第24回帝国議会　衆議院　本会議　第6号　明治41年2月4日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  　明治四十一年二月四日（火曜日）午後一時七分開議
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  　　議事日程　第五號　明治四十一年二月四日
  　　　　午後一時開議
  　　第一　鐵道敷設法中改正法律案（政府提出）　第一讀會
  　　第二　右議案の審査を付託すへき委員の選舉
  　　第三　國有林野法中改正法律案（政府提出、貴族院送付）　第一讀會
  　　第四　右議案の審査を付託すへき委員の選舉
  　　第五　酒造税法中改正法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第六　酒精及酒精含有飮料税法中改正法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第七　麥酒税法中改正法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第八　砂糖消費税法中改正法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第九　石油消費税法案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第十　關税定率法輸入税表中改正法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第十一　日本大博覽會出品外國貨物免税に關する法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第十二　府縣制中改正法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第十三　沖繩縣の負擔及國庫補助に關する法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第十四　學校及圖書館資金所屬土地賣却代金を一般會計に繰入るる件に關する法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第十五　韓國に於ける鐵道用品資金會計に關する法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第十六　衆議院議員選舉法中改正法律案（中西六三郎外三名提出）　第一讀會
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• 001・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　是ヨリ諸般ノ報告ヲ致シマス
  〔書記朗讀〕
  一政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  鐵道敷設法中改正法律案
  (第一號)明治四十年度歲入歲出總豫算追加案
  明治三十八年度歲入歳出總決算
  明治三十八年度各特別會計歲入歲出決算
  明治三十八年度歲入歳出決算檢査報告
  一貴族院ヨリ送付セラレタル政府提出案左ノ如シ
  國有林野法中改正法律案
  一議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  未成年者飮酒禁止法案
  提出者根本正君
  一根本正君ヨリ〓育ニ關スル質問趣意書ヲ提出セラレタリ
  一神藤才一君ヨリ外務大臣ノ答辯ニ對スル再質問書ヲ提出セラレタリ
  一大竹貫一君外一名ヨリ不當干涉ニ關スル質問主意書ヲ提出セラレタリ
  一福井三郞君ヨリ鑛業採掘權新件ニ關スル質問主意書ヲ提出セラレタリ
  〔左ノ質問書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲玆ニ掲載ス)
  〓育ニ關スル質問書
  右成規ニ據り提出候也
  明治四十一年一月二十九日
  提出者根本正贊成者江原素六
  外二十九名
  〓育ニ關スル質問趣意書
  一商科大學設立ニ關スル昨年ノ建議ニ對シ政府ハ如何ナル方針ヲ執ラレタルヤ
  一〓育基金壹千萬圓ノ利子五拾萬圓ヲ普通〓育費トシテ支出スヘキヲ其半額
  貳拾五萬圓ニ削減シタリ政府ハ何レノ時ニ於テ之ヲ既定額五拾萬圓ニ復舊スルカ
  一國民〓育ノ本旨ニ悖リ尋常小學校ニ於テ授業料ヲ徵收スルモノ其數壹千參
  百六拾七校ノ多キニ至リタルハ政府監督ノ怠慢ニ出タルモノニアラスヤ
  外務大臣ノ答辯ニ對スル再質問書
  右成規ニ依り提出候也
  明治四十一年二月三日
  提出者神藤〓〓贊成者尾崎行雄
  外三十一名
  外務大臣ノ答辯ニ對スル再質問主意書
  曩ニ本員ノ提出シタル間島問題質問ニ對シテハ目下交涉中云々外務大臣ノ答辯ア
  リタルモ該答辯ハ實ニ要領ヲ得サルヲ以テ尙更ニ最初ヨリ現今マテノ交涉ノ經過ヲ
  聽キ以テ日〓兩國民ノ意嚮ニ供セントス依テ再ヒ同問題ニ就キ質問ニ及ヒ候也
  不當干涉ニ關スル質問書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治四十一年二月四日
  提出者大竹貫一小川平吉
  贊成者米田實
  外三十一名
  不當干渉ニ關スル質問主意書
  一臨時商業會議所聯合會カ增稅反對ノ決議ヲナシタルニ對シ農商務大臣ハ何
  故ニ不當ノ干渉ヲ試ミタリヤ
  一前記聯合會參列ノ爲メ上京セル會員ニ對シ或ハ官吏ヲ派遣シ或ハ刑事巡查
  ヲ尾行セシメ其意思ヲ束縛セントスル理由如何
  一增稅反對ヲ標榜セル實業組合カ二月五日全國實業組合大會ヲ開カントスル
  ニ際シ政府ハ警察官ヲシテ各組合員ニ就キ出席ノ有無ヲ糺シ以テ暗ニ威迫干
  渉ヲ試ミントシタル理由如何
  鑛業採掘權特許ニ關スル質問
  右成規ニ據リ提出候也
  明治四十一年二月四日
  提出者福井三郞贊成者荒谷桂吉
  外二十九名
  鑛業採掘權特許ニ關スル質問主意書
  愛媛縣喜多、西宇和ノ兩郡堺矢野神山ノ山巓ニ於ケル眞言宗出石寺附近ノ地
  ハ銅鑛アリテ明治二十二年八月久保田佳長外二名及ヒ備仲傳助等發見ノ上
  採掘特許ヲ申請セシニ政府ハ之レヲ許スヲ以テ公益有害トシテ採用セス爾來明
  治三十七年十月マテ交モ採掘若クハ試掘ノ出願ヲ爲スモノ十四名ニ及フモ政府
  ハ前例ニ依り何レモ之ヲ却下シ來リタルニ拘ハラス明治三十八年十二月石原久
  之助カ採掘ヲ出願セルモノニ限リ政府ハ詮議ノ上之レヲ特許シタリ
  一明治三十七年十月迄ノ出願ハ總テ公益有害トシテ之レヲ却下シナカラ同三十
  八年十二月ノ出願ノミ之レヲ特許シタル理由如何
  一鑛業上公益有害トナルヘキ理由及狀態ハ僅ニ一年餘ノ間ニ變化スヘキモノニア
  ラス然ルニ前願ヲ却ケ後願ヲ許シ矛盾ノ處分ヲ爲シタルニ就キテハ其前願ヲ以
  テ公益有害トナシタル理由及後顧ニ限リ公益上無害トナシタル理由如何
  一公益上有害地トシテ鑛業ヲ許可セサリシ地域ニ於テ其禁ヲ解キ改メテ後願者
  ニ特許ヲ與フルユ當リ假令前願處分後行政訴訟提起ノ期間ヲ經過セシモノト
  雖モ尙前願者ノ異議ナキヲ認メタル上特許ヲ與フルノ先例アリ然ルニ本件ニ限
  リ行政上ノ先例ニ反シ多數ノ前顳者ヲ無視シタル理由如何
  一同地ノ試掘若クハ採掘ノ出願ニ付地方長官ハ從來公益上有害ナリトシ十六
  年間一貫シテ其意見ヲ改メサリシニ石原久之助ノ出願ニ限リ地方長官ハ公益
  上有害ニアラストナセリト云ヲ政府ニ於テ之ヲ採用シタルモノトセハ其前後矛盾
  ノ意見ヲ是認セシ理由如何
  一政府カ右石原久之助ニ採掘特許ヲ與ヘントスルニ際シ出石寺信徒總代〓水谷
  爆神谷軍治其他幾千ノ信徒ハ鑛業ノ許可ヲ以テ同寺ノ信仰上極メテ有害ナ
  リトシ紛擾ヲ來シ依然公益有害地ノ維持ヲ求メタリト云フ政府ハ之ヲ認ムルヤ
  一政府ヨリ左ノ質問書ニ對シ答辯書ヲ送付セラレタリ
  西園寺總理大臣ノ演說ニ對スル質問主意書(西圖寺內閣總理大臣)
  間島問題ニ關スル質問主意書(林外務大臣)
  〓育ニ關スル質問主意書(牧野文部大臣)
  衆議院議員久保田與四郞君提出西園寺總理大臣ノ演說ニ對スル質問ニ對シ
  別紙答辯書差進候也
  明治四十一年一月三十一日內閣總理大臣侯爵西園寺公望
  義院議長杉田定一殿
  私ノ宴席ニ於ケル談話ノ內容ニ關シテハ答辯ノ限リニアラス
  右及答辯候也
  明治四十一年一月三十一日內閣總理大臣侯爵西園寺公望
  衆議院議員神藤才一君提出間島問題ニ關スル質問ニ對シ別紙外務大臣答辯
  書及御囘付候也
  明治四十一年一月三十一日內閣總理大臣侯爵西園寺公望
  衆議院議長杉田定一殿
  衆議院議員神藤才一君提出ニ係ル間島問題ニ關スル質問書ニ對シ別紙答辯
  書差進候也
  明治四十一年一月二十九日外務大臣伯爵林董
  衆議院議長杉田定一殿
  衆議院議員神藤才一君提出ノ間島問題ニ關スル質問書ニ對スル答辯書
  間島問題ハ目下尙ホ日〓兩國間ニ交涉中ナルヲ以テ未タ答辯ノ時機ニ達セス
  右及答辯候也
  明治四十一年一月二十九日外務大臣伯爵林董
  衆議院議員根本正君提出〓育ニ關スル質問ニ對シ別紙文部大臣答辯書及御
  囘付候也
  明治四十一年二月三日內閣總理大臣侯爵西園寺公望
  衆議院議長杉田定一殿
  衆議院議員根本正君提出ノ〓育ニ關スル質問ニ對スル答辯書
  一商業ニ關スル最高〓育機關設置ノ件ハ事學制ノ全體及經濟ニ關シ重大ノ問
  題ナルヲ以テ今尙ホ調査中ニ屬ス
  一〓育基金ハ財政事情ノ許ス限リ可成早ク之ヲ塡補セントス尙質問ニ所謂二
  十五万圓ハ普通〓育獎勵費ニシテ〓育基金令ニ依ル支出ニアラス
  一尋常小學校ニ於テ授業料ヲ徵收スルモノアルハ市町村經濟ノ都合上已ムヲ得
  ス小學校令第五十七條第一一項ニ依リ監督官廳ニ於テ認可セシモノニシテ監督
  ノ怠慢ニ由レルニ非ス尤モ授業料ヲ徵收スル學校數ハ別表ノ通漸次減少シツヽ
  アリ將來ニ於テモ尙之ヲ減少セシメンコトヲ期ス
  右及答辯候也
  明治四十一年二月一日文部大臣男爵牧野伸顯
  授業料ヲ徵收スル尋常小學校數
  三十三年度一七、五〇〇
  三十四年度九六八
  三十五年度八七二
  三十六年度七三六
  三十七年度四七〇
  三十八年度三六七
  三十九年度三三六
  〔左ノ報〓ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲玆ニ揭載ス〕
  一去ル二十八日議長ニ於テ選定シタル委員左ノ如シ
  事業公債條例中改正法律案
  前島元助君小山田信藏君美禰龍彥君
  永見寛二君井上精一郞君木村格之輔君
  三輪猶作君七里〓介君菊池武德君
  臺灣事業公債法中改正法律案
  千葉禎太郞君靑柳信五郞君本出保太郞君
  伊藤傳右衞門君星野仙藏君澤來太郞君
  佐治幸平君鈴置倉次郞君濱口擔君
  學校及圖書館資金所屬土地賣却代金ヲ一般會計ニ繰入ルル件ニ關スル法律案
  根本正君楠目玄君鳥海哲四郞君
  由布惟義君榎本次郞右衞門君首藤陸三君
  安達謙藏君山田省三郞君神藤才一君
  韓國ニ於ケル鐵道用品資金會計ニ關スル法律案
  江原節君鈴木藤三郞君第五話
  川原茂輔君森肇君佐丹藤後
  石田仁太郞君矢島浦太郞君山口納得·明
  衆議院議員選舉法中改正法律案外二件
  長谷川豐吉君三浦盛德君久
  林小參君牧野逸馬君
  植木元太郞君江藤哲藏君小渡平森西廣林邊島田山瀨
  神崎東藏君降旗元太郞君松
  大畑純次君藤井牧太君敬米酒屋 台灣
  濱田國松君高橋勝七君仲
  一委員長理事左ノ通リ當選セラレタリ
  鹽專賣法中改正法律案委員會
  委員長景山甚右衞門君理事鈴木久次郞君
  臺灣事業公債法中改正法律案委員會
  委員長千葉禎太郞君理事濱口擔君
  學校及圖書館資金所屬土地賣却代金ヲ一般會計ニ繰入ルル件ニ關スル法律
  案委員會
  委員長根本正君理事楠目玄君
  衆議院議員選舉法中改正法律案(島津良知君外七名揚出)外二件委員會
  委員長西山志澄君理事濱田國松君
  韓國ニ於ケル鐵道用品資金會計ニ關スル法律案員會
  委員長丹後直平君理事佐藤伊助君
  軍艦水雷艇補充基金組入ニ關スル法律案委員會
  委員長奧村善右衞門君理事加瀨禧逸君
  事業公債條例中改正法律案委員會
  委員長前島元助君理事小山田信藏君

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• 002・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　是ヨリ會議ヲ開キマス、御諮リ申スコトガアリマス野上嘉平
  君病氣ノタメ一月三十一日ヨリ十日間請暇ノ申出ガアリマス、許可シテ差支アリマセ
  ヌカ
  〔「異議ナシ異議ナン」ト呼フ者アリ〕

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• 003・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、尾形兵太郞君病氣ノタメ二月一
  日ヨリ向フ三週間請暇ノ申出ガ出テ居リマス、許可シテ御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 004・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、山根正次君病氣ノタメ二月三日ヨ
  リ二週間請暇ノ申出ガ出テ居リマス、許可シテ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 005・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、田中藤次郞君病氣ノタメ本日ヨリ
  三週間請暇ノ申出ガ出テ居リマス、許可シテ差支アリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 006・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、請願委員野上嘉平君病氣ノタメ
  辭任ノ申出ガアリマス、許可シテ差支アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 007・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、同君ハ第六部ノ選出ニ付、同部ノ
  諸君ハ補缺ノ互選アランコトヲ希望致シマス、鹽專賣法中改正法律案委員尾形兵太
  郞君病氣ノタメ辭任ノ申出ガアリマス、許可シテ差支アリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 008・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、同委員ハ議長指名ニ付、其補缺ト
  シテ鞍谷〓愼君ヲ指名致シマス、臺灣事業公債法中改正法律案委員本出保太郞
  君、澤來太郞君病氣ニ付、辭任ノ申出ガアリマス、許可シテ差支アリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 009・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、同委員ハ議長指名ニ付、其補缺
  トシテ西田作次郞君、山田平太郞君ヲ指名致シマス-神藤才一君
  〔神藤才一君登壇〕

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• 010・神藤才一

  ○神藤才一君　諸君、私ハ今日此增稅問題ト云フ大問題ガ現ハレテ居リマスルサナ
  カニ以テ、私ガ質問致シマスルトコロノ間島問題ノ如キハ或ハ諸君ニ於テ斯ル大問題
  ガアル矢先キ、斯クナル問題ヲ以テ質問演說ヲナスガ如キハ、エタイ分ラヌヤツダト一ムフ
  御叱リガアルカモ知レヌガ(「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ)併ナガラ諸君、內治ノ鬪ハ是ハ兄
  弟同士ノ事デアル、意見ノ衝突デアリマスルガ、併ナガラ外交ノ問題ハ一ツ誤レバ再ビ
  取返スコトハ甚ダ困難デアルノデアリマス、カルガ故ニ諸君ノ暫ク御〓聽ヲ仰グノデアリマ
  ス諸君、先日私等ノ同僚ナル望月小太郞君ハ此間島問題ニ付キマシテハ神藤ト八
  百長的ノ打合ヲスルノデアルト言ハレタヤウデアリマシタガ、本員ハ此八百長的ナント云フ
  器用ナコトハ出來ル人間デナイノデ(「ヒヤ〓〓」ト呼フ者アリ)所謂馬車馬的デアル、頭
  ガ碎ケルカ柱ガ壞レルカノ一〓張リノ人間デゴザイマスガ、併シ斯ノ如キ事ハ〓措イテ、凡
  ソ國際ノコトハ外交ニ始マッテ外交ニ終ルデアリマス、是ハ自然ノ通義デゴザリマス、又外
  交ノ事ハ祕密ヲ要スルノデアリマス、勿論ノコトデアル軍事モ亦然ルノデアル、デ是等ノ
  コトハ皆諸君ノ御承知テアルガ、其祕密ナルコトヲ知ッテ、本員ガ之ヲ當局大臣ニ質問
  致シマスルコトハ、萬已ムヲ得ザルトコロニ出デタルモノデアリマス、固ヨリ外交ノコトハ一ノ
  「カメレオン」トノコトナレドモ、近今我外交ヲ御覽ジマセ、免角無定見デ、無方針デ、無
  責任デ、遲鈍、緩漫界屈デアルヤウニ見受ケルノデアル、(笑聲起ル)所謂諸君ガ呶々仰
  セラレルトコロノ根柢ナク讓步的ノ外交デアルヤウデアリマス然ルニ先日政府黨ノ吾ミ
  ガ崇拜スルトコロノ大知識者ト云ハレルベキ竹越君ハ何ト言ハレタデアリマセウカ、此政
  府ハ極メテ外交ニ於テ成功シテ居ルノデアル日英同盟ト云ヒ日露、日佛、日韓、日
  〓ノ如キ諸條約ハ是レ皆大々的成功シテアル、日本ハ東洋ノ孤立國カラ列國ノ舞臺ニ出
  テ列國ノ「コンサート」ニ入ッテ立派ニ音樂ヲ鳴ラシテ居ル、鳴ラシテ居ルノミナラズ、其音
  樂ノ調子ヲ取ッテアルト、斯ウ誇ラレテ言ハレタヤウニ思ハレルノデアル、或ハ斯クナラン、
  本員モ斯ク思ウテ居ルノデアル卽チ日本ノ外交ハ音樂的デアル、竹越君ノ云ハレタ如
  ク音樂的、田舎芝居、御祭的外交デアル、卽チ外面虛飾ノ外交デアル初ハ立派デ
  勢ガ好イノガ、終リハ音樂的ニ囃立テラレテ終ハルノデアル、卽チ諸君ノ知ラルヽ如ク日
  米ノ間題ト云ヒ、此間島問題ト云ヒ、ドウヤラ音樂的ニ囃立テラレ終ラレンカノ疑ガアル
  ノデアル若シ果シテ然ラパ我國民及韓國人民ノ感想ハ如何、眞ニ汗背ノ至リデアリマ
  セヌカ、此大日本帝國ハ東洋平和ノ主腦者デアル、其主腦者タル日本ガ日〓韓三國
  ニ大關係アル此間島問題ヲ、御祭音曲的ニ終ラレントノ外交ニ對シテハ吾〓人民ハ
  再三再四此問ヲ放シテ當局大臣ニ其要領ヲ得ルマデハドウシテモ問ハナケレバナラヌノデ
  アル、如何トナレバ先日來ノ諸新聞ノ如クンバ今日此問題ガ御祭音樂的外交ニ祭リ
  終ハラレンカモ知ラヌガ、今後再ビ此問題ノ如キ御祭音曲的ニ終リマスルコトハ信ジテ
  疑ハナイノデアル、若シ此ノ如ク每年歲々此騒ギノアルニ於テハ、或ハ御祭ノ相談ヲ開ク
  ヤニ至ルヤモ計リ難カランノデアル併ナガラソレ等ノコトハサテ措テ、諸君、間島ハ諸君
  ノ御承知ノ如ク海川中ノ島嶼デアリマセヌ、一ノ大廣原デアリマス、其面積ハ少クトモ韓
  國咸鏡道ニ讓ラヌ、而シテ其位置ハ〓韓兩國ニ凸出シタル白頭山ノ麓デアル、(「ソンナ
  コトハ知ッテ居ルヨ」ト呼フ者アリ)御承知ナラバ(「皆知ッテ居ルヨ」或ハ「謹聽」ト呼フ
  者アリ)詳シク云ヘバ〓韓兩國ノ境ニ蟠屈セル長白山、山麓ノ大廣原デアル、長白山ハ
  秀ハ卽チ秀ナリト雖モ、元ト是レ-大廣原ヲナス滿洲ノ野ニ比シマスレバ、其一
  小凸起タルニ外ナラズト雖モ(「分ッテルカト」呼フ者アリ)海拔僅ニ八千呎ト稱スレドモ
  之ヲ其山麓ヨリ測リマスレバ、僅々二千五百呎ヲ超エザルノデアル、旣ニ峻嶮ナル橫斷、山
  脈ノ國境ニ蟠屈セザルモノナリ、一葦帶水ヲ隔テヽ滿韓境ヲ接スルガ故ニ間島ノ過去
  ハ古來屈辱ノ歷史ニ富ミ、隣交稼穡ノコト、又語ルニ忍ビザルモノガアル(「謹聽」ト呼
  フ者アリ)朝鮮ナル友字ガ元來遼河以南ノ地ニ與ヘラレタル名稱ナリトノ考證ハサテ措
  キ(「簡單」ト呼フ者アリ)檀君箕子衞滿ノ昔ヨリ近ク李朝ノ今日ニ至ルマデ、間島ノ領
  土ハ幾多ノ歷史的及地理的實證ニ依ッテ、韓國ノ領土ナルコトハ明デアル、併ナガラ本
  員ハ之ヲ歷史的ニ論ジ、之ヲ地理的ニ述べ、以テ諸君ノ御參考ニ供シタキモ、奈何セ
  ン之ヲ歷史的ニ論ジ、之ヲ地理的ニ述ベルトキハ、少クトモ一一日モ三日モ掛ルノデアル
  (「ヨシ給ヘ分マテ居ル」ト呼フ者アリ)妨ゲルモノアッテモ吾輩ハ發言權ヲ得タ以上ハ、十
  日デモ二十日デモ論ズルノデアル、若シ妨ゲルモノガアッタナラバ神藤ヲシテ此演壇カラ
  引摺リ落シテ見イ(「謹聽タ々」ト呼フ者アリ笑聲起ル)(「簡單ケ々」ト呼フ者アリ)併ナ
  ガラ此事ハ他日書ニ著シテ分ルヤウニ知ラセテヤルノデアル、今日ハ唯我ノ保護ノ下ニア
  ル韓國領土タル間島ガ、如何ニ湯洲ニ境シアルカヲ述ベ、且之ニ附隨スル軍事及經濟
  上ノ要〓ヲ〓說シテ音樂的御祭外交當局者ニ問ハントスルノデアリマス、併ナガラ軍事
  上ノコトハ最モ祕密ナルヲ要スル故ニ、私ハ玆デ略スガ、抑〓間島ハ眞ニ韓國領土デア
  リマス、滿韓兩國ノ分界線ハ〓國政府側ノ云フトコロノ豆滿江ニアラズシテ、其國境
  線ハ白頭山、所謂分水嶺卽チ康熙五十一年五月十一日ニ立テラレクルトコロノ定界
  碑ヨリ左弓形線ヲ以テ畔嶺ニ到リ、同所ヨリ發原スル分界江一名、布爾哈圖河ニ
  沿ウテ嗄勢上流ヲ經テ、穩城ニ到リ、是ヨリ豆滿江ニ沿フテ海ニ到ルヲ以テ、滿韓兩
  土ノ國境トナスコトト、是ハ天然的國境ニ照ラスモ又歷史的國境ニ證スルモ明ニ確々デ
  アルケレドモ、〓國政府ハ彼ノ土門ヲ以テ韓國ノ豆滿江ト稱スルモ、此豆滿江ハ滿洲
  人ノ所謂吉林土門ニシテ、卽チ松花江ノ上流タルガ故ニ、其混同モ亦甚シイノデゴザイ
  マス(「成程」ト呼フ者アリ)尤モ〓國ニ於テハ土門ト豆滿トハ國音相似タルガ故ニ、土
  門卽チ豆滿ナリト主張スレドモ、吉林土門ハ「ツーメン」ト發音シ、韓國ノ所謂豆滿ハ
  「トングース」語ノ「トーマン」卽チ衆水合流ノ義ニシテ、卽チ古來穩城以下ノ流域、卽チ
  嗄呀布爾哈圖海蘭ノ北三一ツノ河ガ流注シテヨリ下流ヲ呼稱スルノデアル、穩城ヨリ上
  流ハ別ニ於伊後江ノ名稱ガアリマス、此伊後江ハ朝鮮人ノ義譯デハ魚潤ト呼ビ、漢人
  ハ元明時代ニ於テ之ヲ音譯シテ愛呼ト呼ンダノデアル故ニ松花江上流ノ土門ト混同
  スベキモノデハナイノデアル殊ニ諸君、〓國政府ハ康熙五十一年頃ニ於テサニ、韓國
  ノ微弱ナルニ乘ジ之ヲ壓迫シ、十分韓國ノ領土ヲ横領シ、之ニ定界碑ヲ建テ、面子
  此定界碑ヲ基礎トシテ之ニ添ユルニ延長ナル土堤ヲ築キ、之ニ植ユルニ樹木ヲ以テシタ
  ノデアル諸君、今日此樹木ヲ御覽ナサイ、其堤防ノ上ニハ一ト抱以上ノ木ガ往々ア
  ル、此ノ如キ人造國境ヲ造フテ以テ満韓ノ國境ヲ劃定セシニモ拘ハラズ、今日尙此上ニ
  モ韓國領土ヲ爭ハントス、尤モ曩ニ諸君ノ御承知ノ通リ、〓國政府ハ我琉球ヲサヘ自
  國ナリト主張シテ以テ我ニ爭ハントセシ外交ノ手際ヲ以テシマスレバ、彼ノ外交ノ手腕
  如何ヲ知ルノデアリマス、固ヨリ本員ハ理ニモ非ニモ此ノ間島ヲ韓國ノ領土權、韓國二
  收容セヨト云フノデハナイノデアル、ケレドモ斯ノ如キ歷々タル歷史及地理ノ證明スルコト
  ヲ如何ニ致シマセウ、殊ニ又露國ハ久シキ以前ヨリ此間島問題ニ注目シ、我明治三十
  五年駐箚露國公使、「ウエバール」氏ハ時ノ外相李道宰ト露韓境地條約ナルモノヲ締
  結シ、此間島ハ韓國ノ領土タルコトヲ確認シ、而シテ此露韓兩國協治施政ヲ此地ニ
  設ケ、以テ自治團體ヲ作ッタノデアル其上ニ若シ第三位ノ國ニシテ此間島ニ干渉セン
  カ、露國ハ責任ヲ以テ獨リ之ニ當ルベシトノ協約ヲ爲シタノデアル、斯ノ如キ外交上ノ
  一事ヲ以テ見ルモ間島ハ韓國ノ領土タルコト決シテ疑フベカラザルコトデアル、斯ノ如キ明
  ナル實歷實證アルニモ拘ハラズ、我當局ハ荏苒月日ヲ其交涉ニ費シ、殊ニ本員ノ質問
  ニ對シテ、何ト云フテアルカ、目下尙交涉中ナルヲ以テ、未ダ答辯ノ時期ニ達セズト、
  如何デゴザイマセウ、實ニ不得要領ナル、此所ガ卽チ無責任極マル答辯デアル固ヨリ外
  交ノコトハ祕密ナルハ勿論ナレドモ、交涉是マデノ經過位ハ政府自ラ進ンデモ之ヲ說明ス
  ルハ國民後援ノ原法デアル、若シ萬一公會ニ於テ之ヲ說明スルヲ憚ルナラバ、我輩等ハ不
  本意ナガラ祕密會ナリトモ開イテ之ヲ說明スルコソ國民ニ對スル當局者ノ義務デアルト
  思フ、然ルニ其交涉ノ時期云ケヲ以テ屈讓的外交ヲ掩ハントスレドモ、其答辯ノ時機
  ニ達スル頃ハ此間島問題モ我ニ取リテハ卽チ「ゼロ」的外交ニ終ルナラン、剩ヘ世間ノ云
  フガ如ク間島ノ全土ヲ舉ゲテ彼ニ讓與シ、他ニ相當ノ利權ヲ得ルコトナクンバ、何ヲ以
  テ我國保護ノ下ニアル韓國ニ見エントスルカ、我國民ノ多數ニ於テコソ毫モ意ニ介セザル
  如クナレドモ、歐洲各國ニ於テハ日米關係ト云ヒ、日〓ノ關係ト云ヒ、皆是レ重要視
  シ、之ニ對シテ多大ノ注意ヲ拂ヒツヽアリ故ニ一時在外公債ノ低落セシモ、全ク其
  成行ヲ悲觀セル結果ニ外ナラザルノデアル、然ルニ日米ノ關係ハ世人ノ知ル如ク我當局
  者ノ屈讓ニ據リテ、無事ニ其局ヲ結バントシタレドモ、日〓ノ關係ハ如何セン曩ニ外交
  專門家ナル望月君ノ云ヘル如ク、彼ノ〓鹽問題アリ、鴨綠江森林問題、鑛山事件
  漁業公司事件、鐵道問題及此問島問題ガアル、就中此間島問題及鐵道問題ノ如
  キハ內外國民ノ最モ重要視スル問題デアル、又日韓兩國ノ此間島方面ニ對スル經
  濟觀ハ如何、本年四月一日ニハ不凍港トモ謂フベキ彼ノ〓津港ハ開港セラルヽニアラ
  ズヤ〓津ヨリ會寧ニ至ル輕便鐵道ハ諸君ノ御承知ノ通リ既ニ敷設セラレ、而シテ之
  ヲ改築シテ本鐵道ニスルハ容易ナルコトデアル、然ラバ韓國東海ノ產物及其陸產物ハ
  何レノ〓ニ集メ、何レノ地、何レノ道ヲ經テ北滿洲ニ輸出スルカ、日本北海ノ產
  物及遠キ樺太ノ產物ハ何レノ港ニ蒐集シテ、吉林及哈爾賓地方ニ出ス
  カ、卽チ間島ノ地ハ此經濟上ノ一大倉庫一大關門デアル、間島ハ諸君
  知ラルヽ如ク鑛山森林ニ豐富タリ、百年ノ肥料ハ積ンデ地盤百層ヲ成スケレドモ、境
  界定ラザル地ニ何ヲ以テ之ニ放資スル者ガアリマセウ、ノミナラズ聞ク浦鹽港ハ、近ク自
  由港ノ噂ガアル日韓東北海ノ產物ハ一ニ此ノ、〓津間島ニ據ラナケレバナラヌ、又軍
  事上ヨリ見マスレバ長白山ノ山脈ハ、恰モ以、佛國境ノ「アルブ」山デアル、若シ諸君モ御
  承知ノ通リ、鹿島ハ如何、既ニ露國ニ橫奪セラレタルニアラズヤ、「ポセット」ノ大砲臺ハ
  間島ノ眼下ニ在リ、僅ニ三日里內ニ在リ、李朝ノ大祖成柱ガ、能ク五百年ノ大業ヲ
  今日ニ遺シタルモ、亦此間島ニ在リ、北滿洲及哈爾賓ノドテッ腹ヲ突クモ亦此間島ノ
  掌ノ裡ニアルノデアル、諸君二十七八年ノ戰役ハ何ノタメデアリマセウ、三十七八年ノ
  大戰爭ハ如何ナルタメデアル、我日本ガ血ヲ流シ屍ヲ積ミ財ヲ費シ韓國ノ獨立ヲ扶植
  シ而シテ我大帝國保護ノ下ニ置キシハ如何ナルタメデアリマセウカ、實ニ東洋平和ノ
  タメナリト斷言スルモ憚ラヌトコロデアルト私ハ思フノデアル、而シテ諸君我日本國保護
  ノ下ニ置カレタル韓國ノ現況ハ目下如何ナル程度マデ進メツヽアルヤ、其內政ノ秩序安
  寧ハ如何ナル〓マデ進ミ治リアルカ、我國經濟ノ許サルヽ限リニ於テハ、是ガ機關ヲ設
  備シ之ヲ整理シツヽアルニモ拘ハラズ、獨リ最モ大切ナル其被保護國ノ國境ニ關シ、其
  解決ヲ見ル能ハザルハ、日本帝國ノ威信上實ニ遺憾ニ堪ヘザル次第デアリマセウ、固
  ヨリ各國間ニ於ケル保護關係ハ勿論保護條約ヲ以テ其原始ト爲スガ故ニ、其相互
  國間ニ於ケル權利義務ハ場合ニ依リテハ多少ノ差違アリト雖モ決シテ片務的ノモ
  ノデナイ、必ズヤ雙務的ノモノデアル、果シテ然ラバ韓國ハ我日本ノ威信ニ飽マデモ信賴
  シ、其ノ生命其財產其他萬般ノ事ヲ舉ゲテ之ヲ我保護ノ下ニ置イタノハ何ノタメデア
  ル、斯ル實歷實證アル國境問題ニ關シ遷延未ダ解決ヲ見ル能ハズ、否ナ見ル能ハザルノ
  ミナラズ、斯ル實歷實證アル其全地ヲ舉ゲテ對手國へ讓與セントスルニ於テハ保護國
  ト賴ム韓國ハ其間ニ如何ナル感想ヲ惹起スベキヤ、韓國人民ハ諸君ガ知ラレル如クニ
  最モ猜疑心ニ深キ人民デアル、且鞏固ナル意思ヲ有スルモノニアラズシテ、恰モ娼妓ノ
  情人ニ向ッテ普通ノ起誓證文ヲ認ムル如クデアル、斯ル狀況ナルコトヲ知ッタナラバ如
  何ナル意思ヲ有スルニ至ルヤ、諸君、彼ノ密使事件ノ如キハ最モ近キ例證デアル、將又
  從來ノ實歷ニ徵スルモ、或ハ〓ニ結ビ、或ハ佛ニ誓ヒ、或ハ露ニ通ジ、或ハ米ニ媚ルガ
  如ク、普通ノ意思ヲ以テ之ヲ判斷スルコトガ出來ヌ人民デアル、要スルニ諸君、此問題
  ノ解決ノ遲速ハ直接ニ韓國統理上輕々ニ看過シ能ハザルトコロノモノデアル、軍事上ヨ
  リ見ルモ、經濟上ヨリ見ルモ、韓國保護上ヨリ見ルモ、亦東洋平和ノ見地ヨリスルモ、
  此間島ノ得失如何ハ眞ニ日韓兩國ニ取リ實ニ一大重要ナル問題デアル故ニ吾々國
  民トシテ一日モ早ク十分ナル解決ヲ見ント欲スルトコロデアル、故ニ玆ニ再ビ質問ヲ提
  出シテ以テ當局大臣ノ十分ナル答辯ヲ請ハントスルトコロノモノデアリマス、終リニ臨ンデ
  諸君、當局大臣ハ世界有數ノ大外交家デアル、故ニ其解決ノ結果タルヤ前段ニ述ベ
  タル正當ナル理由ト、其實證トヲ提ゲ、其對手國ニ反省セシメ、日韓兩國民ニ對シテ滿
  足ナル結果ヲ與ヘラルルコトハ信ジテ疑ハザルトコロナレドモ、曩ニ外交専門家タル望月
  君ノ質問ニ對スル答辯演說中ニ、外交ノコトハ雙方ノ不滿足ヲ以テ完全トナスガ如キ、
  外交家ノ浮說ヲ聞キ、之ヲ外交大家ノ格言ナリト信ジ、外交ノ妙所ヲ誤マラレザランコト
  ヲ希望スルノデアリマス、サナキダニ諸君、列國ハ日本ノ外交ハ君子的外交トノ稱讚ア
  ル今日ニ於テ、重ネテ君子國ノ名稱ニ背カザルトノ稱讚ヲ再ビ受ケザルヤウニ、豫メ御祭
  リ的ノ外交-外務大臣ニ請フノデアリマス(拍手起ル)

