1. 会議録本文
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000・会議録情報
明治四十一年三月十三日(金曜日)
午前十時九分開議
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議事日程 第十四號 明治四十一年三月十三日
午前十時開議
第一 男爵尾崎三良君請暇の件
第二 水利組合法案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第三 右議案の審査を付託すへき特別委員の選舉
第四 關税定率法輸入税表中改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第五 右議案の審査を付託すへき特別委員の選舉
第六 陸軍刑法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第七 海軍刑法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第八 裁判所管轄區域變更に關する法律案(衆議院提出衆第五號) 第一讀會の續(委員長報告)
第九 裁判所管轄區域變更に關する法律案(衆議院提出衆第六號) 第一讀會の續(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=0
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001・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ諸般ノ報〓ヲ致シマス
〔東久世書記官朗讀〕
從三位勳四等男爵安藤直行君
本月六日薨去セラル依テ去ル十日弔辭ヲ贈レリ
去ル十日本院ニ於テ議決シタル左ノ政府提出案ハ卽日裁可ヲ奏請シ又可決
ノ旨ヲ衆議院ニ通知セリ
沖繩縣及東京府小笠原島伊豆七島ニ於ケル酒造稅ニ關スル法律案
沖繩縣酒類出港稅則中改正法律案
酒母、醪及麴取締法中改正法律案
煉乳原料砂糖戾稅法案
日本大博覽會ノ出品ニ對スル發明、意匠、實用新案及商標保護ニ關スル法
律案
同日本院ニ於テ議決シタル政府提出軍人恩給法中改正法律案ハ卽日之ヲ衆
議院ニ送付セリ
同日本院ニ於テ採擇ヲ議決シタル左ノ各請願ハ意見書ヲ付シ卽日之ヲ政府
ニ送付セリ
日露戰爭ニ因ル個人損害救濟ノ請願
〓榮丸擊沈ニ關スル救濟ノ請願
區裁判所出張所增設及位置變更ノ請願
癈兵ニ對スル待遇ノ請願
宮津福知山間鐵道急設ノ請願
同日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
陸軍刑法案修正報告書
海軍刑法案修正報告書
裁判所管轄區域變更ニ關スル法律案(衆第五號)可決報〓書
裁判所管轄區域變更ニ關スル法律案(衆第六號)可決報告書
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
水利組合法案
關稅定率法輸入稅表中改正法律案
同日衆議院ヨリ政府提出裁判所構成法中改正法律案ハ本院ノ議決ニ同意シ
奏上シタル旨ノ通牒ヲ受領セリ
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ハ同院ニ於テ之ヲ否決シタル旨ノ通牒ヲ受
領セリ
災害地地租特別處分法案
所得稅法中改正法律案
營業稅法中改正法律案
織物消費稅法案
賣藥稅法中改正法律案
砂金採取地稅法案
鑛業法中改正法律案
登錄稅法中改正法律案
取引所稅法中改正法律案
通行稅法案
相續稅法中改正法律案
狩獵法中改正法律案
印紙稅法中改正法律案
民事訴訟用印紙法中改正法律案
商事非訟事件印紙法中改正法律案
行政訴訟書類印紙貼用廢止ニ關スル法律案
沖繩縣ニ於ケル舊租免除ニ關スル法律案
一昨十一日委員長ヨリ左ノ報告書及決議案ヲ提出セリ
請願委員會特別報告第五號
明治三十八年度歲入歳出總決算、明治三十八年度各特別會計歲入歲出決
算報告竝決議案(二件)
昨十二日政府ヨリ權太廳立小學校〓員退隱料及遺族扶助料ニ關スル法律案
ヲ受領セリ
同日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
陸軍刑法施行法案修正報告書
海軍刑法施行法案修正報告書
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ハ本院ノ議決ニ同意シ奏上シタル旨ノ通牒
ヲ受領セリ
監獄法案
裁判所構成法中改正法律案
裁判所構成法施行條例中改正法律案
神社財產ニ關スル法律案
同日衆議院ヨリ本院ノ送付ニ係ル政府提出刑法施行法案ノ囘付ヲ受ケタリ
同日衆議院ヨリ政府提出鹽專賣法中改正法律案ヲ受領セリ
同日衆議院ヨリ同院提出家祿賞典祿處分ニ關スル法律案ヲ受領セリ
同日内閣總理大臣ヨリ左ノ通牒ヲ受領セリ
遞信書記官湯河元臣
遞信省所管事務政府委員被仰付
右之通リ本日任命相成候間此段及通牒候也
明治四十一年三月十二日
內閣總理大臣侯爵西園寺公望
貴族院議長公爵德川家達殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=1
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002・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ本日ノ會議ヲ開キマス
〔侯爵大炊御門幾麿君發言ノ許可ヲ求ム〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=2
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003・徳川家達
○議長(公爵德川家逹君) 大炊御門侯爵ハ何デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=3
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004・大炊御門幾麿
○侯爵大炊御門幾麿君 唯今ヨリ北海道未開地處分法改正法律案ノ委員會ヲ
開キタウゴザイマスカラ、退席ノ許可ヲ得タウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=4
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005・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 大炊御門候爵ノ特別委員會ヘ退席ノ要求ハ許可イ
タシテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=5
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006・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=6
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007・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第一、男爵尾崎三良君請暇ノ件、病氣ニ付
キ本日ヨリ二十六日マデデゴザイマス、許可イタシテ御異存ゴザイマセヌカ
[「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=7
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008・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=8
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009・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第二、水利組合法案、政府提出、衆議院
送付、第一讀會、通牒文、議案ノ朗讀ハ省略シテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシト」呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=9
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010・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス
〔左ノ通牒文及議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ茲ニ載錄ス以下之
ニ傚フ〕
水利組合法案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治四十一年三月十日
衆議院副議長箕浦勝人
貴族院議長公爵德川家達殿
〔小字ハ衆議院ノ修正、-ハ同削除ノ符號〕
水利組合法
第一章總則
第一條水利土功ニ關スル事業ニシテ特別ノ事情ニ依リ府縣其ノ他ノ地方
公共團體ノ事業ト爲スコトヲ得サルモノアル場合ニ於テハ水利組合ヲ設
置スルコトヲ得
第二條水利組合ハ法人トス
第三條水利組合ハ組合規約ヲ設ケ組合ニ關スル重要ノ事項ヲ規定スヘシ」
組合規約ハ之ヲ告示スヘシ其ノ改正アリタルトキ亦同シ
第四條水利組合ハ分チテ左ノ二種トス
普通水利組合
水害豫防組合
第五條普通水利組合ハ灌漑排水ニ關スル事業ノ爲設置スルモノトス
第六條普道水利組合ハ組合事業ノ爲利益ヲ受クル土地ヲ以テ區域トシ其
ノ區域内ニ於テ土地ヲ所有スル者ヲ以テ組合員トス但シ舊慣アルモノハ
其ノ舊慣ニ依リ區域ヲ畫スルコトヲ得
第七條水害豫防組合ハ水害防禦ニ關スル事業ノ爲設置スルモノトス
第八條水害豫防組合ハ水害ヲ受クヘキ土地ヲ以テ區域トシ其ノ區域內ニ
於テ土地、家屋及組合規約ニ指定スル工作物ヲ所有スル者ヲ以テ組合員
トス但シ舊慣アルモノハ其ノ舊慣ニ依リ區域ヲ畫スルコトヲ得
第九條水害豫防組合ニ於テ其ノ區域全部ニ涉リ灌漑排水ニ關スル事業ノ
必要アルトキハ組合會ノ議決ニ依リ府縣知事ノ許可ヲ得テ其ノ事業ヲ兼
營スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ灌漑排水ノ事業ニ關スル部分ニ付テハ普通水利組合ノ
規定ヲ準用ス
第二章組合ノ設置及廢止
第十條水利組合ヲ設置セムトスルトキハ府縣知事ニ於テ組合區域ヲ指定
シ關係地ノ郡長市町村長ノ內一人又ハ數人ニ創立委員ヲ命スヘシ但シ普
通水利組合ノ設置ニ付テハ組合員タルヘキ者五人以上ノ申請又ハ組合事
業ニ關係アル郡長又ハ市町村長ノ具申アル場合ニ限ル
第三十三條第三項ノ規定ハ創立委員ニ之ヲ準用ス
第十一條創立委員ハ組合規約案ヲ調製シ關係者ノ總會議ニ付スヘシ關係
者百人以上アルトキハ府縣知事ノ許可ヲ得テ便宜總代人ヲ選ハシメ其ノ
集會ヲ以テ總會議ニ充ツルコトヲ得
總會議又ハ總代人會ノ議長ハ創立委員ヲ以テ之ニ充ツ創立委員數人アル
トキハ府縣知事其ノ中一人ヲ指定ス
總會議又ハ總代人會ハ關係者又ハ總代人ノ三分ノ二以上出席スルニ非サ
レハ會議ヲ開クコトヲ得ス但シ特別ノ事情アルトキハ創立委員ハ府縣知
事ノ定ムル所ニ依リ關係者又ハ總代人ノ代人ヲ許スコトヲ得
總會議又ハ總代人會ノ議事ハ過半數ヲ以テ之ヲ決ス可否同數ナルトキハ
議長ノ決スル所ニ依ル
總會議費又ハ總代人會費其ノ他創立ニ關スル費用ハ組合設置ノ後組合費
ヨリ之ヲ支辨スヘシ
第十二條創立委員ハ組合規約ノ議決ヲ經タルトキ府縣知事ニ其ノ許可ヲ
請フヘ
第十三條普通水利組台關係者ノ總會議又ハ總代人會ニ於テ議決シタル組
合規約又ハ其ノ議決ノ方法法令ニ背キ又ハ公益ニ害アリト認ムルトキハ
府縣知事ハ理由ヲ示シテ之ヲ再議ニ付シ仍其ノ議決ヲ改メサルトキハ內
務大臣ノ指揮ヲ請フヘシ
水害豫防組合關係者ノ總會議若ハ總代人會成立セス又ハ其ノ議決スヘキ
事件ヲ議決セス又ハ議決スルモ其ノ議決公益ニ害アリト認ムルトキハ府
縣知事ニ於テ其ノ議決スヘキ事件ヲ處分スルコトヲ得
第十四條水利組合ハ組合規約ノ許可又ハ前條第二項ニ依ル組合規約ノ設
定ニ依リ成立ス
前項ノ場合ニ於テハ府縣知事ハ組合設置ノ旨ヲ告示スヘシ
第十五條水利組合ノ廢置分合又ハ區域ノ變史ハ普通水利組合ニ在リテハ
組合會ノ議決又ハ協議ニ依リ府縣知事ノ許可ヲ得テ之ヲ行ヒ水害豫防組
合ニ在リテハ組合會ノ意見ヲ徵シ府縣知事之ヲ行フ
前項ノ場合ニ於テ組合規約ノ設定若ハ改正又ハ財產處分ヲ要スルトキハ
組合會ノ議決又ハ協議ニ依リ府縣知事ノ許可ヲ受クヘシ但シ水害豫防組
合ニ於テ協議調ハサルトキハ府縣知事之ヲ定ム
