1. 会議録本文
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000・会議録情報
大正七年三月十八日（月曜日）
午前十時四分開議
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議事日程 第十四號 大正七年三月十八日
午前十時開議
第一 侯爵中御門經恭君、深野一三君請暇の件
第二 狩獵法改正法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會
第三 臺灣銀行法中改正法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會
第四 罹災救助基金法中改正法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會の續（委員長報告）
第五 朝鮮の生産に係る物品の移入税免除に關する法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會の續（委員長報告）
第六 特許法中改正法律案（衆議院提出） 第一讀會
第七 商標法中改正法律案（衆議院提出） 第一讀會
第八 意匠法中改正法律案（衆議院提出） 第一讀會
第九 實用新案法中改正法律案（衆議院提出） 第一讀會
第十 日本勸業銀行法中改正法律案（衆議院提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第十一 輕便鐵道法中改正法律案（衆議院提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第十二 軌道條例中改正法律案（衆議院提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第十三 美術の振興に關する建議案（馬屋原彰君外一名發議） 會議
━━━━━━━━━━━━━発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=0
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001・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ諸般ノ報告ヲ致サセマス
〔岡書記官朗讀〕
去ル十五日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出案ハ卽日裁可ヲ奏請セリ
貴族院令中改正案
同日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出案ハ卽日之ヲ衆議院ニ送付セリ
市町村立小學校〓員退隱料及遺族扶助料法中改正法律案
同日本院ニ於テ採擇スヘキモノト議決シタル八幡區裁判所復設ノ請願外二
十一件ノ請願ハ各意見書ヲ附シ卽日之ヲ政府ニ送付セリ
同日可決シタル議員高木豐三君ニ對スル弔辭ハ翌十六日之ヲ贈レリ
同日特別委員會ニ於テ當選シタル正副委員長ノ氏名左ノ如シ
農會法中改正法律案特別委員會
委員長子爵冷泉爲勇君副委員長前田正名君
重要物產同業組合法中改正法律案特別委員會
委員長子爵冷泉爲勇君副委員長前田正名君
同日特別委員副委員長ヨリ左ノ報〓書ヲ提出セリ
罹災救助基金法中改正法律案可決報告書
同日特別委員長ヨリ左ノ報〓書ヲ提出セリ
日本勸業銀行法中改正法律案可決報告書
輕便鐵道法中改正法律案可決報告書
軌道條例中改正法律案可決報〓書
一昨十六日特別委員會ニ於テ當選シタル正副委員長ノ氏名左ノ如シ
有償證劵割賦販賣業法案特別委員會
委員長子爵稻垣太祥君副委員長子爵田尻稻次郞君
朝鮮ノ生產ニ係ル物品ノ移入稅免除ニ關スル法律案特別委員會
委員長石塚英藏君副委員長子爵野村益三君
爆發物取締罰則中改正法律案特別委員會
委員長伯爵松平賴壽君副委員長男爵若王子文健君
同日特別委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
朝鮮ノ生產ニ係ル物品ノ移入稅免除ニ關スル法律案可決報告書
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
狩獵法改正法律案
臺灣銀行法中改正法律案
同日議員馬屋原彰君外一名ヨリ百六名ノ賛成ヲ以テ美術ノ振興ニ關スル建
議案ヲ發議セリ
從三位勳三等男爵西紳六郞君
正五位勳四等男爵辻太郞君
同日男爵議員補關選擧ニ當選セラル発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=1
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002・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 一昨十六日、本院議員ニ當選セラレマシタ男爵西
紳六郞君ノ席次ハ古市公威君ノ次席、同ジク男爵辻太郞君ノ席次ハ藤堂男爵
ノ次席ト確定イタシマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=2
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003・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 是ヨリ本日ノ會議ヲ開キマス、諸君ニ御諮リヲ致
シマス、一昨十六日當選セラレマシタ西男爵、辻男爵ノ部屬ハ抽籤ノ手續ヲ
省略イタシ、順次闕員アル部ニ編入イタシテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=3
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004・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス、付テハ西男爵ヲ第四部ニ、
辻男爵ヲ第五部ニ編入イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=4
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005・細川護立
○侯爵細川護立君 是ヨリ借地法案ノ特別委員會ヲ開キタイト思ヒマスカ
ラ、同委員ノ退席ノ御許可ヲ願ヒタウ存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=5
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006・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 細川候爵ノ借地法案ノ特別委員會ヘ退席ノ要求
ハ、許可ヲ致シテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=6
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007・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス、玆ニ諸君ニ御諮リ致シマ
ス本會期中特別委員會、常任委員會、竝ニ分科會等ヘ、本會議中ニ退席ノ
要求ガ出マシタナラバ、許可ヲ致シテ宜カラウカト考ヘマスガ、豫メ諸君ノ
御許シヲ得テ置キタウ存ジマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=7
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008・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=8
