1. 会議録本文
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000・会議録情報
明治四十四年二月二十一日(火曜日)午後一時十五分開議
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議事日程 第十三號 明治四十四年二月二十一日
午後一時開議
質問
一 關税定率法實施に關する質問(千田軍之助君提出)
二 所得税法中改正法律案不提出に關する再質問(守屋此助君提出)
三 都市政策に關する質問(日野國明君提出)
四 北海道及樺太經營に關する質問(小橋榮太郎君提出)
五 外國貿易殊に對東洋貿易の擴張に關する質問(武田貞之助君提出)
六 國定教科書編纂に關する質問(澤來太郎君提出)
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第一 明治四十二年度豫備金支出の件(承諾を求むる件)
第一 明治四十二年度豫備金外に於て豫算超過及豫算外支出の件(承諾を求むる件)
第一 明治四十二年度特別會計豫備金支出の件(承諾を求むる件)
第一 明治四十二年度特別會計豫備金外に於て豫算超過及豫算外支出の件(承諾を求むる件)
第一 明治四十二年度韓國派遣部隊豫備費支出の件(承諾を求むる件)
第二 右議案の審査を付託すへき委員の選舉
第三 商法中改正法律案(政府提出貴族院送付) 第一讀會
第四 右議案の審査を付託すへき委員の選舉
第五 商法施行法中改正法律案(政府提出貴族院送付) 第一讀會
第六 右議案の審査を付託すへき委員の選舉
第七 非訟事件手續法中改正法律案(政府提出貴族院送付) 第一讀會
第八 右議案の審査を付託すへき委員の選舉
第九 不動産登記法中改正法律案(政府提出貴族院送付) 第一讀會
第十 右議案の審査を付託すへき委員の選舉
第十一 鑛業法中改正法律案(政府提出貴族院送付) 第一讀會
第十二 右議案の審査を付託すへき委員の選舉
第十三 明治四十年法律第四十八號中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十四 右議案の審査を付託すへき委員の選舉
第十五 明治四十年法律第四十九號中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十六 右議案の審査を付託すへき委員の選舉
第十七 軍人恩給法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十八 右議案の審査を付託すへき委員の選舉
第十九 明治三十三年法律第七十六號中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二十 右議案の審査を付託すへき委員の選舉
第二十一 明治三十三年法律第七十五號同三十五年法律第二十九號準用に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第二十二 右議案の審査を付託すへき委員の選舉
第二十三 官吏恩給法中改正法律案(政府提出貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十四 官吏遺族扶助法中改正法律案(政府提出貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十五 官吏恩給法及官吏遺族扶助法補則中改正法律案(政府提出貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十六 區裁判所名稱變更に關する法律案(山岡國吉君提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十七 船舶法中改正法律案(米田穰君外二名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十八 船舶檢査法中改正法律案(米田穰君外二名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十九 北海道拓殖經營案基礎確立及北海道拓殖鐵道急設に關する建議案(小橋榮太郎君提出)
第三十 北海道多額納税議員選出に關する建議案(小橋榮太郎君提出)
第三十一 樺太漁業料改正に關する建議案(小橋榮太郎君提出)
第三十二 高等染織專門學校設置に關する建議案(武藤金吉君提出)
第三十三 全國荷造改良共進會開催に關する建議案(遠藤吉平君提出)
第三十四 區裁判所事務開始に關する建議案(稻村辰次郎君外一名提出)
第三十五 金名鐵道建設に關する建議案(笠川繼孝君外二名提出)
第三十六 鐵道速成に關する建議案(名村忠治君外四名提出)
第三十七 冷藏事業保護に關する建議案(三浦覺一君提出)
第三十八 高層氣象觀觀測所設置に關する建議案(根本正君外一名提出)
第三十九 鐵道建設に關する建議案(阿部政太郎君外一名提出) (委員長報告)
第四十 山陰縱貫鐵道速成に關する建議案(徳田譲甫君外三名提出) (委員長報告)
第四十一 羽越沿岸鐵道敷設に關する建議案(高橋光威君外九名) (委員長報告)
第四十二 羽越沿岸鐵道敷設に關する建議案(齋藤宇一郎君外十三名提出) (委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=0
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001・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 是ヨリ諸般ノ報〓ヲ致シマス
〔書記朗讀〕
一貴族院ハ本院ノ送付ニ係ル左ノ政府提出案ヲ可決シタル旨同院ヨリ通牒ヲ受領
セリ
治水費資金特別會計法案
府縣災害土木費國庫補助ニ關スル法律案
一議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
裁判所管轄區域變更ニ關スル法律案
提出者河野郁太郞君
鐵道敷設ニ關スル建議案
提出者河野郁太郞君
一千田軍之助君ヨリ米國官憲ノ在布邦人ニ加ヘタル不法行爲ニ關スル質問主意
書ヲ提出セラレタリ
一松田源治君ヨリ陪審制度設立ニ關スル質問主意書ヲ提出セラレタリ
一請願委員ノ補缺選舉ニ左ノ通リ當選セラレタリ
第六部請願委員濱岡光哲君
〔左ノ報告ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲メ玆ニ揭載ス〕
一去十八日議長ニ於テ選定シタル委員左ノ如シ
會計檢査院法中改正法律案外一件
日向輝武君神前修三君駒田小次郞君
奧田榮之進君岩本晴之君關直彥君
藤崎朋之君村田虎次郞君大西五一郞君
地租條例中改正法律案
塚田啓太郞君橋本次六君早川龍介君
木下義之君千田軍之助君藤代市之輔君
關田嘉七郞君久保伊一郞君細野次郞君
所得稅法中改正法律案
川原茂輔君黃金井爲造君奧繁三郞君
富安保太郞君鷲田土三郞君富田幸次郞君
守屋此助君齋藤宇一郞君小橋榮太郞君
國設大公園設置ニ關スル建議案
〓崟太郞君手塚正次君小林庄一郞君
三浦盛德君吉田虎之助君根津嘉一郞君
河井重藏君木村義賢君堀谷左治郞君
福島縣立蠶業學校ヲ高等專門學校ト爲スノ建議案
福井三郞君佐治幸平君佐々木鐵太郞君
田邊熊一君鈴木寅彥君星平島松尾君
堀江覺治君福留〓四郞君一君
天龍、大井、安倍三大川改修工事ニ關スル建議案
大橋賴摸君鈴木辰次郞君長晴登君
小久保喜七君田中龜之助君高柳覺太郞君
森田勇次郞君矢島浦太郞君〓水市太郞君
一國設大公園設置ニ關スル建議案委員木村義賢君辭任ニ付其補闕トシテ淺羽
靖君ヲ議長ニ於テ選定セリ
一委員長及理事左ノ通リ當選セラレタリ
會計檢査院法中改正法律案外一件委員會
委員長日向輝武君理事神前修三君
所得稅法中改正法律案委員會
茂輔君理事〔守屋此助君
委員長川原富安保太郞君
地租條例中改正法律案委員會
委員長千田軍之助君理事久保伊一郞君
國設大公園設置ニ關スル建議案委員會
委員長〓崟太郞君理事手塚正次君
天龍、大井、安倍三大川改修工事ニ關スル建議案委員會
委員長鈴木辰次郎君理事田中龜之助君
福島縣立蠶業學校ヲ高等專門學校ト爲スノ建議案委員會
委員長福井三郞君理事星一君
〔左ノ質問書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
關稅定率法實施ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
明治四十四年二月三日
提出者千田軍之助贊成者吉植庄一郞
外四十九人
關稅定率法實施ニ關スル質問主意書
第二十六囘議會ニ於テ政府ハ關稅定率法改正案ヲ提出シ明治四十四年七月ヨ
リ實施セムコトヲ期シタリ議會ハ之ニ多少ノ修正ヲ加ヘ結局滿場一致ヲ以テ通過シ
政府モ同意ヲ表シテ法律ト爲リタル以上ハ其ノ實施期ニ至リテ之ヲ實施スヘキハ論ヲ
俟タス然ルニ新關稅定率ハ英國ニ於テ之ヲ不利ト爲シ異議アルカ爲政府ハ讓歩シテ
有名無實ナル雙務的協定ヲ之ト約スルノ內意アルカ如ク傳フル者アリ其ノ內容ノ一
班ヲ聞クニ英國ニ於テ今後日本品ニ對シ新ニ課稅セサルノ條件ヲ以テ我ハ英國ノ重
要輸入品ニ對スル減稅ノ協定ヲ爲スニアルカ如シ是レ自由貿易主義ヲ取レル英國ニ
對シ蛇足ノ條件ヲ約セシメテ我自ラ減稅ノ讓歩ヲ爲スモノニシテ斯ノ如キハ斷シテ新
關稅定率法ノ精神ニ非ス我ハ保護主義ヲ以テ立チ彼ハ自由貿易主義ヲ以テ立ツモノ
ナレハ關稅方針ニ於テ彼我意見ノ合致セサルハ誠ニ己ヲ得サルニ出ツ是ニ於テ我ハ
我カ國是ノ在ル處ニ據リ新關稅定率法ハ斷然之ヲ實施シ茲ニ稅權自治ノ實ヲ舉
クルノ必要アリ故ニ政府ニ於テ斯ノ如キ有名無實ナル協定ヲ爲スノ理ナシト信スルモ
之ニ對スル政府ノ所見果シテ如何
右及質問候也
所得稅法中改正法律案不提出ニ關スル再質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
明治四十四年二月八日
提出者守屋此助贊成者箕浦勝人
外三十二人
所得稅法中改正法律案不提出ニ關スル再質問主意書
一政府ハ本員ヨリ曩日提出セル所得稅法中改正法律案不提出ニ關スル質問ニ
對シ去ル六日ヲ以テ答辯書ヲ提出セラレタリ其ノ大要ハ海軍軍備ノ補充製鐵
所ノ擴張水害ノ善後策等歲出增加ノ爲歲計ニ餘裕ヲ存セス故ニ政府ハ所得
稅法ノ改正ハ之ヲ他年ニ期スルノ止ムヲ得サルニ至リタリト云フニアリ
政府ハ昨春二十六囘議會ニ於テ四十三年度豫算中官吏增俸案ニ協賛ヲ求
ムル際所得稅法改正ノ誓約ヲ爲セシ時ニハ海軍軍備ノ補充製鐵所ノ擴張ノ
如キ重大費目ノ必要ヲ感セスシテ其ノ後僅々數箇月ニシテ四十四年度豫算編
製ノ時突然海軍軍備ノ補充製鐵所ノ擴張ノ必要ヲ感シタルヤ又海軍軍備ノ
補充製鐵所ノ擴張ハ左樣ニ淺薄ノ發案ナルヤ
二本員ハ所得稅法改正ノ爲要スル五百万圓內外ノ財源ノ餘裕ハ數多アルモノト
信ス假ニ政府ノ所見ニ從ヒ其ノ財源ナキ場合ナリトスレハ所得稅法改正ヲ德義
上ノ條件トシテ官吏增俸案ノ協贊ヲ求メタル政府ハ其ノ增俸ノ約三分ノ一
ヲ輕減シテ改正ノ財源ニ充テ其ノ誓約ヲ履行スル政治上ノ德義ヲ有セラレサルヤ
右及再質問候也
都市政策ニ關スル質問主意書
右成規ニ據り提出候也
明治四十四年二月九日
提出者日野國明贊成者入江武一郞
外三十人
都市政策ニ關スル質問主意書
一都市カ其ノ市內ニ於ケル電氣鐵道、電燈、瓦斯等ノ事業ヲ直營シ又ハ將來直營
ニ移シ得ヘキ條件ヲ附シ或期間ヲ限り之ヲ私人ノ經營ニ委ネ報償金ヲ納付セシム
ルカ如キ者ニ對シ政府ノ執ル所ノ方針如何
右及質問候也
北海道及樺太經營ニ關スル質問主意書
右成規ニ據り提出候也
明治四十四年二月九日
提出者小橋榮太郞贊成者淺羽靖
外四十八人
北海道及樺太經營ニ關スル質問主意書
一政府ハ第二十六囘議會ニ於テ四十三年ヨリ拓殖費七千万圓ヲ支出シ向フ十五
箇年ヲ期シテ帝國ノ一大富源タル北海道拓殖新計畫ヲ樹立シタリ該計畫ニ基ケ
ハ本年則チ四十四年度ノ拓殖費ハ三百三十万圓ヲ計上サルヘキ筈ナルニ豫定年
度割ヨリ六十二万餘圓ヲ誠額シテ二百六十七万六千八百三十七圓ヲ計上シタ
ルニ過キス其ノ理由那邊ニ在ルヤ或ハ曰ク其ノ財源タル北海道ノ自然增收豫期ノ
如クナラサリシ爲ナリト果シテ然ルカ果シテ然リトセハ其ノ原因奈何又政府ノ確信
アリト聲明サレタル這般自然增收ニシテ斯ノ如ク信賴スルニ足ラサル以上ハ勢ヒ
經營案ノ基木ヲ搖撼スルノ憂ナキヲ得ス政府ハ自然增收今後猶且豫期ノ如ク
ナラサルモ向フ十五箇年間ニ拓殖事業完成ノ確信アリヤ
二政府當局ハ北海道拓殖經營案成立ノ上ハ之ニ伴フ拓殖鐵道ノ敷設ニ從フヘシ
ト第二十六囘議會ニ於テ言責ヲ擔ヒタルニ拘ラス四十四年度ノ豫算案ニ徵スル
ニ何等其ノ事實ノ見ルヘキナシ政府ハ拓殖ノ先驅トモ謂ツヘキ拓殖鐵道ノ計畫
ヲ離レテ能ク拓地殖民ノ實ヲ舉ケ得ル成算アリヤ
三北海道ハ帝國北門ノ鎖鑰ナリ政府當局ハ北海道ニ於ケル現當ノ軍備ニ滿足シ
テ北日本警備ノ實ヲ舉ケ得ヘシト信スルカ
四政府ハ內地本州ト北海道トノ連絡地〓タル靑森港ノ修築ヲ奈何セムトスルカ若
夫レ靑森港ノ修築ニシテ技術上又ハ財政上ヨリ近キ將來ニ望ミナシトスレハ何
レノ地點ヲ擇ヒテ其ノ連絡ヲ完成セムトスルカ
五樺太經營ニ關スル政府ノ方針如何
右及質問候也発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=1
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002・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 會議ヲ開キマス、御諮ヲ致シマス、議員高山長幸君ヨリ病
氣ニ付キ、昨二十日ヨリ三週間、鈴木友治郞君ヨリ病氣ニ付キ、今二十一日ヨリ八
日間、安川保次郞君ヨリ病氣ニ付キ、今二十一日ヨリ十日間、小山内鐵彌君ヨリ
病氣ニ付キ、今二十一日ヨリ二週間、駒田小次郞君ヨリ病氣ニ付キ、明二十二日ョ
リ二週間、西能源四郞君ヨリ病氣ニ付キ、今二十一日ヨリ三週間、各"請暇ノ願出ガ
アリマス許可シテ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ異識ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=2
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003・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ナイト認メマスカラ許可スルコトニ決シマス、管原傳
君ヨリ國稅徵收法中改正法律案ハ重要議案ナルニ依リ更ニ委員九名ヲ增加シ、十
八名トナシタシトノ動議ヲ提出セラレマシタガ之ヲ追加スルニ御異議ハアリマセヌカ
(「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=3
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004・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ガナケレバ九名ヲ追加シテ十八名ニ致シ、而シテ其
選舉ハ議長指名ト云フコトニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=4
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005・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ガナケレバ其通り決定致シマス、質問ノ一、關稅定
率法實施ニ關スル質問、提出者千田軍之助君
〔千田軍之助君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=5
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006・千田軍之助
○千田軍之助君 私ハ諸君ノ御手許ニ囘ッテ居リマスル質問趣意書ノ通リ、英國ニ
關スル關稅ノ問題ニ付キ、政府ニ質問セントスルモノデアリマス所ガ此場合チヨット一
言御斷リヲ致シテ置キタイコトガアリマス、私ハ天性極メテ訥辯デアリマスルガ故ニ、質
問中ニ諸君ニ倦怠ヲ生ゼシムルノ虞ガアルノデアリマスケレドモ、私ノ熱烈ナル愛國心ハ
私ヲ驅ッテ此演壇ニ立タシメタノデアリマスカラ、暫ク御辛抱アッテ御靜聽アランコトヲ希
望致シマス(拍手起ル「謹聽々々」ト呼フ者アリ)諸君、我改正關稅定率法ニ對シ昨
冬以來英國ニ異議アルヤ、我政府ハ讓歩シテ之ト有名無實ナル雙務的協定稅率ヲ取
結ブ內意アルカノ如ク、我政界有力者ノ一部ニ於テ傳ヘラレツヽアルノデリマス、又海
外ノ電報ニ依リマシテモ、日本政府ハ關稅問題ニ付キ、英國ニ讓歩シツヽアルト一ムフコ
トヲ傳ヘツヽアルノデアリマス、此ノ如ク內外ノ風說ハ其傳フルトコロノ言葉ヲ異ニシテ居
リマスケレドモ、均シク日本政府讓步ノ意アリト云フコトハ一致シテ居ルノデアリマス、諸
君、我關稅定率法案ハ諸君モ御承知ノ通リ實質ニ於テ缺クル所ナイトコロノ雙務的、
卽チ互惠的協定稅率ヲ取結ブノ外少シモ讓步スベキ餘地ハナイノデアリマス、然ルニモ
拘ハラズ若モ唯今述ベマシタヤウナ有名無實ナル雙務的協定稅率ヲ取結ブトカ、或
其他ノ方法ニ依ッテ讓歩ヲ致スガ如キコトガアッタナラバ安政年間以來今日マデ五十
有餘年間屈シテ居ルトコロノ稅權自治ノ實ハ舉ラヌノデアリマス、ソレト同時ニ昨年政
府ハ帝國議會ニ原案ヲ提出致シ、帝國議會ハ多少修正ヲ加ヘテ滿場一致ヲ以テ決
議致シタトコロノ我國是トモ謂フベキ我國內ニ於テ發達スベキ產業ニ對シテ助長政策ヲ
執ラントスル、卽チ保護ノ政策ハ確立セヌノデアリマス、此ノ如キハ我經濟社會ニ取リ
マシテモ我獨立國ノ實權ト體面トヲ保ツ上ニ於テ、容易ナラザル關係ヲ持ツ問題デアリ
マ、、是レ私ガ玆ニ質問趣意書ニ揭載シテアルガ如キ質問ヲ提起スルニ至ッタ次第デア
リマス、諸君、試ミニ我國ノ大勢ヲ見ルニ〓育ナリ運輸交通ノ機關タル郵便、電信電
話、鐵道其他海陸軍ナリ百般ノ文物制度ニ於テハ維新以來長足ノ進步ヲ致シテ尙
今後何處マデモ發逹スベキ氣運ニ際會シテ居ルノデアリマス、就中陸海軍ノ如キハ財源
ノ供給ガ十分ナラザルガタメニ、或ハ噸數ガ足ラヌトカ、或ハ陸軍ノ兵數ガ足ラヌトカ云
フ〓ガアリマスケレドモ、、其實質ニ至ッテハ今日歐米各國ニ對比シマシテモ遜色ハナイノデ
アリマス啻ニ遜色ガナイノミナラズ私ハ一步進ンデ居ルト考ヘル、是レ獨リ私ノ考ノミナ
ラズ諸君モ御同感デアラウト考ヘルノデアリマス、此ノ如ク國家各方面ノコトガドシノ
進步シ、尙今後何處マデモ發達スバキ氣運ニ際シテ居ルノデアリマス、然ルニモ拘ハラズ
富ト云フ一點ニ至ッテハ遠ク歐米各國ニ比較スルト及バヌノデアリマス、然ラバ我國ノ國
土ノ面積ハ英佛獨等ニ比シテ狹イカト云ヘバ決シテ狹クハナイノデアリマス、又人口ノ如
キモサウデアリマス獨逸トハ髣髴ノ間ニ在ッテ、英佛ヨリ遙ニ人口ガ多イノデアリマス、
又氣候土質ノ如キモ確ニ歐米列國ニ比較スルトキニハ、我國ノ氣候土質ノ方ガ良イノ
デアル現ニ農產物ノ如キ歐米何レノ國ニ比シテモ收穫ガ一一倍以上ヅヽ取ッテ居ルノデ
アリマス、又國民ノ勤勉ノ度ニ至ッテハ成程都會ノ一部分ニハ懶惰ノ者モアリマセウガ、
國民ノ大多數ヲ占ムルトコロノ農工商ノ勤勉ト云フモノハ世界無比デアルノデアリマス、
此ノ如ク富ノ要素タル國ノ面積ハ英佛獨ニ較ベテモ少シモ讓ルトコロハナイノデアリマ
ス、又人口ニ至ッテハ却テ英佛ヨリハ人口ガ多イノデアル、又氣候土質ニ至ッテハ歐米列
國何レノ國ニモ優ッテ居ルノデアリマス、其他國民ノ勤勉卽チ農工商ノ勤勉ト云フモノハ
恐ラク世界無比デアルト思フ、此ノ如ク富ノ要素タル國土ノ面積、人口ノ多寡、氣候
土質、ソレカラ國民ノ勤勉ハ歐米各國ニ較ベテ優ジテ居ルトコロガアルニモ拘ハラズ獨リ
富ト云フ〓ニ至ッテ遠ク及バヌ、卽チ十分ノ一ニモ及バヌノデアリマス、諸君、試ミニ我
國始メ列國ノ統計書ヲ御覽ナサイマセ、我國ノ富ハ十分ノ一ニモ及バヌ、是レ卽チ其
原因何處ニアルカト云フコトハ朝野政治家ノ最モ意ヲ用井最モ〓究シナケレバナラヌ大
問題デアラウト考ヘル、私ノ見ルトコロニ依ルト是ニハ二ツノ大原因ガアルト思フ、卽チ
其第一ハ我國帝國大學就中理科大學、工科大學ノ組織ガ未ダ不完全ニシテ、今日
ノ有樣デアリマシテハ到底我國製造工業界ニ要スル器械ノ如キ、我國ニ於テ發明シ、
我國ニ於テ製造スルト云フ域ニハ何年經ッテモ達シマセヌ因テ一面ハ我國ノ帝國大學
就中工科大學、理科大學ノ組織ヲ一層擴張シ、之ヲ完全ニシテ、少クトモ十年後
ニハ我國ノ製造工業界ニ要スル機械ノ如キハ我國ニ於テ發明シ、製造スルト云フ域ニ
至ルマデモ、我國ノ專門〓育ノ根柢ヲ深クスルコトデアル、一面ニ於テハ而シテ一
面ニ於テハ昨年二十六議會ニ政府ハ原案ヲ提出致シ、帝國議會ガ是ニ多少ノ修正ヲ
加ヘテ結局滿場一致ヲ以テ通過シタトコロノ我國是トモ言フベキ保護政策ヲ確立スル
ノデアリマス、諸君、保護政策ハ實ニ此我國ノ產業卽チ經濟社會ノ發達ニ付テハ私ハ
大政策、頗ル必要ナル大政策ナリト考ヘテ居リマス、啻ニ我國ニ取ッテ必要ナル大政
策デアルノミナラズ、諸君、試ミニ今日世界一等國ノ伍班ニ列シテ居ル國ヲ御覽ナサイ
マセ、何レノ國ガ自國ノ產業ガ或ル程度ニ達シタルトキニ於テ保護ノ政策ヲ執ラヌト云
フ國ハ一國モナイノデアリマス、諸君、英吉利ノ如キハ千八百四十六年以來、全然自
由貿易主義ヲ執ッテ居リマスケレドモ、其以前ハ如何デゴザイマシタカ、自國ノ農業
工業ニ對シテハ盛ンニ保護政策ヲ執ッタノデアリマス、盛ンニ英吉利ニ於テハ保護ノ政
策ヲ執ッタ結果、英吉利ノ經濟界ガ大ニ發達ヲ致シタ、此ノ如ク發達ヲ致シタ以
上ハ最早自由貿易主義ヲ執ルトモ決シテ英吉利ノ貿易上、英吉利ノ經濟上、他
ノ打擊ヲ受クルコトナシト見据ガ立ッタカラ、千八百四十六年以來全然自由貿易
主義ヲ執ルニ至ッタノデアリマス、此ノ如キ次第デアリマスカラシテ世界ノ中デ保護ノ政
策ヲ執ッタ元祖ハ何處ノ國デアルカト云ヘバ英吉利ガ保護ノ政策ヲ執ッタ元祖デアルノ
デアリマス、所ガ千八百四十六年以來、英吉利ガ自由貿易ヲ執ルヤ、十年ヲ出デズシ
テ今日ノ獨逸其當時ノ孛漏亞ハ諸君如何ナル政策ヲ執ッタデアリマセウカ、保護ノ政策
ヲ執ッタデアリマセウ、獨逸ガ保護政策ヲ執ルヤ、佛蘭西、墺地利、伊太利、露西亞、
亞米利加ガ盛ンニ獨逸ニ倣ウテ自國ノ發達スベキ產業ニ對シテ盛ンニ保護政策ヲ執ッ
タノデアリ、其結果僅々五六十年間ニ於テ各國ノ富ガ非常ニ進步致シタノデアリマス、今
ヨリ五六十年前ハ獨逸其他ノ各國ノ統計表ニ依ルト其時ノ富ト云フモノハ日本ノ今
日程富ンデ居ラナカッタノデアリマス、諸君、今日ノ歐洲ノ富ハ驚クベキ富トハ云ヒナガ
ラ、近々五六十年間ノ發達デアリマス、サウ云フ次第デアリマスカラ今マデ五六十年掛ッ
タコトハ今日ハ國家ナリ社會ガ頗ル機敏ニナッテ居リ、又交通ノ便ナドモ頗ル好クナッテ
居ルノデ、今マデ五六十年乃至一世紀掛ッタコトハ、今後我國ニ於テ五六年乃至十
年、長クモ十五年位ノ間ニ確ニ效ヲ奏シ得ラルヽコトデアリマス、故ニ曩ニ申シタ通リ一
面ニハ大學ノ組織ヲ今一層專門〓育ノ根柢ヲ深クシテ、一面ニ於テハ此列國ノ必要
トスル保護政策ヲ確立スルト云フコトガ頗ル必要ト思ヒマス、是ハ私ガ言フマデモナク
滿場諸君モ御同感デアルガ故ニ、二十六議會ニ於テアノ問題ノ如キハ滿場一致ヲ以テ
通過シテ居ルノデアリマス、偖テ此ノ如ク保護政策ガ必要デアルケレドモ昨年議決致シ
タ關稅定率法ト云フモノハマグ完全ナルモノトハ申サレマセヌ、故ニ今後時ニ臨ンデ時々
是ハ改正センケレバナラヌコトガアルト考ヘマス、就テハ稅權自治ノ實ヲ此際舉ゲテ置カ
ナクテハ曩ノ風說ノ如ク有名無實ナル雙務的協定稅率ヲ取結ブトカ、或ハ其他ノ方法
ヲ以テ讓步致ス如キコトガアッテハ、マダ十年二十年ノ間ハ卽チ稅權自治ノ實ガ舉ガラ
ヌト云フコトニナリマスカラ、保護政策ヲ適宜ニ運用スルコトガ出來ナイ、適宜ニ運用ス
ルコトガ出來ナイト云フコトハ我經濟界ノ發達ヲ非常ニ阻害スル啻ニ經濟ノミデハナ
イ、國家ノ盛衰消長ニ關スル私ハ問題デアルト信ズルノデアリマス、此ノ如ク今囘ノ此條
約改正及關稅定率法ノ實際ハ我獨立國ノ實權ヲ保チ體面ヲ保ツ上カラ言ヒマシテモ
我經濟社會ノ盛衰消長ニ關スル上カラ二言ヒマシテモ、至大ナル關係ヲ持ツモノデアリマ
スカラ、政府ニ於テハ所信ヲ翻スコトナク、卽チ二十六議會ニ原案ヲ提出致シ、及說明
ヲ致シタ精神、趣旨、帝國議會ガ之ニ對シテ滿場一致ヲ以テ恊贊ヲ與ヘタ精神趣
員、卽チ要スルニ關稅定率法ノ精神、趣旨ハ今日ニ於テモ私ハ政府ハ固ク執ッテ居ル
モノト信ズルノデアリマス、果シテ固ク執ッテ居ルナラバ吾ミ國民代表者タル此衆議院ガ
此問題ニ付テハ十分政府ニ後援ヲ與ヘナクテハナラヌト考ヘル、啻ニ後援ヲ與ヘルノミナ
ラズ、大ニ督勵シテ關稅定率法ノ精神、趣旨ヲ誤ラシメナイヤウニセンケレバナラヌト思ヒ
マド、是ハ吾〓ノ義務デアルト同時ニ又權利ナリト私ハ確信スルノデアリマス諸君、此
問題ヲ決議ノ通リ卽チ關稅定率法ヲ遂行スルナラバ、日英同盟ニ影響スルト云ウテ、
昨冬)來頻リニ政界ノ一部ニ憂ヘル人ガアリマスケレドモ、私ノ見ルトコロデハ全ク此稅權
自治ノ實ヲ舉グルトカ、保護政策ヲ確立スルトームフコトハ獨立國ノ權能トシテ當然發
動スベキモノデアリマスカラ、決シテ日英同盟ニ影響スルモノデハナイト確信スル、日英同
盟ハ諸君ノ御承知ノ通リ別ニ雙方トモハッキリシタ目的ガアルノデアリマス、今日ノヤウ
ニ社會ナリ國家ノ關係ガ複雜ニナッテ來タナラバ關稅問題ハ關稅問題、又稅權自治
問題ハ自治問題、日英同盟ハ日英同盟ト、此ノ如ク區別シテ、互ニ考ヘナクテハナラ
ヌノデアリマス、諸君、一個人ト雖モ甲ノ問題ハ甲ノ問題、乙ノ問題ハ乙ノ問題ナリト識
別スル能力ヲ持ッテ居ル況ヤ堂々タル二大帝國ガ寄ッテ一國ノ獨立ニ關スル實權問題
ヲ捉ヘテ、直ニ日英同盟ニ影響スルト云フガ如キハ、私ハ杞憂ノ甚シキモノト考ヘル現
ニ英吉利ノ「グレー」外務大臣ハ自國ノ商業會議所ノ議員ガ外務大臣ニ逢ヒニ行ッタ時
分ニ斯ウ云フコトヲ言ッテ居ル成ベク諸君ノ希望ハ達スルヤウニ盡力ハ致スデアルガ、併
シ此關稅問題ト云フモノハ全ク日本ノ稅權自治ノ範圍內ノコトデアルカラシテ、決シテ
抗議ナドヲ申込ムト云フヤウナ譯ニ參ルモノデハナイ、又深ク立入ルコトヲ得ル問題デハ
ナイ、唯〓友誼的ニ御賴申スマデヽアルト云フコトヲ言明サレテ居ル、是ハ「グレー」氏ノ
意見デアリマス、友誼的ニ申込ムトナラバ外ノ問題ナラバ格別、此富ニ關スル經濟社
會ノ發達ニ關スル問題ニナッテハ却テ我日英同盟ノ友誼ヲ賴リマシテ、英吉利ノ同情
ヲ得ナケレバナラヌト考ヘル、曩ニモ云フ如ク我國ノ經濟社會、我國ノ富ト云フモノハ英
國初メ其他歐米諸國ニ比ベテハ十分ノ一ニモ及バナイノデアル友誼上カラ依賴スルナ
ラバ實ニ此關稅定率法卽チ此保護政策及稅權自治ノ實ヲ擧グルト云フコトハ是ハ
經濟社會ノ發達ノタメ必要巳ムヲ得ズシテ執ル問題デアル又一ハ獨立國ノ實權ト體
面ヲ保ツ上ニ於テ已ムヲ得ズ恢復スルモノデアルト云フ事情ヲ訴ヘルナラバ自分ノ方カ
ラ却テ英國ノ方ノ友誼ニ依ッテ訴ヘルコソ理由ガ確カデアラウト考ヘマス、斯樣ナ次第デ
アリマスカラ少シ重複ニ涉ルヤウデアリマスガ、私ハヨモヤ政府ハ所信ヲ翻スコトナク、卽チ
所信ノ通リ昨二十六議會ニ原案ヲ提出シタ通リノ精神趣旨ハ今日ニ於テモ固ク執ツ
テ居ルモノト信ジテ居リマス、信ジテ居ルノデアリマスケレドモ、曩ニ述ベマシタ內外ノ風
說ト云フモノハ是ハ我經濟社會ニ取ッテモ、政治上ニ取ッテモ萬々一事實デアルガ如キ
場合ニハ容易ナラザル關係ヲ持ツ問題デアリマスガ故ニ、輕々ニ看過スルコトヲ得ズ、
質問趣意書ニ記載シテアルガ如キ質問ヲ提起スルニ至ッタノデアリマスカラ、政府ハ此場
合其所見ヲ明快ニ御答辯アランコトヲ國家ノタメ切望スル次第デアリマス、此場合ニチヨツ
ト附加ヘテ置キタイノハ此關稅問題ナリ條約改正ニ付キマシテハ、列國ニ駐箚シテ居
ル我大使、公使ハ何レモ我國論國是ノアル所ヲ體認致シテ、十分ニ其任務ヲ盡サレ
ツヽアルコトヽ私ハ信ジテ居リマスガ若シモ多クノ大使、公使ノ中ニ我國論、國是ノアル
所ヲ體認スル念薄クシテ、此間ニ私見ヲ挾ンデ此問題ノ進行ヲ阻止スルガ如キ痕跡ヲ
存スルモノアルナラバ政府ハ斷乎タル決心ヲ以テ是ガ更迭ヲ斷行スベキモノデアルト云
フコトヲ併セテ警告ヲシテ置クノデアリマス、甚タ訥辯デ且長キニ亙リテ御〓聽ヲ汚シマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=6
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007・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 質問ノ第二、所得稅法中改正法律案不提出ニ關スル再
質問、提出者守屋此助君
〔守屋此助君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=7
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008・守屋此助
○守屋此助君 諸君、本員ハ一月三十一日ニ所得稅改正法律案ヲ政府ガ提出セザ
ル理由ノ質問書ヲ出シマシタラバ、越ヘテ二月六日提出ノ日ト答辯書ノアッタ日ヲ數ヘ
テ一週間ニシテ、政府ハ答辯書ヲ提出サレタノデアリマス、帝國議會開ケテ二十有餘年
間、政府ガ此ノ如ク速ニ議員ノ質問ニ對シテ答辯書ヲ與ヘラレタト云フ事柄ハ初メテデ
アル私ハ前ノ質問書ヲ提出シタトキニ此演壇ニ立ッテ演說ヲナサントスルモ、マダ其時ヲ
得ザルニ拘ハラズ、此ノ如ク早ク政府ガ答辯ヲ致サレタノハ政府ハ此所得稅ノ改正法律
案ナルモノヲ重大案ナリトシテ此案ニ對シテ彼ハ確ニ敬意ヲ拂ハレタノデアル、私モ亦
此重大案ニ對シテハ敬意ヲ拂ハニヤナラヌト思ヒマシタカラ、、茲ニ再質問書ヲ出シマシタ、
是ハ此重大案ニ對シテ愼重ニ御互ニ能ク〓究ヲシテ議論ノアルトコロヲ突止メテ見タイ
ト云フコトデ、所謂重大案ニ對シテ私ハ玆ニ敬意ヲ拂ッテ提出ヲシタ譯デアリマス、其說
明ヲ致シマスル言葉ヲ省キマスルタメニ玆ニ一應此書面ヲ讀ミマシテ書面ニ足ラザルト
コロヲバ尙口デ言言積リデアリマス、、暫ク御〓聽ヲ煩ハシマス
所得稅法中改正法律案不提出ニ關スル再質問趣意書
一政府ハ本員ヨリ曩日提出セル所得稅法中改正法律案不提出ニ關スル質問ニ
對シ去ル六日ヲ以テ答辯書ヲ提出セラレタリ其ノ大要ハ海軍軍備ノ補充製鐵
所ノ擴張水害ノ善後策ト歲出增加ノタメ歲計ニ餘裕ヲ存セス故ニ政府ハ所得
稅法ノ改正ハ之ヲ他年ニ期スルノ已ムヲ得サルニ至リタリト云フニアリ
政府ハ昨春二十六囘議會ニ於テ四十三年度豫算中官吏增俸案ニ協贊ヲ求
ムル際所得稅法改正ノ誓約ヲ爲セシ時ニハ海軍軍備ノ補充製鐵所ノ擴張ノ
如キ重大費目ノ必要ヲ感セスシテ其後僅々數箇月ニシテ四十四年度豫算編
製ノ時突然海軍軍備ノ補充製鐵所ノ擴張ノ必要ヲ感シタルヤ又海軍軍備ノ
補充製鐵所ノ擴張ハ左樣ニ淺薄ノ發案ナルヤ
二本員ハ所得稅法改正ノ爲要スル五百万圓內外ノ財源ノ餘裕ハ數多アルモノト
信ス假リニ政府ノ所見ニ從ヒ其ノ財源ナキ場合トスレハ所得稅法改正ヲ德義
上ノ條件トシテ官吏增俸案ノ協賛ヲ求メタル政府ハ其增俸ノ約三分ノ一ヲ輕
減シテ改正ノ財源ニ充テ其誓約ヲ履行スル政治上ノ德義ヲ有セラレサルヤ
右及再質問候也
是ガ今月八日ニ出シマシタ再質問書デゴザイマス、前ノ質問書ハ出シテ一週間デ答辯
書ガアリマシタガ、二度目ノ質問書ハ出シテ二週間ニナレドモマグ政府ガ答辯ヲ致サナ
イノデアル、是ハ又二度目ノハ諸君ノ中ニハ文書デ簡明デアルト云ハレテ居ルガ、政府ノ
腦髓ハ餘程弛緩ダト見エル、是ダケノ文書デマグ分ラナイト見エテ、今ニ政府ハ答辯ヲ致
サレズ、前ノニハ一週間デシタモノナラ今度ハ三日位デシテ宜カラウト私ハ思フノデアル、
然ルトコロガ尙此文書表デ簡明ニ分ルト云フコトハ議場ニハ聲ガアッテモ、議員程政府
ニ智惠ガナイト見エル答辯ガアリマセヌカラ此事ニ付テ私ハ一二附加ヘテ一ツ申シテ置
カウト思ヒマス、此所得稅ノ改正案ト云フモノガ及ボストコロノ影響ト云フモノハ頗ル私
ハ重大ナル關係ヲ直接間接ニ及ボスト思ヒマスルカラ申上ゲマスノハ、此昨年ノ議會デ
政府ガ協賛ヲ求メタモノガ官吏增俸案デナクンバ、唯一片ノ財政策ニ止マッタモノナラバ
宜カラウガ、縱令提出セザルモ例ヘバ玆ニ水害ノ補助金是ノ協賛ヲ求メル條件トシテ所
