1. 会議録本文
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000・会議録情報
大正四年十二月二十七日（月曜日）
午前十時五分開議
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議事日程 第五號 大正四年十二月二十七日
午前十時開議
第一 子爵仙石政固君請暇の件
第二 請願委員長報告
第三 大正五年度歳入歳出總豫算案竝大正五年度各特別會計歳入歳出豫算案審査期限を定むるの件
第四 豫算外國庫の負擔となるへき契約を爲すを要する件
第四 審査期限を定むるの件
第五 國庫出納金端數計算法案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會
第六 帝國大學特別會計法中改正法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會
第七 造幣局設備擴張費に關する法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會
第八 裁判所の設立及移轉に關する法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會
第九 大正二年法律第九號中改正法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會
第十 東京砲兵工廠及大阪砲兵工廠の据置運轉資本増加に關する法律案（政府提出、衆議院送付）第一讀會
第十一 貨幣法中改正法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第十二 小樽區に爲替貯金支局設置の請願 會議
第十三 札幌區に爲替貯金支局設置の請願 會議
第十四 朝山郵便局設置竝電信事務開始の請願 會議
第十五 大湊鐵道速成の請願 會議
第十六 國語國字國文の改良に關する請願 會議
━━━━━━━━━━━━━発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=0
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001・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 一昨二十五日本院議員ニ當選セラレマシタ子爵大
給近孝君ノ席次ハ吉田子爵ノ次席ト確定シタシマシタ、其部屬ハ第三部ニ定
メマシタ、是ヨリ諸般ノ報告ヲ致サセマス
〔成瀨書記官朗讀〕
去ル十七日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出案ハ卽日之ヲ衆議院ニ送付
セリ
電氣事業法中改正法律案
郵便爲替法中改正法律案
同日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出案ハ卽日裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨
ヲ衆議院ニ通知セリ
大正四年田租第一期分延納ニ關スル法律案
同日第一部ニ於テ決算委員ノ補闘選擧ヲ行ヒシニ其ノ結果男爵〓水資治君
當選セリ
同日豫算委員分科會ニ於テ當選シタル主査ノ氏名左ノ如シ
第一分科主査男爵田健治郞君第二分科主査伯爵奧平昌恭君
第三分科主査男爵久保田讓君第四分科主査男爵村上敬次郞君
第五分科主査男爵武井守正君第六分科主査淺田德則君
同日決算委員長ヨリ分科擔當委員ヲ左ノ如ク決定セル旨ノ報告書ヲ提出セ
リ
第四分科擔當男爵〓水資治君
去ル十八日特別委員會ニ於テ當選シタル正副委員長ノ氏名左ノ如シ
華族世襲財產法改正法律案特別委員會
委員長公爵德川慶久君副委員長富井政章君
去ル二十一日衆議院ヨリ本院ノ送付ニ係ル左ノ政府提出案ハ本院ノ議決ニ
同意シ奏上セル旨ノ通牒ヲ受領セリ
明治四十四年法律第五十一號中改正法律案
去ル二十二日請願委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
請願委員會特別報告第一號
去ル二十三日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
國庫出納金端數計算法案
帝國大學特別會計法中改正法律案
造幣局設備擴張費ニ關スル法律案
裁判所ノ設立及移轉ニ關スル法律案
大正二年法律第九號中改正法律案
東京砲兵工廠及大阪砲兵工廠ノ据置運轉資本增加ニ關スル法律案
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ否決セル旨ノ通牒ヲ受領セリ
明治三十二年法律第七十號中改正法律案
同日請願委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
請願文書表第三囘報告書
從四位子爵大給近孝君
一昨二十五日子爵議員補闕選擧ニ當選セラル
同日衆議院ヨリ本院ノ送付ニ係ル左ノ政府提出案ハ本院ノ議決ニ同意シ奏
上セル旨ノ通牒ヲ受領セリ
郵便爲替法中改正法律案
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
大正三年臨時事件ノ經費支辨ニ關スル法律案
朝鮮森林特別會計法廢止法律案
大正五年度歲入歳出總豫算案竝大正五年度各特別會計歲入歲出豫算案
豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件
昨二十六日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
假置場法中改正法律案
鐵道敷設法中改正法律案
朝鮮事業公債法中改正法律案発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=1
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002・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ本日ノ會議ヲ開キマス、去ル十八日橋本辰
二郞君病氣ニ付請願委員ノ辭任ヲ申出デラレマシタ、許可ヲ致シテ御異存ゴ
ザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=2
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003・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマスカラ許可イタシマス、付テ
ハ第一部ニ於テ其補關選擧ヲ行ハレムコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=3
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004・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ本日ノ議事日程ニ移リマス、第一、子爵仙
石政固君請暇ノ件、病氣ニ付三十六日間ノ請暇デゴザイマス、許可ヲ致シテ
御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=4
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005・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=5
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006・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 第二、請願委員長報告、請願委員長細川侯爵
〔侯爵細川護立君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=6
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007・細川護立
○侯爵細川護立君 請願委員會ノ御報告ヲ致シマス、正副委員長選擧、分科
ノ決定竝分科擔當委員ノ選定、各分科主査ノ選擧ハ何レモ十二月七日ヲ以テ
行ヒマシタ、之ニ附隨イタシマス細カイコトハ旣ニ彙報ニ審カデアリマスカ
ラ茲ニ省略ヲ致シマス、今日マデ委員會ヲ開キマシタコトガ一囘、分科會ヲ
開キマシタコトガ四囘、文書表ヲ以テ報告ヲ致シマシタコトガ三囘、委員會
ノ特別ノ報告ヲ致シマシタコトガ一囘デゴザイマス、請願書ヲ受領イタシマ
シタル件數ガ百四十件デ、通數ニ致シマシテ四百五十二通デゴザイマス、之
ニ署名人員ハ三萬七百七十一名デゴザイマス、審査ノ經過竝結果ヲ簡單ニ申
上ゲマスト、請願文書表揭載件數ガ百三十一件、通數ニ致シマシテ四百四十
三通デゴザイマス、右ノ內デ院議ニ付スベシト議決イタシタモノガ五件通數
ニ致シマシテ五通デゴザイマス、院議ニ付スルヲ要セズト議決ヲ致シマシタ
モノガ七件、通數七通デゴザイマス、審査未了ノモノガ百十九件、通數四百
三十一通デゴザイマス、尙ホ請願文書表ニ未ダ揭載イタシマセヌモノガ九件
デ、通數ニ致シマシテ九通デゴザイマス此段御報告ヲ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=7
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008・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 第三、大正五年度歲入歲出總豫算案竝大正五年度
各特別會計歲入歲出豫算案審査期限ヲ定ムルノ件、第四、豫算外國庫ノ負擔
トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件、審査期限ヲ定ムルノ件
〔河井書記官朗讀〕
大正五年度歲入歲出總豫算案竝大正五年度各特別會計歲入歳出豫算案
右本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
大正四年十二月二十五日
衆議院議長島田三郞
貴族院議長公爵德川家達殿
豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件
右本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
大正四年十二月二十五日
衆議院議長島田三郞
貴族院議長公爵德川家達殿
〔國務大臣武富時敏君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=8
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009・武富時敏
○國務大臣(武富時敏君) 諸君、私ハ玆ニ大正五年度歲計豫算ヲ御紹介申ス
ノ光榮ヲ有シマス、大正五年度ノ總豫算ニ計上イタシマシタル歲入ハ經常部
ニ屬スルモノ五億二千三百二萬五千五百十九圓、臨時部ニ屬スルモノガ三千
四十七萬八千九百四十五圓、合計五億五千三百五十萬四千二百六十四圓デア
リマス、其歲出ハ經常部ニ屬スルモノガ三億九千七百四十五萬二千百七十一
圓、臨時部ニ屬スルモノガ一億五千六百五萬二千九十三圓、合計五億五千三
百五十萬四千二百六十四圓ト相成リマス、ソレ故ニ經常歲入ヲ以テ經常歲出
ニ比較ヲ致シマスレバ一億二千五百五十七萬三千百四十八圓ノ歲入超過トナ
ル計算デアリマス、大正五年度歲入歲出ヲ、之ヲ前年度施行豫算ニ比較ヲ致
シマスレバ、歲入ニ在ッテハ經常部ニ於テ千四百八十九萬七千三百五十六圓、
臨時部ニ於テ一億三千九百九十七萬九千九百三十五圓、合計一億五千四百八
十七萬七千二百九十一圓ヲ減少イタシテ居リマス、歲出ニ在ッテハ經常部ニ於
テ三千九百八十六萬八百十七圓、臨時部ニ於テ一億四千三百七十萬五百二十
九圓、合計一億八千三百五十六萬千三百四十六圓ヲ減少スルノ計算トナリマ
ス、併ナガラ前二箇年度ニ於テハ引續イテ豫算ノ不成立ヲ見タルノ結果、前
年度施行豫算ハ甚シク其實際ト遠カッテ居リマスガ爲ニ、此比較ハ單ニ形式
上ノ數字ニ止リマシテ、歲計ノ實狀ヲ表明スルコトハ出來ナイト考ヘマス、
ソレ故ニ更ニ前年度ノ實行豫算ニ對スル增減ヲ說明イタサウト存ジマス、大
正五年度ノ歲入ヲ以テ前年度ノ實行豫算ニ比較ヲ致シマスレバ、經常部ニ在。ツ
テハ營業稅、相續稅、酒稅、砂糖消費稅、織物消費稅及取引所稅等ニ於テ增
收ヲ見テ居リマスルガ、時局ノ影響ニ依リマシテ關稅ニ於テ多額ノ減收ヲ來
タスノ外、所得稅及印紙收入等ニ於テモ減少スルモノガゴザイマスル、ソレ
ト地租ニ於テ曩ニ公布セラレタル地租條例ノ改正等ニ依リマシテ減收ヲ示シ
マスガ爲ニ、差引租稅及印紙收入ニ於テ四百九十萬千百八十三圓ヲ減少イタ
シマシタ、併シ一方ノ官業及官有財產收入ニ於テ專賣局益金等ノ減少スルモ
ノハゴザイマスルガ、他ノ一面ニ郵便電信及電話收入、製鐵所益金竝砲兵工
廠益金等ノ增加スルモノガゴザリマスル爲ニ、四百九十七萬八千八百八十八
圓ヲ增加イタシマス、又預金特別會計繰入、朝鮮總督府竝臺灣總督府各特別
會計繰入及雜收入ニ於テ增減差引百四十萬千二百九圓ヲ減ズルニ依リマシ
テ、經常歲入全體ニ於テハ百三十二萬三千五百四圓ノ減少ヲ示シマス、臨時
部ニ在ッテハ軍艦水雷艇補充基金及治水費資金ノ廢止ニ伴ヒマシテ、是ガ繰入
金ガゴザリマセヌ等ノ爲ニ三千二百七十五萬六千百二十五圓ヲ減少イタシマ
シテ、結局歲入總額ニ於テ三千四百七萬九千六百二十九圓ト云フモノヲ減少
スル計算ニナリマス、大正五年度ノ歲出ヲ以テ之ヲ前年度ノ實行豫算ニ比較
イタシマスレバ、經常部ニ在ッテハ一方ニ於テ貨幣交換差金恩給其他補充費途
ニ屬シマスル分ニ於テ百七十七萬千六百九十七圓、陸軍軍事費竝ニ憲兵費等
ニ於テ從來臨時部ニ計上シタル朝鮮派遣部隊費ノ一部ヲ經常部ニ換ヘマシタ
ル爲ニ三百二十二萬七千九百九十五圓、及朝鮮師團新設ノ爲ニ要スル差增額
百二十五萬九千四百六十二圓、竝新艦艇ノ建造ニ伴ヒマシテ海軍ノ軍事費ニ
於テ三百二十萬三百八十八圓ヲ增加イタシマスル、其外ニ滿蒙地方ノ開發ニ
伴ウテ領事館ノ增設、內地產業ノ指導奬勵及通信機關ノ整備擴張等ニ關スル
經費、竝ニ預金利子等ニ於テ三百八十五萬九千六百三十一圓ノ增加ヲ要スル
モノガゴザイマスガ、他ノ一方ニ於テハ軍艦水雷艇補充基金ノ廢止ニ伴ヒマ
シテ、是ガ繰入金ニ於テ千二百萬圓、國債額ノ減少等ニ伴ヒマシテ國債整理基
金繰入ニ於テ五百三十二萬二千二百八十五圓ヲ減少イタシマスル、其他諸般
ノ經費ニ於テ增減差引百三十五萬八千六百五十二圓ヲ減ズルニ依リマシテ、
經常歲出ニ於テ五百三十六萬七百六十四圓ヲ減少イタシマス、臨時部ニ在ッテ
ハ一方ニ於テ海軍軍備補充費ニ於テ本年度以降四箇年度間ニ總額四千五百三
十二萬七千八百十九圓ヲ追加スルノ計畫ヲ定メマシテ、其中本年度ニ於テ要
シマス金額五百八十八萬五千四百六十八圓ヲ既定ノ年割額ニ追加イタシマス
コトニナッテ居リマス、明治三十七八年臨時軍事費ノ繰越使用額ヲ合併シテ之
ヲ整理スルガ爲ニ陸軍整備費ニ四百四十萬六千九百十一圓ヲ追加イタシマ
ス、電話交換擴張費ニ於テ增額ノ計畫ヲ立テマシタル爲ニ百五十萬圓ヲ增加
シテ居ル、其他造船奬勵費等補充費途ニ於テ百五十八萬九千四百四十八圓ノ
增加ヲ要スルモノガゴザイマスルガ、他ノ一方ニ於テ既定繼續費年割額ノ減
少ニ依ッテ三百十萬八千八百四圓ヲ減ジマスルノト、臨時事件ニ關スル諸般ノ
經費ハ別ニ追加豫算トシテ要求スルコトニ致シマシタルガ爲ニ、其前年度ニ
於テ要シタル金額二千三百三十一萬千二百三十七圓ノ全部ヲ減少イタシマス
ルノト、大體ニ關スル經費ヲ要セザル爲ニ五百三十九萬三百七十七圓ヲ減少
イタシマスルノト、治水費資金特別會計ノ廢止ニ伴ヒマシテ是ガ繰人金ヲ要
セザル爲ニ六百三十三萬五千七百三十一圓ヲ減少イタシマスルノト、朝鮮派
遣部隊費ノ一部ヲ經常部ニ移シ換ヘマシタル爲ニ三百二十二萬七千九百九十
五圓ヲ減少イタシマスルノト、ソレニ加ヘテ災害復舊費貸付ヲ要セザル爲ニ
增減差引七十二萬六千五百四十八圓ヲ減少スルニ依リマシテ、臨時部全體ニ
於テ二千八百七十一萬八千八百六十五圓ヲ減少イタシマシテ、結局歲出總額
ニ於テ三千四百七萬九千六百二十九圓ノ減少ヲ示シテ居ルノデゴザイマス、
此政府ノ提案ニ對シマシテ衆議院ニ於テ之ガ審議ノ結果、長崎控訴院移轉案
ノ否決ニ伴ヒマシテ、總豫算中歲入ニ在ッテハ臨時部ニ於テ十萬千九百三十
圓、歲出ニ在ッテハ經常部ニ於テ千九百三十圓、臨時部ニ於テ十萬圓、合計十萬
千九百三十圓ヲ削減イタシマシタル外全部政府ノ提案ヲ可決イタシマシテゴ
ザイマス、曩ニ歐洲ノ戰亂ガ勃發イタシマシテ我國ノ財政經濟上ニ多大ノ影
響ヲ蒙リマシテ、殊ニ大正四年度ニ於テハ其歲入ガ實行豫算ニ對シテモ多額
ノ減收ヲ免レナイ形勢ニナリマシテゴザイマス、ソレ故ニ政府ハ此形勢ニ鑑
ミテ銳意經費ノ節約ニ努メマシテ、本年度ニ於テモ尙ホ未ダ歲入ノ恢復ヲ見
ルニ至リマセヌ、而カモ時局ノ前途ハ容易ニ測リ知ルコトガ出來マセヌ故ニ、
政府ハ諸般ノ經費ニ對シテ極力之ガ緊縮ニ努メマシテ、唯緊急措キ難キモノ
ノミヲ實施スルニ止メタノデゴザイマス、各種ノ方面ニ亙リ必要ナル施設ニ
對シテハ更ニ財政上相當ナル餘裕ヲ得ルヲ俟ッテ之ガ實行ヲスルノ外ハナイ
ト信ジテ居リマス、翻ッテ本年ニ於ケル我ガ經濟界ノ趨勢ヲ察シマスルニ未ダ
一般ニ不景氣ノ狀況ヲ脫スルコトガ出來マセヌ、併ナガラ時局ノ影響モ漸次
ニ緩和シテ參リマシテ、殊ニ造船航海ノ事業ヲ初メ軍需品竝ニ輸入代用品ニ
關スル諸工業ハ大體ニ於テ生氣ヲ帶ビテ參ルヤウデゴザイマス、又米國市場
ガ非常ノ好況ニナリマシタノデ、之ニ從ヒマシテ生絲貿易等モ亦不景氣ヲ恢
復シテ參リマシタ、而シテ本年十一月末マデニ於ケル新事業ノ計畫ト云フモ
ノハ、其資金總額二億四千百餘萬圓デアリマス、昨年ノ同期ニ比較イタシマ
スルト未ダ百餘萬圓減少ヲ致シテ居リマスルガ、最近ニ至ッテ稍〓增加ノ傾向
ヲ示シテ參ッタヤウデゴザイマス、又外國貿易ハ本年十一月末迄ニ於ケル輸出
額ガ六億三千六百餘萬圓、輸入額ガ四億八千八百餘萬圓、合計十一億二千五
百餘萬圓デゴザイマシテ、輸出ノ輸入ニ超過シテ居ルコトガ實ニ一億四千八
百餘萬圓ニ上ッテ居リマス、而シテ輸入ハ昨年同期ニ較ベマスト六千五百餘萬
圓ヲ減少イタシマスルガ、輸出ノ方ハ九千七百餘萬圓ヲ增加シテ居リマス、
輸出入合計ニ於テ三千二百餘萬圓ヲ增加シテ居ルノデゴザイマス、ソレ故ニ
本年ノ輸出超過ト云フモノハ輸入ノ減少ニ依ッテ生ジタ超過ヨリモ、寧ロ輸出
ノ增進ニ依ッテ生ジタモノデゴザイマシテ、輸入ノ減退及輸出ノ增進ハ共ニ時
局ノ關係ニ基クト云フコトハ言ヲ須ヒヌ譯デゴザイマス、外國貿易ノ情勢ガ
此通リデゴザイマスル結果、國際貸借ハ順調ニ赴キマシテ、正貨ノ總現在高
ハ十一月末ニ於テ五億五百餘萬圓デゴザイマス、之ヲ昨年ノ同期ニ比較イタ
シマスルト、昨年ノ十一月末ニ於テハ三億二千六百餘萬圓デゴザイマスルカ
ラ、ソレニ比較ヲ致シマスルト約一億七千八百餘萬圓ヲ增加シテ居ルノデゴ
ザイマス、外國債ノ募集ニ依ラズシテ、斯ノ如ク多額ノ正貨ガ增加シタルコ
トハ未ダ曾テ其例ヲ見タコトガナイト云フコトハ、私ガ申スマデモナイコト
デゴザイマス、政府ハ益〓此正貨ノ維持ニ努メマスルト同時ニ、此趨勢ヲ利用
イタシマシテ、事情ノ許ス限リ成ルベク外國ニ對スル債務ヲ輕減スルノ方法
ヲ專ラ講ジツツアルノデゴザイマス、而シテ正貨ノ增加ト云フモノハ自ラ商
工業ノ不況、金融界ニ於ケル警戒等ト相伴ヒマシテ、本年ノ初メヨリ金融緩
慢ノ情勢ヲ呈シテ參リマシテ、隨ッテ金利ノ低落、續イテ有價證劵ノ騰貴ヲ見
ルニ至ッテ居ルノデゴザイマス、併ナガラ是等貿易ノ順調、正貨ノ增加、金融
ノ緩慢、證劵ノ騰貴、何レモ主トシテ時局ニ依ッテ生ジマシタル一時ノ變態ト
思ハレマスル、固ヨリ之ヲ以テ常時ノ形勢ト云フコトハ出來マセヌト思ヒマ
ス、目下短期ノ資金ハ極メテ潤澤ノヤウデゴザイマシテ低利ナルニモ拘ラズ、
稍〓長期ニ亙ル資金ハ之ト趣ヲ異ニスルハ、如何ニ金融界ガ時局ノ將來ヲ慮ツ
テ警戒スル所アルカ、又如何ニ今日ノ金融ガ變態ニ屬スルカヲ證明シテ餘リ
アルト思ヒマス、是等ノ變態ニ處シテ輕擧ニ失セズ、退嬰ニ偏セズ、穩健著
實ニ我ガ經濟界ノ進步發展ヲ圖リ、平和克復ノ際ニ於テ來ルベキ內外諸種ノ
變化ニ對應スベキ覺悟ヲ有スルコトガ極メテ肝要ナリト信ジマス、諸君、私
ハ諸君ガ愼重ニ審議セラレテ、豫算案ニ協贊ヲ與ヘラレムコトヲ希望イタシ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=9
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010・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ通告順ニ依リマシテ、質疑ノ爲ニ發言ヲ許
シマス、仲小路廉君
〔仲小路廉君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=10
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011・仲小路廉
○仲小路廉君 極メテ簡單ニ豫算上必要ナ點ニ付キマシテ一二政府ニ質問ヲ
致シテ說明ヲ煩ハシタイト思ヒマス、第一私ノ政府ニ伺ヒタイコトハ、國防
殊ニ海軍補充ニ關スル問題デアリマス、國防ノ問題ハ年々豫算上ニ重大ナ關
係ヲ持ッテ居リマシテ、常ニ上下兩院ノ論議ノ衝ニ當ッテ居ルノデアリマス、
殊ニ本年ハ豫算ノ編製以前ヨリ海軍大臣ニ於テ重大ナル提案ガアルデアラウ
トハ、世人ト共ニ皆疑ッテ居ッタノデアリマス、殊ニ其關係ガ財政上ニ餘程重
大ナ關係ヲ持ツコトハ世人共ニ皆憂ヘテ居ッタ譯デアリマス、然ルニ豫算編
成ノ際ニ於テ、豫テ重大ナ問題トナルデアラウト考ヘタコトハ、意外ニ僅少
ナル金額ノ計上トナリマシテ、財政上極メテ好都合デアリ、又斯ル重大ナ關
係ヲ斯ノ如ク僅少ナル金額ノ中ニ御制限ニナリマシタコトハ、一面ニ於テハ
現內閣ノ洵ニ御成功デアルト存ジタノデアリマス、極メテ此點ニ付キマシテ
都合ノ好イ調和ノ出來マシタコトハ、此內閣ノ爲ニ御成功デアルト存ジマス
ルト共ニ、之デ果シテ海軍大臣ハ國防上ニ關陷ナシトシテ、其御職責ヲ全ウ
ナサルベキモノデアラウカ、此點ハ如何デアラウカト云フコトハ、僅少ナル
金額ノ御計上デ相濟ンダト共ニ、我〓亦此點ニ疑ヲ挾ンダ、當議會開會以來、
上下兩院ニ於テ海軍大臣ヨリ此點ニ付キマシテノ御主張ハ、別シテ私共ハ注
意ヲ致シテ居ッタノデアリマス、海軍大臣ガ當議會開會以來、上下兩院ニ於テ
御主張ニナリマシタ要點、私ガ海軍大臣ノ御主張トシテ誤ナシト信ズル點ハ
斯ウ云フ御趣意デアッタト存ズルノデアル戰艦八隻、巡洋戰艦八隻ヲ主力ト
シテ編成シタル艦隊、世ニ謂ハユル八八艦隊ナルモノハ國防上絕對ニ之ヲ必
要トスルノデアルカ、絕對ニ必要トシテ居ル此八八艦隊ヲ全ウスル其前提ト
シテ先ヅ以テ八四艦隊ノ編成ヲ必要トシテ居ル、此八四艦隊ノ編成ハ國防上
缺クベカラザルコトデアッテ、其一端トシテ、其一部トシテ本年ノ豫算ニ追加
シタル四千五百萬圓餘ノ追加ハ、八四艦隊ノ一部トシテ之ヲ提案シタノデア
リマス、卽チ其殘額ニ屬スル全部ハ之ヲ來ル六年度ニ於テ提案ヲスル積リデ
アル、而シテ其總額ハ二億五千四百萬圓ニ相當スベキモノデアッテ、是ハ敢テ
年度割トハ稱スベキモノデハナイガ、大正六年度ヨリ大正十一年度マデ唯今
申ス總額二億五千四百萬圓ト云フモノヲ必ズ提案ヲ致スノデアルト、而カモ
