第27回帝国議会　衆議院　本会議　第22号　明治44年3月14日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  　明治四十四年三月十四日（火曜日）午後一時十二分開議
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  　　議事日程　第二十一號　明治四十四年三月十四日
  　　　　午後一時開議
  　　　　　　質問
  　　　一　米國官憲の在布邦人に加へたる不法行爲に關する質問（千田軍之助君提出）
  　　　二　馬匹改良方針に關する質問（澤來太郎君提出）
  　　　三　朝鮮民團議員任期延長に關する質問（鈴木力君提出）
  　　　四　領事館設置に關する質問（根本正君提出）
  　　　五　淡水産漁業奬勵に關する質問（吉田虎之助君提出）
  　　　六　行政裁判所評定官免官に關する質問（卜部喜太郎君提出）
  　　　七　鐵道改善に關する質問（水品平右衞門君提出）
  　　　八　東京株式取引所の新株式直取引に關する質問（武藤金吉君提出）
  　　　九　外交に關する質問（佐々木安五郎君提出）
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  　　第一　明治二十三年法律第百三號廢止法律案（政府提出貴族院送付）　第一讀會
  　　第二　右議案の審査を付託すへき委員の選舉
  　　第三　韓國鐵道會計所屬資金の繰入に關する法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第四　租税外諸收入金整理に關する法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第五　電氣事業法案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第六　司法事務共助法案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第七　大藏省預金部の利益金を一般會計に繰入るる件に關する法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第八　市制改正法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第九　町村制改正法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第十　借地に關する法律案（鳩山和夫君外四名提出）　第一讀會
  　　第十一　廣告物取締法案（松田源治君外四名提出）　第一讀會
  　　第十二　地租條例中改正法律案（塚田啓太郎君提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第十三　登録税法中改正法律案（日向輝武君外十一名提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第十四　朝鮮穀物及穀粉の移入税に關する建議案（大内暢三君提出）
  　　第十五　准三后北畠親房公墳墓修理竝南朝三帝の宮址賀名生皇居を特別保護建造物編入に關する建議案（東武君外一名提出）
  　　第十六　前參議司法卿江藤新平表彰に關する建議案（尾崎行雄君外六名提出）
  　　第十七　生絲檢査所に試織場併置に關する建議案（武藤金吉君外二名提出）
  　　第十八　南極探檢事業國庫補助に關する建議案（小久保喜七君外二名提出）
  　　第十九　内地粗糖業保護に關する建議案（武滿義雄君外四名提出）
  　　第二十　酒類釀造試驗場増設に關する建議案（黄金井爲造君外二名提出）
  　　第二十一　千葉縣立園藝專門學校を文部省直轄と爲すの建議案（稻村辰次郎君外一名提出）
  　　第二十二　高等學校増設に關する建議案（宮古啓三郎君外二名提出）
  　　第二十三　港灣改良に關する建議案（松田正久君外七名提出）
  　　第二十四　鐵道速成に關する建議案（田中定吉君外一名提出）　（委員長報告）
  　　第二十五　大湊開港に關する建議案（齋藤二郎君提出）　（委員長報告）
  　　第二十六　天龍、大井、安倍三大川改修工事に關する建議案（大橋頼摸君外四名提出）　（委員長報告）
  　　第二十七　伏木港に於ける海陸連絡に關する建議案（上埜安太郎君提出）　（委員長報告）
  　　第二十八　國設大公園設置に關する建議案（清崟太郎君提出）　（委員長報告）
  　　第二十九　冷藏事業保護に關する建議案（三浦覺一君提出）　（委員長報告）
  　　第三十　（特別報告第八十四號）煙毒除害工事設備の請願　（委員長報告）
  　　第三十一　（特別報告第八十五號）鹽販賣業者失業に關する請願　（委員長報告）
  　　第三十二　（特別報告第八十六號）葉煙草耕作段別復活の請願　（委員長報告）
  　　第三十三　（特別報告第八十七號）在外國賣淫婦取締法制定の請願　（委員長報告）
  　　第三十四　（特別報告第八十八號）産牛馬組合法改正の請願　（委員長報告）
  　　第三十五　（特別報告第八十九號）勸業銀行拓殖銀行又は農工銀行低利資金を産牛馬組合に運用貸付の請願　（委員長報告）
  　　第三十六　（特別報告第九十號）牛疫豫防に關する請願　（委員長報告）
  　　第三十七　（特別報告第九十一號）常任判事檢事任設の請願　（委員長報告）
  　　第三十八　（特別報告第九十四號）岐阜監獄移轉の請願　（委員長報告）
  　　第三十九　（特別報告第九十六號）區裁判所出張所設置の請願　（委員長報告）
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• 001・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　是ヨリ諸般ノ報告ヲ致シマス
  〔書記朗讀〕
  一議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  印紙稅法中改正法律案
  提出者岡田泰藏君
  市制改正法律案ニ對スル修正案
  提出者日野國明君濱田國松君石田仁太郞君
  野添宗三君久保田與四郞君藏原惟郭君
  福田又一君
  町村制改正法律案ニ對スル修正案
  提出者日野國明君濱田國松君石田仁太郞君
  野添宗三君久保田與四郞君藏原惟郭君
  福田又一君
  一貴族院ハ本院ノ送付ニ係ル左ノ議案ヲ可決シタル旨同院ヨリ通牒ヲ受領セリ
  明治四十四年度歲入歲出總豫算案竝明治四十四年度各特別會計歲入歲出
  豫算案
  豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件
  會計檢査院法中改正法律案(政府提出)
  朝鮮ニ施行スヘキ法令ニ關スル法律案(本院提出)
  又左ノ議案ニ對シテハ承諾スルコトヲ議決シタル旨同院ヨリ通牒ヲ受領セリ
  明治四十三年勅令第三百二十六號(承諾ヲ求ムル件)
  明治四十三年勅令第三百二十七號(承諾ヲ求ムル件)
  明治四十三年勅令第三百二十八號(承諾ヲ求ムル件)
  明治四十三年勅令第三百二十九號(承諾ヲ求ムル件)
  明治四十三年勅令第三百三十號(承諾ヲ求ムル件)
  明治四十三年勅令第三百三十一號(承諾ヲ求ムル件)
  明治四十三年勅令第三百三十三號(承諾ヲ求ムル件)
  明治四十三年勅令第三百三十六號(承諾ヲ求ムル件)
  明治四十三年勅令第三百三十七號(承諾ヲ求ムル件)
  明治四十三年勅令第三百三十八號(承諾ヲ求ムル件)
  明治四十三年勅令第四百六號(承諾ヲ求ムル件)
  一早速整爾君ヨリ朝鮮ノ關稅ニ關スル再質問主意書ヲ提出セラレタリ
  一高木正年君ヨリ荒川中川多摩川河身改修豫備ニ關スル質問主意書ヲ提出セラ
  レタリ
  一ト部喜太郞君外一名ヨリ樺太開發ニ關スル質問主意書ヲ提出セラレタリ
  〔左ノ報告ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
  一去十一日議長ニ於テ選定シタル委員左ノ如シ
  東京市區改正條例中改正法律案外一件
  戶水寛人君松田源治君田十衞君
  高橋直治君坪田十郞君高原木益太郞君
  福田叉一君江間俊一君田川大吉郞君
  鐵道敷設法中改正法律案外二件
  中村啓次郞君望月右內君根本正君
  白石義郞君三浦盛德君平島松尾君
  荒谷桂吉君阪本彌一郞君松本恆之助君
  貴族院及衆議院速記技手在官年月數ニ關スル法律案
  阪泰碩君福井三郞君中村啓次郞君
  西澤定吉君肥後幸盛君中島祐八君
  關和知君大內暢三君森秀次君
  酒造稅法中改正法律案
  黃金井爲造君武藤金吉君上柳喜右衞門君
  有田源一郞君河上英君佐藤貞雄君
  野添宗三君森秀次君大西五一郞君
  御歷世宮趾保表ニ關スル建議案外一件
  吉田虎之助君福井三郞君八木逸郞君
  東武君川崎安之助君正君
  村松恆一郞君村田虎次郞君濱森岡光哲君
  臺南水道敷設ニ關スル建議案
  村上先君高森新君山本悌二郞君
  齋藤珪次君井上僖作朗君守屋此助君
  關田嘉七郞君荒川五郞君井阪光暉君
  人工降雨試驗ニ關スル建議案
  早川龍介君遠藤吉平君塚田啓太郞君
  中川虎之助君河井重藏君天野董平君
  木村良君淺羽靖君才賀藤吉君
  日本海員技濟會國庫補助金增額ノ建議案
  戶水寛人君井上敏夫君安藤新太郞君
  〓峯太郞君町田旦龍君神保東作君
  藤崎朋之君長場龍太郞君中村豐次郞君
  一關稅法中改正法律案外二件委員竹田文吉君辭任ニ付キ其補闕トシテ村松恆
  一郞君ヲ、商法中改正法律案外二件委員中野武營君辭任ニ付キ其補闕トシ
  テ岩下〓周君ヲ、御歷世宮趾保表ニ關スル建議案外一件委員東武君辭任
  ニ付キ其補闕トシテ小林庄一郞君ヲ議長ニ於テ選定セリ
  一委員長及理事左ノ通リ當選セラレタリ
  東京市區改正條例中改正法律案外一件委員會
  委員長戶水寛人君理事田川大吉郞君
  鐵道敷設法中改正法律案(中村啓次郞君外三名提出)外二件委員會
  委員長望月右內君理事根本正君
  貴族院及衆議院速記技手在官年月數ニ關スル法律案委員會
  委員長阪泰碩君理事西澤定吉君
  酒造稅法中改正法律案委員會
  委員長武藤金吉君理事黃金井爲造君
  御歷世宮趾保表ニ關スル建議案外一件委員會
  委員長八木逸郞君理事福井三郞君
  臺南水道敷設ニ關スル建議案委員會
  委員長村上先君理事高森新君
  人工降雨試驗ニ關スル建議案委員會
  委員長早川龍介君理事才賀藤吉君
  日本海員掖濟會國庫補助金增額ノ建議案委員會
  委員長戶水寬人君理事〓崟太郞君
  〔左ノ質問書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ茲ニ揭載ス〕
  米國官憲ノ在布邦人ニ加ヘタル不法行爲ニ關スル質問主意書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治四十四年二月二十日
  提出者千田軍之助贊成者山口熊野
  外三十四人
  米國官憲ノ在布邦人ニ加ヘタル不法行爲ニ關スル質問主意書
  一米國官憲ハ一昨明治四十二年五六月ノ交故意ニ其ノ權力ヲ濫用シテ法律ノ
  定ムル所ニ背キ家宅搜索狀ヲ有セスシテ深夜暴力ヲ用井テ我カ在布邦人ノ家宅
  及事務所ノ戶ヲ破壞シ屋内及事務所內ニ侵入シテ私書及營業上祕密ニ屬ス
  ル帳簿ヲ搜索シ之ヲ拉シ去リ且金庫ヲ奪ヒ去リテ之ヲ「ダイナマイト」ニテ破壞
  シタリ是レ米國國法ニ背ケルハ勿論日米條約第三條ヲ無視シタル非國際的蠻
  行ナリ
  二米國官憲ハ一昨明治四十二年六月十日「ホノルル」ニ在住スル日本人十一
  名及同年同月七八日頃「ホノルル」附近ナル「ワイパフ」ト稱スル所ニ在留セル
  日本人三十餘名ヲ逮捕狀ナクシテ逮捕シ前者ハ四十八時間後者ハ約四日間
  布哇「オアフ」島「オアフ」監獄內ニ監禁シタリ米國官憲ハ現行布哇法律ノ條
  文ニ依リテ此ノ無令狀逮捕監禁ヲ辯護シ其ノ責任ヲ遁レムトスレトモ逮捕
  狀ナクシテ人ヲ逮捕監禁スルヲ許ス法律ハ米國憲法ニ違反セルヲ以テ無效ノ法
  律ナリ故ニ此ノ布哇現行法ハ無令狀逮捕監禁ヲ辯解スルニ足ラス
  三前項ニ記載セル四十餘名ノ邦人カ「オアフ」監獄ニ不法ニ監禁セラルルヤ其ノ
  典獄ハ囚徒某ヲシテ被監禁者ノ監房ノ鐵戶ヲ鐵槌ニテ猛烈ニ數囘亂敲セシメ
  其ノ音響及反響ヨリ生スル無限ノ苦痛ヲ被監禁者ニ與ヘタリ何トナレハ此等
  ノ監房ハ一ノ廊下ヲ隔テテ兩側ニ竝列セラレ其ノ構造ハ最强度ノ反響ヲ惹起
  シ其ノ監房內ニ在ル者ハ勿論其ノ附近ノ監房內ニ幽閉セラルル者ニ無限ノ苦
  痛ヲ與フル構造ノ監房ナルヲ以テナリ
  加之鐵戶ノ亂敲終リタルトキハ「コンクリート」ニテ造リタル廊下上ニ鐵鎖ヲ牽
  キ迴シ之ヨリ生スル異樣ノ嫌惡スヘキ音響ノ苦痛ヲ被監禁者ニ與ヘタリ鐵鎖ノ
  牽迥終リタルトキハ鐵槌ヲ以テ鐵棒ヲ亂打シ其ノ音響ト反響ノ苦痛ヲ被監禁
  者ニ與ヘタリ
  如斯鐵戶ノ亂敲、鐵鎖ノ牽迴及鐵棒ノ亂打ハ每日數囘間斷ナク繰リ返サレ
  是等被監禁者ニ無限ノ苦痛ヲ與ヘタルハ不法亂行ノ甚シキモノナリ
  四米國官憲ハ一昨明治四十二年七月十六日午後十一時過米領布哇「オアフ」
  島「ワイマル」停車場附近ニ於テ友人出迎ノ爲二箇ノ點火シタル洋燈ヲ携ヘタ
  ル在留邦人數名ヲ不意ニ何等ノ豫告ヲモ與ヘスシテ毆打シ罵詈シ且重傷ヲ負
  ハシメタリ警官ニ對シテ何等ノ無禮、暴行又ハ抵抗ヲ爲サス又何等犯罪ノ形蹟
  又ハ徵候ナク平穩ニ暗夜ニ洋燈ヲ携ヘテ道路ヲ步行スル者ヲ治安ノ任ニ在ル
  警官カ突然打撲創傷スルハ不法モ亦甚シカラスヤ
  米國領土內ニ在留スル我カ邦人ハ米國官憲ノ力ニ依リテノミ其ノ法律上及條約上
  有スル所ノ權利ヲ保全シ得ヘシ然ルニ米國官憲カ上述ノ如ク其ノ保護ノ任ヲ忘レ法
  律及條約ヲ無視シテ故意ニ其ノ權力ヲ濫用シテ在留邦人ノ權利ヲ蹂躙シ如上ノ蠻
  行ヲ敢テシテ我カ在留民ニ莫大ナル損害ヲ加ヘタリ米國官憲己ニ恃ムニ足ラストセハ
  我カ在留民ハ本國政府ヲ措テ誰ニ向テ愁訴シ誰ニ向テ救ヲ求メムヤ
  被害在留民ハ一昨年被害ノアリシ當時已ニ其ノ救濟ヲ我カ政府ニ求メタリ
  以上四件ニ對シ政府ハ米國政府ニ向テ本件ニ關スル交涉ヲ爲シタルコトアリヤ如何
  若已ニ其ノ交涉ヲ爲シタリトセハ之カ交渉ノ〓末如何
  本件ニ關シテ曲米國官憲ニアルコトヲ認ムルトキハ國際的慣例ニ依リ政府ハ之ニ對
  シテ被害者ノ爲ニ損害賠償ヲ求ムルノ意思アリヤ如何
  右及質問候也
  馬匹改良方針ニ關スル質問主意書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治四十四年二月二十八日
  提出者澤來太郞贊成者高木益太郞
  外三十三人
  馬匹改良方針ニ關スル質問主意書
  一馬政局ハ蘆毛、月毛、瓦毛ノ馬匹ハ馬匹改良上利益ナキモノト認メ各公認競
  馬ニ出場競走セシメサルコトヲ命令シ又種馬ニモ右三種ノ馬匹ヲハ禁止シタルニモ
  拘ラス依然從來ノ蘆毛馬ハ禁止後ト雖出場競走セシメ每囘國庫金ヲ以テ其ノ
  禁止馬ニ賞金ヲ與ヘツツアルハ果シテ如何ナル理由ナルカ
  一本年春季競馬モ來ル四月一日以後各競馬倶樂部共ニ開催ノ準備中ニテ既ニ
  登錄馬匹ノ勸誘中ナルカ依然本年春季モ禁止馬匹ノ蘆毛馬モ登錄ヲ許シ且勝
  馬ト決定ノ曉ニハ國庫金ヲ以テ賞金ヲ與フル方針ナル哉果シテ然ルトキハ餘リニ
  矛盾ニシテ國庫金ヲ亂費スルニ非サルカ
  一昨年秋季藤枝競馬倶樂部ニ於テ競馬開催ノ當時ニハ旣ニ禁止シタル蘆毛ノ新
  馬ヲシテ出場競走セシメ而シテ之ニ相當ノ國庫金ヲ賞與セシハ其ノ理由如何
  一又昨年秋季藤枝競馬開催ノ後松戶競馬開催ノ際ニハ蘆毛ノ新馬ヲ番組中ニ
  登錄セシメナカラ其ノ後馬政局ハ之ヲ取消サシメ以テ出場競走ヲ禁シ馬主ニ多大
  ノ損害ヲ蒙ラシメタリ藤枝ニ於テハ之ヲ許シ剩ヘ賞金迄モ與ヘナカラ松戶ニ於テハ
  之ヲ禁シタルハ何レカ是何レカ非ナルヤ馬政局ノ無方針ニシテ前後矛盾セルニ非サ
  ルカ
  右及質問候追テ答辯ハ文書ヲ以テセラレ度候也
  淡水產漁業奬勵ニ關スル質問主意書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治四十四年三月七日
  提出者吉田虎之助贊成者古井由之
  外三十人
  淡水產漁業奬動ニ關スル質問主意書
  一政府ハ前議會ニ於テ淡水漁業奬勵ノ必要ヲ認ムルニ拘ラス本年度像算ニ於テ之
  カ奬勵費ヲ減セシ理由如何
  政府ハ淡水漁業講習所又ハ試驗場設置ノ必要ヲ認メサルヤ
  政府ハ河川ノ改修或ハ水力電氣事業ノ勃興ニ伴ヒ洗ヒ堰又ハ堰堤ノ設ケラルヽ
  場合ニ於テ魚梯ヲ設置ノ必要ヲ認メサルヤ
  右及質問候也
  行政裁判所評定官免官ニ關スル質問主意書
  右成規ニ據り提出候也
  明治四十四年三月七日
  提出者卜部喜太郞贊成者高木益太郞
  外三十二人
  行政裁判所評定官免官ニ關スル質問主意書
  一明治四十三年十月行政裁判所ハ松浦、樋山、由布三評定官ニ對シテハ何
  等ノ通告ヲ爲サスシテ總會議ヲ開キ當時現ニ異狀ナク執務シツヽアリシ右三評
  定官ヲ身神衰耗者トシテ行政裁判法第六條ヲ適用シ退職ノ決議ヲ爲シタリ
  此ノ決議ノ實體ニ付テハ大ニ論スヘキモノアリト雖此ノ〓ハ姑ク措キ右三評定
  官ハ他ノ評定官ト均シク自己以外ノ評定官ノ身上ニ付テハ當然議事ニ參與ス
  ヘキ權利ヲ有スルニ拘ラス行政裁判所長官カ此ノ權利ヲ行ハシメサリシハ違法
  ノ處置ナリト思料ス政府ノ所見如何
  二政府ハ事行政裁判所ノ職權ニ屬シ他ヨリ容喙スヘカラサルモノトシテ三評定官
  ノ免職ヲ上奏シタリヤ
  三政府ハ行政裁判所ノ決議ハ如何ナル違法ノ點アルモ其ノ責行政裁判所ニ在リ
  トシ其ノ儘之ヲ上奏スル見解ナルヤ
  四內閣總理大臣ハ山脇長官ニ松浦、樋山、由布三評定官ヲ退官セシムヘシト命
  シタルコトアリヤ
  五山脇長官ヨリ松浦評定官ニ送リタル書面ニ依レハ內閣總理大臣ハ松浦評定
  官ノ任意辭職ヲ條件トシ勅選議員候補者ト爲スコトヲ約シタルモノヽ如シ果シ
  テ此ノ如キ事實アリタルヤ
  右及質問候也
  鐵道改善ニ關スル質問主意書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治四十四年三月七日
  提出者水品平右衞門贊成者翠川鐵三
  外五十五人
  鐵道改善ニ關スル質問主意書
  一信越線中確氷鐵道ハ目下其ノ原動力ヲ電氣裝置ニ變更スル工事中ナルカ右工
  事竣成セハ現在ニ比シ幾何ノ牽引力ヲ增シ且速力ヲ早メ得ル平又斯ル姑息ノ改
  良手段ニテハ到底交通頻繁ナル場合及貨物ノ激增セル時際ニ於ケル不便ト停滯
  トヲ匡救スル能ハサルノミナラス近ク中央西線ノ全通殊ニ富直線全通ノ曉ニハ必
  ス輸送力ニ不足ヲ告ケテ爲ス所ヲ知ラサルノ失態ヲ演スヘシト信ス政府ハ此ノ間ニ
  根本的ノ改築ヲ爲スノ意思無キ乎
  一同線中豐野、荒井間ハ其ノ勾配四十分一ノ坂路ニシテ牽引力ニ乏キ爲ニ他ト
  同數ナル車輛ヲ聯結スル能ハサルノミナラス其ノ進行ノ遲緩ナル牛步モ啻ナラサル
  觀有リ爲ニ旣往現在ニ於テモ貨物停滯ノ事實多キコトナルカ近ク富直線竝中央
  西線全通後ニ於ケル乘客貨物ノ增加セル場合ヲ豫想スルニ於テハ其ノ停滯ト困
  難ハ一層甚シク牽テ地方經濟力ノ發展ニ少カラヌ障碍ヲ與フヘシト信ス政府ハ如
  何ニシテ之ニ應セムトスル乎
  一中央東線中ノ篠ノ井線ハ牽引力ノ不足ナル爲速力ノ遲緩ナル上ニ少シク降雨ノ
  續クニ於テハ輙チ崩壞ヲ來シテ運輸交通ヲ杜絕スル西條明科間ノ如キ箇所有リ
  而シテ其ノ開通ノ目前ニ逼レル中央西線ノ全通スルニ於テハ此ノ間ノ交通運輸ニ
  一大激增ヲ加フヘキハ豫想スルニ難カラサル事實ナリトス政府ハ如何ナル施設ヲ爲
  シテ此ノ急ニ應セムトスル乎
  一信越線、中央東線倶ニ其ノ建設ノ不備ナルヲ別問題トスルモ其ノ發著度數ノ少
  キ(殊ニ直通及夜行列車ニ於テ)其ノ客車ノ粗惡ニシテ不潔ナル乘客ノ待遇宜シ
  キヲ得サル貨物ノ取扱ニ注意ヲ缺ケル殆ト文明的機關ト見ル能ハサルモノアリ政
  府ハ之ニ向ツテ改善ヲ加フルノ意思無キ乎
  右及質問候也
  東京株式取引所ノ新株式直取引ニ關スル質問主意書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治四十四年三月十一日
  提出者武藤金吉贊成者小久保喜七
  外三十二人
  東京株式取引所ノ新株式直取引ニ關スル質問主意書
  一政府ハ東京株式取引所ノ新株式直取引ヲ公益ヲ害スルモノト認メサルヤ
  一政府ハ何故ニ取引所ノ行爲法律命令ニ違反セシ東京取引所ノ新株式直取引ヲ
  斷然禁止セサルヤ
  右及質問候也

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=1

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• 002・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　會議ヲ開キ御諮ヲ致シマス、議員多木粂次郞君ヨリ病氣
  行付、明十五日ヨリ八日間請暇ノ願出ガアリマス、許可シテ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=2

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• 003・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ナケレバ許可スルコトニ致シマス、質問第一、米國
  官憲ノ在布邦人ニ加ヘタル不法行爲ニ關スル質問、提出者千田軍之助君
  〔千田軍之助君登壇〕
  〔拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=3

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• 004・千田軍之助

  ○千田軍之助君　諸君私ハ諸君ノ御手許ニ配付サレテアリマスル質問趣意書ノ通リ
  米國官憲ノ布哇ニ在住スル我日本人ニ加ヘタルトコロノ不法行爲ニ關シ政府ニ質問
  セントスルモノデアリマス此米國官憲ノ不法行爲タルヤ、一昨明治四十二年布哇ニ
  起リタル回、罷罷工ニ原因スル次第デアリマスカラ、玆ニ質問ニ先ダッテ同盟罷工ノ〓略
  ヲ隊述致サウト存ジマス、諸君モ御承知ノ通リ布哇ノ產業ハ甘蔗ヲ耕作シ、砂糖ヲ製造
  スルノ外、他ニ何等ノ產業ハナイノデアリマス、故ニ全島到ル處甘蔗ヲ耕作シ、砂糖ヲ
  製造ンテ居ルト云フ有樣デアルノデアリマス、最近ノ統計書ニ依リマスルト布哇ノ製糖
  一箇年ノ產額ハ五十七万噸、此價額殆ド一億圓ニ達シテ居ルノデアリマス、而シテ其
  甘蔗ノ耕作、砂糖ノ製造ニ從事シテ居リマスル勞働者ノ數ハ、四万五千人ニ達シテ居
  ルノデアル、其中七割以上、卽チ三万五千人ハ我日本ノ勞働者デアリマシテ、他ノ一
  万人ガ白人及土人、支那人ト云フ割合ニナッテ居ルノデアリマス、此ノ如ク我國ノ勞働
  者ハ其製、糖事業ニ從事シテ居リマスル人員ノ上ニ於テ、大多數ヲ占メテ居ルノミナラズ、
  勞働ノ〓ニ於キマシテモ、最モ勞苦多キ部分ニ當ッテ居ルノデアリマス、然ルニ其受クル
  トコロノ勞銀ハ一箇月僅々十八弗卽チ日本金ニ換算シテ三十六圓ニ過ギナイノデアリ
  マス、而シテ其住居スルトコロノ家屋ハ日本ノ長家建ノヤウナ家屋デアリマシテ、其中ニ
  男女夫婦者、獨身者ヲ雜居セシメテ居ルノデアリマス、而シテ白人及土人ニハ一
  箇月二十二弗五十仙、卽チ日本金ニ換算シテ四十五圓、尙其他ニ一人ニ付一戶一
  千五六百圓ノ家屋ト地所一「エーカー」卽チ四段步內外ヲ給與サレテ居ルノテアリマ
  ス、此ノ如ク日本ノ勞働者ハ多數ヲ占メテ居ルノミナラズ、其働キノ上ニ付テモ最モ勤
  勉デアルニモ拘ラズ、其得ルトコロノ勞銀ハ非常ニ少イノデアリマス、又住居及其ノ他ノ待
  遇ニ於テモ甚ダ等差ガアルノデアリマス、此ノ如キ次第デアリマスルガ故ニ、常ニ日本ノ勞
  働者側ニ於キマシテハ不平不滿ガアルノデアリマス、故ニ時々委員若クハ總代ヲ選ンデ
  地主ニ賃銀ノ値上及住居ノ待遇等ニ付テ交渉ヲ致シマスケレドモ一モ其目的ヲ達
  シナイノデアリマス、其不平不滿ガ爆發シテ一昨明治四十二年ニ同盟罷工ヲ企ツルニ
  至ッタノデアリマス、諸君、同盟罷工ト申シマスルト甚ダ不穩當ニ聞エマスル又不穩當
  ノコトデアリマスガ、併シ米國ノ社會デハ勞働者ガ或場合ニ資本主ニ對シテ同盟罷工ヲ
  行フト云フコトハ實ハ已ムヲ得ナイコトデアッテ、一種ノ權利デアルト云フコトヲ公認サレ
  テ居ルノデアリマス、現ニ大統領「タフト」氏ガ數年前ニ候補ニ立チマシタ際ニ各地ニ
  於テ自家ノ政見ヲ發表シマシタ中ニ、斯ウ云フコトヲ申サレテ居リマス、勞働者ハ或場合
  ニ資本主ニ對シテ同盟罷工ヲ行フト云フコトハ、勞働者ノ一ノ權利デアル、併シ其同盟
  罷工ヲヤル場合ニ最モ愼ムベキハ人命ニ危害ヲ與フルトカ、人家ヲ破壞スル等ノ暴舉ニ
  渉ッテハ斷ジテイケナイ、斯ウ云フコトヲ申サレテ居ルノデアリマス、故ニ一昨四十二年布
  哇ニ於テ同盟罷工ノ舉アルヤ、同時「ホノルヽ」ニ在留シテ居リマスル日本人ノ中高等
  〓育アルトコロノ新聞社ノ社長トカ、博士トカ、學士トカ云フ連中ガ四五名申合セテ
  此場合同盟罷工ト云フコトハ已ムヲ得ヌノデアルガ、併シ斷ジテ暴動ニ涉ルヤウナコトガ
  アッテハイケナイト云フノデ、大ニ其〓ニ警戒ヲ加ヘタノデアリマス、警戒ヲ加ヘマシタ結
  果、極メテ靜肅ナル同盟罷工ガ行ハレタノデアル、唯新聞紙、演說會等ニ依ツテ同盟罷
  工ノ已ムヲ得ヌコトヲ訴ヘタノミデアルノデアリマス、而シテ其同盟罷工ハ四十二年ノ五月ヨ
  リ九月ニ渉リマシタノデアリマス、卽チ五箇月ノ久シキニ渉リマシタガ、其同盟罷工中ニハ目的
  ヲ達シナカッタノデアリマスケレドモ同盟罷工ヲ中止スルヤ、間モナク從前十八弗デアリ
  マシタ賃銀ガ二弗上ッテ一一十弗トナッタノデアリマス、又家屋卽チ住居ノコトニ付キマシテ
  モ多少改善ヲ加ヘラレタノデアリマス、尙今日ニ於テモ加ヘツヽアルノデアリマス、是ハ卽
  チ同盟罷工ノ〓末デアリマシテ、極メテ靜肅ニ同盟罷工ガ行ハレタノデアリマス、所ガ却
  テ米國ノ官憲ハ此同盟罷工ニ立障ッタ者ニ對シテ甚シキ不法行爲ヲ演ジタノデアリマ
  ス卽チソレハ質問書ニ第一項ヨリ第四項マデ列擧致シテアリマス通リデアリマス、卽チ第
  一項ハ同盟罷工ニ關係シタ者ノ家宅搜索ヲ行フニ當ッテ、卽チ家宅搜索狀ヲ携帶シナ
  ケレバナラヌノニ、携帶ヲ致サズ、又夜中家宅搜索ヲ爲ス場合ニハ搜索狀ニ其理由ヲ
  明記シナケレバナラヌノニ、ソレラノ明記モナク、卽チ家宅搜索狀ヲ携帶セズシテ、而モ深
  夜家宅ノ戶ヲ暴力ヲ以テ叩破ァテ屋內ニ侵入ヲ致シテ、其携ヘ歸ッタ金庫ノ如キハ
  爆烈彈ヲ以テ破壞シタト云フノデアリマス、實ニ此搜索狀ナクシテ夜中家宅搜索ヲ行ッ
  タト云フコトハ不法ノ甚シキモノデゴザイマシテ、是ハ卽チ米國憲法追加第四條及日
  米條約第三條ヲ無視シタル非國際的蠻行ノ甚シキモノデアリマス、第二條ハ日本人ヲ
  前後二囘ニ四十餘人逮捕監禁スルニ當ッテ、是亦令狀ヲ携帶シナケレバナラヌノニ、令
  狀ヲ携帶セズシテ逮捕監禁ヲ致シタノデアリマス、是ハ米國憲法追加第四條ノ精神ヲ
  無視シタル不法行爲デアリマス、第三條ハ前項四十餘名ノ邦人ガ監獄ニ監禁セラレマ
  スルヤ、其典獄ハ囚徒ノ或者ニ命ジテ鐵槌ヲ揮ヲテ其監房ノ鐵戶ヲ猛烈ニ亂敲セシメ、
  又或時ハ「コンクリート」ニテ造リタル廊下ノ上ヲ鐵鎖ヲ引囘シテ一種異樣ナル音響ヲ起
  シテ苦痛ヲ與ヘルトカ、又ソレガ止ムト鐵槌ヲ以テ鐵棒ヲ亂打シテ在監者ニ非常ナル苦
  痛ヲ與ヘル、此ノ如キ不法行爲ヲ數日間間斷ナク續ケテヤッタノデアリマス、第四條ハ夜
  中或ル停車場デ友人出迎ノタメニ數名ノ邦人ガ洋燈ヲ携ヘテ參ル其途中デ警察官
  ガソレラノ者ヲ擁シテ、何等ノ警告モ與ヘズ、直ニ毆打創傷ヲ加ヘタト云フヤウナコトガ
  アルノデアリマス、以上四件ノ如キハ實ニ官憲トシテアルマジキ行爲デアリマス、諸君、凡
  ソ海外ニ在住シテ居リマスルモノハ其當該國官憲ノ保護ニ依ッテ、法律上及條約上受
  クルトコロノ權利ヲ完ウスルコトガ出來ルノデアリマス、然ルニ當該國官憲ニシテ此ノ如キ
  不法行爲ヲ爲シマスル場合ニ於キマシテハ、本國政府ノ保護ヲ仰クノ外ハ他ニ自分ノ
  權利ヲ完ウスルノ途ハナイノデアリマス、故ニ當時被害民ハ直ニ本國政府ニ向ッテ之ガ
  救濟ヲ求メタノデアリマス、爾來今日ニ至ルマデ我政府ハ此被害民ニ對シテ何等ノ沙
  汰何等ノ通報ヲ與ヘナイノデアリマス、政府ハ或ハ此ノ如キ在留國當該官憲ニ於テ
  不法行爲ノアッタ場合ニハ、宜シク其當該國ノ裁判所ニ向ッテ訴ヲ起スガ宜イデアラウト
  云フヤウナ考ヲ持タレテ居ルカモ知レマセヌガ、併シ當該國ノ司法官ガ神聖ヲ保ッテ居ル
  トキニ於テハ、サウ云フ手續ヲ取ルモ宜シウゴザーマセウガ、元來此布哇官憲ガ此ノ如ク四
  箇條ノ不法行爲ヲ演ジタト申シマスルモノハ布哇ノ政廳ノ卽チ知事初メ高等官、警察
  官檢察官、裁判官、是等ノ者ハ布哇ノ官吏デアルト同時ニ地主デアルノデアリマス
  故ニ此同盟罷工ヲ見ルコト己レノ敵ヲ見ルガ如キ眼ヲ以テ見マシタノデアリマス、其結果
  曩ニ述ベマシタヤウナ不法行爲ヲ演ジタノデアリマスカラ、卽チ米國ノ司法官ガ神聖ヲ
  保ッテ居ラナイト申シテ宜イノデアル其當該國ノ司法官ガ神聖ヲ保ッテ居ラナイ場合ニ
  ハ本國政府ハ國際的談判ヲ開イテ、是ニ相當ノ救濟ヲ與ヘ、一國ノ體面ヲ保ツト云フ
  コトハ當然ノ責任ナリト考ヘルノデアリマス、故ニ政府ハ此問題ニ付キマシテ米國政府ニ
  向ッテ交涉ヲナシタルコトアリヤ如何、若シ果シテ其交渉ヲナシタイトセハ之ガ交渉ノ〓
  末如何、本件ニ關シ曲米國官憲ニアルコトヲ認ムルトキハ國際的慣例ニ依リ政府ハ之
  ニ對シテ被害者ノタメニ損害賠償ヲ求ムルノ意思アリヤ如何、卽チ此三〓ガ質問ノ要
  點デアリマス、ドウカ政府ハ被害民救濟ノタメ、又我國家ノ體面ヲ保ツタメニ、此場合
  適當ノ御答辯アランコトヲ希望スル次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=4

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• 005・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　馬匹改良方針ニ關スル質問、澤來太郞君
  〔澤來太郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=5

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• 006・澤來太郎

  ○澤來太郞君　諸君本員ノ質問セントスルトコロノ問題ハ御承知ノ通リ馬匹改良
  方針ニ關スル件ト云フノデアリマス、或友人ヨリハオ前ハソレハ少シ柄ニナイヤウデアルカ
  ラ其質問ハ控ヘタラドウカト云フ忠告モ受ケマシタ、併ナガラ諸君、本員ハ產馬地選出
  ノ議員デアリ、加之宮城縣ニ於ケル產馬組合員トシテ現ニ牝馬二頭ヲ有シテ年々此蕃
  殖飼養ニ從事シテ居ル者デアリマス、ソレ故ニ此馬匹改良方針ノ如何ニ依シテハ獨リ全
  國ノ利害ニ關スルノミナラズ、延イテ我宮城縣ノ利害ニ關シ、又小ニシテハ一身ノ利害
  ニモ關スル深イ因緣ヲ有シテ居ルモノデアリマス、尙段々議會モ切迫スルニ從ッテ多クノ
  質問ヲ試ミントスルトコロノ議員ハ私ノ質問ハ簡單デアルト云フコトヲ前置キニサレマス
  ガ、其簡單デアルト其斷リナサル方〓ノ其演說ヲ聽キマスト、何時モ終リニ臨ンデ、之ヲ
  要スルニガ三囘モ四囘モ重ナルヤウデアル、私ハソレガナイ代リ簡單トモ何トモ言ヒマセヌ
  ガ、努メテ其要領ヲ摘ンデ問フトコロアラントスルモノデアリマス、先ヅ其題目ヲ讀上ゲテ
  置キマスガ、馬匹改良事業ハ馬政局設置以來ノ實驗ニ徵シ、果シテ能ク豫期ノ目的
  ヲ達シ得ルノ見込アリヤ否ヤ、斯ウ云フノガ一ツデス、第二ハ馬政局ハ蘆毛、月毛瓦
  毛ノ馬匹ヲ種馬ニスルコトヲ禁止シ、且公認競馬場ニ於テ競走セシムルコトヲモ禁ジタ
  ルノ理由ハ如何、斯ウ云フノニ外ナリマセヌ、何故カ日露戰捷以來我ガ陸軍軍人ハ自
  己ノ勢力範圍ヲ超ヱマシテ、サウシテ、自分ニ經驗ナキトコロノ事業、殊ニ此殖產興業
  界ニマデモ手ヲ伸バサントシテ居ルノデアリマス、凡ソ此殖產興業ナルモノハ幾多ノ經驗
  ヲ積ムモ而モ尙且其效果ヲ舉グルコトノ難イ問題ニナッテ居ルノデアリマス、況ヤ戰捷以
  外何等ノ經驗ナキトコロノ軍人ノ手ニ於テ果シテ其效果ヲ舉ゲ得ルヤ否ヤト云フコトハ
  大ニ疑問トシテ見ナケレバナラヌトコロノモノデアルト私ハ信ジテ居リマス、軍人ノ專橫跋
  扈ハ必ズ戰捷後ニ來ルデアラウト云フコトハ日露戰爭當時ニ於テ何人モ豫想シタルトコ
  ロノモノデアリマシタ、果然我陸軍軍人ノ專橫跋扈ト云フモノハ今ヤ其極ニ達シテ何デ
  モ「サーベル」主義デナケレバナラヌト云フヤウナ世ノ中ニナッテ參ッタノデゴザイマス斯ル現
  象ハ諸君果シテ國家ノタメニ慶スベキ現象デゴザイマセウカ、將タ悲ムベキ現象デゴザイマセ
  ウカ、本員ハ斯ル惡現象ヲ以テ國家ノタメニ大ニ歎カナケレバナラヌモノデアルト信ジテ居
  ルノデゴザイマス、歷史ノ證明スルトコロニ依ッテ見マスレバ、勢力ノ存スルトコロハ卽チ權
  力ノ歸スルトコロデアルコトハ免ルベカラザルノ數ニナッテ居ルケレドモ、其勢力ナルモノニハ
  自ラ範圍ト云フモノガアルノデアリマス、然ルニ其勢力範圍ヲ超越致シマシテ、サウシテ他
  ノ權力範圍ヲ侵サントスルニ至リマシテハ其行ヤ僭越ナリ、又過分ナリト見ルヨリ外ニ
  ハ私ハ見ヤウガナイト思フノデアル、況ヤ經驗モナキ事業ニ手ヲ伸バサントシテ居ル殊
  產牛馬事業ノ如キハ幾百年ノ經驗ヲ以テシテ尙且其飼養蕃殖ト云フ〓ニ於テハ
  遺憾ガアッテ居ルノデアル、況ヤ是ガ軍人ノ手ニ於テ到底成功シ得ルト云フコトハ吾〓ガ
  疑ハザルヲ得ヌノデアリマス、然ルニ此ノ如キノ事業、卽チ軍人ノ柄ニモナキトコロノ事
  業、經驗ノナキトコロノ事業ヲ强テ己レノ勢力範圍ニ之ヲ奪ハントスルガ如キハ皆是レ
  軍人無上觀ヨリ割出サレタルトコロノ鈴木君ノ所謂陸軍絕對主義ノ謬見ヨリ割出サレ
  タルトコロノモノト私ハ思フノデアリマス、諸君ノ御承知ノ通リ民間ノ事業界ニハソレし
  分業ト云フコトガ行ハレテ居リマス、民間ニ分業アル以上官界ニ於テモ亦分業ナカルベカ
  ラザルモノデアルト思フ、此故ニ政府ニハ各省アリ、省內ニ局課ノ設ケアリ、又地方廳ニ
  モ各課ト云フモノガ設ケラレテ居ルノデゴザイマス、然ルニ我陸軍省ハ斯ル分業ノアルニモ
  拘ラズ、此分業ヲ慊ラズシテ他ノ權域ヲ侵シ柄ニモナキコトニ自分ノ手ヲ下シテ其事ヲ
  ナサントスルガ如キハ繰言ナガラ甚ダ私ハ不心得千萬デアルト言ハナケレバナラヌノデアリ
  マく、軍人ハ軍人トシテ自己ノ勢力範圍ニ於テ威ヲ張リ、又權ヲ揮フ、私ハ何等ノ不
  可ナキモノデアルト思フ、然レドモ其範圍ヲ超エテ、サウシテ他ノ權域ニ其威ヲ張リ、又
  其勢ヲ揮ハントスルガ如キハ、全ク國家ノ私ハ慶事ニアラザルモノデアルト思フノデアリマ
  ス、此〓ニ付テハ我海軍ハ實ニ軍人ノ好〓鑑デアルトロ心フ、彼ハ我ガ陸軍行政部ノ如
  ク何モカニモ皆自己ノ勢力範圍ニ收メントスルガ如キ橫暴專恣ナルコトハ決シテナシテ居
  ラヌ、獨リ我陸軍行政部ニ至ッテハ其事柄ノ如何ニ拘ハラズ、何事ニモアレ、總テ皆自
  己ノ勢力範圍ニ之ヲ獨占セントスルニ至ッテハ、大膽ト言ハンカ、將タ無謀ト言ハンカ、
  私ハ評スルニ適當ノ言葉ナキニ苦ムモノデアリマス、田舍ノ諺ニ何モカニモ雜ルコトヲ鼠ノ
  糞ト言ンテ居ルノデアル、我陸軍ハ丁度此鼠ノ糞ノ如クデアル、何ニカニモ雑ラントシテ
  居ル有樣ニナッテ居ルノデアリマス、卽チ本日問ハントスルトコロノ此馬匹改良ノ件ノ如
  キモ其無經驗ヲ暴露シ、到底將來ニ於テ效果ノ奏シ得ザルコトヲ證シテ餘リアルモノデ
  アリマスカラ、到底默視スルニ忍ビズ、此質問ヲ試ミントスルニ至ッタノデゴザイマス、諸君
  軍人ハ少シ馬ヲ見ルコトヲ知ッテ居リマス、ソレカラ無論商賣柄トシテ馬ニ乘ルコトハ巧
  ミデゴザイマスケレドモ、諸君、此產馬事業ナルモノハ馬ヲ相スルコトヽ馬ニ乘ルト一云フコ
  ト、卽チ相馬乘馬ト云フコトハ末ニナッテ居ルノデアリマス、根本ト云フモノハ育馬蕃
  殖馬ヲ育テ之ヲ殖スト云フコトガ根本ニナッテ居ル、而シテ我陸軍軍人中本員ハ
  未ダ曾テ此飼養蕃殖ト云フコトニ經驗アル軍人アルヲ聞キマセヌ、如何ニモ軍人中ニハ
  馬ヲ見ルコトニ巧ミナ人モゴザイマセウ、乘ルコトハ勿論巧ミデゴザイマセウケレドモ、馬ノ
  飼養蕃殖ノ根本ニ至ッテハ產馬地ヨリ選拔サレタル所ノ兵士ヲ除クノ外ハ將校中ニハ
  無論一人モ御經驗ノナイ事柄デアラウト思フノデゴザイマス、然ルニ末技タル此乘馬ノ
  技術アルノ故ヲ以テ而シテ此產馬事業ニ手ヲ下シテ多大ノ效果ヲ收メントスルガ如キハ、
  實ニ思ハザルノ甚シキモノニシテ、丁度餅屋が酒ノ改良ヲ企テントスルト私ハ同一種類ノ
  モノデアラウト信ズルノデゴザイマス、現政府ノ國民ヲ見ルコトハ諸君ノ御承知ノ如ク平
  時ニ於テハ納稅機械ト心得テ居ルノデアル而シテ戰時ニアッテハ戰鬪機械ト斯樣ニ心
  得テ居ルガ如ク、見エマスルカラシテ、之ガタメニ無用ニ多大ノ經費ヲ費スコトハサマデ思
  ハヌデゴザイマセウケレドモ吾〓國民ノ側ヨリ之ヲ視、吾〓當業者側ヨリ之ヲ見マスル
  ト其費ストコロノ費用モ無用ニシテ、其效果ノ覺束キヲ嘆カザルヲ得ナイノデアル、產
  馬事業ニ關シテハ之ヲ發達改良セシムル機關トシテ諸君ノ御承知ノ通リ宮內省ニハ主
  馬寮ト云フモノガゴザイマス、又政府ニハ農商務省ト」云フモノガゴザイマス、各地方ニハ
  勸業課ト云フモノガゴザイマス、當業者間ニハ產牛馬組合ナルモノ何レノ地方ニモ設ケラ
  レテ居ルノデゴザイマス、然ラバ此事業ニ關シテ何等經驗ナキトコロノ軍人ノ手ヲ私ハ煩
  ハスノ必要ト云フモノハ少シモナイノデゴザイマス又縱シ軍人ガヤッテ呉レト言ハレテモ、ソ
  レハ私ノ柄ニナイコトデアル、經驗ノナキコトデアルカラシテ寧ロ經驗ノアル方ニヤラシタ方
  ガ宜カラウト忌避センケレバナラヌ事業デアルト、私ハ思フノデアリマス、然ルニ己レ自ラ其
  事ヲ自覺シテ居リナガラ、而シテ到底效果ノ舉ゲ得ザルモノニ對シテ得ルトシテ居ルガ如
  キハ全ク國民ニ對シテ不親切ナルノミナラズ、國費ヲ濫費濫費ト申スト極端ニナ
  リマスカラシテ、其經費ノ半バ以上無效ニ費スコトハ何トモ思ハヌ、不心得ノ致ストコロ
  デハナカラウカト私ハ思フノデアリマス現.馬政局ヲ設ケマシテ以來四五年ニナリマシ
  テ、何等效果ノ舉ラズト云フコトハ、世間ノ皆等シク見テ居ルトコロデアルソレ故ニ當
  期議會ニ於テモ先頃齋藤宇一郞君ノ紹介トシテ軍馬育成所廢止請願ト云フモノモ出
  テ居ル、此軍馬育成所廢止請願ト云フコトハ最早到底此軍人ノ手ニ於テハ產馬事業
  ノ將來ト云フモノハ實ニ悲觀スルヨリ外ナイト云フ見地ヨリ出デタ請願デアルト思フ、之
  ハ論ヨリ證據デアル今日今ノ通リ軍馬育成所ヲ設ケ置キマスト云フト、其飼養管理
  ノ上ニ於テ到底不行屆デアリマスカラシテ、其育成所ガ效果ヲ得ザルノミナラズ、民間ノ
  馬匹ヲ改良スル上ニ於テモ、到底豫期ノ目的ヲ達セザルノミナラズ、却テ反對ナル結果
  ヲ見ルヨリ外ナイト信ズルノデアル、諸君、私ハ當業者デアル馬飼デアル、馬飼デアリマ
  スカラシテ、私ノ說ヲ御信用アランコトヲ望ミマス、ソレデ大體私ハ覺束ナク考ヘテ居ルノ
  デアリマスガ、併ナガラ當局者トシテハ既ニ經驗ヲ積マレタルコト五年ニモ及ンデ居リマス
  カラ、必ズヤ將來效果ヲ收ムルトコロノ見込ガアルト信ジテ居ル〓ガアラウト思フ、自覺
  シテ居ル點ガアラウト思フ若シサウ云フ御自覺ガアルナラバ、斯ク〓〓ノ次第デアルニ
  依り、必ズ效果ヲ奏シ得ル見込デアルト云フ御答辯ヲ御聽キシタイト思フノデアリマス、ソ
  レカラ諸君、我馬政局ニ於テハ何故カ蘆毛、月毛、瓦毛ノ三種ノ馬匹ヲバ種馬トスル
  コトヲ禁止シマシタ、是ハ何故デアラウカ、私ハ殆ド其禁止ノ意ヲ解スルニ苦ンデ居ル者
  デゴザイマス併セテ公認競馬場ニ於テ此三種ノ馬ヲ出場競爭セシムルコトヲ禁ジテ居
  リマス、卽チ昨年ノ六月ニ於テ公認各競馬倶樂部ニ對シテ命令ヲ發シタ、此〓ハ私ハ
  甚ダ不審ニ堪ヘヌノデゴザイマス、諸君ノ御承知ノ如ク日本ニ於テ蘆毛ト言ヘハ昔ハ大
  臣大將ノ乘馬トシテ連錢蘆毛ノ馬ニ金覆輪ノ鞍ヲ置イタト云フコトハ、文學上美的ニ書
  綴ラレテ居ルトコロノモノデアリマスノミナラズ、我宮城縣ヨリ出タトコロノ彼ノ池月卽チ
  梶原景季ト佐々木高綱此兩雄ガ涎ヲ流シテ爭ヒタル池月ナル名馬、是モヤハリ蘆毛デ
  ゴザイマシタツウダ此蘆毛ト云フモノハ日本ノ名馬トシテハ特產ニナッテ居ル此名馬、特
  種ナル名馬ノ種デアルモノヲ何故ニ馬政局ハ之ヲ種馬ニスルコトヲ禁ジテ居ルカ、何故
  ニ競馬市場ニ競走スルコトヲ禁ジタノデアルカ、假ニ理由ニ依ッテ禁ジタルモノトシテ此禁ジ
  タルコトヲ是認スルトシテ果シテ此禁止ノ旨趣ヲ實行シテ居ルヤ否ヤト云フ〓ニ付テ考ヘ
  テ見マスルニ、此〓ニ於テモ我馬政局ハ甚ダ矛盾シタル行動ヲ執ッテ居ル、ソレハ何ンデ
  アルカト云フト昨年ノ秋季藤枝競馬倶樂部ニ於テ競馬開催ノトキ旣ニ此禁止シタル蘆
  毛ノ馬ヲ出場競走セシメ其蘆毛ノ禁止馬ノ勝利トナルヤ、馬政局ハ之ニ對シテ賞金ヲ
  與ヘテ居リマス諸君、是ハ何タル矛盾ノ行爲デゴザイマセウ、蘆毛ノ馬ヲ種馬ニスルコ
  トヲ禁止シ、而シテ競馬市場ニ競走スルコトモ禁ジテ置イタニモ拘ラズ→實行ニ至リマシ
  テハ公然トシテ之ヲ許シテ此違反ヲ許シテ、獨リ許シタルノミナラズ、之ニ對シテ違反奬
  勵デアルカ何カ知リマセヌガ、更ニ賞金ヲ與ヘテ居ル、撞著ト言ハンカ、無方針ト言ハン
  カ、私ハ馬政局ノ方針ノ存スルトコロガ那邊ニアルカヲ知ルニ苦ムモノデアリマス、サウカ
  ト思フト又昨年ノ秋季松戶ノ市場ニ於テ開催當時ハ、如何デアリマシタカ、ヤハリ此蘆
  毛ノ馬ヲ番組中ニ登錄シタルニモ拘ラズ遂ニ突如トシテ之ヲ取消シテ、サウシテ此馬主ニ
  多大ナル損害ヲ被ラシメテ居ル、斯ウ前後甚ダ矛盾シタル行爲ヲ爲シテ居ルノデゴザイマ
  ス、曩ニハ之ヲ禁止シ、而シテ禁止シタル馬ヲシテ藤枝ニ於テハ番組ニ組入レ、而シテ之
  ヲ競走セシメ、其馬ガ勝テバ之ニ賞金ヲ與ヘテ居ル、松戶ニ於テハ又之ニ反對シタルト
  コロノ方針ヲ執ッテ居ルノデゴザイマスル、ドウ考ヘテモ我馬政局ナルモノヽ方針ノ存スル
  トコロト云フモノヲ到底私ハ知リ難イノデアリマス、ソレ故ニ此ノ如キ失態ガナイニシテ
  モ 失態ガナイニシテモ土臺此「サーベル」連中ガ馬ヲ殖ヤシ馬ヲ養フト云フコトハ到底
  其效果ヲ奏スルコトノ出來ナイモノデアルト思ウテ居ルノニ、搗テヽ加ヘテ此ノ如キ歷々
  タル失策ト云フモノヲ演ジテ居ルノデゴザイマス、此ノ如キモ尙且馬政局ハ吾〓「サー
  ベル」ノ力ニ依ッテ馬ヲ育テ馬ヲ殖ヤシ得ルト强辯スルノ勇アリヤ否ヤ、見事軍人ノ力ニ
  依ッテ將來此馬匹ノ改良ヲ十分ニ遂ゲルトコロノ確信アリヤ否ヤ、願クハ馬政局軍人
  諸君ノ卽チ腰間ニ帶シテ居ルトコロノ「サーベル」光ノ如キ是等ノ點ニ關シテ一點曇リナ
  キ御答辯アランコトヲ私ハ希望スルノデゴザイマス、尙進ンデ評論ヲ試ミ、更ニ議論ヲ試
  ミタイノデアリマスケレドモ、最早議長ノ方カラ注意ガアリサウニモ思ハレマスカラシテ、此
  邊ニ於テ私ノ演說ハ止メテ置キマス、唯願フトコロノモノハ軍人諸君ノ「サーベル」ソレノ
  如ク一〓曇リナキ御答辯アランコトヲ私ハ希望シテ置キマス(拍手起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=6

