガアリタクゴザイマセヌケレドモ、雙方ノ都合或ハ獨逸帝國ノ都合、或ハ日
  本帝國ノ都合ニ於キマシテカラニ五年延ブカ七年延ブカ十年延ブカ
  實施シテ仕舞ハヌ今日ニアッテハ未ダ計ラレヌコトデアリマス、然ルニ其
  條約改正ニナッタ其改正條約ノ實施ニナラズ、日本帝國ニ於テハ何等ノ利益
  ヲ享ケテ居ラナイ所ノ今日ニ於キマシテ新ニ外國卽チ獨逸國ナリ、其他ノ
  國ニ向ッテ、新ニ特權ヲ付與スルト云フコトハ日本帝國トシテ-日本帝
  國ノ政府トシテ最モ愼マナケレバナラヌコトデアラウト存ジマスルノデゴザ
  イマスルデ此事ニ就キマシテ獨逸ノ條約ヲ見マスルト云フト條約文ニ
  於キマシテハ改正條約ノ實施セラルヽ時カラ行レルコトガ書イテアルノ
  デアリマスル然ルニ兩國今權委員ノ締結致シマシタ所ノ議定書ト云フモノ
  ガアリマスルガ此議定書ノ第四號ニ於キマスルト云フト此事ガ書イテア
  ルノデ、其四號ニハ何ト書イテアルカト申シマスレバ「兩締盟國ハ他ノ一方
  ノ臣民ガ發明、見本(實用ニ供スル見本共)雛形、商標、製造標商社號及其ノ
  他ノ商號ノ保護ニ關シ法律ニ定メタル條件ヲ遵守スルトキハ各〓其ノ版圖內
  ニ於テ該臣民ニ右ノ保護ヲ與フルコトニ同意ス」ト、斯ウ云フ明文ガアルノデ
  アリマスデ、此文ニ就キマシテハ明ニ裁判權ハ何レニ在ルカト云フコトハ
  記載ハ致シテゴザイマセヌケレドモ木員抔ノ解釋ヲ致シマスル所ニ依リマ
  スレバ保護ニ關シ法律ニ定メタル條件ヲ遵守スルトキハト云フコトガ上ニ
  ゴザイマシテ、各〓其版圖內ニ於テト云フコトガ次ニ受ケテ居リマス、故ニ治
  外法權ガ此〓ニ關係致シテモ尙ホ存シ置クト或ハ新ニ是丈ノコトハ別段ニ
  裁判管轄ヲ異ニスルト云フコトハ約定ガ此文ノ中ニアレバ格別デアリマ
  スガ、ソレガナイ以上ハ、卽チ此條約文議定文-ート申シタガ穩デアリマセウ
  ガ、ソレニ於キマシテモ、無論我日本帝國ノ裁判權ニ服シナケレバナラヌト
  云フコトハ政府ガ明言ガ出來ルダラウト思フノデアリマス、又假ニ此議定
  書ノ文面ニ依リマスレバ裁判權ト云フコトガ明ニ書イテナイ以上ト云フモ
  ノハ其事ハ暫ク茲ニ規定シテナイモノト假定シマシタ所デ、若シ裁判權ニ
  就イテ特ニ規定シタルコトガナイ以上ハ卽チ我國ニ在ッテ我國ノ保護ヲ受
  ケル事件ニ就イテハ我帝國ノ裁判ノ下ニ服スルト云フコトハ當然ノ解釋デ
  アラウト私ハ信ズルノデアリマスデ、私共ハ此解釋ヲ斷信シテ疑ハズニ居
  リマシタ所ガ去ル十七日ノ大隈外務大臣ノ御言葉ニ依リマスルト獨逸
  ノ領事ニ於テモ裁判權ハ無論持ッテ居ラヌガ日本帝國ニ於テモ亦裁判權ヲ
  持ッテ居ラヌト云フコトヲ答ヘラレタノハ實ニ本員ノ解スルコトガ出來ナ
  イコトデアリマスル、獨逸ノ領事ノ持ッテ居ラヌ限ハ卽チ我帝國ニ於テ保
  護ヲ受ケル所ノ獨逸臣民デアル以上ハ是等ノ事項ニ關係シテ起ノタ裁判事
  項ニ就イテハ卽チ我帝國ノ裁判ノ下ニ服サナケレバナラヌト云フコトハ殆
  ド吾〓ハ說明ヲ俟タズシテ明ナコトデアラウト思ウノデアル、然ルニモ拘
  ラズ、大隈外務大臣ハ獨逸帝國ノ領事裁判ニナキコトヲー此裁判權ナキコ
  トヲ明言セラレテ茲ニ公言致サレナガラ、何故デゴザイマセウカ、我帝國ニ
  於テモ裁判權ナシト云フコトヲ輕々ニ答ヘラレタト云フコトハ實ニ不可思
  議千萬ノコトヽ本員ハ存ズルノデアリマス、デ或ハ此大隈外務大臣ノ答ハ一
  時ノ間違デハアリハシナカッタラウカト本員ハ今日マデ過ギタコトデゴザ
  イマスルガ、然ルニ官報ニモ載ッテ居リマスルシ議事筆記ニモアルニ拘ラ
  ズ、外務大臣ヨリ今日マデ取消スト云フコトガ出テ來ヌ所ヲ以テ見マスレバ、
  我國權ニ關係ヲシテ、堂々タル帝國ノ外務大臣ガ帝國議會ニ向ッテ明答セラ
  レタコトハ是ヲ不問ニ付シテ置クコトガ出來チイト私ハ信ジマスノデアリ
  マス、ソレ故ニ本員ハ以上ノ理由デアルニモ拘ラズ、外務大臣ガ我日本帝國
  ニ於テ裁判權ナシト答ヘラレタト云フコトハ是ハ外務大臣ノ失言デハナイ
  カト云フコトノ質問ヲ玆ニ發スルノデアリマス失言デアレバソレマデノコ
  トデアリマスデ若シ大隈外務大臣ニ於テハ斯ル解釋ヲ〓ッテ居ラレルト
  云フコトデ飽クマデゴザイマスナラバ人ヲ舉ゲテ言フノハ甚ダ異デゴザイ
  マスケレドモ我政府全體ノ意見モ亦斯ル解釋ヲ執ッテ居ラルヽコトデア
  ルデアラウカ、併テ是ヲ質問スル譯デアルデゴザイマス第二ニ質問ヲ致シ
  マスル箇條ハ、裁判權ヲ失フ、失ハヌト云フコトハ本年ノ議會ナドデハ餘
  リヤカマシウナイカハ存ジマセヌガ、十數年以來、我國ニ於テカラニ條約ニ
  於テ幾多ノ論爭ヲ致シ或ハ血ヲ灑ギ、熱血ヲ注イデ論ジタノハ條約デアリ
  マス最モ重キヲ置イタノハ海關稅ノコトモアリマセウケレドモ裁判權ガ
  日本ニナイト云フコトハ最モ諸君ガ痛心サレテ國ノタメニ憤慨セラレタ所
  デアラウト思フノデアリマス其裁判權ニ關係シマシテ、此度條約ヲ改正シ
  ナガラ其改正スル途中ニ於テ更ニ日本帝國ノ裁判權ヲ讓ルト云フ樣ナ約
  定ヲ致スト云フコトガアリマスナラバ卽チ政府ニ於テ、若シ木員ガ解釋ス
  ル反對ノ解釋スルト云フナラバ、此論結ニ出ル所デゴザイマス左樣ナ事
  ハ今日ニ當ッテ裁判權ヲ昔ヨリ一步進メテ外國ニ讓ッタコトガアリマシタ
  ナラバ斯ノ如キ事ヲ議定致シマシタ所ノ靑木公使ト云フモノハ實ニ國權
  ヲ毀傷シタルモノヽ甚シキモノデアルト私ハ信ジマス然ルニ是ガ又獨逸國
  バカリデアレバ尙ホ可ナリデゴザイマスガ、尙ホアルカモ知レマセヌ御承
  知ノ如ク、最惠國條款ガ何レノ締盟國ニモ條約ニハ書イテアルト思ヒマス
  シマスレバ獨逸國ニ向ッテ貴重ナ權利ヲ讓與シテヤリマシタ裁判權ハ踏附
  ケラレタト云フ結果ハ併テ締盟致シテアル列國ニ對シテモ、我帝國ハ同樣
  ノ國權ヲ毀損スルト云フ結果ニナルノデゴザイマス斯ノ如キ重大ナル過失
  アル靑木全權公使ヲ何故ニ今日マデ政府ハ獨逸國ニ駐箚セラレテアルデア
  ラウカ、未ダ懲戒ニ付シタト云フコトヲ聞カナイ、此事ニ就イテ御咎ヲ蒙ツ
  タコトヲ聞カナイ如何ニモ分ラヌコトヽ思フノデアリマス我政府ハ昨年
  ノ何時頃デアリマシタカ、官紀ヲ振肅スルト云フコトニ就イテハ天下ニオ
  ラビ出シテ居ル政府デアル然ルニマア少シ位ノコトノ不都合ガアッタトカ
  何トカ云フコトデゴザイマスレバ默過シテ居ルノヲ、堂々タル帝國議會ニ於
  テ吾ミガ喋々スル價値ガナイカモ知リマセヌガ日木帝國ノ國權ヲ傷ケタ
  靑木子爵ニ就イテ,今日マテ何等ノ問フ所ノナイト云フノハ本員ノ信ズル
  如ク本員ノ解釋スル如ク裁判權ハ議定交ニ依ッテ、日本帝國ニアルト云
  フ結果ニ出來テアルノデナイカ若シサウデナイナラバ政府ハ官紀ヲ振肅
  スルコトヲ天下ニ誓ヒナガラ、實ニ官紀不振肅ノ甚シキモノデアルト思ヒマ
  ス、此〓ニ就イテ今日ハ政府ニ向ッテ答辯ヲ求ムル譯デアリマス、答辯ノア
  リマシタ上ニ於テ、再ビ質問スルコトガアルカモ存ジマセヌカラ、是丈質問
  致シマス

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• 004・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　是ヨリ會議ヲ開キマス、日程第一カラ第三マデヲ併セ
  テ議題ト爲シテ委員長ノ報告モ併テシテ貰ハウト考ヘマス
  第(總追第五號)明治二十九年度歲入歲出總豫算追加案
  第二(總追第三號)明治二十九年度特別會計歲入歲出總豫
  算追加案
  第三(總追第六號)明治二十九年度歲入歲出總豫算追加案

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• 005・元田肇

  ○元田肇君(百十二番)　明治二十九年度歲入歲出總像算追加案、明治二十九
  年度特別會計歲入歳出總豫算追加案、明治二十九年度歲入歲出總豫算追加案、
  此三案ハ豫算委員會ニ於モ孰モ可決スベキモノト可決致シマシタ

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• 006・久保九兵衛

  ○久保九兵衞君(九十六番)　此日程第一ノ水害補助費ノ事ニ就イテ政府委員
  ニ御尋ヲ致シマス此水害補助費ノコトニ就キマシテハ各縣トモ金額ニ差
  等ガゴザリマスガ、元來此豫算案ヲ編制セラレタノハ實地ヲ踏査サレテ此
  豫算案ヲ編制サレタモノデアリマスカ、又府縣知事ヨリ具狀スル所ノ金額
  ヲ標準トシテ編制サレタモノデゴザイマスカ、此事ヲ第一ニ伺ッテ置キタイ
  又第二ニ御尋ヲ致シタイノハ、元來復舊工事ト申シマスルモノハ、前年度ノ
  追加豫算トシテ議會ニ提出サレタモノデアッタデゴザイマス、尤モ焦眉ノ急
  ヲ要スルモノデアッテ一日モ忽セニスベカラザルモノト本員ハ信ズルノデ
  アリマス、ソコデ一昨年各府縣中ニ水害ヲ受ケマシタ縣ハ福井、石川此二
  縣ニ過ギナイ、此縣ノ工事著手期限等ニ就キマシテ、私ガ傍ラ觀察致シマスル
  所ガ、昨年ノ八九月頃ニ至ッテ、政府ガ工事ノ設計モ立ッテナイ、一昨年
  ノ破壞ノ儘存シテアル、又村民カラ、卽チ關係町村ヨリモ屢〓縣廳ヘ願ッ
  テ工事ヲ早クシテ戴キタイモノデアルト言フテモ、縣廳ガ一向氣ニ懸ケナ
  イ遂ニ昨年再ビ八月デゴザイマスカ三十日ノ出水ノタメニ前ノ工事ヲ致
  シマセヌガタメニ人家ニモ浸水ノ虞レガアッタト云フコトハ現二福井縣
  ニ其例ガゴザイマス、ソレデ此復舊工事ナルモノハ、縱令一年ヲ經過シテモ
  實地成效ニ手ヲ著ケナクテモ差支ナイト云フ政府ノ御考デアリマスカ又復
  舊工事ナルモノハ各府縣ニ一任シテ、其成效ノ緩急ハ政府ハ一向觀察シナ
  イト云フ御考デゴザイマスカ、此事ヲ一應參考マデニ伺ッテ置キマス
  (政府委員內務省土木局長工學博士古市公威君演壇ニ登ル〕

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• 007・古市公威

  ○政府委員(古市公威君)　唯今ノ御尋ノ第一ハ實地蹈査シテ計晝ヲ定メタカ
  ト云フ御尋デアリマシタガ其計畫ハ縣デ定メマシタモノヲ是ヲ監督署技
  師技手ヲ派出シマシテサウシテ調査致シマシテ金額ヲ定メマシタンデア
  リマスツレカラ第二ノ御尋デアリマスルガ一昨年ノ水害ハ福井ト石川ト
  云フ御話デアリマシタガ福井ト富山ノ間違デ(久保九兵衞君「間違デアリマ
  ス」ト呼フ)而シテ其昨年ニナッテモ又計畫-政府デ計畫ヲセヌト云フ御言
  葉ガアッタ樣デスガ、政府デ計畫ヲセヌデハナイノデソレハ下ノ如キコト
  ノ間違デアラウト思ヒマス此檢査ヲシマシタ工事ヲ、俗ニ査定內ノ工事ト
  申シマスソレカラ其ドウ云フ工事デモ總テ檢査ヲスルデナクテ、例ヘバ
  一箇所十圓未滿ノ工事ハ省イテアルソレヲ俗ニ査定外ノ工事ト云フウレ
  等ハ先ヅ檢査ヲシタ工事ト云フノガ、卽チ緊急ノ工事デアルカラ、其方へ著
  手シテ行ツテ、而シテ後ニ査定外ノ工事ニ及ボスト云フ樣ナ實地ノ施行
  仕方ガアリマス福井ノ如キハ其コトダラウト考ヘルデ、目論見ノ出來テ
  居ルモノハズン〓〓ヤッテ行クコトニナッテ居ル、デ、是ヲ今年以後水害ニ
  對シテドウ云フ工合ニスルカト云フトモウ一度補助ガ確定シタナレバ政
  府ハソレキリニシテ置クト云フコトデハ決シテナイ時々監督署員ヲ派遣シ
  テ、サウシテ工事ノ進步、方法ノ適否等ハ視察サセマシテ、惡ルイ處ハ直ス
  ヤウナコトニ致シマスル積リデアリマス

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• 008・久保九兵衛

  ○久保九兵衞君(九十六番)　モウ一應古市君ニ御尋ヲ致シマス、サウナリマ
  スト十間以内ノ工事ハ查定外ニナルノデスガ、査定外ノ工事ト云フハ一箇年
  ヲ經過スルモ、其成工ニ著手シナクテモ構ハナイト云フナンデゴザイマスカ、
  一寸聞洩シ致シマシタカラ

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• 009・古市公威

  ○政府委員(古市公威君)　ソレハ其工費ノ要費如何ニ依ルノデ、併シナガラ
  査定外ノ工事ト云フモノハ、〓シテ先ヅ其所謂査定外ノ工事トスレバ後ト囘
  シニナッテ宜イデスガ、卽チ査定內ノ工事ノ方ガ緊急ダ、其緊急ノモノカラ
  先キヘ取ッテ行クト云フノガ順序デアリマスカラ、福井縣ノ御尋ノ如キ場合
  ハ、蓋シ其場合ダラウト思ヒマス

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• 010・藤金作

  ○藤金作君(五十五番)　日程第一、第二、第三ハ原案ヲ贊成致シマス併ナ
  ガラ贊成スルト同時ニ、政府ニ意向ヲ述ベテ置キマス、實ニ此二十九年度ノ
  水害費ハ是マデナイ非常ノ多額ニ上ボリマシテ、殆ド八百十万圓ト云フ國
  庫ノ補助費ヲ要スル場合デ、誠ニ是ハ苦ンデ贊成スルノ外ナイノデアリマス、
  然ルニ豫算會ニ於テモ各府縣ノ土木事業ニ就テ、人夫賃、木材共他諸物價
  ノ單價表ヲ一應調査ヲ致シタイト云フコトヲ請求致シマシタレバワレハ旣
  ニ本省ノ方ニ多數ノ書類ト共ニ囘シテアルカラ、唯今答ヘルコトハ出來ナイ
  ト云フ御答辯デゴザイマスカラ豫算會ニ於テ精密ノ調査ヲスルコトハ出來
  マセヌカラ、已ムナクソレハ拜見ヲ致サズニ置キマシタ併ナガラ此物價
  單價表ト云フノハ一應豫算ノ上ニ於テハ鄰府縣又各縣或ハ何々河川ト云
  フモノニ就イテハ全國一般ニ渉ッテ各地ソレー〓額ノ違フコトハ狀況ハ
  異ナリマスケレドモ、其物價ノ如何ハ一應考査スルノ必要ガアルト私ハ考ヘ
  マ·ス併シナガラ最早今日ノ場合ニ於テハ一日モ擱キ難イ此水害費國庫ノ
  補助デゴザイマスカラ、餘儀ナク本日贊成ヲ致シマシテ、ドウカ政府ニ於テハ
  出來得ル限速ニ御取調ベニナッテ、此單價表ト云フモノハ御示シニナル樣
  ニ希望致シマス是ハ旣往ニ照シ又將來ニモ大ニ參考トナルモノト心得テ
  居リマスカラ、一寸希望ヲ述ベテ置キマスソレカラドウカ承ル所デハ砂
  防法案ガ不日政府案トシテ提出ニナル趣デゴザイマス、是ハ最モ必要ノ法案
  デアラウト考ヘテ居リマスガ、尙ホ當局者ニ御尋致シタイコトガアリマス、
  ソレハ此各地非常ニ水害ガ多イ誠ニ其水害ヲ被ル所ノ地方ノ河川ノ有樣ヲ
  見マスルト云フト河床ガ非常ニ埋リマシテ左右ノ田畑、左右ノ耕地ヨリ
  モ、餘程川底ガ高クナッテ居ん所デアリマスカラ年々其水害モ又非常ニ起
  リマスルガ當局者ニ於テハ河川ヲ浚渫スルト云フコトニ就イテハ御意見
  ハナイノデアリマスルカ河川浚渫法案ト云フ樣ナコトハ最モ今日ノ場合ニ
  必要デアラウト私ハ考ヘテ居ルノデアリマス、當局者ハ唯砂防法案ヲ以テ、
  此水害ヲ防ギマスルニ止マルト云フノ御考デゴザイマセウカ、直接ニ河川ノ
  非常ニ理沒シテ居ル處ハ渫ヘルノハ大ナル其水害上ニ利益アルモノト心得
  テ居リマスカラ御意見ノ有無ヲ一應質問致シテ置キマス
  (政府委員内務省土木局長工學博士古市公威君演壇ニ登ル〕

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• 011・古市公威

  ○政府委員(古市公威君)　藤君ノ河川浚渫法案ト一云フモノヲデモ拵ヘル見込
  ハナイカト云フ御尋デアリマスルガ、河川浚渫ノ本員抔ノ考ニハ河川浚渫ニ
  特ニ法案ハ要ラヌカト考ヘテ居ル矢張一ツノ改修、一ツノ河川工事ニ過
  ギヌ話デ、何處モ彼處モ浚渫セニヤナラヌト云フコトモアルマイデ、或ル
  川ニ就イテ特ニ川床ガ高クナッテ此治水策ハ浚渫スルヨリ外ニ致方ガナイ
  ト云フ場合ナラバソレヲ浚渫シテ法律ガナクテモ浚渫シテ決シテ差支ナ
  イ又浚渫ト云フコトガナカ〓〓容易ナラヌ話デアリマス六尺床ヲ-幅
  百間ノ川六尺床ヲ下ゲヤウト謂ッテ、ソレガ十里モ二十里モ續クト、隨分仕
  事トシテハ殆ド行ヘヌヤウナ仕事ニナリマスデ、浚渫バカリガ此治水策デハ
  アルマイト思ハレマス免角ツレガタメニ法案ヲ要スルト云アコトハ本員
  抔ノ考デハ要ラヌト思ッテ居リマス一ツノ治水策ニ過ギヌ、卽チ他ノ改修工
  事ナドト同ジコトデアルト斯ウ認メテ居ル、序ニ單價ノコトデ一言申述ベ
  テ置キマスガ、藤君カラ豫算委員總會ノトキニ單價ノ御請求ガアリマシ
  タドウカ藤君ノ御希望ヲ滿足サセル樣ニシタイト云フ考デ、藤君モ述ベラ
  レマシタ如ク單價ノコトハ皆監督署-六監督署ニ今度ノ水害ニ關係アルモ
  ノハ戾シテ仕舞ヒマシタ第一ノ監督署ハ東京ニアルカラ責テ第一監督署
  ダケデモ纒メテ御覽ニ入レタイト考ヘマシテ取調ベマシタ所ガ一兩日ニ纒
  メルト云フコトハムツカシイ、ソレデ其ムツカシイ樣子ハ先刻藤君ニ御話
  ヲ致シマシタガ、何カ纒メラレルモノヲ纒メズニ居ル樣ナ御考ガ諸君ノ中ニ
  アッテハ困ルカラ御參考ノタメ申シテ置キマス、山梨一縣ノ單價表ガ是ダ
  ケデゴザイマスドウシテ斯ウダカト云フト、郡每ニ單價ガ違フソレカラ人
  夫賃ガ違フパカリデハナク工種ニ依ッテ單價ガ違ヒマス沈床ノ一坪ノ單
  價ガ何程、何ガ何程ト、皆場所ニ依ッテ違ヒマスタッタ一縣ノ單價表ガ是
  程ノモノニナリマス、川抔ニ依ッテ分ケタモノガアル神奈川縣抔ノ例ハ多
  摩川ノ單價表ガ是レ、酒勾川ノ單價表ガ是レ斯ウ云フ具合ニナッテ居リマス
  之ヲ一纒メニ纏メマシテ造リ立テ、一表ニシテ御覽ニ入レヤウト云フニハ
  餘程工夫ヲシテ纒メテ見ヌト出來マセヌ、ソレテ唯今ノ御希望モアリマスル
  カラシテ、其何カ御參考ニナルヤウナモノヲ拵ヘル考デハアリマスケレドモ
  今日提出スル譯ニハ往カヌト云フノハ斯ウ云フ次第デアリマスト云フコト
  ヲ一應御斷リ申シテ置キマス

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• 012・藤金作

  ○藤金作君(五十五番)　河川浚渫法案ト云フヤウナコトノ御考ガナイカト云
  フ質問ニ對シテハ其法案ノ必要ハアルマイト云フハ唯今古市政府委員ノ
  御答デアリマシタガ私ハ一應必要ガアルト思ヒマスカラ簡單ニ其意ヲ述
  ベテ政府ニ將來御調査ヲ希望シテ置キマス近ク申シマスレバ私ノ地方
  デハ每年春秋兩度、一般ノ人民ガ出テ川ヲ浚ヘルト云フコトノ慣例ガアリマ
  スソレハ百年以降ノ慣例デゴザリマシテ今日ニ至ルマデ其河川ヲ順次ニ
  浚ヘルト云フコトヲ致シテ居リマスカラ何レノ川デモ其川床ガ低クシテ、
  水ノ流レガ宜イ、從ッテ水害モ餘程尠ナイ、併ナガラ水害ノ多イ地方ニ至ク
  テ多ク視察致シマスレバ、河ヲ浚ヘルト云フコトハ少シモナイ、河川ハ自然
  ニ河床ガ淺クナッテ、堤防ハ既ニ誠ニ低イモノニナッテ居リマス此私地
  方ニ於テ河川ヲ-福岡縣ニ於テ河川ヲ浚ヘル地方ニ於テハ是ハ治水上
  有益ノモノデアルト云フコトハ每々治水上ニ老練ナル官吏或ハ又其他ノ所
  ヨリ之ヲ一ノ福岡縣筑前國ノ美事トシテ居ル此事ハ當局者ニ於テ川ヲ浚ヘ
  ルコトハ餘リ必要デハナイト云フヤウニ述べラレマシタケレドモ、川ヲ浚ヘ
  ルト云フコトハ餘程私抔ニ於テハ必要ト信ジテ居リマス尙ホ將來ニ私共攻
  究スル積デゴザリマスケレドモ當局者ガ之ヲ措イテ顧ミヌト云フコトハヽ
  甚ダ遺憾ニ心得マスカラ、ドウカ斯ノ如ク年々水害ノタメニ國庫ノ費用ヲ費
  スハ實ニ是ハ國家ノタメニ患フルコトデゴザリマスカラ、願クハドウゾ一
  ツ親切ニ御考ヘノ上、御調査ヲ願ヒタイト云フコトヲ希望シテ置キマス

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• 013・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　採決致シマス

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• 014・田中鳥雄

  ○田中鳥雄君(二百九番)　少々質問ガアリマス

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• 015・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　モウ採決ノ宣告ヲ致シマシタ、議長ノ宣告後ハ發言ヲ
  許シマセヌ日程第一ニ就イテ採決致シマス、是ハ全部同時ニ採決ヲ致サ
  ウト思ヒマス原案ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
  起立者多數

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• 016・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　第二、是モ全部同時ニ採決シヤウト思ヒマス、原案ニ
  御異議ハゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 017・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　御異議ガナイト認メテ、原案ニ決定致シマス、第三、
  是モ全部同時ニ採決ヲ致シマス
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 018・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　御異議ガアリマセヌカラ、原案ニ決定致シマスー-日
  程第四ニ移リマス
  第四鐵道敷設法中改正法律案(政府提出)第一讀會ノ續特別委員
  長報告

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• 019・小西甚之助

  ○小西甚之助君(二百九十三番)　私ハ此處デ豫テ宿題ニナッテ居ル所ノ讀會
  ノコトニ關シマシテ議長ニ御尋ヲ致シテ置キタイト思フノデアル其事ハ
  事最モ重大ナルコトデアッテ卽チ議員ノ發言ノ範圍ニ關係致シマスルコト
  デゴザリマスルガ故ニ、最モ親切丁寧ナル御答ヲ得ンガタメニ、私ハ頗ル精
  細緻密ニ御尋ヲ致サウト思フノデゴザリマス從ッテ私ノ言ウコトガ長ク掛
  ラウト思ヒマスカラ、其高イ處ヘ登ッテ
  [小西甚之助君演壇ニ登ル〕

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• 020・小室重弘

  ○小室重弘君(二百九十六番)　今ハドウ云フ場合デス

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• 021・小西甚之助

  ○小西甚之助君(二百九十三番)　議長ニ向ッテ御問ヲ致サウト思ヒマス

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• 022・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　議場ニ御諮リ申スコトガアル日程第四ニ移ルト云フ
  コトヲ宣告シタ後ニ小西君ガ發言ヲ求メラレソレハ何カ讀會ノコトニ就
  イテノコトデアリマス議長ハ此發言ヲ許サヌ考デスガドウデス
  〔「中止々々」ト呼フ者アリ「ヤルベシヤルベシ」ト呼フ者アリ)

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• 023・堀越寛介

  ○堀越寛介君(百一番)　ドウモ、本日ハ長クナラウト思ヒマスカラ

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• 024・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　別段ムツカシイコトデナイカラ、直チニ採決ヲ致シマ
  ス議題外ノコトニ就イテ發言ヲ求メラレタルノデアルカラ、此發言ハ許ス
  ベカラズト考ヘマス議長ノ考ニ同意ノ諸君ノ

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• 025・小西甚之助

  ○小西甚之助君(二百九十三番)　私ハ議長ニ疑義ノ〓ニ就イテ發言ヲ求メタ
  ノデアル、ソレヲ許サヌト云フコトハナイ筈デアリマス

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• 026・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　先決問題ニ就イテ採決致シマス、小西君ノ發言ヲ許ス
  ベシト云フコトニ同意ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
  起立者

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• 027・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　少數ト認メマス

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• 028・小西甚之助

  ○小西甚之助君(二百九十三番)　疑ノアルコトヲ質スノニ、許サヌト云フコ
  トハ決シテナイ

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• 029・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　議長ハ少數ト認メマス、御異議ガアレバ·····
  〔「異議アリ異議アリ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=29

