第23回帝国議会　衆議院　本会議　第18号　明治40年3月19日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  　明治四十年三月十九日（火曜日）午後一時十二分開議
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  　　議事日程　第十七號　明治四十年三月十九日
  　　　　午後一時開議
  　　第一　市町村立小學校教員退隱料及遺族扶助料法中改正法律案（政府提出）　第一讀會
  　　第二　右議案の審査を付託すへき委員の選舉
  　　第三　臺灣に於ける特別の輸入税に關する法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第四　關税定率法輸入税表中改正法律案（森本駿外四名提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第五　明治三十四年法律第二十七號中改正法律案（植場平外七名提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第六　鹽專賣法廢止法律案（早速整爾外二名提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第七　鹽專賣法廢止に關する建議案（南條吉左衞門外四名提出）　（委員長報告）
  　　第八　本院の體面に關し調査の件　（委員長報告）
  　　第九　（特別報告第十九號）高等工業學校設立の請願　（委員長報告）
  　　第十　（特別報告第二十八號）漆樹栽培保護の請願外一件　（委員長報告）
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• 001・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　是ヨリ諸般ノ報告ヲ致シマス
  〔書記朗讀〕
  一貴族院ヨリ本院ノ囘付ニ係ル政府提出刑法改正案ハ本院ノ修正ニ同意スルコト
  ヲ得サルモノト議決シ兩院協議會ヲ開クコトヲ請求シ且協議委員ノ數ヲ十名ト爲
  スコトニ決シタル旨同院ヨリ通牒アリタリ
  一政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  明治四十年度歲入歲出總豫算追加案(第二號)
  明治四十年度各特別會計歲入歲出豫算追加案(特第二號)
  一議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  臺灣彩票局廢止建議案
  提出者高梨哲四郞君
  一荒川五郞君ヨリ學制及學事ニ關シ花井卓藏君外四名ヨリ海馬島ニ關シ質問主
  意書ヲ提出セラレタリ
  〔左ノ報告ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲玆ニ揭載ス〕
  一委員長及理事左ノ通リ當選セラレタリ
  司法官ノ待遇ニ關スル建議案
  委員長古賀庸藏君理事松本孫右衞門君
  一指定セラレタル委員左ノ如シ
  公共團體課稅ノ制限ニ關スル法律案
  宮部襄君石井信君森肇君
  神前修三君井上要君大津淳一郞君
  荒川五郞君城重雄君松本恆之助君
  統監府及關東都督府等在勤官吏ノ恩給及遺族扶助料ニ關スル法律案外二件
  丹後直平君伊藤傳右衞門君小田貫君
  後藤文一郞君降旗元太郞君佐々木正藏君
  安達謙藏君富島暢夫君武藤金吉君
  租稅其ノ他ノ收入徵收處分囑託ニ關スル法律案
  海野謙次郞君上野彌一郞君森懋君
  岩元信兵衞君野木善三郞君安田勳君
  奧村善右衞門君嶺山時善君早速整爾君
  國有林野拂下ニ關スル建議案
  宮古啓三郞君中西六三郞君池松豐記君
  牧野元君橫井甚四郞君金作君
  中林友信君太郞君品牌出席 珍珠奶茶 肉山彰君
  河井重藏君安全套餐桂吉君
  佐藤伊助君石谷傳四郞君長澤單卷本書
  鈴木摠兵衞君近江谷榮次君岩本晴之君
  米國「ゼームスタウン」博覽會出品國庫補助ニ關スル建議案
  村松愛藏君根本正君森本駿君
  奥野市次郞君竹村良貞君管澤重雄君
  天野董平君松元剛吉君島田三郞君
  〔左ノ質問書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲茲ニ揭載ス〕
  學制及學事ニ關スル質問書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治四十年三月十九日
  提出者荒川五郞贊成者安達謙藏
  外六十一名
  學制及學事ニ關スル質問書
  第一〓育ノ大方針ヲ確立シテ〓育者ノミナラス一般衆庶ノ遵由スヘキ所以ヲ明
  ニスルハ國家ノ最大要務タルコト言ヲ要セス是ヲ以テ系統ヲ正シテ學制ヲ制定スヘ
  シトハ多年朝野ノ宿論タリ知ラス現文部大臣ハ如何ナル用意將タ計劃セラルヽコ
  トアリヤ
  第二曩ニ制定發布シテ小學兒童ニ實施セラレタル國語及字音假名遣ヒ法ハ世
  人ノ倶ニ大ニ批難セル所ナリシカ今又更ニ之レカ改定案トシテ高等〓育會議ニ諮
  問セラレタルモノヲ見ルニ均シク從來ノ國用竝ニ慣習ト一般セザルノミナラズ一般
  國語學者及文學社會ニ於テモ否認セラレ居ル所ナリ然ルニ文部大臣ハ尙之ヲ實
  施セントセラルヽカ
  第三小學校〓員ノ待遇ヲ改善セサルヘカラサルコトハ既ニ社會ノ定論トナレリー
  然ルニ政府ハ唯一ノ〓育表彰ノ法ヲ開ケルノ外更ニ施設經營セラルヽトコロアルヲ
  聞カスシテ今日ノ現狀ハ倍有爲ノ才ヲ他ニ驅出シツヽアリ此ノ如キハ國民〓育ノ
  目管之ミ所以テテススニ二家家メリニ標ムエキリ立部天臣ハ果シ和
  手段方法ヲ執ラントセラルヽカ
  第四文部大臣ハ客年六月一日ノ訓令ヲ發シテ靑年子女ノ意氣銷沈風紀頽廢
  ノ傾向アルヲ憂慮シ社會風潮ノ輕薄ニ流レ靑年子女ニ對スル誘惑日益多キヲ說
  キ學校ノ內外ヲ問ハス嚴ニ之ヲ禁遏スルノ方法ヲ取ラサルヘカラストナシ又極端ナ
  ル社會主義者カ〓員生徒等ヲ註感シ危險ノ思想〓育界ニ傳播センコト國家將
  來ノタメ最寒心スヘキヲ說ケリ然ルニ爾來大臣カ之レカ戒飾禁遏ノ方法ヲ取ラレ
  タルコトヲ聞カス大臣ハ果シテ一片ノ訓令ノミヲ以テ其目的ヲ達シ得ヘシトセラルヽ
  カ
  第五曩ニ償金ヨリ拆キテ〓育基金ヲ置キタルハ戰功カ〓育ノ普及發達ニ因ルモノ
  多キヲ明ニシ之レカ利子ヲ使用シテ奬勵スル功ヨリモ寧ロ基金其者カ間接ニ〓育
  者界ニ與フルノ影響ハ大ナルモノアリ故ニ之ヲ日露戰役ニ使用セラレタルモ戰役竣
  リ臨時國庫剰餘金ヲ必要ノ國費ニ充テラルヽニ當ッテハ先ツ第一ニ此基金ヲ補充
  セラルヘキハ必須中ノ必須ノ事タルヲ信シ天下ノ偕ニ囑望シタル所ナリシニ政府ハ
  唯〓育奬勵費ヲ置クノ外之レカ基金ノ塡補ヲ圖ラルヽ所ナシ知ラス大臣ハ果シテ
  何レノ時ニ於テ之ヲ塡補セントセラルヽカ
  第六清國留學生ノ數ハ今ヤ一万ヲ數ヘ將來益其多キヲ加ヘントス善鄰ノ爲メ將
  タ國家自營ノ爲メニモ之ニ對スル措置ハ其關スル所極メテ重且大ナルモノアルヲ信
  スルナリ然ルニ目下ノ狀況ハ或ハ彼我ノ關係ヲ乖離セシメ將來國交ノ障害ヲ致ス
  ヤノ虞レアリ文部大臣ノ之ニ對スル手段及方針如何
  海馬島ニ關スル質問主意書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治四十年三月十九日
  提出者花井卓藏小川平吉磯部四郞
  森肇久保田與四郞
  贊成者奧田義人
  外四十七名
  海馬島ニ關スル質問主意書
  第政府カ樺太海馬島ニ於ケル漁業ノ許可ニ關シ採ル所ノ方針如何
  第二政府カ明治三十九年度ニ於テ海馬島ニ何等ノ緣故ヲモ有セサル大野龜三
  郞ニ同島ノ漁業ヲ許可シ同島ニ緣故及功績ヲ有スル志田力二ニ之ヲ許可セサ
  リシ理由如何
  第三政府カ明治四十年度ニ於テ大野龜三郎ニ海馬島六箇所ノ漁業ヲ許可シ志
  田力二ニハ僅ニ二箇所ノ漁業ヲ許可シタルニ過キサル理由如何
  第四海馬島ニ於テハ明治三十七年四月以降左ノ幾多ノ犯罪行ハレタリ
  (1)官名詐稱詐欺取財
  (二)物品及建造物張壞
  (三)强盜制縛及毆打
  (一四)殺人未遂
  (一七)殺人
  (六)建造物毀壞
  前記ノ被害者ハ或ハ宗谷警察署爲泊分署ヲ經テ札幌地方裁判所ニ或ハ之ヲコ
  ルサコフ憲兵本部ニ或ハ之ヲマウカ憲兵分隊ニ告訴シタルニ當該官憲ハ更ニ檢舉
  ノ手續ヲナサス又マウカ憲兵分隊カ告訴ヲ受理セサリシ理由如何
  樺太ニ於ケル漁業ハ各漁場每ニ漁業料ヲ競爭入札ニ附シ其落札者ニ許可スヘキ
  コトハ樺太漁業假規則ノ規定スル所ナレトモ海馬島ハ同規則ノ支配外ニ立ツモノ
  ナルヲ以テ民政長官ノ隨意處分ヲ以テ漁業ヲ許可スルコトヲ得ヘシトハ當局者ノ
  解釋ナリ此時ニ於テ海馬島ニ緣故アリ功績アルモノニ之ヲ許ス可キハ行政官ノ當
  ニ踏ムヘも軌道ニシテ現ニ能谷民政長官モ亦此方針ヲ搾ルヘキコトヲ明言セリ而
  シテ志田力二ハ同島ニ左ノ緣故及功績ヲ有ス
  拓殖ノ經營
  (イ)明治二十四年以降屢海馬島ヲ採險シ明治三十二年中露人バーヱル、スム
  イスロースキーノ名義ヲ以テ漁業ノ許可ヲ露國政府ニ出願シ明治三十四年中
  故アリテスムイスロースキート袂ヲ分チ更ニ露人シタベーリノ名義ヲ以テ之ヲ出
  願シ其出願中目露國交ノ斷絕ヲ見ルニ至リタルモノニシテ共間露國ニ出張シ
  ハヾロフスク總督府ニ出張スルコト三囘ニ及ヘリ
  (ロ)明治三十八年五月同島ニ渡航シ左ノ殖林ヲナシタリ
  一日ノ出カ浦落葉松一千本植付
  一〓水谷同一千二百本植付
  日ノ出カ浦ノ內〓水瀧下同五百本植付
  一中尾泊同八百本植付
  海馬カ濱同五百本植付
  鷗澤同五百本植付
  一大澤同五百本植付
  日ノ出浦ノ內朝日岳ノ下同五百本植付
  (ハ)同島最難所ノ山道ヲ全長凡ソ一里餘私費ヲ以テ開鑿シ以テ一般出稼人ノ
  通路ニ供シタリ今日同島ニ渡航スル者ハ何人ト雖モ皆此道路ニ頼ラサルヲ得ス
  (ニ)同島ノ內十三箇所ハ漁業豫定地トシテ開拓シ草苅、リ地均シヲ爲シ且ツ道路
  ヲ開鑿セリ
  二露兵ノ擊退
  明治三十八年六月二十八九日露兵二十七名同島ニ來襲ス、志田力二ハ決死
  隊ヲ組織シ之ト戰ヒテ敵ノ指揮官以下六名ヲ斃シ殘敵ヲ撃退シ且ツ數多ノ分捕
  品ヲ獲テ(後大本營ニ提出セリ)事實上ノ占領ヲ爲シタリ此時志田力二ノ部下
  相坂善次郞不幸敵彈ニ斃レタリ
  三第四艦隊ノ嚮導及望樓ノ保管
  志田力二ハ明治三十八年七月六日北見國利尻島ニ於テ第四艦隊司令官ヨリ
  樺太西海岸水路嚮導ノ重任ヲ命セラレ直ニ其旗艦ニ乘組ミタリ同月七日同艦
  隊ハ海馬島ニ到著シ上陸シテ最高地點ニ日章旗ヲ翻シ此ニ同島ハ我軍ノ占領ニ
  歸セリ翌八日御用濟トナリ軍艦臺南丸ニヨリ利尻島ニ送還セラレ謝狀ヲ司令官
  中尾海軍少將ヨリ授與セラレタリ(謝狀アリ略ス)志田力二ハ明治三十八年十
  月二十四日一瀨橫須賀鎭守府上等筆記ヨリ同島ニ於ケル望樓附屬建築物一
  切ノ保管ヲ委託セラレ尋テ同三十九年二月二十日福永橫須賀海軍經理部長
  ヨリ海馬島海軍附屬建築物一式ノ保管ヲ委託セラレ爾來引續キ保管中ナリ(保
  管委託書二通アリ略ス)
  四水難救濟及組合ノ設置
  明治三十八年五月四日同島ニ於テ築山建太郞ノ漁夫九名暴風ノ難ニ遇ヒタル
  ヲ救助シ又同年六月一日漂流者內田增吉外拾貳名ヲ救助シタルヲ始メトシテ
  水難救濟ノ事ニ當リタルコト少ナカラス而シテ帝國水難救濟會ハ同島ニ救濟組
  合ヲ設置スルノ必要ヲ認メ會長吉井伯爵ハ志田力二ヲ其組合長ニ任命シ同組
  合ハ同年六月一日ヨリ事務ヲ開始セリ
  五海馬島ノ命名
  本島ハ原名「トドモシー」ト稱ス「トヾ」トハ同島ニ棲息スル海默ヲ云フ「モシリ」トハ
  島ト云フ意味ナルヲ以テトヾノ居ル島卽チ「トヾモシリ」ト唱エラレタリ然ルニ明治八
  年樺太島カ千島列島ト交換セラルヽヤ露國ハ之ハ「モ子ロン」島ト改稱セリ乍然邦
  人ハ「アイヌ」土人ノ通稱タル「トヾモシリ」卽チ「トヾ島」ト唱エ居リシモ志田力二ヵ
  同島ニ開拓經營ノ目的ヲ立テ是ヲ海馬島ト命名セルニ因シ以テ今日ノ通稱トナ
  ルニ至レリ
  此ノ如クニシテ志田力二ハ海馬島ニ於テ深大ナル緣故ヲ有シ殊ニ其功績ニ至リテ
  ハ又沒スヘカラサルモノアリ然ルニ政府ハ明治三十九年度ニ於テハ鰊漁期既ニ過
  キ去リタル同年五月三十日付ヲ以テ鰊漁業ヲ志田力一一ニ許可セスシテ大野龜三
  郞ニ許可シタリ殊ニ熊谷民政長官ノ如キハ其許可ノ公表以前四月二十七日京
  橋銀座局ヨリ長官名義ヲ以テ大野ト相通スル漁業經營者五十嵐億太郞(北
  海道々會議員)ニ同日午後二時四十分發電報ヲ以テ「キヨキヨウチヤクシユジユン
  ビサシツカヘナシ」ト便宜ニ豫メ通知シタルハ頗ル奇怪ナルノミナラス大野龜三郞
  ハ海馬島ニ何等ノ緣故ヲ有スルモノニ非ス
  然レトモ明治三十九年度ニ於テハ政府ハ志田力二ノ海馬島ニ於ケル緣故及功
  績ヲ知ラサリシトセンカ左スレハ之ヲ認ムルト同時ニ大野龜三郞ニ對スル許可ヲ取
  消シ志田力二ニ全部ノ許可ヲ與フヘキ筋合ニアラスヤ
  假ニ三十九年度ニ於ケル大野龜三郞ニ對スル許可ヲ以テ一ノ緣故ナリトセハ漁場
  ヲ折半シテ均等ニ許可ヲ與フルハ最モ公平ナル處措ナリト信ス然ルニ明治四十年
  度ニ於テ大島龜三郞ニ六箇所ノ漁業ヲ計可シ志田力一一ニハ僅々二箇所ノ漁業ヲ
  許可シタルニ過キサルハ如何ナル理由ナルヤ
  是レ第一乃至第三ノ質問ヲ提出スル所以ナリ
  明治三十七年四月以降海馬島ニ於テ行ハレタル犯罪ハ質問事項第四ニ掲クル所
  ノ如クニシテ之ヲ細敍セハ下ノ如シ
  一官名詐稱及詐欺取財
  明治三十七年四月中ヨリ同年七月頃迄甲辰義會員福本万作阿部茂惣八等
  ハ軍服ヲ著ケ勳章ヲ懸ケ軍刀ヲ帶ヒ參謀本部ノ軍人ナリト詐稱シ同島出稼人ニ
  對シテ漁業稅トシテ收獲物ノ五割以下ヲ奪取シ又渡島券ト名ケ同島出入者ニ
  證明書ヲ交付シタリト云フ
  二强盜制縛及毆打
  明治三十七年八月中志田力二ノ部下相川直之等本島中尾泊ニ上陸シ小屋
  掛ケ爲シ居タル所日本人三名拔刀棍棒ヲ携ヘ劒付鐵砲ヲ所持スル樺太土人六
  名ヲ從ヒテ入リ來リ土人ニ命シテ相川等ノ荷物(米鹽味噌其他日用品)一切ヲ
  其乘リ來リタル船ニ積ミ込ミ持チ去ラシメ相川等ノ一行ヲ船中ニ監禁シ相川ヲ其
  事務所ニ連レ行キ同人ヲ審問シタル末阿部茂惣八福本万作等ハ棍棒ヲ以テ相
  川ノ頭部ヲ亂打シ且配下ノ者ニ命シテ之ヲ縛シ尙毆打ヲ續ケ剩ヘ頭部ニ放尿シ
  テ有ユル凌辱ヲ加ヘ遂ニ人事不省ニ陷ラシメタリ偶利尻郡鴛泊村瀧川瀧三ナル
  者來リ相川ノ爲メニ百方哀願シ同人ハ辛シテ死地ヨリ救ヒ出サルヽヲ得タリト云
  フ
  三物品及建造物毀壞
  明治三十八年七月中ヨリ同年八月中ニ至ル迄ノ間ニ於テ甲辰義會員ハ左ノ所
  業ヲ爲シタリト云フ
  (甲)明治三十八年七月中松本園四郞ナル者番人ヲ强迫シテ之ヲ追ヒ拂ヒク
  ル末志田力二所有ノ標杭ヲ拔キ取リ之ヲ海中ニ投棄シタリ
  (乙)同年同月中長澤貞二一郞森山米之丞ハ小池海馬島海軍望樓長ヨリ他
  人ノ家屋ヲ破壞スルハ甚タ不法ナル行爲ニ付キ左樣ナルコトハ爲スヘカラスト
  說諭セラレタルニモ拘ハラス阿部、松本、長澤、高橋、森山、中村市太郞龜本
  庄八等ハ志田力二ノ保管ニ係ルアイヌ物置倉庫ヲ破壞シタリ
  (丙)同年八月中前記ノ數名ハ志田力二所有ノ住宅一一棟ヲ破壞シタリ
  四殺人未遂
  明治三十九年五月三日相川直之ハ人夫ヲ引連レ鰊漁獲ニ從事中午前十時三
  十分頃甲辰義會ノ事務所ノ前ニ多人數群ヲ成シ志田力二ノ事務所ノ方ニ向
  テ發砲スル者アリ須臾ニシテ山本豐次郞ナル者志田力二ノ事務所ニ到リタルニ相
  川ハ不在ニテ錠ヲ懸ケ置キタレハ豐次郎ハ第一人夫部屋ニ蹈ミ込ミ來リタルモ人
  夫ハ濱ニ出テ唯飯焚一人殘リ居タルノミナルヲ以テ更ニ土足ノ儘ニテ第二ノ部屋
  ニ闖入シ部屋頭伊藤健嗣ノ居合セタルヨリ同人ニ對シ此野郞殺シテ仕舞フワト
  脅迫シテ鐵砲ヲ擬シ相川ヲ出セ隱シテ置クト貴樣ヲ殺スツナト暴言ヲ吐キ散ラシ
  夫レヨリ濱ニ出テ人夫ノ仕事場ニ至リテ發砲シ且ツ鐵砲ヲ以テ人夫ヲ亂打シタ
  リ相川ハ何事ノ起リシヤト磯船ニ乘リテ上陸シ第二ノ人夫部屋ニ赴ムキタルニ此
  時豐次郞ハ太田、伊藤ノ兩人ヲ脅迫シ居タカト云イナカラ鐵砲ヲ擬シタリ相川ハ
  身ニ寸鐵ヲモ帶ヒサルヲ以テ矢庭ニ鐵砲ニ飛ヒ付キ豐次郞ノ所持セル銃ヲ奪ヒ取
  リ早クモ附近ノ岩石ニ打チ付ケ其用ヲ爲サヽラシメタリ豐次郞ハ相川覺エテ居口
  ト云ヒツツ渠等ノ事務所ニ引取リタリ
  相川ハ晝飯ヲ喫シテ又沖合ニ出テント思ヒ居タル所沖合ヨリ大音ニテ相川サン
  「往ッタゾ〓〓」ト呼フ聲聞ユ依テ相川ハ〓事ヲ中止シ部屋ノ外ニ出テントスル時山
  本豐次郞ハ拔刀ヲ携ヘ來リ長澤眞一郎梶三五郞ノ兩人其後ニ尾シ豐次郞ハ相
  川ヲ目ケテ斬リ掛リタリ相川ハ是ニ於テ有合ノ棍棒ヲ把リ之ヲ防クノ已ムヲ得
  サルニ至レリ此時眞一郞飛ヒ込ミ來リ相川ニ對シビストル二發ヲ放チタルモ中ラス
  彼是スル內伊藤健嗣其他一一三人馳付ケ來リ豐次郞ノ刀ヲ奪ハントシタルニ梶三
  五郞ハ僕ニ渡セト云ヒツヽ其刀ヲ受取リ持チ去リタリ夫レヨリ眞一郞ハ當日志田
  力二部下ノ者カ沖合ヨリ漁獲ノ鰊ヲ積ミ込ミ來リタル船ニ乘込ミビストルヲ振廻シ
  漁夫曲戶三郞ナル者ニ差向ケタレハ曲戶ハ必死トナリテ眞一郎ヲ組伏セ之ヲ奪
  ヒタルモ後遂ニ取還サレタリ軈テ豐次郞眞一郞等ハ渠等ノ小屋ニ引掲ケタリ依
  テ相川ハ再ヒ沖合ニ出テ人夫ヲ督シテ漁業ニ從事シ居リシカ今日午後一時三十
  分頃ニ至リ豐次郞ハ銃ヲ携ヘテ磯船ニ乘込ミ相川ヲ追尾シ來リ將ニ相川ノ船ニ
  漕付ケントスルヲ以テ相川ハ直チニ筵ヲ冠リテ船底ニ隱クレタリ豐次郎ハ片手ヲ銃
  ノ引金ニ懸ケテ之ヲ持シ片手ヲ以テ船中ヲ搜索シ始メタリ而シテ相川ヲ發見スル
  ヤ直ニ銃口ヲ差向テ己レ覺悟シロト呼ヒツヽ身構ヒタルヲ以テ相川ハ急チ其銃ニ
  飛ヒ付キタルニ此時遲ク彼時早ク豐次郞ハ爆然發砲シ彈丸ハ相川ノ左掌ヲ貫通
  シ更ニ傍ニ居リシ佐藤金助ノ衣服ノ裾ヲ貫通シテ海ニ落チタリ相川ハ其五連發
  銃ナルコトヲ知リタルヲ以テ鮮血淋漓タルニモ頓著セス死力ヲ出シテ豐次郎ト爭鬪
  シ遂ニ其銃ヲ奪フヲ得タリ豐次郞ハ其乘來リタル磯船ニ飛乘リ倉皇陸ニ向テ漕キ
  去リタリ
  五殺人
  明治三十九年七月四日夜相川直之ハ小屋ニ在リテ書面ヲ認メ終リテ寢ニ就カ
  ントシ午後十時便所ニ往カント片足敷居ヲ跨クヤ爆裂彈ヲ踏ミタルモノト覺シク
  凄シキ音聲ト共ニ爆發シテ其左ノ足首ニ負傷シタリ此時小屋ノ彼方ニ一黑影暗
  ヲ縫テ道ケ去ルヲ瞥見シタリト云フ
  相川ハ直ニ自ラ應急手當ヲ施シタルモ創傷容易ニ癒ヘサルヲ以テ同年七月十二
  日小樽ニ歸リテ愛生病院ニ入院シ治療ヲ受ケタリ同病院ハ足ノ甲中ニ爆裂彈
  ノ破片殘留セルヲ發見シ之ヲ拔キ取リタルカ遂ニ破傷風トナリ同月十五日空シタ
  不歸ノ客トナレリト云フ
  六建造物毀壞
  渠等ハ相川直之ノ負傷シタル翌日卽チ明治三十九年七月五日夜日ノ出ガ浦ナ
  ル〓水瀧ノ下ニアル志田力二ノ小屋ヲ破壞シ其材木ハ之ヲ濱邊ニ投棄シ且ツ其
  跡ニ自ラ小屋ヲ建設シタリト云フ
  前記中一二ノ犯罪ニ付テハ其當時宗谷警察署爲泊分署ヲ經テ札幌地方裁判
  所ニ三四ノ犯罪ニ付テハ於其當時コルサコフ憲兵木部ニ之ヲ〓訴シタルニ爾來杏
  トシテ更ニ何等ノ消息ナシ只最モ怪ムヘキハ四ノ犯罪ニ付キ取調ノ爲メ海馬島ニ
  出張セルマウカ憲兵分遣所靑木憲兵上等兵ニ相川直之ヲ銃殺セントシタル加害
  者山本豐太郞(五十嵐億太郞雇人)ハ昨年七月渡島以來同九月ニ至ル迄同
  島五十嵐番小屋ニ同居飮食ヲ共ニシナカラ分遣所ニ對シテハ山本豐太郎ナル者
  行衞不明ナリト虛僞ノ報告ヲ爲シ以テ事實ヲ誣ヒ居ル事是ナリ又六ノ建造物破
  壞ハ之ヲ明治三十九年七月中モウカ憲兵分隊ニ〓訴シタルニ受理スル所トナラス
  當局者ノ辯明スル所ニ依レハ海馬島ハモウカ憲兵分隊ノ管轄ニアラスト云フ然レ
  トモ民政署モウカ支署ハ海馬島ヲ以テ其管轄ナリト斷定シ現ニ支署長ノ名ヲ以テ
  在海馬島志田力二ニ對シ命令書ヲ發布セリ之レ一大矛盾ナリ假リニ海馬島ハモ
  ウカ憲兵分隊ノ管轄ナルヤ否ヤハ一ノ疑問ナリトスルモ同分隊ハ〓訴狀ヲ受理シ
  テ之ヲ管轄官憲ニ送付スヘキハ相當ノ處措ニ非スヤ又五ノ殺人ニ付テハマウカ憲
  兵分隊ヨリ憲兵ヲ出張セシメ取調フル所アリシモ今日ニ至ル迄何等ノ反響ナシ知
  ラス其取調ノ結果如何
  是レ最後ノ質問ヲ試ムル所以ナリ
  右及質問候也

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=1

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• 002・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　是ヨリ會議ヲ開キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=2

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• 003・武藤金吉

  ○武藤金吉君　チヨット私ハ質問書ノ答辯ニ付キマシテ一言致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=3

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• 004・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　質問書ノ督促ノコトデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=4

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• 005・武藤金吉

  ○武藤金吉君　サウデス、私カラ出シマシタ足尾銅山豫防命令ニ關スル答辯ハ五十
  有餘日ニナリマシテ、今日未ダ政府カラ答辯ガアリマセヌ、最早議會モ餘ス所ハ僅デゴ
  ザイマスノデ、此際議長カラ速ニ答辯アルヤウニ御請求ヲ願ヒタイ、重ネテ督促致シマス

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• 006・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　荒川五郞君
  〔荒川五郞君登壇〕

