1. 会議録本文
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000・会議録情報
明治四十四年三月六日(月曜日)
午前十時四分開議
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議事日程 第十三號 明治四十四年三月六日
午前十時開議
第一 明治二十三年法律第百三號廢止法律案(政府提出) 第一讀會
第二 工場法案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第三 蠶絲業法案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第四 鐵道敷設法中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會
第五 砂糖政策に關する請願 會議
第六 釧路美幌間鐵道速成の請願 會議
第七 地租過剩金下戻の請願 會議
第八 廣島江津間鐵道速成に關する請願 會議
第九 裁判所位置名稱管轄區域變更に關する法律案否決の請願 會議
第十 郵便局設置の請願(文書表第百八十三號) 會議
第十一 官營製材事業廢止の請願 會議
第十二 利根川第一期改修工事補修の請願 會議
第十三 豐肥鐵道速成に關する請願 會議
第十四 利根川水害豫防工事速成に關する請願 會議
第十五 區裁判所出張所設置の請願 會議
第十六 絹業試驗場設立事業實施の請願 會議
第十七 鐵道速成に關する請願 會議
第十八 東京府神奈川縣町村區域變更に關する請願 會議
第十九 森林法中土地使用に關する規定改正の請願 會議
第二十 飛越鐵道急設の請願 會議
第二十一 紀勢鐵道速成の請願 會議
第二十二 郵便局設置の請願(文書表第二百二十一號) 會議
第二十三 靜岡監獄濱松分監移轉の請願 會議
第二十四 石狩川北岸鐵道敷設の請願 會議
第二十五 日高海岸線鐵道敷設の請願 會議
第二十六 内國粗糖生産費補助金下付の請願 會議
第二十七 横手黒澤尻間鐵道速成に關する請願 會議
第二十八 鐵道敷設に關する請願 會議
第二十九 鐵道速成竝鐵道敷設法改正に關する請願 會議
第三十 電信事務開始の請願 會議
第三十一 糖業保護に關する請願 會議
第三十二 田儀郵便局集配事務開始の請願 會議
第三十三 最上川治水工事速成の請願 會議
第三十四 宮城縣下小牛田より山形縣下新庄町を經て酒田町に達する鐵道速成の請願 會議
第三十五 陸羽横斷線竣成年限繰上竝越羽沿岸鐵道速成の請願 會議
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=0
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001・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ諸般ノ報告ヲ致シマス
〔河井書記官朗讀〕
一昨四日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出案ハ卽日裁可ヲ奏請シ又可決
ノ旨ヲ衆議院ニ通知セリ
鐵道敷設法中改正法律案
同日本院ニ於テ否決シタル左ノ衆議院提出案ハ第二讀會ヲ開カサルコトヲ
議決シタル旨ヲ衆議院ニ通知セリ
鐵道敷設法中改正法律案
鐵道敷設法中改正法律案
鐵道敷設法中改正法律案
鐵道敷設法中改正法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=1
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002・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ本日ノ會議ヲ開キマス、議事日程第一、明
治二十三年法律第百三號廢止法律案、政府提出、第一讀會
〔東久世書記官朗讀〕
明治二十三年法律第百三號廢止法律案
右
勅旨ヲ奉シ帝國議會ニ提出ス
明治四十四年三月三日
內閣總理大臣侯爵桂太郞
司法大臣子爵岡部長職
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス以下之ニ傚フ〕
明治二十三年法律第百三號廢止法律案
明治二十三年法律第百三號ハ之ヲ廢止ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前ヨリ繼續シテ支拂ヲ停止スル者ハ明治二十三年法律第三十二號
商法ノ適用ニ付テハ本法施行ノ時ニ於テ支拂ヲ停止シタルモノト看做ス
第九百九十條ノ規定ハ本法施行前ノ行爲ニ之ヲ適用セス
〔政府委員齋藤十一郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=2
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003・齋藤十一郎
○政府委員(齋藤十一郞君) 本案提出ノ理由ヲ申上ゲマス、申上ゲルマデモ
ナク明治二十三年法律百三號ハ明治二十三年法律第三十二號商法破產編ノ規
定ヲ沖繩縣ニ施行シナイト云フ趣意ノ法律デアリマス、此法律ヲ廢止イタシ
マシテ破產編ノ規定ヲ沖繩縣ニ施行シタイト云フノガ本案ノ趣意デゴザイマ
ス、沖繩縣ノ現在ノ事情カラ見マシテ破產編ノ規定ヲ適用イタサナイト云フ
特別ノ事實ガ無イノミナラズ、近來、會社ノ數モ殖エマシテ、往々仕拂ヲ停
止イタス事情ガ有ルノデゴザイマス、破產編ヲ施行スル必要ヲ生ジテ居ル次
第デゴザイマス、ソレ故ニ本案ヲ提出イタシマシタ理由デゴザイマス、何卒
御贊成ヲ請ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=3
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004・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第二、工場法案、政府提出、衆議院送付、
第一讀會
〔東久世書記官朗讀〕
工場法案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治四十四年三月二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
小字ハ衆議院ノ修正、ーハ
同削除ノ符號、以下之ニ傚フ
工場法
第一條本法ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル工場ニ之ヲ適用ス
〇五
一當時十〓人以上ノ職工ヲ使用スルモノ
二事業ノ性質危險ナルモノ又ハ衞生上有害ノ虞アルモノ
本法ノ適用ヲ必要トセサル工場ハ勅令ヲ以テ之ヲ除外スルコトヲ得
第二條工業主ハ十二歳未滿ノ者ヲシテ工場ニ於テ就業セシムルコトヲ得
ス但シ本法施行ノ際十歲以上ノ者ヲ引續キ就業セシムル場合ハ此ノ限ニ
在ラス
行政官廳ハ輕易ナル業務ニ付就業ニ關スル條件ヲ附シテ十歲以上ノ者ノ
就業ヲ許可スルコトヲ得
第三條工業主ハ十五歲末滿ノ者及女子ヲシテ一日ニ付十二時間ヲ超エテ
就業セシムルコトヲ得ス
主務大臣ハ業務ノ種類ニ依リ本法施行後十五年間ヲ限リ前項ノ就業時間
ヲ二時間以內延長スルコトヲ得
就業時間ハ工場ヲ異ニスル場合ト雖前二項ノ規定ノ適用ニ付テハ之ヲ通
算ス
第四條工業主ハ十五歲未滿ノ者及女子ヲシテ午後十時ヨリ午前四時ニ至
ル間ニ於テ就業セシムルコトヲ得ス
第五條左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ前條ノ規定ヲ適用セス但シ
本法施行十五年後ハ十四歲未滿ノ者及二十歲未滿ノ女子ヲシテ午後十時
ヨリ午前四時ニ至ル間ニ於テ就業セシムルコトヲ得ス
ー一時ニ作業ヲ爲スコトヲ必要トスル特種ノ事由アル業務ニ就カシ
ムルトキ
二夜間ノ作業ヲ必要トスル特種ノ事由アル業務ニ就カシムルトキ
三晝夜連續作業ヲ必要トスル特種ノ事由アル業務ニ職工ヲ二組以上
ニ分チ交替ニ就業セシムルトキ
前項ニ揭ケタル業務ノ種類ハ主務大臣之ヲ指定ス
第六條職工ヲ二組以上ニ分チ交替ニ就業セシムル場合ニ於テハ本法施行
後十五年間第四條ノ規定ヲ適用セス
第七條工業主ハ十五歲未滿ノ者及女子ニ對シ每月少クトモ二囘ノ休日ヲ
設ケ、職工ヲ二組ニ分チ交替ニ午後十時ヨリ午前四時ニ至ル間ニ於テ就
業セシムル場合及第五條第一項第二號ニ該當スル場合ニ於テハ少クトモ
四囘ノ休日ヲ設ケ又一日ノ就業時間カ六時間ヲ超ユルトキハ少クトモ三
十分、十時間ヲ超ユルトキハ少クトモ一時間ノ休憩時間ヲ就業時間中ニ
於テ設クヘシ
職工ヲ二組以上ニ分チ交替ニ午後十時ヨリ午前四時ニ至ル間ニ於テ就業
十日
セシムルトキハ一週間ヲ超エサル期間每ニ其ノ就業時ヲ轉換スヘシ
第八條天災事變ノ爲又ハ事變ノ虞アル爲必要アル場合ニ於テハ主務大臣
ハ事業ノ種類及地域ヲ限リ第三條乃至第五條及前條ノ規定ノ適用ヲ停止
スルコトヲ得
避クヘカラサル事由ニ因リ臨時必要アル場合ニ於テハ工業主ハ行政官廳
ノ許可ヲ得テ期間ヲ限リ第三條ノ規定ニ拘ラス就業時間ヲ延長シ、第四
條及第五條ノ規定ニ拘ラス職工ヲ就業セシメ又ハ前條ノ休日ヲ廢スルコ
トヲ得
臨時必要アル場合ニ於テハ工業主ハ其ノ都度豫メ行政官廳ニ屆出テ一月
ニ付七日ヲ超エサル期間就業時間ヲ二時間以內延長スルコトヲ得
季節ニ依リ繁忙ナル事業ニ付テハ工業主ハ一定ノ期間ニ付豫メ行政官廳ノ認可ヲ受ケ其ノ期間
中一年ニ付百二十日ノ割合ヲ超エサル限リ就業時間ヲ一時間以内延長スルコトヲ得此ノ場合ニ
於テハ其ノ認可ヲ受ケタル期間內ハ前項ノ規定ヲ適用セス
第九條工業主ハ十五歲未滿ノ者及女子ヲシテ運轉中ノ機械若ハ動力傳導
裝置ノ危險ナル部分ノ掃除、注油、檢査若ハ修繕ヲ爲サシメ又ハ運轉中
ノ機械若ハ動力傳導裝置ニ調帶、調索ノ取附ケ若ハ取外シヲ爲サシメ其
ノ他危險ナル業務ニ就カシムルコトヲ得ス
第十條工業主ハ十五歲未滿ノ者ヲシテ毒藥、劇藥其ノ他有害料品又ハ爆
發性發火性若ハ引火性ノ料品ヲ取扱フ業務及著シク塵埃、粉末ヲ飛散シ
又ハ有害瓦斯ヲ發散スル場所ニ於ケル業務其ノ他危險又ハ衞生上有害ナ
ル場所ニ於ケル業務ニ就カシムルコトヲ得ス
第十一條前二條ニ揭ケタル業務ノ範圍ハ主務大臣之ヲ定ム
前條ノ規定ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ十五歲以上ノ女子ニ付之ヲ適用
スルコトヲ得
第十二條主務大臣ハ病者又ハ產婦ノ就業ニ付制限又ハ禁止ノ規定ヲ設ク
ルコトヲ得
第十三條行政官廳ハ命令ノ定ムル所ニ依リ工場及附屬建設物竝設備カ危
害ヲ生シ又ハ衞生、風紀其ノ他公益ヲ害スル虞アリト認ムルトキハ豫防
又ハ除害ノ爲必要ナル事項ヲ工業主ニ命シ必要ト認ムルトキハ其ノ全部
又ハ一部ノ使用ヲ停止スルコトヲ得
第十四條當該官吏ハ工場又ハ其ノ附屬建設物ニ臨檢スルコトヲ得此ノ場
合ニ於テハ其ノ證票ヲ携帶スヘシ
第十五條職工自己ノ重大ナル過失ニ依ラスシテ業務上負傷シ、疾病ニ罹
リ又ハ死亡シタルトキハ工業主ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ本人又ハ其ノ遺
族ヲ扶助スヘシ
○徒弟○徒弟
第十六條職工〇、職工oタラムトスル者若ハ工業主又ハ其ノ法定代理人若
○徒弟○徒弟
ハ工場管理人ハ職工〇又ハ職工○タラムトスル者ノ戶籍ニ關シ戶籍吏ニ對
シ無償ニテ證明ヲ求ムルコトヲ得
第十七條職工ノ雇入、解雇、周旋ノ取締及徒弟ニ關スル事項ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
ハ工場ニ付一切ノ權限ヲ有スル工場管理人ヲ選任スルコトヲ得
第十八條工業主本法施行區域內ニ現住セサルトキハ工場ニ付一切ノ權限
ヲ有スル工場管理人ヲ選任スルコトヲ要ス
工業主本法施行區域内ニ居住セサルトキハ工場管理人ヲ選任スルコトヲ要ス
工場管理人ノ選任ハ行政官廳ノ認可ヲ受クヘシ但シ法人ノ理事、會社ノ業務ヲ執行スル社員、
工業主ハ特別ノ事由アル場合ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ行政官廳ノ
會社ヲ代表スル社員、取締役、業務擔當社員其ノ他法令ノ規定ニ依リ法人ヲ代表スル者及支配
人ノ中ヨリ選任スル場合ハ此ノ限ニ在ラス
認可ヲ受ケ前項ノ工場管理人ヲ選任スルコトヲ得
第十九條前條ノ工場管理人ハ本法及本法ニ基キテ發スル命令ノ適用ニ付
テハ工業主ニ代ルモノトス但シ第十五條ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
工業主營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有セサル未成年者若ハ禁治產者
ナル場合又ハ法人ナル場合ニ於テ工場管理人ナキトキハ其ノ法定代理人
又ハ理事、業務ヲ執行スル社員、會社ヲ代表スル社員、取締役、業務擔
當社員其ノ他法令ノ規定ニ依リ法人ヲ代表スル者ニ付亦前項ニ同シ
