1. 会議録本文
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000・会議録情報
大正五年二月十八日(金曜日)午後一時三十二分開議
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議事日程 第二十七號 大正五年二月十八日
午後一時開議
第一 証券を以てする歳入納付に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第二 右議案ノ審査を付託すへき委員の選擧
第三 理化學を研究する公益法人の國庫補助に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第四 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第五 朝鮮の生産に係る生果、核子及銅ノ移入税に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第六 右議案ノ審査を付託すへき委員の選擧
第七 特許法中改正法律案(織田了君提出) 第一讀會
第八 實用新案法中改正法律案(織田了君提出) 第一讀會
第九 砂鑛法中改正法律案(戸叶薫雄君提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十 農會法中改正法律案(齋藤宇一郎君外九名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十一 東北六縣國有林野下戻處分に關する建議案(半谷清壽君提出)
第十二 金玉均表彰に關する建議案(小林勝民君外四名提出)
第十三 安房鐵道速成に關する建議案(小林勝民君外一名提出)
第十四 地方産業資金に關する建議案(木村平右衞門君外一名提出)
第十五 八代川内間鐵道速成に關する建議案(山田珠一君外四名提出)
第十六 畜産事業國庫補助に關する建議案(山田珠一君外七名提出)
第十七 上越鐵道建設に關する建議案(須藤嘉吉君外一名提出)
第十八 信越河東鐵道建設に關する建議案(高鳥順作君外一名提出)
第十九 外國米輸入官營に關する建議案(井原百介君外十名提出)
第二十 神通川改修工事速成に關する建議案(關野善次郎君外三名提出)
第二十一 鐵道旅館増設に關する建議案(川井爲巳君外二名提出)
第二十二 音樂教育に關する建議案(高野金重君外一名提出)
第二十三 上越鐵道建設に關する建議案(川上榮太郎君外二名提出)
第二十四 北海道拓殖速進に關する建議案(小池仁郎君外五名提出)
第二十五 農事奬勵に關する建議案(多木久米次郎君提出)
第二十六 (特別報告第五十九號)營業税法中改正の請願 (委員長報告)
第二十七 (特別報告第六十二號)庄内川改修に關する請願 (委員長報告)
第二十八 (特別報告第六十三號)加古川河川改修の請願 (委員長報告)
第二十九 (特別報告第六十四號)岩水川水害除去工事施行の請願 (委員長報告)
第三十 (特別報告第六十五號)漁船避難港築造の請願 (委員長報告)
第三十一 (特別報告第六十六號)網走港修築速成の請願 (委員長報告)
第三十二 (特別報告第六十七號)稚内築港速成の請願 (委員長報告)
第三十三 (特別報告第六十九號)農業資金融通の請願外七十四件 (委員長報告)
第三十四 (特別報告第七十號)農業倉庫法制定の請願 (委員長報告)
第三十五 (特別報告第七十一號)米價調節の請願外七十五件 (委員長報告)
第三十六 (特別報告第七十三號)癈兵傷病兵及遺族優遇に關する請願 (委員長報告)
第三十七 (特別報告第七十四號)姫路城西の丸保存の請願 (委員長報告)
第三十八 (特別報告第七十六號)乃美尾村に郵便電信局設置の請願 (委員長報告)
第三十九 (特別報告第七十七號)鏡石村に郵便局設置の請願 (委員長報告)
第四十 (特別報告第七十八號)木田村に郵便局設置の請願 (委員長報告)
第四十一 (特別報告第七十九號)下之川村に三等郵便局設置の請願 (委員長報告)
第四十二 (特別報告第八十號)中名田村に郵便局設置の請願 (委員長報告)
第四十三 (特別報告第八十一號)谷頭驛に郵便局設置の請願 (委員長報告)
第四十四 (特別報告第八十二號)菅生村に郵便局設置の請願 (委員長報告)
第四十五 (特別報告第八十三號)東仙道村に集配郵便局設置の請願 (委員長報告)
第四十六 (特別報告第八十四號)二川村に集配郵便局設置の請願 (委員長報告)
第四十七 (特別報告第八十五號)三ッ木村に無集配郵便局設置の請願 (委員長報告)
第四十八 (特別報告第八十六號)田幸村鹽町に郵便局設置の請願 (委員長報告)
第四十九 (特別報告第八十七號)下大野村に三等郵便局設置の請願 (委員長報告)
第五十 (特別報告第八十八號)大濱村宮前に郵便局設置の請願 (委員長報告)
第五十一 (特別報告第九十號)耳村佐柿に區裁判所出張所設置の請願 (委員長報告)
第五十二 (特別報告第九十一號)脇町區裁判所白地出張所設置の請願 (委員長報告)
第五十三 (特別報告第九十二號)下城井村安武に登記所設置の請願 (委員長報告)
第五十四 (特別報告第九十三號)上湧別村に登記所設置の請願 (委員長報告)
第五十五 (特別報告第九十四號)東旭川村に區裁判所出張所設置の請願 (委員長報告)
第五十六 (特別報告第百六號)黒澤尻町に區裁判所新設の請願 (委員長報告)
第五十七 (特別報告第百七號)小學校教員俸給國庫支辨に關する請願 (委員長報告)
第五十八 (特別報告第百九號)福山今市間輕便鐵道速成の請願 (委員長報告)
第五十九 (特別報告第百十號)所子村に停車場設置の請願 (委員長報告)
第六十 (特別報告第百十一號)廣島江津間鐵道速成の請願 (委員長報告)
第六十一 (特別報告第百十二號)野上旭川間輕便鐵道速成の請願 (委員長報告)
第六十二 (特別報告第百十三號)厚岸網走間鐵道速成の請願 (委員長報告)
第六十三 (特別報告第百十四號)阿片賠償價格改正の請願 (委員長報告)
第六十四 (特別報告第百十五號)阿武隈川改修速成の請願 (委員長報告)
第六十五 (特別報告第百十六號)阿武隈川を河川法第一期川に編入の請願 (委員長報告)
第六十六 (特別報告第百十七號)七尾港修築の請願 (委員長報告)
第六十七 (特別報告第百十八號)留萌港修築速成の請願 (委員長報告)
第六十八 (特別報告第百十九號)北海道札幌區内豐平橋架設の請願 (委員長報告)
第六十九 (特別報告第百二十二號)軍人恩給法中改正の請願 (委員長報告)
第七十 (特別報告第百二十四號)岡山村岡部に三等郵便局設置の請願 (委員長報告)
第七十一 (特別報告第百二十五號)山田郵便局に集配事務開始の請願 (委員長報告)
第七十二 (特別報告第百二十六號)坂部村に郵便局設置の請願 (委員長報告)
第七十三 (特別報告第百二十七號)仁萬村郵便電信局設置の請願 (委員長報告)
第七十四 (特別報告第百二十八號)中村に無集配郵便局設置の請願 (委員長報告)
第七十五 (特別報告第百二十九號)五ヶ莊村に無集配郵便局設置の請願 (委員長報告)
第七十六 (特別報告第百四十三號)木造町へ區裁判所設置の請願 (委員長報告)
第七十七 (特別報告第百四十四號)入野村に登記所設置の請願 (委員長報告)
第七十八 (特別報告第百四十五號)古墳發堀竝埋藏物處分の請願 (委員長報告)
第七十九 (特別報告第百四十七號)専門學校入學者檢定規定の實施方法改正の請願 (委員長報告)
第八十 (特別報告第百四十九號)天鹽沿岸線鐵道敷設の請願 (委員長報告)
第八十一 (特別報告第百五十號)壽都黒松内間鐵道敷設の請願 (委員長報告)
第八十二 (特別報告第百五十一號)膽振線紋鼈黒松内間鐵道敷設の請願 (委員長報告)
第八十三 (特別報告第百五十二號)千葉縣下勝浦北條間鐵道敷設の請願 (委員長報告)
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001・島田三郎
○議長(島田三郞君) 諸般ノ報告ヲ致サセマス
〔書記朗讀〕
-、政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
朝鮮ノ生產ニ係ル生果、核子及銅ノ移入稅ニ關スル法律案
議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
水產調査會設置ニ關スル建議案
提出者高木正年君金子元三郞君小池仁郞君
佐藤榮右衞門君小西和君成田榮信君
京都高等蠶業學校ニ農業科併置ニ關スル建議案
提出者川崎安之助君
產業組合ニ關スル建議案
提出者小林嘉平治君川崎安之助君有田溫三君
酒造造法中改正法律案
提出者管原傳君金子元三郎君中西六三郞君
平出喜三郞君高杉金作君前川虎造君
加藤宇兵衞君
東北振興ニ關スル建議案
提出者村松龜一郞君谷藤陸壽三君君理胤正君
村松山壽君〓木寅彥君
市原又次郞君行銷無失前
野部勇治君良一台灣電話 一覽一包一個 兒童子
悌飛機場 電話勝2助廣居君
管齋中阿藤宇一郞傳郞治君君君短期伊犬高工堀伊井竹柵鈴亙電話番號 高橋 敬之子(20.3)
原白井逸平君道路線
大芝惣吉君平井六右衞門君吉大唐
阿部德三郞君野村治三郞君各種代
加藤宇兵衞君小林源藏君東塚杉勝太郎君
細梅三郞君榊田〓兵衞君知也君
一、議員ヨリ提出セラレタル質問主意書左ノ如シ
暦法ニ關スル質問主意書
提出者早川龍介君
貴族院提案ノ所謂妥協案ニ關スル質問主意書
提出者〓水市太郞君
一、政府ヨリ受領シタル答辯書左ノ如シ
大正五年二月十七日
內閣總理大臣伯爵大隈重信
衆議院議長島田三郞殿
衆議院議員龍口了信君提出宗〓尊重ニ關スル質問ニ對スル別紙答辯書差進候
(別紙)
衆議院議員龍口了信君提出宗〓尊重ニ關スル質問ニ對スル答辯書
一政府ハ現ニ宗〓ヲ重視シ宗〓家ノ奪勵ニ依リ一層ノ振作ヲ見ンコトヲ期待ス
二我國ノ學校〓育ニ於テハ〓育ニ關スル勅語ノ御趣旨ニ基キ銳意國民道德ノ振
興ヲ圖リ健全ナル精神ヲ涵養スルニ努メツツアリ政府ハ將來此方針ニ依リ益〓其
徹底ヲ期セムトス而シテ學校〓育ニシテ勅語ノ御趣旨ヲ十分ニ貫徹スルヲ得ハ質
問ノ如キ患ナキモノト信ス
三神社ハ國家ノ宗祀ニシテ宗〓ニ關係ナク神職ハ神社ニ奉仕スヘキ國家ノ機關ニシ
テ固ヨリ宗〓〓師ニアラス唯府縣社以下ノ神社神職ニ在リテハ明治十五年內務
省乙第七號達ニヨリ葬儀ニ與ルコトアルヘク又神職ガ偶宗〓ノ說話ヲナスコトアリ
トスルモ共ニ神職トシテノ行爲ニアラサルコト勿論ナリ又神社ニ於テ神符ヲ授與ス
ルカ如キハ神社奉仕ノ目的ニ反スルモノニアラス
四政府ハ今囘ノ御大禮ニ際シ佛〓徒カ大ナル凌辱ヲ受ケタル事實アルヲ認メス(一)
佛〓五十六派ヨリ一名ノ管長ヲ總代トシテ參列セシメラレタルハ事實ナルモ之ヲ
以テ凌辱ナリト謂フヲ得ス而モ其待遇ハ勅任取扱トシテ待遇セラレタルモノニシテ
相當ナリトス(二)敍位敘勳ノ詮議ニ於テ故ラ僧侶ヲ除外シタルコトナシ(三)京都
府知事カ各宗本山宗務所ヲ侮辱セルコト無シ(四)地方賜餐ニ於テ佛〓各派管
長管長事務取扱及門跡寺院住職ヲ召サセラレタルニ徵スルモ僧侶ヲ度外視シ
タルモノニアラサルコト明ナリ(五)或地方ニ「於テ神社參拜等ノ申合セヲ爲シタレハ
トテ佛〓徒ニ對スル迫害ナリト謂フヲ得ス
五大正四年三月新義眞言宗豐山派管長ノ認可ヲ解除シ別ニ管長事務取扱ヲ命
シタルハ管長ニ於テ政府ノ認可シタル宗制ニ違反シ且ツ政府ノ命令ヲ奉セサリシ
カ爲メ已ムヲ得サルニ出テタルモノニシテ監督上必要ノ措置タリ
六宗〓ニ關スル法令ハ目下調査中ナリ
右及答辯候也
大正五年二月十日
內務大臣法學博士一木喜德郞
文部大臣法學博士高田早苗
大正五年二月十七日
內閣總理大臣伯爵大隈重信
衆議院議長島田三郞殿
衆議院議員匹田銳吉君提出地方靑年團體ニ關スル再質問ニ對シ別紙答辯書差
進候
(別紙)
衆議院議員匹田銳吉君提出地方靑年團體ニ關スル再質問ニ對スル答辯
書
一未成年者ノ修養特ニ必要アリト認メ之カ標準ヲ示シタルナリ敢テ二種ノ靑年團
體ヲ成立セシメムトスルノ意ニアラス。
二成年者ハ靑年團體ノ援助者又ハ他ノ團體員ト爲リ尙土地ノ狀況ニ依リテハ必
要ニ應ジ靑年團體員クルヲモ妨ケサル等自カラ修養ノ方法アリト認ム
三靑年團體中ニハ特別ノ事情存スルモノアリ是レ一律ノ下ニ俄ニ該標準ニ適合セシ
ムルコトヲ强要セサル所以ニシテ其實行ヲ期スルニ於テ宜シキヲ得タルモノト信ス
右及答辯候也
大正五年二月十七日
內務大臣法學博士一木喜德郞
文部大臣法學博士高田早苗
大正五年二月十七日
内閣總理大臣伯爵大隈重信
衆議院議長島田三郞殿
衆議院議員伊東知也君提出岡陸軍大臣ニ關スル質問ニ對シ別紙答辯書差進候
(別紙)
衆議院議員伊東知也君提出岡陸軍大臣ニ關スル質問ニ對スル答辯書
乃木家創立ニ付テハ個人トシテ之ニ關與セシモノナルカ故ニ陸軍大臣トシテ答辯ノ
限リニ在ラス
右及答辯候也
大正五年二月九日
陸軍大臣岡市之助
大正五年二月十七日
內閣總理大臣伯爵大隈重信
衆議院議長島田三郞殿
衆議院議員佐々木安五郞君提出在外同胞迫害事件續出ニ關スル質問ニ對シ別
紙答辯書差進候
(別紙)
衆議院議員佐々木安五郞君提出在外同胞迫害事件續出ニ關スル質問ニ
對スル答辯書
一、政府ハ本件發生ノ後直チニ吏員ヲ現場ニ派遣シ關係者ニ就キ具サニ事
情ヲ調査セシメタル結果蘭國官憲ノ處置ニ其當ヲ得サルモノアルヲ認メ在バタ
ビヤ帝國領事ヲシテ蘭領東印度政府ニ對シ本件善後處分ニ關スル交涉ヲ開始セ
シメ目下銳意之カ妥結ニ盡力中ナリ右交渉事項中蘭領東印度官憲ニ於テ本國
政府ノ指揮ヲ受クルノ必要アルモノアル等ノ關係上未タ商議ノ結了ヲ見ルニ至ラ
スト雖モ政府ハ本件カ遠カラス友好的精神ニ依リ滿足ナル解決ヲ告クヘキ事ヲ期
待スルモノナリ
二、滿蒙ニ關スル新條約ノ適用上間島在留ノ朝鮮人ハ一律帝國ノ法權ニ服從スヘ
キモノタルヲ以テ同條約實施以來同地駐在帝國領事官ヲシテ其趣旨ヲ以テ措辨
セシメタリ然ルニ支那政府ニ於テハ反對ノ見解ヲ執リ一面帝國政府ニ抗議スルト
共ニ他面朝鮮人カ我カ法權ニ服從スルコトニ對シ種々妨害ヲ試ミタリ帝國政府
ハ我條約上ノ權利ヲ擁護シ朝鮮人ノ保護ニ努ムルト同時ニ北京及間島兩地ニ
於ケル我代表者ヲシテ或ハ口頭或ハ文書ヲ以テ屢次折衝ヲ重ネシメタル結果今ヤ
支那政府ニ於テハ十分我所信ヲ諒解スルニ至レルモノト思考セラレ追テ適當ナル
解決ヲ見ルニ至ルヘキモ本件ハ未タ交渉中ニ屬スル案件ナルヲ以テ之カ經過ノ詳
細ヲ發表スルノ時機ニ達セス
右及答辯候也
大正五年二月十五日
外務大臣男爵石井菊次郞
大正五年二月十七日
內閣總理大臣伯爵大隈重信
衆議院議長島田三郎殿
衆議院議員岩本平藏君提出所得稅法施行ニ關スル質問ニ對スル別紙答辯書差
進候
(別紙)
衆議院議員岩本平藏君提出所得稅法施行ニ關スル質問ニ對スル答辯書
一所得稅法第四條ノ三第三號ニ規定セル山林伐採ノ所得トハ立竹木ノ處分ニ因
ル所得ヲ指稱スルモノナリ而シテ同法施行規則第一條第二項ハ土地ト共ニ處分
シタル立竹木ノ所得ヲ山林伐採ノ所得トスルコトヲ定メタルモノナルヲ以テ兩者ノ
間矛盾スルコトナシ
一前項ノ如クナルヲ以テ右施行規則第一條第二項ヲ改正スルノ意思ナシ
一山林伐採ノ意義前記ノ如クナルヲ以テ稅務官廳カ山林讓渡ノ場合ニ於テ所得
稅法施行規則第一條第二項ヲ適用シテ其ノ立竹木ノ所得ニ對シ課稅セルハ誤
解ニアラスト認ム
右及答辯候也
大正五年二月十六日
大藏大臣武富時敏
〔左ノ報告ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ茲ニ揭載ス〕
一委員異動關稅定率法中改正法律案委員小池仁郞君辭任ニ付其補闕トシテ
綾部惣兵衞君ヲ、同委員有田溫三君辭任ニ付其補闕トシテ平出喜三郞君ヲ、
兵役稅法案外一件委員加藤定吉君辭任ニ付其補關トシテ尾崎元次郞君ヲ、
輸出品粗製濫造防止ニ關スル建議案委員福田民平君辭任ニ付其補闕トシテ
山宮藤吉君ヲ議長ニ於テ孰レモ選定セリ
一委員長及理事左ノ通リ當選セラレタリ
華族世襲財產法改正法律案委員會
-理胤正君
委員長古屋慶隆君理事米森亙田實茂君君
田
關稅定率法中改正法律案委員會
鈴森木久次郞君
委員長守屋此助君理事田小雄介君
ー村新吉君
元屯田步兵扶助ニ關スル法律案委員會
委員長森田小六郞君理事樋口秀雄君
一理事補關選舉理事補闕選舉ノ結果左ノ如シ
蠶絲業振興發達ニ關スル建議案
理事小西和君(尾崎元次郞君補闕)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=1
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002・樋口秀雄
○樋口秀雄君 裁判所復舊案ノ委員會ラ開キタイト思ヒマス、委員ノ諸君ハ御出席
ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=2
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003・島田三郎
○議長(島田三郞君) 暫ク〓〓樋口サン暫ク-マグ會議ヲ開キマセヌ中ニ發議
ハ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=3
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004・樋口秀雄
○樋口秀雄君 發議デハアリマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=4
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005・島田三郎
○議長(島田三郞君) 是ヨリ會議ヲ開キマス、此際念ノ爲メニ一言致シテ置キマス、
本日本會議ヲ開キマシタノハ議會ノ開期三分ノ二ヲ經過致シマシタトキハ每日本會
識ヲ開キ得ルコトノ權限ヲ議長ニ與ヘラレテ居ルコトハ二十七議會ノ會議ニ決定致シテ
居リマス以來每議會之ヲ實行シテ居リマス、過日ハ福田君ノ發議ガアリマシタカラ自
然院議ニ御諮リ致シタノデ、今日ハ慣例ニ準據致シテ開キマシタ、更ニ念ノ爲メニ此ニ
一言致シテ置キマス、會期モ益〓切迫致シテ居リマス、今後ハ自然御諮リヲ致シマセズ
先決ノ慣例ニ依ラウト思ヒマス
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=5
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006・島田三郎
○議長(島田三郞君) 衆議院議員選舉法案ノ委員會ヲ、委員長川崎克君カラ開
キタイト云フ請求ガアリマス、更ニ華族世襲財產法案委員會、是モ委員長古屋慶隆
君カラ開キタイト云フ請求ガアリマス兩者トモ之ヲ許可致シマス-日程第一證劵
ヲ以テスル歲入納付ニ關スル法律案ノ第一讀會ヲ開キマス、加藤政府委員
第證券ヲ以テスル歲入納付ニ關スル法律案(政府提第一讀會
四
證券ヲ以テスル歲入納付ニ關スル法律案
第一條租稅其ノ他ノ政府ノ歲入ハ命令ノ定ムル所ニ依リ證券ヲ以テ之ヲ
納付スルコトヲ得但シ印紙又ハ郵便切手ヲ以テ納付スヘキモノニ付テハ
此ノ限ニ在ラス
第二條前條ノ規定ニ依リ納付シタル證劵ニ付支拂ナカリシトキハ命令ヲ
以テ定メタル場合ニ限リ初ヨリ納付ナカリシモノト看做ス此ノ場合ニ於
ケル證券ノ處分ニ付テハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
前項ノ規定ニ依リ關稅又ハ噸稅ヲ初ヨリ納付ナカリシモノト看做シテ徵
收スル場合ニ於テ之ヲ納付セサルトキハ內國稅徵收ニ關スル規定ヲ準用
ス
第三條本法ニ依リ證券ヲ受領シタル市町村ハ證券ニ屬スル權利ヲ行使シ
現金ヲ國庫ニ送付スル責任アルモノトス但シ命令ノ定ムル所ニ依リ證券
ヲ國庫ニ送付スルコトヲ得
市町村其ノ責ニ歸スヘカラサル事由ニ因リ證券金額ノ支拂又ハ償還ヲ受
クルコトヲ得サルトキハ其ノ事實ヲ具シ政府ニ責任ノ免除ヲ請フコトヲ
得
前項ノ申出アリタルトキハ政府ハ事實ヲ審査シ市町村ノ責任ヲ免除スル
コトヲ得
第四條本法中市町村ニ關スル規定ハ法令ニ依リ粗稅其ノ他ノ政府ノ歲入
ヲ徵收シ其ノ徵收金ヲ國庫ニ送付スヘキ責任アル者ニ之ヲ準用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔政府委員加藤政之助君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=6
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007・加藤政之助
○政府委員(加藤政之助君) 證券ヲ以テスル歲入納付ニ關スル法律案、提出ノ理
由ヲ是ヨリ申上ゲマス、證券ヲ以テ租稅其他ノ歲入ヲ納付スル件ニ關シマシテハ從來
勅令若クハ省令ニ依ッテ規定セラレタルトコロノモノガアリマシタケレドモ、其歲入ノ範圍
モ極メテ狭ク又證劵ノ種類モ少イノデアリマス例シテ申シマスレバ郵便爲替劵公債ノ
利札、或ハ制限セラレタル小切手ト云フ位ニ止ッテ居リマシタ、而シテ小切手ニ對シマシテ
ハ不渡ノ場合ノ規定等ヲ〓イテ居リマシタガ故ニ、之ヲ廣ク實行スルコトガ出來ズシテ、
甚ダ不十分ナ有樣ニ置カレテアリマシタノデアリマス、併ナガラ今ヤ經濟界ハ非常ノ發展
ヲ致シマシテ、斯ノ如キ制限ハ今日ノ時期ニ極メテ不適當ナリト政府ハ信ズルノデアリ
マス從ッテ此證券ヲ以テ納付スル歳入ノ範圍ヲ擴張致シマシテ、又證券ノ種類ヲ擴
張致シマシテ、今日經濟界發達ノ便ニ應ジテ、公衆一般ノ便利ヲ進ムルト云フコトノ
考ヲ以テ此案ヲ提出致シタ次第デアリマス、諸君ハ宜シク御審議ノ上御協賛アランコ
トヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=7
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008・横尾輝吉
○橫尾輝吉君 裁判所構成法竝ニ辯護士法ヲ臺灣ニ施行シタイト云フ案外一件ニ
付キマシテ、是ヨリ委員會ヲ開キタイト思ヒマス、許可ヲ乞ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=8
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009・島田三郎
○議長(島田三郞君) 許可致シマス-次ノ日程ニ移リマス、日程第二、右議案ノ
審査ヲ付託スベキ委員ノ選舉、之ヲ議題ト致シマス
第二右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=9
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010・福田又一
○福田又一君 本案ハ議長指名十八名ノ委員ニ付託シ審査セラレンコトヲ望ミマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=10
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011・島田三郎
○議長(島田三郞君) 福田君ノ發議ニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=11
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012・島田三郎
○議長(島田三郞君) 御異議ガナイト認メテ議長指名十八名ノ委員ニ付託スルコト
ニ決シマス、日程第三理化學ヲ〓究スル公益法人ノ國庫補助ニ關スル法律案、第
讀會ヲ開キマス、河野農商務大臣
第三理化學ヲ〓究スル公益法人ノ國庫補助ニ關スル第一讀會
法律案(政府提出)
理化學ヲ〓究スル公益法人ノ國庫補助ニ關スル法律案
第一條產業ノ發達ニ資スル爲理化學ヲ〓究シ其ノ成績ノ應用ヲ圖ルコト
ヲ目的トスル公益法人ノ一ニ對シ政府ハ本法施行ノ日ヨリ十年ヲ限リ每
年二十五萬圓以內ヲ補助スルコトヲ得
前項補助金ノ總額ハ二百萬圓ヲ超ユルコトヲ得ス
第二條前條法人ノ業務ハ農商務大臣ノ監督ニ屬ス
農商務大臣ハ前條ノ規定ニ依リ補助ヲ受ケタル法人ノ業務ヲ指揮監督シ
之カ爲必要ナル命令又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔農商務大臣河野廣中君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=12
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013・河野廣中
○農商務大臣(河野廣中君) 本案ニ付テ提出ノ理由ヲ簡單ニ申上ゲマス、工業其
他一般ノ產業ノ發展ヲ圖リ國家ノ富力ヲ增進セントスルニハ、理化學ニ關スル獨創的
ノ〓究ヲ爲シマシテ、我國人ノ發明能力ヲ發揮セシメテ以テ其智能上ノ生產力ヲ充實
セヌケレバナラヌノデアリマス殊ニ近時歐洲戰亂ニ付キマシテ、今後益〓軍事材料ノ獨
立、工業物資ノ持久、之ヲ畫策スルト云フコトハ最モ緊要ナルコトヲ〓ヘマシタノデアリマ
ス、ソレデ又理化學〓究ノ必要ハ愈〓痛切ニ之ヲ覺知セシメマシタノデゴザイマス、然ル
ニ我國ニ於キマシテハ從來此種ノ機關ニ缺クルトコロガゴザイマシテ、誠ニ遺憾トスルトコロ
デアリマシタ、幸ニ今囘民間ノ有志ニ於テ公益法人タル理化學〓究所ヲ設立シタイト
云フ計畫ガゴザイマス、然ルニ此事業ハ少ナカラザル資金ヲ要シマスルノデ、民間有志ノ
醵金ノミヲ以テハ到底其所期ノ目的ヲ達スルコトハ出來マセヌノデアリマス、故ニ政府ハ
國家事業トシテ之ヲ助成シ國運ノ發展ニ資セントスルノデゴザイマス其補助金總額ハ
十箇年通ジテ二百万圓トシテ每年二十五万圓以內ヲ支出致シマシテ、民間有志ノ醵
金ト相俟ッテ必要ナル資金ヲ充實センコトヲ計畫致シマシテ、卽チ本案ヲ提出致シマシタ
次第デゴザイマス、宜シク御審議ノ上御協賛アランコトヲ切望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=13
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014・鈴木梅四郎
○鈴木梅四郞君 簡單デゴザイマスカラ此處カラ申シマス本案ニ付キマシテハ吾ミハ
最モ贊成スルトコロデ、過日來實ハ我黨ハ本問題ニ付キマシテ案ヲ具シテ提出シヤウト
思ッタノデアリマスが、政府ガ此提案ヲナサルト云フコトヲ承ッテ居リマスカラ差控エテ居リ
マシテ、今日ニ至ッタノデアリマス、所デ此案ヲ見マシテ實ハ其貧弱ニ驚イタノデゴザイマス
ガ、ソレハ免ニ角取敢ヘズ御尋申シタイコトハ公益法人ノ總資本ハドノ位デアリマシテ、
設備費卽チ固定的ニ使用シマスルモノガドノ位ドノ位ノ資本デ爲サルノデアルカト
云フコトガ第一年々〓究費トシテ使ハレルトコロノ費用ハ凡ソドレ位ノ豫算ニナッテ居
ルカ、其次ニ此說明書ヲ見マスレバ產業ヲ發達セシムル爲メニト云フ交字ガゴザイマシ
テ、所謂產業ノ發達ニ資スルトコロノ〓究所デアル、シテ見レバ此〓究範圍ト云フモノ
ハ農業工業等ノ所謂實業ニ直ニ關係スルトコロノモノニ限ラレテ居ルヤウニ思ヒマス
ガ、果シテサウデアルカドウカ所謂理學化學ノ基礎學ヲ〓究ヲシテ、有ニル學理ヲ〓究シ
テ之ヲ人事ノ實際ニ應用スルト云フ趣意デアルノカ、唯產業ニ資スル爲ニヤルト云フノト
ハ大變ナ相違ガゴザイマス、實例ヲ申スト純粹ニ所謂理化學ノ基礎學ヲ〓究シテヤルト
云ヘバ例ヘバ醫學ノ如キニ付テモ其他飛行機飛行船若クハ潛航艇、其他大砲小銃
一般ノ軍器ニ關スルコト其他イロ〓〓アルノデアリマス併シ產業ニ資スルト云フ目的テ
ヤリマスルト範圍モ狹クナル、サウシテ·大ニ應用的ニナッテ、所謂基礎學問ノ〓究ト云フ
モノガ十分ニ出來ナイモノニナッテ、範圍ガ狹クテル、斯ウ云フコトニナルノデゴザイマスガ、
此三點ニ付キマシテ政府ノ御意見ヲ承リタイ
〔農商務大臣河野廣中君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=14
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015・河野廣中
○農商務大臣(河野廣中君) 鈴木君カラノ御尋、此資金ハ凡ソ八百万圓、其中民
間ノ有志ノ醵金トスルモノガ五百万圓、ソレカラ政府ガ一一百万圓ヲ補助スル又仄ニ承リ
マスレバ皇室ニ於テモ多少ノ御下賜金ガアルヤウニ承知ヲ致シ居リマス、ソレ等ヲ以テ八
百万圓ト致シテ居リマスヽソコデ是等ノ內容ノ設備又豫算等ハ別ニ申上ゲマス、ソレカ
ラ次ニ御尋ノ此理化學ノ〓究ト云フモノハ然ラバ廣イ意味ノモノデアルカ、今囘ノ所
ハ產業其モノヽ點ニ限ルカ、斯ウ云フ御尋ト思ヒマス、此點ニ付テハ多クハ應用ヲ主ト
致シマシテ、唯單ニ學術ノ〓究ト云フコトデゴザイマセズニ應用ヲ心掛ケマシテ、卽チ傍
ラニ學術〓究ヲ致シ、又是ガ應用ヲ試ミルト云フ方針デゴザイマス、ワレデ大略御尋
ニ對シテノ御答ヲ致シタト思ヒマス、尙詳細ニ此設備或ハ細カナ箇條ニ付テ〓究ノ箇
條ヤ何カニ付キマシテハ、政府委員ガ出テ居リマスカラ商工局長ガ擔任ヲ致シテ居リマ