此事柄ハ獨リ海軍大臣トシテ主張スルバカリデハナイ、防務會議ニ於テモ此
事ハ決定ヲ致シテ居ルノデアル、又內閣會議ニ於テモ此事ハ決定イタシテ居
ルノデアル、故ニ必ズ來ル六年度ヨリ之ヲ提案スルト云フコトハ公言シテ憚
ラヌノデアル、極メテ大ナル決心ヲ以テ堂々ト此事ヲ御主張ニナッテ居ルノデ
アリマス、私ハ海軍大臣ノ當議會ニ於テノ上下兩院ニ於ケル御主張ハ、斯ク
ノ通リデアルト了解ヲ致シテ居ルノデアリマスルガ、若シモ此了解ニ誤ガア
リマシタナラバ、ソレハ誤ッテ居ルト云フコトノ御答ヲ得タイ、誤ッテ居リマ
セヌカッタナラバ、私ハ別段海軍大臣ヨリノ御答辯ヲ煩ハサナイ、海軍大臣ト
シテハ職責上是ダケハ必要デアル、故ニ今本員ガ了解イタシタ通リニ相違ハ
ナイト云フコトデアリマスルナラバ、別段ニ御答ヲ煩ハサナイ、直チニ進ン
デ大藏大臣ニ伺ヒタイ、大藏大臣ガ今期議會ニ於テ海軍補充問題ニ對シテノ
御答辯ノ要旨ハ、唯今私ガ海軍大臣ノ御主張デアルトシテ申述べマシタ事柄
ヲ總テ是認サレテ居ル······是認サレテ居ル、總テ海軍大臣ノ言ハルル通リ、
卽チ大正六年度ヨリ十一年度マデニ總額二億五千四百萬圓ニ相當スベキモノ
ヲ提案スルト云フ點ニ付テ、防務會議ニ於テ決定サレタコトニモ異存ハナイ、
內閣會議ニ於テ斯ノ通リ決定シタコトニモ異存ハナイ、又來年度ヨリ之ヲ提
案ヲ致スコトニモ異存ハナイ、總テ海軍大臣ノ御主張ニナッタ事柄ノ全部ヲ承
認サレテ、何等ノ異議ノナイト云フコトヲ是認サレテ居ルノデアリマス、而
シテ斯マデ海軍大臣ノ總テノコトヲ御承認ニナリツツ、此重大ナル海軍問題
ノ提案ニ付テ、其最モ必要ナルハ之ニ伴フ財政計畫デアリマス、之ニ必要ナ
ル財源ヲ如何ニ調達スルカト云フコトガ問題デアル、然ルニ防務會議ノ決定
シタルコトモ、內閣會議ニ於テ決定シタルコトモ、來年度ヨリ總額ノ提案ヲ
ナスコトニ異議ノナイト云フコトヲ仰セニナルニモ拘ラズ、此財政計畫ニハ
成案ハナイ、成竹ハナイ、今ハ非常ナ事變ノ際デアル、今年ハ愚カノコト、
來年カラ何時マデドウナルコトヤラ分ラヌ、隨ッテ斯ル場合ニ於テ將來ノ計畫
ヲ立テル譯ニハ行カナイ、又其財源モ如何ニシテ之ヲ調達スベキヤハ分ラナ
1、唯最善ノ努力ヲ致スノミデアルト······最善ノ努力ハ、國務大臣トシテハ
萬般ノコトニ最善ノ努力ヲ致サレルコトハ申スマデモナイ、玆ニ至ッテ私共ハ
疑ハザルヲ得ナイ、驚カザルヲ得ナイノデアリマス、同一ノ內閣ニ於テ、海
軍大臣ハ來年度ヨリ二億五千四百萬圓ニ相當スベキモノヲ大正十一年度マデ
ニハ是非提案ヲスル、卽チ來ル六年度ヨリ十一年度マデニ總額二億五千四百
萬圓ノ追加ガ目前ニ迫ッテ居リマシテ、而シテ大正五年ヨリ向ウ八年マデ、卽
チ既定歲出トモ申スベキモノガ一億三千五百萬圓、是ハ旣定ノモノデゴザイ
やり、 、此一億三千五百萬圓ニ更ニ六年度ヨリ二億五千四百萬圓ヲ追加シテ、
總額合計三億八千九百萬圓、是ダケノモノヲ大正六年ヨリ向ウ十一年マデ、
略一年々六千萬圓乃至六千五百萬圓ホドダケノモノハドウシテモ玆ニ支出シ
ナケレバナラヌト云フ計算ニナッテ參ルノデアリマス、又其上ニ大正十二年ノ
後ニ於テハ、八四艦隊以外ニ屬スル八八艦隊ニ必要ナル經費マデヲモ提案ス
ルト斯ウ仰セニナッタ、是ダケ國家ノ負擔、殊ニ今日ノ場合ニ於テ斯ル大枚ノ
計畫ガ目前ニ定マッテ居ル、否ソレバカリデハナク旣ニ其經畫ノ一部ガ提案サ
レテ居ルノデアリマス、是ノ協贊ヲ求メラレテ居ルノデアリマス、而シテ之
ニ對シテ未ダ以テ財政計畫ノ定マレルモノハナイ、財源ノ如何ニ付テモ今以
テ考ハナイ、是デ果シテ相濟ムベキモノデアリマセウカ、防務會議ニ大藏大
臣ノ參加セラルルハドウ云フ譯デアル、內閣會議ニ於テ最モ重要ニ、殊ニ斯
ル大切ナル國防計畫ヲ議定セラルルニ際シテ、最モ重責ニ在ル者ハ卽チ財政
ノ當局者デアリマス、是ダケノ國防計畫ヲ全ウシテ、斯ル巨額ノ支出ヲスル
ト云フコトノ定マッテ居リマスル場合ニ於テハ、少クモ其以前ニ財政計畫ハ無
クテハナラヌコトト私ハ思フ、又何ヲ措イテモ大切ナノハ財源デアリマスカ
ラ、ドウシテモ此財源卽チソレニ伴フ經晝ガ定マッテ茲ニ初メテ防務會議ニ於
テモ決定サレ、內閣會議ニ於テモ決定サレ、而シテ議場ニ向ッテ御明言ニナッ
テ然ルベキモノダト私ハ思フ、大藏大臣ハ來年ノコトハ來年度ダ、今年カラ
マダソレヲ言フ必要ハナイト斯ウ云フコトノ仰セガアルヤウニ見エル、是ガ
普通ノ問題ナラバ其通リデ宜シイノデアリマス、言換ヘレバ今年提案サレテ
居リマスル四千五百萬圓ノ國防問題ナルモノガ、ソレガ他ニ關係ナクシテ單
獨ニ步ンデ參ル一ツノ提案ナラバソレデ宜シイ、去リナガラ此四千五百萬圓
ト云フ今年ノ提案ハソレバカリデ單獨ニ步ンデ居ル問題デハナクシテ、海軍
大臣御自身ガ御明言ニナリマス如クニ、八四艦隊ノ一部デアルト仰セニナル、
卽チ俗ニ申ス全計晝ノ頭ガ出テ來タ、此頭ノ出ルト共ニ全體ガ伴ッテ居ルノ
デアリマス······全體ガ伴ッテ居ルノデアリマス、從ッテ此四千五百萬圓ノコト
ヲ我ミガ協贊ヲ致ス場合ニハ否ヤデモ應デモ全額ニ付テノコトノ審議攷究ヲ
致サナケレバナラナイノデアリマス、一部ヲ出シテアトハ否ヤデモ應デモ其
通リニ遂行セシメル、是ハ御無理ニナル、ソレデアリマスルカラ普通ノ場合
トハ違フ、來年ノコトダカラ今ハ說明ヲシナイト言ッテ之ヲ御差措ニナル譯ニ
ハ參ラナイ、本年全部ニ對スル計畫ノ御說明ガナクテハ相濟マナイノデアリ
やっく、是ハ今日唯今此所ニ申スノデハナイ、從來國防問題ノ議定サレマスル
頃ニ屢〓貴族院ニ於テ主張サレタル議論デアリマシテ、常ニ論議サレテ居ル點
デアリマスルカラ、決シテ此際事新シク斯樣ナコトヲ申スノデハナイ、是人
現大藏大臣ハ御承知デアラセラレヌカモ存ジマセヌガ、從前カラ貴族院ニ於
テハ國防問題ヲ論議サルル當時ニ、總テ斯ル方針ノ下ニ愼重ニ審議サレテ居ッ
タト私ハ思フノデアリマス、其次ニ私ハ大藏大臣ニ敢テ御無理ハ申サナイ、
來年ノコトハ今ハ分ラヌ、分ラナイト仰セニナルナラバ分ラナイデ宜シイノ
デアリマス、ソレデ宜シイ、サウナッタラバ海軍大臣ハ何トサレル·サウ
ナッタラバ海軍大臣ハ何トサレル、來年ノコトハ當テニナラナイ、今カラハ何
トモ定マラヌト斯ウナッタナラバ、ソレデ海軍大臣ハ國防上ニ關陷ハナイ、責
任ハ全クソレデ遂行サレルト云フコトニナルノデアリマスルカ、此所ガ私ハ
海軍大臣ノ主張ヲ至當ナリトスレバ大藏大臣ハ何トナサル、又大藏大臣ノ主
張ガ至當ナラバ海軍大臣ノ職責ハドウナルカ、私ハ斯ク考ヘテ居リマス、國
防ノ問題ハ國家ニ大切デアル、是ハ何ヲ措キマシテモ國家ニ重要ナル國防問
題ハ全ウシテ置カナケレバナラヌコトデハナイカト思フ、サテサウ致シマス
ルト種々ナ枝葉ノ論ハ別ニシテ置イテ、少クモ今日ノ場合ニ於テハ八四艦隊
ハ全ウシテ置カナケレバナラヌカモ知レヌ、サウ致シマスルト獨リ海軍大臣
バカリデハナイ、我〓國民總テノ者モ矢張リ考ヘテ見テ來六年度ヨリ向ウ大
正十一年度位マデノ間ニ、玆ニ唯今申ス新ニ追加サルルト云フ二億四千五百
萬圓、之ニ既定ノ總額ヲ加ヘテ約四億近イ金ヲ支出セヌケレバナラヌ場合ニ
ナッテ居ルノデアリマス、是ハドウシテモ國家國民トシテ考ヲシテ置カナケレ
バナラヌコトダト思フ、其上ニ尙ホ大正十二年、大正十四年ニハ償還ノ迫ッテ
居ル外國公債モアルノデアリマス、少カラヌ外國公債ニシテドウシテモ大正
十二年、大正十四年ニ於テハ支拂ヲシナケレバナラヌコトニナッテ居ル分ガア
ル、外ニ對シテハ十二年、十四年ニ於テ仕拂ノ迫ッテ居ル公債モアリ、內ニ於
テハ國防上ニ約四億ニ近イ金額ノ支出ヲ要スル、實ニ國家トシテハ多事多端
ノコトデアラウト存ジマスル、斯ノ如キ重要ナ場合デアレバ玆ニ大藏大臣ト
シテ此大切ナ場合ニ、財政ノ局ニ當ッテ御居デニナルト云フ以上ハセメテ之
ニ對シテノ經綸ハアッテ然ルベキモノダト思フ、計畫ハアッテ然ルベキモノダ
ト私ハ思フノデアリマス、ドチラニ致シマシテモ國防ニ關スル費用デアルト
カ若クハ國家ノ直接ノ責任ニナッテ居ル外債償還、是等ノモノハ租稅其他ノ經
常歲入ヲ以テ之ニ充ラテ、國防其外種々ナモノハ租稅其外經常歲入ヲ以テ之
ニ充テテ、鐵道ヲ始メトシテ其他ノ事業ニ屬スベキモノハ緩急斟酌、時ニ從ツ
テ斟酌ノ付クヤウニ、是等ノ事業公債ニ依ッテヤル、茲ニ財政計畫上一定ノ經
綸計畫ガアッテ然ルベキモノト思フ、然ルニ今日マデノ狀況ハ將來ニ對シテ大
ナル負擔ノ目前ニアルニ拘ラズ、何等ノ經營計畫ナクシテ置イテ、而シテ同
ジ內閣中ニ於テ海軍大臣ノ御主張ト大藏大臣ノ御主張トハ相容レナイノダ、
此兩大臣ノ相容レ難イ事柄ヲ···相容レ難イ事柄ヲ、之ヲ十分ニ解決モセズ、
十分ナル節制調和モ加ヘズ、唯僅ニ四千五百萬圓ノ金額ヲ計上サレテ、後ノ
問題ハソックリ他日ニ御讓リニナル、推諉サレテ居ルト、斯樣ニ考ヘマシタ
ラバ如何ナルノデアリマセウカ若シモ斯樣デアッタナラバ甚シク責任ヲ重ジ
ナイ、多クノ問題ハ他日ニ讓ッテ置イテ、唯一時ヲ姑息スルト申シテモ誣言デ
ナイト申サネバナラヌコトニナルカト存ジマス、決シテ現內閣ニ於テハ斯樣
ナ御趣意デナイト存ジマスル、願ハクハ此點ニ付テ明瞭ナル御答辯ヲ煩ハシ
タイト存ズルノデアリマス、其次ニ私ハ豫算ニ最モ重大ナ關係ヲ有ッテ居リマ
スルノハ外交ノ問題デアラウト存ジマス、何故ナラバ外交ノ關係ガ極メテ平
穩無事デアリマスルナラバ、ソレナラバ豫算ノ審議モ其積リヲ以テスルガ當
然若シモ外交上ノ關係ガ將來或ハ險惡デアルカ、或ハ不安ノ狀態ガアルカ
ト云フコトニナリマスレバ、同時ニ豫算ノ審議ニ於テモ亦其考ヲ以テ考慮ヲ
加ヘルガ當然ト考ヘル、之ニ付キマシテ私ハ外務大臣ニ伺ヒタイコトガアル、
ソレハ今囘歐洲ニ勃發イタシテ居リマスル戰亂ハ實ニ空前ノ大戰亂デアリマ
ス、此大事ノ場合ニ於テ我ガ日本帝國ハ······我ガ日本帝國ハ此歐羅巴ノ大戰
亂ニ際シテハドウ云フ關係ニ居ルカ、ドウ云フ立場ニ我ガ帝國ハ立ッテ居ルモ
ノカト云フコトハ是ハ極メテ大切ナコトト思フノデアリマス、是尺····今日
我ガ帝國ハ日獨開戰ノ爲ニ歐羅巴ノ大戰亂ノ一部ニ加ッテ居ルノデアリマス、
實ニ重要ナ關係ニナッテ居ルノデス、此日獨開戰ノ關係、ソレガ爲ニ歐羅巴ノ
戰亂ノ一部ヲモ擔任ヲ致シテ居ルノデアリマスルガ、此關係ハ昨年日獨開戰
ニ付テ公布ニナリマシタ宣戰詔書ガ此意味ヲ誠ニ明瞭ニ御示シニナッテ居ル
ト私ハ思フノデアリマス、宣戰詔勅ヲ拜讀スレバ極メテ我ガ日本帝國ガ歐羅
巴ノ戰亂ニドウ云フ關係ラシテ居ルカト云フコトハ誠ニ瞭然ダラウト存ジマ
ス、ソレハ申ス迄モナイコトデアリマスルガ、此宣戰詔書ヲ拜シマシテモ今
囘歐羅巴ニ起ッタ戰亂、其禍殃、其禍ガ東洋ニ及ンデ來ルコトハ實ニ憂フル所
デアル、故ニ我ガ日本帝國ハ何處マデモ嚴正中立ヲ確守スル、嚴正中立ヲ確
守シテ歐羅巴ノ戰亂ノ禍ノ及ンデ來ナイヤウニスル積リデアッタ、去リナガラ
唯日英同盟ノ關係ハ·····日英同盟ノ關係ハドウシテモ此際獨逸ト戰ヲ開カザ
ルベカラザルノ已ムヲ得ヌコトニナル、加フルニ東洋ノ平和ヲ保ツ上ニ於テ
亦已ムヲ得ナイ、玆ニ於テカ平和ニ對シテ眷々タルニモ拘ラズ、遂ニ獨逸ト
戰ヲ宣スルノ已ムヲ得ザルニ至ッタモノデアル、是ハ歐羅巴ノ戰亂ニ對スル我
ガ日本帝國ノ立場、其關係ヲ明カニサレテ居ルノデアリマシテ、我〓臣民ト
シテハ一ニ此詔書ノ趣意ヲ深ク奉戴スル外ナイト存ジマスル、卽チ日英同盟
ノ關係ト東洋ノ平和ヲ保ツコトノ爲ニ餘儀ナク戰ニ加ハル、全ク關係ハソレ
デアル、然ルニ玆ニ私ガ外務大臣ニ伺ヒタイコトノアルノハ、昨年ノ九月五
日倫敦ニ於テ英佛露三國ガ單獨ニハ媾和ヲシナイト言ッタ所謂倫敦宣言デア
リマス、此倫敦宣言ガ當時世上ニ發表ニナリマシタ際、アレハ恰モ臨時議會
開會ノ際デアリマス、其臨時議會開會ノ際ニ加藤前外務大臣ハ當議場ニ於テ
當時ノ經過ヲ御報〓ニナリマシタ、其御報告ニナリマシタ際ニ我ガ駐英大使、
日本大使ニ英國ノ外務大臣ヨリ交付サレタ覺書ヲ此席上デ朗讀ニナッタノデ
アリマス、共覺書ノ趣旨ハ英國政府ト佛露兩國政府トノ間ニハ從來何等ノ取
極モナカリシニ依リ今次協同ニ從事スル戰爭ニ關シテ右二國政府ト協約ヲ締
結シタリ、日英兩國政府間ニハ同盟協約第二條ニ規定アルガ故ニ今改メテ斯
ノ如キ協約ヲナスノ必要ナシ、今改メテ斯クノ如キ協約ヲナスノ必要ナシ、
英國政府ガ媾和締結媾和條件ニ關シ佛露兩國政府ト取結ビタル協約ハ英國政
府ガ旣ニ負擔スル義務タル日英同盟協約ノ規定ヲ毫モ變更ズルモノト看做ス
ベカラザルモノ竝英國政府ガ戰鬪及媾和ニ關シ日本ト協同シ且ツ雙方合意ノ
上ニ於テ之ヲ爲スハ言ヲ俟タザルモノタルコトヲ佛露兩國政府ニ通告シタリ、
是デアリマス、洵ニ此趣旨ハ明瞭デアル、能ク我ガ帝國ノ立場、歐羅巴ノ戰
亂ニ對スル我ガ立場卽チ先ニ申シタ宣戰詔書ノ御趣旨ニ能ク相合シ、事理極
メテ明瞭デアル、卽チ關係ハ唯日英同盟ノ關係デアル、主トシテ日英同盟ノ
關係トシテハチヤント其規定モアルノデアル、今更改メテ·····今更改メテ佛
露兩國其他ノ國ミト單獨ニハ媾和ヲシナイト云フコトノ約束ヲ結ブ必要ハナ
1、是ハ洵ニ明瞭デアリマス、事理一貫イタシテ居リマス、實ニ能ク前後ノ趣
旨モ貫イテ居ルノデアリマス、玆ニ於テ我〓貴衆兩院總テノ者ハ加藤前外務
大臣ノ御報告ヲ是認シテ、成ルホド至當デアルト總テ之ヲ是認シタ、然ルニ
昨年ハ何等ノ必要ハナイ······何等ノ必要ノナイト云ッタ其事柄ガ本年ハソレ
ガ變ヲテ遂ニ單獨ニハ媾和ヲシナイト云フ倫敦宣言ニ加入サレタト云フハド
ウ云フ次第デアル、單ニ勸誘默シ難シト云フノデ加入サレタノデアリマスカ、
將又帝國ノ立場ニ於テ之ニ加入スルコトノ已ムヲ得ザル必要ガアッタノデア
ルカドウカ、若モ本年加入サレルコトガ我ガ帝國ノ立場ニ於テ必要ナモノデ
アッタト云フナラバ昨年ノ前外務大臣ノ行動ハ我ガ日本帝國ヲシテ不十分ナ
ル立場ニ置イタノデアリマス、サウデナクシテ昨年前外務大臣ノ行動ガ至當
デアッテ十分我國ノ立場ヲ明瞭ニサレテ居ッタモノダト云フナラバ本年ノ行動
ハソレ以上所謂必要ノナイコトヲナサレタコトニナル、是ハドチラガ至當デ
アルカ、之ニ付テ若モ昨年ト本年トノ間ニ何等ノ矛盾ガナイト云フノデアリ
マスナラバ何等カノ事情ノ變化ガアッタト云フノデナクテハナラヌ、若モ變化
ガアッタト云フナラバドウ云フ變化ガアリマシタカ、昨年開戰ノ當時卽チ九月
五日前後ノ歐羅巴ノ情勢ト本年ニ至ッテノ情勢ハドウ云フ變化ガアリマシテ、
昨年ハ必要ナシト云ッタ事柄ガ本年必要ニナッテ來タノデアリマスカ、ドウカ
此點ニ付キマシテ能ク了解ノ付キマスルヤウニ說明ヲ得タイト存ジマス、尙
ホ此際友邦支那ニ對シテ警告ト申スノデアリマスカ、將タ好意的勸〓ト申ス
ノデアリマスカ、其形式ノ如何ハ暫ク措イテ或ル申込ヲナサレタ、其結果ハ
ドウナリマシタカドウ云フ事情ニナッテ居リマスルカ、最早此御見込モ定マッ
テ居ルコトト存ジマス、將來ノ御考モアラウカト存ジマスルカラ、之ニ付キ
マシテハドウ云フ考ヲ以テ將來ハドウヤル積リデアルカト云フコトヲ承リタ
イ、尙ホ一ツ序ナガラ極ク簡單デアリマス、我ガ國內ニ在留ヲ致シテ居ッタ印
度人二名ニ對シテ退去ヲ命ジタ、而シテ其命ゼラレタモノガ潜匿ヲシタトカ、
遁走ヲシタトカ云フ爲ニ折角發布サレタ命令ガ實行ガサレナカッタト云フヤ
ウナ趣ニ承知シテ居ルノデアリマス、斯ルコトハ國家ノ威信ト體面ニハ關係
セヌノデアリマスカ、ドウナリマシタノデアリマスカ、是モ序ナガラ承知ヲ
致シテ置キタイト存ジマス、ドウカ以上數點ニ對シマシテ最初ノ問題ハ大藏
大臣、次ノ問題ハ外務大臣ヨリ願ハクバ懇篤ナル御說明ヲ煩ハシタイ、尙ホ
御答ノ模樣ニ依リマシテハ私ハ再度御尋ヲ致スカモ存ジマセヌ
〔國務大臣武富時敏君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=11
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012・武富時敏
○國務大臣(武富時敏君) 唯今ノ仲小路君ノ御質問ニ御答ヲ申上ゲマス、海
軍補充ノ計畫ガ本年豫算ニ計上セラレタルモノハ一部分デアッテ、其他ノ計
畫ノ殘部ハ六年度以後ニ提出ヲスルト云フコトニ付テ其財源ヲドウスルカト
云フコトガ一ツノ御質問デアッタト思ヒマス、申スマデモナク財政モ經濟モ變
化シツツアル時デゴザイマスカラ今後如何ナル變化ヲ見ルカ、大體ハ豫測ス
ルコトモ出來マスガ、マダ目下將ニ變化ヲシツツアルノデゴザイマス、ソレ
故ニ此海軍補充ノ財源ハ孰レノ方面ニ又ハ孰レノ方法ニ依ッテ其支辨ノ途ヲ
求ムルカト云フコトハ此變化シツツアル財政ノ狀態ノ中ニ立ッテ今日之ヲ定
メルノハ適當ヲ得ルコトガ甚ダ難イト信ズルノデアリマス、ソレデ此六年度
以後ノ計畫ニ對スル財源ハ其時ニ至ッテ適當ノ方法ヲ講ズル積リデアルノデ
アリマス、卽チ衆議院ニ於テ最善ノ努力ヲ盡スト云フ答辯ヲシタノハ此邊ノ
意味デアリマス、ソレカラモウ一ツノ御質問ハ償還期限ノ切迫シタル外債ニ
對スル計畫ハ如何ト云フ御尋ノヤウニ聽取リマシタガ、是モ矢張リ財政經濟
ノ變化ノ最中ニアッテ、永久ニ亙ル計畫ヲ確定スルト云フコトハ是ハ頗ル困難
ナコトデゴザイマス、併ナガラ此一時ノ變態ニ處シテ、其變態ヲ利用シテ外
國ニ對スル債務ノ減少ヲ計ルト云フコトハ最モ今日ノ急務ト存ジマス、旣
此一端ハ目下衆議院ニ審議中ニナッラ居リマスル追加豫算ニモ其趣意ガ現ハ
レテ居ルノデ、尙ホ今後益〓講究ヲ盡シマシテ、將來ニ亙ル計畫モ適當ノ時機
ニ之ヲ決定シタイト存ジテ居リマス、先ヅ財政ニ關スル御質問ニ對シテ是ダ
ケ御答ヲイタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=12
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013・仲小路廉
○仲小路廉君 唯今ノ大藏大臣ノ御答ニ付キマシテ此際簡單ニモウ一言イタ
シテ置キタイ、唯今ノ大藏大臣ノ御答辯ニ依リマスルト、今日ノ場合ニ於テ
ハ來年ノコトノ見込ハ付カナイ、事情ガドウ變化スルヤラ、ドウナルヤラ分
ラナイ、是モ私ハ一通リ御尤ナコトト存ジマスル、サスレバ大正六年度以後
ノモノハ分ラナイト見テ宜イノデアリマスカ、國防問題ニ付テ卽チ海軍ノ補
充問題ニ付テ海軍大臣ガ仰セニナリマシタ如クニ防務會議ニ於テモ決定ヲシ
テ居ル、內閣會議ニ於テモ決定シテ居ル、ガ來年度カラ必ズ提案スルモノダ
ト極ッテ居ラヌト心得テ宜シウゴザイマスカ
〔國務大臣武富時敏君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=13
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014・武富時敏
○國務大臣(武富時敏君) 御答ヲ致シマス、私ノ言葉ガ盡シマセヌ所デ誤解
ヲ招キマシタノハ甚ダ遺憾デゴザイマス、分ッテ居ラヌト云フ譯デハゴザイマ
セヌ、八四艦隊ノ計畫ハ內閣ニ於テモ之ヲ遂行スルノ決定ヲ致シテ居リマ
ス、從ッラ其財源ヲ求メナケレバナラヌト云フコトモ決定イタシテ居リマス、
併ナガラ私ガ唯今御答ヲ申上ゲマシタル趣意ハ財源ヲ求メナケレバナラヌト
云フコトハ決定シテ居リマスルガ、其財源ヲ何レノ方面ニ何レノ方法ニ依ッテ
求メルカト云フコトハ今日ノ財政經濟ノ變化ノ最中ニアッテ今日ニ決定スル
ノハ其當ヲ得ナイト政府ハ信ズルノデ、其時ニ至ッテ適當ノ方法ヲ定メテ此海
軍補充ノ財源ヲ作ルト云フコトハ確ク決心イタシテ居ルノデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=14
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015・仲小路廉
○仲小路廉君 計畫ヲ認メテ居リ、而シテ財源ガ極マラヌ、財源ヲ保留シテ
置イテ來年カラ全計畫ヲ提案スル、是程私ハ分ラヌコトハナイト思ヒマスル、
ガ之ニ付キマシテハ尙更ニ詳細御尋ヲ致ズベキ時機ガアラウト存ジマス、私
ハ更ニ御尋ヲスル時機ガアルト云フ言葉ヲ殘シテ置キマシテ、直チニ外務大
臣ヨリノ御答辯ヲ煩ハシマス
〔國務大臣男爵石井菊次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=15
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016・石井菊次郎
○國務大臣(男爵石井菊次郞君) 仲小路君ノ御質問ノ第一項ハ帝國政府ガ倫
敦宣言ニ加入シタル理由ハ如何ト云フコトデアルト思ヒマスガ、此問題ニ付
キマシテハ過日本會議場ニ於キマシテ私ノ演說中ニ丁度此問ニ當嵌マル囘答
トシテ申上ゲテ置イタ筈デアリマスル、念ノ爲ニモウ一遍私ハ繰返シテ申上
ゲマスレバ、今囘帝國政府ガ倫敦宣言ニ加入イタシマシタノハ之ニ加入スル
ノ絕對必要ヲ認メテ加入シタ譯デナイノデ、去リナガラ今囘帝國政府ガ倫敦
宣言ニ加入スルト云フコトハ聯合國間ノ結束ノ堅固ナルコトヲ內外ニ宣明ス
ル次第デ、戰爭ノ前途ニ對シ、又媾和ノ際ニ於テモ聯合國間ノ位地ヲシテ一
層明瞭ナラシムルノ利益ガアルト認メマシテ之ニ加入シタ次第、繰返シテ申
シマスレバ絕對必要アリタルガ故ニ非ズシテ、加入シタルヲ以テ利益ト認メ
タルガ故ニ加入シタル次第デ、第二ノ御尋ノ帝國政府ガ支那政府ニ與ヘタル
友誼的勸告、アノ問題ハドウデアル、及將來ノ見込如何ト云フ御尋デアリマ
シタガ、帝國政府ノ勸告ニ對シテ支那政府ノ囘答ガアリマシタ、其囘答ノ內
容ハ詳シク申上ゲルコトハ出來ナイガ、大略ハ支那ニ於テ帝政ハ多少延期ス
ルト云フ意味ノ囘答ノアッタコトハ是亦過日私ノ演說中ニ申上ゲタ所デ、現ニ
今日ハ帝政ハ行ハレテ居ラヌ、將來ノ見込ニ付キマシテハ茲ニ申上ゲルコト
ヲ差控ヘタイト存ジマス、ソコハ御諒察ヲ願ヒタイト存ジマス、印度人ノ放
逐是ハ命令ヲ出シマシタコトハ出シマシタガ、印度人ハ隱匿ヲ致シマシテ、
今日マダ放逐ノ命令ヲ實行スルト云フ運ビニハ至リマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=16
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017・仲小路廉
○仲小路廉君 外務大臣ノ私ノ第一ノ問題ニ對スル御答ハ單獨デ媾和ノ條約
ニ加入スルコトハ絕對ノ必要アッタ譯デハナイガ、聯合國間ノ結束ヲ內外ニ知
ラシメル、一面ニハ媾和會議ノ際ニ於テ利益ガアル、ソレデアリマスガ、私
ノ伺ヒマシタ趣意ハ日本ノ歐羅巴ノ戰亂ニ關係シテ居ル地位ハ日英同盟ノ關
係及東洋ノ平和ヲ保ツコトノ必要デアルト云フ關係デアルト云フコトハ宣戰
ノ詔書ニ依ッテ明カデアリマシテ、我敢テ聯合軍ニ加ハリ、協商側ニ立ツト云
フコトハ全體ノ趣意ニ違ウテ居リハセヌカト私ハ信ズルノデアリマス、監督
歐羅巴ノ戰局ニ對スル我ガ帝國ノ立場ガ宣戰詔書ノ御發布當時ノ狀態ト變ハ
ルベキ立場ニ立ツト云フナラバ事ハ甚ダ重大デアラウト思フ、然ルニ斯ル重
大ナル關係ヲ絕對的必要ガアッタノデハナイトハドウ云フコトデアリマスカ、
又ソレガ爲ニ媾和會議ノ際ニ利益ガアルトハドウ云フコトデアリマスカ、媾
和ノ際ニ主張スベキ我ガ帝國ノ立場カラデアリマス、加ハルコトニ依ッテ更ニ
利益ガ生ズルトハドウ云フコトデアリマスカ、斯樣ナコトノ御說明ガアリ、
斯樣ナ御答辯ガアリマスルカラシテ、世人ハ疑ヲ增スノデアリマス、斯樣ナ
重大ノ關係ヲ有スル單獨ニハ媾和ヲシナイト云フヤウナ關係ニ立ツノハ
恰モ我ガ帝國ヲ聯合軍ト同樣ノ立場ニ立タシメルヤウナ結果ニナリハシナイ
カ、果シテ斯樣ナコトニナルト利益バカリデナイ、是ヨリ生ズル重大ナ種々
ノ義務ガ湧イテ來ハシナイカト云フコトハ國民一般ニ憂フルノデアリマス、
斯樣ナ重大ノ關係ニ立ツベキモノヲ輕々ニ絕對ニ必要ガアッタ譯デハナイケ
レドモガ、サウシタ方ガ宜カッタト云フ御答辯ハ益〓此疑ヲシテ深カラシメル
結果ニナリハセヌカト存ジマス、次ニ支那問題及印度人ニ關スル等ノ問題ニ
就キマシテハ、私ハ唯〓ノ御答辯ニ依リマシテ少シモ了解ハ致シマセヌノデ
