第24回帝国議会　衆議院　本会議　第18号　明治41年3月24日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  　明治四十一年三月二十四日（火曜日）午後一時五分開議
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  　　議事日程　第十七號　明治四十一年三月二十四日
  　　　　午後一時開議
  　　第一　樺太廳立小學校教員退隱料及遺族扶助料に關する法律案（政府提出、貴族院送付）　第一讀會
  　　第二　右議案の審査を付託すへき委員の選舉
  　　第三　職疫豫防法中改正法律案（政府提出、貴族院送付）　第一讀會
  　　第四　右議案の審査を付託すへき委員の選舉
  　　第五　畜牛結核病豫防法中改正法律案（政府提出、貴族院送付）　第一讀會
  　　第六　右議案の審査を付託すへき委員の選舉
  　　第七　陸軍營繕費補充資金特別會計法案（政府提出、貴族院送付）　第一讀會
  　　第八　右議案の審査を付託すへき委員の選舉
  　　第九　明治二十三年法律第二十七號中改正法律案（政府提出、貴族院送付）　第一讀會
  　　第十　右議案の審査を付託すへき委員の選舉
  　　第十一　滿洲に於ける領事裁判に關する法律案（政府提出、貴族院送付）　第一讀會
  　　第十二　右議案の審査を付託すへき委員の選舉
  　　第十三　官吏恩給法中改正法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第十四　陸軍刑法案（政府提出、貴族院送付）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第十五　海軍刑法案（政府提出、貴族院送付）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第十六　陸軍刑法施行法案（政府提出、貴族院送付）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第十七　海軍刑法施行法案（政府提出、貴族院送付）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第十八　印紙犯罪處罰法案（政府提出、貴族院送付）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第十九　衆議院議員選舉法中改正法律案（小川平吉外二名提出）　第一讀會
  　　第二十　市場法案（川島瀧藏外五名提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第二十一　民事訴訟法中改正法律案（宮古啓三郎外七名提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第二十二　商工事務官設置に關する建議案（福島宜三外二名提出）
  　　第二十三　邦樂保護に關する建議案（奧野市次郎外二名提出）
  　　第二十四　北海道釧路港修築に關する建議案（奧野市次郎提出）
  　　第二十五　國有土地森林原野下戻に關する建議案（宮古啓三郎外四名提出）
  　　第二十六　生産調査會設置に關する建議案（長谷場純孝外二名提出）
  　　第二十七　鐵道特別會計に關する建議案（臼井哲夫外九名提出）　（委員長報告）
  　　第二十八　鐵道速成に關する建議案（佐竹作太郎外三名提出）　（委員長報告）
  　　第二十九　天鹽北見鐵道速成に關する建議案（淺羽靖外一名提出）　（委員長報告）
  　　第三十　駿甲連絡鐵道速成に關する建議案（松本君平外五名提出）　（委員長報告）
  　　第三十一　選舉權擴張に關する建議案（吉植圧一郎外三名提出）　（委員長報告）
  　　第三十二　町村合併に關する建議案（植場平外四名提出）　（委員長報告）
  　　第三十三　狩獵免許税減額に關する建議案（河上英外三名提出）　（委員長報告）
  　　第三十四　保險官營に關する建議案（板倉中外五名提出）　（委員長報告）
  　　第三十五　體育に關する建議案（星野仙藏外十七名提出）　（委員長報告）
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• 001・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　諸般ノ報告ヲ致シマス
  〔書記朗讀〕
  一政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  (追第二號)豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件
  (第三號)明治四十年度歲入歳出總豫算追加案
  (特第二號)明治四十年度特別會計歲入歳出豫算追加案
  (第二號)明治四十一年度歲入歳出總豫算追加案
  (第三號)明治四十一年度歲入歲出總豫算追加案
  (追第三號)豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件
  一去ル十九日西園寺內閣總理大臣ヨリ左ノ通リ政府委員任命相成タル旨ノ通牒
  ヲ受領セリ
  大藏書記官長島隆二
  大藏省所管事務政府委員被仰付
  一貴族院ヨリ送付セラレタル政府提出案左ノ如シ
  樺太廳立小學校〓員退隱料及遺族扶助料ニ關スル法律案
  獸疫豫防法中改正法律案
  畜牛結核病豫防法中改正法律案
  陸軍營繕費補充資金特別會計法案
  明治二十三年法律第二十七號中改正法律案
  滿洲ニ於ケル領事裁判ニ關スル法律案
  一議員ヨリ提出シタル議案左ノ如シ
  國有土地森林原野下戾ニ關スル建議案
  提出者宮古啓三郞君立川雲平君小川平吉君
  藤金作君板倉中君
  衆議院議員選舉法中改正法律案
  提出者小川平吉君山口熊野君加瀨禧逸君
  邦樂保護ニ關スル建議案
  提出者奥野市次郞君鳩山和夫君合田福太郞君
  北海道釧路港修築ニ關スル建議案
  提出者奧野市次郞君
  生產調査會設立ニ關スル建議案
  提出者長谷場純孝君元田肇君大岡育造君
  一花〓卓藏君外一名ヨリ利根川流域ノ被害ニ關スル質問主意書ヲ提出セラレタリ
  一久保田與四郞君ヨリ大連稅關設置ニ關スル質問主意書ヲ提出セラレタリ
  一小川平吉君ヨリ對〓外交ニ關スル質問主意書ヲ提出セラレタリ
  一三井忠藏君ヨリ關門海峽水路整理ニ關スル質問趣意書ヲ提出セラレタリ
  〔左ノ質問書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲玆ニ揭載ス〕
  利根川流域ノ被害ニ關スル質問趣意書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治四十一年三月二十一一日
  提出者花井卓藏島田三郎
  贊成者大竹貫一
  外二十九名
  利根川流域ノ被害ニ關スル質問主意書
  一昨明治四十年八月二十五日前後ノ利根川洪水上流ヨリ下流ニ至ル迄各所ノ
  水量其最高ハ何丈何尺何寸ナリヤ
  一同年同月同日前後ノ渡良瀨川洪水上流ヨリ下流ニ至ル迄各所ノ水量其最高
  ハ何丈何尺何寸ナリヤ
  一渡良瀨川流域思川同年同月同日前後ノ洪水上流ヨリ下流ニ至ル迄各所其最
  高水量ハ何丈何尺何寸ナリヤ
  一右三河川ノ一昨明治三十九年ノ洪水ニ比セル水量高低ノ差如何
  一千葉縣關宿江戶川ノ入口ニテ昨四十年八月二十五日洪水最高水量如何
  一同所流水沮害ノタメ入口ヲ狹メテヨリ上下水量ノ高低若干ノ差アリヤ當時上下
  ノ高低ハ一丈五尺以上瀑ノ如シト云フ果シテ然ルカ如何
  一利根川權現堂下ト云フ處ノ河中ニ橫ハル流水沮害俗ニ「ケレップ」工事ナルモノア
  リ之ガタメ流水ノ沮害數尺ナリト云フ果シテ然ルヤ如何
  一利根川筋栗橋鐵橋柱脚數多氾害ノ面積總計ハ橫ニ七十間弱ナリト云フ果シテ
  然ルカ其處ニ於テ利根川兩岸堤防ノ距里何百何十何間何尺ナリヤ
  一利根川筋千葉縣下ニ於テ手賀沼ノ口ヲ塞キ天然洪水ノ瀦水池ヲ全廢セル理由
  如何
  一其他利根川筋渡良瀨川筋ニ於テ大小池沼及原野等ニテ自然洪水ノ潜水トナル
  ヘキ地形ヲ塞キタル理由如何
  一利根川流水沮害ノタメニ嵩メル丈尺總計幾何ナリヤ
  一其沮害水ハ渡良瀨川及思川ノ逆流トナリ此逆流何里間ニ達セシヤ
  一西方ハ逆流破堤シテ群馬縣館林町以西二十二丁ノ地ニ至リ東方ハ茨城ノ破堤
  猿島郡境町ニ達シテ東西十里餘ナリト云フ果シテ然ルヤ又埼玉縣北埼玉郡川
  邊村東端渡良瀨川ノ利根川ヘノ落口舊川幅百間未滿ナリシヲ去ル明治三十一
  年及三十六年兩度ニ切廣ケ二百間餘トナシテ逆流ヲ增加セシメタル理由如何
  一其逆流ハ渡良瀨川ヲ經テ思川ニ至リ栃木縣下都賀郡寒川村以北ニ達ス南方
  川邊村逆流口ヨリ北ニ何里ノ距里ナリヤ
  一逆流ノ直接被害直接地ハ群馬栃木埼玉茨城ノ四縣四町四十一箇村ナリ又他
  ニ此被害ノ影響ハ各郡十一箇村ニ及ホシ其實ハ栃木縣下足尾銅山鑛毒ノ沈澱
  池タラシムル理由如何
  一砺木縣下郡賀郡舊谷中村堤防ハ去明治三十五年一百間破堤以來六箇年復
  舊工事ヲ成功セス居住民ノ造レル堤防ヲ碎キ農ヲ苦シメタル理由如何
  一谷中村瀦水ナル文字ハ法律上何等ノ明記アルヲ見ス又其名谷中瀦水池ノ區域
  ハ何百何町何段何畝步ナルヤ其周圍ハ何里何町何間何尺ナリヤ又現堤防ノ高
  サハ何丈何尺何寸ナリシヤ
  一舊谷中村人民ノ墓地ハ如何ニ之ヲ處分シタルカ
  一舊谷中村土地物件補償金支拂中他縣群馬縣ノ土地ヲ買收シ其人民ヲ移住セ
  シメタル其金額幾何ニシテ其金ハ何等ノ金ナルカ其行政區域及府縣制郡制町村
  制ヲ無視シ栃木縣官吏カ直接ニ舊谷中村ニ續地ナル群馬縣海老〓村ノ土地十
  六町步餘ヲ收用セル理由如何右買收費ハ栃木縣ヘノ下附金タラハ其性質名義
  ニ背反シ及ヒ年度ノ相違アリ其理由如何
  一國庫下附金ハ栃木縣三十七年度災害土木補助費ナリ災害土木補助費ノ性質
  ハ復舊土木工事費ナリ此費用ヲ以テ三十八年ヨリ四十年ニ涉ル新事業ヲ起スト
  ナシ古來ノ舊村ヲ潰ス之ヲ復舊工事業ト唱フル理由如何
  一栃木縣ノ下附金ヲ以テ群馬縣ノ土地十六町歩餘ヲ收用シ人民ヲ移住セシメタル
  理由如何
  一瀦水地ノ區域ヲ示サス其範圍ヲ曖昧ニセル理由如何谷中村瀦水水量ノ容積ヲ
  明示セサル理由如何
  一復舊治水事業ヲ名トシテ舊村ヲ破潰シ四百戶ノ人民ニ六箇年ノ長キ水害ヲ繼
  續セシメ土地ノ價格ヲ低落セシメテ之ヲ買收シタル理由如何
  右金支拂價格相場等ニ過當或ハ大不相當ノ處置多シト云フ其理由如何
  一一方ニ水源樹木ヲ濫伐セシメ洪水ヲ激甚ナラシメ一方ハ下流ニ流水ヲ湛ル害ノ工
  事ヲ敢テシ又逆流スヘキ渡良瀬川ノ瀦水池沼ヲ塞キテ新タニ舊村ヲ破潰シテ瀦
  水池ヲ造リタル、理由如何
  一舊栃木縣那須郡ハ其土地稀薄ナルニ拘ラス之カ開墾ヲ勸誘セリ然ルニ日本有數
  ノ肥沃地ナル同縣下ノ谷中村ヲ廢土ニシタル理由如何
  一谷中村同一ノ被害ニ陷ラントスル五十有餘ノ町村モ亦地質相似タリ之ヲ天然ノ
  潴水地ト爲シタル理由如何而シテ之ヲ故意ニ爲シタル理由如何
  一舊谷中村ノ堤防ヲ流亡開放シ通流浸水ヲ激大ナラシメタル理由如何
  一帝國議會ハ舊谷中村ヲ破潰スルニ付土地收用法ヲ應用シテ瀦水池ト爲スヘシト
  決議シタルコトナシ栃木縣會亦然リ而シテ又同村會ハ潴水池ニ反對ノ決議ヲナシ
  タルニ拘ハラス去明治三十八年ヨリ名ヲ其土地物件ノ補償ニ借リ曖味ノ裡ニ之
  ヲ買收シタル理由如何
  一日露戰爭中ハ利根川筋從來ノ事業スラ中止セルモノアリシ程ナルニ戰爭中ニ谷
  中村ヲ破潰シテ出兵軍人ノ父母妻子親族數百戶ヲ破壞セリ果シテ如此急務ト
  必要アリシヤ
  一舊谷中村ヲ破潰シテ瀦水地ノ必要アリトシ官吏屢々堤防ヲ破壞シテ之ヲ復舊セ
  ス人民ヲ苦メ利根川ノ逆流ヲ迎ヘ入レ其水勢舊隣五十餘箇町村ニ及シ尙且之
  ヲ顧ミス更ニ其被害ヲ擴張シ多大ノ土地町村ヲ廢滅セシメントシタル理由如何
  右質問ノ箇條ハ最近ノ出來事ニシテ政府當局ノ夙ニ熟知セル所ナルヲ以テ速ニ明
  瞭ノ答辯アランコトヲ望ム
  右及質問候也
  大連稅關設置ニ關スル質問書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治四十一年三月二十四日
  提出者久保田與四郞贊成者大石熊吉
  外三十名
  大連稅關設置ニ關スル質問趣意書
  一大連ハ南滿洲貨物ノ呑吐港ニシテ營口浦鹽ト共ニ東亞ノ一大競爭地ナリ從テ之レ
  ニ稅關ヲ設置スルカ如キハ我滿洲經營ニ重大ノ影響ヲ及ス可キモノナルヲ以テ能
  ク旣往ニ照シ將來ニ鑑ミ且他列國ノ行爲トニ參酌シ愼重ニ考慮セサル可ラス然ル
  ニ我政府ノ爲ス所頗ル輕卒ニシテ事理ニ適セサルモノ多キハ如何
  一門戶開放機會均等ノ主義タルトハ我帝國ノ夙ニ聲明スル所而シテ列國ノ共ニ明
  認スル所ナリ故ニ大連ニ稅關ヲ設置スルトセハ北方露〓ノ國境ニ於テモ亦同
  時ニ且同一ノ條件ヲ以テ關稅ヲ設置セサル可ラサルニ其時ヲ異ニシ而カモ其條件
  ニ於テ甚大ナル輕重(例之稅率ノ不均一免稅品及五十路里自由地制ノ有無
  等)アリトス政府ハ果シテ無意ニ此ノ如キ一大讓歩ヲ爲シタルヤ將タ無能無識之
  ヲ如何トモスル能ハサルニ出テシモノナルヤ
  一條件ノ不均一ナル此ノ如クナルニ實際ノ取扱ニ至リテ其寛嚴ノ度更ニ甚シキモノ
  アリ卽チ大連ノ徵稅ノ嚴密ナルニ反シ滿洲里及綏芬河ノ稅關ト殆ト有名無實タ
  ルカ如キ觀アリ我政府ハ何故ニ速カニ清露二國ニ交渉シ一一者ノ權衡ヲ保タシムル
  手段ヲ執ラサルヤ
  右及質問候也
  對〓外交ニ關スル質問趣意書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治四十一年三月二十四日
  提出者小川平吉贊成者河野廣中
  外三十名
  對〓外交ニ關スル質問主意書
  我カ對〓外交ノ不振ナルハ一般ノ認ムル所ナリ而シテ〓國官民ノ行動亦怪訝ニ堪
  エサルモノ多シ政府ハ兩國ノ親交關係ヲ一層良好ナラシムルノ必要ヲ感セサル乎モシ
  其必要ヲ感セリトセハ果シテ如何ナル手段ヲ執ラントスル乎
  右及質問候也
  關門海峽水路整理ニ關スル質問趣意書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治四十一年三月二十四日
  提出者三井忠藏贊成者小河源一
  外四十五名
  關門海峽水路整理ニ關スル質問趣意書
  關門海峽水路整理ノ義ハ港灣調査會ニ於テ之レカ調査ヲ爲スニモ更ニ見ルヘキモノ
  無キカ如シ依テ此レカ實地ノ模樣ニ付キ當局者ノ意見ヲ問フ
  右及質問候也
  (左ノ報告ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲玆ニ揭載ス〕
  一去ル十九日議長ニ於テ選定シタル委員左ノ如シ
  東洋拓殖株式會社法案
  吉植庄一郞君河原林義雄君塚省吾君
  森肇君菅原傳君林野栗田 印本田さ
  藻寄鉄五郞君寬二君小郞君
  改川原茂輔君田宰三郞君
  野耕三君発行商品番組 1050時敏君佐井麥上要君
  加藤政之助君村眞太郞君002-663-520々木正藏君
  角田眞平君大戶復三郞君
  安達謙藏君四朗君小川平吉君
  早速整爾君川眞田德三郞君愛澤寧堅君
  北海道國有未開地處分法改正法律案
  宮古啓三郞君上野彌一郞君中西孫太郞君
  武滿義雄君鈴木藤三郞君秀夫君
  牧野元君重大二書籍 老字齋藤瀨修繕下一部分の諸症を
  平島松尾君招福安全 自由民主 安全 保存
  淺羽靖君虎彥君駒林廣運君
  松井源內君口熊野君橋本久太郎君
  官吏思給法中改正法律案
  關根柳介君神戶松之輔君東一左右君
  立川雲平君野上嘉平君山田平太郞君
  石谷傳四郞君紫垣一雄君花井卓藏君
  市區改正土地建物處分法案
  漆昌巖君中林有信君丸山嵯峨一郞君
  高橋安爾君中村雄藏君角田眞平君
  竹村良貞君內貴甚三郞君加瀨禧逸君
  一委員長及理事左ノ通リ當選セラレタリ
  東洋拓殖株式會社法案委員會
  井上
  委員長改野耕三君理事小川平藏吉要君君君
  安達謙
  官吏思給法中改正法律案委員會
  委員長花井卓藏君理事山田平太郞君
  北海道國有未開地處分法改正法律案委員會
  委員長宮古啓三郞君理事平島松尾君

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• 002・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　是ヨリ會議ヲ開キマス-大石熊吉君
  〔大石熊吉君登壇〕

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• 003・大石熊吉

  ○大石熊吉君　本員ハ北米合衆國稅關所屬ノ監視船ガ公海ニ於テ我漁船ヲ捕拿
  シ、其船員ヲ拘置シタル件ニ付キマシテ、過日質問書ヲ提出シテ置キマシタガ、開期切
  迫ノ際デゴザイマスカラ、成ルベク簡單ニ質問ノ理由ヲ說明シテ置キタイト考ヘマス、先ヅ
  本問題ノ事實カラ申上ゲマスルト、東京市ニ本社ヲ有シテ居リマスルトコロノ大日本遠
  洋漁業株式會社所有ノ帆前船ノ海王丸ト申シマスル船ガ、臘虎膃肭臍獸ヲ獵スル目
  的ヲ以テマシテ、昨明治四十年ノ五月函館ヲ出帆致シマシタ、太平洋北部ニ向ッテ航
  走シテ七月二日ニ、「ベーリング」海ノ「アラスカ」沖ニ於キマシテ此本船所屬ノ七隻ノ短
  艇、卽チ小艇ヲ放ッテ銃獵ニ從事セシメタノデゴザリマス、所ガ、其中ノ一隻ガ不幸ニ
  シテ歸船シナカッタノデアリマス、因テ本船ヲ進メテ是ガ捜索ニ從事シテ居リマシタガ、其
  船ハ終ニ之ヲ發見スルコトガ出來ナイ、翌三日引續イテ海王丸ガ此一隻ノ見失ッタ「ボー
  ト」ヲ搜索中、米國領ノ「セントポール」島ヲ北東ニ距ル約十一海里ニ到リマシタトキニ、
  米國稅關所屬ノ監視船ノ「マニング」號ニ出會ヒマシタノデアリマス、所ガ此「マニング」號
  ハ海王丸ニ向ッテ其所屬ノ一隻ノ「ボート」ハ米國ノ領海、卽チ海岸ヨリ三海里以內ニ
  アルノヲ發見シタカラ、密獵ノ嫌疑ヲ以テ之ヲ拿捕シタト云フコトヲ言明致シマシテ、併
  セテ本船卽チ海王丸モ同罪ノ嫌疑ノ下ニ之ヲ拘致スルト云フコトヲ宣言シタノデアリマ
  ス海王丸ハ此一艘ノ小艇ガ領海以內ニ在タ以上ハ、、密獵ノ嫌疑ヲ以テ拿捕セラレタト
  云フコトハ防グコトハ出來ナイケレドモ、本船ハ公海ノ上ニアリマシタモノデ、領海以外ニ
  居リマスモノヲ、米國所屬ノ監視船ガ之ヲ捕拿スルト云フコトハ出來ナイト云フコトヲ抗
  辯致シタノデアリマスルガ、不幸ニシテ此抗辯ハ米國監視船ノ容ルヽトコロトナラズシテ
  「ウナアラスカ」島、卽チ現場ヲ距ルコト約七百海里ニ引致セラレテ、トウ〓〓喚問數囘ヲ
  受ケタノデアリマスソレカラ引續キ八月「アラスカ」ノ「ヴハルデッズ」裁判所、卽チ「ウナア
  ラスカ」島ヲ距ル一千二百海里ノ距離ニ押送セラレテ、裁判所ニ於テ審問ノ結果領海
  ニ於テ捕拿セラレタトココノ短艇乘組員三名ハ重罪トシテ禁錮九箇月ニ處セラレマシ
  タ本船乘組員ハ無罪トシテ放釋セラレタノデアリマス、引續イテ九月六日ニ此本船ノ
  乘組員ハ「ウナアラスカ」島ニ歸リ、本船ハ此處デ受取ッテソレカラ同月十日「ウナアラス
  カ」ヲ出執シテ本國ヘ歸リマシタ、而シテ其顛末ヲ我外交當局者ニ報告ヲシタ、引續イテ
  昨年十一月ニ至リマシテ此事件ノタメ被ック損害賠償ノ請求ヲ米國ニ向ッテ要求セラレ
  ンコトヲ、我外交當局者ニ請願シタト云フ始末デアリマス、本件ノ事實ハ以上申上ゲマ
  シタ通リデアリマスガ、此事件ニ付キマシテ本員ガ質問致シテ置キマシタトコロノ第一箇
  條ハ我政府ハ米國監視船ガ海上三哩以外ニ於テ我獵船ヲ捕拿シ、其船員ヲ拘致
  シタルヲ正當ナリト認ムルヤ否ヤ、、斯ウ云フ事ガ第一ノ本員ノ質問デアリマス、此本問
  題ノ性質ヲ考ヘテ見マスト有名ナル彼ノ辰丸事件ト略相似タル點ガアルノデアリマス、
  成程辰丸事件ハ貨物輸送ノ目的ヲ持ッテ居リ、海王丸ハ海上ハ狩獵ノ目的ヲ持ッテ
  居リマス、此〓ニ於テ多少異ッテ居ル、ソレカラ又辰丸ハ葡國領海ニアッタモノヲ〓國ノ
  官船ガ捕拿シタト云フコトデアリマスが、此海王丸ハ公海ニ在タモノヲ米國ノ官船ガ捕
  拿シタト云フコトデアリマス、此〓ニ於テモ多少異ヲテ居リマスケレドモ、免ニ角領海以
  外ニアッタ帝國ノ船ヲ他國ノ官船ガ捕拿シタト云フコトハ同一ナモノデアルノデアル、然ル
  ニ此辰丸事件ハ比較的短日月ノ間ニ於テ滿足ナル解決ヲ得ラレマシテ、我國ハ將ニ此
  解決ノ結果トシテ有效ナル利益ヲ收メントシツヽアルニモ拘ハラズ、此海王丸ノ事件ハ
  事實ノ發生以來幾ド九箇月、我外交當局者ガ事件ノ報告ニ接シテ以來幾ド半歲ヲ
  閱シタル今日ニ於テ、何等ノ外交上國際上ノ談判ヲ試ミラレタト云フコトヲ耳ニスルコ
  トノ出來ヌノハ本員ノ甚ダ怪訝ニ堪ヘザル次第デアリマス、假リニ米國官船ノ行爲ガ
  如何ナル場合ニ於テ合理デアルカト云フコトヲ考ヘテ見マスレバ、我帝國ノ漁船ガ米國ノ
  領海ニ在リタルトキハ、若クハ其罪狀ヲ晦マサンガタメ逃走スルヲ追跡シテ公海ニ及ビ、
  公海ニ於テ拿捕シタトキハ米國官船ノ捕拿ハ、勿論合理デアリマスケレドモ、現ニ公海
  ニ在タトコロノ我獵船ヲ拿捕シタト云フコトニ付キマシテハドウシテモ國際公法ノ上カ
  ラ、又國際談判ノ前例ニ鑑ミマシテモ正當ノ行爲デアルト云フコトガ認ムルコドガ出來ヌ
  ノデアリマス、又小艇ニ犯罪ノ嫌疑ノアリマシタトキニ、之ヲ敷衍シテ本船ヲモ合セテ同
  罪鞠問ノタメ捕拿シ得ベキモノデアルカト申シマスルト、4米國官船ハ。自國領海ニ於テコ
  ソ其檢察權ヲ他國ノ船舶ニ及ボスコトヲ得マスケレドモ、ヽ苟モ公海ノ上ニ於テハ犯罪嫌
  疑ノ推測ヲ以テ、自國ノ權力ヲ他國ノ船舶ニ加フベカラザルコトハ當然ノ事由デアリマセ
  ウ、是ハ國際法ノ正理トシテ毫モ疑ヲ容ルヽコトヲ許サヌノデアリマス、此故ニ米國地方
  裁判所ハ前申シマシタ通リ海王丸ノ無罪ヲ宣告シマシテ、米國官憲ハ其官船ノ「マニン
  グ」號ガ不法行爲ヲナシタルモノデアルト云フコトヲ自白シテ居ルノデアル然ルニ何故ニ我
  政府ハ此機會ヲ利用シテ、殊ニ我國ノタメ勝利デアル、又我漁業者ノタメ有益デアルトコ
  ロノ右ノ處置ヲ採ラレヌノデアラウカ、是ガ卽チ本員ノ第一ノ質問ノ理由デアリマス、所ガ
  斯ク申シマスレバ我外交當局者ハ或ハ目下事實ノ調査中デアルト道レルヤウナコトガナイト
  モ限ラレヌ、其故ニ本員ハ第二ノ質問ヲ提出致シマシテ、若シ此事實ハ目下調査中デア
  ルトスルナラバ法理ノ上カラ、國際公法ノ上カラ、米國ノ官船ガ公海ニアルトコロノ我漁
  獵船ヲ捕拿シタト云フコトハ正當ト認ムルヤ否ヤト云フコトヲ問ヒマシテ、當局者ノ此法
  理上ノ意見ヲ明カニシテ置キタイト考ヘルノデアリマス、ソレカラ第三ノ質問ハ若シ米國
  官船ノ行爲不當ナリト認ムルトキハ政府ハ帝國ノ威信ヲ保持シ、臣民ノ權利ト利益ヲ
  保護シテ、米國政府ニ對シテ相當ノ要求ヲナスノ意志ガアルヤ否ヤト云フコトヲ確カメテ
  置キタイ、諸君、海上ノ權力問題ハ國家榮辱ノ歸スルトコロデアリマシテ、此問題ハ決
  シテ一會社ノ得喪、一二ノ船舶ノ利害ニ關スルノミデアリマセヌ、列國間ニ此海上權
  く力問題ノタメ屢紛擾ヲ惹起シテ、或ハ干戈ニ訴ヘルノ已ムヲ得ザルニ至ッタコトハ卽チ
  近世ノ歷史ニ往々アルコトデアリマス、此ノ如ク重大ナル問題テアルノミナラズ、我政府
  ハ遠洋漁業奬勵法ナルモノヲ設ケテ、一方ニ於テ遠洋漁業ヲ奬勵シテ、之ニ依ッテ以テ
  國力ノ增進ヲ期シツヽアルノデアリマスガ、本件ノ如キ此遠洋漁業奬勵法ノ下ニ遠洋ノ
  漁業ヲ試ミ、不法ノ災厄ニ逢ウテ他國ノ爲メ其營業權ヲ蹂〓セラルヽ如キ場合ニ臨ミ
  マシテ、我外交當局者ガ之ニ向ッテ何等ノ援助ヲ與ヘズ、何等ノ助力ヲ與ヘヌト云フ
  ガ如キコトハ是ハ明ニ遠洋漁業奬勵ノ精神ヲ沒却シタルモノデアッテ、恰モ一方ニ於テ
  ハ幼兒ノ手ヲ取ッテ之ヲ導キナガラ、足ヲ舉ゲデ之ヲ蹴ルト一般デ甚ダ不親切ナ而モ國
  家ノタメニ誠ニ痛嘆スベキ行動デアルト本員ハ考ヘルノデアリマス、殊ニ木問題ハ此帝國
  ノ漁獵船ガ公海ニ於テ外國官船ノタメニ拿捕セラレタル當初ノ實例デアリマス、是迄我
  國ノ船舶ガ密獵ノ犯罪ヲ以テ、米國若クハ露國ノ領海ニ於テ拿捕セラレタコトハアリ
  マスガ、公海ニ於テ外國ノ官船ノタメニ我ガ獵船ガ拿捕セラレタト云フコトハ是ガ第一ノ
  實例デアル、ソレ故ニ我當局者ガ、此問題ニ向ッテハ極メテ强硬ナル態度ヲ以テ、十分
  ニ我國ノタメニ利益ナル解釋ヲ試ミテ、善良ナル實例ヲ遺スコトニ此機會ヲ利用シテ努
  メラレンコトヲ本員ハ切ニ望ムトコロデアル、況ヤ相手ノ米國ハ正義ヲ貴ブ國デアル殊
  ニ我國ニ對シテハ最モ友情ニ厚イ國デアリマスカラ、ソレ故ニ相當ノ我國ノ要求ハ米國
  政府ハ決シテ之ヲ容ルニ吝ナラザルコトハ本員ノ信ジテ疑ハザルトコロデアリマス、殊ニ米
  國ハ露國ト公海ニ於テ漁船ヲ拿捕シタル問題ニ付キマシテ、紛擾ヲ起シテ露國カラ損害
  賠償ヲ取ッタ實例ガアル丁度今ヲ去ルコト十四五年前ニ、我千島及露國ノ近海ニ於
  キマシテ、露西亞ノ軍艦ガ亞米利加ノ臘虎臘肭臍ノ漁獵船四隻ヲ差押ヘ、又ハ沒收
  シタ事實ガアリマシテ、是ガタメニ兩國ノ紛爭ハ長ク續イタノデアリマスガ、トウ〓〓之ヲ仲
  裁裁判ニ一任スルコトニナッテ、和蘭ノ有名ナル國際法ノ學者ノ「アッセル」氏ガ、仲裁裁
  判ニ於テ露國ノ軍艦ガ米國ノ漁獵船ヲ公海ニ於テ拿捕シタルハ、縱令密獵ノ嫌疑ガア
  リト雖モ不當ノ處置デアルト云フコトノ解決ニ歸シマシテ、米國ニ於テ要求スルトコロノ
  損害賠償ハ露國ヨリ得タノデアリマス、是等ノ事實ニ依ッテ見マシテモ、米國ガ他國ニ
  向ッテ要求シタ事柄ヲ此度日本カラ要求セラルヽニ付キマシテハドウシテモ此要求ニ應ジナ
  イト云フコトハ出來ナイ筈デアル、要スルニ本員質問ノ趣意ハ此ノ如ク重大ナル問題デ
  ゴザイマスカラ、外交當局者ハ一日モ早ク是ガ解決ニ努メラレマシテ、折角陸海軍ノ武
  力ニ依シテ勝チ得タル我國ノ地位ト、威信トヲ拙劣ナル外交ニ依ッテ全ク之ヲ沒却シ
  テ、延イテ國力ノ增進ノ上ニ一大蹉跌ヲ惹起ス如キコトナキコトヲ切ニ望ム次第デアリ
  マス、願クハ前三箇條ノ質問ニ對シテ外務大臣ノ明快ナル答辯ヲ煩シタイト考ヘマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=3

