1. 会議録本文
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000・会議録情報
明治四十三年二月十六日(水曜日)
午前十時五分開議
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議事日程 第五號 明治四十三年二月十六日
午前十時開議
第一 子爵谷干城君、子爵平松時厚君、木下廣次君、堀基君請暇の件
第二 明治四十三年度歳入歳出總豫算案竝明治四十三年度各特別會計歳入歳出豫算案審査期限を定むるの件
第三 豫算外國庫の負擔となるへき契約を爲すを要する件審査期限を定むるの件
第四 明治四十二年度歳入歳出總豫算追加案(第一號)審査期限を定むるの件
第五 明治四十二年度各特別會計歳入歳出豫算追加案(特第一號)審査期限を定むるの件
第六 豫算外國庫の負擔となるへき契約を爲すを要する件(追第一號)審査期限を定むるの件
第七 明治四十二年度特別會計歳入歳出豫算追加案(特第二號)審査期限を定むるの件
第八 地租條例中改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第九 宅地地價修正法案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第十 相續税法中改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第十一 通行税法案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第十二 酒精造石税徴收猶豫及免除に關する法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第十三 砂糖消費税法中改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第十四 織物消費税法案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第十五 賣藥税法中改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第十六 砂金採取地税法案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第十七 鑛業法中改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第十八 登録税法中改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第十九 取引所税法中改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第二十 狩獵法中改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第二十一 印紙税法中改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第二十二 民事訴訟用印紙法中改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第二十三 商事非訟事件印紙法中改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第二十四 行政訴訟書類印紙貼用廢止に關する法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第二十五 帝國大學特別會計法中改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第二十六 鐵道敷設法中改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第二十七 北海道鐵道敷設法中改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第二十八 衆議院議員選舉法中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會
第二十九 未成年者飮酒取締に關する法律案(衆議院提出) 第一讀會
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=0
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001・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ諸般ノ報告ヲ致シマス
〔河井書記官朗讀〕
去ル四日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出案ハ卽日之ヲ衆議院ニ送付セ
リ
電氣測定法案
著作權法中改正法律案
同日決算委員第一分科主査千坂高雅君主査辭任ニ付卽日補闕選擧ノ結果谷
森眞男君當選セリ
去ル五日衆議院ヨリ衆議院議員選擧法中改正法律案ヲ提出セリ
小野光景君
去ル七日貴族院令第一條五項ニ依リ貴族院議員ニ任セラル
正三位勳四等子爵鍋島直柔君
同日薨去セラル依テ去ル九日弔辭ヲ贈レリ
去ル九日請願委員長ヨリ請願委員會特別報告第一號ヲ提出セリ
去ル十日衆議院ヨリ政府ニ於テ所得稅法中改正法律案ヲ撤囘セル旨ノ通牒
ヲ受領セリ
同日衆議院ヨリ未成年者飮酒取締ニ關スル法律案ヲ提出セリ
同日請願委員長ヨリ請願文書表第三囘報〓書ヲ提出セリ
去ル十二日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
地租條例中改正法律案
宅地地價修正法案
相續稅法中改正法律案
通行稅法案
酒精造石稅徵收猶豫及免除ニ關スル法律案
砂糖消費稅法中改正法律案
織物消費稅法案
賣藥稅法中改正法律案
砂金採取地稅法案
鑛業法中改正法律案
登錄稅法中改正法律案
取引所稅法中改正法律案
狩獵法中改正法律案
印紙稅法中改正法律案
民事訴訟用印紙法中改正法律案
商事非訟事件印紙法中改正法律案
行政訴訟書類印紙貼用廢止ニ關スル法律案
帝國大學特別會計法中改正法律案
鐵道敷設法中改正法律案
北海道鐵道敷設法中改正法律案
明治四十三年度歲入歳出總豫算案竝明治四十三年度各特別會計歲入歲出
豫算案
豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件
明治四十二年度歲入歳出總豫算追加案(第一號)
明治四十二年度各特別會計歲入歲出豫算追加案(特第一號)
豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件(追第一號)
明治四十二年度特別會計歲入歲出豫算追加案(特第二號)
昨十五日衆議院ヨリ政府提出著作權法中改正法律案ハ本院ノ議決ニ同意シ
奏上セル旨ノ通牒ヲ受領セリ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=1
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002・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 本院議員ニ任ゼラレマシタ小野光景君ノ部屬ヲ第
九部ニ編入イタシマス、其席次ハ細谷君ノ次席ト確定イタシマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=2
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003・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ本日ノ會議ヲ開キマス、議事日程ニ移リマ
ス、議事日程第一子爵谷干城君、子爵平松時厚君、木下廣次君、堀基君請
暇ノ件、谷子爵ハ病氣ニ付キ十三日間、平松子爵ハ病氣ニ付キ二十日間、木
下君ハ病氣ニ付キ十三日間、堀君ハ病氣ニ付キ二十七日間ノ請暇デアリマス、
何レモ許可ヲ致シテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=3
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004・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=4
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005・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第二、明治四十三年度歲入歲出總豫算案
竝明治四十三年度各特別會計歲入歲出豫算案審査期限ヲ定ムルノ件、第三、豫
算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件審査期限ヲ定ムルノ件、第
四、明治四十二年度歲入歲出總豫算追加案(第一號)審査期限ヲ定ムルノ件、
第五、明治四十二年度各特別會計歲入歲出豫算追加案(特第一號)審査期限ヲ
定ムルノ件、第六、豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件(追
第一號)審査期限ヲ定ムルノ件、第七、明治四十二年度特別會計歲入歳出豫
算追加案(特第二號)審査期限ヲ定ムルノ件
〔左ノ送付文ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス〕
明治四十三年度歲入歲出總豫算案竝明治四十三年度各特別會計歲入歲出
豫算案
右本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
明治四十三年二月十二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件
右本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
明治四十三年二月十二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
(第一號)明治四十二年度歲入歲出總豫算追加案
右本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
明治四十三年二月十二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
(特第一號)明治四十二年度各特別會計歲入歲出豫算追加案
右本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
明治四十三年二月十二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
(追第一號)豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件
右本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
明治四十三年二月十二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
(特第二號)明治四十二年度特別會計歲入歲出豫算追加案
右本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
明治四十三年二月十二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=5
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006・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 大藏大臣桂侯爵
〔國務大臣候爵桂太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=6
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007・桂太郎
○國務大臣(侯爵桂太郞君) 諸君、私ハ玆ニ明治四十三年度歲計豫算ヲ諸君
ニ紹介ヲ致シマスルノハ本大臣ノ深ク光榮トスル所デゴザリマス、當初政府
ノ提出イタシマシタル明治四十三年度總豫算ニ計上イタシマシタ所ノ歲入
ハ經常部ニ屬シマスルモノ四億八千八百九十二萬九千五百六十四圓、臨時
部ニ屬シマスルモノガ四千五百二十四萬三千百四十二圓、合計五億三千四百
十七萬二千七百六圓デゴザイマシテ、其歲出ハ經常部ニ屬シマスルモノハ四
億二千九十八萬四百五圓、臨時部ニ屬シマスルモノガ一億一千三百十九萬二
千三百一圓、合計五億三千四百十七萬二千七百六圓デゴザイマシテ、ソレ故
ニ經常歲入ヲ以チマシテ之ヲ經常歲出ニ比較シマスルト、六千七百九十四萬
九千百五十九圓ノ超過デアリマシテ、之ヲ前年度ニ比較イタシマスレバ經常