水利組合ハ民法上ノ義務ヲ完了スルニ非サレハ之ヲ廢止スルコトヲ得ス」
普通水利組合ノ區域ヲ變更スル場合ニ於テ新ニ組合區域ニ編入セラルル
土地アルトキハ管理者ハ其ノ土地ノ關係者ノ同意又ハ關係者ノ總會議若
ハ總代人會ノ同意ヲ得ルヲ要ス
前項總會議又ハ總代人會ニ關シテハ第十一條ノ規定ヲ準用ス但シ創立委
員ノ職務ハ管理者之ヲ行フ
第十六條水利組合ノ廢置分合又ハ區域ノ變更アリタルトキハ府縣知事ハ
之ヲ告示スヘシ
第三章組合ノ會議
第十七條水利組合ニ組合會ヲ置ク
第十八條組合會議員ハ其ノ被選擧權アル者ニ就キ選擧人之ヲ選擧ス
組合會議員選擧人被選擧人ノ資格議員ノ定數任期及選擧ニ關スル事項ハ
組合規約ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
組合會議員ノ選擧ヲ終リタルトキハ管理者ハ直ニ選擧錄ノ謄本ヲ添へ之
ヲ第一次監督官廳ニ報告スヘシ
當選者定リタルトキハ管理者ハ直ニ其ノ住所氏名ヲ〓示シ併セテ之ヲ第
一次監督官廳ニ報〓スヘシ
組合會議員ノ選擧ニ付テハ衆議院議員選舉ニ關スル罰則ヲ準用ス
第十九條選擧ノ規定ニ違反スルコトアルトキハ選擧ノ結果ニ異動ヲ生ス
ルノ虞アル場合ニ限リ其ノ選擧ノ全部又ハ一部ヲ無效トス
當選者ニシテ被選擧權ヲ有セサルトキハ其ノ當選ヲ無效トス
第二十條選擧人選舉又ハ當選ノ效力ニ關シ異議アルトキハ選擧ニ關シテ
ハ選擧ノ日ヨリ當選ニ關シテハ告示ノ日ヨリ七日以內ニ之ヲ管理者ニ申
立ツルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ管理者ハ十四日間以內ニ組合會ノ決定ニ
付スヘシ組合會ハ其ノ送付ヲ受ケタル日ヨリ十四日以內ニ之ヲ決定スヘシ」
前項組合會ノ決定ニ不服アル者ハ第一次監督官廳ニ訴願スルコトヲ得
第一次監督官廳ニ於テ選擧又ハ當選ノ效力ニ關シ異議アルトキハ選擧又
ハ當選ノ報告ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ之ヲ處分スルコトヲ得
前項ノ處分アリタルトキハ其ノ前後ニ爲シタル異議ノ申立及組合會ノ決
定ハ無效トス
本條第一次監督官廳ノ處分又ハ裁決ニ不服アル者ハ府縣知事ニ訴願シ其
ノ裁決ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得但シ府縣知事カ第
一次監督官廳タル場合ニ於テ其ノ處分又ハ裁決ニ不服アル者ハ直ニ行政
裁判所ニ出訴スルコトヲ得
組合會議員ハ選擧又ハ當選ニ關スル異議ノ決定訴願ノ裁決確定シ又ハ判
決アル迄ハ會議ニ列席シ議事ニ參與スルノ權ヲ失ハス第三項ノ處分ニ依
リ議員ト爲リタル者ニ付亦同シ
第二十一條組合會議員ニシテ被選擧權ヲ有セサル者ハ其ノ職ヲ失フ其ノ
被選擧權ニ關スル異議ハ組合會之ヲ決定ス
管理者ニ於テ組合會議員中被選擧權ヲ有セサル者アリト認ムルトキハ之
ヲ組合會ノ決定ニ付スヘシ
本條組合會ノ決定ニ不服アル者ハ第一次監督官廳ニ訴願シ其ノ裁決ニ不
服アル者ハ府縣知事ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴
スルコトヲ得但シ府縣知事カ第一次監督官廳タル場合ニ於テ其ノ裁決ニ
不服アル者ハ直ニ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第二十條第六項ノ規定ハ本條ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二十二條前二條ニ規定スル異議ノ決定訴願ノ裁決及第二十條第三項ノ
處分ハ直ニ之ヲ告示スヘシ
第二十三條組合會ハ組合ニ關スル事件ヲ議決ス
組合會ノ議決スヘキ事件ノ〓目左ノ如シ
-組合規約ヲ設定改正スル事
二組合費ヲ以テ支辨スヘキ事業
三歳入出豫算ヲ定ムル事
四決算報告ヲ認定スル事
五法律勅令ニ定ムルモノヲ除クノ外使用料手數料加入金組合費及夫役
現品ノ賦課徵收ニ關スル事
六不動產ノ管理處分及取得ニ關スル事
七積立基金ノ設置管理及處分ニ關スル事
八歳入出豫算ヲ以テ定ムルモノヲ除クノ外新ニ義務ノ負擔ヲ爲シ及權
利ノ抛棄ヲ爲ス事
九財產及營造物ノ管理方法ヲ定ムル事
十組合東員ノ身元保證ニ關スル事
十一組合ニ係ル訴願訴訟及和解ニ關スル事
第二十四條組合會ハ組合ノ事務ニ關スル書類及計算書ヲ檢閱シ管理者ノ
報告ヲ請求シテ事務ノ管理議決ノ執行及出納ヲ檢査スルコトヲ得
組合會ハ議員中ヨリ委員ヲ選擧シ管理者又ハ其ノ指定シタル吏員立會ノ
上實地ニ就キ前項組合會ノ權限ニ屬スル事件ヲ行ハシムルコトヲ得
第二十五條組合會ハ管理者ヲ以テ議長トス管理者故障アルトキハ其ノ代
理者議長ノ職務ヲ代理ス管理者及其ノ代理者共ニ故障アルトキハ臨時ニ
議員中ヨリ假議長ヲ選擧スヘシ
組合會ハ組合ノ區域數市町村ニ渉ルモノニ在リテハ組合規約ヲ以テ議員中ヨリ議長副議長各一
人ヲ選擧スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ議長故障アルトキハ副議長之ニ代リ議長副議長共ニ故障
アルトキハ前項ノ例ニ依ル
前項選擧ニ關スル事項ハ組合規約ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
議員中ヨリ議長ヲ選擧スル組合ニ在リテハ議長ハ會議錄チ添ヘ會議ノ結果ヲ管理者ニ報告スヘ
シ
第二十六條管理者及其ノ委任又ハ囑託ヲ受ケタル者ハ會議ニ於テ議事ニ
付辯明ヲ爲スコトヲ得
第二十七條組合會ハ每年一囘通常會ヲ開キ其ノ他臨時ノ必要アル每ニ臨
時會ヲ開ク
臨時會ニ付スヘキ事件ハ招集ノ〓知ト共ニ之ヲ〓知スヘシ但シ其ノ開會
中急施ヲ要スル事件アルトキハ管理者ハ直ニ之ヲ其ノ會議ニ付スルコト
ヲ得
組合會ハ管理者之ヲ招集ス議員定數三分ノ一以上ノ請求アルトキハ管理
者ハ之ヲ招集スヘシ
管理者ハ必要アル場合ニ於テハ會期ヲ定メテ組合會ヲ招集スルコトヲ得
組合會ノ會議ハ公開ス但シ左ノ場合ハ此ノ限ニ在ラス
管理者ヨリ傍聽禁止ノ要求ヲ受ケタルトキ
二議長ニ於テ傍聽禁止ノ必要アリト認メタルトキ
三議員三人以上ノ發議ニ依リ傍聽禁止ヲ可決シタルトキ
前項第三號ニ依ル發議ハ討論ヲ用井ス其ノ可否ヲ決スヘシ
招集ハ開會ノ日ヨリ少クトモ三日前ニ告知スヘシ但シ急施ヲ要スル場合
ハ此ノ限ニ在ラス
組合會ハ管理者之ヲ開閉ス
第二十八條組合會ハ議員定數ノ半數以上出席スルニ非サレハ會議ヲ開ク
コトヲ得ス但シ同一ノ事件ニ付招集再囘ニ至ルモ仍半數ニ滿タサルトキ
又ハ招集ニ應スルモ出席議員定數ヲ闕キ議長ニ於テ更ニ出席ヲ催告シ仍
半數ニ滿タサルトキハ此ノ限ニ在ラス
第二十九條組合會ノ議事ハ過半數ヲ以テ決ス可否同數ナルトキハ議長ノ
決スル所ニ依ル
第三十條組合規約ノ設定改正及普通水利組合ノ廢置分合又ハ區域ノ變
更ニ關スル議決ハ議員定數ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
第三十一條組合會ノ職務權限及處務規程ニ關シテハ本章中規定スルモノ
ノ外市制町村制ノ規定ヲ準用ス
第三十二條特別ノ事情アル組合ニ於テハ府縣知事ハ組合會ヲ設ケス組合
會ノ總會ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得但シ總會ニ出席スヘキ組合員ニ關シ
テハ組合規約ノ定ムル所ニ依ル
組合總會ニ關シテハ組合會ニ關スル規定ヲ準用ス
第四章組合ノ管理
第三十三條府縣知事ハ水利組合關係地ノ郡長又ハ市町村長ノ內一人ヲ指
定シ其ノ組合ノ事務ヲ管理セシムヘシ
府縣知事ニ於テ管理者ヲ指定シタルトキハ直ニ之ヲ告示スヘシ
管理者タル郡長又ハ市町村長故障アルトキハ其ノ代理者之ヲ代理ス
組合ノ區域數市町村ニ涉ル場合ニ於テ選擧區又ハ選擧分會ヲ設ケタルト
キハ各市町村長又ハ其ノ代理者ハ管理者ノ求ニ依リ議員選擧ニ關スル事
務ヲ管理スヘシ組合員及組合費賦課物件ノ異動ニ關スル事務ニ付テモ亦
同シ
第三十四條組合ノ出納其ノ他會計事務ハ郡長管理者タル場合ハ郡長ノ指
定シタル郡書記ヲシテ之ヲ掌ラシメ市町村長管理者タル場合ハ其ノ市町
村收入役ヲシテ之ヲ掌ラシムヘシ
特別ノ事情アル場合ニ於テハ管理者ニ於テ第三十六條ノ吏員中ニ就キ會
計事務ヲ掌ル者ヲ定ムルコトヲ得
第一次監督官廳
前項會計事務ヲ掌ル吏員ニ付テハ府縣知事ノ認可ヲ受クヘシ
第三十五條組合ハ組合規約ヲ以テ臨時又ハ常設ノ委員ヲ置クコトヲ得
委員ノ組織選任任期等ニ關スル事項ハ組合規約ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
第三十六條組合ハ書記技術員其ノ他ノ有給吏員ヲ置クコトヲ得
吏員ハ監理者之ヲ任免ス
第三十七條管理者ハ組合ヲ代表シ組合一切ノ事務ヲ擔任ス
管理者ノ擔任スル事務ノ〓目左ノ如シ
組合會ノ議決ヲ經ヘキ事件ニ付其ノ議案ヲ發シ及其ノ議決ヲ執行ス
ル事
二財產及營造物ヲ管理スル事
三收入支出ヲ命令シ及會計ヲ監督スル事
四證書及公文書類ヲ保管スル事
五法令又ハ組合會ノ議決ニ依リ使用料手數料加入金組合費及夫役現品
ヲ賦課徵收スル事
第三十八條管理者ハ組合吏員ヲ指揮監督シ其ノ任命ニ係ル組合吏員ニ對
シテハ懲戒ヲ行フコトヲ得其ノ懲戒處分ハ譴責及五圓以下ノ過怠金トス
第三十九條組合會ノ議決若ハ選擧其ノ權限ヲ越エ又ハ法令若ハ組合規約
ニ背クト認ムルトキハ管理者ハ其ノ意見ニ依リ又ハ監督官廳ノ指揮ニ依
リ理由ヲ示シ其ノ執行ヲ要スルモノニ在リテハ其ノ執行ヲ停止シ之ヲ再
議ニ付シ又ハ再選擧ヲ行ハシメ仍議決ニ付テハ其ノ議決ヲ改メサルトキ
ハ第一次監督官廳ノ指揮ヲ請フヘシ但シ場合ニ依リ再議ニ付セスシテ直
ニ指揮ヲ請フコトヲ得
監督官廳ハ前項ノ議決又ハ選舉ヲ取消スコトヲ得但シ指揮ノ申請アリタ
ルトキハ此ノ限ニ在ラス
前二項郡長ノ處分ニ不服アル組合會ハ府縣知事ニ訴願シ其ノ裁決又ハ前
二項府縣知事ノ處分ニ不服アル組合會ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得」
組合會ノ議決公益ヲ害シ又ハ組合ノ收支ニ關シ不適當ナリト認ムルトキ
ハ管理者ハ其ノ意見ニ依リ又ハ監督官廳ノ指揮ニ依リ理由ヲ示シ其ノ執
行ヲ要スルモノニ在リテハ其ノ執行ヲ停止シ之ヲ再議ニ付シ仍其ノ議決
ヲ改メサルトキハ第一次監督官廳ノ指揮ヲ請フヘシ但シ場合ニ依リ再議
ニ付セスシテ直ニ指揮ヲ請フコトヲ得
前項第一次監督官廳ノ處分ニ不服アル組合會ハ府縣知事ニ訴願シ其ノ裁
決ニ不服アルトキハ内務大臣ニ訴願スルコトヲ得但シ府縣知事カ第一次
監督官廳タル場合ニ於テ其ノ裁決ニ不服アルトキハ直ニ内務大臣ニ訴願
スルコトヲ得
第四十條組合會成立セス又ハ第二十八條但書ノ場合ニ於テ仍會議ヲ開
クコト能ハサルトキハ管理者ハ第一次監督官廳ニ具狀シテ指指ヲ請ヒ其
ノ議決スヘキ事件ヲ處分スルコトヲ得
組合會ニ於テ其ノ議決スヘキ事件ヲ議決セサルトキハ前項ノ例ニ依ル
組合會ノ決定スヘキ事件ニ關シテハ前二項ノ例ニ依ル此ノ場合ニ於ケル
管理者ノ處分ニ關シテハ各本條ノ規定ニ準シ訴願及訴訟ヲ提起スルコト
ヲ得
本條ノ處分ハ次囘ノ會議ニ於テ之ヲ組合會ニ報告スヘシ
第四十一條組合會ノ權限ニ屬スル事件ニ關シ臨時急施ヲ要スル場合ニ於
テ組合會成立セス又ハ管理者ニ於テ之ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルト.キ
ハ管理者ハ專決處分シ次囘ノ會議ニ於テ之ヲ組合會ニ報告スヘシ
前項管理者ノ處分ニ關シテハ各本條ノ規定ニ準シ訴願及訴訟ヲ提起スル
コトヲ得
第四十二條委員ハ管理者ノ指揮監督ヲ承ケ財產又ハ營造物ヲ管理シ其ノ
他組合事務ノ一部ヲ調査シ又ハ一時ノ委託ニ依リ事務ヲ處辨ス
第四十三條吏員ハ管理者ノ命ヲ承ケ庶務ニ從事ス
第四十四條組合會議員及委員ハ職務ノ爲要スル費用ノ辨償ヲ受クルコト
ヲ得郡長又ハ市町村長ニ於テ管理者タル職務ヲ行フ爲要スル費用第三十
三條第四項ノ事務ヲ行フ爲要スル費用及郡書記又ハ市町村收入役ニ於テ
組合ノ會計事務ヲ行フ爲要スル費用ニ付亦同シ
吏員ニハ退隱料退職給與金死亡給與金及遺族扶助料ヲ支給スルコトヲ得
第四十五條費用辨償額給料額旅費額及其ノ支給方法ハ組合會ノ議決ヲ經
第一次監督官廳ノ許可ヲ得テ之ヲ定ム
退隱料退職給與金死亡給與金遺族扶助料及其ノ支給方法ハ組合會ノ議決
ヲ經內務大臣ノ許可ヲ得テ之ヲ定ム
第四十六條費用辨償給料旅費退隱料退職給與金死亡給與金及遺族扶助料
ハ組合ノ負擔トス
第五章組合ノ財務
第四十七條組合ハ其ノ必要ナル費用及法律勅令ニ依リ組合ノ負擔ニ屬ス
ル費用ヲ支辨スル義務ヲ負フ
第四十八條普通水利組合費ハ土地ニ對シテ之ヲ賦課シ水害豫防組合費ハ
土地及家屋其ノ他第八條ニ依ル工作物ニ對シテ之ヲ賦課スルモノトス但
シ特別ノ事情アルモノハ土地ニ對シテノミ之ヲ賦課スルコトヲ得
普通水利組合ニ於テハ新ニ區域內ニ編入スル土地ニ付組合費ノ外一時ノ
加入金ヲ徵收スルコトヲ得
第四十九條組合ハ其ノ事業ノ爲夫役現品ヲ組合員ニ賦課スルコトヲ得
水害豫防組合ニ在リテハ夫役ニ限リ其ノ區域內ノ總居住者ニ之ヲ賦課ス
ルコトヲ得
