1. 会議録本文
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000・会議録情報
明治四十四年三月二十日(月曜日)午前十時十九分開議
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議事日程 第二十四號 明治四十四年三月二十日
午前十時開議
第一 商法中改正法律案外一件兩院協議會委員選舉の件
第二 新田神社昇格の建議案(武藤金吉君外二名提出)
第三 高野山國寳中古書畫古器物保存に關する建議案(千田軍之助君提出)
第四 名勝地維持保存に關する建議案(森國造君外二名提出)
第五 農政改良に關する建議案(根岸きん太郎君提出)
第六 人工降雨試驗に關する建議案(早川龍介君提出) (委員長報告)
第七 前參議司法卿江藤新平表彰に關する建議案(尾崎行雄君外六名提出) (委員長報告)
第八 千葉縣立園藝專門學校を文部省直轄と爲すの建議案(稻村辰次郎君外一名提出) (委員長報告)
第九 高等學校増設に關する建議案(宮古啓三郎君外二名提出) (委員長報告)
第十 (特別報告第百五十四號)郡域變更の請願 (委員長報告)
第十一 (特別報告第百五十五號)縣社御昇格の請願 (委員長報告)
第十二 (特別報告第百五十七號)登記所位置變更に關する請願 (委員長報告)
第十三 (特別報告第百五十九號)故北白川宮殿下宮社創建の請願 (委員長報告)
第十四 (特別報告第百六十號)日清銀行設立の請願 (委員長報告)
第十五 (特別報告第百六十一號)汽船「トロール」漁業取締の請願 (委員長報告)
第十六 (特別報告第百六十二號)漁業基本調査機關特設の請願 (委員長報告)
第十七 (特別報告第百六十三號)水産奬勵法制定の請願 (委員長報告)
第十八 (特別報告第百六十四號)水産會法制定の請願 (委員長報告)
第十九 (特別報告第百六十五號)兒島灣養貝業解放の請願 (委員長報告)
第二十 (特別報告第百六十六號)薪炭原料用官林拂下價格低減の請願 (委員長報告)
第二十一 (特別報告第百六十七號)薪炭原料の殖林方の請願 (委員長報告)
第二十二 (特別報告第百六十八號)郵便局設置の請願 (委員長報告)
第二十三 (特別報告第百六十九號)郵便局設置の請願 (委員長報告)
第二十四 (特別報告第百七十號)白石上山間鐵道速成の請願 (委員長報告)
第二十五 (特別報告第百七十二號)山陰山陽連絡線の請願 (委員長報告)
第二十六 (特別報告第百七十三號)出雲國田儀郵便局集配事務開始の請願 (委員長報告)
第二十七 (特別報告第百七十四號)漁港修築の請願 (委員長報告)
第二十八 (特別報告第百七十五號)舊琉球藩吏役俸處分法制定の請願 (委員長報告)
第二十九 (特別報告第百七十六號)地租過剩金下戻の請願 (委員長報告)
第三十 (特別報告第百七十七號)賣藥税法改正の請願 (委員長報告)
第三十一 (特別報告第百七十八號)贈從四位森山新藏父子追録の請願 (委員長報告)
第三十二 (特別報告第百七十九號)登記所増設速成の請願 (委員長報告)
第三十三 (特別報告第百八十號)登記取扱の請願 (委員長報告)
第三十四 (特別報告第百八十一號)七尾灣築港に關する請願 (委員長報告)
第三十五 (特別報告第百八十二號)拙著平家音樂史全國中學以上の學校及圖書館に御配賦御供具に關する請願 (委員長報告)
第三十六 (特別報告第百八十三號)北海道帝國大學設立の請願 (委員長報告)
第三十七 (特別報告第百八十四號)三濱避難漁港築堤の請願 (委員長報告)
第三十八 (特別報告第百八十五號)島根縣匹見郵便局電信開始の請願 (委員長報告)
第三十九 (特別報告第百八十六號)郵便局集配事務開始の請願 (委員長報告)
第四十 (特別報告第百八十七號)鐵道停車場設置の請願 (委員長報告)
第四十一 (特別報告第百八十九號)郵便局集配事務開始の請願 (委員長報告)
第四十二 (特別報告第百九十號)九州中央鐵道敷設の請願 (委員長報告)
第四十三 (特別報告第百九十一號)鐵道敷設の請願 (委員長報告)
第四十四 (特別報告第百九十二號)郵便局設置の請願 (委員長報告)
第四十五 (特別報告第百九十三號)按摩業を盲人の專業と爲すの請願外十八件 (委員長報告)
第四十六 (特別報告第百九十四號)民屬金下附の請願 (委員長報告)
第四十七 (特別報告第百九十五號)七尾築港の請願 (委員長報告)
第四十八 (特別報告第百九十六號)永代借地若くは其地上にある建造物を本邦人の所有と爲したる場合には右物件に對する免税の請願 (委員長報告)
第四十九 (特別報告第百九十七號)府縣界變更の請願 (委員長報告)
第五十 (特別報告第百九十八號)地方裁判所支部開廳の請願外八十八件 (委員長報告)
第五十一 (特別報告第百九十九號)郵便局設置の請願 (委員長報告)
