第15回帝国議会　衆議院　本会議　第14号　明治34年3月18日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  　明治三十四年三月十八日（月曜日）午後一時八分開議
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  　　議事日程　第十四號　明治三十四年三月十八日
  　　　　午後一時開議
  　　一　（第二號）明治三十三年度歳入歳出總豫算追加案
  　　二　（特追第二號）明治三十三年度特別會計歳入歳出豫算追加案
  　　三　北海道鐵道部支部局及派出工場現金前渡官吏設置に關する法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　四　徴兵令補則法律案（菅野善右衞門提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　五　民法中改正法律案（關直彦外二名提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　六　所得税法中改正法律案（木村誓太郎外二名提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　七　關税定率法附屬輸入税表中改正法律案（栗原亮一外四名提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　八　涜職法案（後藤文一郎外九名提出）　第一讀會
  　　九　狩獵法改正法律案（恒松隆慶外五名提出）　第一讀會
  　　十　狩獵法改正法律案（堀越寛介提出）　第一讀會
  　　十一　田畑地價特別修正法律案（後藤文一郎外十一名提出）　第一讀會
  　　十二　山形縣下郡界變更法律案（重野謙次郎外三名提出）　第一讀會
  　　十三　鐵道敷設法中改正法律案（高岡忠郷外三名提出）　第一讀會
  　　十四　葉煙草專賣法中改正法律案（西原清東外十五名提出）　第一讀會
  　　十五　郵便貯金利子割増に關する法律案（藤金作外二名提出）　第一讀會
  　　十六　商船學校生徒遺族扶助に關する法律案（加藤政之助外六名提出）　第一讀會
  　　十七　國費を以て小學校用教科書を編纂するの建議案（星松三郎外一名提出）　（前會の續）
  　　十八　齒科醫養成に關する建議案（山口熊野外四名提出）　（委員長報告）
  　　十九　中等學校教員養成に關する建議案（安藤亀太郎外一名提出）　（委員長報告）
  　　二十　史談會國庫補助に關する建議案（根本正外二名提出）
  　　二十一　酒類造石税納期改正に關する建議案（長坂重孝外四名提出）
  　　二十二　札幌農學校を大學と爲すの建議案（西原清東外十二名提出）
  　　二十三　帝國古蹟取調會國庫補助に關する建議案（早川龍介外五名提出）
  　　二十四　野蒜築港に關する建議案（菅原傳外五名提出）
  　　二十五　名和昆蟲研究所に交付すへき國庫補助金追加豫算の提出に關する建議案（稻垣示外四名提出）
  　　二十六　家祿處分に關する建議案（佐藤清外四名提出）
  　　二十七　下總國舊牧開墾地に關する建議案（高津雅雄外五名提出）
  　　二十八　私設鐵道新線路敷設に對し補給利子を付與する件に關する建議案（恒松隆慶外二名提出）
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• 001・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　諸般ノ報告ヲ致シマス
  〔書記朗讀〕
  政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  巡査看守退隱料及遺族扶助料法案
  議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  畑地價特別修正法律案
  提出者平岡萬次郞君
  刑法中改正法律案
  提出者安藤龜太郞君花井卓藏君高須賀穰君
  根本正君丸山嵯峨一郞君
  刑法中改正法律案
  提出者安藤龜太郞君高須賀穰君根本正君
  民法中改正法律案
  提出者安藤龜太郞君
  刑法中改正法律案
  提出者安藤龜太郞君花井卓藏君高須賀穰君
  根本正君丸山嵯峨一郞君
  家祿賞典祿處分法施行ニ關スル建議案
  提出者恆松隆慶君高津雅雄君高須賀穰君
  濱名信平君野尻岩次郞君林彥一君
  瀧口歸一君堀家虎造君鈴木重遠君
  井手毛三君竹內正志君橋本久太郞君
  武市庫太君松田秀雄君岡本松太郞君
  天野若圓君中津誠一郞君
  農會補助金追加豫算ノ提出ニ關スル建議案
  提出者稻垣示君堀尾茂助君恆松隆慶君
  農事試驗場水產試驗場國庫補助金追加豫算ノ提出ニ關スル建議案
  提出者稻垣示君堀尾茂助君恆松隆慶君
  花窟神社ニ關スル建議案
  提出者栗原亮一君寺田彥太郞君早川龍介君
  福田久松君ヨリ財政ニ關シ、千田軍之助君根本正君林喬君藤金作君宮崎榮
  治君ヨリ大學及高等學校增設計畫ニ關シ、花井卓藏君丸山嵯峨一郞君鮫島
  相政君安藤龜太郞君平岡萬次郞君望月長夫君ヨリ刑法改正案ニ關シ、平岡
  萬次郞君ヨリ劇毒藥取締ニ關シ、安部井磐根君鈴木重遠君安川繁成君ヨリ
  會計檢査院ニ關シ質問主意書ヲ提出セラレタリ
  委員ヲ指名スル左ノ如シ
  鐵道敷設法中改正法律案外三件
  野間五造君降旗元太郞君高岡忠〓君
  中津誠一郞君重野謙次郞君石黑涵一郞君
  征矢野半彌君濱名信平君林彥一君
  〔左ノ質問書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ茲ニ揭載ス〕
  財政ニ關スル質問書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治三十四年三月十八日
  提出者福田久松贊成者天野若圓
  外三十二名
  財政ニ關スル質問主意書
  一我ガ國曩ニ一タヒ戰後ノ經營ヲ誤リシヨリ以來每年其歲出入相償ハス
  旣ニ增稅ヲ爲セシコト再三ニ及フト雖トモ尙其每年度ニ於テ左ノ如キ
  巨額ノ繰越金ヲ出シ今後兩三年ノ內ニハ是非共之ヲ支出セサル可カラ
  サルノ急ニ迫レリ而シテ此上ノ增稅ハ到底國力ノ許ス所ニアラス公債
  募集モ亦旣ニ其望ナシ加之ナラス豫定事業ノ計畫ニ係ルモノニシテ更
  ニ二億一千一百有餘万圓ノ財源ヲ要スルモノアリ政府ハ如何ニシテ其
  急ニ應シ之ヲ整理セント欲スル乎
  一金四千五百六十四万六千二百五十三圓二十九年度繰越金
  一金六千七百八万五千四百七圓三十年度繰越金
  一金七千四百八十三万五千四百三十三圓三十一年度繰越金
  一金六千七百五十万五千六百八十九圓三十二年度繰越金
  二政府カ財政整理及ヒ行政整理ノ計畫アリトハ本院及ヒ貴族院ニ於テ既
  ニ之ヲ明言セリ然トモ其說明スル所殆ント其要領ヲ得ルニ苦シム右政
  府ノ趣意ハ現今ノ政費ニ大ニ節減ヲ加ヘ目下及ヒ將來ニ於ケル我カ財
  政ノ困難ヲ救整セントスルニ在ル平若クハ單ニ事業ノ緩急及ヒ行政機
  關ノ紊雜ヲ矯正セントスルニ止マル乎
  大學及高等學校增設計畫ニ關スル質問書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治三十四年三月十八日
  提出者千田軍之助根本正林喬
  藤金作宮崎榮治
  贊成者鈴木儀左衞門
  外三十六名
  大學及高等學校增設計畫ニ關スル質問主意書
  一近年普通〓育旺盛ニ至リシ結果各府縣尋常中學校卒業生ノ內高等學校
  ニ入ラントスル者年ヲ逐フテ多キヲ加フト雖モ之ヲ收容スヘキ高等學
  校ハ不足ニシテ大ニ高等〓育ノ發達ヲ抑制スルノ實アリ政府ハ三十四
  年度ニ於テ高等學校增設ノ計畫ヲ實行スルノ決心アル歟
  一高等學校增設ノ計畫ヲ實行スルトキハ今後高等學校卒業生ノ內大學ニ
  入ラントスル者ヲ增出スルハ必然ナルヲ以テ帝國大學ノ增設ハ必要缺
  クヘカラス三十四年度ニ於テ政府ハ大學增設ノ計畫ヲ實行スルノ決心
  アップ
  一近年高等〓育發達シタル結果專門學士ノ數漸ク多キヲ加ヘタルカ如シ
  ト雖トモ大學アリテ以來卒業生ニシテ今日ノ現存セルモノハ三千有餘
  ニ過キス亦ミ業ヲ終ヘ後出テントスルモノモ甚多カラス政府ハ此ノ少
  數專門學士ヲ以テ現今我社會ノ需用ニ應スルニ足ルト思考スル歟
  右及質問侯也
  刑法改正案ニ關スル質間主意書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治三十四年三月十六日
  提出者花井卓藏丸山嵯峨一郞鮫島相夫政
  安藤龜太郞平岡萬次郞望月長
  贊成者田中正造
  外二十九名
  刑法改正案ニ關スル質問主意書
  一政府ハ刑法全部ヲ改正スル必要アリトシテ其改正案ヲ帝國議會ニ提出
  シタリ政府ハ現行刑法ヲ以テ全部悉ク今日ノ狀態ニ適合セサルモノト
  認メタル平歷史上竝ニ實際上ノ事情及統計上ノ理由ヲ具シテ其然ル所
  ヲ以テ答辯セラレンコトヲ望ム
  二政府ハ刑法改正案ヲ提出スルニ當リ其理由書ニ於テ社會事物ノ變遷ハ
  著シク現行刑法ノ規定ニ影響ヲ及シタリト明言セリ既往二十餘年ノ間
  事物變遷ノ狀態ハ如何ニ刑法ノ規定ニ影響ヲ及ホシタル平其關係ヲ明
  ニシ改正ノ止ムヘカラサル所以ヲ答辯セラレンコトヲ望ム
  三草案ヲ公表シテ是非ヲ世論ニ訴フルハ立法ノ常道ナリ而シテ政府ハ刑
  法改正案ヲ提出スルニ當リ此常道ヲ踏ムコトヲ爲サス草案ヲ祕密ニシ
  テ故ラニ外間ノ論議ヲ避ケ直チニ之ヲ議會ニ提出シテ通過ヲ策セント
  シタリ政府ハ草案公表ノ必要ナシト認メタル平其理由如何
  四政府ハ刑法改正案ノ確定草案成ルニ當リ之ヲ法典調査會刑法部ノ會議
  ニ付セス整理委員二三子ヲシテ修正校訂セシメ直チニ議會ニ提出シタ
  リ政府ハ整理委員ヲ以テ調査會ノ全部ヲ代表シタルモノト認メタル乎
  若シクハ整理委員以外ノ委員ヲ以テ立法的能力ナキモノト認メタル乎
  其理由如何
  五政府ハ條約改正ノ必要ニ迫リ民法商法ヲ發布スルノ急務ニ接シタルト
  キニ於テスラ其草案ハ之ヲ公表シテ世論ノ攻究ヲ求メタリ而シテ今ヤ
  條約改正ノ關係アルニアラス又其他政治上目睫ニ迫ルノ問題アルニア
  ラス然ルニ唯リ刑法ニ關シ從來ノ立法例ヲ趁ハサルハ如何ナル理由ニ
  基クモノナリヤ
  六刑法ハ刑事訴訟法ニ依テ運用セラルヘキモノタリ從テ刑法ノ改正ハ刑
  事訴訟法ノ改正ト竝行セサルヘカラス是レ主助法律ノ關係上當然ノコ
  トナリトス政府ハ刑法改正ノ必要ヲ認ムルモ刑事訴訟法ヲ改正スルノ
  必要ナシト認メタル平若シ其必要ヲ認メタリトセハ何故ニ同法改正案
  ノ完成ヲ待タスシテ刑法改正案ノミヲ提出シタル乎彼ヲ前ニシ是ヲ後
  ニシタルハ果シテ如何ナル理由ニ基クモノナリヤ
  七政府ハ急遽匆卒應接遑ナキノ間刑法改正案ヲ提出シナカラ其施行法ヲ
  示サス又其施行期限ヲ定メサルハ果シテ如何ナル理由ニ基クモノナリ
  ヤ
  八刑法全部ノ改正ハ諸種法律ノ改正ニ關シ影響ヲ及ホスコト鮮カラス政
  府ハ刑法ノ改正ト同時ニ來ルヘキ諸種法律ヲ改正スルノ必要ナシト認
  メタル乎此〓ニ關シ如何ナル調査ヲナシ又如何ナル成績ヲ舉ケタル乎
  九整理委員ノ二三子ハ刑法改正案ヲ以テ新學理新學說ヲ歡迎シタルモノ
  ナリト揚言セリ政府ハ法律ヲ以テ學理學說ヲ紹介スル著作ナリト認ム
  ル乎
  十政府ハ刑法改正案ヲ提出シテ生存二十年ノ現行刑法ヲ根本的ヨリ改正
  セレトセリ政府ハ法律ノ改廢屢、ドナルヲ以テ立法ノ進步ナリトナスモ
  ノヽ如シ果シテ然レハ改正刑法ヲ更ラニ改正スルハ凡ソ幾年ノ後ニ於
  テスル見込ナリヤ
  右及質問候也
  劇毒藥取締ニ關スル件ニ付キ質問書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治三十四年三月十八日
  提出者平岡萬次郞贊成者鳩山和夫
  外三十名
  劇毒藥取締ニ關スル件ニ付質問主意書
  一劇毒藥ノ取締ハ人命保護ノ爲ニ外ナラス明治三十三年四月中旬ヨリ同
  三十三年十二月ニ至ル間ニ於テ「ペスト」豫防ノ爲メ捕鼠ニ關シ毒藥亞
  砒酸團子ヲ使用シタル方法ハ明治二十年三月藥品營業竝藥品取締規則
  第三十條第三十一條第三十二條ニ違犯セシニ非サル乎竝ニ亞砒酸團子
  使用方法詳細ニ示サレタシ
  一「ペスト」流行地ニ於テ毒藥亞砒酸團子配布ノ結果大阪市南區ノ內饀コ
  ロ團子營業者カ之ヲ誤用シタル爲メ五百名餘ノ中毒者ヲ生シタリト云
  フ事實果シテ如何
  一又小兒ノ知ラスシテ之ヲ〓シ中毒シテ死ニ致リシ者二人ノ老人ノ誤テ
  〓シ中毒シテ死ニ致リタル者一人又之ヲ自殺ノ用ニ供シテ死シタル者
  一人又之ヲ殺人ノ用ニ供シ死ニ至ラシメタルモノアリト云フ事實果シ
  テ如何竝ニ中毒者カ解毒劑ニ依リ解毒シタル人數如何
  一毒藥亞砒酸團子配布ノ爲メ中毒若クハ死亡シタルモノヲ隱蔽スト云フ
  事實果シテ如何
  一亞砒酸團子ヲ用井鼠族ヲ捕獲スルヨリハ通常捕鼠器械ヲ以テ鼠ヲ捕フ
  ル方其效多シト云事實果シテ如何竝ニ明治三十二年四月中旬ヨリ同三
  十三年十二月ニ至ル間ニ「ベスト」流行地ニ於テ亞砒酸團子配布ノ數、
  鼠ノ食シタル數、鼠ノ食セサル數、鼠ノ喰殘シタル數、亞砒酸團子ニ因
  リ獲タル鼠ノ數、通常捕器械ニ依リ獲タル鼠ノ數如何
  右及質問候也
  會計檢査院ニ關スル質問書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治三十四年三月十八日
  提出者安部井磐根安川繁成鈴木重遠
  贊成者白井哲夫
  外三十三名
  會計檢査院ニ關スル質問主意書
  一會計檢査院ハ
  天皇ニ直隸シ國務大臣ニ對シ特立ノ地位ヲ有スト雖トモ而レトモ猶憲政
  一部ノ機關タルヲ免カレスト信ス果シテ然ル歟
  右質問ニ及ヒ候也

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• 002・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　是ヨリ會議ヲ開キマス、諸君ニ御諮リスルコトガアリ
  VX、請願委員ノ第一第二第三分科會ヲ開キタイト云フコトデアリマスル
  ガ、許可シテ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 003・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　御異議ガナケレバ許可スルコトニ致シマス、福田久松
  君-千田軍之助君

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• 004・千田軍之助

  ○千田軍之助君(二百五十四番)　私共申合ノ上、高等學校及大學設立ニ關ス
  ル質問書ヲ提出シテ、其理由ヲ述ベマス積デアリマシタケレドモ、少々都合
  ガアリマシテ今日述べルコトハ見合セテ、明日ニ致シマス

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• 005・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　花井卓藏君

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• 006・山本幸彦

  ○山本幸彥君(百十六番)　此際ニチヨット、是カラ豫算ノ第一分科ノ委員會ヲ
  開キタウゴザイマスカラ、退場ノ許可ヲ請求致シマス

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• 007・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　豫算ノ第一分科會ヲ開キタイト云フコトデアリマス
  ガ、許可シテ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 008・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　御異議ガナケレバ許可スルコトニ致シマス
  〔花井卓藏君演壇ニ登ル〕

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• 009・山本幸彦

  ○山本幸彥君(百十六番)　ソレデハ第一分科ノ諸君ハアラチヘ御出デヲ願ヒ
  マス

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• 010・花井卓藏

  ○花井卓藏君(百七十九番)　諸君、私ハ刑法改正案ニ關スル質問趣意書ヲ提
  出致シテ置キマシテゴザイマス、此刑法改正案ニ關スル質問ノ趣意ト申シマ
  スルモノハ、刑法自體ニ就イテ質問ヲ致スノデハナクシテ立法ノ手續ガ適
  當デナイト云フ事柄ニ對シマシテ、甚ダ疑ヲ懷キマスルガ故ニ、丸山嵯峨一
  郞君其他ノ諸君ト謀リマシテ、質問ヲ致スニ立至ッタ次第デゴザリマス、既ニ
  存在ヲ致シテ居リマスル法典ト云フモノヲ、一時ニ根本的ニ改正ヲ致スト云
  フ事柄ヲスル立法例ト云フモノハ恐ラクハ世界アリテヨリ今日マデ、曾テ
  ナイコトデアラウト思フノデアリマス、獨リ我國ニ附イテ言フノデハゴザイ
  マセヌ、何レノ國ニ於キマシテモ既ニ存在シテ居ル所ノ法律ヲ、根本的ニ
  一條ヨリ末條ニ至ルマデヲ、悉ク改正スルト云フ實例ハ、斷ジテナイノデゴ
  ザイマス而シテ今囘政府ガ帝國議會ニ提出致シマシタル、此刑法改正案ト
  云フモノハ現行法トシテ存在ヲ致シテ居ル所ノ刑法ト云フモノヲ、根本的ヨ
  リ一條一項ノ微ニ至ルマデ悉ク改メテ、サウシテ新ニ此ノ刑法ト云フモノヽ
  作成ヲ企ッテ居ルト云フ事柄ニナッテ居ルノデゴザイマス、併ナガラ現行ノ刑
  法ト云フモノヲ、全部悉ク改正ヲセネバナラナイト云フ歷史上ノ必要モナ
  ク、實際上ノ必要モナク、又統計上ノ理由トシテモ示サレテ居ナイト云フ事柄
  ハ其理由書ニ依シテ明ナノデゴザリマスル、政府ノ主張セラルヽ所ノ理由
  ニ依リマスルト云フト、此社會事物ノ變遷ハ、現行刑法ノ規定ニ著シク影響
  ヲ來スガ故ニ、全體ノ改正ヲ企テネバナラヌト云フニアルノデゴザリマスル
  ケレドモ、既往二十餘年ノ間ニ於テ、事物變遷ノ狀態ガ如何ニ現行刑法ノ全
  體ヲ改正ヲセネバナラヌカト云フ〓ノ理由ニ至ッテハ一モ示ス所ガナイノ
  デゴザイマス、申上ゲルマデモナク、此法典自體ノ改正ト云フモノハ、法律ニ
  依ッテ組立ラレテ居ル所ノ社會全體ノ改革ニナルノデゴザリマスルカラシテ、
  法典全體、全體ノ改廢ハ取リモ直サズ、社會全體ノ事物變遷ノ狀態ガ、激變
  シタモノト言ハネバナラナイノデゴザイマスルガ、私共ノ見ル所ニ據レバ
  此二十餘年間ニ社會事物ノ變遷ハ法律全體ヲ根本ヨリシテ、改正シナケレ
  バナラヌト云フガ如キ、激變ヲ呈シテ居ルモノトハ、決シテ信用致サヌノデ
  ゴザイマス、加之此社會事物ノ變遷ガ、刑法全典ノ改正ヲ促シタト申シマス
  ルケレドモ、其理由ニ至ッテハ更ニ示ス所ガナイ、歷史上ノ理由ニ至ッテ
  〓、實際上ノ理由ニ至リマシテモ、統計上ノ理由ニ至リマシテモ、更ニ示ス
  所ガナイノデアル、理由書ニ示サレテゴザイマスル所ノモノハ唯單ニ二行
  半バカリニ書イテアル所ノ簡單ナル說明ニ外ナラナイノデアル、一條二條ノ
  單行ノ法律ヲ改正スルニ至リマシテモ其改正ノ理由ト云フモノハ事綿密
  ニ理由書ニ揭グラレテアルノデアル、然ルニ二十餘年間行ハレテ居ル而モ
  日本法典ノ中ニ於テ、最モ永ク生存シテ居ル法律ヲ改正ヲスル說明ト云フモ
  ノガ、僅ニ二行半ノ文字ニ過ギナイト云フ事柄ニ至リマスルト云フト、政府
  當局ガ如何ニ此法律問題ニ對シテ、議院ヲ侮辱シテ居ルカ、如何ニ此民間ノ
  法曹ト云フモノヲ侮辱シテ居ルカト云フコトノ一般ガ見エルノデゴザイマ
  ス、甚ダ界近ノ例デゴザイマスケレドモ、匹夫匹婦ガ細君ヲ離別スルニ方〃
  テモ其理由ハ三下リ半ト云フ事柄ハ、古來ヨリ極ッテ居ル定則デアル、然ル
  ニ二十有餘年來、一國ノ法典トシテ存在シテ居ルモノヲ離別ヲシテ、更ニ新
  ナル法律ヲ迎ヘントスルニ方ッテ、其理由ガ細君ノ離別ヨリモ一下リ少イト
  云フニ至ッテハ實ニ人ヲ馬鹿ニシタ話ト私ハ言ハネバナラヌト考ヘル、而シ
  テ斯ノ如ク咄嗟急激ノ間ニ此法典ノ改廢ト云フモノヲ企テントシテ居ル立
  法ノ手續、其立法ノ手續ニ至ッテハドウデアルカ帝國議會ガ開ケテ直ニ提出
  セラレタル議案デハナイノデアル、議會ガ旣ニ過半ノ日子ト云フモノヲ經過
  致シマシタル後ニ於テ、忽然トシテ刑法改正案ナルモノガ出タノデゴザイマ
  ス、其間ニ之ヲ世論ニ問ウテ、是非ト云フモノヽ〓究ヲ盡シタト云フ手續モ亦
  ナイノデアル、單行ノ法律數條數十條ニ涉ル法律デゴザイマスルノナラバ、是
  等ノ事柄モ亦恕スベシデアリマス、併ナガラ數百條ニ渉ル所ノ法典、卽チ「コ
  ード」ト爲ッテ居ルモノニ至リマシテハ······典ト爲ッテ居ルモノニ至リマシテ
  ハ何レノ國ノ立法例ヲ見マシテモ、少クモ二年三年、長キハ四十年、五十年
  ノ久シキ間、草案ト云フモノヲ社會ニ示シテ、サウシテ是非ノ攻究ヲ求メル
  事柄ガ、立法ノ實例デアルノデアル、然ルニ此今囘提出セラレタル所ノ案ニ
  至リマシテハ、全ク草案ト云フモノヲ祕密ニシテ、外間ノ論議ヲ避ケテ、殊
  更ニ議會ノ閉會ノ前十數日前ニ於テ、若クハ數十日ノ前ニ於テ咄嗟之ヲ出シ
  テ、通過ヲ策セントスルニ至ッテハ、是モ亦議會竝ニ民人ト云フモノヲ立法問
  題ニ於テ、如何ニ待遇シテ居ルカト云フコトノ一斑ガ分ル、刑法ノ內容ノ善
  惡ハ固ヨリ論ズルヲ要セヌケレドモ、立法機關ト云フモノニ對シテ、如何ニ
  侮辱ノ念ヲ持ッテ居ルカト云フ事柄ガ分ルノデアル、殊ニ知ラズ、立法ハ祕密
  ニ屬スベキコトデハナイ所謂外交ト同ジニナルベキモノデナイ、所謂行政
  トハ性質ガ違フ、立法ハ表顯的ノモノデアル、公然デアル、之ヲ祕密ニシテ
  是非ノ論議ヲ避クルト云フ事柄ハ、如何デゴザリマセウカ、古ヨリ祕密ニ仕
  事ヲスルコトニ碌ナモノハナイ、小人閑居シテ不善ヲ爲スト云フ事柄ガアル、
  小人ノ態度ヲ學ンデ密ニ論議ヲ避ケテ、サウシテ此表顯的ノ法律ヲ作ッテ
  時ノ混雜ニ紛レテ通過ヲ策セントスルガ如キハ、實ニ立法ノ事例トシテ恕ス
  ベカラザル事柄ト私ハ確信ヲ致スノデゴザリマス、殊ニ此草案ト云フモノ
  ハ啻ニ吾ニ諮ラザルノミナラズ、法典調査會ナルモノガ設ケラレテゴザイ
  マスケレドモ此法典調査會ノ總會議ニモ之ヲ付シテナイノミナラズ、調査
  會ノ一部タル刑法部全體ノ會議ニモ付シテナイ、起草委員ノ二三子ガ之ヲ修
  正校訂ヲシテ、直ニ議院ニ出シタト云フノガ、此經過デゴザイマス、議院ノ事
  柄ハ姑ク恕スベシトシテモ、又民間法曹ノ論議ヲ聽クコトハ姑ク恕スベシト
  シテモ、旣ニ成立シテ居ル法典調査會ノ刑法部議マデ經ズニ、之ヲ出スト云フ
  ガ如キ事柄ハ、如何ニシテモ輕忽妄動極ル舉動ト、見ナケレバナラヌト思ヒ
  マスル或ハ起草委員ノ二三子ハ、之ヲ以テ調査會ノ全部ヲ代表スルモノト
  心得テ居ルカ知ラヌガ、併ナガラ之ヲ認ムルト同時ニ、起草委員外ノ調査委員
  ハ法律制定ニ附イテハ能力ノ全クナキモノデアルト云フ事柄ヲ社會ニ告白
  シタモノト言ハナケレバナラヌ、而シテ起草委員外ノ委員ハ、之ヲ能ク寬恕ス
  ルコトガ出來ルデゴザリマセウカ、之ヲ宥サヌガ故ニ、貴族院議員トシテ法典
  調査會ノ會員タル者ガ、囂々トシテ之ヲ責メテ居ル譯デアル、我國ニ於キマシ
  テ民法商法ノゴザリマシタ際ハ、條約改正ト云フ政治上ノ理由ガアッタノデア
  ル、一日モ速ニ之ガ通過ヲ圖ラナケレバナラヌト云フ、極テ大切ナル急務ニ
  接シテ居ッタノデゴザイマス、然ルニモ拘ラズ此商法民法ト云フモノハ數年
  間民間ノ公論ニ問ウテ、是非討究ノ上ニ於テ、本院竝ニ上院ニ於テ可決決定
  ニ立至ッタ次第デアリマス、此ノ如キ政治上ノ必要アル場合ニ於テスラ、政府
  ハ其當時ニ於キマシテハ、國論ト云フモノヲ重ンジ、サウシテ法典ノ忽諸ニ
  スベカラザルコトヲ、注意シテ居ッタニモ拘ラズ、今囘ノ刑法ニ至ッテハ、政治
  上ノ理由アルニアラズ、條約改正ノ問題アルニアラズ、而シテ俄ニ之ヲ動カ
  サナケレバナラヌト云フ必要アルニアラズシテ、一時ノ虛ニ乘ジ應接ニ遑ナ
  キ間ヲ利シテ、之ガ通過ヲ策セントスルガ如キハ實ニ人ヲ馬鹿ニシタ話デ
  アラウト考ヘルノデ、外國ノ例ナドヲ事ミシク申ス必要ハゴザリマセヌケレ
  ドモ、我國ノ政府當局者ガ法典問題ニ關シテハ常ニ珍重シテ居ル獨逸民法
  ノ如キハ草案トシテ天下ニ公示セラレタ間ハ三十年デゴザリマス、私ヲ
  シテ言ハシメタナラバ、是ハ草案トシテ公示セラレタ間ガ、百年ノ永キニ亙
  ルト云フコトモ言ヘルノデアリマス、卽チ第一期ノ萌芽時代ヨリ法典論非法
  典論ノ爭「サビニー」「チボー」等ガ失敗ヲ重ネタ、其變遷ノ次第ヲ調ベテ、サ
  ウシテ刑法ノ改正ヲシテ、民法修正ニ關スル方針ヲ確立セシメテ、二ツノ草
  案ニ著手スルニ至ッタ、其間ノ辛苦困難ハ五十年六十年ノ星霜ヲ經過シテ居ル
  ノデアル、我國ノ政府當局者、殊ニ此法典調査ニ與ッタ人ハ如何ニ厚顏ナル
  人ナリト雖モ、如何ニ白負心ニ富ンダ人ナリトモ、我「サビニー」「チボー」ニ
  優レリト云フコトハ、如何ニシテモ言ヒ得マイト思フ若シ言フナラバソレハ
  嘘デアル、而シテ此現行刑法ノ根本ト相成ッテ居ル伊太利ノ刑法モ、草案ト
  爲ッテ世間ニ行ハルヽマデノ間ハ、十五六年モアッタノデアル而シテ是モ亦
  草案確定ニ至ルマデ、帝國議會ニ提出セラルヽマデニハ內閣ノ變動學者ト
  實業家ノ間ノ爭論、幾多ノ艱難ヲ經過シテ、サウシテ確定上梓ニ立至ッタ次
  第デアリマス而シテ此獨逸ノ方モ、伊太利ノ方モ、皆政治上ノ理由ガ加味
  セラレテ居ル、獨逸ノ刑法制定ト云フコトハ、聯邦統一ト云フコトノタメニ
  伊太利ノ刑法ハ政治上劃一ノ目的ヲ達スルト云フコトノ必要ノタメニ、大
  ニ其制定ヲ急グノ事情アリシニモ拘ラズ、尙ホ且ツ年所ヲ閱スルコト、唯今申
  シタ如キ次第ナルニモ拘ラズ、今囘ノ刑法ニ於テハ、年所ヲ閱スルトコロデハ
  ナイ、月處カ日處カト云フ位ノモノデアル、其理由書ハ參考ト爲ルベキ理由
  書ハ適當ニ印刷ニモ付セラレズ、反古同然ノ紙ノ緣ニ日ヲ付シテ、急遽ノ
  間ニ之ヲ議ニ付シテ、委員會ヲ胡麻化サウト企テタノデアル、此ノ如キ立法
  例ハ世間ニ稀ニ見ル所デハゴザリマセヌ、絕テ無キ所ノモノデアラウト私ハ
  考ヘルノデアル、況ンヤ刑法ヲ改正スルニ附キマシテハ、其運用ヲ掌ルベキ助
  法、卽チ刑事訴訟法トノ關係モ調ベナケレバナラヌ、諸種法律ノ調和ヲ圖ラ
  ナケレバナラヌノニ、是等ノ關係ハ一モ取調ヲシテハ居ラヌノデアルト云フ
  ノハ、刑事訴訟法改正案ガ未ダ議會ニ現レヌカラデアル、又諸種法律トノ關
  係ヲ調査シタル結果トシテ、現ルベキ改正案ノ出テ居ラヌト云フコトニ徵シ
  テモ誠ニ明白ナル次第デアリマス、又此ノ如ク急ガルヽニモ拘ラズ、刑法
  改正案ニハ施行期限ナルモノヽ規定ナク、又施行法ナルモノヲ添ヘテ居ラヌ、
  唯紙ニ書イタ印刷物ヲ速ニ議會ヲ通過セシメテ、後トハ好イ加減ニ始末ヲ
  附ケヤウト云フコトナラバ可ナリ、併ナガラ此ノ如キ事柄ハ、立法ノ事例ト
  シテハ許スベカラザルコトデアル、法律ハ時勢ノ必要、國勢ノ必要デアッテ、
  必要ト云フ事柄ヲ離レテハ法律ハ無用デアル、施行期限ナク、施行期日ナキ
  法律ト云フモノヲ出シタ所デ、運用法、刑事訴訟法ナルモノヲ出サヌ以上ハ、
  法律ハ紙ダケデ運用ガ出來ヌ、運用法ヲモ出サズ咄嗟急激ノ間ニ、混雜ニ紛レ
  テ通過ヲ圖ラントスルノハ、殆ド憑據スル所ヲ知ルニ苦ムノデアリマス、世間
  ノ人ハ今囘ノ刑法ト云モノヲ、法律ト見ルノガ一體間違ッテ居ル、是ハ一種ノ
  著述デアル、著作デアル、起草委員ノ人々ガ始テ珍シク外國ノ刑法ヲ見テ成
  ル程尤デアル之ヲ日本ニ行ヒタイト云フヨリ、此說ヲ日本ニ紹介シテ、著
  書ノ賣買ノ所得デモ多クシヤウト云フ念慮カラ出タト云フコトヲ言フ者ガア
  リマスガ、私ハ此說ハ必ズ當ラザルモノデナイト信ズル、併ナガラ法律ハ著
  述デハナイ、著作デハナイ、著述同樣ノ考ヲ以テ法律ヲ出スト云フガ如キ事
  柄ニ至リマシテハソレハ實ニ許スベカラザルモノデアラウト考ヘルノデゴ
  ザイマス、一體第十三議會ト第十四議會トニ於キマシテ、本院ニ於キマシテ、
  諸君ノ協贊ニ依リマシテ、刑事訴訟法ト云フモノヲ改正ヲシテ、豫審ニ辯議
  人ヲ付スル案ト云フモノガ通過シテ居ルノデアル然ルニ之ヲ法律トシテ出
  ス事柄ニハ頗ル蹠躇スル言葉ヲ換ヘテ云ヘバ民意ヲ代表シタル所ノ議會
  ノ協贊ニ成リタル法律ヲ政府案トシテ出ス事柄ハ、頗ル蹁躇致スニモ拘ラズ、
  其方ハ度外ニ置イテ、サウシテ自ラ出ス所ノ法律ノ方ハ急グト云フノ
  ハ何タル了簡ノ違ッテ居ル事柄デゴザイマセウ、殊ニ當局大臣タル金子堅太
  郞君ハ、昨年ノ議會ニ於キマシテハ、貴族院議員ノ一人トシテ、豫審ニ辯護
  人ヲ付スル法案ト云フモノハ、刑事訴訟法ノ改正ヲ俟タズシテ、單行ノ法律ヲ
  以テ出サネバナラヌト云ッテ、先生ハ〓浦君ト大ニ論爭ヲシテ、遂ニ〓浦君ヲ
  攻擊スルタメニ、貴族院ノ演壇ニ立ッテ、豫審ニ辯護人ヲ付スル刑事訴訟法改
  正ト云事柄ニ付イテ卓ヲ敲イテ演說シタ人デアル、然ルニ自分ノ支配スベキ、
  自分ノ副總裁タル法典調査會ニ、刑事訴訟法ヲ出ス事柄ニ躪躇シテ、此刑
  法ヲ出スト云フ事柄ニ、一生懸命ニナルト云フコトハ如何ニモオカシイ
  デハゴザイマセヌカ、併ナガラ在朝ト在野トハ所ガ違ヒマスルカラシテ、此間
  ニ心機一轉致サレタカモ知レマセヌガ、他人ニ對シテハ卒ザ知ラズ、金子君ニ
  ハ心機一轉ヲ許サレナイソレハ前年ノ爭ニ於キマシテ、渡邊藏相ノ心機一
  轉攻擊ノ使節ノ大命ヲ帶ビテ態〓大磯ヘ往ッテ、心機一轉論ヲ頭ヨリ攻擊セラ
  レタノハ、金子堅太郞デアルノデアル、然ルニ此刑法ト云フ問題ニ附キマシテ
  ハ心機一轉ノミナラズ、再轉、三轉、四轉、殆ド端睨スベカラズ、人ヲシテ常識
  ヲ以テ判斷シ得ラレザル程、疑ヲ懷カシムルト云フ事柄ニ至リマシテハ、本員
  ハ感ウテ感ハザルヲ得ヌノデアル、質問ノ大體ハ書面ニ大變詳シク私ハ認メ
  テ置キマシタ、質問ノ條項ハ前後十箇條、一々此處デ演說スルダケノ事柄デ
  ハアルマイト思ヒマスルシ、殊ニ會期切迫ノ今日ニ於キマシテハ、事ミシク
  條項ヲ逐ウテ論難ハ私ハ致シマセヌ、大體ノ趣意ハ書面ノ方ガ、餘程演說ヨ
  リハ詳シク認メテゴザイマスカラ、一々御囘答ヲ得タイト云フノデゴザイマ
  ス、併ナガラ最後ニ一點玆ニ申上ゲテ置キタイ〓ガゴザイマス、ソレハ書面
  ノ中ノ一番量終ニ揭ゲテアル件デゴザイマス、ソレヲ朗讀致シマス
  第十政府ハ刑法改正案ヲ提出シテ生存二十年ノ現行刑法ヲ根本的ヨリ改正
  セントセリ政府ハ法律ノ改廢屢メナルヲ以テ立法ノ進步ナリトナスモノヽ
  如シ果シテ然レハ改正刑法ヲ更ニ改正スルハ凡ソ幾年ノ後ニ於テスル見込
  ナリヤ
  是ガ最後ニ書イテアル點テゴザイマス、是ハ詰リ我政府ニ於ケル總テ立法事
  業ニ對スル所ノ一定ノ方針ヲ伺ヒタイト云フ事柄ニ附イテ、强キ論〓デゴザ
  イマス、承ル所デハ貴族院ニ於テハ、斯ノ如キ亂暴ナル立法事業ハ無イト云フ
  理由ニ依ッテ、刑法改正案審査委員會ト云フモノハ二三日前ニ於テ最早審議
  討究ノ必要ナシト云フノデ、全ク握潰シタト云フ非運ニ際會シテ居ルサウデ
  ゴザイマス、今日ニ於テ此演說ヲ致スハ、稍〓死屍ニ鞭ツ感ガゴザイマスルケ
  レドモ、斯ノ如キ立法ノ惡例ヲ遺スト云フ事柄ハ、宜シクナイト信ジマスル、
  又將來ノタメニ於テ、甚ダ感心致シマセヌカラ、此質問ヲ提出シテ置キマシ
  ク政府ハ宜シク速ニ相當ナル答辯ヲセラレンコトヲ望ムノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=10