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009・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第一、侯爵中御門經恭君、深野一三君請
暇ノ件、中御門侯爵公務上會期中、深野君病氣ニ付會期中ノ請暇デゴザイマ
ス、何レモ許可ヲ致シテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=9
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010・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=10
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011・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第二、狩獵法改正法律案、政府提出、衆議院
送付、第一讀會、本日モ御異議ガナケレバ通牒文ノ朗讀ハ省略ヲ致シタク存
ジマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
〔左ノ送付文及議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス以下之
ニ倣フ〕
狩獵法改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
大正七年三月十六日
衆議院議長大岡育造
貴族院議長公爵德川家達殿
狩獵法
第一條狩獵鳥獸以外ノ鳥獸ハ之ヲ捕獲スルコトヲ得ス
狩獵鳥獸ノ種類ハ主務大臣之ヲ定ム
主務大臣ハ特殊ノ狩獵鳥獸ノ保護蕃殖ノ爲必要ト認ムルトキハ區域ヲ定
メ其ノ捕獲ヲ禁止又ハ制限スルコトヲ得
第二條狩獵鳥類ノ雛及鳥類ノ卵ハ主務大臣ノ定ムルモノヲ除クノ外之ヲ
捕獲又ハ採取スルコトヲ得ス
第三條狩獵鳥獸ハ狩獵免許ヲ受クルニ非サレハ主務大臣ノ定ムル銃器、
網黐繩、摸鉤又ハ罠ヲ使用シテ之ヲ捕獲スルコトヲ得ス但シ欄、柵
其ノ他ノ圍障アル邸宅地域內ニ於テ銃器ヲ使用セスシテ捕獲スル場合ハ
此ノ限ニ在ラス
第四條地方長官必要ト認ムルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ前條ノ規定ニ
依ル獵具ノ使用以外ノ方法ヲ以テスル狩獵鳥獸ノ捕獲ヲ禁止又ハ制限ス
ルコトヲ得
第五條狩獵免許ハ甲乙ノ二種トシ狩獵免狀ヲ下付ス
甲種狩獵免狀ハ銃器ノ使用以外ノ方法ヲ以テ狩獵ヲ爲ス者ニ、乙種狩獵
免狀ハ銃器ヲ使用シテ狩獵ヲ爲ス者ニ之ヲ下付ス
狩獵免狀ノ有效期間ハ十月十五日ヨリ翌年四月十五日迄トス但シ北海道
ニ於テハ九月十五日ヨリ翌年四月十五日迄トス
主務大臣ハ特殊ノ狩獵鳥獸ノ保護蕃殖ノ爲必要ト認ムルトキハ前項ノ期
間內ニ於テ特ニ其ノ狩獵ノ期間ヲ限定スルコトヲ得
前二項ノ期間內ニ非サレハ狩獵ヲ爲スコトヲ得ス
第六條本法又ハ本法ニ基キテ發セル命令ニ違反シ罰金ニ處セラレタル者
ハ一年ヲ經過スルニ非サレハ狩獵免許ヲ受クルコトヲ得ス
第七條未成年者、白痴者又ハ瘋癲者ハ乙種狩獵免許ヲ受クルコトヲ得ス」
乙種狩獵免許ヲ受ケタル者白痴者又ハ瘋癲者ト爲リタルトキハ地方長官
ハ其ノ免許ヲ取消スヘシ
第八條狩獵免許ヲ受クル者ハ甲乙各種ニ付左ノ區別ニ從ヒ免許稅ヲ納ム
ヘシ
等地租五百圓以上、營業稅百五十圓以上若ハ四十五圓
所得稅百圓以上ヲ納ムル者又ハ其ノ家族
二等地租三十圓以上、營業稅二十圓以上二十圓
若ハ所得稅ヲ納ムル者又ハ其ノ家族
三等一等及二等以外ノ者五圓
前項ノ免許稅ハ收入印紙ヲ以テ之ヲ納ムヘシ
第九條主務大臣又ハ地方長官ハ鳥獸ノ保護蕃殖ノ爲又ハ土地所有者ノ出
願其ノ他ノ事由ニ因リ必要ト認ムル場合ニ於テハ十年以內ノ期間ヲ定メ
禁獵區ヲ設クルコトヲ得
第十條地方長官ハ危險豫防ノ爲其ノ他必要ト認ムルトキハ銃獵禁止區域
ヲ設クルコトヲ得
第十一條左ニ揭クル場所ニ於テハ狩獵ヲ爲スコトヲ得ス
一御獵場
二禁獵區
三公道
四公園
五社寺境內
六墓地
第十二條學術〓究又ハ有害鳥獸驅除ノ爲其ノ他特別ノ事由ニ因リ主務大
臣又ハ地方長官ノ許可ヲ受ケタル場合ニ於テハ前數條ノ規定ニ拘ラス鳥
獸ヲ捕獲シ又ハ烏類ノ卵ヲ採取スルコトヲ得
主務大臣又ハ地方長官前項ノ許可ヲ爲シタルトキハ許可證ヲ下付ス
第十三條前條第一項ノ規定ニ依リ捕獲シタル鳥獸又ハ採取シタル鳥類ノ
卵ハ之ヲ讓渡シ又ハ讓受クルコトヲ得ス但シ警察官署ノ許可ヲ受ケタル
トキハ此ノ限ニ在ラス
第十四條國。道府縣、郡又ハ市町村ハ命令ノ定ムル所ニ依リ獵區ヲ設定
スルコトヲ得
第十五條爆發物、劇藥、毒藥、据銃又ハ危險ナル民若ハ陷穽ヲ使用シテ
鳥獸ヲ捕獲スルコトヲ得ス
第十六條日出前若ハ日沒後、市街其ノ他人家稠密ノ場所若ハ衆人群集ノ
場所ニ於テ又ハ銃丸ノ達スヘキ虞アル人畜、建物、汽車、電車若ハ艦船
ニ向テ銃獵ヲ爲スコトヲ得ス
第十七條欄〓其ノ他ノ圍障又ハ作物アル土地ニ於テハ占有者、共同狩獵
地ニ於テハ免許ヲ受タタル者ノ承諾ヲ得ルニ非サレハ狩獵又ハ第十二條
第一項ノ規定ニ依ル鳥獸ノ捕獲ヲ爲スコトヲ得ス
第十八條獵區ニ於テハ獵區設定者ノ承認ヲ得ルニ非サレハ狩獵又ハ第十
二條第一項ノ規定ニ依ル鳥獸ノ捕獲ヲ爲スコトヲ得ス
第十九條狩獵免許ヲ受ケタル者又ハ第十二條第一項ノ許可ヲ受ケタル者
烏獸ヲ捕獲シ又ハ鳥類ノ卵ヲ採取セムトスルトキハ狩獵免狀又ハ許可證
ヲ携帶スヘシ
警察官吏、憲兵、森林官吏又ハ市町村長ハ前項ノ規定ニ依リ携帶スヘキ
狩獵免狀若ハ許可證又ハ捕獲シタル鳥獸若ハ採取シタル鳥類ノ卵ヲ檢査
スルコトヲ得
第二十條本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違反シテ捕獲シタル鳥獸又
ハ採取シタル烏類ノ卵ハ之ヲ讓渡シ又ハ讓受クルコトヲ得ス
第二十一條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
-第三條、第十一條、第十五條又ハ第十六條ノ規定ニ違反シタル者
二詐欺ノ行爲ヲ以テ狩獵免許又ハ第十二條第一項ノ許可ヲ受ケタル者」
第三條又ハ第十五條ノ規定ニ違反スル犯罪ノ用ニ供シタル物件及其ノ犯
罪ニ因リテ得タル獵獲物ニシテ犯人ノ所有シ又ハ所持スルモノハ之ヲ沒
收ス
第二十二條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス但シ第
十七條ノ規定ニ違反シタル罪ハ占有者又ハ共同狩獵地ノ免許ヲ受ケタル
者ノ告訴ヲ待テ之ヲ論ス
-第一條第一項、第二條、第五條第五項、第十三條、第十七條、第十
八條又ハ第二十條ノ規定ニ違反シタル者
二第一條第三項ノ規定ニ依ル禁止又ハ制限ニ違反シタル者
三銃獵禁止區域ニ於テ銃獵ヲ爲シタル者
四正當ノ事由ナクシテ第十九條第二項ノ規定ニ依ル檢査ヲ拒ミタル者
五狩獵免狀又ハ第十二條第二項ノ許可證ヲ他人ニ使用セシメタル者
第二十三條御獵場、禁獵區、銃獵禁止區域、獵區又ハ共同狩獵地ノ標識ヲ
移轉、汚損毀壞又ハ除却シタル者ハ五十圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第二十四條狩獵免許又ハ第十二條第一項ノ許可ヲ受ケタル者本法又ハ本
法ニ基キテ發スル命令ニ違反シ罰金ニ處セラレタルトキハ其ノ狩獵免許
又ハ許可ハ效力ヲ失フ
第二十五條第十九條第一項ノ規定ニ違反シタル者ハ科料ニ處ス
第二十六條本法中地方長官トアルハ東京府ニ於テハ警視總監トス
本法中市町村又ハ市町村長トアルハ市制又ハ町村制ヲ施行セサル地ニ於
テハ之ニ準スヘキモノトス
附則
第二十七條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十八條明治三十年法律第七號ハ之ヲ廢止ス
第二十九條舊法ニ依リ爲シタル許可ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