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• 030・堀越寛介

  ○堀越寛介君(百一番)　異議ヲ申立テマス

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• 031・小西甚之助

  ○小西甚之助君(二百九十三番)　此決議ヲ竢ッテ、更ニ登壇ヲ致シマス
  〔小西甚之助君演壇ヲ降ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=31

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• 032・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　然レバ氏名〓呼ニ致シマスレバ時間ガカヽリマスカ
  ラ、記名投票ニシヤウト思ヒマスガドウデス
  (「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

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• 033・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　然ラバ唯今ヨリ氏名ヲ點呼ヲ致シマスガ、念ノタメ申
  シテ置キマス卽チ贊成發言ヲ許スベシト云フノハ白、反對卽チ許サザ
  ルト云フ方ガ靑デス-閉鎖
  〔町田書記官氏名ヲ〓呼ス〕

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• 034・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　〓檢シマス-開鎖
  〔書記官投票ノ數ヲ計算ス〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=34

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• 035・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　記名投票ノ結果ヲ報道シマス
  總數百七十八
  可トスル者百三
  否トスル者七十五
  卽チ小西君ニ質問ヲ許スコトニナリマシタ、小西甚之助君
  (拍手起ル「小西君萬歲」ト呼フ者アリ〕
  〔小西甚之助君演壇ニ豆ル〕

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• 036・小西甚之助

  ○小西甚之助君(二百九十六番)　諸君、私ハ萬歲聲裡ニ此登壇ヲ促サレタハ
  誠ニ光榮トスル所デアリマス而シテ議長ノ何ヤラニ拘ラズ諸君多數ノ贊
  成ヲ得テ發言ノ自由ヲ得タルハ深ク諸君ニ向ッテ御謝シヲ致シマス譯デゴ
  ザリマス今ヤ議事日程ハ法律案ニ入リマシテ、其第一讀會ノ續ニカヽリ
  マシタコトデゴザイマスガ、私ハ此第一讀會ニ於ケル所ノ言論ノ範圍ニ就イ
  テ疑ヲ懷クモノデゴザイマス故ニ衆議院規則第百十七條ニ依ッテ之ヲ議
  長ニ向ッテ御尋ヲ致サウト思フノデアル凡ソ「議院規則ノ疑義ハ議長之ヲ
  決ス」ト第百十七條ニ書イテゴザイマスガ故ニ私ハ此讀會ニ至ッテ讀會
  ニ關スル疑ヲ懷キマスル上ハ、已ムヲ得ズ玆ニ議長ニ向ッテー議長ヲ煩スコ
  トハ實ニ此規則ノ上ニ於テ據ナイコトデゴザイマス私豈ニ質問ヲ好ム者デ
  ゴザイマセウヤ衆議院規則第九十條第二項及第三項ニ依レバ、第一讀會ニ
  於テナスベキ言論ノ範圍ハ議案ノ大體ニ限ラレテ居ル所デゴザイマス、是
  ハ法文ノ示ス所誠ニ明ナルコトデゴザイマシテ、一點モ此上ニ就イテ疑ノ存
  スル所ハゴザイマセヌケレドモ所謂此大體ナル法交ノ意義ニ就イテハ大ニ
  疑ヲ起スモノデアル、本員ガ今迄信ジテ居リマシタ大體ナルモノハ卽チ大
  體ナルガ故ニ大體ナルモノヲ是ヲ廣義ニ解シテ居ッタ、卽チ廣キ意味デア
  ルモノト解シテ居ッタノデ、卽チ廣キ意味デアルモノト解シテ居ッタ故ニ、
  此衆議院規則第九十條ノ第二項若クハ第三項ニアル所ノ大體ニ就イテノ討論
  ト云フモノハ啻ニ議案ノ全體ニ涉ル所ノ可否ノ論ヲナスコトバカリデナ
  〃全體ニ涉ラナクテモ苟モ議案ノ大部分ニ關聯ヲ致シマスル可否ノコトナ
  ラバ固ヨリ當然ニナスヲ得ベキモノト私ハ確信シテ少シモ疑ヲ懷カナカッ
  タノデアル何ニ依ッテ私ガ斯ノ如ク大體ト云フ文字ノ意義ハ右述ベマシ
  タ如ク確信ヲシテ居リタカト云フニ是ハ卽チ大體ナル意義ヲ廣義ニ解シマ
  シテノコトニ外ナラヌコトデゴザイマスルガ、尙ホ其他ニ種々ノ理由アッテ
  ノコトデゴザイマス、其種々ノ理由ト云フモノハ約シテ是ヲ申シマスレバ
  三ツデゴザイマス、第ハ讀會ノ法文カラ起ッタコトデゴザイマス、第二ハ
  讀會ノ性質カラ生ジタモノデアリマス、第三ハ讀會ノ慣例カラ來ルモノデゴ
  ザイマス何ヲカ卽チ讀會ノ法文ヨリ起リタル理由デアルト云フニ諸君、
  衆議院規則ノ第九十八條ヲ見レバ第三讀會ニ於テハ議案ノ全體ニ就イテ可
  否スルモノデゴザイマス、卽チ議案ノ部分ニ就イテ可否スルコトヲ禁ジテ
  アッテ、議案ノ全體デナケレバ可否スルコトノ出來ナイト云フコトハ明文
  ノ示ス所少シモ疑ノナイ所デゴザイマス左樣デゴザイマスガ故ニ若モ第
  一讀會モ議案ノ全體、卽チ議案ノ全部ニ就イテヾナケレバ可否ガ出來ナイト
  云フモノデゴザイマスレバ同一ナル此規則ノ制定者ハ同一ナル文字ヲ以
  テ同一ナル意義ヲ明ニシナケレバナラヌ筈デアル然ルニ同一ナル規則ノ制
  定者ハ一方ニ於テハ議案ノ全體ニ就イテ可否スベキコトヲ示シテ、一方ニ於
  於テハ議案ノ大體ニ就イテ討論ズベキコトヲ謂フテ、決シテ議案ノ全體ニ就
  イテ討論スベシト云フコトヲ云フテナイノデアル、斯ノ如ク不當ナル文字ヲ
  竝ベ來ッテアル上ヨリ考ヘマスナレバ卽チ此意義モ彼ト是ト不同一ト云フ
  コトハ誠ニ明カナルコトデゴザイマスト思ヒマス是ハ卽チ讀會ノ法文ヲ以
  テ讀會ノ法交ヲ證明スルモノデ、極ク手近ナル推斷方法デ、卽チ私ガ今迄確
  信ヲシテ居ッタ此確信ヲ導イタモノデアリマス又第二ノ理由ハ讀會ノ性質
  ヨリ生ジマスコトデゴザイマシテ、卽チ第一讀會ナルモノハ或ル一ツノ場
  合ヲ除クノ外ハ、其性質ニ於テ第二讀會ニ入ルノ前提デアル、第二讀會ノ豫
  備デアルト云フコトハ申スマデモナイ、旣ニ第一讀會ナルモノハ第二讀會ニ
  至ル前提デアリ豫備デアルト致シマスレバ、縱令議案ノ全體ニ涉ラナイ所ノ
  可否論デアリマシテモ、苟モ大部分ニ涉リマス以上ハ、是ヲ爲サシメテ而シテ
  豫メ第二讀會ニ入ルベキトキノ參考資料ニ供スルコトハ誠ニ第一讀會ソレ
  自ラノ性質ニ適應スル所以デハゴザイマセヌカ、然レドモ大綱ヲ離レテ細
  目ニ入ルコトハ第二讀會ノ作用ヲ侵スモノデゴザイマスガ故ニ斯樣ナ事
  ハ如何ニ參考資料トナルニモセヨ是ハ禁ジナケレバナラヌコトハ申スマデ
  モナイコトデアル、抑〓此第一讀會ニ於ケル全部ノ反對說ハ之ヲ除キ、又全
  部ノ贊成論、又關係ヲ持タヌコトデゴザイマスガ、全部ナラザル所ノ大部分
  ニ渉ル所ノ可否ノ論說ハ誠ニ第二讀會ノ作用、卽チ逐條審議ノ參考資料ト
  ナルコトハ申スマデモナイコトデアル、勿論實際其論說ノ如何ニ依ルコトヽ
  ハ申スモノヽ其參考資料タラシメヤウトスルコトヲ望ムモノデアッテ、而
  シテ實際ニ多クハ此參考資料ト爲ルモノデアル、然ラバ十分大部分ニ涉ル所
  ノ可否論ハ之ヲ爲サシメルコトハ誠ニ第二讀會ノ前提デアル第二讀會ノ
  豫備デアルト云フ所ノ第一讀會ノ性質ニ適應スルモノト言ハナケレバナラヌ
  コトデアル是ハ卽チ讀會ノ性質ヲ考ヘマシタコトデゴザイマシテ卽チ理
  窟ヲ以テ推斷致シタル所デ、是迄私ガ信ジマシタ所ノ理由ノ卽チ一ト爲ルモ
  ノデアル、又其次ハ讀會ノ慣例ヨリ來ルモノデゴザイマシテ是ハ當議場ニ
  列スル所ノ多クノ諸君ハ何レモ地方議會ニ多少御經歷ノアッタ御方ト信ズ
  ルモノデアル左樣デゴザイマスガ故ニ地方議會ノ議事ノ模樣ハ能ク御
  記憶ニナッテ居ルト思フ、而シテ府縣會ト郡市町村會トヲ問ハズ、其第一讀
  會ニ於ケル所ノ言論ノ範圍ハ議案ノ大部分ニ關スル以上ハ、縱令全體ニ涉
  ラナクテモ其可否ノ論說ヲナシ得ルト云フコトハ東西ノ各地何レモ同一デ
  アッタト思フノデゴザイマス、本員ハ本案ノ大部分ニ就イテ斯ノ如キ意見
  デアル、然レドモ修正ハ第二次會ニ於テ述ベヤウトスルガ故ニ、本案ハ第二
  次會ニ移サレンコトヲ望ムト云フ斯樣ナ口調ヲ以テ大部分ニ關スル演說
  ハ隨分何處ニモアッタコトヽ私ハ思フノデアル、左モ是ハ地方議會ノ議事
  ノ慣例デゴザイマスガ故ニ、直チニ之ヲ採ッテ以テ我衆議院ニ援引シテ彼是
  論ジヤウト云フモノデハゴザイマセヌガナレドモ地方議會ノ所謂第一次會
  ナルモノハ、本曾ノ第一讀會ニ相違ナイ以上ハ又以テ之ヲ援引シテ第一讀
  會ニ於ケル言論ノ範圍ヲ推究スルモ亦必シモ不倫ノ較ベ方デハナイト私ハ
  信スルノデゴザイマス況ヤ我衆議院ニ於テモ第一期以來斯ノ如キ言論ヲ
  爲シ得タルコトハ隨分屢〓アックコトヽ記憶スルノデアルサリナガラ私
  ハ無性者デ速記錄ヲ取調ベマセヌ故ニ、一々之ヲ舉ゲルコトハ出來ナイガ唯
  記憶シテ居ルト云フコトハ此處ニ述ブルコトヲ憚ラヌモノデアル是ハ讀會
  一ノ理由デアル、以上述べタル所ノ種々ノ理由カラ致シマシテ第一讀
  會ニ於ケル大體ナル文字ノ意味ハ私ハ廣義ニ解シテ居ッタモノデアル、所
  ガ何ゾ圖ラン、去十五日ノ豫算會議ニ於テ栗原君ガ爲シツヽアル所ノ豫算
  大體ノ演說ニ對スル議長ノ注意ニ依ッテ、私ハ旣信ノ見解ヲ動カサルヽコト
  ニナッタノデアル、卽チ既ニ信ジテ居ッタル見込ヲ動カサルヽコトヽナッタノ
  デアル本員ハ實ニ遺憾ニ堪ヘヌ、本員ハ實ニ疑義ニ堪ヘナイモノデアル
  議長ノ注意ニ依リマスレバ第一讀會ニ於テハ、議案ノ全部デナケレバ可否
  スルコトガ出來ナイト云フモノヽ如クデアル、何ガ故ニ第一讀會ニ於テハ
  其言論ハ全體ニ限ラナケレバナラヌトスルモノデアルカ全體ニ限ルノ必要
  ハ如何ナル理由ニ基クモノデアルカ、是本員ガ聽カント欲スル所ノ骨子デア
  ル其基ク所ノ理由ハ如何ナルモノデアルカ、斯ク言ハヽ或ハ言フカモ分
  ラナイ全體ノ可否ニアラザル言論、卽チ議案ノ全部ニ渉ラナイ所ノ討論ハ
  其討論ニ對シテ結末ヲ付クルコトガ出來ナイ卽チ其言論ノ可否ヲ議場ニ諮ッ
  テ可否ヲ決議スルコトガ出來ナイ、何故ナレバ第一讀會ニ於テハ部分決
  議ヲ爲スニ由ナイカラデアル、斯ノ如ク言フカモ知ナイノデアル然レド
  モ若シ斯ノ如ク言フナラバ、是實ニ不當ノ申分ト言ハナケレバナラナイ、夫
  レ第一讀會ナルモノハ、彼ノ第二讀會ヤ第三讀會ノ場合トハ事變リマシテ
  各自個々ノ言論ニ就イテ採決スルモノデハ決シテナイ、如何ニ種々澤山ナル
  言論ノ提起ガアリマシテモ一切是ニハ構ハヌノデ、唯第二讀會ヲ開クカド
  ウスルカト云フコトヲ決スレバ十分デゴザイマスシテ見マスレバ其提起シ
  タル所ノ言論ノ結果ヲ付ケルコトガ出來ナイカラト言フ言語ハ卽チ抵抗力
  ヲ持ッテ居ラナイ不當ノ口實ト云フモノデハアリマスマイカ果シテサウデ
  ゴザイマスナラバ全體ニ涉ラナイ言論ダカラト云ッテ大部分ニ關スル言論
  ヲ爲サシメナイノハ實際ニ於テ何等ノ差支ナイノニ、之ヲ禁ズルバカリ
  デハナク大ニ讀會ノ法文ニ反スルモノデハアリマスマイカ、大イニ讀會ノ
  性質ニ悖ルモノデハアリマスマイカ、大ニ讀會ノ慣例ニ適ハナイモノデアリ
  マスマイカ、是レ本員ノ幾度カ考慮ヲ運ラシテモ議長ノ見解ノドウ云フ理
  由ニ基イタカヲ知ルニ苦ム所デアル、是レ本員ノ凝義百出胸間ニ橫ハル次第
  デゴザイマス此事ハ實ニ議員言論ノ範圍ニ關スル最モ重大ナル事項デアツ
  テ、將來ニ一定ノ解釋トモナルコトデゴザイマスガ故ニ、議長ハドウカ親切
  明瞭ニ御說明アッテ本員ヲシテ其理由ノ基ク所ニ滿足セシムルヤウニ深ク
  望ムノデアル幸ニ議長ガ之ヲ容ルヽナラバ其利益ヤ獨リ本員バカリデナ
  イノデアル、議長ハドウカ詰ラヌ質問デアルト云フコトデ、冷淡ニ之ヲ見ズ
  シテ親切丁寧ニ御說明アランコトヲ、深ク御祈リヲ致ス譯デゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=36

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• 037・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　小西甚之助君ニ發言ヲ許サレタ御精神カラ考ヘテ見ル
  ト議長ニ答辯セヨト云フ御趣意ト思ヒマスガ、議長ノ一應ノ考ハ、今
  何モナイトキニ衆議院規則ノ〓究會ヲ玆ニ起スヤウナ形ガアルトハ思ヒマス
  ケレドモ、諸君ガ旣ニ答辯シロト云フ御精神デアルト思ヒマスカラ御答致
  サウト考ヘル、讀會ノコトニ就キマシテハ議長ノ考ハ大體小西甚之助君ノ
  述ベラルヽ通デアルト思フ併ナガラ先日豫算ノ議事ノ場合ニ栗原君ノ演
  說ノコトデゴザイマスガ、豫算ニハ小西君モ御承知ノ通讀會ハナイノデゴザ
  イマスソレ故ニ讀會ニ關スル規定ハ此ノ場合ニ於テハ適用ガゴザイマセ
  ヌノデ、殊ニ議長ハ其時ニ栗原君ノ登壇ヲ拒ンダノデモナク發言ヲ停止シ
  タノデモナク卽チ豫算ノ大體ニ就イテ反對ノ御意見デアルト云フコトデア
  リマシタカラシテ、登壇ヲ許シ、發言ヲ許シタノデアリマス、此外ニ唯今答
  辯スベキコトハナイト考ヘマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=37

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• 038・小西甚之助

  ○小西甚之助君(二百九十三番)　ソレハ私ノ竊ニ期シテ居ッタ所ノ御答辯デ
  アル豫算ニ讀會ノナイコトハ議長ノ御言葉デモ承リ又議事日程ノ上デモ
  明ニ分ッテ居ルコトデアル然レドモ此豫算ニ讀會ノナイト云フコトハ全ク
  名義ノ上ニコソナケラネ事實ノ上ニ於テハアル事デアル卽チ實際ノ順序
  トシテハ公然此三讀會ヲ經テ居ルモノデアル然レドモ豫算ノ上ニ於テハ讀
  會ノ名義ガゴザイマセヌ故ニ、敢テ此事ハ主張致サヌガ、偖テ果シテ豫算ニハ
  讀會ノナイモノデアルナラバ議長ハ何ニ依ッテ栗原君ノ演說ニ對シテ總
  體ニ關スル所ノ可否論ナレバナシテ宜イガ部分ニ關スル議論ナレバナスコ
  トハ出來ヌト云フノハ若シ豫算ニ讀會ガナイナラバ如何ナル規則ヲ以テ
  斯ノ如ク議長ガ栗原君ニ向ッテ注意ヲ與ヘラレタカ、其注意ヲ與ヘラレタ因ッ
  テ起ル所ノ規則ノ明示ヲ望ム

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=38

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• 039・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　尙ホ簡單ニ答ヘラレマスカラ答ヘテ置カウト思ヒマ
  ス豫算ニ讀會ノナイト云フコトハ小西君ノ言フ通諸君モ御承知ノ通、併
  ナガラ豫算會議ノ初ニ於テ、大體ノ贊成論若クハ反對論ヲ爲シ得ルト云フコ
  トハ衆議院ノ慣例ニナッテ居リマス卽チ其慣例ニ基イテ、大體ノ事ナラ
  バ各省所管ニ移ラナイ中ニ登壇シ發言スルコトガ出來ル、ソレニ基イテ栗原
  君ニ登壇ヲ許シタノデゴザイマス

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• 040・小西甚之助

  ○小西甚之助君(二百九十三番)　ドウ云フ慣例デアルカ、願クハソレヲ示サ
  レタイ、ドウモ私ハ分ラヌ、私ハ却テ反對ノ慣例ノアルコトヲ信ズル者デアル

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• 041・井上角五郎

  ○井上角五郞君(二百八十番)　本員ハ今丁度小西君ノ問答ガ終ッタ所デ、マ
  ダドノ議題ニモ這入ッテ居リマセヌ所デ、極ク一分程ノ間發言ヲ許サレタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=41

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• 042・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　何ニ就イテヾスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=42

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• 043・井上角五郎

  ○井上角五郞君(二百八十番)　ソレハ議長ニ注意ヲ請フテ置キタイ(登壇ト
  呼フ者アリ)登壇スル程モナイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=43

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• 044・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　注意ナラ宜シウゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=44

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• 045・井上角五郎

  ○井上角五郞君(二百八十番)　過日本員ガ金子次官ニ向ッテ次官ハ馬鹿ト言タ
  テ宜イ斯ウ斷言致シタ所ガ、次官ガ之ヲ取消ストカ取消サナイトカ頻リ
  ニ論ニナッテ居リマスガ若シ次官カラ要求ガアッタナラバ、議長ハ曖昧ニ
  付セズ、本院ニ向ッテ取消スカ取消サナイカト云フコトヲ御照會ニナリタ
  イ本員ハ明白ニ次官ハ馬鹿ナリト云フコトヲ證明シテ置キマス、是ダケヲ
  御注意致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=45

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• 046・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　金子次官カラハ公然ノ要求ニハ未ダ接シテ居リマセヌ
  故ニ議會ニモ報告セヌデ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=46

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• 047・望月右内

  ○望月右內君(二百八十七番)　本問題ノ委員會ノ報告ヲ致シテ宜ウゴザイマ
  スカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=47

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• 048・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　宜ウゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=48

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• 049・望月右内

  ○望月右內君(二百八十七番)　モウ報告シテ、問題ニナッテ居ル問題ノ中デヤ
  カマシクナッテ居ル
  〔望月右內君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=49

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• 050・望月右内

  ○望月右內君(二百八十七番)　唯今議題ト爲ッテ居リマスル此鐵道敷設法中
  改正法律案ノ特別委員會ノ報〓ヲ補ッテ、少シク申シテ置キタウ存ジマス、
  是ニ對シマスル委員會ハ昨日ヲ以テ開會致シマシタ、他ノ各種付託サレマ
  シタ案モ同一ニ會ヲ開キマシタ〔草刈親明君「委員長ハ誰デス」ト呼フ〕委員長
  ハ曩ニ報告シテアリマスカラ殊更ニ言ハナクテモ宜イト思ヒマスガ、私デゴ
  ザイマス、各種ノ疑義質問等モ政府委員ニ向ッテ他ノ案ニ就イテハアリマシタ
  ガ、本案ニ就キマシテハ單純ナ案デアリマスルシ、且ツ昨年本議會ニ於テモ異
  議アリマセズ、又貴族院ニ於テモ異議ガナカッタ案デアリマス然ルニ他ノ
  案ノ故障ノタメ、遂ニ此部分ガ埋沒サレマシタモノヲ、政府ハ注意シテ、今
  年ハ複雜ヲ避ケルガタメニ簡便ニ案ヲ出サレマシタノデサウスレバ無論此
  案ニ就イテハ異存ナキノミナラズ、斯ノ如クシマスルト、此中央線ト東海道
  線トノ聯絡ニ就キマシテ東西縱貫ノ效ヲ全ウシマスル改正案デアリマスカ
  ラシテ、無論是ハ原案ノ如ク可認シテ宜キモノト認メマシタ委員會ハ斯ノ
  如ク報告ヲ爲シマシタモノデアリマス左樣御諒知アリタウゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=50

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• 051・吉本榮吉

  ○吉本榮吉君(二百五十六番)　彼此手間ガ取レマシタカラ早ク本案ノ進行ヲ
  望ミマス、讀曾ヲ省略シテ直チニ確定スルコトヲ望ミマス
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=51

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• 052・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　讀會省略ノ動議ガゴザイマスガ、贊成ガアリマスカ
  (「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=52

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• 053・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　然ラバ讀會ヲ省略シテ、直チニ確定議ト爲スコトニ致
  サウト考ヘマス
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=53

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• 054・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　日程第四ノ全部、一〓ニ採決シマス、原案ニ異議アリ
  マセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=54

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• 055・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　原案ニ決定致シマス-日程第五、作業會計法中改正
  法律案、第一讀會
  第五作業會計法中改正法律案(政府提出)第一讀會
  〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
  作業會計法中改正法律案
  明治二十三年法律第十七號作業會計法中左ノ通改正シ明治三十一年度ヨリ
  施行ス
  第一條中「作業直接ノ費用ニ充ルコトヲ許シ」ヲ「作業ノ費用ニ充ルコト
  ヲ許シ」ト改メ但以下ヲ刪除ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=55

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• 056・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　別ニ御質問ガナケレバ日程第六ニ移リマス、日程第六
  第六右議案ノ審査ヲ付託スヘキ特別委員ノ選舉

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=56

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• 057・吉本榮吉

  ○吉本榮吉君(二百五十六番)　此選擧ハ議長指名ニ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=57

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• 058・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　日程第六ノ委員ハ議長指名ニスルト云フ動議ガアリ
  マスガ、異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=58

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• 059・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　異議ナケレバ議長指名ト云フコトニ決定致シマス-
  日程第七、狩獵免許稅徵收ニ關スル法律案、第一讀會
  第七狩獵免許稅徵收ニ關スル法律案(政府提出)第一讀會
  〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
  狩臘免許稅徵收ニ關スル法律案
  狩獵法ニ依リ政府ニ納ムル免許稅ハ稅額ニ相當スル印紙ヲ狩獵免許出願書
  ニ貼用シテ納ムルモノトス
  此ノ法律ハ明治三十年四月一日ヨリ施行ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=59

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• 060・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　政府委員目賀田種太郞君
  (政府委員大藏省主稅局長目賀田種太郞君演壇ニ登ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=60

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• 061・目賀田種太郎

  ○政府委員(目賀田種太郞君)　狩獵稅ノコトデゴザイマスガ、一事兩主管ニ
  涉ッテ居リマシテ、徵稅ノ上ニ不便デゴザイマスカラ本案ヲ提出シタ譯デゴ
  ザイマス、ソレハ御承知ノ通、狩獵法ニ依リマスルト免許ヲ與ヘルコト
  又免許ノ證ヲ忘失致シマシタル時モ)總テ免許ノコトハ警察ノ取扱デゴザイ
  マス從ッテ警察上ノ取締ヲ受ケルコトデゴザイマス、然ルニ免許稅ヲ徵ス
  ルコトハ是ハ稅ノコトデゴザリマスカラシテ、一ツノ事デ、納稅者ニ於キ
  マシテ二度ノ手數ヲスルト云フコトデゴザイマス、頗ル煩勞デゴザイマスカ
  ラ之ヲ避ケルガタメニ本案ヲ提出シタ譯デゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=61

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• 062・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　御質問ガナケレバ次ノ日程ニ移リマス、日程第八
  第八右議案ノ審査ヲ付託スヘキ特別委員ノ選舉

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=62

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• 063・吉本榮吉

  ○吉本榮吉君(二百五十六番)　此案モ委員ハ議長ノ指名ニ任ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=63

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• 064・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　贊成ガアリマスカ
  (「贊成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=64

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• 065・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　日程第八、委員ハ議長指名ニスルト云フ動議ガアリマ
  スガ諸君御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=65