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• 011・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　福田久松君
  (福田久松君演壇ニ登ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=11

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• 012・福田久松

  ○福田久松君(百九十九番)　諸君、私ハ一體常ニ沈默ヲ守ッテ居リマシテ、諸
  君ノ御高說ヲ聽イテ居ルノガ、私ノ持前デゴザイマス、今日ハ實ハ此歲計上
  ノコトニ付イテ、質問書ヲ出シマシテゴザイマスル、此私ガ常ニ沈默主義ヲ
  守ッテ居ルニモ拘ラズ、此歲計上ノ質問書ヲ出スト云フ所以ノモノハ、如何ニ
  モ奇怪ニ堪ヘヌ、默止シ難イノ衷情ヨリ、提出シテ見タノデゴザイマス諸君
  モ御承知ノ通、日〓戰爭以來、戰後ノ經營ト唱ヘテ、種々樣ミナ財政計畫ヲ
  政府ハ立テタノデゴザイマス、此間計畫ハ立ッテ見マシタケレドモ、又歲入ガ
  不足シテ、又增稅々々々々ト云フノガ、今度ガ三囘ニナッテ居リマス、而シテ
  此增稅ヲシタガタメニ、財政ハドレダケ整理ガ附キマシテゴザイマスル、社會
  ノ經濟社會ハドノヤウニ平穩無事ニ歸シテゴザイマス、誠ニ奇怪千萬ト言ハ
  ナケレバナラヌ一方ニ增稅ヲシマスレバ一方ハ財政無暗ニ紊亂シテ參
  リマスル一方ヲ整理スルト云ヘバ社會ノ經濟社會ハ日ニ益不安心ニ陷
  リマスノガ、今日ノ諸君ハ御承知ノ有樣デゴザイマス私ハ申スマデモゴザ
  イマセズ、前後三囘增稅案ヲ出シマシタ、又今期ノ議會ニモ種々樣ミナ困難
  ヲ重ネテ、漸ク此增稅案モ通過シタヤウデゴザイマスル、偖前後三囘ノ增稅案
  ノ額ヲ計算シテ見マスルト云フト、八千三百万有餘圓、斯樣ナ增稅ノタメニ、
  吾〓四千五百万ノ人民ハ、餘計ナ負擔ヲセナケレバナラヌコトニナッタノデ
  ゴザイマス、偖今度增稅案ガ通過シテ、果シテ我日本ノ政府ノ財政ガ鞏固ニナ
  ルヤ否ヤ、政府ガ增稅案ヲ出シマシタ說明書ニ據シテ見マスルト云フト、〓國
  事變費ヲ償却スルタメ及財政ヲ鞏固ナラシムルタメニ此增稅案ヲ發シタ
  ノデアルト云フノデゴザイマス、既往ノ增稅案ヲ發スルトキモ何時モ斯樣
  ナ口調デゴザイマス、天聽ニマデ達シテ、財政ヲ鞏固ニ致シタウゴザイマス
  カラ、ドウカ此增稅案ヲ御裁可下サルヤウニト、其後トハ何時デモ財政ハ鞏
  固ニナリマセヌ、今度モ果シテ私ハ左樣デアラウト思ヒマス若シ左樣デゴ
  ザイマシタナラバ實ニ聰明ヲ蔽ヒ奉ルト云フ罪デ、政府ハ勿論吾ミモ誠ニ
  天朝ニ對シ奉ッテ、相濟マヌコトデアラウト私ハ思ヒマスソレ故ニ此增稅案
  ガ通過シテ、果シテ將來後日我日本ノ財政ガ鞏固ニナルヤ否ヤ、其計算ヲ私
  ハ示シテ貰ヒタイト思フノデゴザイマス、ソレガタメニ私ハ此處デ自分ガ調
  ベタ所ノ計算ヲ參考ニ政府ニ申シテ見ヤウト思フノデゴザイマス、ソレデ先
  日來豫算委員其他ニ於テ、政府委員ノ申シタコトヤラ、其他所謂政府豫算其
  他ニ對シテ、參考ニ出サレタ所ノ書面ニ依クテ見マスト云フト、今後財源ヲ
  要スルト云フ部分其モノガ、政府ノ是ハ過日來豫算委員會其他デ申シタデゴ
  ザイマス、三千六百六十六万圓、是ハ三十三年度ニマデ仕拂フベキ金額ニ對
  スルモノデ、公債ヲ募集セントシテモ公債ガ募集出來ナイ、斯樣ナ金額ガ今
  差當ッテナケレバナラヌト云フ金額ハ是ダケアル、ソレカラ又三十四年度ヨリ
  三十八年度マデ、所謂戰後ノ經營ガ略〓整頓スル時機デゴザイマス、是マデ
  ニ九千餘万圓、併テ一億三千五百七十万圓ノ金ハ、更ニ財源ガナケレバ此
  整理ハ附カヌノデゴザイマス、面シテ此金ハ政府ハドウシテ之ヲ遣繰リ爲サ
  ルデアルカ、公債ノ目的ニ重ニナッテ居リマス、併ナガラ今日ノ市場ノ有樣デ
  公債ヲ募集スルト云フコトハ到底新ニハ望ハナカラウト思フノデゴザイマ
  ス、先ヅ此公債ノ有樣ニ依ヶテ申シテ見マスルト云フト、日本ノ現在ノ公債
  ガ五億一千七百三十二一万有餘圓、現在持ッテ居ル所ノ公債額ガ、斯樣ニアル
  ノデゴザイマス、ソレカラ戰後ノ經營ト云フ事業ヲ始メテ、未ダ其殘リノ部
  分ニ屬スルモノ、卽チ未募集額一億四千四百八十有餘万圓ゴザイマスル、又
  此先キニ三十八年度マデニ一億四千有餘万圓ハ募ラナケレバナラヌ、今日ニ
  至ッテ既ニモウ公債ノ募集スルト云フカハ、此日本ノ國家ニナクナッタノデ
  ゴザリマス、然ラバ卽チ之ヲ外國ニ往ッテ公債ヲ募ラウカ、ナカ〓〓此私ノ見
  込デハ、外國ヨリ金ヲ借ルト云フコトモ、困難ドコロデハナイ、決シテ私ハ出
  來ヌ、若シ之ヲ募ルト云フナレバ、之ハ夢ヲ見ルヤウナモノデアラウト私ハ思
  フ、ソレデ今外國ニ在ル所ノ日本ノ公債ノ現狀ヲ調ベテ見マスルト云フト、三
  十一年度末ニハ五千六百八十一万六千四百五十一万圓ト云フモノガ、日本ノ
  公債ガ外國ニゴザイマシタ、而シテ三十二年度末ハドレダケアルカト申シ
  マスルト一億五千四百八十八万三千ト云フ金ニナッテ居リマス、此計算デ見
  マスルト云フト、日本ノ公債ガ外國デ非常ニ景氣ガ宜イ、非常ニ一箇年ノ間ニ
  殖エタヤウデゴザイマスガ、此中ニハ御承知ノ三十二年度十月ニ募ッタ、一千
  万磅ト云フ金ガ這入ッテ居ルノデゴザイマス、是ハ自然ニ日本ノ公債ガ人氣
  ガ宜クテ、這入ッタ金デハ決シテゴザイマセヌ、御承知ノ通無理ナ手數料澤
  山ナ「シンヂゲート」澤山ナ手數料ヲヤッテ、手數料ヲ欲シイガタメニ外國
  ノ人ハ我一千万磅ノ公債ヲ買ッテ呉レタノデゴザイマス、ソレ故ニ買ッタガ最
  後、其後トハ諸君ドウナッタカト申シマスト、日本ノ公債ヲ手數ヲ取ッテシマ
  b買ッテシマヘバ、日本ノ公債ヲドシ〓〓賣出シタ、ソレガタメニ日本
  ノ公債ハ、外國市場デ非常ナ恐慌ヲ來シテ、暴落ヲ來シタ政府ハ狽テヽ其
  トキハ幸ニ償金ガアッタカラ、後口ニ囘ッテ償金ヲ出シテ、二千五百万圓買ッテ、
  暴落ヲ喰止メタ、斯樣ナ有樣デゴザイマスカラ、若シ今後ニ外國ニ日本ノ公
  債ガ出ルトシタナラバ直グニ暴落スル其暴落スル結果ハ日本ノ公債市
  場ニ及シテ來ルカラ、政府ハ後口ニ囘ッテ買入ルヽカ、買ヒタクモ今日ハ一
  文ナシデゴザイマスカラ、買ヒタクモ買フコトガ出來ナイ暴落スル儘ニ
  惠慌ノ來ルガ儘ニ任センケレバナラヌデハナイカト私ハ思フ、殊ニ諸君モ御
  承知ノ通、此兩三日倫敦ノ爲替ニ見マスルト云フト、八十磅四分ノ三マデニ日
  本ノ公債ト云フモノガ暴落シテ來テ居リマス、是ガ故ニ外國カラ公債ヲ入
  レルト云フコトモ詰リ到底望ハ私ハナイモノデアラウト思フ、サウナレバド
  ウスルカト云フノガ、私ノ疑問デゴザイマス、是ハ今公債ヲ目的トシテ、此
  戰後ノ經營ヲ仕逐ゲヤウト云フ所ノ公債ニ關係シタ事柄デゴザイマスル
  ガ、此外ニ未ダ金ガ入用ガアル、三百五十万圓ト云フモノハ、三十二年度ノ
  一般會計ヘ、償金部カラ貸シテゴザイマスル勿論此中五十万圓ハ、是ハ御
  承知ノ支那ノ專管居留地、特別會計ニ貸シテゴザイマスルガ、彼ガ首尾克
  ク往キマスレバ、或ハ此五十万圓ハ取還シハ附クカト云フ、初ハ見込デゴザ
  イマシタガ、今日ハ是モ到底取還ノ附クベキモノハナイ、到底五十万圓損ヲ
  シナケレバナラヌ、ト云フノハ今日ノ實況ダサウデゴザイマスカラ、此三
  百五十万圓モ詰リ時期ガ來レハドウシテモ還サナケレバナラヌ金ガゴザイ
  マス、ソレカラ償金部ニ於テ一千五百七十八万圓ヲ日本政府ガ公債ヲ持ッテ居
  リマス、是モ時期ガ來レバ其時期モ二三年ノ中デゴザイマス、二三年ノ中ニ
  ドヲシテモ此一千五百七十八万圓ハ日本政府ガ公債ヲ買ッテ持ッテ居ルノヲ
  賣出サヌケレバ、其事業ノ進行ガ出來ヌ、進行シテモ其金ヲ拂ハンケレバ
  卽チ政府ハ要求サレルト云フコトニナリマスカラ、是モドウシテモ何時カ一
  度ハ賣ラナケレバナラヌ、公債募集ドコロデハナイ、賣ラナケレバナラヌ金
  ヲ、斯樣ニ政府ハ持ッテ居ルノデゴザイマスマダ此外ニ三百五十九万圓、是
  ハ勸業債券ヲ買ッテ持っテ居ルノデ、是モ償金部デ持ッテ居リマスカラ、正金
  ノ使ヒ拂ノ途ガ二三年ノ中ニ來レバ、是モ矢張賣ッテ正金デ賣ラナケレバ
  ナラヌ都合、斯ウ云フ金ヲ併セマスルト、先ヅ〓算ガ二千三百八十八万圓
  ゴザイマスル、前申上ゲタ公債ト此金トヲ合セマスルト云フト、一億九千有
  餘万圓ニナリマスルマダゴザイマスル、此軍艦水雷艇補充基金、此中モ御
  承知ノ通、今度日〓事件ノタメニ之ハ使ッテ居マスル、勿論全部使ッテハゴザ
  イマセヌガ、マダ此外ニモ斯樣ナ金ガ入用ガアル、諸君モ御承知ノ通、第十
  三議會デ決議シタ所ノ軍艦水雷艇補充基金法、此法ニ依ッテ見マスルト云フ
  ト明治三十六年度ヨリ一般會計ヨリ年々六百五十万圓宛引去ッテ、其會計
  基金ヘ繰込マナケレバナラヌ精神ニナッテ居ルノデゴザイマス、此金ヲ三十
  六年、三十七年、三十八年、此三箇年計算シテ見ルト、三千万圓ノ金ニナル、
  斯樣ナ金モ此法律ノ結果トシテ、モウナケレバナラヌ金ガアルノデ、之ヲ總
  計シマスルト云フト二億一千七百二十四万圓、斯樣ナ巨額ニナルノデゴザ
  イマス、此高ト云フモノハ前申上ゲマシタ通、公債ヲ募ルカ又增稅デ取ル
  カ、今日ノ財源デハモウナイノデゴザイマスル、如何ニシテ之ヲ政府ハ整理
  シテ往クカ、此急ニ應ジテ支出シテ往クカ、勿論此中ニハ償金ノ殘リガ三
  十八年度後ニ至ッテ五百四十二万圓ト云フモノト見テ、償金ノ全クハ殘ルモ
  ノト爲ッテ居ルノデゴザイマスガ、之ヲ差引イタ所デ、二億一千百八十二万圓
  ハ、ドウシテモ金ガナケレバナラヌ、此金ヲ政府ハ前途ノコトデハゴザイマ
  ス、前途ノコトデハゴザイマスガ、最早三十四年度ニ掛ッテ居ル、御承知ノ通戰
  後ノ經營ト云フモノハ、二十八年度デ略〓結了スルコトニハナッテ居リマスガ、
  其實際ノ有樣ハ三十六年度デ、大抵ノコトハ結了ガ附クヤウニナッテ、繰上〃
  タノデゴザイマス、此公債ト云フモノヲ、ソレガ故ニ三十八年度ハ僅々八百
  万圓募集額ノ見込ニナッテ居ル、斯樣ナ巨額ニナッテ居ルガ、此先ノ支出ノ見
  込ハドウスルカ、若シ政府ガ今度ノ增稅ガ出來テアルカラ、ソレデ其支出ハ
  出來ルト云フナラバ、私ハ尙ホ問ハネバナラヌ、今度ノ增稅ハ御承知ノ通、
  旣ニ使ッタル所ノ〓國事變費、是カラ使ハントスル所ノ〓國事變費ニ充テ
  殘リガアレバ其先ハ一般ノ歲出ニ、議會ノ協賛ヲ經ルト云フコトニナッテ
  居ルノデゴザイマスカラ今私ガ申上ゲタ所ノ二億一千餘万圓ノ金ハ、三十
  八年度マデニナケレバナラヌ金デアル、而シテ今度ノ增稅ヲ使フト云フ道
  )、旣ニ三十八年度項マデニ、使ヒ途ガチヤント定ッテアルノデゴザイマス
  其先ハ兔ニ角、其以前ハ決シテ今度ノ此增稅ガ、當テニハ少モナラヌノデゴ
  ザイマスサレバ政府ハドウシテ此遣リ繰ヲ付ケマスカ、少シク政府モ是ニ
  ハ私ハ御注意ヲ-御反省ヲ願ヒタイト思ウテ居リマスカ、何シロ今日ノ國
  カデハ、私ノ問ハントスル所ヲ言ヒマスト云フト、御承知ス通日〓戰爭前
  ハ租稅ト云フモノモ、六千万圓デアッタモノガ、今日ハ御承知ノ通、當
  議會デ協賛シタル所ノ租稅ト云フモノハ一億六千万圓ニナッテ、殆ド三倍デ
  アル、斯樣ナ有樣デ租稅ハ年々ニ增加スル、市場ノ有樣ハドウデアル、斯樣
  ナコトヲ考ヘテ見マスト云フト、此上ノ增稅ハ國力ハ迚モ許サヌノテ、若シ
  許ストシタナラバドウ云フ計算デ御許ニナルカ、尙ホ社會ノ一般ノ有樣ヲ
  見マスト云フト、單ニ此銀行ダトカ會社ダトカ云フ部分ニ附キマシテモ、日
  〓戰爭前ハ會社ノ數ガ二千三百十三、其資金ノ金額ガ四億デアッタ、日〓戰爭
  後ニ起ッタノハ幾ラデアルカト云フト、九千百八十二ト云フ會社銀行ガ起ッタ、
  其資本金ハ幾ラカト申シマスト八億四百万餘圓、而シテ此金ガドレダヶ仕
  拂ガ濟ンデ居ルカト申シマスレバ、丁度半額シカマダ拂込ガ濟ンデ居リマセ
  ヌ僅ニ半額ノ拂込ガ濟ンタ所デ、最早社會ノ有樣ハ今日ノ如ク困窮シテ居
  ル、此先キノ半分ハ如何シテ之ヲ拂込ガ出來マスカ、此事ヲ以チマシテモモ
  ウ到底國力ハ此上ノ政費ノ負擔ハ許サレヌノデゴザイマス、若シ假ニ數步ヲ
  讓テ許ストシタナラバソレハ節減シテ世ノ中ノ商工業ノ運轉資金ヲ以テ、國
  民ノ負擔ヲ輕クシテ、國家萬一ノ時ノ要用ニスルトカ、斯樣ナ方針ニ、若シ
  アルナラバ損デハアルマイト私ハ思フ、而シテ其餘地ハ到底ゴザイマセヌ、
  政府ハ今後如何ニシテ此先ノ、旣ニ計晝シタル所ノ事業ヲ爲シ遂ゲヤウトス
  ル豫算ガゴザイマスカ胸算ガアリマスカ、ソレヲ詳細ニ私ハ承リタイト思
  フ、今日ハ此財政ノコト、或ハ經濟ノコトデハ、種々樣々ノ御論ガゴザイマ
  スケレドモ、一ツトシテ此世ノ中ニ行ハレ、此財政ヲ整理シ、經濟ヲ救濟ス
  ルコトガ出來ヤウト云フ議論ハ未ダ一ツモ見出スコトガ出來ナイ、今日ノ
  社會ノ慘狀デゴザイマスカラドウカ之ハ決シテ私ハ攻擊ノ質問デハナイ、
  演說デモゴザイマセヌ、國家ノタメニ實ニ憂フルニ堪ヘナイ、ソレ故ニ政府
  ハ赤心誠意、此質問ニ向シテハ詳細ノ答辯セラレンコトヲ私ハ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=12

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• 013・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　平岡萬次郞君
  〔平岡萬次郞君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=13

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• 014・平岡萬次郎

  ○平岡萬次郞君(百九十三番〕　諸君、極テ簡單ニヤリマス、本員ハ劇毒藥取
  締ニ關スル件ニ附キ質問ヲ致スノデアリマス、質問趣意書ヲ此處デ朗讀致シ
  マス
  一劇毒藥ノ取締ハ人命保護ノ爲ニ外ナラス明治三十三年四月中旬ヨリ同三
  十三年十二月ニ至ル間ニ於テ「ペスト」豫防ノ爲メ捕鼠ニ關シ毒藥亞砒酸
  團子ヲ使用シタル方法ハ明治二十年三月藥品營業竝藥品取締規則第三十
  條第三十一條第三十二條ニ違犯セシニ非サル平竝ニ亞砒酸團子使用方法
  詳細ニ示サレタシ
  一「ペスト」流行地ニ於テ毒藥亞砒酸團子配布ノ結果大阪市南區島ノ内饀コ
  ロ圍子營業者カ之ヲ誤用シタル爲メ五百名餘ノ中毒者ヲ生シタリト云フ
  事實果シテ如何
  一又小兒ノ知ラスシテ之ヲ食シ中毒シテ死ニ致リシ者二人老人ノ誤テ食シ
  中毒シテ死ニ致リタル者一人又之ヲ自殺ノ用ニ供シテ死シタル者一人又
  之ヲ殺人ノ用ニ供シ死ニ至ラシメタルモノアリト云フ事實果シテ如何竝
  ニ中毒者カ解毒劑ニ依リ解毒シタル人數如何
  一毒藥亞砒酸團子配布ノ爲メ中毒若クハ死亡シタルモノヲ隱蔽スト云フ事
  實果シテ如何
  一亞砒酸團子ヲ用井鼠族ヲ捕獲スルヨリハ通常捕鼠器械ヲ以テ鼠ヲ捕フル
  方其效多シト云事實果シテ如何竝ニ明治三十一一年四月中句ヨリ同三十三
  年十二月ニ至ル間ニ「ペスト」流行地ニ於テ亞砒酸團子配布ノ數、鼠ノ食
  シタル數、鼠ノ食セサル數、鼠ノ喰殘シタル數、亞砒酸團子ニ因リ獲タル
  鼠ノ數、通常捕鼠器械ニ依リ獲タル鼠ノ數如何
  是ガ趣意デゴザイマスガ、此「ペスト」流行地ニ於キマシテハ、亞砒酸ヲ入レマ
  シタ團子ヲ各戶ニ一ツ宛配布スルノデゴザイマス、各戶ニ一ツ宛配付シマシ
  ク結果、其配付セラレタル所ノ團子ガ丁度時ハ中秋觀月ノトキニ當リマシテ、
  大阪ノ南區島ノ內ニ饀コロ團子ヲ賣ル家ガアルソレガ誤テ餡コロノ中ヘ一
  ツ轉ゲ入レタタメニ、ソレヲ以テ、團子ヲ拵ヘタモノヲ廣ク販賣シタモノデア
  リマスカラ、五百餘名ノ中毒者ガ出來タト云フ事實ガアルノデアリマスソ
  レカラ又配付シタ團子ヲ碁盤ノ上ニ置クトカ、或ハ其他ノ所ニ置イテ、小兒
  ガ之ヲ食ッテ死シタト云フ者ガ二人アル、ソレカラ又老人ガ之ヲ知ラズシテ、
  食ッテ死ンダ者ガアル、又夫婦喧嘩ヲシテ嫉妬ノ餘リ、之ヲ夫ニ食ハシテカラ
  ニ、夫ヲ殺シタト云フ者ガアルノデアリマス、ソレカラ又自殺ヲスルタメニ、
  之ヲ用ヒテ食ッテ終ニ死亡シタト云フ者ガアル、劇毒藥ノ恐ルベキハ、諸君モ
  御承知ノ通デゴザイマス、ソレ故ニ此毒藥ニ附テハ、藥品取締規則ト云フモノ
  ガゴザイマシテ、ソレガ明治二十二年三月法律第十號デ出テ居リマスガ、其條
  項ヲ讀上ゲマス第三十條ニハ「毒藥劇藥ハ職業上必要ト認メタル者ヨリ其藥
  名量數使用ノ目的年月日及住所氏名職業ヲ記シ且捺印シタル證書ヲ差出スニ
  非サレハ之ヲ販賣若クハ授與スルコトヲ得ス前項ノ證書ハ其日付ヨリ滿十箇
  年之ヲ保存スヘシ」是ガ取締規則ノ一ノ條項デアリマス、ソレカラ三十一條ニ
  ハ「毒藥劇藥ハ前條ニ記載シタル證書アルモ幼稚ノ者其他不安心ト認ムル者
  ニハ交付スヘカラス」ト云フコトガアルノデアリマス、ワレカラ第三十二條ニ
  ハ「毒藥劇藥ハ藥品ノ容器又ハ包紙ニ其名稱及販賣授與者ノ住所氏名ヲ記シ
  毒藥ハ毒字劇藥ハ劇字ヲ付記スヘシ」ト云フコトガアリマスソレカラ第三十
  三條ニハ「藥劑師ニ於テ醫師ノ處方箋ニ依リ患者ニ與フル藥劑ハ第三十條及
  第三十二條ノ手續ヲ爲スヲ要セス」ト云フコトガアルノデアリマス、此法律ヲ
  嚴格ニ守ッタナラバ、大阪其他「ベスト」流行地ニ於テ現ニ行ッテ居ルガ如キ、各
  戶ニ亞砒酸ヲ入レタ團子ヲ配付スルト云フ餘地ガ少モナイノデアリマス、
  是ハ前ニ讀上ゲマシタ所ニ據シテ、諸君モ御了承ノコトデアラウト思ヒマス
  ガ、此法律ハ獨リ人民ノミ守ッテ宜イト云フ法律デハナクシテ、行政官廳モ均
  シク此法律ノ下ニ在ッテ、守ラナケレバナラヌコトニナッテ居ルノデアリマス、
  然ルニ大阪市ニ於テ其他又「ペスト」流行地ニ於キマシテ、之ヲ各戶ニ配付ス
  ルト云フガ如キコトヲ爲スハ此藥品營業竝ニ藥品取扱規則ト云フモノヲ全
  ク無視シテ此事ヲ行ヒシニアラザルカト本員ハ疑フノデゴザイマス、果シ
  テ然ラバ是ハ由々シキ大事デアッテカラニ、行政官廳ガ是等ノ規則ヲ遵守セ
  ズシテ、人ヲ殺傷シ疾病休業ニ至ラシムルト云フ事實デゴザイマスカラ、刑
  法ノ過失殺傷ノ條項ニ當篏ル行爲ヲ致シテ居ルノデアリマス、尙ホ此後モ之
  ヲ繼續シテヤラウトスルナラバ一層取締ヲ嚴ニスルカ、但シハ此事ヲ斷然
  ヨシテシマフヨリ外ニ致方ガナイト存ジマス、ソレ故ニ前條讀上ゲマシタ如
  キ質問ガ、起リマシタノデアリマスルカラ之ニ依シテ政府ハ果シテ本員等
  ノ疑フ所、又世間ノ傳フル所ノ說ト、異ナッタ取扱方法ヲシテ居ルカ否ヤト
  云フコトヲ、右質問趣意書ニ對シ、親切明瞭ニ答辯アランコトヲ希望致シマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=14