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• 007・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　第三、朝鮮民團議員任期延長ニ關スル質問ハ提出者ノ
  趣意書ニアルガ如ク質問趣意ノ演說ヲ要セズトゴザイマスカラ、其通リ計ヒマス、第四
  延期、第五モ延期ノ申出ラレマシタ、第六、行政裁判所評定官免官ニ關スル質
  問ト部喜太郞君
  〔卜部喜太郎君登壇〕
  〔拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=7

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• 008・卜部喜太郎

  ○ト部喜太郞君　諸君、私ハ行政裁判所評定官免官ニ關スル質問ノ趣意ヲ辯明
  致シマス、質問致シマスル事項ハ細カク質問書ニゴザイマスカラシテ一々各項ニ亙ッテノ
  辯明ハ書面ニ讓リマシテ、其大體ノミニ付テ質問ノ趣意ヲ辯明致シマス、行政裁判所
  ハ普通裁判所ト相對立致シマシテ、憲法ノ第六十一條ニ依ッテ設ケマシタトコロノ特別
  裁判所デアリマスルサウシテ此行政裁判所ノ管轄ニ屬スベキ事件ハ種々ノ法令ニ規定
  シテアルノデアリマスルケレドモ、其主ナルモノハ行政官廳ノ不當處分又ハ違法處分ニ依ツ
  テ權利ヲ侵害セラレタル一個人ノ權利ヲ救濟スルト云フ事柄ガ行政裁判所ノ目的デア
  リマス、上ハ内閣大臣ノ行政處分ヨリ下級ノ行政官廳ノ行政處分ニ至ルマデ苟モ其
  行政處分ニ違法ノ〓アリ、不當ノ廉ガアリマシタナラバ、其處分ニ依ッテ權利ヲ侵害サ
  レタトコロノ一個人ハ行政裁判所ニ訴ヘマシテ、此裁判ノ結果ニ依リマシテハ、國務大
  臣ノ處分ト雖モ全部其取消シヲ命ゼラルルコトノアルト云フコトハ申スマデモナイコトデア
  リマスルソレ故ニ行政裁判所ト申シマスルモノハ行政官ノ職權ノ濫用ヲ防止シ、非行
  ヲ監督スルトコロノ最上ノ監督機關デアリマスル斯ノ如キ重要ナル權限ヲ持ッテ居ル行
  政裁判所デアリマスカラシテ、此裁判ノ任ニ當リマスルト云フトコロノ評定官ノ進退ト申
  シマスルモノハ、無論法律ノ保障ガアルノデアリマスル、內閣ノ干涉ナドガ許サナイノデア
  リマスル、嚴然トシテ國務大臣ト獨立ノ位地ニ立ッテ居ラナケレバナラヌノデアリマス
  ル、恰モ司法官ガ行政官ト獨立ノ位地ヲ持ッテ居ルト同ジク又彼ノ會計檢査院ガ國家
  ノ會計ノ監査ニ關シマシテハ國務大臣ト獨立ノ位地ヲ持ッテ其職權ヲ行使シテ居ルノト
  同樣ニ其位地ト云フモノハ高イモノデアリマスル、此ノ如ク重大ナル職責ヲ持ッテ居リマ
  スルトコロノ評定官ノ進退ト云フモノハ、最モ重ンジナケレバナラヌト云フコトハ申スマデモ
  ナイコトデアリマスル、然ルニ昨年ノ十月行政裁判所ノ評定官デアリマシタトコロノ松浦、
  樋山、由布、此三評定官ニ對スルトコロノ免官ノ處分ト申シマスルモノニ對シマシテハ、
  幾多ノ疑義ガアルノデアリマスル、其第一ハ此三評定官ノ退職ノ決議ヲ致シマシタトコ
  ロノ總會ノ通告ト云フモノヲ此評定官ニ爲サナイノデアリマスル然ラバ此三人ノ評定
  官ハ當時如何ナル狀態デアッタデアラウカト申シマスルト云フト、別段ノ異狀ナク每日行
  政裁判所ニ出テ其職務トスルトコロノ裁判事務ヲ取扱ッテ居ッタノデアリマスル、然ルニ
  行政裁判所ニ於キマシテ此行政裁判法ノ第六條ヲ適用致シマシテ、總會ヲ開イテ退
  職ノ決議ヲ致シタノデアリマスケレドモ其總會ノ召集ニ關シテ三名ノ評定官ニ何等ノ
  通告ヲ與ヘナイト云フ事柄ガ一ノ疑問デアリマスルノミナラズ此三人ノ評定官ハ他ノ
  評定官ト同ジク自己以外ノ評定官ノ身上ニ付テハ當然議事ニ參與スベキ權利ヲ持ッテ
  居ルコトハ疑ナイノデアリマスルノニ、行政裁判所長官ガ此三氏ノ退職ヲ決議スルトコロ
  ノ總會ニ於キマシテ、此三氏ヲシテ自己以外ノ評定官ノ進退ニ關スルトコロノ決議ニ參
  與セシメナイト云フ事實ガアルノデアリマスル、唯斯樣ニ申シマスルト身體精神衰弱ノ故
  ヲ以テ退職ヲ命ズル評定官ニ總會ノ通知ヲ發シ、又ハ議事ニ參與セシメルト云フ必要
  ガナイデハナイカト云フ論ガアルノデアリマセウケレドモ、併ナガラ苟モ行政裁判所ノ評定
  官ノ總會デアリマスル以上ハ、現ニ評定官ノ職責ヲ持ッテ居ルトコロノ人ニ對シテ總會ノ
  通知ヲ發シ、總會ノ席上ニ於テヤハリ發言ノ自由ヲ得セシメナケレバナラヌト云フ事柄
  ハ申スマデモナイコトデアラウト思フノデアリマスル、果シテ決議ノ目的トナッテ居リマスルト
  コロノ評定官ハ身體精神ノ衰弱ノ狀態デアルヤ否ヤト云フコトヲ見ルニ付テハ、其人ノ
  身體ニ親シク接シテ、其人ノ發言ヲ親シク聽イテ、初メテ判斷ノ出來ル問題デアルノデ
  アリマスル、勿論其決議ヲナス場合ニ於キマシテハ評定官自身一身上ノ關係ノアル事
  柄デアリマスルカラ決議ノ數ヲ除斥セラルベキト云フ事柄ハ是ハ當然ノコトデアリマスル
  ケレドモ免モ角總會ノ通知ヲ發シ、總會ノ席上ニ於テ發言ノ機會ヲ得セシメナケレバナ
  ラヌト云フ事柄ハ、是ハ道理上當然ノコトデアルノミナラズ行政裁判法等ニ依ッテ見マ
  シテモ、斯樣ナル場合ニ通告ヲ發シナイデ總會ヲ開イテモ宜シイト云フヤウナ規定ハナイ
  ノデアリマスル、ソレノミナラズ三名ノ評定官ノ問題デアリマスルガ、自己以外ノ進退ニ
  關スル決議ニ對シマシテハ無論其決議ノ數ニ加ハラセナケレバナラヌモノデアリマスル若
  シ然ラズト云フヤウナコトニ致シマスルト云フト、甚ダ危險ナ結果ト云フモノヲ豫想スルコト
  ガ出來ルノデアリマスル、例ヘバ十五名ノ評定官ノアル場合ニ其中ノ十名ヲ精神身體ガ
  衰弱者ナリト云フ理由デ退職ヲサセヤウト五名ノモノガ出テ往ッテ、サウシテ十名ノモノニ
  對シテ退職ノ決議ヲナスト云フコトモナシ得ル事柄デアリマス、現ニ昨年十月ニ評定官
  三名ヲ退職シタルガ如キ、形式ヲ以テ總會ノ決議ヲナシ得ルト云フコトニナリマシタナラ
  バデス、少數ノモノデ多數ノモノモ退職スルコトガ出來ルト云フヤウナ危險ノアルト云フコ
  トラ見テモ斷ジテ此重大ナル行政裁判所ノ評定官ノ進退ニ關シテハ赦スベカラザル處
  置デアルト云フコトヲ申シテモ決シテ間違ッタ言葉デハナイト本員ハ堅ク信ジテ疑ヒナイノ
  デアリマスル卽チ此〓ニ對シテ政府ハ果シテ昨年ノ十月ニ行政裁判所ガ三評定官ニ對
  シテナシタルトコロノ退職ノ決議ト云フモノハ法律ニ背キタルモノト認メザルヤ否ヤ若シ
  法律ニ背イタモノデナイト認メルト云フコトデアリマスルナラバ、其理由ト云フモノヲ巨細
  ニ示サレンコトヲ私ハ希望スルノデアリマスルソレカラ唯今申シマスルガ如キ三評定官ノ
  退職ニ關スルトコロノ行政裁判所ノ總會ノ決議ト云フモノハ法律ノ規定ニ背イタモノデ
  アル政府ハ此ノ如ク法律ノ規定ニ背イタモノデアッテモ、此事柄ト云フモノハ行政裁判
  所ノ職權ニ屬スルコトデアルカラシテ、他ヨリ勿論是ニ容喙スベキモノデナイト云フ理由ノ
  下ニ三評定官ノ免職ヲ上奏シタモノデアルヤドウカ、行政裁判所法第六條ニ據リマス
  ルト云フト「內閣總理大臣ハ行政裁判所ノ總會ノ決議ニ因リ其退職ヲ上奏スルコト
  ヲ得」トアルノデアリマスルガ、此總會ノ決議ト云フモノガ法律ニ背イテ居ッテモ尙內閣總
  理大臣ハ此條文ニ據ッテ上奏ヲ爲サレタト云フ意味ニ解シテ然ルベキデアルカドウカト云
  フ〓ニ付テノ政府ノ意見ヲ承ハリタイノデアリマスル質問ノ第三〓ハ書面ニ讓リマスル
  ガ、第四ニハ內閣總理大臣ハ山脇行政裁判所長官ニ松浦、樋山、由布、三評定官
  ヲ退職セシムベキヲ內命シタト云フ事實アリヤ〓百ヤ、此問題ハ甚ダ大キクナッテ來ルノデア
  リマシテ、國務大臣ニ對シテモ獨立ノ位置ヲ持ッテ居ナケレバナラヌトコロノ重大ナル責
  任ヲ持ッテ居リマスル、行政裁判所ノ評定官ノ進退ト云フヤウナコトニ對シテ、內閣總
  理大臣ガ內々干渉ヲスルト云フヤウナコトニナリマシタナラバ、行政裁判所ノ獨立ト云フ
  モノモ危クシテ、行政裁判所ヲ設置シ、行政ノ監督ノ權ヲ與ヘシ精神ト云フモノヲ全ク
  失フ結果ヲ來スノデアリマスル、此事ニ付テハ此退職ヲ命ゼラレタトコロノ三評定官、此
  三評定官ノ他人ニ話シマシタトコロノ談話等ニ據リマスルト、內閣總理大臣ガ是ニ干
  涉シタモノデハナイカト云フ疑ヲ存スベキ理由ガアルノデアリマスルカラシテ、此〓ヲ明瞭
  ニシテ置クト云フ事柄ガ行政裁判所ノ神聖ヲ保ツ上ニ於テ最モ、必要ナコトト信ズルノ
  デアリマスルカラ、其事實ノ有無ト云フコトニ付テ政府ノ確答ヲ願フノテアリマスル、質問
  ノ第五ハ山脇長官ヨリ松浦評定官ニ送リマシタトコロノ書面ニ據リマスルト、內閣總理
  大臣ハ松浦評定官ノ任意辭職ト云フコトヲ條件トシテ貴族院ノ勅選議員ノ候補者ト
  爲スト云フコトヲ約シタル事實アルガ如クデアリマスル果シテ此ノ如キ事實アリヤ否ヤ、
  政府ハ此三評定官ガ職務ヲ取ル上ニ於テ政府ノ御機嫌ヲ損ズルト云フヤウナ態度アリ
  シタメニ、政府ガ自由自在ニ左右スルコトノ出來ナイヤウナ强硬ナ態度ヲ執リシタメニ
  甚ダ此行政裁判所ノ評定官ヲ煙タク思ッテ、何等カノ方法ヲ以テ是ガ干渉ヲ試ミ、是
  ガ退職ヲ强ヒントシタ形跡ガアルノデアリマスル、イロノ〓工風ヲ凝ラシタノデアルガ、ナカ
  ナカ以テ三名ノ評定官ト云フモノガ自己ノ職責ノ重大ナルコトニ鑑ミ、容易ニ自由ニ
  辭職スルコトヲ承知シナカッタノデアリマスル、ソレ故ニ政府ハ最後ノ手段ト致シマシテ此
  三評定官ノ中ノ松浦ニ對シマシテ、勅選議員ノ候補者トスルカラドウゾ是デ退職願ヲ
  出シテ呉レト云フヤウナ干涉ヲナシタルヤノ形跡ト云フモノガ十分アルノデアリマスル(株)
  斯樣ナ干涉ガアッタト致シマシタナラバ是亦以テ輕々ニ看過スルコトノ出來ナイトコロノ
  重大ナ問題デアルノデアリマスルカラ、此〓ニ付テモ政府ハ果シテ此ノ如キ行爲ヲ爲シタ
  ルコトアリヤ否ヤト云フ明カナル御答ヲ得テ置キタイノデアリマスル、最初ニモ申シマシタ
  如ク、行政裁判所ノ職權ト云フモノハ行政官ノ職權ノ濫用ヲ防イデ、一個人ノ權利ヲ
  保護スルタメニ特ニ憲法ニ認メラレテ設ケマシタトコロノ大切ナ裁判所デアル事內閣ノ
  運命ニ關スル如キ重大ナ行政處分ニ於キマシテモ、行政裁判所ハ內閣ニ反對ナル判決
  ヲ下スト云フヤウナコトモアリ得ベキコトデアリマスル、然ルニ若シ此ノ如キ獨立ノ位置ヲ
  保ッテ居ラナケレバナラヌトコロノ行政裁判所ノ評定官ノ進退ニマデモ、時ノ政府ガ干涉
  ヲスルト云フヤウニナリマシタナラバ、此行政裁判所ノ獨立ト云フモノハ到底保ツコトハ出
  來ナイノデ、恰モ會計檢査院ガ政府ノ意嚮ニ聞イテ會計ノ檢査ヲスル、一意政府ニ盲
  從ヲスル、司法裁判所ガ行政官廳ノ干渉ヲ受ケテ、其裁判ヲ左右スルト云フノト同
  一ノ危險ニ陷ル虞ガアルガ故ニ、私ハ此質問ヲ提出シテ以テ行政裁判所ノ獨立ヲ保ツ
  ノ途ヲ十分ニ明カニシタイト云フ趣旨ニ出デタル次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=8

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• 009・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　鐵道改善ニ關スル質問、水品平右衞門君
  〔水品平右衞門君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=9

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• 010・水品平右衞門

  ○水品平右衞門君　私ハ鐵道改善ニ關スル質問書ヲ提出致シテ置キマシタカラ、其
  質問ノ大要ヲ簡單ニ申述ベヤウト思ヒマス、信越線中碓氷鐵道デアリマス、此確水鐵
  道ハ關東地方ヨリ北陸及信越方面ニ通ジマスルトコロノ最モ樞要ナル要所デアリマシ
  テ、古來交通運輸ガ非常ニ頻繁ナル場所デアルノデアリマス、然ルニ此場所ニ建設致シ
  テ居リマスルトコロノ鐵道ハ勾配ガ十五分ノ一ト申ス急勾配デアッテ、僅ニ七哩二鎖ノ
  所ニ大小二十六ノ墜道ガアルソコヘ「アブト」式ヲ用井テ居リマスル鐵道デアリマス、之
  ガタメニ牽引力ハ非常ニ薄弱デアル、又速力モ非常ニ遲緩ナノデアリマス、デ斯樣ナ場
  合デアリマスルカラ補助機關ヲ用井マシテモ一囘ニ僅ニ十車乃至十一車位ヨリ餘計
  ニ車輛ヲ連結スルコトガ出來ナイノデアリマス、而シテ之ヲ一晝夜-一晝夜ニドノ位
  往復スルコトガ出來ルカト云フト、最極度ガ十囘卽チ百車乃至百十車位ヨリ多クノ車
  輛ヲ運轉スルコトガ出來ナイノデアリマス、此關東ト北陸方面ノ最モ樞要ノ局部ニ於テ
  僅〓一日百車乃至百十車位ノ貨車乃客車ヲ運轉スルコトガ出來ナイノデアリマスカ
  ラ、少シク貨物ノ多イトキニナリマスルト、必ズ停滯ヲ致シマシテ橫川、高崎アタリニ少カ
  ラヌ停滯貨物ヲ生ジ、又上野秋葉原等ニ於テハ輸送ノ荷物ヲ受付ケナイト云フヤウナ
  實況デゴザイマシテ、之ガタメニ此地方ノ商工業ニ不利益ヲ及ボスコトハ少カラナイノデ
  アリマスデ獨リ此貨物ニ對シテ此ノ如キ實況ナルノミナラズ、此乘客ニ對シテモ往々不
  便不都合ヲ與ヘルノデアリマス、ソレハ上野若クハ上武地方ヨリスル貨車ハ平坦地デア
  リマスカラ、二十車ナリ三十車ナリ連絡シテ參リマスルノデアリマスガ、最モ此局部ニ參
  リマスルト十車以上ヲ運轉スルコトガ出來マセヌカラ、勢ヒ或場合ニハ其乘客中ノ一部
  ヲ橫川ヘ下シ若クハ向フカラ參リマスルノハ輕井澤ニ下シテ、サウシデ牽引シ得ラルヽ
  運搬シ得ラルヽダケノ客車ヲ引イテ行クト云フヤウナ實況デアル、卽チ貨物ニ於テ停滯ガ
  アルノミナラズ、或場合ニハ人間ノ停滯ヲ見ルト云フ實況ナノデアリマス、此ノ如ク建設
  當時ニハ或ハ相當ノ便利モアリマシタノデアリマスケレドモ、今日總テノ改良進歩致シマ
  シタ場合ニ於キマシテハ此鐵道ハ殆ド此今日ノ機運ニ副フトコロノ能力ガナイノデアリマ
  ス、デ自分ガ此局部ノ改良ニ付イテイロ〓〓調査ヲ致シマシテ、二十五議會ニ於テ此
  局部ニ一ツノ迂囘線ヲ設ケタイト云フノ建議案ヲ提出致シマシテ、諸君ノ御贊同ヲ得
  マシテ、建議ヲ可決ヲ致シマシタガ、政府ハ之ヲ採ラズシテ此間ニ唯今ハ蒸汽デヤッテ居リ
  マスガ、電氣裝置ニ改メテ、サウシテ機關車ヲ減ジ、ソレカラ速力モ多少增シマスカラサ
  ウ云フ風ニシタナラバ宜カラウト云フノデ、電氣裝置ノ改善ヲ爲シマシテ此六七月ニハ成
  功スルト云フコトデアリマス、デ是ニ於テ私ガ間ハント欲スルノハ此政府ガ電氣裝置ニ改
  メマシタ結果、牽引力ガドノ位增シマスカ、ソレカラ速力デス、速力ガドノ位增シマスカ、
  此〓ヲ聽キタイノデアリマス、デ私ノ聽クトコロヲ以テスレバ此電氣裝置ニ改メマシタタメ
  ニ二割若クハ三割マデハ增サナイト云フコトヲ聽イテ居リマス、若シ此政府ガ電氣裝
  置ニ改メマシタ結果、二割乃至三割位ノ牽引力、速力ヲ增シタダケデアリマスレバ、今
  日ヨリ爲サザルヨリ勿論優ッテ居リマスケレドモ、此間ニ於ケルトコロノ不便不利ヲ除キ去
  ルコトハ依然トシテ出來ナイモノデアラウト思フノデアリマス、卽チ交通運輸ノ頻繁ナルト
  キニ當リマスレバ、今マデヨリ多少ノ不便ハ除キ得テモ、相變ラズ貨物ノ停滯、人間ノ
  乘客ノ降車ト云フコトハ免レナイデアラウト思ハルヽノデアリマスガ、政府ハ果シテ此改築
  ニ依ッテ此改良ニ依ッテ果シテ此不便ヲ除キ得ラレルト云フ見込ガ-成算ガ確ニアル
  ノデゴザイマスカ殊ニ此中央線、中央西線、、是ハ目前ニ開通致スコトニナッテ居リマス
  ガ、此方ハ大シタ關係ハゴザイマセヌガ、此富直線富山直江津間ノ鐵道ガ出來マ
  スレバ、此間ニ於ケルトコロノ交通運輸ト云フモノハ必ズ四割ヤ五割ハ增スコトハ明カナ
  ル事實デゴザイマス、此場合ニ於テ此電氣裝置ニ改メタ位デ果シテ此急ニ應ズルコトガ
  出來マセウカ、必ズヤ私ハ其際ニ至ッテ政府ハ當局者ハ大ニ狼狽シテサウシテ此交
  通運輸ニ一大障害ヲ與ヘルヤウナ失態ヲ爲シハシナイカト云フ虞ガアルノデアリマス、デ政
  府ハソレデモ尙此姑息ナル改築ヲ以テ足レリトスルノデアリマスカ、或ハ進ンデ此際ニ迂
  囘線ヲ設クルトカ、若クハ複線ヲ設クルトカ云フヤウナ根本的ノ改良策ヲ加フルノ意志
  ガナイノデアリマスカ、此〓ヲ一ツ聽キタイノデアリマス、次ハ此ヤハリ信越線ノ中デアリマ
  スガ、豐野新井間デアリマス、是モヤハリ前ノ確氷鐵道程デゴザイマセヌガ、ヤハリ急勾
  配デ四十分ノ一ノ勾配ノ場所デアリマス、是モ機關車一輛ニ付テヤハリ十一輛、上リガ
  十一輛、下リガ十二輛位シカ聯絡ガ出來ナイノデアリマス、信越ノ他ノ平坦線デゴザイ
  マスト、此倍位ノ車輛ヲ聯絡シテ牽引スルコトガ出來ルノデアリマス、此以上僅カ十輛
  若クハ十一輛位上リ下リニ貨車ヲ聯絡スルコトガ出來ナイ、又速力モ客車ニシテ一時
  間ニ十五哩、貨車十三哩位進行スルノデ、幾ド牛ノ步ミモ啻ナラヌノデアリマス、最低
  遲緩ナル速力デアルノデアリマス、之ガタメ此場所モ乘客ノ方ニハ別段不都合ハゴザイマ
  セヌケレドモ、貨物デ最モ不便ヲ與ヘテ北陸及越後方面ヨリ信州方面ニ參リマストコロ
  ノ貨物ハ常ニ此線路不十分ナルタメ停滯ガ始終アリマシテ、ソレガタメ地方ノ商工業ニ
  尠カラヌ不利益ヲ與ヘテ居ルノデアリマス、今ヤ富直線ガ追〓開通スルコトニナッテ居リマ
  スガ、此富直線ガ出來上リマシタトキニ此線路ハ今日以上ニ益激增スルノデアリマス、
  勿論貨物ニ付テハ今日ノ倍位ニナラウト思ヒマスガ、政府ハドウシテ此現在デスラ停滯
  致シテ地方商工業者ニ不利益ヲ與ヘテ居ルノニ、ドウシテ富直線聯結 後ノ激增ニ對シ
  テ遺憾ナカラシムルコトガ出來ルト云フ考ヲ持ッテ居ラルヽノデアルカ、私ハ大ニ此〓ニ付
  テ心配スルノデアリマス、聞クトコロニ據レバ此往復度數ヲ速力ヲ多クスルタメ此局部ニ
  交叉點ヲ設ケテ交叉スルタメ、新停車場ヲ設ケルヤウナ說モアリマスサウデアリマスケレド
  モ、トテモ其ヤウナ姑息ノ方法、改善方法デ此間ノ不便ヲ除、去スルコトガ出來ナイト思
  ヒマス、結局此間ニハドウシテモ複線ヲ設ケナケレバ此富直線成工後ノ激增スル貨物
  ニ滿足ヲ與フルコトガ出來ナイト思フノデアリマス、政府ハ果シテ如何ナル改善法ヲ以
  テ之ニ應ズル考ガアルノテアルカ、其點ヲ聽キタイノデアリマス、次ハ篠ノ井線デアリマス、
  卽チ中央東線一部ノ篠ノ井線デアリマス、是モ頗ル急勾配ノ場所デアリマシテ、常ニ牽
  引力ガ薄弱デアッテ又貨物ノ停滯等ガアリマス、殊ニ此間ハ西條明科間ニ最モ惡ルイ場
  所ガアッテ、少シク降雨等ガアリマスト、必ズ崩壞シテイツモ交通運輸ヲ絕ツト云フ線デ
  アルノデアリマス、是モ中央線ガ二三箇月後ニハ開通スルノデアリマスカラ、西線開通後
  ハ此線路ハ又貨物ガ激增スルニ相違ナイ、此線路ガ開通シテ大阪若クバ名古屋方面
  ヨリ信越方面ニ輸送スル貨物ハドウシテ現在ノ篠ノ井線ノミデ運搬シ得ルカ、私ハドウ
  シテモ現在ノ儘デハ之ニ應ズルコトガ出來ナイグラウト思フ、出來ナイデ徒ラニ此貨物ヲ
  停滯セシムルコトニナリマスト、地方ノ商工業ニ對シテ尠カラヌ障害ヲ與ヘルノデアリマス
  カラ、此〓ニ付テハ安心ノ出來ルヤウナ說明ガ欲シイノデアリマス、又碓氷線ノ豐野新
  井間、ソレカラ篠ノ井線、孰レモ建設ノ不十分ナルコト、不備ナルコト、不完全ナルコト
  ハ以上申述ブル如キモノデゴザイマシテ、是ハ別問題ト致シマシテモ往復度數ノ尠イコ
  トソレカラ客車ノ粗造デアッテ不潔ナルコト、ソレカラ乘客ニ對スル待遇ノ惡ルイコト、
  貨物取扱振ノ亂暴ナルコトハ實ニ他ノ鐵道ニ見ルコトノ出來ナイヤウナ實際デアルノデア
  リマス、往復ノ度數ニ付テハ現在上野新潟ニ直通ガアリマスケレドモ、是ハ直通ノ名ガ
  アッテ實ガナイ、實ニ遲々タルモノデアル故ニ、ドウシテモ是ハ此間ニ今一ツ急行列車ヲ設
  ケテ貰ヒタイト云フコトハ沿道一般ノ希望デアリマス、又此間ノ如キ交通ノ多イ所ニ於
  テ一ノ急行列車ノアル位ハ當然ノコトデアラウト思フ、他ノ幹線ニ比較致シマシテモ、亦
  此中央東線、卽チ飯田町ヨリ甲府、諏訪、松本、篠ノ井ニ聯絡スル此鐵道ニハ、東
  京ヨリスル夜行列車ガマルデ無イ、所ガ此線路ニハ御承知ノ通リ甲府等ガゴザイマシテ、
  製絲、生絲、生繭等ノ運搬ニ最モ關係アル土地デアリマシテ、餘程急速ヲ要スル仕事ガ
  多イノデアリマス現在飯田町ヨリ夜行列車ガ無イタメ地方人ノ不便不利ハ一通ナラ
  ヌノデアリマス、是モ他ト同樣夜行列車ヲ設ケテ貰ヒタイノデアリマス、政府ハ果シテ左
  樣ナ考ガ有ルカ無イカ聽キタイノデアリマス、又客車ノ不潔ナルコトハ非常ナモノデ、一
  等車、二等車ハ僅ニ境ヲ接シタノガ一輛ト、後ト二等車ガ一輛具ヘアルノミデアル、ソレ
  ガタメニ信越線ハ始終滿員デアッテ、イツモ一等若クバ二等ノ方ヘ乘客ガ押シテ來ル、此
  夜行列車ナドハ上野ニ於テ二等ハ滿員デ、札ヲ賣ラヌヤウナコトハ實際アルノデアリマ
  ス、而カモ一等車、二等車ノ如キハ他ノ東海道線其他ニ較ベマスト、非常ニ粗惡ナモ
  ノデアッテ、孰レモ此方面ニ於ケル古物デモ引張リ來リマシテ修繕ヲ加ヘタヤウナ不潔極
  マル客車ヲ用井テ居ルノデアリマス、三等車ニ至ッテハ一層ヒドイ、幾ド田舍ノ圓太郞馬
  車デモ、是ヨリ綺麗ダト思フヤウナモノヲ持ッテ來テ用井テ居ルデアリマス、此不潔ナル客
  車ニシテサウシテ多クノ隧道ノ中デ少ナカラヌ石炭ノ煙ヲ浴ビツヽ旅行スルノデアリマスカ
  ラ、此方面ノ旅客ノ不快ヲ感ズルコトハ非常ナモノデアリマス、是等ノ如キハ政府ハ宜シ
  ク此改善ノ方法、改良ノ設備ヲナシテ宜カラウト思フガ、果シテドウ云フ設備ヲスル考デ
  アルカ、其邊ヲ聽キタイノデアリマス、又此中央線ニハ一等車ガナイノデアル是モ一大
  缺〓デアルノデアリマスカラ、一等車ヲ設ケルコト位ハサウ多クノ金モ要スル譯テアリマセヌ
  カラ宜シク設ケテ宜カラウト思フ、此〓ニ付テハ政府ノ改良上ノ意見ヲ聽キタイノデ
  アリマス、之ヲ要スルニ此鐵道ノ運輸交通ノコトハ此地方ニ限リマセヌコトデアリマスケレ
  ドモ、地方殖產商工業ニハ最モ重大ナ關係ヲ持ッテ居ルノデアリマシテ、現在此信越方
  面ノ鐵道ノ不完全ナル〓ニ付テハ地方ノ人民ハ非常ニ不平ノ念ヲ抱イテ、殆ド鐵道局
  ハ信越ノ人民ヲ侮辱シテ居ルノデナカラウカト云フ不平ノ聲ヲマデ放ッテ居ルノデゴザイマ
  スカラ、政府ハ宜シク此〓ニ付テ十分ニ御調ベヲサレマシテ、以上各〓ニ付テ親切ニシ
  テ責任アルトコロノ答辯ヲ與ヘラレンコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=10

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• 011・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　東京株式取引所ノ新株式直取引ニ關スル質問、武藤金
  吉君
  〔武藤金吉君登壇〕
  〔拍手起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=11

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• 012・武藤金吉

  ○武藤金吉君　簡單ニ質問ノ理由ヲ說明ヲ致シマス、私ノ質問ハ政府ハ東京株式
  取引所ノ新株式直取引ハ公益ヲ害スルモノト認メザルヤ、モウ一ツハ政府ハ何故ニ取
  引所ノ行爲法律命令ニ違背スベキ東京株式取引所ノ新株式直取引ヲ速ニ禁止セザ
  ルヤ、是ダケデアリマス、此東京椽式取引所ノ新株ハ御承知ノ通リ明治四十一年カラ
  直取引ノ賣買ヲ許サレテアルノデアリマス、然ルニ略〓〓直取引ノ賣買ハドノ位出來テ
  居ルカト申シマスレバ、株式所ニ居出ノアルノハ每日四五万デアリマスガ、全國各所ニ於
  キマシテ賣買シマスノハ五十万以上マデアルノデアリマス、諸君、東京株式所ノ株ハ全體
  デ十六万シカナイノデ、然ルニ五十万ノ取引ノ出來マスノハ是ハ政府當局ハ公益ヲ害シ
  テ居ルモノデアルト認メナイノデアリマスカ、直取引ハ讀ンデ字ノ如ク直取引デアルノデアル、
  然ルニ此十六万シカナイモノガ一日ニ喰合高ガ五十万ニナッテ居ル而シテ政府ハ之ヲ
  公益ヲ害シテ居ルト認メナイノデアリマスカ、、現ニ此取引ノ方法ヲ御覽ナサイマセ、今日ハ
  此全國ニ亙リマシテ免許ヲ受ケナイトコロノ直取引ト云フモノハ津〓浦〓ノ端マデ彌蔓シ
  テ居ルモノデアリマス、現ニ之ガタメニ電報、電話ノ取引ト云フモノハ到ル處ニ蔓ッテ居リマシ
  テ、サウシテ其取引ノ有樣ヲ見マスレバ僅ニ一株ニ付テ二圓ヲ張リマスレバ賣買ガ出來
  ル甚シキハ一株ニ付テ地方ナドニ參リマスト一圓ヲ張リマスレバ賣買ガ出來ルサウシ
  テ此直取引竝ニ現物賣買ノ道ノ鑑札ヲ受ケテ居ナイモノハ今日ハ兜町附近ニ於キマシ
  テ七八十人仲立業ト稱シテ公然ト賣買シテ居ル、其中ニハ前科者モアレバ、甚シキハ世
  間デ云フ博徒ナルモノガ公然ト其處ニ出入シテ居ル、今日兜町附近小網町竝ニ茅場
  町アノ附近ノ有樣ヲ見マシタナラバ、公然タルトコロノ賭博デアリマス、此賭博ヲ政府ハ
  何ト見テ居ルノデアリマス、今日此直取引賣買ト稱スル美名ノ下ニサウシテ取引所ノ場
  ニ掛ケマセヌデ、例ヘバ定期取引仲買若クハ現物賣買ト云フ免許ヲ受ケナイモノガ方々
  ニ賣買ガ盛ンニ行ハレテ居ッテ、世間ガ敢テ怪マヌ、政府モ敢テ怪マヌ、是等ハ何故ニ政
  府ハ取締ヲシナイノデアルカ、獨リ取締リヲシナイノミナラズ、此取引ノ及ボストコロノ弊
  害ハドノ位デアリマスカ、政府ハ曩ニ競馬ヲ〓博類似ダト云ヒマシテ禁止ヲ致シマシタガ、
  競馬ト此直取引トハ社會ノ風紀ヲ害シ弊害ヲ及ボスコトハ比較ニナッタモノデナイト思
  フ、競馬ノ如キハ僅ニ其一局部デアル併ナガラ直取引ニ至ッテハ殆ド全國到ル所マデ
  及ボシテ居ル、獨リ全國ニ及ボシテ居ル弊害ハ往々遊民ヲ出スバカリデナイ、博徒ノ橫
  行ヲサセルバカリデナイ、政府ハ一面ニ於テ勤儉貯蓄ヲ奬勵シテ、サウシテ總テノ風紀上
  ノ取締リヲシ、又賭博ノ取締ヲナシ又米穀取引所ノ合百ナル賭博ヲ禁止シ、然ルニ株
  式直取引ニ至ッテハ何等內務省ニ於テモ農商務省ニ於テモ之ヲ制裁シナイノハ何事デア
  ルカ、是等ノコトヲ段々取締ラナイデ置キマシタトキニハ遂ニハ如何ナル現象ヲ呈出スルノ
  デアリマスカ、現ニ此直取引ガ許サレテ以來四十一年カラ今日ニ至ルマデ取引所ノ手ニ
  掛ル總テノ統計ヲ調ベテ見マスレバ、實ニ今日ハ定期取引ハ少クナッテ來テ居ル、而シテ
  其反比例ニ直取引ハ僅ニ五錢取引所ニ手數料ヲ納メマス高ハ著シク增加ヲ示シテアル
  此外ニ屆ケナイモノガ五十万株每日賣買サレル定期取引ハ一日二回、前後二囘開
  ケルダケデアルガ、此直取引ニ至ッテハ,始終取引ガ出來ルノデアル道路デモヤレバ何
  處デモヤリマス、今日此大賭博ヲ政府ハ取引所ノ行爲ニ背戾シテ居ルノヲ社會ノ公益ヲ
  害シテ居ルト認メナイノデアルカ政府ハ何故ニ之ヲ禁止シテ、經濟上ノ紊亂ヲ防ガヌノ
  デアリマスカ、之ガタメニハ今日ノ狀態實ニ獨リ此弊害ノタメニ經濟社會ヲ紊亂スルノミ
  ナラズ、破產倒產スルモノガ盛ンニ行レテ、ノミナラズ此ノ世ノ中ニ博徒ト云フモノガ皆
  此方面ニ入ッテ來テ居ル、兜町、蠣殼町、日本橋區ハ到ル所東京ニ於テ今日殆ド博徒
  ノ巢窟ニナッテ居ル之ヲ政府ハ內務大臣モ農商務大臣ニ於テモ取締ラヌデ禁止
  シナイデ居ルノハ抑〓ドウ云フ趣意デアリマスカ、是等ハ政府ガ如何ナル調査ヲナシツヽ
  アルノデアリマスカ、現ニ取引所ノ改善ト云フ聲ハ多年議院ニ於テ聲ガ高イニモ拘ラズ、
  何等是ヲ改善ヲ行フ意ナク益〓此取引所ガ中心ニナリマシテ、害惡ヲ進メツヽアルノハドウ
  云フモノデアリマスカ、要スルニ此直取引ト云フ東京株式取引所ノ新株式ト云フモノヽ
  直取引ヲ禁止サレマシタナラバ其本ガ無クナリマスカラ全國ニ跨ッテ居ル公然大賭博ハ
  自然禁止サレルコトニナリマス、政府ハ此〓ニ付キマシテ如何ナル取締ヲナシツヽアルヤ、
  又之ヲ以テ大賭博ト認メナイノデアルカ、弊害ト認メナイノデアルカ、是ハ取引所ノ法律
  總テノ行爲ニ脊戾セシモノト認メナイノデアルカト云フノガ、質問ノ趣意デアリマス、今日
  ハ農商務次官モ御見エニナッテ居ルヤウデアリマスカラ、此席ニ於テ私ハ親切ナル答辯ヲ
  得タイト思フノデアリマス

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• 013・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　外交ニ關スル質問ハ提出者カラ延期ノ申出ガアリマス、此
  場合質問ニ對スル答辯書ヲ朗讀致シマス
  〔書記朗讀〕
  衆議院議員大内暢三君外一名提出朝鮮穀物稅移入稅ニ關スル質問ニ對シ別紙
  答辯書差進候也
  明治四十四年三月十四日
  內閣總理大臣侯爵桂太郞
  衆議院議長長谷場純孝殿
  (別紙)
  衆議院議員大內暢三君及石橋爲之助君提出朝鮮穀物移入稅ニ關スル
  質問ニ對スル答辯書
  內地朝鮮問ノ貿易ニ關スル政府ノ所見ハ早速整爾君提出朝鮮ノ關稅ニ關スル
  質問ニ對シ本月十日ヲ以テ答辯シタルカ如シ穀物ノ移入稅ノ改廢ハ内地經濟上竝
  ニ政府財政上十分ノ調査ヲ經テ始メテ決スヘキノ問題ニシテ目下直チニ之ニ關スル
  所見ヲ述フルコトヲ得ス
  右及答辯候也
  明治四十四年三月十四日
  外務大臣伯爵小村壽太郞
  大藏大臣侯爵桂太郞
  農商務大臣男爵大浦兼武

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• 014・議長(長谷場純孝君)

  ○議長(長谷場純孝君)　日程第一明治二十三年法律第百三號廢止法律案ノ
  第一讀會ヲ開キ、議案ノ朗讀ハ省略致シマス-河村政府委員
  第一明治二十三年法律第百三號廢止法律案(政府第一讀會
  提出貴族院送付)
  明治二十三年法律第百三號廢止法律案
  明治二十三年法律第百三號ハ之ヲ廢止ス
  附則
  本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  本法施行前ヨリ繼續シテ支拂ヲ停止スル者ハ明治二十三年法律第三十二號
  商法ノ適用ニ付テハ本法施行ノ時ニ於テ支拂ヲ停止シタルモノト看做ス
  第九百九十條ノ規定ハ本法施行前ノ行爲ニ之ヲ適用セス
  (政府委員法學博士河村譲三郞君登壇〕

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• 015・政府委員(法學博士河村讓三郞君)

  ○政府委員(法學博士河村讓三郞君)　本案ハ破產法ヲ沖繩縣ニ施行セントスル案
  デゴザイマス、聊カ說明ヲ加ヘテ置キマス、明治二十三年法律第三十二號商法卽チ舊
  商法ヲ沖繩縣ニ於テ施行セズト云フコトガ同年法律第百三號ノ規定スルトコロデゴザイ
  マスル、蓋シ舊商法ノ制定ノ當時ハ沖繩縣ニ於キマシテハ經濟上ノ事情ガ內地トハ大
  ニ異ルモノアリマスルガ故ニ、直ニ商法ノ規定ヲ施行シ難シトシテ、彼ノ百三號ノ法律ヲ
  公布シタル次第デアリマスル、其後商法ハ改正セラレマシテ、舊商法中尙其效力ヲ在シ
  マスルノハ破產ニ關スル第三篇ノミデアリマス、而シテ改正商法ハ既ニ沖繩縣ニ於テモ施
  行サレテ居リマスルノニ、獨リ舊商法中ノ破產ニ關スル規定ノミガ未ダ施行サレテ居ラヌ
  ノデアリマス、然ルニ同縣下ニ於キマシテモ商業ハ追〓盛ンニナリマスル、商事會社ノ設
  立モ多クアリマスル、其他經濟上ノ發展ニ伴ヒマシテ破產手續ノ必要ヲ感ズルコトガ漸
  ク急ニナッテ參リマシタカラ、其急ニ應ズルタメニ本案ヲ提出シタ次第デゴザイマス、御協
  贊アランコトヲ希望致シマス

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• 016・議長(長谷場純孝君)

  ○議長(長谷場純孝君)　御質問ガナケレバ日程第一一、右議案ノ審査ヲ付託スベキ
  委員ノ選舉
  第二右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉

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• 017・菅原傳君

  ○菅原傳君　本案ハ議長指名九名ノ禾資ニ付託セラレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=17

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• 018・議長(長谷場純孝君)

  ○議長(長谷場純孝君)　本案ハ議長指名九名ノ委員ニ付託スルコトニ御異議ハア
  リマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 019・議長(長谷場純孝君)

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガナケレバ其通リニ決シマス-日程第三、韓國
  鐵道會計所屬資金ノ繰入ニ關スル法律案ノ第一讀會ノ續、委員長笠川繼孝君
  第三韓國鐵道會計所屬資金ノ繰入ニ關第一讀會ノ續特選考
  スル法律案(政府提出)報告
  〔笠川繼孝君登壇〕

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• 020・笠川繼孝君

  ○笠川繼孝君　御報告致シマス、韓國鐵道會計所屬資金ノ繰入ニ關スル法律案、
  此案ハ韓國鐵道會計ノ資金勘定ニ屬スル明治四十三年度末ノ現在ノ資金ヲ韓國總
  督府ノ特別會計ノ歲入ニ繰入ルヽ案デアリマシテ誠ニ單簡ナル案デアリマス、委員會ハ
  政府委員ノ出席ヲ求メ、誠實ニ質問應答ノ結果、委員會ハ滿場一致ヲ以テ本案ニ同
  意可決ヲ致シマシタ、此段報告ニ及ビマス

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• 021・菅原傳君

  ○菅原傳君　本案ニ對シ別ニ御異議モナケレバ、直ニ一讀會ヲ開キ、三讀會ヲ省略
  シテ委員長報告通リ決セラレンコトヲ望ミマス

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• 022・議長(長谷場純孝君)

  ○議長(長谷場純孝君)　本案ハ直ニ二讀會ヲ開キ、三讀會ヲ省略シテ委員長報告
  ノ通リ決定シタイト云フ動議ニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 023・議長(長谷場純孝君)

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ナイト認メマスカラ、直ニ二讀會ヲ開キ議案全部ヲ
  議題ニ供シマス
  韓國鐵道會計所屬資金ノ繰入ニ關スル法律案確定議
  〓議長(長谷場純孝君)御異議ナイト認メマスカラ三讀會ヲ省略シテ委員長ノ報告
  通リ本案ハ是ニテ確定致シマス、日程第四、租稅外諸收入金整理ニ關スル法律案、
  第一讀會ノ續、委員長秋岡義一君
  第四租稅外諸收入金整理ニ關スル法律案第一讀會ノ續(電話precipie
  (政府提出)
  〔秋岡義一君登壇〕
  〔拍手起ル〕

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• 024・秋岡義一君

  ○秋岡義一君　此種稅外諸收入金整理ニ關スル法律案ハ租稅外ノ諸收入金ニシテ
  國庫ニ納付スル義務ヲ負ッテ居ル者ガ無資力ノ場合ニ於テ其處分方ヲ規定シタルトコ
  ロノ法律案デゴザイマス委員會ハ第一條ノ「資力囘復」ト云フ文字ノ下ニ「ノ時」ノ二
  字ヲ加へ「辨濟」ノ下ニアル「條件」ト云フ文字ラ「期限」ト云フコトニ修正致シマシタ、此
  修正ヲ致シマシタ理由ハ資力囘復ヲ辨濟ノ條件トスルト云フ意義ヲ政府委員ニ質シ
  マシタトコロガ、ソレハ資力囘復ノ時期ニ辨濟ヲサセルト云フノ意義デアルト云フコトデゴ
  ザイマシタカラ、ソレナラバ資力囘復ノ時ヲ辨濟ノ期限ト云フコトニ修正ヲスル方ガ意義
  ガ明瞭ニナルト云フノ故ヲ以テ、此ノ如ク修正致シマシタ、次ニハ附則ニ「前條」トアルノ
  ヲ「第二條」ト改メマシタ、是ハ別段意味ガアル譯テハゴザイマセヌ、唯法文ノ體裁上此
  ノ如ク致スノガ相當デアルト認メテ修正致シマシタ、以上ノ修正ハ卽チ委員會ニ於テ全
  會一致ヲ以テ修正ヲ致シ、政府モ亦是ニ對シテ全然同意ヲ表シマシタ次第デゴザイマス

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• 025・菅原傳君

  ○菅原傳君　本案ハ直ニ二讀會ヲ開キ三讀會ヲ省略シテ委員長報告通リ決セラレン
  コトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=25

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• 026・議長(長谷場純孝君)

  ○議長(長谷場純孝君)　本案ハ直ニ二讀會ヲ開キ、三讀會ヲ省略シ委員長報告
  通リト云フコトニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=26

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• 027・議長(長谷場純孝君)