第二十條第二條乃至第五條、第七條、第九條又ハ第十條ノ規定ニ違反シ
タル者及第十三條ノ規定ニ依ル處分ニ從ハサル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ
處ス
第二十一條正當ノ理由ナクシテ當該官吏ノ臨檢ヲ拒ミ若ハ之ヲ妨ケ若ハ
サ
其ノ訊問ニ對シ答辯ヲ爲サス又ハ虛僞ノ陳述ヲ爲シタル者ハ三百圓以下
ノ罰金ニ處ス
○又ハ第十九條ニ依リ工業主ニ代ル者
第二十二條工業主〇ハ其ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ
從業者ニシテ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違反スル所爲ヲ爲シタ
ルトキハ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ス
但シ工場ノ管理ニ付相當ノ注意ヲ爲シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
○又ハ第十九條ニ依リ工業主ニ代ル者
工業主〇ハ職工ノ年齡ヲ知ラサルノ故ヲ以テ本法ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ス
○又ハ第十九條ニ依リ工業主ニ代ル者
但シ工業主〓及取扱者ニ過失ナカリシ場合ハ此ノ限ニ在ラス
第二十三條本法ニ依ル行政官廳ノ處分ニ不服アル者ハ訴願ヲ提起シ違法
ニ權利ヲ傷害セラレタリトスルトキハ行政訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第二十四條主務大臣ハ第一條ニ該當セサル工場ニシテ原動力ヲ用フルモ
ノニ付テハ第九條、第十一條、第十三條、第十四條、第十六條及第十八
條乃至第二十三條ノ規定ヲ適用スルコトヲ得
第二十五條本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ハ工場管理人ニ關スル規定
及罰則ヲ除クノ外官立又ハ公立ノ工場ニ之ヲ適用ス
官立工場ニ關シテハ所轄官廳ハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依リ
行政官廳ニ屬スル職務ヲ行フ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣男爵大浦兼武君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=4
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005・大浦兼武
○國務大臣(男爵大浦兼武君) 今玆ニ議題ニナリマシタ所ノ工場法案ハ、御
承知ノ通リ實ニ十數年ノ問題デゴザイマシテ、今日本議會ニ提出スルマデノ
運ビニ至リマシタノハ少カラザル調査〓究ヲ重ネタモノデゴザイマス、而シ
テ其來歷ヲ御參考ニ申上ゲタイト存ジマス、卽チ明治三十一年農商務省ニ於
テ農商工高等會議ト云フモノガ開カレテ居リマシテ、其當時、工場法ノ制定
必要ト云フコトヲ議決イタシタノガ抑〓初マリデゴザイマシタ、其後政府ハ
明治三十三年ヨリ數年ニ亙リマシテ、議會ニ工場調査費ト云フモノヲ要求イ
タシマシテ、特別ニ吏員ヲ設ケマシテ、專ラ我國ノ工場ノ現狀ヲ調査イタシ
タノデゴザイマス、而シテ明治三十五年ニ至リマシテ一旦、案ヲ具ヘテ全國
ノ公私ノ機關〓體ノ意見ヲ諮ヒマシテ愈〓之ヲ議會ニ提出スルマデノ運ビニ
達シテ居リマシタ所ガ、圖ラズモ三十七八年ノ戰役ノ爲ニ本案ヲ提出スルコ
トガ出來ナイヤウナ事情ニ立至ッタノデゴザイマス、漸ク昨年ニ至リマシテ
之ヲ衆議院ニ提出イタシマシタ所ガ、衆議院ニ於テモ色〓意見モゴザイマシ
テ、尙ホ調査ヲ要スル廉ヲ發見イタシマシタカラ、一旦之ヲ撤囘イタシマシ
テ、爾後更ニ愼重ナル調査審議ヲ重ネマシタル後、案ヲ具シテ全國ノ各地方
長官、中央衞生會、或ハ各商業會議所、其他主要ナル實業團體、百十有五箇
所ニ諮詢イタシマシテ、各〓其意見ヲ徵シマシタル所ガ、大體ニ於テハ殆ド
之ヲ是認イタシマシタノデゴザイマス、而シテ生產調査會ニ於キマシテハ是
等ノ答申意見ヲ審査イタシマシテ、別ニ當業者ヲ招集シテ、直接ニ其意見ヲ
聞キ、十分ナル審議ヲ爲シタル後、答申ガソレ〓〓ゴザイマシタノデ、而シ
テ此案ノ調査方針ニ依リマシテ、政府ハ本案ヲ確定シテ之ヲ本議會ニ提出ス
ルノ運ビニ立至ッタノデゴザイマス、サテ玆ニ賢明ナル諸君ニ申上ゲルマデ
モゴザイマセヌ、我國ノ今日ハ謂ハユル戰後ノ經營トシテ國富ノ增進ヲ經營
シナケレバナラヌト云フ大切ナ場合デゴザイマス、サスレバ各〓產業ノ發達
ヲ益〓隆盛ナラシムル爲ニ、農商工共ニ十分ニ注意ヲ致シマシテ各〓其發達
ヲ計畫シナクテハナラヌ場合デゴザイマス、ソレニハ又工業ノ健全ナル發達
ヲ圖ラナケレバナラヌコトハ無論ノコトヽ存ジマス、而シテ工業ノ健全ナル
發達ヲ期スル爲ニハ、之ニ從事スル所ノ職工ヲシテ常ニ元氣ヲ旺盛ニシテ而
シテ永ク工場ニ勤續シ、業務ニ熟練セシムルコトガ最モ必要ナコトデアラウ
ト考ヘマス、我國工業ノ現狀ニ鑑ミテ成ルベク實際ノ情況ニ適應セシムルコ
トヲ努メテ、工業家及職工ニ對シテ事業ノ秩序アル最モ健全ナ發達ヲ期シナ
クテハナラヌト考ヘマス、凡ソ生產上ノ施設ハ謂ハユル經濟上ノ三要素タル
土地、資本、勞働ノ三ツノモノヽ利用其宜シキヲ得ナケレバナラヌコトヽ考
ヘマス、今サラ申上ゲルマデモゴザイマセヌ、此案ハ此經濟上ノ三要素ノ一
タル所ノ勞力ノ保全ヲ以テ其目的トシタルモノデゴザイマス、尙ホ本案ハ衆
議院ニ於テ種々ノ意見モゴザイマシテ、愼重ニ審査セラレマシテ數箇條ノ修
正ニナッタノデゴザイマス、政府ハ其修正ニ同意ヲ表シテ居ルモノデゴザイ
マス、願ハクハ十分ニ御審議ノ上御協賛ヲ與ヘラレムコトヲ希望イタシマス、
尙ホ詳細ノ說明ハ委員會等ニ於テ委シク申上ゲタイト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=5
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006・廣澤金次郎
○伯爵廣澤金次郞君 チヨット大臣ナリ或ハ他ノ政府委員デモ宜シウゴザイ
マスガ、チヨット伺ヒマス、此第十三條ニアリマス「行政官廳ハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ」云々トアリマスガ、其他ニモ行政官廳ト云フ文字ガ第二條ニモ、
タシカアッタト考ヘマスガ、此行政官廳ト云フコトハ如何ナル官廳ノ意味デ
アリマスカ、凡ソ最早御方針ハ定マッテ居ルコトヽ考ヘマス、是等ハ少シ迷
ヒマスカラ、此場合ニ伺ッテ置キタイト思ヒマス、ソレト第十三條ト云フモ
ノハ行政官廳ニ非常ナル權利ヲ與ヘルモノデアリマスガ、固ヨリ種々ノ危害
ノ豫防トカ或ハ、衞生、風紀ノ紊亂ヲ防グト云フコトデアリマスカラ權利ヲ
與ヘルノハ無論差支ナイコトヽハ考ヘマスガ、同時ニ此權利ヲ或ル場合ニ於
テ餘リ主張サルヽト工場ノ技術上ノ設備等ニ、ツマラナイ干渉ヲ受ケルヤウ
ナコトガアルカト考ヘマスガ、其邊ハ如何ナル方針デ其命令ト云フモノガ定
メラルヽモノデアリマスカ、若シ茲デ御明言ガ出來レバ伺ヒタイト思ヒマス
〔政府委員岡實君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=6
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007・岡實
○政府委員(岡實君) 私カラ御答ヘヲ致シマス、本案中ニ場所ニ依リマシテ
「主務大臣」ト云フコトガ書キ放シテゴザイマス、場所ニ依ルト單ニ「行政
官廳」ト書イテアッテ主務大臣トモ地方長官トモ書イテ無イノデ、此書キ放シ
テアル場合ノ行政官廳ト云フ中ニハ、主務大臣モ又地方長官モ兩樣含マル
コトヽ御承知ヲ願ヒタイ、ソレカラ本條ノ規定ハ行政官廳ニ多大ノ職權ヲ與
ヘルモノデアルカラシテ、如何ナル方針ヲ以テ此職權ヲ行使スルヤト云フ第
二ノ御問ヒデアリマス、御承知ノ如ク唯〓マデモ各地方ニ於キマシテハ、主
トシテ此警察官ガ工場ノ危害ヲ防止スルコトヲヤッテ居リマス、本案制定後
ハ農商務省ニ於テ大體ノ準則トモ謂フベキ規定ヲ一ツ拵ヘマシテ、尙ホ其特
殊ノ事情ガ地方ニゴザイマスカラ、其地方特殊ノ事情ニ鑑ミテ、又地方地方
デ規則ヲ拵ヘルト云フ方針ニ致シタイト存ジテ居リマス、無論工場ノ設備等
ヲ改善スルト云フコトハ、餘程工業主ノ負擔ヲ增加スルモノデゴザイマス、
ドウ云フ設備ヲセイト云フコトヲ唯法律ニ書クコトハ餘程之ニ依テ困ル當業
者ガ出來テ來ヤウト存ジマスカラ、是ハ漸次ニ卽チ漸進主義ヲ以テ此工場ノ
設備ノ改善ヲ圖ルト云フ考ヘデゴザイマス、左樣御承知ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=7
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008・廣澤金次郎
○伯爵廣澤金次郞君 略了解イタシマシタガ、モウ一ツ伺ヒマス、唯今ノ
御說明ニ依リマスルト、行政官廳ハ主務大臣及地方長官ヲ加ヘタ意味ダト云
フコトニ承リマシタガ、唯今政府委員ノ述ベラレル如ク、今日ニ於テハ地方
ノ警察官ガ重モニ此種々ノ危害ノ豫防等ノ命令ヲ發シテ居リマスガ、現ニ或
ル工場ニ於テ汽鑵ヲ備付ケマシテモ其汽鑵ハ普通ノ汽鑵デアリマスガ、普通
ノ汽鑵ヲ動カスニスラ警察署ノ許可ヲ得ルコトニナッテ居リマスガ、若シ是等
ノ甚ダ廣イ意味ノ豫防ヲ警察署ニ與ヘラレルト云フコトニナリマスレバ、警
察署ハ相當ノ技術ノ經驗ノアル技師ガ無ケレバ甚ダ········工場主ハ時〓素人的
ノ命令ヲ下ダサレテ、其爲ニ非常ナ設備ノ費用ヲ要スルコトニナリハシマイ
カト考ヘマスガ、ソレ等ノ點ニ於テハ唯學者デナク、相當ノ技術上ノ經驗ア
ル者ヲ監督上置カレルト云フ見込デアリマスカ、其邊ヲ伺ヒタイト思ヒマス
「政府委員岡實君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=8
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009・岡實
○政府委員(岡實君) 工場法案制定後ハ工場ノ監督ハ總テ農商務省ガ主トシ
テヤルト云フコトニナラウト存ジマス、其事ハ全ク警察ヲ借ラズシテヤルト
云フコトハ或ハムヅカシカラウト存ジマス、先ヅ此主動力トシテ監督ニ從事
スルモノハ農商務省側ノ官吏デ、警察官ハ之ニ必要ナル補助ヲ與ヘルト云フ
ヤウナコトニナラウカト存ジマス、事實ハ農商務省側ノ官吏ハドウ云フ性質
ノ官吏デアルカト申シマスト、是ハ警察官デナクシテ、先進國ニゴザイマスル
通リニ、矢張リ工場監督官ト云フヤウナ者ヲ設置イタシマシテ、此工場監督
官ガ各地方長官ノ下デ其指揮ヲ受ケテヤルコトニナラウト存ジマス、デ工場
監督官ノ人選ニ付イテハ今伯爵ノ御說ノアリマシタ通リニ、單ニ學問ガ出來
ルト云フノミデナク、又實地ニ達シテ居ル所ノ老練ナル監督官ヲ人選シテ、
本法ノ運用ニ遺憾ナカラシムルコトヲ期シテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=9
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010・調所廣丈
○男爵調所廣丈君 本員モ政府委員ニ質疑ヲ致シタウゴザイマス、丁度唯今
御質問ニナリマシタ行政官廳ノコトデゴザイマスガ、從前ハ矢張リ東京市ノ
如キハ警視廳デ管轄ヲシテ色〓願ヤ伺屆等モ取扱ッテ居ラレマシテゴザイマ
スガ、今度モ矢張リ東京市ノ如キハ警視廳デ管轄セラレテ居ラルヽコトヲ最
モ必要ト感ジマス、本員ハ三田小山町ノ四番地デゴザイマスガ、其鄰地三番地
ニ先年坩堝會社ト云フ工場ガゴザイマシテ、是ハ多年經營イタシテ居リマシ
タガ、其工場ニ於キマシテ非常ナ震動騷響ノ機械ヲ据付ケマシテ、誠ニ私ハ
苦メラレテ家モ何モ震動シテ度~破損ヲ致ス目ニ遭ヒマシテゴザイマス、其
時ハ唯〓ノ大浦大臣ガ警視總監ノトキデゴザイマシテ、早速ニ其邊ノコトニ
付イテ御配慮ヲ願ヒマシタガ、其後御都合ニ依ッテ御轉任ニナリマシタ後ハ、
唯〓貴族院議員ヲシテ居ラレマスル安立綱之サンデゴザイマス、其警視總監
ノ時ニ非常ニ御盡力クダサレマシテ、段々ト願ヒマシテ遂ニ年限ヲ立テヽ其
工場ヲ他ニ移轉スルコトニナリマシタ、又安樂兼道君ガ警視總監ニナラレマ
シテ、サウシテ其時代ニ漸ク移轉スルコトニナリマシタガ、ソレガ卽チ終尾
ニナリマシタノハ昨年デゴザイマス、右樣ナコトガゴザイマスカラ、是ハ行
政官廳ハ卽チ警視廳ノヤウニ警察署モアリ、又交番所モアリシテ氣ヲ付ケ
テ貰ッテ居ッテモナカ〓〓油斷ハナラナイノデゴザイマス、此事ニ付キマシ
テハ事業ノ中ニ願フモノハ勿論ノコト、願ハヌモノヲ加ヘテ工業モヤル、原
動力ヲ据付ケテ仕舞フト云フヤウナ譯デ、マダマダ斯ウ云フコトヲ致ス會社
ガゴザイマスカラ、其監督官廳ト云フモノハ矢張リ東京市ノ如キモノハ警視
