1. 会議録本文
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000・会議録情報
明治三十三年二月七日(水曜日)
午前十時十八分開議
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議事日程 第十八號 明治三十三年二月七日
午前十時開議
第一 土地收用法案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第二 右議案の審査を付託すへき特別委員の選舉
第三 郵便爲替法案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第四 右議案の審査を付託すへき特別委員の選舉
第五 電信法案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第六 右議案審査を付託すへき特別委員の選舉
第七 郵便法案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第八 右議案の審査を付託すへき特別委員の選舉
第九 鐵道船舶郵便法案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第十 右議案の審査を付託すへき特別委員の選舉
第十一 衆議院議員選舉法改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第十二 右議案の審査を付託すへき特別委員の選舉
第十三 法人に於て租税及葉煙草專賣に關し事犯ありたる場合に闕する法律案(政府提出) 第一讀會の續(特別委員長報告)
第十四 鑛業條例中改正法律案(政府提出衆議院回付) 會議
第十五 民法施行法中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會の續(特別委員長報告)
第十六 韓國京釜鐵道速成に關する建議案(子爵岡部長職君外二名發議) 會議
第十七 帝國教育會國庫補助に關する建議案(子爵長岡護美君外四名發議) 會議
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=0
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001・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 是ヨリ報告ヲ致シマス
〔小原書記官朗讀〕
一昨五日本院ニ於テ可決シタル左ノ諸案ハ卽日內閣總理大臣ヲ經由シテ裁
可ヲ奏請シ及可決ノ旨衆議院ニ通知セリ
政府提出
飮食物其ノ他ノ物品取締ニ關スル法律案
賣藥規則中改正法律案
衆議院提出
商法中署名スヘキ場合ニ關スル法律案
同日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出案ハ卽日衆議院ニ送付セリ
明治二十九年法律第九十二號廢止法律案
會計檢査院法中改正法律案
同日本院ニ於テ修正議決シタル左ノ政府提出案ハ卽日衆議院ニ送付セリ
船舶檢査中改正法律案
會計檢査官懲戒法案
同日子爵長岡護美君、子爵鍋島直彬君、辻新次君、男爵南岩倉具威君、野
崎武吉郞君ヨリ百十一名ノ贊成ヲ以テ帝國〓育會國庫補助ニ關スル建議案
ヲ發議セラレタリ
同日本院ニ於テ判決シタル荒野由次郞君選擧爭訟ノ件ハ卽日其ノ議決謄本
ヲ原告及被告ニ送達セリ
昨六日左ノ衆議院提出案ヲ受領セリ
東京市ニ關スル法律案
重要物產同業組合法案
殖林ノ爲設定シタル地上權登記ニ關スル法律案
蟲害地地租特別處分法案
委員長副委員長左ノ通當選セラレタリ
保險業法案特別委員會
委員長公爵德川家達君副委員長男爵尾崎三良君
府縣郡町市村其ノ他ノ公共〓體ノ所有地免租ニ關スル法律案特別委員會
委員長伯爵正親町實正君副委員長松岡康毅君
蠶種檢査法改正法律案特別委員會
委員長村田保君副委員長伯爵大原重朝君
裁判所設立及管轄區域變更ニ關スル法律案特別委員會
委員長男爵渡邊〓君副委員長關義臣君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=1
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002・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 是ヨリ本日ノ日程ニ移リマス、土地收用法案、
政府提出、衆議院送付、第一讀會
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲玆ニ載錄ス以下之ニ同シ〕
土地收用法案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治三十三年二月三日衆議院議長片岡健吉
貴族院議長公爵近衛篤麿殿
土地收用法
第一章總則
第二章事業ノ準備
第三章事業ノ認定
第四章收用ノ手續
第五章收用審査會
第六章損失ノ補償
第七章收用ノ效果
第八章費用ノ負擔
第九章監督、强制及罰則
第十章訴願及訴訟
附則
土地收用法
第一章總則
第一條公共ノ利益ト爲ルヘキ事業ノ爲之ニ要スル土地ヲ收用又ハ使用ス
ルノ必要アルトキハ其ノ土地ハ本法ノ規定ニ依リ之ヲ收用又ハ使用スル
コトヲ得
本法ニ於テ使用ト稱スルハ權利ノ制限ヲ包含ス
第二條土地ヲ收用又ハ使用スルコトヲ得ル事業ハ左ノ各號ノ一ニ該當ス
ルモノナルコトヲ要ス
-國防其ノ他軍事ニ關スル事業
二官廳又ハ公署建設ニ關スル事業
三〓育、學藝又ハ慈善ニ關スル事業
四鐵道、軌道、道路、橋梁、河川、堤防、砂防、運河、用惡水路、溜池、船渠、
港灣、埠頭、水道、下水、電氣機、瓦斯燈又ハ火葬場ニ關スル事業
五衛生、測候、航路標識、防火、水害豫防其ノ他公用ノ目的ヲ以テ國府縣
郡市町村其ノ他公共團體ニ於テ施設スル事業
第三條本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ規定シタル起業者ノ權利義務
ハ事業ト共ニ其ノ承繼人ニ移轉ス
第四條本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ノ規定ニ依リ爲シタル手續其ノ
他ノ行爲ハ起業者、土地所有者又ハ關係人ノ承繼人ニ對シテモ其ノ效力
手財、
第五條本法ニ於テ土地所有者ト稱スルハ收用又ハ使用スヘキ土地ノ所有
者ヲ謂フ
本法ニ於テ關係人ト稱スルハ收用又ハ使用スヘキ土地ニ關シテ權利ヲ有
スル者ヲ謂フ
第十九條ノ地方長官ノ公告又ハ通知ノ後其ノ土地ニ關シテ權利ヲ取得シ
タル者ハ關係人ト看做サス但シ既存ノ權利ヲ承繼シタル者ハ此ノ限ニ在
ラス
第六條本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ規定シタル期間ノ計算法、通
知ノ方法及書類ノ送達ニ關シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第七條本法ノ規定ハ水ノ使用ニ關スル權利其ノ他土地ニ關スル所有權以
外ノ權利ノ收用又ハ使用ヲ爲ス場合ニ之ヲ準用ス
第八條本法ノ規定ハ土地ニ屬スル土石砂礫ノ收用ヲ爲ス場合ニ之ヲ準用
ス
第二章事業ノ準備
第九條事業ノ準備ノ爲必要アルトキハ起業者ハ事業ノ種類及立入ルヘキ
土地ノ區域ヲ定メ地方長官ノ許可ヲ得テ土地ニ立入リ測量又ハ檢査ヲ爲
スコトヲ得但シ此ノ場合ニ於テ帝室又ハ國ノ起業ニ係ルトキハ宮內大臣
又ハ主務大臣ハ之ヲ地方長官ニ通知スヘシ
地方長官前項ノ許可ヲ與ヘ又ハ通知ヲ受ケタルトキハ起業者、事業ノ種
類及立入ルヘキ土地ノ區域ヲ公告シ又ハ之ヲ其ノ土地占有者ニ通知スヘ
シ
第十九條ノ地方長官ノ公告又ハ通知ノ後起業者カ事業ノ準備ノ爲其ノ土
地ニ立入リ測量又ハ檢査ヲ爲ス場合ニ於テハ本條ノ許可又ハ通知ヲ要セ
ス
第十條前條ノ場合ニ於テハ起業者ハ立入ルヘキ日ヨリ五日前ニ其ノ日時
及場所ヲ市町村長ニ通知スヘシ市町村長ハ之ヲ公告シ又ハ其ノ土地占有
者ニ通知スヘシ
邸宅ニ立入ル場合ニ於テハ起業者ハ豫ノ其ノ占有者ニ通知スヘシ
日出前日沒後邸宅ニ立入ル場合ニ於テハ起業者ハ特ニ行政廳ノ許可ヲ受
クヘシ
第十一條第九條ノ規定ニ依ル測量又ハ檢査ノ爲必要アルトキハ起業者ハ
行政廳ノ許可ヲ得テ障害物ヲ除却スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ障害物ノ除却ヲ爲ス場合ニ於テハ起業者ハ三日前ニ其
ノ所有者及占有者ニ通知スヘシ
第三章事業ノ認定
第十二條土地ヲ收用又ハ使用スルコトヲ得ル事業ハ內閣之ヲ認定ス但シ
軍機ニ關スル事業ハ此ノ限ニ在ラス
第十三條起業者カ内閣ノ認定ヲ受ケムトスルトキハ事業計畫書及圖面ヲ
添へ地方長官ヲ經由シテ內務大臣ニ申請スヘシ內務大臣ハ之ヲ審査シ內
閣ニ提出スヘシ
帝室又ハ國ノ起業ニ係ルトキハ宮内大臣又ハ主務大臣ハ事業計畫書及圖
面ヲ添ヘ内務大臣ニ協議ヲ爲シ之ヲ內閣ニ提出スヘシ
第十四條內閣カ認定ヲ爲シタルトキハ起業者、事業ノ種類及起業地ヲ公
告スヘシ
第十五條天災事變ニ際シ急施ヲ要スル事業ノ爲土地ヲ使用スルトキハ郡
市長ハ其ノ事業ノ認定ヲ爲スコトヲ得
前項ノ使用ノ期間ハ六箇月ヲ超ユルコトヲ得ス
軍事上臨時急施ヲ要スル事業ノ爲土地ヲ使用スルトキハ主務大臣ハ使用
スヘキ土地ノ區域ヲ郡市長ニ通知スヘシ
第十六條起業者カ郡市長ノ認定ヲ受ケムトスルトキハ事業ノ種類、使用
スヘキ土地ノ區域及使用ノ期間ヲ定メ郡市長ニ申請スヘシ
第十七條郡市長カ認定ヲ爲シタルトキハ起業者、事業ノ種類、使用スヘ
キ土地ノ區域及使用ノ期間ヲ土地所有者及占有者ニ通知スヘシ
郡市長カ第十五條第三項ノ通知ヲ受ケタルトキハ使用スヘキ土地ノ區域
ヲ土地所有者及占有者ニ通知スヘシ
第十八條起業者カ内閣ノ認定ノ公告ノ後三箇年內ニ第十九條ノ申請ヲ爲
ササルトキハ其ノ認定ハ効力ヲ失フ
第四章收用ノ手續
第十九條內閣ノ認定ノ公告ノ後起業者ノ申請ニ依リ地方長官ハ收用又ハ
使用スヘキ土地ノ細目ヲ公告スヘシ
軍機ニ關スル事業ニ付テハ主務大臣ハ地方長官ニ收用又ハ使用スヘキ土
地ノ細目ヲ通知シ地方長官ハ之ヲ土地所有者及關係人ニ通知スヘシ
第二十條前條ノ地方長官ノ公告又ハ通知ノ後ハ起業者ハ其ノ土地ニ立入
リ土地物件ヲ調査スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ起業者ハ立入ルヘキ日ヨリ三日前ニ其ノ日時及場所
ヲ其ノ土地占有者ニ通知スヘシ
日出前日沒後ハ占有者ノ承諾アルニ非サレハ邸宅ニ立入ルコトヲ得ス
第二十一條第十九條ノ地方長官ノ公告又ハ通知ノ後起業者カ必要ト認ム
ルトキハ土地所有者又ハ關係人ト共ニ土地物件ニ關スル調書ヲ作ルコト
ヲ得
前項ノ場合ニ於テ土地所有者又ハ關係人カ調書ヲ作ルコトヲ拒ミタルト
キハ起業者ハ市町村長ノ立會ヲ以テ之ヲ作ルコトヲ得但シ市町村長カ起
業者ナルトキ又ハ起業者ニ對シ第四十條第二項ニ揭ケタル關係ヲ有スル
トキハ此ノ限ニ在ラス
土地所有者又ハ關係人カ調書ノ必要ヲ認メタルトキハ前二項ノ規定ヲ準
用ス
起業者、土地所有者及關係人ハ本條ノ規定ニ依リ作リタル調書ノ記載事
項ニ對シテ異議ヲ述フルコトヲ得ス
第二十二條第十九條ノ地方長官ノ公告又ハ通知ノ後起業者ハ其ノ土地ニ
關スル權利ヲ取得スル爲土地所有者及關係人ニ協議ヲ爲スヘシ
前項ノ協議調ハサルトキ又ハ協議ヲ爲スコト能ハサルトキハ起業者ハ收
用審査會ノ裁決ヲ求ムルコトヲ得
第二十三條收用審査會ノ裁決ヲ求メムトスルトキハ起業者ハ其ノ申請書
ニ左ニ揭ケタル書類ヲ添ヘ地方長官ニ差出スヘシ但シ軍機ニ關スル事業
ニ付テハ事業計畫書及圖面ヲ添フルコトヲ要セス
一事業計畫書及圖面
二市區町村別ニ左ニ揭ケタル事項ヲ記載シタル書類
收用又ハ使用スヘキ土地ノ番號、地目
收用又ハ使用スヘキ土地ノ面積及其ノ土地ニ在ル物件ノ種類、數
量但シ土地物件カ分割ヲ來スヘキ場合ニ於テハ其ノ全部ノ面積建
坪等ヲ併記スヘシ
損失補償ノ見積金額及內譯
收用ノ時期又ハ使用ノ時期、期間
土地所有者及關係人ノ氏名、住所
收用審査會ノ裁決ヲ求メタルトキハ起業者ハ同時ニ土地所有者及關係人
ニ通知スヘシ
第二十四條前條ノ書類ヲ受ケタルトキハ地方長官ハ之ヲ市町村長ニ下付
スヘシ市町村長ハ豫メ公告ヲ爲シ一週間之ヲ公衆ノ縱覽ニ供スヘシ
第二十五條土地所有者及關係人ハ前條縱覽期間ノ初日ヨリ二週間內ニ地
方長官ニ意見書ヲ差出スコトヲ得
第二十六條地方長官ハ前條ノ期間ヲ經過シタル後收用審査會ヲ開クヘシ
第二十七條收用審査會ハ開會ノ日ヨリ一週間內ニ裁決ヲ爲スヘシ但シ地
方長官ハ必要ト認ムルトキハ二週間內ノ延期ヲ爲スコトヲ得
第二十八條收用審査會カ前條ノ期間内ニ裁決ヲ爲ササルトキハ地方長官
ハ事情ヲ具シ內務大臣ノ指揮ヲ請フヘシ內務大臣ハ收用審査會ニ一定ノ
期間內ニ裁決ヲ爲スヘキコトヲ命シ又ハ之ニ代テ裁決ヲ爲スヘキコトヲ
地方長官ニ命スルコトヲ得
收用審査會カ前項ノ期間內ニ裁決ヲ爲ササルトキハ地方長官ハ之ニ代テ
裁決ヲ爲スヘシ
第二十九條收用審査會カ招集ニ應セス又ハ成立セサルトキハ地方長官ハ
內務大臣ノ認可ヲ得テ之ニ代テ裁決ヲ爲スコトヲ得事業ノ急施ヲ要スル
トキ亦同シ
第三十條收用審査會カ裁決ヲ爲シタルトキハ其ノ裁決書ノ謄本ヲ添ヘ
地方長官ニ報告スヘシ
第三十一條前條ノ報告ヲ受ケ又ハ收用審査會ニ代テ裁決ヲ爲シタルトキ
ハ地方長官ハ裁決書ノ謄本ヲ起業者、土地所有者及關係人ニ送達スヘシ
第三十二條軍機ニ關スル事業又ハ內閣ノ認定シタル事業ノ施行ニ因リテ
必要ヲ生シタル道路、堤防其ノ他公用ニ供スル工作物ノ新築、改築又ハ
增築ノ爲土地ヲ收用又ハ使用スルトキハ地方長官ノ許可ヲ得テ直ニ本章
ノ規定ニ依ルコトヲ得
第三十三條郡市長カ認定ヲ爲シ又ハ第十五條第三項ノ通知ヲ受ケタルト
キハ第十七條ノ通知ノ後起業者ヲシテ直ニ其ノ土地ヲ使用セシムルコト
ヲ得但シ損失ノ補償ニ關シテハ本法ノ規定ニ依ルヘシ
第三十四條起業者カ第十九條ノ地方長官ノ公告又ハ通知ノ後一箇年內ニ
收用審査會ノ裁決ヲ求メサルトキハ其ノ公告又ハ通知ハ效力ヲ失フ
第五章收用審查會
第三十五條收用審査會ハ內務大臣ノ監督ニ屬シ左ニ揭ケタル事項ヲ定メ
テ收用又ハ使用ノ裁決ヲ爲スモノトス
-收用又ハ使用スヘキ土地ノ區域
二損失ノ補償
三收用ノ時期又ハ使用ノ時期、期間
起業者ノ申請カ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ノ規定ニ違反スルトキ
ハ收用審査會ハ却下ノ裁決ヲ爲スヘシ
第三十六條收用審査會ハ會長一人委員六人ヲ以テ之ヲ組織ス
第三十七條會長ハ地方長官ヲ以テ之ニ充ツ議事其ノ他ノ會務ヲ統理シ會
ヲ代表ス
第三十八條委員ハ高等文官及府縣名譽職參事會員各三人ヲ以テ之ニ充ツ」
高等文官ニシテ委員タルヘキ者ハ內務大臣之ヲ命シ府縣名譽職參事會員
ニシテ委員タルヘキ者ハ其ノ互選トス
第三十九條收用審査會ハ委員半數以上出席スルニ非サレハ會議ヲ開クコ
トヲ得ス
收用審査會ノ議事ハ過半數ヲ以デ決ス可否同數ナルトキハ會長ノ決スル
所ニ依ル
第四十條委員カ起業者、土地所有者又ハ關係人ナルトキハ收用審査會
ノ議事ニ參與スルコトヲ得ス
委員カ起業者、土地所有者若ハ關係人ノ配偶者、四親等內ノ親族、戶主、
代理人及保佐人ナルトキ又ハ起業者、土地所有者若ハ關係人タル市町村
ノ市參事會員、町村長、合名會社ノ社員、合資會社及株式合資會社ノ無
限責任社員、株式會社ノ取締役及監査役其ノ他法人ノ理事及監事ナルト
キ亦前項ニ同シ
本條ノ規定ニ依リ委員ノ數減少シテ前條第一項ノ數ヲ得サルトキハ地方
長官ハ左ニ揭ケタル順序ニ從ヒ其ノ本條ノ規定ニ牴觸セサル者ノ內ヨリ
臨時ニ指名シテ之ヲ補充スヘシ
-府縣名譽職參事會員
二府縣名譽職參事會員ノ補充員
三府縣會議員
第四十一條收用審査會ノ裁決ハ起業者、土地所有者及關係人ノ申立タル
範圍ヲ超ユルコトヲ得ス
第四十二條收用審査會ハ必要ト認ムルトキハ鑑定人ヲ選ヒ其ノ意見ヲ聽
クコトヲ得
前項ノ鑑定人ニ付テハ第四十條ノ規定ヲ準用ス
第四十三條收用審査會ハ必要ト認ムルトキハ起業者、土地所有者又ハ關
係人ヲ呼出シ其ノ意見ヲ聽クコトヲ得
收用審査會ハ事實參考ノ爲必要ト認ムルトキハ收用又ハ使用スヘキ土地
以外ノ土地所有者ヲ呼出シ其ノ供述ヲ聽クコトヲ得
第四十四條裁決ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ會長及委員之ニ署
名捺印スヘシ
裁決書ノ謄本ニハ會ノ印章ヲ押捺スヘシ
第四十五條鑑定人及事實參考人ハ旅費及手當ヲ請求スルコトヲ得
第四十六條二府縣以上ニ涉ル事業ニ係ルトキハ關係地方長官ハ勅令ノ定
ムル所ニ從ヒ合同シテ收用審査會ヲ開クコトヲ得
第六章損失ノ補償
第四十七條土地所有者及關係人ノ受クル損失ハ起業者之ヲ補償スヘシ
損失ノ補償ハ各人別ニ之ヲ爲スヘシ但シ其ノ各人別ニ見積リ難キトキハ
此ノ限ニ在ラス
第四十八條收用スヘキ土地物件ニ付テハ相當ノ價格ニ依リ其ノ損失ヲ補
償スヘシ
使用スヘキ土地ニ付テハ其ノ土地及近傍類地ノ料金ニ依リ其ノ損失ヲ補
償スヘシ
第四十九條土地ノ一部ヲ收用又ハ使用スルニ因リテ殘地ノ價格ヲ減シ其
ノ他殘地ニ關シ損失ヲ生スヘキトキハ其ノ損失ヲ補償スヘシ
第五十條土地ノ一部ヲ收用スルニ因リテ殘地ヲ從來用ヰタル目的ニ供
スルコト能ハサルトキハ土地所有者ハ其ノ全部ノ收用ヲ請求スルコトヲ
得
第五十一條收用又ハ使用スヘキ土地ニ在ル物件ハ移轉料ヲ補償シテ移轉
セシムヘシ但シ物件ノ分割ヲ來シ其ノ全部ヲ移轉スルニ非サレハ從來用
ヰタル目的ニ供スルコト能ハサルトキハ所有者ハ其ノ全部ノ移轉料ヲ請
求スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ物件ヲ移轉スルニ因リテ從來用ヰタル目的ニ供スルコ
ト能ハサルトキハ所有者ハ其ノ收用ヲ請求スルコトヲ得
第五十二條前條ノ移轉料ニシテ其ノ物件ノ相當價格ヲ超ユル場合ニ於テ
ハ起業者ハ其ノ收用ヲ請求スルコトヲ得
第五十三條土地ヲ收用又ハ使用スルニ因リテ通路、溝渠、墻柵等ノ新築、
改築、增築又ハ修繕ヲ爲ス必要ヲ生スルトキハ其ノ費用ヲ補償スヘシ
第五十四條前數條ニ規定シタルモノノ外土地ヲ收用又ハ使用スルニ因リ
テ土地所有者及關係人ノ通常受クヘキ損失ハ之ヲ補償スヘシ
第五十五條土地ノ使用カ三箇年以上ニ互ルトキ又ハ土地ノ形質ヲ變更ス
ルトキ若ハ使用スヘキ土地ニ建物アルトキハ所有者ハ其ノ土地ノ收用ヲ
請求スルコトヲ得
第五十六條第十九條ノ地方長官ノ公告又ハ通知ノ後行政廳ノ許可ヲ得ス
シテ土地ノ形質ヲ變更シ又ハ工作物ノ新築、〓築、增築若ハ大修繕ヲ爲