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガ無イト認メマスカラ直ニ二讀會ヲ開キ、議案全部
  ヲ議題ニ供シマス
  租稅外諸收入金整理ニ關スル法律案(政府提出)確定議
  〔「異議ナシ」ト呼ヲ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=27

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• 028・議長(長谷場純孝君)

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガナイト認メマスカラ、三譲會ヲ省略シテ、委員長
  報告通リ是ニテ確定致シマス、日程第五電氣事業法案第一讀會ノ續、委員長改野
  耕三君
  第五電氣事業法案(政府提出)第一讀會ノ續報告電話番号三
  〔改野耕三君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=28

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• 029・改野耕三

  ○改野耕三君　委員會ノ經過結果ヲ報告致シマス、此電氣事業法ハ昨年モ提出ニ
  ナリマシテ、兩院協議會マデ上ツタ問題デアリマスガ、遂ニ不成立ニ終ッタノデアリマス、而
  シテ本年ノ原案ハ第六條ヲ除クノ外昨年當院ニ於テ修正可決シタル箇條ハ悉ク採用
  シタ政府案トナッテ居ルノデアリマス、委員會ハ審査ノ結果、第六條ヲ修正致シマシタ、
  其結果トシテ二十條ヲ修正シタノデアリマス、第六條ノ修正ハ「主務大臣ハ公益上必
  要ナリト認メタルトキハ電氣事業者ニ對シ料金ノ制限其他電氣供給ノ條件ニ關シ必
  要ナル命令ヲナスコトヲ得」ソレカラ此第六條ヲ修正致シタニ付キマシテ二十條ニ關係ヲ
  持チマスノデ二十條ノ「ナシタル者」ノ下ニ「又ハ第六條ニ依ル命令ニ違反シタル者」ト云
  フ十七字ヲ挿入スルコトニ修正致シマシタ、此修正ノ理由ハ原案ニ依リマスト、電氣事
  業者ト人民トノ間ニ於テ常ニ主務大臣ノ認可ヲ受ケナケレバナラヌ手數ガアリマシタカ
  ラ、サウ云フコトハ相對ニ任セテ政府ノ干渉ヲ避ケテ、公益上必要アル場合ニハ主務大
  臣ハ相當ノ命令ヲ發スル方ガ穩當デアル、斯ウ云フ意味デ修正致シタノデアリマス、此
  修正ニ付テハ委員會ハ全會一致デ可決ニナリマシタ、此度ハ政府モ此修正案ニ全然
  同意ヲ表シテ居ル次第デアリマスカラ、之ヲ御報告致シテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=29

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• 030・高木正年

  ○高木正年君　議長

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=30

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• 031・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　高木君ハ質疑ノ通告ガアリマスガ、成ルベク簡明ニ御述ヲ
  願ヒマス-高木正年君
  〔高木正年君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=31

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• 032・高木正年

  ○高木正年君　私ハ此場合ニ於テ特ニ政府ニ言明ヲ要求スルタメニ質問ヲナスノデア
  リマス電氣事業法ノ第六條ハ委員會ニ於テ修正ニナリマシタ、此修正ノ意味ヨリ來リ
  マストコロノ政府ノ方針ヲ尋ネタイト思フノデアリマス、何故ニ斯ル事柄ニ付テ殊ニ質問
  ヲシナケレバナラヌカト申シマスト、凡ソ我國ノ電氣ニ關シ殊ニ電氣燈ニ關シマシテ電氣
  燈ノ料金位不當ナモノハナイノデアリマス、近來共同電氣ト云フコトヲ世間ニ謠ハレルヤ
  ウニナッテ、今日電燈會社ヨリ供給スル電力ヲ借リ、其燈ヲ用井ルヨリモ寧ロ其區其町
  ニ於テ共同電燈ヲ持ッテ電力ヲ供給スレバ會社ノ供給スル額ヨリ其半額以内デ出來
  ルト云フコトヲ世間ニ謠ハレテ居ルノデアリマス、何故ニ斯樣ナ要求ガ今日ノ時代ニ現
  出サレタカト云フト、都會ノ電氣燈ニ關スルトコロノ料金ガ頗ル不當デアルカラ、斯樣ナ
  要求ガ起ルノデアリマス、若シ「モンド」式ノ瓦斯發動機ヲ以テ電力ヲ起シ、電氣ヲ供給
  シマスレバ五朱ノ配當ヲシテ尙六十錢ノ價格ヲ以テ十燭ノ電氣ヲ販賣スルコトガ出來
  ルノデアル、ソレ故ニ「モンド」式ナリ若クハ小サイモノナレバ例ノ「サクソン」式ナリヲ以テス
  レバ、ソレニ依ッテ二千燈乃至五六千燈マデハ小サイ機械デ電力ノ供給ガ出來ル、況ヤ
  水力ヲ用井ルトキニ於テハモット廉價ニ且其資金ニ對スル利益モ相當ノ配當ヲナシ、且
  之ヲ便利ニ供スルコトガ出來ルノデアル然ルニ東京トカ大阪トカ云フ都會ニ於ケル電
  燈料ハ頗ル不廉デアル、此〓ニ於テ第六條ノ修正ハ寧ロ原案ヨリ公益上必要ナルトキ
  ニ於テハ遞信大臣ハ其料金ニ制限ヲナスコトヲ得ト云フコトニ自然讀マレルノデアリマス
  カラ、寧ロ修正ノ方ガ宜イト思ヒマス、併ナガラ若シ政府ノ監督ノ屆カザルトキニ於テハ
  此六條ガ修正サレテモ、少シモ何ノ效モ無クナルノデ寧ロ初メヨリ不當ノモノハ認可シナ
  イト云フコトガ勝ルコトニナル、政府ノ監督ガ宜シケレバ第六條ノ修正ハ最モ正當デアリ
  マヽ、ソレ故ニ私ハ政府ノ言明ヲ請フノハ現ニ東京ニ於ケル電燈料ノ不廉ト云フコトハ
  東京市ノ問題ニナッテ居ル、旣ニ或區ニ於テハ區會ノ決議トシテ是が反省ヲ求メ、又個
  人トシテモ是ガ反省ヲ會社ニ求メツヽアルト云フ今日デアリマス、政府ハ此六條ニ依シテ
  東京及大阪等ニ於ケル不當ナル電燈料ニ對シテ如何ナル態度ヲ持スルノデアルカ之ヲ
  承ハリタイ、尙此質問ヲナスニ付キマシテハ一ノ理由ヲ述ベテ置キマスガ、元來政府ガ近
  時ノ態度ヲ考ヘテ見ルト、多ク會社ノタメニ便利ト云フ方ニ傾ク形勢ガ見ヘルノデアリマ
  ス工場法ニ於テモ昨年ニ於テハ職工ノ時間ヲ延期スルコト十年トシテアッタ、ソレヲ本
  年ハ十五年トナスト云フヤウニ、總テ會社ノ利益ト云フ方ニ政府ガ傾ク、之ヲ評シテ申
  シマスレバ政府ノ態度ガ軟弱ニ傾キツヽアルト云フコトハ、爭フベカラザル事實デアリマス、
  斯カル政府ノ下ニ於テ果シテ能ク電氣業ノ如キ危險ヲ防止シ、電氣ノ取締ヲ愼重且
  公平ニ且適當ナル方法ヲ以テ之ヲ監督スル決意アリヤ否ヤヲ尋ヌルノデアリマス、是ガ
  私ノ質問ノ要領デアリマス
  (政府委員仲小路廉君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=32

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• 033・仲小路廉

  ○政府委員(仲小路廉君)　高木君ノ御質問ニ御答致シマス、高木君ノ御質問ノ要
  領ハ電燈料ノ制限ヲナスタメニ寧ロ共同自家用ノ方法ヲ執ッテ見タラバドウデアルカ、カウ
  云フコトデゴザイマシタガ、此〓ニ付キマシテハ既ニ今日ノ請願委員會ニ於テモ政府ノ所
  見ヲ述ベタ次第デアリマス、電氣事業ノ性質ト致シマシテ、一般ノ需用ニ應ジマスルタメ
  ニ此度ノ電氣事業法案ヲ提出シマシタ譯デアリマス、卽チ一般ノ需用ニ應ジマスル事柄
  ハ是ハ公益上必要デアリマスルカラ、大體ト致シマシテハ一般ノ需用ニ應ズルト云フノヲ
  本則ト致シマシテ居ル、此故ニ共同自家經營ト申シマスルコトハ是ハ一般ニ電氣ヲ供
  給スル上カラ考ヘマシテ適當ナ方法デハナイト考ヘマス、之ニ付キマシテハ現在今日ヤッテ
  居リマス方法ガ實際ニ適當スルト考ヘマス、唯料金ノ〓ニ付キマシテハ是ハ前囘ニモ申
  シマシタ通リ、政府ニ於キマシテハ能ク一般ノ狀況ヲ考ヘ又會社ノ經營状態等ヲモ考
  ハ、極メテ實物ニ適シマシテ、緩急宜シキヲ得ル方法ヲ執ル考デアリマス、卽チ此度第
  六條ノ修正モ其精神ニ於キマシテハ少シモ變リマセヌ次第デアリマス、政府ノ所見ハ以
  上申ス通リノ次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=33

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• 034・福田又一

  ○福田又一君　政府委員ニ質問ガアリマス、唯今遞信次官ノ御說明ガアリマシタガ、
  私ノ問ヒタイト云フコトハ、カウ云フ〓デアリマス「主務大臣ハ公益上必要ナリト認ムル
  トキハ電氣事業者ニ對シ料金ノ制限其他電氣供給ノ條件ニ關シ必要ナル命令ヲ爲ス
  コトヲ得」トアリマスガ、其中デ料金ノ制限是ガ私ノ伺ッテ見タイ要點デアリマス、遞信
  大臣モ次官モ御承知ノ如ク電氣事業ノ會社ガ全國ニ百五十四アルト私ハ記憶シテ居
  リマス、其中デ平均數ヲ取リマスト七十錢内外ニ料金ガナッテ居リマス、極ク低廉ナモノ
  ニ至ッテハ三十五錢卽チ十燭光一終夜ノ使用料ガ三十五錢ト云フ所モアル、東京市
  ハ御承知ノ如ク十燭光一終夜ノ使用料ガ一圓二十錢デ、全國ノ中デ甚ダ高イ使用
  料ヲ我〓市民ハ負擔致シテ居リマス、此ノ如キ狀態ニ在ッテモ、政府ハ公益上必要ナリ
  ト認メテ料金ヲ制限スベキ場合ニ達シテ居ルト思ハヌノデアルカドウカ、私共ノ考デハ甚
  シク料金ノ高イノニ驚イテ居ル次第デアリマス、政府ハ幸ニモ此電氣事業法ナルモノヲ
  制定サレテ我〓使用者ニ十分滿足ヲ與ヘント欲スルノ趣旨デアルナラバ、此料金ニ對シ
  テハ最早適當ナル制限ヲ加フベキ場合ニ到著シタト考ヘマスガ、政府ノ之ニ對スル御考
  如何、是ガ本員ノ聽カント欲スルトコロノ要點デアリマス
  〔政府委員仲小路廉君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=34

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• 035・仲小路廉

  ○政府委員(仲小路廉君)　御答致シマス、政府ニ於キマシテハ電燈ノ料金其外ハ出
  來得ル限リ低廉ナル方法ヲ以テ供給スルコトヲ必要ト考ヘテ居リマス、併ナガラ是等ノ
  方法ヲ盡シマスルニ付キマシテハ經營ノ狀態、又一般ノ狀態ヲ考ヘマシテ適當ナル處
  置ヲ執リマスコト、甚ダ肝要ト考ヘテ居リマス、卽チ本案ノ法律ニ於テ成立致シマスル
  以上ハ適宜其場合ニ應ジマシテ、適當ナル方法ヲ執ル考デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=35

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• 036・福田又一

  ○福田又一君　モウ一ツ質問ヲシマス、電氣會社ガ今日初メテ成立セラルヽノデアルナ
  ラバ唯今ノ答辯デ或ハ十分ナルヤモ知レザレドモ我ミガ使用スルトコロノ電燈ナルモノ
  ハ其會社ハ旣ニ久シキ以前ニ於テ成立シテ居ルノデアッテ、今日ノ十燭光ノ一終夜ノ一
  圓二十錢ハ高イモノデアルカ否ヤト云フコトヲ考ヘテ居ラルヽヤ否ヤツレヲ承リタイ、今後
  ノ設備云々ト云フコトヨリハ今日ノ狀態ニ於テ電燈ノ使用料卽チ東京ニテ定メラレタト
  コロノ使用料ハ高イカ廉イカ、卽チ制限ヲ加フベキ必要ニ達シテ居ルヤ否ヤト云フコトヲ
  伺ヒタイ、將來ノコトヲ聽クノデハアリマセヌ
  〔政府委員仲小路廉君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=36

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• 037・仲小路廉

  ○政府委員(仲小路廉君)　電燈其他ノ料金ノコトハ各地方地方ノ狀況ニ依リマ
  シテ之ヲ一言ニシテ盡ス譯ニハ實際ムツカシイノデアリマス、故ニ唯今申シマス如クニ東
  京地方ノ料金ガ全體ニ較ベテ見テ若モ高價ニ失スルト云フナラバ之ニ付キマシテハ供
  給ノ狀態其他一般ノ狀況ヲ斟酌致シマシタ上ニ於テ、然ルベキ處置ヲ執ルノガ當然デ、
  今直チニ此際之ガ高イ、ドウスルト云フコトヲ明言スベキ時機デナイト考ヘマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=37

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• 038・福田又一

  ○福田又一君　御調ガ付テ居ラヌデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=38

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• 039・菅原傳

  ○菅原傳君　本案ニ對シ直ニ二讀會ヲ開カレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=39

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• 040・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　直ニ二讀會ヲ開クト云フニ御異議ハアリマセヌカ
  今異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=40

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• 041・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガ無イト認メマスカラ直ニ二讀會ヲ開キ議案全部ヲ
  議題ニ供シマス委員長ノ報告ニ御異議ハアリマセヌカ
  電氣事業法案第二讀會
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=41

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• 042・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガ無ケレバ全部委員長ノ報告通リ決定致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=42

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• 043・菅原傳

  ○菅原傳君　直ニ三讀會ヲ開キ第二讀會ニ於テ決定セラレタ通リ決定セラレンコトヲ
  望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=43

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• 044・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　直ニ三讀會ヲ開クニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=44

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• 045・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ハ無イト認メマスカラ直ニ三讀會ヲ開キ、議案全部
  ヲ議題ニ供シマス
  電氣事業法案第三讀會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=45

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• 046・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　別ニ御異議ハ無イト認メマスカラ第二讀會ニ於テ決定ノ
  通り、本案ハ是ニテ確定致シマス、日程第六、司法事務共助法案、第一讀會ノ續、委
  員長卜部喜太郞君
  第六司法事務共助法案(政府提出)第一讀會ノ續(〓〓≦)電話番号
  〔卜部喜太郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=46

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• 047・卜部喜太郎

  ○ト部喜太郞君　司法事務共助法案ニ關スル委員會ノ經過結果ヲ報告致シマス、
  太桑ハ曩ニ提出ノ際ニ政府委員ヨリ說明ノアリマシタ如ク內地及樺太朝鮮臺灣關
  東州又ハ帝國ノ領事裁判權ヲ行フ地域ニ於テ司法事務ヲ取扱フ官廳間ノ司法事務
  ノ共助ニ關スル法律デアリマス、此法案ニ對シマシテハ委員會ニ於テ審議ノ結果悉ク政
  府案ニ贊成スルコトニナリマシテ、第三條ノ末項ニ「前項ノ規定ハ假差押又ハ假處分ノ
  命令ノ執行ニ之ヲ準用ス」是ダケヲ加入スルコトニナッタノデアリマス要スルニ司法事務
  ノ共助ニ關スル事項ハ民事刑事ノ裁判ノ執行訴訟書類ノ送達、證據調令狀ノ發布及
  執行犯罪ノ捜査、之ニ假差押又ハ假處分ノ命令ノ執行ヲ修正シテ加ヘル、斯ウ云フ
  コトニ委員會ニ於テハ決定致シマシタ、此案ガ通過シテ現行法トナリマスルト明治三十
  三年法律第八十三號、明治四十年法律第五十二號、明治四十二年法律第三十
  六號、此三ツノ法律ハヤハリ何レモ司法事務共助ニ關スル法律デアリマスルガ、總テ此三
  ツノ法律トモ廢止ニナルノデアリマシテ、此三案ヲ整理シテ一案ニ纏メタノガ卽チ本案デ
  アリマス委員會ハ唯今修正事項ヲ加ヘタ外ハ總テ原案通リニ決定ヲ致シマシタ、此段
  報告致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=47

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• 048・菅原傳

  ○菅原傳君　本案ハ直ニ一讀會ヲ開キ、一一讀會ヲ省略シテ委員長報告通リ決定セラ
  レンコトヲ望ミマス
  (「贊成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=48

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• 049・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　別ニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=49

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• 050・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ナイト認メマスカラ直ニ二讀會ヲ開キ、議案全部ヲ
  議題ニ供シマス
  司法事務共助法案確定議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=50

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• 051・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ナイト認メマスカラ本案ハ三讀會ヲ省略シテ委員長
  報告通リ確定致シマス、日程第七大藏省預金部利益金ヲ一般會計ニ繰入ルヽ件ニ
  關スル法律案、第一讀會ノ續委員長關信之介君
  大藏省預金部ノ利益金ヲ一般會計
  第七ニ繰入ルル件ニ關スル法律案(政府提第一讀會ノ續報告配達中!
  出
  〔關信之介君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=51

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• 052・關信之介

  ○關信之介君　大藏省預金部ノ利益金ヲ一般會計ニ繰入ルヽ件ニ關スル法律案ノ
  委員會ノ經過及結果ヲ御報告致シマス、本件ハ大藏省預金部ノ利益金ノ內一百万
  圓ニ限リ一般會計ニ繰入ルヽコトヲ得ト云フトコロノ法案デ誠ニ單純デゴザイマスルケレ
  ドモ此提案ノ理由ヲ短簡ニ御報告致シマスノハ極メテ必要ノコトト考ヘラレマスカラ、
  其〓ヲ御報告致シマス、此百万圓ノ金圓ト申シマスルノハ〓育補助金ニ供スルモノデア
  r、〓育補助金ト申シマスルノハ卽チ小學校〓員ヲ優遇スルノ資ニ供スルモノデゴザイマ
  ス此件ニ付キマシテハ大藏省ノ預金部ト云フモノハ如何ナル金員ヲ以テ預金トナシテ取
  扱ッテ居ルノデアルカ、又此〓育費ヲ補助シク結果各府縣ノ負擔ハ如何ナルモノデアルカ
  ト云フコトヲ政府當局ニ向ッテ質問スルノ必要ガアルト云フコトデアリマシテ、其預金ノ關
  係ニ付キマシテハ大藏省ノ當局ニ向ッテ質問ヲ致シマシタトコロガ、之ハ明治十八年ノ太
  政官百十三號ニ依リマシテ預金規則ト云フモノガ出來マシタ、其預金部ガ取扱ヒマスル
  金員ハ當時ノ驛遞局今ノ郵便貯金各官廳ガ規則ニ依ッテ積立ツベキ金トワレカラ、社
  寺〓會若クハ人民ノ請願ニ依タテ積立テマスル金員ト此等ノ金員ガ卽チ預金部ニ於テ取
  扱ヒマスルモノデアリマシテ、其預金部ノ金員ト云フモノハ特別會計ニナッテ居リマシテ、
  唯其預金者ニ對シテ利子金ヲ仕拂フ場合ニ限テ一般會計ニ繰入レルコトデアッテ、其
  他ノコトハ未ダ曾テ一般會計ニ繰入レタ例ガナイ、然ルニ今囘其一百万圓ヲ繰入レルニ
  至ッタノハ卽チ小學〓員ヲ優待スルト云トコロノ關係、卽チ〓育資金ニ供スルガタメデア
  ルト云フコトデアリマス、ソレカラ轉ジテ文部省當局者ニ向ッテ國庫ガ此百万圓ノ〓育費
  ヲ補助シタ場合ニハ此金員ニ對シテハ各地方官ニ向ッテ如何ナル手續ヲナスカ、是マデノ
  例ニ依リマスレバ國庫ヨリ百万圓ヲ補助シタル場合ニハ地方モ亦百万圓ヲ補助シナケレ
  バナラヌト云フコトハ卽チ明治四十二年カノ勅令ニ於テ定メテアルサスレバ今四百万圓
  ノ補助ヲ國庫ヨリ受ケタガタメニ地方ニ於テハ又卽チ百万圓ノ負擔ヲシナケレバナラヌ
  ヤウニナッテハ却テ今日ノ地方費ノ負擔ノ重キ場合ニ甚ダ困難ヲ來スヤウナコトガアルガ、
  其コトハ如何ニスルカト云フコトヲ尋ネマシタトコロガ、是マデノ勅令ニ依リマスレバヤハリ
  正則ニ於テハ同一ノ金員ヲ負擔スルコトニナッテ居リマスルガ、各地方ノ狀況ニ依ッテハ五
  箇年以內負擔ヲ延期スルコトヲ得ト云フコトガアッテ、或ハ是マデノ取扱ヒニ依リマシテ
  モ百万圓ニ對シテ五十万位シカ負擔ノ出來ナイ所モアルト云フコトデアリマスガ、今囘ハ此
  事ニ付テハ必ズ地方ニハ一錢ノ負擔モ掛ケナイ積リデアル、然ラバ以前ノ勅令ガ存シテ
  居ッテハ其事ハ取扱フコトガ出來マイカラ是ハ更ニ勅令ヲ改メテ發スルヤウナコトニハ出
  來ナイカト云フコトヲ當局ニ向テ問ヒマシタ、トコロガ政府ニ於キマシテハ勅令ヲ改ムルト
  云フコトハ少シ差問ヘルケレドモ、必ズ地方長官ニ向ッテハ此地方官會議ノアリマシタ場
  合ニ口頭ヲ以テ之ヲ訓示スルカ、又ハ書面ヲ以テ訓示スルカ、二者其一ハ必ズ取ルト云
  フコトデアリマシタ、決シテ此〓育費補助金百万圓ノ給付ヲ受ケタカラト云ッテ、地方ニ
  ハ必ズ其負擔ハ掛ケナイヤウニスルト云フコトヲ聲明致サレマシタガタメニ此質問ヲ終リマ
  シテ、委員會ハ全會一致ヲ以テ原案ヲ可決致シマシタ、此段御報告致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=52

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• 053・早速整爾

  ○早速整爾君　少シ質問致シタイ、此案ハ誠ニ簡單デゴザイマスルケレドモ、併シ非常
  ニ重大ナル關係ヲ有シテ居ル案デアルト思フノデゴザイマス、今囘ハ〓員ノ優待費ニ要ス
  ルト云フ其財源ヲ求メラルヽタメニ取敢ヘズ此案ヲ提出セラレタモノト委員會ノ御答辯
  ニ依テ承ッテ居ルノデアリマスガ、是ガ法律トシテ定リマシタ以上ハ預金部ノ利益ハ將來
  必要ニ應ジテ一般會計ノ財源ニ提供ヲスルト云フ御考デアルカ否カ、此度ノハ〓員ノ優
  待ノ財源トシテ分ジテ居ルノデゴザイマスガ、將來此預金部ノ利益金ヲ年々必要ニ應ジテ
  一般會計ニ繰入レルト云フ御考デアルカ否カヲ確メテ置キタイ、ソレカラ此案ニ百万圓ト
  云フ金額ノ制限ヲ置カレタ理由ガ承リタイ、預金部ノ利益金ヲ一般會計ニ繰入レルコ
  トヲ得ルトシマスレバ、預金部ノ利益ハ平均ニ於テ今少シ金額ガ多イト思ッテ居ル、一般
  會計ヘ繰入レル必要ノ財源ニ供スルト云フコトデアリマスレバ此金額ハモウ少シ餘計繰
  入レルコトガ出來ルダラウト思ヒマスガ、一百万圓ト制限ヲ置カレタ理由ハ何レニゴザイ
  マスルカ、此二〓ニ付テ政府ノ御意見ヲ伺フテ見タイ
  〔政府委員若槻禮次郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=53

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• 054・若槻禮次郎

  ○政府委員(若槻禮次郞君)　本案ノ一讀會ニ上リマシタ初メニ於テ申上ゲマシタ如
  〃、預金部ノ資金ハ預金部ニ居ッテ運用致サレル上ニ於テ十分國家ノタメニ或仕事ヲ
  盡シテ居ルノデアリマスカラ、其利益金ト雖モ成ルベク之ヲ一般會計ニ繰入レナイ方ガ
  宜シイト云フコトヲ申上ゲタノデアッテ、此意味ハドコマデモ政府ニ於テハ引續イテ持ッテ
  行ク積リデアリマスカラ、唯今御尋ニナル如ク此繰入金ヲ爲シタ以上ハ今後歲計ノ都合
  ニ依ッテハ預金部ノ金ヲ一般會計ニ繰入レテ、政費ノ補充ヲスルヤウナ考ガアリハシナイ
  カト云フ御尋ニ對シテハ、サウ云フコトハ全然アリマセヌ、是ハ唯〓育上必要ナルコトデ、
  眞ニ此預金部自身ノ運用ニ於テ國家ノタメニ任務ヲ盡スト同ジ位ノ働キヲ爲スベキ國
  家ノ必要ノ經費デアル故ニ其財源ニ繰入レタト云フコトデアッテ、其他ノコトニ付テハ
  般會計ニ繰入レルト云フコトハ致サヌノデアリマス、ソレカラ百万圓ヲ限定シタノハ唯
  今申上ゲマスル理由ニ基イテ成ルベク此金ハ一般會計ニ繰入レカイノガ相當デアルト思
  ヒマスルノデ、唯今日目前百万圓財源ノ必要ガアリマシタカラ之ヲ向ケタノデアッテ、利
  益金ガアリマシテモ成ルベク預金部ニ殘シテ置イテ、此預金部ニ於テ運用スル方ガ最モ
  適當デアラウト信ジマス、加之預金部ニ於テハ相當ナル積立金ノアルト云フコトハ此二
  億五千万圓以上アル預金部ノ政府ノ義務ニ對シテハ保證上必要デアリマス、故ニ此
  金額ヲ餘リ多ク一般會計ニ繰入レルト云フコトハ宜シクナイト考ヘテ居ルノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=54

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• 055・菅原傳

  ○菅原傳君　木案ハ直ニ二讀會ヲ開キ、三讀會ヲ省略シテ委員長報告通決定セラレ
  ンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=55

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• 056・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=56

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• 057・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガナケレバ直ニ二讀會ヲ開キ、議案ノ全部ヲ議題ニ
  供シマス
  大藏省預金部ノ利益金ヲ一般會計ニ繰入ルル件ニ關スル法確定議
  律案
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=57

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• 058・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガナイト認メマスカラ三讀會ヲ省略シテ委員長報告
  通リ本案ハ是ニテ確定致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=58

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• 059・菅原傳

  ○菅原傳君　此場合日程變更ノ緊急動議ヲ提出致シマス、此場合日程ヲ變更シテ
  明治四十四年度歲入歳出總豫算追加外四件ニ對シ豫算委員長ノ報告ヲ受ケ、直
  ニ之ヲ議題ニ供セラレンコトヲ望ミマス
  〔「賛成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=59

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• 060・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　今菅原君ノ動議、第三號明治四十四年度歲入歳出總
  豫算追加以下四案ヲ日程ヲ變更シテ此際ニ審議スルト云フ緊急動議ニ御異議ハアリ
  マセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=60

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• 061・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガナイト認メマスカラ日程ヲ變更シテ左ノ五案ヲ議
  題ニ供シマス、第二號明治四十四年度歲入歳出總豫算追加、特第一號明治四十
  四年度特別會計歲入歲出豫算追加、第三號明治四十四年度歲入歲出總豫算追
  加、特第二號明治四十四年度各特別會計歲入歳出豫算追加、追第一號豫算外國
  庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スルモノー豫算委員長原敬君
  (第二號)明治四十四年度歲入歲出總豫算追加
  (特第一號)明治四十四年度特別會計歲入歲出豫算追加
  (第三號)明治四十四年度歲入歲出總豫算追加
  (特第二號)明治四十四年度各特別會計歲入歲出豫算追加
  (追第一號)豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件
  〔原敬君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=61

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• 062・原敬

  ○原敬君　唯今議題ニ供セラレタル各追加豫算ニ付テ報告ヲ致シマス、此追加豫算
  中異議ノナイトコロハ略シマシテ、玆ニ問題ト相成リ、唯修正ヲ致シタ〓ニ於テ報告ヲ
  致シマス、明治四十四年度歲入歳出總豫算追加第三號中ニ於テ歲出臨時部文部
  省所管第一款第四項、白蟻試驗所新營費一万八千九百九十九圓、ソレカラ第二
  十款白蟻豫防調査費一万五千圓、此二項ハ豫算總會ニ於テ全會一致ヲ以テ削除
  致シマシタ、其削除ノ理由ハ此ノ如キ調査ハ今日始メテ生ズルモノデハナイ、最早久シ
  キニ亙ッテ問題トナッテ居ルノデアルカラ、是ハ豫算ヲ請求スルトスレバ追加豫算ニアラズ
  シテ、總豫算ニ編入スベキモノデアルノデアル、追加豫ハ算總豫算編成後ニ生ジタル已ムヲ
  得ザルモノデナケレバ計上スベキモノデナイニ拘ラズ、玆ニ追加豫算ヲ以テ請求シタルノハ其
  當ヲ得ナイ、加之此問題ハ臺灣ニ於テモ久シイ間〓究ヲ積ンデ居ル、又內地ニ於テモ名和
  昆蟲〓究所等ニ於テモ相當ノ調査ヲ致シ、又鐵道院ニ於テハ之ニ託シテ調査ヲモセシメツヽ
  アルト云フ位ノコトデアル、故ニ文部省ニ於テ更ニ玆ニ此ノ如キ費用ヲ以テ調査スルト云フ
  コトハ其當ヲ得ナイノデアル、左モ文部當局者ノ答辯デハ統一シテスルト云フコトデアリ
  マスケレドモ、既ニ他ニ於テ調査ヲ致シテ居ル以上ニハ其調査ヲ待ッテ宜シイデハナイカト
  云フ意味ニ於テ之ヲ削除ニ相成リマシタ、ソレカラ同ジ豫算ノ丙號ノ農商務省所管ノ
  補助及補助費ヲ本年度ノ支出殘額ヲ翌年ニ繰越使用スルコトノ案ガ出テ居リマスガ、
  此コトニ付テハ分科ニ於テ森林經營ノ問題デアリマスカラ、成ルベク急ギテ此事業ヲ完
  成致シタイ、故ニ年度ヲ繰上ゲテ致シタイトサヘ希望シテ居ルニ拘ハラズ、其年度中ノ金
  ヲ翌年度ニ使用スルノ許可ヲ請フト云フコトハ甚ダ穩當デナイト云フ說デアリマシタガ、
  併シ當年ハ初年度ノコトデモアリ、此ノ如クセザルヲ得ヌ事情ハ是亦已ムヲ得ザルコトデ
  アルカラ當年ハ之ヲ認メ、明年度以後ニ於テハ成ベク其豫算ヲ其年度內ニ使用スル
  如ク事業ヲ進メルヤウニアリタイト云フ希望ヲ以テ可決致シテ居リマス、ソレカラ明治四
  十四年度歲入歲出總豫算追加案ニ付テハ先刻可決ニナリマシタ預金部ヨリ金ヲ支出
  シテ其金ヲ以テ〓員ノ年功加俸ノ財源ニ充テルト云フコトニ關スル問題デアリマスガ、、是
  ハ此預金部ヨリ金ヲ支出シテ小學校〓員ノ加俸ニ充テルト云フコトニ付テ異議ノアルノ
  デハナイサリナガラ曩キニ明治四十四年度歲入歳出總豫算ヲ査定スル折ニ方ッテ、豫
  算委員會ノ決議ヲ以テ特別會計大藏省預金利子ニ關スル件ニ付テ警告ヲ與ヘタ、此
  警告ニ對シテ政府ハ卽チ此預金部ヨリ百万圓ノ繰入ヲスルト云フコトニ相成ッテ居ルノ
  デアリマス、之ニ付テ豫算委員會ニ於テ希望ヲ述べ、警告ヲ與ヘテ居ルノデアリマス、卽チ
  此預金部ノ金ヲ地方公共ニ貸出シノ範圍ヲ擴張スルト云フコトノ希望ニ對シテ、明治
  四十三年度ハ地方ノ貸出一千万圓程ト云フコトデアルケレドモ、四十四年度ハ之ヲ二
  千万圓位ニナシテ尙其運用ノ宜シキヲ得ルヤウニアリタイ、斯ウ云フコトヲ希望シテ居ル次
  第デアリマス、又利子ノ制定方法ニ付テモ之ヲ嚴重ニスルノ希望ニ付テ是ハ別ニ甚シキ
  不都合ノアルト云フ譯テハナイガ、十分ニ注意ヲ願フ次第デアル、又利子仕拂元積立
  金ヲ整理ヲ致シテ一般會計ノ收入ニ充ツルト云フ希的三ニ付テハ、明治四十四年度歲入
  歲出總豫算追加ニ於テ既ニ一百万圓ヲ一般會計ニ繰入レテ、唯今申シタ如ク小學校
  〓育費國庫補助ノ財源二充ツルコトユナヾテ居リフスガ。、豫算委員會ニ於テハ政府ノ速
  ニ此處置ニ出デタルコトハ誠ニ宜シイカラ、之ヲ協贊スルニ吝ナルモノデハナイ、併ナガラ預
  金規則ハ隨分古イノデアルガ故ニ、是ガ改正ヲナシ、本期帝國議會又ハ次ノ議會ニ其
  改正案ヲ提出スルヤウニアリタイ就中利子仕拂元積立金ノ如キハ之ヲ整理シテ預金
  ノ運用保管ヲ安全ニシ、其危險ニ對スル積立金ノ制限ヲ立テヽ其餘分ヲ一般會計ニ
  繰入レルヤウナ方法ヲ決定シテ、單ニ國庫ノ必要ニ應ジテ特別ノ標準ナクシテ流用スル
  ヤウナ弊ニ陷ラヌヤウニアリタイ、斯樣ナル希望ヲ述べ、之ニ付テハ政府モ大體ニ於テハ
  別ニ異論ノナイ次第デアリマス、此問答其他ニ付テノ詳シイコトハ分科會竝ニ總會ノ
  速記ニ依ッテ諸君ノ御了承ヲ得ルコトヽ思ヒマス、又〓員ノ加俸ノコトニ付テモ分科會ニ
  於テ此規則ハ不完全ナトコロモアルカラ、之ヲ改正シ相當ナ規則ニ改メタイト云フ希望
  コンポニ是亦政府ハ同意ヲ致シテ居ルト云フ次第デアリマス、其外ノ部分ニ付テハ何等
  ノ議論ナク、各豫算共ニ悉ク原案ノ通リ可決致シテ居ル次第デアリマス、而シテ唯今
  申シタ修正ノ結果トシテ豫算ノ歲出ノ總額ニ變化ヲ生ジマシタ、卽チ豫算ノ第一條ニ
  明治四十四年度歲入追加額ヲ千四百七十五万九千八百四圓、歲出追加額ヲ千
  五百八万四千六百六十八圓トアリマシタノヲ、其歲出ノ部分ハ唯今ノ削除ニ依ッテ千
  五百五万六百七十八圓ト修正ニ相成ッタ譯、是ハ白蟻〓究ノコトヲ削除致シタ結果
  此ノ如ク修正ニ相成ルノデアリマス、其外ニ付テハ別段御報告スル程ノ事柄モナク全部
  原案ノ通リ決シマシタ

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• 063・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　別ニ御異議モナイヤウデアリマスカラ、採決ヲ致シマス、五案
  共ニ別ニ通〓モアリマセヌカラ委員長ノ報告、要スルニ第三號ノ明治四十四年度歲入
  歲出總豫算追加、其豫算ノ第一條ノ明治四十四年度歲入追加額ヲ千四百七十五
  万九千八百四圓、歲出追加額ヲ千五百五万六百七十八圓、卽チ文部省所管ノ白
  蟻〓究ノコトヲ削除シタ結果ガサウナッテ居リマス、右五案共ニ委員長ノ報告ニ御異議
  アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 064・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ナケレバ五案共ニ報告通リ決定致シマス

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• 065・三土忠造

  ○三土忠造君　曩キニ本員外二名ヨリ提出シタル小學校〓員俸給國庫補助ニ關ス
  ル建議案ハ委員會ニ付託ニナリマシテ、委員會ニ於テ大藏大臣及文部大臣ノ出席ヲ
  求メテ政府ノ意志ノ存スルトコロヲ確メマシタトコロガ、政府ニ於キマシテハ此建議案ハ
  最モ必要ト認メテ居ルカラシテ、相當ノ時期ニ於テ建議ノ目的ヲ達スルヤウニ努メルト云
  フコトデアリマシタ、所ガ唯今決定ニナリマシタ通リ政府ニ於キマシテハ一百万圓ノ追加
  案ヲ提出シマシテ〓員增俸ノ取計ヲサレマシタニ付キマシテハ、今日ノ場合此大勢是レ
  以上吾〓ハ望ムコトガ出來ヌト信ジマスガ故ニ、提出者ハ是デ滿足ヲ致シマシテ、此建
  議案ハ撤囘致シタイト思ヒマス
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 066・荒川五郎

  ○荒川五郞君　本員等提出ノ〓員優待ニ關スル建議案ハ唯今三土君ガ撤囘セラレ
  マシタ案ト同一ノ委員ニ付託シテアリマスガ、此吾〓ノ提出致シマシタル〓員優待ニ關
  スル建議案ハ其名ノ通リ〓員ヲ一層優待シタイト云フ趣意ヲ含ンデ居リマスガ、其趣意
  トスルトコロハ小學校〓員俸給ニ對シテ國庫ヨリ補助シタイト云フノデアリマシタガ唯
  今既ニ追加豫算ガ提出セラレ、其可決ニナリマシタ以上ハ、其額ニ於テハ勿論十分ト
  ハ認メマセヌケレドモ、其タメニ目的ノ趣意ハ貫徹致シマシタノデゴザイマスカラ、吾ミハ此
  場合是ニ滿足致シマシテ三土君同樣ニ本員等モ彼ノ提出ノ建議案ヲ撤囘致シタウゴ
  ザイマス

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• 067・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　三土君外二名提出小學校〓員俸給國庫補助ニ關スル
  建議案及荒川五郞君外三名提出小學校〓員優待ニ關スル建議案ハ特別委員ニ付
  託シテアリマシタケレドモ、今提出者カラ述ベラレタ理由ニ依ッテ、撤囘スルト云フコトニ
  決シテ御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 068・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガナイト認メマスカラ二案共ニ撤回ニ決定致シマス、
  日程第八、第九ハ同一委員ニ付託シ關聯シタル議案ナルニ依リ、一括シテ議題ニ供ス
  ルニ御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 069・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　市制改正法律案、町村制改正法律案ノ第一讀會ノ續、
  委員長尾崎行雄君
  第八市制改正法律案(政府提出)第一讀會ノ(委員長報告)
  續
  第九町村制改正法律案(政府提出)第一讀會ノ(委員長報告)
  續
  〔尾崎行雄君登壇〕

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• 070・尾崎行雄

  ○尾崎行雄君　市制改正法律案、町村制改正法律案、此二件ニ付テ委員會ノ經過
  及結果ヲ報告致シマス、旣ニ諸君ノ御手許ニ御囘シ致シテアリマスル通リ市制ノ方ニハ
  二十有餘箇所ニ修正ヲ加ヘテアリマスル、又町村制ノ方モ略〓是ト同樣ノ修正ヲ加ヘ
  テアリマス、併ナガラ此修正ハ重ニ文字ノ修正ガ多クシテ其要〓ニ付テノ修正ハ比較的
  少ナイノデアリマス、且此問題ハ餘程重大ナル問題デアルノミナラズ、旣往十餘年間屢〓
  本院ニ現ハレテ是ト略〓同樣ノ議案二囘三囘殆ド滿場一致ノ勢ヲ以テ通過セラレテア
  リマスル故ニ、今日ニ於テハ餘リ修正ヲ加フベキ餘地モナイノデ、大體ニ於テハ政府案ハ
  極メテ宜ク出來テ居ルト委員ハ認定ヲ致シタノデアリマス、其修正ノ中文字ニ關係スル
  コトハ是ハ一々御報〓ヲ致ス價値ハナイト思ヒマスガ、趣意ニ於テ變ルモノハ第九條ノ
  第一項ニ於テ原案ニハナカッタモノヲ「地租ヲ納メ直接國稅年額二圓以上ヲ納ムルモ
  ノ」ト卽チ現行法通リニ修正ヲ致シマシタ、是ガ意味ニ於テ多少變シテ居リマス、町村制
  モ其通リニナッテ居リマス、ツレカラ第十八條ノ三項ニ市ニ對シテ請負ヲナスモノニ付テ政
  府案ハ大分細カナル規定ガアッテ、銀行ノ如キ金融機關ヲモ之ヲ拒絕スルト云フ法
  案ニナッテ居リマシタガ、之ヲ段々調ベテ見マスルト東京市若クハ大阪市ノ如キ大都市
  ニ於テハ政府案ハ少シモ差支ナイカモ知レマセヌケレドモ、ソレ以下ノ小都市ニ至リマス
  ルト銀行營業者ハ皆其地方ノ最モ有力ナル紳士デアッテ、若シ此人達ヲ除キマスレ
  バ市町村ノ行政自治機關ハ運轉ノ苦ムト云フ事實ハ是マデ屢〓此議會ニ十數年前
  カラ現ハレテ居ル問題デアリマシテ、議會ニ於テ常ニサウ云フ意味ヲ以テ拒絕シテアリマ
  スルガ故ニ、嘗テ此議會ニ現ハレタ趣意ニ依ッテ銀行營業者ノ如キモ拒絕シナイト
  云フ意味デ政府案ヲ修正シテ居リマス、又請負ノモ市ニ對シテ請負ヲナスモノトー云フ、此
  〓ハ除クコトニナッテ居リマスガ、法人ノ方ニ付テハ狭ク致シテアリマス、ソレカラ選舉ニ
  當タテハ衆議院ノ如ク政府案ハ得票〓數ニ制限ヲ付ケテ五分ノ一トアリマシタガ、段々
  〓究ノ結果、五分ノ一ハ少シ窮屈過ギルノデ、七分ノ一以上ヲ法定〓數ニ致シマシタ、是
  ハ次〓者ヲ以テ缺員ノ場合ニ直ニ當選者ニ認ムルト云フコトヽ關聯シテ必要ナ修正ト
  思ヒマスル、其他ハ先ヅ大體御覽ノ如キ點デ、意味ニ於テ多少ノ違ヒハアリマスケレドモ、
  ヒドク違ヒマセヌ、是等ノ修正ヲ市制改正案ニ加ヘマスルト、自然ノ結果トシテ釣合上
  町村制ノ改正案ニモ手ヲ著ケナケレバナラヌト云フコトニナリマシタ、ソレハ第六條以下ズツ
  ト皆手ヲ著ケテアリマス、併ナガラ委員會ニ於テ特ニ町村制ニ於テ異ッテ居ルト云フ點ハ
  ゴザイマセヌ、唯六十四條ニ於テ町村長及助役ハ其筋ノ認可ヲ受クルニアラズンバ退職
  スルコトガ出來ヌヤウニナッテ居リマシタガ、之ヲ設ケタトコロデ殆ド有名無實ノコトニナリ
  ハシナイカ、ソレデ此有名無實ナコトニシナイト云フコトニスレバ、非常ニ窮屈ナモノニナリ
  マスルガ故ニ、是ハヤハリ此制限ヲ削除シテ有給町村長及有給助役ハ三箇月前ニ申
  出ルトキハ任意退職スルコトヲ得ト修正シタ方ガ宜カラウト云フ考デ、此修正ヲ加ヘマシ
  タ、是ガ最モ原案ト異ナル〓デアッテ、其他ハ市制改正案ヲ修正シタル自然ノ結果トシテ
  生ジタ譯デアリマス、尙此外カラ委員會ニ現ハレマシタ修正案中ニハ三級選擧ノ制度ヲ
  二級ニ改メヤウト云フ說ガ出テ、從ッテ、ソレニ關聯スル條項ニ付テ總テ修正案ガ出マシ
  タガ、是ハ少數ニシテ消滅致シ、請リ少數報告ヲナス以下ノ程度ニ於テ消滅ヲ致シマシ
  タ故ニ、是ハ別ニ報告ヲ致シマセヌ、ソレカラ序ニ議長ノ許可ヲ得テ尙一ツ報告致シテ
  置キタイノハ、同ジ委員ニ付託セラレタル本員及福田又一君ノ提出シタル二ツノ東京
  市ニ關スル法律案ガ出テ居リマスガ、此二ツトモ同一委貝ニ付託ニナリマシタ故ニ、之ヲ
  審査致シタ結果トシテ唯今慥カ配付ニナリマシタ通り修正ヲ加ヘマシタ、卽チ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=70

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• 071・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　東京市ニ關スル法律案ハ同一委員ニ付託シテアリマスカ
  ラ、序ニ報告スルト云フコトニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=71

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• 072・尾崎行雄

  ○尾崎行雄君　是ハ先日此席ニ於テ說明ヲ致シマシタ通リ、東京市ヲ內務大臣ノ直
  轄ニ致シタイト云フダケノ意味ノ案デアリマスルガ、委員會デ審査シタ結果、東京市ノ外
  及大阪市ト云フ文字ヲ加ヘテ、東京大阪兩都ニ及ボスト云フコトニ修正ガナリ、且又吏
  員ノ懲戒ニ關係シタ事項ガ加ッテ居リマセヌ故ニ、第四條ヲ設ケテ「吏員ノ懲戒ニ關ス
  ル事項ハ市長ノ行フモノヽ外勅令ヲ以テ之ヲ定ム」ト云フ修正ヲ加ヘタノデアリマス、唯
  大阪ヲ入レ、且市長ガ行フ懲戒ノ外ノ方法ヲ勅令ニ讓ルト云フ修正ヲ加ヘタニ過ギマセ
  ヌ故ニ、是モ併セテ御報告ヲ致シテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=72

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• 073・根岸きん太郎

  ○根岸峮太郞君　チヨット質問シタイノデアリマス、從來町村長助役等ノ選舉ニ於テ
  滿場一致デ當選ニナッタ者ニ對シテモ、一旦刑ニ觸レタトコロノモノデアレバ何十年前ノ
  モノデモ、又其罪ノ種類ノ如何ヲ問ハズ、決シテ認可シナイヤウナコトニナッテ居ッテ、事
  實ハ町村ガ甚ダ迷惑スルコトガ澤山アルノデアリマスルガ、是ハ內務省カラ訓令ガアッテ、
  其方針ニ依ッテ縣廳ガ扱ッテ居ルト云フコトニ承知致シテ居リマスガ、事實ノ上ニ斯ウ云
  フコトハ甚ダ差支ヲ生ズル、町村ニ迷惑ヲ與ヘルトコロノモノガ多々アルヤウデゴザイマスル
  ガ、將來モヤハリ此方針ヲ以テヤルノデアルカドウデアルカ、當局者ノ御說明ヲ承リタイ
  〔政府委員法學博士一木喜德郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=73

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• 074・一木喜徳郎

  ○政府委員(法學博士一木喜德郞君)　御答ヲ申上ゲマス、犯罪ノアッタ者ガ町村
  長ニ選マレタ場合ニ於テ、是ニ認可ヲ與ヘナイト云フコトニハ相當ノ理由アルコトヽ考ヘ
  マ、サリナガラ其犯罪ノ性質ニ依リ、或ハ犯罪後經過シタトコロノ期間ノ長短ニ依リ
  マシテ、最早認可ヲ與ヘテモ差支ナイト云フヤウナ場合ニ於テハ、之ニ認可ヲ與ヘマスル
  考デアリマス、併シ是等ノ扱ニ付キマシテ或ハ各地方多少區々ニ渉ルコトモアルヤウデア
  リマスルカラシテ、之ニ對シマシテハ相當ノ注意ヲ與ヘマスル考デ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=74

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• 075・菅原傳

  ○菅原傳君　日程第八ノ市制改正法律案ニ對シテ直ニ二讀會ヲ開カレンコトヲ望ミ
  マス
  〔「贊成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=75

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• 076・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　日程第八グケデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=76

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• 077・菅原傳

  ○菅原傳君　第八ダケデス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=77

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• 078・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　日程第八、市制改正法律案、直ニ二讀會ヲ開クト云フコ
  トニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=78