廳デゴザイマセヌト行クマイト思ヒマス、總テ警察署ナリ分署ナリ其他交番
所ナドモ人民ノ迷惑ニナラヌヤウニ、氣ヲ付ケテクダサラヌトナラヌコト
考ヘマスカラ、私ハ右樣ナ目ニ遭ヒマシテ甚ダ困難シマシテ家モ何モ轉覆セ
ラレムトスルニ至リマシタ、是ハ時ノ安立警視總監モ安樂警視總監モ御承知
ノコトデゴザイマス、右樣ナ次第デゴザイマスカラ、今度モソレ〓〓御心配ハ
アリマセウケレドモ矢張リ東京市ハ警視廳ノ管轄ニナルデゴザイマセウカ、
如何デゴザイマセウカ、其邊ノ所ヲ伺ヒタウゴザイマス
〔政府委員岡實君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=10
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011・岡實
○政府委員(岡實君) 御答ヘヲ致シマス、先キホド廣澤男爵ノ········廣澤伯爵
ノ御質問ニ御答ヘ致シマシタ通リ、工場法ノ施行ニ付イテハ唯今ノ工場監督
制度ガマダ十分ニ行屆イテ居リマセヌ爲ニ、各地ニ往々唯今男爵ノ御話ノヤ
ウナ事柄ガ起ッテ居ルノデゴザイマス、而シテ之ヲ十分ニ監督イタシマスル
ニ、矢張リソレ〓〓專門ノ技師技術官ヲ必要トスルコトデゴザイマシテ、
例ヘバ建築上ノ取締ハ矢張リ建築家ヲ必要トスル、ソレカラ機械ノ取締ニハ
矢張リ機械ヲ專攻シタ學士ヲ必要トスル、或ハ應用化學ト云フヤウナ仕事ヲ
ヤッテ居ルモノニ付イテハ、矢張リソレ〓〓其學科ヲ學ンダ技師ヲ必要トス
ルノデゴザイマシテ、是等ノ技師ハ先キホド申上ゲマスル通リニ工場監督官
トシテ知事ノ指揮ヲ受ケテ働クコトニナルノデアリマス、而シテ此工場監督
官バカリノ働キデ其他或ハ此警察ノ働キト云フモノヲ排除シテ仕舞フノデア
ルカドウカト申シマスルト、ソレハ決シテサウデナイノデゴザイマシテ、矢
張リドウシテモ警察ト共ニ働クト云フコトニシナクテハナルマイト存ジマ
ス、併ナガラ從來ハ主トシテ警察ガ働イテ居リマシタノデゴザイマス、別
工場監督ニ付イテ専門ノ官吏ガ無カッタノデゴザイマスガ、今囘ハ專門ノ官
吏ヲ置イテ、ソレガ表面ニ立ッテ監督ニ從事スルコトニナリマシテ、警察官
ハソレヲ助ケテ、而シテ此工場監督ヲヤルコトニナルノデアリマス、其統轄
者ハ誰デアルカト申シマスルト矢張リ從來ノ如ク地方長官ガ主トシテ其責ニ
任ズルコトニナルノデアリマス、ソレデ御了解ヲ願ヒタウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=11
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012・廣澤金次郎
○伯爵廣澤金次郞君 モウ少シ今ノヲ伺ヒタイノデアリマスガ、唯今ノ御說
明ニ依ルト工場監督官ナル者ノ新シイ官吏ヲ設ケラレルノハ是ハ地方長
官ニ屬セラレル官吏ト承知イタシマスルガ、而シテ現今ノ如ク一部ノ工場ノ
監督ハ矢張リ從來ノ如ク警察官ニ委任スルコトニナリマスルト、斯ノ如ク承
知シテ宜シイノデアルカト伺ヒマシタガ、技術上ノ設備ニ關スル監督ハ今度
新シク設ケラルヽ工場監督官ニ任セ、而シテ衞生若クハ風紀ニ關スル工場ノ
監督ハ從來ノ如ク警察官ニ任セルト云フコトニナルノダト考ヘマスガ、斯樣
ニ承知シテ宜シイノカト云フコトヲ伺ヒタイ、モウ一箇條序デニ伺ヒタイ、
此十五條ニ「工業主ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ本人又ハ其ノ遺族ヲ扶助スヘシ」
大抵大キナ工場デハ、今日是ハ相當ノ扶助方法ト云フモノヲ設ケテアリマシ
テ、是等ハ極ク小サナ工場ニ止マッテ居ルト考ヘマスガ、既ニ相當ノ扶助方
法ヲ設ケテ居ル所ハ如何ニナルノデアリマスルカ、卽チ私ガ伺ヒタイ所ハ
「勅令ノ定ムル所ニ依リ」ト云フノハ、此勅令ヲ以テ扶助ノ大體ノ方針ヲ御
定メニナルノデアルカ、或ハ政府ハ扶助料ノ規則ノ如キ使用年限、或ハ金額
其他利子ト云フヤウナ細カイ細〓ナ點ニ至ルマデ、此扶助方法ハ勅令ヲ以テ
定メラレルノデアルカ、此二箇條ヲモウ一遍伺ヒタイト考ヘルノデアリマス
〔政府委員岡實君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=12
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013・岡實
○政府委員(岡實君) 御答ヘ致シマス、工場ノ監督ハ唯今伯爵ノ御話ニナリ
マシタ如ク建築及其外技術上ノ事柄デゴザイマス、其他風紀、竝ニ衞生等ノ
コトモアリマスルガ、此技術上ト衞生、風紀トハ別段ニ區別スル積リデハゴ
ザイマセヌデス、共ニ一括シテ監督官ガ之ヲ監督シ同時ニ警察官ガソレヲ補
助スルト云フ關係ニナルコトヽ御承知ヲ願ヒマス、ソレカラ扶助ノコトニ付
イテ御尋ネニナリマシタガ、今御說ノアリマシタ如ク、現ニ大工場ニ於テハ
既ニ相當扶助ニ關スル規定ヲ設ケマシテ、現實ソレヲ行ウテ居ルノデアリマ
ス、ソレデソレ等ノ工場ニナリマスト、今工場法ガ希望スル限度以上ノ事ヲ
ヤッテ居ルト申シテモ差支ハナイカト存ジマス、併ナガラ中以下ノ工場ニナ
リマスト、御承知ノ如ク職工ガ業務上病氣ヲスルト直グニソレヲ國ニ歸ヘシ
テ仕舞フ、又負傷シテ不具者ニナレバ直グソレヲ同ク周旋屋ノ手ヲ經テ國ニ
歸ヘスト云フヤウナコトヲ中以下ノ工場デナカ〓〓盛ンニヤッテ居ル、時ニ
ハソレガ新聞種トナッテ社會ノ耳目ヲ驚カスコトガアル、ソレデ唯今工場法
デ扶助ヲ强制セムトスルニ際シテハ、現ニ上等ノ工場ニ於テヤッテ居ルヤウ
ナ結構ナコトヲ總テノ工場ニヤラセヤウト云フコトハ餘程無理カト存ジマ
スソレデ先ヅ此最低限度トモ申スベキ所ノコトニ付イテ、下ノ程度ヲ勅令
デ示シマシテ、ソレカラ其以上ノコトハ工場ノ力ニ從ヒマシテ工場主ガ自分
ノ是トスル所ヲ其以上ニ於テヤルコトヲ認メル積リデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=13
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014・高木兼寛
○男爵高木兼寬君. 質問ノ答辯中ニ工場法制定後ハ特ニ監督官ヲ置イテ其法
ノ執行ヲ監督スルト云フコトニ承知イタシマシタガ、付イテハ御答辯ノ中ニ
或ハサウナルカモ知レヌト云フガ如キ御言葉ガアッタヤウニ思ヒマス、其「カ
モ」ト云フ字ガアルヤウデアリマシテハ、監督官ノ組織ニ付イテハ未ダ一定
ノ方法ハ御定メニ···固ヨリ法律ガ出來ヌ中ニ御定メニナル筈ハゴザイマセ
ヌケレドモ、未ダ十分成立シテ居ラナイカト云フ、本員ハ疑ヒヲ生ジマシタ
カラ御尋ネヲ致シマス、故ニ本員ノ御尋ネセムトスル所ハ、如何ナル組織ノ
監督官ト云フ者ガ出來ルデゴザイマセウカ、各府縣ニ監督官ヲ大體ドノクラ
ヰ置イテ其監督官タル人ハ斯樣ナル資格ノ者デアッテ、唯今御答辯ノ通リ工
業ノ監督モ出來、衞生上ノ監督モ出來ルト云フヤウナ人ヲ御擧ゲニナラナケ
レバナラヌヤウニ聞エルノデアリマス、故ニ斯樣ナル所ニハ先ヅ如何ナル人
ヲ御採用ニナルト云フコトヲ伺ヒタイノデアリマス、卽チモウ一ツ繰返シテ
申シマスレバ、監督官ノ官制トカ云フヤウナモノガ出來ルダラウト思フ、ソ
レニ付イテハドウ云フヤウナ工合ニ大體ナルノデゴザイマセウカ、之ヲ伺ッ
·
テ置キタイノデス、然ラザレバ是マデノ御答辯デハ監督ノ方法ガドウモ分リ
カネル
〔政府委員押川則吉君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=14
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015・押川則吉
○政府委員(押川則吉君) 唯今、高木男爵ノ御尋ネノコトハ、唯今ノ所デ之
ニ對スル官制ノ勅令ヲ既ニ制定シテ居ルト云フ譯デハゴザイマセヌガ、大體
各地方ニ依リマシテ工業ノ狀態ガ違ヒマスルカラ、各府縣必シモ同一ト云フ
譯デハゴザイマセヌガ、其地方ノ工業ニ依リマシテハ工業ノ狀態ニ關シテノ
相當ノ技師、技術官、竝ニ衞生ニ關シマシテハ相當ノソレニ關スル知識ヲ有
ッテ居ル人ヲ置クト云フコトニナル積リデアリマス、「カモ知レヌ」ト申シマ
シタカ、ハッキリ私ハ唯今記億モ致シテ居リマセヌガ、ソレハ大體サウ決マ
ッテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=15
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016・石黒忠悳
○男爵石黑忠悳君 質問ヲ致シタウゴザイマスガ、此工場法ハ無論、官立ノ
陸海軍、竝ニ內務、大藏其他ノ工場ニモ行ハレマスルモノカト思ヒマスガ左
樣デアリマスカ、其御答ヘヲ明カニ承ッテ置キタイ、モウ一ツハマダ本案ガ
配付ニナリマシテ近々數日デゴザイマスルカラ、能ク攻究イタシマセヌカラ、
或ハ本員ガ見落チデアリマスルカ、本案ガ通ジテ職工ヲ保護スルト云フコト
ニ重キガ置イテゴザイマスルノデ、此工場ヲ持ッテ居ル者ノ保護ト云フヤウ
ナコトガ明文ニ見エテ居リマセヌ、此第十七條ノ「職工ノ雇入、解雇、周旋
ノ取締及徒弟ニ關スル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム」此箇條ニ於テ工場ヲ保護
スル工場主ヲ保護スルト云フヤウナコトハ定メラレマスモノデゴザイマセ
ウカ、其中ニ職工ノ負傷疾病保險、若クハ腫物ニ對シマスル保險ト云フヤウ
ナコトハ御定メニナリマスルモノデゴザイマセウカ、ゴザイマスマイカ、其
二點ヲ伺ッテ置キタイ
〔政府委員押川則吉君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=16
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017・押川則吉
○政府委員(押川則吉君) 唯今、石黑男爵ノ御尋ネノ官立ノ工場ニ此工場法
ヲ適用スルヤ否ヤト云フコトニ付キマシテハ適用スルノデゴザイマス、又
第二ノ御尋ネノ工業主ノ保護ト云フモノハドウデアルカト云フコトノ御尋
ネニ付キマシテハ、元來工場法ノ趣旨ハ前ニ農商務大臣カラモ申述ベラレマ
シタ通リ、職工ノ保護ヲスルト云フコトハ、一方ニ於テ工業ノ完全ナル發達
ヲ圖ルニ必要デアルト云フ考ヘデゴザイマシテ、是ハ矢張リ一方ニ於テハ工
業主ノ永遠ノ利益ノ爲ニ極ク必要ナモノデアル、斯ウ考ヘテ居ルノデアリマ
ス、ソレカラ第十七條ニ職工ノ雇入ヤ何カノコトニ付イラノ規定ヲ設クルヤ
ウニナッテ居リマスカラ、是ハ矢張リ工場主ノ爲ニ相當ノ有效ナル規定ヲ致
スコトニナル積リデゴザイマス
〔男爵石黑忠悳君「唯〓ノ御答ヘガマダ不滿足デゴザイマスルデㄴ
ト述フ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=17
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018・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 高木男爵ニ發言ヲ許シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=18
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019・高木兼寛
○男爵高木兼寬君 本員ノ質問ニ御答辯クダサレタ所デハ、マダ本員ハ滿足
イタサヌノデアリマス、御答辯ノ通リ地方ニ依ッテ工業ノ種類ニ違ヒアルコト
ハ本員モ認メテ居リマス、從ッテ監督官ニナル人モ其地方地方ニ適當ナル人ヲ
御選ビニナルト云フコトハ勿論ノコトデアリマス、ソレニ加フルニ、衞生專
門ノ人モ亦加ヘテト云フコトニナルヤウデアリマス、衞生専門ノ人ハ地方ニ
依ッテ違フコトハ出來ナイ、三府四十三縣其他ノ所ニ於キマシテモ同ジコト
デアラウト思ヒマス、然ルトキニハ隨分多數ヲ要スルコトヽ相成ルヤウニ思
ヒマスルガ、ドノ位ノ程度ニシテ、ドノ位ノ經費ヲ要スルモノデアルト云フ
コト位ハ御分リニナッテ居サウナモノニ思フノデアリマス、ソレガ分ラズシ
テ新ニ法ヲ御設ケニナリマシタ所ガ、萬一ニモ監督官設置ノ經費ハ國家多事
ノ折柄、支出ガ出來ヌト云フコトニナリマスレバ、此法律ハ實際執行ガ出來
ヌト云フコトニナル、出來マシテモ監督ヲ十分ニスルコトガ出來ヌト云フ虞
ガアリマスカラ、大體ニ於テ大凡ドノ位ノ程度ノ人ヲ要スル積リデアルト云
フ位ハ御分リニナラナクテハナラヌト本員ハ思ヒマスカラ、今一應御答辯ヲ
煩ハシタイ、モ一ツ次ニ伺ヒタイノハ、本案ヲ全部通讀イタシテ見マスルニ、
職工ノ保護上、或ハ時間ノ長短ニ規定ヲ設ケ、或ハ年齡ニ規定ヲ設ケ、或ハ晝
夜ノ關係ニ付イテ規定ヲ設クル等ノコトガアリマスケレドモ、人ハ本來恰モ
普通ノ機關ニ於ケルガ如ク、例ヘバ蒸氣汽鑵ノ如シ、卽チ之ニ水ト石炭ヲ與
ヘナケレバ活動ハ致シマセヌ、人類ニアッテハ其主タルモノ、卽チ石炭同樣