シ又ハ物件ヲ附加增置シタル土地所有者又ハ關係人ハ之ニ關スル損失ノ
補償ヲ請求スルコトヲ得ス
第五十七條第九條又ハ第二十條ノ規定ニ依リ土地ニ立入リ測量、檢査又
ハ調査ヲ爲スニ因リテ他人ニ及ホシタル損失ハ起業者之ヲ補償スヘシ
第五十八條第十九條ノ地方長官ノ公告又ハ通知ノ後起業者カ事業ヲ廢止
變更シタルニ因リテ土地所有者又ハ關係人ノ受ケタル損失ハ之ヲ補償ス
ヘシ
第五十九條前二條ノ補償ニ付キ協議調ハサルトキハ地方長官ノ決定ヲ求
ムヘシ此ノ場合ニ於テハ第三十一條及第四十一條乃至第四十五條ノ規定
ヲ準用ス
第七章收用ノ效果
第六十條起業者ハ收用又ハ使用ノ時期迄ニ補償金ヲ拂渡スヘシ但シ左
ニ揭ケタル場合ニ於テハ之ヲ供託スルコトヲ得
-補償金ヲ受クヘキ者カ其ノ受領ヲ拒ミタルトキ又ハ之ヲ受領スルコ
ト能ハサルトキ
二起業者カ過失ナクシテ補償金ヲ受クヘキ者ヲ確知スルコト能ハサル
トキ
三起業者カ收用審査會ノ裁決中補償金額ノ決定ニ對シテ不服アルトキ
但シ補償金ヲ受クヘキ者ノ請求アルトキハ起業者ハ自己ノ見積金額
ヲ拂渡スヘシ
四起業者カ補償金拂渡ノ差押又ハ假差押ヲ受ケタルトキ
第六十一條土地所有者及關係人ハ收用又ハ使用ノ時期迄ニ土地物件ヲ引
渡シ又ハ物件ヲ移轉スヘシ但シ左ニ揭ケタル場合ニ於テハ起業者ノ請求
ニ依リ市町村長ハ土地所有者及關係人ニ代ルモノトス
-土地所有者及關係人カ土地物件ヲ引渡シ又ハ物件ヲ移轉スルコト能
ハサルトキ
二起業者ノ過失ナクシテ土地所有者及關係人ヲ確知スルコト能ハサル
トキ
第六十二條起業者カ收用又ハ使用ノ時期迄ニ補償金ノ拂渡又ハ供託ヲ爲
ササルトキハ收用審査會ノ裁決ハ其ノ效力ヲ失フ但シ土地所有者及關係
人カ損害賠償ノ請求ヲ爲スコトヲ妨ケス
第六十三條土地物件ヲ收用スルトキハ收用ノ時期ニ於テ所有權ハ起業者
之ヲ取得シ其ノ他ノ權利ハ消滅ス
土地ヲ使用スルトキハ其ノ權利ハ使用ノ時期ニ於テ起業者之ヲ取得シ其
ノ他ノ權利ハ使用ノ期間其ノ行使ヲ停止セラル但シ使用ヲ妨ケサルモノ
ハ此ノ限ニ在ラス
第六十四條收用審査會ノ裁決ノ後收用又ハ使用スヘキ土地物件カ土地所
有者又ハ關係人ノ責ニ歸スヘカラサル事由ニ因リテ滅失又ハ殷損シタル
トキハ其ノ滅失又ハ毀損ハ起業者ノ負擔ニ歸ス
第六十五條先取特權、質權又ハ抵當權ハ其ノ目的物ノ收用又ハ使用ニ因
リテ債務者カ受クヘキ補償金ニ對シテモ之ヲ行フコトヲ得但シ其ノ拂渡
前ニ差押ヲ爲スヘシ
第六十六條收用ノ時期ヨリ二十箇年內ニ事業ノ廢止其ノ他ノ事故ニ因リ
テ收用シタル土地ノ全部又ハ一部カ不用ニ歸シタルトキハ舊所有者又ハ
其ノ相續人ハ補償價格ヲ以テ之ヲ買取ルコトヲ得但シ第五十條ノ規定ニ
依リテ收用シタル殘地ハ其ノ接續部分ノ不用ニ歸シタル時ニ非サレハ之
ヲ買受ルコトヲ得ス
前項ノ場合ニ於テ買受ハ第三者ニ對シテモ其ノ効力ヲ有ス
第一項ノ期間內ニ於テ收用シタル土地ヲ他ノ軍機ニ關スル事業又ハ內閣
ノ認定シタル事業ニ供スルトキハ不用ニ歸シタルモノト看做サス
第六十七條前條ノ不用ノ土地アルトキハ起業者ハ舊所有者又ハ其ノ相續
人ニ通知スヘシ但シ起業者ノ過失ナクシテ之ヲ確知スルコト能ハサルト
キハ少クトモ三囘ノ公告ヲ爲スヘシ
前項ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ二箇月內又ハ第三囘ノ公告終了ノ日ヨリ六
箇月內ニ舊所有者又ハ其ノ相續人カ買受ノ通知ヲ爲ササルトキハ其ノ權
利ヲ失フ
第八章費用ノ負擔
第六十八條起業者、土地所有者及關係人カ本法又ハ本法ニ基キテ發スル
命令ニ規定シタル手續其ノ他ノ行爲ヲ爲シ又ハ義務ヲ履行スル爲ニ要シ
タル費用ハ各其ノ負擔トス
第六十九條收用審査會ニ要シタル費用ハ命令ヲ以テ別ニ負擔者ヲ定メタ
ルモノヲ除クノ外府縣ノ負擔トス第五十九條ノ場合ニ要シタル費用ニ付
テ亦同シ
第七十二條ノ規定ニ依リ收用審査會ノ裁決ヲ取消シタル場合ニ於テ更ニ
開クヘキ收用審査會ニ要シタル費用ハ之ヲ起業者、土地所有得及關係人
ニ負擔セシムルコトヲ得ス
第七十條第七十三條第一項ノ規定ニ依リ地方長官カ義務者ノ爲スヘキ
事項ヲ自ラ執行シ又ハ他人ヲシテ執行セシメタル爲ニ要シタル費用ハ府
縣ノ負擔トス
府縣ハ前項ノ費用ヲ各其ノ義務者ヨリ徵收スルコトヲ得但シ其ノ義務者
ノ受領スヘキ補償金ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得
第七十一條土地所有者又ハ關係人ノ負擔スヘキ費用ハ第六十一條但書ノ
場合ニ於テハ市町村ノ負擔トス
前項ノ場合ニ於テハ前條第二項ノ規定ヲ準用ス
第九章監督强制及罰則
第七十二條收用審査會カ其ノ權限ヲ越エ又ハ法令ノ規定ニ違反シテ爲シ
タル裁決ハ內務大臣之ヲ取消スコトヲ得
第七十三條義務者カ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ノ規定ニ依ル義務
ヲ履行セス又ハ之ヲ履行スルモ一定ノ期間內ニ終了スル見込ナキトキハ
地方長官ハ自ラ之ヲ執行シ又ハ他人ヲシテ之ヲ執行セシムルコトヲ得
義務者カ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ノ規定ニ依ル義務ヲ履行セサ
ル場合ニ於テ前項ノ規定ニ依ルコト能ハザルトキハ地方長官ハ直接ニ之
ヲ强制スルコトヲ得
第七十四條前章ノ規定ニ依リ私人ノ負擔スヘキ費用ヲ支出セサル者アル
トキハ行政廳ハ國稅滯納處分ノ例ニ依リ之ヲ徵收スルコトヲ得
前項ノ費用ニ付テハ行政廳ハ國稅ニ次キ先取特權ヲ有ス
第七十五條收用審査會員人ノ囑託ヲ受ケ賄賂ヲ收受シ又ハ之ヲ聽許シタ
ルトキハ一年以下ノ重禁錮ニ處シ四十圓以下ノ罰金ヲ附加ス其ノ賄賂ヲ
贈遺シ又ハ贈遺スルコトヲ約シタル者亦同シ
第七十六條第十一條ノ規定ニ違反シ行政廳ノ許可ヲ得スシテ障害物ヲ除
却シタル者ハ五十圓以下ノ罰金ニ處ス
第七十七條第九條又ハ第十條ノ規定ニ違反シ行政廳ノ許可ヲ得スシテ土
地ニ立入リタル者ハ三十圓以下ノ罰金ニ處ス
第七十八條故ナク鑑定人タルコトヲ拒ミタル者又ハ鑑定人カ故ナク鑑定
ヲ爲スコトヲ拒ミタルトキハ四十圓以下ノ罰金ニ處ス
第七十九條鑑定人トシテ收用審査會ニ呼出サレタル者詐僞ノ陳述ヲ爲シ
タルトキハ一年以下ノ重禁錮ニ處シ五十圓以下ノ罰金ヲ附加ス賄賂其ノ
他ノ方法ヲ以テ人ニ囑托シテ詐僞ノ鑑定ヲ爲サシメタル者亦同シ
第八十條鑑定人又ハ第四十三條若ハ第五十九條ノ規定ニ依リ呼出ヲ受
ケタル者故ナク出頭セサルトキハ二十圓以下ノ罰金ニ處ス
第十章訴願及訴訟
第八十一條收用審査會ノ裁決ニ對シテ不服アル者ハ內務大臣ニ訴願スル
コトヲ得但シ裁決書謄本ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ二週間ヲ經過シタルト
キハ此ノ限ニ在ラス
本法ノ規定ニ依シ通常裁判所ニ出訴ヲ許シタル事項ニ關シテハ訴願ヲ提
起スルコトヲ得ス
第八十二條收用審査會ノ裁決中補償金額ノ決定ニ對シテ不服アル者ハ通
常裁判所ニ出訴スルコトヲ得但シ裁決書謄本ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ三
箇月ヲ經過シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ訴訟ハ收用審査會ニ對シテ之ヲ提起スルコトヲ得
第五十九條ノ規定ニ依ル地方長官ノ決定ニ付テハ前二項ノ規定ヲ準用ス
第八十三條本法ノ規定ニ依ル訴願訴訟ハ事業ノ進行及土地ノ收用又ハ使
用ヲ停止セス
附則
第八十四條本法ハ明治三十三年四月一日ヨリ施行ス
第八十五條明治二十二年法律第十九號土地收用法ノ規定ニ依リ收用又ハ
使用ニ關シテ爲シタル手續其ノ他ノ行爲ハ本法ノ規定ニ依リテ爲シタル
モノト看做ス
明治二十二年法律第十九條土地改用法ノ規定ニ依リ收用シタル土地ニ關
シテハ第六十六條ノ期間ハ本法施行ノ日ヨリ之ヲ起算ス
明治八年太政官達第百三十二號公用土地買上規則ニ依リ買上ケ現ニ國有
タル土地ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本條ノ規定ヲ準用ス
第八十六條收用審査會ノ爲スヘキ職務ハ北海道及沖繩縣ニ於テハ地方長
官之ヲ行フ
郡長ノ爲スヘキ職務ハ支廳長又ハ島司ヲ置キタル地ニ於テハ支廳長又ハ
島司之ヲ行ヒ支廳長又ハ島司ヲ置カサル地ニ於テハ支廳長又ハ島司ニ準
スヘキ吏員之ヲ行ヒ支廳長又ハ島司ニ準スヘキ吏員ヲ置カサル地ニ於テ
ハ町村長ニ準スヘキ吏員之ヲ行フ
市長ノ爲スヘキ職務ハ北海道及沖繩縣ニ於テ區長ヲ置キタル地ニ於テハ
區長之ヲ行フ
町村長ノ爲スヘキ職務ハ町村制ヲ施行セサル地ニ於テハ町村長ニ準スヘ
キ吏員之ヲ行と町村長ニ準スヘキ吏員ヲ置カサル地ニ於テハ郡長ニ準ス
ヘキ吏員之ヲ行フ
第八十七條明治二十二年勅令第五號東京市區改正土地建物處分規則其ノ
他別段ノ定アルモノハ各其ノ定ムル所ニ依ル
第八十八條明治二十二年法律第十九號土地收用法明治二十三年法律第五
十號條土地收用協議會規則及明治三十二年法律第七十二號ハ之ヲ廢止
ス
〔政府委員一木喜德郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=2
-
003・一木喜徳郎
○政府委員(一木喜德郞君) 土地收用法案提出ノ理由ヲ簡單ニ申述べマス、
現行ノ土地收用法ハ明治二十二年ニ發布セラレタノデゴザイマス、其後實施
ノ結果、種々不備ノ點ヲ感ジマシテ、現ニ昨年ノ法律第七十二號ヲ以チマシテ
權利收用ニ關スル法律ヲ發シマシテ一ノ不便ヲ避クルコトハ出來マシタケ
レドモ、尙ホ其他ニ於テ種々不備ナ點ガアリマスル、第一ニハ收用法ヲ適用ス
ベキ事業ノ範圍ガ狹キニ失シテ居ル、卽チ現行法ニ於キマシテハ工事ヲ行フ
ノ際ニ於テハ收用ヲ行フコトガ出來マスケレドモ、工事ガナクシテ單ニ事業
ノ爲ニ收用スルコトハ出來マセヌ、ソレカラ又收用法發布後種々ノ事業ガ發
達致シマシテ、例ヘバ電氣事業ノ如キハ其後段々發達致シマシタケレドモ、其
當時ニ於テ豫想シテ居リマセヌ結果、收用法ヲ適用スルコトガ出來マセヌト
云フ事柄ガゴザリマス、其外現行法ハ補償ノ義務竝ニ收用ノ效果等ニ附イテ
ノ規定モ不完全デアリマスルシ、收用ノ手續ニ於キマシテモ收用ノ裁決ガ或
ハ遷延スルト云フ弊害モアリマスルシ、其他收用者ノ權利ヲ保護シマスル點
ニ於キマシテモ、起業者ノ事業ノ發達ヲ助クル點ニ於テモ種々不完全ナ點ヲ
認メテ居ル、ソレ等ハ各條ニ於キマシテ現行法ト此法案ノ差異ノアル所ヲ御
覽下サイマシタナラバ御了承下サイマスルコトデゴザリマス、尙ホ詳細ノコ
トハ御質問ガゴザリマスレバ御答致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=3
-
004・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 別段ニ御質問ガナクバ委員ノ選定ニ移リマス、議
長指名ニ異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=4
-
005・平松時厚
○平松時厚君 是カラ決算委員ノ主査會ヲ催シタウゴザリマスカラ·······発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=5
-
006・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 宜シウゴザリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=6
-
007・宮島誠一郎
○宮島誠一郞君 本員モ決算委員會ニ參リタウゴザリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=7
-
008・徳川家達
○公爵德川家達君 是ヨリ保險業法案ノ委員會ヲ開キタウ存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=8
-
009・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 宜シウゴザイマス、郵便爲替法案、政府提出、衆
議院送付、第一讀會
郵便爲替法案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治三十三年二月三日衆議院議長片岡健吉
貴族院議長公爵近衛篤麿殿
郵便爲替法
第一條郵便爲替ハ通常爲替電信爲替及小爲替ノ三種トス
第二條通常爲替證書及小爲替證書ハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外差
出人ニ於テ之ヲ其ノ受取人ニ送達ス
電信爲替證書ハ郵便官署ニ於テ之ヲ其ノ受取人ニ送達ス
第三條郵便官署ハ差出人ノ請求ニ因リ通常爲替證書及電信爲替證書ニ對
スル郵便爲替金ノ拂渡前ニ於テ其ノ拂渡ヲ停止シ又ハ其ノ拂戾ヲ爲スコ
トヲ得
第四條郵便爲替ニ關シ無能力者ノ郵便官署ニ對シテ爲シタル行爲ハ能力
者ノ爲シタルモノト看做ス
第五條郵便官署ハ受取人ノ眞僞ヲ調査スル爲受取人ヲシテ必要ナル證明
ヲ爲サシムルコトヲ得
第六條郵便爲替ニ關スル書類ニ付テハ印紙稅ヲ課セス
第七條郵便爲替金額ノ制限及郵便爲替ニ關スル料金ハ命令ノ定ムル所ニ
依ル
第八條郵便爲替ニ關スル料金ハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外郵便切
手ヲ以テ納付スヘシ
第九條郵便爲替ニ關スル既納及過納ノ料金ハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除
クノ外之ヲ還付セス
第十條郵便爲替證書ノ有效期間ハ其ノ發行ノ日ヨリ通常爲替及電信爲替
ニ在リテハ九十日小爲替ニ在リテハ六十日トス
前項ノ期間ハ交通不便ノ地方ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ延長ス
ルコトヲ得
第十一條郵便官署ニ於テ郵便爲替金ノ拂渡ヲ遲延シタル爲經過シタル日
數ハ前條ノ有效期間ニ算入セス
第十二條郵便爲替證書ノ有効期間テ經過シタルトキ又ハ郵便爲替證書ヲ
亡失毀損若ハ汚斑シタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ差出入又ハ受取人
ニ於テ再度證書ノ交付又ハ爲替金ノ拂戾ヲ請求スルコトヲ得
再度證書ヲ發行シタルトキハ原證書ハ無效トス
第十三條郵便替爲證書ノ有效期間滿了ノ日ヨリ三箇年間前條ノ請求ヲ爲
ササルトキハ其ノ郵便爲替金ハ國庫ノ所有ニ歸ス
第十四條成規ノ手續ヲ經テ爲替金ヲ交付シタルトキハ正當ノ拂渡ヲ爲シ
タルモノト看做ス
第十五條郵便官署ハ郵便爲替金拂渡ノ遲延ニ因リ生シタル損害ニ付賠償
ノ責ニ任セス
第十六條郵便爲替ニ關シ條約ニ別段ノ規定アルモノハ各其ノ規定ニ依ル
附則
第十七條本法ハ明治三十三年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
郵便條例第十二章及第二百四十二條ハ之ヲ廢止ス
第十八條本法施行前ニ發行シタル郵便爲替證書及郵便小爲替證書ニ關シ
テハ本法ノ規定ヲ適用ス但シ本法施行前其ノ有效期間滿了シタルモノニ
在リテハ第十三條ノ期間ハ五箇年トシ其ノ有效期間滿了セサルモノニ在
リテハ第十條第一項ノ期間ハ郵便爲替證書ニ付テハ百二十日郵便小爲替
證書ニ付テハ六十日トス
〔政府委員古市公威君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=9
-
010・古市公威
○政府委員(古市公威君) 此所ニ提出致シシマタ四法案、卽チ郵便爲替法、郵
便法、鐵道船舶郵便法、ソレニ電信法デアリマスガ、此前ニ申シマシタ三法案、
卽チ郵便爲替法、郵便法、鐵道船舶郵便法ハ是ハ皆現行ノ郵便條例卽チ明治
十五年ニ發布ニ相成リマシタ郵便條例ノ改正ト申シテ宜シイノデアリマス、
其郵便條例ノ發布ニ相成リマシタ時分ヨリ今日ニ至リマシテ郵便事業ハ非常
ニ發達致シマシタ、當時一年ノ郵便物數ガ九千九百萬餘卽チ一億ニ達シマセ
ヌモノガ、三十一年末ニ於テハ六億以上ニナリマシタヤウナ次第デアリマス、
又鐵道モ其當時ニハ百七十哩程ヨリアリマセヌケレドモ今日ハ三千·······今日
卽チ三十一年度ノ終ニ於テハ三千四百何哩ト云フモノニナリマシタ、ソレデ
人力ヲ以テ遞送ヲ致シマシテ、十五年頃ニハ人力ヲ以テ遞送致シマシタモノ
ガ今日ハ多分ハ鐵道ニ依ルヤウニナリマシタ、爲替モ近頃ノ經濟界ノ進步ト
共ニ大ニ發達致シマシテ、既ニ昨年ノ十二月マデニハ殆ド全國ノ郵便局所デ
爲替ヲ取扱フヤウニ致シマシタ、本年度ニ於テモ既ニ千餘爲替ヲ開始致シマ
シタ、殘テ居リマスル所ハ僅ニ十八箇所バカリデアリマスルガ、是モ三月頃
マデニハ爲替ヲ開始致シマスル積リデアリマス、爾後支局ヲ設ケマスレバ共
ニ爲替事業モ開クヤウニ致シマシテ益〓爲替ノ便利ヲ地方ニ擴メル考デアリ
マス、斯ノ如ク此郵便及附屬事業ガ發達致シテ參リマシタニ附キマシテハ今
日マデノ郵便條例デハ不備ヲ感ジマスルノデ之ヲ整理致シマシテ一ノ郵便法
ト云フモノヲ起案致シテ、サウシテ其複雜ヲ避クル爲ニ其中ノ一種タル爲
替ヲ之ヲ別法案ニ致シマシテ郵便爲替法案ト致シマシタ、ソレカラ鐵道船舶
ニ依リテノ遞送ノコトハ是ハ現行ノ郵便條例ト、ソレカラ二十年ニ發布ニ相
成リマシタ私設鐵道條例等ニ若干ノ箇條ガアリマスルガ、是モ至ッテ不完全デ
アリマスルニ依ッテ、之ガ爲ニ一ノ特別法ヲ設ケテ鐵道船舶郵便法トシテ玆
ニ提出致シタ次第デアリマス、其他ノ法律卽チ電信法モ是モ近頃追〓電信ガ
發達ヲ致シマスルニ從ヒマシテ法文ノ不備ヲ感ジマスル、之ヲ改正シマシテ
其命令ニ讓ルベキモノハ命令ニ讓リ、又權利問題抔デ規定スベキモノハ規定
スルト致シマシテ、現行ノ電信條例ノ七十四箇條ノ中、二十六條ハ命令ニ讓ツ
テ、十八條ハ除キマシテ、殘リノ三十條ト新タニ十七條ヲ加ヘマシテ此郵便···
···電信法ヲ起案致シマシタ次第デアリマス、デ斯ノ如ク相成リマスルト郵便
電信及附屬事業ニ關スル法規ガ整頓致シマスル次第デゴザリマスルカラ御審
議ノ上、御協贊ヲ請ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=10
-
011・名村泰藏
○名村泰藏君 チヨット一ト事御尋シタウゴザイマス、郵便爲替法ノ第四條
ニ「郵便爲替ニ關シ無能力者ノ郵便官署ニ對シテ爲シタル行爲ハ能力者ノ爲
シタルモト看做ス」能力者ノ爲シタルモノト看做スト云フノハドウ云フノカ
其主意ヲチヨット