得稅ノ改正案ハ明年出スカラ此水害補助ヲシテ呉レ、鐵道ヲ敷クタメニ是ニ協賛ヲシ
テ下サイ其代リ來年所得稅ヲ出スト斯ウ云フコトヲ言ウテアルノデアルト、當年改正
案ガ出ザルモ、其國民ノ憤リト云フモノハ輕カラウト思ヒマス、然ルトコロガ是ガ官吏ノ增
俸案ヲ通過セシムルトコロノ一ツノ條件ニナッテ居ル、唯奈何セン官吏增俸案ノ條件トシ
テ置イテ、其官吏ノ增俸案ハ昨年スッカリ通ッテ國民ノ目デ見ルト云フト今ハ公債ノ償
還ガアリ、金利ガ下ッテモ不景氣-不景氣ノ嘆聲ガ止マザルハドウデアル、所得稅ガ
高イ、營業稅ガ髙イ、ソレ故ニ實業ヲ爲ス人資本家ハ儲カラナイ、勞働者ハ世ノ中ニ事
業ガ起キナイカラ仕事ガナイ、生活難ガ是ニ於テ始ヲテ居ル、此生活難ニ苦ンデ居ルトコ
ロノ都會ノ人、地方ノ人、、是等ガ文武百官ヲ見レバ文武百官ハ肥馬ニ鞭チ、輕裝ヲ著、
其態ヲ見テハ如何ナル國民モ憤リヲ起スノデアルカラ、少シク例ハ無理カハ存ジマセヌガ、
昔高山彥九郞ガ江戶城ノ壯大ナルコトヲ見、京都ニ到ッテ御所ノ御質素ナルコトヲ見
テ、悲憤慷慨ノ心ヲ懷イタト云フコトガアルデハアリマセヌカ、是ハ官吏增俸案ト云フモノ
ハ通ッテ文武ノ百官ガ肥馬ニ鞭チ、輕裝ヲ著テ居ル態ヲ見テ、其時ノ交換ノ約束物デア
ル所得稅法案ガ出ヌト云フコトニナレバ是コソ過日ノ畏レ多クモ御詔勅ニアル「人心
動モスレハ其歸向ヲ謬ラムトス」ト云フ國民ノ心ハ斯樣ナコトガ動機ニナッテ、如何ナル事
變ノ動機ニナルヤモ私ハ測ラレヌト云フコトヲ憂慮致シタノデアリマス、ソレデアリマスルカ
ラ私ガ少々文字ノ上バカリデ見マスト云フト、皮肉ナ問ノヤウデアルガ、皮肉ナ問デナイ、
眞面目ニ吾輩ハ問フノデアル政府ハイロ〓〓財政計畫ヲ致シテ見テモ、財源ガナイト
云フ場合ニナッタナラバ、官吏增俸案デ增俸シタ中ノ一部分ヲ-全部ヲ削レトハ言ハ
ヌ、幾部分削シテモ此所得稅ノ改正案ヲ出スト云フ赤誠ハナイカ、德義上ノ義務ハ持タ
ナイカ、玆ガ私ガ最モ問ハニヤナラヌトコロノ條件デアル、是ハ市井無賴ノ徒ト雖モ、ッ
ノ物ヲ買フ代價ヲ拂フノヲ來月拂ヒマセウト云フ約束デ品物ヲ前ノ月ニ取ル、一月ニ品
物ヲ取ァテ、二月ノ末ニ代價ヲ拂ヒマセウト言ウタトキニ、二月末ニ金ガ拂ヘナカッタ、此
時ニナッテ私ノ妻ガ病氣デアル娘ヲ嫁ニヤリマシタカラ金ガアリマセヌ、拂ヘマセヌ、是ダケ
ノコトヲ言ウテ市井無賴ノ徒ト雖モイヅレ何年ヲ期シマシテ御拂ヒ申シマセウト云フ出世
證文同樣ナモノヲ恬トシテ恥ヂズ、羞辱、名譽、面目ノ觀念ヲマルデ拔キニシテ、市井無
賴ノ徒ト雖モ、左樣ナ無禮ハ致サヌノデアル天下ノ高位ニ居リ、紳士トシテ國務大臣ハ
天下ノ儀表デアル、上ノ好ム所下是ヨリモ甚シ、國務大臣ガ天下ニ向ッテ公約ヲシタコト
ヲ之ヲ破ルコトヲ破レタル靴ヲ棄ツルガ如キ事柄ニ致シテ、ソレデ過日陛下ガ賜ハリシ
所謂「業ヲ勸メ〓ヲ敦クスル」〓ヲ敦クスルト云フ御趣意ニ適フカ適ハヌカ、唯〓ヲ敦クス
ルト云フノハ小學校ノ〓師ニ增俸ヲ餘計ヤル、〓科書ニ仁義忠孝ノ道ヲ餘計書ク、學
校ノ講堂デ倫理ノ講釋ヲ三十分トカ五十分トカ長クスル、左樣ナ淺薄ナ御趣意デハ斷
ジテナイノデアラウト思フ、又業ヲ勸ムルト云フ事柄モ、所得稅ノ如キモノガ輕クナルト事
業ヲシテ國ガ儲カルト云フコトニナレバ、ソレデ國ニ事業ガ興ル、資本家モ之ニ資本ヲ運
轉スル勞働者ノ業モ始ッテ來ル、此ノ如キ事柄ヲスルト云フコトノ意味ハ確ニ彼ノ御詔
勅ニアルトコロノ業ヲ勸ムルト云フ意味デアルト私ハ拜察シ奉ッテ居ル、業ヲ勸ムルト云フ
コトハオ前ハ桑ヲ五十本植ヘロコチラハ蠶ヲ餘計飼ヘヨ、鷄ノ卵ヲ造レ、左樣ナ淺薄ナ
事柄バカリヲ決シテ意味シテ居ラヌノデアル決シテ意味シテ居ラヌト私ハ考ヘルノデアル、
内閣諸公ハ意見ハドウデアル然ルニ拘ハラズ內閣諸公ノ爲サレ方ハ如何デアルカト云フ
ト製鐵所ノ如キモノヲ何モ今年彼ノ擴張ト云フコトニシテ、一千何百万圓ト云フ大金
ヲ使ッテ、此所得稅ノ改正案ト引換ニスル程大事ナ私ハ擴張案ダトハ斷ジテ思ハヌノデ
アル此ノ如キ事柄ヲシテ置イテ、サウシテ前申シマシタ通リ市井無賴ノ徒ト雖モ尙差
唇、廉恥ノ觀念ノアルモノハ爲サヾル眞似ヲシテ、イヅレ他年ヲ期スルト云フ答辯ハ何事
ゾヤ何事ゾヤ、サウデアリマスルカラ私ハ市井無賴ノ徒ト雖モ、大〓拂ヘマセヌトキハ
御免下サイマセ、私ハ拂フ期限ハ確ニ申上ゲラレマセヌカラ恐入リマスルガ、此品物ヲド
ウカ元ノ通リ御引取ヲ願ヒマス、斯フ云フノデアル、內閣諸公ガ德義ノ念ガアルナラバ、
官吏增俸案ヲ國民五千万ノ昨年協賛ヲ求メテ帝國議會ニ求メテ出シテ貰ッタガ、財政
ノヤリクリ上、外ニ財源ガナイカラ仕方ガナイ、此中幾分殺ギマス、ト斯樣ニ出ラレタ
ラ赤誠ヲ瀝イテ出ラレタラバ、是デコソ是デコソ舉國一致モ出來マセウ、內閣
ガ能ク御望ミニナル業ヲ勸ムルト云フ御聖旨ニモ適ヒマセウ、〓ヲ敦ウスルト云フコトニモ
適ヒマセウ、然ルトコロガ民間ノ人間ダケ德義ヲ重ンゼヨ、信用ヲ重ンゼヨ法律ヲ能ク
守レ、天下ノ廣居ニ立ッテ居ル總理大臣兼大藏大臣ガ、國民ニ向シテ約束ヲ此ノ如ク
ニシテ置イテ、農商務大臣ノ如キ歐羅巴カラ戾ッテ歐羅巴デハ信用ヲ重ンズル、會社ノ
重役ガ不信用ナコトヲシテハイカナイ、ドコヤラノ織物屋ガ不信用ナコトヲスル、羽二重
業者ガ不信用ナコトヲスル、是ハイカナイ、信用ハ大事ダ大事ダト言ハレルケレドモ、民
間ノ人間ノ信用ヨリ、天下ノ師表トナル內閣總理大臣ノ爲サレ方ノ信用ガヨリ大
事デアラウト思フ、政府ハ何モ政府ダケガ不信用ナ官營ヲスル權利ハナイ、サウデアリマ
スルカラ是ハ國民黨ガ何モ政府カラ昨年ノ議會デ約束ヲ受ケタノデハナイ、政友會ノ諸
君ガ受ケタノデナイ、中央倶樂部ガ受ケタノデハナイ、日本帝國ノ振ッテ居ル權利デア
ルサレバコソ政友會ノ諸君ノ中ニモ大々的私ニ御同情ヲ御持チ下サル御方ガ多分アル
ト云フコトヲ確ニ自惚レテ居リマス、是ハ諸君一黨一派ノ問題デハゴザイマセヌ、帝國ノ
諸君ト共ニ我ミガ此權利ヲ握ッテサウシテ債權ヲ一〓ニ振ッタノデアリマスカラ、御互ニ
政府ガ不都合ナコトヲシタナラバ鼓ヲ鳴ラシテ攻メテ宜イト思フ、諄ク申上ゲルヤウデゴザ
イマスルガ、此事柄ガ鐵道ヤ水害ノタメデナク、官吏增俸案ナルヲ奈何セン、此所デ政
府ガ傷ミガアルカラ能ク政府ノ諸君ガ御考ニナラヌト、之ガ動機トナッテ千里ノ堤モ蟻穴
カラ壞レル、人心ノ歸向ヲ最モ誤ラントスルトキデアル、能ク御考ヘニナラヌトイカヌト思
フノデアル、又近項政府ノ諸君-デハナイ、總理大臣ガ政友會ト情意投合ト云フコ
トヲ言ッテ居ラレル、ソレニ付テ政友會ノ諸君ハイロ〓〓豫算等ニ於テ御苦心爲サッテ
政友會ノ方カラ情意御投合ガアルコトハ國民確ニ之ヲ認メテ居リマス、政府ガ如何ニモ
不屆デアル、政府ガ如何ニモ不屆デアル、私共局外カラ見テモ廬山ノ中ノモノハ廬山ノ
眞面目ヲ知ラズデ、政友會ノ諸君ニハ分ラヌカ知ラヌガ、政府ハ少シモアナタ方ニ情意
投合ヲ致シテ居ラナイ、ソレデダ政治上不吉ナ言葉ガ昔アッタ、山縣內閣ト政友會前
身ト提携シタトキニ、肝膽片照シト云フ言葉ガアッタガ、今ノ陋態ハ情意投合デアル情
意片投合デアルカラ是ハ諸君モ前申上ゲル通リ何モ一黨一派ノ問題デハナイ、是ハ帝
國議會ガ握ッテ居ル權利デアルカラ、御互此事柄ハ謹ンデ國家ノタメ共ニ倶ニ手ヲ携ヘ
テシタイト云フコトヲ政友會諸君ニ私ガ謹デ御願致ス、ドウカ御同樣攻メルト云フコト
ニシテ戴キタイ、左樣ナ譯デアリマスカラ政府ハ此事ニ付テドウカ責任アル答辯ヲ今度ハ
此演壇ニ立ッテ言フタラバ、字ノ外ニ審ニナッテ居ルト思フカラ、速ニ御答アランコトヲ希
望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=8
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009・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 唯今守屋此助君ノ再質問ニ對シテ政府カラ答辯ガアリマ
ス朗讀致サセマス
〔書記朗讀〕
衆議院議員守屋此助君提出所得稅法中改正法律案不提出ニ關スル再質問ニ對
シ別紙答辯書差進候也
明治四十四年二月二十一日內閣總理大臣侯爵桂太郞
衆議院議長長谷場純孝殿
(別紙)
衆議院議員守屋此助君提出所得稅法中改正法律案不提出ニ關
スル再質問ニ對スル答辯書
一海軍軍備ノ補助製鐵所ノ擴張水害ノ善後策等ノ爲メニ要スル經費ハ緊急已
ムヲ得サルモノナルコトハ本大臣カ屢、說明シタル所ナリ其必要ノ豫見セラレ得
ヘキモノタルト否トハ其緊急ナルノ事情ニ何等ノ影響ヲ與フルモノニアラス政府ハ
緊急ノ支出ニ應スルノ計畫ヲ立テ面カモ餘裕ヲ存セサルノ場合ニ於テ敢テ歲入
ノ減少ヲ企畫シ依テ以テ財政基礎ノ鞏固ヲ失ハシムル如キハ之ヲ爲スヘキモノニ
アラスト認ム
二官吏增俸ハ多年其必要ヲ認メ來リタル所ヲ實行シタルモノニシテ所得稅法ノ改
正ヲ爲スト否トニ依リ其必要ニ增減アルコトナシ
右及答辯候也
明治四十四年二月二十一日
大藏大臣侯爵桂太郞発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=9
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010・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 三都市政策ニ關スル質問、提出者日野國明君
〔日野國明君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=10
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011・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) チヨット此場合ニ於テ御諮致シマス、刑ノ執行猶豫ニ關ス
ル法律案ノ委員會ヲ本會議中ニ開キタイト云フ古賀委員長ノ請求ガアリマス、許可シ
テ御異議ハアリマセヌカ
(「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=11
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012・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ガナケレバ許可スルコトニ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=12
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013・日野國明
○日野國明君 本員ハ都市ノ政策ニ關スル質問書ヲ提出致シマシタノデ、質問ノ意
義竝ニ之ヲ提出スルコトノ必要ヲ感ジマシタ所以ヲ極メテ簡單ニ述ベテ置カウト存ズルノ
デゴザリマス、大體ノ趣旨ハ我國ノ都市ニ於テ-"都市ト申シマシタトコロデ極ク窮屈
ナ意味ハ持チマセヌ、先ヅ現在ニ於キマシテー市制ヲ施行シテ居ル位ナモノ以上ト云フ意
味ニ取ラレテ宜イノデアリマス、都市ガ其都市ノ中ニ於キマスル卽チ市街ノ中ニ於キマシ
テ、電氣鐵道デアルトカ、或ハ電燈ノ事業デアルトカ、或ハ瓦斯ノ事業デアルトカ、斯ウ
云フモノヲ都市自ラガ經營ヲ致シマスル場合、又ハ將來之ヲ都市ノ經營ニ移スト云フコ
トノ條件ヲ付ケテ、一時之ヲ私人ノ經營ニ委シマス、サウシテソレニ對シテ報償ヲ取ッテ
居ルヤウナモノ、斯ウ云フモノニ對シマシテ政府ハドウ云フ方針ヲ執ルノデアルカト云フコ
トヲ問ハント欲スルノデアル、唯今申シマシタ電氣鐵道、或ハ電燈、或ハ瓦斯ト云フ如キ
事業ニ對シマシテ、私ノ議論トシテ考ヘルトコロニ依リマスレバ第一是等ノ事業ト申シマ
スルモノハ、自由競爭ヲ許サナイトコロノ所謂獨占的ノ事業ニ屬シマシテ、其事業ノヤリ方
ノ如何ハ卽チ經營施設ノ良否如何ハ直ニ其都市及其住民ニ極メテ重大ナル利害ヲ有
スルモノデアリマス之ヲ專ラ營利ヲ目的トスルトコロノ私法人或ハ其他ノ私人ノ經營ニス
ルヨリモ其都市自ラガ經營ヲスルト云フコトハ當然ノコトデアルト私ハ考ヘテ居ルノデアリ
マス、ソレカラ第二ニハ都市ノ財政ノ上カラ見マス都市ノ財源ト云フ側カラ見マシテ、此
ノ如キ事業ヲ私人ノ經營ニ委シテ、私人ガソレニ依ッテ得ルトコロノ利益ヲ都市ガ自ラ經
營シテ之ヲ都市ノ收入トナス卽チ之ヲ都市ノ財源トナスト云フコトハ都市ノ財政政策
ノ上ニ於テモ宜シイコトデアルト斯ウ私ハ考ヘルノデアリマス、第三ニハ我國ノ法制ノ上
ニ於テ卽チ地方制度ノ上ニ於テ此精神ハ認メラレテ居ルト私ハ信ズルノデアル市制ノ
第八十八條ノ第二項ニハ「市ハ其財產ヨリ生スル收入及使用料手數料竝科料過怠
金其他法律勅令ニ依リ市ニ屬スル收入ヲ以テ前項ノ支出ニ充テ猶不足アルトキハ市
稅及夫役現品ヲ賦課徵收スルコトヲ得」ト斯ウ書イテゴザイマス、此市制ヲ制定スル
場合ニ於キマシテハ市ノ財源ト致シテハ市稅ト云フ如キモノハ最後ニ置イテ財產ノ收入
其他使用料手數料等ノ如キモノヲ以テ先ヅ其支出ヲ支辨シ尙足ラナイトキニ於テ初メ
テ之ヲ租稅ニ課スト云フコトニナッテ居ルノデアリマス、此八十八條ニハ唯今讀ンダ通リ
デ營業ニ屬スルコトハ書イテアリマセヌ、所ガ市町村制ノ理由書ヲ見マスルト斯ウ云フコ
トガアルノデアル、市町村制ノ理由書ノ中ニ「市町村ノ法人タルハ巳ニ法律ノ認ムル所
ナレハ」云々「市町村ノ費用ヲ支辨スルカ爲メニ消費スルモノアリ例ヘハ土地家屋等ノ
貸渡料營業ノ所得市町村稅及手數料等ノ如キ之レナリ」市町村ガ必要ナル費用ヲ
支辨スルタメニ收入スルモノヽ中ニハ土地家屋等不動產ノ貸渡料ト云フモノヲ舉ゲ、其
次ニ營業ノ所得ト云フ文字ヲ舉ゲ、而シテ其後ニ持ッテ行ッテ市町村稅及ビ手數料ト
云フコトヲ書イテ居ルノデアリマス、尙其理由書ノ先ニ參リマスルト「市町村ニ於テ其費
途ヲ支辨スルカ爲メニ左ノ歳入アリ」ト書イテ第一項カラ第四項マデ項目ヲ擧ゲテ居リ
マス其第一ノ所ニ持ッテ參リマシテ、「一、不動產資金營業ノ所得」斯ウ致シマシテ、營業
ト云フ中ヘ持ッテ行ッテ「瓦斯局水道等ノ類」ト云フコトヲ入レテ居ルソレカラ第二項
ニ於テ市町村ノ金庫ニ收入スル過怠金科料ヲ舉ゲ、第三ニ手數料使用料ヲ舉ゲ、最
後ノ第四ニ至ッテ初メテ市稅町村稅ト云フモノヲ舉ゲテ居ルノデアル、斯ウ云フ上カラ見
マスルト卽チ私ガ議論ノ上カラ考ヘマスルノト、ソレカラ地方制度ノ精神ノ上カラ見マス
ル所トニ依リマスルト前申シマシタトコロノ電氣鐵道デアルトカ、或ハ電燈デアルトカ、瓦
斯トカ云フヤウナモノハ都市ノ直營ト致シマスカ、若シ財源其他ノ事情ニ依ッテ直營ト
ナスコトガ出來ナイナラバ一時之ヲ他ノ私人ニ經營セシムルトモ將來之ヲ都市ノ直營
ニ移スト云フ條件ヲ附シテ、サウシテ報償ヲ取ルト云フヤウナコト、卽チ之ヲ簡明ニ申シマ
スルナラバ是等ノ事業ニ對スル市營政策若クハ報債政策、斯ウ云フモノハドウシテモ政
府ニ於テ保護奬勵ナスガ、私ハ當然ト思フ、縱シ保護奬勵ヲシナイマデモ之ヲ妨害ヲス
ベキ理由ハナイコトデアルト信ズルノデアリマス、是ハ私ガ議論ノ上カラ法律ノ精神ノ上
カラ論ズルノデアリマスガ、殊ニ私ハ之ヲ必要ト感ジマスルノハ今日ノ我國ノ現在
ノ都市ノ狀態デアリマス、諸君我國ノ都市ニ於キマシテ〓育デアル、或ハ衞生デア
ル、或ハ交通デアル、或ハ救濟事業デアルト云フヤウナ事柄ニ付キマシテ、都市トシ
テ其爲スベキモノヲ十分ニ爲シテ居ルモノガ何處ニアルデアリマセウカ、他ノ例ヲ私ハ舉
ゲル必要ハナイト存ジマスル、我國ニ於ケル都市ノ第一位ニ居ル東京市ノ狀態ヲ
見マスルナラバ、他ノ都市ノコトハ玆ニ申述ベル必要ガナイノデアリマス、此議場
ニ東京市長タル尾崎君、助役ノ田川君等ヲ見ナガラ東京市ノコトヲ申シマスルハ甚ダ
相濟マヌ譯デハアリマスルガ、併シ私ガ見マスレバ東京市ハ全國ノ都市ニ於テハ最モ進
步發達ハシテ居リマスルガ、併ナガラ都市トシテ爲スベキトコロノ仕事ハ未ダ半ヲ爲シ遂
ゲラレテ居ラヌヤウニ思ヒマス(「ヒヤ/」ト呼フ者アリ)最モ近イ例ヲ申シマスレバ此議
院ノ南側ヲ流レテ居ル下水デアリマス、私ハ此下水ノ橫ヲ通ッテ此議場ヘ參リマスルガ、
今日ノ如キ春尙寒キ日ニ於キマシテモ此下水カラハ惡臭紛々トシテ鼻ヲ衝イテ居ル、若
シ之ガ炎熱燬クガ如キ盛夏ニナリマシタナラパドウ云フコトデアリマセウ、雨ガ少シ降リマ
スルナラバ吾〓ハドウカ致シマスレバ靴ヲ穿イテハ步ルケナイト云フヤウナ有樣モアルノデア
〓、東京市既ニ此ノ如シデアル、ソレカラ救濟ノ事業抔ハ如何デアリマセウカ、貧民學
校ハ東京市ニ設立シテアルト云フコトハ存ジテ居リマスガ、貧民ニ對スル施療院ノ開院
ハ來ル四月一日カラ後デアルト云フコトデアリマス、卽チ今日マデハ斯ウ云フ設備ハナカッ
タモノヽヤウニ見受ケマス。斯樣ナ有樣デアリマスルガ、殊ニ私ハ玆ニ注意ヲセンナラヌト
思ヒマスコトハ今申シマシタ事項ノ中ノ教濟ノ事業デス、申スマデモアリマセヌガ都市ガ
此生活問題ノ激戰地デアルト云フコトハ注意ヲシナケレバナラヌ、生活戰爭ノ最モ激シ
ク行ハレテ其戰爭ニ打勝ッタトコロノ凱旋將軍ガ此都市ニ居ルト共ニ此戰爭ニ於ケル落
伍者、敗者、負傷者ガ都市ニハ澤山居ルト云フコトヲ覺悟セナケレバナラヌ、サスレバ是
等ニ對シマシテ此生活戰爭ノ弱イ方ノ側ノモノニ對シマシテ、其赤十字或ハ癈兵院ノ
如キ、救濟事業ヲスルト云フコトハ都市ガ一日モ閑却スベカラザル事業デアルト私ハ思ヒ
マス(拍手スル者アリ)然レドモデス、斯樣ニ考ヘマスルガ、併シ今日之ガドコノ都市ニモ
行ハレテ居ラナイ、東京市既ニ行ハレテ居ラナイト云フノハ何ノ故デアリマセウ、都市ノ
經營者ハ是等ノ事業ヲ打捨テ置クコトヲ望ンデ居ル譯デハゴザイマセヌガ、唯行フコトガ
出來ナイノデアリマス、財源ガナイノデアリマス、市町村制ヲ拵ヘマスル其當時ノ立法者
ガ豫想シタ不動產ノ收入、或ハ資金ノ收入、或ハ手數料、過怠料ノ如キモノハ極メテ
僅少デアル、都市ニ依リマシテハ斯ウ云フ不動產等ノ收入ノ殆ドナイ都市モアルト思ヒ
マ、其他ニ何ノ收入ガアル、收入ハナイノデアリマス、故ニ市町村制ヲ設クルトキニハ
最後ニ置キマシク市稅ガ今日ノ都市ノ經營ノ財源中ノ九分九厘ヲ占メルト云フ有樣デ
アル、サウシテ租稅ハ是カラ取ルコトガ出來ルカト申シマスレバ、今日ノ都市ノ住民ハ國
民トシテ府縣人民トシテ堪ヘ得ルト申シタイデアリマスガ、最早今日ハ堪ユルコトノ出來
ナイ程度マデ重キ負擔ヲシテ居ルノデアリマス、此以上ニ都市ノ經營ヲナスタメニ、尙多
クノ負擔ヲ强ユルト云フコトハ到底出來ヌコトデアリマス、然ラバ之ヲ如何ニ致スベキカ、
唯今申シマシタ事業ノ中ニハ個人トシテ殊ニ富豪トシテ爲スベキ仕事ガアルノデアリマス、
富豪ガ當然ノ義務トシテ爲サネバナラヌ仕事モアルノデアリマスガ、併シ斯樣ニ申スコトハ
少シ氣ノ毒デアリマスガ、日本ノ富豪ハ歐羅巴亞米利加ニ於ケル富豪程ニ斯ウ云フコ
トニハ金ヲ投ジナイノガ多イ、彼等ノ多クハ其別莊ヲ作ルタメニハ數万或ハ十數万ノ金
ヲ投ジ、一幅ノ書畫ヲ購フタメニ千金ヲ惜マヌヤウデアリマスケレドモ、此多數ノ弱者
貧者ニ向ッテ救濟ヲスルト云フコトニ至ッテハ極メテ吝〓デアルト云フコトヲ私ハ知ッテ
居ル、又是等ノ事業ノ中ニハ國庫ノ補助ヲ受クルコトヲ得ベキモノモアリマスケレドモ、是
ハ所謂其費用ノ幾分ノ補助ヲ受クルコトガ出來ルノミデアリマシテ、全部ヲ國庫ノ負擔
ニ移スト云フコトハ到底爲シ得ベキコトデナイノデアル、サスレバ都市ハ此ナスベキ仕事ヲ
ナスガタメニハ、租稅以外ニ於テ財源ヲ見出サナケレバナラヌ、ソレニハ如何ニスレバ宜シ
イカ、私ハ市町村制ガ制定ノ當時、立法者ノ豫期シタ如ク適當ナル事業ヲ都市ノ經
營ニ委ネ、若クバ之ニ代ル報償ノ政策ヲ行ッテ以テ、都市ニ財源ヲ與ヘルノ外ハナイト
信ズルノデアリマス、然ルニ諸君、政府ガ從來是等ノ事業ニ對シマシテ執ッタトコロノ事
績ヲ見マスルト云フト、本員等ノ豫期ニ反スルモノガ往々ニアルノデアリマス、一二ノ例ヲ
舉ゲテ見ヤウト存ジマスルガ、大阪市ハ此電氣鐵道ニ付キマシテハ豫テヨリ市營ノ主義
ヲ立テヽ居ルノデアリマス、數年以前政府ハ大阪市ノ意思ニ反シマシテ、或ル電氣鐵道
ヲ大阪市内ノ樞要ノ地マデ引込マセタコトガアルノデアリマス、ソレカラ其以後ニ於キマシ
テハ大阪市ノ反對ヲ恐レタモノデアリマスカ否ヤハ存ジマセヌガ、企業者ノ側ニ於キマシテ
軌道條例取扱ト云フ規則ノ或ル缺〓ヲ利用シテ、サウシテ其大阪市ヘ電氣鐵道ヲ引
張リ込ムト云フコトヲ事實ヤッテ居ルノデアリマス、ソレハ何デアルカト云フト軌道條例取
扱ノ第二條ニハ斯ウ云フコトガアル「地方長官ハ軌道ヲ敷設スヘキ公共道路ノ維持
費ヲ負擔スル府縣郡市町村ノ其公共團體ノ議會若クハ之ニ准スヘキ議會ノ意見ヲ聽
クコトヲ要ス、但シ軌道カ單ニ道路ヲ橫斷スルニ止マルトキハ此限ニアラス」市ノ內ヘ持ッ
テ來テ電氣鐵道ヲ敷設セントスルトキハ市ノ會議ノ意見ヲ聽カナケレバナラヌト云フノガ、
軌道條例取扱心得ノ第二條デアル、所ガ大阪市ノ如キハ此第二條ニ依ッテ大阪市ノ
意見ヲ聽クト云フト大阪市カラシテ彼此レ反對ノ意見ヲ申出サレテハ困ルト云フトコロ
ヲ以テ、此但書ノ方ノ但シ軌道ガ單ニ道路ヲ橫斷スルニ止マルトキハ此限リニアラズト
云フ此例外ヲ利用致シマシテ、大阪市ノ道路ガアルニ拘ハラズ其道路ノ僅カ隔ッタル處
ニ持ッテ行ッテ、普通ノ人家ヲ打貫イテ、卽チ道路ヲ橫斷スルト一云フコトニシテ、以テ電
車ヲ引入レテ居ルト云フ事實ガアルノデアリマス、啻ニ是ノミナラズ近來聞キマスルトコロ
ガ、大阪市ガ報償契約ヲ結ンデ居リマス、或ル事業ニ競爭ヲ許スト云フヤウナ說モアル
ノデアリマス、而シテ何故ニ政府ガ此ノ如キコトヲナスカト云フコトニ付テハ風說デハアリ
マスケレドモ、是ハ政黨員ヲ操縱スル必要カラ出タノデアル或ハ政府ノ大臣ト懇意ナ
所謂寵商ノ類ヲ保護スルタメニ出タノデアルト云フ風說モアル私ハ是ガ風說デアランコ
トヲ望ミマスガ、免ニモ角ニモ此ノ如キ風說ノアルト云フコトハ事實デアリマス、今日マデ
ノ政府ノ行フトコロハ此ノ如キ有樣デアリマスカラシテ、市町村制ニハ此營業ノ所得ヲ
租稅以上ニ置イテ居ルニ拘ハラズ今全國ニ於キマシテ、卽チ全國ノ都市ニ於キマシテ、
市ガ是等ノ事業ヲ直營シテ居ルモノハ橫濱ノ瓦斯事業或ハ大阪ノ電氣鐵道等一一三バ
カリ其他報償契約ヲ結ンデ居ルモノモ數フルニ僅シカナイヤウニ思ヒマス、是ハ政府ノ今
日マデノ行方ガ宜シクナイカラ斯樣ニナッテ來ルノデアラウト考ヘル、政府ガ之ヲ保護シ、
奬勵シ、少クトモ之ヲ妨害シナカッタナラバ、モウ少シ市町村制ガ豫期シタヤウニ此事業ハ
都市ニ發達シテ居ナケレバナラヌ筈ト私ハ考ヘルノデアル、ソレデ質問ノ結局ノ要〓ハ茲
ニアル、政府ハ將來ニ於テモ尙今日マデノ如ク此電氣鐵道或ハ瓦斯或ハ電燈ノ如キ事
業ヲ都市ガ經營シ若クハ經營ニ代ルベキ報償ノ政策ヲ執ラントスル場合ニ於テ之ニ對スル
保護奬勵ヲ與フルノ考ナキカ、保護奬勵ハナサザルマデモ之ヲ妨害スルノ考アリヤ否ヤト云
フコトヲ問ハント欲スルノデアル是デ私ノ質問演說ハ終ッタノデアリマス、此際ニ一言致
シテ置キタイコトハ今日マデ本員ガ此議場ニ於テ質問演說ヲ拜聽致シマスルト云フト
質問提出者ハソレニ對スル答辯ヲ深ク期待スルトコロナクシテ、答辯ヲ待ツト云フコトガ
眞ノ目的ニアラズシテ、此壇上ニ於テ演說ヲスルコトガ寧ロ目的デアルカノ如キ嫌ノモノ
ガアル、是ハ甚ダ本員遺憾トスルノデアル斯樣ナコトガアリマスタメカ否カハ存ジマセヌ
ガ、政府ノ答辯ガ常ニ餘リ簡單ニシテ要領ヲ得ナイモノガ多イノデアリマス、併シ本員ノ
提出致シマシタトコロノ問題ニ對シテ此答ヲ待ツモノハ獨リ本員ノミデハナイデス、都市
ノ經營者ハ勿論ノコト、眞面目ナル企業者モ之ヲ聽カント欲スルトコロデアラウト思フ、
又所謂操縱サルベキ人ガアリトスレバ操縱サルベキ政黨員モ、所謂寵商モ亦此答ハ聽カ
ント欲スルトコロデアラウト思フ、政府ハ此問ニ對シテ尋常一樣ノ簡單ナ答辯ヲナサズシ
テ、親切丁寧極メテ眞面目ナル答辯ヲ與ヘンコトヲ望ムノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=13
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014・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 北海道及樺太經營ニ關スル質問、提出者小橋榮太郞君
〔小橋榮太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=14
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015・小橋榮太郎
○小橋榮太郞君 本員ハ中央倶樂部ノ一員ト致シマシテ、而モ常ニ自己ノ信賴シツヽ
アルトコロノ政府當局者ニ向ヒマシテ質問スベク此登壇ヲ餘儀ナク致シマシタコトヲ頗ル
遺憾ニ存ズルノデアリマス、併ナガラ北海道及樺太ノ前途ニ對シマシテ衷心頗ル懸念ニ堪
ヘザルモノガアルノデゴザイマス、而シテ幾度カ熟慮ノ結果熟慮ノ結果、默シテ已ムハ
國家ニ忠實ナル所以ノ途ニアラズト覺悟致シマシタルガ故ニ已ムヲ得ズ此壇ニ登ッタ次第
デゴザイマス、サレバ政府當局モ亦本員ノ微衷ヲ御諒察アッテ唯一通リ一遍ノ答辯デナ
〃親切ニシテ且ツ周到ナル御答辯ヲ付與セラレンコトヲ豫メ希望致シテ置キマス、ソレ
カラ今一ツ前以テ是ハ諸君ニモチヨット申上ゲテ置キタイノデゴザイマスガ、私ハ諸君ノ御
手許ヘ差上ゲテ置キマシタ質問書ノ理由ヲ五箇條ニシテゴザイマス、併ナガラ今日ハリレヲ
更ニ區別致シマシテ十五項ノ質問事項ト致シマシテ、政府ニ問ハント欲スルノデゴザイマ
ス、併シ私ハ決シテ辯ヲ好ムモノデハナイ、實際已ムヲ得ズ此壇ヲ汚シタ次第デゴザイマ
スルガ故ニ、此十五項ヲ成ベク簡單ニ或ハ其事項其モノガ質問ノ趣意ヲ盡セリトスレバ
ソレデ滿足シテ其趣意ヲ敷衍セヌ積リデゴザイマスカラシテ、暫ク時間ヲ與ヘラレンコトヲ
諸君ニ御願致シテ置キマス、北海道ノ拓殖ノ急要ナルコトハ現内閣モ之ヲ御認メニナリ
マシテ、昨年卽チ二十六議會ニ北海道ノ拓殖經營案ト云フモノヲ提出致シマシタ、然
ルニ其際ヨリ本員ハ其拓殖經營案ノ名ト而シテ其內容ト比較致シマシテ、名ノ美ナル
ニ內容ノ所謂實質ガ伴ハヌヤウナ疑ヲ持ッテ居リマシタ故ニ、內務分科ニ於キマシテ二三
質問ヲ致シマシタケレドモ遂ニ要領ヲ得ズ今日マデ疑ヲ懷キツヽ淚ヲ呑ンデ居ヲタ次第デ
ゴザイマス、然ルニ今囘所謂此經營案ガ事實ニ行ハレタ初年ノ結果ニ付キマシテ、尙更
私ハ默スルコトガ出來ヌヤウナ次第ガアリマシテ、玆ニ此質問ヲスル所以デゴザイマス其
事項ノ一ツハ何カト申シマスレバ此拓殖經營ノ財源ニ不確實ナル自然增收ヲ充當シタ
ル政府ノ理由如何、是ガ第一デゴザイマス、此一般歲計豫算編成ノ上ニ於キマシテ自
然增收ハ不確實デアル、故ニ減稅ノ財源ニモスルコトガ出來ヌ、又繼續事業費ニ充ツ
ルコトモ出來ヌト云フノハ現內閣ノ言明スルヲ憚ラザリシ事實デアルノデゴザリマス、是ハ
諸君モ能ク御記憶ノコトヽ思ヒマス、然ルニ其現政府ガ不確實ニシテ賴ムニ足ラザル自
然增收ヲ北海道ノ經營ニ限ッテ充當シタルハ、抑〓何ノ理由デアルカ、此理由ヲ聽キタ
イ是ガ第一デゴザイマス、ソレカラ第二ハ自然增收ガ若シ確的ナリトスレバ政府當局ハ
昨年ノ而モ是ハ分科會ト思ヒマシタ、分科會ニ於キマシテ確信アリト答ヘテゴザイマス、
眞ニ政府ガ此北海道ノ自然增收ニシテ信賴スルニ足ルダケ確的ノ根據ガアルトシマシタ
ナラバ何ガ故ニ此七千万圓ヲ全部國庫ノ負擔トシテ、サウシテ自然增收ガアレバ自然
增收ヲ更ニ國庫ヨリ取入レルト云フヤウナ策ヲ取ラナカッタカ、自然增收ト云ヒマシテモ
幾ラアリマシテモ皆國庫ヘ入ル、果シテ然ラバ國庫ガ七千万圓北海道ノ拓殖費ニ投ゼ
ナケレバナラヌ必要ガアレバ、其七千万圓ヲ國庫ノ確定支出ト致シマシテモ、何等國庫
ノ利害ニ關係ノナイ筈ト私ハ深ク信ジテ居リマス、然ルニ政府ハ一面ニ於テハ自然增收
ノ確信アリト言ヒナガラ、一面ニ於テハ其確信アルトコロノ自然增收ヲバ國庫ガ責任ヲ
負フコトガ出來ナイ、ト斯ウ云フコトニナッテ居ルデハアリマセヌカ、私ハ決シテ現內閣ハ
無責任ナル舌ヲ弄スルモノデアルト云フコトハ申シマセヌ、併ナガラ政府ノ言フトコロノ口
ト其心トガ此案ニ於テ方向ヲ一ニシテ居ラヌト云フコトハ玆ニ斷言スルヲ私ハ憚ラヌトコ
ロデアリマス、ソレカラ第三新計畫案ニ基キマスレバ、本年卽チ四十四年度ニハ北海道
ノ拓殖費ハ三千三百万圓計上サレナケレバナラヌ譯ニナッテ居リマス、然ルニ本年ノ豫
算案ニ依リマスルト二百六十七万六千八百三十七圓シカ計上シテナイ、此四十四年
度ニ於テ政府ガ豫定ノ計畫ヲ變更シタル理由ハ何所ニアルカ、ドウ云フ理由デ第二年
ニ於テ此豫定計畫ヲ變更シタルヤト云フノガ、第三ノ問ハント欲スル條項デゴザイマス、
第四ハ此四十四年度ノ豫算計畫ヲ變更シマシタノハ自然增收ガ豫期ノ如クナラザリシ
タメナリト云フ說ガアル是ガ果シテ事實デアルヤ否ヤ、是又政府ニ問ハントスルトコロノ
一ノ條項デアル、而シテ若シ果シテ事實ナリトスレバ、ツレハ立案當初ノ違算ニ基ク譯デ
アルカ、又ハ其他變更セネバナラヌ自然增收ガ豫期ノ如クナラザリシ原因ハ外ニアッタノ
デアルカ、之ヲ明カニ御答辯ヲ欲シイノデアル、ソレカラ第五ハ若シ此自然增收ニシテ果
シテ何カノ故障ニ依ッテ減收シタリトスレバ不測ノ故障ハドウ云フ故障デアッタカ、其故
障ハ一時的デアリシヤ、又永久ニ影響スベキ故障デアルカ、是ガ第五ニ問ハントスルト
コロノ私ノ質問條項デゴザイマス、第六ハ此北海道拓殖經營案ノ免モ角唯一ノ財源ト
賴ムトコロノ自然增收、是ハ此ノ如ク不確ニシテ信用スルニ足ラズトセバ其原因ノ如
何ハ兔モ角モトシテ、政府ハソレデモ尙且像定ノ如ク十五箇年間ニ拓殖經營案ヲ遂行
スルダケノ成算アルヤ否百是ガ第六ノ質問デゴザイマス、ソレデ玆ニチヨット私ノ杞憂ニ
屬スルカ知レマセヌガ、私ノ考フルトコロヲ參考ニ申上ゲマスレバ、若シ本年四十四年度
ノ豫算ニ依ッテ現ハレタヤウナ自然增收ノ惡結果アリトシマスレバ此狀勢カラ以テ致シ
マスルト、ドウナルカ、此十五箇年繼續事業ハドウ云フ影響ヲ來スカト云フト細カイコト
ハヨシマス、細目ハ拔キニシマスガ、其調査ノ結果本年通リ順々ニ此比例ヲ以テ增收ニ
異動ガアル、ソレデ政府ハ十五年計畫案ヲ繰延ベルコトニナリマスト、北海道拓殖經營
案ナルモノハ更ニ七箇年經タナケレバ所謂二十二箇年經タナケレバ本當ニ拓殖經營業
ノ完成ヲ見ルコトハ出來ヌノデアリマス、併ナガラ私ハ北海道ノ前途ヲ拓殖經營案ニ付
キ斯ク悲觀スルモノデナイケレドモ、先ヅ數字ノ上カラ申シマスレバサウ云フコトニナルノデ
アリマス、サレバ政府ガ若シ明年モ明後年モ自然增收シテ此ノ如ク減收ヲ來タシテ經營
案ノ財源ト賴ムニ足ラズト云フコトヲ知ツタ以上ハ更ニ他ニ財源ヲ求メテ、サウシテ此
案ノ補ヲ付ケルカ、又ハ此案ヲ縮小シマシテ、サウシテ財源ニ適フダケノ本當ノ案ヲ確立ス
ルト云フ意見デアルカ、是ガ第六ノ政府當局ニ問ハント欲スルトコロデアリマス、第七ハ北海
道ノ治水費デゴザイマス、是ハ申スマデモナク日本帝國ノ治水ノ大方針ハ本年ノ議會ニ
於テ樹立致シマシタ、是ハ國家ノタメニ慶スベキコトデアル然ルニ北海道ノ治水費ハド
ウカト云ヘバ、北海道治水費ニハ此不完全ナル、不確實ナル、賴ムニ足ラザルトコロノ
北海道ノ自然增收デアルト云フコトデアルサウシテ帝國ノ治水計畫ニ除外サレテシマツ
タ是ハドウ云フ譯デアルカ、若モ自然增收ガ政府ノ豫定ノ如クデアレバ差支ナイガ、是
ハ豫定ノ如ク二十何万圓カノ違算ニナッテ居リマスカラ相當ニ北海道ノ治水計畫ガ立
チマシテモ、サウシテ財源ニ此ノ如キ異動ノアル以上ハ日本ノ治水政策ヲ一定スルニ當
リマシテハヤハリ政府トシテ北海道ノ治水ト云フコトニ付テモ一片ノ注意ヲ拂ハナケレバ
ナラヌモノト本員ハ深ク信ズルモノデゴザイマス、然ルニ北海道ハ自然增收ニ待ッテ、而モ
其自然增收ガ確實ナラザルノミナラズ北海道ヲ除外シテ內地ダケノ治水政策ヲ確立シ
タイト云フノハ如何ナル譯デアルカ、是ガ第七ノ質問デゴザイマス、ソレカラ第八ハ經營
案ト鐵道トノ關係デアリマス、政府當局ハ昨年ノ議會ニ於テ此北海道拓殖經營案ガ
出來タ以上ハ是ニ伴フ拓殖鐵道ノ計畫ヲ立ツルト云フコトヲ確ニ聲明サレテゴザイマス、
私共モソレニ信賴致シマシテ必ズ是ニ伴フトコロノ拓殖鐵道が出來ルモノト信ジテ居リマ
シタ、然ルニ本年議會ニ現ハレテ居ルトコロノ北海道拓殖鐵道ナルモノハドウカ、第一
期線二期線ハ別デゴザイマス、ドウカト云ヘバ唯線路網ニ依ッテ十八線ヲ畫カレタダケデ
アッテ、其鐵道ハ何時敷カレルモノテアルカ、又其緩急ハドウナルモノデアルカ、而シテ道路
ト港灣ト此鐵道トノ關係トハドウ成行クモノデアルカ、更ニ何等ノ說明モナケレバ又據ッ
テ見ルベキモノモナイノデゴザイマス、元來私ハ若モ政府ニシテ北海道ノ拓殖經營ヲ本當