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• 011・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　大竹貫一君
  〔大竹貫一君登壇〕

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• 012・大竹貫一

  ○大竹貫一君　今日ノ場合如何ニモ質問テ諸君ノ御邪魔ヲスルヤウニ見エマスガ私ノ
  問ハント欲スルコトハ極メテ簡單デアリマスカラ、數分時間割愛サレンコトヲ希望致シマス
  私ノ當局ニ問ハント欲スルモノハ、先般全國ノ商業會議所ノ諸君ガデス此東京ニ於キ
  マシテ臨時聯合大會ヲ開カレマシタ、而シテ此臨時大會ノ席上ニ於キマシテ增稅ニ反
  對ノ決議ヲ發表サレマシタ、其增稅反對ノ決議ヲ發表サルルコトニ付キマシテ、當局者
  ハ如何ニ感ゼラレマシタカ、之ニ不當ノ干渉ヲ施サレタト云フコトヲ私ハ承知シタノデアリ
  マ、而シテ商業會議所ナルモノハ各〓其法律ニ定メタトコロノ範圍ヲ脫スルコトガ出來
  ヌモノデアル、然ルニ此商業會議所ノ決議ナルモノハ如何ニモ穩デナイ、其〓ハドウ云云
  コトデアルカト申シマスレバ斯ウ云フコトガ決議文ニ書イテアルノデアリマス「是レ決シテ
  商業會議所ノ本分トシテ獨リ商工業者ノ利害上ヨリノミスルニアラズ國家經濟ノ大局
  ニ鑑ミ國民全體ノ休戚ニ付キ至誠ノ情實ニ忍ビザルモノアレバナリ」斯ノ如キコトヲ商業
  會議所ハ決議致シマシテ、法律ノ許ス範圍ニ於キマシテ當局ニ建議モシ、又私共ノ衆
  議院或ハ貴族院ニ向ッテ請願ヲシタノデアリマス、何故ニ當局者ハ商業會議所ノ此意
  見ニ付テ範圍ヲ脫シタモノデアル、不埒ナルモノデアルト云フ考ヲ我當局者ハ持タレタモ
  ノデゴザイマセウカ、此不當干涉ナルモノヽ理由ヲ私ハ承リタイノデアリマス、而シテ第二
  ニ問ハント欲スルトコロノモノハ、此商業會議所ノ聯合會ニ出席スルタメニ全國各地ヨ
  リ商業會議所ノ總代ガ上京サレタノデアリマス、此總代ナルモノニ向ヒマシテ、官吏ガ知
  合ノ者ヲ派遣ヲ致シマシタリ、或ハ刑事巡査ヲ出シマシテ尾行セシメル、斯ノ如クニシテ
  暗々裡中ニ牽制ヲ致シマシテ、早ク東京ノ地ヲ去ラレタ方ガ宜イヂヤナイカト云フ如キ感
  想ヲ起サシメタト云フ如キ事實ガアルノデアリマス、私共ノ如キ平生政治舞臺ノ局面ニ
  立チマシテ、政府ニ反對ヲスルコトヲ致シマス者ハ構ヒマセヌガ、彼ノ實業家ノ如キモノハ
  刑事巡查ニ尾行サレマス如キハ餘程異常ナル感想ヲ起スノデアリマス、抑と何故ニ斯
  ノ如ク政府ガ不當干渉ヲ爲シタコトデアリマスカ、此一箇條モ聽キ得タイノデアリマス、
  而シテ今一箇條ハ明日卽チ五日ニ於キマシテ全國ノ實業ノ團體ノ方々ガ、東京ニ於テ
  尙增稅ニ反對ノ意思ヲ表明スルタメノ會合ト云フモノガアルサウデアリマスガ、此實業組
  合團體ノ箇々別々ニ付キマシテ、當局者ガ御前ハ明日五日ノ會議ニ出席スルヤ否ヤト
  云フコトヲ戶別ニ就テ問ハルルコドデアリマス、丁度恰モ藩閥政府ガ議會ヲ解散シマシ
  タ曉ニ、總選舉ニ當リマシテ施スベキ處置ヲ今日ノ內閣ガ執ラルルコトハ、果シテ如何
  ナル趣意ニ基クモノデアリマセウカ、今申上ゲルトコロノ三箇條ト云フモノハ吾〓帝國
  臣民ガ憲法ニ依ッテ保障サレマシタル言論集會デアリマス、此言論集會ノ自由ナルモノ
  ハ最モ帝國臣民殊ニ此憲政有終ノ美ヲ濟サンコトヲ標榜セラルルトコロノ今日ノ內閣
  ハ大ニ尊重サレネバナラヌコトト私ハ信ジマス、若シモ斯ル不當干涉ヲサルヽコトデアリ
  マシタナラバ來ル總選擧ニ於キマシテモ、今ノ內閣ナルモノガ干渉セヌト欲シマシテモ此
  疑ヲ解クコトハ到底出來マスマイト思ヒマス、是ハ我ガ憲政有終ノ美ヲ標榜セラルル內
  閣ノタメニ深ク惜ムコトデアリマスカラ、幸ニ今日ハ當局者タル內務大臣ガ出席デアリマ
  スカラシテ、速ニ此辯解ヲ與ヘラレマシテ、是等ノ疑ヲ解カレンコトヲ切ニ希望スルノデアリ
  マス
  〔農商務大臣松岡康毅君登壇〕

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• 013・松岡康毅

  ○農商務大臣(松岡康毅君)　唯今ノ御質問ニ御答致シマスルガ、聯合會議所ノ決
  議ニ對シテ農商務大臣ハ不當ニ干渉シタルコトハ少シモアリマセヌ

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• 014・大竹貫一

  ○大竹貫一君　內務大臣ニ伺ヒマス、集會ノコトヲ···
  〔內務大臣原敬君登壇〕

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• 015・原敬

  ○內務大臣(原敬君)　唯今ノ大竹君ノ御質問ノ一半ハ內務省ニ關係ヲ致シマスカ
  テ、私ヨリ答辯ヲ致シマス、聯合會參列ノタメニ上京ヲ致シタ者ニ官吏ヲ派遣シタリ、
  刑事巡査ヲ尾行セシメタノハ、ドウ云フ譯カト云フ御說デアリマスガ、モウ一ツノ聯合會云
  云ト云フ、次ニアルノトハ何レモ是ハ何カノ間違デアリマセウ、新聞紙ナドニハチヨイ
  左樣ナルコトヲ書イテアリマスカラ、或ハ左樣ナル御疑ガ起ッタコトカモ知レマセヌ、是ハ篤
  ト御調査ヲ願ヒタイ、政府ニ於テハ決シテ聯合會ニ出席ノモノニ付テ官吏ヲ派遣シ若
  クバ刑事巡査ヲ尾行サシタコトハアリマセヌ又實業組合聯合大會トカ申シマスモノヲ
  明日開クト云フコトデアリマス.之ニ付キマシテモ警察官ヲ各組合員ニ就テ出席ノ有無
  ヲ聽イタナドト云フコトハ有リ得ベカラザルコトデ、殊ニ組合員ノ數ニ付テ御考ニナリマ
  シテモ、斯樣ナルコトハ警察官ガ何千人アリト雖モ出來ナイト云フコトヲ御承知ヲ願ヒタ
  イ要スルニ何カノ誤聞デアラウト思ヒマス、尤モ明日聯合會ヲ致スニ付キマシテ、若モ
  是ハ唯組合員ガ集ヲテ相談ヲ致スニアラズシテ、政談ニ涉ルヤウナコトガアリマシテハ、相
  當ノ手續ヲ致サナケレバナラヌコトハ、明カナコトデアリマス若シ其相當ナ手續ヲ致サナ
  ケレバ、法律上ノ制裁ヲ加ヘナケレバナラヌコトハ、勿論デアリマスカラ、或者ヲ呼ンデ注
  意ヲ與ヘタト云フコトハ事實デアリマス、組合員相當ノ會議ヲスルナラバ差支ナイガ、若
  シ誤ッテハイカヌト云フコトヲ、警視廳カラ注意ヲシタトー云フコトハ事實デアリマス、是等
  ノ事ヲ聞傳ヘテ世間デ何カ干涉ガマシイコトヲスルト云フ疑ヲ懷イタノカモ知レマセヌ、明
  日聯合會ヲ開クニ付、干涉スル意志ノ無イコトハ明カデアリマス要スルニ是ハ誤聞ト
  考ヘマス、篤ト事實ヲ御調査ニナリマシタナラバ、自ラ了解スルノデアラウト思ヒマス

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• 016・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　日程ニ移リマス、日程第一鐵道敷設法中改正法律案第一
  讀會、議案ノ朗讀
  第鐵道敷設法中改正法律案(政府提出)第一讀會
  (書記朗讀〕
  鐵道敷設法中改正法律案
  鐵道敷設法中左ノ通改正ス
  第二條第一項中近畿線ノ部第四號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
  三重縣下山田ヨリ鳥羽ニ至ル鐵道
  第七條第一項中第十三號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
  近畿豫定線ノ內三重縣下山田ヨリ鳥羽ニ至ル鐵道
  同項中第十五號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
  -九州豫定線ノ內福岡縣下小倉ヨリ大分縣下大分、宮崎縣下宮崎ヲ經
  テ鹿兒島縣下鹿兒島ニ至ル鐵道中大分縣下宇佐ヨリ大分ニ至ル鐵道
  第九條中「壹億貳百萬圓」ヲ「一億千三百五十萬圓」ニ改ム

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• 017・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　遞信大臣
  〔遞信大臣原敬君登壇〕

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• 018・原敬

  ○遞信大臣(原敬君)　唯今日程ニ上リマシタトコロノ法案ニ付テ、簡單ニ說明致シ
  マスルガ、是ハ極メテ事實ノ明瞭ナル且簡單ナル問題デアリマス、卽チ私設鐵道中ニ政
  府ノ國有ニ爲サヌ前ニ經營致シテ居ッタトコロノ事ヲ、政府デ是カラ經營致スコトニナリ
  マスルカラ、從ッテ此改正ヲ要スルノデアリマス、又其費用ノ〓ニ付キマシテモ法律上決
  定致シテ居リマストコロノ額ニ達シテ居リマスルカラ、此以上ノ仕事ヲ致スニ付キマシテ
  ハ公債ノ額ヲ卽チ財源ヲ增加致サナケレバナラヌ次第デアル、此財源ヲ將來ニ向ッテ
  著シク增加致スト云フ次第デモアリマセヌガ、此線路ニ向ッテ相當ナル資本ヲ投ズルダケ
  ノ必要ナル部分ノ改正ヲ要スルノデアリマスカラ、御審査ノ上御協賛ヲ願ヒマス

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• 019・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　別段御質問モナイヤウデゴザイマスルデ次ニ移リマス、日程第
  ニ、右議案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ選擧
  第二右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉

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• 020・元田肇

  ○元田肇君　二十七名ノ委員ト致シマシテ、議長指名アランコトノ動議ヲ提出致シマ
  ス

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• 021・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　元田君發議ノ如ク、二十七名ノ議長指名ノ委員ニ付託スル
  ト云フニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

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• 022・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、日程第三、國有林野法中改正法
  律案第一讀會議案ノ朗讀
  第三國有林野法中改正法律案(政府提出貴族院送第一讀會
  付
  〔書記朗讀〕
  國有林野法中改正法律案
  國有林野法中左ノ通改正ス
  第二十六條中「及沖繩縣」ヲ削リ左ノ一項ヲ加フ
  沖繩縣ノ國有林野ノ貸付、使用及賣拂竝其ノ產物ノ處分ニ關シ必要アル
  場合ニ於テハ勅令ヲ以テ特例ヲ設クルコトヲ得
  附則
  本法ハ明治四十一年七月一日ヨリ之ヲ施行ス

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• 023・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　農商務大臣
  (農商務大臣松岡康毅君登壇〕

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• 024・松岡康毅

  ○農商務大臣(松岡康毅君)　本案ハ御聽ノ通リ一行餘リシカナイ誠ニ短イ案デアリ
  マリ、其內容ハ沖繩縣ノ杣山ト申シマスルモノハ從來處理致シマスルトコロガ、國有
  林野ノ處分法ト別ニ致シマシテ、其地ニ從來ノ慣行等ニ依リマシテ、先ヅ謂ハヾ適宜ノ
  處置ヲ致シテ居リマシタト申スノハ所屬等ニ付テ調査ガ行屆カナカッタガタメニヽ斯ノ通
  リデアリマシタ、所ガ、一昨年カラ杣山處分ト云フモノヲ致シマシテ、段々片付イテ參リ
  マシテ、最早民有ニ屬スベキモノト、國有ニ屬スベキモノヽ區分モ立チマシタコトデゴザイ
  マスルノデ、ソレ故ニ之ヲ管理スル方法卽チ內國ノ山林ト同一ノ管理方法ニ大體移ス
  方ガ宜イ、ソレカラ其中幾分ハ例外ヲ設ケヌケレバ處分スルトコロニ於テ差支ガアル故
  ニ勅令デ例外ヲ設ケルコトヲ得ルト申スコトヲ設ケタダケノコトデゴザイマス、誠ニ簡單ナ
  モノデアリマスシテ貴族院モ極ク速ニ通過ヲ致シマシタコトデゴザイマスカラ、本院ニ於
  キマシテモ宜シク速ニ御贊成アルコトヲ希望致シマス
  別段御質問モナイヤウデスカラ、次ノ日程ニ移リマス、日程第

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• 025・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　四右議案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ選舉
  第四右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選擧

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• 026・元田肇

  ○元田肇君　議長指名ノ丸名ノ委員ニ付託アランコトヲ希望致シマス

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• 027・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　元田君發議ノ通リ、九名ノ議長指名ノ委員ニ付託スルコト
  ニ御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

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• 028・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス

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• 029・鈴置倉次郎

  ○鈴置倉次郞君　議長-緊急動議ガアリマス

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• 030・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　鈴置倉次郎君-登壇ヲナサイ
  〔鉛置倉次郞君登壇〕

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• 031・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　簡單ニ要領ヲ御述べニナルヤウニ··

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• 032・鈴置倉次郎

  ○鈴置倉次郞君　本員ハ玆ニ緊急動議ヲ提出致シマス、朗讀致シマス、「本日ノ議
  事日程第五號ヨリ第十號ニ至ル議案ノ議事ハ四十一年度總豫算議決ノ後マデ之ヲ
  延期ス」···

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• 033・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　暫ク御待チ下サイー唯今鈴置倉次郞君ヨリ本日ノ議事
  日程第五號ヨリ第十號ニ至ル議案ノ議事ハ、四十一年度總豫算議決ノ後マデ之ラ
  延期スト云フ緊急動議デアリマスル、是ハ增稅案ノ先決問題デアリマスルデ、之ヲ會議
  ニ附シマス

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• 034・長谷場純孝

  ○長谷場純孝君　議事日程ノ變更ノ緊急動議デゴザイマスカ

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• 035・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　先決問題デアリマスカラ、變更ニハ及ブマイト思フノデゴザイマ
  ス
  〔「ヒヤ〓〓」ト呼フ者アリ〕

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• 036・長谷場純孝

  ○長谷場純孝君　免ニ角緊急問題デゴザイマセウ

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• 037・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　左樣デス

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• 038・長谷場純孝

  ○長谷場純孝君　其緊急問題ノ趣旨ハ今御朗讀ニナッタ通リト承知シテ宜シウゴザイ
  マスカ

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• 039・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　左樣デス(「說明ヲシ給ヘ」ト呼フ者アリ)今說明ヲ聽イテ居ル
  トコロデアリマス

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• 040・長谷場純孝

  ○長谷場純孝君　說明ヲ聽イテカラ反對ト云フコトヲ述ベマス

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• 041・鈴置倉次郎

  ○鈴置倉次郞君　抑〓此增稅諸法律案ハ四十一年度ノ豫算議了後ニ於テ議スベキ
  ガ正當ノ順序ト本員ハ考ヘルノデアリマス、總豫算ハ今尙豫算委員ノ手ニ在ッテ未ダ議
  了ニナッテ居ラヌ、吾ミハ此四十一年度ノ豫算ニ對シテ割減又ハ査定スベキ權能ヲ今
  尙保留シテ居ルノデアリマス、四十一年ノ豫算ニ於キマシテ、政府ガ示ストコロノ四百
  九十一万圓ト云フ此金額ガ、卽チ此不足額ト云フモノガ、豫算ニ於テ削減セラレタナ
  ラバ吾ミハ此增稅ノ必要ヲ少シモ認メヌト思フノデゴザイマス、(「ヒヤ〓〓」「ノウ
  ノウ」ト呼フ者アリ)吾ミハ四十一年度ノ豫算ニ於キマシテハ削減ノ餘地ガ十分アルモ
  ノト確信シテ居ルノデアリマス(「ヒヤ〓〓」「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ)ノウ〓〓ト言ハレ
  ルトコロノ御味方黨ノ諸君ハ政府ノ提出ニ係ルトコロノ豫算ハ神聖ニシテ一厘モ削減ス
  ルコトガ出來ヌト御承知ニナルカハ知リマセヌガ、吾ミハサウト考ヘテ居ラヌノデアリマス、
  明從デアルカ盲從デアルカハ知リマセヌガ、免モ角一厘モ減ジナイト云フ精神ヲ以テ、此議
  案ヲ議シヤウト云フ御考カ知リマセヌガ、吾〓ハサウハイカヌ(「理由ヲ言給ヘ」ト呼フ者ア
  リ)理由ヲ言ウテ居ルノデアル、殊ニ最モ怪シムベキハ此議案ハ昨日夕刻ニ至ッテ漸ウ〓〓委
  員會ヲ通過シタノデアリマス、卽チ議事錄ト云フモノモ今尙一般ニ配付ノ出來ヌ位デアリ
  マス(「配付シテアル」ト呼フ者アリ)旣ニ配布セラレタナラバ、未ダ一讀ノ餘地ナキ今日ニ
  於テ、咄嗟ノ間ニ議定セラルヽハ如何ナル必要ニ依ッテセラルヽノデアルカ、或ハ言フ政府
  若クハ御味方黨ノ諸君ハ民間ノ輿論ヲ-反對ノ輿論ヲ恐レテ咄嗟ノ間ニ不意討ヲ
  スル御考デアルト云フコトデアル(「ノウ〓〓」ト呼ヲ者アリ)其證據ハ現ニ內務大臣ガ此
  處デ言言テテル、明日ノ實業大會ニ對シテ注意ヲシタト云フ、何故ニ法律ニ反イテナラ
  ヌト云フ注意ノ必要ガアルカ、ソンナ馬鹿ナコトヲスル內務大臣ガ何處ニアルカ、法律ニ
  反イテナラヌト云フ注意ヲシテ居ッタナラバ、年中日モ尙足ラズデアル、ソンナ馬鹿ナ注意
  ヲスル人ガ何處ニアルカ、是レ卽チ狼狽ノ證據デアル(「貴樣ガ狼狽シテ居ル」ト呼フ者ア
  リ)增稅ノ不意討ハ恐入ッタモノデアル平素立憲ヲ口ニセラルヽトコロノ似テ非ナル政
  友會ハ國民ニ對シテ實ニ不注意デアル、不親切デアル(「何ガ不注意ダ」ト呼フ者アリ)
  不親切デアルト吾〓ハ考ヘル、何故ニ不意討ヲシナケレバ此通過ハ出來ヌカ、何故ニ
  整々堂々熟考ノ餘地ヲ與ヘテ議事ニ上セナイノデアルカ、吾〓ハ前申ス如ク、此ノ諸法
  律案ハ四十一年度ノ豫算ニ於テ歲入歲出ノ「パランス」ヲ確定致シタ後ニ、若シ不足ガ
  アレバ增稅案ノ議事ニ移クテ宜シイ、然ルニ豫算結了ニ至ラザル今日ニ於テ之ヲ議事ニ
  附スルコトハ順序ヲ誤ッタモノト思ヒマスカラ延期ヲ願ヒタイ、大同倶樂部ノ諸君モ是ハ
  否決ヲスルノデナイ、延期ヲスルノデアルカラ、御贊成ヲ願ヒタイ
  〔「各自ノ意見ニアル」ド呼フ者アリ〕

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• 042・長谷場純孝

  ○長谷場純孝君　私ハ極ク簡單ニ反對ノ意見ヲ述ベマス(「ユックリヤリ給ヘ」ト呼フ者
  アリ)ユックリヤルダケノ必要ガナイ「本日ノ議事日程第五號ヨリ第十號ニ至ル議案ノ議
  事ハ四十一年度豫算議決ノ後マデ之ヲ延期ス」提出者鈴置君カラノ御說明モ承リマ
  シタガ、是マデノ慣例ニ依リマシテモ、增稅ノアル場合ニハ增稅ノ法律案ト豫算案ト相
  伴ウテ提出セラレ、而シテ此法律案ヲ豫算案決議前ニ議定シタ慣例ハ幾ラモゴザイマ
  ス、又順序ヨリサウスベキコトト考ヘマス(「ノウ〓〓」又「ヒヤ〓〓」ト呼フ者アリ)故ニ殘
  念ナガラ鈴置君ノ此緊急動議ニハ反對致シマス
  (「採決」「討論終結」ト呼フ者アリ議場騷然〕
  〔加瀨禧逸君登壇)

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• 043・加瀬禧逸

  ○加瀨禧逸君　諸君、私ハ此鈴置君ノ說ヲ維持スベク(「討論終結」ト呼者アリ議場
  騷然)院內總理長谷場君ニ反對致シマスタメニ玆ニ諸君ノ〓聽ヲ顧ヒマス(議場騒
  然)議長、アノ邊ニ居ル人ガ徒ラニ喧騒ヲ極メテ居リマスガ故ニ、暫ク御制止ヲ頴ヒタ
  イノデアル、私ハ今日ノ鈴置君ノ提案ニ對シテ院中何人カ異議ナカラント思ヒシニ、豈
  圖ランヤ政友會ノ總理ヲ以テ隱然目セラレテ居ル長谷場君ニ於テ、此反對ノ聲ヲ聞
  カントハ思ハザリキ、此增稅案ノ如何ハ豫算ノ如何ト大關係ヲ有ツノデアル、而シテ
  此豫算ト云フモノハ一年ノ歲計ノ計畫デアルガ故ニ、此歲計ノ計畫ヲ立テヽ後ニ增稅
  ヲ決スルガ當然ノ順序デアル若シ夫レ今日ノ歲出ノ豫算ニ於キマシテ幾分カ削減セ
  ラレ、否ナ、此增稅ニ依ッテ議スベキ歳入ノ不足ヲ認メナイ事情ニ立至ッタナラバ、此增
  稅案ヲ議スル必要ハ無イノデアル、凡ソ政府ガ歲計ヲ豫算スルニ當リマシテハ、私ガ云フマ
  デモナク出ルヲ量ッテ入ルヲ制スルガ當然デアル先ヅ出ルコトヲ見テ而シテ此收入ノ減
  ヲ見ルガ當然デアル、之ヲ言換ヘレバ逆サニ一云フモノガアルカモ知レヌガ、今日ノ如キ事
  情ニアッテ、國民ガ最モ此財力ニ乏シク、而シテ重稅ニ苦ミツヽアル今日ニ當リマシテ
  ハ、諸君ハ須ラク歲計ノ上ニ於テ節スベキハ節シ、民力ヲ休養スルニ努ムベキデアル、然
  ルニ此豫算ヲ議事ニ附シテ、豫算ノ經過ヲ俟タズシテ直チニ增稅ヲ決スルトハ何事デア
  ル、何トナレバデス、此今日ノ場合ニ於キマシテ民ノ休戚ヲ知リ、國民ノ利害ヲ思フノ
  rink563
  議員ハ須ラク政府ニ向ッテモ當路者ニ向ッテモ忍ブガ上ニ忍ンデ貰ヒタイ、節約スルガ上
  ニモ節約シテ貫ヒタイト云フノガ當然デアル、之ヲ先ニ致シマシテ、而シテ此歲計ノ上
  於テ遺憾ナガラ吾ミガ負ケタナラバ、其場合ニ於テ增稅ノ必要モゴザイマセウ、併ナ
  ガラ今此處ニ於テ咄嗟ニ增稅案ヲ議スルノハ豫算ノ議定權ヲ衆議院ニ預ケナガラ豫算ノ
  上ニ一厘一毛ノ削減モ與ヘナイト云フニ等シキモノデアル、斯ノ如クンバ政府ト云ヒ諸
  君ト云ヒ此豫算ノ上ノ議定權ハ何ノタメニ與ヘラレテ居ルカ、此識定權ヲ喪失セントス
  ルガ如キハ政友會ノ諸君ノタメニ私ハ悲マザルヲ得ヌ、私ハ此場合ニ於キマシテハ諸君
  ガ誠意誠心憲政擁護ノ上ニ力ヲ注イタナラバ先ヅ此モノヽ順序ヨリ此豫算ヲ確定
  シテ、後チ議スルコトガ當然デアルト思フ、ソレ故ニ長谷場君ニ敢テ勸ムルノハ、唯今ノ
  動議ハ院內首領ノ面目ヲ維持スル上ニ於テ御撤囘ヲ希望致シマス
  (「討論終結」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=43