スカラ、是カラ御答ヲ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=15
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016・鈴木梅四郎
○鈴木梅四郞君 私ハ御尋スルコトハゴザイマセヌガ、此業ヲ御出シニナルト同時ニ、公
益法人ノ大體ドウ云フコトニナッテ居ルカト云フコトヲ、同時ニ御示シニナルノガ、順序ヲ
得タモノデハアリマスマイカ、唯公益人ガマグ現存シナイトコロノモノデアルケレドモ、斯樣ナモノ
ニナルノデアルト云フ大體ノ公益法人ノ、〓略形ヲ具ヘタモノヲ併セテ御提出ニナルノガ本
來デハゴザイマスマイカ、唯マダ出來ルカ出來ヌカ分ラナイモノニ向ッテ補助ヲ與ヘルト云
フコトニナルノハ、少シク變ナヤウニ考ヘラレマスガ、若シ御手許ニアルナラバ民間デ出來マス
所謂公益法人ノ組織、ドウ云フ工合ニナッテ居ルカト云フヤウナ〓要ヲ、一日モ早ク御
提出ニナラムコトヲ希望致シテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=16
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017・島田三郎
○議長(島田三郞君) 別ニ質疑ガナイト認メテ次ニ移リマス-日程第四、右議案
ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ選舉
第四右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=17
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018・福田又一
○福田又一君 本案ヲ議長指名十八名ノ委員ニ付託シ審査セラレムコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=18
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019・島田三郎
○議長(島田三郞君) 福田君ノ議ニ御異議ガ無イト認メマス、依テ議長指名十八
名ノ委員ニ付託スルコトニ決シマス-日程第五朝鮮ノ生產ニ係ル生果核子及銅
ノ移入稅ニ關スル法律案、第一讀會ヲ開キマス-加藤政府委員
第五朝鮮ノ生產ニ係ル生果核子及銅ノ移入稅ニ關ス第一讀會
ル法律案(政府提出)
朝鮮ノ生產ニ係ル生果、核子及銅ノ移入稅ニ關スル法律案
朝鮮ノ生產ニ係ル物品中生果及核子ニハ從價三割ノ移入稅ヲ課シ銅ノ塊及
錠ニハ移入稅ヲ課セス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔政府委員加藤政之助君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=19
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020・加藤政之助
○政府委員(加藤政之助君) 朝鮮ノ生產ニ係ル生果核子及銅ノ移入稅ニ關スル
法律案、此案ノ趣旨ヲ申シマス、朝鮮ノ生產ニ係ル果物類ハ今迄從量稅ヲ取ッテ居リ
マシタノデアリマズ、而シテ從量稅三割ノ基礎ノモノモアリマシタガ、ソレハツマリ伊太利ノ
「ネーブルス」或ハ亞米利加ノ貴重ナル果物、同ジ程度ノ稅率ニ置カレテアルノデアリマス、
ソコデ極メテ朝鮮ノ果物ニ於キマシテハ稅ノ重キコトヲ感ズルノデアリマス、ソコデ此度朝
鮮ノ果物ハ從價稅ノ三割ニ改メマシテ、其過重ナル點ヲ矯メテ均衡ヲ保タシムルノ方針
デアリマス、、又朝鮮カラ持ヲテ參リマスル銅ノ塊及錠、是ニハ移入稅ヲ課セヌコトニ致シマス
ル方針、是レ本案ヲ提出致シマシタ理由デアリマス、宜シク御審議ノ上御贊成ヲ顧ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=20
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021・島田三郎
○議長(島田三郎君) 質問モ無イF認メテ次ヘ移リマス-日程第六、右議案ノ審
査ヲ付託スベキ委員ノ選舉、之ヲ議題ト致シマス
第六右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=21
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022・福田又一
○福田又一君 本案ヲ議長指名九名ノ委員ニ付託致シテ審査セラレムコトヲ望ミ
マス
〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=22
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023・島田三郎
○議長(島田三郞君) 福田君ノ議ニ御異議ガナイト認メマス、依テ福田君發議ノ通
リ議長指名九名ノ委員ニ付託スルコトニ決シマス-日程第七及第八此兩案ハ同
種關聯セル議案デアリマスゝ提出者モ同一デアリマスカラ一括議題トシタイト思ヒマス、
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=23
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024・島田三郎
○議長(島田三郞君) 御異議ガナイト認メテ特許法中改正法律案、實用新案法中
改正法律案ヲ一括シテ議題ト致シマス、織田了君-第一讀會ノ場合デアリマス
第七特許法中改正法律案(織田了君提出)第一讀會
特許法中改正法律案
特許法中左ノ通改正ス
第三十條第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
第五條第二號ノ規定ニ依リ實用新案權ノ存續中得タル特許權ノ存續期間
ハ實用新案權ノ存續期間ヲ通シテ十五年トス
同條第二項中「前項」ヲ「前二項ニ改ム
第四十九條第二項ヲ削ル
第六十九條第一項第一號ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ特許公報ニ揭載シタル日ヨリ五年ヲ經過シタルトキハ此ノ限ニ在ラ
ス
第八實用新案法中改正法律案(織田了君提出)第一讀會
實用新案法中改正法律案
實用新案法中左ノ通改正ス
第十八條第一項第一號ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ實用新案公報ニ揭載シタル日ヨリ三年ヲ經過シタルトキハ此ノ限ニ
在ラス
第二十條中「第四十九條第二項、」ヲ削ル
〔織田了君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=24
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025・織田了
○織田了君 特許法中改正法律案竝ニ實用新案法改正法律案ニ付テ提出ノ理由
ヲ說明致シマス、此說明致シマス前ニ議案ニ印刷ノ間違ガアリマスカラ訂正致シテ置キ
マス特許法中改正法律案中ノ第四十九條第二項ヲ削ルト云フ文字、竝ニ實用新
案法中改正法律案ノ第二十條中第四十九條第二項ヲ削ル是ハ誤リデゴザイマスカ
ラ削リマス、實用新案權ノ存續期問ハ三年、ソレニ延長三年ヲ加ヘマシテ六年デアリマ
ス、其上ニ實用新案權ノ存續中ニ於テ更ニ特許權ヲ得ルコトガ出來マス、卽チ特許法
第五條ノ二號ニ依リマシテ實用新案デ且發明ヲ構成スル法案ハ特許ニ乘移ルト云フコ
トガ出來マス、卽チソレヨリ更ニ十五年引續キ占用權ヲ得ルコトガ出來マスカラ、通計
二十一年間權利ヲ存續スルコトニナリマス、殊ニ去ル十二日本院ヲ通過シマシタ實用新
案法ノ改正ニ依ッテ四年又延ビルコトニナリマスル、是ガ實行サレル曉ニ於テハ合計二
十五年ト云フ長イ期間權利ヲ存續スル結果ニナリマスル、然ルニ斯ノ如ク二十五箇年
ノ長イ期間獨占權ヲ與ヘテ保護スルト云フノハ餘リニ其ノ程度ガ過ギマシテ、爲ニ社
會一般ノ工業ノ進步ヲ阻碍致シマスノミナラズ、本來ノ特許權ノ期間十五年ニ比ベマシ
テ甚ダ其權衡ヲ失シ、法ノ統一ヲ缺クモノト信ジマスル故ニ、實用新案權ノ存續中ニ
得タトコロノ特許權ハ、實用新案權ノ存續期間ヲ通ジマシテ、サウシテ本來ノ特許權ト
同ジク十五年間ト改正スルノガ正當デアルト云フノデアリマス、ソレカラ次ニ特許法第四
十九條ノ二項ニ特許又ハ許可ハ特許權ノ消滅後ト雖モ之ヲ無效ト爲スコトヲ妨ゲヌ
規定ガアリマス、又實用新案法二十條中ニハ此特許法ノ規定ヲ準用シテアリマスル、ソ
レ故ニ特許權又ハ實用新案權ハ其權利ノ存續中ハ勿論、消滅後ト雖モ何時デモ無
效トナルベキ瑕瑾ヲ持ッテ居ルトコロノ權利テ恰モ解除條件付ノ權利ノヤウデアリマス
而モ其無效ト云フモノハ將來ニノミ向ッテノ無效ニアラズ、既往ニ遡リマシテ根本カラ無
效トナリマシテ、嘗テ權利無カリシモノト云フコトニナルノデアリマス其無效トナル原因
ニ付テハ特許權ニ付テハ特許法四十九條一項ニ、實用新案權ニ付テハ實用新案法
第十一條ニ規定ガアリマシテ、各種ノ場合ヲ列記シテアリマスルケレドモ、主ニ特許出
願前ニ帝國內ニ於テ公知公用ニ屬シテ居ッタトカ、或ハ公刊物ノ記載ニ依ッテ容易ニ
應用ノ出來ル程度ノ發明又ハ考案ニ付テ、特許局審査官ノ誤リデ特許登錄ヲ與ヘタ
ト云フ場合ニ生ズルノデアリマスガ、斯ノ如ク特許權實用新案權ト云フ權利ノ存續中
ニ、イツ何時デモ他人カラ無效審判ノ請求ヲ提起サレテ取消ニ遭フカ分ラヌ、寔ニ不確
定ノ權利デアリマシテ、恰モ砂山ニ樓閣ヲ築イタヤウナ不安ノ狀態ニアルノデアリマス隨ツ
テ發明者-考案者タル權利者ガ折角心力財力等ヲ盡シテ漸クニシテ得タル獨占權
ニ基ク-四苦八苦致シマシテサウシテ工業ニ著手シ漸ク其業ガ成ッテ世ニ信用ヲ持ッ
ト云フ場合ニ至リマスルト、四方カライロノ〓ナ理由ヲ以テ無效審判ヲ起シテ、サウシテ
イロノ〓ナ事情ガ生ズルト云フソレガ爲ニ破產ノ境遇ニ陷ル者ガ往々アリマス、却テ獨
占權ヲ得タノヲ憾ムト云フコトニナリマス、殊ニ發明者考案者ハ資本ニ乏シイ者ガ多イノ
ガ普通デアリマスケレドモ、資本主ハ斯ノ如ク權利ノ不安ナモノデアリマスカラ投資ヲスル
ト云フコトモナリマセヌ、金融ノ途ヲ講ズル者モ無イト云フノデアリマスル、偶〓アレバ山師
トカ或ハ詐欺師ニ掛ルト云フコトデ、結局發明者考案ノ困難ト云フモノハ實ニ窮狀ニ
居リマシテ、特許權ノ保護ヲ受ケル利益ト云フモノハ殆ド無イニ等シイヤウナ實際ノ有樣
デアリマス、依テ無效審判ノ提起ニ付テ或ル一定ノ期間ヲ經過シタナラバ最早無效審
判ヲ提起スルコトガ出來ヌト云フ制限ヲ設ケマシテ、サウシテ資本家ヲシテ權利ヲ確實ナ
モノ、安心デアルト云フコトヲ思ハシメテ、而シテ投資セシメテ十分發明者考案者ヲ保護
シ、工業所有權保護上斯クセネバナラヌ緊急ナ問題デアルト思ヒマスル、此問題ニ付テハ
既ニ宿題トナッテ各當業者間ニ於テハ熱望シテ居ル次第デアリマスル、獨逸ノ如キハ審
判ノ事項トシテ五年ヲ過ギタトコロノ特許權ニ對シテハ無效審判ヲ提起スルコトガ出
來ヌモノデアルト云フ事項ノ規定ガアリマスル又我ガ商法ニ於テハ十八條ニ公報ニ記
載シタル日カラ滿三年ヲ經過シタ時ハ無效審判ヲ請求スルコトガ出來ヌト云フ規定モア
リマスル、然ルニ商法ニ規定シテアルニモ拘ラズ此特許法ト竝ニ實用新案法ニハ其規定
ヲ除外シテ設ケテ居ラヌノデアリマス是ハ實ニ法ノ一大缺陷デアルト云ハネバナラヌト信
ジマス、デ事ハ固ヨリ小サイヤウデハアリマスルガ、此一國ノ經濟ノ進步發達ト云フモノ
ハ工業ノ發展進步ニ重キヲ置カナケレバナラヌノデアリマス、工業發展ノ進步ハ發明ノ
進步發逹ニ依ラネバナラヌ、ツコデ發明ノ進步發展ト云フモノハ工業所有權ノ制度ノ
完備ニ依ッテ之ヲ期待セニヤナラヌモノト思ヒマスル、以上ノ理由ニ依リマシテ本案ヲ提
出シタ次第デアリマスカラ、宜シク御審議ノ上決定セラレンコトヲ希望シマス
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=25
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026・福田又一
○福田又一君 兩案ヲ議長指名九名ノ委員ニ付託シテ審査セラレンコトヲ望ミマス
(「贊成々々」ト呼フ者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=26
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027・島田三郎
○議長(島田三郞君) 御異議ハナイト認メマス、福田君ノ動議、兩案ヲ九名ノ議長
指名ノ委員ニ付託スルト一云フコトニ決シマス(「異議ナシ」ト呼フ者アリ)日程第九、砂
鑛法中改正法律案第一讀會ノ續キヲ開キマス、委員長ノ報告ヲ求メマス-委員長
平出喜三郞君
砂鑛法中改正法律案(戶叶薰雄君第一讀會ノ續(報告委員長し
第九提出)
〔平出喜三郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=27
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028・平出喜三郎
○平出喜三郞君 委員會ニ於キマスル經過竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマス、御承知ノ
通リニ現今ノ砂鑛法ニ於キマシテハ、僅ニ三種ノ砂鑛ノミヲ認メテ居ルト云フヤウナ譯デ
アリマシテ、鑛業ノ段々發達致シテ參リマス今日ニ於キマシテ、此三種以外ニ於キマスル
砂鑛ニ於キマシテ、同一ニ法律ノ保護ヲ受ケナケレバナラヌ所ノ砂鑛ハ必ズシモ一二
ニ止マラヌト云フ譯合デアリマスル是ニ於キマシテ斯樣ナル砂鑛ニ對シマシテ同一ニ
法律ノ保護ヲ受ケサセ、又取締ヲ爲サナケレバナラヌト云フ必要ニ迫ラレマシタ爲ニ本
案ノ堤出ヲ見ルニ至リマシタ譯テアリマスルデ委員會ニ於キマシテハ段々審査モ致シマ
シタ又政府ニ對シマシテモ熟議懇談ヲ遂ゲマシタル結果、委員中ヨリ一ノ修正案ノ提出
ヲ見ルニ至リマシタノデアリマス、其修正案ニ付キマシテハ既ニ諸君ノ御手許ニ配付セラレテ
居ルコトデアルト思フノデアリマスガ、要スルニ殆ド字句ノ修正トモ稱シテ宜シイヤウナモノテ
アリマシテ、原案ニ對シマシテ何等ノ實質ニ變化ハナイノデアリマスツマリ〓括的ニ砂白
金竝ニ砂重石ヲ現行法ニ付加へ「其以外ノ砂鑛ヲ稱シテ砂鑛ト云フ」トノ原案デアリマ
シタケレドモ此「砂白金」竝ニ「砂重石」ト云フ文句ヲ拔キマシテ、「其ノ他沖積鑛床ヲ爲
シタル金屬鑛ヲ謂フ」斯樣ナ風ニ改メタニ過ギマセヌ、ソレカラモウ一ツハ第四條ノ但書
及第六條ニ於キマスル所ノ第一項二項ニ「砂金」トアルヲ「砂鑛」ニ改ムルト云フ原案デ
アッタノデアリマスケレドモ是ハ其必要ヲ認ムルコトガ出來ヌト云フ理由ヲ以チマシテ此
部分ハ削除致シマシタ、サウシテ現行法通リニ留メ置クト云フコトガ修正案ノ第二ノ要
項デアリマス此修正案ニ對シマシテハ提案者モ多大ノ滿足ヲ以テ贊成ヲセラレ
政府ニ於キマシテモ同意ヲ表セラレタノデアリマシテ、結局委員會ニ於キャシテムの場合に
致、此修正案ヲ可決確定致シタ次第デアリマス、願クハ本院ニ於キマシテモ、
御贊成アラムコトヲ希望致シマス次第デアリマス
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=28
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029・島田三郎
○議長(島田三郞君) 本案ニ付テ第二讀會ヲ開クニ御異議ハアリマセヌカ
(「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=29
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030・島田三郎
○議長(島田三郞君) 御異議ガ無ケレバ第二讀會ヲ開クコトニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=30
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031・福田又一
○福田又一君 直ニ第二讀會ヲ開キ第三讀會ヲ省略シテ委員長ノ報告通リ可決確
定セラレムコトヲ望ミマス
(「贊成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=31
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032・島田三郎
○議長(島田三郞君) 福田君ノ發議ニ御異議ハナイト認メマス、直ニ第二讀會ヲ開
キマス
5
砂鑛法中改正法律案(戶叶薰雄君提出)第二讀會(確定議)
〔「異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=32
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033・島田三郎
○議長(島田三郞君) 此場合三讀會ヲ省略シテ委員長報告通リ可決確定致シテ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=33
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034・島田三郎
○議長(島田三郞君) 可決確定致シマス、次ハ日程第十、農會法中改正法律案ノ
第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報告ヲ求メマス--委員長川崎安之助君
農會法中改正法律案(齋藤宇一郞第一讀會ノ續(特記錄書
第十君外九名提出)報〓
〔川崎安之助君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=34
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035・川崎安之助
○川崎安之助君 此案ハ現在全國ニ於テ一万一千有餘ノ町村農會ガ、殆ド百三十
万圓ノ經費ヲ徵收シテ居ル、其中ニ多大ナル不納ヲ生ジテ居ル、而シテ其不納ヲ生ズ
ル者ハ比較的大地主若クハ其町村ニ於テ土地ヲ所有シテ居ラナイ所ノ者ガ不納ヲスル
ノデアル、物ノ分ッタ連中ガ法律ノ制裁力ガナイコトヲ奇貨トシテ不納ヲスルノデアル故
ニ之ニ對シテ强制徵收權ヲ與ヘテ、現在不振ニアル所ノ此農會ヲシテ益〓活動ヲ爲サシ
メタイト云フノガ本案ノ大體ノ趣旨デアリマシテ、政府ハ此案ニ對シテ反對ハシナイ、併
ナガラ又贊成モシナイト云フノデアリマス、其理由ハ政府ハ此農會法ノミナラズ、農會令
ニ於テモ改正ノ意見ヲ有ッテ居ル、二年以前ヨリ是等ノコトニ於テイロ〓〓調査ヲ遂ゲ
テ居ル、唯今ハ調査中デアルカラ此調査ヲ俟ック上デ、斯ノ如キ徵收權ノ問題モ解決シタ
イ考デアル故ニ今一年程藉スニ時間ヲ以テシテ貰ヒタイト云フ政府ノ答辯テアリマス、
委員ハ多數ハ之ニ滿足スルコトガ出來ナイ、農會法ヲ實施セラレテヨリ既ニ十數年ノ間
デアル町村農會ガ如何ナル働キヲシテ居ルカ、如何ナル活動ヲシテ居ルカト云フコトハ
政府ニ於テ常ニ是ガ監督ヲシテ居ラナケレバナラヌ筈デアル而シテ此徵收權ノ問題ハ
今俄ニ起ッタモノデハナクシテ、數年以前ヨリ帝國農會若クハ府縣農會ナドカラ續々政
府ニ向ッテカラニ要求ヲシテ居ル所ノ問題デアル然ルニモ拘ラズ漫然トシテ殆ド三年ニ
亙ッテ是ガ繼續ノ調査ヲシテ、マダ調査ヲ終ラナイト云フヤウナコトハ實ニ政府ハ怠慢デ
アル、殊ニ政府就中農商務省ハ近來此歐羅巴ノ戰爭ニ於テ一時ノ必要ヲ感ジテ居ル
所ノ鐵デアルトカヽ或ハ染料デアルトカ、斯ノ如キ所謂際物ノミニ沒頭シテ、國家ノ基
礎根柢タル所ノ農業界ヲ輕視スル--輕ク視ル所ノ傾キノアルノハ吾ミ委員ノ實ニ遺
憾トスル所デアル、デ又政府ハ一年以內ニ於テ必ズ此問題ヲ解決スルガ故ニ、今此ニ
改正ヲスルナラバ又法律ヲ更ヘナケレバナラヌト云フヤウナ心配ヲ持ッテ居ルヤウデアルケレ
ドモ、所謂朝令暮改ト云フコトハ、方針ガ無クシテ此法律ヲ度々更ヘルノガ朝令暮改デ
アル、一定ノ方針ヲ立テテサウシテ法律ヲ改正スルノハ是ハ朝令暮改デハナイ一九ノ一
主義方針ニ向ッテ改正ヲ加ヘルト云フコトハ朝ニ拵ヘタ法律ヲタニ改メタ所ガ決シテ
朝令暮改デハナイカラシテ、若シ政府ガ本案ノ趣意ニ贊成スルナラバ一年ノ後ニ更ヘル
コトハ分ッテ居ッテモ、此際ニ於テ宜シク同意シテ是ガ通過ヲ計ルコトガ、相當デアルト云
フ委員會ノ多數ノ議論デアリマシテ、結局委員會ニ於テハ斯ノ如キ意見ヲ以テ滿場一
致デ以テ本案ノ通リ可決シタノデアリマス、此段御報告致シマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=35
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036・島田三郎
○議長(島田三郞君) 本案ニ付テ第二讀會ヲ開クニ御異議ハアリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=36
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037・島田三郎
○議長(島田三郞君) 御異議ガナイト認メ第二讀會ヲ開クコトニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=37
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038・福田又一
○福田又一君 直ニ第二讀會ヲ開キ第二一讀會ヲ省略シ委員長ノ報告ノ通リ可決確
定セラレムコトヲ望ミマス
(「贊成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=38
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039・島田三郎
○議長(島田三郞君) 福田君ノ發議ニ付テ御異議ガナイト認メマス、直ニ二讀會ヲ
開キマス
農會法中改正法律案第二讀會(確定識)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=39
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040・島田三郎
○議長(島田三郞君) 御異議ガアリマセヌカラ第三讀會ヲ省略シ委員長報告ノ通
リ可決確定致シマス(拍手起ル)日程第十一東北六縣國有林野下戾處分ニ關スル
建議案之ヲ議題ト致シマス提出者半谷〓壽君
第十一東北六縣國有林野下戾處分ニ關スル建議案(半谷〓
壽君提出)
東北六縣國有林野下戾處分ニ關スル建議案
東北六縣國有林野下戾處分ニ關スル建議
東北六縣國有林野ノ大部分ハ往時人民ニ於テ關西地方田畑ノ裏作(二毛作)
ト同樣ノ意味ニ於テ自由ニ林產ヲ採取シ來リ東北農家ノ最大ナル利源タリシノミナ
ラス德川時代ニ於テ東北カ國家的社會的ニ發達シタルハ實ニ此ノ法度ニ出テシモ
ノナリ然ルニ明治初年官民有地區分査定ノ際政府ハ誤テ此ノ至大至重ナル事情
ヲ調査〓究セス關西地方ニ於ケル山野ト同一視シ之ヲ官有ニ編入セシヲ以テ忽チ
其ノ關係町村ハ之カ影響ヲ受ケ其ノ生活資源ノ一半ヲ失ヒ爲ニ非常ノ困難ニ陷リ
タリ之カ救濟ヲ屢政府ニ迫リ遂ニ其ノ結果トシテ曩ニ國有林野下戾法ノ制定ヲ
見タリト雖其ノ目的ハ專ラ書類ノ證據ニ偏シタルヲ以テ領主ノ變更屢ニシテ又比較
的政務擧カラス誅求多カリシ東北ハ僅ニ證據書類存在セシノミニテ其ノ多クハ書類
ノ證據舉カラス爲ニ該法ノ惠ニ浴スルコト能ハス益不公平ヲ助長セシムルノ結果ニ
了レリ故ニ政府ハ從來各藩諸領ニ於テ採用シ來リタル慣行成績ヲ更ニ調査シ速ニ
關係人民ニ對シ該國有林野下戾ノ法ヲ講セラレムコトヲ望ム
右建議ス
〔半谷〓壽君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=40
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041・半谷清壽
○半谷〓壽君 今ヤ議會モ切迫致シテ、最モ簡單ヲ歡迎サレマスル今日此時、私ノ
問題ノ如キ一地方ニ關係スル-而モ問題ハ甚ダ陳腐ニ屬シテ居リマスルモノヲ以テ、
殊ニ辯論ニ長ケマセヌ私ハ此際諸君ニ諄ク申上ゲンケレバナラヌ問題ヲ以テ時間ヲ拜借
スルト云フコトハ、甚ダ恐入リマスコトデゴザイマスルケレドモ、諸君モ御承知デゴザイマス
ル事北ノコトハ實ニ戊辰以來ノ政治經濟地理季候等ノ壓迫ヲ受ケマシテ、今ハ非常
ノ衰頽ヲ來シテ居リマスルコトハモウ私ガ辯明スルマデモナク御承知ノ次第デゴザイマ
入、然ルニ今日ハ病膏肓ニ至ッテ居ルトデモ云フノデゴザイマセウカ、全ク非常ノ境遇ニ
至ッテ、此際何トカ東北ノコトヲ御救ヒ願ハンケレバ東北ノ立ツコトハ出來ナイコトニ
至リマス故ニ、此際諸君ニ御迷惑ナガラ暫クノ間時間ヲ藉サレテ私ノ諄イコトヲ御聽取
リヲ願フコトヲ希望シテ止マヌ次第デゴザイマス、諸君モ御承知ノ通リ此東北ノコトハ、
元來諸君モ御承知デモゴザイマスル通リノ次第デ、日本ノ國柄ト云フノハ一年ニ二度ノ
作ノ出來マセヌ所ハ國家ヲ成立スルコトー國家ヲ成立スルコトガ出來ナカッタ、日本
ハ古來農ヲ以テ立チマシタコトデゴザイマスルガ、其農ヲ行フ上ニ付テ一年ニ二度以上作ノ
出來マセヌ所ニハ國家ガ出來ナカッタ、ソレ故ニ諸君モ御承知ノゴザイマスル通リ此關
東マデハ早ク開ケマシタモノデゴザイマス關東マデハ早ク開ケマシタコトデゴザイマスルケレド
モ、關東以北ハ長ラク開ケナンダ、德川時代ニ至ッテ漸ク國家ガ開ケタト云フコトハ、單
ニ東北ガ地理ノ上ニ付テ惡ルイトカ或ハ時代ガ後レテ居ルトカ云フモノデハナク、根本
ハ日本ノ國家ノ組織ハ-日本ノ國家ノ組織ハ今云フ通リノ次第デ、一年二度ノ作
ガ出來マセヌ所ハ國家ノ成立ガ出來ナイモノデアッタノデアリマスル、故ニ此東北ノ事柄
ト云フモノハ德川政府ガ立ッテ以來、各地ニ封建ノ制度ガ行ハレテサウシテ諸候ハ立
チマシタケレドモ、諸君モ御承知ノ通リ東北ノコトハ其後暫クノ間東北ガ發逹ヲシナカッ
タ、非常ナ不幸ヲ受ケマシタモノデアッタ併ナガラ段々〓究ノ結果此東北ハ元來一度シ
カ作ハ出來ナイ爲ニ、國家ハ成立シナイノデアルカラ此ニ於テ何トカシテ東北ニ二度ノ
二毛作以上ノ仕事ヲサセルヤウナ工面ヲ欲シイト云フノデ、〓究ノ結果森林ヲ以テ二毛
作ニ充テルコトヲ致シタノデアル、ソレデ漸ク東北ト云フモノハ此國家ガ從前德川ノ時代
ニ發逹シタコトデアッタノデアリマスルケレドモ其後明治ノ政府ニ至リマシテカラハサウ云
フ歴史モ何ニモ顧ミズシテ、悉ク之ヲ破ッテシマッタ、其結果東北ハ今日ノ衰頽ヲ致シマ
シタコトデゴザイマスルガ爲ニ、東北ノ今日ヲ來シタモノハ決シテ東北自ラ致シタモノデナ
クシテ明治政府ガ之ニ對スル政ノ執リ方ガ方針ヲ誤ッタ結果デアル、ソコデ諸君、從來東
北ガドウ云フ制度ヲ執ッテ居リマスルト申シマスレバ諸君モ御承知ノ通リノ次第デ、此東
北ノ森林ト云フモノハ上方ノ森林トハ甚ゲ其性質ヲ異ニシテ居リマス、上方ノ山ト云フモノ
ハ多ク砂山デゴザイマス、自然流レテサウシテ耕地ニツレガ及ンデ居リマスルカラ、耕地ガ肥
沃ニナッテ居リマスルケレドモ、東北ノ森林ハソレトハ違ッテ、東北ハ森林ガ砂デアリマセヌデ
山ニ勢力ヲ保ヲテ居リマス、ソレデアリマスルカラ東北ノ此生命ト云フモノハ森林デゴザイマ
シタガ爲ニ、從來東北ノ森林ノ經營ト云フモノハ各藩皆非常ニ注意ヲ致シマシテ、先ヅ
相馬-私ハ相馬藩デゴザイマスルガ相馬藩ナドニ取リマシテ、其相馬藩ノ森林ト云フ
モノノ制度ハ五木制ト云フヲ執リマシテ、五木制ト云フモノハ全體相馬ノ森林中ニ生ズ
ル所ノ自然ノ木ハ五ノ木ヲ除キマス外ハ總テ之ヲ人民ニ採ラセマシタモノデアリマスルサ
ウ云フ次第デ其全體ノ森林ト云フモノハ百姓ノ自由採取ヲ許シテ居リマシタモノデアリ
マスル其外津輕ノ森林ノ方ノ如キハ御留山、御預山、御成山ト云フヤウナ制度ヲ採ッ
テ、サウシテ是亦人民一般ニ其惠ニ浴セシメタモノデアリマス、秋田ノ森林モ其通リ、卽チ
東北ノ全體ノ森林ト云フモノハ悉ク此藩ニ於テハ從來非常ノ制度ヲ設ケテ、サウシテ其山
ノ恩惠ト云フモノハ悉ク此地方人民ニ與ヘタモノデアリマス、繰言ニモ申ス通リノ次第
テ、從來東北ハ二毛作ノ出來マセヌ爲ニ-二毛作ノ出來ナイ所ニ國家組織ヲ致シ
マシタ所ガ其國家組織ガ立タナイ、ツイ〓〓其〓究ノ結果森林ヲ以テ上方ノ一一毛作ニ
當テマスル制度ヲ採ッテ、爰ニ東北ハ此戊辰以前ニ發達ヲ致シマシタ、然ルニ前申ス通
リノ次第デ其歷史モ其事實モ何モ調ベズシテ、明治初年ニ於テハ此野帳ニ掲ッテ居リマ
シタル所ノ僅ノ森林ヲ所有スルト云フコトニナッテ居ッタダケヲ人民ニ所有致サセテ、サウシ
テ其餘ノモノハ悉ク之ヲ官ガ取ッテシマッタ、官ガ取リマシタモノデゴザイマスルカラ東北ノ
人民ニ於テハ元々田地一ツデハ飯ヲ食フコトハ出來ナイ、ソレデ森林ヲ以テ其缺ヲ補ハ
シメテ置キマシタ、卽チ上方ノ二毛作ト同樣ニ東北ニ森林ヲ當テヽ置キマシタ其森林
ガ之ヲ悉ク政府ニ奪ハレマシタモノデゴザイマスカラ、人民ガ之ガ爲ニ非常ノ不幸ニ陷リ