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• 007・荒川五郎

  ○荒川五郞君　諸君、茲ニ學制及學事ニ關スル質問ノ要旨ヲ簡單ニ說明シマシテ、其
  答辯ヲ要求致シマス、抑〓育リ大方針ヲ確立シテ其據ル所ヲ明カニ致シマスルノハ、〓育
  家ニ對シテノミナラズ、一般國民ニ對シテ最モ必要ナコトデ、是ハ國家ノ進運ニ伴ッテ國
  で民ノ知識、併ニ品位ヲ高メル大方針ヲ確定致シマスルコトハ國家ノ最大要務デアル
  故ニ〓育ノ系統ヲ正シテ、學制ヲ制定スベシト云フ議論ハ、多年朝野ノ宿題ニナッテ居
  リマスノデゴザイマス、然ルニ今日尙未ダ其確立ノ域ニ至ラナイ、其方針ガ不同躊躇ノ
  間ニアリマスルコトハ、國運發展ノ今日ニ於テ一大缺〓トシテ、爲ニ國家國民ノ進運ノ
  上ニドレダケノ損害ヲ致スカ分ラナイ次第デゴザイマス、方針ガ立タズ、統系ガナイ今日
  ノ〓育制度ハ、下ハ小學カラ上ハ大學ニ至ル迄唯漫然ト學科ヲ彼等兒重學生ノ腦髓
  ニ詰込ンデ、學科ヲ〓ユルト云フヤウナ有樣デ、少シモ其目的ノ人ヲ作ル上ニ於テ活用
  致サナイ、殊ニ今日〓育界ニ於ケル階級的待遇、人物的名譽、及特權ハ獨リ大學ニ
  壟斷セシメテ、我靑年子弟ヲシテ大學萬能力ヲ仰ガシムル、其弊ハ極度ニ達シマシテ、
  此專門〓育ヲ主トスベキ高等學校ノ如キハ其學生ヲ舉ゲテ悉ク大學ノ一途ニ希望ヲ
  向ケシメ、恰モ高等ノ學校ハ大學ノ豫備校トナッテ、サウシテ中學モ亦其高等學校ノ豫
  備タル有樣ヲ致シマシテ、天下靑年學生ヲシテ悉ク大學ト云フ一ノ標榜物ニ向ハシムル
  ヤウナ有樣デ、天下大學ノ外マダ靑年登龍ノ門ナキコトヲ思ハシムルニ至リマシタガ故ニ、
  全國內ノ許多ノ中學生、是ハ普通中等〓育ヲ授ケテ、中等國民ヲ養成スベキ其〓育
  ガ、大學ノ豫備門ノ其豫備門トナリ、進ンデ高等學校ニナリマシテモ、是等モ明カニ高
  等學校令ニ於テ、高等學校ハ專門ノ學科ヲ〓授スル所トスト云フコトハ、其校令ノ第二
  項ニ明カニ示シテアル、但帝國大學ヘ入學スル者ノタメニ豫科ヲ設クルコトガ出來ル、此
  但書-全國七ツノ高等學校ハ皆今日ハ但書學校ト成ッテ居リマスノデアリマシテ、此
  七ツノ學校ヲ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=7

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• 008・横井時雄

  ○橫井時雄君　甚ダ發言中デ濟ミマセヌガ、委員會開會ノ請求ヲチヨット議場ニ御諮
  リヲ願ヒマス甚ダ演說者ニ對シテ失禮デアリマスガ、時間ガゴザイマセヌカラ·

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• 009・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　移民保護法中改正法律案委員會ヲ是ヨリ開會シタイト委
  員長カラ請求ガゴザイマス、許可シテ御異、議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=9

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• 010・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ナイト認メマス

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• 011・横井時雄

  ○橫井時雄君　移民保護法中改正法律案ノ委員諸君ハ、直チニ決算委員室ニ御
  集リヲ願ヒマス

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• 012・荒川五郎

  ○荒川五郞君　全國高等學校生七千人ハマルデ此大學ノ一途ニ向ハシメル、其現狀
  ハ大學ニ入ル能ハズ中學生ハ高等學校ニ入ル能ハズ、一方設備上ノ關係モゴザイマセ
  ウケレドモ、今日ノ有樣ハ下ハ小學ヨリ上ハ大學ニ至ルマデ高等小學、中學、高等學校
  皆是ハ半途退學生ヲ作ルヤウナ傾ニナッテ居ル、總テノ學生ハ大學ヲ除クノ外ハ半途
  退學生ヲ作ルト云フ制度ニナッテ居リマスカラ、小學是ハ義務〓育ノ淵源延長ト
  云フコトガ問題ニモナッテ居リマスカラ、措キマシテ高等小學ニシテモ高等小學ヲ卒業シ
  テ、ドウ云フ人ヲ作ルカ、中學-中學ヲ退ケタ者ハドウナルカ、中學ハ普通ノ實用ノ
  オ、中等國民ヲ養成スベキモノデアルノニ、マルデ高等學校ノ豫備門ノ如クナッテ、或ハ
  數學ノ如キ高等代數或ハ三角術ト云フヤウナ普通一般ニハ必要ノナイ、殊ニ兒童學生
  ノ頭ヲ苦メル學科ヲ澤山ニ課スルガタメニ、實用ノ學科ガ甚ダ不進步ノ形ニナルカラ、中
  學卒業生ハ、判任文官ノ資格アリト定メラレテアルニモ拘ラズ、其實用スラ今日ナサヌ有
  樣ニナッテ居ル、デ是ガ卽チ一方ニハ大學萬能ノ弊ト、又一ツニハ學問學科ト云フモノヲ
  必要デアルトシテ-外界ノ學問學科ヲ必要トシテ、學生生徒ノ腦力ノ發達如何ヲ
  顧ズシテ學科ヲ詰込ムノ弊竇ガ、卽チ今日ノ如ク其目的ヲ達スルコトノ出來ナイヤウニナ
  ラシタコトガ多イ、現ニ今日中學ノ卒業試驗ヲ受ケル、ソレデ惱ミキッタル腦髓ヲ直チニ
  高等學校ニ向ケテ、サウシテ競爭試驗ニ應ジナケレバナラヌ、サウシテ其希望スル多クノ
  學生ハ十ニ一ヲ入ルヽニ足リナイ有樣デアリマスデアリマスルカラ、東京府下ノ學生ニシテ
  モ五箇年或ハ七箇年、年々續イテ高等學校ノ試驗ヲ受ケツヽアルヤウナ隨分氣ノ毒ナ
  者モ澤山アルヤウナ有樣ニナッテ居ルデアリマスルカラ其結果半途退學ニナルノ不幸ヲ
  見ンケレバナラヌガタメニ、我目的ヲ達スルコトノ出來ナイガタメニ、或ハイロノ〓ニ堕落
  致シタリ、或ハ空想ノ煩悶ヲ致シタリ、今日ノ學生ノ有樣ハ昨年ノ六月交部大臣ガ風
  紀訓令トカ世間ニ唱ヘラレテ居ル一ツノ訓令ヲ出サレテ、今日ノ學生ハ就學中ノ者モ多
  クハ奢侈ニ流レ空想ノ煩悶ヲシ、甚シキハ放縱浮靡ニシテ操行ヲ紊ル者ガ多イト云フコト
  ヲ、文部大臣ノ訓令ヲ以テ今日ノ書生社會ヲ斷言セラレタノデゴザイマス、斯ノ如キニ至
  ルノハ甚ダ書生ガ惡ルイガ、前ニ申述ベタル制度ノ罪、今日ノ大學萬能ノ弊、學科詰込
  ノ弊ガ此ニ至ラシメタノデアル、然ルニソレヲ以テ此ニ至ラシメナガラ學生ノ罪ニ歸シテ、
  訓令ヲ以テ咎メルト云フコトハ甚タ本末ヲ誤ッタモノデナイカト考ヘルノデアリマス、デア
  リマスカラ中學ナリ高等學校ナリ、半途退學生ハ今日非常ニ多イガ、是ハ目的ヲ達ス
  ルコトノ出來ナカッタ者デアル、然ラバ目的ヲ達シテ大學ニ這入ッタ者ハ如何デアルカヽ今
  日大學生竝ニ大學ヲ卒業シタル人〓ノ實際ニ就イテ見マスルノニ、其中學ヨリ高等學校
  大學ニ進ム其間、大學ハ一ツノ見世物ト云フ希望物ヲ出シテ、天下ノ學生ヲシテ皆翕然
  トシテ是ヲ望マセ、而シテ其受クルトコロノ學科ハムヅカシイ、而モ希望者ガ多イカラ競爭
  ヲサセルト云フヤウナ譯デ、人ノ身體ヲ打ツノデハアリマセヌガ、其結果ガ學生生徒ノ腦髓
  頭ノ働キニ向ヲテ非常ナル打擊鞭撻ヲ加ヘルト同ジコトデアラウト思フノデアリマス、其結
  果ハ如何ニ現ハレテ居リマスカ、身體ハ弱ルシ精神ハ薄弱ニ致シテ、サウシテ今日一般ノ
  有樣ニ於テ悲ムベキ現象ヲ來シテ居ル、此處ニハ詳シキ表ヲ持ッテ居リマスケレドモ手短ヲ
  要スルガタメニ、搔摘ンデ申シマスガ、三十四年カラ昨年マデ大學卒業生ノ死亡率ヲ調ベ
  テ見マスルノニ、百人ニ付イテ七人カラ七人一分六厘、多クハ七人五分五厘ト云フ割
  合ヲ示シテ居リマス、而シテ一般國民ノ死亡率ハドウデアルカ、生レ落チタ赤ン坊カラ六
  七十八九十ニ至ルマデノ者ヲ併セテ、僅ニ百中ノ一人九分乃至二人ニ過ギナイノデアリ
  マス、若シ大學卒業生ノ年齡ト認メラルベキ先ヅ年ガ、二十五カラ五十五位マデノ間ノ
  一般國民ノ死亡率ハ百人ニ付イテ僅ニ一人一三ト云フヤウナ割合ニナッテ居リマス、
  一般國民ノ死亡率ニ較ベレバ大學卒業生ノ死亡率ハ殆ド六倍ニモ及ンデ居リマス、
  大學ラ卒業致シタ者ハ先ヅ生活ノ狀態モ一般國民ヨリ上デゴザイマセウ、又衞生思想
  モ發達シテ居リマセウ、デアルカラ一體ナラバ死亡率ガ一般國民ヨリ少ナカルベキ筈デア
  ルノニ一般國民ヨリ六倍七倍ニ至ルト云フコトハ、卽チ其原因ハ玆ニ探究ヲ要セズシ
  テ分ルコトデアラウト思フノデゴザイマス、其大學ヲ卒業スルニハ決シテロデデ來來モノデ
  ナイ、小學中學ハ姑ク措イテ、高等學校ノ費用デモ、高等學校ノ一箇年國家ヨリ受ク
  ル費用ガ四百圓ヅヽ年々一人ニ付イテ要シテ居ルノデアル、大學ニ至レバ一人千圓
  ヲモ要スルノデアリマス、斯ウ云フ大學ト云フモノヲ置イテ、ソレニ翕然トシテ學生ヲ集ラ
  シテ、而シテ其處ニ來タ者ガ身體モ弱イ、生命モ縮ンダト云フヤウナ者デ、サウシテ日本
  國運ノ發達進步ノ中心トナルベキ、ソレ等卒業ノ學生ガ斯ノ如キ狀態デアルト云フコト
  ハ我國家ノ前途進運ニ鑑ミテ甚ダ殘念ノ至リデハゴザイマセヌカ、死ンダ者ガ-死ヌ
  ル者デ斯樣ニ六七倍多イ割合ト致シマスレバ、死ナナイ者デモソレダケ身體ガ弱クナル、
  一般ノ人民ヨリ死ナナイトテモ一年中無缺勤デ働ケル者ガナイ、時〓病氣ヲ起ストカ
  或ハ精神ガ快豁ガナイガタメニ、活潑ニ相當ノ事務ヲ働クコトガ出來ヌトカ、ソレ等ヲ
  算用致シマスレバ今日ハ實ニ學生ノ腦髓、學生ノ精神ヲマルデ虐ゲル有樣ト申シテ
  宜カラウト思フノデアリマス、是等我學制ニ一定ノ方針ガナク、我學制ノ系統ニ秩序ガ
  立ヲテ居ナイコトガ一ノ大イナル缺〓、國家ノ大不幸ト言ハンケレバナラヌト信ズルノデ
  アリマス、ソレナラバ系統ハ立ッテ居ナイガ、總テ大學ノ豫備門デアレバ、豫備的ノ聯絡ガ
  付イテ居ルカト云ヘバ、ソレハ付イテ居ナイノデアル、中學ヲ卒業シテ高等學校へ行ク、其
  間ノ三箇月バカリノ日子ハ、或ハ他ノ學校ヘ行クトカ、何カセヌケレバ或ハ徵兵ノ關係
  其他ニ於テ出來ナイ、我意思デナイー望ミデナイ學校ニ籍ヲ置カンケレバナラヌヤウニ
  ナッテ居ルノハ、一般ノ學校ガ大學豫備的デアルニ拘ラズ、其聯絡ガ更ニナイガタメニ、
  天下ノ中學卒業生ヲシテ其卒業以後高等學校ニ至ルノ間ニ於テ、學生ノミナラズ父兄
  等ニ心配ヲ與フルコトハ、果シテドレダケデアルカ分ラナイノデアル

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=12

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• 013・高橋安爾

  ○高橋安爾君　唯今請求致シマシタ會計法改正ノ委員會ヲ開キタウゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=13

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• 014・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　唯今發言中デアリマス-會計法中改正法律案ノ特別委
  員會ヲ開キタイト云フ高橋安爾君ヨリ請求ガアリマスガ、許可シテ御異議ハゴザイマセ
  ヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=14

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• 015・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=15

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• 016・大岡育造

  ○大岡育造君　是マデ遠慮シテ居リマシタガ、大船渡ノ委員會ヲ開キタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=16

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• 017・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　大岡育造君ヨリ大船渡ノ委員會ヲ開キタイト云フコトデアリ
  マスガ、御異議ハゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=17

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• 018・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=18

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• 019・荒川五郎

  ○荒川五郞君　今日ノ學制ガ系統ガ立タズ、〓育ノ方針ガ立タナイ結果、國家國民
  ノ前途ニ非常ナル損害ヲ與ヘテ居ルコトハ先ヅ大體斯ノ如キ有樣デゴザイマス、是ハ
  最モ國家的デ、苟モ今日ノ政府ガ此進運ニ處スル以上ハ、此大事ナル國民〓育
  國家〓育ノ大方針ヲ速ニ確立セラレテ、以テ天下一般ニ遵由スベキヲニ小シ、又學制其
  所ヲ得テ發逹セシムルヤウニシナケレバナラヌコトヽ信ジマス、之ニ付イテハ前文部大臣ハ、
  三十箇條ノ〓育、或ハ制度要目ト云フモノヲ示サレテ、其際ニ實務ニ當ッテ著々經營
  中デアルト云フコトヲ答ヘラレテアルガ、現文部大臣ハ之ニ對シテ果シテドウ云フ施設、
  其他方針ヲ執ラレテアルカ、是ガ第一ノ質問デアリマス(「簡單々々」ト呼フ者アリ)次
  ニ最モ大事ナ問題ハ國語及字音假名遣ノ制定デゴザイマス、國語ハ〓授ニムヅカシ
  イムヅカシイカラ之ヲ簡單ニシヤウト云フ精神ハ、決シテ惡ルイコトデハゴザイマスマイケ
  レドモ、如何ニ國語ノ書方ヲ簡易ニ致シマシテモ、世ノ中ニ通ジナイ不通ノ國語ヲ〓授
  シンハソレガ何ノ效ガゴザイマセウ、全體此國語ハ國民共通ノモノデアル、國語ノ問題ハ
  す國家問題デアランケレバナラヌ、啻ニ之ヲ僅カ一部ノ人ノ俄思出シデ或ハ種々ニ縮メタ
  リ、伸バシタリスルコトハ、其一事一例ノ影響ハ五千万同胞ノ上ニドレダケノ影響ヲスル
  コトカ知レナイ、先キニ棒ヲ引ク、假名ヲ政府ガ拵ヘテ、小學校兒童ノ字音假名遣ヒニ
  棒ヲ使ッタトコロが、世間ノ非難、殊ニ國語學者モ、文學者モ共ニ大ナル非難ヲ致シタ
  ガタメニデモゴザリマスマイガ、是ヲバ又中途カラ廢シテシマッタ、アレダケ天下囂々
  ノ問題トナッテ居ル中ニ、棒引ヲ一般幼稚ナル兒童ニ施イテ、サウシテ又卒然トシテ改メ
  ル斯ノ如キ有樣デ、今日國民ノ知識國民ノ品位ハ國運ノ發展ト共ニ非常ナル進
  步ノ速度ヲ持タヌケレバナラヌトキニ當ッテ、斯ノ如ク輕卒ナル、斯ノ如ク無定見ナルモノ
  ヲ以テ兒童ヲ、强イラレルト云フコトハ、實ニ國家ノタメニ恐ルベキコトヽ言ハヌケレバナラヌ、
  所ガ其國語デス、先キニ定メラレタル國語モ、一般ノ人ガ所謂是ハ角ヲ矯メテ牛ヲ殺ス
  モノデアルト言ウテ居ッタ、今度ノ文部大臣ハ是ガ改訂ヲ高等〓育會議ニ諮問セラレタ、
  其事タルヤヤハリ過ヲ重ネルノミ、所謂火ヲ救フニ油ヲ以テスルモノデナイカ、是等國家
  問題ハ宣シク國民ノ發達ノ上ニ、國民性ノ特性ノ上ニ其主義方針ヲ確立シテ、以テ其
  據ルベキモノヲ示サナケレバナラヌモノト信ジマスガ、文部大臣ハ果シテ此高等〓育會議
  ニ諮問セラレタ其案ヲ以テ、直チニ實際ニ行ハレル積リデゴザリマスカ、是ガ第二段デ
  アリマス、次ニ小學校〓員ノ待遇デアリマス、小學校〓員ノ待遇ニ付イテハ或ハ學
  校ノ時間外ニモ〓授ノ準備、生徒製作物ノ添刪、是正、イロ〓〓仕事ガアルト、根本
  君モ申サレマシタ、成程ソレモゴザリマスガ、今日ノ小學校〓員ノ活動シテ居ル有樣ハ、
  決シテ是ニ止ラヌノデアリマス、學校家庭ノ範圍ヲ脫シテ、社會的方面ニ活動シテ居ル
  コトハ實ニ非常ナモノデアリマス、或ハ父兄母姊談話會、或ハ戰時ニ於テハ軍人後援
  會、或ハ婦人會、靑年會、ソレ等ノ事業ニ活動シ盡力シテ居ルコトヽ云フモノハヽ私ノ
  地方ハサウデアリマスカラ、他モ殆ドサウデアラウト信ジマス、斯ノ如ク活動シヨル〓員ノ
  俸給ハドウデアルカト云ヘバ地方ニ依ッテ違ヒモゴザイマセウケレドモガ、僅ニ十四五圓ノ
  平均ヲ以テヤッテ居ル、サウシテ〓員ハ外ノモノト違ヒマシテ、知講ノ修養ニ努メンケレバ
  ナラヌ(「簡單々々」ト呼フ者アリ)。或ハ練習モシ、〓育會其他種々新知識ヲ求ムル途ヲ
  講ゼンケレバナラヌ、然ルニ巡査看守ノ如キハ旣ニ增俸セラレタ、判任文官ノ如キモ先ニ
  待遇ヲ進メラレテモ、ソレデモ待遇ガ不十分ト傳ヘラレテ居ル今日、小學校〓員ヲ以テ
  妻子ヲ養フニ足ラズ、面目ヲ維持スルニ足ラヌ、左樣デアル、國家ガ優待スベキハ輿論
  デアルニ拘ラズ、先月文部次官ノ談話トシテ諸新聞諸雜誌ニ現ハレテ居ルノヲ見レバ、
  待遇ヲ宜クスルハ宜イガ、文部獨リデハ出來ヌト云フヤウ冷淡ナル話デアル、之テ以テ此
  國民〓育ヲドウシテ發達進步セシムルコトガ出來ルカ、今日鐵道、、電信、電話、種々ニ施
  設スルコトガ多イガ、其仕事、ソレヲ利用スル人ガ第一ニ出來ナケレバナラヌ、何モ必要
  デアラウガ、人ヲ作ルコトハ、ヨリ必要デナケレバナラヌノデアルカラ、小學校〓員ヲ優待
  スルハ國民ヲ優待スル所以テアル、國民ノ品位ヲ高メル所以デアル何物ヲ措イテモ是
  ハ國家トシテ優待優待デナクテ相當ナル待遇ニスルコトヲ是非シナケレバナラヌノデ
  アル所ガ文部ノ施設ハ曩ニ〓員表彰ノ規程ヲ設ケテ、僅ニ〓員ニ賞狀若クハ金ヲ與
  ヘラレタノミデ、又今日議案デ出テ居ル小學〓員扶助料退隱料ノ多少ノ改正ノ如キ、
  實ニ云フニ足ラヌコトデアリマス、之ヲ以テ決シテ國家ガ努ムベキ〓育者ノ待遇ヲ相當
  ニ致スト云フコトハ、マダ〓〓及ブトコロデナイト考ヘマス、是等ニ付イテハ文部前途ノ方
  針ニ付イテ其說明ヲ聞キタイ、次ハ昨年ノ風紀訓令ノコトデアル、之ニ付イテ學生社會
  ガ紊レテ居ル、或ハ危險ナル社會主義ヲ〓員生徒ガ鼓吹シテ、ソレガタメ建國ノ大本ヲ
  蔑視シ我社會ヲ紊亂スル如キ危險ノ思想ガ、〓育界ニ傳播シテ〓育ノ根柢ヲ動カス
  ヲ虞ルト云フコトヲ文部大臣ハ斷言サレテ居ル然ラバ此虞ルベキ危險ニ向シテ如何
  ナル施設ヲシタカ、立國ノ大木ヲ動カス又ハ〓育ノ根柢ヲ動カスダケノ大事業ニ向ッテ、
  僅カ一片ノ訓令デ目的ヲ達セラルヽトスルカ、其他風紀ノコト、又ハ靑年子女ノ煩悶ノ
  コト、ソレ等ニ付イテモ訓令ハ出テ居ルガ、一般ノ學校デハナイ、文部大臣直接ノ監督
  ニ係ル學校ハドウデアルカ、外國語學校ノ有樣ハドウデアル、音樂學校、美術學校ノ有
  樣ハ如何、互ニ黨派ヲ設ケ、校內ノ風紀ハマルデナッテ居ナイ、特ニ大學ノ如キ、京都
  大學ノ如キ、理工科ト文科ト反目ノタメ文科ニハ電氣ヲ送ルコトヲシテ呉レヌト云フタ
  メ、行燈ヲ〓シテ〓授シタト云フトモ公ニ傳ヘラレテ居ル文部直接ノ學校スラ斯ノ如
  キコトデ、天下ノ學校ヲ如何ニ制セラルヽカ、是ハ一片ノ訓令ヲ以テ此大事業ヲ矯正セ
  ラルヽト思フノデアルカ、此危險ナル社會主義或ハ風俗ノ壞亂、素行ノ紊亂靑年子
  女ノ煩悶等ノ救濟ニ付イテ支部省ノ方針ハ如何デアルカト云フコトガ第四條デアリマ
  入、ソレカラ次ハ償金ノ問題デアリマス、曩ニ日〓戰役ノ債金ヲ割イテ〓育基金ヲ設ケ
  ラレタノハ、此基金ノ利子ヲ使フトームフヨリ、〓育ノ功勞デ戰爭ガ出來タ、〓育ノ功
  與ッテ力アリト云フコトガ、〓育基金ノ上ニ示サルヽ間接ノ影響ガ、國民〓育ノ上ニ
  與フルトコロ、非常ニ大キイノデアル、然ルニ日露戰役ノタメニ之ヲ使ヒ、戰役終ッタ
  今日剩餘金ヲ以テイロノ國家必要ノ費用ニ充テヽ居ル以上、先ヅ第一ニ是ハ補
  充ヲシナケレバナラヌト思フ、全體償金デモ穴藏ニ打込ンデ使ハヌト云フ議論ガアルニ、今
  日ノ剩餘金ハ決シテ償金デモナイ、、是ハ借錢シタ金デアル、特ニ〓育基金ハ今日皆其功能ヲ
  感謝シテ居リ、又初メ設ケタ趣意ニ對シテハ先ヅ第一ニ塡補セラルベキモノデアル、然ルニ
  文部大臣ハ唯〓育奬勵費ト云フモノヲ置イテ、基金ノ塡補ヲ計ッテ居ラヌ、知ラズ文部
  大臣ハ何レノトキ塡補セラルヽ積リカ、之ハ國民〓育ニ關スルトコロ大ナル問題デ、皆此
  前途ヲ首ヲ伸バシテ聞カントシテ居ルトコロデアル、故ニソレニ對スル大臣ノ方針ヲ伺ヒタイ、
  次ハ〓國留學生ノコト、是ハ今ヤ非常ノ數ヲ加ヘコレヲ將來マダ多クナルニ違ヒナイ、是
  ハ善憐ノタメニモ、又我日本自營ノタメニモ之ニ付イテノ措置ハ重且大ナルモノアルハ
  本員ノ多言ヲ要シナイ、然ルニ政府ノ之ニ對スル處置ハ如何デアル、昨年此留學生ノ
  取締ヲ制定シタ結果、支那學生ノ反對運動ノタメ有耶無耶ニナッテ居ル今日ノ學生
  ハ支那公使ノ證明ニ依リ日本ガ世話ヲスルト云フコトニナッテ居リナガラ、其學生ノ今日
  ノ有樣ハ如何デアル、實ニ〓國學生ノタメニ我東京ノ風紀ニ非常ノ影響ヲ與ヘテ居ル
  公使ノ證明ヲ以テ世話ヲシテ居リナガラ、今日ノ有樣デハ其目的ハ何レニアルカヲ知ル
  コトガ出來ナイノデアル、特ニ此北京政府ノ證明ヲ採ッテ、支那學生ノ世話ヲスルトームフコ
  トハ南〓方面卽チ支那ノ北京政府ニ遠キ方面ノ學生ヲシテ、之ヲ驅ッテ他ニ行カシメ
  ルト云フヤウナ今日ノ有樣デアリハシナイカ、今日支那カラ來タ學生ガ支那ヘ歸ヲテ、如
  何ナル言動ヲ致シテ居ル、是等ハ多言ヲ要セズシテ苟モ國ヲ思ヒ、國交際及東洋ノ將
  來ヲ憂フルモノハ、此支那學生ノ問題ヲ決シテ輕ミニ看過スベキモノデナイト云フコトハ
  諸君ノ認メラレルトコロデアリマセウ、然ルニ是等ノ方針アルガ如ク、取締アルガ如ク、面
  モ目的ナキ今日ノ有樣ハ、實ニ國交際ノ上、又我國風〓ノ上ニ甚ダ悲ムベキコトヽ
  信ジマス、文部大臣ハ此學生ニ對スル取締、其〓育ノ方針ハ果シテ如何ナル方ニ執ラ
  レル積リデアリマスカ、此六段ニ付イテ文部大臣ノ御答辯ヲ煩シマス次第デゴザイマス
  〔拍手スル者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=19

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• 020・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　先刻報〓ノ通リ、刑法改正案ハ本院ノ修正ニ貴族院ハ同意
  セズ、且協議會ヲ開カンコトヲ請求シテ參リ、該委員ハ十名トスルト云フ通知ガアリマ
  シタ〓テ本院ニ於テモ十名ノ委員ヲ選舉スル必要ガアリマス、右選舉ノ方法ハ如何シ
  テ宜シウゴザイマス
  〔「議長指名」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=20

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• 021・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　議長指名、員數十名ニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=21