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• 015・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　安部井磐根君
  〔安部井磐根君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=15

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• 016・安部井磐根

  ○安部井磐根君(百三十四番)　本員ノハ極短イノデゴザイマス、本員等ハ「會
  計檢査院ハ天皇ニ直隷シ國務大臣ニ對シ特立ノ地位ヲ有スト雖モ而レトモ猶
  憲政一部ノ機關タルヲ免レスト信ス果シテ然ル歟」ト云フ質問ヲ提出シタノ
  デアリマス、是ハ第十四議會ニ於テ安川繁成君、其後ニ本員等ガ質問シタ、
  ソレニ對スル政府ノ答辯ト云フモノガ要領ヲ得ナイ、ソレデ此知レ切ッタヤ
  ウナ質問デアリマスガ、之ヲ起サネバナラヌト云フヤウナ具合ニ、成リ來ッタ
  ノデアリマス、申スマデモアリマセヌケレドモ、會計檢査院ハ本員等ガ國家
  ノ會計ヲ監督スル、其監督ノ準備ヲ爲ス所デアリマスカラ、其院ノ如何ヲ心
  得ネバナラヌカラ、是非モナイノデアリマス、ソレデ其答ヲ得タ後ニ、更ニ
  復タ質問ヲスルヤウナコトモアラウカト存ズル、是ダケデス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=16

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• 017・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　是ヨリ議事日程ニ移リマス、議事日程ノ一明治三十三
  年度歲入歲出總豫算追加案-栗原亮一君
  (第二號)明治三十三年度歲入歲出總豫算追加案
  〔栗原亮一君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=17

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• 018・栗原亮一

  ○栗原亮一君(六十二番)　明治三十三年度ノ追加豫算第二號、竝ニ特追第二
  號ノ、三十三年度特別會計ニ屬スル所ノ追加豫算デアリマス、此委員總會ニ
  於キマシテ、決議致シマシタ所ノ結果ヲ報告致シマス、此追加豫算ハ總額ガ
  二十六万二千六百九圓餘デアリマシテ、其事項及金額ニ附キマシテ大體ヲ申
  シマスレバ三百五十六圓餘ガ、是ガ裁判所及臺灣總督府法院共助法施行ノ
  結果デアリマスガ、前囘ニモ此目ニ附キマシテハ追加ヲ要求シテ通過シタ
  ノデアリマスガ、又玆ニ再ビ追加ヲ要求スルニ至ッタノハ前ニハ法律ガア
  リマシタケレドモガ、當時豫算ガナカッタモノデアリマスカラ、其法律施
  行ノ結果不足ヲ告ゲマシテ、此不足ニナルノハ豫定ヨリハ犯罪人ヲ送ル
  ト云フヤウナコトガ多クナリ、犯罪人等ガ增加シテ來タ結果、又再ビ之ヲ要
  求スルノ已ムヲ得ザルニ立至ッタノデアリマス、其事情ヲ詳細質問致シタ所、
  己ムヲ得ザルト認メテ贊成シタノデアリマスソレカラ二千七百圓ガ特許公
  報是ハ特許法ニ基キマシテ、公報ヲ發行シテ居リマシタガ、其囘數ガ豫定
  外ニ增加ヲ致シタト云フコトデアリマシテ、此要求ヲスルノデアリマス、ワ
  レカラ十五万九千圓餘ト云フモノハ、海外電報ト云フモノガ、豫定ヨリ增加
  ヲ致シテ豫算ニ不足ヲ生ジタノデアリマス、三万七千八百七十七圓餘ト云フ
  モノハ先般一月二十九日ニ於テ、醫科大學附屬ノ第二醫院ガ火災ニ罹リマ
  シテ、第一醫院ノ方ニ從來ノ建物ニ建增ヲ致シ、又模樣替ヲ致シ、修繕等ヲ
  加ヘ、其他器具ヲ買フト云フヤウナコトデアリマシテ、此內營繕費ガ七千三
  十五圓、器品費ガ三万五百九十八圓七十錢、雜費二百四十四圓ト爲ルノデア
  リマスガ、此追加豫算ノ編成ニナッタ時分ニハ十分議會ニ於テモ三十三
  年度ニ於テ使ヒ切ルト云フ見込デ豫算ヲシタガ、此提出ガ遲レ停會等ノア,
  タタメニ、三十三年度ヲ決議シテモ、此金ガ年度內ニ、使ヒ切ルヤ否ヤト云
  フコトデアリマシタガ、是ハ僅ナモノデアッテ、此內二千圓バカリデ一棟增
  築スルノデアリマスカラ、又器械等ハ金サヘアレバ直チニ買ヘルノデアリマ
  シテ、僅ノ建築事業ダカラ、豫算サヘ通過スレバ年度內ニヤリ切ル積デアル
  ト云フノデアリマス、三十三年度ノ豫算トシテ、已ムヲ得ナイト云フコトニ
  ナッタノデアリマス、其次ハ四万七千六百五十二圓、是ハ東京府、京都府、神奈
  川長崎、沖繩ノ二府三縣ニ於テ、獸疫ガ流行ヲ爲シテ、其豫防ニ必要トス
  ルノデアリマス、五百五十一圓ト云フモノハ神戶ノ港務局ガ暴風ノタメ
  ニ石垣等ノ被害ヲシタタメニ、之ヲ修繕スルタメニ要スル、ソレカラ一万
  四千四百七十圓餘、是ハ彼ノ月島丸ガ行衞知レズニナッタコトハ、誠ニ不
  幸ノ極、悲ムベキコトデ、當局ニ於テモ第二豫備金ヲ支出シ、出來ル限リ十
  分ニ搜索致シマシタ所、先ヅ今日ノ模樣デハ、沈沒シタラシイト云フコトデ
  アリマス、段々此搜索ヲ致シタ所ガ、漸ク駿河灣ニ於キマシテ、鱚網ヲ以テ
  搜索ヲ致シタ所、船體ト覺シキモノニ引懸ルト云フコトガ分リマシテマダ定
  カニ斯ウト云フコトハ分リマセヌガヤット手懸リヲ得マシタカラモウ一
  層茲ニ費用ヲ投ジテ搜索ヲシタナラバ事實ガ發見スルデアラウ是非トモ
  是ハヤルベキコトデアルカラ、何處マデモ當局者ハ親切ニヤラナケレバナ
  ラナイソレニハ玆ニソレダケノ金ヲ要求シナケレバ仕事ガ出來切ラヌト
  云フコトデアリマスカラ、是モ當然已ムヲ得ヌモノトシテ、協賛ヲ與ヘテ然
  ルベシト云フコトニ決シタノデアリマス而シテ右ノ財源ハ第二豫備金ガ
  マダ餘ッテ居リマスカラ、豫備金カラ支出シテモ出來ルコトデアリマスガ
  當局者モ議會開會中ハ、尙ホ議會ノ協贊ヲ經テ、支出スルガ當然デアルト云フ
  コトデ、以テ、玆ニ協贊ヲ求メ來タノデアリマスガ、詰リ此財源ナルモ
  ノハ第二豫備金ノ殘ッタモノヲ以テ、十分仕拂ガ出來ルト云フコトデア
  リマシデ他ニ財源ヲ求メル必要ハナイト云フコトデアリマス、是ガ第二號
  デアリマシテ、ソレカラ特追第二號ノ特別會計ニ屬スルモノハ東京砲兵工
  廠ノ作業費デアリマス、是ハ十六万五千十九圓六十錢、是ハ收支共ニ差引不
  足ナシト云フコトデアリマシテ、其必要ハ〓國事件ノタメニ兵器彈藥ノ製
  遣ヲ多クセネバナラヌト云フ所カラ、此不足ヲ〓ゲタノデアリマスガ特別
  會計ノコトデアリマスカラ收支差引ハ別ニ出入ハナイノデアリマス、三十
  三年度ノ追加豫算ハ是ダケデアリマスマダ三十四年度ノ豫算モ殘ッテ居
  リマスガ是ハ法律ノ關係等モアリマシテ、マダ審査ヲシキラヌノデアリマ
  スガ、今日報告スルノハ是ダケデアリマスカラ、左樣ニ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=18

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• 019・工藤行幹

  ○工藤行幹君(六十六番)　私ハ大藏ノコトニ附イテ質問ヲシタイノデスガ、
  政府委員ガ若シ出席ニナラヌナラバ唯カ出席ニナルヤウニ願ヒタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=19

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• 020・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　出席ニナッテ居リマスガ·

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=20

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• 021・工藤行幹

  ○工藤行幹君(六十六番)　ソレデハ少シ猶豫シテ、出席サレテカラ質問シマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=21

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• 022・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　工藤行幹君ノハ豫算ニ附イテノ質問デスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=22

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• 023・工藤行幹

  ○工藤行幹君(六十六番)　左樣デス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=23

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• 024・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　工藤行幹君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=24

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• 025・工藤行幹

  ○工藤行幹君(六十六番)　宜シウゴザイマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=25

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• 026・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　宜シウゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=26

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• 027・工藤行幹

  ○工藤行幹君(六十六番)　私ノ質問ハ外デゴザイマセヌガ、此第二號ノ追加
  豫算ノ各項ヲ見マスト云フト、大抵第一號ノ追加豫算ヲ出ストキニ、此事ナド
  ハ大抵豫知スル事ヲ得ルモノト認メルモノバカリデゴザイマス、然ルニド
  ウ云フ譯デ、政府ハ度々第一號第二號ト云フコトヲ、特ニ出スカト云フコト
  ヲ、質問シタイノデゴザイマス如何ニモ此本員等ノ考ニハ歲計豫算ハ
  成ルタケ追加豫算ト云フモノヲナクシ天災地變ト云フコトナラ已ムコトヲ
  得ナイガ、一箇年ノ歲入歲出ハ成ルタケ全部ヲ纏メテ一括ニシテヤルガ
  正當ナルコトヽ思フ然ルニ近來續々ト、此追加豫算ガ出ル是ガ天災地變
  ノタメニ出ルコトデゴザイマスレバ、已ムヲ得ザルコトデゴザイマスルガ今
  度ハ同ジ出スニモ、第一號、第二號、或ル年ニ至ッテハ第五號、第六號ト續
  續出シテ來ルヤウナコトデアル其事柄ヲ言ウテ見ルト或ハ此大學ノ病院
  ノ燒ケタコトニ附イテ、一方ニハ學校ノ方ハ、第一號ノ方ニ追加豫算トシテ
  出シテ居ル、而シテ今度ハ病院ノ方ハ第二號ノ方ニ出ス、同日ノ火事ニ罹ッ
  タモノト致シマスレバ政府ハ必要トシテ、此事變ノタメニ出スナラバ同
  ジク第一號ノ內ニ入レルコトハ、當然ナコトデアル、又石垣ノ修繕費ノ如キハ
  昨年十一月ノ變災ニ石垣ガ損ジタノデアル然ラバ勿論第一號議案ニ是非
  差置ケヌト云フモノナラバ組ンデ出スノガ當然デアルノニヽ此ノ如ク特ニ
  出スト云フモノハ何等ノ理由ニ依ッテ斯クナッテ居ルカ、本員等ハ其理由
  ヲ審ニシナケレバ或ハ政府ハ等閑ッテ何時デモ金ノ入用ノアルトキニハ
  議會ニ出シサヘスレバ宜イカラト云ッテ無責任ナコトヲヤッテ居ヤシナイ
  カ知ラヌト思フ、又或ル箇處ニ於テハ或ル省ニ於テハ苟モ歲入ガ增スト
  云フト直ニコイツヲ使ヒタクナッテ來ル各省各項トモ流用ナモノデゴザ
  イマスカラ、收入ガ增スト云フト必ズ其支出ヲ求メテ、追加豫算ニ出ス、是
  レ必ズ必要ナモノデナイト云フモノデモ此追加豫算ヲ續々出スト云フ弊害
  ニ出ルノデゴザイマス、故ニ私ハ之ヲ明ニ第一號ト第二號ト分ケル理由、ド
  ウシテモ第一號ニ政府ハ豫知スルコトガ出來ヌエラ第二號ヲ以テ出シタノ
  デアルカ或ハ分ッデ居ッテモ何等ノ理由ガアッテ、之ヲ出シタノデアルカ、又
  モウ一ツ言ヘバ此本豫算ニ組ムベキ程ノ性質ヲ以テ居ル者モアルト思ヒマ
  ス、ソレヲ本豫算ニ組マズ、追加豫算ニ出スト云フノハ如何ナル理由デア
  ルカト云フコトヲ、明ニ私ハ御說明ヲ得タイノデゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=27

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• 028・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　阪谷政府委員
  (政府委員大藏省主計局長法學博士阪谷芳郞君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=28

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• 029・阪谷芳郎

  ○政府委員(阪谷芳郞君)　工藤サンニ御答致シマスガ此追加豫算ハ成ルベ
  ク一括シテ出シマスト一云フコトノ便利デアルト云フコトハ政府ニ於テモ御
  同感ナノデゴザイマシテ成ルベクサウ致シマスル計畫ニナッテ居リマスル
  併ナガラ此政府ノ部局ト云フモノガ、多數ニ分レテ居リマスシ又此事變ノ
  起リマスノガ、色〓前後ガゴザイマスモノデスカラ一括致シテ、ソレデスッ
  カリモウ完結シタ積デ其當時ハ出シタノデゴザイマス然ルニ其後ニ至リマ
  シテ、又報告ガ參リマシタリ又此帝國大學ノ火災ノ如キハ、卽チ一月ニナッ
  テ起ッテ來タ、ツレカラ色〓取調ニ掛ッテ居ルト云フヤウナ都合デ、第一囘ノ
  追加ヲ要求致ス時分ニハモウ其外ニハ無論ナイ積デ出シタノデゴザイマス
  ケレドモ又己ムヲ得ズシテ起ッテ參リマシタヤウナコトデ、都合前後二囘
  ニ相成リマシタソレデモウ此後ハナイ積ナンデス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=29

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• 030・工藤行幹

  ○工藤行幹君(六十六番)　モウ一應ソレヂヤア承リタイ、此帝國大學醫科大
  學ノ附屬ノ燒ケタノデゴザイマス前ニ此大學ノ方ノ豫算ハ기第一號ニ組ン
  デ出シテ居ル然ラバ其當時必要ガナイト思ヘバ同ジ日ノ事件ダ然ラバ
  之ヲ分ケテ出シテ、政府ガ宜イト云フモノナラバ何故ニ又今度別ニ此第二
  號ニ出シタカ、同ジ日ニ出來タ事件デアル、ソレヲ斯ク初ニハイラヌト見タ
  モノモ尙ホ亦是ナラバ通リハシナイカ知ラヌト云ッテ、出スノデゴザイマ
  セウカ或ハ必要己ムヲ得ザルモノヲ政府ハ忘レタノデゴザイマセウカ、政
  府ガ緩慢カラ起ッタノデゴザイマスカ私ハ明ニ承リタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=30

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• 031・阪谷芳郎

  ○政府委員(阪谷芳郞君)　決シテ緩慢カラ起ッタノデハゴザイマセヌ、アナ
  タノ仰シヤル第一號ト云フノハ、物ガ違ヒハ致シマセヌカ、火事ノ起ッタノ
  ハ一月デゴザイマスカラ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=31

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• 032・工藤行幹

  ○工藤行幹君(六十六番)　各特別會計ノ一號ノ方ニ、此事ニ附イテアルデハ
  ゴザイマセヌカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=32

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• 033・阪谷芳郎

  ○政府委員(阪谷芳郞君)　火事ノコトハゴザイマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=33

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• 034・工藤行幹

  ○工藤行幹君(六十六番)　ソレヂヤアモウ一ツ承リマス、十一月ニアッタコ
  トヲ第一號ニ之ヲ組ムコトガ出來ナカッタノデゴザイマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=34

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• 035・阪谷芳郎

  ○政府委員(阪谷芳郞君)　第一號豫算ハ大〓十一月頃ニ締切リマシテ、サ
  ウシテ總豫算ト一〓ニ提出致シマス都合ニ致シテ置キマシタ其時ニ遞信省
  ノ方カラ詰リマダ取調ノ報告ノ參ラナカッタモノト見エマシタガ大藏省
  ノ方デ受領シタモノト總テ取調べ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=35

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• 036・工藤行幹

  ○工藤行幹君(六十六番)　私ハ大藏省ハ斯ウダノ、遞信省ガドウダノ彼處
  カ後レタノ此處ガ後レタノト云フコトハ私ハ一向說明ヲ求メマセヌ政
  府ヲ代表シテ是ハ何ガタメニ後レテ出シタノデアル、或ハ緩慢ニ出デタノカ、
  或ハ前ニハ不急ト認メタカト云フコトヲ承リタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=36

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• 037・阪谷芳郎

  ○政府委員(阪谷芳郞君)　緩慢ト云フ譯デハゴザイマセヌ、皆政府ヲ代表シ
  テ答辯ヲシテ居ルノデゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=37

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• 038・工藤行幹

  ○工藤行幹君(六十六番)　サウスレバ、ドウシテ十一月ニアッタコトヲ、之ヲ
  出シタノハ何月デゴザイマス、其時ニドウシテ出サナカッタノデゴザイマス

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• 039・阪谷芳郎

  ○政府委員(阪谷芳郞君)　其時ニハマダ調査ガ出來マセヌデゴザイマシタ

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• 040・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　格別御質問モナク大體ノ御議論モアリマスカラ、此
  第一ノ明治三十三年歳入歲出總豫算追加案第二號全部ヲ議題ニ供シマス

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• 041・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(百三十六番)　委員長報告通異議論アリマセヌ

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• 042・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　委員長報告通、原案ニ御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 043・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　御異議ガナケレバ其通決シマス、議事日程ノ二明治三
  十三年度特別會計歲入歳出豫算追加案特追第二號
  二(特追第二號)明治三十三年度特別會計歲入歲出豫算
  追加案
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 044・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　格別御質問モナク大體ニ附イテ御論ガゴザイマセヌ
  ケレバ全部議題ニ供シマス-委員長報告通、御異議ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 045・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　御異議ナケレバ其通決シマス、次ハ議事日程第三北海
  道鐵道支部局及派出工場現金前渡官吏設置ニ關スル法律案第一讀會ノ續、阿
  部奧人君
  北海道鐵道支部局及派出工場現金前
  三渡官吏設置ニ關スル法律案(政府提第一讀會ノ續(雜誌)報告
  出

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• 046・阿部興人

  ○阿部興人君(十五番)　是ハ極簡單デゴザイマスカラ、本席ヨリ述ベマス、
  此委員會ハ例ニ依ッテ成立ヲ〓ゲタル後、種々審議ノ末、全部可ナリト決シ
  ヽシタカラ右御承知ヲ願ヒマス
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=46

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• 047・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(百三十六番)　直ニ二讀會ヲ開カレンコトヲ希望シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=47

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• 048・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　本案ニ附イテ二讀會ヲ開クコトニ、御異議ゴザイマセ
  ヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 049・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　然ラバ其通決シマス-直チニ二讀會ヲ開クノ動議ガ
  出テ居リマスガ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 050・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　御異議ガナケレバ其通致シマス、全部ヲ議題ニ供シマ
  ス
  北海道鐵道部支部局及派出工場現金前渡官吏設置ニ第二讀會
  關スル法律案

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• 051・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(百三十六番)　讀會省略デ確定セラレンコトヲ希望致シマス

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• 052・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　三讀會省略ノ動議ガ出マシタガ、御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=52

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• 053・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　御異議ガナケレバ省略致スコトニ致シマス-本案ハ
  委員報告通御異議アリマセヌカ
  北海道鐵道部支部局及派出工場現金前渡官吏設置ニ關確定議
  スル法律案
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=53

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• 054・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　御異議ガナケレバ原案通決シマス

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• 055・多田作兵衞

  ○多田作兵衞君(百七番)　此際議事日程ノ變更ヲ願ヒマス、其理由ハ唯今各
  員ニ配付ニナリマシタ政府案、巡查看守退隱料及遺族扶助料法案デアリマス
  ガ會期モ切迫シテ居リマスガタメ議事日程ノ變更ヲ請ウテ委員ダケヲ拵
  ヘテ置キタイト思ヒマス直ニ議事日程ノ變更ヲ請ヒマス
  〔「贊成」ト呼フ者アリ〕

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• 056・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　採決致シマス、多田作兵衞君カラ巡査看守退隱料及遺
  族扶助料ニ關スル法律案ヲ、議事日程ヲ變更シテ議シタイト云フ動議ガ出マ
  シタカラ採決致シマス議事日程ノ變更ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス
  起立者多數

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• 057・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　多數ト認メマス、巡查看守退隱料及遺族扶助料ニ關ス
  ル法律案ノ第一讀會ヲ開キマス議案ノ朗讀ヲ省略シマス
  巡查看守退隱料及遺族扶助料ニ關スル法律案第一讀會
  巡查看守退隱料及遺族扶助料法
  第一條巡查又ハ看守勤續十年以上ニシテ左ノ各號ノ一ニ當ルトキハ退隱
  料ヲ給ス
  一年齡五十歲ヲ超ヘ退職シタルトキ
  二傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ其ノ職ニ堪ヘス退職シタルトキ
  三廢官廢廳ニ依リ退職シタルトキ
  四身體若ハ精神ノ衰弱又ハ事務ノ都合ニ依リ退職ヲ命セラレタルトキ
  前項ノ退隱料年額ハ退職當時ニ於ケル月俸三箇月分トシ勤續十年以上三
  十年ニ至ル迄一年ヲ加フル每ニ退職當時ノ月俸額十分ノ一ヲ增加ス
  第二條巡査又ハ看守勤續一年以上十年未滿ニシテ第一條第一項各號ノ一
  ニ當ルトキハ一時金ヲ給ス但シ退隱料ヲ受クル者又ハ受クヘキ者ハ此ノ
  限ニ在ラス
  一時金ハ退職當時ニ於ケル月俸額ノ三分ノ二ニ勤續年數ヲ乘シタル額ト
  ス
  第三條退隱料ヲ受クル者又ハ受クヘキ者再ヒ前職ニ就キ勤續一年以上ニ
  シテ第一條第一項各號ノ一ニ當ルトキハ前後通算シテ勤續三十年ニ至ル
  迄後ノ勤續一年ヲ加フル每ニ後ノ退職當時ニ於ケル月俸額十分ノ一ヲ退
  隱料年額ニ增加ス
  一時金ヲ受ケタル者又ハ受クヘキ者再ヒ前職ニ就キ第一條第一項各號ノ
  ニ當ルトキハ前後通算シテ勤續十年以上ニ至ル者ニハ第一條ニ依リ退
  隱料ヲ給シ十年未滿ノ者ニハ第二條ニ依リ後ノ勤續年數ニ對スル一時金
  ヲ給ス
  第四條巡査又ハ看守職務ノ爲傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ一肢以上ノ用ヲ
  失ヒ又ハ之ニ準スヘキ者ト爲リ其ノ職ニ堪ヘス退職シタルトキハ退隱料
  ヲ給ス
  前項ノ退隱料年額ハ退職當時ノ月俸三箇月分乃至六箇月分トス
  第一條及第三條ニ依リ退隱料ヲ受クル者又ハ受クヘキ者本條第一項ニ當
  ルトキハ其ノ退隱料年額ニ退職當時ノ月俸四箇月分以內ヲ增加ス
  前二項ニ依ル退隱料年額及增加金額ハ傷痍疾病ノ輕重ニ依リ之ヲ定ム
  第五條前條ノ規定ハ職務ノ爲傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ退職シタル後一
  年以內ニ其ノ傷痍疾病ニ起因シ前條第一項ニ當ルニ至リタル者ニ之ヲ準
  用ス
  第六條巡查又ハ看守交互ニ轉職シ又ハ他ノ官職ニ轉シタルトキハ事務ノ
  都合ニ依リ退職ヲ命セラレタル者ト看做ス
  第七條巡査又ハ看守左ノ各號ノ一ニ當ルトキハ遺族ニ扶助料ヲ給ス
  一職務ノ爲傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ在職中死亡シタルトキ
  二勤續十年以上ニシテ在職中死亡シタルトキ
  三退隱料ヲ受ケ又ハ受クヘクシテ死亡シタルトキ
  扶助料年額ハ前項第一號ノ場合ニ在リテハ第四條ニ依リ査定シタル金額
  ノ三分ノ二トシ第二號ノ場合ニ在リテハ第一條又ハ第三條ニ依リ査定シ
  タル金額ノ三分ノ一トシ第三號ノ場合ニ在リテハ其ノ退隱料年額ノ三分
  ノ一トス但シ職務ノ爲傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ退職シタル後一年以內
  ニ其ノ傷痍疾病ニ起因シテ死亡シタルトキハ第四條第五條ニ依リ査定シ
  タル金額ノ三分ノ二トス
  第八條扶助料ハ寡婦ニ給ス寡婦死亡シ又ハ扶助科ヲ受クヘカラサルトキ
  ハ子ニ給ス
  數子間ニ在リテハ法定家督相續ノ順位ニ依リ最先者ニ給ス最先者死亡シ
  若ハ扶助料ヲ受クヘカラサルトキハ順次次位者ニ轉給ス
  民法第九百六十九條ニ依リ家督相續人タルコトヲ得サル者及推定家督相
  續人ニシテ廢除セラレタル者ニハ扶助料ヲ給セス但シ疾病其ノ他身體又
  ハ精神ノ狀況ニ依リ家政ヲ執ルニ堪ヘサルカ爲廢除セラレタル者ハ此ノ
  限ニ在ラス
  養子ハ家督相續人ニ非サレハ扶助料ヲ給セス
  第九條扶助料ヲ受クヘキ寡婦及子ナキトキハ扶助料ハ直系尊屬ニ給ス
  前項ノ場合ニ在リテハ先ツ父ニ給シ父死亡シ又ハ扶助料ヲ受クヘカラサ
  ルトキハ母ニ給ス母ヨリ祖父ニ祖父ヨリ祖母ニ轉給スルハ順次此ノ例ニ
  依ル
  第十條扶助料ヲ受クル者ナクシテ死亡シタル者ノ家ニ在ル兄弟姊妹二十
  歲未滿又ハ篤疾若ハ癈疾ニシテ自活スルコト能ハサルトキハ扶助料ニ相
  當スル金額ノ三箇年分以內ヲ一時限リ給スルコトアルヘシ
  第十一條退隱料ヲ受ケタル者又ハ受クヘキ者左ノ各號ノ一ニ當ルトキハ
  之ヲ給セス
  一國籍ヲ喪失シタルトキ
  二重罪ノ刑ニ處セラレタルトキ
  三在職中ノ犯罪ニ依リ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタルトキ
  第十二條遺族ニシテ左ノ各號ノ一ニ當ルトキハ扶助料ヲ給セス
  一前條第一號又ハ第二號ニ當ルトキ
  二寡婦婚姻シタルトキ
  三子年齡二十歲ニ滿チタルトキ
  四尊屬ノ女婚姻シタルトキ
  第十三條子二十歲ニ滿ルモ篤疾又ハ癈疾ニシテ自活スルコト能ハス他ニ
  扶助料ヲ受クル者ナキトキハ其ノ事由ノ存續スル間扶助料ノ三分ノ一ヲ
  給スルコトアルヘシ
  第十四條退隱料ヲ受クル者又ハ受クヘキ者左ノ各號ノ一ニ當ルトキハ其
  ノ間退隱料ノ支給ヲ停止ス
  一公權ヲ停止セラレタルトキ
  二六箇月以上行方不明ナルトキ
  退隱料ヲ受クル者又ハ受クヘキ者再ヒ判任官待遇以上ノ官職ニ就キタル
  場合ニ於テハ其ノ俸給月額ニ退隱料月割額ヲ合シ退職當時ニ於ケル俸給
  月額ニ超過スルトキハ其ノ超過額ニ對スル退隱料ノ支給ヲ停止ス
  第十五條扶助料ヲ受クル者又ハ受クヘキ者前條第一項各號ノ一ニ當ルト
  キハ其ノ間扶助料ノ支給ヲ停止シ第八條第九條ノ順位ニ依リ之ヲ次位者
  ニ轉給ス
  第十六條退隱料及扶助料ノ年額竝一時金ノ圓位未滿ハ圓位ニ滿タシム
  第十七條巡査又ハ看守ノ勤續年數ハ就職ノ月ヨリ起算シ退職ノ月ヲ以テ
  終ル但シ十二箇月未滿ノ端數ハ之ヲ算入セス
  休職及〓習中ノ月數ハ勤續年數ニ算入ス
  第十八條巡査又ハ看守其ノ職務ヲ以テ從軍シタルトキハ軍人恩給法ノ算
  則ニ照ラシテ從軍年ヲ加算ス
  第十九條本法ニ於テ寡婦、子、尊屬ト稱スルハ巡査又ハ看守タリシ者死亡
  ノ當時ヨリ引續キ其ノ家ニ在ル者ヲ謂フ但シ父死亡後出生シタル嫡出ノ
  子ハ死亡當時其ノ家ニ在ル者ト看做ス
  第二十條退隱料及扶助料ノ支給、停止及廢止ハ其ノ事由ノ生シタル翌月
  ヨリ之ヲ行フ
  第五條ニ依ル退隱料ノ支給ハ事由認定ノ翌月ヨリ始マリ前條但書ニ依ル
  扶助料ノ支給ハ出生ノ翌月ヨリ始マル
  第二十一條退隱料、一時金及扶助料ハ之ヲ受クヘキ事由ノ生シタル日ヨ
  リ三年以內ニ請求スルニ非サレハ之ヲ給セス
  第二十二條退隱料ハ民事訴訟法第五百七十條及第六百十八條ノ規定ニ關
  シテハ恩給ト看做ス
  第二十三條本法ニ依ル給與金ノ支給ニ關スル事項ヲ裁定スヘキ行政官廳
  ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  第二十四條本法ニ依ル給與金ハ巡査又ハ看守最後ノ退職又ハ死亡當時ニ
  於テ俸給ヲ受ケタル經濟ノ負擔トス
  第二十五條本法ニ依ル給與金ノ一部又ハ全部ヲ拒否セラレタル者其ノ拒
  否ヲ不當ナリトスルトキハ訴願ヲ提起スルコトヲ得違法ニシテ權利ヲ傷
  害セラレタリトスルトキハ行政訴訟ヲ提起スルコトヲ得
  第二十六條本法ハ陸軍監獄看守、海軍監獄看守及其ノ遺族ニ之ヲ適用ス
  附則
  第二十七條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  第二十八條明治十五年太政官達第四十一號巡査看守給助例及明治十五年
  太政官達第六十六號ハ巡査、看守、陸軍監獄看守海軍監獄看守及其ノ遺族
  ニ之ヲ適用セス但シ巡查看守給助例ニ依リ現ニ給助ヲ受クル者又ハ既ニ
  受クヘキ事由ノ生シタル者又ハ其ノ事由ニ起因シテ一年以內ニ重症ニ趨
  キ又ハ死亡シタル者ニ對シテハ其ノ第一條乃至第七條ヲ適用スルノ外本
  法第三條、第十一條、第十二條、第十四條、第十五條、第二十條第一項、第二
  十一條、第二十三條及第二十五條ヲ準用ス
  明治三十三年法律第三十號ハ巡査、看守、陸軍監獄看守、海軍監獄看守及
  其ノ遺族ニ之ヲ適用セス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=57