舊法ニ依リ設ケタル禁獵區又ハ銃獵禁止ノ區域ハ之ヲ本法ニ依リ設ケタ
ル禁獵區又ハ銃獵禁止區域ト看做ス
第三十條本法施行前爲シタル共同狩獵地ノ免許ハ仍其ノ效力ヲ有ス
前項免許ノ期間ハ申請ニ因リ之ヲ更新スルコトヲ得
第三十一條狩獵免許ヲ受ケタル者舊法第二十一條乃至第二十三條ノ規定
ニ依リ處罰セラレタルトキハ其ノ狩獵免許ハ效力ヲ失フ此ノ場合ニ於テ
ハ一年ヲ經過スルニ非サレハ狩獵免許ヲ受クルコトヲ得ス
〔國務大臣仲小路廉君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=11
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012・仲小路廉
○國務大臣(仲小路廉君) 本案提出ノ理由ヲ申述ベマシテ、御參考ニ供シマ
ス、近來本邦ノ野生鳥獸ノ漸次減少ヲ致シマスル傾向ノアリマスルコトハ誠
ニ著シイコトデゴザイマス、是等鳥獸ノ減少ヲ致シマスコトハ、林業殊ニ農業
ニハ少カラヌ妨害ヲ及ボスノデアリマス是等ノ鳥獸ノ減少ヲ致シマスル原
因ハ、近時狩獵家ノ益〓增加ヲ致シマスコト、或ハ狩獵ニ關スル器具ノ發達ヲ
致シマスルコト、其他ニ或ハ密獵者等ノ增加イタシマシタルコト是等各種ノ
原因ガ集マリマシテ、斯ノ如ク野生鳥獸ノ減少ヲ來シテ、ソレガ爲ニ農業若
クハ林業ニモ少カラヌ影響ヲ及ボスノデアリマス、ドウシテモ此儘ニシテ打
捨テテ置ク譯ニ參リマセヌノデアリマス、宜シク是等ノ鳥獸ノ減少イタシマ
スルコトヲ防止シ、一面ニ蕃殖ヲ圖ル道ヲ講ジマスルコトモ極メテ必要デア
リマス、今囘狩獵法ノ改正ヲ致シマスルノハ畢竟此趣意ニ基クノデアリマス、
改正ノ要旨ハ是マデハ保護鳥トシテ記載ヲ致シタノデアリマス、是ハ却ッテ
煩雜ニ流レマシテ、其實效ヲ擧ゲルコト甚ダ效果ガ乏シイノデアリマス、此度
ハ之ニ反シテ狩獵ヲ致シテ支ヘノナイト云フ鳥獸、殊ニ鳥類ヲ揭ゲルコトニ
致シマシタ、次ニハ狩獸ニ關スル器具ニ付テ相當ノ制限ヲ致シマス、更ニ獵
期制度ヲ定メマス、及狩獵ニ關スル稅ニ付テ之ヲ改正ヲ致シマス、其他密獵
者及違反者等ニ付キマシテ嚴ニ之ヲ取締リマスコト、是等ノ趣意ニ依リマシ
テ、今囘改正案ヲ提出スルコトニ致シタノデアリマス、何卒御審査ノ上御協
賛アラムコトヲ希望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=12
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013・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 別ニ御質問モナイト認メマスカラ特別委員ノ氏名
ヲ書記官ヲシテ朗讀イタサセマス
〔岡書記官朗讀〕
狩獵法改正法律案特別委員
公爵德川慶久君子爵靑山幸宜君子爵伊集院兼知君
子爵片桐貞央君岡喜七郞君男爵靑山元君
江木翼君江原芳平君鈴木周三郞君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=13
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014・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第三、臺灣銀行法中改正法律案、政府提出、
衆議院送付、第一讀會
臺灣銀行法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
大正七年三月十六日
衆議院議長大岡育造
貴族院議長公爵德川家達殿
臺灣銀行法中改正法律案
臺灣銀行法中左ノ通改正ス
第五條中「地金銀ノ賣買」ヲ「地金銀ノ賣買及貨幣ノ交換」ニ「又ハ興業債劵」
ヲ「、興業債劵其ノ他主務大臣ノ認可ヲ受ケタル有價證劵」ニ改ム
第五條ノ二臺灣銀行ハ公共〓體、產業組合又ハ畜牛保健組合ニ對シ貸付
ヲ爲ス場合ニ於テハ擔保ヲ徵セサルコトヲ得
第六條ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ外國ニ於ケル營業ノ必要上主務大臣ノ認可ヲ受ケタル業務ニ付テハ
此ノ限ニ在ラス
第九條中「一千萬圓」ヲ「二千萬圓」ニ改ム
〔國務大臣勝田主計君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=14
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015・勝田主計
○國務大臣(勝田主計君) 唯今議題トナッテ居リマスル臺灣銀行法中改正法
律案ノ大體ノ說明ヲ申上ゲタイト思ヒマス、臺灣銀行法ノ改正ノ主眼ト致シ
マスル所ハ保證準備ノ擴張デゴザイマスル、御承知デ在ラセラレマスル如ク
二、臺灣銀行ノ保證準備ハ、明治四十三年ハ一千萬圓ト云フコトニ限定ヲ致
サレテ居ルノデアリマス、然ルニ其以來臺灣ニ於キマスル產業其他ノ關係ニ
於キマシテ異常ノ發展ヲ來シテ居リマス、故ニ銀行券ノ發行ニ付テ見マシテ
千、其當時ノ殆ド十三四割ニモ餘計ニ上ッテ居ルト云ヤウナ次第デゴザイマ
スルノデ、斯樣ナ次第デアリマスルカラシテ、常ニ數百萬圓ノ制限外ノ發行
ヲ致シテ居ルト云フ狀況ニ相成ッテ居リマスル、故ニ今囘ハ此一千萬圓ニ尙
ホ一千萬圓ヲ加ヘテ、卽チ保證準備ノ擴張ノ程度ヲ二千萬圓ト致スト云フ改
正ヲ加ヘタイノデアリマス、是ガ最モ主要ナル點デアリマス、此他ニ臺灣銀
行ニ於キマシテハ御承知ノ通リニ、南支或ハ南洋等ニ於キマシテ、事業ヲヤッ
テ居リマスルノデ、此事業ノ發展ノ程度ハ近來頗ル著シキモノガアリマスル
ノデ、營業範圍ニ於キマシテ別ニ一項ヲ加ヘマシテ、主務大臣ノ認可ヲ受ケ
タル業務ヲ營ムコトヲ得ルト云フコトニ致シマシタノデ、是ハ或ハ外國ニ投
資スル爲ニ「シンヂケート」ノ仲間ニ這入リマスルトカ、或ハ資金ヲ融通シタ
關係ヨリ致シマシテ外國ニ於テ官金ノ取扱ヲ致シマスルトカイロ〓〓種々
實際上ノ經驗ニ鑑ミマシテ此改正ヲ致ス必要ガ起ッタノデゴザイマス、次ニ
臺灣ニ於キマシテ產業組合或ハ公共〓體ノ如キモノガ段々發達イタシテ來マ
シテ、而カモ其基礎ガ極メテ確實ニ相成リマシテ、之ニ對スル所ノ監督ノ方
法等モ相當ニ能ク行屆イタモノニナッテ居リマス、故ニ是等ニ對シマシテハ
擔保ヲ徴セズシテ資金ヲ貸スコトガ出來ル、卽チ我ガ內地ニ於キマシテ勸業
銀行或ハ農工銀行等ガ、是等ノ團體ニ對シマシテハ無擔保ニ貸付ヲ致シテ居
リマスルガ、是等ト同樣ノ働キヲ臺灣銀行ヲシテ臺灣ニ於テ爲サシメタイト
云フ改正デアリマス、此他ニ臺灣銀行ハ資金ノ運用ト致シマシテ、國債證劵、
地方公債證劵、或ハ勸業債劵、農工債劵、興業債劵、斯樣ナモノニノミ放資
スルコトニナッテ居リマスルガ、今日ハ其他ノ特設ノ會社等ノ發展モアリマ
スルニ依ッテ、尙ホ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル所ノ債券ニ放資ヲ致シタイト
思フノデアリマス、一例ヲ申シマスレバ東洋拓殖會社ノ債券ノ如キモノガ卽
チ是デアリマス、其他臺灣銀行ニ於キマシテハ、海外ノ事業ガ發展イタシマ
スニ付キマシテ、貨幣ノ交換ト云フコトガ必要デアリマスノデ、是ハ他ノ特
殊ノ銀行等ニモ大〓アルコトデアッテ、臺灣銀行ニ於テハ今日マデ法ガ缺如
イタシテ居リマス、斯樣ナ改正ヲ加ヘタイト云フノガ此精神デゴザイマス、
何卒御審議ノ上御協賛ヲ與ヘラレムコトヲ偏ニ希望イタシマス
〔男爵尾崎三良君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=15
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016・尾崎三良
○男爵尾崎三良君 此臺灣銀行法ノ改正ニ付テ質問ヲ致シタイノデゴザイマ
スガ、去リナガラ是モ矢張リ金融ノコトデアリマスルカラ自然一般ノコトニ