夫役現品及其ノ代納ニ關スル規定ハ組合規約ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
第五十條非常災害ノ爲必要アルトキハ組合ハ他人ノ土地ヲ一時使用シ
又ハ其ノ土石竹木其ノ他ノ現品ヲ使用シ若ハ收用スルコトヲ得但シ其ノ
損失ヲ補償スルコトヲ要ス
水害豫防組合ニ於テハ前項ノ外出水ノ爲危險アルトキニ限リ管理者警察
官又ハ監督官廳ニ於テ組合區域內ノ總居住者ヲシテ防禦ニ從事セシムル
コトヲ得
第一項ニ依リ補償スヘキ金額ハ協議ニ依リ之ヲ定ム協議調ハサルトキハ
鑑定人ノ意見ヲ徵シ府縣知事之ヲ決定ス其ノ決定ニ不服アル者ハ內務大
臣ニ訴願スルコトヲ得
第一項土地ノ一時使用ニ關スル組合ノ處分ニ不服アル者ハ第一次監督官
廳ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アル者ハ府縣知事ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服ア
ル者ハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得但シ府縣知事カ第一次監督官廳タル
場合ニ於テ其ノ裁決ニ不服アル者ハ直ニ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第五十一條組合內ノ一部ニ對シ特ニ利益アル事件ニ關シテハ組合ハ不均
一ノ賦課ヲ爲シ又ハ組合内ノ一部ニ對シ特ニ賦課スルコトヲ得
舊慣アルモノハ組合規約ヲ以テ特別ノ賦課方法ヲ定ムルコトヲ得
第五十二條組合費ノ賦課ヲ免除スヘキモノニ關シテハ市町村稅ノ例ニ依
第五十三條組合ハ其ノ營造物ヲ事業ノ妨害ト爲ラサル範圍內ニ於テ他ノ
目的ニ使用セシムルコトヲ得
前項ノ使用ニ付テハ使用料ヲ徵收スルコトヲ得
第五十四條組合ノ區域數市町村ニ渉ルトキハ各市町村ハ管理者ノ求ニ依
リ其ノ市町村內ニ於ケル組合費其ノ他組合ノ收入ノ賦課徵收ヲ爲ヘスシ」
前項組合費其ノ他組合ノ收入ノ徵收ニ關シテハ組合規約ノ規定ニ依リ徵
收金百分ノ四以内ヲ其ノ市町村ニ交付スルコトヲ得
第五十五條市町村ハ避クヘカラサル災害ニ因リ旣收ノ組合費其ノ他組合
ノ收入ヲ失ヒタルトキハ其ノ納入義務ノ免除ヲ組合ニ請求スルコトヲ得」
組合ニ於テ前項ノ請求ニ應セサルトキハ市町村ハ其ノ通知ヲ受ケタル日
ヨリ十四日以內ニ組合ノ第一次監督官廳ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルト
キハ府縣知事ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ內務大臣ニ訴願スルコ
トヲ得但シ府縣知事カ第一次監督官廳タル場合ニ於テ其ノ裁決ニ不服ア
ルトキハ直ニ内務大臣ニ訴願スルコトヲ得
前項ノ裁決ニ對シテハ組合ヨリモ亦訴願ヲ提起スルコトヲ得
本條ノ裁決書ハ之ヲ市町村及組合ニ交付スヘシ
第五十六條組合費其ノ他組合ノ收入ノ督促及滯納處分ニ關シテハ市町村
稅ノ例ニ依ル
前項ノ場合ニ關シテハ第五十四條第一項ノ規定ヲ準用ス
第五十七條組合費其ノ他組合ノ收入ノ督促ニ付テハ手數料ヲ徵收スルコ
トヲ得
前條第二項ノ場合ニ於テハ前項ノ督促手數料ヲ其ノ市町村ニ交付スヘシ」
組合ノ徵收金ハ市町村ノ徵收金ニ次テ先取特權ヲ有シ其ノ追徵還付及時
效ニ付テハ國稅ノ例ニ依ル
第五十八條管理者ハ組合費ノ賦課ヲ受ケタル者ノ中特別ノ事情アル者ニ
對シ會計年度內ニ限リ其ノ納付ノ延期ヲ許スコトヲ得其ノ年度ヲ越ユル
場合ハ組合會ノ議決ヲ經ヘシ
管理者ハ特別ノ事情アル者ニ限リ組合會ノ議決ヲ經テ組合費ヲ減免スル
コトヲ得
第五十九條組合費及夫役現品ノ賦課ヲ受ケタル者其ノ賦課ニ付違法又ハ
錯誤アリト認ムルトキハ賦課令狀ノ交付後三月以內ニ管理者ニ異議ノ申
立ヲ爲スコトヲ得
加入金使用料及手數料ノ徵收ニ付テモ亦前項ノ例ニ依ル
本條ノ異議ハ組合會ノ決定ニ付スヘシ其ノ決定ニ不服アル者ハ第一次監
督官廳ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アル者ハ府縣知事ニ訴願シ其ノ裁決ニ不
服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得但シ府縣知事カ第一次監督官
廳タル場合ニ於テ其ノ裁決ニ不服アル者ハ直ニ行政裁判所ニ出訴スルコ
トヲ得
組合費其ノ他組合ノ收入ノ滯納處分ニ不服アル者ハ第一次監督官廳ニ訴
願シ其ノ裁決ニ不服アル者ハ府縣知事ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アル者ハ
行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得但シ府縣知事カ第一次監督官廳タル場合
ニ於テ其ノ裁決ニ不服アル者ハ直ニ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
組合費其ノ他組合ノ收入ノ滯納處分中差押物件ノ公賣ハ處分ノ確定ニ至
ル迄執行ヲ停止ス
第六十條組合ハ特定ノ目的ノ爲積立基金ヲ設クルコトヲ得
第六十一條組合ハ其ノ事業ノ關係上必要アル場合ニ於テハ寄附又ハ補助
ヲ爲スコトヲ得
第六十二條組合ハ其ノ負債ヲ償還スル爲又ハ組合永久ノ利益トナルヘキ
支出ヲ要スル者又ハ天災事變等ノ爲已ムヲ得サル場合ニ限リ組合債ヲ起
スコトヲ得
組合債ヲ起スニ付組合會ノ議決ヲ經ルトキハ併セテ起債ノ方法利息ノ定
率及償還ノ方法ニ付議決ヲ經ヘシ
組合ハ豫算內ノ支出ヲ爲ス爲本條ノ例ニ依ラス一時ノ借入金ヲ爲スコト
ヲ得
前項ノ借入金ハ其ノ會計年度內ノ收入ヲ以テ償還スヘシ
第六十三條管理者ハ每會計年度ノ歲入出豫算ヲ調製シ會計年度前通常組
合會ノ議決ニ付スヘシ
管理者ハ組合會ノ議決ヲ經テ既定豫算ノ追加又ハ更正ヲ爲スコトヲ得
組合ノ會計年度ハ政府ノ會計年度ニ同シ
第六十四條組合費ヲ以テ支辨スル事件ニシテ數年ヲ期シテ施行スヘキモ
ノ又ハ數年ヲ期シテ其ノ費用ヲ支出スヘキモノハ組合會ノ議決ヲ經テ其
ノ年期間各年度ノ支出額ヲ定メ繼續費ト爲スコトヲ得
第六十五條豫算外ノ支出又ハ豫算超過ノ支出ニ充ツル爲豫備費ヲ設クヘ
豫備費ハ組合會ノ否決シタル費途ニ充ツルコトヲ得ス
第六十六條豫算ハ議決ヲ經タル後直ニ之ヲ第一次監督官廳ニ報告シ且其
ノ要領ヲ〓示スヘシ
第六十七條組合會ニ於テ豫算ヲ議決シタルトキハ管理者ヨリ其ノ謄本ヲ
組合ノ會計事務ヲ掌ル官吏吏員ニ交付スヘシ
會計事務ヲ掌ル官吏吏員ハ管理者又ハ監督官廳ノ命令アルニ非サレハ支
拂ヲ爲スコトヲ得ス又命令ヲ受クルモ支出ノ豫算ナキトキ又ハ豫備費支
出及費目流用其ノ他財務ニ關スル規定ニ依ラサルトキ亦同シ
第六十八條組合ノ支拂金ニ關スル時效ニ付テハ政府ノ支拂金ノ例ニ依ル
第六十九條組合ノ出納ハ翌年度六月三十日ヲ以テ閉鎖ス
決算ハ出納閉鎖後一月以内ニ證書類ヲ併セテ會計事務ヲ掌ル官吏吏員ヨ
リ之ヲ管理者ニ提出スヘシ管理者ハ之ヲ審査シ意見ヲ付シテ次ノ通常會
迄ニ組合會ノ認定ニ付スヘシ
決算及其ノ認定ニ關スル組合會ノ議決ハ之ヲ第一次監督官廳ニ報告シ且
決算ハ其ノ要領ヲ告示スヘシ
決算ノ認定ニ關スル會議ニ於テハ管理者及其ノ代理者共ニ議長タルコト
ヲ得ス
第七十條豫算調製ノ式及費目流用其ノ他財務ニ關シ必要ナル規定ハ內
務大臣之ヲ定ム
第六章組合ノ聯合
第七十一條水利組合ニ於テ共同事業ヲ爲スノ必要アルトキハ其ノ協議ニ
依リ府縣知事ノ許可ヲ得テ水利組合ノ聯合ヲ設クルコトヲ得
水利組合聯台ハ之ヲ法人トス
水利組合聯合ニシテ其ノ聯合組合ノ數ヲ增減シ又ハ共同事業ノ變更ヲ爲
サムトスルトキハ組合ノ協議ニ依リ府縣知事ノ許可ヲ受クヘシ其ノ聯合
ヲ解カムトスルトキ亦同シ
水利組合聯合ニ關シテハ水利組合ニ關スル規定ヲ準用ス其ノ準用シ難キ
事項及特ニ必要ナル事項ハ內務大臣ノ許可ヲ得テ府縣知事之ヲ定ム
第七章組合ノ監督
第七十二條組合ハ第次ニ於テ郡長之ヲ監督シ第二次ニ於テ府縣知事之
ヲ監督シ第三次ニ於テ內務大臣之ヲ監督ス但シ組合ノ區域郡市若ハ數郡
ニ涉リ又ハ市內ニ止ル場合及郡內ニ止ルモ郡長管理者タル場合ハ第一次
ニ於テ府縣知事之ヲ監督シ第二次ニ於テ內務大臣之ヲ監督ス
監督官廳ハ組合事務ノ監督上必要ナル命令ヲ發シ處分ヲ爲スコトヲ得
上級監督官廳ハ下級監督官廳ノ組合事務ニ關シテ爲シタル命令又ハ處分
ヲ停止シ又ハ之ヲ取消スコトヲ得
第七十三條本法ニ規定スル異議ノ申立又ハ訴願ノ提起ハ處分ヲ爲シ又ハ
決定書若ハ裁決書ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ其ノ交付ヲ受ケサル者ハ告示
ノ日ヨリ十四日以内ニ之ヲ爲スヘシ但シ本法中別ニ期間ヲ定メタルモノ
ハ此ノ限ニ在ラス
本法ニ規定スル行政訴訟ハ處分ヲ爲シ又ハ裁決書ノ交付ヲ受ケタル日ヨ
リ其ノ交付ヲ受ケサル者ハ告示ノ日ヨリ二十一日以內ニ之ヲ提起スヘシ」
本法ニ規定スル異議ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ理由ヲ付シ之ヲ申立人
ニ交付スヘシ
本法ニ規定スル異議ノ申立ニ關スル期間ノ計算ニ付テハ訴願法ノ規定ニ
依ル
異議ノ申立アルモ處分ノ執行ハ之ヲ停止セス但シ行政廳ハ其ノ職權ニ依
リ又ハ關係者ノ請求ニ依リ必要ト認ムルトキハ之ヲ停止スルコトヲ得
第七十四條監督官廳ハ必要アル場合ニ於ラハ期間ヲ定メテ組合會ノ停會
ヲ命スルコトヲ得
第七十五條內務大臣ハ組合會ノ解散ヲ命スルコトヲ得
組合會解散ノ場合ニ於テハ三月以内ニ議員ヲ選擧スヘシ
第七十六條組合ニ於テ法律勅令ニ依テ負擔シ又ハ當該官廳ノ職權ニ依テ
命スル所ノ費用ヲ豫算ニ載セサルトキハ第一次監督官廳ハ理由ヲ示シテ
其ノ費用ヲ豫算ニ加フルコトヲ得
組合又ハ管理者其ノ他ノ官吏吏員ニ於テ執行スヘキ事件ヲ執行セサルト
キハ第一次監督官廳ニ於テ之ヲ執行スルコトヲ得但シ其ノ費用ハ組合ノ
負擔トス
本條ノ處分ニ不服アル組合又ハ管理者其ノ他ノ官吏吏員ハ府縣知事ニ訴
願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得但シ府縣
知事カ第一次監督官廳タル場合ニ於テ其ノ處分又ハ裁決ニ不服アルトキ
ハ直ニ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第七十七條組合ニ於テ負債ヲ起シ竝起債ノ方法利息ノ定率及償還ノ方法
ヲ定メ又ハ變更セムトスルトキハ內務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ受クヘシ
但シ第六十二條第三項ノ借入金ハ此ノ限ニ在ラス
第七十八條左ニ揭クル事件ハ府縣知事ノ許可ヲ受クヘシ
組合規約ヲ設定改正スル事
二不動產ノ管理及處分ニ關スル事
三不均一ノ賦課ヲ爲シ又ハ組合内ノ一部ニ對シ特ニ賦課ヲ爲ス事
四加入金使用料手數料ヲ新設シ增額シ又ハ變更スル事
五積立基金ノ設置管理及處分ニ關スル事
六寄附及補助ヲ爲ス事
七繼續費ヲ定メ又ノ變更スル事
第七十九條組合ノ事務ニ關シ監督官廳ノ許可ヲ受クヘキ事件ニ付テハ監
督官廳ハ許可申請ノ趣旨ニ反セスト認ムル範圍内ニ於テ更正シテ許可ヲ
與フルコトヲ得
第八十條組合ノ事務ニ關シ監督官廳ノ許可ヲ受クヘキ事件中其ノ輕易
ナルモノハ命令ノ規定ニ依リ其ノ許可ノ職權ヲ下級監督官廳ニ委任スル
コトヲ得
第八十一條監督官廳タル府縣知事郡長ハ第三十五條ノ委員及第三十六條
ノ吏員ニ對シ懲戒ヲ行フコトヲ得其ノ懲戒處分ハ譴責二十五圓以下ノ過
怠金及解職トス
郡長ノ行ヒタル解職ニ不服アル者ハ府縣知事ニ訴願シ其ノ裁決又ハ府縣
知事ノ行ヒタル解職ニ不服アル者ハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
府縣知事ハ吏員ノ解職ヲ行ハムトスル前其ノ停職ヲ命シ且場合ニ依リ給
料又ハ報酬ヲ支給セシメサルコトヲ得
懲戒ニ依リ解職セラレタル者ハ二年間水利組合ノ公職ニ選擧セラレ又ハ
任命セラルルコトヲ得ス
第八十二條組合吏員ノ服務紀律賠償責任身元保證及事務引繼ニ關スル規
定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第八章雜則
第八十三條本法ノ規定ニ依リ初テ議員ヲ選擧スル場合ニ於テ組合會ノ議
決スヘキ事項ハ其ノ成立ニ至ル迄管理者ニ於テ之ヲ行フヘシ
第八十四條本法ノ規定ニ依リ府縣知事ノ職權ニ屬スル事件ニシテ數府縣
ニ渉ルモノアルトキハ關係府縣知事ノ具狀ニ依リ内務大臣ニ於テ其ノ事
件ヲ管理スヘキ府縣知事ヲ指定スヘシ
第八十五條本法ハ市制町村制ヲ施行セサル地ニハ之ヲ施行セス勅令ヲ以
テ別ニ其ノ制ヲ定ム
附則
第八十六條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
水利組合條例ハ之ヲ廢止ス
第八十七條本法施行ノ際現ニ存スル水利組合ハ本法ニ依リ設置シタルモ
ノト看做ス
第八十八條水利組合條例ニ依リ爲シタル諸般ノ行爲ハ仍其ノ效力ヲ有ス