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• 058・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(百三十六番)　直ニ委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス
  (政府委員內務省官房長長谷場純孝君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=58

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• 059・長谷場純孝

  ○政府委員(長谷場純孝君)　今巡査看守ノ退隱料遺族扶助料ノコトニ附イテ
  委員付託ノ御演說モゴザイマシタガ此處デ喋々說明ハシマイト思ヒマスケ
  レドモ一言述ベテ置キタイノハ、現行ノ救助法ハ御承知ノ通、明治十五年
  ニ制定セラレタモノデ、サウシテ其時分ノ巡査ノ俸給ハ六圓ヨリ九圓ノ
  間ニゴザイマシタガ、卽チ明治二十四年ニハ其俸給令ヲ改正セラレテ唯今
  デハ九圓ヨリ十五圓ト云フコトニナッテ居リマス旁〓他ノ官吏ノ恩給法其
  他ノモノニ比較シテ、甚ダ不權衡ヲ來シテ居ルソレノミナラズ唯今ノ有樣
  デハ、巡査看守ノ志願人ガ大ニ少ウゴザイマシテタメニ或ハ公共ノ安寧秩
  序ニ保護スル人員ノ〓乏ヲ感ズル恐ガアリマスカラ此場合ニ於テ本案ヲ制
  定スルハ誠ニ必要ナルコトヽ考ヘマス、宜シク委員ニ付託セラレテ、可決
  セラレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=59

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• 060・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　是ハ政府案デアリマスカラ、審査委員ヲ選バナケレバ
  ナラヌガ、九名ノ委員ヲ議長ガ指名シテ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=60

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• 061・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　御異議ガナケレバ其通致シマス、次ハ議事日程第四徵
  兵令補則法律案第一讀會ノ續
  四徴兵令補則法律案第一讀會ノ續(輕鬆無香料金水
  (菅野善右衞門君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=61

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• 062・菅野善右衞門

  ○菅野善右衞門君(百八十五番)　諸君、本案ニ對スル特別委員會ノ經過及結
  果ハ委員會ノ速記若クハ筆記デ、御了知ノコトヽ思ヒマスガ併シ委員會
  ノ經過竝ニ結果ヲ極ク簡短ニ御報告申上ゲヤウト思ヒマス實ニ兵ノ事ハ國
  家ノ大事デゴザイマスルデ、國家利害ニ關スル個人休戚ニ關スル所、最モ重
  大ナルコトハ勿論デアリマスガ、故ニ特別委員ニ於キマシテハ既往ニ現
  在ニ、將來ニ、或ハ歐米中重ナル國ノ法律ヨリ若クハ現役及豫備後備ノ年限
  兵役ノ期限等ニ附キマシテ、或ハ給與額ハドウデアラウカ、給與ノ厚薄ハド
  ウデアラウカトカ、家族扶助料ノコトハドウデアラウトカ、斯樣ノモノモ悉
  ク審査シテ、又政府委員ニモ本案ニ對スル所ノ疑〓ノ存スル所ヲ質シマシ
  テ、尙ホ海陸軍政府委員ノ意向ヲモ略〓質シマシテゴザイマス、然ルニ政府委
  員ノ答辯スル所ニ據リマスト兵役稅ノコトハ各國ニモ例ノアルコトデアル
  シ、又道理ニ於テモ實際ニ於テモ、不都合ナリトハ認メナイノデアルガ、唯複
  雜デアルカモ知レヌト云フ說ガアルソレカラ兵卒ニ供給スルト云フコト
  ハ-給與ヲ厚クスルコトハ、其精神ニ於テ至極宜イコトデアルケレドモ、
  或ハ權衡上如何デアルカ、是等ノコトモ取調べナケレバ、判明シナイト云フ
  ヤウナ御答デアッタノデゴザイマス、是ハ要スルニ徵稅ト給與トハ敢テ反
  對スル譯デハナイガ、唯本法ノ完全ナランコトヲ欲セザレバ、、同意ハシ難イ
  コトデアル實ニ重大ナル問題デアルカラ、明示シ難イ話デアルト云フコト
  デアッタガ、思フニ政府委員ノ意ノアル所ハ、酌量シマスルト例令政府委員
  デハ徵兵令附則法律案ノ名稱ガ甘クナイトカ、一ノ法律ヲ以テ徵稅スルコト
  ノ給與スルコトノアルハ宜シクナイト云フヤウナコトデアルヤウニ考ヘヲ
  レマス、ソコデ一々意向ヲ酌量シテ、委員諸君ニ於テハ熱心ニ此案ヲ通過セシ
  メテ國家ノ利益幸福ヲ維持スルコトニシタイ是非我國ヲシテ萬國ト竝列
  シテ、外國ノ侮ヲ防ギ、永遠ニ國權ヲ維持シ、國福ヲ增進スルヤウニ、爲サ
  ナケレバナラヌト云フヤウナ譯デゴザイマシテ、特別委員諸君ニハ非常ニ熱
  心ニ取調べマシテ、滿場一致ヲ以テ可決確定シタ次第デアルノデゴザイマ
  ス、願ハクバ諸君ニ於テモ篤ト御熟考ノ上、相當ノ決議アランコトヲ望ムノ
  デアリマス此案ニ對シテハ隨分入込ンダコトモアルト思ヒマスガ、御疑ノ
  廉〓ハ御質疑ニ依ッテ御答シヤウト思ヒマスノデゴザイマス一々申上ゲ
  マスト隨分長クナリマスカラ、先ヅ簡短ニ御報告申シテ置カウト思フノデゴ
  ザイマス

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• 063・工藤行幹

  ○工藤行幹君(六十六番)　私ハ敢テ質問スルノヂヤアリマセヌケレドモ、此
  案ハ極テ重大ナル性質ヲ持ッテ居ル案ト思ヒマスト云フモノハ唯此案其
  物ニ附イテ敢テ此箇條ガ宜シイトカ、此項ガ不都合ダトカ云フ小問題ニア
  ラズシテ、大體ノコトニ付イテ憂慮スル者デアルナゼナレバ此日本ノ兵ト
  云フモノハ卽チ血稅義務ノ稅デアル憲法ニモ日本臣民ハ法律ノ定ム
  ル所ニ從ヒ、兵役ニ服スルノ義務ヲ有ス··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=63

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• 064・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　反對論デスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=64

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• 065・工藤行幹

  ○工藤行幹君(六十六番)　イエ、宜シウゴザイマス-チヨット質問デス-
  ソコデ此事ノ大體ニ附イテ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=65

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• 066・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　工藤君、御質問デスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=66

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• 067・工藤行幹

  ○工藤行幹君(六十六番)　ハイ-ソコデ陸軍大臣カラ十分ニ、此事ニ附イ
  テノ一ツ御意見ヲ承リタイ其事ヲ聽カズシテ之ヲ輕々ニ付スルト云フコト
  ハ誠ニ遺憾デゴザイマス、陸軍大臣ニ-是ハ他ノ人デハイケマセヌ、陸
  軍大臣ガ自ラ御出席ニナッテ、十分此事ニ附イテノ-質問モシテ見タイ、又
  御意見モ承リタイ若シ今日陸軍大臣ガ御出席ガナイナラバ、此案ヲ後ニ延
  シテ、陸軍大臣ノ出席ヲ待ッテ大ニ質問ヲシ、然ル後ニ可否ヲ決シタイト、斯
  ウ思フノデゴザイマス
  (政府委員海軍總務長官齋藤實君演壇ニ登ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=67

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• 068・齋藤實

  ○政府委員(齋藤實君)　此唯今御報告ニナリマシタ本案ニ附キマシテハ前
  ニ徵兵令補則法律案ト云フ名ノ案ニ附キマシテハ委員會ニ於テ陸海軍ノ政
  府委員カラ委員ノ御尋ニ對シマシテ、御答致シタ次第モアルノデゴザイマ
  ス、然ルニ此御修正ニナリマシタ案ハ、先刻拜見致シマシタバカリデアリマ
  シテ政府ニ於テハマダ十分ニ修正案ヲ見テ居ラヌノデゴザイマスドウゾ
  重大ノ案デモゴザイマスカラ十分ニ取調ベマシタ上ニ、政府ノ意見ヲ申ス
  ヤウニ致シタイト考ヘマスカラ此段ヲ申上ゲテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=68

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• 069・田口卯吉

  ○田口卯吉君(五十九番)　議長

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=69

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• 070・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　田口君、御質問デスカ

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• 071・田口卯吉

  ○田口卯吉君(五十九番)　質問デス本員ハ大藏省ノ當局者ハ、此稅法ニ
  附イテドウ云フ考ヲ持ッテ居ラルヽカ、委員會デトウ云フ意見ヲ述ベラレタ
  カ、其〓ヲ伺ヒタウゴザリマス
  〔政府委員大藏書記官若槻禮次郞君演壇ニ登ル〕

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• 072・若槻禮次郎

  ○政府委員(若槻禮次郞君)　唯今ノ案ニ附イテハ委員會デハ大藏省ノモノ
  ハ出テ說明ヲ致シタコトハゴザイマセヌカラ、委員會デドウ云フコトヲ言ッ
  タカト云フ御尋デアリマスト何モゴザリマセヌト云フコトヲ申上ゲル外ハ
  アリマセヌツレカラ此案ニ附イテ、ドウ云フ考デアルカト云フ御尋ニ附イ
  テハ唯今此案ハ一方ニ兵卒ニ金ヲ遣ルト云フガタメニ、歲入ヲ見附ケテ、
  之ヲ御議シニナルヤウナ風ニ伺ッテ居リマスノデ其事ノ必要ノ外ニハ唯
  今歲入ヲ之ニ依ッテ得ナケレバナラヌト云フ感ジヲ持ッテ居リマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=72

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• 073・工藤行幹

  ○工藤行幹君(六十六番)　愈〓此案ハ重大デゴザイマスカラ、唯今田口君カ
  ラモ言ハレル通、之ヲ議スルトキニハ此政府委員モサルコトデハゴザイマ
  スガ、大藏大臣ナリ又陸軍大臣ナリ御出席ニナッテ十分ニ質問ヲシ說明ヲ
  承ッタ上デ、決議ニナルヤウニシタイト思ヒマスカラ

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• 074・西村淳藏

  ○西村淳藏君(二百三十二番)　議長···

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=74

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• 075・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　モウ採決シヤウト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=75

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• 076・西村淳藏

  ○西村淳藏君(二百三十二番)　私ハ委員長ノ報〓ニ反對デアリマス、其案ハ
  一應頗ル御尤ノヤウデゴザイマスガ、苟モ日本ノ兵隊ハ天皇陛下ニ對シ
  天皇ノタメ芝蔴,ト云フ精神デ其職ヲ盡スト云フ考デアルノデアリマス
  カラ今更斯ノ如キ案ニ附イテ多少ノ金圓ヲ給與スルト云フガ如キハ却
  テ彼等ノ自衞ノ精神ヲ失フモノト信ジマス故ニ遺憾ナガラ此案ハ廢棄ヲ望
  ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=76

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• 077・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　採決致シマス、本案第二讀會ヲ開クヤ否ヤニ附イ
  テ本案ヲ二讀會ニ移スト云フ諸君ノ起立ヲ請ヒマス
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=77

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• 078・片岡健吉

  ○議長(片岡建吉君)　少數-本案ハ第二讀會ヲ開カザルコトニ決シマシ
  タ議事日程ノ第五民法中改正法律案第一讀會ノ續--鮫島相政君
  五民法中改正法律案(關直彥君外二名第一讀會ノ續委員長
  提出)報〓

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=78

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• 079・菅野善右衞門

  ○菅野善右衞門君(百八十五番)　是カラ霜害ノ地租免除ニ關スル法律案ニ對
  スル特別委員會ヲ第九特別委員會ニ於テ開キタイト思ヒマス、御差支ガナケ
  レバ許可ヲ願ヒマス

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• 080・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　菅野君ノ申立ヲ許可シテ、御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=80

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• 081・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　御異議ガナケレバ許可スルコトニ致シマス
  〔鮫島相政君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=81

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• 082・鮫島相政

  ○鮫島相政君(二百九十番)　民法中改正法律案ニ係リマスル特別委員會ノ結
  果ヲ報〓致シマス、此法律案ハ一見致シマシタ所デハ極テ姑息ナル修正
  案ノ如ク又至極微々タル所ノ問題ノヤウニ御感ジニナリマス所ノ諸君ガア
  ラレルカモ知リマセヌケレドモ、現ニ一方ニ於キマシテハ法曹社會學者社
  會等ニ於テ囂々是ニ附イテ議論ヲ試ミツヽアルノデアリマス又一方ニ於
  キマシテハ全國到ル處ニ利害ノ關係ノアリマスル、重要ナ問題デアリマス
  如何ナル僻遠ノ村落ニ參ッテ見マシテモ、金ノ貸借ヲシナイ所ハ決シテナイ
  ノデアル金ノ貸借ヲ爲シマスルニハ種々樣ミナル所ノ方法ガアリマス
  中ニ就イテ最モ廣ク、最モ多ク行レツヽアル所ノモノハ所謂抵當貸ト云フ
  モノデアル故ニ抵當ヲ取ッテ金ヲ貸スト云フ者カラ云ヒマスルト云フト
  其人ノ權利ノ消長ニ關シ一般ニ附イテ申シマスルト云フト、大ニ金融ノ盛
  衰ニ關係ヲ及ス所ノ問題デゴザイマスカラシテ、決シテ輕微ナル問題デアル
  トカ姑息ナル修正案デアルトカ云フガ如キモノデハナイト考ヘマスワレ
  故ニ委員會ニ於キマシテモ餘程議論ガゴザイマシタガ、約マル所ハ御手許
  ニ囘シテアリマスルヤウニ原案ヲ修正致シテアリマスル次第デアリマス
  丁度此修正ノ文句ト原案トヲ對照致シテ見マスルト云フト原案ノ精神ヲ殆
  ド滅却致シテ居ルガ如キ感ガ、何人モ浮ブ譯デアリマスケレドモ、之ヲ說明致
  シマスルト云フト、矢張原案ノ精神ヲ一部ハ採ッテ居ルト云フコトニナルノデ
  アル、此法律案ノ精神ニ於キマシテハ抵當ヲ取ッテ金ヲ貸セル、抵當ヲ取ツ
  テ金ヲ貸セタ場合ニ於テ二年後ニ至ルト云フト、其抵當權ノ效力ト云フ
  モノガ及バナイコトニナッテ居ル、是デハ日本ノ從來ノ慣行ニモ背キ、又
  實際ノ取引ノ上ニ於テ甚ダ不都合デアルカラシテ期限ガ經過シタ後、尙二
  箇年分ニ附イテハ矢張抵當ノ效力ノ及ブヤウニ致シタイト云フノガ、抑〓此
  法律案ノ精神デアッタモノデアリマス、併ナガラ段々委員會ニ於キマシテモ、
  往々民法第三百七十四條ノ本條等ノ立法ノ精神ニ據リ、或ハ又政府委員
  ノ意見トヲ參照致シマシテ結局御手許ニ囘シタル通ノ、修正ヲ致シタ次第
  ニナリマスルノデアリマスソレデ民法第三百七十四條ノ本條ニ據リマスル
  ト云フト、縱令期限內デアッテモ其後ノ二箇年分ニ附イテノミノ抵當權ノ
  效力ガアルト斯ウ云フ規定ニナッテ居ル例ヘバ三箇年ノ期限デ以テ金ヲ
  貸セル抵當ヲ取ッテ金ヲ貸セル三年ガ期限デアリマスルガ其後ニ請求
  ヲ致シマスルト云フト最前ノ一箇年分ニ附イテハ抵當權ハ效力ハナイ後
  トノ二箇年分ノミニ附イテ效力ガアルト、斯ウ云フコトニナッテ居ルノデア
  ルソレハ既ニ利息ト云フモノハサウ何年間モ抛棄シテ置クモノデナイカ
  ラ、始ノ一箇年分ハ、既ニ辨濟シテ居ルモノデアルト云フコトヲ、法律上ニ看
  做シテ、斯ノ如キ本條ニナッテ居ルノデアル、故ニ原案ノ通ニ致シマスルト
  前後通ジテ四箇年ト云フコトニナル四箇年ノ抵當權ノ效力ヲ持タスト云フ
  コトニナルノデアル、然ル處ガ此法ニ係リマス所ノ消滅時效ト云フモノハ
  如何デアルカト云フト消滅時效ハ五箇年デアル消滅時效ガ五箇年デアッ
  テ五箇年經過スレバ法律デハ本金デスラ消滅シテシマフ所ノモノデアル
  ノニ前後四箇年ヲ通ジテ、利息ニ對シテ抵當權ノ效力ヲ及スナドヽ云フコ
  トハ最初ノ立法ノ精神ニモ悖リ旁〓不都合デアルト云フ所カラ政府委員
  ハ同意ヲシナイノデアルドウシテモ政府委員モ同意ヲセズ、又委員中ニモ
  色ミナ議論ガアリマシテ、結局此民法ノ第三百七十四條ノ本條ニ二箇年分
  ダケニ抵當權ガ及ブ期限後ニハ一切抵當權ヲ及セナイ、斯ウナッテ居リマ
  スノヲ此二箇年ト云フノヲ、期限前後ニ跨ッテ、二箇年分ヲ效力ガアルト云
  フコトニシタナラバドウデアラウカト云フ所カラ、ソレニハ政府モ同意ヲ
  致シタ譯ニナッテ居ルノデアル、之ヲ例ヘテ見マスルト云フト現行ノ儘ニ
  致シテ置キマシテ、例ヘバ六箇月若クハ一年ト云フ契約ヲ以テ、抵當ヲ取ッ
  テ金ヲ貸スカ、此場合ニハ現行法ノ儘デハ六箇月ナリ若クハ一年分ヨリ
  外ニハ其先取權優先權ガナイ併シ修正案ノ通ニ致シマスルト期限後ニ
  モ及プコトニナリマスカラ、二箇年分ハドウシテモ取ラレルコトニナル例
  バ六箇月ノ期限デ六箇月ヲ經過シ一箇年ノ期限デ一箇年ヲ經過シテ二
  箇年目ニ請求スルコトニナルト矢張期限前後ヲ通算致シマシテ二箇年ハ
  利息ノ先取權ガアルト云フコトニナリマスル故ニ現行ノ儘ヨリモ餘程宜ク
  ナッテ來ル譯ニナルノデアル、併ナガラ期限後特ニ二箇年ハ、延長スルナド
  云フヤウナコトヽハ餘程緣ガ遠イヤウデアリマスケレドモ修正案ノ通致
  シテモ、今申シマスル通免ニ角二箇年ダケハ期限ガ切レテモ矢張效力ガ
  アルコトニナリマスカラシテ、大ナル是ハ便益デアラウ、斯ウ云フ所デ政
  府ノ同意ヲ得、委員會モ亦ソレガ多數デ以テ丁度修正案ノ通ニ決定ヲ致シ
  マシタ次第デアリマス斯ノ如キ次第デアリマシテドウシテモ是ハ此修
  正案デモ通過サセナイ限ハ今日デハ從來ノ慣例ト全ク反シテ居ル民法施
  行前ト云フモノハ御承知ノ通ニ舊戶長ノ公證ガアルカ若クハ登記ヲシテ
  アリマスルト出訴期限ナドハ無期限デアッタ十年經ッテカラ請求シテモ
  十五年間經ッテカラ請求シテモ、矢張抵當權ト云フモノハ效力ト云フモノ
  ガアッタノデアル然ルニ此民法ノ出來タガタメニ本金ト利息ノ抵當權
  ノ效力ニ厚薄ヲ設ケ、殊ニ期限內ニ於テモ最後ノ二箇年ニ對スル分ヨリハ、
  外ニ取レナイト云フ如キ窮屈ナ制限ヲ設ケ、又期限ガ切レタ後ニハ此新民
  法ニハ利息ト云フコトハ言ハセヌノデアル卽チ損害賠償ナドヽ一云フコトヲ
  言ハナケレバナラヌ利息ト云フ名稱ハ契約期內ハ利息デアルト云フコト
  ニナッテ居ルノデ實ニ是デハ窮屈極ッタモノデ、金ヲ貸スモノガナク金
  ヲ借リテモドウモ直チニ期限ガ來レバ裁判ニ訴ヘラレテ、無理ニ請求ヲ受
  ケルナドヽ云フコトガゴザイマスルノデ、詰リ委員會ニ於テ修正ヲ致シマシ
  タ所デ、通過ヲ致シテ置キマスルト云フト現行法ニ對シテハ餘程ナ是ハ
  便益ヲ得ルコトニナル次第ニナルノデゴザイマス、此段報告ニ及ビマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=82

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• 083・花井卓藏

  ○花井卓藏君(百七十九番)　百七十九番

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• 084・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　質問デスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=84

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• 085・花井卓藏

  ○花井卓藏君(百七十九番)　質問デス、唯今委員長ノ報告ニ據リマスルト、
  本案ハ修正ニ依ッテ本案ト云フモノハ殆ド滅却セラレタモノデアルト云フ
  事柄ノ報告ガアリマシタ、私モ左樣ニ考ヘマス左樣ニ考ヘマスルガ、ソレ
  デ委員會ハ滿足ニ結了シタノデゴザイマセウカ、本案提出ノ理由ニ據ッテ見
  マスルト云フト、本案ハ遲延利息ニ抵當權ヲ及ホスト云フノガ骨子デアルカ
  ノ如ク思ハレルノデアル、然ルニ此修正案ノ趣意ニ致シマスルト云フト或
  ル場合ニハ遲延利息ニ抵當權ノ及ブベキ場合モゴザイマスルガ併ナガラ
  全體總テガ左樣ナ傾向ノアルモノトハ心得ラレヌノデアルソレデ以テ矢
  張差支ナイト云フ御考デゴザイマセウカ委員長ガ長〓ト從來ノ習慣ヲ打
  破シタノヲ囘復スルト云フ御趣意ノ演說ガアッタヤウデゴザイマスガ餘リ
  從來ノ慣習利益ヲ囘復セラルヽ如キ趣意ニモ心得ラレヌノデアル日本ノ
  人ハ錢ヲ借リマシテモ期限通利息ヲ持ッテ往ク者ハアリマセヌ、大抵訴訟
  ノトキ、元金ト利息トヲ請求スルノガ、今日ノ傾向デアルカラシテ、遲延利
  息ニ抵當權ヲ與ヘヤウト云フ趣意トスルト此修正案ハ殆ド意味ヲ成サナ
  イ如ク聞エルノデアル、其邊ノコトヲ一ツ伺ヒタイソレカラ第二ニハ一體
  此法案デゴザイマス、修正案ト云フモノヲ殊更ニ別項ニシテ、法典ノ體裁ヲ
  シテ傷ツケナクトモ唯此三百七十四條ノ中デ、文字ヲ十字バカリ變更ヲス
  レバ宜シイ趣意デアルガ政府ハ略〓ソレニ同感デアルト私ハ承知シテ居リ
  マス卽チ「其他ニ」ト云フ三字ヲ「又ハ」ト云フ二字ニ改メ「滿期」トアリタル
  文字ヲ「返濟ニ至リタル」ト云フ文字ニ改メソレカラ其次ニゴザイマス「滿
  期後」ト云フノハ其以前ノコトニ付イテモ「返濟期ノ後」ト、斯ウ云フ風ニ改
  メサヘスレバ悉ク此別項ナドヲ設ケテ、サウシテ又裁判上ノ疑ヲ起シテ煩
  累ヲ增シテ、モウ一遍此修正ヲ企テルト云フヤウナ迷惑ヲシナクテモ宜シイ
  ニモ拘ラズ、故ラニ之ヲ別項ニセラレタト云フ事柄ハ、餘リ奇ヲ好ム修正
  デハアルマイカト云フ感ヲ起スノデアル、ソレカラ第三ニハ此但書デアル
  是ハ餘程本案ニ重大ノ關係ヲ有チマスカラ、能ク御聽取ヲ願ヒタイ、是モ別項
  ナラ宜シイ委員長ノ御報告ノ如ク前項ノ規定ハ抵當權者ガ債務ノ不履
  行ニ由リテ生ジタル損害ノ賠償ヲ請求スル權利ヲ有スル場合ニ於テ其最後
  ノ二年分ニ附イテモ亦之ヲ適用スト斯ウ云フ風ニナルト云フト四年ト云
  フ期限ニナルノデス政府委員ハ一應是デ應ジラレタ然ルニ段々質問ヲシ
  タ所デ、但書ヲ附ケラレテ、却テ二年ニ減ジタト云フヤウナ、傾ニナッテ居ル
  ノデゴザイマスガ委員會ハ何故ニ此政府ガ四年デ同意ヲシテ居ルノヲ質
  問ノ極更ニ二年ニ減ズルト云フヤウナ卽チ不利益ナ方ニ同情ヲ表スル譯ニ
  立至ッタノデアルカ、私ハ之ヲ質問スルノデアル

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=85

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• 086・鮫島相政

  ○鮫島相政君(二百九十番)　御答ヲ致シマスルガ、唯今ノ委員長ガ報告致シ
  マシタ辭ノ中ニ、委員會ニ於テ修正ヲ致シマシタ所ノ文字ヲチヨット見マスル
  ト殆ド提出者ノ原案ハ滅却シタト云フコトヲ斷言シタヤウニ御問デゴザイ
  マスガ、斷言ハシマセヌ滅却シタヤウナ感ジハアルケレドモソレニハ大ニ
  譯ガアルト云フコトヲ述ベテアリマスカラソンナ變ナ風ニ御咎デハ困リマ
  スガ、其他ノコトニ附イテハ、今花井君ノ仰セラレマシタ事柄ハ悉ク委員會
  デ起リマシタ問題デ、ソレハ少數デ消滅シタノデアリマス負腹的ニ斯ノ如
  キ質問ノ受答ハ、御免ヲ蒙リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=86

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• 087・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(百三十六番)　ドウカ直ニ二讀會ヲ開カレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=87

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• 088・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　二讀會、開クヤ否ヤノ採決ヲ致シマス、二讀會ヲ開カ
  ウト云フ諸君ノ御起立ヲ請ヒマス
  起立者多數

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• 089・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　多數ト認メマス
  〔「直チニ二讀會ヲ開クベシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=89

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• 090・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　直チニ二讀會ヲ開クト云フニ、御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=90

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• 091・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　然ラバ直チニ二讀會ヲ開キマシテ、全部ヲ議題ニ供シ
  マス
  民法中改正法律案第二讀會
  (「委員長報告通リ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=91

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• 092・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　委員長報告通御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=92

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• 093・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　御異議ガナケレバ、委員長ノ報告通決シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=93

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• 094・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(百三十六番)　直チニ三讀會ヲ開キ、確定セラレンコトヲ望ミ
  マス
  〔「贊成」ト呼フ者アリ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=94

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• 095・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　然ラバ直チニ三讀會ヲ開クコトニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=95

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• 096・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　ソレデハ直チニ三讀會ヲ開キマス
  民法中改正法律案第三讀會
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=96

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• 097・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　第二讀會ニ於テ決シマシタ通、御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=97

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• 098・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　御異議ガナケレバ確定致シマス、此間ニ報告ガアリマ
  ス
  〔書記朗讀〕
  委員ヲ指名スル左ノ如シ
  巡查看守退隱料及遺族扶助料法案
  加藤六藏君井上彥左衞門君井上源衞君
  深尾龍三君武市庫太君磯田和藏君
  和泉邦彥君橋本久太郞君浦野錠平君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=98

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• 099・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　今指名ヲシマシタ委貝諸君ハ、餘程會期モ切迫致シタ
  今日デゴザイマスカラ唯今ヨリ直チニ十一委員室ニ御集會ニナッテ、委員
  長理事ノ互選ヲセラレ、引續キ委員會ヲ開カレンコトヲ希望致シテ置キマス
  議事日程ノ第六所得稅法中改正法律案第一讀會ノ續、委員長報告-加藤六
  藏君
  六所得稅法中改正法律案(木村誓太郞第一讀會ノ續委員長
  君外二名提出)報〓
  〔加藤六藏君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=99