〔政府委員久米金彌君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=11
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012・久米金彌
○政府委員(久米金彌君) 郵便爲替法ノ第四條ニ附イテノ御尋ト思ヒマスガ
〔名村泰藏君「能力者ト云フノダケ」ト述フ〕
是ハ大體、民法ノ上デ見マスレバ無能力者ノシタコトハ效ヲ持タヌト云フコ
トニナッテ居リマス、郵便ナリ郵便爲替ナリヲ扱フ上ニ附キマシテ、能力者
デアルカ、無能力者デアルカト云フコトテ判別致シマシテ、其結果ニ依ッテ
或ハ有效デアル無效デアルト云フコトヲ別ケテ參リマスルノハ、頗ル事務ノ
取扱ノ上カラ申シマシテモ煩雜デゴザマスルシ、尙又實際ノ上カラ申シマシ
テモ郵便ヲ賴ミニ來ル乃至爲替ヲ賴ミニ來ルノニモ無能力者ノ子供ガ來タリ
スルコトガ段々アルコトデアッテ、從前デモ實際扱ウテ來マシタシ、子供ガ
賴ミニ參リマスレバソレノ賴ミニ應ジテ扱ッテヤルト云フコトニナッテ居リ
マスルノデ、併シ矢張リ無能力者ノシタ場合モ恰モ能力者ノシタモノト同ジ
ヤウニ見テ居リマス、ソコデ民法ニモ既ニ其ヤウニ致シ、ソレニテ其疑ヲ避
ケムガ爲ニ特ニ無能力者ノシタ場合モ能力者ノシタモノト同ジヤウニ見ルト
云フコトニシテ疑問ヲ避ケタ譯デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=12
-
013・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 別段御質問ガナクバ委員ノ選定ニ移リマス········此
右四案ハ關聯ノモノデアリマスルカラ共ニ議事ニ上セマス
電信法案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治三十三年二月三日衆議院議長片岡健吉
貴族院議長公爵近衛篤麿殿
電信法
第一條電信及電話ハ政府之ヲ管掌ス
第二條左ニ掲クル電信又ハ電話ハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ私設スルコ
トヲ得
-一邸宅內若ハ一構內ニ於テ專用ニ供スル爲施設スルモノ
二鐵道業其ノ他電信電話ノ專用ヲ必要トスル事業ノ爲施設スルモノ
三公共團體ノ事務執行ノ爲一市區町村內若ハ鄰接市區町村間ニ於テ公
署相互間又ハ一郡市區內ニ於テ公署ト第一次監督官廳トノ間ニ施設
スルモノ
四電報送受ノ目的ヲ以テ一人ノ專用ニ供スル爲電信官署トノ間ニ施設
スルモノ
五一市區町村內若ハ鄰接市區町村間ニ於テ又ハ電信電話ノ連絡ナク且
第四號ニ依ルヲ不適當トスル市區町村間ニ於テ一人又ハ一營業ノ專
用ニ供スル爲施設スルモノ
第三條主務大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ前條ニ依リ施設シタル電信又ハ
電話ヲ公衆通信又ハ軍事上必要ナル通信ノ用ニ供セシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ必要ト認ムルトキハ主務大臣ハ吏員ヲ派遣シテ其ノ取
扱ヲ爲サシムルコトヲ得
第四條主務大臣ハ公安ノ爲必要ト認ムルトキハ區域ヲ定メ電信又ハ電話
ニ依ル通信ヲ停止若ハ制限スルコトヲ得
第五條電信又ハ電話ニ依ル通信ニシテ公安ヲ妨害シ又ハ風俗ヲ壞亂スル
モノト認ムルトキハ主務大臣ノ指定シタル電信官署又ハ電話官署ニ於テ
之ヲ停止スルコトヲ得
第六條職務執行中ノ電信又ハ電話ノ工夫配達人及配達用車馬等ハ道路ニ
障碍アリテ通行シ難キ場合ニ於テ墙壁又ハ欄〓ナキ宅地田畑其ノ他ノ場
所ヲ通行スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ政府ハ被害者ノ請求ニ因リ其ノ
損害ノ賠償ヲ爲スヘシ
第七條職務執行中ノ電信又ハ電話ノ工夫配達人及配達用舟車馬等事故ニ
遭遇シタル場合ニ於テ電信又ハ電話ノ工夫配達人若ハ吏員ヨリ助力ヲ求
メラレタル者ハ正當ノ事由ナクシテ之ヲ拒ムコトヲ得ス此ノ場合ニ於テ
ハ政府ハ助力ノ請求ニ由リ相當ノ報酬ヲ爲スヘシ
第八條職務執行中ノ電信又ハ電話ノ工夫配達人及配達用舟車馬等ニ對シ
テハ渡津、運河、道路、橋梁其ノ他ノ場所ニ於ケル通行錢ヲ請求スルコ
トヲ得ス
前項ノ工夫及配達人ハ何時ニテモ渡津ノ出船ヲ求ムルコトヲ得
第九條政府ハ電信又ハ電話ノ用ニ供スル爲鐵道用地及停車場建物ノ一部
ヲ使用シ必要アルトキハ建物ノ建築又ハ改築ヲ命スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ土地建物ノ使用料及建築改築ノ費用ハ請求ニ因リ政府
之ヲ支給ス
第十條政府カ鐵道用地内ニ電信線又ハ電話線ヲ施設シタルトキハ使用料ヲ
支給セス
第十一條電信若ハ電話專用ノ物件又ハ現ニ其ノ用ニ供スル物件ハ之ヲ差
押フルコトヲ得ス
前項專用ノ物件ハ何等ノ賦課ヲ受クルコトナシ
第十二條電信又ハ電話取扱ニ關シ電信官署又ハ電話官署ニ對シテ無能力
者爲ノシタル行爲ハ能力者ノ爲シタルモノト看做ス
第十三條電報ハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外其ノ宛所ニ配達ス
第十四條電報ハ命令ヲ以テ定ムル場合ニ限リ發信人ノ請求ニ因リ其ノ送
達ヲ停止スルコトヲ得
第十五條宛所ニ配達シ又ハ受信人ニ交付シ得サル電報ハ之ヲ公示ス其ノ
公示ノ日ヨリ三十日間ニ交付ノ請求ナキトキハ之ヲ棄却ス
第十六條電信官署ニ於テ必要ト認ムルトキハ發信人ニ對シ其ノ電報ニ用
ヰタル祕辭隱語ノ說明ヲ求ムルコトヲ得發信人若其ノ說明ヲ拒ミタルハ
キハ其ノ電報ノ取扱ヲ拒絕ス
第十七條電信又ハ電話ニ關スル料金及電信又ハ電話ニ依ル通信ノ取扱ニ
必要ナル制限ハ命令ノ定ムル所ニ依ル
第十八條電信又ハ電話ニ關スル既納及過納ノ料金ハ命令ヲ以テ定ムル場
合ヲ除クノ外之ヲ還付セス
第十九條發信人ニ於テ前納スヘキ電信ニ關スル料ニ不足アルトキハ發信
人ヨリ其ノ不足額ノ二倍ノ料金ヲ徵收ス
第二十條電信又ハ電話ニ關スル料金納付ノ義務ハ其ノ納付スヘキ日ヨリ
六箇月內ニ納付ノ告知ヲ受ケサルニ因リテ消滅ス
第二十一條電信又ハ電話ニ關スル料金ノ不納金額ハ電信官署又ハ電話官
署ニ於テ國稅滯納處分ノ例ニ依リ之ヲ徵收ス
前項不納稅金額ニ付電信官署又ハ電話官署ハ國稅ニ次キ先取特權ヲ有ス
第二十二條電信又ハ電話ニ依ル通信ニシテ電信、電話及郵便、郵便爲替、
郵便貯金ノ事務又ハ氣象報告ニ關スルモノハ命令ノ定ムル所ニ依リ無料
ト爲スコトヲ得
第二十三條電信又ハ電話ニ關スル料金ハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ
外郵便切手ヲ以テ納付スヘシ
第二十四條電信又ハ電話ノ取扱ニ關シテハ政府ハ損害賠償ノ責ニ任セス
第二十五條本法ニ依ル損害賠償又ハ報酬ノ請求權ハ主務大臣ノ指定シタ
ル電信官署又ハ電話官署ニ對シ其ノ事實アリタル日ヨリ三箇月間之ヲ行
ハサルニ因リテ消滅ス
第二十六條電信官署若ハ電話官署ノ賠償又ハ報酬ニ關スル決定ニ對シ不
服アル者ハ其ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三箇月以內ニ民事訴訟ヲ提起スル
コトヲ得
第二十七條權利ナクシテ電信若ハ電話ヲ私設シタル者又ハ權利ヲ失ヒタ
ル後主務官署ノ指定シタル期間內ニ私設ノ電信若ハ電話ヲ撤去セサル者
ハ五圓以上百圓以下ノ罰金ニ處シ其ノ電信線又ハ電話線及電信又ハ電話
ノ機器ヲ沒收ス
前項ノ場合ニ於テ其ノ電信又ハ電話ヲ他人ノ用ニ供シ因テ金錢物品ヲ收
得シタルトキハ之ヲ沒收ス既ニ消費又ハ讓渡シタルトキハ其ノ金額又ハ
代價ヲ追徵ス
第一項ノ電信又ハ電話ヲ使用シタル者ハ五十圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十八條第三條第一項ニ依ル場合ヲ除クノ外私設ノ電信若ハ電話ヲ他
人ノ用ニ供シタル者又ハ其ノ私設者ニアラスシデ之ヲ使用シタル者ハ五
十圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ場合ニ於テ金錢物品ヲ收得シタルトキハ之ヲ沒收ス既ニ消費又ハ
讓渡シタルトキハ其ノ金額又ハ代價ヲ追徵ス
第二十九條第三條第一項ノ場合ニ於テ正當ノ事由ナクシテ電信若ハ電話
ノ供用ヲ拒ミ又ハ第九條第一項ノ場合ニ於テ正當ノ事由ナクシテ用地、
建物ノ使用ヲ拒ミ若ハ建物ノ建築改築ヲ爲ササル者ハ五圓以上五百圓以
下ノ罰金ニ處ス
第三十條第六條ノ場合ニ於テ通行ヲ拒ミ又ハ第七條ノ場合ニ於テ正當ノ
事由ナクシテ助力ヲ拒ミ又ハ第八條ノ場合ニ於テ通行錢ヲ强要シ若ハ正
當ノ理由ナクシテ渡津ノ出船ヲ拒ミタル者ハ科料ニ處ス
第三十一條電信官署又ハ電話官署ノ取扱中ニ係ル通信ノ祕密ヲ侵シタル
者ハ一月以上一年以下ノ重禁錮ニ處シ二十圓以下ノ罰金ヲ附加ス
電信又ハ電話ノ事務ニ從事スル者前項ノ所爲アリタルトキハ本刑ニ一等
チカシ
本條ノ罪ハ被害者ノ告訴ヲ待テ之ヲ論ス
第三十二條不正ノ手段ヲ以テ電信又ハ電話ニ關スル料金ヲ免レ又ハ免レ
ムトシタル者ハ百圓以下ノ罰金ニ處ス
電信又ハ電話ノ事務ニ從事スル者前項ノ所爲アリタルトキハ本刑ニ一等
ヲ加フ
第三十三條自己若ハ他人ニ利益ヲ與ヘ又ハ他人ニ損害ヲ加フル目的ヲ以
テ虛僞ノ電報ヲ發シタル者ハ一月以上五年以下ノ重禁錮ニ處シ五十圓以
下ノ罰金ヲ附加ス
前項ノ場合ニ於テ電信爲替ニ要スヘキ電報ニ係ルトキハ輕懲役ニ處ス
電信事務ニ從事スル者前二項ノ所爲アリタルトキハ本刑ニ一等ヲ加フ
第三十四條電信又ハ電話ノ事務ニ從事スル者電信官署又ハ電話官署ノ取
扱中ニ係ル電信又ハ電話ノ用紙ニ貼用シタル郵便切手ヲ剝脫シタルトキ
ハ三圓以上三十圓以下ノ罰金ニ處ス其ノ未タ消印ヲ爲ササルモノニ關シ
テハ刑法竊盜ノ罪ニ照シテ處斷ス
第三十五條電信官署ノ取扱中ニ係ル電報ヲ正當ノ事由ナクシテ開披、毀
損隱匿若ハ放棄シタル者又ハ受取人ニ非サル者ニ交付シ若ハ情ヲ知リ
テ之ヲ受取リタル者又ハ其ノ傳送配達ヲ妨害シタル者ハ一月以上二年以
下ノ重禁錮ニ處シ二十圓以下ノ罰金ヲ附加ス
電信事務ニ從事スル者前項ノ所爲アリタルトキハ本刑ニ一等ヲ加フ
第三十六條電信若ハ電話ノ事務ニ從事スル者正當ノ事由ナクシテ其ノ通
信ノ取扱ヲ拒絕シ又ハ其ノ傳送ヲ遲延セシメタルトキハ四圓以上四十圓
以下ノ罰金ニ處ス
第三十七條電信線又ハ電話線其ノ他電信又ハ電話ノ機器建造物ヲ毀損シ
若ハ通信ヲ障碍シタル者ハ一月以上五年以下ノ重禁錮ニ處シ五十圓以下
ノ罰金ニ附加ス
過失ニ因リ通信ヲ障碍シタル者ハ五十圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十八條電信線若ハ電話線ノ建築修理又ハ線路ノ巡視測量ヲ妨害シタ
ル者ハ一月以上二年以下ノ重禁錮ニ處シ二十圓以下ノ罰金ヲ附加ス
第三十九條電信、電話ノ線條若ハ其ノ支持物ニ物品ヲ懸ケ若ハ擲チ又ハ
之ニ動物若ハ舟筏ヲ繫キ又ハ之ヲ汚穢シタル者ハ科料ニ處ス
電信又ハ電話線路ノ測量標ヲ毀棄汚穢シタル者亦同シ
第四十條主務官署ノ指定シタル水底電信線路若ハ水底電話線路ノ區域
內ニ於テ船舶ヲ繫留シ又ハ漁業採藻ヲ爲シ若ハ土砂ヲ掘鑿シ又ハ水底電
信線若ハ水底電話線ノ號標ニ舟筏ヲ繫キ又ハ其ノ號標ヲ毀棄シタル者ハ
五圓以上百圓以下ノ罰金ニ處ス
水底電信線若ハ水底電話線ノ布設若ハ修理ノ爲其ノ位置ヲ示スヘキ浮標
又ハ其ノ布設若ハ修理ニ從事スル船舶ヨリ主務官署ノ指定シタル距離以
內ニ於テ前項ノ所爲ヲ爲シ若ハ航行シタル者亦同シ
第四十一條第三十二條ヲ除クノ外前數條ニ記載シタル輕罪ヲ犯サムトシ
テ未タ遂ケサル者ハ刑法未遂犯罪ノ例ニ照シテ處斷ス
第四十二條前數條ノ罰則ハ法人ニ在リテハ其ノ業務ヲ執行スル社員、取
締役又ハ理事ニ之ヲ適用ス
第四十三條公衆通信又ハ第三條第一項ニ依リ現ニ軍事通信ノ用ニ供スル
私設ノ電信又ハ電話ニ關シテハ第九條ヲ除クノ外本法中政府ノ施設ニ係
ル電信又ハ電話ニ關スル規定ヲ準用ス
第四十四條電信又ハ電話ニ非スト雖通報信號ヲ爲スモノニ關シテハ命令
ノ定ムル所ニ依リ本法ノ規定ヲ準用スルコトヲ得
第四十五條帝國外國間ニ於ケル電信ニ關シ別ニ法令條約又ハ特許ノ條款
ニ明文アルモノハ各其ノ定ムル所ニ依ル
附則
第四十六條本法ハ明治三十三年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
電信條例ハ之ヲ廢止ス
第四十七條本法施行前電信條例ニ依リ電信又ハ電話私設ノ許可ヲ得タル
者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ更ニ許可ノ申請ヲ爲スコトヲ要ス
郵便法案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治三十三年二月三日衆議院議長片岡健吉
貴族院議長公爵近衛篤麿殿
郵便法
第一條郵便ハ政府之ヲ管掌ス
第二條何人ト雖信書ノ送達ヲ營業ト爲スコトヲ得ス
運送營業者及其ノ使用人ハ其ノ運送方法ニ依リ他人ノ爲ニ信書ノ送達ヲ
爲スコトヲ得ス但シ貨物ニ添附スル無封ノ添狀又ハ送狀ハ此ノ限ニ在ラ
ス
第三條運送營業者ハ郵便官署ノ要求アルトキハ其ノ運送方法ニ依リ郵便
物ノ運送ヲ拒ムコトヲ得ス此ノ場合ニ於テ郵便官署ハ相當ノ運送料金ヲ
支給ス
第四條職務執行中ノ郵便遞送人郵便集配人及郵便専用車馬等ハ道路ニ障
碍アリテ通行シ難キ場合ニ於テ墻壁又ハ欄柵ナキ宅地田畑其ノ他ノ場所
ヲ通行スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ郵便官署ハ被害者ノ請求ニ因リ其ノ
損害ノ賠償ヲ爲スヘシ
第五條職務執行中ノ郵便遞送人郵便集配人及郵便專用舟車馬等事故ニ遭
遇シタル場合ニ於テ郵便遞送人郵便集配人又ハ郵便吏員ヨリ助力ヲ求メ
ラレタル者ハ正當ノ事由ナクシテ之ヲ拒ムコトヲ得ス此ノ場合ニ於テ郵
便官署ハ助力者ノ請求ニ因リ相當ノ報酬ヲ爲スヘシ
第六條職務執行中ノ郵便遞送人郵便集配人及郵便専用舟車馬等ニ對シテ
ハ渡津、運河、道路、橋梁其ノ他ノ場所ニ於ケル通行錢ヲ請求スルコトヲ
得ス
職務執行中ノ郵便遞送人郵便集配人ハ何時ニテモ渡津ノ出船ヲ求ムルコ
トヲ得
第七條郵便專用ノ物件及現ニ郵便ノ用ニ供スル物件ハ之ヲ差押フルコト
手段、
郵便專用ノ物件ハ何等ノ賦課ヲ受クルコトナシ
郵便物及其ノ取扱ニ必要ナル物件ハ海損ヲ分擔セス
第八條郵便官署ハ郵便物ノ遞送中又ハ其ノ發送ノ準備完了ノ後ニ限リ其
ノ差押ヲ拒ムコトヲ得
第九條郵便物檢疫ヲ受クヘキ場合ニ於テハ他ノ物件ニ先チテ直ニ檢疫ヲ
受ク
第十條郵便取扱ニ關シ無能力者ノ郵便官署ニ對シテ爲シタル行爲ハ能力
者ノ爲シタルモノト看做ス
第十一條郵便官署ハ郵便物又ハ郵便ニ依ル取立金ノ受取人ノ眞僞ヲ調査
スル爲受取人ヲシテ必要ナル證明ヲ爲サシムルコトヲ得
第十二條郵便物ハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外其ノ宛所ニ配達ス
第十三條郵便物ハ命令ヲ以テ定ムル場合ニ限リ差出人ノ請求ニ因リ之ヲ
還付スルコトヲ得
第十四條宛所ニ配達シ又ハ受取人ニ交付スルコト能ハサル郵便物ハ差出
人ニ還付ス其ノ差出人ニ還付スルコト能ハサルモノハ主務大臣ノ指定シ
タル郵便官署ニ於テ之ヲ開披スルコトヲ得
第十五條前條ニ依リ開披シタル郵便物ニシテ尙配達還付ヲ爲スコト能ハ
サルモノ及郵便ニ依ル取立金ニシテ拂渡ヲ爲スコト能ハサルモノハ之ヲ
公示ス
郵便物ニ封入シタル物件ニシテ有價物ニ非サルモノハ其ノ公示ノ日ヨリ
六箇月內ニ交付ヲ請求スル者ナキトキハ之ヲ棄却シ其ノ有價物ニシテ滅
失若ハ毀損ノ虞アルモノ又ハ其ノ保管ニ過分ノ費用ヲ要スルモノナルト
キハ之ヲ賣却シ其ノ代金ヲ保管ス但シ賣却ニ要スル經費ハ直ニ賣却代金
ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得
有價物、賣却代金及郵便ニ依ル取立金ハ公示ノ日ヨリ二箇年間交付ヲ請
求スル者ナキトキハ國庫ノ所有ニ歸ス
第十六條郵便官署ハ郵便物ニ郵便禁制品ヲ封入シ又ハ成規ニ違反シテ差
出シタル物件アリト認ムルトキハ差出人ニ其ノ開示ヲ求ムルコトヲ得
差出人其ノ開示ヲ拒ミタルトキハ其ノ取扱ヲ拒絕ス
第十七條郵便物ハ通常郵便物及小包郵便物トス
第十八條通常郵便物ノ種類及料金ハ左ノ如シ
第一種書狀重量四匁又ハ其金三錢
ノ端數每ニ
一通常葉書金-錢
第二種郵便葉書二往復葉書金三
(三)封緘葉書金三厘 葉 鐵 産
-一號一箇重量二十五匁又ハ金五
第三種每月一回以上刊行ス其ノ端數每ニ
ル定期刊行物二二號又ハ二箇以上一束重量金-錢
二十五匁又ハ其ノ端數每ニ
書籍印刷物、業務用
第四條書類寫眞、書、畫、圖重量三十匁又ハ其ノ金二錢
商品見本及雛形博物端數每ニ
學上ノ標本
第五種農產物種子重量三十匁又ハ其ノ金錢
端數每ニ
前項各種ニ該當セサル物件及該當スルモ封緘シタルモノハ第一種郵便物
ト同一ノ取扱ヲ爲ス
異種ノ郵便物ヲ合裝シタルモノハ其ノ種類中ノ最高料金ヲ納付スヘキ郵
便物ト同一ノ取扱ヲ爲ス但シ第二種郵便物ヲ他種ノ郵便物ト合裝スルト
キハ第一種郵便物ト同一ノ取扱ヲ爲ス
郵便葉書ノ表面又ハ第三種乃至第五種ノ郵便物ニ通信文ヲ記載シタルモ
ノハ第一郵便物ト同一ノ取扱ヲ爲ス
第十九條小包郵便物ノ料金竝郵便物ノ特殊取扱ニ關スル料金ハ命令ノ定
ル所ニ依ル
第二十條書狀ハ小包郵便物ト爲シ又ハ小包郵便物ニ合裝スコトヲ得ス
但シ無封ノ添書又ハ送狀ハ此ノ限ニ在ラス
第二十一條第三種郵便物ト爲スヘキ定期刊行物ハ主務官署ノ認可ヲ受ケ
タルモノニ限ル
第二十二條郵便禁制品ノ種類及郵便物ノ容積、重量、包裝等ニ關スル制限
ハ命令ノ定ムル所ニ依ル
第二十三條受取人ハ郵便料ヲ完納シタル郵便物ノ受取ヲ拒ムコトヲ得ス
差出人ハ還付郵便物ノ受取ヲ拒ムコトヲ得ス
第二十四條郵便ニ關スル既納及過納ノ料金ハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除
クノ外之ヲ還付セス
第二十五條命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外郵便料未納又ハ不足ノ郵便
物ハ受取人其ノ不納額二倍ノ料金ヲ納付シテ之ヲ受取ルコトヲ得其ノ納
付ヲ拒ミダルトキハ差出人ニ還付シ差出人ヨリ之ヲ徵收ス
第二十六條郵便ニ關スル料金納付ノ義務ハ其ノ納付スヘキ日ヨリ六箇月
內ニ納付ノ告知ヲ受ケサルニ因リテ消滅ス
第二十七條郵便ニ關スル料金ノ不納金額ハ郵便官署ニ於テ國稅滯納處分
ノ例ニ依リ之ヲ徵收ス
前項ノ不納金額ニ付郵便官署ハ國稅ニ次キ先取特權ヲ有ス