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• 066・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　御異議ナケレバ議長指名ニ決定致シマス、日程第九、罹
  災救助基金法案、第一讀會
  第九罹災救助基金法案(政府提出)第一讀會
  〔左ノ法案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
  罹災救助基金法
  第一條府縣ハ罹災者救助ノ資ニ供スル爲メ罹災救助基金ヲ貯蓄スヘシ
  第二條罹災救助基金ハ府縣ノ全部又ハ一部非常ノ災害ニ罹リタルトキ救
  助ノ爲メ支出スルモノトス
  災害ノ區域府縣ノ全部又ハ一部ニ渉ラサルモ多數ノ人民同一ノ災害ニ罹
  リタルトキハ府縣會ノ議決ヲ經テ罹災救助基金ヲ以テ救助スルコトヲ得
  第三條罹災救助基金ハ府縣稅府縣制ヲ施行セサル地址大阪二章在テハ地方稅及國庫補助金ヲ以テ成
  立スルモノトス
  罹災救助基金ヨリ生スル收入ハ總テ罹災救助基金ニ編入スルモノトス
  府縣ハ臨時他ノ收入又ハ寄附ノ金穀物品ヲ罹災教助基金ニ編入スルコト
  ヲ得
  第四條府縣ハ罹災救助基金貯蓄ノ爲メ直接國稅ノ附加稅ヲ徵收スル場合
  ニ於テハ他ノ法律ヲ以テ定メタル制限ノ外百分ノ三以內ノ附加稅ヲ課ス
  ルコトヲ得
  第五條國庫ハ此ノ法律施行ノ後十箇年間罹災救助基金ノ補助トシテ每年
  金三十萬圓ヲ支出シ府縣ニ於テ每年度罹災救助基金ニ繰入レタル金額ニ
  割合ヒ之ヲ交付スヘシ
  第六條府縣ニ於テ罹災救助ノ爲メ罹災救助基金ノ年度初ノ現在高百分ノ
  五以上ヲ支出シタルトキハ國庫ハ罹災救助基金ヲ補充セシムル爲メ其ノ
  超過額ノ三分ノ一ヲ府縣ニ交付スヘシ
  第七條各府縣ニ於テ貯蓄スヘキ罹災救助基金額ハ五十萬圓以上トシ明治
  二十年度以降十箇年間ニ備荒儲蓄法ニ依リ支給シタル平均年額ノ二十倍
  以上ニ達スルヲ要ス
  第八條救助ノ爲メ罹災救助基金ヲ支出スヘキ種目左ノ如シ
  一食料費
  二被服費
  三治療費
  四小屋掛費
  五就業補助費
  六納稅金ノ補助及貸與
  第九條食料費ハ罹災ノ場合ニ必要ナル焚出ヲ爲シ又ハ罹災ノ爲メ自ラ生
  存スルコト能ハサル貧民ニ食品ヲ給與又ハ貸與スル費用ニ供スルモノト
  ス
  第十條被服費ハ避難所等ニ在ル貧民自ラ被服ヲ給スルコト能ハサル場合
  ニ衣服ヲ給與シ又ハ一時夜具等ヲ貸與スル費用ニ供スルモノトス
  第十一條治療費ハ羅災ノ際一時治療ヲ施シ又ハ罹災ノ貧民自ラ治療費ヲ
  辨スルコト能ハサル者ニ藥品其ノ他必要ナル治療品ヲ貸與スル費用ニ供
  スルモノトス
  第十二條小屋掛費ハ罹災ノ爲メ家屋亡失潰倒大破又ハ浸水シ自ラ居處ヲ
  營ムコト能ハサル者ニ小屋掛ヲ爲シ又ハ小屋掛ヲ爲スヘキ材料ヲ給與ス
  ル費用ニ供スルモノトス
  第十三條就業補助費ハ罹災ノ爲メ產業ヲ失ヒ自ラ其ノ業ニ復スルコト能
  ハサル貧民ニ必要ナル材料器具ヲ給與又ハ貸與スル費用ニ供スルモノト
  ス
  第十四條食品、藥品、治療品及材料器具ヲ貸與スル場合ニ於テハ其ノ代價
  ヲ見積リ現金ヲ以テ交付スルコトヲ得
  第十五條左ノ場合ニ於テハ其ノ納稅金額ノ全部又ハ一部ヲ補助若クハ貸
  與スルコトヲ得
  第地租納稅者ニシテ罹災ノ爲メ他ニ收入ヲ得ルノ途ナク其ノ所有ノ
  土地又ハ家屋ヲ賣却スルニ非サレハ納稅義務ヲ果スコト能ハサル
  トキハ地租及其ノ附加稅
  第二國稅ノ營業稅納稅者ニシテ罹災ノ爲メ營業稅法第三十一條ニ依リ
  減稅セラレタル者他ニ收入ヲ得ルノ途ナク營業ノ資本ヲ以テスル
  ニ非サレハ納稅義務ヲ果スコト能ハサルトキハ營業稅及其ノ附加稅
  其ノ他直接府縣稅府縣制ヲ施行セサル地方ニ在テパ地方稅直接市町村稅ハ府縣會ノ議決ヲ
  經內務大臣大藏大臣ノ認可ヲ得テ前項ニ準スルコトヲ得
  第十六條郡市町村其ノ他公共團體ニ於テ救災ノ方法ヲ設ケ資金ヲ貯蓄ス
  ルトキハ府縣知事ハ府縣會ノ議決ヲ經內務大臣大藏大臣ノ認可ヲ受ケ罹
  災救助基金ヨリ補助ヲ爲スコトヲ得
  前項ノ場合ニ於テハ府縣知事ハ其ノ資金監督ノ方法ヲ設クヘシ
  第十七條罹災救助基金ノ管理支出又ハ復原ニ關スル方法ハ府縣會ノ議決
  ヲ經內務大臣大藏大臣ノ認可ヲ受クヘシ
  第十八條罹災救助基金保管ノ方法ハ當該官吏ニ於テ現金ヲ保管スルノ外
  左ノ範圍ヲ出ルコトヲ得ス
  一國債證券地方債證劵ヲ買入ルルコト
  二給與品貸與品ヲ買入ルルコト
  四三大藏省預金ニ預入ルルコト
  確實ナル銀行ニ當坐預定期預ヲナスコト但シ罹災救助基金總額ノ十
  分ノ一ヲ超ユルコトヲ得ス
  五法律勅令ノ規定ニ依リ貸付又ハ繰替支出ヲナスコト
  第十九條罹災救助基金ノ管理ニ關スル直接ノ費用ハ府縣會ノ議決ニ依リ
  罹災救助基金ヲ以テ支辨スルコトヲ得但シ事務費及物品貯藏ニ要スル土
  地建物ノ費用ハ罹災救助基金ヲ以テ支辨スルノ限ニアラス
  第二十條罹災救助基金ノ出納ハ內務大臣又ハ大藏大臣隨時之ヲ檢査スヘ
  シ
  第二十一條罹災救助基金ノ收入ニ關スル豫算決算ハ內務大臣大藏大臣ニ
  報告スヘシ
  第二十二條此ノ法律ハ明治三十年四月一日ヨリ二十箇年間之ヲ施行ス
  附則
  第二十三條明治十三年第三十一號布告備荒儲蓄法ニ依リ從來各府縣ニ於
  テ積立タル府縣儲蓄金ハ總テ罹災救助基金ニ繰入ルヘシ
  第二十四條此ノ法律ハ沖繩縣ニ之ヲ施行セス別ニ勅令ヲ以テ其ノ制ヲ定
  第二十五條明治十三年第三十一號布〓備荒儲蓄法及中央備荒儲蓄金ノ運
  用ニ關スル明治二十三年法律第三十三號ハ此ノ法律施行ノ日ヨリ廢止ス

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• 067・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　政府委員田尻稻次郎君
  (政府委員大藏次官法學博士男爵田尻稻次郞君演壇ニ登ル〕

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• 068・田尻稻次郎

  ○政府委員(男爵田尻稻次郞君)　モウ別段長クハ申上グマセヌガ、此羅災救
  助基金法案ハ少シ大キウゴザイマスカラ一寸大體申上ゲマスルガ彼ノ備
  荒儲蓄法案ト云フモノヽ資金ガ、今日ノ今ノ御決議ニ依ッテ拂切リニナリマ
  シテ最早アレハ三十四年マデ行クノデアリマスケレドモ實際ニ於テ最
  早基金ガナクナッテ働クコトガ出來ナクナッタノデアリマス、ドウシテモ日本
  ノ國柄デハ備荒儲蓄ノヤウナモノヽ設置ガ必要デアリマスシドウモアレガ
  消滅シタダケデ抛ッテ置ク譯ニ參リマセヌカラ、此法案ヲ提出シマシテ備荒
  儲蓄金ノ跡繼ギニ致ス積デアリマシテ、而シテ今度ハ少シ範圍ヲ擴ゲマシ
  テ、第八條抔ノ處ニ箇條ガ殖ヤシテアリマスカラ、ドウゾ速ニ差急グ事情モ
  アリマスカラ委員會ニ付セラレテ、十分ニ討議ヲ盡サレタ上ニ、又速ニ御贊
  同アランコトヲ希望致シマス

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• 069・岡田良一郎

  ○岡田良一郞君(百六十番)　政府委員ニ少シ質問ガゴザイマスガ、此第十五
  條ノ一項デゴザイマスガ、第一項ハ「地租納稅者ニシテ羅災ノ爲メ他ニ收入ヲ
  得ルノ途ナク其ノ所有ノ土地又ハ家屋ヲ賣却スルニ非サレハ納稅義務ヲ果ス
  コト能ハサルトキハ地租及其附加稅」ト云フモノガ、卽チ補助若クハ貸與ヲ
  スルノ性質ニナッテ居リマスガ、此法文ノ意味ハ、其土地ヲ賣却スルニアラザ
  レバ納稅スルコトガ出來ヌト云フノデアルガ所謂其土地ナルモノハ凶災ニ
  罹ッタ所ノ土地ノミヲ言フノデアルカ、又其所有者ニ他ニ地面ガアッテ豐作
  ノ處ガアレバ是ハ其補助貨與ヲスルノ限デナイノデアルカ此法交ヲ見マ
  スルニ、他ニ收入ノ途ナキモノニ限ルヤウデアリマス他ニ收入ノ途アル者
  ト云フ者ハ他ニ土地ヲ持ッテ居ッテ、ソレガ收穫ガアリ又他ニ公債ヲ所
  有シテ居リ、株券ヲ所有シテ居ルガタメニ收入ガアル斯ノ如キ者ハ縱シヤ
  土地ガ荒レテモ皆無ニナリマシテモ此補助貸與ヲ受ケルコトガ出來ヌト
  云フ法文デアルカ是ハ前々ノ備荒儲蓄法ニモ斯樣ナコトガアッテ頗ル此
  施行法ハ不都合ノ法デアッタガ、矢張前々ノ施行法ト同ジヤウナ意味デアル
  カ、是ハサウ云フ心持デハナイノデアルカ、少シク疑ガアリマスカラ說明ヲ求
  メマス
  (政府委員大藏省國債局長駒井重格君演壇ニ登ル〕

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• 070・駒井重格

  ○政府委員(駒井重格君)　唯今罹災救助法案ノ十五條ニ就イテ御尋デアリマ
  シタガアレハ矢張大體ノ是マデノ精神トタイシタ變リハナイ少シク
  擴張シテ居リマスデ、又唯今御質問ニ依リマスレバ、其土地ヲ以テ被害者ト御
  覽ニナルカノ如クニ-サウ云フ御精神デハナイカモ知レマセヌガ-サ
  ウ聽取リマシタカ併ナガラ此法案ハ此罹災者其人ヲ救助スルノ法案デアリ
  マシテ、其土地其モノヽ被害ヲ救助スルノ法案デハナイノデアリマス、左樣
  御承知ヲ請ヒマス

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• 071・岡田良一郎

  ○岡田良一郞君(百六十番)　然レバ卽チ其土地ガ災害ヲ被ッテ其他ニ財產ノ
  有ル者ニハ是ヲ支給シナイ、斯ノ如キノ意味デアルノデスカ

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• 072・駒井重格

  ○政府委員(駒井重格君)　左樣デゴザイマス

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• 073・岡田良一郎

  ○岡田良一郞君(百六十番)　是ハ甚ダ不都合ノ案デアリマスケレドモ、其時
  ニ又論ジマス

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• 074・木暮武太夫

  ○木暮武太夫君(百四十八番)　此罹災救助資金法デゴザイマスガ、此水害、
  火災、飢饉等ニハ勿論適用サレルコトデアルガ、彼ノ霜害デスガ、養蠶ノ盛
  ナル土地ニ於テハ桑ガ霜ノタメニ非常ノ害ヲ被ムルト云フコトガアル、其
  霜害ノ時ニモ勿論此救助法ハ適用セラルヽコトヽ存ジマスガ、其義ヲ一應承
  リタイ

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• 075・駒井重格

  ○政府委員(駒井重格君)　唯今其霜害ノコトノ御話デゴザイマスガ、霜害ト
  テモ矢張此法律ニ書イテアリマスル中ニハ或ル場合ニ於テハ勿論這入ル積
  デアリマス

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• 076・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　他ニ御質問ガナケレバ日程第十ニ移リマス
  第十右議案ノ審査ヲ付託スヘキ特別委員ノ選舉

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• 077・吉本榮吉

  ○吉本榮吉君(一　一百五十六番)是モ議長指名ノ委員ニ付託サレンコトヲ望ミ
  マス

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• 078・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　日程第十ハ議長指名ノ委員ニ付スル-御異議ハゴザ
  イマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 079・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　卽チ議長指名ニ決シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=79

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• 080・吉本榮吉

  ○吉本榮吉君(二百五十六番)　緊急動議トシテ持出シタイノハ、彼ノ工藤行
  幹君外七名ヨリ提出セラレマシタ郡制改正案モ、此第十一ノ所ヘ加ヘタウゴ
  ザイマス、是ハ曩ニ本會ノ決議ヲ以テ、府縣制ノ調査ヲ特別委員ニ依託致シ
  テアリマスガ、順序トシテ此郡制ノ調査ヲ終ヘズシテ府縣制ノ調査ト云フ
  モノハ出來ナイ然ルニ何レモ百二十條モアル所ノ大部分ノモノデアリマス
  カラ、其調査ニ餘程ノ日數モ要スル、又衆議院ガ議決シテ貴族院ニ囘シテモ、
  亦日數ヲ要スルコトデアルカラ、一日モ早ク其事ニ著手シタイ故ニ今日日
  程ガ變更ニナッタラ府縣制ト同一ノ委員ニ付託シテ、特別委員調査ノ進行ヲ
  圖リ度アリマス、諸君同意アランコトヲ望ミマス
  (「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=80

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• 081・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　日程變更ノコトニ就イテ吉本君カラ動議ガアリマス、
  卽チ此場合ニ郡制改正法律案ヲ議題ト爲スト云フコトハ御異議ハゴザイマセ
  ヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=81

