第26回帝国議会　衆議院　本会議　第17号　明治43年3月8日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  　明治四十三年三月八日（火曜日）午後一時五分開議
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  　　議事日程　第十六號　明治四十三年三月八日
  　　　　午後一時開議
  　　　　　　質問
  　　　一　糖業政策に關する再質問（中川虎之助君提出）
  　　　二　明治三十七八年戰役行賞に關する質問（大内暢三君提出）
  　　　三　官有地拂下に關する質問（早川龍介君提出）
  　　　四　國有土地森林原野下戻法に關する質問（三浦盛徳君外一名提出）
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  　　第一　宅地地價修正法案（政府提出、貴族院囘付）
  　　第二　韓國在勤鐵道院所屬官吏の恩給及遺族扶助料に關する法律案（政府提出）　第一讀會
  　　第三　右議案の審査を付託すへき委員の選舉
  　　第四　家畜市場法案（政府提出、貴族院送付）　第一讀會
  　　第五　右議案の審査を付託すへき委員の選舉
  　　第六　銃砲火藥類取締法改正法律案（政府提出）　第一讀會
  　　第七　右議案の審査を付託すへき委員の選舉
  　　第八　關税定率法改正法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第九　製鹽地整理に關する法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第十　市制中改正法律案（村上先君提出）　第一讀會
  　　第十一　町村制中改正法律案（村上先君提出）　第一讀會
  　　第十二　鑛業法中改正法律案（安東敏之君外二名提出）　第一讀會
  　　第十三　衆議院議員選舉法中改正法律案（小泉又次郎君外七名提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第十四　拘留科料に關する裁判法案（松田源治君外二名提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第十五　商法中改正法律案（松田源治君提出）　第一讀會の續（委員長報告）
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• 001・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　是ヨリ諸般ノ報告ヲ致シマス
  〔書記朗讀〕
  一政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  銃砲火藥類取締法改正法律案
  東洋拓殖株式會社法中改正法律案
  一貴族院ヨリ送付セラレタル政府提出案左ノ如シ
  家畜市場法案
  一貴族院ハ本院ノ送付ニ係ル政府提出(第二號)明治四十二年度歲入歳出總豫
  算追加案(第一號)明治四十三年歲入歲出總豫算追加案、帝國大學特別會
  計法中改正法律案、沖繩縣諸祿處分法案ヲ可決シタル旨同院ヨリ通牒ヲ受領
  セリ
  一議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  關稅定率法改正法律案中修正案
  提出者早速整爾君石橋爲之助君小川平吉君
  關稅定率法改正法律案中修正案
  提出者森田勇次郞君鹿島秀麿君箕浦勝人君
  山田又七君綾部惣兵衞君藤井善助君
  全國鑛泉竝轉地療養地調査ニ關スル建議案
  提出者八木逸郞君
  鐵道建設ニ關スル建議案
  提出者長晴登君阿部政太郞君大坂金助君
  靑森港修築ニ關スル建議案
  提出者阿部政太郞君大坂金助君長晴登君
  村上先君三浦盛德君阿部德三郞君
  一田川大吉郞君ヨリ明治四十一年度國庫剩餘金調ニ關スル再質問主意書ヲ提
  出セラレタリ
  〔左ノ報告ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ茲ニ揭載ス)
  一去五日議長ニ於テ選定シタル委員左ノ如シ
  北海道土功組合法中改正法律案
  管原傳君濱名信平君高原篤行君
  東武君筏井甚吉君小山內鐵彌君
  荒谷桂吉君中村豐次郞君花井卓藏君
  那覇港修築工事ヲ沖繩縣ニ引繼ク事ニ關スル法律案
  中村舜次郞君恆松隆慶君阿部孫左衞門君
  坂本元明君辻川與一右衞門君柵瀨軍之佐君
  近江谷榮次君高木正年君石田平吉君
  電氣事業法案
  鳩山和夫君西谷金藏君松田吉三郞君
  景山甚右衞門君戶狩權之助君望月右內君
  八木逸郞君卜新君森奧繁三郞君
  渡邊修君高大橋井文質君正君
  藤澤幾之輔君木村省吾君守山又三君
  鈴木摠兵衞君加瀨禧逸君才賀藤吉君
  煙草專賣法中改正法律案
  武滿義雄君高橋直治君駒田小次郞君
  福井準造君大津淳一郞君綾部惣兵衞君
  木村良君梅原良君星一君
  會計法中改正法律案
  古賀庸藏君〓崟太郞君高久倉藏君
  藻寄鉄五郞君鮫島慶彥君安中島祐八君
  小橋榮太郞君小川平吉君東敏之君
  行政執行法中改正法律案
  向坂弘君町田旦龍君鈴木友治郎君
  古森泰君河野郁太郞君水野正己君
  久保田與四郞君山根正次君小泉又次郞君
  豫約出版法案
  靑柳信五郞君水間此農夫君古井由之君
  柏原左源太君木下吉之丞君關和知君
  山田珠一君加藤恆忠君鈴木力君
  戰疫豫防法中改正法律案
  飯田新右衞門君阪泰碩君中川虎之助君
  三浦盛德君森坂田元英俊君佐藤貞雄君
  河井重藏君俊左久君關口安太郞君
  蠶病豫防法中改正法律案
  翠川鐵三君早川龍介君上柳喜右衞門君
  大坂金助君天野董平君紫垣一雄君
  木村良君卜部喜太郞君飯田精一君
  區裁判所事務開始ニ關スル建議案
  吉植庄一郞君西山彰君川島龜夫君
  西澤定吉君乾龜松君鈴木仙太郞君
  大熊三之助君阪本彌一郞君加瀨禧逸君
  一委員長及理事左ノ通リ當選セラレタリ
  北海道土功組合法中改正法律案委員會
  委員長管原傳君理事中村豐次郎君
  那覇港修築工事ヲ沖繩縣ニ引繼ク事ニ關スル法律案委員會
  委員長辻川與一右衞門君理事阿部孫左衞門君
  電氣事業法案委員會
  理事渡邊修君
  委員長鳩山和夫君(高橋文質君
  煙草專賣法中改正法律案委員會
  委員長武滿義雄君理事福井準造君
  會計法中改正法律案委員會
  委員長古賀庸藏君理事〓峯太郞君
  行政執行法中改正法律案委員會
  委員長山根正次君理事町田旦龍君
  豫約出版法案委員會
  委員長靑柳信五郞君理事山田珠一君
  獸疫豫防法中改正法律案委員會
  委員長阪泰碩君理事森田俊左久君
  蠶病像防法中改正法律案委員會
  委員長上柳喜右衞門君理事卜部喜太郞君
  區裁判所事務開始ニ關スル建議案委員會
  委員長吉植庄一郞君理事乾龜松君
  〔左ノ質問書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス)
  糖業政策ニ關スル再質問主意書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治四十三年二月二十五日
  提出者中川虎之助贊成者柚木慶二
  外三十二人
  糖業政策ニ關スル再質問主意書
  一曩ニ提出セシ糖業政策ニ關スル質問ニ對シ何故速ニ答辯ヲ爲ササルヤ或ハ質問
  事項ヲ承認スルヤ如何
  一政府ハ糖業政策ニ關スル偏輕偏重ノ施政ヲ執リ殊ニ臺灣ニ於ケル糖業施設ニ關
  シテハ三十四年十月砂糖消費稅施行以來年々多大ノ脫稅ヲ公認シ違憲違勅ノ
  行動ヲ執リタルハ事實ノ證明スル所ナリ然ルニ政府當局ハ恬トシテ知ラサルモノノ
  如シ政府ハ之ニ對シ責任ナシト自認シ居ルヤ如何果シテ責任ナシトセハ之カ詳細
  ノ事由ヲ辯明シ速ニ國民ノ疑惑ヲ解クヘシ
  右及再質問候也
  明治三十七八年戰役行賞ニ關スル質問主意書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治四十三年三月一日
  提出者大內暢三贊成者大石正己
  外二十九人
  明治三十七八年戰役行賞ニ關スル質問主意書
  第一明治三十七八年戰役ニ際シ在韓國各日本居留地就中仁川、鎭南浦、京城、
  平壤、釜山、元山其他各地ノ居留民長若ハ其ノ總代ハ戰爭開始以來畫夜ヲ別
  タスシテ物資供給ノ補助、軍隊宿舍ノ設備、船舶倉庫ノ徵發等直接間接ニ
  兵站其他軍事的行動ヲ幫助セシ功績ハ一般ノ認識スルトコロナリ而シテ內地下
  級行政ノ衝ニ當レル町村長ハ夫〓行賞ノ沙汰アリ且在韓國居留日本人ニシテ軍
  直屬ノ御用商人モ亦〓勳ノ恩典ニ浴シタルニ拘ラス當時ノ在韓國日本居留民
  長又ハ居留日本人總代ニ對シテハ今日ニ至ル迄何等行賞ノ沙汰ナキハ、如何ナ
  ル理由ニ因ルヤ
  第二明治三十七八年戰役ノ功ニ依リ日本內地ノ各新聞社ニ對シテハ夫々行賞ノ沙
  汰アリシモ日本內地ノ新聞紙ト相呼應シテ該戰役ニ際シ大ニ我カ國民ノ志氣ヲ鼓
  舞シ祕密ノ行動ヲ裨益セシ在韓國日本人ノ經營セル各新聞社ニ對シ何等行
  賞ノ沙汰ナキハ如何ナル理由ニ因ルヤ
  右及質問候也
  官有地拂下ニ關スル質問主意書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治四十三年三月三日
  提出者早川龍介贊成者安藤新太郞
  外三十一人
  官有地拂下ニ關スル質問主意書
  一東京市京橋區明石町六十一番及六十二番
  市街宅地千六百四十八坪八合
  此ノ拂下代金三万六千二百七十四圓二十六錢
  此ノ一坪當リ金二十二圓ニテ拂下ケタリ
  一明治四十二年四月酉土發第三二二號ヲ以テ東京府知事阿部活ノ名ヲ以テ久
  保田與四郞外六名拂下ヲ爲シタリ
  一京橋區ノ土地ハ最低價格一坪ニ付金四十五圓以上最高價格金二百五十圓ナ
  リトス
  一拂下地タル明石町六十一、六十二番ノ地ハ一坪ニ付金八十圓ノ價格ヲ相當ナ
  リトスル事ハ評價人ノ鑑定スル處トス然ルニ前記ノ如ク低廉ナル價格ヲ以テ拂下
  ヲ爲シタル其理由ハ如何詳細ナル說明ヲ望ム
  右及質問候也

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• 002・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　會議ヲ開キマス、御諮ヲ致シマス、追〓會期モ切迫致シマシ
  タガ、委員ニ付託サレテアル案件ガ多數アリマスルニ依リ、爾今本會議ノ日ニモ議院ノ
  許可ヲ經ズニ委員會ヲ開キ得ルコトニ致シ、尙議案ノ都合ニ依ッテハ委員會ノ日ニモ本
  會議ヲ開クコトニ致シタイト思ヒマス、御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 003・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ナイト認メマスカラ其通リ決シマス、尙特別委員ノ
  辭任ハ一々議場ニ諮シテ之ヲ許可シ、而シテ其補缺ヲ指名スル順序ニナッテ居リマスガ
  會期モ切迫シテ參リマシテ、此手續ヲ經ルトキハ或ハ時機ヲ失スルノ虞ガアリマスカラ、
  議長ニ於テ辭任ノ理由ヲ相當ト認メタルモノハ直ニ之ヲ許可シテ其補缺ヲ指名シ、公
  報ニ揭ゲテ報告スルコトニ致シタイト思ヒマスガ、御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 004・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ナイト認メマスカラ其通り決シマス、糖業政策ニ關
  スル再質問、提出者中川虎之助君
  〔中川虎之助君登壇〕

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• 005・中川虎之助

  ○中川虎之助君　本員ハ政府ヘ政府ノ糖業政策ニ付テ再質問ノタメニ登壇ヲ致シマ
  シタノデスガ、先達本員ノ質問九箇條ニ對シテ政府ハ二週間バカリ間ヲ置イテ答辯ヲセラ
  レマシタガ、此九箇條ノ私ノ質問ニ對シテノ政府ノ答辯ハマルデ要領ヲ得ナイノミナラ
  ズ、隨分出放題ナ、噓詐リヲ列ベタ答辯デアリマスカラ、據處ナク再質問ヲスルコトニ
  ナッタノデゴザイマスガ、此九箇條ヲ一々辯駁致シマスト非常ニ時間ガ掛リマスカラ、此
  九箇條ニ對シテ一々辯駁シテ質問ヲシタイノデアリマスケレドモ、之ヲ略シテ、要スルニ九
  箇條ヲ綜合シテ私ノ質問ニ對シテ政府ノ答辯ハドウ云フノデアルカト云フト、糖業政策
  ハ圓滿ニ、又上乘ニ政府ハ施行シテ居ル、決シテ保護ニ厚薄ハナイ、、偏重偏輕ハナイ、內
  地ノ農民糖作業モ、又內地ノ精糖工業モ、臺灣ノ砂糖事業モ、總テ調和發達シテ健
  全ニ有望ニ出來ルノデアル斯ウ云フ答辯デアル、ソコデ政府カラ出シタ答辯ハ、我帝國ノ
  糖業政策ハ旨ク出來テ居ルカラ、オ前ノ心配スルヤウナコトハ一ツモ無イト云フノニ過ギナ
  イノデス、所ガ私ガ玆ニ一ツダケ數字ヲ以テ質問ヲセネバナラヌコトガアルト思ヒマスガ實
  ハ今日時間ガアッタラ九箇條ニ對シテ一々言ヒタイノデアリマスケレドモ、是ハ長クナリ
  マスカラ略シテ、偏重偏輕ガ有ルカ無イカ、又非常ナ偏頗ガ有ルカ無イカ、得手勝手ヲ
  非常ニシテ居ルカ居ラヌカハ玆ニ數字ヲ以テ御話ヲシマス政府ノ人ハ成ベク今日ハ出
  テ來テ貫ヒタイデスケレドモ、出テ居ラヌノハ甚ダ遺憾デアル、私ハ此臺灣ヲ引合ニ出シテ
  御話ヲシナケレバナラヌガ、第二十一議會ノトキ非常特別稅ノ稅法中ノ改正案ガ議セ
  ラレマシタトキ、臺灣ノ側ハ脫稅ヲ本位トシテ居ル、證據ニハ斯ウ云フコトガアル第二種
  糖ト云フノハ臺灣ノ彼ノ各砂糖會社デヤッテ居ルトコロノ分蜜糖ト云フ砂糖デアリマ
  スガ、是ハ二種糖ヨリ以下ノ品ヲ製出シタクトモ出來ヌノデ皆二種ヨリ以上ノ砂糖ガ出
  來ル機械ニナッテ居ル、所ガ其臺灣ノ臺灣製糖會社ノ當時ノ社長タル鈴木藤三郞氏
  ガ衆議院議員デ居ッテ、其當時ノ二十一議會ノトキノ豫算委員長ヲセラレタ栗原亮一
  氏及其時ノ委員ニ櫻井駿氏ナドモナッテ居ッテ、政府ガ二種ノ砂糖ハ一圓六十錢ノ稅
  率ニ消費稅ハ据置イテオクト云フ案ヲ出シテアルニ、ソレヲ四圓四十錢ニ增率ヲシタノデ
  アル、諸君、一圓六十錢ニ据置クト云フ原案ヲ、四圓四十錢ニシテ故ラニ餘計ニ出ス
  ト云フ修正ヲシタノハ何ノタメデアルカト申シマスト、臺灣ハ脫稅ガ勝手氣儘ニ出來ルカ
  ラ、二種ノ砂糖ノ稅ヲ凡ソ一倍カラニ殖シテ置イタナラバ、外國カラ來ル砂糖ニモ稅法
  通リ厲行ガ出來ル、又內地ノ四國、九州、沖繩、五畿、駿遠、小笠原デ出來ル砂糖
  モ同ジク稅法ノ通リ厲行サレル、單リ臺灣ダケ稅法ヲ属行セラレナイカラシテ、稅率ヲ高
  クシテ置イタナラバ百斤ニ對シテ一圓六十錢ヲ四圓四十錢ニシタダケ利益ガアリマスカ
  ラ、二圓八十錢ダケ脫稅ノ御蔭デ儲カル、ソレデアルカラ臺灣デ事業ヲシテ居ル者ガ、脫
  稅ガ出來ルト云フ意味ノ下ニ、政府ガ一圓六十錢ニ据置クト云フモノヲ故ラニ四圓四
  十錢ニ增率シテ、是ガ決定稅率ニナッテ二十一議會ニ極ッタノデアリマスガ、是ガ卽チ脫
  稅本位デアルト云フ證據デアル、ソレカラ他ノ國カラ來ル砂糖ヤ內地ノ方ハ稅法ヲ厲行
  シ臺灣ハ厲行シナイ、ソコデ二圓六十錢ダケ特別ナ利益ヲ得ラレルヤウニシタノデアリ
  マスガ、是ガ脫本本位ノ起ル本デアル、是ハ前提ニ聽イテ戴キタイ、モウ一ツ昨年度ノコ
  トニ付テ諸君ニ聽イテ戴キタイノハ、四十二年期デス是ハ四十一年ノ十一月カラ四十
  二年ノ六月マデ、七八九十ノ四箇月ハ算外ニシテ、又蜜モ算外ニシテ、此四十二年ノ
  中ニドレダケ臺灣ノ砂糖ガ出來テ、ドレダケ稅金ガ取レテ、ドウ云フ風ニナッテ居ルト云フ
  コトヲ確ナ大藏省カラ出シタ統計ニ依ッテ聞イタモノデアリマスガ、土人ガ拵ヘル舊式ノ砂糖
  ガ八千七百二十二万三千六百九十二斤、ソレカラ會社ガ拵ヘルトコロノ分蜜糖ト云フ
  ノガ一億二千二十四万四百斤、之ヲ合計シマスト二億七百五十六万四千九十二斤
  ニナル、之ヲ土人ノ拵ヘタ舊式ノ砂糖ヲ假ニ一種糖ト云フ一番下級ノ稅率三圓ニ致シ
  マシテモ、此土人ノ舊式ノ砂糖ノ稅ガ二百六十一万六千七百十圓七十六錢ニナル、
  ソレカラ分蜜糖ト云フ會社ガ拵ヘル砂糖、是ハ二種モアレバ、三種モアル

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• 006・卜部喜太郎

  ○卜部喜太郞君　砂糖ノ講釋ヲスルノデアリマスカ、政府ニ對シテ糖業政策ニ付テノ
  質問デアリマスナラバ、長イ短イハ論ジマセヌケレドモ、砂糖ノ講釋ハ御免ヲ蒙リタイ、質
  問ガアルナラ質問ノ要點ヲ御述ベニナルコトヲ希望スル、決シテ辯論ヲ妨害スル意味デハ
  アリマセヌガ、砂糖ノ講義ハ御免ヲ蒙ル

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• 007・中川虎之助

  ○中川虎之助君　講義ヲスル譯デハナイガ、御話ヲセヌト分ラヌコトガアル、其分蜜糖ガ
  五圓五十錢ノ稅率ガ是ガムハ百六十一万三千二百二十二圓ニナル、サウスルト併セマ
  スルト九百二十二万九千九百三十二圓七十六錢トナル、此中デ四十二年度ノ砂糖
  ノ消費稅ノ豫定額ガ四百五十万六千五百五十五圓、差引キマシタラ四百七十二万
  三千三百七十七圓七十ハ錢、是ハ卽チ實收ガ如何ナッテ居ルカ分ラヌガ、要スルニ若
  シ豫定額ノ通デアッタナラバ是ダケガ其四百七十二万三千三百七十七圓七十六
  錢ガ脫稅ニナルノデアル併シ實收入ガ此以上幾ラカ像定ヨリ餘計アルモノトスレバ少々
  狂ヒガ附ク、其上ニ保護金ト云フモノガ八十一万四千三百圓ト云フモノガ諸君ガ協賛
  ヲ與ヘタ金ガアル、之ヲ合計スルト丁度五百五十三万七千六百七十七圓七十六錢
  所ガ是ダケノ金高ニナリマスガ、昨年ハ決シテ二種ノ砂糖バカリ或ハ一種ノ砂糖バカリ
  ト云フノデナイ、二種モアレバ三種モアル、是ハ私等ガ當リ前實地ノ調査ヲシテ、當リ
  前稅法通リ課稅スルモノト致シマスレバ產額ノ二億七百五十六万四千九十一一斤ニ對
  シテ昨年ノヤウナ色相ノ砂糖デアッタナラバ五圓六十六錢六厘ノ平均率ヲ掛ケテ宜イ
  ト本員ハ信ズルノデアル、サウスレバ千百七十六万五百八十一圓四十五錢二厘、斯
  ウ致シマスルト尙其消費稅ノ豫定額ヲ引キマシタトコロノ殘ガ七百二十五万四千二十
  五圓四十五錢二厘、斯ウ云フ殘額ガ出テ來ル、是ヘ持ッテ行ッテ糖業補助金ノ昨年
  ノ八十一万四千三百圓ヲ加ヘレバ八百六万八百三十二圓五十四錢五厘、斯ウ云
  フ割合ニナリマスガ、是ハ其消費稅ノ豫定額ハ確ニ昨年ハ臺灣デ增シテ居リマス、
  實收入ノ方ハ增シテハ居リマスケレドモ、免モ角モ何百万圓ト云フモノガ保護トモナレバ手
  心トモナッテ居ルノデアル、左樣シマスルト云フト此砂糖ハ諸君第一ハ稅率ノ權衡ト云
  フガ大事ナンデ、第二ハ砂糖色相ヲ査定スルトコロノ統一ト云フノガ大事ナンデ、第三
  ハ糖業保護ノ公平ニ平等デナケレバナラヌト云フコトガアル、第四ハ關稅ノ稅率ノ設定
  方ニ適當ヲ得セシムルト云フコトデアル、ソコデ稅率ノ權衡ト保護ノ平等ト色相査定ノ
  統一ト關稅ト、此四ツガ旨ク行カナケレバ糖業政策ト云フモノニハナラナイノデアル所ガ
  內地ノ砂糖產地ニ對シテハ政府ハ私ヘノ答辯ニ對シテハ十分內地ノ發達ヲ世話ヲシテ
  居ル、保護ヲシテ居ルト、斯ウ言ハレテ居リマスケレドモ、內地ノニ何ガアル、內地ノ砂糖
  ニ對シテハ文久ノ世話モシテ居ラナイノデアル(「會期切迫ノ場合成ルベク簡單ニ願ヒマ
  ス」ト呼フ者アリ)簡單ニヤリマス、チヨット聽イテ下サイ、ソコデ其邊ノ偏輕ガナイトカ、或
  公平ニシテアルトカ云フコトハ皆臚デアル私ハ桂侯爵閣下ハ確ニ今日列國角逐場裡
  ニ立ッテ能ク經世安民ノ大業ヲ託スルニ足ル帝國ノ麒麟兒ト思ウテ居ッタ、所ガ豈圖ン
  ヤ駑馬ト言ヒタイガ、駑馬デハナイ、私ニ對スルノ答辯ヲ見ルト確ニ大奸物ト本員ハ斷
  言スルノデアル、冗談デハナイト思フ、尙モ斯樣ナ詐リノ答辯ヲ爲シテ一方ニハ八百万トカ
  七百万トカ云フヤウナ脫稅ヤ恩典ガアル、一方ニハ文久モ世話ヲシナイデサウシテ公平ニ
  シテアル、偏頗デナイ圓滿ニ出來テ居ル、斯ウ云フコトヲ言ウテ居ル、ソレカラ又精製糖
  會社ニ對シテ政府ガ協定步止リト云フコトヲシテ居ルガ、此間ノ砂糖稅改正ノ委員會
  ニ於テ政府委員ハ斯ウ云フコトヲ言ッテ居ル-菅原主稅局長ガ中村啓次郞君
  ノ問ニ對シテノ答ニ、大藏省ガ此精製糖ノ會社ノ中デ日糖會社ヘ對シテ出來タ砂糖ヲ
  其儘檢査ヲスルノガ本當ノ消費稅法ノ規則デアルノニ、ソレヲ出來ヌ先ニ何程ト協定
  スル、白イ分ガ何程、四種が何程、三種ノ砂糖ガ何程、二種ノ砂糖ガ何程ト斯ウ先ヘ
  言合セテ置イテ、出來タ砂糖ハ檢査ヲシナイ、ソコデ稅ノ高イヤツヲ多クシテ居ルノデア
  ル、稅ノ廉イヤツハ少ナクヤルヤウニシテ製造シテ居ル、ホンマニ出來タトキハ檢査ヲシナイ、
  其タメニ此間委員會ニ於テ私ノ傍聽シタトコロニ依ッテ見ルト、菅原主稅局長ガ四種ノ
  砂糖ガ二十八、三種ノ砂糖ガ四十四、二種ノ砂糖ガ十四、蜜ガ八、サウスルト九十六、
  斯ウ云フ協定ヲシテ居ルト云フコトニ承ッタガ、實際ハドウデアル實際ハ四種ガ四十六、
  三種ガ四十六蜜ガ八斯ウナリマスト差引勘定稅法ヨリ四種ノ砂糖ハ十圓デアル、三種
  ノ砂糖ハ八圓五十錢、二種ハ五圓五十錢、蜜ハ三圓デアル、之ヲ算盤ヲシテ見マスレバ
  二圓四錢ト云フモノガ協定シタ査定ノ違法ヨリ利益ヲ與ヘテ居ル當リ前ノ檢査ヲスル
  ト云フヤリ方デアレバ百斤ニ付テ二圓四錢、日糖會社ハ特典ヲ此頃受ケテ居ルコトニ
  ナルガ、果シテ斯ウ云フコトデ若シアッタナラバデス、日糖會社モ滅亡シ掛ケテ居ルガ、又
  囘復スルヤウニナルカモ知ラヌ、併ナガラ外ノ會社ハ此思典ニ均霑スルコトガ出來ナイ
  トナッテ來ルト云フト、大藏省ハ日糖會社ト又々結託シテ斯樣ナ稅法ヲ無視シタコトヲ
  仕掛ケテ居ルト言ハナケレバナラヌノデアル、サウスルト日糖會社ニ對シテ此頃斯ウ云フ特
  別ナ取扱ヲ復タ仕始メタ、臺灣ニ對シテハ今年ハ二百五十何万圓ト云フモノヲ糖業補
  助ト云フコトデ諸君ガ協賛ノ下ニ保護金ヲ支出セラレテ居ルガ、內地ノ農民糖業ニハ
  何等モシテヤッテナイ、サウスルト云フト、九州、琉球、四國アタリノ砂糖ハ殊更ニ迫害シ
  テ、殊更ニ全滅ヲサスト云フコトニ見ナケレバナラヌ、然ルニ偏重偏輕ハナイトカ、公平ニ
  世話ヲシヨルトカ云フコトヲ政府ハ能ク言ハレル、是ナドハ私ハ甚ダ不審ニ堪ヘヌノデア
  ル、殊ニ昨年二十五議會ノ砌リ、私ガ砂糖ノ消費稅改正法律案ヲ四ツ出シタ、其
  トキニ政府ガ私ノ案內ノ中デ、白下糖ト黑糖トニ對シテ反對ヲセラレタトキニ出シテ來
  タ是ハ政府ガ拵ヘタ蒟蒻版デアル、是ニモ大キナ噓ヲ書イテアル、私ノ案ハ白下ト黑糖
  ヲ樽入ニスル分ニ限ッテ稅ヲ百斤ニ付テ二圓ヅヽ負ケテ呉レト云フ案ニナッテ居ッタ、所ガ
  其樽入ニシタナラバ外國糖ガ樽入ニナッテ來ル、外國糖ヲ樽ニ入レタラソレガタメニ稅
  ガ俄ニ大藏省ノ財源ガ減ッテシマフ、其減ル高ガ九十万八千五百五十一圓、外國
  產ダケデモ減ル、內地產ノ方ガ百五十五万六千六百三圓是モ減ル、內地ノ減ルノハ當
  リ前ダガ、外國產ガ樽入ニナルコトハ斷ジテナイノデアル、然ルニ九十万八千五百五十
  一圓財源ガ減ルト云フコトヲ言ハレタガ、唯ノ一ツモ外國糖ガ樽入ニナッテ來ルコトハナ
  イノデアル、斯ウ云フ素人ダマシノ嘘ノモノヲ拵ヘテ、始終內國ノ砂糖ノタメニ妨害ヲ政
  府ガシテ居ルノハ不都合千万ト私ハ思フ、樽入ニナッタ外國糖ガ唯ノ一樽デモアリマス
  カ、斷ジテアリハシナイノデアル、然ルニ百万圓餘リモ是ガタメニ財源ガ減ルト云フ、斯樣
  ナコトヲ拵ヘテ來テ反對ヲシタノデアル、ソコデ諸君方モ砂糖問題ト云フコトニ付テハ度
  度御聽キニモナッテ御承知ニハナッテ居ラウガ、是ハ國庫ノ財源ヲ何百万圓モ橫領スル者
  ハ勝手ニ横領シ、又脫稅本位デ以テ法律ヲ衆議院デ勝手ニ改正ヲシ、ソレニ言論ノ府
  タル本院ガ無暗ニ贊成ヲシテ盲從スル、何ノコトハナイ警視廳ガ掏摸ヤ强盜ト馴合ッ
  テ大藏省ノ金庫破リヲシテ居ルトチットモ變リハシナイ、斯樣ナコトハ何ボ橫領シテ默ッテ
  居ルニモセヨ、勝手氣儘ニ斯樣ナ惡ルイコトヲサスト云フコトハ、諸君ニ於テ間違デアル
  ト私ハ思フ、又政府モ不都合千萬ト私ハ斷言スル、是ハチヨット讀ミマスガ、東京ノ砂
  糖市場會長ト云フ-砂砂糖ノ商賣ヲヤッテ居ル東京ノ砂糖市場會長ニ根岸龜吉氏ト
  云フノガアル、之ニ向ケテ我輩ガ問合セヲシタ其時分ニ書面ガ來テ居ル、是ハ唯今控訴
  院ノ方ヘ此書類ハ囘ッテ居ルノデアル「臺灣分蜜糖ノ內地ニ移入スルモノ色相品位ニ對
  シ東京砂糖市場會長ニ照會セシ處同會長根岸龜吉氏ハ左ノ如ク囘答セリ今囘御尋
  越ノ臺灣各會社製造ニ係ル分蜜糖ハ和蘭本本十號以上十七八號迄ノ品位ニシテ消
  費法第二種第三種ニ該當スルモノト相認メ候間此段御了承相成度及御囘答候也」
  此通リ去年ノ砂糖ハ今年ノ砂糖ト違ッテ皆二種以上ノ砂糖ヲシタノデアル、サウシテ稅法
  ヲ一種デ濟マシタノデアル、一方ニハ保護金ト云フ恩曲ハヲ貰ッテ居ル、八十万圓ヲ諸君
  ガ協賛シタ、四國、九州ニハアナタ方協賛ヲシテ呉レナイ、サウシテ一方ニハ日糖會社ハ
  或時ハ政府ト結託シ、或時ハ又政府カラ虐待ヲ受ケル一方ハ無暗ニ脫稅スル一カ、
  脫稅ガ出來ナイ、斯ウ來ルカラ日糖會社ハ亂暴ナコトヲヤッタ、亂暴ナコトヲヤッタ揚句ハ遣
  損ンタ酒匂常明ハ死ング、會社ノ株劵ハ百七十圓臺ノモノガ二十圓ニ下落シタ、是ハ
  誰ガシタ詰ルトコロハ政府ガ責任ヲ負ハナケレバナラヌ、政府ガ惡ルイノデアル、又其會社
  ノ株劵ヲ拂込以上ニ政府ガ擔保ニ取ッタリ、或ハ會社ノ債券ヲ擔保ニ取ッタ、吾〓砂糖
  屋カラハ六箇月以內ニ稅金ヲ取ル、此方ハ何年モ掛ラナケレバ取レヌコトニシタノハ、確ニ
  大藏省ト日糖ト結託シタコトガ分ッテ居ル、臺灣ガ亂暴スルト云フト大藏省ハ度。參事
  官ヲヤッタ、ヤッタケレドモ臺灣製糖會社ノ役員ハ日糖會社ノ舊役員デアッテ、日糖ト大
  藏省トノ關係ヲ知ッテ居ルカラ、大藏省カラ臺灣ヘヤカマシク言ウテモ御手許拜見、オ前
  ノ方デモ斯樣ナコトヲシテ居ルカラ此方モヤルト云ッテ又一層亂暴ヲヤッタ、亂暴ヲヤッタ
  結果ハ臺灣ハ成立ツヤウニナッタガ、之ニ反シテ四國、九州琉球ノ貧乏人ノ造ッテ居
  ルモノハ滅茶々々ニシヤウト云フヤリ方ヲシテ居ル諸君行爲ハ言語ヨリ雄辯ダ事實
  ハ說明ヨリモ確デアル、而モ此證據ハ大藏省カラ出タモノデアル、皆官文書、公文書ニ
  ソレ〓〓載ッテ居ル本員ハ出放題ハ言ハナイ、然ルニ政府ハ之ヲ公平ニヤッテ居ルナド
  出放題ヲ言ッテ居ル斯ウ云フコトヲ諸君ガ言ハシテ置クノハ諸君モ惡ルイ(「惡ルクナイ」ト
  呼フ者アリ)惡ルイ〓〓議會ガ切迫シテ來テ大晦日ガ來タ、大晦日ガ來タカラ、今日ノ
  質問ニ對シテ政府ハ、內地ノ百姓ヲ世話ヲシテ居ルト斯樣ナ噓ヲ云ウテ居ルコトハ嘘ト
  シテ、惡カッタコトハ惡ルカッタデ、恐入リマシタ、今後ハ屹度ヤリ方ヲ變ヘマスト云フナラ
  了簡スル、然ラザレバ本員ハ了簡セヌ、因テ政府ハ答辯ヲドウゾ△〓日デモシテ欲シイ、シ
  ナケレバ大晦日ダカラ居催促ヲスル、馬鹿々々シイ、マアチヨット斯ンナモノダ
  〔拍手起リ笑聲起ル〕

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• 008・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　明治三十七八年戰役行賞ニ關スル質問提出者大內暢
  三君

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• 009・大内暢三

  ○大內暢三君　此質問ノ要旨ハ極メテ簡單ニシテ且明瞭デアリマスカラ、既ニ主意書
  ニ於テ十分盡シテ居ルト思ヒマスカラ、私ハ辯論ヲ用井ルコトヲ致シマセヌ、政府ハ其主
  意書ニ依ッテ適當ノ答辯ヲ與ヘラレンコトヲ望ミマス

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• 010・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　大內君ハ質問ノ要旨ハ主意書ニ盡シテ居ルカラ、ソレニ依ッ
  テ速カニ答辯アランコトヲ望ムト云フノデアリマスカ

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• 011・大内暢三

  ○大內暢三君　サウデス

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• 012・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　官有地拂下ニ關スル質問提出者早川龍介君

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• 013・早川龍介

  ○早川龍介君　チヨット私ハ是ヨリ申シテ置キマスガ、書面ニ是ハ具サニ盡シテアリマス
  カラ、自分ハ演說ヲ致シマセヌ、書面ニ對シテ政府ノ答辯ヲ求メマス

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• 014・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　國有土地森林原野下戾法ニ關スル質問提出者三浦盛
  德三浦盛德君橫山金太郞君
  〔「御延バシニナッタラ如何デス」ト呼フ者アリ〕