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• 004・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御諮リ申スコトガアリマス、是ヨリ請願委員會ヲ開キタイト云
  フコトヲ請願委員長ヨリ請求ガアリマス、許可シテ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=4

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• 005・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、尙御諮リ申スコトガアリマス、鑛煙
  毒豫防ニ關スル建議案ノ委員會ヲ開キタイト云フ請求ガアリマス、是亦御異議アリマセ
  ヌカ
  〔「異議ナシ異識ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=5

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• 006・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、尙御諮リ申スコトガアリマス、關稅
  定率輸入稅表中改正法律案ノ委員會モ開會ノ請求ガアリマス、許可シテ御異議ハア
  リマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=6

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• 007・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス-花井卓藏君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=7

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• 008・花井卓藏

  ○花井卓藏君　本員ヨリ利根川ノ流域ノ被害ニ關スル質問書ヲ提出致シテ置キマシ
  タ登壇ヲ致シテ演說ヲ致シマスト云フト約三時間掛リマス、問題ハ總テ重要ナル問題
  三十件ヲ提來ッテ質問致スノデアリマス、併ナガラ會期既ニ切迫セル今日ニ於キマシテ、
  盡サレテアル順序ヲ繰返シテ演說スルノ必要ヲ認メマセヌカラシテ演說スル時間ヲ轉送ス
  ル時間ニ用井テ、演說ヲ略スレバ略スル時間ダケソレダケ早ク政府ニ轉送サレルノデアル、從
  テ囘答モ早クナルト信ズル、斯ウ云フコトノ趣意ニ於テ私ハ演說ヲ致シマセヌ、併ナガラ
  此質問演說ハ事最モ重大ナル事ニ係ルモノデゴザイマスカラ、尋常一樣ノ御土產演說ト
  同視セズシテ、最モ愼重ニ攻究シテ速ニ答辯セラレンコトヲ要求致シテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=8

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• 009・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　久保田與四郞君
  〔久保田與四郞君登壇〕

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• 010・久保田與四郎

  ○久保田與四郞君　會期モ切迫シテ誠ニ大切ノ時間デアリマスガ、私ノ質問ハ非常ニ
  大切ノ問題ト思ヒマスノデ、滿洲經營ノ上ニ非常ナル關係ヲ持ッテ居ルコトデアリマス、
  此議會ニ何故此ノ如キ問題ガ議員中ヨリ起ラナイカ、實ニ遺憾至極ニ堪ヘヌノデアリマ
  ス、私ハ已ムヲ得ズ此演壇ニ登ッタノデアリマスカラドウカ僅カノ問御靜聽ヲ煩シタイ、
  此問題ノ趣意ハ大連ノ關稅ニ關スルモノデアリマスガ、質問ノ趣旨ヲ約シマスト三ニナリ
  いく、第一ハ此大連ノ稅關ヲ設クルニ付キ政府ノ仕方ハ甚ダ考慮ヲ費サズ、輕卒ノ擧ニ
  出デハセヌカト云フコトデアル、勿論私ハ彼ノ露國ガ占領シタ時分ニ言ヲ左右ニ托シ、關
  稅ヲ設ケナカッタ如キコトニナレトハ言ハヌガ、併ナガラ露國ガ開イテ數日ノ間ニ閉鎖シタ
  事情ハ抑〓モドウ云フ事情デアルカ、此〓ハ勿論我國ニ於テ考察シタデアラウト、思フ
  且又關稅ヲ設クルニ付テ最モ注目シナケレバナラヌノハ、他ノ方面ニ於ケル競爭〓タル
  秦皇島ノ問題デ、是ハ御承知ノ通リ成程稅關ノ設備ハアリマスガ殆ド有名無實ト云フ
  コトヲ聽イテ居リマス成程秦皇島ヨリ山海關ニ至ル十哩ノ鐵道ハ英國ノ炭礦會社ノ
  所有デ、又御承知ノ如ク關內外線ノ資本モ英國ノ資本ガ大部分デアリマスカラ、是ニ
  於テ同盟國タル英國ニ對シテハ言ヒニクイガ、秦皇島ノ稅關ハ有ッテ無キ有樣デアル、此
  邊ヲ大連ニ關稅ヲ設クルニ付テ能ク調査シ、一方ニ於テ無稅デ入レテ居ルニ、一方ハ關
  稅ガアルト云フノデハ、ソレダケ大連ノ衰微ニ關係スルコトデアルカラ、能ク調査シナケレバ
  ナラヌノデアル、然ルニ之ニ對スル調査ハ甚グ行屆カヌヤウデアル、若シ一方ガ無稅デ一
  方ガ有稅トナラバ、日本ノ被ル損害ト云フモノハ大ナルモノデアル、政府ハ果シテ十分ノ
  調査ヲ致シタカ、甚ダ覺束ナイト思フ、第二ニ考ヘマスハ露國ガ大連ヲ取ッテ居ッタ時分、
  卽チ「ダルニー」ノ時分關稅ノコトハ總テ東〓鐵道ニ託シタ、一會社ニ託シタノデアル、日
  本ガ今日關稅ヲ特別ニ設クルニ付キ是等ノコトモ餘程考慮シテ、果シテ特別ノ關稅ヲ
  設ケテヤルノガ至當デアルカ、便宜デアルカ、或ハ又南滿鐵道ニ委任スルガ適當テ便宜
  デアルカ、是等モ考ヘテシナケレバナラヌコトヽ思フ、其他或ハ佛蘭西ノ廣州灣ノ如キ港
  ヲ開イテ、稅關ノ無イ有樣デアル、故ニ此大連ニ關稅ヲ設クルニハ十分ノ調査ヲシ、能
  ク均衡ヲ保ツコトニシナケレバナラヌ、之ニ付テ秦皇島ヲ始メ隨分政府ノ考慮ニ漏レタモノ
  ガアラウト思フノデ、政府ガ大遠ニ關稅ヲ設クルニ付テ考慮足ラズシテ輕卒ノコトガアラウ
  ト思フ、若シ政府ガ十分ノ考慮ヲセラレタナラ、之ニ對スル日〓日露ノ交渉文書ヲ公ニ
  シテ、己ノ責任ヲ盡サレンコトヲ望ムノデアリマス、第二ハ最モ要點デ、申迄モナク門戶
  解放、機會均等ノ主義ハ我日本ノ聲明セルトコロニシテ、世界ノ認ムルトコロデアルガ、此
  大連ニ關稅ヲ置ク以上ハ、露國ト〓國トノ間ニ同一ノ條款ヲ以テ且同時ニ關稅ヲ設クル
  ノ必要ガアルノデアル、サウデナケレバ機會均等デハナイノデアル、是ニ於テ政府ハ如何ナ
  ル譯ヲ以テ北韓ノ滿洲里ト綏芬河ノ二箇所ニ稅關ヲ置クコトニナッタニ付テ、大連ノ關
  稅ト權衡ヲ得セシムル方針ヲ取ラナカッタカ、此不均一ノ事柄ヲ日本ニ於テ承諾シタカ、
  是ガ第二ノ點デアル、是ハ申迄モナク大連ニ於テハ五分ノ稅トナッテ居ルガ、北方ノ路國
  ト支那トノ國稅ニ於テハ五分ノ中ヲ三分ノ一減ズル特約ニナッテ居ルノデアル、是ハ其昔
  千八百八十一年二月十二日ノ露清陸路通商改訂章程ニ依ツテ、陸上ノ二國ノ貿易
  ト云フモノハ他ニ比シテ三分ノ一ヲ減スルト云フ約束ニナジテ居ル此約束ハ依然トシテ〓
  露ノ間ニ存在シテ居ルニ拘ラズ、日本ガ大連ニ稅關ヲ置クニ付テ五分ト云フ不均一ナ
  ルコトヲ承諾シタト云フコトハ、ドウ云云譯テアルカ之ガタメニ大連ニ於キマスルトコロノ内
  外ノ輸出入貿易上ニ非常ナル影響ヲ被ルコトハ論ヲ竢タヌ、卽チ五分稅ヲ徵收セラレマ
  スノト、之ニ對シテ三分ノ一ヲ減ゼラレルト云フ事柄ハ非常ナル貿易ノ上ニ影響ヲ來ス
  ノデアル、然ルニ此ノ如キコトヲ知リツヽ政府ハ爲スノデアルカ、或ハ之ヲ知ラズシテ爲シ
  タノデアリマスカ、ヨモヤ知ラズシテ爲スト云フ謂レハナイ、殊ニ最モ驚クベキ、最モ吾々ノ
  遺憾ニ堪ヘマセヌノハ露西亞ト支那トノ間ニ於ケル貿易ニ於テ、唯今申シタトコロノ〓
  露陸路通商改定章程第十四條ニ於キマシテ、露西亞カラ滿洲ヘ這入リマストコロノ非
  常ナ多クノ物品ニ對シテ其數ヲ擧ゲマスト、第十四條ニ書イテアルダケデモ旣ニ四五十
  種バカリアリマス、殊ニ「パン」類トカ牛奶類ト云フ類ト云フ字ノアル以上ハ澤山ノ種目
  ガナケレバナラヌ、此數十種ノ品ガ北露西亞カラ滿洲ニ入ル時分ニハ無稅デアル、然ル
  ニ南大連カラ入ルトキニ當ッテハ有稅デアル、此ノ如キ不均一ナル事柄ハ何ヲ以テ我政
  府ハ承諾シタノデアルカ、現ニ煙草ノ如キハ此數十種ノ中ニ付テ見テモ、露西亞カラ來
  ルノハ無稅デアル日本カラ參ルモノハ稅ヲ取ラレル是ニ於テ乎現ニ日本ノ官煙ノ局ニ
  當ル先生等モ甚ダ當感シテ居ルト云フコトヲ聞イタノデアリマス、其他日本ヨリ滿洲ヘ
  輸入スル物ト露西亞カラ滿洲ヘ行キマス物ト競爭スベキ商品ハ此中ニ澤山アル此物
  伴ヲ一ミ擧來ッタナラバ確ニ競爭スベキ物ガアルト思フ、之ニ對シテ一ハ無稅、一ハ有稅
  デアル、〓露ノ間ノ貿易ニ付テハ此ノ如キ特權ヲ與ヘ、サウシテ大連ニ於キマシテハ普通
  一般ナル五分稅ヲ徵收スルト云フ此ノ如キ不均一ナル給束ヲシタノハ、ドウ云フ譯テアル
  カ況ヤ大連ニ稅關ヲ設ケマストキニ於キマシテハ、先ヅ〓國及露亞西ト協商シテ、幾
  日何時ヨリ何レノ場所ニ於テ開クト云フコトヲ定メ、ソレカラ其上ニ其條件ハ如何樣ニ
  スル云フ事柄ヲ先以テ定メテ、而シテ後ニ大連ニ稅關ヲ設置スルト云フコトヲ一承諾セネ
  バナラヌ、然ルニ此ノ如キ重要ナル事柄ガアルニモ拘ハラズ、政府ハ昨年ノ五月三十日
  ヲ以テ灣國ト約束シテ、サウシテ遂ニ七月一日カラ大連ニ稅關ヲ設ケルト云フコトニナツ
  タノデアⅡマス故ニ此〓ニ對シマスル質問ハ、何故ニ均等ノ主義ヲ破タテ、獨リ露西亞ニ
  對シテハ斯ノ如キコトヲ〓國ヲシテナサシメ、サウシテ大連ニ於キマシテハ普通一般ノ五
  分稅ヲ拂ハシムルト云フ如キコトヲシクカ、之ニ付キマシテ政府當局者ハ或ハ陸上ノ貿易
  ト云フモノハ、海上ノ貿易トハ違フノデアル、現ニ西藏竝ニ印度ノ境界ノ如キニ於テモ、ヤ
  ハリ國稅ノ貿易ハ三分ノ一ヲ減ジテ居ル、或ハ安南、緬甸等ニ於テモ三分ノ一ヲ減ジテ
  居ルト云フ實況デアル故ニ此ノ如キ例ヲ以テ已ムヲ得ズ三分ノ一減ト云フノデ承諾シ
  タノデアルト言フカモ知レナイ、併ナガラ是ハ非常ニ實況ヲ異ニシテ居リマス、何トナレバ
  此西藏トカ若クハ印度ノ如キモノハ僅ニ陸上ノ商品取引ニ止マルノデアル、併ナガラ滿
  洲ハ東〓鐵道デ以テ滿洲ノ眞中ヲ貫イテ居ル、故ニ滿洲全部ノ貿易ハ此ノ如キコトヲ
  〓シマスレバ殆ド露西亞ニ奪ハレル、浦鹽斯德ニ奪ハレルト云フ結果ニナルノデアル、
  卽チ此西藏若クハ印度ノ關係ノ如キハ陸上僅カノ關係デアル、安南、緬甸モ然リデ
  アル、決シテ之ヲ今ノ滿洲ヲ貫クトコロノ大鐵道ヲ有ッテ居ル露西亞トノ關係ト比較ス
  ベキモノデナイト信ズルノデアリマス、然ルニ政府ハ何故ニ此ノ如キコトヲシタノデアルカト
  云フノガ第二ノ質問デアリマス、第三點ハ詰リ政府ノ怠慢ニ屬スルコトデアリマス、如何
  ナル理由ニ依シタカシテ、今ノ如キ條約ヲ致シタトシテモ、此實行ノ上ニ尙且誠實ニ致シ
  テ居リマスナラバ、多少ノ恕スベキ點モアルノデアリマスケレドモ、實際ニ於テハ非常ナ有
  樣ヲ成シテ居ルノデアリマスソレハ何デアルカト云フト、此大連ノ稅關ハ昨年ノ七月一
  日ニ開キマシタガ此時ノ徵稅ハ禁ジテアッタト云フコトヲ聞イテ居リマス、、然ルニ棧橋ニ揚
  ゲテ居タタモノデモ徵稅スル、非常ナ嚴密ナ取調ヲシタト云フコトヲ聞イタノデアリマスガ、此
  方ノ卽チ滿洲里竝ニ綏芬河ニ於ケル有樣ハドウデアッタカト云フト、七月一日日本ガ大
  連ニ稅關ヲ開キマストキニ當ッテ、成程一片ノ通知ハシタヤウデスケレドモ、、而モ一箇月半
  モ後レタノデアリマス、其後稅關ヲ設ケルト云フ如キ模樣ガ無カッタ、是ニ於テ南滿ノ目
  本ノ貿易商人ハ非常ニ激昂シ始メタ結果、ヽ遂ニ〓國ヲシテ北方ニモ稅關ヲ設ケシムル
  ト云フコトニ定メマシタケレドモ、ソレハ本年ノ一月二十七日ニ至ッテ其設關ノ通知ヲ列
  國ニ致シタノデアリマスケレドモ、ソレハホンノ形式上デアルカラ、設關ノ通知ヲ致シマシテ
  モ事實ニ於テハ行ハレナイ現ニ此滿洲里ノ稅關長トナルベキトコロノ「クロバノフ」及ビ綏
  芬河ノ稅關長トナルベキ「ミスチエンコ」ト云フ人ノ如キハ、開關ノ通知ハシタケレドモ、
  而モ尙哈爾賓ニ止ッテ居ツタ、サウシテ關稅ノ手續モ定メナケレバ倉庫會社等ノ手續
  モナイ斯ウ云フ有樣デゴザイマシテハ、縱ンバ設ケマシテモ所謂手加減ヲ以テ北方ニ於
  テ調館、利處大理 機構ヲ優コトア出衆ノエジ右學處(足ア鳥アト
  トヲ聞キマシタ殊ニ折角稅關ヲ設ケマシテモ、或ハ四箇月ノ間ノ猶豫ヲ與ヘ、或ハ六
  箇月ノ猶豫ヲ與ヘテ居ル、卽チ支那ヨリ輸出ノ物ニ對シテハ右四箇月及六箇月ノ猶豫
  ヲ與ヘルト云フコトニナッテ居リマスケレドモ、併ナガラ南ノ方ニ於テハ決シテサウ云フコト
  ハ無イ、ソレ故ニ現ニ被ルトコロノ不利益ハ昨年ノ七月一日カラ半年ノ間ニ南滿洲
  ノ貿易商人ガ納メマシタ稅ガ三十万圓ニ達シテ居ル然ラバ是ハ若シ此方ノ稅關ノ通リ
  ニスルト云フコトデアルナラバ、是ハ納メナクテモ宜イ稅金デアル、然ルニ一方ハ緩慢ニシタル
  ガタメニ、大連ノ商人ハ此半年間ノ間ニ於テ故ナク三十万圓以上ノ海關稅ヲ納メルト
  云フコトニナッテ居ル殊ニ此緩慢ナリト云フ〓ニ付テ、終リニ一言致シテ置キタイノハ
  先達外務大臣ノ望月小太郞君ノ演說ニ對シマスル答辯ニ、小麥ノ如キハ沙穀ト號シテ
  北ノ方カラ陸路デ往クト一云フコトニナッテ居ル、而モソレハ露西亞ト懸案中デアル若シ
  是ガ沙穀トシテ陸上カラシテ支那カラ輪出スルコトガ出來ルト云フコトデアレバ、要スルニ
  日本モ亦今ノ陸路ニ依シテ之ヲ日本ニ輸入セシムルコトガ出來ルト云フノ御答辯アアリ
  マシタケレドモ、併ナガラ實際ニ於キマシテハ此滿洲ノ小麥ト云フモノハ現ニ東〓鐵道ニ
  依リ、浦鹽斯德ヲ經テ日本ノ敦賀ニ來ツヽアルト云フ實況デアル、外務大臣ハ今ヤ懸
  案中ト云フ、其中ニデス、事實ニ於キマシテハ實際此東〓鐵道ヲ經テ、サウシテ浦鹽斯
  德ヨリ日本ヘ來テ居ルト云フノ實況デアル、實際ノ事實ハ此ノ如クデアルニ、然ルニ今
  尙懸案中デアルト云フガ如キ呑氣ナコトヲ云ッテ居ルト云フノハ實ニ怪シカラヌ話デ、實
  外交ノ無能モ極端デアルト私ハ思フノデアリマス、要スルニ第三〓ハ明文ノ上ニアル讓歩ノ
  外ニ尙實際ニ於キマシテモ、此ノ如キ讓歩ト云フヨリハ寧ロ此路〓ノ間隨意ナコトヲサレ
  テ居リマシテモ日本ハ是ヲ傍觀シテ居ルト云フコトデアル、隨ッテ此南滿洲ニ於ケル日
  本ノ商人、卽チ滿洲開發ニ關スルトコロノ我勇敢ナル商人、卽チ此外征者ニ對シテハ
  非常ナル損害ヲ與ヘルト一云フコトデアリマス、故ニ此所謂緩慢ニ付スルト云フ事柄ハ甚
  ダ吾〓ノ遺憾トスルトコロデアリマスル故ニ、政府ハ今後ニ於キマシテ之ニ對シテ如何ナル
  方針ヲ執ッテ之ヲ屬行セシムルト云フ意デアルカ、此三點ガ卽チ私ノ質問ノ要旨デア
  ルデ事餘リアッテ而シテ二言足ラズデスナカ〓ヽ言ヒタイコトモ澤山アリマスケレドモ不
  辯デ辯ズルコトガ出來ナイデ、大切ナ問題デアルト思ヒマス故ニ、謹ンデ政府ノ答辯ヲ
  請ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=10

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• 011・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　豫算委員長、大岡育造君
  〔大岡育造君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=11

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• 012・大岡育造

  ○大岡育造君　私ハ此際豫算委員會ノ經過及結果ヲ御報告申シタイト思ヒマス、豫
  算委員會ハ近日受取リマシタトコロノ追加豫算及豫算外國庫ノ負擔トナルベキ契約
  二件ヲ本日審査ニ掛リマシタ面シテ孰レモ原案ノ通リニ可決致シマシタ、其案ヲ申シマス
  ルト明治四十年度歲入歲出總豫算追加案、特第二號明治四十年度各特別會計歲
  入歲出追加案、第二號明治四十一年度歲入歲出總豫算追加案、第三號明治四
  十一年度歲入歲出總豫算追加案、外ニ豫算外國庫ノ負擔ニナルモノガ二箇デアリマ
  ス、デ此最モ主ナルモノハ昨年此近縣ニ起リマシタトコロノ水害復舊ニ關スル費用デアリ
  さく、其外ニ支部、遞信、農商務、海軍等ニ僅カヅヽハアリマスケレドモ、舉ゲテ云フ程ナ
  大キナ問題デハアリマセヌ、デ其金高ガ總計デ七百九十七万八千百九十五圓ニナリマ
  スデ是ト是迄旣ニ可決邀シマシタ追加豫算ヲ合シマスルト、本議會ニ於テ追加豫算
  トシテ可決シマシタ全高ガ千-五百十一万八千九百八十七圓ニナリマス、是ハ豫テ總豫
  算ノ場合ニ約千五百万圓程ノ追加豫算ヲ出スト豫〓サレテ居ック金高ニ丁度適當致
  スノデアリマス、リコデ是ダケノ案ヲ議スルニ當リマシテ、格別ノ議論ガ起リマセヌデシタ、
  質問ハ十分ニ起リマシタガ議論トシテ一ツ起リマシタノハ、農商務省ノ所管ニ屬シ
  テ居ルトコロノ肥料取締ニ關スル豫算デアリマス、此案ハ今日尙貴族院ノ委員ニ付託セ
  ラレテアルノデアルカラ、暫ク後迴シニシタイト云フ說モアリマシタケレドモ、是ハ萬一貴族
  院ニ於テ否決ニナリマシタナラバ其節消滅スベキモノニナル、差支ハナイト云フノデ是モ
  亦終ニ可決致シタノデアリマス、是ガ唯今マデ各號擧ゲテ申シマシタル豫算案ノ委員會
  ノ經過及結果デアリマス、外ニ豫算外國庫ノ負擔トナルベキ契納ニ屬スルモノガ一一ツア
  リマス、孰レモ韓國ニ關スル問題テアリマス、豫算外國庫ノ負擔トナルベキ契約ヲ爲スヲ
  要スルモノヽ、卽チ追第二號トナッテ居リマスルノガ「東洋拓殖株式會社ニ於テ發行スル
  社債二千万圓ヲ限リ政府ニ於テ其元利仕拂ノ保證ヲ爲スコトヲ得」ト云フノ件デアリ
  マト、是ガ其一箇デアリマス、是モ豫算委員會ニ於テハ質問ハアリマシタケレドモ、格別
  反對論モナク多數ヲ以テ可決致シマシタ、但シ一人モ無イトハ申シマセヌ、反對ヲ表ス
  ルト云フ一二人ハアリマシタガ、多數ヲ以テ可決シマシタ、今一ツノ卽チ追第三號トナツ
  テ居リマスル、豫算外國庫ノ負擔トナルベキ契約ヲ爲スヲ要スルモノ、是モ亦韓國ノ事ニ
  屬シテ而シテ、其金高モ同一金高デアリマス、唯此第三ノ方ハ「日本興業銀行ニ對シ
  左ノ條件ニ依リ其債券元利ノ仕拂ヲ保證スルノ契約ヲ結フコトヲ得」トアル方ノ卽チ韓
  國ノ公益事業ノタメニ、日本興業銀行ニ於テ韓國政府ニ貸付ヲ爲スガタメニ政府ノ許
  可ヲ得テ外國カラ公債ヲ募集致シマスル、其場合ニ日本ノ政府ガ、元利ノ保證ヲ爲ス
  而シテ其金高モ亦同ジク一一千万圓デアリマス、是モ質問ハ詳シウゴザイマシタガ、要スルニ
  必要ノ案ト認メマシテ可決スルコトニナリマシタ以上御報告申シマス、デ此際ニ於テ私
  ハ玆ニ緊急動議ガ起シタイノデアリマス、本豫算ハ唯今御報告申シマシタ通水害復舊
  ノコトガ其主ニナッテ居リマシテ、是ヨリ貴族院ノ豫算委員會モ開カナケレバナラヌ順序デ
  アリマスカラ、至急ヲ要シマスルデ直チニ此場合ニ於テ議事ニ附セラレンコトヲ希望致シ
  マス、而シテ別ニ御異議ガナケレバ直チニ此案ノ御贊成ヲ希望致シマス、リレデ東洋拓
  殖ノ分ダケハ豫算外國庫ノ負擔ニ屬スルモノヽコトデスカラ、是ハ軈テ出マスル東洋拓殖
  案ノ通過シタルトキニ於テ、特ニ決議ヲ採ッテ貫タイ積リデアリマス
  (「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=12