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• 022・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、日程第一、市町村立小學校〓員
  退隱料及遺族扶助料法中改正法律案、第一讀會-議案期讀
  第一市町村立小學校〓員退隱料及遺族扶助料法中第一讀會
  改正法律案(政府提出)
  〔書記期讀〕
  市町村立小學校〓員退隱料及遺族扶助料法中改正法律案
  市町村立小學校〓員退隱料及遺族扶助料法中左ノ通改正ス
  第四條退隱料ノ年額ハ退職現時ノ俸給ト在職年數トニ從ヒ別表ニ依リ之
  ヲ定ム但シ在職四十年以上ノ者ニ給スヘキ退隱料ハ四十年ノ額トス
  前項ニ依り退隱料年額ヲ定ムルハ十五年以上官立公立小學校ニ勤續シタ
  ル者ニ退隱料ヲ支給スル場合ニ限ル其ノ他ノ場合ニ於テハ官吏思給法第
  五條ヲ準用ス
  退隱料ヲ受クル者前ニ退職給與金ヲ受ケタルトキハ最初ノ十年間其ノ退
  職給與金ノ十分ノ一ニ相當スル金額ヲ退隱料年額ヨリ控除ス
  兼職ニ依リテ受クル加俸ハ退隱料年額ヲ算定スルニ當リ之ヲ除算スヘシ
  第四條ノ二退隱料ヲ受クル者公立學校職員、公立圖書館職員、小學校ノ本
  科正〓員タルヘキ資格ヲ有スル公立幼稚園ノ保姆、在外指定學校職員又
  ハ〓育事務ニ從事スル文官ト爲リタル後滿一年以上ニシテ退職又ハ退官
  シタルトキハ前後ノ在職在官年數ヲ通算シ後職又ハ後官ニ對スル退隱料
  ト前ノ退隱料トヲ比較シ其ノ額多キ方ヲ給ス
  前項ノ場合ニ於テ本法ニ依ル退隱料額カ府縣立師範學校長俸給竝公立學
  校戰員退穩料及遺族扶助料法、明治二十九年法律第十三號又ハ在外指定
  學校職員退隱料及遺族扶助料法ニ依ル退隱料額ニ比較シ多キトキハ其ノ
  退隱料ハ本法ニ依リ之ヲ支給スルモノトス
  第四條ノ三官吏思給法第六條、第十條、第十二條第一項及第十三條第二項
  ハ退隱料ニ之ヲ準用ス
  退隱料等ノ支給上在職年數ノ算定ニ關スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  第五條ニ左ノ但書ヲ加ヘ第一號ヲ左ノ如ク改ム
  但シ第一號ノ場合ニ於テハ其ノ差額ニ限リ支給ヲ停止ス
  →公務ニ就キ受クル給料ト退隱料トヲ合シタル金額退職現時ノ給料額
  ヲ超過スルトキ
  第八條第二項以下ヲ左ノ如ク改ム
  市町村立小學校正〓員ニシテ〓育事務ニ從事スル文官又ハ他ノ待遇支官
  ニ轉任シタル者退官又ハ退職シタルトキハ小學校〓員ノ在職年數ニ應シ
  前項ノ給與金ヲ給ス
  第二條若ハ第三條ニ依リ退隱料ヲ受クル者、他ノ法律ニ依リ退隱料若ハ思
  給ヲ受クル者、自己ノ便宜ニ依リ退職退官シタル者又ハ免職ニ處セラレ
  懲戒處分若ハ刑事裁判ニ依リ免官セラレ若ハ失職ニ該當シタル者ハ前二
  項ノ限ニ在ラス
  本條ノ退職給與金ヲ受ケタル者市町村立小學校正〓員ニ再任シ爾後退職
  シタルトキハ第一項ノ在職年數ハ再任ノ日ヨリ之ヲ起算ス
  第九條中「市町村長ノ證明ニ依リ」ヲ削ル
  第十二條第二項ヲ左ノ如ク改ム
  前項ノ扶助金ハ退職給與金ノ額ト同額トス
  附則
  本法施行前退隱料ヲ受ケタル者ニシテ本法施行後再市町村立小學校〓員ト
  爲リ在職三年以上ニ至ラスシテ退職シタル者ニハ仍從前ノ規定ヲ適用ス
  〔交部大臣牧野伸顯君登壇〕

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• 023・牧野伸顯

  ○文部大臣(牧野伸顯君)　唯今朗讀ニナリマシタ法案ニ付イテ一應說明ヲ申上ゲマ
  ス、此法案改正ノ要點ハ第四條ニ在ルノデアリマス、小學校〓員ハ退隱ノ場合ニ於キマ
  シテ、退隱料ヲ受クルニ當ッテ其勤續退隱料ヲ受ケル年限ニ達シテ、尙勤續スル上ニ於
  テハ退隱料ノ率ヲ增加スルト云フノデアリマス、現在ノ法ニ依リマスト他ノ一般官吏ト同
  樣デアリマシテ、十五年ニ達シテ始メテ退隱料ノ恩典ニ浴スル譯デアリマス又十五年以
  後尙勤續シテ受ケルトコロノ增加ノ率ハ、同ジク一般官吏ト同樣デアルノデアリマス、然
  ルニ申スマデモナク、今日ノ小學校〓員ノ給料ト云フモノハ、誠ニ些二少ノ額デアリマシテ、
  其〓ニ付イテハ荒川君ノ唯今御演說ヲ伺フマデモナク、當局者ニ於テハ非常ニ心痛〓
  シテ居ル次第デアリマス、故ニ此小學校〓員ノ給料ヲ增加致シテ、十分ノ額ニ達セズト
  モ、今日ノ有樣ニ對シテ幾分ノ改良ヲ圖リタイト云フコトハ、晝夜心配致シテ居ルノデ
  アリマス、是ハ當局ノ希望ニ於テハ遠カラヌ中何トカ相當ノ解決ヲ致シタイ考デアリマ
  ス、ソレハ別問題ト致シテ、給料ガ少額ナルタメニ、從ッテ此退隱料モヤハリ額ノ少ナイ
  ト云フコトハ、是ハ當然ノ結果デアリマス、故ニ此際退隱料ノ年限ニ達シタ後、尙勤務
  スルモノニ對シテハ相當ノ增率ヲ致シテ、其退隱料ノ額ヲ上ボセルト云フコトヲ、此法
  案ヲ以テ圖リタイ積リデアルノデアリマス、今日ノ小學〓員ノ有樣ヲ見マスルト、待遇ノ
  薄弱ナルコトハ一般ノ認ムルトコロデアリマスガ、實際ニ於キマシテ小學〓員ノ段々退職
  スルモノガ少ナカラヌノデアリマス、故ニ師範學校ヲ卒業シ、又檢定試驗等ニ及第シテ、
  職ニ就キ致シテ居ル中、段々一方ニ於テハ退職スルモノガ少ナカラヌノデ、畢竟是ハ〓員
  待遇ノ途其當ヲ得テ居ナイノデアルト考ヘマス、今日此法案ノ改正ヲ以チマシテ、幾分
  カ其ノ境遇ヲ改メルコトヲ企デタノデアリマス、議會切迫ノ今日ニ於テ多々法案モアルコ
  トデアリマスガ、成ルベク速ニ御協賛ヲ得タイト思ヒマス

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• 024・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　別段ニ御質疑モナイヤウデアリマスカラ、次ノ日程ニ移リマス、
  日程第二、右議案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ選舉
  第二右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉

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• 025・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　本案ハ九名ノ委員、議長指名ヲ願ヒマス、但會期切迫、殊ニ此案
  ハ緊急ノ問題デゴザイマス、故ニ速ニ議長ヨリ其委員ヲ指名セラレテ、サウシテ委員長理
  事ナドヲ互選シテ、議事ノ進行アランコトヲ願ヒマス

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• 026・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　恆松君ノ發議ノ通リ、御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 027・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナイト認メマス、然レバ議長ニ於テ直チニ委員ヲ指
  名シマス
  根本正君大野久次君中林有信君
  柚木慶二君星野仙藏君榎本次郞右衞門君
  荒川五郞君久保伊一郞君藤崎朋之君
  唯今指名ニナリマシタルトコロノ委員諸君ハ、直チニ第一委員室ニ集會セラレテ委員長
  理事ヲ互選シ、引續キ議事ニ著手セラレンコトヲ希望致シマス-日程第三、第四ハ
  同一ノ委員ニ付託サレタルノデアリマスカラ、併セテ委員長ニ報告サセマス
  第三臺灣ニ於ケル特別ノ輸入稅ニ關スル法第一讀會ノ續(電話 〇二〇〇〇)
  律案(政府提出)報告
  〔宮崎榮治君登壇〕

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• 028・宮崎榮治

  ○宮崎榮治君　諸君私ハ委員會ノ經過及結果ヲ御報告申上ゲマス、此法律案ニ
  付キマシテハ數囘委員會ヲ開キマシテ、關係アル政府未員員ノ出席ヲ求メ、愼重ニ審査ヲ
  致シマシタノデゴザイマスガ、臺灣ニハ特別ノ事情ガゴザイマシテ、特別ノ稅率ヲ設ケルト
  云フコトニ付キマシテハ、全會一致反對ハナカッタノデゴザイマス、唯其中別表中ノ生綿
  及繰綿ト云フモノニ付キマシテ從價稅一割トゴザイマスガ、此綿ハ內地ニ於キマシテハ無
  稅デゴザイマスカラシテ、臺灣ニ於テ輸入シマスルトコロノモノニ一割ノ稅率ト定メマスレ
  バ却テ內地ヨリ無稅ノ品ヲ送リマスル方ガ廉ク相成リマスルカラシテ、却テ課稅ノ目的
  ヲ達スルコトガ如何デアラウカト云フ〓ヨリ致シマシテ、此一割ノ稅率ヲ五分ト修正スル
  コトニ相成リマシタ、從ッテ屑綿及古綿ト云フモノモ從價一割ト云フノガ、最モ同一ノ權
  衡ヲ取ルタメニヤハリ五分ト修正ニナリマシタ、又從價ト云フ欄ノ初メニ單位トゴザイマス
  ガ、此別表中ニハ別ニ品名ヲ揭ゲテゴザイマセヌカラ、單位ト云フ文字ハ全ク無意味ニ
  ナリマシテ、玆ニ揭ゲル必要ガゴザイマセヌカラ、之ヲ削除スルコトニ相成リマシタ、此修
  正ニ付キマシテハ政府委員ニ於キマシテモ同意ヲ表サレタノデゴザイマス、是ガ臺灣ニ於
  ケル特別ノ輸入稅ニ關スル法律案ノ經過及結果デゴザイマス、關稅定率法輸入稅表
  中改正法律案ハ森本駿君外四名ヨリ提出セラレタトコロノモノデゴザイマシテ、此法律
  案ハ白米ト玄米及籾ヲ區別致シテ、課稅シヤウト云フトコロノ案デゴザイマス、此區別
  ヲナシテ課稅ヲスルト云フコトニ付キマシテハ、委員會ニ於テハ一人モ反對ノ意見ヲ持ッ
  タトコロノ方ハナカッタノデゴザイマス、併ナガラ此程度如何ト云フコトニ付キマシテハ、民
  業上若クハ經濟上ニ非常ナル影響ヲ及ボスノ憂ガゴザイマスカラシテ、遂ニ大藏大臣、農
  商務大臣ノ出席ヲ求メマシテ、政府ノ意見ヲモ確カメマシテゴザイマスガ、政府ニ於キマシ
  テモ課稅ノ主義上ヨリ致シマシテモ、又民業ノ保護上ヨリ致シマシテモ、此區別ヲナス
  ト云フコトニ付イテハ、不同意ハナカッタノデアリマス、併ナガラ適當ノ程度ヲ定メルト
  云フコトガ、少シク答ヘラルヽコトガ出來ナカッタノデゴサイマスカラシテ、委員會ニ於キマ
  シテハ、篤ト政府ニ於テ調査ヲセラレテ、次期ノ議會ニ政府ヨリ發案ヲセラレンコトヲ希
  望致シタノデゴザイマスガ、政府ニ於キマシテハ精々調査ハ爲スガ、果シテ次期ノ議會ニ
  提案致スト云フトコロノ確答ヲ爲スコトハ出來ナイケレドモ、調査ガ出來タナラバ發案ス
  ルコトモアラウト云フトコロノ返事デゴザイマシタ、就キマシテハ委員會ニ於キマシテハ、案其
  物ニ付キマシテノ反對ノ意思ハゴザイマセヌケレドモ、議院ニ於キマシテノ此問題ハ篤ト
  〓究シナケレバナラヌト云フコトデ、此度ハ全會一致善意ヲ以テ否決ニ相成リマシタノデ
  ゴザイマス、此段御報告ヲ致シマス

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• 029・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　日程第三、臺灣ニ於ケル特別ノ輸入稅ニ關スル法律案、第一
  讀會ノ續ヲ議題ト致シマスー別段御議論モナイヤウデゴザイマスカラ採決シマス、本案
  二讀會ヲ開クニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=29

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• 030・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=30

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• 031・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　直チニ二讀會ヲ開キ、讀會ノ順序ヲ省略シテ確定ニナランコトヲ希望
  致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=31

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• 032・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　恆松君發議ノ通、直チニ二讀會ヲ開キ讀會ヲ省略シテ確定
  スルニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=32

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• 033・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナイト認メマス、直チニ二讀會ヲ開キマス、委員長報
  告通リ御異議ハアリマセヌカ
  臺灣ニ於ケル特別輸入稅ニ關スル法律案確定議
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=33

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• 034・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナイト認メマス、是ニテ本案ハ確定致シマシタ、日程
  第四、關稅定率法輸入稅表中改正法律案、第一讀會ノ續
  第四關稅定率法輸入稅表中改正法律案寒天地獄
  (森本駿君外四名提出)第一讀會ノ續報告
  〔森本駿君登壇〕
  (「簡單」ト呼ヒ「無用」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=34

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• 035・森本駿

  ○森本駿君　私モ本案ニ付イテハ提出者ノ一人デアリマスケレドモ、今ノ委員長報告
  ニ委員會ニ於テハ同意シタ一人デアリマス、然ルニ一言政府ニ希望ヲ述べテ置カナケレ
  バナラヌト云フノハ政府ガ此原案ノ如キ方針ヲ以テ調査ヲシテ、調査ノ出來次第自ラ
  提案スルト云フコトデアルカラシテ、此度ハ善意ノ否決ヲスルト云フコトニ委員會デハ極
  リマシタ、ソレニハ私モ同意ヲ致シテ滿場一致デ斯ノ如クナッタノデアリマスガ、此事ハ十
  分行ハレ得ベキトコロノモノデアリマシテ一例ヲ以テ見マスルト云フト從來小麥ト云フモ
  ノト小麥粉ト稅率ノ差額ガ餘リ多クナカッタ時代ニハ小麥粉ハ內地ニ於テ製造セラ
  レルト云フコトガ餘程困難デアッタノデアリマス、然ルニ現行法ニ於テハ是ハ大變ナル差
  別ヲ付ケテ、小麥ハ五十七錢ノ率デアルノニ、小麥粉ハ一圓四十五錢ト云フ率ニナシマ
  シテ、其差額ガ八十八錢ノ差額ニナッテ居ルノデアリマス、其結果トシテ以テ內地ニ於テ
  製粉事業ガ陸續起ルト云フコトニナッタノデアリマスカラシテ、此差額ヲ付ケルト云フコト
  ハ適當ナコトヽ思ヒマスカラシテ、斯ノ如キコトニ能ク參酌シテ政府ハ調査ヲ進行セラレ
  ンコトヲ希望致シマシテ、此委員長報告ニ贊成ヲ致シマス者デアリマス
  〔「採決」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=35

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• 036・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　別段御議論モナイヤウデアリマスカラ採決ヲ致シマス、本案ハ
  委員會ニ於テハ否決ニナッテ居ルノデアリマス、因テ原案ニ付イテ採決ヲ致シマス、本案
  ノ二讀會ヲ開クベシト云フ御方ノ起立ヲ願ヒマス
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=36

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• 037・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　少數デアリマス、本案ハ否決トナリマシタ、日程第五、明治三
  十四年法律第二十七號中改正法律案、第一讀會ノ續委員長植場平君報告
  第五明治三十四年法律第二十七號中改第一讀會ノ續(委員長ン
  正法律案(植場平君外七名提出)報告
  〔植場平君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=37

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• 038・植場平

  ○植場平君　明治三十四年法律第二十七號中改正法律案ノ特別委員會ノ經過
  及結果ヲ御報告致シマス、委員會ニ於キマシテハ政府委員ノ出席ヲ請ヒマシテ、政府
  委員ト委員間ニ屢〓折衝ヲ重ネマシタ結果、滿場一致デ可決ヲ致シマシタノデゴザイマ
  ス、ソレデ其會ノ模樣ヲ一言致シテ置キマスルガ、政府ニ於キマシテモ此案ニ贊成ヲ表
  スルト云フコトハ斷然申シタ譯デハナイ、併ナガラサウナッテモ宜シカラウ、敢テ反對ハ
  致シマセヌ、斯樣ニ申シタノデアリマス、尙其意味ヲ解釋致シマスレバ、サウ云云ヤウニナッタ
  ナラバ、總テ都合ガ好カラウト申ス意味ノ答辯デアリマシタカラ、之ヲ御參考ニ申上ゲマ
  ×、ドウゾ委員會決議ノ通リ、滿場一致デ御贊成アランコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=38

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• 039・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　別段御議論ハナイヤウデアリマスルデ採決ヲ致シマス、本案ノ
  二讀會ヲ開クベシト云フニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=39

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• 040・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=40

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• 041・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　直チニ二讀會ヲ開キ、是モ讀會ヲ略シテ確定セラレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=41

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• 042・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　恆松君發議ノ通リ、直チニ二讀會ヲ開キ、讀會ヲ省略シテ確
  定スルニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=42

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• 043・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、直チニ二讀會ヲ開キマス、委員長報
  告通リ御異議ハアリマセヌカ
  明治三十四年法律第二十七號中改正法律案確定議
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=43

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• 044・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、是ニテ本案ハ確定ヲシマシタ、日程
  第六、第七ハ同一ノ委員ニ付託セラレテアリマスルデ、併セテ委員長ヲシテ報告セシメマ
  ス、委員長根本正君
  第六鹽專賣法廢止法律案(早速整爾外第一讀會ノ續(〓〓〓)〓〓〓〓
  二名提出)
  〔根本正君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=44

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• 045・根本正

  ○根本正君　鹽專賣法廢止法律案及鹽專賣法廢止ニ關スル建議案ノ二案ハ一括シ
  テ委員ニ付託サレマシタ其經過ト結果ヲ御報告致シマス、委員會ハ都合三囘開キマ
  シテ、本案ニ付キマシテ、十分ノ審査討議ノ上法律案ノ方ハ否決シマシタ、建議案ノ方ハ
  修正ノ上大多數ヲ以テ可決ニナリマシタ、此二案ニ付イテ御報告ヲ致シマスルが、第
  此法律案ノ方ニ付キマシテ報告ヲシマスルガ、其法案ニ付イテ反對ヲスルトコロノ理由ノ
  重モナル件ト云フモノハ、本案贊成者ノ言フ通リ鹽ノ價ト云フモノガ官營前ニ較ベテ三倍
  ノ高サデアルト言フケレドモ、ソレハサウ云フ譯デハナイ、又輸入シテ一般人民ノ便ヲ助ケルト
  云フヤウナ趣意デアルガ、此ノ如ク三倍高イト云フコトハナイ、ドウ云フ譯デアルカト云フナ
  ラバ、鹽ハ三錢五厘ノモノヲ五錢一厘デ賣ルノガ當リ前ノ規則ニナッテ居ル、故ニ政府カ
  ラ買ッテ賣ル時分ニハ二割位ノ利益ガアルコトヽナッテ居ル、併ナガラ之ヲ九錢或ハソレヨ
  リ以上ニ賣ルト云フモノハ、此專賣法ガ惡シキ譯デナクシテ、小賣人ノ所謂惡ルイコトデ
  アル、故ニ政府デ此法案ノ十分取締ヲスルコトヲスルナラバ、決シテ此鹽ノ專賣ト云フ
  モノハ惡ルイコトデハナイト云フコトデ此案ニ付イテ反對者ハ申サレマシタ譯デアリマス、
  故ニ專賣法ヲ取締サヘスレバ、卽チ相當ノ直段デ賣ルコトガ出來ル、今日ノ高イト云フ
  モノハ卽チ小賣人ガ高利ヲ貪ッテ居ルト云フコトデアリマス又此案ニ付イテ維持スル
  トコロノ所謂贊成スル者ガアリマスガ本案ノ反對ノ理由ト云フモノハ戰時ノ節、卽チ
  軍デモアッタナラバ今日輸入ノ鹽、卽チ外カラ來ルトコロノ鹽ガ無クナッテシマウ、所謂輸入
  スルコトガ出來ナクナル、デアルカラ此法案ト云フモノハ內地ノ鹽ヲ助ケルタメニ是非必
  要デアルト云フヤウナコトモ申サレマシタ、其意味モアリマシタ、又第三ニハ鹽ノ今日直
  段ノ高イト云フモノハ鹽バカリ高イ譯デハナイ、外ノ物價總テノモノガ高イカラシテ鹽モ自
  ラ高クナッテ居ルノデアルガ故ニ、決シテ高イト云フ故ニ、此專賣法ヲ止メルト云フ譯ハナ
  イ筈デアル、ト云フコトモ申サレマシタ、鹽專賣ノタメニ鹽ノ品質ト云フモノガ良クナッテ、
  從前ノ物ハ所謂鹽ノ極ク良イ部分ヲ分析シテ見ルト、六十「プロセント」デアッタ物ガ、今
  日鹽專賣ニナリマシテカラ七十「プロセント」乃至九十「ブロセント」位ニ精製サシテアルカ
  ラシテ、卽チ鹽ノ改良ニナッテ、衞生ノタメニナルカラシテ、鹽專賣ト云フモノハ是迄ノ通
  リ置クノガ必要デアルト云フ論デアリマス、第四ニハ是ハ生活上必要品デアルカラ課稅シテ
  ハナラヌ、又卽チ惡稅デアルト云フヤウナコトモアルガ、是ハ單リ鹽バカリデハナイ、醤油ノ
  如キモアルシ、織物稅ノ如キモアリテ、ソレデ惡稅々々ト云フナラバ外ノ必要品モ止メナ
  ケレバナラヌカラシテ鹽カラ取ルノハ何モ差支ハナイコトデアルト云フヤウナコトモ、此維
  持論者ノ方カラ申サレマシタ第五ニハ此鹽ノ官營ヲ廢スルナラバ、一箇年ニ千三百万
  圓ノ稅ト云フモノガ減ズル、故ニ其稅ノタメニ之ヲ廢スルナラバ大イニ收入ニ困ル譯ニナ
  ルカラシテ、其〓カラ見テモ廢スルコトガ出來ナイト云フヤウナコトニ申サレマス、然ルニ
  此本案贊成卽チ鹽專賣ヲ廢スルガ宜シイト云フトコロノ論旨ノ要點ハ、第一ニハ實ニ
  此鹽ニ稅ヲ課スルト云フコトハ宜クナイコトデアル、是ハ論ヨリ證據、卽チ日本全國ノ
  到ル所ノ商業會議所デ以テ鹽ニ稅ヲ掛ケルノハ宜シクナイト云フコトヲ決議シテ居ル、之
  ヲ見テモ卽チ日本ノ輿論ハ鹽ニ稅ヲ懸ケルト云フコトハ宜クナイト云フコトガ一目瞭然
  ニナッテ居ル、故ニ此鹽專賣ト云フモノハ廢スルガ宜シイト云フ議論ガアリマシタ、又其他
  種々是ニ付イテヤハリ此採決スルトキノ議論ヨリモデス、此事ニ付イテノ審議討論スル迄
  デナクトモ、此事ニ付イテ是非善惡デ答辯或ハ質問ニナリマシタ質問會デアリマス、之ヲ
  要スルニ此鹽專賣ト云フモノハ野蠻ノ稅デアッテ、決シテ此文明的デナイト云フヤウナコト
  ガ、此質問會ニアリマシタ却テ質問會ノ時分ガ明瞭ナル卓說ガ出タヤウデアリマスガ、
  其事ハ此處デ別ニ御話申シマセヌガ、是ハ諸君ガ速記錄デ御承知デアラウト信ジマス、
  斯ノ如キノ結果又此法案ヲシテ鹽專賣ヲ是ナリト云フ方ノ側ニ反對シタ中ニ、決シテ
  外患卽チ戰時ノ時分ニモ決シテ鹽ヲ外カラ入レルコトガ塞ガルト云フヤウナ心配ハナイ、
  今日日本帝國ハ實ニ立派ナ國デアッテ、サウ云フ杞憂ヲ懷クニハ及バヌト云フ駁論ガアリ
  マシテ、此案ヲ可決スルガ宜シイト云フ論モアリマシタ、遂ニ採決ノ結果、此法案ノ方ハ
  否決ニナリマシタ、次ニ鹽專賣法廢止ニ關スル建議案ノ方デアリマスガ、是ハ殆ド滿
  場一致卽チ委員會デ唯一人ヲ除クノ外ハ、是ヲ贊成ヲシテ可決ニナリマシタカラ、其
  大略ヲ申上ゲマス、此贊成ノ理由ト云フコトハ稅務調査ト云フコトモ、ソレ〓〓政府
  ニ計畫サレテ明治四十一年度ニ於テハ其事ガ提出サレルデアラウト、其結果ト云フモ
  ノニナリマシタナラバ、卽チ此鹽ノ千三百万圓ト云フモノヲ廢シテ、サウシテ其他ノ稅目
  カラ或ハ三ツ、四ツ、五ツ、七ツ位ノ物カラ取ッテモ、此千三百万圓位ハ取レル、例
  バ砂糖ヨリシテモ二三千万圓ハ取レル、何ヲ苦ンデ此鹽ト云フヤウナ細民ヲ苦メル
  卽チ惡稅ナルモノヽ中ヨリ取ルニ及バヌ、卽チ砂糖デ取リマスルナラバ、決シテ鹽ノ如キ
  一般人民ノ細民ヲ苦メズ上流ノ人ノミ重モニ用井ルノデアルカラシテ、此砂糖ノ方カ
  ラ取ルノガ宜シイト云フトコロノコトモアリマシタ、遂ニ此結果ト云フモノハ卽チ唯今申
  上ゲマシタ通リ大多數ヲ以テ鹽專賣廢止ニ關スル建議案ハ委員會ニ於テ可決サレマシタコ
  トデアリマス、一言茲ニ附加ヘテ私ハ置キタイト思フ、私ハ委員長デアッタ故ニ是ニ付イ
  テ意見ヲ申述ベル折ガアリマセヌデシタガ、實ニ此鹽專賣ト云フモノハ、既ニ今日ハ國家
  ノ輿論デアルワレデ鹽ニ稅ヲ掛ケルト云フコトハ惡ルイト思フ者デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=45

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• 046・橋本久太郎

  ○橋本久太郞君　委員長ガ意見ヲ述ベルノデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=46

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• 047・根本正

  ○根本正君　委員長ノ意見ハ濟ミマシタ、是ヨリ自分ノ意見ヲ-アト一言申シテ置
  キマス、ツレ故ニ鹽ノ惡稅ヲ去ッテ、卽チ上流社會カラ取ルトコロノ砂糖、卽チ此鹽ノ專
  賣ヲ廢シテ、砂糖ヲ專賣シテコソ、實ニ立派ナモノト私ハ信ジマス、諸君ドウカ此鹽ノ專
  賣ニ關スルトヨロノ建議案ハ可決アランコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=47

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• 048・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　日程第六、鹽專賣法廢止法律案、第一讀會ノ續

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• 049・橋本久太郎

  ○橋本久太郞君　此問題ニ付イテ贊成者ガアリマスレバ私ハ反對シヤウト思フ、ソレガ
  ナクンバ私ハ意見ヲ述べマス

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• 050・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　贊成ノ通告ガアリマス

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• 051・橋本久太郎

  ○橋本久太郞君　アレバ其アトデ私ガ意見ヲ述ベマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=51

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• 052・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　贊成ノ通告ガアリマスカラ··

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• 053・橋本久太郎

  ○橋本久太郞君　其アトデ私ハ反對致シマス

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• 054・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　反對ノ方ガ先デス

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• 055・橋本久太郎

  ○橋本久太郞君　然ラバ··

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• 056・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　橋本久太郞君
  〔橋本久太郞君登壇〕