部歲入歲出ノ關係ニ對照イタシマスルト一層良好ナル情況ヲ示シテ居リマ
ス、右總豫算ニ計上ヲ致シマシテゴザリマスル歲出ノ外、明治四十三年度ニ
於キマシテハ明治四十一年度ヨリ繰延ベマシタル經費ノ內、六百八十九万九
百四十三圓及臨時軍事費ノ特別會計ヨリ繰越シマシタ經費ノ內、七百五十万
四千百八十八圓、合計一千四百三十九万五千百三十一圓ヲ使用スルノ豫定デ
アリマシテ、前年度剩餘金ヲ以チマシテ之ガ財源ニ充テマスル積リデゴザイ
やべ、明治四十三年度ノ歲入ヲ以チマシテ之ヲ前年度豫算ニ比較イタシマス
ルニ經常部ニ在リマシテハ稅制ノ整理ニ依リマシテ歲入ニ多少ノ減額ヲ行
ヒマスルニ拘ラズ、一般經濟ノ發展ニ伴ヒマシテ、租稅、印紙收入、郵便電
信電話收人及專賣局益金等ニ於キマシテ收入ノ增加ヲ致シマスルト、新ニ南
滿洲鐵道株式會社ノ配當金收入ヲ豫算イタシマシタルトニ依リマシテ、千八
百五十七万餘圓ヲ增加イタシマスルモ、臨時部ニ於キマシテ三百三十三万餘
圓ヲ減少イタシマスルタメ、差引キ歲入總額ニ於キマシテ千五百二十四万餘
圓ヲ增加スルコトヽナツテ居リマス、明治四十三年度歳出ヲ以チマシテ之ヲ
前年度豫算ニ比較イタシマスルニ、經常部ニ在リマシテハ一方ニ於キマシテ
行政整理ニ依リ各般ノ政費ニ節減ヲ加ヘ、其他既定經費ニ減額ヲ見ルモノガ
アリマスルケレドモ、他方ニ於キマシテ、皇室費ノ增加、官吏增俸及下士卒ノ
增給、日韓協約ニ基ク統監府ノ司法廳、裁判所及監獄ノ新設、日〓協約ニ基ク
間島總領事館ノ新設、既定經畫ニ基ク事業ノ進捗及軍備ノ充實、〓育資金配當
金ノ設置等ガアリマスルタメ、差引キ千六百四十五万餘圓ヲ增加イタシ、臨
時部ニ在リマシテハ一方ニ於キマシテ既定繼續費年割額ノ增加イタシマスル
モノガアリマスル外、道路改良費ノ補助、北海道ノ拓殖、韓國鐵道ノ建設改良、
關門海峽ノ改良、神戶稅關防波堤ノ築造、臺灣兵營廳舍ノ經營、軍用氣球ノ〓
究鎭海軍港設備及發電水力ノ調査等、經濟上竝ニ軍事上緊急缺クコトノ出
來マセヌ施設ヲ致シ、竝ニ國債償還額ヲ增加イタシマシタルタメ、臨時國債
整理基金ノ繰入ヲ增加イタシマシタガ、他方ニ於キマシテハ事業ノ完了ヲ致
シ、又ハ既定年割額ノ減少スルコトガアリマス等ヨリ差引キ百十九萬餘圓ヲ
減少イタシマシテ、結局歲出總額ニ於キマシテ千五百二十五万餘圓ノ增加ヲ
見ルモノデアリマス、右政府ノ提案ニ對シマシテ、提出後政府ニ於キマシテ、
之ニ多少ノ修正ヲ加ヘ、衆議院ニ於キマシテモ亦審議ノ結果、之ニ修正ヲ加
フル所ガアリマシタ、今其主要ナルモノヲ擧ゲレバ歲人ニ在リマシテハ
方ニ地租ニ於キマシテ田畑ニ對スル稅率ヲ低減スルガ爲ニ七百八十餘万圓ヲ
減少シ、他方ニ於キマシテ再調査ノ上、所得稅法中改正法律案ヲ撤囘イタシ
及衆議院ニ於キマシテ通行稅法案ヲ修正シタル結果、百四十餘万圓ヲ增加シ
歲出ニ在リマシテハ、官吏增俸及下士卒增給額ノ一部ヲ減少シ、大藏省所管
ノ減債費、陸軍省所管ニ於テ糧秣費、海軍省所管衣糧費竝ニ軍艦製造及建築
費、司法省所管ニ於キマシテ在監人費、遞信省ニ於キマシテ發電水力調査費
ニ削減修正ヲ加ヘタル等ノタメ、結局歲入歲出各三百七十餘万圓ヲ減少イタ
シマシタ、以上明治四十三年度豫算ニ關シマシテ其計數ノ大體ヲ說明ヲ致シ
マシタガ、本大臣ハ更ニ進ミマシテ本年度豫算ニ關シマスル財政經畫ノ綱領
ニ付キマシテ、一言ヲ致ス考デゴザイマス、抑〓戰後財政ノ調理ハ歲計ノ基
礎ヲ確實ニ致シマシテ、急激ニ增加イタシマシタル公債ヲ整理イタシマスル
コトヲ第一ノ急務トスベキコトハ、本大臣ノ前議會ニ於キマシテ既ニ陳述イ
タシマシタル所デゴザリマシテ、明治四十二年度豫算ヲ編製スルニ當リマシ
テハ、主トシテ將來ニ亙リマシテ歲入歲出ヲ整頓シ其均衡ヲ保チ、新規公債
ノ發行ヲ避ケ其償還額ヲ增加イタシマシテ、以テ財政ノ基礎ヲ鞏固ニシ、公
債ニ對スル信用ヲ厚ウシ、併セテ一般經濟界ノ調和ヲ圖リマスルノ方針ヲ採
リマシタ、此方針ハ幸ニ諸君ノ御協贊ヲ得マシテ、戰後財政ノ整理漸ク其〓
ニ就クヲ得マシタルハ本大臣ノ深ク欣ブ所デゴザイマス、今明治四十三年度
豫算ヲ編製スルニ當リマシテモ、此方針ハ之ヲ動カシマセズ、更ニ進ミマシ
テ愈〓適實ニ之ヲ實行イタシ、漸次至難ナル戰後財政整理ノ事業ヲ完了セムコ
トヲ期シマシテ、卽チ第一ニ國民負擔ノ均衡ヲ圖リマスルガタメ稅制ノ整理
ヲ實行イタシ、第二ニ行政ノ整理ヲ行ヒ政費ノ節約ヲ圖ルト同時ニ、多年ノ
宿題トナツテ居リマシタ所ノ官吏ノ增俸、下士卒ノ增給ヲ行ヒ、併セテ國運
ノ發展上必要已ムベカラザル各般ノ施設ヲ爲シ、第三ニ償還期限ノ差迫リマ
シタル國庫債劵ノ償還ヲ便ニシ、併セテ國債ノ信用ヲ增加スルノ計畫ヲ立テ
マシタ、大戰役ノ後我ガ國勢ノ一變イタシマシタルガ故ニ、隨ツテ國民ノ負
擔ガ戰役前ト同ジキコトヲ得マセヌノハ、今更申述ブルマ、テモナイコトデゴ
ザイマス、併ナガラ戰時〓忙ノ際ニ成ルベク簡便ノ方法ニ依リマシテ租稅ノ
增徵ヲ爲サムトシテ制定ヲ致サレマシタル所ノ各種ノ稅法ノ下ニ於キマシ
テ、負擔ニ衡平ヲ失スルモノヽアリマスルコトハ之ヲ否認スル譯ニ參リマセ
ヌ、故ニ財源ノ許ス限リ各般ノ稅制ノ整理ヲ致シマシテ、民ノ負擔ニ厚薄ナカ
ラシメマスルコトハ極メテ必要ノコトヽ考ヘマス、併シ稅制整理ノ事タル相
當ノ財源ヲ要スルモノデアリマスルガ故ニ、來年度ニ生ズベキ財源ヲ以チマ
シテ、整理ノ全部ヲ完了スルコトノ出來マセヌコトハ勿論デアリマスルカラ、
政府ハ稅制整理ノ順序ト致シマシテ、先ヅ主トシテ同一租稅ノ賦歛ニ於テ負
擔ニ輕重ノ別ナカラシメムコトヲ圖リマシテ、以テ漸次整理ノ完了ヲ圖ルノ
趣旨ヲ以チマシテ、之ニ必要ナル法案ヲ提出イタシマシタ、然ルニ所得稅ニ
付キマシテハ再調査ノ上更ニ適當ナル立案ヲナシ御協賛ヲ求ムルノ必要ヲ
認メマシテ、之ヲ撤囘イタシマシタ、地租ニ付キマシテハ、衆議院ニ於テ、
來年度ヨリ之ヲ輕減スルノ急アリト認メマシテ、田畑地租千分ノ八ヲ減ズル
コトニ修正ニナリマシタ、政府ニ於テモ地租ノ輕減ハ固ヨリ必要ノコトヽ認
メテ居ル唯順序ニ於テ前後ノ處置ヲ異ニシタルコトデアリマスカラ、右ノ
修正ハ稅制整理ノ大體ノ方針ト牴觸スル所アリマセヌ故ニ、之ニ同意ヲ致シ
テ居リマス、國防ノ大計ハ之ヲ動カスコトヲ得マセヌガ故ニ、既定ノ軍備ヲ
縮小セザル範圍ニ於キマシテ、行政各般ノ整理ヲ行ヒ、事務ノ執行ヲ簡易ニ
シ、官吏ノ定員ヲ減少シ之ニ依リマシテ政費ヲ節約イタシマスルト同時ニ、
物價騰貴、貨幣制度ノ改正等ニ依リマシテ、久シク增額ノ必要ニ迫ッテ居リマ
シタル文武官吏ノ俸給及下士卒ノ給與ニ對シマシテ約三割ノ增給ヲ行ヒ、以
テ適材ヲ適所ニ任ジ、政務ノ振興ヲ圖ルノ案ヲ立テマシタ、增俸增給ノ爲ニ
歲出ヲ增加スルコトハ、一般會計及特別會計ヲ通ジマシテ約千五百萬圓トナ
リマスルガ、行政整理ニ依リマシテ政費ノ減ズルコト約六百萬圓デアリマス
ルガ故ニ、差引キ新ニ財源ヲ要シマスルコト約九百萬圓デアリマス、然ルニ
官吏竝ニ下士卒ノ俸給增加ニ關シマシテハ、衆議院ニ於テ約二百萬圓ヲ減額
ノ修正ヲ致シマシテ、政府ハ之ニ同意ヲ與ヘマシタ、其他各般ノ經費ニ付キ
マシテハ歲計全體ヲ通ジマシテ努メテ緊縮ヲ圖リ、新規要求ハ成ルベク之ヲ
見合セ、既定經畫ニ屬スルモノニ在リマシテモ、出來得ル限リ之ニ節減ヲ加
フルノ方針ニ依リマシタケレドモ、戰後ノ經營ハ徒ニ消極ニ偏スルヲ許シマ
セヌガ故ニ、國力ノ發展竝ニ經濟社會ノ進運ニ伴ヒ、若クハ國民經濟力ノ發
達ニ必要缺クベカラザル各種ノ施設ニ關シマシテハ、確實ナル財源ノ許ス範
園內ニ於キマシテ其遂行ヲ期スルコトニ致シマシタ、明治四十三年度國債整
理基金繰入額ハ一億九千三百九十三万餘圓デアリマシテ、之ヲ前年度ニ比較
イタシマスルニ、實ニ一千八十万圓ノ增額トナリマス、而シテ右ノ繰入金ノ
內、元金ノ償還ニ充ツベキ金額ハ六千八十万圓デアリマシテ、前年度ニ比較イ
タシマシテ一千万圓ヲ增加スルモノデアリマス、右ノ如ク國債償還額ノ增加
イタシマスルノハ既定ノ經畫ニ基キマシテ前年度ニ於テ償還ヲ致シマスル元
金ノ利子ニ相當スル金額卽チ約二百五十万圓ヲ增加スルノ外、明治四十一年
度ニ於キマシテ生ジマシタル歲計剩餘中必要已ムヲ得ザル經費ニ充當シ得ベ
キモノヲ除キマシタル殘額七百五十万圓ヲ臨時ニ國債ノ整理基金ニ繰入ヲ致
シマシタル結果デアリマス、歲計剩餘金ヲ國債ノ償還ニ使用イタシマスルコ
トハ、國庫ノ負擔ヲ輕減スルニ最モ適實ナル方法デゴザイマスルノミナラズ、
最近ニ償還期限ノ到來ヲ致シマスル國庫債劵ノ償還ニ對シマシテ大ナル便益
ヲ與フルモノデゴザイマス、翻ッテ我ガ經濟界ノ趨勢ヲ按ジマスルニ、金融緩
慢ヲ〓ゲ、內外市場ノ不振ハ未ダ俄ニ多大ナル商工業資本ノ需要ヲ喚起スル
ニ至リマセヌケレドモ、明治四十二年中、銀行會社ノ新設增資ニ係リマスル
モノ約一億二千万圓ニ上ボリマシテ、大體ニ於キマシテ我ガ經濟界ハ順次秩
序的ノ發達ヲ示シツヽアルモノト言ハネバナリマセヌ、又同年中ニ於キマス
ル我ガ外國貿易ノ情況ヲ見マスルニ、輸出ガ四億一千三百餘万圓、輸入ガ三
億九千四百餘万圓、合計八億七百餘万圓デアリマシテ、之ヲ前年度ノ貿易額ニ
比較イタシマスルトキハ、總額ニ於キマシテハ七百餘万圓ノ減少ヲ致シテ居
リマス、蓋シ內外商工業不振ノ結果ニ外ナリマセヌガ、其內容ニ就キマシテ
之ヲ見マスルニ、前年ニ比シマシテ輸出ハ三千四百餘万圓ヲ增加シ、輸入ハ
四千二百餘万圓ヲ減ジマシタルモノデゴザイマシテ、前年度ニ於キマスル輸
入超過五千八百餘万圓ニ對シ、約一千九百万圓ノ輸出超過ヲ示シマスルノハ、
去ル明治二十五年以來曾テ見ザル所ノ現象デゴザリマス、我ガ內地ノ產業ガ
順次其潜勢力ヲ發揮スルノ時期ニ到達シツヽアルモノト認ムルノ外ハゴザイ
マセヌ、之ヲ要シマスルニ戰後ノ財政ハ一度ハ必ズ整理ヲ要スルモノデアリ
マスルガ、整理ノ目的ハ財政ノ鞏固ヲ期スルニ在リマスルガ故ニ、之ヲ爲シマ
スルニハ先ヅ緩急其順序ヲ誤ラザルコトガ肝要デゴザイマス、明治四十三年
度ノ豫算ニ於キマシテハ前年度ノ豫算經畫ニ次ギマシテ其最モ急ナリト認メ
マスル所ヲ實行セムトスルモノデゴザイマシテ、本大臣ハ更ニ進ンデ十分ノ
調査ヲ遂ゲ、內外ノ形勢ニ鑑ミ、事情ノ緩急ニ應ジテ漸次必要ナル施設ヲ怠
ラザラムトスル考ヘデアリマス、諸君、昨年御協賛ヲ得マシテ決定ヲ致シマ
シタル財政經畫ニ依ッテ我ガ財政ノ鞏固ヲ加ヘマシタコトハ我邦諸般ノ平和
的施設經營ト相俟チマシテ著シク我邦ノ信用ヲ恢復シ公債ノ市價ハ著シク增
加ヲ致シマシタ、而カイタシマシテ內外ノ經濟狀態ハ漸次良好ニ向ヒマシタ、
殊ニ內地ニ於キマシテハ近來著シク金融ノ緩慢ヲ來タシマシタル故ニ、政府
ニ於キマシテハ財政整理ノ本旨ニ依リ第二期ノ財政經畫ノ實行ニ移リ、公債
ノ整理借換ヲ爲シ以テ國庫ノ支出ヲ減少ヲ致シ、併セテ國民ノ負擔ヲ輕減ス
ルニ最モ好時機ナリト認メマシテ、內地ニ於キマシテ五分利公債借換ノタメ
四分利公債一億圓ヲ發行スルノ手續ヲ定メマシタ、本月五日之ニ必要ナル規
定ヲ發表ヲ致シマシタ、政府ニ於キマシテハ今囘ノ借換ヲ以チマシテ第一ノ
著手ト致シマシテ、今後時機ヲ見テ順次内外ニ於ケル公債全部ヲ低利ニ借換
ヘルノ考ヘデゴザイマス、幸ニ此事業ノ圓滿ニ成功ヲ〓ゲマシテ、一ニハ國
庫及國民ノ負擔ヲ輕減シ、又一ニハ之ニ依リマシテ民間金利ノ標準ヲ一變イ
タシマシテ、財政經濟兩方面ニ於テ一新時期ヲ作ルニ至リマスルコトヲ本大
臣ノ深ク希望スル所デアリマス、諸君、本大臣ハ諸君ガ愼重審議ヲ以テ速ニ
豫算案ニ御協賛アラムコトヲ希望シテ巳マヌノデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=7
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008・柳澤保惠
○伯爵柳澤保惠君 私ハ唯今、大藏大臣閣下ノ御演說ヲ承リマシテ大分伺ヒ
タイコトモゴザイマス、併ナガラ其詳細ノコトハ豫算委員會ニ於テ承リマセ
ウト存ジマスガ、唯一二少シク了解シ兼ネマス所ヲ伺ヒタイト思ヒマス、先般
豫算ヲ衆議院ニ御提出ノ場合ニ於キマシテ、又コチラノ議院ニ於キマシテ大
木伯爵ノ御質問ニ對シテノ御答ニ依リマスルト、地租輕減ノコトハ決シテ忽
セニスベカラザルモノデアル、是ハ政府ニ於テモ念頭ヲ去ラヌモノデハアル
ケレドモ併ナガラ今年度ニ於テハ出來ニクイト云フヤウニ承ッテ居リマス、又
官吏增俸ノコトニ付キマシテモ地租輕減ヨリ以上ニ重大ノモノト云フ多少ノ
御考ヘヲ以チマシテカラニ到底此兩方ハ今年度ニ於テ出來ナイト云フヤウニ
承リマシタ、然ルニソレガ忽チ衆議院ノ修正ガ出マシテカラ三割ノ增加ガ五
分ヲ減ジ、又地租ニ於キマシテモ八厘ノ減額ニ忽チ御同意ニナリマシタ、然ラ
バ政府ニ於キマシテハ衆議院ノ修正以前ニ於テノ御考ヘハ全ク誤リデアル、
衆議院ノ論ヲ輿論ト看做サレテ輿論ヲ重ンズル御考ヘヲ以テ昨日ノ非ヲ御改
メニナッタノデアリマセウカ、之ヲ私ハ一應承リタイノデアリマス
〔國務大臣侯爵桂太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=8
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009・桂太郎
○國務大臣(侯爵桂太郞君) 唯今柳澤伯爵ヨリ御質問デゴザイマシテ之ニ御
答イタシマス、政府ハ稅制整理ノコトニ付キマシテハ何ゾ必シモ本年ヲ以テ