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• 100・加藤六藏

  ○加藤六藏君(百二十八番)　私ハ所得稅法中改正法律案ノ委員會ノ報告ヲ
  致シマス會期ガ切迫致シテ居リマスカラシテ、成ルベク簡短ニ報告ヲ致シ
  マス經過ヲ述ベマスルノハ略シマシテ、結果ノミヲ御報告致シマスル
  言申シテ置キマスルノハ此改正案ヲ委員會ニ於キマシテ大分文字ハ變リ
  マシタガ意味ハ格別變ラヌデアリマス卽チ此二三字修正ヲ致シタノヲ提
  出ノ折ニハ全文ガ出シテアル全文ガ出シテアリマスカラシテドウモソレ
  デハ却ッテ見惡クアリマスルタメニ、二三字或ハ其他變ヘルダケノ文字ダ
  ケニ改メテ、文字デハ大分違ッテ參リマシタデアリマスルガ、其實ハ同樣ナ
  コトデアリマスカラ左樣御承知ヲ願ヒタイ、ソレデ唯一二ニ附キマシテ、
  諸君ノ御〓聽ヲ煩シタイコトガアリマスカラシテ、此事ニ附キマシテ述ベマ
  スル卽チ此山林ノ所得デアリマス、山林所得ガ現行法ニ於キマシテハ例
  ヘバ一年十二箇月ノモノヲ、四箇月分ハ稅ヲ賦課スルコトガ出來ヌヤウナ有
  樣ニナッテ居ル、ソレデアリマスカラシテ、後トノ九箇月ト云フモノハ稅
  ヲ取ルコトガ出來ヌデアル中ニハ稅務署トカ管理局デ、是マデ取ッタノモ
  アリマスガ、ソレハ取ル方ガ間違デアル、ソレデ法律ガ不十分デアリマスカ
  ラシテ、現行法ヲ改正シテ、卽チ唯今委員會ノ報告ノ如ク致シマセヌケレバ
  一二三マデヽ外ハ稅ヲ取ルコトガ出來ヌ、四月以下ハ取レヌノデアル若
  シソレヲ取レバ違法トカ間違トカト云フコトヨリ外ハナイノデアリマス
  其事ヲ簡短ニ述ベマスレバ田畑卽チ米トカ麥トカ云フモノハ必ズ其時ニ
  至ッテ收穫ヲセネバナラヌモノデアル、之ヲ明年ニ延ストカ、明後年ニ延ス
  トカ云フコトハ出來ヌノデアリマス、然ルニ此山林ノコトハ多ク九月十
  月伐ルノガ多イノデアル喬木ニ對シテハ-矮林ハ種々ノモノガアッテ時
  節モ極リマセヌガ、喬林ハ例ヘバ杉デアルト云フト皮ガ剝ケルトカ、其他
  ノ時ニハ剝ゲヌトカ云フ格段ノコトガアルサウシテ當年例ヘバ甲ノ林ヲ賣
  ラウト云フコトヲ-所得稅ヲ屆ケル節、卽チ四月ニ極メラレマシテモ若
  シモ直段ガ安イ、或ハ別ニ金ヲ要セヌト云フモノガアレバ翌年ニ延バス
  トカ或ハ三年、五年、十年モ延スト云フコトガ出來マス、其場合ニ又四月
  マデ所得稅ヲ屆ケマストキニ、伐ラヌ積デアリマシテモ、急ニ非常ニ材木ノ
  値ガ出ルトカ或ハ檜ノ木ノ値ガ出ルト云フ變化ガアレバ伐木スルコトニナ
  ルデアラウ、スルコトモ止メルコトモ自由自在ニ出來テ、翌年ニ延シテモ
  木ハ成長シテ往キマスカラ相當ノ利子ハ附クコトニナル、故ニ所得稅ノ屆
  方ニハ四月マデノ外ハドウシテモ入ラヌノデアル若シ當年伐ル積デモ
  屆ケルコトガ出來ヌデアリマスノミナラズ、或ハ此稅ヲ脫シヤウトスル考ノ
  アル者ハ無論屆ケヌデ不都合モナイデアラウ、ソレデアリマスカラシテ
  四月マデ外取ラヌ、然ルニ是マデハドウカト云フト或ル稅務署ニ於テハ前
  年五月以後ノハ翌年ニ取ルトカ、或ハ立木ヲ伐ッテモ伐ラヌデモ一部二ノ
  附イテ幾ラ、一町步ニ附イテ幾ラト云フ標準デ、稅ヲ徵收シタノガアルト云
  フコトヲ聞キマシタガ是ハ大ナル間違デアル所得稅ハ一旦極メマシタ以
  上ハ誰モ動スコトハ出來ヌ四分ノ一ノ減額ガアッタ際、始テ四十條ノ規定ニ
  於テ、特別ニ幾分カヲ容赦スルト云フコトノ外ハ、誰モ確定シタモノヲ
  動スコトハ出來ヌデアル、ソレヲ現行法ノ如ク或ハ餘計ニ取ルトカ、或ハ伐
  テモ伐ラヌデモ、一段ニ就イテ取ルト云フコトハ大ナル間違デ違法デアル
  故ニ此委員會デ極メマシタノモ當年四月ニ屆ケルモノハ三十三年度ノ曆
  年度ノモノヽ賣上金カラ苗木トカ手入トカ番人トカ掃除トカ其他
  此所得ヲ獲ルタメニ必要ナルモノヲ控除シテ、殘ッタモノヲ出セバ必ズ公平
  ニ往ク譯デアリマスカラ其通決シマシタノガ一箇條、サウシテ尙ホ一箇條
  ハ諸君モ御承知ノ如ク、會社ニ於キマシテ機械建物償却金或ハ賞與金交際
  費ト云フモノニ附キマシテ或ハ訴願ト爲リ或ハ大藏大臣ニ意見書ヲ呈シタ
  ノモアリマス、種々雜多ノ紛擾ガ起リマシテ卽チ其起リト云フモノハ何
  カト云フニ、唯今申上ゲマシタモノハ稅ヲ課ケルノガ至當デアル課ケヌノ
  ガ至當デアルト云フ疑〓デ、各會社ニ於テモ又管理局稅務署ニ於テモ種々ナ
  考ヲ懷クタメデアリマス、故ニ此惑ヲ解クト云フコトガ最モ必要デアリマ
  スカラ、卽チ委員會ニ於キマシテハ十分〓究ヲ致シマシタデアリマス其
  〓究後ニ此提出案ノ機械建物償却金、交際費、此三箇條ト云フモノハ玆ニ別
  ニ揭載スル必要ハナイト云フコトニナリマシタ何ゼト云フト列ヘバ鐵道デ
  見マスルト軌道ハ三十箇年デ更ヘルモノト見レバ年々一万圓三十分ノ一
  宛減ッテ行ク譯ニナルサウシテ見マスレバ財產目錄ヲ積ル節ニハ現行ノ
  商法ノ規定ニ據リマスルト其時價デ積ラナケレバナラヌモノデアルサウ
  シテ見マスレバ譬デアリマスガ三十箇年ノ保存期限デ三十万圓ノモノト見
  レバ一万圓宛年々値ガ減ジマスサウシテ往ケバ卽チ此償却金ト同ジデア
  ルソレガ現行商法ニ從ッテ時價デヤラナケレバナラヌコトデアル然ル
  ニ多クノ會社ハ其器械ガ全然減リ其建物ガ全然減ルニモ拘ラス矢張元
  ノ三十万圓デ出シテ置ク會社ガ大分アルヤウデアルサウシテ一方ニ積立
  ヲスル、サウスルト、誠ニ不都合デアル、其方ハ間違ト言ハナケレバナラヌ卽
  チ時價ノ價、ソレ丈ノモノガ減スレバ、三十年デ一万圓宛減ズルト云フノガ
  至當デアル、商法ニモアル、却金トシテ見レバ償云フコトデ積立テル必要ハ
  ナイ、ナイト見レバ玆ニ所謂稅ノ問題ハ起ラヌデアル、故ニ玆デ除キマシ
  タノデアル、卽チ唯今申上ゲルノハ、機械建物償却金ノ二箇條ニ對シテノコト
  デアリマスソレカラ尙ホ此交際費、交際費ハ是モコヽデ揭ゲル必要ハナイ
  ト委員會デハ認メマシタ、何ゼナラバ交際費ハ利益ガアッテモナクテモ
  交際ガ必要デアル、交際費ト云フト、如何ニモ辭ガ不十分デアリマスガ卽
  チ奔走トカ、周旋トカ種々ナコトガ入ッテ居ルノミナラズ、或ハ少モ利益
  ノナイ時分ニモ尙ホ汎ク運動シテ骨ヲ折ラナケレバナラヌト云フコトガア
  ルサウスルト利益ガナイトキノ方ガ、却テ寢テ居ルコトガ出來ズ、十分運
  動シナケレバナラヌト云フコトガアル、サウシテ見マスレバ利益ト關係セ
  ヌノガ原則ト言ッテ宜シイト考ヘルサウシテ見マスレバ、卽チ總損金ノ中
  カラ引ケルモノデアル、ソレヲ間違ッテ利益ノ何分一ヲ交際費トスルト云フ、
  若シ會社ガアッタナラバ、其會社ハ所得稅ヲ取ラルヽノミデナク間違ッタコ
  トヲスルノデアル儲ッタトキニハ働キ損シタトキニハ遊デ居ルト云フノ
  ハ間違デアル是等ハ酒食ノタメニ使ヒ、無駄ナコトヲスルニ違ヒナイ實
  際ノ交際費ハ利益ヲ得ルタメデアルカラ利益ノナイトキノ方ガ餘計骨ガ折
  レナケレバナラヌ利益ガアレバ交際費ハイラヌカ知ラヌ故ニ經費ノ內
  ニ入ルノガ至當デアル經費ノ中ニ入レバ所得稅ニ入ル必要ガアリマセヌ
  カラ、之ヲ除キマシタ、唯殘リマシタノハ賞與金デス是ハ豫テ前ニ申上ゲル
  如ク、諸管理局多數ノ審査委員ガ、全國異口同音ニ賦課スベカラザルモノデ
  アルト云フコトヲ新聞ニ書キ或ハ大藏大臣ニ建議ヲシ、或ハ行政裁判所ニ
  訴ヘル如ク委員會ニ於テモ卽チ之ヲ賦課スベカラザルモノト決定ヲシタ
  デアリマス、而シテ其ノ他ノ箇條ハ極附隨シタコトデアリマシテ、別ニ說明ヲ
  スル必要ガアリマセヌカラ、速記錄デ御覽下サレバ分リマス、尙ホ一言申シマ
  スノハ大藏省モ此大體ニ於テハ贊成デアリマシテ、此ヤカマシウ申シテ居
  リマス此賞與金ダケノ一點ハ反對ダト、斯ウ申サレルデアリマスガ是レハ
  無論委員會ノ通デアリマセネバ尙ホ一年モ二年モ諸方デ、ヤカマシク唱ヘ
  ナケレバナラズヤカマシイ苦情モ聽カナケレバナラヌノデアリマスカラ、
  此〓ニ附イテハ無論委員會ノ說ヲ御贊成下スッテ、既ニ議會モ切迫シテ居リ
  マスルカラシテ直チニ二讀會三讀會ヲ開カレンコトヲ望ミマス然ラザレ
  バ尙ホ一言申シマスルノハ此山林ト云フコトヲ申上ゲマシタ如ク十二箇
  月ノ中ニ四箇月外取レヌ八箇月ハ取レヌト云フコトニナルト大層財政上
  ニモ關係シマスカラ、是非貴衆兩院通過ニナルヤウニ、卽決アランコトヲ望
  ミマス

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• 101・鈴木そう兵衞

  ○鈴木摠兵衞君(二百四十二番)　議長

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• 102・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　質問デアリマスカ

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• 103・鈴木そう兵衞

  ○鈴木摠兵衞君(二百四十二番)　質問デアリマセヌ、此所得稅法ノ改正ハ、
  最モ必要デアリマスカラ、直チニ二讀會ヲ開カレンコトヲ希望致シマス
  (「贊成々々」ト呼フ者アリ)

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• 104・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　本案ニ附イテ二讀會ヲ開クヤ否ヤノ採決ヲ致シマス、
  本案ノ二讀會ヲ開クニ同意ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス
  起立者多數

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• 105・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　多數ト認メマス、直チニ二讀會ヲ開カウト云フ動議ガ
  出マシタ是ニ附イテ採決致シマス
  (「贊成々々」ト呼フ又「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 106・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 107・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　御異議ガナケレバ直チニ二讀會ヲ開クコトニ致シマシ
  テ、全部ヲ議題ニ供シマス
  所得稅法中改正法律案第二讀會
  〔政府委員若槻禮次郞君演壇ニ登ル)

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• 108・若槻禮次郎

  ○政府委員(若槻禮次郞君)　唯今委員長カラ御報告ニナリマシタ所得稅法中
  ノ改正法律案デゴザイマスガ大體ニ附イテハ唯今委員長カラ述ベラレマシ
  タ如ク、政府ニ於テモ同意デゴザイマスケレドモ此會社ノ損益ヲ計算シマ
  ス場合ニ於テ、賞與金ヲ除イテ計算スルト云フコトハ、之ハ御同意申兼ルノ
  デゴザイマス若シ賞與金ト云フモノガ、會社ノ經費デアルナラバ既ニ總
  損金ハ除クト云フコトデゴザイマスカラ、特ニ揭ゲズトモ其總損金ト云フ
  中ヘ這入ッテ居ルノデゴザイマス若シ賞與金ト云フモノガ會社ノ經費デナ
  イ卽チ損金デナイト云フコトデアレバ損益計算ヲスル場合ニ於テハ損
  金デナイモノヲ除クト云フコトノ理窟ハナイノデアル、何レニシテモ第四條
  ノ第一項第一號中總損金ノ下ニ、賞與金ヲ置カウト云フ改正案ハ、理由ガナイ
  ト思ヒマスカラドウカ此事ダケハ否決ニナルヤウニ願ヒタイト思ヒマス、尙
  ホ玆ニ申上ゲデ置キマスノハ斯樣ニ改正ニナリマスト稅額ニ於テ凡ソ十
  五万圓バカリ減ジヤウト思ヒマス此〓カラモ是非之ハ否決ニナルコトヲ希
  望致シマス

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• 109・鈴木そう兵衞

  ○鈴木摠兵衞君(二百四十二番)　唯今政府委員ノ反對ガアリマシタガ、吾〓
  共ハ是ハ固ヨリ認メテ居リマス、此文字ガハッキリトナイガタメニ、各地到ル
  處ニ苦情ガ紛出スルソレガタメニ行政官ノ手數モ掛ルノデスカラ、是ハ明
  ニ書ク方ガ宜カラウト云フ意見デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=109

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• 110・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　他ニ修正說モアリマセヌカラ、委員長ノ報告通デ御異
  議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=110

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• 111・片岡健吉

  ○議長〔片岡健吉君〕　御異議ガナケレバ委員長ノ報告通決シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=111

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• 112・木村誓太郎

  ○木村誓太郞君(九十八番)　直チニ三讀會ヲ開カレンコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=112

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• 113・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　直チニ三讀會ヲ開クコトニ御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=113

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• 114・片岡健吉

  ○議長〔片岡健吉君〕　御異議ナケレバ直チニ三讀會ヲ開クコトニ決シマス、
  第二讀會デ決シタ通御異議アリマセヌカ
  所得稅法中改正法律案第三讀會
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 115・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　御異議ガナケレバ確定ヲ致シマス、議事日程第七ハ委
  員長カラ報告ノ都合ガアルカラ、議事ヲ延シテ呉レト云フ申出ガアリマシタ
  カラ、之ヲ延ベマシテ御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=115

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• 116・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　御異議ガナケレバ延ベルコトニ致シマス、議事日程ノ
  第八瀆職法案、第一讀會、議案ノ朗讀ヲ省略致シマス關直彥君
  八瀆職法案(後藤文一郞君外九名提出)第一讀會
  瀆職法
  第一條法令ニ依リ選舉又ハ任用シタル議員、會員、委員又ハ總代其ノ職
  務ニ關シ賄賂ヲ收受シ又ハ之ヲ聽許若ハ要求シタル者ハ一月以上一年以
  下ノ重禁錮ニ處シ四圓以上四十圓以下ノ罰金ヲ附加ス
  賄賂ヲ贈與、提供又ハ約束シタル者亦同シ
  第二條前條ニ記載シタル賄賂ノ已ニ收受シタル者ハ之ヲ歿收シ費用シタ
  ル者ハ其ノ價ヲ追徵ス
  〔關直彥君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=116

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• 117・關直彦

  ○關直彥君(六十八番)　私ハ瀆職法案ニ附キマシテ簡短ニ說明ヲ致シマス、
  多分諸君ノ御手許ヘ法案ガ囘ッテ居ルダラウト考マスルガ、一應朗讀ヲ致シ
  マス瀆職法案
  第一條法令ニ依リ選舉又ハ任用シタル議員、會員、委員又ハ總代其ノ職務
  ニ關シ賄賂ヲ收受シ又ハ之ヲ聽許若ハ要求シタル者ハ一月以上一年以下
  ノ重禁錮ニ處シ四圓以上四十圓以下ノ罰金ヲ附加ス
  賄賂ヲ贈與提供又ハ約束シタル者亦同シ
  第二條前條ニ記載シタル賄賂ノ巳ニ收受シタル者ハ之ヲ沒收シ費用シタ
  ル者ハ其價ヲ追徵ス
  極簡單ナル案デゴザイマス、而シテ其本案ニ關係致ス所ノ事柄ハ、頗ル重大
  デハゴザイマスルガ、旣ニ其精神ニ於キマシテハ昨年ノ議會ニ於テ提出者
  モ十分ノ說明モアリマスルシ、十分ノ討議モ經タコトデゴザイマスルカラ
  更メテ玆ニ說明ヲスルノ必要ハゴザリマスマイカト存ジマス、併シナガラ今
  年再ビ此案ヲ提出ヲシナケレバナラヌト云フ次第ハ、往々各地方ノ弊害ガ、頗
  ル日ヲ逐ウテ蔓延シテ參リマスルカラシテ、一日モ之ヲ默止スルコトガ出來
  ナイ必要ガ起リマシタカラシテ、之ヲ提出シタ次第デアリマス(「ヒヤ〓〓」ト
  呼フ者アリ)或ハ言ハン、既ニ政府ヨリ提出ニナッテ居ル所ノ刑法改正案ニハ
  現行ノ法律ヲ補ウタ所ノ本案ノ如キ意味ノ修正ガアルト云フコトガアリ
  マスルノデアリマスガ、併ナガラ刑法改正案ハ今年貴族院ノ委員會ニ於テハ
  殆ド通過ノ見込ガナクナリマシタソレ故ニ一日モ忽ニシテ置クコトガ出
  來ヌト云フ所カラ致シマシテ、本案ヲ提出シ一年若クバ二年ナリトモ、此
  弊害ヲ救助シタイト云フ考デアリマス右ノ次第ニ依リマシテ、本案ヲ提出
  シマシタカラ諸君ノ御贊成ヲ得タイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=117

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• 118・丸山嵯峨一郎

  ○丸山嵯峨一郞君(五十五番)　質問致シマス提出者ニ質問致シマスガ第
  ニ此本案ガ今日ニ於テ、急迫ナル事情ニナッテ之ヲ制定スルト云フ理由ハ如
  何ナル理由デアルカ、ソレカラ第二ハ一體此法案ニ對シテハ種々意見モア
  ルコトデ、吾〓共ハ此帝國議會ノ議員ニ對シテハ、特別ノ裁判構成事務ヲシ
  テサウシテ此特別ナ取扱ヲシヤウト云フヤウナ、意見モアッタノデアル、若
  シ案ノ如クシタナラバ果シテ政黨上ノ爭ナドニモ之ヲ利用スル等ノ機會ガ
  ナクシテ、完全ニ目的ヲ達スルコトガ出來ルヤ否ヤ、ソレカラ第三ニハ刑期ノ
  コトデアリマス一箇月以上一年以下ノ重禁錮ト云フコトデ罰金四圓以上
  四十圓以下ト云フコトニナッテ居ル斯樣ナ輕キ所ノ刑ヲ科シテ、サウシテ
  重キ責任ヲ持ッテ居ル所ノ議員ノ惡事ヲ、懲罰スルニ足ルモノデアルト云フ
  意見デアルカ、此三箇條ニ附イテ質問致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=118

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• 119・關直彦

  ○關直彥君(六十八番)　御答ヘヲ致シマス、第一ノ御問ニ附キマシテハ、是
  ハドウモ事實ヲドウト云フコトハ申上ゲルコトハ出來マセヌガ、各〓ノ考
  ニ於テ提出者共ハ實ニ急迫ナル必要デアルト、感ジタノデアルノデゴザイマ
  ス、ソレカラ第二ノ御問ハチヨットモウ一應、簡短ニ願ヒタイデスナ、摘ンダ
  所ヲ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=119

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• 120・丸山嵯峨一郎

  ○丸山嵯峨一郞君(五十五番)　第二ノ〓ハ今日モ現ニ政黨上ノ關係カラシ
  テ種々ナ風聞等ガ新聞紙上ニモアル如クニ之ヲ普通ノ司法裁判所デ選ン
  ダナラバ種々ナ機會ヲ利用シテ却テ黨爭ノ弊ヲ助成スル憂ハナイカ斯
  樣ナ憂ガアルモノヲ、簡單ナル斯ノ如キ所ノ法案ヲ以テ、果シテ目的ヲ達ス
  ルコトガ出來ルカト云フ質問

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=120

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• 121・關直彦

  ○關直彥君(六十八番)　ソレハ極御尤ナ、御憂慮ナ次第ニアリマスルガ、提
  出者モ實ハ其邊ヲ憂慮シテ居ルノデアル、併ナガラドウモ司法裁判所ニ托ス
  ルヨリ外ニ仕方ガナイカラ已ムヲ得ズ提出スルト云フ譯デゴザイマスワ
  レカラ第三ニハ刑期ガ輕イカラ其目的ヲ達スルコトガ出來ルカト云フ御
  問デゴザイマスルガ、是モ私ハ十分出來ルト思フ、モウ少シ輕クテモ宜カラ
  ウト思ヒマスト云フノハ瀆職ノ如キコトデ、被〓取ラレマシテハ、實ニ貴
  重ナル名譽ヲ害シマスル譯デアリマスルカラシテ、僅ニ一日タリトモ名譽上
  ノ上ニ汚〓ヲ添ヘマシテハ非常ナル利目ガアルト存ジマスルカラ、是ハ
  輕クテ仔細ガナイト存ジマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=121

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• 122・丸山嵯峨一郎

  ○丸山嵯峨一郞君(五十五番)　チヨット繰返シテ確メテ置キマス、サウスル
  ト第一ノ點ハ急迫ナ必要ガアルト感ズル

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=122

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• 123・關直彦

  ○關直彥君(六十八番)　左樣

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=123

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• 124・丸山嵯峨一郎

  ○丸山嵯峨一郞君(五十五番)　第二ノ〓ハ目的ハ達シヤウト思ハヌケレド
  モ仕方ガ無イ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=124

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• 125・關直彦

  ○關直彥君(六十八番)　目的ハ先ヅ達セラレルデアラウト思ヒマス

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• 126・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(百三十一八番)　此案ハ各派ヲ通ジテ、提出シタモノデゴザイマ
  スカラ全體直チニ二讀會ヲ開イテモ宜イト私ハ思ヒマスルガ併ナガラ法
  案ノコトデゴザイマスカラ、一應委員ニ付託シタガ宜カラウト思ヒマス、九
  名ノ委員、議長ノ指名ニナランコトヲ望ミマス

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• 127・鈴木そう兵衞

  ○鈴木摠兵衞君(二百四十二番)　恆松君ノ委員說ガアリマスガ、若シサウナ
  レバ大勢上己ムヲ得マセヌガ會期切迫ノ今日デゴザイマスカラ成ルダケ
  兩院ヲ通過シテ、法律ト爲ルコトヲ希望シマスカラ、萬一付託ニナリマシタ
  レバ議長ハ特ニ注意アッテ、早ク結了ニナルヤウ致シタイ

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• 128・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　委員付託ノ動議ヲ採決致シマス、委員付託說ニ御異議
  アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 129・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　御異議ガナケレバ、委員九名ヲ議長ガ指名シテ、御異
  議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 130・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　御異議ガナケレバ其通致シマス、議事日程第九狩獵法
  改正法律案、第一讀會、議案ノ朗讀ヲ省略致シマス、恆松隆慶君
  九狩獵法改正法律案(恆松隆慶君外五名提出)第一讀會
  狩獵法
  第一章獵具、獵法
  第一條本法ニ於テ狩獵ト稱スルハ銃器、網、黐繩又ハ撲ヲ以テ鳥獸ヲ捕獲
  スルヲ謂フ
  前項各獵具ノ種類及制限ハ農商務大臣ノ定ムル所ニ依ル
  第二條爆發物、劇藥、毒藥、据銃又ハ危險ナル罠若ハ陷穽ヲ以テ鳥獸ヲ捕
  獲スルコトヲ得ス
  前項ノ外ノ獵具、獵法ニシテ第一條ニ揭ケサルモノニ就テハ地方長官ハ
  農商務大臣ノ認可ヲ經テ便宜取締規則ヲ設クルコトヲ得
  第三條日出前、日沒後又ハ市街、人家稠密ノ場所、衆人群集ノ場所ニ於テ
  又ハ銃丸ノ達スヘキ虞アル建物、船舶若ハ汽車ニ向テ銃獵ヲ爲スコトヲ
  得ス
  第四條左ニ揭クル場所ニ於テハ狩獵ヲ爲スコトヲ得ス
  一御獵場
  二禁獵區
  三公道
  四公園
  五社寺境內
  六墓地
  第五條欄、柵、圍障若ハ作物植付アル他人ノ所有地ニ於テハ所有者又ハ占
  有者、他人ノ共同狩獵地ニ於テハ免許ヲ受ケタル者ノ承諾ヲ得ルニ非サ
  レハ狩獵ヲ爲スコトヲ得ス
  第六條地方長官ハ鳥獸ノ蕃殖保護ノ爲又ハ土地所有者ノ出願其ノ他ノ理
  由ニ因リ必要ト認ムル場合ニ於テハ十箇年以內ノ期間ヲ以テ禁獵區ヲ設
  クルコトヲ得
  第二章狩獵免許
  第七條狩獵ハ地方長官ニ願出テ免狀ヲ受クルニ非サレハ之ヲ爲スコトヲ
  得ス但シ欄、柵又ハ圍障アル宅地内ニ於テ銃器ヲ使用セスシテ狩獵ヲ爲
  ス者ハ此ノ限ニ在ラス
  第二十一條ノ處罰ヲ受ケタル者ハ滿一箇年ヲ經過セサレハ再ヒ免狀ヲ受
  クルコトヲ得ス
  第八條從來地方ノ慣行ニ依リ一定ノ區域內ニ於テ共同狩獵ヲ爲ス者ハ農
  商務大臣ニ願出テ免許ヲ受クルコトヲ得但シ其ノ出願ニ關スル規則ハ農
  商務大臣之ヲ定ム
  第九條免狀ヲ分チテ甲乙ノ一一種トス
  甲種免狀ハ銃器ヲ使用セスシテ狩獵ヲ爲ス者ニ下付シ乙種免狀ハ銃器ヲ
  使用シテ狩獵ヲ爲ス者ニ下付スルモノトス
  第十條免狀ヲ受クル者ハ甲乙各種ニ付左ノ區別ニ從ヒ免許稅ヲ納ムヘシ
  一等所得稅五十圓以上、地租三百圓以上金二十五圓
  若ハ營業稅八十圓以上ヲ納ムル者
  二等所所稅十五圓以上、地租百圓以上若ハ營業稅四十金十二圓
  [圓以上ヲ納ムル者又ハ一等ニ相當スル者ノ家族
  三等所得稅三圓以上、地租三十圓以上若ハ營業稅二十金六圓
  圓以上ヲ納ムル者又ハ二等ニ相當スル者ノ家族
  四等一等、二等、三等以外ノ者金三圓
  第十一條免狀ノ有效期限ハ十月十五日ヨリ翌年四月十五日マテトス但シ
  北海道ニ於テハ九月十五日ヨリ翌年四月十五日マテトス
  前項期間內ニ非サレハ狩獵ヲ爲スコトヲ得ス
  第十二條免狀ノ使用ハ本人ニ限ルモノトス
  第十三條獵者ハ出獵ノ際免狀ヲ携帶スヘシ
  警察官、憲兵、森林官及市町村長ハ獵者ノ免狀ヲ檢査スルコトヲ得
  前項ノ場合ニ於テ獵者ハ免狀ノ檢査ヲ拒ムコトヲ得ス
  第十四條免狀ヲ亡失シタルトキハ其ノ地ノ所轄警察官署及當初之ヲ下付
  シタル官廳ニ屆出ヘシ
  免狀ヲ亡失シ若ハ毀損シタルトキハ其ノ再渡又ハ書換ヲ請求スルコトヲ
  得此ノ場合ニ於テハ手數料金二十五錢ヲ納ムヘシ
  第十五條未成年者ハ乙種免狀ヲ受クルコトヲ得ス
  第十六條免狀ハ其ノ效力ヲ失ヒタル日ヨリ三十日以內ニ當初之ヲ下付シ
  タル官廳ニ返納スヘシ
  第十七條學術〓究又ハ有害鳥獸驅除ノ爲其ノ他特別ノ理由ニ因リ保護鳥
  獸又ハ其ノ他ノ鳥獸ノ捕獲ヲ要スルトキハ地方長官ハ何時タリトモ特ニ
  之カ許可ヲ與フルコトヲ得但シ捕獲シタル烏獸ハ之ヲ賣買スルコトヲ禁
  ス
  前項ノ場合ニ於テハ第十條ヲ適用セス
  第三章鳥獸保護
  第十八條保護鳥獸ヲ捕獲シ又ハ之ヲ賣買スルコトヲ禁ス但シ保護期間前
  ニ捕獲シタル鳥獸ハ其ノ期間ノ初日ヨリ二週間以內ニ於テ賣買スルハ此
  ノ限ニ在ラス
  飼養ニ係ル保護鳥獸ハ前項期日後ト雖農商務大臣定ムル所ノ規則ニ依リ
  賣買スルコトヲ得
  保護鳥獸ノ種類及保護期間ハ農商務大臣之ヲ定ム
  第十九條保護鳥類ノ卵又ハ雛ヲ取リ若ハ之ヲ賣買スルコトヲ禁ス但シ學
  術〓究ノ爲之カ採取ヲ要スルトキハ地方長官ハ特ニ其ノ許可ヲ與フルコ
  トヲ得
  第四章罰則
  第二十條第七條第一項、第十一條第二項ニ違背シテ狩獵ヲ爲シ又ハ詐欺
  ノ所爲ヲ以テ狩獵免狀若ハ共同狩獵地ノ免許ヲ受ケ又ハ詐テ共同狩獵地
  ヲ表示シタル者ハ百圓以下ノ罰金ニ處ス
  第二十一條第二條第一項第三條若ハ第四條ニ違背シタル者ハ罰前條ニ同
  前項ノ處罰ヲ受ケタル者ノ免狀ハ其ノ效力ヲ失フモノトス
  第二十二條第五條、第十三條第三項、第十八條第一項、第十九條ニ違背
  シタル者ハ二十圓以下ノ罰金ニ處ス但シ第五條ニ付テハ土地所有者、占
  有者又ハ共同狩獵地ノ免許ヲ受ケタル者ノ告訴ヲ待テ處斷ス
  第二十三條第十三條第一項、第十四條第一項、第十六條ニ違背シタル者
  ハ一圓以上一圓九十五錢以下ノ科料ニ處ス
  附則
  第二十四條本法ハ明治三十四年七月一日ヨリ之ヲ施行ス
  第二十五條本法施行前ニ免許ヲ受ケタル獵區及共同狩獵地ハ本法施行後
  ト雖其ノ免許期間仍從前ノ規定ヲ適用ス
  第二十六條本法施行前ニ受ケタル狩獵免狀ハ本法施行後仍其ノ效力ヲ有
  ス
  第二十七條本法施行前ニ明治二十八年法律第二十號狩獵法ノ罰則ヲ適用
  スヘキ行爲アリタルトキハ本法施行後仍其ノ罰則ヲ適用ス
  第二十八條明治二十八年法律第二十號狩獵法第二十一條ノ處罰ヲ受ケタ
  ル者ハ滿一箇年ヲ經過スルニ非サレハ本法ニ依リ狩獵免狀ヲ受クルコト
  ヲ得ス
  第二十九條本法中地方長官ノ職務ハ東京府ニ於テハ警視總監之ヲ行フ
  本法中市町村長ノ職務ハ北海道沖繩縣ノ區ニ於テハ區長、町村制ヲ施行
  セサル地ニ於テハ町村長ニ該當スヘキ者之ヲ行フ
  〔恆松隆慶君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=130