第八十九條水利組合條例ニ依リ爲シタル處分ニ對スル異議訴願又ハ訴訟
ニ關シテハ水利組合條例ニ依ル
第九十條本法施行ノ際現ニ存スル舊町村會又ハ水利土功會ニシテ其ノ
目的トスル事業カ本法ノ規定ニ牴觸セサルトキハ之ヲ本法ノ規定ニ依リ
設置シタル水利組合ト看做ス
前項ノ場合ニ於テ從來ノ吏員及議員ハ總テ其職ヲ失フモノトス
第一項ノ水利組合及其管理者ハ府縣知事ニ於テ直ニ之ヲ告示スヘシ
前項ノ告示アリタルトキハ管理者ハ遲滯ナク組合規約ヲ定メ府縣知事ノ
許可ヲ受クヘシ
〔政府委員吉原三郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=10
-
011・吉原三郎
○政府委員(吉原三郞君) 現行ノ水利組合條例ハ明治二十三年ヨリ施行イタ
シテ居リマスルガ、十數年ノ實驗ニ徵シマシテ色ミ不備缺點ノアルコトヲ認
メマス、是ハ水利組合ノ事務ノ進捗上ニ妨害アリト認メマスルノデ、卽チ本
案ヲ提出イタシマシタル次第デゴザリマス、宜シク御審査ノ上、御協賛アラ
ムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=11
-
012・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 別ニ御質問モ無イト認メマスカラ、次ノ議事日程
ニ移リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=12
-
013・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 右議案ノ審査ヲ付託スベキ特別委員ノ選擧、特別
委員ハ議長指名デ御異存ゴザイマセヌカ
[「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=13
-
014・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=14
-
015・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第四·關稅定率法輸入稅表中改正法律案、
政府提出、衆議院送付、第一讀會、通牒文竝ニ議案ノ朗讀ハ省略シテ御異存
ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=15
-
016・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス
關稅定率法輸入稅表中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治四十一年三月十日
衆議院副議長箕浦勝人
貴族院議長公爵德川家達殿
〔小字ハ衆議院ノ修正、-ハ同削除ノ符號〕
關稅定率法輸入稅表中改正法律案
關稅定率法輸入稅表中左ノ通改正ス
一七二礦油
原油
劃溫蒸餾法ニ依リ攝氏百二十
度ヨリ二百七十五度ニ至ル間
ニ於テ蒸餾スル液ノ原液ノ容
量ニ對スル百分率〇、一七
甲二十ヲ超エサルモノ毎十米ガルロン0、九九
乙二十五ヲ超エサルモノ同〇一-
丙三十ヲ超エサルモノ同〇、二五
丁三十五ヲ超エサルモノ同〇、二九
戊四十ヲ超エサルモノ同〇、三三
己〇、三六
に其ノ他同〇、四三
但シ百分率四十五以上一ヲ
增ス每ニ十米ガルロンニ付
一錢ヲ加フ
二其ノ他
攝氏十五度ニ於ケル比重
甲七三〇ヲ超エサルモノ從價二割
乙〇、八七五ヲ超エサルモノ每十米ガルロン〇、九六
丙其ノ他每百斤一二三
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣松田正久君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=16
-
017・松田正久
○國務大臣(松田正久君) 本案ハ原油輸入稅率ヲ改正スル必要ガアリマシテ、
提出イタシマシタノデアリマスル、今日ノ所、原油輸入稅ハ二割デアリマス
ルガ、近來原油輸入ノ趨勢ガ
〔伯爵柳原義光君「モット大キナ聲デ願ヒマス」ト呼フ〕
餘ホド盛ニナリマシテ、今後原油ヲ輸入シテ燈油ヲ精製スルコトガ頗ル盛大
ニナルカノ見込デアリマス、然ルニ燈油ノ稅率ハ五割デアリマスルガ、原油
ハ唯二割ヲ課シテアリマスル、右ノ如ク原油輸入ノ趨勢ガ盛ニナッテ參リマ
スルト一面ニ於テハ內國石油ノ製造ニ大ナル影響ヲ及ボスノ虞ガアリマス
ルシ、又一面ニハ五割ノ燈油ノ輸入ガ減リマス、隨ッテ關稅ノ收入ニ巨大ナ
影響ヲ及ボスノ虞レガゴザイマスル、ソレ故ニ、此原油ノ輸入稅ヲ高メマシ
テ、一方ニハ內國石油ノ事業ヲ保護シ、又一面ニハ今後ノ收入ノ減少ヲ豫防
スルノ必要ガアルト考ヘマシテ、此關稅ノ改正案ヲ提出イタシタ次第デゴザ
イマスル其詳細ナルコトニ至リマシテハ、特別委員會ニ於テ說明ヲ致スデ
ゴザイマセウガ、宜シク御審議ノ上御協贊ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=17
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018・石黒忠悳
○男爵石黑忠悳君 此案ニ付キマシテ、チヨット質問イタシタウゴザイマス、
此石油ノ原油ト申シマスルモノハ米國、ソレカラ「ボルネヲ」若クハ露國ア
タリカラ來ルモノノヤウニ存ジマスガ、何レヨリ輸入イタシマスモノデゴザ
イマスカト云フコトト、ソレカラ段々機關用ニ石油ヲ用井マス趣ニ承ハリマ
スガ、帝國海軍デハ現時若クハ今後トモ石油ト云フモノヲ機關用ニ御用井ニ
ナッテ居リマスカ、若シ現時御用井ニナッテ居ラレヌナラバ、今後御用井ニ
ナル御見込デアリマセウカト云フコトヲ承ハリタウゴザイマス
[政府委員櫻井鐵太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=18
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019・櫻井鐵太郎
○政府委員(櫻井鐵太郞君) 唯〓ノ前段ノ方ノ御問ニハ私カラ御答ヲ申上ゲ
一貫、石油ノ現時我國ニ這入リマスノハ亞米利加ガ主デゴザイマス、其他露
西亞等ノ油モ這入ッテ參リマス是ハ燈油ノコトデアリマス、原油ニ付キマ
シテハ今日マデハ多ク這入ッテ居リマセヌ、是マデ這入リマシタノハ、亞米
利加ノ「カリフオルニヤ」ノ原油ガ數囘輸入イタシテ居リマス、左樣御承知ヲ
願ヒマス
〔政府委員加藤友三郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=19
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020・加藤友三郎
○政府委員(加藤友三郞君) 石油ヲ海軍ニ使用スルカドウカト云フ唯今御質
問デアリマシタガ、現今ハ試驗的ニ若干使用イタシテ居リマス、又今後モ相
當ノ數量ハ使用イタス考デ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=20
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021・廣澤金次郎
○伯爵廣澤金次郞君 私モ政府委員ニ一二箇條質問ガアリマスガ、其第一ニ
ハ內地產ノ石油、卽チ燈油ハ全國ノ需用高ノ幾分ノ一ニ當ッテ居ルカト云フ
コトヲ統計表上、大藏省ノ政府委員カラ伺ヒタイト思ヒマス、第二ニハ矢張
リ是ハ一種ノ增稅案ト考ヘマスガ、之ニ依ッテ政府ノ收入ノ增額ハドノ位ニ
ナリマスカ、此二箇條ヲ伺ヒタイ
〔政府委員櫻井鐵太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=21
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022・櫻井鐵太郎
○政府委員(櫻井鐵太郞君) 御答ヲ申上マス、現在日本デ消費イタシマスル
燈油ノ數量ハ二百萬箱ト申シテ居リマス、··二百萬箱ハ間違ヒマシタ二
百萬石デゴザイマス、其中三分ノ一ホドガ內地ノ石油ニナッテ居リマス凡
ソ三分ノ二ガ外國ヨリ輸入スルト云フ有樣ニナッテ居リマス、ソレカラ此改
正案ニ於キマシテハ、別ニ增稅ト云フ意味ハ少シモ持ッテ居リマセヌ、卽チ
現今ノ石油ノ輸入稅ハ御承知ノ通リ十「ガロン」ニ付キマシテ九十六錢デア
ル、其割合デ原油ノ輸入稅ヲ權衡ヲ得ルヤウニ直サウト云フノデアリマスカ
ラ石油ノ九十六錢ト云フモノヲ動カシマセヌ以上ハ、今日ヨリ石油ノ直段
ガ高クナルコトモアリマセヌシ、又關稅ノ收入モ別ニ增加スルト云フコトハ
ナイ積リデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=22
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023・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第五ニ移リマス、右議案ノ審査ヲ付託ス
ベキ特別委員ノ選擧、此委員モ議長ガ選定イタシテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=23
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024・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=24
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025・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第六、陸軍刑法案、政府提出、第一讀會
ノ續、委員長報告、二條公爵
〔公爵二條基弘君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=25
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026・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 委員長ノ報〓ハ議事日程第七ノ法案ノ報告モ一括
シテ致シタ方ガ都合ガ宜イ趣デアリマスガ、別段諸君ニ於テ御異存ハゴザイ
マセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=26
-
027・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス
陸軍刑法案
右別冊ノ通リ修正セリ依テ及報告候也
明治四十一年三月十日
右特別委員長
公爵二條基弘
貴族院議長公爵德川家達殿
特別委員ノ修正ニ係ル條ノミヲ載錄ス
小字ハ修正ハ削除ノ符號
第二條本法ハ陸軍軍人ニ非スト雖左ニ記載シタル罪ヲ犯シタル者ニ之ヲ
適用ス
四。六十七
-第六十七條乃至第〓七十條ノ罪及此等ノ罪ノ未遂罪
四
二第七十七條ノ罪
七十九五
三第八十二條乃至第八十八條ノ罪
六八十九
四第八十九條乃至第九十二條ノ罪
-三
五第九十四條乃至第九十六條ノ罪及第九十四條、第九十五條ノ未遂罪
五六〇九十七〇九十九
六第九十八條第一項、第九十九條、第〇百條第二項及第〓百二條ノ罪
第七條陸軍ト共同作戰ニ從フ外國ノ陸海軍ニ屬スル者ニ對スル行爲ハ其
ノ職務、官等、等級又ハ階級ニ相當スル陸軍軍入ニ對スル行爲ト看做ス但
シ其ノ外國ニ於テ同一ノ取扱ヲ爲スコトヲ保セサル場合ハ此ノ限ニ在ラス
海軍候補生
第十條陸軍將校相當官、陸軍進士宮、遷軍將校、同相當官及海軍權十官ハ
陸軍將校ニ準ス陸軍士官ノ候補者ニシテ士官ノ勤務ニ服スル者及海軍候
補生亦同シ
第二十條戰時ト稱スルハ宣戰ノ公布アリタル時又ハ現ニ開戰シタル時ヨ
リ平和克復ノ時迄ヲ謂フ
第二十一條軍中ト稱スルハ左ニ記載シタル部隊ニ在ル場合ヲ謂フ
戰時ノ體勢ヲ執リタル部隊但シ留守部隊、衞戌勤務ニ服スル後備又
ハ國民諸隊、戰地以外ノ地ニ在ル輸送又ハ補給諸機關ニシテ對敵狀
態ニ在ラサルモノヲ除ク
二戰時ノ體勢ヲ執ラサルモ對敵狀態ニ在ル部隊
三內亂、、事變又ハ一地方ノ騷擾ニ際シ其ノ鎭定ニ從事スル部隊
第二十二條陸軍ニ於テ死刑ヲ執行スルトキハ陸軍法衙ヲ管轄スル長官ノ
定ムル場所ニ於テ銃殺ス
第二十三條前條ノ規定ハ刑法又ハ他ノ法令ニ依リ處斷シタル場合ニ亦之
ヲ適用ス
「第二十四條」ヲ「第二十二條」ニ、「第二十五條」ヲ「第二十三條」ニ修正ス
第二十六條本法ニ依リ死刑ニ處セラレタル者其ノ執行ノ免除アリタル日
ヨリ五年內ニ更ニ本法、刑法又ハ他ノ法令ノ罪ヲ犯シ有期懲役ニ處スヘ
キトキハ前ノ罪ヲ懲役ニ該ル罪ト同質ノ罪ト認ムルトキニ限リ之ヲ再犯
トス
「第二十七條」ヲ「第二十四條」ニ、「第二十八條」ヲ「第二十五條」ニ、「第二十九條」ヲ「第二十六條」ニ修正ス