限リト致シテ居ッタノデハゴザリマセヌ、卽チ政府ノ見マスル所デハ歲計ノ許
ス限リ國民ノ負擔ノ均衡ヲ保チソレニ依ッテ以テ其負擔ノヨリ輕クナルト云
フコトハ政府ニ於キマシテモ豫ネテ希望イタス所デゴザイマス、故ニ唯今柳
澤伯爵ノ御質問ハ政府ハ地租ニ對シテモ强チ不同意デモナカッタヤウニアル、
併ナガラ初メニ於テハ地租ヲ出サナカッタノデアルガ、其出サナカツタ所ノ地
租ヲ衆議院ニ於テ同意イタシタノハ如何デアルカト云フ御質問ニ對シマシテ
ハ唯今申述ベマシタル如ク唯前後ヲ之ニ致シマシタルダケノ結果デゴザイマ
ス卽チ明後年爲シ得レバ致サムト欲シテ考慮イタシタ所ノモノヲ卽チ本年
ニ交換ヲ致シタニ過ギヌノデゴザイマス、財政經畫ノ上ニ於キマシテハ一切
之ヲ變更イタシタモノデナイト云フコトヲ御承知クダサレタイ、又官吏增俸
ノ點ニ付イテ約五分ヲ減ジタ卽チ二百万圓ヲ減ジタノヲ衆議院ニ於テ同意イ
タシタノハ如何デアルト云フ御問ニ對シマシテ、政府ニ於キマシテハ固ヨリ
此約三割ヲ以テ必要ト認メタニ違ヒゴザイマセヌガ、併ナガラ其折衝ノ間ニ
於キマシテ政府ハ約二百万圓ヲ減ジマシテ差支ガナイト認メマシタ爲ニ之ニ
同意ヲ致シタ次第デゴザリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=9
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010・曾我祐準
○子爵曾我祐準君 唯今問題ニナッテ居リマス議事日程第二ヨリ第七ニ至ル
マデノ審査期限ハ來月ノ七日マデト致シタウゴザリマス、ドウカ諸君御贊成
ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=10
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011・中川興長
○男爵中川興長君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=11
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012・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 曾我子爵ニ確メマスガ、議事日程ノ第二ヨリ第七
マデノ豫算案ノ審査期限ハ三月七日マデ、左樣心得テ宜シウゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=12
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013・曾我祐準
○子爵曾我祐準君 左樣デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=13
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014・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 曾我子爵ノ動議ヲ可トスル諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=14
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015・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 過半數ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=15
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016・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第八、地租條例中改正法律案、政府提出、
衆議院送付、第一讀會
〔東久世書記官朗讀〕
地租條例中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治四十三年二月十二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス以下之ニ傚フ〕
小字ハ衆議院ノ修正、-ハ
同削除ノ符號、以下之ニ傚フ
地租條例中改正法律案
地租條例中左ノ通改正ス
第一條地租ハ左ノ稅率ニ依リ每年之ヲ賦課ス
宅地地價百分ノ二箇半
田畑地價百分ノ四箇七
其他
宅地以外ノ土地地價百分ノ五箇半
ハ當分左ノ稅率ニ依ル
北海道ニ於ケル宅地以外ノ土地ノ地租稅率ハ當分地價百分ノ四箇トス
田畑地價百分ノ三箇四
其他ノ土地地價百分ノ四箇
本條例ニ於テ地價ト稱スルハ土地臺帳ニ揭ケタル價額ヲ謂フ
第三條中「郡村宅地、市街宅地」ヲ「宅地」ニ改メ第二項ノ次ニ左ノ一項ヲ加
フ
第一類地ヲ第二類地ニ變換スルモノヲ地類變換ト謂フ
第四條第一項中「〓村社地」ヲ「府縣社地、〓村社地、招魂社地但有料借地
ハ此限ニ在ラス」ニルム
第五條中「市街宅地」ヲ「宅地」ニ改ム
第七條地價ハ左ノ場合ニ該當スルニ非サレハ之ヲ修正セス
ー地目又ハ地類ヲ變換シタルトキ
二開墾シタルトキ
三開拓鍬下年期明ニ至リタルトキ
四荒地免租年期明ニ至リ原地價ニ復シ難ク若クハ他ノ地目ニ變シタル
トキ又ハ低價年期明ニ至リ原地價ニ復シ難キトキ
第十條地目ヲ變換シ又ハ地類ヲ變換シタルトキハ政府ニ屆出ヘシ
地目ヲ變換シ又ハ地類ヲ變換シタルトキハ直ニ其地價ヲ修正ス但第十六
條第六項ノ場合ハ此限ニ在ラス
第十條ノ一及第十條ノ二ヲ削ル
第十一條地租ヲ課スル土地ヲ地租ヲ課セサル土地ト爲シ又ハ地租ヲ課セ
サル土地ヲ地租ヲ課スル土地ト爲シタルトキハ政府ニ屆出ヘシ但之ニ
關シ豫メ政府ノ許可ヲ受ケ又ハ屆出ヲ爲シタルモノニ付テハ此限ニ在
ラス
地租ヲ課セサル土地ヲ地租ヲ課スル土地ト爲シタルトキハ其地ノ現況ニ
依リ直ニ其土地ノ地價ヲ定ム但第十六條第四項ノ場合ハ此限ニ在ラス
第十二條地租ハ左ノ期限ニ依リ之ヲ徵收ス
一宅地
第一期其年七月一日ヨリ地租額二分ノ一
同七月三十一日限
第二期翌年一月一日ヨリ地租額二分ノ一
同一月三十一日限
二田
第一期其年十二月十六日ヨリ地租額四分ノ一
翌年一月十五日限
第二期翌年二月一日ヨリ地租額四分ノ一
同二月末日限
第三期翌年三月一日ヨリ地租額四分ノ一
同三月三十一日限
第四期翌年五月一日ヨリ地租額四分ノ一
同五月三十一日限
三其他ノ土地
第一期其年九月一日ヨリ地租額二分ノ一
同九月三十日限
第二期其年十一月一日ヨリ地租額二分ノ一
同十一月三十日限
特殊ノ事情アル地方ニシテ前項ノ納期ニ依リ難キモノニ付テハ命令ヲ以
テ特別ノ納期ヲ設クルコトヲ得
第十四條地價ヲ修正シタル土地ニ付テハ其年ヨリ修正地價ニ依リ地租ヲ
徵收ス但其年ニ係ル地租ノ全部又ハ一部ノ納期開始後地價ヲ修正シタル
トキハ翌年分地租ヨリ修正地價ニ依リ地租ヲ徵收ス
第十五條地租ヲ課スル土地ニシテ地租ヲ課セサル土地トナリタルトキハ
其屆出アリタル後又ハ其事實ヲ認メタル後ニ開始スル納期ヨリ地租ヲ徵
收セス
地租ヲ課セサル土地ニシテ地租ヲ課スル土地トナリタルトキハ地價設定
後ニ開始スル納期ヨリ地租ヲ徵收ス但地價設定後ニ開始スル納期ニ於テ
前年分地租ヲ徵收スヘキ場合ニ於テハ其納期分ノ地租ハ之ヲ徵收セス
前二項ノ規定ハ荒地免租年期若クハ低價年期許可ノ場合又ハ荒地免租年
期明若クハ新開免租年期明ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十六條中「耕地ノ區劃若クハ形狀ヲ變更スル爲メ又ハ」ヲ削リ「地方廳」ヲ
「政府」ニ改メ第二項ニ左ノ但書ヲ加フ
但地類變換ヲ爲シタル後五年以內ニ開墾シタルモノニ在リテハ其成功ノ
部分ニ對シ直ニ其地價ヲ修正ス
第十七條中「第十條ノ二ノ規定ヲ準用ス」ヲ「其年ヨリ開墾又ハ變換シタル
地目ニ依リ其地租ヲ徵收ス但其年ニ係ル地租ノ全部又ハ一部ノ納期開始後
屆出アリタルトキハ翌年分地租ヨリ開墾又ハ變換シタル地目ニ依リ其地租
ヲ徵收ス」ニ改メ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ場合ニ於テ開墾又ハ變換地目ノ稅率カ舊地目ノ稅率ト同一ナラサ
ルトキハ舊地目ニ對スル地租額ヲ開墾又ハ變換地目ノ稅率ヲ以テ除シ之
ヲ開墾又ハ變換地目ニ對スル地價トシ修正地價ニ依リ地租ヲ徵收スルニ
至ル迄其地價ニ依リ地租ヲ徵收ス
第二十二條中「其地ノ現況ニ依リ地價ヲ定ム」ヲ「地價ヲ修正ス」ニ改ム
第二十四條ノ二收稅官吏ハ土地ノ檢査ヲ爲シ又ハ納稅義務者若クハ所有
者ニ對シ必要ノ事項ヲ尋問スルコトヲ得
第二十五條及第二十六條中「罰金」ヲ「罰金又ハ科料」ニ改ム
附則
本法ハ明治四十四年一月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ明治四十三年分地租ノ徵
收ニ關シテハ仍舊法ヲ適用ス
宅地以外ノ土地ノ稅率ハ明治四十三年分地租ヨリ之ヲ適用ス
○其ノ他ノ土地ニ付テハ
○宅地ニ付テハ明治四十二年分地租限
非常特別稅法中地租ニ關スル規定ハ○明治四十三年分地租限○之ヲ廢止ス
本法施行前地目ヲ變換シ又ハ地類ヲ變換シタル土地ニシテ地價ヲ修正セサ
ルモノハ本法施行ノ際其ノ地價ヲ修正シ明治四十四年分地租ヨリ修正地價
ニ依リ地租ヲ徵收ス
本法施行前地目ヲ變換シ地價ヲ修正シタル土地ニシテ修正地價ニ依リ地租
ヲ徵收スルニ至ラサルモノニ付テハ明治四十四年分地租ヨリ修正地價ニ依
リ地租ヲ徵收ス
明治二十四年法律第二號、明治三十年法律第五號及宅地組換法ハ之ヲ廢止
ス
〔國務大臣侯爵桂太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=16
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017・桂太郎
○國務大臣(侯爵桂太郞君) 唯〓議題ト相成リマシタ問題ニ付キマシテ御審
議ノ場合ニ於キマシテ一言政府ノ所信ヲ申上ゲテ置クノ必要ガアラウト考ヘ
や、や、諸君、稅法整理ニ關係イタシマスル各種法律案ノ本院ノ議ニ上ボリマ
シタヲ機會ト致シマシテ稅法整理ノ趣旨竝ニ整理案ノ大要ヲ述ベマシテ諸君
ノ御參考ニ供シタイト考ヘマス、我ガ國民ノ負擔ハ大戰役ニ際シマシテ急激
ニ增加ヲ致シマシタル結果ト致シマシテ、稅制ノ賦課均衡ヲ得ズ、負擔稍〓
重キニ過ギタルモノガ無イデハゴザイマセヌ、又諸般經濟上ノ變遷ニ隨ヒマ
シテ稅則ニ改正ヲ要スルモノガ多々ゴザイマス、之ヲ以チマシテ稅制ノ整理
ハ政府及國民ノ均シク其必要ヲ認メマスル所デゴザイマスルガ又一方ニ於
キマシテ國家ガ當然ノ任務ト致シマシテ施設經營ヲ要シマスル事項ハ國運ノ
發展ニ伴ヒマシテ益〓多キヲ加フル場合デゴザイマスルガ故ニ、急激ニ歲入ヲ
減少ヲ致シマスルコトハ頗ル困難デアリマスルガ故ニ、歲計上確實ナル基礎
ヲ動カシマセヌ範圍內ニ於キマシテ負擔ノ均衡ヲ期シマスルト同時ニ、國民
ノ全般ニ亙リマシテ最モ苦痛トスル所ヲ緩和イタシマスル目的ヲ以チマシテ
稅法ヲ整理スルコトヲ期シマシテ、之ニ必要ナル法律案ヲ提出スルコトニナ
リマシタ、卽チ地租ニ在リマシテハ負擔ノ最モ偏重偏輕ナル宅地ニ付キマシ
テ其地價ヲ修正シ、營業稅ニ在リマシテハ營業ノ種類ニ依リ最モ重キヲ置ク
ベキ課稅ノ標準ヲ計ッテ其稅率ヲ適當ニ按排イタシマシタ、相續稅ニ在リマ
シテハ家督相續ノ稅率ヲ遞減イタシマシタ、通行稅ニ付キマシテハ、市內
通行稅ヲ免除イタシマシタ、砂糖消費稅ニ在リマシテハ砂糖ノ種別ヲ增加イ
タシマシテ稅率ノ權衡ヲ維持シ、織物消費稅ニ在リマシテ。ハ毛織物ト以外ノ
織物ト同一ナラシメ、鹽專賣ニ於キマシテハ鹽田ノ整理ヲ致シマシテ、是ヨ
リシテ得タル所ノ利益ノ增加ヲ以チマシテ、鹽價ノ遞減ヲ圖ル等ガ改正ノ重
モナル點デアリマス、所得稅ニ付キマシテハ負擔ノ適正ヲ圖ルノ目的ヲ以チ
マシテ改正案ヲ提出イタシマシタガ、再調査ノ上、適當ナル立案ヲ爲シテ更ニ
御協賛ヲ求メマスル考ヘヲ以チマシテ之ヲ撤囘ヲ致シマシタ、衆議院ニ於キ
マシテハ政府提出ノ稅法整理案ニ對シテ來年度ヨリ地租ノ輕減ヲ實行イタシ
マスルヲ急ナリト致シマシテ、田畑千分ノ八ヲ減ズルコトニ修正ヲ加ヘ、又
通行稅ニ於キマシテハ市內通行ニ對シテ免稅スルノ必要ナキモノトシテ修正
ヲ加ヘマシタ、先キニ述ベマシタル通リ、政府ニ於キマシテモ、稅法ノ整理
ヲ完了イタシマスニハ、地租ノ輕減ヲ無論必要ノ事ト認メテ居リマス、唯順
序ニ於キマシテ、先ヅ偶然其思フ所ヲ異ニ致シマシタニ過ギマセヌカラ、右
衆議院ノ修正ハ稅制整理ノ大體ノ方針ト牴觸スル所ガアリマセヌ故ニ之ニ
同意ヲ表シマシタ、其他ノ法案ニ付キマシテハ豫算ニ關係ヲ有チマセヌモノ
ハ今尙ホ衆議院ニ於テ審議中ニ屬シマス、豫算ニ關係ヲ有シマスルモノハ大
體政府ノ提案ヲ可決イタシマシテ本日本院ノ議ニ上ボリマシタ次第デゴザイ
P〓、諸君、何卒御審議ノ上、御協賛ヲ與ヘラレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=17
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018・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第九、宅地地價修正法案、政府提出、衆議