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• 015・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　提出者三浦盛德君橫山金太郞君ノ兩人トモ缺席デアリ
  マスカラ延期スルコトニ致シマス、日程第一宅地地價修正法案、政府提出、貴族院
  囘付ヲ議題トナシ、議案ノ朗讀ヲ省略致シマス
  第宅地地價修正法案(政府提出貴族院囘付)
  〔小字及-ハ貴族院修正〕
  宅地地價修正法案
  宅地地價修正法案貴族院囘付ノ箇所左ノ如シ
  第三條宅地ノ修正地價ハ本法ニ依リ定メタル賃貸價格ノ十倍トス但シ賃
  市街宅地ニ在リテハ現在地價ノ十八倍郡村宅地ニ在リテハ現在地價ノ七倍
  貸價格ノ十倍カ現在地價ノ二十倍ヲ超ユルトキハ現在地價ノ二十倍ヲ以
  二割ヲ超ユルトキハ市街宅地ニ在リテハ現在地價ノ十八倍郡村宅地ニ在リテハ現在地價ノ七倍
  テ其ノ地價トス
  二割ヲ以テ其ノ地價トス
  前項ニ依ル修正地價總額カ現在地租總額ヲ百分ノ二箇半ヲ以テ除シタルモノヲ超ユルトキハ現
  在地租ヲ百分ノ二箇半ヲ以テ除シタルモノヲ以テ修正地價總額トシ前項ニ依ル修正地價ニ按分
  シテ每筆ノ地租ヲ定ム
  本法ニ於テ賃貸價格ト稱スルハ貸主カ公課、修繕費其ノ他土地ノ維持ニ
  必要ナル經費ヲ負擔スル條件ヲ以テ之ヲ賃貸スル場合ニ於テ貸主ノ收得ス
  ヘキ金額ヲ謂フ

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• 016・高木正年

  ○高木正年君　私ハ極ク簡單デアリマスカラ當席ヨリ申シマス、私ハ此場合己ムナタ
  貴族院ノ囘付案ニ贊成ノ意ヲ表スルモノデアリマスル、元來申シマスレバ私ハ宅地價法
  案ニハ反對ノ意思ヲ有ッテ居ルモノデアリマス、其次第ハ本員ノ委員會ニ於テ表白致シ
  テ居リマスカラ、殊更ニ此處デハ申シマセヌ、唯私ガ此貴族院囘付案ト政府提出案
  トヲ比較ノ上デ貴族院案ニ贊成スルノデ、其理由ヲ簡單ニ申サウト思フノデアリマス、政
  府案ハ市街宅地ノ百分ノ一一十ト云フ重キ課稅ガ、舊來地價ノ高カリシ處ニ於テ此ノ
  如キ重大ナル負擔ヲ繼續シツヽアルガタメニ、之ヲ低減セントシテ此修正法案ナルモノヲ
  提出致シタト承知シテ居リマス、然ルニ市街宅地ニ於テスラモ其大部分ハ此宅地價修
  正法案ニ依ッテ著シク負擔ノ增加スルト云フコトハ爭フベカラザル事實デアリマス、況ヤ郡
  村宅地ニアッテハ此標準トシテ賃貸價格ナルモノガ、其發展シタルトコロノ郡村宅地ニ於
  テスラ僅ニ十分ノ四乃至--其二三ヲ除イタ外ハ所謂住居シテ居ル地內デアリマス、ソ
  レ故ニ此宅地法案ニ依ッテ修正セラルヽ場合ニ於テハ是等ノ廣キトコロノ宅地ハ之ヲ縮
  小シ、、從ッテ郡村ノ宅地ハ種々ナル變化ヲ來スト同時ニ、其重キ負擔ノタメニ勢ヒ今日
  ノ狀態ヲ維持スルコトノ出來ナイ場合ニ遭遇スルノデアリマス、殊ニ僻遠ナル郡村宅地ニ
  於テハ實際賃貸價格ノ認ムベキモノナクシテ、政府ノ所謂小作料ニ依リ、又ハ賣買地價
  ニ依ッテ之ガ標準ヲ立テルモノトスレバ、決シテ是等ノ地方ノ負擔ニ於テモ輕減セラル
  トコロノ理由ヲ認メナイノデアリマス、彼ノ地租改正ノ場合ニ於テハ是等ノ宅地ハ小作
  料ニ依リ、若クハ其他ノ標準ニ依ッタノデアルガ、此小作料ナルモノヽ著シク騰貴シタ今日ニ
  アッテハ、宅地價修正法案ノ前途ハ所謂多クノ重稅ヲ負擔スルト云フ結果ニナルト云フコ
  トヲ考ヘナケレバナラヌノデアリマス、是ガ故ニ政府ノ出シタル宅地價修正法案ナルモノ
  ハ、公平ナルモノデナイト一云フコトハ旣ニ私ノ言ウタトコロデアリマス、之ヲ貴族院案ト比
  較シテ考ヘマスレバ、貴族院案ハ市街宅地ニ於テモ二十倍ト云フノヲ十八倍ニ引下ゲ、
  幾分カ是ニ於テ低減シ、郡村宅地ニアッテハ之ヲ七倍ト云フコトニ引下ゲテ、稍〓郡村ト
  市街トノ間ニ平均ヲ保タスト云フコトハ最モ私ノ悅ブトコロデアルノデアリマス、殊ニ私ガ
  贊同ヲ躊躇シナイノハ、政府提出ノ宅地價法案ニアッテハ、現在ノ宅地稅千六百万
  圓ガ縱令二千万圓ニナッテモ二千五百万圓ニ增加シテモ、其結果ニ於テ本院ハ何等ノコト
  モ言フコトハ出來ナイノデアル、國民ハ何ノ苦情モ唱ヘルコトノ出來ナイノデアルガ、貴族院囘
  付案ハ是ニ於テ特ニ注意ヲ拂ハレテ、此ノ如ク稅額ノ增加シタル場合ニ於テハ、其增加
  シタルモノヲ按分比例ニヨリ削減シテ、現在ノ地租額ニ增加セザル程度ニ於テ之ヲ修正
  スルト云フコトガ、最モ本員ノ意ヲ得タルモノト考ヘル次第デアリマス、此ノ如ク自分ハ
  贊成ノ意思ヲ表白シテ貴族院囘付案ニ承認ヲ與フルノガ此場合相當ナリトスル所以デ
  アリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=16

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• 017・伊藤大八

  ○伊藤大八君　本案ニ對シテハ此場合ニ貴族院ノ修正ニ同意スルノガ、穩當ト思ヒマ
  スカラシテ、之ニ贊成スルコトニ致シタウゴザイマス
  〔「贊成々々」ノ聲起ル〕

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• 018・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　別ニ反對ノ通告モゴザイマセヌカラ、貴族院ノ囘付サレタト
  コロノ宅地價修正法案ニ同意スルコトニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル)

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• 019・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガナイト認メマスカラ同意スルコトニ決シマス、日程
  第二1韓國在勤鐵道院所屬官吏ノ恩給及遺族扶助料ニ關スル法律案ノ第一讀會
  ヲ開キ、議案ノ朗讀ハ省略致シマス
  第二韓國在勤鐵道院所屬官吏ノ恩給及遺族扶助料第一讀會
  ニ關スル法律案(政府提出)
  韓國在勤鐵道院所屬官吏ノ恩給及遺族扶助料ニ關スル法律案
  明治三十三年法律第七十五號第一條ノ規定ハ韓國ニ在勤スル鐵道院所屬判
  任以上ノ官吏ニ之ヲ準用ス
  附則
  本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
  本法ハ明治四十三年一月以降ノ在職月數ニモ之ヲ適用ス
  〔政府委員工學博士平井晴二郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=19

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• 020・平井晴二郎

  ○政府委員(工學博士平井晴二郞君)　唯今日程ニ上リマシタ法律案ニ付キマシテ
  一應說明ヲ致シマス、是ハ客年十二月韓國鐵道ノ所管ガ鐵道院ニ移リマシタ結果、鐵
  道官吏ガ是マデ享受シテ居タトコロノ官吏恩給年金加算ニ關スル恩典ニ浴スルコトガ
  出來ナクナリマシタ、ソレヲ本案ヲ以テ引續キ此恩典ヲ與ヘントスルモノデアリマスカラ、速
  ニ御審議ノ上御協贊アランコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=20

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• 021・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　日程第三、右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉ヲ議題
  ト致シマス
  第三右議案ノ審查ヲ付スヘキ委員ノ選舉

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=21

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• 022・伊藤大八

  ○伊藤大八君　本案ハ議長指名九名ノ委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=22

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• 023・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　本案ハ議長指名九名ノ委員ニ付託スルニ御異議ハアリマ
  セヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=23

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• 024・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガナイト認メマスカラ其通リ決シマス、日程第四、家
  畜市場法案、政府提出、貴族院送付ノ第一讀會ヲ開キ、議案ノ朗讀ハ省略致シマ
  ス大浦農商務大臣
  第四家畜市場法案(政府提出、貴族院送付)第一讀會
  家畜市場法案
  家畜市場法
  第一條本法ニ於テ家畜ト稱スルハ牛馬羊豚ヲ謂フ
  第二條家畜市場ヲ開設セムトスル者ハ市場業務規程ヲ定メ地方長官ノ許
  可ヲ受クヘシ
  前項ノ市場業務規程ヲ變更セムトスルトキハ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ
  第三條家畜市場ノ開設許可ノ期間ハ二十年以內ニ於テ地方長官之ヲ定ム
  但シ期間更新ノ出願ヲ爲スコトヲ得
  前項ノ規定ハ市町村其ノ他之ニ準スヘキモノ又ハ產牛馬組合法ニ依リ設
  置シタル組合ノ市場ニ付テハ之ヲ適用セス
  第四條市町村其ノ他之ニ凖スヘキモノニ於テ常設家畜市場ヲ開設スルト
  キハ地方長官ハ其ノ申請ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ經テ必要ト認ムル地區
  內ニ於ケル私設家畜市場ノ廢止ヲ命スルコトヲ得但シ產牛馬組合法ニ依
  リ設置シタル組合ノ市場ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
  第五條前條ノ場合ニ於テハ市町村其ノ他之ニ準スヘキモノハ廢場ヲ命セ
  ラレタル私設家畜市場ノ開設者ニ對シ損失ヲ補償スヘシ
  前項ノ規定ニ依リ補償スヘキ金額ハ協議ニ依リ之ヲ定ム協議調ハサルト
  キハ地方長官ノ決定ヲ求ムヘシ其ノ決定ニ不服アル者ハ決定書ノ送付ヲ
  受ケタル日ヨリ九十日以內ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
  第六條家畜市場ニ於テハ其ノ場內又ハ其ノ附屬ノ場所ニ在ル家畜ニ非サ
  レハ之ヲ賣買交換スルコトヲ得ス
  第七條家畜ノ賣買交換ヲ業トスル者ハ家畜市場附近ノ區域內ニ於テハ市
  場開催日及其ノ開催日前後ノ期間中其ノ市場ノ取扱フ家畜ヲ賣買交換ス
  ルコトヲ得ス但シ命令ノ定ムル所ニ依リ行政官廳ノ許可ヲ受ケタルトキ
  ハ此ノ限ニ在ラス
  前項ノ區域及期間ハ地方長官之ヲ指定ス
  第八條常設家畜市場ニ付主務大臣ノ認可ヲ得テ地方長官ノ指定シタル區
  域內ニ於テハ命令ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外其ノ市場ノ取扱フ家
  畜ニ付市場ヲ開設スルコトヲ得ス
  第九條地方長官必要アリト認ムルトキハ常設家畜市場ニ付其ノ市場ノ取
  扱フ家畜ニ關シ指定シタル區域內ノ牛馬宿ニ於ケル賣買交換ヲ禁止シ又
  ハ制限スルコトヲ得
  第十條前三條ノ區域及期間ノ指定、變更又ハ取消ハ地方長官之ヲ告示ス
  ハン
  第十一條家畜市場開設者ハ正當ノ事由ナクシテ其ノ市場ノ取扱フ家畜ノ
  賣買交換ヲ拒ムコトヲ得ス
  第十二條家畜市場ニ於テ家畜ノ賣買交換ニ關スル行爲ヲ爲ス者ハ其ノ市
  場ノ業務規程ヲ知ラサルノ故ヲ以テ其ノ責ヲ免ルルコトヲ得ス
  市町村其ノ他之ニ準スヘキモノハ其ノ市場業務規程中ニ五十圓以下ノ過
  怠金ニ關スル規定ヲ設クルコトヲ得
  第十三條家畜市場及其ノ附屬建設物ノ構造、設備、市場ノ取引方法、仲立業
  者ノ資格其ノ他市場ノ監督及衞生上必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
  第十四條主務大臣又ハ地方長官必要アリト認ムルトキハ官吏又ハ吏員ヲ
  シテ家畜市場若ハ其ノ附屬ノ場所ニ臨檢シ市場開設者若ハ仲立業者ノ帳
  簿、書類其ノ他ノ物品ヲ檢査シ又ハ市場若ハ其ノ附屬ノ場所ニ在ル家畜
  ヲ診斷シ又ハ其ノ移動ヲ停止セシムルコトヲ得
  第十五條家畜市場ノ休場又ハ廢止ハ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ
  家畜市場開設許可ノ際指定シタル期間內ニ開場セサルトキハ之ヲ休場ト
  看做ス
  第十六條家畜市場開設者カ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違反シタ
  ルトキ又ハ主務大臣若ハ地方長官公益ヲ害スルノ虞アリト認ムルトキハ
  家畜市場ノ開設許可ヲ取消シ又ハ業務ヲ停止シ若ハ制限スルコトヲ得
  主務大臣又ハ地方長官公益上必要アリト認ムルトキハ家畜市場及其ノ附
  屬建設物ノ位置、構造、設備又ハ市場業務規程ノ變更ヲ命シ其ノ他監督上
  必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得
  第一項ノ處分ニ不服アル者ハ訴願ヲ提起シ違法ニ權利ヲ傷害セラレタリ
  トスルトキハ行政訴訟ヲ提起スルコトヲ得
  第十七條許可ヲ受ケスシテ家畜市場ヲ開設シ又ハ第十六條第一項ノ規定
  ニ依ル停止若ハ制限ニ違反シタル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
  第十八條第六條、第七條第一項、第十一條、第十五條第一項ノ規定ニ違反
  シタル者、第九條ノ規定ニ依ル禁止若ハ制限ニ違反シタル者又ハ第十四
  條ノ規定ニ依ル停止ノ處分ニ違反シタル者ハ二百圓以下ノ罰金ニ處ス
  第十九條第十四條ノ規定ニ依ル職務ノ執行ヲ拒ミ若ハ妨ケタル者又ハ臨
  檢檢査ノ際當該官吏吏員ノ訊問ニ對シ答辯ヲ爲サス若ハ虛僞ノ陳述ヲ爲
  シタル者ハ三百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
  第二十條家畜市場開設者又ハ家畜ニ關スル營業者未成年者又ハ禁治產者
  ナルトキハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依リ之ニ適用スヘキ罰則
  ハ之ヲ法定代理人ニ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル
  未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
  第二十一條家畜市場開設者又ハ家畜ニ關スル營業者ハ其ノ代理人、戶
  主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ニシテ本法又ハ本法ニ基キテ發ス
  ル命令ニ違反シタルトキハ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ處罰ヲ免ル
  ルコトヲ得ス
  第二十二條明治三十三年法律第五十二號ハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル
  命令ニ依ル犯罪ニ之ヲ準用ス
  第二十三條本法ハ帝室、政府、北海道地方費又ハ府縣ノ行フ家畜ノ賣買交
  換ニ之ヲ適用セス
  附則
  本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  本法施行前地方長官ノ許可又ハ認可ヲ得タル家畜市場ハ本法施行後三年ヲ
  限リ本法ニ依リ許可セラレタルモノト看做ス但シ本法施行ノ日ヨリ起算シ
  許可又ハ認可ノ期間三年以內ナルトキハ其ノ期間ニ依ル
  〔農商務大臣男爵大浦兼武君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=24

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• 025・大浦兼武

  ○農商務大臣(男爵大浦兼武君)　唯今問題ニナリマシタルトコロノ家畜市場法案ハ
  誠ニ單純ナモノデゴザイマス、大體ノ說明ヲ致シタイト存ジマス、家畜ノ賣買ニ關スル取引
  方法ヲ改善致シマシテ、且此市場ニ於ケル衞生上ノ設備ヲ完全ニスルコトハ我國ノ畜
  產業ノ發展ヲ圖ル上ニ於キマシテ最モ肝要ノコトヽ存ジマス、然ルニ現今我邦ニ行ハレ
  マスルトコロノ家畜ノ賣買ニ付テハ種々ノ弊害ガゴザイマシテ、且此市場ノ組織ヲ現今爲
  シテ居ルモノハ全國ニ六百餘箇所ゴザイマス〓シテ完全ナモノデゴザイマスカラ、是等ハ
  此地方ニ於テ縣令ヲ以テ取締ヲ致シテ居ル處モゴザリマスケレドモ、是ヲ以テ甚ダ效果
  ガ十分デナイノデゴザイマス、故ニ此家畜ノ市場ニ於ケルトコロノ法律ノ制度ヲ必要ナリ
  ト云フコトハ、當業者ヨリ屢〓唱道シテ建議モ屢〓致シタコトガゴザイマス、故ニ政府ハ
  イロ〓〓家畜上ニ關シテ調査ヲ致シマシテ、此度此法律案ヲ提出致シタ譯デゴザリマス
  カラ、速ニ御協賛アランコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=25

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• 026・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　日程第五、右議案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ選舉ヲ議題
  ト致シマス
  第五右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=26

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• 027・伊藤大八

  ○伊藤大八君　本案ハ議長指名九名ノ委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=27

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• 028・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　本案ハ議長指名ノ委員九名ニ付託スルニ御異議ハアリマ
  セヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=28

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• 029・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ハナイト認メマス、其通リ決シマス-日程第六、政
  府提出銃砲火藥ノ類取締法改正法律ノ第一讀會ヲ開キ、議案ノ朗讀ハ省略致シマ
  ス
  第六銃砲火藥類取締法改正法律案(政府提出)第一讀會
  銃砲火藥類取締法改正法律案
  銃砲火藥類取締法
  第一條銃砲ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ヲ除クノ外之ヲ製造スルコト
  ヲ得ス
  一行政官廳ノ委託ヲ受ケタル場合
  二行政官廳ノ許可ヲ受ケ輸出ノ目的ヲ以テ軍用銃砲ヲ製造スル場合
  三行政官廳ノ許可ヲ受ケ又ハ營業トシテ非軍用銃砲ヲ製造スル場合
  四行政官廳ノ許可ヲ受ケ新規發明ニ係ル軍用銃砲ヲ一定ノ期間試驗ノ
  爲製造スル場合
  第二條火藥類ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ヲ除クノ外之ヲ製造シ又ハ
  變形若ハ修理スルコトヲ得ス
  一行政官廳ノ委託ヲ受ケタル場合
  二行政官廳ノ許可ヲ受ケ輪出ノ目的ヲ以テ軍用火工品ヲ製造シ又ハ變
  形若ハ修理スル場合
  三行政官廳ノ許可ヲ受ケ又ハ營業トシテ普通火工品ヲ製造シ又ハ變形
  若ハ修理スル場合
  四行政官廳ノ許可ヲ受ケ新規發明ニ係ル火藥類ヲ一定ノ期間試驗ノ爲
  製造スル場合
  五理化學上ノ實驗ノ爲小量ノ火藥類ヲ製造シ又ハ變形若ハ修理スル場合
  六行政官廳ノ許可ヲ受ケ火藥、爆藥ヲ變形シ又ハ修理スル場合
  七第二號又ハ第三號ノ場合ニ該當スル者ニ於テ火藥、爆藥ヲ變形若ハ
  修理スル場合
  前項第一號ノ場合ニ該當スル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ行政官廳ノ許可
  ヲ受ケ其ノ委託額以上ノ同種類ノ軍用火藥類ヲ製造スルコトヲ得
  第三條銃砲、火藥類ノ製造又ハ販賣ノ業ヲ營マムトスル者ハ行政官廳ノ許
  可ヲ受クヘシ但シ製造業者カ其ノ製造シ又ハ加工シタル銃砲、火藥類ノ
  卸賣ヲ爲ス場合ハ此ノ限ニ在ラス
  相續ニ依リ前項ノ營業ヲ繼續スル場合ハ許可ヲ受ケタルモノト看做ス
  銃砲ノ修繕又ハ改造ノ業ヲ營ム者ハ銃砲製造業者ト着做シ火藥類ノ變形
  又ハ修理ノ業ヲ營ム者ハ火藥類製造業者ト看做ス
  第四條行政官廳ハ銃砲販賣業者及火藥類販賣業者ノ道府縣ニ於ケル定員
  ヲ設クルコトヲ得
  製造業者及第二條第二項ノ規定ニ依リ製造ノ許可ヲ受ケタル者ニシテ其
  ノ製造シ又ハ加工シタル銃砲、火藥類ノ販賣業ヲ兼ヌル者ハ前項ノ定員
  ニ算入セス
  第五條銃砲、火藥類ノ製造、變形、修理又ハ販賣ニ關シ許可ヲ受ケタル者
  行政官廳ニ於テ指定シタル期間內ニ其ノ事業ヲ開始セス若ハ事業開始後
  一年以上其ノ事業ヲ休止シタルトキ又ハ法令ニ違反シタルトキ又ハ安寧
  秩序ヲ害スルノ虞アリト認ムルトキハ行政官廳ハ其ノ許可ヲ取消シ又ハ
  其ノ事業ヲ停止若ハ制限スルコトヲ得
  第六條軍用銃砲、火藥類ノ讓渡又ハ讓受ハ法令ニ特別ノ規定アル場合ヲ
  除クノ外其ノ製造若ハ販賣ノ業ヲ營ム者又ハ特ニ行政官廳ノ許可ヲ受ケ
  タル者ニ非サレハ之ヲ爲スコトヲ得ス
  第七條銃砲、火藥類ハ之ヲ行商シ又ハ市場若ハ露店其ノ他屋外ニ於テ之
  ヲ販賣スルコトヲ得ス
  第八條銃砲、火藥類ノ輸出ハ其ノ製造若ハ販賣ノ業ヲ營ム者又ハ特ニ行
  政官廳ノ許可ヲ受ケタル者ニ非サレハ之ヲ爲スコトヲ得ス
  第九條銃砲、火藥類ノ輸入ハ行政官廳ノ委託ヲ受ケタル者若ハ其ノ販賣
  ノ業ヲ營ム者又ハ特ニ行政官廳ノ許可ヲ受ケタル者ニ非サレハ之ヲ爲ス
  コトヲ得ス
  第十條行政官廳ハ何時ニテモ當該官吏ヲシテ銃砲、火藥類ノ製造所、貯藏
  所其ノ他銃砲、火藥類ヲ收藏スルノ疑アル場所ニ臨檢シ又ハ銃砲、火藥類
  及之ヲ收藏スルノ疑アル物件若ハ營業上ノ帳簿其ノ他ノ書類ヲ檢査セシ
  ムルコトヲ得
  行政官廳ハ危害豫防ノ爲銃砲、火藥類ノ製造所若ハ火藥類ノ貯藏所ノ改築
  若ハ修繕ヲ命シ又ハ火藥類ニ關シ若ハ其ノ貯藏、運搬其ノ他ノ取扱ニ關
  シ取締上必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得
  第十一條行政官廳ハ保安上、軍事上又ハ外交上必要アリト認ムル場合ニ
  於テ銃砲、火藥類ノ輸出若ハ輸入ヲ禁止シ又ハ制限スルコトヲ得
  第十二條行政官廳ハ安寧秩序ヲ保持スル爲必要アリト認ムルトキハ銃
  砲、火藥類ノ授受、運搬、携帶ヲ禁止シ又ハ制限スルコトヲ得
  第十三條前二條ノ場合ニ於テ行政官廳ハ銃砲、火藥類ノ假領置ヲ爲スコ
  トヲ得
  第十四條左ノ事項ニ關シ必要ナル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
  本法ノ適用ヲ受クヘキ銃砲、火藥類ノ範圍
  二銃砲、火藥類ノ取引、授受、使用、運搬、貯藏其ノ他ノ取扱
  三銃砲、火藥類ノ取扱人ニ關スル事項
  四銃砲、火藥類製造所及火藥類貯藏所ニ關スル事項
  五火藥類ヲ要スル工事又ハ工業ニ關スル事項
  第十五條本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ノ全部又ハ一部ハ命令ノ定ム
  ル所ニ依リ銃砲、火藥類ニ非サル他ノ戎器又ハ爆發質物品ニ關シ之ヲ準
  用スルコトヲ得
  本法ノ一部ヲ適用スルノ必要ナシト認ムル銃砲、火藥類ニ關シテハ命令
  ヲ以テ特別ノ規定ヲ設クルコトヲ得
  第十六條第一條、第二條、第八條若ハ第九條ノ規定ニ違反シ、許可ヲ受ケ
  スシテ第三條ノ營業ヲ爲シ又ハ第五條若ハ第十一條ノ規定ニ依ル命令ニ
  違反シタル者ハ二年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
  第八條若ハ第九條ノ規定ニ違反シ又ハ第十一條ノ規定ニ依ル命令ニ違反
  シタル場合ニ於テハ未遂罪ヲ罰ス
  第十七條第十二條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者ハ一年以下ノ懲役若
  ハ禁錮又ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
  第十八條第十條第二項ノ規定ニ依ル命令ニ違反シ又ハ第十條第一項若ハ
  第十三條ノ規定ニ依ル當該官吏ノ職務ノ執行ヲ拒ミ若ハ之ヲ妨ケタル者
  又ハ其ノ執行ニ際シ當該官吏ノ尋問ニ對シ答辯ヲ爲サス若ハ虛僞ノ陳述
  ヲ爲シタル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
  第十九條第六條又ハ第七條ノ規定ニ違反シタル者ハ三百圓以下ノ罰金又
  ハ科料ニ處ス
  第二十條營業者又ハ行政官廳ノ許可ヲ受ケ銃砲、火藥類ニ關スル事業ヲ
  行フ者未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命
  令ニ依リ之ニ適用スヘキ罰則ハ之ヲ法定代理人ニ適用ス但シ營業ニ關シ
  成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
  第二十一條營業者又ハ行政官廳ノ許可ヲ受ケ銃砲、火藥類ニ關スル事業ヲ
  行フ者ハ其ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ニシテ其
  ノ營業又ハ事業ニ關シ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違反シタルト
  キハ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ處罰ヲ免ルルコトヲ得ス
  第二十二條前二條ノ場合ニ於テハ罰金、科料又ハ沒收以外ノ刑ニ處スル
  コトヲ得ス
  第二十三條明治三十三年法律第五十二號ハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル
  命令ニ依ル犯罪ニ之ヲ準用ス
  附則
  本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  刑法施行法第二十五條第一項中第一號ヲ削リ以下各號順次繰上ク
  爆發物取締罰則ハ本法ノ爲其ノ效力ヲ妨カラルルコトナシ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=29

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• 030・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　日程第七、右議案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ選舉ヲ議題
  ト致シマス
  第七右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=30

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• 031・伊藤大八

  ○伊藤大八君　本案モ議長指名九名ノ委員ニ付託センコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=31

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• 032・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　本案モ議長指名ノ委員九名ニ付託ト云フコトニ御異議ハ
  アリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=32

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• 033・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ハナイト認メマスカラ其通リ決シマス-日程第
  八關稅定率法改正法律案第一讀會ノ續ヲ開キマス、特別委員長野田卯太郞君
  第八關稅定率法改正法律案(政府提出)第一讀會ノ續(·大阪府道
  一部分
  〔野田卯太郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=33