ノモノハ〓物デアリマス工場主ガ幾百ノ工女ヲ寄宿舍ニ、或ハ納屋ト申シ
マスルカ、サウ云フ所ニ寄宿セシムル場合ニハ、矢張リ工場主ガ食品等モ給
與イタシテ居ル譯デアリマス、然ルニ此食品等ノ善惡ハ、工業上ニ大ナル關
係ヲ有ツモノデアルト云フコトニ付キマシテハ、御氣ハ付イテ御居デナサル
デアラウト思ヒマスケレドモ、何モ御話ガ無イノデアリマス、又〓品等ノ支
給向キハ職工ノ健康ニ何等ノ害ハ無キモノデアルカラ、其邊ニ付イテ答フル
ノ必要ハ無イト云フ政府ノ御見込デアリマスカ、之ニ付イテ御答辯ヲ煩ハシ
マス
〔政府委員押川則吉君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=19
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020・押川則吉
○政府委員(押川則吉君) 唯今、高木男爵ノ御尋ネハ地方廳ニ置ク技術官ノ
コトニ付キマシテハ、各府縣ニハ衞生ノ技術官ハ無論置ク積リデゴザイマス、
而シテ此實施ニ關シテノ經費ノ豫算ハ大凡イタシテ居リマス、唯今ノ見込デ
ハ國庫竝ニ地方費合セテ凡ソ二十五万圓カ或ハ三十万圓グラヰハカヽラウト
思ヒマス、此國庫竝ニ地方費ノ分擔ノコトニ付キマシテハ、是ハ更ニ餘程詮
議ヲ要スルコトデアルト考ヘテ居リマス、ソレカラ第二ノ御尋ネノ職工ノ給
與ノコトニ付イテノ規定ハ、法律ニ於テ之ヲ規定スルト云フコトハドウデ
アラウカト考ヘマシテ、ソレハ除イテゴザイマス、此方ハ却ッテ法律ヨリモ
矢張リ其他ノ方法ニ依ッテ相當ノ注意ヲスルト云フ方ガ、取締ノ關係カラ致
シテ都合ガ好カラウト云フ考ヘデ、殊更ニ法律ノ中ニハ其規定ヲ設ケテ居リ
マセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=20
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021・石黒忠悳
○男爵石黑忠悳君 本員ガ御問ヒヲ致シマシタ中デ御答ヘヲ得マセヌカラ、
御答ヘヲ續イテ願ヒタイノデゴザイマスルガ、職工ノ負傷保險ナドノコトハ、
ドウ云フ御考ヘデゴザイマセウカト云フコトノ御答ヘヲ得マセヌ、ソレカラ
モ一ツハ、唯今ノ高木男爵カラ尋ネラレタ食物ノコトデゴザイマスガ、若シ
モ其食物ノコトニマデ立入ルト致シマスルト、第何條ニ據ッテ立入ルコトガ
出來マスルカ、其御答ヘヲ一ツ願ヒタイ
〔政府委員岡實君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=21
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022・岡實
○政府委員岡實君 唯今、石黑男爵ノ御尋ネハ、負傷保險及疾病保險ヲ如何
ニスルヤト云フ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=22
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023・石黒忠悳
○男爵石黑忠悳君 今ノ職工ノ負傷保險若クハ疾病保險ナドノコトハ、ドウ
云フ御考ヘデゴザイマスルカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=23
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024・岡實
○政府委員(岡實君) 是ハ先キホド次官カラ說明ガゴザイマシタ第十七條ノ
第十五條デゴザイマス、第十五條ノ扶助ニ關スル規定ヲ工場主ガ設ケマ
スル際ニ、或ハ共濟組合ノヤウナ組織ヲ拵ヘマシテ、職工カラモ一部ノ金ヲ
出シ、又工場主ノ側カラモ一部ノ金ヲ出シテ、疾病若クハ負傷ニ罹ッタ場合
ニ、保險的ノ救濟ヲスル組織ヲ拵ヘタ場合ニハ、是ハ認ムル積リデ居リマス、
ソレカラ又他ニ疾病若クハ負傷ヲ保險スル如キ會社ガ出來テ來テ自分ノ工場
ニ居ル職工ヲ其會社ニ委託シテ保險セシムルコトガ起ッテ來レバ、而シテ其
保險料ノ一部ヲ工業主ガ出ス如キコトガ起ッテ來レバ、ソレヲ認メル積リデ
居リマス、ソレ等ノ事項ハ「勅令ノ定ムル所ニ依リ」トゴザイマスガ爲ニ、
卽チ保險ヲ以テ扶助ニ代ヘルコトニ勅令中ニ認ムルコトヲ考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=24
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025・調所廣丈
○男爵調所廣丈君 本員モ質疑ガアリマスガ、餘リ長クナリマスシ、委員會
モ開カルヽデアリマセウト思ヒマスカラ、其委員會ニテ······今日ハ控ヘマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=25
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026・石黒忠悳
○男爵石黑忠悳君 又一ツ御答ヘヲ御殘シニナリマシタガ、唯今ノ食物等ニ
對スルコトハ此法律ノ第何條ニ據ッテサレマスカ、此事ニ付イテノ御答ヘヲ
得タイ
〔政府委員岡實君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=26
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027・岡實
○政府委員(岡實君) 食物ニ關スル干渉ハ此法律ノ第何條ニ據ッテ强制シテ
行クカト云フ御尋ネノヤウニ存ジマス、先キホド次官カラ答辯ノゴザイマシ
タ通リニ、食物ニマデ法律ノ規定ヲ適用シテ行クコトハ餘程困難デアラウ、
寧ロ行政上ノ手段ニ依ッテ或ハ職工待遇ニ關スル訓示訓令其他勸誘等ヲ用ヰ
テ漸次、職工待遇ノ改善ヲ圖ルト云フ方針デ居リマスノデゴザイマスカラ、
此法律ノ第何條ト云フコトハ全ク申上ゲカネルノデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=27
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028・石黒忠悳
○男爵石黑忠悳君 サウ致シマスト、此法律ニ據リマシテハ、職工ノ食物ナ
ドガ惡ルクナッテモ、此法律ニ據ッテ之ニ干渉スルコトハ出來マセヌノデア
リマスカ
〔政府委員岡實君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=28
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029・岡實
○政府委員(岡實君) 御見解ノ通リデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=29
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030・山内萬壽治
○男爵山內萬壽治君 チヨット伺ヒタイ、唯今此法案ハ陸海軍ニマデモ及ブ
ト云フヤウナ御答辯ガアッタヤウニ承リマシタガ、陸海軍以外ニモ兵用ノ物
品ヲ製作イタシマス場所ガアリマス、斯樣ナル工場ニ於キマシテハ陸海軍ヨ
リシテ嚴重ニ軍器ノ祕密ヲ保ツヤウニ致セト云フ訓令モ出サルヽ場合ガアリ
マス、斯樣ナル場合ニハ陸海軍カラシテ相當ナル監督官ヲ附セラルヽデアリ
マス、其上ニ尙ホ此法案ノ取締ニ付イテ監督ヲ受ケルト云フヤウナコトニナ
ルノデアリマスカ、又軍器ノ祕密ヲ守ルト云フ點ニ於キマシテハ、陸海軍ノ
許可ヲ得マセネバ他ノ官廳ノ者ニモ見セラレナイト云フヤウナ物ガ多々アル
デアラウト思ヒマス、サウ云フ場合ニハ此監督官ト監督官ガドウ云フヤウナ
關係ニナリマスカ、其邊ハ御考慮ガアラセラルヽト思ヒマス、此場合ニ於テ
一應伺ッテ置キタイト思ヒマス
〔政府委員岡實君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=30
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031・岡實
○政府委員(岡實君) 第二十五條ノ末項ノ所ニ規定ガゴザイマスノデ「官立
工場ニ關シテハ所轄官廳ハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依リ行政官廳
ニ屬スル職務ヲ行フ」ト規定ヲ致シマシテ、官立工場ニ對シテハ其監督ノ衝
ニ當ル官廳ハ、卽チ所轄官廳、陸軍省ナラバ卽チ陸軍大臣ガ本法ヲ其所轄ノ
工場ニ對シテ實施シ、且ツ之ヲ監督スルノ責任ヲ帶ブルト云フコトニナッテ
居リマス、ソレニ依ッテ御承知ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=31
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032・山内萬壽治
○男爵山內萬壽治君 唯今御答辯ハ能ク分リマシタガ、是ハ官立工場ニ付イ
テノ御話ト承リマシタ、私ノ伺ヒマシタノハ官立工場以外ニモ官立工場同樣
ニ、兵器ノ製造·······兵用ノ機密ヲ保タネバナラヌ工場ガアル、サウ云フ場合
ヲ伺ヒマシタ
〔政府委員岡實君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=32
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033・岡實
○政府委員(岡實君) 此工場ノ機密ニ付キマシテハ、工場監督官ハ濫リニ其
機密ヲ捜査スル如キコトハ執務規程ニ依ッテ十分ニ之ヲ取締ル考ヘデ居リマ
スノデ、ソレデ陸海軍ノ軍器ヲ拵ヘル私立工場ノ如キモ亦ソレ〓〓祕密ノア
ルコトデゴザイマスカラシテ、サウ云フ祕密ニ立入ッテ濫リニ之ヲ搜查シ、又
ハ祕密ヲ他ニ漏洩スルガ如キハ工場監督ノ執務上、執務規程ニ依ツテ十分
ナル取締ヲスル積リデゴザイマス、而シテ今ノ陸海軍省カラ任命サレタ監督
ノアル場合ニハ其事柄ノ祕密デアルト云フコトハ初メカラ爭ヘヌコトデアル
ト思ヒマスカラ、工場監督官ハ陸海軍省ノ監督ヲシテ居ル祕密ニマデ立チ入
ルコトハ萬々アルマイコトヽ確信イタシテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=33
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034・小澤武雄
○男爵小澤武雄君 私ハ此工場法案ノ委員ノ員數ニ付イテ發言シタイノデア
リマスガ宜シウゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=34
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035・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=35
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036・小澤武雄
○男爵小澤武雄君 此法案ハ多數ノ條數モゴザイマスルシ、且ツ利害關係モ
廣イコトデゴザイマスカラ、愼重ノ審議ヲ要スル爲ニ特別委員ヲ十五名トシ、
サウシテ其選定ハ例ノ通リ議長ニ御任セ致スト云フ動議ヲ提出イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=36
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037・田健治郎
○男爵田健治郞君 贊成
〔其他「贊成」ト呼フ者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=37
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038・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 小澤男爵ノ此法案ノ特別委員ノ數ヲ十五名ト致ス
ト云フ動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=38
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039・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=39
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040・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第三、蠶絲業法案、政府提出、衆議院送
付、第一讀會
〔東久世書記官朗讀〕
