1. 会議録本文
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000・会議録情報
明治四十二年三月十九日(金曜日)
午前十時六分開議
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議事日程 第十七號 明治四十二年三月十九日
午前十時開議
第一 耕地整理法改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第二 特許法改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第三 意匠法改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第四 商標法改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第五 實用新案法改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第六 沖繩縣罹災救助基金法案(政府提出衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第七 軌道の抵當に關する法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第八 擔保附社債信託法中改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第九 獸疫豫防法中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會
第十 蠶病豫防法中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會
第十一 貴族院及衆議院速記技手恩給竝遺族扶助料に關する法律案(衆議院提出) 第一讀會
第十二 渡良瀬川沿岸地方特別地價修正法律中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十三 建物保護に關する法律案(衆議院提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十四 商法中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會の續(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=0
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001・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 本日ハ議長ハ風邪ニ付キマシテ不參ニ相成リマ
シタニ依ッテ本員本席ヲ保チマス、是ヨリ報〓ヲ致シマス
〔東久世書記官朗讀〕
一昨十七日本院ニ於テ議決シタル左ノ政府提出案ハ卽日裁可ヲ奏請シ又可
決ノ旨ヲ衆議院ニ通知セリ
明治四十二年度特別會計歲入歲出豫算追加案(特第一號)
砂鑛法案
登錄稅法中改正法律案
明治四十一年法律第九號中改正法律案
北海道拓殖銀行法中改正法律案
同日本院ニ於テ修正議決シタル明治四十二年度歲入歲出總豫算追加案(第
一號)ハ卽日之ヲ衆議院ニ囘付セリ
同日本院ニ於テ否決シタル衆議院提出狩獵法中改正法律案ハ本院ニ於テ第
二讀會ヲ開カサルコトヲ議決シタル旨ヲ卽日衆議院ニ通知セリ
同日本院ニ於テ議決シタル左ノ本院提出案ハ卽日之ヲ衆議院ニ送付セリ
東京都制案
千代田縣設置ニ關スル法律案
東京都千代田縣組合法案
同日各特別委員會ニ於テ當選シタル正副委員長ノ氏名左ノ如シ
貴族院令中改正案特別委員會
委員長公爵二條基弘君副委員長子爵曾我祐準君
農會法中改正法律案特別委員會
委員長侯爵佐竹義生君副委員長前田正名君
同日砂糖消費稅法中改正法律案兩院協議委員正副議長互選ノ結果左ノ通當
選セリ
議長伯爵寺島誠一郞君副議長子爵加納久宜君
同日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
渡良瀨川沿岸地方特別地價修正法律中改正法律案否決報告書
未成年者飮酒禁止法案否決報告書
請願委員會特別報告第六號
昨十八日兩院協議委員議長ヨリ砂糖消費稅法中改正法律案兩院協議會成案
成立報告書ヲ提出セリ
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
輸出菓子糖果原料砂糖戾稅法案
產業組合法中改正法律案
同日衆議院ヨリ左ノ同院提出案ヲ受領セリ
關稅定率法輸入稅表中改正法律案
宅地地價修正法案
地租條例中改正法律案
遠洋漁業奬勵法中改正法律案
地方稅制限ニ關スル法律中改正法律案
同日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
種痘法案修正報告書
建物保護ニ關スル法律案修正報告書
商法中改正法律案否決報〓書
醫師法中改正法律案修正報告書
齒科醫師法中改正法律案修正報告書
請願文書表第八囘報告書発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=1
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002・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 是ヨリ本日ノ會議ヲ開キマス、第一、耕地整理
法改正法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會
〔河井書記官朗讀〕
耕地整理法改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治四十二年三月十六日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス〕
小字ハ衆議院ノ修正
ハ同削除ノ符號」
耕地整理法
第一章總則
第一條本法ニ於テ耕地整理ト稱スルハ土地ノ農業上ノ利用ヲ增進スル目
的ヲ以テ本法ニ依リ左ノ各號ノ一ニ該當スル事項ヲ行フヲ謂フ
-土地ノ交換、分合、開墾、地目變換其ノ他區劃形質ノ變更若ハ道路、
堤塘、畦畔、溝渠、溜池等ノ變更廢置又ハ之ニ伴フ灌漑排水ニ關ス
ル設備若ハ工事
二前號ノ事項施行ノ爲若ハ施行ノ結果必要ナル工作物ノ設置其ノ他ノ
設備又ハ其ノ維持管理
三前二號ノ事項ニ關シ必要アルトキ國、府縣、郡市町村其ノ他公共
團體ノ認許ヲ得テ行フ營造物ノ修繕
第二條本法ニ於テ關係人ト稱スルハ整理施行地ニ付所有權以外ノ登記シ
タル權利ヲ有スル者ヲ謂フ
第三條耕地整理ヲ施行セムトスルトキハ設計書ヲ作リ關係人ノ同意書ヲ
添へ數人共同シテ施行セムトスルモノニ在リテハ尙規約ヲ作リ地方長官
ノ認可ヲ受クヘシ但シ關係人ノ同意ヲ得ルコト能ハサルトキハ其ノ事由
ヲ記載シタル書面ヲ添附スヘシ
設計書、規約若ハ整理施行地區ヲ變更シ若ハ一人ニテ施行スル耕地整理
ヲ變シテ數人共同ノ施行ト爲シ又ハ事業ヲ停止若ハ廢止セムトスルトキ
ハ之ニ關スル必要ノ事項ヲ定メ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ但シ耕地整理
施行ノ爲爲シタル借入金アルトキハ債權者ノ同意ヲ得ルニ非サレハ事業
ヲ廢止シ、整理施行地區ヲ減少シ又ハ債務ノ分擔ニ關スル規約ヲ變更ス
ルコトヲ得ス
前項整理施行地區ノ變更ニ依リ新ニ整理施行地區ニ編入セラルヘキ土地
ニ付テハ第一項ノ同意書ニ關スル規定ヲ準用ス
地方長官第一項又ハ第二項ノ認可ヲ與ヘタルトキハ其ノ旨ヲ〓示スヘ
設計書、規約若ハ整理施行地區ノ變更又ハ事業ノ停止若ハ廢止ハ前項ノ
告示アル迄之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ス
前五項ノ規定ハ耕地整理組合ニ之ヲ適用セス
第四條本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ノ規定ニ依リ爲シタル處分、手
續其ノ他ノ行爲ハ整理施行地ノ所有者、占有者又ハ關係人ノ承繼人ニ對
シテモ其ノ效力ヲ有ス
第五條整理施行地ノ所有者ニ屬スル耕地整理ニ關スル權利義務ハ土地ノ
所有權ト共ニ其ノ承繼人ニ移轉ス
前項ノ場合ニ於テ被承繼人ハ其ノ土地所有權移轉登記前ノ義務ニ付登記
後二年間承繼人ト連帶シテ其ノ責ニ任ス
第六條本法中別ニ規定アル場合ヲ除クノ外土地ノ所有者、占有者、關係
人其ノ他整理施行地ニ付權利ヲ有スル者ハ耕地整理ノ施行ニ對シテ異議
ヲ述フルコトヲ得ス
第七條地方長官又ハ郡長耕地整理ニ關スル調査ヲ爲ス爲必要アルトキハ
官吏又ハ吏員ヲシテ他人ノ土地ニ立入リ測量又ハ檢査ヲ爲シ障害ノ竹木
土石等ヲ移轉若ハ除却セシムルコトヲ得但シ之ニ依リ生シタル損害ハ之
ヲ補償スヘシ
前項ノ場合ニ於テハ豫メ其ノ土地ノ占有者ニ之ヲ通知スヘシ
前項ノ通知ヲ爲スコト能ハサル場合ニ於テハ公〓ヲ以テ之ニ代フルコト
ヲ得
○若ハ耕地整理組合設立三人.
第八條前條ノ規定ハ耕地整理施行○ノ認可ヲ申請セムトスル者、其ノ。施
整理
行者、耕地整理組合ノ設立ヲ具申セムトスル者又ハ耕地整理組合ノ創立
委員カ整理施行ノ爲必要ナル準備ヲ爲ス場合ニ之ヲ準用ス
前項ノ場合ニ於テハ市町村長ノ許可ヲ受クヘシ
○若ハ耕地整理組合設立○又ハ整理
第九條耕地整理施行0ノ認可ヲ中請セムトスル者、其ノ〓施行者、耕地整
理組合ノ設立ヲ具申セムトスル者又ハ耕地整理組合ノ創立委員ハ整理施
行地ヲ管轄スル登記所、土地臺帳所管廳、市役所又ハ町村役場ニ就キ無
償ニテ耕地整理ニ關シ必要ナル簿書ノ閱覽又ハ謄寫ヲ求ムルコトヲ得但
シ耕地整理組合ノ創立委員及組合長ヲ除クノ外其ノ資格ニ關スル市町村
長ノ證明書ヲ提出スヘシ
第十條耕地整理施行ノ爲土地又ハ建物ニ付登記又ハ登錄ヲ爲ストキハ登
錄稅ヲ免除ス
前項ノ規定ハ耕地整理ノ施行ニ伴ヒ大字若ハ字ノ名稱又ハ其ノ區域ニ變
更アリタル場合ニ之ヲ準用ス
第十一條耕地整理ヲ施行スル爲國有ニ屬スル道路、堤塘、溝渠、溜池等
ノ全部又ハ一部ヲ廢止シタルニ依リ不用ニ歸シタル土地ハ無償ニテ之ヲ
整理施行地ノ所有者ニ交付ス
耕地整理ノ施行ニ依リ開設シタル道路、堤塘、溝渠、溜池等ニシテ前項
廢止シタルモノニ代ルヘキモノハ無償ニテ之ヲ國有地ニ編入ス
第十二條本法ニ依ル開墾、地目變換其ノ他土地ノ區劃形質ノ變更又ハ道
路、堤塘、溝渠、溜池等ノ變更廢置ニ關シテハ地租條例第十條ノ一乃至
第十一條、第十六條乃至第十九條ノ規定ヲ適用セス
第十三條耕地整理ヲ施行シタル土地ノ地價ハ整理施行地區內土地ノ現地
價ノ合計額ヲ每筆相當ニ配賦シテ之ヲ定ム但シ第十一條第二項ニ依リ國
有地ニ編入シタル土地ノ面積カ同條第一項ニ依リ交付シタル土地ノ面積
ヨリ多キ場合ニ於テハ整理施行地ノ現地價ノ平均額ヲ其ノ面積ノ差額ニ
乘シタル金額ヲ現地價ノ合計額ヨリ控除シタル額ヲ以テ現地價ノ合計額
ト看做ス
整理施行地ノ地租ハ其ノ整理施行地區ノ全部ニ付土地臺帳ノ整理ヲ完了
スル迄從前ノ地域、地目及地價ニ依リ之ヲ徵收ス
規約ヲ以テ整理施行地區ヲ數區ニ分チタル場合ニ於テハ其ノ各區ヲ以テ
前二項ノ整理施行地區ト看做ス
第十四條耕地整理ヲ施行スルニ當リ其ノ地區內ノ土地總面積ノ五分ノ
以上ニ當ル土地ニ付開墾ヲ爲シ又ハ地目ヲ變換スル場合ニ於テハ工事完
了ノトキ開墾又ハ變換シタル土地ニ對シ從前ノ地域ニ依リ其ノ地價ヲ修
正シ前條第一項ノ現地價トス
前項ノ場合ニ於テ開墾シタル土地ニ付テハ工事著手ノ年ヨリ二十年目、
變換シタル土地ニ付テハ工事完了ノ年ヨリ六年目ニ至リ修正地價ニ依リ
其ノ地租ヲ徵收ス但シ開墾シタル土地ニシテ工事著手ノ年ヨリ二十年目
ニ達シ地味成熟ニ至ラサルモノニ對シテハ更ニ十年以內ノ延長ヲ許可ス
ルコトヲ得
地租ヲ課セサル土地ヲ整理施行地區ニ編入シ地租ヲ課スヘキ土地ト爲シ
タルトキハ第十一條第一項ニ依リ交付シタル土地ヲ除クノ外工事完了ノ
トキ從前ノ地域ニ依リ其ノ地價ヲ設定シ前條第一項ノ現地價トス
第十五條整理施行地區內ノ土地中開墾著手後九年、地目若ハ地類ノ變換
後五年ヲ經過セサルモノ又ハ地租ノ免除若ハ輕減ニ關スル各種ノ年期ヲ
有スルモノアルトキハ左ノ各號ノ定ムル所ニ依ル
一開墾若ハ地類ノ變換ヲ爲シタル土地、地目ヲ變換シ地價ノ修正ナキ
土地又ハ鍬下年期、新開免租年期、地價据置年期ヲ有スル土地ハ工
事著手ノ際地價ヲ修正シ又ハ設定ス
二荒地免租年期又ハ低價年期ヲ有スル土地ハ工事完了ノトキ從前ノ地
域ニ依リ其ノ地價ヲ修正ス
三第一號ニ依リ地價ヲ修正シ又ハ設定シタル土地ニ付テハ開墾著手後
十年目、地目若ハ地類ノ變換後六年目又ハ年期明ニ至リ修正地價又
ハ設定地價ニ依リ地租ヲ徵收ス但シ工事完了シタルトキハ此ノ限ニ
在ラス
四工事完了シタルトキハ第一號若ハ第二號ニ記載シタル土地又ハ地目
ヲ變換シ地價ノ修正アリタル土地ニ付テハ修正地價又ハ設定地價ヲ
以テ第十三條第一項ノ現地價トス
第十六條工事完丁シタルトキニ於テ開墾著手後九年、地目若ハ地類ノ變
換後五年ヲ經過セサル土地若ハ前條ニ記載スル年期ヲ有スルモノニシテ
年期ノ終了セサル土地又ハ第十四條第二項ニ該當スル土地アルトキハ事
業關係者ハ其ノ協議ヲ以テ修正地租ト從前ノ地租トノ差額ノ利益若ハ負
擔又ハ地租ノ免除ヲ受クヘキ土地及金額ヲ定メ政府ニ申告シ殘年期間又
ハ第十四條第二項ニ定ムル期間中ハ其ノ金額ヲ加除シテ其ノ土地ノ地租
ヲ納ムヘシ但シ協議一致セサルトキハ政府ニ於テ之ヲ定ム
第十七條換地ハ別ニ規定アル場合ヲ除クノ外第三十一條第四項ノ告示ノ
日ヨリ之ヲ從前ノ土地ト看做ス
前項ノ規定ハ行政上又ハ裁判上ノ處分ニシテ從前ノ土地ニ專屬スルモノ
ニ影響ヲ及ホサス
第十八條賃借地ニ付耕地整理施行ノ爲賃借ヲ爲シタル目的ヲ達スルコト
能ハサルトキハ賃借人ハ契約ノ解除ヲ爲スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ賃借人ハ整理施行者ニ對シ解除ニ依リ生シタル損害ノ
補償ヲ請求スルコトヲ得但シ整理施行者ハ規約ノ定ムル所ニ依リ賃貸人
ニ對シ求償スルコトヲ得
第十九條耕地整理施行ノ爲賃借地ノ利用ヲ妨ケラルルトキハ賃借人ハ借
賃ノ相當ノ減額又ハ前拂シタル借賃ノ相當ノ拂戾ヲ請求スルコトヲ得
第二十條耕地整理施行ノ爲著シク賃貸地ノ利用ヲ增シタルトキハ賃貸人
ハ借賃ノ相當ノ增額ヲ請求スルコトヲ得
前項ノ請求アリタル場合ニ於テ賃借人ハ契約ノ解除ヲ爲シ其ノ義務ヲ免
ルルコトヲ得
第二十一條耕地整理施行ノ爲地上權、永小作權又ハ地役權ヲ設定シタル
目的ヲ達スルコト能ハサルトキハ地上權者、永小作權者又ハ地役權者ハ
其ノ權利ヲ抛棄スルコトヲ得
第十八條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二十二條整理施行地ノ上ニ存スル地役權ハ耕地整理施行ノ後仍從前ノ
土地ノ上ニ存ス
耕地整理施行ノ爲地役權者カ其ノ權利ヲ行使スル利益ヲ受クルコトヲ要
セサルニ至リタルトキハ其ノ地役權ハ消滅ス
耕地整理施行ノ爲從前ト同一ノ利益ヲ受クルコト能ハサルニ至リタル地
役權者ハ其ノ利益ヲ保存スル範圍內ニ於テ地役權ノ設定ヲ請求スルコト
ヲ得
第二十三條第十九條及第二十條ノ規定ハ地上權、永小作權又ハ地役權ニ
之ヲ準用ス
第二十四條前六條ノ規定ニ依ル賃貸借ノ解除、地上權若ハ永小作權ノ抛
棄、地役權ノ抛棄若ハ設定又ハ借賃、地代、小作料若ハ地役ノ對價ノ減
額拂戾若ハ增額ノ請求ハ第三十一條第四項ノ〓示ノ日ヨリ三十日ヲ經
過シタルトキハ之ヲ爲スコトヲ得ス
第二十五條整理施行地又ハ之ニ存スル建物ニシテ先取特權、質權又ハ抵
當權ノ目的タル場合ニ於テ第二十七條、第二十八條第三十一條第一項、第
四
二項又ハ第四十五條第二項ノ規定ニ依リ拂渡スヘキ金錢アルトキハ整理
施行者ハ其ノ金額ヲ供託スヘシ但シ關係人ノ同意ヲ得タルトキハ此ノ限
ニ在ラス
前項ノ規定ハ整理施行地又ハ之ニ存スル建物カ訴訟ノ目的タリ又ハ整理
施行地區ニ編入後訴訟ノ目的ト爲リタル爲訴訟當事者ヨリ請求アリタル
場合ニ之ヲ準用ス
先取特權者、質權者、抵當權者又ハ訴訟當事者ハ前二項ノ規定ニ依リ供
託シタル金錢ニ對シテモ其ノ權利ヲ行フコトヲ得
第二十六條第三條ノ規定ニ依ル整理施行者カ其ノ事業ノ爲借入レタル金
額及其ノ利息其ノ他耕地整理ノ施行ニ依リ生シタル債務ニ付テハ共同施
行者連帶シテ其ノ責ニ任ス但シ第二十九條第一項ノ場合ヲ除クノ外規約
ニ別段ノ規定アルトキハ此ノ限ニ在ラス
帝室及國ハ前項ノ責ニ任セス
前項ニ於テ共同施行者ト稱スルハ帝室及國ヲ包含セス
第二十七條整理施行者ハ耕地整理施行ノ爲必要アルトキハ整理施行地區
內ノ工作物又ハ木石等ヲ移轉シ、除却シ又ハ破毀スルコトヲ得但シ之ニ
依リ生シタル損害ハ之ヲ補償スヘシ
第二十八條第三條ノ規定ニ依ル整理施行者又ハ耕地整理組合員ハ耕地整
理施行ノ爲受ケタル損害ニ對シ第七條、第八條又ハ前條ノ場合ヲ除クノ
外補償ノ請求ヲ爲スコトヲ得ス但シ規約ニ別段ノ規定アル場合ハ此ノ限
ニ在ラス
第二十九條第三條ノ規定ニ依ル耕地整理施行ノ爲他人ニ加ヘタル損害ノ
補償ニ付テハ共同施行者連帶シテ其ノ責ニ任ス
第二十六條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ適用ス
二十九
第三十條整理施行地ニ付權利ヲ有スル者耕地整理施行ノ認可若ハ整理
施行地區變更ノ認可又ハ耕地整理組合ノ設立若ハ組合地區變更ノ認可ノ
告示アリタル後ニ於テ監督官廳ノ許可ヲ得スシテ土地ノ形質ヲ變更シ又
ハ工作物ノ新築、改築、增築若ハ大修繕ヲ爲シ又ハ物件ヲ附加增置シタ
ルトキハ之ニ關スル損害ノ補償ヲ請求スルコトヲ得ス
前項〓示ノ後ニ於テ土地ニ付權利ヲ取得シタル者ハ從前ノ權利者ノ爲シ
得ヘキ範圍內ニ於テノミ損害ノ補償ヲ請求スルコトヲ得
三十
第三十一條換地ハ從前ノ土地ノ地目、面積、等位等ヲ標準トシテ之ヲ交
付スヘシ但シ地目、面積、等位等ヲ以テ相殺ヲ爲スコト能ハサル部分ニ
關シテハ金錢ヲ以テ之ヲ〓算スヘシ
特別ノ事情ノ爲前項ノ規定ニ依ルコト能ハサルモノノ處分ニ關シテハ規
約ノ定ムル所ニ依ル
前二項ノ規定ニ依ル處分ハ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ
地方長官前項ノ認可ヲ與ヘタルトキハ之ヲ告示スヘシ
三十一
第三十二條前條ノ規定ニ依ル處分ハ整理施行地ノ全部ニ付工事完了シタ
ル後ニ非サレハ之ヲ爲スコトヲ得ス但シ規約ニ別段ノ規定アル場合ハ此
ノ限ニ在ラス
三十二
第三十三條整理施行地二以上ノ市町村、大字又ハ字ニ渉ル場合ニ於テ一
筆ノ土地ノ區域ハ二以上ノ市町村、大字又ハ字ニ涉リテ之ヲ定ムルコト
クリット
三十三
第三十四條數筆ノ土地ヲ分合シテ換地ヲ交付スル場合ニ於テ旣登記ノ土
地ニ對スル換地ハ各筆每ニ之ヲ割當ツヘシ
三十四
第三十五條本法中土地所有者ノ數ヲ計算スル場合ニ於テハ共有者ハ之ヲ
一人ト看做ス但シ共有者ノミ共同シテ耕地整理ヲ施行スル場合ニ於テハ
此ノ限ニ在ラス
五十五
前項但書ノ場合ニ於テ第五十一條、第五十二條、第五十四條、第六十條第
五十六六十五六十八
二項。第六十一條第二項。第七中條第二項又ハ第七王」條第二項中
面積又ハ地價ハ共有者ノ持分ニ依リ之ヲ定ム
三十五
第三十六條住所又ハ居所ノ不分明其ノ他ノ事由ニ依リ耕地整理ニ關スル
書類ノ送付ヲ爲スコト能ハサル場合ニ於テ命令ノ定ムル所ニ液リ整理施