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• 034・野田卯太郎

  ○野田卯太郞君　是ヨリ本案ノ委員會ノ經過ヲ報告シマス、本案ハ重大ナ案デゴザ
  イマスカラ委員會ヲ開クコトハ十數囘デアッタデゴザイマス、其問ノ質問應答ハ數千万言
  デゴザリマスガ、是ハ速記錄デ御承知ノコトヽ信ジマス、其中ノ重ナル質問、且ツ政府
  委員ノ答ヲ報道シテ置カウト思ヒマス、第一本案ハ外務大臣ノ辯明ニ依レバ從來條約
  ニ依ッテ束縛サレテ居ルトコロノ此稅率ヲ束縛ヲ離レテ將來自由ニ國定稅率トシテ之ヲ
  適用スルト云フガ本案ノ大趣意デゴザイマス之ニ對シテ委員ノ質問ガアリマシテ、此案
  ニ付テ協定稅率ト云フヤウナモノハ何レノ國トカ協定スルコトハナイカト云フコトヲ問ヒマ
  シタレバ、外務大臣答ヘテ曰ク、我貿易ノ現狀ニ於テハ吾ヨリ協定ヲ求ムルノ必要ナ
  シ、求ムレバ却テ我邦ノ不利益デアラウト思フ若シ一二ノ國ト協約スル場合ガアリトス
  ルモ、從來ノ如キ片務的ノ協定ハ致サヌ、我國定稅率、卽チ本案ヲ原則ト致シマシテ
  而シテ或ル品ヲ限リ少數デス至ッテ少數ノ品ヲ限ッテ相互ノ利益ヲ主トシテ協定ス
  ル考デアル若シサウ云フ國ガアレバサウスル積リデアルト云フ答デゴザイマス、ソレカラ尙
  此協定ガ若シアリマスレバ之ニ年限ヲ付ケルヤ否ヤト云フ質問ガアリマシタ、此質問ニ答
  ヘルニ六箇月、若クハ一箇年內ニ豫〓ヲシテ之ガ改廢、又率ノ高下モ自由ニナルヤウ
  ナ權利ヲ保留シテ置クト云フ外務大臣ノ答デス尙委員ノ問ニ此度改訂スベキ條約ノ改
  訂其國ハドレダケアルカト云フ問ニ外務大臣答ヘルニ、十四箇國デアル尤モ支那ト朝
  鮮ハ此十四箇國ノ中ニハ入ッテ居ナイ、就中韓國及關東州ニ付テハ時宜ニ依ッテ特別
  ノ處置ヲスル考デアルト云フ答デアリマス、尙委員ノ質問ガアリマシテ此稅率ノ査定方
  針是ハドウ云フ方針デアルカト云フコトヲ問ヒマシタトコロガ、內國ニ於テ發達スル見
  込ノアル、物產及ヒ製品ニ對シテハ保護奬勵ノ精神ヲ以テ此稅率ヲ按排シテ居ル、尤
  モ苛重ノ保護稅ヲ課スルハ消費者ノ負擔ヲモ省ミネバナラヌカラシテ、稅率ヲ多ク高クス
  ルコトハシナイト云フ方針デアル、要スルニ國家經濟ノ發達ヲ主トシテ之ヲ極メタモノデア
  ルト云フ答ヘデアリマス、大體主モナルコトハ此位ナコトデアリマシテ、餘ハ速記錄デ御了
  承アランコトヲ希望シマス、然ルニ本案ニ於キマシテハ禾女員會ニ於テハ大體ニ反對ハナカツ
  タデゴザイマスガ、修正ハ澤山アリマシタ是カラ修正ノ箇條ヲ御報告シマス、(「印刷ニア
  ルカラ宜イ」ト呼フ者アリ)法文ニ於テ第三條ハ全部削除シマシタ、此事由ハ此從價稅
  ヲ從量稅ニ換算スルト云フコトヲ勅令ヲ以テスルト云フガ、此三條ノ趣意デゴザイマス、
  此ノ如ク稅率、卽チ是ハ調査上ニ於テ往々發見シタコトデアリマスガ、從價稅ヲ從量稅ニ
  直スニ於テハ往々政府ニ於テモ換算ノ廉ヲ今度ノ委員ニ於テモ見認メマシタ譯デス此
  ノ如キモノハ至急ヲ要スルモノデナイカラ從價稅ノ從價稅デ、六箇月ヤ一年ノ間取ッテ
  差支ヘヌ從量稅ニ直ス必要ガアレバ議會ニ問フベシト云フ趣意デ此第三條ハ削除致
  シマシタ、爲ニ此四條ガ五條ニナリ、第六條ヲ第五條ニ順次繰上ゲルコトニ修正ニナリマ
  シン、ソレカラ第六條ガ玆ニ新入リマシテ「米及籾ノ輸入稅ハ凶作ノ場合ニ於テハ勅令
  ヲ以テ期間ヲ指定シ每百斤六十四錢ヲ限度トシテ低減スルコトヲ得」是ハ先ノ勅令ヲ
  削ッテ玆ニ勅令ヲ入ルヽハ不都合ナリト云フ反駁ノ論モアリマシタ、建議者ノ之ニ辯護ヲ
  スルニハ是ハ一圓ト云フ限ガアル、、六十四錢ト云フ下ガアル、其間ノ三十六錢ヲ此凶變
  ノ際ニ於テ勅令ヲ以テ政府ニ許スノハ、前ノ勅令ト此勅令ノ趣意ト餘程事實ニ於テ違
  ヒガアルト云フ辯明デアリマシタ、ソレカラ第七條ノ十「官立公立學校博物館物品陳列
  場其ノ他營造物」ノ下ニ「及私立ノ專門學校」ノ八字ヲ加ヘマス、法文ニ於テノ修正ハ
  是ダケデアリマス、ソレカラ別表ニ入リマス、別表ノ二類ノ十二號米及籾、每百斤「○、
  六四」トアッタノヲ「一〇〇」ト直シマス、大麥「○、四二」トアッタノヲ「〇、五五」十六
  ノ小麥「○、六〇」トアッタノガ「○、七七」ト直シマス、ソレカラ二十一ノ一大豆「○五
  ○」トアッタノガ「○、七○」トナリマス、ソレカラ二十二ノ一小麥粉「一、六五」トアッタノガ
  「一、八五」トナリマス、二十七棉子「○一〇」トアッタノガ無稅トナリマス、五十五コン
  デンスドミルク一一一〇トアッタノガ「五、五五」トナリマシタ、但シ是ハ原案ニ據レバ砂糖
  ノ戾稅ヲ廢スルト云フ趣意ニナッテ居リマス、此度ノ修正デハ砂糖ノ戾稅ハ從前ノ通リ
  付ケテ置クト云フ精神テ修正ニナリマシタ、ソレカラ六十四葡萄酒甲ノ「イ」是ガ「一二、
  〇〇」トアッタノガ「一五、○○」トナリマシタ、四類七十一ノ水牛皮及每百斤「一、七〇」
  アッタノガ無稅ニナリマシタ、之ヲ修正シマシタカラ「每百斤」ヲ削ッテ次ヘ「每百斤「ト云フ
  字ヲ押入致シマシタ、第五類九十五ノ一芳香性ノモノトアリマス、之ヲ甲、乙、丙、丁、
  戊、己、庚、辛、ト斯ウ分ケマシタ、是ハ一々油デゴザイマスガ、「シトロネラ油」トカ云フノガ
  一六、二〇」ニナリマシタ、乙-イヤ是ハ間違ッテ居リマシタ、甲ハ桂皮油ト云フノデアッ
  タ、ソレガ「一六、二〇」ニナリマシタ、ソレカラ乙ガ「一〇、七〇」ニナリマス、丙、何デゴザイ
  マスカ是ハ略シマセウ(笑聲起ル)「二五、二〇」丁ガ「四〇、六〇」ニナリマス、戊ガ「二
  〇〇」ニナリマス、己ガ「二五、○○」庚ガ「四三、二〇」辛「其ノ他」ガ是ハ
  從價一割デゴザイマス、ソレカラ六類百三十八沈香「六九、三〇」トアッタノガ「五一
  九〇」トナリマス、白檀「五、一五」トアッタノガ「三、八五」トナリマス、是ハ百三十九デ
  ス百五十四ガ「八、○○」トアッタノガ「一一〇、○○」トナッタ、百七十六クロール酸加
  里是ガ無稅ニナリマシタ、無稅ジヤナイ、無稅デアッタノガ「一〇〇」トナッタ、ソレデ「每百
  斤」ト云フ字ヲ加ヘテ百七十七ノ「每百斤」ト云フモノヲ削ッテ「同」ト云フ字ヲ入レマス、
  ソレカラ二百五ノ龍腦及支片ト云フ處ヘ「及人造龍腦」ト云フモノヲ入レマシテ、是ガ
  「三七三〇」トアッタノガ「二五〇、○○」トナリマシタ、ソレカラ八類二百三十六、天然藍
  デス、是ガ「二一二〇」トアッタノガ「三一二、七〇」トナッタ液狀又ハ泥狀ノモノトアルノハ
  從價一割デアッタガ、從價二割ニナリマシタ、二百三十七人造藍是ガ「二二、〇〇」デ
  アッタガ「四〇、〇〇」トナッテ液狀又ハ泥狀ノモノト云フノハ「一割」ヲ「二割」ニ修正ニ
  ナリマシタ、二百四十三「アリザリン」ト云フモノガ「四、六〇」デアッタノガ「七、〇〇」ニナ
  リマシタ、八類二百七十五一ノ「單撚ノモノ」トアリマスガ、其甲ノ「生ノモノ」ト云フモノ
  ガ「八、六〇」デアッタモノガ是ガ「一〇七五」トナッタ乙「其ノ他」ガ「九、二五」デアッタモ
  ノガ「一一、四〇」ニナリマシタ、二百七十七是ハ「一二」ト云フモノヲ新ニ設ケマシテ此
  一「生ノモノ」「七、八〇」トシテ「其ノ他」「一二、〇〇」ト改メマシタ、ソレカラ二百七十
  八-成ルタケ略シマス「同」ノ字ヲ從價トシマシタ、ソレカラ二百八十七野蠶絲「三
  一〇〇」トアッタノガ今度ハ無稅ニナッテ「同」ノ字ヲ取リマシタ、三百三十七ノ一「綿製ノ
  モノトアルノガ「從價二割」デアッタモノガ「二割五分」トナッテ「其ノ他」トアルノガ「一九、二
  ○」デアッタノガ「二四〇〇」ニナッタ、十一類三百六十二ノ一是ガ「三、一一〇」デアッタノ
  ガ「二、四〇」ニナリマシタ、二「其ノ他」甲「有色ノモノ」トアルノガ「六〇」デアッタノガ
  「一、二〇」ニナック、乙「其ノ他」「ロ、其ノ他」トアリマス、是ガ「一、二〇」デアッタノガ
  「二、〇〇」ニナリマシタ、三百八十六是ハ唯番號ヲ打ッテゴザイマスガ、ソレヲ除キマシテ
  「四」ヲ除キマシテ「五」ヲ四ニ直シマシタ、十四類四百六十二鐵類ト云フトコロノ三ニ
  行キマシテ、「一一○」デアッタノガ「○、九〇」ニナリマシタ、甲金屬ヲ鍍セザルモノ「イ」
  トアルヲ「〇、九五」デアッタノガ「一一五」ニナッタ、「ロ其ノ他」「○八〇」デアッタノガ
  =〇〇」ニナッタ十ノ「六、一五」デアッタノガ「六、〇〇」ニナッタ、四百六十九、之ニ
  ハ水銀トアッタノニ「及蒼鉛」ヲ加ヘマシタ、四百八十六乙「其ノ他イ」「九、四〇」デ
  アッタノガ「一一、〇〇」トナッタ、「ロ其ノ他」「四、七〇」デアッタノガ「五、五〇」トナック「イ、
  絹ヲ用井タルモノ」トアルノガ從價「二割」デアッタノガ「二割五分」、「ロ其ノ他」「一五、一〇一
  トアッタノガ「一八○○」ニナッタ、乙ノ「イ」ト云フモノガ「一二、〇〇」トアッタノガ「一四
  五〇」トナッタ、「ロ其ノ他」ト云フ處ニ行キマシテ從價「一一割」トアルノガ「二割五分」トナツ
  タ、ソレカラ五百六十二ノ二「タイヤー」ト云フノガ「一〇〇」デアッタノガ「一五〇」ト
  ナッタ、五百六十三ノ自働車ノ「働」ノ字ノ人扁ガ取レマシク、此稅ガ五百六十四「從
  價二割」ヲ「從價三割」ニ改メマシタ、五百六十八一是ハ船舶デアリマス、之ヲ甲、乙ト入
  レマシテ「船齡十年ヲ超エサルモノ總噸數每噸十五圓」、乙其ノ他總噸數每噸十圓ト
  「一〇、〇〇」斯ウ直シマシタ、ソレカラ六百二、是ハ製紙機械ノ名ヲ書イテゴザイマスケレ
  ドモ、是モ省イテ置キマス、字ニ間違ヒガゴザイマスカラ是ハ修正案ヲ總テ速記ニ載セマス
  カラ、左樣御承知ヲ希望致シマス、ソレカラ十七類六百三十一一ノ一「三七、五〇」トアッ
  タノガ「四二、五〇」トナッタ、六百四十四麩「○二〇」トアッタノガ「〇、一二〇」トナッタ、
  是ダケノ修正デアリマス、餘ハ總テ原案ニ可決シマシタ、ドウカ委員會ニ於テ修正ノ通リ
  滿場一致ヲ以テ御贊同アランコトヲ希望致シマス
  〔拍手スル者アリ〕
  〔參照〕
  關稅定率法改正法律案中左ノ通修正ス
  第三條削除
  第四條、第五條、第六條ヲ順次繰上ケ次ニ左ノ一條ヲ加フ
  第六條米及籾ノ輸入稅ハ凶作ノ場合ニ於テハ勅令ヲ以テ期間ヲ指定シ每
  百斤六十四錢ヲ限度トシ之ヲ低減スルコトヲ得
  第七條第十號中「其ノ他ノ營造物」ノ下ニ「及私立ノ專門學校」ヲ加フ
  〔小字及-ハ委員會修正〕
  (別表)
  輸入稅表
  番號品名單位稅率
  第二類穀物、穀粉、澱粉類及種子
  三米及籾每百斤、六四
  五
  一三大麥同四二
  〇、七七
  一六小麥同〇、六〇
  二豆類
  〇、七〇
  大豆同五〇
  一二穀粉及澱粉類
  一、八五
  一小麥粉同-、六五
  無稅
  二七棉子同0、0
  第三類飮食物及煙草
  五五コンデンスドミルク容每器百共斤
  六四葡萄酒(ポート、シエリー、ヴヱルモット、マデ
  ーラ、マルサラ、サンラファヱル等ヲ含ム)
  二其ノ他
  甲原容量百分中純酒精ノ容量十四ヲ
  超エサルモノ
  イ攝氏十五度ニ於テ百立方セン
  チメートル中ニ於ケル糖分ヲ
  葡萄糖トシテ計算シタル重量
  一グラムヲ超エサルモノ同
  第四類皮毛骨角齒牙甲殼類及其ノ製品
  七一獸皮
  一牛皮及水牛皮每百斤
  每百斤
  二鹿皮同
  第五類油、脂、蠟及其ノ製品
  九五植物性揮發油
  一芳香性ノモノ
  甲桂皮油百斤
  るシトロネラ油
  丙ラヴェンダー油
  バーガモット油從同同同同同同每
  己戊丁アニシード油
  レモン油
  庚サンダル油
  辛其ノ他價
  第六類藥村、化學藥、製藥、其ノ調合品及爆發藥
  一三八沈香同
  一三九白檀同
  一五四醋酸同
  一七六クロール酸加里每百斤
  同
  一七七重クローム酸加里每百斤
  二〇五龍腦、及支片及人造龍腦同
  第七類染料、顏料、塗料及塡充料
  二三六天然藍
  一乾キタルモノ每百斤
  五、五五
  一0
  一五、〇〇
  一二、〇〇
  無稅
  七〇
  一、九〇
  無稅
  一六、二〇
  一〇、七〇
  二五、二〇
  四〇、六〇
  二〇、〇〇
  二五、〇〇
  四三、二〇
  一割
  五一、九〇
  六九、三〇
  三、八五
  五、五
  一〇〇
  八
  一、〇〇
  無稅
  一、八〇
  二五
  三七、三〇
  三三、七〇
  二一、二〇
  二割割
  二液狀又ハ泥狀ノモノ從價
  二三七人造藍
  四〇、〇〇
  一乾キタルモノ每百斤○〇
  二割
  二液狀又ハ泥狀ノモノ從價割
  二四三アリザリン染料、アニリン染料其ノ他別號七、〇〇
  ニ揭ケサルコールタール染料同四、六〇
  第八類絲縷、繩索及同材料
  二七五亞麻織絲
  一單撚ノモノ
  一〇、七五
  甲生ノモノ每百斤八、六〇
  四〇
  乙其ノ他同九、二五
  二七七苧麻織絲及ラミー織絲從價割
  一生ノモノ同同七、八〇
  二其ノ他一二、〇〇
  二七八苧麻絲、ラミー絲及英式番手七番ヲ超エタ
  ル單撚絲ヲ撚リ合セタルモノニシテ長十メ
  ートルノ重量十二グラムヲ超エサル苧麻線價
  及ラミー線同從三割
  二八七生絲(撚リタルモノヲ含ム)無稅
  野蠶絲同三〇〇
  第九類布帛及布帛製品
  三三七ホース及機械用ベルチング(織製ノモノ)二割五分
  -綿製ノモノ從價割
  二四〇〇
  二其ノ他每百斤一九、二〇
  第十一類製紙用パルプ、紙、紙製品、書籍及繪畫
  三六二印刷料紙
  二、四〇
  一アートペーパー同三、二〇
  二其ノ他
  二O
  甲有色ノモノ同
  乙其ノ他
  二、〇〇
  ロ其ノ他同二、二〇
  三八六寫眞用バライタベーパー、鷄卵紙及感光紙
  四ピーオーピー同同
  四八〇、五〇
  五其ノ他從價四割
  第十四類鑛及金屬
  四六二鐵
  〇、九〇
  三ワイヤロッド(卷キタルモノ)同一〇
  五線
  甲金屬ヲ鍍セサルモノ
  イ徑一、五ミリメートルヲ超エサ一、一五
  ルモノ每百斤〇、九五
  ロ其ノ他同〇、八〇
  十線索及撚合線(界金屬ヲ鍍シタルト六、
  否トヲ別タス)每百斤六一五
  四六九水銀及蒼鉛無稅
  第十五類金屬製品
  四八六絕緣電線
  金屬ヲ以テ鎧裝シタルモノ
  乙其ノ他
  イインヂアラッバー又ハガタバー一一、〇〇
  チヤヲ用井タルモノ每百斤九、四〇
  五、五〇
  ロ其ノ他同四、七〇
  二其ノ他
  甲フレキシブルコード
  二割五分
  イ絹ヲ用井タルモノ從價二割
  一八、〇〇
  其ノ他每百斤五○
  乙其ノ他
  イインヂアラッバー又ハガタパー一四、五〇
  チヤヲ用井タルモノ同一一○○
  二割五分
  ロ其ノ他從價割
  第十六類時計、學術器、銃砲、車輛船舶及機械類
  五六二鐵道機關車部分品、鐵道機關車用炭水車部
  分品其ノ他ノ鐵道車輛部分品(別號ニ揭ケ
  サルモノ)
  一、五〇
  二タイヤー同
  動
  五六三自働車同
  動二三五割割割
  五六四自働車部分品(原動力機ヲ除ク)同
  五六八船舶
  機械力又ハ帆ヲ以テ運航スルモノ
  (噸數ヲ以テ積量ヲ計算セサルモノ總頓數一五、〇〇
  ヲ除ク)每噸
  甲船齡十年ヲ超エサルモノ噸噸數一五、〇〇
  同同每總一〇、〇〇
  乙其ノ他
  六〇二製紙機械、及製紙備準機械、製精用ノ甘蔗壓榨機、同一割五分
  糖汁加熱機、糖汁空氣攪拌機糖汁濾過機、糖汁〓淨用瓦斯
  發生機、糖汁蒸發機、結晶機、廢汽冷却機及其ノ附屬排氣喞
  筒、分密機及其ノ附屬水壓喞筒、砂糖乾燥機及骨炭再燒機同一割五分
  第十七類雜品
  六三二セリュロイド及同製品(別號ニ揭ケサルモノ)
  四二、五〇
  一塊、條、帶、竿、板及管ノ類同三七、五〇
  〇、三〇
  六四四〓每百斤〇、二〇

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• 035・伊藤大八

  ○伊藤大八君　本案ハ直ニ二讀會ヲ開キ、讀會ヲ省略シテ委員長報告通リ確定アラ
  ンコトヲ希望致シマス
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

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• 036・早速整爾

  ○早速整爾君　議長、議長

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• 037・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　修正意見デスカ、修正意見ハ二讀會ニ於テナサルヤウニ、先
  ブ本案ハ直ニ二讀會ヲ開クト云フコトニ付テ採決致シマス、直ニ二讀會ヲ開クト云フコ
  トニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 038・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ハナイト認メマスカラ直ニ二讀會ヲ開キマス、外務
  大臣
  關稅定率法改正法律案第二讀會
  〔外務大臣伯爵小村壽太郞君登壇〕

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• 039・小村壽太郎

  ○外務大臣(伯爵小村書太郞君)　唯今議題トナッテ居リマスル關稅改正法律案ニ
  對スル修正ニ關シマシテ一言政府ノ所信ヲ述ベテ置キマス、此改正案ノ本文ニ於キマシ
  テ一ノ修正案ガゴザイマスルガ、事變又ハ凶作ニ際シマシテ一時ノ危急ヲ濟フガタメニハ
  政府ハ其責任ヲ以テ臨機緊急ノ處置ヲナシ得ルコトデゴザイマスル、本文第六條ノ修正
  ニハ同意シ兼ネル譯デゴザイマス、況ヤ此修正案ニ據リマスルト凶作ノ際ニ米穀ニ對スル
  輸入稅率ヲ輕減スルノ程度ガ制限シテアリマスルカラ、尙同意ヲ表シ兼ネル次第デゴザ
  イマス、又此稅率ニ關シマスル修正案ニ關シマシテハ穀類ニ對スル稅率ノ增加、天然及
  人造藍ニ對スル稅率ノ增加、竝ニ燐寸ノ原料タル「クロール」酸加里ニ對スル課稅ニ關
  シマシテハ、政府ニ於キマシテハ生產者ト消費者トノ利害關係ヲ愼重ニ考慮致シマシテ、
  最モ適當ト認メタル程度ニ稅率ヲ止メタ譯デゴザイマスルカラ、是等稅率ノ增加、又
  課稅ニ對シマシテハ同意ヲ致シ兼ヌル次第デゴザイマスル、何卒原案ニ御贊成アランコト
  ヲ希望致シテ置キマス

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• 040・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　是ヨリ逐條審議ニ係リマス、關稅定率法第一條ヲ議題ニ
  供シマス-別ニ御異議ガナイト認メマスカラ原案ニ決シマス-第二條-御異見
  ガナイト認メマスカラ原案ニ決シマス-第三條ハ卽チ委員長ノ報告ハ之ヲ削除ニナッ
  テ居リマス
  〔「委員長報告通リ」ト云フ者アリ〕

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• 041・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　委員長報告リ通御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 042・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ナイト認メマス、第三條ハ全部削除ニナリマシタ、
  從ッテ第四條ガ五條トナリ、五條ガ六條ト漸次繰上リマス、卽チ舊第四條ヲ議題ニ供
  シマスー御異議ガナケレバ原案ニ決シマス-第五條
  (「委員長報告通リ」ト云フ者アリ〕
  (「第五條ハ今修正サレタ箇條デアリマスカ」ト云フ者アリ〕

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• 043・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　五條ハ元ノ原案ノ五條御異議ガナケレバ原案ニ決シ
  マス-茲ニ委員長ノ報告デ第六條ノ「米及籾ノ輸入稅ハ凶作ノ場合ニ於テハ勅令
  ヲ以テ期間ヲ指定シ每百斤六十四錢ヲ限度トシ之ヲ低減スルコトヲ得」ト云フ修正ガ
  アリマス、之ニ對シテ反對ノ通〓ガアリマス-阪本彌一郞君

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• 044・阪本彌一郎

  ○阪本彌一郞君　簡單デゴザイマスカラ此處デ述ベマス

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• 045・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　簡單ナレバ著席ノ儘デ宜シウゴザイマス

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• 046・阪本彌一郎

  ○阪本彌一郞君　本案ニ付キマシテハ唯今外粉大臣ガ其一部ヲ申述べテ居リマスガ、
  此緊急勅令ニ據リマシテ關稅定率ヲ六十四錢マデ低減スルコトヲ得、斯ウ云フ規定ヲ
  置キマスルコトハ私ハ甚ダ不必要ナ規定デアルト信ズルノデアリマス、憲法ノ第八條ニ據リ
  マスレバ「天皇ハ公共ノ安全ヲ保持シ又ハ其災危ヲ避クル爲メ緊急ノ必要ニ由リ帝國
  議會閉會ノ場合ニ於テ法律ニ代ルヘキ勅令ヲ發ス」ト云フ規定ガアル、此規定ハ私ハ本
  條ヲ修正サレタトコロノ規定ノ場合ニ適用スベキ場合ト信ズルノデアリマス公共ノ安全
  ヲ保持シ、又ハ其炎厄ヲ避クルタメニハ必要ニ應ジマシテ緊急勅令ヲ發スルト云フコトハ
  憲法ニ認メマシテ居ル事柄デアリマス、然ルニ其事柄ヲ特ニ玆ニ書ク必要ハナイノデアリ
  マツ、デ特ニ之ヲ書クト云フコトニナリマスト種々ノ弊害ガアルノデアリマス、吾ミガ信ジテ
  居リマストコロノ賢明ナル多數黨ノ諸君ハイツモ政府ヲ御信賴ニナルカラツレデ宜ウゴ
  ザイマスガ、政府當局ノ中ニハ或ハ寵商ナル者ガアッテ、是ト結託スル弊ガアルト云フ
  コトハ常ニ多數黨ノ諸君ハ十分ニ知ルトコロデアル、然ルニ若シ此ノ如キコトノ規定ヲ
  置キマスレバ政府當周ヲシテ其不正ノ結託ヲ致シマスルノニ渡シニ船ヲ拵ヘ、若クハ川
  ニ橋ヲ拵ヘルト同ジコトデアルト思フノデアル、元來凶作ト云フコトハ一ノ程度問題デ
  アッテ、此凶作ト云フモノハ見ヤウニ據リマシテハ如何ニモ解釋ハ出來ルノデアル凶作
  ト平作ト豐作ト云フコトハ事實ニ對スル銘ケノ認定デアリマス、此ノ如キ不定ノ事實ヲ
  玆ニ定メテ置キマシテ、サウシテ斯樣ナトコロノ一便宜ヲ與ヘタナラバ之ヲ楯ニ致シマシテ
  何トカ名ヲ付ケテ凶作デアルト政府當局ガ不都合ナ事ヲスルコトガアリハシナイカト疑
  フノデアル、今日以後此ノ如キ弊害ガ出ヤシマイカト疑フノデアル、憲法ノ規定ニ於テ之
  ヲ見ル以上ハ既ニ蛇足デアルノミナラズ、此ノ如キ規定ヲ設ケル必要ハ毫セ存在シナイト
  私ハ信ズルノデアル、而シテ種々ノ弊害ガ生ズルコトノ根源デアルト信ズルノデアリマス、
  畢竟此關稅定率ヲ引上ゲルト云フ場合ニ於テイロ〓〓ノ異論者ガアル、其異論者ヲ壓
  倒セン一ノ方策ニ出タ規定デアルト私ハ思フノデアリマス已ムヲ得ズ此ノ如キ修工止ヲサ
  レタノデアリマセウケレドモ、法律ノ體裁ノ上カラ申シマシテモ、亦政策ノ濫用ト云フ上カ
  ラ申シマシテモ、憲法ノ條規ノ上カラ申シマシテモ、此ノ如キ規定ハ甚ダ必要デナイト私
  ハ信ズルノデアリマス、私ハ全部削除サレンコトヲ望ミマス

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• 047・森田勇次郎

  ○森田勇次郞君　議長

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• 048・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　森田君ハ第六條ニ付テ御異見デアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=48

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• 049・森田勇次郎

  ○森田勇次郞君　左樣

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• 050・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　アナタハ玆ニ第七條ノ第十ニ對シテ修正案ガ出テ居リマス
  ガ、併ナガラ是ハアナタノ御提出ニナッタモノト委員長ノ報告ト同ジモノト思ヒマスカ
  う.

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• 051・森田勇次郎

  ○森田勇次郞君　唯今ノ第六條ニ付テ意見ヲ述ベマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=51

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• 052・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　森田勇次郞君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=52

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• 053・森田勇次郎

  ○森田勇次郞君　第六條ノ修正案ノ說ニハ全然私モ反對ヲ表シマス、政友會ノ諸君
  ハ旣ニ第三條ヲ削除シテ從價稅ヲ從量稅ニ換算スルト云フコトヲ勅令ニ任ジテ必要ナ
  ルトキハ凡ソ議會ニ提出スベキモノデアル、議會デ是等ノコトヲ議定スルダケノ期間ハアルモノ
  デアルト云フ御趣意デ此修正ノ箇條ヲ述ベラレタ、而シテ年ノ豐凶ヲ見定メル場合ハ丁
  度議會ノ開會中デアリマス、卽チ每年十二月カラ翌年三月頃マデノ間ニ年ノ豐凶が定
  マルノデアリマス、故ニ此場合ニ凶作デアルコトガ明白ニナッテ、輸入米ヲ入ルベキ必要ア
  リト認メタ場合ニハ此議場ニ於キマシテ此關稅ヲ論ズルコトガ出來ルト思ヒマス、第三
  條ヲ削除サレタ精神ハ直ニ此箇條ニ移シテ論ズルコトガ出來マセウ、何モ法律テ定ムバ
  キモノヲバ勅令ニ一任スルト云フ必要ハナカラウト思ヒマス、況シテヤ此輸入稅ノ稅金ヲ
  每百斤六十四錢ヲ限度トシテ低減スルコトヲ得ト云フノハ、唯今外務大臣ノ言ハレタ
  如ク甚ダ其當ヲ得ナイモノト思ヒマスカラ、此修正ノ箇條ニハ私ハ反對シマス

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• 054・宮古啓三郎

  ○宮古啓三郞君　本員ハ此修正案ニ贊成デアリマス、唯今阪本君ノ議論ヲ承ッテ見
  マスト云フト、第一ニ誤ッテ居ルヤウニ思フ、ソレハ第六條ヲ以テ緊急勅令ヲ以テ低減ヲ
  スルト云フコトニ考ヘラレテ居ルカノ如ク思ヒマス、併ナガラ第六條ノ修正案ハ決シテ緊
  急勅令デ以テ低減セントスルノデナイ、普通ノ勅令ヲ以テ低減スルノデアリマス、固ヨリ
  緊急勅令ハ憲法八條ニ於テ規定シテアルトコロデアリマスカラ、如何ナル場合ニ於テモ
  其必要ヲ感ジマシタ際ニ於テハ緊急勅令ヲ發スルコトハ固ヨリ出來ルノデアリマス、併ナ
  ガラ第六條デ修正ヲ加ヘマシタノハ緊急勅令ヲ發スルマデノ必要ノナイモノデアリマス程
  度ノ問題デハゴザイマスガ、緊急勅令ヲ發スルト云フコトハ頗ル重大デゴザイマシテ、固ヨ
  リ餘程非常ナ場合ニアラザレバ發スベキモノデナイ、併ナガラ夫程ノ程度ニ至ラザル場合ニ於
  テ必要ヲ感ジタ際ニ於テ、第六條ニ依ッテ勅令ニ依ッテ之ヲ發スルコトノ出來ルコトニシタノ
  デ、左樣ナ譯デゴザイマスカラ此規定ハ少シモ緊急勅令ノ方ニ影響ヲ及ボスコトハナイノ
  デ、左樣ナ譯デアリマスカラ此ノ如ク一ノ緩和ノ方法トシテ規定ヲ設ケルコトハ聊カ差支
  ガナイノデアリマスカラ、私ハ修正案ニ贊成デアリマス

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• 055・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　採決ヲ致シマス、委員長ノ報告ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ請
  ヒマス
  起立者多數

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• 056・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　多數、委員長ノ報告通リ決シマス、此場合森田君ニ御諮
  ヲ致シマスガ、先刻申シマシタアナタカラ此處ニ定規ノ贊成者ヲ得テ御提出ニナッテ居ル
  第七條第十號、是ハ丁度委員長ノ報告ト同ジヤウニナッテ居リマスガ、是ハ御撤囘ニナ
  リマスカ

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• 057・森田勇次郎

  ○森田勇次郞君　宜シウゴザイマス

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• 058・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　サウ致シマスト卽チ第七條、第七條ノ第一ヨリ第二十三マ
  デ、卽チ第七條ノ全部ヲ議題ト致シマス、委員長ノ報告ニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=58

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• 059・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ハナイト認メマスカラ委員長ノ報告通リ決シマス、第
  八條、第九條、第十條、第十一條及附則共ニ委員會ニ於テ一ノ修正モアリマセヌカ
  ラ原案ニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 060・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ナイト認メマスカラ第八條ヨリ以下附則マデ原案ニ
  決シマス、第十二條別表輸入稅表第一類ヲ先ヅ議題ト致シマス
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 061・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　第一類ニ付テハ委員會ノ報告ニ反對ノ通告ガアリマスカラ
  シテ、其順序ニ依ッテ森田勇次郞君

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• 062・森田勇次郎

  ○森田勇次郞君　極メテ簡單ナ理由デゴザイマス、第一類第五、第六、第七、第八、
  此四種ヲ總テ一割トシテアルノト同ジ權衡ヲ以テ一一割トアルノヲ一割ニ改メタイト云フ
  趣意デゴザイマス、深イ理由ハゴザイマセヌガ、牧畜ノ保護ト云フ上カラシテ牛ニ一割ノ
  高率ヲ掛ケテアルト云ヘバ、山羊、綿羊、豚ノ如キ牧畜ガ未ダ我國ニ於キマシテハ寧ロ
  牛馬ニ比スレバ幼稚ナモノデアリマス、此場合高イ稅ヲ掛ケテ防グト云フ必要ハナカラ
  ウ、之ヲ畜產業ヲ奬勵スルト云フ上カラ云ヒマシテモ良イ種類ノモノヲ廉ク入レテ廣ク
  普及セシメル方ガ畜產業ガ發達スルデアラウト云フコトノ上カラ半減說ヲ取ッタ所以デアリ
  マリ、御贊成アランコトヲ請ヒマス
  (「反對」「贊成」ノ聲起ル〕

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• 063・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　採決ヲ致シマス、森田君ノ修正說ハ定規ノ贊成ガアリマス
  カラ決ヲ採リマス第五綿羊每頭「三、〇〇」トアルノヲ「一、五〇」トシ六、山羊同「二、
  三〇」トアルノヲ「一一五」トシ、七以下從價「二割」トアルノヲ「一割」ト斯樣ニ修正ス
  ルト云フ動議デアリマスガ、之ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=63

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• 064・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　少數、委員長ノ報告通リ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=64

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• 065・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　第一類ハ委員長ノ報告通リ決シマス、第二類ヲ議題ニ供シ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=65

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• 066・森田勇次郎

  ○森田勇次郞君　第十二號米及籾ト云フノヲ修正案デハ每百斤六十四錢ヲ一圓ト云
  フコトニ改メラレタノデアリマスガ、各國ノ關稅政策ノ有樣ヲ見マシテモ此米ニ付キマシ
  テハ、何レモ玄米及籾ト云フモノト白米ト云フモノニ六割以上ノ等差ヲ置イテ定メテ居
  リマス、關稅ノ總テノ上カラ未製品、旣成品、半製品ト云フモノニハ無論等差ガナケレ
  バナラヌ筈ノモノデアリマス、玄米デ輸入ヲ致シテ之ニ加工シテ白米トスルト云フ上カラ
  其加工ニ對シテ生ジテ來ル種々ナル副產物、或ハ糠トカ粉米ノ如キ是等ヲ利スルバカリデ
  ナク精米工賃ヲ我國ニ於テ利スルコトモ出來マス、故ニ成ルベクハ玄米ノ輸入ヲ奬勵
  シテ白米ノ方ヲ防グト云フ方ニ課スルガ宜イト思フノデアリマス、然ルトコロ玄米、白米
  總テ之ヲ同一率ニ課スルノハ如何ニモ理由ノナイコトヽ思ヒマスカラ、之ニ等差ヲ定メテ
  玄米每百斤ヲ一圓ト致シテ、サウシテ白米ハ之ニ相當ナル等差ヲ付ケマシタナラバ、其
  宜シキヲ得ルト斯樣ニ田心ヒマス、故ニ此〓ヲ主張スルノデゴザイマス
  (「反對」「贊成」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=66

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• 067・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　早速整爾君
  ~早速整爾君登壇〕
  〔拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=67