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• 044・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　討論終結ノ聲ガアリマスガ、討論終結ニ御異議ハゴザイマセヌ
  カ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=44

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• 045・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマスー-採決致シマス-此鈴置倉次
  郞君ノ動議ハ、此日程第五ヨリ第十ニ至ル增稅案ニ關聯スル議案ノ議事ヲ延期スルト
  云フトコロノ動議卽チ此先決問題ニ贊成ノ御方ノ起立ヲ願ヒマス
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=45

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• 046・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　少數デアリマス、鈴置君ノ先決問題ハ否決セラレマシター
  チヨット御諮リ申スコトガアリマス、日程第五ヨリ第十ハ同一委員ニ付託シテアリマスルノ
  デ、一括シテ報告サセマス、栗原亮一君
  第五酒造稅法中改正法律案(政府提出)第一讀會ノ續(委員長
  報報
  第六酒精及酒精含有飮料稅法中改正法第一讀會ノ續委委
  律案(政府提出)二四番
  第七麥酒稅法中改正法律案(政府提出)第一讀會ノ續報報(電話本局二四)
  第八砂糖消費稅法中改正法律案(政府第一讀會ノ續我聽我的
  提出)/報告
  第九石油消費稅法案(政府提出)第一讀會ノ續(委員長)
  /報告
  第十關稅定率法輸入稅表中改正法律案第一讀會ノ續(委員長)
  (政府提出)報報
  〔栗原亮一君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=46

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• 047・栗原亮一

  ○栗原亮一君　地租條例中改正法律案外二十九件ノ審査ヲ特別委員ニ付託サレマ
  シタガ、其中增稅ニ屬スルモノト、稅法整理案ニ屬スルモノト、此二ニナッテ居リマス、數
  多ノ議案デアリマシテ、且四十一年度ノ追加豫算ガ旣ニ提出ニナッテ居リマシテ、是ガ
  增稅案ト關聯シタルトコロノ豫算デアリマス因テ此三十件ノ中增稅ニ關係シタモノダ
  ケヲ拔イテ、之ヲ先キニ審査スルコトニ致シマシテ、整理案ニ屬スルトコロノモノハ後トニ審
  査ヲ讓ルコトニシタノデアリマス、茲ニ報告致シマスノハ增稅ニ關スル議案ダケニ付テ審査
  ヲ終ヘタノデアリマスカラ、整理案ノ方ハ審査ノ結了シタ後ニ於テ更ニ報告ヲスル手續
  ニナルト思ウノデアリマス、先ヅ玆ニ御報告申スハ增稅案ダケニ付テノ審査ヲ報告致スノ
  デアリマス、
  此委員會ハ四囘程開キマシテ愼重ノ調査ヲ致シタンデアリマス、イロ〓〓此
  增稅案ニ付キマシテ反對論ガアリマシタガ、其要〓ハ今年度ニ於テ增稅スルノ必要ガナ
  イ是ガ反對論ノ骨子デアリマシタ、前議會ニ於キマシテ四十年度豫算ヲ議スルニ當ッ
  テ、翌四十一年度ノ豫算ニ於ケル財源ヲ如何ニスルカト云フコトガ重大ナル問題ト
  ナリマシテ、其頃豫算委員會ノ報告ヲ致シタンデアリマスガ、其時四十一年度ノ財源ヲ
  如何スルト云フノ問題ガ起リマシテ、卽チ此四十年度ニ於キマシテハ臨時軍事費ノ剰
  餘金ノ繰入ガ、一億圓アリマシタノデ、四十年度ハソレデ宜シイガ、併シ四十一年度ニ
  ナッタ時分ニハ、旣ニ臨時軍事費ノ剩餘金ハ何時マデモアルモノデナイカラ、之ニ代ルベ
  キ約一億圓ノ財源ガアルヤ否ヤ、是ガ問題ニナッテ當時此代リ財源ノ凡ソ見込ノアルコ
  トヲ諸君ノ前ニ報告ヲ致シタンデアリマス、其代リ財源ハ俘虜收容費約四千七百万圓、
  三十八年度ニ於テノ剩餘金約五百万圓、臨時事件費ノ剩餘金約三一千万圓、三十九
  年度ノ歲入豫算ニ對シ實收超過見込額、卽チ其收入ノ見込立テ方ガ確實過ギルカラ
  豫算以外ニ收入ノ殖エルモノガ約三千二百万圓アルデアラウ、之ヲ合セテ一億千四百万
  圓位アルカラ四十一年度ニ至ッテ四十年度ノ如ク臨時軍事費剩餘金一億圓ノ繰入
  ガ無クテ代リ財源ガ大體斯ノ如キ見込ガアルカラ、四十一年度ニ於テ決シテ一億圓ノ、
  缺陷ヲ生ズルノ恐ハ先ヅ無イ見込デアル、ト云フコトヲ諸君ノ前ニ報告ヲ致シタノデアリ
  マシタ、若モ此報告ニ致シマシテ、大ナル誤ガアリマシタナラバ、私ハ諸君ノ前ニ對シ責
  任上甚ダ濟マヌノデアリマスカラ能ク審査ヲ致シマシタ、前議會ニ於テ報告ヲ致シタト
  コロノ一億以上ノモノハ固ヨリ大體ノ見込デ、多少ノ相違ヲ生ズルコトハ豫期シテ居ツ
  タノデアリマスガ、此四十一年度ノ財源ニ繰入レタ一億圓以上ノモノハ、前囘報告致
  シタ財源ト大ナル相違ヲ生ジナカッタノデアリマス、卽チ此四十一年度ノ豫算ニ編入サレ
  タ財源中、浮虜收容費ハ四千七百万圓餘ノ見込デアリマシタガ、果シテ四千七百四
  十五万圓アリマシタ、ソレカラ三十八年度ノ剰餘金五百万圓ヲ見積リマシタガ、三十
  九年度ノ剰餘金ハ二千三百万圓餘アリマス、而シテ臨時軍事費ノ剩餘金是モ四千
  九百万圓餘アリマス、昨年ノ報〓ノ時ニハ歲入ノ自然增加ガ凡ソ三千万圓ト申シタン
  デアリマシタガ、四十一年度ノ歲入ニ繰入タ中ニハ歲入ノ自然增加約三千万圓ハ省イ
  テアリマス、此增加ハ必ズアラウケレドモ先ヅ確實ニ見積ルタメニ省イテ見マシテモ、都合
  合セテ一億千九百万圓卽チ昨年ノ豫算ノ時ニ報〓致シタ一億千四百万圓ト云フモノ
  ニ對シ、事實四十一年度ニ繰入ニナッテ居ル財源ハ一億千九百万圓バカリデアリマスカ
  ラ、是ハ昨年申シタ豫想ヨリモ却テ五百万圓バカリ多イノデアリマス、卽チ此事ハ諸君ニ御
  報告申シ上ゲテ、諸君ノ大多數ヲ以テ豫算委員會ノ報告通リ成立ッタノデアリマシタガ、
  此事ハ昨年申シタコトト違ハヌト云フヨリ、寧口五百万圓モ增加シタノデアリマスカラ、諸
  君ガ此財源ヲ見込ンデ豫算ヲ協贊ナサレタノハ決シテ盲從デナカッタト云フコトガ△ヲニ於
  テ事實明カニナルノデアリマス、旣ニ其四十一年度ノ財源、一億圓バカリノ財源ガアッタノ
  テアリマス、シテ見レバ四十一年度ニ於テ增稅ノ必要ハナイノデアルガ、何故增稅ノ必要
  ガアルカ、是ガ最モ委員會ニ於テ審識ノ要點トナッタノデアリマス、四十一年度ダケナラ
  バ歲出入ノ權衡ガ附クノデアリマスガ、四十年度ノ現計剩餘金タルベキモノガ約三千三
  百万圓アル、併ナガラ是ハ四十二年度ノ財源ニ充ツベキモノデ、四十一年度ノ-財
  源ニ直ニ繰入使用スルト云フコトノ出來ナイ勘定ニナッテ居ルノデアリマスル、今囘ノ此增
  稅計畫ノ總額ハ約二千万圓デアリマシテ、煙草專賣ノ率ヲ上ゲタタメニ約一千万圓ノ
  增加ガアリマスルガ、之ヲ別ニ致シマシテ增稅ノミニ於テ約二千万圓トナルノデアリマス、
  此二千万圓ノ增稅ト云フモノガ、全部四十一年度ニ於テ收入トハナラヌノデアッテ詰リ
  辛ウジテ其出入勘定ハ合。ツ
  今囘ノ增稅ハ四十一年ダケヲ目ヲ塞イデ渡ルト云フナラバ、
  テ居ルノデアリマスルケレドモ、四十二年度ニ於テ又其以後ニ於テ歲入ニ不足ヲ生ズル
  ト云フコトガ現實ニ分ッテ居ルノデアリマスルカラシテ、是ニ於テ四十一年ニ於テ增稅ノ
  計畫ヲ實行シテ歲入ヲ求ムルト云フコトヲヤラナクテハ四十二年度ニ於テ大ナル缺陷
  ヲ生ズル、增稅ハ其年致シマシテモ直チニ豫定通り取レイ、卽チ消費ヲ大ニ減ズルノ眞
  ガアリマスルカヲシテ、全額ニ於テハ二千万圓取レル計畫ノモノデアリマシテモ、消費ガ減
  ジマスルカラシテ、先ヅ五百万圓ト云フモノハ確實ニ取レヤウト云フ見込ヲ以テ、四十一
  年度ノ財源ニ繰入レテアルノデアリマシテ、僅ニ此五百万圓ダケト云フモノガ四十一年
  度ノ財源ニナッテ居ルノデアリマス、或ハ五百万圓位ナラバ本年ヤラナクテモ宜シイデハナ
  イカト云フ議論ガアッタノデアリマスケレドモ、併シ四十一年度ニ於テ增稅計畫ニ著手シナ
  クテ四十二年度ニ至テ俄ニ此增稅計畫ヲ致スト云フ時分ニハ、大ニ歲入ニ不足ヲ生ジ
  テ增稅ヲ致シテモ四十二年度カラヤッタ時分ニハ、歲入ニ於テ約千六百万圓カラノ不足
  ヲ生ズルト云フ豫定ニナッテ居ルノデアリマス、卽チ今囘ノ增稅ハ四十一年度ノ財源
  ガ不足デアルト云フニ非ズシテ四十二年度以降其歲出入ノ均衡ヲ保タネバナラヌ、卽チ
  財政ノ基礎ヲ鞏固ニスルト云フノ趣意カラ出テ居ルノデアリマスカラシテ、ドウシテモ四十
  一年度ヨリ增稅計畫ニ著手スルヨリ仕方ガナイト云フノガ賛成論ノ趣意デアッタノデアリ
  マス、增稅ト云フコトハ是ハ難有クナイ話デアリマスケレドモ、國家財政上已ムコトヲ得ズ
  シテヤルノデアリマス併シ又國民ハ現在此負擔ノ上ニ負擔スルト云フノデアルカラシテ、政
  府ニ於テモ必要ノ事業デアルケレドモ、出來得ル限リ又出來ヌ所迄モ忍ンデ此事業ヲ繰
  延ヲ致シ、官民共ニ相忍ンデ此財政ノ計畫ヲ立ツルト云フノ趣意ニナッテ居ルノデアリマ
  シテ、一方ニハ增稅ヲ煙草ト共ニ合セテ三千万圓ス計壹致シ、サウシテ又一方ニハ此繰
  延事業ト云フモノガ餘程アルノデアリマシテ、四十一年度以降ニ於テ繰延ノ總額ト云フ
  モノガ凡ソ一億二千六百万圓餘トナッテ居ルノデアリマス、其大凡ノ內譯ヲ申シマスルト
  內務省所管ニ於テ三百五十万圓餘ノ繰延、是ハ河川ノ改良費北海道ノ道路橋梁排
  水費デアル、是等ハ皆ナ必要ノ事業デアリマスケレドモ、財政上之ヲ繰延ベルノ計畫ニ
  ナッテ居ルノデアリマス、大藏省所管ニ於テハ、八百七十万圓餘ノ繰延トナリマシテ、是ハ
  橫濱稅關、海面埋立、及陸上ノ設備費、神戶ノ稅關、海陸運輸聯絡設備費、煙草
  專賣ノ創業建設費、是等ハ皆ナ必要ノ事デアリマスケレドモ、出來得ルダケノ政府ニ於テ
  繰延ヲスルト云フ計畫デアリマシテ、其他ニ於テハ陸軍省ニ於テノ繰延是ガ凡ツ六〓
  圓、卽チ軍備-充實ニ付キマシテノ營繕費、初度調辨費、復舊費ト云フモノヽ上カラ
  シテ繰延トナッタノデアリマス、海軍省ノ方ガ五千三百八十万圓餘、是ハ軍艦製造及
  建築費、艦艇補足費、合セテ此陸海軍ノ繰延ト云フモノモ總計一億千三百万圓餘
  トナッタノデアリマス、斯ノ如ク一方ニハ此繰延ヲ致シ、其足ラザル所ヲ增稅デ補フト云
  フ内容ニナッテ居リマシテ、是等ハ皆必要ナ經費デアリマスルケレドモ、前申ス通リノ財政
  上已ムヲ得ザルコトニ依テ繰延トナッタノデアリマス、併シ鐵道ノ如キハ最モ生產的必要
  ノモノデアリマスルカラシテ、是ハ旣定ノ約三千万圓ト云フモノハ繰延ニナッテ民ラナイノ
  デアリマス、要スルニ今囘ノ增稅ナルモノハ、必ズシモ此四十一年度其年ノ金ガ足ラヌト
  云フコトヨリハ翌年又其後年度ノタメニ歲入ヲ確實ニ致シテ財政ノ基礎ヲ鞏固ニス
  ル寧口此增稅ハ今日ノ場合ニ於テハ財政上ノコトモ無論デアリマスケレドモ、今日ハ內
  外人共ニ日本ノ財政ガ如何ニ成行ウカト云フコトガ、大層氣遣フ所デアリマスルカラシテ、
  玆ニ財政ノ基礎カ立チマスルナラバ、大ニ内外ニ經濟上一ノ安心ヲ與ヘル譯デアリマスル、
  先ヅ其大體ノ趣意ト云フモノハ寧ロ是ハ經濟上ノ安固ヲ圖ルト云フニ在ルモノト信ズル
  ノタケリス。凡ツ場如初心應管以及全員代此寄ノ塔裁等可認スキモ
  タノデアリマシタ、卽チ此酒、砂糖、石油ノ稅デアリマス但シ此石油ニ付キマシテハ委員會
  ニ於キマシテ反對論モアッタノデアリマス、然シ委員會ニ於テ此石油稅反對者ハ少數デハアリマ
  シタ大體ハ此原案ニ於テ改正ハ多クナカッタノデアリマシテ唯此增稅ノ各法案中委員會ニ
  於キマシデハ一ノ修正ガアッタノデアリマス、是ハ第五條中ノ改正ニシテ造石數ノ現行制限
  高「〓酒ハ百石濁酒ハ五十石燒酎ハ五石」トアリマスノヲ「〓酒ハ二百石濁酒ハ百石
  燒酎ハ十石」トシ、詰リ此製造石數ノ制限ヲ高メタノデアリマス、是ハ其制限ヲ百一石デ
  アッタモノガ二百石ニナルト云ヘバ大キナ酒屋ハ利益ヲシマスケレドモ、小サイモノガ餘程
  アルカラシテソレガ大變ニ迷惑ヲスル譯デアリマス、要スルニ此石數制限ノ改正ヲシナイデ
  現行ノ通リニ止メテ置キタイト云フノガ、此修正ノ要點デアリマシタ、此修正案ハ委員
  會ニ於テ多數ヲ以テ成立シタノデアリマシタ、卽チ第五條中ノ改正案ガ否決ニナッタ結果ト
  致シテ附則第二項ヲ削ッタノデアリマス、是ハ自然ノ結果デアリマス、其他二三ノ修正說
  モ出タノデアリマシタ、実二ヲ舉ゲマスレバ酒ノ納稅期三月限ヲ翌年五月限トシタイ
  トノ修正案、是ハ宿題デアリマシタガ、三月中デハ酒造中デアルカラシテ、翌年ノ五月ニ
  ナッテ納稅ヲシタイ是ハ酒造者ノ方ニ取ッテハ甚ダ便利ナノデアリマス、政府ニ對シテモ
  種々質疑等モ致シタンデアリマスケレドモ、何分三月限リト云フノガ年度末デアルカラ
  シテ、翌年度ノ五月ニ持ッテ行クト云フコトハ、政府ノ歲入上甚タ困ル、或ハ一時ノ大
  藏證券ヲ發行シテ問ニ合ハシテ置クガ宜イトカ云フケレドモ、餘リ多ク大藏證劵ノ出ル
  ト云フコトハ經濟界ニモ喜バレヌ話デアル、又大藏省ノ手許ニ於テモソレハ甚ダ困ルト云
  フコトデアリマシテ、是ハ委員會ニ於テ修正說ハ出マシタケレドモ、否決ニナッタノデアリマ
  ス、今一ツハ火入滅量百分ノ三以內ヲ控除致シテ、夫レダケ稅ヲ減ジテ貰ヒタイ、斯ウ
  云フ修正說モ出マシタ、是モ少數ヲ以テ否決セラレタノデアリマス、此委員會ノ出
  席總數ハ四十三名デ、增稅案ノ全部ヲ否洪スルト云フノ論者、四十三名ノ中デ十六
  名、增稅案全部ヲ可決スルト云フ論者ガ二十七人テアリマシタ、ソレカラ石油稅ハ又
  別ニ決ヲ採リマシテ、此石油稅ヲ否決スルト云フノ論者ハ四十三名中十六名、可決
  スベシトノ論者ハ二十七名デアリマシタ、此ノ如ク酒ト砂糖ト稅ガ上ガリマスルカラシテ、
  外國ヨリ輸入スル循類、砂糖ニ對對テモ其稅率ヲ高メナケレバ權衡ヲ得ヌデアリマスカラシ
  テ、此主意ヲ以テ關稅定率法輸入稅表中ノ改正法律案ガ出テ居リマス、是ハ自然ノ
  結果トシテ可決ニナッタノデアリマス、此關稅定率法ノ中ニ石油ノ改正案ニ伴ウテ、原
  油ノ稅率ヲ高メナケレバ原油ガ今ノ廉イ稅デ這入ッテ來タ時分ニハ其原油ノミガ多ク
  這入ッテ來テ、精製油ノ方ノ輸入モ減ルサスレバ此稅額モ減リ、殊ニ石油ハ内地ニ於
  キマシテモ、段々發達ノ場合デアルカラシテ、外國ヨリ輸入スル所ノ原油ノ方ノ稅率ヲ、
  此儘ニシテ置イテハ外國ヨリノ輸入ガ益〓增加ヲスル次第デアリマス、是ハ內地ノ石油
  ヲ保護スルタメ、又權衡ヲ得ルタメニ相當ナル率ニ上ゲルト云フコトガ當然デアリマシテ、
  此事ハ政府ニ質問致シタ所ガ政府ニ於テモ無論其必要ヲ認メ、追テ其改正案ヲ提出
  スルノ運ビニナッテ居ル、ト云フコトデアリマシタ、サスレバ是ガタメニ內地ノ石油ノ業ガ
  衰退スル恐レモナク、其權衡ヲ得ルノデアルカラト云フ主意ヲ以テ、此三案共ニ委員會
  ニ於キマシテハ、今申ス通リノ多數ヲ以テ可決ヲ致シタノデアリマス、此段御報告致シ
  マス
  〔拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=47

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• 048・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　右ノ報告ニ係ル各案ハ、增稅ニ關スル議案デアリマシテ、皆
  之ニ關聯スルトコロノモノデアリマスルデ、便宜上一括シテ議題ニ致シマス、卽チ日程第
  五ヨリ第十ニ至ルマデノ各案ヲ一括シテ議題ニ供シソレカラ採決ノ方法ニ至ッテハ其
  場合ニ臨シテズ又諮諮リヲ致シマス、-大津淳一郎君
  〔大津淳一郞君登壇〕
  〔拍手起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=48