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• 131・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(百三十六番)　此狩獵法改正法律案ヲ、吾ミガ提出致シマシタ
  ガ、諸君ノ御承知ノ如ク、現行法ハ二十八年以來發布ノ經驗ニ據リマスルト、
  隨分弊害ガ多ウゴザイマス、此改正ハ主トシテ濫獵濫獲ヲ來シ、延テ農業上其
  他ニ及ス所ノ弊害ガ、少カラヌデアリマスソコデ各府縣ノ農會トカ云フモ
  ノヽ團體、此改正ヲ希望致シテ居リマスソレ等ノ意見モ徵シ又狩獵團體
  等ノ意見モ聞キマシテ又當局者ノ意見ノアル所ヲ聞イテ、ソレ之ヲ參酌致
  シマシテ此改正案ヲ出シタノデアリマス、此改正法案ハ各條ニ涉リマシテ
  一々其字句ヲ朗讀シテ、其事柄ヲ說明スルハ、隨分長クナリマスルシ、諸君
  モ簡短ニヤレト云フコトデアリマスカラ、極テ省略シマシテ、唯大體ヲ述べ
  テ御贊成ヲ仰ガウト思ヒマス、現行法ノ重ナル改正ノ要〓ヲ一二ノコトダケ
  述ベテ置キマス第六條ニ禁獵制札ト云フヤウナコトノアッタノヲ、今度ハ
  禁獵區-鳥獸ノ蕃殖保護ノタメ十箇年以內ノ期限ヲ以テ、禁獵區ヲ設クル
  コトヲ得ト云フコトニ改正致シマス一方ハ弊害ヲ防ギ、又有益ノ鳥禽ノ保
  護ヲ致シテ蕃殖ノタメニ斯ウ云フコトヲ設ケル、又稅金ニ於キマシテハ
  一等ヨリ二等三等四等ト致シマス、是ハ全體三等位ニ致シタキモノト愚考致
  シマシタガ、又或ル團體ハ五等トモ云ヒ、ソレデソレコレ折衷致シマシテ、
  四等ト致シマシタ、金額稅金ノコトモ巨細ニ述ベタウゴザイマスガ、諸君ノ
  御手許ニ議案ガ往ッテ居リマスカラシテ、是モ略シマス、サウシテ是マデ十
  六歲ノ者トアッタノヲ、今度ハ未成年者ト改メマシタ、往々危險ノ憂アル故、
  其罰則ヲ少シ-少シデナイ、重タ致シマシタ、百圓以下是モ近時ノ法律案ニ
  依ッテ致シマシタ其他數〓述ベタウゴザイマスルガ、詰リ此法案ハ委員
  ニ託シテ十分御調査下サレマシテ、ドウカ今期ニ成立ナランコトヲ望ミマス
  主トシテ是ハ一方デハ法案ノ弊害ヲ防止シ一方デハ有利ノ鳥禽ヲ保護致シ
  マシテ、農業上其他ニ利益ヲ與ヘヤウト云フノデゴザイマスカラ、ドウカ委
  員ニ付託セラレテ、其委員ニナッタ諸君ハ、直チニ御調査下サランコトヲ、併
  テ望ンデ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=131

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• 132・山内吉郎兵衞

  ○山內吉郞兵衞君(百二十一番)　質問致シマス、此等級ヲ立テルニ附イテ、
  狩獵ニ等級ヲ立テズシテ、所得稅及營業稅ヲ以テ等級ヲ立テヽ稅ヲ付スル
  ト云フコトハドウ云フ一般ノ原則カラ起ッタコトデアルカ、承リタウゴザ
  イマス

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• 133・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(百三十六番)　サウ云フ分リ切ッタ細カナ質問ハ、委員デヤッテ
  貰フヤウニ致シタイ、此案ハ貴族院デモ宜サヽウナ風デアル

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• 134・早川龍介

  ○早川龍介君(二百一番)　第十モ稍〓同ジコトデアルト思ヒマスカラ、議案
  ヲ合シマシテ、九名ノ委員ニ付託ニナルコトヲ希望致シマス

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• 135・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　ソレハ餘リ簡便デアリマスカラ、此一案カラ採決致シ
  マス委員付託ノ動議ガ出テ居リマスガ、委員付託ニ御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=135

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• 136・片岡健吉

  ○議長(片岡吉健君)　御異議ガナケレバ、其委員九名ヲ議長ガ指名シテ、御
  異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=136

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• 137・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　御異議ガナケレバ其通致シマス、次ハ議事日程第十狩
  獵法改正法律案、議案ノ朗讀ヲ省略致シマス
  十狩獵法改正法律案(堀越寛介君提出)第一讀會
  狩獵法
  第一條本法ニ於テ狩獵ト稱スルハ銃器、各種ノ網、放鷹、獵犬、罠、翻繩、又
  ハ撲ヲ以テ鳥獸ヲ捕獲スルヲ謂フ
  前項各獲具ノ種類及制限ハ農商務大臣ノ定ムル所ニ依ル
  第二條爆發物、据銃又ハ危險ナル罠若ハ陷穽ヲ以テ鳥獸ヲ捕獲スルコト
  ヲ得ス
  前項ノ外ノ獵具、獵法ニシテ第一條ニ揭ケサルモノニ就テハ地方長官
  東京府下ハ警視)ハ農商務大臣ノ認可ヲ經テ便宜取締規則ヲ設クルコト
  總監以下傚之
  ヲ得
  第三條日出前、日沒後又ハ市街、人家稠密ノ場所、衆人群集ノ場所ニ於テ又
  ハ銃丸ノ達スヘキ虞アル建物船舶若ハ汽車ニ向テ銃獵ヲ爲スコトヲ得ス
  第四條左ニ揭クル場所ニ於テハ狩獵ヲ爲スコトヲ得ス
  一御獵場
  二禁獵制札アル場所
  公道
  公園
  七六五四三社寺境內
  墓地
  欄、柵、圍障又ハ作物植付アル他人ノ所有地及免許ヲ受ケタル他人ノ
  共同狩獵地但シ所有者又ハ管理人ノ承諾ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在
  ラス
  第五條農商務大臣ハ土地ノ情況ニ因リ必要ト認ムル時ハ國有ニ屬スル一
  定ノ土地又ハ水面ニ於テ十年以內ノ期間狩獵ヲ禁スルコトヲ得
  第六條地方長官ハ土地所有者ノ出願又ハ其ノ他ノ理由ニ因リ必要ト認ム
  ル場合ニ於テハ禁獵制札ヲ建ツルコトヲ得
  第七條狩獵ヲ爲サムト欲スル者ハ地方長官ニ願出テ免狀ヲ受クヘシ但シ
  欄柵又ハ圍障アル所有地內ニ於テ銃器ヲ使用セスシテ狩獵ヲ爲ス者ハ
  此ノ限ニ在ラス
  第二十條ノ處罰ヲ受ケタル者ハ滿一箇年ヲ經過セサレハ再ヒ免狀ヲ受ク
  ルコトヲ得ス
  第八條從來地方ノ慣行ニ依リ一定ノ區域內ニ於テ共同狩獵ヲ爲ス者ハ地
  方長官ヲ經由シテ農商務大臣ニ願出テ免許ヲ受クルコトヲ得但シ其ノ出
  願ニ關スル規則ハ農商務大臣之ヲ定ム
  第九條免狀ヲ受クル者ハ左ノ區別ニ從ヒ免許稅ヲ納ムヘシ
  一等所得稅五十圓以上、地租四百圓以上金二十圓
  若ハ營業稅八十圓以上ヲ納ムル者
  二等所得稅三十圓以上、地租三百圓以上若ハ營業稅六十金十五圓
  [圓以上ヲ納ムル者又ハ一等ニ相當スル者ノ家族
  三等、所得稅十五圓以上、地租百五十圓以上若ハ營業稅四十金十圓
  五圓以上ヲ納ムル者又ハ二等ニ相當スル者ノ家族
  四等所得稅三圓以上、地租四十圓以上若ハ營業稅二十金五圓
  圓以上ヲ納ムル者又ハ三等ニ相當スル者ノ家族
  五等一等、二等、三等、四等以外ノ者金二圓
  又ハ四等ニ相當スル者ノ家族
  第十條狩獵期限ハ十月十五日ヨリ翌年四月十五日マテトス但シ北海道ニ
  於テハ九月十五日ヨリ翌年四月十五日マテトス
  第十一條免狀ノ使用ハ本人ニ限ルモノトス但シ助手ヲ要スル獵法ニ在リ
  テハ免狀ヲ有セサル者ヲ同伴スルコトヲ得
  第十二條獵者ハ出獵ノ際免狀ヲ機帶スヘシ
  警察官、憲兵、森林官及市町村長ハ獵者ノ免狀ヲ檢査スルコトヲ得
  前項ノ場合ニ於テ獵者ハ免狀ノ檢査ヲ拒ムコトヲ得ス
  第十三條免狀ヲ亡失シタルトキハ其ノ地ノ所轄警察官署及當初之ヲ下付
  シタル官廳ニ屆出ヘシ
  免狀ヲ亡失シ若ハ毀損シタルトキハ其ノ再渡又ハ書換ヲ請求スルコトヲ
  得此ノ場合ニ於テハ手數料金二十五錢ヲ納ムヘシ
  第十四條十八歲未滿ノ者ハ狩獵ヲ爲スコトヲ得ス
  第十五條免狀ハ其ノ效力ヲ失ヒタル日ヨリ三十日以內ニ當初之ヲ下付シ
  タル官廳ニ返納スヘシ
  第十六條保護ヲ必要トスル鳥獸ヲ捕獲シ又ハ之ヲ賣買スルコトヲ禁ス但
  シ捕獲ノ禁止又ハ停止ノ日ヨリ一週間以内ニ於テ賣買スルハ此ノ限ニ在
  ラス
  飼養ニ係ル保護鳥獸ハ前項期日後ト雖農商務大臣定ムル所ノ規則ニ依リ
  賣買スルコトヲ得
  捕獲ヲ禁止シ又ハ停止スヘキ保護鳥獸ノ種類及期限ハ農商務大臣之ヲ定
  ム
  第十七條捕獲ヲ禁スル島類ノ卵又ハ雛ヲ取リ若ハ之ヲ賣買スルコトヲ禁
  ス
  第十八條捕獲ヲ禁スル鳥類ト雖學術〓究其ノ他特別ノ理由ニ依リ捕獲ヲ
  要スルトキハ地方長官ハ特ニ其ノ許可ヲ與フルコトヲ得
  有害鳥獸ヲ驅除スル爲必要ト認ムル場合ニ於テモ亦同シ
  第十九條第六條若ハ第七條第一項ニ違背シテ狩獵ヲナシ又ハ第十四條ニ
  違背シテ免狀ヲ受ケタル者ハ二圓以上五十圓以下ノ罰金ニ處シ第九條ニ
  違背シテ免狀ヲ受ケタル者ハ五圓以上百圓以下ノ罰金ニ處ス
  第二十條第二條第一項、第三條、第四條第一乃至第六ニ違背シタル者ハ五
  圓以上百圓以下ノ罰金ニ處ス
  前項ノ處罰ヲ受ケタル者ノ免狀ハ其ノ效力ヲ失フモノトス
  第二十一條第十二條第三項、第十六條第一項又ハ第十七條ニ違背シタル
  者ハ二圓以上四十圓以下ニ罰金ニ處ス但シ第四條第七ニ付テハ土地所有
  者又ハ管理人ノ告訴ヲ待テ處斷ス
  第二十二條第十二條第一項、第十三條第一項又ハ第十五條ニ違背シタル
  者ハ一圓以上一圓九十五錢以下ノ科料ニ處ス
  附則
  第二十三條狩獵ニ關スル從前ノ規則ハ本法施行ノ日ヨリ之ヲ廢止ス
  本法施行以前設定ノ免許ヲ受ケタル獵區ハ其ノ免許期限間效力ヲ有スル
  モノトス
  第二十四條本法施行以前免許ヲ受ケタル者ハ更ニ免狀ノ下付ヲ要セス引
  續キ狩獵ヲ爲スコトヲ得

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=137

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• 138・堀越寛介

  ○越堀寛介君(二百三十六番)　此法案ノ趣旨ハ、先刻恆松君ノ申述べラレタ
  如ク、大體ニ於キマシテハ濫獵ノ弊ヲ防ギ、鳥獸ヲ保護致シマスルガタメニ、
  改正致サウト云フ考デゴザイマス、長タラシク說明スル必要ハ今日ニ於テ
  ハナカラウト思ヒマス、ドウカ前ノ委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=138

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• 139・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　本案ハ前ノ委員ニ付託シテ、御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=139

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• 140・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　御異議ナケレバ其通致シマス、議事日程第十一田畑地
  價特別修正法律案第一讀會、議案ノ朗讀ヲ省略致シマス、後藤文一郞君
  十一田畑地價特別修正法律案(後藤文一郞君外十第一讀會
  一名提出)
  第一條田畑地價特別修正ヲ爲スヘキ地方及其ノ修正地價總額左ノ如シ
  兵庫縣
  有馬郡高平村田地價十一萬六千三百六十二圓九錢
  畑地價五千九百十二圓五十八錢
  群馬縣
  利根郡久賀村田地價四萬四千五百二十七圓五十四錢
  畑地價五萬五千九百四十四圓五十六錢
  茨城縣
  筑波郡長崎村田地價三萬五千四百六十七圓五十九錢
  畑地價一萬四千七百四十一圓八十六錢
  同郡小野川村畑地價三萬四千六百二十八圓五錢
  巖手縣
  膽澤郡相去村畑地價六千三百八十一圓十錢
  福岡縣
  八女郡星野村田地價三萬五千百十七圓十五錢
  第二條每筆ノ修正地價ハ明治三十四年六月一日ノ土地臺帳面地價ニ應シ
  按分シテ之ヲ定ム
  第三條本法ニ依リ地價ヲ修正シタル土地ノ地租ハ明治三十四年分ヨリ修
  正地價ニ依リテ之ヲ徵收ス
  (後藤文一郞君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=140

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• 141・後藤文一郎

  ○後藤文一郞君(二百七十四番)　本員ハ提出者ヲ代表致シマシテ、本案ノ提
  出ノ理由ヲ簡單ニ述ベマス、元來我國ノ田畑ノ地價ト申シマスノハ御承知
  ノ通收穫及石代竝ニ利率ノ、此三要素ヨリ定メラレマシタモノデ、而シテ第
  十三議會ニ於テ田畑地價特別修正案ヲ可決致シマシテ、現ニ法律第三十一號
  ト云フモノガ、今日施行ニナッテ居リマス、然ルニ此法律第三十一號ノ成立
  致シマスル際ニ、其前ニ於キマシテ郡ノ中ノ或ル村ガ、甲郡ヨリ乙郡ヘ組替
  編入ニナッタト云フタメニ、此處ニ不公平不條理ヲ來シマシタ所ノ事實ガ發見
  セラレタンデ、當初地價ノ制定ヲセラレマスル際ニハ、甲ノ郡ノ中ノ村デアッ
  タ、ソレガ其後ニ於キマシテ乙ノ郡ニ編入ヲサレタ、而シテ此甲郡ノ中ニ在
  リマシタ町村ガ、乙郡ノ町村ニ編入サレマシタニ附イテ、甲郡ノ此地價ノ減
  輕ヲ致シマスル所ノ度合ト、乙郡ノ地價ノ輕減ヲ致シマスル所ノ、度合ト云
  フモノニ差ガ生ジマシタ、現ニ本案ニ於キマスル兵庫縣有馬郡高平村ト云フ
  ノデ、デ元ハ是ガ河邊郡ト云フノニ屬シテ居リマシタ、デ河邊郡ノ方ハ地價
  修正ノタメニ輕減セラレマシタノガ、一割八分有餘ト云フ輕減デゴザイマシ
  タ、然ルニ有馬郡ノ方ハ一割二分ト云フ所ノ輕減デアリマシタ、デ此新ニ有
  馬郡ノ方ニ編入ニナリマシタ所ノ、此高平村ハ、舊來屬シテ居リマシタ所ノ河
  邊郡ニ於キマシテハ、一割八分餘ノ輕減デアッタノデ、然ルニ一割二分ノ輕減
  ト云フヤウナ割合ニナッタ、之ガタメニ斯ウ云フ結果ヲ生ジタノデ、其鄰地所
  謂鄰ニシテ居リマシタル所ノ田畑ト云フモノハ舊來鄰リノ方ガ高カッタノガ、
  此郡ニ組替編入ノタメニ、今度ハ地價ノ輕減ヲ致シマシテ鄰ノ方ガ安ク致シ
  マシテ、此隣地ナル所ノ高平村ノ方ガ地價ガ上ッタト云フヤウナ次第デ、上ツ
  タト云フノヂヤナイ詰リ輕減ノ度合ト云フモノガ出テ、舊來ノ方ニ屬シテ
  居リマシタ所ノ郡ノ方ノ率ニヤラナカッタタメニ、此不公平ノ結果ヲ來シマシ
  テタメニ先日マデハ鄰地致シテ地價ノ高カッカ所ガ其後地價修正後ニ於
  キマシテハ却テコチラノ高平村ノ方ガ、地價ガ比較的ニ高クナッタト云フ
  ヤウナ割合ニナッタノデ、卽チ是ガ一例デゴザイマシテ、是ハ群馬縣、茨城
  縣、巖手縣、福岡縣ノ四縣ノ、或村ノ闢係ガゴザイマセウガ、同一種類、同
  一性質ニ基キマスルガ故ニ、一々類例ハ此所ニ申上ゲル所ノ煩ヲ省キマス
  ルデ此ノ如キ次第デゴザイマスルガ故ニ、昨年ニ於キマシテ高平村ヨリ致
  シテ、我衆議院ノ請願委員會ヘ付セラレマシタル所ノ、請願地方ガアリマシ
  タ、其請願ハ委員會ニ於テ採用セラレ、此院議ニ於テ採擇セラレ、可決セラ
  レマシテゴザイマスノミナラズ、本年モ亦同樣ナル手續ヲ以チマシテ、去ル
  二月ノ九日ノ院議ニ於テ、卽チ採擇スベキモノト可決相成リマシタノデゴザ
  イマス、デ此ノ如キ事由ニ致シマシテ、當然是ハ舊郡ニ編入サレツヽアッタ
  年ニ、定メラレタ地價デアッテ、サウシテ之ガ修正ヲ要スルハ其舊郡ト同
  一ノ度合ヲ以テ修正スベキハ事理ノ疑ナキ所デゴザイマスルノミナラズ、
  我院議ニ於テ、既ニ請願ヲ採用セラレマシタ所ノ本案ノ所謂事由デゴザイ
  マスルカラ、最早諸君ニ於テ十分ニ御贊成ヲ與ヘ下サルト云フコトハ信ジ
  テ疑ヒマセヌガ故ニ、私ハ是デ演說ヲ止メマシテ、相當ノ手順ヲ以テ、速ニ
  諸君ノ御贊成ヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=141

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• 142・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(百三十六番)　是モ直チニ議長ガ、九名ノ委員ヲ選バレンコト
  ヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=142

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• 143・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　恆松君ノ動議ニ御異議ゴザイマセヌカ.
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=143

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• 144・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　御異議ガナケレバ其通ニ決シマス、議事日程ノ十二山
  形縣下郡界變更法律案第一讀會、議案ノ朗讀ヲ省略致シマス
  十二山形縣下郡界變更法律案(重野謙次郞君外三第一讀會
  名提出)
  山形縣羽前國北村山郡ノ一部(山口村、田麥野村)ヲ同縣同國東村山郡ニ編
  入ス
  附則
  本法ハ明治三十四年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
  明治三十四年三月三十一日現在ノ山形縣羽前國北村山郡ノ郡債ハ本法郡換
  ノ部分ニ於テ償還費分任ノ義務ヲ負フモノトス
  山形縣羽前國北村山郡ハ前項償還費ヲ特別經濟トシ郡制規定ノ郡費分賦方
  法ニ依リ本法郡換ノ部分ニ分賊スルコトヲ得

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• 145・重野謙次郎

  ○重野謙次郞君(九十三番)　此處デ述ベヤウト思フ、簡短デスカラ、是ハド
  ウゾ委員會ニ於テ、委シク述ベヤウト思フノデアリマスカラ、此處デハ極略ス
  ノデゴザイマス、此郡界變更ノコトハ、私共ノ郡ニ於テハ一人モ異論ガナイ
  ノデアッテ、其他總テ何處デモ衝突ガナイノデゴザイマス、今度鐵道ガ敷設
  ニナリマシテ、其他從來ノ關係カラ、屢〓此郡ノ變更ヲ企テマシタケレドモ、
  今日マデ延引シマシテ居ッタノデアリマス、而シテ此貴族院ハ此變更ノコト
  ハ通過シタノデゴザイマスカラ、委員付託ヲ願ヲテ、サウシテ委員付託ノ上
  ニ其理由ヲ委シク述ベヤウト思ヒマスカラ、時日モ切迫ノコトデゴザイマス
  カラ、委員付託ニナッテ、其時ニ理由ヲ委シク述ベヤウト思ヒマス
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

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• 146・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(百三十六番)　直チニ是モ委員ニ付託セラレンコトヲ希望致シ
  マス

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• 147・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　委員付託ノ動議ガアリマスガ、御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 148・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　九名ノ委員ヲ議長ガ指名スルコトニ、御異議ハアリマ
  セヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=148

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• 149・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　御異議ガナケレバ其通致シマス、議事日程ノ第十三鐵
  道敷設法中改正法律案、第一讀會議案ノ朗讀ヲ省略致シマス、高岡忠〓君
  十三鐵道敷設法中改正法律案(高岡忠〓君外三名第一讀會
  提出)
  鐵道敷設法中左ノ通改正ス
  第二條第一項北陸線中第一號ヲ左ノ如ク改ム
  一福井縣下敦賀ヨリ福井金津石川縣下金澤津端冨山縣下高岡富山新潟縣
  下直江津新津新發田坂町山形縣下酒田ヲ經テ秋田縣下秋田ニ至ル鐵道
  及福井縣下金津ヨリ分岐シテ三國ニ至ル鐵道
  同條第一項中北陸線及北越線ノ連絡線竝北越線ヲ削ル
  同條第一項奧羽線第一號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
  一秋田縣下追分ヨリ船川ニ至ル鐵道
  第七條第一項中第二號ヲ左ノ如ク改ム
  一北陸豫定線ノ內福井縣下敦賀ヨリ福井金津石川縣下金澤津端富山縣下
  高岡富山新潟縣下直江津新津新發田坂町山形縣下酒田ヲ經テ秋田縣下
  秋田ニ至ル鐵道及福井縣下金津ヨリ分岐シテ三國ニ至ル鐵道
  同條第一項中第三號ヲ削ル
  同條第一項中第四號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
  一奧羽豫定線ノ內秋田縣下追分ヨリ船川ニ至ル鐵道
  第八條中「十二箇年」ヲ「十五箇年」ニ改ム
  第九條中「六千萬圓」ヲ「八千七百萬圓」ニ「十二箇年」ヲ「十五箇年」ニ改ム
  〔高岡忠〓君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=149

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• 150・高岡忠郷

  ○高岡忠〓君(六十七番)　會期モ切迫致シマシタル今日ニ致シマシテ、此案
  ヲ提出致シマスルモ、其結果ヲ得ルコトハ、如何アランカト思ヒマスケレド
  モ、併シ此鐵道ノコトニ附キマシテハ頗ル重大ナ問題デゴザイマシテ、政府
  モ今日ニ於キマシテ、未ダ前途ノ方針ハ立タナイト云フ位ノ有樣ニナッテ居リ
  マスカラシテ、ツイ己ムヲ得ズ、默シテ止ムコトガナリマセヌデ、此案ヲ提出
  シ、且ツ一言玆ニ述べナケレバナラヌデゴザイマス、此鐵道ノコトニ附キマシ
  テハ、既ニ此二種ノ案ガ出テ居リマスケレドモ、是ハ孰モ此大體ニ通ジマシタ
  ル方針ヲ誤ッテ居ルコトデアルカト存ジマス、其故何トナレバ今日第一期ノ
  既定線ガ、初テ其計畫ヲ致シマシタル此六千万圓ト云フ豫算ヲ以テ致シマシ
  タル事柄ガ、今日ニ至リマシテ九千万圓ノ不足ヲ生ジマシテ、此年度ニモ其事
  柄ガ成效スルヤ否ヤト云フコトニ於キマシテ、政府ハ又如何ナル意見ヲ持ッテ
  居ルカト云フ事柄モ、、明ニシテ置キマスノデゴザイマス、デ此鐵道ノ今日敷設
  ノ起ラウト云フコトニ附キマシテハ非常ナル所ノ紛紜ガアルコトデゴザイ
  マスカラシテ、年々歲々此本員ハ鐵道案ヲ出シマシテ、通過ヲ圖ルト云フコト
  ニナッテ居リマスケレドモ、唯其財源ト云フ上カラシマシテモ、遂ニ今日ハ政
  府モ其計ヲ容易ニ立テルコトモ出來ズ、又本年モ鐵道ノ敷設ハ望ミマシテモ、
  財源如何ト云フ〓ニ至リマシテハ少モ財源ノ途ヲ講ズルコトハ出來ナイト
  云フ有樣ニナッテ居ル、シテ見ルト今日此鐵道ノ目的ヲ達シマスルニハ、先ヅ
  財源ヲ、豫メ目的ト致サンケレバナラヌコトデアルト信ジマスガ、私ヲ以テ此
  財源如何ト見マスルト、奈何セン玆ニ至リマスレバ、鐵道收入ト云フモノ特別
  會計ト致シマシテ、而シテ鐵道ノ純益ハ、通常ノ歲入ニ流用ヲセヌト云フコト
  ニ致シマセヌケレバ、決シテ鐵道ノ安全ヲ圖ルコトハ、出來ヌコトデアルト思
  ヒマス、此事ニ附キマシテ政府ハ之ヲ拒ム譯ハナイト考ヘマス、既ニ既成ノ一
  期線ハ、國ノ義務ト致シマシテ、之ヲセンケレバナランコトニナッテ居リマ
  ス、併シ此不足金九千万圓ハ、早晩政府ハ之ヲ支辨スルモノデゴザイマスルカ
  ラ、昨年アタリカラ二千万圓宛費スコトニナッテ居リマスガ、尙ホ一期線ノ
  九千万圓ヲ支辨致シマスノハ、政府ハ之ヲ辭スルコトハ出來ナイ、出來ナイ
  トシマスレバ此九千万圓ノ公債ヲ募集致ス、此財源ハドウ云フ方法ニスル
  ト云フコトハ、本院ニ計ランケレバナラヌ事柄デゴザイマス、左樣シマスト
  玆ニ此鐵道ノ純益ト云フモノヲ、特別會計ト云フモノニ致シマシテ、此純益
  ヲ以テ鐵道ガ進ムト云フコトニナリマシタナラバ、著々步ヲ進ムルコトヽ私
  ハ考ヘマス、卽チ今日ノ鐵道ノ純益ノ豫算ガ、七百万圓位ニナッテ居リ
  マスケレドモ、今度鐵道賃銀ノ値上ゲ、或ハ未設ノ鐵道ト既設ノ鐵道ニ於
  キマシテハ、非常ニ利害ノ關係ノ異ナルモノデゴザイマスカラシテ、既ニ鐵
  道ノ國有問題モ出テ居ルコトデゴザイマスカラ、鐵道ハ詰リ國有ニ致シマシ
  テモ、此普及致シマスルト成ルベク賃銀ヲ下ゲルト云フ、便利モ得ラレル
  コトデゴザイマスカラ、國有ハ最モ宜シイコトデアルト思フ、然レドモ未ダ
  日本ノ如キ半身不隨ニ至リマシテ、一方ハ鐵道ガ成功致シマシテモ、一カハ
  未ダ未設ト云フ所ノ、非常ニ不便ヲスル地方ガアルト云フ場合ニ於キマシタ
  ナラバ此未ダ未設ノ不便ヲ感ジテ居ル所ノ事柄ヲ普及致シマシスルガタメ
  ニハ先ヅ此既設ノ鐵道ノ賃銀ヲ、多少値上ヲスルト云フコトモ、己ムヲ得ヌ
  所デアルト思ヒマス左樣致シマシタナラバ、是ハ鐵道經濟ヲ別途ニスルコ
  トニシマシタナラバ一年一千万圓宛ノ利益ヲ得ラルヽコトニナリマス、一
  年一千万圓純益ヲ得ルト致シマスレバ、此公債ニ應ズルモノハ二億圓ノ
  募集ヲスルコトガ出來ルト思ヒマス、而シテ此二億万圓ヲ十箇年ニ割リマ
  スレバ、二千万圓宛ノ起工費ヲ支出スルコトガ出來ル結果ニ至リマス而
  シテ此二億圓使ヒマスト、十箇年ノ中ニ於テハ事業ハ進デ往キマス、鐵
  道ヨリ又收入致シテ來マスコトデゴザイマスカラ、此收入ヲ見込ンデ一年ノ
  收益ヲ以テ、又之ニ加ヘルト云フコトニシマスレバ、新陳代謝致シマシテ、
  旣ニ十五箇年デモ二十箇年デモ、二千万圓ノ費用ヲ使ッテ往クコトニナラ
  ウト考ヘマス、左樣致シマシタナラバ、卽チ此一期線ノ不足及是ヨリ二期ノ
  計畫ヲ立テマシテ、進マント欲スル所ノ計畫モ、望ヲ達シ得ルコトデアラ
  ウト思フ、政府モ是ニハ不同意ヲ唱ヘルコトハ出來ヌト思フ、上下兩院モ其
  方針ニ贊成セラルヽコトデアラウト存ジマス、財源ハ旣ニ然リ、而シテ此北
  陸縦貫線ノ事柄ハ、既ニ理由書ニ辯明致シテゴザイマスカラ、此事柄ハ此處
  ニ述ベマセヌデ、委員會ニ讓ルコトニ致シマスガ、唯先ニ重野君カラ提出致
  シマシアル案、及高須賀穰君ノ提出サレマシタ案ガ、二ツ出テ居リマスケレド
  モ重野君ノ案ノ如クニシマスルト、一體以前ノ歷史ト云フモノニ重キヲ置
  カレマシテ、今日ノ第二期ノ鐵道計畫ヲスルト云フ所ノ方針ガ更ニ立タナ
  イ、有ユル橫斷線ト縱貫線モ歷史ノアルモノダケヲ以テ(「無用々々」ト呼フ
  者アリ)立テラレルノデ、此方針ニハ贊成スルコトハナラヌノデアル、而シテ
  又高須賀穰君ノ案ノ如キハ、唯中國九州四國ト云フモノダケヲ見テ、少モ不
  足ノモノヲ見ナイト云フコトニナッテ居ルヤウデ、故ニ之ヲ委員ニ付託致シ
  マシテ、重野君ノ案ト高須賀穰君ノ案ト、我輩ノ提出致シマシタ案ト(「反對」
  ト呼フ者アリ)合セマシテ適當ナル良イ案ヲ調製スルノガ、本員ノ希望致ス
  所デ、卽チ審査委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=150