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• 068・早速整爾

  ○早速整爾君　諸君、私ハ此穀類ノ稅率ニ對シテ修正ヲ加フルノ意見ヲ持ッテ居リマ
  ス、十二ノ「米及籾」ハ之ヲ無稅トスル、ソレカラ十三ノ大麥が「每百斤四十二錢」トアリ
  マスノヲ「十五錢」ト修正ヲスル、次ノ「パールバーレー」ガ「每百斤四圓」トアリマスノヲ
  「二圓」ト修正ヲスル十六ノ小麥ガ「每百斤六十錢」トゴザイマスルノヲ「四十五錢」ト
  修正ヲスル、ソレカラ二十一ノ豆類ニ參リマシテ大豆ヲ無稅トスル、ソレカラ二ノ「五十
  錢」トアリマスノヲ「三十一一錢」トスル三ノ「四十錢」ヲ「三十錢」トスル、四ノ「五十錢」
  トアリマスノヲ「三十二錢」トスル、五ガ「四十五錢」トアリマスノヲ「三十錢」ト修正ヲス
  ル、是ガ私ノ修正ノ箇條デゴザイマスル、聊其修正ヲ加ヘントル理由ヲ申述ベマスル、先ヅ
  米ニ付テデゴザリマスルガ(千田軍之助君「サウ云フ時代後レノ議論ハ駄目ダ」ト呼フ)
  此米ノ輸入稅ノ起リマシタノハ元ト收入ノ主義ニ基イテ戰時ニ非常特別稅ヲ設ケタル
  際デゴザイマス、政府ガ非常特別稅法ニ據ッテ輸入米ニ關稅ヲ課シマシタル理由ハ負擔
  ノ權衡ヲ計ルト云フコトヽ主トシテハ收入ヲ得タイト云フ考カラ起ッタモノト私ハ考ヘテ居
  ルノデゴザイマス、然ルニ今日ニ於キマシテ此輸入米ノ關稅ト云フモノハツマリ農業保
  護ノ必要上カラ起ッタモノデアルト總テニ解釋ヲセラレテ居ル而シテ現ニ委員長ノ御報
  告ニモアリマスル如ク、農業ヲ保護スル必要ガアルト云フコトノタメニ此輸入米ノ關稅ヲ
  引上ゲルト云フ意見サヘ今日ハ起ッテ參ッタノデゴザイマス(「ソレハ前カラアル」ト呼フ者ア
  リ)私ハ農業ノ保護ト云フコトニ關シマシテハ其精神ニ於テ不同意ヲ唱フルモノデハゴ
  ザリマセヌ(「精神ニ於テ同意テモ行動ガ違ッテハ何ニモナリマセヌ」ト呼フ者アリ)農事ノ
  改良發達ヲ計リ、農業ノ奬勵ヲシナケレバナラヌト云フコトノ如キハ私モ其精神ヲ一ニス
  ルノデゴザイマスケレドモ、米ノ輸入稅ガ果シテ農業保護ノ目的ヲ達スルノ主義ニ適フヤ
  否ヤト云フコトハ私共ノ大ニ疑ヲ懷クトコロデアル、私ハ此輸入稅ニ依ッテ農業ノ保護ノ
  目的ヲ達スルコトハ出來ナイト云フコトヲ先ヅ諸君ニ向ッテ斷言ヲシタイト思フ、(「ノウ
  ノウ」「ヒヤ〓〓」ト呼フ者アリ)私ガ申スマデモナク輪入米ハ唯內地ノ此米ノ供給ノ不
  足ヲ補フニ止ルモノデアル、年ノ豐凶ニ依ッテ內地ノ生產額ニ消長ガゴザイマスルケレド
  モ、僅々二百万石バカリノ此供給ノ不足ヲ補フタメニ、外國カラソレニ充ツルダケノ米ヲ
  輸入スルト云フコトニ止ッテ、內地米ノ不足ノ代用ニ過ギナイノデアリマス而シテ日本
  ニ輸入スルトコロノ外國米ハ總テ內地ノ米トハ性質ヲ異ニシテ居ル劣等ノ米テアッテ、勿
  論其價ガ非常ニ廉イ、其數量モ多額デハゴザイマセズ、且性質ニ於テ劣等ナル此外國
  米ハ初メカラ日本ノ米ノ競爭者デナイ、日本ノ米ガ此外國ノ米ヲ敵トシナケレバナラヌト
  云フ程ノ性質ノモノデハゴザイマセヌ(「ノウノ」ト呼フ者アリ)全ク其需用ノ方面ヲ異
  ニシテ居ルト云フ〓カラ申シマシテモ、內地ノ米ガ海外カラ輸入スル米ヲ敵トシテ鬪ハナ
  ケレバナラヌト云フ理由ハ少シモ之ヲ認メルコトガ出來ヌノデアル(「ノウノ」ト呼フ者ア
  リ)農業ノ保護ヲ口ニスル者ハ關稅ヲ增加シテ而シテ內地ノ米ノ價ノ低落ヲ防グ、若ク
  ハ米ノ價ヲ騰貴セシメントスルノガ、其農業保護論ノ趣意ノヤウデゴザイマスケレドモ、私
  ハ此關稅ト云フモノヲ課スルガタメニ米ノ價ニ影響ヲスルト云フ程度ハ誠ニ薄弱デアル
  或ハ寧ロ米價ニ對シテハ關稅ノ影響ハ無イト斷言ヲシテモ差支ナイト私ハ思フノデアル、
  (千田軍之助君「砂糖ニ五割六割ヲ掛ケルノハドウ云フ趣意デアルカ」ト呼フ)現ニ今日
  マデノ實例ニ依リマシテモ米ノ價ノ高イ低イハ總テ其年ノ豐凶ニ原因シテ居ルコトガ多イ
  (「無論豐凶モ原因ダガ、關稅モ原因ダ」ト呼フ者アリ)豐年ノトキニハ米ガ廉イ(「ソレハ
  極ッテ居ル」ト呼フ者アリ)凶作ノ場合ニハ米ノ價ガ高イ(「ソンナコトハ分ッテ居ル」ト呼フ
  者アリ)是ガ卽チ諸君ガ分ヲテ居ルト仰シヤル如ク事實上爭フコトノ出來ナイ點デゴザイ
  マスル(「ソレハ爭ヒマセヌ」ト呼フ者アリ)關稅ノタメニー關稅ノタメニ米ノ價ノ上ニド
  レダケノ影響ガアルカトームフコトハ、諸君モ明白ニ之ヲ事實上論定サルヽコトハ出來ナイ
  デアラウト思フ、(「比較スレバ直グ分ル」「謹聽々々」ト呼フ者アリ)是故ニ昨年ノ如キハ
  非常ナル豐作トシテ誠ニ米ガ良ク出來タ、米ガ良ク出來ルト同時ニ米ノ價ガ非常ニ低落
  シタ、關稅果シテ何ノ作用ヲ爲シタカ、關稅ガアルガタメニ米價ノ低落ヲ防グト云フコト
  ノ出來ナイト云フコトハ、現ニ昨年ノ實例ニ依ッテ其一斑ヲ認メルコトガ出來ルノデゴザ
  リマスル、唯ノ凶年ノ場合ニ米價ニ影響スルコトハ勿論、關稅ノ作用ト云フモノガ米ノ
  價ノ上ニ影響スルト云フコトハ私共モ之ヲ認ムルノデゴザイマスルケレドモ、併ナガラ凶年
  ノ場合ニ於テハ外國ノ米ノ輸入ハ諸君ト共ニ之ヲ迎ヘナケレバナラヌト云フ場合デアル、
  卽チ諸君ガ勅令ヲ設ケントセラルヽ趣意モ、凶年ノ場合ニハ卽チ外國ノ米ノ輸入ヲ迎ヘ
  ナケレバナラヌト云フ次第デゴザリマスルカラ、豐年ノ場合ニハ關稅ハ何ノ作用モ致シマセ
  ヌ、凶作ノ場合ニハ關稅ヲ廉クシナケレバナラヌト云フコトニナレバ、玆ニ關稅ヲ增加シナ
  ケレバナラナイト云フ理由ハ全ク消エテシマフノデアルト私ハ思フノデアリマス、假リニ一歩
  ヲ讓リマシテ、此關稅ハ米ノ價ニ影響ヲスルモノト私ハ假ニ定メマスガ、果シテ關稅ニ依ク
  テ米價ヲ騰貴セシムルト云フコトニ相成リマスレバ、ソレコソ私ハ誠ニ飛ンデモナイ話デア
  ルト思フノデアル(「ノウ〓〓」ノ聲起ル)諸君申スマデモナク米ハ人類ノ最モ必要ナル生
  活資料デゴザイマスル、此生活資料ノ價ヲ高クスルト云フー-必要ナル生活資料ノ價
  ヲ高クスルト云フコトハ、取リモ直サズ人間ノ生活ニ向ッテ課稅ヲスルト同樣デアル私ハ
  此位劣惡ナル課稅ト云フモノハ他ニ其類ヲ見出スコトガ出來ナイノデアリマス、殊二一般
  ノ貧民ニ對シテ生活ノ資料ニ稅ヲ課スルト云フコトハ、最モ殘酷ナル課稅デアルト私ハ斷
  言スル、申セバ國民ノ糧道ヲ狹メルト云フコトニ相成ルノデアリマス、私ハ此〓ニ於テハ寧
  ロ此課稅ハ不正デアルト斷言シタイ、一般國民ヲ苦メル〓カラ申シマスレバ、寧ロ人道問
  題ヲ叫バナケレバナラヌト私ハ思フノデアル、元來保護ノ極意ハ一般ノ國民ノ生活ヲ易ク
  スルニアラネバナラヌ、人間ノ生活ノ基礎ニ向ッテ誅求ヲ加ヘルト云フコトハ元來カラ云ヘバ
  保護ノ極意ニ反シテ居ルト言ハナケレバナラヌノデアル此ノ如キハ實ニ多數國民ヲ賊ス
  ルノ甚シキモノデアルト私ハ斷言致サウト思フ、殊ニ生活ノ困難ト云フコトヲ一方カラ申
  シマスレバ、ソレガタメニ更ニ他ノ物價ノ騰貴ヲ招イデ、賃銀ノ騰貴、生產費ノ騰貴、一
  般商品ノ騰貴ト云フコトニ相成ッテ參リマスレバ、其商工業ノ社會ニ對スル弊害ト云フ
  モノハ果シテ幾許デアルカ、私ハ此米價ノ騰貴ト云フコトガ實ニ國家ノ經濟ニ對シテ大
  害ヲ與ヘルモノデアルト斷言ヲシナケレバナラヌ、分リ切ッタル話デゴザリマシテ、米價ヲ騰
  貴セシメテ勞働賃銀ヲ騰貴セシメ、生產費ヲ騰貴セシメ、一般ノ商品ノ價ヲ騰貴セシム
  ルト云云コトニ相成リマスレバ、ソレガタメニ商工業社會ニ於ケルトコロノ打撃ハ固ヨリ少
  少ニアラズト言ハナケレバナラヌノデアル、而シテ此ノ如ク國家ノ經濟ヲ害スルヲモ顧ミズ、
  米價ヲ騰貴セシムルト云フト、之ガタメニ利益スルモノハ果シテ何レニゴザリマスルカ、諸
  君ハ必ズ農民ト云ハレルデアラウ-農民ヲ利益スルト斯樣ニ言ハレルデゴザリマセウ、
  併ナガラ私ノ信ズルトコロヲ以テ致シマスレバ、此米價ノ騰貴ノタメニ利益スルノハ實ニ
  少數ノ農民ニ止マル(「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ)單ニ農民ト申シマスガ、農民ノ中ニモ幾
  ラモ階級ガアル而シテ此米價ノ騰貴ノタメニ利スルノハ實ニ少數ノ地主ニ止マルト私ハ
  信ジテ居ルノデゴザリマス(「ノウノ」ト呼フ者アリ)諸君、多數ノ農民ハ何レモ米ヲ買
  ウテ喰ハナケレバナラヌ、卽チ米ノ需用者デアル、申スマデモナク農民ノ中デモ最モ多數ヲ
  占メルノハ小農夫、小作人デゴザリマス、此小農夫、小作人ハ何レカト申シマスレバ卽
  チヤハリ米ノ需用者デアル(「大間違」ト呼フ者アリ)卽チ米ヲ買ウテ喰ハナケレバナラヌト
  コロノ地位ニ居ルトコロノモノデゴザリマスルカラ、米價ノ臘貴ト云フコトハ卽チ此小農
  夫小作人ニ對シテハ更ニ生活上ノ打擊ヲ加ヘルモノデアルト申サナケレバナラヌノデア
  ル、私ハ一般ノ農民ガ非常ニ疲弊ヲシテ居ルト云フコトハ之ヲ認メテ居ル、此疲弊ニ加
  フルニ一般農民ノ生活難ヲ以テスル、卽チ米ノ價ヲ騰貴セシメテ、多數ノ農民ヲ苦メル
  ト云フコトハ私ハ實ニ此關稅增加論者ガ如何ニモ農民ニ對シテ殘酷デアルト思フノデ
  ゴザリマス(「ヒヤノ」ト呼フ者アリ、拍手起ル)私ハ思フ、總テ物價ノ勝貴ト云フコトニ
  相成クテ參リマスレバ少數ノ地主ト雖モ或ハ不利益ヲ感ズルコトガアルカモ知レナイ、關
  稅ノタメニ農民ヲ保護スルト云フトコロノ諸君ハ、關稅ノタメニ却テ農民ヲ苦メルトコ
  ロノ諸君デアルト私ハ斷言致シタイノデアル(「ヒヤ〓〓」「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ)要ス
  ルニ此米ノ稅ヲ增加スルト云フ議論ハ、國民ノ多數ヲ犠牲ニシテ國家經濟ノ危險ヲ招
  ク所以デアル、實ニ百弊ノ淵源デゴザリマシテ、米ノ課稅ヲ增加スルト云フコトハ實ニ百
  弊アッテ一利ナキトコロノ議論デアルト私ハ斷言スル(「ソレハ君一人ノ論ダ」ト呼フ者ア
  リ)斯樣ナ次第デゴザリマスルカラ、此輸入米ニ對スル課稅ハ單リ之ヲ增加スベカラザルノ
  ミナラズ、之ヲ全廢スルト云フコトガ卽チ國家ノ利益デアル-國家經濟ノ利益デアル、
  而シテ多數ノ農民ノ利益モ亦之ニ外ナラヌト私ハ信ズルノデゴザイマス、此十二ニ於ケル
  米及籾ノ稅ハ全部之ヲ無稅トスルト云フコトヲ私ハ主張致スノデアル、ソレカラ其他ノ
  穀類ニ對シマスル稅率ノ輕減モ、要スルニ一般ノ〓料品タルベキ品物ニ向ッテ重キ稅率
  ヲ課スルノハ間違ッテ居ルト同ジデ、之ヲ輕減スルノ必要ト云フ理由ノ下ニ、穀類ノ稅
  率モ輕減スベキモノデアルト云フ意見ヲ持ッテ居ルノデアリマス、殊ニ豆類ノ大豆ヲ無稅
  トスルト云フコトハ、卽チ此大豆ノ輸入ト云フモノハ日本ノ製造業ノタメニ之ヲ迎ヘナケ
  レバナラヌト云フ意見カラ、私ハ此無稅論ヲ主張スルノデアリマス、大豆ノ日本內地ニ
  於ケル消費高ガ非常ニ增加シテ參リマシタ今日ニ於テハ、大豆ノ消費高ト云フモノハ
  日々增加ヲ致シテ居ルト云フ狀況デゴザイマス、從ッテ大豆ノ輸入ハ內地ノ製造業ノタ
  メニ之ヲ迎ヘナケレバナラヌト云フ形勢ニナッテ居ル、ソレニモ拘ラズ、日本內地ニ於ケル
  大豆ノ生產ハ或ル一地方ニ限ラレテ、洽ク需用ニ應ズルコトガ出來ナイト云フ現況ニ
  ナッテ居リマス、是ハ總テ製造ヲ奬勵スルタメ大豆ノ輸入ニ對シテハ重キ稅ヲ課スルノハ
  經濟上不得策ト考ヘルノデアル、ソレニ準ジテ小豆モヤハリ大豆ヲ無稅ニスルト云フ同
  等ノ理由デ稅率ヲ輕減スルト云フコトガ一般國民ノタメニ利益デアルト信ズルノデアル
  以上ノ理由デ第二類ノ穀類竝ニ豆類ニ對シテ修正意見ヲ提出及シタノデゴザイマス、
  諸君ノ御贊成ヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=68

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• 069・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　吉植庄一郞君
  〔吉植庄一郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=69

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• 070・吉植庄一郎

  ○吉植庄一郞君　諸君、本問題ハ旣ニ政友會多數ノ贊成スルトコロトナリ、又中央黨
  ノ諸君ノ贊成スルトコロトナリ、進步黨諸君ノ贊成スルトコロトナリ、僅ニ殘骸ヲ止メテ
  居ル又新會諸君ノ極メテ少數ノ分子ニ反對ガアルダケデアルノデ、最早是等ノ議論ニ
  耳ヲ藉スノ必要ハナイノデ、大勢旣ニ定マリ、衆議院大多數ハ此案ヲ歡迎致シテ居ル
  ノデアリマス、若シ或ル一部ノ人〓ノ如ク、同一ノ議論ヲ度〓繰返スコトヲ能事トスルナ
  ラバ卒ザ知ラズ行ハルト云フ以上ハ敢テ多言ノ必要ハナイノデアル本員等ノ主張ハ
  幸ニ常ニ天下ノ多數ノ贊同ヲ得ルノ光榮ヲ有スルガタメ、饒舌多辯ヲ以テ名ヲ賣ルモノ
  トハ選ヲ異ニスルノデアル、昨年ノ議會ニ一部ノ反對論者ノ列舉シタ反對理由ハ八箇
  條アリマシタ、其第一ハ本案ハ百姓黨、百姓論デアルト云フコト、第二ハ重農主義ハ
  陳腐デ、現世紀ノ商工主義ニ反スルト云フコト、第三ハ米價ノ騰貴ヲ來シ、更ニ勞銀ノ
  騰貴ヲ來シ、商工業ノ發展ヲ阻碍スルト云フコト、第四ハ是ト正反對ニ關稅ヲ引上ゲ
  テモ米價ニハ影響ヲシナイ、隨シテ農民ヲ益セズト云フ唯今ノ議論ト同ジデアル、第五ハ
  米作ヲ保護シテモ將來發展ノ餘地ガナイト云フコト、第六ハ韓國ノ米作ヲ壓迫シ、其
  拓殖開發ヲ阻碍スルト云フコト、第七ハ內地凶作ノ場合ニ米價ノ暴騰スルノヲ防グコ
  トガ出來ナイト云フコト、第八ハ關稅政策ノ根本義トシテ保護主義ハ宜シクナイ、自由
  貿易主義ガ宜シイト云フコトデアル之ニ依リテ二日ノ論戰ヲ試ミラレタガ、之ニ對シテ
  本員、竝ニ吾〓同志ヨリ痛烈ナル反擊ヲ與ヘテ、其結果、昨年ハ本年程多數ノ贊成
  ハナカッタガ、其議論ノ結果トシテ本年ハ大多數ノ贊成ヲ此議會ニ於テ得ルコトニナッ
  タ、故ニ此論旨シ二度三度繰返ス必要ハナイ、若シ反對ノ諸君ガ之ヲ聞キタイト云フ
  ナラバ昨年ノ官報ヲ御覽ナザイ、反對論ガ書イテアルカラ-本員ハ寧ロ此場合政府
  ガ何故ニ反對スルカト云フコトヲ問ハントスルノデアル、一部少數ノ人ノ議論ハ論ズルノ
  價値ハナイガ、一國ノ行政ニ當ル政府ガ此問題ニ對シテ絕對的ノ反對ヲ唱ヘルノハ何
  故デアルカ、之ヲ一ツ吟味シタイト思フ、昨日ノ委員會ニ於テ小村外相ガ政府ヲ代表
  シテ說明-反對セラルヽニ、政府ハ愼重審議ノ上現在ノ稅率ヲ適當ト認メタ故ニ
  引上ニハ反對スルト云フ、誠ニ簡單ナル辯明デアル、今日又此議場ニ於テ小村外相ガ答
  辯セラルヽトコロモ亦前言ヲ繰返サルヽノデ、此重大ナル複雜ノ問題ニ向ッテ反對ノ理
  由トシテ述ベラルヽトコロガ實ニ此ノ如ク簡單ナモノデアル若シ是ガ外交的ノ修辭トシ
  テ見マシタナラバ正ニ小村君ノ答辯ハ三味ニ入ッタモノデアリマセウ、併ナガラ苟モ此ノ
  如キ重大ノ關係アル問題ニ付テ、國民ト胸襟ヲ披イテ得失ヲ論ズルニ方フテ、外交的
  辭令ヲ以テ不得要領ノ間ニ反對セラルヽト云フハ、立憲國ノ大臣トシテ甚グ惜マザルヲ
  得ヌノデアル、殊ニ此反對ガ單ニ小村外相一個ノ意見デアルナラバ、尙恕スベキデアルガ、
  併シ此ノ如ク簡單ナル答辯以外ニ、反對スルコトヲ敢テシナイト云フ理由ハ、尙深キ處
  ニ伏在シテ居ルコトヲ認メルノデアル、卽チ桂內閣ガ農業政策······全國ニ三千五百万
  ノ大多數ヲ持ッテ居ル農民ニ對スル政策ガ根本ニ於テ誤ッテ居ル、其誤ッタル根本ヨリ
  出デタル關稅案デアリマス故ニ、之ニ對スル明白ノ答辯ヲ政府ガナスコトガ出來ナイ、此
  答辯ヲナスニ於テハ全國三千五百万ノ農民ノ怨府トナルコトヲ恐レテ、曖昧糢稜ノ中
  ニ反對ヲスルモノト斷定セラルヽノデアル、決シテ本員ハ自己ノ想像ヲ以テ之ヲ言フノデ
  ハナイ、政府ガ責任ヲ以テ提出シタトコロノ案ヲ調ベテ見マスルニ、本員ガ桂內閣ノ眞
  意ヲ疑フトコロノモノハ灼トシテ證據ガアル、第一ニハ桂內閣ガ稅法ノ整理ヲシテ國民
  負擔ノ均衡ヲ圖ルト稱シナガラ、最モ大切ナル地租輕減ヲ試ミズシテ、此負擔ノ均衡ヲ
  圖ルト云フ中カラ特ニ地租ト云フモノヲ除イテ、地租輕減ヲ圖ラナカッタト云フコトハ是
  ハ桂內閣ガ如何ニ辯解シテモ農民ニ對シテ誠意ノ無イト云フ動スベカラザル證據デアル、
  第二ニハ本年總テノ案ニ付テ國民負擔ノ輕減ヲ圖ルノ趣意ニ於テ諸案ヲ提出シタ
  ニ拘ラズ、災害地ノ免租ノ法律案ニ於テ旣得ノ農民ノ權利ヲ蹂〓セントスルノ提案ヲ
  致シタノデアル、又地目變換ノ案ニ於テモ現狀ヨリハ尙多ク痛苦ヲ農民ニ與ヘントシタ
  ノデアル、第二ノ證據ハ今回此議場ノ問題トナッテ居ルトコロノ關稅案ニ於テ、我政府
  ガ我國ノ產業ト云フモノニ對シテハ殆ド有ラユルモノニ向ッテ保護政策ヲ執ッテ、收入主
  義ト保護主義ヲ折衷シテ有ラユルモノニ向ッテ内國產業ノ保護ヲ試ミテ居ル、而シテ些々
  タル食料品ノ如キモノマデモ、悉ク保護的ノ關稅率ヲ課シテ居ル、然ルニ單リ此保護
  主義、收入主義ヨリ農民ヲ除外シテ、農業者ノ生產スルトコロノ米麥其他ノ農產物
  ダケヲ除外シタト云フニ至ッテハ、何ノ辭ヲ以テシテモ現內閣ガ農業者ニ對シテ全ク繼
  兒扱ニシテ居ルト云フコトハ動カスベカラザル證據デアル、尙阿波ノ天然藍ノ如キニ至ク
  テモ、唯今政府ハ燐寸輸出ノ原料ニ對シテ是非トモ工業ノ奬勵ノタメニ此無稅ハ飽マ
  デモ主張シナケレバナラヌト云フ口ニ於テ、日本ノ一大產業タル天然藍ニ對シテハ自
  由競爭ノ下ニ自然ニ消滅セシムルトコロノ主義ヲ執ッテ居ルノデアル、是レ卽チ農業者ノ
  利害ニ向ッテ全ク盲目ナルトコロノ證據デアリマス、桂內閣ガ殊更ニ農業者ニ對シテ此
  ノ如ク不親切冷淡極マル所ノ提案ヲ敢テスル所以ノモノハ、抑〓原因ガアルト思フノデ
  アル、本員ハ豫算總會ニ於テ桂首相ニ質問スルニ方ッテ、桂內閣ノ公債政策ハ多大ノ
  犧牲ヲ拂フタリト云フコトヲ言ッテ置イタ、實ニ現內閣ハ公債整理ト云フコトヲ努メルタ
  メニハ言フベカラザル多大ノ犧牲ヲ拂ッテ居ルノデアル此犠牲ヲ拂ッテマデモ何故ニ政府
  ガ此公債政策ニ腐心スルカ、此根本ノ誤レルコトハ一言致サナケレバ相成ラヌト思フ
  ノデアリマス、此桂內閣ガ何故ニ此ノ如ク誤ッタル政策ヲ執ッテ來タカト申シマスト、公
  債ノ騰貴、公債ノ整理、此問題ハ勢ヒ中央都會ニ住ンデ居ルトコロノ銀行家、商工
  業者、此力ニ賴ラナケレバナラヌノデアル、地方ニ散在シテ居ル農民ノ零碎ナル財囊ヲ
  當テニスルコトハ出來ヌトー云フコトガアル、是ニ於テ現內閣ノ政策ノ結果トシテハ努メテ
  中央都會ニ住ンデ居ル銀行家、實業家ノ歡心ヲ買ハナケレバナラヌト云フコトニナッテ來
  タノデアル、サウシテ凡ソ物一方ニ偏スレバ一方ノ方ハカラアキニナッテ來ル、此公債政策ニ
  腐心スルノ結果、一部ノ實業家、一部ノ銀行業者ニ對シテ、卽チ天下ノ富豪ニ結プト云
  フコトニ力ガ入ルト同時ニ、天下多數ノ農民ノ利害ハ當面ノ急トシテ顧ミルコトガ出來ナ
  カッタノデアラウト思フ、又此當面ニ於ケル桂內閣ノ生命タル公債整理ノタメニ此ノ如キ必
  要ガ起ッタノミナラズ、更ニ進ンデ桂卿ノ心事ヲ忖度スルナラバ今ヤ松方、井上ノ二元老
  ハ老衰セラレテ、經濟界ニ於ケル所謂富豪連ノ中心〓ガ漸ク他ニ移ラントスルノ形勢ヲ
  生ジテ來タノデアル桂卿ハ將來ノ地盤ヲ作ランガタメ、將來ノ政治的生命ヲ如何ナル處
  ニ扶植センカト云フコトニ付テ烱眼ナル桂卿ハ此所ヘ著目セラレタ、而シテ此松方、井
  上二侯ノ後ヲ繼イデ、富豪ノ中心トナッテ、玆ニ勢力ヲ扶植セントスル將來ノ計畫ニ對
  シテハ、又勢ヒ富豪ノ歡心ヲ買ハナケレバナラヌカラ、地方ニ居ル農民ヲ顧ミザルコトニナ
  ルノハ當然ノ結果デアルト思フノデアル、此桂內閣ガ執ッタトロコノ方針ハ誤ルニモセヨ、
  誤ラザルニモセヨ、此結論トシテハ遂ニ地租ノ如キ、若クハ今囘ノ關稅案ノ如キ、多數
  ノ農民ノ痛苦ヲ現狀ノ間ヨリ救フコトヲ努メズシテ、冷然トシテ之ヲ見テ居ルト云フコト
  ハ今申シタトコロノ動機ヨリ生ジテ來タトコロノ產物デアルト思フノデアリマス、此政策
  ノ誤レルコトハ、卽チ桂卿が政治家トシテ僅ニ公債整理ナル半面ノ眞理ヲ認識シタニ過
  ギズシテ、他ニ重大ナル農業ノ問題ヲ閑却シタカラデアル、是ハ所謂鹿ヲ逐フ獵師ノ
  山ヲ見ザルモノデアル、又凝ッテハ思案ニ能ハズデアル、桂卿ノ聰明ニシテ公債政策ニ腐
  心スルノ結果ハ遂ニ尙大ナル問題ヲ忘レテシマッタノデアルト本員ハ認メルノデアル、之ガタ
  メニ諸君ト吾ミハ、地租輕減ノ問題ニ付テ內閣ヲシテ贊成セシメタデハアリマセヌカ、是
  ハ卽チ議會ガアッテ初メテ是ガ出來タノデアル、政府ニハ寸毫モ此意思ガ無カッタノデア
  ル諸君、併ナガラ桂內閣ガ今申シタヤウナ理由ニ依ッテ之ニ反對スルノミデナク、今一
  ツ表面ニ打出シテ反對スル理由ヲ有ッテ居ルデアラウト思フ、ソレハ唯今ト部君カラ論ゼ
  ラレタトコロノ關稅ニ於テ、米ノ稅ヲ上ゲルトキニハ勞銀ノ騰貴ヲ來シ、延イテ商工業ノ
  發逹ヲ阻礙スル、此理由ヲ以テ表面ノ金科玉條トセラレルモノニ相違ナイ、此以外ニ理
  由ヲ見出スコトガ出來ナイ、然ラバ此一〓ダケハ聊辯ジテ置カナケレバナラヌト思フ、此
  關稅ヲ引上ゲレバ米ノ直段ガ上ル、上レバ勞銀ガ騰貴スル、勞銀ノ騰貴ハ商工業ノ發
  達ヲ阻礙スル、此單純ノ論理ハ誤ッテ居ラヌ、此通リデアル、唯今早速君ハ米ノ率ヲ上
  ゲテモ米價ハ騰貴シナイ、農民ヲ利益シナイト云フヤウナコトヲ言ハレマシタガ、之ヲ言フ
  ナラ反對シナクテモ宜イノデアル、上ルコトヲ知ッテ居ルガ故ニ、商工政策ニ非常ニ害ガ
  アルト云ッテ絕叫サレタノデアル、是ハ至當ナル理窟デアリマス、併ナガラ凡ソ政治上ノ問
  題、經濟上ノ問題ハ絕對的ノ眞理、若クハ不眞理ト云フモノハナイ、必ズ比較的ノモ
  ノデアル、雙對的ノモノデアル、絕對ニ之ヲ正、之ヲ邪ト云フガ如ク、明白ナル區分ハ
  決シテ政治上、若クハ經濟上ノ問題ニハナイ、殆ドナイト謂ッテ宜シイ、故ニ此議論モデ
  ス一部ノ眞理ハ含ンデ居ルニ違ヒナイガ、更ニ實際ニ立入ッテ此影響ヲ顧ミナケレバナ
  ラヌ、大層聲ヲ大ニシテ論ゼラレマスルケレドモ、本案ニ付テ增加シタルトコロノ米ノ稅ハ
  僅ニ百斤ニ付テ三十六錢、是ハ一日一人ニ致シマスレハ二厘五毛デアリマス、勞働者
  ガ一家ニ四人ノ家族ヲ有スルト致シマシテモ、一日一錢ノ增加ニ過ギナイノデアル諸
  君、水ハ山ヲ覆ス、船ヲ覆沒セシムル、非常ナル亂暴ヲ働クベキモノデアル、サウ云フ力
  ヲ持ッテ居ルモノデアル併ナガラ此一滴ノ水ハ硯水ニモ足ラヌデハアリマセヌカ、成程米
  價ガ一時ニ十圓モ十五圓モ一石ニ付テ騰貴シタナラバソレハ大變ナ事デアルガ、此
  案ニ依ッテ僅ニ一日二厘五毛ノ增加ガアッタト致シマシテ、是ガドレ程經濟社會ニ反響
  ヲ及ボシマスカ、ドレ程勞銀ニ影響ヲ及ボシマスカ、二厘五毛ハ二厘五毛デアル、之ヲ
  デス、唯是ホドノ小ナル事實ヲ捉ヘ來ッテ商工業ノ發展ヲ阻礙スルモ凄マジイモノデア
  ル、是ガ卽チ又新會一派ノ空言ト申スモノデアリマセウト思ヒマス(拍手スル者アリ)諸
  君、獨逸ノ如キハ全人口ノ百分ノ四十三ハ農民デアリマス、卽チ我百分ノ七十以上ニ
  對シテハ、獨逸ノ如キハ農民ノ數ハ百分ノ四十三ニ過ギナイノデアル、又獨逸ガ商工政
  策ヲ採ッテ、世界到ル處ニ自國ノ生產品ヲ賣付ケントシテ努メツヽアルコトハ是亦諸
  君ノ明カニ知ラルヽトコロデアル、獨逸ハ必シモ重農主義ノ國デハナイ、寧ロ商工業ヲ中
  心トシテ政策ヲ執ッテ居ルトコロノ國デアル、此獨逸ガ日露戰爭ノ場合ニ於キマシテハ如
  何ナル關稅政策ヲ執ッタカ、世界ハ正ニ東洋ノ大禍亂ニ付テ驚心駭目シテ舉措ヲ失
  シツヽアルノ場合ニ於テ、烱眼ナル獨逸皇帝ハ露西亞ニ向ッテ深厚ナル同情ヲ寄セ、
  而シテ多年ノ懸案トナッテ露獨ノ間ニ蟠ッテ居ッタトコロノ關稅問題、露國ニ對スル厚意
  ノ報酬トシテ露西亞ノ國境ノ防備ヲ減ズルト云フコトヲ條件トシテ、此下ニ多年露
  西亞ガ執ッテ屈セザルトコロノ關稅、農產物及食料品、卽チ歐露ニ於テ盛ニ產出スルト
  コロノ農產物及〓料品ノ國境ヲ越ヘテ獨逸ニ入ッテ來ルモノニ向ッテ、殆ド絕對的ノ
  禁止稅ヲ課シタ、非常ニ重イ稅ヲ課シテ、露西亞ノ國境ヨリ獨逸ノ國境ニ將來一步
  モ露西亞ノ農產物ノ入ルコトガ出來ナイト云フガ如キ絕對ノ禁止ノ協約ヲ結ンダ是
  ト同時ニ左ノ手ニ於テハ自國ニ於テ生產スルトコロノ總テノ生產品、加工品、卽チ商
  品ヲ無稅同樣ニ露西亞ノ國境ニ侵入スルコトガ出來得ベキ契約ヲ結ンダノデアル、實
  ニ空論ヲ唱ヘテ喜ンデ居ル時代ニ、彼ハ直ニ左ノ手ニ於テ實效實力アルノ協約ヲ結ンデ
  居ルノデアリマス、諸君、獨逸ハ決シテ重農ノ國ヂヤナイ、農業立國ヲ主義トシテ居ル
  國ヂヤナイ、併ナガラ尙且自己ノ農業ヲ保護センガタメニハ此ノ如キ機會ヲ利用シテ
  電光石火ノ働ヲ爲シツヽ其目的ヲ遂ゲテ居ルノデアリマス、小村外務大臣ノ如キハ不
  得意ナル關稅論ニ付テ御議論ナサルヨリモ、須ラク此獨逸ノ外交ニ學ンデ可ナリト思
  フノデアリマス、尙終ニ臨ンデ國民黨ノ諸君子ニ一言シタイト思フ、今囘國民黨ナルモ
  ノガ出來ルサウデ、實ニ吾〓ハ純民黨ナルモノヽ出來ルコトヲ非常ニ歡迎シテ居ルト同
  時ニ、此民黨ハ主義ノ結合デアル、主義綱領ノ下ニ集ルモノデアル然ルニ此產業政策
  ノ根本タル關稅ノ問題ニ對シテ、元ノ進步黨ノ諸君ハ關稅增加ヲ可ナリトシ、又新會
  一部ノ諸君ハ是ハ絕對ニ廢サナケレバナラヌト云フ水火モ啻ナラヌトコロノ反對ノ意見ヲ
  持ッテ居ルノデアル、是ハ將來ニ於テ大ニ諸君ノ健全ナル發達ノタメニ大ナル障碍デア
  ルト思ヒマスカラ、能ク分ラヌ人ニハ分ッタ人カラ言ウテ御聽カセナスッテ、サウ云フ間違ノ
  將來起ラザルヤウニ御注意アランコトヲ希望スル、是ハ諸君ノ健在ノタメニ言ウノデア
  ル(拍手起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=70

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• 071・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　石橋爲之助君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=71

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• 072・石橋爲之助

  ○石橋爲之助君　本員ハ此席カラ簡單ニ自分ノ意見ヲ述ベマス、本員ノ意見ハ米及
  籾竝ニ大豆ヲ無稅ト爲スノ意見デアリマス、其理由ハ詳シク述ブレバ早速君ノ說ト重
  複スル所ガ多クアリマスカラ、已ニ辯明サレタ分ヲ除キマシテ、唯一〓ヲ速ベルコトニ致シ
  さい、此米ニ對シテ輸入稅ヲ課シタ歷史上ノ事實カラ考ヘマシテ、彼ハ日露戰爭ノ非常
  ナル際ニ非常特別稅トシテ地租ニ增加ヲ致シマシタ、其代リトシテ輸入稅ヲ課シタモ
  ノデアルガ故ニ、此度地租ニ於テ多少ノ輕減ヲ致シマスナラバ、ヤハリ此稅ハ撤去致スベ
  キガ至當デアラウト考ヘルノデアリマス、尙大豆ノ方ニ付テ一言ヲ加ヘマス、大豆ハ種々
  ノ食料品トシテ用井ラルヽノデアリマスガ、今日大豆ノ代リニ豆粕ヲ以テ其代用ヲシテ居
  ル部分ガ澤山ニアルノデアリマス、或ハ豆腐或ハ味噌、或ハ醬油、此ノ如キ日用品ヲ製
  スルニ、牛馬ノ食料品タルトコロノ豆粕ヲ以テ製造シテ、之ヲ吾〓國民ニ喰ハシツヽア
  ル今日ノ狀態デアリマス、是ハ實ニ日本國民ノ健康上、健康保全ノ上カラ申シテ決シ
  テ輕々ニ付スルコトガ出來ナイノデアル、若シ大豆ヲシテ安價ニ購入スルコトヲ得セシ
  ムルナラバ斯ル弊風ハ自ラ消滅スルニ至ルコトヽ思ヒマス、故ニ此大豆ヲ無稅トシテ、
  國民ノ健康保全ヲ圖ランコトヲ希望スルノデアリマス
  〔「討論終結」「採決」ト呼フ者アリ〕

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• 073・内藤魯一

  ○內藤魯一君　議長

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=73

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• 074・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　アナタハマダ何カ御議論デスカ-アナタヨリ前ニ通〓ガア
  リマスカラ、マア御控ヘ下サイ-東武君

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• 075・東武

  ○東武君　私ハ演說ヲ止メマシテ、更ニ討論終結ノ動議ヲ提出致シマス
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

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• 076・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　今東君ノ通告ガアリマスケレドモ、演說ヲ止メテ進ンデ討論
  終結ノ動議ヲ提出サレマシテ、贊成ガアリマス、討論終結ニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 077・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガナイト認メマスカラ、卽チ討論ハ是ニテ終結致シマ
  ス、ソコデ第二類ノ採決ニ付テ委員長ノ報告、及森田勇次郞君其他ノ修正案、ソレ
  カラ早速整爾君其他ノ修正案ガ出テ居リマス、是ハ卽チ修正案其モノニ付テ採決ヲ致
  シマス、第二類中ノ十二、米及籾ヲ早速君其他ハ無稅ニスルト云フ最モ原案ニ遠イ修
  正デアリマスカラ、是ニ付テ採決ヲ致シマス、早速君ノ說ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=77

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• 078・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　少數、森田君ニ此場合御諮ヲ致シマスガ、此米及籾ト云
  フノハ委員長ノ報告ニ百斤「〇六四」トアルノヲ「一○○」トスルカラシテ、アナタノ修
  正ト同ジコトヽ思ヒマス、是ハ御取消ニナッテ宜カラウト思ヒマス、唯其次ニアナタノハ白
  米ト云フコトヲ入レルト云フコトニ付テ採決シタラ宜カラウト思ヒマスガ、ソレデ御異議ハ
  アリマセヌカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=78

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• 079・森田勇次郎

  ○森田勇次郞君　異議ハゴザイマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=79

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• 080・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　ソレデハ卽チ米及籾ト云フ此十二ハ委員長ノ報告ニ他ハ
  御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=80

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• 081・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガナイト認メマスカラ委員長ノ報告通リ決シマス、其
  次ニ森田君其他ノ修正、卽チ「白米」ト云フノヲ加ヘテ「一四五」ト云フコトヲ加ヘタイト
  云フ修正ノ動議が出テ居リマス、是ニ同意ノ諸君ハ起立
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=81

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• 082・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　少數-ソレカラ十三、十四、十六、二十一-一、二、
  三、四、五、卽チ之ヲ細カニ讀ミマスルト云フト、第二類中ノ十三、大麥每百斤ヲ「○、
  二〇」十四「二、〇〇」十六「〇四五」二十一ノ豆類ト云フ此中ノ大豆ヲ無稅、ソレカ
  ラ二、小豆、每百斤「○三二」三、蠶豆、「〇、三〇」四綠豆「〇、三二」五、豌豆、
  「〇、三〇」ト修正シタイト云フ說ガ出テ居リマス、是ニ同意ノ諸君ハ起立
  起立者少數

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• 083・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　少數-委員長ノ報告ニ御異議ハアリマセヌカ
  異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=83

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• 084・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　ソレデハ第二類ハ總テ委員長ノ報告通決シマス、第三類ヲ
  議題ト致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=84

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• 085・森田勇次郎

  ○森田勇次郞君　此場合議事ノ進行ニ付キマシテ私ハ動議ヲ提出致シマスガ、第三
  類以下一括致シマシテ、修正意見ノアリマスモノハ一括シテ修正意見ヲ述ベテ、決ヲ採
  ル場合ニ別々ニ採決スルト云フコトニナスッタラ、大ニ議事ノ進行上都合ガ宜カラウト思ヒ
  マスカラ、此動議ヲ提出致シマス
  (「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=85

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• 086・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　今森田君ハ、卽チ第三類ヨリ總テノ修正說ガ出テ居リマス
  ガ森田君ノ方ハ修正ハ少ナイガ早速君其他ノ修正ハナカ〓〓澤山ノモノデアル、
  之ヲズット一緒ニ述ベマスルトキハ却テ長クナルカトモ思ヒマス、併ナガラ諸君ガ一括シテ
  此修正ノ說明ヲサレルト云フコトニ御同意ナレバ其通致シマス
  〔「贊成々々」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=86

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• 087・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　ソレデハ御異議ガナイト認メマス、森田勇次郞君
  〔森田勇次郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=87