マシタ、サウシテ遂ニ東北ノ今日ヲ來シタモノデゴザイマス而シテ其東北ニ於テ東北ノ
森林ガドウ云フヤウニ一般人民ニ利益ヲ與ヘタト言ヘバ之ヲ委シク申シマスレバ東北ノ
生活ノ資料ノ半バ以上ヲ森林カラ取リマシタ、上方トハマルデ違ッテ居リマシテ、悉ク東
北ノ生活ノ資料ト云フモノハ森林ヨリ取リマスルコトハ、此薪炭材木ハ勿論ノコトニシ
テ、肥料ヲ初メトシテ此草ヲ刈ルコトヤ或ハ木ノ葉ヲ集メル屋根ノ材料マデモ、果物デ
モ野菜デモ、或ハ諸君モ御承知ノ通リ東北ニハ竹ガゴザイマセヌガ、自然ノ竹ガ東北ノ
山ニハイロノ〓簇生致シマシテ、サウシテ其竹ハ-竹ノ需要ハ悉ク山カラ取ルト云フヤ
ウニ、其外〓料トシテ此平常ノ〓料ニ供スル所ノ澱粉ノ如キハ是亦山カラ取リマスル、ヲ
レカラ又此衣服ノ料ニ致シマスル所ノ麻ノヤウナモノ、或ハサウ云フヤウナ總テノモノモ是
モ山カラ取リマシタ、染料、染物ノヤウナモノモ悉ク山カラ取リマシタ、藥ノヤウナモノモ
山カラ取リマシタ、菌ハ勿論其外雜業ニ至リマシテハ何デモ總テ山カラ取リマシテ、ソレヲ
以テ一年ノ半業ト致シタモノデアッタノデアリマス、上方ノ山ハソレニ反對デアリマシテ、草
木ノ生シ方モ東北ノ森林トハマルデ違ッタ、ソコデゴザイマスルカラ上方ノ方デハ幸ニ氣候ガ
良イ爲ニ耕地ヲ以テ總テノ生活ノ資料ト致シマシタケレドモ、東北ニ於テハドウシテモ田
畑バカリデハ飯ヲ食フコトハ出來マセヌ、デ森林ヲ以テ百姓ヲ養ハナケレバナラヌ制度デ
アッタノデ、ソレヲバ繰言ニ申上ゲルヤウナ次第デ-サウ云云次第デアリマスルカラ東北
ニ於テハ東北ノ各藩ハ成ルベク此山林原野ヲ一般ノ個人ニ之ヲ所有セシメナイ、サ
ウシテ國家ガ何處ニデモ之ヲ持ッタモノデアル、國家ガ持ッタモノデハナイ公共ノモノニシテ
居リマシタ、然ルニ今言フ通リ其事ヲ考ヘズニ悉ク之ヲ官ガ取ッテシマッタモノデゴザイマ
スカラ、森林ト云フモノハ不足ニナルト同時ニ、國有ノ林野ノアルコトハ非常ニ多クナツ
タノデ、明治初年ニ改租ノ當時ニドウ云フヤウニ官有地ガアッタカト言ヘバ皆サンモ御
承知ノヤウナ次第デ、此改租ノ當時ニ於キマシテハ一千万町步日本ノ官有地ガゴザイマ
シタ、其中東北六縣ニ屬スル分ハドノ位デアルカト云フト四百万町步アリマシタ、ソレヲ
各縣ノ分別ニ致シマスルト德島奈良、福井ハ民有九割アリマシタ、官有ガ僅ニ一割
デアリマス一割ト言ヘバ絕對ニナイモノデアル、此邊ハ皆サンモ御承知ノ通リノ次第デ、
官有地ノナイ縣ガアリマス、有ルト云フノハ僅ニ此社寺ノ上地ト云フヤウナモノニ係ッテ
居リマス、高知、和歌山、三重、香川愛知、神奈川、京都アタリハ漸ク民ノ割合ハ
八分ニシテ官ハ二割シカアリマセヌ茨城山口廣島、兵庫長崎長野福岡等
ハ民ハ七分ニ官ハ三分、新潟、栃木岡山、島根鳥取、石川是等ハ民ノ方ハ六
分デ官ハ四分宮崎鹿兒島、熊本、岐阜等ハ官ハ五分デ民モ五分、山梨群馬
巖手宮城、山形等ハ民ハ三分テ官ハ七分トナリマシタ、靑森、秋田福島ニ至ッテハ
民ハ僅ニ二割デアリマス、官ハ八分ゴザイマス、斯樣ナ割合ニ此明治初年ニ官有地査
定ニナリマシタ時分ノ狀態ハ斯樣デゴザイマス、其後下戾法案ガアッテ多少之ニ付テハ
下戾シノコトモ出來マシタ、アリマシタコトデゴザイマスルガ是亦諸君モ御承知ノ通リ、大
體其證據書類ヲ基礎トシテ此下戾法案ヲ行ハルヽコトニナリマシタ、所ガ東北ノ各藩ナ
ドノ狀態ヲ調ベテ見マスルト政治ノ能ク行ハレテ、民ヲ全ク安泰ニ進メタ善イ政治ヲ執ッタ
國々デハサウ云フモノハ絕對ニナカッタ、不文律ニナッテ-不文法ニナッテ森林ト云フモ
ノハ民ニ持タシタト云フヤウナ證據ハ一ツモナカッタ、偶〓東北デ證據立ッテ居ルモノハ惡
政治ノ行ハレ、サウシテ苛稅ノ行ハレテ山マデモ年貢ヲ取ラレタトカ、或ハ度〓藩ガ變ツ
テ其當時ニアッテ此何カ變リガアッタトカ、乃至ハ此爭ヒガ起ッテサウシテ其時ノ證據
ガアッタト云フヤウナ、ツマリ東北地方ニシテ見マスト一番政ノ惡ルク行ハレタ地方ノ小
サイ所ニ僅カノ證據ガ殘シテ居ルサウ云フモノヲ以テサウシテ此下戾法案ガ採決致シマ
シタコトデゴザイマスルカラ、其事ノ行ハレテ一層益〓不幸ニナッテ參ッタ、其後林野法ガ行
ハレテ是ガ拂下ガアッタト一云フヤウナモノデアリマスケレドモ、益〓其後ニナッテモ少シモ東北ノ
コトハ改メナイ、現今現在此今日ノ事情ヲ調査シテ見マスルト云フト、今此國有
林野ニナッテ居リマスル所ハ四百二十八万一千七百七十町步アル其內靑森大林區
署ニ屬スルモノガ百二十万六千七百三町歩、秋田縣大林區署ニ屬スルモノガ七十八
万五千四十二町歩、東京ハ百四十万七百四十五町歩デアリマスガ、其內福島一縣
ガ五十万二千八百三十二町步アリマス、大阪ノ如キ三十七万九千町歩、高知ハ十七
万六千町歩、鹿兒島ハ四十三万九千町步、此ノ如キ狀態デアッテ鹿兒島ノ如キ高知
ノ如キ大阪ノ如キハ一大林區ヲナシテ居リマスケレドモ、タンダ福島一縣ニモ及バナイ
ト云フヤウナ有樣デゴザイマス、此ノ如ク東北ハ此森林ガ第一ノ財源デアッテ、山林原
野ハ悉ク官有トナッタノデアリマスカラ、其後ノ結果ハ諸君モ御承知ノ通リ草一籠刈ッ
テモ或ハ木ノ枝ヲ採ッテモ悉ク皆是ハ處罰ヲ受ケテ、其後諸君モ御承知ノ通リ東北
ニ於テ非常ノ不幸ヲ受ケタト云フモノハ此官有ト從來官有地ヲ拵ヘナイデ民ノ物
デアッタモノヲ俄ニ官有ニサレマシタカラ、ソレガ爲ニ罪ヲ犯シテ其犯罪ノ結果ヨリ不幸ヲ
シタバカリデモ非常ナモノデアル、ソレノミナラズ是デハナラヌト初メテ氣ガ付イテ是レノ下
戾運動ニ掛リ、或ハ是ガ爲メ訴訟ヲ起スト云フヤウナコトデ、此一事カラ見テモ東北ハ
非常ニ不幸ヲ來シタモノデアリマス、ソレモ宜ウゴザイマスガ元ト東北ノ人民ハ山ハ田地
ニ次イダ財產デ非常ニ尊キモノデアッタカラ、山ヲ愛スルコトガ甚シクシテ後ノ如キ濫伐ヲ
スルヤウナコトハ決シテ致サナイノデアッタケレドモ、一朝官有トナリ林區制ヲ行ハレテ嚴
格トナリ、此ニ菌一ツモ採ルコトガ出來ナイト云フ境遇ニ至ッタ、隨分大切ニ山ヲ愛スル
モノデアッタガ、此度ハ木材ヲ盜テ來ル者モアリ火ヲ放ケル者モアル頭カラ火ガ生ジテモ
之ヲ防グト云フコトガ無クシテ、諸君御承知ノ通リ東北ノ森林ハ今日ハ非常ナ荒廢ヲ
來シタモノデアリマス、先キモ申シマス次第デ東北ノ森林ハ元來荒廢スベキモノデナイ、東
北ノ森林ハ上方ノ森林ノヤウナ人爲ヲ以テ植ヘズトモ宜イヽ獨リデニ立派ナ森林ヲ作シ
マスル、秋田ノアノ立派ナ森林ノ如キモ決シテ是ハ植ヘクモノデナイノデ、津輕ノ森林モ
是亦植エタモノデアリマセヌ、會津ノ森林相馬ノ美林モ植エタモノデナイ、是ハ悉ク自然
ノ結果デ法ノ然ラシムル所ニ依テ出來タノデアル、其法トハドウデアルカト云フト民ト共ニ
ヤッタモノデ、民ト共ニト云フヨリハ卽チ東北ノ森林經營ハ國家ガ少シモ利スルノデナイ、
森林ヲ拵ヘタカラト云ッテ各藩各士ガ其山ヲ賣ッタト云フコトガナイ、ソレヲ悉ク地方人
民ノ爲メニシタモノデアッタ、所ガ何ゾ圖ラン其森林モ明治政府ニ奪ハレマシテ悉タ取上
ゲラレマシタカラ、其結果民ハ山ヲ愛スル所カ其山ノタメニ非常ニ迷惑ヲ受クルト云フ結
果ヨリシテ、今日ハ非常ニ荒廢シテ、サウシテ今ヤ國有林トナッテ國家ガ之ヲ經營シテ造
林法ヲ以テ何カ致シマスケレドモ到底イケナイ、其造林法ナドハ諸君モ御承知ノ通リノ
次第デ今日ノ不成績ハ何デアル、ソレハ不成績ハ當然ノ話デ、ドウシテモ防ゲヌコトニ
ナッテ居ル一般人民ニ反對シテヤリマスカラトテモイケナイ、サウ云フ次第デアリマスガ爲
ニドウカ此東北ノ今日ニ成リマシタ原因ニ付テハ、實ニ明治政府ノ施政方針ノ全ク東
北ノ實體ニ適ハナイ所ノ過チカラ來シタノデアリマスガ、其後最モ大ナル根本ヲナシタルモ
ノハ卽チ此森林ノ國有林デゴザリマス、是ハドウシテモ元ノ如クニ舊慣ニ依テサウシテ東
北人ノ人民ニ之ヲ下渡シテ貰ハナケレバナラヌ、東北ニハ諸君モ御承知ノ次第デ名君宰
相ガ起ッテ、東北ノアノヤウナ氣候ノ惡イ地質モ惡イ位地モ惡イ所ノ東北ガ、明治以前
ニ當テハ非常ニ進步シタ、其進步シタモノハ何カト云ヘバ則チ東北ニハ名君ガ度〓現ハレ
タヽ鷹山公ノ如キ或ハ白河ノ樂翁公、仙臺ノ政宗公ノ如キ、實ニ天下ニ稀ナル政治家
ガアッタ、其政治家ガ政事ヲ執ッテ東北ヲ振興致シマシタ原因ニ遡ッテ考ヘテ見マスト、
悉ク森林ニ依テ振興シタノデアリマス、森林法ノ定マラヌ中ハ東北ハ到底盛デナカッタ、
其筈、先刻カラ申シマス通リノ次第デ、東北ハ到底一年一作ノ耕地ノミラ以テ立ツコ
トガ出來ナイ、森林ヲ以テ初メテ之ヲ補ッテ、上方ノ二毛作ヲ行フト同樣ニヤッタノデアリ
マヽ、ソレデ古來ノ政治家ハ東北ヲ振興セシメタ此政治家ハ悉ク森林ニ重キヲ置イテ、
森林ノ經營宜シキヲ得テ、是ニ於テ初メテ東北ノ振興ヲ來シマシタカラ、今ヤ東北ノ振興ヲ
圖ラント云フ時ニ於テハ、政府ニ於テハ東北ノ曩ニ政治家ガ森林經營ニ力ヲ用井タ如クセ
ナケレバナラヌ況ヤアナタ方ハ東北ヲ治メテ下サル上ニ就テハ、是非トモ此東北ノ森林ニ
重キヲ置イテ御調査ヲ願ヲテ、ドウシテモ東北ノ森林ヲ從來ノ慣例ノ如クニ改メテ、サウシ
テ東北ヲ再興セシムル計ヲ採ッテ頂戴セナケレバナリマセヌ私共今日ノ所テハ天下ニ東
北ヲ振興スルトカ、東北ヲ救濟シテ呉レルト云フ聲ガ度〓起リマシテ甚ダ喜ンデ居リマス
ガドウカ一日モ早ク東北振興策ヲ講ジテ頂戴シタイ、又東北ヲ救フテ頂戴シタイト云
フコトハ望ムノデアリマスケレドモ、併ナガラ其實際ニ於テハ〓濟ト云フ言葉ハ成程有リ難
イ言葉デアリマスケレドモ、實際ニナッテ見ルト私共救濟ヲ受クルト云フノデナク、囘復ヲ
シテ頂戴シタイ、元〓東北ト云フ所ハ自然今日ヲ來シタ、或ハ東北ハドウシテモ斯ウシテ
モ斯ウナラナケレバナラヌト云フ東北自カラ之ヲ招イダモノナラバ救濟モ願ハナケレバナラ
又、振興策モ講ジテ頂戴シナケレバナラヌガ、其實ハ戊辰以前ニ當ッテハ東北ハ非常ニ
發達シテ、決シテ天下各地ニ劣リハシナカッタ、ソレヲ今日此明治政府ノ誤リノタメニ東
北ハ今日ヲ來シタモノデアリマスレバ是ハ囘復シテ東北ノ言葉テ之ヲ「マヤ」ッテ貰ヒ
タイ「マヤ」ッテ貫ヒタイト云フコトハ是ハ元ノ通リシテ貰ヒタイト云フコトデアリマス、全
ク今日ノ東北ハ決シテ自然ニ來ッタモノデナク東北人自ラ來シタノデナク、戊辰ノ戰爭ニ
誤ッテ負ケテ賊ナドヽ呼バレタガ決シテ賊デハナカッタ、決シテ東北ハ錦旗ニ背イタ譯デナ
カッタ、大義名分ヲ誤リ勝テバ官軍負ケレバ賊、負ケタカラ賊名ヲ受ケノタノデアリマスケ
レドモ、決シテ東北ハ賊デモ何デモナカッタ、卽チ負ケタカラ不幸ニシテ降參侍ノ取扱ヲ
受ケタ迄デアル、何モ彼モ悉ク東北ノ事情東北ノ歷史モ顧ミズ東北ヲ一山百文扱ヲ
シテサウシテ今日ニ至ラシメタモノデアレバ今日ニ於テ是非トモ東北ヲ元ノ通リニシテ貰
ヒタイ、所謂「マヤ」ッテ貰ハナケレバナラヌコトデアリマスカラ、サウ云フ眞意ニ於テ一番先
キニ東北森林ヲ元ノ通リニシテ貰ヒタイ、斯ウ云フノガ私ノ意見デアリマス、願クバ此上
ニ於テ御贊成アランコーヲ希望シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=41
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042・福田又一
○福田又一君 本案ハ議長指名九名ノ委貝ニ付託シ審査セラレハコトヲ望ミマス
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=42
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043・島田三郎
○議長(島田三郞君) 福田君ノ議ニ御異議ガナイト認メマス、議長指名九名ノ委員
ニ付託シ審査セシメルコトニ決シマス、日程第十二第十三ハ問題ハ違ッテ居リマスガ提
出者ハ同一ノ方デアリマス、依タテ兩案ヲ續イテ說明スルコトニ致シタイト思ヒマス
(「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=43
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044・島田三郎
○議長(島田三郞君) 日程第十二、金玉均表彰ニ關スル建議案、續イテ日程ノ第
十三安房鐵道速成ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス、小林勝民君
第十二金玉均表彰ニ關スル建議案(小林勝民君外四名提出)
金玉均表彰ニ關スル建議案
金玉均表彰ニ關スル建議
金玉均ハ朝鮮ノ功臣ニシテ大ナル犠性者タリ政府ハ須ラク其ノ功勞ヲ認メ之ヲ表彰
セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第十三安房鐵道速成ニ關スル建議案(小林勝民君外一名提
出
安房鐵道速成ニ關スル建議案
安房鐵道速成ニ關スル建議
政府ハ安房沿岸鐵道ヲ速成セラレムコトヲ望ム
右建議ス
〔小林勝民君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=44
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045・小林勝民
○小林勝民君 風ヲ引イテ居リマシテ、極ク簡單ナ問題デゴザイマスカラ簡單ニ申シマ
ス(「ドウカ說明モ簡單ニ顧ヒマス」ト呼フ者アリ)極ク簡單ニヤリマス、諸君、凡ツ世ニ
番尊イ所ノモノハ社會ノ先覺者、國家ノ志士仁人ノ其社會國家ニ對スル犧牲デアリマ
ス、此犧性アルガ爲ニ社會ガ進步シ國家ガ進步スル所以デアル若シモ社會ヨリ國家ヨ
リ此犧牲ナルモノヲ取拂ッタナラバ、其社會國家ハ實ニ哀レ果敢ナキモノトナルニ相違ナ
イノデアリマス、本案ニ於キマシテ滿場諸君ノ御同情ヲ仰イデ其表彰ヲ求メヤウトスルト
コロノ此金玉均ナル者ハ、朝鮮ノ先覺者デアリ、東洋ノ先覺者デアリマシテ、而シテ又
朝鮮ノ志士仁人デアリマス、然ルニ此人ガ捧ゲタル犠牲ハ朝鮮ニ對シテノミナラズ、實
此東洋ニ對シテ卽チ間接ニ我日本ニ對シテ大ナル犠牲ヲ拂ハレタノデアリマス、獨リ其
一身ヲ抛ッタノミナラズ、其一家ヲ抛ゲ其九族ヲ捨テヽ、サウシテ其ノ國家ニ盡シタルトコロ
ノ犧牲デアリマス、サウシテ其末路ハ御承知ノ如ク實ニ慘憺タルトコロノ結末ヲ以テ終ッ
タノデアリマス、此ノ如キ犧牲者ト云フモノガ-此ノ如キ悲慘ナル末路ヲ遂ゲタルコトヽ
云フモノハ、歷史ノ上ニ於テ餘リ其類例ヲ見ナイトコロデアリマス、然ルニ此金玉均ナル者
ノ人物其功業ト云フモノハ、未ダ今日ニ至ルマデ朦朧トシア多少知ッテ居ル者モアリマスケレド
モ、其ノ偉大ナル人物ノ眞價ト云フモノハ、未ダ世ノ中ニ現レテ居ラヌノデアリマス、是ハ實
ニ此聖代ノ大ナル汚點デアリマス、旣ニ朝鮮ガ我日本ニ併合セラレタル以上ハ、之ヲ受繼
イデ日本國家ノ責任トシテ朝鮮ノ志士仁人ハ日木ノ志士仁人デアル、朝鮮ノ偉人ハ日本
ノ偉人デアル、朝鮮ノ先覺者ハ日本ノ先覺者デアルトスルナラバ其功勞ヲ表彰スルコト
ハ一ツハ國家ガ志士仁人ニ對スル義務一ツハ此國家ガ其先覺者ニ對シサウシテ又
後ノ世ヲ奬勵スル-後ノ世ノ模範ニスベキトコロノ國家ガ世間ニ負フトコロノ大ナル
義務デナケネバナラヌ、此事柄ハドウシテモ國家ノ責任トシテモ力メナケレバナラヌコトデア
ルト私ハ信ジテ居ルノデアル然ルニ今日迄未ダ其事ガナイト云フコトハ甚ダ遺憾ニ存ズ
ル次第デアリマス、此ニ一言附加ヘテ申上ゲテ置カナケレバナラヌコトハ、唯今迄申シタ
ルコトハ國家トシテ當然世ノ先覺者ニ對シ志士仁人ニ對スル當面ノ責務デゴザイマスケ
レドモ、日本政府トシテ-日木政府トシテ金玉均ナル者ニ對シテハモウ一ツノ義務ガ
アル、負債ガアルノデアル、卽チドウシテモ金玉均ニ對シテ負フテ居ルトコロノ大ナル債務
ガアルノデアル、ソレハ何デアリマスカト申シマスレバ、明治十七年ニ於テ金玉均等ガ此囘
天ノ事業完タカラズシテ、彼ノ如キ蹉跌ヲ取ッタト云フノハ、當時ノ日本政府ノ大責任
デアリマス、卽チ當時日本政府ガ金玉均ニ約束シタコトヲ實行シナイ結果デアッテ、ア、
云フコトニナッタノデアル此債務ハ當時ノ日本政府ノ大債務デアッテ吾ミガヤハリ承
繼シテ今日ニ負ハナケレバナラヌトコロデアルト信ズルノデアリマス、ソレデドウゾ其債務ハ
暫ク措キマシテ、免ニモ角ニモ此大ナル犠牲者ニ對シテ其功勞ヲ表彰スルト云フコトニ
付テハ是非トモ本建議案ノ如ク御贊成ヲ煩シタイノデアリマス、ソレデ餘リ詳細ナコト
ハ申上ゲズ致シマシテ、私ハ此ニ果シテ此金玉均ナル者ハ如何ナル人物デアリ、又如何
ナル功業ヲ爲シタカ、又其金玉均ト日本政府其當時ノ事情等ノ關係、之ニ付テノ〓
末ヲ了解サルベク速記錄ノ終リニ記事ヲ記載セラレンコトヲ望ミマス、ソレハ京城變亂
始末-福澤諭吉君ノ手記サレタル京城變亂始末及友人會總代ノ弔文、之ヲ速記
錄ノ末尾ニ記載セラレンコトヲ望ミマス(拍手起ル)ウレカラ尙恐縮デスガモウ一ツ
日程ニゴザイマスル安房鐵道速成ノ建議デゴザイマス、是ハ無論詳シク申上ゲル必要ハ
アリマセヌ、御承知ノ如ク千葉縣ノ鐵道ガ內海ノ方ト外海ノ方ト兩方ニ分レテ居リマシ
テ、ソレガ何レモ途中迄行ッテ聯絡ガ付カヌノデアリマス、御承知ノ如ク安房ハ殆ド日本
第一トモ云ウテ宜イ海產物ノ土地デアリマシテ、此鐵道ノ聯絡ガ取レナケレバ到底房總
鐵道ノ效用ヲ完ウスル譯ニ參リマセヌ、ドウゾ比建議ノ趣旨ヲ御酌取リ下サッテ御賛成
ヲ願ヒマス
〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=45
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046・福田又一
○福田又一君 第十二ノ日程ニ對シテハ議長指名九名ノ委員、第十三ノ日程ニ對
シテハ同ジク議長指名九名ノ委員ニ付託シテ審査セラレムコトヲ望ミマス
(「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=46
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047・島田三郎
○議長(島田三郞君) 福田君ノ說ニ異議ガナイト認メマス、依シテ兩案共各議議指
名ノ九名ノ委員ニ付託スルコトニ決シマス、日程第十四、地方產業資金ニ關スル建議
案、之ヲ議題ト致シマス、提出者木村平右衞門君
第十四地方產業資金ニ關スル建議案(木村平右衞門君外一
名提出)
地方產業資金ニ關スル建議案
地方產業資金ニ關スル建議
政府ハ地方ヨリ吸收セル資金ノ大部分ハ確定ノ方策ニ基キテ之ヲ地方ニ還元シ以テ
地方產業ノ振興ニ資スルコトヲ要ス殊ニ簡易保險ノ實施ニ方リテ之カ決行ヲ切望ス
右建議ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=47
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048・木村平右衞門
○木村平右衞門君 本員ハ此建議案ヲ撤囘致シタイ考デアリマスルカラ、簡單ニ議席
カラ其理由ヲ申述べタイト思ヒマス、本建議案ノ第一ハ理由書ニモアル通リ地方ノ金融
ヲ調節シテ產業ノ發達ヲ圖ル趣旨デアリマスルガ、此事ニ付テ政府ノ意嚮ヲ質シマシタル
トコロ、近ク何等カノ方策ニ依ッテ本案ノ問題ヲ解決スルト云フ內意デアリマス、尙第二
ノ簡易保險ヲ實施サレル問題ニ付キマシテハ、本案ノ提案後ニ於キマシテ簡易保險ノ委
員會及本會ニ於テ本員ガ言ハントスル所ヲ詳細ニ述ベ盡サレテ居リマスカラシテ、百エ
此ニ本案ヲ提出スル必要ヲ認メマセヌ、以上ノ理由ニ依リマシテ本案ハ撤囘致シタイト
云フ考デアリマス
〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=48
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049・島田三郎
○議長(島田三郞君) 唯今木村君ヨリ撤回ノ御要求ガアリマシタ、御異議ハアリ
マセヌカ
(「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=49
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050・島田三郎
○議長(島田三郞君) 本案ハ撤囘ニ決シマス、日程第十五、八代川內間鐵道速成
ニ關スル建議案、之ヲ議題ト致シマス-武滿義雄君
第十五八代川內間鐵道速成ニ關スル建議案(山田珠一君外
四名提出)
八代川內間鐵道速成ニ關スル建議案
八代川內間鐵道速成ニ關スル建讀
鐵道敷設法第二條豫定鐵道線路中九州線ノ內熊本縣下八代ヨリ鹿兒島縣下
米津ヲ經テ川內ニ至ル鐵道ヲ第一期線ニ編入シ速ニ〓設セラレムコトヲ望ム
右建議ス
〔武滿義雄君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=50
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051・武滿義雄
○武滿義雄君 唯今ノ問題ニナリマシタ八代川內間鐵道速成ニ關スル建議案ニ付キ
マシテ、簡單ニ其理由ヲ說明シ諸君ノ御贊成ヲ仰ガウト存ジマス、熊本縣下八代ヨリ
鹿兒島縣下米津川內ヲ經テ鹿兒島市ニ至リマスルトコロノ線路ハ曾テ同時ニ豫定
線ニナッタノデアリマス、然ルニ其後明治四十二年ニ於テ當局者ノ線路ノ調査ノ結果
必要ニシテ至ッテ有利ナル線路ナルコトヲ認メラレマシテ、直ニ鹿兒島ヨリ川內間ノ線路
ダケハ數設計畫ヲ立テラレ、去ル大正三年ノ春ニ於テ其間ノ全部ノ竣工ヲ告ゲ開通ヲ
見ルコトニナッタノデアリマス、然ルニ此鐵道ノ出來上リマシタル分ハ全線ノ三分ノ一デア
リマシテ、殘リ三分ノ二ト云フモノハ豫定線ノ儘ニシテ工事ヲ中止シテアルノデアリマシ
テ、是ハ工事方針ノ上カラ見マシテモ、亦鐵道經濟ノ上カラ見マシテモ、甚ダ策ノ得タ
ルモノデナイト云フ考ヲ持ッテ居ルノデアリマス抑ミ熊本縣下八代ヨリ鹿兒島市ニ至リ
マスル線路ナルモノハ古來此物資交通ノ上カラ見マシテモ、至極編要ナル九州ノ縱貫
線中ノ南端ノ通路デアリマシテ、到ル處著明ナル驛邑村落ガ相接シ人口モ稠密デア
リマスルシ產業モ發逹シテ居リマスル到ル處製絲ノ工場モアリマスルシ或ハ有名ナ
ルトコロノ出水郡ノ煙草ノ產地、川內ノ煙草ノ產地モゴザイマス、其外海陸ノ產ニ富ン
デ居ルトコロノ土地柄デアリマスルノデアリマス、ソレノミナラズ有名ナル熊本縣下ニ於キ
マシテハ比奈久ノ溫泉場ガアリ、又鹿兒島縣ニ於テハ阿久根ノ溫泉場ガアリ市來ノ
溫泉場等ガアルノデアリマス、ソレ故ニ物貨ノ集散旅客ノ非常ニ頻繁劇增ヲ見ル所デア
ルノデアリマス、加之此沿線ノ風光ヲ見マスルト云フト非常ニ絕景ノ多イ處デアリマシ
テ、山ハ蒼ク水ハ〓ク西北ニ天草島ノ橫ハルアリ、又南西ノ甑島ノ橫ハルアッテ非常ニ其
絕景ヲ以テ見ル場所柄デアリマス、卽チ賴山陽ノ詩ニ、萬里泊船天草洋」ト云フノガ卽
チ此處デアリマシテ、卽チ是ガ天下ノ絕景デアリマス、若シ此鐵道線路ニシテ全通ヲ見
マシタナラバ殆ド通ル者ヲシテ歎賞禁ゼザラシムルトコロノ絕景ヲ、汽車中ニ於テ眺メテ
通ルト云フ結果ヲ見ルデアラウト云フ考デアリマス、(「贊成」ト呼フ者アリ)又私ガ申上
ゲルマデモナク地理的狀態カラ考ヘマシテモ、日本ハ東北ヨリ西南ノ方ニ橫ッテ居ルノデ
アリマスカラ、鐵道ノ經營策カラ申シマシテモ縱貫線ヲ完全ニスルト云フコトガ最モ必要
ナコトテアラウト思ヒマス、九州ニ於テハ肥薩線ガ旣ニ開通ニナッテ居リマスケレドモ、是ハ
MALBAS
諸君ガ御承知ノ通リ有名ナルトコロノ矢嶽ノ天險ヲ通ルノデアリマシテ、殆ド外ニ比シマ
シテ三分ノ一ノ輸送力シカ持タヌノデアル、所謂墜道ヲグル〓〓迴リマシテ、螺旋形ヲ
以テ墜道ノ中ヲ迴ッテ通ル所デアリマスカラ、輸送力ガ隨ッテ無ク、兩方ニ於テ大變ナ貨
物ガ堆積シテ居ルノデアル、聞ク所ニ依リマスト一師團ノ兵隊ヲ輸送致シマスルニ殆ド
一週間以上ノ日子ヲ費サナケレバ兵隊ヲ運ブコトガ出來ヌト云フノデアリマス、現ニ此
行軍等ニ於テ非常ナル不便ヲ感ジテ居ルノデアリマス、是ハ卽チ縱貫線トシテ不十分
ナモノデアリマスルカラ、地方ノ開發ハ勿論我國ノ國力增進ノ上カラ申シマシテモ、非
常ニ是ハ不足ヲ感ジテ居ルヤウナ次第デアルノデアリマス、諸君モ御承知ノ如ク我國ハ南
方ニ膨脹發展スルトコロノ趨勢ヲ示シツヽアルノデアリマスカラシテ、尙更此九州ノ南端
ニ於ケルトコロノ縱貫線ヲ完全ナルモノニ爲スト云フコトハ、最モ必要ナルコトデアルト思
ヒマス、矢嶽墜道ノ肥薩ニ較ベマシテ西海岸、卽チ建議案ニ載ッテ居リマス線路ヲ開通
スルヤウナコトニナリマシタナラバ、非常ニ此物貨ノ輸送ニ便利デアリマスル、隨ッテ此地
方ノ開發ハ勿論國力增進ノ上ニ偉大ナル效果ヲ見ルコトニナラウト云フ考テアリマス、
故ニ私ハ一日モ早ク此八代ヨリ川內間ノ鐵道ノ開通ニナラムコトヲ切望シテ已マザル
一人デアルノデアリマス、斯ノ如キ理由ヲ以テ此建議案ヲ提出致シマシタ譯デアリマスカ
ラ、何卒滿場ノ御贊成ヲ御願ヒ致シマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=51
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052・福田又一
○福田又一君 本案ヲ議長指名九名ノ委員ニ付託シ審査セラレムコトヲ望ミマス
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=52
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053・島田三郎
○議長(島田三郞君) 福田君ノ議ニ御異議ガナイト認メマス、依テ議長指名九名ノ
委員ニ付託スルコトニ決シマスー日程第十六、畜產事業國庫補助ニ關スル建議
案、之ヲ議題ト致シマス、山田珠一君
第十六畜產事業國庫補助ニ關スル建議案(山田珠一君外七
名提出)
畜產事業國庫補助ニ關スル建議案
畜產事業國庫補助ニ關スル建議
畜產ノ發展促進ヲ圖ル爲各府縣種畜場育成所ニ對シ相當ノ國庫補助ノ途ヲ開カ
レムコトヲ望ム
右建議ス
〔山田珠一君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=53
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054・山田珠一
○山田珠一君 本案ノ目的ハ畜產事業ニ對シテ國庫ノ補助ヲ友出サレムコトヲ望ム
建議デアリマス、極メテ簡單ニ本案提出ノ趣旨ヲ申述ベヤウト存ジマス、畜產ノ事業ハ
國ノ富ヲ增進スルコトニ、至大ノ關係ヲ有ッテ居ルト云フコトハ、此處ニ申述ブル必要ハナ
イノデゴザイマス、現ニ之ヲ世界各國ニ徵シマシテモ、最モ富ノ大ナルトコロノ國ハ畜產
事業ガ必ズ發達シテ居ルノデアリマシテ、此畜產事業ノ盛衰ハ直ニ其國ノ富力ノ多少
ヲ證スルコトガ出來ルト考ヘルノデアリマス、然ルニ顧ミテ我國ノ畜產事業ノ現況ヲ見マ
スレバ、頗ル萎靡振ハザル狀態ニ在ルノデアリマス今ニ於テ此事業ノ進步發達ヲ圖ルト
云フコトハ最モ必要ノ急務デアルト云フコトハ此處ニ縷說スルヲ俟タヌノデゴザイマ
ス、此事業ノ進步發達ヲ圖ル〓云フコトニ付キマシテハ種々ノ手段方法モアラウト考ヘマ
スルガ、其中ニ付テ最モ必要ナル事ハ、此事業ノ進步發達ニ最モ關係ノアル機關ヲ整理
擴張スルト云フコトヲ圖ラナケレバナラヌト存ジマス今我國ノ畜產事業ノ進步發達ヲ
圖ルコトニ關係ノアル機關ハ、御承知ノ如ク國立種馬所及ビ府縣道廳ノ設立ニ係ルト
コロノ種畜場育成所是等ガ卽チ現ニ存在シテ居ルトコロノ此畜產業ノ機關デアリマ
ス、然ルニ此府縣及ビ道廳ノ設立ニ係ルトコロノ種畜場及ビ育成所、是一今現ニ何
處々々ニ存在シテ居ルカト申シマスレバ、北海道、靑森、巖手、秋田、宮城、福島、山
形、茨城、千葉、石川、兵庫、岡山、島根、鳥取、鹿兒島、宮崎此十六箇所ニ現
存シテ居ルノデアリマスルガ、此他ニ於キマシテモ尙今將ニ起ラムトスルトコロノ地方モア
ルノデアリマス、然ルニ御承知ノ如ク府縣ノ財政ハ何レノ地ニ致シマシテモ現在頗ル窮
乏ヲ感ジテ居ルノデゴザイマシテ、府縣ノ賦課ハ殆ド其制限額ニ達シテ居リマスルノデ、
此上新シイトコロノ仕事ヲ始メ若クハ現在ノ機關ヲ擴張シ整理シヤウトスルニシマシテ
モ、其財源ノ乏シイコトヲ感ズルコトハ何レノ府縣ヲ問ハズ皆同一事情デアルノデゴザイ
マス、隨ッテ此畜產事業ニ關スルトコロノ此施設ニ致シマシテモ其經費ノ不十分ナルガ
タメニ進ンデ事業ヲ擴張シヤウト致シマシテモ其目的ヲ達スルコトニ苦ンデ居ルノデゴザ
イマス、又新ニ種畜場育成所等ヲ設立セムト致シマシテモ、其費用無キニ苦ンデ之ヲ說
立スルコトノ出來ナイ事情モアルノデゴザイマス、故ニ此場合ニ於テ吾ミノ希望スルトコロ
ハ國庫ヨリ相當ノ補助ヲ支出シテ、此種畜場若クハ育成所ニ對シテ相當ノ力ヲ與
ヘルコトニナリマシタナラバ府縣ニ於ケル是等ノ事業ハ確ニ整理シ擴張致シマシテ、此
畜產事業ノ進步發達ニ尠カラザルトコロノ力ヲ付與スルト云フコトハ信ジテ疑ハヌノデゴ
ザイマス、今國庫ヨリ地方ノ蠶業或ハ農事ノ試驗場若クハ水產ノ講習所ト云フヤウ
ナモノニ對シテハ、御承知ノ如ク二十万圓ト云フ金額ヲ限ッテ補助ヲシテ居ルノデアリ
マス、是等ノ事業ニ對シテ補助ヲスルト云フコトハ至當ノ措置トシテ吾ミハ最モ喜ブ
トコロデアリマスルガ、是ト其急要ヲ感ズルコトハ殆ド優劣ヲ見ザルトコロノ此畜產事
業ニ對シテモ相當ノ補助ヲ與ヘルコトガ、是等事業トノ均衡上ヨリ考ヘマシテモ當然