涉ルカモ知レマセヌ、私ハ此臺灣ノコトハ甚ダ事情ニ疎クテ十分ニ〓究モ致
シテ居リマセヌガ、此度ノ案ハ詰リ保證準備ヲ增スト云フノハ臺灣銀行デ
發行シテ居ル兌換劵ハ今日デハ足リナイニ依ッテ之ヲ增スコトヲ許スト云フ
法案ト考ヘマスガ、ソレニ付テ質問イタシタイノハ臺灣デ發行シテ居リマ
ス所ノ通貨ノ臺灣銀行ノ兌換劵ト云フモノハドレ程現今アルノデアリ
マセウカ、ソレカラ臺灣デハ此內地ノ如ク通貨ガ膨張シテ、內地ノ物價ノ如
ク一般ニ騰貴シテ居ルモノデアリマセウカ、其邊モ伺ヒタイ、ソレカラ臺灣デ
發行シタ兌換劵ノ爲ニ取付ケガ始ッテ、ソレヲ支那地方へ輸出スルト云フヤ
ウナコトハナイノデアリマセウカ、是モ一向事情ニ疎ウゴザイマスカラ、其
邊ノコトモ一ツ承ハリタイ、若シアリトスレバ、是ハ矢張リ禁止シテアルノ
デアリマセウカ、實際ノ有樣ヲ一ツ伺ヒタイ、ソレニ付テ尙ホ伺ヒタイノハ
先般モ質問シタ譯デアリマスガ、其節私ノ質問ノ箇條ニ對シテマダ其御答ノ
ナイ件モアッタト思ヒマス、ソレハ其節ノ御說明ニ此通貨ノ數ノ程度ト云フ
モノハ何モ尺度ガナイカラ、ドレダケガ適當デアルカト云フコトハ測ラレヌ
ガ詰リ今日ノ通貨ノ膨張シテ居ルノハ總テ事業ノ發達種々雜多ノコトノ必
要カラ起ッテ居ルノデ、强チ是ガ今日ノ適度ニ超過シテ居ルトハ言ヘナイ、斯
ウ云フ御說デアリマシタ、詰リ其膨張シ過ギテ居ルトカ、シ過ギテ居ナイト
カ云フコトハ唯ソレダケデ言ヘバ水掛論デ、膨張シテ居ル、イヤシテ居ナイ
ソレダケノ話デ、誰ガ判斷スルヤラ分ラナイ、本員等ハ之ヲ過多ニ、卽チ適
度ヨリ越シテ居ルト云フコトヲ證據立テルニハ一番此貨幣ガ出テ行カウトス
ルカ、セヌカト云フ話、現ニ日本ノ金貨ト云フモノハ日本ニアッテハ通貨ガ
膨張シ過ギテ多過ギルニ依ッテ、ソレダケノ價ヲシナイ、有タナイ、働ヲナ
サナイ、外國ヘ行ケバソレダケノ金額ナラ金貨ノ眞價ノアル働ヲスルカラ、
外國ヘ輸出シヤウトスルニ違ヒナイ、ソレデナケレバ誰モ危險ヲ冒シテ持出
スモノハナイ、之ヲ一衣帶水ノ上海へ持ッテ行ケバ非常ナ利益ガアル、チット
ヤソットノ利益デハナカラウト思フ、僅カ五分ヤ一割位ノ利益ナラバ斯ウ云
フ危險ヲ冐シテモ持出シヤシナイ、偶〓危險ヲ冐シテ差押ヘラレテモ、多ク
ノ場合ニ成功スレバ、ソレ位ノ損失ハ償ウテ餘リアルト云フ位ノ考ヲシテ居
ルニ違ヒナイ、是ガ卽チ兌換劵ヲ過多ニ暴發シテ居ル十分ノ證據デアラウト
思フ、內地ニ置ケバソレダケノ働ハナサナイ、一圓ノ金貨ガ假令兌換劵ダニ
依タ .ソレヲ日本銀行デ替ヘテ見タ所ガ、一圓ノモノガ內地デハ六七十錢
ヨリ通用シナイコトニナル、紙幣ト同ジデアル、ダカラ之ヲ外國ヘ持ッテ行ケ
バ利益ガアルニ依ッテ、持ッテ行カウトスル、ソレヲ法律ナリ何ナリデ持ッテ行
クノヲ抑ヘテ居ルカラ、此貨幣ト云フモノハ通貨ト同ジヤウニナッテ仕舞ッテ、
外ヘ持ッテ行ッテ使フコトガ出來ヌ以上ハ替ヘテモ仕方ガナイニ依ッテ、矢張
リ內ニ置イテ置ク、サウシテ內ニ置ケバ其働ヲナサナイ、卽チ今日ノ物價ノ
騰貴ト云フコトハ言ヒ換ヘレバ貨幣ノ下落デアル、斯ノ如ク貨幣ヲ下落サセ
テ置イテ、人爲ヲ以テ下落サセテ置イテ、物價ガ騰貴シテ困ル、之ヲドウカ
シナケレバナラヌト云ウテ、外ノ方ニ力ヲ御盡シニナルト云フノハ私ハ甚ダ
解シ得ナイ、ソレハ何モ其通貨ノ膨張ヲ防グノミガ物價騰貴ノ原因ヲ抑制ス
ル意味デモアリマスマイ、ソレハ過日モ種々樣〓ニ御竝ベニナッテ、物價騰
貴ト云フモノハ運搬ノ不便、ソレカラ外國輸入品ノ杜絕、外國へ輸出スル物品
ノ騰貴、又米ナドニ至ッテハ田舎ノ百姓ガマダ上ガルダラウト云ウテ貯ヘテ出
サナイ、種々樣〓ノ原因ヲ御擧ゲニナリマシタ、成程ソレモ一通リノ原因デ
アリマセウ、私ハ決シテソレハ原因デナイト言ハナイ、固ヨリ初メニ此物價
ノ騰貴ニハ種々樣〓ノ方面ガアル、輸入品ノ騰貴ハ卽チ輸入品ノ杜絕ノ原因
ニ依ヲテ是ガ騰貴シタ、又外國貿易品ノ騰貴シタノハ外國ニ於テ其品物ガ高
ク賣レルニ依ッテ内地デモ據ロナク高ク賣ル、是ハ外國關係カラ起ッテ來ル、
去リナガラ此外ニ通貨膨張ト云フコトガ總體ニカブサッテ騰貴ノ原因ヲナシ
テ居ル、卽チ通貨ト唯ノ物品トノ甲乙ガ轉倒シテ來テ居ル、通貨ガ下落シテ
居ル、此間ノ御說デハ別ニ其発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=16
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017・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 尾崎男爵ニ御注意イタシマス、成ルベク本案ニ對
スル御質疑ハ範圍外ニ涉ラヌヤウニ御注意イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=17
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018・尾崎三良
○男爵尾崎三良君 宜シウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=18
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019・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 又御意見デナイヤウニナラムコトヲ希望イタシマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=19
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020・尾崎三良
○男爵尾崎三良君 ソレデ此臺灣ノ發行紙幣ヲ一千萬圓ダケ增加スルコトヲ
許スト云フノモ大キニ其關係ガアラウト思ヒマス、ソレ故ニ今日ノ內地ノ通
貨ノ膨張ト云フコトニ付テ、本員ハ此外國へ金貨ガ警察ノ眼ヲ忍ンデ、刑律
ヲ犯シテモ持ッテ行カウト云フノハ、外國デハソレダケ此日本ノ貨幣ガ、金
貨ガ外國デ高ク通用スル、故ニサウナルノデアリマス、決シテ外國へ持ッテ
行ッテモ、格別ソレダケノ價ガ無イト云フコトナラ、誰モ其危險ヲ冒シテ持ッ
テ行ク者ハナイ、是等ノ點ハ如何ニ御考ヘデアリマセウカ、外國ヘ持ッテ行
クノハ唯偶然持ッテ行ク御考ヘデアリマセウカ、內地デハドウシテモソレダケ
ノ眞價ガ無イニ依ッテ外國ニ持ッテ行ッテ、其眞價ヲ得ヤウトシテ持ッテ行ク、
ダカラ之ヲ勝手ニ持ッテ行クコトヲ許シテ居ッタ、是ガ此兌換劵ノ制度デアル、
卽チソコニ妙用ガアルノデ、段々ト取付ケラレルカラ、自然兌換劵ノ發行ヲ
シナイコトニナル、今日ノヤウニ押ヘテ居ラヌデ、ドコマデモ際限ナク出テ
行クト云フ有樣デアリマスガ、其金貨ヲ警察ノ眼ヲ偸ンデモ持ッテ行ク、危
險ヲ冒シテモ持ッテ行クト云フコトハ、ドウ云フ理由カラ起ッタノデアリマセ
ウカ、是デモ別ニ内地ニハ通貨ハ膨張シテ居ラヌ、ソレ程膨張シテ居ラヌト
云フ御考デアリマセウカ、其邊ヲ伺ヒタイノデゴザイマス
〔國務大臣勝田主計君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=20
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021・勝田主計
○國務大臣(勝田主計君) 唯今ノ尾崎男爵ノ御尋ニ御答シマス、第一ニ臺灣
銀行ノ最近ノ兌換劵ノ發行高ハ三千二百萬圓デゴザイマス、第二ニ臺灣ニ於
キマシテ物價騰貴ノ趨勢ハ內地トドウ云フモノデアルカト云フ御尋ネデゴザ
イマシタ、大體ニ於キマシテ此時局ニ於キマスル物價騰貴ノ趨勢ハ内地植民
地ヲ通ジテ其情勢ヲ維持シテ居ルノデゴザイマス、卽チ臺灣ニ於キマシテモ
矢張リ相當ニ物價騰貴ヲ致シテ居リマスガ、唯多少斯ウ云フ區別ガアルヤウ
デアリマス、內地ノ物價騰貴ノ趨勢ハ臺灣或ハ其他ノ植民地ニ於テハ其及フ
時期ガ稍〓遲レテ及ビツヽアルト云フ狀況デアリマス、併ナガラ物價騰貴ノ趨
勢ハ矢張リ依然トシテ居ルノデゴザイマス、ソレカラ第三ノ御尋ネノ臺灣銀