第五十二 (特別報告第二百號)電信架設の請願 (委員長報告)
第五十三 (特別報告第二百一號)朝鮮訴訟代理業者に關する請願 (委員長報告)
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〔左の報告は朗讀を經さるも參照のため茲に掲載す〕
一去る十八日議長に於て選定したる委員左の如し
民事爭訟勸解法案
塚田啓太郎君 阿部徳三郎君 松田吉三郎君
河上英君 高木益太郎君 藤代市之輔君
森肇君 矢島浦太郎君 加瀬禧逸君
南極探檢事業國庫補助に關する建議案
菊池侃二君 小久保喜七君 吉植庄一郎君
三浦盛徳君 川村嘩君 佐々木安五郎君
高木正年君 森秀次君 加藤恒忠君
初等教科書中政治、法律、經濟等の事項を増加するの建議案外三件
小林庄一郎君 鷲田土三郎君 高原篤行君
丹尾頼馬君 手塚正次君 村松亀一郎君
日野國明君 荒川五郎君 佐藤庫喜君
國設模範製絲所創設に關する建議案
森國造君 伊東祐賢君 大井卜新君
田中龜之助君 木下義之君 中島祐八君
關田嘉七郎君 平島松尾君 丸山孝一郎君
郡域變更に關する建議案
塚田啓太郎君 春田祐清君 山田桃作君
水間此農夫君 有本國藏君 福田又一君
綾部惣兵衞君 須藤嘉吉君 關口安太郎君
私設交通機關に對する政府の方針に關する建議案
戸水寛人君 高橋政右衞門君 小山田信藏君
安川保次郎君 大久保辨太郎君 守屋此助君
澤來太郎君 牧野平五郎君 神藤才一君
官立精神病院設置に關する建議案
町田旦龍君 八木逸郎君 青柳信五郎君
森茂生君 古森泰君 國井庫君
長場龍太郎君 山根正次君 石田平吉君
京都市立陶磁器試驗場を農商務省直轄と爲すの建議案外一件
川崎安之助君 宮古啓三郎君 古賀庸藏君
米田穰君 水野正巳君 柵瀬軍之佐君
阪本彌一郎君 中安信三郎君 濱岡光哲君
又十八日議長に於て選定したる兩院協議委員左の如し
行政裁判法中改正法律案
元田肇君 菊池侃二君 宮古啓三郎君
翠川鐵三君 齋藤二郎君 卜部喜太郎君
高木益太郎君 佐野春五君 阪本彌一郎君
加瀬禧逸君
一委員長及理事左の通り當選せられたり
治安警察法中改正法律案委員會
委員長 翠川鐵三君 理事 高木益太郎君
〔左の質問書は朗讀を經さるも參照のため茲に掲載す〕
領事館設置に關する質問主意書
右成規に據り提出候也
明治四十四年三月七日
提出者 根本正 贊成者 齋藤二郎
外三十一人
領事館設置に關する質問主意書
北米合衆國カリホルニヤ州中の所謂南加州は面積廣大にして氣候温良産物亦饒多從て人口の激増實に驚くへきものあり本邦人の如き移民制限の結果多少減少したりと雖現に居住するもの尚且一萬二千三百餘人を有す去れは各國相競ふて其のロスアンゼルス市に領事館を設置せるもの英吉利、佛蘭西、獨乙、白耳義、エクエデル、ホンヂユラス、ニカラガ、伯露、伊太利、墨西哥の十箇國を算す然るに多數の居住民を有する我か帝國に於て獨り領事館の設けなきは果して如何一昨年度に於ける諸證明等の取扱件數を案するも四千三百餘件の多きに上り悉く羅府日本人會の保證を經て桑港總領事館に出願するの不便を來たせり此の如きは本邦居住民に對し甚しき怠慢不親切と謂はさるへからす政府は現状に顧み同市に速に帝國領事館を設置するの意思あらさる乎
右及質問候也
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朝鮮總督府の施政に關する質問主意書
右成規に據り提出候也
明治四十四年三月九日
提出者 大竹貫一 贊成者 石橋爲之助
外三十一人
朝鮮總督府の施政に關する質問主意書
一 母國人の朝鮮移住に對し總督府は果して如何なる政策を採りつつあるか其の方針の明示を望む
朝鮮併合と共に總督府は直に飮食店、仲介業者、金貸業者、代書人、一種の企業者又は求職者等に對する各取締規則を續發せるを初めとし或は會社令を布きて企業を拘束し或は鑛山、森林、未墾地等の出願に向て不許可主義を内定し甚しきは官吏の年末年始の贈答品を禁し又は歳暮賣出し景品の制限を爲す等微細の點迄苛酷の干渉を加へ爲に人氣を沮喪せしめ市場を沈衰せしむるに至れり而して是等の干渉と壓迫とは特に母國人を目標とせるものにして今や實際に於て恆産若は定職なき母國人は全然其の移住を禁遏せられむとするの状況に在り以上は實に彼地に於ける一般民間の所説にして近時總督府の施政に對し我か母國人か多大の不平を抱きつつあるは誣ゆへからさる事實なるか如し如是は曩に我か移民の滿韓集中を主張せし政府の態度に顧みて頗る矛盾の現象と云ふへく却て其の方針を破壞するものと爲ささるへからす是れ果して當局者の眞意なるか
二 總督府は甚しく言論を拘束し苟も總督政府に關して云々するものは其の事の如何を問はす殆と絶對に禁壓せむとするの風ありと聞く事實果して然るや否や若然りとせは是れ何の必要に因るか其の理由の説明を求む