アリマス、去リナガラ斯ル問題ハ此席上ニ於テ屢〓應答ヲ重ネマスルコトハ
是モ亦外務大臣トシテハ御困リデアリマセウシ、私モ此點ニハ注意ヲスルガ
至當ト考ヘマス、是モ同樣ニ相當ノ場合ニ於キマシテ都合好キ御說明ヲ承ル
場合ニ或ハ委員會ニ出席ヲ願ッテ詳細御說明ヲ煩ハスコトガアルカモ存ジマ
セヌ、私ハ此意味ニ於テ今日ノ質問ハ差控ヘルコトニ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=17
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018・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 水野鍊太郞君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=18
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019・水野錬太郎
○水野鍊太郞君 私モ豫算ニ關係スルコトニ付テ二三質問シタイコトガアリ
マス、要ヲ摘ンデ御尋ヲ致シマスルカラ何卒其點々ニ付テ政府ノ·····國務大
臣ノ御答辯アラムコトヲ希望スルノデアリマス、海軍補充費ノコトニ付キマ
シテ仲小路君カラ御質問ガアリマシテ大藏大臣カラ之ニ御答ニナッタノデア
リマスガ、尙ホ私ハ十分ニ了解シ得マセヌ、故ニ重ネテ要ヲ摘ンデ質問シタ
イト思ヒマス、先ヅ海軍大臣ニ御願シタイノデアリマスガ、海軍大臣ハ八八
艦隊ノ完成ニ付テハ累代ノ海軍大臣ガ努力シ、而シテ現海軍大臣モ亦同様ニ
努力シテ居ルト云フコトハ誠ニ感謝スルノデアリマスガ、果シテサウ云フコ
トデアリマスノナラバ、八八艦隊ガ直チニ完成シ得ラレズトモ、少クモ謂ハ
ユル八四艦隊ナルモノハ必要デアラウト思フノデアリマスガ、本年ノ豫算ヲ
見マスト云フト、僅ニ八箇年ニ亙リ四千五百萬圓ダケノコトヨリ外分ラナイ、
果シテサウ云フコトデアルナラバ八四艦隊ハ如何ニシテ完成セラレル努力ヲ
ナサレテ居ルカト云フコトヲ伺ヒタイ、今年ノ豫算ハ八四艦隊ノ前提デアル
ト云フコトデアリマスガ、然ラバ此殘ル部分ニ付テハ必ズ御計畫ガナケレバ
ナラヌ、ソレデ伺ヒタイノハ現時ノ國防上ノ狀況ニ於キマシテ八四艦隊ト云
フモノヲ完成スルコトガ絕對ニ必要ナノデアリマセウカ、絕對ニ必要ナリト
スルノナラバ、之ニ付テハ最早伸縮ヲ許サナイ、伸バシタリ縮メタリスルノ
ヲ許サナイ、他ノ事業ノ如キ伸縮ヲ許スモノデアリマス、鐵道ノ如キ、築港
ノ如キ、港灣ノ如キハ伸縮ヲ許スノデアリマスガ、國家ノ生存上必要ナル八
四艦隊ト云フモノハ絕對ニ必要デアルト云フコトデアルナラバ、此財政計畫
ト云フモノハドウシテモ立テテ行カナケレバナラナイ、而シテ本年何故ニ八
四艦隊ノ御計畫ヲ豫算ニ出サレナカッタノデアルカ、之ヲ承リタイ、是ハ財政
上ノ狀況ニ依ルト云フ御答ニナルノデアリマセウガ、絕對ニ必要ナモノデア
ルト云フノナラバ、何故財政上ノ狀況ト云フコトヲ以テ御滿足ナッタノデアル
カ、又果シテ財政上今年ノ狀況ハ之ヲ許サズトスルナラバ、來年ヨリ殘部ノ
計畫ヲナサルト云フコトデアリマスカ、來年尙ホ財政ノ狀況之ヲ許サズトナ
シタトキハ如何ナサルノデゴザイマスカ、來年ハ財政ノ狀況如何ニ拘ラズ是
非之ヲ來年度カラハ計畫スルト云フ御考デアルノデアリマスカ、之ヲ私ガ問
フ所以ハ果シテサウ云フ意味ニ海軍當局者ハ必要ト認メテ居ルト云フコトデ
アレバ、八四艦隊ノ完成ト云フコトハ是ハ絕對ニ動カスコトハ出來ナイ、絕
對ニ動カスコトガ出來ナイノナラバ之ニ伴フ財政ノ狀況ニ依ッテ動カスコト
ハ出來ナイ、サウデハナイ、是ガ時ニ依リ動カシ得ル、財政ノ狀況ニ依リ伸
縮シ得ルト云フノナラバ是ハ別デアリマスガ、ソコニ於ケル所ノ海軍大臣ノ
誠實ノ御考ハ如何デアリマスカ、先ヅ第一ニ此點ヲ伺ヒタイ
〔國務大臣加藤友三郞君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=19
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020・加藤友三郎
○國務大臣(加藤友三郞君) 唯今水野君ノ御質問ニ御答イタシマス、第一ノ
御質問ハ此八四艦隊ヲ絕對ニ必要トスルヤ否ヤ、斯ウ云フノガ要スルニ御質
問デアッタカト拜聽イタシマシタ、當局ハ之ヲ絕對ニ必要ト認メテ居リマス、
然ラバナゼ今年出サナカッタカ、斯ウ云フ御質問デゴザイマスガ、御說ノ通リ
財政上ノ都合デ今年ハ出サナカッタノデゴザイマス、而シテ此場合一言附加ヘ
テ置キタイト考ヘマスノハ、當局ノ計畫イタシテ居リマス八四艦隊ノ殘部ハ
五年度ヨリ十二年度マデニ完成イタスト云フ豫定ヲ致シテ居ルノデゴザイマ
ス、其中五年度ニ著手シヤウト希望イタシマシタモノハ全部今囘ノ豫算ニ提
出シテゴザイマスノデゴザイマス、故ニ計畫ト致シマシテハ別ニ變更ヲ來ス
ト云フコトハナイノデゴザイマス、又來年財政ガ許サナカッタ場合ニハドウカ、
斯ウ云フ御質問デゴザイマスガ、是ハ財政上ノコトデゴザイマスノデ私ガ御
答ヲ仕兼ネマスルケレドモ、財政ニ關シ素人考ヨリ押シマスレバ絕對ニ計畫
ガ實行ハ出來ナイト云フ如キコトハナイト私ハ信ジテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=20
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021・水野錬太郎
○水野鍊太郞君 唯今ノ御答ニ依リマスレバ、八四艦隊ノ完成ハ今日ノ國
防上ニ絕對ニ必要デアルト云フ前提ハ極ッタモノト見ナケレバナルマイト思
ヒマス、果シテ是ガ必要ナリトスルノナラバ、次ニ大藏大臣ニ伺ハナケレバ
ナラヌコトガアリマス、大藏大臣ハ海軍大臣フ希望ヲ認メラレタノデアリマ
スカ、承ル所ニ依リマスレバ、是ハ閣議ニ於テ決定シテ居ルト云フコトヲ云
ハレテ居ルヤウデアルガ、閣議ニ於テ決定スルト云フコトデアレバ、是ハ單
リ海軍大臣ノ希望意見ニアラズシテ、內閣全體ガ之ヲ是認シタモノト認メナ
ケレバナラヌ、而シテ之ヲ是認シタノハ、八四艦隊ノ完成ヲ今日ニ於テ絕對
必要ナリト云フ意見ガ決ッタモノト見テ宜カラウト思フ、ソレガアルノナラバ
·ソレダケノモノヲ完成スルノガ必要デアルト云フノナラバ、ソレニ要ス
ル財源ハ斯〓ニスルト云フ自信ト抱負ガドウシテモ無ケレバナラヌト思フ、
是ハ固ヨリ御有リニナルノデゴザイマセウ、御有リニナリマセウカラ、私
ソコヲ一ツ虛心坦懷ニ承リタイト思フノデアリマス、我〓議員ガ豫算ヲ協賛
スルノハ、形ハ一年度ノ豫算デアルガ、併ナガラ其一年度ノ豫算ヲ協賛スル
上ニ於キマシテ、事將來ニ涉ルベキ經畫ガアルナラバ、之ニ對スル財源ハ凡
ソ如何ニナサル譯デアルカト云フコトヲ聞クコトハ、是ハ當然我〓ノ責務デ
アラウト思フ、若シ此如何ヲ知ラズシテ單ニ一年ノ豫算ヲ協賛シタト云フコ
トナラバ是ハ一面ニ於テ又我〓ハ其責任ヲ分タナケレバナラヌト思フノデア
リマス、故ニ此責任上カラシテモ政府ノ誠實ナル御答辯ヲ望ムコトハ是ハ當
然ノ要求ト思ヒマス、併ナガラ謂ハユル財政經濟ノ狀態ト云フモノハ日ニ月
ニ變ハルモノデ、是ハ現時ノ實際ニ於テモ變ハリツツアルト云フコトハ是ハ
御尤ナコトデアラウト思フノデアリマスカラ、正確ナルコトヲ御尋シヤウト
云フノデハナイ、凡ソ今日ノ情態ガ續イテ行クナラバ斯〓ノ腹案ハ有ッテ居
ル、若シ又戰爭デモ濟ンダナラバ又斯〓ノ考ヲ有ッテ居ル、八四艦隊ノ完成ヲ
決定スルニ至ッタナラバ、財政上ニ關スル自信ハ斯ミデアルト云フ、是ハ大體
ノコトデ宜シイ、大凡ノ見込ハ此所ニアルト云フ位ナコトハ我〓ハ承ッテ置カ
ナケレバナラヌコトデアラウト思ヒマス、ソレデアリマスカラシテ、例ヘバ
デス、今日ノ狀態デ建造費ガ思フヤウニ行キマセヌトキハ已ムヲ得ズ他ノ事
業マデモ繰延ヲシ、若クハ行政整理ヲヤッテマデモ之ヲ財源ト云フ工合ニシテ
出スモノデアル、若シ又ソレガイカナイノナラバ、謂ハユル募債シテモヤル
モノデアル、尙ホ已ムヲ得ヌケレバ增稅マデモナスモノデアルト云フ位ナ大
凡ノ見込ハ有ッテ居ルダラウ、ソコヲ私共ハ承リタイト思ヒマス、是ハドウシ
テモ將來ノ財政ノ計畫ヲ我ニガ協賛スル上ニ於キマシテハ一年度ノ協贊ニ
依ッテヤルコトハ出來ナイ、將來是ダケハ斯ノ如キモノデアルト云フ凡ソノ見
込ダケデモ宜シイ、私ハ實際來年度ニ至ッテ今日言ハレタコトガ變ッテモ決シ
テ我〓ハ言論ヲ以テ之ヲ責メナイ、今日ハサウ云フ考ヲ有ッテ居ルノデアルト
云フコトヲ聞イテ我ミハ安心シテ協賛スルコトガ出來ル、國民モ亦之ニ依ッテ
始メテ滿足スルノデアル、然ルニ是ハ恰モ自信ノアルカノ如ク何等此點ニ付
テハ一言ヲ加ヘズシテ唯最善ノ努力ヲナスト云フコトヲ以テ之ヲ說明ニナラ
ヌノハ如何デアリマスカ、若シ祕密ヲ要スルト云フコトナラバ、祕密會デアッ
テモ御腹案ダケハ承ッテ置キタイト思ヒマス、ソレカラ又之ニ依ッテ私共決シ
テ現當局者ノ言質ヲ取ラウト云フ考デモ何デモナイ、ソレハ時ニ依ッテ變ハリ
マスカラ、今日御明言ナサッテ置イテモ是ガ其時ニ依ッテ變ハルコトガ生ジマ
セウ、ソレデモ私ハ決シテ惡イト云フノデハナイ、大凡今日先ヅ是ダケノ考
ヲ有ッテ居ル、ソレデアルカラ、アナタ方モソレヲ以テ御安心ナサレテ此四千
五百萬圓ノ計畫ニハ御同意アリタイト、斯クマデ云ハレテ、謂ハユル和衷協
同シテ其事ヲ一ツ御相談ヲシタ方ガ宜クハナイカ、是ハ政府當局者トシテ當
然盡スベキ義務デアルト同時ニ又我〓議員トシテ之ガ答辯ヲ望ムハ當然ノ要
求デアルト思フノデアリマス、ソレデアリマスカラ何卒此點ニ付キマシテハ
ドウゾモウ少シ私ハ御答ヲ望ミマス、武士ハ相身互デ、我〓モ随分困難ナ局
ニ當ッタコトデ知ッテ居リマス、知ッテ居リマスガ是ダケ位ノコトハ政府ニ對
シテ問ウテモ宜カラウト思フ、二十八議會デ我ミノ先輩ガ海軍ノ補充ノ財源
ニ付テ問ウタ時ニ、前西園寺首相ハ已ムヲ得ズンバ增稅ヲナスノ巳ムナキニ
至ルカモ知レヌト云ハレタコトガアル、其位ノコトハ御互ニ懇切ニ一ツ國政
ノ事務ハ協議シタイト考ヘルノデ、敢テ私ハ難キヲ求メルノデハナイ、ドウ
ゾ此點ニ付キマシテハ胸襟ヲ御披キニナッテ其一應ノ御見込ダケヲ御示シア
ラムコトヲ切ニ希望イタシマス、次ニモウ一ツ伺ッテ置キタイト思ヒマスガ、
現內閣ノ成立ニ當リマシテ內外ノ市場ニ公債ヲ募集セズト云フコトヲ云ハレ
タコトガアルト思ウテ居リマスガ、世間デハ之ヲ稱シテ謂ハユル非募債主義、
所ガ現大藏大臣ハ非募債主義ナドト云フコトハ言ッタコトハナイ、內外市場ニ
公債ヲ募集セズト云ッタガ、非募債主義ト云ッタコトハナイ、誠ニサウダラウ
ト思ヒマス、ソンナ主義ナドガアラウトハ私ナドハ思ヒマセヌ、兎ニ角內外
市場ニ公債ヲ募集セズト云フコトヲ仰ッシヤッタト私ハ思ヒマスノデアリマ
ス、之ニ付テ伺ヒマスガ、此御考ハ今日尙ホ之ヲ有ッテ御出ニナルノデアリマ
セウカ、先キホドノ御演說ヲ承リマスレバ今日ノ時局ニ對シテハ政府ハ募債
セズ又我〓ハ之ヲ以テ時局ニ應ズルコトヲ望ムト云フコトハ誠ニ是ハ同感デ
アリマスガ、今日ノ時局ヲ考ヘマスレバ公債財政ノ上ニ於キマシテハ金
融市場ニ多少變化ヲ來タシタト云フコトハ現大藏大臣モ必ズ御認メニナッテ
居ルコトデアラウト思フ、言葉ヲ換ヘテ云ヘバ、募債シ得ル情況ニナッテ居ル
ダラウト思ヒマス、斯ウ云フ情況ニナリマシタラバ、前議會ニ於テ若槻藏相
デアッタ場合ニ本會ニ提出セラレタ所ノ國債基金ノ減少ノコトデアル、アレハ
當時內外ニ募債シ能ハザル情況デアルカラシテ、鐵道資金ヲ供給スル上ニ於
テ已ムヲ得ズ一般會計カラ鐵道特別會計ニ二千萬圓ヲ貸附ケルト云フコトデ
アッタト思フノデアリマス、私共ハ其當時ノ情況ニ於テ國債基金ニ手ヲ著ケル
ト云フコトハ、國家將來ノ爲ニ必ズ煩ヒヲ爲スモノデアル故ニ、此事ニ手ヲ
著ケルト云フコトダケハ何卒止メテ貰ヒタイト云フ意見ヲ有ッテ居ッタノデス
ガ、當時諸種ノ事情ヨリシテ此法律案ハ通過シテ二千萬圓ト云フモノハ鐡道
ノ方ニ廻ハサレタノデ、來年度ノ豫算ヲ見マシテモ亦同一ノコトニナッテ居リ
マスガ、今日ノ如ク內地ニ於テ募債シ得ラレル狀況ニ立至ッタ時代ニ於キマシ
テモ尙ホ此計畫ハ御遂行ニナルノデアリマスカ、或ハ今日ノ經濟狀態ハ一時
ノ變態デアル、必シモ永續スベキモノデハナイカラ、之ヲ以テ永遠ノ制度ト
スルト云フコトハイカヌト云フ御說モアリマセウガ、全體カラ申シマスレバ
鐵道ノ資金ハ一般會計カラ補充スルト云フコトハ是ガ寧ロ私共ハ變態デアル
ト思フノデアリマス、已ムヲ得ナイ所ノ方策デアッタラウト思ヒマスカラシ
テ、若シ鐵道資金ニ相當ナ財源ヲ得ラレル場合ニナリマシタナラバ成ルベク
普通ノ原則ニ基キタイト云フコトヲ私ハ考ヘテ居ルノデアリマス、而シテ假
ニ經濟上ノ狀況ガ募債シ得ラレザル狀況ニナリマシタナラバ、是ハ鐵道事業
ヲ止メルノ外ハナイ、或ハ繰延ヲナス外ハナイ、ソレハ別問題ト致シマシテ
モ兎ニ角減債基金ハ適當ノ時期ニ於テ元ニ戾スト云フコトハ私ハ將來ヲ考ヘ
マスト云フト國家ノ爲ニ必要デアル、其點ニ付キマシテハ政府ハ如何ナル考
ヲ有ッテ居ラルルカ、之ヲ要シマスルノニ私共ノ考ハ伸縮シ得ルモノ、國家ノ
事業トシテ伸縮シ得ルモノハ是ハ其時ノ事情ニ依ッテ財政計畫ヲ立ツルコト
ハ已ムヲ得ナイ、伸縮シ得ザルモノハドウシテモ巳ムヲ得ヌト云フモノニナッ
タナラバ其方ハ事業ノ方ヲ先キトシテ、サウシテ如何ナル方法ヲ以テモ是ガ
財源ヲ供シテ往カネバナラヌモノト思ヒマス、具體的ニ申シマスレバ國防問
題ノ如キハ必要ナリトスルナラバ是ハドウシテモ財源ヲ造ッテ往カナケレバ
ナラヌ、他ノ事業ノ如キハ是ハ財政ノ狀況ニ依ッテ伸縮シ得ベキモノデアラ
ウト思ヒマス、是等ノ點ニ付キマシテドウゾ大藏大臣デモトナタデモ宜イノ
デアリマスガ、今少シク御懇切ニ、我〓ガ如何ニ此點ニ付テ憂慮シテ居ルカ
ト云フコトヲ御考ヘ下サイマシテ、詳細ナル御答辯ヲ得ルコトヲ切ニ希望ス
ル次第デアリマス
〔國務大臣武富時敏君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=21
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022・武富時敏
○國務大臣(武富時敏君) 御答ヘ申上ゲマス、海軍補充ノ計畫ニ付テ其財源
ハ如何ニスルカ、六年度以降ハ如何ナル方法ニ依ッテ財源ヲ求メルカト云フ御
尋ノ要點ト存ジマスガ、無論此八四艦隊ノ計畫ヲ遂行スルト云フコトニ政府
ノ決心シテ居ル所デアルト申スコトハ仲小路君ニ御答ヘ申上ゲタヤウナ次第
デアリマシテ、隨ッテ六年度以降モ其財源ガ絕對ニナイトハ信ジマセヌ、丁度
海軍大臣ガ御答ヘ申上ゲマシタヤウニ絕對ニ此遂行ガ出來ヌト云フヤウナ財
政ノ狀態デハナイト思フノデアリマス、併ナガラ此財源ヲ得ルニハ水野君ノ
仰セノ如ク種々其方法ガアルノデアリマス、又一方ノ歲出ヲ減少シテ此財源
ヲ造ルト云フコトモ一法デアリマセウ、又歲入ノ自然ノ增加ニ依ルト云フコ
トモ一ツノ方法デアリマセウ、又進ンデ歲入ノ增加ヲ計ッテ此財源ヲ求メルト
云フコトモ一ツノ方法デアルニ違ヒナイ、併ナガラ其何レノ方法ニ依ルカト
云フコトハ仲小路君ニ御答ヘ申上ゲマシタヤウニ、今日目下正ニ財政經濟モ
變換最中ニアルノデアリマスルカラ、ソレヲ今日ニ於テ決定スルノハ其當ヲ
得ナイト政府ハ信ジテ今日ニ決定ヲシナイト云フコトニナッテ居ルノデアリ
やっ、隨ッテ此六年度以降ニ係ル補充計畫ノ豫算ト云フモノハ此五年度豫算
提出ノ際ニハ提出ヲ致シマセヌデ、五年度ノ豫算ニハ五年度ヨリ著手スル必
要アル部分ニ限ッテ此豫算ニ計上シタノデアリマス、六年度以後ニ著手スベキ
艦艇ノ製造費ハ其時ニナッテ財政ノ狀態ニ適應シテ其財源ヲ提供スルト云フ
次第ニナッテ居ルノデアリマス、併ナガラ度〓申上ゲマシタヤウニ此計畫ヲ
遂行スルト云フコトハ政府ノ決定シテ居ル所デアリマス、此財源ヲ求メルト
云フコトモ、財源ヲ造リ出スト云フコトモ決定シテ居ルノデアリマス、唯其
財源ヲ何レノ方面ニ求メ、何レノ方法ニ求メルカト云フコトハ今日之ヲ決定
スルノハ目下ノ財政經濟ノ變換最中ニ於テ之ヲ決定スルノハ其當ヲ得ナイト
信ズルノデアリマス、何レ適當ノ時期ニ至ッテ適當ノ方法ヲ講ズルト申スヨリ
外ハナイ、必ズ此財源ヲ求メナケレバナラヌト云フコトハ決定シタ事實デア
ルノデス、ソレカラ鐵道資金貸附ノコトハ今公債ヲ募集スレバ募集シ得ナイ
コトハナイニ依ッテ之ヲ改メル意思ハナイカト云フ御尋デアリマスルガ、成程
目下ノ經濟狀態ハ公債ノ募集ガ出來ナイコトハゴザリマセヌ、現ニ先般ハ三
千萬圓ノ鐵道債劵ヲ募集イタシマシテ、十分ノ成功ヲ〓ゲテ居リマス、此事
實ヨリ見テモ今日公債募集ガ出來ナイト云フコトハ無論ナイノデアリマス、
併ナガラ每々申スヤウニ此經濟界モ今ヤ變化シツツアルノデアリマス、唯今
ハ公債募集ハ出來ルドコロデハナイ、寧ロ經濟界ハ公債募集ヲ歡迎スルト致
シマシテモ今後ハ如何ニ變化スルカ、來年ニモナッタナラバ或ハ公債募集ガ困
難ニモナラヌトモ限リマセヌ、要スルニ今經濟界ハ變態ノ中ニアルノデアリ
マスルカラ、モウ少シ變化ノ狀態ヲ見極メテ將來ノ見据ガ附イタ以上ニ於テ
改メルナラバ改メタ方ガ其當ヲ得タルコトト信ジテ居ルノデアリマシテ、目
下ノ所デハ矢張リ此鐵道ノ資金ハ從來定マッテ居ル計畫ヲ遂行シタ方ガ穩當
デアルト信ジテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=22
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023・水野錬太郎
○水野鍊太郞君 甚ダ御迷惑デアリマセウガ、モウ一點伺ヒタイ、大藏大臣
ノハドウモ私ハ御說明ニナッテ居ナイト思ヒマス、大藏大臣ノハ國防問題トシ
テ八四艦隊ノ計畫ハ決定シタ、是ガ財源ヲ求ムルコトモ決定シタ、ソレハ當然
ノコトデアラウト思フ、計畫ガ決定シテ財源ヲ求ムルコトガ決定シナイ譯ハ
ナイ、財源ヲ求ムルコトガ決定シタト云フ御答ハ御答ニナラヌ、私ノ問フノ
ハ此所ニアル、其財源ハ如何ニシテ求ムルノデアルカ、ソレハ今日內閣ノ閣
議ガ決定シテ居ラヌ問題カモ知レマセヌ、併ナガラ大藏大臣トシテハ今日ノ
狀況カラ見テ斯ミノコトモ腹案ヲ有ッテ居ル、自信ヲ有ッテ居ルト云フダケハ
參考トシテ御話ニナルコトガ寧ロ適當ノヤウニ思ヒマスノデ御尋シタノデア
リマス、併ナガラ是ハ水掛論デドウゾ言ウテ貰ヒタイト云ウテモ言ハヌト云
ヘバソレマデノ話デアリマスカラ、是以上御聞シテモ役ニ立タヌコトト思ヒ
マスカラ、何卒適當ノ時期ニ、マダ議會モ長ク續キマスカラ、ドウゾ其點ニ
付テハ十分ニ胸襟ヲ御披キニナラムコトヲ望ミマス、ソレカラモウ一ツ文部
大臣ニ伺ヒタイノデアリマスガ、此內閣ハ傳染病〓究所ヲ內務省所管ヨリ文
部省ノ所管ニ移サレタノデアリマス、其理由トスル所ハ學制ノ統一、傳染病
ノ〓究ノ如キハ是ハ〓育ノ機關ニ於テスルノガ適當デアル、故ニ內務省所管
ヨリ文部省所管ニ移スノガ適當デアルト云フ理由ノ下ニ移管サレタノデアリ
マスガ、此理由ノ如何ニ付テハ是ハ今此所デ御問シヤウト云フノデハアリマ
セヌ、其理由ニ付テハ誠ニ遺憾ナガラ同意ハシテ居ラナイ、ソレヲ御問シヤ
ウト云フノデハアリマセヌガ、ソレト同時ニ昨年水產講習所ノ移管問題モ起
ッタノデアリマス、現ニ前文相ノ時ニ於テハ豫算マデモ出來テ居ッタノデアリ
マス、又農商務省ノ方ノ當局者モ是ハ移管スルコトガ必要デアル、又移管ス
ベキモノニ決マッテ居ルトマデモ明言サレタト云フコトヲ聞イテ居ル、然ル
ニ運動ノ結果デアルノカ、將タ輿論ヲ尊重ナシタノデアルカ、本年ノ豫算ヲ
見マスト其事ハ何等載ッテ居ラナイ、學制統一ト云フコトガ必要トスルナラバ
何故ニ傳染病〓究所ノミヲ移シテ水產講習所ニ及バヌカ、又何故ニ遞信省所
管タル所ノ商船學校ニ及バナカッタカ、仲小路君ノ論鋒ヲ以テ言ヘバ一ハ是
ニシテ一ハ非ナリト云フ、何レカ是非ガ決マラナケレバナラヌ、前文部大臣
ノ爲サレタコトガ可ナリトスルナラバ、現文相ノ高田君ノ爲サレタコトガ不
可ナリト云ハネバナラヌ、丁度海軍大臣ト大藏大臣トノ可不可ガドチラカニ
アルガ如ク、昨ガ是デアッテ今ガ非デアルノカ、今ガ非デアッテ昨ガ是ナルノ
カ、昨是今非何レカデナケレバナラヌ、ト云フノハ當然ニ起ル問題デアリマ
スガ、之ニ付テハ如何ナル理由ニ依ッテ昨年マデ計畫セラレテ、現ニ世ニ發表
サレタコトヲ御中止ニナッタカ、其內容ノコトハ別問題トシテ餘リ政府ニ一定
ノ見解ガナイト云フコトヲ非難スル者モアル、併ナガラ私ハ是ハ別ニ政府ニ
意見ガアルト思フガ故ニ、玆ニ敢テ御伺ヲ致ス次第デアリマス
〔國務大臣高田早苗君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=23
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024・高田早苗
○國務大臣(高田早苗君) 唯今ノ御質問ニ御答ヲ致シマスガ、傳染病〓究所
ハ學制統一ノ理由ノ下ニ、內務省ニ屬シテアッタモノヲ文部省ヘ移シタ、然
ルニ水產講習所ハ一旦移スコトニナッテ居ッタノニ之ヲ止メタ如クデアルガ、
ドウ云フ譯デアルカト云フ御質問デゴザイマス、勿論學制統一ト云フコトハ
大體ニ於テ最モ宜シイコトデアルノデアリマスルガ、併ナガラ又其事柄ニ依
リ、又其時期ノ見計ヒモシナケレバナラヌノデアリマス、併ナガラ水產講習
所ノ方ハ私就職シマシテ調査シテ見マシタ所ガ、此講習所其モノハ文部省ニ
移スノデアルガ、此實驗ノ機關ハ移スコトガ出來ヌ、新ニ文部省ハソレダケ
ノ設備ヲシナケレバナラヌト云フコトニナリマス、デサウシテ見ルト學制統
一ト云フコトニ付テハ其目的ヲ達シマスルガ、實際ノ不便モアリ、又行政整
理ト云フ方カラ言ヒマスト目的モ達シラレヌ、兎ニ角マダ其事ハ決定シテ居
ッタノデナイノデアリマスカラ、マダ〓究スベキ餘地ガアルト斯ウ考ヘマシ
テ、依然農商務省ノ下ニ置クコトニ致シマシテ、將來尙ホ〓究ノ結果或ハ學
制統一ノ目的ヲ達スル爲ニ文部省ニ移ス時ガアルカモ知レマセヌガ、ソレダ
ケノ理由デアリマス、チヨット御答シテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=24
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025・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 休憩ヲ致シマス
午後零時七分休憩
午後一時三十四分開會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=25
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026・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ報〓ヲ致サセマス
〔成瀨書記官朗讀〕
本日第一部ニ於テ請願委員ノ補闘選擧ヲ行ヒシニ其ノ結果武石橘次君當選
セリ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=26
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027・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 午前ニ引續キマシテ會議ヲ開キマス
〔男爵目賀田種太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=27
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028・目賀田種太郎
○男爵目賀田種太郞君 本員ハ陸軍大臣ニ說明ヲ請ヒマス、半バハ憲法ニ關