第二十八條郵便、郵便爲替、郵便貯金、電信、電話ノ事務ニ關スル郵便物ハ
無料ト爲スコトヲ得
第二十九條郵便ニ關スル料金ハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外郵便切
手其ノ他郵便料金ヲ表彰スヘキ證票ヲ以テ納付スヘシ
第三十條郵便切手其ノ他郵便料金ヲ表彰スヘキ證票ハ政府之ヲ發行ス
第三十一條郵便切手其ノ他郵便料金ヲ表彰スヘキ證票ノ汚斑毀損シタル
モノハ其ノ效用ヲ失フ
第三十二條成規ノ手續ヲ經テ郵便物又ハ郵便ニ依ル取立金ヲ交付シタル
トキハ正當ノ交付ヲ爲シタルモノト看做ス
第三十三條成規ニ依リ差出シタル郵便物ノ取扱ニ關シ郵便官署ハ左ノ場
合ニ限リ其ノ損害ヲ賠償ス
一書留郵便物ヲ亡失シタルトキ
二小包郵便物若ハ價格表記郵便物ヲ亡失又ハ毀損シタルトキ
三郵便ニ依ル取立金ノ證劵ヲ亡失シ又ハ其ノ效力ヲ失ハシメタルトキ」
賠償金額ハ命令ノ定ムル所ニ依ル
第三十四條郵便物交付ノ際外部ニ破損ノ痕跡ナク且重量ニ變易ナキトキ
ハ損害ナキモノト看做ス
第三十五條第三十三條ノ場合ト雖左ノ事項ニ該當スルトキハ損害賠償ノ
限ニ在ラス
-差出人又ハ受取人ノ過失ニ因リタルトキ
二不可抗力ニ因リタルトキ
三其ノ郵便物ノ性質又ハ瑕疵ニ因リタルトキ
第三十六條郵便物ノ差出人又ハ受取人ハ其ノ郵便物ニ損害アリト認ムル
トキハ其ノ受取ヲ拒ムコトヲ得但シ郵便物受取ノ後ハ異議ヲ申立ツルコ
トヲ得ス
第三十七條第三十三條ニ依ル損害賠償ハ差出人又ハ其ノ承諾ヲ得タル受
取人之ヲ請求スルコトヲ得
第三十八條本法ニ依ル損害賠償又ハ報酬ノ請求權ハ主務大臣ノ指定シタ
ル郵便官署ニ對シ左ノ期間內之ヲ行ハサルニ因リテ消滅ス
一第四條ニ依ル賠償及第五條ニ依ル報酬ハ其ノ事實アリタル日ヨリ三
箇月
二第三十三條ニ依ル賠償ハ郵便物差出ノ日ヨリ二箇年
第三十九條郵便官署ノ損害賠償又ハ報酬ニ關スル決定ニ對シ不服アル者
ハ其ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三箇月以內ニ民事訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第四十條郵便官署ニ於テ損害賠償ヲ爲シタル後其ノ郵便物ヲ發見シタ
ルトキハ之ヲ其ノ賠償受領者ニ通知スヘシ此ノ場合ニ於テ賠償受領者ハ
其ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ六箇月以内ニ賠償金ノ全部又ハ一部ヲ返付シ
テ其ノ郵便物ノ交付ヲ請求スルコトヲ得
第四十一條第二條ニ違反シタル者ハ二月以上二年以下ノ重禁錮ニ處シ五
圓以上五十圓以下ノ罰金ヲ附加ス
前項ノ場合ニ於テ收得シタル金圓物品ハ之ヲ沒收シ既ニ消費又ハ讓渡シ
タルモノハ其ノ金額又ハ代價ヲ追徵ス
第四十二條第三條ニ違反シタル者ハ十圓以上千圓以下ノ罰金ニ處ス
第四十三條第四條ノ場合ニ於テ通行ヲ拒ミ又ハ第五條ノ場合ニ於テ正當
ノ事由ナクシテ助力ヲ拒ミ又ハ第六條ノ場合ニ於テ通行錢ヲ强要シ若ハ
正當ノ事由ナクシテ渡津ノ出船ヲ拒ミ又ハ第二十三條ニ違反シテ郵便物
ノ受取ヲ拒ミタル者ハ科料ニ處ス
第四十四條郵便官署ノ取扱中ニ係ル信書ノ祕密ヲ侵シタル者ハ一月以上
一年以下ノ重禁錮ニ處シ二十圓以下ノ罰金ヲ附加ス
郵便事務ニ從事スル者前項ノ所爲アリタルトキハ本刑ニ一等ヲ加フ
本條ノ罪ハ被害者ノ告訴ヲ待テ之ヲ論ス
第四十五條第二十條ニ違反シタル者ハ十圓以下ノ罰金ニ處ス
第四十六條郵便禁制品ヲ郵便物トシテ差出シタル者ハ五十圓以下ノ罰金
ニ處シ其物件ヲ沒收ス
第四十七條不正ノ手段ヲ以テ郵便ニ關スル料金ヲ免レ又ハ免レムトシタ
ル者ハ百圓以下ノ罰金ニ處ス
郵便事務ニ從事スル者前項ノ所爲アリタルトキハ本刑ニ一等ヲ加フ
第四十八條帝國政府及郵便聯合條約國政府ノ發行スル郵便切手其ノ他郵
便料金ヲ表彰スヘキ證票ヲ僞造變造シ又ハ其ノ情ヲ知テ之ヲ使用シタル
者ハ一年以上五年以下ノ重禁錮ニ處シ五圓以上五十圓以下ノ罰金ヲ附加
ス
前項ノ郵便切手其ノ他郵便料金ヲ表彰スヘキ證票ハ之ヲ沒收ス
第四十九條帝國政府及郵便聯合條約國政府ノ發行スル郵便切手其ノ他郵
便料金ヲ表彰スヘキ證票ヲ再ヒ使用シタル者ハ二十圓以下ノ罰金ニ處ス
第五十條郵便事務ニ從事スル者郵便官署ノ取扱中ニ係ル郵便物ニ使用
シタル郵便切手其ノ他郵便料金ヲ表彰スヘキ證票ヲ剝脫切取シタルトキ
ハ三圓以上三十圓以下ノ罰金ニ處ス其ノ未タ消印ヲ爲ササルモノニ關シ
テハ刑法竊盜ノ罪ニ照シテ處斷ス
第五十一條郵便事務ニ從事スル者郵便官署ノ取扱中ニ係ル郵便物ヲ竊取
シタルトキハ刑法竊盜ノ例ニ照シ一等ヲ加フ
第五十二條郵便官署ノ取扱中ニ係ル郵便物ヲ正當ノ事由ナクシテ開披、
毀損、隱匿若ハ抛棄シタル者又ハ受取人ニ非サル者ニ交付シ若ハ情ヲ知
テ之ヲ受取リタル者ハ一月以上二年以下ノ重禁錮ニ處シ二十圓以下ノ罰
金ヲ附加ス
郵便事務ニ從事スル者前項ノ所爲アリタルトキハ本刑ニ一等ヲ加フ
第五十三條正當ノ事由ナクシテ郵便物ノ取扱ヲ拒絕シ若ハ其ノ送達ヲ遲
延セシメタル者又ハ重大ナル過失ニ因リ郵便物ヲ失ヒタル者ハ四圓以上
四十圓以下ノ罰金ニ處ス
第五十四條郵便專用ノ物件其ノ他現ニ郵便ノ用ニ供スル物件ヲ破壞損傷
シタル者ハ一月以上五年以下ノ重禁錮ニ處シ五十圓以下ノ罰金ヲ附加ス
第五十五條第四十七條ヲ除クノ外前數條ニ記載シタル輕罪ヲ犯サムトシ
テ未タ遂ケサル者ハ刑法未遂犯罪ノ例ニ照シテ處斷ス
第五十六條郵便物ニ關シ條約ニ別段ノ規定アルモノハ各其ノ規定ニ依ル
附則
第五十七條本法ハ明治三十三年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
郵便條例中第十二章及第二百四十二條以外ノ條項小包郵便法及郵便聯合
國郵便切手類保護法ハ之ヲ廢止ス
第五十八條本法施行前ニ差出シタル郵便物ニ關シテハ郵便條例及小包郵
便法ヲ適用ス
鐵道船舶郵便法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
明治三十三年二月三日衆議院議長片岡健吉
貴族院議長公爵近衛篤麿殿
鐵道船舶郵便法
第一條本法ニ於テ鐵道運送業者ト稱スルハ私設鐵道條例ニ依リ鐵道ヲ以
テ運送營業ヲ爲ス者ヲ謂ヒ船舶運送業者ト稱スルハ商法ニ依リ船舶ヲ以
テ運送營業ヲ爲ス者ヲ謂フ
第二條鐵道運送業者ハ郵便取扱ノ爲郵便官署ノ要求アルトキハ鐵道用地
及停車場建物ノ一部ヲ供シ又ハ建物ノ建築若ハ改築ヲ爲スヘシ
前項ノ場合ニ於テ土地建物ノ使用料及建築改築ノ費用ハ郵便官署之ヲ支
給ス
第三條鐵道運送業者ハ郵便官署ノ要求アルトキハ定期列車每ニ郵便車ト
シテ列車定數ノ總容積ノ五分ノ一迄ハ其ノ列車ノ一部ヲ供給シ又ハ郵便
官署ノ交付ニ係ル同一容積以內ノ郵便車ヲ聯結スヘシ
船舶運送業者ハ郵便官署ノ要求アルトキハ其ノ船舶ニ相當ノ郵便船室ヲ
供給スヘシ
第四條郵便車ノ構造ハ通常客車ト同一タルコトヲ要ス
第五條郵便車又ハ郵便船室ニハ郵便物郵便取扱員及其ノ監視員ノ外搭載
スルコトヲ得ス
第六條鐵道運送業者又ハ船舶運送業者ハ郵便官署ノ要求ニ應シ郵便車又
ハ郵便船室ニ郵便物ノ取扱ニ必要ナル設備及維持ヲ爲スヘシ
鐵道運送業者ハ郵便官署ノ交付ニ係ル郵便車ヲ保管スヘシ
前二項ノ場合ニ於テ設備維持及保管ニ要スル費用ハ郵便官署之ヲ支給ス
第七條鐵道運送業者ハ列車仕立驛ニ於テ指定ノ郵便車ノ外臨時容積ノ增
加ヲ要シ又ハ臨時郵便車ノ聯結ヲ要スル爲其ノ列車出發時刻三十分前迄
ニ郵便官署ノ要求アルトキハ他ノ郵便車ヲ聯結シ又ハ通常客車ヲ其ノ代
用ニ供スヘシ
第八條錢道運送業者ハ郵便官署ニ於テ郵便車ニ依ラサル郵便物ノ運送ヲ
要求シタルトキハ旅客列車ニ依リ運送スル貨物ト同一ノ方法ヲ以テ之ヲ
運送スヘシ
第九條鐵道運送業者列車ノ發著時刻ヲ變更スルトキハ七日以前ニ之ヲ郵
便官署ニ報告スヘシ但シ天災其ノ他避クヘカラサル事故ノ爲發著時刻ノ
變更ヲ決定シタルトキハ直ニ報告スヘシ
第十條郵便車ノ使用料金ハ左ノ割合ニ依ル
三百方立尺迄一哩毎ニ金一錢八厘以內
五百立方尺迄一哩每ニ金三錢五厘以內
七百立方尺迄一哩毎ニ金五錢六厘以內
千立方尺迄一哩每ニ金九錢以內
千立方尺ヲ超過シタルトキハ其ノ全容積ニ對シ百立方尺迄ニ付一哩每
ニ金一錢以內
郵便車ノ容積ハ各列車ニ於ケル郵便車總容積ヲ以テ之ヲ算定ス其ノ容積
ノ算定方法ハ命令ノ定ムル所ニ依ル
郵便物ヲ旅客列車ニ依リ運送スル貨物ト同一ノ方法ヲ以テ運送セシムル
トキハ其ノ運送料金ハ其ノ鐵道運送業者ノ定メタル普通貨物運賃ノ最低
額ノ半額以内トス
郵便官署ヨリ郵便車ヲ交付シタル場合ニ於テ鐵道運送業者ニ支給スヘキ
金額ハ命令ノ定ムル所ニ依ル
第十一條船舶運送業者ハ船舶ニ搭載シタル郵便物ヲ其ノ目的地ニ於テ他
ノ貨物ニ先チ陸揚スヘシ天災事變ノ爲航海ノ途中ニ於テ積替若ハ陸揚ス
ルトキ亦同シ
第十二條船舶運送業者ニ交付スヘキ運送料金ハ命令ノ定ムル所ニ依ル
第十三條郵便物搭載列車天災事變ノ爲其ノ進行ヲ停止シタルトキ又ハ郵
便物搭載船舶航行中天災事變ニ因リ郵便物ヲ陸揚シタルトキハ鐵道運送
業者又ハ船舶運送業者ハ郵便取扱員ノ在ラサル場合ニ限リ直ニ該郵便物
ヲ附近郵便官署ニ送達スヘシ其ノ送達ニ要スル費用ハ之ヲ支給ス
第十四條第三條ノ要求ニ應セサル者又ハ正當ノ理由ナクシテ第二條若ハ
第七條ノ要求ニ應セサル者ハ五十圓以上五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第十五條第六條第一項及第二項ニ違反シタル者又ハ正當ノ理由ナクシテ
第八條ノ要求ニ應セサル者ハ二十圓以上二百圓以下ノ罰金ニ處ス第五條
ニ違反シタル錢道運送業者及船舶運送業者亦同シ
第十六條第十三條ニ依ル送達ヲ爲ササル者ハ十圓以上百圓以下ノ罰金ニ
處ス
第十七條過失ニ依リ運送中ニ係ル郵便物ヲ亡失シ又ハ之ヲ毀損シタルト
キハ鐵道運送業者又ハ船舶運送業者ヲ十圓以上百圓以下ノ罰金ニ處ス
第十八條第九條又ハ第十一條ニ違反シタル者ハ二十圓以下ノ罰金ニ處ス
第十九條前數條ノ罰則ヲ適用スル場合ニ於テ鐵道運送業者又ハ船舶運送
業者法人ナルトキハ其ノ業務執行社員又ハ取締役ヲ處罰ス
第二十條軌道條例ニ依リ運送營業ヲ爲ス者ニ對シテハ命令ノ定ムル所ニ
依リ本法ノ規定ヲ準用スルコトヲ得
第二十一條鐵道又ハ航路若ハ船舶ニ闘シ政府ヨリ補助ヲ受ケ若ハ受ケタ
ル鐵道運送業者又ハ船舶運送業者ニ對シ特別ノ命令アルトキハ其ノ命令
一粒近,
附則
本法ハ明治三十三年十月一日ヨリ之ヲ施行ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=13
-
014・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 此四案ノ委員ハ同一委員デ宜カラウト思ヒマス、
御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=14
-
015・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) サウシテ議長ニ於テ指名シテ宜シウゴザイマスカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者多シ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=15
-
016・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 衆議院議員選擧法改正法律案、政府提出、衆議院
送付、第一讀會
衆議院議員擧選法改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治三十三年一月三十一日衆議院議長片岡健吉
貴族院議長公爵近衛篤麿殿
衆議院議員擧選法
第一章選擧ニ關スル區域
第一條衆議院議員ハ各選擧區ニ於テ之ヲ選擧ス
選擧區及各選擧區ニ於テ選擧スヘキ議員ノ數ハ別表ヲ以テ之ヲ定ム
第二條投票區ハ市町村ノ區域ニ依ル
特別ノ事情アル市町村ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ二箇以上ノ投票區
ヲ設ケ又ハ數町村ノ區域ニ依リ一投票區ヲ設クルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ投票ニ關シ本法ノ規定ヲ適用シ難キトキハ勅令ヲ以テ
特別ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第三條町村組合ニシテ町村ノ事務ノ全部ヲ共同處理スルモノハ之ヲ一町
村其ノ組合管理者ハ之ヲ町村長ト看做ス
第四條市町村長ハ投票管理者トナリ投票ニ關スル事務ヲ擔任ス
第五條一選擧區ノ選擧ハ郡長又ハ市長其ノ選擧長トナリ之ヲ管理ス
一選擧區ニシテ數郡ニ涉ルトキハ地方長官ハ其ノ郡長ノ一人ヲ命シ選擧
長タラシムヘシ
第六條行政區畫ノ變更ニ因リ選擧區ニ異動ヲ生スルモ現任議員ハ其ノ職
ヲ失フコトナシ
第二章選擧權及被選擧權
第七條左ノ要件ヲ具備スル者ハ選擧權ヲ有ス
-帝國臣民タル男子ニシテ成年ニ達シタル者
二選擧人名簿調製ノ期日前滿一年以上其ノ府縣內ニ住所ヲ有シ仍引續
キ有スル者
三選擧人名簿調製ノ期日前滿一年以上地租五圓以上又ハ滿二年以上地
租以外ノ直接國稅五圓以上若ハ地租ト其ノ他ノ直接國稅トヲ通シテ
五圓以上ヲ納メ仍引續キ納ムル者
家督相續ニ依リ財產ヲ取得シタル者ハ其ノ財產ニ付被相續人ノ爲シ
タル納稅ヲ以テ其ノ者ノ納稅シタルモノト看做ス
第八條前條ノ要件中其ノ年限ニ關スルモノハ行政區畫變更ノ爲中斷セラ
ルルコトナシ
第九條帝國臣民タル男子ニシテ年齡滿三十年以上ノ者ハ被選擧權ヲ有ス
第十條左ニ揭クル者ハ選擧權及被選擧權ヲ有セス
ー禁治產者及準禁治產者
二身代限ノ處分ヲ受ケ債務ノ辨償ヲ終ヘサル者及家資分散若ハ破產ノ
宣告ヲ受ケ其ノ確定シタルトキヨリ復權ノ決定確定スルニ至ル迄ノ
者
三剝奪公權者及停止公權者
四禁錮以上ノ刑ノ宣告ヲ受ケタルトキヨリ其ノ裁判確定スルニ至ル迄
ノ者
第十一條華族ノ戶主ハ選擧權及被選擧權ヲ有セス
陸海軍々人ニシテ現役中ノ者及戰時若ハ事變ニ際シ召集中ノ者又ハ官立
公立私立學校ノ學生、生徒亦前項ニ同シ
第十二條神官、神職、僧侶其ノ他諸宗〓師、小學校〓員ハ被選擧權ヲ有セ
ス其ノ之ヲ罷メタル後三箇月ヲ經過セサル者亦同シ
政府ノ爲請負ヲ爲ス者又ハ政府ノ爲請負ヲ爲ス法人ノ役員ハ被選擧權ヲ
有セス
第十三條選擧事務ニ直接ノ關係アル官吏、吏員ハ其ノ選擧區內ニ於テ被
選擧權ヲ有セス其ノ之ヲ罷メタル後三箇月ヲ經過セサル者亦同シ
地方ノ官吏、吏員ハ其ノ管轄區域内ニ於テ亦前項ニ同シ
第十四條宮內官、判事、檢事、行政裁判所長官、行政裁判所評定官、會計檢
査官、收稅官吏及警察官吏ハ被選擧權ヲ有セス
第十五條官吏ハ勅令ニ規定アルモノヲ除クノ外議員ト相兼ヌルコトヲ得
ス
第十六條府縣會議員ハ衆議院議員ト相兼ヌルコトヲ得ス
第三章選擧人名簿
第十七條町村長ハ每年十月一日ノ現在ニ依リ其ノ町村内ニ住所ヲ有スル
者ノ選擧資格ヲ調査シ選擧人名簿正副二本ヲ調製シ十月十五日迄ニ選擧
長ニ送付スヘシ
選擧長ハ町村長ヨリ送付シタル名簿ヲ調査シ其ノ修正スヘキモノハ修正
ヲ加ヘ副本ハ十月三十一日迄ニ之ヲ町村長ニ返付スヘシ
市長ハ每年十月一日ノ現在ニ依リ其ノ市內ニ住所ヲ有スル者ノ選擧資格
ヲ調査シ十月三十一日迄ニ選擧人名簿ヲ調製スヘシ
選擧人名簿ニハ選擧人ノ氏名、官位、職業、身分、住所、生年月、納稅額及納
稅地等ヲ記載スヘシ
第十八條選擧人其ノ住所ヲ有スル市町村外ニ於テ直接國稅ヲ納ムルトキ
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ證明ヲ得テ十月五日迄ニ其ノ住所地ノ市町
村長ニ屆出ツヘシ其ノ期日迄ニ屆出ヲ爲ササルトキハ其ノ納稅ハ選擧人
名簿ニ記載セラルヘキ要件ニ算入セス
第十九條選擧長、町村長ハ十一月五日ヨリ十五日間其ノ廳又ハ地方長官
ノ許可ヲ得タル場所ニ於テ選擧人名簿ヲ縱覽ニ供スヘシ
第二十條選擧人選擧人名簿ニ脫漏又ハ誤載アルコトヲ發見シタルトキハ
其ノ理由書及證憑ヲ具ヘテ之ヲ選擧長ニ申立ツルコトヲ得
第二十一條選擧人正當ノ事故ニ因リ第十八條ノ手續ヲ爲スコト能ハスシ
テ選擧人名簿ニ登錄セラレサルトキ亦前條ノ例ニ依ル
第二十二條縱覽期限ヲ經過シタルトキハ前二條ノ申立ヲ爲スコトヲ得ス
第二十三條選擧長ニ於テ第二十條第二十一條ノ申立ヲ受ケタルトキハ其
ノ理由及證憑ヲ審査シ申立ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ之ヲ決定スヘ
シ其ノ申立ヲ正當ナリト決定シタルトキハ直ニ選擧人名簿ヲ修正シ其ノ
由ヲ申立人及關係人ニ通知シ併セテ其ノ要領ヲ告示スヘシ其ノ申立ヲ正
當ナラスト決定シタルトキハ之ヲ申立人ニ通知スヘシ
前項ニ依リ名簿ヲ修正シタルトキハ選擧長ハ其ノ由ヲ本人住所地ノ町村
長ニ通知スヘシ
第二十四條前條選擧長ノ決定ニ不服アル申立人及關係人ハ選擧長ヲ被告
トシ決定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ七日以內ニ地方裁判所ニ出訴スルコト
ヲ得
前項地方裁判所ノ判決ニ對シテハ控訴スルコトヲ許サス但シ大審院ニ上
告スルコトヲ得
第二十五條町村長ハ十一月二十日ヨリ十二月十日迄ノ間ニ其ノ管理ニ屬
スル選擧人名簿ヲ選擧長ニ送付スヘシ
前項名簿ノ送付ヲ受ケタル選擧長ハ之ヲ調査シ其ノ修正スヘキモノハ修
正ヲ加ヘ十二月二十日迄ニ之ヲ町村長ニ返付スヘシ
第二十六條選擧人名簿ハ十二月二十日ヲ以テ確定ス
選擧人名簿ハ次年ノ選擧人名簿確定ノ日迄之ヲ据置クヘシ但シ確定判決
ニ依リ修正スヘキモノハ選擧長ニ於テ直ニ之ヲ修正シ其ノ要領ヲ告示ス
ヘシ
前項ニ依リ名簿ヲ修正シタルトキハ選擧長ハ其ノ由ヲ本人住所地ノ町村
長ニ通知シ副本ヲ修正セシムヘシ
天災事變其ノ他ノ事故ニ因リ必要アルトキハ更ニ選擧人名簿ヲ調製スヘ
前項選擧人名簿ノ調製及其ノ期日、縱覽確定ニ關スル期日、期間等ハ命
令ノ定ムル所ニ依ル
第四章選擧、投票及投票所
第二十七條總選擧ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定メ少クトモ三十日前ニ之ヲ
公布ス
第二十八條選擧ハ投票ニ依リ之ヲ行フ
投票ハ一人一票ニ限ル
第二十九條投票所ハ市役所、町村役場又ハ地方長官ノ許可ヲ得テ投票管
理者ノ指定シタル場所ニ之ヲ設ク
第三十條投票管理者ハ選擧ノ期日ヨリ少クトモ五日前ニ投票所ヲ其ノ
投票區內ニ告示スヘシ
第三十一條投票管理者ハ各投票區內ニ於ケル選擧人中ヨリ三名以上五名
以下ノ投票立會人ヲ選任シ選擧ノ期日ヨリ少クトモ三日前ニ之ヲ本人ニ