總督府は朝鮮併合と共に新聞統一を計り一面民間新聞の買收を行ひ一面新聞、通信の新設を許可せさるの方針を採れるのみならす僅に殘存せる民間新聞若は通信等に對しては殆と常識を以て準すへからさる迄極端の干渉を加へ苟も言論の總督政治に及ふあれは忽ち發行停止等の處分を敢てする風あり現に昨年末一通信か市場歳暮の不景氣を敍し其の原因の一として官吏の年末年始の贈答品を禁止したることを以てせしに忽ち發行停止を命せられたるか如き以て其の一斑を察すへし又近來は母國より輸送する新聞紙に對し併合當時釜山にて行ひしと同一の程度に極めて嚴酷なる檢閲を試み苟も總督政治に關し云々するものは一切其の輸入を禁止するの目的を以て新に新聞紙取締規則を制定し將に之を發布せむとすと傳へられ甚しきは新聞記者に免許制度を布かむとするの内議さへ提出せられたりと聞く其の如何に苛酷の傾向を示しつつあるかは推測に餘あるか如し若果して如是の事實ありとせは當局者は何の必要ありてか爾かく言論の壓迫を試みむとするか
三 朝鮮會社令は彼地實業界に多大の不便と惡影響とを與へつつありと云ふ眞相果して如何
朝鮮會社令發布と共に官憲側の吹聽する所にては彼地實業社會に於て同令を歡迎せるかの如くなるも事實は全く之に反し今や母國人と朝鮮人とを問はす苛酷の惡法として之を排し爲に會社事業の勃興を阻害し殊に朝鮮人間には近來漸く發達せむとせし企業心を挫折し一般に團體的企業を避くるに至り其の經濟界に及ほす惡影響少々にあらすと云ふ現に昨今會社組織を變して組合組織と爲すもの頻々として現はるるか如き亦該令の影響に外ならさるに似たり而も當局者は尚該令の必要と信用とを自信しつつありや
四 鑛山、森林、未墾地、漁區等の出願に對し總督府は大體に利源閉鎖の方針を採り不許可主義を内決し居れりとの説專らなり果して如是の事實ありや否や
鑛山、森林、未墾地、漁區等の出願件數今や數千件に達し當局者の机上其の願書の山を爲しつつあるに拘らす尚多くは之か解決を與へさるか上に其の有望なる材料は大體之を不許可たらしめむとするの内議ありと聞く殊に鑛山就中鐵鑛の如きは或は官營主義を採らむか爲其の有望なるものは一切之を許可せさる方針なりとの説あり當局者は果して如是方針の下に民間に對し其の利源を閉鎖せむとするの眞意なるか假に斯る方針を採るとしても從來適法の手續に依り提出しある出願に對し其の既往に溯りて之を奪ひ去るか如きは穩當の措置なるへきか
五 朝鮮に於ける外人側の我か總督政治に對する感情は果して好良の傾向ありや
聞く所に依れは彼地に於ける外人側は一般に我か總督政治に對して民政を假裝せる軍政なりと稱し特に憲兵制度を惡むこと蛇蝎の如しと云ふ事情果して如何
六 總督府側の揚言に依れは併合後朝鮮人は頗る我か總督政治に悦服せるかの如くなるも事實は全然之に反し今や朝鮮人は一般に多大の失望を以て我か施政を怨嗟しつつありと聞く眞相果して如何
現に昨年末黄海、全南地方に蜂起せる暴徒は從來の草賊と趣を異にし當時當事者は例年末の鼠賊のみと辯明せるに拘らす密に龍山駐屯軍の殆と全部を動かして討伐に從事せしやの説あり朝鮮人は之を以て總督政治に對する不平者の煽動に出てたるものと認めつつあり又近時朝鮮人中間島移住者の益増加するは獨り生活上の必要より來るものにあらすして政治的不平に因するもの亦少からさるか如く且彼等の所謂大官連なる上流社會に於ても亦我か總督政治の武斷的壓迫に對して多大の反感を抱き心竊に他國の干渉を希望するの風あり今や彼等の上下を通して漸く我か政治を嫌忌し民心日々に離反するの傾向ありと傳へらる而も當局者は今も尚彼等の悦服を信し毫も不良の傾向なしと認めつつありや
七 曩日朝鮮貴族に對する授爵の御沙汰に關し其の詮衡に不平を抱く者多く爲に物讓を釀すに至りしと聞く事實果して如何
當時授爵に關する詮衡は專ら李完用、趙重應等二三氏の手に一任せられし爲其の結果頗る公平を缺き均衡を失し朝鮮人間に多大の不平と物議とを招き彼の謹厚なる元老金允植氏すら尚且憤然として一時辭退の意を漏すに至り終に金聲根、尹用求、洪淳馨、金〓鎭、韓圭〓、兪吉濬、李容元、趙鼎九、趙慶鎬等の人々は頑として右の御沙汰に應せす殊に金〓鎭は爲に毒を仰て自殺を遂け趙鼎九も亦自殺を謀らむとせしと云ふか如き不體裁を曝露するに至れりと聞く若如是の事實あらむには苟も大命に對し奉り斯る不體裁を招致せしは頗る恐懼の至りにして當局者か豫め愼重の詮議を遂けさりし責は到底免るへからさるか如し
八 朝鮮に於ける教育方針如何
朝鮮に於ける教育事業は其の統治上一日も忽にすへからさる緊要問題たり然るに併合後の教育状態は尚從來の儘にして各學校の職制等に對しても未た何等施設する所あるを見す其の教科書も亦一定のものあるなし從て彼の外國宣教師等の設立せる各學校は地方に依り依然として從來の排日的教科書を使用して憚らさるもの多しと云ふ事實果して然るや否や
九 朝鮮の統治上其の地方行政は最重きを置かさるへからす而も總督府は之に伴ふ施設を完備しつつありや