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• 082・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　卽チ郡制改正法律案ヲ議題トシマス、第一讀會
  郡制改正法律案(工藤行幹君外七名提出)第一讀會
  〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ茲ニ揭載ス〕
  郡制改正法律案
  郡制
  第一章總則
  第一款郡及其ノ區域
  第一條郡ハ其ノ區域內ニ在ル町村ヲ總括ス
  郡ハ法人トシ法律命令ヲ以テ定メタル範圍內ニ於ケル公共事務竝法律命
  令ニ依リ郡ニ屬スル事務ハ官ノ監督ヲ受ケテ自ラ之ヲ處理スルモノト
  ス
  第二條郡ノ廢置分合及郡界ノ變更ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム
  郡界ニ當ル市町村ノ境界ヲ變更スルトキハ郡界モ亦自ラ變更スルモノト
  ス
  第三條郡内ノ町村ヲ變シテ市トナシ若ハ市ヲ變シテ郡內ノ町村ト爲スハ
  其ノ市ノ申請ニ依リ內務大臣之ヲ定ム
  前項ノ場合ニ於テハ郡界モ亦自ラ變更スルモノトス
  第四條第二條第三條ノ處分ニ付財產處分ヲ要スルトキハ府縣參事會ノ議
  決ヲ經テ府縣知事之ヲ處分スヘシ但特ニ法律ノ規程アルモノハ此ノ限ニ
  在ラス
  第二款郡條例及郡規則
  第五條郡ノ公共事務ニシテ特例ヲ設クルコトヲ許シ若ハ條例ノ規程ニ讓
  リタル事項ニ就テハ郡條例ヲ設クルコトヲ得
  郡ハ郡有財產及郡ノ營造物ニ關シ規則ヲ設クルコトヲ得
  郡條例及郡規則ハ法律命令ニ抵觸スルコトヲ得ス
  郡條例及郡規則ハ其ノ郡慣行ノ公告式ニ依リ之ヲ公〓スヘシ
  第二章郡會
  第一款組織及選舉
  第六條郡會ハ郡內各選舉區ニ於テ選舉シタル議員ヲ以テ之ヲ組織ス
  選舉區ハ一町村ヲ以テ一選舉區トスヘシ但土地ノ狀況ニ依リ郡條例ヲ以
  テ數町村ヲ合セ一選舉區ト爲スコトヲ得
  町村組合ニシテ組合會ヲ設ケ其ノ町村一切ノ事務ヲ共同處理スルモノハ
  之ヲ一町村ト看做スヘシ
  第七條郡會議員ノ數ハ十五名以上三十名以下トス
  郡會議員ト配當法ハ人口ヲ標準トシ郡條例ヲ以テ之ヲ定ム
  郡會議員ノ選舉區及議員ノ配當法ヲ改正スルトキハ議員全數ヲ改選スヘ
  第八條郡内ノ町村公民ニシテ町村會議員ノ選舉權ヲ有シ且其ノ郡內ニ於
  テ一年以來直接國稅年額三圓以上ヲ納ムル者ニ郡會議員ノ選舉權及被選
  舉權ヲ有ス
  本條規定スル直接國稅額ニ就テハ家督ニ依リ財產ヲ相續シタル者ハ前財
  產主ノ納稅額ヲ以テ其ノ納稅資格ニ算入ス
  住居ヲ移シタル爲町村ノ公民權ヲ失ヒタル者其ノ住居同郡內ニ在リ住居
  ヲ除ク外其ノ他ノ要件ヲ失ハサルトキハ仍郡會議員ノ選舉權及被選舉權
  ヲヨハ
  左ニ掲クル者ハ郡會議員ノ被選舉權ヲ有セス
  一所屬府東京府ハ警縣官吏
  視廳トモ
  二其ノ郡ノ有給吏員
  三檢事及警察官
  四神官僧侶又ハ諸宗ノ〓師
  五小學校〓員
  前項ノ外ノ官吏ニシテ當選ニ應セムトスル者ハ本屬長官ノ許可ヲ受クヘ
  シ
  第九條郡會議員ハ名譽職トス
  郡會議員ノ任期ハ四年トシ每二年其ノ半數ヲ改選ス若其ノ員數二分シ難
  キトキハ初囘ニ於テ多數ノ一半ヲ解任セシム初囘ニ於テ解任スヘキ者ハ
  抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
  退任者ハ再選セラルヽコトヲ得
  第十條議員中闕員アルトキハ遲クモ三箇月以内ニ補闕選舉ヲ行フヘシ補
  闕議員ハ其ノ前任者ノ殘任期間在職スルモノトス
  第十一條郡會議員ノ選舉ハ郡長ノ告示ニ依リ町村長(數町村ヲ以テ一選
  舉區ト爲シタル場合ニ於テハ郡長ノ指定シタル町村長)之ヲ管理スヘシ
  其ノ告示ハ通常選擧ハ少クモ七十日前臨時選舉ハ少クモ十日前之ヲ發ス
  、
  第十二條町村長ハ通常選舉ヲ行フ每ニ選舉前五十日ヲ期トシ各選舉人ノ
  現在資格ニ依リ十日以內ニ選舉人名簿ヲ調製スヘシ但數町村ヲ以テ一選
  舉區ト爲シタル場合ニ於テハ郡長ノ指定シタル町村長ニ之ヲ送付スヘ
  シ
  選舉ヲ管理スル町村長ハ名簿調製期限ノ翌日ヨリ七日間町村役場ニ於
  テ關係者ノ縱覽ニ供スヘシ若關係者ニ於テ異議アルトキハ同期限內ユ之
  ヲ町村長ニ申立ツルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ町村長ハ其ノ申立ヲ受ケ
  タル日ヨリ五日以內ニ決定シ之ヲ申立人ニ通知スヘシ町村長ニ於テ修正
  スヘシト決定シタルトキハ選舉前二十日ヲ限リ之ニ修正ヲ加ヘテ確定名
  簿ト爲シ之ニ登錄セラレサル者ハ何人タリトモ選舉ニ關スルコトヲ得
  ス
  前項町村長ノ決定ニ不服アル者ハ名簿確定以後七日以內ニ郡參事會ニ訴
  願シ郡參事會ノ裁決ニ不服アル者ハ府縣參事會ニ訴願シ府縣參事會ノ裁
  決ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
  本條ニ依リ確定シタル名簿ハ次期ノ通常選舉マテ之ヲ据置キ臨時ノ選擧
  ニモ亦之ヲ使用スルモノトス
  確定名簿ト雖モ郡參事會及府縣參事會ノ裁決又ハ行政裁判所ノ判決ニ依
  リ訂正スヘキモノアルトキハ町村長ニ於テ其ノ通知ヲ受ケタル時ヨリ二
  十四時間以內ニ之ヲ修正シ其ノ旨町村內ニ告示スヘシ
  第十三條選舉ヲ管理スル町村長ハ選舉ノ日ヨリ少クモ七日前選舉ノ場
  所、日時及選舉スヘキ議員ノ數ヲ公〓スヘシ
  第十四條選擧掛ハ名譽職トシ選舉ヲ管理スル町村長ニ於テ臨時ニ選舉人
  中ヨリ二名若ハ四名ヲ選任シ町村長若ハ代理者ハ掛長ト爲リ選舉會ヲ開
  閉シ會場ノ取締ニ任ス
  投票ハ午前八時ニ始メ午後五時ニ終フ
  第十五條選舉開會中ハ選舉人ノ外何人タリトモ選舉會場ニ入ルコトヲ得
  ス選舉人ハ選擧會場ニ於テ協議又ハ勸誘ヲ爲スコトヲ得ス
  第十六條選舉ハ投票ヲ以テ之ヲ行フ投票ハ選擧會場ニ於テ被選舉人ノ氏
  名ヲ記シ封緘ノ上選舉人自ラ掛長ニ差出スヘシ但選舉人ノ氏名ハ投票ニ
  記入スルコトヲ得ス
  選舉人投票ヲ差出ストキハ自己ノ氏名及住所ヲ掛長ニ申立テ掛長ハ選舉
  人名簿ニ照シテ之ヲ受ケ封緘ノ儘投票函ニ投入スヘシ但投票函ハ投票ヲ
  終ルマテ開クコトヲ得ス
  第十七條投票ニ記載ノ人員其ノ選舉スヘキ定數ニ過キ又ハ不足アルモ其
  ノ投票ヲ無效トセス其ノ定數ニ過クルモノハ末尾ニ記載シタル人名ヲ順
  次ニ棄却スヘシ
  左ノ投票ハ之ヲ無效トス
  一記載セル氏名ノ讀ミ難キモノ
  二被選舉人ノ何人タルヲ確認シ難キモノ
  三被選舉權ナキ者ノ氏名ヲ記載スルモノ
  四被選舉人氏名ノ外他事ヲ記入スルモノ但爵位職業身分住所又ハ敬稱
  ヲ記スルモノハ無效ト爲スノ限ニ在ラス
  以上四種ノ投票中他ニ列記ノ被選舉人ニ就テハ仍其ノ效アリトス
  五氏名ヲ記載セサルモノ
  六投票用紙ヲ一定シタル場合ニ於テ其ノ用紙ヲ用井サルモノ
  投票ノ受理竝效力ニ關スル事項ハ選擧掛之ヲ議決ス可否同數ナルトキハ
  掛長之ヲ決ス
  第十八條選擧ハ選舉人自ラ之ヲ行フヘシ他人ニ託シテ投票ヲ差出スコト
  ヲ許サス
  第十九條議員ノ選擧ハ有效投票ノ多數ヲ得タル者ヲ以テ當選トス投票ノ
  數相同キモノハ年長者ヲ取リ同年月ナルトキハ掛長自ラ抽籤シテ其ノ當
  選ヲ定ム
  同時ニ補闕員數名ヲ選舉スルトキハ投票數ノ多キ者ヲ以テ殘任期ノ長キ
  前任者ノ補闕ト爲シ投票ノ數同キトキハ掛長自ラ抽籤シテ其ノ順序ヲ定
  ム
  第二十條選舉掛ハ選舉錄ヲ製シテ選舉ノ〓末ヲ記錄シ選舉ヲ終リタル後
  之ヲ朗讀シ選舉人名簿其ノ他關係書類ヲ合綴シテ之ニ署名捺印シ少クト
  モ四年間之ヲ保存スヘシ
  投票ハ之ヲ選舉錄ニ附屬シ選舉ノ效力確定スルマテ之ヲ保存スヘシ
  第二十一條選舉ヲ終リ當選人定マリタルトキハ選擧掛長直ニ當選人ニ通
  知シ同時ニ郡長ニ報告スヘシ
  當選人當選ノ通知ヲ受ケタルトキハ五日以內ニ其ノ當選ヲ承諾スルヤ否
  ヲ郡長ニ屆出ヘシ
  一人ニシテ數選舉區ノ選舉ニ當リタルトキハ同期限內ニ何レノ選舉ニ應
  スヘキコトヲ郡長ニ屆出ヘシ
  定期改選ト補闕選舉ト同時ニ行ヒタル場合ニ於テ一人ニシテ兩選舉ニ當
  リタルトキモ亦前項ノ例ヲ適用ス
  前三項ノ屆出ヲ其ノ期限內ニ爲サヽルトキハ當選ヲ辭シタルモノト看做
  スヘシ
  第二十二條議員ノ當選ヲ辭シタル者アルトキハ更ニ選舉ヲ行ハシムヘ
  シ
  二人以上投票同數ニシテ年長ニ依テ當選ヲ得タル者其ノ當選ヲ辭シタル
  トキハ年少ニ依リ當選セサリシ者ヲ以テ當選人トス但年少ニ依テ當選セ
  サリシ者二人以上アルトキハ第十九條第一項ノ例ヲ適用ス
  二人以上投票同數ニシテ抽籤ニ依テ當選シタル者其ノ當選ヲ辭シタルト
  キハ抽籤ノ爲當選セサリシ者ヲ以テ當選人トス但抽籤ノ爲當選セサリシ
  者二人以上アルトキハ亦前項但書ノ例ニ依ル
  第二十三條當選人確定シタルトキハ郡長ハ直ニ當選證書ヲ附與シ及管內
  ニ告示スヘシ
  第二十四條選舉人選舉ノ效力ニ關シテ訴願セムトスルトキハ選舉ノ日ヨ
  リ十四日以内ニ郡參事會ニ申立ツルコトヲ得
  郡參事會ノ裁決ニ不服アル者ハ府縣參事會ニ訴願シ府縣參事會ノ裁決ニ
  不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
  第二十五條選舉ノ規程ニ違背シタルコトアルカ爲選舉ノ結果ニ異動ヲ
  生スルトキハ其ノ選舉ヲ無效トス
  當選人中其ノ資格ノ要件ヲ有セサル者アルトキハ其ノ當選ヲ無效トス
  當選若ハ當選無效ト確定シタルトキハ更ニ選舉ヲ行フヘシ
  第二十六條議員中資格ノ要件ヲ有セサル者アルトキハ其ノ職ヲ失フモノ
  トス其ノ要件ノ有無ハ郡參事會之ヲ決定ス
  郡會ニ於テ其ノ議員中資格ノ要件ヲ有セサル者アルコトヲ發見スルトキ
  ハ之ヲ郡長ニ通知スヘシ
  郡長ハ前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ之ヲ郡參事會ノ議ニ付スヘシ郡長若
  ハ名譽職參事會員ニ於テ發見シタルトキモ亦同シ
  本條郡參事會ノ決定ニ關シテハ第二十四條第二項ノ例ヲ適用ス
  郡會議員ハ其ノ資格ヲ有セスト確定スルマテハ議會ニ於テ位列及發言ノ
  權ヲ失ハス但自身ノ資格審査ニ關スル會議ニ於テハ辯明スルヲ得ルモ其
  ノ議決ニ加ハルコトヲ得ス
  第二十七條郡會議員選舉ニ關スル罰則ハ明治二十三年法律第三十九號市
  町村會議員選舉罰則ヲ適用ス
  第二款職務權限及處務規程
  第二十八條郡會ノ議決スヘキ事件ノ〓目左ノ如シ
  一郡條例及郡規則ヲ設クル事
  二郡費ヲ以テ支辨スヘキ事業
  三郡ノ歲入出豫算ヲ定ムル事
  四決算報告ヲ認定スル事
  五法律命令ニ定ムルモノヲ除ク外使用料、手數料竝夫役、現品ノ賦課徵
  收ノ方法ヲ定ムル事
  六郡有不動產ノ賣買、交換、讓渡、讓受竝質入、書入ノ事
  積立金穀等ノ處分ヲ爲ス事
  八七
  歲入出豫算ヲ以テ定ムルモノヲ除ク外新ニ義務ノ負擔ヲ爲シ權利ノ
  棄却ヲ爲ス事
  九郡有財產及郡ノ營造物ノ管理方法ヲ定ムル事
  其ノ他法律命令ニ依リ郡會ノ權限ニ屬スル事項
  第二十九條郡會ハ郡ノ事務ニ關スル書類及計算書ヲ檢閱シ郡長ノ報告ヲ
  請求シテ事務ノ管理、議決ノ施行竝收入支出ノ正否ヲ檢査スルノ權限ヲ
  有ス
  第三十條郡會ハ其ノ權限ニ屬スル事項ヲ郡參事會ニ委任スルコトヲ
  得
  第三十一條郡會ハ郡ノ利害ニ關スル事件ニ付意見書ヲ監督官廳ニ差出ス
  コトヲ得
  第三十二條郡會ハ官廳ノ談問アルトキハ意見ヲ答申スヘシ
  第三十三條郡會議員ハ選舉人ノ指示若ハ委囑ヲ受クヘカラス
  第三十四條郡會議員ハ自己及其ノ父母兄弟姉妹若ハ妻子ノ一身上ニ關ス
  ル事件ニ就テハ會議ノ承諾ヲ經ルニ非サレハ郡會ノ議事ニ參與シ及其ノ
  議決ニ加ハルコトヲ得ス
  前項除席ノ爲議員ノ數定數ニ滿タサルトキモ仍會議ヲ開クコトヲ得
  第三十五條郡會ハ郡會議員中ヨリ議長副議長各一名ヲ選舉スヘシ
  議長及副議長ハ郡會議員ノ改選期日マテ在職スルモノトス
  議長副議長共ニ故障アルトキハ臨時議長ヲ選舉スヘシ
  第三十六條郡長若ハ特ニ郡長ノ委任ヲ受ケタル郡ノ吏員ハ郡會ノ議事ニ
  參與スルコトヲ得但議決ノ數ニ加ハルコトヲ得ス
  第三十七條郡會ハ每年一囘通常會ヲ開クヘシ其ノ他必要アルトキハ其ノ
  事件ニ限リ臨時會ヲ開クコトヲ得
  郡會ハ郡長之ヲ招集ス若議員三分一以上ニ於テ臨時ノ招集ヲ請求スルト
  キハ之ヲ招集スヘシ其ノ招集竝會議ノ事件ハ開會日ヨリ少クモ十日前ニ
  告示スヘシ但急施ヲ要スル場合ハ此ノ限ニ在ラス
  郡會ハ郡長之ヲ開閉ス
  第三十八條郡會ハ議員半數以上出席スルニ非サレハ會議ヲ開クコトヲ得
  ス但同一ノ事件ニ付招集二囘ニ至ルモ議員仍半數ニ滿タサルトキハ此ノ
  限ニ在ラス
  第三十九條郡會ノ議決ハ過半數ニ依ル可否同數ナルトキハ議長ノ決スル
  所ニ依ル
  第四十條郡會ニ於テ選舉ヲ行フトキハ一名每ニ匿名投票ヲ爲シ有效投
  票ノ過半數ヲ得タル者ヲ以テ當選人トス若過半數ヲ得タル者ナキトキハ
  最多數ヲ得タル者二名ヲ取リ之ニ就テ決選投票セシム其ノ二名ヲ取ルニ
  當リ同數者アルトキハ年長者ヲ取リ同年月ナレハ議長自ラ抽籤シテ之ヲ
  定ム此ノ決選投票ニ於テハ最多數ヲ得タル者ヲ以テ當選トシ若同數ナレ
  ハ年長者ヲ取リ同年月ナレハ抽籤ヲ以テ當選ヲ定ム其ノ他第十六條第十
  七條第十八條ヲ適用ス議長選舉ノ場合ニハ議員中ノ年長者ヲ以テ假議長
  トス
  第四十一條郡會ノ會議ハ公開ス但議長ノ意見又ハ郡長ノ要求若ハ議員三
  名以上ノ發議ニ依リ可決シタルトキハ傍聽ヲ禁スルコトヲ得此ノ場合ニ
  於テハ討論ヲ用井スシテ其ノ可否ヲ決スヘシ
  第四十二條議長ハ會議ノ事ヲ總理シ會議ノ順序ヲ定メ其ノ日ノ會議ヲ開
  閉シ議場ノ秩序ヲ保持ス
  第四十三條會議中無禮ノ語ヲ用非又ハ他人ノ身上ニ涉リ言論スルコトヲ
  得ス
  第四十四條會議中此ノ法律若ハ議事規則ニ違ヒ其ノ他議場ノ秩序ヲ紊ル
  議員アルトキハ議長ハ之ヲ警戒シ若ハ制止シ又ハ發言ヲ取消サシム命ニ
  從ハサルトキハ議長ハ當日ノ會議ヲ終ルマテ發言ヲ禁止シ又ハ議場ノ外
  ニ退去セシメ必要ノ場合ニ於テハ警察官吏ノ處分ヲ求ムルコトヲ得
  議場騒擾ニシテ整理シ難キトキハ議長ハ當日ノ會議ヲ中止シ又ハ閉ツル
  コトヲ得
  第四十五條傍聽人公然可否ヲ表シ又ハ喧騒ニ涉リ其ノ他議事ノ妨害ヲ爲
  ス者アルトキハ議長ハ之ヲ制止シ若命ニ從ハサルトキハ之ヲ退場セシメ
  必要ナル場合ニ於テハ警察官吏ノ處分ヲ來ムルコトヲ得
  傍聽席騒擾ナルトキハ議長ハ總テノ傍聽人ヲ退場セシメ必要ナル場合ニ
  於テハ警察官吏ノ處分ヲ求ムルコトヲ得
  第四十六條郡會ニ書記ヲ置キ議長ニ隸屬シテ庶務ヲ掌理セシム
  書記ハ議長之ヲ選任ス
  第四十七條議長ハ書記ヲシテ會議錄ヲ製シ會議ノ〓末竝出席議員ノ氏名
  ヲ記錄セシムヘシ會議錄ハ議長及議員二名以上之ニ署名捺印スルヲ要ス
  其ノ議員ハ開會ノ初ニ於テ之ヲ定ムヘ
  第四十八條郡會ハ議事規則及傍聽人取締規則ヲ設クヘシ
  第三章郡行政
  第一款郡參事會郡吏員及委員ノ組織選任
  第四十九條郡ニ郡參事會ヲ置キ左ノ職員ヲ以テ之ヲ組織ス
  一郡長名
  二助役一名
  三名譽職參事會員五名
  名譽職參事會員ハ郡條例ヲ以テ其ノ定員ヲ增減スルコトヲ得
  第五十條郡參事會ハ郡長ヲ以テ議長トス議長故障アルトキニ出席會員
  中ヨリ臨時議長ヲ互選スヘシ
  第五十一條郡長及助役ハ有給吏員トシ郡會之ヲ選舉シ其ノ任期ハ四年ト
  ス但任期滿限ノ後ト雖モ後任者就職ノ日マテ在職スルモノトス
  郡長及助役ハ年齡三十歲以上ノ者タルヘシ
  第五十二條郡長ノ選任ハ內務大臣ヨリ上奏シテ裁可ヲ請ヒ助役ノ選任ハ
  府縣知事ノ認可ヲ受クヘシ
  第五十三條名譽職參事會員ハ其ノ郡內ニ於テ郡會議員ノ被選舉權ヲ有ス
  ル者ノ中ヨリ郡會之ヲ選舉ス其ノ任期ハ四年トシ每二年其ノ半數ヲ改選
  ス若二分シ難キトキハ初會ニ於テ多數ノ一半ヲ解任セシム初會ノ解任者
  ハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム但任期滿限ノ後ト雖モ後任者就職ノ日マテ在職ス
  ルモノトス
  退職者ハ再選セラルヽコトヲ得
  郡會ハ每通常會ニ於テ名譽職參事會員ノ補充員トシテ正員ト同數ヲ選舉
  シ闕員アルトキハ郡長ニ於テ補充員中投票多數ノ順次ニ依リ之ヲ補闕シ
  仍關員ヲ生シタル場合ニ於テハ三十日以内ニ臨時補闘選舉ヲ行フヘシ但
  其ノ補闕員ハ前任者ノ殘任期間在職スルモノトス
  第五十四條郡長助役及名譽職參事會員ハ第八條第四項第五項ニ揭載スル
  職ヲ兼ヌルコトヲ得ス
  郡長及助役ハ他ノ有給ノ職ヲ兼任シ又ハ株式會社ノ社長若ハ重役ト爲ル
  コトヲ得ス其ノ他ノ營業ハ府縣知事ノ認可ヲ得ルニ非サレハ之ヲ爲スコ
  トヲ得ス
  父子兄弟タルノ緣故アル者ハ同時ニ郡參事會員タルコトヲ得ス若其ノ緣
  故アル者郡長又ハ助役ノ任ヲ受クルトキハ其ノ緣故アル郡參事會員ハ其
  ノ職ヲ退クヘシ其ノ他ハ市制第十五條第五項ヲ適用ス
  第五十五條郡長及助役ハ三箇月前ニ申立ツルトキハ臨時退職ヲ求ムルコ
  トヲ得此ノ場合ニ於テハ退隱料ヲ受クルノ權ヲ失フモノトス
  第五十六條名譽職參事會員ノ選舉ノ效力ニ就テハ郡參事會自ラ之ヲ決定
  ス
  名譽職參事會員中資格ノ要件ヲ有セサル者アルトキハ其ノ職ヲ失フモノ
  トス
  本條第一項ノ事件ニ關シテハ第二十四條第二項第二十五條第一項第三項
  ノ例ヲ適用ス
  第五十七條郡ニ書記其ノ他必要ノ附屬員ヲ置キ其ノ員數ハ郡會ノ議決ヲ
  以テ之ヲ定メ郡長之ヲ任免ス
  第五十八條郡長ハ郡會ノ議決ヲ經テ臨時或ハ常設ノ委員ヲ置キ郡ノ公共
  事務ヲ分掌セシメ又ハ郡有財產及營造物ノ一部ヲ管理セシムルコトヲ
  得
  委員ハ名譽職トシ其ノ選舉ノ方法及任期ハ郡會ノ議決スル處ニ依ル
  第二款郡參事會竝郡吏員ノ職務權限及處務規程
  第五十九條郡參事會ノ職務權限左ノ如シ
  一郡會ノ權限ニ屬スル事件ニシテ其ノ委任ヲ受ケタルモノヲ議決スル
  事
  二郡會ノ權限ニ屬スル事件ニシテ臨時急施ヲ要シ郡長ニ於テ郡會ヲ招
  集スルノ暇ナシト認ムルトキ郡會ニ代テ議決スル事
  三郡會ノ議決シタル範圍內ニ於テ郡有財產及郡營造物ノ管理又ハ郡費
  ヲ以テ支辨スル事業ニ關シ必要ナル事項ヲ議決スル事
  四郡ノ收支命令會計及出納金庫ヲ檢査スル事
  五郡ノ權利ヲ保護シ郡ノ證書及公文書類ノ保管ヲ檢査スル事
  六外部ニ對シ郡ヲ代表シ郡ノ名義ヲ以テ訴訟及和解ヲ爲シ郡ノ權利義
  務ニ關シ他廳又ハ人民ト商議スル事
  七郡長ヨリ郡會ニ提出スル議案ニ付郡長ニ對シ意見ヲ述ヘ及會議ニ報
  告スル事
  八官廳ノ諮問ニ對シテ意見ヲ述フル事
  其ノ他法律命令ニ依リ郡參事會ノ權限ニ屬スル事項
  第六十條郡參事會ハ郡長之ヲ招集ス
  會員半數以上ノ請求アルトキハ郡長ハ郡參事會ヲ招集スヘシ
  第六十一條郡參事會ノ會議ハ郡會議員ノ外傍聽ヲ許サス但郡參事會ノ決
  議ニ依リ郡會議員ノ傍聽ヲ禁スルコトヲ得
  第六十二條郡參事會ハ名譽職參事會員半數以上出席スルニ非サレハ會議
  ヲ開クコトヲ得ス但同一ノ事件ニ付招集二囘ニ至ルモ名譽職參事會員仍
  半數ニ滿タサルトキハ此ノ限ニ在ラス
  郡參事會ノ議決ハ過半數ニ依ル可否同數ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依
  ル
  議決ノ事件ハ之ヲ會議錄ニ記載シ議長及名譽職參事會員二名以上之ニ署
  名捺印スヘシ
  第六十三條第三十四條第一項ノ規程ハ郡參事會ニモ亦之ヲ適用ス但同條
  ノ規程ニ依リ會員ノ數減少シテ第六十二條第一項ノ數ヲ得サルトキハ郡
  長ハ補充員ヲ以テ臨時之ニ充テ仍其ノ數ヲ得サルトキハ郡會議員ニシテ
  其ノ事件ニ關係ナキ者ヲ臨時ニ指名シ其ノ不足ヲ補充シテ第四十九條ノ
  定數ニ滿タシムヘシ
  第六十四條町村制ノ規程ニ依リ郡參事會ノ權限ニ屬スル事件ニシテ二郡
  以上ノ町村ニ交涉スルモノアルトキハ其ノ郡長ノ具狀ニ依リ府縣知事ニ
  於テ其ノ事件ヲ管理スヘキ郡參事會ヲ指定スヘシ二府縣以上ノ町村ニ交
  涉スルモノアルトキハ其ノ府縣知事ノ具狀ニ依リ內務大臣ニ於テ之ヲ指
  定スヘシ
  第六十五條郡長ハ郡政一切ノ事務ヲ指揮監督ス
  郡長ハ法律命令ニ從ヒ國ノ行政竝府縣ノ行政ニシテ郡ニ屬スル事務ヲ管
  掌ス
  郡長ハ郡會及郡參事曾ノ議事ヲ準備シ其ノ議決ヲ執行ス
  第六十六條郡長ハ郡吏員ヲ監督シ助役及委員ヲ除ク外其ノ他ニ對シ懲戒
  處分ヲ行フコトヲ得其ノ〓懲戒處分ハ譴責、解職及十圓以下ノ過怠金トス
  但懲戒處分ヲ以テ解職セムトスル者ハ郡參事會ノ議決ヲ經ヘシ
  郡長ノ懲戒處分ニ不服アル者ハ府縣知事ニ訴願シ府縣知事ノ裁決ニ不服
  アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
  第六十七條郡吏員及使丁其職務ヲ盡サス又ハ權限ヲ超ヘタルコトアルカ
  爲郡ニ對シ賠償スヘキコトアルトキハ郡參事會之ヲ裁決ス其ノ裁決ニ不
  服アル者ハ裁決ヲ交付シ又ハ之ヲ告知シタル日ヨリ十四日以內ニ府縣參
  事曾ニ訴願シ府縣參事會ノ裁決ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコ
  トヲ得但此ノ場合ニ於テハ郡參事會ハ假リニ其ノ財產ヲ差押フルコトヲ
  得
  第六十八條郡會若ハ郡參事會ノ議決其ノ權限ヲ超エ又ハ法律命令ニ背ク
  ト認ムルトキハ郡長ハ自己ノ意見ニ依リ又ハ監督官廳ノ指揮ニ依リ理由
  ヲ示シテ之ヲ再議ニ付スヘシ
  前項再議ニ付スルモ仍其ノ議決ヲ改メサルトキハ郡長ヨリ府縣參事會ニ
  申立テ其ノ決定ヲ請フヘシ
  郡會若ハ郡參事會ノ議決公益ニ害アリト認ムルトキハ郡長ハ自己ノ意見
  ニ依リ又ハ監督官廳ノ指令ニ依リ理由ヲ示シテ之ヲ再議ニ付スヘシ
  前項再議ニ付スルモ仍其ノ議決ヲ改メサルトキハ郡長ヨリ府縣參事會ニ
  申立テ其ノ決定ヲ請フヘシ府縣參事會ノ決定ニ不服アル者ハ內務大臣ニ
  訴願スルコトヲ得
  本條決定若ハ裁決ハ其ノ確定ニ至ルマテ執行ヲ停止ス但當該官廳ニ於テ
  停止ノ爲ニ公益ニ害アリト認ムルトキハ此ノ限ニ在ラス
  第六十九條郡長ハ必要アル場合ニ於テハ期日ヲ定メテ郡會ノ中止ヲ命ス
  ルコトヲ得
  第七十條郡會若ハ郡參事會ニ於テ必要ノ收支ニ關シ否決シ又ハ不當ノ
  削減ヲ爲シタルトキハ郡長ハ自己ノ意見ニ依リ又ハ監督官廳ノ指揮ニ依
  リ其ノ理由ヲ示シテ之ヲ再議ニ付シ仍其ノ議決ヲ改メサルトキハ府縣知
  事ニ具狀シテ指揮ヲ請フヘシ但場合ニ依リ再議ニ付セスシテ直ニ府縣知
  事ノ指揮ヲ請フコトヲ得
  第七十一條郡會若ハ郡參事會招集ニ應セス若ハ成立セサルトキハ郡長ハ
  府縣知事ニ具狀シテ指揮ヲ請ヒ其ノ議決スヘキ事件ヲ處分スルコトヲ得
  郡會若ハ郡參事會ニ於テ其ノ議決スヘキ事件ヲ議決セス若ハ議了セサル
  トキハ前項ノ例ニ依ル
  第一項ノ處分ハ次囘ノ會議ニ於テ之ヲ郡會若ハ郡參事會ニ報告スヘシ
  第三十四條第二項若ハ第三十八條但書又ハ第六十二條第一項但書ノ場合
  ニ於テ全ク會議ヲ開クコト能ハサルトキハ第一項第三項ノ例ニ依ル
  第七十二條郡長ハ郡參事會ノ職權ニ屬スル事件ニシテ臨時急施ヲ要スル
  場合ニ於テ郡參事會成立セス若ハ之ヲ招集スル暇ナシト認ムルトキハ之
  ヲ專決シ次囘ノ會議ニ於テ其ノ處分ヲ報告スヘシ
  第七十三條助役ハ郡長ヲ輔ヶ庶務ヲ掌理シ郡長事故アルトキハ總テ郡長
  ノ事務ヲ代理ス
  第七十四條郡書記及郡吏員ハ郡長ノ指揮ヲ受ケ庶務ニ從事ス
  郡長ハ郡書記ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
  第七十五條郡書記ヨリ郡ノ出納管理者ヲ指定シ郡費ノ收支及其ノ他會計
  ノ事務ヲ掌ラシム但郡參事會ノ議決ヲ經テ出納管理者ヨリ身元保證ヲ徵
  スルコトヲ得
  第七十六條郡ノ事務ニ關スル庶務規程ハ府縣知事之ヲ定ム
  第三款給料及給與
  第七十七條郡長助役其ノ他有給吏員及使丁ノ給料竝旅費日當額ハ郡會ノ
  議決ヲ以テ之ヲ定ム
  給料及旅費日當ノ支給方法ハ郡規則ヲ以テ規定スヘシ
  郡會ノ議決ヲ以テ郡長ノ給料額ヲ定メタルトキハ內務大臣ノ認可ヲ受ク
  ヘシ若之ヲ認可スヘカラスト認ムルトキハ內務大臣之ヲ指定スルコトヲ
  得
  郡會ノ議決ヲ以テ助役ノ給料額ヲ定メタルトキハ府縣知事ノ認可ヲ受ク
  ヘシ若之ヲ認可スヘカラスト認ムルトキハ府縣參事會ノ議決ヲ以テ之ヲ
  指定スルコトヲ得
  第七十八條郡會議員名譽職參事會員及委員ニハ旅費日當ヲ給スルコトヲ
  得但其ノ支給額及支給方法ハ郡規則ヲ以テ規定スヘシ
  第七十九條名譽職員ニハ職務取扱ノ爲ニ要スル實費辨償ノ外勤務ニ相當
  スル報酬ヲ給スルコトヲ得但別ニ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラス
  實費辨償額及報酬額ハ郡會ノ議決ヲ以テ之ヲ定ム
  第八十條郡條例ノ規定ヲ以テ郡長及助役其ノ他有給吏員ノ退隱料ヲ設
  クルコトヲ得
  退隱料ヲ受クル者官職又ハ府縣郡市町村及公共組合ノ職務ニ就キ給料ヲ
  受タルトキハ其ノ間之ヲ停止シ又更ニ退隱料ヲ受クルノ權ヲ得ルトキ其
  ノ額舊退隱料ニ滿タサルトキハ其ノ差額ヲ給ス
  第四草郡ノ會計
  第八十一條郡ノ權利義務ニ屬スル諸費及法律命令若ハ慣例ニ依リ郡ノ負
  擔トナル事件ニ關スル費用ハ其ノ郡ニ於テ之ヲ支辨スヘシ
  第八十二條郡ニ於テ積立金穀等ヲ設クルトキハ郡規則ノ規程ニ依ルヘ
  シ
  第八十三條郡ノ支出ニ充ツル費用ハ郡有財產ヨリ生スル收入及其ノ他ノ
  收入ヲ以テ充ツルモノヽ外郡内各町村ニ分賦ス其ノ分賦ハ各町村前年度
  (豫算ノ屬スル年度ノ前々年度)直接府縣稅ノ徵收額ニ依ル但本條ノ分賦
  法ニ依リ難キ事情アルトキハ郡會ノ議決ヲ經特別方法ヲ設ケ內務大藏兩
  大臣ノ認可ヲ得テ施行スルコトヲ得
  各町村ハ其ノ賦課ヲ受ケタル額ヲ其ノ町村ノ豫算ニ編入シ其ノ町村ノ支
  出ト爲シ郡金庫ニ納ムヘシ
  第八十四條郡ハ郡有財產若ハ郡ノ營造物ノ使用ニ付又ハ特ニ一個人ノ爲
  ニスル事務ニ付使用料又ハ手數料ヲ徵收スルコトヲ得
  第八十五條郡ハ郡内ノ或部分ニ對シ特ニ利益アル事業ニ關シテ郡會ノ議
  決ニ依リ該部分ノ町村ニ對シ利益ノ厚薄ニ準シ其ノ負擔ヲ增課スルコト
  ヲ得
  前項ノ費用ハ夫役若ハ現品ヲ以テ之ヲ町村ニ賦課スルコトヲ得
  第八十六條郡ニ於テ徵收スル使用料、手數料其ノ他郡ノ公法上ノ收入ヲ
  定期內ニ納メサル者アルトキハ郡長ハ國稅滯納處分法ニ依リ之ヲ處分ス
  ヘシ其ノ督促及手數料ニ關シテハ郡條例ヲ以テ別段ノ規程ヲ設クルコト
  ヲ得
  本條ニ記載スル徵收金ノ追徴還付時效ニ就テハ國稅ニ關スル例ヲ適用
  ス
  本條第一項ハ町村ニ對シテ適用スル限ニ在ラス
  第八十七條郡ハ其ノ負債ヲ償還スル爲若ハ天災事變等ノ爲巳ムヲ得サル
  支出又ハ郡ノ永久ノ利益トナルヘキ支出ヲ要スルニ方リ通常ノ歲入ヲ增
  加スルトキハ郡内町村ノ負擔ニ堪ヘサル場合ニ限リ郡會ノ議決ヲ經テ郡
  債ヲ起スコトヲ得
  郡債ヲ起スノ議決ヲ爲ストキハ併セテ起債ノ方法利息ノ定率及償還ノ方
  法ヲ定ムヘシ
  郡債償還ノ初期ハ起債ノ時ヨリ三年以內トナシ年々ノ償還步合ヲ定メ起
  債ノ時ヨリ三十年以內ニ還了スヘシ
  歲入出豫算內ノ支出ヲ爲スカ爲必要ナル一時ノ借入金ニシテ其ノ年度ノ
  收入ヲ以テ償還スヘキモノハ本條ニ依ル限ニ在ラス但郡參事會ノ議決ヲ
  經ルコトヲ要ス
  第八十八條郡長ハ每年其ノ翌年度ニ關スル歲入出豫算ヲ調製シ少クトモ
  年度三箇月前ニ郡會ノ議決ヲ經ヘシ但郡ノ會計年度ハ政府ノ會計年度ニ
  同シ
  豫算ヲ郡會ニ提出スルトキハ郡長ハ併セテ其ノ郡有財產明細表ヲ提出ス
  ハン
  第八十九條郡長ハ必要ノ場合ニ於テ郡會ノ議決ヲ經テ既定豫算ノ追加若
  ハ更正ヲ爲スコトヲ得
  第九十條豫算ハ郡會ノ議決ニ付スル前郡參事會ノ審査ニ付スヘシ若郡
  長ト郡參事會ト意見ヲ異ニスルトキハ郡長ハ郡參事會ノ意見ヲ豫算ニ添
  ヘ郡會ニ提出スヘシ
  內務大臣ハ省令ヲ以テ豫算調製ノ式ヲ定メ竝費目流用ニ關スル規程ヲ設
  グヘシ
  豫算ハ其ノ議決ヲ經タル後直ニ之ヲ府縣知事ニ報告シ竝郡慣行ノ公〓式
  ニ依リ其ノ要領ヲ公告スヘシ
  第九十一條郡ノ費用ヲ以テ支辨スル事業ニシテ數年ヲ期シテ施行スヘキ
  モノ又ハ數年ヲ期シテ其ノ費用ヲ支出スヘキモノハ郡會ノ議決ヲ以テ其
  ノ年期間各年度ノ支出額ヲ定メ繼續費ト爲スコトヲ得
  第九十二條歲入出豫算中ニ豫備費ヲ設ケ郡長ニ於テ郡參事會ノ議決ヲ經
  テ豫算外ノ支出又ハ豫算超過ノ支出ニ充ツルコトヲ得但郡會ノ否決シタ
  ル費途ニ充ツルコトヲ得ス
  第九十三條郡ハ府縣知事ノ認可ヲ得テ市町村其ノ他公共團體若ハ一個人
  ノ事業ニ對シ寄附若ハ補助ヲ爲スコトヲ得
  第九十四條郡ハ郡規則ヲ以テ特別會計ヲ設クルコトヲ得
  第九十五條郡ノ收支命令ハ郡長之ヲ發スヘシ
  第九十六條郡ノ會計管理者ハ前條ノ命令アルニ非サレハ支拂ヲ爲スコト
  ヲ得ス又其ノ命令アルモ支出ノ豫算ナキカ又ハ豫備費支出及費目流用ノ
  規程ニ依ラサルトキハ支拂ヲ爲スコトヲ得ス
  第九十七條郡ノ出納及金庫ハ每月例日ヲ定メテ檢査シ及每年少クトモ一
  囘臨時檢査ヲ爲スヘシ檢査ハ郡長之ヲ爲ス臨時檢査ニハ名譽職參事會員
  一名以上ノ立會ヲ要ス
  第九十八條決算ハ郡長會計管理者ニ命シテ會計年度後三箇月以內ニ調製
  シ郡參事會ノ審査ヲ經テ之ヲ次囘ノ通常郡會ニ提出シ其ノ認定ヲ受クヘ
  決算報告書竝之ニ關スル郡會ノ議決ハ郡長ヨリ之ヲ府縣知事ニ報告シ竝
  決算ハ郡慣行ノ公告式ニ依リ其ノ要領ヲ公告スヘシ
  第五章郡組合
  第九十九條特別ノ須要アル場合ニ於テハ府縣知事ハ府縣參事會ノ議決ヲ
  經內務大臣ノ許可ヲ得テ郡組合ヲ設置スルコトヲ得
  郡組合ノ廢止若ハ變更ニ就テモ亦同シ
  第百條郡組合ヲ設置スルトキハ府縣知事ハ府縣參事會ノ議決ヲ經內務
  大臣ノ許可ヲ得テ郡組合會ノ組織事務ノ管理方法竝其ノ費用ノ負擔方法
  其ノ他必要ナル事項ヲ規定スヘシ
  前項ノ外郡組合ニ就テハ郡ニ關スル規程ヲ準用ス
  第六章監督
  第百一條郡ノ行政ハ第一次ニ於テ府縣知事之ヲ監督シ第二次ニ於テ內務
  大臣之ヲ監督ス
  第百二條此ノ法律中別段ノ規程アル場合ヲ除クノ外郡ノ行政ニ關スル府
  縣知事ノ處分又ハ府縣參事會ノ裁決ニ不服アル者ハ內務大臣ニ訴願スル
  コトヲ得
  前項ノ訴願ヲ提起スルトキハ處分若ハ裁決ノ執行ヲ停止ス但當該官廳ノ
  意見ニ依リ其ノ停止ノ爲公益ニ害アリト認ムル場合ハ此ノ限ニ在ラス
  此ノ法律ニ規定スル訴願ハ處分ヲ爲シ又ハ決定書若ハ裁決書ヲ交付シタ
  ル日ヨリ十四日以內ニ其理由ヲ具シテ提起スヘシ
  此ノ法律ニ規定スル行政訴訟ハ裁決書ヲ交付シタル日ヨリ二十一日以內
  ニ提起スヘシ
  行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得ヘキ場合ニ於テハ內務大臣ニ訴願スルコ
  トヲ得ス
  第百三條監督官廳ハ郡行政ノ法律命令ニ背戾セサルヤ其ノ事務錯亂澁滯
  セサルヤ否ヲ監視スヘシ監督官廳ハ之カ爲行政事務ニ關シテ報告ヲ爲
  サシメ豫算及決算等ノ書類帳簿ヲ徵シ竝實地ニ就テ事務ノ現況ヲ視察シ
  出納ヲ檢閱スルノ權ヲ有ス
  監督官廳ハ郡行政ヲ監督スル爲ニ必要ナル命令ヲ發シ處分ヲ爲スノ權ヲ
  有ス
  第百四條第六十八條第七十條ノ場合ハ府縣知事ハ府縣參事會ノ議決ヲ經
  テ指揮スヘシ但歲入出豫算ニ係ルモノハ原案ノ金額以内ニ於テ適當ノ金
  額ヲ定メ指揮スルコトヲ得
  第百五條監督官廳ハ郡ノ豫算中不適當ノ支出ト認ムルモノアルトキハ之
  ヲ削除スルコトヲ得其ノ支出ヲ削除シタル場合ニ於テハ之ニ相當スル收
  入ヲ削除スヘシ
  第百六條郡會ノ解散ハ內務大臣之ヲ命ス此ノ場合ニ於テハ三箇月以內ニ
  議員ヲ選舉スヘシ
  前項解散ノ場合ニ於テハ名譽職參事會員モ亦解職スルモノトス
  第百七條左ニ揭クル事件ハ內務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ受クヘシ
  一郡債ヲ起シ竝起債ノ方法利息ノ定率及償還ノ方法ヲ定メ若ハ變更ス
  ル事但第八十七條末項ノ借入金ハ此ノ限ニ在ラス
  二國庫ヨリ交付スル補助金ニ對シ支出金額ヲ定メ若ハ變更スル事
  第百八條郡條例ノ設定ハ內務大臣ノ許可ヲ受クヘシ
  第百九條左ニ掲クル事件ハ府縣知事ノ許可ヲ受クヘシ
  一郡規則ヲ設クル事
  二使用料、手數料ヲ新設シ若ハ變更スル事
  三府縣ヨリ交付スル補助金ニ對シ支出金額ヲ定メ若ハ變更スル事
  四第八十五條ニ依リ增課ヲ爲ス事
  五郡有不動產ノ賣却、交換、讓渡竝質入書入ノ事
  六積立金穀ノ處分ヲ爲ス事
  七繼續費ヲ定メ若ハ變更スル事
  第百十條府縣知事ハ郡長助役ニ對シ懲戒處分ヲ行フコトヲ得但懲戒處分
  ハ譴責及過怠金二十五圓以下トス追テ其ノ懲戒法ヲ設クルマテハ左ノ例
  ニ從ヒ官吏懲戒例ヲ適用スヘシ
  一第一項ノ懲戒處分ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
  二郡長助役ニシテ職務ニ違フコト再三ニ及ヒ又ハ其ノ情狀重キ者又ハ
  行狀ヲ亂リ廉耻ヲ失フ者又ハ職務舉ラサル者ハ懲戒裁判ヲ以テ其ノ
  職ヲ解クコトヲ得但懲戒裁判ニ依リ解職セラレタル者ハ退隱料ヲ受
  クルノ權利ヲ失フモノトス
  三懲戒裁判ハ府縣知事其ノ審問ヲ爲シ府縣參事會之ヲ裁決ス其ノ裁決
  ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得郡長ノ解職ニ係ル裁
  決ハ上奏シテ之ヲ執行ス
  監督官廳ハ懲戒裁判ノ判決前吏員ノ停職ヲ命シ竝給料ヲ停止スル事
  ヲ得
  第七草附則
  第百十一條郡内總町村ノ共有ニ屬スル財產及營造物ハ此ノ法律施行ノ日
  ヨリ郡ノ所有ニ歸シ其ノ權利義務共同時ニ郡ニ移ルモノトス
  第百十二條府縣制ヲ施行スルマテ府縣參事會ニ屬スル職務ハ府縣知事之
  ヲ行フ
  第百十三條島司ヲ置ク島嶼ニ於テハ別ニ勅令ヲ以テ其ノ制ヲ定ム
  第百十四條此ノ法律ニ依リ始メテ議員ヲ選舉スルニ付郡會及郡參事會ノ
  職務ハ郡長ニ於テ之ヲ行フヘシ
  第百十五條町村制施行ノ爲定メタル直稅ノ種類ハ此ノ法律ノ施行ニ關シ
  テモ亦之ヲ適用ス
  第百十六條此ノ法律施行ノ後ハ町村制第百二十六條第三ニ定ムル附加稅
  徵收ノ許可ハ地租ハ四分一ヲ超過スルトキ之ヲ要スルモノトス
  第百十七條此ノ法律ハ町村制ヲ施行シタル各府縣ニ施行スルモノトス其
  ノ施行ノ時期ハ府縣知事ノ具申ニ依リ內務大臣之ヲ定ム
  第百十八條明治十一年第十七號布告郡區町村編制法其ノ他此ノ法律ニ牴
  觸スル法規ハ此ノ法律ヲ行フ地ニ關シテハ其ノ效力ヲ失フモノトス
  第百十九條內務大臣ハ此ノ法律施行ノ責ニ任シ之カ爲必要ナル命令ヲ發
  布スヘシ