通知シ選擧ノ當日投票所ニ參會セシムヘシ
投票立會人ハ正當ノ事故ナクシテ其ノ職ヲ辭スルコトヲ得ス
第三十二條投票所ハ午前七時ニ開キ午後六時ニ閉ツ
第三十三條選擧人ハ選擧ノ當日自ラ投票所ニ到リ選擧人名簿ノ對照ヲ經
テ投票簿ニ捺印シ投票スヘシ
投票管理者ハ投票ヲ爲サムトスル選擧人ノ本人ナルヤ否ヲ確認スルコト
能ハサルトキハ其ノ本人ナル旨ヲ宣言セシムヘシ其ノ宣言ヲ爲ササル者
ハ投票ヲ爲スコトヲ得ス
第三十四條投票用紙ハ選擧ノ當日投票所ニ於テ之ヲ選擧人ニ交付スヘシ
第三十五條選擧人ハ投票所ニ於テ投票用紙ニ被選擧人ノ氏名ヲ記載シ次
ニ自己ノ氏名ヲ記載シ捺印シテ投函スヘシ
選舉人ニシテ文字ヲ書スルコト能ハサル由ヲ申立ツルトキハ投票管理者
ハ吏員ヲシテ代書セシメ之ヲ本人ニ讀ミ聞カセ捺印投票セシメ其ノ由ヲ
投票明細書ニ記載スヘシ
二人以上ノ議員ヲ選擧スヘキ選擧區ニ於テハ連名投票ヲ用ウヘシ
第三十六條選擧人名簿ニ登錄セラレサル者ハ投票スルコトヲ得ス但シ選
擧人名簿ニ登錄セラルヘキ確定判決書ヲ所持シ選擧ノ當日投票所ニ到ル
者アルトキハ投票管理者ハ之ヲシテ投票セシムヘシ
第三十七條選擧人名簿ニ登錄セラレタル者選擧權ヲ有セサルトキハ投票
ヲ爲スコトヲ得ス
第三十八條投票ノ拒否ハ投票立會人ノ意見ヲ聽キ投票管理者之ヲ決定ス
ヘシ
前項ノ決定ヲ受ケタル選擧人不服アルトキハ投票管理者ハ假ニ投票ヲ爲
サシムヘシ
第一項ニ揭クル者ニ於テ異議アル選擧人ニ對シテモ亦前項ニ同シ
第三十九條投票所ヲ閉ツヘキ時刻ニ至リタルトキハ投票管理者ハ其ノ由
ヲ告ケテ投票所ノ入口ヲ鎖シ投票所ニ在ル選擧人ノ投票結了スルヲ待テ
投票函ヲ閉鎖スヘシ
投票函閉鎖後ハ投票スルコトヲ得ス
第四十條投票管理者ハ投票錄ヲ作リ投票ニ關スル顛末ヲ記載シ投票立
會人ト共ニ之ニ署名スヘシ
第四十一條町村ニ於テハ投票管理者ハ一名又ハ數名ノ立會人ト共ニ役票
ノ翌日迄ニ投票函、投票錄及選擧人名簿ヲ選擧長ニ送致スヘシ
第四十二條島嶼其ノ他交通不便ノ地ニシテ前條ノ期日ニ投票函ヲ送致ス
ルコト能ハサル情況アルトキハ地方長官ハ適宜ニ其ノ投票ノ期日ヲ定メ
選擧會ノ期日迄ニ其ノ投票函、投票錄及選擧人名簿ヲ送致セシムルコト
ヲ得
第四十三條天災其ノ他避クヘカラサル専故ニ因リ投票ヲ行フコトヲ得サ
ルトキ又ハ更ニ投票ヲ行フノ必要アルトキハ投票管理者ハ地方長官ニ其
ノ由ヲ屆出ツヘシ此ノ場合ニ於テハ地方長官ハ更ニ期日ヲ定メ投票ヲ行
ハシムヘシ但シ其ノ期日ハ少クトモ五日前ニ投票區內ニ告示セシムヘシ
第五章投票所取締
第四十四條投票管理者ハ投票所ノ秩序ヲ保持シ必要ナル場合ニ於テハ警
察官吏ノ處分ヲ請求スルコトヲ得
第四十五條選擧人、投票所ノ事務ニ從事スル者、投票所ヲ監視スル職權
ヲ有スル者及警察官吏ノ外投票所ニ入ルコトヲ得ス
第四十六條投票所ニ於テ演說討論ヲ爲シ若ハ喧騒ニ涉リ又ハ投票ニ關シ
協議若ハ勸誘ヲ爲シ其ノ他投票所ノ秩序ヲ紊ル者アルトキハ投票管理者
ハ之ヲ制止シ命ニ從ハサルトキハ之ヲ投票所外ニ退出セシムヘシ
第四十七條前條ニ依リ投票所外ニ退出セシメラレタル者ハ最後ニ至リ投
票ヲ爲スコトヲ得但シ投票所閉鎖後ハ此ノ限ニ在ラス
第六章選擧會
第四十八條選擧會ハ選擧管理ノ郡市役所又ハ地方長官ノ許可ヲ得テ選擧
長ノ指定シタル場合ニ之ヲ開ク
第四十九條選擧長ハ豫メ選擧會ノ場所ヲ告示スヘシ
第五十條選擧長ハ各投票所ヨリ參會シタル投票立會人ノ中ヨリ抽籤ヲ
以テ選擧立會人三名以上七名以下ヲ定メ選擧會ニ立會ハシムヘシ但シ市
ニ於テハ投票立會人ヲ以テ選擧立會人トス
選擧立會人ハ正當ノ事故ナクシテ其ノ職ヲ辭スルコトヲ得ス
第五十一條選擧長ハ郡ニ於テハ投票函ノ總テ到達シタル翌日、市ニ於テ
ハ投票ノ翌日選擧立會人立會ノ上投票函ヲ開キ投票ノ總數ト投票人ノ總
數トヲ計算スヘシ
第五十二條前條ノ計算終リタルトキハ選擧長ハ先ツ第三十八條第二項及
第三項ノ投票ヲ調査シ選舉立會人ノ意見ヲ聽キ其ノ受理如何ヲ決定スヘ
シ
第五十三條選擧人ハ其ノ選擧會ニ參觀ヲ求ムルコトヲ得
第五十四條投票ノ效力ハ選擧立會人ノ意見ヲ聽キ選擧長之ヲ決定スヘシ
第五十五條投票ニ記載ノ人員其ノ選擧スヘキ定數ニ過キ又ハ不足アルモ
其ノ投票ヲ無效トセス其ノ定數ニ過クルモノハ末尾ニ記載シタル者ヲ順
次ニ除却スヘシ
左ノ投票ハ之ヲ無效トス但シ連名投票ニシテ第二及第三ニ該當スルモノ
ハ其ノ部分ノミヲ無效トス
一成規ノ用紙ヲ用ヰサルモノ
二被選擧人ノ何人タルヲ確認シ難キモノ
三被選擧權ナキ者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
四被選擧人若ハ選擧人ノ氏名ヲ記載セサルモノ
五選擧人ノ何人タルヲ確認シ難キモノ
六投票ヲ行フ權ナキ者ノ投票
七第三十四條第一項ニ規定シタル外他事ヲ記載シタルモノ但シ官位、
職業、身分、住所又ハ敬稱ノ類ヲ記入シタルモノハ此ノ限ニ在ラス
第五十六條投票ハ有效無效ヲ區別シ議員ノ任期間選擧長ニ於テ之ヲ保存
スヘシ
第五十七條選擧長ハ選擧錄ヲ作リ選擧ニ關スル〓末ヲ記載シ選擧立會人
ト共ニ署名シ投票錄ト併セテ議員ノ任期間之ヲ保存スヘシ
第五十八條第四十三條ノ規定ハ但書ヲ除キ選擧會ニ之ヲ準用ス
第五十九條選擧會場ノ取締ニ付テハ第五章ノ規定ヲ準用ス
第七章當選人
第六十條有效投票ノ最多數ヲ得タル者ヲ以テ當選人トス
前項ノ當選人ニシテ當選證書付與前ニ於テ其ノ當選ヲ辭シ若ハ死亡シタ
ルトキ又ハ當選證書付與ノ前後ヲ問ハス選擧ニ關スル罰則ニ依リ處罰セ
ラレタル結果當選無效トナリタルトキ又ハ被選擧權ヲ有セサル爲當選無
效トナリタルトキハ得票ノ順位ニ依リ更ニ當選人ヲ定ム
前項ノ場合ヲ除クノ外選擧訴訟若ハ當選訴訟ノ結果ニ依リ必要ナルトキ
ハ本條ノ例ニ依リ更ニ當選人ヲ定ム
本條ニ依リ當選人ヲ定ムルニ當リ得票ノ數相同キトキハ年長者ヲ取リ同
年月ナルトキハ抽籤シテ其ノ順位ヲ定ム
第六十一條當選人定マリタルトキハ選擧長ハ直ニ之ヲ地方長官ニ報告ス
ヘシ
地方長官ニ於テ前項ノ報告ヲ受ケタルトキハ直ニ之ヲ當選人ニ告知スヘ
第六十二條當選人當選ノ告知ヲ受ケタルトキハ其ノ當選ヲ承諾スルヤ否
ヲ地方長官ニ屆出ツヘシ
一人ニシテ數選擧區ノ當選ヲ承諾スルコトヲ得ス
第六十三條當選人當選ノ告知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ當選承諾ノ
屆出ヲ爲ササルトキハ其ノ當選ヲ辭シタルモノト看做ス
第六十四條當選人當選ヲ承諾シタルトキハ地方長官ハ直ニ當選證書ヲ付
與シ其ノ氏名ヲ管內ニ告示シ且之ヲ內務大臣ニ報告スヘシ
第六十五條選擧訴訟若ハ當選訴訟ノ判決ニ依リ選擧若ハ當選無效トナリ
タルトキ又ハ當選證書ヲ付與シタル後選擧ニ關スル罰則ニ依リ處罰セラ
レタル結果當選無效トナリタルトキハ地方長官ハ其ノ當選證書ヲ取消シ
之ヲ管內ニ告示スヘシ
第八章議員ノ任期及補闘選擧
第六十六條議員ノ任期ハ總選擧ノ期日ヨリ四箇年トス但シ議會開會中ニ
任期終ルモ閉會ニ至ル迄在任ス
第六十七條議員ノ闕員ヲ生シタルトキハ地方長官ハ內務大臣ノ命ニ依リ
其ノ命ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ補闕選擧ヲ行フヘシ
前項ノ補闘選擧ノ期日ハ地方長官豫メ之ヲ告示スヘシ
第六十八條補闘議員ハ其ノ前任者ノ殘任期間在任ス
第九章選擧訴訟及當選訴訟
第六十九條選擧ノ效力ニ關シ異議アル選擧人ハ選擧長ヲ被告トシ選擧ノ
日ヨリ三十日以內ニ控訴院ニ出訴スルコトヲ得
前項控訴院ノ判決ニ不服アル者ハ大審院ニ上告スルコトヲ得
第七十條選擧ノ規定ニ違背スルコトアルトキハ當選ノ結果ニ異動ヲ及
ホスノ虞アル場合ニ限リ裁判所ハ其ノ選擧ノ全部若ハ一部ノ無效ヲ判決
スヘシ
當選訴訟ニ於テモ其ノ選擧前項ノ場合ニ該當スルトキハ裁判所ハ其ノ全
部若ハ一部ノ無效ヲ判決スヘシ
第七十一條當選ヲ失ヒタル者當選ノ效力ニ關シ異議アルトキハ當選人ヲ
被〓トシ第六十四條ノ氏名告示ノ日ヨリ三十日以內ニ控訴院ニ出訴スル
コトヲ得
前項控訴院ノ判決ニ不服アル者ハ大審院ニ上告スルコトヲ得
第七十二條裁判所ハ選擧訴訟若ハ當選訴訟ヲ裁判スルニ當リ檢事ヲシテ
口頭辯論ニ立會ハシムヘシ
第七十三條裁判所ニ於テ選擧訴訟若ハ當選訴訟ヲ判決シタルトキハ其ノ
判決書ノ謄本ヲ內務大臣ニ送付スヘシ若帝國議會開會中ナルトキハ併セ
テ之ヲ衆議院議長ニ送付スヘシ
第七十四條原告人ハ訴狀ヲ提出スルト同時ニ保證金トシテ三百圓又ハ之
ニ相當スル額面ノ公債證書ヲ供託スヘシ
原告人敗訴ノ場合ニ於テ裁判確定ノ日ヨリ七日以內ニ裁判費用ヲ完納セ
サルトキハ保證金ヲ以テ之ニ充當シ仍足ラサルトキハ之ヲ追徵ス
第十章罰則
第七十五條詐僞ノ方法ヲ以テ選擧人名簿ニ登錄セラレタル者又ハ第三十
三條第二項ノ場合ニ於テ虛僞ノ宣言ヲ爲シタル者ハ十圓以上五十圓以下
ノ罰金ニ處ス
第七十六條選擧ノ前後ヲ問ハス左ノ各號ニ該當スル所爲アル者ハ一月以
上一年以下ノ輕禁錮ニ處シ又ハ十圓以上百圓以下ノ罰金ニ處ス
一選擧ニ關シ直接又ハ間接ニ金錢、物品、手形其ノ他ノ利益若ハ公私ノ
職務ヲ選擧人又ハ選擧運動者ニ供與シ又ハ供與セムコトヲ申込ミタ
ル者又ハ供與若ハ申込ヲ承諾セムコトヲ周旋勸誘シタル者竝供與ヲ
受ケ若ハ申込ヲ承諾シタル者
二選擧ニ關シ酒食、遊覽等其ノ方法及名義ノ何タルヲ問ハス人ヲ饗應
接待シ又ハ饗應接待ヲ受ケタル者又ハ選擧會場、若ハ投票所ニ往復
スル爲船車馬ノ類ヲ供給シ及其ノ供給ヲ受ケタル者又ハ旅費若ハ休
泊料ノ類ヲ代辨シ及其ノ代辨ヲ受ケタル者竝此等ノ約束ヲ爲シ又ハ
約束ヲ受ケタル者
三選擧ニ關シ選擧人又ハ其ノ關係アル社寺、學校、會社、組合、市町村等
ニ對スル用水、小作、債權、寄附其ノ他利害ノ關係ヲ利用シ選擧人ヲ
誘導シタル者及其ノ誘導ニ應シタル者
前項ノ場合ニ於テ其ノ收受シタル物件ハ之ヲ沒收シ既ニ費用シタルモノ
ハ其ノ價ヲ追徵ス
第七十七條左ノ各號ニ該當スル者ハ二月以上二年以下ノ輕禁錮ニ處シ五
圓以上百圓以下ノ罰金ヲ附加ス
一選擧ニ關シ選擧人ニ暴行脅迫ヲ加ヘ若ハ之ヲ拐引シタル者
二選擧人ニ對シ往來ノ便ヲ妨ケ又ハ詐僞ノ手段ヲ以テ選舉權ノ行使ヲ
妨害シ若ハ投票ヲ爲サシメタル者
三選擧ニ關シ選擧人又ハ其ノ關係アル社寺、學校、會社、組合、市町村等
ニ對スル用水、小作、債權其ノ他利害ノ關係ヲ利用シ選擧人ヲ威逼シ
タル者
第七十八條投票所ニ於テ正當ノ事由ナクシテ選擧人ノ投票ニ關涉シタル
者ハ一月以上一年以下ノ輕禁錮ニ處シ又ハ十圓以上百圓以下ノ罰金ニ處
ス
法令ノ規定ニ依ラスシテ投票函ヲ開キ又ハ投票函中ノ投票ヲ取出シタル
者ノ罰亦前項ニ同シ
第七十九條投票管理者、選擧長、立會人若ハ選擧監視者ニ暴行ヲ加ヘ又ハ
選擧會場、若ハ投票所ヲ騷擾シ又ハ投票、投票函其ノ他關係書類テ抑留、
毀壞、奪取シタル者ハ四月以上四年以下ノ輕禁錮ニ處ス
多衆ヲ嘯聚シテ前項ノ罪ヲ犯シタル者ハ輕禁獄ニ處ス其ノ情ヲ知テ嘯聚
ニ應シ勢ヲ助ケタル者ハ一月以上五年以下ノ輕禁錮ニ處ス
第八十條選擧人、議員候補者若ハ選擧運動者ヲ脅迫シ又ハ選擧會場、投
票所ヲ騷擾シ又ハ投票、投票函其ノ他關係書類ヲ抑留、毀壞、奪取スルノ
目的ヲ以テ多衆ヲ嘯聚シタル者ハ六月以上三年以下ノ輕禁錮ニ處ス其ノ
情ヲ知テ嘯聚ニ應シ勢ヲ助ケタル者ハ十五日以上三月以下ノ輕禁錮ニ處
ス犯罪者第八十一條ノ物件ヲ携帶シタルトキハ各本刑ニ一等ヲ加フ
第八十一條選擧人、議員候補者及選舉運動者ニシテ選擧ニ關シ銃砲、槍
㦸、刀劔、竹槍、棍棒其ノ他人ヲ殺傷スルニ足ルヘキ物件ヲ携帶シタル者
ハ二年以下ノ輕禁錮又ハ五圓以上二百圓以下ノ訂金ニ處ス
警察官吏又ハ憲兵ハ必要ト認ムル場合ニ於テ前項ノ物件ヲ領置スルコト
ヲ得
第八十二條前條記載ノ物件ヲ携帶シテ選擧會場、若ハ投票所ニ入リタル
者ハ前條ノ例ニヨリ一等ヲ加フ
第八十三條選擧ニ關シ氣勢ヲ張ルノ目的ヲ以テ多衆集合シ若ハ隊伍ヲ組
ミテ往來シ又ハ煙火、篝火、松明ノ類ヲ用ヰ若ハ鍾皷、法螺、喇叺ノ類ヲ
鳴ラシ幟旗其ノ他ノ標章ヲ用ウル等ノ所爲ヲ爲シ警察官吏ノ制止ヲ受ク
ルモ仍其ノ命ニ從ハサル者ハ十五日以上六月以下ノ輕禁錮ニ處シ又ハ五
圓以上百圓以下ノ罰金ニ處ス
第八十四條第七十八條乃至第八十三條ノ所爲ヲ爲サシムルノ目的ヲ以テ
演說又ハ新聞紙、雜誌、引札、張札其ノ他何等ノ方法ヲ以テスルニ拘ラ
s
ス人ヲ〓唆シタル者ハ其ノ各條ニ依リ處斷ス但シ新聞紙、雜誌ニ在リテ
ハ仍其ノ署名シタル編輯人ヲ處斷ス
第八十五條當選ヲ妨クルノ目的ヲ以テ演說又ハ新聞紙、雜誌、引札、張札
其ノ他何等ノ方法ヲ以テスルニ拘ラス議員候補者ニ關シ虚僞ノ事項ヲ公
ニシタル者ハ六月以下ノ輕禁錮ニ處シ五十圓以下ノ罰金ヲ附加ス新聞
紙雜誌ニ在リテハ前條但書ノ例ニ依ル
第八十六條選擧人タルコトヲ得サル者ニシテ投票ヲ爲シタル者及氏名ヲ
詐稱シテ投票ヲ爲シタル者ハ一月以上二年以下ノ輕禁錮ニ處シ十圓以上
百圓以下ノ罰金ヲ附加ス
第八十七條立會人正當ノ事故ナクシテ本法ニ定メタル義務ヲ缺クトキハ
五圓以上五十圓以下ノ罰金ニ處ス
第八十八條第八十條第二項第八十一條及第八十二條ノ罪ヲ犯シタル場合
ニ於テハ其ノ携帶シタル物件ヲ沒收ス
第八十九條當選人其ノ選擧ニ關シ選擧ニ關スル犯罪ニ依リ刑ニ處セラレ
タルトキハ其ノ當選ヲ無效トス
第九十條選擧ニ關スル犯罪ニ依リ刑ニ處セラレタル者ハ裁判所ノ宣告
ヲ以テ刑期後仍二年以上八年以下選擧人及被選擧人タルコトヲ禁ス
第九十一條本法ニ依リ處罰スヘキ犯罪ハ六箇月ヲ以テ時效ニ罹ル
第十一章補則
第九十二條選擧ニ關スル費用ニ付テハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第九十三條選擧ニ關スル訴訟ニ付テハ.裁判所ハ他ノ訴訟ノ順序ニ拘ラス
速ニ其ノ裁判ヲ爲スヘシ
第九十四條町村ヲ市ト爲シタル場合ニ於テハ別表ヲ改正スル迄ノ間其ノ
市ハ從前屬シタル郡ノ區域ニ包含スルモノト看做シ本法中町村及町村長
ニ關スル規定ハ之ヲ市及市長ニ準用ス
第九十五條町村制ヲ施行セサル地ニ於テハ本法ニ規定シタル町村長ノ職
務ハ戶長又ハ之ニ準スヘキ者之ヲ掌ル
島司ヲ置ケル島嶼ニ於テハ本法ニ規定シタル郡長ノ職務ハ島司之ヲ掌リ
其ノ島司ナキモノニ於テハ郡長ニ準スヘキ者之ヲ掌ル
東京市、京都市、大阪市ニ於テハ本法中市トアルハ區、市長トアルハ區長、
市役所トアルハ區役所ニ該當ス其ノ例ニ依リ難キ場合又ハ特ニ必要ナル
事項ニ付テハ勅合ヲ以テ別段ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第九十六條立會人指定ノ時刻ニ至リ參會セサルトキ又ハ參會シタルモ中
途ヨリ定數ヲ缺キタルトキハ投票管理者、選擧長ハ臨時ニ選擧人ノ中ヨ
リ立會人ヲ選任スヘシ
第九十七條選擧人名簿ニ關スル訴訟選擧訴訟及常選訴訟ニ付テハ本法ニ
規定シタルモノヲ除クノ外總テ民事訴訟ノ例ニ依ル
第九十八條本法ニ於ケル直接國稅ノ種類ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第九十九條北海道及沖繩縣ニ於テ本法ノ規定ヲ適用シ難キ事項ニ付テハ
勅令ヲ以テ別段ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第十二章附則
第百條本法ハ次ノ總選擧ヨリ之ヲ施行ス但シ北海道札幌區、建築、沖縄小樽區ヲ除ク
縣ニ付テハ勅令ヲ以テ別ニ施行ノ期日ヲ定ム
第百一條本法ニ依リ初テ議員ヲ選擧スルニ付必要ナル選擧人名簿ノ調製
ニ限リ第十七條乃至第十九條第二十三條第二十五條第二十六條ノ期日及
期間ハ勅令ヲ以テ別ニ之ヲ定ムルコトヲ得但シ其ノ選擧人名簿ハ次年ノ
選擧人名簿確定ノ日迄其ノ效力ヲ有ス
別表第八區深區一人
東京府市十四人第九區淺田草川人
郡七人區區
市郡區議員第十區神人
第一區麴一人第十一區下區
〓谷
谷阪町第十二區本區人人人
第二區人小石川區
區區區區區第十三區
第三區芝麻 四赤布人
第十四區牛込區人
第四區人第十五區豐多摩郡人
第五區京橋區人第十六區北豐島郡人
第六區日本橋區人〔南足立郡
第七區本所區一人第十七區〔南葛飾郡人
第十八區荏原郡一人第八區北河內郡人
伊豆七島第九區中河內郡人
第十九區南多摩郡人第十區南河內郡人
第二十區西多摩郡人第十一區泉北郡
第二十一區北多摩郡一人人人
第十二區泉南郡一
京都府市四人人市二人
郡六神奈川縣郡七人
第一區上六第一區橫濱市二人
第二區下六
第二區橘樹郡郡一人
伊訓野宕 京京郡郡郡郡區區都筑
第三區紀乙葛愛人久良岐郡
第三區鎌倉郡一人
第四區三浦郡人
第四區綴相字久喜樂治世郡郡郡郡人第五區高座郡一人
第六區愛甲郡人
特大丸
第五區北南桑桑田田郡郡郡一人
第七區中郡一人
船井
第八區足柄上郡一人
第六區天鹿田郡郡一人足柄下郡
何
兵庫縣市三人
第七區與加謝佐郡郡人郡十五人
中第一區神戶市二人
第八區熊竹野野郡郡郡人第二區姫路市一人
第三區武庫郡一人
大阪府市七九人人
郡第四區有川馬邊一人
第一區西二人
第二區東二人第五區氷多上紀郡郡郡郡郡郡一人
第三區二人
第四區郡郡市區區區區二人第六區美明一人
西堺南北南古囊囊
第五區人人第七區印加郡郡人
第六區-成成人
東)
三第八區加多加西可東郡郡郡一人
第七區豐能島郡郡人
飾六第七區古志郡一人
第九區神崎磨郡郡
第八區三島郡人
第十區揖保郡人第九區刈羽郡-人
第十一區赤人非課税
郡郡 郡第十區人
第十二區佐一人製作品川
宍石崎 粟用 穂第十一區中魚沼郡一人
第十三區城郡郡一人第十二區東頸城郡人
出
第十三區中頸城郡二人
第十四區朝養美郡郡郡一人第十四區西頸城郡一人
名 來父方第十五區佐渡郡人
第十五區津人埼玉縣郡十二人
郡郡
第十六區三原一人第一區北足立郡二人
市人第二區入間郡二人
長崎縣郡三七一人人
島區比企郡人
第一區長崎市一人第第第第五四三區北葛飾郡人
第二區西彼杵郡二人區南埼玉郡一人
第三區東彼杵郡人第六區北埼玉郡二人
區北高來郡人第七區大里郡人
第第第第六五四區南高來郡二人第八區兒玉郡人
區北松浦郡一人第九區秩父郡人
第七區南松浦郡人群馬縣市人
第八區壹岐郡人郡八人
上第一區前市一人
第九區下縣縣郡郡人根多 橋
第二區利勢郡郡一人
市人
新潟縣郡十六人
島-人第三區邑山新樂田田郡郡郡二人
第一區新潟市一人
第二區西蒲原郡人人第四區佐波郡一人
わからない第五區多野郡一人
第三區無添加二人
第六區群馬郡郡二人
第四區岩船郡人吾妻
第五區中蒲原郡二人確氷
第六區南蒲原郡一人第七區受付報郡郡人
千葉縣郡十三人第三區上都賀郡一人
第一區千葉郡人第四區下都賀郡二人
市原郡郡六第五區安蘇郡人
第二區君津
第六區足利郡一人
第三區印旛郡人第七區那須郡一人
第四區東葛飾郡元市人
郡奈良縣郡五人
第五區香取一人
上第一區奈良市一人
第六區匝海一人
第二區添上郡郡一人
第七區隅武 郡郡郡郡人山邊.