地方行政に重きを置くと共に地方官の權限を擴張すへしとは當初當局者も亦公言せし所なるも今日の事實は益中央集權に傾き現に地方官は尚警察權をも付與せられす且其の人材選擇の上にも疑議すへきもの多きに似たり如是にして果して地方行政の發達を期すへきか
右及質問候也
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市町村制に關する質問主意書
右成規に據り提出候也
明治四十四年三月九日
提出者 大橋頼摸 贊成者 伊東要藏
外三十六人
市町村制に關する質問主意書
第一 改正町村制第四條に據れは町村の境界に關する争論は府縣參事會之を裁定す云々及第三十三條選舉人選舉又は當選の效力に關し異議申立の場合に於ける町村會の決定に對し不服ある者は府縣參事會に訴願することを得とある現行法に於ては前條の場合は郡參事會に於て裁決し其の裁決に對し不服ある者は府縣參事會に訴願し得へき規定なるか郡參事會を廢止し直に府縣參事會に提議することに改正したる其の理由如何
第二 改正町村制に據れは從來郡參事會に於て決定又は裁決せし事項は其の權限を府縣參事會に移したるは全然郡參事會を不必要と認めたるに依るか
第三 改正町村制第七條、市制第九條に六年の懲役又は禁錮以上の刑に處せられたる者は終身公民權を失はしめり其の罪質の如何を問はす公民權を付與せさる理由如何
第四 改正町村制第十五條、市制第十八條に市又は町村に對し常に工事の請負、物件勞力其の他の供給契約を爲し若は市町村の爲金銭出納の取扱を爲す者又は同一の行爲を爲す法人の役員は其の市又は町村に於て被選舉權を有せすと在るは左の場合に於ける被選舉權を有するや否
(一)市又は町村に於て道路改良若は耕地整理、學校役場を建築するに際し公入札又は指名入札の結果請負を命せられたるとき現に市會又は町村會議員の職に在る者其の資格を失ふや否
(二)常に工事請負云々とあるは平素市役所又は町村役場へ出入せる所謂用達商人を指示するものにして偶々市又は町村の道路橋梁耕地整理建築請負を爲すも市若は町村に對し主として其の請負を爲す者に非らさる限りは議員の資格に關係なきや
(三)市又は町村役場に對し常に通帳を以て筆墨用紙薪炭油を供給する者は被選舉權ありや否
(四)市又は町村役場に對し電燈、瓦斯を供給する者及其の法人の役員は被選舉權ありや否
(五)前項若被選舉權なしとせは電燈、瓦斯の供給者及其の法人たる役員は議員の資格を保有する爲市又は町村役場より電燈又は瓦斯點燈を申込みたるとき其の要求を拒絶せは如何
(六)市又は町村役場の公金出納を囑託せられたる銀行の取締及監査役は總て被選舉權なきや
第五 市又は町村の營造物管理を囑託せられ又は財産保管を囑託せられたるとき市又は町村より一定の報酬手當を受くる者は被選舉權なきや
第六 改正町村制第百三十條前條第一項の町村組合にして其の組合町村の數を増減し又は共同事務の變更を爲さむとするときは關係町村の協議に依り府縣知事の許可を受くへしとある其の所謂協議と稱するは組合内各町村會の決議を要するものなる乎果して然らは爰に十箇町村か一部の事務を共同處理する爲町村組合を成立したる後更に其の組合町村の數を増減し共同事務の變更を爲さむとするとき組合町村の内九箇町村は同意決議せしも一町村か否決したるときは協議成立せさるものとして同條末項に基き府縣參事會の決定を待つの外途なき乎
第七 事務の一部を共同處理する爲町村組合を設け改正町村制第百三十二條第二項に依り組合規約を設定し其の規約に基き更に組合長、助役を置くも第六十四條に依り府縣知事の認可を受くへきものに非らさるか
第八 市税特別税として家屋割税を賦課するときは戸數割税を併課することを得さるや
第九 市内に住所を有するも土地家屋を有せす特別税として家屋税のみを賦課するときは全然市税の分擔を爲さす此の場合は市税として戸數割税若は居住税を賦課することは差支へなきや
第十 市内に住所を有せす又土地家屋を所有せすと雖一定の場所に滯在し行商卸小賣業を營む者は市制第百十九條に依り市内に於て特定の行爲を爲すものと見做し市税の標準率に基ける營業割税を納むるの義務ありや否
右及質問候也
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外交に關する質問主意書
右成規に據り提出候也
明治四十四年三月十一日
提出者 佐々木安五郎 贊成者 高木益太郎
外二十九人
外交に關する質問主意書
一 小村外相か帝國外交の方針として公示せる東洋の平和を維持し帝國の安固を確保し併せて帝國の利權を擁護す云々とは外交の目的と云ふへきものにして方針と稱すへきものに非す政府は外交の目的と方針とを間違へ居るものの如し依りて改めて其の方針を問ふ
二 當局の外交事項は國内に祕密を頑守して國外に露出を防かす内外を顛倒せるの嫌ひあり斯の如くにして外交祕密と云ふは國民を疎外して徒に疑懼不安を抱かしむるに過きす政府は將來も猶此の態度を持續せむと欲するか