行ニ於キマシテ兌換劵ヲ發行イタシテ居ル、之ニ付テ何カ取付ケ等ノコトガ
起リハシナイカ、卽チ兌換劵ヲ以テ正貨ヲ持ッテ行クト云フ事柄ガアリハシナ
イカト云フ御尋ネデゴザイマスガ、是ハ今日マデノ所左樣ナコトハ未ダゴザ
イマセヌデス、第四ノ御尋ネハ是ハ特ニ臺灣銀行ニ關係シタ事柄デハナイノ
デアッテ、卽チ前囘ニ物價調節ニ付テ尾崎男爵ヨリ御尋ネニナッタ事柄ヲ又敷
衍セラレタコトト承知イタシマスガ、イロ〓〓御質問ニナッテ居リマス所ヲ
拜聽イタシテ見マスト、兌換劵ハ非常ニ膨張シテ、正貨ガ出ベキ時ニナッテ
居ルノヲ、人爲ヲ以テ之ヲ出サヌヤウニシテ居ルカラシテ、ソレデ今兌換劵
ノ價値ガ少イト云フヤウナコトガ餘リニ目立タヌノデアルガ、假ニ之ヲ正貨
ヲ外ヘ出サヌト云フコトノ制限ヲ取ッテシマッタナラバ所謂兌換ガ起ッテ正貨
ガ外國ニ出ルト云フヤウナコトニナッテ、初メテ今日ノ通貨ガ非常ニ多イト
云フコトガ證明サレルデアラウト云フヤウナ大體ノ御話デアッタヤウニ思フ
ノデアリマス、前囘ニモ申上ゲタ如クニ、政府ニ於キマシテハ今日ノ通貨ガ
決シテ少イトハ申シテ居リマセヌ、又通貨ガ殖エテ居ルト云フコトガ物價騰
貴ノ原因デナイトモ申シテ居リマセヌ、是ハ矢張リ物價騰貴ノ原因ヲ構成ス
ルモノデアラウト考ヘテ居リマスガ、併ナガラ物價騰貴ノ大ナル原因ヲ茲ニ
構成シテ居ルト云フコトニハ政府ハ考ヘテ居ラヌト云フコトヲ申シタノデア
リマス、而シテ今日正貨ヲ外國ニ出スト云フコトヲ政府ガ命令ヲ以テ禁ジテ
居リマス次第ハ、御承知ノ如ク世界ノ趨勢ガ左樣ニナッテ居ルノデアリマス、
卽チ今日ノ大戰ニ鑑ミマシテ、何ガ最モ此財政經濟ノ基礎ヲ鞏固ニスルカト
申シマスレバ、卽チ正貨ノ有リ高ト云フモノガ非常ニ必要ニナッテ來ルノデ
アリマシテ、此事ヲ玆ニ詳說スル必要ハナカラウト思ヒマス、亞米利加デハ
既ニ命令ヲ以テ金ノ輸出ヲ禁止シ、又英國ノ如キハ左樣ナ明ナル禁止令ハナ
イヤウデアリマスガ、事實ニ於テ此金ノ出ルト云フコトハ嚴ニ之ヲ差止メテ
居ルト云フヤウナ傾ガアルノデアリマス、斯樣ナ狀況ニ於テ世界ニ於テ此大
戰ヲヤッテ居リマス以上ハ、我國ノ如キモ正貨準備ト云フモノヲ成ルベク取ツ
テ置クト云フコトノ必要ガ根本ノ政策上カラアルノデアリマシテ、ソレガ爲
ニ政府ト致シマシテハ命令ヲ以テ此正貨ノ外ニ出ルト云フコトヲ禁止ヲ致シ
テ居ル、斯樣ナコトデアリマス、是ハ平時ノ場合トハ違フノデアリマシテ、
卽チ世界ガ擧ッテ今日戰爭ヲ致シテ居リマス斯樣ナ場合ニ、此正貨ヲ保持ス
ルト云フコトガ最モ財政經濟上ノ基礎ヲ固ウスル所以ノモノデアルト云フ、
斯樣ナ見地カラ致シテ、政府ハ斯ノ如キ所ノ政策ヲ執ッテ居ル次第デアリマ
ス、ソレデ若シ假ニ今日此制限ヲ取ルト致シマスレバ、取ルト致シマシテ、
正貨ガ外ニ出ルト云フヤウナコトガアリマシタナラバ、私共ノ考ヘテ居リマ
ス所デハ、其正貨ノ出ルト云フノハ寧ロ帝國ノ財政上ノ基礎ガ危險デアル、
卽チ兌換ノ基礎ノ危險デアルト云フ意味ヲ以テスルノデナクシテ、今日世界
ガ何トシテモ金ト云フモノヲ保維イタシタイト云フ、斯樣ナ大勢カラ出ルノ
デアッテ平時ニ於ケル結果ト、今日若シ之ヲ撤廢イタシタ場合ニ於ケル結果
トハ自ラ其趣ヲ異ニスルダラウト考ヘテ居ルノデアリマス、左樣ナ次第デア
リマシテ、唯今尾崎男爵ノ御心配ニ付キマシテハ、政府ト致シマシテモ心配
イタシテ居リマスガ、併シ前囘ニ申上ゲタ通リニ餘リニ通貨ノ收縮ト云フコ
トヲ人爲的ニ致スト云フコトハ、折角發展セムトシツヽアル所ノ我國ノ產業
其他ニ妨害ヲ來タスト云フヤウナコトニナッテハ、是亦國力ノ上ニ於テ大ニ
考ヘネバナラヌコトデアリマスカラ、今日ノ如キ所ノ政策ヲ執ッテ居ル、是
ハ前囘ニモ詳シク申上ゲマシタカラ、重ネテ此ニ申上ゲル必要ハナカラウト
思ヒマスガ、大體右ノ趣意ヲ以チマシテ、尾崎男爵ノ御質問ニ御答イタシタ
ト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=21
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022・尾崎三良
○男爵尾崎三良君 今大藏大臣ノ御答ニ依ッテ政府ノ御趣意ノアル所ハ略〓分
リマシタガ、ソレニシマシテモ、本日ノ金貨ヲ外國へ持ッテ行ケバ餘程値賣
リガ出來ルト云フコトハ、卽チ日本ニハ通貨ガ多過ギルト云フコトハ、モウ
御認メニナッテ居ルト考ヘマス、スレバ何トカ是ハ元ノ適度ノ所ヘ御戾シニ
ナルコトガ必要デアラウト思ヒマス、併シ其上ハ議論ニナリマスカラ、此位
ノコトニ致シテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=22
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023・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 特別委員ノ氏名ヲ書記官ヲシテ朗讀イタサセマス
〔岡書記官朗讀〕
臺灣銀行法中改正法律案特別委員
伯爵正親町實正君伯爵奧平昌恭君男爵島津長丸君
鈴木摠兵衞君荒井泰治君由雄元太郞君
網藏平輔君福島文右衞門君高崎三重郞君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=23
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024・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第四、罹災救助基金法中改正法律案、政府提
四、衆議院送付、第一讀會ノ續、委員長報〓
〔左ノ報〓書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス以下之ニ做フ〕
罹災救助基金法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
大正七年三月十五日
右特別委員副委員長
阪本彭之助
貴族院議長公爵德川家達殿
〔阪本彰之助君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=24
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025・阪本さん之助
○阪本釤之助君 罹災救助基金法中改正法律案ノ特別委員長阪谷男爵ハ事故
ガアリマシテ、委員會ニ缺席ニナリマシテ、今日モマダ登院ガゴザイマセヌ
ヤウデアリマスルカラ、副委員長タル本員ヨリ委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報
告イタシマス、特別委員會ハ二囘開キマシテゴザイマス、一囘ハ正副委員長
ノ選擧ニ止メマシテ、次ノ日ニ於テ質問ヲ始メマシテゴザイマス、而シテ政
府委員ヨリ先ヅ本案大體ノ說明ガアリマシタ、其要點ヲ搔摘ンデ申シテ見マ
スルト、罹災救助基金ノ積立額ガ今日テハ既ニ各府縣ヲ通ジテ五千餘萬圓ニ
達シテ居ルノデアルカラ、最早此上ニ年々一定ノ地方費ヲ支出シ積立テル必
要ハナイト考ヘル、從ッテ此支出ヲ止メマスレバ地方費ノ負擔輕減ト云フコ
トニモナルノデアル、又救助金ヲ支出イタシマスル所ノ此費目ガ、是迄ハ六
種目デアリマシタノヲ、更ニ學用品費、運搬用具費、人夫費ト云フ三種目ヲ
加フルノ必要ヲ認メタノデ、之ヲ增補スルノデアル、又基金ヲ運用イタシマ
スル範圍ガ、是迄ハ府縣ノ災害土木費等ニ限ラレテ居ッタノデアリマスルガ、
此改正案ニ依リマスルト、市町村等ノ公共團體ニモ利附貸付ガ出來ルコトニ
ナルノデアリマス、又有價證劵ヲ買入レルト云フコトダケガ、唯今ノ法文デ
許シテ居ッタノデアリマスルガ、募集ニ應ズルト云フコトモナシ得ルヤウニ
スルト申スコトデアリマス、而シテ委員中ヨリ四五ノ質問ガ出マシテゴザイ
マスルガ、政府委員カラ一々答辯ガアリマシタ、併シ〓ネ改正條文ノ意味ト
カ、若クハ實際ノ取扱振等ニ關シマスル事柄ノミデアリマシタカラ、特ニ玆