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• 083・吉本榮吉

  ○吉本榮吉君(二百五十六番)　府縣制ト同一ノ特別委員ニ付託シタイト思ヒ
  マス

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• 084・工藤行幹

  ○工藤行幹君(百九十七番)　此郡制ノ改正法律案ハ是マデ出シタノトハ餘リ
  澤山違ッタコトハゴザイマセヌ、唯昨年ノ此議院ガ議決ニナリマシタ所ハ、
  郡長ノ公選ト云フコトガナカッタ、ソレニ郡長ノ公選ト云フ意味ヲ加ヘテ出
  シタ位ノコトデ大イナル違ハゴザイマセヌカラ、故ニ委員ニ付シテ其結果ニ
  依ッテハ又大イニ論ズルコトモアリマセウケレドモ、先ヅ唯今ハソレダケデ
  ゴザイマスカラ、別段說明ハ致シマセヌ、直チニ委員付託說ニ同意シマス

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• 085・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　委員說ガ成立シテ居リマスカラ、委員說ニ就イテ採決
  シヤウト思ヒマス、此案ハ府縣制改正法律案ト同一ノ委員ニ付託スルト云フ
  コトニ御異議ハゴザイマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 086・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　然ラバ其通決定致シマス、次ハ本日ノ日程第十一家祿
  賞典祿處分法案
  第十一家祿賞典祿處分法案(深山聳第一讀會ノ續(特別委員)
  峮君外三十八名提出)長報告
  〔多田作兵衞君演壇ニ登ル〕

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• 087・多田作兵衞

  ○多田作兵衞君(百三十番)　私ハ委員長トシテ特別委員會ノ經過結果ヲ御報
  道申上ゲマス委員會ハ二ツノ議案ヲ託セラレテ居ルノデゴザイマシテ、
  ハ家祿賞典祿處分法案、一ハ家祿賞典祿整理處分法案、此二ツノ法案ニ就キ
  マシテ、都合六囘程委員會ヲ開キマシテ、其決議ノ結果、報道書ヲ以テ諸君
  ニ御配布ナッタ譯デゴザイマス、委員會ガ本案ノ大體ヲ可ト致シマシタ理由
  ハ復祿請願者ハ不當ノ處分ヲ受ケマシテヨリ、二十數年間ノ間、請願ノ目
  的ヲ達スルタメニ種々樣〓ノ運動ヲ致シマシテ、實ニ艱難辛苦ヲ致シ、今日
  實ニ進退谷マルト云フ場合ニナッテ居ルノデゴザイマス、或ル縣ノ如キハ
  既ニ運動費ノタメニ數万圓ヲ費シタト云フコトモ聞クノデゴザイマス寶
  憫然ノ至リト存ジマス、就キマシテ委員會ノ多數デハ、本法ヲ一日モ早ク制
  定致シマシテ、彼等ヲシテ安堵セシメ、ワレノ〓產業ニ就カシメタイト云フ
  精神ヲ以テ可ト致シマシタ、ソレカラ各條ニ就キマシテ審議致シマシタ末、
  ソレ〓〓修正ヲ加ヘマシタノデゴザイマス、其修正ノ理由ヲ申上ゲマスト。
  新タニ三條ト云フモノヲ加ヘマシタノデゴザイマス、此三條ハ舊神官ニ對シ
  マスコトヽ、寺領ヨリ配當祿ヲ受ケテ居リマシタモノニ對シテ、一箇條ヲ設ケ
  マシタノデゴザイマス、右兩樣ノ人ミニハ第一條、第二條同樣ノ恩澤ヲ豪
  ラセタイト云フ精神ヨリ一箇條ヲ加ヘマシタノデゴザイマス、ソレカラ深
  山君ノ議案ノ第三條、報告書ノ第四條ノ但書ヲ削リマシタノデゴザイマス
  此但書ヲ削リマシタ理由ハ、此但書ノ精神ヲ非ト致シタ譯デハゴザイマセヌ
  本法ヲ制定致シマシテ施行致ス場合ニ相成リマスレバドウシテモ大藏省令
  ヲ以テ施行細則ヲ數箇條設ケネバナラヌコトヽ存ジマス、故ニ

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• 088・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　此日程ノ第十一、第十二、第十三ハ同時ニ議題ニシテ、
  委員長カラ同時ニ報告シタ方ガ便宜ト考ヘマスガ、御異議ガゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 089・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　卽チ第十一、第十二、第十三ヲ合セテ議題ト致シマス
  第十二祿高整理公債法案(深山聳峮第一讀會ノ續(締切
  君外三十四名提出)長報告
  第十三家祿賞典祿整理處分法案(目第一讀會ノ續(特別委員)
  黒貞治君外三名提出)長報告

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• 090・多田作兵衞

  ○多田作兵衞君(百三十番)　唯今申上ゲマス通ニ、施行細則ヲ設ケネバナラ
  ヌ譯デゴザイマス、故ニ此但書ノ精神ハ施行細則ニ讓ルト云フ譯デ、決シテ
  不必要ト云フコトヲ以テ削ッタ譯デハゴザイマセヌソレカラ其他ノ修正
  ハ此第三條ヲ設ケマシタタメニ修正ヲ致シタ譯デゴザイマスル故ニ、一々
  御報道ハ致シマセヌ、尙ホ一言申上ゲテ置キタウゴザイマスノハ小鷹狩君
  外三名ヨリ少數ノ意見ガ出テ居リマス、是ニ對シテハ委員會多數ノ意見ヲ私
  ヨリ報道致シテ、少數者ノ意見ノ非ナル所ヲ述ベテ置カバネナラヌノデゴザ
  イマス、少數者ノ意見デゴザイマスルト、此起〓ヲ版籍奉還ノ後ヨリト、斯ウ
  ナッテ居リマスガ版籍奉還マデ遡ルト云フコトニ相成リマスルト、調査上非
  常ナ困難ガ起ルト考ヘマス、如何ト申シマスト、版籍ヲ奉還致シマシテ、後ニ
  行政官達ヲ以チマシテ、各藩ニ祿平均ヲ爲ス所ノ大改正ヲナシテ居ルノデゴ
  ザイマス、其大改正マデモ立入リマシテ、當不當ヲ是ヨリ取調ベルト云フコト
  ニナリマシタナラバ大イナル混雜ガ起ルデアラウト思ヒマス、唯今請願致
  シテ居ル所ノモノヲ取調ベテ見マスルト深山君ノ如ク藩制施行後ト云フ不
  當處分ノ願ガ多數デゴザイマス、大多數デゴザイマス其以前ニ遡ル所ノ請
  願ハ少數デゴザイマス唯今ハ少數デゴザイマスルケレドモ、之ヲ遡ッテ調
  査ヲスルト云フ場合ニナリマシタナラバ、是ヨリ先キ······ドレダケ多數ノ不
  當處分ノ請願ガ出テ來ルカモ計ラレヌト云フノガ、委員會ノ多數デゴザイマ
  シテ、深山君ノ案ヲ贊成シ、小鷹狩君ノ版籍奉還ト云フノニ反對ヲ致シマシ
  テ、決議ノ結果、大多數ヲ以テ深山君ノ案ノ方ニ決シタ譯デゴザイマス尙
  ホ終ニ至ッテ一言申シマスノハ、審査會モ十分念ヲ入レマシテ調査ヲ致シタ
  コトデゴザイマスルカラシテ、會期モ切迫致シタ場合、何卒今日ハ、速ニ本
  案ノ大體ヨリ逐條マデヲ御贊成下サランコトヲ希望致シマス、又此祿高整理
  公債法案ノ御報道ヲ致シマスルニ就イテハ、モウ多言ヲ要シマセズ、家祿賞
  典祿處分法案ヲ可ト致シマスル所ノ結果ヨリ此案ハ大體、逐條共ニ贊成ヲ
  致スコトニ決シマシタ

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• 091・工藤行幹

  ○工藤行幹君(百九十七番)　議長

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• 092・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　工藤君、少數者ノ意見ガアリマスガ、其報告後デ宜シ
  ケレバ其時ニ

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• 093・工藤行幹

  ○工藤行幹君(百九十七番)　此多數者ノ意見ニ就イテチヨット質問ヲシテ置
  キタイノデゴザイマス

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• 094・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　ソレナラ宜シウゴザイマス

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• 095・工藤行幹

  ○工藤行幹君(百九十七番)　此案ノ通ニナルト云フト、凡ソドレ位ノ金額デ
  殘ラズ目的ヲ達スルニ宜イト云フ御見込デゴザイマスカ、其金額ヲ伺ヒタイ

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• 096・多田作兵衞

  ○多田作兵衞君(百三十番)　工藤君ノ質問ニ答ヘマス、此事ニ就イテハ發
  案者タル所ノ深山君ニ就キマシテ、色〓質問ヲ致シマシマシタノデゴザイマ
  ス、所ガ深山君ノ見込デゴザイマスルト、唯今各府縣ヨリ請願致シテ居ル高
  ハ凡ソ七百万圓內外デアルト云フコトデゴザイマス、所ガ本法ヲ制定致シ
  マシテ、證據書類ニ依ッテ調査ヲ致シマシタナラバ、唯今ノ請願者ノ中ニモ
  餘程除クヤウナモノハ出來ハシマスマイカト云フノ見込デゴザイマス、而、シ
  テ見ルト七百万圓以內ヲ以テ處分ハ出來ルコトデアラウト云フノ見込デゴザ
  イマス

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• 097・工藤行幹

  ○工藤行幹君(百九十七番)　モウ一應伺ヒタイ、是ハ唯議員ダケノ御見込デ
  ゴザイマスルカ或ハ當局者アタリニデモ御質シニナッテ、是ダケアッタラ
  宜カラウト云フ樣ナコトデゴザイマスルカ、其確ナル所ヲ今一應伺ヒタイ

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• 098・多田作兵衞

  ○多田作兵衞君(百三十番)　當局者ニモ色〓答辯ヲ求メマシタガ、此金高ノ
  所ニ於キマシテハ十分ナル當局者ノ答辯ヲ得タ譯デハゴザイマセヌ、委員
  多數ノ見込デゴザイマス

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• 099・守屋此助

  ○守屋此助君(百三十二番)　チヨット質問ガゴザイマス、今ノ金高ノ七百万圓
  ノ說明ハ分リマシタガ、サスレバ不當處分ヲ受ケテ居ル全國ノ士族ハ、皆請願
  ニ出テ居ルモノトノ御見込ニナツテ居ルノデゴザイマスカ、委員會デハ

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• 100・多田作兵衞

  ○多田作兵衞君(百三十番)　マダ殘ッテ居ラウト委員會デハ見テ居リマス

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• 101・守屋此助

  ○守屋此助君(百三十二番)　然ラバ七百万圓ト云フ數ハ、極ク空漠ナ御考ヘ
  ナンデスナ

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• 102・多田作兵衞

  ○多田作兵衞君(百三十番)　左樣デゴザイマス、唯今請願ヲ致シテ居リマス
  ケレドモ、其中デ證據不十分ヲ以テ除カレル樣ナモノガアルデアラウ、而シ
  テ見ルト、新ニ請願者ガ出來マシテモ、凡ツ七百万圓內外ナラバ宜カラウ、
  併ナガラ未定ノコトデゴザイマスル故ニ、千万圓ト云フノ公債ノ高ヲ定メルト
  云フ精神デアッタノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=102

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• 103・守屋此助

  ○守屋此助君(百三十一一番)　ソレカラモウ一ツ御尋スルノハ、少數者ノ意見
  ニ反對デアルト云フコトヲ仰セラルヽ理由ノ中ニ、士族ニナッテ居ル人ガ不
  當ナ處分ヲ受ケテ居ルノヲ、之ヲ引戾シテヤルト云フ事柄ヲスルノヲバ少數
  者ノ意見トスレバ續々願ッテ來ル人ガ澤山アルカラ煩雜デアルカラ、ソレ
  故ニ是テ打切ッタト云フ御說明ノヤウニ承知致シマシタガ、サウ云フ譯デア
  リマスカ

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• 104・多田作兵衞

  ○多田作兵衞君(百三十番)　尙ホ申述ベテ置キマスガ、藩制施行ト云フノハ、
  現政府ニナリマシテ統一ヲナシタ始デゴザイマスルカラ、此版籍奉還ト云フ
  場合マデハ、マダ舊領主ノ時デゴザイマス、故ニ其名義上ヨリモ打切リマシタ
  ノデゴザイマス、最前申シタノハ、施行ヲスル際ニ當ッテ混雜スルト云フ理由
  ニ就イテ申シタノデアリマス

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• 105・守屋此助

  ○守屋此助君(百三十二番)　分リマシタ

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• 106・工藤行幹

  ○工藤行幹君(百九十七番)　モウ一應伺ヒマスガ、此一千万圓ト云フノハ、
  例ヘバ若シ是デ足ラヌ時ニハ又一千五百万圓ニナッテモ何ンデモ、此通施
  行スル積デアリマスカ一千万圓ト云フモノガ盡キテ仕舞ヘバヤラヌト云フ
  ノデアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=106

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• 107・多田作兵衞

  ○多田作兵衞君(百三十番)　調査委員ノ考ヘテ居マシタ所デハ、一千万圓ア
  レバ十分ト云フ見込デゴザイマシテ、一千万圓以内七百万圓內外デ處分ガ出
  來ルト云フ見込デゴザイマス、併ナガラ實際此法律ヲ制定致シマシテ取調ノ
  結果、千万圓ヲ超エルト云フコトニナレバ、政府ガ更ニ法案ヲ出シテ本會ノ
  可決ヲ經ンナラヌ見込デゴザイマス
  [小鷹狩元凱君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=107

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• 108・小鷹狩元凱

  ○小鷹狩元凱君(百番)　私ガ極メテ不辯ノ者ガ、諸君ニ暫クノ間〓聽ヲ煩ス
  ルノハ、實ニ本意ニ背ク譯デゴザイマスルガ、彼ノ唯今ノ委員長カラ御報告ニ
  ナリマシタ藩制施行ト云フコトニナリマシテハ、殆ド何ノコトヤラ期限ノ立
  テ方ガ分リマセヌカラ、私共ガ豫テ出シテ置キマシタ、版籍奉還ニ依リマシ
  テ、行政官カラ彼ノ知判事ニ向ヒマシテ、明治二年ノ六月二十五日ニ達セラ
  レマシタ所カラ起點ヲ起サナケレバナラヌト云フノガ、私共ノ少數者ノ意見
  デゴザイマスルカラ、暫ク私ガ申上ゲマスルコトヲ御聽ニナリマシテ、私ガ
  必ズ之ヲ固執スルト云フ譯デハゴザイマセヌガ、私ガ此時初カラズット私
  ノ身體ガ經過致シテ居リマシテ、逐一目擊致シテ居ルカラ唯理論ニ於キマシ
  テモ、私ハ一歩モ負ケナイ積デゴザイマスガ、實際ニ於キマシテモ彼ノ版籍奉
  還ト云フ所カラ起點ヲ起サナケレバナラヌト私ハ考ヘテ居リマスカラ、ド
  ウカ暫クノ間御〓聽アランコトヲ希望致シマス、其前ニチヨット唯今工藤君
  カラ御尋ニナリマシタコトニ就イテ、私ハ一ツ申シテ置クコトガゴザイマ
  スルガ、此藩制施行後ニナッタ所ガ、藩制施行後ノガ彼ノ深山君ノ案ノ如キ
  方ノ御調ベニナリマシタ所ニ依レバ、藩制施行後ノモノガ六百五十一万圓程
  金ガアルノデゴザイマス、此六百十万萬圓ノ內デモデゴザイマス、私ガソレ
  ソレ見マシタ所ニ依レバ、半分以上ハ藩制施行後ノモノト雖モ渡スベキモノ
  デナイト私ハ斷言致シマス、其箇條ハ玆デ申スト煩シウゴザイマスカラ申シ
  マセヌガ、ソレコソ斯樣ナ者ニ渡スト云フコトニナリマスレバ、大紊レデゴザ
  イマスガ、藩制施行後ノ者ノ請願ガ六百五十一万萬圓餘リゴザイマスル內モ、
  先ヅ三百圓取レバ宜ィ位デ、又私共ノ方ガドレ丈アルカト言ヘバ今日ノ請
  願ニ依レバ僅カ十九万圓デアリマスデゴザイマスルカラ、到底千万圓ヲ要ス
  ト云フヤウナコトハ私ハ決シテナイト考ヘテ居リマスカラ、私ガ御答ヲス
  ル限リデゴザイマセヌガ、私ノ意見ヲ述ベマスル前ニチヨット其事ヲ申シテ
  置キマス、ソレカラ少數意見者ノ法案ハ諸君ノ御手許ヘ配ッテアルコトヽ
  存ジマスカラ、是ハ一々讀ミマセイデモ宜カラウト存ジマスカラ、ソレハ讀
  上ゲマセヌ、要シマスルニ唯少數意見者ト委員會ノ多數ノ所デ見マスルト、起
  〓ト申ス所ノ違ガアルダケノコトデゴザイマスカラ、私ガ起〓ト云フコトダ
  ケヲ陳ベテ置カウト考ヘマス、デ、全體此祿制ノ沿革ト云フモノヲ調ベマスル
  ノニ、何レノ處カラ調ベルカト言ヘバ、祿制ト云フコトハ、明治ノ歷史ニハ必
  ズクッ附イテ居ルコトデゴザイマス、明治ノ歷史ヲ能ク考ヘ、祿制ノ沿革ト
  云フコトヲ考ヘマスレバ、ドウ致シマシテモ期限ヲ彼ノ版籍奉還後ニ依リマ
  シテ、改祿ヲシタト云フモノニ依ラナケレバナラヌ、彼ノ多數ノ人ノ御極メ
  ニナリマシタ所ノ藩制施行ト云フモノハ動モスレバ此時カラ、此藩制施
  行ノ日カラ新政府ニ向ッテ政權ガ歸シタコトデアッテ、ソレカラ後ニハ初テ
  此諸侯-從前ノ諸侯、卽チ藩知事ガ勝手我儘ニシヨッタコトガナクナッテ
  ソレヨリ以前ハ卽チ此藩制施行以前ニハ藩知事限リ勝手ニヤリ居ッタノデ
  アッテ、卽チ此藩制施行カラガ祿ノコトニ於テハ新政府ノ方ニ取ッテカラニ
  執行フタト云フコトヲ唯今委員長ノ御報告ノ中ニモアッタ樣ニ存ゼラレマス
  ガ、是ハ大キニ間違ノコトデアラウト思フ、ナゼナレバ藩制施行ノ中ニ成程
  祿ノコトガアル藩制ト云フモノハ明治三年ノ九月ノ十日ニ發セラレタモノ
  デアッテ、ソレヲ能ク展ゲテ御覽ニナレバ能ク分ルコトデアラウト思フ、藩
  制施行ノ中ニ祿ニ關スルコトハ如何樣ナルコトデアルカト言ヘバ功ガアッ
  テ祿ヲ增ス者ト、罪ガアッテ祿ヲ剝グ者ト唯二箇條ノコトガ、少數者ノ意見
  デアル此少數者ノ、成程藩制ト云フモノヲ施行セラレタ後ニハ功ト罪ト
  ノ二ツニ係ルモノガ、藩知事ノ手限リデハ出來ナイコトデゴザイマスルケレ
  ドモガ此通常ノ祿ノ處分ト云フモノハ藩制ノ前モ藩制ノ後モ、明治四年ノ
  所謂廢藩置縣マデハ、之ヲ朝廷ヨリ致シマシテ藩知事ニ御任セニナッタコトデ
  ゴザイマスルカラ、其事ヲ諸君ガ能ク御納得ニナツタ以上ハ、唯通常ノ分
  ト申シマスルモノハ決シテ藩制ニ關係ハ持タナイ、藩制ト云フモノハ唯功ト
  罪トノ二ツデアルト云フコトガ、御氣ガ付クコトデアラウト思フ、成程彼ノ二
  十七年ニ國事犯ノ復祿ノコトガゴザイマシタガ、諸君モ此內ニ-私共ガ議
  員デモナンデモナラヌ時デゴザイマシタガ、御協賛ニナッテ御存ジノコトヽ
  思ヒマスガ、其明治二十七年ノ二十號ト申シマシテモ、是ハ卽チドンナモノ
  デアルカ、國事犯デアル所謂藩制ノ功ガアッテ祿ヲ增シ、罪アッテ祿ヲ剝
  グト云フ部分ノ內デアリマスカラ、是ハ丁度藩制カラ起算ヲ立テルト云フハ
  當リ前ノコトデ、是カラ致シマシテ全體、是迄請願者ハ行政官ニ向ヒマシテ
  ハ續々出シテ居リマスケレドモガ、議會ニ向ヒマシテ彼ノ請願ガ澤山ニナク
  タト申シマスノハ、明治二十七年ノ二十號ノ法律ト云フモノガ導火線ニナク
  タ譯デス、ソレ等ヲ多數ノ諸君ハ若モ是ガホンマノ新朝廷新政府ニ於テソ
  レカラガ一般ノ祿ヲ制シタモノト御認メニナッタモノデハアルマイカト思フ、
  是等ハ私ガ申シタ通大間違ノコトデアル、唯國事犯ニ係ル罪アッテ祿ヲ剝イ
  ダモノバカリノコトヲ申シタモノデゴザイマスカラ、決シテ-一般ノ祿ヲ
  有スルモノニハ何ノ關係モナイコトデアル、ソレヨリカ一體此版籍奉還ト云
  フコトハドウ云フ譯デアルカト言ヘバ是ハ皆サン御承知ノ通、是迄諸侯ガ
  有シテ居ッタ所ノ封土ヲ願ッテ返上シタ者モアレバ、仰付ケラレテ返上シタ
  モノガ明治二年六月十七日デアル、程ナク同月二十五日ニ、行政官ノ達ヲ以
  チマシテ、僅ニ七八日スルト、行政官カラシテ今度從前ノ諸侯ニ向ヒマシテ
  ハ現石高ノ十分ノ一ヲ以テ其家ノ家祿トセヨ、又一門以下ノ者ハ皆士族ト
  稱ヘテ、其者ノ祿ハ改祿トセヨト云フノガ、是ガ卽チ明治政府トナツタ時ノ
  始デゴザイマシテ、是ヨリ外ニハ祿ノ制定ト云フモノハ私ハナイト思フ、ソ
  レ故ニ或ハ藩ノ手囘シノ宜イ者ハ速ニ彼ノ明治二年ノ六月二十五日ノ行政
  官ノ達ニ依ッテ速ニ改祿ヲシタ處モゴザイマセウシ、手囘シノ惡ルイ者ハ、
  或ハ翌年或ハ明治三年ノ藩制施行後ニ至ッタカ、私ハサウ云フモノハナイ
  ト思ヒマスガ、中ニハアルト云フ人モアリマスカラ、先ヅミミソレニ致シテ、
  彼ソ改祿ノコトハ明治三年九月十日後ニ於テセラレタ者ガアルカ知ラヌガ、
  併ナガラ何ガ起點デアルカト云ヘバ改祿ハ總テ此明治二年ノ六月二十五日
  ノ行政官ノ達ガ基礎トナッタモノデアル、サレバコソ此深山君アタリノ御案ヲ
  拜見致シマシテモ今度ノ第三條ニナッテ居ル所ニモ「第一條及第二條ノ祿高
  ハ明治二年六月二十五日改祿ニ關スル行政官達同年十二月二日太政官布〓ニ
  基キ」云々トアッテ祿高ト云フモノハ皆是ニ依ルト云フノハ何デアルカト
  云フト、畢竟此版籍ノ奉還ト云フコトガゴザイマシテ、ソレニ依ッテカラニ
  此祿ト云フコトヲ改メテ定メタコトデゴザリマスカラ、基礎ヲ是ニ採ラズシ
  テ、外ニ祿ノ改マッタト云フコトハナイノデアル、卽チ後ミニ至ッテ色ミノ
  誤ガ生ジタト云フハ、總テ此達ヨリ致シマシテ起ッタコトデゴザリマスカラ、
  私ガ思ヒマスノニ實ニ一般ノ士族ノ祿ニハ罪デモナシ功デモナシ、通常ノ
  モノニハ關係ノナイ所ノ藩制ヲ以テ起點トセラレルノハ實ニ緣モナシュ
  カリモナイコトデ、譯ノ分ラヌコトデアリマス、ソレヨリ一年前デゴザイマ
  スガ、彼ノ行政官ノ達ニ依レバ、實ニ理論ト致シマシテモ十分ノ證據モアリマ
  スシ、唯今ノ私ガ申シマシタ通、改祿ハソレカラ定マッタモノデゴザリマス、
  是モ私ハドウ致シマシテモ、此改祿ト申スモノハ復祿ノコトニ就イテ處分ヲ
  致シマスニハ、ドウシテモ版籍奉還ニ依ッテ、彼ノ明治二年ノ六月ノ二十五
  日ノ行政官ノ達ニ依ラナケレバナラヌト云フコトヲ申スノデゴザイマスソ
  レカラ又可笑シイ話ハ、是ハ委員長ノ御報告ノ中ニハナカッタケレドモ、委
  員會中ニハ度々聽イタコトデアル、ドウ云フコトデアルカト云フト、成程理
  論ニ於テハ兔カウモナイ、兔カウハナイケレドモガ、貴族院ガソレデハ折合
  ハヌト云フ御話ガアル、ドウモ衆議院ノ議員ガ法律案ヲ制定スルト云フノニ、
  理論モ顧ミズ全體ノコトモ分ラズシテ、貴族院ガソレデハ、通ラヌト云フコト
  ニ於テハ驚入ッタコトヽ思フ、成程貴族院ノ議員ニ於テ左樣ナコトヲ言ッ
  タ人ガ一二ハアルカ知ラヌガ、ソンナ馬鹿氣タコトヲ多數貴族院議員ガ言フ
  筈ガナイト思フ、縱シヤソンナコトヲ言ハレルニモセヨ、渡スベキ者ニ渡シ、
  渡スベガラザルモノニハ渡サヌト云フコソ道理ト思ヒマスノニ、彼ノ明治三
  年ノ九月十日以後ニスレバ、ドレニモ是ニモヤルケレドモガ、ソレヨリ以前
  ノ者ニ對シテハヤラヌト云フ有樣ガアルノハ誠ニ遺憾千萬ノコトデアリマ
  シテ、此衆議院ガ法律ヲ定メルニ於キマシテハ誠ニ道理ノナイコトヽ私ハ
  考ヘル、ソレカラモウ一ツ話ガアル、ソレハ今委員長ノ御言葉ノ中ニモアツ
  タ樣デゴザリマスガ、彼ノ藩制施行後ニナルト調ガ分ラヌト云フ、是ハドウ
  云フコトデゴザイマセウカ藩制ト云フモノニナッテカラ、ソレカラ後ニ祿
  ト云フモノガ、總テノ帳面ガ藩制ト云フコトカラ、一般ノ士族ノ帳面ガ今
  度ノ新政府ニ出來タト云フナラバ宜シウゴザリマスガ、サウジヤナイソレハ
  藩知事ノ手加減ニナッタコトデアルサウスレバ證據ガ藩制施行後ノモノニ
  ナイト仰ッシヤレバ、無論前ノ者ニモゴザリマスマイシ、又前ノ者ニアルト
  スレバ、矢張後ノ者ニモナケレバナラヌ、何トナレバ藩制施行後カラ政權ガ
  新政府ニ歸シタト云フ御話ガゴザリマスケレドモガ、決シテサウ云フ譯デハ
  ナイ此祿ト云フモノハ前カラズット版籍奉還ヨリシテ、廢藩置縣ト云フ
  迄ハ、藩知事ノ手許ニアッタモノデゴザリマスカラ、調査ガ出來ヌト云フコト
  ハ驚入ッタコトヽ思フ、又私ハ斷言スル、ソレヨリ前ニ戾ッタラサウ云フモ
  ノハ少イガ、ドノ位ノモノガ出ルカ知ラヌト云フガ、是ハ間違デアル、何ト
  ナレバ是ハ比准ノタメニ私ガ御話申シマスノデゴザリマスカラ、私ガ一番能
  ク知ッタ所デ申シマセウ、私ノ藩ハ廣島藩デゴザリマスガ、廣島藩ヨリシテ
  今日復祿請願ノコトニ就キマシテ幾人程請願ヲ致シテ居ルカト云フト人數
  デ云ヘバ二千人程請願ヲ致シテ居ルコトデアル、其中デ藩制施行後ノモノニ
  致シマシテハ殘ラズノモノガ殆ド藩制施行後ノ者デアル、藩制施行以前ニ
  溯ルト幾人アルカト云ヘバ唯ノ四十人デアル其四十人ト一般ノ者トドチ
  ラガ採ルベキモノデアルカト云ヘバドチラニモ私ハ復祿ヲ與ヘラレンコト
  ヲ望ミマスガ、本人共ノ比較カラ言ヘバ四十人ノ方ガ權利ガ厚イト思フ、ソレ
  ハ諸君ノ御手許ニモ復祿ノ請願書ノ寫ガ囘ッテ居リマスカラ、此處デハ述ベマ
  セヌガ、左樣ナ譯デゴザイマシテ、私ノ藩ニ於キマシテハ、二千人ノ中ノ者
  版籍奉還ノ方ニ溯レバ幾人アルカト云ヘバタッタ四十人デアル、ソレカラ
  モウ一ツ反對ノ方カラ仰ッシヤルガ如ク、幾ラ出テ來ルカ知レヌト仰ッシヤ
  ルガ、若モ私ノ廣島藩カラ此藩制施行以前ニ溯リマシテ、版籍奉還後ノ方
  ニ取ルト云フコトデ多數ノ人ガ出テ來タナラバ、是ハ私ハ虛僞ノ事ヲ申立テ
  ルコトヽ思フ、廣島藩ニハ最早私ハ斷言致シマスガ、四十人ヨリ餘計ハ決シテ
  ナイ藩制施行後ニナルト、今カラマダ〓〓權利ノ薄イ者ガ幾人カ出テ來ル
  ト思フドコロデハナイ是ハ私ガ一藩ノコトデ斷言致シマス故ニ廣島藩一
  藩デサヘモ左樣ナコトデアリマスカラ、他ノ諸藩モ同樣デアラウト考ヘマ
  ス、故ニ今カラ彼ノ藩制施行後ニ溯レバ澤山出テ來ルト云フノハ是ハ大キ
  ナ間違ノ御考デハアルマイカト思フ、前ニ私ガ申上ゲマシタ如ク、此請願ト
  云フモノニ於キマシテハ、一寸今ノ御調ベガ私共ノ今ノ反對ノ方ノ御調ベニ
  ナッテ居リマスモノデ、版籍奉還ヨリ藩制施行以前ニ於ケル金高ハドノ位
  カト思ヘバ、僅ニ十九万圓餘デアリマス、藩制施行ヨリ以後ノ調ハ幾ラカト云
  ヘバ六百四十五万圓餘デアリマス、請願ノ數ハドウデアルカト云ヘバ、藩制
  施行以前ハ僅ニ九ツデアルガ、以後ハ幾ツカト申セバ百十一アル、金高デ申
  セバ僅デ、況ヤ復祿ヲ理ノアル者ニ與ヘ、理ノナイ者ニ與ヘナイト云フノハ
  諸君ガ御同感ノコトデアラウト私ハ考ヘルコトデアル、ソレ故ニ私ハ飽マ
  デモ版籍奉還ト云フコトヲ基礎ト致シマシテ、彼ノ明治二年六月二十五日ノ
  行政官ノ達ニ依リマシテシナケレバ、實ニ想ハヌ所ノモノガ不幸ヲ得マシテ、
  權利ノ薄イモノガ幸福ヲ得ルト云フヤウナコトガ段々アルコトヽ私ハ考ヘ
  ル、ソレカラモウ一ツ茲ニ諸君ニ御諮リヲシナケレバナラヌコトガアルソ
  レハ何デアルカト申シマスレバ、マダ日程ニハ出マセヌケレドモ、國事犯ノ復
  祿處分ノコトガ出テ居リマス、其國事犯ノ方ノ日程ト云フモノハ、彼ノ明治二
  十七年二十號ヲ改正シテ、區域ヲ廣クシヤウト云フコトハ無論私ハ此事ニ
  同意ヲ表シテ、ドウシテモ成立タセル積リデアリマス所ガ、其方ニハ矢張
  私共ニ反對ノ御方ガ、今日多數意見ヲ御述ベニナッタ方ガ、國事犯ノ方ニ向ク
  テハ藩制施行デナク、ズット王政維新ニ溯ルト云フ一方ノ通常ノ罪ニ係ル
  モノハ藩制施行ヨリ垣ヲシテ仕切ルト仰ッシヤルノハ實ニ何ノコトデア
  ラウカ、私ハ其邊ノコトニ於キマシテ、解釋ニ苦シムコトデアル、諸君ノ多
  數ハ彼ノ太政官ノ明治九年ノ布告百二十三號ヲ以チマシテ、此後ハ如何ナ
  ル事情ガアッテモ、決シテ何號ノ達ニ依ッテ是マデ願ハナイモノハ復祿ヲシ
  ナイト云フ達ガゴザイマス、明治九年太政官ノ布告ト云フモノハ政府ガ是
  マデ金城鐵壁トシテ復祿請願者ヲ牽掣シタモノデアル、然ルニ諸君ガ權利ノ
  十分アルモノト認メナガラ、藩制施行後ト云フ垣ヲ作ッテ、是ヨリ前ノヤルベ
  キ者ニヤラヌト云フノハドウモ不備極ッタ法律ヲ作ッテ、唯世上ノ聞エノ
  善カレガシト仰ッシヤルノハ私ハドウ云フモノデサウ云フコトヲ仰シヤ
  ルカ、一ノ疑ヲ存シテ居ルコトデアル、況ヤ此總數デ申シマスレバ、先年以來
  頻ニ復祿ノコトニ就イテ、是ヨリ外ニ復祿ハナイト云フ評判デ、一時議場ヲ
  大騷ギヲサセタノハ、藩制施行後ノ方デゴザイマス、是ハ今日聞ク所ニ依
  レバ權利ノ薄イモノト、聞イテ居ル、サウ云フ樣ナモノデゴザリマスカラ、藩
  制施行後ノモノト雖モ、能ク吟味シナケレバヤラレナイ、ソレハ一ヤ此處デ
  申スハ煩シイコトデゴザリマスカラ申シマセヌガ、前申上ゲタ如ク、今日ノ
  處ニ於キマシテハ、六百五十一万圓ト雖モ、三百万圓位ハ私ハ事ニ依クタラ減
  ズルカモ知レヌト思フ、然ラバ前ノ方ノモノハ皆取レルカト云ヘバ彼ノ
  十九万幾ラト云フモノハ皆取レルモノデハナカラウ、併ナガラ此モノガ皆取
  レルトシタ所ガ、僅カ十九万圓······權利ノアルモノヲ、彼ノ藩制施行ト云フ垣
  ヲ作ッテ押除ケテ仕舞フト云フコトハ殆ド何ノ事デアルヤラ、私ハ此道理
  ニ於キマシテハ甚ダ了解ニ苦シムコトデアル、故ニ私ハ最早是ダケデ此壞
  ヲ降ルコトデゴザイマスルガ、ドウカ諸君ハ私ガ此度少數意見ト致シマシテ、
  此ニ出シマシタ所ノ彼ノ「版籍奉還ノ後明治二年六月行政官ノ達五百七十
  六號ニ依クテ家祿賞典祿ヲ有スヘキモノ及云々」ト云フ方ニ、ドウカ御贊成
  アランコトヲ希望致シマス、ソレカラ此次ノ箇條ニ於キマシテモ、色〓處々
  手入レヲ致シマシタコトハゴザリマスガ、何ニモ多數ノ方ノ御案トハ違ウタ
  コトハゴザリマセヌ、唯一條ニ少シ改メタタメニ文章ダケノ修飾デゴザリ
  マシテ、事柄ニ於テハ何ニモ關係ヲ持ツコトハゴザリマセヌデ、ドウカ版籍
  奉還ト云フ方ニ溯リマシテ、御贊成アランコトヲ希望致シマス、サリナガラ
  御質問ガゴザリマスレバ烏滸ガマシイコトヲ申スヤウデゴザイマスガ、私
  ハ決シテ此コトニ就イテ、ドンナ御難問デモ御答致ス積デアリマスカラ、ド
  ウカ御贊成ヲ願ヒマス
  (「採決々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=108