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• 013・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御諮リ申シマスコトガアリマスガ、大船渡鐵道業ノ利益補給ニ
  關スル建議案ノ委員會ヲ開キタイト云フ請求ガアリマスガ、許シテ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=13

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• 014・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナイト認メマス唯今大岡君ノ發議ノ如ク會期
  切迫ノ場合デアリマスル、デ明治四十年度歲入歲出總豫算追加案、明治四十年
  度特別會計歲入歲出總豫算追加案、明治四十一年度歲入歲出總豫算追加案、
  明治四十一年度歲入歲出總豫算追加案、豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ要ス
  作、但シ追第三號此五件ヲ日程ヲ變更シテ會議ニ附スルト云フ動議デアリマス、御
  異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=14

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• 015・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナイト認メマス、因テ此五件ヲ一括シテ議題ニ供シ
  マス
  (第三號)明治四十年度歲入歲出總豫算追加案
  (特第二號)明治四十年度各特別會計歲入歲出豫算追加案
  (第二號)明治四十一年度歲入歲出總豫算追加案
  (第三號)明治四十一年度歲入歲出總豫算追加案
  (追第二號)豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件
  (追第三號)豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件
  (「委員長報告通リ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=15

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• 016・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　別段御異論モナイヤウデアリマスルデ、採決致シマス、委員長→
  ノ報告通リ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=16

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• 017・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナイト認メマス、委員長報告通リ可決ニナリマシタ、
  日程第一樺太廳立小學校〓員退隱料及遺族扶助料ニ關スル法律案第一讀會、
  議案ノ朗讀ハ省略シマス
  第樺太廳小學校〓員退隱料及遺族扶助料ニ關ス第一讀會
  ル法律案(政府提出貴族院送付)
  樺太廳立小學校〓員退隱料及遺族扶助料ニ關スル法律案
  第一條市町村立小學校〓員退隱料及遺族扶助料法第一條乃至第十三條及
  明治二十九年法律第十三號第二條ノ規定ハ樺太廳立小學校〓員及其ノ遺
  族ニ關シ之ヲ準用ス伹シ府縣知事ノ職務ハ樺太廳長官之ヲ行フ
  第二條本法ニ依ル給與ハ國庫ノ支辨トス
  第三條樺太廳立小學校正〓員ハ其ノ給料額ノ百分ノ一ヲ國庫ニ納ムヘシ
  第四條市町村立小學校正〓員ノ在職年月數樺太廳立小學校正〓員ノ在職
  年月數ハ本法及市町村立小學校〓員退隱料及遺族扶助料法ニ於テ相互之
  ヲ通算ス
  府縣立師範學校長俸給竝公立學校職員退隱料及遺族扶助料法、明治二十
  九年法律第十三號、明治三十三年法律第七十七號及在外指定學校職員退
  隱料及遺族扶助料法ニ依ル在職在官年月數ニ付テモ亦前項ニ同シ
  前項ニ掲ケタル法律ニ依ル小學校ノ正〓員ト樺太廳立小學校正〓員トノ
  間ニ於ケル轉勤ハ之ヲ勤續ト看做ス
  第五條明治三十一年法律第七イカ發第一條ノ規定ノ權太廳文小學校正教
  員ノ退隱料及遺族扶助料ニ之ヲ準用ス
  附則
  本法ハ明治四十一年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
  〔內務大臣原敬君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=17

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• 018・原敬

  ○內務大臣(原敬君)　此案ハ樺太ニ小學校令ヲ施行スルコトニナリマシタニ伴ヒマ
  シテ、〓員ノ退隱料遺族扶助料ノ規定ヲ要スル次第デ極メテ簡單ナルモノデアリマスカ
  ラ御贊成ヲ希望シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=18

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• 019・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　別段御質問モナイヤウデゴザイマスカラ、次ノ日程ニ移リマス
  第二右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選擧

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=19

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• 020・元田肇

  ○元田肇君　委員ヲ九名ト致シマシテ議長ニ於テ御指名アランコトヲ請求シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=20

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• 021・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　議長指名九名ノ委員ニ付ルスルニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=21

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• 022・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナイト認メマス、日程第三、獸疫豫防法中改正法
  律案第一讀會議案朗讀ハ省略致シマス
  第三獸疫豫防法中改正法律案(政府提出貴族院送第一讀會
  付
  〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス以下之ニ傚フ〕
  獸疫豫防法中改正法律案
  獸疫豫防法中左ノ通改正ス
  第二條中第一項ノ割註ヲ「東京市、京都市及大阪市ニ於テハ區長、市制町村制
  ヲ施行セサル地方ニ於テハ市町村長ニ準スヘキ者」
  ご飯人
  第四條第一項ニ左ノ但書ヲ加フ
  但シ牛疫感染ノ疑アルモノニシテ第十四條ニ依リ地方長官東京府ハ警視總
  監以下之ニ傚フ
  ニ於テ免疫血〓ノ注射ヲ行ヒタルモノハ此ノ限ニ在ラス
  第四條ノ二前條第一項但書ニ該當スルモノト雖地方長官ニ於テ必要ト認
  ムルトキハ其ノ撲殺ヲ命スルコトヲ得
  第五條中割註ヲ削ル
  第六條中「及前條」ヲ「又ハ前二條」ニ改ム
  第十條第一項中「第四條、第五條」ヲ「第四條、第四條ノ二、第五條」ニ改メ第
  三號ヲ左ノ如ク改ム
  三牛疫感染ノ疑アル爲撲殺シタル牛羊又ハ免疫血清若ハ豫防液ヲ注射
  シタル後撲殺シタル獸類評價額五分ノ四
  第十一條第四號乃至第六號ヲ左ノ如ク改ム
  四第十二條第一項ノ命令ニ違背シ移動シタル獸類及物品
  五第十四條ニ依ル注射ノ執行ヲ妨ケタル場合ニ於ケル獸類
  六第十五條ノ命令ニ違背シ檢疫ヲ受ケス又ハ輸入若ハ移入シタル獸類
  及物品
  七有病地ヨリ輸入又ハ移入シタル獸類及物品
  第十二條ニ左ノ一項ヲ加フ
  警察官及獸醫又ハ檢疫委員ニ於テ必要ト認ムルトキハ一定ノ期間獸疫ニ
  罹リ又ハ其ノ疑アル獸類ヲ繫留シタル場所及其ノ近傍ニ對シ交通ヲ遮斷
  スルコトヲ得
  第十四條地方長官ハ獸疫豫防上必要ト認ムルトキハ獸類ニ付檢査ヲ行ヒ
  又ハ免疫血〓若ハ豫防液ノ注射ヲ行フコトヲ得
  第十四條ノ二警察官及獸醫又ハ檢疫委員獸類ノ檢査又ハ免疫血〓若ハ豫
  防液ノ注射ヲ行フ場合ニ於テ助力ヲ要求シタルトキハ所有者又ハ管理人
  ハ之ヲ拒ムコトヲ得ス
  第十五條外國又ハ本法ヲ施行セサル地方ヨリ獸疫侵入ノ危險アリト認ム
  ルトキハ有病地ヨリ又ハ有病地ヲ經テ輸入シ又ハ移入スル獸類及物品ノ
  檢疫ヲ行ヒ又ハ其ノ輸入若ハ移入ヲ停止スルコトヲ得
  第十七條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ五圓以上百圓以下ノ罰金ニ處ス
  一第二條ニ違背シタル獸醫
  二第三條又ハ第四條第一項ニ違背シタル者
  三第五條又ハ第十二條ノ命令ニ違背シタル者
  四第十四條ニ依ル檢査又ハ注射ヲ妨ケタル者
  五第十五條ノ檢疫ヲ受ケス又ハ輸入若ハ移入ノ停止ニ違背シタル者
  第十九條削除
  附則
  本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
  〔農商務大臣松岡康毅君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=22

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• 023・松岡康毅

  ○農商務大臣(松岡康毅君)　本案ハ現行ノ獸疫豫防法中ノ改正ヲ致シマスル案テ
  ゴザイマシテ、唯今ノ法律ニ於キマシテハ獸疫ニ罹ック疑ノアル動物ハ、撲殺スルト云フコト
  ノ一定ノコトニナッテ居リマスルノデアリマス然ルニ近年血〓療法ヲ段々施シテ見マスル
  ト云フト、餘程有效ニナリマシタノデ、サウ致シマスルト血〓デ療治ヲ仕遂ゲマスルト、撲
  殺ヲシナクテモ宜イヤウニ段々ナッテ參リマスカラ、ソレ故ニ一〓ニ撲殺ト申ストコロヲ改メ
  テ、血〓療法デ爲シ得ラレル、又血〓ヲ注入致シマシテモ病症ノ關係、或ハ爾後ノ效
  能ガ十分ニ現ハレナイト云フ時分ニハ、ヤハリ撲殺スルコトモ出來ルト申スヤウナ便宜ヲソ
  コヘ計リマシテ一〓ニ撲殺スルト申ストコロモ免モ角モ救フト云フノガ主タル目的ニナク
  テ居リマス、其他一二ノ修正モゴザイマスケレドモ、現行法ニ僅カノ修正ヲ加ヘルノデ、極
  ク簡單ナモノデゴザイマスカラ、速ニ御協贊アランコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=23

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• 024・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　次ノ日程ニ移リマス、日程第四、右議案ノ審査ヲ付託スベキ
  委員ノ選舉
  第四右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=24

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• 025・元田肇

  ○元田肇君　是モ九名ノ委員ト致シマシテ、議長ニ於テ指名アランコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=25

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• 026・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　元田君ノ發議ノ如ク、議長指名九名ノ委員ニ付託スルニ御
  異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=26

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• 027・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナイト認メマス、日程第五、畜牛結核病豫防法中
  改正法律案第一讀會、議案ノ朗讀ハ省略シマス
  第五畜牛結核病豫防法中改正法律案(政府提出貴第一讀會
  族院送付)
  畜牛結核病豫防法中改正法律案
  畜牛結核病豫防法中左ノ通改正ス
  第七條第一項ニ左ノ但書ヲ加フ
  但シ韓國牛ニ對シテハ「ツベルクリン」注射ノ方法ニ依ラサルコトヲ得
  附則
  本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
  (農商務大臣松岡康毅君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=27

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• 028・松岡康毅

  ○農商務大臣(松岡康毅君)　是モ至ッテ簡單ナモノデアリマシテ、唯今ノ法律ニ於キ
  マシテハ、外國ヨリ輸入スルトコロノ牛ニ結核豫防ノタメニ「ツベルクリン」ノ注入ヲ必要ト
  シテアリマスルノデアリマス、然ルトコロ多ク參リマスル韓國產ノ牛ノ如キニ至ッテハ結核
  ガ少ナイ、誠ニ一万餘頭ノ中デ僅カニ十頭少々位ノコトデアリマスカラ、盡ク「ツベルクリ
  ン」ノ注入ヲ必要トスルトコロヲ緩メマシテ、疑ノアルモノニハ致シマスルケレドモ、モウ診
  斷上其疑ノナイモノハ「ツベルクリン」ノ注入ハ廢スルト云フ法律デゴザイマス、前同樣速
  ニ御協賛ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=28

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• 029・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　次ノ日程ニ移リマス、日程第六、右議案ノ審査ヲ付託スベキ
  委員ノ選舉
  第六右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=29

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• 030・元田肇

  ○元田肇君　是ハ前委員獸疫豫防法中改正法律案ノ委員ニ併セテ付託サレンコト
  ヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=30

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• 031・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　元田君發議ノ如ク、日程第三ノ委員ニ付託スルニ御異議ハ
  アリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=31

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• 032・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナイト認メマス、日程第七、陸軍營繕費補充資金
  特別會計法案第一讀會、議案ノ朗讀ハ省略シマス
  第七陸軍營繕費補充資金特別會計法案(政府提出第一讀會
  貴族院送付)
  陸軍營繕費補充資金特別會計法案
  陸軍營繕費補充資金特別會計法
  第一條陸軍營繕費補充資金ヲ置キ其ノ歲入歲出ハ一般ノ會計ト區分シ特
  別ノ會計ヲ設置ス
  第二條陸軍營繕費補充資金ハ陸軍ニ於ケル土地建造物ヨリ生スル收入及
  附屬雜收入ヲ以テ之ニ充ツ
  第三條陸軍營繕費補充資金ハ左ノ目的ニ使用ス
  -陸軍ニ於ケル土地建造物ノ利用ニ要スル諸費
  二陸軍ニ於ケル土地建造物ノ營繕費補充
  第四條陸軍營繕費補充資金ヲ使用セムトスルトキハ其ノ金額ヲ一般ノ歲
  入ニ組入レ一般ノ歲出トシテ拂出スヘシ
  第五條陸軍營繕費補充資金ニシテ每年度內ニ使用セサルモノハ翌年度ニ
  遞次繰越スへシ
  第六條政府ハ每年陸軍營繕費補充資金特別會計ノ歲入歲出豫算ヲ調製シ
  歳入歲出ノ總豫算ト共ニ帝國議會ニ提出スヘシ
  第七條陸軍營繕費補充資金ノ收入支出ニ關スル規程ハ別ニ勅令ヲ以テ之
  ヲ定ム
  附則
  本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  (陸軍大臣子爵寺內正毅君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=32

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• 033・寺内正毅

  ○陸軍大臣(子爵寺內正毅君)　本案ハ名ノ如ク極ク簡單ナモノデゴザイマス、陸軍ノ
  持ッテ居リマスル土地竝ニ不用ナル建物ヨリ精細ナ注意ヲ以テ收入ヲ圖リマシテ、營繕
  費ノ補充ニ充テタイト云フ考デ、誠ニ簡單ナモノデスカラ御協贊ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=33

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• 034・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　次ノ日程ニ移リマス、日程第八、右議案ノ審査ヲ付託スベキ
  委員ノ選舉
  第八右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=34

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• 035・元田肇

  ○元田肇君　是モ九名ノ委員、議長指名ノ委員ニ付託サレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=35

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• 036・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　元田君發議ノ如ク九名ノ委員付託ニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=36

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• 037・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス-日程第九、明治二十三年法律
  第二十七號中改正法律案第一讀會、、朗讀ハ省略シマス
  第九明治二十三年法律第二十七號中改正法律案第一讀會
  (政府提出貴族院送付)
  明治二十三年法律第二十七號中改正法律案
  明治二十三年法律第二十七號中左ノ通改正ス
  第三條委任經理ニ屬スル給與ノ殘金、廢物賣却代金及補償金ハ之ヲ積立
  金ト爲シ委任經理ニ係ル費途ニ使用スルコトヲ得
  第四條削除
  附則
  本法ハ明治四十一年度ヨリ之ヲ施行ス
  從前ノ積立金ハ之ヲ本法ニ依ル積立金ニ併合ヘ
  〔陸軍大臣子爵寺內正毅君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=37

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• 038・寺内正毅

  ○陸軍大臣(寺內正毅君)　本案ハ軍隊ニ軍隊內ニ於テ使ヒマストコロノ僅カナ費用
  ヲ委任シテアリマス、其委任經理ノ範圍ヲ幾ラカ擴ゲマシテ、委託經理ノ圓滿ナランコ
  トヲ圖リタイト思ヒマスヽ簡單ナ案デゴザイマス、ドウゾ速ニ御協賛アランコトヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=38

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• 039・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　次ノ日程ニ移リマス、日程第十、右議案ノ審査ヲ付託スベキ
  委員ノ選舉
  第十右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=39

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• 040・元田肇

  ○元田肇君　是モ九名ノ委員ヲ御指名ニナッテ付託サレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=40

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• 041・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　元田君發議ノ如ク、議長指名九名ノ委員付託ニ御異議ア
  リマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=41

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• 042・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス-日程第十一、滿洲ニ於ケル領事
  裁判ニ關スル法律案第一讀會、朗讀ハ省略シマス
  第十一滿洲ニ於ケル領事裁判ニ關スル法律案(政府第一讀會
  提出貴族院送付)
  滿洲ニ於ケル領事裁判ニ關スル法律案
  第一條明治三十二年法律第七十號第九條乃至第十二條ノ規定ハ滿洲ニ於
  ケル領事裁判ニ之ヲ適用セス
  第二條滿洲ニ於ケル領事官ノ豫審ヲ爲シタル重罪ノ公判ハ關東都督府地
  方法院之ヲ管轄ス
  第三條滿洲ニ駐在スル領事官ノ管轄ニ屬スル刑事ニ關シ國交上必要アル
  トキハ外務大臣ハ關東都督府地方法院ヲシテ其ノ裁判ヲ爲サシムルコト
  ヲ得
  第四條滿洲ニ於ケル領事官ノ爲シタル裁判及前二條ニ依リ關東都督府地
  方法院ノ爲シタル裁判ニ對スル上訴ハ終審トシテ關東都督府高等法院之
  ヲ管轄ス
  附則
  本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  本法施行前受理シタル訴訟事件及非訟事件ニ關シテハ總テ從前ノ例ニ依ル
  〔外務大臣伯爵林董君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=42

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• 043・林董

  ○外務大臣(伯爵林董君)　現行制度ニ於キマスルト、滿洲ノ帝國領事館デ取扱ヒ
  マス裁判ノ上訴ハ長崎地方裁判所及長崎控訴院ノ管轄ニ歸シテ居リマシテ、又領
  事館ノ豫審ヲ爲シマシタル重罪ノ公判ハ、ヤハリ長崎地方裁判所ガ之ヲ管轄シテ居リ
  マスルガ、今日ハ關東都督府ニ法院ヲ於キマシタニ付キマシテ、總テ現狀ノ上訴及重罪
  ノ公判ヲ關東都督府ノ法院ノ管轄ニ屬セシムル方ガ便利デ、且速ニ事ガ運ブト思ヒマ
  スルニ付テ、此法案ヲ提出致シマシタ譯デゴザイマス、宜シク御贊成ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=43

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• 044・花井卓藏

  ○花井卓藏君　質問ガアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=44

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• 045・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　質問デスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=45

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• 046・花井卓藏

  ○花井卓藏君　質問デス、本案ノ第三條ニ「滿洲ニ駐在スル領事館ノ管轄ニ屬スル
  刑事三關シ國交上必要アルトキハ外務大臣ハ關東都督府地方法院ヲシテ其裁判ヲ爲
  サシムルコトヲ得」ト斯ウ云フコトヲ規定シテアル、國交上必要アル場合ニ於テハ外務大
  臣ナル行政官ハ關東都督地方法院ナル裁判所ヲシテ其裁判ヲ爲サシムルコトヲ得ルト
  云フ規定デアル、如何ニ國交上ノ必要ガアレバトテ、外務大臣ト云ヘル行政權ガ裁判
  所ヲ指定シテ裁判セシムル如キハ裁判權ノ指揮ヲナスト同ジコトデアル、此ノ如キハ帝
  國憲法ノ條規ニ悖リ裁判權ヲ輕シズルモノデアルト私ハ信ジテ居ル、國際ノ慣例ノ上ニ
  於テ如何ナル實例ガアルト致シマシタトコロデ、帝國憲法ハ此ノ如ク行政權ガ裁判權ノ
  指揮ヲナスト同ジヤウナルコトハ認メテ居ナイト信ジテ居リマス、理義上ノ根據ヲ承リタイ
  ノデス
  (政府委員男爵珍田捨巳君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=46

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• 047・珍田捨巳

  ○政府委員(男爵珍田捨巳君)　唯今花井君ノ御質問モゴザイマスガ、外務大臣ナル
  行政官ガ裁判官ニ命令シテ(花井卓藏君「裁判官ニ命令シテトハ言ハナイ」ト呼フ)裁
  判ヲナサシムルト云フノハドウニ云フ理窟カト云フヤウナ御質問ノヤウニ伺ヒマシタガ、是
  何デゴザイマス、今日改正シヤウト云フ現行法ニ於キマシテモ、同ジコトニナッテ居ルノデ
  ゴザイマス、ヤハリ外務大臣ハ命令スルト云フコトニナッテ居ルノデゴザイマス

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• 048・花井卓藏

  ○花井卓藏君　ソレデハ答辯ニナラナイ、今日ノ現行法ニモ認メテ居ルカラ、ソレデ宜
  シイト云フノデハ憲法上ノ質疑トシテノ答辯ニハナリマセヌ、本員ハ現行法ノ如何ニ拘ハ
  ラズ本案ニ對シテ質問スルノデアル、現行法ニセヨ、本案ニセヨ、此ノ如ク行政權ガ裁
  判權ノ指揮ヲナスト同樣ナル規定ヲ容認スルハ、憲法ノ條規ニ適ハザルモノト認ムルモノ
  デアル、憲法ハ抵觸セザルモノナリト云フノナラバ其理窟上ノ根據ヲ承リタイノデアル斯ウ
  云フノデアリマス、他ニ斯樣ナル例ガアルカナイカト云フコトヲ聽クノデナイ、聞違ッタ例ガ
  アッタラ、正シウシタイノデアリマス
  〔政府委員道家齊君登壇〕

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• 049・道家齊

  ○政府委員(道家齊君)　唯今ノ御質問ニ御答イタシマスガ、滿洲ニ於テ此裁判權ヲ
  行フニ付テ、外務大臣ガ卽チ行政官が、其裁判ノコトヲ指揮スルコトガ出來ルヤ否ヤ、
  其〓ガ憲法ニ明文ガアルヤ否ヤト云フ御質問ノヤウニ承リマシタガ(花井卓藏君「ソンナ
  コトハ憲法ノ明文ニハナイト思ヒマス」ト呼フ)憲法ノ明文ニハ固ヨリナイノデアリマス(花
  井卓藏君「行政權が裁判權ヲ指揮スルコトガアッテタマルモノデナイカラ尋ネタノデアル」ト
  呼フ)ソレ故ニ憲法ニハ行政權ガ裁判權ヲ指揮スルト云フコトハ無論ナイノデアリマスガ、
  滿洲ニ於テハ卽チ憲法ハ行ハレテ居ナイ、斯ウ云フ考ヲ持ッテ居リマスカラ行政權ハ卽チ
  裁判權ニ立入ッテ指揮スルコトハ差支ナイト云フ考テアリマス

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• 050・花井卓藏

  ○花井卓藏君　滿洲ニ憲法ガ行ハレテ居ルヤ否ヤヲ問ウタ譯デハナイガ、ソレハソレデ宜
  シイトシテ、若シ其憲法ノ働キガ滿洲ニ及バナイト云フコトデアルナラバ、憲法上ノ協贊
  手續ハ要ラナイデハアリマセヌカ、滿洲若シ憲法ノ行ハルヽ所ニアラズトセバ憲法上法
  律ニ協賛ヲ與フル此議會ニ斯ンナモノヲ持ッテ來ナイデモ宜イト思ハレル、憲法ノ條規ヲ
  履ムニ及バヌデハアリマセヌカ
  ○政府委員道家齊君登壇〕

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• 051・道家齊

  ○政府委員(道家齊君)　御答致シマス、唯今ノ現行法ニ依リマスレバ、領事裁判權
  ノ彼局の卽チ長崎ニ於ケルトヨワリ裁判所卽チ地方裁別所若クハ投是ヘ持ッテ
  行ッテ、公判ナリ若クハ上訴スルト云フコトニ法律ガ極メテ居リマス、ソレニ對シテ卽チ例
  外ヲ設ケナケレバナリマセヌカラシテ、其現行法ヲ改正スルト云フ必要ガアルカラ、法律
  案ノ改正ヲ提出シタ譯デアリマス

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• 052・花井卓藏

  ○花井草藏君　ソレハ第三條ニ關係ノナイコトデアリマス、ワンナコトハ他ノ刑事法ニ
  書イテアル、ソレヲ尋ネルノデハナイ、根本問題トシテ行政權が裁判權ヲ指揮スル如キハ不
  都合デアルト云フ質問デアル

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• 053・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　次ノ日程ニ移リマス、第十二、右議案ノ審査ヲ付託スベキ委
  員ノ選舉
  第十二右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉

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• 054・元田肇

  ○元田肇君　九名ノ委員ヲ議長ガ御指名ニナッテ、唯今ノ如キ〓ハ十分ニ審議セラレ
  ンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=54

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• 055・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　元田君發議ノ通リ、議長指名九名ヲ委員付託ニ御異議ハ
  アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 056・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス-日程第十三、官吏恩給法中改
  正法律案第一讀會ノ續、委員長報告、花井卓藏君
  第十三官吏恩給法中改正法律案(政府第一讀會ノ續(長)
  提出)報告