夷山ご依頼
第八區一人第三區第5部一人
生駒
第九區長生郡一人
第四區磯陀城郡郡人
第十區安房郡二人宇
茨城縣市一人南葛城
郡十一人第五區高市郡郡一人
第一區水戶市一人字
第六區吉野智郡郡一人
第二區東茨城一人
西茨城市二人
鹿三重縣郡九人
第三區人
第一區津市一人
第四區元第二區四日市市一人
眞那 八多行城壁珂慈賀方島郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡
第五區人第三區安濃郡郡一人
志
第六區一人
第四區三一人
第七區結人
第八區猿島人第五區一人
第九區筑波郡人氣南辨名藝鹿重
第六區多飯員桑河鈴郡郡郡郡郡郡郡郡人
第十區新治郡人
敷郡第七區人
第十一區北稻相馬郡一人
第八區度會人
栃木縣市一人
郡八人第九區志摩郡人
第-區宇都宮市人第十區〔北牟婁郡人
南牟婁郡
第二區芳河谷賀內郡郡郡六阿山
第十一區名賀郡郡人
鹽
市二人第十區賀茂郡二人
愛知縣郡十四人田方郡
第一區名古屋市二人山梨縣市一人
愛知郡人郡五人
第二區
東春日井郡一人第一區甲府市人
第三區
西春日井郡西
第四區羽二人第二區中北單學製郡郡郡二人
丹
葉栗
區一人第三區一東八代郡人
第五中東山梨郡
第六區多西東島郡郡郡郡郡郡郡一人〔南都留郡
知 海海第四區北都留郡一人
第七區二人
碧海人第五區家庭摩代理 申請人人
第八區
第九區幡豆郡人滋賀縣市七一人
額田郡人
第十區西加茂郡郡一人第一區大津一人
東加滋郡郡市
特別になる者が人第二區高島賀人
第十一區南北設設
第三區栗一人
第十二區渥美郡一人野郡郡郡
第十三區八名郡郡一人第四區甲崎生賀洲太一人
寳飯
市一人第五區神蒲郡郡人
靜岡縣郡十二人
第六區愛上知郡郡人
第一區靜人犬
倍岡
第二區安一人第七區坂田郡人
第三區一人第八區東淺井郡人
伊香郡
第四區人市人
小榛志駿庵富郡郡郡郡郡郡郡郡郡市岐阜縣郡九人
第五區一人
田知笠原太東原士第-區岐阜人人
第六區人
第二區稻一人
第七區-人八破葉
周第三區安不郡郡郡郡郡郡市人
第八區磐二人
引濱佐名郡郡六第四區羽養海島老津一人
第九區
第五區楫巢斐郡郡人
本第三區亘刈伊郡郡郡人
第六區郡山武上縣儀郡郡郡元田造田美川理田具
加第四區遠玉志加黑二人
第七區可兒茂郡郡人
第八區土那岐郡郡一人第五區郡郡郡郡郡郡郡郡郡一人
惠本登 栗吉米 原
大野第六區人
第九區益城田郡郡郡人
吉第七區桃鹿生人
牡
長野縣市一人市一人
郡十二人福島縣郡十一人
第3區長野市一人第區若松
一市人
第二區上水內郡人第二區信夫人
第三區更級郡人第三伊人
區
下水內
第四區土部郡郡郡一人第四區安安一人
T 邦 郡郡郡郡郡郡郡
川瀬村 積達達
小第五區田人
第五區埴科縣郡郡六
第六區石岩一人
西筑摩郡
第六區東京都港区元東
第七區西一人
第七區(南安暴暴力人會會白白津津河川
北安曇南
第八區一人
第八區電力 多分人郡 郡郡郡郡郡郡郡郡郡
第九區上伊那郡人第九區雙石河耶大北一人
馬 葉城沼麻沼
第十區諏訪郡人第十區二人
第十一區下伊那郡人第十一區相一人
宮城縣市一人市-人
郡八人巖手縣郡七人
第區仙臺市一人第一區盛岡人
岩郡郡郡市
第二區柴宮名田城取郡郡郡六第二區紫二波戶手人
第三區〔下閉伊郡人秋田縣市一人
九戶郡郡八人
稗貫第一區秋田市一人
第四區和賀郡郡郡元第二區南秋田郡人
上閉伊
江第三區山本郡人
第五區澤仙刺郡郡郡二人学校前一人
膽氣第四區鹿角郡
(西磐井部邊
第六區製作所に人第五區北郡郡二人
靑森縣市二人第六區由利郡人
郡六人平鹿郡人
第七區
第一區靑森市-人第八區雄勝郡一人
第二區弘前市人
東津輕郡一人福井縣市六一人
第三區郡人
第四區上北郡郡人第一區福市一人
下北
第五區三戶郡人第二區郡郡郡人
第六區南津輕郡人第三區今坂大吉足生立井野田羽井人
第七區北津輕郡人第四區郡一人
第八區〔中津輕郡一人第五區郡郡一人
〔西津輕郡丹
山形縣市二人第六區敦條賀郡郡一人
郡八人南
第-區山形市一人(三
第七區大遠飯敷方郡郡郡一人
第二區米澤市一人
第三區京畿道
〔南村山節一人石川縣市七一人人
郡
第四區電車大阪郵便局郡郡人
第-區金澤市一人
第五區(西置賜郡人第二區石川郡人
第六區飽海郡人第三區能美郡一人
第七區西田川郡人第四區江沼郡人
第八區東田川郡人第五區河北郡人
最上郡第六區羽咋郡人
第九區負担当二人
北村山郡第七區鹿島郡一人
第八區鳳至郡郡人第七區鹿美足濃郡郡一人
珠洲
富山縣市二人
郡七人第八區知海穩周夫士地吉郡郡郡郡一人
第一區富山市一人
第二區高岡市一人市人
岡山縣郡十一-人
第三區中婦上婦負新名新郡郡郡二人第區岡山市人
第四區下新川郡-人第二區御津郡一人
第五區射水郡人第三區上郡郡人
邑島 久道
第六區氷見郡一人第四區兒
一人
第七區西礪波郡一人-
第八區東礪波郡人第五區一人
都和赤窪氣磐郡郡郡郡郡
鳥取縣市人第六區一人
郡四人第七區吉備一人
第區鳥取市人第八區淺
口人
一小
第二區八氣岩頭高美元第九區後月田人
郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡
第三區東伯人上
第十區阿川一人
第四區西野伯郡郡一人田庭 哲上房
日
第十一區眞郡郡人
市六一人苦
島根縣郡人
島人第十二區久英勝米田田郡郡郡
人
第一區松一人
能束義江郡郡市市二人
第二區八人廣島縣郡十三人
第一區廣島市一人
第三區飯仁大郡郡郡一人第二區尾道市人
第四區〓郡一人第三區安藝二人
賀 智濃摩 川 石多原第四區佐伯一人
第五區安邇一人郡郡郡郡郡
邑郡 郡郡郡第五區山安縣佐人
第六區那一人第六區高田人
雙三第八區東牟婁郡一人
第七區一世良郡郡人
德島縣市一人
第八區加茂郡一人郡六人
第九區豐人第ー區德島一人
調田名東郡郡市
第十區御人第二區一人
人勝
第十一區沼隈郡郡郡郡郡郡部賀 浦
第十二區深人人第三區海那郡郡一人
第十三區神蘆婆奴石品安人第四區麻名一人
-野植西郡郡郡
第十四區甲郡郡人第五區板一人
比
美
山口縣市人第六區波好馬郡郡郡二人
郡九人阿三
第一區赤間關市人市人
吉郡一人香川縣郡六人
第二區敷
第一區高松市一人
第三區厚美人
第二區丸龜人
第四區人香川
阿佐浦津武波狹禰第三區小人
第五區郡郡郡郡郡郡郡一人郡郡郡郡市
大第四區木川田 豆人
第六區八
豐第五區大人
第七區都濃一人第六區綾歌郡人
第八區熊毛郡人第七區仲多度郡人
第九區大島郡人第八區三豐郡人
第十區玖珂郡人市-人
愛媛縣郡十人
和歌山縣市人
郡七人第一區松山市一人
第區和歌山市人温
第二區伊豫泉郡郡二人
第二區海草郡人
第三區那賀郡人第三區越桑智郡郡六
都郡人周
第四區伊
第五區有田郡人喜多
第四區上和穴郡郡郡六
第六區日高郡人西字
第七區西牟婁郡人第五區新居郡人
第六區宇摩郡人第十五區企川救郡郡一人
東宇田
第七區北南郡郡郡六第十六區京上都郡郡一人
築
市一人大分縣郡八人
高知縣郡六人第一區大分郡人
第一 없高知一人第二區北海部郡人
佐郡郡市第三區南海部郡一人
第二區吾土川一人
第四區大入野郡郡一人
第三區高岡人直
第四區多郡郡郡人人第五區見珠人
長幡東速玖
第五區岡人
第六區香美郡人第六區西國國東東郡郡郡郡郡郡郡人
第七區安藝郡人下
第七區日佐田毛二人
福岡縣市三人宇
郡十三人
佐賀縣市六一人
第一區福岡市人郡人
第二區久留米市人第區佐賀市一
人人
第三區門司市人第二區佐賀郡一
第四區糸郡郡人第三區小城郡人
早第四區東松浦郡人
第五區糟一人神崎郡
宗倉紫像屋 良島第五區人
三養基郡
第六區郡郡郡郡郡人西松浦郡
朝筑
第七區人第六區杵島郡郡元
第八區遠賀人藤津
熊本市市人
第九區嘉鞍穂手郡郡人郡十一人
第二區熊本市一
浮三羽井郡郡一人人 人
第十區第二區飽託郡
第十一區三瀦郡人人第三區玉名人
鹿本郡郡郡
第十二區八女郡人第四區菊池二人
第十三區山門郡一人第五區阿蘇郡人
第十四區三池郡一人第六區上益城郡人
存土郡人第七區出摩水郡郡元
第七區其實線薩
第八區八代郡一人第八區肝郡郡二人
北囎唹
第九區球磨郡郡一人第九區大島郡二人
第十區天草郡二人北海道廳
宮崎縣郡五人第區札幌區人
一宮崎第二區函館區人
第一區東京都縣珂郡郡郡二人第三區小樽區人
一岩內增毛宗
第二區西北諸諸縣縣郡郡人人第四區谷上川空知人
室蘭浦河各
-東臼(支廳管內
第三區西臼利用者様分二人龜田松前檜
兒湯第五區山壽都各支人
市人廳管內
鹿兒島縣島郡二九一人人)根室釧路河
第六區西網走各支人
第一區鹿兒島市人人廳管內
第二區鹿兒島郡人(根室支廳管内千島)
熊毛郡ニ屬スル諸郡ヲ除ク
第三區揖宿郡人沖繩縣
第四區川邊郡人那
第五區日置郡人第-區頭頭尻里覇郡郡郡區區二人
良國中島首
第六區伊始佐郡郡一人
〔政府委員一木喜德郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=16
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017・一木喜徳郎
○政府委員(一木喜德郞君) 衆議院議員選擧法改正法律案ハ既ニ此前ノ議會
ニモ提出ニナリマシテ、政府案ニ對シテハ當院ハ御協賛ヲ下ッスタノデゴザ
イマスルカラ、別段詳細ノ理由ヲ申述べルマデモゴザイマセヌケレドモ、唯
簡單ニ今囘提出ニナリマシタ所ノ理由ヲ一言致シテ置キマス、此選擧法ハ御
承知ノ如ク既ニ十數年實施セラレテ居リマスケレドモ、今日ニナッテ見ルト
云フト其當時トハ餘程事情モ變ッテ居ル所モゴザイマシテ、第一ニハ人口ノ不
平均モ生ジマシテ、今日ノ選擧區畫デ今日ノ議員數デハ往々一ノ選擧區ト他
ノ選擧區ノ間ニ不平均ガアル、人口ガ却ッテ多クシテ議員ガ却ッテ少イト云フ
例モ間〓アリマス、此不平均ヲ矯メルト云フコトモ必要デアラウト認メタノ
デアリマス、又一ツニハ今日ノ制度デハ少數者ノ代表其他社會ノ狀態ヲ其實
際ノ有樣ニ比例シマシテ代表スルト云フ上ニ於キマシテ遺憾ナルコトヲ免レ
ヌ、ソレデ是ハ選擧區ヲ大キクシマシテ、サウシテ社會ニ於キマスル各方面
ソレゾレ相當ニ代表サセルノ必要ガアルト云フコトヲ認メマシタノデアリマ
スル、ソレカラ又現行法ニ於キマシテ記名投票ノ法ヲ用ヒテ居リマスケレド
モ、記名投票ニ附キマシテハ往々弊害ガアリマシテ、或ハ動モスレバ選擧人
ガ自由ニ自分ノ意思ニ從ッテ投票スルコトガ出來ナイト云フヤウナコトヲ免
レマセヌ、ソレデ是ハ既ニ地方制度ニ於テモ採用シテ居リマスルケレドモ、無
記名投票ヲ採用シマセヌケレバ選擧人ノ自由ナ投票ヲ保護シテ行クコトガ出
來ナイト云フコトニ政府ハ認メマシタノデゴザイマスル、ソレデ此等ノ要點
ニ向ッテ改正ヲ加ヘマスルノガ政府ヨリ提出シマシタ所ノ選擧法改正ノ趣旨
デゴザイマス、然ルニ今囘衆議院ニ於キマシテ政府案ニ大ナル修正ヲ加ヘマ
シタカラ、其修正ニ對シマスル政府ノ意見ヲ一應申述ベテ置キマス、衆議院ノ
修正ハ種々ノ條項ニ涉ッテ居リマスケレドモ、其要點ハ第一ニハ府縣ヲ以テ
一選擧トスル、市ダケハ別ノ選擧區デスルト云フ政府ノ案デアリマシタケレ
ドモ、衆議院ハ小選擧區ノ制度ヲ用ヒマシテ、其區畫ハ衆議院ニ於テ委員ヲ
設ケテ之ヲ調査致シマシタノデアリマス、併シ政府ハ先刻モ申述ベマシタ如
ク大選擧區デナケレバ、而シテ單記法ヲ用ヒナケレバ十分代表ノ目的ヲ達ス
ルコトガ出來ナイ、小選擧區デゴザイマスルト云フト其區畫内ニ於テハ少數
デアッテ一地方ヲ通ジテ相當ノ代表ヲ得ベキダケノ勢力ノアリマスル者デモ
區畫ガ小サイ爲ニ代表ヲ得ナイト云フコトニナリマス、又區畫ヲ小サク致シ
マスルト云フト其區畫ノ間デ人口ノ平均ヲ得ルト云フコトガ餘程ムツカシイ
現ニ今日衆議院ニ於テ修正ヲ加ヘマシタ案ニ附イテ見マシテモ或ハ六萬ニシ
テ議員一人ヲ出シ、或ハ十四萬ニシテ議員一人ヲ出スト云フ不平均ガアリマ
ス、是等ノ不平均ヲ矯メマシテ、サウシテソレゾレ相當ノ代表ヲ出サシメマス
ルト云フニハ矢張リ政府案ノ通リ區畫ヲ大キクシナケレバイケマセヌ、叉
地方全體ヲ通ジテ名望アル者ハ區畫ガ小サク限ラレタガ爲ニ當選スルコトガ
出來ナイト云フヤウナ弊ガアリマス、要スルニ少數代表者若グハ比例代表ノ
目的ヲ達シ名望ノアル人物ヲ擧ゲ竝ニ選擧區畫ノ間ノ人口ノ不平均ヲ矯メマ
スルニハ、政府案ノ如ク一府縣ヲ通ジテ選擧權ヲ附スルノガ最モ適當デアル
ト政府ハ認メテ居リマスルカラ、衆議院ニ於テ小選擧區ニ修正ヲ致シマシタ
ノハ政府ハ同意ヲ表シナイ所デゴザイマス、又既ニ選擧區畫ニ附イテ申述べ
マシタ通リ政府ハ大選擧區デ單記ト云フコトト相關聯シテ比例代表ノ目的ヲ
達スルト云フ趣旨デゴザイマスルノニ、衆議院ニ於キマシテハ聯記ノ法ヲ用
ヒマシタ、卽チ一選擧區二人ヲ選出スベキ所ニ於キマシテハ聯記投票ヲ用ヒ
ルト云フコトニ修正致シマシタケレドモ、是亦政府ノ同意ヲ表セナイ所デゴ
サイマス、ソレカラ先刻モ申述べマシタ如ク、記名投票ヲ無記名投票ニ改メ
ルト云フノガ政府案ノ一ツノ重モナル點デゴザイマシテ、此改正ハ選擧ノ自
由ヲ保チマスル爲ニ必要デアルト政府ハ認メテ居リマスルノニ、衆議院ニ於
テ此點ニ對シテ修正ヲ加ヘテ、卽チ現行法ノ如ク記名投票ノ法ニ致シマシタ
ノハ政府ノ改正ヲ必要ト認メテ居リマスル趣旨ニ反對スルノデアリマシ
テ、是亦政府ノ同意ヲ表セナイ所デゴザイマス、要スルニ今囘選擧法ヲ提出
致シマシタ所ノ趣旨ハ前來申述ベマシタ通リデゴザマイシテ、衆議院ガ其要
點ニ向ヒマシテ修正ヲ加ヘマシタノハ政府ノ同意ヲ表シナイ所デアリマスカ
ラシテ、何卒政府案通リ本院ハ御協賛ヲ與ヘラレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=17
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018・辻新次
○辻新次君 チヨット·······此朱書ノ第十二條、墨書ノ十三條、是ニ「小學校〓
員ハ被選擧權ヲ有セス」ト云フコトガアリマス、然ルニ現行法ニハ小學校〓
員ト云フモノハ揭ゲテアリマセヌ、卽チ被選擧權ヲ有シテ居ル、又現行法ノ
小學校〓員ガ被選擧權ヲ有シテ居ルト云フコトニ附イテ一向ソレガ爲ニ弊害
ヲ來タシタトカ、又ドウ云フ擧動ガアッタトカ云フコトモ餘リ承ラヌ所デアリ
マス又〓育ノ上ニ附イテモ一向ソレガ不都合ヲ爲シタト云フコトモ聞イテ居
リマセヌ、尤モ歐羅巴ノ各國ノ中ニモ小學校〓員ニ被選擧權ヲ與ヘテ居ラヌ
所モアリマスガ、又與ヘテ居ル所モ澤山アリマス、然ルニ現行法ニモナイノ
ニ此改正ノ法案ニ特ニ入レラレタト云フノハ必ズ必要ガアッテノコトデアラ
ウト思ヒマスガ、其之ヲ特ニ入レラレマシタコトノ必要ノ理由ヲ委シク承リ
タイノデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=18
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019・一木喜徳郎
○政府委員(一木喜德郞君) 御答ヲ申シマスガ、現行法ニハ成ル程唯今御述
ノ如ク此規定ハゴザイマセヌ、併シ今囘ノ法案ハ必シモ現行法通リ規定致シ
マセヌ、現ニ此條ノ第二項ノ如キハ現行法ニハナイ規定デゴザイマシテ今囘
設ケタ規定デゴザイマス、ソレデ現行法ハ是等ノ點ニ於テ不備デアルト感ジ
テ居ルノデゴザイマス、現行法ト申シテモ衆議院議員選擧法ハ如何ニモ唯今
御述ノ通リデゴザイマスガ、ソレハ昨年當院竝ニ衆議院ノ協賛ヲ經テ發布サ
レマシタ府縣制郡制等ニ於キマシテハ小學校〓員ハ被選擧權ヲ有セナイト云
フコトヲ規定致シマシタ、ソレカラ市町村制ニ於テハ前々ヨリ其規定ガアリ
マス、要スルニ小學校〓員ノ如キハ專心一意〓育ノコトニ從事スベキモノデ
テーシー選擧ノ運動ニ從事スル端〓ヲ開クコトハ極メテ〓育ノ爲ニ不利益デ
ゴザイマス、又選擧ノ爲ニ小學校〓員ノ如キハ他ノ學校ノ〓員ト比較シテ一
層父兄ノ上ニ勢力ヲ持ツモノデアル、又子弟ニ對シテ感化力ヲ持ツモノデア
ルノニ、ソレガ選擧ノコトニ携ッテ運動スルコトニナリマスノハ〓育上ニ取
リマシテモ、又選擧ノ上ニ取リマシテモ不都合ナコトデアル、成ル程現在ノ
所ハ是マデドレダケノ害ガアッタト云フコトハ今其事實ヲ擧ゲテ御答スルコ
トハ出來マセヌケレドモ、併ナガラ今囘ハ是マデト違ヒマシテ選擧資格モ餘
程低クナテ居ルコトデアリマス、ソレデアリマスカラ是マデ實際弊害ガナイ
カラ今後モ弊ガナイト云フコトハ必シモ斷言ハ出來マセヌ、ノミナラズ假令
實際弊ガナイニシテモ若シ小學校〓員ガ被選擧權ヲ有シ、ソレガ選擧ノコト
ニ關係シ運動スルコトニナッタラ弊ガアラウト云フコトハ想像ガ出來ルコト
デアルト考ヘマス、ソレデゴザイマスカラシテ小學校〓員ハ被選擧權ヲ有セ
ヌコトヲ今囘種々ノ規定ヲ完全ニシマスルト同時ニ此十二條ニ加ヘマシタ次
第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=19
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020・辻新次
○辻新次君 外ノコトハ議論ニ亘リマスカラ是ハ後ニ讓リマスガ、小學校ノ
〓員ノ如キ者ガ專心其事ニ從事シマスルコトハ大イニ御同感デアリマス、併
ナガラ衆議院議員選擧法ガ出マシテカラ最早數年又選擧モ度々アリマシタ、
所ガ一向サウ云フヤウナコトデ專心其事ニ從事スルコトヲ妨ゲマシタト云フ
コトハ聞キマセヌノデアリマスガ、凡ソ法律ヲ更ヘルトキハ最モ愼重ニシテ
其弊害ノアッタヤウナコトハ十分ニ取締ヲ附ケナケレバナラヌコトデアリマ
スガ、我國デハドウ云フコトデ專心從事セヌヤウナコトガアリマシタカ、ソ
レヲチヨット承ッテ置キタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=20
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021・一木喜徳郎
○政府委員( 一木喜德郞君)先刻御答申上ゲマシタ如ク、是マデノ例ニ依ッ
テ强チ將來ヲ推スト云フコトハ出來マセヌノハ一ニ此選擧法ニ於キマシテ
ハ選擧權ノ資格モ餘程廣クナッテ居リマス、是マデノ衆議院議員ノ選擧ヨリ
モ寧ロ府縣會議員ノ選擧ノ方ニ選擧資格抔カラ云フト近寄ッテ參ッテ居リマ
ス、ソレデアリマスカラシテ是マデノコトヲ以テ强チ將來モ其通リデ宜イト
云フコトヲ斷定スルコトハ出來ナイト考イマス、ソレカラ又若シ小學校〓員
ガ被選擧權ヲ有シナイ爲ニ、小學校〓員ノ權利ニ非常ナ制限ヲ與ヘルト云フ
コトデアリマスレバ、是ハ餘程考ヘベキコトデアリマスケレドモ、唯今辻サ
ンノ御述ニナッタ所ニヨリマスルト、從來小學校〓員ハ專心一意小學校ノ〓
育ニ從事シテ被選擧權ヲ行使スルコトハナイト云フ御考デアリマスレバ此規
定ヲ設ケマシタ所ガ强チ小學校〓員ニ對シテ非常ニ酷ナ規定ト云フコトデハ
ナカラウト思ヒマス、旁〓此規定ヲ入レマシタノハ衆議院議員選擧法改正ニ
際シマシテ選擧ノ資格ガ下リマシタニ伴ッテ規定ヲ入レル必要ヲ認メマシタ
ノデ、又法律制度ガ段々備リマシテ先刻例ニ取リマシタ府縣制郡制ニモ此規
定ガ入レテアリマスカラ今日ニ於キマシテ衆議院議員選擧法ヲ改正スルナラ
バ矢張リ此規定ヲ入レルノガ適當デアルト認メタノデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=21
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022・伊澤修二
○伊澤修二君 本員モチヨット質問ヲ致シタイ、成ル程政府委員ノ抑シヤル通
リ市町村制ニハ無論小學校〓員ハ被選擧權ハ前ヨリナイノデアリマス、ソレ
カラ此郡制府縣制ノ改正ニ依ッテ此方ノ議員ニモ矢張リ被選擧權ハナイト云
フコトハ能ク承知シテ居リマスガ、要スルニ此小學校〓員ノ被選擧權ヲ制限
サレテ居ルノハ小サナ區域ニ在ッテハ餘程弊害ガアルノデアリマス、例ヘバ
町村會ノ議員トカ云フヤウナ小サナ區域ニ於テハ隨分弊害ガアルガ故ニ之ヲ
制限サレテ居ルモノト本員ハ考ヘテ居ヲタノデアリマス、此度ノ衆議院ノ選
擧法ノ改正案ヲ見マズルト政府ハ大選擧區ト云フコトヲ主張サレテ居ル、唯
今モ政府委員ガ喋々ト此大選擧區ニシナケレバナラヌト云フコトヲ言ハレテ
居ルノデゴザイマス、果シテ大選擧區ト云フコトニナレバ小學校〓員ノ中ニ
於テモ隨分德望モ名譽モアル人ガ決シテ其競爭運動抔ヲセズトモ自ラ其選擧
ヲ得ルト云フヤウナコトガ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=22
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023・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 質問デアリマスカ、議論デアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=23
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024・伊澤修二
○伊澤修二君 ハ、チヨット、ソノ質問デゴザイマス、有リ得ベキコトデハ
ナイカト存ジマスガ、政府委員ハ一方ニハ大選擧區ノコトヲ主張シナガラ一
方ニハ小學校〓員ノ被選擧ヲ限ラレルト云フコトハ自家撞著デハコザイマセ
ヌカ、其點ニ於テ政府ノ御考ヲ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=24
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025・一木喜徳郎
○政府委員(一木喜德郞君) 少シモ自家撞著デハナイト云フ考デアリマス、
ト云フモノハ既ニ府縣會議員ノ選擧ニ於テハ此規定ガアルト云フコトハ御承
知デアリマスガ、府縣會議員ノ選擧ト衆議院議員ノ選擧トハ成ル程程度ハ違
ヒマス、併ナガラ所ニ依リマスレバ一郡ニ於テ衆議院議員一人ヲ出ス位ニ
ナッテ居ルノデアリマシテ、府縣會議員モ郡ヲ以テ選擧區ト致シテ居ルノデ
アリマス、ソレデアリマスカラ其程度ノ違ハ至ッテ僅ナ違デアリマス、加之縱
ヒ小學校〓員ノ勢力ノ及ブ範圍ハ至ッテ狹イニ致シマシタ所ガ、政府案ノ如ク
大選擧區トシテ單記ニナリマスレバ猶更デゴザイマス、何所ノ區畫ニ於テモ
投票ヲ得テ其投票ヲ集メテ當選スルコトガ出來ルノデアリマスカラ、自分ノ
勢力ヲ持ッテ居ル場所ニ於テ得ル所ノ投票ト他ノ關係ニ於テ得ル所ノ投票ト
ヲ合セテ當選ヲ希フト云フコトモ出テ來ルカモ知レマセヌ、ソレデアリマス
カラ大選擧區單記デアレバ猶更此規定ノ必要ガアルト思フノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=25
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026・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 別ニ御質問ハアリマセヌカ········他ニ御發議ガナケ
レバ委員ノ選定ニ移リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=26
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027・松永安彦
○松永安彥君 此法案ハ重大ナル問題デゴザイマスカラ、最モ愼重ナル審査
ヲ要スルモノデアラウト思ヒマスカラ、委員ノ數ヲ十五名ニセラレムコトヲ
望ミマス、而シテ其選定ハ議長ニ御委託ヲ致シタイ
〔「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=27
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028・黒田長成
○侯爵黑田長成君 本案ノ特別委員ノ數ノコトデゴザイマスガ、唯今松永君
カラ十五名ト云フ說モ出マシタガ、前議會ノ時ニハ此選擧法改正案ノ委員ノ
數ハ二十五名デアッタカト記憶シテ居リマス、此度ノ案ハ先刻ノ政府委員ノ
說明ニ依ッテ見マスト、根本ニ於テ政府案ト衆議院ノ修正決議案トハ違ッテ居
ルノデ、餘程是ハ審査ヲ鄭重ニ致サナケレバナルマイト思ヒマス、ソレデ矢
張リ前議會ノトキ同樣ニ二十五名ニセラレテ、其選擧方法ハ議長ニ委託スル
ト云フコトニ致シタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=28
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029・曾我祐準
○子爵曾我祐準君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=29
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030・千阪高雅
○千阪高雅君 贊成
〔其他「贊成」ト呼フ者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=30
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031・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 松永君ノ動議ニハ贊成ガアリマシタカ