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• 109・工藤行幹

  ○工藤行幹君(百九十七番)　議長···
  (「無用々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=109

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• 110・工藤行幹

  ○工藤行幹君(百九十七番)　無用デハナイ、必要デアル、此案ニ對シテ政府
  ノ意見ハ如何デアルカ、政府委員ノ御說明ヲ得タイ、此案ニ御同意デアルカ、
  財政上ノ繰合ガ付クコトデアルカ、御說明ヲ願ヒタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=110

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• 111・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　政府委員田尻稻次郞君
  (政府委員大藏次官法學博士男爵田尻稻次郞君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=111

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• 112・田尻稻次郎

  ○政府委員(男爵田尻稻次郞君)　唯今工藤君ノ御話デアリマスルガ、勿論此
  案ハ、政府ハ成ラウナラバ引込マシテ貰ヒタイト云フ意見デアル、是ハ是マ
  デ種々年來論ニナリマシテ、政府ノ方デモ餘程取調ベテ居マスノデアリマシ
  テ、最早之ヲ進ンデ取調べマシタ所ガ、格別新シイ結果ヲ得ナイ併ナガラ
  今年ハ餘程御議論モアリマスルカラ、モウ一應政府ノ內デ十分ナ調査ヲ致シ
  テ見ヤウ、是マデモ決シテ調査ヲ怠ッタコトハナイガ、實ハ調査ヲスルカラ
  此案ヲ引込マシテ下サレト一遍ハ申シタノデゴザイマス、先ヅ申サバ十分
  ナコトヲ申上ゲルト、是ハ引込マシテ下サッテ、サウシテ政府ノ內デ、モウ一
  應調査ヲシヤウト斯ウ云フ地位デアリマス
  (「採決々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=112

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• 113・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　採決致シマス、日程十一ニ就イテ採決シマス、此案ノ
  第二讀會ヲ開クベシトスル方ハ起立ヲ願ヒマス
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=113

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• 114・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　多數ト認メマス、卽チ二讀會ヲ開クコトニ決シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=114

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• 115・多田作兵衞

  ○多田作兵衞君(百三十番)　本會モ、大分會期ガ切迫仕掛ケテ居リマスカ
  ラ貴族院ニ囘シテ本年ハ十分ニ貴族院ノ議ヲ請ヒタイカラ、直チニ今日二
  讀會ヲ開クヤウニ致シタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=115

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• 116・工藤行幹

  ○工藤行幹君(百九十七番)　反對致シマス、此大問題ヲ直チニ二讀會ヲ開ク
  ト云フコトハ委員諸君ハ分ッテ居リマセウガ、他ノ者ニ至ッテハ詳ク取調
  ベテ居ラヌカラ、是非共定期ノ規則ニ依リ、二日間ヲ隔テヽ二讀會ヲ開クコ
  トヲ希望シマス
  (「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=116

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• 117・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　採決シマス、直チニ第二讀會ヲ開クト云フコトニ同意
  ノ諸君ハ起立ヲ願ヒマス
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=117

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• 118・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　多數ト認メマス、卽チ直チニ第二讀會ヲ開キマス
  家祿賞典祿處分法案(深山聳峮君外三十八名提出)第二讀會
  〔守屋此助君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=118

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• 119・守屋此助

  ○守屋此助君(百三十二番)　滿場諸君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=119

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• 120・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　第二讀會デアリマスガ、全部議題ト爲シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=120

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• 121・守屋此助

  ○守屋此助君(百三十二番)　此案ハ既ニ二讀會ニ移リマシテ、ソレデ委員會
  ノ少數者ノ意見ヲ是ナリトスルカ、多數者ノ意見ヲ是ナリトスルカ、斯ウ云
  フコトヲ論ズル範圍ハ唯今ノ時デアルノデ、ソレデ其場合ニ於キマシテ私ノ
  愚案ノアルコトヲ述ベテ、諸君ノ御〓聽ヲ煩ス積デアリマス、ソレデ大凡此
  王政維新ノ際ノ出來事デアッテ、粗漏過失ト云フヤウナコトデ、世ノ中ノ事デ
  不公平ノコトナドガ出來テ居ルノハ、維新草創ノ際デアッタカラト云フコ
  トデ、先ヅ免ニ角ニソレハ泣入リニ眼ヲツブッテ、不公平ノ處分ヲ受ケテ
  居ラヌト云フ衆議院ノ意見デアルナラバ、ソレヲ以テ同一ノ取扱ヲシナケレ
  バナラヌ、又維新ノ際ノ處分ノ仕方ガ惡ルイモノハ引直サウト云フ方針デア
  ルナラバ、ドコ迄モ引直ス方針ヲ執ラナケレバナラヌト斯樣ニ私ハ考ヘn、
  世ノ中ノ政治ノ惡シキ政治ノ數〓アル中ニ、公平ヲ缺クト云フ程政治ノ惡ル
  イ政治ハタントナイト考ヘル

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=121

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• 122・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　守屋君ノ今ノ發議ハ少數者ノ意見ニ贊成デゴザリマ
  入、贊成者ガ二十名アルデゴザイマスカアレバ議題トナシマス
  (「贊成々々」ト呼フ者アリ又「二十名アル」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=122

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• 123・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　成規ノ賛成ガアルト認メマスカラ、議題ト爲シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=123

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• 124・守屋此助

  ○守屋此助君(百三十二番)　ソレデ前申シマスル如ク天下ノ政治ハ不公平
  ト云フコト程大ナル惡シキ政治ハ先ヅ私ハナイト考ヘテ居ル、平等ニ維新ノ
  際ノ事柄ガ時ノ有司ノ過失、或ハ自己ノ過失ニ依ッテ得ベキ權利ヲ得ナカッ
  タト云フ、又ハ平等ニ泣入リト云フコトニスルトナレバ、ソレデ自カラ其筆
  法デ平仄ガ合フ譯デアルサウデゴザリマスカラ、其不公平ノ處分ヲ受ケタ
  人モ吾モ人モ云フコトデ諦メモ附クデゴザイマス、然ル所ガ其際ニアッテ
  一部分ハ救濟策ヲシテヤル、時ノ有司ノ過失若クバ自己ノ怠デ、得ベキ權利
  ヲ得ナカッタモノニ救濟策ヲ與ヘテヤルガ、他ノ一部分ノモノハ與ヘテヤラ
  ヌト云フヤウナ繼子扱ニスル、此繼子扱ヲ受ケル人ノ不平ハ如何デアリマス
  此人丈ノ不平ニ止マレバ宜シウゴザイマスガ、天下萬衆ガ如何ニ觀ル、衆議
  院ノ仕方ハ如何デアルアレハ公平ヲ缺ケタ政治ヲスル、斯樣ナ批難ヲ受ケ
  ルトノ恐ガアル、議會ノ一舉一動ハ、苟モ公平ナランコトヲ望ミマスノハ私
  ノ宿論デアリマス、此論法ヨリ推シマスレバ如何ニ此事ガ決定ヲ告ゲルカ、
  多數者ノ意見ト、少數者ノ意見ト、ドッチガ是ナルモ、多數者ノ御意見ハ如
  何ニアルカト云フト天下ハ不平デアル、請願者ノ人カラ來タモノハソレ
  ハ多數者ノ仰ッシヤル方ノ意見ニシヤウト云フコトヲ、請願抔ニ來テ運動ス
  ル人ハ其方ガ數ガ多イ、少數者ノ仰ッシヤル方ハ運動スル人ガ少イ、神聖ナル
  衆議院ノ議決ガ院外ノ人ノ如何ニ依ッテ決スル、斯樣ナコトニナッテハ、諸
  君如何デアリマス、諸君ト吾々ト立ッテ居ル衆議院ノ鼎ノ輕重ヲ伺ヒタイト、
  斯樣ナ議論ガ出テ來ルデアラウ(笑聲起ル)サウデアリマスカラ、私ハ運動者
  ノ多數少數ハ眼中ニ決シテ置クニ及バナイ、如何ニスレバ公平ニスレバ宜シ
  イト云フコトヲヤルガ宜シイ、ソレデ私共モ成ラウコトナラバ、維新ノ際ノ
  此士族ニ對スル處分ト云フコトハ、五百万圓ヤ六百万圓デ出來ルコトナラバ、
  ドウカ私ハ處分ガシタイノデアル、然ル處ガ先刻カラノ御取調ニ依リマスル
  ト、今請願シテ居ルモノモ玉石混淆デアルガ、ソレヲ土臺ニシテ、六百幾十万、
  マダ來テ居ルノガ來テ願ッテ居ル者モ玉石混淆デアルカラ刎ル人モアル、サ
  ウシテ見ルト、六百万圓カ七百万圓デ、免ニ角處分ガ附クノデアル、ソレカ
  ラ唯今ノ小鷹狩君ノ少數者ノ意見ヲ聽クニ、版籍奉還ノ時トスルト、藩制施行
  ノ時トスルト、サータイシタ金高ハ區別ガナイ、併ナガラ私ノ考デハ金高ノ
  多少ニ依ッテ版籍奉還ノ時ト區別スルカ、若クハ藩制施行ノ時トスルカト云
  フコトヲ申スノデナイ、苟モ維新ノ際ノコトニ就イテ、士族ニ不公平ノ處分
  ヲシタノガアルカラ、ワレニ手ヲ著ケテ救濟スルナラ、均シクスルト云フノ
  デゴザイマス、ソレデサウ致シマセヌト、アノ時ノモノガ藩制施行ノ時カラ
  ト判然タル理窟ガナイ、委員長ノ理窟ヲ承リマスレバ、何デアルカト云フニ、
  版籍奉還ノ時カラトスルト、澤山人ガ出テ來ルカラト云フノデアル、ソレナ
  ラバ衆議院ノ議決ハ損得ノ問題トナッテ、正邪ノ問題デハナイノデアル、之
  ヲ採ルノガ此議案ニ採ッタ家祿賞典祿ト云フモノニ就イテ、不公平ノ處分ヲ
  受ケタモノヲ直スト云フノガ、是デアル、非デアル是デアルヨリ直サナケ
  レバナラヌト思ッタナラバドコ〓〓マデモ此方針ヲ貫クガ宜シイ是マデ
  ニスレバ何ポデ濟ムト算盤ヲ彈キ、是マデニスレバ金ガ澤山掛ルカラ、不公
  平ノ處分ヲ受ケタ初ノヤツハ救濟シテヤラヌガ、其後ノモノハ院外ノ運動ガ
  多イカラヤルト云フコトニナッテハ、私ノ考ハ神聖ナル議場ノ神聖ヲ保ツコ
  トガ出來ナイト考ヘマスルカラ、何處マデモ私ハ少數者ノ意見ヲ贊成致スモ
  ノデアリマス
  (深山聳峮君演壇ニ登ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=124

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• 125・深山聳つら

  ○深山聳峮君(二百六十六番)　諸君、此處分法案ニハ、私モ委員ノ一人デアリ
  マスルカラ、先刻來成ルベク言ハヌ積リデ居リマシタケレドモ、彼ノ少數者
  ノ報告ガアリマシテ以來、尙ホ守屋君ヨリ縷々反對ヲ述ベラレマシタカラ、
  默止スルコトガ出來マセヌ故ニ唯一言其要旨ヲ述ベテ置キタイト考ヘマ
  ス、小鷹狩君ノ御說ヲ伺ヘバ、無論此多數者ノ報告ハ道理ニ適ハヌモノヽ如ク
  申サレタデアリマス、又自己ノ少數ノ報告ハ實ニ正當デアル至當ノ理窟デア
  ルト言ハレタ是ハマア反對ヲセラレテ、自己ノ案ヲ貫徹セントスレバ、從ッ
  テ人ヲ非難セネバナラヌコトデアラウト考ヘマスルガ、所デス、私共ノ意
  見ト而シテ其小鷹狩君等ノ御意見ト違フ所ノ要點ト云プモノハ、申スマデ
  モナク私共ノ提案ハ起〓ヲ藩制施行以後、卽チ明治三年九月十日、之ヲ根
  據トシテアルノデアル、小鷹狩君ノ方ハ版籍奉還以後、卽チ明治二年六月二
  十五日ヲ以テ起〓トスルト云フ御意見デアル、卽チ起〓ダケガ違フノデア
  ル外ニ何ニモ違フ所ハナイ、斯クマデモ藩制施行ノモノハ道理ナキ所ノ案デ
  アル、又版籍奉還ニスルノガ最モ正理デアルト云フ程ノモノデハ決シテナイ、
  卽チ私共ガ版籍奉還ニ讓ラント欲スレバ讓リタイノデアル併ナガラ讓ル
  コトノ出來ナイ事情ガアルカラデアル、藩制施行後ニシタノデアル、根據
  タルヤ何カト云ヘバ、道理ガアル、如何トナレバ、明治三年九月十日ニ藩制
  施行、卽チ藩制ト云フモノヲ發布シテ、而シテ其藩制施行ノ藩制ノ第六項ニ
  ハ斯ウナッテ居ル「功アッテ祿ヲ增シ罪アッテ祿ヲ褫ク云々」ト云フコトガ
  アル一切ノコトハ勅裁ヲ請フベシト云フコトニナッテ居ルソコデアリマ
  スカラ、其罪ヲ犯サナイデ、終始忠良ノ者ニシテ祿ヲ殺ガレル道理ハナイ、
  然ルニ其當時ノ藩官吏ハ又ハ廢藩後ノ當局者ハ此第六項ニ背イタ所ノ
  勅裁モ請ハナイデ徒ラニ處分ヲシタノデアル所謂全部ノ給與スベキ所ノモ
  ノヲシナイデ、給與ヲシナイデ不當處分ヲ致シタモノデアル、或ハ終身祿ヲ
  貰フベキ所ノモノガ、年限祿シカヤラナカッタト云フ者モアル、又年限祿ノ
  者ハ悉皆ヤラヌト云フ者モアル、是レ卽チ立派ニ藩制ト云フ政令一途ニ歸シ
  タル所ノ法律ガアッテ、其法律ノ條項ニ背イタ所ノ處分ヲシタモノデアルカ
  ラ、無論是ハ不當處分デアル、故ニ此不當處分訂正ナサウト云フ了簡デアル、
  故ニ此起點ヲバ卽チ藩制施行ト云フコトニ致シタノデアル、是ガ道理ニ適ハ
  ヌト云フコトハ恐クハナカラウト考ヘマス、併ナガラ非難ヲスレバ先刻小
  鷹狩君ノ言ハレタ通、「功アッテ祿ヲ增シ罪アッテ錄ヲ観グ云々」一切勅裁ヲ請
  フヘシ」ト云フコトガアルガ、其書イテアル外ノコトハ構ハヌト云フコトニ
  ヘンテコノ理窟ヲ御附ケナサルガ、恐クハ罪アッテ祿ヲ殺ガレル者デモ、勅
  裁ヲ請ハナケレバ祿ヲ剝グコトハ出來ナイノデアリマス、罪ナキ者ノ祿ヲ殺
  ガレル道理ハナイ左樣ナヘンテコノコトハナイ併ナガラ法律ニハ變例ガ
  アルカラ或ハ變例ト認メラレタカ知レナイ併ナガラ是等ノコトハ決シテ
  左樣デナイト考ヘルケレドモ、昨年一昨年以來、絕對的ニ此問題ニハ政府ガ
  反對スルト云フノ眼中カラ見レバ昨年政府委員ガヘンテコノ卽チ理窟ヲ附
  ケマシタガ、彼ノ例ヲ以テ小鷹狩君ガ彼ノヘンテコノ非難ヲナサルト考ヘル、
  併ナガラ變眼ヲ以テ見タナレバ畢竟分ラヌコトデアル而シテ版籍奉還ニ溯
  ルコトハ出來ナイノハ何デアルカト云ヘバ是ハ申スマデモナク、各藩ガ生
  殺與奪ノ權ヲ持ッテ居ル時デアル、ソレデ各藩共ニ區々ノ處分ニナッテ居ル
  小鷹狩君ノ言ハレタ如ク實ニ憫然ナル者モアルカモ知レマセヌ豈獨リ此ル
  小鷹狩君ノ言ハレタ所ノ四十名デアリマスカ、其僅々タル數ノミナラヌト思
  ヒマス、各地ニモアルカモ知レマセヌ、然レドモ當時ハ生殺與奪ノ權ハ各藩
  ガ持ッテ居ルガタメニサウ云フ不都合ナ處分ハ枚舉スルニ遑ナカッタデア
  ラウト考ヘル、然ラバ之ヲ何故ニ處分セヌカト云フ非難ガアルカモ知レマセ
  ヌ所ガ、御案內ノ如ク、當時デアッテハナカノ〓各藩共ニ區々ニ、所謂規
  定ナキ所ノ處分デアルカラ今日之ヲ一定ノ法律ヲ以テ處分ヲナサントスル
  ニハ恐クハ出來ナイト考ヘル、何故トナラバ先キニ二十七年ノ二十號ノ
  法律ニモ理由書ニ書イテアル通リ藩制施行以前ニ溯ッテ各藩ガ區々處分
  ヲ致シタモノヲ、今日一定ノ法律トシテ處分スルニハ畢竟ナサントスルモ
  遂行ノ途ガナイ、故ニ此規定ヲ明治九年九月十日ト大部分ヲ書イテアルデハ
  ナイカ併ナガラ之ヲ妄信シテ版籍奉還ニ溯ラント云フノデハナイ、吾ミノ
  信ズル所ハ今日ハ此請願ニ於テハ、大多數ノモノハ卽チ此藩制施行以後立派
  ニ法律規定ガアルニモ拘ラズ、當時ノ當局者ハ不都合ニモ此不當處分ヲ致シ
  タモノデアルカラ、今日出願者ノ大部分ガ九分九厘マデ網羅スル所ノモノニ
  依ッテ處分スレバ出來易イコトデアルカラ、適當ノ法律ト認メタノデアル
  而シテ又版籍奉還ト云フコトニ致セバ、今日ハ少數成程一部分ノ請願デ
  アルケレドモ、今後是ガ今日ハ不服ヲ稱ヘテモ若シ是ガ版籍奉還以後ニス
  ルト云フコトニスレバ、實ニ限リナキ出願ガ出テ來ルダラウト思ヒマス併
  ナガラ財政ガ許セバ、其時機ガ來ルナレバ又其時機ニ依ッテ處分スルコト
  ガ出來ルガ、今日緩急ノ別ヲ云ヘバ取リモ直サズ藩制施行以後、卽チ法律
  ノ規定ガアルニモ拘ラズ、不當處分ヲシタモノハ、第一ニ改メテスルガ適當
  ト認メタニ外ナラヌ、而シテ今一言申シテ置キタイ、ソレハ何デアルカト云
  くら、小鷹狩君カラノ法律ニ依リマスレバ、ドウモ版籍奉還ト云フコトハ措
  イテ、藩制施行以後ニ起點ヲ致シマシタ所デ、實ニ澤山ノコトデアル、何故
  ナレバ殆ド倍ニナラウト云フ考ヘデアル、ソレハ何故デアルカト云ヘバ此
  少數者ノ報告ニスレバ、是マデ沒祿シテ以來、卽チ明治九年ノ百八號ノ法律
  實施マデノ間ニ給與不足ト云フモノガアルガ、此給與不足ト云フモノヲヤル
  ト云フコトニナッテ居ル、然ラバ丁度今日六百万若クハ七百万ノ金額デアル
  ナレバ、之ヲ倍ニスルモ或ハ足ラヌコトガアリハシナイカト云フ懸念ガアル、
  併ナガラ道理アルモノハ畢竟其金額ニ依ルト云フノハ是ハ道理デアル、理
  窟デアル、併ナガラ是等ハ申スマデモナク、此給與致サナイデ、此不當處分
  ヲシタ當時ニ在ッテハ最モ彼等ガ給與ヲ受クベキ權利ガアッタモノト言ハ
  ザルヲ得ヌ、併ナガラ今日ニ至ッテハ、是ガ權利ト云フコトデアルナレバ法
  廷ニ訴ヘテ請求ヲセネバナラヌコトニナリマセウガ、デ、今日ハ先ヅ事實
  權利デアルケレドモ、今日ハ權利ト云フ程ニハ申スコトガ出來ナイト考ヘル
  ソレデアリマスカラ、特殊ノ處分デモヤラナケレバナラヌノデアル、然ラバ
  此特殊ノ處分ニ對シテ、是マデ一合一勺ノ不足ナリ沒祿シテ以來百八號ノ
  法律ヲ實施スルマデノ間ニ給與不足ト云フマデヲ、悉ク給與スルト云フ如キ
  コトハ餘リ贅澤ニ過ギハシナイカト考ヘマスル、所謂今目ノ請願ハ哀願的
  ノ請願デアル、是ニ對シテ是マデノ給與不足ヲ悉クヤルト云フコトハ過分ニ
  過ギルト考ヘマス故ニ吾ミハ一時給與不足ハヤラヌト云フノデ、例ヘバ十
  石ヲ貫フテ居ルモノガ、或ハ全部給與ヲ受ケヌノデ居ルモノナレバ、其十石
  ニ對シテモ金祿公債證書ヲ、卽チ百八號ノ第一ノ率ニ依ッテヤラウト云フノ
  デアル、又幾分ノ給與ヲ受ケテ不足シテ居ル者ハ、其不足額ニ依ッテヤラウ
  ト云フノデアル累年ノ給與ノ不足ト云フノハヤラヌ積リデアリマス、然ル
  ニ此少數案デハヤラウト云フコトノ御意見デアリマスカラ、其邊ハ違フノデ
  アリマス然ルニモ拘ラズ、是モ非モナク多數者ノ報告ヲ道理ナキモノトス
  ルノハ道理ナキモノト考ヘル
  (「討論終結」「採決」「質問ガアリマス」無用々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=125