スルコトデアリマス、本員ハ審ニ知ルヲ得マセヌガ、曩ニ聯合國ノ求ニ應ジ
テ陸軍ノ兵器ヲ賣却セラレタコトデアリマス、ソレハ大正三年度ニ於キマシ
テ數千萬圓ニナッテ居ルト云フ趣デ、詳シイコトハ存ジマセヌガ大正三年度ニ
陸軍ノ兵器ノ賣却高ガ凡ソ三千五百萬圓ニ上ッテ居ルト云フコトデアリマス、
大正四年度ニ於キマシテハ尙ホ是ヨリモ多イノデアリマスガ、是等ハ豫算ヲ
見マスノニ其三年度ニ於テ別ニ歲入ニ計上セラレテ居リマセヌガ、官有財產
ノ賣却ト云フコトニナレバ是ハ歲入ニ繰入ルベキガ當然ノコトト思ヒマス、
是ガ豫算ニ存在シテ見エザルハ如何ナル譯デアリマスカ、之ヲ第一ニ承リタ
イノデアリマス、是ガ第一點デアリマス、第二ニ陸軍ノ所管ノ砲兵工廠ニ於
キマシテハ、東京若クハ大阪ニ於キマシテ何處ヨリ致スカ存ジマセヌガ、資
金ヲ受取ッテサウシテ新シク兵器ヲ製造スル、之ヲ以テ曩ニ賣却シタルモノヲ
補塡シテ行クヤウナ實況ノヤウニ承リマス、是ハ所謂物々交換ノ有様デ古キ
古イト申スカ賣却ニナッタモノニ對シテ新シキ兵器ヲ造ッテ補充シテ居ル
ト云フヤウナ實況ノヤウニ承リマスガ、卽チ物々交換ノヤウナ有樣ニナッテ居
ルヤウデアリマス、抑〓各官廳ガ資金ヲ有スルコトヲ得ザルト云フコトハ憲法
ニ附帶イタシマシテ會計法ノ定ムル所ト思ヒマスガ、斯ノ如ク豫算ニモ見エ
ズシテ居ルノニ各廳ガ資金ヲ受取ッテ勝手ニ作業ヲ致スノハ是ハドウ云フ法
律ニ基イテ居ルノデアリマスカ、之ヲ第二點ニ伺ヒタイト思ヒマス、ソレモ
僅ニ一時ノ誠ニ僅バカリ保管轉換ノ如キ物品ナラバソレ〓〓理由モゴザイマ
セウガ、今度ノ如ク四千萬以上ニ亙ル官有財產ノ處分ニ於キマシテハ入ルモ
ノハ歲入トナリ、卽チ豫算ニ編入セラレ、出ヅルモノハ兵器製造費トナッテ歲
出ニ編入セラレルガ當然ノコトト存ジマスガ、是ガ昨年以來豫算ニ見エヌノ
ハ如何ナ譯デアリマスカ、之ヲ第二ニ伺ヒタク存ジマス、第三ニ兵器ノ賣却、
兵器ノ處分ト云フコトハ是ハ憲法ニ於テ定ムル軍ノ編制ニ屬スルコトト私ハ
思ヒマス、憲法十二條ニハ軍ノ編制ハ大權ニ屬シテ居ル、軍ノ編制ナルモノ
ハ獨リ人員ノミデアリマセヌ、軍ハ人ト物トヨリ成立ツコトハ論ヲ俟タヌ、
其編制ノ基礎タル軍器ガ普通ノ修繕トカ普通ノ物品ノ轉換トカ云フニ止マラ
ズシテ、斯ノ如ク大層ノ變動アル場合ハ卽チ軍ノ編制ヲ變ヘルト云フコトデ
ゴザイマスト認メマスガ、是等ニ付テハ如何樣ナ御手續ヲセラルルカ、一般證
軍ノ編制ハ大權ニ屬スルコトデゴザイマスカラ是ハ陸軍大臣獨リ定メラルル
コトデナカラウト存ジマスルガ、此三點ニ付キマシテ何分了解イタシマセヌ
デゴザイマス、御答ヲ願ヒタイ
〔國務大臣岡市之助君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=28
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029・岡市之助
○國務大臣(岡市之助君) 目賀田男ノ御質問ニ御答辯ヲ致シマスガ、砲兵工
廠デ外國ニ賣リマシタモノハ、砲兵工廠デ自ラ造ッテ賣リマシタモノモゴザイ
マスシ、或ハ造ッテアッタモノヲ賣ッタモノモゴザイマス、又陸軍大臣ガ動員計
畫上差支ナイト認メマシタ範圍ニ於テ與國ノ急需ニ應ズルガ爲ニ一時砲兵工
廠ニ渡シマシテ、砲兵工廠デ相當ノ加工補修ヲ致シマシテ讓渡シタモノモゴ
ザイマス、金高ノコトニ付テ唯今仰セガゴザイマシタガ、是ハ金額ハ多少相
違イタシタ點モゴザイマス、此細カイコトハ他日細カク說明スルコトニ致シ
マス、要スルニ砲兵工廠ノ收入支出ハ特別會計法ニ依ッテヤッテ居リマスノデ、
議會ノ協賛ヲ經マシタ以上ニ歲出ハ出來マセヌ、既ニ此大正四年度ニ於ケル
實行豫算ニ於キマシテハ二千四百萬圓バカリデゴザイマシタガ、其後先頃ノ
特別議會ニ於テ第一ノ追加ヲ要求シ、今日亦作業會計ノ收入支出ノ追加ヲ致
シマシテ、大正四年度ハ四千六百萬圓バカリニナル勘定デアリマス、其收入
及支出トモ議會デ協賛ヲ經テ居リマス豫算以外ハ會計法規ガ許シマセヌ、隨
テ豫算外ノコトハヤッテ居リマセヌ、ソレカラ金ヲ受取ッテト云フ御話ガゴ
ザイマシタガ、其豫算ノ範圍ニ於テ註文國カラ前金ヲ受取リマシテ、サウシ
テソレニ依ッテ品物ヲ製造シテ渡シマス、ソレハ作業會計ノ法規上差支ガナイ
ト存ジテ居リマス、モウ一ツハ兵器ハ軍ノ編制ノ中ニ編入セラレテ居ルモノ
デアル、隨ッテ陸軍大臣ノ獨斷ヲ以テヤリ得ルモノデナイト云フヤウナ御質
問デゴザイマシタガ、細カク申シマスレバ無論、軍ヲ組織スルニ付テハ相當
ノ兵器ヲ有タヌケレバ軍ノ組織ハ成立チマセヌ、此供給ヲスルノハ陸軍大臣
ノ職責デアリマス、唯〓申上ゲマシタ通リニ砲兵工廠ノ製造ガ與國ノ急需ニ
應ズル上ニ付テ間ニ合ハヌ場合ニ於キマシテ陸軍大臣ノ保管スル兵器ニシテ
動員計畫上差支ナイ程度ノモノハ一時融通イタシマス、融通ヲ致シマス上ニ
付テ是ハ相當ノ加工補修ヲ要シマスノデ砲兵工廠ニ渡シマシタ、砲兵工廠ハ
自分ガ製造シタモノト同樣ナ性質ヲ以テ讓渡シマシタ、陸軍省自ラガ與國ニ
賣却シタノデゴザイマセヌ、砲兵工廠卽チ作業會計ヲ行ッテ居ル所ガ與國ニ賣
却イタシマシタ次第デ、決シテ動員計畫上ニ於テハ私、職責上トシテ支障ノ
ナイコトヲ斷言ヲ致シテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=29
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030・目賀田種太郎
○男爵目賀田種太郞君 チヨット承リマスル所ダト云フト、砲兵工廠ノ直轄ノ
作業ノ範圍ニ非ズシテ陸軍省ニ備付ケテアリマス卽チ軍ノ編制ニ屬スルモノ
ヲ賣却シタ、然ラバ是ハ一般ノ歲入ニ編入セラルベキモノデハナイカ、又如
何ナル部分ガ砲兵工廠ノ直接ノ歲入ニ編入セラルルカ、ソレガ審デゴザイマ
セヌ、實ハ今ノ御說明ハ十分了解イタシマセヌ、モウ少々伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=30
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031・岡市之助
○國務大臣(岡市之助君) 唯今申シマシタ通リニ陸軍大臣ノ保管スル兵器ニ
シテ動員計畫上支障ガナイト認メマシタモノヲ砲兵工廠ニ渡シマシテ、砲兵工
廠ハ之ニ加工補修ヲ施シマシテ、自分ガ作ッタト同樣ノ意味ニ於テ與國ニ賣渡シ
マシタ、サウシテ砲兵工廠ハ直チニソレニ對スル代用品ヲ陸軍大臣ニ納メマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=31
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032・目賀田種太郎
○男爵目賀田種太郞君 了解イタシマセヌガ、後ノ機會ヲ待ッテ更ニ審ニ伺ヒ
Pv1.本員ハ尙ホ引續イテ海軍大臣ノ御說明ヲ此席ニ於テ伺ヒマス、前刻來
度〓ノ御說明デアリマシテ、御煩ハシウ存ジマスガ、要スルニ海軍大臣若ク
ハ大藏大臣ハ大正五年ニ於テ將來ノ國防ニ對シテ最善ノ努力ヲセラルル、財
源ハ其時定ムル、斯ウ云フ御說明デアリマシタ、ソレハ一通リ兩大臣ノ御意
見ニ於テハ然ルベキコトカト存ジマスガ、私ハマダ了解イタシ兼ネマス、何
トナレバ國防ノコトハ他ノコトト違フノデアリマス、申スマデモナイ、兩大
臣ガ如何樣ニ努力セラレヤウガ、如何樣ニ財源ヲ發見スルニ努メラレヤウガ、
國防ト云フコトハ是ハ一定不動デ、兩大臣ノ如何トモスベカラザルコトト、
私ハ思量シマス、サルガ故ニ當貴族院ニ於テハ明治四十五年ニ時ノ內閣ニ質
問ヲ致シテ時ノ內閣ハ必ズ四十五年以降此事ヲ行フ、斯ウ言ハレテ居ル、其
行フト云フコトハ卽チ八八艦隊ニアルノデアリマス、然ルニ今日ハ八八艦隊
ト云フコトハ、是ハ唯前日來海軍大臣ノ說明ニ依リマスト、加藤君一己ノ御
想像デ、毫モ實際ニ於テハ成立シテ居ラヌ、而カモ當院ニ於テ目賀田ニ對シ
テハ八八ト仰セラレマシタガ、衆議院ニ於ケル御說明ニハ八四ニナッテ居ル、
ソレニ付テハ別ニ私ハ論辯ハ致シマセヌガ、要スルニ八八艦隊ト云フコトハ
以前ノ計畫デアル、ソレヲ何時ノ間ニカ八四艦隊ニセラレタ、前キニ三十九
年ニ計畫セラレタ八八艦隊ハ、其後貴族院ニ於テ質問シ、又政府ノ說明ヲ與
ヘラレタノニモ常ニ八八艦隊、前キニ大正三年度ニ一億五千四百萬圓ノ提出
モ又八八艦隊ニナッテ居ル、デ今日ハ唯希望ヲ以テ此豫算ヲ提出セラレテ居
ル、大正五年度以下ノコトハ其時ニ定ムルト云フコトデアルナラバ、私ハ海
軍大臣ノ說明ヲ得タイノデアリマスガ、何ガ故ニ其如ク財源ガ不確實デアッ
テ、海軍大臣ノ希望ハ唯御想像ニ止マル、若クハ大藏大臣ノ努力ニ止マルト
云フノデアルナラバ、何ガ故ニ法律ノ命ズル所ニ從ッテ一年度限リニセラレ
ヌカ、之ヲ伺ヒタイ、憲法六十八條ニハ、特別ノ必要ガアレバ繼續費ト爲ス
コトヲ得トアル、繼續費ト爲スコトヲ得ザル場合ニハ何ゼ一年度限リニナサ
レヌノデアルカ、之ヲ伺ヒタイ、此豫算ハ一年限リデモナイ、形ハ繼續費デ
モナイ、一體斯ノ如キ豫算ノ提出ハ本員ニ於テハ最初ヨリ好マヌ、是ハ御承
知ノ如ク大正二年度ニ六百萬圓ノ提出以來、習ヲ爲シテ居ルノデアリマスガ、
斯ノ如キ豫算ノ提出ハ大體已ムヲ得ズ通過シ來ッテ居ル、實ハ國防ノ根源ヲ定
メラレルナラバ······斯ノ如ク財源ガ不確實デアルナラバ何ゼ一年度ニ定メラ
レヌカ、ソレヲ伺ヒタイ、本員ノ海軍大臣ノ御說明ヲ得タイノハ、國防ノコ
トハ海軍大臣ノ努力、唯御見込ヲ以テ左右スルコトハ出來ヌト存ジマスルガ、
萬ガ一來年度ニ於テ出來ヌ場合ハ如何セラレルカ、之ヲ第一ニ伺ヒタイ、第
二點ハ何ガ故ニ繼續費トセラレタカ、斯ノ如キ不確實ナル財源ノ上ニ於テ何
ゼ繼續費トセラレタカ、又第三ニ旣ニ國防ハ八八艦隊デアリマシテ、實際八
四艦隊ナル以上ハ、三十九年ノ計畫ニ對シテ之ガ變更ニ付テ必要ナル手續ヲ
セラレヌカ、ソレヲ第三ニ伺ヒタイノデアル、前キニ本月八日ニ於キマシテ、
海軍大臣ハ本員ニ對シテ、諮詢ヲ要スルノ必要ナシト信ズ、諮詢ハ海軍大臣
ガセラルルノデアルカ、ドウシテ必要ガナイト云フコトヲ海軍大臣ガ認メラ
レルノデアリマセウカ、此三點ヲ說明ヲ得タイ
〔國務大臣加藤友三郞君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=32
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033・加藤友三郎
○國務大臣(加藤友三郞君) 目賀田男爵ノ質問ニ御答ヲ致シマス、色〓御質
問ノ要點ヲ御述べニナリマシタガ、大體ニ於キマシテ衆議院デハ八四艦隊ト
云フヤウナ風ニ說明シテ居ルト云フガ如キ御言葉ガアッタヤウデゴザイマス
ルカラ此點ニ付キマシテ先ヅ考ヘテ居リマスル所ヲ申シマシテ、續イテ御質
問ニ對スル御答ヲ致シタイト考ヘマス、衆議院ニ於キマシテモ八八艦隊ノ計
畫ヲ八四艦隊ニ變更イタスト云フコトハ斷ジテ申シテ居リマセヌノデゴザイ
マス、矢張リ國防ノ方針ト致シマシテ八八艦隊ナルモノガ根本ノ方針デアル、
是ガ實行方法ト致シテ直チニ此八八ナルモノハ豫算ノ形式ニ現ハスコトノ出
來ナイノガ遺憾デアル、卽チ今囘計畫ヲ致シテ、其一部分デハゴザイマスル
ガ、豫算ニ計上イタシマシタ大正五年度以降四箇年ニ互リマスル繼續費ハ
取リモ直サズ八八艦隊ニ進ムベキ前提デアル、ト云フ風ナ意味ニ說明ヲ致シ
タト記憶シテ居ルノデアリマス、併ナガラ多クノ場合ハ實行イタサムトシツ
ツアル所ノ八四艦隊ノ豫算ニ付キマシテ說明ヲ致シマシタ場合ガ多ウゴザイ
マシタ結果、唯今御疑問ノヤウナ御解釋ガ現ハレタノデハナイカト想像イタ
スノデゴザイマス、決シテ八八ナルモノヲ八四ニ改正イタシタト云フコトハ
斷ジテゴザイマセヌ、ソコデ來年度若シ殘餘ノ計畫ヲ實行スルコトガ出來ナ
カッタ場合ニハドウスルカト云フ御質問デゴザイマスガ、私ハ必ズ之ヲ實行ス
ルト云フ決心ヲ有ッテ居リマスノデス、故ニ出來ナイ場合ノコトハ唯今ハ考ヘ
テ居リマセヌ、モウ一ツ最後ノ御質問ハ要領ヲ得マセヌデシタガ、ドウカ恐
入リマスガ、モウ一度··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=33
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034・目賀田種太郎
○男爵目賀田種太郞君 本員ノ伺ヒタイノハ、旣ニ三十九年度ニ確定セラレ
タ計畫ハ八八艦隊、唯今八四艦隊ナルモノハ其前提デアルト云フ御說明デゴ
ザイマス、其八八艦隊ノ計畫ト云フモノハ隨分長イ話デアル、然ラバ八八ノ
計畫ハ八四計畫ニ變ゼラレタト云フ御說明ハ長イ話デ、三十九年ニ於テ決メ
ラレタ計畫ハ變ッタモノト言ハナケレバナラヌ、然ラバ三十九年ノ改正ハ相當
ノ手續ヲ經テヤラレルノ必要ハナイカト云フ意味ヲ以テ本月八日ニ伺ッタノ
デアリマス、然ルニ海軍大臣ハ八八デアルカラ元帥府ニ諮詢ノ要ナシト認ム
ト仰セラレタ、元帥府ノ諮詢ハ海軍大臣ガセラレルノデアルカ、速記錄ニハ
諮詢ノ要ナシト信ズトアル、ソレハ貴官ガ認メラレルノカ、ソレヲ伺ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=34
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035・加藤友三郎
○國務大臣(加藤友三郞君) 了解シマシタ、私ハ前囘目賀田男爵ノ御質問ニ、
唯今仰セノ如キ言葉ヲ遣ヒマシタナラバ是ハ私ノ誤デアリマス、此段謝シマ
ス、而シテ此御諮問ハ無論海軍大臣ガ致スノデハナイノデゴザイマシテ、其
手續ヲ履ム必要ヲ認メナイト申シタ積リデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=35
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036・目賀田種太郎
○男爵目賀田種太郞君 實際八八艦隊ノ計畫ハ數年ヲ經ザレバ出來ヌコトデ
アリマス、之ニ對シテ業ニ巳ニ三十九年ニ確定セラレタコトニ對シテ、海軍
大臣ガ之ヲ擅ニ諮詢ノ要ナシト認メラレルト云フコトハ、私マダ分リマセ
ヌ、今一應伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=36
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037・加藤友三郎
○國務大臣(加藤友三郞君) 御質問ノ要領ヲ能ク了解イタシマセヌガ、目賀
田男爵ハ、此補充問題ニ付キマシテハ我〓ノ苦衷ヲ御察シ下サイマシテ、十
二分ノ御同情ヲ御有チ下サルモノト考ヘルノデアリマス、如何ニモ男爵ノ仰
セノ如ク、目的ヲ早ク逹シタイト云フ希望ハ十二分ニ有ッテ居リマスノデゴザ
イマス、此點ニ付キマシテハ皆サンノ御同情ヲ得ナクテハナラヌト云フコト
モ了解イタシテ居リマス、而シテ八八ナルモノガ三十九年ニ決定ヲサレテ、
今日ニ至ルマデモ其端〓ニ就カナイ、恰モ八四ニ變更シタカノ如クニ見エル
ノデアルガ、斯ウ長クナルナラバ此儘抛ッテ置イテハイカヌデハナイカト云
フヤウナ御質問ト拜聽イタシマシタノデゴザイマスガ、是ハ卽チ八八ニ至リ
マスル途中ニ在ルノデゴザイマス、隨ッテ手續ト云フ問題ニナリマシテハ唯
今當局ト致シマシテ、別ニ斯ノ如キ手續ヲ取ル必要ガアルト云フガ如キコト
ハ考ヘテ居リマセヌノデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=37
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038・田健治郎
○男爵田健治郞君 私ハ內閣總理大臣ニ對シテ、減債基金ノ復舊ニ關シマシ
テ、內閣ガ貴族院ノ院議ヲ如何ニモ一顧ノ値モナイモノノ如クニ今日マデ遇
セラレタ點ニ向ッテ確ト總理大臣ニ質シタイト存ジマシタノデアリマスルガ、
先刻總理大臣ハ御病氣デ御退席ニナルト云フノ御通知ニ接シマシタ、スレバ
是ハ總理大臣ノ御出席ヲ待タナクテハ、是ハ大藏大臣此更ッタ大藏大臣
ニ御尋シテモ分ラヌコトデアリマスカラ、私ハ今日ハ質問ヲ見合ハセマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=38
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039・柳澤保惠
○伯爵柳澤保惠君 私ハ五六ノ質問ヲ持ッテ居リマス、併ナガラ其中ノ或ル部
分ニ付キマシテハ既ニ午前ヨリ議員諸君ヨリ御質問ガ出マシテ、ソレニ付テ
ノ御答辯モゴザイマシタ、尙ホソレニ續キマシテ二三伺ヒタイコトモゴザイ
マスガ、ソレハ他日ニ讓リマシテ、午前ヨリ質問ノ出マセヌ點ニ付テ三點伺ヒ
タイト思ヒマス、御承知ノ如ク此前ノ特別議會ニ於キマシテ、貴族院ハ一ノ建
議案ヲ通過シタノデアリマス、其通過ノ建議案ハ無論政府ノ御了承ノコトト
考ヘマス、申スマデモナク此歐洲動亂ノ場合ニ際シマシテ、殊ニ各國ノ財政經
濟竝ニ社會上ノ狀態ニ付テ調査シテ貰ヒタイ、其趣意ハ其時說明モ致シマシタ
ガ、今日ノ政府ノ諸官廳ノ仕事トシテ、隨分此點ニ付テノ御調査モアルヤウデ
アリマス、併ナガラソレハ殆ド平時ノ事柄ト餘リ異ラヌヤウデアル、願ハクハ
モウ一歩進メタ此動亂ノ場合ニ殊ニ適シタル所ノ相當ナル處置ヲシテ戴キタ
イ、是ガ政府ニ於テ缺ケテ居ルヤウデアルカラ、願ハクハ此點ニ付テ調査機關
ヲ置クナリ、或ハ相當ノ手續ヲシテ戴キタイト云フコトデアリマシタ、尙ホソ
レニ付テ具體的ノ事柄ノ二三ノコトニ付テ、私ハ建議者トシテ說明シマシタ、
併ナガラ其建議案ニ付テ如何ニ御考ヘニナッタノデアリマスカ、時ノ大藏大臣
若槻君ハ說明サレテ、成程建議ノ趣旨ハ了承シタガ、政府ニ於テモ此點ニ付テ
ハ調査シテ居ルカラ、別ニ建議案ノ如キサウ云フ機關ヲ置クニ及バヌ、併ナガ
ラ其趣意ハ了承シテ置クト云フコトデアリマシタ、ソレデ私ハソレニ付テ尙
ホ詳細ノコトヲ申上ゲテ、政府ノ注意ヲ促シテ置イタノデアリマス、ソレデ此
度ノ豫算ヲ見マスルニ、何カ其建議案ニ對シテ相當ノ御處置ガアッタカト思ツ
テ、各省ノ項目ニ付テ大體調ベテ見マシタガ、此度遲蒔ニ出タ所ノ瑞西ニ公使
館ヲ置クト云フコトノ外ニ、殊更ニ事立ッタコトモナイヤウデアル、果シテ私
ノ見タ通リデアリマスレバ、政府ハ此場合ニ於テ外務當局者ガ設置セムトス
ル瑞西ニ公使館ヲ置ク外ニハ適宜ノ處置ヲナサラヌノデアルカ、或ハ追加豫算
ヲ以テ、例ヘバ英國ニ財務官ヲ置クガ如キ特殊ノ人ヲ特殊ノ場所ニ置クト云
フヤウナコトハ爲サヌノデアリマスルカ、其事ヲ伺ヒタイ、ソレカラ第二點ハ
總理大臣ニ伺ヒタイノデアリマスガ、此場合大藏大臣デモ宜シウゴザイマス、
第一ノ質問ノ項目ニ付テハ、私ハ外務大臣、農商務大臣、大藏大臣ニ伺ヒタイ
ノデアリマス、第二ノ點ト申シマスルノハ、此行政整理ト申スコトハ、最早政
府ニ於テハ全部ナサレタノデアリマスカ、或ハマダ將來或ハ現時ニ於キマシ
テモ著々ト行政整理ヲマダ爲サレル途ガアリマスノデアルヤ否ヤ、私ハ此點
ニ付テ一例ニ付テ伺ヒタイノデアリマス、是マデノ行政竝ニ財政ノ整理等ヲ
ナサレマシタ場合ノ事實ヲ見マスルト、相當ノ御整理モゴザイマシタガ、私
一點茲ニ行政整理ノ及ンデ居ラヌト云フコトノ疑點ヲ持ッテ居リマス、其疑點
ハ官舍デアリマス、官舍ト云フモノハ中ミ全國ニ多イ、各省ニ亙リ、各府縣ニ
亙リ、殖民地ニ亙リ、澤山官舍ガゴザイマス、官舍ト云フモノハ政府ハドウ見
テ居ラレマスカ、官舍ニ付テハ少シモ整理ヲナサラヌノデアリマスカ、私共少
シノ時間ヲ以テ調ベテ見タ所ニ依リマシテモ、隨分官舍ノ中ニハ不用ナノモア
リマセウト思ヒマス、又必要ヲ感ジテ居ルノモアリマスガ、テンデ御整理ハナ
イヤウデアリマス、此官舍ノ整理ト云フコトハドウ云フ風ニ御考ヘデアリマ
スカ、之ヲ伺ヒタイ、私ハ尙ホ之ニ付テ願ッテ置キマスガ、是ハ今日答辯ハ求
メマセヌガ、願ハクバ此議會中ニ此官舍竝ニ官舍ニ關スル土地家屋ト云フヤ
ウナモノノ評價ヲ付ケタモノヲ得タイノデアリマスガ、私モ出來得ルダケノ
調査ハシマシタガ、其材料ハ餘程古イモノガ一ツ、ソレカラ朝鮮總督府ニ關
スルモノヲ一ツ持ッテ居リマスダケデ、誠ニ私モ材料ガ不備デアリマスカラ
···要スルニ官舍ニ關スル行政整理ガ行ハレテ居ラヌト思ヒマスガ、此點ニ
付テハ從前ノ儘デ更ニ整理セヌト云フノデアルカ、スルト云フノデアルカ、
之ヲ伺ヒタイ、ソレカラ第三ニ伺ヒタイノハ極ク僅ナコトデアリマスガ、內
務省ノ歲出臨時部ノ中ニ保健衞生調査及衞生事業奬勵費ト云フモノガ始メテ
出テ居リマス、是ハ二萬圓デアリマス、僅ナ金額デアリマスガ、併シ是ハ一方
ニ於テ日本ノ動態統計ノ或ル一部ヲ〓究スル行爲ニ外ナラヌノデアリマス、
斯ノ如キ所ノ有益ナル調査、殊ニ人口動態ニ關スル調査ヲ一方ニ於テ御厲行
ナサルニ拘ラズ、ソレ等ニ比シテ一體ノソレ等ノ調査ノ根本ニナル所ノ、日本
ノ國勢調査ヲナサラヌノハドウ云フ譯デアルカ、根本ノ國勢調査ヲナサズシ
テ斯ノ如キ動態ノ調査ヲナシタ所ガ、ソレハ甚ダ意味ノナイコトニナリハセ
ヌカト思フ、動態ノ調査モ無論必要デハアルガ、是ハ靜態ノ國勢調査ヲシテ
カラデナケレバ完全ノ調査ハ出來ナイト思ヒマス、此調査ヲナサルノハ誠ニ
結構デアリマスガ、根本ノ靜態ノ調査ハドウデアリマスカ、是ハ嘗テ閣僚諸君
ノ中ニハ國勢調査準備委員會ニ於テ警咳ニ接シマシテ總テノコトノ御意見ヲ
伺ッタコトモアリマスガ、何卒之ニ付テ相當ノ御答辯ヲ伺ヒタイノデアリマス
〔國務大臣武富時敏君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=39
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040・武富時敏
○國務大臣(武富時敏君) 柳澤伯爵ノ御質問ニ御答シマス、貴族院ノ建議ノ
趣意ハ政府ニ於テモ勿論尊重ヲ致シマシテ、ソレ〓〓計畫ヲ致シテ居リマ
ス、殊ニ戰亂ニ關シテ歐洲ノ財政經濟ノ狀態ヲ調査スルコトニ付キマシテハ
特ニ先般來官吏ヲ派遣シテ其調査ニ從事サシテ居リマス、御承知ノ通リニ平
常ハ財務官ト云フモノガ倫敦ニ駐在イクシテ居リマシテ、絕エズ怠ラズ財政
經濟ノ狀態ヲ調査イタシマシテ報告ヲ致シテ居リマス、併シ此度ハ未曾有ノ
戰亂デ、各國ノ經濟財政ノ狀態ハ未曾有ノ變化ヲ受ケルノデゴザイマスカラ、
特ニ官吏ヲ派遣シテ其調査ニ從事スルコトニナッテ居リマス、追〓ト此調査報
告ヲ待チマシテ政府ハソレ〓〓怠ラズ計畫ヲ立テル積リデ居リマス、ソレカ
ラ行政整理ノコトニ付テノ御質問デゴザイマスルガ、御承知ノ通リ先年度ミ
此行政整理ト云フコトハ繰返サレテ居リマス、最早今日ノ所デハ先年來繰返
サレタヤウナ行政整理ヲ再ビスルト云フ餘地ハナイト政府ハ認メテ居リマス、
併ナガラ成ルベク冗費ヲ節シ事務ノ簡捷ヲ計リ政務ノ統一ヲ期スルト云フコ
トニハ、勿論怠ラズ調査ヲ進メテ居リマス、又唯今御說ノゴザリマシタ官舍
等ノコトニ付テモソレ〓〓調査ヲ進メルコトニ致シタイト思ヒマス、ソレカ
ラ國勢調査ノコトニ付テ御尋デゴザイマシタガ、何分目下ノ時局ニ際シマシ
テ、政府ノ歲入狀態ハ極メテ不良デゴザイマスルカラ、新ニ仕事ヲ始メルト
云フコトハ誠ニ困難デゴザイマス、ソレ故ニ差措キ難イト思ヒナガラモ豫算
ニ計上スルコトガ出來ナイヤウナコトガ多々ゴザリマス、矢張リ「センサス」
ノ如キモ其中ノ一ツデアルト思フノデアリマス、併シ此國勢調査ト云フモノ
ハ申ス迄モナク時期ガアルノデゴザイマシテ、各國同一ノ時期ニ此國勢調査
ヲシタ方ガ相當ト思フノデゴザイマス、サスレバ今年カラ其準備ヲナサナクツ
テモ未ダ遲レル譯デハナカラウト思フノデアリマス、併シ尙ホ其邊ハ十分ニ
考慮イタシマシテ此事業ノ爲ニハ努力ヲ致シタイト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=40