蠶絲業法案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治四十四年三月二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
蠶絲業法
第一條本法ニ於テ蠶絲業者ト稱スルハ養蠶、蠶種製造、生絲製造、眞綿
製造、殺蛹乾繭又ハ蠶種、繭、生絲、屑物類ノ賣買、仲立若ハ保管ヲ業
トスル者ヲ謂フ
第二條本法ニ於テ蠶種製造者ト稱スルハ他人ニ讓渡スノ目的ヲ以テ蠶種
ヲ製造スル者ヲ謂フ
第三條本法ニ於テ蠶病ト稱スルハ微粒子病、軟化病、硬化病、膿病及蠻
蛆病ヲ謂フ
第四條蠶兒ノ飼育又ハ生繭ノ取扱ヲ爲ス者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ病蠶
及斃蠶ノ病原微生物竝蠻蛆及其ノ蛹、蠅ヲ滅殺シ其ノ他蠶病豫防ノ爲必
要ナル施設ヲ爲スヘシ
主務大臣ハ學術〓究ノ爲蠶兒ノ飼育又ハ生繭ノ取扱ヲ爲ス者ニ對シ前項
ノ規定ヲ適用セサルコトヲ得
第五條蠶種製造者タラムトスル者ハ地方長官ノ免許ヲ受クヘシ
第六條蠶種製造者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ蠶室及蠶具ノ消毒ヲ行フヘシ
第七條蠶種製造者ハ第十一條第二項及第十二條ノ規定ニ依ル特別蠶種ヨ
リ產出シタル繭ヲ用ウルニ非サレハ蠶種ヲ製造スルコトヲ得ス
第八條蠶種製造者ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル繭又ハ蛾ヲ以テ蠶種ヲ製造
スルコトヲ得ス
一蠶兒ノ合同シテ作リタル繭
二繭層片薄ナル繭又ハ形狀不整ナル繭
三繭層ノ量繭ノ全量百ニ對シ一化性ニ在リテハ十一、二化性ニ在リテ
八、多化性ニ在リテハ七ニ達セサルモノ
四蠶兒ノ發育不良ニシテ收繭ノ量著シク減少シタルモノ
五體軀ノ不完全ナル蛾
六免許ヲ受ケタル蠶種製造者ニ非サル者ノ飼育シタル〓兒ヨリ產出シ
タル繭
第九條蠶種製造者ハ蠶種製造用ノ蠶兒ト同一ノ飼育時期ニ於テ製絲用ノ
蠶兒ヲ飼育スルコトヲ得ス
蠶種製造者ハ地方長官ノ許可ヲ受クルニ非サレハ蠶種製造用ノ蠶兒ヲ讓
渡シ又ハ讓受クルコトヲ得ス
第十條蠶種製造者ハ蠶種製造用ノ蠶兒ノ掃立ヨリ蠶種ノ製造ヲ終ル迄
他ノ蠶種製造者又ハ養蠶者ト同一ノ建物又ハ蠶具ヲ共用スルコトヲ得
ス
第十一條蠶種製造者ハ收繭後ニ於テ掃殻及繭、產卵後ニ於テ越年蠶種ニ
在リテハ出殻繭及卵、不越年蠶種ニ在リテハ出殼繭ニ付檢査ヲ受クヘシ
但シ不越年蠶種ニ在リテモ卵ノ檢査ヲ受ケシムルコトヲ得
蠶種製造者蠶種ヲ特別蠶種ト爲サムトスルトキハ之ヲ框製トシ前項ノ檢
査ノ外越年蠶種ニ在リテハ母蛾、不越年蠶種ニ在リテハ卵及母蛾ノ檢査
ヲ受クヘシ
第十二條主務大臣ハ前條ノ規定ニ拘ラス原蠶種製造所、學校、講習所、
試驗場等ニ於テ製造シタル蠶種ヲ特別蠶種ト指定スルコトヲ得
第十三條地方長官ハ第十一條ノ檢査ニ合格シタル蠶種ニハ證印ヲ押捺シ
其ノ檢査ニ合格セサル蠶種ハ之ヲ燒棄スヘシ
第十四條檢査合格ノ證印ナキ蠶種及其ノ蠶兒ハ之ヲ讓渡シ又ハ飼育スル
コトヲ得ス但シ第十二條ノ規定ニ依リ指定セラレタル特別蠶種及其ノ蠶
兒ヲ讓渡シ若ハ飼育シ又ハ第十七條但書ノ規定ニ依リ移人若ハ輸入シタ
ル蠶種ノ蠶兒ヲ飼育スルコトヲ妨ケス
第十五條地方長官ハ錯誤ニ依リ又ハ不法ニ押捺セラレタル檢査合格ノ證
印ヲ發見シタルトキハ遲滯ナク之ヲ抹消スヘシ
第十六條蠶種製造者ニ非サル者ハ蠶種ヲ製造スルコトヲ得ス
主務大臣必要ト認ムルトキハ學術〓究又ハ自家用ノ爲ニスル蠶種ノ製造
及其ノ蠶兒ノ飼育ヲ許可スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ命令ノ定ムル所
ニ依リ本法中蠶種製造者ニ關スル規定ノ全部又ハ一部ヲ準用スルコトヲ
得
前項ノ規定ニ依リ製造シタル蠶種及其ノ蠶兒ハ第十二條ノ規定ニ依リ指
定セラレタル特別蠶種及其ノ蠶兒ヲ除クノ外之ヲ讓渡スコトヲ得ス
第十七條本法ヲ施行セサル地又ハ外國ニ於テ製造シタル蠶種ハ之ヲ移入
シ又ハ輸入スルコトヲ得ス但シ學術〓究ノ爲主務大臣ノ許可ヲ受ケタル
トキハ此ノ限ニ在ラス
第十八條主務大臣又ハ地方長官必要ト認ムルトキハ原蠶種ノ製造若ハ其
ノ讓渡讓受又ハ原蠶種ノ種類ヲ制限スルコトヲ得
主務大臣ハ地方特別ノ狀況ニ依リ地方長官ヲシテ前項ノ制限ヲ爲サシムルコトヲ得
地方長官前項ノ制限ヲ爲サムトスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
主務大臣
第十九條地方長官ハ蠶種又ハ繭ノ賣買又ハ取引市場ニ關シ取締上必要ナ
ル命令ヲ發スルコトヲ得
第二十條蠶種ノ臺紙ニ關シ取締上必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十一條蠶種ノ冷藏ヲ業トセムトスル者ハ地方長官ノ免許ヲ受クへ
シ
第二十二條府縣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ第十一條ノ檢査其ノ他蠶病豫防
ノ爲必要ナル吏員ヲ置クヘシ
主務大臣及○
第二十三條〓地方長官ハ必要ニ應シ種繭ノ審査及原蠶種ノ選定ヲ行ハシ
ムル爲種繭審査會ヲ設クヘシ
種繭審査會ノ設置、組織、權限及審査選定ニ關スル事項ハ勅令ヲ以テ之
3月4日
第二十四條第五條、第七條、第八條第六號、第十一條及第三十八條乃至
第四十一條ノ規定ハ府縣ニ之ヲ適用セス
第二十五條地方長官必要ト認ムルトキハ野蠶ノ飼育、採種又ハ野蠶生繭
ノ取扱ヲ業トスル者ニ第四條第一項ノ規定ヲ準用スルコトヲ得
○地方
第二十六條蠶病豫防事務及0種爾審査會ニ關シ必要ナル費用ハ府縣ノ負
擔トス但シ國庫ハ其ノ半額以內ヲ補助スルコトヲ得
第二十七條府縣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ蠶種檢査ニ關シ手數料ヲ徵收ス
ヘシ
第二十八條蠶絲業者ヲ以テ組織スル同業組合聯合會ノ設置ニ付テハ重要
物產同業組合法第三條及第四條ノ規定ヲ準用ス
第二十九條前條ノ同業組合聯合會及一府縣以上ヲ地區トスル蠶絲業者ノ
同業組合ニシテ同業組合聯合會ニ加入セサル者ハ相互ノ氣脈ヲ通シ及蠶
絲類ノ海外貿易ノ發展其ノ他蠶絲業ノ利益增進ヲ圖ル爲全國ヲ地區トシ
テ蠶絲業同業組合中央會ヲ設置スルコトヲ得
主務大臣必要ト認ムルトキハ前項ニ揭ケタル者ノ外同業組合聯合會ニ加
入セサル蠶絲業者ノ同業組合ニシテ蠶絲業同業組合中央會ニ加入スヘキ
者ヲ指定スルコトヲ得
第三十條蠶絲業同業組合中央會ノ設置ヲ發起セムトスル者ハ主務大臣ノ
認可ヲ受クヘシ
前項ノ認可アリタルトキハ發起人ハ同業組合聯合會、一府縣以上ヲ地區
トスル同業組合ニシテ同業組合聯合會ニ加入セサル者及前條第二項ノ規
定ニ依リ主務大臣ノ指定シタル同業組合ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得テ創
立總會ヲ開キ定款ヲ議定シ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第三十一條蠶絲業同業組合中央會成立シタルトキハ同業組合聯合會、
府縣以上ヲ地區トスル同業組合ニシテ同業組合聯合會ニ加入セサル者及
第二十九條第二項ノ規定ニ依リ主務大臣ノ指定シタル同業組合ハ之ニ加
入スヘシ
第三十二條蠶絲業同業組合中央會ノ會議ハ之ヲ組織スル同業組合聯合會
及同業組合ニ於テ同業組合ノ組合員中ヨリ選擧シタル議員ヲ以テ組織ス
ヘシ
主務大臣ハ蠶絲業同業組合中央會ノ議員定數ノ五分ノ一ヲ超エサル特別
議員ヲ命スルコトヲ得
第三十三條蠶絲業同業組合中央會議員ノ定數配當及選出方法竝役員ノ名
稱選任解任及權限ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十四條重要物產同業組合法第六條、第七條及第十一條乃至第十六條
ノ規定ハ蠶絲業同業組合中央會ニ之ヲ準用ス
當該官吏吏員ハ蠶病豫防ニ關シ蠶種又ハ生繭ノ取扱ヲ爲ス者ノ店舗、倉庫、製造
第三十五條當該官吏吏員ハ取締上必要ト認ムルトキハ蠶絲業者ノ店舗、
場、飼育場等ニ臨檢シ物品及帳簿其ノ他ノ書類ヲ調査シ又ハ必要ナル分量ニ限リ無償ニテ物品
倉庫、製造場、飼育場等ニ臨檢シ帳簿其ノ他ノ書類ヲ調查シ又ハ物件ヲ
ヲ收去スルコトヲ得
檢査スルコトヲ得
地方長官本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違反スル所爲アリト認ムルトキハ當該官吏吏員ヲ
前項ノ臨檢ニ祭シ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違反スル所爲アリ
シテ前項ニ揭ケタル場所ニ臨檢シ犯罪嫌疑者若ハ參考人ヲ尋問シ又ハ犯罪ノ事實ヲ證明スヘキ
ト認ムルトキハ當該官吏吏員ハ犯罪嫌疑者若ハ參考人ヲ尋問シ又ハ犯罪
物件、帳簿、書類ヲ捜索シ若ハ之カ差押ヲ爲サシムルコトヲ得
ノ事實ヲ證明スヘキ物件、帳簿、書類ヲ搜索シ若ハ之カ差押ヲ爲スコト
ヲ得
前二項ノ場合ニ於テ病毒存任ノ疑アルトキハ必要ナル分量ニ限リ無償ニ
テ蠶種、蠶兒、繭蛾等ヲ收去スルコトヲ得
臨檢、尋問、搜索又ハ差押ニ關シテハ間接國稅犯則者處分法ヲ準用ス
第三十六條當該官吏吏員ハ自己、親族又ハ同居者ニ對シ第十一條ノ檢査
ヲ爲スコトヲ得ス
第三十七條蠶絲業者ノ所爲ニシテ本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違
反シ又ハ公益ヲ害スルノ虞アリト認ムルトキハ地方長官ハ其ノ業務ヲ停
止シ若ハ制限シ又ハ其ノ免許ヲ取消スコトヲ得
前項ノ處分ニ不服アル者ハ訴願ヲ提起スルコトヲ得其ノ違法ニ權利ヲ傷
害セラレタリトスル者ハ行政訴訟ヲ提起スルコトヲ得
五百圓
第三十八條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
一詐欺ノ所爲ヲ以テ第十一條ノ檢査ヲ受ケタル者
二第十四條又ハ第十七條ノ規定ニ違反シタル者
三百圓
第三十九條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一免許ヲ受ケスシテ他人ニ讓渡スノ目的ヲ以テ蠶種ヲ製造シタル者
二免許ヲ受ケスシテ蠶種冷藏ノ業ヲ爲シタル者
三第四條第一項又ハ第六條ノ規定ニ違反シタル者
四第七條第八條又ハ第十六條第三項ノ規定ニ違反シタル者
二百圓
第四十條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ三百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處
ス
-第九條又ハ第十條ノ規定ニ違反シタル者
二第十六條第一項ノ規定ニ違反シタル者
第四十一條第三十八條、第三十九條第一號第四號又ハ前條第二號ノ犯罪
ニ係ル蠶種、蠶兒又ハ繭ハ之ヲ沒收シ既ニ讓渡シタル場合ニ於テハ其ノ
價額ヲ追徵ス
前項ノ蠶種又ハ蠶兒犯人以外ノ者ニ屬スルトキハ行政官廳ノ處分ヲ以テ
之ヲ沒収スルコトヲ得
第四十二條第三十五條ノ規定ニ依ル職務ノ執行ヲ拒ミ若ハ妨ケタル者又
爲ササル者
ハ隨後ノ際當談官吏吏員ノ尊間ニ對シ各拜ヲ爲サス井ハ虛儀ノ陳述
二百圓
シタル者ハ三百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第四十三條蠶絲業者未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ本法又ハ本法ニ基
キテ發スル命令ニ依リ之ニ適用スヘキ罰則ハ之ヲ法定代理人ニ適用ス但
シ其ノ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限
ニ在ラス
第四十四條蠶絲業者ハ其ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ
從業者ニシテ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違反スル所爲ヲ爲シタ
ルトキハ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ス
但シ相當ノ注意ヲ爲シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第四十五條明治三十三年法律第五十二號ハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル
命令ニ依ル犯罪ニ之ヲ準用ス
第四十六條本法中府縣ニ關スル規定ハ北海道ニ於テハ北海道地方費ニ之
ヲ準用ス
附則
第四十七條本法施行ノ期日ハ勅合ヲ以テ之ヲ定ム
蠶病豫防法ハ之ヲ廢止ス
第四十八條本法ハ沖繩縣、小笠原島、伊豆七島其ノ他命令ヲ以テ指定ス
ル地域ニ之ヲ施行セス
第四十九條蠶病豫防法ニ依ル檢査合格ノ證印ハ之ヲ本法ニ依ル檢査合格
ノ證印ト看做ス
第五十條蠶病豫防法ニ依リ檢査ニ合格シタル原種ハ之ヲ特別蠶種ト看做
ス
第五十一條本法施行前製造シタル自家用蠶種ノ蠶兒ハ本法施行後ト雖之
ヲ飼育スルコトヲ得
本法施行後一年ヲ限リ