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=56

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• 057・花井卓藏

  ○花井卓藏君　本案ハ極メテ簡單ナ案デゴザイマシテ、委員會ハ滿場一致ヲ以テ
  但シ出席者ハ五名デアリマス、滿場一致ヲ以テ可決シタノデアリマス、登壇ヲ致ス程ノ
  議案デモアリマセヌカラ、此所ニ於テ御報告ニ及ビマス
  〔「委員長報告通リ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=57

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• 058・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　採決致シマス、本案ノ二讀會ヲ開クバシト云フニ御異議ハア
  リマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 059・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=59

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• 060・元田肇

  ○元〓肇君　直チニ二讀會ヲ開カレ、三讀會ヲ省略致シマシテ、委員長報告通リ決
  セラレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=60

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• 061・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　元田君發議ノ如ク、直チニ二讀會ヲ開キ、三讀會ヲ省略シテ
  確定メルコトニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=61

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• 062・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、直チニ二讀會ヲ開キ、全部ヲ議題ニ
  供シマス
  官吏恩給法中改正法律案確定議

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• 063・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　委員長報告通リ御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=63

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• 064・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、本案確定-日程第十四ヨリ第
  十八マデハ同一委員ニ付託サレテ居リマスルデ、併セテ委員長ノ報告ヲナサシメマス、磯
  部四郞君
  陸軍刑法案(政府提出、貴族院送委員長
  第十四付第一讀會ノ續(報告
  第十五海軍刑法案(政府提出、貴族院送第一讀會ノ(長張長)
  付第270
  第十六陸軍刑法施行法案(政府提出、貴第一讀會ノ續(報告(長)
  族院送付)
  第十七海軍刑法施行法案(政府提出、貴第一讀會ノ續(安装)
  族院送付)報告
  第十八印紙犯罪處罰法案(政府提出、貴(〓〓〓)
  族院送付)第一讀會ノ續(變
  〔磯部四郞君登壇〕

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• 065・磯部四郎

  ○磯部四郞君　陸軍刑法、海軍刑法、陸軍刑法施行法、海軍刑法施行法、他ニ印
  紙犯罪處罰法案ト此五件ヲ併セテ報告シロト云フト云フコトデゴザイマスルガ、性質ガ違
  ヒマスルカラ先ヅ初メニ陸軍刑法、海軍刑法、陸軍刑法施行法、海軍刑法施行法ト此
  四件ヲ初メニ委員會ノ經過ヲ報告致シマシテ、更ニ引續キ印紙犯罪處罰法ト云フモノ
  ノ委員會ノ經過ヲ報告致シマス、ソレデ此陸軍刑法、海軍刑法ハ申上ゲルマデモナク實
  ニ今期議會ニ現ハレマシタトコロノ一大法律案ノ一デゴザイマスル、デ委員會ニ於テモ十
  分ニ調、査ヲ遂ゲ、且十分ニ政府當局者トモ意見ヲ鬪ハシマシテ、大體ニ於テハ卽チ此
  委員會ニ於キマシテハ先ヅ此ノ如キ重大ナ、且條交ノ多イモノニ付キマシテハ特別調査
  曾ヲ設ケマシテ、此特別調査會ト云フモノヲ數囘開キマシテ、其會ニ於キマシテモ先ヅ此
  刑法ノ性質ヨリ〓究ヲ致シ始メタノデゴザイマス、其性質タルヤ卽チ今囘ノ陸軍刑法、
  海軍刑法ト云フモノハ軍事ニ關スル不法行爲ヲ罰スルヲ以テ目的トセラレタノデアルカ、
  將タ軍大ノ犯罪ヲ罰スルヲ以テ目的トセラレタノデアリマスカト云フコトガ第一デゴザイマ
  シテ、其〓ニ付テハ政府當局者ヨリノ御答ハ先ヅ大體ニ於テハ軍事ニ關スル行爲ヲ
  罰スルト云フ事柄ヲ以テ大體ノ性質ト致シテ、加フルニ幾分カ軍人ニ關係スルト云フ、
  所謂折吏主義ノ法律デアルト云フコトデゴザイマシタ、ソレカラ尙花井君ヨリノ議論モゴ
  ザイマシテ、元來陸軍刑法、海軍刑法ト二ツニセズシテ、軍刑法トセラレタラ如何デアラ
  ウト云ウヤウナ議論モ出タノデアリマスルガ、何分海軍ト陸軍トハ其執ルトコロモ異ニシテ
  居ル、從ッテ生ズルトコロノ犯罪モ種々性質ヲ異ニシテ居ルカラ、成程或國ニ於キマシテハ
  軍刑法トシテ海陸ヲ合シタモノモゴザイマスルケレドモ、尙我邦ニ於キマシテハ卽チ陸軍刑
  法海軍刑法ト區別スルノ必要ヲ認ムルト云フコトデ、此案ヲ提出セラレタト云フコト
  デゴザイマス、ソコデ要スルニ。此法案タルヤ、今日行ハレテ居ルトコロノ陸軍刑法、海軍
  刑法ニ比較ヲ致シテ見マスルト幾分ノ進歩ヲ致シタト云フ事柄ハ委員會ニ於テ認知致
  シタノデゴザイマス、サテ此理想的ノ法案トシテハ幾分ノ進步ヲ認メマスケレドモ、併ナガ
  ラ之ヲ運用スルトコロノ機關如何ト云フコトノ問題ガ、コ委員會ニ於テ』最モ屢起ッタノデ
  ゴザイマス其運用ノ機關ニ於テ委員會ガ大ニ心配ヲ致シマシタノハ外デハゴザイマセヌ、
  今日マデノ現行法ニ於キマシテハ軍法會議ノ判決ニ付テハ上訴ノ途モ開ケテ居ナイ、又
  軍法會議ニ附セラレタル被告人ノタメニ如何ニ寃ヲ雪ギタイ理由ガゴザイマシテモ、辯護
  權ト云フモノヲ與ヘテナイ、卽チ覆審制度竝ニ辯護權、此二ツガ卽チ運用機關ノ中ニ
  存在セザル限リハ如何ニ理想トシテ立派ナモノデアラウトモ、之ヲ施行セラレテ何ノ益
  カアラン、卽チ此陸軍刑法、海軍刑法ニ於テ覆審ノ制度ト、ツレカラ辯護人ヲ附スルノ
  制限ヲ採ラレルヤ否ヤト云フコトニ付テ、當局兩大臣ト花井君ト凡ソ二十囘モ質問應
  答ガアッダノデゴザイマス、而シテ兩大臣ニ於カレテハ卽チ治罪法制定ノ曉ニ於テハ無論
  覆審制度ヲ採用致シマスルシ、又辯護權ノ如キニ至リマシテモ今日戰時ノトキニ於テ辯
  護云々ト云フヤウナコトヲ認メテ居ルト云フヤウナコトハドウシテモ出來マセヌケレドモ、或
  範園內ニ於テハ固ヨリ辯護權ト云フコトノ制度モ認知致シマセウト云フ言明ガゴザイマ
  シタ上ニ於テ、委員會ニ於テモ卽チ此案ニ贊成ヲ致シマシテ、貴族院送付ノ通リ可決
  スルコトニ稍〓一決致シマシタ次第デゴイマス、ゾレカラ尙第二ニ報告致シテ置キタウゴ
  ザイマスノハ陸軍刑法ニモ海軍刑法ニモ成程此下官ノ人ガ上官ニ對シテ不平ノアッタ
  トキニハ之ヲ罰スルトコロノ法律ハ十分備ッテ居ルケレドモ、上官ノ人ガ下官ノ人ニ向ウ
  テ、所謂幕下ニ對シテ陵辱ヲ加ヘ、若クハ不敬ノ行爲ヲナシタトキニ之ヲ如何ニ處分スル
  カト云フコトニ付テハ、法律ノ表ニ或ハ陵辱ト云フ如キ法文モゴザイマスケレドモ陵辱マ
  デニ至ラザル間ニ隨分苛酷ナ行爲ヲセラレタモノニ付テハ外國ノ法律ニ於テモ罰シテ
  居ル法文ガ澤山ゴザイマス然ルニ此陸軍刑法竝ニ海軍刑法ニ於テハツレハ存在シテ居
  ラヌ、ソレニ付テハ十分質問ニナリマシタ結果、ソレハ所謂懲罰法ニ讓ッテアリマスカラ、御
  心配ハナイト、又甚シキニ至リテハ此刑法ノ上ニ於テ陵辱云々ノ文字ガゴザイマスルカラ、
  是等ニ依クテ十分ニ制裁ヲ加ヘルコトガ出來ルト云フ御辯明デアリマシテ、委員會ニ於テ
  ハ稍〓其〓ニ付テ修正ヲ加ヘタイト云フ考モアリマシタケレドモ、サリナガラ今日時期ノ切迫
  シテ居ル際ニ方リマシテ、修正云々ノタメニ此刑法ノ卽チ通過ヲ妨グルヤウニナッテハ甚ケ
  遺憾ニ思ヒマスルカラシテ、政府當局者ニ於テハ成ルベク近キ將來ニ於テ是等ノモノニ付
  テハ相當ニ改正セラレタイト云フコトノ希望ヲ述ベテ、此案ニ修正ヲ加ヘナンタ次第テゴ
  ザイマス、又今一ツハ是ハ陸軍刑法竝ニ海軍刑法ノ問題デハゴザイマセヌガ、他ニ軍艦
  外務令ト云フモノガ一ツ存在シテ居リマシテ、此外務令ニ依リマスルト、海賊ニ出會フタトキ
  ノ此處分方法ト云フモノガ規定シテゴサイマス、是モヤハリ花井君ヨリ十分二質疑ガアリ
  マシタ、卽チ相互ニ御話合ニナッタトコロヲ承ッテ見マスルト、誠ニ曖昧模稜ニシテ殆ア海
  賊ニ出會ッタナラバ、之ヲ處分スル方法ト云フモノガ今日存在シテ居ナイノデゴザイマス、サ
  リナガラ是ハ陸軍刑法ニ規定スベキモノデモナケレバ、海軍刑法ニ規定スベキモノデモナク、
  サリトテ普通刑法ニ入レベキモノデモナイカラ、是ノ軍艦外務令ト云フ法ノ存在スベキモ
  ノデナイカラ、是等ニ付テハ命令デ卽チ處分法ヲ是亦近キ將來ニ於テ御採用ニ相成リ
  マスレバ、ソレデ殆ド陸海軍刑法竝ニ之ニ附隨スルトコロノ法律ガ稍、完成ヲ告ケルデア
  ラウ、是モ卽チ希望ヲ述べ、又政府當局者ニ於テモ其〓ニ付テハ十分其目的ヲ達スル
  積リデアルト云フノ御返事ヲ得テ、而シテ特別調査會ト云フモノハ是ニテ卽チ貴族院ノ
  修正通リ、原案ニ悉ク贊成ニ相成リマシタ次第デゴザイマス、而シテ其特別調査委員
  ヨリ此報告ヲ得マシテ、更ニ委員總會ヲ開キマシテ、唯今ノ事情ヲ悉ク報告ヲ致シタ
  結果、委員會ニ於テハ滿場一致ヲ以テ可決セラレタモノデゴザイマスカラ、何卒本曾二
  於キマシテモ直チニ滿場一致ヲ以テ御可決アランコトヲ願フ次第デゴザイマス、此段報告
  ヲ致シマス、尙引續イテ印紙犯罪處罰法案ト云フモノヲ報告致シマス、是ハ大藏省カラ
  出來テ居ル案デゴザリマスガ、甚グ御調査ガ惡ルカックト見エマシテ、元來刑法施行法ノ
  二十五條ニ依ッテ此施行法ト云フモノハ今議會ニ於テ所謂可決セラレタ案ニシテ、未ダ
  施行セヌノデ、然ル二此印紙邪神座創法ト云ファノノシヲ今日可決シマデュガソ漏
  スルト云フト、全ク此刑法施行法ノ二十五條アタリト矛盾スル、實ニ譯ノ分ラヌコトニ
  ナッテシマッテ、一日今囘ノ議會ニ於テ確}疋シタ法案ハ用ニ立タレズシテ、更ニ此印紙犯罪
  處罰法ヲ以テ一部分ヲ削ラレテシマフヤウナ、甚ダ議會ノ決議ノ不信用ヲ來スヤウナ、不
  都合ノ法案ト認メマシテゴザイマスカラ、委員會ニ於テハ滿場一致ヲ以テ此案ハ否決致
  シマシテゴザイマス、此段報告致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=65

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• 066・花井卓藏

  ○花井卓藏君　旣ニ委員會ニ於テ度々質問ヲ致シタノデアリマスガ、誠ニ重要ナル事
  項ノヤウニ感ジマスルガ故ニ、本會ニ於テモ問ノ趣意ヲ明カニシ、答ノ趣意ヲ明カニ致シ
  テ置クコトガ甚ダ大切グラウト思ヒマスカラ、更ニ質問ニ及ノデアリマス、唯今委員長ヨ
  リ報告セラレマシタ通リ、委員會ニ於テ最モ明白ニ陸軍大臣、海軍大臣ヨリ他日改正
  セラルベキ刑事訴訟法ノ上ニ於テ、上訴權ノ制度、辯護權ノ制度ヲバ全然之ヲ是認
  スル、勿論其範圍制限等ニ付テハ考慮ヲ費スベキ點アリト雖モ、制度其モノハ喜ンデ之
  ヲ迎ヘルト云フコトヲ申サレマシタガ、果シテ其通リニナルコトヽハ信ジテ居リマスケレドモ
  念ノタメ本會ニ於テ國民ノ耳ニ廣ク響クヤウニ致シタイ、ソレ故ニ繰返シテ質問ヲスルノ
  デアリマス
  (陸軍大臣子爵寺內正毅君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=66

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• 067・寺内正毅

  ○陸軍大臣(子爵寺內正毅君)　唯今花井君カラ再度ノ御質問デゴザイマス、而シテ
  本會議竝ニ委員會ニ於テ御答ヘ申シタ通リニ運ブ積リデゴザイマス、サウ御承知ヲ願ヒ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=67

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• 068・望月長夫

  ○望月長夫君　質問ガアリマス、私ハ第一ニ斯ウ云フコトヲ伺ンテ見タイノデス、是ハ直
  接ニ陸軍刑法ノ問題デハナイヤウデアリマスケレドモ、陸軍刑法ノ所謂逃亡罪何カノ規
  定ヲ議スルニ付テハ無論直接ニ關係ガアルト云ムテ宜シイデアルト信ジマスノデ、ソレハ
  近來新聞紙ノ報道ニ依リマスレバ此陸軍刑法ノ言葉ヲ以テ二百七マスレバ、所謂黨與
  シテ卽チ徒黨ヲ組ンデ多數ガ申合セテ逃亡ヲ企テルト云フ事實ガ殆ド各所ニ頻リニ起ル
  ガタメニ、殆ド一種惡流行、惡傾向ナリト云ッテモ差支ガナイ程屢S新聞紙ニ依ッテ報
  道サレルノデアリマス、是ハ無論各個々々ニ就テ取調ベマシタナラバ各個格別ノ原因ゴ
  ザリマセウシ、各個格別ニ勃發シタ特殊ノ動機ハゴザイマセウガ、併シ唯今申スガ如ク、
  殆ド近來ノ新聞ニ依ッテ傳ヘラレルガ如クニ、各所ニ起ルトスレバ一ノ惡流行、惡傾向ト
  云ッテ差支ガナイト思ハレマスカラ、サウ致シマスレバ若シ此ノ如キ惡流行アリ、惡傾向
  アリト見マスレバ、各個格別ノ原因動機ヲ別ニ致シテモ、恐ラクハヤハリ此前々二事實
  ニ共通サレテ居ル原因ガアルノデハナイカト思ハレル、本日ハ陸軍大臣モ御出席ニナツ
  テ居リマスルガ、勿論陸軍省ニ於テモ是等ノ事實ヲ輕忽ニ御覽ニナッテ居ラウトハ存ジ
  マセヌカラ、此ノ如キ事柄ガ勃發シテ頻々起ル、若シ其通リノ原因ト見ラレベキモノガ
  アヲ、御取調ニナッテ居ルナラバ、如何ナル原因ガアルト當局者ハ認メラレテ居ルカ、
  又此ノ如キ惡流行、惡傾向ヲ防止スルニ就テハ、所謂善後ノ方法ニ付テハ無論陸
  軍當局者ニ成算ノアルベキコトヽハ信ジマスル、卽チ防止ノ手段モ略〓定ッテ居ラウトハ
  信ジマスルガ、卽チ原因及善後〓處分ニ付テ、當局者ハ之ヲ如何ニ見テ居ラレルカ、其
  點ニ付テ陸軍當局者ノ責任ノ御說明ヲ伺ッテ置キタイ、成ルベクハ法律ノ力ノミニ依ラ
  ズシテ、成ルベク此ノ如キ惡流行惡傾向ガ言ハズ語ラズノ中ニ絕滅スルヤウニ、相當ノ
  御辯明アランコトヲ希望致シマスル、ソレカラ序ニ今一ツ伺ッテ置キマスノハ、卽チ此陸
  海軍刑法ノ施行期日デス、全體本體カラ申シマスレバ、議會ノ會期切迫ノ際ニ數百條
  ノ浩瀚ナル法律ヲ押付ケラレテ、吾〓ハ殆ド鵜呑ヲセネバナラヌ境遇ニ立ッテ居ルノデ(「ノ
  ウ〓〓」ト呼フ者アリ)之ヲ鵜呑ニスルニ付テハ實ハ陸海軍大臣カラ所謂治罪法ナル
  モノヲ速ニ拵ヘテ、上訴權及辯護權ヲ認メルコトニ重キヲ措イテ貰フコトニシテ、實ハ之
  ヲ鵜呑ニスルト云フ筋ニナッテ居リマスカラ、唯今花井君カラモ確メテ居リマスガ、私モ
  伺ジテ置キタイノハ卽チ其治罪法ナルモノハ凡ソ何時頃出サレルノカ、例ヘバ次ノ議會
  ニ出サレル御考カ、及施行期日ヲ聞キマスルノハヤハリ吾ミガ最モ信任ヲ置カントスルト
  コロノ治罪法ガ出來ヤウガ出來マイガ、ソレニ付テハヤハリ陸海軍刑法ハ直チニ御施行
  ニ相成ル御考カ、此樣ナ關聯シタル趣意ニ於テ陸海軍刑法ノ施行ノ時期ヲ伺ヲテ置キ
  タイドウカ此二ツニ對スル大臣ノ說明ヲ願ヒタイ
  〔陸軍大臣子爵寺內正毅君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=68

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• 069・寺内正毅

  ○陸軍大臣(子爵寺內正毅君)　唯今ノ御質問ノ第一ニ先ヅ御答ヲ致シマス、御承
  知ノ如ク此軍隊ニ於キマシテ黨ヲ結ビ、法ヲ犯スト云フコトハ如何ニモ不都合ナ事柄デ
  アリ、又軍隊トシテアルマジキコトデアル、此ノ如キコトガ廣ク一般ニ蔓延スルト云フガ如
  キハ殆ド國家ノ體面ヲ失フト云フコトニ立至ル譯デ、甚ダ遺憾千萬ナ事柄デアル當局
  者ニ於キマシテハ固ヨリ此ノ如キコトノナイヤウニ十分ニ注意ヲシツヽアル、併ナガラ御承
  知ノ如ク此戰後凱旋後ノ軍隊ハ暫クノ間靜肅ナ軍規ノ下ニ居ラヌ有樣デアッタ、クルヲ
  再ビ靜肅ノ軍紀ノ下ニ統御ヲ嚴重ニスルト云フコトハ最モ注意スベキコトデアル、兩
  年以來其〓ニ於テハ總テニ當局者ハ十分ナ注意ヲ拂ッテ居リマシタ、然ルニモ拘ハラズ
  時々近時ニ於テ此ノ如キ不祥ナコトヲ見マスルノハ、甚ダ遺憾ナ次第デアル併ナガラ今
  日マデ起リマシタ事柄ハ誠ニ原因ノナイコトデ、唯一時ノ心得違カラ起ル事柄ガ、今マ
  デノガアルノミデゴザイマス、ソレデ格別軍隊ノ根柢ニ對シテ大害ノアルモノトカ、或ハ總
  テノ此頻々二三囘起リマシタノヲ通ジテ、ドウトカ云フ原因ガアルト云フヤウナコトハ一
  切ナイノデ、サウ云フヤウナコトデゴザイマシテ、今日此事柄ニ對シテ餘リ憂慮スベキコト
  デナイト思フ、免ニ角此ノ如キコトノ生ズルト云フハ甚ダ宜シクナイ、ソレデ直接ノ指揮
  者竝ニ之ヲ統轄スルモノ、總テガ此點ニ於テハ一層軍紀ヲ嚴肅ニシテ、此ノ如キコトノ
  將來起ラヌヤウニ致シタイ考デアリマス、併シ之ニ付テハ序デナガラ一言ノ注意ヲ願ッテ
  置キタイト思フノハ、動モスルト此多數ノ集ッテ居ルモノハ時トシテ一二ノ心得違ノモノガ
  居ルト、或ハ雷同ノシ易イモノデアル、故ニ法ノ上デハサウ云フヤウナ事柄ハ嚴シク罰スル
  ヤウニシテアリマスルガ、今日ハ世間ニ新聞モアリ、世間ノ風說其外隨分流布ガ早イ、又
  ソレニ對シテハ心得ノ違フモノガ或ハ之ヲ煽動シ、或ハ之ヲ勸誘スルト云フヤウナ事柄
  ガ、誤ッテ或ハ傳ヘラレルト云フコトガ無イトモ保證ノ出來ナイヤウナ次第デ、是等ハ總テ
  ノ國民モ軍隊ニ對シテ、此ノ如キコトハ寧ロ有害テアルト云フコトヲ、能ク承知シテ貫ヒ
  タイト思フノデアリマス、其邊ニ付テハ諸君ニ於テモ國家ノ威嚴ニ關係スルコトデアリマス
  ルカラ、ドウゾ御注意ヲ願ヒタイト考ヘマスソレカラ第二ノコトニ付キマシアハ此施行期日
  ハ未ダ決定ヲ致シテ居リマセヌガ、既ニ普通刑法ノ實行期モ極メルコトニナッテ居ル成
  ルベク普通刑法ノ施行セラレルトキニハ陸軍刑法モ施行致シタイ考デアリマス、是ハ行
  政上ソレ〓〓執ルベキ處置モアルノデ、今玆ニ明言スルコトハ出來マセヌガ、サウ云フ考
  デゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=69

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• 070・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　先ヅ日程第十四、陸軍刑法案ヲ議題ト致シマス-別段
  御議論モナイヤウデアリマスルデ、採決ヲ致シマス、本案ノ二讀會ヲ開クベシト云フニ御
  異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ノ聲起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=70

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• 071・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=71

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• 072・元田肇

  ○元田肇君　直チニ二讀會ヲ開カレ、三讀會ヲ省略シテ可決サレンコトヲ望ミマス、此
  重要問題ニ對シテ讀會ヲ省略スルト云フコトハ、餘リ議事ノ進行ノ急ギ過ギルヤウナ感
  ジモゴザイマスルガ、本案ハ委員會ニ於テ特ニ特別調査委員マデ設ケラレテ、有方ナル法
  律家諸君ガ〓究ニ〓究ヲ重ネラレタコトハ、唯今委員長ヨリ報告セラレマシタ通リデゴザ
  イマス、政府ハ治罪法ニ於テ十分改良ヲ加ヘラレルト云フ言質ヲ此所ニ述ベラレテ居ル
  カラシテ、私ハ願クハ一日モ早ク決定ヲ與ヘテ、刑法ト共ニ完全ナル法律ノ我邦ニ行レル
  ヤウニ致シタイト考ヘマスカラシテ、ドウカ讀會省略デ直チニ可決セラレンコトヲ望ミマ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=72

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• 073・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　元田君發議ノ如ク、直チニ二讀會ヲ開キ、三讀會ヲ省略シ
  テ確定スルニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ノ聲起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=73

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• 074・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス-直チニ二讀會ヲ開キ、全部ヲ議
  題ニ供シマス
  陸軍刑法案確定議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=74

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• 075・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　委員長報告通リ御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=75

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• 076・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、是ニテ本案確定-日程第十五、
  海軍刑法案ヲ議題ト致シマス
  第十五海軍刑法案(政府提出貴族院送付)第一讀會ノ續

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=76

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• 077・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　採決ヲ致シマス、本案ノ第一一讀會ヲ開クベシト云フニ御異議ア
  リマセヌカ
  〔「異議ナシ」ノ聲起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=77

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• 078・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=78

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• 079・元田肇

  ○元田肇君　是モ陸軍刑法ト同樣直チニ二讀會ヲ開カレ、三讀會ヲ省略シテ可決ア
  ランコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=79

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• 080・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　元田君發議ノ如ク、直チニ二讀會ヲ開キ、三讀會ヲ省略シ
  テ確定スルニ御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=80

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• 081・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、直チニ二讀會ヲ開キ、全部ヲ議題ニ
  致シマス
  海軍刑法案確定議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=81

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• 082・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　委員長報告通リ御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=82

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• 083・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、是ニテ本案確定-日程十六、陸
  軍刑法施行法案第一讀會ノ續
  第十六陸軍刑法施行法案(政府提出貴族院送第一讀會ノ續
  付

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=83

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• 084・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　本案ノ二讀會ヲ開クベシト云フニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ノ聲起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=84

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• 085・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=85

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• 086・元田肇

  ○元田肇君　本案モ直チニ二讀會ヲ開カレテ、三讀會ヲ省略シテ委員長報告通リ可
  決サレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=86

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• 087・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　元田君發議ノ如ク、直チニ二讀會ヲ開キ三讀會ヲ省略シテ
  確定スルニ御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ」ノ聲起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=87

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• 088・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御輿議ハナイト認メマス、直チニ二讀會ヲ開キ、全部ヲ議題
  ニ供シマス
  陸軍刑法施行法案確定議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=88

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• 089・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　委員長報告通り御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=89

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• 090・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、是ニテ本案確定-日程第十七、
  海軍刑法施行法案、第一讀會ノ續
  第十七海軍刑法施行法案(政府提出貴族院送第一讀會ノ續
  付

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=90

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• 091・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　本案ノ二讀會ヲ開クベシト云フニ御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ」ノ聲起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=91

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• 092・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=92

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• 093・元田肇

  ○元田肇君　直チニ二讀會ヲ開カレテ、本案モ亦三讀會ヲ省略サレテ、委員長報告
  通り可決セラレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=93

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• 094・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　元田君發議ノ如ク直チニ二讀會ヲ開キ、三讀會ヲ省略シテ
  確定スルニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=94

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• 095・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、直チニ二讀會ヲ開キ、全部ヲ議題ニ
  供シマス
  海軍刑法施行法案確定議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=95

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• 096・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　委員長報告通り御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=96

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• 097・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、是ニテ本案確定-日程第十八、
  印紙犯罪處罰法案、第一讀會ノ續
  第十八印紙犯罪處罰法案(政府提出貴族院送第一讀會ノ續
  付

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=97

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• 098・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　採決ヲ致シマス、本案ノ二讀會ヲ開クベシト云フニ御同意ノ
  諸君ハ起立ヲ願ヒマス
  起立者無