三 外相の言明せる國交の親善若は敦厚は當局自ら認めたる各國の排日熱と併行して相悖らさる性質のものなりや如何
四 大和民族の發展とは滿韓集中の如き縮小策の別名なりや而も滿韓集中の言明ありたる後滿韓在住の同胞は却て母國に退嬰せむとする者多きを加へたるの觀あり之をも猶發展と稱し得へきや若然らすと言はは當局の執り來れる集中の方法及其の結果として現はれたる集中増率を具體的に示されたし
五 外交の本義は國勢の發展を期するに在るは言を待たさるも國勢の發展は危險思想を誘致すること内務大臣所説の如しとすれは外相は如何にして此の危險を妨遏して而も能く其の本義を貫徹せむとするか此の點に付て外相は内務大臣と根本的觀察を一にするや否や
六 日英博覽會の結果に對しては農商務大臣と外相と其の所見を異にせるか如し知らす孰れを正當として受取るへきや
七 外交上任意の屈辱は屈辱とするに足らさるか若任意の屈辱も猶屈辱なりとせは日米條約第二條但書削除は即ち此の義に該當せすや外相の之に對する見解如何
八 政府は輿論の後援及識者の斡旋等凡て國民的外交を無視する傾なきや
九 清國遊歴者中彼國暴民の毒手に罹り慘禍に陷りたる能美寛及中西正樹等に對する當局の措置を問ふ
十 清國に於ける外交の不振は如何にして之を恢復すへきか政府の畫策如何
右及質問候也
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朝鮮の關税に關する再質問主意書
右成規に據り提出候也
明治四十四年三月十三日
提出者 早速整爾 贊成者 花井卓藏
外三十人
朝鮮の關税に關する再質問主意書
一朝鮮從來の關税率維持か「諸外國人の朝鮮に於て有する所の經濟的利益に不利の影響を及ほすを避くる」の目的に出てたりとせは帝國政府は諸外國人の利益の爲に我か關税自主權を犧牲にするに甘むするものなるか
二我か關税定率法を朝鮮に實施せは諸外國人の經濟的利益に對し如何なる程度に於て不利の影響を及ほすへきや
三内地朝鮮間の貿易關係に變改を加ふるを非とせさるは如何なる事實上の判斷に基くものなりや
四内地と朝鮮との間に移出入税を設くるは双互の産業發展を沮害する所以なりと信せさるか
五政府は今後十年の間は如何なる場合に於ても此の關税竝移出入税を改廢せさるの精神なるか
右及再質問候也
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朝鮮穀物移入税に關する質問主意書
右成規に據り提出候也
明治四十四年三月十一日
提出者 大内暢三 石橋爲之助
贊成者 藏原惟郭
外三十五人
朝鮮穀物移入税に關する質問主意書
朝鮮に於ける輸出及移出品は農産物にして就中穀物を以て輸移出貿易の重要品と爲し常に全輸移出額の七割内外を占め毎年米穀のみの輸移出額少くも九百萬圓乃至一千二百萬圓を下らす依て以て購買力を増進し其の一箇年の輸移入額三千七百萬圓乃至四千萬圓の間に在り而も其の輸移入品の十分の八内外は悉く之を母國製産品に仰き亦輸移出の穀物は殆と其の全部を母國に移出せり因て朝鮮に於ける穀物輸移出の増減は直に以て朝鮮人の購買力如何に關し延て母國製産品の朝鮮移出に大なる影響を及し相互の不利殆と計るへからすされは現行法に依るときは朝鮮に於ける一般農民の收入を減し其の發達を阻碍するのみならす朝鮮に於ける農業の進歩發達を圖らむとして常に多大の經費を投し幾多の奬勵的方法を講しつつある主旨に矛盾するものと認む政府の所見如何
右質問は其の趣旨辯明を爲ささるに付直に答辯有之度候也
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普通選舉法案に對し貴族院に於ける政府委員の言明に關する質問主意書
右成規に據り提出候也
明治四十四年三月十四日
提出者 高柳覺太郎 贊成者 犬養毅
外三十人
普通選舉法案に對し貴族院に於ける政府委員の言明に關する質問主意書
一本月十二日貴族院會議に於て政府委員は普通選舉法案に對し普通選舉を以て極めて危險なる思想に基くものとし君主國に其の基礎を有せすと斷し且多數なる下流社會か少數なる上流社會を壓倒するの結果を來すものと言明せられたり政府は果して斯の如き所見を有するや
一政府は右言明に對し責任あるものと信す此の重大なる問題に關し政府は衆議院會議に於て何等辯明する所なく偶貴族院に於て斯る不當の言議を弄す其の理由如何
右及質問候也
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教科書改定に關する質問主意書
右成規に據り提出候也
明治四十四年三月十五日
提出者 村松恒一郎 贊成者 佐々木安五郎
外三十人
教科書改定に關する質問主意書
一政府は南朝の正統なるを認め教科書改正に著手したる如し然るに同一の委員にして先きには兩朝竝立説を主張し今又飜て南朝正統説に一致したるは如何なる理由に基くや
一政府か南朝の正統なるを認むるに至りしは如何なる事實上の根據に基き且如何なる理由に依るや詳細に之を明示せむことを望む