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• 049・大津淳一郎

  ○大津淳一郞君　諸君、本員ハ申スマデモナク、增稅案ニ反對スル者デゴザイマス、前
  日ノ委員會ノ趨勢カラ考ヘテ見マスルト、餘程贊成ノ御方ノ多數ニアルト云フコトハ認
  メラレマス、縱令此議題ニ於テ本員等ノ意見ガ貫徹致サナイデアッテモ、自ラ信ジテ本
  員等ノ說ハ國民輿論ノ歸著スルトコロデアルト信ジテ居ルノデゴザイマス、(「ノウ〓〓
  「ヒヤノ」ト呼フ者アリ)贊成ノ諸君ハ去ッテ縣地ニ歸ッテ輿論ノ反抗ヲ受ケタトキノタ
  メニハ、本員等ノ說ヲ謹聽ニ謹聽シテ、而シテ辯解ノ方法ヲ今日ヨリ御講ジニナッテ
  居ルノガ宜イト思フノデゴザイマス(「無用々々」「要ラヌ御世話」ト呼フ者アリ)是ガ親
  切ト云フノデアル、本案ニ對シマシテ提出ノ際ニ述ベラレタ大藏大臣ノ說明、及委員會
  ニ於テ再應述ベラレタ說明、及水町政府委員ノ質問ニ答ヘラレタ演說、何レモ其要領
  ヲ得ナイノデアル、由來大藏大臣ハ不得要領ヲ以テ天下ニ名アル御方デアルケレドモ、
  斯クマデニ要領ヲ得ナイ御說明デハナカラウト思ッタノデアル、(「君ノ演說ハドウデアル」ト
  呼フ者アリ)然ラバ此多數本案ニ贊成スル方ガアルト假定シタナラバ贊成ノ諸君ヨリ果
  シテ此增稅ノ必要ナルヤ否ヤノ十分完全ナル理由ノアル御說明ヲ聽キタイノデアル、ケレ
  ドモ見渡ス所御贊成ノ諸君ニ當議場ニ於テ完全ナル理由ヲ述ベラレル御方ハ一人モナ
  カラウト思フノデアル、諸君、昨年ノ郡制廢止案ニ依レバ、花井卓藏君ナドヲ辯護論ニ
  御賴ミニナッタガ、當年ハ花井君ハ是ニハ御免ヲ蒙ルダラウト思フ、然ラバ私共ノ親友
  殊ニ尊敬シテ居ル尾崎行雄君デヽモアラウケレドモ、今日ノ地位カラ云ヘバ贊成位ノ投票
  ハ巳ムヲ得ヌノデアラウト思フガマサカニ現內閣ヲ信ジテ辯護論ノ贊成演說ヲスル程ニ
  良心ハ親友デアルカラ痲痺シテ居ラヌト私ハ思ッテ居ル、(「無禮ヲ云フナ」ト呼フ者アリ)
  然ラバ他ニ此增稅案ニ對シテ完全ナル理由ヲ以テ贊成スル御方ハナイデアル、縦シ贊
  成ノ諸君ハ本員等ノ反對說ヲ聽イテ枝葉末節ヲ押ヘテ、所謂委員會ニ於ケル大岡一
  流ノ毒舌ヲ逞ウスル位ニ止ルモノデアラウト私ハ思ウテ居ル(笑聲起ル「君ハ何ヂヤ」ト
  呼フ者アリ)凡ソ政治家ナル者ハ、眞面目-マジメデナケレハナラナイノデアル(「ワレ
  ガマジメカ」ト呼フ者アリ)吾ミハ常ニマジメヲ以テ政治上ニ於ケル一番卽チ德義ト信ジテ
  居ル、前年西園寺內閣ノ組織セラルヽヤ、政友會ノ總裁トシテ戰後ノ內閣ヲ組織セラ
  ルヽニ於テハ定メテ立憲的行動ヲ以テ戰後ノ經營ヲ完全ニセラルヽコトデアラウト私共
  ハ信ジタ、ソレ故ニ前ノ四十年度ノ計畫ヲ議スルニ當ッテモ豫算委員會ニ於テ吾〓ノ同
  志ハ屢〓其計畫ノ尨大ニシテ將來ニ於テ困ルコトハアリハセヌカト云フコトヲ、:屢.御忠
  告ヲ申シタガ、斯ノ如キ計畫ヲ遂行スルコトニシナケレバ、決シテ今日ノ狀態相成ラヌト
  云フ確言ガアッタノデアル、當時吾〓ハ之ヲ過信シタノデアル然ラバ其計畫中生產力
  ノ發達ト云フ方ニ向ッテハ惜イ哉更ニ政府ノ計畫ガナイノニ付テ、此〓ニ向ッテハモウ少
  シ積極的方針ヲ以テ生產力ノ發逹、所謂國力ノ發展スルコトヲ希望シタノデアル、是
  ハ諸君ガ鬼ノ首デモ取ッタヤウニ喜ンデ居ラルヽ彼ノ鳩山博士ガ、アナタ方ノ御組デアル
  カラ能ク御聽ニナルト直樣分ルノデアル旣ニ四十年度ノ豫算計畫ニ當リテハ尨大ナル
  豫算ノ計畫ヲ御實行ニ困リハセヌカト屢〓忠告シタコトハ水町次官ノ逃ゲ口上デハナ
  イケレドモ當時ノ速記錄ヲ御覽ニナルト能ク分シテ居ル果セルカナ、政府ハ一週年ヲ過
  ギザル四十一年度ノ豫算編成ニ當リテハ少シモ曩ノ確言シタトコロノ計畫ヲ遂行スル
  コト能ハズシテ、又增稅ハ一切セヌト云フ大藏大臣ノ說明ヲ無ニシテ、僅ニ言葉ヲ財界
  ノ變動ニ藉リテ自ラ立テタ計畫ヲ自ラ破リテ、而シテ又玆ニ國民ニ斯樣ナ增稅ノ負擔
  ヲサセヤウト云フニ止マルノデアル凡ソ增稅ヲナサントスルニ當リテハ政府全體ノ計畫
  ニ於テ、極メテ國民ニ斯樣ナ計畫ナルガ故ニ、前途爲シ得ザル斯樣ナ狀態ナルガ故ニ
  增稅ヲシテ之ガ計畫ヲナサンヂヤナラヌト云フコトガ、明カニ分ッテ而シテ後ニ增税ノ已ムヲ
  得ザル案ヲ提出スルト云フノデナケレバナラヌ、又增稅ヲナサントスルニ當リテハ、生產力
  卽チ國民ノ生產ノ力ヲ增サントスルトカ、若クハ生產力ノ稍〓發達シツヽアルト云フ狀態ノ
  場合ニ際會シナケレバ、增稅案ヲ提出スルコトハ出來ナイノデアル、然ルニ現內閣ハ財
  政計畫ノ上ニ於テハ、自ラ立テタ計畫ヲ一週年ナラズシテ、之ヲ變更緣延ヲシテ國民
  ニ誓ッタ大藏大臣ガ增稅ハ致サヌ積リデアルト云フノヲ、再ビ增稅案ヲ提出スルト云フガ
  如キハ、何タル失態デゴザイマセウ、而シテ生產力ト云フ方ニ向ッテハ戰後ノ經營ヲ引
  受ケテ居ル內閣デアリナガラ、旣ニ三箇年ニ亙リ、四十一年度ノ豫算ヲ提出スルマデニ
  當リテ如何ナル生產力發展ノ方法ニ向ッテ計畫ヲソテラレマシタガ、生產力發展、國民
  ノ富力ノ關係ハ-計畫ハ西園寺內閣創立以來是ト申スベキモノハ一モ〓見エヌノデア
  ル(「ソレハ眼ガ見エナイノダ」ト呼フ者アリ)僅ニ一時諸君ノ小供グマシノ如クニ喜ンダノ
  ガ、彼ノ國有鐵道デゴザイマセウ、國有鐵道ハ用井ヤウニ依ッテハ、議論ノ上ニ於テハ如
  何ニモ生產力發展ニ必要ナルガタメニ國有鐵道トスルト云フ議論モ立タナイデハナイ
  併ナガラ現內閣ハ此議論ヲ以テ鐵道ヲ國有トシタ後ノ狀態ハ如何デアル諸君、餘リ
  人ノ前デハ其結果洵ニ完全デアルトハ、如何ニ政友會ノ諸君デモ內證デナケレバ言ヘヌ
  言葉デアル、國民ノ生產力ヲ發展スルト云フ計畫ハ皆無ニシテ、前年·立テタ尨大ナル
  豫算計畫ハ之ヲ實行スルコト能ハズシテ、僅ニ一箇年ノ後ニ其計畫ヲ變更シテ、而シ
  テ斯樣ニシテモ尙不足ガアルカラ、國民ハ又稅ヲ出セト云フ如キハ實ニ亂暴極マル行
  デアルト私共ハ信ズルノデアル、又(「簡單ニ要領ダケ言ヘ」ト呼フ者アリ)吾〓ノ此增租
  案ニ反對スル趣意ニ於テハ、政府ガ財政計畫ニ果シテ能力アリト信ジ、現內閣ガ財政
  計畫ノ能力アルモノトスレバ、斯樣ナ增租案ヲ提出セズトモ、優ニ將來ノ計畫ヲ爲シ得
  ルモノト私共ハ信ズルノデアル、諸君、現在ノ財政、今提出シテ居リマストコロノ財政計
  畫ノ上ニ於テモ、此增稅ヲナサズシテモ尙四十二年ニ繰越スベキ金額ガ三千三百万圓ア
  ルデハゴザイマセヌカ、三千三百万圓ノ剩餘金ヲ持ッテ居リナガラ、僅ニ當年ノ五百万
  圓-約五百万圓ノ經費ヲ要スルガタメニ此增租ヲナスト云フガ如キハ、何タルコトデ
  ゴザイマセウ、殊ニ今年度ノ計畫ヲナサントスルニ當ッテハ、今少シ政府ガ決心ヲシテ、斷乎
  タル財政計畫ヲ立テヽ後年度ニ於テ又其謀ヲ爲スモ決シテ遲イトハ私ハ信ジナイノデア
  ル、ソレ故ニ吾々ハ現內閣ハ財政計畫ノ確乎タル方針ヲ立テル能力ナシ、國民ノ生產
  力ヲ富マスト云フ計畫ヲ爲ス能力ナシ戰後經營卽チ戰捷ノ效果ハ「ゼロ」ニナッテ居ル、
  現內閣ノ增稅案ニ向ッテハ斷ジテ反對ヲシテ、國民タルモノハ錢タリトモ此上ニ稅ヲ
  出スノ必要ハナイト信ジマス(「分ッタ〓〓」ト呼フ者アリ)諸君、彼ノ非常特別稅
  非常特別稅ナルモノハ所謂其名ノ如ク戰爭中ニ經費ニ充ツベキノ故ヲ以テ、徵收シタ
  ル非常特別稅ヲ戰後ノ經營其儘ニ充テヽ斯ノ如キ重大ナル旣ニ增稅案ヲ可決シテ、
  之ヲ使用スル權能ヲ有ッテ居リナガラ、尙又飽足ラズシテ此增稅案ヲ提出スルト云フガ如
  キ、抑く亂暴ナル處置ト云フヨリ外ハナイノデアル、非常特別稅ハ實ニ非常困難ノ際ナ
  ルヲ以テ國民ハ已ムヲ得ズシテ之ニ應ジタノデアル、而シテ此際國民ニ反對ガナカッタ故
  ニ、此稅以外ニマグ國民ニ負擔力ガアルト認定スルノハ抑大ナル間違ナノデアリマス、此
  增稅案ヲ否決致シマシテモ前ニ述ベタル剩餘金ヲ以テ優ニ五百万圓ヲ支出シ、尙吾ミ
  ノ希望スルトコロハ啻ニ此五百万圓ヲ支出シ得ルノミナラズ(「能ク分リマシタト」呼フ者ア
  リ)政府ガ自カラ繰延ベヤウトシタル事業費ノ中河川改良費ノ如キ、橫濱稅關海面埋
  立及陸上設備ノ如キ、神戶稅關海陸運輸聯絡設備ノ如キハ、之ヲ復活シテ、而シテ
  尙支出スル餘地ガアラウト私共ハ信ズルノデアル斯ノ如キ卽チ生產力ニ關係シテアルモ
  ノコソ、繰延ト云フコトヲセズニ斷行ヲセラレテ、而シテ生產力以外ノモノニ於テハ又此
  繰延バカリデナク、他ニ又大ニ計畫ヲ爲スベキ餘地ハ豫算全部ノ中ニ十分ニアルト信ズ
  ルノデアル、抑〓剩餘金ナルモノハ、翌々年度ニ繰越スベキ性質ノモノデアッテ、決シテ是ハ
  政府ガ自儘ニ使拂フコトハ憲法上許サヌモノト吾〓共ハ信ジテ居ルノデアル帝國議會
  ノ協贊ヲ經ザルトコロノ歲出ヲ爲スト云フコトハ決シテ許サヌモノデアルガ故ニ、豫算ノ上
  ニ第一豫備金第二豫備金ト云フ性質ノモノガ旣ニ計上シテアルモノト吾〓共ハ信
  ジテ居ルノデアル諸君此當議會モ第一議會以來ハ本員等ノ議論ヲ以テ憲法違反ト
  シテ、而シテ剩餘金ノ支出ハ斷然禁ジテ居ッタモノデアルノデアル、日〓ノ戰ニ當ッテ廣島
  ニ於テ議會ヲ開イタ時分ニ、出師準備ノタメニ剩餘金ヲ支出シタト云フ場合ニ、已ムヲ
  得ズシテ之ニ同意ヲ與ヘタノガ慣例トナッテ、政府ハ每年帝國議會ノ協賛ヲ經ザルトコロノ
  剩餘金ヲ一千万圓以上一一千万圓以上モ支出シ來ルノデアル、是等ノ如キハ卽チ憲法
  上ノ問題ノミナラズ、財政上ノ問題トシテ斯樣ナ途ハ禁ジタイト云フ考ヲ常ニ有ッテ居リ
  マスルガ故ニ、今カラ之ヲ翌々年度ニ繰込ンデ-而シテ現在四十年度ノ剩餘金ヲ又
  自儘ニ政府ハ之ヲ使フト云フ計畫ニ相違ナイト私共ハ信ジテ居ルノデアル、剩餘金ノ如
  キハ常ニ政府ニ自儘ニ使ハセルト云フ途ヲ禁ズル上ニ於テモ、此增稅ヲ爲サズシテ剰餘
  金ヲ以テ此足ラザルトコロノ約五百万圓ヲ支出シテ尙餘地アリ、然ルガ上ニ尙河川
  改良費ノ如キハ復活シテモ當然デアラウト吾〓共ハ信ズルノデアル贊成論者ノ中ニ
  ハ帝國地位ノ發展セルガタメニ帝國地位ノ發展セルガタメニト云フガ、增稅デナケレバ帝
  國地位ノ發展ガ出來ナイト云フ議論ガ何處ニアル斯樣ナ唯漫然帝國ノ地位ガ發展
  シタカラ增稅ガ要ルト云フガ如キハ何タル杜撰ナ考デアル既ニ非常特別稅ヲ以テアレ
  ダケノ稅源ヲ此現內閣ニ繼續シテ與ヘテ居ッタカラニハ、其手腕宜キヲ得レバ決シテ
  此帝國ノ地位ヲ發展スルニ於テ何等差支アルベキ道理ハナイノデアル又既定ノ事業ヲ
  遂行シ、將來ノ計畫ヲナスガタメニ-既定ノ事業ヲ遂行シ、將來ノ計畫ヲ爲スガタメ
  ニト言ハレマスガ、旣定ノ事業ヲ遂行シ得ルノ能力ナクシテ、旣ニ繰延ベヲ置キナガラ、又
  不足ニナッタ、增稅ト云フコトニナリマシタラ、又其次ニ不足シタラ又增稅ト云フノデハ
  決シテ確平タル卽チ遂行ノ能力ノナイモノデアルノニ、增稅ヲ以テ遂行セシムルナドトハ
  抑5是ハ間違ッタ考ノ苑漠タル說ト云フヨリ外ハナイ(「君ガ間違ッテ居ル」ト呼フ者アリ)
  歲出入ノ均衡ヲ保チ、財政ノ基礎ヲ鞏固ニスル是ハ結構デアリマス、增稅ヲ爲サズトモ
  ツレ位ノコトハ出來ルノデアリマス歲出入ノ均衡ヲ保チ財政ノ基礎ヲ鞏固ニスルガ如
  キハ御論ニナラナイ、是ハ當然ナコトデアルト思フ、先ヅ贊成論者ノ委員會ナドデ言ハレ
  ルトコロハ先ヅ是位ナモノデアル、偖テ剰餘金ハ一時ノ問題デ、四十一年度ノ不足額
  ハ剰餘金デ支出シテ往クコトガ出來ルガ、將來ノ計畫ハ如何ニスルト云フ議論ガ起ルノ
  デゴザイマス、既ニ政府ガ自ラ立テタ計畫ヲ自ラ破シテ之ヲ繰越シテ往カウト云フ、ソレマ
  デノ御決心ニナッタナラバ既定ノ計畫ノ中デ繰越スベキハ之ヲ五年ノモノハ六年トシ、七
  年トシ八年トスルガ如キ、緩急宜シキヲ得テ計畫ヲ改メマシタナラバ優ニ將來ノ歲計ハ立
  ツモノト私共ハ信ズルノデアル此〓ニ於テ政府委員ノ言ハレルノハ最早繰延得ラレル程
  度マデ繰延ベテ、是カラ先ニ繰延ハ出來ナイ、斯樣ナコトハ政府委員ハ何時デモ言フノ
  デアル前年ノ計畫ヲ立テタトキニ於テ、是ダケノ計畫ハ何デモヤラナケレバナラヌ、是ハ急
  ナモノデ打棄テルコトガ出來ナイト言ハレテ置キナガラ、一年過ギレバ直グ繰延ベル、斯樣
  ニ既ニ自ラ立テヽ自ラ繰延ベルカラニハ、此繰延方法ハ緩急宜シキヲ得テ繰延ベレバ
  日本ノ歲計ハ決シテ此增稅ヲセズトモヤリ得ルモノト思ヒマス(「無責任」ト呼フ者アリ)
  今日豫算委員會ノ速記錄ヲ見マスルト、隨分各方面ノ御議論トシテ今日ハ平和ノ
  時機デアル日英同盟ノ外ニ日佛條約ハ出來、日露條約ハ出來、斯樣ナ時機ニ當ッ
  テ陸軍ノ事業ナドノ繰延ヲ斷行スルコトハナゼ出來ナイカト云フヤウナ御論モ隨分アッタ
  ヤウデアルガ、御尤ナ御論ト思フノデアル、然ルニ政府ガ之ニ答辯スルトコロハ少シモ要
  領ヲ得テ居ル答辯ハナイノデアル、唯ドウモ是ダケ繰延ベタ外ハ繰延ベヤウガナイト云フガ
  如キ說明ニ止ッテ、誠ニ人ヲシテ威服セシムルマデノ御說明ハ一ツモナイ、然ラバ此繰延方
  法ハ一年二年ヲ引延パスガ如キハ內外ノ情勢少シモ差支ナイト信ズル吾ヽモ決シテ
  國防ニ對シテ忽セニシヤウト云フ考ノアルモノデハナイ、國防ノ必要ナルコトハ吾ミハ常
  ニ主張シ、吾〓同志ハ常ニ之ヲ宣言ロシテ居ル者デアル、國防ハ必要デアルトシテモ時期
  ト又四圍ノ情勢トニ依ッテ、此國防ノ緩急モ是ハ申スマデモナイト思ヒマス、平和ノ時期
  ニアッテモ尙軍備ノ充實ヲ圖ッテ、而シテ非常ノ變ニ應ズル謀ヲナシ、若クハ平和ノトキニ
  方ッテ非常ノ軍備ヲ完成シテ而シテ外交ノ利器ニ用ユト云フガ如キハ隨分世界各國ア
  ル實例デアルケレドモ、扨日本ノ外交ハドウデアル、二十師團六十万噸ノ海軍ヲ控ヘテ
  居リナガラ、尙戰勝ノ勢ニ乘ジナガラ近來我政府ノ外交ト云フモノニ至ッテハ殆ド
  無能デアレバ、後ヘニ鞏固ナル軍備ノ必要ガ日本ノ外交ニハアッタトコロガ用ユルコトガ出
  來ナイ、無能ナ外交ト私共ハ信ズル者デアル、平和ノ時期ニ於テ旣ニ必要ガナイトスレ
  バ、今日四圍ノ情勢ニ鑑ミテ決シテ國防ヲ忽ニセヨトハ言ハヌ、ケレドモ當局者ガ繁寬其
  宜シキヲ得テ財政ヲ料理セバ增稅ヲナサズトモ優ニ往ケルト云フコトハ、何人モ强テ政府
  ニ安ンズルモノニアラザル上ハ、此財政計畫ノ上ニ於テ何人モ增稅ヲセズト、ヤリ得ルト
  云フコトノ斷言ハ出來ルノデゴザイマス、又贊成論者ハ財政經濟ガ不安固ノタメニ、增
  稅案ニ贊成スル、增稅ヲ爲シテ財政經濟ノ安固ヲ圖ルト云フノガ、果シテ當然デゴザイ
  マセウカ、增稅ヲ爲セバ財政經濟ノ不安固ニ陷ルト云フ論者モ又無キニシモアラズ、本
  員等ハ左樣ニ考ヘテ居ルモノデゴザイマス、歲計ハ不完全ナレドモ內外ノ形勢已ムヲ得
  ズ、大岡君ハ昨日歲計ハ不完全デアルケレドモ、內外ノ形勢已ムヲ得ヌカラ增稅ニ贊
  成ヲスル、增稅ニ贊成ヲ致シマスレバ、益〓斯樣ナ無能ナ内閣ニ金ヲ預ケマスレバ、益〓財
  政ハ不完全ニ陷ルト云フコトニ御考ニナッタ方ガ宜シイノデアル、(「進步黨ガ代ッテ取ツ
  タラ宜イデセウ」ト呼フ者アリ)尙茲ニ申述ベタイノハ委員會ニ於テ本員等ノ增稅反對
  說ニ對シテ大藏大臣ガ述ベラレタ言言ガゴザイマス、大藏大臣松田君ハ長ラク司法大
  臣ヲ御勤メニナッタ故ニ、餘程三百的口調ヲ御稽古ナサッタモノト見エマスガ、殆ド大藏大
  臣ノ述ベタ說ハ言葉尻ヲ押ヘル卽チ三百的口調デアル、其口調ヲ取ッテ之ヲ論ジテ見
  マシタナラバ殆トドウモ財政計畫ヲ少シモ御存ジナイト云フヨリ外ナイ、斯樣ナコトヲ申
  シテ居リマス、本員等ノ生產力發展ノ方法ヲ現內閣ハ講ゼズシテ、徒ラニ增稅ヲ誅求ス
  ルト云フ論ニ對シテ是カラ生產力ノ發展ヲ圖ルノデアル何タルコトダ是カラ生產力ノ
  發展ヲ圖ルノデアルト一ムフ、今迄ノ成程財政計畫ノ上ニ於テ生產力ノ發展ニ對シテ計
  畫シタ所ハ一ツモゴザイマセヌ、是カラト云フコトモ宜シウゴザイマセウ、併ナガラ果シテ是
  カラ生產力ノ發展ヲ爲シ得ラレマスカ、次官タルトコロノ水町政府委員ハ斯樣ニ申シテ
  居リマス、本年ハ增稅ノ必要ハ左樣ニ感ジナイケレドモ、併ナカラ四十一年ノ財政ノ缺
  陷ハ、一億一千万圓、四十二年度ハ尙一億圓アル、四十三年ニナッテモ八千餘万圓ア
  ル四十四年ニナッテモ八千万圓、四十五年度ニナッテモ六千万圓、四十六年度ニナッテモ
  五千万圓アル、ソレカラ先ハ分ラヌガ、凡ツ斯樣ナ計算ニナリマスト、既ニ財政ノ缺陷ハ
  是ダケアルガ故ニ增稅ガ必要ダト次官ハ述べテ居ル而シテ大藏大臣ハ增稅ヲシテコレ
  デ是カラ生產力ノ發展ニ此金ハ使フノデアルト云フ說明ハ何タル矛盾ヲシテ居ル、ソレハ
  却テ次官ノ御說明ノ方ガ信ズベキモノデアッテ、大藏大臣ハ時ニ取ッテノ三百口調、申
  譯言葉尻ヲ咎メタト云フニ過ギヌト私ハ信ジテ居リマス、又大藏大臣ハ斯樣ニ申サレ
  マシタ吾〓共ハ現在ニ於テスラ國民ハ稅ノ負擔ニ苦ンデ居ルノデアル然ルニ政府ハ一
  朝事有ルトキニハ國民ノ愛國心ニ訴ヘルト云フコトヲ豫算委員會ニ大藏大臣ニ述ベテ
  置イタガ故ニ、政府ハ常ニ左樣ナ頭ヲ以テ居ラレルガ、國民ト云フモノハ戰爭ガアレバ卽
  チ愛國心舉國一致ト云フノデ、滿洲ノ野、何レノ野ニ往ッテモ生命ハ捨テロ平和ノトキ
  ニアッテハ御前方ハ卽チ稅ヲ出スベキモノデアル、卽チ舉國一致稅ヲ納ムル動物ト心得居
  すと、成都台灣瞬間
  ルカ、甚ダ不心得ダト云フ說ニ對シテ、大藏大臣ハ何レノ國デモ戰爭ノ準備金ヲ備ヘテ
  置ク國ハナイ、若シ戰爭ノ準備金ヲ作ッタナラバソレコソ大變財政計畫ニ困ルト云フ
  コトヲ述ベラレタ、斯樣ナコトハ大藏大臣トシテ御遂ベニナル必要ハナイ、何レノ國デモ
  戰爭準備金ヲ豫算ノ上ニ計畫シテ居ル國ハソレハナイノデアリマセウガ、併ナガラ何レノ
  國デモ戰爭ノ準備ハシテ居ルノデアル戰時ノ準備金ナルモノハ卽チ國民ノ生產力デア
  ル、大藏大臣ハ學者ナリトハ-エライ學者ナリトハ吾〓聞イテ居ラヌケレドモ、サリナガ
  ラ小學校ノ生徒デモ知ッテ居ル位ノ國富ンデ兵强シト云フガ如キハ、マサカニ御承知デア
  ラウ、軍資金ナルモノハ卽チ園民ノ富デアル、增稅ヲナシテ而シテ國民ノ富ヲ增サウト云
  フコトハ如何ニシテ出來マスカ、增稅ハ卽チ國民ノ富ト反對スルモノデアレバ卽チ數万
  ノ軍備ヲ爲シテモ之ヲ動ス軍資金ヲ備ヘテ置クト云フ途ヲ講ジナイ、恰モ軍備ハ十分
  ニ立ッタガ、卽チ國民ハ貧血病ニ罹ッタト云フガ如キ狀態ニ陷ラシメ、而シテ何レノ國デモ
  歲計豫算ニ軍資金ヲ揭ゲテ置クモノハナイナド云フガ如キ小供ダマシノヤウナ說ヲ述ベラ
  レタガ、卽チ是ガ三百的口調ト申スヨリ外ナイト私ハ思フノデアル、終リニ臨ンデ一言總
  理大巨ニ致シタイト思ヒマスガ、今日ハ御出席ガナイ、併ナガラ一應總理大臣ニ一言
  述ベテ置キタイト思ヒマス、凡ソ立憲國ノ大臣ハ公會私會何レノ場所トヲ問ハズ言國事
  ニ及ンダ以上ハ、其言責ハ持タナクテハナラヌノデアル、凡ソ政治家タルモノハ國務大臣
  ナラザルモ卽チ言責ヲ重ンジナケレバナラヌノデアル、然ルニ首相ガ政友會ノ總裁トシテ、
  其政友會員ヲ三緣亭ニ招イテ而シテ其席ニ於テ總理ノ述ベラレタル言、諸君ハ增稅ニ
  贊成ヲシテ御苦痛デアラウガ結構デアル、定メシ御上ニ於テモ滿足ニ思召スデアラウ、
  何タル言グ、若シ政友會員一人ノ增稅反對者ガ出タラバ、是コソ總理大臣ハ御上ニ
  對シテ惡入ッタ次第ト云フヨリ外ハナイ、己ノ率ユル彼ノ決議案ノ其日ニ於テ、斯樣ナル
  大政黨ヲ持ッテ居ルト言ッテ威張ラレタル西圏寺首相ガ、己ノ率ユル卽チ政黨ガ(「問題
  外」ト呼フ者アリ)增稅ニ贊成ヲシタカラト言ッテ、思召云々ヲ口ニ致スガ如キハ殆ドドウモ
  大不敬ノ言ト謂フヨリ外ハナイ、是ホドマデニ愛嬌ヲ振蒔クニモ程ガアル己ノ黨員ニ振
  蒔ク愛嬌トシテ、斯樣ナ言語ヲ用ユルト云フコトハ、不謹愼モ亦甚シイ言語ト云フヨリ
  外ハナイ(「問題ニ何ノ關係ガアルカ」ト呼フ者アリ)由來總理大臣ハ、聞道ク藤原ノ
  時平公ノ御子孫ナリト承ッタ(笑聲起ル「無用ケ々」ト呼フ者アリ)祖先ノ時平公ハ時ノ
  名臣菅原ノ道眞ヲ九州ニ左遷ヲシテマデモ、己ノ政見ヲ朝廷ニ於テ實行ヲシタ八ト
  吾〓共ハ聞イテ居リマス、斯樣ナ歷史ヲ持ッテ居ル西園寺首相ハ、財政計畫ニ已ノ政
  見主義ヲ實行スルコト能ハズシテ、闇外ナルモ元老ニ向ッテ種々ナル助、元老ノ門ニ叩
  頭シテ、而シテ心ニモナキ財政計晝ヲ立ッテ、甚シキニ至ッテハ兌換劵ノ發行ヲ持ヲテ往ツ
  デ之ヲ斥ケラレ、增租ノ計畫ヲ立ッテ之ヲ斥ケラレ、而シテ遂ニ增稅ヲ致サヌト言ッタ宣
  言ヲ反古ニシテ已ムナク增稅案ヲ提出スルト云フガ如キハ殆ド意氣地ノナイ行デアッテ、
  祖先ニ對シテモ實ニ西園寺首相ハ愧入ッタ話デアラウト思フ(笑聲起ル)政友會ノ諸君、
  諸君ノ總裁ヲ今少シシツカトシテ、大和男兒タル魂-祖先ニ耻ヂザル魂ヲ以テ立憲
  的行動ヲ爲サシメタナラバ、何故ニ斯樣ヲ增稅案ニ諸、石ハ苦痛ナガラ贊成スルト云フノ
  必要ハ無イノデアラウト思フ諸君、要スルニ財政計畫ノ能力ノ無イ內閣ニ於テ增稅
  案ヲ提出スル資格ハ無イト私ハ斷言シテ少シモ差支無イト思フノデアル、諸君、是カラ
  贊成ノ諸君ノ御演說モアリマセウ(「終リニ臨ンデト言ッタヂヤ無イカ」ト呼フ者アリ笑聲
  起ル)枝葉末節ヲ押ヘテ大岡君ノ毒舌ヲ吐クノモ寔ニ宜シウゴザイマセウ、苦シ紛レニハ
  成ルダケ澤山毒舌モ御吐キナサルガ宜シイガ、國民ノ論ハ本院デ倒レヤウト云ヘド、吾〓
  共ノ說ガ卽チ代表シタルモノト御承知ニナルガ宜シイ

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• 050・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　大間育造君
  〔大岡育造君登壇〕
  (「今度ハ藥ニナルヤウニ饒舌ルガ良イ毒ニナラヌヤウニ」ト呼フ者アリ〕