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• 079・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガナケレバ直ニ二讀會ヲ開キ、市制改正法律案全
  部ヲ議題ニ供シマス、是ハ修正が出テ居リマスガ、印刷ニ付スル遑ガアリマセナンダカラシ
  テ、一應朗讀サセマス、卽チ日野國明君外六名ヨリ提出サレタ市制改正法律案ノ修
  正案ヲ朗讀致サセマス
  市制改正法律案(政府提出)第二讀會
  〔書記朗讀〕
  市制改正法律案中左ノ通修正ス
  第九條第一項但書中「及六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者」ヲ「及
  六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレ其執行ヲ終リ若ハ其執行ヲ受クルコトナキ
  ニ至リタル後五年ヲ經サル者」ニ改ム
  第十四條第二項但書中「六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者及」ヲ「六
  年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレ其執行ヲ終リ若ハ其執行ヲ受クルコトナキニ
  至リタル後五年ヲ經サル者及」ニ改ム
  第十五條第一項中「三級」ヲ「二級」ニ改メ第二項ヲ左ノ如ク改ム
  選擧人中直接市稅ノ納額最多キ者ヲ合セテ選舉人全員ノ納ムル總額ノ半ニ當
  ルヘキ者ヲ一級トシ其他ノ選舉人ヲ一一級トス但シ一級選舉人ノ數議員定數ノ
  二倍ト同數ヲ以テ一級トス
  同條第三項ヲ削ル
  同條第四項中「各級」ヲ「一級二級」ニ「上級」ヲ「一級」ニ改ム
  同條第五項中「三分ノ一」ヲ「半數」ニ「三分シ難キ」ヲ「二分シ難キ」ニ改ム
  同條第七項第八項中「乃至第四項」ヲ「第三項」ニ改ム
  第十六條第一項中「又ハ三級」ヲ削ル
  同條第五項但書ヲ左ノ如ク改ム
  但シ一級選舉人ノ數其選出スヘキ議員配當數ノ四倍ヨリ少キトキハ納額最多キ
  者議員配當數ノ四倍ト同數ヲ以テ一級トス
  第十七條中「又ハ三級」ヲ削ル
  第十八條第三項中「市ノ爲金錢出納ノ取扱ヲ爲ス者」ノ下ニ「及營利ノ目的ヲ以
  テ市ノ營造物ヲ使用シ市ノ公益ニ直接關係アル事業ヲ營ム者」ヲ加フ
  第二十一條第十三項ヲ左ノ如ク改ム
  前項但書ノ選舉人ハ等級ノ標準タル直接市稅又ハ直接國稅ニ依リ其者ノ納額
  ニシテ名簿ニ登錄セラレタル一級選舉人中ノ最少額ヨリ多キトキハ一級ニ於テ其
  他ハ二級ニ於テ選舉ヲ行フヘシ
  第二十二條第三項中「三級ノ選舉ヲ行ヒ次ニ」ヲ削ル
  第二十五條第五項中但書ヲ削ル
  第二十八條第二項ヲ削ル
  第三十二條第三項中「數級」ヲ「兩級」ニ改ム
  第三十八條第一項中「六年ノ懲役若ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者」ヲ「六年ノ
  懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレ其執行ヲ終リ若ハ其執行ヲ受クルコトナキニ至リ
  タル後五年ヲ經サル者」ニ改ム
  第四十六條「監督官廳」ヲ「行政廳」ニ改ム
  第五十三條市會ノ議事ハ議長ヲ除キタル過半數ヲ以テ決ス可否同數ナルトキハ議
  長ノ決スル處ニ依ル但シ市會ニ於テ選舉ヲ行フトキハ議長ハ投票ヲ爲スコトヲ得
  第六十五條第一項ヲ左ノ如ク改ム
  名譽職參事會員ノ定數ハ市會員定數ノ五分ノ一以內トシ市條例ヲ以テ之ヲ定
  之ゝ
  第七十三條第三項ヲ左ノ如ク改ム
  市長ハ三月前ニ申立ツルトキハ隨時退職スルコトヲ得
  第七十五條第四項ヲ左ノ如ク改ム
  助役ハ三月前ニ申立ツルトキハ隨時退職スルコトヲ得
  第七十七條第一項中「金錢出納ノ取扱ヲ爲スコト」ノ下ニ「及營利ノ目的ヲ以テ市
  ノ營造物ヲ使用シ町村ノ公益ニ直接關係アル事業ヲ營ムコト」ヲ加フ
  第百十六條第二項中「市ハ其財產ヨリ生スル收入」ヲ「市ハ其財產事業又ハ契
  約ヨリ生スル收入」ニ改ム
  第百八十條第一項中但書ヲ削ル

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=79

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• 080・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　次ニ市制改正法律案ニ對スル荒川五郞君ヨリ提出ノ修
  正案ヲ朗讀サセマス
  〔書記朗讀〕
  市制中改正ニ關スル修正
  第十五條但書ヲ左ノ通リ改ム
  但シ一級選舉人ノ數議員定數ノ二倍ヨリ少ナキトキハ納稅最多キ者議員定數ノ
  二倍ト同數ヲ以テ一級トス
  第二十五條
  第五項但書ヲ削ル

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=80

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• 081・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　日野國明君
  〔日野國明君登壇〕
  〔拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=81

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• 082・日野國明

  ○日野國明君　本員ハ唯今此處デ朗讀ニナリマシタ如キ市制改正法律案ニ對スル修
  正意見ヲ出シテ居ルノデアリマスガ、此箇條ハ二十條バカリニ相成ッテ居ルノデアリマシ
  テ、一條ノ中ニ於テ數箇所修正ヲ加ヘル處ガアルノデゴザイマス之ヲ一々其理由ヲ說
  明致シマスト非常ニ長ク相成リマスルシ、且必シモ說明ヲ致サナクトモ御分リニナル〓モ
  アリマスルカラシテ、此修正意見ノ最モ重ナル箇條ト存ジマスルトコロダケニ付キマシテ修
  正ヲ必要トスル所以ヲ述べテ置カウト思フノデアリマス、市制ノ九條、十四條、三十八
  條等ニ於キマシテ政府案ニハ六年ノ懲役又ハ禁錮以上ニ處セラレタルモノニ對シマシテ
  被選權ヲ奪フコトニナッテ居ルノデアリマス、此六年ノ懲役又ハ禁錮ト申シマスルノハ舊
  刑法ノ時代ニ於キマスルトコロノ重罪デアルノデアリマス、、舊刑法ノトキニハ重罪ニ對シマシ
  テハ附加刑トシテ終身公權ヲ剝奪スルコトニナッテ居ッタノデアリマスガ、刑法ノ改正ト同
  時ニ剝奪公權ト云フモノガ無クナリマス、ソレト同時ニ舊刑法ノトキニアリマシタトコロノ
  復權制度ト云フモノガ無クナッテシマッタノデアリマス、舊刑法ノ時代ニ於キマスルト云フト
  懲役六年以上又ハ禁錮六年以上ノ刑ニ處セラレマシタモノデモ復權ヲ得マスルナラバ選
  舉權ヲ得ルコトニナッテ居リマシタモノヲ此度ノ此法律制度ニ依リマスルト云フト一度六
  年以上ノ懲役若クハ禁錮ニ處セラレタナラバ終身選舉權ヲ得ルコトガ出來ナイコトニナツ
  テ居ルノデアリマス、卽チ舊刑法ノ實施時代ヨリモ今日ノ方ガ選舉ヲ一層狹メタヤウナ
  勘定ニナッテ居ルノデアリマス、ソレデ本員ハ舊刑法ニ於キマシテハ刑ノ執行ヲ終リタルト
  キカラ五箇年ヲ過ギタナラバ情狀ニ依ッテ復權ヲ得ルトナッテ居リマシタコトニ考ヘテ、執行ヲ
  終リ、若クハ此執行猶豫等ニ依ッテ執行ヲ受ケズシテ執行ヲ受タルコトナキニ至リマシ
  タトキカラ五箇年ヲ過ギタナラバ、被選舉權ヲ與ヘルコトニシタイト云フ、斯ウ云フノガ改
  正ノ趣旨デアリマス、是ガ修正ノ趣旨デアリマス、此修正意見ニ對シマシテ政府モ流石ニ
  復權ノナクナッテ居ルト云フコトニ付キマシテハ之ヲ法ノ不備ト認メテ居ルノデアリマス、サ
  ウシテ復權ニ關スル法律案ハ政府ガ次ノ議會ニ提出スル積リデアル、斯ウ云フ辯明ヲセ
  ラレタノデアリマスケレドモ、是ガ本期ノ議會ニ提出セラレルト云フコトナラバ格別デアリ
  マスガ、次ノ議會ト云フコトニナリマスレバ、次ノ議會ノ來リマスルマデニ於テ市制ハ實施
  サレルノデアリマスカラシテ、私ハ次ノ議會ニ復權ニ關スル法案ヲ提出セラレルト一云フ政府
  ノ言明ノミニ安心シテ此改正ヲ止メルト云フ譯ニ參ラナイ、況ヤ政府ハドノヤウナ意味ニ
  依ッテ復權ノ法ヲ出スノデアルカ、其出シタモノガ果シテ此議院ヲ通過スルカシナイカト
  云フコトモ分ラナイ、今日ニ於テ政府ガ明年ノ議會ニ復權ニ關スル法案ヲ出スト云フコ
  トノミヲ信ジテ、直ニ此修正ヲ行ハナイト云フコトハ危險デアルト存ジマスルカラシテ、飽
  マテ今ノ修正ヲ維持スル意見デアルノデアリマス、ソレカラ次ノ修正ノ要點ハ市制ニ於キ
  マシテ此現行法ノ通リ市會議員ノ選舉ヲ三級ニ分ッテ行クコトニナッテ居リマスルノヲ
  二級ニ致シタイト云フコトデアリマス、御承知ノ通リ市會議員ノ選舉ニ於テ特ニ卽チ他
  ノ總テノ選舉ニ於テ行ッテ居ラレナイトコロノ階級選擧人ヲ三級ニ分ッテ行クト云フコ
  トニシテアリマスル、趣意ハ多數ノ人間ガ少數ノ富者ヲ壓迫スルト云フコトヲ惡ルヽト云
  フ意味デアリマスㄱ卽チ富者、少數ノ富者デ市ノタメニハ多クノ負擔ヲ爲シテ居ル者ヲ僅カ
  ヅヽ負擔ヲ致シテ居ルトコロノ多數ノ人間ガ壓迫ヲスルコトガアッテハイケナイト云フ意味
  デ、此階級選舉ノ制度ヲ設ケラレテ居ルノデアリマス、アリマスガ、私共ノ考ヘマスルトコ
  ロニ依レバ今日マデ我國ノドノ市ニ於キマシテモ多數ノ中流以下ノ人ガ少數ノ富者
  ヲ壓迫シタト云フヤウナ事實ハ之ヲ見ナイノデアリマス、ソレカラ後ニ至リマシテ政府ノ政
  治ノヤリ方ガ惡ルクテ常ニ少數ノ富者ヲ保護シ多數ノ人間ヨリモ少數ノ富者ヲ保護ス
  ルガ如キ政略ヲ行ヒマスルナラバ、將來ハ此反動ガ起ルカハ存ジマセヌケレドモ、今日マデ
  ノトコロニ於テハ私ハ左樣ナ事實ヲ認メナイ認メナイノミナラズ、此現在ノ制度ノアルガ
  タメニ却テ少數ノ富者ガ多數ノ者ヲ壓迫ヲ致シテ居ルト云フ事實ヲ見ルノデアリマス、卽
  チ或町村ナドニ至リマスト云フト極ク僅カナトコロノ富者ガ其議員ノ半數ヲ選舉スル權
  ヲ握ッテ居ルノヲ利用致シマシテ、却テ多數ノ貧者ノ方ヲ壓迫シテ居ルト云フコトヲ聞ク
  ノデアリマス、故ニ理論ト致シマシテ私ハ絕對ニ此市會ニ於キマスル階級選舉ヲ全廢致
  シタイト云フ考ヲ持ッテ居ルノデアリマスガ、制度ノ變更ニ急激ニ致スト云フコトモ亦考ヘ
  ナケレバナラヌ點ガゴザリマスルカラシテ、市制ニ於テハ直ニ階級ヲ廢止スルト云フコトニ致
  シマセズシテ、三級ヲ改メテ二級ニスルト云フコトニ致シタイト存ジマシテ、此市制第十五
  條ノ修正ヲ出シタ譯デアリマス、ソレカラ次ニハ此市制ノ第十五條ノ二項ニ修正ヲ加ヘ
  タノデアリマスガ、政府案ニ依リマスルト云フト一級ノ選舉人ノ數ガ議員ノ數、卽チ
  選舉スベキ議員ノ數ヨリ少イトキニ於キマシテハ、其選舉人ノ數ヲ選舉スベキ議員ノ數
  ト同一ニ爲スコトヽ致シテ居ルノデアリマス、卽チ例ヲ引イテ申シマスルナラバ一級ニ於
  テ十人ノ議員ヲ選舉スベキ場合ニ於テ、選舉人ノ數ガ五人シカナイ場合ニハ此政
  府案ハ之ヲ十人ニナスコトガ出來ル十人ノ議員ヲ選舉スベキ場合ニ於テ、議員ノ數ヨ
  リ選舉人ガ少イトキニ議員ノ數マデ殖スコトガ出來ルトナッテ居リマスノヲ、私共ハ其選
  舉スベキ議員ノ四倍マデニシヤウト云フノデアリマス、卽チ十人ノ人ヲ以テ十人ノ議員
  ヲ選マスト云フコトヨリモ、四十人ノ人ヲ以テ十人ノ議員ヲ選マスト云フコトニスル方ガ
  宜シイト云フ考デ此數ヲ增シタノデアリマス、是ハ後トデ述ベマスルトコロノ連記ノ制ヲ廢
  シヤウト云フ上ニ於テ非常ナ關係ガアルノデアリマス、政府案ニ於キマシテハ單記投票ヲ
  原則ト致シテ置キナガラ、或場合ニ於テ連記ノ投票ヲ採用スルコトニ致シテ居リマス、ソ
  レハ今申スヤウナ選舉人ノ數ノ極メテ少イ場合ニ於テハ或ハ豫定ノ如キ當選者ヲ得ルコ
  トガ出來ナイト云フコトヲ恐レマシテ連記ノ制ヲ設ケテ居リマスケレドモ、私共ハ之ヲ止メ
  ヤウト云フ意見デアリマスカラ、旁〓以チマシテ議員ノ數ト選舉人ノ數ヲ同樣ニスルト云
  フコトヲモウ一層擴張致シマシテ議員數ヨリモ四倍ニマデ致サウト云フノガ十五條ノ二
  項ノ修正ノ趣意デアリマス、其趣意カラ致シマシテ次ノ市制ノ十六條ニモヤハリ同樣ノ
  意味ノ修正ヲ加ヘタノデアリマス、ソレカラ市制ノ二十五條、二十八條ハ今申シマシタ連
  名投票ノ制ヲ廢止シヤウト云フ趣意ナンデ、今申シマシタ通リ、原則ト致シマシテ市制ニ
  於テハ一人ヲ選ムノ權利ヲ與ヘテ居リマスニモ拘ラズ、政府案ニ於キマシテハ或場合ニ於
  テ卽チ選舉人ノ數ガ其選舉スベキ議員ノ數ノ三倍ヨリ少イ場合ニ於テハ連名投票ヲナ
  サシメルト云フコトニナッテ居リマス單記ヲ是ナリトシテ單記ノ制度ヲ採ル上ニ於テ連名
  投票ヲ用井ルト云フコトガ旣ニ理論ノ上ニ於テ一致ヲ缺イテ居ルノデアリマス、ノミナラズ
  此結果ト致シマシテ却テ少數ノ選舉人ハ他ト異ッタトコロノ選擧權ヲ得ル譯ニナッテ來ルノ
  デアリマス、或人ハ一人ヲ選ムノデアルノニ、或人ハ總テノ議員ヲ選ムノ權ノアルト云フコ
  トニナッテ來ルノデアリマス、是ハ政府案トシテハ好ンデナシタノデナクシテ餘儀ナクナシタコ
  トヽ思ヒマスガ、今申シマシタ如ク修正ヲ加ヘマスレバ選舉ニ於テ議員ノ定數ノ選擧ヲ得
  ナイト云フヤウナコトハアリマセヌカラシテ、此一一十五條、二十八條ニ於テ連名投
  票ヲ廢止シヤウト云フ考デアルノデアリマス、ソレカラ市制ノ十八條、七十七條、此條項
  ニ於キマシテ、被選權ヲ制限スルモノノ中ニ營利ノ目的ヲ以チマシテ、市ノ營造物ヲ使
  用シテ、市ノ公益ニ直接ニ關係アル事業ヲ營ムモノヲ加ヘヤウト存ジテ居ルノデアリマス、
  此理由ハ此ノ如キモノハ他ノ制限ヲ受クル者ト同ク之ヲ市ノ參政權ヲ與ヘルト云フコト
  ハ危險ナリト認メタカラデアリマス、ソレカラ次ニ市制ノ七十三條、七十五條ニ於キマシテ
  市長市助役、此等ハ三箇月以前ニ中立ルナラバ隨意ニ退職スルコトヲ得、卽チ現行
  法ノ通リニ修正シヤウト云フ意見ヲ持ッテ居ルノデアリマス、之ニ付テハ政友會ノ諸君卽
  チ委員長ガ報告ヲセラレマシタ御意見ノ通リ、政友會ノ方デハ政府案ヲ贊成セラレマシ
  テ、此市長-市長ノ辭職ハ內務大臣ノ許可ヲ受ケルコトニナル助役ノ辭職ノ場合
  ニ於キマシテハ、府縣知事ノ許可ヲ受ケルコトニナッテ居リマスガ、ドウ云フ譯デアリマス
  カ、町村制ノ方ニ參リマシテハ私其議論ノ通リニ是ハ一一箇月前ニ中立ツルナラバ、任意ニ
  退職ガ出來ルト云フコトニシテアリマス、政友會ノ諸君ハ市ノ市長ト助役ハ內務大臣若
  クハ府縣知事ノ認可ヲ受ケナケレバ辭職スルコトハ出來ナイ、町村長町村助役ハ三箇
  月前ニ中立ツルナラバ任意ニ退職スルコトガ出來ルト云フコトニナサレマシテ、市制ト町村
  制ノ上ニ大ナル區別ヲ設ケマシタケレドモ、私共ハ斯ヤウナ區別ヲ設ケル必要ハ認メナイ
  辭職ヲスル意見ヲ以テ辭職ヲ希望シテ居ルモノニ向ッテ、之ヲ認可ヲシナイト云フコトニ
  致シマシタトコロガ、何ノ效力モアルモノヂヤアリマセヌ、辭職ヲ望ムモノハ辭職ヲ許スガ宜
  イノデアリマスガ、唯何時デモ辭職ヲシテモ構ハナイト云フコトニナリマスレバ市或ハ町村
  ノ事務ノ上ニ障害ヲ來ス虞ガアリマスカラ、私共ハ三箇月前ニ申立ッテ置イタナラバ辭ス
  ルコトヲ得ト云フ現行ノ市制ノ通リニ修正ヲシヤウト云フ意見ヲ持ッテ居ルノデアリマス、
  此他ニ尙數項ノ修正ノ箇條ハアリマスガ、是ハ私ガ特ニ中上ゲマセズトモ此修正ノ意味
  ハ自ラ分ルモノト存ジマスカラシテ、其他ニ付テハ一々理由ノ說明ハ致シマセヌ、致シマセ
  ヌガ、此際ニ希望ヲ致シマスルコトハ此地方制度ノ如キモノハ一旦定マリマスレバ之ヲ
  輕々ニ又變更スベキモノデナイノデアリマス、斯ウ云フ問題ハ政黨政派ニ於テ論議
  政黨政派ノ異ナルニ依ッテ贊否ヲ決スベキ問題デモナイノデアリマス、所ガ此案ノ委員會
  ニ於キマシテハ政友會ノ意見ニアラズンバ殆ド用井ラレナノ僅ニ政友會以外ニ於テ修正
  說ノ一ハ採用サレタノガアリマスガ、田川君カラ提出サレテ是ハ政府案ノ誤デ參事會ト
  書クベキトコロノ上ニ持ツテ來テ、市ノ字ガ入レテアッタ卽チ「イチ」ノ字ガ入レテアッタ、此
  文字ヲ削除スルト云フ田川君ノ修正說ガ幸ニシテ政友曾ニ容レラレタ、卽チ市ノ字ガ一
  字ダケ政友會ニ容レラレタダケデアリマスガ、斯ウ云フ問題ニ付キマシテハドウカ唯一字ニ
  限ラズ、私共ノ修正意見ニ於テモ採ルベキモノガアルナラバ(「採ルベキモノナシ」ト呼フ者
  アリ)御贊成ヲ願ヒタイト思フ、併ナガラデス、併ナガラ何事モ極メタ上ハ是デモ非デモ採
  用シナイト云ハルヽナラバ致方ガナイ、是ヨリ遠キ將來ニ於テ私ハ此意見ガ行ハルヽトキ
  ガ來ルト考ヘテ居ル

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• 083・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　荒川五郞君
  (「採用スルニ足ラズ」「默レ」「默レ-馬鹿野郞」ト呼フ者アリ〕

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• 084・荒川五郎

  ○荒川五郞君　簡單デゴザイマスカラ當席カラ申上ゲマス、此市制町村制ノ改正案ハ
  卽チ多年ノ實行ニ鑑ミテ大ニ改善セラレマシテ、又從前單行法ヤ又ハ命令等ノ箇條ニ
  アッタモノデモ必要ナモノハ此改正案ニ入レラレテ大ニ實際ニ適合スル良案デアリマス
  ル、其上ニ先刻委員長ノ報告ハ吾〓ノ意見希望ヲ容レラレテ一層完備ノモノニナリマシ
  タ、自治ノ改善、事務ノ取扱上大ニ便益ヲ加ヘマシタ、此等自治ノ運用上ニハ多大ノ
  利益ヲ與ヘルト云フコトヲ信ジマス、ソレデ委員長ノ報告ニハ--報告通リノ修正案ニ
  私共ハ贊成ヲ致シマスルガ、唯一ツ重要ナル修正ヲ-修正スベキ事項ガゴザイマス、之
  ヲ加ヘタナラバ實ニ完璧トナル譯ト信ジマス、其箇條ハ先刻朗讀アッタ通リニ市制第十五
  條ノ第二項ノ但書ヲ修正致シ、竝ニ第二十五條ノ第五項ヲ削ラウト云フノデゴザイマ
  ス此修正ヲ致サウト云フ理由ハ市會議員ノ選擧ハ從來連記法ヲ採ッテ居ッタノデアリ
  マスガ、今囘政府提出ノ案ハ單記投票ノ法ヲ採ッテ居リマス、然ルニ一級選舉ニ於テ選
  舉人ノ數ガ少イ場合ニハ一人一票ヲ得ルト致シマスレバ議員定數ヲ擧ゲルコトガ出來
  ナイカラ止ムナク此場合ニハ連記ノ法ヲ採ッテ居リマス、然ルニ既ニ單記投票ガ宜シイト云
  フ、斯ル例外ヲ認メタ以上ハ單記投票ガ宜イト認メタル上ハ、斯ル例外ヲ認メテ連記ト
  致シマスルコトハ單記投票法ノ精神ニ背キマシテ宜シキヲ得タモノデナイカラシテ、ソレデ此
  箇條ヲ變ヘタイト云フノデアリマス、卽チ市制ノ第十五條ノ第一一項ノ一級選舉人ノ數
  ガ議員定數ノ三分ノ一ヨリ少ナイトキニハ納稅額ノ最モ多イ者、議員定數ノ三分ノ一
  マデヲ取ッテ、一級ニスルト云フ、其三分ノ一マデ上ゲルト云フノヲ五十步百步、モンハ
  歩進メテ二マデ改メマシタナラバ選舉人ノ數ハ議員定數ノ二ヨリ少イコトハナイノデア
  リマスカラ、從ヲテ連記ヲ用井ナイデ宜イト云フコトニナルノデアリマス、從ッテ此第十五條
  ヲ改正スル結果トシテ、連記ヲ要シナイカラシテ例外トシテ連記ヲ規定シテアリマストコロ
  ノ第二十五條ノ第五項ノ但書ハ削除シテ宜イト云フコトニナル譯デアリマス、卽チ此二
  箇條ハ相關聯シテサウシテ單記投票ノ精神ヲ完ウスルコトニナルノデアリマス、是ハ唯今
  日野君ヨリ述ベラレマシタ通リニ少數ノ富者ガ跋扈スル弊ヲ少シデモ減ズルガ宜イト云フ
  理由ガゴザイマスルシ、又三分ノ一ニ進メルト云フノモ旣ニ例外デアリマスカラ既ニ其例
  外ヲ認ムル以上ハ百尺竿頭一歩ヲ進メテ一一マデト致シテ1一方ノ例外ヲ除イテ完全
  ニ致ス方ガ宣シイノデゴザイマス、卽チ一級選舉權ヲ斯樣ニ多ク致シマシテ財產ノ範圍ヲ
  廣ク且低ク致シマスレバ自治ノ圓滿平和ヲ期スルノ利益ガアリマス、是ハ少數ノ富者ガ
  善良ノ人ノミデアレバ宜イデアリマスガ、ソレナラバ何モ差支ハナイノデアリマスケレドモ、少
  數ノ富者ガ往々橫暴ヲ逞ウスル者ガ出テ、自治ノ平和ヲ害スル者ガ隨分是ガタメニアル
  ノデゴザイマス、デアルカラ一級選舉權ノ數ヲ殖ヤスコトニ致シタイト考ヘルノデゴザイマス、
  此間本會ニハ普通選舉案スラ出タ位デアリマス、是等ニ贊成ノ御方ハ成ルベク財產
  ノ制限ヲ認メナイト云フノデアリマスガ、少數ノ富者ノ暴橫ナルヲ期スルト云フ此本案ノ
  精神ニハ卽チ此普通選舉論者ハ御贊成アルベキ當然ノ筋途ト信ズルノデゴザイマス、何
  卒滿場諸君ノ御賛成ヲ祈リマス

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• 085・尾崎行雄

  ○尾崎行雄君　日野君、、荒川君ノ御意見ハ委員會ニ於テモ餘程愼重ノ討議ヲ經タ
  結果、已ムヲ得ズ反對セザルヲ得ナイト云フノデ消滅シタノデアリマス、故ニ願クバ本會ニ
  於テハ多辯ヲ要セズシテ之ヲ否決スルコトニ致シタイノデアリマス、六年以上云々ト日野
  君ノ言ハレタコトハ私權問題ト關係シテ居リマス、是等モ愼重討議ノ上消滅シタノデア
  ル、又三級選舉ヲ二級選舉ニスルト云フコトハ、其結果ニ依ッテハ丁度中間ニ居ルベキ
  現在ノ二級ヲ一級ニ入レルカ、三級ニ入レルカ、ドチラカニシナケレバナラナイ、卽チ二級ト
  云フ國家ノ中堅トモ稱スベキ中等民族ヲドチラカニ逐ヒヤッテシマフト云フコトハ、是ハ自
  治ノ精神ニ背クノミナラズ、吾〓ガ多年稱ヘテ居ル主義ニ背クノデアリマスカラ、是ハヤ
  ハリ階級ヲ存スル以上ハ三一級ニシテ中等民族ノ力ヲ伸ベサセルガ最モ宜イト云フノデアリ
  マス、ソレカラ選擧權ノ二倍若クハ四倍ニシヤウト云フヤウト云フコトハ如何ニシテモ投票
  ノタメニ出席スルコトノ少イトキニハ定員ダケノ當選者ヲ得ルコトガ出來ナイノデアッテ、同
  ジ人間ニ二囘ノ選舉權ヲ行ハシムルコトニナッテ、同ジ人間デアリナガラ定員ヲ得ルコト
  ガ出來ナイタメニ二囘ノ選舉ヲ行フト云フコトハ連記ヲ行フト云フコトニ比ベテ、寧口弊
  害ノ大ニシテ、原理ニ背クト云フノデ已ムヲ得ズ連記ニシタノデゴザイマス、其他イロノ
  ノ御說ガゴザイマシタガ、委員會ニ於テハ極メテ虚心平氣ニ少數黨ノ意見モ採ッタノデゴザ
  イマス、採ルベキハ採リ、採ルベカラサルハ採ラナイ、其證據ニハ同一委員會ニ於テ「東
  京市」ト云フ下ニ「大阪市」ヲ入レルト云フ御說ノ出タトキニ喜ンテ其通リニ致シ、此報
  告ニ出タノデアリマス、多數ガ少數ヲ壓シタト云フ〓ハ少シモナイノデアリマスカラ、委員
  會ノ報告通リ御通過ヲ願ヒタイ、且委員會ノ報告ニハ全部政府ハ同意ノ意味ヲ其席
  ニ於テ明言致シテ居リマスカラ、此段併セテ報告致シマス
  〔「採決々々」ト呼フ者アリ〕

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• 086・野添宗三

  ○野添宗三君　議長議長-意見ヲ述ベタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=86

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• 087・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　野添君ハ此市制ニ付テデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=87

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• 088・野添宗三

  ○野添宗三君　サウデス、委員長ノ報告ノ或一部ニ反對ヲ致シテ原案ニ贊成ノ意見
  ヲ述ベタイノデス

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• 089・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　ソレハ·····
  〔「登壇」ト呼フ者アリ〕

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• 090・野添宗三

  ○野添宗三君　極ク簡單デアリマスカラ此處カラ述ベマス、市制ノ市公民ノ資格ニ關
  スル要件ト致シテ納稅ノ制限ノアリマス中ニ、直接國稅二圓以上云々ト云フ文字ヲ加
  ヘルコトニ御修正ニ委員會デハナッテ居ルノデアリマスガ、私ハ其〓ニ反對デアッテ、是
  政府ノ原案ノ方ニ贊成スベキモノデアル、其方ガ相當デアルト云フ意見ヲ述ベタノデス、
  此市公民ノ資格ノ要件中直接國稅ヲ納メマスルコトニ關シマシテ、現行ノ法律ノ地租
  ニ付テハ其額ニ制限ハナイノデアリマシテ、而シテ其他ノ直接國稅ニハ二圓以上ト云
  フ制限ガアルノデアリマス、然ルニ政府ノ原案ハ此二圓ノ制限ヲ除イテ、苟モ直接國稅
  ヲ納メル者デアルナラバ、地租ト其他ノ直接國稅トヲ問ハズ總テ公民ノ資格ヲ附與ス
  ルト云フコトニナッテ居リマシテ、其改正ノ理由ハ地租ト其他ノ直接國稅トノ間ニ等差ヲ
  置クノ不公平デアルト云フノ理由デアッタノデアリマス、然ルニ委員會ノ修正案ハ此改正
  案ヲヤハリ現行ノ儘ニスルノデアル、卽チ地租ハ一厘若クバ一錢ヲ納メル者モ尙市公民タ
  ルコトヲ得ルノデアル、然ルニ其他ノ直接國稅卽チ營業稅所得稅ノ如キモノハ二圓以
  上ヲ納メル者ニアラザレバ公民タル資格ヲ附與シナイノデアルト云フ趣意ノ改正ヲセラ
  レタノデアリマシテ、政府ガ不公平ナル〓ヲ公平ニ歸セシメントシタルモノヲ遮ッテ、ヤハリ
  不公平ノ儘デ之ヲ維持シヤウト云フ改正デアルノデアリマス、委員會ノ改正ハ故ニ此〓
  ニ付テハ私ハ大反對ヲ主張スル者デアル、而シテ委員會デ斯樣ナ修正ヲ行ハレマシタ理
  由トシテハ、其發議者ノ言ニ聽キマストコロニ據レバ、斯樣ニセナケレバ則チ直接國稅中
  ノ所得稅トカ若クハ營業稅ト云フモノニ制限ヲ置カズンバ人格ノ低イトコロノモノガ公民
  權ヲ得ルヤウニナルノデアル、斯ウ云フコトデアリマシタケレドモ、地租ヲ納ムル者ト其他ノ
  直接國稅ヲ納ムル者トノ間ニ人格ノ等差ヲ認ムベキ理由ヲ私ハ發見スルコトガ出來ナイ
  ノデアリマス(拍手起ル)故ニ是ハドウシテモ政府ノ原案ノ方ニスル方ガ私ハ公平且穩
  當デアラウト思フ、又斯ウ云フコトモ事實ノ上ニ御考下サラナケレバナラヌト思フ、地租
  ハ一厘若クハ一錢ヲ納ムル場合ヲ想像スルコトガ出來ルノデアル、何トナレバ一圓ノ地租
  ヲ納ムベキ地所ヲ百人ガ共有ヲ致シテ居リマシタナラバ一人ニテ一錢ノ地租ヲ納ムル
  コトニナルノデアル併ナガラ所得稅トカ若クハ營業稅ヲ一人シテ一錢納ムルト云フヤウナ
  場合ハ事實ノ上ニ於テアルベカラザルコトデアリマスカラ是等ノ稅ニ對シテ二圓以上ト
  云フ制限ヲ置クト云フヤウナコトハ、殆ド無益デアル、サウ云云ヤヤニ私ハ考ヘルノデアル、
  前囘ニ於テ普通選舉ニ關スル法律案ニ御贊成ノアリマシタトコロノ諸君ハ本員ノ意見
  ニ必ズ御贊成アルベキモノデアルト私ハ確信ヲ致スノデアル(拍手起ル)

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• 091・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　要スルニ野添君ノ御意見ハ原案維持說卽チ原案復活ノ
  御意見デスナ

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• 092・野添宗三

  ○野添宗三君　サウデス
  〔神前修三君登壇〕

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• 093・神前修三

  ○神前修三君　私ハ此市制案ニ付キマシテ委員長ノ報告ニ全然贊成ヲ致シマスモノ
  デ、然ルニ唯今日野君ヨリイロ〓〓御修正說ガ出マシタ上ニ吾〓ノ修正致シマシタ市
  制ノ助役ニ對スル規定ト、ソレカラ町村助役ニ對スル規定ガ相違ガアル、誠ニ不都合ナ
  修正デアルト云フ御辯駁旁〓御意見ガ出マシタ、此〓ニ付テ先ヅ前ニ申上ゲタイガ、此
  市制ノ助役ニ付キマシテ-市ノ助役ニ付キマシテ三箇月以前ニ申立テルナラバ隨意
  ニ退任セシムルコトヲ得ルト云フコトヲ入レマセナンダ理由ヲ申シマス、町村制ノ上ニ於キマ
  シテ第六十四條ノ三項ニ斯樣ナ箇條ガ舉ゲテアルノデアリマス「町村長及助役ハ府縣知
  事ノ認可ヲ受クルニ非サレハ任期中退任スルコトヲ得ス前項ノ認可ヲ受ケタルモノニ付
  テハ第八條第二項ノ規定ヲ適用セス」此箇條ヲ町村制ノ上デハ削除致シマシタ、其代
  リニ此箇條ニ代リマシテ唯今ノ箇條ハ入ッタノデアリマスカラ、市制ト違フト云フコトハ敢
  テ怪ムニ足ラヌノデアリマス(「左樣デゴザイマス」ト呼フ者アリ)ソレカラ吾ミノ修正ニ對
  シマシテモ最モ反對ノ理由トシテ唯今喋々御辯ジニナリマシタ點ハ第九條ノ修正デアリ
  マヽ、是ハ隨分御議論ノアルコトヽ思ウテ居リマシタノデアリマス御承知ノ如ク現行法
  ノ公民權中ニハ一戶ヲ構ヘト云フ一要件、ソレカラ地租ヲ納メト云フコトヽ、國稅年額
  以上ヲ納メルト云フ三要件ガアルノデアリマス、其三要件ヲ此原案ニ於キマシテハ悉ク取
  リマシタノデアリママス、故ニ選舉法ト云フ〓ヨリ見マスト云フト誠ニ結構ナルヤウデア
  リマスケレドモ、又地方制度ノ上ヨリ見マストキハ、恰モ普通選擧ヲ實施スルト云フヤウ
  ナ狀態ニナルノデアリマス、此ノ如ク急激ナル改正ヲ選舉法ヲ短期無記名ヲ以テ選舉ヲ
  行ヒマス曉ニハ、必ズ多數小民ノ代表者ハ議會ニ現ハレテ來ルノデアリマス、市制ヲ布
  カルヽ所ニ於キマシテハ、餘リ感ジハアリマスマイ、御承知ノ如ク市ニハ議員數モ一番少ナ
  イ處デ三十名アルノデアリマスカラ、此感ジハゴザイマスマイナレドモ、御承知ノ如ク我全國ニ
  ハ一万二千有餘ト云フ多數ノ町村ガアルノデアリマス、此多數ノ町村會議員ノ數ハ如
  何程デアルカト申シマスレバ、八名九名若クハ十二一二名デアルト云フコトハ、諸君モ御承
  知デアラウト存ジマス、加之古來我國ノ慣習ハ如何デアリマス、我國ノ慣習ト申シマスモ
  ノハ從來地方ノコトヲ處シマスニハ名主、年寄ト申シマシテ、多クハ地方ノ長老ノ人間ニ
  事ヲ執ラシタノデアリマセウ、故ニ現今ノ自治制ヲ施行スル當時ニ於キマシテモ、政府ハ
  此良慣習ヲ慣行セシムルト云フ〓ヲ以チマシテ、地方官ニ屢〓諭示ヲ致シタコトガアルノ
  デアリマス、故ニ今日ノ町村ノ議員ト云フモノハ多クハ長老ノ人間ヲ以テ組織サレテ
  アルノデアリマス、此長老ノ少數ノ議員ノ中ヘ小民ノ代表者ガ半モ交リマシタナラバ、町
  村ノ狀況ハ如何ニナルデアリマセウ、是ハ市制ト關聯ヲシテ居リマスカラ、市制ト共ニ論
  ジマス(「名主ノ講釋ナドハ要ラヌ」ト呼フ者アリ)市制ト大抵條文ガ關聯シテ居リマスカ
  ラ併セテ論ジテ置キマス(「唯今ハ市制ガ議題ニナッテ居ルノデアル」ト呼フ者アリ)宜シイ
  ソレナラ市制ダケ申シマス、故ニ少數ノ小民代表者ガ入リマスト云フト、ナカ〓〓議會
  ノ平和ヲ保チ或ハ議會ノ平安ヲ保ツト云フコトハ出來マセヌ故ニ、私共ニヤハリ我幾分
  ノ階級ヲ附ケ置クコトガ宜シイコトヽ心得マシテ、唯今ノ修正案ノ如ク修正ヲ加ヘタノデ
  アリマス(「分リマセヌ」「チヨットモ分リマセヌ」「止メ給ヘ」ト呼フ者アリ)モウソレヂヤ、是デ
  措キマセウ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=93

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• 094・菅原傳

  ○菅原傳君　討論終決ノ動議ヲ出シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=94

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• 095・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　討論終結ニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=95

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• 096・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ナイト認メマスカラ討論ハ是ニテ終結ヲ致シマス、採
  決ニ付テ御諮ヲ致シマス、先刻朗讀シタ通リニ日野君ノ修正ハ澤山ノ箇條ニ亙ッテ居
  リマス、サウシテ其中ニ荒川君ノ修正ガ卽チ十五條ト二十五條ト二箇條アリマスカラ、
  先ヅ此十五條ト二十五條ヲ別々ニ採決シヤウト思ヒマス(「異議ナシ」ト呼フ者アリ)日
  野君ノ修正「第十五條第一項中「三級」ヲ「二級」ニ改メ、第二項ヲ左ノ如ク改ム「選
  舉人中直接市稅ノ納額最多キ者ヲ合セテ選舉人全員ノ納ムル總額ノ半ニ當ルヘキ者
  ヲ一級トシ其他ノ選舉人ヲ二級トス、但シ一級選舉人ノ數議員定數ノ二倍ヨリ少
  キトキハ納稅最多キ者議員定數ノ二倍ト同數ヲ以テ一級トス」此說ニ同意ノ諸君ハ起
  立
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=96

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• 097・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　少數、ソレカラ荒川君ノ修正「第十五條但書ヲ左ノ通リ
  改ム「但シ一級選舉人ノ數議員定數ノ二倍ヨリ少キトキハ納稅最多キ者議員定數ノ
  二倍ト同數ヲ以テ一級トス」是ニ同意ノ諸君ハ起立
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=97

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• 098・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　少數、ソレカラ日野君ノ「第二十五條第五項中ノ但書ヲ
  削ル」ソレカラ「第二十五條ノ第五項ノ但書ヲ削ル」ト云フノガ荒川君ノ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=98

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• 099・荒川五郎

  ○荒川五郞君　唯今第十五條ノ「三分ノ一」ト云フノガ「二倍」ニ改ラヌ以上ハ實際
  ニ於テ單記ヲ用井ルコトガ出來ナイ結果ニナルノデアリマス、デアリマスカラ第十五條ノ二
  項ノ但書ノ修正意見ガ成立シナイ以上ハ二十五條ノ但書ハ已ムヲ得ズシテ存セネバ
  ナラヌコトニナリマス、兩者相關係スルコトデアリマスカラ、十五條ガ決定ニナリマシタナラ
  バ當然此削除ノ意見ハ撤囘セザルヲ得ヌノデアリマス、左樣御承知ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=99

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• 100・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　撤囘スルノデスカ-十五條ノ荒川君ノ修正意見ハ否決
  サレマシタ、其結果トシテ二十五條ノ五項ノ但書削除ト云フ修正說ハ御撤囘ニナルノ
  デゴザイマセウ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=100

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• 101・荒川五郎

  ○荒川五郞君　左樣デゴザイマス、撤囘致シマス
  (「初カラ撤囘スレバ宜イ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=101

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• 102・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　二十五條ノ第五項中但書ヲ削ルト云フ日野君ノ修正意
  見ニ同意ノ諸君ハ起立
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=102

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• 103・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　少數、其他ニ日野君ノ修正意見ガアリマス、日野君ノ修
  正ハ多數ニ亙ッテ居リマスカラ更ニ此處ニ朗讀スル必要ハ無イト思ヒマス、先刻朗讀シ
  タ通リデアリマス、此日野君ノ總テノ修正ニ同意ノ諸君ハ起立
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=103

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• 104・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　少數、野添君ノ修正說ハ原案復活說デアリマスカラ別ニ採
  決スルノ必要ハナイト思ヒマス、先ヅ委員長ノ報告ニ付テ採決致シマス、其他委員長ノ
  報告ニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=104

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• 105・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ナイト認メマスカラ全部特別委員長ノ報告通リ決
  定致シマス(拍手起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=105

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• 106・菅原傳

  ○菅原傳君　直ニ三讀會ヲ開キ、二讀會ニ於ケル決定ノ如ク、卽チ委員長報告ノ通
  リ確定セラレンコトヲ望ミマス
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=106

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• 107・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガナケレバ直ニ三讀會ヲ開キ、議案全部ヲ議題ニ供
  シンズ
  市制改正法律案第三讀會
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=107

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• 108・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガナイト認メマスカラ二讀會ニ於テ決定セラレタ通
  リ、卽チ特別委員長ノ報告通リ本案ハ是ニテ確定致シマス(拍手起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=108

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• 109・菅原傳

  ○菅原傳君　日程第九、町村改正法律案ニ付キ、大體反對ノ御意見モナキニ於テ
  ハ直ニ二讀會ヲ開カレンコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=109

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• 110・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　町村制改正法律案第一讀會ノ續、別ニ御異議ガナケレバ
  直ニ二讀會ヲ開クコトニ致シタイト思ヒマスガ··
  〔異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=110

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• 111・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　御異議ガナケレバ直ニ二讀會ヲ開キ、町村制改正法律案
  ノ全部ヲ議題ニ供シマス、、委員長ノ報告ハ先刻相濟ミマシタ
  町村制改正法律案第二讀會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=111

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• 112・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　此案ニ對シテモ亦日野君及荒川君ヨリ修正案ガ提出サレ
  テ居リマス、其兩修正案ヲ朗讀致サセマス
  〔書記朗讀〕
  町村制改正法律案中左ノ通修正ス
  第七條第一項但書中「六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者」ヲ「六年ノ
  懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレ其執行ヲ終リ若ハ其執行ヲ受クルコトナキニ至リ
  タル後五年ヲ經サル者」ニ改ム
  第十二條第二項但書中「六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者」ヲ「六年
  ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ若ハ其ノ執行ヲ受クルコトナキニ
  至リタル後五年ヲ經サル者」ニ改ム
  第十三條第二項但書中「一一分ノ一」ヲ「二倍」ニ改ム
  第十五條第三項中「町村ノ爲金錢出納ノ取扱ヲ爲ス者」ノ下ニ「及營利ノ目的ヲ
  以テ町村ノ營造物ヲ使用シ町村ノ公益ニ直接關係アル事業ヲ營ム者ヲ加フ
  第二十二條第五項但書ヲ削ル
  第二十五條第二項ヲ削ル
  第三十五條第一項中「六年ノ懲役若ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者」ヲ「六年ノ
  懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ若ハ其ノ執行ヲ受クルコトナキニ
  至リタル後五年ヲ經サル者」ニ改ム
  第四十三條中「監督官廳」ヲ「行政廳」ニ改ム
  第四十九條中「町村會ノ議事ハ」ノ下ニ「議事ヲ除キタル」ヲ加フ
  第六十四條第三項ヲ左ノ如ク改ム
  町村長及助役ハ三月前ニ申立ツルトキハ退職スルコトヲ得
  第六十五條第一項中「金錢出納ノ取扱ヲ爲シ」ノ下ニ「及營利ノ目的ヲ以テ町村
  ノ營造物ヲ使用シ町村ノ公益ニ直接關係アル事業ヲ營ミ」ヲ加フ
  第九十六條第二項中一町村ハ其ノ財產」ノ下ニ「事業又ハ契約」ヲ加フ
  第百六十條第一項但書ヲ削ル
  (議長長谷場純孝君退席、副議長肥塚龍君議長席ニ著ク〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=112

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• 113・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　此次ハ荒川五郞君ノ修正說ヲ朗讀致サセマス
  〔書記朗讀〕
  町村制改正ニ關スル修正
  町村制第十三條但書ヲ左ノ通リ改ム
  但シ一級選舉人ノ數議員定數ノ二倍ヨリ少ナキトキハ納稅最多キ者議員定數ノ
  二倍ト同數ヲ以テ一級トス
  第二十二條第五項但書ヲ削ル

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=113

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• 114・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　日野國明君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=114

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• 115・日野國明

  ○日野國明君　町村制改正ノ理由ハ市制改正案ノ際ニ述ベマシタノト同一デアリマ
  ス、能ク御分リニナッテ居ルコトヽ思ヒマスカラ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=115

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• 116・荒川五郎

  ○荒川五郞君　本員等ヨリ提出シマシタ町村制改正案モ曩ノ市制改正案ノ際ニ述
  ベマシタ通リノ理由デアリマスカラ、今度コソハ御贊成ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=116

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• 117・野添宗三

  ○野添宗三君　本員ハ市制改正案ニ付テ述ベタト同一ノ理由ニ依ッテ、町村制第七
  條ハ委員會ノ修正ニ反對シテ、原案ニ贊成スルモノデアリマス、是ダケ述ベテ置キマス
  〔「採決」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=117

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• 118・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　ソレデハ修正ハ荒川五郞君、ソレカラ日野國明君トアリマス、
  荒川五郞君ノ修正カラ先キニ決ヲ採リマス荒川五郞君ノ修正說ニ同意ノ諸君ハ起
  立
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=118

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• 119・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　少數-次ハ日野君ノ修正說ニ付テ決ヲ採リマス、日野君
  ノ修正說ニ同意ノ諸君ハ起立
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=119

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• 120・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　是モ少數デアリマス、然ラバ委員長報告ニ付テ決ヲ採リマス、
  委員長報告ニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=120

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• 121・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　然ラバ委員長報告通リニ決定致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=121

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• 122・菅原傳

  ○菅原傳君　直ニ三讀會ヲ開キ、委員長報告通リ確定セラレンコトヲ望ミマス
  〔「贊成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=122

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• 123・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=123

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• 124・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　然ラバ直ニ三讀會ヲ開イテ決ヲ採リマス
  町村制改正法律案確定議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=124

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• 125・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　委員長報告通リ御異議ガアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=125

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• 126・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　然ラバ町村制改正法律案ハ委員長報告通リ確定ト致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=126

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• 127・菅原傳

  ○菅原傳君　此場合日程變更ノ動議ヲ提出致シマス、曩ニ尾崎委員長ヨリ報告ニ
  ナリマシタ東京市ニ關スル法律案ヲ議題ニ供セラレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=127

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• 128・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=128

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• 129・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　御異議ガナイト認メマスカラ日程ヲ變更スルコトニ致シマス、東
  京市ニ關スル法律案第一讀會ノ續、委員長ノ報告ハ濟ンデ居リマス
  東京市ニ關スル法律案(尾崎行雄君外四名提出)第一讀會ノ續
  東京市ニ關スル法律案(福田又一君外六名提出)第一讀會ノ續

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=129

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• 130・尾崎行雄

  ○尾崎行雄君　理由ハ玆ニ出シテ置キマシタ通リデアリマスカラ、滿場ノ御贊成ヲ願ヒ
  マス
  〔「贊成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=130

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• 131・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　直ニ二讀會ヲ開クコトニ御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=131

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• 132・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　然ラバ直ニ二讀會ヲ開キマス、全部議題トシテ御異議ハアリ
  マセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
  東京市ニ關スル法律案(尾崎行雄君外四名提出)確定議
  東京市ニ關スル法律案(福田又一君外六名提出)確定議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=132

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• 133・阪本彌一郎

  ○阪本彌一郞君　第一條ニ修正ヲ致シタイト思ヒマス、第一條ニ「東京市及大阪市」
  トアリマス此「及」ト云フ字ハ必要ガナイト思ヒマス故ニ「及」ト云フ字ヲ削ルトー云フ修正
  デアリマス、ソレカラ「公共」ト云フ字ガアル「東京市ノ公共事務ニ付テハ」ト云フ「公共」
  ト云フ文字ハナイ方ガ宜イ、公共ト云フコトハ甚ダ廣キ意味ニ用井ラレテアリマス、爲ニ
  解釋上誤リヲ來ス憂ガアル、法律案ニハ成ベクサウ云フ煩雜ナ文字ヲ使ハナイ方ガ宜イ
  ト云フ考デアリマス、ソレデ「及」ト云フ字ト「公共」ト云フ字ヲ削リタイト思ヒマス
  〔「贊成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=133

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• 134・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　阪本君ノ說ニハ定規ノ贊成ガナイヤウデアリマス、此東京市ニ
  關スル法律案ハ同一ノ案ガ二ツ出テ居リマス委員長ハ之ヲ一括スルト云フ報告ニナツ
  テ居リマスガ、是ニ異議ハアリマセヌカ
  〔「一向分カリマセヌ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=134

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• 135・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　東京市ニ關スル法律案デス、是ハ尾崎君ノト福田君ノト兩
  方カラ同ジモノガ出テ居リマスカラ之ヲ一括シテ一ノ案トスト委員長ガ報告シタ、其報告
  ニ御異議ガアリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=135

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• 136・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　然ラバ委員長報告通リト致シマス、尙三讀會ヲ省略シテ確
  定トスルコトニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=136

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• 137・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　然ラバ委員長報告通リ確定致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=137

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• 138・菅原傳

  ○菅原傳君　更ニ日程變更ノ動議ヲ起シマス、此場合國稅徵收法中改正法律案
  ニ對シ委員長ヨリ報〓及直ニ之ヲ議題ニ供セラレンコトヲ望ミマス
  〔「贊成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=138

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• 139・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　菅原君ノ說ニハ御異議ガナイヤウデアリマスカラ直ニ日程ヲ變
  更スルコトニ致シマス、國稅徴收法中改正法律案ノ第一讀會ノ續ヲ開キマス
  國稅徵收法中改正法律案(根岸峮太郞君第一讀會ノ續委員長)
  外四名提出)(報告
  〔大井卜新君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=139