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041・柳澤保惠
○伯爵柳澤保惠君 本員ノ質問ニ對シマシテ大藏大臣ノ外農商務大臣竝ニ外
務大臣ヨリ伺ヒタイト考ヘテ居リマスルガ、御答辯者ノ便利ノ爲ニ私ハ是ダ
ケノコトヲ申シテ置カウト思ヒマス、ソレハ唯今ノ大藏大臣ノ御言葉ニ依リ
マスルト、私ノ第一ノ質問ニ對シテハ、相當ノ人ヲ出シテ相當ノ處置ヲ執ッテ
居ルト云フコトデアリマシタ、併ナガラソレハ私共ノ承知シテ居リマス所デ
ハ如何ニモ微々タルモノデアッテ、到底昨年ノ特別議會ノ建議案ノ趣旨ヲ貫ク
程ノモノトモ思ヒマセヌ、併ナガラソレハ先ヅ具體的ノコトハ承知シテ居リ
マセヌカラ、私ハ今日此所デ御返事ヲ求メマセヌ、更ニ政府ニ於テハ大藏
省、外務省竝ニ農商務省邊ト御協議ヲ遂ゲラレマシテ、斯樣ナ所ノ調査ヲ昨年
ノ建議案ニ對シテ、シテ居ルト云フヤウナコトヲ一ツ文書ヲ以テ他日御答辯
ニ代ヘラレマシテ、安心ノ爲ニ私共ニ御配付アラムコトヲ希望シテ置キマス、
ソレガ出來マスレバ今日更ニ農商務大臣竝ニ外務大臣ノ御答辯ハ要ラヌノデ
アリマス、ソレカラ官舍ニ付テ申述ベマシタ所ガ、唯今ノ御答辯ニ依リマス
ルト現今デハ御調査ガナイヤウニ承知シテ居リマス、是モ追〓調査シテ整理
スベキモノハ整理スルト云フ御話デアリマシタガ、之ニ付テハ先程モ請求イ
タシマシタ通リ何トゾ全國ニ於ケル官舍ニ對スル數量的材料ヲ與ヘラレムコ
トヲ希望イタシマス、ソレカラ第三ノ點ニ付キマシテ、大藏大臣ハ國勢調査
ハ各國同一ノ時期ニスル方ガ宜カラウ、サスレバ何モ急ニナスニハ及バヌト
云フコトデアリマシタ、成ルホド各國デハ現ニ今年ノ如キハ或國デハアル筈
デアッタノデアリマスガ、是ハ戰亂ノ爲ニゴザイマセヌ、兎ニ角五或ハ零デ終
ル年デアルコトハ承知シテ居リマス、併ナガラ本邦ハ未ダ一囘モナイノデゴ
ザイマス、一囘モナイ國ガソレヲ實行セムトスレバ、各國ノ例ニ傚ッテ五或
ハ零ヲ以テ終ル年ヲ待ツ必要ハナイ、一日モ早クナサレムコトヲ希望スルノ
デゴザイマスカラ、假ニ政府ニ於キマシテ差措キ難イ所ノ御事情ガアッテ延
バサナケレバナラヌト云フコトガゴザイマシテモ、是ハ必シモ各國ノ例ニ准
ズルト云フコトハ甚ダ宜シクナイト考ヘテ居リマス、若シ左樣ナ御考ヘデゴ
ザイマスレバ、初メテヤル所ノ調査デアリマスカラ、斯ウ云フコトヲ實行サ
レル場合ニ於キマシテハ御考慮アルコトハ、甚ダ事業ノ進行上妨害ト考ヘマ
ス、是ハ改メテ御忠告ヲ申シテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=41
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042・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 澤柳政太郞君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=42
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043・澤柳政太郎
○澤柳政太郞君 本員ハ豫算全體ニ關シマシテ第一ニ總理大臣ニ御尋ヲ致シ
タイト思ヒマシタガ、御退席ニナッタト云フコトデアリマスルカラ、ソレハ他
日ニ保留イタシマシテ、海軍補充費ニ付テ尙ホ今マデ御質問ノナカッタ點ニ付
テ私ノ了解イタシ兼ネル所ヲ御尋ネ致シタイト思フノデアリマス、本年ノ豫
算ニ於キマシテハ殆ド新ナル事業ハ計上セラレズシテ、唯一ツノ海軍ノ補充
費ト云フモノガ計上サレタト申シテ宜カラウト思フノデアリマス、從ッテ此問
題ニ關シマシテハ衆議院ニ於テ色〓ノ質問ガ出マシテ、之ニ對シテ加藤海軍
大臣ノ誠ニ明晰ナ懇篤ナル御辯解、御說明ガアリマシテ、本員ハ篤ト之ヲ速記
錄ニ依ッテ拜見ヲ致シタノデアリマス、而シテ八八艦隊ノ因ッテ起ル所以モ本
年ニ至リマシテ誠ニ明確ニ海軍大臣ヨリ承ルコトヲ得マシタノハ我〓ノ甚ダ
幸ヒト致ス所デアルノデアリマス、而シテ八八艦隊ノ成ル所以ハ衆議院ニ於
テ御說明ニナッタ所ニ依リマスルト云フト、主トシテ戰術上ノ見地ヨリシテ、優
勢ナル戰艦八艘、又優勢ナル巡洋戰艦八隻ヲ以テ主力トスルト云フ御說明ガ
アリマシテ、誠ニ私モ御尤ノコトト傾聽イタシタ次第デアリマス、併ナガラ國
防トシテ考ヘマスレバ、日本ノ國防ハ決シテ唯艦隊ヲ操縱スル所ノ戰術ノミ
ヨリシテ割出サルベキモノデナクシテ、必ズ列國ノ大勢、列國軍備ノ形勢ニ對
シテ計畫セラレタル所デアラウト思フノデアリマス、ソレ等ノ點ニ付テノ質問
ガ下院ニ於テナカッタ爲デアリマスルカ、御說明ガアリマセナンダガ、必ズ他
ノ列國ノ軍備ノ狀態ニ鑑ミテ計畫セラレタルモノト思フノデアリマスルガ、其
據ル所ヲ承リタイト思フノデアリマス、第二ニハ必ズ相當ノ······唯今ノ第一
ニ御導イタシマシタ相當ノ理由ヲ根據トシテ此國防ノ海軍ノ計畫ヲ立テラレ
タモノト思ヒマスルガ、而シテ此計畫ハ明カニ三十九年度ニ於テソレ〓〓手
續ヲ經テ旣ニ確定セラレタト云フコトデアルノデアリマス、三十九年度ニ當局
者ガ世界ノ形勢ヨリ打算シテ立テラレタル八八艦隊ノ程度ハ、殆ド十年ヲ經
過イタシテ居リマスル今日ニ於テ、又現當局者ガ完成セムトセラルル所ノ年
限ハ大正十二年デアルト云フコトデアリマスルガ、十二年ニナリマシテモ尙
ホ其當時ノ形勢ニ依ッテ策定セラレタル所ノ此海軍ノ隻數ヲ以テ十分トセラ
ルル次第デアリマセウカ、想フニ三十九年以後各國ニ於テ海軍ノ擴張ヲ圖ッタ
コトハ實ニ非常ナモノデアル、殊ニ最近ニ於テハ米國ハ偉大ナル海軍ノ擴張ヲ
致シテ居ルト云フコトデアリマスルガ、日本ノ國防ハ唯戰術上、艦隊ノ操縱上ノ
見地ノミヨリ計畫セラルルノデアッテ、ソレ等ノコトニハ頓著セヌト云フモノ
デアリマセウカ、是ハ今日ヨリ十年前ニ策定セラレタル海軍ノ計畫ヲ以テ、今日
尙ホ其遂行ニ向ッテ最善ノ努力ヲ盡サレルト云フコトヲ以テ我〓國民ハ安心
ヲシテ居ルコトガ出來ルカ、誠ニ自分ニハ了解ガ仕兼ネルノデアリマス、三十
九年度ニ於テ其計畫ヲ必要トシタナラバ、形勢ノ變化シタ今日ニ於テハ二箇
ノ八四艦隊ナリ八八艦隊ヲ必要トスルト云フヤウナ形勢デハナイデアラウカ
ト思フノデアリマス、或ハソレハ當局者トシテハ最モ望ム次第デアルガ、財
政ノ點ヲ顧慮スレバ誠ニ已ムコトヲ得ヌト云フヤウナ御答辯デアリマセウガ、
如何ナル時代ニ於テモ國防計畫ヲ立テルニ財政ノ關係ヲ顧慮セズシテ立テラ
ルルト云フコトハナイノデアリマス、先刻モ水野君カラ御話ノアリマシタ通
リ、此軍備ノ如キ誠ニ多額ノ國費ヲ要スルモノデアリマスカラ、絕對必要ナ限
度ニ於テ計畫セラルベキモノデアラウト思フノデアリマス、兎ニ角三十九年
度ノ計畫ガ大正十二年度ニ至ッテ完成スルト云ッテ、ソレデ先ヅ計畫ガ立ッタト
セラルル點ニ於テ本員ハ甚ダ了解ニ苦シム次第デアリマス、尙ホ此三十九年
度ニ確定セラレタト云フコトヲ明言サレテ居リマスガ、而シテ四十年度ヨリ大
正四年度マデ海軍ノ臨時費ト云フモノハ約四億五千萬圓支出イタシテ居ルノ
デゴザイマス、而シテ其中ニ於テ軍艦ノ製造費ト云フモノハ三億二千萬圓ニ
殆ド垂ント致シテ居ルノデアリマス、若シ三十九年度ニ於テ八八艦隊ト云フ
モノガ國防ノ方針トシテ決定サレテ居ルモノデアルナラバ、其以後假令是ガ
八八艦隊ノ一部ダト云フコトヲ明言サレヌマデモ、當局者トシテ卽チ完成ニ
向ッテ著々步ヲ進メテ居ラナケレバナラナカッタト思フノデアリマス、而シテ
今議會ニ於テ總軍事費四億四千萬ノ其中軍艦製造費三億二千萬ニ垂ントスル
金額ヲ本年マデ支出スル筈ニナッテ居ル、而シテ其中ニ於テドレダケ八四艦隊
ニ屬スベキ艦體ガ、戰艦ナリ巡洋戰艦ガ旣ニ製造サレ、或ハ建築サレツツアル
カト云フコトヲ是モ御伺ヲ致シタイノデアリマス、恐ラク四隻位ニ過ギナイ
デアラウト思フノデアリマス、而シテソレニ要シタル所ノ金額ハ是亦私ノ伺
ハムトスル所デアリマスガ、大體推測スル所ニ據ルト一億一二千萬圓ヲ超エ
ヌ次第デアラウト思フノデアリマス、卽チ四十年以後八八艦隊ノ方針ガ決定
シテ居ルニモ拘ラズ、八八艦隊完成ノ爲ニ今日マデ支出シタ金額ハ一億圓ソ
コソコ、之ニ二億圓ノ軍艦製造費ト云フモノガ支出サレテ居リマスルガ、ソ
レハ如何ナルモノデアルカ、ドウモ其點ニ付テ其二億圓ハ····過去九年間ニ
於ケル二億圓ノ金額ト云フモノハ八四艦隊以外、如何ナル必要ナル軍艦製造
ノ爲ニ使用サレタモノデアリマスカ、其邊ニ付テ御伺ヲ致シタイト思フノデ
アリマス、第四ニハ八四艦隊トカ、或ハ八八艦隊ト云フモノハ本年ニ至ッテ始メ
テ本員ハ承ルコトト記憶イタシテ居リマスガ、或ハ昨年ノ暮位カラシテサウ
云フ名前ガ現ハレテ來タカト思フノデアリマスルガ、從來ハ此海軍ノ補充費
ヲ要求サルル時ニ、或ハ戰艦ガ三隻デアル、或、驅逐艦ガ十隻デアルト云フヤ
ウナコトニシテ是ハ要求サレテ居ッタノデアリマス、今日ニ至ッテ八四艦隊、或
ハ八八艦隊ト云フコトガ出テ來タノハドウ云フ譯デアル、是ハ或ハ誠ニ此軍
事上ノ祕密デアッテ其一部分ヲ當局者ガ其積リヲ以テ實行シテ居ルノデアル、
是ガ世間ニ現ハレテハ大ニ日本ノ軍備ノ必要カラ祕密ヲ暴露スルモノデアル
ナラバデアリマスガ、本員ノ了解スル所ハ海軍大臣ノ御說明ニナル所ニ據ル
ト云フト、日露戰役ノ經驗ニ鑑ミテ八八艦隊ニ編成セラレタト云フモノハ强
チ是ハ祕密ヲ要スルモノデハナイト思フノデアリマス、是ハ從來ノコトヲ御
聽スルヤウデアリマスルガ、海軍大臣······現任海軍大臣ハ過去長イ間海軍次
官トシテモ御盡瘁ニナッタコトデアリマスカラ、其邊ニ何故ニ斯ノ如ク
最初カラシテ斯ウ云フ計畫デアルト云フコトヲ示サズシテ僅ニ今年ニ至リ、
殊ニ本議會ニ至ッテ此事ヲ明言セラルルヤウニナッタノデアリマスルカ、此點
ヲ伺ヒタイト思フノデアリマス、ソレカラ第五ニハ從來ハ······今日ニ於テモ
豫算ノ上ニ於テハ海軍補充費ト云フ名稱ニナッテ居ルノデアリマス、サウシテ
此議會ニ於テモ、イヤ補充ニ非ズシテ擴張デハナイカト云フ議論モ出マシタ
ガ、海軍當局者ハ極力イヤ決シテ擴張デハナイ、新ニ擴張スルト云フ譯デハ
ナイ、現在ノ海軍力ヲ補充スルノデアルト云フ話デアッタノデアリマス、併ナ
ガラ八四艦隊ニシテ尙ホ海軍大臣ノ御希望ノ如クニ此後先ヅ二億五千萬ノ豫
算ガ遂行セラルルニ至リマシテモ、十二年待タナケレバ八四艦隊ハ完成イタ
サナイト云フコトデアッタナラバ、現在ノ艦隊ハ是ハドウ云フ御編成デアリ
マスルカ、第一艦隊、第二艦隊、第三艦隊ト云フヤウナ工合ニ現在ナッテ居リ
マスルガ、是ハ今日ノ八四艦隊ト云フヤウナ言葉ニ直シテ見マシタナラバ或
ハソレガ六六艦隊ニナルカ、六四艦隊カニナルノデアラウト思ヒマス、海軍
大臣ガ衆議院ノ分科會ニ於テノ御說明ニ依リマシテモ日露戰爭ノ當時ニハ六
六艦隊ノ編成デアッタト云フコトデアリマスルガ、現在ノ日本ノ海軍ハ更ニ此
編成ヲ今日ノ八八艦隊ト云フヤウナ編成ニ直シテ見タナラバ今日ノ八四艦隊
ニハ無論ナッテ居ラヌ、八二艦隊デアリマスカ、六四艦隊カデアッタラウト思
ヒマス、而シテ當局者ハ之ヲ八四艦隊ニ漸次イタサウト云フノデ此豫算ヲ一
部一部要求サレテ居ッタコトデアリマスレバ是ハ決シテ補充デハナイ、補充
ト云フ正當ノ意味ハ從來アル所ノ勢力ガ減損スル其勢力ヲ塡メテ行クト云フ
ノデナクシテ、確カニ擴張デアラウト思フノデアリマス、今日ハ擴張トカ補
充トカ云フコトニ付テエライ問題ハ出テ居リマセヌガ、私ハ擴張デモ宜イデ
ハナイカト思ヒマスルガ、何故ニ補充トカ擴張トカ云ハレルノデアルカ、又
確カニ今日ニナッテ見レバ擴張ニ相違ナイ、何故カナレバ其當時ニ於テハ八
四艦隊トカ八八艦隊ガ理想デアルト云フコトヲ示サレナカッタノデアリマス
カラ、從來ノ力ヲ補充スルノデアルト御說明ニナレバ成ルホド補充デアッタ
ト云フヤウニ我ミハ考ヘテ居ッタ、併ナガラ方針トシテ旣ニ八八艦隊ガ確定
サレテ居ル、而シテ僅ナガラソレニ向ッテ步ヲ進メテ居ラレタナラバソレハ
確カニ擴張ト申スモノデハナイデアラウカト思ヒマス、斯ノ如キコトヲ此第
四、第五デ御尋ヲスルノハ此議會ニ於テ海軍大臣ノ御說明ニ依ルト八四艦隊
ト云フコトハ三十九年ニ確定シタコトデアルト云フヤウニ承リマシタガ、或
ハ從來ノ戰艦三艘、巡洋艦一隻トカ云フヤウナ豫算ニサレテ要求ノ形式又擴
張トサレズ飽クマデ補充ト云フヤウナコトデ擴張トサレヌ所ニ依ッテ見マス
ルト云フト、ドウモ此八四艦隊ト云フモノガ根柢ノアルモノデハナイ、矢張
リ時勢ニ依ッテ段々ニ〓究ノ結果是ガ今日ニ於テ三十九年度デハナイ、
今日ニ於テハ八四艦隊ヲ最小限度ノ海軍力トスルト云フヤウニ御考ヘニナッ
タノデハナカラウカト甚ダ失禮デアリマスガ邪推ガ起ラザルヲ得ヌノデアリ
Tシ、ソレカラ最後ニハ衆議院ニ於テモ出マシタガ、此歐羅巴ノ大戰爭ノ結
果艦隊ノ編成、軍艦ノ大小等ニ付テ大ナル變化ガ起ルコトハナイデアラウ
カ、或ハ若シ其憂ガアルナラバ戰局ノ收タタ後ヲ俟ッテ徐ロニ此計畫ヲ始メテ
宜クハナイカト云フヤウナ疑ニ對シテ、海軍大臣ハ是亦縷々懇篤ニ今日迄ノ
海戰ノ結果ニ依ッテ見レバ僅ニ潛水艇ノ如キハ奇襲ヲスルニ付テ少イ主力ヲ
馳ッテ大キナ主力艦隊ト雌雄ヲ決スルノデナケレバナラヌト云フヤウナ御答
デアルヤウデアル、而シテ今後歐羅巴ニ於テ大海戰ガ起ルデアラウカ、起ラ
ヌデアラウカト云フ質問ニ對シテ、海軍大臣ハ一己トシテ又其向キノモノノ〓
究トシテ多分起ラヌデアラウト云フヤウナ御說明ガアッタノデアリマス、今日
迄ノ各國ノ軍艦ノ補充ノ計畫ハ矢張リ此大艦主義デアッタラウト思フノデア
リマス、補助ノ艦艇トシテ或ハ潛水艇ヲ造ルトカ驅逐艇ヲ造ルトカ云フヤウ
ナコトハアリマシタラウガ、是ニ全力ヲ注グト云フコトハナカッタノデアル、
ソレ故ニ今日獨逸ガ潛水艇ヲ以テ奇襲ヲ屢〓行ッテ餘程奇捷ヲシテ居リマス
ガ、併ナガラ之ニ依ッテ將來艦隊ノ艦船ノ大小ヲ變更セヌト云フコトハ斷定
サレルコトハ如何デアリマセウカ、例ヘバ獨逸ガ今日三四十艘ノ潛水艇ヲ旣
ニ所有シテ居ッタナラバ、或ハ英國ノ主力艦隊ノ根據地ニ向ッテ突入シ來ッテ
往々奇捷ヲ制シタト云フコトガアリ得ルカ知レヌノデアリマス、併ナガラ所
謂潛水艇ナルモノニ餘リ重キヲ置カナカツタカラ急拵ヘニ一艘ヤ二艘造ルト
致シマシテモ四五十隻ヲ造ルコトガ出來ヌノデ如何トモスルコトガ出來ヌト
云フ結果デナイカト思フ、又英吉利ハアレダケノ大艦隊力ヲ持ッテ居ル、之ニ
加フルニ微弱ナリト雖モ露國ノ艦隊ヲ以テシ、又佛蘭西ノ艦隊ヲ以テ致シマ
シタナラバ、獨逸ノ艦隊ニ對シテ非常ニ優勢デアルニ拘ラズ、唯ジット根據
地ニ引込ンデ居ルヨリ仕方ガナイ、而シテ海軍大臣ノ御話ノ如ク今後トテモ
海上ニ於テ大決戰ガナイト云フコトハ是ハ從來大艦隊主義ト云フモノヲ以テ
シテ、例ヘバ獨逸ニ對シテ一六ノ勢力ヲ占メテ居ッテモ手ヲ出セナイト云フ
コトヲ證明スルモノデハナイノデアリマセウカ、兎ニ角今日ノ戰爭ガ······戰
後ニ於テ或ハ各國艦隊ノ軍艦ニ重キヲ置ク所ハ大艦ニアラズシテ潛航艇ノ如
キ或ハ他ノ補助艦ニ重キヲ置クト云フヤウニ斷定セラレタルコトヲ私ハ衆議
院ノ速記錄デ篤ト拜見イタシマシタガ、洵ニ了解シ兼ネルノデ其疑ヲ持ッテ
居ルノデアリマスガ、願ハクハ懇篤ニ御說明アラムコトヲ御願ヒ致シマス
〔國務大臣加藤友三郞君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=43
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044・加藤友三郎
○國務大臣(加藤友三郞君) 唯今ノ御質問ニ御答ヘ致シマスガ、或ハ御質問
ノ順序ヲ誤リマシテ混ジテ御答ヲ致スカモ知レマセヌデゴザイマス、是ハ若シ
拔ケマシタ所ガゴザイマシタナラバ後トデ御注意ヲ願ヒマス、此八八艦隊ヲ
決定シタ理由ハ戰術上ノ見地ヨリシタト云フコトデアルガ、列國トノ關係ニ
於テハ何モ考ヘナカッタカ、ドウカ、斯ウ云フノガ第一ノ御質問デゴザイマス、
無論列國ノ海軍ノ現狀ニ付キマシテハ十分ニ調査ヲ致シマシテ之ヲ考慮ノ上ニ
加ヘテ、而シテ尙ホ其上ニ戰術上ノ見地ヨリ算定シマシタト御答スルヨリ外ハ
ナイノデアリマス、無論他列國ガ優勢ノ艦隊ヲ持ッテ居リマセヌケレバ我ガ海
軍ニ於キマシテモ優勢ナル艦隊ヲ持ツ必要ハナイノデアリマスガ、併ナガラ
他列國ノ海軍ニ比シマシテ之ニ追〃付イテ行クト云フダケノ艦隊ヲ備ヘルニ
付キマシテハ我ガ國力ガ許スマイカト考ヘマス、要スルニ國力ノ許シマスルト
認メマスル場合ニ於キマシテ又列國ノ海軍ヲ擴張イタシマス關係ヲ考慮ニ加
ヘマシテ、而シテ戰術上ノ見地ヨリ割出シマシタモノデゴザイマス、ソレカ
ラ順序ハ違ヒマスガ、之ヲ八八ナルモノヲ明言スルニ至ッタ理由ヲ御質問ガゴ
ザイマシタ、之ヲ便宜上先キニ御答イタシマス、八八艦隊ナルモノガ決セラレ
マシタノハ三十九年カラ四十年ニ掛ケテ種々ナル手續ヲ踏ンデ決定サレタト
考ヘマス、ソレデ此八八ト云フコトハ當時ハ艦隊ノ編成ニ屬スル問題デアル
カラ之ヲ極祕ニスルト云フコトニ決定イタシテ居ッタノデアリマス、故ニ四十
年以後再々補充費ノ問題ニ於キマシテ製艦費ヲ要求セラレマスル場合ニモ、
當時ノ大臣ガ此八八ナルモノヲ明言ハ致サレナカッタト記憶イタシマス、而
シテ何故ニ斯ウ云フ艦ヲ造ルノカト云フ御質問ニ對シマシテハ何時デモ編成
上ヨリ割出シタモノデアルト云フヤウナ意味ノ答辯ガアッタト記憶イタスノ
デゴザイマス、是ハ誠ニ苦シイ答辯デハゴザイマスケレドモ、唯今申上ゲマ
スル通リ八八ナル數ヲ公言イタスコトヲ憚リマシタ爲デアッタラウト察スル
ノデゴザイマス、卽チ編成ヲ表ハサナイト云フ意味ニ於テ公言イタサナカッ
タノデゴザイマス、併ナガラ時代ノ要求ハ斯ノ如キコトヲ何時マデモ祕スル
ト云フコトヲ許シマセヌ、私ハ何時ヨリ此八八ト云フモノガ世ノ中ニ漏レマ
シタカト云フコトハ遺憾ナガラ御說明ヲ致シ兼ネル、實ハ存ジマセヌガ、イ
ツノ間ニカ新聞上ニ八八艦隊ト云フコトヲ散見イタシマシタノガ此一兩年此
方ト記憶イタシマス、是ハ自然ノ結果デアラウト斯ウ私ハ考ヘマスル、併シ
今日ニ於キマシテハ私ハ是位ノ程度マデハ明言ヲ致シテモ差支ナイト認メマ
シテ、其詳細ナル理由ヲ出來マスルダケ說明イタシテ居ルノデゴザイマス、
又八八ナルモノヲ決定シタ時期ハ三十九年頃デアル、其當時決メテ最早十年
モ經ッテ居ル今日ニ於テ矢張リ八八デ宜イカト云フ御質問ガアッタヤウデアリ
マスガ、玆ニ於キマシテ跡ノ方デ御質問ニナリマシタ此補充ノ理由、或ハ擴
張ト云フヤウナ理由ニ付テノ問題ヲ併セテ御答スル方ガ便利カト存ジマス、
衆議院ニ於キマシテ私ガ說明イタシマシタコトヲ御通讀下サイマシタヤウデ
アリマスガ、日露當時ハ卽チ六六デアッタノデゴザイマスガ、途中巡洋戰艦ガ
二隻加ハリマシテ謂ハバ六八トデモ申スヤウナ形ニナリマシタ、其後八八ナ
ルモノヲ決定セラレマスル當時戰利艦ヲ加ヘマシテ形ニ於テハ八八艦隊デ
アッタ譯デゴザイマス、唯八八ト申シマシテモ、此八八ナルモノハ艦齡八年以
內ノモノヲ以テ八八ヲ編成スルト云フコトニ決ッテ居リマシタノデ、卽チ八
八ト云フ數ハゴザイマシテモ、艦齡八年以內ノモノノミヲ以テ編成イタスト
云フコトハ出來ナカッタノデゴザイマス、此ニ於キマシテ補充ト云フ意味ガ
生ジテ參リマシタ、兎ニ角八八ナリ、八四ナリト云フ形ハアル、而カモ其艦
ハ時代ノ要求ニ應ズルダケノモノガ形ヲ成シテ居ラナイモノヲモ混ゼテ兎ニ
角數字ダケ合ッテ居ル、斯ウ云フ姿ニナッテ居ッタノデアリマス、其形ノアルモ
ノデ海軍デハ艦齡八年以內ノモノヲ第一期ト稱シテ居リマス、次ノ八年ヲ第
二期、最後ノ八年ノモノヲ第三期ト稱シテ居リマスガ、第一期ニ屬シマスモ
ノノミノ新式ノ艦ヲ以テ八八ナリ、八四ナリヲ編成イタシタイト云フ希望デ
アルノデアリマス、ソコデ唯今御質問ノ三十九年ニ決定シタノデ今ハソレデ
ハ不十分デハナイカト云フ御質問デシタガ、艦ハ四十年頃ト今日トハ一艦相
對シマスル勢力ハ非常ナ差異ガアルノデゴザイマス、此差異ガ八八ナルモノ
ヲ今日ニ於キマシテモ矢張リ有力ナル艦隊デアルト云フコトヲ申上ゲ得ラル
ルノデゴザイマス、艦體ニ於キマシテ兎ニ角形ニ於キマシテハ八四艦隊ハ現
存イタシテ居ルノデゴザイマス、八ナル戰艦ノ數字ハ旣ニ御協賛ヲ經マシタ
三隻ノ戰艦、之ニ現存シテ居リマス所ノ扶桑ヲ加ヘマシテ、超弩級艦ガ四隻
トナリマス、其外ニ攝津河內安藝薩摩ト云フガ如キモノモゴザイマス、又香
取鹿島ト云フ如キモノモゴザイマスカラ兎ニ角戰艦八隻ト云フモノハ數ニ於
テハゴザイマスガ、當局ノ希望イタシテ居リマス所ノ謂ハユル超弩級艦ナル
モノノ數ガ少イノデゴザイマス、又巡洋戰艦ニ於キマシテハ御承知ノ通リ金
剛、比叡、榛名、霧島ト云フガ如キ艦船モゴザイマス、是ハ卽チ八四艦隊ニ對ス
ル四ニ當リマスノデゴザイマス、ソレデ大正十二年度マデニ完全イタスト申
シテ居リマスノハ、旣ニ現存イタシテ居リマス所ノ舊式ノ艦ニ代フルニ超弩
級艦ヲ以テスルト云フ希望デゴザイマス、左樣デゴザイマスカラ、現ニ要求イ
タシテ居リマス所ノ戰艦一隻ハ現ニゴザイマス所ノ薩摩ノ代艦ニナル形ニナ
ルノデゴザイマス、ソコデ大正十二年ニナリマシテ、唯今ノ希望ガ充タサレ
マスルト見マスト云フト、超弩級艦ノ戰艦ガ八隻、金剛型ノ巡洋戰艦四隻ト云
フモノハ殆ド何レモ艦齡第一期ニ屬スルモノノミヲ以テ編成イタスコトガ出
來ルト云フ姿ニナリマス、隨ッテ艦齡第二期ニ屬シマスモノガ尙ホ其外ニ若干
アル、斯ウ云フ姿ニナリマス、ソレカラ四十年以後ノ製艦ノ狀況ト云フコトヲ
御聞キデゴザイマシタガ、是ハ大〓唯今申上ゲタノデ略〓御分リ下スッタラウ
カト考ヘマス、屢〓製艦費ヲ前々大臣以來要求シマシタノハ卽チ此八八、八四、
何レニシマシテモ之ヲ充タスガ爲ニ此八八ト云フコトヲ說明イタサズシテ要
求イタシマシタノデアリマス、デ日露戰後完成イタシマシタ艦ハ現在戰艦
ニ於キマシテモ旣ニ扶桑、攝津、河內、安藝、薩摩ト云フガ如キモノガアリ
8マ,又戰役中ニ外國ヘ註文イタシマシタ鹿島香取ト云フモノモ現存イタシ
テ居ルノデゴザイマス、又巡洋戰艦ニ於キマシラモ是ハ先刻申上ゲマシタ通
リ四隻ゴザイマス、其他ニ快速巡洋艦、驅逐艦ト云フガ如キモノモ多々ゴザ
イマス、隨ッテ先刻製艦費ノコトニ付テ御話ガゴザイマシタガ、數字ノコトハ
記憶イタシマセヌカラ唯今申上兼ネマス、以上ノ如キ艦ハ戰後ニ新造サレタ
ノデゴザイマス、ソレカラ最後ノ御質問ニ歐洲戰亂ノ結果艦型ヲ變更スル必
要ハナイカドウカト云フ御質問デゴザイマスガ、私ハ其必要ナシト認メテ居
ルノデゴザイマス、御承知ノ通リ日露戰後製艦上ニ於キマシテハ一大革命ト
申シテモ宜イヤウナ急激ノ變化ガアッタノデゴザイマス、是ハ此戰爭前ヨリ多
少兆シテ居リマシタ、卽チ戰爭前ニハ三笠型ガ殆ド何レノ國デモ最モ有力ノ
艦デアッタノデゴザイマス、然ルニ英國ニ於キマシテ、戰前ニ此三笠型ニ若
干ノ巨砲ヲ加ヘルト云フ方針ヲ執リマシタ、是ガ艦型ヲ變更イタシマスル原
因ニナッテ居ルカニ考ヘルノデゴザイマス、卽チ我ガ海軍ニゴザイマスル所ノ
香取鹿島ガ其型ニナッテ居リマス、而シテ日露戰爭中戰鬪距離ガ非常ニ延長
イタシマシタ、其延長イタシマシタ理由ニ付キマシテハ種々ナル原因ガゴザ
イマスケレドモ、一面ニ於キマシテ水雷ノ攻擊力ノ發達ト云フコトガ一ツノ
原因ヲナシテ居ルカニ察スルノデアリマス、ソレ等ノ爲ニ到底近距離ニ於
テ決戰ヲ行フト云フコトハナイト云フコトハ自然ニ是ハ我〓當局者ノ頭ニ浮
ビマシタ結果デアラウト想像シマスノデアリマスガ、英國ニ於キマシテ御承
知ノ如ク弩級戰艦ト云フモノハ「ドレッドノート」ト云フ戰艦ヲ製造イタシマ
シタノガ抑〓此弩級艦ノ初メデアリマス、是ハ戰爭ノ實驗ニ徵シテノ結果デア
リマス、是ハドウ云フ風ニ變ッタノデアルノカト申シマスルト、戰前ノ所謂
三笠型ノ艦ハ十二吋砲ガ四門、艦首艦尾ニ二門ヅツ其砲塔ニ這入ッテ備ハッテ
居リマス、其外兩舷ニ六吋位ノ砲ガ若干備ヘラレアリマシテ、之ヲ副砲ト稱
ヘテ居ルノデアリマス、是ハ殆ド何レノ國ニ於キマシテモ同一ノ裝備法デゴ