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• 051・大岡育造

  ○大岡育造君　唯今進步黨ノ名士大津淳一郞君ノ御演說ヲ拜聽シマシタガ、本員
  ノ此處ニ登壇スルコトガ餘程御氣ニナッタモノト見エテ、屢〓御呼出ヲ蒙フタコトハ、私ノ
  名譽トスルトコロデアリマス、而シテ成ルベク此御演說ニ對シテ攻擊ヲ寬ウシテ、面シテ私
  ハ自分ノ言フコトヲ多ク言ロヒタイト思フノデアリマス、本員ハ唯今議題トナッテ居リマス
  ルトコロノ酒造稅外二件ニ對シテ、贊成ノ意見ヲ表明致スモノデアリマス、此增稅案
  ヲ吾ミガ贊成ヲ致シマスルニハ寔ニ已ムヲ得ザル國家ノ今日ノ經濟狀態ヲ出來ベク
  之ヲ救濟センガタメニスルノデアリマシテ、徒ラニ斯ル苦痛ヲ忍ブノデハナイノデアリマス、
  唯今ノ經濟狀態ハ遺憾ナガラ甚ダ健全デナイト私ハ信ジマス、恐クハ諸君モ御同感デ
  アラウト思フ(「ノウ〓〓」、「ヒヤノ」ト呼フ者アリ)果シテ然ラバ、之ヲ救濟スルノ
  途ハ講ゼナケレバナラヌノデアリマス、之ヲ救濟スルニ事業ノ繰延ヲ以テ出來ルト云フ御
  說ト又本年度ハ少ナクモ、此儘ニ渡ラレルト云フ御說ト、是ガ卽チ此反對論デアル
  ト私ハ聞イテ居リマス、此反對ヲスル中ニ繰延ガ出來ルト云フ理由ニ、現在ノ軍備ハ
  過大デアル故ニ、之ヲ繰延ベテ以テ此生產的ノ方角ニ工夫ヲスルガ宜シイト云フノガ、
  委員會デモ屢〓聞エタ論デアリマス、是モ亦一理ナルコトダト思ヒマス併ナガラ軍備ノ
  性質トシテ勢ヒ現在ノ狀況ヨリハ過大ナルモノデアル、イツデモ將來ニ對スル進步ノ計畫
  ナルモノハ現狀ヨリハ進ンデ居ルモノデアル、然ラバ唯今ヨリ觀テ、少シク進ンデ居ルト
  云フガタメニ此繰延ヲ盛ンニシテ、殆ド事實ニ於ケル軍備縮小ヲ行フト云フコトハ
  元來此進步的計畫ニ伴ハナイ議論ニナルノデアリマス、試ニ一例ヲ擧ゲテ見マスレバ、
  始メテ〓育制度ヲ布キマシタトキニハ國民ノ多數ハ此民度ニハ適シナイ、過ギタリト
  言ッテ居ッタノデアリマスルガ、今日ニ及ンデ始メテ其效果ヲ收メ得タノデ、法典ノ發布
  ノ場合デモ此通デアッタノデアリマス、常ニ現狀ヨリハ幾分ノ進歩ヲシタルモノヲ採用ス
  ルニアラザレバ國家ノ將來ノタメニ有用デナイノデアリマス、之ヲ强テ現在ノ狀況ガ許ス
  限リノ度合デ進メマシタトキニハ、必ズ後日後悔ヲスルトキガアル、是モ適例ハアルノデ
  アル、卽チ我鐵道計畫ノ如キハ是デアルノデアル、諸君ノ多數ハ常ニ現在ノ鐵道ニ
  向ッテ不平ヲ竝ベラレ、不便ヲ竝ベラレタ、否ナ、國民ノ多數ハ之ニ不便ヲ言フ、是長
  抑〓何デアルカト言ヘバ、當初ニ於ケル計畫ガ甚ダ姑息デアッタノデアル、狹軌鐵道デ今
  日ノ進步シタル時代ノ運輸ニ應ズベキモノヂヤナイガ、初メノ計畫ノ時分ニ僅ニ當時ノ
  財政及其狀況ガ許ス限リ位ニシタカラ、斯ウ云フコトガ出來ルノデアル若シ軍事ノ計
  畫ノ如キヲ斯樣ナル姑息ナコトヲ致シタナラバ國家ノ有事ニ於テ大ニ後悔シナケレバ
  ナラヌコトニナル、(拍手スル者アリ)今ノ院外ニ於テ盛ンニ高クナル聲、卽チ實業家ト
  云フ人々ノ聲ノ如キモ玆ニ餘程アルヤウデアリマスガ、是ハ實ニ能ク考ヘテ貰ハナケレバ
  ナラヌノデアル、現狀ニ適當シタルダケノ軍備計畫ヲスルノガ、國家ノ利益デアリトスレ
  バ明治二十四五年ノ本議會ノ議論ガアレデアル〆アノ議論ヲ政府ガ聞イテ而シテ軍備
  ヲ縮小致シマシタナラバ、果シテ二十七八年役ニアノ效果ヲ收メ得タデアリマセウカ、又日
  〓戰爭ノ軍備擴張ニ對シテモ、盛ニ反對ノ聲ガ起リマシタガ、之ニ聞イテ政府ガ軍備ヲ
  縮小致シマシタナラバ果シテ日露戰役ノ效果ヲ收メ得ラレタデゴザイマセウカ、(拍手ス
  ル者アリ)歷史ハ正ニ此ノ如ク吾ミニ證明シテ居ル將來ニ亙ル進步計畫ナルモノハ少
  ナクモ現狀ヨリハ多ク進ンデ居ラナケレバナラヌコトヲ吾ミハ認メナケレバナラヌノデアルサ
  レバ少シク此程度ニ進ンデ居ルト云フ理由ヲ以テ、此繰延ヲ主張セラレルト云フコトハ
  又諸君ノ大ニ愼マレベキコトデアルト私ハ思ヒマス、唯今ハ日
  私ノ贊成セザルトコロ、誠ニ平和ノ時代デアルカ
  露-デハナイ、日英同盟、日露協商、日佛協商等ガアッテ、
  ラ、軍備ハサウ急イデスル必要ハナイト言ハレル御方ガ段々聞エル、誠ニ是等ノ同盟及
  協約ニ依ッテ、平和ヲ今日及將來ニ望ミ得ルコトハ慶事デアリマス、幸デアリマス、併ナ
  ガラ此日英同盟ノ再訂ニ依ッテ、吾ミガ常ニ守ラナケレバナラヌトコロノ責任ヲ有スル範
  圍ハ餘程廣クナッタンデアル、是ハ私ガ細論ヲスルヲ要セヌ、諸君ノ能ク御承知ノコトデ
  アル又朝鮮ヲ再度ノ新協約ニ依ッテ保護權ヲ確實ニ致シマシタ以上ニハ元來ノ領
  土モ安全ニ又守ラナケレバナラヌカラ、此〓ニ於テ吾ミハ義務ガ殖エテ居ルノデアル、陸
  軍ノ側カラ見テモ此通リ、海軍ノ事デモ其通リデアラウト思フ、吾〓ハ東洋ト云ハレル、昔
  ハ支那海或ハ日本海位ノ分量ヲ以テ見ラレタカモ知レヌガ、今日ハ大平洋ノ全面ニ向ツ
  テ視線ヲ張ラナケレバナラヌ時代ニ成ッタンデアル、(「然リ〓〓」ト呼フ者アリ)大津君ノ
  如キ唯今何モ心配ヲスル狀況ハ無イ、無論唯今ハ何モ心配スル狀況ハアリマセヌ併ナ
  ガラ唯今何等ノ變態ガ無イカラト云ウテモ、國家ノ生存上ニハ十年ニ一度ハ不幸ニシテ
  吾〓ハ事變ヲ見ルコトガ有ッタンデアル、旣ニ二度マデ必ズ三度無シト保證スルコトハ
  出來ナイ、又ナイ時ニ互ニ軍備ヲ擴張シテ置イテ、是ニ依ッテ變方ガ平和ヲ保ツト云フノ
  ガ今日ノ世界ノ政策デアル、サレバ鄰國ニ於テ相當ノ兵備ヲスルナラバ我ニ於テモ是ニ
  當ルダケノ兵備ヲシテ初メテ兩國ノ平和ガ完イ、今大平洋ノ面ニ於テハ御承知ノ通リ現
  ニ亞米利加デハ十六ノ戰鬪艦ヲ連ネテ我此大平洋面ニ訪問ヲスルト云フデアリマセヌカ、
  是ハ鄰國ノ友人ガ來ルノデアルカラ、吾〓ハ喜ンデ彼ヲ迎ヘタイガ、我モ亦彼ト手ヲ握
  ルグケノ始終力ガナケレバナラナイ、是ガ卽チ平和ヲ保ツ所以デアル、此ノ如ク私ハ現狀
  ヲ見マスルガ故ニ、唯今ニ於テハ何等ノ異狀ハアリマセヌ、幸ニ外交其宣シキヲ得テ居リ
  マスルカラ、心配ハゴザイマセヌケレドモ、苟モ怠ルベカラザルモノハ此軍備デアリマ
  スルカラシテ、諸君ハ此邊ニ御注意ヲ願ヒマス、從來進步黨ノ諸君ハ軍備ニ反對デアッタ
  ケレドモ、昨年カラ大分步調ヲ改メラレ、又唯今ノ大津君ハ吾ミハ軍備ノ擴張ニハ贊
  成タト言ハレタ、誠ニ唯今此明言ヲ受取ッタコトハ、私ノ大ニ喜プトコロデアリマス、軍
  備擴張ハ贊成ダガ、事業ハ繰延ベロト云ハレル、是ハ少々矛盾致シテハ居リマスマイカ、
  是ヨリ以上言フト毒舌ト云ッテ不足ヲ言ハレマスカラ、此邊デ一ツ御考ヲ願ヲテ置キタ
  イノデアル、政府ニ於テハ斯ル大事件ヲ控ヘテ居リナガラ、財政及經濟ノ狀態ガ甚ダ
  穩便ヲ缺ク趣デアルカラシテ、隨分繰延ヲシタノデアル、其金高ノ如キモ少ナカラヌコト
  デ、一億何千万圓ト云フ繰延ヲシテ、當議會ガ議スルトコロノ四十一年度ニ於テモ、
  經常及此臨時ノ繰延額ヲ見マスルト云フト、五千万圓以上ニナッテ居リマス、此ノ
  如クニ繰延ベテモ尙實際ニ於テ不足ヲ此年度ノ次ニ於テ見ル、及其次ノ年度ニ於
  テ見ル、之ガタメニ餘儀ナク此增稅ノ計畫モ立テラレタノデアル、且今日ノ現狀ヲ此儘
  ニシテ措キマシタナラバ戰後經營ノ諸君ガ最モ希望セラレ、私共ノ希望スルトコロノ
  民力ノ發展ニ資スルコトガ出來ナイノデアル、唯今ノヤウナ經濟狀態ニ於テ、而シテ政府
  ハ諸君ノ協贊ヲ經テ居ルカラ、答メハ受ケヌト云フヤウナル間違ッタ若シ考ヲ以テシテ、
  此處デ公債デモ募集致シマシタナラバ、如何ナルコトニナリマセウ、決シテ是民間ノタメ
  ニハナリマセヌ、非常ナ痛苦ヲ與ヘルニ違ヒナイノデアル、政府ハ所謂帳面ヅラハ合フダケ
  ノ位地ニ居リナガラ、諸君ノ攻擊ヲ受クルコトヲモ忍心デ、此增稅案ヲ出シタト云フコト
  ハ畢竟國家ノ前途ヲ念ヒ、又現在ニ於テ財政及經濟ノ狀態ヲ宜シクスルト云フ善意
  ヲ玆ニ發揚スルノデアル、現ニ海外ノ公債デモ此計畫ノコトガ分ッテ以來騰貴シタデハア
  リマセヌカ、吾ミハ日露戰役ニ十分ナル戰捷ノ好結果ヲ收メマシタガ、之ヲ助ケタルトコロ
  ノ各外國ノ資本家ニ對シテノ注意ヲ怠ッテハイケナイノデアリマス又吾〓モ自ラ多クノ公
  債ヲ持ッテ居ル吾ミト云ウタトコロガ我國デモー私ハ有ッテ居ナイガ(笑聲起ル)
  政府及人民ガ多ク有ッテ居リマスカラ、此公債ノ價ヲ騰ゲルト云フ政略ガ利ケバワレ
  ダケ一體國家ノ人民ヲ益スルノデアル、デ、斯ウ云フ譯合デアリマスルカラシテ、玆ニ財源
  ノ基礎ヲ固クスルコトノ出來ル前兆ハ見ヱテ居ルノデアリマス、併ナガラ政府自身ガ射政
  ノ計畫ヲ立テヽ置キナガラ、財政ノ計畫ヲ自ラ變更シナケレバナラヌカラ、意氣地ガナイト
  カ云フヤウナコトヲ云ハレル、而モ大津君ハ名ヲ海外ノ財政トカ、經濟ノ狀況ノ變動ニ藉
  リテ、ト斯ウ言ハレル、大津君或ハ事實ヲ知ラレヌカモ知レマセヌケレドモ是ハ名ヲ藉リ
  タイノデハナイ、實ガサウデアル此海外ノ變調ト云フモノハ紐育ノ市場ノ變調デアリマ
  シタガ、餘所ノ國ノ變動ガ何ゼ一體我ノ言譯ニナルカト斯ウ思ハレルカモ知レマセヌ、併
  シ實際ノ狀況ハ各國ニ及ンデ居ルノデアル紐育ニ變動ノ起ッタノハ、昨年ノ十月ノ二
  十二三日頃ト思ヒマス此變動が起ルヤ倫敦ニ直チニ餘波ヲ及ボシタノデアル御承
  知モアラウ通リニ、又海外電報ノ頻繁ニ參リマシタ通リニ、英吉利ノ當時ノ金利ナル
  モノハ四分デアッタ、其四分ノ金利が僅一週間カ、其餘ノ間ニ五分半ニナリ、六分ニ
  ナリ、遂ニ七分ニマデ騰ッタノデアル、吾〓ノヤウナ卽チ日本ノヤウナ金利ノ高イ所ニ於
  テハ、此七分ハ餘リ珍シクナイコトデアリマスケレドモ、英國ニ於テ、卽チ「イングランド」
  ノ狀況ニ對シテ、此「イングランド」銀行ガ七分ノ利子ヲ極メタト云フコトハ、正ニ三十四
  箇年振ノコトダト云ヒマス、誠ニ是ハ世界ニ於ケル近來ノ大珍事デアル、斯樣ナ譯デア
  リマスカラシテ、佛蘭西モ平生三分カ三分半ノアスコハ金利ガ非常ニ廉イトコロト見ヘ
  マスガ、是ガ四朱牟マデ騰ッタ、伯林ハ、五朱ノモノガ六朱半マデ往ッタ、是モ南阿戰爭
  ノ時分ニ一度此少シ上マデ往ッタコトガアルケレドモ、斯樣ナ非常ナ變體ヲ除イタ外デ
  ハ、獨逸ノ帝國銀行創マッテ以來ノ大事件デアルト書イテアル亞米利加ト取引ヲシテ
  居ル國ハ何所デモ皆小サナ國デモ皆影響シテ居リマスカラ、此當時ニ於テ和蘭ノ銀行
  迄ガ破產ヲシテ居リマス、又日本ノ財政上ニドレカニ響キヲ致シタカト云フコトハ目ニ見
  エルモノヲ膕ヘテハ甚タ云ヒ惡イガ、現在ノ日本ノ公債四朱利附ノ公債ガ倫敦ニ於テ十
  月一日ニハ八十八圓ヲ保ッテ居ッタモノガ此月ノ末ハ卽チ變動ニ於テハ七十一ハ圓ニナク
  タノデアル、一時ニ十圓下落シタノデアル、此度合ダケハヤハリ吾ミモ損害ヲ受ケタニ違
  ヒナイノデアル、斯樣デ變狀ガナクシテ公債ノ支辨ヲ-募集ガ出來ルナラバ今日此增
  稅ハセズトモ濟ム、諸君ガ旣ニ許シテ居ルノデアル、併ナカラ斯樣ナル狀態ニ於テ之ヲ
  奈何トモスルコトガ出來ナイ强テ之ヲ行ヘバ民力ニ妨ヲ來スカラ、是ハ遠慮セザルコ
  トヲ得ヌノデアリマス、一體斯ル狀況ガ我ニ及プト云フコトモ畢竟我國家ノ進步デ、世
  界的ニ財政ノコト經濟ノコトガ共通セラレテ參ッタ結果デアリマスカラシテ、之ヲ諸君ガ
  認メザルコトハ得ヌノデ、之ヲ認ムル以上ニハ何人ガ此內閣ヲ取ッテ見タトコロデ、公債
  ハ募レナイト云ヘバ、卽チ增稅ヲスルノ外ハナイ、若クハ或一部ノ人、我軍備ヲ繰延ベ
  ル外ハナイ、果シテ軍備ヲ繰延ベ得ルヤ否ヤト云ヘバ前論ジタ通リデアル、諸君ノ云
  フ通リ反對者ノ云フ通リニ聽イテ、軍備ヲ縮小シテ現在ノ程度ニマデ切詰メタナラバ、
  其結果如何問ハズシテ-答ヘズシテ是ハ分ルベキ問題デ强テ分ラナケレバ鐵道ノ一
  例ヲ以テモ分ラナケレバナラヌコトデアル、斯樣ニ私共ハ考ヘル、昨日ナドハ甚ダ私ハ聽
  クニ堪ヘナカッタカラ、少々成程大津君ニ强イ攻擊ヲ加ヘマシタ、今ノ政府ハ人民ヲ
  稅ヲ納メル動物ノ如クニ心得ルガ、斯樣ナ暴言ヲ吐カレマシタカラ、私ハ一本參ククノデ
  アリマス、今ノ政府ハ好ンデ增稅ヲセズトモ一時遁レヲスルコトノ出來ナイコトハナイノデ
  アル、ソレヲ忍ンデ前途ノタメヲ思ヒ及現在ノ財政及經濟ノタメヲ思ウテ此苦痛ヲ忍ブ
  ノデアルカラ、大キナル意味ニ於テ確ニ人民ニ親切ナリトハ私ハ斷言シタ、是ガ大津君ノ
  耳ニ障ッテ毒言ト云ハレマシタガ、此毒ハモウ少シ去ッタナラバ藥ニナルンダラウト私ハ思フノ
  デアリマス、餘リ申シマスト却テ諸君ノ盛情ヲ害スルカモ知レヌカラ、私ハ此邊ニ置キ
  マセウガ玆ニ一言加ヘテ置キタイ、近頃モ增稅ト云フコトヲ非常ニ廣イ意味ニ言觸ラシテ
  感ハシテ居ルモノガアル、吾〓ハ議員デアッテ見レバ、相當ノ訴ヲ每朝聽キマスガ、其訴ヲ
  聞クノニ酒或ハ砂糖ト云フヤウナモノニ付テ餘リ何トモ訴ヘニ來ナイ、石油ニ付テモ來ナ
  イ間接稅ニ付テ何等不足ヲ云フテ來ルモノハナクシテ、私ノ所ノ營業稅ガ何ボ上ル、私
  共ノ所ノ所得稅ガ何ボ上ル、今ノ政府ハ富豪征伐トカイロンナコトヲ云ッテ居リマス、是
  ハ此案ニ對シテノ不平ハ更ニ聞カズシテ、私共直接ニハ聽クトコロノモノハ所謂此稅
  法整理案ノコトデアル、此稅制整理案ト云フモノハ甚ダ政府ノ側ニ立ッテ居ッテ云ヒ惡
  イケレドモ、餘リ出カシタ手柄デハ無イト私ハ思ウテ居ルアレハ實ニ大藏省アタリノ「ハ
  イカラ」ノ先生方ノ氣休メノ案デ、アレガタメニ、何程國家ガ利益スル程デモナケレバ人
  民ガ非常ニ利益スル程デモナイ、商業會議所等ガ云フコトモ私ハ耳ヲ傾ケテ聽クガ、今
  ノ外デ立テル聲ハ是等ノモノヲ混雜シテ盛ンニ惡感情ヲ高メルノデアルカラ、甚ダタチガ
  良クナイデ、返ス〓〓モ稅制整理ニ對シテハ或ハ諸君ト同感ヲ以テ論ズルコトモアリマ
  セウガ此消費稅ニ對シテノ此三案ダケハ此儘ソックリニ見テ論ジテ、而シテ多數ノ御贊
  成アランコトヲ希望致シマス
  〔拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=51

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• 052・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　早速整爾君
  〔早速整爾君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=52

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• 053・早速整爾

  ○早速整爾君　諸君、唯今ハ增稅論者ノ旗頭ト致シテ大岡君カライロ〓〓御事情
  話ヲ承ッタノデゴザイマスルガ、此增稅ヲシナケレバナラヌト云フ御事情話ニ付キマシテハ、
  私ガ是カラ論ズルトコロニ依ッテ其可否ガ正當ニ分ルデアラウト考ヘテ居リマス、私ハ固ヨ
  リ此增稅案ニ對シマシテハ絕對ニ反對ヲスル意見ヲ有ッテ居ルモノデゴザイマス、第一私
  ハ增稅ヲ今日ノ場合ニ於テ斷行シナケレバナラヌト云フ理由ガ分ラヌ、本會竝ニ委員會
  ニ於キマシテ、大藏大臣以下政府委員ガ增稅ノ理由ニ付テイロ〓〓御辯明ガゴザイマ
  シタケレドモ、唯今日ノ財政上已ムヲ得ヌトカ、或ハ財政ノ基礎ヲ鞏固ニスルトカ云フポ
  ンヤリシタ理由ノ外ハ、國民ヲシテ滿足セシメ、國民ヲシテ安心セシムルニ足ルダケノ理
  由ハ少シモ示サレテ居ラヌノデアリマス、私ハ政府ガ斯樣ナ論法ニ於テ增稅ヲ斷行スルト
  云フコトハ、今日ニ於ケル國家ノ要務ヲマルデ忘レテシマッテ居ルノデナイカト考ヘル、國
  家ヲ常ニ最モ養フベキモノハ國民ノ財力デアル、此財力所謂實力ノ養成ヲ致シマセヌケ
  レバ、我國家ノ隆運ヲ保ツコトガ出來ナイノデアリマス、政府ハ此見易キ道理ヲ忘レテ、
  我民力ヲ枯渴セシメ國民ノ實力ヲ減却セシメント企テヽ居ルト私ハ思フ、財政ノ基礎ヲ
  鞏固ニスルト唱ヘルノデアリマスガ、財政ノ基礎ハ抑〓何レニ在ルカ、國民ノ財力ヲ養ヒ
  國民ノ實力ヲ養成ヲシテ民間經濟社會ノ調和ヲ計ルニアラザレハ、財政ノ基礎ハ確實
  ナリト謂フコトハ出來ナイデハゴザイマセヌカ、財政ノ基礎ハ國民ノ實力ニ在ル、此國民ノ
  實力ニアルカラ此國民ノ實力ヲ養フ所以ヲ忘レテ、苦痛ノ上ノ苦痛ヲ國民ニ與フルト云
  フコトハ、私ハ思フ、寧口財政ノ基礎ヲ薄弱ナラシムル所以デゴザイマシテ、決シテ財政
  ノ基礎ヲ鞏固ナラシムル所以デナイ我國民ハ戰時竝ニ戰後ニ於キマシテ實ニ非常ナ重キ
  負擔ヲ擔ハセラレ、其困難其苦痛ト云フモノハ固ヨリ一通リデハナイ、今日コソハ我國費
  ヲ節約ヲシテ民間ノ實力ヲ養成スベキ時期デゴザイマス、此上更ニ負擔ヲ重カラシメント
  スルガ如キハ、實ニ我國民ヲ殲賊スル甚シキモノデアッテ、國家ノ前途ニハ誠ニ憂フベキコ
  トデアルト私ハ思ッテ居ル、政府ハ固ヨリ之ヲ知ッテ居ル、國費ノ節減ヲ計ラナケレバナラヌ
  ト云フコトハ總理大臣竝ニ大藏大臣ノ演說ニモアル、之ヲ知ッテ居リナガラデス、尙且
  國民ニ向ッテ增稅ヲ强ヒ更ニ大ナル厄難ヲ國民ニ與ヘント計ッテ居ル、此ノ如クシテ財
  政ノ基礎ヲ鞏固ニスルト云フノハ、果シテ何タルコトデゴザイマセウ、誠ニ無謀無責任ノ
  甚シキモノデアルト本員ハ信ズルノデアリマス唯茲ニデズ、眞ニ已ムヲ得ザル場合ニ際シ
  タモノデゴザイマスレバ、忠良ナル我國民ハ血ヲ啜ッテモ國家ノ急ニ應ズルコトハ辭シナイノ
  デアル、政府ノ財政計畫ノ上カラ判斷ヲ致シマスレバ、此增稅ト云フモノハ固ヨリ已ムヲ
  得ザルニ出デタモノデナイ、當局者ノ無定見無責任而モ自カラ國家ノ財政ヲ處理スル能
  力ナキガタメニ起ッタルトコロノ增稅デアル之ニハ國民ハ斷ジテ甘ンズルコトガ出來ナイノ
  デアル、財政計畫ノ無責任無方針ト云フコトニ付キマシテハ今更申スマデモナイ、政府ガ自
  ラ計畫ヲ立テナガラ自カラ之ヲ變更スルト云フ今日ノ有樣ニ陷ッタノデアリマスカラ、自カラ
  計畫ヲ立テナガラ自カラ之ヲ變更スルト云フ境遇ニ陷ッテ居ル、政府ハ何故今一歩進メ
  テ此計畫ヲ根本カラ改造スルコトヲシナイデアル、少クトモ所謂事業ノ繰延ニ付キマシテ、
  今少シ英斷ヲ加ヘルコトヲ敢テシタナラバ六億幾千万圓ト云フ大ナル財政ノ內カラ
  二千万圓ヤ三千万圓ヲ節約スルト云フコトハ少シモ難キニアラズト私ハ思フノデアリマ
  ス、增稅ヲ行ハズシテ濟ムベキ方法ハ幾ラモアル、唯財政當局者ノ腕サヘゴザイマスレバ、
  根本ノ整理ヲ行フト云フコトモ決シテ難キニアラズデアル、然ルニ此根本ノ整理ヲ施スノ
  能力ナキ政府ハ此能力ノナキ政府ハ、唯一時ノヤリ繰リノタメニ姑息ノ繰延ト云フコト
  ヲヤッテ、其財政ノ彌縫ヲ助ケルタメニ增稅ヲ國民ニ强ヒントシテ居ルノデアル、言換ヘテ
  見ルト今囘ノ增稅ハ財政ノ彌總ヲ助ケルタメニ國民ヲ犧牲ニ供スルモノデアルト私ハ思
  フ、卽チ增稅案ハ政府ノ財政ノ不始末、財政計畫ノ無責任ト云フコトヲ表白シテ居ル
  トコロノ一ノ病的徵候デアリマス、此增稅ハ實ニ財政ノ遣リ繰リ姑息ナル小刀細工、
  應援ノタメ企テラレタルトコロノ無謀ナル計畫デアルト謂ハナケレバナラヌ、諸君、財政
  ノ彌縫ノタメニ犠性ニ供セラレントスル我國民、如何ニシテ之ヲ甘受スルコトガ出來
  マセウカ、一時ヲ僥倖スル政治家ノタメニ濫ニ犧牲ニ供セラルヽ如キコトハ、我國民トシ
  テドウシテモ甘ンズルコトガ出來ナイノデアリマス、元來國民ハ租稅ヲ製造スルトコロノ器
  械デハナイ、然ルニ政府ハ我國民ノ柔順ナルニ乗ジテ、國民ヲ租稅製造ノ器械ト同視
  シテ、無雜作ニ國民ノ膏血ヲ榨ラント企テヽ居ル、斯ノ如クナリマスレバ我國民ハ如何
  ニシテ其業務ニ安ンズルコトガ出來マセウカ、實ニ政府ノ無謀モ亦甚シイト斷定セザルヲ
  得ナイ、諸君、以上ハ私ノ大體論デゴザイマスガ、私ハ玆ニ少ナクトモ來年度卽チ明治
  四十一年度ニ於テ增稅ヲ行フ理由ガナイト云フコトヲ斷言シナケレバナラヌ、(「來年ハ四
  十二年度ダ、四十一年度ト云フノハ過去ッテ居ル、ソンナ年度モ知ラヌヤウナヤツハ役
  ニ立タヌ」ト呼フ者アリ)政府ハ本年度ノ剩餘金ノ中三千三百万圓ダケハ之ヲ明治四
  十二年度ニ繰越スト云フコトヲ表言シテ居ル、此事ハ明ニ會計法ノ明文ニ背戾シテ居
  ル、剩餘金ハ之ヲ翌年度ノ歲入ニ繰入スベシト云フノガ、會計法ノ明文デゴザイマスガ、
  此會計法ニ違反シテマデモ三千三百万圓ノ剩餘金ハ明治四十二年度ニ繰越ス而
  F·

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• 054・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　藻寄君、靜ニ願ヒマス

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• 055・早速整爾

  ○早速整爾君　四十一年度ニ於キマシテ、僅ニ五百万圓ノ歲入不足ノタメニ增稅ヲ
  行フト云フコトハ、果シテ何ガ故デアル、政府ハ此事ニ關シマシテハ、增稅ノ計畫ハ數年
  ニ亙ルトコロノ計畫デアルカラ前ノ年度カラシテ之ヲ用意シテ置カナケレバナラヌト云フコ
  トヲ辯ジテ居ル是ハ一應私ハ尤デアルト信ズルノデアリマスケレドモ、抑增稅ト云フコト
  ハ國家ノ重大問題デアル、決シテ之ヲ輕忽ニ行フコトハ出來ナイ、政府ノ辯ズルトコロハ
  デス、唯是ハ政府ノ事情デアル、政府ノ御都合向キデアル、ドウモ前ノ年カラヤッテ置カナ
  ケレバ都合ガ惡ルイカラ、剩餘金ハアルケレドモ會計法ニ背イテマデモ其剩餘金ハ先ヘ繰
  延ベテ置イテ、其御都合ノタメニ免ニ角前ノ年度カラ增稅ヲ行ハウト云フコトヲシテ居
  ル、是ハ卽チ法律上ニ於キマシテモ、)私ハ大ナル疑問トシテ殘サナケレバナラヌト思フ(「疑
  問ヂヤナイ」ト呼フ者アリ)條理ノ上カラ見レバドウシテモ許スコトガ出來ナイ、現在剩餘
  金ヲ有シテ居リナカラ、法律上之ヲ來年度ノ豫算ニ編入シナケレバナラナイニ拘ハラズ
  空シク之ヲ次ノ年度マデカクマッテ置イテ、而モ尙此場合ニ於テ增稅ヲ行ハントスルト云
  フコトハ確ニ常識ノ上カラ判斷ヲ致シマシテモ、會計法上ノ條規ニ背イテ居ルコトハ明
  デアル、少ナクトモ此國家ノ大問題タル增稅ヲ行ハントスルニ當ッテハ斯樣ナル不法ナリ
  トノ疑アル擧動ニ出ルト云フコトハ立憲的內閣ト云フ其內閣ノ舉動トシテハ、我輩大
  ニ之ヲ疑ハザルヲ得ナイノデアル、斯樣ナル次第デ、實際ニ於テ明治四十一年度ニ於テ
  增稅ヲ行フ必要ガナキニ拘ハラズ、唯政府ノ事情ノタメニ之ヲ行フト云フコトハ、非立憲
  的ノ甚シキモノデゴザイマスカラシテ、國民トシテハ此〓ニ付テモ斷ジテ政府ノ增稅理由
  ニ首肯スルコトガ出來ナイノデアリマス、諸君斯ノ如ク致シマシテ政府ハ此無謀ノ增稅ヲ
  行ハント企テヽ居ルノデゴザイマスガ、此無謀ノ政策ガ果シテ能ク其目的ヲ達スルヤ否ヤ
  ト云フコトニ付キマシテモ、吾〓大ニ之ヲ論難シナケレバナラヌ、政府ハ此增稅計畫ニ付
  キマシテ、果シテ能ク收入增加目的ヲ達スルヤ否ヤ、酒ニ致セ、砂糖ニ致セ、從來此課
  稅ノ實驗ニ徵シテ見マシテモ、增稅ノ度每ニハ消費ノ高ヲ減ジテ、其消費高ヲ減ジテ居
  ルコトハ明カデゴザイマス、而モ今日ニ於キマシテハ是等ニ對スル負擔ト云フモノハ實ニ
  極點ニ達シテ居ルノデアル、酒モ砂糖モ何レモ負擔ト云フモノハ極〓ニ達シテ居ルノデゴ
  ザイマスカラ、此上更ニ增稅ヲ行フト云フコトヲ致シマスレバ、是等ノ品物ニ對スル消費
  高ト云フモノハ益〓減却スルデアラウト云フコトハモウ明カニ分ル、爲ニ政府ガ果シテ此
  增稅ノ目的ヲ達シ得ルヤ否ヤト云フコトハ、吾〓ノ今日ニ於ケル疑間トスルトコロデハゴ
  ザイマセヌカ、彼ノ大藏省ノ稅法審査委員會ガ酒ニ付キマシテ、酒造稅ヲ增加スル度
  每ニ、消費高ガ減ジ來ックト云フ統計ヲ根據トシテ、今日以後更ニ增稅スルノ餘地ガナ
  イト云フコトヲ決定ヲシテ、增稅ノ目的ヲ達スルコト能ハザルヤ必セリトマデ斷言ヲシテ、
  酒造稅ヲ增徵スルト云フコトハ惡イト云フコトヲ審査委員會デ極メマシタノハ、流石ニ
  感心デアル誠ニ大藏省ノ當局者ハ卓見ノ明ガアッタト私ハ思フ、(「確ニ進歩シテ居
  ル」ト呼フ者アリ)誠ニ其通デアル(「登壇シテ妨ゲ給ヘ」「登壇シナクトモ宜イ」ト呼フ者
  アリ)此上酒ニ增稅ヲ致シマスレバ、爲益〓消費高ヲ減ジテ增稅ノ目的ヲ達スルト云フ
  コトハ出來ナイノデアル然ルニ斯樣ニ卓見ナル大藏省ノ當局者モ、或事情ノタメニハ
  忽チ其意見ヲ變更ヲシテ、彼モ一時是モ一時ト云フヤウニ、今デハ又增稅ノ目的ガ達
  セラルヽデアラウト云フコトヲ極言シテ居ル、一年前ニハ酒ニ稅ヲ增ス場合ニハ、增稅ノ
  目的ハ達セラレヌト斷言ヲシテ置キナガラ、御都合上カラ今日ニ至ッテハ增稅ヲシテモ目
  的ハ達セラルヽデアラウト極言ヲシテ居ル、是モ誠ニ無責任ナル話テゴザイマスガ、ソレハ
  免ニ角前ニ於テ決定ヲ致シタル審査委員會ノ意見ト云フモノハ誠ニ正當デアルト私ハ
  信ズルノデゴザイマス、卽チ我輩ハ此審査委員會ノ意見ノ通リニ政府ハ能ク增稅ノ目的ヲ
  達スルコト能ハヌデアラウト云フコトヲ斷信スルモノデアリマス、然ラバ政府ハ如何ニシテ
  前途ニ對セントスルノデアルカ、如何ニシテ此目的ヲ達セントスルノデアルカ、增稅ノ計畫
  ヲナシテ其增收ノ目的ヲ達スルコトガ出來ナイト云フ疑ガアル品物ニ向ッテ增稅ヲ行フ誠
  ニ危險千萬收入ノ見込ガ確實ナリヤ否ヤト云フ疑ノアル品物ニ向ッテ稅ヲ課スル、寧口滑
  稽デゴザイマスケレドモ政府ノ財政計畫ノ上カラ見テ是程危險ナモノハナイト私ハ斷言
  ヲスル、斯ノ如ク危險ナル增稅計畫ニ向ッテ諸君ハ果シテ能ク甘ンジテ之ニ贊成ヲスルコ
  トガ出來マスカ、我輩ハ唯此〓ニ付キマシテモ、斯ル危險ナル增稅計畫ニ向ッテハ、斷
  ジテ贊成スルコトハ出來ナイ諸君、私ハ最後ニ當リマシテ、政府ガ實ニ亂暴ナル考ヲ有ッ
  テ居ルト云フコトヲ一言シタイ政府ハ此增稅ガ何レモ間接稅デアルカラシテ、誠ニ良キ
  稅源デアルト斯樣ニ辯ジテ居ルノデアル、何故ニ是ガ良キ稅源テアル、酒ニ致セ、砂糖ニ
  致セ、石油ニ致セ、之ニ向シテ消費稅ヲ課スル場合ニハ實ニ此全國ノ國民ヲ苦メルコト
  ハ甚シイ、又大ニ此事業社會ニ向ッテ打擊ヲ加ヘルト云フコトニナルノデアル、何レモ人
  生ノ必要品デアル殊ニ砂糖ノ如キハ鹽ト同樣ニ人類ノ生活ニ必要缺クベカラザルモノ
  デゴザイマス、酒ノ如キニ致シマシテモ、亦或意味ニ於テハ同ジ物デアル(「ノウノ」ト呼
  フ者アリ)況ヤ石油ニ至リマシテハ、細民ニ取ッテ特ニ缺クベカラザル品物デアル、斯樣ナ
  ル此人間ノ生活上必要ナル品物ニ對シテ重キ稅ヲ課スルト云フコトニナリマスレバ、國民
  ノ苦痛ト云フモノハ益〓甚シキヲ致シテ、其生計ノ上ニ困難ヲ加フベキコトハ固ヨリ明白
  デアル、今ヤ物價ハ益〓騰貴致シマシテ、國民ガ其生計ニ苦シミツヽアルニ當ッテ、更ニ
  斯樣ナル生計上必要ナル品物ニ對シテ重稅ヲ課スルト云フコトニナリマスレバ日用品ノ
  物價ト云フモノハ益ゝ騰貴シテ、國民ノ困難ト云フモノハ實ニ極度ニ達スルデアラウ、
  ソレト同時ニ勞働賃銀ノ騰貴等ノタメニ、一般ノ事業社會ニ向ッテ大ナル打擊ヲ加ヘ、
  產業ニ對シテ非常ナル妨害ヲ來スト云フコトハ消費稅ノ性質トシテ明カニ分ッテ居ル、
  民間ノ經濟社會ノ不況ハ私ガ申スマデモナク、今日ハ實ニ甚シキニ陷ッテ居ルノデアリマ
  スガ、此上尙且此產業ノ妨害ニナル、經濟社會ノ妨ニナルトコロノ斯ノ如キ消費稅ヲ
  課スルト云フコトハ、實ニ事業社會ニ對シテ大打擊、突然我經濟社會ヘ爆烈彈ヲ投ゼ
  ラレタト同ジ結果ヲ生ズルノデアル(「ノウ〓〓」「ヒヤ〓〓」ト呼フ者アリ)ソレコソ我實業
  社會ノ一大不幸ヲ招クモノデゴザイマスルガ、政府ハ此經濟社會、民間實業社會ノ不
  幸ニ陷ルト云フコトヲモ顧ミズシテ、消費稅ハ良キ稅源デアル、間接稅ナルガ故ニ良キ稅
  源デアルガ如キノ理由ヲ述ベ、我國民ノ困難ヲ顧ミナイト云フコトハ是ガ果シテ大岡
  君ノ所謂國家ニ對スル忠實ナルモノヽ致ストコロデゴザイマセウカ、私ハ今囘ノ增稅計畫ニ
  付テハ、政府ハ實ニ此國民ノ困難、國民ノ苦痛ヲ顧ミザル誠ニ不親切ナル政府ノ處置
  ト斷言ヲセザルヲ得ナイノデアル、況ヤ砂糖稅ノ如キハ內地ノ糖業者ニ對シテ非常ナル
  打擊ヲ與ヘ、此事業ヲ壓倒スルノ結果トモナルデアラウ、石油稅ノ如キモ寧ロ輸入ヲ奬
  勵スルノ結果ト相成ッテ、直接ニ是等ノ事業ノ基礎ヲ破壞スルノ結果ヲ來スコトハ明カ
  デアル、則チ斯ノ如キ消費稅ハ國民一般ニ向ッテ苦痛ヲ與フルト同時ニ、其事業其物ニ
  向ッテ非常ナル打撃ヲ與ヘ、其事業ノ基礎ヲ破壞スルト云フ結果ニ陷ルデアラウト私ハ
  思フ、斯ル惡稅-私ハ此消費稅ヲ以テ、今日ノ經濟社會ニ於キマシテハ惡稅中ノ
  惡稅ト思フヽ此惡稅中ノ惡稅ニ對シテ政府ハ良キ財源デアルト云フコトヲ稱シ、、國民
  ノ苦痛ヲ顧ミズシテ重キ負擔ヲ荷ハシメントスルト云フコトハ、誠ニ國家ノ前途ニ對シテ
  憂フベキコトデアルト信ジマスルカラ、、此增稅案ノ全體ニ對シテ反對ヲスルモノデゴザイマス
  ル、政府ガ若シ果シテ國家ノ要務ヲ忘レズシテ國民ニ對シテ親切デゴザイマシタナラバ
  財政計畫ニ付テ纔ニ一ノ手腕ヲ振ッテ、今少シク英斷ヲ加ヘルト云フコトニ致シマスレ
  バ、此增稅ヲ行フノ必要モナク、國民ニ對シテ困難ヲ重ネシメル必要モナク、國民ヲ滿
  足セシメ、國民ヲ安心セシメ、而シテ國民ノ實力ヲ發達セシメテ將來國家ノ財政ノ基
  礎ヲ鞏固ニスルト云フコトハ、無論其目的ヲ達スルコトガ出來ルノデアルニモ拘ハラズ、
  早キニ及ンデ增稅ノ必要ナキ今日ニ當ッテ、徒ラニ無謀ノ增稅ヲ斷行セントスルト云フコ
  トハ誠ニ政府ノタメニ惜マザルヲ得ナイ、立憲的內閣ト云フモノハ果シテ斯ノ如キモノ
  デアルカト云フコトヲ、私ハ疑ッテ此壇ヲ降ルノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=55