行者、耕地整理組合ノ創立委員又ハ監督官廳カ公〓ヲ爲ストキハ其ノ公
告ノ日ヲ以テ書類ヲ發送シタルモノト看做シ二十日ヲ經過スルトキハ其
ノ末日ニ於テ書類ノ送付ヲ了リタルモノト看做ス
三重·ハ
第三十七條第三十一條第三項ノ認可ヲ受ケタルトキハ整理施行者ハ遲滯
ナク既登記ノ土地及建物ニ付登記ヲ申請スヘシ
三十七
第三十八條整理施行地區內ノ土地及其ノ上ニ存スル建物ノ登記ニ付テハ
勅令ヲ以テ特例ヲ設クルコトヲ得
三十八
第三十九條共同施行又ハ耕地整理組合ニ依ル耕地整理ノ事業ニシテ郡、
市町村又ハ水利組合ニ依リ施行スルコトヲ得ルニ至リタルトキハ特別ノ
事情アル場合ヲ除クノ外命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ事業ヲ郡、市町村若
ハ水利組合ニ引繼キ又ハ耕地整理組合ヲ普通水利組合ニ變更スヘシ
前項ノ規定ニ依ル引繼又ハ變更アリタルトキハ地方長官ハ其ノ旨ヲ告示
スヘシ
第三條第五項ノ規定ハ前二項ノ場合ニ之ヲ準用ス
三十九
第四十條監督官廳ハ主務大臣ノ定ムル所ニ從ヒ本法ノ規定ニ依ル職權
ノ一部ヲ下級監督官廳ニ委任スルコトヲ得
四十
第四十一條本法中府縣、郡、市町村、郡長、市町村長、市役所又ハ町村役場
トアルハ府縣制、郡制、市制、町村制ヲ施行セサル地ニ於テハ之ニ準ス
ヘキモノニ該當ス
第二章耕地整理組合
第一款總則
四十一
第四十二條耕地整理ヲ施行スル爲必要アルトキハ耕地整理組合ヲ設立ス
ルコトヲ得
耕地整理組合ハ法人トス
四十二
第四十三條耕地整理組合ハ整理施行地ヲ以テ其ノ地區トス
四十三
第四十四條左ニ揭クル土地ハ之ヲ耕地整理組合ノ地區ニ編入スルコトヲ
得ス但シ第一號乃至第三號ノ土地ニ付テハ主務官廳又ハ公共〓體ノ認
許、第四號乃至第八號ノ土地ニ付テハ土地所有者、關係人及建物ニ付登
記シタル權利ヲ有スル者ノ同意ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在ラス
-御料地、國有地
二官ノ用ニ供スル土地
三府縣、郡、市町村其ノ他勅令ヲ以テ指定スル公共團體ノ公用又ハ公共
ノ用ニ供スル土地
四名勝地、舊蹟地
五古墳墓地、墳墓地
六社寺境内地
七鐵道用地、軌道用地
八建物アル宅地
四十四
第四十五條特別ノ價値又ハ用途アル土地ハ土地所有者及關係人ノ同意ヲ
得ルニ非サレハ之ヲ耕地整理組合ノ地區ニ編入スルコトヲ得ス但シ之ヲ
編入スルニ非サレハ耕地整理ヲ適當ニ施行スルコト能ハサルトキハ此ノ
限ニ在ラス
土地收用法第四十七條乃至第四十九條、第五十一條乃至第五十四條、第五
十六條、第五十八條、第六十條及第六十一條ノ規定ハ前項但書ノ場合ニ之
ヲ準用ス但シ組合ノ設立又ハ地區變更ノ認可ノ告示ヲ以テ土地收用法第
十九條ノ規定ニ依ル公〓又ハ通知ト看做ス
第一項但書ノ場合ニ於テ補償金ノ拂渡又ハ供託ヲ爲ササルトキハ土地所
八十七
有者又ハ關係人ハ其ノ土地ニ付工事ノ施行ヲ拒ムコトヲ得但シ第九十二
條第一項ノ規定ニ依リ決定ヲ得タル金額ヲ供託シタルトキハ此ノ限ニ在
ラス
四十五
第四十六條耕地整理組合設立ノ認可アリタルトキハ其ノ地區內ニ土地ヲ
所有スル者ハ總テ之ヲ組合員トス但シ第十一條第一項ノ土地ニ關シテハ
此ノ限ニ在ラス
四十六
第四十七條耕地整理組合ノ名稱中ニハ耕地整理組合ナル文字ヲ用ウヘ
耕地整理組合ニ非サルモノハ耕地整理組合タルコトヲ示スヘキ文字ヲ用
ウルコトヲ得ス
四十七
第四十八條組合員又ハ組合員タルヘキ者ニシテ組合ノ地區又ハ第五十二
條ニ依リ指定シタル地區所在ノ市町村若ハ其ノ鄰接市町村ニ住所若ハ居
所ヲ有セサル者又ハ土地ノ共有者ハ耕地整理ニ關スル一切ノ行爲ヲ爲サ
シムル爲組合ノ地區又ハ第五十二條ニ依リ指定シタル地區所在ノ市町村
若ハ其ノ鄰接市町村ニ住所若ハ居所ヲ有スル者又ハ共有者中ノ一人ヲ以
テ代表者ト爲シ之ヲ組合又ハ創立委員ニ通知スヘシ
前項ノ代表者ノ權限ニ加ヘタル制限ハ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ
得ス
四十八
第四十九條前條ノ委任ノ終了ハ組合又ハ創立委員ニ通知アル迄之ヲ以テ
善意ノ第三者ニ對抗スルコトヲ得ス
四十九七
第五十條第四十八條第一項ノ手繪ヲ爲ササル土地共有者ニ對スル書類
ノ送付ハ其ノ一人ニ對シ之ヲ發送シタル時ニ於テ完了シタルモノト看做
ス
第二款組合ノ設立及解散
五十
第五十一條耕地整理組合ヲ設立セムトスルトキハ組合ノ地區タルヘキ區
二分ノ一
域內ノ土地所有者總數ノ三分ノ二以上ニシテ其ノ區域內ノ土地ノ總面積
及總地價ノ各三分ノ二以上ニ當ル土地所有者ノ同意ヲ得テ設計書及規約
ヲ作リ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ
第五十二條地方長官ハ組合ノ地區タルヘキ區域內ノ土地所有者ノ總數ノ
十分ノ一以上ニシテ其ノ區域內ノ土地ノ總地價ノ十分ノ一以上ニ當ル土
地所有者ノ具申ニ依リ耕地整理組合ノ設立ヲ必要ト認ムルトキハ假ニ組
合ノ地區ヲ指定シ創立委員ヲ命シ且其ノ旨ヲ〓示スへシ
第五十三條創立委員ハ設計書案及規約案ヲ作リ組合員タルヘキ者ノ總會
議ニ付スヘシ
第七十一條ノ規定ハ前項ノ總會議ニ之ヲ準用ス
第五十四條前條ノ總會議ノ議事ハ組合員タルヘキ者ノ三分ノ二以上ニシ
テ且組合地區內ノ土地ノ總面積及總地價ノ各三分ノ二以上ニ當ル土地所
有者ノ同意ニ依リ之ヲ決ス但シ命令ノ定ムル所ニ依リ組合員タルヘキ者
ノ代理人ヲ許スコトヲ得
第五十五條設計書及規約ノ議決ヲ經タルトキハ創立委員ハ地方長官ノ認
可ヲ受クヘシ
五十一
第五十六條耕地整理組合ハ第五十一條又ハ前條ノ地方長官ノ認可ニ依リ
成立ス
前項ノ場合ニ於テハ地方長官ハ組合設立ノ旨ヲ告示スヘシ
組合ハ前項ノ〓示アル迄其ノ成立ヲ以テ他人ニ對抗スルコトヲ得ス
五十二設
第五十七條組合創立ニ關スル費用ハ組合設立ノ後組合ノ負擔トス
五十三
第五十八條組合ハ左ノ事由ニ依リ解散ス但シ第二號ノ場合ニ於テ還了セ
サル組合債アルトキハ此ノ限ニ在ラス
-規約ニ定メタル事由ノ發生
二目的タル事項ノ完成又ハ完成ノ不能
三總會ノ議決
四合併
五事業ヲ郡、市町村又ハ水利組合ニ引續キタルトキ
六普通水利組合ニ變更シタルトキ
七組合員一人ト爲リタルトキ
八監督官廳ノ處分
前項ノ場合ニ於テ地方長官ハ第三號又ハ第四號ニ該當スルトキヲ除クノ
外其ノ旨ヲ〓示スヘシ
五十四
第五十九條組合ニ於テ設計書若ハ規約ノ變更、組合ノ解散、合併、地區
ノ變更又ハ事業ノ停止ヲ爲サムトスルトキハ之ニ關スル必要ノ事項ヲ定
メ總會ノ議決ヲ經テ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ但シ組合債ヲ負擔スルト
キハ債權者ノ同意ヲ得ルニ非サレハ組合ノ解散、合併、地區ノ減少又ハ
債務分擔ニ關スル規約ノ變更ヲ爲スコトヲ得ス
地方長官前項ノ認可ヲ與ヘタルトキハ其ノ旨ヲ告示スヘシ
五十五
第六十條組合ノ地區ヲ變更スル場合ニ於テ新ニ組合ノ地區ニ編入セラ
○設計書案及規約案ヲ作リニ付シ
ルヘキ土地アルトキハ組合長ハ○編入區域ノ土地所有者ノ總會議ヲ開キ
其ノ議決ヲ前條ノ總會ノ議決ニ添附スヘシ
前項ノ總會議ノ議決ヲ爲スニハ第五十條ノ條件ヲ具備スルコトヲ要ス但シ命令ノ定ムル所ニ依
リ土地所有者ノ代理人ヲ許スコトヲ得
第五十三條及第五十四條ノ規定ハ前項ノ總會議ニ之ヲ準用ス
第六十六條ノ規定ハ第一項ノ總會議ニ之ヲ準用ス
五十六
第六十一條前條ノ總會議ハ編入區域ノ土地所有者ノ同意ヲ以テ之ニ代フ
ルコトヲ得
第五十一條ノ規定ハ前項ノ同意ニ之ヲ準用ス
五十七
第六十二條設計書若ハ規約ノ變更、組合ノ解散、合併、地區ノ變更又ハ事
三四
業ノ修正ハ簾五十八候第二項文ハ第五十〓候第二項ノ告示アル迄之
テ他人ニ對抗スルコトヲ得ス
五十八
第六十三條組合ヲ合併シタルトキハ合併ニ依リ解散シタル組合ニ屬スル
權利義務ハ合併後存續シ又ハ合併ニ依リ設立シタル組合ニ移轉ス
五十九
第六十四條組合員一人ト爲リタル爲組合解散ノ場合ニ於テハ其ノ事業ハ
一切ノ權利義務ト共ニ土地所有者ニ移轉ス
前項ノ土地所有者ハ之ヲ第三條ノ規定ニ依ル整理施行者ト看做ス
六十三
第六十五條組合解散シタルトキハ第五十八條第一項第四號、第六號又ハ
第七號ノ場合ヲ除クノ外〓算ヲ爲スヘシ
組合ハ解散ノ後ト雖〓算ノ目的ノ範圍內ニ於テハ仍存續スルモノト看做
ス
第三款組合ノ會議
六十一
第六十六條別ニ規定アルモノノ外左ニ揭クル事項ハ總會ノ表決ヲ經ヘシ
第三十一條第一項、第二項ノ規定ニ依ル處分ヲ爲ス事
二組合債ヲ起シ、起債ノ方法、利息ノ定率若ハ償還ノ方法ヲ定メ又ハ
之ヲ變更スル事
三經費ノ收支豫算ヲ定ムル事
四豫算ヲ以テ定ムルモノヲ除クノ外新ニ義務ノ負擔ヲ爲シ又ハ權利ノ
抛棄ヲ爲ス事
五組合長、組合副長若ハ評議員ヲ選任シ又ハ解任スル事
六組合費、夫役現品ノ分賦收入ニ關スル事
七事業報告書及收支決算書ヲ承認スル事
八工作物又ハ設備ノ維持管理方法ヲ定ムル事
九訴願、訴訟及和解ニ關スル事
十規約ニ定メタル事項
十一其ノ他組合長ニ於テ重要ナリト認メタル事項
六十二
第六十七條總會ハ規約ノ定ムル所ニ依リ其ノ權限ニ屬スル事項ヲ評議員
會ニ委任シ又ハ組合長ヲシテ專決セシムルコトヲ得
評議員會ニ關スル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
六十三
第六十八條總會ノ表決ヲ經ヘキ事件ニシテ臨時急施ヲ要シ總會ヲ招集ス
ル暇ナシト認ムルトキハ組合長ハ專決處分シ次ノ總會ニ於テ其ノ承認ヲ
求ムヘシ但シ設計書、規約若ハ組合地區ノ變更又ハ組合ノ解散若ハ合併
ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
組合長前項ノ處分ヲ爲サムトスルトキハ其ノ處分前評議員會ノ同意ヲ得
ルコトヲ要ス但シ評議員ヲ置カサル場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラス
六十四
第六十九條總會ハ總組合員ヲ以テ之ヲ組織ス
六十五
第七十條總會ハ組合長之ヲ招集ス
組合員總數ノ五分ノ一以上ニ當ル者又ハ組合地區内ノ土地ノ總面積若ハ
總地價ノ五分ノ一以上ニ當ル者ヨリ會議ノ目的及其ノ事由ヲ記載シタル
書面ヲ提出シテ總會ノ招集ヲ請求スルトキハ組合長ハ十四日以内ニ之ヲ
招集スヘシ
六十六
第七十一條總會ヲ招集スルニハ曾日ヨリ五日前ニ會議ノ日時、場所及目
的ヲ記載シテ各組合員ニ通知ヲ發スヘシ但シ急施ヲ要スル場合ニ於テハ
期間ヲ二日迄短縮スルコトヲ得
六十七
第七十二條組合員ハ各一箇ノ表決權ヲ有ス但シ規約ヲ以テ表決權總數ノ
五分ノ一ヲ超過セサル範圍內ニ於テ一人ニ付二箇以上ノ表決權ヲ有セシ
ムルコトヲ得
六十八
前項ノ規定ハ第七十三條第二項ノ場合ニ之ヲ適用セス
六·八·
第七十三條總會ノ議事ハ別ニ規定アルモノヲ除クノ外組合員ノ半數以上
出席シ出席者ノ表決權ノ過半數ヲ以テ之ヲ決ス
五十四六十一
第五十四條ノ規定ハ第五十九條又ハ第六十六條第一號、第二號若ハ第五
○ヲ爲スニハ第五十條ノ條件ヲ具備スルコトヲ要ス
號ノ事項ノ表決〓ニ之ヲ準用ス但シ命令又ハ規約ニ別段ノ規定アル場合
ハ此ノ限ニ在ラス
六十九
第七十四條組合員ハ總會ニ於テ書面又ハ代理人ヲ以テ表決ヲ爲スコトヲ
得
前項ノ規定ニ依リ表決權ヲ行フ者ハ出席者ト看做ス
七十
第七十五條第三十二條但書ノ規定ニ依リ第三十一條ノ處分ヲ爲サムトス
ル場合ニ於テハ其ノ處分ヲ爲サムトスル土地ニ關スル組合員ノ總會議ヲ
以テ總會ト看做ス
七十一
第七十六條組合ハ命令ノ定ムル所ニ依リ組合員ノ選擧シタル議員ヲ以テ
組織スル組合會ヲ以テ總會ニ代フルコトヲ得
七十二
第七十七條總會ニ關スル規定ハ命令ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外前
二條ノ規定ニ依ル組合員ノ總會議又ハ組合會ニ之ヲ準用ス但シ組合會ニ
於テハ組合ノ解散、合併又ハ地區ノ變更ノ議決ヲ爲スコトヲ得ス
第四款組合ノ管理夫役現品ノ分賦及之ニ代ルヘキ金額ニ關スル規定ハ規約中ニ之ヲ定ムヘ
-31-38シ
第七十八條組合ニ組合長一人及組合副長一人又ハ數人ヲ置ク
七十九
組合長又ハ組合副長ハ組合員中ヨリ之ヲ選擧ス但シ特別ノ事情アルトキ第八十四條組合員ニシテ組合費又ハ第三十一條第一項、第二項ノ規定ニ
ハ組合員ニ非サル者ヨリ之ヲ選擧スルコトヲ得依リ支拂フヘキ金錢ヲ滯納スルトキハ市町村ハ組合長ノ請求ニ依リ市町
組合長又ハ組合副長ノ選任又ハ解任ハ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ村稅ノ例ニ依リ之ヲ處分ス
○組合長、組合副長共ニ關員ト爲リタルトキハ前項ノ場合ニ於テ組合ハ其ノ徵收金額中百分ノ四ヲ市町村ニ交付スヘ
〓地方長官必要ト認ムルトキハ職權ヲ以テ組合長又ハ組合副長ヲ指定スル
ハ臨時代理者ヲシ
コトヲ得第一項ノ徵收金ハ組合地區內ノ土地ニ關シ市町村、水利組合其ノ他之ニ
地方長官前二項ノ規定ニ依リ認可ヲ與ヘ又ハ指定ヲ爲シタルトキハ其ノ準スヘキモノノ徵收金ニ次テ先取特權ヲ有ス
旨ヲ告示スヘシ前三項ノ規定ハ組合員カ夫役現品ニ代ルヘキ金錢ヲ滯納スル場合ニ之ヲ
○又ハ臨時代理者
組合長又ハ組合副長〓ノ就任若ハ解任ハ前項ノ告示アル迄之ヲ以テ他人準用ス
ニ對抗スルコトヲ得ス八十
七十四第八十五條組合ニ於テ負債ヲ起シ、起債ノ方法、利息ノ定率若ハ償還ノ
第七十九條組合長ハ組合ヲ代表シ組合一切ノ事務ヲ管理ス方法ヲ定メ又ハ之ヲ變更セムトスルトキハ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ
組合副長ハ組合長ヲ補佐シ組合長事故アルトキ其ノ職務ヲ代理ス組合副前項ノ負債ハ起債ノ時ヨリ十五年以內ニ之ヲ還了スヘシ但シ特別ノ事由
長數人アルトキハ其ノ代理ノ順序ハ規約ノ定ムル所ニ依ルアル場合ニ限リ二十年迄延期スルコトヲ得
七十五八十一
第八十條組合長ノ權限ニ加ヘタル制限ハ之ヲ以テ善意ノ第三者ニ對抗第八十六條組合ニシテ其ノ債務ヲ完濟スルコト能ハサルトキハ帝室及國
スルコトヲ得スヲ除クノ外組合員ハ之ニ付連帶無限ノ責任ヲ負擔ス但シ耕地整理施行ノ
七十六爲他人ニ加ヘタル損害ノ補償ヲ除クノ外規約ニ別段ノ規定アル場合ハ此
第八十一條組合ニ評議員ヲ置ク但シ特別ノ事情アル爲地方長官ノ認可ヲ
得タルトキハ此ノ限ニ在ラスノ限ニ在ラス
評議員ハ組合員中ヨリ之ヲ選擧ス第三章監督
八十·
評議員ハ組合長ノ諮詢ニ應シ竝業務及財產ノ狀況ヲ監査ス第八十七條耕地整理ハ第一次ニ郡長、第二次ニ地方長官、第三次ニ主務
組合長ハ規約ノ定ムル所ニ依リ評議員ヲシテ組合ノ事務ノ一部ヲ分掌セ大臣之ヲ監督ス但シ整理施行ノ區域郡市若ハ數郡ニ涉リ又ハ市內ニ止ル
シムルコトヲ得場合ニ於テハ第一次ニ地方長官、第二次ニ主務大臣之ヲ監督ス
七十七八十三
第八十二條組合長ハ設計書、規約、組合員名簿、會議ノ議事錄其ノ他組第八十八條主務大臣又ハ地方長官ニ於テ會議ノ表決又ハ整理施行者ノ行
合ニ關スル書類及帳簿ヲ事務所ニ備へ置クヘシ爲カ設計書、規約又ハ法令ニ違反シ其ノ他公益ヲ害スルノ虞アリト認ム
組合員又ハ利害關係人ヨリ前項ノ書類又ハ帳簿ノ閱覽ヲ求メタルトキハルトキハ會議ノ表決ヲ取消シ、組合長若ハ組合副長ヲ解任シ、評議員若
正當ノ事由アル場合ヲ除クノ外之ヲ拒ムコトヲ得スハ組合會議員ノ改選、事業ノ停止若ハ組合ノ解散ヲ命シ又ハ整理施行ノ
第五款組合ノ財務認可ヲ取消スコトヲ得
七十八八十四
第八十三條組合ノ費用ハ規約ノ定ムル所ニ依リ組合員之ヲ負擔ス第八十九條監督官廳ハ整理施行者ヲシテ耕地整理事業ニ關スル報告ヲ爲
サシメ、書類、帳簿、出納又ハ工事ヲ檢査シ、設計書又ハ規約ノ變更ヲ
命シ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
八十五
第九十條監督官廳ハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ノ規定ニ依ル認
可申請ニ對シ申請ノ趣旨ニ反セスト認ムル範圍內ニ於テ更正シテ認可ヲ
與フルコトヲ得
八十六
第九十一條第三條ノ規定ニ依ル耕地整理ノ施行若ハ整理施行地區ノ變更
三四
ニ異議アル關係人、第四十四條若ハ第四十五條ノ規定ニ違反シテ耕地整
理組合ノ地區ニ編入シタル土地ノ所有者若ハ關係人又ハ第三條第二項但
四
畫君ハ的五丁開催第一項但書ノ規定二依り無樣アル彼燋者ハ各和能
施行ノ認可若ハ整理施行地區變更ノ認可ノ告示、耕地整理組合ノ設立若
四
ハ組合地區邊更ノ説可テ告示文ス第二條%国場若ハ第五十几候第二
六十
規定ニ依リ當該事項ノ〓示アリタル日ヨリ三十日以內ニ主務大臣ニ訴願
スルコトヲ得
前項ノ訴願アリタル場合ニ於テハ地方長官ハ其ノ裁決アル迄目的タル土
ルコトヲ得
地ニ付耕地整理ノ施行ヲ停止スヘシ
八十七四
第九十二條第四十五條第二項ノ規定ニ依ル補償金ニ付協議調ハサルカ又
ハ協議ヲ爲スコト能ハサルトキハ地方長官ノ決定ヲ求ムヘシ
前項ノ決定ニ不服アル者ハ其ノ決定書ノ送付ヲ受ケタル日ヨリ九十日以
内ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
八十八
第九十三條總會議、總會又ハ組合會ノ招集手續又ハ表決カ違法ナル場合
ニ於テ之ニ對シ不服アル者ハ其ノ表決ノ日ヨリ十四日以內ニ地方長官ニ
異議ヲ申立ツルコトヲ得
前項異議ノ申立アリタル場合ニ於テ監督官廳ハ其ノ職權ニ依リ又ハ利害
關係人ノ請求ニ依リ必要ト認ムルトキハ表決又ハ處分ノ執行ヲ停止スル
コトヲ得
八十九
第九十四條監督官廳ノ處分ニシテ本法中他ノ條項ニ於テ地方長官ノ〓示
ヲ必要トスル事項ニ相當スルモノニ付テハ地方長官ハ之ヲ告示スヘシ
整理施行者ハ前項ノ告示アル迄其ノ受ケタル處分ヲ以テ他人ニ對抗スル
コトヲ得ス
前二項ノ規定ハ監督官廳ノ命令シタル停止處分ノ解除ニ之ヲ準用ス
第四章罰則
九十
第九十五條耕地整理施行ニ關シ設ケタル標識ヲ移轉、汚損、毀壞又ハ除
却シタル者ハ五十圓以下ノ罰金ニ處ス
九十一
第九十六條第三條ノ規定ニ依ル整理施行者又ハ耕地整理組合ノ組合長若
ハ組合副長本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違反シタルトキハ五十圓
以下ノ過料ニ處ス
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ之ヲ準
用ス
附則
九十二
第九十七條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
明治三十年法律第三十九號ハ之ヲ廢止ス但シ現ニ土地ノ區劃形狀變更ノ
許可ヲ得タル者ニ關シテハ仍從前ノ例ニ依ル
第九十三條北海道ノ耕地整理ニ付テハ勅令ヲ以テ特例ヲ設クルコトヲ得
九十四
第九十八條本法施行前耕地整理ニ關シ發起又ハ施行ノ認可ヲ得タル者ニ
付テハ以下數條ニ規定スルモノヲ除クノ外舊法ノ規定ヲ適用ス
九十五
第九十九條本法第一條、第二條、第四條、第五條、第八條、第十條、第十七
三
條、第二十七條、第二十八條、第三十一條、第三十二條、第三十四條、第三十
五二四八十五
六條乃至第四十」は、第八十七條。第八十九枚及第九十條ノ理元へ
行前耕地整理ニ關シ發起又ハ施行ノ認可ヲ得タル者ニ之ヲ適用ス
九十六
第百條本法施行前耕地整理發起ノ認可ヲ得タル者ハ發起人又ハ整理委
員ノ申請ニ依リ命令ノ定ムル所ニ從ヒ之ヲ本法ニ依ル耕地整理組合ト爲
スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ耕地整理組合ト爲シタルトキハ耕地整理ニ關スル從前