ニ誠心誠意ニ樹立セントシマスレバ、先ヅ北海道拓殖鐵道ノ政策ヲ一定シナケレバナラ
ヌト思フ、拓殖ニ伴フ鐵道デゴザイマス、幾ラ道路ガ出來テモ港灣ガアッテモ、鐵道ガ悠
悠閑々トシテ今日ノヤウナ有樣デハ、七千万圓ダケノ金ヲ以テ此拓殖經營ヲ舉ゲルコトハ
出來ヌト思フ極言シマスレバ若モ今日ノヤウナヤリ方デハ七千万圓ヲ假ニ出シテモ海ニ
棄テタヤウナ結果ニナリハセヌカト私ハ杞憂ニ堪ヘヌノデゴザイマス、併ナガラモウ既ニ立ツ
タ案デゴザイマスルカラ、是ハ致方ガナイ、本末ヲ誤ッタトハ思ヒマスガ仕方ガナイ併ナガ
ラ旣ニ案ガ立ッタ以上ハ殊ニ內務大臣ハ立派ニ此案ノ成立シタ以上ハ是ニ伴フ拓殖鐵
道ヲ敷設スルト云フ言責ノアル以上ハ兔モ角モ此經營案ニ伴フグケノ連鎖聯絡ヲ付
ケテ議會ニ說明スルダケノ責任義務アリト私ハ信ズルノデアリマス、然ルニ何等見ルベキコ
トモナク唯一二線本年ノ豫算ニ輕便鐵道トシテ入ッタダケデアリマスカラ、是ハ頗ル吾輩
ハ其意ヲ得ナイノデゴザイマス、政府ハヤハリ此鐵道ハ特別會計デアルカラシテ北海道ト
內務省ニ屬スル仕事ト一〓ニヤルコトガ出來ヌト云フナラバソレデモ宜シイ、ソレナラバリ
レダケノ御答辯ヲ得レバ又更ニソレニ付テ私ハ〓究シタイト思ヒマス、是ハ第八ノ質問デ
ゴザイマス、第九ハ假ニ此鐵道ヲ經營案ニ伴ハシメテ敷設スルト致シマシテモ其鐵道ヲ
何箇年ニシテ成功スルカ、又十八線ナラ十八線ノ緩急順序ヲドウ付ケルカト云フコトハ
前以テ決定シナケレバナラヌト思ヒマス、北海道ノ鐵道ニ限ッテ特ニ-何ゼナレバ北海
道ハ殖民地デアル、サレバ此殖民ノ政策トシテ一番大切ナルハ移民デアル、此移民ニ差
支ナイヤウニ膳立スルノガ必要デアル故ニ唯圖面ニ持ッテ行ッテ十八線ヲ引キマシテモ、
何時出來ルモノデアルカ、何處ヘドウ云フ道路ガ出來ルト云フコトガ分リマセヌケレバ移
民ハ躊躇スル故ニ、先鐵道ヲ敷クナラバ此鐵道ハ何箇年、此鐵道ハ何時出來ルト云
フ具台ニ緩急順序ヲ定メテ、サウシテ繼續事業トシテ明カニ議會ニ提案スルノガ相當ナ
ル政府ノ執ルベキ途デアルト本員ハ考ヘマス若シサウデナケレバ斯ウナリマス、鐵道ハ明
ニヤル鐵道ハ分ラヌ、道路モ明年ニヤル道路ハ分ラヌ、ドウ云フ具合ニナルカ、能ク豫算
ヲ立ッタ上ニ方針ヲ極メテ、鐵道ヲ敷キ、道路モ作ルト、斯ウナッテ來ルト、鐵道ハ右ニ
往キ、道路ハ左ニ往ク、斯ウ云フヤウナ憂ガアルノデアル、ソレハ唯私ガ此處デ以テ政府
ニ對シテ駄々ヲ捏ネルノヂヤナイ、實際事實ガサウナッテ居ル、現ニ一ノ例ヲ舉ゲマスレ
澤山アリマスケレドモ、時間ガ經チマスノデ一ツ其例ヲ舉ゲマス、或ル港灣、シム
經營案デ修築シナケレバナラヌ港灣デアル、其港灣ニ向ッテ鐵道ハ臨ンデ居ルガ、港灣二
哩手前デ其工事ラ中止シテ居ル之ハドウ云云譯デアルカ、何故ニ海陸接續ノ必要ハ
何人モ知ッテ居ル、其鐵道ガ港灣ニ臨ンデナゼ海陸接續ヲスルマデニヤラヌデ二哩殘シ
テ居ルカト云フコトヲ就テ聽イテ見マスレバ北海道廳ノ港灣政策ガ定マッテ居ラヌ、其
右ガ港ニナッテ、或ハ棧橋ガ付クノカ、東ガ港灣ニナルカ、ソレガ分ラヌカラシテ先ヅリレノ
決定スルマデハ其鐵道ヲ手前デ止メテ置クヨリ仕方ガナイ、斯ウ云フヤウナコトニナッテ居
ルノデアリマス、此ノ如ク現ニ支吾ヲ來シツヽアルノデアリマスカラシテ、若モ政府ガ眞正
ニ誠心誠意ニ此北海道ヲ拓地植民ノ事業ヲ完成セント欲スルナラバ、先ヅ第一著ニ鐵
道政策ヲ定メテ而シテソレカラ其處ニ鐵道ト港灣トヲ聯絡セシムルト云フ方針ヲ執ラナ
ケレバ他日臍ヲ噬ムトコロノ悔ガアルダラウト本員ハ確信スルノデアリマスル、ソレカラ第
十ハ移民政策ノコトニ付テモチヨット御尋シテ見タイト思ヒマス、道廳及內務省ニテハ昨
年北海道ニ移民ガ意外ニ不足デアッタト云フノデ、本年ナドハ頻リニ移民奬勵法ヲ講ゼ
ラレテ居ルヤウデアリマス、然レドモ本員ノ見ルトコロデハ移民奬剛ナドト云フノハ抑〓末
デアル、日本帝國ノ人民吾〓ノ同胞ハ國家ノタメトカ、又ハ自分ノ家ノタメ、或ハ己レ
一身ノタメ、所謂一身ノ保護ノタメ、所謂利益ノタメ利益ノアルトコロナラ排斥サレツヽ
モ亞米利加マデ往クダケノ勇氣ガアル況ヤ北海道、ナゼ移民ガ減少スルカ、何ニモナイ
外ノ原因ハ······北海道ニ渡ッテモ死地ニ陷ルヤウナモノデアル、之ハ北海道民トシテ私
ハ玆ニ斷言スルヲ憚ラヌ、偶〓移民シテ往キマシテモ利益ガナケレバドウナリマスカ、自分
ノ愛スベキトコロノ故〓ヲ棄テ、、千里ノ波濤ヲ越ヘテ、而モ隣保賴ムニ足ラザルトコロノ無
人ノ境ニ入ッテ、家ヲ興シ利益ヲ收メントスル以上ハ、何カ其利益ガナケレバ決斷ハ到
底ムツカシイコトデアラウト私ハ考ヘルノデアリマスル然ルニ政府ハ拓殖經營案成レリト
シテ、未ダ之ニ伴フ鐵道モ出來ズ、サウシテ唯僅ニ徒ラニ移民バカリヲ奬勵シタトコロデ、
何等ノ我輩ハ效果モナク、否ナ之ハ本末ヲ誤ッタ仕事ヂヤナイカト云フ疑ヲ常ニ持ッテ居
ルモノデアリマスル、ソレカラ又移民問題ニ付テモ一ツハ此設備バカリデナク、未開地拂
下制度、之モ確ニ私ハ移民ヲ一面ニ右ノ手ヲ以テ移民ヲ招キツヽ左ノ手デ以テ移民ヲ
拒絕シテ居ル障碍物デハナイカト考ヘマス、之モ簡單ニ申シマスレバモウ北海道ハ誰ガ往ッ
テ儲ケマシテモ、利益ヲ得マシテモ、皆國家ノタメデアル、然ルニ來ル長官モ來ル長官モ、
動モスレバ北海道ノ官林ナリ北海道ノ事業ヲ自己ノ資產ノ如ク非常ニ惜ム、サウシテ
其與フルトコロハドウカト云ヘバ因緣私情、少シモ公平ノヤリ方ハナイノデアル、殆ドナ
イ今マデハ-今後ハドウカ知ラヌガ、斯ウ云フコトデアリマスカラ、何人モ家ヲ越シテ北
海道マデ寒サヲ衝イテ往ク勇氣ガ出ナイト思フ、故ニ若モ本當ニ政府ニシテ拓地植民ノ
誠意アリトスルナラバ今少シ開放シマシテ何人デモ北海道ニ渡レバ免ニ角一家ノ生計
ガ出來ルヤウニ-贅澤スル必要ハナイ、一家ノ生計ガ出來ル位ニ不斷ノ設備ヲシテ
置カナケレバ移民奬勵ナドト云コトハ幾ラ金ヲ掛ケテ招ギマシテモ、結局不結果ニ終ル
ダラウト思フ、要スルニ私ハ移民ハ之ヲ奬剛スルニアラズ、招來スルニアラズシテ招カズシ
テ來ルト云フヤウニ此北海道ノ總テ設備ヲナスノガ最モ急要デアルト信ジマス、此〓ニ付
テ政府ノ所見ハドウデアルカ、ソレヲ聽キタイ、ソレカラ第十二ハ人デアリマス、北海道ノ
拓殖政策ノ基礎ガ確立シマシテ、又鐵道ノ聯絡モ付キマシテ、ソレカラ又移民ノ障碍
物タルトコロノ制度ガ改善セラレマシテモ、北海道ヲ主宰スルトコロノ人ガ其宜シキヲ得
マセヌケレバ、ヤハリ效果ヲ收ムルコトハムヅカシイト思ヒマス、私ハ現長官河島醇君ニ對
シテハ常ニ敬意ヲ拂ッテ居リマス、微服シテ居ル、ナゼ敬服シテ居ルカト云ヘバ、彼ノ人ハ
赤誠ノ人デアル、ソレカラ又知識ノ人デアル能ク計畫モシ、又〓廉ナ人デアル、此〓ニ對
シテ私ハ常ニ敬意ヲ拂ッテ居リマス、併ナガラ行政官トシテノ長官河島醇君ハドウデア
ルカ、之ハ甚ダ氣ノ毒デアリマス、長官ニ對シテ又私モ言ヒタクナイ、數年來サウ云フ考ヲ
以テ居ル、中ニハ私ヲ感情ノ衝突カラ來タモノヂヤナイカト云フヤウナ考カラシテ其間ニ
立ッテイロ〓〓仲裁ヲ試ミ下サル人ガアル、其御厚意ハ誠ニ辱ナイケレドモ、私ハ感情ノ
衝突デアレバ融和スルコトモアルガ、意見ノ衝突デアル免モ角河島君ニハ氣ノ毒デアル
ガ、河島君ニモウ三年北海道ヲ委セテ置キマシタナラバ、最早如何トモスベカラザルコト
ニナルトカウ私ハ考ヘテ居ルノデゴザイマス、故ニ北海道ヲ案ズルガ故ニ、河島君ヲ排
斥セネバナラヌ、カウ云フ譯ニナッテ居ル、先ヅ第一ナゼ然ラバ河島君ガ知識アル〓廉ノ
人デ赤誠ノ人デアッテ、之ガドウシテ往カヌカト云ヘバ、アノ人ハ實行ノ人デナイ、先ヅ北海
道ヘ參リマシテ五星。デデアリマセウ、札幌ト函館ト汽車以外ニ河島長官ハ北海道ヲ巡
視セラレタコトガアルヤ否ヤ、此北海道ノ拓殖經營案ヲ樹立スルニ當リマシテ、現政府
ハ內務大臣ノ代理トシテ內務次官、後藤遞信大臣又ハ大浦農商務大臣或ハ司法大
臣總テ北海道ヲ免ニ角先ヅ一通リ巡視シテ、其上計畫ヲ極メタノデアル、北海道長官
ハ赴任以來札幌ニ居リマスレバ札幌ニ止マリ、東京ニ居リマスレバ東京ノ平河町(山本
悌二郞君「質問スルナラバ質問ノ趣意ヲ述ブベシ」ト呼フ)ヤカマシイ(山本悌二郞君
「河島長官ノ排斥演說ヲ此處デスル必要ハナイ、質問ノ趣意ヲ述ベ給ヘ」ト呼フ)ヤカマ
シイ(「趣意ガチットモ通ラヌヂヤナイカ」「妨害ヲスル勿レ」ト呼フ者アリ、山本悌二郞君
「妨害ヂヤナイ、行政官ノ排斥演說ヲ此議會デスル必要ハナイ、此處ハ立法部ダ」ト呼
フ)排斥演說ヂヤナイ、趣意ヲ言フノダ、默ッテ聽給ヘ決シテ唯慰ミニヤルノヂヤナイ先
ヅ其何ゼ不適任デアルト一云フ證據ヲ二ツ三ツ舉ゲマセウ已ムヲ得マセヌ-斯ウ云
フ譯デアリマス、此處ニ西村事務官モ居ラレルカラ能ク御分リデアルガ、北海道ノ道路
デアル、拓殖經營案ニ道路橋梁費トシテ二千五百四十五万五千九百三圓ト云フモノ
ガ計上サレテアル、偖テ此道路橋梁費ハ何處カラ出テ來タ、此豫算ヲ出ス以上ハ少クモ
免モ角實地測量ヲセヌマテモ踏査位ハ加ヘテ置カネバナラヌ、ケレドモ北海道廳ニハ未ダ
本當ノ拓殖道路ノ製圖ガナイ、圖面ガナイ、如何デス、偶圖面ヲ引イテモ古イ圖面ニ
色ヲ著ケテ、著色シテ線ヲ引イタ、ソレガ此經營案ノ本デゴザイマス、ソレハ實地ヲ調査
シタヤ否ヤ、是カラ調査スルノデアルソレカラ唯コヽラト云フ豫想線デアル總テ北
海道ノ仕事ハ斯ウナッテ居ルノデ、此處ニ西村君モ居ラレルガ、現ニ繪圖面ノナイト云フ
コトハ私ニ答ヘラレテ居ル、マサカ嘘デハゴサイマスマイ、ソレデスカラ其道路ナルモノハ先
ヅ函館方面ニ取ッテ見ルト、前ノ十年計畫モ出來タモノトサレテ居ルノデ、チヤント圖面ガ
出來テ居ル其以上今度加ヘル趣意デアル、其出來タ道路ガ果シテ人馬ヲ往來セシメ
タルヤ否ヤト云ヒマスト、人馬ドコロデハナイ、攀ヂ登ッテモ族行ガ出來ナイ縣道ニナッテ
居ル、圖面ノ上デハ十年計畫ノ際ニ出來タコトニナッテ居ルカラシテ、是カラ向フヲ造ッタ
ラ宜カラウト云フ道廳ノヤリ口デアラウト思フ、ワレハ事實ガ、實地ハサウナッテ居ル、又
一面ニ何十哩ト云フ道路ガアル、ケレドモソレハ自然ニ移住民ガ道路ヲ造ッテ、今日デハ
牛馬共ニ立派ニ往來シテ居ル道路デアル、ソレガ三分一カラアル、然ルニソレガ圖面ニナ
イ道廳ノ造ッタ縣道デナイカラ圖面ニナイ、ソレヲ加ヘズニ長イ道路ガ引イテゴザイマス
先ヅコンナヤウナ有樣、ソレカラ又是ハ責任ノアル人ガ實際ヲ見テ來タ話デゴザイマスガ、
若シ指名セヨト云ヘバ此席ニ居リマス、或ル所ニ新道ヲ造ッタ、拓殖道路ヲ作ッタ、然ル
ニ或ル旅人ガ、或者ガ其新道ヲ通リマシタ、新道ヲ七里バカリ行クト斷岸絕壁デアル
右ニモ左ニモ行クコトガ出來ナイ、遂ニ又七里ノ道ヲ戾ッテ來テサウシテ舊道ヘ廻ッタ、ソ
レガ新道デス、ドウデス、ソレカラ又斯ウ云フコトガアル此處ニ新道ヲ造ッタ、然ルニ其
橋梁ハ新道ヲ造ル以上ハ、新道ノ先ニ橋梁ヲ造ルノハ先ヅ常識アルヤリ口ト思フ然ル
ニ新道ハ造ッタガ、橋梁ハ舊イ道ニ架ケテシマッタ斯ウ云フヤウナ頓馬ナ仕事ガアル是
ガナゼカト云ヒマスレバ要スルニ此道廳ノ長官ハ勿論、此事務官ナドガ皆机上ノ計畫ヲ
ヤル、ソレデスカラ國庫カラ幾ラ金ヲ持ッテ行ッテモ斯ウ云フヤウナヤリ口デハ何等ノ效果ハ
ナイ、若シ斯ウ云フコトニ贊成シテ北海道ニ金ヲ持ッテ往カウト云フナラバ、是ニ吾〓ガ
贊成スルナラバヤハリ吾ミハ國家ヲ欺クコトニナリマス、吾〓ハ忍ヒマセヌ、ソレハ-
(「ワンナコトガアルカナア」ト呼フ者アリ)先ヅ言ヒマスレバ澤山アリマス、諸君モ御迷惑デ
セウカラ(「短クシテ呉レ給ヘ」ト呼フ者アリ)短クヤリマス、實際堪ヘナイ-第十三ハ
軍備、是ハ極ク簡單ニ申上ゲマス、立入ッタ質問ハ致シマセヌ、北海道ノ軍備ハ今日ア
リマスルトコロノ第七師團デ足レリトスルヤ否ヤ、是ガ先ヅ政府軍事當局ニ向ッテ問ハン
ト欲スルトコロデゴザイマス、ソレカラ又津輕海峽ノ防備デゴザイマス、函館ニハ要塞砲兵
モ要塞モゴザイマスガ、アレデ現政府ハ北門ノ警備ハ足レリトシテ居ルヤ否ヤ、現ニ日露
戰爭ノ際ニハ浦鹽艦隊ガ津輕海峽ヲ橫行シマシテモ、要塞ガアリナガラソレヲ唯眺メテ
居ッタト云フヤウナ歷史ガアルノデゴザイマス、若シ將來「パナマ」運河ガ開鑿サレ、西伯利
亞鐵道ガ複線トナッテ、北門ニ向ッテ、北日本ニ向ッテ國家非常ノコトノ起ッタ場合ニ
ハ今日ノ防禦デ軍事當局ガソレデ十分ナリト認メテ居ルカ、將又或ハ更ニ師團ヲ殖ヤ
ストカ、或ハ津輕海峽ノ防備ヲ加ヘルトカ云フヤウナ御意見ガアルノデアルヤ否ヤト云フ
御尋ヲシタイノデアリマス、ソレカラ第十四ハ靑森ト北海道トノ聯絡、所謂內地ト北海
道ノ聯絡デゴザイマス、是ハクドク申上ゲルマデモナク、日本政府ガ現内閣カ、或ハ西園
寺內閣デアッタカ、ソレハ問フ必要モナケレバ言フ必要モナイ、免モ角モ政府ガ幾多ノ私
設鐵道ヲ買收シテ、サウシテ鐵道ヲ國有ニ致シマシタ趣意ハ何處ニアルカト云ヒマスレバ
帝國ノ公道タル卽チ幹線ノ聯絡統一ヲ圖ルノガ其主タル目的デアッタト云フコトハ是ハ
爭フベカラザル事實デゴザイマス、然ルニ北海道ト內地トノ聯絡地點タルトコロノ靑森港
ハ依然トシテ舊靑森港デアル、政府ハ北海道ト靑森トノ聯絡地點ヲ如何ニスル積リ
デアルカ言フマデモナク函館ハ今日ハ稍〓海陸ノ設備モ整ヒマシテ、又更ニ防波堤モ出
來ルト云フヤウナコトニナッテ居リマスカラ、函館灣ノ水陸ノ聯絡ハ十分ニ行カヌデモ、先
ヅ十分ニ近イマデニ完成スルト思ヒマス、併シサウシテ又此津輕海峽ノ聯絡船モ今日デ
ハ「タービン」式ノ輕走船ヲ用井マシテ、從來六時間乃至七時間掛カル航路ヲ四時間
乃至四時間半デ聯絡ヲ付ケルコトニナリマシタカラ、確ニ靑森港ト函館港ノ聯絡ハ短縮
サレテ完全ニナッテ居リマス、函館港ノ陸上設備モ稍、〓完全ニ近クナッテ居リマス、然ルニ
靑森港ハ靑森市街、所謂靑森トノ鐵道トノ聯絡ハドウデアル甚ダ寒心ニ堪ヘヌノデゴ
ザイマス、現ニ此前ノ日露戰爭ノトキハ靑森港デ軍隊ノ輸送ガ出來マセヌノデ、茂浦
ト云フ附近ノ港マデ船ヲ囘シテ、ソレデ漸ク軍隊ノ輸送ヲシタコトガアルト云フコトモ聞イ
テ居リマス、政府ハ此靑森港ヲドウスル積リデアルカ、此聯絡ハ必要ガナイト云フナラバ
別問題デアル、併ナガラ政府ハ必ズ聯絡ヲ付ケネバナラヌト云フコトヲ認メテ居ルダラウト
思フ然ラバ此靑森港ヲ聯絡地〓トスルニ付テ今日マデ躊躇シテ居ルノハ或ハ技術
上ノコトモアラウガ、財政上ノ關係デナイカト思フ、ソレニシテモ近キ將來ニ現在ノトコロ
デ聯絡地點ガ取レヌト致シマシタナラバ、政府ハドノ地〓ヲ以テ北海道ト內地トハドウ
云フ風ニシテ聯絡ヲ取ル積リデアルカ、之ヲ御尋シテ置キタイト思フ、ソレカレ樺太ノ經
營ニ付テ、是ハ五箇條アリマスケレドモ省キマス先ナ政府ノ大方針ヲ聽キマシタ上デ、
更ニ質問スルコトモアルダラウト思ヒマス、樺太ノ經營、樺太ハ占領地、如何ニモ占領
地デス然レドモアレハ元ト日本ノ領地、日本ノ領地ヲ半分日露戰爭ニ依ッテ戾シテ
貫ッタト云フニ過ギナイ、サレバ日本ノ領地デアッタトキハドウデアルカト言ヒマスレバ元ト
明治二年ニ樺太開拓使ヲ置カレタコトハ政府當局モ御承知デアラウト思フ、其樺太開
拓使ヲ置カレルト同時ニ-同時デナク二三箇月經ッテカ、其〓ハ記憶シテ居リマセヌ
ガ、間モナクデス、北海道開拓使ニ併合サレテシマッタ是ハモウ歷史ノ上ニ顯著ナル事實
デゴザイマス、然ルニ其トキハ樺太ハ全島デアッタノデゴザイマス、然ルニ今日デハドウカ、
占領シタノニ違ヒナイケレドモ其半分デアル、其半分デアルカラシテ何モ殊更ニ樺太
廳ヲ獨立政廳トシテ置ク必要ハ私ハナイヂヤナイカト斯ウ考ヘルノデゴザイマス、然レドモ
占領當時ハ或ハ軍國ノ關係トシテ或ハ外交ノ事情ノ下ニドウシテモ之ヲ特別政廳ト
シテ置カネバナラヌ必要ガアッタデゴザイマセウカ、今日ハ財政ノ上カラ見マシテモ、ソレカラ
又樺太ト北海道ノ此漁業政策ノ統一ノ上カラ申シマシテモ、ソレカラ金融機關ノ上カ
ラ見マシテモ是ハ現ニ今度ノ議會ニ拓殖銀行法改正案ガ出テ居リマスカラ、ソレカラ
往キマシテモ、樺太ト北海道トハドウシテモ一緒ニナラネバナラヌヤウナ氣運ニナッテ居リハ
シナイカ其方ガ國家ノ利益デハアルマイカト思フノデゴザリマス、然ルニ政府ハ尙此樺
太ヲ獨立政廳トシテ多大ノ國費ヲ費ヤシテ居ルガ、政府ハ飽マデモ樺太廳ハ樺太廳ト
シテ置ク考デアルカ、或ハ時期ヲ待チ北海道廳ト合併スル意思デアルカ此邊ニ付テ御
尋ヲシタイト思ヒマス要スルニ私ノ唯今質問シマシタコトハ元來ガ訥辯デゴザイマスカ
ラ或ハ議論噸ヲ失シマシテ、趣意徹底セヌ廉ガアルカモ知レマセヌ、併ナガラ私ハ決シテ
其辯ヲ好ムモノデモナク、已ムヲ得ズ此壇ヲ汚シタ次第デアリマスルカラ、ドウゾ北海道ノ拓
殖經營ハ其本當ノ北海道ノ拓殖經營ヲナサントスルナラバ不渡手形デナク立派ナ手
形ノ下ニ政府ハ保障シテ、其基礎ヲ確立セラレンコトヲ望ムト同時ニ又唯今質問シマシ
タ事項ヲ形式デナク本當ニ誠意ヲ以テ明確ニ御答辯アランコトヲ偏ニ希切王スル次第
デゴザイマス甚ダ······(拍手スル者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=15
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016・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 質問ノ五、六ハ提出者カラ延期ヲ申出ラレマシタ、日程第
一明治四十一一年度豫備金支出ノ件、明治四十二年度豫備金外ニ於テ豫算超過
及豫算外支出ノ件、明治四十二年度特別會計豫備金支出ノ件、明治四十二年度
特別會計豫備金外ニ於テ豫算超過及豫算外支出ノ件、明治四十二年度韓國派遣
部隊豫備費支出ノ件、承諾ヲ求ムルノ件、之ヲ議題トナシ、議案ノ朗讀ハ省略致シマ
ス
明治四十二年度豫備金支出ノ件
明治四十二年度豫備金外ニ於テ豫算超過
及豫算外支出ノ件
第明治四十二年度特別會計豫備金支出ノ件(承諾ヲ求ムル件)
明治四十二年度特別會計豫備金外ニ於テ
豫算超過及豫算外支出ノ件
明治四十二年度韓國派遣部隊豫備費支出
ノ件発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=16
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017・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 說明モナク質問モアリマセヌカラ日程ノ第二、右議案ノ審
査ヲ付託スベキ委員ノ選舉ヲ議題ト致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=17
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018・菅原傳
○菅原傳君 一應政府委員ヨリ說明ヲ致スコトハ相當ト思ヒマスカラ、說明アルマデ
延期ヲ望ミマス
〔「ヒヤ〓〓政府委員ノ出席ナイノハ不都合ケ」「延期々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=18
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019・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 今政府委員ガ見エマシタ、若槻政府委員
〔政府委員若槻禮次郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=19
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020・若槻禮次郎
○政府委員(若槻禮次郞君) 是ハ豫備金支出ヲシマシタモノニ付テ事後ノ承諾ヲ
受ケル案デアリマシテ、澤山ナ項目ニ涉ッテ居リマスカラ、細目ハ委員會デ十分御說明ヲ
申上ゲマス、ドウゾ御承諾ヲ與ヘラレンコトヲ希望致シマス
第二右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=20
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021・菅原傳
○菅原傳君 遲蒔ナガラ政府ノ說明ガアリマシタカラ、是ハ十八名ノ委員-議長ノ
指名十八名ノ委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス
(「贊成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=21
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022・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 遲蒔ナガラ政府ノ說明ガアリマシタカラ、議長指名ノ特別
委員十八名ニ付託ト云フコトニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=22
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023・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ナケレバ其通リ決シマス、日程ノ第三、第五、第七
ハ關聯セル議案ナルニ依リ、一括シテ議題トナスニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=23
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024・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ガナケレバ日程ノ第三、商法中改正法律案、第五、
商法施行法中改正法律案第七、非訟事件手續法中改正法律案ノ三案ヲ一括シ
テ議題ニ供シマス議案ノ朗讀ハ省略致シマス、岡部司法大臣
第三商法中改正法律案(政府提出貴族院送付)第一讀會
第五商法施行法改正法律案(政府提出貴族院送付)第一讀會
第七非訟事件手續法中改正法律案(政府提出貴族第一讀會
院送付)
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス以下之ニ傚フ〕
(小字及-ハ貴族院修正)
商法中改正法律案
商法中左ノ通改正ス
目錄中「第四章海損」ノ次ニ「第五章海難救助」ヲ加ヘ「第五章保險」ヲ
「第六章保險」ニ、「第六章船舶債權者」ヲ「第七章船舶債權者」ニ改ム
第七條法定代理人カ親族會ノ同意ヲ得テ無能力者ノ爲メニ商業ヲ營ムト
キハ登記ヲ爲スコトヲ要ス
法定代理人ノ代理權ニ加ヘタル制限ハ之ヲ以テ善意ノ第三者ニ對抗スル
コトヲ得ス
第二十六條第二項ヲ左ノ如ク改ム
財產目錄ニハ動產、不動產、債權其他ノ財產ニ價額ヲ附シテ之ヲ記載スル
コトヲ要ス其價額ハ財產目錄調製ノ時ニ於ケル價額ニ超ユルコトヲ得ス
第三十條ノ二商人ハ數人ノ支配人カ共同シテ代理權ヲ行フヘキ旨ヲ定ム
ルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ支配人ノ一人ニ對シテ爲シタル意思表示ハ主人ニ對シ
テ其效力ヲ生ス
第三十一條ノ末尾ニ「前條第一項ニ定メタル事項及ヒ其變更竝ニ消滅亦同
シ」ヲ加フ
第四十一條中「物」ノ下ニ「又ハ有價證劵」ヲ加フ
第四十二條ニ左ノ一項ヲ加フ
營利ヲ目的トスル社團ニシテ本編ノ規定ニ依リ設立シタルモノハ商行爲
ヲ爲スヲ業トセサルモ之ヲ會社ト看做ス
第四十四條ノ二會社ハ他ノ會社ノ無限責任社員ト爲ルコトヲ得ス
第四十四條ノ三會社ハ合併ヲ爲スコトヲ得
合併ニ因リテ會社ヲ設立スル場合ニ於テハ定款ノ作成其他設立ニ關スル
行爲ハ各會社ニ於テ選任シタル者共同シテ之ヲ爲スコトヲ要ス
第七十七條、第二百九條及ヒ第二百四十四條ノ規定ハ前項ノ選任ニ之ヲ
準用ス
第四十八條ノ二本編ノ規定ニ依リ登記スヘキ事項ニシテ官廳ノ許可ヲ要
スルモノハ其許可書ノ到達シタル時ヨリ登記ノ期間ヲ起算ス
第五十一條第一項ニ左ノ一號ヲ加フ
七數人ノ社員カ共同シテ會社ヲ代表スヘキコトヲ定メタルトキハ其
代表ニ關スル規定
第六十一條ノ二會社ハ定款又ハ總社員ノ同意ヲ以テ數人ノ社員カ共同シ
テ會社ヲ代表スヘキ旨ヲ定ムルコトヲ得
第三十條ノ二第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第八十三條ノ二合名會社ハ總社員ノ同意ヲ以テ其組織ヲ變更シテ之ヲ合
資會社ト爲スコトヲ得
第七十八條及ヒ第七十九條第一項、第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準
用ス
第八十三條ノ三前條ノ場合ニ於テ會社ハ組織變更ニ付キ債權者ノ承認ヲ
得又ハ第七十九條第二項ニ定メタル義務ヲ履行シタル後二週間內ニ其本
店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ合名會社ニ付テハ解散ノ登記ヲ爲シ合資會社
ニ付テハ第百七條ニ定メタル登記ヲ爲スコトヲ要ス
第八十三條ノ四合名會社ハ總社員ノ同意ヲ以テ有限責任社員ヲ加入セシ
メ之ヲ合資會社ト爲スコトヲ得此場合ニ於テハ合資會社ト爲リタル時ヨ
リ二週間內ニ前條ニ定メタル登記ヲ爲スコトヲ要ス
第八十六條中「後十三條」ヲ「後十五條」ニ改ム
第九十條〓算人ノ選任アリタルトキハ其〓算人ハ二週間內ニ本店及ヒ支
店ノ所在地ニ於テ左ノ事項ヲ登記スルコトヲ要ス
一〓算人ノ氏名、住所
二會社ヲ代表スヘキ〓算人ヲ定メタルトキハ其氏名
三數人ノ〓算人カ共同シテ會社ヲ代表スヘキコトヲ定メタルトキハ
其代表ニ關スル規定
第九十一條第二項中「〓算人」ヲ「會社ヲ代表スヘキ〓算人」ニ改ム
第九十一條ノ二會社ハ辨濟期ニ至ラサル債權ト雖モ之ヲ辨濟スルコトヲ
要ス
條件附債權又ハ存續期間ノ不確定ナル債權ハ裁判所ニ於テ選任シタル鑑
定人ノ評價ニ從ヒテ之ヲ辨濟スルコトヲ要ス
第九十三條但書ヲ削ル
第九十三條ノ二第六十一條及ヒ第六十一條ノ二ノ規定ハ〓算人ニ之ヲ準
用ス
裁判所カ數人ノ〓算人ヲ選任スル場合ニ於テ會社ヲ代表スヘキ者ヲ定メ
ス又ハ數人カ共同シテ會社ヲ代表スヘキコトヲ定メサルトキハ其〓算人
ハ各自會社ヲ代表ス
第九十七條第九十條ニ揭ケタル事項中ニ變更ヲ生シタルトキハ〓算人ハ
二週間內ニ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ之ヲ登記スルコトヲ要ス
第九十九條ノ二會社カ事業ニ著手シタル後社員カ其設立ノ無效ナルコト
ヲ發見シタルトキハ訴ヲ以テノミ其無效ヲ主張スルコトヲ得
第九十九條ノ三前條ノ訴ハ本店ノ所在地ノ地方裁判所ノ管轄ニ專屬ス
數箇ノ訴カ同時ニ繫屬スルトキハ辯論及ヒ裁判ハ併合シテ之ヲ爲スコト
ヲ酸、
第九十九條ノ四設立ヲ無效トスル判決ハ當事者ニ非サル社員ニ對シテモ
其效力ヲ有ス
原告カ敗訴シタル場合ニ於テ惡意又ハ重大ナル過失アリタルトキハ會社
ニ對シ連帶シテ損害賠償ノ責ニ任ス
第九十九條ノ五設立ヲ無效トスル判決カ確定シタルトキハ本店及ヒ支店
ノ所在地ニ於テ其登記ヲ爲スコトヲ要ス
第九十九條ノ六設立ヲ無效トスル判決カ確定シタルトキハ解散ノ場合ニ
準シテ〓算ヲ爲スコトヲ要ス此場合ニ於テハ裁判所ハ利害關係人ノ請求
ニ因リ〓算人ヲ選任ス
設立ヲ無效トスル判決ハ會社ト第三者トノ間ニ成立シタル行爲ノ效力ニ
影響ヲ及ホサス
第百條會社カ事業ニ著手シタル後其設立カ取消サレタルトキハ二週間內
ニ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ其登記ヲ爲スコトヲ要ス此場合ニ於テハ
前條ノ規定ヲ準用ス
第百十八條ノ二合資會社ハ總社員ノ同意ヲ以テ其組織ヲ變更シテ之ヲ合
名會社ト爲スコトヲ得此場合ニ於テハ前條第二項ノ規定ヲ準用ス
第百二十條中第五號ヲ削リ第六號ヲ第五號トシ以下順次繰上ク
第百二十一條中「第五號乃至第七號」ヲ「第五號及ヒ第六號」ニ改ム
第百二十六條第一項中「株式ノ數」ノ下ニ「及ヒ住所」ヲ加ヘ第二項ニ左ノ一
號ヲ加フ
五一定ノ時期マテニ會社カ成立セサルトキハ株式ノ申込ヲ取消スコ
トヲ得ヘキコト
第百二十六條ノ二第百七十二條ノ二ノ規定ハ株式申込人又ハ株式引受人
ニ對スル通知及ヒ催告ニ之ヲ準用ス
第百三十一條第三項ヲ左ノ如ク改ム
第百五十六條第一項、第二項、第百六十一條第三項、第四項及ヒ第百六十
二條乃至第百六十三條ノ四ノ規定ハ創立總會ニ之ヲ準用ス
第百四十條削除
第百四十一條中「第七號」ヲ「第六號」ニ改メ第一項ニ左ノ二號ヲ加フ
八會社ヲ代表スヘキ取締役ヲ定メタルトキハ其氏名
九數人ノ取締役カ共同シテ會社ヲ代表スヘキコトヲ定メタルトキハ
其代表ニ關スル規定
第百四十二條ノ二發起人カ會社ノ設立二關シ其任務ヲ怠リタルトキハ
○其發起人ハ
〓會社ニ對シ連帶シテ損害賠償ノ責ニ任ス
發起人ニ惡意又ハ重大ナル過失アリタルトキハ其發起人ハ第三者ニ對シ
テモ連帶シテ損害賠償ノ責ニ任ス
第百四十二條ノ三會社カ成立セサル場合ニ於テハ發起人ハ會社ノ設立ニ
關シテ爲シタル行爲ニ付キ連帶シテ其責ニ任ス
前項ノ場合ニ於テ會社ノ設立ニ關シテ支出シタル費用ハ發起人ノ負擔ト
ス
第百四十二條ノ四取締役又ハ監査役カ第百三十四條第一項ニ定メタル任
務ヲ怠リタルニ因リ會社又ハ第三者ニ對シテ損害賠償ノ責ニ任スヘキ場
合ニ於テ發起人モ亦其責ニ任スヘキトキハ其取締役監査役及ヒ發起人
ハ之ヲ連帶債務者トス
第百四十五條第二項但書ヲ削ル
第百四十八條中「署名スルコト」ヲ「署名シ又ハ記名、捺印スルコト」ニ改ム
第百五十條中「讓渡」ヲ「移轉」ニ、「讓受人」ヲ「取得者」ニ改ム
第百五十二條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ規定ニ依リ會社カ株主ニ對シ其權利ヲ失フヘキ旨ヲ通知スルトキ
ハ會社ハ其通知スヘキ事項ヲ公告スルコトヲ要ス
第百五十三條ノ二前條第一項ノ規定ニ依リ株主カ其權利ヲ失ヒタルトキ
ハ會社ハ遲滯ナク其株主ノ氏名、住所及ヒ株劵ノ番號ヲ公告スルコトヲ
要ス
第百五十四條中「前條」ヲ「第百五十三條」ニ改ム
第百五十五條ノ二無記名式ノ株券ヲ有スル者カ株主ノ權利ヲ行ハントス
ルトキハ其權利ノ行使ニ必要ナル員數ノ株券ヲ會社ニ供託スルコトヲ要
ス
第百五十六條中「總會ノ目的及ヒ總會ニ於テ決議スヘキ事項」ヲ「會議ノ目
的タル事項」ニック·
第百五十八條削除
第百六十條中「總會ノ目的」ヲ「會議ノ目的タル事項」ニ改ム
第百六十條ノ二總會ハ取締役ノ提出シタル書類及ヒ監査役ノ報告書ヲ調
査セシムル爲メ特ニ檢査役ニ選任スルコトヲ得
第百六十一條第二項ヲ左ノ如ク改ム
無記名式ノ株券ヲ有スル者ハ會日ヨリ一週間前ニ其株劵ヲ會社ニ供託ス
ルコトヲ要ス
第百六十三條總會招集ノ手續又ハ其決議ノ方法カ法令又ハ定款ニ反スル
トキハ株主、取締役又ハ監査役ハ訴ヲ以テノミ其決議ノ無效ヲ主張スル
コトヲ得
株主ハ總會ニ於テ決議ニ對シ異議ヲ述ヘタルトキ又ハ正當ノ理由ナクシ
テ總會ニ出席スルコトヲ拒マレタルトキニ限リ又株主カ總會ニ出席セサ
ル場合ニ於テハ自己ニ對スル總會招集ノ手續カ法令又ハ定款ニ反スルコ
トヲ理由トスルトキニ限リ前項ノ訴ヲ提起スルコトヲ得
第九十九條ノ三及ヒ第九十九條ノ四ノ規定ハ前一一項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第百六十三條ノ二決議無效ノ訴ハ決議ノ日ヨリ一个月內ニ之ヲ提起スル
コトヲ要ス
口頭辯論ハ前項ノ期間ヲ經過シタル後ニ非サレハ之ヲ開始スルコトヲ得
ス
訴ノ提起及ヒ口頭辯論ノ期日ハ取締役遲滯ナク之ヲ公〓スルコトヲ要ス
第百六十三條ノ三株主カ決議無效ノ訴ヲ提起シタルトキハ會社ノ請求ニ
因リ相當ノ擔保ヲ供スルコトヲ要ス但其株主カ取締役又ハ監査役ナルト
キハ此限ニ在ラス
第百六十三條ノ四決議シタル事項ノ登記アリタル場合ニ於テ其決議ヲ無
效トスル判決カ確定シタルトキハ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ其登記ヲ
爲スコトヲ要ス
第百六十四條取締役ハ株主總會ニ於テ之ヲ選任ス
會社ト取締役トノ間ノ關係ハ委任ニ關スル規定ニ從フ
第百六十六條但書ヲ左ノ如ク改ム
但定款ヲ以テ任期中ノ最終ノ配當期ニ關スル定時總會ノ終結ニ至ルマテ
其任期ヲ伸長スルコトヲ妨ケス
第百六十七條ノ二取締役ノ任務カ終了シタル場合ニ於テ法律又ハ定款ニ
定メタル員數ノ取締役ナキニ至リタルトキハ退任シタル取締役ハ破產及
〓〓清涼ノ塲會ヲ除ク外新ニ濃任セラレタル取締役カ應職スルマテ
取締役ノ權利義務ヲ有ス