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• 088・森田勇次郎

  ○森田勇次郞君　修正意見ヲ提出シテ置キマシタガ、詳シク數字ヲ申述ベマシテハ却
  テ煩苛ニ亙リマスル故ニ、議長ノ手許ヘ數字ノコトハ詳シク書キ現ハシテゴザイマス、大
  體ヲ重モナルコトニ付キマシテ修正說ノ大要ヲ申述ベマス、我國ノ國情ニ照シマシテ、關
  稅策ノ上ニ產業保護主義ヲ取ルト云フ事柄ハ、或ル程度マデハ誠ニ是ハ必要ナルコトヽ
  思ヒマス、併ナガラ其保護ノ方法タルヤ餘程宜シキヲ得ナケレバナラヌト思フノハ、例ヘ
  バ製造工業ノ原料ニ用ユベキ原料品ノ製造者ガアル、此原料ヲ用井テイロ〓〓ナル加
  工ヲシ、卽チ澤山ノ製造ヲ爲ス事業ガアル原料ノ製造品、卽チ少數者ヲ大ニ保護シ
  テ.此原料ヲ用井テ多クノ製造ヲシテ、貿易品ヲ造出ス方ノ側ニ迷惑ヲ掛ケ、又其商
  品ヲ需用スルトコロノ多數ノ國民ニ重キ稅ヲ課スルト云フ事柄ハ、私ハ關稅策ノ宜シキヲ
  得タルモノデナイト思ヒマス而シテ又總テノ品目ノ中ニ付キマシテ、食糧品ノ如キ、或
  ハ唯今申述ベタル原料品ノ如キ、製造品ノ中デモ半製品ノ如キ、是ハ成ルベク低キ率
  ヲ以テ成ベク良キ品物ヲ外國カラ輸入致シテ日本ノ產業ヲ進メル、發逹ヲ促進セシムル
  ト云フ主義ヲ取ル方ガ、私ハ關稅策ノ宜シキヲ得タルモノト思ヒマス、此大體ノ主義ヲ以
  テ政府ノ提出セラレマシタル關稅案ヲ通覽致シマスルト、政府ハ總テノモノニ幾分カ、卽
  チ微溫ナル保護主義ヲ取ッテ居ラレマス併ナガラ保護主義デモナク、又收入主義デモナ
  ク總テノモノヲ幾分カヅヽ關稅ヲ取ルト云フ事柄ニナッテ居リマス中ニハ其關稅アル
  ガタメニ、此貿易品ヲ大ニ製作ヲ進メテ行クト云フ事柄ニ付キマシテ、隨分有害ナル結
  果ヲ來スモノモゴザイマス、又之ヲ修正セラレタル政友會ノ案ヲ見マスルト云フト、第四類ノ
  中デ此獸皮類、第六款ノ中デ沈香、白檀、第八類ノ野蠶絲、第十一類ノ印紙料紙ノ
  師第十四類ノ鐵ノ中ノ「ワイヤロツド」是等ニ付テハ原案ヨリモ低減ヲ加ヘ、
  或ハ無稅ニセラレタルモノモアリマスガ、其他ハ政友會ノ修正案ハ皆原案ヨリモ
  增額ニナッテ居ルモノガ多ウゴザイマス、卽チ保護主義ヲ政府案ヨリモ多ク加ヘラレタルモ
  ノガ多ウゴザイマス、私ノ提出シテ置キマシタ修正案ハ唯今問題ニナッテ居リマスル第三
  類以下ニ於キマシテハ、唯龍腦及醋酸此二ツノモノニ原案ヨリモ幾分增額ヲ致シマシ
  タ外ハ悉ク原案ヨリモ削減致シテ居ルノデアリマス、其理由ハ產業ノ保護ハ必要デアル
  ケレドモ、一部少數ノ者ヲ保護シテ多數ノ者ニ害ヲ來ス、或ハ外國貿易ニ害ヲ及ボ
  スト云フ事柄ハ誠ニ喜バシキコトデゴザイマセヌカラ、成ルベク此原料品ノ如キモノ、殊ニ機
  械類ノ如キモノハ廉クシナケレバナラヌ、此趣意カラ低減說ヲ出シタノデゴザイマス、例ヘ
  バ類ヲ舉ゲテ云ヒマスルト漆或ハ「ヴアニシユ」「ペーント」斯樣ナモノハ皆製造ノ原料品デ
  アリマス、又鐵類、澤山ニ分ケラレテ居リマスル鐵類、是ハ製造工業ノ最モ大切ナル土
  臺デアリマスカラシテ、成ルベク低イ稅ヲ課スル方ガ當然デアラウト思ヒマスガ、是ハ政府
  ノ原案デハ高クナッテ居リマスカラ、鐵類ハ總テ五分減ヲ唱ヘテ修正案ヲ作リマシタノデ
  ゴザイマス、又機械類總テノ機械類ニ付キマシテモ是ハ製造工業ノ活力ノ本デアリ
  マスカラ、機械類ノ如キハ成ルベク廉ク精巧ナル機械ヲ輸入致シテ、サウシテ日本ノ工業
  ヲ進メルト云フ事柄ガ當然デアラウト思ヒマスカラ、原案ヨリモ五分ヲ減ジタイト云フ希
  望デアルノデゴザイマス船舶-船ニ付キマシテハ政府ハ機械力又ハ帆ヲ以テ運航スル
  モノハ每噸十五圓、其他ハ從價一割五分ト云フ事柄ニ原案ヲ提出セラレマシテ、政友
  會ノ修正セラレタルモノハ機械力又ハ帆ヲ以テ運航スルモノト云フ中ヲ甲乙ノ一一ツニ
  分ケマシテ、船齡十年ヲ超エザルモノハ每噸十五圓船齡十年以上ノモノハ每噸十圓、
  斯樣ナ修正ヲ加ヘラレマシタノデゴザイマスガ、私共ハ總テ是ハ從價ノ一割五分ト云フコ
  トニ定メタ方ガ穩當デアラウト云フ修正說ヲ持ッテ居ルノデゴザイマス、此政友會ノ修正
  案、竝ニ原案ト、吾ミノ修正案トノ違ッテ。居リマスルトコロノ極メテ大體ノ理由ヲ說
  明致シマスルト、船舶ノ如キハ一艘ノ價ノ極メテ差額ノ多イモノデゴザイマス、一艘ノ價
  ガ三百五十圓乃至四百圓モ致サウト云フ位ナ良好ナル船モアレバ、一艘ノ價ガ僅ニ
  三十五圓若クハ四十圓ニ當ラナイト云フ船モアルノデゴザイマス、此三十五圓、若クハ
  四十圓シカシナイ船ト、三百五十圓、若クハ四百圓モ致スト云フ船ヲバ一〓ニ致シテ從
  量稅ヲ課スルト云フノハ是ハ極メテ無理ナコトヽ思ヒマス、修正案ハ此〓ニ考慮ヲ加ヘ
  テ船齡ヲ以テ區別スルコトヽシ、十年以下ノモノ卽チ比較的新シキ船ニハ每噸十五圓、
  船齢十年以上、卽チ比較的古クナッタ船ニハ十圓ヲ課スルト云フコトニナッテ居リマス、併
  ナガラ十年ノ年齡ヲ以テ運送船、客船、總テノ有ラユル船舶ノ價ニソレダケノ等差ヲ
  付ケ得ルト云フコトハムヅカシイ、卽チ年齡ガ長ケテ居リマシテモ一噸ニ付テ七十圓、百
  圓ノ船モアリマセウシ或ハ又年齡ガ新シクテモ古イ船ヨリ廉イ船モアリマスカラ、
  唯船齡十年ト云フ事柄ヲ區劃トシテ此等差ヲ付ケルト云フ事柄ハ隨分困難デアラウト
  思ヒマス、ヤハリ從前ノ如ク從價一割五分ト云フコトニスルノガ、是ガ最モ良キ方法デア
  ラウト思ヒマシテ、斯樣ナ修正案ヲ提出シタノデゴザイマス、又政友會ノ提出セラレ
  タル修正案ノ中デ野蠶絲ト云フモノガ無稅ニセラレテ居リマス、生絲ノ中ノ野蠶絲ト云
  フモノヲ-此野蠶絲ヲ無稅ニセラレタル理由ハ野蠶絲ヲ原料トシテ樣ミナ工藝品、美
  術品ヲ製作スル事業ガ進ンダ、故ニ此原料ヲ廉ク入レルト云フトコロカラ野蠶絲ヲ無稅
  ニセラレタモノデアラウト思ヒマス、其主義ニ於テハ吾ミモ實ニ同感ノ〓デアリマス、併ナ
  ガラ野蠶絲ヲ無稅ニシテ澤山ニ輸入スル結果ハ日本ノ重要物產タル生絲ニ影響スルコ
  トハ頗ル多イノデアリマス、野蠶絲ヲ精白致シマシテ入フ日ハ立派ナ縮緬ヲ織ル絲ニ致ス
  ト云フ事柄モ進ンデ居ルト云フヤウナ有樣デアリ、又滿洲ニ於テノ野蠶絲ノ事業ト云フ
  モノハ愈〓發達致シテ居ルノデゴザイマスガ、之ヲ支那滿洲カラ無稅デ澤山ニ日本ニ輸
  入スルヤウニナリマスレバ折角發達シタ日本ノ養蠶業、或ハ製絲業ト云フモノニ少ナカ
  ラヌ是ハ打擊ヲ受ケル事柄デゴザイマスカラ、野蠶絲ニハヤハリ從價五分ノ稅ヲ課シテ置
  クト云フ事柄ガ當然デアラウト思フノデゴザイマス原案ニハ野蠶絲ヲ從量ニ致シテ每百
  斤三十一圓ト云フ從量稅ニナッテ居リマスガ、野蠶絲ヲ從量稅ニスルト云フコトハ頗ル
  困難、野蠶絲ノ中ニハ百斤ニ付キマシテ五百五十圓位ナモノモアルシ、或ハ又二百五十
  圓、三百圓位ナ廉イモノモアリマスルシ、野蠶絲ノ價ニ差等ガ多イ、既ニ從量稅ヲ課スル
  ト云フ事柄ハ困難、寧ロ從價五分ト云フ事柄ニ致スコトガ穩當ト思ヒマスガ、政友會ノ
  修正案ノ如ク無稅トスルト一云フ事柄ハ諸君ガ農業保護ノ精神ヲ以テ米及籾、其他大
  豆、小麥等ノ關稅ヲ高メル、其御精神ニ照シテモ私ハ生絲養蠶業保護ト云フタメニ野蠶
  絲ニ幾分ノ關稅ヲ存シテ置クガ當然デアラウト思ヒマス、政友會ノ修正案中ニ殊ニ私ガ
  解釋ニ苦ミマスルノハ、第五類ノ九十五植物性揮發油ノ中芳香性ノモノト云フノヲ原案
  ハ無稅トアリマスルモノヲ、政友會諸君ハ之ニ一割ノ關稅ヲ課スルト云フ修正ヲナサレタ、
  此〓ニ於キマシテハ甚ダ其理由ヲ解スルコトガ出來ナイノデアリマス、此芳香性ノ揮發油
  ト云フノハ何ニ用井ルカト申シマスレバ、多クハ化粧品、香水、香油、齒磨、石鹼、斯樣ナ
  ルモノニ加味致シマシテ、其造出シタトコロノ化粧品、石鹼ノ如キモノハ多クハ滿洲支那
  方面ニ輸出シテ、サウシテ外國品ト非常ナル競爭ヲ致シテ居ルノデゴザイマス、貿易表ヲ
  見マスルト四十年ニハ此種類ノモノガ二百六十二万圓輸出シテ居リマス、又四十一
  年ニハ二百三十六万圓輸出シテ居リマス、夫等ノ原料トナルベキ芳香性揮發油ヲ政
  府ハ流石ニ貿易ノ實況ヲ能ク取調ベテ之ヲ無稅ト致シテ居リマシタモノヲ、政友會諸
  君ガ之ニ一割ノ稅ヲ課シテ、サウシテ今東洋方面ニ於テ外國品ト大ニ競爭シテ居ル是
  等ノ化粧品等ノ其競爭力ヲバ弱メルヤウニナサルト云フ事柄ハ、私ノ御贊成致スコトノ
  出來ナイ點デアルノデゴザイマス、『又第六類ノ「クロール」酸加里ニ付テ原案ハ無稅ト致
  シテ居ッタモノヲ政友會ハ五分課稅ヲスルト云フ事柄ニ極メラレタ、是ハ芳香性揮發油
  ニ課稅スルヨリモ尙一層理由ガ分ラヌノデアリマス、「クロール」酸加里ハ何ニ致スカト言
  ヘパ多クハ燐寸ノ原料デゴザイマシテ、燐寸ノ輸出-燐寸ハ一箱僅ニ三厘カ四厘シ
  カ致サナイ、誠ニ微細ナルモノデアリマスケレドモ、此貿易品タルヤ一年一千万圓ノ額ニ
  上ッテ居リマス、一千万圓ノ輸出アル燐寸ヲバ滿洲ヨリ支那方面ニ輸出シテ東洋一般
  ニ輸出シテ、獨逸品其外ノモノト大競爭ヲ試ミテ居リマス、御承知ノ通リ一箱僅ニ三
  厘カ五厘ノ品物デアリマスカラ極ク僅カナ原料品ガ高クナリマシテモ直ニ競爭力ヲ減殺サ
  ルヽノデアリマス、其重要ナル原料品ノ「クロール」酸加里、之ヲ政府ガ無稅品ト云フコ
  トニシタノハ無論當然ノコトデ、外國貿易ノ上ニ於テ我品ノ競爭力ヲ極メルト云フコト
  ニナルノデアル(拍手起ル)此原料ノ「クロール」酸加里ヲ內地デ造ッテ居ルカ居ナイカト
  云フコトヲ調ベテ見マスト、大倉何某ノ設立シテ居ル化學工藝會社トカ申スノデ、近頃
  試驗的ニ製造ハ致シテ居ルト云フコトデアル、又政府委員ニ段々質問シテ見マシテモ試驗
  ハ成程致シタガ、商品トシテ賣出スマデニ是ハ生產シテ居ラヌ、其生產事業ガ進ンデ居
  ルト云フ事柄ハ斷ジテナイト云フコトヲ政府委員ハ云ハレテ居ルノデアリマス、內地デ
  ハ製造ハシテ居ラヌ、是カラ先大ニ保護シタナラバ出來ルカモ知ラヌト云フ位ノ程度ノ「ク
  ロール」酸加里ヲツレヲ保護シテ、サウシテ此燐寸ノ貿易ノ競爭力ヲ弱メヤウト云フ事柄
  ハ關稅政策トシテ甚ダ其當ヲ得タモノデナイト私ハ思フノデアリマス、(「政友會モ贊成
  シロ」ト呼フ者アリ)況シテヤ此「クロール」酸加里ヲ內地デ製造スルモノガ試驗的ニモ製
  造スル者ガアルトシマシタトコロガ、一個人一會社ニ止マリ、決シテ多數ノモノデハナイ、
  燐寸ヲ造ル者ハ實ニ數百万人ノ女子供マデヲ集メテ女子供ヲ燐寸ノ工業ニ務メサセテ、
  サウシテ貧民ヲ救ウテ居ル事業デアル、此事業ヲ大ニ助クルコトヲセズシテ、一富豪、一
  會社ノヤウナモノヲ保護スルト云フコトハ私ハ斷ジテ喜バナイノデアル、(拍手起ル)第七
  類ノ中デ「アリザリン」染料、「アニリン」染料、是等モ亦政府案ヨリ修正案ハ高クナッテ
  居リマス、政府案ハ百斤四圓六十錢トアルヲ修正案ハ七圓ニ上ゲテアルガ、「アリザリ
  ン」染料「アニリン」染料ハ申スマデモナク木綿織物等ノ廉イ著物ノ染料デアリマス、其
  染料ノ高イカ廉イカハ直ニ此廉イ著物ヲ著ル卽チ貧民ノ被服料ニ是ガ加ッテ往クノデ
  アリマス、而シテ「アリザリン」染料「アニリン」染料ノ如キハ內地デ出來ルカト云フト、斷
  ジテ是ハ造ル者ハナイノデアリマス、造ル者ガナイモノヲ保護スル必要ハナイ、卽チ之ニ課稅
  ヲ高メマスト人間ノ衣〓住トシテ第一ニ數ヘルトコロノ衣類ノ價ヲ高メル、間接ニ幾分
  カ高メルト云フ傾キニナッテ來ルノデ、是ハ甚ダ喜バシクナイ課稅デアリマスカラ、私ハ寧ロ
  之ヲ現狀ニ止メテ置ク方ガ宜カラウト思フノデアリマス、況シテヤ政友會修正案ノ中ニ芳
  香性、揮發油ノ無稅トナッテ居ッタノヲ有稅トシタ其精神ト此「アリザリン」染料「アニリ
  ン」染料ヲ原案ヨリ尙引上ゲルト云フ精神トハ全ク是ハ撞著シテ居リマスル故ニ、此修
  正案ハ甚ダ穩當ヲ缺クモノト思ヒマスル、第十一類ニ於テ印刷料紙、其中ニハ樣〓ナ紙
  類ガゴザイマスルガ、私共ハ印刷料紙ノ如キ例ヘバ新聞、或ハ雜誌、或ハ又〓科書ヲ始
  メトシテ、アラユル書籍、斯樣ナルモノハ國民ノ知識ヲ運搬シ、國民ノ知識ヲ普及セシムル
  モノ、國民ノ〓育ヲ發達セシムル最モ大切ナル一ノ原料品デゴザイマス、故ニ斯ルモノハ
  出來ルナラバ無稅デ關稅ヲ課スルトシテモ成ルベク低イ關稅ヲ掛ケタイノガ、吾〓ノ希望
  デアル、政府案ハ單リ此新聞用紙ダケハ從前ノ協定稅率ノ儘据置イテゴザイマスガ、其
  外ノ印刷料紙、例ヘバ雜誌用ナリ、書籍用ニナリマスルモノデモ多クハ二倍、若クハ三倍
  ニ高メラレテアリマス、而シテ政友會諸君モ流石ニ幾分カノ輕減ヲ加ヘテ「アートペーバ
  ー」-三圓二十錢ト云フノヲ二圓四十錢、又其中ノ有色ノモノト云フノヲ一圓六十
  錢ヲ一圓二十錢ト云フコトニ輕減ヲセラレテ居リマスガ、此位ノコトデハ私ハマダ輕減ノ
  度合ガ少ナイト思フ、新聞用紙ハ從前ノ如ク据置イテ、サウシテ雜誌、其他ノ書籍用
  ノ印刷料紙ヲ高メルト云フ理由ハ更ニナイノデアリマス、況シテヤ是ハ人民知織ノ啓發
  ノ道具トシテ成ルペク廉ク需用セシメルノガ當然ノコトデアリマスカラ、是ハ從前ノ通リ悉
  ク据置ト云フ事柄ガ私ハ穩當ナ事柄デアラウト思ヒマス、其他私ノ提出シマシタ修正案
  ハ箇條モ多クゴザイマスガ、之ヲ要スルニ極メテ特殊ノ性質ノモノヽ外ハ成ルベク原料、
  或ハ半製品ノ如キモノヲ廉ク輸入シテサウシテ我國ノ製造工業ヲ進メ、又外國資易ヲ
  發達セシムルト云フコトガ最モ肝要ナ事柄デアッテ、內地ノ產業ヲ保護スルト云フ事柄ニ
  付テモ寒中ニ室ノ中デ牡丹ヲ咲カセルト云フヤウナ保讓ノ仕方、或ハ日本ノ上野ノ動
  物園ニ印度ノ熱帶ノ鰐ヲ連レテ來テ之ヲ生活セシメテ置クト云フヤウナ保護ノ仕方、成
  程保護ノ仕方ニ依リマシテハ寒中ニ櫻モ咲キマス、壯丹モ咲キマス、日本ハ寒帶カラ熱
  帶ニ亙リマス地域ヲ持ッテ居リマスカラ、造ラウト思ヘバ世界各國ノ總テノ生產品ヲ日
  本デ造ルコトガ出來マス、併ナガラ此保護ハ極メテ少數ナル者ヲ保護スルガタメニ、大多
  數ノ者ニ迷惑ヲ掛クルト云フ事柄ハ是ハ本當ノ保護主義デハナイノデアリマスカラ、多
  數ヲ犠牲ニシテ少數ヲ保護スルノハ保護主義デナイノデゴザイマス、故ニ私共ハ成ルベク
  斯ルモノヲ廉クスルト云フ趣意ヲ以テ修正案ヲ提出シタト云フコトヲ諸君ノ前ニ言明
  シテ置クノデゴザイマス(拍手起ル)
  〔參照〕
  輸入稅表第一類ノ中
  原案修正案
  圓
  五綿羊每頭三、〇〇五〇
  六山羊同二、三〇一、一五
  七豚從價二割從價一割
  八家禽類同二割從償一割
  同第一類
  原案修正案
  一二米及籾每百斤〇、六四玄米及籾〇、六四
  白米〇〇
  同第三類ノ中
  五五コンデンスドミルク一一、一〇四割
  とあるを五、五五よ改む
  同第四類ノ中
  七獸皮牛皮及水牛及ヲ無稅トス
  第五類ノ中
  九六亞麻子油原案修正
  甲ボイルト油每百斤三圓每百斤二圓
  第六類ノ中
  一五四醋酸每百斤八圓とある〓十圓よ改む
  圓
  二〇五龍腦及支片三七、三〇を二五〇、〇〇よ改む
  圓圓
  二五六漆每百斤六、八〇ヲ四、五〇ニ
  二五七ヴァニシユ每百斤一四、五〇ヲ九、六〇ニ
  二六六ペーント各種ヲ總テ五分減トス
  第八類ノ中
  二七五亞麻織絲單撚ノモノ
  甲生ノモノ每百斤八、六〇ヲ一〇、七五ニ
  乙其ノ他每百斤九、二五ヲ一二、九〇ニ
  二七七苧麻織絲及」ノ次ニ大麻織絲ヲ挿入シラミー織絲ヲ除キ從價一割トア
  ルヲ每百斤七圓五十錢ト改ム
  二七八號ヲ削除ス
  二七九大麻織絲ヲ削除シラミー織絲トシ同一割トアルヲ百斤十五圓ト改ム
  元大麻絲ノ上ニ苧麻絲ヲ加フ
  二八一ノ次ニラミー絲ニシテ前項同樣撚絲ノモノ每百斤五十四圓トス
  二八七生絲
  野蠶絲百斤三一、〇〇トアルヲ從價五分トス
  二其ノ他
  第十一類ノ中
  三五三〇〇印刷料紙原案修正
  一アートベーパー三、二〇一ノ〇つ
  三其ノ他
  乙甲有色ノモノ一、六〇〇、八〇
  其ノ他
  イ人パーカムリングル〓位〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
  ロ其ノ他二、二〇一、一六、三
  三七二摸造日本紙及チツシユペーパーa
  三七三摸造羊皮紙パラフインペーパー及ワックスベーパー
  右ハ共ニ從價一割トス
  第十一類寫眞用バライタペーパー鷄卵紙及感光紙
  一號ヨリ五號マテ通シテ一割ヲ減ス
  第十三類ノ中
  四四四硝子板
  各目ヲ通シテ五分減トス
  第十四類ノ中
  四六二鐵類各目ヲ通シテ五分減トシ原案ニ五分トアルハ無稅トシ七
  分五厘トアルハ五分トス
  第十五類ノ中
  四八二鐵道建築用材料
  四八三電線支柱及電線支架用材料
  四八四家屋橋梁船舶等ノ建築材料
  四八五瓦斯ホールダー液體タンク及同部分品
  右ハ通シテ五分減トス
  第十六類ノ中
  五六八船舶從價一割五分トス
  五六九番ヨリ六〇五番ニ至ルマテ
  通シテ五分減トス
  第十七類ノ中
  六一〇竹從價二割トアルヲ從價五分トス
  以上

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=88

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• 089・鈴木そう兵衞

  ○鈴木摠兵衞君　私ハ五百二十六、五百二十七ニ付テ修正ガアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=89

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• 090・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　ソレハアトデ······早速整爾君
  〔早速整爾君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=90