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• 057・橋本久太郎

  ○橋本久太郞君　諸君、此問題ニ付キマシテハ私ハ反對ノ意見ヲ述ベマス、唯今ノ
  委員長ノ報告ニハ贊成デゴザイマス、諸君、此鹽專賣法ハ廢スルト云フコトニ付イテ種
  種ナル議論ガゴザイマシテ、先ヅ第一ニ鹽ヲ專賣ニシタタメニ、卽チ人生ニ最モ必要ナル
  生活品ニ對シテ其價ガ三倍ニ騰貴シテ居ルト云フコトハ宜シカラヌコトデアルト云フ、斯
  樣ナ議論ガゴザイマスルガ、先ヅ此論據カラ打破ラウト思ヒマス、諸君、鹽專賣ヲ實施
  シテ三倍ニ其價ガ騰貴シタト云フコトハ事實デアリマセヌ、決シテ統計ニ依リ數字ニ依ッ
  タ議論デハナイノデゴザイマス、私ノ調査スルトコロニ依リマスルト、元ト鹽專賣法實施
  前ニ於テ、明治三十五年ニ全國平均ノ鹽價ハ一升ニ付イテ三十五年ニハ三錢デアリ
  マシタ、ソレカラ三十六年ガ三錢三厘、三十七年ガ三錢三厘デアリマシテ、此三箇年
  ヲ平均スルト三錢二厘デアリマス、所ガ鹽ノ專賣法ヲ實施シマシテ以來ドウナッテ居ルカ
  ト云フト、全國ノ平均ガ三十八年ニ三錢八厘-前申シタハ一月カラ五月マデ、
  ソレカラ又六月カラ翌年ノ二月マデガ七錢九厘デアリマス、而シテ三十九年ノ四月
  カラ四十年三月マデハ全國ノ平均七錢六厘ニナッテ居リマス、然ルニ三錢ノモノガ
  九錢ニ騰貴シテ居ルヲ以テ、之ニ反對スルト云フコトハ、統計ニ基カズ、數字ニ基イテ
  居ラヌ議論デゴザイマス、(此時種々批評スル者アリ)御聽キナサイ、或ハ廣イ全國
  ノコトデアルカラ、營業人ガ暴利ヲ貪ルガタメニ、九錢ニシテ居ル所ガアルカモ知レヌ、
  併ナガラ-先ズ御聽キナサイ、ソレハ此專賣法中ニ制限ガアルコトニナッテ居ルガ、
  其制限ヲ適當ニ適用シタナラバ-此貪利ヲ貪ラヌコトニシタナラバ、決シテ不當
  ノ價格ニハナリマセヌ諸君、私ノ精密ニ調査スルトコロニ依リマスルト(「高クナッタデ
  アラウカ」ト呼フ者アリ)此營業者ニ二割ノ金利ト利益ヲ與フルコトニシテ卽チ總テノ費
  用ヲ二割ノ利益ヲ與フルコトヽ見テ正當ナル算盤ニ依ラバ五錢一厘二毛ト云フコトニシ
  テ適當デアリマス、然ルトコロヘ向ケテ唯今申上ゲル通リ現ニ七錢モ八錢モ取ッテ居ルコト
  ハ是レ卽チ營業人ガ暴利ヲ貪ルノ事實デアリマス、五錢一厘カ二厘デモ利益ハ二割
  アリマス、此五錢一厘デハ專賣法實施以前ニ比ベレバ僅ノ違ヒニ外ナラヌノデゴザリマセ
  ウ、諸君方モ靜ニシテ能ク御考ヘナサイ(笑聲起ル)外總テノ物價ハ近年ドウナッテ居リマ
  スカ外總テノ物價ハ何品ヲ問ハズ皆凡ソ二割上ッテ居リマス、何ゾ鹽ノミ以前ノ通リノ
  相場ニ据ヘテ居ラナケレバナラヌト云フコトハ、抑モ外總テノ物價カラ目九テ「ロジック」ニ合
  ハヌ話デハゴザラヌカ(笑聲起ル)又事實ニ合ハヌ話デゴザラヌカ、事實ニ於テハ總テ
  ノ物價ガ二割高クナッテ居ルナラバ、鹽モ二割上ラヌ譯ハナイ、ソレデ前ノ三錢三厘ノモノ
  ガ二割モ上ックモノト見テモ、相當ニ上ッテ居ラナケレバナラヌ、ソレヲ僅カ五錢一厘カ二
  厘ニシタトコロデ格別ノ上リデハ決シテナイ、其土ニ鹽ノ相場ガ上ッテ居ルト云フモ
  ノハ販賣者ガ暴利ヲ貪ッテ居ルノデアリマスカラ、之ヲ制セント欲スレバ專賣法ノ規則ノ
  改正ニ依ッテ制限ヲ加ヘ、之ヲ適當ニ使用シタラバ決シテ價格ガ高過ギルコトニナッテ居
  ルコトハナイ、又唯今申上ゲルヤウナ理由デアッテ、決シテ不適當ナモノデナイノデゴザイマ
  シテ、試ニ全國人一人ニ對シテ此鹽ヲ人頭ノ上ニドノ位宛一年ニ使用シテ居ルカト調
  ベマスト、凡ソ一箇年一人ニ付一斗デアリマス、此一斗ニ對シテ專賣法ノタメニ稅金ニ
  當ルトコロノ金額ガ二十一一三錢デアル、諸君二十二三錢ヲ一人前ニ負擔サスコトハ、ソ
  ンナニ苛酷ナ金額デハナイノデゴザイマス、又諸君中ニハ只細民稅々々々ト申スケレドモ綱
  民稅バカリデハナイ、卽チ大家ニシテ召仕ヲ多ク使用スルモノハヤハリソレダケ多額ノ稅金
  ヲ拂ッテ居ルノデアル何モ唯全國ノ貧富ヲ平均シテ負擔シテ居ルモノデナイノデアル、成
  程個人ニ付イテ拂ヒ居ルカラ一面カラ見レバ、ソレハ△〓申上ゲルダケノモノハ一人ニ付キ悉
  ク負擔シテ居ルニ違ヒナイガ、其論カラ往ケバ何モ必ズ鹽ニ限ラヌノデハゴザイマセヌカ、通
  行稅ハ如何、左樣ナモノヲ數ヘタラバ、他ニモ隨分アルノデゴザイマス、ソレ故ニ決シテ此鹽
  ダケガ惡稅デアル、細民稅デアルト云ッテヤカマシク云フノハ、抑〓私ハ間違ッテ居リハセヌカ
  ト思フ唯今私ガ申上ゲヤウトスルトコロノモノハ、、若シ試ニ此鹽專賣法ヲ廢シテシマッテ、
  サウシテ此儘無稅ニスレバ宜シイケレドモ、卽チ政府ハ今日ノ財政ニ窮シテ居ルトコロカ
  ラ、消費稅ニ持ッテ往クカモ知レヌ、又已ムヲ得ズ持シテ往カザルヲ得ヌヤウニナルカモ知レ
  ヌ、財源ハ全ク涸渴シテ居ル、然ラバ試ニ之ヲ消費稅ニ持ッテ往ケパドウデアルカ、實ニ今
  日ノ鹽業者ヲ皆倒シテシマフ、諸君、此鹽專賣法ノタメニ、一面ニ於テハ鹽業者ヲ保護
  シテ居ルコトニナッテ居ルノヲ御承知デアルカ又、自然ニ任シテ置ケバ、今日ノ製鹽業者ハ
  勞銀ガ高クナッテ居ル、原料ガ高クナッテ居ル從ッテ價格ヲ高クシナケレバナラヌトコロヘ向
  ケテ、互ニ競爭シテ價ヲ廉クセントスルヤウニナルノデアリマス、然ラバ收支相償ハヌ有樣
  ニナッテ來マス、又勞銀ガ高クナッテ居ル、原料ガ高クナッテ居ルノニ對シテ、高イ價ニ賣リ
  マシタナラバ外鹽ニ壓倒セラレルノデアル、然ラバ自然ニ任セテ放任シテ置カンカ、折角全
  國ニ七八千町步モアル此鹽田ヲ荒蕪シテシマフヨリ仕方ガナイノデアリマス、又製鹽業
  者ヲ倒シテシマフノデゴザイマス、然ラバ一面カラ申セバ此專賣法ハ鹽業者ヲ保護シ又折
  角全國ニアルトコロノ鹽田ヲ保護シテ、一面ニハ鹽ノ改良進步發達ヲ圖ッテ往クノデア
  リマス諸君、鹽專賣法實施以來鹽質ハ明カニ良クナッテ居ルノデゴザラヌカ、論者ニ於
  テ或ハ言フ、鹽ガ高クナッタカラ粗惡ナ鹽ヲ嘗メルヤウニナッタト云フ、諸君粗惡ナ鹽ヲ嘗
  メルニシタトコロガ、鹽化曹達百分ノ七十以上ノ鹽デナイト嘗メラレヌノデハゴザラヌカ、
  以前ハ百分ノ六十以內ノ鹽化曹達ノ鹽ヲ嘗メツヽアッタノヲ今度鹽專賣法ノタメニ五等
  鹽デモ百分ノ七十以上ノ鹽ニナッテ(「簡單」ト呼フ者アリ)上等ニナルト百分ノ九十以上
  ニナッテ居ル詰リ良イ鹽ヲ嘗メサセルヤウニナッタノデアリマス、而シテ鹽質モ改良セラレ
  ツヽアルノデアリマス、諸君中ニ於テハ鹽ハ自然ノ優勝劣敗ニ任セタラ宜イト云フガ、私
  モ全體ニ於テハ其主義ハ宜シイトハ思ヒマスルカ、多クノ者ハサウ云フ考ヲ持ッテ居ル、
  併ナガラ幸ヒ全國ニ八千町步カラ鹽田ガアッテ、而シテ隨分唯今申上ゲル適當ナ保護ヲ
  シタナラバ、鹽業者ガ立行クノミナラズ、七八千町步モアル鹽田ノ改良モ出來ルノデアル、
  然ルニ若シ之ヲ抛棄シテシマッテ自然ニ任セクナラバ、外鹽ニ壓倒セラレ、卽チ日本ノ領土
  トハナッテ居ルガ、臺灣滿洲カラ鹽ヲ取ルコトニナッテシマッタナラバー私ガ昨日申シタラ
  バ極端論者ノ島田君カラ昨日種々ナ議論モ出マシタケレドモ、若シモ國家一朝有事ノ
  時ニ當ヲテ、而シテ海外トノ交通ガ危險ヲ感ズルトキニ當ッタラバ、ドウデアリマスカ、折角
  コレダケノ鹽田ガアリ、コレダケノ日本ニ製鹽ガアルノニ、其交通危險ノタメニ、高イ滿
  洲鹽ヲ用井、臺灣鹽ヲ用井ンナラヌコトニナルデハゴザイマセヌカ、島田君ハ今日ノ軍備ニ
  滿足セラレ、大ノ積極的ノ方針ヲ執ラバ總テノコトニ於テ決シテ外戰ナドハ憂フル
  ニ足ラヌ、開戰ナドハ憂ヘルニ足ラヌト言ハレマスガ、是ハ樂天的ノ空想デアラウト思フ、
  私モ其考ヘハ大體ニ於テ持ッテ居ッテ、軍備擴張ニハ贊成ヲシテ居ル、併ナガラ國家ヲ眞
  ニ憂フルトキニ至ッテハ一朝不時ノ時分ニ卽チ海外トノ交通ノ危險ヲ感ズルトコロノ思
  モ一國ヲ料理スル上ニ於テハ持ッテ居ラナケレバナラヌ(「絕無ダ」ト呼フ者アリ)絕無ハ
  間違ダ(笑聲起ル)現ニ日露戰役ノトキハドウデアル、彼ノ通リ旅順艦隊ハ擊破ッテシマ
  ヒ敵艦ノ憂ガナイコトニナッテ居ルトキニ、漸ク浦鹽斯德ニ二三戰艦ガ居ルノニソレガ津
  輕海峽ヤ宗谷海峽カラ折〓出入交通セラレタガタメニ、直ニ海外トノ物品其他ノ上ニ
  影響ヲ來シタデハゴザイマセヌカ、彼ノ位連戰連捷シツヽアッテ、殆ド旅順艦隊ヲ擊破ッ
  テシマウテ居ッテ、成程「バルチック」艦隊ハ來ツヽアッタケレドモ、マダ來ヌトキニ方ッテ、漸ク
  二三敵艦ガ此近海ニ出沒シタタメニ、忽チ餘所トノ間ニ物價ニ非常ニ影響ヲ來シタデハ
  ゴザラヌカ、日露戰役ニ彼ノ通リ大捷ヲ來シタノデ遽ニ樂天ヲ極込ンデ、外國トノ間ニ
  決シテ交通上ノ憂ハナイナンカ如キ空想ヲ懷カレルト云フモノハ、ソレハ私ハ笑フベキ論者
  ト思フ(笑聲起ル)、況ヤ縱シサウデアルトシテ見テモ、斯樣ニ我邦ニ鹽田ガアリ製鹽ガア
  ルノニ、ワレヲ取ッテシマウテ、萬一ノ時分ノ惧ガナイト斷定ヲシテ、枕ヲ高クスルト云フノ
  ハソレコソ空想論者ノ樂天ノ極デ、寧ロ間違ト私ハ思フ、ソレ故ニ何處マデヾモ此鹽
  專賣法ヲ廢止スルト云フコトハ私カラ見ルト輕擧ノ仕方デアッテ、決シテ適當ノ處置デ
  ハナイト思フ、唯一片ノ空論空想ニ驅ラレテ而シテ、漸ク二年カ一年餘前ニ拵ヘタモノ
  ヲ、今日ニ於テ廢シヤウト云フノハ、空想ニ驅ラレテ輕擧盲動ニ失スルモノト私ハ斷定ス
  ルモノデアル(「ノウ〓〓」)決シテ唯島田君ノヤウナ一片ノ空理空想ニ驅ラレテ、成程理
  論家トシテハ感心デアルケレドモ、此國政ヲ料理スベキ政治家トシテハ、分毫ノ價値モナ
  イ議論デアル私ハ斯ノ如キ空理、空想ニ驅ラレテ輕擧暴動ヲシテ、却ッテ國家百年ノ過
  ヲ遺スコトヲ憂フルノデアリマス、私ハ出來得ベキダケ日本ニ折角アル鹽田ヲ保護シ、一面
  ニ向ッテハ鹽ヲ改良シ、一面ニ向ッテハ國家ノ稅源ニ之ヲ充テ、而シテ又ソレト同時ニ適當ニ
  鹽專賣法ノ改正ノ法律ヲ適當ニ使用セラレテ、餘リ營業者ガ暴利ヲ貪ルトコロニ至ッテハ、
  之ニ制限ヲ加ヘテ細民ノ困苦ヲ來サヌヤウニ致シタイト私ハ思フデゴザイマス、、諸君、試
  思ヘ(笑聲起ル)今日ノ相場ノ暴騰シテ居ルノハドンナデアルカ、全ク營業者ガ暴利ヲ
  貪ッテ居ルノニ過ギヌノデゴザイマス、又此鹽專賣法ヲ廢止スルト云フ議論ハ何カラ來テ居
  ルプト云フニ、鹽業者ガ此上ニモ暴利ヲ貪ラント欲スルトコロヨリ來タノダカラ、ソレデコンナ
  窮窟ナモノヲ廢シテ、自分勝手ニ相場ヲ極メテ、以前ノ如ク暴利ヲ貪ラウトスルモノヽ大
  運動トノ呼聲ノ結果ニ外ナラヌト私ハ思フ(「ノウ〓〓」)唯啻ニ商法會議所ノ議論デア
  ルカラ、輿論デアルカラト云ウテ、專賣法ニ反對スルノデ、左樣ナ議論ニ左右セラレテ、
  商法會議所ノ議論ニ一モ二モナク服從スルナラバ議場ノ審査ハ要ラヌモノデアル、
  固ヨリ私ハ商法會議所ノ調査ト雖モ、多クノモノハ傾聽スルケレドモ、私ハ物ヲ取捨採
  擇スル積リデアル、諸君ノ如ク唯商法會議所ノ議論デアルカラ、悉ク從フヤウナ、ソンナ
  不見識ナコトハ嫌テゴザイマス、(笑聲起ル)吾〓ハ職責上適當ニ調査シ、適當ニ判斷シ
  テ惡ルイモノナラバ採用セヌマデノ考デアル、願クハ諸君ハ沈思默考シテ(笑聲起ル)本員
  ノ熱心ナル議論ニ御贊成アランコトヲ希望致シマス(笑聲起リ、拍手スル者アリ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=57

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• 058・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　島田三郞君
  〔島田三郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=58

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• 059・島田三郎

  ○島田三郞君　諸君、本員ハ橋本君ノ御說ヲ謹ンデ承リマシタガ、餘リ駁スル程ノ價
  値ハナイト思ウテ居リマス、併ナガラ本員ハ本案提出者ノ一人デゴザイマスルカラ、其趣
  意ノアルトコロヲ申シマスルト、御氣ノ毒デアリマスルガ、橋本君ノ說ヲ批評スルノ義務ガ
  アルト思フ、橋本君ハ斯ウ云フ箇條ヲ舉ゲラレテ、餘リ高クナイト云フコトヽ、ソレカラ鹽ガ
  絕滅シテ他日外國ノ艦隊ガ日本ノ近海ニ出沒シタトキニ困ルデアラウ、斯ウ云フコトデ
  アッタ、ソレカラ他ノ物價ガ高イカラ鹽モ高イノデアル、サウ云フコトデゴザイマシテ、是ハ委
  員會ノ中デモ承ッタノデゴザイマスルガ、其委員會デハモウチトマダ附加ヘテ、惡稅モ他ニア
  ルカラ、ソレダケ一ノ惡稅ニ氣ヲ懸ルニハ及バヌト云フ不論理ノ反對モアリマシタ、委員會
  ノニ承承タノデ、委員會ノ經過ハ委員長ノ報告ノ足ラザルトコロヲ補ッテ、少シ事情ヲ申
  上ゲヤウト思フ、十八名ノ委員會ノ中デ政府黨ト認メラレル政友會ノ御方ノ多數モ、ソ
  レカラ大同派ノ多數モ進步黨ノ御方ノ多數モ、皆大體ノ上ニ付イテ、是ガ惡ルイト云
  フコトノ〓ニ於テハ一致シタノデゴザイマス、ソレ故ニ大多數ヲ得タノデゴザイマスガ、此
  中ニ二人反對ガアッタ、其反對說ヲ承ッタノハ、一人ハ久保君デアッテ一人ハ唯今ノ橋
  本君デアリマスル、是ハ香川縣、德島縣ノ御方デアリマスカラ、反對ハ御尤ダト本員ハ
  其意ヲ諒トシテ承ッテ居リマスガ、是ハ十州鹽田會ノ總會ノ席デ承ルベキ議論デ、帝國
  議會ノ五千万人ノ利害ヲ議スル所テハ、餘リ反對ガ狹過ギタト本員ハ思ウテ居リマス
  ソレ故ニ初ニ於テ大同派ノ最モ親シカッタトコロノ前政府ガ此專賣業ヲ企テヽ、今日政
  府ヲ助ケテ御出デノ政友會ガ、ヤハリ是ハ廢シナケレバナラヌト云フトコロマデ歸著シテ居
  ルノデ、實ハ全國ノ輿論ノ歸著ガ定ッテ居ルノニ、十州鹽田會ノ總代ノ御方ノ說ヲ聽ク
  ニハ足ラヌト思ウテ居ル、併ナガラ既ニ帝國議會ノ壇上ニ立ッテ御論ジニナッタ以上ハ
  本員ハ已ムヲ得ズ自說ヲ維持スルタメニ、御氣ノ毒ナガラ批評シナケレバナラヌ、(「橫濱
  ノ鹽問屋ニ賴マレタノダラウ」ト呼フ者アリ)第一小賣ガ三倍ニナッテ居ルト一云フコトハ
  統計上噓ダト云フコトヽ、ソレカラ統計表ノ中ノ一部ヲ拔イテ、サウシテ七錢二厘トナル
  ノデアルガ、五錢二厘デ二割マデ儲カルト云フ、多分是ハ鹽田業者ノ調査デアリマスカ、
  或ハ政府當局者ノ調査テナケレバ斯ノ如ク殘ラズノモノガ出ル譯ガナイ、本員ノ手許
  ニモヤハリ有志家ノ意見トシテ斯樣ナル調査表ガ參シテ居リマス、是ハ初メテ橋本君カラ
  承ッタノデナイ、免ニ角政府委員モ此高イト云フコトヲ認メラレル證據ガアリマス又橋
  本君モヤハリ高イト云フコトヲ認メテ居ラレル、ソレハ高イケレドモ、是ハ小賣商ガ間接ニ
  高ク賣ルノデアッテ、本當ニ賣レバ左樣ナコトハナイト云フノデアルカラ、イゾレノ原因カラ
  見マシテモ、小賣ノ高イト云フコトハ委員會ノ御方ハ一致セラレテ居ル、極度マデ原案
  ヲ維持セラレル政府委員モ、ヤハリサウ認メテ居リマス、ソレナラバ小賣ノ高イ取締ガ出
  來ルヤ否ヤト云フコトハ實地ノ問題デアリマス、凡ソ商業ト云フモノハ、相場ノ上ニ現ハ
  レル需用供給カラ來ルノデアリマスルカラ、本ガ是ダケデアルカラ、何時デモ其本ニ二割ヲ
  掛ケレバ宜シイト云フ一定ノ規則デ、小賣ノ取締ヲスルト云フコトハ抑商業ノ何モノ
  タルヲ知ラザル、經濟ノ原理ノ何モノタルヲ知ラナイ人ノ議論デアッテ、是等ハ採ルニ足ラ
  ヌトコロノ論デアルト思フ、廉ク買ッテ高ク賣ルト云フコトガ商賣デアルカラ、之ヲ制限ス
  ルタメニ需用供給ノ自然法ガアッテ、初メテ生產費ノ上ニ幾ラノ儲ガアッテ、賣レルト云
  フノデ極マルノデアリマスルノヲ、政府ガ全額ヲ制限シテ、是ダケノ鹽ガ出來テ、是ダケ全
  國ニ這入ッテ居ルカラ、此小賣ニ幾ラニ當ルト云フコトハ、金利ト云フコトモ、市場ノ形
  勢モ知ラナイノデ、此ノ如クシテ商賣ガ出來ルモノナラバ、何人モ商業ニ從事スルコトガ出
  來ルノデアリマスガ、左樣ナルコトヲ全國ノ小賣者ニ强ユルト云フ根柢ニ誤リガ存シテ居
  リマスカラ、ヤハリ高イハ高イノデアッテ此高イ〓ニハ橋本君モ一致サレテ居ル、政府委
  員モ其高イノハ小賣者ニ取ラレテ居ルト云フコトデアリマスガ、此小賣者ヲ取締ルコトニ
  ナレバ、全國ノ供給ノ不便ヲ起スト云フコトヲ御承知アランコトヲ望ムノデアリマス、ワレ
  故ニ本員ハ此專賣法ハ嫌ナノデ、ソレ故ニ總テノ人ガ皆使ヒマスルトコロノ物品ニ向ッテ
  此ノ如ク細密ナルトコロノ制限ヲ加ヘ、此ノ如キ干渉ヲ施シテ初メテ供給ノ途ヲ開カウ
  ト云フノハ所謂座敷論デ、王安石ガ宋ノ政ヲ誤ッタト同ジ覆轍デアラウト思ヒマスカラ、
  本員ハ徹頭徹尾此案ハ當初ヨリ一日モ反對ノ意ヲ緩ウシタコトハナイ、ソレカラ橋本君
  ノ議論ヲ煎ジ詰メマスルト斯云フコトニナル、八千町歩ノ鹽田ガアル、八千町歩ノ鹽田
  ヲ保護シナケレバ氣ノ毒デアル、卽チ本員ハ評シテ十州鹽田會ノ總體ノ議論ト云フノハ
  此意味デ、是ハ八千町步ノ所有者ヲ除イタ日本全體ノ利害問題デアリマス、何レガ重
  キカト云フコトニ考ヘナケレバナラヌ、是ガ氣ノ毒デアルガ故ニ、自然ニ供給セラルベキト
  コロノ鹽ヲ制限スルト云フコトデ、專賣法ノ基礎ガ立ツト云フナラバ橋本君ハ何故ニ是
  マデノ人力車ガ迷惑ヲスルカラ汽車ヲ擴ケルコトハ困ルト云フ議論ヲシナイノデアル、是マ
  デニ汽車ガ利益ヲ得ラレナイカラ電氣應用ヲ禁ジナケレバナラヌト云フ議論ヲシナイノデア
  ル、併ナガラ斯樣ニ言フト鈍キ腦髓ノ論者ニハ徹底シナイカモ知レヌ、ソレ故ニモット適切
  ナル例ヲ舉ゲテ申シマスレバ橋本君ハ敵ノ艦隊ガ近海ニ出沒スルトキ、外鹽ノ供用ガ絕
  ヘルト云フコトデゴザイマスルガ、是コソ實ニ消極的精神病家ノ云フコトデ、本員ハアラウト
  思ヒマス、ソレ故ニ本員ハ國際ノ平和ヲ望ムニ拘ラズ堅實ナル艦隊ヲ帝國ガ持タナケレバナラ
  ヌ、印度洋以東ハ日本ノ領海權トスル位ノ見識ガナケレバ、帝國ヲシテ列國ノ間ニ雄視
  スルコトハ出來ヌト本員ハ思ッテ居ル、若シモ橋本君ノ議論ノ如クナレバ臺灣モ還スベシ、
  遼東モ還スベシト言ハナケレバ、此日本ハ立タナイノデ、帝國ノ故領地ノ中ニ閉籠ヲテ居
  テ、昔時ノ鎖國ノ主義ニ基カナケレバ又コトハ足ラヌト思ヒマス、本員ハ北ハ樺太ヲ割キ、
  更ニ遼東ニ租借地ヲ持ッテ居ル帝國ガ、何故ニ鹽ノ一〓ニ此ノ如キ、心細キ感ジヲナサ
  ルヽカヲ疑フノデアリマス、モウ一ツ反問シヤウト思ヒマスノハ、唯今日本ノ多數ノ人
  ガ用井テ居リマス木綿ハアノ棉花ハ何レニ採リマス、元ハ四國或ハ九州ノ暖地ニ生ジタ
  ノデアリマスケレドモ、今日ハ日本ノ重モナル輸出物トシテアリマスルトコロノ是ハ紡績ヲ
  以テ、其第一ニ數フベカラザルモ、第二位第三位ニ上セルコトハ出來ル、其棉花ノ原
  料ハ何レニ採ルカト云フト、十州鹽田會總代者ト同ジヤウナ論旨ヲ持ッテ居ル人ハ此棉
  花ハ日本ニ生ジナケレバ、一旦外國ノ軍艦ガ、日本ノ近海ニ往來シタトキニ日本人ハ
  凍ヘナケレバナラヌト云ヒマスルカ、實ニ笑フニ堪エタル議論ト思ヒマス、王者道アレバ守
  四夷ニアリト云フコトハ、支那人ノ言ッタコトデアルガ、特ニ橋本君ニ告グベキコトデアル
  ト思ヒマス、何ゾ一ツ鹽ノコトニ付イテ鎖國主義ヲ執ラルヽトコロノ四十年五十年以前
  ノ識見ヲ主張セラルヽカ、實ニ時勢ニ後レタ議論ト本員ハ思ヒマス、決シテ物モ高イカラ
  鹽モ騰ッタト言ヒマスルガ、鹽ヲ廉ク爲シ得ベキ形勢ハ備ッテ居ル、本員ハ尙反對論者ハ
  餘り言ヒマセヌケレドモ、一ツノ附加ノ事實ヲ委員會デ言百ママシタカラ言ヒマスルガ、北海
  道ノ漁業ノタメニ此鹽ノ專賣法ガ害ニナッテ居ル、ソレ故ニ北海道ノ殖產家ハ此鹽ヲ
  自ラ造ラウトシタ、尙モウ一ツノ便宜ハ此山ヨリ掘出シタトコロノ他ニ餘リ賣リ途ノナイ
  トコロノ石炭ヲ使ッテ、廉ク鹽ヲ造ルトコロノ新式ノ製鹽業ヲ企テヤウトシテ願出テタ
  ラバ、ドレ程ノ鹽ヨリ製スルコトハナラヌー、天然ノ利ヲ出スト云フコトヲ制限スルハ專
  賣ノ上ニ現ハレル害デアッテ、外國ノ鹽ヲ制限スルト云フバカリデ、專賣ノ害ヲ本員ハ諭
  ズルノデハナイ、帝國ノ中ニ新式ノ製鹽業ガ現ハレテ日本國民ニ廉キ鹽ヲ供給セントス
  ルモ、政府ハ此制度ヲ維持スルタメニ天然ニ制限シテ居ルデハアリマセヌカ、天然ノ利ヲ發
  達セシムルト云フノガ農商務ノ趣意デアリマスガ、怪ムベキノ至リト言ハナケレバナラヌ、且
  又此北海道ニ新ニ企テタトコロノ人ハ、北海道ノ魚ヲ良ク製シテ、之ヲ國外ニ出シタ
  イ良イ鹽ヲ得タイト云フ、此ノ如キ考カラ企テタノデアリマスガ、併ナガラ出來得ルナラ
  バ澤山拵ヘテ、サウシテ利ハ益〓多々ナランコトヲ望ムノデアリマスガ、之ニ付イテ二ツノ制
  限ヲ政府ガ與ヘタ、一ツハ其高ヲ制限セヨ、一ツハ內地ニ賣ルベカラズ、外國ニ出セ、其
  他驚クベキトコロノ制限デゴザイマスガ、併ナガラ今日ノ專賣制度ヲ維持スル以上ハ、斯ク
  セザルヲ得ヌノデアリマスカラ、本員ハ此專賣局ノ人ガ此ノ如ク云フノヲ誠ニ氣ノ毒ニ思ツ
  テ居ッテ、其意ヲ諒トスルノデアル、根柢デ言言ママスレバ帝國議會ハ此ノ如ク矛盾シテ居ル
  法律ヲ出シタト云フ、政府ガ之ヲ出シテ帝國議會ハ之ヲ匆卒ノ間ニ之ヲ許可シタ決シ
  タト云フコトガ誤デアリマスカラ、本員ハ決シテ專賣局ノ諸氏ニ向ッテ此ノ如キ制限ヲ北
  海道ノ新製鹽ニ與ヘルト一云フコトヲ咎メヌノデアリマス、原因ガアルカラ此ノ如キ結果ガ現
  ハレタト本員ハ申スノデ、之ニ就イテモウ一ツ申シテ見タイ、此ノ如キ影響デアッテ、全國ノ
  人ガドレ程ノ稅ヲ受ケテ居ルカト云フト總體ノ頭ニ非常ナル惡ルイ結果ヲ受ケテ居リマスル
  ノハ本員ハ曾テ印度ノ專賣反對報告ヲ讀ンデ大ニ感ジタコトガアリマス、全體鹽ト云
  フモノハ勞働スル者程多分ヲ取ラナケレバ衞生上身體ノ健康ヲ維持スルコトガ出來ヌ、
  然ルニ印度ニ於テハ專賣法ガアルガタメニ、價格ガ高クシテ行渡ラヌタメニ皮膚病
  ガ多イ、一方ニ健康ヲ維持スル途ヲ開イテ、一方ニ衞生上ニ骨ヲ折ルト云フノハ矛盾
  デアルト云フ反對ノ報告ヲ讀ンデ感ジタ、是ハ印度ハ從來アッタトコロノ法律デアルカラ
  此ノ如キモノガアッテ、有志ノ人ガ奮起シテ廢サントシテ輿論ヲ動シテ居ルノデアリマスガ、
  何故ゾ日本帝國ガ、議會ヲ開イテ全國ノ總代人ガ集ッテ、此ノ如キ法律ヲ定メタト云
  フノハ印度國民ニ耻ヅルコトヽ思ッテ居リマス反對論者ハ氣ノ毒デアルガ、香川縣ノ
  久保君ト、竝ニ德島縣ノ橋本君ノミデアッタト云フコトニナル、又政府ノ反對黨ナリ贊成
  黨タルニ拘ハラズ、此法律ダケハ明瞭ニ分ッテ居ルト云フコトヲ本員ハ思フノデアリマスカ
  ラ、ソレ故ニ之ニ付イテ斷然廢止スルガ宜イト、斯樣ニ考ヘテ居リマスガ、然ルニ玆ニ一
  ノ稍一理理アルヤウニ聞エル反對ガアル、ソレハ委員長モ報告サレタ如ク、一千三百万
  圓ノ稅源ヲ如何ニセント云フ一ノ反對デアル、之ヲ定メズシテ俄ニ廢止スルト云フコトデ
  アッタラ、國政ヲ議スル議員トシテ無責任デアルマイカト云フコトデアル、是亦本員ハ顧ル
  ニ足ラヌト思ヒマス、本案バ四十一年四月一日ヨリ施行ト書イテアリマス、一年ノ猶豫
  ヲ與ヘテ居リマス、大藏省ニハ稅法改正調査會ヲ設ケラレテアル、是ハ他ニ鞭撻スベキ
  者ガナイカラ、空シク今日ニ至ッテ一向報告スベキ報告モ出テ參リマセヌガ、免ニ角此調
  査會ガアリマス、其故ニ誰ガ見テモ反對ヲ表サナケレバナラヌト確定シタ、輿論ノ決勝點
  トモ申スベキ鹽ノ專賣法ノ問題ハ、一年ノ猶豫ヲ與ヘテ大藏省ノ決心ヲ促シタノハ、最モ
  適當ナル處置デアッテ、議會ノ監督權ト共ニ道理アルトコロノ立法權ノ使用デアルト本
  員ハ確信スルノデアル、之ニ付イテモウ一ツ申シテ置キタイノハ廢止ノ結果一千三百
  万圓突然無クスルノハ無責任デアルト云ヒマスガ、本員ノ考デハ一億万圓ノ軍事費カラ
  成立ツ六億一千万圓ノ豫算ヲ議定シタノハ事實ノ上ニ於テ如何ナル責任ヲ取ッテ居
  ラルヽカト本員ハ思ヒマス、本員ハ唯今アレダケヲ据置クニハ少ナクモ一億万圓ハ何レノ
  方面カラカ支出シナケレバナラヌ、然ラザレバ政務ヲ大ニ改革ヲ加ヘナケレバナラヌト云フ
  コトハ、事實今日歷然ト現ハレテ居ル、此ノ如ク國家ノ上ニ一大改革ヲ加ヘナケレバ
  ナラヌト云フ、其改革ノ一トシテ鹽專賣法廢止ヲ一年ノ後ニ期スルト云フコトハ、最
  モ改革ノ精神ヲ含マセタル道理アル本案デアルト。思ヒマス、本員ハ此ノ如ク思ウテ居ル
  故ニ、如何ナル反對ガアルニモ拘ラズ、原案ハ維持スルノデアリマス、此原案ヲ維持スルニ
  付イテハ議會ニ訴ヘ、併セテ議會ヲ通ジテ國民ニ訴ヘナケレバナラヌ、本員ハ政友會ノ諸
  君ニ對シ、大同派ノ諸君ニ對シテ、此改正案ニ贊成セラルヽ誠意ガアルカ否ヤヲ疑フノ
  デアル、何故疑フカト申シマスレバ、立法權ノ適當ナル使用ヲ用井ズシテ、サウシテ建議
  案ニセラレタト云フノハ、何タル不道理、何タル不體裁デアルカト云フコトヲ明白ニ確言
  シナケレバナラヌト本員ハ信ズル、本員ハ建議案ト云フコトハ餘リ好マヌノデアリマス、當
  院設立以來日淺クアリマスケレドモ、帝國議會ハ成ルベク憲法法律ニ容許サレタ範圍內
  ニ於テ、帝國議會ノ權力ヲ十分ニ活用シタイト云フノハ、憲法ニ對スル本員ガ一片ノ
  忠實デアリマス、此立法權ヲ以テ議スベキモノヲ、何故ニ建議案ニナサレマシタノカ、建
  議案ハ立法權ノ至ラザルトコロ、卽チ郡役所廢止案ノ如キ行政命令ニ依ッテ左右セラ
  ハ、直接帝國議會ノ力デ動カスコト能ハザルモノハ餘議ナク此建案トスルノデアル、然
  ルニ此鹽專賣法制定ノトキニハ本院自カラ決議シナガラ、之ヲ廢スルニ當シテ建議案ヲ
  用井、立法權ヲ使用シナイト云フノハ、政府ヲ憚ッテナサザルノデアルカ、詰リ分析シテ見
  レバ立法權トスレバ政友會ノ諸君モ同意シナイ、大同派ノ諸君モ同意シナイ、唯進步
  黨ノ御付合ヲシタト云フコトデアルノハ明カナル事實デアリマス、御付合ヲシテ立法權ヲ
  縮メルヨリ、寧ロ〓本員ハ正々堂々立法權ヲ使用シテ、一面其貫徹ヲ期スルトー云フコト
  ハ殊ニ座席ヲ議會ニ占メテ居ル議員ノナスベキトコロデアル、此案ハ政府ノ不同意トス
  ルトコロデアル、不同意ノトコロヘ持ッテ往ッテ、建議案ヲ以テスルト云フコトハ哀訴嘆願
  ニ等シキ醜態デアルト思フ(「ノウ〓〓」)若シ醜態デナイト云フナラバ本員ニ確答ヲ與ヘ
  ラレンコトヲ望ム、本員ハ此議會ノ內ニ於テ五人デモ六人デモ此精神ヲ維持スル、忠實
  ナル帝國議會ノ議員アランコトヲ望ムガタメ、極度マデ原案ヲ維持シテ其起立ヲ試ミヤ
  ウト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=59