ノ設計書又ハ規約ハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ反セサル範圍內
ニ於テ本法ノ規定ニ依ル設計書又ハ規約ト看做ス
第一項ノ規定ニ依ル耕地整理組合ハ耕地整理ニ關スル參加土地所有者共
同ノ權利義務ヲ承繼ス
九十七
第百一條本法施行前耕地整理發起ノ認可ヲ申請シ未タ之ヲ得ルニ至ラサ
ル者ハ命令ノ定ムル所ニ從ヒ之ヲ本法第五十一條ノ規定ニ依ル耕地整理
組合設立ノ申請ト爲スコトヲ得
九十八
第百二條舊法又ハ明治三十年法律第三十九號ニ依リ爲シタル處分ニ對ス
ル訴願ニ關シテハ各舊法又ハ明治三十年法律第三十九號ノ規定ニ依ル
〔國務大臣男爵大浦兼武君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=2
-
003・大浦兼武
○國務大臣(男爵大浦兼武君) 唯今問題ニ上ボリマシタ所ノ耕地整理法ニ付
キマシテ大體說明ヲ致シマス、現行ノ耕地整理法ハ第十三議會ノ御協賛ヲ經
マシテ、明治三十三年一月ヨリ施行シタルモノデゴザイマス、施行以來約十
箇年ヲ經過イタシマシテ、而シテ此間ニ於テ整理ノ事業實施ニ著ケルモノガ
三府四十六縣ニ亙リマシテ二千百二十四箇所デゴザイマス、其段別ハ十二万
五千町步ニ達シテ居リマシテ、其實施ノ面積ハ固ヨリ尙ホ今日大ニ稱スルト
云フ譯ニハ參リマセヌケレドモガ、御承知ノ通リ此事業ト云フモノハ誠ニ幾
多ノ障害モゴザイマシテ、ナカ〓〓其費用ヲ要スルコトモ多大ナモノデゴザ
イマス、斯ウ云フ有樣デゴザイマシタ所ガ今日ノ現況ニ於テハ寧ロ良好ナ結
果デアルト申シテモ宜カラウト存ジマス、最近ノ調査ニ依リマスレパ今後耕
地整理ヲ施行スベキノ地ハ〓算百五十万町步アルト云フコトニナッテ居リマ
ス、加之我國ニハ尙ホ開クベキノ土地ト云フモノハ頗ル多イノデゴザイマシ
テ、又畑地ヲ田地ニ變ズルモノモ多ウゴザイマス、依ッテ之ヲ以テ生產力ヲ
增進スベキモノモ少ナカラヌト考ヘテ居リマス、凡ソ是等ノ土地ニ整理ヲ施
行イタシマシテ農業ノ········謂ハユル農產ノ增進ヲ圖ルト云フコトハ目下誠ニ
緊要ナルコトヽ存ジマス、故ニ此度耕地整理ノ方法ヲ改正シテ成ルベク便利
ニ敏㨗ニ耕地整理ノ目的ヲ達スルヤウニ改正ヲ致スノガ大體デゴザイマス、
尙ホ其方針ニ依ッテ進行イタシタイト存ジマスカラシテ御協賛ヲ仰ギタイト
存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=3
-
004・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 別ニ御質問モゴザイマセネバ次ニ移リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=4
-
005・吉井幸藏
○伯爵吉井幸藏君 本員ハ家祿賞典祿處分法案ノ特別委員會ヲ開キタイト思
ヒマスガ、退席イタシテ宜シウゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=5
-
006・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 吉井伯爵ノ委員會ヘ退席ノ要求ハ許可イタシテ
御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=6
-
007・黒田長成
○副議長(候爵黑田長成君) 御異議ガ無イト認メマスカラ宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=7
-
008・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 議事日程第二ヨリ第五マデノ法案ハ何レモ關聯
シタ案デアリマスルカラ、一括シテ議題ニ供シテ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=8
-
009・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 御異議ガ無イト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=9
-
010・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 第二、特許法改正法律案、政府提出、衆議院送
付、第一讀會、第三、意匠法改正法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會、
第四、商標法改正法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會、第五、實用新案
法改正法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會、議案ノ朗讀ハ何レモ省略
イタシテ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=10
-
011・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 御異議ハ無イト認メマス
〔左ノ通牒文及議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ茲ニ載錄ス以下之ニ
傚フ〕
特許法改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治四十二年三月十六日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
小字ハ衆議院ノ修正
ハ同削除ノ符號
特許法
第一章總則
第一條新規ナル工業的發明ヲ爲シタル者ハ其ノ發明ニ付本法ニ依リ特許
ヲ受クルコトヲ得
第二條自己ノ特許發明又ハ特許出願中ノ發明ニ付改良又ハ擴張ヲ爲シタ
ル者ハ其ノ改良又ハ擴張ニ係ル新規ノ發明ニ付追加特許ヲ受クルコトヲ
得自己ノ特許發明又ハ特許出願中ノ發明ニ付他人ノ爲シタル改良又ハ擴
張ニ係ル新規ノ發明ニ付特許ヲ受クルノ權利ヲ承繼シタル者亦同シ
前項ノ場合ニ於テ特許出願中ノ發明カ特許ヲ受クルコト能ハサルニ至リ
タルトキハ追加特許ノ出願ハ之ヲ獨立ノ特許出願ト爲スコトヲ得此ノ場
合ニ於テ其ノ獨立ノ特許出願ハ追加特許出願ノ時ニ於テ之ヲ爲シタルモ
ノト看做ス
第三條職務上又ハ契約上爲シタル發明ニ付特許ヲ受クルノ權利ハ勤務規
程又ハ契約ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外其ノ職務ヲ執行セシムル者又
ハ使用者ニ屬ス
職務ノ執行又ハ契約ノ履行ニ依ル勤務中公務員又ハ被用者ノ爲シタル發
明ニシテ職務上又ハ契約上爲シタルモノニ非サル發明ニ付發明前豫メ特
許ヲ受クルノ權利又ハ特許權ヲ讓渡セシムルコトヲ定メタル勤務規程又
ハ契約ノ條項ハ之ヲ無效トス
本條ニ於テ公務員ト稱スルハ刑法第七條第一項ノ公務員ヲ謂フ
第四條本法ニ於テ發明ノ新規ト稱スルハ左ノ各號ニ該當セサルモノヲ謂
フ
-特許出願前帝國內ニ於テ公然知ラレ又ハ公然用ヰラレタルモノ
二特許出願前容易ニ應用スルコトヲ得ヘキ程度ニ於テ帝國內ニ頒布セ
ラレタル刊行物ニ記載セラレタルモノ
第五條發明カ左ノ各號ノ一ニ該當スルモ之ヲ新規ナルモノト看做ス
一發明カ試驗ノ爲前條各號ノ一ニ該當スルニ至リタル時ヨリ二年以內
ニ特許ヲ出願シタルトキ
二同一發明ニ關スル特許出願中若ハ實用新案登錄出願中又ハ其ノ特許
權若ハ實用新案權ノ存續中其ノ發明カ前條各號ノ一ニ該當スルニ至
リタルトキ
第六條左ニ揭クル發明ニ付テハ之ヲ特許セス
-飮食物、嗜好物
二醫藥、其ノ調合法
三秩序若ハ風俗ヲ紊リ又ハ衞生ヲ害スルノ虞アルモノ
第七條特許出願カ二以上ノ發明ヲ包含スルトキハ之ヲ分割スルコトヲ得
此ノ場合ニ於テハ最初出願ノ時ニ於テ各出願ヲ爲シタルモノト看做ス
第八條政府、道府縣若ハ政府ノ認可ヲ得タルモノノ開設スル博覽會、
共進會又ハ工業所有權保護同盟條約國ノ版圖内ニ開設スル官設若ハ官許
ノ萬國博覽會ニ出品スル發明ニ付其ノ開會ノ日ヨリ六月以內ニ特許ヲ出
願シタルトキハ開會ノ日ニ於テ出願シタルモノト看做ス
前項ノ規定ハ命令ヲ以テ前項ノ出品ニ付豫メ屆出ツヘキコトヲ規定シタ
ル場合ニ於テ其ノ屆出ヲ怠リタル者ニ對シ之ヲ適用セス
第一項ノ外外國ノ版圖內ニ開設スル官設又ハ官許ノ博覽會ニ出品スル發
明ニ付保護ヲ與フルノ必要アルトキハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第九條同一發明ニ付各別ニ特許ヲ受クルノ權利ヲ有スル者二人以上アル
トキハ最先ニ發明ヲ爲シタル者ニ限リ特許ス其ノ同時ノ發明ニ係ルトキ
又ハ發明ノ前後不明ナルトキハ最先ニ出願ヲ爲シタル者ニ限リ特許ス但
シ同日ノ出願ニ係ルトキハ關係者ノ協議ニ依リ協議調ハサルトキハ共ニ
特許セス
特許權發生後二年ヲ經過シタルトキハ最先ニ與ヘタル特許ニ限リ有效ト
ス
第十條特許ヲ受クルノ權利ハ之ヲ移轉スルコトヲ得但シ擔保ニ供スルコ
トヲ得ス
特許ヲ受クルノ權利ノ承繼ハ特許出願前ニ在リテハ特許ヲ出願シ特許出
願後ニ在リテハ出願人ノ名義變更ヲ屆出ツルニ非サレハ之ヲ以テ第三者
ニ對抗スルコトヲ得ス但シ同日ノ出願又ハ屆出ニ係ルトキハ關係者ノ協
○第三者ニ
議ニ依リ協議調ハサルトキハ共ニ○對抗スルコトヲ得ス
第十一條特許出願ノ發明カ公益ノ爲普及ヲ要スルモノナルトキ又ハ軍事
上必要ナルモノ若ハ祕密ヲ要スルモノナルトキハ特許ヲ與ヘス又ハ制限
ヲ付シテ特許ヲ與フルコトヲ得
發明カ軍事上必要ナルモノ又ハ祕密ヲ要スルモノナルトキハ其ノ發明ニ
付特許ヲ受クルノ權利ハ政府ニ於テ之ヲ收用スルコトヲ得
前二項ノ場合ニ於テ政府ハ相當ノ補償金ヲ支給ス
第十二條帝國内ニ在ラサル者ハ命令ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外帝
國內ニ住所又ハ居所ヲ有スル代理人ニ依ルニ非サレハ特許ニ關スル出願
請求其ノ他ノ手續ヲ爲シ又ハ特許權若ハ特許ニ關スル權利ヲ主張スルコ
トヲ得ス
前項ノ特許權者又ハ特許ニ關スル權利ヲ有スル者ノ代理人ハ特ニ授ケラ
レタル權限ノ外本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ノ規定ニ因ル手續竝特
許ニ關スル民事訴訟、私訴及告訴ニ付本人ヲ代表ス
第十三條前條第二項ノ特許權者又ハ特許權ニ關シ登錄シタル權利ヲ有ス
ル者ノ代理人ノ選任若ハ變更又ハ其ノ代理權ノ變更若ハ消滅ハ登錄ヲ受
クルニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ス
前項ニ該當スルモノヲ除クノ外特許ニ關スル出願、請求其ノ他ノ手續ヲ
爲ス者ノ代理人ノ變更又ハ其ノ代理權ノ變更若ハ消滅ハ特許局ニ屆出ツ
ルニ非サレハ之ヲ以テ特許局ニ對抗スルコトヲ得ス
第十四條特許ニ關スル代理人數人アルトキハ特許局ニ對シテハ共同又ハ
各別ニ本人ヲ代表ス
第十五條特許局長ニ於テ特許ニ關スル代理人ヲ適當ナラスト認ムルトキ
ハ其ノ改任ヲ命スルコトヲ得
特許局長又ハ審判長ニ於テ當事者又ハ其ノ代理人カ手續又ハ演述ヲ爲ス
辨
ノ能力ナシト認ムルトキハ特許辯理士ヲ以テ代理セシムヘキコトヲ命ス
ルコトヲ得
前二項ノ命令アリタル後第一項ノ代理人又ハ第二項ノ當事者若ハ代理人
ノ特許局ニ對シテ爲シタル行爲ハ之ヲ無效ト爲スコトヲ得
辨
第十六條特許局ニ對シ爲スヘキ事項ノ代理業ハ特許崎理十二非サレハ之
ヲ行フコトヲ得ス
辨
特許辯理士ノ資格、登錄、監督、懲戒等ニ關スル事項ハ勅合ヲ以テ之ヲ
定ム
第十七條數人共同シテ特許ニ關スル出願、請求其ノ他ノ手續ヲ爲ス者又
ハ特許權ノ共有者ハ特許局ニ對シ各人互ニ代表スルモノトス但シ特ニ代
表者ヲ定メ特許局ニ屆出タルトキハ此ノ限ニ在ラス
第十三條第二項ノ規定ハ前項但書ノ代表者ニ之ヲ準用ス
第十八條特許權者ニシテ帝國內ニ住所ヲ有セサルトキハ第十二條ノ代理
人ノ住所又ハ居所、其ノ代理人ナキモノニ在リテハ特許局ノ所在地ヲ以
テ民事訴訟法第十七條ノ財產所在地ト看做ス
第十九條特許局長ハ外國又ハ遠隔若ハ交通不便ノ地ニ住居スル者ノ爲職
權ヲ以テ又ハ請求ニ依リ特許局ニ對シ手續ヲ爲スヘキ法定ノ期間ヲ延長
スルコトヲ得
第二十條特許ニ關シ出願、請求其ノ他ノ手續ヲ爲シタル者ニシテ法定又
ハ指定ノ期間ヲ懈怠シタルトキハ其ノ出願、請求其ノ他ノ手續ハ之ヲ無
效ト爲スコトヲ得
法定又ハ指定ノ期間ヲ懈怠シタル場合ニ於テ特許局長又ハ審判長宥恕ス
ヘキ障礙ニ因ルモノト認ムルトキハ其ノ障礙ノ止ミタル後十四日以內ニ
限リ請求ニ依リ懈怠ノ結果ヲ免レシムルコトヲ得但シ期間滿了後一年ヲ
經過シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第二十一條特許局ニ差出スヘキ書類其ノ他ノ物件ニ付差出ノ效力ヲ生ス
ヘキ時期ニ關シテハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十二條本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ規定シタル特許權者又ハ
特許ニ關スル權利ヲ有スル者ノ權利義務ハ其ノ特許權又ハ特許ニ關スル
權利ト共ニ移轉ス
本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ノ規定ニ依リ爲シタル手續ハ特許權者
又ハ特許ニ關スル權利ヲ有スル者ノ承繼人ニ對シ其ノ效力ヲ有ス
第二十三條特許局ニ事件ノ繫屬中ニ於テ特許權又ハ特許ニ關スル權利ノ
移轉アリタルトキハ承繼人ニ對シテ手續ヲ續行スルコトヲ得
第二十四條本法ニ規定スルモノノ外特許局ニ繫ル手續ノ中斷、中止及續
行ニ關シテハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十五條特許ニ關スル證明、特許證ノ複本、書類ノ謄本、圖面ノ調製
ハ書類ノ閱覽若ハ謄寫ヲ要スル者ハ其事由ヲ疏明シ特許局長ニ之ヲ請求
スルコトヲ得但シ特許局長ニ於テ祕密ヲ要スト認ムルモノハ之ヲ許可セ
ス
第二十六條軍事上祕密ヲ要スル發明ニ付テハ本法ニ規定スルモノノ外命
令ヲ以テ特別ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第二十七條外國人ニシテ帝國內ニ住所又ハ營業所ヲ有セサル者ハ條約又
ハ之ニ準スヘキモノニ規定アル場合ノ外特許權又ハ特許ニ關スル權利ヲ
享有スルコトヲ得ス
特許ニ關シ條約又ハ之ニ準スヘキモノニ別段ノ規定アルトキハ其ノ規定
二粒ノ
第二章特許權
第二十八條特許權ハ登錄ニ依リ發生ス
特許權者ハ物ノ特許發明ニ在リテハ其ノ發明ニ係ル物ヲ製作、使用、販
賣又ハ擴布スルノ權利ヲ專有シ方法ノ特許發明ニ在リテハ其ノ方法ヲ使
用シ及其ノ方法ニ依リテ製作シタル物ヲ使用、販賣又ハ擴布スルノ權利
ヲ專有ス
新規ナル同一ノ物ハ同一ノ方法ニ依リテ製作シタルモノト推定ス
同一發明ニ關シテハ特許權ハ其ノ出願前ノ出願ニ係ル實用新案權ニ依リ
制限ヲ受クルモノトス
第二十九條特許權ノ效力ハ左ノ各號ノ一ニ該當スルモノニ及ハス
-〓究又ハ試驗ノ爲ニスル特許發明ノ應用
二特許出願ノ際現ニ善意ニ帝國內ニ於テ其ノ發明實施ノ事業ヲ爲シ若
ハ設備ヲ有スル者又ハ其ノ承繼人ノ特許發明ノ實施
三單ニ帝國內ヲ通過スル運輸具及其ノ裝置
四特許出願ノ際ヨリ帝國內ニ在ル物及第一號又ハ第二號ニ依リ製作シ
タル物
第三十條特許權ノ存續期間ハ十五年トス但シ特許權カ分割セラレ又ハ
追加特許權カ獨立ノ特許權ト爲リタルトキハ其ノ存續期間ハ原特許權發
生ノ翌日ヨリ起算ス
前項ノ期間ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ三年以上十年以下之ヲ延長スルコト
ヲ得
第三十一條冒認シタル他人ノ發明ニ付受ケタル特許權ヲ無效トシ正當權
利者ニ特許ヲ與ヘタルトキハ其ノ特許權ハ無效ト爲リタル特許權發生ノ
日ニ於テ發生シタルモノト看做ス
第三十二條特許權ハ制限ヲ付シ又ハ付セスシテ之ヲ移轉スルコトヲ得
第三十三條特許權ノ移轉、抛棄ニ依ル消滅若ハ處分ノ制限又ハ特許權ヲ
目的トスル質權ノ設定、移轉、變更、消滅若ハ處分ノ制限ハ其ノ登錄ヲ
受クルニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ス
第三十四條追加特許權ハ原特許權ニ附隨スルモノトス
第三十五條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ原權利ノ範圍內ニ於テ特許發明
ヲ實施スルノ權利ヲ有ス
-特許カ第四十八條ノ規定ニ依リ無效ト爲リタル場合又ハ同一發明ニ
對スル二以上ノ特許中其ノ一カ無效ト爲リタル場合ニ於テ善意ナル
原特許權者
二前號ノ原特許權ニ付善意ニ使用又ハ實施ノ權利ヲ得テ登錄ヲ受ケタ
ル者
第三十六條前條ノ權利ハ特許發明實施ノ事業ト共ニスル場合ニ限リ移轉
スルモノトス
第三十三條ノ規定ハ前條ノ權利ニ之ヲ準用ス
第三十七條第三十五條ノ權利ハ其ノ發生後一年以內ニ登錄ヲ受クルニ非
サレハ消滅ス
第三十八條特許發明カ他人ノ特許發明又ハ登錄實用新案ヲ使用スルニ非
サレハ實施スルコト能ハサル場合ニ於テ特許權者又ハ實用新案權者正當
ノ理由ナクシテ其ノ使用ヲ許諾セサルトキ又ハ其ノ許諾ヲ得ルコト能ハ
サルトキハ審判ヲ請求スルコトヲ得但シ特許發明ノ使用ヲ要スル場合ニ
於テハ其ノ使用セラルヘキ發明ノ特許權發生ノ日ヨリ三年ヲ經過セサル
トキハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ規定ニ依リ特許發明ヲ使用セラルル者其ノ使用ヲ必要トスル相手
方ノ特許發明ニ付使用ノ許諾ヲ求メタル場合ニ於テ相手方カ正當ノ理由
ナクシテ其ノ使用ヲ許諾セサルトキ又ハ其ノ許諾ヲ得ルコト能ハサルト
キハ審判ヲ請求スルコトヲ得
○第一項又ハ第○又ハ登錄實用新案
勵ニ二テヲ規定一依ノ他人ノ特許發開ラヲ使用スル者ハ特許權者、實用新
案權者其ノ他特許權又ハ實用新案權ニ關シ登錄シタル權利ヲ有スル者ニ
對シ相當ノ補償金ヲ支拂フヘシ
第三十九條前條ノ規定ニ依リ他人ノ特許發明又ハ登錄實用新案ヲ使用セ
ムトスル者ハ補償金ノ支拂又ハ供託ヲ爲スニ非サレハ其ノ使用ヲ爲スコ
トヲ得ス但シ審決又ハ判決確定前ト雖其ノ審決又ハ判決ニ依ル補償金ヲ
供託シタルトキハ其ノ使用ヲ爲スコトヲ得
第四十條特許權者ハ特許發明ノ實施ヲ他人ニ許諾スルコトヲ得
前項ノ實施許諾ヲ得タル者ハ特許權者ノ承諾アルニ非サレハ其ノ實施權
ヲ讓渡スルコトヲ得ス但シ發明實施ノ事業ト共ニスル場合ハ此ノ限ニ在
ラス
第四十一條特許發明ニ付使用ノ許諾、審決、判決又ハ實施許諾ヲ得タル
者ニシテ其ノ登錄ヲ受クルトキハ其ノ使用權又ハ實施權ハ爾後其ノ特許
權ヲ取得シタル者又ハ其ノ特許權ヲ目的トシテ設定シタル質權ヲ取得シ
タル者ニ對シテモ其ノ效力ヲ生ス
第四十二條特許權者特許發明ノ明細書又ハ圖面ノ不完全ニ作製セラレタ
ルコトヲ發見シタルトキハ特許權改訂ノ許可ヲ受クルコトヲ得
特許權者特許發明ヲ分割シテ二以上ノ特許權ト爲サムトスルトキハ特許
權分割ノ許可ヲ受クルコトヲ得但シ其ノ各部分カ特許出願ノ當時獨立シ
テ新規ノ發明ヲ爲ササルモノナルトキハ此ノ限ニ在ラス
前二項ノ場合ニ於テハ改訂又ハ分割前ノ發明ノ要部ヲ變更スルコトヲ得ス」