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=98

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• 099・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　起立者ハ一人モアリマセヌ、本案ハ二讀會ヲ開クベカラズト云
  フニ決シテ、卽チ廢案トナリマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=99

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• 100・磯部四郎

  ○磯部四郞君　他人ノ土地ニ於ケル工作物云々ノ委員會ヲ開キタウゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=100

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• 101・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　何デス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=101

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• 102・磯部四郎

  ○磯部四郞君　他人ノ土地ニ於ケル工作物及竹木ノ所有權保護ニ關スル法律案ノ
  委員會ヲ開キタウゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=102

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• 103・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　他人ノ土地ニ於ケル工作物及竹木ノ所權有保護ニ關スル委
  員曾ヲ開キクイト云フ請求デアリマス、許可シテ御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=103

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• 104・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス-改野耕三君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=104

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• 105・改野耕三

  ○改野耕三君　議事日程ヲ變更シテ東洋拓殖會社ノ委員會ノ經過ヲ報告致シタウ
  ゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=105

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• 106・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　先ヅ報〓ダケ
  〔改野耕三君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=106

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• 107・改野耕三

  ○改野耕三君　東洋拓殖株式會社ノ委員會ノ經過ヲ報告致シマス、此委員會ニ於
  キマシテハ本案ニ付テ種々質問ヲ遂ゲヽ而シテ大體ニ於キマシテハ韓國拓殖上斯樣
  ナ法案ガ必要ナリト認メテ、而シテ多少法案ニハ修正ヲ要スルコトガアルノデ、七名ノ
  特別委員ヲ選舉ニナリマシテ、此七名ノ委員ニ於テ修正ヲ致サレ、サウシテ今日其修正
  ヲ以テ本委員會ハ一名ヲ除クノ外修正ニ可決ニナリマシテゴザイマス、而シテ此修正ノ
  要旨ハ十一條ト十二條ガ重ナ點デアリマシテ、其修正ノ要點ハ先刻諸君ノ手許ニ御
  配付ニナッテ居リマスカラ、御承知ノコトテゴザイマスカラ詳シクハ述ベマセヌガ、要スルニ本
  案ノ精神ヲ傷ケナイ範圍ニ於キマシテ、唯列記シテアルノヲ總括的ノ修正ヲシタニ止マル
  ノデゴザイマス、此修正ニ付キマシテ政府モ同意ヲ表シタ譯デゴザイマスカラ、冀クハ本會
  ニ於テモ速ニ可決セラレンコトヲ望ミマス、御報告ニ及ビマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=107

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• 108・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　唯今報告ニナリマシタトコロノ東洋拓殖株式會社法案ヲ日
  程ヲ變ジテ院議ニ附スルト云フニ御異議ハゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=108

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• 109・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、本案ハ問題トナリマシタ-島田三
  郞君
  東洋拓殖株式會社法案(政府提出)第一讀會ノ續
  〔島田三郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=109

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• 110・島田三郎

  ○島田三郞君　諸君、本員ハ本議會ニ於テ不幸ニシテ政府ノ重要ナル議案トシテ提
  出セラレタルモノニハ殆ド悉ク反對デアル、始メヨリ終リニ至ル會期ヲ通ジテ小問題ハ格
  別デアリマスガ、内閣ガ此運命ヲ賭ケテ出サレベキ位ノ重大ナルトコロノ議案ニ付テハ悉ク
  反對テアル、卽チ會期切迫ノ今日ニ於テモ又此案ニ反對ヲ致スノデアリマス、其反對ノ
  大要ヲ申シマスレバ第一ニ形式ニ於テ甚ダ不當デアル第二ニ內容ニ於テ甚ダ不安デア
  ル此二ツデアリマスガ、此案ヲ一讀シテ見マスルト云フト「長イ年限ニ經營致シマスルト
  コロノ形容シテ百年ノ大計ト能ク申シマスルガ、此案ハ目シテ百年ニ渉ルトコロノ會社ノ
  設立ノ法案デアリマス、此ノ如ク年限ノ長キ會社ヲ一度此議會ニ於テ可決シマスレバ、
  其後ニ起ルトコロノ錯綜セル議會ニ向ッテ最早啄ヲ容ルヽハ甚ダ困難デアルト一云フコトヲ
  考ヘテ見マスレバ、此問題ヲ急遽ニ決スルト云フコトハ衆議院ノ體面ニ於テ甚ダ不可ナ
  ルモノデアルト本員ハ確信致シマス、政府ハ何故ニ斯ク兩三日ニ迫ッテ居ル議會ニ向ッ
  テ、此ノ如キ重要ナルトコロノ議案ヲ投ゲ込マレタノデアルカト云フコトヲ第一ニ非難シナ
  ケレバナラヌ、元來議會ノ手續ニ於テムヲ委員ニ附シテ、特ニ政府ノ提出シタ議案ハ必
  ズ委員ニ附スト云フコトガ議事ノ定則デアリマスカラ、議院ニ臨ムニ此ノ如ク鄭重ナル手
  續ヲ以テスルトコロノ政府ガ、何故ニ緊急動議トシテ此法案ニ議サネバナラヌト云フ此
  切迫ナル時日ヲ豫期シツヽ提出セラレタノデアルカ、又委員會ニ於テ政府ニ質問ヲシ、或
  ハ說明ヲ請ウタルモノハ少ナクトモ印刷ニ附シテ、全議員ニ配付シテ置イテ、之ヲ熟讀シテ
  其上ニ考慮ヲ加ヘ初メテ可否ヲ決スベキガ、議案ニ對スルトコロノ忠實ナル議員ノ進退
  デアリマスノニ、是カラ手續ヲ盡ス能ハザル程ニ、急遽ニ之ヲ議セシムルト云フノハ政府
  ノ議會ニ對スル誠意ガ〓ケテ居ルト思フノデアリマス、如何ニモ失禮ナルヤリ方デアルト
  思フサウシテ今日緊急動議トシテ是ガ議場ニ現ハレ、此委員會ノ中ノ問答ヲ本員ガ
  承ルトコロニ依ルト、本員ト同ジ感覺ヲ抱イテ質問セラレタ議員ニ對シテ政府委員ハ
  政府ハ二十七八年頃カラ最早此事ヲ考ヘテ居ッテ、非常ニ考ニ考ヲ費シ調査ニ調査ヲ
  重ネタ故ニ急遽ニ之ヲ出スコトハ出來ナカッタ、已ムヲ得ズシテ遂ニ此議會切迫ノト
  キマデ提出ガ延引シタト答ヘテ居ル、何タル暴戾ナル答デアルト本員ハ思フ、政府ガ人
  數ノ少ナキトコロノ委員會ノ調査會ニ於テ、尙此ノ如ク日ヲ重ネヽバナラズ尙委員會ニ
  附スル前ニ廟議ニ於テモ大ニ鄭重ヲ盡サナケレバナラヌト云フ如キ、重大ナル議案ヲ何故
  ニ三百七十餘ニ餘ルトコロノ者ニ急遽ニ議サシメテ必ズ之ヲ可決セヨト言ハヌバカリノ態
  度ヲ執ルト云フノハ畢竟議院ニ對スルノハ形式ノミ、彼等ハ操縦シ得ベシト云フ無禮
  ナル考ヲ持ッテ居ルト云フコトハ此一事ヲ以テ明白デアル、政府ガ此ノ如ク憲法法律
  ハ形式上ノ手續ノミト言ハヌバカリノ態度ヲナスト云フコトハ政府ノナスコトデアルカ、苟
  モ國民ノ代表會トシテ此ノ如キ態度ニ甘ンジテ之ニ默從セラレントスル形勢ガアルノハ
  本員憤慨シテ已ム能ハザル第一事デアル、此事ニ付テ本員ハ起立セラルヽトコロノ諸君
  ニ明白ナル覺悟ヲ促スモノデアル第二ニ此案ヲ通覽シテ見レバ、事業ノ點ニ於テ殆ド
  半島ノ事業全部ヲ舉ゲテ此會社ニ託スル程ノ大ナル權限ヲ委ネタル是ハ法案デアリマ
  シテ、例ヘバ農業ヲ本トシテ、農業聯帶シタトコロノモノニヤラセル、之ニ附屬シタトコロノ
  諸般ノ事業ヲ經營セシムル、貸借ヲセシムル、又是ヨリ得タルトコロノ物產ノ取扱ヲ委
  任スルト云ッテ、更ニ推及シテ水產業ニ涉ル、鑛業ニ涉ルト云フヤウナ、ツレデ移民ノコトモ
  之ニ委任シテ、移民ニ附帶スル金融貸借モ委任スル、是等ノモノヲ取除イテ、世ノ中ニ
  何ノ事業ガアリマス、農業ナリ、鑛業ナリ、水產移民ナリト云フモノヲ併セテ悉ク此一
  會社ニ委ネヤウト云フコトニ付テハ、年限ニ於テ百年ニ涉リ、營業ニ於テ全半島諸般ノ
  事業ニ渉ルモノヲ舉ゲテ、二日カ三日ノ間ニ審査委員ヲ舉ゲテ本會マデモ併セテ之ヲ議
  セシメテ、更ニ甚シキハ之ヲ緊急動議トシテ成立タシメテ、之ヲ貴族院ニ送ッテ、貴族院
  ガドレ程ノ遑ヲ以テ審査シ終ルカ、實ニ形式ニ於テ暴戾ト言ハザルヲ得ヌト本員ハ思フ、
  內部ニ於テ其得失如何ト云フコトハ大ナル疑問デ、卽チ本員ガ形式ニ於テ不可デアツ
  テ、內容ニ於テ不安デアルト云フコトハ此事デアル、詰リ通ジテ申シテ見レバ、若シ日本
  國民ニ會社ノ力、或ハ一個人ノ力ヲ以テ韓國半島ノ事業ノ經營ニ任ズル適當ナル能
  力ヲ有セシメタナラバ、政府モ此ノ如キ法案ヲ必要トシナイデアラウ、併ナガラサウハ行
  カナイノデ、私個人私會社ニ付テハ一切望マナイデ、此事ヲ爲スト云フコトガ根柢デアリ
  マスガ、此〓ニ付テモ考慮シナケレバナラヌ、成程今日マデ朝鮮半島ニ移リマシタトコロ
  ノ人ハ、多ク資本家ハ誠ニ少數デアル、又大ナル事業家モ少數デアル又資本家、事
  業家モ亦全力ヲ擧ゲテ注ガズシテ、僅ニ一部ノ力、一部ノ資金ヲ韓國ニ注グノデアル誠
  ニ微力デアル、其他ニ至リマシテハ、資本ナクシテ信用モ薄イトコロノ人ミガ、半島ニ渡ッテ
  事業ノ見ルベキモノガナイト云フコトハ、本員ハ政府ト反對ノ意見ヲ持デテ居ルニ拘ハラ
  ズ、此〓ニ於テハ事實ヲ是認シタイノデアリマス、併ナガラ形勢ノ變化ト云フコトニ眼ヲ
  著ケテ見マスレバ、既往ヲ以テ現在將來其通リデアルト推定スルノハ尙早計ヲ免カレヌ
  ト思フノデス、古來ノ關係ハ暫ク措イテ、維新後新タナル政府ノ下ニ日韓ノ關係ハ甚ダ
  不安デアル、四十年ノ星霜ヲ經タケレドモ實ハ前十年ノ間ハ不安デ、韓國ノ不安ハ推
  及ボシテ內地ノ亂ノ基トナッタ位、甚ダ不安デアッタカラ、此時代ハ僅カニ外交政治關係
  ノミデ此時代ハ到底僅カナ資本ヲ以テ渡海スルナドト云フコトハ出來ナイ、然ラバ後十年
  間ハ如何デアルカト云フト、再三韓國內ニ紛亂ガ起リ、內亂ニ等シキ騒動ガ起ッテ、日本
  國民ノ血ヲ韓國ニ流シタ時代デ、殆ド〓國ノ勢力ノ半島ニ加ッテ日本ハ其一部ヲ占メ
  ントシテ誠ニ不安ナル形勢デアッタ、此間ニ資本ヲ携ヘ半島ノ事業ニ力ヲ盡スコトガ出
  來ナイデ、傍觀シテ居ルノハ當然ナコトデアリマス、政府自身モ政治的外交的問題ノ現
  ハレタル時代ニ、日本國民ヲシテ事業經營ノ能力ヲ彼ノ半島ニ用井シメント云フコトハ
  幾ド不可能ノコトデアルト本員ハ思フ、日〓關係ノ不安ハ二十七年ニ至ッテ、初メテ定
  リ)稍日韓ノ關係ガ定マラントシテ、ひXC4惧イテ至ルトコロノモノハ更ニ强大ナル露國
  ガ此半島ニ勢力ヲ及ポシタノデアリマス、實二三十七年以前ノ日〓間ノ關係、日露間
  ノ關係ハ政治的外交的ハ不安デアッテ、決シテ平和ノ半島ト云フコトハ出來ナイ、如何ニ
  シテ此ノ如キ地ニ資本ヲ携ヘテ信用厚キ人ハ事業ノ經營ニ著手スベキカ著手セザル
  ノガ已ムヲ得ザル尤モナル結果デアルト本員ハ思フ、僅ニ此關係ノ定マッタノハ三十八
  年ノ戰役ガ收ッタ後デ、此時初メテ韓國ガ日本ニ大ニ親密ナルトコロノ新タナル關係
  ヲ開イタノデアリマスガ、此以後モヤハリ政治外交ハ不安デアッテ、昨年ニ至ルマデ眞ノ關
  係ハ定ムルコトガ出來ナカッタガ、昨年ニ至リ此關係一變シテ數囘ノ戰爭ヲ經テ昨年ノ協
  約ヲ經テ、之ニ至エテテ初メテ半島ニ對スル新天地ガ開ケタノデアリマスカラ、是ヨリ以後ハ
  幾ド外國ニ向ッテ社會ニ向ッテ爲スアル日本國民ハ資本ヲ携ヘテ信用ヲ用井テ玆ニ著手
  スベキ時期カ來ッタノデアル、僅ニ此三四年間ニ於テ日本國民ガ力ヲ伸スコトガ出來タノ
  テ、百年ノ大計ニ付テ日本ノ私會社ノ力私個人ノ力ヲ伸バスコトノ出來ナイト云フコトハ
  本員ノ確信スルトコロノ已ムヲ得ザルノ形勢デアル、併ナガラ本員ガ斯ク信ジタカラト云ウ
  テ、決シテ此儘放任シテ送ルト云フノデハアリマセヌ、サウ云フ極端ナル意見デナイ、併ナガ
  ラ一個人、私會社ノ總テノ膨脹ヲ八九分マデ絕滅シテ、政府自カラヤレバ政府万能主義
  ノ人ノ考ヲ滿足セシムルカ知ラヌガ、私ハ決シテ健全ナル政策ト見ルコトガ出來ナイ、政府
  ハ一個々々ノ會社ニ任シテ交通機關ヲ置クコトハ不利益ナリトシテ、輕卒ニモ鐵道國有ヲ
  實行シタ、今日ノ狀況ハ如何デアルカ、先日開イク鐵道國有紀念會ハ失敗ノ國有鐵道
  紀念會デアルト冷評ヲ加ヘルノハ是モ事實デアル、政府ガヤレバ何事モ成就スルト思フノハ政
  府万能主義ノ迷デアリマス、適當ナル場合ニ適當ナル力ヲ與ヘテ稼グトコロノ者ニ利益ア
  ラシムル政治的社會的關係ニ致シテ、續イテ爲スベキトコロノ爲スアルノ國民ヲ奬勵シ
  テ、之ニ便宜ヲ與ヘ之ニ金融ノ機關ヲ與ヘテ、其缺ケタルトコロノモノヲ補ウテ、徐
  ニ起業ヲナサシメ、其足ラザルトコロヲ政府ガ補ヒ、此ノ如ク廣大ナラザルモノヲ以テ徐ロ
  ニ兩々相俟ッテ爲サシメタナラバ三十八九年以來新タナル關係、新タナル協約ノ下ニ新
  天地ヲ開イタコトデアルカラ、種々ナル事業ニ手ヲ伸バシテ稍〓改良ニ就クデアラウト思
  フ、例ヘバ金融機關ヲ設ケテ韓國起業者ニ便利ヲ與ヘ、又移民ノタメニ適當ナル往來
  ノ保護ヲ與ヘ、之ニ相當ナル希望ヲ有タシムルヤウニ、日本全國ノ國民ヲ誘致シテ半島
  ニ赴カシムルヤウニシタナラバ新氣運モ徐ロニ開ケルト思フ、韓國ハ地味良好ナリト承ツ
  テ居ル、足ラヌ所ハ人口ノ不足デアル、技術ノ不孰練デアル人氣ノ振ハヌノハ財產ノ
  安固ナラザルノデアル、資本ノ足ラヌノデアル、是等ノコトハ政治的關係ヲ以テ萎靡セシ
  メ、長ク不安ノ地位ニ立タシメタ結果デアルト思ヒマス韓人ノ安寧ヲ持續
  シ、財產ヲ確立セシメ、日本ヨリ到ル便利ヲ開キ、更ニ資本ノ融通ヲ與フルタメ、韓國
  興業銀行ヲ作リ、或ハ移民ノ交通ノタメ船ノ費用ヲ減ジテヤルト云フ特別保護ヲ與ヘ
  タナラバ是ト同時ニ是バカリデナク一部ノ政府ノ仕事ヲ加ヘテ、私人ト共ニ力ヲ盡サシ
  メタナラバ宜カラウト思フ、今遡ッテ三十年以前ノコトヲ思ヒ、日本ノ國民ガ半島ノ事
  業ニ力ヲ入レテ居ラヌト云フノハ、甚ダ政府ノ失禮ナル考デアラウト思フ、斯ク考ヘテ見
  マスト今日支出濫出ノ間ニ此ノ如キ會社ヲ百年ノ間ニ成立セシムルト云フコトガ本員
  ハ同意スルコトガ出來ナイ、更ニ此內容ノ一二ヲ舉ゲマスレバ一千萬圓ノ資本デアリ
  マスケレドモ四分ノ一テ成立スルコトガ出來ルソコデ二百五十万圓ノ資本ヲ入レマス
  ト、直チニ事業ヲ開始スルコトガ出來マス、之ニ對シテ政府ガ與ヘル保護ハドノ位デアル
  カト云フト二百五十万ニ對シテ三十万ノ保護ヲ與ヘルト云フコトデ未ダ曾テ見ザル
  例デアル、內地ニ於ケル總テノ會社ニ與ヘタ保護ノ中デ、此ノ如キ例ハ見ナイノデアリマ
  ス、斯ウ云フコトニ成リマスレバ、、ドウ云フ事ニナルカ、僥倖者ヲ驅ッテ此會社員トナサシム
  ル結果ニ至ルデアラウト思フ、本員ハ韓國ノ土地ガ良好ナルニ拘ハラズ、事業ニ著手セヌ
  ノハ資本ノ不足デアル、人氣ノ振ハヌノデアルト思フ、然ルニ堅忍ナル我農民ヲシテ小作
  人ヲ率井テ、彼地ニ移住シテ仕事ヲ確立シタイト思ハシメルヨリハ、寧口二百五十万ニ
  對シ三十万ノ保護ヲ受クル會社ノ方ガ差引利割ニ當ルト思フ人ハヽ此中ニ混淆スルト
  思フ、是又穩健ニ半島ニ赴カシムル所以ニアラズト思フ、更ニ本員ノ疑フトコロノモノハ
  此ノ如キ案ヲ政府ガ失禮ニモ會期將ニ一日ニ迫ッテ居ルトキニ、衆議院ニ打込ンダ心ヲ
  讀ンデ見マスレバ衆議院モ大抵通ルデアラウ、貴族院モ通ルデアラウト云フノデアル
  何故ニ斯ク觀察スルカト云ヘバ是等ノ人ハ利ヲ以テ誘ヘバ容易ク操縦スルコト
  ガ出來ルカラ、是等ノ議案ヲ通過セシムルコトハ易々タリト謂ハヌバカリノ態度ヲ含ンデ
  居ル本員ハ其無禮ヲ憤ラザルヲ得ヌノデアル然ラズンバ如何ニ本員ノ攻擊シタルコト
  ニ付テ答辯ヲ與ヘントスルカ、此ノ如キ者ハ貴族院ニモ衆議院ニモ必ズ此種類ノ人ヲ滿
  タスト思フ、其故ニ內容ノ上ニ不都合デアリ、形式ノ上ニ不都合デアリ、更ニ政治的惡
  ルイ氣風ヲ興スノデアリマスト、本員ハ不安心ヲ感ズルノデアリマス、又政府ハ何故ニ
  豫算案ト共ニ此ノ如キ財政ノ上ニ變化ヲ與ヘル議案ヲ提出セザルガ、何故ニ增
  稅ニ先ッテ此ノ如キ支拂ヲナスモノヲ政府ハ提出シテ共ニ議セシメザルカ、增稅ノ場合ニ
  政府ハ國庫窮乏セリト呌ンデ急遽ニ其議案ヲ議セシメテ、大多數デ衆議院ハ之ヲ議決
  シタニ至ッテハ、本員尙遺憾ヲ鳴ラサヾルヲ得ヌガ、同一會期ノ盡キントスルトキニ二千万
  圓ノ社債元利ヲ保證スルコトヲ含ンダルモノヲ、先ニ增稅ヲナサシメ、豫算ニ於テ削減ヲ
  セシメズシテ、議決シタル議會ニ投込ンデ、之ヲ議決セシメントスル政府ハ衆議院ニ對シ
  テ禮ヲ缺イテ居ル、尙詳シク言ヘバ國民ニ對シテ禮ヲ缺イテ居ルト攻擊セザルヲ得ヌ、政
  府ハ政府トシテモ是ヲ議決セントスル同僚諸君ニ對シテ切ニ忠告ヲ與ヘナケレバナラヌ、
  是ハ取リモ直サズ公債增發デ、形ハ會社ヲ經テ發スノルデアリマスガ、元利共ニ政府ガ
  保證スルト云フノダカラ、是ハ公債增發デアル現ニ政府ハ鐵道公債ヲ國民ニ約シ
  タ四億八千万圓モ之ヲ出スニ躊躇シテ吾〓ノ問ニ答ヘテ先ヅ五年間ノ制限ガアルカラ
  差當リ宜イト云フトコロカラ圖ッテ、先ニ心ノ中ニハ唯今ヨリ四億八千万圓ヲ出シテ現
  在ノ公債ノ上ニ惡影響ヲ及ボサンコトヲ憂ヘタ結果デアラウト本員ハ豫想シテ居リマスカ
  ラ、ソレデ急遽ニ此ノ如ク二千万圓ノ社債ヲ元利ヲ保證スルト云フノハ何タル輕卒ナコ
  トカト思ヒマスガ、形ヲ變ヘタ公債增發デアリマス、サウシテ此ノ如キ大問題ヲ緊急問題
  トスルト云フコトハ第一ニ失態デアリマス議會ヲ傀儡トシテ政府ハ此ノ如キ惡例ヲ造出
  シ、腐敗シタル議會ニ腐敗シタル例ヲ遺ス恐ヲ未來ニ絕ツコトガ出來マセヌカラ、且此中
  ノ役員選舉ノトコロヲ見マスト、第一期ニ於テハ政府ガ理事、監事ヲ任命ストアル是
  政府ノ支店ヲ韓國ニ造ルト何ゾ選バント本員ハ明言スル、殊ニ之ヲ而モ一部ノ人間ニ
  ナスノハ免レヌト思ヒマスカラ、此クノ如キモノニ向ッテ誠實ニ鄭重ニ審議ヲ盡シテ、然ル
  後可否ヲ決スベキモノデアッテ、百年ハ長日月ノ比喩的形容的言葉ニアラズシテ、百年ニ
  續ク議案ヲ一二日ノ間ニ議決セシメテ、之ヲ貴族院ニ送ラウト云フコトハ衆議院ガ決シ
  テナスベカラザル事例デアルガ故ニ、本員ハ此理由ヲ以テ本案ニハ絕對ニ反對ヲ致シテ、
  明年開カレル議會ニ於テ之ヲ議スルモ厘クナイト云フコトヲ附加ヘテ反對ヲ表シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=110

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• 111・小川平吉

  ○小川平吉君　議長

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=111

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• 112・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　小川君何デスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=112

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• 113・小川平吉

  ○小川平吉君　委員長ノ報告ニ贊成ノ意見ヲ述ベマス
  〔「登壇々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=113

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• 114・小川平吉

  ○小川平吉君　簡單デゴザイマスカラ、此席ニ於テ委員長ノ報告ニ贊成ノ意見ヲ述ベ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=114

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• 115・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　登壇シテ御述ベニナルヤウニ
  〔小川平吉君登壇〕