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• 126・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　草刈親明君ガ質問ガアルト云フコトデアリマスカラ、
  草刈君ニ發言ヲ許シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=126

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• 127・草刈親明

  ○草刈親明君(百四十四番)　私ハ此案ニ就イテハ兩方ニ贊成ノモノデアリマ
  ス諸君ハ蛹蚌ノ爭ハ漁夫ノ利ナルト云フコトニ就イテ私ハ實ニ痛歎ニ堪ヘ
  ナイ次第デアル唯ソレハ私ハ多クノ士族ニ此目的ヲ達セシメテ、ソレデ足
  ルノデゴザイマスカラ、ソレヲ政府委員ニ質問ヲ致スノデアル、先刻政府委
  員ハ當時政府ハ復祿セシムベキ士族アルヤナシヤト云フコトニ就イテ御取調
  中デアル、然ルニ此度ノ委員會ニ於テ、其請求ガアッタラ特ニ進デ取調ヲス
  ルト云フ田尻君ノ御意見デゴザリマシタ、此御意見ハ前議會ニ於テ政府委員
  ガ述べラレタ所トス、全然反對致シマシテ誠ニ吾ミハ滿足シタ答辯デアル
  要スルニ唯今田尻君ノ言ハレタ所ハ、復祿セシムル士族ガアラウト云フ見込
  ガ附ケバ、本案ニ贊成スル、ソコデ復祿セシムベキ士族ガアラヌト云フ目込
  ガ附イタナラバ、少數者ノ意見ノ方ガ御贊成デゴザリマスカ多數者ノ意見
  ガ御贊成デゴザリマスカ、其〓ヲチヨットサウシテ政府ガ御贊成デアルト
  云フ方ニ、私ハ贊成ヲシヤウト思ヒマス
  〔政府委員大藏次官法學博士男爵田尻稻次郞君演壇ニ登ル〕

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• 128・田尻稻次郎

  ○政府委員(男爵田尻稻次郞君)　草刈君ニ御答致シマスルガ、勿論前申上ゲ
  タノハ田尻君ノ御意見デハナイ、政府ノ意見デアルノデアル、政府ノ意見ハ
  前ニ申上ゲタ通デ、尙ホ進デ取調ヲ致スト云フ積リデアリマスガソレデモ
  先ヅ此案ハ御免ヲ蒙リタイ、實ハ此案ガナクテモモウ一層進ンデ調ベマシテ、
  叮嚀ニモモウ一應進ンデ調ベマシテ、サウシテヤルベキ者ガアルト云フナラ
  バ政府自ラ切ッテ出ヤウト云フ考ヘデアルノデ、アリマスカラ、ドチラニ
  モ贊成ヲ致サヌノデアリマス
  〔「討論終結」ト呼フ者アリ、「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=128

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• 129・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　討論終結ガ問題ニナッテ居リマスカラ、採決致シマス、
  討論終結ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=129

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• 130・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　多數ト認メマス、第一條ニ就イテ採決シヤウト考ヘマ
  ス-第一條ニ就キマシテハ少數者ノ意見ト云フモノガ出テ居リマスカラ、
  是ヨリ先キニ採決シヤウト考ヘマス、卽チ配付ニナッテ居ルカラ皆サン持ッ
  テ居ルト考ヘマス、就イテハ第一條、少數者ノ意見ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ求メ
  マス
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=130

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• 131・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　少數ト認メマス-次ハ委員ノ修正ニ就イテ採決致シ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=131

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• 132・多田作兵衞

  ○多田作兵衞君(百三十番)　修正說デハナイ、原案デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=132

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• 133・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　修正ガアリマス-但書ニアリマス、サウスルト第一
  條ハ但書ダケニ委員ノ修正ガアル、此委員ノ報告ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ求メ
  マス
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=133

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• 134・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　多數ト認メマス-第一條ハ委員ノ報告通決定致シマ
  ス-第二條ハ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=134

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• 135・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　第二條ハ原案ニ修正ガアリマセヌ、第二條ハ御異議ガ
  ナケレバ原案通決シタモノト認メマス、次ニ第三條、是ハ委員會ニ於テ新
  タニ一條ヲ設ケラレタモノデアリマス
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=135

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• 136・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　委員會ノ報告ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=136

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• 137・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　多數ト認メマス、委員會ノ修正通決定致シマス、修正
  ノ第四條、是モ委員會ノ修正ガアリマス
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=137

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• 138・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　可決シタモノト見テ宜ウゴザリマスカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=138

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• 139・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　委員會ノ報告通決定致シマス、第五條、是ニハ委員會
  ノ修正ト、少數者ノ意見ト二ッゴザイマス、少數者ノ修正ニ就イテ先ヅ採決
  致シマス-少數者ノ意見ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=139

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• 140・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　少數ト認メマス、委員會ノ報告ニ就イテ採決致シマス
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=140

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• 141・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　委員會ノ報告通決定シタモノト認メマス、第六條、是
  ハ委員會ノ修正ノミデゴザリマス
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=141

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• 142・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　委員會ノ修正通決定シタモノト認メマス第七條、此
  七條ト六條トノ間ニ、少數者カラ新タニ七條トシテ設ケルモノガ出テ居リマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=142

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• 143・小鷹狩元凱

  ○小鷹狩元凱君(百番)　最早第一條ガ極リマシタ以上ハ、少數者ノ方ハ別ニ
  御採リニナラヌデモ宜シイマルデソレニ關係シテ居ル事柄デゴザリマスカ
  ラ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=143

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• 144・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　少數者ノ意見ハ以下凡テ少數ニ決シタモノト見テ宜ウ
  ゴザイマスカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=144

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• 145・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　サウスルト附則第七條、是ハ委員會ノ報告ガゴザイマ
  ス、委員會ノ修正通決定シタモノト見テ宜ウゴザイマスカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=145

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• 146・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　委員會ノ報告通リ決定致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=146

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• 147・多田作兵衞

  ○多田作兵衞君(百三十番)　直チニ三讀會ヲ開カレンコトヲ希望致シマス
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=147

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• 148・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　直チニ三讀會ヲ開クコトニ同意ノ諸君ノ起立ヲ求メマ
  ス
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=148

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• 149・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　多數ト認メマス、直チニ三讀會ヲ開キマス
  家祿賞典祿處分法案(深山聳峮君外三十八名提出)第三讀會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=149

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• 150・草刈親明

  ○草刈親明君(百四十四番)　私ハ此場合ニ字句ノ修正ヲ致シタイト思ヒマ
  ス第一條、第二條、第三條ニ「家名繼襲人」ト云フコトガアル、惟フニ繼襲
  人ト云フコトハ相續人ト云フコトヲ意味シタデアラウト、斯樣ニ信ジマ
  ス、果シテ然リトスレバ今日ハ法律上一定ノ用語ガゴザリマシテ繼襲人抔ト
  云フヤウナ馬鹿氣タ文字ヲ使ッテ居ル時ジヤナイ、卽チ向後ノ如キハ「家名
  承繼人」ト改メタイ、ソレカラモウ一ツハ「第七條」ノ三字ヲ削ル、是亦附則ニ
  第七條ト云フコトヲ書クコトハナイ、是等ノコトハ法律ノ成案上頗ん體面ニ
  關スルコトヽ信ジマスカラ、所謂少數黨派多數黨派ノ如何ニ拘ラズ御贊成ア
  ランコトヲ希望致シマス
  (「贊成々々」ト呼フ者アリ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=150

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• 151・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　贊成ガアリマスカラ草刈君ノ動議ハ成立シタモノト認
  メマス-繼襲ト云フ文字ハ草刈君、二條トドコデスカ、此法案ニ繼襲人ト
  云フ字ハ一條、二條其他ノ場所ニモアリマスカラ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=151

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• 152・草刈親明

  ○草刈親明君(百四十四番)　ソコデ唯今モ申シタ通、내、二條、三條皆ソ
  レヲ「承繼人」トスルノデス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=152

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• 153・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　「繼襲人」ヲ「承繼人」ト改メルト云フコトニ同意ノ諸君
  ノ起立ヲ求メマス
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=153

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• 154・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　多數ト認メマス
  (「少數々々」「多數々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=154

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• 155・小室重弘

  ○小室重弘君(二百九十六番)　改メル必要ハナイ、今迄モサウナッテ居ルカ
  ラ.···今ノ宣告ハドウナッタノデス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=155

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• 156・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　尙ホ附則ニ條ヲ附ケルト云フコトヲ草刈君カラ出テ居
  リマスガ、是ハドウデゴザイマスカ、他ノ例ヲ調ベテ改ムルト云フコトヲ議
  長ニ御任セ下サルコトハ出來マセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

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• 157・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　本案ヲ以テ確定ト致シテ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=157

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• 158・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　然ラバ本案ハ確定致シマシタ、是ガ確定スルト日程ノ
  第十三ハ自然消滅シタモノト認メマスガ、ソレデ御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

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• 159・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　日程第十二ニ就イテ採決シヤウト思ヒマス
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=159

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• 160・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　サウスレバ日程第十二ニ就イテ採決シマス、本案ノ第
  二讀會ヲ開クニ同意ノ諸君ハ起立ヲ求メマス
  起立者多數

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• 161・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　多數ト認メマス第二讀會ヲ開クニ決シマシタ

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• 162・深山聳つら

  ○深山聳峮君(二百六十六番)　直チニ二讀會ヲ開カレンコトヲ希望シマス
  (「贊成々々」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=162

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• 163・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　直チニ二讀會ヲ開クト云フ動議ガ出マシタガ採決シマ
  ス
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=163

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• 164・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　異議ガナケレバ直チニ二讀會ヲ開キマス
  祿高整理公債法案(深山聳峮君外三十四名提出)第二讀會

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• 165・久保九兵衛

  ○久保九兵衞君(七十六番)　讀會ヲ省略シテ直チニ確定セラレンコトヲ望ミ
  マス
  〔「贊成々々」ノ聲起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=165

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• 166・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　原案ニ御異議ガナケレバ直チニ三讀會ヲ開キマス
  祿高整理公債法案(深山聳峮君外三十四名提出)第三讀會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=166

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• 167・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　異議ガナイヤウデスカラ決ヲ採リマス、本案ヲ以テ確
  定議ト爲スコトニ同意ノ諸君ハ起立
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=167

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• 168・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　多數ト認メマス-日程第十四ニ移リマス
  第十四特赦復權ニ關スル建議案(小室重弘君樣はよ員し
  外一名提出)長報告
  〔小松三省君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=168

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• 169・小松三省

  ○小松三省君(八十番)　特赦、復權ニ關スル建議案特別委員會ノ經過及審査
  ノ結果ヲ御報道致シマス此特別委員會ハ二度開カレマシテ、初會ニハ委員
  長及理事ノ互選ヲ致シマシタ、第二囘ニ於テカラ此建議案ヲ多數ヲ以テ可決
  致シマシタ、其可決シタ理由ヲ簡略ニ委員長トシテカラ御報〓ヲ致シマス、
  此特赦、復權ニ關スル建議案ト申シマスノハ則チ彼ノ靜岡、名古屋ニ於ケ
  ル事犯ノ罪因デゴザイマス則チ、其目的ヲ國事ニシテカラ其行爲ヲ當事犯ニ
  シタト云フ囚人デゴザイマス是ニ向ッテ、カラ特赦ヲ致シ、其外加波山其他
  ニ於テカラアッタ事犯ノ者ニ向ッテハ、復權ヲ許サレンコトヲ望ムト云フ案
  デゴザイマス、ソモ此名古屋、靜岡等ノ事件ガ、我國未ダ立憲政治ノ行ハレヌ
  時分、憲法ノ發布ニナラヌ時分ノコトデゴザイマス、明治十七年以來ノコ
  トデゴザイマスルガ、此名古屋、靜岡ノ事件ニ關係シタ者ハ、本來國ヲ愛ス
  ル志ノ厚イ者デアッテカラ、一ニ皇室ノ尊嚴ヲ大ニシ國民ノ福利ヲ增進シ、
  又此立憲ノ政ヲ立テントシテカラ、赤心盡力奔走ヲ致シタ者デアリマス、然
  ルニ不幸ニモ彼等ハ此際ニ於テカラ、立憲ノ政ヲ得ルニ正當ノ途ヲ能ウ得ズ
  シテカラ、遂ニ憤激ノ餘リ、若クハ客氣ニ逸ッタト云フ結果、常事犯ヲ犯シ
  テカラ獄ニ下ッタ者デゴザイマス、其際ニ於テハ或ハ探偵ノ煽動トカ、裁判ノ
  不公平ト云フヤウナ種々ノ事情モゴザイマスガ凡ソ今日ニ於テ此當時ノ司
  法官ガ如何ナル人デアツタカト云フコトヲ推測スレバ、行政官ノ一片ノ手
  紙トカ訓示トカニ依ッテ、忽チ其判決ヲ左右シタト云フヤウナ事例ガ間ニア
  ル時代デアリマス、又自由民權ヲ唱ヘルヤツト云ヘバ實ニ行政官、裁判官
  ノ如キハ蛇蝎視致シマシテ、殆ド野山デカラ猪ヤ熊ヲ狩ルヤウナ心持デカ
  ラ此人ミニ蒞ンダノデゴザイマス、從ッテ其時分ノ處置ト云フモノハ眞
  ニ慘酷、眞ニ不公平ニ出デタコトガ多イノデアリマス、兔モ角モ斯ル時代ニ
  於テ、斯ル罪囚ノ出デタノハ實ニ愍然ニ堪ヘラレヌ次第デアルニ依ッテカラ、
  ドウカ此悔悟ノ情モ現レテ居ル、謹愼ノ情モ現レテ居リ一意前非ヲ後悔シテ
  居ルト云フコトハ、今日明ニ分ッテ居ル次第デアリマス、サウシテ司法大臣
  ガ特赦、復權ノコトヲ奏上スルノ權利ヲ、刑事訴訟法ニ依ッテ與ヘラレテ居
  ルモノデゴザイマスカラシテ、政府ハ宜シク是等憐ムベキ罪囚ノ情ヲ恕シ、
  其侮悟ノ心ヲ察シテ一日モ早ク特赦、復權ニナランコトヲ希望スルト云フ次
  第デゴザイマス、則チ司法大臣ヲ經テ此事ノ執奏ニナッテカラ一日モ早ク
  斯ル罪囚ノ靑天白日ノ地ニ出デンコトヲ希望スルト云フ譯デゴザイマスカ
  ラドウカ諸君ハ此事ニ就イテ御贊成アリタイモノト思ヒマス、尙ホ小室君
  ハ此事ニ就イテハ贊成ノ御意見モアルヤウデゴザイマスカラ、私ハ是デ壇ヲ
  降リマス
  〔沼田宇源太君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=169

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• 170・沼田宇源太

  ○沼田宇源太君(二百六十九番)　本員ハ此案ニ對シテ簡單ニ反對ノ意見ヲ述
  ベル積デアリマス、本案ノ精神ニ於キマシテハ固ヨリ本員等モ贊成スル所
  デゴザイマシテ、本案ニ向ッテ反對ヲスルト云フコトハ甚ダ不本意ノ事柄
  デアル、サリナガラ顧ミテ見マスレバ、本案,事柄タルヤ、畏多クモ天皇陛
  下ノ御大權ニ關スル事柄デアリマスカラ、巳ムヲ得ズ本員ハ茲ニ反對ノ意見
  ヲ述べナケレバナラヌコトデアル、特赦復權ハ唯今申上ゲル迄モ待タナイ
  ガ天皇陛下ノ御大權ニ屬スル所ノコトデアッテ卽チ天皇陛下ノ至高
  至大ノ御仁愛デアルト云ハナケレバナラヌ、天皇陛下ノ御大恩ニ屬スルコ
  トヲ以テ衆議院ガ建議シテ、衆議院カラ天皇陛下ニ御注文ヲ申上ゲテ、サ
  ウシテ此特赦復權ニナツタト云フコトニナリマスレバ此恩ノ歸スル所ハ何
  レノ處ニ歸スルデゴザイマセウ、私ノ恐ルヽノハ至尊ニ屬スル所ノ至高
  至大ノ仁恩ト云フモノヲ、此立法院ガ分ツト云フヤウナ嫌ニナリハシナイカ
  ト云フヤウナコトヲ私ハ恐ルノデアル、ソレカラモウ一ツハ此建議案ニ
  依ッテ見マスレバ斯ウ云フコトガアル、罪囚ト爲ッテ以來、謹恪役ニ服シ
  既往ノ非ヲ悔悟シ、若クハ云々トアル、彼等ハ唯今如何ナル處ニ居ルデゴザ
  イマセウカ卽チ罪囚ノ人ミモアル、或ハ悔悟ノ念ヲ生ジ、至ッテ謹愼シテ
  居ルカノヤウニ本員モ信ズルデハゴザリマスルガ、衆議院如何ニ神聖ナリト
  雖モ罪因ノ徒ガ果シテ謹愼ニナッタカ、果シテ悔悟シタカト云フコトヲ、
  如何ニシテ之ヲ保證スルコトガ出來得ルデゴザイマセウ、萬一特赦復權ニナツ
  タ後ニ於キマシテ、此人ミノ中ニ未ダ悔悟セズ、未ダ謹愼ノ狀ヲ表セザルモ
  ノガアッタ場合ニハ、此衆議院ハ何ヲ以テ謝スルデゴザイマセウ、モウ一ツニ
  ハ此建議案ヲ當議會ニ於キマシテ之ヲ議決致シタト見マシタナラバ、若シ萬
  萬一ニモ當議院ノ議決シタモノヲ御裁可ニナラナカッタト云フ場合ガアツ
  タナラバ如何デゴザイマセウ、天下ノ人ハ如何ニ感ジマセウ、衆議院ハ如
  何ニモ仁恩ナル仁愛ナル建議ヲ致シタケレドモ不幸ニシテ之ヲ御裁可ニナ
  ラナカッタト云フコトニナリマスレバ、恩ハ衆議院ガ受クルデアリマセウ、
  天下ノ人衆議院ヲ德トスルコトハゴザイマセウガ、恐ラクハ御大權ニ屬スル
  事柄ニ對シテ、或ハ不滿ヲ抱ク者ガナイト云フコトハ保證スルコトハ出來ナ
  イダラウト思フ、而シテ此特赦復權ノコトハ、今日法律上ドウナッテ居ルト
  申シマスト諸君ノ御承知ノ如ク、是ハ刑事訴訟法第六編第二章第三章ニ於
  テ規定シテアル所デ、卽チ此二章、三章ニ就イテ詳ク其手續方法ヲ規定シテ
  アル成ル程司法大臣ハ此特赦復權ノコトヲ天皇陛下ニ向ツテ奏上スルコ
  トニナッテ居ルガ、其司法大臣ノ奏上スルト云フコトニ至ルハ如何ナル人
  カラ之ヲ願出シテ、サウシテ如何ナル書類ヲ添ヘテ、如何ナル方法ヲ以テ司
  法大臣ニ持ッテ往ッテ、ソレカラ司法大臣ガ之ヲ奏上スルト云フコトニナツ
  テ居ル、左樣致シテ見マスルト、假ニ此案ヲ本院デ可決シテ見タ所ガ、是ガ
  刑事訴訟法ノ今日ノ現ニ行レテ居ル所ノ手續ニ依ッテ居ナイ以上ハ司法
  大臣ト雖モ如何ニ之ヲ奏上スルコトハ出來ナイダラウト思フ、是ハ卽チ今日
  ノ法律ノ上ノ手續ニサウナッテ居ルト思フ、或ハ其法律ハ惡ルイカモ知レナ
  イガ、惡ルクテモ善クテモ、ソレハ現行ノ法律ニ定ッテ居ル、ソレデ此案ニ
  於テハ其精神ニ於テハ甚ダ嘉ミスベキコトデアルガ、本員ハ巳ムヲ得ズ玆ニ
  一言反對ノ意見ヲ述べルモノデアリマス
  〔此時發言ヲ求ムル者多シ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=170

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• 171・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　通告ノ順ガアリマスカラ-小室重弘君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=171

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• 172・小室重弘

  ○小室重弘君(二百九十六番)　長イコトデナイカラ此處デ申シマスガ、此案
  ガ初メ出マシタ時分ニ、守屋此助君ノ反對ガアリ、今又沼田君ノ反對ガアッ
  タ譯デゴザイマスガ、若シ守屋、沼田等ノ諸君ニシテ、一片ノ法律ヨリ外
  ニ、イヤ、法律ノ片ッ端ヨリ外ニ、何事モ知ラナイ三百代言ノ徒タラシメ
  バ或ハサウ云フコトガアルカモ知ラヌ、併ナガラ此特赦復權ノコトタル
  ヤ、抑〓天下ノ志士仁人ト稱セラレタル人ガ、我國ニ於テ自由ノ基礎ヲ立
  テ、民權ヲ伸張シ立憲政體ヲ造リタイガタメニ、自分ノ財產ヲ擲ッテ、生命
  ノ危キヲ顧ミズ、其正義ノ志、愛國憂世ノ意氣ハ刀鋸鼎鑊モ廿キコト飴ノ
  如シト云フ精神デアル、併ナガラ諸君······其人達ガ當時實ニ政府ノ下ニアル
  所ノ一種ノ壓制暴虐ナル政治ガ行レタタメニ、又其當時ノ裁判所ノ模樣、又
  是マデノ人ミガ裁判所ニ於テ裁判セラルヽコトヲ吾ミガ記憶シテ居ルガ、實
  ニ其寃枉ヲ解クコトガ出來ズ、其屈辱ヲ雪クコトガ出來ナクテ、淚ヲ呑シデ
  其罪ニ服シタ者モアルデゴザリマス、吾〓ハ此人達ノ當時誤ッテ刑辟ニ觸レ
  テ、而シテ今日マデ或ハ北海道ノ風雪ノ中ニ繫レテ苦役ニ服シテ居ルヲ見マ
  スレバ、其事柄ハ裁判ノ結果ニ於テハ常事犯デアルガ、明カニ是等ノ人ハ
  彼ノ私慾ノタメニ惡ルイコトヲシタ犯罪人トハ異ニシテ居ルコトハ諸君ハ
  前々ヨリ今日ニ現レタ問題デハナイ、此衆議院ニ每會現ハレタ問題デアルカ
  ラ、諸君ハ能ク御承知デアラウト思フ、私ハ法律手續ガドウデアルトカ、現
  行ノ法律ガドウデアルカト云フコトハ第二ノ問題トシテ、諸君ニシテ一片ノ
  熱血アリ、一片ノ熱淚アラシメバ、此特赦復權ニ就イテ反對ガナカラウト思
  フ、血液ノ冷カナル、腦髓ノ冷メタイ、法律ノ片ッ端ヨリ知ラナイ天下ノ
  志士仁人ノ心ヲ解セザルモノハ率ザ知ラズ、是ニ反對ヲナサルヽハ甚ダ遺憾
  ニ感ズル所デゴザイマスルガ、尙ホ申シテ見ルト天皇陛下ノ大權ニ立入ル
  モノデアルトカ云フヤウナ御論モ聽イタデゴザイマスガ今沼田君自身モ言
  ハルヽ通、私共ハ司法大臣ガ此特數復權ノ奏上ヲ爲スベキ權利ヲ明カニ法
  律ニ依ッテ與ヘラレテ居ルコトモ認メテ居ルモノデゴザイマス、旣ニ其人ノ
  悔悟シテ居ルヤ否ヤト云フコトモ分ラヌト云フ議論モアリマシタケレドモ
  私共ハ此獄中ニ在ル人ハ、誰ミハ幾箇ノ賞標ヲ持ッデ居ル、誰ミハ謹愼ヲ現ハ
  シテ居ルト云フコトハ知ッテ居ル、今此所ニ取調ベタモノハゴザリマセヌガ
  ソレハ直グニ分ルノデアリマス、決シテ吾ミガ謹愼ノ狀ヲ表シテ居ルト云フ
  コトハ想像カラ出タモノデハナイ、何卒サウ云フ冷ナ議論デナシニ、諸君ガ當
  時ノコトヲ能ク御考下スッテ、サウシテ此衆議院ノ中ニ尙ホ一片ノ正義ア
  リ一滴ノ熱血アッテ此案ヲ成立セシムルコトヲ希望スル譯デゴザイマス、
  何卒大多數ヲ以テ通過スルコトヲ諸君ニ望ム
  〔「採決」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=172

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• 173・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　採決シマス、本案ヲ可トスル者ノ起立ヲ求メマス
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=173

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• 174・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　多數ト認メマス-チヨット此際御報告申スコトガゴ
  ザイマス
  〔田中書記官朗讀〕
  特別委員左ノ通指名セリ
  作業會計法中改正法律案審査特別委員
  今西幹一郞君山田忠兵衞君淺見與一右衞門君
  久保田右作君依田道長君件直之助君
  紫藤寬治君吉富簡一君中野武營君
  狩獵免許稅徵收ニ關スル法律案審査特別委員
  福江角太郞君稻葉市郎右衞門君景山甚右衞門君
  河北勘七君大針德兵衞君髙橋小十郞君
  小幡儼太郞君坂本理一郞君岡精逸君
  罹災教助基金法案審査特別委員
  兵頭昌隆君大竹貫君田中市兵衞君
  赤松新右衞門君中村克昌君石塚重平君
  廣住久道君野口褧君武市彰一君
  會計法中改正法律案審査特別委員
  平田箴君阿部與人君厚地政敏君
  小柳卯三郞君守屋此助君櫻井義起君
  元田肇君水島保太郞君江藤新作君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=174