特許權ノ改訂及分割ハ登錄ニ依リ其ノ效力ヲ生ス
第四十三條特許權ハ其ノ制限付讓渡ヲ受ケタル者、實施許諾ヲ得タル者
又ハ質權者ノ承諾ヲ得ルニ非サレハ之ヲ改訂シ又ハ抛棄スルコトヲ得ス
第四十四條軍事上祕密ヲ要シ又ハ軍事上若ハ公益上必要ナル場合ニ於テ
ハ特許權ハ之ヲ制限シ又ハ政府ニ於テ之ヲ收用シ、特許ハ之ヲ取消シ又
ハ政府ニ於テ其ノ發明ヲ實施スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ政府ハ相當ノ補償金ヲ特許權者又ハ特許發明ヲ使用若
ハ實施スルノ權利ヲ有スル者ニ支給ス
第四十五條先取特權又ハ質權ハ本法ニ依リ受クヘキ補償金其ノ他特許權
ノ對價又ハ特許發明ノ使用若ハ實施ニ對シテ受クヘキ金錢若ハ金錢以外
ノ物ニ對シテモ之ヲ行フコトヲ得但シ其ノ拂渡又ハ引渡前ニ差押ヲ爲ス
ヘシ
第四十六條特許權ノ收用アリタルトキハ其ノ特許發明ニ關スル特許權以
外ノ權利ハ消滅ス
第四十七條正當ノ理由ナクシテ特許權發生後三年以上其ノ發明ヲ帝國內
ニ於テ適當ニ實施セス又ハ三年以上其ノ實施ヲ中止シタル場合ニ於テハ
特許局長ハ利害關係人ノ請求ニ依リ又ハ職權ヲ以テ其ノ特許ヲ取消スコ
トヲ得
前項ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ訴願ヲ提起スルコト
ヲ得
第四十八條權利確認ノ査定若ハ之ニ對スル審決確定シ又ハ判決アリタル
爲出願カ特許又ハ許可スヘキモノト決定シタルトキハ其ノ牴觸スル發明
ニ係ル特許ハ之ヲ無效トス
第四十九條特許又ハ特許權ノ改訂若ハ分割ノ許可カ左ノ各號ノ一ニ該當
スルトキハ審判ニ依リ之ヲ無效ト爲スヘシ
-特許カ第一條乃至第三條、第六條、第九條、第十條第二項又ハ第二
十七條ノ規定ニ反シタルトキ
二特許カ特許ヲ受クルノ權利ヲ冒認シタル者ニ對シテ與ヘラレタルトキ
三特許權ノ分割シタル部分カ特許出願ノ當時獨立シテ新規ノ發明ヲ爲
ササルトキ又ハ特許權ノ改訂若ハ分割カ第四十二條第三項ノ規定ニ
反シタルトキ
四發明ノ明細書ニ其ノ實施ニ必要ナル事項ヲ故意ニ記載セス又ハ其ノ
實施ヲ不能若ハ困難ナラシムル爲必要ナラサル事項ヲ故意ニ記載シ
タルトキ
特許又ハ許可ハ特許權消滅後ト雖之ヲ無效ト爲スコトヲ妨ケス
第五十條特許無效ト爲リタルトキハ特許權ハ初メヨリ存在セサルモノ
ト看做ス
特許ノ取消アリタルトキハ特許權ハ以後其ノ效力ヲ失フ
第五十一條特許權ハ相續人ナキトキハ消滅ス
第五十二條特許カ取消サレ若ハ無效ト爲リ又ハ特許權カ抛棄ニ依リ消滅
シタル場合ニ於テ追加特許權アルトキハ其ノ追加特許權ハ獨立ノ特許權
ト爲ル
前項ノ場合ニ於テ獨立ノ特許權ト爲リタルモノニ係ル追加特許權アルト
キハ其ノ追加特許權ハ獨立ト爲リタル特許權ノ追加特許權ト爲ル
前二項ノ場合ニ於テハ六十日以內ニ變更ノ登錄ヲ受クルニ非サレハ第一
項ノ特許權又ハ前項ノ追加特許權ハ消滅ス
第三章登錄、特許證、公報、特許標記及特許料
第五十三條特許局ニ特許原簿ヲ備ヘ特許權及之ヲ目的トスル質權ノ設
定、變更、移轉、消滅、處分ノ制限其ノ他法令ニ定ムル事項ヲ登錄ス
登錄ニ關スル規程ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十四條特許スヘシトノ査定若ハ審決確定シ又ハ判決アリタルトキハ
之ヲ特許原簿ニ登錄シ特許證ヲ下付ス特許權ノ改訂又ハ分割ヲ許可スヘ
シトノ査定若ハ審決確定シ又ハ判決アリタルトキ亦同シ
第五十五條特許局ハ特許發明ノ明細書及特許公報ヲ發行シ特許發明及之
ニ關スル必要ナル事項ヲ記載スヘシ但シ祕密ヲ要スル特許發明ニ付テハ
此ノ限ニ在ラス
第五十六條特許權者又ハ特許發明ニ付實施ノ權利ヲ有スル者ハ其ノ特許
ニ係ル物ニ特許標記ヲ付スヘシ物ノ性質ニ依リ之ヲ付スルコト能ハサル
トキハ其ノ容器、包裝等ニ之ヲ付スヘシ
特許權者ハ特許發明ニ付使用若ハ實施ノ權利ヲ有スル者又ハ第二十九條
ヘキ
第一號若ハ第二號ノ應用若ハ實施ヲ爲ス者ニ對シ特許標記ヲ付スoルコ
トヲ請求スルコトヲ得
特許標記ヲ付スルコトヲ怠リタル爲特許ニ係ル物ナルコトヲ知ラスシテ
其ノ權利ヲ侵害シタル者ニ對シテハ要償ノ訴ヲ爲スコトヲ得ス
前三項ノ規定ハ特許ニ係ル物ノ一部ヲ分離シテ販賣又ハ擴布スル場合ニ
於テ其ノ分離シテ販賣又ハ擴布スル物ニ之ヲ準用ス
第五十七條特許權ノ登錄ヲ受クル者及特許證主ハ特許料トシテ每件左ノ
金額ヲ納付スヘシ
-第一年乃至第三年分登錄ヲ受クルトキ一時金二十圓
二第四年乃至第六年每年金十圓
三第七年乃至第九年每年金十五圓
四第十年乃至第十二年每年金二十圓
五第十三年乃至第十五年每年金二十五圓
特許權存續期間延長ノ登錄ヲ受クル者及其ノ特許證主ハ特許料トシテ每
件左ノ金額ヲ納付スヘシ
第一年乃至第三年分登錄ヲ受クルトキ一時金百五十圓
二第四年乃至第六年每年金七十圓
三第七年乃至第十年每年金百圓
追加特許權ノ登錄ヲ受クル者ハ追加特許料トシテ登錄ヲ受クルトキ每件
一時金十五圓ヲ納付スヘシ
特許權存續期間延長ノ場合ニ於テ追加特許權アルトキハ第二項第一號ノ
特許料ニ每件金三十圓ヲ加フ
前四項ノ規定ハ國ニ屬スル特許權ニ付之ヲ適用セス
第五十八條每年ノ特許料ハ其ノ翌年分ヲ前納スヘシ但シ數年分ヲ前納ス
ルコトヲ妨ケス
特許料又ハ追加特許料ヲ納付スヘキ者カ發明者又ハ其ノ相續人ニシテ之
ヲ納付スルノ資力ナシト認ムル場合ニ於テハ前條第一項第一號ノ特許料
又ハ追加特許料ハ二年以內其ノ納付ヲ猶豫シ又ハ之ヲ減免スルコトヲ得
第五十九條利害關係人ハ特許料又ハ追加特許料ヲ納付スヘキ者ニ代リ之
ヲ納付スルコトヲ得
第六十條既納ノ特許料及追加特許料ハ之ヲ還付セス
第六十一條特許料ノ納付ヲ怠リタルトキハ特許ヲ取消スコトヲ得追加特
許料ノ納付ヲ怠リタルトキ其ノ追加特許ニ付亦同シ
第四章審査及再審査
第六十二條特許ノ出願又ハ特許權ノ改訂若ハ分割許可ノ出願アリタルト
キハ審査官ヲシテ之ヲ査定セシム
前項ノ査定ハ第六十三條ノ場合ヲ除クノ外特許スヘキヤ否又ハ許可スヘ
キヤ否ヲ決定ス
第六十三條審査官ハ出願ニ係ル發明カ他人ノ出願ニ係ル發明又ハ特許發
明ト牴觸スト認メタル場合ニ於テハ發明牴觸ノ査定ヲ爲スヘシ但シ特許
權ハ許可ヲ拒絕スヘキ他ノ理由アリト認メタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第六十四條發明牴觸ノ査定確定シ又ハ審決アリタルトキハ審査官ヲシテ
出願者ノ權利確認ノ査定ヲ爲サシム
前項ノ場合ニ於テ特許局長ハ出願者又ハ特許權者ヲシテ權利ニ關スル始
末書ヲ差出サシムヘシ
前項始末書ノ差出アリタルトキハ特許局長ハ之ヲ相手方ニ送達シ答辯書
ヲ差出サシムヘシ
第七十一條第二項及第七十六條ノ規定ハ權利確認ノ査定ニ之ヲ準用ス
權利確認ノ査定ニ於テハ出願者カ特許權ハ許可ヲ受クヘキ正當權利者ナ
リヤ否ヲ決定シ其ノ出願ニ對スル許否ヲ表示スヘシ
第六十五條第六十二條第二項ノ査定又ハ發明牴觸ノ査定ニ不服アル者ハ
査定ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ六十日以內ニ不服理由書ヲ差出シ再審査ヲ
請求スルコトヲ得
再審査ノ請求アリタルトキハ前審査ニ干與セサル審査官ヲシテ更ニ之ヲ
査定セシム
第六十六條査定ニハ理由ヲ付スヘシ
第六十七條審査又ハ再審査ニ關シ必要ナル場合ニ於テハ職權ヲ以テ又ハ
當事者ノ申立ニ依リ證據調ヲ爲スコトヲ得
證據調ニ關シテハ民事訴訟法中證據調ニ關スル規定ヲ準用ス但シ特許局
ニ於テ爲ス證據調ニ關シテハ罰金ノ言渡ヲ爲シ又ハ勾引ヲ命スルコトヲ
得ス
證據調ハ所要ノ事務ヲ取扱フヘキ地ノ區裁判所其ノ他區裁判所ノ事務ヲ
行フ官廳ニ之ヲ囑託スルコトヲ得
第六十八條本法ニ規定スルモノノ外審査又ハ再審査ニ關スル書類ニシテ
送達スヘキモノ及送達ニ關スル規程ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五章審判、抗〓審判及出訴
第六十九條審判ハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル勅令ニ規定スルモノノ外
左ニ揭クル事項ニ付之ヲ請求スルコトヲ得
-第四十九條ノ規定ニ依ル特許又ハ許可ノ無效
二特許權ノ範圍ノ確認
審判ノ請求ハ審査官又ハ利害關係人ニ限リ之ヲ爲スコトヲ得但シ審査官
ハ前項第二號ノ審判及第三條、第九條又ハ第十條第二項ノ規定ニ反スト
ノ理由ニ依ル前項第一號ノ審判ヲ請求スルコトヲ得ス
第七十條審判ノ請求ハ審判請求書ヲ差出シテ之ヲ爲スヘシ
審判請求書ニハ一定ノ申立及理由ヲ記載スヘシ
第七十一條審判請求書ヲ受理シタルトキハ其ノ副本ヲ被請求人ニ送達シ
期間ヲ指定シテ答辯書ヲ差出サシメ其ノ答辯書ヲ受理シタルトキハ其ノ
副本ヲ相手方ニ送達スヘシ
審判ニ關シテハ當事者ノ差出シタル書類ニ對シ相手方ヲシテ答辯書ヲ差
出サシメ又ハ當事者ニ訊問書ヲ發シテ之ニ對スル意見書ヲ差出サシムル
コトヲ得
第七十二條審判ハ審判官三人ノ合議ニ依リ之ヲ行フ
合議ハ過半數ニ依リ之ヲ決ス
審判長ハ審判官中ノ上席者ヲ以テ之ニ充ツ
審判長ハ各審判事件ニ關スル事務ヲ掌理ス
第七十三條審判官ハ各審判事件ニ付之ヲ指定ス
審判官中審判ニ干與スルニ故障アル者アルトキハ其ノ指定ヲ解キ更ニ他
ノ審判官ヲ以テ之ヲ補充ス
第七十四條審判官ハ左ノ場合ニ於テ審判ニ干與スルコトヲ得ス
-當事者カ自己又ハ親族ナルトキ
二當事者ノ法定代理人若ハ保佐人タルトキ又ハ法定代理人若ハ保佐人
タリシトキ
三其ノ事件ニ付當事者ノ代理人タルトキ又ハ代理人タリシトキ
四其ノ事件ニ付利害關係ヲ有スルトキ
五其ノ事件ニ付審査官トシテ審査ニ干與シタルトキ
第七十五條審判長ハ職權ヲ以テ又ハ當事者ノ申立ニ依リ口頭審理ヲ爲ス
コトヲ得
口頭審理ハ之ヲ公開ス但シ公益又ハ風俗ヲ害スルノ虞アルトキハ此ノ限
ニ在ラス
第七十六條請求人又ハ被請求人カ法定若ハ指定ノ期間內ニ手續ヲ爲サス
又ハ期日ニ出頭セサルトキハ審判長ハ審判ヲ進行スルコトヲ得
第七十七條審判ノ結果ニ付利害關係ヲ有スル者ハ其ノ審判ノ終結スル迄
請求人又ハ被請求人ノ一方ヲ補助スル爲其ノ審判ニ參加スルコトヲ得
參加人ハ其ノ參加ノ時ニ於ケル審判ノ程度ヲ妨ケサル限リ審判ニ關スル
總テノ行爲ヲ爲スコトヲ得但シ其ノ補助スル當事者ノ行爲ト牴觸スルモ
ノハ其ノ效力ヲ有セス
第七十八條參加ヲ爲サムトスル者ハ參加請求書ヲ審判長ニ差出スヘシ
審判長前項ノ請求書ヲ受理シタルトキハ之ヲ當事者ニ送達スヘシ
當事者ハ參加ニ付指定ノ期間內ニ異議ヲ申立ツルコトヲ得
參加ノ許否ハ決定ヲ以テ之ヲ審判ス
第七十九條審判ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外審決ヲ以テ之ヲ終結
ス
審決ニハ理由ヲ付スヘシ
第八十條第三十八條ノ規定ニ依ル審判ニ於テハ補償金額ニ付テモ亦之
ヲ審決スヘシ
第八十一條審判ノ審決、權利確認ノ査定又ハ再審査ノ査定ニ不服アル者
ハ審決又ハ査定ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ六十日以內ニ抗〓審判ヲ請求ス
ルコトヲ得但シ前條ノ審決ニ依ル補償金額ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第八十二條第七十條乃至第七十九條ノ規定ハ抗告審判ニ之ヲ準用ス但シ
審判官三人又ハ五人ノ合議ニ依ル
審判ニ干與シタル審判官ハ同一事件ニ付抗〓審判ニ干與スルコトヲ得ス
第八十三條抗告審判ニ於テハ自ラ其ノ事件ニ付審決ヲ爲スヘシ
再審査ノ査定ニ對スル抗告審判ニ於テハ單ニ其ノ査定ヲ破毀シ更ニ審査
ニ付スヘシトノ審決ヲ爲スコトヲ得其ノ破毀ノ基本ト爲シタル理由ハ其
ノ事件ニ付テハ審査官ヲ覊束ス
發明牴觸ノ査定ニ對スル抗〓審判ニ於テ其ノ牴觸ナシト認メタルトキハ
出願ニ對シ特許又ハ許可スヘキコトヲモ併セテ審決スヘシ
第八十四條第六十七條及第六十八條ノ規定ハ審判及抗告審判ニ之ヲ準用
ス
第八十五條抗〓審判ノ審決ニ不服アル者ハ其ノ審判カ法令ニ違背シタル
コトヲ理由トスル場合ニ限リ審決ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ六十日以內ニ
大審院ニ出訴スルコトヲ得但シ再審査ノ査定ニ對スル審決ニ付テハ此ノ
限ニ在ラス
前項ノ出訴及裁判ニ付テハ民事訴訟ノ上告及其ノ裁判ニ關スル規定ヲ準
用ス
大審院ノ判決ニ於テ審決破毀ノ基本ト爲シタル理由ハ其ノ事件ニ付テハ
特許局ヲ覊東ス
第八十六條本法ニ依ル補償金額ニ付不服アル者ハ補償金額ノ通知又ハ審
決ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ六十日以内ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第八十七條特許ノ效力又ハ特許權ノ範圍ニ關スル確定審決又ハ判決ノ登
錄アリタルトキハ何人ト雖同一事實及同一證據ニ基キ同一審判ヲ請求ス
ルコトヲ得ス
第八十八條民事又ハ刑事ノ訴訟ニ付特許權ノ效力又ハ範圍ニ關シ査定、
審決又ハ判決ヲ待ツノ必要アル場合ニ於テハ裁判所ハ其ノ訴訟手續ヲ中
止スルコトヲ得
第八十九條審判及抗〓審判ニ關スル費用ノ負擔ハ本案ノ審決ヲ以テ之ヲ
定ム
審判、抗告審判及出訴ノ費用額ハ請求ニ依リ特許局長之ヲ決定ス
第九十條前條ノ費用ノ負擔及費用額ニ關シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第九十一條審判、抗告審判及出訴ノ費用額ノ決定及本法ニ規定スル補償
金額ノ確定審判ハ强制執行ニ關シテハ公證人ノ作リタル債務名義ト看做
ス但シ其ノ執行力アル正本ハ特許局官吏之ヲ付與ス
第六章罰則
第九十二條他人ノ特許權ヲ侵害シタル者ハ五年以下ノ懲役又ハ千圓以下
ノ罰金ニ處ス
他人ノ特許權ヲ侵害スヘキ物ヲ輸入シタル者ハ罰前項ニ同シ
前二項ノ罪ハ〓訴ヲ待テ之ヲ論ス
第九十三條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ三年以下ノ懲役又ハ五百圓以下
ノ罰金ニ處ス
-詐僞ノ所爲ヲ以テ特許ヲ受ケタル者
二特許ニ係ラサル物又ハ其ノ容器、包裝等ニ特許標記ヲ付シ若ハ之ニ
紛ハシキ表示ヲ爲シタル者又ハ其ノ物ヲ販賣若ハ擴布シタル者
三特許ニ係ラサル物若ハ方法ヲ販賣若ハ擴布スル爲又ハ特許ニ係ラサ
ル方法ヲ使用セシムル爲廣〓、看板、引札等ニ其ノ物若ハ方法カ特
許ニ係ルコトヲ表示シ又ハ之ニ紛ハシキ表示ヲ爲シタル者
第九十四條第九十二條ノ犯罪ニ因リ沒收スルコトヲ得ヘキ物ニ付判決言
渡前被害者ヨリ請求アリタルトキハ之ヲ相當ノ代價ニ見積リ被害者ニ交
付スル言渡ヲ爲スヘシ
損害ノ額カ交付ヲ受ケタル物ノ見積代價ニ超過スルトキハ被害者ハ其ノ
差額ニ限リ賠償ノ請求ヲ爲スコトヲ得
第九十五條法律ニ依リ宣誓シタル證人若ハ鑑定人又ハ通事ニシテ特許局
又ハ其ノ囑託ヲ受ケタル裁判所若ハ官廳ニ對シ虛僞ノ陳述ヲ爲シタルト
キハ三年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者事件ノ査定又ハ審決ニ至ラサル前自白シタルトキ
ハ其ノ刑ヲ減輕又ハ免除スルコトヲ得
第九十六條特許局ヨリ證人、鑑定人又ハ通事トシテ呼出サレタル者正當
ノ理由ナクシテ呼出ニ應セス又ハ其ノ義務ヲ盡ササルトキハ四十圓以下
ノ罰金ニ處ス
辨
第九十七條特許聯理士ニ非スシテ特許ニ關スル代理業ヲ營ミタル者ハ一
年以下ノ懲役又ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
第七章附則
第九十八條本法施行ノ期日ハ勅合ヲ以テ之ヲ定ム
第九十九條從前ノ規定ニ依ル特許ハ本法ニ依リ受ケタルモノト看做ス
第百條本法施行前ニ發生シタル特許權ニ關シテハ第九條第二項ノ規定
ハ本法施行ノ日ヨリ一年間之ヲ適用セス
辨
第百一條本法施行ノ際現ニ特許代理業者タル者ハ特許辯理士トス
第百二條第三十五條ノ規定ハ本法施行前無效ト爲リタル特許ニ關シテハ
之ヲ適用セス
第四十條第二項ノ規定ハ本法施行前發生シタル實施權ニ關シテハ之ヲ適
用セス
第百三條舊法第十六條又ハ第十七條ノ報酬額ニ不服アル者ハ本法施行後
六十日以内ニ限リ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百四條本法施行前受ケタル特許ニ關スル第三年分迄ノ特許料ニ付テハ
舊法ノ規定ニ依ル
前項ノ特許料ヲ除クノ外本法施行前二年分以上前納シタル特許料ニ付テ
ハ其ノ未タ納期ニ至ラサルモノニ限リ本法ニ依リ納付スヘキ特許料ニ比
シテ殘餘アルトキハ順次之ヲ後年分ニ充テ尙殘餘アルトキハ之ヲ還付
ス
本法施行前前納ニ係ル特許料ニ付テハ舊法第四十條第二項但書ノ規定ハ
仍其ノ效力ヲ有ス
前二項ノ規定ニ依リ還付ヲ受ケムトスル者ハ本法施行後一年以內ニ限リ
之ヲ請求スルコトヲ得
第百五條舊法ニ依リ利害關係人以外ノ者ノ爲シタル審判ノ請求ハ本法施
行ノ爲其ノ效力ヲ失フコトナシ
第百六條本法施行ノ際現ニ繫屬スル審判ニシテ其ノ事件カ本法ノ抗〓審
判事件ニ該當スルモノナルトキハ抗告審判ヲ以テ之ヲ處理スヘシ
本法施行前ノ審決ニシテ其ノ事件カ本法ノ抗告審判事件ニ該當スルモノ
ナルトキハ出訴ニ關シテハ之ヲ抗〓審判ノ審決ト看做ス
意匠法改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治四十二年三月十六日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
小字ハ衆議院ノ修正
ハ同削除ノ符號
意匠法
第一條物品ニ應用スヘキ形狀、模樣、色彩又ハ其ノ結合ニ係ル新規ナル
工業的意匠ヲ案出シタル者ハ本法ニ依リ意匠ノ登錄ヲ受クルコトヲ得
第二條職務上又ハ契約上爲シタル意匠ニ付登錄ヲ受クルノ權利ハ勤務規
程又ハ契約ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外其ノ職務ヲ執行セシムル者又
ハ使用者ニ屬ス
職務ノ執行又ハ契約ノ履行ニ依ル勤務中公務員又ハ被用者ノ爲シタル考
案ニシテ職務上又ハ契約上爲シタルモノニ非サル意匠ニ付案出前豫メ登
錄ヲ受クルノ權利又ハ意匠權ヲ讓渡セシムルコトヲ定メタル勤務規程又
ハ契約ノ條項ハ之ヲ無效トス
本條ニ於テ公務員ト稱スルハ刑法第七條第一項ノ公務員ヲ謂フ
第三條本法ニ於テ新規ト稱スルハ左ノ各號ニ該當セサルモノヲ謂フ
-登錄出願前帝國內ニ於テ公然知ラレ若ハ公然用ヰラレタルモノ又ハ
之ニ類似スルモノ
二登錄出願前容易ニ應用スルコトヲ得ヘキ程度ニ於テ帝國內ニ頒布セ
ラレタル刊行物ニ記載セラレタルモノ又ハ之ニ類似スルモノ
同一物品ニ應用スヘキ意匠ニシテ自己ノ登錄意匠ノミニ類似スルモノハ
新規ト看做ス
第四條左ニ揭クル意匠ニ付テハ之ヲ登錄セス
-菊花御紋章ト同一又ハ類似ノ形狀又ハ模樣ヲ有スルモノ
二秩序若ハ風俗ヲ紊リ又ハ世人ヲ欺瞞スルノ虞アルモノ
第五條同一物品ニ應用スヘキ同一又ハ類似ノ意匠ニ付各別ニ登錄ヲ受ク
ルノ權利ヲ有スル者二人以上アルトキハ最先ニ出願ヲ爲シタルモノニ限
リ登錄ス其ノ同日ノ出願ニ係ルトキハ關係者ノ協議ニ依リ協議調ハサル
トキハ共ニ之ヲ登錄セス
第六條意匠ノ登錄ヲ受クルノ權利ハ之ヲ移轉スルコトヲ得但シ擔保ニ供
スルコトヲ得ス
登錄ヲ受クルノ權利ノ承繼ハ登錄出願前ニ在リテハ登錄ヲ出願シ登錄出
願後ニ在リテハ出願人ノ名義變更ヲ屆出ルニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ
對抗スルコトヲ得ス但シ同日ノ出願又ハ屆出ニ係ルトキハ關係者ノ協議
○第三者ニ
ニ依リ協議調ハサルトキハ共ニ○對抗スルコトヲ得ス
第七條實用新案ノ登錄ノ出願ヲ爲シ登錄スヘカラストノ査定ヲ受ケタル
者其ノ最初ノ査定ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內ニ其ノ實用新案ニ
係ル意匠ニ付登錄ヲ出願シタルトキハ實用新案ノ登錄ヲ出願シタル日ニ
於テ出願シタルモノト看做ス
第八條意匠權ハ登錄ニ依リ發生ス
意匠權者ハ登錄出願ノ際指定シタル物品ニ付業トシテ其ノ意匠ヲ應用シ
又ハ之ヲ應用シタル物品ヲ販賣若ハ擴布スルノ權利ヲ專有ス
同一物品ニ應用スヘキ互ニ相類似スル意匠ノ意匠權ハ最先ニ發生シタル
意匠權ト合體スルモノトス
同一又ハ類似ノ意匠ニ關シテハ意匠權ハ其ノ出願前ノ出願ニ係ル實用新
案權ニ依リ制限ヲ受クルモノトス
第九條意匠權ノ存續期間ハ十年トス
第十條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ原權利ノ範圍内ニ於テ登錄意匠ヲ實
施スルノ權利ヲ有ス
同一又ハ類似ノ意匠ニ對スル二以上ノ登錄中其ノ一カ無效ト爲リタ
ル場合ニ於テ善意ナル原意匠權者
二前號ノ原意匠權ニ付善意ニ實施ノ權利ヲ得テ登錄ヲ受ケタル者
特許法第三十六條及第三十七條ノ規定ハ前項ノ權利ニ之ヲ準用ス
第十一條意匠權ハ其意匠ヲ應用スル物品ニ依リ分割シテ之ヲ移轉スルコ
トヲ得
第十二條意匠ノ登錄カ第一條、第二條、第四條、第五條、第六條第二項又ハ
第二十三條ノ規定ニ反シタルトキハ審判ニ依リ之ヲ無效ト爲スヘシ登錄
カ登錄ヲ受クルノ權利ヲ冒認シタル者ニ對シ爲シタルモノナルトキ亦同
第十三條登錄スヘシト査定アリタルトキハ意匠原簿ニ登錄シ意匠登錄證
ヲ下付ス
第十四條登錄スヘシトノ査定ヲ受ケタル者又ハ意匠登錄證主ハ意匠料ト
シテ每件左ノ金額ヲ納付スヘシ
-第一年乃至第三年分登錄ヲ受クルトキ一時金三圓
二第四年乃至第十年每年金二圓
同一物品ニ應用スヘキ互ニ相類似スル意匠ニ付テハ其ノ內ノ一ハ前項ノ
意匠料ヲ、其ノ他ハ各意匠ニ付一時金一圓ヲ納付スヘシ
第十五條意匠ノ登錄ヲ出願スル者ハ各意匠ニ付命令ノ定ムル類別內ニ於
テ其ノ意匠ヲ應用スヘキ物品ヲ指定スヘシ
第十六條意匠登錄ノ出願ヲ爲ス者ハ出願中及登錄後三年以內其ノ意匠ヲ
祕密ニセムコトヲ請求スルコトヲ得
第十七條意匠登錄ノ出願アリタルトキハ審査官ヲシテ之ヲ查定セシム
第十八條審査官ハ第四條、第五條、第六條第二項及第二十三條ノ規定ニ依
リ出願ニ係ル意匠カ登錄スヘキモノナリヤ否ニ付査定スヘシ但シ第一條
又ハ第二條ノ規定ニ該當セサルコトヲ發見シタルトキハ之ヲ理由トシテ
登錄拒絕ノ査定ヲ爲スヘシ
第十九條登錄拒絕ノ査定ニ不服アル者ハ査定ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ三
十日以內ニ不服理由書ヲ差出シ再審査ヲ請求スルコトヲ得
前項ノ請求アリタルトキハ前審査ニ干與セサル審査官ヲシテ更ニ之ヲ査
定セシム
前條但書ニ依ル査定ニ不服アル者再審査ノ請求ヲ爲シタル場合ニ於テハ
審査官ハ其ノ理由ニ付テモ亦審査スヘシ
第二十條審判ハ左ニ揭クル事項ニ付之ヲ請求スルコトヲ得
-第十二條ノ規定ニ依ル登錄ノ無效
二意匠權ノ範圍ノ確認
審判ノ請求ハ審査官又ハ利害關係人ニ限リ之ヲ爲スコトヲ得但シ審査官
ハ前項第二號ノ審判及第二條、第五條又ハ第六條第二項ノ規定ニ反スト
ノ理由ニ依ル前項第一號ノ審判ヲ請求スルコトヲ得ス
審査官ノ請求ニ依ル審判ニ關シテハ其ノ手續ヲ省略スルコトヲ得
第二十一條審判ノ審決ニ不服アル者ハ審決ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ六十
日以内ニ抗〓審判ヲ請求スルコトヲ得
第二十二條特許法第八條、第十二條乃至第十五條、第十六條第一項、第
十七條乃至第二十五條、第二十九條、第三十二條、第三十三條、第四十
條第四十一條、第四十三條、第四十五條、第四十九條第二項、第五十
條第五十一條、第五十三條、第五十六條、第五十八條第一項、第五十
九條乃至第六十一條、第六十六條乃至六十八條、第七十條乃至第七十九
條第八十二條、第八十三條第一項、第八十四條、第八十五條及第八十
七條乃至第九十一條ノ規定ハ意匠ニ關シ之ヲ準用ス
第二十三條外國人ニシテ帝國內ニ住所又ハ營業所ヲ有セサル者ハ條約又
ハ之ニ準スヘキモノニ規定アル場合ノ外意匠權又ハ意匠ニ關スル權利ヲ
享有スルコトヲ得ス
意匠ニ關シ條約又ハ之ニ準スヘキモノニ別段ノ規定アルトキハ其ノ規定
一匹シノ
第二十四條他人ノ登錄意匠ト同一若ハ類似ノ意匠ヲ業トシテ同一ノ物品
ニ應用シタル者又ハ其ノ物品ヲ業トシテ販賣若ハ擴布シタル者ハ三年以
下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
他人ノ登錄意匠ト同一若ハ類似ノ意匠ヲ應用シタル同一物品ヲ業トシテ
輸入シタル者又ハ其ノ物品ヲ業トシテ販賣若ハ擴布シタル者ハ罰前項ニ
同シ
前二項ノ罪ハ〓訴ヲ待テ之ヲ論ス
第二十五條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ一年以下ノ懲役又ハ三百圓以下
ノ罰金ニ處ス
一詐僞ノ所爲ヲ以テ意匠ノ登錄ヲ受ケタル者
二登錄意匠ヲ應用セサル物品又ハ其ノ容器、包裝等ニ意匠登錄ノ標記
ヲ付シ若ハ之ニ紛ハシキ表示ヲ爲シタル者又ハ其ノ物品ヲ販賣若ハ
擴布シタル者
三登錄意匠ヲ應用セサル物品ヲ販賣又ハ擴布スル爲廣〓、看板、引札
等ニ其ノ物品カ登錄意匠ヲ應用シタルモノナルコトヲ表示シ又ハ之
ニ紛ハシキ表示ヲ爲シタル者
第二十六條第二十四條ノ犯罪ニ因リ沒收スルコトヲ得ヘキ物ニ付判決言
渡前被害者ヨリ請求アリタルトキハ之ヲ相當ノ代價ニ見積リ被害者ニ交
付スル言渡ヲ爲スヘシ
損害ノ額カ交付ヲ受ケタル物ノ見積代價ニ超過スルトキハ被害者ハ其ノ
差額ニ限リ賠償ノ請求ヲ爲スコトヲ得
第二十七條法律ニヨリ宣誓シタル證人若ハ鑑定人又ハ通事ニシテ特許局
又ハ其ノ囑託ヲ受ケタル裁判所若ハ官廳ニ對シ虛僞ノ陳述ヲ爲シタルト
キハ三年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者事件ノ査定又ハ審決ニ至ラサル前自白シタルトキ
ハ其ノ刑ヲ輕減又ハ免除スルコトヲ得
第二十八條特許局ヨリ證人、鑑定人又ハ通事トシテ呼出サレタル者正當
ノ理由ナクシテ呼出ニ應セス又ハ其ノ義務ヲ盡ササルトキハ四十圓以下
ノ罰金ニ處ス
辨
第二十九條特許隔理士ニ非スシテ意匠ニ關スル代理業ヲ營ミタル者ハ一
年以下ノ懲役又ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十條ノ規定ハ本法施行前無效ト爲リタル意匠ノ登錄ニ關シテハ之ヲ適用
セス
特許法第九十九條、第百二條第二項、第百五條及第百六條ノ規定ハ意匠ニ
關シ之ヲ準用ス
商標法改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治四十二年三月十六日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
小字ハ衆議院ノ修正
ハ同削除ノ符號
商標法
第一條自己ノ生產、製造、加工、選擇、證明、取扱又ハ販賣ノ營業ニ係
ル商品ナルコトヲ表彰スル爲商標ヲ專用セムトスル者ハ本法ニ依リ商標
ノ登錄ヲ受クルコトヲ得
登錄ヲ受クルコトヲ得ヘキ商標ハ文字、圖形、記號又ハ其ノ結合ニシテ
特別顯著ナルモノナルコトヲ要ス
商標ハ之ニ施スヘキ色ヲ限定シテ登錄ヲ受クルコトヲ得
第二條左ニ揭クル商標ニ付テハ之ヲ登錄セス
菊花御紋章ト同一又ハ類似ノ圖形ヲ有スルモノ
二國旗、軍旗、勳章、褒章、記章若ハ外國ノ國旗ト同一又ハ類似ノモノ
三秩序若ハ風俗ヲ紊リ又ハ世人ヲ欺瞞スルノ虞アルモノ
四同一商品ニ慣用スル標章ト同一又ハ類似ノモノ
五世人ノ周知スル他人ノ標章ト同一又ハ類似ニシテ同一商品ニ使用ス
ルモノ
六白地ニ赤十字ノ記章又ハ赤十字若ハ「ジェネヴア」十字ノ稱號若ハ文
字ト同一又ハ類似ノモノ
七政府、道、府縣若ハ政府ノ認可ヲ得タルモノノ開設スル博覽會、共
進會又ハ外國ニ於ケル官設ノ博覽會若ハ官許ノ萬國博覽會ノ賞牌、
賞狀若ハ褒狀ト同一又ハ類似ノ圖形ヲ有スルモノ但シ其ノ賞牌、賞
狀又ハ褒狀ヲ受領シタル者カ其ノ商標ノ一部トシテ之ヲ使用セムト
スルトキハ此ノ限ニ在ラス
八他人ノ肖像、氏名、商號又ハ法人若ハ組合ノ名稱ヲ有スルモノ但シ其
ノ承諾ヲ得タルモノハ此ノ限ニ在ラス
九登錄失效後一年ヲ經過セサル他人ノ商標ト同一又ハ類似ノモノ但シ
其ノ登錄失效前一年以上使用セサリシ商標ト同一又ハ類似ノモノハ
此ノ限ニ在ラス
第三條同一商品ニ使用スヘキ同一又ハ類似ノ商標ニ付各別ニ登錄ヲ受ク
ルノ權利ヲ有スル者二人以上アルトキハ最先ニ出願ヲ爲シタルモノニ限
リ登錄ス其ノ同日ノ出願ニ係ルトキハ關係者ノ協議ニ依リ協議調ハサル
トキハ共ニ之ヲ登録セス
明治三十二年七月一日前ヨリ同一商品ニ付同一若ハ類似ノ商標ヲ善意ニ使用シタル者其ノ商標
ニ付登錄ヲ出願シタル塲合ニ於テハ前條第五號及前項ノ規定ニ拘ラス其ノ商標ヲ登錄スルコト
ヲ得
同一商品ニ使用スヘキ自己ノ商標ニシテ互ニ相類似スルモノハ聯合商標
トシテ出願シタル場合ニ限リ之ヲ登錄ス
第四條商標ノ登錄出願ヨリ生シタル權利ハ其ノ營業ト共ニスル場合ニ限
コトヲ得
リ移轉スルモノトス
前項ノ權利ノ承繼ハ出願人ノ名義變更ヲ屆出ツルニ非サレハ之ヲ以テ第
三者ニ對抗スルコトヲ得ス但シ同日ノ屆出ニ係ルトキハ關係者ノ協議ニ
○第三者ニ
依リ協議調ハサルトキハ共ニ○對抗スルコトヲ得ス
第五條商標權ハ登錄ニ依リ發生ス
商標權者ハ登錄出願ノ際指定シタル商品ニ付其ノ商標ヲ專用スルノ權利
中村文
第六條商標權ノ效力ハ普通ニ使用セラルル方法ヲ以テ自己ノ氏名、商號、
法人若ハ組合ノ名稱ヲ表示シ又ハ其ノ商品ノ普通名稱、產地、品位、品
質效能、用途、製法、時期、數量、形狀若ハ價格ヲ表示スルモノニ及
ハス但シ商標登錄後惡意ヲ以テ同一ノ氏名、商號、法人若ハ組合ノ名稱
ヲ使用シタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第七條商標權ノ存續期間ハ二十年トス
前項ノ期間ハ之ヲ更新スルコトヲ得
外國ノ登錄商標トシテ登錄ヲ受ケタルモノハ其ノ本國ニ於ケル商標權ト
共ニ消滅ス但シ其ノ存續期間ハ二十年ヲ超ユルコトヲ得ス
コトヲ得
第八條商標權ハ其ノ營業ト共ニスル場合ニ限リ移轉スルモノトス
前項ノ場合ニ於テ商標權ハ其ノ商標ヲ使用スル商品ニ依リ分割シテ之ヲ
移轉スルコトヲ得
聯合商標ノ商標權ハ分離シテ移轉スルコトヲ得ス
第九條左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ特許局長ハ職權ヲ以テ又ハ
利害關係人ノ請求ニ依リ商標ノ登錄ヲ取消スコトヲ得
-商標權者其ノ登錄商標ニ世人ヲ欺瞞スヘキ附記又ハ變更ヲ爲シテ之
ヲ使用シタルトキ
商標權者正當ノ事故ナクシテ帝國内ニ於テ登錄後其ノ商標ヲ使用セ
スシテ一年ヲ經過シ又ハ其ノ使用ヲ中止シテ三年ヲ經過シタルトキ
但シ聯合商標ニ付テハ其ノ一ヲ使用シタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
三商標權ノ移轉アリタル場合ニ於テ其ノ相續ニ依ルモノヲ除クノ外一
年以內ニ商標權移轉ノ登錄ヲ請求セサルトキ
外國ノ登錄商標トシテ登錄ヲ受ケタルモノニ付テハ前項第二號ノ規定ヲ
適用セス
第一項ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ訴願ヲ提起スルコ
トヲ得
第十條商標權者其ノ營業ヲ廢止シタルトキハ商標權ハ消滅スルモノトス
第十一條商標又ハ商標權存續期間更新ノ登錄カ第一條乃至第三條、第四
條第二項又ハ第二十二條ノ規定ニ反シタルトキハ審判ニ依リ之ヲ無效ト
爲スヘシ
第十二條登錄スヘシトノ査定又ハ審決アリタルトキハ之ヲ商標原簿ニ登
錄シ商標登錄證ヲ下付ス
第十三條特許局ハ商標公報ヲ發行シ登錄商標及之ニ關スル必要ナル事項
ヲ記載スヘシ
第十四條商標又ハ商標權存續期間更新ノ登錄ヲ受クル者ハ其ノ登錄ヲ受
クル際每件商標料金二十圓ヲ聯合商標ニ在リテハ每件金十圓ヲ納付スヘ
シ
第十五條商標ノ登錄ヲ出願スル者ハ各商標ニ付命令ノ定ムル類別內ニ於
テ其ノ商標ヲ使用スヘキ商品ヲ指定スヘシ
第十六條商標又ハ商標權存續期間更新ノ登録ノ出願アリタルトキハ審查
官ヲシテ之ヲ查定セシム
第十七條登錄スヘカラストノ査定ニ不服アル者ハ査定ノ送達ヲ受ケタル
日ヨリ六十日以內ニ不服理由書ヲ差出シ更ニ審査ヲ請求スルコトヲ得
前項ノ請求アリタルトキハ前審査ニ干與セサル審査官ヲシテ更ニ之ヲ査
定セシム
第十八條審判ハ左ニ揭クル事項ニ付之ヲ請求スルコトヲ得
-第十一條ノ規定ニ依ル登錄ノ無效
二商標權ノ範圍ノ確認
審判ノ請求ハ審査官又ハ利害關係人ニ限リ之ヲ爲スコトヲ得但シ審査官
ハ前項第二號ノ審判及第二條第八號若ハ第九號、第三條又ハ第四條第二
項ノ規定ニ反ストノ理由ニ依ル前項第一號ノ審判ヲ請求スルコトヲ得ス
登錄商標カ第二條第八號若ハ第九號、第三條又ハ第四條第二項ノ規定ニ
反シタル場合ニ於テ商標公報ニ揭載シタル日ヨリ三年ヲ經過シタルトキ
ハ審判ヲ請求スルコトヲ得ス
第十九條審判ノ審決又ハ再審査ノ査定ニ不服アル者ハ審決又ハ査定ノ送
達ヲ受ケタル日ヨリ六十日以內ニ抗告審判ヲ請求スルコトヲ得
第二十條營利ヲ目的トセサル業務ニ係ル商品ニ使用スル標章ヲ專用セム
トスルトキハ本法ニ依リ登錄ヲ受クルコトヲ得
前項ノ標章ニ付テハ商標ニ關スル規定ヲ準用ス
第二十一條特許法第八條、第十二條乃至第十五條、第十六條第一項、第十
七條乃至第二十五條、第二十九條、第三十三條、第四十九條第二項、第五
十條、第五十三條、第六十條、第六十六條乃至第六十八條、第七十條乃至第
七十九條、第八十二條、第八十三條第一項第二項、第八十四條、第八十五條
及第八十七條乃至第九十一條ノ規定ハ商標ニ關シ之ヲ準用ス
第二十二條外國人ニシテ帝國內ニ住所又ハ營業所ヲ有セサル者ハ條約又
ハ之ニ準スヘキモノニ規定アル場合ノ外商標權又ハ之ニ關スル權利ヲ享
有スルコトヲ得ス
商標ニ關シ條約又ハ之ニ準スヘキモノニ別段ノ規定アルトキハ其ノ規定
一部の一
第二十三條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ五年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ
罰金ニ處ス
-他人ノ登錄商標若ハ之ヲ付シタル容器、包裝等ヲ同一商品ニ使用シ
タル者又ハ其ノ商品ヲ交付、販賣シ若ハ交付、販賣ノ目的ヲ以テ之ヲ
所持スル者
他人ノ登錄商標若ハ之ヲ付シタル容器、包裝等ヲ同一商品ニ使用セ
シムルノ目的ヲ以テ交付、販賣シ又ハ交付、販賣ノ目的ヲ以テ之ヲ
所持スル者
三同一商品ニ使用シ又ハ使用セシムルノ目的ヲ以テ他人ノ登錄商標ヲ
僞造又ハ模造シタル者
四同一商品ニ使用セシムルノ目的ヲ以テ僞造若ハ模造ノ商標ヲ交付、
販賣シ又ハ之ヲ同一商品ニ使用シタル者
五僞造若ハ模造ノ商標ヲ使用シタル同一商品ヲ交付、販賣シ又ハ交付
若ハ販賣ノ目的ヲ以テ之ヲ所持スル者
六他人ノ登錄商標ト同一若ハ類似ノ商標ヲ使用シタル商品ヲ交付若ハ
販賣ノ目的ヲ以テ輸入シタル者又ハ其ノ商品ヲ交付、販賣シ若ハ交
付販賣ノ目的ヲ以テ之ヲ所持スル者
七他人ノ登錄商標ヲ僞造又ハ模造スル爲其ノ用具ヲ製作、交付、販賣
若ハ所持スル者
八同一商品ニ關シ他人ノ登錄商標ト同一又ハ類似ノモノヲ營業ニ用ヰ
ル廣〓、看板、引札、物價表又ハ其ノ他ノ取引書類ニ使用シタル者
前項ノ罪ハ告訴ヲ待テ之ヲ論ス
第二十四條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ三年以下ノ懲役又ハ三百圓以下
ノ罰金ニ處ス
-詐僞ノ所爲ヲ以テ商標ノ登錄ヲ受ケタル者
二登錄ヲ受ケサル商標ニ登錄標記ヲ付シ若ハ之ニ紛ハシキ表示ヲ爲シ
之ヲ商品ニ使用シタル者又ハ其ノ商品ヲ交付若ハ販賣シ又ハ交付若
ハ販賣ノ目的ヲ以テ之ヲ所持スル者
三登錄ヲ受ケスシテ登錄標記又ハ之ニ紛ハシキ表示ヲ爲シタル商標ヲ
廣〓、看板、引札等ニ使用シタル者
第二十五條第二十三條ノ犯罪ニ因リ沒收スルコトヲ得ヘキ物ニ付判決言
渡前被害者ヨリ請求アリタルトキハ之ヲ相當ノ代價ニ見積リ被害者ニ交
付スル言渡ヲ爲スヘシ
損害ノ額カ交付ヲ受ケタル物ノ見積代價ニ超過スルトキハ被害者ハ其ノ
差額ニ限リ賠償ノ請求ヲ爲スコトヲ得
第二十六條法律ニ依リ宣誓シタル證人若ハ鑑定人又ハ通事ニシテ特許局
又ハ其ノ囑託ヲ受ケタル裁判所若ハ官廳ニ對シ虛僞ノ陳述ヲ爲シタルト
キハ三年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者事件ノ査定又ハ審決ニ至ラサル前自白シタルトキ
ハ其ノ刑ヲ減輕又ハ免除スルコトヲ得
第二十七條證人、鑑定人又ハ通事トシテ呼出サレタル者正當ノ理由ナク
シテ呼出ニ應セス又ハ其ノ義務ヲ盡ササルトキハ四十圓以下ノ罰金ニ處
ス
辨
第二十八條特許博理士ニ非スシテ商標ニ關スル代理業ヲ營ミタル者ハ一
年以下ノ懲役又ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
舊法ニ依リ登錄ヲ受ケタル商標ニ付テハ其ノ存續期間內ハ本法第二條第六
號乃至第八號ノ規定ヲ適用セス第九條ニ定ムル期間ハ本法施行ノ日ヨリ之
ヲ起算ス
特許法第九十九條、第百五條及第百六條ノ規定ハ商標ニ關シ之ヲ準用ス
實用新案法改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治四十二年三月十六日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
小字ハ衆議院ノ修正
ハ同削除ノ符號」
實用新案法
第一條物品ニ關シ其ノ形狀、構造又ハ組合ハセニ依リ實用アル新規ノ工
業的考案ヲ爲シタル者ハ本法ニ依リ實用新案ノ登錄ヲ受クルコトヲ得
第二條職務上又ハ契約上爲シタル實用新案ニ付登錄ヲ受クルノ權利ハ勤
務規程又ハ契約ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外其ノ職務ヲ執行セシムル
者又ハ使用者ニ屬ス
職務ノ執行又ハ契約ノ履行ニ依ル勤務中公務員又ハ被用者ノ爲シタル考
案ニシテ職務上又ハ契約上爲シタルモノニ非サル實用新案ニ付案出前豫
メ登錄ヲ受クルノ權利又ハ實用新案權ヲ讓渡セシムルコトヲ定メタル勤
務規程又ハ契約ノ條項ハ之ヲ無效トス
本條ニ於テ公務員ト稱スルハ刑法第七條第一項ノ公務員ヲ謂フ
第三條本法ニ於テ新規ト稱スルハ左ノ各號ニ該當セサルモノヲ謂フ
-登錄出願前同一又ハ類似ノ物品ニ關シ帝國內ニ於テ公然知ラレ若ハ
公然用ヰラレタルモノ又ハ之ニ類似スルモノ
二登錄出願前同一又ハ類似ノ物品ニ關シ容易ニ應用スルコトヲ得ヘキ
程度ニ於テ帝國內ニ頒布セラレタル刊行物ニ記載セラレタルモノ又
ハ之ニ類似スルモノ
第四條左ニ揭クル實用新案ニ付テハ之ヲ登錄セス
一菊花御紋章ト同一又ハ類似ノ形狀ヲ有スルモノ
二秩序若ハ風俗ヲ紊リ又ハ衞生ヲ害スルノ虞アルモノ
第五條同一又ハ類似ノ實用新案ニ付各別ニ登錄ヲ受クルノ權利ヲ有スル
者二人以上アルトキハ最先ニ出願ヲ爲シタルモノニ限リ登錄ス其ノ同日
ノ出願ニ係ルトキハ關係者ノ協議ニ依リ協議調ハサルトキハ共ニ之ヲ登