院送付、第一讀會、第十、相續稅法中改正法律案、政府提出、衆議院送付、第
一讀會、第十一、通行稅法案、政府提出.衆議院送付、第一讀會、第十二、
酒精造石稅徵收猶豫及免除ニ關スル法律案、政府提出、衆議院送付、第讀
會、第十三、砂糖消費稅法中改正法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會、
第十四、織物消費稅法案、政府提出、衆議院送付、第一讀會、第十五、賣藥
稅法中改正法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會、第十六、砂金採取地稅
法案、政府提出、衆議院送付、第一讀會、第十七、鑛業法中改正法律案、政
府提出、衆議院送付、第一讀會、第十八、登錄稅法中改正法律案、政府提出、
衆議院送付、第一讀會、第十九、取引所稅法中改正法律案、政府提出、衆議
院送付、第一讀會、第二十、狩獵法中改正法律案、政府提出、衆議院送付、
第一讀會、第二十一、印紙稅法中改正法律案、政府提出、衆議院送付、第
讀會、第二十二、民事訴訟用印紙法中改正法律案、政府提出、衆議院送付、
第一讀會、第二十三、商事非訟事件印紙法中改正法律案、政府提出、衆議院
送付、第一讀會、第二十四、行政訴訟書類印紙貼用廢止ニ關スル法律案、政
府提出、衆議院送付、第一讀會、議案ノ朗讀ハ省略シテ御異存ゴザイマセヌ
カ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=18
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019・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス
宅地地價修正法案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治四十三年二月十二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
宅地地價修正法
第一條本法ニ於テ宅地ト稱スルハ郡村宅地及市街宅地ヲ謂フ
第二條本法施行ノ際ニ於ケル宅地ノ地價ハ本法ニ依リ之ヲ修正ス
第三條宅地ノ修正地價ハ本法ニ依リ定メタル賃貸價格ノ十倍トス但シ賃
貸價格ノ十倍カ現在地價ノ二十倍ヲ超ユルトキハ現在地價ノ二十倍ヲ以
テ其ノ地價トス
本法ニ於テ賃貸價格ト稱スルハ貸主カ公課、修繕費其ノ他土地ノ維持ニ
必要ナル經費ヲ負擔スル條件ヲ以テ之ヲ賃貸スル場合ニ於テ貸主ノ收得
スヘキ金額ヲ謂フ
第四條宅地ノ賃貸價格ハ宅地賃貸價格調査委員會ノ調査ニ依リ政府之ヲ
決定ス
政府ハ調査委員會ノ決議ヲ不當ト認ムルトキハ之ヲ再調査ニ付ス
左ノ場合ニ於テハ政府ニ於テ宅地ノ賃貸價格ヲ決定ス
-調査委員會成立セサルトキ
二調査委員會ノ調査ニ付シタル日ヨリ六十日以內ニ調査結了セサルト
キ
三調査委員會ノ再議ニ付スルモ其ノ決定仍不當ト認ムルトキ
四調査委員會ノ再議ニ付シタル日ヨリ二十日以內ニ調査結了セサルト
キ
第五條稅務署長ハ所轄內各市町村ニ於ケル宅地ノ賃貸價格ヲ調査シ宅地
賃貸價格調査委員會ニ提出スヘシ
第六條各稅務署所轄內ニ宅地賃貸價格調査委員會ヲ置ク但シ稅務署所轄
內ニ市制ヲ施行スル地方ヲ包含スルトキハ市制ヲ施行スル地方ト其ノ他
ノ地方トニ區別シテ之ヲ置ク
調査委員ノ定數ハ十人トス但シ地方ノ狀況ニ依リ命令ヲ以テ之ヲ增減ス
ルコトヲ得
第七條調査委員ハ調査委員選擧人之ヲ選擧ス調査委員ニ選ハレタル者ハ
正當ノ事故ナクシテ之ヲ辭スルコトヲ得ス
調査委員ハ其ノ職務ノ終了ニ因リ解任ス
第八條調査委員選擧人ノ定數ハ其ノ選擧區域内ニ於テ宅地ノ地租ヲ納ム
ル義務アル者五十人ニ付一人トス但シ義務者千人以上ナルトキハ二十人
ニ止メ義務者五十人未滿ナルトキハ一人トス
第九條調査委員ノ選擧區域ハ調査委員會ヲ置クヘキ區域ニ依リ調査委員
選擧人ノ選擧區域ハ市町村ノ區域ニ依ル
第十條選擧執行ノ日ニ於テ現ニ地租名寄帳ニ宅地地租納稅者トシテ登錄
セラレタル者ハ當該選擧區域內ニ於テ調査委員選擧人ヲ選擧シ又ハ調査
委員若ハ調査委員選擧人ニ選擧セラルルコトヲ得但シ左ニ記載スル者ハ
此ノ限ニ在ラス
一無能力者
二身代限ノ處分ヲ受ケ債務ノ辨償ヲ終ヘサル者及家資分散若ハ破產ノ
宣告ヲ受ケ其ノ確定シタルトキヨリ復權ノ決定確定スルニ至ル迄ノ
者
三國稅滯納處分ヲ受ケタル後一年ヲ經サル者
四六年以上ノ懲役若ハ禁錮ニ處セラレタル者又ハ舊刑法ノ重罪ノ刑ニ
處セラレ復權ヲ得サル者
五六年未滿ノ懲役若ハ禁錮ニ處セラレタル者又ハ舊刑法ノ禁錮ニ處セ
ラレタル者ニシテ其ノ刑ノ執行ヲ終ル迄ノ者又ハ執行ヲ受クルコト
ナキニ至ル迄ノ者
第十一條調査委員選擧人及調査委員ノ選擧竝調査委員會ノ會議ニ關スル
規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十二條政府ハ其ノ決定シタル賃貸價格ニ依リ修正地價ヲ定メ之ヲ市町
村長ニ通知スヘシ
市町村長前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ市役所又ハ町村役場ニ於テ二十日
間其ノ市町村內ニ於テ宅地ノ地租ヲ納ムル義務アル者又ハ其ノ納稅管理
人ノ縱覽ニ供スヘシ
第十三條宅地ノ地租ヲ納ムル義務アル者又ハ其ノ納稅管理人修正地價ニ
不服アルトキハ縱覽期間滿了ノ日ヨリ三十日以內ニ政府ニ異議ノ申立ヲ
爲スコトヲ得
第十四條前條ノ申立アリタルトキハ政府ハ修正地價ヲ決定シ之ヲ異議申
立者ニ通知スヘシ
前條ノ決定ニ對シ不服アルトキ
第十五條本法ニ依ル地價ノ修正ニ付テハ訴願又ハ行政訴訟ヲ爲スコトヲ
得ス
第十六條本法中市トアルハ東京市、京都市、大阪市、北海道及沖繩縣ニ
在リテハ區トス
戶長ノ職務ヲ行フ區域ハ本法ニ於テハ之ヲ町村ト看做ス
附則
第十七條本法ニ依リ地價ヲ修正シタル宅地ニ付テハ明治四十四年分地租
ヨリ修正地價ニ依リ地租ヲ徵收ス
第十八條本法施行後明治四十三年十二月三十一日迄ノ間ニ於テ地租條例
ニ依リ地價ヲ設定シ又ハ修正シタル宅地ニ付テハ更ニ本法ニ依リ地價ヲ
修正シタル類地ノ比準ニ依リ地價ヲ修正シ明治四十四年分地租ヨリ其ノ
修正地價ニ依リ地租ヲ徵收ス
第十九條荒地免租年期又ハ低價年期ヲ有スル宅地ニ付テハ本法ニ依リ地
價ノ修正ヲ爲サス年期明ニ至リ類地ノ比準ニ依リ其ノ地價ヲ修正ス
荒地免租年期ヲ有スル宅地ニシテ低價年期ヲ許可セラレタルトキハ其ノ
年期明ニ至リ前項ノ規定ヲ適用ス
第二十條本法施行前耕地整理法又ハ明治三十年法律第三十九號ニ依リ耕
地ノ整理又ハ土地ノ改良ニ著手シ事業成功ニ至ラサル地區内ニ在ル宅地
ニ付テハ本法ニ依リ地價ノ修正ヲ爲サス事業成功ニ至リ本法ニ依リ地價
ヲ修正シタル類地ノ比準ニ依リ其ノ地價ヲ修正ス
第二十一條開墾著手後九年ヲ經過セサル宅地又ハ鍬下年期若ハ地價据置
年期ヲ有スル宅地ニ付テハ本法ニ依リ地價ノ修正ヲ爲サス開墾著手後十
年目又ハ年期明ニ至リタルトキ類地ノ比準ニ依リ其ノ地價ヲ修正ス
第二十二條前三條ノ場合ニ於テ地租ヲ徵收スヘキ宅地ニ付テハ其ノ修正
地價ニ依リ地租ヲ徵收スルニ至ル迄左ノ各號ニ依リ地租ヲ徵收ス
三箇四
-北海道ノ宅地ニ在リテハ現地價ニ對スル百分ノ四箇ノ地租額ヲ百分
ノ二箇半ヲ以テ除シタルモノヲ以テ地價トシ之ニ對スル地租ヲ徵收
ス
四箇七
二府縣ノ宅地ニ在リテハ現地價ニ對スル百分ノ五箇半ノ地租額ヲ百分
ノ二箇半ヲ以テ除シタルモノヲ以テ地價トシ之ニ對スル地租ヲ徵收
ス
前項ノ規定ハ明治四十四年分地租ヨリ之ヲ適用ス
相續稅法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候
也
明治四十三年二月十二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
相續稅法中改正法律案
相續稅法中左ノ通改正ス
第三條中「慈善」ヲ「慈善其ノ他ノ公益」ニ改ム
第八條相續稅ハ課稅價格ヲ左ノ各級ニ區分シ其ノ各區分ニ對シ相續人ノ
種類ニ從ヒ遞次ニ各稅率ヲ適用シテ之ヲ課ス
家督相續
稅率
相續人カ被相續人ノ
相續人力被相續人ノ指定シタル者、民法相續人カ民法第九百
課稅價格第九百八十二條ニ依八十五條ニ依リ選定
家族タル直系卑屬ナリ選定セラレタル
者被相續人ノ家族セラレタル者ナルト
ルトキタル直系尊屬又ハ入キ
夫ナルトキ
五千圓以下ノ金額千分ノ十千分ノ十二千分ノ十五
五千圓ヲ超ユル金額千分ノ十二千分ノ十四千分ノ二十
一萬圓ヲ超ユル金額千分ノ十四千分ノ十七千分ノ二十五
二萬圓ヲ超ユル金額千分ノ十七千分ノ二十千分ノ三十
三萬圓ヲ超ユル金額千分ノ二十千分ノ二十五千分ノ三十五
四萬圓ヲ超ユル金額千分ノ二十五千分ノ三十千分ノ四十
五萬圓ヲ超ユル金額千分ノ三十千分ノ三十五千分ノ四十五
七萬圓ヲ超ユル金額千分ノ三十五千分ノ四十千分ノ五十
十萬圓ヲ超ユル金
額ハ其ノ五萬圓每千分ノ五ヲ加フ千分ノ五ヲ加フ千分ノ五ヲ加フ
三リテ止ム百萬圓ニ至)
遺產相續
稅率
課稅價格相續人力直系卑屬ナ相續人カ配偶者又ハ
相續人カ其ノ他ノ者
ルトキ直系尊屬ナルトキナルトキ
千圓以下ノ金額千分ノ十五千分ノ十七千分ノ二十五
千圓ヲ超ユル金額千分ノ十七千分ノ二十千分ノ三十
五千圓ヲ超ユル金額千分ノ二十千分ノ二十五千分ノ三十五
一萬圓ヲ超ユル金額千分ノ二十五千分ノ三十千分ノ四十
二萬圓ヲ超ユル金額千分ノ三十千分ノ三十五千分ノ四十五
三萬圓ヲ超ユル金額千分ノ三十五千分ノ四十千分ノ五十
四萬圓ヲ超ユル金額千分ノ四十千分ノ四十五千分ノ五十五
五萬圓ヲ超ユル金額千分ノ四十五千分ノ五十千分ノ六十
七萬圓ヲ超ユル金額千分ノ五十千分ノ五十五千分ノ六十五
十萬圓ヲ超ユル金
額ハ其ノ五萬圓每千分ノ五ヲ加フ千分ノ五ヲ加フ千分ノ五ヲ加フ
三百萬圓ニ至し
リテ止ム
外國ノ法律ニ依リ開始シタル相續ニ關シテハ遺產相續ニ關スル稅率ヲ準
用ス但シ相續人二人以上アル場合ニ於テ其ノ適用スヘキ稅率相異ルトキ
ハ其ノ最低キ稅率ヲ適用ス
第十條中「三年」ヲ「五年」ニ、「五年」ヲ「七年」ニ改ム
第十七條中「三年」ヲ「五年」ニ改ム
第二十四條及第二十五條中「罰金」ヲ「罰金又ハ科料」ニ改ム
附則
本法ハ明治四十三年四月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ本法施行前開始シクル相
續ニ關シテハ仍舊法ヲ適用ス
通行稅法案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治四十三年二月十二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
通行稅法
第一條汽車、電車及汽船ノ乘客ニハ左ノ區別ニ依リ通行稅ヲ課ス
二百哩又ハ二百海里以上
等金五十錢
二等金二十五錢
三等金四錢
二百哩又ハ二百海里未滿
一等金四十錢
二等金二十錢
三等金三錢
百哩又ハ百海里未滿
一等金二十錢
二等金十錢
三等金二錢
五十哩又ハ五十海里未滿
等金五錢
二等金三錢
三等金一錢
往復乘船車ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於テハ通行稅ハ往復ノ里程ヲ通算シ
テ之ヲ徵收ス
貸切、多人數、囘數又ハ定期乘船車ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於テハ通行
稅ハ第一項稅額ノ五倍ヲ徵收ス
第二條通行稅ヲ課スヘキ場合ニ於テ汽車、電車又ハ汽船ニシテ等級ヲ分
タサルモノニ在リテハ三等ノ稅率ヲ適用シ二等級ニ分チタルモノニ在リ
テハ二等三等ノ稅率ヲ適用シ一等級ノ上又ハ三等級ノ下ニ更ニ等級ヲ設
ケタルモノニ在リテハ一等又ハ三等ノ稅率ヲ適用ス
第三條左ノ場合ニ於テハ通行稅ヲ課セス
一市內又ハ命令ヲ以テ市內ニ準スヘキモノト定メタル區域内ノミヲ通
行スルトキ
ー
仁外國行ノ汽船ニ乘シ外國ニ赴クトキ
二
三鐵道軍事供用令ニ依リ乘車スルトキ
第四條通行稅ハ汽車、電車又ハ汽船營業者乘船車賃金ヲ領收スルトキ之
ヲ徴收スヘシ
前項ニ依リ徵收シタル通行稅ハ每月取纒メ翌月十日迄ニ之ヲ政府ニ納付
スヘシ
第五條汽車、電車又ハ汽船營業者前條ニ依リ徵收スヘキ通行稅ヲ納付セ
サルトキハ國稅徵收法ニ依リ該營業者ヨリ之ヲ徵收ス
第六條收稅官吏ハ汽車、電車又ハ汽船營業者ノ帳簿書類ヲ檢査スルコト
ヲ得
第七條囘數乘船車劵ハ之ヲ分割販賣スルコトヲ得ス違反スル者ハ三十圓
以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
附則
本法ハ明治四十三年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
非常特別稅法中通行稅ニ關スル規定ハ之ヲ廢止ス
酒精造石稅徵收猶豫及免除ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候
也
明治四十三年二月十二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
酒精造石稅徵收猶豫及免除ニ關スル法律案
第一條酒精及酒精合有飮料稅法ニ依リ納付スヘキ酒精ノ造石稅ハ其ノ稅