第百六十八條定款ヲ以テ取締役カ有スヘキ株式ノ數ヲ定メタルトキハ取
締役ハ其員數ノ株券ヲ監査役ニ供託スルコトヲ要ス
第百七十條定款又ハ株主總會ノ決議ヲ以テ取締役中會社ヲ代表スヘキ
者ヲ定メス又ハ數人ノ取締役カ共同シテ會社ヲ代表スヘキコトヲ定メサ
ルトキハ取締役ハ各自會社ヲ代表ス
第三十條ノ二第二項及ヒ第六十二條ノ規定ハ取締役ニ之ヲ準用ス
第百七十二條ノ二會社ノ株主ニ對スル通知又ハ催告ハ株主名簿ニ記載シ
タル株主ノ住所又ハ其者カ會社ニ通知シタル住所ニ宛ツルヲ以テ足ル
前項ノ通知又ハ催告ハ通常其到達スヘカリシ時ニ到達シタルモノト看做
ス
第百七十三條中第六號ノ次ニ左ノ二號ヲ加ヘ第七號ヲ第九號トシ以下順次
繰下タ
七數囘ニ分チテ社債ノ拂込ヲ爲サシムルトキハ其拂込ノ金額及ヒ時
期
八各社債ニ付キ拂込ミタル金額及ヒ拂込ノ年月日
○其取締役ハ
第百七十七條取締役カ其任務ヲ怠リタルトキハハ會社ニ對シ運帶シテ損
害賠償ノ責ニ任ス
取締役カ法令又ハ定款ニ反スル行爲ヲ爲シタルトキハ株主總會ノ決議ニ
○其取締役ハ
依リタル場合ト雖モ○第三者ニ對シ連帶シテ損害賠償ノ責ニ任ス
第百七十八條中「其株券ヲ供託シ且」ヲ削ル
第百八十條監査役ノ任期ハ二年ヲ超ユルコトヲ得ス
第百八十六條監査役カ會社又ハ第三者ニ對シテ損害賠償ノ責ニ任スヘキ
場合ニ於テ取締役モ亦其責ニ任スヘキトキハ其監査役及ヒ取締役ハ之ヲ
連帶債務者トス
第百八十七條中「其株劵ヲ供託シ且」ヲ削ル
第百八十八條削除
第百八十九條第百六十四條、第百六十六條但書、第百六十七條、第百六十
七條ノ二、第百七十七條及ヒ第百七十九條ノ規定ハ監査役ニ之ヲ準用ス
第百九十條ノ二財產目錄ニ揭クル動產、不動產、債權其他ノ財產ノ價額
ハ取引所ノ相場アル財產ニ付テハ財產目錄調製ノ時ニ於ケル相場ニ其
他ノ財產ニ付テハ財產目錄調製ノ時ニ於ケル價額ニ超ユルコトヲ得ス但
其相場又ハ價額カ財產ノ取得價額又ハ製作價額ニ超ユルトキハ其取得價
額又ハ製作價額ニ超ユルコトヲ得ス
○會社ノヲ財產目錄ニ記載スルニハ
繼續シテ〓營業ノ用ニ供スル財產ニ付テハ前項ノ規定ニ拘ハラス其取得
價額又ハ製作價額ヨリ相當ノ減損額ヲ控除シタル價額ヲ附スルコトヲ得
第百九十一條中「前條」ヲ「第百九十條」ニ改ム
第百九十四條第一項ヲ左ノ如ク改ム
會社ハ損失ヲ塡補スル爲メ其資本ノ四分ノ一ニ達スルマテ準備金トシテ利益ノ二十分ノ一以上ヲ
積立ツルコトヲ要ス
第百九十四條ノ二第二十六條第二項ノ規定ニ依リテ會社ノ財產ニ附スル價額カ取得價額又ハ製作
價額ニ超ユルトキハ其差額ハ利益トシテ之ヲ處分スルコトヲ得ス
第百九十五條會社カ前二條ノ規定ニ違反シテ配當ヲ爲シタルトキハ會社ノ債權者ハ之ヲ返還セシ
ムルコトヲ得
第百九十八條第二項ノ末尾ニ「此總會ニ於テハ前項ノ調査ヲ爲サシムル爲
メ特ニ檢査役ヲ選任スルコトヲ得」ヲ加フ
第二百條ノ二會社ハ前ニ募集シタル社債總額ノ拂込ヲ爲サシメタル後ニ
非サレハ更ニ社債ヲ募集スルコトヲ得ス
第二百一條中「二十圓」ヲ「五十圓」ニ改ム
第二百三條社債ノ募集ニ應セントスル者ハ社債申込證二通ニ其引受クヘ
キ社債ノ數及ヒ住所ヲ記載シ之ニ署名スルコトヲ要ス
社債申込證ハ取締役之ヲ作リ之ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一會社ノ商號
二第百七十三條第三號乃至第七號ニ揭ケタル事項
三社債發行ノ價額又ハ其最低價額
五四會社ノ資本及ヒ拂込ミタル株金ノ總額
最終ノ貸借對照表ニ依リ會社ニ現存スル財產ノ額
六前ニ社債ヲ募集シタルトキハ其償還ヲ了ヘサル總額
社債發行ノ最低價額ヲ定メタル場合ニ於テハ社債應募者ハ社債申込證ニ
應募價額ヲ記載スルコトヲ要ス
第二百三條ノ二之百三朵之一、三十三年 蘇嚴の開記 に を と か つ て ノリアン酸化合同調和シリック協会ニム
場合ニ於テ其一部ニ付キ亦同シ
第二百四條社債ノ募集カ完了シタルトキハ取締役ハ遲滯ナク各社債ニ付
キ其全額又ハ第一囘ノ拂込ヲ爲サシムルコトヲ要ス
第二百四條ノ二社債募集ノ委託ヲ受ケタル者ハ自己ノ名ヲ以テ會社ノ爲
メニ第二百三條第二項及ヒ前條ニ定メタル行爲ヲ爲スコトヲ得
第二百四條ノ三取締役ハ第二百四條ノ拂込アリタル日ヨリ二週間內ニ本
店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ左ノ事項ヲ登記スルコトヲ要ス
一第百七十三條第三號乃至第六號ニ揭ケタル事項
二各社債ニ付キ拂込ミタル金額
第五十三條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
外國ニ於テ社債ヲ募集シタル場合ニ於テ登記スヘキ事項カ外國ニ於テ生
シタルトキハ登記ノ期間ハ其通知ノ到達シタル時ヨリ之ヲ起算ス
第二百五條債券ハ社債全額ノ拂込アリタル後ニ非サレハ之ヲ發行スルコ
トヲ得ス
債券ニハ會社ノ商號及ヒ第百七十三條第二號乃至第六號ニ揭ケタル事項
ヲ記載シ取締役之ニ署名シ又ハ記名、捺印スルコトヲ要ス
第二百六條中「讓渡」ヲ「移轉」ニ、「讓受人」ヲ「取得者」ニ改ム
第二百七條ノ二第百七十二條ノ二ノ規定ハ社債應募者又ハ社債權者ニ對
スル通知及ヒ催告ニ之ヲ準用ス
第二百八條ニ左ノ一項ヲ加フ
定款ノ變更ニ關スル議案ノ要領ハ第百五十六條ニ定メタル通知及ヒ公〓
ニ之ヲ記載スルコトヲ要ス
第二百九條第一項ニ左ノ但書ヲ加ヘ第二項中「一个月ヲ下ラサル期間內」ヲ
「一个月內」ニ改ム
但第百六十一條第二項ノ規定ニ依リテ株券ヲ供託セサル者ハ總株主ノ員
數ニ之ヲ算入セス
第二百十二條ノ二會社カ其資本ヲ增加スル場合ニ於テ金錢以外ノ財產ヲ
以テ出資ノ目的ト爲ス者アルトキハ其者、其財產ノ種類、價格及ヒ之ニ
對シテ與フル株式ノ數ハ資本增加ノ決議ト同時ニ之ヲ決議スルコトヲ要
ス
第二百十二條ノ三株式申込證ハ取締役之ヲ作リ之ニ左ノ事項ヲ記載スル
コトヲ要ス
一會社ノ商號
二增加スヘキ資本ノ總額
三資本增加ノ決議ノ年月日
五四第一囘拂込ノ金額
額面以上ノ價額ヲ以テ株式ヲ發行スル場合ニ於テハ其旨
六前條ノ規定ニ依リテ決議シタル事項
七優先株ヲ發行スル場合ニ於テハ其種類及ヒ其各種ノ株式ノ數
八一定ノ時期マテニ資本增加ノ登記ヲ爲ササルトキハ株式ノ申込ヲ
取消スコトヲ得ヘキコト
數種ノ優先株ヲ發行スル場合ニ於テハ株式申込人ハ株式申込證ニ其引受
〃ヘキ株式ノ種類及ヒ各種ノ株式ノ數ヲ記載スルコトヲ要ス
第二百十四條第一項第三號ヲ削ル
第二百十五條削除
第二百十七條中「其株主ノ權利」ヲ「其種類及ヒ其各種ノ株式ノ數」ニ、「前
項」ヲ「第一項」ニ改メ第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
第五十三條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二百十九條第百二十六條第一項、第三項、第百二十六條ノ二乃至第百三
十條第百四十二條及ヒ第百四十七條第二項ノ規定ハ新株發行ノ場合ニ
之ヲ準用ス
第二百二十條ノ二資本減少ノ爲メ株式ヲ併合スヘキ場合ニ於テハ會社ハ
株主ニ對シ一定ノ期間內ニ株劵ヲ會社ニ提供スヘキ旨及ヒ其期間內ニ之
ヲ提供セサルトキハ株主ノ權利ヲ失フヘキ旨ヲ通知スルコトヲ得但其期
間ハ三个月ヲ下ルコトヲ得ス
第二百二十條ノ三會社カ前條ニ定メタル手續ヲ踐ミタルモ樣主カ株券ヲ
提供セサルトキハ其權利ヲ失フ株主カ株券ヲ提供シタル場合ニ於テ併合
ニ適セサル株アルトキハ其株ニ付キ亦同シ
前項ノ場合ニ於テ會社ハ新ニ發行シタル株式ヲ競賣シ且株數ニ應シテ其
代金ヲ從前ノ株主ニ交付スルコトヲ要ス
第二百二十條ノ四第百五十二條第三項及ヒ第百五十三條ノ二ノ規定ハ前
二條ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二百二十條ノ五株式併合ノ場合ニ於テ從前ノ株式ヲ目的トスル質權ハ
併合ニ因リテ株主カ受クヘキ株式及ヒ金錢ノ上ニ存在ス
第二百二十三條削除
第二百二十五條ニ左ノ一一項ヲ加フ
第二百二十條ノ二乃至第二百二十條ノ五ノ規定ハ會社ノ合併ニ因ル株式
併合ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二百二十條ノ五ノ規定ハ株式ヲ併合セサル場合ニ於テ合併ニ因リ消滅
スル會社ノ株式ヲ目的トスル質權ニ之ヲ準用ス
第二百二十七條第二項ヲ削ル
第二百二十七條ノ二〓算人ハ財產目錄、貸借對照表及ヒ事務報告書ヲ作
リ定時總會ノ會日ヨリ一週間前ニ之ヲ監査役ニ提出スルコトヲ要ス
第二百三十條第二項ヲ削ル
第二百三十一條削除
第二百三十二條會社カ事業ニ著手シタル後株主、取締役又ハ監査役カ其
設立ノ無效ナルコトヲ發見シタルトキハ訴ヲ以テノミ其無效ヲ主張スル
コトヲ得
第九十九條ノ三乃至第九十九條ノ六及ヒ第百六十三條ノ二第三項ノ規定
ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二百三十四條第八十四條、第八十九條乃至第九十三條、第九十三條ノ二
第二項、第九十五條、第九十七條、第九十九條、第百五十七條乃至第百六十
條ノ二、第百六十三條乃至第百六十三條ノ四、第百六十四條第二項、第百
六十七條ノ二、第百七十條、第百七十一條、第百七十六條乃至第百七十九
條、第百八十一條、第百八十三條乃至第百八十七條、第百九十一條乃至第
百九十三條及ヒ民法第七十九條、第八十條ノ規定ハ株式會社ノ〓算ノ場
合ニ之ヲ準用ス
第二百三十七條中「第四號、第六號及ヒ第七號」ヲ「第四號乃至第六號」ニ改
ム
第二百三十八條中「第四號」ノ下ニ「、第五號」ヲ加フ
第二百四十二條中「第七號」ヲ「第六號」ニ改メ同條ニ左ノ一號ヲ加フ
七數人ノ無限責任社員カ共同シテ會社ヲ代表スヘキコトヲ定メタル
トキハ其代表ニ關スル規定
第二百五十一條中「第二百二十七條第一項及ヒ第二百三十條第一項」ヲ「第
二百二十七條第二百二十七條ノ二及ヒ第二百三十條」ニ改ム
第二百五十三條第二項ヲ左ノ如ク改ム
第七十八條、第七十九條第一項、第二項及ヒ第八十三條ノ三ノ規定ハ前項
ノ場合ニ之ヲ準用ス
第一百五十四條削除
第二百五十九條中「第百五十五條第一項、」ノ下ニ「第二百五條第一項、」ヲ加
へ「株式ノ發行及ヒ其株式若クハ社債ノ讓渡」ヲ「株劵又ハ債券ノ發行及ヒ
其株式又ハ社債ノ移轉」ニ改ム
第二百六十一條取締役、株式合資會社ノ業務ヲ執行スル社員、監査役又ハ
○會社ニ損害ヲ生スヘキ
株式會社若クハ株式合資會社ノ〓算人若クハ支配人カ。其任務ニ背キタ
コトヲ知リテ
ル行爲ヲ爲シ置社二財產十ノ通電ヲ加ヘミルトキハ五年以下ノ懲役
五千圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第二百六十一條ノ二發起人、取締役、株式合資會社ノ業務ヲ執行スル社
員監査役又ハ檢査役カ會社ノ設立若クハ資本ノ增加又ハ其登記ヲ爲シ
若クハ之ヲ爲サシムル目的ヲ以テ裁判所又ハ總會ニ對シ左ニ揭ケタル事
項ニ付キ不實ノ申述ヲ爲シ又ハ事實ヲ隱蔽シタルトキハ五年以下ノ懲役
若クハ禁錮又ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
一會社ノ設立又ハ資本增加ノ場合ニ於ケル株式總數ノ引受
二會社ノ設立又ハ資本增加ノ場合ニ於ケル第百二十九條ノ拂込
三第百二十二條第三號乃至第五號又ハ第二百十二條ノ二ニ揭ケタル
事項
第二百六十一條ノ三發起人、會社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、外國會
社ノ代表者、、監査役、〓算人又ハ檢査役ハ左ノ場合ニ於テハ三年以下ノ懲
役若クハ禁錮又ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス
ー會社ノ業務又ハ會社財產ノ狀況ニ付キ裁判所又ハ總會ニ對シ不實
ノ申述ヲ爲シ又ハ事實ヲ隱蔽シタルトキ
二會社ノ業務又ハ會社財產ノ狀況ニ付キ不正ノ公〓ヲ爲シタルトキ
三會社ノ業務又ハ會社財產ノ狀況ニ付キ會社ノ帳簿又ハ書類ニ記載
スヘキ事項ヲ記載セス又ハ不正ノ記載ヲ爲シタルトキ
四法令ノ規定ニ依リ會社ニ備ヘ置クヘキ帳簿又ハ書類ヲ本店又ハ支
店ニ備ヘ置カサルトキ
五法令ノ規定ニ違反シテ株券ヲ發行シタルトキ、株劵ニ第百四十八
條第二項ノ金額ヲ記載セス若クハ其金額ニ付キ不正ノ記載ヲ爲シタ
ルトキ又ハ第百五十五條第一項ノ規定ニ違反シテ株劵ヲ無記名式ト
爲シタルトキ
六法令ノ規定ニ違反シテ社債ヲ募集シ又ハ債券ヲ發行シタルトキ
社債募集ノ委託アリタル場合ニ於テ受託者、受託會社ノ業務ヲ執行スル
社員、取締役又ハ受託外國會社ノ代表者カ前項第二號ニ揭ケタル行爲ヲ
爲シタルトキ亦同シ
前二項ノ行爲カ過失ニ出テタルトキハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二百六十一條ノ四發起人、會社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、外國會
社ノ代表者、監査役又ハ〓算人ハ左ノ場合ニ於テハ二年以下ノ懲役若ク
ハ禁錮又ハ二千圓以下ノ罰金ニ處ス
一第七十八條乃至第八十條ノ規定ニ違反シテ合併、會社財產ノ處分、
資本ノ減少又ハ組織ノ變更ヲ爲シタルトキ
二第百七十四條第二項又ハ民法第八十一條ノ規定ニ依リ破產宣告ノ
請求ヲ爲スヘキ場合ニ於テ其請求ヲ爲サスシテ曾社財產ヲ處分シタ
ルトキ
三檢査役ノ調査ヲ妨ケタルトキ
四會社カ裁判所ノ命令ニ因リテ解散シタル場合ニ於テ〓算人ニ事務
ノ引渡ヲ爲ササルトキ
五〓算ノ結了ヲ遲延セシムル目的ヲ以テ民法第七十九條ノ期間ヲ不
當ニ定メタルトキ
六一部ノ債權者ヲ利スル目的ヲ以テ民法第七十九條ノ期間內ニ之ニ
辨濟ヲ爲シタルトキ
七債權者ヲ害スル目的ヲ以テ第九十五條ノ規定ニ違反シ會社財產ヲ
分配シタルトキ
八第二百六十條ノ規定ニ依ル裁判所ノ命令ニ違反シタルトキ
前項ノ行爲カ過失ニ出テタルトキハ二千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二百六十一條ノ五他人ノ株劵ヲ使用シ其他詐欺ノ所爲ニ因リ議決權ヲ
行ヒ又ハ第九十九條ノ二、第百六十條、第百六十三條、第百七十八條、第百
八十七條、第百九十八條第一項若クハ第二百二十八條第二項ノ規定ニ依
ル株式引受人若クハ株主ノ權利ヲ行ヒタル者ハ一年以下ノ懲役若クハ禁
錮又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
發起人、取締役、株式合資會社ノ業務ヲ執行スル社員、監査役又ハ株式會
社若クハ株式合資會社ノ〓算人若クハ支配人カ前項ノ行爲ヲ爲シ又ハ之
ニ加功シタルトキハ三年以下ノ懲役若クハ禁錮又ハ三千圓以下ノ罰金ニ
處ス
第二百六十一條ノ六議決權ノ行使ニ關シ不正ノ利益ヲ收受若クハ要求シ
又ハ之ヲ收受スルコトヲ約束シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ
罰金ニ處ス
不正ノ利益ヲ交付若クハ提供シ又ハ之ヲ交付スルコトヲ約束シタル者亦
同シ
前項ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキハ其刑ヲ減輕又ハ免除スルコトヲ
得
發超人、取締役、株式合資會社ノ業務ヲ執行スル社員、監査役又ハ株式會
社若クハ株式合資會社ノ〓算人若クハ支配人カ第一項若クハ第二項ノ行
爲ヲ爲シ又ハ之ニ加功シタルトキハ三年以下ノ懲役又ハ三千圓以下ノ罰
金ニ處ス
第二百六十一條ノ七發起人、取締役、株式合資會社ノ業務ヲ執行スル社
員、監査役、株式會社若クハ株式合資會社ノ〓算人若クハ支配人又ハ檢
査役カ職務ノ執行ニ關シ不正ノ利益ヲ收受若クハ要求シ又ハ之ヲ收受ス
ルコトヲ約束シタルトキハ三年以下ノ懲役又ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ニ揭ケタル者ニ不正ノ利益ヲ交付若クハ提供シ又ハ之ヲ交付スルコ
トヲ約束シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキハ其刑ヲ減輕又ハ免除スルコトヲ
得
第二百六十一條ノ八前二條ノ場合ニ於テ收受シタル利益ハ之ヲ沒收ス若
シ全部又ハ一部ヲ沒收スルコト能ハサルトキハ其價額ヲ追徵ス
第二百六十二條發起人、會社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、外國會社ノ
代表者、監査役又ハ〓算人ハ左ノ場合ニ於テハ五圓以上千圓以下ノ過料
ニ處ス但其行爲ニ付キ刑ヲ科スヘキトキハ此限ニ在ラス
一官廳又ハ總會ニ對シ不實ノ申述ヲ爲シ又ハ事實ヲ隱蔽シタルトキ
二本編ニ定メタル登記ヲ爲スコトヲ怠リタルトキ
三本編ニ定メタル公告若クハ通知ヲ爲スコトヲ怠リ又ハ不正ノ公〓
若クハ通知ヲ爲シタルトキ
四本編ノ規定ニ依リ閱覽ヲ許スヘキ書類ヲ正當ノ理由ナクシテ閱覽
セシメサリシトキ
本編ノ規定ニ依ル檢査又ハ調査ヲ妨ケタルトキ
八七六五本編ノ規定ニ違反シ株主總會ヲ招集セサリシトキ
第四十六條ノ規定ニ違反シテ開業ノ準備ニ著手シタルトキ
第百七十四條第二項又ハ民法第八十一條ノ規定ニ違反シ破產宣告
ノ請求ヲ爲スコトヲ怠リタルトキ
九第百九十四條ノ規定ニ違反シ準備金ヲ積立テサルトキ
十株式申込證又ハ社債申込證ヲ作ラス、之ニ記載スヘキ事項ヲ記載
セス又ハ不正ノ記載ヲ爲シタルトキ
十一株劵又ハ債券ニ記載スヘキ事項ヲ記載セス又ハ不正ノ記載ヲ爲
シタルトキ
1二其他重要ナル義務ヲ盡ササルトキ
第二百六十二條ノ二第四十四條ノ三第二項ノ規定ニ依リテ選任セラレタ
ル者ハ本章ノ適用ニ付テハ之ヲ發起人ト看做ス
第二百八十條削除
第二百八十一條中「金錢其他ノ物ノ給付ヲ目的トスル指圖證券又ハ無記名
證券」ヲ「金錢其他ノ物又ハ有價證券ノ給付ヲ目的トスル有價證劵」ニ改
ム
第二百八十二條第四百四十一條、第四百四十九條ノ二、第四百五十七條、
第四百六十一條及ヒ第四百六十四條ノ規定ハ金錢其他ノ物又ハ有價證券
ノ給付ヲ目的トスル有價證劵ニ之ヲ準用ス
第二百八十四條中「債務者ノ所有物」ヲ「債務者所有ノ物又ハ有價證劵」ニ改
ふ
第二百八十五條ノ二第四十二條第二項ニ定メタル會社ノ行爲ニハ商行爲
ニ關スル規定ヲ準用ス
第三百三十二條中「署名スルコト」ヲ「署名シ又ハ記名、捺印スルコト」ニ改ム
第三百三十四條ノ二貨物引換證ヲ作リタルトキハ運送品ニ關スル處分ハ
貨物引換證ヲ以テスルニ非サレハ之ヲ爲スコトヲ得ス
第三百三十四條ノ三貨物引換證ハ其記名式ナルトキト雖モ裏書ニ依リテ
之ヲ讓渡スコトヲ得但貨物引換證ニ裏書ヲ禁スル旨ヲ記載シタルトキハ
此限ニ在ラス
第三百三十五條貨物引換證ニ依リ運送品ヲ受取ルコトヲ得ヘキ者ニ貨物
引換證ヲ引渡シタルトキハ其引渡ハ運送品ノ上ニ行使スル權利ノ取得ニ
付キ運送品ノ引渡ト同一ノ效力ヲ有ス
第三百四十一條中「滅失又ハ毀損」ヲ「滅失、毀損又ハ延著」ニ改ム
第三百六十三條削除
第三百六十五條第三百三十四條ノ二及ヒ第三百三十五條ノ規定ハ預證劵
及ヒ質入證劵ニ之ヲ準用ス
第三百六十七條ノ二預證券ノ所持人ハ寄託物ヲ以テ預證券ニ記載シタル
債權額及ヒ利息ヲ辨濟スル義務ヲ負フ
第三百六十七條ノ三質入證券所持人ノ債權ノ辨濟ハ倉庫營業者ノ營業所
ニ於テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第三百七十二條質入證券ノ所持人ハ先ツ寄託物ニ付キ辨濟ヲ受ケ尙ホ不
足アルトキハ其裏書人ニ對シテ不足額ヲ請求スルコトヲ得
第四百八十七條ノ二乃至第四百八十八條ノ四、第四百九十一條、第四百九
十二條及ヒ第四百九十五條ノ規定ハ前項ニ定メタル不足額ノ請求ニ之ヲ
準用ス
第三百七十四條質入證券所持人ノ預證券所持人ニ對スル請求權ハ辨濟期
ヨリ一年質入證券裏書人ニ對スル請求權ハ寄託物ニ付キ辨濟ヲ受ケタル
日ヨリ六个月質入證券裏書人ノ其前者ニ對スル請求權ハ償還ヲ爲シタル
日ヨリ六个月ヲ經過シタルトキハ時效ニ因リテ消滅ス
第三百七十七條中「報酬」ヲ「保管料」ニ改ム
第三百八十條第二項ヲ削ル
第三百八十條ノ二寄託物カ同種類ニシテ同一ノ品質ヲ有シ且分割スルコ
トヲ得ヘキ物ナルトキハ預證券ノ所持人ハ債權額ノ一部及ヒ其辨濟期マ
テノ利息ヲ供託シ其割合ニ應シテ寄託物ノ一部ノ返還ヲ請求スルコトヲ
得此場合ニ於テ倉庫營業者ハ供託ヲ受ケタル金額及ヒ返還シタル寄託物
ノ數量ヲ預證劵ニ記載シ且其旨ヲ帳簿ニ記載スルコトヲ要ス
前項ニ定メタル寄託物ノ一部出庫ニ關スル費用ハ預證券ノ所持人之ヲ負
擔ス
第三百八十條ノ三前二條ノ場合ニ於テ質入證劵ノ所持人ノ權利ハ供託金
ノ上ニ存在ス
第三百七十一條ノ規定ハ前條第一項ノ供託金ヲ以テ質入證劵ニ記載シタ
ル債權ノ一部ヲ辨濟シタル場合ニ之ヲ準用ス
第三百八十一條第二百八十六條第一項及ヒ第二項ノ規定ハ寄託者又ハ預
證券ノ所持人カ寄託物ヲ受取ルコトヲ拒ミ又ハ之ヲ受取ルコト能ハサル
場合ニ之ヲ準用ス此場合ニ於テ質入證券ノ所持人ノ權利ハ競賣代金ノ上
ニ存在ス
第三百七十條及ヒ第三百七十一條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三百八十三條ノ二倉庫營業者ハ寄託者ノ請求アルトキハ預證劵及ヒ質入證劵ニ代ヘテ倉荷證券
ヲ交付スルコトヲ要ス
倉荷證劵ニハ預證劵ニ關スル規定ヲ準用ス
第三百九十八條削除
第三百九十九條ノ二保險契約ノ當時保險契約者カ惡意又ハ重大ナル過失
ニ因リ重要ナル事實ヲ告ケス又ハ重要ナル事項ニ付キ不實ノ事ヲ告ケタ
ルトキハ保險者ハ契約ノ解除ヲ爲スコトヲ得但保險者カ其事實ヲ知リ又
過失ニ因リテ之ヲ知ラサ
ハ之ヲ知ルコトヲ得ヘカリシトキハ此限ニ在ラス
前項ノ解除權ハ保險者カ解除ノ原因ヲ知リタル時ヨリ一个月間之ヲ行ハ
サルトキハ消滅ス契約ノ時ヨリ五年ヲ經過シタルトキ亦同シ
第三百九十九條ノ三前條ノ規定ニ依リ保險者カ契約ノ解除ヲ爲シタルト
キハ其解除ハ將來ニ向テノミ其效力ヲ生ス
保險者ハ危險發生ノ後解除ヲ爲シタル場合ニ於テモ損害ヲ塡補スル責ニ
任セス若シ旣ニ保險金額ノ支拂ヲ爲シタルトキハ其返還ヲ請求スルコト
ヲ得但保險契約者ニ於テ危險ノ發生カ其告ケ又ハ告ケサリシ事實ニ基カ
サルコトヲ證明シタルトキハ此限ニ在ラス
第四百十七條中「保險金額支拂ノ義務」ノ下ニ「及ヒ保險料返還ノ義務」ヲ加
フ
第四百二十八條他人ノ死亡ニ因リテ保險金額ノ支拂ヲ爲スヘキコトヲ定
ムル保險契約ニハ其者ノ同意アルコトヲ要ス但被保險者カ保險金額ヲ受
取ルヘキ者ナルトキハ此限ニ在ラス
前項ノ保險契約ニ因リテ生シタル權利ノ讓渡ニハ被保險者ノ同意アルコ
トヲ要ス
保險契約者カ被保險者ナル場合ニ於テ保險金額ヲ受取ルヘキ者カ其權利
ヲ讓渡ストキ又ハ第一項但書ノ場合ニ於テ權利ヲ讓受ケタル者カ更ニ之
ヲ讓渡ストキ亦同シ
第四百二十八條ノ二保險金額ヲ受取ルヘキ者カ第三者ナルトキハ其第三
者ハ當然保險契約ノ利益ヲ享受ス但保險契約者カ別段ノ意思ヲ表示シタ
ルトキハ其意思ニ從フ
前項但書ノ規定ニ依リ保險契約者カ保險金額ヲ受取ルヘキ者ヲ指定又ハ
變更スル權利ヲ有スル場合ニ於テ其權利ヲ行ハスシテ死亡シタルトキハ
保險金額ヲ受取ルヘキ者ノ權利ハ之ニ因リテ確定ス
第四百二十八條ノ三保險金額ヲ受取ルヘキ者カ被保險者ニ非サル第三者
ナル場合ニ於テ其者カ死亡シタルトキハ保險契約者ハ更ニ保險金額ヲ受
取ルヘキ者ヲ指定スルコトヲ得
保險契約者カ前項ニ定メタル權利ヲ行ハスシテ死亡シタルトキハ保險金
額ヲ受取ルヘキ者ノ相續人ヲ以テ保險金額ヲ受取ルヘキ者トス
第四百二十八條ノ四保險契約者カ契約後保險金額ヲ受取ルヘキ者ヲ指定
又ハ變更シタルトキハ保險者ニ其指定又ハ變更ヲ通知スルニ非サレハ之
ヲ以テ保險者ニ對抗スルコトヲ得ス
第四百二十八條第一項ノ規定ハ前項ノ指定及ヒ變更ニ之ヲ準用ス
第四百二十九條保險契約ノ當時保險契約者又ハ被保險者カ惡意又ハ重大
ナル過失ニ因リ重要ナル事實ヲ告ケス又ハ重要ナル事項ニ付キ不實ノ事
ヲ告ケタルトキハ保險者ハ契約ノ解除ヲ爲スコトヲ得但保險者カ其事實
過失ニ因リテ之ヲ知ラサ
ヲ知リ又ハ之ヲ知ルコトヲ得ヘカリシトキハ此限ニ在ラス
第三百九十九條ノ二第二項及ヒ第三百九十九條ノ三ノ規定ハ前項ノ場合
ニ之ヲ準用ス
第四百三十條中「及ヒ其者ト被保險者トノ親族關係」ヲ削ル
第四百三十一條第一項ニ左ノ一號ヲ加フ
三保險契約者カ故意ニテ被保險者ヲ死ニ致シタルトキ
同條第二項ヲ左ノ如ク改ム
前項第一號及ヒ第二號ノ場合ニ於テハ保險者ハ被保險者ノ爲メニ積立テ
タル金額ヲ保險契約者ニ拂戾スコトヲ要ス
第四百三十二條ノ二被保險者ノ爲メニ積立テタル金額ヲ拂戾ス義務ハ二
年ヲ經過シタルトキハ時效ニ因リテ消滅ス
第四百三十三條中「第三百九十九條乃至第四百一條」ヲ「第三百九十九條、第
四百條、第四百一條」ニ改メ「積立テタル金額ヲ」ノ下ニ「保險契約者ニ」ヲ加
フ
第四百四十九條ノ二振出人ハ爲替手形ニ受取人ノ氏名又ハ商號ト共ニ其
爲替手形ノ所持人カ支拂ヲ受クルコトヲ得ヘキ旨ヲ記載スルコトヲ得
同一ノ效力ヲ有ス
前項ノ爲替手形ハ之ヲ無記名式ノモノト看做ス
第四百四十九條ノ三第四百四十九條ノ規定ハ前條第一項ニ定メタル爲替手形ニ之ヲ準用ス
第四百五十二條中「其爲替手形ニ記載シタル支拂人ノ住所地」ヲ「支拂人ノ
氏名又ハ商號ニ附記シタル地」ニ改ム
第四百五十二條ノ二支拂人ノ氏名又ハ商號ニ附記シタル地ハ之ヲ其營業
所又ハ住所ノ所在地ト看做ス
第四百五十三條中「住所地」ヲ「營業所又ハ住所ノ所在地」ニ改ム
第四百六十三條中「質入ヲ爲シ又ハ其取立ノ委任ヲ爲スコト」ヲ「取立ヲ委
任スルコト」ニ改ム
第四百六十四條ニ左ノ一項ヲ加フ
抹消シタル裏書ハ裏書ノ連續ニ付テハ其記載ナキモノト看做ス
第四百七十二條中「住所地」ヲ「營業所又ハ住所ノ所在地」ニ改ム
第四百七十五條爲替手形ノ所持人カ前條ノ請求ヲ爲サント欲スルトキハ
引受拒絕證書ヲ作ラシムルコトヲ要ス
第四百七十六條擔保ノ請求ヲ受ケタル裏書人ハ其前者ニ對シ其擔保スヘ
キ金額及ヒ費用ニ付キ相當ノ擔保ヲ請求スルコトヲ得
第四百七十八條第二項ヲ削ル
第四百八十條第一項但書ヲ左ノ如ク改ム
但拒絕證書ヲ作ラシムルコトヲ要ス
第四百八十四條中「謄本」ヲ「寫本」ニ改ム
第四百八十七條第一項ヲ左ノ如ク改ム
所持人カ前條ノ請求ヲ爲サント欲スルトキハ滿期日又ハ其後二日內ニ支
拂ヲ求ムル爲メ爲替手形ヲ支拂人ニ呈示シ、若シ手形金額ノ支拂ナキト
キハ同一期間內ニ支拂拒絕證書ヲ作ラシムルコトヲ要ス但此期間ニハ休
日ヲ算入セス
第四百八十七條ノ二前條第一項ノ場合ニ於テハ所持人ハ其直接ノ前者ニ
對シ拒絕證書作成ノ日又ハ其後二日內ニ償還請求ノ通知ヲ發スルコトヲ
要ス
第四百八十八條裏書人カ其後者ヨリ償還請求ノ通知ヲ受ケタルトキハ其
直接ノ前者ニ對シ通知ヲ受ケタル日又ハ其後二日內ニ償還請求ノ通知ヲ
發スルコトヲ要ス
第四百八十八條ノ二所持人又ハ裏書人カ其直接ノ前者ニ非サル前者ニ對
シテ償還請求ノ通知ヲ發シタルトキハ其者ノ後者ニ對シ之ニ因リテ生シ
タル損害ヲ賠償スル責ニ任シ且利息及ヒ費用ノ償還ヲ請求スル權利ヲ失フ
所持人又ハ裏書人カ其前者ノ何レニ對シテモ通知ヲ發セサリシトキハ其
前者全員ニ對スル權利義務ニ付キ前項ノ規定ヲ準用ス
第四百八十八條ノ三裏書人カ裏書ヲ爲スニ當タリ裏書地ヲ記載セサリシ
トキハ償還請求ノ通知ハ其直接ノ前者ニ對シテ之ヲ爲スコトヲ要ス
前條ノ規定ハ裏書地ヲ記載セサリシ裏書人ニ對スル權利義務ニハ之ヲ適
用セス振出人カ振出地ヲ記載セサリシトキ亦同シ
第四百八十八條ノ四所持人又ハ裏書人カ其前者ニ對シ第四百八十七條ノ
二又ハ第四百八十八條ノ期間內ニ書面ヲ發送シタル事實アルトキハ其事
實ニ付キ通信官署又ハ公衆通信取扱所ノ證アル場合ニ限リ其書面ハ之ヲ
償還請求ノ通知書ト推定ス
第四百八十九條ノ二支拂拒絕證書ノ作成ヲ免除シタル者ニ對シテハ所持
人ハ支拂拒絕證書作成ノ期間內ニ支拂ヲ求ムル爲メ爲替手形ヲ呈示シタ
ルモノト推定ス
第四百九十條中「住所地」ヲ「營業所又ハ住所ノ所在地」ニ、「支拂拒絕證書ヲ
作ラシメ且償還請求ノ通知ヲ發スルコトヲ要ス」ヲ「支拂拒絕證書ヲ作ラ
ムルコトヲ要ス」ニ改ム
第四百九十一條中「住所地」ヲ「營業所又ハ住所ノ所在地」ニ改ム
第四百九十四條中、住所地」ヲ「營業所又ハ住所ノ所在地」ニ改ム
第四百九十六條削除
第五百五條中「滿期日又ハ其後二日內」ヲ「支拂拒絕證書作成ノ期間內」ニ改
ム
第五百七條中「第四百七十五條」ヲ「第四百七十六條」ニ改ム
第五百八條中「滿期日又ハ其後二日內」ヲ「支拂拒絕證書作成ノ期間內」ニ改
ム
第五百十五條拒絕證書ニハ左ノ事項ヲ記載シ公證人又ハ執達吏之ニ署名、
捺印スルコトヲ要ス
一拒絕者及ヒ被拒絕者ノ氏名又ハ商號
二拒絕者ニ對スル請求ノ趣旨及ヒ拒絕者カ其請求ニ應セサリシコ
ト拒絕者ニ面會スルコト能ハサリシコト又ハ其營業所、住所若クハ
居所カ知レサリシコト
三前號ノ請求ヲ爲シ又ハ之ヲ爲スコト能ハサリシ地及ヒ年月日
四法定ノ場所外ニ於テ拒絕證書ヲ作ルトキハ拒絕者カ之ヲ承諾シタ
ルコト
五參加引受又ハ參加支拂アルトキハ參加ノ種類及セ參加人竝ニ被參
加人ノ氏名又ハ商號
六拒絕證書作成ノ場所及ヒ年月日
第五百十五條ノ二支拂拒絕證書ノ作成ハ爲替手形又ハ附箋ニ依リテ之ヲ
爲ス
第五百十五條ノ三爲替手形ノ數通ノ複本又ハ原本及ヒ謄本ヲ呈示シタル
場合ニ於テ支拂拒絕證書ヲ作ルトキハ其作成ハ一通ノ複本若クハ原本又
ハ附箋ニ依リ之ヲ爲スヲ以テ足ル
前項ノ規定ニ依リテ支拂拒絕證書ヲ作リタルトキハ他ノ複本又ハ謄本ニ
其旨ヲ記載スルコトヲ要ス
第五百十五條ノ四支拂拒絕ノ場合ヲ除ク外拒絕證書ノ作成ハ爲替手形若
クハ其謄本ノ寫本又ハ附箋ニ依リテ之ヲ爲ス
第五百十五條ノ五爲替手形、複本、原本又ハ爲替手形若クハ其謄本ノ寫本
ニ依リテ拒絕證書ヲ作ル場合ニ於テハ第五百十五條ニ揭ケタル事項ハ其
裏面ニ記載シタル事項ニ接續シテ之ヲ記載スルコトヲ要ス
附箋ニ依ル場合ニ於テハ公證人又ハ執達吏ハ其接目ニ契印ヲ爲スコトヲ
要ス
第五百十七條第一項ヲ左ノ如ク改ム
公證人又ハ執達吏カ拒絕證書ヲ作リタルトキハ其謄本ニ左ノ事項ヲ記載
シ之ヲ其役場ニ備フルコトヲ要ス
一手形金額
二振出人、支拂人及ヒ受取人ノ氏名又ハ商號
三振出ノ年月日
四滿期日及ヒ支拂地
五支拂擔當者、豫備支拂人又ハ參加引受人アルトキハ其氏名又ハ商
號
第五百二十六條ノ二振出地ハ之ヲ振出人ノ營業所又ハ住所ノ所在地ト看
做ス
第五百二十九條中「第四百五十七條、第四百五十九條乃至」ヲ削ル
第五百三十一條削除
第五百三十三條中「一週間」ヲ「十日」ニ改ム
第五百三十三條ノ二小切手ノ振出人ハ呈示期間經過前ニハ支拂ノ委託ヲ取消スコトヲ得ス
支拂人ハ呈示期間經過ノ後ト雖モ小切手ノ支拂ヲ爲スコトヲ得
第五百三十三條ノ三小切手ノ所持人カ支拂人ノ加入シタル手形交換所ニ小切手ヲ提出シタルトキ
ハ支拂地ニ於テ支拂ヲ求ムル爲メ之ヲ呈示シタルト同一ノ效力ヲ有ス
第五百三十四條削除
第五百三十四條中、前條第一項ニ定メタル期間」ヲ「呈示期間」ニ改メ同條ニ左ノ一項ヲ加フ
手形交換所ニ於テ呈示期間内ニ小切手ノ提出及ヒ支拂拒絕アリタル旨ヲ證明シタルトキ亦同シ
第五百三十四條ノ二前二條ノ手形交換所ハ司法大臣之ヲ指定ス
第五百三十六條振出人カ支拂人ヲシテ支拂ヲ爲サシムルコトヲ得ル金額
ヲ超エテ小切手ヲ振出シタルトキハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第五百三十七條第四百四十六條、第四百四十七條、第四百四十九條ノ二、
第四百五十二條、第四百五十二條ノ二、第四百五十五條、第四百五十七條、
第四百五十九條乃至第四百六十四條、第四百八十三條、第四百八十四條、
第四百八十六條乃至第四百八十九條ノ二、第四百九十一條、第四百九十二
條、第四百九十五條、第五百十四條乃至第五百十五條ノ二、第五百十五條
ノ五及ヒ第五百十七條ノ規定ハ小切手ニ之ヲ準用ス
第五百四十一條中「讓渡」ヲ「移轉」ニ改ム
第五百四十四條ノ二登記シタル船舶ノ委付ハ登記ヲ爲スニ因リテ其效力
ヲ生ス
第五百四十五條中「前條」ヲ「第四十四條」ニ改ムマ
第五百六十八條中「船舶ノ修繕救援又ハ救助ノ費用」ヲ「船舶ノ修繕費、救
助料」ニ改ム
第五百九十九條中「、救援」ヲ削ル
第六百六條中「立替金」ノ下ニ「、碇泊料」ヲ加ヘ「、救援」ヲ削ル
第六百二十二條中「又ハ所持人ニ運送品ヲ引渡スヘキコト」ヲ削ル
第六百二十九條第三百三十四條乃至第三百三十五條及ヒ第三百四十四條
ノ規定ハ船荷證券ニ之ヲ準用ス
第六百四十九條中「救助ノ費用」ヲ「救助料」ニ改ム
第五編中第四章ノ次ニ左ノ一章ヲ加ヘ「第五章」ヲ「第六章」ニ、「第六章」ヲ
「第七章」ニ改ム