錄セス
第六條實用新案ノ登錄ヲ受クルノ權利ハ之ヲ移轉スルコトヲ得但シ擔保
ニ供スルコトヲ得ス
登錄ヲ受クルノ權利ノ承繼ハ登錄出願前ニ在リテハ登錄ヲ出願シ登錄出
願後ニ在リテハ出願人ノ名義變更ヲ屆出ツルニ非サレハ之ヲ以テ第三者
ニ對抗スルコトヲ得ス但シ同日ノ出願又ハ屆出ニ係ルトキハ關係者ノ協
○第三者ニ
議ニ依リ協議調ハサルトキハ共ニ○對抗スルコトヲ得ス
第七條發明特許又ハ意匠登錄ノ出願ヲ爲シ特許又ハ登錄スヘカラストノ
査定ヲ受ケタル者其ノ最初ノ査定ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內ニ
其ノ發明又ハ意匠ニ係ル實用新案ニ付登錄ヲ出願シタルトキハ發明特許
又ハ意匠登錄ヲ出願シタル日ニ於テ出願シタルモノト看做ス
第八條實用新案權ハ登錄ニ依リ發生ス
實用新案權者ハ其ノ登錄ヲ受ケタル物品ヲ業トシテ製作、使用、販賣又
ハ擴布スルノ權利ヲ專有ス
同一又ハ類似ノ考案ニ關シテハ實用新案權ハ其ノ出願前ノ出願ニ係ル特
許權又ハ意匠權ニ依リ制限ヲ受クルモノトス
第九條實用新案權ノ存續期間ハ三年トス
前項ノ期間ハ三年間之ヲ延長スルコトヲ得
第十條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ原權利ノ範圍內ニ於テ登錄實用新案
ヲ實施スルノ權利ヲ有ス
同一又ハ類似ノ實用新案ニ對スル二以上ノ登錄中其ノ一カ無效ト爲
リタル場合ニ於テ善意ナル原實用新案權者
二前號ノ原實用新案權ニ付善意ニ實施ノ權利ヲ得テ登錄ヲ受ケタル
者
特許法第三十六條及第三十七條ノ規定ハ前項ノ權利ニ之ヲ準用ス
第十一條實用新案ノ登錄カ第一條、第二條、第四條、第五條、第六條第二
項又ハ第二十一條ノ規定ニ反シタルトキハ審判ニ依リ之ヲ無效ト爲スヘ
シ登錄カ登録ヲ受クルノ權利ヲ冒認シタル者ニ對シ爲シタルモノナルト
キ亦同シ
第十二條登錄スヘシトノ査定アリタルトキ又ハ實用新案權存續期間延長
ノ請求アリタルトキハ實用新案原簿ニ登錄シ實用新案登錄證ヲ下付ス
第十三條特許局ハ實用新案公報ヲ發行シ登錄實用新案及之ニ關スル必要
ナル事項ヲ記載スヘシ但シ祕密ヲ要スル實用新案ニ付テハ此ノ限ニ在ラ
ス
第十四條登錄スヘシトノ査定ヲ受ケタル者ハ其ノ登錄ヲ受クル際每件登
錄料金十五圓ヲ納付スヘシ
實用新案權存續期間ノ延長ヲ請求スル者ハ每件登錄料金三十圓ヲ納付ス
ヘシ
第十五條實用新案登錄ノ出願アリタルトキハ審査官ヲシテ之ヲ査定セシ
ム
第十六條審査官ハ第四條、第五條、第六條第二項及第二十一條ノ規定ニ
依リ出願ニ係ル實用新案カ登錄スヘキモノナルヤ否ニ付査定スヘシ但シ
第一條又ハ第二條ノ規定ニ該當セサルコトヲ發見シタルトキハ之ヲ理由
トシテ登錄拒絕ノ査定ヲ爲スヘシ
第十七條登錄拒絕ノ査定ニ不服アル者ハ査定ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ三
十日以內ニ不服理由書ヲ差出シ再審査ヲ請求スルコトヲ得
前項ノ請求アリタルトキハ前審査ニ干與セサル審査官ヲシテ更ニ之ヲ査
定セシム
前條但書ニ依ル査定ニ不服アル者再審査ノ請求ヲ爲シタル場合ニ於テハ
審査官ハ其ノ理由ニ付テモ亦審査スヘシ
第十八條審判ハ左ニ揭クル事項ニ付之ヲ請求スルコトヲ得
-第十一條ノ規定ニ依ル登錄ノ無效
二實用新案權ノ範圍ノ確認
審判ノ請求ハ審査官又ハ利害關係人ニ限リ之ヲ爲スコトヲ得但シ審査官
ハ前項第二號ノ審判及第二條、第五條又ハ第六條第二項ノ規定ニ反スト
ノ理由ニ依ル前項第一號ノ審判ヲ請求スルコトヲ得ス
審査官ノ請求ニ依ル審判ニ關シテハ其ノ手續ヲ省略スルコトヲ得
第十九條審判ノ審決ニ不服アル者ハ審決ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ六十日
以內ニ抗〓審判ヲ請求スルコトヲ得
第二十條特許法第八條、第十一條第一項及第三項、第十二條乃至第十五
條、第十六條第一項、第十七條乃至第二十六條、第二十九條、第三十二
條、第三十三條、第四十條、第四十一條、第四十三條乃至第四十六條、第四
十九條第二項、第五十條、第五十一條、第五十三條、第五十六條、第五十七
條第五項、第六十條、第六十六條乃至第六十八條、第七十條乃至第七十
九條、第八十二條、第八十三條第一項及第八十四條乃至第九十一條ノ規定
ハ實用新案ニ關シ之ヲ準用ス
第二十一條外國人ニシテ帝國內ニ住所又ハ營業所ヲ有セサル者ハ條約又
ハ之ニ準スヘキモノニ規定アル場合ノ外實用新案權又ハ實用新案ニ關ス
ル權利ヲ享有スルコトヲ得ス
實用新案ニ關シ條約又ハ之ニ準スヘキモノニ別段ノ規定アルトキハ其ノ
規定ニ從フ
第二十二條實用新案ノ登錄ヲ受ケタル物品ヲ業トシテ僞造、模造シタル
者又ハ僞造品、模造品ヲ業トシテ販賣、擴布若ハ使用シタル者ハ三年以
下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
實用新案ノ登錄ヲ受ケタル物品ト同一又ハ類似ノモノヲ業トシテ輸入シ
タル者又ハ其ノ物品ヲ業トシテ販賣、擴布若ハ使用シタル者ハ罰前項ニ
同シ
前二項ノ罪ハ告訴ヲ待テ之ヲ論ス
第二十三條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ一年以下ノ懲役又ハ三百圓以下
ノ罰金ニ處ス
一詐僞ノ所爲ヲ以テ實用新案ノ登錄ヲ受ケタル者
二實用新案ノ登錄ヲ受ケサル物品又ハ其ノ容器、包裝等ニ實用新案登
錄ノ標記ヲ付シ若ハ之ニ紛ハシキ表示ヲ爲シタル者又ハ其ノ物品ヲ
販賣若ハ擴布シタル者
三實用新案ノ登錄ヲ受ケサル物品ヲ販賣又ハ擴布スル爲廣告、看板、
引札等ニ其ノ物品カ實用新案ノ登錄ニ係ルコトヲ表示シ又ハ之ニ紛
ハシキ表示ヲ爲シタル者
第二十四條第二十二條ノ犯罪ニ因リ沒收スルコトヲ得ヘキ物ニ付判決言
渡前被害者ヨリ請求アリタルトキハ之ヲ相當ノ代價ニ見積リ被害者ニ交
付スル言渡ヲ爲スヘシ
損害ノ額カ交付ヲ受ケタル物ノ見積代價ニ超過スルトキハ被害者ハ其ノ
差額ニ限リ賠償ノ請求ヲ爲スコトヲ得
第二十五條法律ニ依リ宣誓シタル證人若ハ鑑定人又ハ通事ニシテ特許局
又ハ其ノ囑託ヲ受ケタル裁判所若ハ官廳ニ對シ虛僞ノ陳述ヲ爲シタルト
キハ三年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者事件ノ査定又ハ審決ニ至ラサル前自白シタルトキ
ハ其ノ刑ヲ輕減又ハ免除スルコトヲ得
第二十六條特許局ヨリ證人、鑑定人又ハ通事トシテ呼出サレタル者正當
ノ理由ナクシテ呼出ニ應セス又ハ其ノ義務ヲ盡ササルトキハ四十圓以下
ノ罰金ニ處ス
辨
第二十七條特許辯理士ニ非スシテ實用新案ニ關スル代理業ヲ營ミタル者
ハ一年以下ノ懲役又ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十條ノ規定ハ本法施行前無效ト爲リタル實用新案ノ登錄ニ關シテハ之ヲ
適用セス
特許法第九十九條、第百二條第二項、第百五條及百六條ノ規定ハ實用新案
ニ關シ之ヲ準用ス
〔國務大臣男爵大浦兼武君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=11
-
012・大浦兼武
○國務大臣(男爵大浦兼武君) 唯今議題ニ上ボリマシタ特許法、意匠法其他
ノ大體說明ヲ致シマス、現行ノ特許法、意匠法、商標法ト云フモノハ明治三十
二年ノ制定デゴザイマシテ、主トシテ條約改正實施ノ必要ニ應ズル爲ニ、明治
二十一年ニ制定ノ特許條例、意匠條例及商標條例、ソレニ改正ヲ加ヘタルモノ
デゴザイマシテ、爾後時勢ノ進運ニ伴ヒマシテ改正補修ヲ要スル事項ガ少ナ
カラヌノデゴザイマス、又實用新案法ハ明治三十八年ノ制定デゴザイマス、
此實施ノ跡ニ徵スルニ又不便ヲ感ズルコトハ澤山ゴザイマス、且ツ特許法外
二法ノ改正ト共ニ之ヲ改正スルノ必要ガアルノデゴザイマス、今其改正ノ要
旨ヲ大略申セバ、第一ニ工業所有權ノ權利ヲ確實ニシ、成ルベク其負擔ヲ輕
減シ、第二ニ私權ノ享有ト社會公衆ノ利益トヲ調和シテ行カナクテハナラ
ヌ.第三ニハ出願請求ノ手續ヲ簡易ナラシメテ以テ其眞正ノ考案者及商工業
ノ保護ヲ努ムルト共ニ不正競爭ノ弊害ヲ防遏スルト云フノヲ計ルト云フノガ
趣意デゴザイマス、今ヤ我國ノ產業ノ發逹ト云フモノハ此發明、實用ノ新案、
意匠及商標卽チ工業所有權保護ノ制度ノ改善ニ俟ツ所ガ最モ多イノデゴザイ
マシテ、ソレガ卽チ此四法ノ改正法律案ヲ提出シタル所以デゴザイマス、尙
ホ會期切迫ノ場合デゴザイマシテ段々遲延イタシマシタケレドモガ、何卒速
ニ御協賛ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=12
-
013・黒田長成
○副議長(候爵黑田長成君) 此第二ヨリ第五マデノ四案ノ特別委員ハ同一委
員デ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=13
-
014・黒田長成
○議長(侯爵黑田長成君) 御異議ガ無イト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=14
-
015・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 第六、沖繩縣罹災救助基金法案、政府提出、衆
議院送付、第一讀會ノ續、委員長報告、委員長島津伯爵
〔左ノ報告書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス以下之ニ傚フ〕
沖繩縣罹災救助基金法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
明治四十二年三月十三日
右特別委員長
伯爵島津忠亮
貴族院議長公爵德川家達殿
〔伯爵島津忠亮君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=15
-
016・島津忠亮
○伯爵島津忠亮君 唯今議題ニナッテ居ル所ノ沖繩縣罹災救助基金法案ノ特
別委員會ノ結果ヲ御報告イタシマス、去ル十三日ニ特別委員會ヲ開キマシタ
所.內務大藏兩省カラ政府委員モ出席ニナリマシテ、種々質問モゴザイマシ
タ末、審議ノ末、全會一致ヲ以テ可決イタシマシタ、此罹災救助基金法ト云
フモノハ明治三十二年ニ發布ニナリマシテ、内地ノ各府縣ニ於テモ實施サ
レテ居ッタノデアリマス、ソレカラ又三十八年ニ北海道ニ對シテ別段ナル規
定ガ設ケラレテ、是モ同樣實施サレテ居ッタノデス、其當時ニ於キマシテハ、
マダ沖繩縣ニ於テハ、極ク內地トハ事情ヲ異ニシテ居リマスル所デ、此法律
ヲ適用スルニハ尙ホ早カラウト云フコトデ、除外サレテ居ッタサウデゴザイ
マス、然ラバ如何ナル法律ヲ以テ沖繩縣ノ救助ヲ行ウタカト云フト、明治八年
ノ太政官ノ窮民一時救助規則ト云フモノガ有ッタサウデス、ソレデ沖繩縣ノ
救助ヲヤッテ行ッタノデス、內地若クハ北海道ニ於テモ、此法律ノ行ハレヌ
以前ハドンナ法律デ救助シテ來タカト申シマスレバ、唯今申ス太政官ノ窮
民一時救助規則デ救助シ來ッタモノデアルサウデアリマス、其後追く沖繩縣
モ發達シテ參リマシタニ付イテ、昨年ノ法律第二號デ縣制ヲ施スコトニナリ
マシタ、然ルニ同縣ハ内地トハ幾ラカ事情ヲ異ニスル爲ニ特別ノ規定ヲ設ケ
マス必要ガアルト云フノデ、卽チ此案ガ出マシタノデアリマス、併シ沖繩縣
ハ沖繩縣相應ノ法律ヲ以テ救助スルト云フノ必要ガアリマシテ、特別ニ此案
ガ提出セラレタノデアリマス、ソレデ第一條ニ「最少額ハ二十万圓トス」ト
アリマスノハ、是ハ北海道其他ノ例ニ傚ヒマシテ其縣ノ人口其他罹災救助ノ
事情等ニ依ッテ斯樣ニ致シタモノデアルサウデアリマス、ソレカラ第二條ニ
積立金ハ每年三千圓以上トスルト云フノハ、矢張リ是モ此位ノ負擔ハ出來ル
ト云フ所カラ、三千圓以上ト云フコトニ地方長官ノ上申等デ決マッタサウデ
アリマス、ソレカラ沖繩縣ニハ舊藩時代カラ一種ノ救助米ト云フモノガ交付
サレテ居ッタ、ソレカラ廢藩後ニナッテ之ヲ金ニ換ヘマシテ是モ約、年ニ九
千二百圓ト云フモノヲ國庫カラ補助シテアリマシタサウデアリマス、併ナ
ガラ是ハ永遠ニ救助スル性質ノモノニナッテ居リマス爲ニ補助シテ居リマシ
タガ、此度自治制ニナリマシタニ付イテ、先ヅ五年間ハ舊ノ通リニシテ置カ
ウト云フコトニナッテ、卽チ五年間ハ每年九千圓ヲ交付スルト云フコトニナ
リマシタノデ、ソレカラ又第一條ニアリマス二十万圓ト云フ額ニ達スルマデ
ニ、何年グラヰ掛カルデアラウカト云フト二十六七年モ掛カルデアラウ
ト云フコトデアリマスガ、其最少額ニ達スルマデニハ成ルベク確實ニシタ
方ガ宜イト云フノデ、卽チ猶豫ヲ與ヘテ、四十年ト云フコトニシテアルサウ
デアリマス、先ヅ大體斯樣ナ次第デアリマシテ、各委員モ反對スル者モナク、
全會一致デ可決イタシマシタ、チヨット終リニ臨ンデ申上ゲテ置キマスガ、
此委員中ノ永ラク同縣知事ヲシテ居ラレタ奈良原男爵ハ他ニ已ムヲ得ヌ事故
ガアッテ十三日ニハ〓席ニナリマシタガ、其翌日私ノ宅ニ見エラレテ、此委
員會ニ缺席シタノハ殘念デアルガ、略〓之ニ對スル事情ヲ申述ベテ置クカラ、
私ニ皆樣ノ前デチヨット此事ヲ申述ベテ吳レルヤウニト云フ御依賴デアリマ
シタ、ソレハ明治二十四五年以來、二十八九年マデ、一般租稅ガ沖繩縣ニハ
五十万圓グラヰ有ッタサウデス、ソレカラ日露戰爭以來、今日マデノ所デハ、
段々增シマシテ二百五十万圓グラヰニ增シテ參ッタ、ソレカラ砂糖、織物、
泡盛等ノ消費稅ノ如キモ皆他ノ府縣トハ情實ヲ異ニシテ、皆他ニ出ル物バカ
リト云フヤウナ次第デアリマス、乃チ三十二年ニ徵兵令ヲ施カレマシテ、日
露ノ役ニハ戰死病死合セテ二百四十八人ニ達シマシタサウデアリマス、固
ヨリ租稅ト戰役ハ國民ノ義務デアッテ、沖繩縣ニ於テモ十分ニ義務ヲ盡シタ
ト云フベキモノデアル、此點カラ考ヘテモ、沖繩縣ハ他ノ府縣ニ讓ル所ハ無
イト考ヘル、サウシテ又、沖繩縣ニ於テ罹災ノ頻繁ナルコトハ內地ニ其比ヲ
見マセヌ三箇年ニ一度クラヰハ必ズ大風ノアルコトヲ免レナイ、現ニ奈良
原君ガ在職中、大風ノ爲ニ大變損害ヲ受ケ叡聞ニ達シテ勅使ヲ御遣ハシニ
ナッタコトガ、同氏ノ在職中ニ四度アッタト云フコトデアリマス、隨分澤山
アッテ、他ニサウ云フ類ハ餘リ無カラウト思ヒマス、サウ云フ事情デアリマ
スカラ、ドウカ是ハ特別ノ救助法ヲ制定ニナッテ宜カラウト云フコトデ、ドウ
カ此事ヲ皆樣ニ御話ヲスルヤウニト云フコトデゴザイマシタ、尙ホ委シイコ
トハ政府委員若クハ前知事ノ奈良原君ニ御尋ネニナルガ宜カラウト思ヒマ
ス、右ノ次第デアリマスカラ、ドウゾ讀會ヲ省略シテ速ニ可決セラレムコト
ヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=16
-
017・大原重朝
○伯爵大原重朝君 讀會省略贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=17
-
018・萬里小路通房
○伯爵萬里小路通房君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=18
-
019・鍋島直彬
○子爵鍋島直彬君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=19
-
020・堤功長
○子爵堤功長君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=20
-
021・廣澤金次郎
○伯爵廣澤金次郞君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=21
-
022・石井省一郎
○石井省一郞君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=22
-
023・眞田幸世
○男爵眞田幸世君 贊成
〔其他「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=23
-
024・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 讀會省略ノ動議ニ成規ノ賛成者ガアッタト認メ
やべ、讀會省略ノ動議ヲ可トスル諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=24
-
025・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 三分ノ二以上ト認ノマス、讀會ハ省略セラレマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=25
-
026・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 本案ヲ可トスル諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=26
-
027・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 過半數ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=27
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028・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 日程ノ第七第八ハ委員長ノ報〓ハ一括シテ煩ハ
シテ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=28
-
029・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 御異議ハ無イト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=29
-
030・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 第七、軌道ノ抵當ニ關スル法律案、政府提出、
衆議院送付、第一讀會ノ續、第八、擔保附社債信託法中改正法律案、政府提
田、衆議院送付、第一讀會ノ續、委員長報〓
軌道ノ抵當ニ關スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
明治四十二年三月十六日
右特別委員長
伯爵德川達孝
貴族院議長公爵德川家達殿
擔保附社債信託法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
明治四十二年三月十六日
右特別委員長
伯爵德川達孝
貴族院議長公爵德川家達殿
〔伯爵德川達孝君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=30
-
031・徳川達孝
○伯爵德川達孝君 唯今議題ニ上ポリマシタ所ノ軌道ノ抵當ニ關スル法律
案、竝ニ擔保附社債信託法中改正法律案、兩案ノ委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御
報道申上ゲマス、此委員會ハ兩日開キマシテ愼重ニ審議ヲ致シマシタ、政府
委員カラモ說明ヲ請ヒマシタ、此事ハ旣ニ本議場ニ於テ政府委員カラ述ベラ
レタ如キコトデ諸君モ御承知デゴザイマセウガ一應申上ゲマセウ、軌道條例