ノ措置デアリハシナイカト考ヘルノデアリマス、依テ吾〓ハ此二十万圓ノ補助ノ範圍ニ
於テ此畜產事業ニモ均霑ヲサセルカ、否ラザレバ此外ニ於キマシテ他ノ方面ヨリ相
當ノ補助ヲ與ヘルト云フコトニ致シタイト云フコトヲ切ニ希望スルノデゴザイマス、ツマ
リ其金ノ出所ハ之ヲ金庫ヨリ出シマシテモ、懷ノ中カラ出シマシテモ、何レノ所ヨリ出シ
マシテモ免ニ角相當ノ方法ヲ以テ適當ノ補助ヲ與ヘルト云フコトハ、此事業ヲ進步發
達サセルニ於テ最モ必要ナルコトデアラウト考ヘルノデアリマス、或人ノ如キハ今日ノ此豫
算ニ對シテ偏武ノ傾キガアル、產業ト云フモノニ重キヲ置カズシテ武備ニ餘リ力ヲ用井ル
ト云フヤウナ非難ヲスル向モアリマスルケレドモ吾〓ハ必ズシモサウ考ヘテ居ラヌノデアリ
マス、軍備ヲ充實スルト云フコトハ今日ノ場合ニ於テ最モ急要已ムベカラザルコトヽ考ヘ
ルノデアリマス、若シ國家ノ力ガ十分デアルナラバ此上ニ尙大ニ陸海軍ノ軍備ヲ擴張シ
ナケレバナラヌト考ヘルノデアリマスガ、其軍備ヲ擴張スル土臺基礎ハ卽チ產業ヲ發達ス
ルト云フコトニナケレバナラヌト考ヘルノデアリマス、殊ニ此畜產事業ノ如キハ軍備ノ事業
ト最モ密接ナル關係ヲ有ッテ居ルト云フコトハ申スマデモナイノデゴザイマシテ、今日ノ場
合ニ於キマシテ此事業ニ對シテ國家ガ相當ノ補助ヲ與ヘテ活力ヲ付ケルト云フコトハ
最モ急要ナルコトデアラウト考ヘマスカラ、本案ヲ提出致シタ次第デアリマス、ドウカ滿場
ノ御贊成ヲ希望シマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=54
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055・福田又一
○福田又一君 議長発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=55
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056・島田三郎
○議長(島田三郞君) 福田又一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=56
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057・福田又一
○福田又一君 本案ヲ議長指名九名ノ委員ニ付託シ審査セラレムコトヲ望ミマス
〔「贊成々々」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=57
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058・島田三郎
○議長(島田三郞君) 福田君ノ議ニ御異議ガ無イト認メテ議長指名九名ノ委員ニ
付託スルコトニ決シマス-日程第十七、上越鐵道建設ニ關スル建議案ヲ議題ト致シ
マ、須藤嘉吉君
上越鐵道建設ニ關スル建議案(須藤嘉吉君外一名提
第十七〓
上越鐵道建設ニ關スル建議案
上越鐵道建設ニ關スル建議
本鐵道線路ハ我カ國本州ノ中部ヲ橫斷シ中央北越連絡ノ最捷路タリ故ニ本線ヲ敷
設スルハ軍事上經濟上喫緊ノ急務ナリ殊ニ西比利亞鐵道複線工事ノ竣工ニ伴ヒ日
本海ニ瀕スル北越地方ハ運輸上國防上及一般產業ノ發達ニ付至大ノ注目ヲ要ス
ルヤ明ナリ依テ政府ハ速ニ本鐵道敷設ノ計畫ヲ立テ一朝有事ノ日ニ於テハ國防ノ
行動ヲ敏速ナラシメ當時ニ在リテハ運輸交通ノ便益ヲ圖リ以テ帝國國運ノ〓展
ニ資セラレムコトヲ望ム
右建議ス
〔須藤嘉吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=58
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059・須藤嘉吉
○須藤嘉吉君 私カラ提案者ヲ代表致シマシテ上越鐵道ノ建議案ニ關スル說明ヲ致
シマス此上越鐵道ハ申スマデモナク四十年來ノ宿題ニナッテ居ルノデアリマシテ、此起
點ハ前橋若クハ高崎ヲ起點ト致シマシテ長岡ヘ通ズル線路デ、橫斷線デアリマス、此間
九十五哩、東京ヨリ致シマスレバ百六十哩ニナル線路ニ相成リマス、之ヲ直江津線ニ比
較致シマスレバ約六十哩ヲ短縮致ス譯デアリマス、今一面ノ岩越線ニ比較スレバ五十
三哩ヲ短縮致ス次第デアリマス、斯ノ如ク何レヨリ致シマシテモ六十哩程短縮スルトコ
ロノ線路ガ、今日マデ其工事ニ著手セヌト云フコトハ如何ナル理由デアルカト云フコト
ハ能ク御〓究ヲ諸君ニ煩ハシタイト思ヒマス、ソレハ工事ノ最モ困難ナル箇所ガ一箇
所アルノデアリマス、ソレハ御承知ノ如ク〓水越ト申シマシテ、一面ニハ三國峠谷川ドチ
ラニ致シマシテモ此箇所ヲ橫斷センケレバ此線路ヲ貫徹スルコトガ出來ヌト云フ次第デア
リマス、ソレガ爲メニ第一ニハ工費ノ多額ト云フコトガ一ノ理由デアリマスガ、此工事ヲ
完成スルニハ數年ヲ期サナケレバナラヌト云フ、其年限ノ上カラ斯ク工事ガ今日マテ著
手サレナイ次第デアルノデアリマス、此數十年間ノ歷史ヲ〓略申シマスレバ明治七年ニ
山縣公ガ工部卿ヲ御勤メニナッタ際ニヽ〓水越ノ工事ヲ完成セント致サレマシテ、國庫
ヨリ補助ヲシテ地方ト相俣ッテ此工事ノ完成ヲ期シタ次第デアリマス其當時既ニ此線
路ヲ政府ニ於テ御認メニナッタト云フコトヲ豫測シテ居ルノデアリマス、爾來地方人民ニ
於テモ數囘是ガ計畫ヲ立テラレテ明治十三年デアリマシタカ地方人民ハ時ノ政府ニ
建議ヲ致シマシタトコロガ、工費多額ノ所以ト且其數年ヲ期スルト云フトコロカラ遂ニ
是ガ成功ヲ致シマセヌ、其後數囘民間ヨリ計畫ヲ立テテ居リマスケレドモ、トウ〓〓是
ガ目的ヲ達シナイ次第デアリマシテ、甚ダ遺憾ニ堪ヘヌ次第デアリマス、又政府ニ於キマ
シテハ後藤男爵總裁ノ時ニ完全ナル設計ヲ立テラレテ居ル次第デアリマス斯ノ如ク致
シマシテモ今日マデ是ガ成功ヲシナイト云フコトハ、甚ダ遺憾ニ堪ヘヌ次第デアリマスル
此上ハ極力政府ノ力ニ依テ之ヲ成功スル外ハ致方ガナイ次第デアリマス是ガ工費ハ
〓約政府ノ調ニ依リマスト一千九百万圓デアリマス、之ヲ民間ノ輕便鐵道ニ依リマス
レバ一千二百万圓前後ノ設計ニナッテ居リマス、費用ノ點ハ斯クナルト思フ、而シテ之
ヲ支ヘルニハ工事完成ノ以上ハ政府デ公債ヲ發行シテモ支辨シ得ラルヽト云フ考ヲ持テ
居ル、又民間デ輕便鐵道ヲ敷クト致シマシテモ固ヨリ之ヲ補フコトガ出來ル次第デア
リマス、右ノ次第デアリマスガ故ニ、到底今日ハ民間ノ力ニ及ビ難キトコロデアリマス、何
卒諸君ノ御審議ヲ得マシテ全會一致ノ御贊成ヲ得テ、速ニ本案ノ實行セラレムコトヲ
偏ニ希望致ス次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=59
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060・福田又一
○福田又一君 本案ハ議長指名九名ノ委員ニ付託シ審査セラレムコトヲ望ミマス
〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=60
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061・島田三郎
○議長(島田三郞君) 福田君ノ議ニ御異議ガナイト認メマシテ、議長指名九名ノ
委員ニ付託スルコトニ決シマス、次ハ日程第十八、信越河東鐵道建設ニ關スル建議
案提出者高鳥順作君
信越河東鐵道建設ニ關スル建議案(高鳥順作君外一
第十八名提出)
信越河東鐵道建設ニ關スル建議案
信越河東鐵道建設ニ關スル建議
長野縣下屋代驛ヨリ松代町、須坂町、飯山町、新潟縣下十日町、小千谷町ヲ
經テ來迎寺町ニ達スル鐵道線路ハ其ノ延長八十四哩ニシテ此ノ間長野縣下ニ在リ
テハ國產生絲ノ產地トシ一箇年貨物ノ輸出入高三千萬貫目以上ヲ算シ其ノ他澁
溫泉ヲ始メトシ數箇所ノ溫泉場存在シ一箇年ノ浴客數ハ百五十萬人ニ及フ從
テ之ニ對スル貨物ノ輸出入實ニ夥多ヲ極ム又新潟縣下ニ在リテハ十日町小千谷
町ヲ中心トシテ絹織物業ノ隆盛市場取引ノ頻繁ニ伴フ原料竝貨物ノ輸出入實ニ
著大ナルモノアリトス尙北信南越一帶ニ亙レル千山萬岳ノ抱有セル無限ノ大森林及
鑛物ヲ開發シテ生產事業ノ發展ニ賣スルハ目下ノ急務ナルヲ認ム依テ政府ハ速ニ本
鐵道ヲ敷設シ沿道地方無限ノ富源ヲ開發スルト同時ニ交通運輸ノ利便ヲ增加シ
國家經濟ノ發達ヲ圖ラレムコトヲ望ム
右建議ス
〔高鳥順作君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=61
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062・高鳥順作
○高鳥順作君 諸君、議題トナリマシタ信越河東鐵道建設ニ關スル建議案ニ付テ說
明ヲ致シマス、御疲レノヤウデアリマスカラ極メテ簡單ニ申上ゲマス、本線ハ信越線ノ屋
代驛ヨリ分岐シ長野縣下松代須坂飯山等ヲ經テ新潟縣下十日町小千谷町ヲ經
テ來迎寺驛ニテ同ジク信越線ニ合スル線デアリマス、而シテ其沿線ハ長野縣ニアッテハ
國產ノ最モ重要ナル生絲ノ產地トシテ、又澁、田中、野澤等ノ有名ナル温泉地ヲ通
過シ、新潟縣ニテハ十日町小千谷ヲ中心トシテ、絹織物ノ最モ隆盛ヲ極メ而モ人口
稠密ナル地方ヲ通過スルノデアリマスカラヽ之ニ伴フ原料竝ニ貨物ノ輸出入ハ實ニ多大
ナルモノデアリマス尙北信南信一體ニ亙リテノ大森林及鑛山ハ潤澤デアリマスカラ是
ガ開發ヲナシ、殖產工業ノ生產ニハ此鐵道敷設ガ最モ刻下ノ急務ナリト信ズルノデアリ
マス更ニ本線ハ急速敷設シナケレバナラヌト云フ理由ヲ一言加ヘテ置キタイト思ヒマ
ス、ソレハ外デハアリマセヌ、信越線ノ輸送力ノ不足ヲ此線路ニ依テ補充シナケレバナラ
ヌト存ジマス、此信越線ノ輸送力ノ故障ハ第一ハ確氷デアリマス、第二ハ直江津長野
間デアリマス、然ルニ碓氷峠ノ難所ハ卽チ中央東線ニ依テ補充セラレテ居リマス本線
モ是ト同樣ノ趣意ニ於テ是非敷設スルノ必要ガアルノデアリマス要スルニ本線ノ裏日
本ヨリ表日本ニ通ズル帝國中央ノ橫斷線ノ一部デアリマス當局者モ現在ノ信越線テ
ハ到底此輸送力ノ激增ニ應ズルコトガ出來ナイノデ、直江津篠ノ井間ノ支線ヲ敷設シ、
輸送ノ圓滑ヲ計ラムトスル計畫ヲ立テラレテ、既ニ繼續費トシテ要求セラレテ居ルノデア
リマス、幸ニ此河東線ガ敷設ニナリマスレバ其距離ヲ短縮スルト同時ニ、前ニ申シマシタ
地方ノ產業ノ發達ヲ促進シ、無限ノ富源ヲ開發シ交通運輸ノ利便ヲ增加シ、一面
ニ於キマシテハ信越線ハ副線タル代用ニナルコトガ出來、洵ニ一舉兩得ノ線路デアリマ
ス、經濟上國家ヲ益スルコトガ頗ル大ナルハ疑ヲ容ルヽ餘地ガナイノデアリマス、本案ハ
第二十八議會以來屢〓本議會ニ建議致サレマシテ、滿場一致ノ御贊成ヲ得テ可決シ
テ居ル案デアリマス、本會ニ於キマシテモ御審議ノ上何卒速ニ可決ニナルヤウニ偏ニ願ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=62
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063・福田又一
○福田又一君 本案ヲ議長指名九名ノ委員ニ付託シ審査セラレムコトヲ望ミマス
(「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=63
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064・島田三郎
○議長(島田三郞君) 福田君ノ發議ニ御異議ガ無イト認メテ議長指名九名ノ委員
ニ付託スルコトニ決シマス日程第十九、外國米輸入官營ニ關スル建議案-齋藤
宇一郞君
第十九外國米輸入官營ニ關スル建議案(井原百介君外十名
提出)
外國米輸入官營ニ關スル建議案
外國米輸入官營ニ關スル建議
政府ハ外國米ノ輸入ヲ官營トシ以テ米價ノ調節ヲ計ルヘク之カ實施ニ付テ帝國議
會ノ協贊ヲ要スルモノハ速ニ案ヲ具シテ議會ニ提出セラレムコトヲ望ム
右建議ス
〔齋藤宇一郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=64
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065・齋藤宇一郎
○齋藤宇一郞君 議題ニ上ッテ居リマス建議案ハ各派ヲ通ジマシテ提出者ガ十一名
ニナッテ居リマス、ツレヲ代表致シマシテ私ガ簡單ニ其理由ヲ辯明致シマス、申スマデモナ
ク我國ノ主要食物タル米ノ價額ヲ適當ニ保タシムルト云フコトハ最モ大切ナル問題デ
アリマス、本案ハ其目的ヲ達スル一ノ方法トシテ外國米輸入ヲ官營ニスベク政府ニ要求
スル建議案デアリマス御承知ノ通リ日本ノ米ノ產額ハ平均數デアリマスレバ約五千二
百万石位ニナッテ居リマス、而シテ是ダケノ米デ日本國民ノ〓物ヲ充タシマスニハ尙足ラヌ
爲メニ約三百万石位ノ外國米ヲ輸入シナケレバナラヌ數字ニナッテ居リマス、近年ノ如
ク豐作ガ續キマスレバ僅カニ四五十万石シカ入ッテ居リマセヌケレドモ、要スルニ三百万
石程度ノ外國米ガ、日本ノ米ノ平均ヲ保タシムベキ一ノ數字ニナッテ居ルノデアリマスカ
ラシテ、此三百万石程度ノモノヲ日營ニ致シマシテ、此調節ヲ保ツ一ノ方法ニ致シタイ、
是ハ大分今日マデ〓究サレマシテ其必要ヲ認メラレテ居ルノデアリマス、其證據ニハ昨年
新設サレマシタ米價調節調査會ニ農商務省カラ參考案トシテ提出ニナリマシタ四ツノ
方法ガ、悉ク外米官營ノコトハ必要ナル事項トシテ揭載サレテ居ルノヲ見マシテモ、是等
ハ調節ノ上ニ最モ必要ナル事項デアルト云フコトハ今日ノ〓究デハ殆ド決定シテ居ル
ノデアリマス、然ルニ此米價調節ト云フモノハ餘程永遠ニ亙ル重大ナル問題デアリマスカ
ラナカ〓〓急ニ決定シ實行シ、且ツ其效果ヲ收メルト云フコトハ餘程長イ日數ヲ要ス
ルモノト私共ハ考ヘテ居リマス、然ルニ今日ノ米價ノ狀態ヲ見マスレバ唯今ハ廉クテ困ッ
テ居ルガ、萬一此反動ガ參リマスレバ今度ハ高クテ困ルト云フコトニナリマシテ餘程日
本國民ノ生活上ニ不安ヲ懷イテ居ルノデアリマス、此場合ニ於キマシテ之ヲ唯一般市場
ノ高下ニ委シテ置クト云フコトハ國家ノ政策トシテ面白クナイ事デアリマスカラシテ、ド
ウシテモヤラナケレバナラヌト今日ノ調査デ決定シテ居ル所ノ外國米ノ官營ハ一日モ早
ク實行スル方ガ宜カラウ、斯ウ云フ考カラ吾〓ハ玆ニ提案致シマシテ、政府ニ速ニ其方
法ヲ講ジ必要ナルモノガアッタナラバ速ニ議會ニ提出シテ協賛ヲ求メラレルヤウニサレタ
イト云フノガ、此建議案ノ趣旨デゴザイマスドウカ十分御審議ノ上御協賛ヲ請ヒタイ
ト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=65
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066・加賀卯之吉
○加賀卯之吉君 私ハ提案者ニ質問致シタイト思セマスガ、米ノ專賣法ノ御利益ハ
齋藤君ノ辯明ニ依リマシテ了承スルコトヲ得マシタガ、假ニ外國米ノ官營ガ行ハレルト致
シマシタナラバ是マデ外國米ヲ取扱ヒツヽ來ッタ商人ニハ報償ヲ與ヘルト云フ考ハ無イ
デスカ、ソレガ一ツ、ワレカラ外國米ノ官營トー云フコトハ今辯明ニナリマシタ如ク成程政
府ニモサウ云フ意思ハアルヤウデアリマスガ、此外國米ノ官營ヲ一ツ離シテヤッテ、效果ノ
アルヤ否ヤト云フコトガ第二ノ疑問デアリマス常平倉案ニ致シテモ、米券證券法案ニ致
シテモ或ハ補給法案ニ致シマシテモ、總テ政府ガ米ヲ買入レルトカ、或ハ貯藏セシムルト
カ云フ他ノ方法ト結付イテ、始メテ外國米ノ官營ナルモノガ效力ヲ發揮スルヤウニ私共
トハ信ジテ居リマスガ、此法ノミ一ツ離シテ是マデ米價調節ニドレダケノ效能ガアルヤ否
ヤト云フコトハ、今ノ辯明デハ足ラヌヤウデアリマス私疑問ニ致シテ居リマスカラ此二點
ニ付テ大體伺ッテ置キタイト思ヒマス、細カイ事ハ委員會デ問フ機會ガアルカモ知レマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=66
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067・齋藤宇一郎
○齋藤宇一郞君 御答致シマス、第一ノ外國米ヲ扱ッテ居ル商人ニ報償ヲ與フルヤ
否ヤト云フコトハ、イヅレ法案ヲ組立テマス場合ニ於テハ是マデ或ハ鹽トカ或ハ煙草ト
云フヤウナモノニ對シテ報償ヲ與ヘタ例モアリマスカラ、果シテ外國米取扱人商人ノ其
營業ノ性質ガ、前ニ報償ラ與ヘタヤウナモノト同一ナモノデアルト致シマスレバサウ云フ
必要ガ起ッテ參リマセウト思ヒマスガ、サウ云フ細カイ所マデハ此提案ヲ致シマストキニ提
出者ハ協議ヲ遂ゲテ居リマセヌ、イヅレサウ云フ事ハ委員會ニ於テ御互〓究スベキ事ト
考ヘマス、第二ニ是ダケ離シテヤッテドレダケ效果ガアルカ、是ハ唯今モ說明致シマシタ通
リ是レ一ツデ全ク米價調節ノ效果ヲ奏スルモノト考ヘテ居リマセヌ、併ナガラ此外國
米官營ノ問題ハ今日マデ〓究サレタ何レノ方法ヲ行フニシテモ必要ナリト云フコトハ私
共モ認メ政府モ認メテ居ルノデアリマスカラ、離シテヤルコトノ出來ル方法デアッテ、少シ
デモ效果ノアルモノハ出來得ルダケ早クヤッテ、今日ノ重大問題ノ解決ニ一步ヲ進メル
方ガ國家ノ爲メニ得策デアルダラウト云フ考カラ、其點ハ提案ヲ致シマストキニ提案者
ガ協議ヲ遂ゲマシタ上デ是ダケヲ拔イテ早クヤラセタイト云フ考デ提案致シタノデアリマ
ス詳細ノ事ハ重大問題デアリマスカラ此處デ一々應答致シマシテハ時間ガ掛リマスカ
ラ、ドウカ委員會ニ御讓リニナラムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=67
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068・福田又一
○福田又一君 本案ヲ議長指名九名ノ委員ニ付託シ審査セラレンコトヲ望ミマス
〔「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=68
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069・島田三郎
○議長(島田三郞君) 福田君ノ發議ニ御異議無イト認メマス、依テ議長指名九名
ノ委員ニ付託スルコトニ決シマス、日程第二十、神通川改修工事速成ニ關スル建議
案-野村嘉六君
第二十神通川改修工事遠成ニ關スル建議案(關野善次郞君
外三名提出)
神通川改修工事速成ニ關スル建議案
神通川改修工事速成ニ關スル建議
神通川ハ源ヲ岐阜縣ニ發シ富山縣ヲ貫流シテ日本海ニ注クノ大川ニシテ其ノ流域
ニ於ケル廣大ナル水田ハ爲ニ灌漑ノ便ヲ得富山縣ヲシテ米產國タラシム然ルニ近年
砂礫流下シテ川底淺ク加フルニ一昨年大洪水アリテ流域變更シ從テ灌漑ノ便ヲ缺
クニ至レリ若此ノ儘推移スルニ於テハ水田荒蕪シ農民ヲシテ困苦ニ陷ラシムルコト甚
シ幸ニ神通川ハ河川法ニ依ル第一期改修川ナルヲ以テ速ニ之カ工事ヲ完成シ地方
農民ヲシテ其ノ惠ニ浴セシメムコトヲ望ム
右建議ス
〔野村嘉六君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=69
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070・野村嘉六
○野村嘉六君 極ク簡單ニ申上ゲマス、本案ハ神通川改修工事速成ニ關スル建議
案デアリマシテ、御承知ノ通ニ神通川ハ岐阜縣ニ源ヲ發シマシテ、富山縣ヲ貫流シテサ
ウシテ日本海ニ注グノデアリマス、此川ハ非常ニ大キイ川テアリマシテ又極ク荒イトコロノ
川デアリマス併シ此ノ川ニ依ツテ灌漑サルヽトコロノ水由ハ非常ニ多ウゴザイマシテ、富
山縣ノ殆ド過半ハ此川水ニ依ッテ灌漑ヲスルノデアリマス、今日富山縣ガ米產國ト云フ
稱ヲ受ケテ居リマスノハ全ク此川ガ與ッテ力アルノデゴザイマス、然ルニ近來砂礫ガ非
常ニ流下致シマシテ川底ガ淺クナリマシタ、加フルニ一昨年ノ大洪水ガアリマシテ其時
ノ慘狀ハ當時ノ新聞デ御承知ノ通リ、堤防田畑其他橋梁等ガ水害ノ爲メニ蒙リマシ
タ損害ガ約八百八十九万二千三百五十八圓程ニナッタノデアリマス、又人畜ノ死
傷卽チ大洪水ニ依ッテ慘死致シマシタ人ハ百八十九人アッタノデアリマス、其他負傷者
ハ約二百八アリマシタ、斯ノ如キ大慘狀ヲ來シタノハ全ク流域ノ變更竝ニ土砂ノ停滯、
其他築堤ノ不完全ガ原因ヲ爲シテ居ルノデアリマス、是ガ爲メニ此灌漑ヲ受クルトコロ
ノ土地ノ人民ハ非常ニ疲弊致シマシテ、此儘ニ抛ッテ置キマスレバ數年ナラズシテ何レモ
皆極度ノ困苦ニ陷ルコトデアラウト思フノデアリマス、幸ニ神通川ハ河川法ニ依ル第一
期改修川デアリマスカラシテ、ドウカ速ニ工事ニ著手シテ、サウシテ此水流ヲシテ水田ニ
灌漑シ、幾多困難ニ陷ラントシ、又陷リツヽアルトコロノ窮民ヲ救フ爲メニ、本建議案
ヲ提出シタ次第デアリマス、是ダケ申上ゲテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=70
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071・福田又一
○福田又一君 本案ハ議長指名九名ノ委員ニ付託シ密査セラレンコトヲ望ミマス
(「贊成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=71
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072・島田三郎
○議長(島田三郞君) 福田君ノ發議ニ御異議ガナイト認メ、議長指名九名ノ委員
ニ付託スルコトニ決シマス、日程第二十一鐵道旅館增設ニ關スル建議案、川井爲
巳君
第二十一鐵道旅館增設ニ關スル建議案(川井爲巳君外二名
提出)
鐵道旅館增設ニ關スル建議案
鐵道旅館增設ニ關スル建議
三重縣鳥羽港ハ帝國鐵道參宮線ノ終點ニシテ海陸ノ交通至便ナルノミナラス氣候
溫和空氣〓澄ニシテ四時魚貝ニ富ミ且其ノ眺望ノ佳絕雄大ナルハ全國其ノ右ニ出
ツルモノナカラム曩ニ鐵道開通セシヨリ漸次內外觀光者ノ來遊增加セルモ外客ヲ宿
泊セシムヘキ適當ノ旅館ナキ爲歐米人ハ何レモ直ニ歸途ニ上リ同地ニ足ヲ止ムルモ
ノナク國家經濟上遺憾尠カラス依テ政府ハ山陽ホテル、奈良ホテルノ如ク速ニ同地ニ
鐵道旅館ヲ設ケ海外觀光者ノ收容ニ便セラレムコトヲ望ム
右建議ス
〔川井爲巳君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=72
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073・川井爲巳
○川井爲巳君 私ノ鐵道旅館ヲ建設致シタイト云フ建議ハ、志摩國鳥羽港ニ設ケタ
イト云フ建議テゴザイマスガ、近時所謂參宮鐵道ハ鳥羽ニ通ジマシテカラ、兩宮アルガ故
ニ外國人モ非常ニ輻輳ヲ致シマス、アノ地ガ東海ヲ受ケマシテ物產ハ多クアリマスルシ、氣
候モ四時トモ宜シクゴザイマスシ、又大阪名古屋ヨリハ鐵道ガ直通ヲ致シ、時間モ僅カ
デ來ルコトデモゴザイマスルシ、旅館ハ必要ト存ジマス、又風景ニ至リマシテハ非常ニ絕景
デアリマシテ、海ヲ隔テヽハ富士或ハ御嶽白山等マデ見エテ、其間ニハ島嶼ガ點々トアル
譯デアリマス、又天然ニ從前ヨリ海女ノ貝取等モアリ、又近時ハ眞珠ノ養殖ノ場所モ出
來テ居リマス場所デアリマシテ、之ニ鐵道旅館ヲ設ケマスレバ西洋人ノ集マルコトハ明カ
テ、鐵道經濟ニ於キマシテハ決シテ損失ノナイコトデアルト信ジマス、ソレニ依リマシテ此ニ
旅館ヲ設ケタイト云フノ建議ヲ致シマシタノデゴザイマスカラ、何卒御贊成ノ上宜シ
〃.発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=73
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074・福田又一
○福田又一君 本案ハ議長指名九名ノ委員ニ付託シ審査セラレンコトヲ望ミマス
〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=74
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075・島田三郎
○議長(島田三郎君) 福田君ノ說ニ御異議ガナイト認メテ、議長指名九名ノ委員
ニ付託スルコトニ決シマス、日程第二十二、音樂〓育ニ關スル建議案、高野金重君
第二十二音樂〓育ニ關スル建議案(高野金重君外一名提出)
音樂〓育ニ關スル建議案
音樂〓育ニ關スル建議
政府ノ施設ニ係ル音樂〓育ハ單ニ洋樂ニ重キヲ置キ却テ我カ邦固有ノ音樂ヲ輕視
スルノ嫌アリ政府ハ速ニ適當ノ方法ヲ定メ東京音樂學校ニ邦樂科ヲ設置スルノ舉ニ
出テムコトヲ望ム
右建議ス
〔高野金重君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=75
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076・高野金重
○高野金重君 極メテ簡單明瞭ナル提案デアリマス、提案ノ主意ハ日本唯一ノ音樂
學校デアルトコロノ東京音樂學校ニ於キマシテハ西洋ノ音樂ヲ〓究シテ居リマスケレド
モ琴ト能樂ノ囃ノ一部ヲ〓究シテ居ルノミデアリマス元來此日本ノ音樂學校ガ日本
ノ音樂ヲ〓究シ〓授シナイノハ日本ノ恥辱デアリマス、殊ニ俗曲ノ如キモソレヲ禁ズルト
云フナラバ宜シウゴザイマスガ、苟モソレガ世ノ中ニ存在シテ居ル以上ハ、其汚隆ハ直ニ國家
ノ風〓ニ關スルコトデアリマスルシ、又其盛衰ハ國家ノ盛衰ニ關スルコトデアリマスカラシ
テ、之ヲ〓究調査シテ、サウシテ西洋ノ音樂モ忽ニスルコトハ出來マセヌケレドモ、日本ノ
音樂ニ重キヲ置イテ貰ヒタイト云フ極ク簡單ナル提案デゴザイマス各派諸君ノ御同意
ヲ得テ提案致シタ譯デゴザイマスカラ、ドウカ御贊成アランコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=76
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077・福田又一
○福田又一君 本案ハ議長指名九名ノ委員ニ付託シ、審査セラレンコトヲ望ミマス
〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=77
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078・島田三郎
○議長(島田三郞君) 御異議ガナイト認メテ福田君ノ說ニ決シマス、日程第二十
三、上越鐵道建設ニ關スル建議案川上榮太郞君
第二十三上越鐵道建設ニ關スル建議案(川上榮太郞君外二
名提出)
上越鐵道建設ニ關スル建議案
上越鐵道建設ニ關スル建議
本鐵道線路ハ我カ國本州ノ中部ヲ橫斷シ中央北越連絡ノ最捷路タリ故ニ本線ヲ
敷設スルハ軍事上經濟上喫緊ノ急務ナリ殊ニ西比利亞鐵道複線工事ノ竣工ニ伴
ヒ日本海ニ瀕スル北越地方ハ運輸、交通、國防等ノ上ニ付至大ノ注目ヲ要スルヤ
明ナリ依テ政府ハ速ニ本鐵道敷設ノ計畫ヲ立テ一朝有事ノ日ニ於テ國防ノ行動
ヲ敏速ナラシメ常時ニ於テハ運輸交通ノ便益ヲ圖リ以テ帝國國運ノ發展ニ資セラレ
ムコトヲ望ム
右建議ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=78
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079・川上榮太郎
○川上榮太郞君 極メテ簡單デアリマスカラ、自席ヨリ申述べマス、此上越鐵道建設
ニ關スル建議案ハ、先刻須藤君カラ御述ニナリマシタ理由ト同一デゴザイマス、是ハヤハ
リ同一ノ委員ニ付託シテ審査セラレンコトヲ望ミマス
〔「贊成」「大ニ贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=79
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080・島田三郎
○議長(島田三郞君) 御異議ガナイト認メマス、川上君ノ說卽チ前ノ上越鐵道建設
ニ關スル建議案ノ委員ガ出來ルコトニナッテ居リマス、其同一委員ニ付託スルコトニ決
シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=80
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081・福田又一
○福田又一君 此場合ニ先程委員付託ノ動議ヲ出シマシタガ、ソレヲ訂正シテ置キタ
イノデアリマス、十八ノ日程ノ信越河東鐵道建設ニ關スル建議案ヲ、特別ノ九名ノ委
員ニ付託致シマシタガ、是モヤハリ十七ノ日程ノ上越鐵道建設ニ關スル建議案ニ合併
ヲ致シマシテ、審査ヲ求ムル方ガ便利ト考ヘマスカラ、先キノ動議ヲ取消シマシテ更メテ
十七ノ日程ノ委員ト同一ニセラレンコトヲ求メマス
(「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=81
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082・島田三郎