一政府既に其の非を認めて教科書の改正に著手したる以上過去一年間忠奸正邪の別を紊り國民思想の動搖を惹起し國體の基礎を危くせむとしたるに對し内閣は何故速に處決して其の責任を明かにせさるか
右及質問候也
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殉難者を靖國神社へ合祀せむとする請願に關する質問主意書
右成規に據り提出候也
明治四十四年三月十五日
提出者 島田三郎 贊成者 村松恒一郎
外三十四人
殉難者を靖國神社へ合祀せむとする請願に關する質問主意書
明治四十二年三月十三日本院に於て可決し政府に送付したる特別報告第二十四號殉國志士表彰追録の請願書即ち文久二年四月伏見驛旅舍寺田屋事變の殉難者及元治元年七月長藩人禁闕闖入事變に際し幕府及鹿兒島、會津、桑名、彦根福井五藩の戰亡者の靈を靖國神社へ合祀の請願既に二周年を經過するも政府は未た何等の發令を爲さす其の理由如何抑明治四十二年三月十三日本院に於て採擇の決議を爲したる伏見寺田屋事變殉難者とは
寺田屋旅舍鬪死者 道島五郎兵衞
大阪薩藩邸自刃者 永田佐一郎
の二人にして右寺田屋事變とは鹿兒島藩士數十名諸藩脱走の士と相謀り討幕攘夷の議を決し島津久光(當時和泉と稱す)の上京を機とし時の關白九條尚忠所司代酒井忠義を襲殺し事を京都に舉けむと企てたり久光途上之を聞き百方鎭撫し四月六日入京議奏中山忠能嵯峨實愛に面して尊王の趣旨を上陳したるに兩議奏即日參内久光の陳疏を上奏したるに嘉納せられ久光に左の 勅諚を賜ひて更めて浪士の鎭撫を命せられたり
浪士共蜂起不穩企有之候處島津和泉取押候旨先以叡感思食候別而於御膝元不容易儀於發起者實に被惱宸襟候事に候間和泉當地滯在鎭靜有之候樣思食候事
久光此の 勅諚を奉し藩の激徒を諭し後命を待たしめむとせしも彼等陽に命を奉し陰に其の目的を遂けむと欲し大阪を發して伏見に集り將に事を起さむとす久光は飽迄鎭撫の 勅命を畏み藩士奈良原喜八郎(今の男爵奈良原繁)等一行九人を遣し其の暴舉無からむことを説諭せしめたるも激徒聽かす抗論の末終に挌鬪に及ひ激徒中有馬新七等九人斬殺せられたり時に鎭撫使の一人鬪死せしもの即ち前記の道島五郎兵衞にして是れ明に 勅旨に遵ひ主命を承けて鎭撫の事に從ひ其の職務に殉したる者なり
此の月二十五日朝廷久光鎭撫の功を賞し且左の 勅諚を賜はりたり
浮浪之徒蠻夷之儀より彼是蜂起之趣去る十六日内々言上被惱宸襟候處鎭靜之儀御請有之被安叡慮候處又々一昨夜以來猛暴之形勢と聞召候元來右之徒爲皇國赤心報國之志を以て投身命候段御感之御事に候得共攘夷一件に付ては實に自先年深被惱宸襟候處何分國中一致之儀第一と被思召候に付尚厚被囘叡慮候御事に候然處方今血氣之壯士等不用理解暴論を爲主奉勅命を待すして猥に亂妨け間敷儀に及候段は忠憤却而違勅之筋に相當り不埒之至に候右等違背之輩は早く嚴に可加制止候儀に被思食候事
久光厚く朝旨を畏み又深く道島の殉難を憫み其の忠死を賞し藩主島津忠義は彼の遺族を祿したり
永田佐一郎は久光扈從の一人にして什長の職に居りしか其の部下有馬新七等か藩命に服せすして事を舉けむとし主命を徒爾ならしめたることを慨し邸内に自殺せり彼は有馬等勤王の志に同情し又其の行爲の暴動に終りしことを嘆し且自己の職任を全くする能はさることを慚謝して此に至りしもの是れ道島五郎兵衞の如く主命實行の爲に職に殉したるにあらすと雖間接に寺田屋事件に斃れたるものなり故に藩主は深く永田の衷情を憫み厚く遺族を恤みたり
二人の死は全く 勅諚を畏み主命を重むし一は激徒の刀下に斃れ一は自刃したるものたるに拘らす其の功歴は全く沒了せらる當時 勅旨を奉せす藩譴を被りたる有馬等一列は明治二十四年贈位の恩命を被り共の靈は靖國神社に合祀せられ之に反して道島等は今に至るも何等の追典に與らす故に此の二人を靖國神社に合祀せられたしと是れ請願の大旨なり
元治元年七月十九日長藩の士及他脱藩の士か禁門を砲撃したる變に際し奉勅防戰して死したる者左の如し
幕府士人
加藤兵右衞門 岸省三
鹿兒島藩士
野村勘兵衞 宮内彦二 野村藤七郎 森喜藤太
赤井兵之助 松下矢七郎 濱田藤太郎
會津藩士
中澤鐵之助 有賀權左衞門 楠藤之進 小野田午太夫
窪田伴治 佐藤清之助 吉田鶴太郎 柴辰之助
荒井源五郎 千里市之助 増田八助 鹿目悦藏
藤林源八 佐藤九右衞門 馬場八郎 山際九太夫
赤井重兵衞 西村久之助 篠田岩五郎 小原治八
高橋猪三郎 鈴木竹治 佐藤啓藏 遠山豐之助
菅源吾 鈴木馬之助 音次郎 善治
平兵衞 徳四郎 勝右衞門 仙太郎
桑名藩士
須藤勝司 赤松茂重威 伊藤繁
彦根藩士
柏原左京 宇津木三四郎 加藤増次郎 山口西右衞門
西郷正之助 都築彌次右衞門 山本善右衞門 武田次郎右衞門
清介
福井藩士
津田彌六太 淺井常次郎 山口藤太左衞門 黒川榮太郎
柴田常右衞門 文太夫 平三郎