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• 151・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(百三十六番)　是ハ昨日ノ鐵道法案委員ニ付託セラレンコトヲ
  望ミマス
  〔「贊成々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=151

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• 152・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　恆松隆慶君ノ動議ニハ、御異議ハゴザイマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼ヲ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=152

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• 153・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　御異議ガナケレバ其通致シマス、議事日程十四葉煙草
  專賣法中改正法律案第一讀會議案ノ朗讀ヲ省略致シマス西原〓東君
  十四葉煙草專賣法中改正法律案(西原〓東君外十第一讀會
  五名提出)
  葉煙草專賣法中左ノ通改正ス
  第六條葉煙草ヲ耕作セムトスル者ハ每年煙草苗床ノ位置及坪數、煙草耕
  作地ノ位置及段別、煙草ノ種類、本數、乾燥場及貯藏場ヲ定メ政府ニ申
  請シ許可ヲ受クヘシ若之ヲ變更シ又ハ耕作ヲ廢止セムトスルトキ亦同シ
  第六條ノ次ニ左ノ四條ヲ加フ
  第六條ノ二葉煙草耕作者ハ政府ノ定ムル方法及手續ニ依リ耕作ヲ完成
  スルノ義務ヲ負フ
  第六條ノ三政府ハ收穫前ニ於テ葉煙草ノ收穫量目又ハ葉數ヲ査定ス
  前項査定ノ場合ニ於テハ煙草耕作者ハ之ニ立會フヘシ若立會ハサルト
  キハ其ノ査定ニ對シ異議ヲ申立ツルコトヲ得ス
  第六條ノ四煙草耕作者前條ノ量目又ハ葉數ノ査定ニ不服ナルトキハ卽
  時異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得
  異議ノ申立アリタルトキハ命令ノ定マル所ニ依リ二人以上ノ鑑定人ヲ
  選定シ其ノ意見ヲ徵シ政府之ヲ決定ス
  異議申立人ノ主張ニ係ル葉煙草ノ量目又ハ葉數ト前項決定額トノ差カ
  前條ノ査定額ト前項決定額トノ差ヨリ大ナルトキハ鑑定ニ關スル費用
  ハ其ノ申立人ノ負擔トス
  第六條ノ五葉煙草耕作者正當ノ事由ナクシテ政府ノ査定若ハ決定シタ
  ル量目又ハ葉數以上ノ葉煙草ヲ納付セサルトキハ政府ハ其ノ不足額ニ
  對シ其ノ年ニ於ケル近傍類似煙草耕作地ノ葉煙草生產額及之ニ對スル
  賠償價格ニ相當スル金額ヲ納付セシムルコトヲ得
  第十條葉煙草耕作者ハ政府ノ指定シタル期日ニ其ノ葉煙草ヲ政府ニ納付
  スヘシ
  第十一條ノ二葉煙草ヲ耕作スル者ハ其ノ耕作シタル葉煙草ヲ耕作地、乾
  燥場、貯藏場又ハ收納官署ノ外他ニ運送スルコトヲ得ス
  政府ハ必要ト認ムルトキハ葉煙草運送ノ通路及時間ヲ指定スルコトヲ得
  第十一條ノ三葉煙草ハ相當ノ包裝ヲ爲シ且政府ノ指定スル方法ニ依リ一
  定ノ目標ヲ附スルニ非サレハ之ヲ運送スルコトヲ得ス
  第十二條ニ左ノ一項ヲ加フ
  政府ハ特ニ定メタル價格ヲ以テ葉煙草輪出者ニ輪出葉煙草ヲ賣渡スコト
  ヲ得
  第十九條ノ五第一號中「營業場一箇所每ニ」ヲ「製造場一箇所每ニ」ニ改ム
  第十九條ノ五ニ左ノ一項ヲ加フ
  政府ハ取締上必要ト認ムルトキハ煙草製造又ハ葉煙草賣買ノ營業ヲ免許
  セサルコトヲ得
  第十九條ノ八ノ次ニ左ノ一條ヲ加フ
  第十九條ノ九煙草製造ヲ業トスル者ハ他人ノ煙草ヲ製造スルコトヲ得
  ス
  煙草製造ヲ業トスル者ハ其ノ製造場外ニ於テ煙草製造ヲ爲スコトヲ得
  ス但シ紙卷煙草ノ賃卷ヲ爲サシムルハ此ノ限ニ在ラス
  第二十條第一項ヲ左ノ如ク改ム
  葉煙草耕作者ニ非スシテ葉煙草ヲ耕作シ若ハ煙草苗ヲ育成シタルトキ又
  ハ葉煙草耕作者ニシテ許可ヲ受ケサル土地ニ葉煙草ヲ耕作シ若ハ煙草苗
  ヲ育成シ又ハ許可ヲ受ケサル種類ノ葉煙草ヲ耕作シ又ハ許可ヲ受ケサル
  場所ニ葉煙草ヲ乾燥シ又ハ貯藏シタルトキハ五圓以上百圓以下ノ罰金ニ
  處シ其ノ犯罪ニ係ル葉煙草又ハ煙草苗ハ之ヲ沒收ス
  第二十一條ノ二中「業ト」ヲ「爲」ニ改ム
  第二十二條葉煙草耕作者他人ノ葉煙草ヲ貯藏シ又ハ葉煙草耕作者以外ノ
  者居出ヲ爲サス他人ノ葉煙草ヲ貯藏シタルトキハ三圓以上三十圓以下ノ
  罰金ニ處シ其ノ犯罪ニ係ル葉煙草ハ之ヲ沒收ス
  權利者ノ不明ナル葉煙草ヲ運送スル者アルトキハ政府ハ其ノ葉煙草ヲ無
  償ニテ收納スルコトヲ得
  第二十二條ノ次ニ左ノ四條ヲ加フ
  第二十二條ノ二葉煙草耕作者正當ノ事由ナクシテ政府ノ指定シタル納
  付期日ニ葉煙草ヲ納付セサルトキハ三圓以上三十圓以下ノ罰金ニ處ス
  第二十二條ノ三第十一條ノ二ノ第一項及第十一條ノ三ニ違反シタル者
  ハ五圓以上五十圓以下ノ罰金ニ處シ其ノ犯罪ニ係ル葉煙草ハ之ヲ沒收
  ス
  政府ノ指定シタル通路及時間外ニ葉煙草ヲ運送シタル者ノ罰前項ニ同
  第二十二條ノ四第十九條ノ九ニ違反シタル者ハ二十圓以上二百圓以下
  ノ罰金ニ處シ其ノ犯罪ニ係ル製造煙草及葉煙草ハ之ヲ沒收ス
  第二十二條ノ五葉煙草耕作者、煙草製造ヲ業トスル者又ハ葉煙草賣買
  ヲ業トスル者本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違反シタルトキハ政
  府ハ耕作又ハ營業ノ許可ヲ取消シ又ハ三箇年以內ニ於テ政府ノ指定シ
  タル期間之ヲ許可セサルコトヲ得
  第二十八條ノ次ニ左ノ一條ヲ加フ
  第二十八條ノ二煙草製造ヲ業トスル者ハ組合ヲ設クヘシ組合ニ關スル
  規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
  第三十四條ノ次ニ左ノ二條ヲ加フ
  第三十五條本法施行前既ニ屆出ヲ爲シ現ニ葉煙草ヲ耕作スル者ハ本法
  ニ依リ葉煙草耕作ノ許可ヲ受ケタル者ト看做ス
  第三十六條煙草製造ヲ業トスル者ニシテ數箇ノ製造場ヲ有スルトキハ
  一箇所以外ノ製造場ニ對シテハ本法施行ノ日ヨリ一箇月內ニ本法ニ定
  ムル免許料ヲ納ムルコトヲ要ス
  (西原〓東君演壇ニ登ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=153

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• 154・西原清東

  ○西原〓東君(三十九番)　葉煙草專賣法中改正法律案ノ件デゴザイマスガ、
  現行法ニ依リマシテ、耕作ノ取締ニ關スル件、葉煙草ノ運送ノ取締ニ關ス
  ル件、製造ノ取締ニ關スル件等ニ附キマシテ、詳密ナル規定ヲ設ケテ、嚴
  重ニ取締ヲシヤウト云フノガ、木案ノ目的デゴザイマシテ、其規定ヲ爲シ
  從ッテソレニ對スル罰金ヲ設ケタノガ、本案ノ要素デゴザイマス本案ヲ提
  出シマシタ理由ノ要〓ヲ申上ゲマスレバ、密賣ノ極テ多イコト、又次第々々
  ニ密賣者ノ增加スルノ實況ノアルコト、又其犯則者ガ多數結合致シマシテ、公
  然暴行ヲ加ヘ甚シキハ官吏抗拒、兒徒嘯聚、持児器强盜等ノ犯罪ニ陷ルノ
  狀況ニ至リマシテ、殆ド官憲ヲ蔑如シテ、取締ガ附カナイト云フヤウナ、實
  況ニ相成ッテ、居ルト云フ事實、之ガタメニ三十一年本法實施以來、葉煙草專
  賣ノ益金、豫定額ヨリ其實收金額ノ年々減少シテ、目的通ノ收入ヲ得難イト云
  フ事實アルコト、殊ニ來年度ノ豫算ニ於キマシテハ、旣ニ本院ニモ提出ニナク
  テ居リマスル通、三百五十万圓ヲ賣下ゲ率ヲ增加致シテ實收ヲ增サント
  致シテ居ルノデ、又之ヲ從來ノ率ニ加ヘマシテ、其金額ハ一千二百餘万圓ノ
  巨額ニ達スル、國家ノ重大ナル財源デゴザイマス、故ニ此取締ヲ嚴重ニ致ス
  ト云フ事柄ハ、國家ノ事業ニ取リマシテ極テ大切ナル箇條デゴザイマスカラ、
  其目的ヲ圓滿ニ達センガタメニハ何分現行法ノ不備ヲ補ハナケレバナラヌ
  ト云フ、必要ガアルノデゴザイマス又此密賣品ガアルタメニ市場ノ價額
  ヲ紊シマシテ、誠實ナル所ノ當業者ガ、實ニ困却ヲ致シテ居ル、何故ト申シ
  マスレバ賣下率ガ上レバ上ルダケ、製造煙草ノ時價ガ上ラナケレバナラヌ
  ノデアル、然ル八割時代、十割時代、十三割時代ノ是マデノ實驗ニ據リマ
  スルト賣下率ノ增加スルニ對シマシテ、市場ノ製造煙草ノ價格ハ、寧ロ減
  少シテ居ル事實ガアリマスル是ハ德島縣、愛媛縣、鹿兒島縣等、重要ナル
  所ノ產地ノ統計ヲ見マスルナラバ明瞭デアリマスル、斯ノ如ク不正品ノタ
  メニ誠實ナル營業者ガ困却シテ居ルト云フ事實ヨリ、當業者ハ昨年モ本年
  モ本法改正ノ必要ヲ、立法部ニ請願ヲ致シテ促シテ居ル次第デアリマス、是ニ
  依リマシテ、本院ニ於キマシテモ、亦貴族院ニ於キマシテモ本年ハ其葉煙草
  專賣法ノ改正ヲ致シテ、取締ヲ嚴重ニシナケレバナラヌト云フ請願ヲ、採擇ス
  ベキモノト決議ヲ致シア居ルノデアザイマス、亦政府ニ於キマシテモ此取締
  法ノ改正-取締法ノ改正ハ誤デシタ煙草專賣法ノ全篇ヲ修正シテ取
  締法ヲ嚴重ニスルノ必要アリト認メテ旣ニ九十條餘ノ改正案ヲ作ッテ居ツ
  テ、將ニ議會ニ提出セントスルニ際シテ、過日ノ貴族院ノ停會ニ次グニ停會
  ヲ以テスルト云フ、不幸ナル出來事ニ及ビマシテ、此浩瀚ナル法律案ヲ提出
  スルハ、却テ通過ノ困難ナルコトヲ心配ヲセラレテ、提出ヲ見合セラレルト
  云フヤウナ事情ヲ承ッタノデゴザイマスル、ソレデ如何ナル〓カヲ考ヘ
  マシテモ本法ヲ改正ラ致シテ、取締ヲ嚴密ニ致スト云フ必要ハアルノデゴ
  ザイマス、故ニ本員ハ政府ガ事實上ノ經驗ニ基イテ、如何ナル〓ニ改正ヲ要
  スルカト云フ、當局者ノ意見ヲ參考ト致シ、又自身ガ當業者ノ請願書ニ於テ、
  希望ヲ表シテ居ル〓ニ就キマシテ、玆ニ最モ簡單ニシテ事實己ムヲ得ザル
  所ノ改正デアラウト思フ〓ダケヲ、本案ニ揭ゲテ提出ヲ致シマシテ、諸君ノ
  御贊成ヲ仰ギタイト思フノデゴザイマス最早會期切迫ノ今日デゴザイマス
  カラ、各條ニ涉リマシテ改正ノ趣意ハ說明ヲ致シマセヌガ、何レ委員ニ御
  付託ニナリマシタナラバ委員會ニ於テ說明ヲ致シマシテ、ドウカ速ニ本院
  ヲ通過シテ、貴族院ニ送リ込マシテ、貴族院ノ通過ヲ見テ、法律ト爲ルヤウ
  ニ希望スル譯デゴザイマス

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• 155・初見八郎

  ○初見八郎君(二百六十九審)　議長

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• 156・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　質問デスカ

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• 157・初見八郎

  ○初見八郞君(二百六十九番)　質問デス、政府委員ニ-此法案ニ據ルト、
  大分簡單、十箇條ガアリマスガ、此箇條ガナケレバ葉煙草賣專ノ取締ガ出來
  ヌト云フコトデアルナラバ特ニ政府ヨリ致シテ提出セラルヽノガ當然ノ
  手續デアラウト思ヒマスドウシテモ政府カラシテ、此案ト云フモノハ出ナ
  ケレバナラヌト思フ、然ルニ唯今此議員カラ出マシタノデアリマスルカ唯
  今西原君ノ御說明ニ據ルト、政府ハ既ニ多數ノ條項ノアル法案ヲ定メタ、併
  ナガラ通過ノ困難ナルガタメニ見合セタト云フヤウナ、唯今西原君ノ御說明
  デアリマシタガ、果シテ左樣デアリマスカ、一言御說明ヲ請ヒマス

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• 158・田尻稻次郎

  ○政府委員(男爵田尻稻次郞君)　議長

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• 159・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　田尻政府委員
  (政府委員大藏總務長官法學博士男爵田尻稻次郞君演壇ニ登ル〕

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• 160・田尻稻次郎

  ○政府委員(男爵田尻稻次郞君)　唯今ノ御話デアリマスルガ、私カラ罷出テ
  御挨〓申サウト考ヘテ居ッタ所デアリマスガ、丁度唯今ノ西原君ノ御報告ノ通
  ニ、餘程之ニ附イテハ計畫ヲ致シテ居ッタコトガアルノデゴザイマス、所ガ
  何分ニモ事情ガ始終變更シテ參リマシテ、其手續ニ及ビマセヌ、所デ餘程苦
  心シテ居ル所ヲ、幸ニ西原君ナドヨリ斯ウ云フ御催シカアルト云フコトデ、
  屢〓實ハ御相談ヲ受ケマシタ、ソレデマア仕合ナコトデアリマスカラシテ、吾
  吾ノ方カラヤルト、ナカ〓〓マダ手間ガ取ッテ、迚モ此年度ニハ之ヲ執行スル
  コトガ出來ヌト云フコトニナルカラシテ、幸ニ立法院ニサウ云フ御催シノ
  御談示ガアルナラバ、吾〓モ十分ニ御同意ヲ表シテ置キマセウカラ、ドウ云
  フ御考デアリマセウカト云フコトデ、屢〓往復モシマシテ御相談ノ上デ、斯ウ
  ナッタノデアリマシテ、實ハ吾ミノ意ト衆議院ノ提出者ノ意ト、能ク合ウテ居
  ルノデアリマスカラ、別段ニ私共ヨリ新案ヲ出スヨリハ却テ此方ガ運ビノ
  タメニ宜カラウ、斯ウ云フ所カラ議員ノ御提出ヲ喜デ連ヘタト云フ譯ニナッ
  テ居ルノゴザイマス、カルガ故ニ是ハ全ク私共ガ拵ヘマシタ〓滿ナ案ニ
  モドウシテモ今カラ出セバ修正ヲ加ヘナクンバナラヌ、サウスルナラバ是
  非簡單ナモノヲ作ラナクンバナラヌト云フコトデ、丁度議員ノ方カラ簡單ナ、
  吾〓喜デ迎ヘルヤウナ案ガ出マシタカラ、喜デ御贊成ヲシテ、今日此案ガ出
  テ來マシタカラ、當議場ニ於テ又喜デ御同意ヲ表スル譯デアリマス、ソレデ
  會期モ最早切迫シテ居リマスカラ、申上ゲル程ノコトデモアリマセヌガ、ド
  ウゾ十分御調査ヲ下サレテ、速ニ當院ヲ通過シマシテ、サウシテ貴族院ニ往ヅ
  テ、彼處ノ方デモ吾ミモ十分盡力スル積デアリマスカラ、其邊ノ所デ速ニ委
  員ニ御付託ヲ願ッテ、其處ニモ吾〓ガ罷出デ、尙ホ御加勢ヲ申シマスカラ、ドウ
  カ.

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• 161・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(百三十六番)　此案ハ西原君ガ述べラレマシタ通、實ニ此改正
  法案ハ最モ本議會ニ於テ、成立ヲ望マナケレバナラヌソレニ附キマシテハ
  議長カラ、直チニ九名ノ委員ヲ指名セラレテ、其委員ハ直チニ審査スルト云フ
  條件附デ、委員ニ付託致シタイト思ヒマス

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• 162・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　恆松隆慶君ノ御說ニ御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 163・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　御異議ガナケレバ其通リ決シマス-日程十五郵便貯
  金利子割增ニ關スル法律案、第一讀會-議案ノ朗讀ヲ省略至シマス藤金作
  君
  十五郵便貯全利子割增ニ關スル法律案(藤金作君第一讀會
  外二名提出)
  郵便貯金奬勵ノ爲政府ハ郵便貯金利殖金ノ內ヨリ抽籖ノ方法ニ依リ郵便貯
  金預ケ人ニ奬勵金ヲ付與スルコトヲ得
  前項抽籤ノ方法、奬勵金ヲ付與スヘキ郵便貯金ノ金額及奬勵金ノ等差等ニ
  關スル規定ハ遞信大臣之ヲ定ム
  〔藤金作君演壇ニ登ル〕

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• 164・藤金作

  ○藤金作君(百八十二番)　私ガ提出致シマシタ、此郵便貯金利子割增ニ關ス
  ル法律案ハ、至ッテ簡單ナルモノデゴザイマス併ナガラ簡單ナ案デハゴサイ
  マスケレドモ、目下ノ事情ニ鑑ミマシテ、頗ル必要且ツ其成立ヲ最モ急グ案
  ト私ハ心得マシテ提出シタノデアリマスカラ、會期切迫ノ折柄デハゴザイ
  マスケレドモ、其要領ダケヲ成ルベク簡短ニ述ベマス積デアリマス、併シ少
  バカリノ時間ヲドウカ御與ヘ下サルヨウニ願ヒタイ、本案ハ郵便貯金ヲ致シ
  マスモノニ、之ヲ奬勵シテ割增金ヲ與ヘルト云フ趣意デアリマス、此案ヲ實
  地ニ施行スルニ至リマシテハ餘程手續ガ詳細ニ涉ラナケレバナラヌデゴザ
  イマスガ、是ハ當局者ニ委シテ、遞信大臣ニ於テ、其施行細則ヲ調査シテ發
  布スルコトニシタナラバ實地ニ差支ナイト思ヒマス而シテ此案ノ必要ナ
  ルコトハ旣ニ一般ノ希望スル所、經濟社會ニ於テ、頗ル希望ヲ致シテ居ル
  コトヲ認メテ居リマス、又當局者ニモ段々取調ヲ致マスルト當局者ニ於テ
  モ大ニ希望ガアッテ、既ニ其案ハ法制局マデ廻サレテアルト云フコトテゴザ
  イマス、サレバ吾ミノ希望ト其目的ガ合フコトデゴザイマスカラ、一日モ早
  ク此案ハ成立スルコトヲ、諸君ノ御盡力ヲ願ヒマス、就キマシテハ此案ノ結果
  タルヤ、戰後經營ニ於テ官民事業ガ非常ニ擴張致シマシテ、其結果トシテ、
  經濟社會ノ資金ハ盡キ、又中人以下ニハ融通ガ宜クナリマシテ、勞働社會ハ
  是ガタメニ諸君ノ御承知ノ如ク、大ニ潤澤ナル融通ヲ得マシタ結果ハ、勞働賃
  銀ガ騰貴致シマシタ、而シテ中人以下ノ生活ガ大ニ暴進致シマシタタメニ
  諸君御承知ノ如ク、萬事ニ於テ多クノ費用ヲ費シ、購買力ガ非常ニ增加致シ
  マシテ、其結果諸君御承知ノ如ク年々歲々輸入超過ノ結果ヲ來シタ譯デゴザ
  イマス、實ニ我國ハ外國ニ比例シマシテ、甚ダ貯蓄思想ガ乏シイノデゴザ
  イマスカラ己ムヲ得ズ此案ニ據フテ奬勵シテ、中人以下ニ貯蓄奬勵ヲシヨ
  ウト云フ次第デゴザイマス、就キマシテ私ハ之ニ調査シタ所ノ表ガ、第
  一號ヨリ第七號マデゴザイマスガ、之ヲ一々述ベマスルト時間ヲ費シマス
  カラ、是ハ一々述ベマセヌ(「簡短々々」ノ聲起ル)是ハ速記錄ニ載セテ、諸
  君ノ御參考ニ供シタイト思ヒマス、但シ此表ヲ大ニ取詰メマシテ、僅カ是
  ダケノモノニ約メテ御話スルノ間ハ、御〓聽ヲ願ヒタイ(「簡短々々」ト呼フ者
  アリ)今日此經濟社會ノ有樣ニ照セバ諸君ガ暫時御〓聽下サルモ諸君
  ノ任ニ對シテ決シテ憚ラナイト思ヒマス、政府事業及府縣郡市竝ニ會社等ノ
  事業ノタメニ出シマシタ所ノ金額ハ四億八千九百八十九万七千三百五十
  三圓ト爲ッテ居リマス、之ヲ內譯シテ內國デ仕拂ッタモノガ幾ラデアルカト
  云フト二億三千五百九十二万千九百四十八圓、是ガ內國デ仕拂ッタ金、ワ
  レカラ外國ニ仕拂ッタ金ハ幾ラト云フト、二億五千三百八十七万五千四百五
  圓而シテ明治三十年カラ三十三年マデ四箇年間ノ輸入超過ノ金額ハ三億
  零三百十九万八千九十三圓デゴザイマス、此金額ヲ合スレバ五億五千七百零
  七万三千四百九十八圓、是ガ外國ニ金ガ往ッテシモウタ譯ニナッテ居リマス、
  假ニ三億六千ノ償金ガ這入ッテ來タトシテモ、尙ホ一億九千七百七萬三千四
  百九十八圓ト云フ、是ダケノ我邦ノ資金ガ外國ニ往ッタ譯ニナッテ居リマス、
  又政府事業ト府縣事業竝ニ會社事業ノ金ガ、勞働社會ニ散布シタ所ノ金ガ、
  幾ラデアルカト云フト、右ノ內ニ於テ政府事業ガ四千五百八十万六千九百七
  十一圓、是ガ政府事業カラ勞働社會ノタメニ〓布シタ金高、ソレヨリ府縣及
  市諸會社ノ仕拂ッタモノハ五千百八十四万六千六十二圓、此二ツヲ合計スル
  ト、九千七百六十五万三千零三十三圓、是ダケハ最モ下層ノ所ニ散布シテ居
  リマス、斯ノ如キ有樣ニシテ、實ニ今日ノ有樣ハ輸入超過ヲ專ラ奬勵シツヽ
  アル有樣デアル、此中人以下ニ貯蓄奬勵法ヲ設ケテ、益〓此資金ノ外出ヲ防
  ギマシテ、此集ッタ資金ハ我國ノ資金流通ニ用ヒタイト云フノガ、本案提出ノ
  趣旨デアリマス、尙ホ委シイコトハ郵便貯金ノコトニ附イテハ必要ガアレ
  バ委員會竝ニ當局者モ御出席ニナッテ居リマスカラ、御質問ガアルガ宜シイ
  ト思ヒマスドウカ速ニ委員會ニ御付託ニナッテ、速ニ御報告ニナッテ、切迫
  ノ會期中デハアリマスケレドモ、ドウカ此議會中ニ此案ノ成立センコトヲ希
  望シマス
  (參照)
  政府繼續事業費內譯(第一號表)
  年度總額材料費勞働者賃銀
  ■■
  三三十年一一二、三四七、八七二九九、五五七、七九八一二、七九〇、〇七四
  一八五、六五一、〇七三七四、七九一、八九一一〇、八五九、一八二
  三十十十二年年年六五、三七六、一三〇五三、六九六、三九六一一、六七九、七三四
  三三四八、二九三、〇四五三七、八一五、四六四一〇、四七七、五八一
  小三一一、六六八、一二〇二六五、八六一、五四九四五、八〇六、五七一
  度度度度度度計度度度度四〇、五〇六、一八一三〇、八一九、一〇一九、六八七、〇八〇
  十十十六五四二五、八六二、九三〇一八、〇四二、五五二七、八二〇、三七八
  年年年年一三、〇四三、二三九八、六〇八、六二八四、四三四、六一一
  至自三三三三三十六、四八九、〇五九四、五二五、九六八一、九六三、〇九一
  十八七三、四八七、三三八
  二、六八八、二四三七九九、〇九五
  三十九年八、八〇二、四六八六、七四七、六八二
  四十四年度二、〇五四、七八六
  通計四〇九、八五九、三三五三三七、二九三、七二三七二、五六五、六一二
  政府繼續事業費ノ行先(第二號表)
  年度總額內國拂外國拂
  圓□■
  三十年一二、三四七、八七二四一、三二二、八一六七一、〇二五、〇五六
  三十十一年八五、六五一、〇七三三〇、九四二、三六三五四、七〇八、七一〇
  三二年年六五、三七六、一三〇二六、九六七、二七三三八、四〇八、八五七
  三十三四八、二九三、〇四五III、〇七七、六六七二五、二一五、三七八
  小三一一、六六八、一二〇一二二、三一〇、一一九一八九、三五八、〇〇一
  度度度度度度度計度度度度四〇、五〇六、一八一二〇、五五〇、〇〇八一九、九五六、一七三
  十十十二五、八六二、九三〇一七、三八一、五二七八、四八一、四〇三
  三三三三三八七六五四年年年年一三、〇四三、二三九八、九一五、七四九四、一二七、四九〇
  十六、四八九、〇五九四、六六三、七四六一、八二五、三一三
  十三、四八七、三三八二、五八五、八三七九〇一、五〇一
  自三十九年八、八〇二、四六八六、七六九、一二五二、〇三三三四三
  至四十四年
  通計四〇九、八五九、三三五一八三、一七六、一一一二二六、六八三、二二四
  府縣市及諸會社事業費內譯(第三號表)
  年度勞働者賃銀材料費合計
  ■圖■
  三三十年度一五、六一二、三八九四四、三九七、一八八六〇、〇〇九、五七七
  十一年一五、〇九七、〇五七三二、一三九、二三三四七、二三六、二九〇
  三十二年年一一、六六七、九四三二五、〇一二、九八二三六、六八〇、九二五
  三十三度度計度度度九、四六八、六七三二四、八三三、七六八三四、三〇二、四四一
  小五一、八四六、〇六二一二六、三八三、一七〇一七八、二二九、二三三
  三十四年六、八八二、二九〇一三、〇五四、七二二一九、九三七、〇一二
  三十五年五、五七八、四二九一八、八一〇、三九五二四、三八八、八二四
  三十六年度四、三六六、〇九〇二二、五二三、一二一二六、八八九、二四一
  三十七年度五〇九、二三七二、八八四、五二〇三、三九三、七五七
  三十八年度六一、七七二四二三、八四八四、九五三
  自三十九年度〕
  度、六六六、七四四四、八二六、〇五五五、四九二、七九九
  至四十三年
  通計六九、九一〇、六二四一八八、九〇五、一九五二五八、八一五、八一九
  府縣市及諸會社事業費ノ行先(第四號表)
  年度内國拂外國拂合計
  ■圓
  三三十年度三六、三四二、一五二二三、六六七、四二五六〇、〇〇九、五七七
  十三三二三、九〇九一五、九一二、三八一四七、二三六、二九〇
  十十三二年年年二四、四七六、六一六一二、二〇四、三〇九三六、六八〇、九二五
  二一、五六九、一五二一二、七三三、二八九三四、三〇二、四四一
  一一三、六一一、八二九六四、五一七、四〇四一七八、二二九、二三三
  十十一四、二一〇、七九二五、七二六、二二〇一九、九三七、〇一二
  度度度度度度度計度度度一四、六二三、五〇一九、七六五、三二三二四、三八八、八二四
  三三三三三八七六五四年年年年一三、八八五、〇七四一三、〇〇四、一六七二六、八八九、二四一
  十一、九二七、七二三一、四六六、〇三四三、三九三、七五七
  二四二、五八四二四二、三六九四八四、九五三
  自三十十九年
  至四三年二、五三九、五〇七二、九五三.二九二五、四九二、七九九
  通計一六一、一四一、〇一〇九七、六七四、八〇九二五八、八一五、八一九
  兌換劵發行高及準備高(第五號表)
  年月日金準備銀準備正貨合計保證準備兌換劵發內制限外
  行高
  二十八年三月十六日■圖■圓圓圖
  三二、三四四、九五四四二、〇一六、八二三七四、三六一、七七七九八、六二三、二六一一三二、九八五、〇三八
  二十九年三月十四日三一、六〇九、八〇〇二三、一八九、六〇五五四、七九九、四〇五九九、一〇〇、二五八一五三、八九九、六六三三三、七一五、二八九
  三十年三月十三日七五、一二二、〇〇七三七、七三二、五四四一二二、八五四、五五一六三、九六一、四〇四一七六、八一五、九五五
  三十一年三月十九日七七、三〇〇、五二二二、七三一、六七二八〇、〇三二、一九四一〇五、四一二、六二〇一八五、四四四、八一四二四、〇〇四、〇三五
  三十二年三月十八日九七、五五九、九六二九七、五五九、九六二七一、八九〇、九五〇一六九、四五〇、九一二1
  三十三年三月十七日九六、五七三、十九二四、〇〇〇、〇〇〇一〇〇、五七三、七九二一〇九、二九二、四六四二〇九、八六六、二五六
  三十四年三月九日六二、〇八六、六一一五〇〇、〇〇〇六二、五八六、六一一一二五、四五六、七四六一八八、〇四三、三五七五、四五六、七四六
  物品輸出入價額六年間比較(第六號表)
  合計ニ對スル輪
  年次輪出輪入合計差引超過出入百分比例
  輪出輸入
  二年一三六、一一二、一七七■ヨ
  十十九八一二九、二六〇、五七八二六五、三七二、七五五西六、八五一、五九九프四九
  年一一七、八四二、七六〇一七一、六七四、四七四二八九、五一七、二三四入五三、八三一、七一三四発
  十年一六三、一三五、〇七七二一九、三〇〇、七七-三八二、四三五、八四八入五六、一六五、六九四■毛
  三十一年一六五、七五三、七五二二七七、五〇二、一五六四四三、二五五、九〇八入一一一、七四八、四〇三毛査
  三三十二年二一四、九二九、八九四二二〇、四〇一、九二五四三五、三三一、八一九入五、四七二、三三一四九프
  十三年二〇四、四二九、九九三二八七、二六一、八四五四九一、六九一、八三八入八二、八三一、八五一里풋
  合計一、〇〇二、二〇三、六五三一、三〇五、四〇一、七四九二、三〇七、六〇五、四〇二入三〇三、一九八、〇九三
  輸出入金銀價額六年比較(第七號表)
  輸出輸入輸出ニ比
  年別金貨及金銀貨及銀金貨及金銀貨及銀較シ輸入
  地金地金計地金地金計ノ增減
  圖圖■〓■
  十年二、七九一、九五一二四、五〇九、七四六二七、三〇一、六九七一、〇二九、九一二四、八四四、二五二五、八七四、一六四二一、四二七、五三四
  十九八年一、九九六、五七五九、六〇二、三〇七
  一一、五九八、八八二一〇、二一七、四五八二八、九二四、七五〇三九、一四二、二〇八二七、五四三、三二四
  三十年八、八六三、七九七一〇、三五五、三六五一九、二一九、一六二六四、三一三、四九二一七、一五三、二一九八一、四六六、七一一六二、二四七、五四九
  一年四六、二八一、三四三四〇、七〇六、一三七八六、九八七、四八〇三七、〇二七、七五二五、五三六、〇二八四二、五六三、七八〇四四、四二三、六九九
  三三三十十十年八、七六八、三六五二、四〇九、八八一一一、一七八、二四六二〇、〇八〇、六九五八二、八〇四二〇、一六三、四九九八、九八五、二五三
  三二
  年五一、七六一、五五九四、九四五、四四三五六、七〇七、〇〇二八、九九七、一九八二、五五〇、六三六一一、五四七、八三四四五、一六〇、一六七
  合計一二〇、四六三、五九〇九二、五二八、八七九二二二九九二、四七〇一四一、六六六、五〇七五九、〇九一、六八九二〇〇、七五八、一九六1