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• 056・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　三井忠藏君
  〔三井忠藏君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=56

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• 057・藻寄鐵五郎

  ○藻寄鉄五郞君　議長-議長-タッタ一口デ宜シウゴザイマス

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• 058・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　三井忠藏君カラ發言ノ通告ガアリマスカラ、順序ニ依ッテヤル
  /ショ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=58

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• 059・藻寄鐵五郎

  ○藻寄鉄五郞君　三井君、チヨット待ッテ呉レ給ヘ、大津君ノ如キ、早速君ノ如キハ
  要スルニ增稅ト云フモノヲ··

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• 060・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　發言ヲ許シマセヌ、藻寄君-藻寄君
  〔「登壇シ給ヘ」ト呼フ者アリ〕

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• 061・三井忠藏

  ○三井忠藏君　諸君、私ハ此問題ニ付キマシテハ酒造稅砂糖稅ハ贊成ヲ致シマスル、
  而シテ石油稅ハ反對ヲ致シマスル、是ヨリ其理由ヲ述べマスルニ付キマシテ、、反對者ノ
  議論ヲ藉リマシデ、其非ナルコトヲ述ベテ、私ノ理由ト致シマスル(「百尺竿頭一步ヲ進
  メテ總テ贊成スベシト」ト呼フ者アリ)反對者ノ理由ト致シマスルトコロノ要ヲ〓括致シマ
  スレバ、大凡私ガ今述ベントスルトコロノ五ツニ過ギナイ譯デアル、其一ツハ四十年度ノ
  歲入不足ハ僅々四百九十万圓デアル、其上ニ四十二年度ニ繰延ベ得ベキトコロノ金
  額ガ三千三百万圓アル、此中ヨリ四百九十万圓ヲ補塡スルモ別段ニ增稅ヲスル必
  要ガ無イト云フコトガ第一デアル、第二ハ政府ガ一億万圓ノ事業繰延ヲ爲シ得ベクン
  バ尙進ンデ年々二千万圓乃至二千五百万圓ノ繰延ノ出來ナイコトハナイト云フコトデ
  アル、第三ハ增稅ハ已ムヲ得ナイトスルモ、消費稅ハ國民ニ苦痛ヲ與フルコト大ナルガ故
  ニ不可ト云フコトデアル、第四ハ經濟界不振ノ今日ニ於テ增稅ハ經濟界前途ノ混亂ヲ
  釀スモノデアッテ、將來ノ國家ヲ奈何セント云フコトデアル、第五ハ增稅ハ絕對ニ反對ニアラ
  ザレドモ、不信任ナル政府ノ提出シタル增稅案ニ反對ヲスルト云フ、此五ツニ過ギナイコ
  トヽ考ヘマス、第一ノ四十一年度不足四百九十万圓ハ當年ヨリ增稅ヲシナクテモ、、是ガ
  補塡ノ途ハ優ニ三千三百万圓ノ內ヲ以テ出來ル、故ニ當年增稅ラシテ將來ヲ待ツニ及
  バヌト云フコトハ、甚グ當ヲ得ナイト思フ、何ゾヤ此四十一年度ノ財政計畫ガ四十一年
  度限リデ締切ラルヽモノナラバ、是ニ贊成致シマスカナレドモ、此四十一年度以降ハ數年
  ノ後ノ繼續事業トナッテ居リマシテ、每年一億三千万圓以上ノ負擔ヲシナケレバナラヌ
  今日ノ繼續事業ノ狀態トナッテ居リマス、今年サヘ此四百九十万圓ノ補塡ガ出來レバ、
  增稅ハ不可ト云フコトハ甚ダ近眼モ亦甚シキ近眼者流ノ說ト思フ、之ニ反對スル論者
  ハ現今ノ政府ハ苟且彌縫ヲ事トスルト云フコトヲ以テ絕叫セラルヽ人ガ、却テ其政策ニ
  至ッテハ現政府以下ノ彌縫ヲ事トスル意見ヲ提出セラルヽノハ、抑ふ何デアルカ、本員ノ
  贊成スルコトノ出來ナイ第一ノ理由デゴザイマス、第二ハ一億万圓ノ繰延ヲシ得ベクン
  バ、尙年々二千万圓以上ノ繰延ノ出來ナイト云フコトハナイト云フコトデアル、是ニ對シ
  マシテ此增稅ヲシナクテモ、增稅ダケノ金額ハ陸軍ニ於テ是〓ノ事業ヲ中止シテ妹延ガ
  出來ル、海軍ニ於テ是等〓ミノ物ガ出來ル、農商務省遞信省尙然リ、此ノ如ク具體
  的計數的ノ案ヲ具ヘテ反對セラルヽモノナレバ、私モ贊成致シマスカナレドモ、唯壹億万
  圓ノ繰延ガ出來ルモノナレバ增稅ヲシナイデモ繰延ガ出來ルト云フガ如キ、漠トシタト
  コロノ此意見ニハ私ガ贊成ヲスルコトガ出來ナイ一ツデゴザイマス、第三ニ消費稅ハ-
  增稅ハ假リニ已ムベカラズトスルモ、消費稅ハ國民ノ苦痛ヲ增スト云フ意見デアル、增
  稅ヲ己ムベカラズトシテ消費稅ハ苦痛ヲ增スカラ不可トスレバハ直接稅ニ依ラナケレバナ
  ラヌ、若シ論者ノ如ク直接稅ニ依ルト致シマシタナラバ、タ此上地租、營業稅、所得稅ノ
  如キ物ニ增稅ヲスル餘地ガアルノデゴザイマスカ、是コソ國民ニ大ナル苦痛ヲ增シマスモ
  ノデアッテ、眞ニ反對論者ガ國民ノ苦痛ヲ厭ウテナレバ消費稅ニ依ルノ外ハナイノデアリマ
  ス、因テ私ハ贊成スルコトガ出來ナイ第二ノ理由デゴザイマス、第四ハ經濟界ノ
  不振ノ今日ニ於テ增稅ヲナストキハ將來ノ經濟界ヲ如何スルト云フコトデアル、
  如何ニモ今日ハ經濟界不振デアル、此不振ノ原因ハ經濟狀態ノ常トシテ甚シク複雜ヲ
  シテ居リマスカナレドモ、此重ナル物ハ米國ノ經濟界ノ恐慌銀貨ノ下落、日本財政
  ノ前途ノ不安心、此三ツニ過ギナイモノト思ハレル、併シ米國經濟界ノ惡慌、銀貨ノ下
  落ハ他働的ニシテ吾〓日本人ハ如何トモスベカラザルコトデ、事業家ガ今日事業ヲ縮小
  シ、又新事業ヲ起サレナイト云フモノハ、此繼續事業ヲ抱ヘテ居リマスル今日ノ日本ノ
  財政ガ、四十二年度以降年々一億三千万圓以上ヲ繼續事業ニ仕拂ヲナサナケレバナ
  ラヌ、此補塡ハ政府ハ如何ナル財源ヲ以テナスカト云フコトガ、卽チ疑〓ノ大ナルモノデ
  アル、是ニ於テ資本ヲ入レ工業ヲ起シ商業ヲナスモ、此財政ノ將來卽チ四十二年度以
  降一億三千万圓バカリノ補塡ノ途ガ附カナイカラシテ事業ニ手ヲ出サナイ、現ニ出シテ
  居リマスモノハ、縮小スルト云フ譯合ニナッテ居ル、是ガ卽チ經濟界恐慌ノ一原素デア
  ル、然ラバ少ナクトモ此內國事業家ノ安心ヲスルマデノコトニ於テハ吾〓爲政家ガ大ニ
  注意ヲシナケレバナラヌ(笑聲起ル)是ガ卽チ四十二年度ヨリ一億三千万圓ノ財源ハ
  前私ガ申上ゲタ如ク何ヲ以テ財源ニ充テルト云フコトガアリマスカ、事業繰延ガ出來マ
  スカ、何ミヲ以テ事業繰延ヲスルト云フコトヲ具體的ニ明細ニ擧ゲタ論者ハ一人モナイ、
  唯出來サウナモノ此位ノ事業繰延論デハ到底此財界ノ救濟ハ出來マセヌ、然ラバ此年々
  一億三千万圓以上ノ補塡ニ充テルニハ甚タ吾〓モ忍ブヲ得ベカラザルコトデゴザリマス
  カナレドモ、增稅ニ依ルノ外ハ致方ハゴザリマセヌ、ソレヲ經濟界ノ前途如何ト云ッテ、眼
  前金ヲ出サナケレ六此經濟界ノ救濟ガ出來ヌ如ク、小供ヤ女ガ財政ヲ論ズルガ如キ
  小規模ノコトデハ到底教濟ハ出來マセヌ、第五ハ增稅ハ絕對ニ反對ニアラザレドモ不信
  任ナル內閣ノ提出案ナルガ故ニ反對ヲスルト云フコトデアル如何ニモ木員等モ現政府
  ノ無定見無方針ナルコトニ付テハ信任ハ致シマセヌカナレドモ、僅々トハ言ヒナガラ九票
  ノ少數ヲ以テ不信任案ガ不成立ニナッタ以上ハ致方ガナイ(「ヒヤノ」「三案トモ贊成
  スベシ」ト呼フ者アリ)吾〓ノ嫌ヒノ不信任ナルトコロノ政府ガ提出スル案ハ善モ惡モ可モ
  不可モ選バズ皆反對ヲスルト云フガ如キコトハ、今日ノ政治家ノ大ニ取ラザルトコロデア
  ル、殊ニ又戰後經營ノ大困難ナル今日ノ場合ニ於テハ最モ是等ノ如キ感情的ノコトハ
  棄テナケレバナラヌ場合デアル、此五ツノ理由ニ依リマシテ大體ニ增稅ハ已ムヲ得ズ贊
  成シナケレバナラヌト云フコトニ考ヘテ居リマスルガ、石油稅ニ至リマシテハ政友會諸君ト
  大ニ見ル所ガ異ッテ居リマスル、ソレト云フモノハ吾〓ハ財政計畫ニ於テ忍バレル限リハ
  忍ンデ國民ノ負擔ヲ輕カラシムル精神ト、此等ノ稅ノ如キハ將來ノ社會上大ニ愼マナケ
  レバナラヌト云フ理由ヨリ、石油稅ニハ反對ヲ致シマス、諸君、現今ノ社會ノ狀態ハ如
  何デゴザイマスカ、年一年ト貧富ノ懸隔著シクナッテ來ル今日ノ狀勢デアル、此狀勢ニ
  依ッテ窮極致シマストコロニヨリマスト社會上如何ナル惡結果ヲ來スカト云フコトハ大ニ
  考ノ有ルモノヽ憂慮スルトコロデアリマス、然ルニ徵稅上ノ狀態ハ如何デアルカト云フト、
  鹽專賣法、此專賣ノ上リ高二千七百万圓ノ中デ、鹽ヲ買八レタ殘リノ二千-万圓バカリ
  ノ大部分ノ納稅ハ、細民ガ負擔ヲシテ居リマス、又輸入米一石ニ付キ圓五十錢ノ
  課稅、其總額三百幾万圓ハ、是ハ富者デナイ外國米ノ下等米ヲ〓用スル細民ガ悉ク
  納稅シテ居ルノデアル、此細民ニノミ重クシテ富民ニ比較的輕イ今日ノ狀態ニ、尙是
  上負擔セシムルニ一石一圓デアルカラサノミ苦痛ヲ感ジナイト云フガ如キ理由ヲ以テ、此
  石油ノ課稅ヲスルト云フハ是亦細民ノ負擔ヲ甚シク重クスル一ノ原因デアルト思フ
  何ヲカ此石油ハ細民ノ負擔ト申シマスルカト云フニ、大體上等ノ人ハ電燈瓦斯ヲ使
  用シテ石油ヲ用ユルモノハ少ナイ、、ソレ故大部分ハ細民ノ負擔トナルノデアル故ニ本員ハ
  石油稅ニ反對致シマス譯デゴザイマスガ、反對論者ハ言ハントス、此石油稅ヲ廢シテ百
  五六十万圓ノ補塡ハ如何ナル財源ヲ以テ之ヲ充タスカト云フ反問ガゴザイマス是ハ甚
  ダ諸易イコトデアル、四十一年度カラ四十二年度ニ繰越ス三千三百万圓ヲ以テ納塡ヲ
  スル(「ヒヤノ」ト呼フ者アリ滿場哄笑)四十三年度以降ハ煙草ノ値上酒造稅ノ增
  收〓自然的ノ增收ヲ以テ優ニ百五六十万圓ノ葡塡ハ出來ルコトト信ジテ疑ヒマセヌ
  右ノ如キ理由ヲ以テ本員ハ酒造稅砂精稅ニ贊成致シマシテ石油稅ニ反對ヲ致シマス
  〔拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=61

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• 062・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　合田福太郞君
  〔合田福太郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=62

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• 063・合田福太郎

  ○合田福太郞君　私ハ唯今問題ニナッテ居リマス案ノ全體ニ付キマシテ反對ヲ致シマ
  ス此案ノ出シタ趣意ハ歲出入ノ權衡ヲ保タシメテ財政ノ基礎ヲ鞏固ニスルト云フ趣
  意デ現內閣ハ提出サレタノデアル此歲出入ノ權衡宜シキヲ得テ、財政ノ基礎ヲ鞏固
  ニスルト云フコトニ付キマシテハ、朝野ヲ通ジテ何人モ反對致シマセヌガ、現內閣ノ執ッテ
  居ルヤウナ此增稅案デハ-此三案ヲ提出致シタ計畫デハ吾ミハ歳出入ノ權衡宜シキ
  ヲ得テ財政ノ基礎ヲ鞏固ニスルトハ思ヘナイノデアリマス、若モ斯ル手段ヲ執ッテ歲出入
  ノ權衡宜シキヲ得、財政ノ基礎ヲ鞏固ニスルコトガ出來ルモノナラバ、贊成論者ノ一人
  タル大岡君ノ述ベラレタヤウニ、經濟上ノ不堅固、詰リ之ヲ割ッテ申シマスレバ例ヘバ國
  庫債券ガ非常ニ下落シテ其タメニ私設鐵道ノ買上ニ付テハ、株主ガ非常ノ損害ヲ受ケ
  マセウ、又他ノ例ヲ引ケバ經濟狀態ノ不堅固ノタメニ諸物價が騰貴シテソレガ爲メニ商
  工業ノ上ニモ苦痛ヲ與ヘテ居リマセウ、斯樣ノ例ヲ舉ゲレバ澤山アリマスガ、〓シテ大岡
  君ノ言フ如ク之ヲ以テ不堅固ノ經濟狀態ヲ救フ事ガ出來マセウカ、斯ノ如キ手段デハ
  右樣ノ望ヲ達スルコトガ出來ナイト思フ、何故ナレバ政府ノ財政上一番缺〓ト思フ所
  ヲ申スト此增稅案ノ通リニシテモ明治四十一年度四十二年度ハドウ云フコトヲセラレ
  テ居ルカト云フト、歲入ノ上デハ三ツノ手段ヲ執ッテ居ル、卽チ此案ガ行ハレルト、一ツガ
  增稅、一ツガ剰餘金、一ツガ公債、此三ツノ手段ヲ執ッテ居ルノデアル、今日マデ歲出
  入ノ權衡宜シキヲ得ナイ、財政ノ基礎ヲ鞏固ニシナケレバナラヌト論ジタノハ、剩餘金ヲ
  繰入レ、公債ヲ募集スル、此二ツノ手段デ財政ヲ處理シタカラデ、是ガタメニ種々ノ失
  敗種々ノ不都合ガ起ッタノデアル(野田卯太郞君「贊成ナラ贊成ト言給ヘ、君ノハ贊成
  ノヤウニ聽エル」ト呼フ)野田君暫ラク······若モ政府ガ財政上ノ基礎ヲ鞏固ニシテ歲出
  入ノ權衡宜シキヲ得セシムルナラバ、剩餘金トカ公債募集トカ云フモノニ付テ、モウ少シ
  注意シナケレバナラヌ(「君ノハ贊成ナノカ、反對ナノカ分ラヌ」ト呼フ者アリ)勿論反對デ
  ス、何故ナレバ四十年度ノ豫算ヲ見テモ、公債ヲ四千万圓募集スルコトニナッテ居ル、
  又剩餘金ヲ約七千万圓入レルコトニナッテ居ル、卽チ此二ツデ一億一千万圓ヲ繰入レ
  ルノデ、此繰入ノ多分ト云フモノガ公債ニ據ルノデアル卽チ剩餘金ノ七千万圓ト云フ
  モノモ、過半ハ公債ヲ募集シナケレバナラヌモノテ、現金ハ無イト云フコトハ豫算委員會
  其他ニ於テ政府ノ說明シタトコロニ依ッテ明カデアル、又其上ニ本年度ニ於テハ臨時軍
  事費ノタメニ募集シタ第一囘ノ國庫債劵一億圓ト云フモノヲ償還ヲシナケレバナラヌ、サ
  スレバ併セテ二億圓カラノ公債ヲ募集シナケレバナラヌト云フヤウナコトニナルノデアル、是
  ガ出來ナケレバ其施行が出來ナイト云フヤウナ譯デアル、現ニ此四十年度ノ公債募集ノ
  如キモ年度末ノ今日ニ至ルマデ、內外經濟狀態ノ不況ニ依ッテ其募集ヲ許サヌト云フ
  ヤウナ次第デ、政府ハ未グ募集ヲシテ居ラヌノデアル、四十年度ノ豫算ノ施行ヲ終ヘルト
  同時ニ四十一年度ノ豫算モ豫算計畫ノ通リ施行シヤウト思ヒマシタナラバ二億万近
  クノ公債ハ決シテ內外共ニ募集ハ出來マイト思ヒマス、臨時軍事費一億万圓ノ借替
  四十一年度ノ公債、ソレカラ四十年度ノ公債、是ハ決シテ容易ニ募集ノ出來得ラレ
  ルモノデアルマイト思ヒマス、(「アクセントガ宜クナイカラ分ラナイ」ト呼フ者アリ)左樣デス
  21ソレデ吾ミノ見ル所ニ依リマスルト若モ政府ガ歲出入ノ權衡ヲ取ッテ財政ノ基
  礎ヲ鞏固ニスルト云フ御意見デゴザイマスレバ歲出ノ上ニ付テ、今少シク整理ヲシテ其
  上ニ是ヨリ上ハモウドウシテモイケナイ、卽チ歲出ノ最少限度ト云フモノヲシッカリ定メマ
  シハ、然ル後ニ歲入ノ整理ヲ致サネパナルマイト思ラ然ルニ歲出ノ上ニ付テハ、ドレダケ
  ノ手段ヲ執ッタカト云フト、僅ニ繰延ノ手段ヲ執ッタダケデス、其繰延ノ手段ト云フコト
  ハ決シテ惡ルイコトデナイ惡ルイコトハアリマセヌガ、今一歩進ンデ到底豫算ノ執行ノ出
  來ナイモノナラバ、何故打切ヲシナイカ、何故打切ヲシテ財政ノ整理ヲシナイカト考ヘマ
  ス、若シ歲出ノ上ニ政府ガ大手段ヲ揮フト云フノデゴザイマスレバ、此歲入ニ今少シク緊
  縮ヲ加ヘマシテ、陸海軍費ニ限リマセズ、其他總テノ政府ノ經費ハ上ニ、國家ノ經
  費ノ上ニ緊縮ヲ加ヘテ、歲入ト相伴ハシメルヤウニシテ、少クトモ剩餘金ノ
  繰入、若クハ公債ト云フヤウナモノヽ借金政略ニ依ラズシテ、歲出入ノ
  權衡ノ取レルヤウニセネバナ、ルマイト思フデス、若モ此案ガ行ハレルモノトシマシ
  テモ、他ノ煙草ノ直上ヲ加ヘマシテモ、一箇年ニ三千万圓バカリノ增額ニシカナラナイデ
  ス、然ルニ政府委員ノ辯明スルトコロヲ聽キマシテモ、四十一年デモ約一億一千万圓ト
  云フモノガ不足ニナル、ソレカラ四十二年度以下五六箇年ヲ經テ政府ノ計算通リ致シ
  マシテモ、四十六七年度デモ、尙五千万圓ノ不足ガアルト一云フノデス然ルニ此增稅ノ金
  額ハイクラデアルカト云フト、僅ニ三千万圓デス、サウシテ三千万圓ノ增額ヲ以テ此通リ
  ニ現在ノ儘デハ最少額デモ五千万圓ノ不足ガアルト云フノデハ、迚モ突合セハ取レマイ
  ト思ヒマスガ、ソレニハ歲出ノ上ニ於テ、減ズルモノモアリ、或ハ稅目ノ上ニ自然增加ス
  ルモノモアルカラ、双方ノ出入ノ權衡ハ取レルト云フノデアルガ、是ハ私ハ非常ニ安心ノ
  出來ナイ間題デアラウト思ヒマス、ダカラ若モ政府ノ計畫通リ致シマスレバ、歲出ノ上ニ於
  テ緊縮ヲ加ヘテ、然ル後ニ歲入ノ上ニ新ナル計畫ヲ立テラレタラ、宜カラウト思フ、若モ歲
  入ノ足リナイモノトシマシテモ、現在ノ如キ酒或ハ砂糖石油ト云フヤウナ物ニノミ增稅ヲ
  スルト云フコトハ、稅制ヲ整理スル上ニ於テモ、餘程考モノデアラウト思ヒマス、ソレデ政
  府ノ執ル所ヲ見マスルト云フト、度々變更シテ居ル、最初戰後ノ經營ヲ致シマスル時分
  ニハ非常特別稅ヲ繼續シテ是テ最早增稅ヲシナイト云フヤウナ決心ガ、表面ニ現ハレ
  テ居ルソレハ何故カト云ヘバ稅制ヲ整理シマス時分ニ、歲入ヲ減ジナイヤウニ非常
  特別稅ノ歲入ヲ減ジナイ範圍ニ於テ、稅制ヲ整理スルト云フ手段ヲ執ッテ居ッテ、其當時
  ハ增稅ヲスル考ハ無カッタ、其當時ニハ政府ハヤハリ非常特別稅ヲ整理シテ、之ヲ繼續
  スルト同時ニヤハリ公債ノ募集ト剩餘金トデヤルノデアル然ルニ昨年ノ豫算編成ノ前
  ニ當ッテ、政府ノ計畫ガ復タ一變致シマシテ、更ニ增稅ヲ加ヘテ、增稅ト公債ト剩餘金
  トノ三手段デ住クト云フコトニナッタノハ、歷々政府ノ執ルトコロノ手段デ分ッテ居ルデス、
  若モ政府ガ從來執ッテ居ルトコロノ剩餘金ト公債デ進メバ、マダ一貫シテ居リマスガ、ワ
  レヲ棄テヽ其主義ヲ棄テヽ、更ニ增稅ヲ加ヘテ三ツノ手段デヤルヤウニナリマシタカ
  ラシテ、或論者ノ云フニ、此場合ニ增稅ヲシナクテモ、明年五百萬圓位ノ金ハ、融通ハ
  付クデハナイカ、四十二年度ニ至ッテ、三千三百万圓程、剩餘金ヲ繰入レルカラ增稅
  ヲスルニ及バナイト云フ議論ガ自然ニ生ズルデアラウト思ヒマス、ダカラ此增稅案ニ反對
  致シマスルノハ、稅其モノヨリモ寧ロ今日增稅案ニ反對スル譯ハ、財政ノ基礎ハ是デハ
  鞏固ニナラヌ、是ダケノコトヲシタノデハマダ歲出入ノ權衡ヲ取ルコトガ出來ラレヌト云
  フノガ趣意デゴザイマス、ソレデ私ノ議論ヲ約メテ申シマスレバ、姑息ナル三千万圓ノ增
  稅ヲシテ、是デ財政ノ基礎ハ立ツ、歲出入ノ權衡が取レルト云フヤウナコトハ現在ノ
  政府ノ執ルヤウナ手段デハ迚モ行ハレナイ、決シテ出來ルモノデナイカラシテ、若モ歲出
  入ノ權衡ヲ取リ、財政ノ基礎ヲ鞏固ニスルト云フナラバ增稅ノ手段ヨリハ歲出ノ緊縮
  ヲ圖ル方ガ捷徑デアル、其方ガ手近デアル、其手段ヲ執ラズシテ漫ニ增稅ヲスルト云フコ
  トハ吾〓ノ贊成スルコトノ出來ヌ譯デアルト云フノガ、反對ヲ致シマスル理由ノ大本デ
  ゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=63