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• 091・早速整爾

  ○早速整爾君　私ノ提出致シ置キマシタル此修正案ノ理由ヲ大體說明ヲ致シマス、
  數字ハ議長ノ手許ニ出テ居リマスル案ニ詳シク書イテゴザリマスル、煩雜ヲ省クタメニ殊
  更ニ申上ゲマセヌデ、大體ニ於テノ說明ダケヲ申述ベテ置カウト思ヒマス、(「簡單ニ願ヒ
  マス」ト呼フ者アリ)第三類ニ於キマシテ私ノ修正案ハ此飮食物ニ對シテ總テ稅率ヲ輕
  減スルト云フコトニ相成ッテ居リマス、今日ノ此政府案ハ或ハ現行ノモノト同ジヤウナモノ
  モゴザリマスルケレドモ、中ニハ現行ノ稅率ヲ增加シタルモノガ數多イノデゴザリマス、私
  共ノ意見ハ此飮〓物ナドニ對シテ重キ稅ヲ課スルト云フコトハ誠ニ宜シクナイ、實ニ非
  文明ノ舉テアルト斯樣ニ信ジテ居リマスル、一般ノ飮食物ノ課稅ハ成ルベク之ヲ低廉ニ
  シタイト云フ意見ヨリ大體ニ亙リマシテ此飮食物ノ稅率ヲ輕減ヲシタイト云フ此修正
  案ヲ提出致シマシタ、政府ノ案ニ依リマスルト或物ハ殆ド禁止稅ニ等シキ重稅ヲ課シ
  テ居ルモノガゴザイマス、之ヲ辨ズル者ハ或ハ此飮〓物ハ主トシテ外國人ノ口ニスル飮
  食物デアルカラシテ此稅率ヲ高メ、其價ヲ騰貴セシメテモ少シモ差支ナイト云フヤウナコト
  ヲ口ニセラレルノデゴザイマスルケレドモ、私共ハ此飮〓物ノ需用ガ內外人何レニアルニ
  拘ラズ、免ニ角其稅率ヲ高クシテ、而シテ其價ヲ騰貴セシムルト云フコトハ今日ニ於テ
  執ルベキ政策デナイト斯樣ニ信ジテ居ルノデゴザイマスル、尤モ此中デ委員長ノ報〓ノ
  「コンデンスミルク」ノ稅率ヲ輕減セラレタノハ私共ノ意見ト相合シテ居ルノデゴザリマス
  ル、其他ハ總テ政府案竝ニ委員長ノ報告ニ反對ヲ致シマシテ飮食物ハ〓シテ之ヲ低
  減ヲ致シタイト云フ希望ヲ申述ベテ置キマス、ソレカラ第五類ニ移リマシテ私ハ百十二ノ
  鑛油一原油、此原油ノ稅率ニ修正ヲ加ヘタイノデアル、原油ノ中デ甲乙丙丁戊己、
  此六種ハ此改正案ノ稅率ヲ總テ半分ニ減ズルト云フノガ私ノ意見デゴザイマス、總テ
  製造業ノ原料ハ成ルベク之ヲ低廉ニ輸入セシメタイト云フノガ私共ノ根本ノ意見デゴザイ
  さく、此原料ノ中ニモ內地ニ於テ十分ニ製造スルコトノ出來ルモノハ別問題ト致シマ
  シテ、內地ノ供給ガ普カラザル品物ニ對シテハ成ルベク此原料ノ稅率ヲ低廉ニ致シテ
  價ヲ廉クシテ、日本ニ輸入スルコトノ出來ルヤウニ致シテ、而シテ其原料ニ依レル製造
  業ヲ奬勵ヲ致シタイト云フノガ此關稅ニ關スル私共ノ考デゴザイマスル、丁度此原油ノ
  稅率ヲ輕減ヲ致シタイト思ヒマスルノモ全ク其趣意ニ外ナラナイノデ、私ガ申スマデモナク、
  今日日本ノ此石油製造セラレタル此石油ト云フモノハ、誠ニ其事業ト云フモノ
  ガ段々發達シテ參ッテ居ルト云フコトハ疑ナイ事實デゴザイマスケレドモ、併ナガラ今日ノ
  石油事業者ノ製造セル品物ガ一般ノ需用ヲ充タスニ足ルカドウカト言ハハ、固ヨリ之ヲ
  充タスニ足ラザルノミナラズ、統計ノ上カラ申シマスレバ殆ド全般ノ消費額ノ七步マデ
  ハ之ヲ海外ニ仰ガナケレバナラヌト云フ狀況ニ相成ッテ居ル、此故ニ此製油ノ事業ハ成
  ルベク之ヲ奬勵シナケレバナラヌノデゴザイマスケレドモ、原料ヲ低廉ニシテ原料ノ輸入ヲ
  容易ナラシメテ、而シテ此油ノ製造業ヲ起サシメ、油ノ製造業ヲ發達セシムルト云フコト
  ハ內地ノ一般ノ需用ニ應ズル上ニ於テハ最モ適當デアラウト考ヘテ居ル日本ノ內地ニ
  於キマスル原油ノ製造高ハ誠ニ少ナウゴザイマス、而シテ此石油ノ事業ハ追〓發達スルト
  申シマスケレドモ、併ナガラ近キ將來ニ於テ一般ノ需用ヲ充タスニ足ラナイト云フコトハ
  亦明カナル事實デゴザイマスル、殊ニ此機械油ノ如キハ外國ノ原油ニ依ラザレバ良好
  ノ品ヲ製造スルコトノ出來ナイモノモ澤山ニアル、イロ〓〓ノ理由ニ依リマシテ此原料
  タル原油ト云フモノハ成ルベク低廉ニ內地ニ之ヲ輸入セシムルト云フコトガ石油ノ製造ヲ
  奬勵スル上ニ付テ必要デゴザイマスカラシテ、原油ノ輸入稅ハ之ヲ輕減ヲスルト云フコト
  ガ適當デゴザイマスノデ、故ニ私ハ此原油輸入稅ノ輕減ノ意見ヲ提出シタ理由デゴザイ
  マ、ソレカラ第六類ニ移リマス、第六類ノ最初ニ揭ゲテゴザイマスル此藥材-賣藥
  ノ原料ニナルモノデゴザイマス、此原料品ノ稅率ヲ總テ輕クスル、其理由ハ此原料ヲ輸
  入ヲ致シマシテ此原料ニ依ッテ製造セラレタル藥材ハ今日ニ於キマシテハ支那、朝鮮ニ於
  テ非常ニ需用ガアル、原料ヲ海外ヨリ輸入ヲ致シ、其輸入品ニ依ッテ製造セラレタル藥
  材ハ今日デハ支那、朝鮮ニ於テ殆ド日本ノ品物ト云フモノハ大ニ其販路ヲ發展シツヽ
  アル際デゴザイマス、所謂賣藥ト雖モ此製造業ハ須ク之ヲ奬勵スベキ必要ガアルト信ジ
  テ居ル、卽チ其製造ノ原料トナルベキ此藥材ハ成ルベク稅率ヲ輕減ヲシテ、容易ニ內
  地ニ輸入スルコトノ出來ルヤウニスルト云フコトガ內地ノ製造業ニ對シテノ大ナル利益デ
  アルト信ジマシテ此藥材ノ稅率ト云フモノヲ輕減致シタイト思フノデゴザイマス、ソレカラ
  苛性曹達、其他曹達類ニ對スル稅率モ之ヲ輕減ヲシタイト云フ意見デゴザイマスル、是
  ハ或物ハ藥用ト相成リ、或物ハ一般ノ工業ノ原料トナリ、誠ニ重要ナル工業ノ原料ト
  ナルモノガ多イノデゴザイマスルガ、併シ日本ノ內地ニ於キマシテハ此曹達類ノ中デ之ヲ
  製造スルコトノ出來ナイモノガアル、或ハ又製造スルコトガ出來ルト致シマシテモ、普ク一般
  ノ需用ヲ充スコトノ出來ナイモノモゴザイマスシ、且其品質ニ於テ外國ノ品物ニ敵對ヲスルコ
  トノ出來ナイモノモゴザイマスル、一般ノ工業製造業ヲ奬勵ヲスルト云フ上カラ申シマスレバ、
  此ノ如キ必要ナル工業ノ原料品ハ成ルベク之ヲ稅率ノ低減ヲ致シマシテ、內地ニ之ヲ輸
  入ヲスル必要ガアラウト私共ハ確信ヲ致シテ居リマスル、此〓モヤハリ製造ノ原料トナル
  ベキ品物デ、內地ニ於テ供給ノ豐カナラザルモノハ成ルベキ其稅率ヲ輕減スルト云フ根
  本ノ主義ニ照シテ、此曹達類ノ稅率ヲ輕減スルノ必要アリト認ムルノデゴザイマス、ソレ
  カラ第十類ニ飛ビマス、之ハ餘リ大ナル問題デハゴザイマセヌガ、三百五十四ノ帽子及帽
  體其乙ノ「フエルト」製ノモノ每打七圓五十錢トゴザイマスル、此帽子ト帽體トノ間ノ
  稅率ノ定方ガ頗ル不權衡デアル、製造セラレタル全製品ノ帽子モ、ソレカラマダ〓子ニナ
  ラナイ帽體モ同ジ稅率ニ定メテアルノガ政府案デゴザイマスルガ、是ハ甚グ不權衡ヲ極
  メテ居ルモノト信ジマシテ、私ハ唯權衡ヲ得ルタメニ帽子ト帽體トノ間ノ稅率ニ等差ヲ
  付ケ、竝ニ同ジ帽體ノ中デモ形ツクリタルモノト然ラザルモノトノ間ニハ、相當ノ懸隔ヲ置イ
  テ此稅率ヲ定ムルノ必要アリト信ジマシテ、權衡ヲ得ルタメ私ハ此稅率ニ變更ヲ要スル
  ト云フ一ノ修正案ヲ提出致シタノデゴザイマス、ソレカラ第十一類ノ紙ノコトデゴザイマ
  ス、是ハ大體ハ森田君ノ修正案ト同ジデアラウト私ハ考ヘテ居リマス、總テ此印刷料
  紙或ハ筆記用紙、圖畫用紙、紙類ニ對シマシテハ稅率ヲ輕減ヲシタイト云フノデゴザ
  イマシテ、其輕減ノ程度ハ委員長ノ報〓ノモノヨリハ其輕減ノ程度ガ多イノデゴザイマ
  ス、委員長ノ報告ヨリハ尙之ヲ低減シタイト云フノガ私共ノ修正案デゴザイマス、申マス
  デモゴザイマセヌ、新聞紙ヲ外ニ致シマシテモ或ハ筆記用紙ニセヨ、圖畫用紙ニセヨ、何レ
  モ皆此〓育學術ノ普及、所謂文明ノ普及ト云フコトニ付テ必要ナル品物デゴザイマス
  〓、之ニ對シテ高キ稅率ヲ課スルト云フコトハ誠ニ不適當ノ甚シキモノト認メマス、文明
  ノ普及ヲ希望スル上カラ申シマシテモ、此紙類ノ稅率ト云フモノハ須ク之ヲ輕減スベシト
  云フ意見ニ依ッテ私共ノ輕減案ヲ提出シタ理由デゴザイマス、サウ致シマシテ唯今ノヤハリ
  十一類ニ於キマシテ、此製紙用ノ「パルプ」ト云フモノハ之ヲ無稅ニスルト云フコトガ附
  加ハッテ居リマス、紙ノ稅率ヲ廉クスル、紙ヲ製スル原料タル「パルプ」ハ之ヲ無稅ニスル、
  此紙ヲ製スル事業、製紙業保護ノ上カラ申シマシテモ、原料タル「パルプ」ヲ無稅ニスル
  ト云フコトハ誠ニ適當デアラウト信ジマシテ、紙ノ稅ヲ減ズルト同時ニ原料ヲ無稅ニスル
  ト云フコトガ附帶ヲ致シテ居リマス、ソレカラ第十四類ニ飛ビマス、此修正ハ先刻ノ森
  田君ノ修正案ト大體ハ同ジデアラウト信ジテ居リマス、鐵ノ塊及錠、甲乙丙丁戊ニ至ルモ
  ノハ總テ之ヲ無稅ニスルト云フ意見、一國ノ工業ノ生命トモ云フベキ此原料ノ鐵ハ固ヨ
  リ其供給ヲ豐富ニスルノ必要ガゴザイマス、ドコマデモ此必要ナル鐵材ト云フモノヲ廉ク
  供給ヲシテ、而シテ此一般ノ製鐵事業ノ奬勳ニ資スルト云フコトハ、今日ニ於キ
  マスル急務中ノ急務デアルト私共ハ信ジテ居ルノデゴザイマス、悲イカナ日本ノ內地
  ニ於キマシテハ、ドウモ此製鐵ノ事業ト云フモノガ十分ニ發達ヲセズ、殊ニ此原料
  トナルベキ銑鐵ノ如キ其產出ト云フモノガ誠ニ少ナイ、一方ニハ鐵ノ需用ト云フモノ
  ハ日ニ月ニ盛ニ相成ッテ參ルニ拘ラズ、製鐵ノ事業ハ進マズ、而シテ此鐵ノ原料タル
  銑鐵ノ產出ト云フモノガ誠ニ微々デゴザイマスルカラシテ、一國工業ノ基礎タル百般ノ工
  業製造ノ上ニハ、誠ニ大ナル不便ヲ感ジテ居ルノガ今日ノ狀態デコザイマス、今日
  日本ノ鐵ノ產額ハ善ク積リマシテモ二十万噸ヲ出デナイノデゴザイマスルケレドモ、併
  ナガラ日本ノ內地ノ鐵ノ需用ト云フモノハ實ニ七十万噸以上ニ及ンデ居ル、三分
  ノ二以上ハ之ヲ輸入ニ仰ガナケレバナラヌト云フ狀態ニ相成ッテ居リマス、是故ニ此
  原料ノ鐵ト云フモノハ須ク海外ヨリノ輸入ヲ奬勵ヲ致シ、此輸入ヲ歡迎スベキ必
  要アリト信ジテ、私共ハ此原料鐵ヲ無稅ニスルト云フ意見ヲ有シテ居ルノデゴザイマス
  サウ致シマシテ他ノ此鐵板、鐵線、總テ此鐵ニ關係ヲ致シマスルモノハ、原料ヲ無稅
  ニスルト同時ニ其割合ニ於キマシテ稅率ヲ總テ之ヲ輕減ヲスルト云フノガ、此第十四
  類ニ於ケル私ノ修正ノ大要デゴザイマス、ソレカラ第十五類ニモ修正ガゴザイマス、是ハ
  鐵道用建築材料、家屋、橋梁、船舶、船渠等ノ建築材料、此建築材料ノ輸入稅率ヲ
  輕減スルト云フ意見デゴザイマス、是ハ全ク鐵ノ輸入稅ヲ-原鐵ノ輸入稅ヲ免除スル
  ト云フ根本ノ意見デアルカラ、ヤハリ之ニ及ビマスルノデ、鐵ノ稅ヲ無稅ニシ、或ハ之ヲ輕減
  ヲスルト同時ニ此建築材料トナルベキ鐵材ノ如キハ固ヨリ之ヲ輕減スル必要ガアル此
  點カラ致シマシテ此四百八十二ト四百八十四ノ建築材料ノ稅率ノ輕減ト云フコトヲ主
  張致スノデゴザイマス、四百八十三ノ電線支柱及電線支架用材料ト云フモノモヤハリ同
  一ノ理由デ此稅率ノ輕減ヲ希望致シマス、ソレカラ第十六類ニ於キマシテ是ハ總テ機械
  類ハ澤山ニゴザイマスルケレドモ、總テノ機械類ノ稅率ノ輕減ヲスルト云フノガ一ツノ修
  正デゴザイマス、森田君ノ修正ト大體ニ於テハ同ジデアラウト考ヘテ居ルノデゴザイマスガ、
  申スマデモ今日ニ於キマシテハ日本ノ此機械工業ト云フモノガ段々進步發達シツヽアル
  ト云フ狀況ハ疑ヲ容レヌトコロテゴザイマス、ケレドモ、併ナガラ此日本ノ技術ノ進步ト云
  フモノハ尙未ダ海外ニ及バザルモノガアル、總テノ此製造ノ機關備ハラザルガタメニ或物
  ニ依リマシテハ機械ト云フモノハ是非トモ之ヲ海外ノ供給ヲ仰ガナケレバナラナイト云
  フモノガ、尙澤山存在ヲ致シテ居ルノデゴザイマス、此故ニ此機械類ノ輸入稅ヲ輕減ヲ
  致シテ、文明ノ知識ニ依ッテ構造セラレタ、立派ナル機械類ヲ日本ニ輸入ヲスルト云フ
  コトガ、日本ノ製造工業ノタメニハ利益デアラウト云フ私共ノ意見デアル、中ニハ日本
  ノ機械工業モ段々發達シ來リタル今日デゴザイマスルカラ、日本ノ機械工業ヲ保護ス
  ルタメニ外國ノ此機械ノ輪入ニ對シテハ稅率ヲ高クスル方ガ宜シイト云フ議論ヲ唱
  フルモノモアルノデゴザイマスケレドモ、機械ノ輸入稅ヲ高クスルト云フコトハ卽チ機械
  ノ價ヲ高クスルト云フノデ、機械ノ價ヲ高クスルト云フコトハ日本內地ノ百般ノ此製
  造業ノ資本ト云フモノヲ多ク費サシムル所以デゴザイマシテ、根本カラ日本ノ百般ノ
  製造業ニ不利益ノ影響ヲ與ヘルト云フコトハ言フマデモナイノデゴザイマス、デ殊ニ海外
  ヨリ輸入スル新發明ノ新知識ノ機械ト云フモノハ、マダ日本ノ內地ニ於テ十分之ヲ
  製造スルコトノ出來ナイ今日ノ狀況デゴザイマスルカラシテ、文明ヲ輸入スル新知
  議ヲ輸入スル新發明ヲ輸入スルト云フ〓カラ申シマシテモ、精良ナル機械ト云フモ
  ノハ日本ノ內地ニ於テ大ニ之ヲ歡迎ヲシナケレバナラヌト私ハ思ッテ居ルノデアリマスル、
  此〓ニ於キマシテ百般ノ機械類ノ此稅率ハ之ヲ輕減スルノ必要アリト認メテ原案ニ
  對シテ總テ輕減ノ修正意見ヲ提出致シテ置イタノデアリマス、ソレカラ此十六類ノ中
  ノ第五百四十三號ノ「アンペアメーター」及「ヴオルトメーター」第五百四十四ノ「ワットメ
  ーター」ト此二ツハ原案ニ於キマシテ從量稅ニ相成ッテ居ルノデアリマスガ、別ニ深イ理由
  ハゴザイマセヌガ、其價ニ等差ガアル、品物ニ依ッテ價ノ差ノ甚シイモノデゴザイマスルカラ
  シハ、之ヲ從價稅ニシタガ適當デアラウト云フ意見ノ下ニ此二ツノモノニ對シマシテハ何
  レモ從量稅ヲ廢メテ從價一一割ト云フコトニ修正ヲ致シタイト云フ意見デアリマス、ソレカ
  ヲ船舶ニ付キマシテハ委員會ノ修正意見モゴザイマスルガ、是ハヤハリ價ノ差ノ甚シイモ
  ノモゴザイマスルシ、一率ノ此下ニ從量稅、噸稅ニ依シテ之ヲ課スルト云フコトハ洵ニ不
  適當デアルト認メマシテ、私共ハヤハリ此現行ニ於ケル稅率ト同ジク從價稅ト致シテ從
  價一割ト云フコトニスレバ卽チ適當デアラウ、船舶ニ對シテ高イ稅ヲ課スルト云フコトガ
  不當デアルト云フコトハ今更申シマセヌケレドモ、船ノ種類ニ依ッテ價ノ等差ノ甚シキモノ
  ヲ一率ノ下ニ支配ヲスルト云フコトニ付キマシテハ、日本ノ航海業ニ對シテ惡彰響ヲ及ボ
  スコトハ洵ニ少ナカラヌト考ヘマス、卽チ之ヲ從價稅ニ改メルト云フコトハ日本ノ今日ノ
  航海業ヲ發達セシムルト云フ、目的ノ上カラ致シテマシテモ、先ヅ是ガ適當デアラウト私
  共ハ考ヘテ居ルノデアリマス、詳シク申述ベマスレバ餘リ數ガ多クゴザイマシテ煩雜ヲ加ヘ
  マスルカラ、私ハ大體ヲ申述ベタニ止マルノデゴザイマス、先ヅ私ノ修正意見ハ大體ニ於
  テ斯ヤウデゴザイマス、其外ニ(「贊成ガ減ルゾ、餘リ長イ」ト呼フ者アリ)此委員會ノ決
  定ニ付キマシテ私共ガ同意ヲ表シテ居ル〓ダケヲ玆ニ舉ゲテ置キマス、第四類ニ(「簡單
  簡單」ト呼フ者アリ)獸皮ニ關シテ修正ガゴザイマシタ〓ハ、私共ノ同意ヲ致シテ居ル點デ
  ゴザイマス、ソレカラ第二十八ノ野蠶絲ニ對スル意見モ私共同意スルトコロデアリマス、
  之ニハ先刻森田君ノ御意見ガゴザイマシテ、野蠶絲ヲ無稅ニスルト云フコトハ日本ノ內
  地ノ生絲ニ影響スルデアラウト云フ御意見デアリマシタガ、野蠶絲ノ今日ノ使途ハ全ク
  生絲トハ別デゴザイマス、生絲トハ其性質ヲ異ニシテ居ルト云フコトハ明カデアリマスカ
  ラ、森田君ノ憂慮セラルヽ如ク生絲ニ對シテ影響ヲ有ツト云フコトハ全ク杞憂ニ屬スルノ
  デアリマス、此〓ハ森田君ト意見ヲ異ニシテ、日本ノ一種ノ織物業奬勵ノタメ此野蠶
  絲ヲ無稅ニスルト云フ委雲貝會ノ意見ニ同意ヲ致シマス、其外「クロール」酸加里ノ稅率
  ヲ是迄無稅デアッタモノニ課稅ヲスルト云フ委員會ノ意見ハ私ハ森田君ト同樣ノ精神ニ
  於テ此委員會ノ修正ニ反對ヲ致シマス(同意デモ同意デナクテモ宜イ」ト呼フ者アリ)
  又此藍ニ對スル稅率ヲ增加セシメタル委員會ノ意見ハヤハリ私共反對スルトコロデアル、
  日本ノ織物ノ業ヲ奬勵スル上カラ申シマシテモ織物ヲ消費スルト云フ一般ノ國民ノ利
  益ノ上カラ申シマシテモ、藍ニ對スル課稅ノ增率ヲ致スト云フコトハ決シテ適當ナル處置
  ト申スコトハ出來ナイノデアリマス、此〓ニ於キマシテハ政府ハ委員會ノ意見ニ反對デア
  ルト言明サレタノデアリマスルガ、私共此〓ニ於テハ政府ノ意見ト同樣デアッテ、委員會
  ガ此稅率ヲ上ホスト云フ修正ヲセラレタニハ吾〓反對ノ意ヲ表白シテ置キマス、尙修正
  ノ條項ハ澤山ニゴザイマスガ私ハ大體ニ於キマシテ私ノ修正ノ意見ヲ此處ニ〓括シテ此
  ノ如クデゴザイマスト申述ベテ置キマスカラ、諸君ハ私ノ意見ト雖モ其公平ナルモノニ對
  シテハ、須ク猛省シテ御贊成下サルヤウニ私ハ希望致スノデアリマス
  〔參照〕
  第二類穀物穀粉澱粉類及種子
  二米及籾無稅
  大麥每百斤〇、二〇
  一一一一バールバーレー同二、〇〇
  一六四三小麥
  同〇、四五
  二豆類
  一大豆無稅
  二小豆每百斤〇、三二
  三蠶豆〇、三〇
  四綠豆同同同〇、三二
  五豌豆〇、三〇
  第三類飮食物及煙草
  三蔬菜果實及核子
  一砂糖、糖蜜、糖水、又ハ蜂蜜ヲ以テ貯每百斤一〇、〇〇
  藏シタルモノ容器共
  二其他
  甲蔬菜
  甲ノ一鑵詰ノモノ同容每器百共斤六、〇〇
  甲ノ二罎詰ノモノ五、八〇
  甲ノ三壺詰ノモノ同一、五〇
  甲ノ四其他從價二割
  乙其他
  乙ノ一鑵詰ノモノ每百斤五、〇〇
  容器共
  乙ノ二罎詰ノモノ同同六、三〇
  乙ノ三壺詰ノモノ二、四〇
  乙ノ四其他
  イ生果每百斤二、七〇
  ロ乾果同四、六〇
  ハ核子同五、三〇
  ニ其他從價二割
  三四咖啡
  -種子每百斤〇、〇〇
  二其他同七、〇〇
  三五チコリー其他咖啡代用物從價三割
  四〇砂糖
  每百斤二、〇〇
  二二、四八
  三(原案)三、三五
  四同同同同同三、六〇
  五三、九〇
  氷砂糖、角砂精、棒砂糖、其他類似ノモノ六、二〇
  四四二一糖蜜
  一糖分ノ蔗糖トシテ計算スル重量一、〇五
  ノ百分ノ六十ヲ超ヘサルモノ
  二其他二、一〇
  四三葡萄糖、麥牙糖、及飴一二、九〇
  四四蜂蜜同同同容每同同同器百共斤六、〇〇
  四五菓子二八、〇〇
  四六ジヤム、ブルートゼリー類一五、〇〇
  五五コンデンスドミルク五、六〇
  五九鳥卵每百斤四、〇〇
  六四葡萄酒
  一罎入ノモノ每百リー二〇、〇〇
  トル
  二其他
  甲
  イ六、〇〇
  同同同同一〇、〇〇
  乙其他(Reichscop
  六五シヤンペン其他ノスパークリングワインm2(30°C
  第五類油、脂蠟及其製品
  一一二礦油
  -原油
  每十米ガロン○
  〇、五三一九
  戊丁丙乙甲〇、
  同同同同同〇、
  〇、八七
  己〇·
  第六類藥材、化學藥、製藥、其ノ調合品及爆發藥
  一一三甘草每百斤〇、五〇
  五吐粮同二〇、〇〇
  二七桂皮從價五分
  一二八キナ皮每百斤一、六六
  二九龍膽及、ケンチアナ根〇、七三
  一三〇大黃〇、六五
  一三一セメンシナ一 七 〇
  一三二セネガ根五、〇〇
  一11m2麥角三、六〇
  一六三苛性曹達及苛性加里
  -精製ノモノ每百斤三、六三
  二其他〇、三五
  一六四ヨート曹達同同
  一〇〇、〇〇
  一六五炭酸曹達
  一曹達灰〇、一六
  二其他〇、四〇
  一六六重炭酸曹達從同同同〇、五〇
  二〇九鹽酸キニーネ及硫酸キニーネ價二割
  第十類衣類及同附屬品
  三五四帽子及帽體
  乙フヱルト製ノモノ
  乙ノ一每打七、五〇(原藥)
  乙ノ二
  イ形リタルモノ同五、五〇
  ロ其他
  ロノ一羊毛製ノモノ同一、二〇
  ロノ二其他從價二割(原藥)
  第十一類製絲用パルプ、紙、紙製品書籍及繪畫
  三六一製紙用パルプ
  メカニカルパルプ無稅
  二其他同
  三六二印刷料紙
  一アートペーパー每百斤一、六〇
  二其他
  甲有色ノモノ同〇、八〇
  乙其他
  イ一平方メートルノ重量五十一、〇〇
  八ガラムヲ超エサルモノ
  ロ其他一、一〇
  三六三筆記用紙一、六〇
  三六四圖畫用紙同同同同同同同同一八0
  三六五ブロッチングペーパー一九
  三六六濾紙七〇〇
  三六七包裝用紙及燐寸用紙〇八八七
  三七二模造日本紙及二、一〇
  三七三模造羊皮紙
  →金屬ノ箔又ハ粉ヲ用井タルモノ一八
  二其他同同一、二〇
  第十三類陶磁器、硝子及硝子製品
  四三八左ノ一項ヲ挿入ス
  四碍子從價二割
  四四三硝子棒及硝子管每百斤五、三〇
  四四四硝子板
  -無色平面ノモノ
  甲
  每百平方メー九、〇〇
  イルト
  ロ同一五、〇〇
  乙
  イ同同四五、〇〇
  ロ一一四、〇〇
  二鍍銀シタルモノ
  甲同同一一一、一五
  乙一二八、〇〇
  三有色、著色又ハ砂磨ノモノ
  甲二三、〇〇
  乙同同同二六、五〇
  四條付ノモノ二三、〇〇
  五其他從價二割
  四四五金屬ノ線又ハ網ヲ入レタル硝子板每百平方メー四二、〇〇
  トル
  第十四類鑛及金屬
  四六二鐵
  塊及錠稅
  同同同同同無
  己戌丁丙乙甲
  イ每百斤〇、三四
  ロ同〇、四〇
  ハ從價五分
  二條及竿每百斤〇、四〇
  三ワイヤロッド同〇、七三
  四板
  甲
  甲ノ一〇、五〇
  〒二同同〇、八三
  (〓)〓〓
  イ同〇、二八
  〇、五〇
  ハ〇、四〇
  乙
  乙ノ
  イ〇、四五
  一、一八
  てハ從同同同一、〇〇
  てつれ價一割五分
  五線
  甲
  イ每百斤〇、六四
  ロ同〇、五四
  乙
  乙ノ一
  イ一、〇〇
  同同〇、九〇
  乙ノ二從價一割五分
  乙ノ三同一割五分
  六レードワイヤ每百斤一、二〇
  リボン同〇、七五
  八七帶
  甲同〇、二五
  乙從償五分
  九パラゴンワイヤ
  甲每百斤三、二五
  乙從價一割五分
  十線索及撚合線每百斤五、一二
  ±バーブトツワイストワイヤ同一、六二
  十二筒及管
  甲
  甲ノ一
  イ每百斤一八〇
  ロ同一、九〇
  甲ノ二
  イ〇、七五
  ロ從同同同一、五五
  ハ〇、八〇
  乙價一割五分
  十三屑及故無稅
  第十五類金屬製品
  四八二鐵道建築用材料
  一レール每百斤〇、六〇
  二ポータブルレール一、四四
  ターンテーブル及同部分品同同
  三二、一〇
  四フイツシュプレート、タイ同〇、八五
  プレート及スリーバー
  五其他從價二割
  四八三電線支柱及電線支架用材料
  一電線支柱及同部分品每百斤一 〇 〇
  二其他
  甲鐵製ノモノ每百斤三、三五
  乙其他同一、一〇
  四八四家屋、橋梁、船舶、船渠等ノ建築材料同一、五〇
  第十六類時計、學術品、銃砲、車輛船舶及機械類
  五四三アンペーアメーター及ヴォルトメータ-從價二割
  五四四ワットメーター同同
  五六一鐵道車輛同同
  五六二鐵道機關車部分品、鐵道機關車用炭水車部分品其他鐵道車輛部分
  品
  一車輛及車軸
  甲機關車用ノモノ百斤一、八〇
  乙其ノ他一、三〇
  二タイヤー同同同同每〇、七五
  三バッファー及スプリング二、五五
  四電氣車用調整機六、〇〇
  五其他從價一割五分
  五六八船舶
  -從價-割
  五六九汽鑵每百斤二、九五
  五七〇汽鑵部分品同附屬品
  一每百斤三、一八
  二同一、九〇
  三從價二割
  五七一フューエルエコノマイザー每百斤一、二〇
  五七二フィードウォーターヒーター同五、五〇
  五七三鐵道汽鑵車及鐵道機關車用炭水車
  -機關車
  甲汽力ニ依ルモノ每百斤五、八〇
  乙其ノ他同六、九〇
  二炭水車從價一割五分
  五七四蒸汽機關車每百斤三、九〇
  五七五スチームタービン從價一割五分
  五七六蒸汽機關
  ー每百斤一二、〇〇
  六、七五
  六、〇〇
  五四三二同同同同同四、五〇
  三、三〇
  六三、〇〇
  五七七瓦斯機關、石油機關及熱氣機關
  一百斤二二、五〇
  二一五、一〇〇
  同同同同每六、七五
  四三五、五〇
  五三、七五
  五七八ウォータータービン及ペルトンウィール
  一每百斤一九、五〇
  二六、七五
  三同同同同六、〇〇
  四五、五〇
  五四、〇〇
  五七九發電機、電動機、變壓機、變流機及發電子
  一每百斤一九、五〇
  二一二、〇〇
  一〇、五〇
  一〇、二五
  八七六五四三九、〇〇
  七、七五
  六、七五
  五、五〇
  五八〇原動力機ト結合シタル發電機
  一從價一割五分
  二
  每百斤一一、四〇
  七、九五
  七、九〇
  六、六〇
  壬辛庚己戊丁丙乙甲同同同同同同同同六、三〇
  五、四〇
  四、八〇
  三、九〇
  三、八〇
  三
  每百斤一三二〇
  丙乙甲七、九五
  七、九〇
  六一五
  戊丁四、九五
  己四、四二
  四從價一割五分
  天八別號ニ揭ケサル原動力機同一割五分
  五八ブロック及チヱーンブロック
  一從價二割五分
  二
  甲同同
  乙每百斤四、三〇
  五八三クレーン
  一同三、一五
  二同二、八五
  キヤプスタン、ウインチ、ウインドラス其他別號ニ揭ケサルワイン
  五八四ヂンクマシン
  一
  六、〇〇
  丙乙甲四、五〇
  同同同同三、七五
  二二、八五
  五八五浚渫機械
  三、五
  從同價一割五分
  二
  五八六パワーハシマー
  -
  甲每百斤二、八〇
  乙同一、八〇
  二從價一割五分
  五八七空氣アムモニア其他氣體ノ壓榨機每百斤四、九〇
  五八八縫衣機
  一三、九〇
  同同八、八〇
  二
  五八九縫衣機部分品及附屬品
  -同五一0
  從價二割
  五カ)潛水器及部分品
  -每百斤一二、〇〇
  二從價一割五分
  五九一喞筒
  一
  乙甲每百斤九、〇〇
  同六、七〇
  六、○0
  戊丁丙同同同同五、五〇
  四、五〇
  己三、四五
  二從價一割五分
  五九二インセクター及エゼクター
  -每百斤六、七〇
  二同四、四三
  五九三送風機從價一割五分
  五九四水壓機
  一每百斤七、〇〇
  二六、〇〇
  五、五〇
  四三同同同同同四、五〇
  五三、〇〇
  五〇五ニウマチツクツール四六、〇〇
  五〇六別等ニ揭ケサル金屬工及土工機械
  每百斤二五、五〇
  一五、五〇
  -〇、〇〇
  九、〇〇
  八、〇〇
  十九八七六五四三二一七、〇〇
  同同同同同同四、四〇
  四、〇〇
  二、七〇
  同二、五〇
  五九七紡績機械、紡績準備機械、紡績絲整理機械、織布準備機械及撚絲製造
  機械同三、〇〇
  五九八織布機
  同一、六〇
  二從價一割
  五九九織布整理機械每百斤三、二〇
  六〇〇メリヤス機械
  一同一八、〇〇
  二同九、〇〇
  六〇一絲布染色機械、絲布漂白機械及マーセライヂンクマシン
  從價一割五分
  六〇二製紙機械、製紙準備機械同一割
  六〇三印刷機械同一割五分
  每百斤四〇〇
  六〇四前號ニ揭ケサル機械從價一割五分
  六〇五機械部分品
  甲每百斤四、八〇
  乙同四、〇〇
  二
  甲
  甲ノ一從價一割五分
  甲ノ二
  每百斤八、〇〇
  同七、五〇
  ニハロイ四、〇〇
  同同三、〇〇
  乙
  イ一七、〇〇
  同同八〇〇
  丁丙從價割五分
  何故か
  同同每同百斤○○
  八00〇〇
  六五四三四、
  紡績用及撚絲用トラベラー
  甲每百斤一九、〇〇
  内裝共
  乙同三四、〇〇
  七紡績用及撚絲用ボビン
  甲每百斤九、〇〇
  乙從價一割五分
  八カードカン
  甲每百斤二、九〇
  乙從價一割五分
  九カートクロージンク
  百斤一九、〇〇
  乙甲一六、六〇
  十杼同同同同每八、七〇
  十一筬八、六〇
  十二製紙用フェルト三五、〇〇
  十三製紙用金鋼一七、○○
  十四其ノ他從價一部分を示す。
  六三五ノ三ノ甲ノ(イ)
  三十二燭光トアルヲ三十五燭光ニ改ム

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=91

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• 092・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　〓水市太郞君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=92

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• 093・清水市太郎

  ○〓水市太郞君　私ハ極ク簡單ナコトデアリマスカラ此席カラ申シマス、第六類第百
  七十六卽チ「クロール」酸加里ノ輸入稅ノコトデアリマス、是ハ政府案ハ無稅ニナッテ居
  ル政友會ノ修正案ハ五分ノ稅ヲ課スルコトニナッテ居ル、併ナガラ是ハ主トシテ燐寸ノ
  製造ノ原料ニナルト云フコトハ諸君ノ御承知ノ通リデアル、而シテ此燐寸製造ト云フコ
  トハ甚グ輕微ノコトノヤウニ一見思ハレマスガ、實ハ千万圓以上ノ輸出ガアル帝國ノ製
  造ノ燐寸ガ〓國、印度、新嘉坡邊マデ輸出セラレテ、サウシテ獨逸、其他ノ有力ナル諸
  强國ト競爭シテ居ル其主タル製造業ノ原料デアルトコロノ「クロール」酸加里ニ稅ヲ課ス
  ルト云フコトハ甚タ經濟上、又關稅政策上、所謂製造業ガ帝國ニ於テ大ニ發展ノ見
  込アル諸外國ト競爭ヲセンナラヌトコロノ其原料ニ稅ヲ課スルト云フコトハ甚ダ當ヲ得ヌ
  ト信ズル、故ニ賢明ナル政友會諸君ハ此帝國ノ一大產業デアル燐寸ノ原料ヲ無稅デ
  アッタ政府案ニ修正ヲ加ヘラレテ五分ノ稅ヲ課セラレルト云フコトハ須ク改メラレタイト希
  望スルノデアリマス是ダケガ私ノ意見デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=93

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• 094・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　鈴木摠兵衞君
  〔鈴木摠兵衞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=94

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• 095・鈴木そう兵衞

  ○鈴木摠兵衞君　私ハ第十六類ノ時計、此五百二十六懷中時計、ソレカラ五百二
  十七ノ懷中時計部分品此二〓ニ付テノ修正意見ヲ持ッテ居リマス、此時計ニ付キマ
  シテハ現行法ハ金側、又ハ白金側ノモノニ付テハ從價五割ト云フ稅ヲ付シ銀側ノモノ
  ニハ四割ノ稅ガ付シテアリマス、然ルニ政府ノ改正案ハ從量稅ニナッテ居リマスガ、事實
  ニ於テハ從價二割前後ノ算定ニ當リマス、是ハ旣ニ政府ニ於テハ「ダイヤモンド」或ハ眞
  珠等ヲ輸入スル時ニハ密輸入ガ多クテ稅關ノ帳簿ニ登ルコトガ少ナイ、因テ甚ダ低イ五
  分ノ稅トシテ此密輸入ヲ防グト云フコトニナッテ居リマスガ、時計ノ如キハ是等ノ小サイ
  物ト違ヒマシテ一ノ具體品ニナッテ居リマスカラ、夫程心配モ要ルマイト思ヒマス因テ
  密輸入ガアルカラ廉クスルト云フコトハ抑〓徴稅上ノ本義デモアルマイト思ヒマス、旁ミ
  以テヤハリ現行法ノ如ク金側、白金側ノモハ從價五割銀側ノモノハ四割、附屬品モ
  之ニ準ジテヤハリ現行法ノ通リニスルノガ當然ト思ヒマス、諸君ニ於テモ宜シク御贊成ア
  ランコトヲ偏ニ希望致シマス
  〔參照〕
  五二六懷中時計現行法改正案修正說
  ノ金側又ハ白金側ノモノ五割量五
  ノ二銀側又ハ鍍金側ノモノ四從從從量量四四割割割
  其他四割割
  ノ三
  五七懷中時計部分品
  ノ側ウォッチグラスヲ附著シタ)
  ルモノヲ含ム
  乙甲金製又ハ白金製ノモノ
  銀製又ハ鍍金製ノモノ四四五割割割從從從量量量四四五割割割
  丙其他
  五二七ノ二ムーヴメント|次字板及指針ヲ附著セサルモノヲ含ム)
  ノ三撥條從量四割
  四割每百箇○○○○
  ノ四鬚撥條同同同
  同〇、三五
  ノ五文字板同同同
  同一、二〇
  ノ六ウォッチグラス三割同三割
  每百斤五八、六〇
  ノ七石(機械用ノモノ)同四割一割五分同四割
  ノ八其ノ他四割

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=95

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• 096・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　武藤金吉君
  〔武藤金吉君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=96