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• 165・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(百三十六番)　此案ハ、矢張九名ノ特別委員ニ付託ニナランコ
  トヲ

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• 166・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　九名ノ特別委員ヲ議長ガ指名シテ、御異議ハアリマセ
  ヌカ
  〔「異議ナシ」ノ聲起ル〕

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• 167・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　御異議ガナケレバ其通リ決シマス、此際葉煙草專賣法
  中改正法律案ノ委員ノ指名ヲ致シマス
  〔書記朗讀〕
  今村千代太君西原〓東君富永隼太君
  門馬尙經君橋元勗君雨森菊太郞君
  渡邊猶人君永江嘉六郞君關信之介君

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• 168・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　委員ノ諸君ハ委員長理事ノ互選ヲセラレテ、直チニ審
  査ヲセラレンコトヲ望ミマス、議事日程ノ第十六商船學校生徒遺族扶助ニ關
  スル法律案、第一讀會、議案ノ朗讀ヲ省略イタシマス、望月長夫君
  商船學校生徒遺族扶助ニ關スル法律案(加藤
  十六第一讀會
  政之助君外六名提出)
  商船學校生徒ニシテ航海練習中溺死シ若ハ行衞不明トナリテ一箇年ヲ經過
  シタル者アルトキハ明治二十三年法律第四十五號軍人恩給法ヲ準用シ扶助
  料ヲ給與ス其ノ金額ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  〔望月長夫君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=168

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• 169・望月長夫

  ○望月長夫君(百五十四番)　本案ハ商船學校ノ生徒ガ、航海中ニ不幸ニ遭ク
  タ場合ニ遺族ニ扶助料ヲ遣リタイト云フ案デアリマス商船學校ノ生徒ハ
  御承知デモゴザイマセウガ、學校ニ這入ルト、直グ海軍豫備員ヲ命ズト云フコ
  トデアッテ、身分ハ海軍兵學校ノ生徒ニ準ズルト云フコトニナッテ居ルノデゴ
  ザイマス、然ルニ海軍兵學校ノ生徒ハ、玆ニ書現シテアリマス通、明治二十三
  年法律第四十五號ノ軍人恩給法ニ依タテ斯ウ云フ場合ニ、遺族扶助料ヲ受
  ケルコトガ出來マスケレドモ商船學校ノ方ニハ其規定ガアリマセヌノ
  デ彼此權衡ガ取レマセヌカラ、此法律案ヲ提出シマシタ次第デゴザイマス
  申サズトモ御承知ノ通、月鳥丸ノ非常ニ悲惨ノ出來事ハ尙ホ今諸君ノ眼目
  ニ照サレテ居ルコトデアラウト思フ、斯ノ如ク當ニ大ニ發達セントシツヽア
  ル海外ノ海運業ニ從事スル有爲ノ少年ガ、斯ノ如キ不幸ノ目ニ遇ッタコト
  實ニ一大遺憾ノコトデアッテ、或ハ今後大ニ斯道ニ盡サントスル人ニ向ッテ、
  頓挫ヲ與ヘルコトガアッテハ、甚ダ遺憾ナコトデアリマス、故ニ此際適當ノ
  法律ヲ拵ヘテ斯ノ如キ場合ニ處スル法律ヲ設ケテ置イテ、大ニ此海國ノ事
  業ニ從事スル人ヲ、皷舞作興スルコトハ頗ル必要ノコトデアラウト存ジマ
  スカラドウカ速ニ委員ニ付託セラレテ、成立スルコトヲ希望致シマス

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• 170・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(百三十六番)　本案ハ大ニ委員付託ニセラレンコトヲ希望致シ
  マス
  〔「贊成」ト呼フモノアリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=170

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• 171・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　九名ノ委員ヲ議長ガ指名シテ、御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フモノアリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=171

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• 172・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　然ラバ其通ニ致シマス、次ハ日程第十七國費ヲ以テ小
  學校用〓科書ヲ編纂スルノ建議案、是ハ前會ノ續デ、委員長ノ報告ハ濟ンデ
  居リマス
  十七國費ヲ以テ小學校用〓科書ヲ編纂スルノ建(前會ノ續)
  議案(星松三郞君外一名提出)

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• 173・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　格別御異議ガナケレバ、採決致シマス、本案ニ同意ノ
  諸君ノ起立ヲ請ヒマス
  起立者多數

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• 174・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　多數ト認メマス、次ハ第十八齒科醫養成ニ關スル建議
  案委員長報告、脇阪行三君
  十八齒科醫養成ニ關スル建議案(委員長報告)
  〔脇坂行三君演壇ニ登ル〕

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• 175・脇坂行三

  ○脇坂行三君　歯科醫養成ニ關スル建議案ノ特別委員會ノ經過及結果ヲ御報
  告致シマス委員會ハ四囘開キマシテ審議ヲ致シマス際ニハ政府委員タ
  ル梅謙次郞、上田萬年ノ兩君モ出席セラレマシテ、政府ノ意向モ十分伺ヒマ
  シテゴザイマス、此齒科醫養成ニ關係致スコトハ既ニ十三議會ノ年ニ於キ
  シテ、請願委員會ノ決議ヲ以テ可決致シマシタモノデ、政府ニ於テモ十分
  審査サレテ居ルコトデゴザイマスカラ、或ハ齒科醫養成ニ關スル學校ノ設立
  ガアルカト思ッテ居リマシタ所、政府委員ノ申サルヽ所ヲ聞クニ、政府ニ於
  テモ全ク反對ハ致シテ居ナイ是マデ齒科醫養成ノコトニ附イテ、必要ト云
  フコトハ十分感ジテ居ッタ、併ナガラ他ニ焦眉ノ急ト云フベキモノガアルタ
  メニ、今日マデ著手ガ出來ナンダノデアル、目下海外ニ留學シテ居ル齒科專
  門ノ醫師ガ三名アル大學ヨリ一人、高等學校ヨリ二人、〓授ガ派出シテア
  ルソコデ文部省ニ於テハ、他日醫科大學ニ於テ之ニ關スル講座ヲ設ケル積
  デアル、併シ齒科醫ニ關スル獨立ノ官立學校ヲ設ケル計畫ヲ爲スマデニ至ッ
  テ居ラヌ若シ民間ノ私立學校ニ於テ、齒科醫養成ニ關スル設備其他ノコト
  ガ整フテ、幾分カ政府ノ補助デモ與ヘテ、其目的ヲ達スルコトガ出來ルナラ
  バ財政ノ許ス限或ハ補助スルコトモアルト云フ答辯デゴザイマスソレ
  デ特別委員會ニ於テハ目下齒科醫ノ必要ト云フコトハ既ニ過日ノ議會ニ
  於テモ提出者ヨリ述べテ置キマシタコトデアリマスカラ、唯今喋々述べマセ
  ヌガ、目下日本ニ齒科醫ノ免許ヲ持ッテ開業シテ居ル者、最近統計ニ據レバ四
  百四十名餘デ、人口ニ比シ九萬人ニ一人ト云フコトデアル、而シテ今日マデ政
  府ハ齒科醫ノ養成ニ、何等ノ著手モシテ居ラナイ二十三年ニ高山紀齊ガ齒
  科醫學校ヲ設ケ、此養成ヲ引續イテ致シテ居リマス政府ハ何等ノ著手ヲモ
  シナイ御承知ノ通齒科醫ハ徵兵檢査ノ際ニ、齒科ノ完全ナルヤ否ヤハ殆
  ド合格不合格ニ關係スル位ナ、必要ナルコトハ論ヲ俟タヌコトデアリマス
  ガ、旣ニ請願書モ可決シテ居ルコトデアリマスカラ、願ハクハ滿場御贊成下
  サルコトヲ希望致シマス

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• 176・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(百三十六番)　本案ハ速ニ可決セラレンコトヲ望ミマス

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• 177・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　本案ニ附イテ同意ノ諸君ノ起立ヲ願ヒマス
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=177

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• 178・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　多數ト認メマス、本案ハ可決致シマシタ議事日程ノ
  十九中等學校〓員養成ニ關スル建議案、委員長ノ報告、星松三郞君
  十九中等學校〓員養成ニ關スル建議案(安藤(委員長報告)
  龜太郞君外一名提出)
  〔星松三郞君演壇ニ登ル〕

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• 179・星松三郎

  ○星松三郎君(二百八十一番)　委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報告致シマスル
  ガ此中等學校〓員養成ニ關スル建議案ハ一昨々日委員會ヲ開キマシテ、決
  定致シマシタ次第デゴザイマス、是ハ委員會ノ模樣ヲ申シマスレバ、政府委員
  ノ出席ヲ請ヒマシテ、說明モ十分ニ聽キマシテゴザイマス、詰リ此建議案ハ政
  府モ最モ同意ヲ表スル所ノモノデアッテ、政府自ラモ此中等學校〓員ノ不足ニ
  ハ、非常ニ困難ヲ極メツヽアルコトデアル、故ニ同意ヲ表スルコトデアルト云
  フコトニナリマシテ、委員會ハ滿場一致デ之ヲ決シマシタ次第デゴザリマス
  斯樣申シマスレバ直チニ御卽決下サルコトデアルト思ヒマスケレドモ何
  樣今日ノ現狀ヲチヨット御話シ申サンケレバナラヌト思ヒマスルガ、此事柄委
  シク申シタノハ提出者タル所ノ安藤君ハ曩ニ申述ベタニハ相違ゴザイマ
  スマイト思ヒマスガ全國ノ學校中學校ニ對スル今日ノ〓員ノ缺乏ハ
  如何デアルカト云フ上カラ見マスルト二千二百人程缺乏致シテ居ルコトデ
  アル、其內ノ-其外ニモ既ニ無資格者ガ、全員ノ十分ノ四ヲ占メテ居ルト云
  フヤウナ今日ノ現狀デアル故ニ中等學校ノ〓員ノ必要ナルハ今更喋々ヲ
  要スルマデヽハゴザイマセヌ各員モ豫テ認メテ居ラルヽ所デアラウト思ヒ
  マスルカラシテ相成ルベクハ滿場一致ヲ以テ、卽決アランコトヲ希望致シ
  マス
  (「贊成」ト呼フ者アリ〕

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• 180・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　本案ノ採決ヲ致シマス、本案ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ請
  ヒマス
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=180

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• 181・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　多數ト認メマス、本案ハ可決致シマシタ、議事日程ノ第
  二十

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=181

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• 182・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(百三十六番)　議長、百三十六番

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=182

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• 183・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　恆松隆慶君、何デスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=183

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• 184・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(百三十六番)　私ハ一ツノ動議ヲ出シマス、第二十ノ日程ヨリ
  二十八ノ終リマデハ、一括トシテ議題ト爲シ、各提出者ハ提出ノ理由ヲ略シ
  テ、議長カラ各案ニ附イテ九名ノ委員ヲ選バレンコトヲ願ヒマス
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

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• 185・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　恆松隆慶君カラ二十ヨリ二十八マデヲ一括シテ、議題
  ニ供サント云フ動議ガ出マシタガ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 186・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　御異議ガナケレバ、一括シテ議題ニ供シマス、議案ノ
  朗讀ヲ省略致シマス
  二十史談會國庫補助ニ關スル建議案(根本正君外二名提出)
  史談會ノ事業ハ國家一日モ忽諸ニ附スヘカラサルノ理由ヲ以テ本院曩ニ第八
  囘第九囘及第十囘議會ニ於テ國庫ヨリ同會ニ補助シテ其ノ事業ヲ完成セシ
  メム爲其ノ豫算ノ提出アラムコトヲ建議シ旣ニ其ノ議ヲ採納セラレシモ未タ
  其ノ實行ヲ見ルニ至ラサルハ之ヲ等閑ニ附スルノ憾アリトス依テ政府ハ速ニ
  本院建議ノ趣旨ニ基キ追加豫算トシテ史談會編纂補助費ノ提出アランコト
  ヲ望ム
  右建議ス
  二十一酒類造石稅納期改正ニ關スル建議案(長坂重孝
  君外四名提出)
  酒類造石稅ハ二十七八年事件ノ結果戰後經營ノ爲ニ增徵セラレ今又北〓事
  件ニ關シ之ヲ增課セムトス僅々六箇年間ニ於テ三タヒ同一物品ニ對シ多額
  ノ稅ヲ累加スルカ如キハ國家ノ財政上止ムヲ得スト雖又一方ニハ當業者ノ
  痛苦困難ヲ察セサルヘカラス政府ハ宜ク稅源保護ノ一助トシテ當業者ニ全
  融ノ便ヲ與フルカ爲ニ造石稅納期ノ一部ヲ繰下ケ卽チ酒造稅法第六條中第
  四期納稅期ノ三月ヲ五月ニ改正シ來ル明治三十五年ヨリ必實施スルノ目的
  ヲ以テ第十六囘議會ニ右改正案ヲ提出セラレムコトヲ望ム
  右建議ス
  二十二札幌農學校ヲ大學ト爲スノ建議案(西原〓東君
  外十二名提出)
  政府ハ速ニ札幌農學校ヲ以テ農科大學ト爲スノ計畫ヲ立テラレムコトヲ望
  ム
  右建議ス
  二十三帝國古蹟取調會國庫補助ニ關スル建議案(早川
  龍介君外五名提出)
  恭シク惟ルニ太古諾册二神大八洲ヲ開拓シ
  天祖大神高天原ニ照臨シ
  皇祖天皇橿原宮ニ君臨シ給ヒテヨリ以來玆ニ幾千年列聖相承ケテ國光ヲ八
  洲ノ外ニ輝カシ山河舊ニ依リテ厥ノ美ヲ萬世ニ保テリ而シテ其ノ國體ノ宇
  內ニ超絕スル其ノ山水ノ萬國ニ卓越セルノ事實ハ皆之ヲ史籍ニ存シ之ヲ遺
  蹟ニ印スト雖古史殘闕シテ遺蹟ノ湮滅セルモノ亦少カラス
  皇后、皇子、皇孫ノ陵墓及名臣、名族、忠孝、節義ノ士ノ古墳遺蹟ノ如キ或
  ハ顯ハレ或ハ廢ル偶〓歷史ニ其ノ名ヲ存スレトモ其ノ蹟ノ由リテ尋ヌヘカ
  ラサルモノ其ノ幾許ナルヲ知ラス夫レ匹夫匹婦ト雖父母祖先ノ墳墓ヲ重シ
  恩人ノ遺蹟ヲ思ハサルモノアラス況ヤ皇室ニ關スルモノハ言ヲ竢タス國
  政ヲ經理シ風〓ヲ維持シタル恩人ノ遺蹟ニ於テヲヤ殊ニ近來文明ノ昂進、
  土木工事ノ隆興等ニ際會シ山野ヲ割斷スルノ舉益、多キヲ致シ爲ニ保護顯
  彰以テ忠孝節義ヲ動スヘキノ遺蹟モ遂ニ知ルヘカラサルニ至リテハ身份蛤
  ニ對シ奉リ不忠ナルノミナラス恩人ニ對シテ亦不義ト謂フヘシ西洋諸國ニ
  於テハ古蹟ヲ尊重シ之ヲ國寶ノ一トシテ巨資ヲ投シテ之ヲ保存シ誠ニ其ノ
  道ヲ盡セリ然ルニ我カ國ハ歷史ニ富ムコト世界第一ト稱セラルヽニ拘ラス
  今日迄殆ト放棄ノ姿ニシテ內地ハ旣ニ外人ニ向テ開放セラレタリ之ヲ旣往
  ニ徵シ之ヲ將來ニ測ルニ古蹟ノ湮滅壞廢更ニ一層ノ甚シキモノナキヲ保セ
  ス之ヲ思ヒ之ヲ懷ヒテ轉タ憂慮ニ堪ヘサルモノアリ是ヲ以テ明治三十三年
  五月帝國古蹟取調會設置ノ舉アリ而シテ全國多數ノ古墳遺蹟之ニ賴リテ精
  探究査セラレ一ハ以テ我カ國歷史ノ光彩ヲ永世ニ發揮シ一ハ以テ國家風〓
  ノ進運ニ資セムトス而モ本會タル固ト私資ニ成リ此ノ大業ヲ完成スルハ至
  難ノコトニ屬ス依リテ政府ハ相當ノ補助ヲ與ヘ其ノ目的ヲ貫徹セシメラレ
  ムコトヲ望ム
  右建議ス
  二十四野蒜築港ニ關スル建議案(菅原傳君外五名提出)
  東京ヨリ函館ニ至ルノ沿岸ハ適當ノ商港及避難港ニ乏シ是東北地方商工業
  ノ未タ大ニ振ハサル所以ニシテ其ノ海運ノ發達ヲ阻礙シタル一日ニ非ス陸
  前國野蒜灣ハ東京函館間航路ノ中央ニ位シ天然ノ好位置ヲ占ムルヲ以テ此
  ノ地點ニ築港セハ其ノ便ノ極メテ大ナルハ固ヨリ論ヲ待クサルナリ政府ハ
  之ニ對シテ相當ノ施設アラムコトヲ望ム
  右建議ス
  二十五名和昆蟲〓究所ニ交付スヘキ國庫補助金追加豫
  算ノ提出ニ關スル建議案(稻垣示君外四名提出)
  政府ハ名和昆蟲〓究所國庫補助費ヲ豫算追加案トシテ速ニ議會ニ提出セラ
  レムコトヲ望ム
  右建議ス
  二十六家祿處分ニ關スル建議案(佐藤〓君外四名提出)
  政府ハ曩ニ法律第五十號家祿賞典祿處分法ヲ發布セラレ家祿賞典祿ニ關シ
  錯誤ノ處分ニ依リ相當額ノ給與ヲ受ケサル者及相當額ノ給與ニ不足アル者
  ヲシテ各其ノ給與ノ恩典ニ浴セシメタリ然ルニ法文偏狭ニシテ單ニ明治三
  年藩制施行以後ニ限ラレタル爲藩制以前ニ於ケル同一ノ錯誤若ハ當局者ノ
  懈怠ニ因リ處分未濟等ノ爲無告ノ悲境ニ沈淪セル東北其ノ他各藩士卒ノ如
  キ此ノ恩典ニ與ル克ハサルハ極メテ偏頗ノ處置ニシテ一視同仁ノ聖旨ニ
  背戾スルモノト云ハサルヘカラス依リテ政府ハ此等不幸ノ士卒ヲシテ均ク
  救濟ノ恩典ニ浴セシムヘキ適當ノ法案ヲ制定シ帝國議會ニ提出アラムコト
  マヨハ
  右建議ス
  二十七下總國舊牧開墾地ニ關スル建議案(高津雅雄君外五名提出)
  下總國元小金佐倉十牧開墾地事業ハ明治維新ノ初朝廷至仁ノ聖意ニ基ツキ
  究民救助授產ノ目的ヲ以テ施行セラレシ所謂恤窮ノ恩典ニ出テタル開墾ニ
  シテ當時政府ハ特ニ開墾局ヲ設置シ開墾規則ヲ制定シ究民救助授產ノ方法
  ヲ規定シ開墾基金トシテ二十萬兩ノ國庫金ヲ支出シ以テ此ノ開墾ノ偉業ヲ
  實施セラレシモノナレハ政府ハ該規定ニ依リテ以テ開墾ノ處分ヲ爲ス一下
  コトハ當然ナリ然ルニ當局者カ未タ該地ノ處分ヲ爲サヽリシニ其ノ處分未。
  濟ノ地ニ對シテ千葉縣廳カ失當ナル地券狀下付ヲ爲シタルヲ以テ開墾人民
  穫得セラルヘキ地所ノ所有權ヲ得ル能ハスシテ爲ニ悲慘ノ境遇ニ陷リ當初
  開墾施行ノ本領タル恤窮ノ思典ハ空ク烟散霧消ニ歸セムトス之ヲ以テ該件
  ノ議會ニ請願アリタル既ニ數次乃チ第八囘議會第十四囘議會及今期議會ニ
  於テ本院ハ該請願ノ旨趣ノ至當ナルヲ認メ之ヲ採擇シ政府ニ送付セリ故ニ
  本院ハ政府カ速ニ之ヲ關査シ相當ノ處分セムコトヲ望ム
  右建議ス
  二十八私設鐵道新線路布設ニ對シ補給利子ヲ附與スル
  件ニ關スル建議案(恆松隆慶君外二名提出)
  內地交通機關ノ普及速成ヲ期セムカ爲官設豫定線中縱貫線ニシテ緊急必要
  ト認ムル私設鐵道新線路敷設ニ對シ相當ノ補助又ハ補給利子ヲ付與スル方
  法ヲ實施セラレムコトヲ望ム
  右建議ス
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 187・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　此各案ニ就イテ、九名ノ審査委員ヲ議長ガ指名スルト
  云フ動議ガ出マシタガ、是モ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=187

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• 188・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　御異議ガナケレバ其通致シマス、報〓ガアリマス
  〔書記朗讀〕
  政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  生絲檢査所法中改正法律案
  貴族院ヨリ送付セラレタル議案左ノ如シ
  馬匹去勢法案
  同院ヨリ囘付セラレタル議案左ノ如シ
  鍬下年期新開免租年期地價据置年期ノ延長ニ關スル法律案
  水害地方田畑地租免除ニ關スル法律案
  議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  決議案
  提出者鳩山和夫君原田赳城君大東義
  河野廣中君神鞭知常君田口卯郎吉徹君君君
  臼井哲夫君佐々友房君島田三
  鈴木重遠君
  委員ヲ指名スル左ノ如シ
  巡査看守退隱料及遺族扶助料法律案
  井上彥左衞門君井上源衞君深尾龍三君
  武市庫太君磯田和藏君和泉邦彥君
  橋本久太郎君浦野錠平君
  瀆職法案
  竹內正志君藤澤幾之輔君關直彥君
  田口卯吉君後藤文一郞君丸山嵯峨一郞君
  靑柳四郞君新開貢君村野常右衞門君
  狩獵法改正法律案外一件
  三輪潤太郎君兒島惟謙君堀越寛介君
  四宮·有信君恆松隆慶君中辰之助君
  有村連君齋藤和平太君佐藤昌藏君
  田畑地價特別修正法律案
  佐藤宗彌君平岡萬次郞君西田收三君
  鹽田忠左衞門君多田通君石田貫之助君
  野間豐五郞君山口定省君後藏文一郞君
  山形縣下郡界變更法律案
  秋保親兼君室孝次郞君佐治幸平君
  佐藤里治君戶狩權之助君西村淳藏君
  脇坂行三君齋藤卯八君田中喜太郞君
  葉煙草專賣法中改正法律案
  今村千代太君西原〓東君富永隼太君
  門馬尙經君橋元勗君雨森菊太郞君
  渡邊猶人君永井嘉六郞君關信之介君
  郵便貯金利子割增ニ關スル法律案
  磯部八五郞君岡本松太郎君大隈英麿君
  村瀨庫次君內田雄藏君藤金作君
  西川宇吉郞君古谷新作君長瀨〓一郞君
  商船學校生徒遺族扶助ニ關スル法律案
  市島謙吉君加藤政之助君吉田源八君
  天野若圓君河北勘七君西谷金藏君
  土居平左衞門君齋藤壽雄君持田直君
  史談會國庫補助ニ關スル建議案
  鹽路彥右衞門君永田佐次郞君首藤陸三君
  田口卯吉君根本正君大久保鐵作君
  草刈武八郞君兒玉仲兒君赤土亮君
  酒類造石稅納期改正ニ關スル建議案
  佐藤宗彌君鈴木文三郞君廣住久道君
  內藤正義君長坂重孝君粕谷義三君
  內藤守三君上條愼一郞君鮫島相政君
  札幌農學校ヲ大學ト爲スノ建議案
  秋保親兼君大隈英麿君安川繁成君
  原田赳城君松岡長康君佐久間國三郞君
  佐藤琢治君井上角五郎君國重政亮君
  帝國古蹟取調會國庫補助ニ關スル建議案
  佐藤伊助君大塚成吉君大津淳一郞君
  松尾又雄君早川龍介君野尻岩次郞君
  淺野順平君靑木正太郞君堀豐彥君
  野蒜築港ニ關スル建議案
  須藤善一郞君首藤陸三君安川繁成君
  宮井茂九郞君田村順之助君山口熊野君
  管原傳君橫山通英君武石敬治君
  名和昆蟲〓究所ニ交付スヘキ國庫補助金追加豫算ノ提出ニ關スル建議案
  初見八郎君大村和吉郞君大矢四郞兵衞君
  並河理二郞君江角千代次郞君石井鼎君
  河口善之助君森本確也君麻生太吉君
  家祿處分ニ關スル建議案
  德差藤兵衞君中島祐八君中山平八郞君
  小栗貞雄君堀家虎造君高橋九郞君
  齋藤安雄君佐久間元三郞君北田豐三郞君
  下總國舊牧開墾地ニ關スル建議案
  岡田龍松君山田武君秋山源兵衞君
  四宮有信君高津雅雄君望月圭介君
  大塚常次郞君市岡政香君神藤才一君
  私設鐵道新線路敷設ニ對シ補給利子ヲ付與スル件ニ關スル建議案
  加藤六藏君中山平八郞君福田久松君
  山內吉郞兵衞君中津誠一郞君武市彰一君
  山本幸彥君吉岡直一君鈴木忠兵衞君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=188

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• 189・片岡健吉

  ○議長(片岡健吉君)　明日ハ例刻ヨリ會議ヲ開キマスルガ、議事日程ハ公報
  以テ御通知ヲスルコトニ致シマス、今日ハ是ニテ〓會致シマス
  午後四時三十九分〓會
  衆議院議事速記錄第十一一號正誤
  頁段行誤正
  一四三下一五七八升七八種
  衆議院議事速記錄第十三號正誤
  頁段行誤正
  一九八下三三終ツテ經ツテ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001513242X01419010318&spkNum=189

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