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• 060・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　久保彥太郞君
  (「討論終結」ト呼フ者多シ〕
  〔久保彥太郎君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=60

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• 061・久保彦太郎

  ○久保彥太郞君　私ハ此鹽專賣廢止法案ニ反對ヲ致シマスル一人デアリマス、卽チ
  鹽專賣法ヲ以テ惡稅ト認メナイ良好ナ財源デアルト信ズル者デアリマス、聊カ此主張ヲ
  諸君ニ述ベタイト思ヒマス、所ガ生憎デ非常ニ風邪ノタメニ咽喉ヲ害シテ居リマシテ、ドウ
  カ御聽苦シイカハ存ジマセヌガ、暫時御〓聽ヲ願ヒマス、私ハ先刻島田君ガ御紹介ナスッ
  タ如ク、鹽業ニ關係ノアル人間デアリマス(「ソレヂヤ止メ給ヘ」ト呼フ者アリ)鹽業ニ經
  驗ヲ有シテ居ル者デアリマス、故ニ常ニ鹽專賣法ニ對スル反對論ヲ能ク注意シテ承ッテ
  居リマス所ガ幸ロカ不幸デアルカ、未ダドウモ是ナラ贊成ヲ致シテ見ヤウト、自分ノ所論
  ヲ捨テヽ是ナラ贊成ヲ致シテ見ヤウト云フ議論ヲ承ラヌノデアリマス、先刻島田君ノ御
  說モ段々承リマシタガ、要スルニ此鹽ヲ捉ヘテ、サウシテ鹽專賣法ヲ非難スルト一ムフニ
  過ギナイノデアリマス、サウシテ諸君ハ常ニ日々鹽ヲ使用シツヽアルニモ拘ラズ、鹽ト云フコ
  トニ付イテハ更ニ知ラナイノデアル、鹽專賣法後、鹽ト云フモノガドウ云フ風ニ供給サレ
  ドウ云フ風ニ需用サレテ居ルト云フ事實ヲ、チットモ知ラヌノデアル、故ニ私ハ簡單ニ決シ
  テ惡稅デナイト云フ趣意ヲ、諸君ニ御分リニナルヤウ御話シタイト思フ、ソコデ私ガ反對
  論ノアルトコロヲ注意シテ聽イテ居リマスノニ、詮ズルトコロ鹽專賣法ニ對スル正面的ノ
  反對ハ二ツアルニ過ギナイノデアル、其二〓ハ何デアルカト申シマスト、一ハ鹽ト云フモノガ
  人間ノ生活ノ必需品デアル、之ニ課稅スルト云フコトハ、人頭稅ノ性質ヲ帶ビルモノデア
  ル故ニ惡稅デアルト云フノガ一ノ論據ソレカラ第二ノ論據ハ鹽專賣法後、大ニ鹽價ガ
  騰貴シタ、鹽價ガ騰貴ノタメ、多數ノ細民ハ是ガ負擔ニ苦シム、此二〓ノ外ニ過ギナ
  イ其他ニイロ苦情ヲ主張スル者ガアリマスケレドモ、是ハ枝葉ノ議論デアッテ、玆ニ
  私ガ辯解スルノ必要ハナイト思ヒマスカラ、此二〓ニ付イテ私ハ私ノ主張スルトコロヲ述
  ベタイト存ジマス、諸君、何故ニ人間ノ生活ノ必需品ニ課稅スルト云フコトガ惡ルイデア
  リマセウ、生活必需品ニ課稅スルコトガ惡ルイト云フコトハ私ハ一向道理ノアルトコロヲ
  解シナイ、何ゼ生活必需品ニ課稅スルコトガ惡ルイデアリマス、昔ハ斯ウ云フ學說ガアッタカ
  存ジマセヌケレドモ、今日ノ財政上ニハ此ノ如キ議論ハ認メナイノデアリマス、併ナガラ假
  リニ生活必需品ニ課稅スルト云フコトガ惡ルイトシタナラバ獨リ鹽稅ノミナラズ、人間ノ
  生活必需品ニ課稅シテ居ルモノハ其他ニ澤山アリマス、醬油稅ノ如キモ卽チ是デアリマ
  ス、又織物消費稅ノ如キモ卽チ是デアル、又地租ノ如キモ多クノ部分ハ卽チ米穀ニ向ッ
  テ間接ニ賦課シテ居ルトコロノ租稅デアリマス、故ニテス、人間ノ生活必需品ニ課稅スル
  ト云フコトガ惡イト云フ茲ニ一ノ議論ガ立ッタナラバ地租ヲモ廢シナケレバナラヌ、多ク
  ノ部分ノ地租ヲモ廢シナケレバナラヌ、又醬油稅モ廢シナケレバナラヌ、織物消費稅モ廢
  シナケレバナラヌ、或ハ人間ハ病氣ノ器械デアルト云フ上カラ申シタナラバ藥モ人間ノ生
  活ニ必要ナ品デ、賣藥稅モ廢シナケレバナラヌ、斯ク論ジテ參リマシタナラバ、人間ノ生活
  ノ必需品ニ課稅スルト云フコトガ惡イト云フ議論デアリマシタナラバ、少ナクモ私ガ唯今
  申シタ位ノ稅金ハ廢シナケレバナラヌト云フコトニナリマス、又サウシナケレバ人間ノ生活
  必需品ニ課稅スルト云フ論理ガ貫徹シナイヂヤアリマセヌカ、若シモデス、此論理ガ諸君貫
  徹シタト見給ヘ、此論理ガ貫徹シタナラバ、國家ノ歲入少ナクモ一億万圓ニ近イト云フ金
  ハメチヤ〓〓ニナッテシマウ、(「分リマシタ」ト呼フ者アリ)又其外最モ人間ノ生活トシテ必
  需缺クベカラザルトコロノ米デアル、此米ニ向ッテモ一圓六十錢ト云フ輸入米ニ向ッテ關
  稅ヲ掛ケテ居ルノデハアリマセヌカ、此一圓六十錢ト云フ關稅ヲ掛ケテ居ルタメニ、內地
  ノ米價ニ二圓以上ノ相場ニ影響ヲ及ボシテ居ルト云フコトハ是ハ普通人ノ主張シテ居
  ルトコロデアル、是等モ卽チ鹽專賣ガ惡ルイト云フナラ廢シナケレバナラヌ、サウスルト此人
  間ノ生活必需品ニ課稅スルノハ惡ルイト云フ論理ヲ通サウト致シマシタナラバ我國ノ財
  政ト云フモノハメチヤ〓〓ニ其基礎ヲ壞シテシマフト云フコトニナル、然ラバ我財政ノ基
  礎ガメチヤ〓〓ニシナイトシタナラバ、或ル生活ノ必需品ハ廢シテ、或ル生活ノ必需品ハ
  殘シテ置クト云フ、斯ウ云フ反對ノ論理ノ矛盾ト云フモノヲ免レナイト一云フ結果ニナルノ
  デアリマス、卽チ是ニ依リマシテ人間ノ生活必需品ニ課稅スルト云フコトハイケナイト云
  フ論理ノ立タナイト云フコトノ證明ガ私ハ出來タカト存ズル、次ニ鹽專賣執行ノタメニ鹽
  價ガ三倍ニモ增加シタ、ソレガタメ多數細民ハ大イニ負擔ニ苦ミ、怨嗟ノ聲ガ四方ニ
  起ッテ居ル、斯ウ云フコトヲ唱ヘル人ガアル、是ハ橋本君ガ事實ニ於テサウナッテ居ラヌト
  云フ證明ヲ舉ゲマシタカラ私ハ精シク申シマセヌガ、決シテサウ云フ事實ガナイト云フダケ
  ノコトハ順序トシテ述ベテ置キマセウ、卽チ鹽專賣法執行前後ノ鹽價ノ比較ヲ取ッテ見
  マスト云フト、三十八年ノ五月以前、卽チ鹽專賣執行前ニ於キマシテハ、東京デハ四
  錢五厘デアル、又其執行後三十八年六月以後ニ於テハ八錢三厘、又全國ノ平均ヲ
  申シマスト專賣執行ノ前ガ三錢八厘、專賣執行後ガ七錢九厘トナッテ居ル、三倍ニ增
  加ヲシタト云フコトハ、誇大ノ事實ヲ以テ專賣法ノ非ナルコトヲ主張シヤウト云フ論者デ
  アル、此二倍ニモ足ラナイ相場ノ增加ト申スノモ、獨リ鹽專賣法ニ依シテ居ルト云フ譯
  デハアリマセヌ、玆ニ鹽價ノ大キニ騰貴ヲシナケレバナラヌト云フ原因ガアッタノデアリマス、
  ソレハ諸君ガ知ラナイ事實デアリマスカラシテ、私ハ諸君ニ述ベタイト存ジマス、何ゼ增加
  スル、卽チ鹽價ガ騰貴スル原因ガソコニ在ッタカト申シマスト、、鹽專賣執行前後ニ於ケル
  鹽質ガ非常ニ改良サレテ居リマス、鹽專賣執行前ニ於テ普通市場ニ賣買セラレ、諸君
  ノ需用セラレテ居ッタトコロノ鹽質ト云フモノハ六十「バーセント」內外ノ品物デアッタノデ
  アル所ガ鹽專賣法執行後ニ於キマシテハ七十「パーセント」以上デナケレバ政府ガ之ヲ
  收納シナイコトニナリマシタカラ、在來ノ如キ製鹽ヲ致シテ居ッタ時分ニハ、何時モ鹽務
  局デ收入拒絕ヲ命ゼラレテ再製ヲシナケレバナラヌト云フ不幸ニ遭ヒツヽアリマスノデ、自
  然的鹽價ノ性質ト云フモノヲ改良致シテ居ル、卽チ此改良ノ結果、二割ト云フモノヽ
  補償ハ卽二割ト云フモノヽ相場ハ騰貴シナケレバナラヌト云フ鹽質ノ上ニ改良ヲ認メテ
  居ル、ソレカラ今一ツハ鹽專賣執行ノ初年、卽チ明治三十八年ハ非常ニ製鹽地方ニ
  於テ不作ヲ致シタノデ、平年作ニ比較シテ六分作デアッタノデアル、三十九年ハドウデア
  ルカト云フト、三十九年ハ卽チ七分作デアッタノデアル、鹽質ノ改良、不作、又物價ノ
  騰貴ト云フモノモ近來ノ趨勢デアリマス、此數年間ニ於キマシテ二倍乃至三倍ノ甚シキ
  臟貴ヲ致シテ居ル、年々歲々物價ノ騰貴ヲスルコトハ是ハ諸君ノ否認スルコトノ出來ナ
  イ事實デ、獨リ他ノ物價ガ騰貴シテ鹽價ガ下落スルト云フ原因ハアリマセヌ、是等ノ事
  實ヲ綜合致シテ見マスト云フト、私共ノ信ズルトコロニ依リマシタナラバ鹽專賣法ト云
  フモノヲ執行シテ居ナカッタナラバ、或ハ鹽價ハモウ少シ騰貴シテ居ッタデアラウト云フ私ハ
  推測ヲ下スノデアル、所ガ鹽專賣ト云フモノガ執行セラレテ政府ノ鹽ノ買上價格ガ確定
  ヲ致シマシタナラバ不作デアルトカ、或ハ品質ノ改良デアルトカ、物價ノ趨勢ヨリ來ル影
  響デアルトカ云フヤウナ利益ハ、製鹽家ガ之ヲ受ケルコトガ出來ナカッタノデアル、此利益ハ
  獨リ商人ガ得タノデアリマス、所ガ昨年ノ議會ニ於キマシテ鹽專賣法ガ改正ヲセラレマシ
  テ、賠償價格ト云フモノガ極ッテ居ル又政府ガ何時ニテヒ小賣相場ニ制限ヲスルコトガ
  出來ルト云フコトニナッタノデアル、是等ノタメニ鹽商人ガ中間ニ立ッテ而シテ暴利ヲ得ル
  コトガ出來ナイト云フコトニナッタノデアリマス、ソレカラ商人ガ續々鹽專賣法ニ反對ヲシ
  テ、其鹽專賣法ニ反對ノ聲ヲ高メテ來タト云フ順序ニナツテ居ル、ソレカラ今一ツハ負擔
  ニ堪ユルヤ否ヤト云フ問題デアリマス、反對論者カラ言ハセマスト多數ノ細民ハ
  (「簡單々々」ト呼フ者アリ)マダ論旨ガ盡キマセヌ、普通ノ細民ハ鹽價騰貴ノタメニ負擔ニ
  堪エナイト、斯ウ云フ甚シキニ至ッテハ怨嗟ノ聲ガアルト云フ、斯ウニフフ風ニ誇大ニ申シテ
  居リマスガ、何ガ故ニ負擔ニ堪エナイノデアリマスカ、、鹽專賣法ノタメニ消費者ノ拂フトコ
  ロノ稅金ト云フモノハ、僅ニ一升二錢五厘デアリマス又生理學者ノ說ヲ聞イテモ人間
  ガ需用スルトコロノ鹽ト云フモノハ一箇年ニ二十斤デ足ルト、斯ウ云フノデアル、又我國ノ
  統計ヲ見テモ丁度鹽ノ消費高ガ二十斤位ニ當ッテ居ルノデアル、二十斤ノ課稅ガ幾ラデ
  アルカト云ヘバ、三十錢ニ足リヌノデアル、一日ノ勞銀ニモ尙足ラヌトコロノ稅金デアル、
  ニ是ニ堪エルヤ否ヤト云フコトヲ訴ヘルト云フコトハ、或ハ私ノ考テハ國民ノ歡心ヲ得ヤウ
  トシテ、或ハ國民ヲ蔑視スルノデハアルマイカト云フ批難ヲ買ヒハシナイカト思フノデアル、
  昔米ガ十圓致シマシタ時分ニ貧民ガ生活ニ苦ンデ、サウシテ救助米ヲ出シテ居ッタト云
  フ時代ガアリマシタ、斯ウ云フ時代ニ於テハ或ハ一箇年三十錢ノ負擔ニ堪エナイカモ存
  ジマセヌケレドモ、今日ハ一般ノ國民ガ大イニ生產力ガ發達致シテ居リマスカラ、三十
  錢位ノ負擔ニ堪エルヂヤノ堪エヌヂヤノ云フヤウナ卑劣ナ聲ヲ發スル國民ハ一人モア
  リマセヌ、所ガ之ヲ主張致スト云フモノハ何故ニ主張スルカト云フコトヲ私ガ考ヘテ見マ
  スルト云フト、卽チ前申シタ通リ鹽專賣法改正ノタメニ商人ガ中間ニ立ッテ、暴利ヲ貪
  ルコトガ出來ヌト云フ結果、商入ガ之ヲ破ラウト云フ玆ニ一ツノ案ヲ立テタノデ、ソレカ
  ラ減稅減租ト云フコトハ昔カラ我國ニ於テ人氣ノ好イ問題デアル、此人氣ノ好イ問題
  ヲ振蒔イテ、サウシテ國民ノ歡聲ヲ買ハウ、斯ウ云フ意思ト相投合シテサウシテ鹽專賣法批
  難ノ聲ヲ高メタモノデアルト私ハ感ズルノデアリマス(ノウ〓〓)最後ニ私ハ是ハ良イ稅源デ
  アルト云フコトヲ申シタイノハ、一升ノ鹽ヲ買フノニ僅ニ二錢五厘ノ稅デアル、サウスルト鹽ヲ
  消費スル者ガ知ラズ識ラズノ間ニ稅ヲ拂ッテ居ルノデアル、而シテ是ニ依ッテ國家ガ一千
  三百万圓ト云フ純收入ヲ得テ居ルノデアリマス、又鹽稅ト云フモノハ稅源ニ缺陷ヲ生ズル
  虞ハナイノデアル、故ニ鹽稅ト云フモノハ極ク適當ナ、拂フ者ガ痛苦ヲ感ゼズシテ、而シテ國
  家ガ一千三百万圓ト云フ純收入ヲ得ルト云フノデアルカラ誠ニ良好ナ財源デアルト信ズル
  ノデアル、サウシテ私ガ申スマデモナク諸君ノ御承知ノ通リ我國家ノ財政ノ基礎ハドウデ
  アリマスカ、財源ニ缺乏ヲ告ゲテ居ル今日デハアリマセヌカ、然ルヲ稅源ニ關係スル問題
  ヲ唯天下ノ人氣ヲ買フタメニ、或ハモウ一步進メテ申シタナラバ、選舉區ノ歡心ヲ買ヒ
  タイ位ノ考カラ、之ヲオモチヤ的ニ提出スルト云フコトハ、私ハ甚ダ議員トシテ其職責上如
  何デアラウカト思フ位ニ考ヘルノデ有リマス、簡單ニ反對ノ趣旨ヲ述べテ置キマス

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• 062・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　最早通告書モアリマセヌデ、採決致シマス、本案ハ委員會ニ於
  テハ否決トナッテ居ルノデアリマス、因テ原案ニ就イテ採決致シマス、本案ノ二讀會ヲ開
  クベシト云フ御方ノ起立ヲ請ヒマス
  起立者少數

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• 063・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　少數、否決トナリマシタ、日程第七、鹽專賣法廢止ニ關スル建
  議案ヲ議題ト致シマス-橋本久太郞君
  第七鹽專賣法廢止ニ關スル建議案(南條吉左衞(委員長報告)
  門君外四名提出)

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• 064・橋本久太郎

  ○橋本久太郞君　私ハ登壇ヲスルノ必要ハナイト思ヒマスカラ、此所デ反對意見ヲ述
  ベマスガ、其理由ハ前ニ鹽專賣法廢止法案ノ時分ニ十分述ベテ置キマシタガ、此理由ヲ
  以テ委員長ノ報告ニ反對シマス、且(此時發言ヲ求ムル者アリ)御待チ下サイ、私ハ此
  前ノ廢止法案ニスラ不同意デアリマスガ、建議案ニ於テハ如何ニモ不見識千萬ナ案ダト
  思ヒマス、此一事ニ付イテハ島田君ト同論デアリマス、島田君ガ申サレル通、廢止法案ヲ
  出ス吾〓ハ權能ヲ持ッテ居ルノデアル然ルニ何ノ必要アッテ、政府ニ之ヲ建議スルノデアル
  カ吾〓ハ此一事ニ付イテハ珍シクモ島田君ニ贊成ヲシテ居ルノデアリマスガ、顧ハクハ之ヲ
  否決アランコトヲ希望致シマス

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• 065・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　早速整爾君

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• 066・早速整爾

  ○早速整爾君　私モ簡單デアリマスカラ、本案反對ノ意見ヲ此處カラ申述ベマス、鹽
  專賣法廢止法案ヲ提出シタ吾〓ハ、鹽專賣法ノ惡制度タルヲ認メテ、之ヲ廢止シヤウ
  ト言フノデアル然ルニ此建議案ハ卽チ鹽專賣法ノ惡制度タルヲ認ムルト稱シナガラ、此
  惡制度ヲ廢止スルト云フ目的ニ適フトスルノ途ヲ採ラヌトコロノ議案デアル卽チ議會ハ
  立法權ヲ以テ法律ヲ議スベキ權利ヲ持ッテ居リナガラ、自ラ其權利ヲ蔑ロニシテ殊更ニ
  政府ニ向ッテ此事ヲ建議スルト云フノハ何事デアル、私ハ是ハ實ニ議院ノ體面ニ關スル
  コトデアラウト恩フ(ヒヤノ〓ト呼フ者アリ、笑聲起ル)立法權ヲ持〓テ法律ヲ議スベキ其
  權利ヲ持ッテ居リナガラ、法律案ハ之ヲ否決シテ置イテ、建議ハ可決スルト云フヤウナコト
  ハドウシテモ議院ノ體面ニ關スル要スルニ鹽專賣法ヲ惡制度ト認ムルト唱ヘナガラ、其
  目的ニ適フ途ヲ採ラズシテ、實際ハ此鹽專賣法廢止ノ誠心ハナイノデアル、誠意ハナイノ
  デアル、此誠意誠心ノ無イトコロノ建議案ニ贊成ヲスルト云フコトハ、本員議員ト致シマ
  シテモ甚ダ無責任デアルト考ヘマス、此幽靈然タル議案、似テ非ナル議案、世ヲ誤マルト
  コロノ議案、人ヲ誤マルトコロノ議案ニ對シテハ本員斷ジテ反對ヲ表シマス(「ヒヤ〓〓」)