額ニ相當スル擔保ヲ提供シタルトキハ三月以內其ノ徵收ヲ猶豫スルコト
ヲ得
前項ニ依リ造石稅ノ徵收ヲ猶豫セラレタル者猶豫期間內ニ稅金ヲ納付セ
サルトキハ擔保ヲ以テ稅金ニ充ツ但シ金錢以外ノ擔保物ハ之ヲ公賣ニ付
シ公賣ノ費用及稅金ニ充テ不足アルトキハ之ヲ追徵シ殘金アルトキハ之
ヲ還付ス
擔保ニ關スル規定ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二條造石稅ノ徵收ヲ猶豫セラレタル酒精ヲ其ノ猶豫期間內ニ工業用酒
精酒類其ノ他酒精含有飮料戾稅法ノ規定スル所ニ從ヒ工業用ニ使用又ハ
供給シタルトキハ其ノ石數ニ相當スル酒精ニ付テハ造石稅ヲ免除ス
第三條前條ニ依リ造石稅ノ免除ヲ請求セムトスル者ハ申請書ニ其ノ酒精
カ造石稅ノ徵收猶豫ヲ受ケタルモノナルコトヲ證スヘキ書類竝工業用ニ
使用又ハ供給シタルコトヲ證スヘキ書類ヲ添附スルコトヲ要ス
第四條詐僞其ノ他不正ノ所爲ヲ以テ造石稅ノ免除ヲ得又ハ得ムトシタル
者ハ其ノ造石稅五倍ニ相當スル罰金ニ處ス但シ三十圓ヲ下ルコトヲ得
ス
第五條間接國稅犯則者處分法及明治三十三年法律第五十二號ハ本法又ハ
本法ニ基キテ發スル命令ニ違反シタル者ニ之ヲ準用ス
附則
本法ハ明治四十三年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
砂糖消費稅法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候
也
明治四十三年二月十二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
砂糖消費稅法中改正法律案
砂糖消費稅法中左ノ通改正ス
第三條消費稅ノ割合左ノ如シ
-砂糖
第一種砂糖色相和蘭標本第十一號末滿ノ砂糖
甲樽入黑糖百斤ニ付金二圓
乙其ノ他ノモノ百斤ニ付金三圓
第二種砂糖色相和蘭標本第十五號末滿ノ砂糖百斤ニ付金五圓
第三種砂糖色相和蘭標本第十八號未滿ノ砂糖百斤ニ付金七圓
第四種砂糖色相和蘭標本第二十一號末滿ノ砂糖百斤ニ付金八圓
第五種砂糖色相和蘭標本第二十一號以上ノ砂糖百斤ニ付金九圓
第六種氷砂糖、角砂糖、棒砂糖其ノ他類似ノモノ百斤ニ付金十圓
二糖蜜
第一種氷砂糖ヲ製造スルトキニ生スル糖蜜
甲糖分ヲ蔗糖トシテ計算シタル重量全重量ノ百分ノ七十ヲ
超エサルモノ百斤ニ付金三圓
乙其ノ他ノモノ糖分ヲ蔗糖トシテ計算シタル重量百斤ニ
付金九圓ノ割合ヲ以テ算出シタル金額
第二種其ノ他ノ糖蜜
甲糖分ヲ蔗糖トシテ計算シタル重量全重量ノ百分ノ六十ヲ
超エサルモノ百斤ニ付金二圓
乙其ノ他ノモノ百斤ニ付金三圓
三糖水百斤ニ付金八圓
第七條ニ左ノ一項ヲ加フ
命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ承認ヲ得テ消費稅納付前又ハ擔保提供前砂
糖糖蜜又ハ糖水ヲ製造場外ニ移出シタル場合ニ於テハ移出先ヲ以テ製
造場ト看做シ移出先ノ營業人ヲ以テ製造者ト看做ス
第八條ノ二砂糖、糖蜜又ハ糖水ヲ製造スル者ハ同一ノ場所ニ於テ砂糖、
糖蜜若ハ糖水ノ販賣業又ハ砂糖、糖蜜若ハ糖水ヲ原料トスル砂糖、糖蜜
若ハ糖水以外ノ物品ノ製造業ヲ兼營スルコトヲ得ス但シ政府ノ認許ヲ得
砂糖、糖蜜又ハ糖水ノ製造場ト販賣場又ハ砂糖、糖蜜若ハ糖水ヲ原料ト
スル砂糖、糖蜜若ハ糖水以外ノ物品ノ製造場トヲ區劃シタル場合ハ此ノ
限ニ在ラス
第十一條ノ三左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ砂糖ヲ製造シタルモ
ノト看做ス
一砂糖ニ加工ヲ爲シテ其ノ種別ヲ上昇シタルトキ
二砂糖、糖蜜又ハ糖水ニ砂糖、糖蜜又ハ糖水以外ノ物品ヲ混和シ其ノ
種別ヲ上昇シ又ハ其ノ數量ヲ增加シタルトキ但シ其ノ種別ヲ下降シ
タルトキ又ハ水ノミヲ混和シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
三第八條ノ規定ニ依リ申〓ヲ爲シタル製造場ニ於テ砂糖、糖蜜又ハ糖
水ニ砂糖、糖蜜又ハ糖水ヲ混和シタルトキ但シ糖蜜又ハ糖水ニ同種
ノ糖蜜又ハ糖水ヲ混和シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第十三條ノ二第八條ノ二ノ禁令ヲ犯シタル者ハ三圓以上三十圓以下ノ罰
金又ハ科料ニ處ス但シ砂糖、糖蜜又ハ糖水ヲ原料トスル物品ヲ製造シタ
ルトキハ第十二條ノ例ニ依ル
第九條、第十條、第十四條及第十七條中「又ハ之ヲ販賣スル者」ヲ「、之ヲ
販賣スル者又ハ第八條ノ二但書ノ場合ニ於ケル物品ノ製造者」三尺人
第十四條及第十五條中「罰金」ヲ「罰金又ハ科料」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
織物消費稅法案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治四十三年二月十二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
織物消費稅法
第一條織物ニハ本法ニ依リ消費稅ヲ課ス
第二條消費稅ノ稅率ハ織物ノ價格百分ノ十トス
第三條左ニ揭クルモノニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ消費稅ヲ免除ス
一外國ニ輸出スル織物又ハ製品ト爲シテ外國ニ輸出セムトスル織物
二製造者カ自己又ハ其ノ家族ノ用ニ供スル爲自ラ製造シタル織物
消費稅ヲ納付シタル織物又ハ之ヲ以テ製造シタル物品ヲ外國ニ輸出シタ
ルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ消費稅額ニ相當スル金額ヲ交付ス
第四條消費稅ハ製造場、稅關又ハ保稅倉庫ヨリ織物ヲ引取ルトキ引取人
之ヲ納付スヘシ但シ命令ノ定ムル所ニ依リ製造者ニ於テ織物ニ其ノ價格
ヲ表記シ消費稅ニ相當スル印紙ヲ貼用シテ消費稅ノ納付ニ代フルコトヲ
得此ノ場合ニ於テハ製造者ヲ以テ引取人ト看做ス
印紙ヲ貼用スル場合ニ於テ消費稅額一錢未滿ノ端數ハ總テ一錢トシテ計
算ス
第五條消費稅額ニ相當スル擔保ヲ提供シタルトキハ政府ハ三月以內消費
稅ノ徵收ヲ猶豫ス
第六條消費稅ヲ納付シ又ハ消費稅額ニ相當スル擔保ヲ提供シタル者ハ其
ノ織物ニ納稅濟證印ノ押捺ヲ受ケ又ハ納稅濟證ノ貼付ヲ受クルコトヲ
得
第七條左ニ揭クル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ消費稅ヲ納付セス
シテ織物ヲ引取ルコトヲ得
他ノ製造場ニ移出シ又ハ藏置場ニ藏置スル爲織物ヲ引取ルトキ
二染色、捺染、刺繡其ノ他ノ加工ヲ爲ス爲製造場又ハ藏置場ヨリ織物
ヲ引取ルトキ
三一定ノ場所ニ於テ消費稅ヲ納付スル爲政府ノ定メタル條件ニ從ヒ製
造場又ハ藏置場ヨリ織物ヲ引取ルトキ
前項ノ場合ニ於テハ移出先ヲ以テ製造場ト看做シ移出先ノ營業人ヲ以テ
製造者ト看做ス
第八條消費稅ヲ納付シ製造場ヨリ引取リタル織物ヲ再ヒ其ノ製造場ニ戾
入シタル場合ニ於テ其ノ種類及數量ニ付政府ノ承認ヲ受ケタルトキハ其
ノ織物ヲ製造場ヨリ引取ルモ更ニ消費稅ノ徵收ヲ爲サス
第九條第四條第一項但書及第七條ノ場合ヲ除クノ外製造場、稅關又ハ保
稅倉庫ヨリ織物ヲ引取ル者ハ引取ノ際織物ノ價格ヲ政府ニ申告スヘシ
前項ノ申告ヲ爲サス又ハ政府ニ於テ其ノ申告シタル價格ヲ不相當ト認ム
ルトキハ政府ハ織物ノ價格ヲ評定ス
織物引取人前項ノ評定價格ニ不服アルトキハ卽時異議ノ申立ヲ爲スコト
ヲ得
異議ノ申立アリタルトキハ二人以上ノ鑑定人ヲ選定シ其ノ意見ヲ徵シ政
府之ヲ決定ス
異議申立人ノ主張ニ依ル價格ト前項ノ決定價格トノ差カ第二項ノ評定價
格ト前項ノ決定價格トノ差ヨリ大ナルトキハ鑑定ニ關スル費用ハ其ノ申
立人ノ負擔トス
印紙ヲ貼用シタル織物ノ表記價格ヲ不相當ト認ムルトキハ政府ハ織物ノ
價格ヲ評定シ其ノ差額ニ對スル消費稅ヲ追徵ス此ノ場合ニ於テハ前三項
ノ規定ヲ準用ス
第十條第五條又ハ第七條ニ該當スル場合ヲ除クノ外消費稅納付前ニ於テ
製造場、稅關又ハ保稅倉庫ヨリ織物ヲ引取ルコトヲ得ス
第十一條織物製造者ハ第五條又ハ第七條ニ該當スル場合ヲ除クノ外消費
稅納付前ニ於テ織物ヲ他ニ引渡スコトヲ得ス
第十二條織物ヲ製造又ハ販賣セムトスル者ハ政府ニ申告スヘシ但シ第三
條第一項第二號ニ該當スル織物ノミヲ製造セムトスル者ハ此ノ限ニ在ラ
ス
第十三條織物製造者ハ同一ノ場所ニ於テ織物ノ販賣業又ハ織物ヲ原料ト
スル製品ノ製造業ヲ兼營スルコトヲ得ス但シ政府ノ認許ヲ得織物ノ製造
場ト販賣場又ハ織物ヲ原料トスル製品ノ製造場トヲ區劃シタル場合ハ此
ノ限ニ在ラス
第十四條織物ノ製造者、販賣者及前條但書ニ該當スル製品ノ製造者ハ帳
簿ヲ備ヘ織物又ハ製品ノ製造出入ヲ詳細明瞭ニ記載スヘシ
第十五條收稅官吏ハ織物ノ製造場、販賣場又ハ第十三條但書ニ該當スル
製品ノ製造場ニ立入リ織物、原料、織物ヲ原料トシテ製造シタル物品、
器具、機械、建築物又ハ帳簿書類ヲ檢査スルコトヲ得
收稅官吏ハ監督上必要ト認ムルトキハ前項ノ物件ニ封印ヲ施スコトヲ
得
第十六條收稅官吏ハ運搬中ニ在ル織物ヲ檢査シ其ノ出所及到著先ヲ質問
スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ監督上必要ト認ムルトキハ收稅官吏ハ其ノ運搬ヲ停止
シ又ハ荷物若ハ船車ニ封印ヲ施スコトヲ得
第十七條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ消費稅五倍ニ相當スル罰金ニ處シ
直ニ消費稅ヲ徵收ス但シ消費稅四圓未滿ナルトキハ罰金額ハ二十圓ト
ス
一第十二條但書ニ該當スル場合ヲ除クノ外政府ニ申告セスシテ織物ヲ
製造シタルトキ
二外國ニ輸出スル爲若ハ製品ト爲シテ外國ニ輸出スル爲消費稅ヲ免除
セラレタル織物又ハ之ヲ以テ製造シタル物品ヲ內地ニ於テ消費シ又
ハ內地ニ於テ消費スル目的ヲ以テ之ヲ讓渡シタルトキ
三消費稅納付前又ハ擔保提供前ニ於テ織物ヲ消費シタルトキ
四第七條ニ依リ引取リタル織物ヲ其ノ定メラレタル場所ニ移入セサル
トキ
五第十條又ハ第十一條ノ規定ニ違反シタルトキ
第十八條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ三圓以上三十圓以下ノ罰金又ハ科
料ニ處ス但シ第一號ノ場合ニ於テ織物ヲ原料トスル製品ヲ製造シタルト
キハ前條ノ例ニ依ル
一第十三條ノ規定ニ違反シタルトキ
二織物ノ製造者、販賣者又ハ第十三條但書ノ場合ニ於ケル製品ノ製造
者織物又ハ製品ノ製造出入ニ關スル帳簿ヲ調製セス又ハ其ノ記載ヲ
詐リ若ハ怠リタルトキ
三命令ノ定ムル方法ニ依リ織物ニ價格ヲ表記セス又ハ印紙ヲ貼用セサ
ルトキ
四收稅官吏ノ尋問ニ對シ虛僞ノ答辯ヲ爲シ又ハ其ノ職務執行ヲ拒ミ
タルトキ
之ヲ忌避シ若ハ之ニ支障ヲ加ヘタルトキ
第十九條本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違反シタル者ニハ刑法ノ刑
ノ減免及刑法第四十八條第二項ノ例ヲ用キス
第二十條織物ノ製造者、販賣者又ハ第十三條但書ノ場合ニ於ケル製品ノ
製造者カ未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル
命令ニ依リ本人ニ適用スヘキ罰則ハ之ヲ法定代理人ニ適用ス但シ營業ニ
關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第二十一條織物ノ製造者、販賣者又ハ第十三條但書ノ場合ニ於ケル製品
ノ製造者ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ニシテ其
ノ業務ニ關シ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違反シタルトキハ織物
ノ製造者、販賣者又ハ第十三條但書ノ場合ニ於ケル製品ノ製造者ヲ處罰
ス
附則
本法ハ明治四十三年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
非常特別稅法中織物消費稅ニ關スル規定ハ之ヲ廢止ス但シ同規定ニ依リ爲
シタル處分又ハ行爲ハ本法ニ依リ爲シタルモノト看做ス
賣藥稅法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候
也
明治四十三年二月十二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
賣藥稅法中改正法律案
賣藥稅法中左ノ通改正ス
第一條本法ニ於テ賣藥營業者ト稱スルハ賣藥規則ニ依ル賣藥營業者ヲ謂
フ
第一條ノ二賣藥營業者ニハ藥劑一方每ニ一年間製造高ノ定價總額ニ應シ
每年左ノ賣藥營業稅ヲ課ス
定價總額三百圓未滿ノモノ金三圓
定價總額五百圓未滿ノモノ金五圓
定價總額千圓未滿ノモノ金七圓
定價總額二千圓未滿ノモノ金九圓
定價總額三千圓未滿ノモノ金十二圓
定價總額五千圓未滿ノモノ金十七圓
定價總額一萬圓未滿ノモノ金二十二圓
定價總額二萬圓未滿ノモノ金三十二圓
定價總額三萬圓未滿ノモノ金四十二圓
定價總額五萬圓未滿ノモノ金五十七圓
定價總額七萬圓未滿ノモノ金七十二圓
定價總額十萬圓未滿ノモノ金八十七圓
定價總額十萬圓以上ノモノ金百二圓