ニ依ル所ノ軌道ハ性質上カラ申シテモ、又效用上カラ申シテモ鐵道ト變リガ
ゴザイマセヌ、併ナガラ軌道ノ抵當ニ對シテハ是マデ法律ガ制定ニナッテ居
リマセヌシ、鐵道ノ方ハ先年鐵道抵當法ガ施行サレテ居リマスケレド、此法
ノ中ニハマダゴザイマセヌ故ニ此度此軌道ノ抵當ニ關スル法律ヲ制定セラレ
タ譯デゴザイマス、併ナガラ此鐵道抵當法ハ私設ノ株式會社ノミニ適用スル
コトデゴザイマシテ、軌道ノ方ハ株式會社ニ非ズシテ個人其他ノ會社ノコト
デゴザイマスト、總テノ鐵道ノ法ニ依ルト云フ譯ニ行カヌサウデアリマス、
ソレ故ニ株式會社ニ非ザル所ノ會社若クハ個人ノ營業スル所ノ軌道ニ對シテ
ハ本案ヲ適用スル、其以外ハ皆鐵道抵當法ヲ準用スルト云フ趣意ダサウデゴ
ザイマス委員會ニ於キマシテハ色〓質問モゴザイマシタガ、是ハ一々申ス
ノモ煩ハシイコトデアリマスカラ、略シテ置キマスガ、其內特ニ質問ニ付イ
テ此所デ御報告申シテ置カネバナラヌ所ハ此法律案ノ第四條ノ所ニ「軌道營
業者カ株式會社ニ非サル場合ニ於ケル軌道ノ抵當ニ關シテハ勅令ノ定ムル所
ニ依ル」ト云フコトガゴザイマス、是ハ政府委員ガ申サレタ通リニ軌道營業
者ガ株式會社デナイ場合ニハ總テ此軌道ノ抵當ニ關シテハ勅令デ定メルト云
フ譯デアル、然レバ此鐵道抵當法ノ第四章ノ第九十二條罰則ノコトナドハ勅
令デ規定ヲスル譯デアルガ、民事罰ノ斯ウ云フ事ヲ勅令デ規定スル所ノ例ガ
是マデアルカ、少シドウモ罰則マデモ勅令デ規定スルノハ穩當ヲ缺キハセス
カト云フ質問ガゴザイマシテ、品ニ依レバ此所ノトコロヲ修正デモセヌケレ
バナラヌヤウナ模樣デゴザイマシテ、一時ハ修正ガ出ルカト思ヒマシタ、所
ガ政府委員ノ申サレルニハ直キト此所デハ御答ガ出來ヌカラ他日ノ委員會デ
御答ヲスルト云フコトデ、修正モ出ルトモナク其儘デ終ッテ居リマシタ、其
後ノ委員會ノ時ニ政府委員ガ答ヘテ申スニハ段々調ベタ所ガ勅令ニ依ッテ
罰則ヲ規定スル所ノ例ガアルサウデス、ソレハ明治三十三年九月二十七日勅
令第三百八十號、是ハ外國保險會社ニ關スル件デ、チヨット此所デ適用シテ
申セバ其内ノ第十四條ニ「外國會社ノ代表者ハ左ノ場合ニ於テハ十圓以上千
圓以下ノ過料ニ處セラル」ト云フコトガアル、ソレカラ又韓國ニ於ケル銀行
業ニ關スル勅令、是ハ明治四十年三月十三日勅令第三十一號、此九條ニモ前
ニ申上ゲタヤウナ同ジヤウナ意味ノ罰則ガ擧ッテ居ル、斯ウ云フコトガアル
故ニ、勅令デ罰則ヲ規定シテモ差支ナカラウト云フコトデアリマシタ、ソレ
ナラバ能ク分ッテ居ルカラ別ニ修正ヲ出ス必要モナイト云フコトデ質問ダケ
ニ止マリマシタ、ソレヨリ討議ニ移リマシタ所ガ、別ニ贊成反對ノ議論モ無
ク全會一致ヲ以テ可決スベキモノト議決ニナッタ次第デゴザイマス、ソレカ
ラ此擔保附社債信託法案ノ方ハ前ノ軌道ノ抵當ニ關スル法律案ガ制定セラレ
タ結果トシテ現行ノ法律ノ第四條ニ軌道抵當ト云フ文字ヲ入レマシテ···現
行ノ第四條ニハ社債ニ附スルコトヲ得ベキ物上擔保ノ種類ガ書イテアル、例
ヘテ見レバ第一ハ動產質、第二ハ證書アル債權質、不動產抵當、船舶抵當、
鐵道抵當、工場抵當、鑛業抵當、斯ウ云フコトガアッテ、此軌道ノ抵當ニ關
スルコトガ出來タ以上ニハ軌道抵當ト云フ字ガナケレバナラヌ譯デアリマス
カラ、是ハ前ノ法律ノ結果デアッテ、之ニ付イテハ自然ノ結果デスカラ、質
問モ議論モ無ク、勿論前ノ案ガ可決スレバ自然ニ可決スベキモノデアルト云
フ譯デアリマシタ、先ヅ二案ニ對スル委員會ノ經過竝ニ結果ハ右御報道中上
ゲタヤウナ次第デアリマスカラ左樣御承知ヲ願ヒマス、序デニ申上ゲテ置キ
マスガ、兩案トモ至ッテ簡單デ意義明瞭デアリマスカラ、讀會省略デ委員會
ノ議決通リニ可決アラムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=31
-
032・田健治郎
○男爵田健治郞君 讀會省略贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=32
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033・鳥居忠文
○子爵烏居忠文君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=33
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034・大原重朝
○伯爵大原重朝君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=34
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035・青木信光
○子爵靑木信光君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=35
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036・松平正直
○男爵松平正直君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=36
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037・田中芳男
○田中芳男君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=37
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038・西村亮吉
○西村亮吉君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=38
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039・中川興長
○男爵中川興長君 贊成
〔其他「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=39
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040・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 讀會省略ニハ成規ノ贊成者ガゴザイマシタ、之
ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=40
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041・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 三分ノ二以上ト認メマス、兩案トモ讀會ハ省略
セラレマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=41
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042・黒田長成
○副議長(候爵黑田長成君) 軌道ノ抵當ニ關スル法律案、之ヲ可トスル諸君
ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=42
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043・黒田長成
○副議長(候爵黑田長成君) 過半數ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=43
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044・黒田長成
○副議長(候爵黑田長成君) 擔保附社債信託法中改正法律案、御異議ハゴザ
イマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=44
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045・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 御異議ハ無イト認メマスカラ、原案ニ決シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=45
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046・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 第九、獸疫豫防法中改正法律案、衆議院提出、
第讀會
獸疫豫防法中改正法律案
右本院提出案及送付候也
明治四十二年三月十六日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
獸疫豫防法中左ノ通改正ス
第十條第一項第四號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
五乳汁發賣ヲ禁止シタルトキ評價額三分ノ二
同條第二項ヲ左ノ如ク改ム
手當金額ハ第一ノ場合ニ於テハ一頭六十圓、第二ノ場合ニ於テハ一頭二
百圓、第三ノ場合ニ於テハ一頭五百圓、第四ノ場合ニ於テハ總計五十圓、
第五ノ場合ニ於テハ一頭三十圓ヲ超過スルコトヲ得ス
〔政府委員押川則吉君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=46
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047・押川則吉
○政府委員(押川則吉君) 唯今議題ニ上ボッテ居リマス獸疫豫防法中ノ改正
ノ事項ハ、是ハ牛疫ノ流行ノ際ニ適用スル條項デゴザイマシテ、此修正ノ趣
意ハ、牛疫ノ防遏ノ爲ニ撲殺ヲスル牛ニ對シテノ手當金ヲ增スト云フコト
竝ニ廢棄スベキ器具ノ手當金ヲ增スト云フコト、竝ニ廢棄ニ屬セシムベキ乳
汁ニ手當ヲ給スルヤウニシタイト、斯ウ云フノガ改正ノ趣旨デゴザイマス、
此乳汁ノコトヤ器具ノコトニ付キマシテハ、相當ノ改正ヲ要スルモノト見テ
居ルノデゴザイマスガ、牛疫ノ感染ノ疑アル爲ニ撲殺スル牛ニ向ッテ、今日給
シテ居リマスル手當ハ、一頭二百圓デゴザイマスノヲ、五百圓ニ增額スルト
云フコトニ付イテハ、同意ヲ表シ兼ネルノデアリマス、且ツ此牛疫ノ流行ノ
コトハ、多ク朝鮮ヨリ輸入シテ來ル所ノ牛ヨリ起ルノデゴザイマシテ、此朝
鮮ヨリ輸入スル牛ノ檢疫ノコトニ付キマシテ、目下政府ハ韓國政府ニ交涉イ
タシテ居ル事項ガゴザイマスノデ、此交涉ノ結果ニ依ッテハ獸疫ノ豫防法ノ改
正ヲ自ラ要スル廉ガアルト思フノデアリマス、故ニ今日ハ此改正ノ條項ニモ
同意ノ出來ヌ廉ガアルノミナラズ、今日獸疫豫防法ヲ改正スルノ相當ノ時期
デナイト考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=47
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048・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 御質問ガゴザイマセネバ次ノ日程ニ移リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=48
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049・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 第十、蠶病豫防法中改正法律案、衆議院提出、
第一讀會
蠶病豫防法中改正法律案
右本院提出案及送付候也
明治四十二年三月十六日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
蠶病豫防法中左ノ通改正ス
第十八條蠶病豫防事務ノ費用ハ國庫ノ支辨トス
附則
本法ハ明治四十三年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
〔政府委員押川則吉君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=49
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050・押川則吉
○政府委員(押川則吉君) 蠶病豫防法ノ改正ハ唯一箇條ノ改正デゴザイマス
ル、併ナガラ是ハ蠶病豫防法ニ付イテハ最モ重大ナル關係ヲ持ッテ居ルノデ
ゴザイマス、第十八條ノ「蠶病豫防事務ノ費用ハ國庫ノ支辨トス」ト云フ改正
デゴザーマシテ、是ハ御承知ノ通リ今日ハ蠶病豫防ノ事務ノ費用ハ府縣ノ負
擔トスト云フコトニナッテ居リマス、而シテ其費用ノ半額以内ヲ國庫ヨリ補助
スルコトガ出來ル、斯ウ云フコトニナッテ居リマシテ、今日ハ此蠶病豫防ノ爲
ニドレダケノ費用ヲ費ヤシテ居ルカト申シマスト、凡ソ九十万圓費ヤシテ居
リマス、之ニ向ッテ今日國庫ガ補助シテ居ルノハ十万圓バカリデゴザイマス、
然ルニ此條項ヲ改正イタシマスト云フト、第一ニ此施行ノ初メニ於テ、今日
ノ府縣ノ支辨ニ屬シテ居ル所ノ建物其他器具ニ付イテモ、數十万圓ノ費用ヲ
國庫ヨリ支出セネバナラヌト云フコトニナリマスノデ、九十万若クハ今後此
蠶種製造高ガ增加イタシマスト云フト百万圓ニモナラウト思ヒマスガ、ソレ
等ニ向ッテ總テ國庫ヨリ支出セネバナラヌト云フコトニナリマスカラ、財政
上ニ於テモ容易ニ同意ガ出來ヌノデゴザイマス、且ツ此蠶病豫防ノ事務上ヨ
リ申シマシテモ、之ヲ國庫ノ直轄ニ爲スト云フコトハ果シテ適當ナルコトデ
アルヤ否ヤ、此事ニ付イテハ相當ナ疑ヒヲ有ッテ居リマス、故ニ此改正案ニハ
同意ハ出來ヌノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=50
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051・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 次ノ日程ニ移リマス、第十一、貴族院及衆議院
速記技手恩給竝遺族扶助料ニ關スル法律案、衆議院提出、第一讀會
貴族院及衆議院速記技手恩給竝遺族扶助料ニ關スル法律案
右本院提出案及送付候也
明治四十二年三月十六日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
明治二十三年九月以後貴族院及衆議院ノ速記ニ從事シタル者速記技手ニ任
用セラレタルトキハ其ノ技手任用前ノ勤務年月數ヲ在官年月數ニ算入ス但
シ加算ノ年月數ニ對シテハ官吏遺族扶助法第二條ヲ適用セス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=51
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052・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 次ノ日程ニ移リマス、第十二、渡良瀨川沿岸地
方特別地價修正法律中改正法律案、衆議院提出、第一讀會ノ續、委員長報告
渡良瀨川沿岸地方特別地價修正法律中改正法律案
右否決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報〓候也
明治四十二年三月十七日
右特別委員長
西村亮吉
貴族院議長公爵德川家達殿
〔西村亮吉君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=52
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053・西村亮吉
○西村亮吉君 諸君、渡良瀨川沿岸地方特別地價修正法律中改正法律案、此
委員會ノ經過ヲ御報〓イタシマスル、委員會ハ去ル十五日同ジ十七日兩度ニ
開會ヲ致シマシタ、此改正法律案ハ前議會ニモ衆議院ヨリ提出ニ相成リマシ
タ案デアリマスカラ、委員會ニ於テハ一層注意シテ調査ヲ致シマシタ、此案
ニ付キマシテハ政府委員ハ渡良瀨川沿岸鑛毒被害地方ノ處分ニ付キマシテ當
初ヨリノ事ヲ詳細ニ說明セラレマシタ、又委員諸君ヨリモ反覆質問ニ相成リ
マシテ、ソレニ對シテ政府委員ハ詳ニ答辯ヲセラレマシタ、之ヲ逐一申上ゲ
マスルト大分長クナリマスカラ略シマシテ要點ヲ摘ンデ申上ゲマセウト存ジ
やくろ、此渡良瀨川沿岸地方ノ宅地山林原野沼池等ハ多少ノ害ヲ被ッテ居ルト
云フコトハ認メテ居ルカナレドモ、地價ヲ修正セネバナラヌト云フ如キ害ハ
認メナイ、此鑛毒被害地方ノ處分ニ付キマシテハ、曩ニ特ニ設ケラレタル鑛
毒調査會ニ於テ詳細ナル調査ニナッテ田ト畑トニ付イテハ地價ヲ修正スル必
要ガアルト云フコトニ調査ヲセラレタ、尤モ田畑ノ外ノ宅地山林原野沼池等
ハ被害ハ至ッテ輕微ナルモノデアッテ地價修正ヲスル必要ハナイト鑛毒調査會
デ決定ヲシマシテ、其決定ニ基イテ此法律ガ制定ニ相成ッタ、既ニ田畑ノ地價
修正ト云フモノハ完了シテ居ル、然ルヲ今日ニ至ッテ此法律ヲ改正シテ宅
地山林原野沼池等ノ地價ヲ修正スルト云フコトハ政府ハ同意ガ出來ナイ、斯
ウ云フ政府委員ノ說明デアリマシタ、又委員ノ質問ハ、此法律ハ當時鑛毒被
害ノ田畑ノ地價ヲ修正スル爲ニ設ケラレタ法律デアッテ、永久ニ此法律ヲ施行
シテ行クモノデアルカ、又ハ其當時地價ヲ修正スル爲ニ設ケラレタ法律デ永
續ハセヌモノデアルカ、ドウデアルカト云フ質問ガアリマシタ、ソレニ對シ
テ政府委員ハ、此法律ハ鑛毒調査委員會デ詳細ノ調査ヲ爲シテ、之ニ基イテ
制定ニ相成ッタ法律デアッテ、將來ニ永續スル法律デハナイ、斯ウ云フ答デア
リマシタ、又質問ニ現今宅地ノ一段步ノ地價ト云フモノハドレ位デアルカ、
將來宅地地價ヲ修正スルノ見込ノ地價ハドレ程ニナッテ居ルカ、其地租ハ修正
ニナルト增シニナルカ、是ハドウ云フモノデアルカ、又山林原野、雜種地等
ハ一段步デ地價ハドノ位デアルカ、現今賣買ノ價ハドレ程ニナッテ居ルカト
云フコトノ質問ガアリマシタ、ソレニ對シテ政府委員ハ市街宅地ハ現在一段
步ノ地價ハ七十二圓四十二錢九厘、郡村ノ宅地ハ二十七圓七十五錢九厘、ソレ
デ將來改正ニナルト云フ見込ノ地價ハ、市街宅地ハ七百二十七圓二十七錢八
厘郡村ノ宅地ハ九十八圓四十七錢五厘、斯ウ云フモノニナッテ居ル、地租ハ
ドウナルカト云フニ對シテハ、地租ハ現今ノ地租ヨリモ增ス見込ハ無イ、斯
フ云フ答デアリマシタ、又山林ノ一段步ハドノ位デアルカト云フニ、是ハ二
圓ト二錢六厘、原野ハ四十八錢、雜種地ハ七錢三厘、斯ウ云フモノデアル、
現今賣買ノ價格ハ卽今調ベタモノハ無イ、斯ウ云フ答デアリマシタ、是ガ質
問ヲ致シマシタ一番肝要ナ點デアッタト思ヒマス、之ニ對シテ委員ハ此案ヲ可
トスル者ハ一人モアリマセヌ、出席員總テ可トスル者ナクシテ、此案ハ否決
スルコトニナリマシタ、此事ヲ御報告イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=53
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054・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 別ニ御發議ガゴザイマセネバ採決ヲ致シマス、