第五章海難救助
第六百五十二條ノ二船舶又ハ積荷ノ全部又ハ一部カ海難ニ遭遇セル場合
ニ於テ義務ナクシテ之ヲ救助シタル者ハ其結果ニ對シテ相當ノ救助料ヲ
請求スルコトヲ得
第六百五十二條ノ三救助料ニ付キ特約ナキ場合ニ於テ其額ニ付キ爭アル
トキハ危險ノ程度、救助ノ結果、救助ノ爲メニ要シタル勞力及ヒ費用其他
一切ノ事情ヲ斟酌シテ裁判所之ヲ定ム
第六百五十二條ノ四海難ニ際シ契約ヲ以テ救助料ヲ定メタル場合ニ於テ
其額カ著シク不相當ナルトキハ當事者ハ其增加又ハ減少ヲ請求スルコト
ヲ得此場合ニ於テハ前條ノ規定ヲ準用ス
第六百五十二條ノ五救助料ノ額ハ特約ナキトキハ救助セラレタル物ノ價
額ニ超ユルコトヲ得ス
先順位ノ先取特權アルトキハ救助料ノ額ハ先取特權者ノ債權額ヲ控除シ
タル殘額ニ超ユルコトヲ得ス
第六百五十二條ノ六數人カ共同シテ救助ヲ爲シタル場合ニ於テ救助料分
配ノ割合ニ付テハ第六百五十二條ノ三ノ規定ヲ準用ス
人命ノ救助ニ從事シタル者モ亦前項ノ規定ニ從ヒテ救助料ノ分配ヲ受ク
ルコトヲ得
第六百五十二條ノ七救助ニ從事シタル船舶カ汽船ナルトキハ救助料ノ三
分ノ二、帆船ナルトキハ其二分ノ一ヲ船舶所有者ニ支拂ヒ其殘額ハ折半
シテ之ヲ船長及ヒ海員ニ支拂フコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リテ海員ニ支拂フヘキ金額ノ分配ハ船長之ヲ行フ此場合
ニ於テハ前條ノ規定ヲ準用ス
前二項ノ規定ニ反スル契約ハ無效トス
第六百五十二條ノ八船長カ前條第二項ノ規定ニ依リ救助料ノ分配ヲ爲ス
ニハ航海ヲ終ハルマテニ分配案ヲ作リ之ヲ海員ニ告示スルコトヲ要ス
第六百五十二條ノ九海員カ前條ノ分配案ニ對シテ異議ノ申立ヲ爲サント
スルトキハ其告示アリタル後異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得ル最初ノ港ノ管
海官廳ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
管海官廳ハ異議ヲ理由アリトスルトキハ分配案ヲ更正スルコトヲ得
船長ハ異議ノ落著前ニハ救助料ノ支拂ヲ爲スコトヲ得ス
第六百五十二條ノ十船長カ分配案ノ作成ヲ怠リタルトキハ管海官廳ハ海
員ノ請求ニ因リ船長ニ對シテ分配案ノ作成ヲ命スルコトヲ得
船長カ前項ノ命令ニ從ハサルトキハ管海官廳ハ分配案ヲ作ルコトヲ得
第六百五十二條ノ十一左ノ場合ニ於テハ救助者ハ救助料ヲ請求スルコト
ヲ得ス
一故意又ハ過失ニ因リテ海難ヲ惹起シタルトキ
二正當ノ事由ニ因リテ救助ヲ拒マレタルニ拘ハラス强ヒテ之ニ從事
シタルトキ
三救助シタル物品ヲ隱匿シ又ハ濫ニ之ヲ處分シタルトキ
1第六百五十二條ノ十二救助者ハ其債權ニ付キ救助シタル積荷ノ上ニ先取
特權ヲ有ス
前項ノ先取特權ニハ船舶債權者ノ先取特權ニ關スル規定ヲ準用ス
第六百五十二條ノ十三船長ハ救助料ノ債務者ニ代ハリテ其支拂ニ關スル
一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有ス
救助料ニ關スル訴ニ於テハ船長ハ自ラ原告又ハ被告ト爲ルコトヲ得但其
訴ニ付キ言渡シタル判決ハ救助料ノ債務者ニ對シテモ其效力ヲ有ス
第六百五十二條ノ十四積荷ノ所有者ハ救助セラレタル物ヲ以テ救助料ヲ
支拂フ義務ヲ負フ
第六百五十二條ノ十五積荷ノ上ニ存スル先取特權ハ債務者カ其積荷ヲ第
三取得者ニ引渡シタル後ハ其積荷ニ付キ之ヲ行フコトヲ得ス
第六百五十二條ノ十六救助料ノ請求權ハ救助ヲ爲シタル時ヨリ一年ヲ經
過シタルトキハ時效ニ因リテ消滅ス
第六百八十條中「救援竝ニ救助ノ費用」ヲ「救助料」ニ改ム
附則
第一條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二條本法ノ規定ハ本法施行ノ日ヨリ其施行前ニ生シタル事項ニモ亦之
ヲ適用ス但從前ノ規定ニ依リテ生シタル效力ヲ妨ケス
第三條本法施行前ニ會社カ合併ノ決議ヲ爲シタル場合ニ於テハ第四十四
條ノ三第二項及ヒ第三項ノ規定ニ依ルコトヲ要セス
第四條第九十一條ノ二ノ規定ハ本法施行前ニ〓算結了ノ登記ヲ爲シタル
場合ニハ之ヲ適用セス
第五條第九十九條ノ三第二項及ヒ第九十九條ノ四乃至第九十九條ノ六ノ
規定ハ本法施行前ニ提起シタル設立無效ノ訴ニモ亦之ヲ適用ス但其訴ニ
付キ爲シタル判決カ本法施行前ニ確定シタルトキハ此限ニ在ラス
第六條前二條ノ規定ハ合資會社ニ之ヲ準用ス
第七條本法施行前ニ株式會社ノ發起人カ定款ヲ作リタル場合ニ於テハ其
設立ニハ從前ノ規定ヲ適用ス但定款ニ取締役カ有スヘキ株式ノ數ヲ記載
セサリシトキハ取締役ハ株式引受人又ハ株主ニ非サル者ノ中ヨリ之ヲ選
任スルコトヲ得
前項ノ規定ハ第百二十六條ノ二及ヒ第百四十二條ノ二乃至第百四十二條
ノ四ノ規定ノ適用ヲ妨ケス
第八條本法施行前ニ株式會社ヲ設立シ又ハ發起人カ定款ヲ作リタル場合
ニ於テハ株式ノ金額カ第百四十五條第二項ノ規定ニ反スルモ定款ノ定ム
ル所ニ依ルコトヲ得本法施行後ニ新株ヲ發行スルトキ亦同シ
前項ノ規定ハ本法施行後ニ株式ノ金額ヲ變更スル場合ニハ之ヲ適用セス
第九條第百五十二條第三項及ヒ第百五十三條ノ二ノ規定ハ本法施行前ニ
第百五十二條第一項ノ催告ヲ爲シタル場合ニモ亦之ヲ適用ス
第十條第百六十三條及ヒ第百六十三條ノ二ノ規定ハ本法施行前ニ生シタ
ル事由ニ基キ其施行後ニ決議無效ノ訴ヲ提起スル場合ニモ亦之ヲ適用ス
第十一條第九十九條ノ三第二項、第九十九條ノ四及ヒ第百六十三條ノ四
ノ規定ハ本法施行前ニ提起シタル決議無效ノ訴ニモ亦之ヲ適用ス但其訴
ニ付キ爲シタル判決カ本法施行前ニ確定シタルトキハ此限ニ在ラス
第十二條前二條ノ規定ハ創立總會ノ決議無效ノ訴ニ之ヲ準用ス
第百六十三條ノ三ノ規定ハ本法施行前ニ提起シタル創立總會ノ決議無效
ノ訴ニモ亦之ヲ適用ス
第十三條第百六十七條ノ二ノ規定ハ本法施行前ニ選任シタル取締役又ハ
監査役ノ任務カ本法施行後ニ終了シタル場合ニモ亦之ヲ適用ス
第十四條第百七十七條及ヒ第百八十六條ノ規定ハ本法施行前ニ選任シタ
ル取締役又ハ監査役ノ行爲カ本法施行後ニ在リタル場合ニモ亦之ヲ適
用ス
第十五條本法施行前ノ最終ノ財產目錄ニ揭ケタル財產ニ附シタル價額ハ
○及ヒ第百九十四條ノ二
第百九十條ノ二〇ノ規定ノ適用ニ付テハ之ヲ其取得價額又ハ製作價額ト
看做ス但取得價額又ハ製作價額カ其價額ニ超ユルトキハ此限ニ在ラス
第十六條本法施行前ニ株式會社カ社債募集ノ決議ヲ爲シタル場合ニ於テ
ハ從前ノ規定ニ從ヒテ其募集ヲ爲スコトヲ得但未タ社債募集ノ公告ヲ爲
ササルトキハ第二百三條、第二百三條ノ二、第二百四條ノ二及ヒ第二百七
條ノ二ノ規定ヲ適用ス
第十七條本法施行前ニ株式會社カ資本增加ノ決議ヲ爲シタル場合ニ於テ
ハ從前ノ規定ニ從ヒテ其增加ヲ爲スコトヲ得
第十八條第二百二十條ノ二乃至第二百二十條ノ五ノ規定ハ本法施行前ニ
資本減少ノ決議ヲ爲シタル場合ニモ亦之ヲ適用ス但株主總會ノ決議ニ反
スルトキハ此限ニ在ラス
第十九條第二百二十條ノ二乃至第二百二十條ノ五ノ規定ハ劵面額五十圓
未滿ノ株式ヲ併合スル場合ニ之ヲ準用ス
第二十條本法施行前ニ株式會社カ合併ノ決議ヲ爲シタル場合ニ於テモ株
主ハ其記名株ヲ讓渡スコトヲ得
第二十一條附則第十八條ノ規定ハ會社ノ合併ニ因ル株式併合ノ場合ニ之
ヲ準用ス
第二百二十五條第三項ノ規定ハ本法施行前ニ合併ノ決議ヲ爲シタル場合
ニモ亦之ヲ適用ス
第二十二條本法施行前ニ株式會社ノ設立ノ無效ナルコトヲ發見シタル場
合ニ於テ裁判所カ未タ〓算人ヲ選任セサリシトキハ設立無效ノ主張ニ付
テハ本法ノ規定ヲ適用ス
第二十三條附則第十條第十一條、第十三條及ヒ第十四條ノ規定ハ株式會
社ノ〓算ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二十四條附則第四條及ヒ第五條ノ規定ハ株式會社ニ之ヲ準用ス
第二十五條前十八條ノ規定ハ株式合資會社ニ之ヲ準用ス
第二十六條本法施行前ニ會社ニ關スル從前ノ罰則ヲ適用スヘキ行爲アリ
タルトキハ本法施行ノ後ト雖モ其罰則ヲ適用ス
第二十七條第四百八十七條乃至第四百八十八條ノ二及ヒ第四百八十八條
ノ四ノ規定ハ本法施行前ニ第一ノ質入裏書アリタル質入證劵ノ所持人カ
本法施行後ニ支拂ヲ求ムル爲メ其證劵ヲ呈示スル場合ニモ亦之ヲ適用ス
第二十八條質入證券所持人ノ裏書人ニ對スル請求權ハ寄託物ニ付キ辨濟
ヲ受ケタル日カ本法施行前ニ在リタル場合ニ於テハ其施行ノ日ヨリ六个
月本法施行後ニ在ル場合ニ於テハ辨濟ヲ受ケタル日ヨリ六个月ヲ經過シ
タルトキハ時效ニ因リテ消滅ス
質入證券裏書人ノ其前者ニ對スル請求權ハ本法施行前ニ償還ヲ爲シタル
場合ニ於テハ其施行ノ日ヨリ六个月本法施行後ニ償還ヲ爲シタル場合ニ
於テハ其償還ノ日ヨリ六个月ヲ經過シタルトキハ時效ニ因リテ消滅ス
本法施行前ニ進行ヲ始メタル時效ノ殘期カ其施行ノ日ヨリ起算シテ六个
月ヨリ短キトキハ時效ハ其殘期ヲ經過スルニ因リテ完成ス
第二十九條第三百六十七條ノ三、第三百八十條ノ二及ヒ第三百八十條ノ
三ノ規定ハ本法施行前ニ作リタル預證券又ハ質入證券ニモ亦之ヲ適用ス
但其證劵ニ別段ノ意思表示アルトキハ此限ニ在ラス
第三十條第四百十七條ノ規定ハ本法施行前ニ生シタル保險料返還ノ義
務ニ付キ其施行後ニ時效カ進行ヲ始ムル場合ニモ亦之ヲ適用ス
本法施行前ニ進行ヲ始メタル時效ノ殘期カ其施行ノ日ヨリ起算シテ二年
ヨリ長キトキハ時效ハ其施行ノ日ヨリ二年ヲ經過スルニ因リ二年ヨリ短
キトキハ其殘期ヲ經過スルニ因リテ完成ス
前二項ノ規定ハ第四百三十二條ノ二ノ義務ニ之ヲ準用ス
第三十一條第四百二十八條乃至第四百二十八條ノ四ノ規定ハ本法施行前
ニ爲シタル保險契約ニハ之ヲ適用セス
第三十二條本法施行前ニ振出シタル爲替手形ニ付キ其施行後ニ引受拒絕
證書ヲ作ラシメタル場合ニ於テハ擔保請求ノ通知ヲ發スルコトヲ要セス
本法施行後ニ擔保ヲ供セサル爲メ拒絕證書ヲ作ラシメタル場合亦同シ
第三十三條第四百八十七條乃至第四百八十八條ノ二、第四百八十八條ノ
四及ヒ第四百八十九條ノ二ノ規定ハ本法施行前ニ振出シタル爲替手形ニ
付キ所持人カ本法施行後ニ支拂ヲ求ムル爲メ之ヲ呈示スル場合ニモ亦之
ヲ適用ス
第三十四條第五百十五條乃至第五百十五條ノ五及ヒ第五百十七條第一項
ノ規定ハ本法施行前ニ振出シタル爲替手形ニ付キ其施行後ニ拒絕證書ヲ
作ル場合ニモ亦之ヲ適用ス
第三十五條前三條ノ規定ハ約束手形ニ之ヲ準用ス
第五百三十三條ノ三及ヒ第五百三十四條第二項ノ規定ハ本法施行前ニ振出シタル
第三十六條附則第三十三條及ヒ第三十四條ノ規定ハ小切手ニ之ヲ準用ス
小切手ニ付キ所持人カ本法施行後ニ支拂ヲ求ムル爲メ之ヲ呈示スル場合ニモ亦之ヲ適用ス
附則第三十三條及ヒ第三十四條ノ規定ハ小切手ニ之ヲ準用ス
第三十七條本法施行前ニ小切手ニ關スル從前ノ罰則ヲ適用スヘキ行爲ア
リタルトキハ本法施行ノ後ト雖モ其罰則ヲ適用ス
第三十八條第五百四十四條ノ二ノ規定ハ本法施行前ニ生シタル原因ニ基
キ其施行後ニ委付ヲ爲ス場合ニモ亦之ヲ適用ス
第三十九條明治三十三年法律第十七號ハ之ヲ廢止ス
商法施行法中改正法律案
商法施行法中左ノ通改正ス
第六十條第二項ヲ左ノ如ク改ム
取締役カ前項ノ規定ニ違反シテ無記名式ノ株券ヲ發行シタルトキハ三年
以下ノ懲役若クハ禁錮又ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ行爲カ過失ニ出テタルトキハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス
附則
本法ハ商法中改正法律施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行前ニ從前ノ罰則ヲ適用スヘキ行爲アリタルトキハ本法施行ノ後ト
雖モ其罰則ヲ適用ス
非訟事件手續法中改正法律案
非訟事件手續法中左ノ通改正ス
目錄中「會社ノ〓算人ノ選任及ヒ解任」ヲ「會社ノ〓算ニ關スル事件」ニ、「未
成年者、妻及ヒ後見人ノ登記」ヲ「未成年者、妻及ヒ法定代理人ノ登記」ニ改ム」
第百二十五條中「第百五十一條」ヲ「第百五十條、第百五十條ノ三乃至第百五
十一條ノ五」ニ改ム
第百二十九條ノ二第一一項ヲ削ル
第百二十九條ノ三商法第百二十四條又ハ第百九十八條ノ規定ニ依リ裁判
所カ檢査役ヲ選任シタル場合ニ於テハ會社ヲシテ之ニ報酬ヲ與ヘシムル
コトヲ得其額ハ取締役及ヒ監査役ノ陳述ヲ聽キ裁判所之ヲ定ム
第百二十九條ノ四前二條ノ裁判ニ對シテハ卽時抗告ヲ爲スコトヲ得
第百三十五條ノ四會社ノ設立ヲ無效トスル判決カ確定シタルトキハ受訴
裁判所ハ會社ノ本店及ヒ支店ノ所在地ノ登記所ニ其登記ノ囑託ヲ爲スヘシ
登記所カ前項ノ囑託ヲ受ケタルトキハ會社ノ設立ノ無效ナルコトヲ登記
スヘシ
第二章會社ノ〓算ニ關スル事件
第百三十八條ノ二第百二十九條ノ三及ヒ第百二十九條ノ四ノ規定ハ裁判
所カ〓算人ヲ選任シタル場合ニ之ヲ準用ス
第百三十八條ノ三商法第九十一條ノ二第二項ノ鑑定人ノ選任、呼出及ヒ
訊問ハ會社ノ本店所在地ノ區裁判所ノ管轄トス
裁判所カ前項ノ選任ヲ爲シタル場合ニ於テハ其手續ノ費用ハ會社ノ負擔
トス呼出及ヒ訊問ノ費用亦同シ
第百三十八條ノ四第八十八條及ヒ第八十九條ノ規定ハ前條ノ鑑定人ノ選
任ノ手續及ヒ裁判ニ之ヲ準用ス
第百四十條第四號ヲ左ノ如ク改ム
四法定代理人登記簿
第百四十八條ノ二當事者ハ登記ヲ受ケタル後其登記カ商法又ハ本法ノ規
定ニ依リテ許スヘカラサルモノナルコトヲ發見シタルトキハ管轄登記所
ニ其抹消ヲ申請スルコトヲ得
第百五十條ノ二官廳ノ許可ヲ要スル事項ノ登記ヲ申請スルニハ申請書ニ
官廳ノ許可書又ハ其認證アル謄本ヲ添附スルコトヲ要ス
第百五十條ノ三本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ登記スヘキ事項ニ付キ支店
ノ所在地ニ於テ其登記ヲ申請スルニハ申請書ニ本店ノ所在地ニ於テ爲シ
タル登記ヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス此場合ニ於テハ各本條ニ定
メタル書類ハ之ヲ添附スルコトヲ要セス
第百五十一條ノ二登記所ハ登記ヲ爲シタル後其登記カ商法又ハ本法ノ規
定ニ依リテ許スヘカラサルモノナルコトヲ發見シタルトキハ登記ヲ爲シ
タル者ニ對シ一个月ヲ超ヱサル期間ヲ定メ其期間內ニ異議ノ申立ナキト
キハ登記ヲ抹消スヘキ旨ヲ通知スヘシ
登記ヲ爲シタル者ノ住所又ハ居所カ知レサルトキハ前項ノ通知ニ代ヘ登
記事項ノ公告ト同一ノ方法ヲ以テ公〓スヘシ
登記所ハ右ノ外相當ト認ムル新聞紙ニ同一ノ公告ヲ揭載セシムルコトヲ
得
第百五十一條ノ三異議ノ申立アリタルトキハ登記所ハ理由ヲ附シタル決
定ヲ以テ其裁判ヲ爲スヘシ
前項ノ裁判ニ對シテハ卽時抗告ヲ爲スコトヲ得抗〓ハ執行停止ノ效力ヲ
有ス
第百五十一條ノ四異讀ノ申立ナキトキ又ハ異議ヲ却下スル裁判カ確定シ
タルトキハ登記所ハ職權ヲ以テ登記ヲ抹消スヘシ
第百五十一條ノ五前三條ノ規定ハ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ登記スヘ
キ事項ノ登記ニ付テハ本店ノ所在地ニ於テ爲シタル登記ニノミ之ヲ適用
ス
前項ノ場合ニ於テ本店所在地ノ登記所カ登記ヲ抹消シタルトキハ遲滯ナ
ク其旨ヲ支店所在地ノ登記所ニ通知スヘシ
支店所在地ノ登記所カ前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ遲滯ナク登記ヲ抹消
スヘシ
第百六十四條第百五十一條ノ二乃至第百五十一條ノ四ノ規定ハ前條ノ申
請アリメル場合ニ之ヲ準用ス
第百六十五條削除
第三節未成年者、妻及ヒ法定代理人ノ登記
第百七十一條法定代理人カ無能力者ノ爲メニ商業ヲ營ム場合ニ於テ登記
ヲ申請スルニハ申請書ニ法定代理人タル資格ヲ記載シ親族會ノ同意ヲ得
タルコトヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第百七十二條第二項ヲ左ノ如ク改ム
會社カ申請人ナル場合ニ於テハ前項ノ登記ハ其會社ヲ代表スヘキ社員又
ハ取締役ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
第百七十三條第一項ニ左ノ一號ヲ加ヘ第二項中「且之ニ支配人ノ選任」ヲ
「支配人ノ選任及ヒ前項第四號ニ揭ケタル事項」ニ改ム
四數人ノ支配人カ共同シテ代理權ヲ行フヘキコトヲ定メタルトキハ
其代表ニ關スル規定
第百七十四條第百七十二條ノ規定ハ支配人ノ代理權ノ消滅及ヒ前條第一
項第四號ニ揭ケタル事項竝ニ其變更、消滅ノ登記ヲ申請スル場合ニ之ヲ
準用ス
會社カ申請人ナル場合ニ於テハ申請書ニ前項ニ揭ケタル事項ヲ證スル書
面ヲ添附スルコトヲ要ス
第百七十六條中「其選任」ノ下ニ「及ヒ商法第九十條第二號竝ニ第三號ニ揭
ケタル事項」ヲ加フ
第百七十七條商法第九十條ニ揭ケタル事項ノ變更ノ登記ハ會社ヲ代表ス
ヘキ現任〓算人ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
申請書ニハ變更ノ事由ヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第百八十二條ノ二合名會社カ合併ニ因ル變更ノ登記ヲ申請スルニハ申請
書ニ其事由ヲ記載シ第百七十九條第二項及ヒ前條第二項ニ掲ケタル書類
ヲ添附スルコトヲ要ス
第百八十二條ノ三合名會社カ合併ニ因ル設立ノ登記ヲ申請スルニハ申請
書ニ其事由ヲ記載シ第百七十九條第二項竝ニ第百八十二條第二項ニ揭ケ
タル書類及ヒ商法第四十四條ノ三第二項ノ規定ニ依リテ選任セラレタル
者ノ資格ヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第百八十四條第三項ヲ削ル
第百八十四條ノ二第百八十一條第一項及ヒ第二項ノ規定ハ合名會社ノ設
立取消ノ登記ノ申請ヲ爲ス場合ニ之ヲ準用ス
第百八十四條ノ三第百八十二條ノ規定ハ合名會社ノ組織變更ニ因ル解散
ノ登記ノ申請ヲ爲ス場合ニ之ヲ準用ス
第百八十四條ノ四商法第八十三條ノ三又ハ第八十三條ノ四ノ規定ニ依リ
合資會社ニ付キ爲スヘキ登記ハ無限責任社員ノ全員ノ申請ニ因リテ之ヲ
爲ス
申請書ニハ組織變更ノ事由ヲ記載シ定款ヲ添附スルコトヲ要ス
有限責任社員ヲ加入セシメタル場合ニ於テハ其加入ヲ證スル書面ヲ添附
スルコトヲ要ス
第百八十五條商法第百十八條第二項ノ規定ニ依リ合名會社ニ付キ爲スヘ
キ登記ハ總社員ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
前條第二項ノ規定ハ前項ノ登記ノ申請ヲ爲ス場合ニ之ヲ準用ス
第百八十五條ノ二第百七十九條第二項及ヒ前條ノ規定ハ商法第百十八條
ノ二ノ規定ニ依リ合名會社ニ付キ爲スヘキ登記ニ之ヲ準用ス
第百八十六條第百七十九條乃至第百八十四條ノ三ノ規定ハ合資會社ノ登
記ニ之ヲ準用ス但合名會社ニ於テ總社員ノ申請ニ因リテ爲スヘキ登記ハ
合資會社ニ於テハ其無限責任社員ノ全員ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
第百八十七條第二項ヲ左ノ如ク改ム
申請書ニハ左ノ書類ヲ添附スルコトヲ要ス
一定款
二株式ノ引受ヲ證スル書面
株式申込證
五四三取締役及ヒ監査役又ハ檢査役ノ調査報告書及ヒ其附屬書類
檢査役ノ報告ニ關スル裁判アリタルトキハ其謄本
六發起人カ取締役及ヒ監査役ヲ選任シタルトキハ之ニ關スル書類
七創立總會ノ決議錄
第百八十八條第二項中「裁判所ノ認可ヲ要スル場合ニ於テハ其裁判ノ謄
本、」ヲ削リ第三項中「變更ノ登記ハ」ノ下ニ「會社ヲ代表スヘキ」ヲ加フ
第百八十九條中第一號及ヒ第二號ヲ左ノ如ク改ム
一株式ノ引受ヲ證スル書面
二株式申込證
第百九十一條社債ノ登記ハ總取締役ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
申請書ニハ左ノ書類ヲ添附スルコトヲ要ス
最終ノ貸借對照表
二社債ノ引受ヲ證スル書面
三社債申込證
四各社債ニ付キ商法第二百四條ノ拂込アリタルコトヲ證スル書面
五社債ノ募集ニ關スル株主總會ノ決議錄
第百九十二條社債ニ關スル變更ノ登記ハ會社ヲ代表スヘキ總取締役ノ申
請ニ因リテ之ヲ爲ス
申請書ニハ變更ノ事由ヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第百九十三條ノ二株式會社カ合併ニ因ル變更ノ登記ヲ申請スルニハ申請
書ニ其事由ヲ記載シ第百八十二條第二項竝ニ第百八十九條第三號、第四號
ニ揭ケタル書類及ヒ株式ノ割當竝ニ引受ヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第百九十三條ノ三株式會社カ合併ニ因ル設立ノ登記ヲ申請スルニハ申請
書ニ其事由ヲ記載シ第百八十二條第二項竝ニ第百八十七條第二項ニ揭ケ
タル書類及ヒ商法第四十四條ノ三第二項ノ規定ニ依リテ選任セラレタル
者ノ資格ヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第百九十四條削除
第百九十五條資本ノ增加竝ニ減少、解散及ヒ合併ニ因ル變更竝ニ設立ノ
登記ハ總取締役及ヒ總監査役ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
第百九十五條ノ二第百三十五條ノ四ノ規定ハ商法第百六十三條ノ四ニ定
メタル登記ニ之ヲ準用ス
第百九十八條第百八十九條、第百九十條及ヒ第百九十六條第一項ノ規定
ハ資本ノ增加又ハ減少ノ登記ノ申請ヲ爲ス場合ニ之ヲ準用ス
第百九十八條ノ二社債ノ登記ハ無限責任社員ノ全員ノ申請ニ因リテ之ヲ
爲ス
申請書ニハ第百九十一條第二項ニ揭ケタル書類ヲ添附スルコトヲ要ス
第百九十八條ノ三社債ニ關スル變更ノ登記ハ會社ヲ代表スヘキ無限責任
社員ノ全員ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
申請書ニハ變更ノ事由ヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第百九十九條第百七十九條第二項、第百九十三條ノ二、第百九十三條ノ三
及ヒ第百九十六條第一項ノ規定ハ合併ニ因ル變更又ハ設立ノ登記ノ申請
ヲ爲ス場合ニ之ヲ準用ス
第二百條ノ二株式合資會社ノ組織變更ニ因ル解散ノ登記ハ無限責任社員
ノ全員及ヒ總監査役ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
申請書ニハ株主總會ノ決議錄及ヒ第百八十二條第二項ニ揭ケタル書類ヲ
添附スルコトヲ要ス
第二百一條第二項ヲ左ノ如ク改メ第三項ヲ削リ第四項中「前三項」ヲ「前二
項」ニ改ム
申請書ニハ組織變更ノ事由ヲ記載シ定款、株式ノ引受ヲ證スル書面及ヒ
組織變更ニ關スル株主總會ノ決議錄ヲ添附スルコトヲ要ス
第二百一條ノ二第百九十五條ノ二ノ規定ハ株式合資會社ニ之ヲ準用ス
第二百六條中「第二百六十一條、」、「、第五百三十六條」、「第六十條第二項、」
及ヒ「、第九十五條第三項」ヲ削ル
附則
本法ハ商法中改正法律施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行前ニ裁判所ノ受理シタル事件ニハ從前ノ規定ヲ適用ス
商法中改正法律附則ノ規定ニ依リ舊法ノ規定ヲ適用スヘキ場合ニ付テハ從
前ノ規定ハ仍ホ其效力ヲ有ス
後見人登記簿ハ法定代理人登記簿ノ一部トシテ其效力ヲ有シ營利ヲ目的ト
スル社團法人ノ登記簿ハ其法人ノ種類ニ從ヒ合名會社登記簿、合資會社登
記簿、株式會社登記簿又ハ株式合資會社登記簿ノ一部トシテ其效力ヲ有ス
〔司法大臣子爵岡部長職君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=24
-
025・岡部長職
○司法大臣(子爵岡部長職君) 唯今議題ニ供セラレタトコロノ商法中改正法律案
提出ノ理由ヲ簡單ニ述べマス商法ノ改正ハ數年來其必要ヲ感ジテ居ル次第デアリマ
シテ、當事者間ニモ之ヲ稱ヘラレ、又當局者ニ於テ實業界、辯護士團竝ニ諸官衙ノ意
見ヲモ聽キマシテ、商法中改正ヲ要スル〓ハ隨分多クアルコトヲ認メマシタ次第デアリマ
×3而シテ其改正ノ一日モ弛ウスベカラザル急務ナルコトヲ見テ、玆ニ本案ヲ提出致シマ
シタ譯デアリマス、本改正案ニ包含スルトコロノ條數ハ二百餘條ニ涉リ居リマス,是レ
皆商法ノ規定ノ不備ヲ補ヒ、又不當ナル點ヲ改メ、,又一面ニハ解釋上ノ疑義ヲ明カニ
シ尙商事ノ便宜ヲ計ルト同時二一ハ當業者殊ニ會社ノ營業ニ當ルモノヽ責任ヲ嚴
明ナラシメントスルコトヲ期シテ居リマス本案ニ對シテ貴族院ニ於テハ修正ノ條數ガ二
十四箇條ニ及ビマシタ、、併シ是ハ何レモ政府ガ本案ヲ提出致シマシタルトコロノ理由ト
其趣旨ニ於キマシテハ別ニ背馳スルトコロハナカッタノデアリマシテ、政府ハ貴族院ノ修正
ニ對シマシテハ大體ニ於テ之ニ同意ヲ表シマシタ次第デアリマス、幸ニ本案通過致シテ法
律案トシテ發布サレ、實施サレマシタ上ハ商取引ニ多大ノ便利ヲ與ヘマスコトヲ得マセウ
ト信ズル、又商事ノ營業ニ儼然タル秩序ヲ保ツコトモ得ラレマセウト確信致シマスル次
第デゴザイマス、本案中ニ規定シテ居リマスルトコロノ詳細ノ事項ニ至リマシテハ別ニ特
別委員會ニ於キマシテ說明致シマスル積リデアリマス、諸君ニ於カレマシテハ十分ニ御審
議下サッテ速ニ協賛アランコトヲ希望致シマス、次ニ商法施行法中改正法律案提出ノ
理由ヲ述ベマス、商法中ニアル會社ニ關スル罰則ノ改正ニ伴ヒマシテ之ト權衡ヲ得セ
シムルタメニ商法施行法第六十條第一項ニ違反シタル場合ニ於テ取締役ニ刑ヲ科スル
ノ必要ヲ認メマシテ本案ヲ共ニ提出致シマシタ次第デアリマス、次ニ非訟事件手續法中
改正法律案ニ付キマシテハ商法ノ改正ニ伴ヒマシテ非訟事件手續法中改正ヲ要スル
事項ガアリマシテ、而シテ其規定ノ事項ハ殊ニ商法登記ノ手續ニ關スルノデアリマス、右
申述ベタルトコロハ提出ノ理由ノ〓要デアリマス、ドウカ十分ニ御審議アランコトヲ希望致
シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=25
-
026・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 此三ツノ法案ニ對シテ說明ヲ求ムル發言ノ通〓ガアリマス
カラ、先ヅ其順ニ發言ヲ許サウト思ヒマス-長島鷲太郎君
〔長島鷲太郞君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=26
-
027・長島鷲太郎
○長島鷲太郞君 本員ガ司法大臣ニ此法案ノ提出ニ付テ說明ヲ求メマスル〓ハ極メ
テ簡單デアリマス第一ニ私ガ司法大臣ニ御說明ヲ願ヒタイノハ、司法大臣ガ本案改正
ハ數年來ノ希望デアルト御述ベニナリマシタガ、成程司法大臣ガ大臣ノ御職ニ御就キ
ニナッタノハ數年デゴザイマセウガ、此商法ニ付テノ改正ノ希望ハ數年デハナイノデアリマ
ス、現行商法ガ公布ニナリマシテカラ今日マデ約二十年、現行商法ノ公布ニナリマシタ
當時既ニ此商法ニ付テノ改正ノ希望ハ度〓アッタノデアリマスガ、實業家ハ勿論ノコト、
法律ニ從事シテ居ル者ト雖モ、度〓此改正ノ希望ヲ持ッテ居ッタノデアリマスル、又商法
ノ一部ノ改正ニ付テハ度〓本議會ニ現ハレタノデアリマスル、然ルニ常ニ政府ハ追テ
商法全部ノ改正ガアルカラ其時マデ待ッテ呉レロト云フコトニ於テ今日マデ延々ニナッテ居ツ
タノデアリマスル、不都合ハ幾ラモ現行商法ノ規定ノ中ニゴザイマスケレドモ、今日マデ國
民ハ之ヲ耐忍ンデ參ックノデアリマスル、而シテ今囘改正案ヲ見マスル吾ミハ政府ノ改正案
トシテ提出セラレタル以外ニ於テモ、尙幾ラモ吾〓ハ改正スベキ點ガアルト信ズルノデアリ
マス、又政府ガ改正案トシテ提出セラレタルモノヽ中ニ於テモ、如何ハシキ規定ガ隨分アル
ノデアリマス、當業者ハ勿論、法律家ノ間ニ於テモ此改正案ガ世間ニ發表セラルヽヤ否
ヤ、種々ナル議論ヲ提出スル者ガアルノデアリマス、政府ノ度〓言明セラレタ如ク、此商法ノ
總改正案ガ一タビ議了セラレタル後ニ於キマシテハ、又不都合ノ〓ヲ發見致シマシテモ
急ニ之ヲ改正セラレナイコトハ政府ノ度〓言明セラレタルトコロニ依ッテ明白デアルト信ズル
ノデアリマス、シテ見マスルト此商法ノ改正案ニ付キマシテハ審査調査ト申シマスルモノハ
極メテ鄭重ニナサンケレバナラヌト思ヒマス就テ私ガ司法大臣ニ伺ヒタイノハ政府ハ此
改正案ヲ吾〓ニ調査セシムルニ當ッテ適當ノ時ヲ藉スダケノ雅量ガ無イノデアルカドウカ、
又此商法ノ此度ノ改正案ト云フモノハ是非本議會ニ於テ之ヲ議了シナケレバナラヌ必
要ガアルカドウカ、此事ヲ私ハ第一ニ伺ヒタイノデアリマス、第二ニハ此商法ノ改正案ノ提
出ニ付テ特ニ私ハ司法大臣ニ伺ハナケレバナラヌ、否ナ司法大臣ノミナラズ政府ノ々廿大臣
ニ伺ハナケレバナラヌコトガアルノデアリマス、一體我國ニ於テハ何事モ軍事デアル軍事
デナケレバ夜ノ明ケヌ國デアル、其軍事デナケレバ夜ノ明ケヌ我國ニ於テ此平和的大法
典ヲ提出サレマシタノハ吾〓大ニ喜ブトコロデアリマスル、其內容ノ如何ハ偖措イテ、吾ミ
ハ大ニ喜ブトコロデアル、併ナガラ私ハ遺憾ニ存ズルノハ免ニ角此大法典、國民ノ守ルベ
キトコロノ大法典ノ提出ニ當ッテ此席ニ列セラレテ居ルトコロノモノハ僅ニ司法大臣及農
商務大臣ノ二大臣ノミデアル、苟モ一國ノ國民ノ守ルベキトコロノ大法典ヲ提出スルニ
當ッテ其他ノ大臣ガ列席セラレナイト云フノハ、是ハ如何ナル理由デアリマスルカ、如何ニ我
內閣ガ軍事施設ニ汲々シテ居ルトハ云ヒナガラ、此大法典ヲ國民ニ示スニ當ッテ、內閣
諸公ノ總テガ御出席ガナイト云フコトハ私ハ甚ダ遺憾ニ存ズルノデアリマス(「ヒヤ〓〓
ト呼フ者アリ)此〓ニ付テ私ハ特ニ政府ニ伺ヒタイノハ政府ハ此大法典ノ提出ニ當ッ
テ誠心誠意通過ヲ圖ラレル御目的デアルカドウカト云フコトヲ私ハ伺ヒタイノデアリマス
ル、第三ニ私ノ伺ヒタイノハ此改正ノ商法ヲ昨年併合セラレタトコロノ帝國ノ新領土ニ
施行スルトコロノ御意思ガアルヤ否ヤト云フコトヲ質問シタイノデアル、外國ノ事例ヲ見
マシテモ殊ニ佛國ノ如キハ北ハ北海ニ面シ、南ハ地中海ニ面シテ、北ト南ト習慣ヲ異ニ
シテ居ッタ彼ノ佛國ニ於テモ宰相「コルベル」ガ商事ニ關スル法律ヲ編纂シタノガ、佛國
ノ法律ノ統一ノ原因トナッテ居ルノデアリマスル、獨逸ニ於テモ同ジコトデアル、獨逸帝國
ノ成立前ニ於テ聯邦ガ相對峙シテ居ルトキニ於テモ爲替法トカ商法デアルト云フモノハ
先ヅ施行サレタノデアル、而シテ獨逸帝國ガ成立シ、彼ノ佛蘭西ヨリ「アルサス、ローレン」
ヲ得ルニ及ンデハ獨逸ノ法律ト云フモノヲ彼ノ新領土ニ行ッタノデアリマスル、苟モ此新ニ
領土ヲ併合シタルトキニ於テ、恰モ此商法ノ改正案ヲ提出セラレタル時期ニ於テ、爲政
家ハ啻ニ軍事施設ノミヲ以テ併合ノ實績ヲ舉ゲルト一云フコトヲ考ヘルノミナラズ、平和
的手段ヲ以テ法律ヲ統一シ、而シテ併合ノ好成績ヲ得ルト云フコトニ考及ボサナケレバ
ナラヌト私ハ信ズルノデアリマスル、然ルニ此商法ノ改正案ヲ出スニ付テ、此法律ガ新領
土ニ及ブヤ否ヤト云フコトニ付テ未ダ政府ノ御所存ノアルトコロヲ聽カナイノハ、私ハ甚
ダ遺憾ニ存ズルノデアリマス、現內閣ハ外國ノ事情ニ通ゼラレテ居ル而モ獨逸ノ國勢
ニ通ゼラレテ居ル方ミヲ以テ組織サレタノデアリマスル、其方ミガ此〓ニ御考慮ヲ費サレ
ナカッタノヲ私ハ甚ダ遺憾ニ存ズルトコロデアリマスル、啻ニ私ハ例ヲ外國ノ事例ニ求メ
ナイノデアリマス、我國ニ於テモ法典ノ歷史ヲ囘顧致シマスト云フト民法ノ制定ガナク
モ、手形條例デアリマストカ、商法デアルト云フモノハ法典ノ前驅ヲ爲シテ適用サレタ
ノデアリマスル、明治十五年ニハ爲替手形、約束手形條例ガ公布ニナッテ、他ノ法律
ハ我國ニ布カレナイデ居リマシタケレドモ、先以テ爲替手形、約束手形ニ付テノ法律ト
云フモノヲ國民一般ニ適用ニナッタノデアリマスル、明治二十六年ニ於テハドウデアルカ、
未ダ商法ノ全部及民法ノ全部ハ公布セラレヌデアリマシタケレドモ、商法ノ中ノ一部、
手形ニ關スルトコロノ法律ㄱ會社ニ關スルトコロノ法律、及破產ニ關スルトコロノ法律ト
云フモノハ適用サレタノデアリマスル、政府當局或ハ言ハレルデアリマセウ、新領土ニ於テ
ハソレ〓〓習慣ガアルカラシテ法典編纂ニ今ヤ著手シテ居ル斯ウ云ウ辭柄ヲ以テ私ノ
質問ニ答ヘラルヽカ知リマセヌ併ナガラ民法デアリマストカ、刑法デアルトカ云フモノナラ
バ其國ノ人情風俗ト云フモノヲ參酌シテ制定スル必要ガゴザイマス、ケレドモ商事ニ關
スル規定ト云フモノニ付テハ左樣ナ憂ハナイノデアル,況ヤ我帝國ノ新領土ノ關係ヲ密
接ナラシムベキ必要ノアル今日ニ於テハ、此商事ニ關スルトコロノ法律ト云フモハ第一著