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• 067・南條吉左衞門

  ○南條吉左衞門君　此議案ニ付イテ一言致シマス(「採決々々」ト呼フ者アリ)是ニ對シ
  テ先刻以來島田君及橋本君、唯今ノ早速君ナドハ甚ダ御反對デアリマスガ、決シテ幽靈
  デナク何デモナイ、吾〓ハ其目的ヲ貫クニ良イモノヲ以テスルノデ、徒ラニ諸君ノ如ク唯グ
  議論ニノミ依ッテ其目的ヲ貫クト云フノデナイ、今ヤ豫テモ言フ通リ政府ハ稅制調査ヲ
  致シテ居ルトキデアル、此時ニ當ッテ此事ヲ政府ニ爲サシムルニ極ク便利デアル、政府ヲ敵
  ト見ルニハ及バヌ、政府ト相共ニ國家ヲ料理スルガ宜シイノデアル
  〔「討論終結」ノ聲起ル〕

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• 068・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　採決致シマス、委員長報告ニ御同意ノ諸君ノ起立ヲ願ヒマ
  ス
  起立者多數

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• 069・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　大多數-委員長報告ノ通リ決シマス-日程第八、本
  院ノ體面ニ關スル調査ノ件ヲ議題ト致シマス、委員長南條吉左衞門君報告
  第八本院ノ體面ニ關シ調査ノ件(委員長報告)
  〔南條吉左衞門君登壇〕

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• 070・南條吉左衞門

  ○南條吉左衞門君　諸君、本件ハ御承知ノ如ク去ル十二日ニ於キマシテ、當院ノ議
  題トナッテ議決致シマシテ、ソレヨリ吾〓委員ヲ設ケラレマシテ、爾來委員會ヲ開キマシタ
  コト三囘デゴザイマス、此間ニ對スル經過及結果ヲ御報告ニ及ビマス、十二日ニハ委
  員長理事ノ選擧ニ終リマシテ、十五日ノ會ニ於キマシテ先以テ本件ノ目的ヲ定メ及調
  査ノ順序ヲ立テル、斯ウ云フコトヲ段々相談ガアリマシテ、其結果トシテ豫テ御配布ニ及
  ンデアル、玆ニ報告書ノ通リ高梨哲四郞君、尾見濱五郞君、栗原宣太郞君、小山田
  信藏君、關信之介君、ヽ武藤金吉君、藻寄鉄五郞君君愛寧堅君、此諸君ヘ向ッテ出
  席ヲ求メマシテ、辯明ヲ請フト云フコトニ決定ニナリマシタ、因ッテ小生ヨリ致シテ諸君ヘ
  向ッテ御出席ヲ求メマシテ、此會ハ是デ終リマシタ、延イテ昨日ノ會卽チ十八日ノ會ニ於
  キマシテハ、此中愛澤寧堅君ハ風邪ノ故ヲ以テ出席ヲ御斷リニナリマシタガ、併シ其他
  ノ諸君ハ通知ニ依ッテ悉ク出席サレマシテ、此出席サレタ諸君ニ對シマシテ順序ヲ立ッテ
  諸君ノ辯明ヲ求メマシタ、卽チ御一人ツヽ辯明ガアリマシテ、其辯明ニ對シテ又委員中
  ヨリシテ種々ノ質問等ガアリマシタ、段々ソレダケノ順序ニ依ッテ遂ニ七人ノ方ノ辯明ハ
  濟ミマシテゴザイマス、此濟ンダ後ニ至ッテデス、尙又委員ノ中ヨリシテ此方ミニ聞イタダケ
  デハマダ事實ヲ詳悉スルコトガ出來ナイ、調査ノ目的ヲ遂ゲルコトガ出來ナイ、元來此事
  ノ國査ハ去ル十二日ノやまと新聞紙上ニ現ハレマシタルトコロノ人ニ限ッテアル、卽チ藤
  崎君ノ提出ニナッタ八名ノ人ニ限ッテアル、併ナガラ此八名ノ人ニ對シテ事實ノ調査ヲナサ
  ントスルニハ是非トモ之ニ對スル關係者卽チ誰ノ手カラドコニ於テ行キ合ッテ、ドウ云フ
  手蔓ニシテ金ヲ渡シタトカ取ッタトカ二フフウウナコトガアルカラ、ソレ等ノモノモ尋ネナケレバナラ
  ヌト、斯ウ云フ意味ヲ以テ又出席ヲ是ダケノ人ニ求メルト云フ發議ガゴザイマシタ、森久
  保作藏君、上埜安太郞君、井上角五郎君、田中喜太郞君、淺野順平君、持田若佐
  君、嶺山時善君、森秀次君、斯ウ云フ方ニ向ッテ出席ヲ求メテ、サウシテ辯明若クハ質
  問等ヲ致シタナラバ、一方調査ノ步ヲ進メルコトガ出來ヤウト云フ議論ヨリシテ、是ダケ
  ノ求ガゴザイマシタ、然ルニ一方ニ於キマシテ最早出席ヲ求メルニハ及バナイ、例ヘバ今日
  出席辯明等ガアリマシタ諸君ノ說ヲ聞イテモ、或ハ竹芝館ニ會シタトカ、或ハドコソコデ
  誰ニ會ッタトカ云フヤウナコトノ質問應答ガアリマシタガ、全ク斯ノ如キコトハ覺エガナイ
  又行遭ッテ懇談ヲ致シタコトハ、本年ニ至ッテ曾テ面會シタコトモナイ、其家ニ參リシコト
  モナイ、其方角モ知ラナイト云フコトデアリマシタ、彼ノ裁判所等ニ於テ調ベルト云フガ
  如キ勿論手續ノ取レルモノデモナイ、此上幾人出席ヲ求メテ辯明ヲ求ムルト雖モ、其證
  據ノ舉ルト云フヤウナコトハナイ、元來玆ニ出ラレタ本人ガ斯ノ如ク言ハレタ以上ハ之
  ヲ强テドウスルト云フ權能ハ固ヨリナイノデアルカラ、最早人ノ出席ヲ求メルト云フ、人
  ヲ煩ハスヤウナコトハシナイデモ宜シイト云フ議論ガ兩派ニ岐レマシタ、玆ニ至ッテ委員會ノ
  意見ヲ求メマシタトコロガ、出席ヲ求ムルト云フ方ガ七名、出席ヲ求ムルニ及バヌト云フ
  方ガ八名、一名ノ多數ニ於テ出席ヲ求ムルニ及バヌト云フコトニナリマシタ(「八名ト九名
  ダ」ト呼フモノアリ)八名-ソレカラ其次ニ起ッタ議論ハ斯ク相成ッタトコロガ、是デハ調
  査ト云フコトヲ盡シタ譯テナイ、任務ヲ果シタト云フ譯ニ參ラヌカラ、此上トモ調ベル途モ
  アルデアラウ、ソレニ付イテハ特別委員若干名ヲ擧ゲテ委員長ノ指名ヲ以テ特別委員
  若干名ヲ擧ゲテ、其者ヲシテやまと新聞或ハ竹芝館又ハ何ミトニ云フ記事其他ノコトニ多
  少ノ關係ガアラウト云フコトニ付イテ取調ヲ致シタナラバ、尙一層事實ト云フコトニ近イ
  コトガ出來ルデアラウカラ、サウ云フコトニ致シテ此調ヲ進メヤウト云フ、斯ウ云フ議論ガ
  アリマシテ、此議論ニ同意者ガアリマシタ、然ルニ之ニ又反對スル議論ガ起リマシタ、元
  來斯ノ如キ委員ヲ舉ゲタトコロガ、到底其目的ヲ果スコトハ出來マイ、如何トナレバ斯ノ
  如キ委員ヲ擧ゲルト云フコトハ議院法等ニ抵觸致シテ居ル、場合ガアルナゼナレバ卽チ
  議院ハ人ヲ人民ヲ召喚スルトカ、若クハ議院自ラ派遣スルトカ云フヤウナコトハ相
  成ラヌノデアル、職責上出來ナイ事柄ヲ、職責上當然爲スベキ委員會ニ於テ決議スル
  ハ甚ダ穩デナイ斯ノ如キコトヲシタトコロガ到底此上事實ノ詮議ノシヤウハアルマイ、
  寧ロ止メルガ宜カラウト云フ議論ガアッテ、雙方互ニ議論ガゴザイマシタガ、是亦二說ニ
  岐レマシタニ依ッテ、ヤハリ其意見ヲ問ウタトコロガ、其委員ヲ設ケルヲ可トスル說ガ、七名
  (「八ダロ」ト呼フ者アリ)可トスルモノガ八名、設ケナイデモ宜イト云フ方ガ九名、先
  刻ノモ八名ト九名デシタカラ數ヲ訂正シテ置キマス、八名ト九名ノ差デ、二說共求メラレ
  タコトガ終ッテシマヒマシタ、玆ニ至ッテ御報告申シタ通リ、終結ヲ告ゲルノ文ヲ提出サレタ
  ノデアリマス、是ハ豫テ先刻モ申シマシタ通リ、八名ノ諸君卽チ高梨君、尾見君、栗原君、小
  山田君、關君、武藤君、藻寄君、愛澤君此諸君ハ本院ノ體面ニ關スル行爲アルモノト認
  メズ、斯ウ云ウコトヲ決議ヲシテ終結ヲ〓ゲタイ、斯ウ云フ議ヲ發セラレマシタ、然ルニ是
  ニ對シテ不同意ノ議論ガゴザイマシテ、不同意者ノ方カラ案ガ出マシテ、是モ御手許ニ
  配付シテ置キマスガ、順序トシテ玆ニ申述ベマス、是モ八名ノ諸君卽チ高梨君、尾見
  君、栗原君、小山田君、關君、武藤君、藻寄君、愛澤君、此諸君ガ本院ノ體面ニ關ス
  ル行爲アリタルヤ否ヤ之ヲ確認スルコトヲ得ス、斯ウ云フコトニスルガ宜イト云フノデ、最
  初申上ゲタ說ト二派ニ岐レテ互ニ議論モゴザイマシタ、其末是ガ決ヲ採ルコトニ相成ッタ
  ガ、御報告申シタ案ハ八名ニ對スル九名ノ多數ヲ以テ決定致シマシタ、因テ此段ヲ御
  報告申シマス、尙此義ニ付イテハ少數意見モ提出ニナッテ居ルカラ、少數意見ノ御報
  告ガアラウト思ヒマス、此段御報告致シテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=70

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• 071・神藤才一

  ○神藤才一君　質問ガアリマス、固ヨリ此事ハ元々やまと新聞其モノカラ起ッタコトデ
  アル、ソレデやまと新聞ヲバ、參考トシテ委員會デハ御調ニナリマシタカ

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• 072・南條吉左衞門

  ○南條吉左衞門君　やまと新聞ヲ調ベタカト仰ッシヤルノデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=72

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• 073・神藤才一

  ○神藤才一君　參考トシテ御問合セニナリマシタカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=73

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• 074・南條吉左衞門

  ○南條吉左衞門君　別段やまと新聞ニ對シ問合セタコトハアリマセヌ、新聞紙上ノ記
  事ニ付イテハ、新聞モ御持チデシタカラ、定メシソレハ調モアッタデセウ

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• 075・神藤才一

  ○神藤才一君　然ラバモウ一ツ······固ヨリ此事件ト云フモノハ、一ノやまと新聞ヨ
  リ火ガ起ッタコトデアル、提案者モやまと新聞ヨリ外無イト云フコトデアル、然ルトコロ
  が、順序トシテ八名ノ諸氏ヲ參考トシテ御招ギニナッテ、諸君ハ手ニ唾シテ御出席ニナウ
  タ、ソレカラ後ニ紹介議員モ御呼出シニナラウ、出テ貰ヒタイト云フノヲ、ツレニモ及バヌ、
  然レバデス、其元タルやまと新聞ヲバ御尋ニナッテ然ルベキデアル、其元ヲ尋ネズニ斯ノ
  如キ事件ヲ幽靈的ニ終ラスト云フコトハ、ドウ云フ譯デスカ、やまと新聞ハ或ハ事實證據
  ヲ持ッテ手ニ唾シテ待ッテ居ッタカモ知レヌ、然ルニ其事ハ本院ニ於テモ何レニアルカ議
  會ニ於テモ諸君ニ於テモアルベキ筈ハ無イト考ヘテ(「無用々々議論デアル」ト呼フ者アリ)
  議論アハナイ、手順デアル、(「分ラヌ〓〓」「無用々々」ト呼フ者アリ)分ラヌケレバ能ク
  聽ケ、大事ノコトデアル、既ニ藻寄君ノ如キ刑法ヲ進行スルタメニハ、明々白々調ベテ貰
  ヒタイ、左モナケレバ、何事モ天下ノ事ガ議セラレヌト云ウテ居ル、斯ノ如ク當人ガ明々
  白々ニ調ベテ呉レイト、藻寄君ハ言ハレテ居ル、然ルニ斯ノ如ク何處マデモ分明ニシテヤ
  ラナケレバナラヌノヲ、議員其モノガ、多數テ埋沒スルト云フコトハ如何ナモノデアラウ、
  (「無用々々」ト呼フ者アリ)所謂臭イ物ニ蓋ヲスル(「ノウ〓〓」「無用々々」ト呼フ者ア
  リ)無用デナイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=75

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• 076・南條吉左衞門

  ○南條吉左衞門君　チヨット申シマスガ、質問ノ要旨ヲ御述べ下サイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=76

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• 077・神藤才一

  ○神藤才一君　要スルニ、やまと新聞ヲ御調ニナリマシタカ、ソレデ其以上ニ及ンデ卽
  チ(「無用々々」「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ)無用デナイ、アナタ方ハ(「無用々々」ト呼フ者ア
  リ)無用デナイ、無用ト云フヤツハ怪シイノダ(笑聲起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=77

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• 078・南條吉左衞門

  ○南條吉左衞門君　唯今ノ神藤君ノ御問ハ、やまと新聞ヲ何ゼ調ベナカッタト云フ
  ノデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=78

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• 079・神藤才一

  ○神藤才一君　御調ガナカッタナラソレマデ、親切ニ手ヲ盡シタラ宜カラウ、然ルトコロヲ、
  不可能トシテ及バヌトシテシモウト云フノハ、幽靈ニナラヌ中ニ幽靈ヲ(「無用々々」「分ラ
  ×」ト呼フ者アリ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=79

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• 080・南條吉左衞門

  ○南條吉左衞門君　ソレハ斯ウ云フ譯デス、固ヨリ新聞社ヲ呼出スコトハ議院ハ權能
  トシテ出來ナイ、又議院カラ人ヲ派遣スルコトモ出來ナイ、唯今申シタヤウニ否決ニナク
  タカラ調ベル餘地ガ無イノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=80

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• 081・神藤才一

  ○神藤才一君　其位ノコトハ知ッテ居ル、不親切デアル、不親切デアルカラ其汚名ハド
  ウシテモ此議會ニ掛ルノデアル

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=81

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• 082・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　望月長夫君
  〓〔望月長夫君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=82

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• 083・望月長夫

  ○望月長夫君　諸君、唯今委員長ヨリ本件ニ關スル委員會ノ經過ヲ御報告ニナリマ
  シタ、其報告中ニアリマシク通リ、吾〓ハ唯今委員長ノ報告ニナック意見ニ對シマシテ、
  皆反對ノ意見ヲ提起致シマシダガ、八名ト九名ノ卽チ僅ナル差ニ於テ、此方ハ成立チマ
  セヌデシタ、ソレデ吾〓ハ此少數意目ルヲヤハリ此議場ニ提出スルコトニナリマシタ、ソレ故
  ニ私ハ此少數意見ノ經過竝ニ趣旨ニ付イテ、簡單ニ諸君ニ御報告ヲ申上ゲタイト思ヒ
  マス、本件ハ御承知ノ通リ表題ニ既ニ現ハレテ居ル如ク、本院ノ體面ニ關スルト云フ重
  大問題デアル、立法部ニ立ツトコロノ議員ガ、金錢ノタメニ其節ヲ二三ニシタルニアラザ
  ルカトノ疑ヲ議場ニ持出サレ、サウシテ之ヲ明白ニシテ、議會ノ威嚴信用ヲ最モ明瞭ニ
  保持スベキ責任ノアル委員會デアッタ、然ルニ吾〓ノ見ルトコロニ依リマスルト、不幸ニシ
  テ委員會ハ、其當然爲スベク、且又當然爲サヾルベカラザル手續ニ履行セズシテ、疑ハ疑
  ナリト云フ裡ニ、議事ヲ終了シヤウト致シタト吾〓ノ頭ニハ感ズル、ソレ故ニ一方ヨリ
  シン、本院ノ體面ニ關スル行爲アルヲ認メズト云フ斷定ノ決議ヲ持出サウトセラレマシ
  タケレドモ、吾ミハ不幸ニシテ之ニ反對セザルヲ得ヌコトニナッタ、私ハ今委員會ニ於テ
  ハ、其當然爲スベク、且又爲サヾルベカラザル調査ヲ未タ爲サナカッタト云フコトヲ申マ
  シタガ、此〓ハ委員會ニ於テ、明瞭ニ雙方ノ間ニ論戰ノアッタ事柄デゴザイマスカラ、孰
  レガ當レルカ、孰レガ不當デアルカト一ムフコトノ御判斷ヲ願ヒマスルガタメニ、雙方ノ
  論旨ヲ簡單ニ此所デ申述ベテ見タイト思フ、吾ミハ委員會ノ既ニ執リタル旣ニ爲シタ
  ル調査ハ、尙僅ニ端緒ニ過ギズシテ、宜シ爲サヾルベカラザル、主要ノ部分ヲ殘シテ居
  ルト云フ考ヨリシテ、委員會ニ於テ更ニ關係者ノ出席ヲ求メテ、サウシテ其任意ノ陳述
  ヲ聽取シタイト云フ動議ヲ出シマシタガ、之ニ贊成モアリマセズ、更ニ又然ラバ新聞紙
  ニ指摘セラレテ居ルヤウナ、事柄ガ起リタリトノ場所其他ニ付イテ、事實ヲ調査シタイト
  云フ動議モアリマシタケレドモ、是モ容レラレナカッタ、有ラユル調査ノ方法ハ、悉ク之ヲ
  拒絕セラレタ、而シテ之ニ反對セラレタ主要ノ理窟ハ種々ゴザイマシタガ、〓略三ツアル、
  其第一ツニハ、是ハ確カ磯部君ノ御說デアッタト思ヒマスルガ、此調査ニ付セラレタノハ、
  呼掛ケラレタ八名ニ止マルノデアル、此八名以外ノ人ノ出席ヲ求メテ、其陳述ヲ聽ク
  ト云フコトハ出來ナイノデアル、吾〓ノ調ベル權能ハ、八名ニ限ラレテ居ルノデアルト云フ御
  論ガ一ツアッタ、併ナガラ是ハ、吾〓ノ側デハ、全ク間違ッタ御論デアルト信ジテ居ル、吾〓
  ノ委託セラレタ問題ハ何デアルカト云フト、私ガ初メニ申シマシタヤウナ、忌ムベキ醜行ガ
  アリタルヤ否ヤ、、卽チサウ云フ事柄ガ、事實存在シタカ否ト云フコトヲ調査スルノガ主要
  ノ點デアル、單ニ何某ヲ調ベロ、何某ヲ被告人トシテ調ベロト云フ問題ニハアラズシテ、
  卽チ新聞紙ニ指摘シタルガ如キ、忌ムベキ事實ガ存在シタルヤ否ヲ調ベルト云フコトデ
  アッダノデアル、卽チ委託セラレタル調査ノ範圍ハソレデアル、ツレデ此依託セラレタ範圍
  ノ內ニ於テ適法ノ手段ヲ執ッテ、若シ存在セザルナラバ事實ノ存在セザルモノデアル
  ナラバ、存在シナイノデアルト云フコトノ明白ニナルマデ、又疑フベキ點ガアルナラバ、其疑
  ハ此ノ如キ事實デアルト云フコトノ明白ニナルマデ、之ヲ取調ベルノガ當然ノ話デアル、ソ
  レヲ唯此八名ノ人以外ノ人ニ付イテハ、何等ノ尋モ出來ナイトカ何トカ云フヤウナコト
  ハ、吾〓ガ如何ニシテモ道理ノ上カラ見テモ、委託セラレタル權限ノ上カラ見テモ、感服
  スルコトノ出來ヌ所論デアッテ、吾〓ハ結局爲スベキ調査ヲ、未ダ盡サズニ終ラナケレバナ
  ラヌト云フコトニナルノデアルカラ、此〓ニハ少數ノ者ハ反對シタ、ソレカラ次ニハ、先刻
  委員長カラ御述ニナリマシタ、卽チ或ハ此忌ムベキ事實ヲ承知シテ居ルトカ、或ハ此忌
  ムベキ事實ヲ働掛ケテ爲シタトカ、指摘セラレテ居ル、卽チ關係事實ノ中ニ書現ハサレテ
  居ル諸君ヲ、任意ノ出席ヲ求メテ尋ネヤウト云フ義ニ對シテモ、是ハ出來ナイト云フ議
  論デアル、是ハ確カ立川君ノ立論デアッタト思フ而モ議院法及衆議院規則ヲ基礎トシテ
  ノ御議論ガアッタ、是ハ成程規則ノ表面カラ見レバ、此議論ハ相當デス、其議論ノ相
  當ナルコトヲ私モ明言シマス、衆議院規則ノ五十二條ヲ讀ンデ見マシテモ、百十一條
  ヲ讀ンデ見マシテモ、百九十八條ヲ讀ンデ見マシテモ、此委員會ニ出席ヲシテ意見ヲ述
  ベルトカ、或ハ資格審査ノ會、若クハ懲罰事犯ノ會ニ出テ辯明ヲスルトカ云フコトハ、
  議員ノ權利トシテ認メラレテ居ッテ、議員ノ義務トシテハ書イテナイ、此事ハ立川君ノ言
  ハレル通リデアル、サリナガラ是ハ卽チ法律上ノ問題デアル、法制ノ上カラ、法律ノ命ジタ
  ル義務ニアラズト云フグケノ問題デアル、苟モ帝國議會ノ議員トシテ、此議會ニ參列ヲ
  致シテ居リマスルモノハ、同僚議員ガ、若シモ無實ノ言掛リヲ受ケテ居ルトスレバ、進
  ンデ之ヲ明白ニシテ、一ニハ同僚議員ノ寃ヲ雪ギ、延イテハ議會ノ威嚴信用ヲ維持スル
  ダケノ本分ガアルト私ハ信ジテ居ル、ソレ故ニ任意ノ出席ヲ求メルト云フコトハ、委員
  會ニ於テ何等ノ差支ノナイ事柄デアル、若シ之ガ出來ナイ、爲シテナラヌ事柄デアルト言
  ハルヽナラバ、何故ニ他ノ八名ノ議員ヲ出席ヲ求メルコトニ同意サレタカ、八名ノ議員ニ
  對シテモ、議院法ニハ決シテソンナ權限ハ書イテナイ、私ハ決シテ豫斷ヲ持ッテハ居リマセ
  ヌ、斯ノ如ク新聞ニ指摘セラレテ居ルヤウナ醜行ガ、アリタルベシトノ豫斷モ持ッテ居リマ
  セネバ、又其代リニ、決シテ之無カルベシトノ豫斷モ無イ、委員諸君悉クサウデアッタラウ
  ト思フ、何レノ側カラ見テモ、之ヲ明白ニスルダケノ責任ハ、ドウシテモ調査委員會ニ存
  在致シタノニ相違ナイノデアルノミナラズ、强テ此ノ如キ調査ヲ早ク切上ゲレバ、却テ之ガ
  タメニ或ハ此急グノハ、却テ丁寧ニ審査シタラバ、不利ナ事實ガ出ルカラデハアルマイカト
  云フヤウナ疑ヲ起サセルヤウニナレバ、此忌ムベキ問題ノタメニ指名セラレタ諸君ノタメニハ
  誠ニ氣ノ毒ナ話ニナルノデアル、(ヒヤ〓〓)何レノ點カラ見マシテモ此手續ヲ盡サズシテ
  止ムト云フコトハ、ドウシテモ不條理グ、殊ニデゴザイマス、委員會デハ何ヲ致シタカ、唯
  提議者タル藤崎朋之君ノ出席ヲ求メテ辯明ヲ請ヒ、及疑ハレタル諸君ノ辯明ヲ聽イタ
  ダケデアル、喩ハ惡ルイ喩デ、誠ニ面白クアリマセヌガ、唯之ヲ喩トシテ御聽ヲ願ヒマスレ
  バ、恰モ告訴狀ト被〓人トグケノ陳述ヲ聽イテ-告訴狀ヲ見、被告人ノ陣述ヲ聽
  イテ、告訴狀ニ指示セラレテ居ル一切ノ證據ヲ取調ベナカッタト同ジ話グ、是ハ喩ガ惡ル
  イ喩ガ惡ルイ、刑事ノ被〓デモ何ンデモナイ、私ハ曩ニ言ッタ通リ豫斷モ何モ有ッテ
  居リマセヌガ、併ナガラ喩ハ其通リデアル、先刻愛澤寧堅君ト云フコトヲ御述ニナリマ
  シタガ、愛澤寧堅君ノ如キハ私共ガ考ヘルト實ニ不幸ナ話デアル、病氣ノタメニ出
  席ガ出來ナカッタ、委員會ハ結了ヲ急イタガタメニ之ヲシテ辯明ノ時機ヲ與ヘナカッタ
  (ヒヤ〓〓)少ナクモデス、愛澤寧堅君病氣デ出ラレヌトシテモ、之ヲ買收シタト言ハ
  レテ居ル森久保君ノ出席ヲ求ムルコトガ出來タナラバ事實ハ判明ニナル、然ルニ一切
  ヲ沒了シテシマッテ、ヤハリ疑ハ疑ナリトシテ調査ヲ結了スルト云フコトハ、吾〓ガ頻リニ
  反對ヲ致サナケレバナラヌ筋道デアッタ(拍手スル者アリ)今モウ一ツハ調ベテモ結局調ベキ
  レナイ、效果ヲ得マイ、斯ウ云フ御論ガアリマシタ、委員長ハ專ラ其趣意ヲ多ク述ベラレタ
  ヤウデス、成程此委員會ニ、司法官ノ如キ捜査機關、又搜査スル權力モナイコトハ無論
  ノ話デアルケレドモ、既ニ調査スベシトシテ委任セラレタ以上ハ、眼前ニ指示シ得ルダケノ
  事柄ハヤハリ手續ヲ盡サナケレバ十分ノモノトハ言ヒ得ヌノデアル殊ニデゴザイマス、前
  刻申シマシタ如クニ、私共ハ決シテ是等呼懸ケラレタル諸君ニ、不都合ノ行爲ノナイコト
  ヲ信ジヤウトスルモノデゴザイマスルケレドモ、前刻申シタ位ナ範圍ニ限ラレタルガタメ
  ニ--更ニ出席ヲ求メヤウト致シテ、指名サレタ人〓ノ中ニハ、例ヘバ嶺山時善君、淺
  野順平君、田中喜太郞君、持田若佐君ト云フガ如キデゴザイマス、屢〓高梨君アタリ
  ノ口頭カラ漏レ現レマシタ、卽チ諸君ニ對シテ敵意ヲ有ッテ居ルト、諸君カラ御指示シニ
  ナル、卽チ大同派ノ諸君デアル、是等ノ人ヲ出席ヲ求メテ、其說明ヲ聽クコトガアッタナ
  ラバ、或ハ意外ニ私共ノ決シテ好マザル、卽チ其有ルコトヲ好マザル反證ガ出タカモ分ラ
  ナイ(「大丈夫出ルダラウ」ト呼フ者アリ)然ルニ是等一切ノ手續ヲ致サズシテ、サウシテ直
  チニ本院ノ體面ニ關スル行爲アリタルモノト認ムルヲ得ス-認メズ、此ノ如クニ確定シ
  タル斷定ヲ下サントスルコトハ、卽チ知ラザルコトヲ强テ知レヨト云フノデアッテ、吾〓ガド
  ウシテモ、其決議ニ同意ヲスルコトハ出來マセズ、又全體ノ議員諸君ニ向ッテモ此ノ如キ
  信念ヲ起サシメ得ルダケノ材料ヲ調ベズシテ、其信念ヲ强ユルコトハ誠ニ無理ナ話デアル
  ト信ジマシタルガ故ニ、ソレ故ニ吾ミハ前ニ申シマシタヤウニ、今マデ調ベタ程度ニ於テハ、
  餘儀ナク本院ノ體面ニ關スル行爲アリタルヤ否ヤハ之ヲ確認スルヲ得ズ、卽チ吾〓ノ信
  念ヲ確定スルニ足ルベキ調ガ出來テ居ナイト云フコトヲ御報告ヲスル外ナイ境遇デアツタ、
  ソレ故ニ······(立川雲平君「質問致シタウゴザイマスガ御答ナサイマセウカ」ト呼フ)少シ御
  待チ下サイ、今一言申シマスカラ-ソレ故ニデゴザイマス、滿場ノ諸君ニ於テモ委員長
  ヨリ報告ニナッタ委員會多數ノ意見ヲ御承認相成ラズシテ、今報告致シマシタ少數意
  見ニ御贊同アランコトヲ希望致シマス
  〔拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=83