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• 140・大井卜新

  ○大井卜新君　此國稅徵收法中ノ建議案デゴザイマスガ是ハ極ク單簡ナ議案デアリ
  マス(「法律案ダ」ト呼フ者アリ)法律案デアリマス、誤リマシタ、第五條ノ二項ヲ「前項
  徵收ノ費用トシテ其ノ徵收金額ノ百分ノ四ヲ其ノ市町村ニ交付スヘシ」ト云フ原案デ
  アリマス、ソレデ是ハ極ク簡單ナ原案デアリマスガ、所得稅其他ノ徵收ニ付テハ是マデ手
  數料ヲ交付シテ居リマシタガ、地租ニ付テハ交付シテ居ラヌデ不公平デアルカラ、ドウカ
  此地租ノ方ニモ交付金ヲ百分ノ四貫ヒタイ、斯ウ云フ單簡ナ原案デアリマス、段々委
  員會ヲ開キマシタガ、ナカ〓〓イロ〓〓ノ議論ガアリマシテ、政府委員ニモ質問シ、1
  〓〓討論シマシタケレドモ、ナカ〓〓容易ニ纏ラナクテ、又委員ノ數ヲ增シマシテ屢〓
  議シマシテ、漸ク決シマシタ、其結果ヲ申上ゲマス「徵收ノ費用トシテ地租ニ對シテハ其
  徵收金額ノ千分ノ七、其他ノ國稅ニ對シテハ從前ノ通リ其徵收金額ノ百分ノ四ヲ其
  ノ市町村ニ交付スヘシ」、斯ウ云フコトデ決シマシタ、是ハ政府モ同意ヲシマシタノデアリ
  マス、サウシテ其次ニ國稅徵收法ノ第四條ノ二、第四條ノ三、第四條ノ四、第九條、
  第十條、第十二條、第十七條、第二十三條ノ一第二十八條、第二十九條、第三
  十一條中ニ「督促手數料」ト云フノヲ「督促手數料延滯金」ト改ム、斯ウ云フ動議ガ
  出マシテ是モ可決致シマシテ、政府委員モ是ニ同意致シマシタ、ドウカ御贊成ヲ願ヒマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=140

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• 141・菅原傳

  ○菅原傳君　本案ハ直ニ二讀會ヲ開キ、三讀會ヲ省略シテ委員長報告通リ決定セ
  ラレンコトヲ望ミマス
  〔「贊成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=141

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• 142・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　菅原君ノ動議ニ御異議ハ無イヤウデアリマスカラ、直ニ二讀
  會ヲ開キ、三讀會ヲ省略シテ宜シウゴザイマスカ
  國稅徵收法中改正法律案確定議
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=142

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• 143・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　然ラバ國稅徵收法中改正法律案ハ讀會ヲ省略シテ、委員長
  報告通リ確定致シマス(拍手起ル)次ハ日程第十、借地ニ關スル法律案、第一讀會、
  議案ノ朗讀ハ省略致シマス、鳩山和夫君
  第十借地ニ關スル法律案(鳩山和夫君外四名提出)第一讀會
  借地ニ關スル法律案
  第一條建物ノ所有ヲ目的トスル地上權ノ存續期間ハ二十年ヲ下ルコトヲ
  得ス
  第二條建物ノ所有ヲ目的トスル土地ノ賃貸借カ其ノ期間ノ滿了又ハ解約
  ノ申入ニ因リテ終了スル場合ニ於テハ賃借人ハ建物ノ存續スルトキニ限
  リ其ノ契約ノ繼續ヲ請求スルコトヲ得但シ土地ノ所有者カ賃貸借ノ終了
  ノ時迄ニ又民法第六百十七條ニ依リ解約ノ申入ヲ爲ス場合ニ於テハ其ノ
  申入ト同時ニ時價ヲ提供シテ建物ヲ買取ルヘキ旨ヲ通知シ土地ノ明渡ヲ
  請求スルトキハ賃借人ハ正當ノ理由ナクシテ之ヲ拒ムコトヲ得ス
  前項但書ノ規定ニ依リ賃借人カ土地ノ明渡ヲ爲スヘキ場合ニ於テハ明渡
  ノ請求アリタル日ヨリ一年內ニ其ノ明渡ヲ爲スコトヲ要ス
  第三條賃借人カ前條第一項ノ規定ニ依リテ賃貸借ノ繼續ヲ請求シタル場
  合ニ於テ繼續期間ニ付爭アルトキハ裁判所ハ當事者ノ請求ニ因リ契約ノ
  時ヨリ二十年ヲ超エサル範圍內ニ於テ建物ノ構造、用方及狀況其ノ他契
  約當時ノ事情ヲ斟酌シテ之ヲ定ム
  第四條土地ノ所有者ハ其ノ土地ニ於テ地上權者又ハ賃借人ノ所有スル建
  物ノ上ニ既ニ期限ニ至リタル最後ノ二年分ノ地代又ハ借賃ニ付先取特權
  刁ヨハ
  同一ノ建物ニ付先取特權カ互ニ競合スル場合ニ於テハ前項ノ先取特權ハ
  他ノ先取特權ニ先ツ但シ民法第三百二十九條第二項但書ノ規定ノ適用ヲ
  妨ケス
  附則
  本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  本法ハ第四條ノ規定ヲ除タノ外本法施行前ニ設定シタル地上權及借地權ニ
  モ亦之ヲ適用ス
  本法施行前ニ設定シタル地上權ニ付二十年ニ滿タサル存續期限ヲ定メタル
  トキハ其ノ期間ハ之ヲ一一十年ニ伸長ス
  〔法學博士戶水寛人君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=143

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• 144・戸水寛人

  ○法學博士戶水寛人君　諸君、借地ニ關スル法律案ニ付テ提出ノ理由ヲ御話申上
  ゲマス地主ト地借人トノ關係ハ最近ノ兩三年ニ於テ大ニ世人ノ話頭ニ上ッテ居ル、其
  關係ハ重ナル社會問題ノ一ニ數ヘラレテ居リマス、ソレカラシテ前議會ニ於テ高木益太
  郞君カラ借地ニ關スル法律案ヲ提出セラレタ、而シテ此議會ニ於テモ東京市借地法律
  案ト云フモノヲ提出サレタノデアル前議會ニ提出セラレタモノニ比較シテ見ルト本議會
  ノハ大ニ優ッテ居ルヤウナ感ガスルノハ高木君ノタメニハ大ニ之ヲ賀スルノデアリマス、サリ
  ナガラ恰モ好シ、私共ハ高木君ガ此案ヲ提出セラルヽ前ニ一ツノ案ヲ拵ヘテ居リマシタノデ
  アルカラ、之ヲ篋底ニ葬ルト云フノハ遺憾デアルノデ、今日此議案ヲ提出シタノデゴザイマ
  ス、高木君ノ案ト私共ノ案ト違ッテ居ル重ナル眼目ヲ申シマスト云フト二ツアル一八八
  高木君ノヽハ東京市ノミニ適用スルノデアルケレドモ、私共ノヽハ日本全國ニ適用スルノ
  デアリマス、今一ツノ違ヒヲ申シマスト云フト高木君ハ地借人ノ利益ヲ保護スルコトニ汲々
  トシテ居ラレマスケレドモ、併ナガラ地主ノ利益ト云フモノハ度外ニ搭カレテ居ルヤウナ感
  ガアルノデス、私等ノヽハサウデアリマセヌノデ、地主、地借人、雙方ノ利益ヲ保護シ、之
  ヲ調和セシムルト云フコトヲ目的トシテ居ルノデゴザイマス、デ、此際ニ於テ諸君ニ申上ゲ
  タイコトハ地主ト地借人ノ關係ニ於テ適當ナル法律ヲ拵ヘルト云フノハ隨分ムヅカシイ
  事柄デゴザイマス、舊幕時代ニ於テハ借地證書ニ短カナ期限ヲ書イテアッテモ、又期限
  ヲ設ケテナクテモ、地主人濫リニ地借人ニ向ッテ土地ノ明渡ヲ請求スルト云フコトハナ
  カッタノデアリマシテ、地主ハ地借人ヲ可愛ガッテアッタノデアル、然ルニ今日ニ於テハ情勢
  一變致シマシテ證書ニ書イテアルトコロノ短ナ期限ヲ楯ニ取ッテ、地主ガ地借人ヲ窘メ
  ル又他ノ一方ニ於テハ地借人ノ方デハ惡ルイノガ居リマスト云フト、隨分地主ヲ窘メ
  ルノガアル、地主カラ地代ヲ上ゲテ呉レト云フコトヲ請求致シマシテモ、ナカ〓〓ソレニ應
  ジナイ、ソレガ應ズベキ相當ノ道理ガアルニモ拘ラズソレニ應ジナイ、又明渡ヲ請求致シ
  シテモ何トカ辭ヲ設ケテソレヲ避ケテ居ルト云フヤウナ次第デアッテ、随分世ノ中ニ惡ルイ
  地借人ガ居ルノデゴザイマス、サウデアリマスカラ、法律ヲ設ケルニハ地主、地借人雙方
  ノ利益ヲ能ク考ヘテ之ヲ設ケナイト云フト、ドウシテモ今日ノ情勢ニ合ハヌト思ヒマス然
  ルニ地主ト地借人ト云フモノハ利害關係ヲ異ニシテ居ルノデアリマスカラ、地主ノ利益
  ヲ圖ルト云フト、地借人ノ不利益ニナル、地借人ノ利益ヲ圖ルト云フト、地主ノ不利
  益ニナルト云フコトデアッテ、其調和ノ法律ヲ設ケルト云フノハ隨分困難デゴザイマス私
  共ノ提出致シタトコロノ案ハ此調和ヲ圖ルヲ以テ目的トシテ居ルノデゴザイマシテ、果シテ
  適當ニ出來テ居ルカ否ヤト云フコトガ十分ニ審議ヲ盡シタ上デナイトマダ分ラヌノデゴザ
  イマシテ、自分ニモ如何カト思フ〓モアリマスケレドモ、免ニ角諸君ト共ニ之ヲ審議シタ
  イト思フノデアル、ドウゾ宜シク御審議下サルコトヲ顧ヒタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=144

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• 145・菅原傳

  ○菅原傳君　本案ハ東京市區改正條例中改正法律案外一件ノ委員ニ付託セラレ
  ンコトヲ望ミマス
  〔「贊成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=145

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• 146・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　菅原君ノ發議ニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=146

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• 147・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　然ラバ本案ハ東京市區改正條例中改正法律案外一件ト
  同一委員ニ付託スルコトニ致シマス、次ハ日程第十一廣告物取締法案、提出者松
  田源治君外四名、議案ノ朗讀ヲ省キマス、松田源治君-大橋賴摸君
  第十一廣告物取締法案(松田源治君外四名提出)第一讀會
  廣告物取締法案
  廣告物取締法
  第一條行政官廳ハ風俗取締又ハ風致保存ノ爲必要ナリト認ムルトキハ命
  令ヲ以テ地域ヲ限リ廣〓物ノ表示又ハ之ニ關スル工作物ノ設置ヲ禁止若
  ハ制限スルコトヲ得
  第二條建築物又ハ船車ニ於テスル外廣告物ヲ揭表テ又ハ改造スルニ付行
  政官廳ノ許可ヲ受ケシムルノ必要アル場合ニ於テハ命令ヲ以テ之カ規定
  ヲ設クルコトヲ得
  第三條前二條ノ規定ニ基キテ發スル命令ニ違反シタル物件ニ對シ行政官
  廳ハ除却ヲ命シ其ノ他必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得
  第四條廣告物又ハ看板ニシテ危檢ノ虞アリ又ハ安寧秩序ヲ害シ若ハ風俗
  ヲ紊ルノ虞アリト認ムルモノハ行政官廳ニ於テ除却其ノ他必要ナル措置
  ヲ命スルコトヲ得
  第五條第一條、第二條ノ規定ニ基キテ發スル命令又ハ第三條、第四條ニ
  定メタル行政官廳ノ命令ニ違反シタルトキハ拘留又ハ科料ニ處ス
  附則
  第一條ニ依ル地域指定ノ際現ニ存在スル廣告物又ハ之ニ關スル工作物ニ對
  シテハ法令ニ特別ノ規定アル場合ヲ除クノ外補償ヲ爲スニ非サレハ一年間
  禁止若ハ制限ニ關スル命令ヲ適用スルコトヲ得ス
  〔大橋賴摸君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=147

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• 148・大橋頼摸

  ○大橋賴摸君　本員等ガ玆ニ提出致シマシタノハ廣告物取締法案ト云フモノヲ出シ
  マシテゴザイマス、本案ノ趣旨ヲ努メテ簡單ニ申上ゲマス、廣告物ハ近時到ル處トシテ
  此廣告ガ揭示若クハ貼附サレテアルノデアル、然ルニ其取締ノ無イタメニ或ハ市街ニ於
  テ市內ノ美觀ヲ損ジ、若クバ公園乃至名所舊蹟ニ於テ風致ヲ害スルト云フコトガ多々
  アルコトヲ認メルノデアリマス是等ノモノニ對シテ相當ノ取締法ヲ制定致シタイト云フ
  考ヨリ茲ニ數條ヲ列記致シマシテ、此方法ヲ玆ニ考案致シマシタル次第デアリマス、承ル
  トコロニ依レバ外國ニ於キマシテモソレ〓〓此廣〓ニ付テハ取締ハシテアッテ、猥リニ市
  街ノ美觀ヲ損ジ、又ハ公園內ノ風致其他名所舊蹟ニ於キマシテ、斯樣ナ如何ハシイ廣
  告ヲ出スト云フコトハ或程度ニ制限ガシテアルサウデゴザイマス、然ルニ我帝國ニ於テ未
  ダ此方法ガ設ケテナイガタメニ玆ニ此取締法ヲ制定ヲ致シタイト云フノデアリマスカラ、須
  ク審議セラレテ本案ノ成立ヲ希望致シマスル次第デアリマス、尙是ニ於キマシテ本案ニ
  對スル政府ノ所見ハ果シテ同感デアルヤ否ヤ、同感ナラバ幸ニ政府玆ニ言明致サレンコト
  ヲ切望致シマス次第デゴザイマス
  〔政府委員有松英義君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=148

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• 149・有松英義

  ○政府委員(有松英義君)　本案ニハ大體ニ於テ同意ヲ表シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=149

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• 150・菅原傳

  ○菅原傳君　本案ハ議長指名九名ノ特別委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=150

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• 151・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　菅原君ノ發議ニ御異議ゴザイマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=151

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• 152・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　然ラバ議長指名九名ノ委員ニ付託スルコトニ致シマス、次ハ
  日程第十二、地租條例中改正法律案第一讀會ノ續、委員長千田軍之助君
  第十二地租條例中改正法律案(塚田啓第一讀會ノ續((委員長)
  太郞君提出)(報告
  〔千田軍之助君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=152

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• 153・千田軍之助

  ○千田軍之助君　私ハ地租條例中改正法律案ニ對スル特別委員會ノ經過及結
  果ヲ御報告致シマス、是ハ極メテ簡單ナル改正案デアリマス、卽チ地租條例中ノ第
  十二條ニ田租ノ第四期五月一日ヨリ三十一日マデトアルヤツヲ一箇月繰下ゲ
  マシテ、六月一日ヨリ三十日マデト云フコトニ改正シタイト云フノガ、此改正案ノ
  趣旨デアリマス特別委員會ニ於キマシテ【審査ノ上、今ヤ農家ノ負擔ハ非常ニ重
  クナリマシテ、地租ノ辨納等ハ單ニ米ノミヲ賣ッテ辨ズルト云フ譯ニハ參ラヌ、ワレガタメ
  ニ副業トシテ例ヘバ養蠶ヲヤッテ、其繭ヲ金ニシテ地租ノ一部分ニ充テルトカ、或ハ裏毛
  ノ麥作ヲ收穫シタ上ニ、其麥ヲ賣ッテ其一部分ニ充テルト云フヤウナ傾ガ各地トモアルノ
  デアル、然ルニ五月ヲ田租ノ第四期ノ納期ト致シテハ、マダ時期ガ早過ギテ養蠶デ得タル
  トコロノ繭ヲ金ニスルトカ、裏毛ヨリ得タル麥ヲ金ニスルト云フ場合ニ至ラナイ、之ヲ一箇
  月延ベマシテ六月一日ヨリ三十日マデト改正スレバ、繭モ錢ニナリ、又裏毛麥モ金ニナル
  頗ル農家ニ取ッテハ都合ノ好イコトデアル、因テ斯ウ云フ具合ニ改正スルノ必要ガアルト
  云フコトデ、特別委員會ハ滿場一致ヲ以テ可決致シタ次第デアリマス、尤モ政府ハ之
  ニ對シテ民間ノ金融狀態ヲ見ルニ、六月ヨリモ五月ノ方ガ宜イヤウデアル、因テ一箇月
  繰下ゲルト云フコトハ却テ農家ノ不便不利ヲ來スノデハナイカト云フ〓カラシテ反對ヲサ
  レマシタケレドモ、能ク經濟ノコトヲ特別委員會ノ方デ調査致シマシタノニ、ドウモ政府
  ノ云フトコロハ少シ事實ト遠カッテ居ルヤウニ考ヘマスノデ、唯〓述ベマシタヤウニ一箇月
  繰下ゲテ六月一日ヨリ三十日マデトスルト云フコトニ特別委員會ニ於テハ滿場一勢
  以テ可決シタ次第デゴザイマスカラ、ドウカ諸君ニ於テモ御贊同アランコトヲ希望致シマ
  ス
  (「贊成」ト呼フ者アリ〕
  〔政府委員菅原通敬君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=153

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• 154・菅原通敬

  ○政府委員(菅原通敬君)　本案ニ對スル政府反對ノ意見ヲ簡單ニ申述ベマス、租
  稅納期ノコトハ納稅上ノ便否古考ヘナケレバナラヌノハ勿論デアリマスガ、又同時ニ國庫
  上及金融上ノ利害ヲ考ヘナケレバナラヌノデアリマス、而シテ國庫ノ歲入歳出ハ成バク
  每月其平均ヲ保タシムルコトヲ必要トスルノデアリマス、本案ニ依リマスト五月ニ收入ニ
  ナッテ居リマストコロノ千二百万圓バカリノ歲入ト云フモノガ、翌月ノ六月ニ繰下ゲラル
  ルト云フコトニナルノデアリマシテ、之ニ依ッテ國庫ノ歲入歳出ノ平均ガ益〓權衡ヲ失フコ
  トニナルノデアリマス、其タメニ或ハ大藏證券ヲ發行致シマストカ、或ハ一時ノ借入金ヲ
  致シマストカ云フヤウナ必要ヲ生ズルコトニナリマスシ其結果又金融上ノ調和ヲ破ルヤ
  ウナ虞レモアルノデアリマス而モ此五月ヲ六月ニ繰延ベルト云フコトガ、大ニ納稅者ノ
  便利ニナルカドウカト云フコトヲ考ヘテ見マスルノニ政府ノ見ルトコロニ於キマシテハワ
  レ程大ナル便宜ガアルト云フヤウニハ考ヘテ居ラヌノデアリマス、御提案者ハ五月ト云フ
  月ハ非常ニ農家ノ支出ヲ多ク要スル月デアル、或ハ府縣稅ナリ市町村稅ナリノ納付ノ
  時期ニナッテ居ルノデアル、隨ッテ民間ノ金融上ノ狀態ハ窮屈ナトキデアルト云ハレマスケ
  レドモ、民間ニ於テ而モ農業資金トシテ必要デアリマスノガ、多クハ三月四月ノ交ニ在
  ルノデアリマス、而シテ府縣稅市町村稅等ノ如キモ多クハ四月中ニ納付ニナルノデアリマ
  スカラ、五月ト云フノガ比較的金融ノ緩カナトキニナッテ居ルノデアリマス、ソレカラ又御提
  案者六月ニナルト裏毛ノ麥ヲ賣ッテ之ヲ金ニ換ヘルコトガ出來ルト言ハレマスケレドモ、麥
  ノ如キハナカ〓〓六月中ニ之ヲ金ニ換ヘルト云フヤウナコトハ或一部ノ地方ニハアリマセ
  ウケレドモ、全國ノ一般ニ照シテ見マスト、サウ云フコトニハ參リマセヌノデアリマス、(「ヒ
  ヤ〓〓」ト呼フ者アリ)ソレデアリマス故ニ、五月ヲ六月ニ繰下ゲルト云フコトハ或一地方
  或ハ或一部ノ人ニ對シテハ便利デアルカモ知レマセヌガ、全體ノ納稅者ノ利害ニ考ヘテ
  見マスト必シモ六月ノ方ガ便利デアルトハ申サレヌノデアリマス、ソレ故ニ國庫上ナリ或ハ
  金融上ナリ多少不利益アルト云フコトヲバ犠牲ニ致シマシテ、サウシテ五月ヲ六月ニ繰
  下ゲテ行カナケレバナラヌト云フ必要ハ認ムルコトガ出來ヌノデアリマス、殊ニ御承知ノ通
  リ本年カラハ郡村宅地ノ納期ガ七月ヨリ始マルコトニナルノデアリマス、若シ田租ノ四期
  ヲ六月ニ繰下ゲルト云フコトニナリマスト、六月ト七月トガ納期ガ續クコトニナルノデアリ
  ·マス、是ハ決シテ納稅者ノ便利トスルトコロデハナカラウト思フノデアリマスカラ、是等ノ
  點ニ於テ本案ニハ反對シテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=154

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• 155・菅原傳

  ○菅原傳君　本案ニ對シマシテハ政府委員ノ反對モアリマスケレドモ、委員會ハ全會
  一致ヲ以テ可決シタ案デアリマスカラ、直ニ二讀會ヲ開キ、三讀會ヲ省略シテ委員長ノ
  報告通リ決定セラレンコトヲ望ミマス
  〔「贊成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=155

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• 156・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　御異議ガゴザイマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=156

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• 157・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　菅原君ノ發議ニ御異議ガナイト認メマス直ニ二讀會ヲ開キ議
  案全部ヲ議題ニ供シマス
  地租條例中改正法律案確定議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=157

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• 158・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　三讀會ヲ省略シテ委員長報告通リ確定スルコトニ御異議ハ
  アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=158

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• 159・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　然ラバ唯今委員長報告通リ確定致シマス、次ハ日程第十
  三、登錄稅法中改正法律案第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長日向輝武君
  第十三登錄稅法中改正法律案第一讀會ノ續(委員長)
  報〓

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=159

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• 160・日向輝武

  ○日向輝武君　登錄稅法中改正法律案ノ特別委員會ハ審議ヲ重ネマシタ結果、本
  案ハ原案ノ通リ決定ヲ致シタノデアリマス、政府委員ハ例ノ通リ大藏省ノ菅原君ガ此
  案ニ反對ヲ唱ヘラレタノデアリマス、併ナガラ其反對ナルモノハイツモ同ジヤウナ理由デア
  リマシテ、極ク僅少ナル國庫ノ歲入ニノミ著眼シテ國家百年ノ大計ヲ忘レタル反對デア
  リマス、委員會ニ於テ此案ヲ可決致シマシタル理由ハ極メテ簡單デアリマス、卽チ模範
  林造設ノ急務及市町村竝ニ公立學校ノ基本財產設定ノ急務、此二ツノモノハ刻下
  ノ現狀ニ照シテ非常ナル急務デアルト云フコトハ何人モ之ヲ認メテ居ルノデアリマス、殊ニ
  內務省及農商務省等ニ於キマシテハ模範林ノ造設及市町村ノ基本財產設定等ニ
  向ッテ極力奬勵ヲ致シ、有ラユル方法ヲ以テ之ヲ保護奬勵致シテ居ルノデアリマス、併ナ
  ガラ市町村民ガ重稅ノ壓迫ノタメニ甚シク疲弊致シテ居リマシテ、斯ル急要ナル經營モ
  種々ナル負擔ノタメニ之ヲ爲スコトガ出來ナイノデアリマス、是ニ於テ此登錄稅法ニ改正
  ヲ加ヘマシテ公共團體ガ模範林ヲ造設スル場合及市町村竝ニ公立學校ニ於テ基本財
  產ヲ設定スル場合ニ於キマシテハ現行登錄法ニ依ル千分ノ三十五ト云フ過大ナル登錄
  稅ヲ免除シテ、現下ノ急務ニ應ジテ、而シテ其結果、自然ニ興ルトコロノ植林ノ奬勵
  〓育ノ普及竝ニ基本財產ヲ設定致シマシテ、國家ノ下級團體タル市町村ノ基本ヲ鞏
  固ニスル趣意ニ適ハセルタメニ此案ヲ最モ適當ナルモノト認メ、滿場一致ヲ以テ委員會
  ハ之ヲ可決シタノデアリマス、又政府ニ於テハ別ニ大シタ反對ハゴザイマセヌガ、唯大藏省
  カラ御出ニナッタトコロノ政府委員ガ國庫ノ收入ガ多少ニシテモ減ルト云フコト、竝ニ稅
  制ノ統一ト云フコトヲ缺クト云フ理由ヲ以テ之ニ反對ヲ致シタノデゴザイマスケレドモ僅
  少ナル國庫歲入ノ缺陷若クハ法文上ニ多少ノ統一ヲ缺ク位ノコトハ、此重要ナル市町
  村ノ團體ノ基礎ヲ鞏固ニシテ〓育ヲ普及シ及水源ヲ涵養スルトコロノ植林經營ヲ圖ル
  ト云フ國家ノ大計カラ見レバ取ルニ足ラザル反對論トシテ、原案ノ通リ決定致シタ次
  第デアリマス、此段御報告ヲ致シマス
  〔政府委員菅原通敬君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=160

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• 161・菅原通敬

  ○政府委員(菅原通敬君)　本案ニ對シマシテモ遺憾ナガラ反對ヲ申サナケレバナラヌ
  ノデアリマスガ、其反對ノ理由ハ今日向君カラ御紹介ニナリマシタノトハ違フノデアリマス
  カラ、ソレヲ明カニ致ス必要ガアルノデアリマス(日向輝武君「速記錄ヲ御覽ナサイ」ト呼
  フ)模範林ニ當テマス場合ト、ソレカラ基本財產ニ當テマス場合トニ依ッテ、反對ノ理由
  ガ違ッテ居ルノデアリマス、模範林ノ方ニ付キマシテハ委員會ニ於テモ御說明致シマシタ
  通リ公用ニ供スルモノデアルトシテ、今日ニ於キマシテモ登錄稅ヲ課セナイトコロノ取扱ヲ
  致シテ居ルノデアリマス、ソレデアリマス故ニ御提案ノ趣意ハ現行法ノ規定通リニ於テ適
  用上差支ナク行ハレテ居ルノデアリマス、特ニアスコニ法文ヲ加ヘテ模範林ニ當テルト云
  フヤウナ蛇足ノ文字ヲ加ヘル必要ハナカラウ、甚シク稅法ノ體裁ヲ損ズルコトニナリハセヌ
  カト云フノデ模範林ト云フ方ニ付テハ御反對ヲ致シタノデアリマス、ソレカラ基本財產ノ
  方ニ於キマシテハ是亦其反對ノ理由ハ違フノデアリマス、御承知ノ通リ登錄稅ハ單ニ租
  稅ノ性質ヲ帶ビテ居ルバカリデナク、手數料ノ性質ヲ帶ビテ居ルノデアリマス、ソレデアリ
  マスカラ苟モ登記登錄ヲ申請スル者デアリマスト云フト、公法人デアラウガ、私法人デア
  ラウガ、或ハ營利法人デアラウガ、公益法人デアラウガ、總テ相當ナル登錄稅ヲ納付シ
  ナケレバナラヌト云フコトニナッテ居ルノデアリマス、然ルニ市町村ニ於テ或ハ學校ニ於テ
  基本財產ヲ造營スルト云フコトハドウ云フコトデアルカト申シマスト云フト、是ハ其財產ヲ
  利用シテ其收益ヲ運用シテ行クト云フコトニ目的ガアルメデアリマス、全ク一私人ガ財產
  ヲ所有致シテ、サウシテ收益ヲ圖ッテ行クト云フコトヽ少シモ違ッテ居ラヌノデアリマス、ソ
  レデ稅法ハ公用ニ供スル場合ニ於テハ、登錄稅ヲ免除スルコトニナッテ居リマスケレドモ
  苟モ公用ニ供セヌ場合ニ於テハ總テ之ヲ課稅スルト云フコトニナッテ居ルノデアリマス、若
  シ學校ナリ或ハ市町村ナリニ於テ基本財產ヲ造營致シテソレニ依ッテ收益ヲ圖ッテ行ッテ
  行クコトニ付テ登錄稅ヲ免除スルト云フコトニナリマスト云フト、一私人ガ同樣ナル事業
  ヲ致シテ行クト云フ場合ニ於テハ登錄稅ヲ課セラレルト云フコトニナルノデアリマスカラ、
  一私人ノ事業ト云フモノハ市町村ナリ或ハ學校ナリノ事業ニ對抗ガ出來ヌト云フコトニ
  ナル、一私人ノ事業ヲ壓迫スルト云フヤウナコトハ、此市町村ノ自治ノ基礎ヲ固メル上
  ニ於テモ却テ得策デハナカラウト思フ、サウ云フ政策ヲ執ルト云フコトハ甚ダ不利益ダラ
  ウト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=161

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• 162・日向輝武

  ○日向輝武君　サウ云フコトヲ言フナラ質問致シマス
  〔日向輝武君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=162

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• 163・日向輝武

  ○日向輝武君　極ク簡短ニ政府委員ニ反問致シマスル、元來此案ハ大藏省ノ役人
  ハ能ク知ラナイト思フ、事地方自治團ニ關シ、事水源ノ涵養水源ノ涵養、植林
  經營ト云フコトニ關スルノデ、大藏省ハ能ク御承知ナイノデアル、而シテ滔々ト此處ニ反
  對セラレルノデアリマスガ、前ニ模範林ノ造設ト云フコトニハ同意デアッテ、法文ヲ直サナ
  クモ既ニ實行シテ居ルト、斯ウ云フコトヲ言ッテ居ル、何レニ實行シテ居ル事實ガアルカ、
  大藏省ノ役人ガ御承知ナイト云フノハ此點テアリマス、明治四十一年カニ於テ農商務
  省ハ地方廳ニ通達ヲ致シマシテ、府縣郡ニ依ル模範林ハ登錄稅第九條第二項ニ規定
  シタル公共ノ用ニ供スルタメニト云フコトニ解釋シテ登錄稅ヲ課サナイト云フ通知ヲ致シ
  タノデアリマス、卽チ此事實ハ市町村ノ模範林ヲ造設スル場合ニ於テハ登錄稅ヲ課セヨ
  ト云フノト變ラナイ、府縣郡ニ於テ模範林造設ノ場合ハト云フコトヲ限定シテ居リマスル
  以上ハ、市町村ガ模範林ヲ造設スル場合ニハ登錄稅ヲ取レト云フノデアル、現ニ取リツ
  ツアルノデアリマス、故ニ此法案ヲ提出シテ其不法ヲ矯正セントスルノデアリマス、私ハ大
  藏省ノ役人ニ問ハントスル、府縣郡が模範林ヲ造設スル場合ニ登錄稅ヲ課稅セズシテ、
  何故ニ市町村ノ模範林ヲ造設スル場合ノミ登錄稅ヲ課スルノデアルカ、模範林造設ノ
  結果、水源ヲ涵養シ、治水ノ上ニ多大ナル效果ヲ及ボスト云フコトハ、府縣郡ノ經營ニ
  依リマシテモ、市町村ノ經營ニ依リマシテモ、植林ハ同ジク植林デアリマス、何等變ッタトコ
  ロガナイ、然ルニ府縣郡ノ造設ノ場合ニハ登錄稅ヲ免除シ、市町村ノ經營ニ依ル場合
  ニハ之ヲ課スルト云フノハ何故デアルカ、私ハ此〓ニ於テ明白ナル答辯ヲ煩シタイ、又第
  二ノ尋ハ一個人ノ經營ト自治團體ノ經營トハ毫モ異ナラナイト云フコトデアリマスガ、是
  ハ實ニ亂暴ナル議論ト言ハナケレバナラヌ、凡ソ國家ノ富强ト云フモノハ最下級團體タ
  ル市町村ノ繁榮、市町村ノ團體ノ基礎ノ鞏因ニアルト言ハナケレバナラナイ、當リ前ナ
  話デアル而シテ國家ノ基礎タル下級團體ノ團結ヲ鞏固ニ致シマスルニハ、其基本財產
  ヲ設定スルヲ以テ急務トスルノデアル此下級團體ノ團結ヲ鞏固ニスルタメニ基本財產
  ヲ設定スルノヲ急務ト認メ、內務省ニ於テモ極力之ヲ奬勵シ、政府ハ國家ノ不用存置
  林ハ是ガ目的ノタメニ努メテ拂下ゲル方針ヲ取ッテ居ル、此場合ニ於テ實ニ微々タル言
  フニ足ラザル國庫カラ見レバ云フニ足ラザルトコロノ登錄稅ヲ免除シテ、サウシテ全體ニ
  亙リ國ノ基礎タル下級團體ノ團結ヲ鞏固ニスルト云フ大ナル效果ノアルコトニ向ッテ、此
  法案ヲ提出スルニ是ハ個人テ利益ヲ目的トスルトコロノ植林經營ト毫モ異ナラナイ、其
  財產ト少シモ違ハヌト云フコトハ何タル暴言デアルカ、如何ナル〓ニ於テソレガ同ジテアル
  カト云フコトヲ再ビ政府委貝ハ此壇ニ出テ御說明ヲ願ヒタイト思ヒマス
  (政府委員菅原通敬君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=163

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• 164・菅原通敬

  ○政府委員(菅原通敬君)　唯今ノ日向君ノ御質問ニ御答致シマス、第一ノ府縣郡
  ノ模範林ニ對シテ登錄稅ヲ免除シ、市町村ノ模範林ニ對シテ豆錄稅ヲ免除セヌト云フ
  理由ハ何處ニアルカ、斯ウ云フ御尋デアリマスガ、大藏省ニ於キマシテハ、府縣郡市町
  村ノ模範林造營ニ付テハ總テ登錄稅ヲ免除スルト云フコトノ決議ハ既ニ明治四十一
  年ノ五月ニ致シテ居ルノデアリマス苟モ公共ニ供スルトシテ模範林ノ造營ヲ致スモノニ
  付テハ府縣郡市町村ノ區別ナク、總テ課稅セヌト云フコトノ取扱ニナッテ居リマス、ソレ
  カラ第二ノ私人ノ經營スル山林事業、ソレカラ公共團體ノ造營スル山林事業其他ト
  ノ間ニ區別ガナイト云フコトヲ言フガ、ソレハドウ云フ譯デアルカ、斯ウ云フ御尋デアッタト
  思フノデアリマスガ、私ノ先刻申上ゲマシタノハ租稅ハ總テ公平ニナラナケレバナラヌモノ
  デアル、同ジ經濟的物件ニ相當スルニ付テハ、甲ノ物ニ對シテモ、乙ノ物ニ對シテモ、、ソレ
  ハ公平ニナラナケレバナラヌモノデアル、ソレデ市町村ガ持ッテ居ルトコロノ財產ノ收益ヲ
  目的トシデ居ルトコロノ其財產ト云フモノハ、私人ノヤハリ收益ヲ目的トシテ居ルトコロ
  ノ財產ト少シモ變ラナイモノデアル、サウ云フモノデアルナラバ、ソレニ對シテ公平ニ課稅ヲ
  スルノガ必要デアル故ニ一方ニ免除シテ、一方ニ免除セヌト云フヤウナ取扱ヲスルト云
  フコトハ宜シクナイト云フコトヲ申上ゲタノデアリマス、ソレデ現行法ノ登錄稅ノ主義ハ先
  程申上ゲマシタ通リ、公用ニ供スルモノニ付テハ課稅ヲ致サヌト云フコトニナッテ居リマス
  ケレドモ其公用ニ供セヌモノニ付テハ總テ課稅ヲスルト云フトコロノ主義ヲ取ッテ來テ居
  ルノデアル、然ルニ此基本財產ダケニ對シテ公用ニ供スルモノニアラズシテ、收益ノ發生
  及其利用ヲ目的トシテ居ルトコロノ其モノニ對シテ免稅スルト云フコトニナルト云フト、從
  來取リ來ッタトコロノ登錄稅ノ主義ニ相反スルコトニナルノデアルカラ、ソレハ御同意ハ出
  來ヌ、斯ウ云フコトヲ申上ゲタノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=164

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• 165・日向輝武

  ○日向輝武君　ドウモ御承知ノナイコトヲ無暗ニ問フノモ、甚ダ無益デアルト思ヒマス
  ガ、實際現行ニ於テ府縣郡ノ經營ニ依ル模範林ハ登錄稅ヲ免稅シ、市町村經營ノ模
  範林造設ノタメニスル不動產ノ移轉登記ハ登錄稅ヲ取ッテ居ルコトガ事實デアリマスカラ
  政府委員ガ御歸リニナッテ御調ベニナッタラ御分リニナルト思ヒマス、リレダケヲ申シマス

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• 166・菅原傳

  ○菅原傳君　本案モ直ニ二讀會ヲ開キ、三讀會ヲ省略シテ委員長報告通リ決定セ
  ラレンコトヲ望ミマス

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• 167・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　菅原君ノ御發議ニ御異議ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=167

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• 168・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　然ラバ直ニ二讀會ヲ開キ、議案全部ヲ議題トシ三讀會ヲ省
  略致シマス
  登錄稅法中改正法律案確定議

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• 169・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　委員長報告通リ御異議ハゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=169

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• 170・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　然ラバ委員長報告通リ可決致シマス、ソレカラ日程第十四、
  朝鮮穀物及穀粉ノ移入稅ニ關スル建議案ハ提出者ヨリ延期ノ申出ガゴザイマス、御異
  議ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 171・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　然ラバ延期スルコトニ致シマス、日程第十五、准三后北畠親
  房公墳墓修理竝ニ南朝三帝ノ宮址賀名生皇居ヲ特別保護建造物編入ニ關スル建
  議案、議案ノ朗讀ハ省略致シマス東武君
  准三后北畠親房公墳墓修理竝ニ南朝三帝ノ宮
  第十五址賀名生皇居ヲ特別保護建造物編入ニ關スル建
  議案(東武君外一名提出)
  准三后北畠親房公墳墓修理竝南朝三帝ノ宮址賀名生皇居ヲ特別
  保護建造物編入ニ關スル建議案
  我カ國體ノ精華ヲ發揮シ國史ヲ顯揚スルハ我カ國家存立ノ最大要義タリ依リテ准
  三后北畠親房公ノ墳墓ヲ修理シ竝南朝三帝ノ宮址賀名生皇居ヲ特別保護建造
  物ニ編入セラレムコトヲ望ム
  右建議ス
  (「法性寺入道案」ト呼フ者アリ〕
  〔東武君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=171

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• 172・東武

  ○東武君　本案ノ建議案ノ本體ノ要領ヲ極メテ簡單ニ申上ゲマス、餘程時間モ切迫
  致シマスルシ、此事ニ付テノ歷史上ノコトカラシテ、事實今日マデノ調査ノ結果等ヲ御
  話申シマスレバ殆ド數時間ヲ費シテモ、尙說明シ盡スコトハ出來ナイノデアリマスガ、餘
  程時間モ切迫致シマシタカラシテ極ク簡單ニ申シマス、此建議案ニ付キマシテハ員ハ目下
  世論ニ上ッテ居ルトコロノ南北正〓問題トハ是ハ何等ノ關係ナイコトデアリマス、〓科書
  問題トハ何等ノ關係ヲ持ッテ居リマセヌ、又是ハ政黨問題デモアリマセヌデ、私共ノ選舉
  區トモ異ナッテ居リマスガ、實ハ此問題ニハ多大ノ關係ヲ持ッテ居ルガタメニ、此案ノ提出
  者ノ一人トナッタ次第デゴザイマス、第一ニ場所デスガ親房卿ノ墳墓ノコトデアリマスガ、
  是ハ歷史ノ上ニ於テハ種々ナル議論ガ今日マデ橫ッテ居ッタ、或ハ東北ニ於テ靑森ノ波
  岡岩代ノ靈山ナド云フ所ハ親房卿ニ最モ緣故ノアル所デアリマス、併ナガラ大和ノ賀名
  生皇居ノ宮址ニ於テハ親房卿ノ墳墓ハ儼トシテ存在シテ居ル、是ハ山間僻村ナルガタメ
  ニ世間ニ是マデ閑却サレテ居ッタ、然ルニ三十六年ニ帝室ノ古蹟取調會ニ於テハ是ガ親
  房卿ノ墳墓ニ相違ナイト云フコトガ明カニ會長カラ奈良縣知事ニ囘答ガアッタノデアリマ
  ス又親房卿ノ御贈位ニ付テハ明治四十一年東北御巡幸ノ際ニ於テ正一位ヲ贈ラ
  レタノデアリマスガ、其時ニ我宮內省カラ策命使ヲ派遣スルト云フコトニ付テ何レニ向ッ
  テ策命使ヲ派遣シテ宜イカト云フコトニ付テ多少講究ヲ要シ疑問ガアッタノデアリマス、
  然ルニ其調査ノ結果ニ依リマシテ終ニ此賀名生ノ親房卿ノ墳墓ニ策命使ヲ出シテ居リ
  マリ、其他大日本史、穴太記其他ノ各金剛山寺ノ緣起等ノ多クノモノニ依シテ此親房
  卿ノ墳墓ハ奈良縣吉野郡賀名生村ニ在ルト云フコトガ判然シテ居リマス然ルニ其墳
  墓ハ何等ノ修理ヲ加ヘズシテ僅ニ五輪ノ塔ガ極ク寂シク立ッテ居ルヤウナ始末デアル親
  房卿ノ南朝棟梁ノ息臣デアルシ、又其忠臣タルコトモ楠木或ハ新田以上デアルト云フ
  コトモ是亦御話申上ゲル必要ハナイ是等ノコトハ諸君ガ御調ベ下サレバ直グ分ルコトデ
  アリマスガ、國家ノ棟梁トシテ南朝五代ニ事ヘマシテ非常ナル功績ガアッテ、文武兩相兼
  ネタル忠臣デアルノデアリマス、サウシテ親房卿ノ墳墓ハ左樣デアリマスガ、又靈山ト常陸
  ノ小田ト云フ所ガアリマスガ、併ナガラ靈山ハ是ハ親房卿ヲ葬ッタ所デハナシ、又小田城ハ
  親房卿ガ關城ニ籠城シテ居ッタ時分四箇年ノ間居リマシタガ、兵馬倥偬ノ間神皇正
  統記ヲ著シ、又職原鈔ヲ著シマシタ所デアリマス、其場所ニ於テ其緣故ニテ此小田ニ
  モ親房卿ニ關係ガアル、斯ウ云フヤウナ事情ニナッテ居ル、ソレカラ次ニ南朝ノ三代ノ
  宮址、是モチヨット御話ヲ申上ゲナケレバナリマセヌガ、此宮址ハ吉野郡ノ賀名生ト云
  フ所デアリマスガ、延元元年ニ後醍醐天皇ガ尊氏ノ叛逆ニ依リマシテ叡山ニ潛
  幸致サレテサウシテ尊氏ガ敢テ陛下ニ逆意アルニアラズ君側ノ奸ヲ攘ハンガタメト稱シ
  作ッテ尊氏ガ降ッタタメニ京都ニ御還リニナリマシタ、其場合ニ花山院ニ幽囚サレマシテ
  花山院ニ居ルコト半歲デアッタガ、或日花山院ヲ築地垣ノ蔭カラ竊ニ忍出マシタ、其時
  三種神器ハ繁範ト云フ從者ニ持タセテ身ヲ女房ノ姿ニ窶シテ免レ出タノデアリマスガ、
  其時ニ京都ヨリ奈良ヲ經テ內山永久寺ヲ經テ二十八日ニ此吉野ノ山深イ人煙極メテ
  疎ナル一ノ里ニ落付カレタノデアリマス、ソレカラ爾來後村上天皇後龜山天皇ニ
  至ル五十七年間此賀名生ノ皇居ニ在ラセラレタノデアリマス、ソレデ此宮址ト云フモノ
  ハ今ドウナッテ居ルカトニムフト、明治初年以來屢〓宮內省カラ遺蹟保存ノタメニ多少ノ
  金額ヲ下付サレマシタ、又地方ニ於テハ保存取調會ト云フヤウナモノヲ設ケマシテ種々ナ
  ル保存法ヲ講ジテ居リマスガ、而モ其宮址ナルモノハ五百年以前ノ建物其儘ガ存在シ
  テ居ッテ、殆ド風慘雨蝕柱傾キ軒破ルト云フヤウナ狀態デアル、而モ是ニ對シテ何等ノ
  修築ト云フモノモ何等ノ保護ト云フモノモ致シテ居ラヌノデ、眞ニ嘆ハシイ狀態ニナッテ
  居ルノデアリマス、ソレテ此宮址ヲ修築シテ特別保護建造物ニ加フルト同時ニ親房卿ノ
  墳墓ヲ修理シテ官幣大社ニ御祀リニナルト云フコトガ本案ノ旨趣デアルノデアリマス、尙
  此賀名生皇居ノ宮址ハ歷史上最モ保存ヲ要スベキコトデアルシ今日光輝アル史蹟ヲ
  顯揚シ我國體ノ精華ヲ發輝スルト云フコトハ吾〓ノ最モ努メナケレバナラヌ國家ノ一
  大事ト思ヒマス故ニ、本案ヲ提出シタ次第デアリマス、尙詳細ノコトハ委員會ニ於テ申
  述ベル積リデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=172

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• 173・鈴木力

  ○鈴木力君　提案者ニ伺ヒマスガ······
  〔「起立々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=173

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• 174・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　立ッテ發言ヲ····

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=174

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• 175・鈴木力

  ○鈴木力君　此御建議案ノ如キコトハ宮內省或ハ社寺局等ニ於テ疾ニ取調べ、或ハ實
  行スベキコトヽ思フ、此建議案ガ通過シタナラバ宮內省ノ官吏ノ如キハ曠職ノ責ヲ問ハレハ
  セナイカト思フ、是ニ對シテ多少ノ御意見ガアリマセウカ、是等ハ宮內官吏等ガ自分ノ頭ノ
  蠅ヲ自カラ逐フベキコトデアッテ、、仰々シク吾〓ノ建議ヲ又ケテ始メテ覺ルベキ性質ノモノデ
  ナカラウト思フ、少々彼等ヲ平常カラ御責メニナッタナラバ彼等自ラ聡ヂテ建議案ノ通過
  ヲ待タズシテ實行スベキコトヽ思フ、因テアナタニ伺フノハ本案通過ノ結果ハ自然政府ノ
  御迷惑ニナリハセヌカト田心ヒマスガ····

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• 176・東武

  ○東武君　頗ル同感デアリマス

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• 177・菅原傳

  ○菅原傳君　本案ハ議長指名九名ノ特別委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=177

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• 178・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　唯今ノ菅原君ヨリ議長指名九名ノ特別委員ニ付託スルト云
  フコトニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=178

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• 179・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　然ラバ左樣致シマス、次ハ日程第十六、前參議司法卿江藤
  新平表彰ニ關スル建議案ヲ議題トシ、議案ノ朗讀ハ省略致シマス、川原茂輔君
  第十六前參議司法卿江藤新平表彰ニ關スル建議案
  (尾崎行雄君外六名提出)
  前參議司法卿江藤新平表彰ニ關スル建議案
  前參議司法卿江藤新平表彰ニ關スル建議
  前參議司法卿江藤新平ハ夙ニ尊王ノ大義ヲ唱ヘ維新ノ大業ニ翼贊シタル功臣ナリ
  維新ノ初メ天下ノ人心其ノ方嚮ニ迷フノ時ニ當リ率先シテ東武遷都ノ議ヲ唱ヘ國
  家治安ノ大計ヲ建テムコトヲ主張シタルカ如キ大村益次郎ニ說キ彰義隊討滅ノ議ヲ
  建テ之ヲシテ上野攻擊ノ策ヲ實行シ其ノ巢窟ヲ掃蕩セシメタルカ如キ鎭將府ノ判事
  ト爲リ百般ノ民政ヲ處理シ情弊ヲ打破シ紀綱ヲ振肅シ都下ノ安寧秩序ヲ維持シタ
  ルカ如キ司法卿ト爲リ參議ト爲リ大ニ力ヲ中央政府ノ組織ニ竭シ奇材異能ノ士ヲ
  網羅シ新律綱領ヲ制定シテ刑法改正ノ端〓ヲ啓キ各府縣ノ聽訟課ヲ廢シテ司法ノ
  事務ヲ統一シ裁判所ヲ全國各府縣ニ新設シテ司法權ノ獨立ト司法行政ノ統一ト
  ヲ圖リ以テ法治國ノ基礎ヲ建設シタルカ如キ朝鮮ノ無禮ヲ我ニ加フルヤ參議西〓隆
  盛等ト共ニ大使派遣ノ議ヲ建テ東邦ノ禍源タル朝鮮問題ヲ解決シ永遠ノ平和ヲ維
  持セムコトヲ主張シタルカ如キ其ノ豐功偉績千載ニ亙リテ朽チサルモノアル敢テ喋々
  ヲ俟タサルナリ
  新平ノ政治上ニ於ケル功績ノ偉大ナル此ノ如シ而シテ一旦朝野兩黨軋轢ノ結果七
  年ノ變ヲ激成シ終ニ子弟ノ擁スル所ト爲リテ王師ニ抗シ空シク賊名ヲ負ヒ其ノ極刑
  辟ニ觸ルルノ已ムヘカラサルニ至リシト雖一片心事ノ在ル處ヲ察スレハ未タ嘗テ國家
  ヲ憂フル熱誠ニ出テスムハアラサル也
  十年ノ役西〓隆盛ハ其ノ子弟ヲ率井テ王師ニ抗シタリト雖天恩ノ優渥ナル隆盛
  生前ノ功績ヲ嘉ミシ業ニ已ニ正三位ヲ贈リ侯爵ヲ其ノ子孫ニ授ケラレタルハ國民ノ
  感泣シテ措カサル所ナリ新平ノ如キ亦一旦王師ニ抗シタルノ形迹アルヲ免レサリシト
  雖其ノ心事ニシテ君國ニ存シ敢テ治安ヲ攪亂スルノ意ナカリシ以上ハ今日ニ當〓維
  新ノ大業ニ翼贊シ國家ニ貢獻シタル生前ノ勳功ヲ勒シ相當ノ恩典ニ浴セシメラルル
  ハ抑亦陛下一視同仁維新ノ功臣ヲ待ツ所以ノ道ナリト信ス
  右建議ス
  〔川原茂輔君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=179