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• 116・小川平吉

  ○小川平吉君　私ハ平素敬愛致シマストコロノ猶興會ノ島田三郞君ノ演說ニ向メテ、
  反對ノ意見ヲ述ベマスノハ誠ニ遺憾トスルトコロデゴザイマス、併ナガラ私ハ此拓殖會
  社法案ニ付テハ最モ以前ヨリシテ心配ヲ致シテ居ッタ一人デアル然ルニ此私ニ向ッテ島
  田君ガ既ニ一矢ヲ放タレタル以上ハ勢ヒ私モ之ニ向ッテ一矢ヲ酬ヒザルヲ得ナイ次第
  デアリマス、島田君ハ此會期切迫ノ際ニ當ッテ此ノ如キ大法案ヲ出スノハ不都合デアル
  ト言ハレタノデアリマス如何ニモ御尤デアル、私ノ如キモ此ノ如キ大切ナ法律案ハ成ル
  ベク議會ニ審査ノ猶豫ヲ與ヘンガタメ早ク提出スルコトヲ希望スルコトハ御同論デアリ
  マス、殊ニ本員ノ如キハ何故ニ政府ガ早ク此法律案ヲ提出セザルヲ怪ンデ、場合ニ依リ
  マシタナラパ質問デモ提出シヤウト云フ考マデ持ッテ居ックノデアル、幸ニシテ會期切迫ノ際
  トハ云ヘ、今日提出ヲ見ルニ至ックノハ實ニ韓國拓殖ノタメニ私ハ喜ブベキ次第デアルト
  考ヘマス、是ガ若シ不幸ニシテ本年ノ議會ニ提出スルコトガ出來ズシテ、來年ノ議會ヲ待
  ツコトニナリマシタナラバ、卽チ朝鮮ノ拓殖ハ一年ヲ後レシムルト云フコトノ結果ニナルノデ
  ゴザイマス、苟モ本案ノ内容ニシテ韓國ノ拓殖ニ必要デアリ、我國ノ勢力扶殖ニ必要デ
  ゴザイマシタナラバ、會期切迫ナリト雖モ之ヲ一年ノ間遷延セシメテ、來ルベキ議會ニ出
  スト云フヨリハ一刻モ早ク卽チ今日此場合ニ於テ議會ニ提出致スト云フコトハ、誠ニ
  是ハ適當ナル處置デアルト言ハナケレバナラヌト考ヘルノデゴザイマス、果シテ然ラバ此案
  ガ會期切迫ノ場合ニ於テ提出セラレタコトハ不穩當ニハ相違ナイケレドモ、之ヲ以テ直
  チニ案ノ當否ヲ決スルト云フコトハ甚ダ誤レリト言ハザルヲ得ナイノデアリマス、本案ニ這
  入リマシテ島田君ハ最モ不思議ナ議論ヲ吐カレマシタ、ソレハ何カト云ヘバ、此會社ハ
  半島ニ於ケル事業ヲ壟斷スル虞ガアルト云フ趣意ノ御演說ト記憶シテ居ル、其例ト
  シテ此會社ハ農業モヤル或ハ場合ニハ水產案モヤル或場合ニハ金貸ノ業モアル此
  ノ如ク種々樣々ナル事業ヲスルト云フコトハ韓國半島ニ於ケル事業ヲ壟斷スル嫌ガアル、
  此ノ如ク言ハレマシタ是ハ實ニ經濟ノ理ニ詳シイ島田君ノ口ヨリ此ノ如キ議論ヲセラル
  ルコトハ私ハ甚ダ不思議ニ考ヘルノデゴザイマス、試ニ諸君此案ヲ通讀シテ見ラレヨ、此
  案ハ拓殖會社ガ自ラ農業ヲ爲スコトヲ得ル、又或ハ移仕民ヲシテ農業ヲ爲サシメ、移住
  民ヲ保護シテ韓國ノ開發ヲスルコトガ出來ル、此移住民ヲ保護スルタメニ移民ニ向ッテ或
  ハ金ヲ貸シ、或ハ原料ヲ供給スル、或ハ生產物ノ分配ヲスル、要スルニ移民ヲ保護シテ
  韓國ノ農業ヲ開發スルノガ至要ナ目的ニナッテ居ル、而シテ或場合ニ於テハ特ニ政府ノ認
  可ヲ經テ、水產業其他ノ業ヲ營ムコトヲ得ルコトニナッテ居ルノデアリマス、諸君、是ガドウッテ
  韓國ノ事業ノ全部ヲ壟斷スルコトガアルノデゴザイマセウ、而モ其資本ハ幾ラト云ヘバ僅ニ一
  千万圓會社トシテハ大資本デゴザイマスケレドモ、ヽ之ヲ韓國全半島ノ眼カラ見レバ
  韓國如何ニ小ナリト雖モ微ナリト雖モ、僅ニ一千万圓ノ金ヲ以テ韓國ノ事業ノ全部ヲ
  壟斷スルコトガ出來ルカト云ヘバ、誰カ其數字ノ暗キニ驚カザルヲ得ヌ、況ヤ韓國ノ拓殖
  ヲ計ルニ付テ、或ハ農業ヲヤリ或ハ移民ノ奬勵ヲスルト云フコトハ形ノ多岐ニ亙ル如ク
  見エルガ、其實唯一ノコトデアル唯一ノコトデアル何デアルカト云ヘバ、卽チ韓國
  ノ富源ヲ開キ、韓國ノ農業ヲ開發スルト云フニ歸スル、此一ノ目的ヲ達スルタメニ或
  場合ニ於テ各種ノ手段ヲ講ジテ、各種ノ事業ヲスルコトニナルノデアル、是ガ何デ半島ノ
  全部ノ事業ヲ壟斷スルカ、私ニハ一向分ラナイ、此程カラ時々承リマスガ、論者ノ中ニハ
  現ニ此移住民ニ向ッテ種子ヲ配ルトカ、移住民ノ生產物ヲ賣ルコトハ是等ノ事業ニ從
  事スル人ノ商業ヲ害シハシナイカ、是ト競爭シテ彼ヲ倒レシムルノ虞ガナイカト云フ杞憂ヲ
  抱ク人ガゴザイマス、此ノ如ク農業ガ盛ンニナッテ、生產力ガ發達シテ來テ、此生產シタ物
  品ヲ分配スル、若クハ農民ニ種子ヲ供給スル卽チ供給分配ノ機關ガ韓國ニ發達スレバ
  ソレハ拓殖會社ノ如キモノハ無用ニ歸スルノデアル然レドモ如何セン今日韓國ニ於テ
  農業ヲシヤウト思ッテモ金ヲ貸ス者ガナイ、原料ヲ下ゲル者ガナイ、折角生產物ヲ
  作ッテモ分配ノ任ニ當ル者ガナイ、、運搬ノ機關ガナイ、ソレ故ニ如何ニ我日本ノ農業者ガ
  熱心ニ韓國ニ移ッテ農業經營ヲシヤウト思ウテモ、、不幸ニ是等機關ノ〓乏シテ居ルタ
  メニ、移住シテ農業ヲ開クコトガ出來ナイ悲ムベキ現狀デアル、此際苟クモ農業ヲ開發
  シ保護權ヲ確定シ扶殖ノ實ヲ舉ゲヤウトスレバ、農民移住民ニ向ッテ十分ノ保護ヲ與ヘ、
  一日モ早ク富源ヲ開發シ、日韓兩國民ノ親密和合ヲ圖ラナケレバナラヌト思フノデアル、
  又島田君ハ此ノ如キコトヲ云ハレタ、過去ノ時代ニ於テハ政治的不安ノタメニ、日本
  ノ人民ガ韓國ニ移住スルコトガ少ナカック併ナガラ三十八年ノ協約以來政治的不
  安ガナイカラ今後ハ人民モ追〓韓國ニ移住スルデアラウ、從ッテ農業モ開カルヽデアラウ
  ト言ハレタ、併ナガラ是ハ島田君ノ議論デアッテ、議論ダケデハ通ラヌノデアル、事實ニ
  就テ今日統計ノ上ニ於テ如何ナル有樣ニナッテ居ルカヲ見ナケレバナラヌノデアル、吾ミ
  上下ノ力ヲ盡シテ折角韓國ノ保護條約ヲ締結シテ立派ニ形ガ出來、軍隊モ駐屯ス
  レバ統監府モ出來、綺羅星ノ如キ立派ナ役人ガ出來タガ、三十八年ノ協約以來朝
  鮮ニ移住シテ土着シ落付テ、農業ニ從事シタ者ガドノ位アルカ、成程或富豪ハ土地ヲ
  買ッタニ相違ナイ、又或紳士ハ田畑ヲ買ッタケレドモ、、是ハ唯利益ノタメニ土地ヲ買ウテ、
  卽チ之ヲ朝鮮ノ小作ニ附シテ居ルニ過ギナイ、何人カ移住シテ土着シテ農業經營ヲ始
  メ且土地ノ人民ト相結ンデ日韓兩國ノ民ガ和合シテ人ガ幾人アルカ、其數字ヲ承リ
  タイノデアル、島田君ノ言ハルヽ如ク政治ノ不安ガ取除カレタタメニ、續々移住スルト云
  フ事實ガゴザイマスナレバ、吾々ハ何ヲ苦ンデ國家ノ力ヲ假リテ韓國ノ拓殖ヲ圖ランヤ
  デアリマス、全ク事實ガ之ニ反シテ居ルノデアル、統計ノ示ストコロガ之ニ反シテ居ルノデ
  アル、故ニ韓國拓殖ノ目的ヲ達セント欲シタナラバ國家ノ力ヲ假リテ其目的ヲ達シナ
  ケレバ出來ナイノデアル、又島田君ガ言ハルヽコトハ島田君自身ノ說デ矛盾ノ甚ダシキモ
  ノガアルノデアル、前ニハ政治的不安ガ除カレタ以上ハ、追々日本ノ移住民ガ行クデア
  ラウト云ハレタニ拘ハラズ、後ニハ國家ガ興業銀行ノ如キモノヲ設ケテ資金ノ融通ヲ便ニ
  シタラ宜カラウ、或ハ交通ノ便ヲ計ッテ移住民ニ便利ヲ與ヘタラ宜カラウト云ハレタ、特ニ此
  ノ如ク云ハルヽ所以ハ何ノタメデアルカ、卽チ自然ニ放任スレバ拓殖ノ實ガ舉ラヌ、日本
  人ノ移住スルニ容易デナイト云フ事實ヲ認メラレタカラコソ、斯ク言ハルヽノデハナイカ、卽
  チ前ニ云ハレタコトヽ後ニ云ハレタコトヽ明カニ矛盾シタモノト云ハナケレバナラヌノデアル、
  私ハ同君ノ演說ヲ借リ來ッテ、卽チ茲ニ拓殖會社ノ必要ナルコトヲ證明スルコトガ出
  來ルノデアル卽チ唯今島田君ノ演說ヲ繰返シタ如ク、興業銀行ヲ設ケテ資金ノ融通
  ヲ計リ、交通ノ便ヲ圖ッテ、移住民ニ便利ヲ與ヘル、卽チ是デアル特ニ此二箇條ノ提
  案ヲ島田君ガセラルヽナラバ島田君ガ前說ニ言ハレタコトハ打消サレテシマフデ、島
  田君ノ議論ハ此拓殖法案ニ全部贊成ト云フコトニ歸スルノデアル、卽チ此拓殖會社
  ヲ移住民ニ資金ノ供給ヲナシ、交通ノ便ヲ與ヘ、原料ヲ供給シ、生產物ノ分配ヲスルト
  云ニ過ギナイノデハナイカ、其手段方法ニ於テ複雜トナリ多岐ニ別ルヽケレドモ、其
  趣意ハ島田君ノ主張セラルノ金融ノ圓滿ヲ圖リ、移民ニ便利ヲ與フル此二ツノ點ニ
  外ナラヌノデアル然ルニ何故ニ此案ニ贊成セラレナイノデアルカ、私ハ甚ダ疑フノデアル
  而シテ最後ニ島田君ハ此三十万圓ノ保護金ハ過當デアル、二千万圓ノ社債保證ハ甚
  ダ過大デアル、此ノ如ク言ハレル、サウシテ此過大ナル金ガ會社ニ下ルタメ政治上ノ腐
  敗ヲ招ク原因トナルコトヲ氣遣フト云ハレルノデアル、成程此氣遣モ御尤デアル免ニ角
  日本ニ於ケル有數ノ會社デアルカラ之ヲ惡ルク運用スレバ、ソレハ政治上腐敗ヲ招ク原
  因ニナルデアラウ、併シナガラ苟モ大事業ト名ノ付クモノナラ、獨リ之ニ限ラズ鐵道デモ船
  舶デモ何デモ運用其宜シキヲ得ズ、當局其人ヲ得ナカッタナラバ、弊害ヲ生ズルハ勿論デ
  アル、併シナガラ當局其人ヲ得ズ運用宜シキヲ得ヌ場合ヲ想像シテ何事モ出來ナイト云
  フコトニナッタナラバ、我日本帝國ノ經營ハ全部抛擲シテ、全ク蝸牛ノ内ニ引込ムヨリ外ハ
  ナイノデアル(「ヒヤノ」)苟モ大會社ヲ起シ此ノ如キ大資金ヲ補助スルノデアルカラ、運用
  ヲ誤レバ腐敗ノ原因ヲ招クハ免カレヌノデアル(「ヒヤ〓〓」ト呼フ者アリ)固ヨリ吾〓ハ此
  原因ヲ防グコトニ努メナケレバナラヌガ、併シ此腐敗ノ恐レガアルタメ、法律其モノニ反對ス
  ルト云フハ之ハ理論ノ矛盾モ甚シイト言ハナケレバナラヌ、特ニ三十万圓ノ補助ヲ二百
  五十万圓ノ拂込ニ對シテ爲スノデアルカラ、如何ニモ大金デ如何ニモ厚イ保護ノ如キ感
  ジガアルケレドモ審ニ此法案ヲ繙クト會社ニ於テ。一割以上ノ配當アル場合ニハ其超
  過金額ヲ補助金ノ償還ニ充テシムルト云フノデアル卽チ成程三十万圓ノ金ハ多イニセ
  ヨ、是ガ必シモ會社ノ利益ニナルモノデハナイト云フコトハ、、法律ノ條文ニ明カニ示シテ居
  ルノデアリマス若シ會社其者ガ此金ヲ全ク著服シテ不當ナル利益ヲ圖ルコトナラバ、、成程
  不都合デゴザイマセウ、併ナガラ私ノ述ベマス通リ一割ヲ超過シタ利益ハ補給金ノ償還
  ニ充テル卽チ政府ニ向ッテ返還スベシト云フ規定ニナッテ居ルノデアル而モ此利益金
  補給金ニ付テハ頗ル細カナ規定デアルノデゴザイマスカラ、是等ニ伺ッテ甚シキ御心配
  ハ必要ハ無カラウト考ヘルノデアリマス、此外拓殖會社ノ必要ナルコトヲ述ベヤウト思ヘ
  バ日モ是レ足ラヌ、幾時間タリトモ論ズルコトハ出來マスガ、島田君ノ反對セラレタ要
  〓ハ唯今私ガ辯駁致シタ所ニ止ルヤウニ考ヘマスカラ、私ハ玆ニ此演說ヲ了リマシテ卽
  チ委員長ノ意見ニ贊成致シテ置キマス
  〔「討論終結」ト呼フ者アリ〕
  〔大藏大臣松田正久君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=116

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• 117・松田正久

  ○大藏大臣(松田正久君)　諸君、本案ノ特別委員會ニ於テ大多數卽チ唯一人ノ
  人ガ反對サレタト云フコトデゴザイマスガ、此ノ如キ大多數ヲ以テ本案ヲ可決セラレ而
  シテ曩ニ委員長ヨリ可決ノ報告ヲ致サレタルニ付キマシテハ政府ハ大ニ滿足ヲ表スルトコ
  ロデゴザイマス抑〓韓國ノ土地ヲ開拓致シ、韓國實力ノ發展ヲ圖リマシテ我保護ノ責
  任ヲ完ウシ、以テ兩國ノ關係ヲ益〓密ナラシムルコトハ是レ今日ノ急務ナリト考ヘルノデア
  ル本案ヲ提出致シタルハ、卽チ此理由ニ基キマスル曩ニ島田君ハ何故ニ此會期ノ
  切迫スルニ當シテ提出致シタカト申サレルノデアリマス、是ハ法案漸ク成リ、卽チ直チ
  ニ提出致シテ韓國ノ經營一日モ忽ニスベカラザルニ依ッテ提出致シタ譯デ、一向外ニ仔
  細ハナイノデアリマス、願クハ島田君一人ヲ除クノ外本會ニ於テ滿場ノ一致ヲ以テ可決
  セラレンコトヲ希望致シマス
  〔「討論終結」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=117

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• 118・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　討論終結ノ動議ニ贊成ガアリマスカ
  〔「贊成々々」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=118

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• 119・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　討論終結ノ動議ニ贊成ガアルト認メマス、討論終結ニ御同意
  ノ諸君ノ起立ヲ願ヒマス
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=119

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• 120・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　大多數討論ハ終結セラレマシタ、採決致シマス、木案ノ第
  二讀會ヲ開クベシト云フニ御同意ノ諸君ノ起立ヲ願ヒマス
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=120

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• 121・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　大多數-本案ノ第二讀會ヲ開クコトニ決シマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=121

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• 122・元田肇

  ○元田肇君　直チニ第二讀會ヲ開カレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=122

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• 123・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　元田君發議ノ如ク直チニ第二讀會ヲ開クコトニ御異議ハアリ
  マセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=123

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• 124・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハ無イト認メマス、直チニ第二讀會ヲ開キマス
  東洋拓殖株式會社法案第二讀會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=124

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• 125・元田肇

  ○元田肇君　私ハ茲ニ一項タケ明カニシテ置キタイト思フノデアリタスガ、本員ノ讀ムト
  コロニ依リマスト二百五十万圓ノ拂込ノトキハ三十万圓ヲ與ヘルト云フ趣意デナイ八
  朱ノ率ニ依タテ二百五十万圓ノトキニハ幾分カ減ルト云フコトヲ更ニ當局者ヨリ明カニ
  シテ決議ヲシテ置キタイ、ヤハリ二百五十万圓デモ三十万圓出スト云フノデアルカ、八朱
  ト云フガ高デ、二百五十万圓ナラ二十万圓ト云フコトニナルノデアリマスカ、ソレヲ明カ
  ニシテ置キタイ
  〔政府委員法學博士水町袈裟六君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=125

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• 126・水町袈裟六

  ○政府委員(法學博士水町袈裟六君)　御答シマス、本案ノ第三十九條ニ明文ガゴ
  ザイマズカラ是デ御承知ヲ願ヒマス
  〔「明カニ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=126

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• 127・水町袈裟六

  ○政府委員(法學博士水町袈裟六君)　第三十九條但書ニ每營業期ニ於ケル利益
  配當ガ拂込資本額ニ對シテ年八分ノ割合ニ超過スルトキハ其超過額ニ相當スル金額
  ヲ補給金ノ中ヨリ控除スルト云フコトニナッテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=127

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• 128・元田肇

  ○元田肇君　分リマシタ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告通リ決定サレルコトヲ請
  求シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=128

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• 129・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　直チニ第二讀會ヲ開キ、全部ヲ議題トシマス
  〔「委員長報告通リ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=129

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• 130・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　第三讀會ヲ省略スルニ御異議ハゴザイマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=130

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• 131・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、
  東洋拓殖株式會社法案確定議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=131

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• 132・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　委員長報告通リ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=132

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• 133・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、是ニテ本案ハ確定

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=133

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• 134・大岡育造

  ○大岡育造君　此際先刻日程ヲ變更致シテ報告致シテ決議ヲ延バシテ置キマシタト
  コロノ豫算外國庫ノ負擔トナルベキ契約ヲ爲ス件ヲ議事ニ付セラレンコトヲ希望シマス
  (「贊成」ト呼フ者アリ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=134

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• 135・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　大岡君發議ノ如ク、此際豫算外國庫ノ負擔トナルベキ契約
  ヲ爲スヲ要スル件ヲ日程ヲ變更シテ會議ニ付スルニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=135

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• 136・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、本案ハ問題トナリマシタ
  豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=136

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• 137・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　據決致シマス、委員長報告通り御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=137

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• 138・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、是ニテ本案確定

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=138

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• 139・元田肇

  ○元田肇君　本員ハ此場合議員ノ補缺選擧ニ關スル事件ノ委員會ノ經過ヲ報告致
  シタウゴザイマス
  〔元田肇君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=139

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• 140・元田肇

  ○元田肇君　諸君、唯今私ガ報告致シマスル事柄ハ、吾〓議員ノ資格ニ關係致シマ
  シテ、若クハ議員ノ任期等ニ關係致シマシテ、頗ル重大ノ件ト存ジマス、故ニ簡單ニ報
  告致シマスルコトデアリマスガ、少シク御〓聽ヲ煩シタイト存ジマス[先日武藤金吉君ガ
  辭職ヲ致サレマシテ、其補〓選舉ヲ爲スベキヤ否ヤ、補缺選擧ノ請求ヲ議長ヨリ內務大
  臣ニ通牒シ、請求スベキモノナルヤ否ヤト云フコトニ付キマシテ、委員會ヲ設ケマシテ、篤ト
  審査スベキ必要アリト本會ガ決議サレテヽ吾〓ハ其委員ニ選定サレタ次第デアリマス委
  員會ニ於キマシテハ種々討議ノ結果、大要二樣ニ議論ガ分レタノデアリマス、第一ハ本
  件ノ如キ場合ニ於キマシテハ、議長ハ飽マデモ內務大臣ニ通牒シテ、補缺選舉ノ請求
  ヲ爲スベシト云フ議論デゴザイマシテ、其理由ハ議員ノ任期ハ滿四箇年ヲ以テ普通ノ原
  則ト致シテ居リマスケレドモ、選舉法第七十七條ノ但書ニ於キマシテ但シ開會中ニ任
  期ガ終ル時分ニハ尙其閉會迄在任スト云フコトガ書イテゴザイマス、而シテ補缺選舉ニ
  關スル同法第七十八條末項ノ法友ヲ見マスルト、補缺議員ハヤハリ其前任者ノ殘任期
  間在任スルト云フコトニ書イテゴザイマスルノデ、是等ノ在任スルト云フ文字等ヲ對照致シ
  マシテ、任期ハ普通原則トシテ四年ト云フコトニナッテ居ルケレドモ、開會中ニ任期ガ四
  年ニ滿ツルトキニハ其開會中ハ尙議員ノ任期デアルト云フコトガ正當ノ解釋デアル、卽
  チ其議員ハ四年後ト雖モ開會中ハ在任シテ居ルモノデアル其在任シテ居ル間ニ缺員
  ガ生ズル以上ハ、、議長ハ法文ニ依ッテ何等ノ事由アリト雖モ、議長ハ缺員アルトキハ內
  務大臣ニ通牒シ、補缺選擧ノ請求ヲ爲スベシト云フ、議院法第八十四條ノ明文ニ
  依ッテ請求スルガ宜シイ、ソレカラ先ハ時日ニ於テ不能ガアラウトモ、ソレハ內務當局者ノ
  自ラ責任ヲ判斷ヲ以テ爲スコトデアル議長ハ何處マデモ請求セナケレバナラヌト云フ解
  釋ガ第一ノ論者ノ說デゴザイマシタ、之ニ反對スル議論ハ選舉法第七十七條ヲ見マスル
  ト滿四年ヲ以テ期限トス、但シ議會開會中ニ任期終ルモ尙閉會ニ至ルマデハ在任スル
  ト書イテアッテ、前カラ來タ人ガズット續イテ居レバ、開會中ニ任期ガ終ツテモヤハリ其人ハ
  開會中ハ續クト云フコトニナッテ居ルノデアルカラシテ、開會中ニ無クナッテシマッタ人ノ跡
  ヲ新タニ補フテ來ルト云フ主意デナクシテ、前ニ在ッタ人ガ任期滿四年ノ曉ニ尙開會
  中デアレバ前カラ務メ來ッタトコロノ議員トシテ是ガ延長スル譯デアル、故ニ其前ニ無ク
  ナッテシマヘバ議員ト云フ者ノ延長スバキ本ガ無クナッタノデアリマスカラシテ、在任
  者ト云フ者ハ無イノデアルカラシテ、補缺選舉ヲ爲スベキ場合ニアラズト云フノガ反對ノ
  議論デアリマシテ、尙此議論ニ付キマシテハ實際上補缺選舉ヲ內務大臣ニ求メタトコロ
  ガ、時日ガナクシテ到底選舉ヲスルコトガ出來ナイ、出來ナイ場合ニ當ッテ議長ハ唯法
  文ノ文字ノミニ泥ンデ選舉ヲ爲スベシトノ請求ヲ爲スト云フコトハ出來ザルコトヲ人ニ
  向ッテ求ムルノデアッテ、無責任ノ請求デアル法文ハ無責任ノ解釋ヲスルコトハ不當デ
  アル斯樣ナ議論デアリマシテ、大要右樣ノ論旨ニ分レタト心得マス、種々討論ノ結
  果決ヲ採リマシタトコロガ、多數ハヤハリ議長ハ內務大臣ニ通牒シ、補缺選舉ノ請求
  ヲ爲スベシト云フコトニ決定致シマシタ、尙終リニ明カニシテ置キマスルガ、委員會ニ於キ
  マシテハ本員ガ決ヲ採リマシタトキニ本件ノ場合ニ於テ議長ハ內務大臣ニ通牒シ補
  缺選舉ノ通牒ヲ爲スベキモノト議決ス」斯樣ニ申シテ決ヲ採リマシタガ「本件ノ場合」ト
  云フコトハ明瞭ヲ後日ニ缺クコトデアリマスノデ尙委員諸君ト協議ノ上ニ此「本件ノ場
  合」ト云フコトハ「議院法第八十四條ニ於ケル補缺選舉請求ノ通牒ハ衆議院議員選
  舉法第七十七條但書ノ場合ニ在リテモ之ヲ爲スヘキモノトス」斯樣ノ實質ニナルノデアリ
  マス此段御報告致シマス而シテ本問題ハ極メテ緊急デアリマシテ今日本會ニ報告ス
  ルノハ既ニ遲キヲ憾ムノ感ガアルノデアリマスカラ、直チニ議事日程ヲ變更サレテ議題トセ
  ラレンコトヲ求メマス
  (「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=140

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• 141・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　元田君發議ノ如ク、日程ヲ變更シテ本問題ヲ會議ニ付スルト
  云フニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=141

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• 142・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、問題トナリマシタ
  議員ノ補缺選舉ニ關シ調査ノ件會議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=142

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• 143・立川雲平

  ○立川雲平君　私ハ委員長ニ質問ガアル、委員長ノ訂正セラレザル前ノ報告ニハ「本
  件ノ場合」トアル、本件ト云フコトハ代議士武藤金吉君ノ辭表ニ付テノ事柄ト私ハ解
  釋ヲシテ居ッタノデアル然ルニ今漠然ト法律ノ條目ヲ引イテ、恰モ其條目ノ解釋ヲ下
  スコトヲ委員會ニ付シタルモノヽ如ク〓エマシタ、ヤハリ是ハ武藤金吉君辭表ノ件ニ付テ
  ノ委員デゴザイマセウネ、漠然タル法律上ノ解釋ヲ委員ニ付託シタモノデハナイト思フ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=143

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• 144・元田肇

  ○元田肇君　御答致シマス、武藤金吉君辭表ニ付テノ委員會デハナイト吾々ハ解釋
  シテ居リマス、武藤金吉君ガ辭麦ヲ出シタ、辭表ヲ出シタ場合ハ、如何ナル場合デアル
  カ、此ノ如キ場合ニ於テ尙議長ハ內務大臣ニ通牒シ、央補缺選舉ノ請求ヲナスベキモノ
  ナリヤ否ヤト云フコトヲ吾ミハ委託ヲ受ケタト心得テ居ル、辭職ハ當時旣ニ聽屆ケラレ
  チェック

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=144

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• 145・立川雲平

  ○立川雲平君　私ハサウハ感ジテ居リマセヌ、承知致シマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=145

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• 146・花井卓藏

  ○花井卓藏君　反對ノ演說ノ通告デモアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=146

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• 147・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　別段アリマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=147

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• 148・花井卓藏

  ○花井卓藏君　ソレデハ宜シウゴザイマス、若シ反對演說ガアレガ私ハ贊成ノ意見ヲ述
  ベタイ
  (「委員長報告通リ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=148

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• 149・立川雲平

  ○立川雲平君　少數意見ト云フモノガ出ルヤウナコトヲ承知シテ居リマシタガ、少數意
  見ハ出テ居ラヌノデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=149

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• 150・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　出テ居リマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=150

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• 151・立川雲平

  ○立川雲平君　私ハ本案ニ反對ヲ致シマス、何故デアルカト云ヘバ法律ノ正面ヲ解釋
  スレバ或ハサウデアリマセウ如何ナル場合ト雖モ議員ガ辭シタル場合ニハ議長ハ內務
  大臣ニ通牒シテ補缺選舉ヲ請求セヨトアルカラ請求スルノデゴザイマセウ、併ナガラ旣ニ
  衆議院ナルモノガ議長ヲシテ請求スル權ガアル以上ハ、請求シナクテモ差支ハナイノデア
  ル今此場合ニ方ッテー斯ウ云フヤウナ場合ニ方ッテカラニ、補缺選舉ヲセネバナラヌ、
  ソレカラ先ノコトハ內務大臣ニ委スルノデアルト云フガ如キハ、自ラ卑メテ人之ヲ卑ム、衆
  議院自ラガ爲スコト能ハザル場合ニハシナクテモ宜シイト思ヒマス、故ニ彼ノ補缺選舉、
  卽チ本年武藤金吉君ノ補缺選舉ノ如キハ請求スベキモノデナイト私ハ信ズルノデゴザイ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=151