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• 097・武藤金吉

  ○武藤金吉君　本員ハ此關稅定率改正ノ委員長ノ報告ニ贊成ヲ致シマスル者デアリ
  マス、而シテ唯今進步黨ノ代表者森田君マタ又新會ノ早速君カラ更ニ修正ノ意見ガ出
  テ居リマスガ、此關稅ノ改正ハ我ガ國民ガ幾ド首ヲ延バシテ此關稅ノ議定權ヲ得ンガタ
  メニ今日マデ待ッテ居ッタ案デゴザイマス、吾ミハ本院ノ委託ニ從ヒマシテ十分ニ審査ヲ
  致シタモノデアリマス、而シテ進步黨、竝ニ又新會ノ諸君カラ唯今御修正ニナッタ〓ヲ拜
  聽致シマスレバ、其審査ノ杜撰ニシテ數字上ニ亙ラザル〓ガアル等ハ吾〓ノ甚ダ遺憾ト
  スルノデアリマス、是等意見ヲ異ニスル〓ニ付キマシテハ一ミ數字ヲ以テ爭ハウト思フノデ
  アリマス、(藏原惟郭君「モウ大體デ措ケ」ト云フ)然リ大體デアリマス、旣ニ委員會ノ決
  定ニ對シマシテ同意見ノ〓ハ意見ヲ述ブルノ必要ガナイノデアリマス、故ニ意見ヲ異ニスル
  〓ニ對シマシテ本員ノ意見ヲ述ベタイト思フノデアリマス、此第五類ノ芳香性ノモノ、油
  デアリマス、此油ニ付キマシテ原案ハ無稅トナッテ居リマスモノヲ委員會ノ決定ハ一割ニ
  課稅ヲスルコトニナッタノデアリマス、此油ニ付テ森田君カラシテ痛切ナルトコロノ攻擊ガ
  アリマシタガ、此油ハ御承知ノ如ク石鹼ノ原料、香水ノ原料トナルモノデアリマシテ、又
  日本ニ輸入ニナリマシテ更ニ〓國、朝鮮、若クハ濠洲邊マデ輸出ニナルモノデアル、サウ
  デアリマス、是等ハ實ニ一滴落シタナラバ其原料ニナルモノデアッテ、實ニ贅澤物ニ屬スル
  モノデアル、贅澤物ニ屬スルモノヲ無稅ニスル必要ハナイ、是等ノモノヲ無稅ニスルトサ
  ナキグニ「ハイカラ」ガ多クナッテ困ルノデアリマス、デ吾〓委員會ハ此ノ如キモノハ一割ノ
  課稅ヲスルノハ相當デアルトシテ課稅ヲシタノデアリマス、ソレカラ次ハ第六類ノ議論ノ一
  番多イ「クロール」酸加里デアリマス、「クロール」酸加里ハ卽チ鹽酸加里デアリマス、其原
  料ハ海岸カラ海ノ藻草ヲ採ッテ製造スルモノデアッテ、卽チ燐寸ノ原料デアル、爆發物デ
  アル、而シテ政府ハ此「クロール」酸加里ニハ極メテ强キ反對ヲナサレテ居リマスガ、政府
  ノ御考モ未ダ此「クロール」酸加里ガ日本デ出來ルト云フコトノ研究ガ足ラナイノデアラウ
  ト思フノデアリマス、諸君此「クロール」酸加里ハ唯今燐寸ノ製造高ハドレダケデアルカト
  言ヘバ、日本ノ內地デ使フトコロノモノト外國ニ輸出スルモノトヲ合セマスレバ一千万圓
  デアリマス、而シテ此「クロール」酸加里ノ使用高ハ委員會ニ於キマシテモ段々政府委員
  ニ質問ヲ致シマシタガ百万圓以內デアル、又燐寸ノ外ニ其他ニドウ云フトコロニ使ハレル
  カト申シマスレバ、其他ニ使ハレルトコロノモノモ明カデナイノデアリマス、免ニ角是ハ燐寸
  ノ原料トシテ有用ナ材料デアルノデアリマス、而シテ此輸入スルトコロハ外國ノ「トラスト」
  ガ其全權ヲ有ッテ居ッテ、日本デ是ガ出來ナイトスレバ其相場ヲ常ニ上下ゲヲ致シマシテ、
  現在ノ相場ハ一斤十七錢デアリマスケレドモ現ニ三四年前ニハ三十三錢マデ上ッタノデ
  アリマス、若シ日本ニ此燐寸ノ原料ガ出來ナイト致シマスレバ、又三十三錢ニモ四十錢
  ニモ上ゲルコトハ必定デアル、然ルニ今此材料ガ我海岸ニアッテサウシテ拵ヘルトスレバ、
  是ハ十二錢デ出來ルノデアリマス、此ノ如キ計算ガ出テ出來ルニ拘ラズ、唯是ハ日本デ
  出來ナイト斷定スルノハ大ナル間違デアル、委員會ハ進步黨ノ森田君ノ攻擊セラレタルガ
  如ク、或ル豪商ヲ保護スルトカ、豪商ト結託ヲスルガ如キトコロノ言葉ヲ以テ反對ヲセラ
  レタノデアリマスガ、特別委員會ハ豪商ト何等ノ關係ハナイ、又政友會モ尙更何等ノ
  關係ガ無イノデアル、唯我邦ノ產業ノ上カラ燐寸事業ガ大切ナル事業ナルガ故ニ、此案
  ヲ鄭重ニ審査ヲシテ決定ヲシナケレバナラヌノデアル、然ルニ何事ゾ此數字モ舉ゲズシテ
  漫リニ揣摩憶測ヲ逞ウスルト云フコトハ、實ニ森田君ノタメニ取ラザルノミナラズ、本
  員ハ斷ジテ此說ヲ容レヌノデアリマス、諸君、今試ミニ此燐寸ガドレダケ掛ルト云フコト
  ヲ說明ヲ致シマスレバ、燐寸一噸ニ付テ「クロール」酸加里ハ一貫三百目乃至一貫四
  百十匁マデ使フノデアリマス、此價ガ一圓七十四錢乃至一圓九十三錢掛ル、假ニ一
  割課稅スルトスレバ十七錢乃至十九錢デアリマス、委員會ノ課稅ハ五分ノ
  課稅デアル、燐寸一噸ガ八錢七厘ニ當ルノデアリマス、其「クロール」酸加里ヲ以テ
  安全燐寸一噸ヲ造リマスレバ、其代價ハ十五錢乃至十八錢ニナルノデアリマス、
  而シテ「クロール」酸加里ハ此一噸一貫三百目ノ價ガ一圓七十四錢テアリマ
  シタナラバ拵ヘタ一噸ノ燐寸代金ニ對シマスレバ四毛五絲乃至五毛ニ當ル
  ノデアリマス、何カ是ガ國家ノ營業ヲ害スル、此ノ如キトコロマデ〓究ヲシナイデ
  淺薄ノ議論ヲ以テ反對ヲセラルルガ如キコトハ實ニ人民黨ヲ以テ任ズルトコロノ又
  新會、進步黨ノタメニ甚ダ殘念ニ思フノデアリマス(「大キナ御世話デス」「名論ダ」「忠
  言耳ニ逆ラウ」ト呼フ者アリ)次ニ第七類ノ天然藍及人造藍、或ハ「アリザリン」染料ニ
  付キマシテ意見ヲ異ニ致シマス、諸君、我邦ノ此染料ハ一ニ此天然藍ヲ以テ染メテ居ツ
  タモノデアリマス、近來此文明ノ進步ト共ニ此化學ノ作用ガ發達ヲ致シマシテ、天然藍
  及「アリザリン」染料ハ殆ド世界ノ染色業ニ普及シテ居リマスケレドモ、日本ニハ獨
  特ノ人造藍ガアリマシテ今日ト雖モ此人造藍ハ決シテ無用ノモノデハナイノデアリマス、
  單リ德島縣ノ產物デハナイ、、三十餘縣到ル處藍ノ畑ノナイ處ハナイデアリマス、然ルニ此
  藍製造業者ハ昨今ノ狀態ハ此輸入關稅ノタメニ人造藍ト「アリザリン」染料ノタメニ權
  衡ガ取レズシテ、稍〓微微ノ兆ヲ來シテ居ルノデアリマス、此〓ハ內地ノ產業ニ鑑ミテサ
  ウシテ此稅率ヲ査定シタノデアリマシテ、、反對論者ノ言ハレルガ如ク此染料ヲ値上ゲヲシタ
  ナラバ染色業者ノミナラズ、此機業者ガ甚ダ迷惑ヲスルト云フガ如キハ是亦皮相ノ見デ
  アリマス、諸君、此織物業組合カラ屢〓電報ガ來タガ、是ハ東京ニ居ルトコロノ染料商
  ガ、反對ヲスルニ過ギズシテ、決シテ是ハ織物業組合ノ意見デハナイ、今日ニ於テ進步黨
  ノ如キ、又新會ノ如キガ織物業者ノ御機嫌ヲ取ッテモ三稅廢止ト同樣デ御無用デアラ
  ウト思フノデアル、是等ニ付テハ深ク辯ズルマデモナク、政府モ反對ヲ致サレテ居リマス
  ガ、現行法律デ人造藍ノ率ハ三割ニナッテ居ル、而シテ此十二圓九十五錢三厘ニナツ
  テ居リマスモノガ、三十三圓七十錢ニ上リマシタカラ、非常ニ上ッタヤウデアリマスケレド
  モ現行率ノ規定ハ三割ニナッテ居ルノデアリマス、是等ハ委員會ニ於キマシテモ其大部
  分ハ贊成デアリマシテ、又政府原案ヲ維持スルモノガアリ、又中央倶樂部ノ如キハ三
  割減ヲ主張シタノデアル黨派カラ申シマスレバ我黨ハ其中ノ中ヲ採リマシテ一割六分
  九厘ヲ採ッタノハ、是ハ公平ナ見地カラ之ヲシタノデアリマス、ソレカラ其次ハ野蠶絲デゴ
  ザイマス、野蠶絲ハ又新會ノ早速君カラ贊成ノ光榮ヲ有シテ居ルノデアリマシテ、大體ニ
  付キマシテハ早速君カラ御辯明ニナッテ居リマスカラ敢テ私ガ申ス必要ハナイノデアリマ
  ス、ナイノデアリマスガ此山繭ノ輸入ヲシテ此製造ハドウシテモ出來ナイ政府當局ノ中殊
  ニ農商務省ハ是ハ出來ルト云フコトヲ政府委員カラ屢說說ニナリマシタケレドモ、ドウ
  シテモ此野蠶絲ハ此氣候ノ差異、總テノ經濟ノ點男工、女工ノ相違カラシテ政府ノ說
  明スルガ如キモノデナイト云フコトヲ委員會ハ發見ヲ致シマシテ之ヲ無稅ニ致シタ、サウシ
  テ其用途ハ絹ノ用途ヲ妨ゲルト申シマスガ、此柞蠶絲ハ自ラ其用途ヲ別ニ致シマシテ特
  色ヲ有ッテ居ルノデアリマス、我邦ノ決シテ生絲ノ生產ニハ何等關係ガナイト斷定ヲ致シ
  テ差支ナイノデアリマス、殊ニ是等ニ付キマシテハ此近來ノ發達デアリマスカラシテ總テ調
  査〓究ニ付キマシテハ、御緩クリナサレテ居ルトコロノ政府當局者ハマダ此〓ニ氣ガ付カ
  ナイノデアリマス、是等ハ當業者カラ其事實等ヲ吾ミハ親シク聽キ、又書イタモノデ判斷
  スル方ガ確カデアラウト云フトコロカラ之ヲ無稅ニシタモノデ、是ハ進步黨ノ森田君ニ御
  答ヲ致スノデアリマス、其次ガ印刷料紙デアリマス、印刷料紙ニ付キマシテハ是ハ新聞
  用紙ニ付キマシテハ政府ガ新聞ニ御祝儀ヲ申上ゲタト云フ風說ヲ承ッテ居リマス、又雜
  誌其他書籍等ノ陳情總テノ說ヲ聽キマシテ吾〓ハ委員長ノ報告通リ直スノガ此新聞
  用紙ハ均衡ヲ得タルモノデアル計算ノ上ニ於テ穩當ナルモノデアルトシテ、斯ウ直シタノ
  デアリマスデ出來ナイノヲ知リツヽニ漫リニ價格ヲ下ゲテ吾ミガヤレバモット低クシタト云
  フガ如キトコロノ御機嫌ヲ取ルノハ、或ル極左黨ノ慣用ノ手段ト言ッテモ差支ナイ、(拍手
  起ル「モウ止メ給ヘ」ト呼フ者アリ)マダノ··ソレカラ今度ハ此船舶ノコトヲ論ジマ
  ス、此船舶ノコトニ付キマシテハ森田君、早速君カラ御議論ガゴザイマシタガ、是ハ船舶
  ニ關シマシテ兩君ノ意見トモ其船舶ニ付テノ論據ノ薄弱ナルニ驚クノデアリマスN諸君、
  此船舶ハ單リ我邦ノ運輸交通ノ便ヲ爲スノミナラズ國防ノ〓ニ於テ思ヲ及ボサレナイト
  云フコトハ甚ダ殘念デアリマス、諸君、近頃ノ新聞紙ニ依シテ見マスレバ卽チ又新會、
  進步黨ノ聯合新政黨ハ其政綱ノ一ニ軍備ニ付キマシテ揭ゲフレテ居ルアノ政綱ハ强
  テ私ガ解釋スル必要モナイガ、如何ニ解釋ヲシタラ宜イノデアルカ近日ニ分ルデアリマセ
  ウガ、軍備ノ充實ヲ期スルノデアリマスカ、以前ノ如ク消極的方針ヲ執ラレルノデアリマス
  カ、諸君、此船舶ガ我邦ノ大問題デアルニモ拘ラズ、唯船ノ價ガ廉イノ高イノト云フ
  枝葉ノ議論ヲ以テ此修正案ニ反對ヲスルガ如キハ卽チ龍車ニ螳螂ガ當ルガ如キモノト同
  ジデアラウト思フ、(「其議論ハ淺薄ナリ」ト呼フ者アリ)諸君日露ノ戰役ニ於キマシテハ
  此客船デナイトコロノ保護ヲ受ケテナイトコロノ船ガドレ位デアルト云フコトヲ調ベテ見マ
  スレバ、實ニ百七十四隻デアリマス、其噸數ハ三十八万七千八百十一噸デアリマス、
  唯今森田君ノ如キハ一噸ノ價ト一隻ノ價ヲ値段ヲ間違ヘテ論ジテ居ル、是ハ實ニ淺
  薄デアル(拍手起リ笑聲起ル「御名論」ト呼フ者アリ)筆記ヲ御覽ナサイ、此ノ如ク一
  噸ノ價モ一隻ノ價モ知ラナイ代表者ガ此演壇デ船舶ノ議論ヲスルト云フガ如キハ實
  ニ笑フニ堪エタルモノデアル、(拍手起ル「水ヲ一抔飮メ」「其議論淺薄ナリ」ト呼フ者ア
  リ)ソレデ此修正案ノ年限ヲ極メマシタニ付キマシテハ船ノ價ヲ論ズルモノデアリマセヌ、
  又政府カ此原案ヲ出シマシテ總噸數-每噸數ニ對シテ一圓ヲ課稅スル趣意ハ委員
  會ニ說明スルトコロニ依レバ、是ハ老朽船ヲ澤山入レナイト云フ方針デアル委員會ニ
  於キマシテモ御同樣老朽船ガ澤山アルト云フコトハイケナイ、唯其運輸交通ノ便ニ於
  テバカリデハナイ、國防ノ上ニ於テモ老朽船ヲ入レタクナイト云フノガ、一國民ガ擧ッテ
  期待スルトコロデハアリマセヌカ、然ルニ此船ヲ唯輸入スルニ噸數ニバカリ依ッテスルト云
  フコトハ甚ダ宜シクナイノデアル、殊ニ此客船ト貸物船ノ區別ト云フコトニ付テモ〓究
  シナケレバナラヌ、諸君、此一噸ノ十五圓ハ-政府案ノ一噸ニ付テノ十五圓ハ貨
  物船ニ付テハ是ハ苦痛稅デアリマス、禁止稅デアリマス、併ナガラ此老朽船ニ至リマシテ
  ハ老朽船ノ價ヲ見マスレバ一噸ニ付キマシテ極ク廉イ船ハ一噸ガ三十圓乃至五十
  圓デ買ヘル船モアル、又新造船ハ二百圓乃至貨物船ニ致シマシテモ二百五十圓ノモノ
  モアリマス、デ此修正ヲ致シマシタ精神ハ此老朽船ヲ澤山入レタクナイ、故ニ十年ヲ超
  エザルモノハ十年經ッタト雖モ新造船ト同樣デアルカラ、政府ニ於テ每噸十五圓ヲ取ッタ
  ノデアル、其以上ノモノハ此十圓ト規定ヲ致シタノデアリマス、サウ致シマスレバ我邦ニ
  此老朽船ガ澤山入ラヌコトニナツテ、サウシテ此總テノ運輸交通、竝ニ國防ニ對シ
  モ多大ナルトコロノ利益ガアルノデアリマス、此〓ニ付キマシテハ政府當局者ニ質問ヲ致
  シマシテ、海陸兩省ニ於キマシテハ吾〓ノ滿足スル答辯ヲ與ヘラレナイデアリマシタケレド
  モ要スルニ此船舶ニ付キマシテハ或ル會社ヤ造船所ヲ保護スルノ精神デナク、委員
  會ハ十分ニ査察ヲ致シマシテ、此査定ヲ致シタノデアリマス、諸君政府ハ果シテ此船舶ニ
  付テ如何ナル方針ヲ執ッタカ、政府ガ老朽船ヲ國內ニ置カナイト云フトコロノ〓ハ政府
  ニ同意デアリマスケレドモ、政府ガ或ル造船會社ト結託ヲ致シテ外國船ヲ絕對二入レナ
  イト云フコトハ宣シクナイ、諸君三菱造船所ノ如キ、川崎造船所ノ如キ、果シテ政府ト
  如何ナル關係ガアルカト云フコトハ論及スル必要ハナイガ、此日露戰爭ニ於テモ日〓
  戰爭ニ於テモ其運輸ノ便ヲ助ケ、交戰ノ利便ヲ助ケタノハ此郵船會社、東洋汽船會
  社大阪汽船會社ト云フ國家ノ保護ヲ何年トナク多大ニ貫ッテ居ルトコロノ會社ヨリ
  モ寧口保護ヲ貰ッテ居ラヌトコロノ社外船ガ大ナル働ヲ爲シタト云フコトハ御承知デ
  アリマセウ、(「贊成」ト呼フ者アリ)果シテ然ラバ此三菱造船所、川崎造船所ヲ助ケルタ
  メニ一方ニ禁止稅ヲ置クト云フコトハ宜クナイ、故ニ我黨ハ絕對ニ之ヲ斷々乎トシテ、此
  十年ヲ越エザルモノニ對シテハ從前ニ据置イテ、十年以上ノモノハ十圓ニシタ精神デア
  ル、是等バ實ニ此反對派ノ論ズルトコロト、我黨ノ論ズルトコロトハ宜シク我國民ハ御
  覽ニナッテ御判斷下サッタナラバ、自然ニ分ルト思フノデアリマス、其他ハ別ニ駁擊スベ
  キ又其外ニ早速君カラ澤山ノ修正ガ出テ居リマスケレドモ、此又新會ノ御提案ニ
  付テハ貴重ノ時間ヲ割イテ論駁スルノ必要ナシト思ヒマスカラ、是デ此委員長報告ノ
  趣意ニ贊成ヲ致ス演說ヲシタノデアリマス
  (「討論終結」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=97

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• 098・伊藤大八

  ○伊藤大八君　討論終結ノ動議ヲ提出致シマス
  〔「贊成」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=98

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• 099・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　關稅案ノ全部ニ付テノ討論終結ノ動議ト看テ宜ウゴザイマ
  スカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=99

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• 100・伊藤大八

  ○伊藤大八君　サウデス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=100

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• 101・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　伊藤大八君ノ動議-關稅案全部ニ付テ討論終結ノ動
  議ニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=101

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• 102・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ハナイト認メマスカラ討論ハ終結サレマシタ、1 様
  決ハ斯ウシヤウト思ヒマス、多數ノ修正ガ出テ居リマス、〓水市太郞君ハ第一項デアリ
  マスガ、ソレカラ鈴木摠兵衞君、ソレカラ森田勇次郞君、就中早速整爾君ノ修正ハ四
  十箇條ニ亙ッテ居ルモノデアリマス、之ヲ一々採決スルモ甚ダ手數ヲ要スルコトデアルノミナ
  ラズ、諸君ハ旣ニ修正者ノ演說ニ於テ能ク御承知ノコトヽ思ヒマスカラ、先以テ此修正
  案ヲ提出シテアルモノヲ全部書記ヲシテ朗讀致サセマシテ、ソレニ付テ採決シヤウト思ヒ
  マス
  (「朗讀ノ必要ナシ」「名前デ澤山ダ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=102

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• 103・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　議長カラ宣告シマス、諸君ガ朗讀スルノ必要ナシト、殊
  此案ニ贊成ノ御方ノ中ヨリモ一々朗讀スルノ必要ナシト云フヤウナ聲モ聞エタノデアリマス
  カラ、ソレデハ朗讀ヲ省略致シテ、サウシテ鈴木摠兵衞君ガ提出セラレタノハ鈴木案、森
  田勇次郞君其他ノ諸君ノ提出セラレタノハ森田案、早速整爾君其他ノ諸君ノ提出
  セラレタノハ早速案、斯ウシテ採決シテ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=103

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• 104・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ハナイト認メマスカラ其通リ決シマス、無論此御提
  出ニナッタ案ハ悉ク本日ノ速記錄ニ載セテ置キマス
  〔「ヒヤノ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=104

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• 105・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　先ダ一番小サナ-小サナヂヤナイ、少イ修正案、卽チ〓
  水市太郞君ノ第百七十六、クロール」酸加里是ニ修正ノ意見ガ出テ居リマス-〓水
  案ニ同意ノ諸君ノ起立
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=105

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• 106・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　定規ノ贊成ガアリマセヌ、次ニ鈴木案ヲ採決致シマス
  皆サン御著席ヲ請ヒマス卽チ鈴木案ノ第十六類ノ修正ニ贊成ノ諸君ノ起立
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=106

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• 107・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　定規ノ贊成ガアリマセヌ、次ニ森田君其他ノ修正案、卽チ
  森田案ニ同意ノ諸君ノ起立
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=107

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• 108・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　少數-次ニ早速整爾君其他提出ノ修正案ニ同意ノ諸
  君ノ起立
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=108

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• 109・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　少數-其他總テ關稅定率法案ハ委員長報告ニ御異
  議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=109

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• 110・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ハナイト認メマスカラ、卽チ第二讀會ハ是ニテ委員
  長ノ報告通リ決シマス
  〔拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=110

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• 111・伊藤大八

  ○伊藤大八君　讀會ヲ省略シテ確定ニ至ランコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=111

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• 112・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　伊藤大八君ノ動議、本案ノ讀會ヲ省略シテ確定スルト云
  フコトニ御異議ハアリマセヌカ
  關稅定率法改正法律案確定議
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=112

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• 113・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　讀會ヲ省略シ本案ハ是ニテ確定致シマス
  〔拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=113

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• 114・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　日程第九、製鹽地整理ニ關スル法律案、第一讀會ノ續
  ヲ開キマス-委員長佐竹作太郞君
  第九製鹽地整理ニ關スル法律案(政府提第一讀會ノ續(加藤幸福
  出報〓
  〔佐竹作太郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=114

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• 115・佐竹作太郎

  ○佐竹作太郞君　製鹽地整理ニ關スル委員會ノ經過ト結果ヲ報告致シマス、委員
  會ハ委員中ヨリ特別委員ヲ選ビマシテ調査ヲ付託シ、又數囘委員會ヲ開キマシテ愼重
  審議致シマシタ結果、本案ニ修正ヲ加ヘマシテ多數ヲ以テ可決致シタノデアリマス、修
  正ノ箇條ニ付テ申上ゲマス、本案第七條中ニ「其裁定ニ不服アルトキハ行政訴訟ヲ爲
  スコトヲ得」ト云フコトヲ末ニ加ヘタノデアリマス、又第八條第一項、三百四十万圓トア
  ルノヲ三百二十万圓ニ改メタノデアリマス、二十万圓ヲ減少シタ理由ハ、製鹽地ノ中ニ
  機械デ製造スル製鹽地ガアリマシテ、其分モ三百四十万圓ノ中ニ計上シテアルコトデ
  アリマスガ、能ク質シテ見マスト、政府モ機械製鹽者ニ對シテハ賠償ヲスルノ要ガナカラ
  ウト云フコトデアリマシタカラ、彼此ヲ參酌シテ公債額ヲ一一十万圓減少シタ次第デゴザイ
  マス、右ノ修正ニ對シテハ政府モ絕對ニ不同意ハ主張セヌト云フコトデアリマス、尙本
  案提出ノ理由、又本案ニ對シテ委員會ニ於テ贊否ノ意見ガアリマシタガ、其詳細ハ速
  記錄デ御覽ヲ願フコトヽシテ此ニ報告ヲ省略致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=115

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• 116・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　高木正年君
  〔高木正年君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=116

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• 117・高木正年

  ○高木正年君　私ハ唯今佐竹委員長ヨリ報、告セラレマシタ製鹽地整理案ナルモノヽ
  委員長ノ報告ニ反對スルモノデアリマス、委員長ノ報告ニ反對スルノハ軈テ本案ニ對ス
  ル反對ニナルノデアリマス、唯今委員長ハ此整理法案ノ實體ニ付テ話サレタヤウデアリマ
  スガ、如何ニモ低聲ニシテ聽クコトガ出來ナカッタ、私ハ反對ノ理由ヲ申ス前ニ先ヅ此法
  案ノ實體ヲ申シテ置カナケレバナラヌ、政府ノ云フトコロニ依ルト、內地製鹽地ノ千九
  百町步ヲ整理シテ、之ニ對シテ三百四十万圓ノ金額ヲ賠償金トシテ與ヘ、此整理セラレ
  タル鹽田ヨリ生ズル製鹽一億一千万斤ヲ減ズルト同時ニ滿洲及臺灣ヨリ是ト同額ノ
  鹽ヲ輸入シテ、是等ノ間ニ於ケル差金百斤ニ付テ三十七錢、此差金ハ一億一千万斤ノ
  上ニ於テ四十一万圓ニナル、此差金ニ依シテ四十一万圓ノ利益トナル上ニ、五十六
  箇所ノ專賣局出張所ニ要スル俸給、諸給、廳費二十万圓ヲ減ゼラルヽカラ、之ヲ併セ
  テ六十万圓ノ金額ヲ以テ內地ノ輸送費ヲ減ジヤウトスルトコロノ案デアリマス、此ノ如ク
  申シマスト、此法案ハ聊鹽ノ需用者ニ取ッテ利益アル案ノ如クデアリマスガ、頗ル政府
  ノ云フ提出ノ理由ナルモノニ付テハ疑ノアルモノデアリマス、有體ニ此法案ノ實質ヲ暴露
  致シマシタナラバ實ハ四十一年、四十二年ノ製鹽ノ豐作ニ依ッテ所謂生產過剰ヲ來
  シタタメニ、政府ハ專賣法ニ依ッテ勢ヒ出來タダケノ鹽ヲ買ハナケレバナラヌカラ、之ヲ買
  ヘバ國庫ノ中ニ製鹽ガ充滿シテ、終ニ之ヲ處分スルコトガ出來ヌト云フ運命ヲ來シタノ
  デ、現ニ四十三年ニ持越シタ鹽ハ幾許デアルカト云フニ一億九千万斤デ、之ニ卽チ苦ンデ
  居ルノデアル、果シテ政府ノ云フガ如ク內地鹽田ノ千九百町步ヲ整理シ、之ヲ賠償シ、
  之ヲ轉業セシメテ、之ニ代ル一億一千万斤ヲ滿洲、臺灣ヨリ輸入スルコトガ出來ルヤ
  否ヤト云フニ、若シ本年ニ於テ再ビ製鹽ノ豐作ヲ來シタナラバ恐ラク此目的ハ達シナ
  イデアラウト思フ、一體此法案ハ鹽ノ賣價ヲ廉クスル、國民ノ日用品タル鹽ノ價ヲ廉クス
  ル上ニ於テ仕組ンダ案ニハ相違ナイガ、其內容ハ專賣法ノ不備ナル上ヨリ、所謂生產
  過剩ノタメニ已ムナク斯ル法案ヲ編出サレタルモノト云ウテ誤ラヌノデアル、若シ政府ガ
  誠實ニ鹽ノ價ヲ廉クスルト云フナラバ、何ヲ苦ンデ此ノ如キ法案ヲ出スカ、思フニ今日ノ
  鹽ノ價位凡ソ高イモノハナイ、是ハ決シテ所謂專賣率ノ高キタメニアラズ、政府ガ殊
  更ニ鹽ノ買上價格ヲ增加シテ、而モ之ニ對シテ何等ノ注意モ拂ハナイデ、鹽其モノヽ價
  ヲ高クシツヽアルカラデアル、試ミニ三十八、九年ノ專賣法實施営時ノ買上價格ハ幾ラ
  デアルカト云フニ、百斤ニ付テ七十六錢テアル、是ガ今日ハ九十六錢、四十一年ニハ
  一圓ト云フコトガアッタ、是ハ總テ五等鹽ニ付テヾアリマス、鹽ノ價ナルモノハ何ヨリ生ズ
  ベキカ、鹽ノ價ニ於テ加算スベキ重ナル分子ハ何デアルカト云ヘバ一ハ燃料一ハ人ノ
  雇料デアル、燃料ハ三十八、九年ヨリモ今日ニ於テハ一割以上モ下落シテ居ル、殊
  製鹽地ニ於テ用ユル石炭ノ如キハ泥交リノ粉炭デアル、是ガ戰時需用ノ多イ工業モ、
  今日ヨリカ盛ナルトキト今日トハ其間ニ相違ノアルコトハ云フマデモナイコトデアリマス、又
  雇人ノ賃料ハ何ヲ重モナル分子トスルカト云フニ、所謂穀物ノ價デアル、第一米ノ價ニ
  於テ三十八、九年ト今日トヲ比較スレバ今日ハ三割以上モ下落シテ居ル、然ルニ物價
  ノ標準ヨリ、若シ鹽ノ價ガ生ズルモノトセバ、三十八年ニ於テ七十六錢デアッタモノハ、
  今日デハ其以下ニ下落スルガ當リ前デアルニ、之ニ反シテ今日ハ九十六錢ノ高價ニ政
  府ハ買收シテ居ルノデアリマス、若シ政府ガ是等ノ間ニ於テ十分ニ其價ノ公平ヲ保ツコ
  トニ注意セラレタナラバ、少ナクトモ此價ノ上ニ於テ十錢乃至十五錢ヲ減ズルハ容易ノ
  業デアルト私ハ信ズルノデアリマス、鹽ノ價ノ高イト云フ上ニ付テノ一例證トシテ見ル
  バキハ鹽田ノ利益ノ增大シタルコトデアリマス、鹽田ノ利益ノ增大シタルハ卽チ
  鹽田ノ價ノ增加シタルコトガ其最モ好キ證據デアルノデアリマス嘗テ專賣法ノ行ハレザ
  リシ以前ニ在テ、一町五段ノ鹽田ハ僅ニ四千五百圓乃至五千圓内外ノ價ヲ持ッテ居ッ
  タガ、昨年以來此價ノ比較ヲ調ベテ見ルト、最モ高キハ一万三千圓、乃至九千圓、一
  万一千圓、殆ド三倍若クハ二倍半ノ間ニ此鹽田ノ價ノ增加シテ居ルト云フコトハ、卽
  チ鹽ノ買上價格ノ如何ニモ不相當ニシテ、鹽田主ガ非常ナ暴利ヲ貪リツヽアルト云フコ
  トガ此間ニ說明サレルノデアリマス、サレバ若シ政府ニ於テ買上價格ノ中ニ於テ物價ノ
  標準ヨリ假ニ十錢ヲ減ズルトスルト、內地鹽ノ產出額九億七千万斤ニ對シテ九十七
  万圓ノ金額ハ、三百四十万圓ノ公債ヲ出シテ一年六十万圓ノ利益ヲ得ルト云フガ如
  キ迂濶ナ手段ヲ執ラズシテ、國民ハ己ノ總テノ需用ノ上ニ十錢廉ク鹽ヲ買得ラレルノデ
  ハゴザイマセヌカ、若シ十五錢ヲ減ズルトスレバ一年ノ之ニ對スルトコロノ鹽ノ廉カルベ
  キ高ハ百四十五万五千圓トナルノデアリマス、私共ガ製鹽地整理法ニ反對スル重モナ
  ル理由ハ單リ此提出理由ノ不明ナルノミデハナイノデアリマス、政府ハ一千九百町歩ノ
  鹽田ヲ整理スレバ海外ヨリ廉キトコロノ鹽ガ買得ラレルト、斯樣ニ申スノデアリマス、且
  委員會ニ於ケル政府ノ答辯ニ依ッテ見ルト滿洲ニ於テハ一年約四五百町歩ゾヽノ鹽
  田ガ開ケツヽアル臺灣ニ於テモ同樣デアル若シ此言ノ如クナリセバ臺灣ニ於ケル、滿
  洲ニ於ケル鹽田ノ開發ハ日一日トシテ多クナッテ來ル、此時ニ於テハ更ニ再ビ內地ノ鹽
  田ヲ整理シテ更ニ二千町步ヲ賠償シ、更ニ三千町步ヲ賠償スルト云フガ如キ、殆ド內
  國ノ總テノ鹽田ヲ國家ガ之ヲ荷フノ運命ヲ負ハネバナラヌト云フコトニ歸著スルノデアリ
  マス、是ハドウデアリマセウカ、決シテ製鹽地整理法案ハ直ニ三百四十万圓ノ金額ヲ以
  テ打留メルト云フコトデナイト云フコトヲ承知セネバナラヌノデアリマス、殊ニ私共ハ最モ
  此案ニ反對スル理由ヲ更ニ今一ツヲ加ヘテ居ルノハ何デアルカト云ヘバ鹽專賣ナルモノ
  ハ今年ノ議會ニ於テハ不幸ニモ其法案ニ對シ否決セラレタノデアリマス、併ナガラ鹽專賣
  法案ハ本年ニ於テ否決セラレタリト雖モ、尙之ニ對スル廢止ノ未來ヲ有シテ居ルノデア
  リマス、若シ唯今申ス如ク、製鹽地整理法ニ依シテ鹽田ノ運命ヲ國家ガ荷フモノトナリ
  マシタナラバ永遠ニ鹽專賣ノ廢止ノ前途ヲ暗黑ナラシムルモノト云ハネバナラヌノデアリ
  マス、鹽專賣ノ廢止ヲ打切ルモノト云ハネバナラヌノデアリマス、產業ノ發展、實業ノ奬
  動ハ是非トモセネバナラタト云フコトハ屢〓諸君ガ此議場ニ於テ仰セラルヽトコロデアリ
  マス、私モ諸君ト共ニ同一ナル叫ビヲ爲サントスルノデアリマスガ、如何ナルコトガ最モ此
  產業發展ノ根據デアルト云ハヽ、悲ムベシ我國ニ於テハ資本ガ豐富デナイ、材料ガ豐富
  デナイ唯一ノ顧ミトナスベキトコロハ、卽チ勞働賃ノ廉價ナルノデアリマス、此廉價ナル
  勞働者ラ使用シア、海外ノ原料ハ割ニ合ハヌ、我國ノ原料ハ之ヲ加工シテ東洋ニ於ケ
  ル貿易ノ立場ヲ作ルベキ最モ緊要ナルトコロノ要素ハ何デアルカト云ヘバ、卽チ生活費ノ
  低廉ナルト云フコトガ、吾〓ノ最モ注意セネバナラヌ大問題デアルノデアリマス、私ハ想フ
  ニ若シ我國ニ於テ今日ノ如ク消費稅ガ日ニ益〓增加シテ、國民生活ニ困難ヲ唱フル
  其極度ハ遂ニ我國ノ工業ヲ舉ゲ、農業ヲ舉ゲ、總テ廢滅スル機運ヲ招クヤ否ヤト云フ
  コトニ付テ深ク憂慮ヲ懷イテ居ルノデアリマス今日ハ支那ノ國民ガ未ダ工業國タル國
  民トナラヌノハ幸デアルノデアリマス、若シ一朝彼ノ國人ニシテ工業ニ手ヲ染メテ一度工
  業國タルトコロノ光ヲ發スルトキニハ、我國ノ勞働者ノ位置ハ如何ナルベキカト云フコト
  ハ豫メ今日ニ於テ考ヘ置カネバナラヌノデアリマス、看ヨ滿洲ニ於ケル支那勞働者ノ賃
  銀ハ幾何デアル、嘗テ私ハ南滿鐵道ノ工事目論見書ヲ讀ンデ、彼ノ工夫ノ價一日四
  十錢ト云フ廉キニ驚イタノデアルガ、更ニ之ヲ滿洲在住ノ我邦人ニ尋ネテ見マスルト、山
  東省ヨリ來ッテ滿洲デ農業ニ從事スル彼ノ苦力ノ如キハ一日僅ニ二十錢、而モ彼レ一
  日費ストコロノ生活費ナルモノハ一食二椀ノ高梁、其價ハ僅ニ二錢、夏ノ如キハ夜多
  クハ野ニ寢ルト云フ有樣デアルカラ、一日十錢ヲ以テ彼等勞働者ハ生活ヲ爲シ得ルト
  云フコトヲ聞イタノデアリマス、二十錢ノ勞銀モ彼等ハ其半バヲ殘シテ冬ニナレバ山東省
  ニ歸ルト云フコトハ滿洲ニ於ケル事實ノ狀態デアルノデアリマス、斯樣ニ考來リマスト、寧
  ロ我國民ハ此ノ如キ消費ニ關スル租稅ノ掛ラザル支那國民ヲ羨マネバナラヌノデアリマ
  ス產業發展ヲ講ズル上ニ於テハ是非トモ生產費ヲ減殺セネバナラヌ、農業ニマレ、工
  業ニマレ、最モ生活ニ必要ナル鹽ノ如キモノニ付テ重稅ヲ課シ、而モ之ヲ以テ國家ノ收
  入ト爲スト云フガ如キハ、文明國トシテ愧ヅベキ擧動デアルト私ハ言フヲ憚ラヌノデアリマ
  ス、ソレガ故ニ此專賣法廢止ヲ打切ルトコロノ製鹽地整理法案ニハ勢ヒ反對セザルヲ
  得ナイノデアリマス、嘗テ專賣法廢止ニ付テ幾多ノ反對ガアッタナレドモ、是ハ專賣法廢
  止ニ反對ニアラズシテ財源ノ如何、卽チ時期ノ問題ニ在ルノデアリマス、嘗テ玆ニ議場
  ニ居ラルヽトコロノ大政黨諸君モ鹽專賣廢止ノ建議ヲセラレタコトガアルノデアリマス鹽
  專賣ノ廢止ナルモノハ今日ノ輿論デアッテ、而モ其輿論ナルモノハ未來ニ於テハ大ナル望
  ヲ有スルノデアリマス、私共ハ國民ニ忠實ナル諸君ノ立場トシテ、何故ニ此案ニ對シテ
  政府ニ贊助セラルヽカヲ疑フノデアリマス私ハ幸ニ此議場ニ立ッテ此法案ニ反對スル自
  由ヲ有スルノヲ喜ブノデアリマス、諸君、願クハ多年御主張ニ於テ尙其御記憶ニ存スル
  ナラバ、願クハ私ト同樣、此法案ニ對シテ反對ノ意思ヲ表白スルニ躊躇セラレザランコト
  ヲ深ク熱望スルノデアリマス(拍手起ル)
  〔吉植庄一郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=117