二十七
第三十條左ニ記載シタル行爲ヲ爲シタル者ハ死刑ニ處ス
。、建造
-軍隊又ハ要塞、陣營、艦船、兵器、彈藥其ノ他軍用ニ供スル場所〓若ハ
物其ノ他ノスルコト
物ヲ敵國ニ交付シタルトキ
スルコト
二敵國ノ爲ニ間諜ヲ爲シ又ハ敵國ノ間諜ヲ幫助シタルトキ
スルコト
二軍事上ノ機密ヲ敵國ニ漏泄シタルトキ
スルコト
四敵國ノ爲ニ嚮導ヲ爲シ又ハ地理ヲ指示シタルトキ
スルコト
五敵國ニ降ラシムル爲司令官ヲ强要シタルトキ
ムルコト
六敵國ノ爲ニ俘虜ヲ奪取シ又ハ之ヲ逃走セシメタルトキ
二十八
第三十一條敵國ヲ利スル爲左ニ記載シタル行爲ヲ爲シタル者ハ死刑ニ處
ス
、建造物其ノ他ノ
ー要塞、陣營、艦船、兵器、彈藥其ノ他軍用ニ供スル場所〓又ハ物ヲ損壞
ムルコト
シ又ハ使用スルコト能ハサルニ至ラシメタルトキ
二水陸ノ通路、橋梁ヲ損壞又ハ壅塞シ又ハ其ノ他ノ方法ヲ以テ軍隊、艦
ムルコト
船ノ往來ノ妨害ヲ生セシメタルトキ
ルル
三司令官軍隊ヲ率井テ守地若ハ配置ノ地ニ就カス又ハ其ノ地ヲ離レタ
コト
ルトキ
ス
四隊兵ヲ解散シ又ハ其ノ潰走混亂ヲ誘起シ又ハ其ノ連絡集合ヲ妨害シ
ルコト
タルトキ
ムルコト
五兵器、彈藥、糧食、被服其ノ他軍用ニ供スル物ヲ缺乏セシメタルトキ
ス
六命令、通報若ハ報告ヲ詐リ傳ヘ又ハ虛僞ノ命令、通報若ハ報〓ヲ爲シ
コト
タルトキ
スルコト
七造言飛語シ又ハ敵前ニ於テ叫呼喧噪シタルトキ
「第三十二條」ヲ「第二十九條」ニ、「第三十三條」ヲ「第三十條」ニ、「第三十四條」ヲ「第三十一條」ニ修正ス
二五
第三十五條第二十八條乃至第三十三條ノ罪ノ豫備又ハ陰謀ヲ爲シタル者
ハ一年以上ノ有期ノ懲役又ハ禁錮ニ處ス
三五六
第三十六條第二十八條又ハ第二十九條ノ罪ノ豫備又ハ陰謀ヲ爲シタル者
未タ事ヲ行ハサル前自首シタルトキハ其ノ刑ヲ免除ス
「第三十七條」ヲ「第三十四條」ニ修正シ第三十八條以下第五十八條迄條數ヲ順次繰上ク
六二三五。四十七
第五十九條第四十三條、第四十五條。第四十八修、第四十大佛、第三五十條、
四十九三五
第五十二條、第五十四條及第五十六條乃至第五十八條ノ未遂罪ハ之ヲ罰
ス
「第六十條」ヲ「第五十七條」ニ修正シ第六十一條以下第七十四條迄條數ヲ順次繰上ク
第七十五條第六十三條乃至第七十三條ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
「第七十六條」ヲ「第七十三條」ニ修正シ第七十七條以下第八十條迄條數ヲ順次繰上ク
七十八五六
第八十一條第七十八條第一號、第七十九條第一號及前條ノ未遂罪ハ之ヲ
罰ス
七十九
第八十二條陸軍ノ工場、船舶、戰鬪ノ用ニ供スル建造物、汽車、電車若ハ橋
梁又ハ陸軍ノ軍用ニ供スル物ヲ貯藏スル倉庫ヲ燒燬シタル者ハ死刑又ハ
○若ハ十年以上ノ
無期〓懲役ニ處ス
「第八十三條」ヲ「第八十條」ニ、「第八十四條」ヲ「第八十一條」ニ修正ス
二七十九
第八十五條第八十二條ニ記載シタル物又ハ陸軍戰闘ノ用ニ供スル鐵道、
電線若ハ水陸ノ通路ヲ損壞シ又ハ使用スルコト能ハサルニ至ラシメタル
者ハ無期又ハ二年以上ノ懲役ニ處ス
三
第八十六條兵器、彈藥、糧食、被服、馬匹其ノ他陸軍ノ軍用ニ供スル物ヲ毀
棄又ハ傷害シタル者ハ十年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ處ス
四七十九
第八十七條第八十二條乃至第八十五條ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
「第八十八條」ヲ「第八十五條」ニ修正シ第八十九條以下第九十六條迄條數ヲ順次繰上ク
四二
第九十七條第九十三條乃至第九十五條ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
「第九十八條」ヲ「第九十五條」ニ修正シ第九十九條以下第百六條迄條數ヲ順次繰上ク
四○義務
第百七條服從ノ2道ニ違フヘキ事ヲ目的トシテ黨ヲ結ヒタルトキハ首魁
ハ六月以上五年以下ノ禁錮ニ處シ其ノ他ノ者ハ二年以下ノ禁錮ニ處ス
海軍刑法案
右別册ノ通リ修正セリ依テ及報告候也
明治四十一年三月十日
右特別委員長
公爵二條基弘
貴族院議長公爵德川家達殿
特別委員ノ修正ニ係ル條ノミヲ載錄
ス小字ハ修正、ハ削除ノ符號
第二條本法ハ海軍軍人ニ非スト雖左ニ記載シタル罪ヲ犯シタル者ニ之ヲ
適用ス
二五
第六十五條乃至第六十八條ノ罪及此等ノ罪ノ未遂罪
二
二第七十五條ノ罪
七十八五
三第八十一條乃至第八十人條ノ罪
六八十九
四第八十九條乃至第九十二條ノ罪
三二
五第九十四條乃至第九十六條ノ罪及第九十四條、第九十五條ノ未遂罪
五六〇九十七〇九十八
六第九十八條、第九十九條、第〓百條第二項、第6百一條及第百三條ノ罪
第七條海軍ト共同作戰ニ從フ外國ノ陸海軍ニ屬スル者ニ對スル行爲ハ其
ノ職務、官等、等級又ハ階級ニ相當スル海軍軍人ニ對スル行爲ト看做ス但
シ其ノ外國ニ於テ同一ノ取扱ヲ爲スコトヲ保セサル場合ハ此ノ限ニ在ラス
○ヲ謂フ
第十三條指揮官ト稱スルハ艦船、軍隊ヲ指揮スル海軍軍人。及陸海軍用船
又ハ拿捕船舶ニ乘組ミ之ヲ監督スル海軍軍人ヲ謂フ
陸海軍用船又ハ拿捕船舶ニ乘組ミ之ヲ監督スル海軍軍人ハ指揮官ニ準ス
第十五條戰時ト稱スルハ宣戰ノ公布アリタル時又ハ現ニ開戰シタル時ヨ
リ平和克復ノ時迄ヲ謂フ
五
第十六條内亂、事變又ハ一地方ノ騷擾ニ際シ其ノ鎭定ニ從事スル艦船、
軍隊ニハ戰時ノ規定ヲ適用ス
六
第十七條海軍ニ於テ死刑ヲ執行スルトキハ海軍法衙ヲ管轄スル長官ノ定
ムル場所ニ於テ銃殺ス
第十八條前條ノ規定ハ刑法又ハ他ノ法令ニ依リ處斷シタル場合ニ亦之ヲ
適用ス
「第十九條」ヲ「第十七條」ニ、「第二十條」ヲ「第十八條」ニ修正ス
第二十一條本法ニ依リ死刑ニ處セラレタル者其ノ執行ノ免除アリタル日
ヨリ五年內ニ更ニ本法、刑法又ハ他ノ法令ノ罪ヲ犯シ有期懲役ニ處スへ
キトキハ前ノ罪ヲ懲役ニ該ル罪ト同質ノ罪ト認ムルトキニ限リ之ヲ再犯
トス
「第二十二條」ヲ「第十九條」ニ、「第二十三條」ヲ「第二十條」ニ、「第二十四條」ヲ「第二十一條」ニ修正ス
二
第二十五條左ニ記載シタル行爲ヲ爲シタル者ハ死刑ニ處ス
-〇、建造
軍隊又ハ艦船、港灣、工場、兵器、彈藥其ノ他軍用ニ供スル場所〓若ハ
物其ノ他ノスルコト
物ヲ敵國ニ交付シタルトキ
スルコト
二敵國ノ爲ニ間諜ヲ爲シ又ハ敵國ノ間諜ヲ幫助シタルトキ
スルコト
三軍事上ノ機密ヲ敵國ニ漏泄シタルトキ
スルコト
四敵國ノ爲ニ〓導ヲ爲シ又ハ地理ヲ指示シタルトキ
スルコト
五敵國ニ降ラシムル爲指揮官ヲ强要シタルトキ
ムルコト
六敵國ノ爲ニ俘虜ヲ奪取シ又ハ之ヲ逃走セシメタルトキ
三
第二十六條敵國ヲ利スル爲左ニ記載シタル行爲ヲ爲シタル者ハ死刑ニ處
ス
一建造物其ノ他ノ
艦船、港灣、工場、兵器、彈藥其ノ他軍用ニ供スル場所:又ハ物ヲ損壞
ムルコト
シ又ハ使用スルコト能ハサルニ至ラシメタルトキ
二水陸ノ通路、橋梁、燈臺、浮標ヲ損壞又ハ壅塞シ又ハ其ノ他ノ方法ヲ
ムルコト
以テ艦船、軍隊ノ往來ノ妨害ヲ生セシメタルトキ
三指揮官其ノ艦船、軍隊ヲ率井テ守所若ハ配置ノ場所ニ就カス又ハ其
ルルコト
ノ場所ヲ離レタルトキ
四艦隊、隊兵ヲ解散シ又ハ其ノ潰走混亂ヲ誘起シ又ハ艦船、隊兵ノ連絡
スルコト
集合ヲ妨害シタルトキ
五兵器、彈藥,ムルコト
糧食、被服其ノ他軍用ニ供スル物ヲ缺乏セシメタルトキ
六命令、通報若ハ報〓ヲ詐リ傳へ又ハ虛僞ノ命令、通報若ハ報〓ヲ爲
スコト
シタルトキ
スルコト
七造言飛語シ又ハ敵前ニ於テ叫呼喧噪シタルトキ
「第二十七條」ヲ「第二十四條」ニ、「第二十八條」ヲ「第二十五條」ニ、「第二十九條」ヲ「第二十六條」ニ修正ス
二十七五
第三十條第二十三條乃至第二十八條ノ罪ノ豫備又ハ陰謀ヲ爲シタル者
ハ一年以上ノ有期ノ懲役又ハ禁錮ニ處ス
二十八-
第三十條第二十三條又ハ第二十四條ノ罪ノ豫備又ハ陰謀ヲ爲シタル者
未タ事ヲ行ハサル前自首シタルトキハ其ノ刑ヲ免除ス
「第三十二條」ヲ「第二十九條」ニ修正シ第三十三條以下第四十八條迄條數ヲ順次繰上ク
六○艦船
第四十九條〓當直將校、守兵其ノ他緊要ナル勤務ニ服スル者故ナク其ノ勤
務ノ場所ヲ雖レタルトキハ左ノ區別ニ從テ處斷ス
敵前ナルトキハ死刑又ハ無期ノ禁錮ニ處ス
二戰時又ハ擱岸、坐礁其ノ他艦船危險ノ場合ナルトキハ三年以下ノ禁
鋼ニ處ス
三其ノ他ノ場合ナルトキハ一年以下ノ禁錮ニ處ス
四十七○艦船
第五十條〓當直將校睡眠又ハ酩酊シテ其ノ職務ヲ怠リタルトキハ左ノ
區別ニ從テ處斷ス
一敵前ナルトキハ五年以下ノ禁錮ニ處ス
二戰時又ハ航海中ナルトキハ二年以下ノ禁錮ニ處ス
「第五十一條」ヲ「第四十八條」ニ修正シ第五十二條以下第五十六條迄條數ヲ順次繰上ク
四五〇三十七二
第五十七條第三十八條乃至第〇四十條、第四十三條乃至第四十伍條、第四
六四十九三
十九條、第五十二條及第五十四條方至第五十六條ノ未遂罪ハ之ヲ謂ス
「第五十八條」ヲ「第五十五條」ニ修正シ第五十九條以下第七十二條迄條數ヲ順次繰上ク
五十八六十八
第七十三條第六十一條乃至七十一條ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第七十四條」ヲ「第七十一條」ニ修正シ第七十五條以下第七十九條迄條數ヲ順次繰上ク
七十七三四
第八十條第七十六條第一號、第七十七條第一號及前條ノ未遂罪ハ之ヲ
罰ス
第八章軍用物損壞ノ罪
七十八
第八十一條海軍ノ艦船、工場、戰鬪ノ用ニ供スル建造物、汽車、電車若ハ橋
梁又ハ海軍ノ軍用ニ供スル物ヲ貯藏スル倉庫ヲ燒燬シタル者ハ死刑又ハ
。若ハ十年以上ノ
無期〓懲役ニ處ス
「第八十二條」ヲ「第七十九條」ニ、「第八十三條」ヲ一第ハ十條」ニ、「第八十四條」ヲ「第八十一條」ニ修正ス
二七十八
第八十五條第八十一條ニ記載シタル物又ハ海軍戰鬪ノ用ニ供スル鐵道、
電線若ハ水陸ノ通路ヲ損壞シ又ハ使用スルコト能バサルニ至ラシメタル
者ハ無期又ハ二年以上ノ懲役ニ處ス
三
第八十六條兵器、彈藥、糧食、被服其ノ他海軍ノ軍用ニ供スル物ヲ毀棄又
ハ傷害シタル者ハ十年以下ノ懲役及ハ禁錮ニ處ス
四七十八二
第八十七條第八十一條乃至第八十五條ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
「第八十八條」ヲ「第八十五條」ニ修正シ第八十九條以下第九十六條迄條數ヲ順次繰上ク
四二
第九十七條第九十三條乃至第九十五條ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
「第九十八條」ヲ「第九十五條」ニ修正シ第九十九條以下第百七條迄條數ヲ順次繰上ク
五○義務
第百八條服從ノ。道ニ違フヘキ事ヲ目的トシテ黨ヲ結ヒタルトキハ首魁
ハ六月以上五年以下ノ禁鋼ニ處シ其ノ他ノ者ハ二年以下ノ禁錮ニ處ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=27
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028・二條基弘
○公爵二條基弘君 我〓ヘ御委託ニナリマシタ所ノ陸軍刑法案及海軍刑法案
ハ兩方ナガラ殆ド同一ノ文面ニナッテ居リマシテ、少シ陸海軍ノ組織上違ッタ
所カラ、文字字句等ノ變リガアル位ノコトデアリマスルニ依ッテ玆デ御報告
モ束ネテ致スコトニ致シマス、本案ハ九囘委員會ヲ開キマシテ、漸ク調査ヲ
終ッテ報〓ヲスルコトニナリマシタ次第デアリマス、其委員會ニ於キマシテ
ノ經過竝ニ結果ニ付キマシテ是ヨリ御報告イタシマスガ、委員會ニ於キマシ
テハ諸君ノ御手許ニ差出シマシタ通リノ修正ヲ致シマシテ、此兩案トモ修正
可決シタ譯デアリマス、其趣旨ト申シマスルモノハ抑〓此現行ノ陸軍刑法竝
ニ海軍刑法、共ニ今日マデハ普通刑法ニ對シテハ卽チ獨立法ノコトニナ〃テ
アルノデアリマス、併シ其内ノ幾分カハ卽チ普通刑法ト同ジモノモ矢張リ用
井テアルヤウニナッテ居ルノデアリマス、然ルニ今囘ハ此普通刑法ガ全部改
正ニナリマシタニ付イテハ勢ヒ此兩案共ニ今囘改正ヲセネバナラヌト云フコ
トニナリマシタニ付イテ此改正案ガ出サレタ譯デアリマス、ソコデ今囘ノ趣
意ニ於キマシテハ總テ普通刑法ガ本體改正ニナリマシタニ付イテ、其要點ハ
此兩案共ニ成ルベク普通刑法ニ依ルベキモノハ皆其方ニ依ルコトニ致シマシ
テ、全クソレヨリ以外ノ事柄、卽チ軍事犯ト云フヤウナコトノミヲ此兩案ニ
總テ網羅シテ改正ニナッタ譯デアリマス、ソレデ此事柄ニ於キマシテモ少シ
委シク申上ゲヤウト思ヒマスケレドモ、旣ニ速記錄ガ皆サンノ御手許ニ〓ッテ
居リマシテ、定メシ最早御熟讀ノ上、略〓委員會ニ於テノ體裁ハ御承知ニナ
ッテ居ルコトト信ジマスカラ本席ニ於キマシテハ省略イタシテ、唯其大要ヲ簡
單ニ取束ネテ申上ゲルコトニ致シマス、ソコデ總則ニ付キマシテノ事項ヲ說
明イタシマスレバ、是マデ獨立トナッテ居リマスル所ノ總則ヲ設ケテアリマ
シタガ、其制度ガ此度ハ廢サレタノデアリマス、ソレカラ本法ハ罪ニ付イテ
ノ規定ガアリマシタガ、今囘ハ或ル範圍ニ於テハ少シ縮小スル場合モアリマ