元治元年七月長藩及他脱藩の士願意ありと稱し宮門に迫りて發炮し皇居附近に戰血を濺き禁闕に彈痕を留めたるの行爲は假令其の衷情及主張は如何なりとするも兵器を携へて洛中に闖入し守衞を衝て禁門に迫りたるの一事は大義名分上寸毫も寛假すへからす故に幕府及諸藩の兵は錦旗の下に防戰して遂に之を撃退したるなり此の侵入の徒にして或は君側を清むると稱し或は訴寃の名を藉るも朝廷を強要して自家の願意を貫かむとせしは朝憲を蔑如し奉りたる行動なること顯然たるを以て當時薩藩の兵事を掌りし西郷隆盛伊知地正治等は慨然論すらく王綱紐を解きしは名分を蔑如し大義を守持せさりしに依れり朝威如何に衰へたりと雖兵力を以て朝憲を紊らむとするものは斷して假借すへからす今日長人の訴願は其の心事同情すへきものありとするも兵威強要の一事を見るに於て最早説諭を用ゐるの限にあらすと以て長人を諭すへきとの上命を受けさりき七月十七日鹿兒島藩吉井友實土州藩乾市郎平久留米藩大塚敬介連署して書を朝廷に上り長藩屯集の士を嚴に處置せむことを乞ひたり其の文に曰く
長門宰相父子之儀去年八月以來勅勘候未其藩臣歎願とは申なから多人數兵器を相携近畿所々へ屯集奉要天朝候姿無紛候處寛大之御仁恕を以て再應理非分明之被爲在御沙汰候得共今以抗言不引拂段甚如何に奉存候譬申立候筋條理有之共決して此儘御許容被爲在候儀萬々有御座間敷と奉存候へ共自然御廟議にも被爲在候ては堂々たる天朝之御威光乍ち廢替實以御大事之御場合に奉存候方今夷難相迫り不容易御時際一旦朝權地に墜候ては後日何を以て皇威振興可仕哉甚不可然儀に付速に斷然と御處置被爲在候樣伏て奉懇願候不肖我々禁裡御警衞候儀も全く朝威不廢替樣盡力仕候武門の當然何分難默止奉存候に付三藩在京之重役共一同申談奉歎願候事
然れとも長人悍然諭命に應せさりしか廟議或は其の猛暴の爲に動搖せむことを患ひ西郷隆盛は守護職會津の藩士と會議せし席に於て主として朝威蔑如の不軌を聲らし掃蕩の義を唱へ又關白近衞忠熈の諮問に對へて撃攘の已むへからさるを陳へ以て廟議の決を速にせり當時各藩の防禦に努むることなかりせは長人の強要其の目的を達し武人兵威を挿みて朝命を矯制し海内の人心服せすして亂階之より生し攘夷の氣炎一時に燃ゑ外患或は之に乘せむも亦測られす幸に防禦功を奏して朝威仍て地に墜ちさるを得たり爾後の結果は征長の舉と爲り福原、益田、國司三老臣の處刑と爲り以て第一囘の征舉を終了して之を朝廷に報奏したり是れ史上の實蹟にして名分上是非の疑を其の間に挿むの餘地あること無し故に朝廷各藩主に京師清掃の賞賜あり其の 勅諚に曰く
今度長藩之士及暴舉候處人數出張(或る藩には速に出張)凶徒を追退之段叡感不斜候依之御劒一腰(或藩には移鞍一具)賜之候事
是れ元治元年九月五日の 勅書にして此の禁門侵入の事變に關しては如何なる論理を以てするも侵入者は暴人にして禁衞の士は官軍たり故に官軍の戰死者は爾後定むる所の制度に於て其の靈を靖國神社に合祀せられさるへからす然るに前記寺田屋事變に於ても又元治甲子の戰亂に於ても一般の例と相反し當時の暴人は其の心事を取り其の形迹を捨てて追褒せられ又合祀せらるるに拘らす其の志も其の進退も共に純然たる奉勅殉難の士にして却て追録せられす名分清亂位置顛倒するか如きは何の謂れなるを知らす現に褒賞の 勅書は島津公爵等の諸家に保存せられ又信すへき文書に公刊せられて世の確認する所なり假令一時の情實に湮晦せらるるか如きも炳焉たる
勅書の旨と天下の公論とは斷して之を埋沒し了るを容るさす此の事第二十五囘議會に於て貴衆兩院の議に上り其の請願採擇せられて二箇年後の今日に至るも未た何等の發令あらす是れ本質問を提出して政府の答辯を求むる所以なり
右及質問候也
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南滿洲鐵道經營の現状に關する質問主意書
右成規に據り提出候也
明治四十四年三月十六日
提出者 鈴木力 贊成者 石田仁太郎
外二十九人
南滿洲鐵道經營の現状に關する質問主意書
一南滿洲鐵道株式會社の資本と外債との關係及財産目録の件
一南滿洲鐵道經營の方針奇怪竝費途妄濫の件
一南滿洲鐡道及三井物産會社の滿洲利權壟斷の怖るへき危險の件
右は各條倶に本員細目(三十一箇目)を列舉し逐一事實に證據して説明演説可致に付南滿鐵道監督の政府責任當局者に於て臨席聽取の上各細目に應し具さに答辯を與へられむことを望む
右及質問候也
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税務官吏の不法行爲に對する質問主意書
右成規に據り提出候也
明治四十四年三月十六日
提出者 手塚正次 贊成者 森國造
外三十八人
税務官吏の不法行爲に對する質問主意書
一近來全國一般に亙り税務官吏の苛察誅求壓制横暴の行爲に對し政府は之か監督矯正に付如何なる方法を講し又如何なる手段を執りつつありや
二今囘甲府市に於ける税務官吏の暴行に對しては政府は如何なる處置を執るか