〔「有リマシタ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=31
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032・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 玆ニ兩說成立ッテ居リマスカラ先ヅ松永君ノ動議
ニ附イテ決ヲ採リマス、松永君ノ十五名說ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者少數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=32
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033・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤磨君) 少數ト認メマス、次ニ二十五名說ニ同意ノ諸君ノ
起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=33
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034・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 過半數ト認メマス、委員ノ數ハ二十五名ニナリマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=34
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035・正親町實正
○伯爵正親町實正君 是ヨリ精神病者監護法案ノ特別委員會ヲ開キタウゴザ
イマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=35
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036・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 宜シウゴザイマス、法人ニ於テ租稅及葉煙草專賣
ニ關シ事犯アリタル場合ニ關スル法律案、政府提出、第一讀會ノ續、特別委
員長報告
〔伯爵德川達孝君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=36
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037・徳川達孝
○伯爵德川達孝君 法人ニ於テ租稅及葉煙草專賣ニ關シ事犯アリタル場合ニ
關スル法律案ノ委員會ニ於ケル再調査ノ結果ヲ御報道致シマス、此案ノ委員
會ハ諸君モ御承知ノ通リ一旦昨年デゴザイマシタ十二月ノ幾日カ日ハ忘レマ
シタガ報告致シマシタ所ガ再付託ニナリマシテ、尙ホ其上再調査ヲ致シマシ
テ十分ニ審議ヲ盡シマシテ諸君ノ御手許ヘ配付致シマシタ如ク修正ニ相成リ
マシタ、其修正ハ全會一致ヲ以チマシテ修正ニナリマシタ、併ナガラ全會一
致ト申シマシテモ十五名殘ラズ出席ニナッタ譯デモゴザイマセヌ、出席者ハ
委員長ヲ除イテ八名デハゴザイマシタガ、其出席シタダケニ於キマシテ一致
ヲ以チマシテ修正ニ相成リマシタ、又此法律案ノ修正ハ政府ニ於キマシテモ
同意サレタノミナラズ贊成セラレタ次第デゴザイマス、此修正ハ寧日修正ト
申スヨリハ新ニ起草シタ位ノ大修正デゴザイマシテ、此修正ノ理由ヲ申述べ
マスルコトハ本員ノ如キ法理ニ暗イ者ニハ明瞭ナル所ノ說明ハ出來難ク存ジ
マス、甚ダ御聽苦シクゴザイマシテ諸君ニ對シテ御氣ノ毒デハゴザイマス
ガ、一應其大要ヲ極ク簡短ニ申述べマスレバ、此政府ヨリ提出ニナリマシタ
所ノ原案ハ法人其物ハ無形デアル、故ニ罰スルコトガ出來ナイ、ソレ故ニ法
人ノ代表者タル所ノ者ヲ處罰スルト云フコトデゴザイマシタ、又若シ體刑ヲ
加フルコトガアリマスレバ、法人ハ無形故ニ體刑ヲ加フルコトガ出來ナイカ
ラシテ其行爲ヲ爲シタル者ノミヲ罰スルト先ヅ斯ウ云フヤウナ精神デゴザイ
マシタ、併シナガラソレデハ不都合ナ點モアルト云フ意味ヲ以チマシテ、此
修正案ノ如ク此度ハ法人其者ヲ罰スル、若シ又其法人ヲ罰金又ハ科料以外ノ
罰ニ處スルコトノゴザイマスルトキニハ法人故ニ禁錮等ニ處スルコトハ出來
マセヌ、故ニ罰金ヲ科スル、ソレハ卽チ此修正ノ第一條ノ但書ニゴザイマス
通リ「罰金科料以外ノ刑ニ處スヘキコトヲ規定シタルトキハ法人ヲ三百圓以
下ノ罰金ニ處ス」斯ウ云フ風ニ處罰スル、又法人ヲ處罰スベキ場合ニハ法人
ノ代表者ヲ被告人ト定メ、ソレカラ又若シ三百圓以下ノ罰金ヲ出スベキ場合
ニ於テ一定ノ期限內ニ納付ヲ致サヌトキニハ第三條ノ規定ノ如ク民事訴訟法
第六編ノ規定卽チ强制執行ヲ以テ處分致ス、斯ウ云フ風ニナリマシテ此度ノ
ハ法人ソレ自身ヲ罰スルト云フ風ニナリマシテ原案トハ大分違ヒマシタ譯デ
ゴザイマス、此修正ハ前ニ申シマシタ如ク政府ニ於テモ同意セラレマシタ故
ニ、又其同意セラレマシタ理由ヲ政府委員カラ詳細ニ申述ベラレルコトモゴ
ザイマセウ、若シ又諸君ノ中デ此報告ニ附キマシテ御疑等ガゴザイマスレバ
十分ニ御質問モゴザイマセウガ、本員ノ出來マス限リハ御答モ致シマスル
ガ、此詳細ノコトハ委員中ニハ法理上ヤ又ハ事實上ニ於テ熟達サレタ御方モ
御出デゴザイマセウカラ、委員ノ中ヘ御質問ヲ願ヒマセウシ、又或ル場合ニ
於テハ政府委員ヘ御質問ガゴザイマスレバ十分ナル答辯ガゴザイマシテ、却ッ
テ其方ガ諸君ニ於テモ能ク御分リニナルコトカト存ジマス、終リニ臨ンデ一
言申述ベテ置キマスルガ、本案ハ諸君ニ於テモ御承知ノ如ク大分喧マシクナ
リマシテ再三ノ調査ヲ致シマシタコト故ニ此修正デモマダ不十分ノ點ガアル
カモ知レマセヌガ、極ク不十分ノ點ガアルナラバイザ知ラズ大體ニ於テ左程
不都合ト云フ譯デゴザイマセヌケレバ相成ルベクハ委員會ニ於テ修正ニナリ
マシタ通リニ御賛成アリマシテ直チニ可決ナラムコトヲ偏ニ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=37
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038・黒田和志
○子爵黑田和志君 委員長ニ質問ヲ致シマス、此第一條ノ初ニ「法人ノ代表
者又ハ其ノ雇人」トゴザイマス、此「又ハ」ノ下ノ「其ノ」是ハナクテモ宜
イヤウニ見エマスガ、是ハ法人ヲ指シタノデゴザイマスカ代表者ヲ指シタモ
ノデコザイマスカ、代表者ノ雇人ト云フコトニ解スル譯デゴザイマスカ、ソ
レヲ伺ヒタイ、其次ハ矢張リ第一條ノ第二行目デゴサイマス、之ニ「各法規
ニ規定シタル罰則ヲ法人ニ適用ス」ト斯ウゴザイマス、爰ニ「適用」ト書キ
マシタノハ法人ヲ處罰スルト言ヒマスト穩ナラヌ何カ嫌ガアルト云フ譯デ適
用ト云フ文字ヲ用ヒタカトモ存ジマスガ、此次ノ條第二條ニ至リマシテ「法
人ヲ處罰スヘキ」ト斯ウゴザイマス、サウスルト初ニモ「法人ヲ處罰ス」ト
書イテモ宜カラウト存ジマスガ、玆ニ「適用」ノ文字ヲ書イタノハドウ云フ
譯デゴザイマスカ、之ヲ伺ヒタイ、モウ一ツ第三條デゴザイマス「執行力ヲ
有スル債務名義ト同一ノ效力アルモノトス」トアル、此「執行力ヲ有スル債
務名義」ト申シマスノハ何カ民事訴訟法中ニデモ斯ウ云フコトガゴザイマス
カ、ドウ云フコトヲ申シダモノデゴザイマスカ、ソレヲ伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=38
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039・徳川達孝
○伯爵德川達孝君 ソレダケデスカ········御答致シマス、此第一條ノ「法人ノ
代表者又ハ其ノ雇人」此雇人ト申スノハ政府ヨリ提出ノ原案ノ法人ノ代表者
タル雇人ト云フ意味デゴザイマシテ、矢張リ法人ノ家ニ居ル所ノ雇人ノヤウ
ナ意味デゴザイマス、ソレカラ此「各法規ニ規定シタル罰則ヲ法人ニ適用ス」
此事ハ各法規ト云フノハ御承知ノ通リ諸稅法ダノ又ハ葉煙草専賣規則抔、ソ
レニアル所ノ規定ヲ此法人ニ適用スル、卽チ其規定ニ從ッテ法人ヲ處罰スル
ト云フ意味デ、別段適用ト云フコトニ附イテハ委員會デハ此提出者カラモ詳
細ノコトハ申サレマセヌガ、其規定ヲ法人ニ用ヒテ法人ヲ矢張リ處罰スルト、
詰リ二條ノ「法人ヲ處罰スヘキ」ト云フノト同ジ意味デアルヤウニ存ジテ居
リマス、ソレカラ第三條ノ「執行力ヲ有スル債務名義」是ハ民事訴訟法ノ五
百十六條ニゴザイマスノデ、其規定ニ從ッテ致ス、斯ウ云フ意味デゴザイマ
ス、尙又ソレデ御分リナクバ、ドウカ政府委員ニ御尋ニナリマスレバ委シク
答辯セラレルデゴザイマセウ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=39
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040・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 別段御發議ガナクバ採決シマス、本案ヲ二讀會ニ
移スベシトシテ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=40
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041・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 然ラバ本案ハ二讀會ニ移スベシト決シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=41
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042・小笠原壽長
○子爵小笠原壽長君 議事日程ヲ變更シテ直チニ第二讀會ヲ開カレムコトヲ
希望致シマス
〔「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=42
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043・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 直チニ第二讀會ヲ開クト云フコトノ動議ガ出テ贊
成ガゴザイマス、御異議ガナケレバ直チニ第二讀會ヲ開キマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=43
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044・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 本案全部ヲ問題ニ供シマス
第一條法人ノ代表者又ハ其ノ雇人ノ他ノ從業者法人ノ業務ニ關シ租稅及
葉煙草專賣ニ關スル法規ヲ犯シタル場合ニ於テハ各法規ニ規定シタル罰
則ヲ法人ニ適用ス但シ其ノ罰則ニ於テ罰金科料以外ノ刑ニ處スヘキコト
ヲ規定シタルトキハ法人ヲ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
第二條法人ヲ處罰スヘキ場合ニ於テハ法人ノ代表者ヲ以テ被告人トス
第三條法人ヲ處罰スルノ裁判確定シタル日ヨリ罰金ニ關シテハ一月以内
科料ニ關シテハ十日以內ニ之ヲ納完セサルトキハ民事訴訟法第六編ノ規
定ニ從ヒテ其ノ執行ヲ爲ス此ノ場合ニ於テハ檢事ノ命令ヲ以テ執行力ヲ
有スル債務名義ト同一ノ效力アルモノトス
前項ニ依リ執行ヲ爲スニハ執行前裁判ノ送達ヲ爲スコトヲ要セス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=44
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045・近衞篤麿
○議長公爵(近衛篤麿君) 委員會ノ修正ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=45
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046・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 過半數ト認メマス、委員會ノ修正ノ通リ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=46
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047・小笠原壽長
○子爵小笠原壽長君 議事日程ヲ變更シテ直チニ第三讀會ヲ開カレムコトヲ
希望致シマス
〔「贊成」ト呼フ者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=47
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048・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 直チニ第三讀會ヲ開クト云フコトニ御異議ハゴザ
イマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=48
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049・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 然ラバ第三讀會ニ移リマス、御異議ガナクバ原案
ニ決シマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=49
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050・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 鑛業條例中改正法律案、政府提出、衆議院囘付、會
議
鑛業條例中改正法律案
右貴院ノ送付ニ係ル政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十
五條ニ依リ及囘付候也
明治三十三年二月二日衆議院議長片岡健吉
貴族院議長公爵近衛篤麿殿
衆議院回付案(原案)ハ本院ノ送付案ニ△印ノ如ク修止ヲ加ヘ
(タルモノナルヲ以テ其修正アル條ノミヲ揭ケ他ハ之ヲ略ス
鑛業條例中左ノ通改正ス
第二條中「鉛鑛」ノ下ニ「蒼鉛鑛」、「硫化鐵鑛」ノ下ニ「格魯謨鐵鑛」、「砒
△亞炭
鑛」ノ下ニ「燐鑛」、「石炭」ノ下ニ「樹炭」、「石油」ノ下ハ「土瀝靑」ヲ加フ
ム第三條帝國臣民又ハ帝國法律ニ從ヒ設立シタル會社ニ非サレハ鑛業人ト
ナルコトヲ得ス
ム第四十八條中第四號ヲ左ノ如ク改ム
△鑛業上必要ノ製鍊場其ノ他ノ建物、電線、鐵索及鐵管ヲ建設スル爲
第九十二條ノ次ニ左ノ三條ヲ加フ
第九十三條明治三十二年十一月三十日以前ヨリ引續キ蒼鉛鑛、格魯謨鐵
△亞炭
鑛燐鑛、〓戾又ハ土遊書ヲ採取スル者ニシテ明治三十二年六月三十日
迄ニ其ノ鑛物採掘ノ特許ヲ出願スルトキハ其ノ採取區域ニ限リ第十六條
及鑛區ノ面積ニ關スル第四十一條ノ規定ニ拘ラス特許ヲ與フヘシ
前項ノ採取者ハ明治三十三年六月三十日迄、其ノ特許ヲ出願シタル者ハ
其ノ指令ノ日迄本法ノ規定ニ拘ラス其ノ採取ヲ繼續スルコトヲ得発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=50
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051・坊城俊章
○伯爵坊城俊章君 此案ヲ本院デ修正ヲ致シマシタ會議ハ私ガ委員デゴザイ
マシタ、抑〓此法文ト云フモノハ、元來元ノ法ト云フモノハ隨分不備ナ所ガ
澤山ニアルノデゴザイマス、サリナガラ今般ノ所ハ第二條ニ追加ヲ致シマス
所ダケガ頗ル急務デゴザイマシタ爲ニソレダケヲ修正ヲ致シテ置キマシタダ
ケノコトデゴザイマス、他ハ本會期ニハ間ニ合ハヌガ早々ニ完全ナモノヲ拵
ヘテ出スト云フ政府ノ囘答デゴザイマシタ、依リマシテ其急務ノモノダケヲ
採決ヲ致シマシタコトデゴザイマス、サリナガラ此度又衆議院ヨリ修正致シ
デ參リマシタ所モゴザイマスカラ、尙ホ是ハ能ク取調ベタイ積リデゴザイマ
スカラ、此案ハ委員ニ再付託ニナリマスコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=51
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052・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 坊城伯爵ハ前ノ委員ニ再付託スルト云フノデアリ
マスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=52
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053・坊城俊章
○伯爵坊城俊章君 左樣デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=53
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054・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 坊城伯爵ニチヨット申シマスガ、前ノ委員ハ既ニ消
滅シタノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=54
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055・坊城俊章
○伯爵坊城俊章君 然バ別ニ委員ヲ議長ノ選擇ニ任セマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=55
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056・大原重朝
○伯爵大原重朝君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=56
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057・尾崎三良
○男爵尾崎三良君 此鑛業條例ニ附キマシテハ我〓モ意見ヲ持ッテ居リマス
ケレドモ、政府デ今調中デアルカラト云フコトデ原案ニ賛成致シテ置イタノ
デアリマスガ、此度衆議院ガ修正シテ參リマシタニ附キマシテハ、最モ我我
ハ豫テ希望スル修正デアリマスカラ、無論異存ハゴザイマセヌガ、併ナガラ
兎ニ角此儘通過致シテ置クト云フコトハ如何ハシイ事デアリマスカラ、坊城
伯爵ノ請求ノ通リ更ニ特別委員ニ託サレテ一應審議セラルヽヤウニ致シタイ
ト存ジマス、依ッテハ坊城伯爵ノ委員說ニ贊成ヲシテ且ツ其選擧ハ議長ニ委
託スルコトニ致シタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=57
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058・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 坊城伯爵ノ動議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=58
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059・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 然ラバ議長ニ於テ選定スルコトニ御異議ハゴザイ
マセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=59
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060・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 民法施行法中改正法律案、衆議院提出、第一讀會
ノ續、特別委員長報告
〔男爵小澤武雄君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=60
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061・小澤武雄
○男爵小澤武雄君 民法施行法中改正法律案ノ委員會ノ結果ヲ御報道致シマ
スルガ、私ハ唯委員デアッテ其報告ヲ申ス實ハ準備モ何モナイ、併シ委員長
副委員長トモ關席デゴザイマスカラ、私ガ委員會ニ列ッテ承知シテ居リマス
ルダケノコトヲ御報告ヲ致シマス、此案ハ至ッテ簡單ナコトデアリマスルケ
レドモ、委員會ニ於テハ篤ト調査モ致シマシタガ、衆議院ノ提出ノ通リデ不
都合ハナイト云フコトニ決定ヲ致シマシタノデゴザイマス、デ此事柄ハ主ト
シテ高知縣竝ニ兵庫縣等ニ、此法案ヲ設ケネバナヲヌト云フ事實ガ存在ヲシ
テ居ル、其他ニモマダ類似ナモノガナイデハナイサウデゴザイマスケレドモ、
重ニ二縣ニアルノデス、高知縣ノ有樣ニ附イテ〓略ヲ申シテ見マスルト、同
縣ニ於テ寛文年中ニ〓士竝ニ士族ノ子弟等ニ開墾ヲサセテ、其目的ト云フモ
ノハ土地ヲ開クノト併セテ其昔ノ士ヲ殖サウト云フ目的デアッタ、其開墾ヲサ
セルニ附イテハ、其郷士ナリ又士族ノ子弟抔ハ勿論資力ニ乏シイ者ガ多イモ
ノデアルカラシテ其土地ノ權利ダケヲ貰ッテ、サウシテ實際資力ノアル百姓ニ
委託シテ之ヲ開墾ヲサシテ、サウシテ是ハ卽チ永久ニ其開イタ者ガ其小作ヲ
スルト云フ契約デ元ト成立ッタモノデ、サウシテ其地主タル所ノ〓士竝ニ士族
ノ子弟等ハ其所ニ依ッテ違フサウデゴザイマスルケレドモ、其土地カラ收ムル
所ノ利益ノ十分ノ三トカ若クハ四トカヲ其名義ヲ有ッテ居ル所ノ士族ナリ〓
士ナリガ取ッテ其他ハ卽チ此開墾ヲシタ、後世ニ至ッテ今日カラ見ルト云フト
永小作人ト云フ者ガ皆取得ヲスルコトニナッテ居ル、然ルニ御維新後、地租
條例ノ改正後ニ至ッテ總テノ地租改正ノ時分ニ一般ニ其小作人ト地主トノ權
限ヲ明瞭ニスル手段ヲ執ッテ政府カラ命令ヲシテヤリ掛ケテ見タサウデハア
リマスケレドモ、何分其事柄ガ折合ガ附カズニ其事モ中止シテ今日マデニ來
テ居ル、ソレデゴザイマスカラ今日ハ地主ノ方カラ之ヲ强ヒテ申セバ總テ此
土地ノ所有權ト云フモノハ地主ニアルト云フコトモ出來ル、又小作人ノ方カ
ラ最初カラサウ云フ約定デ成立ッタモノデアルカラシテ小作人ノ所有權ノヤ
ウニモアルト云フヤウナ誠ニ判然セズニ居ル、併ナガラ地租〓正ノ當時ヨリ
致シテ租稅ト云フモノハ總テ地主ノ名義ヲ以テ小作人カラ一切ノコトヲ納メ
テ居ルト云フ有樣デアリマス、ソレデ此法律ヲ定メテ、卽チ其小作ト云フモ
ノノ性質ヲ今日認メテ置キマセヌト云フト、雙方ノ間ニ於テ始終ドウモ苦情
ガ絕エナイト云フ有樣デアリマスルカラ、此法案ヲ規定シテ置キタイ、、丁度
ソレトハ少シ變リマスルケレドモ、兵庫縣ニアリマスルノモ本願寺ノ開拓地
デゴザイマシテ、略〓似テ居ルヤウナモノデアル、此高知縣ノコトニ附イテ
ハアノ地方カラ請願其他ノ書類ガ諸君ノ御手許ニ皆囘ッテ居リマスルノデ、定
メテ御覽ニ相成ッタコトト存ジマスルカラ委シクハ申述ベマセヌガ、サウ云
フヤウナ必要カラ此法律ハ衆議院ニ於テ提出セラレ、又政府モ之ニ同意ヲセ
ラレタ譯デアリマス、今日此事柄ニ附イテ他ノ委員デモ御出席デアリマシタ
ナラバ、最モ詳細ニ報告サレルコトデゴザイマシタラウガ、生憎御出席ガナ
イカラ私ハ大略ノコトダケヲ申上ゲルノデ、若シ御不審ガアレバ政府委員カ
ラ答辯ヲ致サレル積リデゴザイマスカラ、ドウカサウ御承知ヲ願ヒマス、尙
ホ序ニ申上ゲテ置キマスガ、是ハ簡單ナ法案デゴザイマスカラドウゾ讀會省
略ヲ致シテ速ニ議決アラムコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=61
-
062・本荘壽巨
○子爵本莊壽臣君 讀會省略ニ贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=62
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063・黒田和志
○子爵黑田和志君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=63
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064・伊澤修二
○伊澤修二君 贊成
〔其他「贊成」ト呼フ者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=64