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• 084・立川雲平

  ○立川雲平君　チヨット御尋致シタウゴザイマスガ、唯今ノ御演說中ニ範圍ノコトデア
  リマスガ、指名セラレタル八名ノ御方ミヨリ以外ニ、ヤハリ範圍ハ延ビテ居ッタト云フ御
  演說デ、サウ心得テ宜シウゴザイマスカ(ノウ〓〓)

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• 085・望月長夫

  ○望月長夫君　イエ、ザウヂヤナイ、八名ノ御人ニデゴザイマスネ、八名ノ御人ニサウ云
  フ事實ガアッタカナイカヲ調ベルノ調査デアッテ、受ケル人ガアレバ、與ヘル人ガアル、受ケ
  ル關係ヲ調ベルヨリ、權力ガナイト云フノデナクシテ、ヤハリ與ヘタ事實ヲ見レバ、受ケタ
  事實モ見ラレルノダカラ、關係事實ハ調ベ得ルト斯ウ信ジテ居ル

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• 086・立川雲平

  ○立川雲平君　チヨット望月君ノ委員會ノ御演說ノ筆記ガゴザイマス、「望月長夫君
  請査スベキ範圍ハ大抵極ヲテ居ルト思フ、要スルニ指名セラレタル人〓ニ於テ體面ヲ損
  ズル行爲アリタルヤ否ヤ」···

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• 087・望月長夫

  ○望月長夫君　其通リ其通リ

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• 088・立川雲平

  ○立川雲平君　アナタノ唯今ノ演說トハ少シ主旨ガ異ナルヤウニ思ヒマス
  〔「違ッテナイ」ト呼フ者アリ〕

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• 089・望月長夫

  ○望月長夫君　チットモ違ヒマセヌ-少シモ違ヒマセヌ

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• 090・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　少數者ノ意見ハ、委員長ノ報告ニ對スル修正ト認メマス、
  (「贊成」ト呼フ者アリ)此修正ニハ定規ノ贊成ガアリマスカ
  〔「贊成」「大贊成」ト呼フ者アリ〕

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• 091・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　贊成ガアルト認メマス、此修正ハ成立ヲ致シマシタ、大岡育
  造君
  〔大岡育造君登壇〕

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• 092・大岡育造

  ○大岡育造君　本員ハ委員長ノ報告ニ贊成ノ意見ヲ申述ベタイト思ヒマス、本員等
  ガ曩ニ決議ノ結果トシテ委託ヲ受ケタノハ本院ノ體面ヲ保ッガタメニ本院ニ於テ、本院
  ノ體面ヲ瀆ス者アリヤ否ヤヲ調ベルコトデアッタノデアル、唯今マデニ委員長及少數意見者
  ノ御報告ノゴザリマシタ通リニ、藤崎君ノ出席ヲ求メ寧ロ藤崎君ハ自ラ出ラレテ述べラレ
  マシタトコロハやまと新聞ニ記載サレタルトコロノ事項ヲ事實アリト信ズルト云フ譯デ
  ハナイアルヤ否ヤヲ關ベテ貫ヒタイノデアル(「其通リ」ト呼フ者アリ)而シテ君ニハ尙此外ニ
  何カ證據ヲ待タレルカ、立證セラレルカト云フコトヲモ尋ネマシタケレドモ、左樣ナ證據ハ
  持タヌト云フコトヲ明言セラレタノデアリマス、因ッテ指名セラレタルトコロノ諸君ニ通知ヲ
  覆シテ、此諸君ノ出席ヲ求メマシタトコロデ、此諸君ノ說明ニ對シマシテハ、若シ不十分
  ナコトガアルカ、如何デアルカト云フコトヲ吾ミハ考ヘタノデアリマス、然ルニ此八名ノ諸君
  ノ辯解ニ對シマシテハ、反對黨デアルトコロノ大熊君モ速記ニアル通ニ其御辯明ニハ十
  分滿足ヲシタト書カレテアリマス、又年長者デアルトコロノ岩本君モ之ニ滿足ヲセラレタ
  ノデアル、若シモ此說明ガ不滿足デアッタナラバ、若シ不十分ナル點ガアルナラバ、是亦諸
  君ガ論ズルモ可ナリデアルガ、此八名ニ對シテ說明ヲ受ケタ、其說明ニ對シテハ十分ニ滿
  足ヲ表シテ置イテ(「三百代言」「謹聽々々」ト呼フ者アリ)而シテ尙此調査ヲ進行シタイ
  ト云フコトデアリマス、因ッテ私共ハ此調査ノ妨ゲハセヌガ、是ヨリ以後ニ於テ(「ヤルトコ
  ロマデヤルペシ」ト呼フ者アリ)諸君ハ果シテ自信ガアルカ、個人トシテ委員ヲ設ケテ其委
  員ガ個人トナッテ調ベタナラバ、何カ出ルカモ知レヌト云フ御意見デアッタ、所ガ個人トシ
  テ若シ調ベテ出スナラバ、十二日ヨリ以後今日卽チ昨日マデニ幾ラモ時間ハアルノデア
  ル、委員會デ命シタ委員ガ何處カニ行ッテ調ベル權能ガ出ルナラバ、格別デアリマスガ、
  此權能ハ出ナイノデアル、若シ言付ケラレタ人ガ、自分ノ好キデ或ハ待合ニ行クカ、或ハ
  料理屋ニ行クカ致シマシタトコロデ、果シテ何ガ出ルカ、若シソレダケ好キデアルナラバサ
  ウ云フ若シ疑問ガアルナラバ、自カラ昨日マデニ提供セラレテ可ナリデアル、因テ私ハ申シ
  タノデアル、諸君ノ進行ヲ決シテ妨ゲヌガ、諸君ハ是ヨリ進行シテ尙ヤルベキトコロノ疑ヲ
  有ッテ居ルナラバ、證據ヲ御出シナサッテハ如何、此〓ニ付イテ決シテ妨ゲハシナイ、又
  出シ得ルト云フ確信ガアルナラバ、ソレニ私ハ妨ゲハ致スマイト申シマシタケレドモ、此〓ニ
  付イテハ何等答ハナイノデアル、唯同僚ノ中ノ名ヲ舉ゲテ置イテ、モウ一度調ベタラ何カ
  出ルデアラウト云フニ過ギナイ、又吾〓ノ調査ノ程度ヲ評シテカラ恰モ刑事ノ告訴ヲ受ケ
  テ、其告訴狀ト被告人ノ申條ヲ調ベタニ過ギヌト言ハレマシタ、是ハ法律家ノ御揃ニモ
  不似合ナルコトヽ私ハ信ズル、ナゼナラバ刑事ノ〓訴ヲスル者ハ、誤レバ誣〓ノ罪ニ處セ
  ラレル責任ガアル、自ラ言フ人ニハ告訴狀ノ證據ヲ備ヘテ申スノデアリマス、然ルニ藤崎
  君二尋ネテ見タトコロデハ、決シテ私ニハ證據ハナイ、有ルト信ズル譯デモナイト云フ
  (「刑事ノ被告トハ違フ」ト呼フ者アリ)刑事ノ被告トモ違ヘバ民事ノ被告トモ違フ、原〓
  ト被告ト云フ場合ニナラヌ、故ニ果シテ證據ガアルト云フコトナラバ、吾ミハ決シテ妨ゲヌ
  ガ、議院法ノ明文ニ照シ議會ノ是迄ノ經過ニ考ヘテ見ルニ、斯ノ如キ問題ヲ日々同ジコト
  ヲ繰返スコトガ、果シテ議院ノ體面デアルヤ否ヤヲ思ハナケレバナラヌノデアル、(「ヒヤ〓〓」)
  其例ハ遠カラズ(「蓋ヲスルナ」ト呼フ者アリ)決シテ蓋ヲ致サヌノデアル試ニ諸君想像ヲ
  シ六、諸君ノ中ニ有志ガアッテ待合ニ通ヒ、若クバ料理屋ニ行ッテ見テ、果シテ如何ナル
  コトガアリマシタラウカ、曩ニ秋山君ノ身ノ上ニ關シテ私ハ甚ダ不同意デアッダケレドモ、
  諸君ノ多數ガ激シテ隨分手廣ク御遣リニナリマシタケレドモ、其結果ハアノ通リデアル、
  要スルニ議院ハ議院ノ爲スベキ權限ガアルノデアルカラ、其程度ニ於テ調ベテ見テ、若シ
  此八名ノ呼掛ケラレタ諸君ノ答辯等ニ不十分ナ〓デモアルナラバ、格別デアルケレドモ、
  ソレガナイ以上ニ於テ何カ引張ッテ居ル中ニハ出ルデアラウト云フガ如キ、委員會ヲ進行
  スルノハ寧ロ本院ノ體面ヲ重ンズルノ趣意ニ適ハヌト本員ハ思ヒマスル(「ノウ〓〓」「ヒ
  ヤ〓〓」ト呼フ者アリ)此故ニ吾ミハ自カラ見タル其程度ニ於テ、此八名ノ諸君ニ議院
  ノ體面ニ關スル事實アリト認メズト云フ決定ヲ致シタ譯デアリマスカラ、何分御贊成ヲ
  希望致シマス
  〔拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=92

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• 093・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　藤崎朋之君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=93

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• 094・坂口仁一郎

  ○阪口仁一郞君　大岡君ニ質問ガアル

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=94

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• 095・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　藤崎君ニ登壇ヲ許シマシタ
  〔藤崎朋之君登壇〕
  〔拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=95

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• 096・藤崎朋之

  ○藤崎朋之君　諸君、本案ノ提出ニナリマシテ以來、各委員ハ勿論、指示セラレマシ
  タ同僚諸君ニモ御出席ノ勞ヲ取ラレマシテ、本日委員長ノ報告ヲ受ケルコトヲ得マシタ
  ノハ、甚ダ謝スルトコロデアリマス、併シ又例ノ足ヲ捕ヘテ謝スルト云フコトガ滿足デアル
  ト云フ意味トハ違ヒマスノデアル(「ヒヤ〓〓」)唯本員ガ不肖ナル提出ヲ容レラレテ、斯クマ
  デ御調ヲ蒙ッタ勞ヲ謝スルノデアリマス、既ニ是ダケノ御調査ニナルト云フ事柄ハ業ニ旣
  ニ本院ノ威嚴ヲ保持スル上ニ十分ナル御注意ヲ拂ハレテアルト云フコトハ、表白ヲ致
  シタ事柄デ、此一事以テ既ニ本員ノ提出ヲシタ一部ノ意思ヲ達シタノデアリマス、併ナ
  ガラ又一方少數委員ノ御報告ヲ承リマスルト今ノ委員長ノ報告ニハ誠ニ隔靴ノ感ガナ
  キ能ハヌノデアリマス、果シテ是ダケノ御調デ國民全體ハ滿足ヲ致スノデアルカ(「君ノ
  調方ハドウダ」ト呼フ者アリ)ソレハ自カラ世間ニ信任アルベシ、國民ニ信任アルベシ、又是
  ダケデ果シテ本院ノ面目ヲ十分ニ發揮スベキ程度ニ迄御調ノ出來ヌモノデアルト云フコト
  ニ至リマスルト、誠ニ甚ダ遺憾ナ始末デゴザイマス、是ハ唯本員ノ遺憾ナルノミナラズ、指
  示セラレタル同僚諸君モ是ダケノ事柄デハ滿足至極デアルト云フコトハ恐ラク御承知ニ
  ナルマイト思フノデアリマス、事茲ニ至リマスルト、曩ニ委員長竝ニ少數意見ヲ報ゼラレ
  タ望月君ノ御議論ニ依リマシテモ、委員ノ權力ト云フモノハ此以上ニ取調ヲ詩サヌ
  ト云フノ議論ニ多數少數ノ勝敗ニアッタヤウニ承リマスルノデアリマスガ、是ハ旣ニ望月
  君ノ御論ニモナリマシタ如ク、既ニ一部ノ人ハ出席ヲ求メテ說明ヲ聞キ得タノニ、他ノ部
  分ノ人ハ說明ヲ聞キ得ナイト云フコトハ、道理ニアルベキコトデモナク、又私ハ古キ事例
  ハ存ジマセヌガ、此數年以前ニ秋山君ガ同樣ナル嫌疑ヲ受ケマシタトキノ委員會ノ進行
  ヲ承リマスニ、十分ナル調ガアッタヤウデアリマス、其調ベタ結果ト一ムフモノハ、全ク其宣告
  セラレタ罪狀ト云フモノハ、能ク調ベタ結果、全ク消失セテシマッテ、サウ云フ事實ハナイ
  ノデアル、然レドモ云々ト云フ御表決ニナッタト承ッテ居ル、此事例ニ依リマシテモ亦其事例
  ノ如クニ全然參ラズトモ、賢明ナル委員諸君ノ腦裏ヲシテ、如何ニモ此ノ如クデアルト
  確認スルダケノ材料ヲ御蒐集スルダケノ方法ハ、如何樣デモ進行シ得ベキモノデアラウト
  信ズルノデアリマス、サウシテ尙一應辯ジマスルノハ先刻來大岡君ノ御演說中ニモアッタ
  カト伺ヒマシタガ、本員ノ提出致シマシタ提案ハ之ヲ訴訟ニ喩フレバ、無責任ナル提案
  デアルガ如クニ論ゼラレタノデアリマス、(其通リデアル」ト呼フ者アリ)諸君ハ然ラバ何故
  ニ之ヲ御容レニナッタカ(「ヒヤ〓〓」)結局此問題ハ本員ヲシテ判斷ニ迷フノミナラズ、滿
  場ノ諸君ヲシテ判斷ニ迷ハシタカラシテ、其判決ヲ調査委員會ニ委托シタノデハナイカ、
  然ルニ之ヲ受ケタル調査委員會ガ御托シニナッタ〓ガ疑間デアル、分リマセヌト云フ報告
  ハ、成程宜シイト云ウテ御是認ニナルト云フコトノ常理ガナイ、故ニ本員ハ之ヲ提議ヲ
  致シマシタ當初ノ意思ニ基イテ、諸君ガ無責任ナリト云ヘバ無責任デ宜シイ其無責任
  ニ御贊同ニナッテ相共ニ調ベヤウト云フ御約束ニ基イテ、調ベ得ル限リハ之ヲ調ベテ、一
  ハ以テ國民ノ信用ヲ益〓本院ニ置カセル程度ニマデ進行セシムルト云フコトハ、御同樣ノ
  責任デアルト信ズルノデアリマス、此ノ如キ常理デアリマスルガ故ニ、本員ハ少數意見ニ
  同意ヲ致シマシテ、飽迄此修正ノ通過センコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=96

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• 097・坂口仁一郎

  ○坂口仁一郞君　大岡君ニ質問致シマス、例ヘバ之カ裁判ニ喩ヘテ見レバ、告訴スル
  ニハ相當ノ證據ヲ備ヘテ掛ラナケレバナラヌト云フコト、大岡君ノ御演說中ニアッタ、此藤
  崎君ニ尋ネテ見ルト、別ニ證據ハナイト言フ、證據ガナイト云フコトデアレバ、此上調ベテ
  モ無益デアルト云フ
  討論ガアッタト思ヒマスガ、サウスルト大岡君ハ八名ナリ九名ナリヲ藤崎君ガ被告人トシ
  テ議場ニ告訴シタト云フノデスカ(「何ヲ言フンダ」ト呼フ者アリ)此〓ヲ伺ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=97

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• 098・大岡育造

  ○大岡育造君　是カラ御答シマス、坂口君ノ當日ノ議席ニ御出ニナッタコトデアリマ
  スカラ、御承知ノコトデアルト考ヘマス、藤崎君ノ動議ニ依ッテ八名ノ諸君ガ呼バレテ、吾
  スハ其指名ヲ受ケテ委員トナッタ譯デアリマス、是ダケデ宜カラウト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=98

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• 099・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　磯部四郞君
  (此時坂口仁一郞君發言セラレタレドモ議場騒然聽取スルコト能ハス〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=99

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• 100・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　磯部君ニ發言ヲ許シマシタ、坂口君ノ發言ヲ止メマス
  〔磯部四郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=100

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• 101・磯部四郎

  ○磯部四郞君　ナニ少々後レテモ宜シウゴザイマス-私モ詰リ委員長報告ノ趣意ニ
  贊成ヲ致スモノデゴザイマス、イロ〓〓御議論ガゴザイマスガ、私ハサウ云フムヅカシイ御
  討論ノ中ニハ餘リ交ルコトハ嫌ヒデゴザイマスガ、詰リ此問題タルヤ、本院ノ體面云々ト
  云フコトデゴザイマスケレドモ、一やまと新聞ト、此やまと新聞ニ揚ゲラレタ卽チ記事ニ
  載ッテ居ル方ミトノ信用如何ノ問題ダラウト私ハ考ヘル、ドウ云フコトデゴザイマスカ知ラ
  ヌケレドモ、私ノ僻見カハ存ジマセヌケレドモ昨日ノ神崎君ノ口調ヲ籍ッテ言ヘバ、私ノ邪
  推カモ知レマセヌガ、イヤニ或ル一方ノ人ガやまと新聞ニ平生ソレ程信用モ置イテ居ラ
  レヌ方々マデモやまと新聞ノ記事ハ殆ド事實ノ如ク目ルラレテ、吾〓同僚タルトコロノ卽チ
  名譽アル議員ノ辯明ト云フコトヲ以テ、之ヲ何カ信ズベカラザルカ如キ口調ヲ以テカラニ御
  議論セラルヽノハ、私ハ誠ニ異ナ考ヲ致スノデゴザイマス、私ハやまと新聞ト云フモノハ、
  一昨年アタリカラ起リマシテ、大變ニ此頃ハ何カ目下憂國ノ致ストコロナンデアルカ、何
  デゴザイマスカ頻リニ日本鐵道ナドノ惡口ヲ御書キニナリマシテ、時〓ハ吾〓共ノ事ヲ有ル
  コト無イコト素破拔イテ、家內ニ葛藤ヲ起サセルコトガゴサイマスカラ(笑聲起ル)或ハ明
  日アタリカラドウ云フコトヲやまと新聞ニ書カレルカ知リマセヌガ先ヅやまと新聞ニハ餘
  リ信用ヲ持チマセヌノデアリマス、デゴザイマスカラシテ、私ノ家ニモ別段ニ御配付ヲ願ヒマ
  スト言ッテヤック譯デハゴザイマセヌガ、イツ頃カラカやまと新聞ノ配達ヲ受ケマスルガ、此
  問題ガ議場ニ起ルマデ、コンナ新聞ハ讀ンダコトモナカッタノデゴザリマスル、少シモ信用致
  シマセヌ、而カ致シマシテ、我同僚タルトコロノ卽チ此やまと新聞ノ記事ノタメニ、大イ
  ナル迷惑ヲ被ラレタ方ミガ一囘ノ卽チ御臨席ヲ願ッテ、快ク出テ來テ、卽チ一々御辯明
  BANKA
  ガゴザリマシタカラシテ、私ハ其方ミノ言ハレルトコロヲ以テ、眞ノ事實デアラウト考ヘマシ
  タヾケノ話デ(「ヒヤ〓〓」)然ルガ上ニ尙此事柄ガ委員十八名ヲ願ハレタケレドモ、ソレ
  ダケノ心證ヲ定ムルコトガ出來ズ、之ヲ確認スルニ由ナイトカ、アリタルヤ否ヤ、誠ニ吾ミ
  ハ無能力ニシテ其認メガ付キマセナンダト云フ報告ハ私ハ出來ヌ、是ニ於テ私ハ卽チ本
  院ノ體面ニ關スル行爲アリタルモノト認メズ云々ト云フノハ、私ノ眞意ヲ發表シタ是ガ報
  告書デアリマスカラ、ソレニ同意ヲシタヾケノコトデアル、決シテ私ハ此滿場ノ諸君ニ於
  テモ、卽チ同僚諸君ニ恩怨ノ關係モ何ニモゴザイマスマイ、卽チ各〓方ノ信ゼラレタルト
  コロモ、或ハ此議院ノ體面ヲ思ウテノコトデアラウ、又本員共ノ信ズルトコロモ、ヤハリ此
  議院ノ體面ヲ想ウテノコトデアル、其體面ヲ思フタメニ卽チ同僚タル此議員八名ノ信用
  如何ト、一やまと新聞ノ價直トヲ取ッテ、比較セント彼此論ゼラレルノハ、不見識至
  極ナ話デアル、故ニ卽チ私ハ委員長報告通リニ贊成致シタノデアル、滿場諸君、ドウカ
  委員會ノ報告ニ宜シク御贊成アランコトヲ願ヒマス
  〔「討論終結」ト呼フ者アリ〕

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• 102・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　大竹貫一君
  〔大竹貫一君登壇〕

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• 103・大竹貫一

  ○大竹貫一君　私ハ誠ニ今日ハ遺憾ニ堪ヘヌデゴザイマスル、ナゼナレバ此問題ニ對シ
  マシテ委員長ノ如キ、或ハ大岡君ノ如キ、又今磯部君ノ如キ、演說ヲ拜聽スルコトハ餘
  程私ハ本意デナイノデゴザイマス、ナゼナレバ斯ノ如クデ、此タメニ寃罪ヲ受ケラレタトコ
  ロノ八名ノ諸君ノ體面ヲ雪グコトモ出來マセヌ、又本院ノ面目ト云フコトヲ雪ギ得ルコ
  トハ到底出來得ヌノデゴザイマス(「ヒヤ〓〓」「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ)ナゼデアリマセウ
  カ、始終何カ原被兩〓ノ如ク、例ヘバオカシイコトデアリマスカナレドモ、所謂俗ニ言ヒ
  マスル片口聞イテ解辭ナシ(「原告ノ方ハ默ッテ居ルデハナイカ」ト呼フ者アリ)ドウ致シマシ
  テ、是ハ最前少數意見ノ望月君ガ能ク辯解サレマシタ如ク、八名ノ方ノ單リ意見ヲ聞
  キマシタ、是ニ關係アルトコロノ人〓ノ意見ヲ聞イテ、然ル後御定メニナッテモ、決シテ此
  問題ハ遲カラヌノデアリマス、何故ニ此政友會ノ諸君ノ方ミガ斯クマデ御急ギニナッテ、
  御定メニナッタコトガアリマセウカ、私モ昨日ハ委員會ノ席デ傍聽致シマシタ如何ニモ此
  政友會ノ人〓ガ御急ギニナッタ景色ガ見エマス、是ハ誠ニ政友會ノ諸君ノタメニ私ハ恐
  ルヽノデゴザリマス、アノヤウナコトヲ爲サレタナラバ、決シテ此天下ノ民心ヲ安ンズルコト
  ハ到底出來ヌノデアリマス(「ノウ〓〓」「ヒヤ〓〓ト」呼フ者アリ)況ヤ此體面ヲ保ツコト
  ハ尙更出來ヌ、又況ヤ是ガ同僚八名ノ寃ヲ雪グコトハ出來ヌ、少ナクトモ同僚八名ノ寃
  ヲ雪ガントスレバ、出來ルダケ諸君ガ手ヲ盡シテ、然ル後ニ定メテモ遲カラヌ話デアル、又
  關係ノ人々ヲ合意ノ上デ來テ欲シイト云ノ通告書ヲ出シテハ、ドウカト云フ委員ノ發議
  モアッタ、是モ諸君ハ容レヌ、若シ御出デニナラヌナラバ、之ヲ追窮スル權能ハ議院ニハナ
  イト言フ、併ナガラ八名ノ方ミノ中一人ハ病氣デ缺席セラレタガ、他ノ人〓ハ喜ンデ快諾
  シテ委員席ニ出マシタ、他ノ關係ノ人々ハ卽チ我同僚デアル、己ノ同僚ノ寃ヲ雪グタメ
  ニハ喜ンデ快諾セラルヽデアラウ、何故ニ八名ノ外ノ人ミガ忌避ザレルデアリマセウカ、
  必ズヤ我同僚ノ寃ヲ雪ガンガタメニハ、喜ンデ出席セラレルコトハ當然デアリマス(「惡例ヲ
  貽スヲ恐レタルナリ」「默マレ」ト呼フ者アリ、笑聲起ル)又況ヤ此事業ト云フモノハ獨リ
  此度ノコトデハアリマセヌ、卽チ秋山君ノ如キ、星亨君ノコトヽ云ヒ、前例ガアルノデアリ
  マスル、又諸君ハ此新聞紙ノコトハ如何ニモ磯部君ノ如キハ、やまと新聞ハ一小新聞
  トシテ採ルニ足ラヌ如ク御論ジニナリマシタナレドモ、諸君ノ尊敬スルトコロノ亡星亨君ハ
  ドウデアリマスカ、取引所問題ニ於テ新聞ノ卽チ記事ノタメニ、アノ寃罪ヲ得ラレタデアリ
  マセヌカ、アレガ元デアリマス、取引所問題ガ本デアリマス、(「サウデハナイ、當時ノ速記
  錄ヲ御覽ナサイ」ト呼フ者アリ)又秋山君ノ如キモ、二六新聞、我新聞ノ記事カラ出タノ
  デアル、今日ノ程度ニ於テ新聞ヲ諸君ガ輕視スルコトハ大變ナ間違デアル、是ハ決シテ
  我輩ガ新聞紙ノ說ヲ主張スルノミデナイ、諸君ノタメニ惜ムノデアル、殊ニ政友會諸君ノ
  タメニ惜ムノデアル(「餘計ナコトダ」ト呼フ者アリ)何故ニ諸君ガ昨日ノ如ク慌テヽシタノ
  デアルカ、ソンナ必要ハ毛頭ナイノデアル(「慌テハシナイ、默マレ〓〓」「議員ノ爲シ得ベキ
  權能ヲ以テ爲シタノデアル」ト呼フ者アリ)諸君、私ハ失禮デアリマスガ、最前大岡君ガ
  言ハレタ、先ニ我同僚ノ席カラ百五十ト云フ問題ガ出テ居ル、如何ニモ大岡君トシテハ
  今日ハ惜シイコトデアリマス、委員トシテハ滿足ヲ致シタト云フ言葉尻ヲ取ッテ、諸君ガ言
  ハレルガ、何人ガ滿足ヲシテ居ルカ、其滿足ヲシタト云フコトハ、所謂辭令ニ過ギナイ、其
  裏ニハドウ云フコトガアリマスカ、少シク諸君ガ此問題ニ付イテハ、今少シ何故ニ愼重ノ
  態度ヲ取ラレナカッタデアリマセウカ、到底是デハ諸君ノ-我同僚ノタメニ盡スコトハ餘
  程未ダ及バヌコトデナカッタカ知ラヌト思ヒマス、八名ノ我同僚ト云フモノヲ諸君ノ遣リ口
  ノ惡ルイタメニ益〓天下ノ疑ヲ貽ス、今一步進メテ我同僚ノ寃ヲ雪ギ、我議院ノ體面ヲ
  雪ガレンコトヲ私ハ希望シマスルガ故ニ、委員長ノ報告ヲ斷然否決セラレンコトヲ希望致
  シマス