ザイマス、然ルニ前申シマスル通リ戰鬪距離ガ延長イタシマス結果六吋砲デ
ハ遠方ニ屆クマイ、假ニ屆クトシテモ其破壞力ガ弱イト云フヤウナ理由カラ
致シマシテ、此副砲ナルモノハ英國デハ廢シマシテ、所謂巨砲主義、卽チ十
二吋砲ノミヲ搭載イタシマシタノガ「ドレッドノート」型ニナルノデゴザイマ
ス、其後十二吋ガ十三吋半ニナリ、現在ハ十四吋砲ヲ搭載シテ居ル次第デア
リマス、翻ッテ現今ノ戰爭ノ結果如何ニ變化スルカト云フコトヲ想像イタシ
マスト云フト、我〓當局者ト致シマシテハ變更ノ仕樣ガナイデアラウト思ヒ
やく、假ニ變更イタシタト致シタナラバ、或ハ十五吋砲ヲ十六吋砲ニスルト
カ、或ル新聞ニゴザイマスル通リ二十八吋砲ニスルト云フガ如クニ、卽チ砲
ノ口徑ヲ大キクスル位ニ止マルコトデアラウト思ヒマス、砲ノ口徑ヲ大キク
致シマスレバ、從ッテ砲ノ數ヲ減ズルト云フコトガ自然ノ結果トシテ已ムヲ
得ナイノデアリマス、サウ云フ風ニ考ヘマスト云フト、假令變化ヲシタ所デ大
ナル變化、卽チ日露戰爭前カラ日露戰爭後ニ變ッタト云フガ如キ急激ナル變
化ヲ來タサウト云フコトハ私共ハ豫想イタシマセヌ、又潛水艇ニ對シマシテ
モ防禦方法ニ付テ種々ナル講究モゴザイマスガ、是ハ又別問題ニナリマス、
要スルニ歐洲ノ英獨間ノ海戰ガナイト云フコトハ何人モ斷言ハ出來マスマイ
ト考ヘマスルガ、私共ノ想像ト致シマシテハ恐ラクハ大ナル戰爭ハナイカ
ト豫想イタシテ居ルノデアリマスガ、假ニアリト致シマシテモ前申シマスヤ
ウナ理由デ艦型ニ非常ナル變更ヲ來タサウトハ豫期イタシマセヌ次第デゴザ
イマス、大要御質問ニ對シテノ御答ハ是デ終ッタカト考ヘマスルガ、尙ホゴ
ザイマスルナラバ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=44
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045・澤柳政太郎
○澤柳政太郞君 サウ致シマスト、不完全ナル形ニ於テハ現在旣ニ八四艦隊
ガ成立ッテ居ル、艦齡ト云フモノニ重キヲ置イテ、卽チ築造以來八箇年ト云フ
艦齡ニ重キヲ置イテ考ヘレバ、サウ云フ八四艦隊ト云フモノハ先刻來御說明
ノアリマシタ今後二億五千萬圓ノ豫算ヲ要求シテ十二年度マデニ拵ヘタイト
斯ウ云フヤウニ承知シテ宜シイノデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=45
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046・加藤友三郎
○國務大臣(加藤友三郞君) 左樣デゴザイマス、大體発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=46
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047・澤柳政太郎
○澤柳政太郞君 又モウ一ツハ此ノ數字ノコトハ記憶セヌト云フ御話デアリ
マシタガ、年々海軍ノ臨時費ト云フモノハ或ハ多キ時ハ六千萬圓ニ上リ、少ク
モ四十年度以後三千何萬圓ト云フヤウナ次第デ、約年々五千萬圓ヅツヲ臨時
費ニ使ッテ居ルノデゴザイマス、而シテ軍艦製造費ニ大正四年マデニ支出イタ
シタルモノガ三億一千八百萬圓、三億二千萬圓ト云フモノガアルノデゴザイ
マスルカラ、若シ此八八艦隊デ且又御希望ノ通リニ艦齡ノ揃ッタモノヲ······第
一期ノモノヲ揃ヘヤウト云フ御考デ、今日マデ其方針ヲ一定シテ、ズット御計
畫ニナッテ居ッタナラバ、是ダケノ金額ヲ今日マデ支出イタシテ居ルノデアリ
マスルカラ、モウ少シ完全ナル形ニ於テ八四艦隊ト云フモノガ出來テ居ラヌ
ケレバナラヌカト思フノデゴザイマスガ、ソレハ如何ナモノデアリマセウカ、
ト申スノハ是カラ二億五千萬圓ヲ要求ニナレバ、ソレデ御希望通リノ八四艦隊
ガ十二年度マデニ出來ルト云フコトデアリマスガ、今日マデノ如クニ年々五千
萬圓ヅツ支出シテ居ル、而シテ軍艦ハ完全ニ第一期ノモノヲ揃ヘルコトガ出
來ナイト云フコトデアッタナラバ、其二億五千萬圓以外ニ尙ホ幾多ノ巨額ノ軍
艦製造費ヲ要スルノデハナイデアラウカ、殆ド今日マデ四十年度カラ大正四
年度マデ三億二千萬圓ヲ出シテ居リマスガ、其中デ所謂御希望ノ第一期ニナ
ルベキ戰艦ヲ艦隊編成組織ニセラレルコトガ出來ナイト云フコトデアッタナラ
が、將來ハ其非常ニ多額ノ經費ヲ要スルコトデアラウカト思フノデゴザイマ
ス、ソレ故ニ今日マデ四十年度·······即チ大方針ガ決ッタ以後三億二千萬圓ト云
フヤウナ巨額ヲ今日マデ軍艦製造費ニ使ッテ居ルニ拘ラズ、尙ホ希望スル所ニ頗
ル近イ所ノ艦隊ヲ有スルコトガ出來ヌノデアルカ、其邊ニ付テハドウモ素人ノ
コトデ了解ニ苦シムノデアリマスカラ御說明ヲ願ヒタイト思フノデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=47
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048・加藤友三郎
○國務大臣(加藤友三郞君) 御說ノ通リニ唯今モ不完全ナガラ八四艦隊ナル
モノガ現存イタシテ居ルノデアリマス、假令三億ナニガシヲ四十年以後今日
マデ使ッテ、何故完全ナ艦隊ガ出來ヌカト云フ御質問デアリマスガ、是ハ實
ニ已ムヲ得ナイト考ヘテ居ルノデゴザイマス、艦ノ形ガ變ハリマシタ結果艦
型ヲ揃ヘルコトガ出來ナカッタト云フノガ一ツノ已ムヲ得ヌ理由デゴザイマ
ス、ソレカラモウ一ツニハ製艦費ノ成立ガ遲レタト云フコトガモウ一ツノ原
因デゴザイマス、若シ當局ガ希望イタシマシタヤウニモウ少シ早ク製艦費ヲ
御協賛ヲ得ルト云フ手續ヲ履ムコトガ出來マシタナラバ、モウ少シ早ク揃ウ
タ艦ヲ以テ艦隊ヲ編成イタスコトガ出來タデアラウト考ヘマス、要スルニ遲
レタノト、艦ノ恰好ガ變ッタノト、此二ツガ整一ナル艦隊ヲ今日マデ有ツコト
ガ出來ナイト云フ原因ニナッテ居ルノデゴザイマス、今後ノ補充ニ付キマシ
テモ十二年度マデ計畫イタシテ居リマスモノノ外ニ、現ニ有ッテ居リマス所
ノ艦ヲ補充イタシマスニハ、後年ニ於キマシテモ若干ヲ御願ヒ致サナケレバ
ナラヌノデアリマス、併ナガラ大體ニ於キマシテ年々數千萬圓ノ金ヲ戴キマ
セヌケレバ艦隊ノ勢力ヲ常ニ維持シテ行クコトハ當然出來ヌノデアリマス、
是等ノ數字ニ亙リマシテ大體ノ說明ハ分科會ニ於キマシテデモ精シク申上ゲ
ヤウト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=48
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049・岡部長職
○子爵岡部長職君 旣ニ質問ノ通〓ハゴザイマセヌデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=49
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050・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 通告セラレタ御方ハ是デ濟ミマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=50
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051・岡部長職
○子爵岡部長職君 然ラバ此場合ニ於キマシテ豫算審査期限ヲ定ムルノ件ニ
付テ一言イタシタイト思ヒマス、本年ハ最早歲末ニ切迫イタシマシテゴザイ
やき、又每年ノ例ト致シマシテ新年ニ於キマシテハ暫ク休會ニ相成リマスル
コトト存ジマス、之ニ付キマシテハ改メテ議長ヨリ本議場ニ御相談ニナリマ
スコトト存ジマス、是等ヲ推測リマシテ此豫算ノ審査期限ハ來ル二月五日マ
デト致シタイト考ヘマス、何卒滿場諸君ノ御同意ヲ請ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=51
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052・小澤武雄
○男爵小澤武雄君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=52
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053・吉井幸藏
○伯爵吉井幸藏君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=53
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054・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 岡部子爵ノ唯今申述ベラレマシタ審査期限ヲ二月
五日マデトスルト云フ說ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=54
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055・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 過半數ト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=55
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056・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第五、國庫出納金端數計算法案、政府提
出、衆議院送付、第一讀會、通牒文ノ朗讀ハ本日ハ總テ省略シテ御異存ゴザ
イマセヌカ
[「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=56
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057・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス
〔左ノ送付文及議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス以下
之ニ傚フ〕
國庫出納金端數計算法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
大正四年十二月二十三日
衆議院議長島田三郞
貴族院議長公爵德川家達殿
國庫出納金端數計算法
第一條國庫ノ收入金又ハ仕拂金ニシテ一錢未滿ノ端數アルトキハ其ノ端
數ハ之ヲ切捨ツ其ノ全額一錢未滿ナルトキハ之ヲ一錢トス
第二條國稅ノ課稅標準額ノ算定ニ付テハ前條ノ規定ヲ準用ス
命令ヲ以テ指定スル國稅ノ課稅標準額ニシテ一圓未滿ノ端數アルトキハ
其ノ端數ハ之ヲ切捨ツ
第三條分割シテ收入シ又ハ仕拂フ金額ニ在リテハ其ノ總額ニ付第一條ノ
規定ヲ準用ス
第四條分割シテ收入又ハ仕拂ヲ爲ス場合ニ於テ分割金額一錢未滿ナルト
キ又ハ之ニ一錢未滿ノ端數ヲ生シタルトキハ其ノ分割金額又ハ端數ハ最
初ノ收入金又ハ支拂金ニ之ヲ合算ス但シ地租ノ分納額ニ付テハ此ノ限ニ
在ラス
第五條賣藥印紙稅及郵便切手ヲ以テ納ムル郵便料金ニ付テハ本法ヲ適用
セス法律ニ別段ノ定アルモノノ外本法ヲ適用セサルモノハ命令ヲ以テ之
つけん、
第六條本法ハ北海道府縣郡市町村其ノ他勅令ヲ以テ指定シタル公共團體
ノ收入及仕拂ニ關シテ之ヲ準用ス
附則
第七條本法ハ大正五年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第八條明治四十年法律第三十一號ハ之ヲ廢止ス但シ本法施行前納入ノ〓
知ヲ爲シ又ハ仕拂ノ命令ヲ發シタルモノニ付テハ仍其ノ效力ヲ有ス
〔國務大臣武富時敏君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=57
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058・武富時敏
○國務大臣(武富時敏君) 此法案ハ政府ノ仕拂竝ニ收納金ニ付テ厘位ヲ切捨
テルト云フ案デゴザイマス、御審議ノ上御協賛アラムコトヲ希望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=58
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059・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 特別委員ノ氏名ヲ書記官ヲシテ朗讀イタサセマス
〔河井書記官朗讀〕
國庫出納金端數計算法案特別委員
侯爵德川賴倫君子爵稻垣大祥君小野田元凞君
男爵小早川四郞君男爵黑田長和君阪本 多之助君
高橋新吉君海江田準一郞君上松泰造君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=59
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060・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第六、帝國大學特別會計法中改正法律案、
政府提出、衆議院送付、第一讀會
帝國大學特別會計法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
大正四年十二月二十三日
衆議院議長島田三郞
貴族院議長公爵德川家達殿
帝國大學特別會計法中改正法律案
帝國大學特別會計法中左ノ通改正ス
第二條中「百三十三萬圓」ヲ「百三十六萬圓」ニ改ム
附則
本法ハ大正五年度ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣高田早苗君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=60
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061・高田早苗
○國務大臣(高田早苗君) 此案ハ帝國大學ノ特別會計法中東京帝國大學ニ對
スル政府ノ支出金百三十三萬圓ヲ三萬圓ヲ增加シテ百三十六萬圓トシタイト
云フ案デアリマス、其理由ハ明年度カラ傳染病〓究所ノ事業ヲ東京帝國大學
ノ特別會計ノ經營ニ移ス爲ニ、其收入不足補充トシテ三萬圓增加スル必要ガ
アル爲デアリマス、御承知ノ如クニ傳染病〓究所ハ昨年ノ十月ニ內務省所管
カラ文部省所管ニ移シマシテ、其當時カラ是ハ東京帝國大學ノ附屬ト致シテ
同大學ノ醫科大學ト互ニ相扶ケテ事業ノ發達ヲ圖ラウト云フ積リデアリマシ
タ、旣ニ其趣意ニ基イテ昨年ノ議會ニ豫算ヲ提出シタノデアリマスガ、議會
ガ解散ノ爲ニ豫算ガ不成立ニナリマシテ、今日ニ至ッタノデアリマス、依フ
テ明年度ノ豫算カラ之ヲ實行イタシテ初メノ趣意ヲ貫徹シタイ、トコロガ從
來ハ傳染病〓究所ノ血〓賣下金ノ收入ガアリマシテ、ソレデ以テ大體經常支
出ヲ支辨シテ居リマシタ、ソレデアリマスルカラ昨年豫算ヲ提出シマス際ニ
ハ其儘大學ノ特別會計ニ移シマシテ、別ニ政府支出金ノ增加ヲ必要トシナ
カッタノデアリマス、トコロガ此血〓類殊ニ實扶的里亞ノ血〓ニ多量ノ免疫單
位ヲ注射スル方ガ宜イト云フコトガ近時ノ臨床上ノ實驗カラ起ッタコトデア
リマシテ、サウ致シマスルトナカ/〓此貧民等ニ之ヲ使用スルニ於テ費用ガ
掛リ過ギテ、假令多量ヲ要シマセヌデモ從來ノ儘デアリマシテモ、ナカ〓〓
貧民ガ使用スルニ堪ヘナイト云フ狀況デアリマスルカラ、成ルベク此血〓ノ
値段ヲ下ゲテヤル、下ゲルト云フコトガ衞生上最モ必要ナコトデアルト云フ
コトヲ認メマシテ、本年ノ九月カラ血〓ノ値下ヲ致シ、殊ニ實扶的里亞ノ血
〓ノ如キハ四割減ニスルト云フコトデ、ソレヲ實行スルコトニナリマシテ、
ソレガ爲ニ收入ニ凡ソ八萬圓バカリ減少ヲ見ルコトニナッタノデアリマス、
併ナガラ一方ハ色〓從來ノ傳染病〓究所ノ整理ヲ致シマシテ支出ニ節約ヲ加
ヘルト云フコトヲスルノデアリマスルカラ、彼此レ差引キマシタ所デ値下ヲ
斷行シ一般···殊ニ貧民ニ之ヲ使用スルコトガ出來ルヤウニシテヤルト
云フコトニ付テ三萬圓ノ收入不足ハ誠ニ已ムヲ得ナイコトデアルノデアリ
やく、此理由デ東京帝國大學ノ特別會計支出三萬圓ヲ增加スルト云フ案ヲ
茲ニ提出シタノデアリマス、何卒御審議ノ上協贊ヲ與ヘラレムコトヲ希望
イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=61
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062・水野錬太郎
○水野鍊太郞君 文部大臣ニ御尋イタシタイノデアリマス、此三萬圓ヲ帝國
大學特別會計ニ增スト云フコトハ詰リ血〓ヲ賣下ゲル代價ヲ引下ゲタ爲ノミ
デアリマスカ、將タ是ハ私ガ聞ク所デアリマス····聞ク所ニ據リマスレバ北
里博士ガ〓究所ヲ擔任シテ居ッタ時ヨリ文部省所管ニ移ッタ後ニ於テ、血〓
ノ賣レ高ガ非常ニ惡クナッタ、其結果政府ノ收入スベキ金額ガ餘ホド減ッタト
云フコトヲ聞イテ居ルノデアリマス、此政府ノ收入ノ減少額ハ唯今御說明ニ
ナッタ所ニ依リマスルト云フト血〓類、實扶的里亞血〓ノ代價ヲ引下ゲタト
云フコトガ唯一ノ原因ノヤウニ承リマシタガ、其以外ニ尙ホ從來ヨリハ血〓
ノ賣上高ガ少クナッタト云フコトハナイノデアリマスカ、ソレカラ今一ツハ
果シテ實扶的里亞血〓ヲ貧民ナドニ植付ケルガ爲ニ廉クスル必要ガアルト云
フノデアリマスガ、是ハ何故ニ昨年ノ九月デアリマシタカ近ク起ッタノデア
リマスガ、又是モ謂フ所ニ依リマスレバ北里〓究所ノ方ハ賣レ高ガ宜イガ、
ドウモ文部省ニ移ッタ後ノ傳染病〓究所ノハ賣レ高ガ少クナッタ、ソレ故ニ
是ト競爭スルノデハナイカ知レマセヌケレドモ、政府ノ傳染病研究所ノ收入
ヲ增サムガ爲ニ減ジタノデアル、言葉ヲ換ヘテ言ヘバ官業ガ民業ヲ壓迫スル
ノデアルト云フヤウナ聲モ聞イテ居ルノデアリマス、サウ云フヤウナ事實ハ
ナイノデアリマスカ、唯是ハ咄嗟ニ値下ヲシタヤウナコトガ起リマシタ爲ニ
斯ノ如キ噂ヲ生ズルノモ無理ニアラズト考ヘルノデアリマス、念ノ爲ニ御伺
シマス、今一ツハ〓究所ノ問題ト關聯イタシマシテ、先キホド水產講習所ノ
コトヲ御聽シタノデアリマスガ、其御答ニ水產講習所ノ方ハマダ能ク決ッテ
居ラナカッタガ、現文相高田君ガ御入閣ニナッタ後ニ、調査ノ必要ヲ認メテ
今日ニ於テハ之ヲ調査ヲシテ居ルガ故ニ、他日必要ノ場合ニハ、又何レノ時
ニカ文部省所管ニ移スコトガアルデアラウト云フヤウナ御答ト記憶シテ居リ
マス、果シテ左樣ナコトデアレバ是亦何レノ時カソンナヤウナ御考ヲ有ッテ
居ルノデアリマスカ、隨分學生ノ上ニ於キマシテ、所生ノ上ニ於キマシテ、
不安ヲ感ジテ居ル問題ト思ヒマスガ、移スベカラズト云フ御考デアルナラバ
移スモノデナイト云フ御明言ヲ伺ヒマスレバ安心ヲ致スコトデアラウト思ヒ
〒v, 、是ガ一年、二年、何年カノ先キニ移スト云フヤウナコトノ問題ニナリ
マスレバ隨分不安ノ念ヲ來タスコトト思ヒマスカラ、是モ序デゴザイマスカ
ラ併セテ御伺ヲ致シテ置キタイノデゴザイマス
〔國務大臣高田早苗君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=62
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063・高田早苗
○國務大臣(高田早苗君) 三萬圓ノ增額ヲ請求イタシマスノハ決シテ民業ト
競爭スルト云フ目的デモナク、賣レ高ガ減ッタカラ値下ヲスルト云フ意味デ
モナイノデアリマシテ、貧民ニ成ルベク之ヲ使用スルコトノ便利ヲ圖リタイ
ト云フ意ニ外ナラヌ譯デアリマス、デ突然之ヲ實行スルト云フコトニ致シタ
譯デハナイノデ、段々〓究ノ末ニ昨年九月ヨリ之ヲ實行スルト云フコトニシ
マシタ、又水產講習所ハ先刻モ申上ゲタ通リニ〓究ノ餘地アリト云フ考デア
リマシテ、是ハ〓究中デアリマスカラ將來移スコトガナイト云フコトハ今
此處デ斷言スルコトハアリマセヌガ····斷言スルコトハ出來マセヌガ、其〓
究ノ結果ニ偏ニ依ルコトデアリマス、今豫メ何トモ申上ゲ兼ネル譯デアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=63
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064・水野錬太郎
○水野鍊太郞君 今ノ御答ニ一ツ落チテ居リマスガ、傳染病〓究所ノ收入ハ
單ニ血〓ノ代價ヲ引下ゲタノミニ依ッテ減ジタニアラズシテ、其以外ニ內務
省所管カラ文部省所管ニ移ッタ後ニ、血〓ノ製造ノ上カラ效力ニ薄弱ヲ認メ
ク、ソレガ爲ニ減ッタト云フコトモ言ウテ居ルノデアリマスガ、減ッタ高ガ
ソレモ原因シテ居ルノデハアリマスマイカ、ソレガドノ位カト云フコトヲ伺
ッタノデアリマスガ、其御答ガナカッタカラ改メテ伺ヒマス、モウ一ツハ要ス
ルニ水產講習所ハ調査中デ斷言スルコトハ出來ナイ、何レノ時カ更ニ〓究ヲ
シテ移管問題ノ生ズルコトガアルト云フ御答ト承知イタシテ宜シウゴザイマ
スカ
〔國務大臣高田早苗君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=64
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065・高田早苗
○國務大臣(高田早苗君) 先刻ノ第一ノ御問ニ付キマシテハ、賣レ高ハ決シ
テ減ッテ居リマセヌ、又値下ヲスルト云フ理由ハ、前申上ゲタ理由ニ外ナラヌ
譯デ、他ニ理由ノアル譯デハ決シテナイノデアリマス、又水產講習所ハ將來
移管ヲスルト云フコトハ決シテ申上ゲナイノデアリマス、唯調査ヲスル〓究
ヲスルト云フコトダク·····又學生ヲ不安ノ狀態ニ置クト云フコトノ不利益ハ
能ク承知シテ居リマスカラ、サウ云フコトノ無カラムヤウニ精々注意ヲスル
コトハ申スマデモナイコトデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=65
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066・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 特別委員ノ氏名ヲ書記官ヲシテ朗讀ヲ致サセマス
〔河井書記官朗讀〕
帝國大學特別會計法中改正法律案特別委員
伯爵林博太郞君子爵牧野忠篤君男爵高木兼寬君
男爵北大路實信君男爵藤堂高成君三宅秀君
木場貞長君南弘君石橋謹二君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=66
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067・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 第七、造幣局設備擴張費ニ關スル法律案、政府提
出、衆議院送付、第一讀會
造幣局設備擴張費ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
大正四年十二月二十三日
衆議院議長島田三郞
貴族院議長公爵德川家達殿
造幣局設備擴張費ニ關スル法律案
大正五年度ニ於テ造幣局ノ設備擴張ニ要スル經費ニ充用スルカ爲造幣局資
金ノ內一萬六千九百五圓ヲ限リ一般會計ニ繰入ルルコトヲ得