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• 064・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　征矢野半彌君
  〔征矢野半彌君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=64

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• 065・征矢野半彌

  ○征矢野半彌君　私ハ演說下手ノ上ニ、大分諸君モ御退届ノ容子デアリマスカラ、
  極メテ手短ニ申ス積リデアリマスルカラ、ドウカ暫時御容赦ヲ願ヒタイト考ヘマス、段々
  反對論者ノ御議論ヲ承ッテ見マスルニ、最初大津淳一郞君ノ御議論ハ唯現政府ヲ罵
  倒スルノ一點張リノ御議論ト聞エマシテ別ニ是ゾト云フ私ハ御答スベキ〓ヲ見出サヌノ
  デゴザイマス又其他ノ諸君ニ於キマシテモ、多クハ罵詈讒謗的ノ言葉ヲ以テ論旨ヲ修
  飾致サレマシテ、實物ト云フモノヲ私ハ見出スコトガ出來マセヌ、私ハ幸ニ致シマシテ、
  豫算委員タルガタメニ進步黨ノ院內總理大石君ノ御說ヲ屢、承シテ居リマスル、是ガ多
  分進步黨諸君ノ御議論デアラウト考ヘマスカラ、聊カ批評ヲ加ヘテ贊成ノ意思ヲ完ウセ
  ント考ヘマスガ、併シ唯今出ラレタ諸君ノ說ニ向ッテ、マルデ御答ヲセナイト云フコトハ紳
  士ニ對スル禮ヲ缺キマスルカラ、少シハ御答ヲ致サウト考ヘマスル、早速整爾君ノ御議
  論ヲ承ッテ見マスルト、政府ガ手腕ヲ用井サヘスレバ歲出ハ減ジラレル歲出ヲ減ジラレル
  ト言ハレマスル成程演壇ニ立ッテ腕ヲ振フ位ノ手腕ナラバ如何ニモ出來マセウケレド
  モナカノヽ錢ヲ減スコトハサウ云フヤウナ譯ニハ往キマセヌ、ドノ點ヲスレバ宜イカト云
  フコトヲナゼ御示シナサラヌ、察スルニ多分行政整理デアルトカ、或ハ財政ノ繰延デアル
  トカー事業ノ繰延デアルトカ云フヤウナ御議論デアラウト考ヘマスル、是等ノコトハ大
  石君カラモ屢〓豫算會議デ承ッタニ依リマシテ、私ハ其〓ニ付テ御話ヲ致サウト考ヘマス
  ルガ、又人民ガ苦痛ヲスルカラ稅ヲ掛ケルナ掛ケルナト言ハレル、是ハ私モ人民ノ苦痛ト
  云フ段ニ至ッテハ御同感デアリマスル現在ノ租稅デスラ人民ハ苦痛ヲ感ジテ居リマス
  ル諸君ハ只手段ヲ言ハズシテ人民ノ苦痛ナルガタメニ稅ヲ掛ケルコトハイケナイトー云フナ
  ラバナゼ男ラシク減稅論ヲ御出シニナラヌカ、悉皆增ヲ止メテシマウタナラバ、是ヨリ人
  民ノ喜ブコトハナイデアリマセウ(「暴論」ト呼フ者アリ)喜ビマセヌカ、喜フデアリマセウ
  (「ヒヤノ」ト呼フ者アリ)併ナガラ此ノ如キコトハ道理上許サナイコトデアリマスルカラ、
  諸君ニシテ唯人民ノ苦痛デアルト云フヤウナ、人民ニ媚ブルヤウナ聲ヲ發セズ致シマシテ、
  男ラシク事業繰延ハ斯ウ致セバ宜シイ、財政整理ハ斯ウ致セバ宜シイト云フコトヲ御述
  ニナルガ私ハ宜シイト考ヘマス、成程〓政整理ト云フコトハ是ハ私モ御同感デアリマス
  ルサリナガラ政費節減ト云フモノト財政整理ト云フモノハ是ハ問題ガ違ヒマスルゾ行
  政整理ヲ致シマシタナラバ或場合ニ於キマシタナラバ金ハ增スカモ知レマセヌ、繁文褥
  禮ヲ省キ、事ヲ敏捷ニスルト云フコトハ行政整理ノ目的デアリマス、サリナガラ人員ヲ減
  ジ、或ハ局課ヲ廢合スルト同時ニ、人ノ給料ト云フモノハ今日ノ民度ニ適セナイ、役人
  ノ給料デアルト云フコトハ諸君モ御承知デアリマセウ、是モ上ゲテヤラナケレバナラヌト
  云フコトハ分リキッタ話デゴザイマスカラ、是等ノ問題ヲ考ヘマスルト云フト、或ハ行政整
  理ノ結果ト致シマシテ、多少金ガ減ズルカ增スカハ知リマセヌケレドモ、之ヲ以テ日本財
  政ノ今日ヲ救フト云フ議論ハ是ハ言フベクシテ行ハレナイトコロノ議論ト私ハ考ヘマス
  ル、玆ニ至リマシテ私ハ男ラシク繰延ヲスルト云フトコロノ、大石君ノ御議論ガ最モ反對
  黨ノ諸君ト致シマシテハ、其議論ヲ御立テニナルニ便宜ナ議論デアルト考ヘマス事業
  繰延ト云フコトハドノ方面ニ向ウテ言言カカ云ハバ、卽チ御議論ヲ承ハレバ軍事上事業
  繰延ヲ今少シク大ニヤルガ宜イト云フ御議論デアリマス是ハ具體的デハナイケレドモワ
  レハ局外者ニ分ルモノデナイカラ、政府當局者ガ今少シノ軍事上ノコトヲ縮小シテ往ッテ
  ハドウデアルカト、斯ウ云フ御議論ノヤウニ考ヘマス、是ハ局外者カラ言フトキニナッテハ
  大石君ノ御議論モ已ムヲ得ヌコトヽ私ハ察シマスル、其軍事上ノ事業繰延ヲ一層激シ
  クシテ宜イト云フトコロノ御考ニ於テハ、東洋ハ今日ホド平和ナコトハナイ、日本ハ今日
  程安全ナコトハナイ、ヂヤニ依ッテ軍事上ノ繰延ハ十分ニ致サレルト云フトコロノ御論據
  デアリマスル、併ナガラ此ニ至ッテ私ノ大石君ニ向ッテ問ハント欲スルトコロハ此平和ト云
  フコトハ何處カラ來タモノデアラウカ、大石君曰ク日英ノ同盟、日佛ノ協約、日露ノ協約
  ナドガ出來テ居ルカラ、東洋ハ今日平和デアルト云フコトヲ御話ニナル、是ハ私モ御同論
  デアリマスル、併ナガラ此日英同盟ガ出來、日佛協約ガ出來、日露協約ガ出來タトコ
  ロノ此原因ハドコニアルダラウカト云フコトヲ考ヘマスレバ、日本ニ軍備上ノ實力ガ十分
  ニアルト云フコトガ、是ガ私ハ大原因ニナッテ居ルダラウト考ヘマス(「ヒヤ〓〓」ト呼フ者
  アリ)顧ミテ日〓戰爭ノ原因ハドウデアルカト云フコトヲ考ヘマスレバ支那ガ日本ノ實
  力ヲ知ラズ致シマシテ、漫リニ日本ヲ侮ッタトコロカラアノ戰爭ト云フモノハ起ッタモノデア
  リマスル、日露戰爭又然リ日本ノ實力ヲ知ラズ致シマシテ日本ヲ侮シタ結果ガ、卽チ
  日露戰爭ヲ惹起シタモノデゴザイマスルヽ戰ウテ見レバ想ノ外强イ、是デアレバ日本ト同
  盟ヲ致シ協約ヲ致スガ、世界ノタメ當然デアルト云フ考ヲ起シタノハ、卽チ平生ノ軍備
  ヲ見テヤルノト、又戰爭ノ結果ニ依ッテ是ハ成ッタノデゴザイマスガ、私ハ進步黨諸君ニ
  向ッテ御尋シヤウト思ヒマスルガ、二十九年日〓戰爭ノ後ニ至リマシテ、我國ノ六師團
  ヲ增シテ十二師團ニスルト云フ際ニ進步黨諸君ニ於キマシテハ、反對セラレタ諸君デ
  アリマスル(拍手スル者アリ)諸君、進步黨諸君ノアノ議論ガ當時ニ行ハレテ居リマシタ
  ナラバ、日露戰爭ニ日本ガ今日ノ光榮ヲ有スルコトガ出來タデアリマセウカ(拍手起ル)
  幸ニシテ進步黨諸君ノ議論ノ行ハレズ致シテ、御同樣軍備擴張ニ同意スル者ノ議論ノ
  行ハレタ結果、日本ヲシテ世界第一等ノ光榮ヲ得セシメタルトコロノ原因デゴザイマス
  (拍手起ル)之ヲ考ヘテ見ラレマシタナラバ再ビ日本ニ於テ斯ノ如キ議論ノ起ルト云フ
  コトハ餘程此議論ヲナサル諸君ニ於キマシテハ當時ノ日本ニ行ハレタ議論ノ論者
  デナクシテ、其失敗ノ經驗ヲ重ネテ他ノ議論者ノ御蔭ニ依ッテ已モ亦戰捷國ノ議員
  タルコトヲ得テ居ルトコロノ諸君ハ多少ノ御考ガアッテ宜カラウト私ハ考ヘマス(拍手起
  ル)(「可哀サウダ」ト呼フ者アリ)特ニ軍事上ノコトニ付キマシテハ御互ニ〓究シナケレバ
  ナラヌ、是ハ交通ノ日々ニ便利ニナラントシ、又便利ニナック結果ガ以前ノ軍備ト今日ノ
  軍備ト、ドレラノ關係ガアルカト一云フコトヲ考ヘナケレバナラヌ諸君ノ御案內ノ通リニ蘇
  士運河ガ一万噸ノ軍艦ノ通ジナイ前デゴザイマシタナラバ、東洋艦隊デ遣ルトカ、或
  西洋艦隊デ遺ルトカ云フコトガ出來マシタケレドモ、彼ノ蘇士運河ガ一度一万噸以上
  ノ船ガ通ズルコトガ出來タ以上ト申シマスルモノハ、波羅的艦隊ガ御承知ノ通リ日本ニ
  襲擊スルコトガ出來タデアリマセウ(「簡單分ッタ〓〓」ト呼フ者アリ)諸君ハ冷靜ニ御聽
  ヲ願ヒマス、二十九年ノ事ヲ云ハレタノガ諸君ハ口惜シイタメニソンナニ私ノ議論ニ向ツ
  テ彼此ノ冷評ヲ御下シニナルガ、ソレハ男ラシクナイ話ダ、私ノ議論ニ向ッテ再ビ登壇シ
  テ辯解ナサイ其後ニ向ヒマシテハ「パナマ」運河モ將ニ開ケントスル場合デアリマスソ
  コデ昔ハ海軍ニ於キマシテハ大變日本トカ歐羅巴トカ亞米利加トカ云フモノハ遠イ所
  ノヤウニ思ウテ居リマシタナレドモ波羅的艦隊ガ日本ニ來ルト同時ニ、又亞米利加ノ
  艦隊ガ大平洋ニ來ルト同時ニ、殆ド鄰國ノ如キ有樣ニナッテ參フタノデアリマス、是ニ向ツ
  テハ日本ハ海軍上ノコトニ於テ餘程是ハ注意シナケレバナラナイト云フ今日ノ狀態デアリ
  マス而シテ又陸ノ有樣ヲ見マスルト鄰國各國ノ有樣ハドウ云フ有樣デゴザイマス
  カ、試ミニ露西亞ノ有樣カラ考ヘテ見マシテモ、此度日露戰爭デ日本ハ僅カナ兵ヲ以テ
  露國大兵ニ勝ッタ原因ハ、何處ニアルカト申シマスレバ、將校士卒ノ忠勇ナル
  コトモアルデアリマセウ、其他種々ノ原因モアルデゴザイマセウケレドモ、主
  ナルトコロノ原因ハ西比利亞鐵道ガ單線デアッタト云フコトガ、是ガ彼ノ兵ヲ多ク
  東洋ニ送ルコトノ出來ナイ原因デアルト云フコトハ御互ニ承知シテ居ルトコロデアリマ
  スヽ然ルニデス西比利亞鐵道ハ(路西亞ノ有樣ハ如何デアリマセウ、彼ニ向ヲテハ悉ク
  複線ヲ敷カントシテ居ルデアリマセウ、而シテソレノミナラズ致シマシテ、尙「レナ」河ノ河
  水ヲ利用シテ、彼ハ大運河ヲ造ラント致シテ居ルノデアリマス「オムスク」以東ニ於キマシ
  テハ露西亞ガ平時ニ兵ヲ置イテ居ルトコロノ兵數ハドレ程デアリマセウ(笑聲起ル)御笑
  ニナル諸君ガアルナラバ兵數ヲ云ウテ御覽ナサイ、御承知デアリマスマイ諸君、嘲ケル
  コト勿レ、先刻大津淳一郞君モ日本ノ師國ハ二十個師團ト云フコトヲ言ハレヽ大石
  君ノ演說中ニモ亦二十個師團ト云フコトヲ言ハレテ居ル私ハ言葉ノ間違デアラウト
  思ッテ居リマスケレドモ、ドノ諸君モ皆日本ノ師團ハ二十個師〓ト言ハレルトコロヲ見レ
  バ、軍事上ノコトニ向ッテツンナニ人ヲ笑フ程ノ資格ハナイ諸君デアルト信ズルノデアリマ
  ス(「簡單々ケ」ト呼フ者アリ)先ヅ私ノ立ッテ居ル權利內ハ六時マデ遣リマスカラ、御退
  屈ノ諸君ハ御退散ナサイー日本ノ兵員ト云フモノハ唯今御話申シマスル十九個師
  團デアリマシテ、十九個師圏ト申シマスルモノヽ中二個師團ハ幹部ガ出來タトキデアリ
  マシテ、全ク師團組織ハ成シテ居ラヌノデアリマス、之ニ反シマシテ鄰國ノ露西亞ノ兵數
  ハドレダケアルカト考ヘテ見マスレバ、本國ニ居ルトコロノ兵數ハ百二十五万ノ常備兵ヲ
  有ッテ居ル國デゴザイマス、戰時ハ之ニ倍スルトコロノ兵數ヲ有ッテ居ル國テアリマス偖テ
  抑〓此戰爭ノ起ル原因ト申シマスモノハ何カラ起ルカト言ヘバ一方ト一方ト此兵力ガ
  對セズ致シマシテ、一方ガ一方ヲ侮ルタメニ起ルノデアリマス、日本ノ鄰國ニ於キマシテハ
  唯今御話申シマスル通リニ、我ニ非常ニ倍スルトコロノ兵ヲ持ッテ居ルニ拘ハラズ日本ニ
  於キマシテハ財政困難ナルタメニ、僅ニ十九個師團ヲ養ウテ居ルト云フコトデアリマスガ、
  是モ當局者ニ於キマシテハ財政上ノ彼此ヲ考ヘマシテ、今マデノ計畫ニ尙十分ノ節減
  ヲナシテ、事業繰延ヲヤッテ居ルト云フ場合デアリマス戰後ニ於キマシテ此等ノ事ヲ爲スノ
  ハ、私ハ當局者ニ於キマシテハ、餘程奮發シテヤッテ居ルコトヽ考ヘマス、此東洋ノ今日ノ
  有樣ヲ以テ考ヘマスルト、諸君ハ平和デアルカラ軍事上ノ事業ヲ繰延ベテ宜シイト云フ
  コトヲ言ハレルケレドモ、事實ハ之ニ反シマシテ日本ガ事業緣延ヲ致シ、軍事上ノ繰延
  ヲ致シマシタナラバ、其結果ハドウデアルカト云ヘバ卽チ戰爭ヲ再ビ呼起ストコロノ根源
  ニナルノデアリマス、諸君ハ平和ノタメニ軍事上ノ事業ヲ繰延ベルト御話ニナルケレドモ、
  其結果ト申シマスルモノハ戰爭ヲ起ストコロノ原因ニナルト云フコトデアリマス、此等ノコ
  トヲ考ヘテ見マスルト、政府ハ一億數千万圓ダケ陸海軍ニ向ッテ事業上ノ繰延ヲナシテ
  居ルト云フコトハ、餘程是ハ責任ヲ買ウテヤッタコトデアルト考ヘマスル私ナドハ未グ海
  軍ノ質問會ヲ致シマセヌカラ、ドウ云フコトカ知リマセヌケレドモ、海軍ノ事業繰延ノ如
  キニ至ッテハ、果シテアレダケノ繰延ヲシテ、當局者ハドウ云フ責任ヲ持タルヽ考デアルカ
  ト云フコトヲ問ウテ見タイト思ウテ居ルトコロデゴザイマス、諸君ノ平和ノタメニ事業繰延
  ヲナサラウ、卽チ軍事上ノ繰延ヲナサラウト云フ考ハ吾〓ハ固ヨリ同意デゴザイマスケレド
  モ其結果ハ一度國勢上ノ平均ガ動イテ來マシタナラバ必ズ戰爭ヲ促ストコロノ結果ヲ
  來スコトニナリマス(「簡單々々」ト呼フ者アリ)ドノ邊デ簡單ヲ願ハルヽカ知ラヌガ、諸君
  ガ話ヲナサレバ益<ヤリマス、(「謹聽ク々」ト呼フ者アリ)隨分此吾〓同僚諸君ヲ考ヘマ
  スルト云フト、失禮ナガラ諸君ノ中ニ於キマシテハ舊來民權自由ノタメニ財產ヲ失ヒ生
  命ヲ捨テルヤウナコトヲセラレタ諸君モ間三多イ、其際ニ於キマシテ憂ヲ先ニシテ樂ヲ後
  ニスルト云フ考ガ、殆ド日本ノ空氣ガ政黨間ニ充チテ居リマシクトコロガ、近來此
  反對セラルヽトコロノ諸君ノ議論ヲ聽イテ見マスルト、何等ノ私ハ理由ヲ發
  見スルコトハナイノデアリマス大石君ハ曾テ豫算總會ニ於キマシテ此財
  政計畫ヲ評シテ今財政計畫ハアレハ政治眼ヲ以テ作ッタノデナクシテ
  軍事眼ヲ以テ作ッタノデアルト云フコトヲ言ハレマシタガ、私ハ反對者諸君ニ向ッテ問ハ
  ント欲スル諸君ハ議員眼ヲ以テ豫算ヲ減シ、增稅案ヲ議スルニアラズシテ總選舉眼ヲ
  以テ、總テ之ニ御議論ノアルコトデアラウト吾〓ハ考ヘマス(「ヒヤノト呼フ者アリ)大
  同派諸君ニ向シテ、私ハ一言ヲ述ベマスガ、諸君ガ吾ミト二案ニ御同意ニナッタノハ、吾〓
  ハ喜バシイコトデゴザイマス、サリナガラ殘念ナコトニハ、石稅油ノ一般ニ至ッテ諸君ノ
  御反對ノアッタノハ實ニ遺憾ニ存ジマス併ナガラ私ガ考ヘマスルニハ石油稅ト雖モ
  諸君ノ御懸念ニナル程ソレ程重稅ナモノデハアリマセヌ、一合一厘ノ稅デアリマス、成
  程苦痛ハ苦痛ニ違ヒナイ、酒ノ稅モ苦痛、砂糖ノ稅モ苦痛デアル之ニ比較シテ見マ
  スレバ敢テ石油稅ノミガ殊更ニ苦痛ト云フ程ノコトヽ考ヘマセヌニ依ッテドウカ國家ノタ
  メニ是ダケノコトハ十分ニ御贊成アランコトヲ希望致シマス
  〔拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=65

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• 066・長谷場純孝

  ○長谷場純孝君　討論終結ノ動議ヲ提出致シマス
  〔「贊成」「反對」ノ聲起ル〕
  〔大藏大臣松田正久君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=66

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• 067・松田正久

  ○大藏大臣(松田正久君)　諸君、增稅案ノ玆ニ提出セラルヽヤ、反對演說ニ對スル
  贊成論者ノ說ニ依リマシテ、自ラ此增稅ノ已ムヲ得ベカラザルノ理由ハ明カニナッタト考
  ヘルノデアル「ノウノ」「謹聽」ト呼フ者アリ)併ナガラ政府モ尙茲ニ增稅案ヲ提出致シ
  タルトコロノ大體ノ理由ヲ一言致スノハ適當ダト考ヘルニヨリ、暫ク諸君ノ〓聽ヲ仰グノ
  デアリマス(「謹聽々々」ト呼フ者アリ)凡ソ三十七八年ノ戰役ノ如キ、大事變ノ後ニ於テ
  國家ガ財政ニ困難ヲ來スコトハ申スマデモナイ、而シテ斯ノ如キ財政ノ整理ハ一年若
  クハ二年ノ間ニ於テ出來得ベカラザルコトモ是亦三ロフヲ待タヌコトヽ考ヘル、而シテ政府ハ
  三十九年度及四十年度ノ豫算ヲ編成スルニ當リ、戰後經營ノ端ヲ開キマシテ、諸君
  ノ協賛ヲ求メタル議案モ多々アッタノデアル、然ルニ四十一年度ノ豫管井編編スルニ當ッ
  テハ愈ノ以テ姑息ノ財政方針ヲ立ツルコトハ愼マナケレバナラヌ、故ニ政府ハ今日內外
  ノ狀勢ニ鑑ミマシテ、玆ニ將來財政ノ基礎ヲ鞏固ニスルノ方針ヲ取ッテ編成ヲ致シタノ
  デアル、ソコデ政府ハ先ヅ第一ニ旣定歲出ノ繼續費、一億數千万圓ノ繰延ヲ斷行致シ
  タノデアリマス、卽チ既定ノ繼續費ト雖モ、緩急ヲ能ク計リマシテ、出來得ル限リハ、各省
  ノ各科目ニ付テ繰延ヲ行ウタノデアル、尙又四十一年度ニ於テ各省ノ要求ハ多々アリ
  マシタケレドモ、豫算デ御覽ニナレバ、必ズ御分リニナルデアラウ、殆F新規ノ事業ト云フ
  モノハ之ヲ止メルノ方針ヲ取タタノデアリマスル然レドモ尙將來ノ財政ヲ鞏固ナラシム
  ルニハ之ヲ以テ足レリトハ致サヌ、故ニ增稅案ヲ提出スルノ已ムヲ得ザルニ至ッタ次第
  デゴザイマスル、若モ四十一年度ノ財政ノミニ著眼ヲ致シテ見レバ、諸君ガ既ニ論ゼラ
  ルヽ如クニ、決シテ歲入ニ不足ヲ多ク感ジテ居ナイノデアルが、財政ノ不鞏固ト云フコト
  ニナリマスレバ國家ノ信用モ隨分考ヘンケレバナラヌコトデアルノダカラ、玆ニ國家ノ財
  政ヲ鞏固ナラシムルニハ己ムヲ得ズ增稅ヲ致シテ數年ノ先ノ見込ヲ立テルノハ必要デ
  アルト考ヘタノデアル、偖テ又消費稅就中石油稅ノ如キハ細民ニ最モ苦痛ヲ感ゼシムル
  ト云フ御議論モ出テ居リマスルガ、固ヨリ課稅ト云フモノハ如何ナルモノト雖モ良稅ハ
  ナイノデアル、是ハ抑〓程度論ト考ヘル消費稅ニ致セ、其程度宜シキヲ得サヘスレバ左程
  細民ニ難儀ヲ與ヘルモノデハナイノデアル日進月歩元氣ノ充溢セル國勢ニ考ヘテ見マ
  スレバ消費稅ノ賦課ト雖モ其程度ノ輕キ場合ニ於テハ必ズヤ多分ノ苦痛ヲ感ズルモノ
  デハナイノデアル況ンヤ戰勝後ノ國民デアル、此國民ハ必ズ覺悟ヲ致サンケレバナラヌ、
  我國民ハ最後ノ目的ヲ達スルニ至モマル多少ノ苦痛ヲ忍プト云フコトハ、覺悟致シテ
  居ルダラウト私ハ考ヘルノデアル(拍手起ル)反對論者ハ選舉人ニ對シテ如何ニ御述ニ
  ナルカハ知ラヌガ、謠君ノ選舉人ハ必ズ此增稅ノ負擔ヲ喜ンテ迎ヘルダラウト思ヒマス
  (「ノウ〓〓」「セヤノ〓〓」ノ聲起ル)決シテ之ニ御懸念ナクシテ、選舉場裡ニ臨マルヽコトガ
  諸君ノ御覺悟然ルベシト私ハ思フノデアリマス、政府ハ徒ラニ過重ノ稅ヲ國民ニ求ムルノ
  デハアリマセヌ、今日國家ノ財政ヲ鞏固ナラシムルニハ、斯ク致サネバ外ニ如何トモスベカラ
  ザル場合デアリマスカラ、此案ヲ提出致シタル譯デアリマスカラ、何卒贊成ノ御方ハ御協
  贊ヲ願ッテ、願クハ國民ニ對シテ政府ノアル所ノ意思ヲ明カニサレンコトヲ希望スルタメニ
  玆ニ一言ヲ致スノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=67

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• 068・長谷場純孝

  ○長谷場純孝君　討論終結ノ動議ヲ提出致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=68

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• 069・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　討論終結ノ動議ニ贊成ガアルト認メマス、討論終結ニ御同
  意ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=69

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• 070・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　大多數、討論ハ終結セラレマシタ)採決ノ順序ヲ御話致シマ
  ス、日程第五ヨリ第八ニ至ルマデヲ一括シテ採決致シタガ宜カラウト思ヒマス、酒ノ稅ト
  秒糖ノ稅デアリマスル之ヲ一括シテ採決ヲ致シマス、卽チ此採決ハ此案ノ二讀會ニ附
  スルヤ否ヤト云フコトニ付テ採決ヲ致スノデアリマス、ソレカラ採決ノ方法ヲ御話致シマス
  ト議長ハ衆議院規則第百二十七條ニ據リ記名投票ヲ以テ採決スルヲ必要ト認メマ
  スソレデ二讀會ヲ開クベシト云フ御方、卽チ贊成ノ御方ハ白キ札ヲ御持參ニナルヤウ
  ニ、二讀會ヲ開クベカラズト云フ卽チ反對ノ御方ハ靑キ札ヲ御持參ニナルヤウニ願ヒマ
  ス閉鎖
  〔書記氏名ヲ〓呼ス〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=70

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• 071・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　投票漏ハアリマセヌカー-投票漏ハアリマセヌカ
  〔「投票漏ハアリマセヌ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=71

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• 072・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　投票漏ハナイト認メマス-閉鎖-開聞
  〔書記官投票ノ數ヲ計算ス〕
  開鎖-書記官長ヨリ投票ノ結果ヲ報告致シマス
  〔林田書記官長朗讀〕
  出席總員三百五十
  可トスルモノ二百二十二
  否トスルモノ百二十八
  〔拍手起ル〕
  〔參照〕
  第二讀會ヲ開クヘシトスルモノ
  一左右君柚木慶二君山崎良西
  との積を求め、岩元賃貸岩君若榮太新郞作
  橫川坂小池東原元田田茂英貫惟輔俊一貞君君君君義雄君川木
  田宰三郞君歲太郞君橫江安山籾脇中小君君君君君君
  本駿君恆池山是石繁造君藤藤口新
  店管植物永遠來就示 同上見寛二君松松本永
  · 氏隆豐記君
  河上坂弘慶君井時雄君
  島津Capital良知木元太郎万次郞君宮崎榮治君
  原君君君君耕三君長谷場純孝君
  義傳美毛改中(昭和4年)、第二
  藤金惟伊藤傳右衞門君
  征矢野半彌君三田輪布傳禰製作所瀧口吉良君
  大岡育造君松正久中村理由古賀庸藏君
  多田作兵衞君武藤金東京都港区銀行木暮武太夫君
  宮部襄君日向輝武君
  佐藤虎次代吉君小澤Sequet
  宮古啓三郞君山田觀點美
  信之介君根本正五
  三善
  瀨
  湯本家香菇精緻無料素材質
  葉山島藤
  井
  川田
  島田
  井本中浦
  極北特石屏板橋林田三小圓
  尾崎
  平島
  管澤
  飯島
  關
  〓之君中西孫太郞君古井由之君林小郞君
  景山甚右衞門君久保彥太郞君辻寬君森茂生君
  海野謙次郞君西山彰君田中定吉君森肇君
  大ト新君田千代足君佐竹作太郎君
  久政君關松根井柳介君君栗渡竹邊修君鈴
  頑張れ村愛藏塚省吾君高
  昌國民公司法院院長一巖郎君君君長谷倉肇藏君君市庫
  信和大元公司 2018江楠野武田卯太玄郞太君君君
  平君君弁太郞君目
  原敬君原素六
  四丹尾賴馬君山本幸彥谷山山藤
  小次參郎君君君澤田寧君松本君平君君君君三
  珪中村〓郞君本嘉AMERICAN
  樂
  代司君高長谷川豐吉君板栗宮原宣太郞君鈴木
  禎書龜壽介君橋安爾君倉中君橫山平君
  小倉店吉第三百五野藤三君江原節君
  島中出大野久次君君松本潤子
  兵衞君福島勝太郞君
  純司君遠藤庸治君遠藤良吉君神前修三君
  右內君中西光三郞君中林友信君北村左吉君
  懋君西村專太郞君澤田佐助君
  場奧奧森野市次郞君原林雄君上野彌一郞君
  作次郞君繁三郞君瀨河下秀義夫君鳥海哲四郞君
  雲平君工藤善助君靑柳信五郞君竹越與三郞君
  本悌二郞君丸山嵯峨一郞君後直平君中西六三郞君
  藤助吉君內山吉太君米牧丹野元君郞君
  元君上埜安太郞君澤紋三郞君
  INDENISHEN藻遊田〓吉祥松本孫右衞門君
  森隆吾寄Heroid荻野芳香る敬二郎君
  盛德井信君牧野逸馬君〓創、明、39.10
  喜太邊敬昌河源一君
  大彥丞吉郎君君君君君木龍藏重雄君井保林尻川垣留山田
  藤之松無順之助君廣邦五一
  淺橫矢三兼高渡石忠君君君君君君治衞武君
  赳虎城君浦太內田田村孝資產都要請書
  な野堀島井子郎藏安須柴竹石岡田城小伊
  三正吉朗志吉君君君君松森藤久駒牧
  若佐君順平君四秀
  中宇藤嘉家德二君
  剛吉君大臼野井谷哲署会 書達謙藏君大淵龍太郞君
  南條吉左衞門君(金)北畠具雄君乾奈良吉君
  行雄君奧田義人君望月小太郞君愛澤寧堅君
  川眞田德三郞君坂東勘五郞君
  第二讀會ヲ開クヘカラストスルモノ
  松尾君伊夫伎資弼君安田勳君松原九郞君
  重雄君榎本次郎右衞門君安島重三郞君山田平太郞君
  省三郞君高橋金治君〓水隆德君陸三君
  澤耕治郞君木村格之輔君星首野藤仙藏君
  春茂君田
  上
  又
  利郞八郎
  來太郞君
  輔君
  新
  塚
  熊
  石津石淳己郎
  正
  田村丹治郞
  江谷榮三次郞
  陽吉君
  橋口野野廣中
  勝
  谷
  山時
  羽
  晴之君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=72