第五十二條本法施行ノ際蠶種ノ冷藏ヲ業トスル者ハ命令ノ定ムル期間內
免許ヲ受ケスシテ其ノ營業ヲ繼續スルコトヲ得
〔國務大臣男爵大浦兼武君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=40
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041・大浦兼武
○國務大臣(男爵大浦兼武君) 本問題ニ付イテ大體玆ニ申上ゲタイト存ジマ
ス、我國ノ生絲ハ御承知ノ通リ海外貿易ニ於キマシテモ第一ノ物產デゴザイ
マシテ、前途益、有望ナルモノデゴザイマシテ、尙ホ愈〓之ガ發達ヲ圖ラナ
ケレバナラヌモノデゴザイマス、是ニ於テ現行ノ〓蟲病豫防法ト云フモノハ、數
年來ノ實驗ニ徵シマシテ、改正ヲ要スル點ガ多キノミナラズ、我國蠶絲業ノ
改善進步ニ伴ヒマシテ、蠶病豫防ノ事務ノ外ニ積極的ノ經營ニ關シマシテ、
法律ノ規定ヲ要スル事項ガ亦少カラヌノデゴザイマス、依ッテ此際、蠶病豫防
法ヲ廢シテ、新ニ蠶絲業法ト云フモノヲ制定シテ諸般ノ事項ヲ網羅シテ蠶絲
業ニ關スル法律ノ完全ヲ期シタイト云フノガ此大體ノ趣意デゴザイマス、第
一ニ蠶病豫防事項ニ付キマシテ、其取締方ヲ嚴重ニ致シマシテ、蠶種檢査ニ
關スル手數料ヲ徵收スルノ規定ヲ設クル等ガ必要ノ改正、其事ト、第二ハ、
原蠶種ノ製造撰定等ニ關シマシテ、相當ノ規定ヲ設クルコト、第三ニハ營業
卽チ工業者相互ノ氣脈ヲ通ジテ、生絲ノ改良ヲ圖リ、海外貿易ノ發展ヲ促ス爲
ニ組合組織ノ發達ヲ圖ッテ、殊ニ蠶絲業組合中央會ト云フモノヲ組織セシメ
マシテ、サウシテ本邦ノ蠶絲業者ノ步武ヲ齊一ニスルコト、第四ハ其他蠶絲業
ノ發達ニ伴ヒ必要ナル事項ヲ規定スルコト、是等ノ箇條ガ此大體ノ主眼デゴ
ザイマス、此法律ハ衆議院ニ於キマシテ種々ニ意見モゴザイマスシ、十分ニ
調査セラレマシタ結果、數箇條修正ニナッタノデゴザイマス、政府ハ之ニ同
意ヲ表スルモノデゴザイマス、尙ホ十分ニ御審議ノ上御協賛アラムコトヲ希
望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=41
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042・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第四、鐵道敷設法中改正法案、衆議院提
出、第一讀會
〔東久世書記官朗讀〕
鐵道敷設法中改正法律案
右本院提出案及送付候也
明治四十四年三月二日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
鐵道敷設法中左ノ通改正ス
第二條第一項奧羽線ノ部第四號「岩手縣下盛岡ヨリ宮古若ハ山田ニ至ル鐵
道」ノ下ニ「又ハ岩手縣下大船渡ヨリ花卷ニ至ル鐵道」ヲ加フ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=42
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043・北垣國道
○男爵北垣國道君 帝國鐵道會計法中改正案ノ委員會ヲ開キタイト思ヒマス
カラ、此委員會ニ關係ノ委員一同闕席ノ御許シヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=43
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044・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 北垣男爵ノ委員會ヘ退席ノ要求ヲ許可ヲ致シテ御
異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=44
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045・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=45
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046・柳澤保惠
○伯爵柳澤保惠君 鐵道敷設法中改正法律案、是ハ政府委員ノ御說明ガゴザ
イマセヌガ、矢張リ敷設法ヲ改正シマシテ第二條ノ一項ニ比較線ヲ加ヘルト
云フ案デアリマス、之ニ付イテハ定メシ政府當局者ニ於テハ、先達テ廣澤
男爵ニ對スル御返事ノ如ク········間違ヒマシタ、廣澤伯爵ニ對スル御答辯ノ
如クニ、別ニ强ヒテ反對ハシナイト云フ譯デアリマスカ、ソレヲ承リタ
イ
〔政府委員平井晴二郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=46
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047・平井晴二郎
○政府委員(平井晴二郞君) 御答へ致シマス、唯今、日程ニ上ボリマシタ所ノ
巖手縣下大船渡ヨリ花卷ニ至ル鐵道ハ、數年前ヨリ建議或ハ請願等ヲ以テ衆
議院ノ問題ニ度〓ナッタ線路デゴザイマス、其當時、政府ハ港ノ關係ニ付キマ
シテハ、遞信省ヨリ、鐵道ニ付キマシテハ鐵道ニ關係ノモノ、又沿道ニ鑛山ガ
澤山アルト云フ、鑛物ガ澤山アルト云フコトデ、農商務省カラモ人ヲ派出サレ
テ此線路ノ狀態ニ付イテ調査ヲ致シマシタノデゴザイマス、而シテ其結果ハ
巖手縣下ノ此近傍ニ於ケル港、卽チ宮古若クハ山田等ニ比シテハ大船渡港ガ
最モ太平洋岸ニ於ケル將來ノ港トシテ適當ナルコトデアリ、且ツ花卷カラ大
船渡ニ至リマス鐵道線路モ、盛岡カラ宮古若クハ山田ニ至リマスル鐵道ニ比
較シマシテ、幾分カ優等ナルコトヲ發見イタシマシタノデ、政府ハ現今ノ豫
定線ハ盛岡ヨリ宮古若クハ山田ニ至ルト云フコトニナッテ居リマスルケレド
モ、盛岡附近ヨリ太平洋ニ出マス連絡鐵道トシテハ寧ロ今問題ニナッテ居
ル所ノ花卷ヨリ大船渡ニ至ル鐵道ヲ最モ適當ト考ヘテ居リマスノデゴザイマ
ス、サリナガラ前會ニモ本員ガ申上ゲマシタガ、政府ノ今日マデノ鐵道敷設ニ
關スル取扱ハ、將ニ此線路ニ著手セムトスル場合ニ於テ法律ノ改正ヲシテ、
第二條ノ豫定線ニ此線路ヲ入レル必要ガアルナラバ入レ、尙ホ進ンデ之ヲ
期線ニ繰上ゲテ同時ニ豫算ヲ提出シテ工事ニ著手ノ手續ヲ執リマスノデ、今
日ニ於テハ直チニ此比較線トシテ豫定線ニ入レル必要ハ無イト考ヘマス、併
ナガラ唯今本員ガ申上ゲマス如キ線路デアルノデスカラ、今日之ヲ入レルト
云フコトハ反對ヲ致シマセヌノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=47
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048・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第五、第六、第七、第八、第九、第十ノ
請願、會議
〔左ノ意見書案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス以下之ニ傚
フ〕
意見書案
砂糖政策ニ關スル件
香川縣大川郡白鳥村平民農鎌田虎太郞外四十六名呈出
右ノ請願ハ砂糖消費稅ハ苛重ニシテ内地糖業者ハ之カ負擔ニ苦シムヲ以テ
第一種糖ノ內樽入黑糖及樽入白下糖同糖蜜ノ稅率ヲ百斤ニ付金一圓ニ改メ
且內地ノ糖業者ニ對シ臺灣ニ於ケル糖業者ニ對スルト同一ノ保護ヲ與ヘラ
ルルカ又ハ斯カル特別ノ保護ヲ全然廢止セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院
ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別
册及送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
釧路美幌間鐵道速成ノ件
北海道阿寒郡飽別村農牧業前田政八外百三十七名呈出
右ノ請願ハ釧路國大樂毛ヨリ北見國美幌ニ通スヘキ鐵道ノ起點ヲ釧路町ニ
改ムルハ釧路北見ノ交通ヲ便ニシ又之カ速成ハ富源ノ開發殖民ノ促進其ノ
他軍事上國防上ニ至大ノ關係ヲ有スルヲ以テ明治四十四年度ニ於テ之カ實
測ヲ了シ直ニ工事ニ著手セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ
採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家逹
內閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
地租過剩金下戾ノ件
鹿兒島縣姶良郡重富村士族農川俣直之外二名呈出
右ノ請願ハ明治六年及明治十年地租ノ改正ヲ行ハルルヤ政府ハ地租改正著
手中當該年度ノ貢額不確定ノ向ハ前年度ノ額ニ基キ假ニ上納セシメ改租整
理ノ上過不足ヲ精算スル旨布達セラレ請願人等ハ之ニ從ヒテ上納セシモ改
租整理後其ノ過剩額ノ下戾シヲ得サルハ甚遺憾トスル所ナルヲ以テ之ヲ下
戾サシメラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト
議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家逹
內閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
廣島江津間鐵道速成ニ關スル件
廣島縣雙三郡三次町長長岡純一外百十二名呈出
右ノ請願ハ廣島江津間ノ鐵道ハ工事容易ニシテ之カ敷設ハ獨リ交通ノ利便
ヲ進ムルノミナラス國力ノ發展及軍備ノ充實上闕クヘカラサルヲ以テ之ヲ
速成セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議
決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家逹
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
裁判所位置名稱管轄區域變更ニ關スル法律案否決ノ件
宮城縣伊具郡角田町平民町長鈴木柔藏外六十五名呈出
右ノ請願ハ仙臺地方裁判所管内大河原區裁判所ノ管轄區域ヲ變更シ其ノ位
置ヲ白石町ニ更メ其ノ名稱ヲ改ムルノ法律案ハ關係地方ニ於ケル交通ノ便
否人情風俗習慣及歷史的關係ヲ無視シタルモノナルヲ以テ之ヲ否決セラレ
タシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ
議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
郵便局設置ノ件
島根縣邑智郡谷住〓村商赤松爲一呈出
右ノ請願ハ島根縣邑智郡谷住郷村ハ人口多ク商業殷盛ナル大村ナルモ其ノ
郵便事務ハ市山局ノ管轄ニ屬シ距離遠クシテ往復ノ爲ニ時間ヲ空費シ其ノ
間加フルニ江川八戶川アリテ出水ノ際ハ交通至難ニシテ村民ノ不便不利一
方ナラサルヲ以テ同村ニ郵便局ヲ設置セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ
願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册
及送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家逹
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=48
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049・曾我祐準
○子爵曾我祐準君 唯〓ノ御宣告ハ第十二マデヾアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=49
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050・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 第十マデヾアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=50
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051・曾我祐準
○子爵曾我祐準君 此第九ノ裁判所位置名稱云々ト云フノハ過日、本議場ニ
於テ否决ニナッタモノデハアリマセヌカ、委員長ニ御尋ネ致シマス、過日、
本議塲ニ於テ否决ニナッタナラバ此請願ハ取除クガ至當デハナイカト考ヘマ
ス、チヨット請願委員長ニ御尋ネ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=51