三税務官吏の不法行爲は單に其の税務吏の責任に歸すへきのみならす政府當局も亦其の責任を負ふへきは勿論なりと信す政府の所見如何
右及質問候也
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國民の宗教に對する政府の方針に關する質問主意書
右成規に據り提出候也
明治四十四年三月十七日
提出者 高柳覺太郎 贊成者 森田勇次郎
外三十一人
國民の宗教に對する政府の方針に關する質問主意書
一明治政府は國民の宗教と沒交渉なるか如し現政府の方針亦斯の如き乎
一國民の道徳を振興し健全なる思想を涵養するは教育の外宗教の力に待つもの最大なりと信す政府の之に對する經綸如何
右及質問候也
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馬匹改良に關する再質問主意書
右成規に據り提出候也
明治四十四年三月十八日
提出者 澤來太郎 贊成者 佐々木安五郎
外三十人
馬匹改良に關する再質問主意書
一蘆毛月毛河原毛の馬匹を競馬に出場せしめさるは是等馬匹の生産改良上奬勵すへきものに非さるを以て該毛色の新馬に對し出場を許ささる次第なりとの答辯なりしも獨り新馬のみの出場を禁して何故に舊馬の出場を禁せさるかとの質問に對しては何等の答辯なし果して是等馬匹の生産は馬匹改良上奬勵すへきものに非すとせは何そ新舊の別あらむや然るに單り舊馬に限り奬勵しつつあるは何故そや且本年春季開催の競馬にも從來の如く是等毛色の舊馬を矢張り出場せしめ以て奬勵する方針なるか又種馬に前記毛色を禁したることなしと答辯せしか是等馬匹の生産は奬勵すへきものに非すと明言する以上は即ち是等毛色の馬匹の生産は必要なしとの意味なれは其の實際に於ては禁したると同一ならすして何そや
一藤枝競馬倶樂部に於て蘆毛の新馬を出場せしめたるは倶樂部の誤解に出てたるものなるを以て馬政局より同倶樂部に對し注意を加へたりとの答辯なりしも競馬開催の當時現に馬政局より監督官臨檢しなから之を不問に附し去りたるのみならす賞金を交付したるは即ち是等馬匹の生産を奬勵したるものに非すして何そや
又同一毛色の馬匹にして藤枝に於ては出場競走せしめ且賞金を交付しなから松戸に於ては斷然出場を禁止したるか如き同一公認競馬に對し二樣の方針を執りしは如何
右及再質問候追て答辯は文書を以てせられ度候也
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暦法改正調査に關する質問主意書
右成規に據り提出候也
明治四十四三月十八日
提出者 早川龍介 贊成者 千田軍之助
外三十人
暦法改正調査に關する質問主意書
一第二十六囘議會に於て我か國の暦本は國體及神祇祭典等竝文學に關するに依り先つ以て政府は專門家に調査せしむることに爲り居れり其の進行如何
一第二十六囘議會委員會に於て寺尾博士は暦法改正に關し取調ふへき旨言明せられたり然るに昨四十三年四月二十三日東京帝國大學理科大學に於ける日本天文學會總會の講演中誹毀侮辱したりとの事を聞く其の事實如何
右及質問候也
議會々期切迫するを以て質問書の主旨演述すへきも徒らに時を費すの恐あり依て左の記事を速記録に掲載あらんことを願ふ
諸君本員は第二十六議會に於て暦法改正に關する建議書を提出し院議の容るる所となり特別委員會に移されたり特別委員會に於て文部次官其他局長等に質問をなし政府は相當の手續を以て取調ふへき旨を言明せり依て此件は質問書第一項記載の如くなるを以て別に演説の必要なきも第二項に就て一言を要するものあり別儀にあらす寺尾博士は第二十六議會の特別委員會に出席して申されたることは載せて筆記にあり然るに昨四十三年四月二十三日東京帝國大學理科大學に於ける日本天文學總會の講演にて國會議員は愚なりと公言し衆議院を侮辱せられたりと聞く學士に似合しからさる言動なるを以て其實否を慥めんとせしも講演筆記等なきに依り其事實を得す依て不得止講演の翌日發刊の東京朝日新聞の一説を讀みます(前略中陽暦と大陰暦及大陽暦の優劣論なるものを讀むときは唯噴飯に値するのみなり斯る改良案に耳を傾け之を採用せんと決議するに至りたるは不思議と言ふも愚にて近來の珍聞なり云々)議員は元より天文學者にあらさるか故に寺尾氏の出席を乞ふて之を謹聽したり然るに委員會に於ては體裁よきことを演へ置き月餘を隔てたる講演に於て如此言を以て議員を侮辱するか如きは官路に食を受くる學者に似合しからぬことなり然れとも其證據とするところは新聞の記事なり此に於て政府に質問する要點は寺尾氏か斯の如き言を放って演述せられしや將た新聞の記事か虚僞なりしや答辯あらんことを乞ふ
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002713242X02519110320&spkNum=0
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