〔政府委員加藤政之助君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=67
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068・加藤政之助
○政府委員(加藤政之助君) 諸君、本案ニ付キマシテハ、大臣ハ唯〓衆議院
ノ方ヘ參ッテ居リマスデ私カラ說明ヲ致シマス、造幣局ハ皆樣御承知ノ通リニ
其設備ハ明治二十一年ニ致シマシタノデ、今日ニ至リマスルト云フト極メテ
此不十分ヲ感ジテ居リマスル次第デアリマス、現ニ大正三年ノ如キハ地金ノ
改鑄若クハ精製ヲ依賴スルモノガ餘ホド分量ガ殖エテ參リマシテ、或ハ夜業
ヲナシ、休暇ノ日ヲ廢シラ辛ウジテ其需ニ應ジテ居ルト云フ現況デアリマ
ス、殊ニ引上ゲマシタ貨幣ノ改鑄ヲ要スルモノモ昨今アリマスノデ、發 比
設備ヲ擴張スルノ必要ヲ感ジマシタ次第デアリマス、是レ本案ヲ提出イタシ
マシタ理由デゴザイマス、宜シク御審議ノ上御贊同ヲ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=68
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069・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 特別委員ノ氏名ヲ御報告ニ及ビマス、書記官ヲシ
テ朗讀イタサセマス
〔成瀨書記官朗讀〕
造幣局設備擴張費ニ關スル法律案特別委員
子爵靑木信光君子爵八條隆正君男爵毛利五郞君
男爵尾崎麟太郞君中島永元君千頭〓臣君
仁尾惟茂君武石橘次君安田善三郞君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=69
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070・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第八、裁判所ノ設立及移轉ニ關スル法律
察、政府提出、衆議院送付、第一讀會、第九、大正二年法律第九號中改正法
律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會
裁判所ノ設立及移轉ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
大正四年十二月二十三日
衆議院議長島田三郞
貴族院議長公爵德川家達殿
小字ハ衆議院ノ修正、-
ハ同削除ノ符號ナリ
裁判所ノ設立及移轉ニ關スル法律案
第一條長崎控訴院ハ之ヲ福岡縣福岡市ニ移シ福岡控訴院ト改稱ス
第二條北海道旭川區ニ地方裁判所ヲ置キ之ヲ旭川地方裁判所ト稱ス
二
第三條根室地方裁判所ハ之ヲ北海道釧路郡釧路町ニ移シ釧路地方裁判所
ト改稱ス
附則
本法施行ノ期日ハ各條ニ付勅令ヲ以テ之ヲ定ム
大正二年法律第九號中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
大正四年十二月二十三日
衆議院議長島田三郞
貴族院議長公爵德川家達殿
大正二年法律第九號中改正法律案
本案中左側ニ-ヲ施セルハ衆
議院ニ於テ削除シタル符號ナリ
大正二年法律第九號中左ノ通改正ス
別表裁判所管轄區域表中大津區裁判所及長濱區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
大津滋賀縣ノ內
大津市滋賀郡栗太郡野洲郡甲賀郡高島郡
長濱滋賀縣ノ內
阪田郡東淺井郡伊香郡
同表中控訴院ノ欄中「長崎ヲ「福岡一ニ改ム
同表中札幌地方裁判所ノ部ヲ左ノ如ク改ム
北海道ノ內
札幌區札幌郡千歲郡石狩郡厚田郡濱益郡
夕張郡
札幌空知郡ノ內
岩見澤町沼貝村栗澤村三笠山村幌向村北村
樺戶郡ノ內
月形村浦臼村
北海道ノ內
室蘭郡有珠郡幌別郡白老郡
虻田郡ノ内
室蘭虻田村辨邊村
勇拂郡ノ內
札幌苫小牧村安平村厚眞村鵡川村 似灣村累標村
穗別村邊富内村
北海道ノ内
浦河浦河郡樣似郡幌泉郡三石郡靜內郡新冠郡
沙流郡
北海道ノ內
小樽小樽區小樽郡高島郡忍路郡余市郡古平郡
美國郡積丹郡
北海道ノ內
岩内岩內郡古宇郡磯谷郡歌棄郡壽都郡島牧郡
虻田郡ノ內
倶知安村東倶知安村眞狩村狩太村
北海道ノ內
旭川區上川郡(石狩國)雨龍郡上川郡(天鹽器)中川郡(天鹽國)
空知郡ノ內
瀧川町砂川村歌志内村蘆別村江部乙村音江村
旭川上富良野村下富良野村山部村南富良野村
樺戶郡ノ内
旭川新十津川村
勇拂郡ノ內
占冠村
增毛北海道ノ內
增毛郡留萠郡苫前郡天鹽郡
稚內北海道ノ内
宗谷郡枝幸郡利尻郡禮文郡
同表中地方裁判所ノ欄中「根室」ヲ「釧路」ニ改ム
同表中樺太地方裁判所ノ部ヲ左ノ如ク改ム
樺太ノ内
豊原豐原郡榮濱郡元泊郡大泊郡長濱郡富內郡
留多加郡新問郡敷香郡散香郡
樺太樺太ノ內
眞岡眞岡郡本斗郡野田寒郡泊居郡久春内郡鵜城郡
名好郡
附則
本法施行ノ期日ハ各項ニ付勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前札幌地方裁判所、長濱區裁判所又ハ豐原區裁判所ニ於テ受理シ
タル事件ハ各其ノ裁判所ニ於テ之ヲ完結ス
〔國務大臣尾崎行雄君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=70
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071・尾崎行雄
○國務大臣(尾崎行雄君) 此二案ハ關聯シテ居リマスル故ニ同時ニ說明ヲ致
シマスルガ、第一案ハ長崎控訴院ヲ福岡ニ移スト云フコトト、北海道ノ旭川
ニ地方裁判所ヲ設ケルト云フコト、根室地方裁判所ヲ釧路ニ移スト云フ爲ノ
趣意デアリマス、サウシテ此新設若クハ移轉ヲ必要トスルニ至ッタノハ主ト
シテ時勢ノ進運交通機關ノ變化等ニ從ヒマシテ斯ノ如クスルコトガ現在ノ狀
態及將來ニ向ッテ上下一般ノ利便デアルト云フ趣意デ提案ヲ致シマシタ、從ツ
テソレヲ致ス以上ハ大正二年法律第九號ノ改正モ自然ニ必要ガ起ル譯デアリ
Rゞ、ソレニハ前三箇所ノ外樺太ノ裁判所ノ地域ヲ新ニ加ヘテアリマスガ、
是ハ從來ト違ッテ近來樺太ニ色〓ナ地名ガ出來マシタ、從來ハ山デ分ケテア
リマシタガ、今度ハ新シク地名ヲ付ケテ其地方ガ別ニナッタ故ニ、其地方ノ
名ニ依ッテ裁判所ノ管轄區域ヲ明カニ揭ゲタ、是ガ樺太ニ關係スルコトデ、其
他ハ新法律案ノ自然ノ結果トシテ此改正案ガ出來マシタノデアリマスルガ故
ニ御協賛アラムコトヲ希望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=71
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072・河村譲三郎
○河村讓三郞君 本員ハ長崎控訴院ノ移轉ニ關スル改正案ノ衆議院ニ於テ否
決セラレタコトニ付テ當局ノ御意見ヲ伺ヒタイノデアリマス、此改正案ガ否
決サレマシテモ差支ハナイト云フ當局ノ御意嚮デアリマセウカ、第一ニ其事
ヲ伺ヒタイ、又此移轉ヲ必要トセラレタ理由ハ控訴院ノ事務ハ中樞ノ場所デ
扱フノガ適當デアルニ依ッテ移轉ヲスルト云フノガ一ツノ理由、今一ツハ長
崎ノ從來ノ建物ハ非常ニ腐朽イタシテ改築ノ急ニ迫ッテ居ルト云フノガ一ツ、
事務上ノ便否ノコトハ今數年間延期ヲ致シ〓究ヲ重ネマシテモ差支ナカラウ
ト考ヘマスガ、廳舍ガ腐朽イタシテ居リマスルノハ、聞ク所ニ依リマスルト
白蟻ノ害ヲ蒙ッテ建物ノ要部ハ悉ク破壞シテ居ル、危險ノ狀態ニ迫ッテ居ルト
云フコトヲ申スノデアリマスガ、果シテ左ホド甚シク腐朽イタシテ居ルノデ
アリマスカ、或ハ多少修繕デモ加ヘレバ尙ホ數年延期シテモ差支ナイヤウナ
譯デアリマスカ、是ガ一ツノ問デアリマス、又此移轉ノ經費ハ人民ノ寄附ニ
依ルト云フコト、此寄附ト云フコトニ付キマシテハ色〓弊害モアルヤウニ聞
イテ居リマス、何故ニ斯ノ如キ方法ヲ取ラレタノデアリマスカ、普通ノ國庫
金ヲ以テ此經費ヲ支辨スルト云フコトガ困難ナルガ故ニ此寄附ノ方法ニ依ル
ト云フ事情ガアルノデアリマスカ、僅ニ十數萬圓ノ經費デアリマス、而カモ
ソレハ人民ノ生命財產ヲ保護スルニ必要ナル所ノ裁判所ノ建物ニ係ル經費デ
アリマス、其經費ヲ國庫金ヲ以テ支辨スルコトガ出來ナイ爲ニ人民ノ寄附ニ
依ルト云フノハ誠ニ慨嘆スベキコトデアラウト思ヒマスガ、此經費ノ支出ノ
コトニ牽聯シマスカラ併セテ伺ヒマスガ、先年行政整理ノ際ニ一時ニ數箇所
ノ裁判所ヲ廢シ或ハ支部ヲ減ラシタ、其當時斯ノ如ク急激ノ變更ヲセラレテ
ハ非常ニ差支ヲ生ジ人民ガ困難ヲ感ズルト云フコトハ皆豫想イタシタ次第デ
アリマスケレドモ、何分已ムヲ得ザル事情ガアッテ其當時贊成ヲシタノデア
リマス、併ナガラ將來復活ノ必要ガアルデアラウト云フコトハ其當時申シタ
コトデアリマスガ、昨今復活ノ希望ガ盛ニ人民ノ間ニ起ッテ居リマス、定メテ
今囘ノ豫算ニハ多少復活ノ要求モアラウカト思ヒマシタガ、一箇所モナイヤ
ウデアリマス、是等モ何カ經費ノ點ニ付テ之ヲ許サスト云フノデアリマセウ
カ、是ハ此案ニハ關係ハアリマセヌガ、控訴院移轉ノ經費ヲ寄附ニ依ルト云
フヤウナ誠ニ····私ノ考デハ困難ナル方法ニ依ルノデアリマスカラ、此復活
ノ如キモ其支出ガ出來ナイト云フ譯デアリマスカ、其事モ併セテ御答辯ヲ願
ヒタイト思ヒマス、是ダケヲ·
〔國務大臣尾崎行雄君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=72
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073・尾崎行雄
○國務大臣(尾崎行雄君) 御答ヘ致シマスガ、第一ノ現在ノ長崎控訴院ガ頗
ル朽廢シテ殆ド危險狀態ニ在ルト云フコトハ其道ノ專門家ノ報告デアリマシ
テ、一年モ早ク之ヲ改築スル必要ハ目下ニ迫ッテ居ルヤウデアリマス、併ナガ
ラ建物ノコトデアリマスカラ若シ修繕ヲ加ヘタラバ或ハ一年ヤソコイラ又轉
覆セズニ持テテ行クカモ知レマセヌガ、技師ノ見ル所ニ依リマスレバ出來ル
ダケ早ク移シタ方ガ安全デアルト云フ譯デアリマスカラ、此機會ニ乘ジテ長
崎ヨリハ今日ニ於テハ何レノ點カラ見テモ更ニ便利ナリト考ヘテ居ル所ノ福
岡ニ移轉シヤウト云フ議ヲ決シタノデアリマス、第二ノ建築費ヲ地方ノ寄附
ニ仰グト云フコトハ司法省トシテモ甚ダ好ンデハ居ラヌノデアリマス、甚ダ
好マシカラヌコトヲ致スノデアリマスガ、經費ノ都合上隨分是マデモ區裁判
所ヲ地方ノ寄附ニ依ッテ作ッタ經歷ハ大分アルノデアリマス、單リ司法省ノミ
ナラズ大藏省ニ於テモ遞信省ニ於テモ政府各部ノ官衙ニ於テ、矢張リ地方ノ
寄附ニ依ッテ建築ヲ致スト云フ例ガアリマシタ、共ニ餘リ面白クナイコトトハ
考ヘテ居リマスケレドモ尙ホ之ヲ造ラザルニ優ルト云フ比較的見地ヨリシテ
已ムヲ得ズ忍ンデ之ヲ是認シタ譯デアリマス、而シテ其寄附ノ金額ハ來年度
ニ於テハ十萬圓デアリマスガ、總額ニ於テハ三十六萬圓バカリ、約四十萬圓
デアリマス、ソレカラ第三ニ先年廢止セラレマシタ區裁判所、地方裁判所ノ
支部等ニ付テハ御說ノ如ク復活ノ希望ハ殆ド全國各地カラ參リマス、司法省
ニ於テモ、爾後ノ經驗ニ徵シテ、ドウモ復活スル方ガ餘程ノ便利デアルト云
フコトノ決定ニハナッテ居リマス、併シ必シモ悉ク復活スルノ必要ハナカラウ
カト思ヒマスガ、先ヅ其大部分ハ復活シタ方ガ國民ノ經費ノ上ニ於テモ餘ホ
ド利益デアル、事務ノ便否ノ上カラ云ヘバ殆ド議論ヲ加ヘル餘地ハナイ程ト
信ジテ居リマス、唯如何ニセム、目下ハ時局ノ影響ヲ受ケテ收入ガ大ニ減ジ
テ居リマス爲ニ、新シキコト及一旦廢止シタコトハ成ルベク之ヲ復活スルト
云フ如キコトハセナイト云フ方針ニナッテ居ル、是ハ已ムヲ得ヌ、唯金ノ點
デ、其事ガ是ナリトシタ譯デハアリマスマイガ、金ガナイ爲ニ已ムヲ得ズ新
シキコト、又行政整理デ一旦廢止シタコトハ先ヅ來年ニ於テハ復活シナイデ
現狀ヲ維持シヤウト云フコトニナッテ居リマス爲ニ、今囘ノ豫算ニモ一箇所ノ
復活モ計上スルコトガ出來ナカッタノハ甚ダ遺憾ノ次第デアリマスガ、他日
財政狀態ガ通常ニ復シマシテ多少ノ餘裕ヲ生ズルヤウニナッタナラバ區裁判
所ノ大部分或ハ支部ノ復活等モ或ル程度マデハ是非イタシタイト考ヘテ居リ
RV.又內閣ノ他ノ同僚ニ於テモ財政ノ狀態サヘ復スルナラバ略〓ソレニ同
意スルデアラウト思ウテ居リマスガ、今囘ハ遺憾ナガラソレヲ實行スルコト
ガ出來マセヌノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=73
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074・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 特別委員ノ氏名ヲ書記官ヲシテ朗讀ヲ致サセマス
··諸君ニ御諮リヲ致スコトヲ落シマシタ、唯今、司法大臣ノ說明セラレタ
兩案トモ同一委員ニ付託シテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=74
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075・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス
〔成瀨書記官朗讀〕
裁判所ノ設立及移轉ニ關スル法律案外一件特別委員
伯爵奧平昌恭君子爵勘解由小路資承君子爵酒井忠亮君
平山成信君男爵中川興長君河村讓三郞君
谷森眞男君奧山政敬君竹村與右衞門君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=75
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076・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第十、東京砲兵工廠及大阪砲兵工廠ノ据
置運轉資本增加ニ關スル法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會
東京砲兵工廠及大阪砲兵工廠ノ据置運轉資本增加ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候
也
大正四年十二月二十三日
衆議院議長島田三郞
貴族院議長公爵德川家達殿
東京砲兵工廠及大阪砲兵工廠ノ据置運轉資本增加ニ關スル法律案
東京砲兵工廠及大阪砲兵工廠ノ据置運轉資本ハ漸次增加シ各參百五拾萬圓
トス
〔國務大臣岡市之助君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=76
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077・岡市之助
○國務大臣(岡市之助君) 今囘提出イタシマシタ東京及大阪ノ兩工廠ノ据置
運轉資本ヲ大正五年度ヨリ逐次增加シマシテ三百五十萬圓增加イタシマス、
卽チ現在ノ据置運轉資金ガ兩工廠合シマシテ矢張リ三百五十萬圓デゴザイマ
スノヲ其倍額ニ致シタイト云フ希望ヲ有ッテ居リマス、ソレデ兩工廠ノ据置
運轉資本ハ當初ハ百萬圓餘リデゴザイマシタノガ、明治三十年マデニ逐次增
加ヲセラレマシテ三百五十萬圓ノ現今ノ資本額ニナリマシタ、然ルニ爾後ノ
作業ノ經營ノ實驗上カラ申シマシテ、常ニ運轉資本ノ缺乏ヲ感ジテ居リマシ
タガ、日露戰後今日マデ及今後若干年間ハ旣ニ御協賛ヲ經テ居リマスル所ノ
整備費及臨時軍事費等ノ臨時費ガゴザイマシテ、此臨時費カラ會計法規ノ許
ス範圍ニ於テ陸軍大臣ガ前拂ヲ致シマシテ、ソレニ依ッテ兩工廠ハ材料ノ購
入等ヲ致シテヤッテ參リマシタ、併シ此臨時費ナルモノモ今後數年ノ後ニハ
無クナリマスノガ當然デアリマス、數年ノ後ニ至リマスト其融通ヲナスベキ
金ガナイ、斯ウ云フコトニナリマスノデ、今日カラ逐次增加ヲ致シマシテ結
局三百五十萬圓ダケヲ增加ヲ致シタイト云フ希望デ、無論是ハ砲兵工廠ノ作
業益金····政府ニ納メマスル作業益金ノ中ヲ以テ財源ニ充テルト云フ豫定デ
ゴザイマス、ドウゾ御協賛ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=77
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078・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 別ニ御質問モナイヤウデアリマスカラ特別委員ノ
氏名ヲ報〓ニ及ビマス、書記官ヲシテ朗讀ヲ致サセマス
〔成瀨書記官朗讀〕
東京砲兵工廠及大阪砲兵工廠ノ据置運轉資本增加ニ關スル法律案特別委員
伯爵松平直之君子爵樋口誠康君子爵大河內正敏君
男爵村木雅美君男爵太秦供康君男爵山內長人君
男爵德川厚君佐藤友右衞門君美馬儀一郞君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=78
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079・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第十一、貨幣法中改正法律案、政府提出
第一讀會ノ續、委員長報告
〔左ノ報告書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス〕
貨幣法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
大正四年十二月十六日
右特別委員長
子爵靑木信光
貴族院議長公爵德川家達殿
〔子爵靑木信光君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=79
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080・青木信光
○子爵靑木信光君 貨幣法中改正法律案特別委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報告
イタシマス、最早大分遲クナリマシタ故ニ極ク簡單ニ御報告イタシマス、本
委員會ハ去ヌル十六日開會イタシマシテ正副委員長ノ選擧ヲ終リ、引續イテ
會議ヲ開キマシテゴザイマス、例ニ依リマシテ政府委員ヨリ說明ヲ聽取イタ
シマシテ、ソレ〓〓質問モゴザイマシタ、本案ノ改正ノ主ナル點ハ第六條、
第十條、第十一條中ニ記載シテアリマス「グラム」ノ計量ノ記載ヲ削ルコトト、
白銅貨幣竝ニ一錢、五厘ノ靑銅貨幣ノ改鑄ヲシタイト云フコトデアリマス、
貨幣法制定ノ當時ニハ我國ニ於キマシテ秤量器ガ誠ニ不完全デゴザイマシテ
極ク細微ノ數ヲ量リマスニハ「グラム」秤ヲ用ヒマセヌト量ルコトガ出來マセ
ヌデゴザイマス爲ニ、匁「グラム」兩方ヲ竝用シテ居リマシタガ、近頃ハ我國
ニ於テ完全ナル秤量器ガ出來マシテ「グラム」秤ヲ用フルノ必要ガアリマセ
ズ、又兩方ヲ竝用イタシマストキハ却ッテ矛盾モアリマシテ面白クゴザイマ
セヌカラ、之ヲ削リタイト云フコトト、現今ノ白銅貨ハ二十錢銀貨ト量目、形
體ガ殆ド相類似シテ居リマシテ、往々使用上ニ間違ガ生ジマス、之ヲ携帶使
用スルニモ非常ニ不便ノ點ガ多ウゴザイマス、又意匠モ如何ニモ簡單ナ爲ニ
僞造モ仕易イ虞モゴザイマスカラ、其間違ヲ防グ爲ニ眞ン中ニ圓イ孔ヲ開ケ
マシテ、一目瞭然ト此區別ノ分ルヤウニ致シタ、其事ト又贋造ヲ防グニハ現
今ヨリ少シク意匠ヲ精密ニ致シテ之ヲ防ギタイト云フコトデゴザイマス、一
錢竝ニ五厘ノ銅貨ハ金ガ一匁二圓五十錢時代ニ造リマシタモノデアリマシ
テ、其形ガ大分大キウゴザリマシテ、携帶使用ニモ非常ニ不便ヲ感ジマス、
又各國ノ補助貨ニ較ベマシテモ形ガ餘ホド大キウゴザイマス、今ハ金ガ一匁
五圓イタシマスル時代デアリマスカラ、其形ヲ小サク致シマシテ、是ガ融通
ノ便利ヲ計リタイト思ヒマス、且又朝鮮併合以來、貨幣統一ノ希望モゴザイ
マシテ、朝鮮總督府ト協議ノ結果、成ルベク早ク是ガ統一ヲ圖リタイト云フ
コトデ、旁〓白銅貨竝ニ一錢、五厘ノ銅貨ニ改正ヲ要スル次第デゴザイマス
尙ホ唯〓內地竝ニ朝鮮デ流通ヲ致シテ居リマス白銅貨ハ九百十八萬圓、二錢
銅貨ガ三百十萬圓、一錢銅貨ガ五百八十萬圓、五厘銅貨ガ二百五萬圓ダサウ
デアリマス、而シテ現在ノ造幣局ノ製造力ヲ以テ是ガ改鑄ヲ致シマスルニハ
白銅貨ハ年々五十萬圓ヲ鑄造シテ二十年、二錢銅貨ハ年々十一萬圓鑄造シマ
シテ二十年、一錢銅貨ハ年々十一萬圓鑄造シマシテ五十年、五厘銅貨ハ年々
四萬圓鑄造シマシテ五十年掛ルサウデアリマス、尤モ二錢ノ銅貨ハ明治三十
年ニ改鑄ニナリマシタガ、造幣局ノ製造力ノ不十分ナル爲ニ不足ヲシテ居ル
而シテ是ガ改鑄ニ對スル造幣局ノ收入ガ千五百三十六萬餘圓、支出ガ千四百
五十七萬餘圓、差引純益七十九萬餘圓ニナルサウデアリマス、以上委員會ニ
於キマシテ多少ノ質問ハゴザイマシタガ、結局一人ノ異議モナク全會一致ヲ
以チマシテ原案通リニ可決ニナリマシタ次第デアリマス、此段ヲ御報告ヲ致
シマス、尙ホ此案ハ誠ニ簡單ナル案デゴザイマスカラ、ドウカ讀會ヲ省略イ
タシマシテ直チニ決議アラムコトヲ希望イタシマス、ドウゾ御贊成ヲ願ヒマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=80
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081・吉井幸藏
○伯爵吉井幸藏君 讀會省略ニ贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=81
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082・伊集院兼知
○子爵伊集院兼知君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=82
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083・谷森眞男
○谷森眞男君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=83
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084・野村益三
○子爵野村益三君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=84
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085・阪井重季
○男爵阪井重季君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=85
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086・山内長人
○男爵山內長人君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=86
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087・萬里小路通房
○伯爵萬里小路通房君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=87
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088・五辻治仲