○議長(島田三郞君) 御異議ガナイト認メマス、左樣ニ改メルコトニ致シマス-日
程第二十四、北海道拓殖速進ニ關スル建議案--中西六三郞君
第二十四北海道拓殖速進ニ關スル建議案(小池仁郞君外五
名提出)
北海道拓殖速進ニ關スル建議案
北海道拓殖速進ニ關スル建議
政府ハ北海道拓殖ニ關スル現行ノ計畫ヲ改善シ更ニ全道開發ニ必要ナル各般ノ施
設竝拓殖鐵道敷設ノ計畫ヲ定メ次期議會ニ之カ提案ヲ爲サムコトヲ望ム
右建議ス
〔中西六三郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=82
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083・中西六三郎
○中西六三郞君 本建議案提出ノ理由ハ、理由書ニ大體ヲ記載シテ置キマシタカラ、ソ
レニテ御諒承ヲ願フニ足リルト思ヒマスガ、唯一口申上ゲテ置キマス、北海道ノ開拓ノ急
ナルコトハ政府モ議員モ疾ク認メテ居ラレマシテ、先キニ十五年計畫ガ立ッテ居ルノデア
リマス、唯今其計畫ガ現ニ行ハレテ居リマス、其計畫ニ依リマスルト疾クヨリ政府ガ確定
支出ノ二百五十万圓ノ外ニ、北海道ノ自然增收ガ二百五十万圓以上アル筈デ、少ク
トモ每年五百万圓ヅヽ北海道開拓ノ資金ガ出ル筈ニナッテ居ルノデゴザイマスガ、然ルニ
其北海道ノ自然增收ヲ見込マレタコトガ甚ダ大ナル計算違デゴザイマス、今日マデニ自
然增收ガ一千万圓アラネバナラヌ筈ノモノガ、僅カニ八十五万圓、一割足ラズシカ上ラ
ヌヤウナコトニナッテ居リマスルデ、今行ハレテ居リマスル繼續計畫ハ此點ニ於キマシテ根本
カラ錯誤ニ陷ッテ居ルノデアリマス、啻ニ金ガ足ラナイト云フバカリデナク、少クトモ每年
五百万圓宛ハ使フト云フ積リカラ割出シマシテ、築港其他イロ〓〓ノ事業ガ現
ニ著手サレテ居ルノデアリマスノニ、ソレガ僅ニ半分シカ無イト云フ爲メニサナキダニ不足
ノ半分ノ金ヲ使フ上ニ於テ大ニ不經濟ニナッテ居リマス、五百万圓ノ積リデ割出シタ使
方ガ半分シカナイト云フノデアルカラ融通ノ付カナイ事業ニ大部分ヲ投資シテシマッテ、肝
腎ノ北海道ノ內部ノ培養ニナル金ト云フモノガ甚ダ僅少デゴザイマス、故ニ啻ニ此金デ
ハ北海道ノ開拓ガ遲レマスパカリデナク誠ニ不經濟ナ使方ニナッテ居ルノデゴザイマスカ
ラ、ドウシラモ是ハ此機會ニ根本的二改メルコトノ益要ヲ感シタノデア.マス、委細ノ儀
〓宜シ
ハ重ネテ委員會デ說明ヲ致シマスガ、提案ノ大體ノ趣旨ハ斯樣デゴザイマスカラ、
ク御贊成ヲ願ヒマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=83
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084・福田又一
○福田又一君 本案ヲ議長指名十八名ノ委員ニ付託シ審査セラレンコトヲ望ミマス
(「贊成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=84
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085・島田三郎
○議長(島田三郞君) 福田君ノ議ニ御異議ガナイト認メテ本案ハ議長指名十八名
ノ委員ニ付託スルコトニ決シマス日程第二十五、是ハ提出者多木久米次郞君カラ
延期ノ申出ガアリマス、許可シテ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=85
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086・島田三郎
○議長〔島田三郞君) 御異議ガナイト認メテ延期ニ決シマス-日程第一一十六ヨリ
第八十三ニ至ル請願ノ特別報告、是ハ例ニ依リ一括シテ議題ト致シテ委員長ノ報告
ヲ求メマス--加藤彰廉君
第二十六(特別報告第五十九號)營業稅法中改(委員長報告)
正ノ請願
第二十七(特別報告第六十二號)庄內川改修ニ(委員長報告)
關スル請願
第二十八(特別報告第六十三號)加古川河川改(委員長報告)
修ノ請願
第二十九(特別報告第六十四號)岩木川水害除(委員長報告)
去工事施行ノ請願
第三十(特別報告第六十五號)漁船避難港築(委員長報告)
造ノ請願
第三十一(特別報告第六十六號)網走港修築速(委員長報〓)
成ノ請願
第三十二(特別報告第六十七號)稚内築港速成(委員長報告)
ノ請願
第三十三(特別報告第六十九號)農業資金融通(委員長報告)
ノ請願外七十四件
第三十四(特別報告第七十號)農業倉庫法制定(委員長報〓)
ノ請願
第三十五(特別報告第七十一號)米價調節ノ請(委員長報告)
願外七十五件
第三十六(特別報告第七十三號)癈兵傷病兵及(委員長報告)
遺族優遇ニ關スル請願
第三十七(特別報告第七十四號)姫路城西ノ丸(委員長報告)
保存ノ請願
第三十八(特別報告第七十六號)乃美尾村ニ郵(委員長報告)
便電信局設置ノ請願
第三十九(特別報告第七十七號)鏡石村ニ郵便(委員長報告)
局設置ノ請願
第四十(特別報告第七十八號)木田村ニ郵便(委員長報告)
局設置ノ請願
第四十一(特別報告第七十九號)下之川村ニ三(委員長報告)
等郵便局設置ノ請願
第四十二(特別報告第八十號)中名田村ニ郵便(委員長報告)
局設置ノ請願
第四十三(特別報告第八十一號)谷頭驛ニ郵便(委員長報告)
局設置ノ請願
第四十四(特別報告第八十二號)菅生村ニ郵便(委員長報告)
局設置ノ請願
第四十五(特別報告第八十三號)東仙道村ニ集(委員長報告)
配郵便局設置ノ請願
第四十六(特別報告第八十四號)一一川村ニ集配(委員長報告)
郵便局設置ノ請願
第四十七(特別報告第八十五號)一二ツ木村ニ無(委員長報告)
集配郵便局設置ノ請願
第四十八(特別報告第八十六號)田幸村鹽町ニ(委員長報告)
郵便局設置ノ請願
第四十九(特別報告第八十七號)下大野村ニ三(委員長報告)
等郵便局設置ノ請願
第五十(特別報告第八十八號)大濱村宮前ニ(委員長報告)
郵便局設置ノ請願
第五十一(特別報告第九十號)耳村佐柿ニ區裁(委員長報告)
判所出張所設置ノ請願
第五十二(特別報告第九十一號)脇町區裁判所(委員長報告)
白地出張所設置ノ請願
第五十三(特別報告第九十二號)下城井村安武(委員長報告)
ニ登記所設置ノ請願
第五十四(特別報告第九十三號)上湧別村ニ登(委員長報告)
記所設置ノ請願
第五十五(特別報告第九十四號)東旭川村ニ區(委員長報告)
裁判所出張所設置ノ請願
第五十六(特別報告第百六號)黑澤尻町ニ區裁(委員長報告)
判所新設ノ請願
第五十七(特別報告第百七號)小學校〓員俸給(委員長報告)
國庫支辨ニ關スル請願
第五十八(特別報告第百九號)福山今市間輕便(委員長報告)
鐵道速成ノ請願
第五十九(特別報告第百十號)所子村ニ停車場(委員長報告)
設置ノ請願
第六十(特別報告第百十一號)廣島江津間鐵(委員長報告)
道速成ノ請願
第六十一(特別報告第百十二號)野上旭川間輕(委員長報告)
便鐵道速成ノ請願
第六十二(特別報告第百十三號)厚岸網走間鐵(委員長報告)
道速成ノ請願
第六十三(特別報告第百十四號)阿片賠償價格(委員長報告)
改正ノ請願
第六十四(特別報告第百十五號)阿武隈川改修(委員長報告)
速成ノ請願
第六十五(特別報告第百十六號)阿武隈川ヲ河(委員長報告)
川法第一期川ニ編入ノ請願
第六十六(特別報告第百十七號)七尾港修築ノ(委員長報告)
請願
第六十七(特別報告第百十八號)留萌港修築速(委員長報告)
成ノ請願
第六十八(特別報告第百十九號)北海道札幌區(委員長報告)
內豐平橋架設ノ請願
第六十九(特別報告第百二十二號)軍人恩給法(委員長報告)
中改正ノ請願
第七十(特別報告第百二十四號)岡山村岡部(委員長報告)
ニ三等郵便局設置ノ請願
第七十一(特別報告第百二十五號)山田郵便局(委員長報告)
ニ集配事務開始ノ請願
第七十二(特別報告第百二十六號)坂部村ニ郵(委員長報告)
便局設置ノ請願
第七十三(特別報告第百二十七號)仁萬村郵便(委員長報告)
電信局設置ノ請願
第七十四(特別報告第百二十八號)中村ニ無集(委員長報告)
配郵便局設置ノ請願
第七十五(特別報告第百二十九號)五ヶ莊村ニ(委員長報告)
無集配郵便局設置ノ請願
第七十六(特別報告第百四十三號)木造町ヘ區(委員長報告)
裁判所設置ノ請願
第七十七(特別報告第百四十四號)入野村ニ登(委員長報告)
記所設置ノ請願
第七十八(特別報告第百四十五號)古墳發掘竝(委員長報告)
埋藏物處分ノ請願
第七十九(特別報告第百四十七號)專門學校入(委員長報告)
學者檢定規定ノ實施方法改正ノ請願
第八十(特別報告第百四十九號)天鹽沿岸線(委員長報告)
鐵道敷設ノ請願
第八十一(特別報告第百五十號)壽都黑松內間(委員長報告)
鐵道敷設ノ請願
第八十二(特別報告第百五十一號)膽振線紋鼈(委員長報告)
黑松內間鐵道敷設ノ請願
第八十三(特別報告第百五十二號)千葉縣下勝(委員長報告)
浦北條間鐵道敷設ノ請願
〔加藤彰廉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=86
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087・加藤彰廉
○加藤彰廉君 此二十六カラ最終ニ至リマスマデノ報告ニ付キマシテハ極メテ簡單
デ一二分デ終リマスガ、其前ニ請願委員會ニ於キマシテ附帶ノ決議ヲ二ツ致シテ居
リマスノデ、ソレヲ御諮リ致シマスカラ暫ク御聽キヲ願ヒマス一ツハ議院法ニ依リマシテ
請願委員會ニ於キマシテ採擇ト決シマシタモノハ本議ニソレヲ上セマシテ更ニ御決議ヲ
願フノデアリマスガ、併シ其請願ト其性質ヲ同ジクシテ居リマスル法律案トカ、或ハ建議
案ト云フモノガ、本會ニ於テ可決ニナリマシタ場合、又其前ノ本院ニ於テ可決ニナリマ
シタル請願ノ件ト稍〓性質ヲ同ジクシテ居リマスル請願ガ後トカラ出マシタ場合ニハワレ
ハ本議ニ提出セズシテ其儘請願委員會ノ手許ニ留メテ置クト云フコトモ、二十二議會
以來慣例ニナッテ居ルノデアリマス、然ルニ其事ニ付キマシテ若シ其通リニ一度法律案
或ハ建議案或ハ前ニ請願ト云フモノガ決シテ居リマスル場合ニ、後ニソレト同ジ目的ノ
モノガ出マシテ、ソレヲ其儘請願委員會ノ手許ニ留メテ置クト云フコトハ請願者
ノ意志ニ違ヒ、又ソレガ暗カラ暗ニ葬ッテシマフト云フヤウナコトニナリマシテ、甚ダ請願ノ趣
旨ニ適ハヌノデアリマスカラ、ソレデ右樣ナ請願ハ本院ニハ提出シマセナクテモ本院ニ於
テ御採擇ニナッタモノト認メテ、ソレヲ速記錄ニ登載致シ、又ソレヲ政府ニ送付スルト云フ
コトニ致シタイト云フ決議ヲシタノデゴザイマス、此事ハ昨年議會ニ於キマシテ當時ノ請願
委員長ヨリ決議ヲ求メタノデアリマシテ、本院ニ於テ其通リ可決ニナッテ居リマスケレドモ
ガ、其時ノ趣旨ガ稍〓徹底ヲシテ居ラナイノデアリマシテ、其通り實行ニナッテ居リマセヌ
カラ再ビ此ニ其事ヲ申上ゲマシテ、將來今日マデノ慣例ヲ改メルト云フコトニ致シタイト
思フノデアリマス(「贊成々々」ト呼フ者アリ)ソレカラ第二ノコトハ請願ノ日程ニ關スルコ
トデゴザイマスガ、御承知ノ如ク請願ハ何時モ日程ノ最終ニ出テ居ルノデアリマス、其爲
ニ度々延會ト云フヤウナコトガアリマシテ、請願ガ何時モ遲レルノデゴザイマス、抑〓請願
ハ國民ノ權利ノ最モ重大ナルモノノ一ツデアリマセウシ、又帝國議會ニ於キマシテ國民ノ
請願ヲ請取ッテ、其採否ヲ決スルト云フコトハ又重大ノ件デアリマス、而モ其數ハ常
ニ請願ノ數ハ千以上ニナリマシテ、請願委員會ニ於テ採擇致シマスルモノモ數百ヲ以テ
數フルノデゴザイマス、ソレガ何時モ後ニナリマシテサウシテ請願ヲシマシタ者ガ一日首ヲ
長クシテ-是ガ採擇ニナルカナラヌカト云フコトヲ首ヲ長クシテ待ッテ居ルノデアリマス
ソレガ何時モ遲レルコトニナリマシテ甚ダ請願者ニ對シテモ氣ノ毒デアルト思ヒマス、ソレ
故ニ請願ニ於キマシテモ少シ前ノ方ニ日程ヲ上ゲルヤウニ致シテ貰ヒタイト思フノデアリマ
ス其點ニ付キマシテ請願委員會ニ於テ決議ヲ致シタノデアリマスルカラ、御贊成ヲ願ヒ
タイト思フノデアリマス(「議長ニ一任」ト呼フ者アリ)ソレカ此第二十六カラ最終ノ八十
三ニ至リマスル所ノ請願ハ、既ニ數囘提出シタモノデアリマシテ、又是等ノ趣意ハソ
レツレ相當ノ理由ノアルモノト認メマシテ、請願委員會ニ於テハ採擇ニ決シタノデアリマス
ルカラ、ドウカ本院ニ於テモ其通リ御採擇アランコトヲ希望致シマス
特別報告第五十九號
請願文書表第六七六號
營業稅法中改正ノ請願新潟縣中蒲原郡兩川村大字酒屋二百九番地平
民農木村五郞治外二名呈出(紹介議員阪口仁一郞君)
右請願ノ要旨ハ農業倉庫ハ穀物販賣組織ノ改善竝農家保護機關トシテ必要ニシ
テ專ラ公益ヲ主トシ利ヲ得ル事少キモノナルニ營業稅法ハ一般倉庫ト同シク之ニ課
稅スルハ獨リ農業倉庫業者ノ苦痛タルノミナラス亦斯業ノ發達上遺憾ナルヲ以テ營
業稅法第六條ニ「但公益ヲ旨トスル各種農業倉庫ニハ營業稅ヲ課セス」ノ但書ヲ加
ヘラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第六十二號
請願文書表第八三五號
庄內川改修ニ關スル請願愛知縣海部郡富田村長鉛木助十郎外二十二
名呈出(紹介議員早川龍介君)
右請願ノ要旨ハ愛知縣庄內川ハ頻年氾濫シ旣往三十箇年間ノ損害ヲ〓算セハ六
百萬圓ヲ下ラス然ルニ之カ改修ニハ巨額ノ費用ヲ要シ到底民力ノ堪フルトコロニアラ
サルヲ以テ該川改修方ニ關シ第三帝國議會以來數囘請願シタルモ今猶之カ改修
工事ニ著手セラレサルハ關係町村民ノ深ク遺憾トスルトコロナルヲ以テ速ニ該川ヲ改
修セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第六十三號
請願文書表第八五一號
加古川河川改修ノ請願兵庫庫加古郡加古川町ノ內加古川町三百五
十六番地平民農野間宗一外一千百十名呈出(紹介議員石橋爲之助君
外三名)
右請願ノ要旨ハ兵庫縣下加古川ハ往古ヨリ幾多ノ變遷ヲ經テ幅員其ノ宜シキヲ得
ス屈曲亦甚シクシテ不整ヲ極メ且山林濫伐ノ餘弊ヲ受ケテ小雨ニモ忽チ潰決氾濫ノ
害ヲ被ルコト屢ナルヲ以テ明治四十四年九月河川法施行ト共ニ第一期川ニ編セラ
レシハ關係町村民ノ喜悅措ク能ハサルトコロナリシモ尙一朝大洪水ニ遭遇セハ慘禍
實ニ甚シキモノアルヲ以テ速ニ之カ改修ニ著手セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採譯スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第六十四號
請願文書表第八五八號
岩木川水害除去工事施行ノ請願靑森縣北津輕郡七和村大字羽野木澤
七番戶平民農岩木川治水期成同盟會長阿部武智雄外三十二名呈出
(紹介議員加藤宇兵衞君外一名)
右請願ノ要旨ハ靑森縣下岩木川改修工事ノ請願ハ議會ニ於テ屢採擇ヲ得タルニ
拘ラス今尙起工セラレサルハ遺憾ナリ蓋本川ノ流域ハ舊縣下ノ四郡ニ跨リ所謂津輕
平野ノ水田三萬八千町步ハ殆ト同川ノ本支流ニ由テ灌漑セラレ其ノ利害ハ廣ク三
十萬民人ノ死活ニ關スル大問題タリ大正二年本縣下ニ於ケル飢饉ノ如キハ素ヨリ
其ノ原因一ニシテ足ラスト雖然モ同川兩度ノ出水與ッテ力アリト信ス若斯ノ如クニシ
テ空シク推移セムカ年年ノ禍害益大ナルヘク沿岸人民ノ前途寒心ニ堪ヘサルモノアリ
依テ速ニ之カ改修工事ヲ起サレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第六十五號
請願文書表第六四二號
漁船避難港築造ノ請願香川縣三豐郡觀音寺町大字觀音寺甲三千九十
六番地平民商石崎兵治郞外百九名呈出(紹介議員田淵貞四郞君)
右請願ノ要旨ハ瀨戶內海ハ由來魚族ニ富ミ香川縣三豐郡沿海ハ殊ニ豐富ニシテ
漁民亦從テ多シ故ニ同郡觀音寺町ハ漁業ノ盛ナル瀨戶內海第一ト稱セラレ沿海
出漁船ノ集散地ナルト同時ニ又漁獲物ノ集散場タリ然ルニ同地方ノ海上ハ常ニ風
波荒ク暴風激浪海若ノ災ニ罹リ可憐漁民ノ生命ト財產トヲ擧ケテ空シクスルコト枚
舉ノ遑ナシ同町有志夙ニ燧洋水難救濟所ヲ設ケテ之カ救濟ニ努力スト雖港灣ノ不
良ハ如何トモスヘカラス而シテ其ノ救濟策トシテハ漁船避難港築造ノ外ナシ依テ速ニ
觀音寺町ニ之ヲ築造セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ講院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第六十六號
請願文書表第八五四號
網走港修築速成ノ請願北海道網走郡網走町大字北見町中通六丁目一
番地士族商木下詳外十九名呈出(紹介議員小池仁郞君)
右請願ノ要旨ハ北海道北見國綱走港ハ鐵道ノ敷設以來急激ノ發展ヲ爲シタルヲ
以テ海陸聯絡ノ設備ハ刻下ノ急務ニシテ到底大正七年度以降七箇年繼續事業ヲ
俟ツ能ハス依テ一日モ速ニ之ヲ起工完成セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第六十七號
請願文書表第八六〇號
稚內築港速成ノ請願北海道北見國宗谷郡稚内町大字雅內字北濱通四
丁目平民商業榎秀三外五十五名呈出(紹介議員小池仁郞君外一名)
右請願ノ要旨ハ稚內港ハ北海道天鹽及北見ニ於ケル唯一ノ良港ニシテ前方北海
ノ豐庫タル利尻、禮文及樺太ニ臨ミ後方天鹽大原野ヲ負ヒ物資ノ集散日ニ增大
シ到底拓殖十五箇年計畫案ヲ俟ツ能ハス希クハ大正五年度ヨリ築港工事ニ著
手セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第六十九號
請願文書表第三三一號
農業資金融通ノ請願德島縣勝浦郡福原村大字旭九十三番屋敷山部榮
藏外三十八名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三三二號
同上德島縣那賀郡鷲敷町大字小仁宇十五番屋敷農元木彌三郞外四十
九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三三三號
同上德島縣那賀郡中野島村大字橫見字長岡五十五番地米澤弘外三十
九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三三四號
同上德島縣那賀郡今津村大字敷地十四番屋敷吉川綾吉外四十九名呈
出(紹介議員三木與吉郎君外四名)
同第三三五號
同上德島縣名東郡齋津村齋田浦三百四十八番地士族農度瀨延吉外八
十一名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三三六號
同上德島縣名東郡加茂村三番地山口〓吉外四十名呈出(紹介議員三
木與吉郞君外四名)
同第三三七號
同上德島縣那賀郡寶田村大字今市字中屋敷三十六番地美馬進吾外二
十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三三八號
同上德島縣那賀郡見能林村大字才見字石橋十六番地農土居薰外六十
九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三三九號
同上德島縣名東郡上八萬村上八萬三百七十九番屋敷平民農山田金次
郞外五十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三四〇號
同上德島縣名東郡加茂名村庄六十二番屋敷農高橋丈三郞外七十九名
呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三四一號
同上德島縣勝浦小小島町大字田野字本村六十一番地三木金作外百
三十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三四二號
同上德島縣那賀郡加茂谷村大字加茂十一番屋敷平民農長野直太郞外
三十九名星出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三四三號
同上德島縣勝滿郡多賀良村大字飯谷二百四十四番屋敷ノ一平民竹內
祐一外五十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三四四號
同上德島縣勝滿郡生比奈村大字中角字前山四十二番地大上勘三外四
十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三四五號
同上德島縣名東郡國府町和田十八番地川島久吉外六十一名呈出(紹
介議員三木與吉郎君外四名)
同第三四六號
同上德島縣那賀郡桑野村大字阿瀨比字前田十一番地き崎寛太郞外四
十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三四七號
同上德島縣勝浦郡高鉾村大字正木字安後四十四番地平民農長岡字一
郎外二十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三四八號
同上德島縣那賀郡羽ノ浦村大字中庄二百七番屋敷平民農岡本茂三郎
外五十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三四九號
同上德島縣名東郡南井上村花園四百六十二番地ノ一平民農野口喜右
衞門外三十九名星出(紹介議員三木與吉郎君外四名)
同第三五〇號
同上德島縣德島市下助任町字金池八百二番屋敷平民商鈴江廣吉外七
十一名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三五一號
同上德島縣名西郡高志村大字瀨部百五番屋敷士族農井上嘉次郞外四
十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三五二號
同上德島縣名西郡高川原村大字加茂野六十六番屋敷平民農土肥元吉
外四十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三五三號
同上德島縣名西郡高原村大字高原四百十番屋敷高瀨庄五郎外四十九
名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三五四號
同上德島縣那賀郡橘町字東中濱百十八番地平民商糸林準一外四十二
名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三五五號
同上德島縣那賀郡相生町大字相名七番屋敷平民農平岡新藏外十九名
呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三五六號
同上德島縣那賀郡阪野村大字阪野一一百五十四番屋敷平民農淺石惠八
外五十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三五七號
同上德島縣那賀郡新野村大字豐田五十一番地久米力衞外五十九名呈
出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三五八號
同上德島縣那賀郡椿村大字椿字蒲生田百八十番地平民農棚橋國太郞
外五十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三五九號
同上德島縣那賀郡立江町大字立江字玉田二十七番地平民農石丸伸二
外四十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三六〇號
同上德島縣那賀郡長生村大字本庄四十八番屋敷平民農村崎半次郎外
三十九名呈出(紹介議員三木與吉郎君外四名)
同第三六一號
同上德島縣那賀郡福井村大字下福井六十七番屋敷平民農野村悅次郞
外三十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三六二號
同上德島縣那賀郡宮濱村大字小濱三百十五番屋敷平民農越野芳行外
三十八名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三六三號
同上德島縣那賀郡日野谷村大字大久保三十九番屋敷本田數太郞外二
十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三六四號
同上德島縣那賀郡平島村大字三栗十九番屋敷平民農武田伴太郞外六
十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三六五號
同上德島縣海部郡奧木頭村大字西宇三十番屋敷西澤瀧太郎外二百十
名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三六六號
同上德島縣海部郡赤河內村大字西河內二十四番屋敷平民農芳川與藏
外三十八名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三六七號
同上德島縣海部郡日和佐町大字奧河內字本村百三番地平民商業喜田
藤吉外六十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三六八號
同上德島縣海部郡川西村大字高園字小林百三番屋敷小濱房太郎外三
十三名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三六九號
同上德島縣海部郡川上村大字小川十一番屋敷平民農谷崎嘉太郎外三
十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三七〇號
同上德島縣海部郡鞆奧村大字鞆浦百八十九番屋敷平民公吏柳生重太
郎外十一名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三七一號
同上德島縣海部郡牟岐村大字河內二百八十三番屋敷原田早藏外六十
九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三七二號
同上德島縣海部郡三岐田村木岐浦百三十四番屋敷濱名理作外九十名
呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三七三號
同上德島縣名西郡入田村入田字春日二百十番地ノ一平民農高橋〓左
衞門外三十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三七四號
同上德島縣板野郡瀨戶村堂浦三百五十三番屋敷秋田常之進外二十四
名呈出(紹介議員三木與吉郎君外四名)
同第三七五號
同上德島縣那賀郡富岡町大字富岡一番屋敷平民農吹田儀平外六十九
名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三七六號
同上德島縣板野郡北灘村大字大浦村四十二番屋敷農岸本多一外三十
七名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三七七號
同上德島縣板野郡大山村字神宅七番屋敷安藝芳郎外四十九名呈出
(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三七八號
同上德島縣板野郡御所村大字高尾八十九番屋敷平民農糸田川龜三郞
外四十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三七九號
同上德島縣板野郡川內村大松五十二番屋敷平民農喜田富藏外七十九
名呈出(紹介議員三木與吉郎君外四名)
同第三八〇號
同上德島縣板野郡撫養町南濱七十四番ノ三地平民農村澤銀藏外百十
七名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三八一號
同上德島縣板野郡板東村大字萩原黑田德太郎外五十九名呈出(紹介
議員三木與吉郞君外四名)
同第三八二號
同上德島縣板野郡松島村大字引野字下齒朶尾三十二番地影山龜三郞
外四十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三八三褫
同上德島縣阿波郡大俣村大字上喜來三十三番屋敷松村儀市郎外十七
名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三八四號
同上德島縣阿波郡土成村大字土成字池下百六十三番地邨川祐一外六
十七名星出(紹介議員三木與吉郎君外四名)
同第三八五號
同上德島縣阿波郡久勝村大字久千田三十九番平民農阪東愛之助外四
十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三八六號
同上德島縣麻植郡東山村百八十八番屋敷竹田由郞外二十九名呈出
(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三八七號
同上德島縣麻植郡學島村六十三番地平民農金子伊之助外四十九名星
出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三八八號
同上德島縣麻植郡木屋平村大字木屋平字森遠百三十八番地天田信一
外九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三八九號