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• 152・花井卓藏

  ○花井卓藏君　私ハ有力ナル反對論ノアルコトヲ豫期致シテ居リマシテ、相當ナル準
  備ヲ致シマシテ演壇ニ立ッテ卑見ヲ述ベヤウト存ジテ居リマシタガ、唯今ノ立川君ノ御演
  說ニ對シテデゴザイマスルナラバ全ク私ノ警戒モ準備モ無用ニ歸シタノデアル、ソレ故ニ
  登壇ナドヲ致ス必要ガナイノミナラズ、登壇ヲシテ辯駁スルノ價値モナイコトヽ思ッテ居リ
  マハ、議論ノ根據ノ法律ノ條文ダケヲ讀ンデ置キマス帝國憲法第三十五條及讓院
  法第八十三條、第八十四條及衆議院議員選擧法第七十七條、第七十八條第
  七十九條、是等ノ法律ト條文トヲ對照ヲシテ〓究シテ見マシタナラバ素人デモ委員
  長報告通リヲ是認セナケレバナラヌト思ヒマス、若シ是ガ黑人ノ口カラ反對ノ意見ガ出
  ルト云フコトデアッタナラバソレハ殊更ニ議論ヲスル者デアル然ラザレバ法律ヲ理解スル
  ノ能力ノ無イモノデアルト本員ハ斷言スル是デ澤山デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=152

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• 153・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　採決ヲ致シマス、委員長ノ報告ハ補缺選舉ノ請求ヲスルト云
  フノデアリマス此委員長ノ報告ニ御同意ノ諸君ノ起立ヲ願ヒマス
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=153

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• 154・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　委員長ノ報告通リ可決ニナリマシタ、日程第十九、衆議院
  議員選擧法中改正法律案、第一讀會議案ノ朗讀ハ省略シマス-小川平吉君
  第十九衆議院議員選擧法中改正法律案(小川平吉第一讀會
  君外二名提出)
  〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲玆ニ揭載ス〕
  衆議院議員選舉法中改正法律案
  衆院議員選舉法中左ノ通改正ス
  第八十六條ノ二選舉ニ關シ公開ノ演說若ハ文書以外ノ方法ヲ以テ選舉人
  ヲ勸誘シタル者ハ十五日以上六月以下ノ輕禁錮ニ處シ又ハ五圓以上五十
  圓以下ノ罰金ニ處ス
  第百二條ノ二選舉人中本法ニ記載シタル犯罪アリタルトキハ內務大臣ハ
  其ノ選舉人ノ屬スル市町村ノ全部又ハ一部ニ對シ其ノ選擧ノ日ヨリ五箇
  年間選舉權ノ停止ヲ命スルコトヲ得但シ當該市町村選舉人ノ大部分カ犯
  罪ノ防止又ハ發覺ニ力メタル事實アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス
  前項ノ市ハ東京、大阪、京都ノ三市ニ在リテハ各其ノ區ト爲ス
  本條內務大巨ノ處分ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
  附則
  本法ハ次ノ總選舉ノ期日公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=154

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• 155・小川平吉

  ○小川平吉君　加瀨君ガ說明致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=155

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• 156・加瀬禧逸

  ○加瀨禧逸君　會期切迫ノ今日デゴザイマスレバ、私ハ此席ヨリシテ簡單ニ申上ゲマ
  ス、本案ハ嘗テ高橋安爾君外數名ヨリ御提出ニナリマシタル、衆議院議員選擧取締ニ
  關スル法律案ト云フモノヽ中カラ重要ナル或一二ヲ採リマシテ、現行法ノ衆議院議員
  選舉法ノ改正案ト致シマシタノデゴザイマス、私ノ申上ゲルマデモゴザイマセヌガ、近來此
  選舉界ノ腐敗愈s甚シクナッテ居ルト感ズルノデアル、殊ニ此選舉界ノ腐敗ト云フモノハ
  玆ニ政界ノ腐敗ト云フモノヲ誘起致シマスルガタメニ選舉ニ於ケルトコロノ取締其他
  ノ方法ヲ確定シテ置カザレバ、遂ニ選擧ノ結果議員ノ堕落ヲ起スノデアル、故ニ此議員
  ノ堕落、政界ノ廓〓ト云フモノヲ擁護致シスマルタメニハ先ヅ其本源タルトコロノ選舉
  ニ向ッテ廓〓ヲ加ヘナケレバナラヌ、ソレデ私ノ考ヘマスルトコロニ依リマスレバ、此選舉界
  ノ廓〓ヲ期スル方法ハ幾多ゴザイマセウガ、先ヅ此選擧ノ方法、卽チ運動ノ方法手段
  ニ對スル制限ヲ加ヘル、若クハ此選擧界ノ腐敗ヲ互ニ監視警戒シテ、之ヲ矯正スルコト
  ノ規定ヲ置クノ必要ガアルト思フ、卽チ第八十六條ノ二ヲ加ヘマシタルモノハ是ハ選舉
  ニ關シマシテ公開ノ演說、若クハ文書以外ノ方法ヲ以テ選舉人ヲ勸誘スルコトハ出來
  ヌト致シマシタノハ、詰リ候補者若クハ運動者ガ選擧人各自ニ直接ニ接觸致シマスレ
  バ、其問ニ隱微ノ間ニ腐敗ノ行爲ガ行ハレテ、遂ニ選擧界ヲ亂ストコロノモノガ起ッテ
  來ル、故ニ先ヅ之ヲ公開演說及文書ト云フコトノ制限ヲ致シマスレバ、今日ニ於テ腐敗
  ヲ惹起シタルトコロノ幾多ノモノヲ除クコトガ出來ルデアラウ、又第百二條ノ二ト云フモ
  ノハ是ハ選擧界ノ腐敗ヲ致シタ時分ニ、内務大巨ハ行政權ヲ以テ其選舉人ノ屬スル市
  町村ノ全部、又ハ一部ニ選擧權ノ停止ヲ命ズルコトガ出來ル、サウシテ相互ニ之ヲ監
  視セシメル斯ウ致シマスレバ各人ノ間ニ於キマシテ、互ニ此牽制ガ出來ルデアラウト思
  フ、是ハ或ハ自由ヲ侵害スルトカ云フ非難モアリマスガ、凡ツ自由ハ必シモ絕對ノモノデ
  ハナイノデアル、國法ガ認メタル自由ハ卽チ自由デアル、國法ハ豫メ個人ノ自由ヲ制限ス
  ルコトガ出來ル、殊ニ憲政ノ發達ヲ期スルタメニ此ノ如キ制限ヲ設ケルコトハ、立憲國
  當然ノ義務デアル憲政ノ下ニ立ツ人民ガ憲政ノ發達ノタメニ、或一部ノ制限ヲ設ケ
  ルト云フコトハ是ハ當然ノコトデアルト考ヘル私ハ此案ニ對シマシテハ前ノ取締ノ委員
  會ニ於キマシテ、既ニ三回四囘ノ委員會ヲ開カレ、修正ノ上ニ當議會ノ本議ニ附セラ
  レント致シタル際、政友會ノ提案者諸君カラ聽テ單行法律ヲ以テ諸君ノ希望ヲ充タス
  ニ付テ、暫ク撤囘ニ同意シテ吳レト云フノ交涉モアッタノデゴザイマシテ、其後此法律ノ
  提出ヲ待チマシタガ、出マセヌガ故ニ私共ノ方カラ此案ヲ提出致シタ次第デゴザイマス、
  勿論諸君ノ御氣ニ入ラナカツタトコロノ箇條ハ取除キマシテ、唯茲ニ二箇條ヲ附加シタ
  ノデアリマスカラ、ドウゾ御審査ノ上御賛成ヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=156

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• 157・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　本案ハ十八名ノ委員、議長指名アランコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=157

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• 158・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　恆松君ノ發議ノ如ク議長指名、十八名ノ委員ニ付託スルニ
  御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=158

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• 159・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナイト認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=159

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• 160・奧野市次郎

  ○奧野市次郞君　來遊外客待遇ノ設備ニ關スル建議案ノ委員會ヲ是ヨリ開キマスカ
  ラ、許可ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=160

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• 161・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　來遊外客待遇ノ設備ニ關スル建議案ノ委員會ヲ開キタイト
  云フ請求ガアリマス許シテ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=161

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• 162・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナイト認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=162

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• 163・宮古啓三郎

  ○宮古啓三郞君　北海道國有未開地處分法改正法律案ノ委員會ヲ開キタイト思
  ヒマスカラ、許可ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=163

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• 164・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　北海道國有未開地處分法改正法律案ノ委員會ヲ開キタイ
  ト云フ請求ガアリマス、許可シテ御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=164

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• 165・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナイト認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=165

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• 166・宮古啓三郎

  ○宮古啓三郞君　チヨット玆ニ申シテ置キマスガ、第二十五ニ自分共ノ建議ガアリマス
  ガ、其理由ハ略シテ宣シウゴザイマスカラ、此事ヲ申シテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=166

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• 167・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　日程第二十、市場法案、第一讀會ノ續、委員長古賀庸藏君
  第二十市場法案(川島瀧藏君外五名提出)
  第一讀會ノ續(委員長報告)
  〔古賀庸藏君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=167

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• 168・古賀庸藏

  ○古賀庸藏君　諸君、市場法案ノ委員會ノ結果及經過ヲ報告致シマス、本件ハ提
  出者ニ於テ提出ノ理由ト致シテハ社會ノ進運ニ伴ヒ、生產品其他賣買市場ノ惡弊ヲ
  打破シテ、專ラ生產品ノ發達ヲ計ラウト云フノ趣意デアッテ、而シテ本案ハ昨年ニ於テ
  滿場一致ノ贊成ヲ得テ、貴族院ニ送付サレ、面シテ貴族院ニ於テハ會期切迫ノタメ、
  遂ニ議題ニ上ルコトナクシテ終リマシタト云フ次第デ、故ニ本會ニモ亦提出シタト一ムフノ
  理由ニ過ギナイ、然ルニ政府委員ニ於テハ本案ノ趣意ハ如何ニモ同意デアルケレドモ、
  未ダ政府ニ於テハ十分ナ調査モ行居カヌコトデアルカラ、調査ノ濟マナイ限リハ遺憾ナガ
  ラ同意ヲスルコトガ出來ナイト云フ趣意デアッタノデアリマス、ツレヨリ審議ヲ進メタ結果
  少數者ニ於テハ斯ノ如キ法律ヲ以テ卽チ一律ノ下ニ各縣ノ事情ノ異ナルモノヲ統一ス
  ルト云フコトハ甚ダ難イコトデアルカラ宜シク政府ノ細密ナル取調ヲ待ッテ發案ヲ望ムノ
  趣意ヲ以テ否決ヲ致シタイト云フノ意見デアッタ併ナガラ委員會ハ多數ノ意見ヲ以テ
  原案ヲ可決シタ次第デゴザイマス、左樣御承知ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=168

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• 169・鹿島秀麿

  ○鹿島秀麿君　本案ハ昨年モ本院ノ多數ヲ以テ可決シタ案デゴザイマスカラ、唯今委
  員長ノ報告通リ決定セラレンコトヲ望ミマス
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=169

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• 170・齋藤珪次

  ○齋藤珪次君　私ハ反對デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=170

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• 171・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　登壇ナサイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=171

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• 172・齋藤珪次

  ○齋藤珪次君　私ハ唯一言反對ト云フ意ヲ表シテ置キマス、而シテ委員長ガ唯今ノ
  報告中ニ於テ、昨年ノ議會ニ於テ満場一致ヲ以テ可決シタト云フノハ如何ナル理由ノ
  下ニアヽ云フ報告ヲ致シマスルカ、昨年本員ノ如キハ反對演說ヲ此演壇ニ於テ致シタノ
  デアル而シテ反對者モアッタノデアリマス決シテ滿場一致デ通過致シテ居ラヌノデアリ
  マ、而シテ本年モ反對ヲ致スベキデアリマスガ、モウ會期ハナイノデアッテ、而シテ本案ハ
  昨年モ會期ノ盡キントスル二日前位ノトキニ於テ本議場ニ報告サレタノデアリマシテ、所
  講際物ト評シテモ宜イヤウナモノデアリマスカラ、到底貴族院ヲ通過スベキ見込モナイノ
  デアリマスカラ、唯反對ト云フダケニ止メテ置キマス
  〔「委員長報告通リ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=172

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• 173・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　採決ヲ致シマス-本案ノ二讀會ヲ開クベキヤ否ヤニ付テ採
  決ヲ致シマス本案ノ二讀會ヲ開クバシト云フ諸君ハ起立ヲ願ヒマス
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=173

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• 174・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　少數、二讀會ヲ開クベカラズト云フコトニ決シマシタ、卽チ本
  案ハ廢案
  (「多數々々」「異議アリ異議アリ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=174

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• 175・望月長夫

  ○望月長夫君　議長ノ宣告ガ徹底シナカッタヤウデアリマスカラ-一一讀會ヲ開クベキ
  ヤ否ヤト云フコトガ明瞭ニナッテ居リマセヌカラ、モウ一度願ヒタウゴザイマス
  (「反對ヲ採ルベシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=175

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• 176・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　諸君ニ申シマス、議長ハ二讀會ヲ開クベキヤ否ヤヲ問ヒマシタ
  トコロガ開クベカラズト云フコトニ決シマシタ、廢案ニナッタト云フコトヲ宣告致シタノデア
  リマス、併シソレニ付テ異議ガアリマシタケレドモ、議長ニ於テハ定規ノ贊成ガナイト見テ
  居ルノデアリマス
  (「次ノ日程ニ移ルベシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=176

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• 177・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　異議ノ申立ニ定規ノ贊成ガナイト認メマスニ依リテ、日程第
  二十一ニ移リマス、日程第二十一、民事訴訟法中改正法律案、第一讀會ノ續、委員
  長報告
  第二十一民事訴訟法中改正法律案(宮第一讀會ノ續発売)
  古啓三郞君外七名提出)報報

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=177

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• 178・古賀庸藏

  ○古賀庸藏君　議長

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=178

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• 179・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　アナタハ委員長デスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=179

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• 180・古賀庸藏

  ○古賀庸藏君　サウデス、本件ハ至極簡單ナ案デゴザイマスカラ此席カラ委員會ノ經
  過結果ヲ報告致シマス、本案ノ趣旨ハ判決ヲ破毀スル場合ニ於テハ從來差戾又ハ
  移送ト云フコトガ趣意ニナッテ居リマス、ソレヲ改正致シテ差戾ヲ除ケテ移送ト云フコトニ
  改メタイト云フノ趣意デアル、然ルニ委員會ニ於テ審議ノ末、絕對ニ差戾ヲ除ケルト云フ
  コトハ餘リ面白クナイ次第デアルカラシテ、手續ニ違背シテ判決ヲ破毀スル場合ハ差戾
  ヲ〓スス云フコトノ除外例ヲ本條ニ附加スルコトニ修正ヲ致シタ次第デアル而シテ同
  條ノ第二項及四百五十條ノ差戾又ハ移送ト云フ〓ヲ、ソレヲ轉倒致シテ、卽チ差戾
  ヲ第二トシテ移送ヲ主トスルコトニ改メルコトニ委員會ハ決シマシタ然ルニ政府委員ハ
  旣ニ控訴院ニ於テモ部ガ增シタニ付テ、差戾ヲ致シタトコロガ同一判事ガ之ヲ再審スル
  ヤウナコトガナイカラ、費用ノ點ガアルカラ、本案ニハ不同意デアル、斯ウ云フ御意見デ
  アル併ナガラ假令部ハ違フニシテモ、同一裁判所ニ差戻サレルトスレバ、人情ノ上ニ於
  テ甚ダ不安心ナ點モアルカラシテ、移送ヲ本トスルコトニ全會一致ヲ以テ決シマシタ次
  第デアリマス、ソレカラ今一ツ是ト同樣ノ刑事訴訟法中改正法律案ノ調査ノ付託ヲ受
  ケマシタガ、其刑事訴訟法中改正法律案ハ政府委員ニ於テ、政府カラ發案スル積リデア
  〓、又不日提出スルト云フコトデアルカラシテ、其刑事訴訟法中ノ改正法律案ハ、政
  府案ヲ待ッテ議スルト云フコトデ中止致シタ次第デゴザイマス、報告致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=180

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• 181・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　採決致シマス、本案ノ第二讀會ヲ開クベシト云フニ御同意ノ
  諸君ノ起立ヲ願ヒマス
  起立者

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=181

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• 182・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　少數
  (「多數々々」「異議アリ異議アリ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=182

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• 183・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　モウ一度願ヒマス、本案ノ第二讀會ヲ開クベシト云フニ御同
  意ノ諸君ノ起立ヲ願ヒマス
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=183

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• 184・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　多數、本案ノ第二讀會ヲ開クベシト云フニ決シマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=184

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• 185・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　直チニ二讀會ヲ開イテ、讀會ヲ省略シテ確定セラレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=185

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• 186・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　恆松君發議ノ如ク、直チニ二讀會ヲ開キ讀會ヲ省略シテ確
  定スルニ御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=186

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• 187・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、直チニ二讀會ヲ開キマス
  民事訴訟法中改正法律案確定議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=187

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• 188・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　委員長報告通リ、御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=188

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• 189・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、本案確定

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=189

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• 190・恒松隆慶

  ○松恆隆慶君　次ノ二十二ョリ二十五マデハ一括シテ議題トシテ、各〓提出者ノ演說
  ヲ略スルト云フコトニ交涉致シタノデゴザイマス、ドウカ此場合各〓九名ノ委員ヲ指名ニ
  ナランコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=190

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• 191・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　二十二ヨリ二十五ニ至ルマデ、說明ヲ省略スルコトニ御異議
  ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=191

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• 192・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス
  第二十二商工事務官設置ニ關スル建議案(福島宜三君外二名
  提出)
  商工事務官設置ニ關スル建議案
  我カ邦ニ於ケル外國貿易ノ發展ヲ圖ラムトセハ常ニ歐米各國ニ於ケル商工
  業進步ノ實情ヲ詳悉シ併セテ廣ク我カ商品ノ販路ヲ探究シ以テ我カ當業者
  ニ周知セシメサルヘカラス而モ此等ノ事タル特殊ノ智識ト技能トヲ要スル
  モノニシテ從來ノ如ク單ニ領事ニ一任シテ以テ足レリトスヘキモノニ非ス
  現ニ歐米諸國カ商工業ニ關スル特種ノ事務官ヲ外國樞要ノ地ニ駐在セシメ
  テ其ノ實況ヲ調査セシメツツアルカ如キ亦之カ爲ニ外ナラス故ニ我カ國ニ
  於テモ商工事務官ヲ設置シ事務ニ練熟シ兼テ相當ノ知識ト技能トヲ有スル
  者ヲ以テ之ニ任シ海外樞要ノ地ニ常駐セシメ專ラ之カ調査ニ從事セシムル
  ハ洵ニ刻下ノ急務ニ屬ス依テ政府ハ商工事務官ヲ海外樞要ノ地ニ常置スル
  ノ計畫ヲ立テラレムコトヲ望ム
  右建議ス
  第二十三邦樂保護ニ關スル建議案(奧野市次郞君外二名提出)
  邦樂保護ニ關スル建議案
  友運ノ進步ニ應シテ歌舞音樂ノ向上ヲ期シ其ノ改良ヲ圖ルハ時代ノ要求ニ
  シテ之ヲ海外諸國ノ例ニ徴スルモ音樂ニ對スル國家ノ保護奬勵極テ厚ク國
  民ノ嗜好賞愛極テ深シ且自國固有ノ音樂歌舞ヲ尊重スルニ於テ最用意ノ切
  ナルヲ見ル顧ルニ我カ國ノ音樂ニハ雅樂正舞アリ能樂アリ淨瑠璃歌舞伎ノ
  諸曲アリ蓋二千年來文華ノ煥發セルモノニシテ世道人心ニ裨益スル處尠シ
  トセス況ヤ能樂ノ如キハ歌曲ノ高尙ニシテ舞容ノ醇雅ナル邦樂ノ白眉タル
  二耻チス義ニ政府ハ東京警察政侯ジナノ俗則危派ノ甚度ヲ難致セシ
  調査ノ事ヲ囑託ス以テ聊人意ヲ强クスルニ足ルト雖邦樂ノ白眉タル能樂ニ
  至リテハ未タ何等推奬ノ舉ニ出テサルハ本院ノ遺憾トスル處ナリ是ニ於テ
  本院ハ更ニ進テ時代ノ要求ニ應シ向上改良ヲ期シ特ニ能樂ノ如キハ之ヲ推
  獎スルノ途ヲ講シ併セテ一般邦樂保護ニ關シ適當ノ方法ヲ制定セラレムコ
  トヲ望ム
  右建議ス
  第二十四北海道釧路港修築ニ關スル建議案(奧野市次郞君提出)
  北海道釧路港修築ニ關スル建議案
  北海道釧路港ノ修築ハ明治四十二年度ヨリ起工ノ計畫ヲ立テ歲出豫算ニ計
  上セラレムコトヲ望ム
  右建議ス
  第二十五國有土地森林原野下戾ニ關スル建議案(宮古啓三郞君外四
  名提出)
  國有土地森林原野下戾ニ關スル建議案
  政府ハ國有土地森林原野下戾法適用ニ關シ明治三十五年五月二十日農商務
  省訓令第十二號ヲ以テ其ノ解釋ヲ公ニセリ然ルニ其ノ後ノ實蹟ニ徵スル
  ニ政府ハ往々自ラ此ノ訓令ノ趣旨ニ違ヘル處分ヲ爲スノミナラス行政裁判
  所ニ於テ屢。〓平然其ノ反對ノ主張ヲ爲セリ斯ノ如キハ徒ニ國民ヲ惑ハシメ
  政府ノ威信ヲ傷フヤ大ナルモノナリ政府ハ宜ク前記訓令第十二號ノ趣旨ニ
  必ス違ハサルノ措置ヲ執ルヘシ
  右建議ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=192

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• 193・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　恆松君發議ノ如ク二十二ヨリ二十五マデノ各案ニ付テ議長
  指名九名ノ特別委員ヲ設ケルト云フニ御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=193

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• 194・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=194

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• 195・大岡育造

  ○大岡育造君　是ヨリ生產調査會設置ニ關スル建議案ノ說明ヲ致シタイ
  (福島宜三君「是モ說明ヲ略シテ議長指名十八名ノ委員ニ付託シテ貰ヒタイ」
  ト呼フ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=195

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• 196・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　生產調査會ノナンデス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=196

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• 197・大岡育造

  ○大岡育造君　建議案ノ說明ヲ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=197

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• 198・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　日程第二十六、生產調査會設置ニ關スル建議案ヲ議題ニ
  供シマス-大岡育造君
  第二十六生產調査會設置ニ關スル建議案(長谷場純孝君外
  二名提出)
  生產調査會設置ニ關スル建議案
  今ヤ我カ戰後ノ經營既ニ其ノ〓ニ著キ財政ノ基礎亦漸ク立タムトス此ノ時ニ
  際シ富國ノ經營未タ周ネキニ至ラサルハ頗ル遺憾トスル處ナリ故ニ財界ノ現
  狀ニ鑑ミ貿易上輸出入ノ均衡ヲ保タシメムカ爲且金融ノ圓滑ヲ圖リ運輸機
  關ノ完成ヲ期セムカ爲政府ハ速ニ生產調査ノ機關ヲ設ケ汎ク內外ノ情勢ヲ
  察シ普ネク朝野ノ意見ヲ徵シ擧國一致以テ民力ノ發展ヲ期シ國富ノ增進ヲ
  計畫セムコトヲ望ム
  右建議ス
  〔大岡育造君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=198