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• 180・川原茂輔

  ○川原茂輔君　諸君、前參議司法卿江藤新平表彰ニ關スル建議案ハ滿場大多數
  諸君ノ御贊同ヲ得マシテ、玆ニ問題トナリマシタニ付キマシテハ私ハ同〓後進ノ者トシテ
  聊カ紹介ノ言葉ヲナスノ光榮ヲ與ヘラレンコトヲ願ヒタク思フノデアリマス、江藤先生
  ハ此建議案ニモ認メマシタ如ク、旣ニ世間ニ定評アル經世的雄才ヲ有シタル偉人英
  傑デゴザイマシタ、維新ノ風雲ニ際會シマシテ、復古ノ大業ニ翼贊シタル其功績ノ赫々タ
  ルコトハ天下ノ人之ヲ認ムルノデアッテ、賢明ナル滿場ノ諸君、賢明ナル內閣ノ諸公、特ニ
  維新當時ニ於テ國事ニ盡瘁セラレタルトコロノ薩長土肥其他ノ人ニシテ今日生存シテ
  居ラレマストコロノ人々ガ能ク熟知セラレ居ルコトデアルト信ズルノデアリマス、其功績ニ於
  キマシテ之ヲ法律ノ上カラ論ジ、其他幾多ノ事蹟ガアルコトハ申スマデモナイコトデゴザイ
  マスガ、今日ニ於テ此江戶城ノ民政ニ屬スル場合ニ江藤先生ガ力ヲ致サレタルコトノ如
  キハ世間ノ人能ク之ヲ知ラザルノ遺憾ヲ有シテ居ルノデアリマス、是レ一ツ此處デ申上ゲ
  レバ、則チ明治二年ノ十月ニ太政官ヨリ下賜セラレタルトコロノ辭令ノ寫ヲ此處デ朗讀
  致シマスレバ、「江藤新平戊辰江城ニ新ニ定ルノ時ニ當テ專ラ民政ヲ修メ、日夜鞅掌奉
  職勉勵候段叡感不淺仍賞其勤勞祿百石下賜候事、己巳十月太政官」此ノ如キコ
  ト卽チ江戶城成ルニ當ッテ能ク此今ノ東京市ニ於テ民政ニ力ヲ致シ日夜鞅掌シテ叡感
  淺カラザル結果、祿百石ヲ賜ッタト云フ、此一事ヲ以テモ其當時ノ事蹟ノ赫々タルコト
  ヲ證スルニ足ルコトヽ信ズルノデアリマス、(拍手起ル)然ルニ不幸ニシテ七年佐賀ノ變亂ニ
  王師ニ抵抗シタルノ故ヲ以テ、生前ノ功績ト云フモノハ殆ド抹殺セラレマシテ、剰
  身首所ヲ異ニシ、刑場ノ露ト消エ、今日ニ於テハ在天ノ靈魂ヲ慰ムルコトモ出來
  ナイト云フ次第デアリマス、而シテ江藤先生ノ未亡人トシテ本年七十九歲ニナラレル人
  ハ未ダ生存シテ居ラレルノデアリマス、昨年白玉樓中ノ人トナラレタ江藤新作君ノ未亡
  人ハ三十九歲ニナリマシテ十四歲ヲ頭ニ、男女五人ノ子供ヲ抱イテ漸ク今日其日々々
  ノ糊口ヲナスノ一家悲慘ニ泣クノ狀態デアルノデアリマス、維新ノ功臣タル赫々ノ功績ア
  ル者ガ今ヤ世間ガ之ヲ顧ル者モナキニ至ッテ、吾〓ハ一念茲ニ到ル每ニ暗淚ノ滂沱タルヲ
  覺エルノデアリマスゝ西〓南洲先生モ一旦王師ニ抗抵シ賊名ヲ負フテ城山ニ斃レマシタ
  ガ、其後天恩ノ優渥ナル旣ニ恩典ニ浴シテ位ヲ贈ラレテ、其子孫ハ侯爵ニ敍セラレテ、朝
  野ノ有志ハ又其祭典ヲ舉ゲテ在天ノ靈魂ヲ慰メツヽアルノデアリマス、而シテ江藤先生
  ハ身ハ草莽ヨリ起ッテ、維新ノ大業ニ翼贊シ、其功績赫々タルコトハ前申上ゲタ次第デア
  リマス、而シテ寃未ダ霽レマセズ、生前ノ大業ハ殆ド湮滅シテ現ハレズ、子孫ハ流離ニ
  泣クノ狀アルハ明治昭代ノ〓〓デハアルマイカト考ヘル次第デアリマス、(拍手起ル)故ニ
  此次第ヲ述ベテ諸君ノ御同意ヲ得、內閣ノ諸公ハ功臣ヲ待ツノ途ニ於テ相當ノ恩典ニ
  浴サセラレンコトヲ望ムト云フ趣旨ニ外ナラヌノデゴザイマス、(「贊成」ト呼フ者アリ)此
  事ニ付キマシテハ的野半介君ガ專ラ事蹟調査其他ノコトニ付テ力ヲ致シテ居ノデアリマ
  ス、私ハ前申上ゲル通り同〓ノ後進トシテ唯玆ニ本問題ヲ紹介スルノ光榮ヲ得マシテ、
  委細ハ的野君ヨリ陳辯ヲスルコトニナッテ居リマスカラ、ドウカ御聽取リアランコトヲ希望
  致シマス、(拍手起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=180

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• 181・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　諸君ニ御諮ヲ致シマスガ、時間ガ最早定刻ニ達シマシタガ、
  會期ノ終了モ追々切迫致シテ來マシタカラシテ、少々時間ヲ延バシテモ、今日ノ日程ヲ
  議了致シタイト思ヒマスルガ、御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=181

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• 182・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　然ラバ左樣ニ致シマス、-的野半介君
  〔的野半介君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=182

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• 183・的野半介

  ○的野半介君　滿場ノ諸君、私ハ此江藤氏表彰ノ義ニ關スル問題ヲ諸君ト共ニ提
  ゲテ此議場ニ立ックモノデアリマシテ、此問題ヤ區々タル黨派ノ問題デナクシテ、實ニ天下
  ノ大問題デアリマス、ソレ故諸君ハ各派ヨリシテ相當ノ人數ガ揃ハレテ提出者ノ地ニ立
  タレ又二百四十何人ト云フノ賛成者ト云フ殆ド滿場ノ贊成者ト同樣ノ非常ナル贊
  成ヲ以テカラ此議場ニ此建議案ガ提出サレタモノデアリマス、古來武功ト云フモノハ外
  ニ現ハレテ其功ヤ赫々トシテ外ニ現ハレテ居ル、田夫野人モ之ヲ欣仰スルコトガ出來ルモ
  ノデアリマスガ、文勳ニ至ッテハ內ニ包マレテ一切ノ事情ガ朋友同僚ト雖モ能ク分ラナ
  イコトガ多々アリマスノデ、武功ノ外ニ現ハルヽノト、文勳ノ內ニ包マレルノトハ、此邊ハ非
  常ナル功勞者ニ於テハ損得ガアリマス、近ク維新ノ例ヲ見マスルニ、彼大西〓ノ如キ、
  若クハ大村益次郞ノ如キハ、非常ニ名ガ高イ、武功ノ赫々トシテ名ガ高イ人デアリマス、
  ソレカラ木戶、大久保ノ如キ、所謂維新ノ三傑ト稱ヘラレタル人ノ如キハ、申スマデモナク
  薩長ト云フ後楯ガアッタ故ニ非常ナル武勳者トシテモ、友勳者トシテモ、名聲ヲ博シタ人
  デアリマスガ、此文勳ニ至ッテハ多クハ惟幄ニ參シテ實際ノコトガ世ノ中ニ現ハレヌ
  カラ、世人ガ西〓南洲先生ヲ稱揚シテ止マヌノニ、一方ニ江藤新平氏ノ如キハ
  之ヲ禰スル人ガ甚ダ少イ、ソレハ畢竟此邊ニ存スル所以ヂヤラウカト思フノデアリマス當時
  此文勳トシテ江藤氏ガ如何ニ活動サレテ、アノ維新ノ事業ニ盡力サレタカト云フコトニ
  付テハ聊カ玆ニ木戶侯、三條公、若クハ岩倉公ガ江藤氏ニ與ヘラレテ居ル書面ニ依ッテ
  モ確ニ之ヲ證明スルコトガ出來ルヂヤラウト思ヒマス、之ハ岩倉公ガ江藤氏ニ送ラレタルモ
  ノヽ一ツトシテ-澤山アリマス、-岩倉公、三條公、ソレカラ木戶侯アタリノ書面ト
  云フモノハ澤山江藤ノ家ニアリマスルガ、其中ニ於テ維新ノ史料トシテ揭グベキモノハ全ク
  文勳者ハ包マレテシマッテ斯ル人デアッタト云フ江藤氏ノ人格ヲ認ムルコトハ世間デ知ラ
  ナイ、同僚タリトモ知レナイカラシテ私ハ此建議案ノ一人トシテ幸ニ諸君ノ前ニ此事ヲ御
  披露致シタク存ジマス、是ハ岩倉公ノ直筆デアッテ、江藤家ニ保存シテアルモノデアル、新
  作ハ一度カ見タ儘デ御母サンガ之ヲシマッテ居ッタノヲ今度私ガ强テ取出シテ來タモノデア
  リマス、丁度是ハ木戶侯ガ維新ノ際廢藩置縣ノアノ問題ニ關シテ江藤氏ニ賴マレ
  タノデアリマス
  昨日者御苦勞其砌御賴申入候元來ノ御趣意宇內形勢一變所詮從前ノ姿ニテハ
  皇威海外ノ竝立ノト被仰候得共萬々ナラザル譯ヨリ四藩奉還隨面郡縣論免ニ
  角ニ力ヲ一ニシ以テ各國ヘ向ハセラレ次第日本全國ノ人力ニ食ムヲ不知座シテ大祿
  ヲ世々ニシ自ラ足レリトスル所人才〓育ノ上ニモ害有テ益ナキ始終スベテ分明ニ一書
  ニ御認メ人々振テ皇國ヲ起スノ旨趣ニ引導候樣足下力ヲ極メテ御書取給ハリ度
  存候殊ニ急々御認メ被下度存候事ニ候尙昨日談ジノ通リ公卿ノ所モ私ニ不相成
  候樣家祿取極メ序ニ公家諸官人ニモ人々此國ヲシテ富强ノ國タラシメ外侮ヲ不受ニ
  不至ンバ男子ニ非ズト云フ樣ニ振ヒ候樣有之度亦至尊今日ニ御復古被遊候得ド
  前後御囘顧破爲在候得バ眞ニ此御代ニシテ維新ノ御基礎不被爲立候而ハ却テ御
  不孝ノ筋ニモ被爲當事ニ付テ今日ノ所人々薪ニ臥シ膽ヲ甞メルノ所存ニナクテハ不
  相濟迚思召ニテ出人ニテモヨロシク此次第ハ厚ク御勘辨賴存候尤モ是迄被下仰出
  候御誓文始メ大綱目モ御調ベニテ御配慮被下度存候仍草々如此候也
  六月六日具視
  江藤中辨殿
  內啓
  ソレカラ三條サンカラノ手紙ノ一ツトシテ是ハ-參議時代デ居ラレタトキノ手紙
  彌〓康大賀候然ハ島津老卿國事御諮詢被仰付候以來一事之御下問モ無之
  有名無實ノ姿ニ相成候而者不可然且彼〓實ハ追々承知之通都合モ有之候間何
  ニ而モ一二個條國事御諮詢被爲在候樣仕度就而ハ右之個條何ニ可然哉四五箇
  條御下問相成可然條件相考書付致呉候樣賴度內々要用而已申入度如此候也
  五月十七日實美
  江藤參議殿
  ソレカラ·····(「必要ナシ」「必要アリ」ト呼フ者アリ)アルトモ-木戶公カラ來タ書面
  拜啓昨日一書呈上仕候其御答ヲ不相窺無餘儀事有之外出仕候處御光來賜ハ
  リ候由甚以奉恐入候今朝參上可申上ト奉存候得共客來引ツヾキ不圖時刻相移
  リ兎角ノ內昨日申上置候樣前約有之不得寸暇候處何分ニモ粗申上候一條ハ速
  ニ御相談申上候御高接ヲモ奉窺度必竟爲皇國悲泣痛歎之至ニ御座候朝朝ヨ
  リハ鈍弟モ故障無御座候間御都合ヲ窺置是非登門可申上奉存候イツ頃參上仕
  候而可然哉御口頭御示玉ハリ候樣奉願候草々拜
  六月二十八日
  尙〓此一條ハ極々密々ノ次第ニ付先他ニハ何トモ御無三ロニ被爲成量候樣奉願候
  根本ヨリ他日不可拔之患害ヲ釀シテハ實ニ新造ノ舞臺モ其限リト存候
  允
  江藤盟臺
  維新政府ノ初年ニ方ッテハ微弱ナモノ〓デアッタカラ、木戶侯ノ書面ニ依ルト何カ大切ナ
  書面ラシイ新造ノ舞臺モソレ限リト存ジ奉リ候ト、斯ウ云フ手紙ハ江藤ノ方ヘ澤山來
  テ居ル、是ハ文勳ハ所謂內ニ包マレテ一切ノ事情ハ同僚朋友ト雖モ江藤ノ功績ヲ認ム
  ルコトハ出來ナカック、彼ノ武勳ヲ以テ世ノ中ニ立ッタ西〓或ハ大村ノ如キ先生等ハ世ノ
  中ニ其武勳ト云フモノハ赫々トシテ知亙ッテ居ルカラシテ、田夫野人モ其武勳ニハ欽敬
  シテ居ルノデアル、江藤ニ至ッテハ一切ノコトガ元來人ノ表ニ立ッタノデナク、自分ハ裏ニ立
  ツテ仕事ヲシタ人デアルカラ一切文勳ト云フモノハ世ノ中ニ知レヌモノガ澤山アリマセウ、
  此機會ニ於テ之ヲ發表スルコトハ實ニ必要グト思ヒマス今日ハ甚ダ時間モ切迫シテ隨分
  御疲レデモアリマセウト思ヒマスカラ、一ツ書ニシテ江藤ノ來歷ヲ〓略申シマス、江藤先生
  ハ第一番ニ佐賀藩中隨一ノ勤王家デアッテ、藩論未ダ一定セザルトキニ於テ文久年間
  ニ脫藩ヲシテ、京都ニ行ッテ姊小路卿ニ依ッテ先帝ニ王政復古ノ密奏ヲ奉ッタト云フコ
  トガ事實デアリマス、是ハ土方伯アタリノ認メラレテ、盛ンニ江藤ノエラカッタコトヲ稱揚
  シテ居ラレル、江藤新作ガ親父ノ遺稿ヲ編纂スルニ當ッテ土方伯アタリガ此南向遺稿ト
  云フモノニ序文ヲ書イテ、所謂書物ノ上ニ裏書ヲシテ、此書物ハ確ナモノデアルゾトームフコ
  トヲ世ノ中ニ證明シテ居ルモノヽ中ニ於テモ、交久年間ニ江藤氏ガ脫藩ヲシテ、先帝ニ
  密奏ヲ奉ッタト云フコトハ、是ハ事實トシテ世ノ中ニ知レ亙ッテ居ル話デアル、所ガ先生ガ歸ル
  ヤ脫藩ノ罪ヲ以テ死ヲ賜ハルベキトコロ、僅ニ鍋島公ガ一死ヲ救ウテ、サウシテ遂ニ江藤
  ヲシテ永蟄居ト云フ處分ヲサレタト云フ話デアル、ソレカラ永螯居中ニ再ビ其永蟄居ヲ破ツ
  テ又太宰府ニ往ッテ三條公其他ノ諸卿ニ會ッテ盛ンニ王政復古ノコトヲ論ジク、其事蹟
  ハヤハリ此江藤新作ノ拵ヘタトコロノ南白遺稿ニ明カデアル、ソレカラ第二東武遷都論
  デアリマス-都テ東京ニ遷スト云フコトハ恐クハ世ノ中ニ能ク出所ヲ知ルコトガ出來ナ
  イノデアリマス、所ガ遷都論ト云フモノガ多クハヤハリ大久保公ノ大阪ニ遷スノ遷都ヲ以
  テ遷都論ト世ノ中ニ呼ビ做サレテ御役所筋デハ相變ラズ、遷都ハ大久保ト云フコトニナッ
  テ居ルラシイケレドモ、其證據ハ澤山アリマス、生證人トシテハ板垣伯ガアル、此遷都論
  ニ付テハ上野ノ戰爭以前カラ此戰爭ガ濟ンダラ、速ニ都ヲ此所ニ移サナケレバイカヌト云
  フコトヲ江藤氏ガ主唱シタト板垣サンガ私等ニ其話ヲ傳ヘラレタ、又大木遠吉伯ノ話ニ
  自分ノ親父ガ遷都論ノ主唱者ガアルト云フコトヲ云フテ居ラレル、所ガ段々書面ハ澤山
  アリマス、大木江藤兩氏ノ明治三年〓四月一日岩倉公ニ還都ノ議ヲ奉ッタノデアル
  又文部省ニ就テ聽イテ見ルト遷都ニ付テハ佐賀藩ノ藩論ニナッテ居ルト云フコトデ、
  文部省ハ斯ウ紹介セラレテ居ル、所ガ佐賀藩ト云フモノハ畢竟江藤ノ藩デアルカラ恐ク
  ハ江藤ト云フ名前ヲ削リテ佐賀藩トナッテ居ルラシイ、遷都論ノ出所ハ板垣伯ガ證人デ
  アル、ソレカラ大木伯ノ家ニ此遷都府ニ付テノ奏議ト云フモノガ現ニアリマス、ソレカラ江
  藤南白遺稿ニハ此遷都ニ付テ御遲延遊バサレタカラシテ行幸ノ御遲延ヲ御諫メ申スト
  云フ激烈ナル上表ハ同年ノ七月末ニ捧呈シタノデアル、是ハ江藤氏ノ直筆デ遲延ヲ御
  諫メ申スノ議デアル、私ハ此處ニ持ッテ來テ居ル、免ニ角實ニ壯快ナルモノデ最後ノ一節
  ヲ讀ミマスレバ
  「御幸御遲淹遊バサレ候御事ニモ相成候ハヽ伏シテ願クハ臣卽チ御暇ヲ賜ハリ飯藩
  被仰付度奉希願候者又前條臣所論ハ暴言過當實ニ大不敬ノ極ニ候得バ臣身ハ
  卽車裂被仰付候共急速御幸ノ御運ビ相成駿東十三州臣民ノ方向相定マリ天下
  ノ御基本相立候ハヽ無此上難有仕合ニ奉存候云々
  斯ウ云フコトガ書イテアリマス、ソレカラデ遷都論ト云フモノハ全ク江藤ノ奏議ニナッテ居
  ルト云フコトハ今日ニ於テ爭ハレヌ證據ガ澤山アリマス、ソレカラ第三ハ彰義隊ノ討伐
  ニ付テノ建議デアリマス、江藤氏ハ彼ノ伏見鳥羽ノ戰爭ガ終ルヤ直樣大西〓其他ノ人ハ
  東海道ヨリシテ有栖川宮ヲ奉ジテ東京ノ方ニ向ハレ、リレカラ板垣伯其他ノ人ハ東山
  道ソレカラ北陸道ト彼ノ三道ヨリ東京-江戶ニ向ハレタ譯デアル、其折ニ勝ト西〓
  隆盛ト云フ人ハ所謂肝膽相照スノ間ニ一兵ニ衂ラズ、百万ノ生靈ヲ塗炭ニ救フト云
  フ所謂肝膽相照スト云フノ間ニ殆ド江戶城ト云フモノハ慶喜公ハ恭順ノ意ヲ表シテカラ
  水戶ニ引込マレル、其場合ニ於テ此西〓ノ方デハ鎭撫論ヲ以テ彰義隊ニ對スルノ卽チ
  一切ノコトヲ勝ニ託シテ肝膽相照スノ間デアルカラ、鎭撫論ヲ以テヤッテ居ル、所ガ勝
  ノ方デハ江戶ノ取締ヲシテ居ッタガ、トテモ勝ト云フ人ハ戰ハズシテ此城地ヲ官軍ニ渡ス
  ト云フコトハ實ニ國ヲ賣ルノ逆賊ダト云フコトヲ勝ノ側ノ所謂德川思ヒノ方デハ勝ニ向ッ
  テハ殆ド逆賊呼バリヲシテ居ル、此場合ニ於テ東京市ハ秩序ヲ紊亂シ手モ附ケラレヌヤ
  ウナ狀態ニナッテ居ルノヲ、江藤公ハ此儘デ東京市ニ向ッテ彰義隊ノ討伐論ヲ立テラレ
  ルケレドモ、大總督府ハ一切動カナイカラシテ、江藤新平ハ此東京ノ事情ヲ齋ラシテ晝
  夜兼行シテ京都ニ歸ッタ、サウシテ之ヲ上奏シタ結果ガ遂ニ大村益次郞ヲ將トシテ彰義
  隊討伐ヲ爲サシメタノデアル、固ヨリ彰義隊ハ僅々三千カソコラノ人デアッタニ相當ナイ
  ガ、此討伐ノ一舉ニ依ッテ天下三百ノ諸侯向背ヲ決セシメタノデアル、此一擊ハ王政
  復古ニ偉大ナル功績ヲ與ヘタノデアリマス、是ガタメニ奧羽ノ戰爭モ早ク鎭定シタト云フ
  次第デ、免ニ角此彰義隊ヲ討伐シタ人ハ大村益次郎デアルソレカラ之ラシテ討伐セシ
  ムルニ至ラシメタ人ハ江藤新平デアルト、斯ウ云フ事實ニナッテ居ル、ソレカラ第四番目デ
  江藤氏ハ中央政府ノ制度編成行政制度ノ組織ニ盡力シ、ソレカラ最早幕府ガ東京ヲ
  引拂ヒ三百諸侯ガ引拂ツタ折ニハ實ニ東京ノ有樣ハ非常ナ慘憺タル荒廢ヲ極メタ、此
  場合ニ於テ東京ノ荒廢ヲ救ハナケレバナラヌト云フノデ熱心ニ働カレタ、又昔漢ノ高祖
  ガ洛陽ニ入ルトキ秦ノ帳簿書册ヲ收メタル肅何ニ傚ヒ、此江戶城ノ受渡ニ於テハ私ハ
  山岡鐵舟先生ヨリ曾テ聽イタコトガアリマス、江戶城ノ受渡ノ日ニ於テハ江藤氏ハ大
  西〓其他ノ人ト-大西〓ハ江戶城ニ入ッタ譯デアル、江戶城ニ入ッテ大西〓先生ハ
  ドウ云フ仕事ヲシタカ、農ニ關スル一切ノ書類ヲ取纏メヨト云フコトヲ誰カ二命ゼラレタ、
  ソレカラ海江田信義ト云フ人ハ金ハ何處ニアルカ、何處ニアルカト云ッテ金ヲ非常ニ搜サ
  レタ、其場合ニ山岡サンガ金ト云フモノハオ前ノ詮議スル限リデナイト、非常ニヤカマシク
  云ウタト云フコトデ、江藤氏ハ此場合自ラ直グニ龍ノ口ナル所謂天下ノ評定所ニ至ッ
  テ、サウシテ行政百般ニ關スル帳簿書册ヲ一切收メタノデアル、卽チ馬上天下ヲ
  取ルコトハ出來ルガ、馬上天下ヲ治ムルコトハ出來ナイカラ、一切ノ所屬簿册ヲ納メタ
  ト云フコトハ江藤ノ力デアル、此書類ハ今上野ノ圖書館ニ一切ノモノガ封ジラレテシマツ
  テ、彼所ニ保存セラレテアル譯テ、是ハ江藤ノ力ニ依ッテ斯ウ云フ簿册ガ取納メラレタ譯
  デアル、山岡先生ハ此折私ニ云ハルヽニハ三人ノ性格ガ、此江戶城明渡ノ際デスッカリ
  分ル卽チ西〓氏ハ農業ニ關スル書類ヲ取集メルト云ハレタノハ農ハ卽チ國ノ本デア
  ルト云フ義ニ依シテ玆ニ眼ヲ著ケラレタラシイ、海江田信義氏ハ金ハドコニ在ルト全二
  眼ヲ著ケタ又江藤氏ハ行政百般ノ書類ハドコニアルカト、、自ラ天下評定所ヘ走リ込ン
  デ書類ヲ引出シタト云フコトハ能クモ三人ノ人物ヲ分明ニ說分ケルコトガ出來ルト山岡
  先生ハ云ッテ居ル又是以來中央政權ニ對シテ如何ニ江藤氏ガ苦心セラレタカ、當時
  ニ於テ氏ハ一方ニ三條公ヲ引出シテ駿東十三州ノ政治ヲ爲スタメニ鎭將府ヲ置イテ、
  三條公ヲ以テ鎮將府ノ頭トシテ江藤氏ガ其間ニ働カレタノデアル、ソレカラ一方西京ニ
  ハ太政官ガアッテ、岩倉公ノ下ニ木戶大久保ガ働イテ居ッタ、申サバ當時日本國ニハ東
  西ニ政府ガアッテ、兩頭政治ガ行ハレテ居ッタ場合デアル、免ニ角江戶ノ民政ニ第一著
  ニ手ヲ著ケラレタノハ此江藤氏デアッタト云フコトハ掩ハレザル事實デアルソレカラ第五
  ニ中辨ト云フ、是ハ今日ノ内閣書記官長ト云フヤウナ役目デ自ラ當リ、法律制度ヲ
  以テ日本ハ是カラ先キ進マナケレバナラヌト云フノデ、左院ト云フヲ拵ヘルコトヲ建議サレ
  タ此建議案ヲ起草サレルニ付テハ今小田原ニ住ンデ居ル西岡渝明ト云フ大審院ノ判
  事ガアル、アノ人ガ建議書ニ付テ〓書サレタ、是ハ此項西岡氏ニ依ッテ證明スルコトガ
  出來タ、此左院ト云フモノハ申サバ今日ノ立法府ト云フヤウナ側デアッタデセウ、當時日
  本ノ行政權ト云フモノハエライモノデアッテ、一切ノ仕事ガ司法トカ立法トカ云フモノガナ
  カッタカラ、江藤氏ガ自ラ左院ト云フモノヲ拵ヘルコトヲ建議シテ、終ニ其建議ガ容レラレ
  テ、左院ガ拵ヘラレテサウシテ左院ノ議長ニハ强テ後藤象次郞氏ヲ推シテ、1自分ハ副議
  長ノ名義ノ下ニ法典編纂等ニ盡力サレタコトハ事實デアル是テ如何ニ江藤氏ガ法典
  編纂卽チ語ヲ換ヘレバ憲ユ広編成ト云フ側ニ向ッテ如何ニ努力サレタカト云フコトモ、此
  左院ガ起ッテ左院以來ノ歷史ニ依ッテ認メルコトガ出來ル江藤氏ガ最後ニ高知ニ於テ
  縛ラルヽヤ、江藤氏ノ鞄ノ中ニ憲法草案ト云フモノト、金三千圓ト、太刀一口、此三
  ツノモノガ其所持品ノ中ニアッタ、憲法草案ト云フノハ卽チ左院ニ居ル時代ニ於テ草案
  セラレタモノガドコマデモ逃ゲテ行ク間ニモ之ヲヤハリ齎シテ居ラレタト云フコトハ如何ニ
  憲政-憲法政治ニ力ヲ盡サレタカ、努メラレタカト云フコトハ分ル話デアリマセウ、又其
  逸話トシテハ箕作麟祥ニ命ジテ佛蘭西民法ヲ速ニ翻譯シロト云フコトヲ云ハレタ、所ガ
  サウ速ニ翻譯スルコトハ出來ナイト云フコトヲ云ハレタガ、免ニ角誤翻デモ宜イカラ早
  ク翻譯シロト云ハレタ、其翻譯ノ語中ニ「民權」ト云フ文字ガアル或ハ「未遂犯」ト云
  フ文字ガアル、是ハ全ク江藤氏ノトキニ斯ウ云フ翻譯ガ出來テ居ル「民權」ト云フ文字
  ガ翻譯ノ出來タ場合ニ民ニ權利ガアッテ、タマルカト云フ議論ガ非常ニヤカマシカッタ、左
  院デヤカマシカッタラシイ、ソレヲ其儘置イタラ何カ相當ノ場合ニ於テ使フ途ガアルデアラ
  ウト云フテ此「民權」ト云フ文字ハ江藤氏ガ翻譯ガヤカマシカッタノヲ容レラレタト一ムフコ
  トデアル、ソレカラ此民權ト云フコトハ佐賀ノ亂ノ起ル所謂佐賀征韓黨ノ檄支中ニ於テ斯
  ウ云フ一節ガアル「夫レ國權行ハルレバ民權從テ全シ」ト是ガ佐賀征韓黨ノ檄文ノ冒頭
  ニ於テ、ゝ斯ウ云フ文字ガ書カレテ居ル、是ガ日本ニ民權ト云フ文字ノ筆ノ先ヘ傳ヘラレタ
  最初ノ交句デアルト云フ、是ハ南白遺稿ヲ御覽ナサルト「民權」ト云フ文字ヲ初メテ活用
  シタルモノハ佐賀ノ征韓黨ノ檄文中ニ現ハレテ居ル、後年江藤氏ガ後藤板垣其他ノ人
  ト共ニ民選議院ノ建白ヲサレタト云フコトハ全ク此邊ニ基イタト云フコトガ承知サレル、ソ
  レデ今日御互ニ此議席ヲ構ヘテ玆ニ居ルモノモ其當初ニ於テノ江藤氏ノ苦心ト云フモノ
  ハ、御互ニ感謝ヲセザルヲ得ヌダラウト考ヘマス、ソレカラ第六ニハ司法卿トシテ功績ノ大
  ナルコト、是ハ司法制度ノ統一ヲ企劃シテ司法權ノ獨立ヲ計ッタ、ソレカラ府縣ノ聽訟
  課ト云フモノヲ廢シタ府縣ノ聽訟課ト云フモノハ總テ當時ニ於テハ地方ノ知事ニ委託
  シテ聽訟課ト云フモノガアッタニ違ヒナイ、之ヲ廢シタコトハ全ク司法權ヲ獨立セシメテ、
  活動スルト同時ニ總テノ裁判-聽訟課ヲ廢シテ司法省ノ直轄ノ下ニ裁判所ヲ開カ
  ナケレバナラヌト云フコトデ、斯ウ云フコトニナッタラシイ、又人才ヲ拔擢シ、紀綱ヲ振肅
  スルト云フ、之ガタメニハ當時司法省ト云フモノハ各省ニ擢テヽ所謂臺閣ヲ壓スル程ノ
  勢力ガアッタ、江藤氏ノ立場ト云フモノハ幾ド關白內覽ト云フ評判テアッタ位デ、免費
  角今ノ司法大臣ノ如キ伴食宰相デナクシテ、餘程司法上ニハ力ヲ用井ラレテエラカッタ
  ト云フコトハ世間テ以テ之ヲ認メルコトガ出來タ、ワレカラ其顯著ノ事業トシテ新律綱
  領ヲ廢シテ改定律令ヲ制定シ、刑法改正ノ端緒ヲ開イタト云フコトハ江藤氏ノ仕事デ
  アル其場合ニ歐米ノ學者ヲ招イテ法典ノ編纂ヲシタト云フヤウナコトデアッタ一言以
  テ之ヲ評スレバ江藤氏ナル人ガ今日ノ法治國ノ基礎ヲ建設シタ大功ト云フモノハ實ニ
  爭ハレナイモノデアリマス、實ニ斯ウ云フ人デアリマスカラ、帝國ノ憲法史上ニ於テハ江
  藤氏ノ赫々タル文勳ト云フモノハ大筆特書スル價アルモノト思ヒマス、而モ紀綱ノ振肅
  ヲ圖リ、司法權ノ獨立ニ活動シタル結果、或一部ノ人士ノ怨ヲ買ウテ山城屋和助事
  件ノ如キハ是ニ關係ガアルトシテ、之ガタメニ怨ヲ買ヒ、ソレカラ尾去澤事件ノ如キ、又
  或ル一部人士ノ怨ヲ買ウタ結果、今日ハ江藤氏ノ人物ガ全ク世間ニ誤解セラルヽヤウ
  ナ感ガアリマス、(東武君「質問ガアリマス」ト云フ)チヨット御待チナサイ、後トデ宜シイ、
  ソレカラ第七ハ征韓論ノ主張者ト云フコトハ世間ノ認メタルトコロデアリマス、ソレデ江
  藤氏ハ朝鮮問題ノ解決ニ熱心ニシテ、東洋ノ平和ノ基礎ヲ確立セントスル希望ガ非常
  デアッタコトデアリマス、此征韓論ハ大西〓以下五參議が進退ヲ賭シテ爭ッタモノデアッタ
  ガ、其議ガ終ニ行ハレズシテ五參議ト云フモノハ終ニ野ニ下ッタ次第デアル、所ガ江藤氏
  ハ明治四年「對外策」ト題シテ岩倉公ニ上ル一篇ノ書ヲ呈シタガ、其意見ニ(「餘リ長
  クナリ過ギルカライヤニナル」ト云フ者アリ)暫ク(「謹聽」ト云フ者アリ)岩倉公ニ上ル對
  外策ノ一篇ト云フモノハ其意ヲ見ルニ朝鮮バカリデハナイ、大陸ニ著眼シタト云フコトハ
  爭ハレヌコトデアル、サレバ江藤氏ト云フモノハ東邦問題ノ先驅者トシテ御互ニ非常ニ
  謝意ヲ表セネバナラヌダラウト思フ、ソレカラ第八ハ征韓論ノ議ガ行ハレズシテ野ニ下ル
  ヤ江藤氏ノ更ニ輿論ノ力ヲ藉ッテ政府ヲ動カサウト云フコトデ、其大抱負ヲ實行セン
  コトヲ期シタ譯デアル佐賀ニ歸ルヤ、佐賀ノ方デハ江藤ニ同情シテ居ル人ガ非常ニ多
  カット。征韓論ト云フモノハ實行シナクテハナラヌト云フヤウナコトデ、同情者ガ非常ニ多
  カッタ譯デアル「政府ノ反省ヲ促スニ付テ、其目的ヲ達センガタメニ、何處マデモ武器ノ
  活動デナクシテ、所謂示威運動ト云フ側カラ起ヲテ、更ニ進ム積リラシカッタ所ガ政府ハ
  此場合ニ於キマシテ兵隊ヲ遣ッテカラシテ非常ナル壓迫ヲ加ヘントシタ其結果ガ所謂佐
  賀征韓論者ノ激昂スルトコロトナッテ、サウシテ江藤氏ナル人ハ此靑年子弟ニ到頭擁セ
  ラレテ、彼ハ鎭撫ノ目的デ佐賀ニ歸ッタノダガ、氏ガ鎭撫スルコトガ出來ズシテ其子弟ノ
  擁スルトコロトナッテ、アノ先生ニ心ナキモ、アノ形勢ヲ拵ヘタト云フ譯デアル、其證據ニ
  ハ東京ヲ起ッタノガ、明治七年ノ一月十三日テアッタコトデアル、ソレカラ長崎ニ嬉野ニ、ソ
  レカラ深堀ニ各所ニ暫ク憩ウテ佐賀ヲ鎭撫シヤウト云フコトニ餘程苦心シタラシイ到頭
  イカズシテ佐賀ニ歸ッタノガ一月ノ十三日ニ東京ヲ起ッテ、二月ノ十日頃佐賀ニ歸ッテ、
  十三日ニ遂ニ子弟ニ擁セラレテ開戰ノ始末ニナッタ譯デアル、官軍ニ抵抗シタ形跡ハ確
  ニ是ハ免カレ難イ形跡ヲ持ッテ居ルニ違ヒナイケレドモ遂ニ梟首ニ逢フタ譯デアッテ、其江
  藤ノ梟首ニ逢フタノハ明治七年四月十三日デアル、其宣告書ニハ「江藤新平、其方儀
  朝憲ヲ憚ラス名ヲ征韓ニ托シ黨與ヲ募リ兵器ヲ集メ官軍ニ抗敵シ逆意ヲ逞フスル罪ニ
  依り除族ノ上梟首申付ル」ト闇カラ闇ニ全ク葬ラレタ次第デアッテ、今ノ大逆事件ニス
  ラモ尙辯護士ヲ附ケテ相當ノ途ヲ開イタガ、此場合ニ於テハ非常ニ法律ガ不備デアル
  シ、臨時裁判ガ無茶苦茶ニ闇カラ闇ニ葬フタト云フ江藤氏ノ始末デアル(「モウ宜イ」ト
  呼フ者アリ)モウ少シデアリマスカラ少シ我慢シテ下サイ、總括シテ江藤ノ功罪ヲ論ジマス
  レバ、王師ニ抗シタル罪ハドウモ免レナイ話デアリマスガ、併ナガラ其罪ハ一ツデアル、サウシ
  テ其功績ナルモノハ非常ニ多イモノデアリマス、繰返シテ此功績ヲ申シマスレバ維新ノ前
  ニ於テハ一身ヲ賭シテカラ尊王討幕ノ實行ニ努メタ人デアリマス、第二番ニハ所謂都ヲ
  東京ニ遷シタ實行者デアリマス第三番ニハ彰義隊ノ討伐ノ衝ニハ大村ガ當ラレタノデ
  アリマスガ、之ヲ刺戟シテ討伐ヲナスニ至ラシメタ人ハ江藤氏デアリマス、第四番ニハ東
  京ノ荒廢ヲ救ウテ今日ノ如ク世界有數ノ帝都タラシムルニ至ラシメタモノハ江藤氏デアツ
  テ同時ニ東京ノ民政ト云フモノニ熱心ニ盡力サレテ併セテ中央政府ノ組織ニ向ッテ非
  常ナ功勞ヲ有セラレタ人デアリマス、第五ニハ所謂左院ヲ開イテ憲法政治ノ先驅トシテ
  非常ニ働カレタ人デアリマス、第六ハ司法ノ獨立第七ハ征韓論ノ首唱、今日朝鮮ガ
  合併ユナルモ其犠牲トナッテ自ラ身ヲ殺シテ仁ヲ爲シタ人ハ江藤ナリ、大西〓デアリマス、
  免ニ角吾〓ハ朝鮮ノ合併ヲ迎ヘタ今日ニ於テハ江藤氏ヲ思フコトガ非常ニ厚イデアリマ
  スカラ、此場合ニ於テ適當ナル途ヲ圖ルコトガ急務グラウト云フ考ヲ持ッテ居リマス(拍
  手起ル)モウ少シ言ハシテ下サイ、之ハ一方ニ於テ非常ナ諸君ノ御贊成ノ下ニ出シタ話
  デアリマスカラ、總招シテ申シマスレバ、今ノ如ク罪ハ一ツデアッテ、其功ト云フモノハ枚
  舉ニ遑ナイモノデアル一體ノ役人達ハ或ハ「ポーツマウス」ニ使ッタトカ、何トカ云フ一ノ
  功勞ガアッテモ、其功勞ヲ認メラレテ侯爵トカ伯爵ヲ下サルニ江藤氏ニ至ッテハ其事蹟
  ハ煙滅シテ傳ヘラレザラントシ、尙且亂臣賊子ノ汚名ガ霽レナイ、實ニ英雄ノ末路ハ一
  掬ノ淚ナキコト能ハヌ譯デアル、(「民選議院ノ建白ガ拔ケテ居ル」ト呼フ者アリ)言フトモ
  言ッター-ソレデ詰リ要スルニ大西〓ト云フ人ハ免ニ角其器ニ於テハ非常ニ大キナ人デ
  アッタニ相違ナイガ、政務ノ才幹ニ於テハ或ハ江藤氏ハ大西〓氏以上ニアッタト云フコト
  ハ天下ノ公論デアリマシテ、サウシテ一ハ天恩枯骨ニ及ンデ他ノ一ハ寃名未ダ霽レズ、地
  下ニ徨ッテ居ル有樣デ、且其遺族ハ慘憺タル有樣デアルカラカウ云フコトデアルカラシテ今
  日ノ如ク朝鮮合併ノ場合ニ於テ、皇威四表ニ輝ク場合ニ於テ、江藤西〓ノ目的ヲ達
  シタル場合ニ於テ、江藤氏ガ生前ニ於ケル其偉大ナル功績ト一ノ罪トカケ較ベテ見レ
  バ確ニ雲泥ノ差ガアルト云フヤウナ風デ、明カニ分ル話デアルドウカカウ云フ場合ニ於
  ケル江藤家ノ始末デアルカラ、セメテハ彼ノ遺族ノ人デモ慰メルヤウニ此功臣ノ遺族ヲ何
  處マデモ表彰シテ貰ヒタイ、之ハ贊成デアリマセウガ、政府側ニ於テハ(「言ハナイデ言
  ナイデ」ト呼フ者アリ)ドウカ此妖雲ヲ排シテ、俗論ヲ排シテ、スッカリ世ノ中ニ江藤氏一
  家ノ功績ヲ認ムルヤウニ御盡力ヲ願ヒタイ(拍手起ル)

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• 184・齋藤二郎

  ○齋藤二郞君　チヨット御演說ノ方ニ御問シタイデスガ、折角江藤先生ノ事蹟ヲ御述
  ベニナッタ中ニ、故子爵海江田信義ニ對スル問題ガアリマシタアレハドウカ削除シテ欲
  シイト思ヒマス、江藤先生ノコトヲ仰シヤルノハ宜シイガ、海江田信義其人ニ對シテ言
  及スルノハ穩當デナイト思ヒマス、御取消ヲ願ヒマス

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• 185・的野半介

  ○的野半介君　如何ニモ·····

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• 186・東武

  ○東武君　提出者ニ質問致シマス、私ハ此建議案ニ對シテハ滿腔ノ同情ヲ持ッテ居リ
  マスガ、提出者ノ提出シタル意味ヲ質問シテ明カニシテ置カナケレバ此建議ニ贊成スルコ
  トガ出來ヌノデアルガ、總テノ江藤新平ノ國家ニ功勞アルコトハ何人モ認メテ居ルトコロ
  デアル、併ナガラ一タビ王師ニ抗シテ反逆ノ罪ヲ受ケタト云フ者ニ向シテ、之ヲ國家ガ表
  彰シナケレバナラヌト云フコトニナッタラ、我帝國ノ人倫或ハ道德其他ノ點ニ於テ如何ナ
  ル御解釋ヲ執ルノデアリマスカ、或人ハ老西〓ハ王師ニ抗シタノデアルケレドモ、而モ廟
  食ヲ致シテ居ル、百世ニ廟食シテ、子孫ハ榮祿ニ浴シテ居ル斯ウ稱スル者ガアリマスガ
  若シ大西〓ノ廟〓ヲシ、若クハ恩典ニ浴シテ居ルト云フコトハ特ニ陛下ノ思食ヲ以テ
  特免ニナッテ居ルコトヲ聽イテ居ル、此〓ニ於テ江藤新平君ハ國家ニ功勞ガアルト同時
  ニ叛逆ヲ企テタト云フコトニ付テ、事理ヲ明カニシテ江藤新平君ガ其當時叛逆ノ意志
  ガナカッタト云フコトヲ證據立テヽ之ヲ明カニシナイ以上ハ我帝國ノ國體トシテ斷ジテ許
  スコトノ出來ナイコトデアラウト信ジマス、其〓ニ付テモウ少シ詳シク御說明ヲ願ヒタイ

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• 187・的野半介

  ○的野半介君　免ニ角叛逆ト云ヘバ、江藤ト云ヒ、西〓ト云ヒ、同ジコトデアル、然
  ルニ西〓ハ贈位ノ恩典ガアリ、子孫ニ授爵ヲナサレルト云フ恩典ノアル以上ニハ、江藤
  ニモ同樣ニシテ欲シイト云フダケノ話ナンデス

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• 188・菅原傳

  ○菅原傳君　本案ハ議長指名九名ノ特別委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス
  (「贊成々ケ」ト呼フ者アリ〕

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• 189・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　御異議ガナイト認メマスカラ此案ハ議長指名九名ノ委員ニ付
  託スルコトニ致シマス、日程第十七、生絲檢査所ニ試織場併置ニ關スル建議案、朗
  讀ハ省略致シマス-武藤金吉君
  第十七生絲檢査所ニ試織場併置ニ關スル建議案(武藤金吉君
  外二名提出)
  生絲檢査所ニ試織場併置ニ關スル建議案
  生絲檢査所ニ試織場併置ニ關スル建議
  生絲檢査所設置以來海外貿易ノ重要產物タル生絲ノ販路上ニ於ケル信用ハ
  今ヤ其ノ度ヲ加ヘ大ニ成績ノ見ルヘキモノアリト雖生絲檢査所ニ於テハ單
  ニ原量、正量、練減品位再繰纖度、類節、强力及伸力等ノ檢査ヲ爲ス
  ニ止マリ生絲カ如何ナル織物ニ適シ如何ナル織上ケヲ見、仕上、精練、浸染、
  捺染押型及機織等科學的試驗ニ依リ外取引上ノ紛議ヲ裁斷シ內製絲家、
  養蠶家、輸出絹業者ヲ奬勵スヘキ標準ト爲ルヘキ相當ノ設備ナキヲ以テ遺
  憾ノ〓尠シトセス此ノ如キハ蠶業國タル我カ邦ニ於ケル一大缺點ナリト謂
  ハサルヘカラス依リテ政府ハ次年度ニ於テ生絲檢査所法ヲ改正シ生絲檢査
  所ヲ擴張シ絹織物試織場ヲ併置セラレムコトヲ望ム
  右建議ス
  (「散會々々」「定足數ガアリマス」「アリマセヌ」「進行ヲ願ヒマス」ト呼フ者アリ〕

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• 190・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　諸君、著席ヲ願ヒマス-武藤金吉君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=190

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• 191・武藤金吉

  ○武藤金吉君　此場合時間ヲ尊重スルタメニ當席カラ簡單ニ述ベマス、生絲檢査場ヲ
  設ケタイト云フ建議案デゴザイマス、御承知ノ通リ我邦ノ生絲ハ此生絲檢査所ヲ置イ
  テ以來此賣買ノ上ニ於テノ爭ガナクナリマシタ、又海外貿易ノ販路ノ上ニ於キマシテモ
  得ルトコロガ多イノデアリマス、更ニ此試織場ヲ生絲檢査所內ニ併置シテ之ヲ織上ゲタ
  上ノ試驗ヲスルタメニ此試驗機械ヲ置イテ貫ヒタイト云フノガ建議ノ趣意デアリマス、サ
  ウシテ此唯今ノ原量、正量、練減、品位ノ再繰、纖度、類節、强力及伸力等ノ檢査ノ
  外ニ更ニ織物トシテ輸出スルニハ如何ナル生絲ガ如何ナル織物ニ適シ、如何ナル織上ヲ
  見ルカト云フ試驗ノ方法ト致シマシテ仕上、精練、浸染、捺染、押型、及機織、等科
  學的ノ試驗ヲ行ッテ此絲ハドウ云フ織物ニ適スルカト云フコトヲ試驗スルトコロノ試織場
  ヲ設ケテ戴キタイト云フノデアリマス、サウシテ之ガ經費ノ如キハ僅カニ十万圓バカリアリ
  マスレバ一切ノ機械が買ヘル、又此生絲檢査所ヲ擴張スル上ニ於テハ經常費ハ僅ニ二
  万圓バカリ掛ケレバ、之ヲヤッテ行ケルノデアリマス、我邦ハ二億カラノ現在ニ於テ絲ヲ輸
  出シテ居ル、又將來ニ於キマシテハ五億万圓ノ生絲ノ輸出ガ出來ルノデアリマスルシ、今
  日ノ場合既ニ蠶種ノ統一モ行ハレ、原蠶種ノ製造所モ設ケラルヽト云フ場合ニ於テ此
  生絲檢査所ニ試驗場ヲ設置スルト云フコトハ最モ必要ノコトデアリマスルカラ、此次
  年度卽チ四十五年度ニ於テ政府ハ豫算ヲ組ンデサウシテ此議會ノ協贊ヲ求メラレンコ
  トヲ切望スル所以デアリマス
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=191

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• 192・菅原傳

  ○管原傳君　本案ハ議長指名ノ九名ノ特別委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=192

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• 193・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　御異議ナイト認メマスカラ、議長指名九名ノ委員ニ本案ハ付
  託スルコトニ致シマス、日程第十八ハ提出者ヨリ延期ノ申出ガアリマスガ、御異議ハゴ
  ザイマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=193

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• 194・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　日程第十九、內地粗糖業保護ニ關スル建議案ヲ議題ト致
  シマズ、朗讀ハ省略致シマス-武滿義雄君
  第十九內地粗糖業保護ニ關スル建議案(武滿義雄君外四名
  提出)
  內地粗糖業保護ニ關スル建議案
  內地粗糖業保護ニ關スル建議
  內地粗糖業ノ振ハサル實ニ憂慮ニ堪ヘサルモノアリ仝〓ニ於テ之カ救濟ノ道ヲ講スルニ
  非スムハ漸ク衰滅ニ歸シ悲慘ナル結果ヲ見ルニ至ルヘシ殊ニ沖繩縣及鹿兒島縣下
  大島郡ノ如キハ數百年來重ニ糖業ヲ以テ生活ノ資ト爲シ住民全般ノ經濟ハ砂糖ニ
  依リテ維持セラルルト謂フモ誣言ニ非サルナリ然ルニ明治三十四年砂糖消費稅法ノ實
  施ト爲ルヤ內地ノ粗糖業者ハ過重ナル課稅ト商況不振ノ爲ニ年々困難ヲ極メ其ノ實
  狀默スルニ忍ヒサルモノアリ政府ハ速ニ稅法ヲ改正シテ其ノ稅率ヲ低減スルカ又ハ相
  當ノ補助金ヲ下付スルカ適當ノ方法ニ依リ之カ救濟ノ道ヲ立テラレムコトヲ望ム
  右建議ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=194