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• 118・吉植庄一郎

  ○吉植庄一郞君　政府ノ出シタ案ニハ餘リ贊成シタイト思フ案ハ少ナイガ、此案ダケ
  ハ絕對ニ贊成デアリマス、唯今反對ノ高木君ヨリ縷々御演說ガゴザイマシテ、實ハ高木
  君ニ對スル敬意トシテ、成ルベク高木君ノ御演說ニハ餘リ觸レズニ本員ノ主張ヲ述ベヤ
  ウト思ヒマス、反對ノ要點ハ此案ヲ通過セシムレバ鹽專賣ノ打切ニナル、鹽專賣廢止論
  ノ打切ニナル、是ガ甚ダ遺憾デアルト云フコトガ反對論者ノ議論ノ根據デアル本員ノ
  見ルトコロニ於キマシテハ此案ハ諸君ガ多年渴望ヲシテ居ルトコロノ鹽專賣ヲ廢止スル
  第一ノ手段、第一ノ階梯デアルト確信スルノデアリマス、何ヲ以テ之ヲ言フカ、元來鹽
  專賣制度ナルモノニ付テハ此成立ノ歷史ヲ顧ミナケレバナラヌ、現在ニ行ハレテ居ル鹽ノ
  專賣制度ナルモノハ二ツノ目的ヲ有シテ居ルノデアル、第一ニハ內地鹽田ノ保護、第二
  ニハ增稅、國庫ハ收入ヲ圖ルト云フ以上ニ二ツノ目的ニ依ッテ、現在ノ制度ト云フモノ
  ハ押立テラレタモノデアリマス、故ニ反對ノ諸君ガ年々歲々此鹽專賣廢止ノ議論ヲ御絕
  叫ニナリマスケレドモ、之ヲ廢セントスル場合ニ於テハドウシテモ此二ツノ目的ヲ漸次ニ取
  去ッテシマハナケレバ、此殘骸ト云フモノハ片付カナイノデアル、單純ニ唯鹽專賣ヲ廢セヨ
  ト絕叫スルガ如キハ空論ヲ悅ブノ徒ニアッテハ宜イカモ知レヌケレドモ、實際施設ヲナス場
  合ニ於テハ其目的ヲ達スル手段ト云フモノヲ考ヘナケレバナラヌ·デアル、所謂此手段ヲ
  考ヘルコトハ卽チ經綸デアリマス、此手段トシテハ第一ノ目的ニナッテ居ルトコロノ內地
  鹽田ノ保護ヲ必要ナリトスルガ、內地ノ製鹽ハ實費ニ於テ三等鹽、四等鹽デ、一圓以
  上ノ高キ費用ヲ要スルノデアル、而シテ關東州臺灣等ノ鹽ハ五十錢ヨリ六十錢ノ間ヲ
  上下シテ居ルノデアル、卽チ百斤ニ付テ四十錢以上ノ差額ガアルノデアリマス、此故ニ自
  由競爭ノ下ニ置キマシタナラバ、日本ノ鹽田ナルモノハ立所ニ潰レテシマフノデアル四千
  町歩ノ鹽田、十万ノ就業者ガ、外鹽ノタメニ忽チ其產業ヲ失フトコロノ慘狀ヲ呈スルノ
  デアリマス、之ガタメニ一方ニ於テハ鹽ノ輸入ヲ制限スルノ目的ニ於テ、鹽ノ專賣ヲ必
  要ナリトシタノデアル、又一方ニ於テハ當時日露戰爭ノ際デアッテ、非常特別稅ヲ起ス
  場合デアッタルガ故ニ、增收ノ目的ヲ之ニ加味シタノデアル、卽チ此二ツノ目的ヲ有ッテ
  居ルノデアルカラ、之ヲ廢セントスルナラバ、先ヅ其方法トシテハ第一ニ此內地鹽田ノ始
  末ヲシナケレバナラヌ、又新會ノ諸君ガ委員會ニ於テ御論ジニナルトコロヲ聽キマスルト、
  此ノ如ク經濟上ノ競爭ニ於テ自然ニ負ケルトコロノモノハ自然ニ放任シテ置イテ宜シイ、
  國家ガ之ヲ保護スルノ必要ナイデハナイカト云フ御論ガアリマシタケレドモ、是ハ實ニ意外
  千萬、國民ノタメニ常ニ國民ノ利益ヲ絕叫セラルヽ又新會ノ諸君トシテハ此ノ如ク國
  民ニ不忠實ナル御議論ハナイ筈デアルト私ハ思フノデアル、苟モ國家ト云フモノガ存在ス
  ル限リハ、自己ノ不注意、若クハ自己ノ懈怠ニ依ッテ生ズル損害デハナイ、自然ニ此ノ
  如キ壓迫ヲ被ルノデアリマシテ、而モ轉業スルコトノ出來ナイモノデアル、桑ヲ茶ニ換ヘ
  ル、若クハ小豆ヲ大豆ニ換ヘルト云フガ如キ簡單ナルモノニアラズシテ、鹽田ハ鹽ヲ拵ヘナ
  ケレバ他ニ用方ノ殆ド無イモノデアリマス、大部分ハ荒廢ニ屬セネバナラヌモノデアリマス、
  此國民ノ一部ノ產業ヲ絕對ニ廢滅スルコトヲ傍觀シテ宜シイカ、十万ノ專業者ガ道途ニ
  彷徨シテモ顧ミルニ足ラヌト云フガ如キコトハ、苟モ忠良ナル國民ニ對スルノ禮デナイト
  思フ(「少數ノ國民ノミヲ保護スル勿レ」ト呼フ者アリ)諸君ハ常ニ少數黨ノタメニ氣ヲ
  吐イテ居ルデハゴザイマセヌカ-而シテ此主意カラ申シマスト、內地鹽田ノ整理ヲスル
  コトハ、鹽專賣ノ制度ヲ漸次ニ廢滅セシメテ行クトコロノ捷徑デアル、今囘提案ニナッタト
  コロノモノハ、卽チ此主意ニ於テ先ヅ日本ニ於ケル最劣等ノ鹽田ヲ整理シ、之ニ依ッテ
  鹽價ノ低廉ヲ圖ルト云フノデアル、何ガ惡ルイ、實ニ政府ハ諸君ノ目的ニ最モ適フヤウ
  ニ此案ヲ出シテ來タノデアル、政府ノ說明ニ何デモ宜シイ、吾〓ガ之ヲ審査致シテ、如何
  ニモ是ハ將來鹽ノ高キ價ヲ低減スルニ於テ最モ便利ナル方法デアル、此處ニ行カナケレバ
  ナラヌ方法デアルト云フコトヲ見出ス以上ハ、之ヲ贊成スルニ何カアラン、殊ニ內地ノ鹽
  業ト云フモノハ今申上ゲマシタ通リ、百斤ニ付テ外鹽ニ比較致シマシテハ四十錢以上ノ
  高キ費用ヲ要サナケレバ出來ヌトコロノモノデアリマス、此經濟上ノ不自然ナル狀態ハ、
  到底人爲ヲ以テ長ク保護スルコトハ出來ナイノデアリマスルガ故ニ、今囘ノ整理ヲ一著
  步トシテ、漸次ニ全國ニ散在スル鹽田ヲ買收シテ、而シテ之ニ賠償金ヲ交付スルナラバ
  三千五、六百万ノ金ガアレバ卽チ足ルノデアリマス、此三千五、六百万ノ金ハ五朱ノ利
  ヲ掛ケルト、百七十五万圓バカリ年々拂ヘバ、日本ノ內地鹽田ノ整理ハ全部出來上ル
  ノデアリマス、此鹽田ノ整理ノ結果トシテ、玆ニ年額僅ニ百七十五万圓ノ利息ヲ國民ガ
  負擔スレバ、內地鹽田ノ保護ト云フモノハ絕對ニ、永遠ニ、問題ニナラナクナッテシマフノ
  デアリマス、而シテ其結果ハドウナルカ、此內地ノ鹽田ヲ廢シテ悉ク外鹽ヲ輸入スルト云
  フコトニナリマスト、現在日本全國ニ於テ使用スルトコロノ十億五千万斤ノ鹽ガ、百斤
  四十錢以上ノ差額ガ生ジマスガ故ニ、一箇年ニ於テ國民ノ利益スルトコロハ卽チ五百
  万圓以上ニナルノデアリマス現在仕拂ッテ居リマストコロノモノハ更ニ鹽專賣ノタメニ
  增稅ガ掛ッテ居リマスガ故ニ、尙大キイノデアリマスケレドモ、其正味ノ計算ニ於テ一箇
  年ニ五百万圓以上ノ利益ヲ國民ガ得ル、卽チソレダケノ價ハ鹽ニ於テ廉クナルノデアリ
  マスケレドモ、此鹽田ノ整理悉ク終ッテ、而シテ更ニ一方ニ於テ政府ノ增收ノ〓ヲ漸次ニ
  地租ヲ輕減致シタル如ク、、財政ノ許ス限リ、財源ノ生ジタルトキニ於テ、漸次ニ此收入ヲ
  廢シテ鹽價ヲ低落シテ行キマシタナラバ、結局ノトコロハ此鹽專賣法ヲ實施致シタル時
  代ヨリモ、卽チ其當時百斤一圓六錢以上デ買ッテ居ッタ鹽ガ、愈〓此整理ヲ終ッタ後ニ
  ナリマスルト云フト、百斤五十錢內外ノ鹽ヲ國民ガ使フコトガ出來ルト云フコトニナルノ
  デアル、此ノ如キ良法ガ諸君ノ前ニ幸ニ茲ニ示サレテ居ルニモ拘ハラズ、鹽專賣廢止ヲ
  唱ヘル諸君ガ、之ニ反對スルノハ何ノ理由デアルカ、實ニ諸君ノ反對スルトコロノ理由ヲ
  吾〓ハ發見スルコトニ苦ムノデアリマス、此理由ニ依リマシテ本員ハ、此提案ハ第一ニ鹽
  ノ價格ヲ下ゲルモノデアル、第二ニハ內地鹽田ノ整理ヲスルトコロノ第一歩デアル第
  三ニハ鹽專賣ノ制度ニ依ッテ鹽價ノ非常ニ高イト云フコトヲ根本的ニ覆ストコロノ計畫
  ノ是ガ第一ノ階段デアル、此理由ニ依ッテ本案ニ對シテ贊成ヲ表スルモノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=118

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• 119・長晴登

  ○長晴登君　チヨット質問ガアリマス、總理大臣ガ御出席ニナッテ居リマスカラシテ、此
  際一ツ此今囘ノ整理案ニ關聯シテ御答辯ヲ願ヒタイ、ソレハ此鹽專賣法ハ財政ノ必
  要上ヨリ出來テアッタガ、我政友會ガ之ニ贊成スルトキニ於テハ、鹽價ヲ上セズシテ成ル
  ベク國民ニ平等ニ便利ヲ與ヘルト云フ方ヲ望ンデ居ッタノデアル、然ルニ今日マデハ其機
  會ハ到來セズシテ居リマシタガ、今度ノ整理案ヲ見ルニ、此鹽政、卽チ鹽ノ政策ニ對ス
  ル一ノ紀元ヲ加ヘタモノト私ハ存ジマス、ソレハドウデアルカト言ヘバ、委員會等ニ於テ政
  府ノ言明セラルヽトコロニ依レバ、略〓其意ノアルトコロハ分ッテ居リマスケレドモ、尙新シク
  此所デ明言ヲ望ムノハ、此鹽專賣政策ハ將來ニ於テハツマリ收入主義ヲ取ラズシテ、機
  會ノアル每ニ鹽價ヲ引下ゲテ、而シテ鹽價ノ全國ニ於ケル均一ヲ圖ッテ、國民ニ便宜ヲ
  與ヘル方針ヲ採ッテ往ク、斯ウ云フ〓ニ付テ御明言ヲ此際御願ヒシタイ、其〓ガ明カニ
  ナレバ隨ッテ吾〓ガ贊否ノ考モ違フノデアル
  〔內閣總理大臣侯爵桂太郞君登壇〕

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• 120・桂太郎

  ○內閣總理大臣(侯爵桂太郎君)　唯今此議場ノ議題ト相成ッテ居リマス鹽田整理
  案ニ付キマシテ先刻ヨリ種々反對、若クハ贊成ノ御演說ヲ拜聽致シタノデアリマス、唯
  今長君ヨリノ御質問ニ對シマシテハ、政府ハ此機會ニ於キマシテ所信ヲ述ブルノ甚ダ時
  機デアルト考ヘル、本官ハ委員會ニ於テモ既ニ明言致シタ如ク、此度提出致シタトコロノ
  鹽田整理案ハ長君ガ唯今ノ御質問ノ中ニモ申述ベラレマシタ如ク、漸次此政策ヲ實
  行ヲ致シテ、成ルベク國民ニ對シマシテ低廉ナル鹽ヲ供給致シタイト云フ方針ヨリシテ提
  出致シタノデアリマス、卽チ此度ノ案ニモ諸君ノ御承知ノ如ク、此案ヲシテ成立セシ
  メマシタナラバ、六十万圓ト云フモノハ此鹽價ノ上ニ付キマシテ、取モ直サズ廉價ニ供給
  スルコトガ出來ルノ趣意ニ成立ッテ居ルノデアリマス、所謂將來ニ於キマシテハ益〓整理
  ヲ致シテ、此鹽ノ供給ヲシテ低廉ニシテ、都鄙ノ區別ナク普ク國民ニ供給致スト一ムフ
  ノ精神デアルト云フコトヲ本官ハ此席ニ於テ明言ヲ致シテ、諸君ノ〓聽ヲ煩ハシテ置ク
  ノデアル

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• 121・伊藤大八

  ○伊藤大八君　本案ハ直ニ二讀會ヲ開キ、讀會ヲ省略シテ委員長ノ報告通リ·····

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=121

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• 122・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　マダ通告ガアリマスガ、討論終結ノ動議デスカ
  (「討論終結」「贊成々々」ト呼フ者アリ「公平ニ發言ヲ御許シニナッテハドウデス
  カ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=122

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• 123・伊藤大八

  ○伊藤大八君　討論終結ノ動議ヲ出シマス
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=123

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• 124・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　討論終結ノ動議ガ出テ贊成ガアリマスカラ採決致シマス、
  討論終結ノ動議ニ御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」「異議アリ」ト呼フ者アリ〕

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• 125・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガアレバ採決致シマス、討論終結ノ動議ニ贊成ノ
  諸君ハ起立
  起立者多數

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• 126・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　多數ニ依ッテ討論ヲ終結致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=126

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• 127・伊藤大八

  ○伊藤大八君　曩ニ述ベタ通リノコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=127

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• 128・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　本案ハ直ニ二讀會ヲ開キ、三讀會ヲ省略シテ委員長ノ報
  告通り決シタイト云フ動議ニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=128

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• 129・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガナイト認メマスカラ直ニ二讀會ヲ開キ、議案全部
  ヲ議題ニ供シマス、委員長ノ報告ニ御異議ハアリマセヌカ
  製鹽地整理ニ關スル法律案確定議
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=129

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• 130・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガナイト認メマスカラ、本案ハ是ニテ確定致シマス、
  日程第十乃至第十一ノ議案ハ同種類ニシテ、提出者モ同一ナルニ依ッテ、一括シテ議
  題トナスニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=130

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• 131・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガナイト認メマスカラ市制中改正法律案外一件ノ
  第一讀會ヲ開キ、議案ノ朗讀ヲ省略致シマス、提出者村上先君
  第十市制中改正法律案(村上先君提出)第一讀會
  第十一町村制中改正法律案(村上先君提出)第一讀會
  市制中改正法律案
  市制中左ノ通改正ス
  第十三條第二項ニ左ノ但書ヲ加フ
  但一級ノ數五名以下ナルトキハ其次ノ納額最多キ者ヨリ順次繰入レ五名
  トス
  同條第三項ニ左ノ但書ヲ加フ
  但二級ノ數五名以下ナルトキハ一級ノ例ニ依ル
  第十五條第四項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
  市ノ爲メ請負ヲ爲ス者又ハ市ノ爲メ請負ヲ爲ス法人ノ役員ハ其市會議員
  ニ選舉セラルルコトヲ得ス
  第二十二條選舉ハ投票ヲ以テ之ヲ行フ
  選舉人ハ選擧ノ當日自ラ投票所ニ到リ選舉人名簿ノ對照ヲ經投票ス可シ
  選舉人ハ投票所ニ於テ投票用紙ニ自ラ被選舉人ノ氏名ヲ記載シテ投函ス
  可シ但選舉人ノ氏名ハ投票ニ記入スルコトヲ得ス
  自ラ被選舉人ノ氏名ヲ書スルコト能ハサル者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ス
  投票用紙ハ市長ノ定ムル所ニ依リ一定ノ式ヲ用ウ可シ
  投票函ハ投票ヲ終ル迄之ヲ開クコトヲ得ス
  第二十四條第一項ヲ削ル
  第五十五條第一項中「第四項」ノ下ニ「、第五項」ヲ加フ
  同條第二項中「第五項」ヲ「第六項」ニ改ム
  町村制中改正法律案
  町村制中左ノ通改正ス
  第十三條第二項ニ左ノ但書ヲ加フ
  但一級ノ數五名以下ナルトキハ其次ノ納額最多キ者ヨリ順次繰入レ五名
  トス
  第十五條第四項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
  町村ノ爲メ請負ヲ爲ス者又ハ町村ノ爲メ請負ヲ爲ス法人ノ役員ハ其町村
  會議員ニ選舉セラルルコトヲ得ス
  第二十二條選舉ハ投票ヲ以テ之ヲ行フ
  選舉人ハ選舉ノ當日自ラ投票所ニ到リ選舉人名簿ノ對照ヲ經投票ス可シ
  選舉人ハ投票所ニ於テ投票用紙ニ自ラ被選舉人ノ氏名ヲ記載シテ投函ス
  可シ但選舉人ノ氏名ハ投票ニ記入スルコトヲ得ス
  自ラ被選舉人ノ氏名ヲ書スルコト能ハサル者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ス
  投票用紙ハ町村長ノ定ムル所ニ依リ一定ノ式ヲ用ウ可シ
  投票函ハ投票ヲ終ル迄之ヲ開クコトヲ得ス
  第二十四條第一項ヲ削ル
  〔村上先君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=131

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• 132・村上先

  ○村上先君　本員ノ提出致シマシタル市制及町村制ノ改正案ハ、是ハ互ニ共通致シ
  テ居リマスカラ一括致シテ說明致シマス、御承知ノ如ク此市町村制ハ明治二十一年
  ノ制定ニ係リマシタノデゴザイマスガ、其後二十八年、三十一年三十三年ニ於テ最モ
  小部分ノ改正ガアリマシタダケデ、ヤハリ二十三年前ノ制定ノモノガ今日ニ實行ニナッテ
  居リマス、所ガ此時運ノ變遷ト、經驗ノ結果ト致シマシテ、現行ノ市町村制ハ大改革
  ヲ根本的ニヤラナケレバナラヌト云フ必要ハ既ニ政府モ認メテ居リマス、併ナガラ政府ハ
  今以テ此案ヲ當議會ニ發題致シマセヌノデアリマスガ、所ガ一方ニ於テハ貴族院ニ於
  テ、近項此東京都制法案ナルモノヲ年々歲々議會ニ提出致シマシテ、ソレニ對抗致シテ
  衆議院ノ方デハ東京市制案ナルモノヲヤハリ年々出シテ居リマス、所ガ此二法案ハ全
  然其自治的ノ主張ヲ異ニ致シマスルノデ、一院ヲ通過致シマシテモ他ノ一院ニ於テ通
  過セヌト云フコトデアリマシテ、其間ニ於テ此市町村制ノ行政事務ハ非常ニ敗頽致シ
  マスルヤウナ傾キガゴザイマスノデ、此際所謂當面焦眉ノ急ニ應ジマスルガ爲メニ、落
  此案ヲ提出致シタ譯デアリマス、ソレカラ其箇條ニ付テチヨット申上ゲマスルガ、唯今ノ
  此市町村制ノ第十三條ニ於テ、此選舉人ヲ級別ヲ致シテ居リマスルガ、所ガ此一級選
  舉二級選舉ニ於テハ或ル富豪ノ權力ノタメニ殆ド一人デ一級選舉、二級選舉ヲ爲
  スコトガ出來ルト云フ規定デゴザイマス、一例ヲ申シマスルト云フト、東京市ニ於テ前年
  日本鐵道ノゴザイマスルトキニ、日本鐵道會社ハ一人デ以テ、下谷區ニ於ケルトコロノ
  市會議員及區會議員ノ一級選舉ヲシタト云フコトガゴザイマス、ソレカラ麹町區ニ於キ
  マシテハ東京鐵道會社、ソレカラ東京電燈會社ナドガ、ヤハリ一會社デ以テ、一級選
  舉ヲ行フコトガ出來ルト云フヤウナコトガアリマスルノデ、現今ノ規定ハ殆ド或ル富豪、
  或ル勢力家ノタメニ其選舉ヲ便利ナラシムルコトニナッテ居リマスカラシテ、之ヲ五名マデニ
  致ス、斯ウ云フ意味デス、ソレカラ市ノタメニ請負ヲ爲ス者、或ハ請負ヲ爲ストコロノ法
  人是等ハ情實ノ關係ヲ有ッテ居リマスカラシテ、固ヨリ其市町村議員ニナルコトハ出
  來ナイノデアリマスニモ拘ラズ、今日マデハ是等ノモノハヤハリ議員トシテ當選ニナッテ居リ
  マスカラシテ、此度ノ改正案ニ於テ此情弊ヲ救フガタメニ此ノ如キモノハ一切市町村會
  議員ニナルコトハ出來ナイト云フ規定ヲ設ケタ次第デアリマス、ソレカラ唯今ノ市町村
  制ノ選舉ハ皆サン御承知ノ如ク投票ヲ封ジテ出スノデス、而シテ是ハ他ノ郡制、府縣制
  ナドノヤウデアリマセズ、自書シマセヌデ宜シイノデス、他人ニ書イテ貰ッテ封狀ヲ以テ出シ
  マスレバ宜シイ規定ニナッテ居リマスノデ、此タメニ非常ナ弊害ガ起ル、又其タメニ訴願
  或ハ行政裁判ノ訴訟等ハ澤山アリマスノデ、是等ノモノハヤハリ衆議院議員ノ選舉、ソ
  レカラ府縣制ノ選舉、郡制ノ選舉同樣ニ一定ノ用紙ニ記載ヲ致シマシテ投票シ、又自
  ラ被選舉人ノ姓名ヲ書クコトガ出來ナイ者ハ、之ニ選舉權ヲ與ヘナイト云フコトニ致シ
  マスレバ頗ル各選舉ニ於ケル系統ガ一貫致シマシテ、大層好都合デアラウト思フノデ
  アリマス、其外ノ二三箇條ハ甚ダ簡單ナモノデアリマスカラ.是ハ委員會デ詳シク說明
  致シマス、要スルニ此本員ノ提出ニ於テハ市町村制、百四十箇條ニ對シマスルト云フト
  殆ド大海ノ一滴ト申シテ可ナルモノデアリマスガ、併ナガラ此大海ノ一滴タルトコロノモノ
  ニハ頗ル妙味ヲ持ッテ居リマスカラ、是非第二十六議會ニ於テ、兩院ヲ通過致シマシ
  テ、此改正案ガ法律トナッテ現ハレルコトヲ、切ニ希望スル次第デゴザイマス、ドウカ御贊
  成ヲ願ヒマス(拍手起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=132

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• 133・伊藤大八

  ○伊藤大八君　兩案ハ一括シテ議長指名九名ノ委員ニ付託センコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=133

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• 134・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　日程第十、十一ノ兩案ハ一括シテ、議長指名ノ委員九名
  ニ付託ト云フコトニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=134

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• 135・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ナイト認メマスカラ、其通リ決シマス、日程第十二、
  鑛業法中改正法律案ノ第一讀會ヲ開キ、議案ノ朗讀ヲ省略致シマス、提出者安東
  敏之君外二名-安東敏之君
  第十二鑛業法中改正法律案(安東敏之君外二名提第一讀會
  〓
  鑛業法中改正法律案
  鑛業法中左ノ通改正ス
  第八十一條第二項中「及鐵鑛」ヲ「鐵鑛及亞炭」ニ改ム
  第八十三條中「採掘ニ付テハ四十錢トス」ヲ「採掘ニ付テハ四十錢トシ亞炭
  ハ其ノ三分ノ一トス」ニ改ム

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• 136・安東敏之

  ○安東敏之君　當席カラ申述ベマス(「登壇」「登壇ニ及バヌ」ト呼フ者アリ)此席カラ
  述ベマス、而シテ最モ本案ハ地方ノ一局部ニ限レル極メテ小ナル問題デアリマスカラ、殊
  ニ此光景ノ場合ニ於テ長ミシク理由ノ說明ヲ致シマセヌ、要ハ添付シテゴザイマスル理
  由書ニ其說明ノ〓要ガ盡シテアリマス、之ニ付テ御覽ヲ願ヒタイ、而シテ此ノ如ク說
  明ヲ簡單ニ致シマスルノハ、決シテ提出シタル議案ヲ提出者、自ラガ輕蔑スルノデモ不
  忠實ニ扱フノデモアリマセヌ、事情ガ御覽ノ通リノ事情デアリマスカラ、特ニ御洞察ヲ願
  フト云フニ過ギヌノデアリマス、幸ニ御贊成ヲ願ヒマス

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• 137・伊藤大八

  ○伊藤大八君　本案ハ曩ニ選定セラレタル、鑛業法ノ委員ニ付託セムコトヲ望ミマス

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• 138・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　本案ハ前ニ選定サレタ鑛業法ノ委員ニ付託ト云フコトニ御
  異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 139・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ナイト認メマスカラ其通リ決シマス、日程第十三、
  衆議院議員選舉法中改正法律案、第一讀會ノ續ヲ開キマス、禾資長中倉万次郞君
  第十三衆議院議員選舉法中改正法律第一讀會ノ續(委員長)
  案(小泉又次郞君外七名提出)/報告

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• 140・中倉万次郎

  ○中倉万次郞君　時間ガ切迫シテ居リマスカラ、此席カラ簡單ニ報告シマス、吾〓委
  員ニ付託セラレマシタ衆議院議員選舉法中改正法律案ハ神奈川縣ノ橫須賀市、長
  崎縣ノ佐世保市、廣島縣ノ呉市、此三市ノ獨立ヲ認メ、又現行法律ノ別表ノ末項ニ
  「本表ハ選舉區ノ人口ニ增減ヲ生スルモ少ナクトモ十箇年間ハ之ヲ更正セス」ト云フ末
  項ガアリマスノヲ削除スルソレカラ本法ハ次ノ總選舉ヨリ施行スルト云フ案デアリマシ
  タ、之ヲ委員會ヲ開キマシタトコロガ、修正案ガ出マシテ結果ハ此修正案ヲ全會一致
  デ可決スルコトニナリマシタ、御手許ニ配付シテアリマスケレドモ、便利上一應成案トナ
  リマシタトコロノ修正可決ノ案ヲ朗讀致シマス「衆議院議員選舉法別表中左ノ通リ
  改正ス、神奈川縣橫濱市ノ次ニ橫須賀市一人、長崎縣長崎市ノ次ニ、佐世保市一
  人新潟縣新潟市ノ次ニ、長岡市一人三重縣四日市市ノ次ニ、宇治山田市一
  人、愛知縣名古屋市ノ次ニ、豐橋市一人、長野縣長野市ノ次ニ、松本市一人福
  島縣若松市ノ次ニ、福島市一人、廣島縣尾道市ノ次ニ、呉市一人」之ヲ加ヘマシテ、
  沖繩縣ヲ二人ト云フコトニ修正シマス、ソレカラ先刻申上ゲタ通リ末項ヲ削ル、「本法ハ
  次ノ總選舉ヨリ之ヲ施行ス」、斯ウ云フ修正ガ成立致シマシタノデゴザイマス、之ニ付テ
  少シタ此經過ヲ極ク簡單ニ申上ゲナケレバナラヌ(「必要ナシ」ト呼フ者アリ)

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• 141・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　六時ノ時間ガ來マシタカラ、時間ヲ延バシテ會議ヲ續ケマス
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=141

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• 142・中倉万次郎

  ○中倉万次郞君　委員會ハ三囘開キマシテ、提出者ノ意見モ聞キマスルシ、政府委
  員ノ出席ヲ求メマシテ、此改正案ニ付テ政府當局者ノ意嚮モ確メタノデアリマス、政府
  委員ニ於キマシテモ之ニ付テハ强テ反對デハナイ、併ナガラ此別表ノ但書ノ明文ニ依ツ
  テ形式ニ於テハ何分同意スルコトハ出來ナイ、政府ニ於テモ獨リ此法律案トシテ改正
  案ヲ提出サレタトコロノ市ノミナラズ、他ニモ改正ヲ要スル〓ガアルデアラウト云フノデ、追
  追調査ヲシテ居ル、其結果ニ依ッテ政府案トシテ改正案ヲ出スカラ、次ノ總選舉モマダ
  間ガアルカラ其儘ニシテ置イテ貰ヒタイト云フ話モアッタ、併ナガラ修正案ノ趣旨ハ御承
  知ノ通り、委員會ニ於テモ數囘本案ハ通過シテ居ルモノデアル、別表ノ但書ニハ其事ハ
  該當スルモノデハナイ、人口ノ增減ニ依シテ認ムルト云フノデハナクシテ、特ニ市ノ形式ヲ
  爲シテ居ルカラ、人口ノ增減ニ依ッテ云々ト云フコトニ該當シナイト云フコトヲ、是非トモ
  此際此案ニ同意シテ、次ノ選擧ヨリ實行シテ貫ヒタイト云フヤウナコトデ、內務大臣ノ
  出席ヲ求メマシテ、尙意見ヲ質スコトニナリマシタ、內務大臣ガ出席セラレマシテ、懇々
  提出者ヨリ提出ノ理由ヲ述ベマシテ、政府ノ意思ノアル所ヲ聞キマシタガ、ヤハリ相變ラズ
  內務大臣ニ於テモ是ハ目下調査シツヽアルノデアルカラ、先ヅ何時ト云フコトハ明言スル
  コトハ出來ナイ、ケレドモ近キ將來ニ於テ調査ノ結果ニ依ッテ出スト云フコトデアッテ、委
  員會デハ此次ノ議會カ、又次ノ議會カ、卽チ四十四年ノ議會マデニ改正案ヲ出スト云
  フコトノ明言ガ出來ルナラバ、此法律案モ形式ヲ變ヘテ出シテモ宜イト云フ話モアリマシタ
  タガ、ドウシテモ表面ノ形式ニ同意スルコトガ出來ナイト云フノデ、速記モ止メマシテ懇談
  會ニ移シテ懇談ヲ遂ゲマシタ、併シ懇談會ノコトハ私ハ德義ヲ守ッテ此席デハ申シマセヌ、
  推測スル所ニ依ルト、次ノ總選舉ニハ必ズ改正案ヲ出スト云フ意思ガアルコトヲ推測ス
  ルコトガ出來タノデアリマスガ、何分形式ニ同意スルコトガ出來ヌト云フノデ、已ムヲ得ズ
  委員會ハ滿場一致ヲ以テ此改正案ヲ可決シタ次第デアリマス

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• 143・伊藤大八

  ○伊藤大八君　本案ハ直ニ二讀會ヲ開キ、讀會ヲ省略シテ委員長報告通リ確定セ
  ラレンコトヲ希望シマス
  (「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

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• 144・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　本案ハ直ニ二讀會ヲ開キ、三讀會ヲ省略シ、委員長報告
  通リ確定ト云フコトニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ノ聲起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=144

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• 145・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガナイト認メマスカラ、直ニ二讀會ヲ開キ議案全部
  ヲ議題ニ供シマス
  衆議院議員選舉法中改正法律案確定議
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=145

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• 146・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　委員長報告通リ御異議ガナイト認メマスカラ、三讀會ヲ省
  略シテ委員長報告通リ確定致シマス日程第十四、拘留科料ニ關スル裁判法案、第
  一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長卜部喜太郞君
  第十四拘留科料ニ關スル裁判法案(松田第一讀會ノ續(委員長
  源治君外二名提出)報告

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=146

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• 147・卜部喜太郎

  ○ト部喜太郞君　簡單デアリマスカラ此席ヨリ報〓致シマス、配付セラレタル報告書
  ニアリマス通リ、本案ハ修正ノ上滿場一致ヲ以テ可決ヲ致シマシタ、其修正ノ箇條ハ
  原案ニ拘留科料ニ關スル裁判法案トアリマシタモノヲ、拘留ニ關スル裁判法案ト改メマシ
  テ、第一條ノ區裁判所ニ於テ拘留又ハ科料ニト云フ「又ハ科料」ト云フ四字ヲ削リマ
  シテ「但裁判所ニ於テ口頭審理ヲ必要ト認ムル時ハ直ニ正式ノ裁判ヲ爲スコトヲ得」ト
  云フ但書ヲ加ヘマシテ、第二條ヲ新ニ設ケマシタ、拘留又ハ科料ノ刑ニ處スベキ犯罪ニ
  シテ警察署長及分署長又ハ其代理タル官吏ニ於テ科料ノ刑ヲ適用スベキモノト認メタ
  ル時ハ違警罪卽決例ニ依ルト云フノガ、新ニ加ヘタ第二條デアリマス、第三條ノ前條ト
  云フ文字ヲ第一條ト改メマシタ-チヨット間違ヒマシタ、第二條ヲ第三條ト致シマシ
  ダ、サウシテ前條ト云フ文字ヲ第一條ト修正致シマシタ、第三條ヲ第四條ト改メマシ
  グ附則ニ「明治十八年九月第十三號布告違警罪卽決例ハ之ヲ廢止ス」トアリマス
  分ヲ「違警罪卽決例ハ拘留ニ處スヘキ罪ニ關シテハ之ヲ適用セス」、斯ウ訂正致シマシ
  テ、第九條ハ之ヲ削除スル、斯ウ云フコトニ修正ニナリマシテ、滿場一致ヲ以テ可決致
  シマシタ、修正案ノ大體ノ意味ハ科料ニ關スル分ニ付テハ、從來ノ違警罪卽決例ニ依
  ルコトニ致シマシテ、拘留ニ處スベキ分ニ限ッテ裁判所ノ方デ裁判ヲスル斯ウ云フコトニ
  修正ヲ致シタノデアリマス、政府ハ此修正案ニマデ反對デアッタノデアリマスル、此委員
  會ニ於ケル政府委員トノ問答等ニ付テハ、巨細ノ事柄ハ總テ委員會ノ速記錄ニ譲ッテ、
  今此處デ再ビ申シマセヌ、若モ修正スベキ箇條ガゴザイマシタナラバ、十分ニ御修正ノ
  上、本案ヲ可決セラレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=147

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• 148・伊藤大八

  ○伊藤大八君　本案ハ直ニ二讀會ヲ開カレンコトヲ望ミマス
  〔「贊成」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=148

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• 149・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　本案ハ直ニ二讀會ヲ開クト云フコトニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=149

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• 150・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガナイト認メマスカラ、直ニ二讀會ヲ開キ議案ノ全
  部ヲ議題ニ供シマス
  拘留科料ニ關スル裁判法案第二讀會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=150

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• 151・松田源治

  ○松田源治君　修正意見ガアリマス、末文ニ五條ヲ設ケマシテ「本法ニ規定ナキ事項
  ニ付テハ刑事訴訟法ヲ準用ス」ト云フ此規定ヲ加ヘタイト思フノデアリマス、其理由ハ之
  ヲ加ヘナイト云フト、刑ノ執行ハ檢事ガスルガ、時效中斷ハドウスルカ、書類ノ送達ハド
  ウスルカト云フコトノ疑問ガ起リマス、尤モ本案ハ特別法デアリマスカラ、特別法ニ無イ
  モノハ刑事訴訟法ノ一般ノ原則ニ依ルコトハ當然デアリマスケレドモ、本法ガ法律トナッ
  テ運用スル場合ニ、少シデモ疑問ガ起ルト云フコトハ頗ル遺憾デアリマスカラ、尙完全ヲ
  期スルタメ今ノ規定ヲ加ヘタイト思ヒマスカラ、諸君ノ御贊成ヲ願ヒマス
  (「贊成々々」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=151

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• 152・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　第五條ハ「本法ニ規定ナキ事項ニ付テハ刑事訴訟法ヲ凖
  用ス」ト云フノデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=152

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• 153・松田源治

  ○松田源治君　サウデス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=153

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• 154・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　是ニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=154

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• 155・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガナイト認メマスカラ、卽チ此修正案ニ決シマス、他
  ノ部分ハ委員長ノ報告通リ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=155

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• 156・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガナイト認メマスカラ、他ハ委員長ノ報告通リ決シ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=156

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• 157・長晴登

  ○長晴登君　直ニ三讀會ヲ開キ、本案ハ確定セラレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=157

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• 158・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　直ニ三讀會ヲ開キ、確定スルト云フコトニ御異議アリマセヌ
  カ
  〔「異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=158

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• 159・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　直ニ三讀會ヲ開キ議案全部ヲ議題ニ供シマス
  拘留科料ニ關スル裁判法案第三讀會
  (「異議ナシ異義ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=159

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• 160・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガナイト認メマスカラ二讀會ノ決議通リ確定致シマ
  ス、日程第十五、商法中改正法律案ノ第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長庄野金十
  郞君
  商法中改正法律案(松田源治君第一讀會ノ續(○○○○○○○
  第十五提出)(税別)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=160

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• 161・松田源治

  ○松田源治君　委員長モ理事モ差支ガアリマスカラ、特別委員タル本員カラ報告シテ
  宜シウゴザイマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=161

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• 162・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　松田源治君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=162

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• 163・松田源治

  ○松田源治君　本案ハ提出ノトキニ理由ヲ述ベマシタ通リニ會社合併ニ關スル法規
  デゴザイマスガ、會社合併ノ場合ニ於テ、此規定ニ據リマシテ會社ノ記名株ヲ數箇
  月停止スルタメニ、會社ノ合併ニ關スル規定ハ商法中ニアレドモナキガ如キ有樣ヲ呈シ
  テ居ルノデゴザイマスル因テ記名株ノ讓渡ヲ停止スル條文ヲ削除スルノガ本案デゴザイ
  マス、政府ハ本案ノ二百二十三條ノ第一項ニ付テハ適用ガナイカラ第一項ハ不必要
  デアル第二項ハ是ハ立法上必要ノナイ規定デアルカラ、一項モ二項モ削除スルト云フ
  ニ付テハ差支ナイ、案ノ立案ニ付テモ結構デアルト云フコトデ、案ノ內容ニ付テハ全然贊
  成ノ意ヲ表サレタノデアリマス、委員會ハ全會一致ヲ以テ本案ヲ可決致シマシタ、ドウカ
  諸君モ滿場一致ヲ以テ可決アランコトヲ希望致シマス
  (「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=163

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• 164・伊藤大八

  ○伊藤大八君　本案ハ直ニ二讀會ヲ開キ、三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通リ確
  定センコトヲ望ミマス
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=164

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• 165・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　本案ハ直ニ二讀會ヲ開キ、三讀會ヲ省略シテ委員長代理
  ノ報告通リ確定シテ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=165

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• 166・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガナケレバ直ニ二讀會ヲ開キ、議案全部ヲ議題ニ供
  シマス
  商法中改正法律案確定議
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=166

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• 167・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガナイト認メマスカラ、委員長代理報告通リ三讀會
  ヲ省略シテ、本案ヲ確定致シマス-諸般ノ報告ヲ致シマス
  〔書記朗讀〕
  一政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  登錄稅法中改正法律案
  日本勸業銀行法中改正法律案
  農工銀行法中改正法律案
  北海道拓殖銀行法中改正法律案
  一議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  裁判所構成法中改正法律案
  提出者中村啓次郞君江原節君松田源治君
  岡田泰藏君向坂出番阿部德三郞君
  石田仁太郞君加瀨林家典稻村辰次郞君
  齋藤二郞君高木益太郞君〓〓太郞君
  辯護士法中改正法律案
  提出者中村啓次郞君江原節君松田源治君
  岡田泰藏君向坂弘治阿部德三郞君
  石田仁太郞君加瀨所持有稻村辰次郞君
  齋藤二郞君高木益太郞君〓崟太郞君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002613242X01719100308&spkNum=167

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• 168・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　議長ニ委託セラレタ特別委員ノ指名ハ、公報ヲ以テ御通
  知致シマス、次囘ノ議事日程ハ公報ヲ以テ御通知致シマス、本日ハ是ニテ散會
  午後六時三十分散會

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