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• 199・大岡育造

  ○大岡育造君　本員ハ生產調査會設置ニ關スル建議案ノ提出者テアリマス、簡單ニ
  說明ヲシテ諸君ノ御〓聽ヲ煩ハシタイト思ヒマス、日露大戰ノ後ヲ承ケマシテ本議會マ
  デノ間ニ、所謂戰後經營ハ略く出來マシテ、又財政ノ基礎モ此趣ナレバ、次第ニ鞏固
  ニナッテ行クダラウト思ヒマスルガ、尙吾〓ノ遺憾トスル、〓ハ、富國ノ政策ヲ普ク行ウ
  テ貰ヒタイト云フコトノ目的ガ十分ニ達シテ居ナイノデアリマス、是ハ惟フニ諸君モ御同
  感デアラウト私ハ信ズルノデアリマス、日露日〓兩戰爭ノ好成績ハ平生ニ於ケル軍備ノ
  〓究設備ノ充實致シマシタ結果デアッテ、誠ニ結構ナコトデハアリマスルガ、是ト同ジヤウ
  ニ生產的ノ競爭卽チ物質的ノ戰爭ニ於キマシテモ、同ジヤウニ大勝利ヲ期シタイト思ヒ
  マスル一言ニシテ之ヲ申シマスレバ、日本ノ軍事的ガ十分ニ好ク出來テ居リマスルヤウ
  ニ、富國ノコトモ駢ンデ一ツ進步サセタイト考ヘルノデアリマス、貿易ハ申迄モナク是ハ物
  質上ノ一種ノ戰爭デアリマス、肉彈ヲ以テ鬪フトコロノ戰爭-物彈トデモ申シマセウ
  カ、其戰爭ト何ゾ選ブトコロノコトハナイト考ヘマス、既ニ軍備ノ如キハ大〓其〓ニ就イ
  テ居ルノデアリマスカラ、今後ハ十分ニ國ヲ富マス民力ヲ發展セシムル方法ヲ攻究シナク
  テハナラヌコトト考ヘマス、今日ノ貿易ハ輸出入ガ未グ其均衡ヲ保ッニ至ラナイ、勿論維
  新當初ノ事ニ比較シテ見マスレバ非常ノ進步ニハ相違ナイケレドモ、生絲輸出ガ非常ニ
  增加シタ、是ハ進步ト言ヘバ進步デアルシ、此輸出ノ增加シタコト等ヲ考ヘテ見マスルト、
  尙此方ニ多クノ力ヲ費サナケレバナラヌコトヽ吾〓ハ考ヘテ居リマス、貿易ヲ奬勵シテ盛
  ンニ輸出ヲ增加サセヤウト云フニハ、勢ヒ金融ノ途モ能ク開カナケレバナラヌ、金融ノ途ヲ
  開クトスレバ內地ノ事ノミニハ限ラナイ、ヤハリ外資ノ容易ニ輸入セラルベキ途ヲモ講ジタ
  イト思フノデアリマス、資本ヲ與ヘ金融ヲ宜クシヽ事業ヲ起シマシタトコロデ、尙今日運
  用ノ機關等ノ上ヲ見マスレバ、是ニモドウモ不十分ナ〓ガアルノデアリマス、私ハ每度申
  スコトデアリマスケレドモ、貨物ノ運送ナドト云フコトハ餘程大事ナコトデ、日本ノ鐵道ナ
  ドニハサウ云フ邊ニ注意ガ缺ケテ居ル、此頃亞米利加デハ不景氣デアルト云フコトデアリ
  マス、其不景氣ノ結果トシテ貨車ガ休ンテ居ルト言ヒマス、是ハ誠ニ趣味ノアル話デア
  ル、不景氣ノ結果トシテ荷物ヲ運ブ車輛ガ休ムト云フ、然ルニ日本ノ不景氣ハ如何デ
  アル、近來不景氣デアルガ、貨車ガ足ラズシテ停車場ニ貨物ガ停滯シテ居ルト云フコト
  デアル、斯ウニ云フ風ノ違ヒガアル(「鐵道國有ノ失敗デアル」ト呼フ者アリ)斯ウ云フコトハ
  元ト此鐵道ヲ起ス初メカラノ趣意ガ生產ノタメ多ク力ヲ盡スヤウニ出來テ居リマセヌカ
  ラ、畢竟斯ウ云フコトニナルト私ハ考ヘテ居ル、今ノ當局ニ不足ヲ云フノデハナイ、根本
  カラ皆直サナケレバイカナイ、ソレデ斯フ云フコトヲ一々直シテ行キマスルニハ、免角一〓デ
  ハ出來ナイ、短イモノガアルカラ議會ガ催促ヲシマスルケレドモ、免角圓滿ニ往クコトガ出
  來ナイ、各省ニ跨ッテ居ルコトハヤハリ一種ノ機關ヲ置イテ、ソレガ協議ヲ遂ゲテヤル方
  ガ能ク行屆クヤウデアリマス、今ノ内閣ハ隨分讓合ヒ懇談ヲ遂ゲテヤラレマスカテ、大〓
  ノ事ハ運バウトハ思ヒマケレドモ、何時ノ內閣何處ノ國ノ內閣デモナカ〓〓ムヅカシイ
  モノト見エテ「ヒスマーク」ノ自敍傳ヲ見ルニ種々失敗シタ事ヲ舉ゲテアリマスガ、其中ニ
  内閣不統一ノ事ガ書イテアル國務大臣ガ悉ク國政ヲ了解シテ居ル、皆〓究シテ居
  ルト思フノハ、ソレハ思違デアル他ノ大臣ガ自分ノ管轄外ノ事マデモ〓究シテ居ル
  ト云フノハ、ソレハ買冠リダ、且ツ各省各〓自分ノ仕事ヲ大事ニシテ、他人ノ干渉ヲ受
  ケタクナイカラ他ノ省ノコトハ餘リ氣ニ留メナイト云フ風ニ互ニ遠慮シ愼ムヤウニナルト云
  フコトガ書イテアリマスガ、實ニ私ハサウデアラウト思フ、其通リデ是等ノコトモ一省テハシ
  ニクイガ、調査ノ機關ヲ置イテ此ノ如クスレバ融通ガ利ク、此位ノコトニスレバ便利ガ出
  來ルト云フコトヲ協議シ合ヒマシタナラバ、餘程良イ運ビニナルコトデアラウト思フ、現 元
  本日モ豫算會デ一億圓ノ國債償還ニ關スル答辯ヲ得マシタヤウナ譯デ、催促ヲシ〓究
  ヲ致シマスルト幾ラカノ進步ハアルコトデス、ソレガ故ニ一ノ調査機關ヲ政府デ置イテ貫
  ウテ其機關ニハ單ニ農商務省デ管轄シテ居ル事務バカリデハナイ、唯今申上ゲタダケデモ
  御分リニナル通リニ、大藏省ノ管轄ノコトモアリ、遞信省ノ管轄ノコトモアリ、政府ノ側カ
  ラ官員ノ重ナル人モ出ルガ宜シイ、學者モ出ルガ宜シイ、民間カラモ實業家カラモ政黨
  カラモ出テ、サウシテ一團トナッテ不斷如何ニスレバ外國トノ貿易ノ競爭ガ出來ル、如何
  ニスレバ內地ノ生產ヲ發達セシムルコトガ出來ルカ等ノコトヲ〓究調査ヲシタイノデアリ
  マス、餘リ多ク言フ必要ハナイノデ、要スルニ戰後ニ於ケル富國ノ政治ヲシテ貰ヒタイ、ソレ
  ハ各省ニ渉ルカラ各省別々デハ容易ニ纏マリガ付カナイ、朝野ノ意見ヲ集メ、而シテ外
  國ノ事情等モ〓究シテ、卽チ各公使館ニハ財務官ト云フヤウナモノモ置クヤウナ制度モ
  宜カラウト思フ又現ニ日本カラハ財務官ヲ派出シテアリマス、斯ウ云フヤウナ者ノ報告
  モ取リ、而シテ〓究調査ノ結果ヲ次ノ議會、又其次ノ議會マデニ提出セラレルヤウニシ
  マシタナラバ、大ニ面目ヲ改メルコトガアルダラウ、國民ノ便利ヲナスコトガアルダラウト考
  付イタノデアリマス、ドウゾ諸君モ之ヲ御贊成下スッテ、而シテ是ハ委員ニ一應付託セラ
  レテ、政府ニ十分ニ交渉ヲ遂ゲタイト考ヘマスカラ、何分御贊成ヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=199

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• 200・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　此案ハ最モ必要ナ案テゴザリマスカラ、十八名ノ委員ニ一應付託シテ
  審査アランコトヲ願ヒマス、而シテ委員ハ議長指名デゴザリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=200

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• 201・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　恆松君發議ノ如ク、議長指名十八名ノ委員ニ付託スルニ御
  異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 202・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマスー-日程第二十七、鐵道特別會計
  ニ關スル建議案委員長佐竹作太郞君
  第二十七鐵道特別會計ニ關スル建識案(白井哲(委員長報告)
  夫君外九名提出)
  〔「委員長報告通リ」ト呼フ者アリ〕
  〔佐竹作太郞君登壇〕

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• 203・佐竹作太郎

  ○佐竹作太郞君　鐵道特別會計ニ關スル委員會ノ經過ト結果ヲ報告致シマス、委
  員會ハ都合三囘開會ヲ致シマシタノデアリマス、本案ハ極メテ重大ナル問題デゴザイマシ
  テ、案其モノノ上カラ見マスルト、左程ニ思ハレヌヤウデアリマスケレドモ、其內容ニ至リ
  マスルト、種々ナル要素ヲ含ンデ居ルノデアリマス、詳細ノコトハ去月二十九日ノ本會ニ
  於キマシテ、提出者ノ一人タル井上角五郞君ヨリ縷々說明演說ガアリマシタカラ、大體
  ニ於テハ諸君モ既ニ御了知ノコトト思ヒマス、此處ニハ唯其建議案ノ要旨ト委員會ニ
  於テ委員諸君ノ述ベラレタル意見ノ大要ヲ摘ンデ報告ヲ致シマス、建議案ノ要旨ハ委
  員諸君ノ意見ノ大要ヲ申上ゲマスレバ國有後ノ經營ハ社會經濟ノ發展ニ伴ハザルヤ
  ノ虞アリ、是ガ一ツニ、鐵道ハ一般運輸交通ノ便ニ供スル一種ノ營業ナリ、故ニ是ガ經
  營ニ於テモ亦特殊ノ方法ナカルベカラズ、斯ウ云フ意味ヲ含ンデ居リマス、鐵道會計ヲ
  一般會計ヨリ全然分離シ獨立セシムルコト、鐵道會計ヲ獨立スレバ、資金調達ヲ容易
  ナラシメ、從ッテ建設改良ヲ速ナラシムルノ便アリ、大要此ノ如キ意味ニ歸著致シマスル
  ト思ヒマス、委員會ニ於キマシテハ政府委員モ出張ニナリマシテ、種々質問モ致シマシタ
  ガ、政府ハ之ニ對シマシテ本案建議ノ要旨ニハ大體ニ於テ異存ナイト云フコトヲ政府ハ
  明言スル、斯ウ云フコトデ但シ其實行方法ニ至リマシテハ果シテ時別會計ト云フガ如キ
  組織ニスベキモノデアルカ、或ハ又他ノ組織ニ依ルベキモノデアルカ、ソレ等ニ付テハ法律
  上計算上ノ關係モアリマスカラ、隨分面倒ナル問題ト思フ、故ニ其方法等ニ付テハ、今
  ヨリ能ク攻究ヲ致スト云フコトヲ明言スルト斯ウ云フコトデアリマス、サウ云フ意味デ政府
  ハ答辯ヲ致サレタノデアリマス、尙其詳細ニ至リマシテハ、速記錄ニ依アテ御了知アラン
  コトヲ希ヒマス、以上報告ノ通リデアリマスカラ、速ニ可決確定セラレンコトヲ希望致シマ
  ス
  〔「贊成」「採決」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=203

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• 204・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　採決致シマスヽ委員長報告通り御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=204

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• 205・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、本案ハ可決セラレマシタ--日程第
  二十八、鐵道速成ニ關スル建議案--委員長大岡育造君
  第二十八鐵道速成ニ關スル建議案(佐竹作太郞(委員長報告)
  君外三名提出)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=205

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• 206・大岡育造

  ○大岡育造君　簡單デスカラ是カラ報告致シマス、本案ノ委員會ヲ開キマシテ、主務
  ノ大臣ノ出席ヲ求メテ、質問モシ、意見モ鬪ハシマシタトコロガ政府ニ於キマシテモ、此建
  議案ノ趣意ニハ反對デハナイ、經濟ノ事情サヘ許セバ必ズ諸君ノ希望ニ背カヌト云フ返
  事デアリマス、是ヨリ以上ノ同意ヲ得ルニモ及バヌコトヽ思ヒマス、詰リ政府ノ同意ヲ得
  タ次第デアリマスカラ、諸君ノ贊成ヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=206

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• 207・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　採決致シマスー-委員長報告通リ、御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=207

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• 208・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、本案可決-日程第二十九、天
  政鹽北見鐵道速成ニ關スル建議案-委員長首藤陸三君
  〓
  第二十九天鹽北見鐵道速成ニ關スル建議案(淺(委員長報告)
  羽靖君外一名提出)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=208

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• 209・首藤陸三

  ○首藤陸三君　極メテ簡單ナ案デアリマスカラ、此席カラ報告致シマス、天鹽北見間
  ノ鐵道速成ニ關スル建議案デアリマスガ、是ハ昨年モ此議會ニ提出ニナッテ可決シマシ
  タ、元來此鐵道ニ付キマシテハ殊ニ此樺太ガ占領地ニ決シテ、尙不毛地ヲモ開發スル
  タメ速成ヲ希望スルト云フコトデ委員會ヲ開キマシタガ、山之内鐵道局長ノ施設ノコト
  ニ付テ承リマシタル末ニ、委員會ハ全會一致ヲ以テ可決致シタノデアリマス、此段御報
  告致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=209

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• 210・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　採決致シマス、委員長報告通リ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=210

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• 211・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、本案可決-日程第三十、駿甲
  連絡鐵道速成ニ關スル建議案委員長松本君平君
  第三十駿甲連絡鐵道速成ニ關スル建議案(松本(委員長報告)
  君平君外五名提出)
  〔松本君平君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=211

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• 212・松本君平

  ○松本君平君　委員會ノ經過ヲ御報告致シマス、委員會ニ於テハ滿場一致ヲ以テ、
  本案ヲ可決シタノデアリマス、其要旨ハ詰リ此駿甲鐵道ノ四十八哩ノ聯絡線ハ經濟
  上カラ言ヒマスレバ、中央線ト東海道トノ聯絡ヲシテ玆ニ鐵道ノ最モ重要ナルトコロノ
  貨物運送ノ上ニ付テ非常ニ利益ヲ與ヘルト云フコトト、今一ツノ理由ハ之ニ依ッテ靜岡
  縣及甲府信州ノ北信ニ通ズルトコロノ、日本ヲ橫斷スルトコロノ一ノ橫斷鐵道ト云フモ
  ノガ、此四十八哩ノ聯絡ニ依クテ成功スルノデアリマス、第三ノ理由ハ北ニ於テハ直江
  津ノ港灣ト、東ニ於テハ〓水ノ港灣トヲ聯絡シテ茲ニ北日本海岸ノ貿易ト大平洋海
  岸ノ貿易トノ聯絡ヲ圖ルコトガ出來ル、運輸交通ノ便ヲスルト云フコトガ出來ルト云フ
  コトガ、經濟上ニ於ケル理由デアリマス、又軍備ノ國防ノ〓カラー云ヒマスレバ此線路ハ
  最モ大切ナル線路デアッテ、四十八哩ノ聯絡ニ依ッテ北日本ト東日本ノ間ノ兵ノ運用
  ニ付テ、非常ナル便利ヲ感ズル、又東京ヲ中心トシタルトコロノ國防ニ付テハ、此線ヤ一
  日モ缺クベカラザルトコロノ線路デアルト云フトコロノ理由デアリマス、委員會ハ滿場一致
  ヲ以テ本案ヲ可決シタノデアリマス、ドウゾ御贊成ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=212

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• 213・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　採決ヲ致シマス、委員長報告通り御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=213

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• 214・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、委員長報〓通リ可決-日程第
  三十一、選擧權擴張ニ關スル建議案、委員長楠目玄君
  第三十一選舉權擴張ニ關スル建議案(吉植庄一(委員長報告)
  郞君外三名提出)
  〔楠目玄君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=214

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• 215・楠目玄

  ○楠目玄君　委員會ノ經過ト其結果ヲ報告致シマス、本案ニ付テノ委員會ハ前後
  二囘開キマシテ、結局選舉權ヲ擴張スルト云フコトニ可決致シマシタ、併シ其中ニ於テ意
  見ガ二ツニ岐レマシタ、全體ニ付テ此擴張スルト云フコトニハ反對ハアリマセナンダケレド
  モガ、擴張スルニ於テ一ツハ擴張ノ程度ヲ定メルト云フ意見ト、定メナクシテ政府ニ其程
  度ハ定メサセルト云フ意見トニ割レマシタ、全體此程度ヲ定メテ擴張ヲスルト云フノ意
  見ハ、此選舉ナルモノガ、元ト制限ヲ置イタト云フモノハ、卽チ此財產ヲ程度トシタト
  云フモノハ所謂此恆產ナケレバ恆心ナシト云フトコロカラシテ、多少財產ノアル者ニ卽
  チ此選舉權ヲ許スト云フコトニシタ、ダガドウモ近來此實驗ニ徵シテ考ヘテ見マスルト云
  フト、必ズ此財產ノアル者ガ良イ選舉ヲスルト云フコトガナイ、卽チ此財產ノアル者デ却
  テ此ドウモ選舉ヲ動モスレバ誤ルト云フコトガアル、多額納稅者議員ニ至ッテモ往々其
  弊ガアルト云フヤウナコトニ徵シテ、最早此制限ヲ置ク必要ガナイカラ、ズント之ヲ擴張
  シヤウト云フ意見デゴザイマス、ケレドモ此普通選舉マデニ至ラシメルト云フコトハ稍:極
  端カラ極端ニ陷ルト云フ又嫌ヒガアル、ソレデ先ヅ此府縣會議員ノ選擧資格、卽チ納稅
  額三圓位ニ止メテ置ケバ宜カラウト云フ一ツノ意見デゴザイマス、モウ一ツハ擴張スルハ
  宜シイガ、三圓マデニスルハドウカト思フ、詰リ其程度ハ政府ニ定メサセルト云フ意見デ
  アリマシタガ、結局此府縣會議員ノ納稅資格卽チ三圓マデ擴メルト云フコトニ多數ヲ
  以テ可決致シマシタ、是ダケ御報告致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=215

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• 216・望月長夫

  ○望月長夫君　私ハ此建議案ニハ反對デアリマス、建議ノ趣意ナル選擧權ヲ擴張ス
  ルト云フ事柄ソレ自身ニハ反對スルノデハアリマセヌ、併ナガラ斯樣ナ事柄ヲ建議致ス、
  卽チ建議ノ形式ヲ取ッタニ付キマシテ、所謂立法部ノ一院タル卽チ法律ヲ議決及發案ス
  ル權能ノアル此衆議院ノ面目ノタメニ、一言ヲ費シテ此案ニ反對セネバナラヌト思フ、
  此建議案ニ書カレテ居ルコトハ何デアルカ、選擧法ヲ改正スル案ヲ具ヘテ出シテ貰ヒタ
  イト云フ、斯ウ云フニ過ギナイ、凡ツ政府ニ向ッテ建議スルノハ政府ニアラズンバ爲シ得
  ナイ、政府ノ權能權力ニ依ラナケレバ出シ得ナイ事柄デアルカ、若クハ政府ガ直チニ爲シ
  得ルコトナラバ政府ニ建議スルモ宜イカモ知レマセヌガ、此建議案ニ書カレテ居ルコ
  トハ、要スルニ衆議院議員選舉法中ノ第八章ヲ改正スル事柄テアッテ、純然タル立法
  事項デアル、議會自ラ議案ヲ出シテ以テ第八章中ノ一二箇條ヲ改正スレバ足リル、
  議會自ラ發案シ且議決シ得ル、政府ニアラズンバ出來ナイ事柄デナイ、其半面ニ於テ
  政府單リデ爲シ得ル事柄デアルカト云ヘバ、ヤハリ政府ハドウシテモ帝國議會ノ協贊ヲ
  經ナケレバ、帝國議會ノ議決ヲ經ナケレバ出來ナイ事柄デアル、政府ニ御願申シタッテ
  出來ナイ事柄デアル自分デ出來ル事柄ヲ殊更ニ建議トシテ、既業ニ普通選舉ニシ
  ヤウト云フマデノ法律案マデ旣ニ本院ニ提出サレテ居ルノニ、特ニ斯樣ナ御願的ノ建議ヲ
  出スト云フコトハ事態ニ於テ誠ニ本院ノ面目ノ上ニ於テ甚ダ面白クナイト思ヒマスル
  カラ、私ハ選舉權ヲ擴張スルト云フ趣旨、ソレ自身ニハ反對デハアリマセヌガ、若シ出
  ス必要ガアレバ擴張スル必要ガアレバ議會自ラ進ンデ發案シ、且之ヲ議決シテ宜シイ、
  政府ニ建議スル必要モナケレバ、又體ヲ得ナイ事柄テアルト思フ、建議ニハドシテモ贊
  成スル譯ニハ參リマセヌ、建議案トシテハ否決サレタイト思フ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=216

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• 217・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　採決致シマス、本案ニ御同意ノ諸君ノ起立ヲ願ヒマス
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=217

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• 218・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　少數、本案ハ否決サレマシタ-日程第三十二、町村合併
  ニ關スル建議案、委員長植場平君
  第三十二町村合併ニ關スル建議案(植場平君外(委員長報告)
  四名提出)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=218

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• 219・植場平

  ○植場平君　簡單デゴザイマスカラ、失禮ナガラ當席カラ御報告申上ゲマス、諸君、御
  承知ノ通リ此建議案ノ要旨ハ、小弱無資力ノ町村ヲ合併スルガ宜イト云フノデ、之
  ヲ厲行セヨト云フノデアリマス、然ルニ委員全體ニ於テモ皆同樣ノ意見ヲ以チマシテ、本
  案ヲ可決致シタノデゴザイマス、唯茲ニ一言加ヘテ置キマス、政府ニ於キマシテ答辯スル
  トコロニ據リマスルト政府ニ於テモ此建議ノ要旨ノ如クニ實行シツヽアルト云ムノデアル
  ガ、甚グ建議者カラ見マスルト手緩ルイヤリ方デアル、故ニ之ヲ厲行セヨト追ル、サウスルト
  之ニ對シテ斯樣ニ答ヘル、或場合ニハ訓合若クバ命令ヲ知事ニ發スルコトガ出來ル、シテ
  モ差支ナイ、成ルバク一日モ早ク小弱無資力ノ町村ノ合併ラスルト云フコトニハ異議ハ
  アリマセヌ、斯ウ云フコトデアリマシタノデ、委員會ハ滿場一致ヲ以テ可決致シタノデゴザ
  イマス、宜シク御賛成ヲ願ヒマス
  (「贊成々々」「反對」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=219

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• 220・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　採決致シマス、委員長報告ニ御同意ノ諸君ノ起立ヲ願ヒマス
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=220

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• 221・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　多數-委員長報告ノ通リ可決、日程第三十三、狩獵免
  許稅減額ニ關スル建議案、委員長中西光三郞君
  第三十三狩獵免許稅減額ニ關スル建議案(河上英
  君外三名提出)(委員長報告)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=221

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• 222・中西光三郎

  ○中西光三郞君　簡單デアリマスカラ此席カラ報告致シマス、本案ハ提出者ノ原案通
  リ總テ可決致シマシテゴザイマス、此段報告ニ及ビマス
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=222

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• 223・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　採決致シマス、委員長報告通御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=223

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• 224・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナイト認メマス、本案ハ可決、日程第三十四ハ委員
  長ヨリ延期ノ請求ガアリマス、延期ニ御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 225・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナイト認メマス、日程第三十五、體育ニ關スル建議
  案、委員長神崎東藏君
  第三十五體育ニ關スル建議案(星野仙藏君外十(委員長報告)
  七名提出)

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• 226・神崎東藏

  ○神崎東藏君　一番シマヒデゴザイマスカラ、極ク僅カ御靜聽ヲ希望致シマス、本問題
  ハ普通〓育ニ關スル非常ニ重要ナ問題デゴザイマシテ、此前ノ議會ニモ本會議ニ於テ
  多數ヲ以テ決議ニナッタ事項デゴザイマス、卽チ此提出者ノ星野仙藏君等ノ熱心ナル
  主張ハ日本ノ中學制度ニ於テ在來採用シテ居ルト云フ體育ノ方法ハ、唯機械的ニ
  身ヲ動スバカリデアッテ、、精神的ノ注入ガ少シモナイカラ致シマシテ、ソレガタメニ或ハ星デ
  アルトカ菫デアルトカ、或ハ華嚴デアルトカ、阿蘇デアルトカ云フコトガ流行ルヤウニナル
  カラ、擊劍、柔術若クハ星野君ノ考ヘラレタトコロノ練膽操術等ヲ以テ之ニ換ヘタイ、若
  シ換ヘルコトガ出來ヌナラバ少クトモ之ニ竝行シテヤラセタイト云フ希望デ、ソレニ付キ
  マシテ文部省ニ於テ相當ノ調査ヲ爲シテ速ニ之ヲ決行シテ、貰ヒタイト云フ希望デアリマ
  スガ、文部省ノ政府委員ノ答ニ據ルト文部省デモ其趣意ニハ非常ニ贊成デアッテ、今
  年マデ前後三囘程總豫算ノ請求ノ場合ニ體育〓究所費用ト云フモノハ、始マリハ八
  万圓、昨年ハ十三万圓程ノ請求ヲシタガ、イツモ大藏省デ棒ヲ引カレテシマッタト云フノ
  デゴザイマス、誠ニ氣ノ毒ナ話デゴザイマス、ソコデ本案ハ大藏省ガイヅレ來年モ文部省
  ガ出スノデゴザイマセウカラシテ、文部省カラ、若シ體育〓究所費用ト云フモノヲ出シ
  タナラバ成ルベク削ラズニ成立タセルヤウニシテ貰ヒタイト云フコトノ希望ヲ併セマシテ滿
  場一致ヲ以テ可決アランコトヲ希望致シマス
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=226

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• 227・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　採決シマス、委員長報告通り御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01819080324&spkNum=227

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• 228・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナイト認メマス、報告ガアリマス
  〔書記朗讀〕
  一政府ヨリ左ノ質問書ニ對シ答辯書ヲ送付セラレタリ
  北米合衆國官船ガ公海ニ於テ我獵船ヲ拿捕シ其船員ヲ拘致シタル件ニ關スル
  質問主意書(林外務大臣)
  衆議院議員大石熊吉君提出北米合衆國官船カ公海ニ於テ我獵船ヲ捕拿シ其
  船員ヲ拘致シタル件ニ關スル質問ニ對シ別紙答辯書差進候也
  明治四十一年三月二十四日
  内閣總理大臣侯爵西園寺公望
  衆議院議長杉田定一殿
  衆議院議員大石熊吉君提出ニ係ル北米合衆國官船カ公海ニ於テ我獵船ヲ捕
  拿シ其船員ヲ拘致シタル件ニ關スル質問書ニ對シ答辯書ヲ差進候也
  明治四十一年三月二十四日
  外務大臣伯爵林董
  衆議院議長杉田定一殿
  答辯書
  一海獸獵船海王丸カ北米合衆國稅關監視船ノ爲メニ其獵艇一隻ト共ニ密獵ノ
  嫌疑ヲ以テ捕拿セラレ次デ放釋セラレタル件ニ付テハ其所有者タル大日本遠洋
  漁業株式會社ヨリ〓末報告及損害賠償交涉方ノ請願ニ接シ政府ハ現ニ本件
  ノ事實ヲ調査シツヽアリ隨テ本件ニ關シ米國官憲ノ執リタル措置カ正當ナリシヤ
  否ヤハ未タ判定スルヲ得ス
  二政府ハ調査中ニ屬スル事件ニ就キ事實ヲ假定シテ外國官憲ノ行爲ヲ批評スル
  ヲ欲セス
  三政府カ本件ニ關シ將來如何ナル措置ヲ採ルヘキカハ玆ニ豫言スルヲ得ス
  一宮古啓三郎君ヨリ軍醫ノ處分ニ關スル質問主意書ヲ提出セラレタリ
  (左ノ質問書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲玆ニ揭載ス〕
  軍醫ノ處分ニ關スル質問主意書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治四十一年三月二十四日
  提出者宮古啓三郞贊成者鳩山和夫
  外三十二名
  軍醫ノ處分ニ關スル質問主意書
  第二十九聯隊附ナリシ士官候補生池田力ナル者明治四十一年十一月十三日濕
  性胸膜炎ニ罹リ同月二十日仙臺衞戍病院ニ入院化膿性胸膜炎ト爲リ同年十二
  月八日死亡セリ當時仙臺衞戌病院ニ於テハ一等軍醫丸山耕平之ヲ診察治療シ
  腸窒扶斯ト誤診セルノミナラズ同年十一月二十六日濕性胸膜炎ナルコトヲ認メタ
  リト云フモ更ニ穿胸術ヲ施シテ液ヲ取ルガ如キ療治ヲ施サズ遂ニ剖檢ノ結果明白ト
  爲レルカ如ク化膿性癒著性胸膜炎ヲ以テ死亡スルニ至ラシメタリ政府ハ當該軍醫ニ
  對シテ如何ナル處分ヲ爲シタルヤ若シ未タ處分セストセバ如何ニ之ヲ處分セントスルヤ
  明確ナル答辯アランコトヲ望ム
  右及質問候也

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• 229・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　會期モ切迫ノ場合デアリマシテ、僅ニ最早二日ヲ剩スノミデア
  ルノデアリマス、因テ明日モ開會ヲ致シマス、日程ハ追テ公報ヲ以テ御報告ヲ致シマス、
  是ニテ今日ハ〓會
  午後四時四十六分〓會

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