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• 104・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　立川雲平君
  〔「討論終結」ノ聲起ル〕

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• 105・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　討論終結ニハ定規ノ贊成者ガアリマスカ
  〔「澤山アル、澤山アル」ト呼フ者アリ〕

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• 106・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　定規ノ贊成ガアルト認メマス、討論終結ニ同意ノ諸君ハ起立
  ヲ願ヒマス
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=106

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• 107・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　大多數、討論ハ終結致シマシタ-採決ノ方法ニ付イテ諸
  君ニ御諮リヲ致シマスガ、山口熊野君外四名ヨリ記名投票、長谷場純孝君外數名ヨ
  リ無記名投票ヲ以テ採決セラレタイト云フ申出ガアリマス
  〔議場騒然〕

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• 108・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　靜ニ願ヒマス-先例ニ據リマスレバ、何レノ採決法ヲ採用
  スルカヲ院議ニ諮ッタコトモアリマス、又問ウタコトモゴザイマス、又議長ニ於テ(「公平ニ
  ヤルベシ」ト呼フ者アリ)必要ト認メタトコロノ方法ヲ採ッタコトモゴザイマス
  〔「記名投票ニスベシ」ト呼フ者アリ、議場騒然〕

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• 109・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　靜ニ願ヒマス、就キマシテハ此際此採決ノ方法ヲ議長ニ御一
  任下スッテハ如何デアリマセウカ
  (「異議ナシ」「反對」「先例ニ據ルベシ」ト呼フ者アリ〕

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• 110・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　採決ノ方法ヲ議長ニ一任スルト云フトコロノ御方ノ起立ヲ願
  ヒマス
  起立者多數

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• 111・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　多數デアリマス、議長ニ一任スルコトニ決シマシタ
  (「少數デス」「異議アリ」「異議ナシ」ノ聲交〓起リ「男ラシクヤルベシ」ト呼フ者
  アリ〕

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• 112・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　議長ニ一任ヲシナイト云フトコロノ御方ノ起立ヲ願ヒマス
  起立者少數

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• 113・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　少數デアリマス
  〔「異議アリ」「少數グ」「多數ダ」ト呼フ者アリ、發言スル者多シ〕

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• 114・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　靜ニ願ヒマス
  〔「議長ハ宣告ヲ爲スベシ」ト呼フ者アリ〕

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• 115・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　靜ニ願ヒマス、議長ニ於テハ議長ニ一任ト云フノガ多數ト認
  メマス
  〔「異議アリ」「異議ナシ」ノ聲交〓起ル〕

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• 116・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　靜ニ顧ヒマス
  〔「議長ハ公平ニヤリ給ヘ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 117・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　異議アリト云フ御方モアリマスガ、段々異議ナシト云フ聲ガ聽
  エマスルデ、異議ノナイモノト認メマス
  〔「ソレデ宜シ」「異議アリ」ト呼フ者アリ〕

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• 118・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　議長ニ一任ヲセラレマシタニ付キマシテハ、事苟モ本院議員ノ
  身上ニ關係ヲスルコトデゴザイマスカラ、議長ハ本案ノ採決ハ無名投票ヲ以テ採決ヲ
  スルコトニ致シマス、拍手起ル-閉鎖
  〔此時發言ヲ求ムル者多シ〕

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• 119・神崎東藏

  ○神崎東藏君　採決ニ付イテ申シマス、此高梨哲四郞君外七名ノ人〓ハ其人〓ノ御
  一身ニ關スル事柄ヲ建議スルノデゴザイマスカラシテ、當然此表決ニ加ハラザルコト
  ヲ·····(「ヒヤ〓〓」「ノウ〓〓」ノ聲交〓起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=119

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• 120・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　靜ニ願ヒマス、採決ノ順序ヲ述ベマス
  (「唯今ノ問題ヲドウナサル」「苟モ法律ヲ解スル者ハワンナコトハ言ハナイ、町村
  制ニハ斯ウ云フ規則ガアル」ト呼フ者アリ〕

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• 121・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　神崎君、チヨット御尋シマスガ、アナタハ此八名ノ諸君ニ退去
  サセル、投票ノ際退場サセルト云フノデアリマスカ

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• 122・神崎東藏

  ○神崎東藏君　サセルトハ申シマセヌ、一般ノ表決ニ加ハラヌト云フノデゴザイマスカラ
  シテ(「ソンナコトハ規則ニナイ」「無用々々」ト呼フ者アリ)府縣制ヤ町村制ノ下級ノモノ
  ニハ詳シク書イテアルガ、衆議院ニハ〓ヘルニ及バヌカラ書イテナイ
  〔笑聲起ル〕

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• 123・神藤才一

  ○神藤才一君　抑〓此日本ノ議會ト云フモノハ···
  〔笑聲起ル〕
  〔神藤才一君登壇ス、拍手起ル〕

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• 124・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　神藤君、イケマセヌ
  〔神藤才一君議長ノ注意ニ依リ降壇ス〕

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• 125・神藤才一

  ○神藤才一君　改メテ私ハ伺ヒマス、議長ハ唯今議席ニ著ケバ······(議場騒然)

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• 126・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　靜ニ-神藤君何デアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=126

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• 127・神藤才一

  ○神藤才一君　抑〓此議會デ以テ······(笑聲起ル)泥棒、畜生、馬鹿呼バハリト云フ
  コトニ付イテハ、實ニ列國ニ對シテモ耻カシイ······(笑聲起ル)恐レヤセヌケレドモ、馬
  鹿畜生、泥棒ト云フノハ暴言ノ最極デアル、此ノ如キ暴言ヲ吐イタ者ハ、議長ニ於テ
  ハ如何ニ處理ナサルカ、若シモ馬鹿、畜生、泥捧ト呼ングモノガアレバ、決鬪スルヨリ
  外ハナイ、故ニ神藤議員ハ宜シク決鬪條例ヲ廢スベカラズト云フコトヲ申シテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=127

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• 128・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　靜ニ願ヒマス
  〔議場騒然〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=128

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• 129・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　神崎君、アナタノ此八名ノ諸君ニ此投票ニ與カラシメナイト云
  フコトニ贊成ノ諸君ガアリマスルカ
  (「贊成々々」「贊成ガアッテモサウ云フ規則ハナイ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=129

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• 130・福井三郎

  ○福井三郎君　一言私ハ述ベルコトガアル
  〔「德義上拔ケロ」ト呼フ者アリ〕

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• 131・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　靜ニ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=131

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• 132・福井三郎

  ○福井三郞君　唯今高梨君以下八名ノ人ヲ數ニ加ヘルカ加ヘヌカト云フ問題デアリマ
  スガ、苟モ衆議院ニ於テ一ノ椅子ヲ占メテ居ルモノハ何レモ國士デアル、此國士ガ今其
  身ノ上ニ係ルコトヲ決セラレル場合ニ當ッテ、自カラ此議席ニ居ラレヤウトハ本員ハ斷
  ジテ信ジマセヌ、又席ニハ居ルニハ及バナイ、本員ハ單獨ノ意味ヲ以テ此席ヲ退カルヽコ
  トヲ確信シテ疑ハヌ、此一事ヲ以テ採決ヲ進行セラレンコトヲ望ミマス

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• 133・高梨哲四郎

  ○高梨哲四郞君　議長-議長

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=133

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• 134・長谷場純孝

  ○長谷場純孝君　今ノ神崎君ノ動議ガ問題ニナリマシタカ(「ナッタ〓〓」ト呼フ者ア
  リ)ナリマシタナラバ、私ハ之ニ反對ノ意見ヲ述ベマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=134

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• 135・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　問題ニナッテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=135

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• 136・高梨哲四郎

  ○高梨哲四郎君　本員等ハ此議席ニ列スルノハ、憲法上得タルトコロノ權利デアリマ
  ス、進步黨ノ神崎東藏輩ノ發言ニ依ッテカラニ、我憲法ヲ動カスコトハ出來ナイノデアリ
  V、、本員ニ於テハ滿場ノ諸君ガ退席ヲ强ヒテモ、僕ハ憲法上ノ權利ニ於テ、一步モ此
  席ヲ去ルコトハ致シマセヌ
  〔長谷場純孝君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=136

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• 137・長谷場純孝

  ○長谷場純孝君　唯私ハ此問題ガ起リマシタ以上ハ一言セザルヲ得ナイ(神藤才一
  君「サウノ〓ソコマデヤラヌケレバ往ケヌ」ト呼フ)極ク靜ニ一ツ御聽キ下サイ、我議院法
  ノ第八十條ニ(ソンナコトハ知ッテ居ル」ト呼フ者アリ)議員其資格ナキコトヲ證明セラル
  ルニ至ルマデハ「議院ニ於テ位列及發言ノ權ヲ失ハス」斯ウアルノデゴザイマス(「無
  用々々」ト呼フ者アリ)其他ニ於テ-議員ガ自分ノ資格ニ關スルコトノ外ニ於テ、位
  列及發言ノ權ヲ失フコトハ斷ジテナイノデゴザイマス、ソレデ卽チ法律問題ヲ以テ、是ハヤ
  ルガ宜シイノデゴザイマス(「法律以上ノ問題デアル」ト呼フ者アリ)本人ガ自カラ退クト
  云フモノガアルナラバ、別問題ナレドモ、議員ノ動議ニ依リ議院ノ多數デ之ヲ決シテ退カ
  シムベキモノデハナイノデアル若シ又此ノ如キコトヲ一ト度慣例ヲ起シマシタナラバ、如何
  デゴザリマセウカ、或ハ或ル場合ニ於テ他ノ黨派ノ多數ヲ傷ケンガタメニ、一ツノ小新聞
  ニ多數ノ人ノ名ヲ列記シテ、而シテ之ヲ又調査委員會ニ掛ケル、而シテ其議員ノ席ニ
  列ナルコトヲ得セシメナイヤウニシテ、彼此ノ政略手段ヲ行フガ如キ萬一慣例ヲ拵ヘタナ
  ラバ、甚ダ忌ムベキコトデアラウト私ハ考ヘルノデゴザイマス、(拍手起ル)ソレデ此問題ハ
  本人ツレ自身ガ席ヲ去ル者ハ卒ザ知ラズ、ケレドモ苟モ此議院ノ多數ヲ以テ-決
  議ヲ以テ此席ヲ退カスルヤウナコトハ、惡慣例ヲ貽シ、且又左樣ナコトハ爲スベカラザルモ
  ノト信ジマスカラ、殘念ナガラ私ハ神崎君ノ說ニ反對ヲ致シマス、ドウゾ神崎君モ此御提
  議ダケハ御取消ヲ願ヒタイモノデゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=137

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• 138・福井三郎

  ○福井三郞君　本員ハ別ナコトヲ言フノデス、神崎君ヨリ高梨君以下八名ノ指名セ
  ラレタ諸君ノ退場ヲ求ムベキ動議ガ出タ、是ニハ退場セシムルノモ、議院ニハサウ云フ規則
  法律ガナイ、故ニ本人ガ勝手ニ退カレルナレバ格別、强ユルコトハ出來ヌト云フ御辯駁ガ
  アル、是ハ如何ニモ御尤モデ、本員モサウニ云フ規則ハナササウニ思フ、縦シアッタトスルモ本
  員ハ國士ヲ遇スル左樣ナコトヲ以テ、此席ニ於テシヤウトハ信ジナイ、殊ニ高梨君ナドハ、
  本員ナドカ未ダ子供ノトキカラ、エライ御方ト信ジテ居ッタ、同時ニ尊敬ヲ拂ッテ居ル御方
  デアル、旁以テ左樣ナコトヲ以テシヤウトハ思ハヌ故ニ、高梨君等ノ實ニ赫々タル名譽ヲ
  傷ケザランコトヲ思フノ苦心ヲ以テ、自ラ御退キニナランコトヲ、如何デアラウカトノ御勸
  告ヲ申シタガ、是モ憲法上ノコトヲ楯ニ取ッテ御聞入ニナラヌト云フナラバ迫ルコトハナ
  イ、此上ハ議長ヲ信ジテ、議長ガ其權能ニ於テ任ゼラレタトコロノ記名ノ採決ノ方法ヲ
  指定スルト云フコトナレバ、卽チ天下ノ國民ガ玆ニ集ッテ見テ居ルノデアルカラシテ、議長
  ノ採決ニ信任ヲ指イテ、其採決ヲ受ケル外ハナカラウト思ヒマス此以上ハ最早此採決
  ヲ進行セラレンコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=138

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• 139・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　神崎君-チヨット靜ニ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=139

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• 140・原田赳城

  ○原田赳城君　發言ヲ求ムルノデアル

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• 141・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　今神崎君ヲ呼ンデ居リマス

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• 142・神崎東藏

  ○神崎東藏君　アチラヲ先ニ··

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• 143・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　神崎君ハ原田君ニ御讓リニナリマスカ

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• 144・原田赳城

  ○原田赳城君　唯今其八名ノ諸君ノ退席ノ動議ガ出テ居リマスガ、ソレニハ本員等
  ハ贊成致シマセヌ、本員ハ八名ノ諸君ニシテ事自身ニ關係スルヲ以テ、是ハ遠慮スルガ然
  ルベシト自カヲ退席セラルヽコトハ希望致シ、尙勸〓致シマスルガ、其勸告ニ應ゼヌカラ
  ト云ッテ退席セシムルト云フコトニハ同意ハ致シマセヌ

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• 145・藻寄鐵五郎

  ○藻寄鉄五郞君　チヨット一言シマス、私ノ一身上ニ關係シマスカラ、私ハ退席スル考
  デ居リマシタガ、併ナガラ進步黨ノ諸君ガ吾ミニ附與セラレタルトコロノ法律ノ權能ヲ奪
  ハントスルガ故ニ、斷ジテ退席致シマセヌ

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• 146・神崎東藏

  ○神崎東藏君　詰り德義上御退席ニナッテ然ルベシト云フ意味ニ於テ言ッタノデゴザイ
  マスガ、私ノ言葉ニ角ノアルタメニトウ〓〓斯ウ云フ場合ニナッテシマッタノデアリマスガ、藻
  寄君ノ如キハ、アヽ云フ立派ナ御考ヲ持ッテ居ラレルノデアリマスカラ、免ニ角議長カラ改
  メテ八名ノ人ヲ退席ヲ勸告セラレンコトヲ望ミマス
  〔「ノウ〓〓」ノ聲起ル〕

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• 147・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　德義上自カラ退クノハ免モ角モ、議長カラ退場然ルベシトームフ
  コトハ申サレマセヌ、ツレデ神崎君ノ說ニ付イテハ採決シマセヌ·······採決ノ順序ヲ宣告致
  シマス、先ヅ少數意見ガ委員長ノ報告ニ對シテ修正デアリマス、先ブ此修正ニ就イテ採
  決ヲ致シマス、卽チ少數意見ニ同意ノ諸君ハ白球ヲ御持參ニナルヤウニ願ヒマス、少數
  意見ニ反對ノ方ハ黑球ヲ御持參ヲ願ヒマス、又名刺ヲ持ツコトニ御忘レノナイヤウニ顯
  ヒマス
  (「分ラヌ」「球ハ此處ニアリマセヌ」ト呼フ者アリ〕

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• 148・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　白球、黑球ハ此處ニアリマス

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• 149・長谷場純孝

  ○長谷場純孝君　少シク議長ノ御宣告ガ分リ惡クウゴザイマシタガ、此少數意見ニ贊
  成ノ者ハ白球、ソレカラ少數意見ニ反對ノ者ハ黑イ球、其通リデセウ

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• 150・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　サウデス-名刺ハ必ズ御持參ニナルヤウニ願ヒマス-氏
  名〓呼
  〔書記氏名ヲ〓呼ス〕

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• 151・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　投票漏ハアリマセヌカ-投票漏ハアリマセヌカ-開鎖-
  開匣
  (書記官投票及名刺ノ數ヲ計算ス〕

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• 152・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　書記官長ヨリ投票ノ結果ヲ報告サセマス
  〔林田書記官長朗讀〕
  球數總數三百四十一
  白球百六十五
  黑球百七十六
  〔拍手起ル〕

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• 153・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　少數意見ハ否決ニナリマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=153

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• 154・高梨哲四郎

  ○高梨哲四郞君　本員ハ先刻過激ノ餘リ、神崎東藏君ニ對シテ不謹愼ノ言葉ヲ發シ
  マシテ、甚ダ惡ルウゴザイマシタ、取消ヲ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=154

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• 155・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　委員長報告ノ通リ、御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=155

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• 156・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、委員長報告通可決致シマス-
  市町村立小學校〓員退隱料及遺族扶助料法中改正案ノ委員會ヲ是ヨリ開會致シ
  タイ〓云フコトデアリマスガ、許可シテ御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=156

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• 157・長谷場純孝

  ○長谷場純孝君　本員ハ此場合ニ緊急動議ヲ提出致シマス、卽チ議事日程ヲ變更
  シ、移民保護法中改正法律案ヲ委員長カラ報告ニナッテ、此場合ニ本會議ニ付セラレ
  ンコトノ緊急動議ヲ提出致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=157

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• 158・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　長谷場君發議ノ通り、此際日程ヲ變更シ移民保護法中改
  正法律案ヲ會議ニ付シテ御異議アリマセヌカ
  〔「異識ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=158

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• 159・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス-移民保護法案ハ問題トナリマシ
  タ-橫井時雄君
  移民保護法中改正法律案(政府提出)第一讀會ノ續(委員長
  報告
  〔橫井時雄君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=159

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• 160・横井時雄

  ○橫井時雄君　移民保護法中改正法律案ノ委員會ノ經過及結果ヲ御報告致シマ
  ス、諸君ノ御選定ニ依デテ十八名ノ委員ガ出來マシテ、而シテ委員會ヲ開クコト四囘ニ
  及ビマシタ、其三囘ハ頗ル周密ナル質問ヲ政府委員ニ試ミ、或ハ又祕密會モ致シマシ
  テ、面シテ外交上ノコトニ付イテ說明ヲモ聞キマシタ、此委員會ノ決定スルトコロハ·移
  民保護法中改正案ノ中ニ於テ「第五條ニ左ノ一項ヲ加フ」ト云フトコロガアリマス、其
  舊ノ法案ニ依レバ「移民取扱人ハ行政廳ノ許可ヲ得テ移民ト直接ノ關係ヲ有スル業
  務ヲ營ムコトヲ得」ト云フコトニナッテ居リマス、此文面ノ中デ「關係ヲ有スル運送業農業
  及鑛業ヲ營ムコトヲ得」トアリマス、此中ノ「運送業農業漁業又ハ鑛業ヲ除キマシテ、而
  シテ其代リニ「業務」ト云フ二字ヲ加ヘルコトニナリマシタ、卽チ原案ニアルヨリモ大イニ其
  範圍ヲ廣クシタノデアリマス、是ガ一ノ修正デアリマス、其次ニハ第二十六條ノ三ト云
  フ條目ノ中デ、第二項ニ「前項ノ罰金ハ保證金ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得」ト云フ一項
  ガアリマスガ、是ハ玆ニ揭ゲル必要ガナイ、揭ゲレバ却ッテ法交トシテ體裁ヲナサナイト云
  フ議論デアリマシテ、之ヲ削ルコトニナリマシタ、其外ハ政府提出ノ原案通リ可決シタノ
  デアリマス、此本案ノ理由ニ付キマシテハ「時勢ノ進歩ニ伴ヒ移民取扱人業務ノ範圍ヲ
  擴張スルト同時ニ益移民ノ保護ヲ厚クスルノ必要アリ」是レ本案ヲ提出スル所以ナリ」
  此簡單ナル文字デ、其趣意ハ盡キテ居リマス、或ハ果シテ此法案ガ政府ノ期シテ居ル程
  ノ多大ノ效力ガアルカナイカ、ナシトスルモ或ハ其幾分ヲ達スルコトヲ得ベシト云フノ意見
  ガ、卽チ委員會多數ノ意見デアッタノデアリマス、之ヲ大ニ效果アラシムルト否トハ偏ニ政
  府當局者ノ此法案ヲ活用スル如何ニアル、又我國民ガ今日ノ氣運ニ乘ジテ之ヲ活用シ
  テ、殖民的大計畫ヲ立テヽ之ヲ實行スルヤ否ヤト云フ問題ニ歸スルノデアリマス、委員會
  ノ多數ハ先ニ申シタル二項ノ修正ノ外本案ヲ可決シタノデアリマスカラ、ドウカ本會議ニ
  於キマシテモ、大多數ヲ以テ委員會ノ修正通リ御可決アランコトヲ切ニ希望スルノデアリ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=160

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• 161・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　別段御議論ガナイヤウデアリマスカラ採決シマス、本案ノ二讀
  會ヲ開クト云フニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=161

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• 162・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=162

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• 163・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　直チニ二讀會ヲ開キ、讀會ヲ略シテ確定セランコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=163

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• 164・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　恆松君發議ノ通リ直チニ二讀會ヲ開キ讀會ヲ省略シテ確
  定スルコトニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=164

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• 165・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、直チニ二讀會ヲ開キ全部ヲ議題ト
  致シマス、委員長報告通御異議アリマセヌカ
  移民保護法中改正法律案確定議
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=165

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• 166・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、是ニテ本案ハ確定致シマシタ
  日程第九、第十ハ請願デアリマスカラ、併セテ委員長カラ報告ヲ願ヒマス、小河源一君
  第九(特別報告第十九號)高等工業學校設立ノ(委員長報告)
  請願
  第十(特別報告第二十八號)漆樹栽培保護ノ請(委員長報告)
  願外一件
  〔小河源一君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=166

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• 167・小河源一

  ○小河源一君　極ク簡單ニ御報告ヲ致シマス、高等工業學校設立ノ請願ノ一件ハ、
  北海道ニ同校ヲ設ケタイト云フコトデ、而シテ北海道ハ函館デ樞要ノ地デ、〓育材料
  モ整ウテ居ルカラ設ケタイト云フ意味デ、政府委員ノ意見モ聽イテ、委員會デハ一致シ
  テ可決ニナッタ次第デアリマスカラ、御贊成アランコトヲ望ミマス、次ノ一件ハ漆樹栽培保護
  ノ請願デ、是ハ我日本ノ特產タル漆器ノ原料タル漆液ガ次第ニ減少シテ、競爭國ノ〓國
  ヨリ三分ノ二以上ノ供給ヲ仰イデ居ルガ、尙〓國ノ漆液モ高價トナッテ、我漆器業ニ大
  ナル影響ヲ及ボスカラ、保護奬勵ノ途ヲ執ッテ貰ヒタイト云フ趣意デ、其方法ハ配付シタ速
  記錄ニアリマスカラ一々ハ述バマセヌ、政府モ大體ノ趣意ハ贊成デアリマシテ、奬勵ノ途ヲ
  執ッテ居ルケレドモ、直チニ請願ノ趣意ニハ同意ハ出來ヌト云フコトデアリマシタガ、政府
  ノ奬勵ノ途ハ不完全故ニ、全會一致ヲ以テ可決シタノデアリマス、ドウカ御贊成ヲ願ヒ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=167

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• 168・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　日程第九、第十ハ一括シテ議題ニ供サレ、委員長報告通リ採擇セラ
  レンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=168

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• 169・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　恆松君ノ動議ノ如ク、日程第九、第十ヲ一括シテ議題ニ供
  スルコトニ御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ異識ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 170・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ナイモノト認メマス-委員長報告通リ兩案共採擇
  ニ御異講アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=170

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• 171・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ナイモノト認メマス、採擇ニ決シマス、報告ヲ致シマス
  〔書記朗讀〕
  一委員ヲ指各スル左ノ如シ
  公共〓體課稅ノ制限ニ關スル法律案
  宮部襄君石井信君森肇君
  神前修三君井上要君大津淳一郞君
  荒川五郞君城重雄君松本恆之助君
  統監府及關東都督府等在勤官吏ノ恩給及遺族扶助料ニ關スル法律案外二件
  丹後直平君伊藤傳右衞門君小田貫一君
  後藤文一郞君降旗元太郞君佐々木正藏君
  安達謙藏君富島暢夫君武藤金吉君
  租稅其他ノ收入徵收處分囑託ニ關スル法律案
  海野謙次郞君上埜彌一郞君森懋君
  岩元信兵衞君野木善三郞君安田勳君
  國有林野拂下ニ關スル建議案
  宮古啓三郞君中西六三郞君池松豐記君
  牧野元君橫井甚四郞君藤金作君
  中林友信君安藤新太郞君西山彰君
  河井重藏君荒谷桂吉君進藤喜平太君
  佐藤伊助君石谷傳四郞君星野長太郞君
  鈴木摠兵衞君近江谷榮次君岩本晴之君
  米國ゼームスタウン博覽會出品國庫補助ニ關スル建議案
  村松愛藏君根本正君森本駿君
  奧野市次郞君竹村良貞君管澤重雄君
  天野董平君松元剛吉君島田三郞君
  一貴族院ヨリ送付セラレタル政府提出案左ノ如シ
  日本勸業銀行法中改正法律案
  農工銀行法中改正法律案
  北海道拓殖銀行法中改正法律案
  藥品營業竝藥品取扱規則中改正法律案
  一貴族院ハ本院送付ニ係ル政府提出種牡牛檢査法案輸入原料砂糖戾稅法中
  改正法律案樺太ニ於ケル租稅ニ關スル法律案明治三十九年度一般會計所屬
  ノ經費ヲ各帝國大學特別會計ニ繰越ス場合ニ於ケル剩餘金繰入ニ關スル法律
  案本院提出印紙稅法中改正法律案ヲ可決シタル旨同院ヨリ通牒アリタリ
  一議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  殖民廳設立ニ關スル建議案
  提出者松本君平君吉植庄一郞君木下謙二郞君
  日向様分神崎東藏君西村丹治郞君
  菊池我〓此靑地雄太郞君近江谷榮治君
  竹內正志君安達謙藏君望月小太郞君
  荒川五郞君小川平吉君
  函館小樽室蘭三港修築速成ニ關スル建議案
  提出者大津淳一郞君守屋此助君齋藤宇一郞君
  內山吉太君中西六三郞君吉植庄一郞君
  一兩院協議委員ヲ指名スル左ノ如シ
  刑法改正案兩院協議委員
  元田肇君磯部四郞君大岡育造君
  立川雲平君關直彥君望月長夫君
  大戶復三郞君谷澤龍藏君奧田義人君
  花井卓藏君

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• 172・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　次囘ノ議事日程ヲ報告致シマス
  〔書記朗讀〕
  議事日程第十八號明治四十年三月二十一日(木曜日)
  午後一時開議
  第一藥品營業竝藥品取扱規則中改正法律案(族院送付(政府提供)第一讀會
  第二右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉
  第三日本勸業銀行法中改正法律案((政府提出貴)第一讀會
  族院送付＼
  第四右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉
  第五農工銀行法中改正法律案(A)R政府提出貨)第一讀會
  第六右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選擧
  第七北海道拓殖銀行法中改正法律案(族院送付(政府提供)第一讀會
  第八右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉
  第九裁判所管轄區域變更ニ關スル法律案第一讀會ノ續委員長
  (請願委員長提出)報告
  裁判所管轄區域變更ニ關スニ法律案表記事項
  第十(築山和一外第一讀會ノ續報〓一
  一名提出
  第十一會計法中改正法律案森本駿外第一讀會ノ續(金玉)
  二名提出報〓、
  第十二渡良瀬川改修工事ニ關スル建議案(外二提出木村中兵衛(委員長報告)
  大船渡鐵道鐵業ノ利益補給ニ關スル建議案
  第十三磯部四郎外)(委員長報告)
  (原題出
  第十四司法官ノ待遇ニ關スル建議案(宮古啓三郎外)(委員長報告)
  十一名提出
  第十五北海道函館外四港修築ニ關スル建議案(淺羽蜻外)
  (五名提出
  第十六函館、小樽、室蘭、三港修築速成ニ關スル建議案(大津淳一郞
  外五名提出
  第十七臺灣彩票局廢止建議案高梨哲四
  /郎提出
  第十八殖民廳設立ニ關スル建議案(松本君平外
  十三名提出
  第十九衆議院規則中改正案(四分钟法) 出

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=172

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• 173・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　本日ハ是ニテ散會致シマス
  午後五時四十五分〓會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01819070319&spkNum=173

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