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065・野村恒造
○野村恆造君 此法案ニ反對ノ意見ヲ持ッテ居リマス、述ベマシテ宜シウゴ
ザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=65
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066・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 宜シウゴザイマス
〔野村恆造君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=66
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067・野村恒造
○野村恆造君 私ハ前ニ御斷申ンテ置キマスルガ、演說ヤ抔ハ誠ニ下手ナ者
ディザイマシテ極ク簡短ニ述ベマスルカラ御分リニナリマセヌ所ハドウカ御
尋ヲ········私ハ此法案ニ對シマシテハ絕對ニ惡ルイト云フ考ヂャアリマセヌ、
併シ唯今委員ノ御方カラ御述ニナリマスヤウニ高知縣兵庫縣ノ事柄カラ起ツ
テ斯ウ云フ改正ノ法律案ガ出タト云フコトデゴザイマス、所ガ高知縣兵庫縣
ノ情況ハ私モ耳ニシテ居リマスル、所ガ眞ニ永小作ト云ウテ宜カラウト思フ、
併ナガラ各縣ノ中ニハ凡ソ類似シタモノガ段々アリマス、所ガ其分ハ唯今ノ
民法發布ニナリマシタ時分ノ事デモゴザイマスカラ地主小作間ニマダ何等ノ
契約モ附カズ、永小作トモ何トモ附キマセズニ瞹昧ニナッテ、下ニ於テハ色〓
ノ苦情話モ多イデゴザイマス、ソレデ要シマスルニ唯今此法律案ガ通過致シ
マスルト地方ハソレガ爲ニ色〓ナ混雜ヲ來タシマセウト思フ恐ヲ私ハ懷イテ
居ル、類似ノ永小作ト申シマスレバドウ云フ景況デアルカト申シマスルト、
租稅ハ地主ガ納メ凶年ノ際ハ地主ガ預ヶ米ヲ下ゲル、唯年限ヲ永ク作ッタコト
ト內々小作權ヲ賣買シタト云フ事柄デ、小作人ハ永小作人ト自分ニハ考ヘテ
居ル、ソレ故先年モ私ガ實際ヲ知ッテ居リマスルガ、聞イテモ知ッテ居リマス
ルガ、遂ニ裁判ヲ仰イデ裁判所ニ於テハ唯今申述ベマスルヤウニ作ル年限ノ
永イノト內々ニ賣買ヲシデ居ルト云フ所ノ內々ノ取引證書ヲ以テ永小作ト判
定ニナリマシタ所ガアリマス、裁判ノ結果ハ固ヨリ諸君ニモ御承知ノ通リ唯
個人ノコトデゴザイマスルカラソレヲ他人ニ及ボスト云フコトハ勿論出來マ
セヌ、併ナガラ地方ニ取リマスルト一人二人ノ永小作ト云フ判定ヲ受ケマス
ルト凡ソ類似ノモノハ皆自分等ガ永小作ト考ヘル、ソレ故此法律案ガ通過致
シマスレバ地主ト小作間ノ差縺レハ澤山ニ起ッテ參ラウト考ヘマスル、固ヨリ
今日ノ民法發布ニナリマシタ以上ハ地主小作間愈ー永小作デアルカ永小作デ
ナイカト云フコトモ確定シテ參リマセヌニャーナリマセヌガ、ナカナカ地方
ノ情況ト申シマスルモノハサウ參リマセヌ、中ニハ小作人ハ誠ニ頑固トシテ
昔ノ事バカリ言ヒ、地主ガ幾ラ言ウテ聞カシテモ其事ハ用ヒズニ協議モ調ヒ
マセヌト云フヤウナ所ガ段々アリマス、サウ云フ情況ガアリマスルモノデゴ
ザイマスルカラ、私ハ此法律案ハ暫ク延期ニナリマシタ方ガ却ッテ地方ノ爲
デアリマセウト考ヘテ居リマスル、若シ是ガ通過シマスレバドウ云フ情況ヲ
來タシマスルカト云ヘバ、到底裁判ヲ起シマスルヨリ外ニ仕方ガナイ、裁判ヲ
起シマシタラバドウカト言ヒマスルト、地主ノ倒レマスヨリモ小作人ノ倒レ
ル方ガ多イ、御承知ノ通リニ地方ニハ裁判事件ニ附イテ色〓モグリトカ何ト
カ云フヤウナ種々ナ········人ノ訴訟ノ起ルノヲ仕事トシテ居ルト云フヤウナ者
ガ段々アリマス、唯ソレ等ノ腹ヲ肥スバカリノヤウナコトニナリマシテ、遂
ニ小作人ハ地主トノ間ノ話合ノ爲ニ裁判ノ爲ニ遂ニ身代ヲ失フト云フヤウナ
慘狀ヲ來タサウカト私ハ恐レテ居ル、ソレデ又此改正ノ法律案ヲ見マスルニ
五十箇年ノ先滿一箇年トアリマス、固ヨリ此場合ニ參リマスルト五十箇年先
デゴザイマスカラ、今日サシテ差支ナイヤウニゴザイマスルガ、併シ高知縣
其他兵庫縣ノ情況ハ略〓私モ承知シテ居リマスガ、今ヨリ五十箇年先ノコト
ヲ唯今極メテ置キマスル程ノコトハ私ハアリマスマイト思ヒマス、前ニ申述
ベマスルヤウニマダ民法發布ニナリマシテモ當分ノコトデ、小作人モ分ラネ
バ又地主ニモ分ラヌモノガ段々アリマセウト思フ、現ニ私モ承知シテ居リマ
ス、サウ云フ今日ノ場合ニ地方ノ混雜ヲ來タシマスルコトハ私ハ宜シクアル
マイト考ヘマス、詰リ私ノ申述ベマスル要領ハ之ヲ否決ニナリマシテ當分之
ヲ延期ニナリマスル方ヲ希望致シマス、地方ノ情況ニ對シマシテ巨細御尋ニ
ナリマスレバ委シク御話致シマスガ、私ハ不辯デゴザイマスカラ要領ダケヲ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=67
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068・中西光三郎
○中西光三郞君 チヨット野村君ニ御尋致シマスガ、唯今例ヲ御擧ゲニナリマ
シタ小作證書ハ永小作ト云フコトヲ記載シテアルノデゴザイマセウカ、如何
デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=68
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069・野村恒造
○野村恆造君 私ガ述ベマシタノハ小作證書ハナイノデス、唯今御話シマス
ルヤウニ年限ノ長イノト自分ガ內々賣買シマシタノヲ以テ自分ガ永小作トシ
テ地主カラ協議シマシテモ協議ニ應ジナイ、ダカラ小作證書ハナイノデス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=69
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070・中西光三郎
○中西光三郞君 政府委員ニチヨット伺ヒタウゴザイマス、此法案ニ附キマシ
テ政府ノ御意見ハ如何デゴザイマスカ、之ヲ伺ヒマス
〔政府委員梅謙次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=70
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071・梅謙次郎
○政府委員(梅謙次郞君) 第一讀會ノ初ニ於キマシテ政府ノ意見ハ略〓申上
ゲ置キマシタル通リ本案ニ對シテハ反對ハ致シマセヌノデ、チヨット唯今ノ御
說ニ對シマシテ一言申上ゲテ置キマスルノハ、政府ニ於テ調査ヲ致シマシタ
所デモ、永小作ト稱スル者ノ多數ハ唯今ノ野村君ノ御述ニナッタヤウナモノ
デアルト云フコトヲ認メマシタ、故ニ之ヲ五十年ニ限ッテ然ルベキモノト考
ヘマシタ、其規定ハ民法施行法第四十七條第二項ニ於キマシテ單ニ期間ヲ定
メズシテ設定シタル永小作權卽チ唯今野村君ノ御述ニナッタヤウナモノハ是
ハ民法施行法ハ五十年デ打切ルト云フノデアリマス、卽チ此高知縣兵庫縣ニ
存シテ居リマス初ヨリ永久存續スベキモノトシテ明ニ設定致シマシタル所ノ
永小作權ニ限ッテハ段々事情ヲ取調ベテ見マスルト不都合ナ點モアルヤウデ
アリマスカラ、此法案ノ如クナリマシテ差支ナカラウト考ヘマシテ反對ヲ致
シマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=71
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072・中西光三郎
○中西光三郞君 唯今野村君ノ御說ハ大ニ參考ニナルベキ御說ト感ジマス點
モゴザイマス、固ヨリ小作證書ハ········(聽取シ難シ)口頭契約ニ止ッテ居リマ
ス、左樣ナモノデゴザイマスルナラバ決シテ·······(聽取シ難シ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=72
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073・谷干城
○子爵谷干城君 讀會省略デ御異論ナク通ズルコトナラバ私ハ何モ申ス必要
ハアリマセヌガ、《チヨット委員長デ居リナガラ遲レテ來マシテ申譯ハナイガ、
此事ハ一ト通リ心得テ居リマスカラ、何ナラ意見ヲ述ベマセウカ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=73
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074・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 說明ハ濟ンデ居リマスガ御意見ガアラバ御述ニ
ナッテモ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=74
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075・谷干城
○子爵谷干城君 イエ、ヒドウ御異議ガナク誠ニ安全ニ通過スレバソレデ宜
イノデ之ニ附イテハ私ハ確乎タル意見ガアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=75
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076・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 讀會省畧ハマダ成立ヲテ居リマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=76
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077・大田原一清
○子爵大田原一淸君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=77
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078・柴原和
○柴原和君 贊成
〔「贊成」ト呼フ者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=78
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079・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 讀會省略ノ動議ハ成立チマシタ、之ニ贊成ノ諸君
ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=79
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080・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 讀會ハ省略ニナリマシタ、本案ヲ可トスル諸君ノ
起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=80
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081・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 過半數ト認メマス、本案ハ可決ニナリマシタ、韓
國京釜鐵道速成ニ關スル建議案、子爵岡部長職君外二名發議、會議
韓國京釜鐵道速成ニ關スル建議案
右貴族院規則第六十四條ニ依リ提出候也
明治三十三年二月三日
發議者子爵岡部長職松平正直
水野遵
贊成者侯爵德川義禮
外百二十九名
貴族院議長公爵近衛篤麿殿
韓國京釜鐵道速成ニ關スル建議
韓國京釜鐵道ハ日韓通商相互ノ利益上最モ緊要ニシテ速成ヲ必要トスルモ
ノナレハ政府ハ京釜鐵道會社ニ相當ノ保護ヲ與ヘ速ニ其ノ成功ヲ奬勵セラ
レムコトヲ望ム
右建議ス
〔水野遵君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=81
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082・水野遵
○水野遵君 諸君、韓國京釜鐵道ニ關スル建議案ハ極メテ簡單デゴザイマス
ル、併シ一ト通リ極ク簡短ニ提出ノ理由ヲ申上ゲマシテ是ハ滿場諸君ノ御贊
成ヲ願ヒタイト存ジマス、韓國ト我ガ日本帝國トノ關係ハ諸君御承知ノコト
デゴザイマスガ、近クハ明治九年ニ初メテ我ガ帝國ガ主人ト爲リマシテ彼
國ノ頑固ナル門戶ヲ開イテ世界ニ韓國ヲ紹介致シマシテ文明ノ列ニ入レマシ
タ以來、明治十五年ニ明治十七年ニ我ガ帝國ハ幾多ノ人命及財產ヲ犠牲ニ供
シテ彼國ノ爲ニ努メマシタルコトモ御承知ノ通リデゴザイマス、次ニハ明治
二十七八年ノ戰役ニ至リマシテ彼國ノ獨立ヲ扶殖スルト云フコトニナリマシ
テ、韓國ニ對シマスル我ガ帝國ノ方針ハ始終一貫相變ッテ居リマセヌノデゴ
ザイマス、而シテ韓國ノ開港場ニ於ケル我ガ帝國ノ勢力如何ト申シマスルト、
是ハ實際御目擊ニナッタ御方ハ御承知テゴザイマスガ、中〓我ガ日本國ノ勢
力ハ彼國ニ深ク根ザシテ居リマス、殆ド彼國ニ住居スル人民ハ········永住スル
帝國臣民ハ二萬ニ埀トシテ居ル、彼仁川釜山ノ居留地ノ有樣ヲ見マスルト我
ガ日本實業家ノ居留地ト言ハムヨリハ辭ハ少シ激デアリマスガ或ル點カラ
申スト殆ド日本ノ植民地ト申シテ宜イ位ニ發達致シテ居ル、何トナレバ神社
モアリ佛閣モアリ警察モアリ學校モアリ、殆ド此一部落へ這入リマスルト我
ガ內地ノ小サイ昔ノ城下ヲ通行致スト同樣ナ感ジヲ持チマス位ニ發達致シテ
居リマス、ソレ故將來ハ韓國ノ商工業ノ發達ト申スモノハ卽チ我ガ帝國實業
家ノ手裏ニアッテ之ヲ左右セラルヽ、卽チ彼國ノ利益發達ハ我ガ帝國ノ臣民
ノ力ニ依ッテ發達ヲセヌケレバナラヌ有樣ニナッテ居リマス、然ルヲ今日マデ
我ガ帝國ト韓國トノ交通ハ何ニ依ッテ居リマスルカト申スト、全ク海運ニ依〃
テ居ル、マダ陸路ノ交通ト申スモノハ開ケテ居リマセヌ、ソレモ諸君ノ御承
知ノ通リデ、是マデハ韓國ノ內地ヲ旅行スルスラ困難ナコトデゴザイマス、
故ニ今日マデ開ケテ居リマセヌ、ソレ故彼國ノ將來ニ向ッテ利源ヲ開發シ從ッ
テ我ガ帝國ノ利益ヲ進メルト云フニ附イテハドウ致シテモ將來ニ於テハ彼國
ノ陸路ノ交通ハ我ガ帝國ノ臣民ノ財力ト智力トニ依ッテ開發ヲセヌケレバナ
ラヌコトハ申スマデモゴガリマセヌ、而シテ之ニ極メテ關係ヲ有シマスルノ
ハ今日世上ニ成立タムトシテ未ダ成立ッテ居リマセヌ京釜鐵道ト申スモ
ノガゴザイマスガ、之ニ附イテハ諸君モ御承知ノ通リ明治二十八年ノ際ニ
韓國ト我ガ帝國トノ間ニ約束ガゴザイマシテ、是ガ暫定條約ト申シマス暫ク
定メルト云フ字ヲ書ク、而シテ是ハ彼國ノ京城ヨリ釜山ニ至ルマデ殆ド三百
哩ノ鐵道ノ敷設ヲ我ガ帝國政府デ致スカ我ガ帝國臣民ノ私立會社デ致スカト
云フコトノ約束ガ成立ッテ居リマス、ソレト同時ニ京城ト仁川ノ間ノ鐵道敷
設權モ我ガ帝國ノ手ニ收メテゴザイマス、然ルニ其後經濟社會ガ一頓挫ヲ致
シタ爲デアルガ二年程空シク歲月ヲ經過致シタガ爲ニ京城ト仁川トノ間ノ
今日申ス京仁鐵道ト申スモノハ亞米利加人ノもーるすト云フ者ニ韓國政府ガ
更ニ特許ヲ與ヘマシテ、卽チ一旦日本ニ得タル所ノ權利ヲ擧ゲテ亞米利加人
ノもーるすナル者ニ韓國政府ガ與ヘマシタ次第デアリマス、ソレニ附イテ彼
是今日御話申ス必要モアリマセヌガ、其結果タルヤもーるすガ分幾ノ準備ヲ
致シ鐵道モ幾分カ敷設致シマシタルモノヲ又我ガ帝國ノ今日京仁鐵道會社
ニ買收致シタヤウナ譯合デアリマス、一度得タル權利ヲ彼外國人ニ取ラレ
テ、ソレヘ鐵道ヲ敷設致シテ、ソレヲ再ビ我ガ帝國ノ臣民ノ手ニ買戾シタト
云フコト、買戾シタデアルカ買入レタデアルカ致シテ詰ル所、早クコチラガ
手ヲ入レマセナンダガ爲ニ利益、手數料ト云フモノヲ第三者ニ我ガ帝國ガ拂
ウタト申シテモ宜シイ結果ニ相成ッテ居リマス、是ガ一昨年當議場ニ協贊ニ
ナリマシタ京仁錢道ノ成立ッタ〓略デゴザリマスルガ、ソレト同樣ニ京釜鐵道
ハマダ第三者ガ出テ居リマセヌガ故ニ、京仁鐵道ノ如キ困難ハゴザイマセヌ
ガ、是ハ其後會社ト韓國政府トノ條約ガゴザリマシテ、其條約ハ三年ノ間ニ
工事ニ著手ヲ致サヌケレハ其權利ハ消滅ヲ致スト云フコトノ條約ニナッテ居
ル、卽チ其權利ハ何時ヨリ生ジタカト云フト、明治三十一年ノ九月ヨリ生ジ
テ居リマスガ故ニ、三十四年ノ九月ニ至ルト此權利ハ消滅ヲ致ス、若シモ此
時機ヲ失シマシテ消滅致シテ更ニ此權利ヲ得ヤウトスルコトハ隨分困難ナコ
トデハナイカト本員共ハ考ヘル、然ルニ京仁鐵道モ一時ハ發起者等モ百何十
人ト出來マシテ、又實地ノ踏査等モ濟ンデ居リマスル樣子デゴザリマスガ、何
分ニモ經濟社會不振ノ爲ニ實際事業ニ著手スル運ビニ至ッテ居リマセヌ模樣
デゴザリマス、ソレ故ニ此京釜鐵道敷設ニ附イテハ最初其事ニ幹旋ヲサレタ
ル內閣ハ前々ノ伊藤內閣ノ時代デアッテ、ソレカラ幾多ノ內閣ヲ經テ今日ニ
至ッテ居リマスルガ、是ハ我ガ官民ニ於テハ一人ノ不同意者モゴザイマスマ
イ、此頃中世間デモ議論ガゴザイマスルガ如ク、唯此事ニ附イテノ問題ハ何
デアルカト云ヘバ、京釜鐵道ノ必要不必要ト云フ話デナクシテ、唯時ト云フ
問題デ、卽チ時機ト云フ問題ガ一ツ起ヲテ居ラウト私共ハ考ヘテ居ル、何トナ
レバ經濟社會不振ノ爲殆ド二千五百萬圓ノ鐵道敷設ヲスルコトガ出來ルヤ否
ヤ、其資本ハ何處ニアルヤト云フ卽チ經濟不振ノ時ニ際シテ居ルニ依ッテ此
鐵道ハ出來マイト云フ心配ノ時ト、モウ一ツニハ又一ツノ時ガアッテ其時ハ
所謂時機デ、此際ニセヌケレバ假令先キニ至ッテ一億圓ノ資金ガアッテモ最早
既ニ權利ハ我手ヨリ失シテシマッタトキハ致方ガナイニ依ッテ、濟經上ノ不振
ハ免モ角モ、ドウナリトモ工面ヲ致シテ此鐵鐵道ヲ敷設スルト云フコトハ我ガ
國家ノ義務デハナイカト、卽チ是モ時ノ問題デゴザリマス、又世ニ他ノ强國
トノ交際上ノコトニ附イテ話ヲスル人等モゴザリマスガ、是等ハ全ク謂レ
ナキコトデ、今日此際ニソレ等ノコトヲ以テ此鐵道敷設ヲ妨ゲベキ時機デハ
ナイト本員共ハ深ク信ジマス、免モ角モ今日ハ我ガ帝國ニ得テ居ル所ノ敷設
權テ棄テテシマッテ三十四年九月三十一日以後ノ曉ニハドウナルカト云フコ
トヲ想像致シマスルト、或ハ恐ル旭日日章以外ノ旗ガ釜山ノすてーしよんニ
建ツコトアラズト申スコトハ斷言モ出來マセヌ、若シサウ云フヤウナ時ニハ
千囘萬囘臍ヲ噛ンデモ致方ガアリマセヌ、若シ左樣ナッタナラバ彼ノ韓土
ニ向ッテ我ガ勢力ヲ伸バスコトガ出來マセヌ、從ッテ彼國ノ人民ヲ開發誘導ス
ル所ノ我ガ帝國ノ從來ノ方針ヲ水泡ニ歸スルコトニ至ラヌトモ限リマセヌト
思ヒマス、ソレ故ニ本員共ガ此際建議ヲ致シマスルノハ卽チ是ハ私立ノ會社
ノ營利事業トハ言ヘ幾多ノ歷史ヲ持ッテ居ル鐵道デゴザイマス一般財、國家ハ
須カラク此會社ノ成立ツヤウニ相當ノ保護ヲ致シ誘掖ヲ致スコトノ手段ヲ執
ラルヽコトガ相當ト存ジマス、私共ハ寧日是ハ官設鐵道ニ致シテモ然ルベシ
ト考ヘマスルガ、是等ハ從來ノ行掛リ又交際上ノ關係カラシテ官設鐵道ト云
フ譯ニモ參リマスマイ、幸ニ將ニ萠サウトシテ居ル所ノ此京釜鐵道ト申スモ
ノガゴザリマスル故ニ、此會社ニ速ニ成立サスルコトハ國家ノ義務デアラウ
ト存ジマスルガ故ニ、此建議ヲ致サウト云フノデアリマス、誠ニ極ク〓略デ
ゴザリマスルガ、此邊デ說明ハ止メマスルガ故ニ、須カラク御熟考ノ上、滿
場一致ヲ以テ御賛成アラムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=82
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083・谷干城
○子爵谷千城君 私ハ大反對デアリマスルガ最早晝ニ近ウゴザリマスガ、私
ノ考ハ大變長ウゴザイマスカラ食後ニ願ウテハドウデゴザリマスカ、ヤリ掛
ケマシタラ隨分長ウゴザリマスカラ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=83
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084・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) ソレデハ休憩ニ致シマス
午前十一時四十九分休憇
午後一時八分開議
〔子爵谷干城君發言ノ許可ヲ求ム〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=84
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085・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 何デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=85
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086・谷干城
○子爵谷干城君 定足數ニ足ラヌノデスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=86
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087・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 足リマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=87
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088・谷干城
○子爵谷干城君 足リマセタナラバ次ニ願ヒタイト思ヒマス、私ハ十分ニ意
見ヲ皆サンニ聽イテ戴キタイカラ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=88
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089・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 待ッテ下サイ········今朝御委托ニナリマシタ特別委
員ノ氏名ヲ御報道致シマス
〔河田書記官朗讀〕
土地收用法案特別委員
子爵大田原一〓君松平正直君男爵北垣國道君
男爵小澤武雄君周布公平君渡正元君
富井政章君天春文衛君最上廣胖君
郵便爲替法案外三件特別委員
子爵岡部長職君子爵錦織〓久君宮本小一君
男爵鈴木大亮君男爵吉川重吉君山脇玄君
高橋新吉君中山文樹君岡田太平治君
衆議院議員選擧法改正法律案特別委員
侯爵黑田長成君伯爵〓棲家〓君子爵谷干城君
子爵曾我祐準君子爵堀田正養君子爵松平乘承君
男爵尾崎三良君三好退藏君松岡康毅君
松平正直君三浦安君渡邊洪基君
男爵小澤武雄君名村泰藏君男爵船越衛君
周布公平君男爵南岩倉具威君都筑馨六君
三崎龜之助君穂積八束君山田卓介君
天春文衛君田中源太郞君鎌田勝太郞君
早川周造君
鑛業條例中改正法律案特別委員
伯爵坊城俊章君男爵尾崎三良君田中芳男君
男爵藤村紫朗君男爵島津珍彥君男爵紀俊秀君
男爵吉川重吉君武井守正君住友吉左衛門君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=89
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090・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 今日ハ定足數ニ關ケテ、暫ク待ッテ居リマシタガ
寄リマセヌカラ散會致シマス、明日ノ日程ヲ御報道致シマス
〔河田書記官朗讀〕
午前十時開議
第一重罪控訴豫納金規則廢止法律案(衆議院提出)第一讀會
第二右議案ノ審査ヲ付託スヘキ特別委員ノ選擧
第三輕罪控訴規則廢止法律案(衆議院提出)第一讀會
第四右議案ノ審査ヲ付託スヘキ特別委員ノ選擧
第五罰金及追徵ニ係ル上告豫納金廢止法律案(衆議院第一讀會
提出)
第六右議案ノ審査ヲ付託スヘキ特別委員ノ選擧
韓國京釜鐵道速成ニ關スル建議案(野田ノックス)子爵岡部
第七二名會議(前會ノ續)
第八帝國〓育會國庫補助ニ關スル建議案(昭和四年) 有限公司(株)會議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=90
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091・近衞篤麿
○議長(公爵近衛篤麿君) 本日ハ〓會
午後一時十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001403242X01819000207&spkNum=91
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