ニ新領土ニ適用シナケレバナラヌト云フコトハ是ハ明白ナ事柄デアリマスル故ニ、私ハ政
府當局ニ問ヒタイノデアリマス、政府ハ此改正ノ商法案ヲシテ他ノ法律ニ先ッテ新領土
ニ適用スルノ御意思ガアルカドウカ、假ニ此商法ノ全體ト云フモノヲ適用致サヌトシタト
コロガ曾テ我國ニ於テ事例ヲ示シタ如ク、此商法ノ中ノ一部、或ハ手形ニ關スルモノ
デアルトカ、或ハ會社ニ關スルモノデアルトカ、或ハ破產ニ關スル規定デアルトカ云フモノ
ヲ先以テ新領土ニ適用スバキトコロノ-實施スルトコロノ御所存ガアルカドウカ、是ガ私
ノ內閣諸公ニ問ヒタイトコロノ第三ノ質問デゴザイマス
〔司法大臣子爵岡部長職君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=27
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028・岡部長職
○司法大臣(子爵岡部長職君) 唯今長島君カラノ質問ガアリマシタニ付テ御答シマ
ス、長島君ノ御質問ノ趣意ハ第一ノ御質問ハ,本案ヲ此度提出致シマシタニ付テハ、
政府ハ此會期ニ速ニ通過ヲ求ムルノデアルカト云フ要領デアッタト存ジマス、本案ヲ政府
ニ於キマシテ調査致シマシタノハ餘程長クノ歲月ヲ經テ調査ヲ重ネマシタ譯デアリマス、
而シテ漸ク此際議會ニ提出ヲ致シマスルマデニナリマシタ譯デ、旣ニ本會議ノ初メニ於テ
貴族院ニ之ヲ提出致シ、同院ニ於テ之ヲ修正可決セラレテ、本日本院ノ議ニ上リマ
シタ譯デアリマス、政府ニ於テハ本案ノ調査ニ付テハ最モ愼重ナル取調ヲ遂ゲマシテ、今
日ニ至リマシタ譯デアリマス、無論政府ハ本院ノ諸君ニ於カレテ十分ナル審査ヲ遂ゲラ
レタル上ニ速ニ協贊ヲ與ヘラレンコトヲ切ニ希望シテ居ル譯デアリマス、又改正ニナリマシ
タトコロノ改正商法ハ新領土ニ直ニ行ハレルモノデアルカ如何ト云フ御尋ニ對シマシテ
ハ是ハ唯今本官カラ御答ヲ致シマスコトハ控ヘテ置キマス
(「何故ニ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=28
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029・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 高木益太郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=29
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030・高木益太郎
○高木益太郞君 本員ハヤハリ、政府ニ對シテ商法改正案ノ提出方ニ付テ、說明ヲ
求メタイコトガアリマス
〔「登壇々々」ト呼フ者アリ〕
〔高木益太郞君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=30
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031・高木益太郎
○高木益太郞君 唯今岡部司法大臣ノ說明ニ依リマスト商法典ノ改正ハ、二百有
餘條ニ及ンデ居ルガ、貴族院ハ玆ニ二十何箇條ノ修正ヲシタト言ハレルケレドモ、本員ノ
配付ヲ受ケタトコロノ修正案ヲ讀ンデ見ルト字句ノ改正ハ免ニ角、大體ノ趣意ノ改正
ハ、僅カニ三要點ニ止ッテ居ルノデアリマス、是ニ付キマシテ本員ハ一〓、桂內閣ノ諸公ニ
向ッテ說明ヲ求メタイコトガアルソレハ政府當局者ガ商法改正案ヲ先ヅ、衆議院ノ議
ニ付セズシテ、之ヲ貴族院ノ議ニ付シタル事情ハ如何ナル次第デアルカ(「ヒヤ〓〓」ト呼
フ者アリ)此一點デアリマス、本員ハ固ヨリ衆議院ノ先議權ヲ主張スル次第デハナイノデア
リマス、併ナガラ之ヲ內ニ省ミレバ我衆議院ハ第二十五第二十六議會ニ於テ吾〓ノ
尊敬スルトコロノ同僚ヨリシテ、或ハ商事會社法改正案ノ提出アリシガ如キ、又或ハ株
式會社合併ニ關スル法案ノ通過アリシガ如キ(拍手起ル)事實モアルノデアル、又之ヲ外
ニ顧ミレバ商業會議所、銀行集會所、其他民間ノ有力ナル各團體カラシテ、社會ノ實
際狀態ニ鑑ミテ、商法典改正ノ必要ヲ訴ヘタト云フコトハ爭フベカラザル事實デアル、唯
今岡部司法大臣ハ、豫テ國事ニ付テハ常ニ寢〓ヲ忘ルヽト云フコトヲ自稱セラレテ居ツ
テ、(笑聲起ル)而モ此案ト云フモノハ商取引ノ便利ト、實業上ノ敏活ヲ計ルタメニ出シ
タモノデアルト云フコトヲ言ハレタ、果シテ其ノ精神デアッタナラバ此法典改正ヲ訴ヘタル
趣意ハ右等ノ事情ニ依ッテ彼此參酌シテ民間ニ於ケル實際上ノ必要カラシテ、之ヲ編
纂セラレタコトデアレバ,道理上、又順序上、先ヅ國民ノ利害痛痒ニ最モ直接關係ノ深
イ衆議院ノ議ニ付シテ、所謂民心ノ歸嚮スルトコロハ何處デアルト云フコトヲバ能ク調
査ヲシテ、サウシテ其修正スベキハ修正シ、加除スベキハ加除スル、是ニ於テ第一案ノ成
ルノガ當然デアラウト私ハ信ジマス、サスレバ第一ニハ貴族院ノ諸公ニ於テモ先ヅ商法ノ
改正案ニ於テ實際ニ適切ナルトコロノ審議ヲ下スコトガ出來マスルシ又第二ニハ貴族
院衆議院兩院ノ意見ガ相齟齬シ、杆格スルト云フヤウナコトヲ防グコトノ出來ル便利ガア
ルノデアリマス、ハ是ハ當局者ガ-親切ナル當局者ガ將ニ務ムベキ當然ナル注意デアルト
本員ハ信ジテ居リマスノニ、當局者ノ措置茲ニ出デズシテ居ルト云フコトハ何故デアルカ、
昔カラノ諺ニ商賣ニ迂遠ナルコトヲ嘲ッテ士族ノ商法ト云ッテ居ルノデアル、士族ニ於テ
然リ、況ヤ大名ニ於テオヤ(拍手起ル)民間ノ事情ニ遠ザカリ經濟社會、利殖社會ノ
煩累ヲ厭フト云フヤウナ方ミガ多イ貴族院ニ向ッテ此實際ノ生活社會ニ關係ノ多イ商
法ノ審議ヲ第一ニ任スト云フコトハ政府ハ如何ナル考ヲ以テ此ノ如キ措置ヲ執ッタノデ
アルカㄱ吾〓ハ此商法ヲ是非完全ニシタイ、眞面目ニ改正ヲシタイト一云フ考ヲ持ッテ居ル
ノデアルガ、是ハ確ニ商法改正ノ上ニ於テ一大損失デアルト思ヒマスカラ、私ノ質問ノ
〓ニ付テ十分親切ナル當局大臣ノ說明ヲ求メタイノデアリマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=31
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032・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 岡部司法大臣
〔司法大臣子爵岡部長職君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=32
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033・岡部長職
○司法大臣(子爵岡部長職君) 高木君ノ御尋ニ簡單ニ御答ヲ致シマス、政府ニ於
テハ都合ニ依リマシテ貴族院ニ先ニ提出致シマシタノデアリマス(高木益太郎君「其都
合トハ如何」ト呼フ)初メ議會ノ開會ノ頃ハ卽チ大案タルトコロノ豫算案ヲ衆議院ノ方
ニ提出セラレタ譯デアリマス、貴族院ノ方ニハ此法案ヲ差出スノヲ以テ(「高聲ニ願ヒマ
ス」ト呼フ者アリ)宜シキヲ得タルモノト信ジテ出シタノデアリマス、其他ニ何モ意味ハゴザ
イマセヌ
(高木益太郞君「其理由如何」ト呼フ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=33
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034・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 松田源治君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=34
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035・松田源治
○松田源治君 本員モ司法大臣ニ說明ヲ求メタイノデアリマス(「登壇々々」ト呼フ者
アリ)登壇ヲスル必要ハアリマセヌ、商法改正ノ中ノ詳細ナルコトハ委員諸氏カラ委員
會ニ於テ質問ガアルコトヽ存ジマスケレドモ商法ノ根本主義ヲ變ヘタルコトガ一ツアルノ
デアリマス、他ニモアルカ知リマセヌケレドモ、最モ注意シナケレバナラヌトコロノ會社ノ罰則規
定、五年以下ノ懲役ニ處スト云フ-取締役、監査役或ハ〓算人トカ支配人トカ云フ
モノヲ五年以下ノ懲役ニ處スルト云フガ如キ、、嚴罰ノ規定ヲ商法ニ設ケタノデアル、今
日マデノ商法ハ刑事罰ハ規定シテ居ラヌノデアリマス、商法違反トカ、所謂商事罰、過
料-アヤマチ料ト云フモノヲ取締役、監査役、支配人ト云フヤウナモノニ科シテ居ル
ノデアリマス、其他ノコトハ總テ刑法ノ制裁ニ任シテアルノデアリマス、然ルニ政府ハ今囘
其規定ニ根本的ノ革新ヲ加ヘテ、五年以下ノ懲役或ハ三年以下ノ懲役會社ノ業
務又ハ會社ノ財產狀況ニ付キ裁判所又ハ總會ニ對シ不實ノ中述ヲ爲シ、又ハ事實ヲ
隱蔽シタル如キニ對シテモ、三年以下ノ懲役ニ處ス、又過失ニ出デタルトキハ三千圓以
下ノ罰金ニ處スト云フコトニナッテ居ル、故意デナク過失ニ出デタル場合ニ於テ、三千圓以
下ノ罰金ト云フ大ナル刑法罰ノ罰金刑ヲ科シテ居ル其他刑罰的ノ規定ヲ設ケマシテ、
重役ノ制裁ニ關スル嚴重ナル規定ヲ設ケタノハ如何ナル理由ニ基クノデアリマスカ、是ハ
國ノ立法例等ニモアルト云フコトデ、外國ノ立法例ニ模サレタノデアリマスカ、外國ノ立
法例ニ模スルナラバ、英國ニ於ケル千八百六十一年ノ竊盜條例ニモ似寄ッタ規定ガア
ルト申シマスレバ、現行商法ヨリズット以前ノ竊盜條例デアリマスカラ、現行商法ノ中ニモ
規定シテ差支ナイモノデアル然ルニ現行ノ商法ニ之ヲ規定セズシテ、今囘突然トシテ重
役ノ體刑及多額ナル罰金刑ヲ過失罪ニモ是ガ制裁ヲ與ヘルト云フ規定ヲ設ケラレタノ
ハ、商法ノ今日マデ執ッテ居ッタ主義ヲ根本的カラ覆ヘシ實業社會ニ不安ノ念ヲ與ヘ、
日本ノ實業ノ作振ヲ或ハ阻害シハシマイカト吾〓ハ考ヘル、司法省ニ向ッテハ每年警告
ヲ與ヘテ居ル、監獄ニ入レル在監人ノ數ヲ殖ヤスカライカヌト云ウテ監獄費ヲ昨年モ削
リ、今年モ削ッテ、警告ヲ與ヘテ居ル然ルニ何ヲ苦ンデ犯罪人ヲ出ス、、嚴重ナル罰則ヲ
新ニ商法ニ規定セラレタルハ如何ナル理由ニ基クノデアリマスカ、是ハ「第三者ノ利害ヲ
圖リ又ハ本人ニ損害ヲ加フル目的ヲ以テ其任務ニ背キタル行爲ヲナシ本人ニ財產上ノ損
害ヲ加ヘタルトキ五年以下ノ懲役ニ處ス」ト云フ此規定デ以テ澤山デアル、然ルニ事實
是ヨリズット輕イ過失罪マデモ罰シテ、之ヲ擴張スルト云フコトハ如何ナル理由ニ基イテ居
リマスカ、司法大臣ハ此商法ハ當事者ニ大ニ便宜ヲ與ヘ、秩序アル健全ナル實業ノ發
達ヲ促スト云フコトヲ二言ハレマシタケレドモ、ヽ斯ル重罰ヲ科シ、斯ル苛法嚴法ヲ設ケテ重
役ヲ取締ルト云フコトデアッタナラバ、却テ實業社會ハ不秩序トナッテ、健全ノ發達ハ出
來ナイト考ヘルノデアリマス、法律ノ格言ニモ「法律ヲ以テ人ヲ正直タラシムベカラズ」ト云フ
コトガアル、斯ル苛法ヲ設ケテ人ヲ正直ニナサシムルト云フコトハ思ハザルノ甚シキモノト
考ヘル、是ハ自然ノ趨勢ニ從ッテ健全ナル實業社會ノ發展ヲ待ツヨリ外ニ仕方ガナイノ
デアル、政府ハ唯外國ノ立法例ニ模シタト云フノデアルカ、又ハ日糖事件トカ水產事件
ガ起ミテソレニ総イテ周章猥狽シテ此規定ダ態そ設ケタノデアルカ、是ハ商法ノ中ノ最
モ重大ナル今日マデノ主義ニ根本的改革ヲ加ヘル條文デアリマスカラ、大問題ト考ヘマ
スノデ、司法大臣ハ本會ニ於テ詳細ニ現行商法ノ主義ヲ改メタル理由ヲ說明セラレンコ
トヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=35
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036・岡部長職
○司法大臣(子爵岡部長職君) 唯今松田君カラ質問デアリマシタ、此席ヨリ簡單ニ
御答致シマス(松田源治君「詳細ニ望ミマス」ト呼フ)唯今提出ノ理由ヲ述ベマシタ際ニ
モ申置キマシタ通リ、政府ニ於キマシテハ本案ヲ極メテ愼重ニ調査致シマシテ唯今質問
サレマシタトコロノ事項ニ付テモ十分ナル考慮ヲ盡シマシタ末、今般改正ヲ致スニ付テ此
條項ヲ加ヘマスルコトヲ必要ト認メタノデアリマス、ソレニ付テ又詳細ナル御尋ガアリマス
レバソレハ特別委員會デ精シク述ベマシタ方ガ御互ニ便利ト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=36
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037・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) ドウデゴザイマス、日程ノ第四、第六、第八、卽チ右議案ノ
審査ヲ付託スベキ委員ノ選舉ヲ一括シテ議題ニ供シタイト思ヒマス
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
第四右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉
第六右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉
第八右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=37
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038・菅原傳
○菅原傳君 三案トモ關聯シ重大ナル案件ト思ヒマスカラ議長指名一一十七名ノ委員
ニ付託セラレンコトヲ望ミマス
〔「贊成ケ々」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=38
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039・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 日程第三第五第七ノ議案ハ一括シテ議長指名ノ特別委
員二十七名ニ付託ト云フコトニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=39
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040・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ガナケレバ其通リ決シマス-日程第九不動產登
記法中改正法律案ノ第一讀會ヲ開キ、議案ノ朗讀ハ省略致シマス
第九不動產登記法中改正法律案(政府提出貴族院第一讀會
送付)
不動產登記法中改正法律案
不動產登記法中左ノ通改正ス
第百二條ノ二既登記ノ不動產ヲ世傳御料ニ編入シタル場合ニ於テ其登記
ノ抹消ノ囑託アリタルトキハ登記用紙中表示欄ニ世傳御料ニ編入シタル
旨ヲ記載シ不動產ノ表示、表示番號及ヒ登記番號ヲ朱抹シ其登記用紙ヲ
閉鎖スルコトヲ要ス此場合ニ於テハ前條ノ規定ヲ準用ス
第百三條ノ二不動產ニ付キ遺留財產ノ設定又ハ增加ノ勅許アリタルトキ
ハ當該官廳ハ遲滯ナク遺留財產ノ設定ノ登記ヲ登記所ニ囑託スルコトヲ
要ス
第百四十二條ノ二遺留財產ノ廢止ノ勅許アリタルトキハ當該官廳ハ遲滯
ナク遺留財產ノ設定ノ登記ノ抹消ヲ登記所ニ囑託スルコトヲ要ス遺留財
產ノ相續人ナキトキ亦同シ
附則
本法ハ明治四十五年一月一日ヨリ之ヲ施行ス
〔司法大臣子爵岡部長職君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=40
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041・岡部長職
○司法大臣(子爵岡部長職君) 本案ハ誠ニ簡單ナルモノデアリマス、皇室財產令ニ
依リマシテ世傳御料及遺留財產ノ制ガ定マリマシタニ付キマシテ、條例中世傳御料ニ
編入セラレタル不動產ニシテ登記アルモノハ宮內大臣ヨリ其登記ノ抹消ヲ登記所ニ囑託
スル旨ヲ提出致シテ以テ不動產登記法中其抹消手續ヲ定ムルノ必要ヲ認メタノデアリ
やく、又遺留財產ハ皇族ノ世襲ニ屬スル財產ニシテ他人ニ於テ之ヲ取得スルコトヲ得ザ
ルヲ以テ華族世襲財產ノ例ニ傚ヒ此登記手續ヲ規定スルノ必要ヲ認メタノデアリマス、
是ハ誠ニ簡單ナ案デアリマシテ說明ハ唯今申ス通リデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=41
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042・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 別ニ御質問モナイト思ヒマスカラ日程第十、右議案ノ審査
ヲ付託スヘキ委員ノ選舉ヲ議題ト致シマス
第十右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=42
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043・菅原傳
○菅原傳君 本案ハ議長指名九名ノ特別委員ニ付託スルコトヲ印王ミマス
〔「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=43
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044・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 本案ハ議長指名ノ特別委員九名ニ付託スルト云フニ御異
議ハアリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=44
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045・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ガナケレバ其通リニ決シマス-日程第十一、鑛業
法中改正法律案ノ第一讀會ヲ開キ、議案ノ朗讀ハ省略致シマス
第十一鑛業法中改正法律案(政府提出貴族院送付)第一讀會
鑛業法中改正法律案
鑛業法中左ノ通改正ス
第十一條中「鑛業ヲ爲シ又ハ鑛業ノ爲之ヲ使用スルコトヲ得ス」ヲ「鑛業ヲ
爲スコトヲ得ス」ニ改ム
第十四條ノ二農商務大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本法ニ依ル職權ノ一部
ヲ鑛山監督署長ニ委任スルコトヲ得
第三十三條ノ二試掘權者試掘權ノ存續期間滿了後十日以內ニ同種ノ鑛物
ニ付更ニ鑛業ノ出願ヲ爲シタルトキハ舊試掘鑛區ニ係ル部分ニ付テハ他
ノ出願人ニ對シ優先權ヲ有ス
前項ノ場合ニ於テ他人ノ出願ノ目的異種ノ鑛物ナルトキハ第三十一條ノ
規定ヲ準用ス此ノ場合ニ於テハ前項ノ出願ヲ爲シタル者ヲ以テ鑛業權者
ト看做ス
第三十四條中「前條」ヲ「第三十三條」ニ改ム
第三十六條鑛業權者ハ鄰接鑛區ノ鑛業權者及抵當權者ノ承諾ヲ得タルト
キハ其ノ鑛區ニ掘進スル爲增區ヲ出願スルコトヲ得
鑛床ノ位置形狀ニ依リ鄰接鑛區ニ掘進スルニ非サレハ鑛利ヲ保護スル能
ハサル場合ニ於テハ其ノ鑛業權者ノ承諾ヲ得テ鑛區ノ訂正ヲ出願スルコ
トヲ得此ノ場合ニ於テハ鑛業權者ハ正當ノ理由ナクシテ其ノ承諾ヲ拒ム
コトヲ得ス
前二項ノ出願ヲ爲サムトスル者ハ其ノ願書ニ鑛區圖ノ外鑛床圖ヲ添附ス
ヘ
前項ノ鑛床圖ハ之ヲ鑛區圖ノ一部ト看做ス
第八十一條ニ左ノ一項ヲ加フ
自己ノ掘採シタル鑛物ト他人ヨリ取得シタル鑛物トヲ合併シ製鍊スル場
合ニ於テ其ノ取得鑛物ヨリ製出シタル鑛產物ニ付テモ亦前項ニ同シ但シ
其ノ取得鑛物ノ數量カ自己ノ掘採シタル鑛物ノ數量ニ超過スルトキハ其
ノ超過部分ヨリ製出シタル鑛產物ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
附則
本法ハ明治四十四年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
(農商務大臣男爵大浦兼武君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=45
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046・大浦兼武
○農商務大臣(男爵大浦兼武君) 唯今議題ニナリマシタトコロノ鑛業法ハ明治三
十八年ニ發布セラレタルモノデゴザイマス、其後今日マデ實行シ來リタルモノデゴザイマス
所ガ近時鑛業ノ發達進步ニ伴ヒマシテ、誠ニ不備ノ點ガ尠カラヌノデ成ルベク鑛業界ノ
便利ヲ圖ルト同時ニ事務ノ簡捷ニ最モ注意シナケレバナラヌタメニ改正ヲ要スルノデゴ
ザイマス固ヨリ簡單ナ法律デハゴザイマスカラシテ、速ニ御協賛ヲ願ヒタイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=46
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047・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 別ニ御發議モナイヤウデアリマスカラ日程第十二、右議案ノ
審査ヲ付託スベキ委員ノ選舉ヲ議題ト致シマス
第十二右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=47
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048・菅原傳
○菅原傳君 本案ハ議長指名九名ノ特別委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=48
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049・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 本案ハ議長指名特別委員九名ニ付託ト云フコトニ御異
議ハアリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=49
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050・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ナケレバ其通リ決シマス、-日程第十三及第十
五ハ朝鮮ニ關スル議案ナルニ依リ、一括シテ議題トナスニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=50
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051・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ナケレバ明治四十年法律第四十八號中改正法律
案、明治四十年法律第四十九號中改正法律案ヲ一括シテ議題ニ致シマス、議案ノ
朗讀ハ省略致シマス-政府委員
第十三明治四十年法律第四十八號中改正法律案第一讀會
(政府提出)
第十五明治四十年法律第四十九號中改正法律案第一讀會
(政府提出)
明治四十年法律第四十八號中改正法律案
明治四十年法律第四十八號中「統監府」ヲ「朝鮮總督府」ニ、「判任」ヲ「內地人
タル判任」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本法ハ本法施行前退官シタル者ニモ之ヲ適用ス
統監府及其ノ所屬官署竝鐵道院韓國鐵道管理局及朝鮮鐵道管理局ニ於ケル
在職ハ朝鮮總督府及其ノ所屬官署ニ於ケル在職ト看做ス
明治四十年法律第四十九號中改正法律案
明治四十年法律第四十九號中「統監府」ヲ「朝鮮總督府」ニ、「巡査」ヲ「內地人
タル巡査」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本法ハ本法施行前退職シタル者ニモ之ヲ適用ス
統監府及其ノ所屬官署ニ於ケル在職ハ朝鮮總督府及其ノ所屬官署ニ於ケル
在職ト看做ス
〔政府委員安廣伴一郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=51
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052・安廣伴一郎
○政府委員(安廣伴一郞君) 第一ノ明治四十年法律第四十八號ト申シマスノハ、
朝鮮ニ在勤致シマストコロノ官吏ノ恩給及扶助料ニ關シマシテ、三年以上勤續致シマ
シタルモノニハ一箇月ニ付テ半箇月ヲ加算スルト云フ法律デゴザイマスガ、今囘朝鮮ガ
我領土ニナリマシテ「統監府」ヲ「朝鮮總督府」ト改メマシタカラ單ニ其文字ダケヲ改メマ
スダゲノコトデゴザイマス、ソレカラ朝鮮人タルトコロノ判任官以上ニハ適用致シマセヌカラ
「內地人タル」ト云フ字ヲ加ヘマスダケノ簡單ナ案デゴザイマス、次ノ案モ是モ同ジク思給
及扶助料ニ關シマシタルモノデゴザイマスルガ、是ハ巡査ニ關係ヲ致シテ居リマストコロノ
モノデアリマス、同ジク「統監府」ト云フ文字ヲ「朝鮮總督府」ト改メマシテ、「內地人」ト
云フ字ヲ加ヘマス案デゴザイマス御贊成アランコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=52
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053・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 別ニ御質疑モナイト認メマスカラ日程第十四、第十六、右
議案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ選舉ヲ議題ト致シマス-
第十四右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選擧
第十六右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=53
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054・菅原傳
○菅原傳君 兩案ヲ一括シテ議長指命ノ九名ノ特別委員ニ付託セラレンコトヲ望ミ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=54
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055・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 兩案ヲ一括シテ議長指命ノ特別委員九名ニ付託スルコト
ニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=55
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056・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ナイト認メマスカラ其通リ決シマス-日程ノ第十
七、第十九及第二十一ハ軍人恩給ニ關スル議案ナルニ依リ、一括シテ議題トナスニ御
異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=56
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057・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ナケレバ軍人恩給法中改正法律案、明治三十三
年法律第七十六號中改正法律案、明治三十三年法律第七十五號同三十五年法
律第二十九號準用ニ關スル法律案ヲ一括シテ第一讀會ヲ開キ、議案ノ朗讀ハ省略致
シマス、石本陸軍次官
第十七軍人恩給法中改正法律案(政府提出)第一讀會
明治三十三年法律第七十六號中改正法律
第十九第一讀會
案(政府提出)
明治三十三年法律第七十五號同三十五年法
第二十一第一讀會
律第二十九號準用ニ關スル法律案(政府提出)
軍人恩給法中改正法律案
軍人恩給法中左ノ通改正ス
第六條但書中「十一年ノ額トス」ヲ「十一年ノ額トシ陸軍一等樂長及海軍兵曹
長同相當官ニシテ最高ノ俸給ヲ受ケタル者ニハ高等官六等ノ額、其他ノ海
軍兵曹長同相當官ニハ高等官七等ノ額、陸海軍准士官ニシテ其官ニ對スル
最高ノ俸給ヲ受ケタル者ニハ高等官八等ノ額ヲ給ス」ニ改ム
第十六條中「其額ハ第四號表ニ依ル」ヲ削リ左ノ一項ヲ加フ
給助金ハ死歿者ニ在リテハ死歿シタルトキノ現官階ニ應シ第四號表六年
ノ額ヲ給シ現役ヲ離レタル者ニ在リテハ現役ヲ離レタルトキノ現官階ト
其服役年數トニ從ヒ第四號表ニ依リ之ヲ給ス
但陸軍一等樂長、海軍兵曹長同相當官及陸海軍准士官ニ給スル額ハ第六
條但書ノ例ニ依ル
第十七條第一項第一號但書中「兵卒トナリタル日」ノ下ニ「同條第七ニ當リタ
ル者ハ其刑期滿限ノ翌日」ヲ加フ
第二十四條第六號ヲ左ノ如ク改メ同條第七號中「諸卒」ヲ「陸海軍下士及諸
卒」ニ改ム
六陸軍下士上等兵及同等級者ニ於テハ陸軍懲罰令ニ依リ又ハ素行修ラ
ス若クハ其職務ヲ辱シムルニ依リ官職ヲ免セラレタルトキ
第二十八條寡婦扶助料ノ年額ハ當該軍人ノ官階ト其服役年數トニ從ヒ左
ノ各號ニ依リ之ヲ給ス但現役五十年以上又ハ十一年未滿ノ者竝陸軍一等
樂長、海軍兵曹長同相當官及陸海軍准士官ノ寡婦ニ給スル額ハ第六條但
書ノ例ニ依ル
一前條第一ニ當ルトキハ第一號表又ハ第二號表ノ金額
二前條第二ニ當ルトキハ第一號表又ハ第二號表ノ金額三分ノ二
三前條第三ニ當ルトキハ第一號表又ハ第二號表ノ金額三分ノ一
扶助料年額圓位未滿ノ數ハ圓位ニ滿タシム
第一號表、第二號表及第四號表ヲ附表ノ如ク改ム
第五號表削除
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス但シ明治四十三年四月一日以後本法施行ノ
日迄ニ於テ現役ヲ離レ又ハ現役中死歿シタル者及其ノ遺族ニ給スヘキ恩給
ノ金額ハ本法ノ規定ニ依ル
本法施行以前退職恩給、免除恩給、給助金又ハ扶助料ヲ受クヘキ權利發生シ
タル者ニ給スヘキ恩給ノ金額ハ前項但書ノ場合ヲ除クノ外總テ從前ノ規定
ご依頼
從前ノ規定ニ依リ退職恩給又ハ免除思給ヲ受ケ死歿シタル者ノ遺族ニ給ス
ヘキ扶助料及其ノ轉給ヲ受クヘキ者ニ給スヘキ扶助料ノ金額ハ總テ從前ノ
規定ニ依ル
第一號退職恩給表
官將官及相當官佐尉官及相當官准士官
年等高等官判任官
數親任一等二等三等四等五等六等七等八等等
變圖
十一年一、八〇〇一、四〇〇一、二五〇九〇〇七五〇五五〇三七〇二十〇二一〇一八〇
十二年一、八三五一、四三〇一、二七五九一八七五三五六〇三六七二三五二一五一 百 円
十三年一、八七〇一、四六〇一、三〇〇九三六七七三五七〇三元円六八二二〇六
十四年一、九〇五一、四九〇一、三二五えき丼七八九五八〇三八二八五二三五一九二
十五年一、九四〇一、五二〇一、三五〇九カニー八〇二至九三八八二九〇I110一次
十六年一、九七五一、五五〇一、三七五九九〇八一五六〇〇三九五二六五二三五二〇〇
十七年二、〇一〇一、五八〇一、四〇〇一、〇〇八八二八六一〇四〇二三〇〇二四〇二〇四
十八年二、〇四五一、六一〇一、四二五一、〇二六八四太へ〇四〇九三〇五二四五二〇八
十九年二、〇八〇一、六四〇一、四五〇一、〇四四八五四六三〇四一六三一〇二五〇二一二
二十年二、一一五一、六七〇一、四七五一、〇六二八六七大なり四三五三一五二五五二一六
二十一年二、一五〇一、七〇〇一、五〇〇一、〇八〇八八〇六五〇四三〇三二〇二六〇二二〇
二十二年二、一八五一、七三〇一、五二五一、〇九八八九三六六〇Failite三二五二六五二二四
二十三年二、二二〇一、七六〇一、五五〇一、一一六九〇六大·〇四四四三三〇二七〇二二八
二十四年二、二五五一、七九〇一、五七五一、一三四九一九六八〇四五一三三五二七五二三二