スケレドモ、在〓軍人ヲ召集中ノ外、特定ノ場合ニ於テ現役軍人ト異ラヌコ
トニシマシタ、軍人ニ適用スル範圍ハ少シ廣クナッタノデアリマス、ソレカ
ラ土地ニ關スル本法ノ效力ニ付イテノ明文ガ今度置カレタノデアリマス、是
ハ犯罪地ノ帝國內ニ在ルト帝國外ニ在ルトヲ問ハズ何レニ於テモ此度ハ此法
文ヲ以テ適用スルト云フコトニナッテ居リマス、次ニ帝國軍ノ占領地及帝國
外ニアル陸軍官衙其他軍隊所在地ノ土地ニ關スル普通刑法ノ範圍ヲ擴張シタ
ルコト、是ハ此度以前ヨリ餘ホド廣マッテ來タコトデアリマス、詰リ占領地ノ
人民ノ犯罪ニ對シテハ彼我ノ普通ノ習慣ヲ斟酌シテ軍令ヲ以テ之ヲ適用スル
適當ノ國法ヲ其儘此所ニ現ハシタノデアリマス、犯罪ノ客體ニ付イテ規定ヲ
改メタノデアリマス、是ハ謂ハユル外國ト共同作戰ノ場合ヲ言ウタノデアリ
マシテ、此場合ハ我ガ軍人ト外國軍人タルトヲ問ハズ共同作戰ノ場合ニ於テ
ハ官等階級職務等ハ總テ帝國陸海軍軍人ト看做スト云フ箇條ニナッテ居リマ
ス、ソレカラ剝官ノ刑ガアリマシタガ、是ハ此度サウ云フコトハ、天皇ノ大
權ニ屬スルコトデアリマスカラ、左樣ナコトヲ本法ニ規定スルト云フコトハ
宜シクナイカラ、是ハ廢スルト云フコトニナッタノデアリマス、ソレカラ其
次ニハ數罪倶發例ニ關スル特別規定ト云フコトガ是マデアリマシタノガ、少
シ改メラレタノデアリマス、是ハ殺傷罪ノコトヲ示シタノデアリマシテ、其
殺傷シタルトキハ普通刑法第三編第一章ノ身體ニ對スル罪ノ法條ニ照シ重キ
ニ從ウテ處斷スル譯デアリマス、謂ハユル假想上ノ併合罪、卽チ改正普通刑
法ノ第五十四條ニアル所ノ規定ニ付イテ除外例ヲ設ケマセヌ、然ルニ海軍軍
人ガ陸軍ノ軍務ニ服シタルトキハ矢張リ陸軍軍人ト同ジヤウニ看做シテ取扱
フ、又陸軍軍人ガ海軍ノ軍務ニ服シタルトキハ矢張リ海軍軍人ト同一ノ方法
ヲ以テ扱フト云フコトデアリマス、再犯ニ關スル規定モ今度改メラレタノデ
アリマス。是ハ現行陸軍刑法ハ普通刑法ト陸軍刑法トノ罪ノ間ニ再犯ノ規定
ヲ適用シナイノデアリマス、本案ハ尙ホ此兩者ノ間ニモ改正普通刑法累犯ノ
規定ヲ適當ト認メ除外例ヲ設ケザルコトニシテアリマス、是ハ本案ニ於テ懲
役ヲ科スル罪ト改正普通刑法ニ於テ懲役ヲ科スル罪トハ其性質ニ於テアレモ
是モ殆ド同ジコトデ少シモ變ラヌノデアリマス、ソレカラ共犯ニ關スル規定
ガ改メラレタノデアリマス、·是ハ現行法ニ於テハ軍人ト軍人ニ非ザル者ト共
犯ニ係ルトキハ軍人ハ陸海軍刑法ニ依リ處斷スト雖モ軍人ニ非ザル者ハ特定
ノ罪ヲ除クノ外普通刑法ニ照シテ處斷サレルノデアリマスガ、本案ハ之ヲ改
メ全ク改正普通刑法第六十五條ヲ適用スルコトニシタノデアリマス、ソレデ
先ヅ大體第一編ノ總則ニ對シテノ重モナル箇條ハ申シタ譯デアリマス、ソレ
カラ第二編ハ卽チ罪ノコトヲ總テ現ハシタノデアリマス、是ハ今日ノ現行法
ト餘リ變ラヌノデアリマス、今日マデノ現行法ノ方ニアリマスル所ノ不備不
完全ナル所ヲ今囘ハ補ッテ卽チ完全ナルモノニ改メタダケノコトデアリマシ
テ、大體ニ於テ其趣意ニ於テハ變ラヌノデアリマス、ソコデ此罪ノ方ノ條項
ハ叛亂トカ擯權トカ辱職、抗命、暴行脅迫、侮辱、逃亡ト云フヤウナコトデ
アリマスルガ、是ハ皆唯今申シタ通リ現行ノ法ニモアルモノヲ詰リ其不備ヲ
改メテ改正シタノデアリマスガ、ソレカラアトニアリマス軍用物損壞ノ罪ト
カ又掠奪ノ罪トカ俘虜ニ關スル罪トカ云フヤウナモノハ、是ハ是マデハ現行
法ニ無イノガ此度此所ニ這入ッタノデアリマス、又違令ノ罪ト云フモノハ現
行法ニモアルノデアルサウデアリマスガ、ソレヲ此度體裁ヲ良ク直シテ此所
ニ連ネタノデアリマス、新設ト云フノデハナイノデアリマス、其他是マデ結
黨トカ詐僞トカ云フモノモ現行法ニアルサウデスケレドモ、結黨ニ關スル規
定ハ此度廢セラレテ違令ノ中ニ其事ハ籠メラレテ這入ッタノデアリマス、ソ
レカラ現行法ニハ詐僞ノ罪ガアッタノヲ此度ハ其方ハ廢サレマシテ、此法案ノ
ソレゾレ相當スベキ場所ノ方ヘソレヲ分ッテ書込ンデ出來テ居ルノデアリマ
スデ大體ノ改正ノ趣意ト云フモノハ右樣ナモノデアリマシテ、陸軍ニ於キ
マシテハ先キニモ申シマシタ通リ現行法トハ性質モ幾分カ橫マッタ所モアリ
マスシ、又不備ナ所ガ直ッタト云フコトデ、其他ハ始ド皆普通刑法ト云フモ
ノニ依ッテ此度ハ出來タノデアリマス、是ヨリチヨット御手許ニ廻シマシタ
修正ノコトニ付イテハ陸軍刑法案ノ修正ノコトニ付キマシテ簡單ニ說明ヲ致
サウト思ヒマス、此第二條ノ數字ノ變リマシタノハ卽チ此修正ニ依リマシテ
削除ニナッタ所ガ大分アリマスカラ、其結果デ此二條ノ數字ハ改正サレタ譯
デアリマス、ソレカラ第七條ノ「但シ」カラアトガ修正ニナッタノデゴザイマ
スガ、是ハ此本文ノコトカラ見マスルト共同作戰ノトキニ起ッタ場合ガ示シ
テアリマスルガ、例ヘバ共同作戰ヲナストキニ我ガ哨兵ノ者ト外國ノ哨兵ト
ガ勤務シテアル間ニ何カノコトカラ衝突デモ起ッタトキニハ。我ガ哨兵ハ其
階級ニ相當スル陸軍軍人ニ對スル行爲ト看做シテ此法律ニ依ッテ罰スルケレ
ドモ外國ハ外國ノ法律デアルカラ、或ハ罰セラレヌカモ知レヌ、サウシテ
見ルト謂ハユル片手落ノコトニナッテ甚ダ不公平ナコトニナリマスカラ、相
互處罰ト云フ趣意ヲ以テ但書ニデモ入レテ置イタラ宜カラウト云フ說ガ出マ
シテ、卽チ此但書ノ通リニ修正サレタノデアリマス、ソレカラ此十條ノ「陸
軍將校相當官、陸軍准士官、海軍將校、同相當官」ノ次へ「海軍候補生」ト云
フモノヲ入レマシテ、サウシテアトノ「及海軍候補生」ノ六字ガ削ラレタノデ
アリマス、此陸軍士官ノ候補者ト海軍ノ候補生トハ少シ取扱カラ其意味モ違
フ所ガアルノデアリマシテ、詰リ陸軍ノ方デハ候補者ト云フモノハ軍人ト云
フ方ノ部類ニハナッテ居リマスケレドモガ、併シ階級等ニ付イテハ看做サレ
テハ居ラヌヤウデアル、海軍ノ方デハ「海軍軍人ト稱スルハ」云々ト云フ中ニ
矢張リ海軍候補生モ連ッテ官等ノ中ニ入ッテ居ルノデアリマスサウ云フ譯
デアリマスカラ、此所モ矢張リ官等ノ中ニ加ヘテ、少シ陸軍士官ノ候補者ト
ハ種類ガ違フ、陸軍士官ノ候補者ハ官等ト云フモノハ別段ニ無イガ、海軍候
補生ノ方ハ官等ト云フモノニ付イテ、チヤント明文デ現ハサレテアルカラ、此
所モソレト同ジヤウナ意味ヲ以テ入レタ方ガ宜カラウト云フコトデ入レルコ
トニナッタノデアリマス、ソレカラ第二十條ガ削除ニナリマシタノハ、是ハ
戰時ト稱スルハ宣戰ノ公布アリタル時カラシテ平和克復ノ時、又ハ開戰シタ
ル時ヨリ平和克復ノ時マデヲ謂フ、誠ニ斯ウ竝ベテアルトキニハ甚ダ解釋ニ
苦シムノデアル一例ヲ言ヘバ、若シモ戰爭ヲスルトキニ、。マダ宣戰ヲ公布
セヌ以上ニハマダ是ハ戰時トハ言ヘヌカモ知レヌ、或ハ宣戰公布前デモ戰
ヲ始メテ居ルトキニハ戰時ト認ムルト云フコトモ出來ヤウ、若シモ宣戰ノ公
布ガマダ出ナイ中ニ旣ニ戰ヲヤッタ、其中ニ敵ノ船デモ捕ヘルト云フコトニ
ナッタラ、斯ウ云フ風ニ兩方ニ書分ケテアレバソレヲ審問スル所ノモノガ、卽
チ判斷ガドチニモッテ行ッテ宜イカ分ラヌ、卽チ敵ト戰ヲシタ其時カラ戰時
ト云フカ或ハ其時ニハマダ宣戰ノ公布ガ無イカラシテ、公布ノ出タ時カラ
ヤルカト云フ、其場合ニ此捕獲シタ船ト云フモノモドウシテ宜イカ、卽チ戰時
デアルカラシテソレハ捕獲スル、或ハ宣戰ノ公布ガ無イ以上ハイカヌト云ヘ
バ卽チ捕獲スル譯ニイカヌト云フコトニナッテ、誠ニ是等ニ付キマシテモ一
例デハアリマスケレドモ、其場合ニ判斷ニ苦シムト云フコトガアリマスルカ
ラシテ、此事ハ旣ニ普通刑法ニハ意味ハ別段ニ書イテハナケレドモ、解釋ニ
依ッテ戰時ト云フコトハ明ニ分ルコトデモアルシ、國際法ノ判斷ニ依ッテ此
事ヲ決メルト云フコトモ出來ルカラ、寧ロ斯ウ云フ所デ書キ現ハシテ、斯ウ
云フ文字ヲ書イテ置クヨリ之ヲ削除シテ他ニモ取ル途ガアルカラ、其方ヘ任
シタガ宜カラウト云フコトデ是ガ削除サレタンデアリマス、ソレカラ此二十
一條ノ第三號ノ「內亂」ト云フノヲ削除ニナリマシタガ、是ハ眞ノ文字ノコト
デアリマスガ、内亂ト事變トハドレホド區別ガアルト云フコトニナリマスレ
バ、結局ハ事變トハ大キイ意味ヲ有ッテ居ルカラ、此中ニ内亂モ含ンデ居ル
ト言ヘバ、ソレモサウ見ラレル、内亂ヲツメテ來レバ卽チ事變ト云ウテモ宜
シイヤウナ譯デアルカラ、別段ニ書分ケル必要モアルマイ、又他ノ法律ニモ
「內亂、事變」ト書イタモノハ無イ、「戰時又ハ事變」ト云フコトノ方ハ憲法ナ
リ其他ノモノニモアリマスカラ、ソレデ「事變」ト云フ中ニ「內亂」ガ籠ッテ居
ルト云フコトハ解釋ガ出來マスカラ此所ニ置ク必要ハ無イト云フノデ削除ニ
ナッタノデアリマス、ツレデ此舊ノ二十三條、是レノ削除ニナリマシタノハ
前ノ二十二條ト云フモノニ於テハ、卽チ刑ノ執行ト云ッテ非常ニ廣イ意味ヲ
以テ此事ハ書現ハサレテアルノデアリマス、シテ見レバモウ此法文ニシテ廣
ク解釋ノ出來ルコトナレバ別段ニ此二十三條ノコトヲ入レズトモ十分廣イ意
味デ前ノデ解釋ガ出來マスカラシテ、此所ニ置ク必要ハ無イ、竝ベテ置クノ
ハ法文トシテモ體裁ガ宜クナイカラ削除シタガ宜カラウト云フノデアリマ
ス、ソレカラ二十六條ノ削除ニナリマシタル意味ハ刑法ノ五十六條ノ規定ト
云フモノガアルカラシテ、ソレヲ以テ十分ニ此事ハ說明スルニ足リルコトデ
アルカラシテ、然ルニ其上ニ何カ新ニ附加ヘテ置クコトガアレバ此事モ必要
デアルケレドモ何モナイト云フヤウナ譯デハ此法案ハ此所ニ置イテ置ク必要
ハ無カラウ、若シモ此所ニ禁錮ニ該ル罪トカ或ハ懲役ニ該ル罪トカアッテ
其後ニ此條ガアレバ卽チ此條ヲ置クノモ必要デアルガ、サウ云フコトモ何モ
無クシテ唯是ダケガ舉ゲテアル以上ハ實ニ必要ノ無イ話デアルノミナラズ何
カ普通刑法ト違ッタ所ガアルヤウナ感ジガアッテ甚ダ面白クナイ、ソレヨリ
ハ斯ノ如キ有ッテ實益ノ無イ規定ナラバ寧ロ削除シタガ宜イト云フノデ削除
ニナッタノデアリマス、ソレカラ舊ノ三十三條ニ修正ニナッテ居リマスガ修正
案ハ卽チ二十七條デアリマス、此所ハ刑法ノ八十二條ニモ斯ウ云フ文言ガア
ル、卽チ「建造物」ト云フモノガ入ッテ居ル、此所デ建造物ハ何カト申セバ場
所或ハ物ト云フモノデ含メラレテアルト云フ解釋デアリマスカラ、ソレデハ
誠ニ、建造物ガ場所、或ハ物ニ適當シタ意味カト云フコトハ分ラヌカラ、ソレ
ヨリハ寧ロ刑法ト同ジヤウナ工合ニ建造物ト云フコトヲ此所ヘ書入レタ方ガ
明ニナルコトデアルカラ、其方ガ宜カラウト云フ所カラ「建造物其ノ他ノ」ト
云フ文字ガ此所ヘ入ッタ譯デアリマス、ソレカラ此三十條カラシテ總テ此下
ノシタルトキ」「セシメタルトキ」ト云フヤウナコトヲ「何々スルコト」或
ハ「何セシムルコト」ト云フヤウナ工合ニ改メマシタノハ、卽チ此三十條ノ
本文卽チ一項ノ書出シガ現在デ書出シテアリマスソレ故ニ此方モ總テ現在
ニ書イタ方ガ法文ノ體裁上宜シイト云フノデ直ッタノデアリマス、三十一條
ノ所ニ「建造物其ノ他」ト云フノヲ入レマシタノハ前ノ三十條デ申シタ意味ガ
入リマシタ、又其他ノ下ノ方ノ「スルコト」「離ルルコト」ト云フヤウニ現在ニ
直シタノモ前ニ申上ゲタ趣意デ書キ改メタノデアリマス、畢竟唯文法ノ一部
ヲ改メタト云フニ過ギナイノデアリマス、ソレカラ八章ノ八十二條ノ修正ニ
ナッテ居リマスノハ此所ニ「死刑又ハ無期」ト云フ所ノ下ヘ「若ハ十年以上
ノ」ト云フコトガ今度入ッタノデアリマス、是ハ別段ニヒドウ違ッタ意味ト
云フノモアリマセヌノデ、唯斯ウ云フ場合ニ於キマシテ刑罰ガ死刑トカ無期
トカ云フダケデハ餘リ重過ギハセヌカ、今日ノ情狀ニ依ッテハモウ少シ緩メ
メテヤラネバナラヌコトモアリハセヌカ、刑罰ガ是ダケデハ少シ嚴酷ニ過ギ
ルカラシテ、此所ニモウ一ツ十年以上ト云フノヲ入レテ罪ノ輕キ者ハ之ニ相
當スル判決ヲスルト云フノガ大變至當ナコトデアラウト云フノデ、一ツ緩メ
テ十年以上ト云フノヲ入レタノデアリマス、唯刑罰ガ强イカラ少シ緩メタト
云フ理由ニ過ギヌノデアリマス、ソレカラオ終ヒノ百七條ニ「道」ト云フ字ヲ
「義務」ト云フ字ニ改メタンデアリマスガ道ト云ッテモ宜シイガ餘リ何カ斯
ウ云フ法文ニ於テハヲカシイ考モアリマスカラ、寧ロ「義務」ト云フ方ニ變ヘ
タガ宜カラウト云フノデ「義務」ニ變ッタノデアリマス、其他、條數ノ總テ數字
ガ變ッタノハ削除ガアリマシタ爲ニ變ッテ來マシタ、ソレデ此第二編ノ刑ノ
中ニモ各條ニ何ノ罪ハ云々ト云フノモ總テ數字ガ今度ハ變ッタノデアリマス、
大體陸軍ノ方ニ付キマシテノ委員會ノ經過及結果ハ今申シマシタヤウナ譯デ
アリマス、海軍ノ方ハ略〓陸軍ト同樣ノ譯デアリマシテ、唯少シ陸海軍ノ性質
上ヨリシテ文字ガ變タリ其名稱ガ變ッタト云フコトニ過ギナイノデアリマ
スルカラシテ、海軍ニ於テハサウ大體ノ說明、竝ニ總則ト云ヒ第二編ノ大體ニ
付イテノコトハ、モウ前ニ陸軍ノ方デ申上ゲタノト略〓同樣ノコトト御承知
ヲ願ヒタイト思ヒマス、唯玆デ違フ所ダケヲ拾ッテ說明イタシマスガ、海軍ノ
第七條ハ卽チ陸軍ノ第七條ノ方デ直アリ、アレト同樣ノ文意ニ直ッタノデア
リマスカラ、別段說明ヲ致シマセヌ、ソレカラ第十三條ノ方デ、ドウモ是ダ
ケデハ少シ海軍ノ用船ヤ拿捕船ニ乘組ンデ居ル士官ナドニ對シテ罰ヲ受ケル
ト云フコトモ、軍艦ニ乘込ンデ艦隊ヲ指揮スル者ト同ジヤウナ取扱ヲ受ケル