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052・田中芳男
○田中芳男君 唯今、曾我子爵カラノ御注意デゴザイマスガ、是ハ卽チ此否
決ノ請願、卽チ本院デ此問否決イタシマシタト同ジモノニナリマスノデアリ
せず、ソレデ之ヲ持出シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=52
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053・曾我祐準
○子爵曾我祐準君 然ラバ矢張リ不用デハアリマセヌカ、此事ガ事實ニ行ハ
レタ以上ハ請願ノ必要ガ無イデハアリマセヌカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=53
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054・田中芳男
○田中芳男君 ソレハ不用ト云フ說ガアレバ不用モ御尤モデアリマスケレド
モ、本員ナドハ何モ不都合デナイト考ヘテ之ヲ出シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=54
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055・中川興長
○男爵中川興長君 唯今曾我子爵ヨリ請願委員長ニ御尋ネニナリマシタコト
ハ或ハ過日、本院デ否決ニナッタ議案ト同樣ノモノデアルト云フコトデア
リマス、然ラバ最早本院ニ於テ請願人ノ請求ニナッタ通リ否決ニナッテ居リ
マスカラ此上、政府ヘ轉送スル必要ハ無イト思ヒマスカラ、此第九ノ請願ハ
否決サレムコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=55
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056・曾我祐準
○子爵曾我祐準君 贊成
〔「賛成」ト呼フ者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=56
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057・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第九ノ請願ニ付イテハ御論ガゴザイマス
カラ、唯今採決イタシマスノハ第八、マデノ請願ト御心得ヲ請ヒマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=57
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058・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是等ノ請願ハ委員長ノ報告通リデ御異存ゴザイマ
セヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=58
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059・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=59
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060・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第九ノ請願ヲ委員長ノ報〓ニ同意ノ諸君
ノ起立ヲ請ヒマス
起立者少數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=60
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061・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 少數ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=61
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062・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第十請願委員長ノ報告通リデ御異存ゴザ
イマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=62
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063・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=63
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064・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第十一ヨリ第二十八マデノ請願、會議
意見書案
官營製材事業廢止ノ件
北海道札幌區南一條東六丁目平民材木商松田學外二十七名呈出
靜岡縣安倍郡〓水町平民藤田太助外七名呈出
愛媛縣松山市大字松前町材木商赤木松太郞外十六名呈出
三重縣宇治山田市辻久留町材木商角田彌五郞外四十名呈出
靜岡縣志太郡島田町平民農天野廉外十四名呈出
京都府葛野郡朱雀野村平民材木商淺山富之助外四十三名呈出
右ノ請願ハ製材事業ノ官營ハ薄資ナル民間營業者ヲ壓迫シテ恐慌ノ狀態ニ
陷レタルヲ以テ其ノ官營ヲ廢止シ且適當ナル方法ヲ講シテ民業ニ移サレタ
シトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議
院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家逹
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
利根川第一期改修工事補修ノ件
千葉縣香取郡佐原町平民商八木慶太郞外百八十九名呈出
右ノ請願ハ千葉縣下佐原町津宮村間ニ於ケル利根川堤塘ノ修築ハ地方人民
ノ休戚ノ繫ル所ニシテ之ヲ放任セラレムカ同川河身改良工事ノ進捗ニ伴ヒ
上流ノ水量ハ直ニ此ノ堤塘ヲ襲擊シ洪水氾濫シ下流一帶ノ地悉ク慘憺タル
水害ヲ被リ第一期改修工事モ其ノ效ヲ空シウスルヲ以テ速ニ之カ工事ヲ完
成セシメラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト
議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
豐肥鐵道速成ニ關スル件
大分縣直入郡竹田町士族醫師黑川文哲外二十一名呈出
右ノ請願ハ豐肥鐵道ノ敷設ハ沿道地方ニ於ケル交通ノ便ヲ開キ產業ノ發達
人文ノ進步ヲ促スノミナラス國家經濟上竝軍事上最有益ナルヲ以テ之ヲ速
成セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決
致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
利根川水害豫防工事速成ニ關スル件
茨城縣稻敷郡舟島村平民吉田貞藏外二十名呈出
右ノ請願ハ茨城縣猿島、北相馬、稻敷、新治、行方等ノ數郡ニ於テ累年慘
憺タル水害ヲ見ルハ實ニ小貝利根兩川ノ合流地點布川布佐間ニ於ケル利根
流域ノ狹隘ナルニ歸因スルカ故ニ之カ河幅ノ擴張ト河身ノ改修工事トヲ速
成セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決
致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別冊及送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
區裁判所出張所設置ノ件
奈良縣高市郡八木町長上田耕作外六名呈出
右ノ請願ハ奈良縣高市郡內ニハ未區裁判所出張所ノ設ナク殊ニ郡ノ北部ニ
於ケル町村ノ登記事務ハ遠ク高田區裁判所ノ管轄ニ屬シ金融ノ障碍登記ノ
怠慢ヲ來シ不便不利一方ナラサルヲ以テ商工業ノ殷盛ナル八木町ニ區裁判
所出張所ヲ設ケラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキ
モノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
絹業試驗場設立事業實施ノ件
神奈川縣橫濱市太田町橫濱輸出絹物同業組合組長大濱忠三郞呈出
右ノ請願ハ本邦絹布ノ海外市場ニ於テ競爭上ノ不利ヲ招クコト多キハ主ト
シテ之カ仕上整理ノ周到ナラサルニ因ルカ故ニ政府ニ於テ原絲ノ集中地タ
ル橫濱ニ絹業試驗場ヲ設立シ仕上、精練、浸染、捺染及押型、機織、科學的
試驗等ヲ爲シ工業的ニ技藝ノ〓究ヲ行ヒ以テ斯業ノ發展ニ資セラレタシト
ノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法
第六十五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家逹
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
鐵道速成ニ關スル件
秋田縣鹿角郡花輪町士族日雇業根市熊治外七百九十九名呈出
右ノ請願ハ秋田縣大館町ヨリ花輪町ヲ經巖手縣盛岡市ニ至ル鐵道ハ東北地
方ニ於テ東西海岸ヲ連絡セシムヘキ最有利ノ線路ニシテ之カ敷設ハ地方ノ
盛衰國力ノ消長ニ至大ノ關係ヲ有スルヲ以テ之ヲ速成セラレタシトノ旨趣
ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十
五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
東京府神奈川縣町村區域變更ニ關スル件
神奈川縣橘樹郡町田村平民農添田知義外百二十九名呈出
右ノ請願ハ多摩川ノ兩岸ニハ東京府及神奈川縣ノ飛地及小部落交互散在シ
地方行政ノ統一ヲ闕キ町村自治ノ發達ニ影響ヲ及ホスコト尠少ナラス殊ニ
一朝水災ニ際シテハ咄嗟ノ間ニ應急ノ措置ヲ執ルヲ得ス空シク住民ノ生命
財產ヲ蕩盡スルニ至ルヲ以テ今期議會ニ於テ法律ヲ制定シ此等ノ飛地ヲ各
其ノ所在府縣ノ町村ノ區域ニ編入セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意
ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送
付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
森林法中土地使用ニ關スル規定改正ノ件
愛媛縣松山市大字松前町材木商赤木松太郞外二十一名呈出
三重縣宇治山田市辻久留町材木商角田彌五郞外四十名呈出
靜岡縣志太郡島田町平民農天野廉外十五名呈出
京都府葛野郡朱雀野村平民材木商淺山富之助外四十三名呈出
右ノ請願ハ森林法ニ依リ他人ノ土地ヲ使用スル場合ニ關スル規定ハ土地所
有者及關係人ヲ保護スルコト厚キニ過キ使用者ヲシテ常ニ彼等ノ壓迫ニ甘
セサルヘカラサラシムルノ弊アルヲ以テ請願人等ノ私案ノ如ク此ノ規定ヲ
改正セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議
決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別冊及送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
飛越鐵道急設ノ件
富山縣婦負郡百塚村平民農内山松世外二百四十三名呈出
右ノ請願ハ富山縣富山市ヨリ岐阜縣太田町ニ至ル飛越鐵道ノ敷設ハ啻ニ交通
機關ヲ完備セシムルノミナラス沿道地方ニ於ケル利源ノ開發竝人文ノ進步
ニ緊要ナルヲ以テ之ヲ速成セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體
ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
紀勢鐵道速成ノ件
和歌山縣那賀郡眞國村平民公吏重谷賢光外九百八十九名呈出(十八通)
右ノ請願ハ和歌山縣下和歌山市ヨリ黑江、日方、箕島、湯淺、御坊、田邊、
日置、周參見、串本、古座、下里、勝浦、那智、新宮及三重縣下鵜殿、木
ノ本、尾鷲、引本、長島等ノ諸町村ヲ經テ宇治山田市ニ達スル鐵道ノ敷設
ハ啻ニ交通ノ便ヲ開クノミナラス各種ノ產業ヲ發達セシメ延イテ國富ヲ增
進セシムルモノナルヲ以テ之ヲ速成セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願