二十五年二、二九〇一、八二〇一、六〇〇一、一五二九三二大九〇四五八三四〇二八〇二三六
二十六年二、三二五一、八五〇一、六二五一、一七〇九百頁+00同六年三頭五二八五二四〇
二十七年
二十八年
二十九年
三十年
三十一年
三十二年
三十三年
三十四年
三十五年
三十六年
三十七年
三十八年
三十九年
四十年
四十一年
四十二年
四十三年
四十四年
四十五年
四十六年
四十七年
四十八年
四十九年
五十年
官
年等
數
十一年
十ニ年
二、三六〇
二、三九五
二、四三〇
二、四六五
二、五〇〇
二、五三五
二、五七〇
二、六〇五
二、六四〇
二、六七五
二、七一〇
二、七四五
二、七八〇
二、八一五
二、八五〇
二、八八五
二、九二〇
二、九五五
二、九九〇
三、〇二五
三、〇六〇
三、〇九五
三、一三〇
三、一六五
第二號
下
判
ニ等
二一〇
一一三
一、八八〇一、六五〇
一、九一〇一、六七五
一、九四〇一、七〇〇
一、九七〇一、七二五
二、〇〇〇一、七五〇
二、〇三〇一、七七五
二、〇六〇一、八〇〇
二、〇九〇一、八二五
二、一二〇一、八五〇
二、一五〇一、八七五
二、一八〇一、九〇〇
二、二一〇一、九二五
二、二四〇一、九五〇
二、二七〇一、九七五
二、三〇〇二、〇〇〇
二、三三〇二、〇二五
二、三六〇二、〇五〇
二、三九〇二、〇七五
二、四二〇二、一〇〇
二、四五〇二、一二五
二、四八〇二、一五〇
二、五一〇二、一七五
二、五四〇二、二〇〇
二、五七〇二、二二五
免除
士
任官
三等四等
九六八五
九九八八
一、一八八九五八七一〇四七二三五〇二九〇
一、二〇六わたしtc10四十九三五五二六
一、二二四九八四七三〇四八六三六〇三〇〇
一、二四二カルビル七四〇四九三三六五三〇五
一、二六〇一、〇一〇五五五〇〇三七〇三一〇
一、二七八一、〇二三七六〇五〇七二三五三一五
一、二九六一、〇三六七七〇五一四三八〇三二〇
一、三一四一、〇四九七八〇五二一三八五三二五
一、三三二一、〇六二夫れも五六八三九〇(1010
一、三五〇一、〇七五八〇〇五三五三九五三三五
一、三六八一、〇八八八一〇五四、四〇〇三四〇
一、三八六一、一〇一八二〇玉焼丸四〇五三四五
一、四〇四一、一一四八三〇五五六四一〇三五〇
一、四二二一、一二七入る。五六三四一五三五五
一、四四〇一、一四〇A10玉·七)四二〇三六〇
一、四五八一、一五三八六〇五七七四二五三六五
一、四七六一、一六六八七〇亜香四三ノ三十七〇
一、四九四一、一七九八八〇五九一四三五三七五
一、五一二一、一九二八九〇亜九九四四〇三八〇
一、五三〇一、二〇五か〇〇方の五內豆三八五
一、五四八一、二一八九一〇六一二四五〇三九〇
一、五六六一、二三一九二〇六一九四五五三六五
一、五八四-、二四四九三〇六二六四八〇四〇〇
一、六〇二一、二五七九四〇六三三四六五厚·五
恩給表
卒
陸軍上等兵陸軍一等卒陸陸二等卒
海軍一等卒
海軍二等卒海軍三等卒海軍四等卒
會圓圖圖
六九六四五八五二
と二六六六〇五五
二四四
二四八
二五二
二五六
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二六
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二八四
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二九二
二六六
三〇〇
三〇四
三〇八
三一二
三一六
三二〇
三二四
三三
三三二
三三六
海軍五等卒
四六
四九
十三年
十四年
十五年
十六年
十七年
十八年
十九年
二十年
二十一年
二十二年
二十三年
二十四年
二十五年
二十六年
二十七年
二十八年
二十九年
三十年
三十一年
三十二年
三十三年
三十四年
三十五年
三十六年
三十七年
三十八年
三十九年
四十年
四十一年
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四十八年
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年等
數
四年
五年
六年
七年
八年
九年
十年
ル法律案
附則
第一條中「臺灣」ヲ「朝鮮、
二〇三一九九一人一 四、一二五二元一二四一一八
二〇六一九八八一四三二三七一二二、一二六一二〇
二〇一一九五公一 五五1.70一三四二八一二二
二一二一九一八七一四八L HEI二三六一三〇一二五
二一五二〇一一九〇一〇〇一四四二三八Iche二一〇
二一八二〇四一九三一 三二一四七一 一、一二五二元
二二一二〇七一次六一一五〇ニ 九九一四三二三七一三二
二四二一〇一九九二五六一二、一四五1.0.二一四
二二七二一三二〇二一五九一五三一四八一 四、一二三六
第四號給助金表
將官及相當官佐尉官及相當官准士官下士
高等官判任官
親任一等二等三等四等五等六等七等八等一等二等三等四等
島圓■〓
一、八〇〇一、四〇〇一、二五〇き〇〇五五표340二·〇〇二〇100二二九六八五
二、一〇〇一、九三四一、四五九一、〇五〇入口豆大臣三三一三m二豆=10二元一二(01)
二、四〇〇一、八六七一、六六七一、二〇〇一、〇〇〇¥110四八三六〇二八〇三四〇一紀七二八二四
二、七〇〇二、一〇〇一、八七五一、三五〇一、一二五스토五四max三重三·〇二六五一日〓二八
三、〇〇〇二、三三四二、〇八四一、五〇〇一、二五〇たる000BIO三重五000一人員一〇〇一四三
三、三〇〇二、五六七二、二九二一、六五〇一、三七五一、〇〇九충·買っ〓三六三110100一天三大
WaCO二、八〇〇二、五〇〇一、八〇〇一、五〇〇一、一〇〇〇一〇BBC三〇三八〇000一 Nニ一七〇
明治三十三年法律第七十五號同三十五年法律第二十九號準用ニ關ス
明治三十三年法律第七十五號第一條ノ規定ハ朝鮮ニ在勤スル內地人タル陸
海軍所屬ノ文官判任以上ノ者ニ之ヲ準用ス
明治三十五年法律第二十九號第一條ノ規定ハ朝鮮ニ在勤スル內地人タル陸
軍監獄看守及陸軍警守ニ之ヲ準用ス
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本法ハ本法施行前ノ在職月數ニモ之ヲ適用ス
明治三十三年法律第七十六號中改正法律案
明治三十三年法律第七十六號中左ノ通改正ス
臺灣」ニ改ム
第三條中「第五表ノ半額」ヲ「第一號表又ハ第二號表ノ金額三分ノ一」ニ、「第
五號表ノ額」ヲ「第一號表又ハ第二號表ノ全額三分ノ二」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第一條ノ規定ハ本法施行前ノ服役月數ニモ之ヲ適用ス
明治四十三年四月一日以後本法施行ノ日迄ニ於テ死去シタル者ノ遺族ニ給
スヘキ扶助料ノ金額ハ本法ノ規定ニ依ル
(政府委員男爵石本新六君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=57
-
058・石本新六
○政府委員(男爵石本新六君) 唯今議題ニ上リマシタ軍人恩給法中改正法律案
是ハ理由書ニ述ベテゴザイマスルガ如ク、俸給ノ增加ニ伴ヒマシテ恩給法ノ改正ヲ必要
トシマスル件ト思給最下限額ヲ基準トシテゴザイマスル寡婦孤兒ノ扶助料及救助金ヲ
ヤハリ俸給ノ增加ニ伴ヒ竝ニ其年數ニ應ジテ改正ヲシタイト斯ウ云フ理由デ單簡ナ事
柄デゴザイマス、ソレカラ明治三十三年法律第七十六號、是ハ朝鮮ガ此度併合ニナリ
マシタ關係カラ年限ノ加算等ヲ改正スル必要ガゴザイマシテ、玆ニ法律案ヲ提出致シマ
タ、明治三十三年法律第七十五號同三十五年法律第一一十九號準用ニ關スル法
律案是モ朝鮮ノ併合ノ關係カラ致シマシテ、朝鮮ニ在勤スル陸海軍所屬ノ文官竝ニ
陸軍監獄看守及陸軍警守等ニ之ヲ準用スルト云フ改正デゴザイマス、極ク簡單ナモノ
デゴザイマスルデ御審議ノ上速ニ御協賛アランコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=58
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059・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 別ニ御質疑モナイヤウデアリマスカラ、日程ノ第十八、第二
十、第二十二ハ之ヲ一括シテ卽チ右議案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ選舉ヲ議題ト致シ
マス
第十八右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉
第二十右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉
第二十二右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=59
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060・菅原傳
○菅原傳君 議長指名タル十八名ノ特別委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=60
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061・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 三案ヲ一括シテ議長指名ノ特別委員十八名ニ付託スルト
云フコトニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=61
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062・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ナケレバ其通リ決シマス、-日程第二十三乃至
第二十五ハ委員長ヨリ都合ニ依リ延期ノ申出ガアリマス、許可シテ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=62
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063・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 日程第二十三、第二十四、第二十五ハ延期ニ決シマ
ス、-日程第二十六、區裁判所名稱變更ニ關スル法律案、第一讀會ノ續ヲ開キマ
ス-委員長山岡國吉君
第二十六區裁判所名稱變更ニ關スル法委員長
第一讀會ノ續(報告
律案(山岡國吉君提出)
〔山岡國吉君登壇〕
〔拍手スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=63
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064・山岡國吉
○山岡國吉君 區裁判所名稱變更ニ關スル法律案ハ政府ノ意見ヲ求メマシテ委員
會ニ於キマシテハ審査ノ上滿場一致ヲ以テ左ノ如ク修正ヲ致シマシタ「區裁判所名稱
變更ニ關スル法律案」ト云フノヲ「裁判所名稱變更ニ關スル法律案」ト修正ヲ致シマシ
タ、ツレカラ「山口地方裁判所管內赤間關區裁判所」ヲ「下關區裁判所」ト「鹿兒島
地方裁判所管內水引區裁判所ヲ「川內區裁判所」ト「盛岡地方裁判所管內磐井區
裁判所」ヲ「一關區裁判所」ト「樺太地方裁判所管內「ウラジミロフカ」區裁判所」ヲ
「豐原區裁判所」ト、ソレカラ「『マウカ』區裁判所」ヲ「眞岡區裁判所」ト改稱ヲ致シマシ
タ、ソレカラ表中ニ-區裁判所位置及管轄區域表ノ區裁判所欄內ノ「赤間關」ヲ
「下關」ニ「水引」ヲ「川內」ニ「磐井」ヲ「一關」ニ「ウラジミロフカ」ヲ「豐原」ニ「マウカ」ヲ
「眞岡」ニ改メマシタ、ソレカラ附則ニ「本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム」ト斯ウ滿
場一致ヲ以テ修正ヲ致シマシタ、デ理由ハ唯名稱ガ事實ト副ハヌトコロカラ、名實副ハセ
タト云フニ過ギナイノデアリマス、本法律案ハ政府モ同意ヲ表シタコトデアリマスルカラ通
過ヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=64
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065・菅原傳
○菅原傳君 本案ニ對シ直ニ二讀會ヲ開キ、三讀會ヲ省略シテ委員長報告通リ確
定セラレンコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=65
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066・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 本案ハ直ニ二讀會ヲ開キ、三讀會ヲ省略シテ委員長報告
通リニ決シタイト云フ動議ニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=66
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067・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ナケレバ直ニ二讀會ヲ開キ、議案全部ヲ議題ニ供シ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=67
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068・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君)御異議ナイモノト認メマスカラ、三讀會ヲ省略シ本案ハ委 員長ノ報告通り確定致シマス、日程第二十七、第二十八ハ同一委員ニ付託セラレ
タル件ナルニ依リ、併セテ報告致シマス、日程第二十七、船舶法中改正法律案、第一讀
會ノ續、第二十八、船舶檢査法中改正法律案、第一讀會ノ續、委員長望月圭介君
第二十七船舶法中改正法律案(米田穰第一讀會ノ續(委員長
君外二名提出)(報〓
第二十八船舶檢査法中改正法律案(米第一讀會ノ續((交長長)
田穰君外二名提出)報告
〔望月圭介君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=68
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069・望月圭介
○望月圭介君 委員會ノ經過ト結果ヲ簡單ニ報告ヲ致シマス、委員會ハ委員諸君
ノ勉動ニ依ッテ愼重ニ調査ヲ重ネ、政府ニ於テモ亦此案ヲ小ナリトセズシテ、遞信次官
及管船局長ガ常ニ出席セラレマシテ其質問ニ答ヘ及其意見ヲ述ベラレテ居リマス
デ、委員會ノ經過ハ速記トシマシテ諸君ノ御手許ニ囘シテアリマスルカラ、簡單ニ其要
ヲ摘ンデ申シマスルト、本案ノ改正ハ當業者ノ最モ希望スルトコロデアリマシテ就中日
本船ニ於キマシテハ、僅カ百石位ノ違ヒニ於テ非常ノ迷感ヲシテ居リマス、今日ノ規程ニ
於テハ到底引合ハナイガ爲メニ船ノ檢査ヲ受ケルト云フ場合ニ於テハ其中ニ仕切ヲシ
タリ、サウシテ積量ヲ少ニシマシテ、檢査ヲ受ケ、爲ニ犯罪者ヲ出スト云フヤウナコトモアリ
マスシ譬ヘテ言シテ見レバ僅カ二百石三百石位ナ船ハ殆ド船ノ小作人トモ謂フベキ有
樣デアルノデ、嚴重ナル檢査トカ、、或ハ又之ヲ航海スルノニ海技免狀トカ云フヤウナムヅカ
シイ法律及命令ノ支配ヲ受ケルト云フコトハ非常ニ困難デアルガ故ニ、政府ニ於テモ嘗テ
十五噸未滿ヲ二十噸ニシ、百五十石ト云フノヲ二百石ニセラレタコトモアルノデアリマス
カラ、此改正ト云フモノハ極メテ時機ヲ得タモノデアルトシテ委員會ハ國民黨及中央黨
ノ委員諸君モ贊成ヲセラレマシテ可決ヲシタ次第デアリマス而シテ之ニ對シテ政府ハ此
案ハ殆ド世界共通トモ謂フベキ案デアッテ、サウシテ義務モ負ハネバナラナイケレドモ權利
モ享有スルノデアルカラ是マデ檢査法ト云フコトニ付テハ隨分檢査官ノ非常識又ハ沒經
濟ト云フヤウナコトノ非難モアッタ、ケレドモ政府モ大ニ省ミルトコロガアルカラシテ、是等ノ
〓ニ付テハ十分ナル改良ヲ加ヘタイト云フ考ハ持ッテ居ルト云フコトノ斷言ヲセラレマシタ
ガ、不幸ニシテ此案ニ對シテハ遺憾ナガラ贊成ヲ表スルコトハ出來ヌト云フノデゴザイマシ
タ、ケレドモ前申上ゲマシタ通リニ委員會ハ大多數ヲ以テ可決ヲシタ案デアリマスルカラ、
此段御報告ヲ申シテ諸君ノ御贊成ヲ請ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=69
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070・菅原傳
○菅原傳君 兩案トモ各〓直ニ二讀會ヲ開キ、三讀會ヲ省略シテ委員長報告通リ決
定セラレンコトヲ望ミマス
(「贊成々4」ノ聲起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=70
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071・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 兩案トモ各〓、直ニ二讀會ヲ開キ、三讀會ヲ省略シテ委員長
ノ報告通リニ決定シタイト云フ動議ニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=71
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072・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ナケレバ日程第二十七ヲ先ヅ直ニ一讀會ヲ開キ、
議案全部ヲ議題ニ供シマス
船舶法中改正法律案確定議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=72
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073・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ナイト認メマスカラ、三讀會ヲ省略シテ委員長報告
通リニ確定致シマス、日程第二十八ヲ直ニ二讀會ヲ開キ、議案全部ヲ議題ニ供シマス
船舶檢査法中改正法律案確定議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=73
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074・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ナイト認メマスカラ、三讀會ヲ省略シ本案ハ是ニテ
委員長報告通リ確定致シマス、日程ノ第二十九、第三十ハ提出者同一ナルニヨリ一
括シテ議題ト爲スニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=74
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075・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ガナケレバ北海道拓殖經營案基礎確立及北海道
拓殖鐵道急設ニ關スル建議案外一件ヲ議題トナシ議案ノ朗讀ハ省略致シマス、提
出者小橋榮太郞君
第二十九北海道拓殖經營案基礎確立及北海道拓殖鐵道急
設ニ關スル建議案(小橋榮太郞君提出)
第三十北海道多額納稅議員選出ニ關スル建議案(小橋榮
太郞君提出)
北海道拓殖經營案基礎確立及北海道拓殖鐵道急設ニ關スル建議案
北海道拓殖經營案基礎確立及北海道拓殖鐵道急設ニ關スル建議
政府ハ速ニ北海道拓殖經營案ノ基礎ヲ確立シ併セテ北海道拓殖鐵道ノ急設アラ
ムコトヲ望ム
右建議ス
北海道多額納稅議員選出ニ關スル建議案
北海道多額納稅議員選出ニ關スル建議
今ヤ北海道民モ參政ノ權利ヲ享有シ現ニ區郡ヲ通シテ全道ヨリ六名ノ衆議院議員
ヲ選出シアルニモ拘ラス未タ多額納稅議員ヲ舉ケ得サルハ帝國憲政ノ精神ニ背悖シ
タル一大缺〓ナリト思量ス政府ハ速ニ相當ノ手續ヲ盡シ北海道ヨリ多額納稅議員
選出ノ途ヲ開カレムコトヲ望ム
右建議ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=75
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076・小橋榮太郎
○小橋榮太郞君 簡單デゴザイマスカラ、當席カラ申上ゲマス、北海道ノ拓殖ノ忽セニス
ベカラザルコトニ朝野既ニ認メ切ッテ居リマス事實デゴザイマス、政府モ又玆ニ見ルトコロガ
ゴザイマシテ、昨年卽チ第一一十六議會ニ於カレテ拓殖新經營案ヲ出サレマシタ、然ルニ其
案ノ基礎タルヤ頗ル薄弱デゴザイマシテ、先刻登壇シテ政府當局ニ質問シタル如ク政府ガ
信賴スルニ足ラズトスルトコロノ自然增收ヲ以テ其財源ニ充ツルガ如キハ、政府ノ眞意那
邊ニ在ルカ本員ノ疑ヲ容レザルヲ得ナイトコロデアリマス仍テ若シ政府ニシテ果シテ北海
道ノ開拓ノ急要ヲ認メマシテ、之ニ相當ノ資本ヲ投入シテ其成功ヲ期セント欲スルナラ
バ更ニ大ニ調査ヲシテ更ニ大ニ〓究シテ其基礎ヲ確立スルダケノ責任ハ政府ニモアルデア
ラウト思ヒマス、今一ツハ北海道拓殖新經營案ガ成立シマシテモ拓殖ノ先驅タルトコロノ
鐵道、所謂拓殖鐵道トノ聯絡統一ガ取レマセヌケレバ所謂此案タルヤ不具ナ案デ決シ
テ成功ヲ見ルコトハ出來ヌト私ハ信ズルノデゴザイマス、因テ政府モ亦昨年ノ議會ニ於テ
經營業が成立シタ以上ハ、之ニ伴フ拓殖鐵道ヲモ相當ニ敷設スルト云フ言責モゴザイマ
スカラ一日モ速ニ其言責ヲ擔ヒマシテ、一面ニ於テハ拓殖經營ノ基礎確立ト同時ニ拓
殖鐵道ノ敷設ヲ急ガレンコトヲ望ムト云フノガ、此建議案ノ趣旨デゴザイマス、因テ諸
君モドウゾ北海道ノタメニ特ニ御同情ヲ垂レサセ給ハッテ、此案ニ御同意下サルコトヲ偏
ニ希望致シマス、今一ツ是モ頗ル簡單ナ問題デゴザイマス、北海道ハ諸君モ御承知ノ通
リ內地ノ諸君ト同樣ニ參政ノ權利ヲ得マシテ、今日マデハ區郡ヲ通ジテ全道カラ六名
ノ衆議院議員ヲ出スコトニナッテ居リマス、サウシテ又本年ノ議會ニハ六名デハ不足デア
ルカラ更ニ增加ヲセナケレバナラヌト云フ法律ノ改正案モ出テ居ルヤウナ次第デアリマス、
然ルニ翻ッテ貴族院ノ側、所謂多額納稅議員ノ側ハドウカト云ヘバ未ダ一名モ多額
納稅議員ヲ出スコト出來ヌト云フノハ遺憾ト云フヨリモ寧ロ今日帝國憲政ノ上ノ一
大缺〓ナリト信ズルノデゴザイマス、併ナガラ之ハ貴族院令ノ改正ニ俟タナケレバナラヌト
コロデゴザイマスカラ、政府ハ宜シク其手續ヲ盡シテ一日モ早ク北海道ヨリモ內地同樣ニ
多額納稅議員ヲ選出セラルヽ樣其手續ヲ盡サレンコトヲ希望スルノデゴザイマス、此案モ
頗ル簡單デゴザイマスカラ何卒滿堂ノ諸君ノ御贊成ヲ得マシテ、一日モ早ク北海道モ
憲法ノ恩澤ニ均霑シタイト云フ趣旨デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=76
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077・菅原傳
○菅原傳君 兩案ヲ一括シテ議長指名九名ノ特別委員ニ付託セラレンコトヲ、望ミ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=77
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078・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 兩案ヲ一括シテ議長指名ノ特別委員九名ニ付託ト云フコ
トニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=78
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079・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ナイト認メマスカラ其通リ決シマス、日程第三十一、
樺太漁業料改正ニ關スル建議案ヲ議題トナシ、議案ノ朗讀ハ省略致シマスー提出
者小橋榮太郞君
第三十一樺太漁業料改正ニ關スル建議案(小橋榮太郞君提出)
樺太漁業料改正ニ關スル建議案
樺太漁業料改正ニ關スル建議
現當樺太漁業料入札制度ハ國庫ノ收入ニ急ニシテ漁業ノ發達ヲ阻害シ而シテ
其ノ收入モ亦確的ナラサルノ懼アリ今ヤ當業者ハ其ノ負擔ノ過重ニ堪ヘス不納處分
ノ爲漁業免許權ヲ取消サレテ產業ヲ失フモノ倍々其ノ數ヲ增加シ來レリ勿論競爭
落札ノ結果當業者自ラ招クノ致ス所ナルヘシト雖事情ニ適應セサル現行制度ノ罪
蓋其ノ素因タラスムハアラス政府ハ速ニ這般國庫ニ不安ニシテ且當業者ニ不利ナル
漁業入札制度ヲ改善シテ樺太漁業ノ一大發展ヲ講セラレムコトヲ望ム
右建議ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=79
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080・小橋榮太郎
○小橋榮太郞君 是モ簡單デスカラ當席カラ······樺太ノ漁業料ノ過重デアルト云フ
コトハ最早何人モ異論ノナイ問題デゴザイマス、然ルニ此樺太漁業料ニ付テハ政府モ亦其
改正ノ必要ヲ認メマシテイロノ〓調査ノ結果旣ニ此改正ニ對スル相當ノ方法ヲ取ラル
ルヤウニ承リマシタ、因テ私ハ若シ政府ニシテ果シテ此改正ニ意ガアッテ本年ノ漁期以前
ニ間ニ合フヤウニ改正案テモ出ルコトデゴザイマスレバ、別段此案ヲ出ス必要ヲ認メヌノデ
ゴザイマス、併ナガラ政府ノ案ノ出ヤウニ依リマシテハ又私ハ更ニ建議ヲ出サネバナラヌコ
トヽナルカモ知レマセヌガ、併シ最早政府ニ於テモ其必要ヲ認メマシテ遠カラズ相當ノ處
置ヲスルト云フコトヲ確ニ聞キマシタカラシテ、是ハ撤囘スルコトニ致シマス、ソレト同時
ニ尙政友會ノ諸君ニ向ッテ一言申述ベテ置キタイコトハ政友會ノ諸君ハ此樺太ノ漁業
料ノ改正問題ヲ何カ私ノ-又ハ中央倶樂部ノ黨略問題ニデモシタ如ク思ハレテ之
ヲ否決スルトカ言フヤウナコトニナッテ居ルサウデゴザイマスガ、併ナガラ私ハ決シテ黨略
問題デモ何デモナイノデス、唯此問題ハ成ベク早ク解決セネバナラヌト云フ急要ニ迫ラレ
テ政府ノ此改正ニ用意サレテ居ッタコトモ能ク聞及ビマセヌデ、提出致シタ次第デゴザイ
マスカラ、決シテ黨略問題ヤ何カデゴザイマセヌカラ、ソコハ誤解ノナイヤウニ今後トモ決シ
テサウ云フコトハヤラヌノデゴザイマスカラ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=80
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081・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 提出者ヨリ本案ハ撤囘シタイト云フコトデアリマス、撤囘ヲ
許スコトニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=81
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082・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ナケレバ本人ノ望ミノ通リ撤囘致シマス、日程第三
十二、高等染織專門學校設置ニ關スル建議案ヲ議題トナシ、議案ノ朗讀ハ省略致シ
マス-提出者武藤金吉君
第三十二高等染織專門學校設置ニ關スル建議案(武藤金
吉君提出)
高等染織專門學校設置ニ關スル建議案
高等染織專門學校設置ニ關スル建議
各種工業ノ發展ヲ圖ルハ目下ノ急務ナリト雖就中海外輸出物ニ關スル工業ノ如キ
ハ其ノ最タルモノトス而シテ我カ邦ハ生絲ノ特產地タルニ拘ラス輸出織物トシテハ多
クハ半成品タル羽二重ノミニシテ加工染織ノ既成品極メテ尠ナキハ主トシテ染織ニ
關スル知識ノ幼稚ナルニ由ラスムハアラス宜シク之ヲ養成スヘキ機關ヲ設ケ奬勵發達
ヲ計ラサルヘカラス依リテ政府ハ次年度ニ於テ高等染織專門學校ヲ斯業者多キ地
方ニ設置セラレムコトヲ望ム
右建議ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=82
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083・武藤金吉
○武藤金吉君 當席カラ說明ヲ致シタウゴザイマス、此案ハ昨年モ建議案トシマシテ
當院ヲ通過ヲ致シマシタ案デアリマス、絹ノ價ハ丁度世界ノ銀ノ價ト同ジコトデアリマシ
テ、而シテ之ヲ織リマスレバ金ノ價トナル位デアリマシテ、我國ニ於キマシテハ此輸出ニ關
係致シマストコロノ染織ノ科學ハ決シテ歐米ニ比ブベキ科學ハナイノデアリマス、故ニ此
輸出織物業ニ向ッテ高等染織專門學校ヲ創設致シタイト云フノガ本案提出ノ理由テ
アリマス、何卒滿場一致ヲ以テ此案ノ成立アランコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=83
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084・菅原傳
○菅原傳君 本案ハ議長指名九名ノ特別委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=84
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085・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 本案ハ議長指名ノ特別委員九名ニ付託ト云フコトニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=85
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086・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ナイト認メマスカラ其通リニ決シマス、日程第三十
三、全國荷造改良共進會開催ニ關スル建議案ヲ議題トナシ、議案ノ朗讀ハ省略致シ
マス-提出者遠藤吉平君
第三十三全國荷造改良共進會開催ニ關スル建議案(遠藤
吉平君提出)
全國荷造改良共進會開催ニ關スル建議案
全國荷造改良共進會開催ニ關スル建議
荷造改良ノ緊要ナルコトハ曩ニ本院ヨリ請願ノ送付ニ依リ又第二十六囘議會ニ於
テ建議スルトコロノ如シ而シテ荷造改良ノ促進ヲ圖ラムト欲セハ全國荷造改良共進會
ヲ開クヲ以テ最必要ノ方法ナリト認ム荷造改良共進會ハ已ニ大阪商業會議所主催
ト爲リ二囘同市ニ開會シ好成蹟ヲ舉ケタルモ尙充分ノ效果ヲ生セシメムニハ一層大
規模ノ舉ニ出テサルヘカラス依リテ政府ハ全國商業會議所(朝鮮及臺灣ノ商業會
議所ヲ加フ)、東京週米問屋組合、全國產業組合、全國米穀取引所、府縣農會、全
國海港場貿易商組合其ノ他之ニ關係ヲ有スル團體ノ主ナルモノヲ網羅シテ發起人
タラシメ明治四十五年ヲ期シ東京市ニ全國荷造改良共進會ヲ開催シ又其ノ補助
費トシテ參萬圓ヲ次年度ノ豫算ニ計上シ帝國議會ニ提出シ之カ協賛ヲ求メラレムコ
トヲ望ム
右建議ス
〔遠藤吉平君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=86
-
087・遠藤吉平
○遠藤吉平君 諸君、全國荷造改良ノコトニ付テ、昨年ノ議會ニモ建議致シマシタガ、
又此度荷造共進會ノコトニ付テ建議致シマス、其趣意ハ大阪ニ於テ昨年十月商業會
議所ノ主催トシテ全國ノ荷造共進會ヲ開キマシタガ、其前三十七年ニモ大阪デ第一囘
ヲ開キ、又第二囘モ大阪デ開キマシタ、然ルニ大阪デ開キマシタトキハ攝、河、泉及其附