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• 175・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　日程第十五ハ提出者カラ今日ノ日程ヨリ引去リタイト
  云フ申出ガアリマシタガ、御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=175

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• 176・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　卽チ延期セラレタモノト認メマス、日程第十六國學院
  補助ニ關スル建議案
  第十六國學院補助ニ關スル建議案(秋山忠夫君外三名提出)
  〔左ノ建議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ茲ニ掲載ス〕
  國學院補助ニ關スル建議案
  帝國議會ハ貴族衆議兩院共ニ第九囘議會ニ於テ國學院ヲ補助スルノ建議ヲ
  爲セリ夫レ國學ヲ保存スルハ歷史上將文學上共ニ必要ニシテ駸々トシテ進
  步セル今日ニ當リ缺クヘカラサルコト亦喋々ヲ竢タスシテ明ナリ然ルニ政
  府ハ今尙議會ノ建議ニ付採否ノ如何ヲ示サヽルハ本院ノ最遺憾トスル所ナ
  リ國學院ノ補助タルヤ固ヨリ年々些少ノ金額ニシテ以テ國庫ノ財政ヲ輕重
  スルニ足ラス故ニ木院ハ更ニ此ノ建議ヲ爲シ政府ノ速ニ採用シ豫算ヲ議會
  ニ提出セムコトヲ望ゝ
  右建議ス

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• 177・小室重弘

  ○小室重弘君(二百九十六番)　御注意ヲチヨットシテ置キマスガ、今日ハ是
  ダケハ日程ヲ了ヘタイモノデゴザイマスガ、定足數ニ缺ケルヤウナコトノナ
  イヤウニ特ニ望ミマス

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• 178・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　マダ唯今ノ所デハ〓ケテ居リマセヌ、諸君成ルベク御
  辛抱ヲ願ヒマス
  〔江橋厚君演壇ニ登ル〕

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• 179・江橋厚

  ○江橋厚君(三十七番)　諸君、此國學院補助ニ關スル建議案ハ極ク簡單ナモ
  ノデゴザイマス、此案ハ第九議會ニ提出ヲ致シマシテ、諸君モ御案內ノ如ク
  大多數ヲ以テ可決致シタモノデゴザイマス、而シテ此國學院ニ對シテ補助ヲ
  スルト云フコトニ就イテノ必要ハ、私ガ今此處デクダ〓〓シク呶々喃々スル
  程ノ必要ハアルマイト存ジマス併ナガラ此國學院ニ對シテ第九議會ニ於テ
  補助スルト云フコトヲ認メマシタノハ、今日我國ノ國語、國文ト云フモノヲ大
  イニ發達ヲセシメ益〓隆盛ノ域ニ達セシムルト云フコトヲ努ムルノハ、又
  甚ダ國家ニ取ッテ必要デアラウト云フコトヲ認メラレタモノニ違ヒナイト存
  ジマス、又此國學院ノ經費ノ不足ト云フモノヲ、今日マデ補ッテ居ッタノハ
  如何ナルモノヲ以テ補足シテ置イタカト、申シマスト、彼ノ諸君モ御案內ノ
  如ク恩賜金デアル、或ハ有志金デアルト云フモノヲ以テ、其不足ヲ補ッテ居
  リマシタケレドモ、恩賜金ノ年限ハ切レ、有志金ハ費消シ去ッテ、今日デハ
  此不足ヲ償フト云フモノハナイノデアル、故ニ國庫ハ此不足ヲシテ補フト云
  コトニハ澤山ナ金ガ要ルノデハゴザイマセヌカラ、昨年第九議會ニ於テ決
  議ヲ致シタ通、政府ガ速ニ此案ヲ作ッテ本院ニ提出ヲスルト云フコトハ當リ
  前デアラウト思フ、政府モ衆議院ノ議決ヲ重ンジ、速ニ豫算ヲ編制サレテ當
  議會ニ此案ノ通過スルト云フコトヲ只管希望ニ堪ヘナイノデゴザイマス、諸
  君、幸ニ此案ノ多數ヲ以テ通過スルコトヲ希望ノ至ニ堪ヘヌノデアリマス
  〔「贊成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=179

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• 180・小室重弘

  ○小室重弘君(二百九十六番)　私ハ此案ニ贊成デゴザイマスガ、旣ニ贊成ノ
  理由ハ今盡シテアリマスカラ速ニ決ヲ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=180

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• 181・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　採決シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=181

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• 182・小西甚之助

  ○小西甚之助君(二百九十三番)　私ハ大體此案ニハ贊成ヲ致スモノデアッテ、
  旣ニ署名致シテアルノデアル、是ハ葡助ノ併行均一ヲ保ツ上ヨリシテ、玆
  贊成ヲ表シタコトデアルガ、偖テ此建議ノ文辭ヲ讀ンテ見マスト少シク全
  然同意ヲ表スルコトノ出來ナイモノガアルノデアル、是ハ事支辭ニ係リ些少
  ナコトデハアルナレドモ聊カ微意ノ存スルノハ外ノコトデハナイガ、此四
  行デアル、此四行ニ「國學院ノ補助タルヤ固ヨリ年々些少ノ金額ニシテ以テ
  國庫ノ財政ヲ輕重スルニ足ラス」ト云フ數文字デアル、卽チ算ヘテ見レバ
  三十八字デアルガ此三十八字ハ除カナケレバナラヌト私ハ考ヘルノデアル
  此事ハ唯約メテ言ッタナラバ、一万圓足ラズノ金位ノコトハ何モ國庫ノ
  輕重ニ關係スルモノデナイカラ、出シテモ宜シイデハナイカト云フヤウナコ
  トニナルノデゴザイマセウ、然レドモ戰後經營卽チ財政膨脹後ノ人民ノ負擔
  ノ多クナッテ居ルト云フ所ノ、此意思ヲ代表シテ居ル吾〓議員ノ口ヨリシテ、
  此一万圓足ラズノ金デアルカラ端シタ金デアルト言フヤウナコトハドウモ
  心ニ安ゼサル所ノモノガアルノデアル文辭ノコトデゴザリマシテ誠ニ此二
  細ナコトデゴザイマスナレドモ、此三十八文字ト云フモノヲ除イテ「故ニ本院
  ハ更ニ此ノ建議ヲ爲シ政府ノ速ニ採用シ豫算ヲ議會ニ提出セムコトヲ望ム」
  ト云フコトニ致サウト思フ、ドウカ御贊成ナラバ誠ニ滿足ナ譯デゴザイマス
  〔「贊成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=182

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• 183・工藤行幹

  ○工藤行幹君(百九十七番)　私ハ此案ニ反對デゴザイマスガ、簡單ニ述ベテ
  置キマス、此事柄ハ宜イカ知レヌケレドモ今軍備擴張トカ國家多婦トカ云
  フコトハ澤山アルノデアル然ルニ何ニモ彼ニモ國庫ノ補助、國庫ノ補助ト
  云フコトヲ何時マデモヤッテ居ルコトハ宣クナイ、依賴心パカリ多クナッテ
  宜クナイカラ、斯ノ如キモノハ廢スルト云フコトデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=183

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• 184・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　小西君ノ修正說ニハ定規ノ贊成ガゴザイマスカ
  〔「アリマス」ト呼フ者アリ「贊成々々」ノ聲起ル〕

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• 185・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　成規ノ贊成ガアルト認メマスカラ、修正說ハ成立シマ
  ス-採決シマス、修正案ニ就イテ先ヅ採決シマスガ、此「國學院ノ」ト云
  フ所カラ「輕重スルニ足ラス」ト云フ所マデ、三十八文字ヲ削除スルト云フ
  修正說ニ同意ノ諸君ハ起立ヲ求メマス
  起立者多數

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• 186・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　多數ト認メマス、唯今ノ修正ニ依ッテ削除サレタ文字
  ヲ除イテ、他ノ部分ニ就イテ決ヲ採リマス御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 187・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　卽チ可決セラレタモノト認メマス、日程第十七、會計
  法中改正法律案-元田肇君
  第十七會計法中改正法律案(元田肇君提出)第一讀會
  〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス)
  會計法中改正法律案
  明治二十二年法律第四號會計法第六條第一項ノ後ニ左ノ但書ヲ加フ
  但シ豫備費ハ款項ノ外ニ置クヘシ
  〔元田肇君演壇ニ登ル〕

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• 188・元田肇

  ○元田肇君(百十二番)　簡單ニ申上ゲマスルガ、此會計法中改正法律案ハ、
  本員ガ數年來出シテ居ルノデゴザイマシテ、餘リ頑固ナヤウデゴザイマスケ
  レドモ今一應諸君ノ御〓聽ヲ煩シタイト考ヘテ居リマス、詰リ要ハ近年ハ
  ゴザイマセヌケレドモ、此會計法ト憲法トノ釣合上カラ、剰餘金デアルト
  カ、何トカ云フモノヲ政府ガ隨意ニ使ヒ拂ヒシタ結果ガ、是ハ憲法ノ手續ニ
  合ッテル、合ッテナイト云フヤウナ議論ガ往々起リマスカラ、是ヲ今ニシテ
  サウ云フコトノ起リサウナ不備ナ點ヲ改メタイト云フコトガ、本案改正ノ目
  的デゴザイマス、デ年々歲々是ハ出シテ居ルカラ、理由ハ大抵御承知下サッテ
  アルダラウト思ヒマスシ、又會計法中改正案ヲ提出ノ理由ト書イタノデ大抵
  盡キテ居ルノデアリマス、私ハ玆ニマダ色〓案ガゴザイマスルカラ、簡單ニ
  諸君ニ請願シマスルコトハ是マデハ往々ニシテ委員會ニモ往カズシテ、此
  案ガ消滅シ居ルコトガアリマスガ、本年ハ諸君ガ寛仁大度ヲ以テカラニ責
  メテ委員會ニ附セラレテカラニ、直接ノ攻究ヲサセラルヽノ榮ヲ賜ハランコ
  トヲ切ニ祈リマス、委員會ニ於テ、政府委員ニ於テモ反對ナレバ反對ノ意見ガ
  アリ私モ虛心平氣ニ承リ、果シテ此案ガ其病ヲ醫スルコトガ出來ナケレ
  バ、自分ハ撤囘スル積デアリマス、政府委員モ出席セラルヽデアラウシ、委
  員諸君モ十分ニ說明討究ヲシタ上デ、贊否ノ決ヲ取ラルヽ樣ニ願ヒタイ、其
  時分ニ至ッテ飽マデモ自分ノ信ズルコトガ行レヌヤウナ傾デアルナラバ、撤
  囘スルコトニ至ルカ、サウデナケレバ本員ハ本員ノ信ズル所ヲ十分ニ辯明
  致シマスル積デアリマスカラ、外ニ案ガ澤山アリマスカラ、是デドウカ委員會
  ニ付セラルヽダケノ信用ヲ私ニ賜ッテ委員ニ付託セラルヽ樣ニ希望致シマス

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• 189・吉本榮吉

  ○吉本榮吉君(二百五十六番)　豫テ言フテ居ル如ク、定數ヲ缺ク恐ガアリマ
  スカラ、議長指名九名ノ委員

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=189

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• 190・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　議長指名ノ委員ニ付託スルコトニ異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 191・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　直チニ委員ヲ指名致シマス
  〔田中書記官朗讀〕
  會計法中改正法律案審査特別委員左ノ通リ指名セリ
  平田箴君阿部興人君厚地政敏君
  小柳卯三郞君守屋此助君櫻井義起君
  元田肇君水島保太郞君江藤新作君

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• 192・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　日程十八ヨリ二十二マデ併テ議題ト爲シマス
  第十八不正肥料販賣取締發布ノ請願一請願委員
  (特別報告第一號)長報告
  第十九庄內川改修ノ請願(特別報告第二號)請願委員
  (長報告
  第二十函館ニ市制ヲ施行スルノ請願熱湯は20
  (特別報告第三號)一〇一番〓
  第二十一廣島縣賀茂郡阿賀村ヲ同縣安藝郡bals
  ヘ分合ノ請願(特別報告第四號)(長報告一
  第二十二商法中會社合〓ニ關スル法規制定-(謝順委員)
  ノ請願(特別報告第五號)came
  (小室重弘君演壇ニ登ル)

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• 193・小室重弘

  ○小室重弘君(二百九十六番)　大分時間ガ後レテ居リマスカラ、細カイコト
  ハ却テ御迷惑ダラウト思ヒマスデ、第十八ノ日程ヨリ二十二マデヲ一括シテ
  御報道致シマス、請願委員會ノ結果ヲ御報道致シマス、第十八ハ埼玉縣ノ農
  業家ノ多數ノ者ヨリ出シタ請願デゴザイマシテ、不正肥料販賣取締規則ヲ發
  布シテ呉レロト云フ請願デアリマス、此請願ノ趣意ハ、近頃肥料ニ就キマシ
  テ惡漢ガ-惡ルイ肥料ノ商人ガアッテ、種々ナ混ゼ物ヲ致シ、贋物ヲ拵
  ヘ其物ノ一ツハ糠ノ肥料ヲ贗物デアル糠ノ中ニ鋸屑デ糠ヲ拵ヘ、又黃色
  イ土、或ハ白イ土ヤ何カヲ糠ノ如ク見セテヤル、ソレカラ次ソハ魚ノ締糟ノ
  中ニ、矢張惡ルイ物ヲ入レマス、ソレハ鋸屑、或ハ赤砂若クハ海草ノ類、或
  ハ麥糠、粟糠、シブキト云フヤウナ木ノ皮ヲ糠トシタモノガアル是等ハ現
  ニ請願者其他ノ紹介議員諸君が、其現品ヲ請願委員會ニ持ッテ來テ、私共親シ
  ク手ニ取ッテ之ヲ見マシタ諸君ガ御參考ノタメニ御覽ニナルナラバ請願委
  員會ニ其現物ガゴザイカマスカラ-如何ニニモ上手ニ能ク出來テ居ル、是
  等ノ物ヲ農家ガ欺カレテ-此奸商ニ欺カレテ、サウシテ使ッテ見レバ、却テ
  其田園ニ大害ヲ殘シテ、沃土ガ-土地ガ惡ルクナルト云フヤウナ譯デアリ
  マスル、因テ是等ノ肥料ノ奸商ヲ取締ル所ノ、ドウ云フ規則デモ取締ノ法ヲ
  設ケテ貰ロタイト云フ請願デゴザイマス、卽チ請願委員會ハ之ヲ院議ニ附ス
  ベキモノト認メテ、玆ニ報〓致シマス次ハ庄內川改修ノ請願、是ハ愛知縣
  春日井郡、其他ノ各郡町村長等ノ四郡百二十六箇町村ヨリ出マシタ請願デア
  リマスガ、此請願ハ昨年ノ第九議會ニモ既ニ報告ヲシテ通過シテ居リマス請
  願デアリマス、大體ヲ言フト庄內川ト云フ川ハ、岐阜縣ノ惠那郡ノ山中ヨ
  リ流レ、サウシテ尾張國ニ這入ッテ、東春日井、西春日井、愛知、海東等ノ
  諸郡ヲ經テ海ニ注グ川デアリマス、此河ノ一種ノ性質トシテハ砂ガ年々歲々
  溜ツテ參ルノデ、段々川床ガ高クナッテ、サウシテ是ニ堤防ノ嵩置工事ヲシ
  テ人力ト天然ト競爭スルト云フヤウナ有樣デ、今日マデ來ッテ居リマス、昨
  年秋ノ大洪水ノ時ニハ、此川ノ堤防ガ決潰シタタメニ、百二十六箇町村人民ガ
  非常ナ災害ヲ被ッタ譯デゴザイマス此川ノタメニ害ヲ被ルコトヽ云フモノ
  ハ殆ド此二十年間-過去ノ二十年間ニ五百万圓カラノ損害ヲ被ッテ居ル
  ト云フ譯デ、サウ云フ譯デゴザイマスカラ、愛知縣ノ縣會ハ此事ニ就イテ
  現ニ前年內務省ニ向ッテ、此川ヲドウゾシテ治メル治水策ヲ施シテ貫ヒタイ
  ト云フコトヲ內務省ニ建議ヲ致シテゴザイマス、又是等ノ各郡カラモ、孰モ
  郡會等ノ決議ヲ以テ建議ヲ致シ、或ハ請願ガシテアル譯デゴザイマス、貴族
  院ガ第三議會ノ時ニ始テ此請願ガ貴族院ニ可決セラレ、ソレカラ第五、第六、
  第八、第九ノ貴族院ニ於テ可決セラレテ居リマス、殊ニ第八議會デゴザイマ"
  シタカ、此請願ニ就イテハ政府ノ囘答ヲ求メマシタヤウナ譯デゴザイマス
  カラ、何卒昨秋ノ害ニ依ッテ非常ナ損害ヲ被ムッタ譯デアリマスカラ、何レ
  トモ此川ノ治水策ヲ立テヽ貫ヒタイト云フノデ、請願委員會モ至當ナモノト
  認メテ是モ院議ニ付スルコトニ致シマシタ其次第ハ函館ニ市制ヲ施行ス
  ルノ請願デアリマス是ハ函館區ノ人民ヨリ、數百人ヨリ提出シタ請願デゴ
  ザイマスガ、其要ヲ言ヘバ今日函館ニ行ッテアル所ノ制度ハ、自カラ内地ノ
  自治制ト違ッテ、卽チ明治十二年ニ定メマシタ此舊法デアル所ノ區制ト云フ
  モノガ行ッテアル譯デアリマス併ナガラ今日函館ノ發達ヲ見レバ、明治十
  一年頃ニアッテハ人口ガ僅ニ三万人ニ過ギナカッタモノガ、殆ド今日ハ一
  倍シテ七万以上ニモナッテ居ル、又目下巨額ナ市債ヲ投ジテ、此築港等ヲ致シ、
  或ハ又海面ノ埋立ヤ道路ノ改修、若クハ水道下水工事ト云フヤウナモノガ、
  著々市ノ組織トシテ發達ヲシテ往ク譯デアッテ、餘程此舊制度ヲ以テ支配サ
  レテハ函館市ヲ發達サセル所以デナイカラ、此函館ノ市ニ向ッテ區制ヲ廢
  シテ、內地ト同ジク市制ヲ布イテ貰ヒタイト云フ請願デゴザイマス、是モ至
  當ナル請願トシテ院議ニ付スルコトニ委員會ハ決定致シマシタ、其次ニ第
  二十一ハ紹介者等カラ御相談ガゴザイマシテ、暫ク延期ヲ致スコトニシテゴ
  ザイマスカラ、今日ノ日程ヨリ削ラレンコトヲ希望スルノデアリマス、仕舞
  ノ第二十二ハ商法中會社合併ニ關スル法規制定ノ請願、是ハ全國ノ各地ノ商
  業會議所頭取カラ此院ニ出シタモノデアリマス、其要ヲ言ヒマスト、今日行
  レテ居ル商法中ニ會社ノ合併ニ關スル規定ト云フモノガナイソレデアルカ
  ラ或會社ガ-甲ノ會社ガ乙ノ會社ニ合併シヤウト云フ時ニハ一方ノ會社
  ハ解散ノ手續ヲ行ハナケレバナラヌ、サウシテ又一方ノ會社デハ增資ヲスル
  ト云フヤウナ手續ヲ行ッテ往カナケレバナラヌ、サウナルト卽チ其會社ノ解〓
  ニ就イテハ、精算ヤ色ミナ商法ノ百三十條ノ手續ヲ總テ行ッテ往カナケレバナ
  ヲヌ、ソレデモ宜イケレドモ、例ヘバ運輸業デアルトカ、鐵道業デアルトカ、
  海運業デアルトカ云フヤウナモノニナルト、サウ云フ手續ヲ行ッテ往クガタメ
  ニ事業ガ中斷シタリ妨ゲラレタリスル譯デアル、旣ニ銀行ニハ銀行合併法
  ト云フモノガ交付サレテ居テ、銀行ノ手續ハ甚ダ宜イケレドモ普通ノ商法
  ノ會社ニ於テ此事ノナイノハ實ニ商法ノ不備トスル所デアルニ依ッテ、之
  ヲ合併ノ法ヲ設定サレンコトヲ希望スルト云フ請願デゴザイマス、是モ亦院
  議ニ付スベキモノト決定シタ譯デゴザリマス、極ク其要ヲ述ベテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=193

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• 194・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　第二十一ヲ本日ノ日程カラ除クコトニ就イテハ、異議
  ハゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=194

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• 195・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　然ラバ除キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=195

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• 196・福田久松

  ○福田久松君(百五十番)　其十八ノ日程ハ私ガ紹介ヲ致シマシタデゴザイマ
  スソレニ就イテ此議席カラ極ク簡單ニ少シ自分ノ意見ヲ申上ゲタイノデア
  リマス、御疲レデゴザイマセウカラ長イコトハ申シマセヌガ、極ク簡單ニ申上
  ゲマスルガ、此肥料ト申スト、重ニ糠ト締粕デゴザイマスガ、近頃此不正ナ雜
  物ヲ混ゼテ販賣スルト云フコトガ非常ニ流行ルノデゴザイマス、昔ハ糠ニモ
  成ル程麥糠デアルトカ粟ノ糠デアルトカ云フモノハ混ゼ來ッタノデアリマ
  ス、近頃ハソンナ物ハトント混ゼヌノデ、重モニ砂、木皮、木屑ト云フ樣ナ物デ
  アリマス、ソレデ唯申上ゲテ置キタイト申スノハ別デハゴザイマセヌガ、
  此不正物ノ値段ト、ソレカラ主務省ノ意向ト云フコトニ就イテ、私ハ希望ヲ
  申ゲタイ、ソレデ通常糠ト云フモノハ一圓ニ十一貫目アッテ、其枡數ハ七
  斗アル、ソレデ是ハ手搗キ糠ト云フノデ、ソレカラ水車、火車ト云フヤウナ
  モノデ、砂ヲ混ゼテ機械デ搗クノハ一圓ニ十四貫目デ、其枡數ハ六斗五升
  デアル、是ニ混ゼル不正物ハ、木ノ皮屑或ハ砂デゴザイマスガ、木ノ皮ヲ混
  ゼルモノハ一圓ニ就イテ三十貫目、枡數ハ四石デアリマス、ソレカラ砂ト云
  フモノハ一圓ニ五十貫目アッテ、此枡數ハ一石二斗デアル、斯ウ云フモノガ
  今專賣商法人ガ出來テ居ッテ、ソレデ糠屋ヘ行ッテ之ヘ混ゼテ肥料ヲ拵ヘル
  ト云フ今日ノ有樣デゴザイマス、委イコトハ申シマセヌガ、ソレヲ一應御聽
  置ヲ願ヒマスソレカラ此主務省ヘ問合セマスルト、主務省モ此事ハ非常ニ
  感ジテ仄ニ聞ク所デハ、法案ガ二ツ脫稿シテ居ルト云フコトデアル、精密ナ
  取締法案ト、モウ一ツハ勅令デ暫時取締ヲシテ見ヤウカ、若クハ暫時警察令デ
  取締ッテ見ヤウカ、此二ツノ案ガ出來テ居ルト云フコトヲ仄ニ聞イテ居ル、何
  故之ヲ實行シナイカト云フト農商務省デハ是非此法律ヲ立派ナ法律トシ
  テ、立派ナ取締ヲシテ見タイト云フ主務省ノ意見デアルト承ッテ居リマス、
  何故ツレデハ其法律ノ出來テ居ルモノヲ、今此議會ヘ提出セヌカト云フコト
  ヲ仄ニ聞イテ見マスルト其法律ヲ實施スルニハ、卽チ今日亞米利加抔デ實
  施シテ居ル方法デゴザイマスガ、技師ガ少ナイ、技師ガ少クテ、此目下ノ
  急ニ迫ッテ居ルケレドモ、議案モ出來テ居ルケレドモ、此法律案ヲ出スコト
  ガ出來ナイト云フコトデアルサウデゴザイマス、ドウカ是ニ就イテハ技師ガ
  ナイノナラバ仕樣ガナイカラ、目下ノ焦眉ヲ救フガタメニハ勅令デモ宜
  シ警察令デモ宜イカラ、其技師ノ出來ルマデハ間ニ合セノ取締法ヲ出シ
  テ貫ヒタイト云フ私ノ意見、又私共ノ地方抔ノ意見デアリマス、此事ハ當局
  者ニモ速記ヲ見テ貫ッテ技師ノ出來ルマデハ不十分ノモノデモ宜イカラ、
  假ノ取締法デモ宜イカラ出シテ貰セタイト云フコトヲ一言殊更ニ申シテ置キ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=196

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• 197・田中鳥雄

  ○田中島雄君(二百九番)　時間モ切迫シテ居リマスルカラ長クハ申シマセ
  ガ、私ハ日程十八ノ不正肥料販賣取締法發布ノ請願ニ就イテ、之ヲ當議會デ
  議決スルノハ反對デアリマス、實ハ請願委員會デモ十分御調査ノ上デ、此處
  ヘ御出シニナルモノハ成ルベク贊成シヤウトハ思ッテ居リマスガ、此事抔ニ
  就キマシテハドウモ私ハ贊成ガ出來マセヌ、唯今委員長ノ報告竝ニ紹介議
  員某氏ヨリシテ色々御辯明モアリマシテ、私ニ於テハ決シテ其不正ナコト
  ヲシテ宜イト云フ譯デハナイ、不正ナコトハ是非取締リタイ、併ナガラ一般
  法律ヲ以テ非常ナル所ノ不正ヲスレバ、取締法ト云フモノガアル、モウ一步
  ヲ轉ジマシテ考ヘマスルト、云フト效用ノナイ肥料ヲ賣ル者ガアッテモ全
  ク效用ガナケレバソレヲ買フ者ガナイ、ソレヲ買フト云フノハ矢張其買フ
  方ガ不注意デアリマス、詰リ是ハ商賣上ノコトデゴザイマスカラ、成ルタケ
  善良ナモノヲ拵ヘテ賣ラウト云ッテスルガ正當ノ商人、其正當ナ商人ヲ、正
  當ナモノガ相手ニシサヘスレバ差支ナイ、萬一良クナイコトガアルカラ
  取締ヲ付ケヤウト云フト、試ニ酒屋デ酒ヲ賣リマスニ、必シモ水ヲ混ゼル、
  或ハ今糠ニ、締粕ニ不正ナモノガアルト言ヒマスガ、ソレハ全ク何程ガ不正
  ナモノガアルデゴザイマセウガ、最モ肥料ニ重大ナル所ノ北海道ノ鯡抔ハ、
  必シモ何程カ砂ヲ混ゼル、北海道デ荷造リスルトキニ問屋デ混ゼル、又東京
  ニ來テ問屋デ混ゼル其混ゼル所ノ程度ニ於テ、ナカ〓〓是ガ取締法ヲ立ッ
  テ區分スルト云フノハ容易ナ譯デハナイ、ダカラ私ノ考ヘル所ハ、斯ウ云フ
  コトハ、決シテ此法律ヲ以テ、議會デ以テ取締法ナンドヲ作ルヤウナ重大ナ
  コトデナクテ其地方限リ其營業者ニ於テソレ〓〓注意ヲシテ取締ノコト
  ヲシサヘスレバ十分屆クモノト思ヒマス、是ハ反對シテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=197

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• 198・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　採決致シマス、日程第十八ニ就イテ先ヅ採決致シ
  ×、採擇スベシト云フコトニ同意ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
  起立者多數

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• 199・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　多數ト認メマス、第十九、庄內川改、修ノ請願、是モ採
  拜ハベシト云フコトニ同意ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=199

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• 200・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　多數ト認メマス、日程第二十、函館ニ市制ヲ施行スル
  ノ請願-採擇スベシト云フコトニ同意ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=200

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• 201・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　多數ト認メマス、二十一ハ延期ニナッテ居リマスカ
  ラ、二十二ニ就イテ採決致シマス、是モ採擇スベシト云フコトニ同意ノ諸君
  ノ起立ヲ求メマス
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=201

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• 202・鳩山和夫

  ○議長(鳩山和夫君)　多數ト認メマス、明日ハ議案ノ都合ニ依ッテ休會致シ
  マシテ、明後日開會スルコトニナリマス、日程ハ追テ書面ヲ以テ御通知致シ
  マス-散會
  午後五時三分〓會
  衆議院議事速記錄第十二號正誤
  頁段行誤正頁段行誤正
  一二九下三一二十八名二十九名一三二上一四公賣贖買
  一三二上三彼ノ他ノ一四上五百二十一万百貳拾萬

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X01318970224&spkNum=202

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