同上德島縣美馬郡半田奧山村字下喜來百三十番地森岡信太郞外三十
九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三九〇號
同上德島縣美馬郡郡里村二十八番屋敷平民農眞鍋儀平外十五名呈
出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三九一號
同上德島縣美馬郡東祖谷山村七百十六番屋敷平民農關口鶴藏外五十
九名星出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三九二號
同上德島縣美馬郡端山村大字東端山三百七十六番地平民農松尾鸛惠
外三十九名呈出(紹介議員三木與吉郎君外四名)
同第三九三號
同上德島縣美馬郡口山村字首野六百四十六番地平民農山田庄市外五
十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三九四號
同上德島縣美馬郡西祖谷山村字德善百十三番地士族農德善正一外三
十二名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三九五號
同上德島縣美馬郡半田村大字半田字逢阪百二十二番地大久保龜吉外
五十一名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三九六號
同上德島縣美馬郡穴吹村大字穴吹百五十二番屋敷平民農佃善吉外四
十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三九七號
同上德島縣美馬郡岩倉村大字岩倉二百二番屋敷士族農丹羽嘉五郎外
七十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三九八號
同上德島縣美馬郡半平山村八十九番屋敷平民農靑山嘉平外十四名呈
出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第三九九號
同上德島縣美馬郡貞光町百三十六番屋敷谷熊太郞外六十八名呈出
(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四〇〇號
同上德島縣美馬郡重〓村字谷口五番地ノ一平民公吏河野俊夫外一一十
名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四〇一號
同上德島縣美馬郡脇町大字猪尻二百四十二番屋敷士族公吏香田雄次
郞外八十四名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四〇二號
同上德島縣美馬郡三島村大字小島三百八番地平民農竹田源七外三十
四名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四〇三號
同上德島縣三好郡山城谷村千二百七十九番屋敷川島規矩馬外八十九
名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四〇四號
同上德島縣三好郡三繩村大字中西三十三番屋敷阪本政五郎外十八名
呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四〇五號
同上德島縣三好郡三名村大字上名八十五番屋敷平民農華岡嘉治郞外
二十名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
本請願ノ要旨ハ近時農村ノ經濟ハ頗ル不安窮迫ノ狀態ニアルモ日本勸業銀行各
府縣農工銀行等ノ貸出資金ハ常ニ枯渇シ金利亦高キニ過キテ之ヲ救濟スルニ由ナ
キヲ以テ少クトモ地方經濟發展ノ基礎タルヘキ事業ニ對シテハ尙一層其ノ資金ヲ豐
富ニシ且其ノ利率ヲ低減シ以テ逼迫セル農村ノ金融ヲ緩和シ速ニ國力充實ノ目的
ヲ達セシメラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第七十號
請願文書表第六七五號
農業倉庫法制定ノ請願新潟縣中蒲原郡兩川村大字酒屋二百九番地平
民農木村五郞治外二名呈出(紹介議員阪口仁一郞君)
右請願ノ要旨ハ農產物ノ價格ヲ調節シ貯藏販賣ノ方法ヲ改善シ需用供給ノ圓滑
ヲ圖リ且農業者ノ金融ニ資スル爲速ニ農業倉庫法ヲ制定シテ斯業ヲ奬勵保護セラ
レタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第七十一號
請願文書表第四〇六號
米價調節ノ請願德島縣名東郡齋津村齋田浦三百四十八番地士族農廣
瀨延吉外八十一名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四〇七號
同上德島縣名東郡國府町和田十八番地川島久吉外五十九名呈出(紹
介議員三木與吉郎君外四名)
同第四〇八號
同上德島縣名東郡沖洲村沖洲浦字南屋敷二十九番地士族無業桑村義
人外十七名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四〇九號
同上德島縣名東郡加茂名村庄六十二番屋敷農高橋丈三郞外七十九名
呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四一〇號
同上德島縣名東郡上八萬村上八萬三百七十九番屋敷平民農山田金次
郎外四十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四一一號
同上德島縣名東郡加茂村三番山口〓吉外四十名呈出(紹介議員三木
與吉郞君外四名)
同第四一二號
同上德島縣勝浦郡生比奈村大字中角字前山四十二番地大山勘三外四
十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四一三號
同上德島縣勝浦郡福原村大字旭九十一番屋敷山部榮藏外三十八名呈
出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四一四號
同上德島縣名東郡南井上村花園四百六十二番地ノ一平民農野口喜右
衞門外三十九名里出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四一五號
同上德島縣勝浦郡高鉾村大字正木字安后四十四番地平民農長岡宇一
郎外二十九名呈出(紹介議員三木與吉郎君外四名)
同第四一六號
同上德島縣勝浦郡多家良村大字飯谷二百四十四番屋敷ノ一平民公吏
竹內祐一外四十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四一七號
同上德島縣勝浦郡小松島町大字田野字本村六十一番地三木金作外百
三十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四一八號
同上德島縣那賀郡富岡町大字富岡一番屋敷平民農吹田儀平外六十九
名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四一九號
同上德島縣那賀郡中野島村大字橫見村長岡五十五番米澤弘外三十九
名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四二〇號
同上德島縣那賀郡加茂谷村大字加茂十一番屋敷平民農長町直太郎外
三十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四二一號
同上德島縣那賀郡見能林村大字才見字石橋十六番地平民農土居薰外
六十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四二二號
同上德島縣那賀郡寶田村大字金中字中ヤシキ三十六番地美馬進吾外
二十九名呈出(紹介議員ニ一木與吉郞君外四名)
同第四二三號
同上德島縣那賀郡羽ノ浦村大字中庄二百七番屋敷平民農業岡本茂三
郞外五十九名呈出(紹介議員三木與吉部君外四名)
同第四二四號
同上德島縣那賀郡相生村大字相名七番屋敷平民農平岡新藏外十九名
呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四二五號
同上德島縣那賀郡橘町字東中濱百十八番地平民商糸林準一外四十二
名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四二六號
同上德島縣那賀郡今津村大字敷地十四番屋敷吉川綾吉外四十九名呈
出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四二七號
同上德島縣那賀郡桑野村大字阿瀨比字前田十一番地平民農宮崎寛太
郞外四十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四二八號
同上德島縣那賀郡鷲敷町大字小仁字十五番屋敷農元木彌三郞外四十
九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四二九號
同上德島縣那賀郡平島村大字三栗十九番屋敷武田伴太郎外六十九名
呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四三〇號
同上德島縣那賀郡日野谷村大字大久保三十九番屋敷本田數太郞外二
十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四三一號
同上德島縣那賀郡宮濱村大字小濱小濱三百十五番屋敷平民農越野芳
行外二十八名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四三二號
同上德島縣那賀郡福井村大字下福井字中連九十二番地平民農岩淺健
二外三十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四三三號
同上德島縣那賀郡長生村大字本庄四十八番屋敷平民農村崎半次郞外
三十九名呈出(紹介議員三木與吉郎君外四名)
同第四三四號
同上德島縣那賀郡立江町大字立江字玉田二十七番地平民農石丸伸二
外四十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四三五號
同上德島縣那賀郡椿村大字椿字蒲生田百八十番地農硼橋國太郎外五
十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四三六號
同上德島縣那賀郡新野村大字豐田五十一番地久米力衞外五十九名呈
出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四三七號
同上德島縣那賀郡阪野村大字阪野二百五十四番屋敷平民農淺石惠八
外五十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四三八號
同上德島縣板野郡撫養町南濱七十四番ノ三地村澤銀藏外百八名呈出
(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四三九號
同上德島縣板野郡川内村大松五十二番屋敷平民農喜田富藏外七十九
名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四四〇號
同上德島縣板野郡御所村大字高尾八十九番屋敷平民農糸田川龜三郞
外四十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四四一號
同上德島縣板野郡大山村字神宅七番屋敷安藝芳郎外五十九名呈出
(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四四二號
同上德島縣板野郡坂東村大字萩原黒田德太郞外四十九名呈出(紹介
議員三水與吉郞君外四名)
同第四四三號
同上德島縣板野郡松島村大字引野下齒朶尾三十二番地影山龜三郞外
四十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四四四號
同上德島縣板野郡北灘村大字大浦村四十二番屋敷農岸本多一外三十
七名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四四五號
同上德島縣板野郡瀨戶村堂浦三百五十三番屋敷秋田常之進外二十四
名呈出(紹介議員三木與吉郎君外四名)
同第四四六號
同上德島縣名西郡高原村大字高原四百十番屋敷高瀨庄五郞外四十九
名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四四七號
同上德島縣名西郡高川原村大字加茂野六十六番屋敷平民農土肥元吉
外四十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四四八號
同上德島縣名西郡高志村大字瀨部百五番屋敷士族農井上嘉次郞外四
十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四四九號
同上德島縣名西郡入田村入田字春日二百十番地ノ一平民農高橋〓左
衞門外三十九名呈出(紹介議員三水與吉郞君外四名)
同第四五〇號
同上德島縣海部郡三岐田村木岐浦百三十四番屋敷濱名理作外九十名
呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四五一號
同上德島縣海部郡牟岐村大字河內字にしかわまた二百八十三番地原
田早藏外六十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四五二號
同上德島縣海部郡鞆奥村大字鞆浦百八十九番屋敷平民公吏柳生重太
郞外十一名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四五三號
同上德島縣海部郡川上村大字小川十一番屋敷平民農業谷崎加太郞外
三十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四五四號
同上德島縣海部郡川西村大字高園字小林百三番屋敷小濱房太郞外三
十八名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四五五號
同上德島縣海部郡日和佐町大字奧河內字本村百三番地平民商喜田藤
吉外六十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四五六號
同上德島縣海部郡赤河内村大字西河內二十四番屋敷平民農芳川與藏
外三十八名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四五七號
同上德島縣海部郡奧木頭村大字西宇三十番屋敷西澤瀧太郞外二百十
名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四五八號
同上德島縣美馬郡郡里村二十八番屋敷平民農眞鍋儀平外二十四名呈
出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四五九號
同上德島縣麻植郡木屋平村大字木屋平字森遠百三十八番地天田信一
外九名呈出(紹介議員三木與吉郎君外四名)
同第四六〇號
同上德島縣麻植郡學島村六十三番地平民農金子伊之助外四十九名呈
出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四六一號
同上德島縣麻植郡東山村百八十八番屋敷竹田由郎外一一十九名呈出
(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四六二號
同上德島縣阿波郡久勝村大字久千田三十九番地平民農坂東愛之助外
四十九名呈出(紹介議員三木與吉郎君外四名)
同第四六三號
同上德島縣阿波郡土成村大字土成字池下百六十三番地村川祐一外六
十七名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四六四號
同上德島縣阿波郡大俣村大字上喜東三十三番屋敷松村儀市郎外十七
名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四六五號
同上德島縣美馬郡端山村大字東端山三百七十六番地平民農松尾鶴惠
外三十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四六六號
同上德島縣美馬郡東祖谷山村七百十六番屋敷關口鶴藏外五十九名呈
出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四六七號
同上德島縣美馬郡三島村大字小島三百八番地平民農竹田源七外三十
四名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四六八號
同上德島縣美馬郡脇町大字猪尻二百四十二番屋敷士族公吏香田雄次
郎外八十四名呈出(紹介議員三木與吉郎君外四名)
同第四六九號
同上德島縣美馬郡口山村字首野六百四十六番地農山田庄市外五十九
名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四七〇號
同上德島縣美馬郡西祖谷山村字德善百十三番地士族農德善正一外三
十二名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四七一號
同上德島縣美馬郡半田村大字半田字逢阪百二十二番地大久保龜吉外
五十一名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四七二號
同上德島縣美馬郡貞光町百三十六番屋敷谷熊太郞外六十九名呈出
(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四七三號
同上德島縣美馬郡穴吹村大字穴吹百五十二番屋敷平民農佃善吉外四
十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四七四號
同上德島縣美馬郡岩倉村大字岩倉二百二番屋敷士族農丹羽嘉五郎外
七十九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四七五號
同上德島縣美馬郡半平山村八十九番屋敷平民農靑山嘉平外十五名呈
出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四七六號
同上德島縣美馬郡重〓村字谷口五番地ノ一平民公吏河野俊夫外二十
名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四七七號
同上德島縣美馬郡半田奧山村字下喜來百三十番地森岡信太郎外三十
九名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四七八號
同上德島縣三好郡山城谷村千二百七十九番屋敷川島規矩馬外八十九
名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四七九號
同上德島縣三好郡三名村大字上名八十五番屋敷平民農華岡嘉治郞
外二十名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四八〇號
同上德島縣德島市下助任町字金池八百二番屋敷平民鈴江廣吉外七十
一名呈出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
同第四八一號
同上德島縣三好郡三繩村字中西三十三番屋敷坂本和三郞外十八名呈
出(紹介議員三木與吉郞君外四名)
本請願ノ要旨ハ米價ノ暴落ハ我カ經濟界ニ尠カラサル惡影響ヲ與ヘタリ特ニ農業
家ノ受ケタル打擊ハ甚大ニシテ貧弱ナル農民ノ困憊ハ實ニ意想外ニ在リ依テ此等窮
境ニ在ル農民ヲ救濟スル爲適當ナル方法ヲ講シ以テ米價ノ恆久的調節ヲ圖ラレタシ
ト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第七十三號
請願文書表第三二六號
癈兵傷病兵及遺族優遇ニ關スル請願東京府北豐島郡巢鴨町上駒込八
百五十二番地士族無職野村信成外一名呈出(紹介議員齋藤宇一郞君)
右請願ノ要旨ハ傷痍軍人竝其ノ遺族保護ノ完不完ハ國民士氣ノ消長ニ大ナル關
係アリ依テ窮境ニ沈淪シ不安ノ生活ヲ爲シツツアル是等ノ者ニ對シ(一)癈兵ノ治療
ヲ容易ナラシメ(二)增加恩給竝遺族扶助料ヲ增額支給セラレ(三)死亡癈兵ハ靖
國神社ニ合祀セラレ(四)軍人恩給法第九條第五項第六項ニ該當スル者ニモ汽車
汽船無賃乘行竝遺族ニ靖國神社大祭ノ際ハ無賃乘行ヲ許可シ(五)衆議院議員
選舉權ヲ附與シ(六)生活ヲ容易ナラシムル爲適當ノ方法ヲ講究セラレ以テ廢兵傷
病兵及其ノ遺族ヲ優遇セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ右要旨中第五項ヲ除キ他ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノ
ト議決セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第七十四號
請願文書表第八四二號
姫路城西ノ丸保存ノ請願兵庫縣姫路市龜井町十番屋敷平民無職業大
森與三次外三十九名呈出(紹介議員丸山芳介君外八名)
右請願ノ要旨ハ姫路城ハ今ヲ距ル五百八十餘年前ノ築造ニ係リ規模ノ宏大ナル
輪奠ノ莊美ナル蓋現時稀ニ見ル所ナリ先ニ明治四十三年國費九万圓ヲ投シテ之ニ
修繕ヲ加ヘラレタルモ該城ニ付歷史上重要部タル西ノ丸ノ一區域ニ及ハサリシハ甚タ
遺憾ナリ殊ニ西ノ丸ノ一隅櫓ノ直下ニハ現ニ步兵第十聯隊ノ講堂及銃工場アルニ
拘ラス近時漸ク荒廢シ危險少シトセス依テ之ニ適當ノ補修ヲ加ヘラレタシト謂フニ在
リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第七十六號
請願文書表第六〇七號
乃美尾村ニ郵便電信局設置ノ請願廣島縣賀茂郡乃美尾村長國近盛外
一名呈出(紹介議員有田溫三君)
右請願ノ要旨ハ廣島縣下賀茂郡ハ管下三十九箇町村ヲ行政上六組合ニ分割シアリ
而シテ其ノ中ノ黑瀬組ヲ除ク各組合ニハ一箇若ハ二箇ノ郵便電信局アルモ黑瀨組合
ニハ其ノ之ナキ爲右六箇村ノ人民ハ少クトモ三里ヲ出テサレハ其ノ用務ヲ辨スル能ハ
スシテ其ノ不便ヤ甚シ依テ同組合內特ニ其ノ中央ニ位シ商業盛ニシテ從テ電信郵
便物ノ集配多ク且便利ナル乃美尾村ニ郵便電信局ヲ設置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第七十七號
請願文書表第六二三號
鏡石村ニ郵便局設置ノ請願福島縣岩瀨郡鏡石村大字成田字宿屋敷四
番地平民農圓谷胖治星出(紹介議員鈴木寅彥君外一名)
右請願ノ要旨ハ福島縣岩瀨郡鏡石村ハ東北鐵道線ノ沿道ニシテ岩瀨郡ノ南端ニ
位シ鏡石停車場ヲ有シ運輸交通ノ便多大ニシテ郵便事務饒多ナルニ拘ラス通信機
關タル郵便局ノ設置ナキハ關係村民ノ不便不利甚シ依テ鏡石村ニ郵便局ヲ設置セ
ラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第七十八號
請願文書表第六五四號
木田村ニ郵便局設置ノ請願島根縣那賀郡木田村長佐々岡延藏呈出(紹
介議員三浦倫吉君)
右請願ノ要旨ハ島根縣那賀郡木田村ハ直接國稅納付額ノ多大ナルコト全郡ノ第一
ニ位シ郵便物ノ集散饒多ナルニ拘ラス其ノ管轄郵便局タル今市局ト邑智郡ノ市山
日貫ノ二局竝那賀郡跡市局トハ其ノ距離僅僅數里ニ過キサルニ直接遞送ノ便ナキ
爲常ニ郵便物ノ遲延ヲ免レスシテ其ノ不便甚シ依テ邑智郡市木局ヨリ前記跡市局
ヘ新線路ヲ開クカ又ハ今市局ヨリ市山局ヘ新線路ヲ設クルカ孰レニシテモ木田村ニ
一局ヲ新設シ之カ取次ヲ爲サシメラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第七十九號
請願文書表第七八一號
下之川村ニ三等郵便局設置ノ請願三重縣一志郡下之川村長土方近太
郞呈出(紹介議員小林嘉平治君)
右請願ノ要旨ハ三重縣一志郡下之川村ハ山嶽周圍ヲ鎖シ何レニ至ラムトスルニモ
一里餘ノ坂路アリテ交通頗ル不便ナリシモ郡道開設以來交通便利トナリ下之川村
產業組合設置以來木材木炭其ノ他ノ貨物ノ輸出入一層頻繁トナレリ從テ郵便物
發受數近時頓ニ增加シタルニ拘ラス管轄郵便局トハ二里餘ノ坂路ヲ隔テ關係村民
ノ不便不利甚シキモノアリ依テ隣村竹原村大字八手俣村ヲ管轄スル三等郵便局ヲ
前記下之川村ニ設置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第八十號
請願文書表第七八三號
中名田村ニ郵便局設置ノ請願福井縣遠敷郡中名田村長中西宗兵衞呈
出(紹介議員山口嘉七君)
右請願ノ要旨ハ福井縣遠敷郡中名田村ハ一村舉ケテ製紙業ニ從事シ之カ原料買
入及製造販賣ニ關シ全國各地ト通信往復頻繁ナルノミナラス輓近勤儉貯蓄ヲ奬
動シツツアルモ之カ取扱所ナク隣接小濱、久坂郵便局トハ二里若ハ三里餘ノ距離
アリテ關係村民ノ不便不利甚シ依テ前記中名田村ニ郵便局ヲ設置セラレタシト謂
フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第八十一號
請願文書表第七八四號
谷頭驛ニ郵便局設置ノ請願宮崎縣北諸縣郡山田村長吉川正義呈出
(紹介議員肥田景之君)
右請願ノ要冒ハ宮崎縣北諸縣郡山田、庄內、志和池三箇村ノ境界點ニ位セル谷
頭驛ハ農林產物豐富ニシテ蠶繭ノ如キハ常ニ郡內ノ首位ヲ占ム從テ同驛ヲ中心トス
ル商取引又ハ事業ノ爲來往スル者年ト共ニ頻繁ヲ加ヘ來ルニ拘ラス管轄郵便局ヨ
リノ集配ハ日ニ一囘ニシテ機敏ヲ要スル事業家ノ堪フル所ニアラス依テ前記谷頭驛
ニ郵便局ヲ設置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第八十二號
請願文書表第八〇〇號
菅生村ニ郵便局設置ノ請願岡山縣阿哲郡管生村長分部虎治郎呈出
(紹介議員西村丹治郞君)
右請願ノ要旨ハ岡山縣阿哲郡菅生村ハ四面山嶽ヲ迴ラシ方二里餘ノ面積ト千八
百ノ人口トヲ有シ殊ニ近時該村產物タル木材薪炭畜牛ノ販路廣マルニ及ヒ通信機
關ノ必要ヲ感スルコト痛切ナルモノアリ然ルニ所管郵便局ニ到ルニハ數里ノ距離アリ
テ普通郵便物ノ如キハ二日乃至四日ノ後ニ漸ク到達スルノ狀態ニシテ村民ノ不利
不便謂フヘカラス依テ管生村ニ郵便局ヲ設置アリタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第八十三號
請願文書表第八一八號
東仙道村ニ集配郵便局設置ノ請願島根縣美濃郡東仙道村平民農寺井
愛吉外二百十三名呈出(紹介議員三浦倫吉君)
右請願ノ要旨ハ島根縣美濃郡東仙道村ハ五大字ヨリ成リ戶數五百人口二千五
百有餘農商業年ト共ニ發展シ郵便物輻輳ノ氣運ヲ呈セリト雖隣接郵便局ニハ二
里半ヲ隔テ不便不利尠カラサルモノアルヲ以テ前記東仙道村ニ集配郵便局ヲ設置
セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第八十四號
請願文書表第八一九號
二川村ニ集配郵便局設置ノ請願島根縣美濃郡二川村大字宇津川平民
農河野升太外二百九十五名呈出(紹介議員三浦倫吉君)
右請願ノ要旨ハ島根縣美濃郡二川村ハ宇津川及板井川ノ二大字ヨリ成リ戶數三
百餘人口千四百餘面積東西三里南北四里アリテ字津川ノ如キハ舊高千石ト稱セ
ラレシ土地廣濶ノ村落ナリ然ルニ隣接郵便局ハ最近ノ場所ニシテ一里二十丁遠キ
ハ四里餘アリテ不便不利尠カラサルノミナラス隣接村落ニモ利便ヲ與フルモノナルヲ
以テ速ニ前記二川村ニ集配郵便局ヲ設置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第八十五號
請願文書表第八二一號
三ツ木村ニ無集配郵便局設置ノ請願東京府北多摩郡三ツ木村六百三十
番地平民商比留間安右衞門呈出(紹介議員高木正年君)
右請願ノ要旨ハ東京府北多摩郡三ツ木村ハ人口二千餘附近村落亦孰レモ人口
二千以上ヲ有スル大村ニシテ幾多重要ノ物產ヲ生スルニ拘ラス通信機關ヲ缺キ農
工業ノ發展ヲ阻害スルコト甚シキノミカ關係村民ノ不利不便頗ル大ナリ依テ前記三
ツ木村ニ無集配郵便局ヲ設置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依り別册及御送付候也
特別報告第八十六號
請願文書表第八二八號
田幸村鹽町ニ郵便局設置ノ請願廣島縣雙三郡神杉村長駒澤丈外二名
呈出)紹介議員橫山金太郞君外二名)
右請願ノ要旨ハ廣島縣雙三郡和田村田幸村神杉村ハ近來生產上實ニ視ルヘキモ
ノアリト雖郵便局遠隔ノ地ニアリテ之カ販賣輸送ニ關スル通信ノ機ヲ失シテ努力ノ
效空シカラムトス例セハ隣接三良阪郵便局ニ早糊投函シタル書狀カ其ノ區域內ノ
受信人ニ翌日夕刻到著スルカ如キ有樣ニテ其ノ他電信及新聞雜誌購讀ノ不便又
勞銀預入ニ關シテハ其ノ機關ナキ爲之ヲ浪費シテ不時ニ備フルコトヲ爲サス爲ニ產
業ノ奬勸モ徒勞ニ歸セムトシ村民ノ不便甚シキヲ以テ前揚三村ノ中央ニ位スル田