ニ申述ブルコトヲ省略シテ置キマス、唯或ル一員カラ罹災救助ノ實際ノ施行
ガ緩慢不徹底ノヤウニ思ハレルト云フコトニ付キマシテ、昨年ノ東京府下ノ
水害等ノ實況ナドヲ引證セラレマシテ、注意的ノ質問ガ出マシタノデアリマ
ス、乃チ政府委員モ其意ヲ諒トセラレマシテ、將來一層注意スルト云フ答辯
ガアッタノデアリマス、デ質問ヲ終リマシテ、直チニ討論ニ入リマシタガ、別
段發言モゴザイマセヌ、故ニ全會一致ヲ以テ全部原案ヲ可決スルコトニナリ
マシタノデアリマス、是デ御報告ヲ終リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=25
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026・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 本案ノ第二讀會ヲ開クニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=26
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027・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=27
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028・阪本さん之助
○阪本釤之助君 直チニ第二讀會ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=28
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029・中川興長
○男爵中川興長君 贊成
〔其他「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=29
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030・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 第二讀會ヲ直チニ開イテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=30
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031・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=31
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032・徳川家達
○議長(公爵德川家逹君) 直ナニ第二讀會ヲ開キマス、全部ヲ問題ニ供シマ
ス原案ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=32
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033・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=33
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034・阪本さん之助
○阪本彰之助君 直チニ第三讀會ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=34
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035・中川興長
○男爵中川興長君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=35
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036・青木信光
○子爵靑木信光君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=36
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037・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 直チニ第三讀會ヲ開イテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=37
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038・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=38
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039・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 直チニ第三讀會ヲ開キマス·········第二讀會ノ決議通
リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=39
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040・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=40
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041・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第五、朝鮮ノ生產ニ係ル物品ノ移入稅免除ニ
關スル法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ續、委員長報〓
朝鮮ノ生產ニ係ル物品ノ移入稅免除ニ關スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
大正七年三月十六日
右特別委員長
石塚英藏
貴族院議長公爵德川家達殿
〔石塚英藏君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=41
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042・石塚英藏
○石塚英藏君 朝鮮ノ生產ニ係ル物品ノ移入稅免除ニ關スル法律案ノ特別委
員會ノ報〓ヲ致シマス、特別委員會ハ一昨十六日ニ一囘開キマシテ、先以テ
正副委員長ノ互選ヲ行ヒマシテ、引續イテ會議ニ這入リマシタ、各委員ト出
席ノ政府委員トノ間ニ質問應答ヲ重ネマシタル末ニ、全會一致ヲ以テ原案、
卽チ衆議院送付案ヲ可決イタシマシテゴザイマス、玆ニ本案制定ノ趣旨ノ大
要ト竝ニ委員會ニ於テ之ヲ可決イタス迄ノ經過ノ大要ヲ申上ゲマス、本案
制定ノ趣旨ハ政府ノ說明ニ依リマスレバ、曩ニ朝鮮ノ併合ニ際シマシテ政府
ハ朝鮮ノ關稅ハ十箇年間其儘据置クト云フコトノ意味ノ宣言ヲ各國ニ向ッテ
發セラレタル趣デアリマシテ、斯樣ナル次第ニ依リマシテ政府ハ朝鮮ヨリ內
地ニ移入スル所ノ物品ニ付キマシテハ、外國ヨリ輸入シマス所ノ品物ト同ジ
ヤウニ移入稅ヲ課シ來ッテ居ルノデアリマス、然ルニ此朝鮮ノ產業開發ノ上
カラ見マシテモ、又內地ニ於ケル所ノ需要ヲ充タス點ヨリ見マシテモ
〔副議長候爵黑田長成君議長席ニ著ク〕
或ル特殊ノ品物ハ特ニ移入稅ヲ免ジテ內地移入ヲ圓滑ナラシムルノ必要ナル
モノガアルノデアリマス、既ニ大正二年ト大正五年ノ兩度ニ亙リマシテ、此
趣旨ヲ以テ移入稅ガ免除セラレタ場合ガアルノデアリマス、其一ハ卽チ朝鮮
ニ產出スル所ノ米及籾デアリマシテ、其二ハ同ジク朝鮮デ生產スル所ノ金屬