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• 195・武滿義雄

  ○武滿義雄君　私ハ當席ヨリシテ簡單ニ本案提出ノ理由ヲ述ベマシテ滿場ノ御贊成
  ヲ得タイト思ヒマス、本案ハ內地粗糖業者ニ對シテ此際何等カノ方法ノ下ニ於テ保護
  〓濟ノ途ヲ立テヽ貫ヒタイト云フノガ趣旨目的ニナッテ居ルノデゴザイマスデ、其方法トシ
  テハ砂糖消費稅法中ノ改正ヲ爲シテ稅率ヲ低減シテ貰フカ、又ハ補助金ヲ下付シテ救
  濟ノ途ヲ立テヽ貰フノヲ以テ最モ然ルベキモノト存ジマスル、故ニ二者何レカノ中ニ於テ
  其保護救濟ノ途ヲ立テヽ貫ヒタイト云フノデアリマス、內地ノ粗糖業ノ有樣ヲ考ヘテ見
  マスルト明治三十四年ニ砂糖消費稅法ガ實施ニナッテ以來、內地粗糖業ハ萎靡不振
  ニ傾イテ年々當業者ハ困難ヲ感ジテ居ル譯デアリマス、其原因ヲ舉ゲテ茲ニ申述ベマス
  レバ此砂糖消費稅法ノ實施ノタメニ過重ナル負擔ヲ脊負フト云フコトニナリマシタノモ
  其一原因デアリマスガ、又ソレニ加ヘルニ經濟界ノ不況ト商況ノ不振トニ依ッテ此市場
  ノ價格ガ低廉致シマスルタメト、又他ノ生產等ノタメニ非常ナル壓迫ヲ受ケテ居ルガタメ
  ニ此內地ノ粗糖業ハ一向萎〓振ハヌト云フ狀態ニナッテ居ルノデアリマス、ソレ故ニ當
  局者ニ於テハ是等ノ實情ヲ能ク調査ヲシ、〓究ヲシテ相當ノ救濟ノ方法ヲ立テヽ貰ハ
  ナケレバ到底內地粗糖業者ノ立行クコトニナルコトハムヅカシイノデアラウト思フノデアリ
  ひと、内地全般ノ粗糖業者ハ今日非常ニ困難ナ悲境ニ沈淪シテ居ルノデアリマスガ、殊
  ニ沖繩縣ノ如キ又鹿兒島縣下ノ大島郡ノ如キハ數百年來此糖業ニ依ッテ衣〓シテ居
  ルモノデ、卽チ糖業ニ依ッテ生活ノ途ヲ立テヽ居ルノデアリマスカラ、一朝此糖業ニ依ッテ
  生活スルコトガ出來ヌコトニナレバ、卽チ生活ノ途ヲ失フコトニナルノ『デアリマスカラ、爲
  政者トシテモ之ヲ等閑ニ附シテ置クコトハ出來ヌト田心フノデアリマス、ソレデ當局者モ
  是マデノ間イロノ〓ノ計畫ヲナシテ居リマスガ、其計畫ヲナシテ實行致シマスルマデデモ
  此救濟ノ途ニ於テ相當ノ方法ヲ立テマシテ、ソレガ救濟トシテ效力アルトコロノ結果ヲ
  見ルコトヲ望ムコトハ勿論、又今方針ヲ立テヽ置クトコロノ事柄ニ付テ實行ヲ望ムコトハ勿
  論デアリマスガ、此場合ニ砂精消費稅法中ノ改正ヲ爲シテ稅率ヲ低減シテ貰フカ、相當
  ノ補助金ヲ貰フト云フコトハ至當ノコトデアラウト思フノデアリマス、ソレ等ノ途ニ於テ何
  レカノ方法ノ下ニ救濟ノ方法ヲ立テテ貫ヒタイトー云フノガ此建議ノ要旨デアリマス拍
  手起ル)此數字等ノ如キ其他細密ニ涉リマスルコトハイヅレ委員會ニ於テ詳細述ベマス
  レバ何卒御贊成アッテ委員付託ニ御決定アランコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=195

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• 196・菅原傳

  ○菅原傳君　本案ハ提出者ノ希望ノ如ク議長指名九名ノ委員ニ付託セラレンコトヲ
  望ミマス
  〔「贊成ケ々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=196

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• 197・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　御異議ナイト認メマスカラ議長指名九名ノ委員ニ付託致シマ
  ス、日程第二十、酒類釀造試驗場增設ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス議案ノ朗讀
  ハ省略致シマス、黃金井爲造君
  第三十酒類釀造試驗場增設ニ關スル建議案(黃金井爲造君
  外二名提出)
  酒類釀造試驗場增設ニ關スル建議案
  酒類釀造試驗場增設ニ關スル建議
  關西ニ釀造試驗場一箇所ヲ增設セラレムコトヲ望ム
  右建議ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=197

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• 198・黄金井爲造

  ○黃金井爲造君　簡單ニ當席カラ說明致シマス、本案ハ關西ニ酒類釀造試驗場ヲ
  一箇所設置シタイト云フ建議案デゴザイマス、精シキ說明ハ委員會ニ於テ致シタイト思
  ヒマス委員付託ト云フコトニシテ戴キタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=198

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• 199・菅原傳

  ○菅原傳君　本案ハ先キニ議長ヨリ指名トナッテ居リマスル酒造稅法中改正法律案
  ノ委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=199

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• 200・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　御異議ガナイト認メマスカラ、曩ニ指名ニナリマシタ、酒造稅
  法中改正法律案ノ委員ニ付託スルコトニ致シマス、日程第二十一千葉縣立園藝專
  門學校ヲ文部省直轄ト爲スノ建議案ヲ議題ト致シマス、議案ノ朗讀ハ省略致シマス、
  稻村辰次郞君
  第二十一千葉縣立園藝専門學校ヲ文都省直轄トナスノ建議
  案(稻村辰次郞君外一名提出)
  千葉縣立園藝専門學校ヲ文部省直轄ト爲スノ建議案
  千葉縣立園藝專門學校ヲ支部省直轄ト爲スノ建議
  千葉縣立園藝專門學校ヲ文部省直轄ト爲シ明治四十五年度ヨリ政府ニ於テ之ヲ
  經營セラレムコトヲ望ム
  右建議ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=200

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• 201・稻村辰次郎

  ○稻村辰次郞君　當席ヨリ提出ノ理由ヲ述ベマス、極メテ時間ガ後レテ居リマスカラ
  簡單ニ一言述べマス、本案ハ千葉縣立園藝專門學校ヲ文部省ノ直轄トシテ明治四
  十五年度ヨリ政府ニ於テ經營セラルヽコトヲ望ムト云フ建議案デアリマス、詳シキ說明
  ハ委員會ニ於テ致シタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=201

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• 202・菅原傳

  ○菅原傳君　本案ハ議長指名九名ノ特別委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=202

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• 203・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　御異議ガナイト認メマスカラ、本案ハ議長指名九名ノ特別委
  員ニ付託致シマス、日程第二十二、高等學校增設ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス、
  議案ノ朗讀ハ省略致シマス
  第二十二高等學校增設ニ關スル建議案(宮古啓三郞君外
  二名提出)
  高等學校增設ニ關スル建議案
  高等學校增設ニ關スル建議
  高等學校ノ增設ハ焦眉ノ急務ナリ政府ハ宜シク急速ニ之ヲ實行スヘシ
  右建議ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=203

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• 204・宮古啓三郎

  ○宮古啓三郞君　極ク簡單ニ申上ゲマスカラ、チヨット御聽ヲ願ヒマス、諸君モ御承
  知ノ通リ昨年本院ニ於テ學制改革ニ關スル建議案ガ出マシテ、滿場一致デ可決ヲ
  シテ政府ニ送ッテアリマス、其中ニ斯ウ云フコトガアッタノデマリマス、卽チ〓育ノ機關ガ
  甚ダ不足デアル、ソレガタメニ幾万ノ學生ガ路頭ユ迷ッテ居ルカラ、ソレニ對シテ相當ノ
  救濟ヲシナケレバナラナイト云フコトガアリマシタ、其趣意ト本建議案ト別ニ變ッタトコロ
  ガナイノデアリマス、申スマデモナク今日ハ非常ニ學生ノ數ガ殖エテ各種ノ學校ガ何處デ
  モ不足ヲ感ジテ居ルノデアリマスガ、殊ニ高等學校ガ一番不足ヲ感ジテ居ルト云フ今日
  ノ狀況デアリマスソレハ各縣ニ於テ中學ヲ卒業シタトコロノ者ガ高等〓育ヲ受ケヤウト
  スルケレドモ、高等學校ハ僅ニ八箇所シカナイノデアリマス、ソレガタメニ入學希望者ガ
  殆ド十分ノ二位ヨリ入ルコトガ出ナイト云フ有樣デアッテ、其他ノモノハ凡テ路頭ニ迷ツ
  テ居ルト云フ有樣デアリマス、是ガ路頭ニ迷ッテ居ル結果トシテ甚ダ善イコトハ考ヘナイ
  デ或ハ不良少年トナッタリ、或ハ危險思想ヲ懷抱スル者トナッタリスルノデ、實ニ寒心
  ニ堪ヘヌ有樣デアリマス、昨年來政府ニ於テ學制改革ニ關スル事柄ヲヤッテ居リマスガ、
  其又成案ナルモノガ今樞密院ニアルト云フコトヲ聞イテ居リマスケレドモ、併ナガラソレハ如
  何ナルモノデアルカト云フコトハ昨年來大分非難ノ聲モアリマスノデ、果シテ吾ミヲ滿足
  セシムルヤ否ヤト云フコトハ甚ダ疑問デアルノデアリマス、ソレガタメニ吾〓ハ委員會ニ於テ
  ソレヲ十分ニ〓究シタイト思フノデアリマス、要スルニ今日高等學校ノ數ガ非常ニ不足デ
  アッテ世ノ中ノ靑年ニ對シテ甚ダ之ハ惡シキ結果ヲ來スモノデアリマスカラシテ、速ニ一日モ
  早ク增設シタイト云フ意見デアリマス、ソレガタメニ之ヲ提出致シタノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=204

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• 205・菅原傳

  ○菅原傳君　本案ハ日程第二十一ト同一委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス
  〔「贊成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=205

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• 206・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　御異議ガナイト認メマスカラ本案ハ日程第二十一ト同一委
  員ニ付託スルコトニ致シマス、日程第二十三、港灣改良ニ關スル建議案ヲ議題ト致シ
  マス

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• 207・菅原傳

  ○菅原傳君　此案ハ提出者ヨリ延期ノコトヲ先程議長ノ手許マデ通告書ヲ出シテ置
  イタ筈デアリマシタガ

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• 208・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　議長ノ手許ニハ來テ居リマセヌガ、延期ト致シマス、日程第
  二十四、鐵道速成ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス、朗讀ハ省略致シマス······田中
  定吉君
  第二十四鐵道速成ニ關スル建議案(田中定吉君外委員長報告
  一名提出)

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• 209・田中定吉

  ○田中定吉君　本案ハ委員會ニ於テ滿場一致ヲ以テ可決致シマシタカラ、本議場ニ
  於テモドウカ可決アランコトヲ望シマス
  〔「贊成」ト呼フ者アリ〕

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• 210・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　委員長報告ニ御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 211・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　然ラバ本案ハ委員長報告通リ確定ト致シマス、日程第二十
  五、大湊開港ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス-戶水寛人君
  第二十五大湊開港ニ關スル建議案(齋藤二郞君提委員長報告
  〓

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• 212・戸水寛人

  ○法學博士戶水寛人君　是ハ大湊ヲ以テ貿易港トシテ欲シイト云フ建議案デアリマ
  ス、委員會ニ於テハ全會一致ヲ以テ可決致シマシタ、此段御報告致シマス
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=212

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• 213・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　委員長報告通リ御異議がナイト認メマスカラ本案ハ確定ト致
  シマス、日程第二十六、天龍大井安倍三大川改修工事ニ關スル建議案ヲ議題ト致シ
  マス-鈴木辰次郞君
  第二十六天龍大井安倍三大川改修工事ニ關ス(委員長報告)
  ル建議案(大橋賴摸君外四名提出)

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• 214・鈴木辰次郎

  ○鈴木辰次郞君　此天龍大井安倍ノ三大川ノ改修工事ニ關スル建議案ニ付テハ二
  樣ノ意味ヲ含ンデ居ルノテゴザイマス、第一ハ今囘政府ニ於テ決定致シマシタルトコロノ
  治水ノ大方針ニ對シマシテ、天龍川ヲ此一期ノ河川ニ綠上ゲルト云フ意味ト、モウ一ツ
  ハ大井川ト安倍川此二大川ヲ國家ノ直營ノ河川ニ編入スルト云フコトノ二ツノ意味ヲ
  持ッテ居ルノデゴザイマス、御承知ノ如ク政府ニ於キマシテ今囘治水ノ方針ヲ定メマスル
  ニ付キマシテ、全國ノ百三十五河川ノ中デ六十五河川ヲ選擇ヲ致シマシテ國ノ直轄デ
  工事ヲスルト云フコトニ極メタノデゴザイマス、然ルニ此大井天龍川ハ二類ニ編入セラレ
  テ居ル、大井川安倍川ハ此六十五河川ニ入ッテ居リマセヌノテゴザイマシタ、委員會ニ於
  テハソレ〓〓調査ヲ致シマシタトコロガ此天龍川ヲ一類ノ河川ニ編入シテ工事ヲ施行ス
  ルト云フコトハ最モ適當ナル建議デアルト信ジマシタノデゴザイマス、故ニ政府ノ當局者ト
  モ其等ノコトニ付テ種々交涉ヲ致シテ見マシタ結果、免ニ角一期ノ河川ノ十八箇年ノ
  計畫デ此間ニ第一期ノモノヲ大改修ヲスルコトデアル、故ニ之ヲ二十河川ノ一類河川ニ
  入レテ直ニ著手ヲシテ進行スルト云フコトハ明言スルコトハ出來ヌト云フコトデアリマシタ
  ガ、此長イ期間デアリマスガ故ニ政府ニ於テモ十分ナル調査ヲ進メマシテ、尙財政ノ許ス
  〓ニ於テ又縣經濟ノ許ス〓ニ於テ、是非之ヲ一期ノ河川ニ編入シテ一期ノ期間マデニ
  改修工事ニ著手スルコトヲ希望致シマシテ委員會ハ之ヲ認メタノデアリマス第二ノ安
  倍川ト大井川實ニ時間ガ迫ッテ居リマシテ甚ダ御氣ノ毒デアリマスガ、僅ニ二分間
  バカリ御聽ヲ願ヒタイ、此大井川ト安倍川デゴザイマスガ、是ハ諸君モ御承知ノ如ク東海
  道ヲ御通過ニナリマスレバ、大井ノ川ハ幾ラ位ナ川デアルカ、安倍川ハドノ位ノ川デアルカ
  ト云フコトハ御承知ノコトト信ズルノデゴザイマス、而シテ今囘政府ガ六十五箇川ヲ擇ン
  テ河川ノ中ニハ二十年、或ハ三十年ノ間ノ此治水ニ對スル費用ノ如キモノヲ調ベテ見マ
  スルト、僅々年額四千圓若クハ二千圓位ナ工事ヲ施シテ居ル、河川ガ此六十五箇川ノ
  中ニ編入セラレテ居ッテ、每年五万、八万ノ工費ヲ要スルトコロノ大井川ト阿部川ト云
  フモノガ此六十五箇川ニ拔ケテ居ルト云フコトハ我〓ハ餘程意外ニ感ズルノデゴザイマ
  ス、(「ワレハ政府ノ無責任ダ」ト呼フ者アリ)御同感ノ諸君モアルガ如ク、政府ニ於テ此
  百三十五箇川ノ中ニ於テ六十五箇川ヲ選擇スルノ標準ト致シマシテハ、流域ノ十方里
  以上アルモノデナケレバ選擇ヲシナイト云フ標準ヲ立テマシタノデゴザイマス、此流域ノ十
  方里以上アル河川デナケレバイクラノ損害ガアリイクラノ工費ヲ要シ、イクラノ水防費ヲ
  投ズル川ニ於キマシテモ「資格ガナイモノト云フコトニナヲテ居リマシテ、此流域ノ十方里
  以上ノモノデアレバ二十年、三十年ノ統計ニ依シテ生出シタルトコロノ年額ノ損害ガ極メ
  テ少ク、又堤防費ノ極メテ少イモノニ此六十五箇川ノ中ニ編入シテアルト云フヤウナ次第
  デ、此標準ガ甚ダ我ミニ於テハ其當ヲ得ナイモノト信ズルノデゴザイマス、委員會ニ於キマ
  シテ是等ノコトニ付キマシテ種々政府ト交渉ヲ致シマシタトコロガ、此六十五箇川ノ中ノ
  二十箇川ヲ一期ニ繰上ゲテ、殘ル四十五箇川ハ政府ニ於テ今後第二期ノ河川ヲ計畫
  スル上ニ付テ準備河川トシテ調査ヲスルト云フモノニナッテ居ルノデ未タ豫算ヲ以テ決
  定シタ譯デモナク、又法律ヲ以テ之ヲ發表シタ譯デモナク唯治水會ニ於テ今後ノ豫定
  線ヲ極メタト云フニ過ギナイヤウナ都合ニナッテ居ルノデゴザイマスルガ故ニ、此四十五箇
  川ノ河川ト此大井川、阿倍川ノ如キ河川ヲ比較致シテ見マスルト、其取捨ヲ誤ッテ
  居ラヌカト考ヘルノデゴザイマス、故ニ委員會ニ於テハ此四十五箇川ト同樣ナルトコロノ
  調査ヲ十分ニ遂ゲテ、サウシテ此四十五箇川ノ二十年後ニ著手スルコトデアリマスカラ、
  此二十箇年ノ中ニハ川ノ形ノ變ルコトモゴザイマセウシ、又經濟ノ都合モアリマセウカラ、
  此四十五箇川ト共ニ調査ヲ進メテ、サウシテ國ノ直營工事ニ編入セラレタイト云フ希望
  ヲ以テ、全會一致ヲ以テ此天龍川ヲ一期川ニ編入スルコト、阿部川、大井川ヲ直接國
  ノ經營スル河川ニ入レルト云フ、此三件ヲ可決シタ次第デゴザイマス、此段御報〓致シ
  マス
  〔「贊成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=214

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• 215・副議長(肥塚龍君)

  ○副議長(肥塚龍君)　委員長報告通り御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=215

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• 216・副議長(肥塚龍君)

  ○副議長(肥塚龍君)　然ラバ委員長報告通リ決シマス、日程第二十七、伏木港ニ
  於ケル海陸聯絡ニ關スル建議案上埜安太郞君
  第二十七伏木港ニ於ケル海陸聯絡ニ關スル建議(委員長報告)
  案(上埜安太郞君提出)
  〔左ノ修正案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
  伏木港ニ於ケル海軍連絡ニ關スル建議小字及-ハ委員會修正

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=216

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• 217・トシテ現在私設中越鐵道會社ノ經營ニ係

  ○トシテ現在私設中越鐵道會社ノ經營ニ係　ル鐵道ハ甚不完全ト認ムルヲ以テ之ヲ
  政府ハ北陸線高岡驛ヨリ伏木港ニ達スル鐵道ノ連絡ヲヲ全ナラシムル爲速ニ調査ヲ
  遂ケ相當ノ方法ヲ取ラレムコトヲ望ム
  右建議ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=217

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• 218・上埜安太郞君

  ○上埜安太郞君　此案ニ對シマシテ報告ヲ致シマス、政府委員ト質問應答ヲ致シマ
  シタガ、要スルニ政府ニ於キマシテハ此伏木高岡間ノ聯絡ノ十分デナイト云フコトハ認メ
  テ居ル、併ナカラ現在ニ於テハ私立會社ヲ十分監督ヲシテヤラセルツモリデアル、併ナガ
  ラ將來伏木港ノ發展、又ハ北陸線ノ聯絡致シマシタ場合ニ於テハ大ニ是ハ考慮ヲ要サ
  ナケレバナラヌ問題デアルト思フ、斯ウ云フ政府ノ答デアリマシタ、委員會ニ於テハ段々
  審議ノ末古井君ヨリ修正案ガ出マシテ現在ニ於テモ不完全デアリ將來ハ勿論ノコト
  デアルカラト云フコトデ、原案ヨリハ强イ意味ノ修正案ガ出タノデアリマス、其修正案ハ
  諸君ノ御手許ヘ報告ヲシテアリマスカラ既ニ御覽ノコトヽ考ヘマスカラ、ドウゾ御贊成ア
  ランコトヲ希望致シマス
  〔「贊成々々」ト聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=218

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• 219・副議長(肥塚龍君)

  ○副議長(肥塚龍君)　委員長報告通リ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=219

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• 220・副議長(肥塚龍君)

  ○副議長(肥塚龍君)　然ラバ本案ハ確定致シマス、日程第二十八、國設大公園設
  置ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス委員長〓崟太郞君
  第二十八國設大公園設置ニ關スル建議案(〓〓(委員長報告)
  太郞君提出)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=220

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• 221・〓〓太郞君

  ○〓〓太郞君　極メテ簡單デアリマスカラ此席カラ報告致シマス、國設公園設置ト云
  フコトハ國風ノ維持上、又國民ノ趣味ヲ向上セシムル上ニ於テ、必要デアルト云フノガ、
  本案ヲ提出シタ理由デアッタノデアリマス、、委員會ニ於キマシテハ政府委員ノ多數モ出席
  セラレマシテ、此所ニ御出ノ內務次官モ至極尤モノ趣旨ダト云フ御意見ガアッタノデアリ
  マハ、尙此原案ニハ富士山ヲ中心トシテ云々ト云フコトニナッテ居リマスガ、政府ガ既ニ
  此案ノ趣旨ヲ認メタ以上ハ成ルベク廣イ意味ニ之ヲ行ヒタイト云フノデ、此文字ヲ削除
  シンチ一般ニ及ボスコトニ致シタノデアリマス、例ヘバ耶馬溪ノ如キトカ、日光、、琵琶湖、
  松島等ヲモ此中ニ加ヘルト云フ大キナ意味ニ於テ、此案ヲ溝場一致ヲ以テ可決致シマ
  シタ、此段御報告致シマス
  〔「贊成々々」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=221

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• 222・副議長(肥塚龍君)

  ○副議長(肥塚龍君)　委員長報告通リ御異議ナイモノト認メテ、本案ヲ可決確定
  致シマス、日程第二十九、冷藏事業保護ニ關スル建議案ヲ議題ニ致シマス、三浦覺
  一君
  第二十九冷藏事業保護ニ關スル建議案(三浦覺(委員長報告)
  一君提出)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=222

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• 223・三浦覺一君

  ○三浦覺一君　此建議案ハ珍ラシイ建議案デアリマシテ、種々委員會ニ於テハ愼重ニ
  調査ヲ致シマシタ、而シテ關係ノ政府委員ノ出席ヲ求メマシタ能ク政府ノ意見モ質シタ
  ノデゴザイマス、內務省ニ於キマシテモ此食品ノコトニ付テハ大ニ注意致シテ居ルノミナラ
  ズ、尙一方ニ於テ衞生ノ上カラモ防疫場デアルトカ、或ハ屠殺場デアルトカ云フモノヽ設
  備ヲ追〓完成スル際ニハ必ズ斯樣ヲ冷藏庫見タヤウナ設備ヲ立テルト云フコトデアリマ
  ス、ソレカラ又之ニ關係ノ厚イトコロノ農商務省ニ於キマシテモ最モ此事業ノ必要ヲ認メ
  テ居ル、現ニ水產講習所ナリ或ハ蠶業講習所アタリニ於テハ斯樣ナ建議案ノ趣旨ニ依ツ
  テソレノ〓試驗等モ旣ニ著手致シテ居ルコトデアル、尙此上進ンデ斯樣ナコトヲ奬勵サ
  レルト云フコトデアリマスソレカラ尙關係ノ厚イトコロノ鐵道ノ方ニ於キマシテモ現ニ冷
  藏貨車ヲ拵ヘテ、現ニアリマストコロノ三十輛ノ貨車ヲ增シテ、本年ノ夏ハ尙五十輛
  ニモ增加サレルト云フコトデアル、ソレニ不足ヲ告ゲルトキニハ百輛、二百輛ニモ增シテ此
  事業ノ完成ヲ圖ルト云フ答辯デアリマス、ソレカラ此冷藏ト云フコトハ意味ガ狹イト云フ
  ノデ、冷凍ト云フ表題ニ變ヘマシテゴザイマス、右ノ如クシテ、委員會ハ滿場一致ヲ以テ
  之ニ多少ノ修正ヲ加ヘマシテ可決致シマシタ、而シテ此事柄ニ付テハ各國ノ例等モ能ク
  分ラナイト云フノデ、提出者ニ向ッテ各國ノ例ヲ取調ベルコトヲ委員ヨリ註文ガアリマシ
  テ、提案者ハ此事ニ付テ熱心ニ調査致シマシタモノヲ囘サレマシタ、是ハ省キマシテ議長
  ノ許可ヲ得テ速記錄ニ載セタイト思ヒマス、右ノ如クシテ委員會ハ多少字句ノ修正ヲ加
  ヘテ、滿場一致ヲ以テ可決致シマシタ、幸ニ滿場ノ御贊成ヲ願ヒマス
  〔參照〕
  冷藏事業ニ關シ各國政府保護奬勵ノ實例摘要
  一、冷藏庫補助
  加奈多モントリール市ニハ個人事業トシテ十分ノ冷藏庫アレトモ其他商業中心地
  ニモ輸出ヲ目的トスル腐敗シ易キ產物ノ保存ノ爲メニ冷藏庫保存ノ必要ヲ認メ
  其事業ノ收益ヲ保證セリ卽チ冷藏庫ノ建物及器械ノ價格ニ對スル五分ノ利益
  ヲ保證セリ但シ貨物預料步合ハ農商務省ノ認可ヲ受クルヲ要ス
  二、牛酪精製所ニ於ケル冷藏庫ノ奬勵
  加奈多ニ於テハ輸出ヲ目的トスル牛酪精製ノ後チ積出マテノ間完全ニ貯存ノ爲
  メニ牛酪精製所ニ冷藏庫ヲ設備セシムルノ便益ナルヲ認メ政府ノ定メタル仕樣ニ
  從テ冷藏庫ヲ設備シ規則ニ從フテ使用スルモノニハ一箇所每ニ初年ニ五十弗第
  二年第三年ニ各二十五弗宛合セ一テソ箇所百弗ノ奬勵金ヲ懸ケテ其設備ヲ促
  シタルニ千八百九十七年千八百九十八年ノ兩年間ニ三百箇所ノ牛酪精製所
  ニ冷藏庫ヲ設備セリト云フ、冷藏庫設備ノ加奈多牛酪輸出業ニ及ホセル影響ニ
  付千八百九十九年六月三十日ニ終ル農商務省ノ年報中ニ記スル所ニヨレハ冷
  藏庫設備ノ前年卽チ千八百九十五年六月三十日ニ終ル一箇年間當領牛酪ノ
  輸出高ハ六十九万七千四百七十六弗ニ過キサリシニ右設備ノ創始後四年卽チ
  千八百九十九年六月三十日ニ終ハル一箇年間ニ於ケル輸出高ハ三百七十万
  八百七十三弗ニ達シ同年七月以後ハ一層增加ノ傾向ヲ示セリ云々
  三、冷藏庫設置奬勵ニ關スル規則
  ヴィクトリヤ卽位六十一年
  此條例ハ冷藏庫ノ設備アル汽船ニ對シ契約締結ニ關スル權限ヲ定ムル條例ニ
  シテ千八百九十八年六月十三日之ヲ制定シ女皇陛下ハ上下兩院ノ協賛ヲ
  經テ之ヲ施行スルコト左ノ如シ
  第一條內閣議長(GeneralinCouncil)ハ「モントリール」「センドジヨン」及ヒ「ハ
  リファックス」ヨリ合衆國ニ至ル汽船ニ冷藏庫ヲ備フル爲メ「ファーネス、ウイシー」
  テイナ
  有限會社及「マンチヱスター」有限定期郵船ト契約ヲ締結スルコトヲ得、但內閣
  議長カ此契約ヲ爲スニハ千八百九十八年、千八百九十九年及じ千九百年ノ
  三箇年內ニ在リテ其冷藏庫ニ補給スルトコロノ金額ハ一年二万弗ヲ超過スル
  コトヲ得ス
  ヴィクトリヤ卽位六十年及六十一年
  此條例ハ加奈多ヨリ合衆王國ニ至ル冷藏汽船及ヒ加奈多ニ於ケル特定市府
  ノ冷藏庫ニ關スル條例ニシテ千八百九十七年六月一一十九日之ヲ制定ス女皇
  陛下ハ上下兩院ノ協贊ヲ經テ之ヲ施行スルコト左ノ如シ
  第一條千八百九十七年五月四日付闇令ノ權能ニ基キ締結シタル女皇陛下及
  ヒ特定會社間ノ契約ハ千八百九十七年、千八百九十八年及千八百九十九
  年ノ三箇年間「モントリール」ヨリ合衆王國ニ至ル汽船ニ冷藏庫ヲ設備スルニ在リ
  トス該契約ハ國會ノ協賛ヲ經テ實際有功ナルモノト確定布告シタルモノトス
  第二條內閣議長ハ「トロント」「クイベック」「ハリファックス」「セントジヨン」及ヒ「チャー
  ロトタヲン」ノ市府ニ冷藏庫ヲ設備スル爲メ何人又ハ何會社ニ對シテモ契約ヲ締結
  スルコトヲ得內閣議長ガ此契約ヲ爲スルハ三箇年間ヲ超過セサル期間ニ在ルヲ要
  ス且ツ此期間內其事業ノ收益ヲ保證スル爲メ一箇年ニ付冷藏庫ノ建物及其
  器械ノ價格ニ對スル五分ニ超ヱサル利益ヲ保證スルコトヲ得但其配當割ハ「ク
  イベック」「ハリファックス」及「セントジョン」ノ三市府ニ在テハ各四萬弗「トロン」市
  ハ五萬弗「チャーロトタヲン」市ハ二萬弗ヲ超過セザル金額ヲ保證スルモノトス
  四、漁餌冷藏庫保護法
  ー加奈多「カンソー」ニ於ケル漁餌冷藏庫ノ發達進步實ニ著シキ域ニ達セリ十八年
  以前ニ於テハ腐敗シ易キ食用品ニ對スル冷藏業ハ極メテ幼稚ナリシカ「カンソー」ニ
  於ケル「ポワィト」商會ナルモノヽ率先シテ漁餌冷藏ノ功果ヲ認メ漁餌豐富ノ秋ニ
  常ニ之ヲ貯藏シ不足ノ時ニ之ヲ出庫シテ廣ク漁舟ニ供給スルニ至ラハ頗ル有利有益
  ナル事業ナル可キ見込ヲ以テ略二間及三間半ノ小規模ノ冷藏庫ヲ建設セリ而
  カモ當時幾多ノ反對論者アリシニ拘ハラス反覆之カ利用法ヲ說明スルニ及ヒ漸
  次凍餌ノ需用ヲ增加セルヲ以テ倉庫ノ狹小ヲ感シツヽアリシカ終ニ政府ハ之ニ
  向テ保護奬動ノ必要ヲ認メ此目的ヲ以テ冷藏庫ヲ建設スルモノニハ其建設費用
  ノ半額ヲ政府ヨリ出資補助スヘキ保護法ヲ制定シ大其業ノ發展ヲ計リタリ次テ此
  制規ノ下ニ沿海岸ニ於テ冷藏庫ノ增設ニ依リ目的ノ一部ヲ逹シタル政府ハ更ニ多量
  ナル漁餌ノ供給ヲナサンカ爲メニ中央市場ニ於テ一層大ナル冷藏庫ヲ建設スルモ
  ノニハ政府ハ其建設費ノ半額ヲ補給ス可キ保護制ヲ定メタリシカ「ホワィトマン」商
  會直チニ之カ建設ヲ引受クルコトヽナレリ新冷藏機ハ九十屯ノ冷藏力ヲ有シ其鹹
  水管ノ延長實ニ八、九哩ノ長サニ達ス可ク海水ノ利用ト絕緣物ニハ洗淨且乾燥
  モバ
  セル六十噸ノ大葉達ヲ用カルハ特種〓度情ニシ入薬除ノ總裁備トテ
  ルハ「モントリール」其他多クノ會社ニ依テ使用セラルヽ粉穀ニ勝サル耐火性ヲ有シ
  價格ノ〓ニ於テモ英、米其他ノ諸國ニテ使用セル粉炭、粉末木炭、毛布其他ノモ
  ノニ比シ遙カニ低廉ナル〓ニアリ
  二加奈多政府ハ「ハリフックス」及「カンソーHalifoxCanso.ヲ漁餌冷藏ニ最
  モ適當ナル地ト定メ兩地ニ大ナル冷藏庫ヲ建設シテ特別ノ約款ヲ以テ保護ヲ與ヘ
  タリ「ハリハックス」ニ於ケル冷藏庫ハ同港沿岸ヲ航行セル大漁船隊カ需用ノ漁餌
  ヲ供給スル爲メト冬期間漁餌缺乏ノ爲メ漁業ヲ爲シ能ハサル地方ノ漁船ニ供給
  スル目的ヲ以テ建設セラレ「カンソー」ニ於ケル冷藏庫ハ近海方面ニ浮遊セル大小
  漁舟ノ廣キ需用ニ應スル目的ヲ以テ建設セラレタルモノナリ
  ノバスコシア
  一九〇六年Zo〓aScotia.ニ於テ四十噸ノ漁餌ヲ收容シ得可キ小冷藏庫二十
  七箇アリシカ新タニ百噸收容ノモノ二庫ヲ增設セリ
  五、冷藏貨車
  加奈多政府農務省ハ冷藏物ノ貯藏及貿易ノ發達ヲ計ランカ爲メ種々ノ方面ニ
  向テ保護監督ヲ實行セリ今冷藏食用品運送ニ關シ政府カ定メタル保護制ヲ舉ク
  レハ
  一バター冷藏貨車
  一週又ハ二週ニ一囘バター生產地ヨリ「モントリール」及「クヱベック」迄五月七日
  ヨリ十月二十一日迄運送スルコト
  貨主ハ普通貨車ノ賃率ヲ以テ積込ミ得ルコト
  政府ハ最小限貨車ノ三分二ニ對スル利益ヲ保證シ冷却用氷代一車ニ付四弗
  (八圓)ノ割合ヲ以テ鐵道會社ニ仕拂フコト
  一チース冷藏貨車
  七月一日ヨリ九月九日迄普通貨車率ニヨリ運轉スルコト但シ同期間內ハ貨主ノ
  請求アレハ鐵道會社ハ何時ニテモ冷藏貨車ヲ供給スルコト
  政府ハ各鐵道線一週間ニ於ケル限定數(總計百〇五車)ニ對シ氷代トシテ一車
  ニ付金五弗(十圓)以內ノ割合ヲ以テ仕拂フコト
  一果物冷藏貨車
  之レハ主トシテ「モントリール」又ハ「クヱベック」經由輸出ノ目的ニテ運轉サルヽモノ
  ニシテ八月一日ヨリ九月三十日迄ヲ運轉期間トシ貨主ノ請求ニ應シ鐵道會社ヨ
  リ貨車ヲ供給スルコト、
  政府ハ氷代一車ニ付五弗(十圓)以內ノ割合ヲ以テ鐵道會社ニ仕拂フコト
  六、加奈多ニ於ケル他ノ保護制條項
  一加奈多國內ニ於テ冷藏機ノ設備ヲ以テ總テノ〓用生產物ノ貯藏ニ適スル公
  衆用冷藏倉庫ヲ設立スル場合ニ善良ニシテ且ツ完全ナル作業ヲ爲シ得ル建築設
  備及維持ニ就テ總督ハ其代表者ト契約ヲ締結スルコトヲ得
  二、總督ハ此目的ニ向テ議會ノ協賛ヲ經タル資金中ヨリ前記倉庫ノ建築設備ニ
  シテ適法ト認メタル費用總額ノ百分ノ三十ニ該當スル金額ヲ割賦ヲ以テ附與スル
  コトヲ得
  三、倉庫完成シ且適當ナル溫度ニ於テ收容シ得可キ冷藏車ハ總テ農務大臣ノ認
  可ヲ受ケタルトキハ其建設費總額ノ百分ノ十五、同年末ニ於テ百分ノ七第二年
  目ノ終ニ於テ百分ノ四、第二一年及第四年ノ終ニ於テ各百分ノ二ニ該當スル保護
  金ノ下附ヲ受クルモノトス但シ會社營業ノ狀態ニ於テ農務大臣ノ承認ヲ得サル場
  合アルトキハ支給ノ限リニアラス
  一九〇七年右保護法制定セラルヽヤ保護金ノ下附ヲ申請シタル諸會社左ノ如シ
  一ニューブランスウ井ツク冷藏會社ニューブランスウ井ック州
  二、ゼ、スコット、アシュトン會社オンタリヲ州
  三、ゼ、ヱドモントン、プロデウス會社Fomonton-Alta.
  四、スコット、ヱンド、ホッグピーターボロオンタリヲ州
  五、ゼ、ハリファックス冷藏會社ノバスコシヤ州
  六、カナデアン魚類冷藏會社ブリテシュ、コロンビヤ州
  右ノ内政府ノ承認ヲ得テ保護金ノ下附ヲ受ケタル會社ハ「ニュープランスウ井ック
  冷藏會社」及「スコットアシュトン會社」ノ二會社ニシテ其他ノ會社ハ目下審
  議中ニアリ「ニューブランスウ井ック冷藏會社」ノ冷藏庫ハ最モ完全セル最進式ノ機
  械ヲ以テ設備セラレタル第一流ノ倉庫ニシテ而カモ其建設費用ハ冷藏室一立方
  尺ニ對シ僅カニ二十五仙(五十錢)弱ニ當ル比較的頗ル低廉ナル費用ヲ以テ完
  成セルモノニシテ政府ハ直チニ會社ヨリ提出セル勘定書(建設費)ニ據リ規定ノ第
  一期補助金ヲ下附セリ
  加奈多政府ハ數年以前ニ於テ腐敗易キ生產物ノ輸出ヲ獎勵センカ爲メ汽船內
  ニ新タニ通風艙及冷藏設備ヲ施スモノニハ其設備費用ノ殆ト半額ハ政府ヨリ補
  給スルコトニ定メタリシニ其後政府ノ補助ナキ汽船モ商業上ノ利益ヲ頒タンカ爲メ
  獨力汽船ニ冷藏裝置ヲ施スモノ續々其數ヲ增加セルヲ以テ政府モ今日ニ於テハ
  最早補給ノ必要ナキモノト認メ保議制ヲ廢止シタリト雖同政策ヲ以テ運送業ニ
  成功シタル政府ハ更ニ陸上冷藏庫ニ向テ保護政策ヲ蹈襲セルモノナリ
  一九〇七年ニハ冷藏庫ニ對シ政府ノ支出セル補助金額ハ十五万弗(三十万圓)
  ナリシモ一九〇八年度ニハ前年度ノ剰餘金アリシヲ以テ保護金豫算額七万五千
  弗(十五万圓)ニ減額セリ
  加奈多政府ハ歐米各國中最モ冷藏事業ニ保護ヲ與ヘタル結果トシテ現今ニテハ
  之レカ爲メ內外貿易ノ發達ヲ促進セシメタルコト著シキ域ニ達セリ卽チ「モントリー
  ル」經由英國諸港ニ向ケ輸出物ヲ積載セル船數四十七艘(一九〇七年)ニ達シ其
  他南亞弗利加「ニュージーランド」「メキシコ」及西印度其他ノ各地ニ年々輸出セル
  モノ頗ル盛況ヲ呈セリ
  七、南亞トランスバール冷藏會社ノ起原及政府ノ保護奬勵
  一八九六年「トランスバール」ニ於テ牛疫ノ流行ハ痛ク有識者ヲ刺激シ如何ニモシ
  テ商業上ノ成功ヲ以テ汎ク冷藏庫ノ利用ヲ誘導セサル可ラサルノ急務ヲ認メシメ
  タリ
  冷藏庫ヲ利用シテ肉類ヲ廉價ニ供給スルニ至ラハ人民モ亦多ク增殖セラルヽニ至
  ラントノ理想ハ官許ノ特點ト當時ニ於ケル政府ノ擁護ノ下ニ人力ヲ以テ可能ニ至
  ラシメタリ此間種々ノ困難ハ試ミラレタリト雖終ニ一八九八年南亞共和政府ノ內
  務大臣ト人民代表者「ペーター、ジヨハン、パトグリーター」及「ヘンドリック、ジヤコバス、
  スコヱマン(PeterJohannesPatGreterHendrikJacobasschoolan))兩氏
  トノ間ニ契約書ヲ締結シ幾許モナク此兩人ハ「トランスバール」ニ於テトランスバール
  冷藏株式會社ヲ創設セリ今其契約ノ要項ヲ摘記スレハ
  一會社ハ政府ノ監督ノ下ニアルコト
  二、政府ハ會社ノ爲メニ八万五千磅(八十五万圓)ヲ出資スルコト
  三、六名ノ取締中三名ハ政府ヨリ任命スルコト
  四、取締役全員ノ決議ニアラサレハ社債ヲ起シ又ハ借入金ヲ爲サヽルコト
  五、會社ハ合同組織ノ變更又ハ名稱ノ變更ヲ爲サヽルコト
  尙政府ガ「トランスパール」冷藏會社ニ與ヘタル契約ニ依リテ「プレトリア」及「ジャハ
  ンネスプルグ」ニ於テ官有地ノ最モ價値アル場所ヲ極メテ低廉ナル地代ヲ以テ借入
  ルコトヲ得タリ更ニ「ナタル」政府ト交渉シ「グーバン」港ニ於ケル最モ價値アル場所
  ヲ最モ滿足シ得可キ條項ヲ以テ借地契約ヲ締結セリ
  八、露國シヱントペータースボルグ市ノ市營冷藏庫
  西比利亞アムール產生鮭ノ冷藏品カ「リガ」ヘノ到來ハ露國官民ヲシテ非常ノ注
  目ヲ喚起セシメ官報ハ特ニ此事ニ關シテ論述スル處アリタリ然シテ特ニ露國「シヱ
  ン、ペータースブルグ」ニ於テ中央大冷藏ヲ設ケ廣ク各種ノ冷藏物ヲ保管シ之ニ
  關聯シテ冷藏貨車及冷藏船ヲ創設スルニ至ラハ同市ノ經濟狀態ヲ發達セシムル
  上ニ於テ非常ナル利便ヲ與フルニ至ル可キ見込ヲ以テ市會ハ直ニ各國ニ於テ採用
  セル冷藏設備方法ヲ應用シ之カ創設ヲナスヘキ準備ニ著手セリ
  九、英國軍艦ニ於ケル冷藏機設備
  英國政府ハ軍艦內ニ起ル可キ不意ノ出來事ヲ防止シ又ハ破裂ノ性質ヲ有スル物
  品ヲ安全ニ維持センカ爲メ軍艦內ニ冷藏機ヲ艤裝シ適當ナル温度ニ於テ彈藥室
  ヲ完全ニ維持センカ爲メ多數ノ小冷藏機ヲ注文シ各軍艦內ニ之レカ据付工事ヲ
  施シタルハ實ニ一九〇七年(明治四十年)中英國ニ於ケル冷藏事業中最モ注目
  スヘキモノナリトス
  十、「ニュージーランド」ニ於ケル冷藏庫
  一九〇七年七月「ニュージ-ランド」ノ政府ハ「パターチース」ノ品等ヲ定メタル後之
  カ充分ノ監督ヲ行フカ爲メニ同商品ヲ收容スヘキ冷藏庫ヲ設立スルノ必要ニ迫リ
  創設準備ニ著手セリ
  而シテ該冷藏庫ハ必スシモ海港ニ接近シテ設立セラルヘキヲ要件トセス尙政府ハ
  輸入品ニ對シテハ監督ヲ行フト雖船中積移ヲナサス他ニ輸送セラル可キ「バター、
  チース」ニ對シテハ政府ハ直接監督ノ責任ヲ負ハサルコトヽセリ
  十一、西部濠洲ニ於ケル冷藏庫保護
  一九〇七年西部濠洲ニ於ケル官設冷藏庫支配人カ爲セル報告書ノ一部ニ曰ク
  西部濠洲ニ於テ政府ハ內外貿易發展ノ目的ヲ以テ企畫サレタル事業ニ對シ之
  ガ救濟及保證ヲ與フル爲メ西北地方ニ於ケル潤澤ナル生產物ヲ取扱ヒ且海外輸
  出ヲ企ツル爲メ「ウインドハム」ニ於テ冷藏庫ヲ建設スル會社ニ對シ政府ハ其農業
  奬動資金ノ內ヨリ三万五千磅(略三十五万圓)ヲ出資シテ補助ヲ與フルコトニセ
  リ
  政府ノ此ノ保護制ハ直チニ牧畜業者ニ歡迎セラレ冷藏業ノ勃興ト共ニ小羊ノ輸
  出業ハ頗ル有望ナル勢ヲ以テ商業界ニ現出セリ初メ北部地方ノ生牛ハ大ナル危
  險ト困難トヲ以テ一頭三磅ニテ積出サレタルモノハ冷藏庫ノ發達ト共ニ牧場ニ於
  テ屠殺シテ冷藏設備ヲ以テ運搬シ一噸十志(略五圓)ノ割合ニテ「フレマントン」
  迄積送セラルヽニ至レリ
  政府ハ冷藏ノ利用ヲシテ獨リ牧畜業ノミニ限ラス苹果其他ノ果實ノ輸出ニ利用
  スルコトヲ計畫シ先ツ冷藏庫ノ功果ヲ知ラシメンカ爲メ苹果及洋梨ノ小量ヲ官設
  冷藏庫ニ收容セリ(一週間僅少ノ預料ニテ)然ルニ僅々ノ例外ノ場合ヲ除クノ外
  ハ成績極メテ佳好ナリシヲ以テ三月二十六日生產者ヨリ多クノ苹果ヲ收容シ十
  月二十六日ニ出庫シテ農務局內ニ之ヲ陳列シ以テ公衆ノ展覽ニ供シタリ而シテ
  該果物冷藏以前ニ於テ一箱、八志(四圓)ノモノハ冷藏後二十志乃至二十二志
  (十圓乃至十一圓)ニテ賣捌キ得ヘキ官許ヲ受ケタルヲ以テ二十九週間ニ亙レル
  保管料金一箱ニ付四志十片(二圓三十錢)ニ達シタルモ果主ノ所得ハ差引一箱
  ニ付十四志乃至十五志(七圓乃至七圓五十錢)ノ賣上利益ヲ得ルニ至レリ而シ
  テ二年以前冷藏庫ニ收容セラレタル果實ハ僅カニ四、五十箱ニ過キサリシカ昨年
  ノ收容高實ニ一万五千箱ノ多キニ達シ冷藏事業奬勵ノ趨勢ハ更ニ新タニ冷
  藏庫增設ヲ見ルニ至ル可シ云々
  十二、南部濠洲ニ於ケル官設冷藏庫
  プロヂユースデポツト
  南部濠洲政府ハ一九〇八年十月生產局ニ於テ「リンデ」式三百五十馬力ノ
  冷藏設備ヲ以テ一日六千ノ仔羊ヲ冷藏シ同時ニ屠牛十五万頭ノ冷凍室ヲ有ス
  ル一大冷藏庫ヲ設計セリ而シテ政府ハ更ニ各港ヨリ生產物ヲ積載シテ中央港市
  場ニ運搬シ再ヒ外國ニ輸出セシム可キ目的ヲ以テ冷藏船ノ建設ヲ企畫セリ
  十三、濠洲ヴ井クトリア政府ニテハ「ギーロング」港灣トラスト組合ヲシテ同港灣ノ設
  備ヲ完全ナラシムルト同時ニ北部「ギーロン」ニ於テ官設冷藏庫ヲ建設セリ斯クシテ
  海陸設備完成スルノ曉ニハ「ギーロン」港ハ南半球ニ於ケル屈指ノ良港タル可キハ
  遠キニアラサルヘシ
  十四、米國ニ於ケル官設冷藏庫
  一九〇八年合衆國農務省ハ各種〓用品冷藏ノ功果ヲ調査スル目的ヲ以テ
  官設冷藏庫ヲ建設ス可ク之ニ要スル資金二十万弗(四十万圓)ヲ國庫ヨリ支出
  ス可キ議案ヲ議會ニ提出セリ該議案ハ無異議議會ヲ通過スルニ至ル可ク冷藏物
  ニ關スル政府ノ保護監督ハ將來非常ニ有益ナル結果ヲ見ルニ至ル可シト云フ
  濠洲ニ於テモ之ニ傚テ同樣ノ設備ヲ施シ政府ハ學者ヲシテ調査官ニ任命シ冷藏
  物ニ對スル原理及生產物貯藏ニ適セル温度ヲ〓究セシム可キ急務ヲ痛論セリ
  十五、獨國ハ陸軍用ノ目的ヲ以テ盛ニ冷藏庫ヲ利用セリ佛國ハ此〓ニ於テ未タ獨
  逸ニ及ハサルモノアルモ今ヤ同國ニ傚フテ軍隊用ニ之レカ利用ヲ計リツヽアリ
  十六、米國政府冷藏試驗(冷藏食用品)
  米國「ワシントン」通信ニ曰ク今ヤ冷藏食用品ニ對スル試驗ハ有益ニシテ且興味ア
  ル方法ヲ以テ證明サレントセリ卽チ農務局ニ於テハ雇傭靑年者中ヨリ志願者ヲ
  募リ「ポイゾンスコット」ト稱スル試驗隊ヲ組織シ或一定ノ長時期間ハ農務局ヨリ供
  給セラル可キ冷藏〓用品ヲ以テ自己ノ食用ニ充テ他ヨリ何等ノ食用品ヲ支給セ
  サルコト、實驗以前ニ於テ彼等ノ體格及體量ヲ嚴密ニ檢查シ、試驗後引續キ每
  日其ノ體量及容體ヲ調査報告スルコト、牛肉、玉子、鳥肉、獸肉、果物、蔬菜其
  他ノ冷藏物ヲ任意ニ調理シ各自適當ノ分量ヲ食用ニ供スルコト
  此等ノ實驗ハ冷藏庫ハ〓用品ヲ貯藏トシテ完全ニ商業上ニ利用セラルヽ場合ニ
  〓用者ニ對シ如何ニ滋養分ヲ供給ス可キヤノ問題ニ付精確ナル論論ヲ舉グルニ
  至ルベシト
  十七、佛國政府冷藏試驗(冷藏〓用品)
  佛國政府ハ腐敗シ易キ種々ノ〓用品類ハ一時ニ多ク市場ニ晒ラサルヽ場合ニ生
  產者ニ多大ナル損失ヲ蒙ラシムルヲ憂ヒ之ガ保存法ニ付キ適當ナル手段ヲ講ズル
  ハ國家經濟上極メテ要務ナルヲ認メ日々產出スル農產物及果實類ノ貯藏ニ適ス
  ル温度ヲ調査スルコトニ定メ此道ニ卓越セル學者ヲ調査委員ニ任命シ低温度ノ
  貯藏ノ功果ヲ〓究セシムル爲メ此目的ヲ遂行スルニ最モ適當ナル「ナントバター」冷
  藏會社ノ冷藏庫ヲ試驗用ニ使用スヘキ認許ヲ與ヘタリ、、然シテ此調査ノ結果ハ一
  九〇八年十月巴里ニ於テ開設第一囘萬國冷凍法會議ニ提出セラレシ筈ナリ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=223