幸村鹽町ニ郵便局ヲ設置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第八十七號
請願文書表第八三九號
下大野村ニ三等郵便局設置ノ請願秋田縣北秋田郡下大野村長高橋長
四郞呈出(紹介議員井上廣居君外一名)
右請願ノ要旨ハ秋田縣北秋田郡下大野村ハ郡ノ西方二ツ井町ヨリ米內澤町ニ通
スル縣道約六里ノ中央ニ位シ戶數三百其ノ中心部落タル木戶石ハ年一年繁榮
ニ赴キ殊ニ養蠶業ノ發達顯著ニシテ生絲及繭仲買業者ノ出入頻繁ヲ極メ各部落
物產ノ集散地ナルノミナラス從來隣接李代局ヲ最近トスルモ春季消雪及梅雨等ノ
期間ハ洪水多ク爲ニ通信不能ヲ來シ其ノ不便謂フヘカラサルモノアリ依テ前記大野
村ニ三等郵便局ヲ設置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第八十八號
請願文書表第八六二號
大濱村宮前ニ郵便局設置ノ請願廣島縣御調郡大濱村長河野勇呈出(紹
介議員花井卓藏君外一一名)
右請顧ノ要旨ハ廣島縣御調郡大濱村ハ尾道市及本郡三原町ヲ距ルコト海上七
哩餘ノ孤島タル因島ノ東北部ニ位シ道路鹼惡ニシテ交通頗ル不便ナリ加フルニ該
村民ハ主トシテ海員及農業ニ從事シ且該村ハ通商航海ノ要路ニ當ルヲ以テ該村字
宮前ニ無集配郵便局ヲ設置シ郵便事務竝爲替貯金事務開始ト同時ニ電話機裝
置ノ電信事務ヲモ開始セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第九十號
請願文書表第七八八號
耳村佐柿ニ區裁判所出張所設置ノ請願福井縣三方郡耳村興道寺第四
十一號二十番地平民農中瀨宗太郎外五名呈出(紹介議員山口嘉七君)
右請願ノ要旨ハ福井縣三方郡下敦賀區裁判所三方出張所(登記所)ハ郡ノ西部
ニ偏在スルノミナラス唯其ノ一箇所アルノミナルヲ以テ其ノ東部地方ヨリ數里ノ距離
アリテ關係村民ノ不便不利甚大ナリ依テ同郡ノ内南西〓村耳村及山東村ヲ管轄
區域トスル區裁判所出張所ヲ耳村佐柿ニ設置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第九十一號
請願文書表第七九〇號
脇町區裁判所白地出張所設置ノ請願德島縣三好郡佐馬地村助役川原
長吉外一名呈出(紹介議員大久保弁太郞君)
右請願ノ要旨ハ德島縣三好郡佐馬地村大字白地ニアリシ脇町區裁判所出張所ハ
大正三年六月廢止セラレタルモ該出張所所在地方ハ土地廣クシテ人口多ク登記
事件數亦從テ尠カラサルニ所管池田出張所ニ到ルニハ數里ノ距離アリテ關係人民
ノ不便大ナルヲ以テ佐馬地三繩兩村ヲ管區トシ佐馬地村大字白地ニ脇町區裁判
所白地出張所ヲ設置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第九十二號
請願文書表第八二四號
下城井村安武ニ登記所設置ノ請願福岡縣築上郡下城井村長松尾東作
外一名呈出(紹介議員藏內次郞作君)
右請願ノ要旨ハ福岡縣築上郡上、下城井村ハ管轄椎田登記所トノ距離遠隔ニシ
テ一般當事者ノ不便トスル所ナルヲ以テ是等遠隔村落ノ中央ニ位セル前記下城井
村安武ニ登記所ヲ設置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第九十三號
請願文書表第八四四號
上湧別村ニ登記所設置ノ請顧北海道紋別郡上湧別村平民農業渡邊寬
外八百三十六名呈出(紹介議員小池仁郞君)
右請願ノ要旨ハ北海道北見國紋別郡上湧別村ハ近年長足ノ進歩ヲ遂ケ今ヤ登
記件數甚多ク所轄登記所迄ハ最近距離尙八里最遠キハ二十六里ヲ隔テ不便甚
シ依テ前記上湧別村ニ登記所ヲ設置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第九十四號
請願文書表第八六一號
東旭川村ニ區裁判所出張所設置ノ請願北海道上川郡東旭川村百六十
番地平民商萱津琴二外十九名呈出(紹介議員小池仁郞君外一名)
右請願ノ要旨ハ北海道上川郡東旭川村ニハ登記事務ヲ取扱フヘキ區裁判所出張
所ノナキ爲同村民竝僚村民一般ノ苦痛甚大ナルモノアルヲ以テ前東旭川村ニ旭川
區裁判所出張所ヲ設置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百六號
請願文書表第八五〇號
黑澤尻町ニ區裁判所新設ノ請願巖手縣和賀郡黑澤尻町大字町分二百
六十四番戶平民商伊藤治郞助外二十九名星出(紹介議員柵瀨軍之佐
君)
右請願ノ要旨ハ巖手縣和賀郡黑澤尻町ハ盛岡一ノ關ノ中央ニ位シ水澤花卷間ニ
介在スル交通樞軸ノ地ナルヲ以テ該地ニ區裁判所ヲ設置スルニ於テハ水澤及花卷
二區裁判所復舊ト等シク關係地方民ノ利便大ナルヲ以テ前記黑澤尻ニ區裁判所
ヲ設置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百七號
請願文書表第七八六號
小學校〓員俸給國庫支辨ニ關スル請願茨城縣久慈郡下小川村長神長
兵十郎外三十六名呈出(紹介議員大津淳一郞君)
右請願ノ要旨ハ〓育費ハ町村財政歲出中ノ大部ヲ占メ且近時著シク之カ增加セ
ルヲ以テ其ノ負擔ニ苦ミ居ルノミナラス爲ニ勸業費支出ノ如キハ殆ト不可能ナルノ狀
態ニアリ依テ〓育費中小學校〓員ノ俸給ハ之ヲ國庫ヨリ支辨セラレタシト謂フニ
在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百九號
請願文書表第七九一號
福山今市間輕便鐵道速成ノ請願島根縣飯石郡吉田村大字吉田村二千
四百七番地平民鑛業田部長右衞門外四百四十名呈出(紹介議員石田
幸吉君外一名)
右請願ノ要旨ハ廣島縣下福山町ヨリ三次町ニ入り島根縣飯石郡ヲ縱貫シ簸川郡
今市驛ニ出テ同地ニ於テ山陰縱貫鐵道ノ幹線出雲大社鐵道竝一烟輕便鐵道ト
連絡スヘキ鐵道ハ陰陽線兩道ノ連結上緊要ナルノミナラス山間ノ遠利ヲ收拾シ地
方產業ノ發達上幹線及支線ノ營養上最必要ナリ依テ右線路ニ對シ速ニ輕便鐵道
ヲ敷設セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百十號
請願文書表第八〇四號
所子村ニ停車場設置ノ請願鳥取縣西伯郡所子村長門脇榮一外三名呈
出(紹介議員西谷金藏君)
右請願ノ要旨ハ鳥取縣西伯郡所子村ハ山陰線御來屋淀江兩驛ノ中間ニアリテ古
來中筋ト稱シ高麗庄內大山ノ諸村落ト相接シ人口稠密農林產豐富ニシテ貨客ノ
饒多ナルニモ拘ラス兩驛ノ相距ル殆ト六哩ニ及ヒ鐵道運輸ノ便ニ浴スル能ハサルノ
悲境ニアルヲ以テ前記所子村ニ停車場ヲ設置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百十一號
請願文書表第八一四號
廣島江津間鐵道速成ノ請願廣島縣雙三郡三次町長桑原〓之進外四十
四名呈出(紹介議員三浦倫吉君)
右請願ノ要旨ハ安藝國廣島市ヲ發シ石見國江津ニ到ル鐵道ハ其ノ沿道地方諸種
ノ產業盛ニシテ之カ敷設ノ曉ハ更ニ此ノ天與ノ富源ハ益開拓セラレ國利民福ノ增進
期シテ待ツヘキモノアリ依テ本線路ヲ第一期ニ繰上ケ急速工事ニ著手セラレタシト謂
フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百十二號
請願文書表第八四五號
野上旭川間輕便鐵道速成ノ請願北海道北見國紋別郡上湧別村平民農
鈴木峰次外八百七十九名星出(紹介議員小池仁郞君)
右請願ノ要旨ハ北海道北見國野上ヨリ石狩國旭川ニ通スル輕便鐵道ハ北見國海
岸方面ト本道中央部トヲ連絡スルモノニシテ拓殖竝軍事上緊要ナリ依テ之ヲ速成
セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百十三號
請願文書表第ハ五三號
厚岸網走間鐵道速成ノ請願北海道網走郡網走町大字北見町中通六丁
目一番地士族商木下詳外十九名呈出(紹介議員小池仁郞君)
右請願ノ要旨ハ北海道厚岸網走間ハ沿道一帶地味豐饒ナル平野ニシテ林產及鑛
產ク一大富源ヲ爲セリ當局夙ニ之ヲ察シ一昨年調査計畫セラレタル所ナレト不幸
未タ起工ノ運ニ至ラス當該沿道ノ不利不便甚大ナルヲ以テ速ニ厚岸網走間ノ鐵道
ヲ敷設セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百十四號
請願文書表第九一二號
阿片賠償價格改正ノ請願大阪府三島郡福井村大字福井第百八十番番
屋敷平民農二反長音藏外七十七名呈出(紹介議員西田爲之君)
右請願ノ要旨ハ罌粟ノ栽培及阿片ノ採收ハ至難ノ業ナルモ明治四十四年八月內
務省告示第六十三號阿片ニ對スル賠償金交付ノ制ハ其ノ率低ク且含有莫兒
比涅百分中ノ五以下ノ場合ニハ之ヲ無償燒却セラルルノ定メナリ右ハ當業者ノ收益
ニ大打擊ヲ與フルノミナラス近時阿片製造ニ伴フ副產物ノ價格暴落シタル爲政府奬
勵ノ結果當ニ全國ニ普及セムトスル罌粟ノ栽培及阿片ノ採收ハ復タ衰頽ヲ來スノ虞
ナキニアラス依テ當業者ヲシテ相當ノ收益ヲ爲サシメ以テ斯業ヲ奬勵スル爲從來ノ
賠償金率ヲ引上ヶ阿片百分中莫兒比涅含量一分未滿ヲ金二圓トシ其ノ以上莫
兒比涅含量一分ヲ增ス每ニ金一圓ヲ加フルコトニ改正セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百十五號
請願文書表第一三五五號
阿武隈川改修速成ノ請願宮城縣柴田郡船岡村長水戶熊藏外三名呈出
(紹介議員村松龜一郞君)
右請願ノ要旨ハ阿武隈川ハ其ノ氾濫屢ニシテ沿岸ノ破害甚シ故ニ流域住民ノ悲
境ヲ救ハムカ爲速ニ根本的治水ノ策ヲ立テ該川ノ改修ヲ完成セラレタシト謂フニ在
リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百十六號
請願文書表第八〇八號
阿武隈川ヲ河川法第一期川ニ編入ノ請願宮城縣名取郡岩沼町長高橋
養吉外七名呈出(紹介議員村松龜一郞君)
右請願ノ要旨ハ阿武隈川ハ其ノ氾濫屢ニシテ沿岸ノ被害甚シ故ニ流域住民ノ悲
境ヲ救ハムカ爲該河川ヲ河川法第一期川ニ編入セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百十七號
請願文書表第六五七號
七尾港修築ノ請願石川縣七尾町七尾商工會頭湯川溫之呈出(紹介議
員室木彌次郞君)
右請願ノ要旨ハ能登國七尾港ハ輸出入年額千二百萬圓ヲ算シ港灣トシテ亦優良
ナル資質ヲ有スト雖其ノ設備未タ完カラサルハ北日本ノ交通竝產業上頗ル遺憾ト
ス依テ速ニ七尾港ノ修築ヲ實施セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百十八號
請願文書表第八九四號
留萌港修築速成ノ請願北海道旭川區五條通十丁目左十號士族公吏市
來源一郞外五百六十三名呈出(紹介議員金子元三郞君外三名)
右請願ノ要旨ハ北海道留萌港ノ修築ハ明治四十三年度以降十二箇年ノ繼續事
業ナルモ未タ僅ニ南防波堤五百七十尺ノ築設ヲ見タルノミ其ノ工程ノ遲遲タルハ
本道拓殖上遺憾トスル所ニシテ殊ニ近時該地方產業發展ノ情勢ハ本港修築速成
ノ必要ヲ感セシムルコト益切ナルモノアリ依テ留萌港修築ノ既定年限ヲ短縮シ速ニ
之ヲ完成セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百十九號
請願文書表第一三七二號
北海道札幌區内豐平橋架設ノ請願北海道石狩國札幌區南七條西一丁
目十三番地平民農大久保元義外百九十二名呈出(紹介議員中西六三
郞君)
右請願ノ要旨ハ北海道石狩國札幌區所在豐平橋ハ先年出水ノ爲墜落シ爾後假
橋ノ架設ヲ見タルモ該假橋ハ國道筋ヨリ下流ニ在ルヲ以テ人馬ノ往來ニ不便尠カラ
ス依テ速ニ前記豐平橋ノ本橋ヲ架設セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百二十二號
請願文書表第八七六號
軍人恩給法中改正ノ請願德島縣美馬郡東祖谷山村字大枝二百二十五
番地平民農故陸軍步兵曹長細川長〓實父細川達藏呈出(紹介議員
佐々木安五郞君)
右請願ノ要旨ハ軍人恩給法ニ依レハ軍人ノ死沒扶助料ヲ受クル權利ヲ有スル者ハ
其ノ軍人現役中ヨリ引續キ同一戶籍內ニ在ルヲ要スルモノナルヲ以テ其ノ死沒軍人
ニシテ單身戶主ナル場合ニ於テハ實父母其ノ他遺族ノ在ルアリト雖其ノ扶助料ヲ受
クル能ハサルノ悲境ニ在リ右ハ死沒軍人ヲ遇スル所以ニ非サルヲ以テ軍人恩給法第
三十一條ニ「二、孤兒ナキトキハ死沒者ノ實父母ニ給ス」トノ一項ヲ加ヘ「本法ハ日
露戰役當時ノ死沒者ニモ適用ス」トノ規定ヲ設ケ以テ單身戶主遺族ニ扶助料ヲ支
給セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百二十四號
請願文書表第八六三號
岡山村岡部ニ三等郵便局設置ノ請願福島縣信夫郡岡山村長和合庄吉
呈出(紹介議員長澤倉吉君)
右請願ノ要旨ハ福島縣信夫郡岡山村ハ同縣福島市ヲ距ルコト東北里餘ノ地ニ在
リテ該地方ハ蠶絲業發達シ貨物ノ集散夥シク殊ニ同村大字岡部ハ自然的ニ市街
地ヲ形成シ人馬ノ通行頻繁ナルニ拘ラス通信機關ノ設ナキヲ以テ關係人民ノ不便
甚シ依テ前記岡山村岡部ニ無集配三等郵便局ヲ設置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百二十五號
請願文書表第八六四號
山田郵便局ニ集配事務開始ノ請願岡山縣吉備郡山田村長福田亮外二
名呈出(紹介議員西村丹治郞君)
右請願ノ要旨ハ岡山縣吉備郡山田村外二村ハ境域相接シ戶數千三百地價二十
有万圓ヲ有スル村ニシテ交通ノ衝ニ當リ商工業甚タ盛ニシテ郵便事務繁多ナリ然ル
ニ明治十二年一旦集配局ヲ設置シタルニ拘ラス中頃之ヲ廢止シ明治四十四年山
田郵便局ノ再興ヲ見タルモ無集配局ナルヲ以テ關係三箇村民ノ不利不便甚シ依テ
曩日ノ如ク前記山田郵便局ニ集配事務ヲ開始セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百二十六號
請願文書表第八六八號
坂部村ニ郵便局設置ノ請願靜岡縣榛原郡坂部村長福代國太郎外十三
名呈出(紹介議員加藤定吉君)
右請願ノ要旨ハ靜岡縣榛原郡坂部村ハ郡ノ中央ニ位シ交通ノ要路ニ衝リ產業發
達シ通信機關ノ設備ヲ必要トス然ルニ管轄局タル靜波郵便局ハ遠隔ノ地ニシテ加
フルニ山嶽其ノ間ニ介在シ其ノ不便甚シ依テ前記坂部村ニ郵便局ヲ設置セラレタシ
ト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百二十七號
請願文書表第八七八號
仁萬村郵便電信局設置ノ請願島根縣適摩郡仁萬村長植地郡次郞外三
十四名呈出(紹介議員原本大三郞君外一名)
右請願ノ要旨ハ島根縣邇摩郡仁萬村ハ西ハ溫泉津町、南ハ大森町ニ連接シ四通
八達ノ樞軸ニ當リ加フルニ本年十二月迄ニハ山陰西線ノ開通ヲ見ルヲ以テ明年度
ヨリ該地ニ郵便電信局ヲ設置シ通信機關ノ完備ヲ計ラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百二十八號
請願文書表第一三五四號
中村ニ無集配郵便局設置ノ請願千葉縣君津郡中村長佐藤幸太郎外四
名呈出(紹介議員鈴木久次郞君)
右請願ノ要旨ハ千葉縣君津郡中村ハ人口三千農商工業共ニ殷盛ニシテ民力ノ富
裕ト交通ノ頻繁ナル四隣其ノ比ヲ見ス從テ郵便物ノ發受數多クシテ他ノ二箇村ト
匹敵スルノ狀態ニ在リ然ルニ所轄郵便局ハ其ノ距離一里有餘ニシテ村民ノ不利不
便甚シ依テ前記中村ニ無集配郵便局ヲ設置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百二十九號
請願文書表第一三六九號
五ヶ莊村ニ無集配郵便局設置ノ請願京都府船井郡五ヶ莊村大字田原小
字和田前四十三番地平民公吏山田喜代藏外六十五名呈出(紹介議員
野尻岩次郞君)
右請願ノ要旨ハ京都府船井郡五ヶ莊村ハ農村ナルモ商家比較的多ク且北桑田郡
ニ通スル要衝ニ當リ郵便事務亦從テ繁多ナルニ所轄殿田郵便局ニ到ルニハ二里餘
アリテ村民ノ不利不便尠少ナラス依テ前記五ヶ莊村ニ無集配郵便局ヲ設置セラレ
タシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百四十三號
請願文書表第八七七
木造町ヘ區裁判所設置ノ請願靑森縣西津輕郡木造町字千代町二十番
地平民會社員市田忠八外十五名呈出(紹介議員菊池良一君)
右請願ノ要旨ハ靑森縣下西北兩津輕郡ハ岩木川ヲ流域トセル兩岸數十里ノ沃野
ニシテ戶數二萬二千二百四十五人口十五萬六千七百六十二ヲ有シ從テ訴訟件
數夥シク將來尙增加ノ傾向アリ然ルニ前記二郡ヲ管轄區域トスル元鰺ケ澤區裁判
所及川原區裁判所ハ大正二年四月夫々弘前及靑森兩區裁判所ニ併合セラレタル
ヲ以テ交通機關ノ發達セサル該地ニ於テハ殊ニ不利不便ナルノミナラス勞費增加ノ
爲權利ノ保全及伸張ヲ阻害セラルルコト甚大ナリ依テ兩郡ニ於ケル中央樞要ノ木
造町ニ區裁判所ヲ設置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百四十四號
請願文書表第一三六七號
入野村ニ登記所設置ノ請願佐賀縣東松浦郡入野村長坂口政敬呈出(紹
介議員林毅陸君外二名)
右請願ノ要旨ハ佐賀縣東松浦郡入野村ハ八千餘ノ人口ト土地反別二千二百町
歩ニ亙ル廣大ナル面積トヲ有シ近時殖產興業ノ發展ニ伴ヒ登記事件亦年年增加
シ來ルモ未タ登記所ノ設置ナク所轄有浦出張所ニ至ルニハ遠キハ四里ノ距離ヲ有シ
且道路險惡ニシテ村民一般ノ不便甚シ依テ前記入野村ニ登記所ヲ設置セラレタシ
ト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ抹擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百四十五號
請願文書表第一三六三號
古墳發掘竝埋藏物處分ノ請願大阪府泉北郡高石町大字今在家五百六
十五番地士族大阪每日新聞社長本山彥一呈出(紹介議員相島勘次郞
君)
右請願ノ要旨ハ現行法令ニ於テハ古墳ノ發掘ニ關シ其ノ所有者ヲ拘束シ埋藏物ニ
關シテモ亦其ノ發見者及其ノ所在土地所有者ノ自由處分ヲ許ササルノ結果之カ密
掘密賣ノ弊ヲ生シ以テ調査〓究ノ障碍トナルモノ尠カラス依テ私有地內所在ノ古墳
ラ買上ルカ又ハ其ノ發掘ヲ所有者ノ自由タラシメ埋藏物モ私人ノ所有タルヲ得セシ
ムルノ趣旨ヲ以テ現行法令ヲ改正セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百四十七號
請願文書表第一三五六號
專門學校入學者檢定規定ノ實施方法改正ノ請願東京府東京市牛込區
通寺町十四番地平民雜誌「日本一」主幹高橋都素武呈出(紹介議員小山
松壽君外二名)
右請願ノ要旨ハ現行專門學校入學者檢定規定ハ一時ニ中學全科ヲ試驗スルヲ以
テ受驗者ノ負擔過重ニ失シ爲ニ苦學生唯一ノ進路タル該規定ノ趣旨ハ達セラレサ
ルニ至ル依テ速ニ其ノ實施方法ヲ改メ或一定期間內ニ該科程ヲ分割試驗スルノ制
ヲ採ラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百四十九號
請願文書表第八九三號
天鹽沿岸線鐵道敷設ノ請願北海道苫前郡苦前村大字苦前村二十二番
地平民商海淵甚介外四百三十五名呈出(紹介議員金子元三郞君外三
名)
右請願ノ要旨ハ北海道天鹽沿岸地方ハ交通機關不備ナル爲產物豐富ナルモ開發
ノ功ヲ擧クル能ハス移民ノ招徠亦困難ニシテ是レ北海道拓殖上甚タ遺憾トスル所ナ
ル殊ニ留萌築港完成ノ曉ニハ該地方鐵道ノ必要益痛切ナルモノアルヲ以テ當局ニ
於テモ既ニ其ノ議アルヤニ聞ク依テ天鹽國留萌港ヨリ留萌苫前天鹽ノ三郡ヲ經テ
北見國稚內ニ至ル沿岸線鐵道ヲ速ニ敷設セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百五十號
請願文書表第一一六八號
壽都黑松內間鐵道敷設ノ請願北海道壽都郡壽都町大字渡島町四十三
番地平民庶業佐藤庄吉外二百十六名呈出(紹介議員佐藤榮右衞門君
外二名)
右請願ノ要旨ハ北海道壽都外三郡ノ地ハ海陸ノ產物ニ富ムモ鐵道ニ依ル運輸ノ
便ナキラ以テ既ニ貴衆兩議院ヘ屢請願シテ採擇ヲ得鐵道院亦實地踏査ヲ爲ス所ア
リ殊ニ本線鐵道ハ近距離ニシテ工事亦容易ナルヲ以テ速ニ壽都黑松內間ノ鐵道ヲ
敷設セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百五十一號
請願文書表第一一六九號
膽振線紋〓黑松內間鐵道敷設ノ請願北海道壽都郡壽都町大字渡島町
四十三番地平民庶業佐藤庄吉外二百十六名呈出(紹介議員佐藤榮右
衞門君外二名)
右請願ノ要旨ハ函館小樽間ノ要衝タル黑松內ヨリ僅ニ十哩ニ滿クサル壽都灣ヲ利
用シテ玆ニ海陸運輸ノ便ヲ開カハ紋鼈黑松內間ノ鐵道ハ東西兩海岸ヲ橫斷スル縱
貫鐵道トシテ膽振後志兩國ノ開發二資シ農商業及軍事交通上ニ於テ裨益スル所
多大ナルノミナラス本線ノ比較線タル紋鼈倶知安間及紋鼈長萬部間ニ比シ其ノ工
事容易ニシテ費用ノ少額ナルハ勿論冬期積雪ノ少キ點ヨリ見ルモ他ノ二線ニ優ルコ
ト數等ニシテ既ニ本線鐵道ノ敷設ニ付テハ貴衆兩議院ニ請願シテ採擇ヲ得鐵道院
亦其ノ實地踏査ヲ爲ス所アリタルモノナルヲ以テ速ニ膽振線絞鼈黑松內間ノ鐵道ヲ
敷設セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百五十二號
請願文書表第一一七〇號
千葉縣下勝浦北條間鐵道敷設ノ請願千葉縣安房郡北條町長中目孝太
郞外四十二名星出(紹介議員小林勝民君外一名)
右請願ノ要旨ハ千葉縣安房郡ハ半島ニシテ交通ノ便ヲ缺クコト甚シク近ク北條線
ノ郡內北條町ニ延長セラレムトスルアルモ更ニ之ヲ房總線ニ連絡セシメハ地方產業
ノ開發ノミナラズ國防上ニ裨益スル所大ナルヘキヲ以テ千葉縣北條町ヨリ勝浦ニ至
ル鐵道ヲ敷設セラレタシト調フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及御送付候也
〔拍手起ル〕
(「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=87
-
088・島田三郎
○議長(島田三郞君) 先ヅ本案ノ此議ニ上ッテ居リマスルモノカラ決シテ、採擇不採
擇ヲ極メマス(「一括」ト呼フ者アリ)此案ト重複スルヤウニ見エルノハ今マデハ之ヲ本會
ニ出サナカッタモノヲ、本會ニ出シタモノト認メテ速記錄ニ載セテ政府ヘ囘付スルト云フ委
員會ノ決議、ソレカラ日程ノ順序ヲ餘リ遲クナラヌヤウニシタイト云フコトモ委員會ノ
決議、斯ウ三ツアリマス(「異議ナシ」ト呼フ者アリ)此日程ノ順序ノコトニ付テハ希望ト
シテ之ヲ成ルダケ遲クナラヌヤウニシタイト云フコトヲ、議長ニ御委任下サレバ最モ幸ト思
ヒマス(「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ)ソレデハゾレハ希望ト致シテ別ニ決議ハ採リマ
セヌデ、其精神ヲ此方デ體シテ取扱フコトニ致シマス、ソレカラ採擇ノコトヲ先ヅ決シマ
ス、第二十六ヨリ八十三ニ至ル所ノ請願ヲ採擇スルヤ否ヤノ決議ヲ採リマス
〔「委員長報告通リ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=88
-
089・島田三郎
○議長(島田三郞君) 御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=89
-
090・島田三郎
○議長(島田三郞君) ソレデハ委員長報告通リ全部採擇スルコトニ決シマス、第二
請願委員會ノ附帶決議ト云フ意味デ報告セラレタコトニ付テハ··
(「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=90
-
091・島田三郎
○議長(島田三郞君) ソレデハ御異議ハナイト認メテ、是モ委員長ノ意見通リニ決シ
マス-次會ノ議事日程ハ公報ヲ以テ御通知致シマス、今日ハ是ニテ散會
午後四時二分散會
〔參照〕
金玉均葬儀弔文
吁嗟金玉均君逝ク矣眼ヲ舉レハ暗雲慘憺東洋ノ天地稍ク晦蒙ナラムトス而シテ偉
人逝テ還ラス噫天道ハ果シテ是カ非カ
朝鮮ノ地タル由來國貧ウシテ力ラ弱シト稱ス況ンヤ內ハ乃チ閔族權ヲ專ラニシ橫虐
度ナク外ハ强鄰ノ凌壓スル所トナリ財源溷渴シ民ニルエ氣ナク國運ノ危殆ナル實ニ旦
夕ヲ測ル可カラザントス一大俊傑ノ士起リテ大手腕ヲ施スニアラズンバ其前途亦爲ス
可ラザルナリ此時ニ當リ朝鮮國無比ノ人傑ヲ失フ吁天ノ朝鮮國ニ祚セザル何ゾ一ニ
此ニ至ルヤ
顧ミテ金玉均君ノ事ニ至レバ浩嘆腸裂ヶ淚眼血〓リ轉タ大息ニ堪ヘザル者アリ君ノ
烱眼ナル朝鮮國ノ疾患既ニ膏盲ニ入ルヲ察シ蹶然トシテ奮起シ疾風迅雷ノ間以テ
一舉狂瀾ヲ既倒ニ囘サントセリ而シテ壯圖一躓成ラス逃レテ我國ニ在ル殆ンド十年
或ハ熱炎天ヲ焦スノ孤島ニ竄セラレ或ハ寒風肌ヲ劈サクノ北海ニ鎬セラレ遵養時晦
强忍假裝以テ徒ニ時人ノ嘲ケリヲ買ヒ未タ曾テ一タヒ動ヒテ大飛躍ヲ試ミ胸中ノ經
綸ヲ施スノ機ニ逢遇スル能ハズシテ一竪子ノ手ニ斃レ其死屍ニ怨家ノ爲メニ笞タレタ
リ何ゾワレ慘ナルヤ況ンヤ君ノ人物性行ハ全然世人ノ爲メニ誤解セラレ棺ヲ蓋フノ今
日尙其偉大ナル人物ノ眞價ハ未ダ承認セラレサルニ於テヲヤ古今薄運ノ士多シト雖
ドモ君ノ如キハ絕テ無クシテ僅カニアル所ナリ
然レドモ西人ノ跳踉跋扈ハ稍〓東人長夜ノ惰眠ヲ覺醒シ來ラントス君カ故國ノ事
豈亦前途ニ望ミナシトセンヤ今ヤ閔族驕橫日ニ甚シク庶民ノ怨恨骨ニ徹シ所在黨ヲ
樹テ蜂起スルモ之レヲ制スル能ハス政綱紊亂シ威信地ニ墜ツ其覆滅決シテ遠キニアラ
ズ此間豈君ノ遺志ヲ承ケ風雲ニ際會シテ撥亂反正ノ功ヲ奏スル英達ノ士輩出セザ
ルナキヲ期センヤ君ノ志庶幾クハ他日大ニ伸ブルノ時アラムカ紛々タル時俗ノ毀譽褒
貶大丈夫ニ於テ何カアラン早晩偉人ノ眞面目ハ曜々乎トシテ汗靑ヲ照スノ日アラム
ノミ抑モ大丈夫ハ馬革ヲ以テ其屍ヲ裹ムベシ安ンゾ婦女子ノ手ニ死センヤトハ後漢
ノ老雄伏波將軍ノ言ニアラズヤ靑々タル山岳ヲ以テ墓碑トナシ漫々タル河海ヲ以
テ棺槨トナス是レ寧ロ大丈夫ノ面目ナリ
今ヤ君ノ第二ノ故〓ナル我日本ノ同胞ハ君ガ遠逝ヲ聞テ痛嘆措ク能ハズ乃チ本
日ヲ以テ葬儀ヲ營ミ幽靜高雅ノ地綠樹鬱蒼タルノ處君ガ靈柩ヲ埋葬シテ君ガ雄魂ヲ
招迎セントス葬ニ會スル者ハ皆義俠ナル我同胞ナリ君ガ親愛ナル知友ナリ吁吾人同
人ガ君ヲ懷フノ情ハ益々切ナリト雖ドモ溫乎タル其音容復タ接スル能ハザルヲ奈何セ
ン噫哀哉庶幾クハ饗ケヨ
金氏友人會總代
小林勝民泣血拜草
京城變亂始末
福澤先生手記
金玉均ハ多年國王ノ信任ヲ得テ事大黨ノ主義ヲ憤リ大ニ爲スコトアラントノ企ニテ
明治十五年修信使朴泳孝ト共ニ日本ニ來リ竊ニ日本政府ニ依賴センコトヲ謀リタ
レドモ當時政府ノ意ニ投ズルコトヲ得ズ僅ニ其筋ノ厚意ヲ以テ金十七万圓ヲ橫濱正
金銀行ヨリ借用シタルノミナリ十七万圓ハ以テ國事ニ用フルニ足ラズ依テ明治十六
年初夏ノ頃本國ヨリ三百万弗外債ノ委任狀(此外債委任狀ヲ竹添公使ハ僞物ナ
リト稱シテ金氏ノ計畫ヲ妨ゲタリ)ヲ携ヘテ復日本ニ來リ米國公使ノ內々周旋ヲ以テ
橫濱在留人モールスニ託シ米國ニテ外債募集ノ事ヲ企テタレドモ其事成ラズ(第一
銀行ノ澁澤榮一ガ金玉均ニ十万乃至二十万圓ヲ貸サントシタレドモ外務卿井上ノ
旨ヲ得ザルガ爲メニ止ミタルモ十七年一二月ノ頃ナリ)明治十七年空シク歸國シタ
リ右等ノ事ヲ周旋スル其間ニ日本政府ガ朝鮮ニ對スル政略ヲ窺ヘバ却テ退守ノ主
義ノ如クニ見エ隨テ金玉均ノ擧動一トシテ日本政府ノ意ニ叶フモノナク金玉均朴泳
孝ト云ヘバ其名ヲ聞テモ輕躁浮薄者流ノ如クニ視做シテ外務省ナドヘモ近ヅクヲ得
ズ日本ニテ斯クナレバ在朝鮮ノ日本公使館ニ於テモ亦然リ當時歸京中ナル朝鮮公
使竹添氏ノ如キハ殆ド金朴ト絕交同樣ニテ當時在任ノ代理公使島村氏以下公使
館ノ諸官モ亦都テ之ヲ疏外セリ然ルニ金玉均ガ本年歸國シタルハ三月ノコトニシテ
其後注意シテ公使館ノ狀況ヲ察スルニ本年八九月ノ頃ヨリ少シク樣子ノ前ニ異ルア
ルコト心ニ發明シテヨリ徐々之ニ近カンコトヲ思ヘリ
井上角五郞ハモト金玉均朴泳孝等ト共ニ朝鮮ニ到リ後チ其政府ニ傭ハレテ漢城旬
報ニ採筆セリ本年春初ヨリ支那人之ヲ非難スルモノ多ク且ツ朝鮮政府ヨリ與フル月
給甚ダ少キヲ以テ一ニハ身體ノ保護又一ニハ活計ノ保護ヲ日本代理公使島村氏ニ
請ヘドモ毫モ聞キ入レズ蓋シ日本人ハ角五郞ヲ以テ金朴ト異人同意ニ見做セシガ故
ナランコヽニ於テ角五郞ハ五月京城ヲ出デ歸京セリ此時〓佛ノ戰爭漸ク起ラントス
ル狀況アリ七月ニ至リテ世人ハ已ニ其戰爭ノ免カル可カラザルヲ思ヒシトキ外務省ニ
テハ角五郞ニ若干ノ保護金ヲ與ヘテ再渡セシメタリ其主意ハ漢城旬報ヲ支那人ニ
渡サザルニアリ角五郎ガ再渡セシハ八月中旬ニシテ此時島村氏ハ朝鮮政府ト日韓
貿易章程ニ均霑センコトヲ求ムル最中ナリシガ朝鮮ニテ免角之ヲ聞カズ時ニ日本公
使館ニテ韓奎稷李祖淵ト親シク日本人ハ日本黨ト稱セシガ未ダ金朴ト親シカラズ然
ルニ角五郞再渡ノ前後ヨリ島村氏ト金ト親シク貿易章程ノ談判ニ付テモ其相談ヲ
ナセリ九月中旬日本ヨリ便船アリ其齎ス新聞ニ據レバ支那ハ國內ニ宣布シテ佛ト戰
フ由ヲ告ゲタリト又北京夢枕ト題スル錦繪及ビ時事新報ガ記載セシ各國政府ガ支
那ヲ分領スル圖ナゾ到著セリ此時朝鮮上下ノ騒動一方ナラズ〓佛眞ニ戰ハバ如何
ニセントノ議論アル時島村氏ハ金玉均又ハ韓奎稷ニ內告シテ速ニ支那兵ノ引揚ヲ
支那ニ請フベシト云ヘリ十月初旬ノコトナリケン閔泳翊ハ或ハ支那人ヲ饗應シ或ハ
支那人ト游臘シ免角日本人ヲ疎ムニツキ島村氏モ內心甚ダ不平ナル折シモ金玉均