近ノ地方ヨリハ出品モアリ、又觀覽者モアリマシタケレドモ、昨年ノ共進會ノ成績ヲ見マ
スト山陰山陽或ハ東海道、東北、北陸其他北海道邊ノ人ハ實ニ稀ニ見受ケル位デ、
其觀覽者ノ數ハ二十三万餘人アッタケレドモ實業家ニシテ觀覽スル者ハ一向ニ見エナイ
位ノコトデゴザイマシテ、其中主ナル御方ハ桂總理大臣始メ農商務大臣,後藤總裁、大
久保商務局長、床次地方局長、下岡農務局長、大阪府知事、其他ノ官吏ハソレノ
觀覽ナサレタケレドモ、實業家ト云フモノハ實ニ稀デアルノミナラズ、、團體商業會議所トカ、
或ハ府縣農會トカ、、或ハ米商組合トカ言フモノハ實ニ稀ナコトデアリマシタ、→第三囘ノ荷造
共進會ハ諸君ノ御手許ニ週ッテ居ル建議案ニアル如ク之ヲ東京ニ開キタイト云フ希望
デアリマス、先年大阪ニ開キタル第一囘、第二囘ハ共ニ規模狹小ニシテ、一口ニ言ヘバ
費用ノ十分ナラザルガタメニ其效果ヲ全國ニ及ボスニ至ラナカッタノデゴザイマス、尤昨年
開會前ニ大阪ノ會議所ガ政府ニ向ッテ補助ヲ願ッタケレドモ豫算編成後ナルヲ以テ、政
府ハ補助ガ出來ヌト云フノデ支出サレナカッタ、ソレ故ニ當業者卽チ郵船會社トカ、或
大阪ノ商船會社トカ、大阪ノ府會、市曾、其他個人ノ寄附ヲ以テ之ヲ開催シタル位デ
ゴザイマス、然ルニ其問題ハ實業上忽セニ出來ナイ事業デアルカラ、本年ハ豫算編成前
ニ此建議案ヲ提出シテ、共進會ノ經費ノ中ヘ三万圓ノ政府ノ補助ヲ請ヒ、其不足額
ハ發起人或ハ當業者ノ寄附ヲ以テ開催スル積リデゴザイマス、而シテ其發起人ハ此建
議書ニ書イテアル如ク、各團體ヲ網羅スル組織デゴザイマス、是等ノモノヲ發起人トシタナ
ラバ開會中ニ一度ヤ二度位ハ責任上觀覽セザル者ハアルマイト思フ、地方費或ハ政
府ノ補助ヲ受ケテ居ル〓體、或ハ人民ヨリ經費ヲ徵收シテ岩〓業業會議所ノ如キモ此
ノ如キ今日改良スレバ今日ヨリ利益ノアル事業デモ、ナカ〓〓此事ニ眼ヲ著ケナイト云
フノガ、或ハ多忙ノタメニ大阪マデ行カレヌト云フノカ、併シ是等ノコトハ予ガ申スマデモ
ナイ、二十五億トカ三十億ノ內外債ガアッテ其責任ハ誰ガ持ツカト云ヘバ、五千万六千
万ノ御互ガ連帶責任デ子々孫々マデ負ウテ往カナケレバナラヌ、幾ラ地租ガドウダノ何
稅ガ惡稅ダノト云ウテ見タトコロガ、此負債ノ返セナイ中ハ皆人民ノ負擔人民ノ責任デ
アルト言ハナケレバナラヌ、ソレハ戰爭ヲシテ見タトコロガ、國防ニハ宜イケレドモ戰ヲシテ利
益ヲ得ルト云フコトハ出來ナイ)戰爭程國家ニ損ナモノハナイ、戰爭ヲシテ勝ッテ見タトコ
口か、其損害ノ實費ヨリ外ニ取ルトコロハナイ、戰爭ヲシテモ戰爭ヲシナイ平和ノトキデモ
莫大ナ負債ハ皆生產或ハ產業ノ發達ニ依ッテ人民ガ返シテ往カナケレバ到底幾十年
經ッテモ此負債ヲ償還スルコトハ出來ナイ、然ルニ此荷造ト云フモノハ唯荷造ガ不完全
ナタメニ途中ニ廢棄スルトカ、或ハ損ズルトカ云フコトハ申スマデモナイガ、其損失ハ今日
ノ歲出トカ歲入トカ云フ多額ノ膨脹シタ〓カラー云フト、一千万二千万ノ損失ハ憂フル
ニ足ラヌト云プカモ知ラヌガ、商取引ノ發達ヲ妨ゲルト云フコトハ此荷造ノ不完全
ヨリ起ルコト、實ニ甚シク、此日本ノ商取引ハ全國ノコトハ申スマデモナイガ、東京ノ一
部ニ於テモ、米ノ値段ガ一石十五圓トカ、或ハ十七圓トカ、小賣店デ往ケバ一斗何
升トカ、唯今ノトコロデハ三升トカ、五升トカ何レヘ行ッテモ物價ノ値段ナドト云フモノ
ハ區々マチ〓〓デアルガ、ドウシテモ之ヲ一定スルヤウニセネバナラヌ、今度ノ建議書ニモ
枡量ハ全國四斗俵ト云フコトニ書イテアルケレドモ、是ハ當業者ト當局者ニ能ク協議
シタ上デ何レニスルカ分ラナイケレドモ、時期ハ到來シテ居ル、其他總テノコトガ私ハ此荷
造ノコトニ付テ、年來眼ヲ著ケタタメニ昨年ノ暮ニ新橋ノ荷捌所、秋葉ノ原ノ荷捌所ヘ
行ッテ見ルト、實ニ目モ當テラレルモノデハナイ、又此春一週間バカリ前ニ再ビ右ノ兩處ヘ
行ッテ見タガ、ドウモ荷造ノ不完全ト云フコトハ夥シイ、然ルニ之ヲ改良スルニ巨多ノ費
用ト勞力ヲ要スルカト云ヘバ、決シテ左樣デナイ、ソレハ極ク容易イコトデ、是マデノ荷造
ニ聊カ手入ヲ精密ニスレバ、汽車デモ汽船デモ運搬ニ堪ヘラレルヤウニナル、今マデノ姿
デハ汽車ニモ汽船ニモ運搬ニハ堪ヘラレナイ、目モ當テラレナイ有樣デアル、鐵道院ニ向ッ
テ何故コンナ物ヲ受ケルカ、苦情ガ起ルデハナイカト言ヘバ、サウデナイ、是ニハ條件ヲ附
ケル、條件ハ何ダト云フト、痛ンデモ構ハナイ、御迷惑ヲ掛ケヌカラト、斯ウ云フ條件ヲ
附ケルト云フコトダ、ソレ故ニ其損害ハ需用者ニ歸スルノデアル、卽チ十錢ニ賣ル物ハ十
二錢、八錢ニ賣ルモノハ十錢ニ賣ルト云フヤウニ需用者ガ皆損ヲスル、需用者ノ損ハ卽
チ國ノ損ダ、又鐵道院ノミナラズ郵船會社ヘ行ッテ見テモ、大阪ノ商船會社ヘ行ッテ見
テモ、實ニ目モ當テラレルモノデハナイ、之ヲドウモ直サナイト云フコトハ是ハ年來斯ウ
云フコトヲ言ウテモ、今日マデ米穀ニ對シテハ輸出檢査所ノ設アルノハ漸ク十五縣バカ
リアル、其他ハマダ其設備ガナイ、併シ十五縣デモ、ソレダケノ分ハ先ヅ米穀ニ付テハ稍(
荷造ガ完全ニナルヤウニ見エテ居ル、其他ハマダ〓〓從前ノ如ク少シモ改マラナイ、ソレ
デ二十億三十億ノ負債ヲ人民ガ負擔シテ往カウ、子々孫々マデ借金ヲ背負ッテ往カウト
云フヤウナコトハ思ヒモ寄ラヌコトグ、此事ハワンナニムヅカシイコトデハナイ每度言フ通リ荷
造改良ト云フコトハ、ソンナニ費用ヲ掛ケテヤルト云フノデハナイ、從前ヤッタコトヲバ從
前ノ通リ精密ニシテ、陸デモ海デモ迅速ナ機關ニ堪ヘラレサヘスレバ宜シイ、又外務省ノ
通商局ノ各國ノ日本領事館ノ報告ヲ御覽ナサイ其報告ヲ見ルト實ニドウモ耻入ル話
デアルソレハ定メテ御覽ニナッテ居ルダラウガ、主ニ此支那地方或ハ浦鹽トカ滿洲其他
向フヘ行ッタ物ハ其船ノ著ク度每ニ苦情ヲ言ウテ來ル、サウ云フコトガ外務省ノ通商局
ノ報告ニ依ッテ能ク分ッテ居ルノダカラドウカ是ハ一日モ早ク荷造改良ト云ウテモ全部
他ノ物ヲ以テ錢ヲ掛ケテヤラウト云フノデハナイ、從前ノ通リノ儘デ唯精密ニスルト云フノ
ダカラ、ソンナニムヅカシイコトデハナイ容易イノグ、ソレヲヤラナイト云フノハ財囊ノ中ヘ朝
口ヲ開ケテ物ヲ入レ、晩ニ口ヲ括ルノニ其財囊ノ尻ガ拔ケテ居ルノダ(笑聲起ル)尻拔ケ
ト云フ程デハナイガ、確ニ日本帝國ノ財囊ニ綻ガ出來テ居ル、綻カラ出ル物ハ大シタモノ
ダ一年ニ一千万ヤ三千万デハナイコトハ統計デ明デハナイカ、山口縣デアラウガ、大分縣デ
アラウガ其他ノ諸縣ニ依ッテ明カナモノダ其他無形ナ損ト云フモノハ夥シイモノダ、自分ノ
物ナラバ「ポツケット」ノ綻ビタ所カラ銅貨一枚落チテモ直グ綻ヲ直ス、サウ云フヤウナ譯ダ
ガ何デモ國ノ損ダ、社會ノ損ダト思ッテ居ルガ、國ノ借金ハ御互五千万人連帶デ借用シ
テ居ルノダ、ソレカラ一日モ早ク之ヲ改良スルヤウニ此運搬ニ堪ヘラレルヤウニシタイ、此
事ハ今日物新シク言フノデハナイ、旣ニ三十年前カラ證據ガアル其證據ハ商業會議所
ノ時分カラ之ヲヤッテ、親切ニ扱タノグ、所ガ其時分ニハ今ノ澁澤榮一男爵、澁澤喜作
トカ或ハ益田孝トカ森村トカ或ハ川崎正藏トカ皆生キテ居ルカラ明カナ證據ニナル、私
ハ其時說明ニ出テ一々其事ヲ說明シタケレドモ、三十年後ノ今日ニナッテモマダ同ジコト
ケ、ナカ〓〓是ハ改マラナイガ、國民ニ之ヲ改良スル責任ガアリ、國民ノ最モ注目スベキ
トコロデ、之ヲシナケレバ損ダト思フ、ソレ故ニトウカ一日モ早ク之ヲ改良スルコトヲ希望
スルタメニ、本案ヲ提出シタノデアリマスカラ、滿場諸君ドウカ御贊成ヲ願ヒタイ(拍手
起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=87
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088・菅原傳
○菅原傳君 本案ハ議長指名九名ノ特別委員ニ付託セラレンコトヲ印王ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=88
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089・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 本案ハ議長指名ノ九名ノ特別委員ニ付託スルコトニ御異
議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=89
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090・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ナケレバ其通リ決シマス、日程第三十四、區裁判所
事務開始ニ關スル建議案ヲ議題トナシ、議案ノ朗讀ハ省略致シマス、提出者稻村辰次
郞君
第三十四區裁判所事務開始ニ關スル建議案(稻村辰次郞
君外一名提出)
區裁判所事務開始ニ關スル建議案
區裁判所事務開始ニ關スル建議
千葉地方裁判所管內佐倉區裁判所ハ設置以來未タ裁判事務ヲ取扱ハサル爲關
係人民ノ不便尠カラス依リテ速ニ裁判事務ヲ開始セラレムコトヲ望ム
右建議ス
〔稻村辰次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=90
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091・稻村辰次郎
○稻村辰次郞君 唯今議題ニ上ッテ居リマス建議案ニ付テ提出ノ理由ヲ簡單ニ說明
致シマス、本案ハ千葉地方裁判所管內佐倉區裁判所ノ事務開始ヲ望ムト云フ建議デ
アリマシテ、昨年モ同樣ノ建議案ヲ提出致シマシテ、諸君ノ御協賛ヲ得タモノデアリマス、
一體此佐倉區裁判所ハ曩ニ設置セラレマシテ、其管內ニハ二ツノ出張所モ出來テ居ル
ノデアリマス、而シテ管轄區域モ廣ク、人口モ亦多クシマシテ、從ッテ裁判事件ノ如キモ
千葉地方裁判所ノ管內ニ於キマシテハ、他ノ區裁判所ノ平均數ヨリモ多數ニ上ッテ居
ル次第デゴザイマス、然ルニ事務開始ヲセザルタメニ出張所ノ監督モスルコトガ出來ズ、
裁判事件ノ取扱モ爲スコトガ出來ナイト云フヤウナ有樣デ、全ク裁判所タルトコロノ實
質ヲ〓イテ居リマス故ニ、當然管轄スベキトコロノ裁判事件モ目下千葉區裁判所ノ兼
務トナッテ居リマスノデ、獨リ裁判事件ノ澁滯ヲ來スノミナラズ、距離遠隔ニシテ近キモ
數里、遠キハ十數里隔ヲテ居ルヤウナ譯デ、關係人民ハ非常ニ不便ヲ感ジテ居ルノデゴ
ザイマス因テ速ニ裁判事務ヲ開始シテ關係人民ニ便宜ヲ與ヘテ貰ヒタイト云フノガ、
本建議ノ趣意デゴザイマス、ドウカ諸君ノ御贊成ヲ請ヒマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=91
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092・菅原傳
○菅原傳君 本案ハ議長指名九名ノ特別委員ニ付託セラレンコトヲ望ム発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=92
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093・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 本案ハ議長指名ノ九名ノ特別委員ニ付託スルコトニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=93
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094・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ナケレバ其通リ決シマス、日程第三十五及第三十
六ハ鐵道ニ關スル建議案ナルニ依リ、一括シテ議題トナシ、各案每ニ提出者ヲシテ辯
明ヲナサシムルコトニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=94
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095・長谷場純孝
○議長(長谷場純君) 御異議ナケレバ金名鐵道建設ニ關スル建議案外一件ヲ議題
トナシ、議案ノ朗讀ハ省略シマス--提出者笠川繼孝君
第三十五金名鐵道建設ニ關スル建議案(笠川繼孝君外二
名提出)
第三十六鐵道速成ニ關スル建議案(名村忠治君外四名
提出)
全名鐵道建設ニ關スル建議案
金名鐵道建設ニ關スル建議
一石川縣下金澤ヨリ鶴來、牛首ヲ經テ福井縣下勝山、大野及岐阜縣下白鳥、八
幡上有地、關ヲ經テ愛知縣下名古屋ニ達スル鐵道
右線路ハ其ノ距離約九十哩餘ニシテ此ノ間農產物林產物鑛產物等極メテ豐富ニ
シテ且軍事上兩市ノ連絡ヲ通スル〓ニ於テ最樞要ナル鐵道ナリ依リテ政府ハ速ニ該
鐵道ヲ建設シ金名地方無限ノ富源ヲ開發セラレムコトヲ望ム
右建議ス
鐵道速成ニ關スル建議案
鐵道速成ニ關スル建議
一福井縣下敦賀ヨリ若狹國三方、遠敷、大飯ノ三郡ヲ經テ京都府下舞鶴ニ至ル
鐵道
右ハ日本海沿岸ノ幹線ニシテ山陰北陸兩道ヲ連絡シ軍事上及交通上必要缺クヘ
カラサル線路ナルヲ以テ政府ハ速ニ該鐵道ノ敷設ニ著手セラレムコトヲ望ム
右建議ス
〔笠川繼孝君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=95
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096・笠川繼孝
○笠川繼孝君 諸君本員ガ此金名鐵道建設ニ關スル建議案ヲ提出致シマシタ理由
ヲ簡單ニ述ベマシテ、諸君ノ御考慮ヲ煩ハサント思ヒマス此金名鐵道ハ石川縣下金
澤市ヨリ鶴來、牛首ヲ經マシテ、福井縣下勝山大野及岐阜縣下白鳥、八幡、上有
地、關ヲ經マシテ愛知縣下名古屋ニ達スル加越濃尾ヲ貫通スル鐵道デゴザイマス、此
加越濃尾ノ地方ハ農產物林產物鑛產物等物資極メテ豐富デアリマシテ、殊ニ製絲羽
二重ノ原產地ト云フノデアリマス、又多大ナル輸出ヲ致シテ居リマスノデアリマス、尙石
川縣下ニ於ケル鶴來竝ニ福井縣下ノ勝山大野附近ハ煙草ノ耕作地デアリマシテ、此
所ニハ既ニ政府ニ於テ煙草專賣所收納所及工業場等ヲ設ケラレ是ガ一年間ノ產額
約一百万圓以上ニ上ルノデアリマス、其他農產物、林產物、鑛產物等ハ最モ豐富デアリ
マシテ、是等ノ物資ノ運輸上此鐵道ヲ建設シ此地方無限ノ富源ヲ開發セラレンコトヲ望
ミマス、若夫レ軍事上ノ價値ニ至リマシテハ、沿海線ニ依ラズシテ最モ安全ニ迅速ニ軍
隊ヲ輸送スルヲ得、軍事上兩師團ノ聯絡ヲ通ズル〓ニ於テハ最モ樞要ナル鐵道デアリマ
ス故ニ、本案ヲ提出シマシタ所以デゴザイマス賢明ナル諸君宜シク御洞察下サレマシテ
滿場一致ヲ以テ此案ノ通過アランコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=96
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097・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 日程第三十六、鐵道速成ニ關スル建議案提出者名村忠
治君
〔名村忠治君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=97
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098・名村忠治
○名村忠治君 簡單ニ提出ノ理由ヲ說明致シマス、本案ハ福井縣下敦賀ヨリ若狹ノ
國三方遠敷大飯ノ三郡ヲ經マシテ、京都府下ノ舞鶴ニ達スル鐵道デゴザイマス、此鐵
道ハ豫定線ニナッテ居リマスノデ、此間約五十哩ノ鐵道デアリマシテ、山陰ト北陸トノ
聯絡ヲ計ルノ鐵道デアリマス、而シテ此鐵道ハ此裏日本ニ於ケル幹線ニナリマスノデ、此
裏日本ノ幹線中ノ數賀ト舞鶴間ガ中斷ヲサレテ居ルノデアリマス、最モ此鐵道ハ急ノ急
ナルモノト存ジテ居リマス、、而シテ軍事上又必要デアラウト思ヒマスルデ、卽チ舞鶴軍港ト
第九師團トノ聯絡ガ是ニ依ッテ成ルノデアリマス、此鐵道ハ二十六議會ニ於テモ旣ニ大
多數ヲ以テ通過シテ居リマスノデ、必ズヤ四十四年度ノ豫算ニ計上サルヽコトヽ信ジテ
居リマシタ、然ルニ本年度ノ豫算ニ計上サレマセヌハ誠ニ遺憾ニ存ズル次第デゴザイマス、
故ニ本年モ諸君ノ御協賛ヲ得マシテ可決ニナリマシタナラバ、政府ハ一日モ早ク此鐵道
數設ニ著手ノ計畫ヲ立テラレンコトヲ希望シテ止マヌノデアリマス、願クハ滿場諸君ノ御
贊成ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=98
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099・菅原傳
○菅原傳君 兩建議案ヲ一括シテ議長指名九名ノ特別委員ニ付託セラレンコトヲ望
ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=99
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100・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 日程三十五、三十六ノ二案ヲ一括シテ、議長指名九名
ノ特別委員ニ付託スルト云フニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=100
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101・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ガナイト認メマスカラ其通リ決シマス、日程第三十
七ハ提出者ヨリ都合ニヨリ延期ノ申出ガアリマス、許可シテ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=101
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102・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ガナイト認メマスカラ第三十七ハ延期致シマス、日
程第三十八、高層氣象觀測所設置ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス、議案ノ朗讀ハ
省略致シマス、提出者根本正君
第三十八高層氣象觀測所設置ニ關スル建議案(根本正君外
一名提出)
高層氣象觀測所設置ニ關スル建議案
髙層氣象觀測所設置ニ關スル建議
我カ國中央氣象臺及地方測候所ヨリ發スル天氣豫報及暴風警報ハ地上ニ存スル
各地ノ氣象觀測ニ依テ之ヲ豫知スルニアルモ近年ノ〓究ニ依レハ高低氣壓ハ太氣ノ
高層ニ其ノ動源ヲ有スルモノニシテ其ノ進行及盛衰ハ高層ノ溫度濕度等ニ依リテ定
マルモノナルコトハ疑ナシ故ニ單ニ地上ノ觀測ノミニ依頼セス高層ノ氣象ヲ觀測スルコ
トヲ得ハ暴風雨ノ發生モ其ノ以前ニ於テ之カ兆候ヲ認メ得ヘク從テ豫報警報ノ機ヲ
逸シ又ハ的中ヲ誤ルカ如キコト少キニ至ルヘシ依リテ政府ハ速ニ高層氣象觀測所ヲ
設置セラレムコトヲ望ム
右建議ス
〔根本正君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=102
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103・根本正
○根本正君 高層氣象觀測所設置ニ關スル建議案ノ理由ヲ簡單ニ申述ベマス、我
國ニ於テハ中央氣象臺及地方測候所ヨリ發スルトコロノ天氣豫報及暴風警報ト云フ
モノガアリマスケレドモ、是ハ僅カ六七時間先キノコトホカ報告スルコトガ出來マセヌ、然ル
ニ近來先進交明國ニ於テハ此髙層氣象觀測卽チ地上殆ド二里以上ノ所ニ紙鳶及輕
氣球ヲ揚ゲマシテ是ニ依ッテ觀測シマスレバ、向フ四十時間ノコトガ能ク分ルト云フヤウナ
コトニナッテ、既ニ獨逸ニ於テモ國立ノモノガ二ツゴザイマス、其他亞米利加、英吉利、何
レノ國ニ於テモ高層氣象觀測ト云フコトヲ致シマシテ、其利益スルトコロハ專ラ漁業ニ付
テ關係ガアルト云フコトデアリマス、此紙鳶ノ中ニ仕掛ケルモノハ卽チ其一ノ物ガアッテ、
其中ニ時計、寒暖計、風力計、濕度計、晴雨計ト云フヤウナモノガ一ノ直經八九寸、長
サ七八寸ノ物ノ中ニアッテ、是等ガ自働的ニ、是ヨリ先キ何時間ニハドウ云フコトガ出テ
來ルト云フコトガ分ル、我國ニ於テハ此漁獲卽チ一箇年ノ收入ガ最近ノ調ニ依ルト八
千百二十八万五千十二圓アル、是ニ對スル漁船ハ四十二万七千六百八十八艘アリマ
ス、併ナガラ今日高層氣象觀測所ノナイタメニ難破船ハ非常ナモノデアリマス、一箇年ニ
難破船ガ漁業船デ九百三十八艘アリマス、又此タメニ人ノ死スルモノガドレダケアルカ
ト云フト、最近ノ調ニ依ルト千五百十六人、斯ウ云フ非常ニ多クノ船ヲ痛メ又人ヲシ
テ死セシムルト云フコトハ、全ク高層氣象觀測所ノナイタメデアリマス、此船ヲ農商務
省ノ調ニ依ルト一艘ヲ四百圓トシマシテ三十七万二千五百圓ト云フ損害ヲ年々受クル
ト云フ譯ニナル、此高層氣象觀測所ガ出來マスレバ、斯ウ云フ暴風或ハ暴雨ト云フモノ
ガ分リマスカラシテ此難ヲ全ク避クルコトガ出來ル、ソレ故ニ歐米ニ於テハ今日非常ニ
漁業ガ發達シテ難ヲ受クルト云フコトガナイノデアリマス、ドウカ此建議案ヲ諸君ノ御贊
成ヲ得テ通過シテ、我國ニ於テモ此高層氣象觀測所ヲ一日モ早ク設置サレンコトヲ望
ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=103
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104・菅原傳
○菅原傳君 本案モ議長指名九名ノ特別委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=104
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105・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 本案ハ議長指名九名ノ特別委員ニ付託スルト云フニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=105
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106・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ガナイト認メマスカラ其通リ決シマス、日程第三十
九、第四十ハ同一委員ニ付託セラレタル議案ナルニヨリ、併セテ委員長ヨリ報告ヲ致シ
マス、第三十九ハ鐵道建設ニ關スル建議案、第四十ハ山陰縱貫鐵道速成ニ關スル建
議案、委員長太田〓藏君
第三十九鐵道建設ニ關スル建議案(阿部政太郞(委員長報告)
君外一名提出)
第四十山陰縱貫鐵道速成ニ關スル建議案(德(委員長報告)
田讓甫君外三名提出)
〔太田〓藏君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=106
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107・太田清藏
○太田〓藏君 報告ヲ致シマス、此案ハ靑森縣下野邊地ヨリ分岐シテ大湊ニ到ル鐵
道建設ノ案デアリスルガ、委員會ニ於テハ愼重ノ審議ヲ致シマシタ、尙政府ニ對シテ此
案ニ對スル所見ヲ聽キマシタガ、政府ハ既ニ此鐵道ノ必要ナルコトヲ認メテ調査ヲ遂
ゲテ居ル次第デゴザイマシテ、何等此建議案ニ對シテハ異議ノナイト云フ政府ノ所見デ
アリマス、ソレデ委員會モ最モ必要ナル鐵道デアルト云フコトヲ滿場一致ヲ以テ建議ヲ
可決シタ次第デゴザイマス、其次ハ山陰縱貫鐵道速成ニ關スル建議、是ハ縱貫線ノ中
山口ヨリ津和野、益田ヲ經テ濱田ニ達スル同西線ト云フ方中間ニ當ッテ僅ニ山口濱田
間ト云モノヲ殘サレテ居ルカラ、之ヲ急ニ敷設シテ貫ヒタイト云フ建議デアル、最モ委員
會ニ於テ愼重ノ調査ヲ遂ゲマシタ結果ハ、此建議ノ趣意ヲ可トシテ何等異議ナク、是亦
滿場一致ヲ以テ此案ヲ可決シタ次第デアリマス、尙此案ニ對シテ政府ノ意見ハ、ヤハリ全
體之ニ同意ヲ表シテ居ルノデアルガ、何時カラ之ヲ著手スルト云フコトハ今日確答スルコ
トハ出來ヌガ、大體ニ於テハ無論贊成デアルト云フ、是亦政府ノ同意デアマスカラ滿場
一致ヲ以テ委員會ハ決定致シマシタ、此段御報告致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=107
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108・菅原傳
○菅原傳君 兩案共委員長ノ報告通リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=108
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109・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 別ニ御異議ガナイト認メマスカラ菅原君動議ノ通リ兩案共
委員長ノ報告通リ可決致シマス、日程四十一、四十二ハ同一委員ニ附託セラレタル
議案ナルニ依リ、併セテ委員長ヨリ報告致シマス、日程第四十一ハ羽越沿岸鐵道敷
設ニ關スル建議案、日程第四十二ハ羽越沿岸鐵道敷設ニ關スル建議案、委員長高
橋光威君
第四十一羽越沿岸鐵道敷設ニ關スル建議案(高(委員長報告)
橋光威君外九名提出)
第四十二羽越沿岸鐵道敷設ニ關スル建議案(齋(委員長報告)
藤宇一郞君外十三名提出)
〔高橋光威君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=109
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110・高橋光威
○高橋光威君 御報告致シマス、本案ハ愼重審議ノ末、政府委員ノ意見ヲ尋マシテ
ゴザイマスルガ、政府ニ於テハ明治四十五年度ヨリ此線ニ著手シタイト云フ希望デアリマ
ス、但財政ノ都合モアリマスケレドモ、四十五年度ヨリ著手シタイト云フ希望デハアリマス
ガ、明言ハ出來ナイト云フノミデアリマシテ、非常ニ是ハ急要ナ鐵道デアルト云フコトハ政
府モ十分ニ認メテ居ル譯デアリマス、尙種々ノ〓ニ付キマシテ審査ノ末ニ、滿場一致ヲ
以テ本案ハ可決スベキモノト認メマシタ次第デアリマス、尙外一件ト申シマスノハ齋藤宇
一郞君外十三名ノ提出ニ係ルトコロノ同一建議案デアリマスガ、其內容モ亦全ク同一
デアリマシテ、旣ニ前ノ一案ニ付テ審査ヲ經タル以上、更ニ之ヲ繰返スノ必要アリマセヌ
ト云フコトニナリマシテ、審査ハ重ネマセヌデゴザイマシタガ、委員多數ノ希望ニ依リマシ
テ、是モ同樣可決スベキモノト認メルコトニナリマシテゴザイマス、右御報告ヲ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=110
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111・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 先ヅ日程第四十一ヲ議題ニ供シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=111
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112・菅原傳
○菅原傳君 是ハ委員長報告通リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=112
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113・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ハアリマセヌカ
(「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=113
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114・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ガナケレバ委員長報告通リ可決致シマス-旣ニ
日程第四十一ノ議案ガ可決シマシタル以上ハ、日程ノ第四十二ハ委員長ノ報告通リ
同一案ナルニ依リ、最早決議ヲ要セザル者ト看做シテ、御異議ガアリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=114
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115・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ガナケレバ其通リ決シマス-御諮ヲ致シマス、決
算委員花村覺三郞君病氣ノタメ辭任ノ申出ガアリマス、許可シテ御異議ハアリマセヌカ
(「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=115
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116・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ガナケレバ許可スルコトニ致シマス、同君ハ第三部選
出ニ付同部ノ諸君ハ補缺ノ互選アランコトヲ希望シマス-武豐港修築ニ關スル建議
案委員、花村覺三郞君病氣ノタメ辭任ノ申出ガアリマス、許可シテ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=116
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117・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ナケレバ許可スルコトニ致シマス、而シテ其補缺トシ
テ春田祐〓君ヲ指名致シマス-花村覺三郞君病氣ニ付キ、明二十二日ヨリ十三
日間、請暇ノ申出ガアリマス、許可シテ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=117
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118・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 御異議ガナケレバ許可スルコトヽ致シマス-是ヨリ諸般ノ
報〓ヲ致シマス
〔書記朗讀〕
一議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
決議案
提出者犬養毅君大石正己君河野廣中君
一上越鐵道敷設ニ關スル建議案
提出者武藤金吉君日向輝武君根岸 峮太郞君
靑柳信五郞君山際敬雄君
石橋爲之助君ヨリ郵便貯金ニ關スル質問主意書ヲ提出セラレタリ
村松恆一郞君ヨリ危險思想防止策ニ關スル質問主意書ヲ提出セラレタリ
水野正己君ヨリ正金銀行營業業務監督ニ關スル質問主意書ヲ提出セラレタリ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=118
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119・長谷場純孝
○議長(長谷場純孝君) 議長ニ委託セラレタル委員ノ氏名ハ公報ヲ以テ御通知シマ
ス-次囘ノ議事日程ハ公報ヲ以テ御通知シマス、本日ハ是ニテ散會
午後四時五十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X01419110221&spkNum=119
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