前項ノ定價總額ハ前年中ノ總額ニ依ル但シ前年又ハ其ノ年免許ヲ受ケタ
ル者ニ付テハ其ノ年製造高ノ豫算定價額ニ依ル
外國ニ輸出スル賣藥ニ付テハ外國ニ輸出セサル賣藥ニ準シ定メタル價格
ヲ以テ定價ト看做ス
第一條ノ三賣藥營業者二箇所以上ニ於テ營業スルトキハ營業場每ニ前條
ノ賣藥營業稅ヲ納ムヘシ
第一條ノ四賣藥營業者ハ每年一月十五日迄ニ課稅標準額ヲ所轄收稅官廳
ニ申告スヘシ但シ其ノ年免許ヲ受ケタル者ハ免許ヲ受ケタル日ヨリ二十
日以內ニ申〓スヘシ
第一條ノ五賣藥營業稅ハ年額ヲ二分シ一月及七月之ヲ徵收ス但シ納期限
ヲ經過シテ免許ヲ受ケタル場合ニ於テハ當該納期ニ納ムヘキ稅金ハ卽納
トス
賣藥營業者六月以前ニ廢業シ又ハ賣藥ノ發賣ヲ禁止セラレタルトキハ七
月ニ納ムヘキ稅金ハ之ヲ免除ス
第二條賣藥ニハ定價一割ノ賣藥印紙稅ヲ課ス
定價一錢未滿ナルトキ又ハ一錢未滿ノ端數アルトキハ一錢未滿ノ金額ハ
總テ之ヲ一錢トシテ賣藥印紙稅ヲ計算ス
賣藥印紙稅ハ印紙ヲ貼用シテ納ムルモノトス
第三條、第五條及第十條中「賣藥稅」ヲ「賣藥印紙稅」ニ改ム
第十二條第一項中「脫稅高二十倍ノ罰金」ヲ「脫稅高二十倍ノ罰金又ハ科料」
ニ、「五圓ノ罰金」ヲ「五圓ノ科料」ニ、第二項中「罰金」ヲ「罰金又ハ科料」ニ
改ム
第十三條乃至第十五條中「罰金」ヲ「罰金又ハ科料」ニ改ム
第十三條ノ二第一條ノ四ノ申告ヲ爲サス又ハ虛僞ノ申告ヲ爲シタル者ハ
一圓以上ノ科料ニ處ス因リテ賣藥營業稅ヲ通脫シタル者ハ脫稅金額三倍
ニ相當スル罰金又ハ科料ニ處ス
第二十條本法ニ依リ賣藥營業稅ヲ課セラレタル者ニハ營業稅ヲ課セス
附則
本法ハ明治四十四年一月一日ヨリ之ヲ施行ス
賣藥規則中及非常特別稅法中賣藥營業稅ニ關スル規定ハ之ヲ廢止ス
砂金採取地稅法案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治四十三年二月十二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
鑛區
砂金採取地稅法
ヲ目的トスル砂鑛權者鑛區
第一條砂金採収業者ニハ左ノ割合ニ依リ每年砂金採取地稅ヲ課ス
砂鑛
河床採取區域一町每ニ金三十錢
砂鑛
河床ニ非サルモノ採取區域一千坪每ニ金三十錢
前項ノ場合ニ於テ一町未滿又ハ一千坪未滿ノ端數ハ一町又ハ一千坪トシ
テ計算ス
鑛區
第二條砂金採取地稅ノ賦課徵收ニ關シテハ鑛區稅ノ賦課徵收ニ關スル規
定ヲ準用ス
第三條北海道、府縣及市町村ハ砂鑛區稅ニ對シ百分ノ十以內ノ附加稅ヲ課スルコトヲ得
附則
本法ハ明治四十四年一月一日ヨリ之ヲ施行ス
非常特別稅法中砂金採取地稅ニ關スル規定ハ之ヲ廢止ス
鑛業法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治四十三年二月十二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
鑛業法中改正法律案
鑛業法中左ノ通改正ス
第八十三條中「十錢」ヲ「三十錢」ニ、「四十錢」ヲ「六十錢」ニ改ム
第八十八條中「本稅百分ノ十」ヲ「鑛產稅百分ノ十、試掘鑛區稅百分ノ三、採掘鑛區稅百分ノ七」ニ
改ム
附則
本法ハ明治四十四年一月一日ヨリ之ヲ施行ス
非常特別稅法中鑛區稅ニ關スル規定ハ之ヲ廢止ス
登錄稅法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候
也
明治四十三年二月十二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
登錄稅法中改正法律案
登錄稅法中左ノ通改正ス
第二條第一項第三號中「千分ノ四十」ヲ「千分ノ六十」ニ、「千分ノ十」ヲ「千
分ノ三十」ニ、第四號中「千分ノ二十五」ヲ「千分ノ三十五」ニ、第五號中「千
分ノ二」ヲ「千分ノ五」ニ、第十一號中「千分ノ二十」ヲ「千分ノ二十五」ニ
改ム
第三條第一項第三號中「千分ノ二十」ヲ「千分ノ五十」ニ、第四號中「千分ノ十
五」ヲ「千分ノ二十五」ニ、第五號中「千分ノ一」ヲ「千分ノ三」ニ改ム
第六條及第六條ノ二中「千分ノ三」ヲ「千分ノ四」ニ、「千分ノ四」ヲ「千分ノ
五」ニ、「千分ノ一」ヲ「千分ノ二」ニ、「十圓」ヲ「十五圓」ニ、「五圓」ヲ「七圓」
ニ、「三圓」ヲ「五圓」ニ、「一一圓」ヲ「三圓」ニ、「一圓」ヲ「一圓五十錢」ニ、「五十
錢」ヲ「七十錢」ニ改ム
第十四條中「七十五圓」ヲ「百圓」ニ、「三十五圓」ヲ「四十五圓」ニ、「百五十圓」
ヲ「二百圓」ニ改ム
附則
本法ハ明治四十三年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
非常特別稅法中登錄稅ニ關スル規定ハ之ヲ廢止ス
取引所稅法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候
也
明治四十三年二月十二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
取引所稅法中改正法律案
取引所稅法中左ノ通改正ス
第一條中「國債及」ヲ削リ「萬分ノ六箇」ヲ「萬分ノ十二」ニ、「萬分ノ三箇」ヲ
「萬分ノ五」ニ改ム
附則
本法ハ明治四十三年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
非常特別稅法中取引所稅ニ關スル規定ハ之ヲ廢止ス
狩獵法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治四十三年二月十二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
狩獵法中改正法律案
狩獵法中左ノ通改正ス
三十五
第十一條中「金二十圓」ヲ「金四十圓」ニ、「金十圓」ヲ「金二十圓」ニ、「金二圓」
四
ヲ「金五圓」ニ改ム
附則
本法ハ明治四十三年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
非常特別法中狩獵免許稅ニ關スル規定ハ之ヲ廢止ス
印紙稅法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治四十三年二月十二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
印紙稅法中改正法律案
印紙稅法中左ノ通改正ス
第四條中「一錢」ヲ「二錢」ニ、「二錢」ヲ「三錢」ニ、「一一十錢」ヲ「二十五錢」ニ改
ム
第五條中「一金高五圓未滿ノ爲替手形、約束手形」ノ次ニ「一金高一圓未滿ノ物品切手」ヲ加フ
第十二條中「二十圓以下ノ罰金」ヲ「二圓以上ノ科料」ニ改ム
附則
本法ハ明治四十三年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
非常特別稅法中印紙稅ニ關スル規定ハ之ヲ廢止ス
民事訴訟用印紙法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治四十三年二月十二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
民事訴訟用印紙法中改正法律案
民事訴訟用印紙法中左ノ通改正ス
第二條中印紙金額「二十錢」ヲ「二十五錢」ニ、「三十錢」ヲ「四十錢ニ、「六十
錢」ヲ「八十錢」ニ、「一圓五十錢」ヲ「一圓八十錢」ニ、「二圓二十錢」ヲ「二圓
五十錢」ニ、「三圓」ヲ「三圓五十錢」ニ、「六圓五十錢」ヲ「七圓」ニ、「十圓」ヲ
「十二圓」ニ、「十三圓」ヲ「十五圓」ニ、「十五圓」ヲ「十八圓」ニ、「二十圓」ヲ
「二十五圓」ニ、「二十五圓」ヲ「三十圓」ニ、「二圓」ヲ「三圓」ニ改ム
第六條支拂命令ノ申請ニシテ訴訟物ノ價額十圓以下ナル場合ニ於テハ二
十錢ノ印紙ヲ、十圓ヲ超過スル場合ニ於テハ第二條ニ依リ第一審ノ訴狀
可可
ニ貼用スヘキ印紙金額ノ半額ノ印紙ヲ貼用スヘシ
第六條ノ二左ニ揭クル申立又ハ申請ニシテ訴訟物ノ價額又ハ請求ノ價額
二十圓以下ナル場合ニ於テハ二十錢ノ印紙ヲ、二十圓ヲ超過スル場合ニ
可
於テハ四十錢ノ印紙ヲ貼用スヘシ
-期日ノ變更、辯論ノ延期又ハ辯論期日ノ指定ノ申立
二中斷又ハ中止シタル訴訟手續ノ受繼ノ申立
三從參加ノ申請
四忌避ノ申請
五和解ノ申立
六費用額確定ノ申請
七假執行宣言ノ申立
○ク
八强制執行ノ停止若○ハ續行又ハ執行處分ノ取消ノ申立
九配當要求
十家資分散ノ申立又ハ家資分散者ノ復權ノ申立
十一强制競賣又ハ强制管理ノ申立
十二債權又ハ他ノ財產權差押ノ申請
十三民事訴訟法第七百三十二條乃至第七百三十四條ノ申立
第六條ノ三左ニ揭クル申立又ハ申請ニシテ訴訟物ノ價額又ハ請求ノ價額
二十圓以下ナル場合ニ於テハ五十錢ノ印紙ヲ、二十圓ヲ超過スル場合ニ
可
於テハ一圓ノ印紙ヲ貼用スヘシ
-抗告
二故障
三證據調ノ申立
四假差押又ハ假處分ノ申請
五判決送達ノ申立
六執行力アル正本ヲ求ムル申立但二通以上ヲ求ムルトキハ一通每ニ印
可
紙ヲ貼用ストシ
第七條ニ左ノ一項ヲ加フ
民事訴訟法第三百九十條ノ規定ニ依リ訴カ區裁判所ニ繫屬スル場合又ハ
第三百九十一條第二項ノ規定ニ依リ地方裁判所ニ訴ヲ起ス場合ニ於テハ
可
第六條ニ依リ貼用シタル印紙ノ額ハ訴訟ニ付キ貼用スヘキ印紙ノ額ニ之
可
ヲ通算ストシ
第十條答辯書其他前數條ニ揭ケサル申立又ハ申請ニシテ訴訟物ノ價額又
ハ請求ノ僧額二十圓以下ナル場合ニ於テハ二十錢ノ印紙ヲ、二十圓ヲ超
可
過スル場合ニ於テハ二十五錢ノ印紙ヲ貼用スヘシ
第十六條非訟事件ニ關スル申立又ハ申請ニシテ請求ノ價額二十圓以下ナ
ル場合ニ於テハ二十錢ノ印紙ヲ、二十圓ヲ超過スル場合ニ於テハ二十五
可
錢ノ印紙ヲ貼用スヘシ但第六條ノ三ノ規定ハ非訟事件ニ之ヲ準用ス
左ニ揭クル申立又ハ申請ニシテ請求ノ價額二十圓以下ナル場合ニ於テハ
可
五十錢ノ印紙ヲ、二十圓ヲ超過スル場合ニ於テハ一圓ノ印紙ヲ貼用スヘ
シ
一裁判上代位ノ申請
二競賣法ニ依ル競賣ノ申立
三裁判上ノ代位-競賣法ニ依ル競賣又ハ不動產登記ニ關スル抗〓
非訟事件ニ關スル申立又ハ申請ニシテ請求ノ價額ナキモノハ其請求ノ價
額二十圓以下ノモノト看做ス
第十一條及ヒ第十二條ノ規定ハ之ヲ非訟事件ニ準用ス
附則
本法ハ明治四十三年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
非常特別稅法中民事訴訟用印紙ニ關スル規定ハ之ヲ廢止ス
商事非訟事件印紙法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候
也
明治四十三年二月十二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
商事非訟事件印紙法中改正法律案
商事非訟事件印紙法中左ノ通改正ス
第二條中「五十錢」ヲ「一圓」ニ改ム
第三條中「二十錢」ヲ「二十五錢」ニ改ム
第四條中印紙金額「四十錢」ヲ「五十錢」ニ、「六十錢」ヲ「八十錢」ニ、「一圓二
十錢」ヲ「一圓六十錢」ニ、「三圓」ヲ「三圓六十錢」ニ、「四圓四十錢」ヲ「五圓」
ニ「六圓」ヲ「七圓」ニ、「十三圓」ヲ「十四圓」ニ、「二十圓」ヲ「二十四圓」ニ、
「二十六圓」ヲ「三十圓」ニ、「三十圓」ヲ「三十六圓」ニ、「四十圓」ヲ「五十圓」
ニ、「五十圓」ヲ「六十圓」ニ、「四圓」ヲ「六圓」ニ改ム
附則
本法ハ明治四十三年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
非常特別稅法中商事非訟事件印紙ニ關スル規定ハ之ヲ廢止ス
行政訴訟書類印紙貼用廢止ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候
也
明治四十三年二月十二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
行政訴訟書類印紙貼用廢止ニ關スル法律案
非常特別稅法中行政訴訟ノ書類ニ印紙ヲ貼用スルコトニ關スル規定ハ明治
四十三年三月三十一日限リ之ヲ廢止ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=19
-
020・西村亮吉
○西村亮吉君 此第九カラ二十四マデガ唯今問題ニナッテ居リマスガ、ドレ
ニ就イテ質問ヲ致シテモ宜シウゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=20
-
021・徳川家達
○議長(公爵德川家逹君) 宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=21
-
022・西村亮吉
○西村亮吉君 此第九ノ宅地地價修正法案ニ就イテ質問ガ致シタウゴザイマ
ス、此宅地地價ノ修正法案ト云フモノニ據ッテ宅地地價ヲ改正スル、其改正ヲ
終ッテ而シテ何年カニ又此地價ヲ修正サルヽノデアリマスカ、交通機關ハ今
日、日ニ月ニ進ンデ參リ居ルノデ、サウスルト明年カラノ進步ハ、今日ハ一
年デ進步ノ形勢ガ變ハラウト思ヒマス、サウスルト或ハ五年ニ又修正ヲサル
デアリマセウカ、十年ニ修正ヲサルヽ御積リデゴザイマセウカ、ソレヲ一
ツ伺ヒタウ存ジマス、尙ホ其御答ニ依リマシタラ又伺ヒマス
〔政府委員若槻禮次郎君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=22