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• 224・長谷場純孝

  ○議長(長谷場純孝君)　委員長ノ報告ニ御異議ハナイト認メマシテ、本案ハ確定致
  シマス、日程第三十ヨリ第三十九ニ至ル請願デゴザイマスルガ、是ハ便宜上一件每ニ
  委員長ヨリ報告ヲナサシメ、逐次ソレヲ議題トシテ採決致シマス、日程第三十、特別報
  告第八十四號、煙毒除害工事設備ノ請願
  第三十(特別報告第八十四號)煙毒除害工事(委員長報告)
  設備ノ請願

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=224

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• 225・町田旦龍

  ○町田旦龍君　此席ヨリ報告致シマス本件ハ茨城縣-
  (「登壇々々」ト呼フ者アリ〕
  〔町田旦龍君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=225

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• 226・町田旦龍

  ○町田旦龍君　御報告致シマス本件ハ茨城縣多賀郡柏原町大字高萩七十五番屋
  敷士族農石平三郞外百十八名ノ呈出デアリマシテ)議員大津淳一郞君外一名ノ紹介
  ニ係ルモノデアリマス、審査ノ結果、採擇ニ決定致シマシタ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=226

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• 227・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　御異議ナイト認メ採擇ニ決シマス、次ハ日程第三十一、特別
  報告第八十五號鹽販賣業者失業ニ關スル請願
  第三十一(特別報告第八十五號)鹽販賣業者失(委員長報告)
  業ニ關スル請願

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=227

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• 228・町田旦龍

  ○町田旦龍君　本件ハ東京市深川區西大工町八番地平民鹽販賣商小野澤準一
  外十三名ノ呈出デアリマシテ、議員森肇君外一名ノ紹介ニ係ルモノデアリマス、審査ノ
  結果ハ採擇ニ決定致シマス
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=228

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• 229・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　御異議ガナイト認メマシテ、本件ハ採擇スルコトニ致シマス、次
  ハ特別報告ハ第十六號葉煙草耕作段別復活ノ請願
  第三十二(特別報告第八十六號)葉煙草耕作段(委員長報告)
  別復活ノ請願

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=229

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• 230・町田旦龍

  ○町田旦龍君　本件ハ新潟縣西蒲原郡赤塚村大字赤塚二百四十番戶平民農中
  野猪次郞外六百四十二名ノ提出デ、議員田邊熊一君ノ紹介ニ係ルモノデアリマス、
  審査ノ結果採擇ニ決定致シマシタ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=230

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• 231・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　御異議ナイト認メテ採擇スルコトニ致シマス、次ハ特別報告
  八十七號、在外國賣淫婦取締法制定ノ請願
  第三十三(特別報告第八十七號)在外國賣淫婦(委員長報告)
  取締法制定ノ請願

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=231

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• 232・町田旦龍

  ○町田旦龍君　本件ハ東京市麴町區上二番町三十三番地平民女子學院管理人
  矢島揖外二百七十二名ノ提出デ、議員根本正君ノ紹介ニ係ルモノデアリマス、審査ノ
  結果、採擇ニ決定致シマシタ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=232

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• 233・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　異議ナキモノト認メ、採擇ニ決シマス、次ハ特別報告八十八
  號產牛馬組合法改正ノ請願
  第三十四(特別報告第八十八號)產牛馬組合(委員長報告)
  法改正ノ請願

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=233

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• 234・町田旦龍

  ○町田旦龍君　本件ハ靑森縣三戶郡八戶町大字八幡町二番地士族農那須川光
  寶外六名ノ提出デ、議員關口安太郞君ノ紹介ニ係ルモノデアリマス、審査ノ結果、採
  擇ニ決定致シマシタ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=234

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• 235・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　御異議ナイト認メテ採擇ニ決シマス、次ハ特別報告第八十九
  號勸業銀行拓殖銀行又ハ農工銀行低利資金ヲ產牛馬組合ニ運用貸付ノ請願
  (特別報告第八十九號)勸業銀行拓殖
  第三十五銀行又ハ農工銀行低利資金ヲ產牛馬(委員長報告)
  組合ニ運用貸付ノ請願

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=235

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• 236・町田旦龍

  ○町田旦龍君　本件ハ靑森縣土族農那須川光寶外十六名ノ呈出デ議員關口安
  太郞君ノ紹介ニ係ルモノデアリマス、審査ノ結果、採擇ニ決定致シマシタ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=236

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• 237・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　御異議ナイモノト認メテ、採擇ニ決定致シマス、次ハ特別報
  告第九十號、牛疫豫防ニ關スル請願
  第三十六(特別報告第九十號)牛疫豫防ニ關ス(委員長報告)
  ル請願

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=237

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• 238・町田旦龍

  ○町田旦龍君　本件ハ東京市芝區烏森町五番地東京牛乳搾取同業組合長中澤
  惣次郎ノ呈出デ、議員森田俊左久君ノ紹介ニ係ルモノデアリマス、審査ノ結果採擇ニ
  決定致シマシタ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=238

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• 239・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　御異議ナキモノト認メ採擇ニ決シマス、次ハ特別報告第九十
  一號常任判事檢事任設ノ請願
  第三十七(特別報告第九十一號)常任判事檢事(委員長報告)
  任設ノ請願

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=239

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• 240・町田旦龍

  ○町田旦龍君　本件ハ秋田縣雄勝郡湯澤町長代理助役渡邊典藏外五十九名ノ
  呈出デ、議員榊田〓兵衞君ノ紹介ニ係ルモノデアリマス、審査ノ結果、採擇ニ決定致
  シマシタ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=240

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• 241・肥塚龍

  ○副議長(肥塜龍君)　御異議ナキモノト認メテ採擇ニ決シマス、次ハ特別報告九十
  四號岐阜監獄移轉ノ請願
  第三十八(特別報告第九十四號)岐阜監獄移轉(委員長報告)
  ノ請願

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=241

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• 242・町田旦龍

  ○町田旦龍君　本件ハ岐阜市參事會員岐阜市長服部正外一名ノ呈出デ、古井由
  之君外二名ノ紹介ニ係ルモノデアリマス、審査ノ結果、採擇ニ決定致シマシタ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=242

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• 243・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　御異議ナイモノト認メテ、採擇ニ決シマス、次ハ特別報告第
  九十六號區裁判所出張所設置ノ請願
  第三十九(特別報告第九十六號)區裁判所出張(委員長報告)
  所設置ノ請願

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=243

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• 244・町田旦龍

  ○町田旦龍君　本件ハ島根縣那賀郡有福村々長森脇惣一ノ呈出デ、議員河上英
  君ノ紹介ニ係ルモノデアリマス審査ノ結果、採擇ニ決定致シマシタ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02219110314&spkNum=244

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• 245・肥塚龍

  ○副議長(肥塚龍君)　御異議ナキモノト認メ、採擇ニ決シマス、是ニテ本日ノ日程ハ
  結了致シマシタ、報告ガゴザイマス
  〔書記朗讀〕
  一議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  明治三十四年法律第二十七號中改正法律案
  提出者根本正君吉植庄一郞君小久保喜七君
  高久倉藏君武藤金吉君阪泰碩君
  江原節君塚田啓太郞君
  市制改正法律案ニ對スル修正案
  提出者荒川五郞君
  町村制改正法律案ニ對スル修正案
  提出者荒川五郞君
  國設模範製絲所創設ニ關スル建議案
  提出者森國造君
  常設美術展覽會設置ニ關スル建議案
  提出者竹內正志君淺羽靖君
  郡域變更ニ關スル建議案
  提出者塚田啓太郎君
  煉乳原料砂糖戾稅法中改正法律案
  提出者山本悌二郞君齋藤二郞君黃金井爲造君
  福井準造君
  高等工業學校設置ニ關スル建議案
  提出者鷲田土三郞君
  一田川大吉郞君外一名ヨリ生活必需品價格騰貴ノ傾向ニ關スル質問主意書ヲ
  提出セラレタリ
  一大内暢三君外一名ヨリ朝鮮穀物移入稅ニ關スル再質問主意書ヲ提出セラレ
  タリ
  一高柳覺太郞君ヨリ普通選擧法案ニ對シ貴族院ニ於ケル政府委員ノ言明ニ關ス
  ル質問主意書ヲ提出セラレタリ
  一政府ヨリ左ノ質問書ニ對シ答辯書ヲ送附セラレタリ
  馬匹改良方針ニ關スル質問主意書(寺內陸軍大臣)
  言論出版ノ自由及藝術ノ取締ニ關スル質問主意書(平田內務大臣)
  衆議院議員澤來太郞君提出馬匹改良方針ニ關スル質問ニ對シ別紙答辯書差進
  候也
  明治四十四年三月十四日
  內閣總理大臣侯爵桂太郞
  衆議院議長長谷場純孝殿
  (別紙)
  衆議院議員澤來太郞君提出馬匹改良方針ニ關スル質問ニ對スル答辯書
  一蘆毛月毛河原毛ノ馬匹ヲ社團法人タル競馬倶樂部ノ競馬ニ出場セシメサルハ是
  等馬匹ノ生產ハ馬匹改良上奬勵スヘキモノニアラサルヲ以テ該毛色ノ新馬ニ對シ
  出場ヲ許ササル次第ニシテ從來出場シタル優良ナル馬匹ノ競走ヲモ禁止シタルモノ
  ニアラス又種馬ニ前記毛色ヲ禁シタルコトナシ
  一藤枝競馬倶樂部ニ於テ蘆毛ノ新馬ヲ出場セシメタルハ倶樂部ノ誤解ニ出テタルモ
  ノナルヲ以テ馬政局ヨリ同倶樂部ニ對シ注意ヲ加フルト共ニ各競馬倶樂部ニ其
  趣旨ヲ通牒シ松戶競馬倶樂部ハ此通牒ニ基キ該馬匹ノ出場ヲ中止シタル次第
  ナリ從テ將來右ノ如キ誤解ヲ生スルノ虞ナシ
  右及答辯候也
  明治四十四年三月十四日
  陸軍大臣子爵寺內正毅
  衆議院議員關和知君提出言論出版ノ自由及藝術ノ取締ニ關スル質問ニ對シ別
  紙答辯書差進候也
  明治四十四年三月十四日
  內閣總理大臣侯爵桂太郞
  衆議院議長長谷場純孝殿
  衆議院議員關和知君提出言論出版ノ自由及藝術ノ取締ニ關スル質問ニ
  對スル答辯書
  安寧秩序ノ保持又ハ風俗ノ取締上已ムヲ得サルモノト認ムル場合ニ限リ法律ノ規
  定ニ依リ必要ナル措置ヲ取ルノ方針ニシテ人權ヲ抑壓シ文化ヲ阻害スルコトナシ
  右及答辯候也
  明治四十四年三月十四日
  內務大臣法學博士男爵平田東助
  〔左ノ質問書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス)
  荒川中川多摩川河身改修豫備ニ關スル質問主意書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治四十四年三月十四日
  提出者高木正年贊成者加藤政之助
  外二十九人
  荒川中川多摩川河身改修工事ノ豫備ニ關スル質問主意書
  荒川ノ水害ヲ絕滅セムカ爲新川ノ開鑿ヲ企テ本年度ヨリ著手セムトスルハ吾人ノ喜
  フ所ナリト雖該工事ハ其ノ成功ヲ期スル迄約十箇年ヲ要スルヲ以テ此ノ間四十年
  乃至四十三年度ノ如キ出水ヲ見ルナキヲ保スヘカラス抑モ荒川ノ出水ハ其ノ水源ニ於
  テ山林ノ濫伐土砂ノ崩壞等年次其量ヲ加ヘ隨テ河床ノ隆起等以テ之カ因ヲ爲スト
  雖末流堤外ニ於ケル營造物ノ建設ニ關シ之カ取締ヲ嚴ニセス又猥ニ埋立等ヲ企劃
  セシメ其ノ結果流域ヲ緊縮シ爲ニ水害ヲ助長セシメタルモノナレハ若今日ノ儘ニ之ヲ
  放任セムカ新川開鑿ノ未タ成ラサル以前ニ於テ慘害ヲ再ヒスルモ知ルヘカラス故ニ新
  川開鑿ノ起工ト共ニ荒川流域ヲ妨クル障害物ハ先ツ之ヲ撤去スルヲ要ス政府採ル
  所ノ施設如何
  中川ノ水流ハ居常甚タ緩慢ニシテ何等危惧ノ念ヲ生セサルモ一度出水ヲ見ルアラハ
  田園變シテ河ト爲リ海ト爲リ之カ汎濫ノ區域頗ル廣大ニシテ又荒川ノ水災ニ劣ラサ
  ルナリ是レ該川ノ水源甚タ遠ク隨テ多クノ水量ヲ蠶澱シ加フルニ河身ノ屈曲甚シク
  且末流內灣ニ面スル箇所ハ殆ト塡塞シ之カ流出ヲ妨クルニアルハ中川ノ狀勢ヲ諳ム
  スル者ノ既ニ知承スル所ナリ然ルニ政府ハ荒川ノ河身改修工事ヲ第一期工事トセル
  ニ拘ラス中川ヲ第二期工事ト爲シ十數年間現在ノ儘ニ放任スルトキハ中川下流ノ
  此ノ間幾囘之ヲ繰リ返ス無キヲ保スヘカラス故ニ荒川ノ改修ト共ニ中川ノ末流最水
  勢ヲ激セシムル河床豫備工事トシテ新調シ之ト同時ニ其ノ堤塘ヲ高メ出水ノ際ニ於
  ケル災害ヲ豫防セシムルヲ要ス若之ヲ能ハストセハ中川ノ河身改修ヲ第一期ニ繰リ
  上ケ根本ヨリ其ノ災害ヲ除去セサルヘカラス政府ノ見ル所如何
  政府ハ多摩川ノ河身改修工事ヲ第二期トセリ是レ蓋多摩川ノ水害ヲ以テ他河川
  ノ如ク大ナラストスルニアリト雖多摩川一箇年間損害ノ平均額ハ約十九万餘圓ニシ
  テ之ヲ一期間乃チ十八箇年ニ積算スレハ其ノ額少ナカラサルノミナラス一朝出水ノ
  事アルヤ京濱間ノ連絡ヲ杜絕シ之カ爲ニ國家カ蒙ル所ノ損害ハ幾何ナルヤヲ知ルヘ
  カラス若有事ノ時ニ於テ如斯狀態ヲ現セムカ遂ニ濟フヘカラサル災厄ヲ來スヘシ抑モ
  多摩川ノ水災カ輓近其ノ度ヲ加ヘタルハ其ノ原因一ナラス河床ノ塡塞シタルハ素ヨ
  リ之カ因ヲ爲シタリト雖多摩川堤外ニ於ケル東海道線鐵道鐵橋ノ前後ニアル木橋
  ヲ撤シテ土堤トシ百餘間ノ流域ヲ緊縮セシメタルハ最大ナル原因ト爲サヽルヘカラス
  此ヲ以テ一朝出水ノ事アラムカ其ノ災害ハ每ニ先ツ鐵橋以西ニ及ホシ而シテ其ノ水
  勢ハ鐵道ノ線路ニ添ヒ矢口六〓蒲田大森入新井ノ諸村落ニ渉リ一大假流ヲ作シ
  甚大ナル慘害ヲ蒙ルハ四十年及ヒ四十三年ノ出水ニ就テ熟知スル所ナリ昨今鐵道
  院カ京濱間連絡杜絕ヲ憂ヒ該總線路ヲ高メムトスルノ舉アリ斯ノ如ク線路ヲ高ムレハ
  高ムル丈ケ鐵橋以西ノ水害ハ益〓其ノ度ヲ强メムトス但シ此ニ鑑ミテ堤內線路下ニ
  二三ノ水拔ヲ設ケムトスルモ斯ル少數ノモノニテハ效ナキノミナラス水拔ノ下流ト爲ル
  ヘキ田園ハ集注セル水流相激シ一大假川ヲ作ルハ自然ノ勢ニシテ家ヲ流シ人ヲ傷フ
  ハ火ヲ睹ルヨリ明ナリトス故ニ多摩川河身改修ヲ第一期工事トシ根柢ヨリ水害ヲ除
  クノ實ヲ講スルハ素ヨリ緊急ノ事業タルト同時ニ多摩川堤外鐵橋前後ノ土堤ヲ東
  海道線創設ノ當時ニ於ケルカ如ク橋梁敷ト爲シ其ノ流下ヲ速ニスヘシ政府ノ處置果
  シテ如何
  多摩川水災ノ狀況ハ如上ノ如シト雖鐵橋以下ノ水流ニ於テモ從來ノ施設宜キヲ得
  サルハ又其ノ因タルヲ免レス一ハ羽田ニ面セル河口ノ流域ニ幾多ノ埋立ヲ企劃スル
  者ニ對シテ其ノ許可ヲ猥ニシ他方ニ在リテハ大師河原ニ面セル河流モ亦同一ノ狀態
  ニ在リ爲ニ河床ノ隆起スルト同時ニ流水ノ區域相狹マリ此ヲ以テ多摩川ノ水勢ハ
  一度鐵橋ニ依テ扼セラレ再羽田河口ニ於テ緊縮ス之ヲ四十年及四十三年度ノ出
  水ニ徵スルニ羽田海面ハ既ニ干潮ノ時ト爲リ波濤ヲ起スノ潮ナキニ是ト相隔タサル
  上流ノ數十箇町村ノ浸水ハ數尺ノ深キニアリ幾多ノ假川ヲ造リテ放流ヲ擅ニス恰モ
  袋ノ內ヲ扼シテ物ノ溢出スルノ狀ノ如シ若如斯ニシテ其ノ爲ス所ニ委セムカ不測ノ變
  ヲ生スルヤモ知ルヘカラス故ニ多摩川河身改修工事ノ完成ヲ期スルマテ多摩川下流
  ニ於ケル埋立又ハ砂止等流勢ヲ妨クルモノヲ嚴禁シ其他障害ト爲ルヘキ物ハ一切之
  カ施設ヲ成サシメサルヲ要ス政府ノ處置如何
  右及質問候也
  生活必需品價格騰貴ノ傾向ニ關スル質問主意書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治四十四年三月十四日
  提出者田川大吉郞花井卓藏
  贊成者濱岡光哲
  外三十人
  生活必需品價格騰貴ノ傾向ニ關スル質問之主意書
  今ヤ世界ノ物價ハ〓シテ騰貴ノ傾向ヲ示シ中流以下ノ生活難ノ聲相踵キ就中本
  邦ニ於テ特ニ甚シキモノアリ其ノ將來ヲ豫想スルニ殆ト寒心ニ堪ヘス我カ政府ハ之ヲ
  救遏スルニ何等ノ對策アリヤ若ハ現ニ何等ノ施設ヲ準備シツツアリヤ是レ本員ノ聞カ
  ムト欲スル要綱ナリ
  試ニ本邦ノ既往二十年間ニ於ケル生活必需品價格騰貴ノ傾向ヲ示セハ左表ノ如
  シ
  品目年次二十年二十五年三十年三十五年三十九年四十年四十一年
  錢錢錢錢錢錢錢
  石七、〇〇一一、八一一二、〇〇一四、四四一六、〇二一五、二四
  二、三六三、三一四、八八四日式四、六二五、四六六、一四
  三、九八五、三七七、八九七、〇八八大丸九、八五九、六〇
  四、〇七五、〇六長だと七、〇八九、六三一〇、二六九、三〇
  白味醬食大小大米
  一、一九一、四六三、一七二、一七五、一八五、二四五、二三
  糖糖增油鹽豆麥麥八、二九九、三八一三、三三二二、六〇二二、七五
  百一同百一同同同同同一一七、二〇二二、一六
  貫目〇、二五〇、三〇〇、三一〇、三二
  斤七、七五八、〇七一〇、〇〇一〇、四六一五、九九一六、〇九一七、四一
  砂砂長五百
  五、〇二五、五七六、七六一〇、四六一〇、九四一一、三二
  貫IN一、七五三、四三三、八八四、一九五、二〇五、七九
  -一六、六九二二、一三三二、三八三三、五七三五、〇一
  乳卵肉節
  目升箇斤目11一、八四二、三三三三六六二、三八
  轉水木薪牛鷄牛鰹赤〇、三九〇、三八〇、三八〇、三九
  一同十一百貫〇、一一〇、一三〇、二四〇、二五〇、二六〇、二九〇、三一
  炭〇、二九〇、三八〇、七三〇、八二〇、八〇〇、九五一、〇九
  油石一九、一九二〇、三二三三、九〇三四、七六五〇、〇八四五、八九三八、三一
  スルニ左表ニ示ス如ク著大ノ相違アリ
  工種國國英國佛國獨國日本
  弗弗指數弗弗指數弗弗指數弗指數
  種工九、一二-九、八五一〇一五、二五-七、〇二六五(六、五五-七、六〇七五二、九八三
  工九、四〇-九、五七ce0五、二五-七、〇二六五二、七一二九
  工八、八〇-九、五七一〇一五、八四-七、三六七二六、五五-七、六〇七七二、三七二六
  鍛左越大石燒具八、八〇-九五七一〇〇五、七八-六、四三六六11ニ大百
  工官工八、八八-一〇、一四(00五、七八-七、〇六六七11二、四一二五
  冶七、七九-九、七六010六、一二-七、一三八四六、九三-八〇三九〇二、〇九三五
  植字工六、八一-八、〇三一〇〇五、五六-七〇二八五六、〇二-六三一八二一 四七二一
  平均101七二八二六
  備考英佛獨ノ賃銀ハ一九〇五年十月調査ニシテ日本ノ賃銀ハ一九〇四年ヨ
  リ一九〇八年ニ至ル五箇年間ノ平均ナリ
  卽チ本邦諸職工ノ收入ハ英國ノ百ニ對スル二十六ニ過キスシテ平均約四分ノ一ナ
  リ英國ニ對シテ此ノ如シ故ニ米國ニ對シテハ平均約七分ノ一若ハ八分ノ一ニ過キサ
  ルヘシ而シテ其ノ主要ナル生活必需品ノ價格ヲ以テ本邦同種ノモノニ比較スレハ略
  左ノ如シ
  品目國別英國佛國獨國日本
  一七、五二三、〇二八、〇三五、〇
  石匁九七〇、〇一三五九、〇
  一二八〇、〇九六〇、〇
  砂麵大小牛糖麭麥麥肉同百同一百七八三、〇八三六、〇九二九、〇六一四、〇
  干匁五、八六、五六〇
  一六〇二二九ん〇二·五五
  食鹽一石
  岩鹽同一〇、〇11五二三、〇
  一頭
  馬齡一八二三九〇、〇
  牛二、八二、〇二、五三、九
  卵炭乳薯一一一同噸合
  石一〇〇〇、〇一八四〇、〇一〇八〇、〇七九五、〇
  鷄箇三、五二、四
  以上英佛獨三國ノ市價ハ農商務省ノ調査ニ據リ其時期ハ千九百五年ヨリ八年
  ノ間ニ出入シ日本ノ市價ハ同シク農商務省ノ統計ニ依リ其時期ハ四十一年中ナ
  リ
  以上ノ統計ニシテ謬リナクハ本邦ノ物價ハ〓シテ歐洲ヨリモ低廉ナラサルノミナラス反
  テ一般ニ高價ナリト稱スヘシ米國ノ物價ハ〓シテ歐洲ノ下位ニ在リ例ヘハ小麥一石
  八圓十五錢大麥同五圓八十五錢牛肉百目十五錢九厘鷄卵一箇三錢四厘等ナ
  リ以テ本邦トノ高低ノ關係如何ヲ知ルヘシ此ノ如ク其ノ收入ハ〓シテ少ク其物價ハ
  〓シテ高シ我カ職工階級ノ窮スルモノ自然ニアラスヤ然ルニ世間動モスレハ本邦勞銀
  ノ低廉ナルハ本邦工業ノ强所ナリ本邦ノ工業ハ此ノ故ニ有望ナリ而シテ勞銀ノ低廉
  ナルヲ得ル所以ハ其ノ生活費カ比較的低廉ナルヲ得ヘキ事情ノ存スルニ因ルト謂フ
  而モ以上ノ統計ハ其ノ生活費ノ比較的低廉ナルヲ得サル理由ヲ說明シテ餘リアルニ
  非スヤ
  本邦ノ職工賃銀ハ決シテ永ク今日ノ如ク低廉ナルヲ得サルヘシ此ノ點ヨリ視テ本邦
  工業ノ優勝ヲ將來ニ夢想スル世間ノ期待ハ全ク潰ヘサルヲ得ス況ヤ賃銀ノ低廉ハ必
  スシモ生產費ノ低廉ニ非ス生產費ノ低廉ハ寧ロ其ノ生產能率ノ高度ニ待タサルヘカ
  ラス而シテ本邦ニ於ケル生產能率ノ低度ナル事實ハ中外ノ明知スル所是レ實ニ本邦
  工業界ノ深憂大患ニ非スヤ此頃出來カカリタル工場法ハ資本家迎合ノ一點張ヲ以
  テ成リ到底我カ工業ノ促進ヲ期待スヘカラサルノ事狀アリ政府ハ何ヲ以テ我カ職工
  ノ生產能率ヲ高メ以テ我カ工業界ノ進步ヲ助ケムトスルヤ而シテ生活必需品ノ低廉
  ヲ謀ルハ其急務ニ非ラサルカ且英國商務院ハ曩ニ英佛獨三國職工ノ收入及支出
  表ヲ左ノ如ク緝成シテ公示セリ
  英佛獨ニ於ケル職工ノ收入及支出表一九〇三年英國商務院年報
  職業別收支英國佛國獨國
  磅志指數磅志指數磅志指數
  家平均收入一二七、〇六一〇〇八三、一四六六七四、〇五五八
  綿絲業家平均支出九六、一一一〇〇六八、〇六七一五三、〇三五五
  同一一八、〇二一〇〇九七、〇二八二六七、一六五七
  毛織業同八二、〇七一〇〇六二、〇一七五六一、〇五七四
  一一四、一七一〇〇
  硝子業九〇、一九一〇〇111
  一〇四、一二一〇〇-
  銑鐵業八七、〇〇一〇〇
  =一一九、〇一一〇〇一〇六、〇五八九六九、〇七五八
  棒鐵業同同同同同同同同同同九五、〇一一〇〇八〇、一九八五五九、一八六三
  一三四、一八一〇〇六一、〇九四六
  綱鐵業一〇二、〇〇一〇〇1-七〇、〇四六九
  一一三、〇八一〇〇1-九六、〇三八五
  石炭業八三、〇二一〇〇11
  ~
  コークス一同八六、一六一〇〇1九五、一四一一〇
  業同七一、一八一〇〇
  卽チ英佛獨諸君ノ職工ハ如上ノ收入ニ依リ如上ノ支出ヲ辨シテ年々相當ノ餘裕ア
  ルヘキ割合ヲ示シ現ニ其ノ樣ノ事實アリ知ラス我カ政府ハ以上ノ職工若ハ其餘ノ職工
  ノ收入ニ對シ實際幾何ノ支出剩餘ヲ生スヘキ割合ナリト信シ現ニ幾何ノ剩餘ヲ存シ
  ツヽアリト信スルヤ若シ其調査アラハ之ヲ示サレムコトヲ望ム若未タ之レナクハ至急ニ
  之カ調査ニ著手シ發表セラレムコトヲ望ム
  惟リ此ノミナラサルナリ農商務省ハ曩ニ世界主要米產地ニ於ケル米作收支經濟比
  較表ナルモノヲ生產調査會員ニ頒テリ其ノ要領左ノ如シ
  世界主要米產地ニ於ケル米作收支經濟比較
  日本米國舊韓國緬甸暹羅交趾支那
  オ
  收入總計二七、六〇二〇、六九一三、三六四七、三一八、三一六、二五
  支出總計三〇、一一二一二、三八一四、六六九三、三八四、四七四、八〇
  內譯
  子代三、五一、九二
  肥種四、八五、五五
  營養 內科書一、〇〇、九八
  基費九、一一七二、一〇八三、四〇二、二〇
  勞役費八大五四、八二
  水及土、六〇
  繕費
  利士公地本 大阪地方租四、五九七、七五二、五〇〇、四七、一〇
  地資本二、二一四、八〇、七〇〇->〇二、五〇
  子一〇、〇〇〇
  差引損益(一)二、五一二(+)七、七六(一)一、三〇五(十)三、九三(4)三、八四(十)一、四五
  以上日本ノ分ハ全國ノ平均ニ非スシテ所謂中等田ヲ基礎トシ一段步生產高ヲ
  二石トシ且一毛作田ニ依リ土地資本ニ對スル利子ハ市價一段步二百圓利率
  年五分ノ計算ニ依リ勞役費ハ男一日三十五錢二十五日ヲ要スルノ計算ナリト云フ
  以上ノ統計ニシテ謬リ無クハ日本及朝鮮ノ米作ハ遙ニ自餘諸國ノ餘裕アル收支ニ
  如カサルモノナリ本邦農民ノ狀況カ日ニ貧弱ニ傾キ負債ニ加フルニ負債ヲ以テシテ往々
  流亡相次カムトスルモノ怪ムナキノ結果ニ非スヤ聞ク我カ邦ノ土地ヲ抵當及質入
  セルモノノ貸借關係ハ既ニ十億圓ヲ超ヘ其ノ口數ハ三百六十万件ニシテ其ノ利子ハ
  約一割二分平均ナリト支出ヲ償ハサルノ收入ヲ以テ一割二分ノ借金ニ攻メラレ而シ
  テ生活必需品ノ高價ナル事實ハ前表示ス所ノ如シ工業界此ノ如ク農業界此ノ如シ政
  府ハ誰ト共ニ我カ國富ヲ進メ我カ國力ヲ强クセムントスルカ疑ヒナキ能ハサルニ非スヤ
  政府ハ差當リ此等生活必需品ノ市價ヲ低下セシムヘク若ハ其ノ騰貴ヲ制遏スヘク既
  ニ何等ノ計畫ヲ立テ若ハ何等ノ施設ヲ準備シツヽアリヤ請フ其ノ目ヲ與リ聞カム若
  ハ政府ハ此等ノ狀態ヲ以テ自然ニ放任スルノ外別ニ施スヘキ策ナシト爲ス乎
  更ニ問ハント欲ス本邦ニ於ケル有配偶者ノ數ハ比年其ノ割合ヲ減シツヽアリ例ヘハ
  左表ノ如シ
  年次有配偶者男女合計人口百中有配偶者數人口百中無配偶者數
  人人
  一四、五七八、〇〇二三七、八八六二、三
  一一四、八三九、九〇六三七、四八六二、五二
  五二二五、五二八実七八六三、二二
  一六一六一九年年年年年五、九五九一一六四大六三、五四
  二六、
  四三三一六四五八、三〇四chriscope六四、七八
  七、一六六、一八八三四、六二六五、三八
  卽チ四十一年ニ於テ人口中百人中無配偶者ハ六十五人三八ナリ更ニ之ヲ年齢別
  ニ徵スルニ二十歲ヨリ二十五歲ニ亙ル百人中有配偶者ハ男十七人ニシテ女三十
  人無配偶者ハ男八十三人女七十人ト爲リ更ニ二十五歲ヨリ三十歲ニ亙ル百人中
  有配偶者ハ男五十人ニシテ女六十六人ト爲リ更ニ三十歲ヨリ四十歲ニ亙ル百人
  中ノ有配偶者ハ男七十二人女七十五人ト爲ル政府ハ此無配偶者ノ夥多ナル現象
  ヲ以テ社會生活ノ不安ヲ誘起シ及犯罪事實ノ增加ヲ來ス近年ノ傾向ニ何等ノ影
  響關係ナシト爲スヤ
  實ニ近年我カ國ニ於ケル犯罪者增加ノ傾向ハ左表ノ如ク著シキモノアリ
  年次在監人總數人口一万人ニ對スル在監率
  人
  四四十年年五四、〇〇六一
  十一五四、〇八二○分かハ人分人
  四十二年六六、〇一五二六九强强强强
  四十三年七二、四二九ハ
  而シテ之ヲ歐洲ニ於ケル英吉利ノ人口一万人ニ就キ六人七分佛蘭西ノ同七人(普
  漏西ハ同十四人一分ナリト云フ)等ノ割合ト比較スルニ驚クヘキ對差ニ非スヤ
  政府ハ以上無配偶者ト犯罪者ノ比年增加シツヽアル實況ヲ以テ生活必需品騰貴
  ノ傾向ニ何等ノ影響ナシト爲スヤ若之アリトセハ之ニ處スルノ道如何
  凡ソ生活ノ難易ハ元氣ノ消長產業ノ盛衰社會ノ泰否國運ノ隆替ニ至密ノ關係ヲ
  有ス此ノ故ニ日常生活品ノ豐盈低廉ヲ圖運ルハ近時ニ於ケル政治的規畫ノ重要部分
  ヲ占ム西洋諸國ニ於テ既ニ然リ本邦ニ於テモ亦當ニ然ルモノアルヘシ願クハ明確親
  切ノ答辯アリ幸ニ民ト共ニ其ノ慶ニ賴リ其ノ憂ヲ少フセムコトヲ希望ニ堪ヘス
  右及質問候也
  朝鮮穀物移入稅ニ關スル再質問主意書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治四十四年三月十四日
  提出者大內暢三石橋爲之助
  贊成者犬養毅
  外三十人
  朝鮮穀物移入稅ニ關スル再質問主意書
  移入稅ノ改廢ハ經濟及財政上重要ノ問題ニシテ之カ調査ヲ要スヘキハ政府ノ答辯
  ヲ待タスシテ明カナリ然ルニ穀物ノ移入稅ハ現今朝鮮ノ啓發上至大ナル障害ヲ與ウ
  ルモノト認ム政府亦其ノ見ヲ同ウシテ之カ改廢ヲ努ムルノ意思アルヤ否ヤ
  右及再質問候敢テ趣旨ヲ辯明セサルニ依リ文書ヲ以テ直ニ答辯相成度候也
  樺太開發ニ關スル質問主意書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治四十四年三月十四日
  提出者卜部喜太郞大內暢三
  贊成者關和知
  外三十一人
  樺太開發ニ關スル質問主意書
  第一政府カ樺太漁業制度ニ付採ル所ノ方針如何
  (一)樺太ニ於テ鰊鮭鱒三種ノ漁撈ヲ少數ノ出稼者タル建網業者ニ之ヲ特許
  シ土著移住者ノ一般漁民ニ之カ漁獲ヲ許ササル理由如何
  (二)樺太ニ於テハ出稼者タル建網業者ヲ優遇シ土著者ノ細漁民ヲ薄遇スルノ
  事實ヲ認ム假令ハ建網業者ハ用材及新材ヲ無料ニテ伐採使用シ得ルノ特典
  ヲ有スルモ土著者ノ細漁民ハ然ラス其ノ理由如何
  (三)政府カ現今採ル所ノ建網漁撈法ハ蕃殖上ニ害ナシト思フカ又濫獲ノ弊ナ
  シト思フカ蕃殖上ニ害ナシトスレハ其ノ理由濫獲ノ弊ナシトスレハ其ノ理由ヲ示
  セ
  ( 四)政府カ樺太ニ於テ農業移民ニ對シテハ相當ノ保護ヲ爲シ漁業移民ニ對シ
  テハ何等ノ保護ヲ加ヘサル傾キアリ農業移民ト漁業移民ト拓地殖民ノ上ニ於
  テ如何ナル〓ニ相違アルヤ其ノ理由如何
  (in)政府ハ樺太漁業令ニ依リテ鰊建網漁撈ニ關シ何等ノ制限ヲ設ケス資本ト人
  事ノ全力ヲ舉ケテ濫獲スルモ之ヲ不問ニ付シ沿岸漁民カ若一尾タリトモ鰊ヲ
  漁獲シタルトキハ嚴刑ニ科スル事ト爲リ居レリ斯テハ一視同仁ノ大御心ニ反ス
  ルコトハナキヤ
  (六)政府ハ建網漁業者ノ出稼人ト土著移住ノ細漁民ト何レカ拓殖民ノ本旨
  ニ適フモノナリト信スルヤ其ノ明確ナル說明ヲ示セ
  (七)政府ハ競爭入札ニ依リ三十九年以來漁業料ヲ徵收シ來リシカ其ノ年額
  實收金高ト政府ニ於テ每漁場ノ價格料金ヲ決定シタル最低額ト對照シテ幾
  干ノ增收ト爲リ居ルヤ詳細ニ明示セヨ
  (八)現今樺太ニ於テ建網業者ノミニテ收獲スル鰊鮭鱒ハ價格何程ナルヤ四十
  一年四十二年四十三年ノ三箇年間ノ實收價格ヲ示シ漁業料モ又右三年間
  ノ實收入ヲ示シ現制度ノ料金ハ收獲高ノ何十割稅ニ相當スルヤヲ明確ニ說
  明ヲ示セ
  (九)政府カ樺太ニ於テ官領民營主義ヲ採リテ漁場ニ附屬スル海產干場ヲ其
  ノ開拓者タル民人ニ所有權ヲ付與セサル理由如何
  (+)政府カ樺太「ラクマッカ」水產試驗場ニ据付タル「カンメル」式魚粕乾燥器
  械ハ北海道水產試驗場ニ於テ既ニ失敗ノ歷史ヲ有シ居ルニモ拘ラス十數萬圓
  ヲ投シ購入シタルハ實用的ノ積リナリシカ將タ見世物ノ積リナリシカ實用的トス
  レハ一年中ニ何日間其ノ器械ヲ應用スルヤ今日迄ノ成績ヲ示セ
  第二官制及拓殖政策ニ關シ採ル所ノ方針如何
  (一)政府ハ三十九年四十年頃ハ樺太ノ富源ハ水產ニアリトシ大ニ吹聽シ四
  十一年項ハ石炭ヲ以テ富源ノ第一ナリト稱シ四十二年度ハ「テルピン」油榨取
  事業ヲ以テ唯一ノ富源ナリトシ四十三年度ハ乾溜工場ヲ建設シ「アルコール」
  醋酸「タール」等ノ化學工藝事業ヲ以テ樺太拓殖ノ島是ト爲スト吹聽シ居タ
  リ然ルニ現今ハ又舊ニ復シ水產ヲ以テ唯一ノ富源ナリト改稱スルニ至レリ政
  府ノ樺太政策ハ每年如此其ノ島是ト富源ニ動搖ヲ來シ夫レカ爲民人ハ其ノ
  方針ニ迷ヒ適從スル所ヲ知ラス樺太囘復後既ニ七年何故ニ未タ拓殖ニ關シ
  一定ノ大方針ヲ確立セサル其ノ理由如何
  (二)樺太ヘハ陸上交通ノ機關トシテハ大泊豐原間ノ鐵道アルモ道路トシテハ
  豐原眞岡間約二十里ノ開鑿ヲ見ルノミ殆ト樺太ニハ道路ナシト唱フモ誣言
  ニアラス然ルニ不急ノ化學工藝試驗費ニ三十万圓ヲ費スト聞ク其ノ理由
  如何
  (三)政府ハ樺太移住ノ農民ニ對シ耕作用馬一頭ヲ一戶每ニ貸付スル旨ノ規則
  ヲ設ケナカラ其ノ實三戶乃至五戶ニ一頭ツヽノ貸付ヨリ爲ササルハ如何ナル所
  存ナルヤ聞ク處ニ依レハ本年度ニ於テ農民三百戶ヲ移住セシムルノ計畫ナリト
  云フ果シテ事實ナリトセハ既住ノ農民ニ對スル不足ノ馬匹ヲ補ヒ新來ノ移住
  者ヘ全部馬匹ノ供給ヲ實行シ得ヘキヤ其ノ明確ナル說明ヲ示セ
  (四四)政府ハ樺太移住ノ農民ハ家屋建築費ノ内ヘ一戶三十圓ツヽノ補助ヲ爲
  スト云フ斯ル少額ノ補助金ニテ防寒的ニシテ而モ農家ノ實用ニ適スル家屋ヲ
  建設シ得ル餘裕アリト思フカ聞ク處ニ依レハ樺太廳官吏ノ家屋ハ判任官々舍
  ニシテ一坪一百五十圓ヲ費シ居レリト云フ果シテ然リトセハ農民ニ對スル建築
  費ノ補助ハ餘リニ少額ニ非スヤ其ノ理由如何
  (五)樺太ニ於テ四十三年度ハ八月十五日ニ大霜害ヲ受ケ農作物ハ皆無ノ姿
  ナリト云フカ政府ハ農業移住民ヲ奬動シテ如何ナル成算ヲ有スルヤ若成算アリ
  トスレハ如何ナル方法ヲ採ルカ詳細ニ說明アレ
  (六)政府直營ノ「トマリオロ」採炭所ハ樺太ノ伏魔殿ナリト聞ク昨年既ニ司法
  官ヲ煩ハシタル疑獄事件アリ今又疑獄新ニ起リ司法官ノ出張アリテ搜査ニ力
  メツヽアリ之等ハ監督ノ不行屆カ又ハ純良ナル官吏ヲ得ルノ明ナキカ其ノ理由
  如何
  (七)政府ハ四十二年中一木內務次官樺太視察ノ際大泊住民ガ歡迎ノ意ヲ
  表シ且刺網問題ノ陳情ヲ爲サムトスル時ニ當リ何故ニ胸襟ヲ啓キ民人ノ情願
  ヲ聞取ラサリシカ其ノ理由如何
  (八)一木內務次官樺太視察ノ際官民衝突ノ結果守備隊ヲシテ之ヲ鎭壓シ多
  數ノ死傷者ヲ出シタルノ騷擾事件アリ政府ハ何故ニ斯ル不祥事ヲ未發ニ防クノ
  用意ヲ爲ササリシカ其ノ理由如何
  (九)政府ハ其ノ際官憲ノ爲ニ殺傷セラレタル亡靈ヲ慰メルノ舉ニ出テシカ又其
  遺族ニ對シ何等カノ方法ヲ以テ救助ノ途ヲ施シタルヤ其ノ善後策ニ付採リタル
  處置ヲ示セ
  (+)政府ハ其際民人ニ對シ行政警察官ヲ以テ制止スルコト能ハストシテ守
  借隊ヲ煩シ且陸軍ヲシテ民人ノ怨府タラシメタルハ其狼狽ト云ヒ餘リニ不謹愼
  ノ舉ニ非スヤ夫カ爲一層民人ノ反感ヲ買ヒ良民變シテ匪徒ト爲ル良匪ノ機實
  ニ人情ノ機微ニアルヲ辨ヘサル牧民官ノ大失態ナラストセムカ玆ニ其ノ責任アル
  答辯ヲ待ツ
  (十一)政府カ樺太開發ノ爲ニ樺太廳ヲ置キ其ノ下ニ五箇所ノ支廳ヲ置キ支
  廳ノ下ニ十三箇所ノ出張所ヲ置キ其ノ下ニ巡査部長派出所ヲ設ケ又其ノ外
  ニ巡査駐在所ヲ各地ニ配置シ部落ヘハ總代ヲ設ケテ行政事務ヲ管掌セシメ
  ツヽアリ其ノ繁雜名狀スヘカラスト聞ク管內ノ住民僅ニ二万有餘名ノ人口ニ對
  シテハ些ト大袈裟ノ感ナキ能ハス內地各府縣ニ於テスラ郡制廢止ヲ論議スル今
  日支廳全部ヲ廢止シテハ如何而シテ支廳長ノ委員條件ヲ出張所長へ分掌セ
  シメ冗費ヲ省キ事務ノ敏活ヲ計ラハ一舉兩得ニ非スヤ詳細ナル方針ヲ示セ
  (十二)政府カ樺太在勤ノ官吏ヲシテ北海道廳在勤官吏ノ八割增俸ヲ支給シ
  ツヽアルハ如何ナル理由ニ基クモノカ交通不便ナリトセハ樺太ト同等以上ニ不
  便ナル千島ノ如キ根室ノ如キ北見ノ如キアリ寒冷ノ地ナリトセハ是又樺太ニ劣
  ラサル旭川ノ如キ北見根室ノ如キアリ而モ樺太ハ臺灣朝鮮等ノ如キ土匪蜂起
  ノ恐レアルニアラス軍政時代ノ遺物タル八割增俸ノ如キハ今日迄存置繼續スル
  ノ理由ヲ認メス詳細ナル說明ヲ望ム
  (十三)政府ハ樺太在勤ノ小學校〓員ニ對シ何故ニ樺太廳在勤ノ官吏ト同
  等若ハ同等以上ノ待遇ヲ爲サヽルカ其ノ理由如何
  (十四)政府カ昨年樺太ニ於テ鐵道ノ改築ヲ爲シタル際工事費約二十万圓ヲ
  隨意契約ヲ以テ遠藤、森川、大橋、庄內ノ四名ヘ請負ハシメタルニモ拘ラス其受
  負金高ヨリ一割卽チ二万圓ヲ引去リ樺太廳ニ於テ收得シタリト聞ク〓ハ如何
  ナル理由ニテ如何ナル方面ニ使用セシカ其ノ說明ヲ待ツ
  (十五)政府ハ樺太ニ於テ乾溜工場煉瓦建物一棟ヲ四十四年度ノ豫算中ヨ
  リ買上ケル豫約ヲ以テ一己人ノ遠藤ナルモノニ建築セシメタルハ如何ナル法規
  ニ基キシヤ其ノ理由如何
  (十六)政府ハ樺太ノ金融情態ヲ如何ニシテ救濟發展セシメムト欲スルカ其ノ
  方針ヲ示セ
  (十七)政府ハ樺太ノ鐵道ヲ鐵道院ノ管掌ニ移スノ意志ナキカ意思ナシトスレハ
  其ノ理由如何
  (十八)政府ハ樺太ニ於テ高等小學卒業後ノ學制方針ハ如何ニスヘキヤ府縣
  ト同一ニ中學校ヲ設クルヤ又中學程度ノ實業學校ニスルヤ方針ヲ示セ
  (十九)樺太ヘ鑛業法ノ全部ヲ施行セサル理由如何
  (二十)樺太ヘ戶籍法ヲ施行セサル理由如何
  (二十一)樺太ニ於テ各市街部落ノ自活ノ基礎ト爲ルヘキ共有財產造成ノ件
  ニ關シテハ如何ナル方針ヲ有スルヤ其ノ方針ヲ示セ
  (二十二)樺太ニ於テ雜漁者組合ニ對シ鰊鮭鱒ノ建網場ヲ一箇所乃至二箇
  所ヲ免許シ組合經營ヲ爲サシメツツアルカ彼ノ漁場ハ部落全體居住者ノ共有
  財產ト認メ得ヘキカ將タ組合員丈ノ共有漁場ナルヤ政府ノ方針如何
  (二十三)政府ハ樺太廳公布式ヲ樺太日日新聞ト樺太每日新聞トノ二新聞ニ
  揭載シ居レリ然ルニ樺太日日新聞ヘハ每年四千餘圓ヲ給與シ樺太每日新聞
  ハ無料ニテ公布式ヲ揭載シ居レリ政府ハ何等カノ方法ヲ設ケ偏頗輕重ナキヲ
  期セラレタシ將來ノ方針如何
  右及質問候也
  朝鮮民團議員任期延長ニ關スル質問主意書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治四十四年三月七日
  提出者鈴木力贊成者大內暢三
  外二十九人
  朝鮮民團議員任期延長ニ關スル質問主意書
  一朝鮮各民團議員ノ任期ハ明治四十三年十月二日限リ滿了シタルニ統監府令ヲ
  以テ四十四年一月三十一日迄任期ヲ延長セリ是レ民團ノ選擧權ヲ無視セシ嫌
  アリ上述選擧中止竝議員任期ノ延長ノ事由ハ如何
  一上述延長滿限期一月三十一日ニ至リテ議員ノ選舉ヲ行フタルハ何ノ事由有リヤ
  本來居留民團法ハ領土外ニ實施スル法令ナルニ朝鮮カ日本領土ニ歸シテ半歲ニ
  及テ尙民團議員制ヲ廢止セサル理由如何
  一政府ハ民團議員制ヲ廢止スルノ意有リヤ若之レ有リトセハ果シテ何時項實行スル
  豫定ナリ耶
  右ハ質問主意ノ說明演說ヲ要セス尙在朝鮮舊居留民ノ方向上右諸點ノ不明ハ
  不安ヲ抱ク恐有ルニ付至急政府ノ答辯アラムコトヲ望ム
  右及質問候也
  副議長(肥塚龍君)委員ノ選定竝ニ日程ハ公報ヲ以テ御報告致シマス今日ハ是
  デ散會致シマス
  午後七時十九分散會
  衆議院速記錄第十九號正誤
  頁段行誤正
  三八二下云箇ト致シ箇半ト致シ
  衆議院速記錄第二十一號正誤
  頁行誤正頁段行誤正
  四三下同上段二八致シマシタル邊致シマシタル點此場合之ヲ參詣
  三四線路ノ所ノ線路ノ他ノ四三二上三九セラレタト云フ衍
  同同二步役賦役四〇ヤウデナイ
  同同九十万圓ヲ上ラナ千万圓ヲ上ラナ同同四幕府ノ幕府ニ
  イイ平家ハ此熊野ヘ
  同六七十万圓六七百万圓同下六落チ衍
  三高ク多額ニ同同一三熊野ノ熊野本宮ノ
  里同同同同同同同同三亞米利加デアル亞米利加デアレ同二六南部ニ內部ニ
  三二加奈陀デアル加奈陀デアレ同同三〇
  三八山ヲ山ニ三十万ノ七十万ノ
  二上六豐材ヲ悉ク其寶材ヲ悉ク適當四三三六縣ガ縣民ガ
  同七一年兩期一年雨期同同同同上同九七千餘万七十餘万
  同同城ノ東方竈山ノ二〇亦見ル亦茹ル
  同元城趾陣中ニ同同同同글他ノ彼ノ
  同同二九串本串本附近二五此點ハサレバ

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