ハ朝鮮官吏及ビ島村淺山磯林松尾ナドヲ招キ饗應スルナド日本公使館ニ向ッテ好
意ヲ表スルコト少ナカラズ是等ノ爲メ島村ガ金玉均ニ對スル交情ハ日ニ深切ヲ加フ
ルモノノ如シ是ヨリ以前ニモ朴泳孝ハ公使館ニ左マデ擯斥セラレズ度々往來シタルコ
トアリ而シテ朴ト金トノ交ハリハ素ヨリ一身同體而シテ今度金ガ公使館ニ出入スルノ
路ヲ開キタルハ獨立黨ノ大幸ナレバ是ヨリ其首領タル朴泳孝金玉均洪英植徐光範
(此外ニ徐載弼ハ年少ク若シト雖モ謀主中ノ一人ナリ)ノ徒ハ豫テノ計畫ニ一歩ヲ
進メ益〓深ク島村氏ニ交リ往來頻々タリ或日金玉均ハ從容トシテ島村氏ニ語テ曰
ク方今朝鮮ノ事態ハ貴下ノ目擊セラルヽ通リ國ノ主權ハ恰モ支那人ニ歸シ我朝鮮
ノ大臣等ハ唯支那人ノ鼻息ヲ窮フノミニシテ自國アルヲ知ラズ又國王アルヲ知ラズ此
際ニ方リ吾〓同志ハ死ヲ誓テ國ノ爲メニ爲スアラント欲スレドモ如何ニセン日本政府
ハ支那ヲ恐ルルコト甚ダシク近クハ玉均ガ昨年來貴國滯在中ニモ外務省ヲ始メトシ
テ都テ貴國政府ノ筋ニ疏外セラレ一毫ノ助ヲ貸サザルノミカ或ハ我事ニ妨害ヲ被リタ
リト云フ可キ程ノ次第ナリ左リトテハ賴甲斐ナキ譯ナレドモ吾ミハ旣ニ一死ヲ決シテ
國ノ爲ニスルモノナレバ假令他ノ應接ナキモ其ノ志ヲ變ズベカラザルナドノ意味ニテ慷
慨ト愚痴トヲ交ヘテ語リケレバ島村ハ中ミニ元氣ヨク金ヲ慰メ朝鮮ノ改革ハ甚ダ御
同意ナク又日本政府ガ支那ヲ恐レテ朝鮮ノ事ニ手ヲ引クナド云フハ素ヨリナキ事ナリ
日本政府ハ必ズ朝鮮ノ獨立ヲ助クルコトナラン今ニモ君等ガ何カ事ヲ爲サント企テタ
ラバ我等トテモ之ヲ餘所ニ見ルモノニ非ズ云ミト語ル其語氣甚ダ活潑ナルヲ見テ金ハ
心ニ之ヲ悅ビ益〓同志ト協議ヲ盡シ十月末ノ頃ニ至リテハ島村ノ志ハ確乎不秡イヨ
イヨ獨立黨ヲ助クルニ相違ナキモノト認メ漸ク細目ノ密談ニモ及バントスルトキニ竹
添ノ入京ニ遇フタルコトナリ故ニ竹添ノ將ニ再渡セントスルノ噂ヲ聞キ獨立黨ノ徒ハ
大イニ落膽シ竹添ガ來リテハ例ノ因循退守ニシテ迚モ共ニ大事ヲ謀ルニ足ラズ且金
玉均ハ平生竹添ト氷炭相容レザルノ間柄ナレバ非常ノ妨ト爲ルヤモ計ル可ラズト其
次第ヲ金ヨリ島村ニ語リケルニ島村ハ少シモ心配ノ色ナク竹添公使トテ我輩ト意見
ノ異ナルベキニ非ズ且君ト公使ト平生相善カラズト雖モ是ハ私ノ交際ノ事ナラン事ハ
私事ニ異ナリ竹添ガ君ト事ヲ計ルニ何ゾ平生ノ私ヲ挾ム事ヲ爲サンヤ毫モ心配ニ及バ
ザルコトナリトテ笑ッテ語ル其有樣ハ專ラ獨立黨ノ者ニ落膽スル勿レト特ニ傍ヨリ力
ヲ添フルモノヽ如クナリシ
十月三十日竹添公使ハ日本ヨリ再渡シテ京城ニ入リ其十日バカリ前ニ仙臺ノ鎭臺
兵交代セリ竹添入京ノ翌三十一日ハ少シク不快ノ由ヲ以テ參內セズ此日竹添ハ代
理公使島村及ビ井上角五郞ヲ招キ我政府ハ此度支那ヲ攻ムルニ決シタリ朝鮮ヲシ
テ隙アラバ之ニ乗ゼント欲シ且ツ其人望ヲ得ルガ爲メ四十万弗ノ償金ヲ還與スルコト
トナレリナド樣々ノ談話アリ此事早クモ金朴ノ耳ニ入リシヲ以テ朴ハ卽日竹添ヲ公使
館ニ訪ヒシモ會ハズ其翌日十一月一日再訪談國事ニ及ビ是非日本ノ力ヲ假リテ改
革ヲ行ハントスルノ旨目述ベ竹添モ亦改革ノ必要ナルヲ論ジテ大ニ奬勵スルノ口氣
ナレドモ雙方猶ホ未ダ細目ヲ語ラズシテ去リタリ其ノ午後金玉均モ亦公使館ヲ訪フ
テ竹添ニ面會久々ニテ再會ノ挨拶終リテ金ハ朝鮮ノ國情ヲ述ベ此儘ニ爲シ置ク時ハ
國家ハ次第ニ衰頽シテ支那內附ノ國トナルカ又ハ滅亡シテ跡ナキニ至ルベシト吾ミハ
是非トモ之ヲ其未ダ亡ヒザルヲ救ハントスル者ナリ云々ト語リシニ竹添ハ之ヲ聞キ如
何ニモ尤モ至極ナル話ナレドモ其家ノ滅亡ヲ救フニ如何ノ手段アルヤトノ尋ニ就キ金
ハ談〓ヲ轉ジ左レバデ御座ル其手段策略ハ樣々ナレドモ凡ソ人ニ事ヲ語リ又謀ルニハ
先ヅ其人ヲ信ズルコト緊要ナリ然ルニ公使貴下ニ於テハ年來玉均ヲ疑フコト甚シ玉
均明カニ之ヲ知レリ苟モ人ニ疑ハレテ其人ニ事ヲ語リ又謀ル譯ニハ參ラズ抑〓貴下ガ
是マデ玉均ヲ疑フハ何等ノ原因ニシテ何等ノ證アルヤト憚ル所モナク眞一文字ニ述ベ
ケルニ竹添默シテ答ヘズ稍〓アリテ曰ク若シ朝鮮ノ國事ニ就キ他國ヨリ之ヲ助クルモノ
アラバ如何ン若シモ然ルトキハ君等ハ如何ニスルヤトノコトニ就キ金ハ答ヘテ如何ニモ弊
邦ノ形勢ニ於テ國事ニ著手スルニハ他ノ力ヲ藉ルノ外ナシト存ズレドモ此議ニ付テハ同
志輩ト相談ノ上ナラデハ何トモ申シ難シトマデニテ告別シタルハ其實金ノ心中竹添ノ
心事ヲ轉ジタルヲ見テ又日本政府ノ政略モ大ニ趣ヲ變シタルコトナラント察シ喜悅ニ
堪エズト難モ先ヅ我身ノ信用ヲ厚クセント思ヒ又一ツニハ竹添ガ餘リ得意ニナリテ輕
躁ニ失スルコトモアランカトノ心配モ少ナカラズ先當日ハ態ト何等ノ談話モセズシテ別
レタルコトナリ
十二月二日竹添公使參內シテ謁見ノ禮ヲ行ヒ彼ノ償金四十万弗ヲ返スノ公命ヲ
述ベ又村田銃十六挺ヲ呈上シ公事罷テ內謁ヲ請ヒ其席ニハ左右ヲ拂ハンコトヲ求
メ侍ル者ハ唯李祖淵一名ノミ此席ニテ公使ハ頻リニ支那ノ賴ムニ足ラザル事ヲ云ヒ
且ツ西洋ノ風ノ吹來タル次第ヲ述ベテ大ニ國王ヲ獨立ニ奬勵スルモノヽ如シ(竹添
島村ハ李祖淵韓奎稷ヲ眞ノ日本黨ト思ヒ內謁ノ時モ李一人ヲシテ陪席セシメタリ
又是等ノ人〓ヲ誤信スルガ爲メニ竹添ノ所謀ハ速ニ朝鮮支那兩國人ニ洩レタリ)此
謁見ノ時関臺鎬以下諸大臣ハ皆參內金玉均モ亦同樣ニテ竹添公使ガ通辯淺山
氏ト御前ニ在ル間ハ隨行ノ島村氏モ次ノ別間ニテ朝鮮ノ諸大臣ト雜居ノコトナレバ
金氏ハ日本語ヲ以テ島村ト談話イヨイヨ事ヲ舉グルノ意ヲ述ベタルニ島村氏ハ之ニ
答ヘテ颯々ト著手スベシ今ニテモ苦シカラズト云ヘリ翌日ハ則チ十一月三日天長節
公使館ニ宴ヲ張リ朝鮮諸大臣中朴泳孝金玉均洪英植徐光範韓奎稷金宏集ヲ招
ク(金宏集ハ竹添ヨリ見レバ支那黨ナレドモ當時署理外衙門督辨ナルガ故ニ之ヲ招
キタリ李祖淵ハ竹添ガ日本政府ノ決意ヲ公言シタル由ヲ聞キシ以來ハ外見ヲ憚リテ
公使館ニ出入セズ故ニ當日招ケドモ來ラズ)但シ公使館ニテハ韓窒稷ヲ信ズル厚クシ
テ尙朴金ノ黨ヲ疑フノ跡アリ斯クテハ奎稷ノ爲メニ事ヲ妨ゲラルヽコトアルベシトテ
爾來金朴ハ竊ニ策ヲ運ラシテ奎稷ト公使館トノ交リヲ絕ンコトヲ工夫シテ十一月中
旬ニ至テ其策ノ如クナリシハ獨立黨ノ爲メノ幸ナリ若シモ奎稷ニシテ公使館ノ信ヲ得
ルコト舊ノ如クナラシメバ竹添モ或ハ金朴ノ言ヲ用ヒズシテ別ニ方便ヲ述メントセシコ
トナラン
天長節ノ宴ニハ米國公使フート英國領事アストン支那領事陳樹棠竝ニモルレンドル
フモ來會セリ酒半ニシテ淺山ハ立テ席上ノ演說ニ朝鮮語ヲ以テ頻リニ支那人ノ界屈
惰弱無廉恥ヲ罵倒シ支那人ハ骨ナクシテ恰モ海鼠ノ如クナリト云ヒナガラ陳樹棠ノ
方ヲ目シケレバ陳樹棠モ淺山ノ陳ル語ヲ悉ク解スルコトハ出來ザレドモ其不愉快ハ顏
色ニ現ハレタリ後ニ或人ニ聞ケバ其席ニテ樹棠ハ骨ナシト云フ骨ノ字ヲ聞キ答メ隣席
ノモルレンドルフニ問フタレドモモルレンドルフモ之ヲ解セズ又アストンニ尋ネタリアストンハ
之ヲ解スルモ知ラズト答ヘ遂ニ淺山ノ演說ハ十分ニ樹棠ノ耳ニ達セザリシト云フ蓋シ
朝鮮語ニ海鼠ヲ「サイサン」(海參)ト云ヒ骨ヲ「ペ」ト云フ而シテ此「ベ」ノ音ハ「ベ」ト
「ベ」ノ間音ニシテ他國人ノ舌ニハ發聲甚ダ易カラザルガ故ニ同席ノ誰レ彼レニモ不通
ナリシトゾ
十一月四日竹添氏ハ外衙門ニ出頭シ貿易章程均霑ノコトヲ談判セシニ外衙門ニ
於テ直チニ之ヲ諾シ超エテ六日ニ及ビ之ヲ調印シ其席上ニテ竹添ハ金允植ニ向ヒ君
ハ兼テ支那黨ノ名アリ且ツ文ヲ能クス故ニ支那ニ移住シテ其内臣タルベシ必ズ厚祿
ヲ得ラルベシト云ヒ又尹泰駿ニ向ヒ君ハ袁世凱ト親シク實ニ支那人ヲ見ルコト君上
ノ如ク而シテ我君上ヲ忘ルヽガ如シ君ハ支那ニ忠ニシテ本國ニ不忠ナリト云ヒシニ尹
ハ之ヲ咎メ終ニ一爭論ヲ生ゼリ然レドモ人〓之ヲ制シテ其場ハ何事モナカリシ是竹添
ガ日本ガ支那ヲ攻ムル覺悟ナリト韓奎稷ニ語リシニ由リ韓ハ之ヲ內々朝鮮官吏ニ通
知セシガ故ニ朝鮮官吏ハ都テ日本ヲ恐ルヽヲ以テ尹泰駿モコヽゾト思フテ姑ク忍ピタ
リ
此夕朴泳孝ノ宅ニ金洪徐ヲ招イテ小集島村氏ヲ招キ金玉均始テ大事ノ企ヲ發言
シタレドモ島村驚カズ其方法ヲ問フ金ハ答テ洪氏ガ郵便局ニ於テ開宴シテ其席ニテ
ト云フハ實ハ洪英植モ初メテ金朴ノ決心ヲ知リテ驚キタルガ如シ金ハ此ノ時モ韓奎
稷ノ信ズベカラザルヲ島村ニ告ゲタリ初メ金朴ノ企ハ兩家ノ孰レカニシテ宴會ヲ開キ其
席ニテ事ヲ爲サント思ヒ金氏ハ殊更ニ宅ヲ新築シ試ニ其黨類徐載昌ヲシテ宴ヲ張テ
諸大臣ヲ招カシメタルニ到ル者少ナシ依テ案ズルニ此樣子ニテハ金氏ニテモ朴氏ニテモ
同樣目ザス客ヲ招キ寄スルコトハ難カラント推量シ卽チ郵便局ト定メタレドモ洪英植
ハ何分ニモ躊躇シテ決スルヲ得ズ因テ又一策ヲ案ジ暗殺者ヲシテ支那服ヲ著セシメ
先ヅ閔泳穆韓奎稷李祖淵ヲ便宜ノ場所ニ殺シ卽時ニ其罪ヲ関臺鎬父子ニ付シテ
二人共ニ之ヲ殺サントシタレドモ同黨中ニテ其策ヲ妙ナリトスレドモ巧ニ過ルトテ或ハ
悅バザル者アリ依テ又一策ニ金宏集ガ京畿監司ヨリ督辨ニ轉ジ其後任トシテ王妃ノ
姪ナル沈相薰ガ拜命シタルヲ幸ヒトシテ相薰ヲ勸メ洪英植ノ別莊ヲ借用シテ祝宴ヲ
開カントシテ相談ハ整フタレドモ主人相薫ニ差支アリテ急ニ開宴ノ沙汰ニ及ビ難シ去
リトテハ時機後レン如何ハセント甚ダ心配ナリ
十一月初旬ヨリ獨立黨ノ徒ハ頻リニ日本人ト往來シ又其黨類各處ニ密會スル等
甚ダ多事ナリ同月四日朴泳孝ノ宅ニテ集會ノ翌日モ洪英植ハ竹添ノ宅ニ行キ又其
翌日ハ朴泳孝モ同宅ニ往キ何レ何カ事ヲ舉グルノ意ヲ述ベタルニ主人ハ甚タ同意ナ
ルガ如シ
十一月六日ハ日本ノ招魂祭ニテ日本兵士及ビ在留ノ日本人ヲ南山ニ曾シテ角力擊
劒ナドノ遊戲ヲ催シタリ此日招カレタル朝鮮人ハ韓奎稷ノ長子某ト徐載弼以下主
從十四人會主ハ公使竹添ナリ酒宴ノ餘興ニ竹添氏ハ中隊長村上氏ニ所望シ兵士
ヲ雙方ニ分テ赤白兩旗ヲ授ケ白ヲ日本赤ヲ支那ト號シ互ニ之ヲ奪フテ其勝敗ヲ爭
ハシメ赤ノ方敗北スレバ公使ハ大ニ悅ビ是レ吉兆ナリトテ朝鮮人モ多勢見物ノ中ニ
獨リ雀躍セシ樣ハ甚奇ニ見エタリ
又翌日卽チ十一月七日金玉均ハ朝鮮ノ碁打二名ヲ携ヘテ公使館ニ行ク蓋シ館員
ノ內垣某鈴木某ハ圍碁ヲ善クス故ニ朝鮮人ト日本人ト技倆ノ巧拙ヲ鬪ハシメントノ
企テヲ口實ニシテ公使館ニ往來スルノ跡ヲ瞞著シタルモノナレドモ此日ハ特ニ大切ナ
ル事ヲ語ラズシテ歸ル十一月十日ハ金玉均ノ宅ニテ圍碁ヲ催シ午後三時ヨリ來集ノ
人〓ハ竹添島村小林(仁川領事)第一銀行支店ノ木下通辯淺山鈴木朝鮮人ニハ
徐光範朴齊綱尹致昊ニシテ夜ニ入リ又洪英植ヘモ案內シテ來ル
十一月二十日ノ事ナリキ日本兵ハ夜半十二時俄カニ起テ南山ニ登リ對抗運動ヲナ
セリコノ運動ヲナストキハ元來日本公使ヨリ外衙門ニ前知スル筈ニシテ且必ズ日中ニ
執行スルノ例ナルニ此度ニ限リ前以テ知ラセナクシテ夜半俄ニ起リ殊ニ十月三十日
竹添公使入京以來ノ言皆外ニ洩レテ朝鮮人支那共ニ猜疑ノ折柄ナレバ翌朝ニ至
リ朝鮮政府ヨリ公使館ニ尋問スルナド騒動一方ナラズ其卽或人ガ竹添公使ニ何故
斯ル舉動ニ及ビタルヤト問ヒケレバ唯韓支兵民ガ如何ナル感覺ナルヤヲ試ミタルマデナ
リト答ヘ且ツ云クコノ位ナ事デ騒動スル者ナレバ與シ易シトテ甚ダ得意ノ色ナリキ其
後モ獨立黨ノ者ハ公使館ニ往來シテ交際日ニ厚シ十一月二十五(六)日午後一時
ノ頃ヨリ金玉均獨リ公使館ニ行テ竹添公使ニ面會シテ初メテ大擧ノ企ヲ打明ケ閔
氏其他ノ大臣ヲ除カントスルノ謀ヲ告ゲタルニ竹添ハ明カニ之ヲ同意スルノ三ロヲ發セ
ズ金ハ固ヨリ必死ヲ期シタルコトナレバ假令萬一公使ノ助ケナキモ我同志輩ノ目的ハ
我輩ノ手ヲ以テ之ヲ成ス可シト云ヒ夫レヨリ次第ニ國事談ニ及ビ金ノ言ニ朝鮮政府
改革ノ上ハ差向キ必要ナルモノハ金圓ナリ竹添貴下ノ周施ヲ以テ辨ズル事アルベシヤ
ト言ヘバ竹添ハ容易ニ之ヲ引受ケ政府ノ改革サヘナレバ資金ハ必ズ辨ズベシ差向ノ
用ニハ朝鮮ニアル金ニモ諸方ノ商人共ヨリ集メテ十餘万圓ヲ得ベシ唯今ニテモ貸渡
サン又イヨイヨ大事ニ及ビ日本兵ト支那兵ト相接スル場合ニ臨ミテ假リニ支那兵員
ヲ一千ト積ルモ我一中隊ノ兵ヲ以テ北岳ニ據レバ二週間南山ヲ守レバ二箇月ハ支フ
ベシ云々トテ勇マシキ話ナレドモ公使ガ果シテ暗殺ノ事ヲ助力スベシト明言セザルガ故
ニ金玉均モ愈〓、爰ニ契約シタルニアラズ唯相互ニ默シテ解スルガ如キ風情ニテ金ハ容ヲ
改メ今宵死別カ生別カ幸ニシテ再會スルコトアラントテ訣別シテ去リ復公使館ニ行カ
ズ
翌日金玉均ハ近在ノ別莊ニ行キ其翌日中隊長村上氏ヲ招キテ樣ミノ事ヲ談話シ
十一月二十九日京城ニ歸リ翌日朴泳孝ノ宅ニテ集會イヨイヨ大臣暗殺ノ實地談
ニ及ビ其ノ事ニ日本ノ壯士ヲ用ユルヤ否ヤノ問題ニ付キ種々議論ハアリタレドモ先ヅ
朝鮮人ノ手ヲ以テシテ日本人ハ殿後ニ備フルコトニ決シタリ抑く今後ノ一大事ニ付キ
獨立黨ノ一類ガ只管日本政府ヲ信ジテ依賴心ヲ固クシタル由綠ハ十七年八九月ノ
頃ヨリ日本公使館ノ館員ガ金朴ニ對シテ待遇ノ趣キヲ改メ十月末竹添ガ再渡以外
日本政府ハ朝鮮ノ獨立ヲ助ケ支那ヲ攻擊スルノ主義ニシテ廟議一決シタリトノ公言
ニ依リテ之ヲ信ゼザルヲ得ズ又其內情ヨリ考ヘテモ竹添ナル人物ハ日本ニ左マデ地位
アルニアラズ且其性質モ優柔溫順ニシテ如何ノ事情アルモ自ラ奮テ危險ニ當ルベキ人
物ニ非ズ然ルニ今度ニ限リテ其言フ所行フ所活潑果斷ニシテ人ノ耳目ヲ驚カサザル
ハナシ此樣子ヲ見レバ同氏ガ日本政府ノ廟議トシテ喋々スルハ決シテ空虛ナラズ廟議
果シテ眞實ノ廟議ナラン日本ニテ外務卿ハ無論大臣參議悉皆同意一致シタルナラ
ントテマスマス之ヲ信ジテ疑ヲ容レズ一度事ヲ舉グレバ日本政府ニテ後詰ヲスルモノナ
リト覺悟シテ手ヲ著ケタルナリ今度獨立黨ニ刈除セント欲シテ目指ス所ノ者ハ閔臺
鎬閔泳翊、閔泳穆趙寧夏韓奎稷李祖淵尹泰駿ノ七名ニシテ朴泳孝金玉均洪
英植徐光範ナドハ兼テ其手順方法ヲ謀リ支那服ニ裝フノ策ヲ語リタレドモ是モ面白
カラズ其後洪氏ノ別莊ヲ沈相薫ニ借用セシムルノ企モ時日ヲ延シテ機ニ後ルヽノ恐ア
リ依テ大臣等ヲ何レニカ集會セシメテ別宮(世子婚儀ノ宮ニシテ最モ重キ場所ナリ)
ニ放火シテ其火事場ニ驅付ケタル處ヲ斬ラントノ策ヲ定メ十二月一日夜十二時頃
金玉均洪英植徐光範ハ公使館ニ行キタルニ竹添ハ面會セズ依テ島村ニ逢ヒ島村ノ
云ニ公使ノ面會セザルハ其心中既ニ決シタルモノアルガ故ナリ心既ニ決シタル上ニテ
又面會スレバ却テ言ヲ費シテ決心ヲ害スルノ憂アリ故ニ今夜公使ガ面會ヲ辭スルハ
卽チ其心ノ堅キヲ表スルモノナリ此赴ヲ拙者ヨリ傳フルナリト申シテ夫ヨリ金、洪、除
ハ別宮放火策ヲ語リ島村モ之ヲ贊成シテ其日限ヲ尋ネケレバ金等ハ慥ニ之ヲ言フヲ
得ズ何レ當月二十日(十一一月七日)前ナリト答ヘ然ラバ其日限確定シタラバ屹ト此
方へ報知アレ承知セラレタリト云テ告別十二月七日ハ凡ソ千歳丸入港スベキ日限ニ
シテ金等ノ心ニハ日本廟議ノ變化計ル可ラズ若シ此便船ニテ如何ナル訓令ノ公使
館ニ達シテ館員等ノ運動ヲ妨グルコトモアランカト恐レテ是非トモ入港前ト決シタルナ
リ)歸路朴泳孝ノ宅ニ行ケバ同黨壯士十數名ノ會スルアリ依テ策ヲ授ケ別宮放火ハ
來ル四日ト定メ若シ雨天ナラバ火ノ爲ニ不利ナル故ニ翌五日トシテ其手配スルコト
左ノ如シ但シ壯士ハ皆日本ニ來テ外山學校ヲ卒業シタルモノ等ニシテ屈强ノ武人
関泳翊△尹景順尹泰駿(朴三龍
李段鐘△黃龍澤
李祖淵(崔段童韓奎稷(〓〓李奎完
申重模林段明
右ノ如ク一名ニ付二人ヅヽノ刺客ヲ配當シ後殿ハ李寅鐘及ビ李喜員ニテ寅鐘ハ年
長ナル以テ號令放砲ヲ司ル往來探偵通信ハ柳赫魯高永錫
宮內放火ハ金奉均李錫伊
以上十四人
△印ハ實際ニ當テ始終力メタル者
○印ハ別宮ニ放火シタル者
十印ハ別宮ノ放火ナラズシテ他ニ三箇所放火シタル者
金虎門ノ伏兵ニハ申福模ヲ首トシテ外十三名(後有志壯年ノ馳セ集ルアリテ總勢
四十三名トナル)ニシテ是ハ閔臺鎬関泳穆趙寧夏ニ當ル者ナリ
前營ノ小隊長李景完ハ素ヨリ獨立黨腹心ノ者ニシテ此夜丁度宮內守護ノ當直ヲ
都合シテ常式ノ如ク兵卒六十名ヲ率井テ大關ニアリ右ノ如ク部署ニシテ日本人ハ四
名殿後ニ備ヘ韓人ノ手ニ仕損ジタラバ必ズ繼ガントノ約束ナリ(日本人四名ノ內一
名ハ陸軍ヨリ出テ一名ハ公使館ヨリ出デ外二名ハ金朴ノ手ヨリ出デタリ)偖十二月
四日宵郵便局ノ開業式ニ盛宴ヲ張リ來賓ハ諸外國公使領事ニ韓廷ノ大臣殘リナ
ク集リタレドモ日本公使竹添ハ病ト稱シテ行カズ島村ヲシテ名代ヲ勸メシム島村モ宴
ニ赴クトキ其護衞巡査ニ戒心ヲ命ジタリ)公使館ニテモ今朝ヨリ樣〓ノ用意ニ忙ハシ
ク彈藥兵糧ヲ兵營ヨリ取寄セテ午後ニハ兵士モ來集シテ何時ニテモ出兵ニ差支アル
コトナシ扨テ當夜ノ豫算ニハ宴會酒酣ナルトキハ別宮ニ火起ル來會ノ諸大臣中閔泳
翊尹泰駿李祖韓奎稷ハ武臣ナルヲ以テ火事場ニ赴ク其場ニテ之ヲ刺ス関臺鎬閔
泳趙寧夏カ老臣ナルヲ以テ大闕ニ參內スルヲ金虎門內ノ伏兵之ヲ刺スノ策ニテ且ツ
別宮ノ火起ルト同時ニ日本公使館ヨリ兵士三十名バカリ金虎門外ニ來ル約アリ
然ルニ實際ニ於テ策ノ齟齬シタルハ李圭完始メ四名ノ壯士ガ別宮ニ火ヲ附ケントシ
テ石油ヲ灌イデ火ヲ點ジタレドモ何分ニモ宏大ナル建物ニシテ容易ニ炎上セズ遂ニ穴
藥ヲ投ジタレドモ尙無事ナリ石油ヲ試ミル事二囘火藥ヲ用ユルコト二囘何レモ無效
ナルヲ以テ竊カニ郵便局ニ走リ來リ如何ハセント金氏ノ指揮ヲ乞ヒシニ氏ハ正ニ宴席
ニ在リテ飮食笑語ノ最中一寸〓席シテ壯士ニ逢ヒ別宮無效ナラバ唯近傍ノ茅屋ニ
放火セヨト命ジ命ニ從ッテ三箇所ニ火ヲ附ケタルニ一一箇所ハ消防方ノ力ニテ直チニ消
留メ唯ダ幸ナルハ郵便局ノ裏手ナル一茅屋ノ燃ヱ上リタルヨリ宴席忽チ亂レテ杯盤
狼藉戶外モ何カ騷々シキ樣子ニテ集客先ヲ爭フテ外ニ出ヅルトキ眞先ニ驅出シタル
閔泳翊ガ刺サレテ斃ル其跡ノ混亂ハ云ハン方テシ金朴ノ黨ハ別宮ノ放火無效ニシテ
初メノ策ノ齟齬シタレバ如何ハセント急ニ考ヘ出デズ何ハ扨テ置キ日本ノ公使館ニ行
イテ樣子ヲ見ントテ行ケバ則チ館內ニハ巡査其他兵備ノ最中島村モ疾ク歸館門內
ニ金朴ヲ見テナゼ速カニ大闕ニ行カザルヤト大音ニテ叱咤スルガ如キ有樣ヲ見テ其儘
參內シ國王ニ謁シテ事ノ次第ヲ言上シ二氏ノ考ヘニハ此際日本ノ兵ヲ以テ慶祐宮
桂洞宮ノ要地ヲ守ルヲ利ナリトシテ王ニ說クニ日兵ニ依賴スルノ事ヲ以テシ卽チ邊燧
ヲ遣リ同時ニ遷座ヲ勸ムレドモ王妃其他夥多ノ婦人等ガ蝶々喃々埒明クベキ樣子モ
見ヘズ其間ニ宮殿ノ床下ニ火藥ヲ發スルコト二箇所ニシテ其響サヘ恐シケレバ遷座ノ
義モ速カニ議決シテ先ヅ慶祐宮ニ赴カントシテ四門ヲ通過スル其第二門外ニ於テ金
朴ノ思フニ日本公使ヲ招クニ唯一介ノ邊燧ヲ使者ニシタルハ鄭重ナラズ竹添モ或ハ
命ニ應ズルナカランヲ恐レ其趣ヲ言上シ親筆ヲ請ヒシニ王モ尤モノ事ナリトテ卽チ朴
泳孝ハ紙ヲ出シ金玉均ハベンシルヲ奉リタルニ王ハ之ヲ取リテ日本公使來護我ノ七
字ヲ記シテ手ヅカラ泳孝ニ授ケテ走ラシメタリ(其後井上大使ナドノ話ヲ聞ケバ國王
ノ親筆ニハ朝鮮國大君主李無印ニテ立派ノモノナリト云ヘドモ是レハ井上ガ事實モ
知ラザルナリ其書面ニ付テ口傳アリ)蓋シ宮中ノ放火モ固ヨリ獨立黨ノ手ニ起リシモ
ノニテ二箇所ノ內一箇所ハ宮女何氏ノ手ナリ此何氏ハ豫テ王菓房ノ掛リトテ宮內
御用ノ水菓子ヲ司ル職掌ナルガ婦人ナガラモ平生事大黨ノ界屈ナルヲ憤リ年來竊カ
ニ金朴ニ黨シ今囘モ密謀ニ加ハリタルモノナリト云フ
國王王妃ヲ始メ皇族ハ旣ニ慶祐宮ニ安座スルト殆ド同時ニ日本公使ハ直チニ宮中
ニ入リ兵隊ハ大門ノ內外ヲ警衞シ又彼ノ前宮ノ小隊長李景完ハ當直ノ兵ヲ率ヒ申
福模李寅鐘ノ徒ハ壯士ヲ指揮シテ皆要所ニ備ヘ慶祐宮內獨立黨ヲ以テ充滿シ人
ノ之ヲ悟ル者ナシ群臣事實ヲ聞キ天機伺ヒトシテ續々宮ノ大門ニ至レドモ警衞ノ日
本兵容易ニ之ヲ入レズ門ニ至リ名刺ヲ出セバ先ヅ使者ヲシテ之ヲ內殿ニ達セシメ內
ヨリ許可シテ其證左ニ金玉均朴泳孝若クハ徐載弼ノ名刺ヲ持チ來ルモノハ之レヲ入
レ然ラザル者ハ許サズ蓋シ其前金朴ト日本兵ノ間ニ約スルモノアレバナリ斯ノ如クニシ
テ諸大臣或ハ入ルモノアリ或ハ拒絕セラルルモノアリ其間ニ閔泳穆到ル門外ノ番兵
暫ク之ヲ留メテ其名ヲ內ニ通ジケレバ內ニ於テハ固ヨリ待設ケタル所ニシテ一モ二モナク
入內ヲ許可シテ但シ從者ヲ許サズ泳穆ハ單身大門ニ入リ入レバ卽チ門扉ヲ閉シテ囊
中ノ鼠ニ異ナラズ衞兵配列ノ中ヲ行ッテ第二門ニ入ルトキ刺客傍ヨリ起り日本兵ハ
其周圍ニ在ルガ故ニ遁逃ノ路ナク唯一刀ノ下ニ斃ル斃ルレバ卽チ血痕ヲ掃除シテ事
ナキモノノ如クシテ其次ギヲ待ツ但シ刺客ハ韓人ニシテ日本人ハ刀ヲ取ラズ泳穆既ニ
殺サレ次デ入ル者ハ趙寧夏又次デ閔臺鎬三人共ニ狀ヲ異ニセズ
李祖淵韓奎稷尹泰駿ハ早ク既ニ參內シテ殿中コレヲ殺スニ策ナシ依テ金玉均ハ此
三將ニ各外ニ出デ兵ヲ率ヒテ來リ衞ルベキ旨ヲ以テ之ヲ促ガシテ已マズ終ニ叱シテ之
ヲ逐出シ玄關ニハ徐載弼待チ構ヘ三將ノ躊躇スルヲ見テ手ヲ以テ突飛バスマ
デニシテ漸ク外ニ出デ夫ヨリ路ヲ大門ノ方ニ取ラズシテ山ノ手ノ門ヨリ出デントシ第一
門ノ邊ニ至リテ樣子ヲ見レバ李景完ノ兵ハ備ヲ固クシテ之ヲ守リ固ヨリ大將ノ命ヲ
聽ク可キニ非ズ二人共ニ狼狽スル所ニ刺客ニ逢フタリ
慶祐宮ヘ遷座ハ四日夜十一時頃ニシテ其御大臣輩ノ殺サレタルモノハ未ダ公然奏
聞セラレサレドモ宮中何トナク穩カナラズ王妃ヲ始メ宮女等ハ頻リニ大闕ニ歸ランコト
ヲ思ヒ百事遲滯スル其際ニ夜モ將ニ明ケントスル五日午前七時ノ頃宮官ノ長ニシテ
兼テ勢力アル柳在賢ヲ縛シテ御座近キ廊下ニ引來リ罪狀ヲ申渡シテ之ヲ斬ル鮮血
〓リテ御衣ヲ汚サントスル程ノ有樣ニシテ滿座色ヲ失ヒ寂トシテ聲ナシ是ヨリ宮女宦
官等モ全ク屏息シテ歸國ノ事ヲ言ハズ同日(五日)午前十時更ニ桂洞宮ニ移ル
桂洞宮ニ於テモ亦歸闕ノ談ヲ發シ王妃王大妃ハ無論國王モ亦切ナルガ如シ金朴ノ
黨ハ常ニ支那兵ノ不慮ヲ恐レテ歸關ノ危道ナルヲ知リ竹添ニ依賴シテ國王ニ奏シ此
ニ守ルノ利ヲ說カシメントシタレドモ竹添ハ王ノ意ニ抗スルヲ得ズ午後四時(五日)ノ
頃空シク大闘ニ歸リタリ此ノ時ニ當リテハ政府ノ權柄ハ全ク獨立黨ニ歸シ漸ク官吏
ノ更迭モアリ先ヅ無事ニシテ晩ニ至リ諸門ヲ閉サントスル時支那ノ兵營ヨリ三十名バ
カリ宣仁門ニ來リ今夜ハ此門ヲ閉ス勿レト云フニ關內ニテハ樣々評議シタレドモ先ヅ
今晩ハ其ノ言フガマヽニ任セントテ門內ニ兵備ヲ儼ニシテ開門ノマヽ一夜ヲ明カシタリ
五日ヨリ六日ノ午前午後マデハ獨立黨ノ勝利ニテ追々制度ノ改革ニ著手シ門閥廢
止ノ議ヲ實施シ租稅ヲ改メ貸付米ノ舊弊ヲ除キ官官ノ權ヲ殺ギテ又宦官ヲ尋常ノ
官途ニ登用スルノ路ヲ開キ支那ヘ朝貢ノ虛禮ヲ廢シテ獨立國ノ名實ヲ固クシ宮內
省ヲ設ケ多ク李氏ノ人ヲ用ヒテ尊王ノ義ヲ明ニシ諸營ノ統領ヲ易ヘ或ハ世子ヲ以テ
陸軍大將ニ任ゼンナドノ內議モアリテ前途ノ計畫モ少ナカラズ又目下焦眉ノ備モ忙ハ
シカリシ其時ニ金玉均ハ竹添ニ向テ豫テ薄々御相談申シタル通リ國事改革ニ就キ差
向キ必要ナルモノハ資金ナリ此一義日本政府ノ御周旋ヲ以テ出來可申ヤト尋ネケレ
バ竹添ハ怪シム氣色モナク金策ハ隨分日本ニテ成ルベケレドモ抵當ハ如何ン金額ハ
乃チ何程トノ問ニ金玉均ハ五百万圓ト云ハレント欲シタレドモ先ヅ內端ニシテ三百
万圓ニ抵當ニハ金山ト發三ロシテ竹添ノ受合餘リ容易ナルニ付キ金玉均ハ尙念ヲ押
シ日本ニテハ三百万圓トノ御話シナレドモ玉均ノ見ル所ニテ日本ノ商人ニ斯ル巨額
ノ金ハ難カラン實ハ日本國ニ借用セズトモ日本國ノ周旋ニテ西洋ノ諸外國ニ朝鮮ノ
國債ヲ募集スルノ手段ヲ御依賴申スノミト云ヒタルニ竹添ハ笑テ日本ノ商人ニハ固
ヨリ三百万圓ノ巨額ハ六ケ敷カランナレドモ君ハ日本政府ノ大藏省ヲ知ラズヤ拙者
ノ申ス日本ニテ金策トハ其目的唯大藏省ニ在ルノミ僅ニ三百万圓ノ金圓立ドコロニ
辨ズベシトノ明言ニテ大ニ安心シ曩ニハ十餘万圓ノ金ヲ朝鮮ノ地ニテ卽時ニテモ調
達スベシト云ヒ今又外債ノ談ニハ日本政府ノ金ヲ貸サント云フ益々竹添ヲ信ジ又日
本政府ニ依賴シテ更ニ疑フ心ナカリシト云フ
桂洞宮ニテ竹添ガ國王竝ニ諸大臣ニ向テ政談ノ演說ニ其趣意ハ西洋文明ノ風潮
次第ニ東方ニ迫リ支那ノ如キ老大國ハ賴ムニ足ラズ朝鮮モ自彊シテ獨立ノ策ヲ立ツ
ベシ云々トテ平生(十七年十月再渡以來)ノ持論ニ異ナラズ又國王ト談話ノ語次兵
士ノ事ニ及ビ竹添ノ說ニ四營中最モ用ニ適スルモノハ前營ナリ此兵ハ日本ノ式ニ從
テ曾テ朴泳孝ノ指揮シタルモノナリ左レバ今日コノ兵營ヲ司ル人物ハ朴氏ノ外ニナカ
ルベシトノ勸告ニ依リ朴泳孝ガ特ニ前營ノ大將ニ任ゼラレタリトニコフ
桂洞宮ヨリ大關ニ歸ルニ付テハ國王ノ情切ナリト雖モ金朴ハ其不可ヲ論ジ堅ク執テ
動カズト雖モ唯竹添ガ優柔ナルガ故ニ王ノ言ニ從ヒシモノナリ初メ金朴ガ事ヲ企ツル
ヤ一舉ノ後ハ王ヲ奉ジテ江華ニ據リ平靜ノ後還御ト策ヲ定メテ既ニ十一月二十五
日金ガ竹添ニ面語ノ時ニモ其策ヲ告ゲタルニ竹添ハ頻リニ大關ヲ去ルノ不利ヲ說テ
金朴ノ言ヲ聽カズ其後島村ニ談シタレドモ是レ亦竹添ト同說ニシテ如何トモス可カラ
ズ然ラバ卽チ不十分ナル要害ナレドモ萬一ノ時ニハ慶祐宮ニ遷ラントテ初メテ竹添
等ノ同意ヲ得タル事ナリ斯ク迄ニ心配シタル事ナレバ五日午後大闕ニ歸ルハ獨立黨
ノ最モ危ム所ナレドモ竹添以下ノ人ハ素ヨリ支那ノ兵ヲ恐レズ大闕ニ居テ防禦易シ
ト思ヒシコトナラン
十二月六日朝金玉均ハ書ヲ作テ袁世凱ニ贈リ昨夜支那兵ガ我大關ノ宣仁門ヲ閉
ス勿レト指圖シタルハ甚ダ聞エ難シ闕門ノ開閉ハ小事ニ非ズ以來右樣ノ指圖アルモ
此方ニ於テハ決シテ之ニ從ハズ無理ニトアレバ自カラ處分ノ法アルベシト申送リタレド
モ返書來ラズ凡ソ同時ニ却テ彼レヨリ便用ヲ以テ國王ニ一書ヲ呈シタリ其文ニ
統領駐防各營記名提督果勇巴魯吳兆有上陳
大王殿下昨晩聞
受虛驚今幸
大王洪福京城內外平靜如常務乞
大王放心敞軍三營亦托
庇無事合拜靜明肅此恭叩鈎安提督兆有謹上
トアリケレバ韓廷ニテハ都承旨朴泳〓ノ名ヲ以テ領收ノ證ヲ交附シタリ又凡ツ同時
ニ袁世凱ヨリ使者ヲ以テ國王拜謁致度ニ付テハ兵士六百ヲ率井東西ノ兩門ヨリ各々
三百ヅヽヲ入レントノコトニ付キ金玉均ヨリ返書ヲ贈リ尋常ノ護衞兵ヲ伴フテ參內
ハ苦シカラズト雖幾百ノ兵ヲ大闕ニ入ルヽコト相成ラズ强ヒテ力ヲ以テ入ランナラバ此
方ニモ其覺悟アリト申返シタルニ又後方ヨリ士官一名朱守備ナルモノヲ差越シ國王
ニ面謁センコトヲ乞ヒケレバ大將分ノ者ナラバ謁見モ許スベケレドモ士官ノ身分ニテハ
叶ヒ難シトテ洪英植ガ應對シテ之ヲ返シタリ近來ノ例ニ從ヘバ呉兆有袁世凱等ヨリ
書ヲ呈スレバ國玉ノ名ヲ以テ之ニ應ジ又士官ニテモ謁見ヲ乞フ時ハ之ヲ許スノ慣行
ナリシモノヲ今囘特ニ之ヲ改メタルハ支那人不懣ヲ致シタルヤ必セリ朴泳〓ノ亂後ニ
殺サレタルモ推シテ其信ナルヲ知ルベシ
同日(六日)午後二時半頃袁世凱ヨリ一書ヲ國王ニ呈シ凡ソ同時ニ兵ヲ率ヒテ大
闕ヲ園シ砲發頻リナリ其書ハ金朴ノ手ニ取リテ讀マレザレドモ交ノ半以下ニ大王ヲ
保護シ併セテ日兵ヲ護ル云々ノ文字ヲ窮ヒ見ルヲ得タリト云フ
砲發ノ搔擾ト共ニ王妃世子世子妃ハ早々宮中ヲ出デ次デ大王妃及王妃等皆
去ッテ殘レルモノハ唯國王一人ノミ金朴ハ事ノ容易ナラザルヲ悟リ又大闕ノ守ルニ不
利ナルハ初メヨリ知ル所ナレバ王ヲ奉ジテ先ヅ仁川ニ落チントテ之ヲ勸ムルトモ聽カズ
唯王大妃ノ在ル所ニノミ行カントノミニテ之ヲ如何トモスベカラズ四日以來國王竝ニ
王妃ノ傍ニ在ルモノハ悉皆獨立黨ノモノニシテ外ヨリ來ル書翰ノ類ニテモ其由テ來ル
所ヲ知ラザル事ナキ筈ナルニ不思議ナルハ六日ノ朝王妃食事ノ際ニ當リテ竊ニ書ヲ
呈スル者アリテ妃ノ正ニ之ヲ讀ムヲ窮ヒタルモノアリ瞹間ノ際傍ヨリ之ヲ詳知スルハ固
ヨリ難ケレドモ外來ノ書ナリシ事ハ慥カナリ依テ推測ヲ下セバ此書ガ或ハ支那人ノ手
ヨリ午後砲發ノ聲ト共ニ宮中ヲ出ヅベキ事ヲ〓ゲ又出デヽ行クベキ方向ヲモ示シタル
モノニハ非ザリシヤト姑ク疑ヲ存スト云フ支那兵ノ至ルト同時ニ朝鮮ノ兵モ之ニ應ジ
殊ニ彼ノ別抄兵ナルモノハ頻リニ大關ノ後ノ山ヨリ砲發スルヲ以テ金玉均ハ怒テ山
下ニ走リ行キ大音ヲ發シテ汝奴輩大王ニ向テ彈丸ヲ奉ルカト叱咤シケレバ衆兵靡キ
テ皆口口ニ否ナ大王ニ向フニ非ズ敵ハ日本人ナリト答ヘ發射ハ暫ク止シタレドモ玉
均去レバ亂發舊ノ如シ是ニ於テ竹添ノ氣ノ摧ケタル事甚ダシク復守ルノ意ナキガ如ク
ナル其上ニ國王ハ口ハ官王大妃ノ處ニ行カンコトヲ求メテ止マズ蓋シ王妃以下皇族ハ
北廟ニ在ルトノコトニテ此廟ハ關羽ノ祠ニシテ大關外ノ北西ニ當〓當日ノ形勢ヲ以
テ言ヘバ先ヅ支那兵ノ防禦線內ニ在ルモノニ似タリ國王ハ既ニ後園ニ出デ金玉均朴
泳孝洪英植徐光範ノ徒之ニ供奉シ竹添モ亦伴フ金朴ハ旣ニ事ノ成ラザルヲ知ルモ
尙仁川ニ幸スルノ念ヲ斷タズ後園ヲ步シテ北門ニ出ヅルマデニ七度止マリテ之ヲ爭ッテ
七度聽カレズ此上ハ唯竹添ガ決心ノミト觀念シ萬一ヲ祈リタレドモ竹添ハ疾ク既ニ
退去ト覺悟ヲ定メタルモノト見エ門內ニテ王ニ別レヲ告ゲタレバ金朴モ今ハ詮方ナク
王ノ行ク處ニ從ハントシタレドモ彼ノ北廟ノ邊ニハ必ズ支那ノ伏兵アルヲ探知シ依テ
門內ニテ御暇ヲ願ハントスル時王ハ顧ミテ汝等何處ヘ行クヤトノ御尋ネニ金朴ハ淚ヲ
拂ヒ一死尙國家ノ爲メニ保ス臣等ハ是ヨリ日本ニ赴キ多年來ノ殊恩ニ背カズ國ノ
爲メ君ノ爲死ヲ致シテ靑天白日再ビ天顏ヲ拜スルコトアルベシトテ其レヨリ左右ニ相
分レテ金朴以下ハ竹添ト共ニ公使館ニ行キ國王ハ北廟ノ方ニ赴カレタリ此時洪英
植ガ王ニ隨テ北廟ニ行キタルハ此人ハ平生溫厚ノ聞アル人物ニシテ四日以來騒擾ノ
際ニモ窃ニ兵士ヲ遣シテ閔泳翊ノ家ヲ護ラシムル等其處置ノ至極穩カナル處アルガ
故ニ假令ヒ支那兵ノ手ニ掛ルモ慘毒ヲ免ルルコトナラント思ヒ同黨ノ諸士モ强ヒテ其
行ヲ留メザリシコトナレドモ後ヨリ考ヘレバ看ス看ス死地ニ陷レタルニ異ナラズトテ獨立
黨ノ諸士ハ今尙ホコレヲ後悔シテ止マズト云フ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003713242X02819160218&spkNum=91
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