ノモ、少シク公平ナルコトデハナイト云フヤウナ考モアルカラシテ、矢張リ
玆デハ其所ヲ少シ色分ケヲ置イタ方ガ宜カラウト云フヤウナ趣意デ、此「指揮
官ト稱スルハ艦船、軍隊ヲ指揮スル海軍軍人ヲ謂フ」ト云フ所ヲ一項ニシテ、
下ノ「陸海軍用船又ハ拿捕船ニ乗組ミ之ヲ監督スル海軍軍人ハ指揮官ニ準
ス」ト云フヤウナ工合ニ、之ヲ二項ニ擧ゲテ置イタラ、其事柄ガ明瞭ニナッ
テ宜カラウト云フノデ、是ハ修正ニナッタノデアリマス、ソレデ矢張リ此海
軍ノ十五條、十八條、二十一條モ削除ニナッタノハ陸軍ノ方デ申上ゲタト
同趣意デ、又文モ同ジデアリマスカラ、茲デハ申シマセヌソレカラ第二編
ノ此二十五條ノ中デ「軍隊又ハ艦船」ノ下ノ「港灣、工場」ト云フノデ、是ハ削
除ト云フノデアリマスガ、是ハ港灣ニシロ、工場ニシロ必ズ軍港トカ、ヌ
海軍專用ノ工場ト云フダケヲ意味シタ譯デハアリマセヌノデアリマス、サウ
シテ見レバ玆ニ斯ウ列ベテ見ルト、海軍ノ使用シテ居ルモノハソレハ軍港
ノミデハナイ、卽チ海軍ノ軍用ニ供スル工場港灣ニ普通ノモノモ出入スル
コトモ出來ル、若シモ又ソコヘ行ッタ爲ニ刑ヲ受ケルト云フコトガ、生ジテ
ハ甚ダ宜シクナイカラシテ、斯ウ云フモノハ、此場合ハココノ所ハ除イテ置
イタガ宜カラウト云フノデ、是ハ削除ニナッタノデアリマス、ソレカラ「建
造物其ノ他ノ」ヲ入レタノハ前ニ陸軍刑法ノ時ニ說明イタシマシタト同樣デ、
卽チ此「シタルトキ」ト云フノヲ總テ片假名ノ現在ニ直シタト云フコトハ是
ハ皆同趣意デアリマス、卽チ二十六條モ前文ノ通リ矢張リ此、港灣、工場」ヲ
除イタノハ卽チ今申シタ主意デ、ソレデン建造物其ノ他ノ」ヲ入レマシタ、サ
ウシテ總テ其下ノ「シメタルトキ」ヲ「シムルコト」ト云フヤウニ總テ現在ニ直
シマシタノハ、最前申シマシタ趣意デアリマスカラ、玆デハ述ベマセヌ、ソ
レカラ此四十九條ノ「當直將校」ノ上ニ「艦船」ノ文字ヲ二字入レタノデアリマ
スガ、是ハ無クテモ分ラヌコトハゴザイマスマイケレドモ、併シ此「艦船」ト
云フ字ヲ入レタノハ、艦船當直將校ト云フノハ他ノ陸上ナニカノ當直將校
デモアッタ時ノ區別ト云フモノデ、是ハ船ダケト云フコトニ極マリガ付クカ
ラシテ、却ッテ此意味ガ明瞭ニナルデアラウカラシテ、之ヲ入レタガ宜カラ
ウト云フコトデ、是ガ這入ッタノデアリマス、卽チ五十條ニ入レタノモ、矢
張リ同主意デ這入ッテ居リマス、ソレカラ此八章ノ軍用物損壞ノ所、「死刑又
ハ無期」ノ下ニ「若ハ十年以上一ト入レタノハ是ハ陸軍刑法ノ方デ申述べ
タノト同ジ理由デ這入ッタノデアリマス、ソレカラ此オ終ヒノ百八條ノ「道」
ト云フノヲ「義務」ニ變ヘマシタノハ最前申述ベタルヤウナ意味デ變ヘタノ
デ、其他條項ノ數字ノ變ッタノハ、卽チ此削除ガアッタ爲ニ總テ變ッタノデ
アリマシテ、別段他ニ何モ理由ガアッタノデハアリマセヌ、ソレデ先ヅ陸軍
刑法案竝ニ海軍刑法案ノ大體ニ付キマシテ簡略ノ說明ハ、唯今申上ゲマシタ
ヤウナ譯デアリマス、委員會ニ於キマシテモ、右樣ニ修正可決ニナッタ譯デ
アリマスカラシテ、ドウカ諸君モ委員ノ修正ニ御同意下サレマシテ、ドウゾ
速ニ可決セラレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=28
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029・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 鎌田君ニ申上ゲマスガ、先日御質問ガアルヤウニ
議長ハ心得マシタガ、御質問ガアルナラバ、此際ガ最モ適當ノ時機ト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=29
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030・鎌田榮吉
○鎌田榮吉君 モウ宜シウゴザイマス、分リマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=30
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031・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 他ニ御質問ガ無イト認メマスカラ、採決ヲ致シマ
ス、陸軍刑法案、本案ヲ第二讀會ニ移スベシトスル諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=31
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032・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 過半數ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=32
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033・二條基弘
○公爵二條基弘君 引續イテ第二讀會ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス
[「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=33
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034・中川興長
○男爵中川興長君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=34
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035・有地品之允
○男爵有地品之允君 贊成
〔其他「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=35
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036・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 二條公爵ノ直ニ第二讀會ヲ開クト云フ說ニ同意ノ
諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=36
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037・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 過半數ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=37
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038・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 直ニ第二讀會ヲ開キマス、陸軍刑法案全部ヲ問題
ニ供シマス
〔子爵谷干城君「異議ナシ」ト呼フ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=38
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039・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 全部、特別委員長ノ報〓ヲ可トスル諸君ノ起立ヲ
請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=39
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040・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 過半數ト認メマス、是デ第二讀會ハ終リマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=40
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041・二條基弘
○公爵二條基弘君 引續イテ第三讀會ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=41
-
042・柳原義光
○伯爵柳原義光君 贊成
〔其他「贊成」ト呼フ者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=42
-
043・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 直ニ第三讀會ヲ開クト云フ二條公爵ノ說ニ御異存
ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=43
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044・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=44
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045・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 直ニ第三讀會ヲ開キマス、第二讀會ノ決議通リ御
異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=45
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046・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス、是デ本案ハ確定イタシマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=46
-
047・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第七、海軍刑法案、·本案ヲ第二讀會
ニ移スベシトスル諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=47
-
048・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 過半數ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=48
-
049・二條基弘
○公爵二條基弘君 直ニ第二讀會ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=49
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050・有地品之允
○男爵有地品之允君 贊成
〔其他「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=50
-
051・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 直ニ第二讀會ヲ開ク說ニ御異存ゴザイマセヌカ
[「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=51
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052・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=52
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053・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 直ニ第二讀會ヲ開キマス、全部ヲ問題ニ供シマス、
··全部特別委員長ノ報告ヲ可トスル諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=53
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054・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 過半數ト認メマス、是デ第二讀會ハ終リマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=54