-
023・若槻禮次郎
○政府委員(若槻禮次郞君) 此地價修正案ハタヾ今囘一囘ノ法案デアリマシ
テ、此次ニ如何ニスルカト云フコトニハ全ク關係ガアリマセヌノデゴザイマ
ス、併シ大體申上ゲマスト云フト、今日ノ宅地ノ地價ヲ定メマシタ時カラ今
日マデノ交通機關ナリ、都府ノ繁榮ナリノ關係ト云フモノガ非常ニ變ッテ居
リマスコトハ、是ハ餘ホド特別ニ違ッテ居リマスノデアリマス、今後ニ於テ
斯樣マデニ大變化ヲ生ズルト云フコトハ當分其見込ハアリマセヌノデアリマ
スカラ、此度一トタビ地價修正ヲ致シマシタナラバ、先ヅ當分ハ此宅地地價
ノ修正ヲスル必要ハ起ルマイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=23
-
024・西村亮吉
○西村亮吉君 尙ホ御尋ネ致シマス、三十六年頃デアッタノデアリマス、大
藏省ノ調査ニナッテ居リマスル宅地地價、田畑ノ賣買時價ノ調ベニナリマシ
タ、其調ベニナリマシタ當時ト今日ト比較シマスルト、所ニ依ッテハ大ニ相
違シテ居ラウト思ヒマスル、又地租改正ノ當時トハ非常ニ違ッテ居ルノデア
ル、シテ見ルト此宅地ノ地價ノ改正ニ引續イテ田畑ノ地價ノ修正ニナルト云
フ御見込デアリマセウカ、ソレヲ伺ヒタイ
〔政府委員若槻禮次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=24
-
025・若槻禮次郎
○政府委員(若槻禮次郞君) 田畑ニ於キマシテハ御承知ノ如ク明治二十二年
ニ地價ノ修正ヲ致シマシタコトガアリマシタシ、其後三十三年ニモ御協贊ヲ
經テ地價ノ修正ヲ致シマシタノデアリマスルノデ、勿論今日ノ地價ト云フモ
ノハ實際ノ賣買價格トハ無論違ッテ居リマスケレドモ、併ナガラ租稅ノ標準ト
シテハ全國ノ地價ハ略均衡ヲ得テ居ルト思ハレルノデアリマスカラ、宅地
ホド其間ニ偏輕偏重ハアリマセヌ故ニ、宅地ノ地價ヲ修正イタシマスカラト
云ッテ田畑ノ地價マデモ修正セヌケレバナラヌト云フコトハ起ッテ來マイト
思ヒマス、田畑ニ付イテハ唯今地價ヲ修正スルト云フ考ヘハ有チマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=25
-
026・西村亮吉
○西村亮吉君 尙ホ一應承ッテ置キタウゴザイマス、サウスルト田畑ノ地價
ハ唯〓ノ所デ衡平デアルト御認メニナッテ居リマスカ、ソレヲ承ッテ置キタ
ウゴザイマス
〔政府委員若槻禮次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=26
-
027・若槻禮次郎
○政府委員(若槻禮次郞君) 勿論幾分ノ小サイ波ノ樣ナモノハアラウト思ヒ
マスガ、宅地ホドマデ大ナル不權衡ハ無イト斯ウ認メテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=27
-
028・谷新助
○谷新助君 宅地價修正案ノコトニ付キマシテ少シ御尋ネシタイコトガアリ
99.差支ゴザイマスマイナ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=28
-
029・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御質問ニナッテ宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=29
-
030・谷新助
○谷新助君 ソレデハチヨット、全國中ノ宅地ノ總坪數ヲ一ツ承リタイモノデ
アリマス、ソレト又ソレニ對スル地價ノ高ヲ承リタイト思ヒマス、ソレト又
モウ一ツハ宅地價修正ノ結果ノ地價、又同上其對スル地租高ヲ一ツ承リタイ
ト存ジマス
〔政府委員若槻禮次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=30
-
031・若槻禮次郎
○政府委員(若槻禮次郞君) 唯今ノ御尋ネノ事柄ハ無論調ベテ居リマスデア
リマスガ、極數字ニ渉ルコトデアリマスカラ委員會ニ於テ委シク申上ゲルコ
トニ致シタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=31
-
032・目賀田種太郎
○男爵目賀田種太郞君 本員ハ委員ノ選定ニ關シテ動議ヲ出ダシタウゴザイ
やす、第八ノ地租條例中改正法律案以下第二十四マデノ稅法ノ改正法律案ハ
皆稅制整理ノ目的ニ出ヅルモノデアリマスカラ是ハ一括シテ同一ノ委員ニ付
託セラレムコトヲ希望イタシマス、又此委員ノ數ハ案ノ性質ニ依リ二十七名
ト致シタイト存ジマス、又其委員ハ議長ノ御選定ニ御任セ申上ゲタイト存ジ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=32
-
033・南光利
○男爵南光利君 贊成イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=33
-
034・田健治郎
○男爵田健治郞君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=34
-
035・武井守正
○男爵武井守正君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=35
-
036・伊澤修二
○伊澤修二君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=36
-
037・船越衞
○男爵船越衞君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=37
-
038・下條正雄
○下條正雄君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=38
-
039・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 本會期ノ總テノ議案ノ特別委員ノ指名ノコトハ曩
ニ高木男爵ノ動議ガ可決セラレマシテ議長ニ御任セニナッテ居リマスカラ是
ハモウ決ヲ採ル必要ハ無カラウト存ジマス、唯今ノ目賀田男爵ノ委員ノ數ヲ
二十七名、議事日程ノ第八ヨリ第二十四マデノ議案ヲ一括シテ同一委員ニ付
託スルト云フ說ニ贊成者ガアリマシタカラ採決イタシマス、目賀田男爵ノ動
議ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=39
-
040・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 過半數ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=40
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041・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第二十五、帝國大學特別會計法中改正法
律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會
帝國大學特別會計法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治四十三年二月十二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
帝國大學特別會計法中改正法律案
帝國大學特別會計法中左ノ通改正ス
五萬八千八百三十八圓四萬千四百圓
第二條中「百三十萬圓」ヲ「百三十七萬圓」ニ「百萬圓」ヲ「百五萬圓」ニ
改ム
附則
本法ハ明治四十三年度ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣小松原英太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=41
-
042・小松原英太郎
○國務大臣(小松原英太郞君) 唯〓議題ニ上ボリマシタ帝國大學特別會計法
中改正法律案ニ付キマシテ簡單ニ提出ノ理由ヲ說明イタシテ置キタイト存ジ
やす、本案ハ理由書ニモゴザイマス通リニ一般官吏ノ增俸ノ經畫ニ伴ヒマシ
テ其財源トシテ必要ナル政府支出金ノ增加ヲ帝國大學ニ對シテ致シタイノデ
ゴザイマス、御承知ノ通リ帝國大學ハ一定ノ政府支出金ト大學自身ノ收入ト
ニ依ッテ其事業ヲ經營イタシテ居ルノデアリマス、今囘一般官吏ノ增俸ニ係
ル事項ノ如キ一般ノ經畫ニ伴ヒマシテ生ジマス所ノ經費ニ付キマシテハ政府
支出金ヲ增加イタシマシテ之ガ財源ニ充ツルノ外ハ無イノデアリマス、之ガ
爲ニ本案ヲ提出イタシマシタ次第デゴザイマス、尙ホ此案ニ付キマシテハ衆
議院ニ於テ修正ヲ加ヘテ居リマス、此修正ニハ政府ニ於キマシテモ同意ヲ致
シテ居リマス次第デアリマス、宜シク御審議ノ上、御協賛アラムコトヲ希望
イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=42
-
043・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第二十六、鐵道敷設法中改正法律案、政
府提出、衆議院送付、第一讀會、第二十七、北海道鐵道敷設法中改正法律案、
政府提出、衆議院送付、第一讀會
鐵道敷設法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ因リ及送付候
也
明治四十三年二月十二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
鐵道敷設法中改正法律案
鐵道敷設法中左ノ通改正ス
第二條第一項奥羽線ノ部第二號中「船形町」ヲ「新庄」ニ改ム
同項中「總武線及常磐線」ヲ「總武線、房總線及常磐線」ニ改ム
同線ノ部第一號中「及本線ヨリ分岐シテ木更津ニ至ル鐵道」ヲ削リ同號ノ次
ニ左ノ二號ヲ加フ
-千葉縣下船橋ヨリ佐倉ニ至ル鐵道及成東ヨリ東金ニ至ル鐵道
-千葉縣下蘇我ヨリ木更津、北條及勝浦ヲ經テ大原ニ至ル鐵道
同項中九州線ノ部第二號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
一熊本縣下八代ヨリ鹿兒島縣下米津ヲ經テ鹿兒島ニ至ル鐵道
第七條第一項第七號中「靑森ニ至ル鐵道」ノ下ニ「及本線ヨリ分岐シテ山形
縣下酒田ニ至ル鐵道」ヲ加へ同號ノ次ニ左ノ三號ヲ加フ
一奧羽豫定線ノ內宮城縣下石ノ卷ヨリ小牛田ヲ經テ山形縣下新庄ニ至
ル鐵道中宮城縣下小牛田ヨリ山形縣下新庄ニ至ル鐵道
一總武豫定線ノ內千葉縣下船橋ヨリ佐倉ニ至ル鐵道及成東ヨリ東金ニ
至ル鐵道
一房總豫定線ノ內千葉縣下蘇我ヨリ木更津、北條及勝浦ヲ經テ大原ニ
至ル鐵道中蘇我ヨリ木更津ニ至ル鐵道及勝浦ヨリ大原ニ至ル鐵道
同項第十七號中「大分ニ至ル鐵道」ノ下ニ「及宮崎縣下宮崎ヨリ鹿兒島縣下
吉松ニ至ル鐵道」ヲ加ヘ同號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
-九州豫定線ノ内熊本縣下八代ヨリ鹿兒島縣下米津ヲ經テ鹿兒島ニ至
ル鐵道中鹿兒島縣下川內ヨリ鹿兒島ニ至ル鐵道
北海道鐵道敷設法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候
也
明治四十三年二月十二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
北海道鐵道敷設法中改正法律案
北海道鐵道敷設法中左ノ通改正ス
第二條第一號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
-石狩國砂川近傍ヨリ下富良野ニ至ル鐵道
〔國務大臣男爵後藤新平君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=43
-
044・後藤新平
○國務大臣(男爵後藤新平君) 鐵道敷設法中改正法律案ノ提出ニ付イテ一言
申シマス、鐵道ノ運輸ノ健全發達ヲ圖ル爲ニ鐵道系絡上ニ整理ヲ要シマス
又之ガ爲ニ第一期線ニ追加スルノ必要ヲ認メマシテ本案ヲ提出イタシマシタ
モノデアリマス、各項ニ付キマシテハ各別ノ理由ヲ存シテ居リマスガ、整シ
ハ大要ヲ述べマシテ何レ委員會ニ於テ委シク申上ゲルヤウニ致シマス、北海
道鐵道敷設法中改正法律案、此提出ノ理由ヲ尙ホ玆ニ申述ベテ置キマス、是
ハ北海道ノ鐵道系絡上ノ便宜ヲ圖リ、且ツ拓殖上ノ效果ヲ擧グルガ爲ニ此追
加ノ必要ヲ認メマシテ提出イタシタ次第デアリマス、是モ細目ノコトハ委員
會ニ讓リマシテ大要ダケヲ玆ニ申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=44
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045・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第二十八、衆議院議員選擧法中改正法律
案、衆議院提出、第一讀會
衆議院議員選舉法中改正法律案
右本院提出案及送付候也