意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及
送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
郵便局設置ノ件
靜岡縣濱名郡入野村平民農竹村太郞外六名呈出
右ノ請願ハ靜岡縣濱名郡入野村ハ產物豐富ニシテ交通頻繁ナルモ未郵便局
ノ設ナク信書ノ往復、爲替、小包、貯金等ニ關シ村民ノ不便一方ナラサル
ヲ以テ明治四十四年度ヨリ同村大字入野ニ郵便局ヲ設置セラレタシトノ旨
趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
靜岡監獄濱松分監移轉ノ件
靜岡縣濱名郡濱松町長鶴見信平呈出
右ノ請願ハ靜岡監獄濱松分監ハ濱松町ニ於ケル商業ノ樞要地ニ位シ又縣社
五社神社ニ接シ境內ノ風致ヲ損スルノミナラス風〓ヲ阻害スルコト甚シキ
モノアルヲ以テ之ヲ他ニ移轉セシメラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意
ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送
付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
石狩川北岸鐵道敷設ノ件
北海道樺戶郡月形村農海賀直常外八百八十二名呈出
右ノ請願ハ北海道雨龍郡沼田驛ニ於テ北海道幹線ヨリ分岐シ雨龍村、樺戶
郡新十津川村、浦曰村、月形村、石狩郡當別村、石狩町ヲ經テ錢函驛ニ至
リ該幹線ニ接續スル鐵道ハ沿道地方ニ於ケル巨多ノ富源ヲ開發シ同道ノ拓
殖ト國富ノ增進トニ資スルコト多大ナルヲ以テ之ヲ速成セラレタシトノ旨
趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
日高海岸線鐵道敷設ノ件
北海道沙流郡門別村平民農塚本博愛外二十三名呈出
右ノ請願ハ北海道室蘭線苫小牧ヨリ日高國ノ海岸元第四十三號國道線ヲ縱
貫シ十勝國帶廣以南ニ於テ既成鐵道ニ連絡スル日高海岸鐵道及室蘭ヨリ長
萬部ニ至ル海岸鐵道ハ北海道開拓ノ實ヲ擧ヶ國家富强ノ基ヲ鞏ウスルニ必
要ナルヲ以テ之ヲ敷設セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採
擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
内國粗糖生產費補助金下付ノ件
鹿兒島縣鹿兒島市潮見町鹿兒島糖商同業組合副組長海江田金次郞外九
名呈出
右ノ請願ハ現行砂糖消費稅法ノ規定ニ依リ鹿兒島沖繩兩縣ノ粗糖業者ハ殆
全滅ノ窮境ニ陷リタルノ時ニ方リ政府ハ臺灣製糖業者ニ對シ巨額ノ補助金
ヲ與ヘラルルハ公平ヲ闕クモノナルヲ以テ樽入黑糖ニ對シテハ百斤ニ付金
一圓ヲ同白下糖ニ對シテハ百斤ニ付金一圓五十錢ヲ補助セラレタシトノ旨
趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
横手黑澤尻間鐵道速成ニ關スル件
秋田縣平鹿郡橫手町平民金穀貸付業杉田〓治外百十九名呈出
右ノ請願ハ鐵道豫定線中秋田縣橫手ヨリ巖手縣黑澤尻ニ至ル鐵道ハ兩縣下
ノ利害得失ニ至重ノ關係ヲ有スルノミナラス奧羽全般ノ發展ニ影響ヲ及ホ
スコト大ナルヲ以テ速ニ之ヲ敷設セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意
ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送
付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
鐵道敷設ニ關スル件
福島縣福島市字新町士族公吏二宮哲三外六百七十八名呈出
右ノ請願ハ福島市ヲ起點トシ相馬地方海岸線ニ達スル鐵道ハ福島、信夫、
伊達、安達、雙葉及相馬ノ一市五郡ニ於ケル巨萬ノ遺利ヲ開キ近時大ニ勃
興シ來レル羽二重業ノ發達ニ資スルコト多大ナルヲ以テ之ヲ敷設セラレタ
シトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議
院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=64
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065・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是等モ請願委員長ノ報告通リデ御異存ゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=65
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066・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=66
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067・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第二十九ノ請願ハ撤囘スル趣ヲ請願委員
長ヨリ御通知デアリマスカラ左樣御承知ヲ請ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=67
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068・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第三十ヨリ第三十五マデ請願、會議
意見書案
電信事務開始ノ件
株式會社靜岡米穀株式取引所理事長安達健造外二十二名呈出
右ノ請願ハ靜岡米穀株式取引所ノ設立ニ伴ヒ通信事務頻繁ナルニ至リシヲ
以テ曩ニ靜岡市本通町二丁目ニ郵便局ヲ設置シ一般事務竝長距離電話ヲ開
始セラレタルモ尙電信ノ架設ヲ闕クハ取引所及仲買人等ノ不便不利一方ナ
ラサル所以ナルヲ以テ同局ニ於テ電信事務ヲ開始セラレタシトノ旨趣ニシ
テ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條
ニ依リ別冊及送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家逹
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
糖業保護ニ關スル件
鹿兒島縣大島郡砂糖同業組合組長富田嘉則呈出
右ノ請願ハ現行砂糖消費稅法ハ鹿兒島縣大島郡ニ於ケル糖業者ヲシテ競爭
上悲境ニ沈淪スルニ至ラシメタリ而シテ政府カ臺灣ニ於ケル製糖業ニ對シ
巨額ノ補助金ヲ與ヘラルルハ同郡民ヲ失業ノ厄ニ陷ルルモノニシテ又公平
ヲ闕クノ處置ナルヲ以テ稅法上內地糖業者ヲ保護スルノ道ヲ採ラルルカ又
ハ之ニ相當ノ補助金ヲ下付セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體
ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家逹
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
田儀郵便局集配事務開始ノ件
島根縣簸川郡田儀村平民鳥屋尾美登外十六名呈出
右ノ請願ハ島根縣簸川郡田儀村ハ四通八達ノ地ニシテ物貨ノ集散夥シキニ
拘ハラス郵便物ノ集配ハ遠ク小田郵便局ノ取扱ニ屬シ村民ノ不便不利一方
ナラス故ニ田儀郵便局ニ於テ集配事務ヲ開始セラレタシトノ旨趣ニシテ貴
族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依
リ別册及送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家逹
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
最上川治水工事速成ノ件
酒田商業會議所會頭荒木彥助呈出
右ノ請願ハ最上川ハ一朝洪水ニ際會セハ河水汎濫シテ慘害測知スヘカラサ
ルモノアリ加フルニ河口ハ深淺常ナク時ニ沙洲ヲ生シテ酒田港ニ船舶ノ出
入スルヲ杜絕セムトスルコトアリ同川ノ治水ハ地方經濟ニ至大ノ影響アル
モノナルヲ以テ之カ治水工事ノ設計ヲ確立シ速ニ起工セラレタシトノ旨趣
ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十
五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
宮城縣下小牛田ヨリ山形縣下新庄町ヲ經テ酒田町ニ達スル鐵道速成ノ件
山形縣西田川郡鶴岡町長林茂政外十八名呈出
右ノ請願ハ宮城縣小牛田ヨリ山形縣新庄ヲ經テ酒田ニ至ル鐵道ノ敷設ハ近
時漸ク勃興シ來レル莊内地方ニ於ケル各種ノ產業ヲシテ益發達セシムルモ
ノナルヲ以テ豫定期限ヲ繰上ケ之ヲ速成セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院
ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別
册及送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
陸羽橫斷線竣成年限繰上竝越羽沿岸鐵道速成ノ件
山形縣東田川郡山添村長五十嵐九兵衞外二十七名呈出
右ノ請願ハ山形縣新庄ヨリ酒田及宮城縣小牛田ニ至ル陸羽橫斷鐵道及新潟
縣新發田ヨリ村上山形縣鶴岡、酒田、秋田縣本莊ヲ經テ秋田ニ至ル越羽沿
岸鐵道ノ敷設ハ共ニ交通ノ便ヲ進メ地方ノ利源ヲ開發スルニ必要ナルヲ以
テ前者ハ之カ竣成年限ヲ繰上ケ後者ハ之カ速成ノ方針ヲ確定セラレタシト
ノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法
第六十五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十四年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=68
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069・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是等モ請願委員長ノ報告通リデ御異存ゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=69
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070・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=70
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071・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ特別委員ノ氏名ヲ書記官長ヲシテ朗讀イタ
サセマス
〔太田書記官長朗讀〕
明治二十三年法律第百三號廢止法律案特別委員
子爵舟橋遂賢君子爵高野宗順君男爵相浦紀道君
山脇玄君黑岡帶刀君男爵北大路 實信君
男爵諫早家崇君古莊嘉門君並木和一君
工場法案特別委員
伯爵德川達孝君子爵三島彌太郞君子爵入江爲守君
淺田德則君前田正名君村田保君
男爵久保田讓君男爵沖守固君男爵山内萬壽治君
男爵靑山元君男爵中島久万吉君男爵楠本正敏君
高木豐三君鎌田榮吉君桑田熊藏君
蠶絲業法案特別委員
伯爵正親町實正君伯爵川村鐵太郞君男爵目賀田種太郞君
男爵吉川重吉君男爵若王子文健君男爵〓水資治君
千坂高雅君室田義文君高橋新吉君
鐵道敷設法中改正法律案特別委員
伯爵柳澤保惠君子爵松平直敬君男爵辻新次君
男爵内田正敏君男爵伊丹春雄君男爵本多政以君
宮本谷藏君日高榮三郞君伊藤長次郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=71
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072・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 次ノ議事日程ハ決定次第御通知ニ及ビマス、今日
ハ是デ散會イタシマス
午前十一時十八分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01319110306&spkNum=72
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