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• 074・長谷場純孝

  ○長谷場純孝君　〔贊成々々ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=74

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• 075・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　異議ハアリマセヌカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=75

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• 076・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　法律案ノ二讀會ヲ開キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=76

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• 077・大岡育造

  ○大岡育造君　員會ニ於テ可決シテ居リマス、

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=77

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• 078・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　ラ提出サレテ居リマス、
  〔久保伊一郞君登壇〕
  君君君
  君君君君君君
  君君君
  君君君君君君
  〔「簡單々々」ト呼フ者アリ〕
  瀧藏君村眞太郞君小田文
  初實君旗元太郎君安念次左衞門
  善次郞君藤勘七君關林謙
  惟昌君桂吉君直彥
  〓愼君鐵藏君井上精一郞
  村半兵衞君竹太市田兵1921年8月19日 (木)七
  井木村見倉谷良貞郎君君神崎
  善三
  藤庫喜君三庫郞郞君君君君無久繼 無添加
  一郎君井
  松龜々水正藏君藤澤幾之輔君
  仁浦勝人君武富時敏君
  上海市建设工程有限公司君養毅君
  谷大利小大加福三八形民航空機械村報道書 大大学園講談社伊眞記憶人 A三菱飲 め印 H早 添 行雅必 ず高本明等九銀行台灣市野行發現実藤政之助君藤宇一郞
  カラボインタルシェル
  秀君月長實夫
  暢田
  仲
  太郎吉一逸內郎郎師師魯勤本郞郎君君君君君君君君君君君君君君才一君此郞助次
  左治君君君君君
  復小猶雄大整理學習所有限公司國松君家 老 君 老 君 若 苦 苦 苦 苦 苦花火花坂4時金彌
  貫禧源郎吉-逸内郎整爾君武德
  安太郞君久雄君
  平雄吉君卓藏君
  甚輪猶作君奧村善右衞門君
  純山田省三郞君
  備品番片山正中君
  木摠兵衞君宜三君佐治夢や あ
  濱鈴口擔君米田武八郞君江間俊一君
  本案ノ二讀會ヲ開クコトニ決シマシタ
  直チニ二讀會ヲ開カレンコトヲ希望シマス
  長谷場君發議ノ如ク直チニ本案ノ二讀會ヲ開クト云フニ御
  (「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル、「異議アリ」ト呼フ者アリ
  御異議ハナイト認メマス、直チニ二讀會ヲ聞キマス-チヨット
  御話致シマス二讀會ハ各案每ニ開クコトニ致シマス、先ヅ日程第五、酒造稅法中改正
  酒造稅法中改正法律案(政府提出)第二讀會
  本員ハ酒造稅法中第五條改正ノ分ヲ全部削除スルト云フコトヲ委
  唯今委員長ノ報告ガアリマシタカラ、別ニ演說ハシマセヌ
  (「委員長報告ノ通」ト呼フ者アリ〕
  マダ第五ニハ修正ガアリマス、議場ニ於テ修正ヲ議員諸君カ
  先ヅ第五ノ全部ヲ議題ト致シマス-久保伊一郞君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=78

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• 079・久保伊一郎

  ○久保伊一郞君　諸君成ルダケ簡單ニヤリマス、此酒造稅法ノ改正案ガ問題ニナッテ
  居リマスル、此場合ニ於キマシテ、本員ハ此稅法ノ第六條中(森本駿君「議長五條ガ
  問題ニナッテ居リマスカラ、六條ニ飛ンデハイケマセヌヂヤナイカ」ト呼ビ「全部ガ議題ニナッ
  テ居ル」ト呼フ者アリ)第六條中ニ於キマシテ修正ヲ致シタイト云フノデアリマス、其修正
  ノ箇條ハ先刻諸君ノ御手許ニ配付ニナリマシタデ、、諸君ニ於テモ御承知ノコトニ思ヒマス
  ルガ、第六條中ノ卽チ納期デアリマス、此納期ノ第四期ノ分ノ「翌年三月十六日ヨリ同
  三十一日限」トアルヲ翌年五月十六日ヨリ同三十一日限」ト改正ヲ致シタイノデアリマ
  ス、ソレカラ尙第八條ノ第二項ニ於キマシテ「但シ〓酒ニ限リ命令ノ定ムル處ニ依リ査
  定石數百分ノ二以內ノ滓引減量ヲ控除スルヨトヲ得」トアル、其「滓引減量」ノ下ニ
  持ッテ參ッテ「竝每年五月一日ノ現在ニ依リ百分ノ三以內ノ火入減量」ト云フ、卽チ
  文字ヲ加ヘタイフデアリマス、ソレカラ尙第三十三條此改正案第三十三條ノ「第二十
  四條乃至第二十八條ニ依リ處罰又ハ當分セラレタルモノ」云々トアリマスル其「二十八
  條ニ依リ」ト、「處罰」ノ間ニ、「三囘以上」ト云フ四字ヲ加ヘタイノデアリマス、簡單ニ
  其理由ヲ辯ジマス(「分ッタ分ッタ」「モウソレハ宜イ」ト呼フ者アリ)宜イコトハアリマセヌ、
  私ハ和說ヲ出シマスル以上ハ理由ヲ辯ジナケレバナラヌノデアリマス此第六條ノ第四期
  ノ三月末日限ノモノヲ五月ニ改正致シタイ理由ハ、三月ハ釀造家ノ最モ資金ノ運用
  上必要ナ時デアリマスカラ、今囘此多年釀造家ガ增稅ノタメニ苦ンデ居ル今日デアリマ
  スルカラ、唯二箇月ヲ延バシテ五月三十一日限ニ改正ヲ致シタイト思フノデアリマスソ
  カラ第八條ノ方ハ火入ヲ致シマスルト相當ニ石數ガ減ジマス、是亦減ジタモノニ對シテハ
  課稅スベキモノデナイノガ、最モ道理上適當ナコトヽ思ヒマス、既ニ百分ノ二以內ノ現
  行法ニ滓引減量ヲ認メテ居ルノデアリマス滓引減量ヲ認メデ居ル理由ハ元來〓酒
  トシテ課稅ヲ受ケテ、一石ノモノヲ一石トシテ販賣ガ出來ナイノデアリマス故ニ之ヲ減
  ズルノガ相當ナリトシテ、現行法ハ認メテ居ルノデアリマス、固ヨリ酒造家ハ此新酒ノ時
  代ニ賣リマスノハ極少量デアリマシテ、多ク〓酒ニ限リテハ火入ヲ致シマセヌト販賣ガ
  出來ナイノデアリマス、火入ヲ致シマセヌケレバ、卽チ〓酒ハ腐敗ヲ致シテシマフノデアリ
  マス、火入ヲ致シマスレバ必ズ之ニ對スル百分ノ三若クハ五位ノ〓減ガ往クノデアリマ
  ス、缺減ノ往ッタモノニ詰リ一石二十圓ト云フ課稅ヲスルト現行ノ儘デ捨置イタナラ
  バ二十圓以上ノ課稅ヲ受ケルコトニナリマス、果シテツレヲモ尙致方ガナイトシテ、忍ビ
  マスレバ法律ハ滓引減量認メル必要ハナイノデアリマス、滓引減量ヲ認メマスル以上ハ、
  此火入ノ減量モ〓メルノガ當然ノコトト本員ハ考ヘルノデアリマス、ソレカラ此納期ノ改
  正ヲ致シマスルト政府ノ方ニ於テハ所謂昨日ノ委員會ニ於テハ、大藏證券ヲ無限ニ
  發行シナケレバナラヌ、結局兌換券ノ增發ニ歸著スル斯ウ云フコトデアリマシタガ、決シ
  テ本員ハ左樣ナコトニナラヌト思ヒマス、例ヘバ酒造稅ハ八千万圓ノ歲入ガアリマスモノ
  デアリマスレバ之ヲ豫算ニ卽チ四十一年度ノ豫算ニ於テ八千万圓ノモノガ、六千万
  圓ト計上スレバ宣イノデアリマス、サウスルト翌年カラ八千万圓ト云フ計上ガ出來テ往
  クノデアリマス、決シテ減少スルノデハアリマセヌヤハリ二十圓ノ課稅ヲスルノデアリマス、
  殊ニ本年卽チ四十一年マデニ於キマシテハ、三千三百万圓ヲ來年ニ繰越スノデアリマス
  カラ、三千三百万圓剩餘金ガ出來マスルモノヲ、千三百万圓剩餘金ガ出來ルト見タナ
  ラバ、四十二年度ノ歲入ニハ卽チ四十一年度ノ五月ニ當リマスル二千万圓程ノ財
  源ガ、四十二年度ニ廻ッテ來ルノデアリマス、一囘其コトヲ忍ヒマシタナラバ、ソレカラ以
  來ハ少シモ證券ヲ無理ニ發行スルト云フヤウナ、政府ノ大袈裟ナ反對ニハ少シモ關係ヲ
  有タヌノデアリマス斯樣ナ事實デアリマシテ、固ヨリ此酒造稅ナルモノハ間接稅デアリマ
  シテ、消費者ニ課スルノデアリマスカラ、酒造家ハ何等差支ハナイ、斯フ思召スカモ知レ
  ヌガ實ハ間接稅デ消費者ニ轉嫁致シマスルモノノ、之ヲ取次ギニスル此酒造業者ニ取リ
  マシテハ、隨分困難ナ次第柄デアリマシテ、年々モウ此酒造稅ノ增稅ト云フコトニ至リマ
  シテハ、餘程囘ヲ重ネテ居ル今日デアリマスカラ、是位ノ酒造業者ニ對シテ思典ヲ與ヘ
  ルト云フコトハ適當ノコトデアリマス、現ニ營業稅、所得稅、間接稅ヲ法律ヲ以テ組織
  シタルトコロノ市町村ガ徴稅ヲシテ、人民カラ徵稅ヲシテ國庫ニ納付スルノデサヘモ多
  少ノ手數料ヲ與ヘテ居ルデアリマセヌカ斯樣ナトキデアリマスカラ、酒造業者ニ對シテ
  此ノ如キ重稅ヲ課シマスル今日ニ於キマシテハ多少ノ手數料ヲ與ヘルト云フ思召ヲ以
  テ是等ノ思典ヲ與ヘラレンコトヲ諸君ニ於テ御贊成アランコトヲ希望致シマス
  〔「採決」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=79

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• 080・長谷場純孝

  ○長谷場純孝君　久保君ノ折角ノ御修正案デアリマスケレドモ、吾ミハ之ニ反對シテ
  委員長ノ報告ニ贊成シ、尙速ニ採決アランコトヲ希望致シマス
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=80

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• 081・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　別段ニ御議論モ無イヤウデアリマスカラ採決致シマス、尙採決
  ノ順序ヲ御話致シマス、先ヅ第一ニ久保君ノ修正案ニ付テ採決ヲ致シ、次ニ委員長ノ
  報告ニ付テ採決ヲ致シマス、デ久保君ノ修正ハ三箇條デアルノデアリマス、先ヅ其各條ニ
  付テ採決致シマス
  〔「一括シテ宜イ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=81

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• 082・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　一括シテ採決スルト云フ御議論ガ多ウケレバ三箇條一括シ
  テ採決ヲ致シマス久保君ノ修正ハ三簡條デアリマス、久保伊一郞君ノ修正ニ御同意
  ノ諸君ハ起立ヲ願ヒマス
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=82

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• 083・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　少數デアリマス、否決ニナリマシタ、次ハ委員長ノ報告ニ付テ
  採決ヲ致シマス委員長ノ報告通リ全部御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=83

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• 084・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=84

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• 085・長谷場純孝

  ○長谷場純孝君　直チニ三讀會ヲ開イテ確定サレンコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=85

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• 086・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　唯今委員長ノ報告通リ議長ニ於テハ御異議ハナイト認メマス
  〔「異議アリ」又ハ「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=86

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• 087・長谷場純孝

  ○長谷場純孝君　直チニ三讀會ヲ開イテ確定サレンコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=87

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• 088・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　直チニ三讀會ヲ開イテ確定スルト云フニ御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
  酒造稅法中改正法律案第三讀會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=88

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• 089・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナイト認メマス、一一讀會ニ於テ決議ノ通リ御異議ハ
  アリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=89

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• 090・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、本案ハ確定ヲ致シマシタ
  〔拍手起ル

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=90

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• 091・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　諸君ニ御諮リ申シマス、日程第六、第七、第八卽チ酒精、麥
  酒砂糖ノ三案デアリマス、此三案ニ對シテハ別段修正ガ出テ居リマセヌカラ、三案ヲ
  一括シテ二讀會ノ通リ御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=91

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• 092・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、三案ヲ一括シテ二讀會ヲ開キマス
  酒精及酒精含有飮料稅法中改正法律案第二讀曾
  麥酒稅法中改正法律案第二讀會
  砂糖消費稅法中改正法律案第二讀會
  異議ナシ」「省略」「委員長報告通リ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕=

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=92

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• 093・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　三案共委員長報告通リ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=93

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• 094・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、是ニテ二讀會ハ決シマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=94

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• 095・長谷場純孝

  ○長谷場純孝君　此三案モ直チニ三讀會ヲ開カレテ確定サレンコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=95

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• 096・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　長谷場君ノ發議ノ如ク此三案共直チニ三讀會ヲ開イテ確定
  スルト云フニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=96

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• 097・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、直チニ三讀會ヲ開キマス
  酒精及酒精含有飮料稅法中改正法律案第三讀會
  麥酒稅法中改正法律案第三讀會
  砂糖消費稅法中改正法律案第三讀會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=97

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• 098・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　二讀會決議ノ如ク御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=98

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• 099・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナイト認メマス、是ニテ三案共確定ヲ致シマシタ
  (拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=99

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• 100・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　日程第九、石油消費稅法案ノ採決ノ順序ヲ御話致シマ
  ス、本案ノ二讀會ヲ開クヤ否ヤニ付テ採決致シマス、採決ノ方法ハ記名投票ヲ以テ採
  決スルガ、議長ハ必要ト認メマス、本案ノ二讀會ヲ開クト云フトコロノ御方ハ白キ札
  卽チ贊成ノ御方ハ白キ札ヲ、二讀會ヲ開クベカラズト云フトコロノ御方ハ靑キ札卽チ
  反對ノ御方ハ靑キ札ヲ御入レニナルヤウニ願ヒマス-閉鎖時間ハ最早定刻ニ埀
  ントシテ居リマスケレドモ延長ヲ致シマス
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ)
  〔書記氏名ヲ〓呼ス〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=100

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• 101・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　投票漏ハアリマセヌカ-投票漏ハアリマセヌカ-投票漏
  ハナイト認メマス開鎖開匣
  (書記官投票ノ數ヲ計昇ス〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=101

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• 102・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　投票ノ結果ヲ書記官長ヨリ報告シマス
  〔林田書記官長朗讀〕
  出席總員三百四十
  可トスルモノ百八十二
  否トスルモノ百五十八
  〔拍手起ル〕
  〔參照〕
  本案第二讀會ヲ開クヘシトスルモノ
  一左右君柚木慶二君山崎良純君西新作君
  田田惟貞君福島美之助君岩元信兵衞君籾脇中榮太郞君
  貫一 一武滿義雄君石川〓君木卿太郞君
  河横川坂小池東原元英俊君君麥田宰三郞君是永歲太郞君ダニ蘭、新、新、口小一君
  茂輔本駿君山本繁造君太郞君
  山寅一郎向永森見寬二君恆池松豐記君江藤哲藏君
  上英君君坂弘君松隆慶君橫井時雄君
  島津良知君植木元太郞君佐々木印紙宮崎榮治君
  村野常右衞門君菅原傳君野耕三君長谷場純孝君
  藤金作君由布惟義君美毛改中里保太郞君伊藤傳右衞門君
  征矢野半彌君三輪傳七君創辦後、瀧口吉良君
  大岡育造君松田中暮村禰雄藏君古賀庸藏君
  多田作兵衞君武藤虎金御吉久君君君武木武太夫君日向輝武君
  宮部襄君佐藤內美代吉君小澤愛次郞君
  宮古啓三郞君小山田信藏君關信之介君根本正君
  三善〓之君中西孫太郞君古井由之君林小郞君
  景山甚右衞門君久保彥太郞君辻寬君森茂生君
  海野謙次郞君西山彰君田中元ニョン森肇君
  山村豐次郞君大井卜新君渡竹田千代一定價金佐竹作太郞君
  瀨久政君關松根柳介邊修君鈴木友
  藤文一郞君村愛藏藏君君君栗塚省吾君高梨哲一口服务站
  濱築漆後廣昌巖君長谷部倉市庫太君
  和君元田肇君楠野武田卯太郞君栗福原岡亮精
  名山信平一君大久保弁太郞君
  目六玄內藤魯
  甚至卽君原敬君原素君君君鳩山選考 大正
  部四郞君丹尾賴馬君山江本志和
  幸彥西山
  小參君澤田寧君本君平君粕谷三君
  獨木豬林藤珪次君中村〓郎本嘉樂君價儀に記念書法
  君君板栗宮松森久
  島龜代司君高長谷川口 五Parametrium鈴木藤三郞君
  山壽介君橋安爾君倉中君橫山-平君
  茶葉県吉植庄大學教育天野藤三君江原節君
  東京都港区京都島中君野久次松浦五兵衞君福島勝太郞君
  井純司君遠大藤庸治君遠藤良吉君神前修三君
  望月当解答中林丸原 厚北村左吉君
  BMW君君君戀君西村專太郞君澤田佐助君
  場平野市次郞君河原林義雄君上野彌一郞君
  Heroes奧繁三郞君瀨下秀夫君鳥海哲四郞君
  雲川崎町工藤善助君靑柳信五郞君竹越與三郞君
  悌二郞君軽減一部分丹後直平君中西六三郞君
  阿前柳山立島田本藤上內九山吉太君牧野元君小林万次郞君
  元營業者會理論埜安太郞君米澤紋三郞君齋藤和平太君
  部僅遊田〓吉君松本孫右衞門君松田吉二
  山森隆藻寄鉄五郞君荻野芳藏君鳥山整君君若君
  三浦盛德君石井信君牧野逸馬君北澤畠具雄
  乾奈良吉君奧田義人君望月小太郞君愛寧
  川眞田德三郞君板東勘五郞君
  本案ノ第二讀會ヲ開クヘカラストスルモノ
  平澤島松尾君伊夫伎資弼君安田勳君松原九郞君
  重雄君安島重三郞君山田平太郎君飯島省三郞君
  橋金治君〓水隆德君首藤陸三君關春茂君
  田耕治郞君星野仙藏君井上要君川島瀧藏君
  村眞太郎君小田文行君山田又七君梅野初實君
  安念次左衞門君東尾平太郞君關野善次郞君
  勘七君林謙三君山口達太郞君田村惟昌君
  谷桂吉君關直彥君鈴木久次郞君鞍谷〓愼君
  倉鐵井上精一郞君內藤利八君木村半兵衞君
  電腦 2大匙市田兵七君須見千次郞君大熊三之助君
  良貞君神崎東藏君澤來太郞君井手武右衞門君
  野木善三郞君進藤喜平太君石田仁太郎君佐藤庫喜君
  福井三郞君久保田與四郞君齋藤良輔君國井庫君
  金岡又左衞門君合田福太郞君村松龜一郞君佐々木正藏君
  藤澤幾之輔君江藤新作君坂口仁一郞君箕浦勝人君
  武富時敏君塚龍君角田眞平君犬養毅君
  靑地雄太郞君石熊吉君佐藤伊助君加藤政之助君
  醫醫院內一郞君岡大大大肥津淳郞君鹿島秀麿君木下謙次郞君
  長夫君石正己君尾形兵太郞君米田實君
  本金太郞君鈴置倉次郞君小林仲次君
  江武一郞君藤才一君守屋此助君近江谷榮次君
  本恆之助君坂堀神左治郞君淺野陽吉君松源內君
  國松君本谷彌君
  速田金河野廣中君禧逸君
  整爾君貫一君關口安太郞君
  西口綾小區水果冰淇淋浴室 有限公司 大阪府大阪市橋鴻海金源 勝盛國愛國書博多 25君 若 者 若 若 者 君 者 君 表 書 著平吉君安岡雄吉君木邊井繩瀨井卓久
  紫福小大垣留川竹兼高渡花大加
  谷百合當雙面超田中喜太郞君無藏昌藏雄君君君君君
  河源一君一松本大吉君龍敬
  重雄君荒川五郞君藤之丞君松
  野尻邦基君原横岡田円井虎彥君三井忠藏君
  駒林廣運君赳城君島浦太郞君
  孝吉君久保伊一郞君傳四郞君堀三子君
  旅行正志君藤井牧太君中淺石谷野谷順平君安須柴橫矢四朗君
  秀次君井上角五郞君宇平君藤吉君
  家德二君松元剛吉君哲夫君達謙嘉藏君
  淵龍太郞君南條吉左衞門君嶺大臼山野井野龜三甚至秘書
  11/20猶作君奧村善右衞門君時善郎君君海大肉飯
  純次君
  佐治幸平君山田省三郞君羽靖君
  谷澤龍藏君大戶復三郞君片山正中君雄倉茂次郞君
  鈴木摠兵衞君福島宜三君岩本晴之君濱口擔君
  米田武八郞君江間俊一君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=102

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• 103・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　本案ハ二讀會ヲ開クコトニ決シマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=103

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• 104・長谷場純孝

  ○長谷場純孝君　直チニ二讀會ヲ開カレンコトヲ希望シマス
  〔「贊成々々」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=104

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• 105・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　長谷場君ノ動議ノ如ク、直チニ二讀會ヲ開クコトニ御異議ハ
  アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=105

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• 106・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナイト認メマス、直チニ二讀會ヲ開キマス、全部ヲ議
  題ト致シマス
  石油消費稅法案第二讀會

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• 107・長谷場純孝

  ○長谷場純孝君　原案贊成
  (「贊成々々」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=107

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• 108・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　委員長報告通リ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=108

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• 109・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、委員長報告通リ決シマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=109

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• 110・長谷場純孝

  ○長谷場純孝君　直ニ三讀會ヲ開イテ、確定セラレンコトヲ希望シマス
  〔「贊成々々」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=110

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• 111・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　長谷場君ノ動議ノ如ク直チニ三讀會ヲ開キ、確定スルニ御異
  議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=111

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• 112・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、直チニ三讀會ヲ開キマス
  石油消費稅法案第三讀會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=112

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• 113・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　委員長報告通リ御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=113

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• 114・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、是ニテ本會ハ確定致シマシタ
  〔拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=114

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• 115・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　日程第十、關稅定率法輸入稅表中改正法律案、此採決ヲ
  致シマス、本案ノ二讀會ヲ開クベシト云フ御方ノ起立ヲ願ヒマス
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=115

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• 116・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　多數デアリマス、本案ノ二讀會ヲ開クコトニ決シマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=116

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• 117・長谷場純孝

  ○長谷場純孝君　二讀會三讀會ヲ省略シテ直チニ確定セラレンコトヲ希望シマス
  〔「贊成々々」ノ聲起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=117

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• 118・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　長谷場君ノ動議ノ如ク二讀會三讀會ヲ省略シテ直チニ確定
  スルニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=118

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• 119・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハ無イト認メマス
  關稅定率法輸入稅表中改正法律案確定議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=119

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• 120・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　委員長報告通リ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=120

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• 121・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナイト認メマス、是レデ本案ハ確定ヲ致シマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=121

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• 122・長谷場純孝

  ○長谷場純孝君　本日ハ是ニテ散會セラレンコトヲ希望シマス
  〔「贊成々々」ノ聲起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=122

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• 123・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　報〓ガアリマス-チヨットマダ御諮リ申スコトガアリマス、暫
  クー-諸君ニ御諮リ致シマス、酒造稅法中改正法律案投票ノ際、寺井純司君ハ過ッ
  テ鄰席田中藤次郞君ノ名刺ヲ持參シタル旨居出ラレタノデアリマス
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=123

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• 124・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　田中藤次郞君ハ本日缺席セラレ、且配付ノ名札ノ數ニ於テ
  モ明瞭トナッテ居リマスル、因テ其名ノ訂正ヲ許シマシテ、御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=124

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• 125・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス-報告ガアリマス
  〔書記朗讀〕
  一議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  尾張國熱田神宮神寶特別護衞ニ關スル建議案
  提出者鈴木惣兵衞君服部小十郞君林小參君
  橫井甚四郞君鈴置倉次郞君竹田千代足君
  治水事業費繰延復活ニ關スル建議案
  提出者植場平君吉植庄一郞君佐々木正藏君
  谷澤龍藏君西村丹治郞君山田省三郞君
  川眞田德三郞君
  一欠保田與四郞君ヨリ政府ニ對シ西園寺總理大臣ノ演說ニ對スル再質問書ヲ提
  出セラレタリ
  〔左ノ質問書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
  西園寺總理大臣ノ演說ニ對スル再質問書
  右成規ニ據り提出候也
  明治四十一年二月四日
  提出者久保田與四郞贊成者大石正己
  外七十六名
  西園寺總理大臣ノ演說ニ對スル再質問書
  西園寺總理大臣ハ兼ネテ政友會總裁トシテ去一月十八日芝山內三緣亭ニ其
  所屬衆議院議員代議員其他ノ黨員ヲ招待シテ午餐會ヲ開キ其席上ニ於テ爲サ
  レタル演說ニ對シ本員ハ先キニ質問スル所アリシニ政府ハ去ル三十一日附ヲ以テ
  「私ノ宴席ニ於ケル談話ノ內容ニ對シテハ答辯ノ限リニアラス」ト答辯セラレタリ
  是實ニ解ス可ラサルナリ其私タルト公タルト宴席タルト茶席タルト又談話タルト
  演說タルトヲ問ハス苟クモ一國ノ總理大臣卽チ政治上一切ノ責任ヲ負フ可ヤ
  身ニアリナカラ刻下政治界ノ一大問題トシテ在朝在野ノ二黨鎬ヲ削リテ論戰
  中ナル增稅問題等ニ對シ恰モ之ヲ贊成スルモノハ
  陛下ノ思召ニ適ヒ之ニ反對スルモノハ思召ニ適ハサルモノヽ如キ無警ノ言辭ヲ
  弄スルコトヲ得ヘキモノト思フヤ如何況ヤ現內閣ハ自ラ稱シテ立憲內閣政黨內
  闇ト云フニアラスヤ然則今ヤ西園寺公ハ出テハ卽總理大臣タリ入リテハ卽政友
  會總裁タリ其言行ノ政治上ニ關スルモノハ固ヨリ以テ之ヲ區別スルコトヲ得サル
  可シ見ル可シ其總裁トシテ述ヘタル演說ト總理トシテ述ヘタル演說ト毫モ異ナル
  所ナキヲ
  西園寺總理大臣ハ就職以來旣ニ久シキニ拘ハラス曾テ其政見ヲ發表シテ國民
  ノ公論ニ訴フルカ如キコトナキヲ以テ年一囘ノ政友會大會(其宴會ニ遷リタルト
  否トヲ問ハス)ニ於ケル總裁卽總理大臣ノ一言一句ハ皆其政府所信ノ政策如
  何ヲトス可キモノナルヲ以テ國民ハ熱心注意スル所タラスンハアラス
  此ノ如ク當日午餐會ノ主人公ハ西園寺總理大臣ニシテ其招待セラレタルハ松
  田原ノ二相衆議院議員代議員黨員ナリ而シテ其言フトコロノモノハ舉ケテ增
  稅問題ニ外ナラス(試ミニ見ヨ「大ニ御盡力ヲ煩ハサヽレハナラヌト思惟ス偏ニ國
  家ノ爲メニ充分御盡力ノコトヲ希望シ」云々竝ニ杉田定一氏ノ演說參照)其
  席ニ酒宴アリシヤ否ヤ又談話ナリシヤ挨拶ナリシヤノ如キハ此レヲ問フコトヲ要
  セサルナリ唯タ此ノ如キ政治的集會ニ於テ而モ總理大臣カ其所屬ノ代議士等
  ヲ訓示(杉田氏ノ言ニ做フ)スルニ於テ
  陛下ノ御思召如何等ヲ云々スルハ不臣ノ甚シキモノト思フナリ知ラス被問者ノ
  辯解如何

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=125

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• 126・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　次ノ日程ハ追テ公報ヲ以テ御通知致シマス、本日ハ是ニテ散
  會致シマス
  午後六時八分〓會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X00619080204&spkNum=126

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