明治四十三年二月五日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
衆議院議員選擧法中左ノ通改正ス
第十一條第四號ヲ削ル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=45
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046・柳原義光
○伯爵柳原義光君 本員ハ此案ニ付イテ政府ガドウ云フ考ヘヲ有ッテ居ラル
カ、一應承リタイノデアリマス、兎角政府ハ衆議院カラ提出スル案ニナッテ
來ルト甚ダ冷淡デアル、本員ノ如キハ兎ニモ角ニモ政府ガ一々其案ニ對シテ
ドウ云フ考ヘヲ有ッテ居ルカト云フコトヲ聞キタイノデアリマス、然ルニ往
往衆議院送付ノ案ニナルト政府甚ダ冷淡デアル、本員ノ如キ者ハ之ヲ甚ダ遺
憾ト思ヒマスカラ、兎ニモ角ニモ此案ニ對シテドウ云フ考ヘデアルカ政府ノ
意見ヲ聞キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=46
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047・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 柳原伯爵ニ伺ヒマスガ、柳原伯爵ハ政府委員ノ出
席ヲ御希望ニナルノデアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=47
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048・柳原義光
○伯爵柳原義光君 左樣デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=48
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049・徳川家達
○議長(公爵德川家逹君) 諸君ニ御諮リヲ致シマスガ、柳原伯爵ノ御希望モ
アリマスカラ、議事日程ノ第二十八ハ政府委員ノ出席ノアルマデ待チマシテ、
議事日程ノ第二十九ニ移ッテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=49
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050・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=50
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051・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第二十九、未成年者飮酒取締ニ關スル法
律案、衆議院提出、第一讀會
未成年者飮酒取締ニ關スル法律案
右本院提出案及送付候也
明治四十三年二月十日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
酒類ヲ供給スル營業者ニシテ未成年者ニ酒類ヲ飮用セシメ又ハ其ノ自用
ニ供スルコトヲ知リテ之ニ販賣若ハ給與シタル者ハ十圓以下ノ科料ニ處
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=51
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052・南光利
○男爵南光利君 私モ此案ニ付キマシテ、チヨット政府委員ニ御尋ネ致シタ
イコトガゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=52
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053・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 政府委員ガ見エラレマシタカラ、議事日程ノ第二
十八ニ戾リマス、柳原伯爵、モウ一度御質問ノ大要ヲ御述べニナッタ方ガ政
府委員ノ御耳ニ這入ラウト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=53
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054・柳原義光
○伯爵柳原義光君 然ラバ政府委員ニ對シテモウ一應私ノ考ヘヲ申述べマ
ス、他デモゴザイマセヌガ、此案ニ對シテ政府ハドウ云フ考ヘヲ有ッテ居ラ
ル·カ、私ドモハ之ニ對シテ意見ヲ立テマスルニ付イテモ一應政府ガドウ云
フ考ヘヲ有ッテ居ラルヽカト云フコトヲ伺ヒ置ク必要ガアルト思ヒマスカラ、
甚ダ簡單ナモノデアラウトハ考ヘマスガ、能ク御說明ヲ願ヒタイ
〔政府委員安廣伴一郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=54
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055・安廣伴一郎
○政府委員(安廣伴一郞君) 唯今ノ御質問ニ御答イタシマスガ、政府ハ必シ
モ之ヲ改正シナケレバナラヌトモ認メマセヌガ、併シ既ニ衆議院モ通過イタ
シマシタコトデゴザイマスカラ、强ヒテ反對ハ致シマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=55
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056・柳原義光
○伯爵柳原義光君 能ク分リマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=56
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057・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ議事日程第二十九ニ移リマス、南男爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=57
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058・南光利
○男爵南光利君 私モチヨット政府委員ニ御尋ネ致シマスガ、比案ニハ政府
ハ御同意ニナッタノデアリマスカ、又此取締方ニ付キマシテハ十分付ク御考
ヘデアリマスカ、一應其邊ヲ伺ヒタウゴザイマス
〔政府委員安廣伴一郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=58
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059・安廣伴一郎
○政府委員(安廣伴一郞君) 此案ハ年々歲々出テ參リマシタ案デゴザイマス
ガ是マデノトハ少シ模樣ガ變リマシテ、單ニ營業者ヲ取締ルト云フ方ノ側
デゴザイマスカラシテ、丁度アノ少年ノ喫煙ヲ禁ズルト云フ法案ト稍類シ
テ居ルモノデアリマス、大シテ差支ハアリマスマイト考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=59
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060・萬里小路通房
○伯爵萬里小路通房君 私モ質問イタシタウゴザイマス、今ノ政府委員ノ御
答辯デアリマスト年々歲々此案ハ出ル、之ニ付イテハ略煙草ノ禁止ト同ジ
取締法ヲ爲スモノデアルカラ、是デ宜カラウト云フ御說明デアリマシタガ、
サウスルト是ハ何デアリマスカ、煙草ノコトハチヨット私ハ覺エマセヌケレ
ドモ、酒屋ダケガ飮マサナンダラ宜イノデアリマスカ、ソレデハ未成年者ノ
飮酒ト云フ方ノ取締ハ餘ホド付キニクカラウト思ヒマスガ、ソコラノ政府ノ
御同意ニナッタ趣意ハドコラデゴザイマセウカ、伺ヒタイ
〔政府委員安廣伴一郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=60
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061・安廣伴一郎
○政府委員(安廣伴一郞君) 甚ダ恐入リマスデゴザイマスガ、少々聽取レマ
セヌデゴザイマシタガ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=61
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062・萬里小路通房
○伯爵萬里小路通房君 モウ一遍申シマスガ、此案ハ御同意ニナッテ居ルヤ
ウニ今御話デアリマシタガ、シテ見マスト酒屋ダケノコトニ取締ガ付イテ居
ルヤウデゴザイマスガ、他ノ者ガ飮マシタリスルコトハ少シモ構ハズ、又本
人ニハ云々ト云フコトガ何モアリマセヌガ、ソレハドウ云フ工合ニ取締法ガ
付クデアリマセウカ、之ヲ伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=62
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063・安廣伴一郎
○政府委員(安廣伴一郞君) 他ノ方ニ付イテハ取締ガアリマセヌ、ソレデ他
ノ方ニ付イテモ取締ヲ致シマセウト云フコトデアリマスガ、是ハドウモ法律
上ノ問題デハアリマセヌデ、寧ロ道德上ノ問題ニ移ラウト思ヒマス、是ダケ
ノコトデゴザイマスレバ大體ノ取締モ付カウカト云フ考ヘデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=63
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064・萬里小路通房
○伯爵萬里小路通房君 モウ一遍伺ヒマス、大抵取締ガ付クダラウト云フ御
見込ハドウ云フ工合ニ付イテ居ルカ、ソレヲ伺ヒタイ
〔政府委員安廣伴一郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=64
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065・安廣伴一郎
○政府委員(安廣伴一郞君) 取締ガ付クト云フコトノ考ヘハドコカト云フコ
トノ御尋ネデアリマスガ、詰リ取締ガ付クト云フ考ヘヲ有ッテ居リマスカラ、
ソレ以上ハ御答ガ甚ダ困難デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=65
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066・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ前キニ御委託ニ相成リマシタ特別委員ノ氏
名ヲ書記官長ヲシテ朗讀ヲ致サセマス
〔太田書記官長朗讀〕
地租條例中改正法律案外十六件特別委員
侯爵德川賴倫君伯爵松木宗隆君伯爵柳澤保惠君
子爵曾我祐準君子爵山口弘達君子爵三島彌太郞君
子爵牧野忠篤君子爵松平親信君男爵小澤武雄君
男爵船越衞君男爵沖守固君男爵中川興長君
男爵目賀田種太郞君男爵紀俊秀君男爵吉川重吉君
男爵北大路實信君西村亮吉君谷森眞男君
仁尾惟茂君山本達雄君室田義文君
高橋新吉君廣海二三郞君濱口吉右衞門君
鎌田勝太郞君桑田熊藏君下村辰右衞門君
帝國大學特別會計法中改正法律案特別委員
伯爵川村鐵太郞君子爵堤功長君男爵關義臣君
男爵靑山元君男爵德川厚君三宅秀君
澤柳政太郞君木場貞長君加藤宇兵衞君
鐵道敷設法中改正法律案外一件特別委員
伯爵寺島誠一郞君子爵鳥居忠文君男爵奈良原繁君
男爵田健治郞君男爵伊丹春雄君千坂高雅君
千頭〓臣君木村誓太郞君日高榮三郞君
衆議院議員選擧法中改正法律案特別委員
子爵本莊壽巨君子爵松平康民君德久恆範君
男爵南光利君男爵眞田幸世君山田春三君
穗積八束君岡野敬次郞君辰巳楢太郞君
未成年者飮酒取締ニ關スル法律案特別委員
侯爵細川護成君伯爵萬里小路通房君伯爵德川達孝君
男爵辻新次君男爵石黑忠悳君大澤謙二君
男爵尙順君男爵二條正鷹君並木和一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=66
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067・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 次ノ議事日程ハ追ッテ本院彙報ヲ以テ御報告ニ及
ビマス、本日ハ是デ散會イタシマス
午前十一時二十一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002603242X00519100216&spkNum=67
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