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055・二條基弘
○公爵二條基弘君 第三讀會ヲ引續キ開カレムコトヲ希望シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=55
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056・廣澤金次郎
○伯爵廣澤金次郞君 贊成
〔其他「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=56
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057・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 直ニ第三讀會ヲ開イテ御異存ゴザイマセヌカ
[「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=57
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058・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=58
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059・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 直ニ第三讀會ヲ開キマス、第二讀會ノ決議通リデ
御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=59
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060・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス、是デ本案ハ確定イタシマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=60
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061・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第八、裁判所管轄區域變更ニ關スル法律
案、衆議院提出、第一讀會ノ續、委員長報告
〔子爵堀河護麿君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=61
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062・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第九ノ報告モ同時デ宜カラウカト考ヘマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=62
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063・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス
裁判所管轄區域變更ニ關スル法律案(衆第五號)
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
明治四十一年三月十日
右特別委員長
子爵舟橋遂賢
貴族院議長公爵德川家達殿
裁判所管轄區域變更ニ關スル法律案(衆第六號)
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
明治四十一年三月十日
右特別委員長
子爵舟橋遂賢
貴族院議長公爵德川家達殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=63
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064・堀河護麿
○子爵堀河護麿君 唯今、議長カラ御宣告ノアリマシタ通リ日程ノ第八第九
ノ法案、卽チ裁判所管轄區域變更ニ關スル法律案ノ委員會ノ結果ヲ束ネマシ
テ御報〓ヲ致シマス、本日ハ委員長ヨリ御報告ニナリマス筈デゴザイマシタ
ガ、御缺席ニナリマシタカラシテ私カラ御報告ヲ申シマス、第八ノ法案ハ卽チ
長野地方裁判所上田區裁判所ノ管轄ニ屬シマスル所ノ信濃國更級郡更級村、
八幡村、桑原村及稻荷山町ヲ同地方裁判所管內長野區裁判所ノ管轄ニ變更イ
タシタイト云フ法案デアリマス、モト此一町三村ハ舊上田藩領デゴザイマシ
テ、裁判所構成法實施ノ當時ニ於キマシテハ成ルベク舊藩地ヲ纒メルト云フ
趣意カラ致シマシテ上田區裁判所ノ管轄ニ屬シマシタ次第デアリマス、然ル
ニ今日ニナリマシテ篠井線ガ開通イタシマシテカラ以來、此地方カラシテ上
田ノ方ヘ出マスルヨリハ長野ニ參リマス方ガ距離ガ近ク、且ツ時間モ要シマ
セヌデ誠ニ便利デゴザイマス、取引ノ關係ノ如キハ長野トハ密接ノ關係ガゴ
ザイマスルニ反シマシテ、上田ニハ殆ド無イト申シテモ宜シイ位ナサウデゴ
ザイマス、其上此土地ハ彼ノ筑摩川ノ大流ヲ以テ郡ノ境ヲ致シテ居リマスカ
ラシテ洪水ノゴザイマストキナドニハ之ガ爲ニ時ニ交通ヲ妨ゲラレマシテ往
々上田ニ出マスルノニ不便ヲ感ジマスルヤウナコトガゴザイマスル趣デゴザ
イマス、從ッテ地勢上ナリ經濟上ナリ此法案ノ如クナリマスレバ大キニ此地
方ノ便利ニナリマスル次第デゴザイマス、此變更ニ關シマシテハ御承知ノ通
リ該地方カラシテ昨年モ當院ニ請願ガ出テ居リマス、本院ニ於テ採擇ニナッテ
居リマスルコトデゴザイマス、政府ニ於カレマシテモ、是ハ相當ノ變更ト認メ
ラレマシテ同意ノ趣デゴザイマス、次ニ日程第九ノ法案、卽チ名古屋地方裁
判所管內西尾區裁判所管轄ノ三河國碧海郡安城町大字福釜、赤松、古井、同國
同郡依佐美村大字高棚及同國幡豆郡豐坂村大字逆川、桐山、上六栗ヲ同地方裁
判所管内岡崎區裁判所ノ管轄ニ移シマシテ、又岡崎區裁判所ノ管轄內ニゴザ
イマスル碧海郡櫻井村大字川島、村高ヲ同地方裁判所管內西尾區裁判所ノ管
轄ニ變更イタシタイト云フ法案デゴザイマス、是ハ愛知縣下ニ於キマシテ町
村ノ廢合ヲ行ヒマシタ結果、一町村ニ於キマシテ二ツノ區裁判所ノ管轄ニ跨
ル所ガ生ジマシテ、登記其他ニ付キマシテモ不都合ガゴザイマスルシ、殊
戶籍ノ事務ノ如キニ至リマシテハ一ツノ町村内デアリナガラ二ツノ區裁判所
ニ關係ヲ持チマスルヤウナコトデ、甚ダ其取扱ニ於キマシテ不便ヲ感ジマス
ルヤウナ趣デゴザイマス、從ッテ斯ノ如キ變更ヲ必要トスル次第デゴザイマ
ス、政府ニ於キマシテハ此法案モ矢張リ相當ナコト、已ムヲ得ザルコトトシ
テ同意セラレテ居リマスル次第デアリマス、右樣ナ譯柄ニ依リマシテ委員會
ニ於キマシテハ兩案共ニ是ハ相當ナル變吏ト認メマシテ異議モ無ク全會一致
ヲ以テ可決イタシマシタ次第デアリマス、此段御報告ヲ致シマス、尙ホ兩案
共ニ簡單且ツ明瞭ノ案ト存ジマスレバ、各案ノ採決ニ際シマシテハ讀會省略
ヲ以テ可決アラムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=64
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065・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第八、竝ニ第九ノ兩法案ヲ一括シテ議題
トナスコトニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=65
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066・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=66
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067・正親町實正
○伯爵正親町實正君 堀河子爵ノ動議ニ贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=67
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068・大原重朝
○伯爵大原重朝君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=68
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069・大田原一清
○子爵大田原一〓君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=69
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070・山口弘達
○子爵山口弘達君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=70
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071・柳原義光
○伯爵柳原義光君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=71
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072・伊集院兼知
○子爵伊集院兼知君 贊成
〔其他「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=72
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073・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 堀河子爵ノ讀會省略ノ動議ニハ定規ノ贊成者ガア
ッタト認メマス、讀會省略ヲ可トスル諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=73
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074・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 三分ノ二以上ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=74
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075・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 兩案トモ副委員長ノ報告通リデ御異存アリマセヌ
カ
[「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=75
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076・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス、是デ本日ノ議事ハ終リマ
シタ、特別委員ノ氏名ヲ御報告ニ及ビマス、書記官長ヲシテ朗讀ヲ致サセマ
ス
〔太田書記官長朗讀〕
水利組合法案特別委員
伯爵萬里小路通房君小牧昌業君男爵關義臣君
男爵金子有卿君男爵南光利君阿部浩君
石黑五十二君山田春三君濱口吉右衞門君
關稅定率法輸入稅表中改正法律案特別委員
子爵鍋島直彬君子爵三島彌太郞君子爵水野直君
男爵松平正直君男爵前島密君前田正名君
男爵田健治郞君男爵紀俊秀君桑田熊藏君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=76
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077・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 次ノ議事日程ハ決定次第御通知ニ及ビマス、本日
ハ是デ散會ヲ致シマス
午前十一時二十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002403242X01419080313&spkNum=77
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