○子爵五辻治仲君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=88
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089・内田正敏
○男爵内田正敏君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=89
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090・下條正雄
○下條正雄君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=90
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091・松平康民
○子爵松平康民君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=91
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092・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 靑木子爵ノ讀會省略ノ動議ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ
請ヒマス
起立者多數発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=92
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093・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 三分ノ二以上ト認メマス····原案ニ同意ノ諸君ノ
起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=93
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094・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 過半數ト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=94
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095・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第十二、小樽區ニ爲替貯金支局設置ノ請
願第十三、札幌區ニ爲替貯金支局設置ノ請願、第十四、朝山郵便局設置竝
電信事務開始ノ請願、第十五、大湊鐵道速成ノ請願、第十六、國語國字國文
ノ改良ニ關スル請願、會議
意見書案
小樽區ニ爲替貯金支局設置ノ件
小樽商業會議所會頭高橋直治呈出
右ノ請願ハ小樽區ハ北海道及樺太沿海地方ニ於ケル百貨出入ノ要衝ニ當リ
商業取引亦殷盛ヲ極ム然ルニ是等ノ地方ハ金融機關ノ施設未普キニ至ラス
帝國北部地方ノ開發上不利益尠カラサルヲ以テ小樽區ニ爲替貯金支局ヲ設
置セラレムコトヲ議院ニ請願シ旣ニ其ノ採擇ヲ得タルニ拘ラス未實行ヲ見
サルハ甚遺憾ナルヲ以テ大正五年度ニ於テ北部ニ之ヲ新設セラルル場合ニ
ハ小樽區ニ置カレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモ
ノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別冊及送付候也
大正四年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣伯爵大隈重信殿
意見書案
札幌區ニ爲替貯金支局設置ノ件
北海道札幌區北一條西二丁目士族質商安部腰次郞外三百五名呈出
右ノ請願ハ北海道ハ拓殖ノ進步ニ伴ヒ郵便貯金ノ額著シク增加シタリト雖
未金融機關ノ利便完カラス爲替貯金支局ノ設置ヲ必要トス而シテ札幌區ハ
北海道拓殖ノ中樞ニシテ官衙學校銀行等ノ施設備リ該支局設置ノ地トシテ
最適當ナルヲ以テ同道ニ之ヲ設ケラルル場合ニハ同區ニ置カレタシトノ旨
趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及送付候也
大正四年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣伯爵大隈重信殿
意見書案
朝山郵便局設置竝電信事務開始ノ件
島根縣簸川郡高松村長朝山榮太呈出
右ノ請願ハ島根縣簸川郡高松村ハ戶口多ク諸種ノ銀行會社等ノ施設アリ殊
ニ近時朝山停車場ノ設置セラレシ以來貨客ノ出入頻繁トナリ郵便電信ノ發
著一層多キヲ加ヘタルト今市郵便局ノ管轄ニ屬スルハ不便甚シキトニ依リ
同村大字松寄下ニ朝山郵便局ヲ設置シ電信事務ノ取扱ヲモ開始セラレタシ
トノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院
法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
大正四年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣伯爵大隈重信殿
意見書案
大湊鐵道速成ノ件
靑森縣下北郡田名部町平民農西山忠勝外百八十一名呈出
右ノ請願ハ大湊鐵道ノ敷設ハ靑森縣下北郡下產業ノ發達上竝帝國ノ防備上
多大ノ利益アルヘキヲ以テ之カ施工ヲ議院ニ請願セシコト數囘ニ及ヒ其ノ
採擇ヲ得タルニ拘ラス未實行セラレサルハ地方人民ノ甚遺憾トスル所ナル
ヲ以テ最近ノ時期ニ於テ敷設セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大
體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候
也
大正四年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣伯爵大隈重信殿
意見書案
國語國字國文ノ改良ニ關スル件
東京市神田區一ツ橋通町社團法人帝國〓育會理事岡五郞呈出
右ノ請願ハ國語國字及國文ヲ改良統一スルハ〓育ノ振興及國運ノ進展ニ資
スルコト大ナルニ拘ラス未錯雜不統一ノ現狀ヲ脫スルニ至ラサルハ子弟ノ
〓育上忍ヒ難キ所ナルニ依リ速ニ適當ナル機關ヲ設ケ之カ改良ノ方法ヲ調
査セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決
致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
大正四年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣伯爵大隈重信殿発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=95
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096・谷森眞男
○谷森眞男君 唯〓問題ニナッテ居リマス日程ノ第十一ヨリ十五マデノ請願
ニ付キマシテハ別ニ要ハゴザイマセヌ、第十六ニ當リマスル國語國字國文ノ
改良ニ關スル請願ト云フ、是ハ今少シ調査ヲ委員ニ於テ願ヒタイト考ヘマス
此事ニ付キマシテハ本院ニ於テ少シ歴史ガアリマス、先年文部省ニ於テ小學
讀本ニ、改良デアルト云フヤウナ積リカシテ、文章上ノ書キ方ニ付テ妙ナコ
トガアリマシタ、其時分ニハ世間カラ餘ホド非難ノ聲ガ出マシタ、又本院ニ
於テモ色〓非難ヲ致シタノデアリマス、ソレニ付テ旣ニ貴族院議員アタリカ
ラモ調査委員ヲ設ケラレテ、現ニ今日ハソレガ又舊ノ文法ニ復ッテ居ル次第
デアリマス、左樣ナ行懸リノアルモノデゴザイマス、是ハ平易ニ採擇ニナル
ベキ事柄デハナイト本員等ハ信ジマスカラ、今少シ御調査ニナルコトヲ希望
シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=96
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097・石黒忠悳
○男爵石黑忠悳君 本員モ第十六ノ國語國字國文ノ改良ニ關スル請願ノコト
ニ付キマシテハ卑見ガゴザイマスガ、唯今谷森君ガ述ベラレタ外ニ、尙ホ子
弟ノ〓育上忍ビ難キ所アリト云フ文字ガゴザイマシテ、今迄行ッテ居リマス
ルコトニ付テ忍ビ難イト云フコトヲ認メマスニハ餘ホド調査ヲ致シマセヌケ
レバ相成リマセヌ、故ニ今ノ谷森君ノ、第十六ダケハ尙ホ御調査ヲ重ネラレ
タイト云フコトニ贊成デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=97
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098・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 谷森君ニ確メマスガ、谷森君ノ御希望ハ、議事日
程第十六ノ請願ハ、本日議スルコトヲ延期シテ、請願委員ニ再付託ヲ求メル
ト云フコトニ解釋シテ宜シウゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=98
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099・谷森眞男
○谷森眞男君 多分左樣デゴザイマス、今日之ヲ採擇ニナルト云フコトハ見
合セニナリマシテ、尙ホ請願委員ニ於テ今一應審査ニナルコトヲ希望イタシ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=99
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100・原口兼濟
○男爵原口兼濟君 唯今ノ谷森君ノ御說ハ、ドレダケノコトガ請願委員ニ於
テ調査ガ少イト云フ御考デアリマスカ、ソレヲ伺ヒタイ、ドウ云フ譯デ調査
ガ足リナイ、是ダケノ所ガ調査シテナイカラ、ソレデ足リナイト云フ御考デ
ゴザイマスカ、ソコヲ伺ッテ置キタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=100
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101・谷森眞男
○谷森眞男君 唯今原口男爵カラノ御尋デゴザイマスガ、是ハドウ云フ風ニ
調査シタラト云フコトハ玆デチヨット私カラ申上ゲル譯ニハ行カナイ、是ハ請
願委員ニ於テ尙ホ篤ト御調査ニナルナラバ御分リニナルコトト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=101
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102・原口兼濟
○男爵原口兼濟君 然シ尙ホ調査スルガ宜イト云フ御考デアレバ是マデ調
査シタ所ノ方法ヲ御承知ノ上御尋ニナルカノコトト考ヘマスルガ、ドウ云フ
コトガ調査ガ落チテ居ルカラ此邊ヲ調査シタラ宜カラウト云フ御趣意ヲ伺ッ
テ置キタイ、私モ請願委員····請願委員トシテ伺ッテ置キタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=102
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103・谷森眞男
○谷森眞男君 是ハ請願委員會デ若シモ私ノ意見ヲ御尋ニナリマスルナラバ
申上ゲマス、併シ本會デ此事ヲ玆デ申上ゲマスト時間ヲ要シマシテ甚ダ時間
ヲ費シマスカラ、ソレハドウカ今日ノ所ハ不採擇ニナリタイト考ヘルバカリ
デアリマスガ、其以上ノコトハ又委員會ニ於テ御尋ガアレバ申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=103
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104・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 谷森君ニ尙ホ伺ヒマスガ、今最後ニ御述べニナリ
マシタデゴザイマスガ、今日ハ先ヅ不採擇ニシテ置キタイト云フ御言葉ガア
ッタヤウデアリマスガ、サウ致スト前ニ議長ノ申上ゲタコトトハ少シ違フヤウ
ニ思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=104
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105・谷森眞男
○谷森眞男君 ドウカ是ハ不採擇ヲ希望シマスルノデス、併ナガラサウ云フ
コトニナリマセヌデ、ドウカ今一應請願委員ノ方へ再調査ヲ願フト斯ウ云フ
コトニ致シタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=105
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106・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程ノ第十二ヨリ第十六マデ問題ニ供シマシ
タガ、第十六ニ於テ谷森君ノ御意見ガゴザイマスカラ、先ヅ採決ヲ致シマス
ノハ第十二ヨリ第十五マデノ請願ト御承知ヲ請ヒマス、第十二ヨリ第十五
マデノ請願ハ請願委員長ノ報告通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=106
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107・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=107
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108・久保田譲
○男爵久保田讓君 唯今此第十六ノ請願ガ議題ニナッテ居ルノデゴザイマス
カ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=108
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109・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 左樣デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=109
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110・久保田譲
○男爵久保田讓君 段々御說ガゴザイマスガ、是ハ隨分喧マシイ問題デ、〓
育調査會ガ文部省ニ設ケラレテ、是ニモ實ハ大分議論ガゴザイマシテ、調査
會カラモ建議ニナッテ居ルヤウナ次第デ、私モ文部大臣ガ御出席ニナッタラバ
調査會デドウ云フ調査ニナリマシタカ、又文部大臣ハドウ云フ御意見デアル
カ····ソレカラ前年是ハ國語調査會ト云フモノガ文部省ニアッテ調査シテ居
リマシタガ、行政整理ノ結果廢サレテ、又更ニ興サレルト云フヤウナ譯デ、
サウ云フ問題デアリマスカラ、今日ハ文部大臣モ出席ガゴザイマセヌ、私モ
マダ承リタイコトガアリマスカラ、兎ニ角今日ハ是ハ延期ト云フコトニ贊成
イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=110
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111・原口兼濟
○男爵原口兼濟君 是ハ其請願書ニアリマスル通リ、速ニ適當ナル機關ヲ設
ケ是ガ改良ノ方法ヲ調査セラレタシトノ請願デアリマス、ソレデ議院カラ申
出ラレマスル所モ、請願ノ大體ノ趣意ニ於テハ採擇スベシト議院ハ議決スル
ト云フコトノ申出ニナリマスノデアリマスカラ、細カニ何モカモ極メテ採擇
ノコトヲ申出ルベキモノデハナイト自分ハ考ヘマス、其方法ニ依ッテ請願ヲ
御申出ニナリマスレバ、是モ採擇ニナッテ少シモ差支ナイ考ナンデスガ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=111
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112・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 谷森君ニモウ一應確メタイト思ヒマスガ、此請願
ハ不採擇····請願委員會ニ再付託ヲ求ムル、ソレカラモウ一ツハ本日ノ會議
ニ付スルコトヲ延期スル、此三ツノヤウニ存ジマスガ、谷森君ノ動議ヲ確メ
テ置カナイト、採決スルトキニ議長ハ困リマス、明瞭ニ御述べニナリタイト
思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=112
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113・谷森眞男
○谷森眞男君 私ノハ是ハ折角斯ウシテ請願委員ヨリ差出サレタコトデアリ
マスカラ、ドウカ請願委員ニ於キ是ハ今一應調査ヲスルト斯ウ云フコトニ相
成ルコトヲ今日ハ希望イタシマスル、併シ本來ノ趣意ハ不採擇ヲ望ムコトデ
アリマスカラ、若シ他ノ御方ニ於テ是ハ今日ハ延期シテ置カウ、斯ウ云フ御
論ガ御多數アリマスレバ、私モソレニ矢張リ贊成ヲ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=113
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114・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 發議者ノ御意見ヲ確メテ置キタク思ヒマス、外ニ
發議者ノ述ベラレタヨリ外ニモ申述べラレタコトガアリマスレバソレニモ贊
成スルト言ッテハ甚ダ妙ニナリマスカラ、發議者ニ於テドチラカ御極メニナリ
タイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=114
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115・谷森眞男
○谷森眞男君 然ラバ私ハ請願委員ニ今一應付託ニナリマシテ調査アラムコ
ーヲ希望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=115
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116・平山成信
○平山成信君 何ダカ發議者ノ御說ヲ伺ッテ見テモ、如何ニモ此問題ハ熟シテ
居ラヌヤウニ思ヒマス、今ノ久保田君ノ延期ト云フコトガ一番穩當カト思ヒ
〒·1·3私ハ久保田君ノ延期ト云フコトニ贊成イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=116
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117・高木兼寛
○男爵高木兼寬君 私モ久保田君ノ動議ニ贊成イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=117
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118・阪井重季
○男爵阪井重季君 私モ延期ノ說ニ同意イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=118
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119・内田正敏
○男爵內田正敏君 私モ延期說ニ同意イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=119
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120・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 谷森君ノ請願委員ニ再付託スルト云フ動議ニ贊成
ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者少數発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=120
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121・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 少數ト認メマス····久保田男爵ノ動議卽チ此請願
ノ會議ヲ本日ハ延期スル其動議ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=121
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122・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 暫ク御著席ヲ請ヒマス、數ガ不明瞭デゴザイマス
カラ久保田男爵ノ動議ニ反對ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者少數発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=122
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123・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 久保田男爵ノ動議ニ同意ノ方ガ多イト認メマス、
本日ノ議事日程ニ揭ゲテアル議事ハ終了イタシマシタ、付テハ本年ノ議事ハ
本日ヲ以テ終リト致シタイト存ジマス、玆ニ散會前ニ御諮リヲ致シタイコト
ガゴザイマス、休會ノコトハ明年一月十五日マデト致シタイト考ヘマス、ソ
レデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=123
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124・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス、併ナガラ休會ノ期限中ニ
於テモ緊急必要ノ場合ニハ開會ヲ議長ヨリ促スコトガアルカモ存ジマセヌカ
ラ、豫メ此事ヲ申上ゲテ置キマス、次ノ議事日程ハ決定次第本院彙報ヲ以テ
御通知ニ及ビマス、本日ハ是デ散會ヲ致シマス
午後三時四十九分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003703242X00519151227&spkNum=124
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