本案ヲ第二讀會ニ移スベシトスル諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者少數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=54
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055・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 少數ト認メマス、本案ハ否決セラレマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=55
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056・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 第十三、建物保護ニ關スル法律案、衆議院提出、
第一讀會ノ續、委員長報告
建物保護ニ關スル法律案
右別册ノ通修正セリ依テ及報〓候也
明治四十二年三月十八日
右特別委員長
伯爵廣澤金次郞
貴族院議長公爵德川家逹殿
「小字ハ特別委員ノ修正
1ハ同削除ノ符號
第一條建物ノ所有ヲ目的トスル地上權又ハ土地ノ賃借權ニ因リ地上權者
又ハ土地ノ賃借人カ其ノ土地ノ上ニ登記シタル建物ヲ有スルトキハ地上
權又ハ土地ノ賃貸借ハ其ノ登記ナキモ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ
得
建物カ地上權又ハ土地ノ賃貸借ノ期間滿了前ニ滅失又ハ朽廢シタルトキ
ハ地上權者又ハ土地ノ賃借人ハ其ノ後ノ期間ヲ以テ第三者ニ對抗スルコ
トヲ得ス
第二條建物ノ所有ヲ目的トスル地上權ノ存續期間ハ二十年ヲ下ルコトヲ
得ス若之ヨリ短キ期間ヲ定メタルトキハ其ノ期間ハ之ヲ二十年ニ伸長
ス
建物ノ所有ヲ目的トスル土地ノ賃貸借カ其ノ期間ノ滿了ニ因リ終了スル
場合ニ於テハ賃借人ハ建物ノ存續スル場合ニ限リ其ノ期間ヲ更新スルコ
トヲ得更新シタル期間ノ滿了ニ因リ賃貸借ノ終了スル場合亦同シ
前項ノ期間ハ通シテ二十年ヲ超ユルコトヲ得ス若契約ノ當時定マリタル
建物ノ構造又ハ用方ニ因リ之ヨリ短キ期間ヲ相當トスル場合ハ其ノ期間
一 七分
第三條當事者カ建物ノ所有ヲ目的トスル土地ノ賃貸借ノ期間ヲ定メサリ
シトキハ其ノ賃貸借ハ建物ノ朽廢スヘキトキニ終了ス但シ民法第ハ百四
條ノ適用ヲ妨ケス
前項ノ場合ニ於テ賃借人ハ民法第六百十七條第一項ノ規定ニ依リ解約ノ
申入ヲ爲スコトヲ得
前
第四條民法第五百六十六條第一項第三項及第五百七十一條ノ規定ハ第一
條第一項ノ場合ニ之ヲ準用ス買主カ契約ノ當時知ラサリシ地上權又ハ賃
借權ノ效力ノ存スル場合亦同シ
附則
本法ハ本法施行前ノ設定行爲又ハ契約ニ因ル地上權又ハ土地ノ賃貸借ニモ
之ヲ適用ス
〔伯爵廣澤金次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=56
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057・廣澤金次郎
○伯爵廣澤金次郞君 唯今議題ニ上ボリマシタ建物保護ニ關スル法律案ノ特
別委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報〓申上ゲマス、此建物保護ニ關スル法律案ハ
俗ニ稱シマスル地震賣防遏ノ案デアリマシテ、種々世間ニモ喧マシイ問題
デアリマスカラ、少シク報〓ガ長クナリマスカラ其點ハ豫メ御容赦ヲ願ヒ
やす、本案ノ委員會ハ都合三囘開キマシテ、政府委員ニ質問ヲ致シマスシ、又
政府ノ本案ニ對スル意見モ委シク聞キマシテ、其結果ト致シマシテ第一囘ノ
委員會ニ於キマシテ、委員何レモ本案ハ法理上不十分ノ點ガアルシ、且又少
シク偏輕偏重ノ嫌ヒアル案デアリマスニ依ッテ、委員中ヨリ更ニ小委員ヲ設
ケマシテ、三名ノ小委員ヲ設ケマシテ、三名ノ小委員カラ政府委員ト協議ヲ
シテ貰ッテ、而シテ成ルベク公平ノ修正ヲ致スコトニシタノデアリマス、デ唯
今御手許ニアリマス委員會ノ修正案ハ卽チ此小委員、殊ニ委員中ノ法律ニ明
ルキ三君ニ願ヒマシテ、政府ト十分協議ノ上、此修正案ヲ提出シタノデアリ
マス、本案ノ衆議院ニ提出ニナリマシタル理由ハ、第一ハ賃貸借ノ登記ノ出
來ザル爲メ借地人ノ困難ヲシマスルヲ救助シマスルノト、第二ハ登記ノ方法
ヲ採ラズシテ救濟ノ途ヲ與ヘヤウ、此二點デアリマス、卽チ此二點ハ俗ニ申
シマスル地震賣買ト申シマスル一種ノ詐欺的賣買ヲ防遏スルノ目的デアリマ
ス、此地震賣買ナルモノハ、或ハ諸君ノ中ニモ御分リニナラヌ御方ガアルカト
考ヘマスルカラ、御參考ノ爲ニ、此地震賣買ナルモノハ如何ナルモノデアル
カト云フコトヲ、先ヅ冒頭ニ申上ゲテ置カウカト考ヘマス、此地震賣買ト申
シマスルノハ二種類アルト考ヘマス、第一ハ借地期間中ニ突然ニ第三者ニ賣
却シマシテ、其第三者ガ借地人ニ對抗權ノ無キヲ奇貨ト致シマシテ明渡シヲ
請求シテ、卽チ明渡シ請求ノ名ヲ以テ過當ノ借地料ヲ請求スルカ、或ハ過當
ノ地代ヲ請求スルノガ、第一ノ地震賣買ノ手段デアリマス、モウ一ツハ借地
期間ガ終了シマシタトキ、借地人ノ豫期ニ反シマシテ、今申シタ通リ矢張リ
過當ノ地代ヲ請求スルカ、或ハ過當ノ借地料ヲ請求スルカ、此二ツノ方法デ
アリマス、即チ此本案ノ第一條ハ此地震賣買ヲ防遏スル爲ニ出來タ案デアリ
やくろ、卽チ建物ノ保存登記ガアリマスレバ、賃借權若クハ地上權ノ登記ナク
シテ第三者ニ對抗スルコトヲ得ト云フノガ、卽チ此第一條ノ精神デアリマス、
而シテ此第二條、衆議院ノ原案第二條以下ハ借地期間ノ短キ點ニ付キ、之ニ
保護ヲ與ヘタノデアリマス、サウシテ先ヅ第一條ヲ申上ゲマスレバ、此第一
條ハ今申シマシタ通リ建物ノ保存登記ノミニシテ地上權若クハ賃貸借權ノ登
記ガ無クシテ、之ヲ第三者ニ對抗サセルト云フコトハ、是ハ民法及登記法ノ
大原則ニ違ッテ如何ニモ餘リ面白クナイ條項デアルノデアリマス、依ッテ小委
員ニ於キマシテモ、何カ此第一條ニ代ルベキ案、卽チ民法及登記法ノ原則ヲ
破ラズシテ、而シテ借地人ニ對抗ノ權利ヲ與ヘタイト云フ精神ヲ以チマシテ、
小委員及委員會ニ於キマシテモ、之ニ代ルベキ名案ヲ餘ホド練ッタノデアリ
やっく、併ナガラ遺憾ナガラ第一條ハ、此一條ノ文面ニ致シマシテハ或ハ不十
分ナ所ハアリマスルケレドモ、之ニ代ルベキ名案ヲ發見シナカッタノデアリ
やくろ、故ニ此第一條ハ兎ニ角今日地震賣買ト申シマスル詐欺的手段ノ賣買ガ
行ハレル以上ハ、之ヲ防遏スルノ必要アリト考ヘマシテ、聊カ不十分ナガラ
此第一條ヲ存シタノデアリマス、此第二條ニ於キマシテハ、是ハ法律ヲ以テ
地上權ノ最短期ヲ一定スルコトニナリマスルノデ、即チ賃貸借ノ期間ガ滿了
シマスル場合ニ賃借人一方ノ意思ヲ以テ二十年ニ達スルマデ其期間ヲ更新ス
ルコトヲ得ルト云フコトガ眼目ニナッテ居ルノデアリマス、卽チ賃貸借ニ付キ
マシテハ、借地人ナル當事者一方ノ意思ヲ以テ契約ノ條件ヲ變更スルコトヲ
許スト申シマスル隨分思切ッタ規定デアルノデアリマス、併ナガラ委員會ニ於
キマシテハ、此二條及三條ノ事ハ、此賃貸借ニ付キマシテハ、地主及借地人
トノ關係ニ付キマシテハ、此外ニモ又餘ホド審議熟慮スベキ點ガ澤山アリマ
スルカラ、今日斯ノ如キ二條三條ノ如キモノヲ玆ニ制定スル必要ハ無イト云
フノデ、詰リ借地權ニ關シマシテハ、立法上他ニ〓究スベキ問題ガ多々有リ
マスルガ故ニ、是ハ宿題トシテ又他日茲ニ本案ノ如キモノヲ提出シテモ遲ク
ナイト云フ趣意ヲ以チマシテ、此第二條ハ削除ニナッタノデアリマス、デ第二
條ヲ削除シマシタニ付キマシテハ、卽チ賃貸借ノ期間ヲ定メナイ場合デアリ
マスルカラ、第三條モ即チ同ジ理由デ以テ玆ニ削除ノ必要ヲ認メタノデアリ
マスデ第四條ヲ玆ニ存シマシタ理由ニ付イテ中上ゲマスルガ、此四條ノ規
定ハ善意ノ土地買得者ヲ保護スル爲ニ、詰リ賣買ノ契約ノ目的物ガ違ッタ場
合ニハ此契約ヲ解除スルコトヲ得セシムルト云フ他ノ契約ニ關シマスル民法
ノ規定ト權衡ヲ得テ至當デアルデアラウト云フノデアリマシテ、此第四條ハ
存シタノデアリマス、四條ト申シマスノハ修正ニナリマスルト第二條ニナリ
やく、次ノ附則デアリマスルガ、此附則ハ第二條第三條ヲ削除スレバ、茲ニ
此附則ヲ設クル必要ハ自然ト無イノデアリマスニ依ッテ、附則ハ削除ニナッタ
ノデアリマス、故ニ委員會ノ修正案ハ御手許ニアリマスル如ク衆議院送付案
ノ第一條ヲ其儘ニ存シテ置キマシタ、次ニ二條三條ヲ削除イタシマシテ、四條
ヲ二條ト改メマシタ、ソレカラ附則ハ全部コレモ削除ニナッタノデアリマス、
詰リ斯ノ如キ修正デアリマスル、デ委員會ニ於キマシテモ、此修正案ヲ以テ
十分トハ固ヨリ認メナイノデアリマス、併ナガラ今日焦眉ノ急、即チ地震賣
買ヲ防遏スルダケノコトハ講ジナケレバナラヌト云フコトガ委員曾ノ意見デ
アリマス、故ニ諸君ノ御手許ニアリマスル如キ修正案ヲ提出シタノデアリマ
ス、ドウゾ諸君ニ於カレマシテモ委員會ノ修正案通リニ本議場デ御可決アラ
ムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=57
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058・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 別ニ御發議ガゴザイマセネバ採決イタシマス、
本案ヲ第二讀會ニ移スベシトスル諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=58
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059・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 過半數ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=59
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060・廣澤金次郎
○伯爵廣澤金次郞君 直チニ第二讀會ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス
〔「贊成」ト呼フ者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=60
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061・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 廣澤伯爵ノ直チニ第二讀會ヲ開クト云フコトニ
御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=61
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062・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) ソレデハ直チニ第二讀會ヲ開キマス、全部ヲ問
題ニ供シマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=62
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063・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 委員長報告通リデ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=63
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064・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=64
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065・廣澤金次郎
○伯爵廣澤金次郞君 直チニ三讀會ヲ引續イテ開カレムコトヲ希望イタシマ
ス
〔「贊成」ト呼フ者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=65
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066・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 直チニ第三讀會ヲ開クト云フ廣澤伯爵ノ動議ニ
御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=66
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067・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) ソレデハ直チニ第三讀會ヲ開キマス、····原案
ヲ可トスル諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=67
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068・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 過半數ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=68
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069・黒田長成
○副議長(候爵黑田長成君) 第十四、商法中改正法律案、衆議院提出、第
讀會ノ續、委員長報告
商法中改正法律案
右否決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報〓候也
明治四十二年三月十八日
右特別委員長
伯爵柳原義光
貴族院議長公爵德川家達殿
〔伯爵柳原義光君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=69
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070・柳原義光
○伯爵柳原義光君 唯今議題ニナッテ居リマス商法中改正法律案ノ委員會ノ
經過竝ニ結果ヲ御報道申上ゲマス、此委員會ハ去ル八日ニ開キマシテ其時ハ
單ニ正副委員長ノ選擧ダケデアッタノデゴザイマス、再ビ昨十八日ニ此委員會
ヲ開キマシテ其時ニ政府委員ノ出席ヲ請ヒマシテ、種々質問ノ上、審議ノ末、
僅カ委員中一名ノ賛成者ガアッタノミデ他ハ皆反對サレテ此案ハ否決ト相成ツ
タノデアリマス、其理由ハ詰リ政府モ此商法全部ヲ改正シタイト云フ意思ガ
アルサウデ、遲クモ此次ノ議會ニハ商法全部ノ改正案ヲ提出サレル考デアル
サウデゴザイマス、故ニ委員ノ大部分モ此本案ノ內容ニ敢テ反對デハ無イノ
デアリマスケレドモ、此次ノ議會マデ待ツコトガ出來ナイホド焦眉ノ急ヲ要
スル程ノ改正ノモノデナイト云フコトヲ認メラレタノデアリマシテ、尙又此
條項ノミヲ改正スレバ他ニ波及シテ如何ナル不都合ノ點ヲ釀スヤモ知レヌカ
ラ、兎ニ角此次ノ議會ノ時、全部改正案ヲ提出セラルヽマデ待ッタ方ガ宜カ
ラウト云フ考デ、內容ニ反對ハ無イノデアリマシタガ、唯此次マデ待ツト云
フ考デ反對ニナッタノデアリマス、委員中タヾ一人此案ヲ賛成サレタ其賛成者
ノ言ハレルノニ、兎ニモ角ニモ改正ノ必要ヲ認メタノデアレバ先ヅ取敢ヘズ
改正ノ必要ヲ認メタ條項カラ改正ヲシタ方ガ宜イデハナイカト云フ意見ヲ立
テラレタノデアリマス、併ナガラ前申上ゲマス如ク委員ノ多數ハ此次ノ議會
ニ商法全部改正案ノ提出サルヽマデ待ッテ居テ遲クハナイト云フノデ此案ハ
否決ニナッタノデアリマス、此段御報道申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=70
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071・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 別ニ御發議ガゴザイマセネバ採決イタシマス、
本案ヲ第二讀會ニ移スベシトスル諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者少數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=71
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072・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 少數ト認メマス、本案ハ否決サレマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=72
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073・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 本日ノ議事ハ是ニテ終リマシタ、先刻御委託ニ
ナリマシタ特別委員ノ氏名ヲ書記官長ヲシテ朗讀イタサセマス
〔太田書記官長朗讀〕
耕地整理法改正法律案特別委員
子爵渡邊昇君子爵鍋島直彬君子爵大宮以季君
男爵園田安賢君前田正名君村田保君
男爵靑山元君仁尾惟茂君下〓傳平君
特許法改正法律案外三件特別委員
伯爵廣澤金次郞君子爵加納久宜君子爵一柳末德君
男爵沖守固君男爵田健治郞君下條正雄君
岡野敬次郞君木村 誓太郞君鎌田榮吉君
獸疫豫防法中改正法律案特別委員
男爵北垣國道君子爵靑山幸宜君子爵山口弘達君
男爵岡内重俊君男爵四條隆平君男爵佐野延勝君
石井省一郞君谷新助君辰巳楢太郞君
蠶病豫防法中改正法律案特別委員
侯爵佐竹義生君子爵内田正學君子爵鍋島直虎君
子爵牧野貞寧君宮本小君男爵新田忠純君
男爵山内豐政君得能通昌君道源權治君
貴族院及衆議院速記技手恩給竝遺族扶助料ニ關スル法律案特別委員
伯爵吉井幸藏君子爵裏松良光君子爵久留島通簡君
小牧昌業君男爵石黑忠恵君男爵中川興長君
男爵高崎安彥君西村亮吉君土居通博君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=73
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074・黒田長成
○副議長(候爵黑田長成君) 次會ノ議事日程ハ追ッテ本院彙報ヲ以テ御通知
ニ及ビマス、本日ハ散會ヲ致シマス
午前十一時十八分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01719090319&spkNum=74
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