ノ塊及錠ト云フヤウナモノデアリマス、今囘ハ又同一ノ趣旨ヲ以チマシテ、
此本案中ニ列記シテアル所ノ一乃至七ノ物品ニ對シテ其移入稅ヲ免除シヤウ
ト、斯ウ云フノガ卽チ本案制定ヲ要スル所ノ趣旨デアルノデアリマス、此列
記ノ各品目ニ付キマシテハ政府委員ヨリ一々其免稅ノ必要ナル理由ノ說明ガ
アリマシタノデアリマスガ、是ハ煩雜ニモ亙リマスルカラ速記錄ニ讓リマシ
テ、此所ニハ省略イタシタイト思ヒマス、要スルニ何レモ此朝鮮ノ產業ノ開
發ノ上ヨリ申シマシテモ、免稅ガ必要デアル、又內地側ノ方カラ見マスト此
需要ヲ充タスト云フ點ヨリシテ、移入ヲ容易ナラシムル必要ガアル、其趣意
ヨリシテ免稅ガ必要ニナッテ來ルト、斯ウ云フ次第デアルノデアリマス、而
シテ此免稅ガ内地ノ產業ニ如何ナル影響ヲ及ボスカト云フ點ニ付キマシテ
ハ審議ノ末委員會ハ以上ノ物品ハ免稅ニナッテ内地ニ這入リマシテモ、內
地ノ產業ニハ別段ノ影響ノナイモノデアルト云フコトヲ認メマシタ、但シ其
第二ハ「ゴールデンメロン」種ノ大麥デアリマスガ、之ニ付キマシテハ御承知
ノ如ク衆議院ニ於テ削除イタシマシタ、政府ハ之ニ同意ヲ表シテ居ルノデア
リマス、衆議院ノ此削除ノ理由トスル所ハ、內地ニ於キマシテ此二二一十年來
麥酒ノ原料トシテ此「ゴールデンメロン」種ノ大麥ト云フモノヲ最モ熱心ニ栽
培シ來ッテ居ル、次第ニ其產額ハ增シマシタガ、尙ホ今日ニ於テ需用ノ全部
ヲ充タスニ足リナイ狀況デアル、然ルニ一方朝鮮ニ於キマシテハ耕地ノ狀態
ナリ、又農業ノ組織等ニ於キマシテ、此種ノ大麥ヲ栽培スルニ付テ内地ヨリ
ハ比較的有利ノ立場ニアル、其有利ノ立場ニアル朝鮮ノ農家ガ生產シタ所ノ
原料ヲ無稅デ內地ニ移入スルト云フコトニナルト、折角內地ニ於テ是マデ奬
勵シ來ッタ所ノ此業ニ打擊ヲ與ヘルト云フコトニナルデアラウト云フ心配カ
ラ、本案ヨリ此大麥ダケハ削除スルガ宜シイト云フ意見デアルノデアリマス、
委員會ニ於キマシテハ大體ニ於テ衆議院ノ修正ハ理由アルモノト認メマシタ
譯デアリマス、尙ホ此場合御報告ヲ致シテ置キタイノハ、朝鮮ハ帝國ノ領土
デアリマシテ、而カモ內地ニ最モ近距離ノ位置ニアルノデアリマスガ、而カ
モ今日彼我ノ間ニ此關稅ノ障壁ガアルト云フコトハ實際ニ於テモ甚ダ不便デ
アルノデアリマス、又主義ノ上ニ於キマシテモ穩デアルマイト考ヘラレルノ
デアリマスガ、此點ニ付キマシテ政府委員ノ說明ニ依リマスレバ、此併合ノ
際ニ於ケル宣言ノ期間、卽チ十箇年ヲ經過シタ後、卽チ來ル大正九年マデハ
今日ヨリ約二箇年半バカリアリマスガ、其間ハ致シ方ガナイガ、其期間ガ滿
了シタナラバ、朝鮮ニモ內地同樣關稅制度ヲ設ケテ、此內地朝鮮間ノ移入稅
ト云フモノハ必ズ撤廢スル方針デアル、但シ其際全然之ヲ撤廢スルカ、或ハ
或ル特種ノ物品ニ對シテ特種ノ制度ヲ設ケルカト云フコトニ付テハ、今正ニ
考慮中デアル、斯ウ云フコトデアリマシタ、委員會ハ此移入稅撤廢ノ際ニ當
リマシテ、除外例トシテ或ル特種ノ物品ニ對シテ特種ノ取扱ヲ爲スコトハ、
是ハ朝鮮內地ノ產業ノ調和ノ上カラ申シマシテモ蓋シ已ムヲ得ナイコトデア
ラウト云フコトヲ認メマシタ譯デアリマス、是デ大要報告ヲ終リマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=42
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043・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 本案ノ第二讀會ヲ開イテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=43
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044・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=44
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045・牧野忠篤
○子爵牧野忠篤君 直チニ第二讀會ヲ開カレムコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=45
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046・中川興長
○男爵中川興長君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=46
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047・野村益三
○子爵野村益三君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=47
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048・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 本案ノ第二讀會ヲ直チニ開イテ御異存ゴザイマ
セヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=48
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049・黒田長成
○副議長(候爵黑田長成君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=49
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050・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 直チニ第二讀會ヲ開キ、全部ヲ問題ニ供シマス
全部特別委員長ノ報告通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=50
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051・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=51
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052・牧野忠篤
○子爵牧野忠篤君 直チニ第三讀會ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=52
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053・中川興長
○男爵中川興長君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=53
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054・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 直チニ第三讀會ヲ開イテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=54
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055・黒田長成
○副議長(候爵黑田長成君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=55
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056・黒田長成
○副議長(候爵黑田長成君) 直チニ第三讀會ヲ開キマス········第二讀會決議通
リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=56
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057・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=57
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058・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 日程ノ第六ヨリ第九ハ束ネテ第一讀會ヲ開イテ
御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=58
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059・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 御異議ナイト認メマス、第六、特許法中改正法
律案、衆議院提出、第七、商標法中改正法律案、衆議院提出、第八、意匠法
中改正法律案、衆議院提出、第九、實用新案法中改正法律案、衆議院提出、
第一讀會
特許法中改正法律案
右本院提出案及送付候也
大正七年三月十四日
衆議院議長大岡育造
貴族院議長公爵德川家達殿
特許法中改正法律案
特許法中左ノ通改正ス
第五條第二號中「若ハ實用新案登錄出願中」、「若ハ實用新案權ノ」ヲ削ル
第七條中「時」ヲ「日」ニ改メ左ノ一項ヲ加フ
發明カ意匠又ハ實用新案トシテ登錄ヲ出願シタルモノニ係ルトキハ最初
ノ査定以前ニ限リ特許出願ニ變更スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ最初出
願ノ日ニ於テ出願ヲ爲シタルモノト看做ス
第二十九條第二號中「特許出願」ノ下ニ「又ハ再審判請求」ヲ加フ
第三十條第一項但書中「特許權カ分割セラレ又ハ」ヲ削リ第一項ノ次ニ左ノ
一項ヲ加フ
無效ト爲リタル特許權カ再審判ニ依リ囘復シタルトキハ其ノ無效ト爲リ
タル日ヨリ特許權囘復登錄ノ日ニ至ル迄ノ期間ハ特許權ノ存續期間ニ算
入セス
同條第二項中「前項」ヲ「前二項」ニ改ム
第三十一條中「冒認シタル」ヲ削ル
第四十條第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
特許權者ハ其ノ特許發明ト同一發明ノ實施者アルコトヲ知リタル時ヨリ
二年以內ニ權利ヲ主張セサルトキハ其ノ實施ヲ許諾シタルモノト看做ス
同條第二項中「前項」ヲ「前二項」ニ改ム
第四十二條削除
第四十三條中「改訂シ又ハ」ヲ削ル
第四十八條中「又ハ許可」ヲ削ル
第四十九條第一項中「又ハ特許權ノ改訂若ハ分割ノ許可」ヲ削ル
同條第一項第三號ヲ削リ第四號ヲ第三號ニ改ム
同條第二項中「又ハ許可」ヲ削ル
第五十四條中「特許權ノ改訂又ハ分割ヲ許可スヘシトノ査定若ハ審決確定
シ又ハ判決アリタルトキ亦同シ」ヲ削リ左ノ一項ヲ加フ
無效ト爲リタル特許權カ囘復スル旨ノ審決確定シ又ハ判決アリタルトキ
ハ特許原簿ニ登錄シ特許證ヲ下付ス
第五十六條第二項中「第一一十九條第一號若ハ第二號」ヲ「第二十九條第一號、
第二號若ハ第四十條第二項」ニ改ム
第六十二條第一項中「又ハ特許權ノ改訂又ハ分割許可ノ出願」、第二項中「又
ハ許可スヘキヤ否」ヲ削ル
第六十三條但書中「又ハ許可」ヲ削ル
第六十四條第五項中「又ハ許可」ヲ削ル
第六十九條第一項第一號中「又ハ許可」ヲ削リ第二項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ」
特許發明カ特許公報ニ揭載セラレタル日ヨリ五年ヲ經過シタルトキハ之
ニ對シテ無效審判ヲ請求スルコトヲ得ス但シ第六條又ハ第四十九條第一
項第二號、第三號ニ該當スルトキハ此ノ限ニ在ラス
第七十一條第二項ヲ左ノ如ク改ム
審判ニ關シ當事者ノ差出シタル書類ハ其ノ副本ヲ相手方ニ送達シ同時ニ
期間ヲ指定シテ意見書ヲ差出サシムヘシ此ノ期間ハ他ノ一方ノ當事者ニ
通知スヘシ但シ事件カ審決ヲ爲スニ熟スト認メタルトキハ此ノ限ニ在ラ
ス
同條第二項ノ次ニ左ノ一一項ヲ加フ
審判ニ關シテハ當事者ニ訊問書ヲ發シ期間ヲ指定シテ之ニ對スル意見書
ヲ差出サシムルコトヲ得
前三項ノ期間內ニ答辯書又ハ意見書ヲ差出ササルトキハ職權ヲ以テ審決
ノ期日ヲ定メ之ヲ當事者ニ通知スヘシ第二項但書ノ場合亦同シ
第八十五條第一項中「抗告審判」ノ下ニ「若ハ再審判」ヲ加へ但書ヲ左ノ如ク
改ム
但シ再審査ノ査定ニ對スル審決ニ付出訴スル場合ニ於テハ特許局長ヲ相
手方トス
第八十七條審決ノ憑據ト爲リタル證書カ僞造又ハ變造ナリシトキ證人若
ハ鑑定人カ審決ノ憑據ト爲リタル供述又ハ鑑定ニ關シ僞證ノ罪ヲ犯シ其
ノ判決確定シタルトキハ其ノ確定ノ日ヨリ一年以內ニ再審判ヲ請求スル
コトヲ得
再審判ハ抗告審判ノ手續ニ依ル
附則
本法ハ大正八年一月一日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行ノ際現ニ繫屬スル審判事件ニ付テハ第六十九條第三項ヲ適用セス」
本法施行前ノ特許權ニ付テハ仍舊法第五條第二號ヲ適用ス
舊法ニ依リ特許權分割ノ許可ヲ受ケタル各部分カ特許出願ノ當時獨立シテ
新規ノ發明ヲ爲ササルトキ又ハ特許權ノ改訂若ハ分割カ舊法第四十二條第
三項ノ規定ニ違反シタルトキハ審判ニ依リ其ノ許可ヲ無效ト爲スヘシ
審査官又ハ利害關係人ハ前項ノ許可ノ無效ニ付審判ヲ請求スルコトヲ得但
シ特許權カ改訂セラレ若ハ分割セラレタル日ヨリ五年ヲ經過シタルトキハ
此ノ限ニ在ラス
商標法中改正法律案
右本院提出案及送付候也
大正七年三月十四日
衆議院議長大岡育造
貴族院議長公爵德川家達殿
商標法中改正法律案
商標法中左ノ通改正ス
第四條ノ二意匠ノ登錄ノ出願ヲ爲シ登錄スヘカラストノ査定ヲ受ケタル
者其ノ最初ノ査定ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ三十日以内ニ其ノ意匠ニ係ル
商標ニ付登錄ヲ出願シタルトキハ意匠ノ登錄ヲ出願シタル日ニ於テ出願
シタルモノト看做ス
第五條第二項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
同一又ハ類似ノ商標ニ關シテハ商標權ハ其ノ出願前ノ出願ニ係ル意匠權
ニ依リ制限ヲ受クルモノトス
第二十一條中「第二十五條、」ノ下ニ「第二十九條第二號、」、「第五十三條ノ下
ニ「第五十四條第二項」ヲ加フ
附則
本法ハ大正八年一月一日ヨリ之ヲ施行ス
意匠法中改正法律案
右本院提出案及送付候也
大正七年三月十四日
衆議院議長大岡育造
貴族院議長公爵德川家達殿
意匠法中改正法律案
意匠法中左ノ通改正ス
第七條中「實用新案」ノ下ニ「又ハ商標」ヲ加フ
第八條第四項中「實用新案權」ノ下ニ「又ハ商標權」ヲ加フ
第十三條ノ二特許局ハ意匠公報ヲ發行シ登錄意匠及之ニ關スル必要ナル
事項ヲ記載スヘシ但シ祕密ヲ要スル意匠ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第二十條第三項ヲ左ノ如ク改ム
登錄意匠カ意匠公報ニ揭載セラレタル日ヨリ二年ヲ經過シタルトキハ之
ニ對シテ無效審判ヲ請求スルコトヲ得ス但シ第四條又ハ第十二條ノ後段
ニ該當スルトキハ此ノ限ニ在ラス
第二十一條中「審判ノ審決」ノ下ニ「又ハ再審査ノ査定」、「審決」ノ下ニ「又ハ
査定」ヲ加フ
第二十二條中「第五十三條、」ノ下ニ「第五十四條第二項、」ヲ加フ
附則
本法ハ大正八年一月一日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行ノ際現ニ繫、屬スル審判事件ニ付テハ第二十條第三項ヲ適用セス
實用新案法中改正法律案
右本院提出案及送付候也
大正七年三月十四日
衆議院議長大岡育造
貴族院議長公爵德川家達殿
實用新案法中改正法律案
實用新案法中左ノ通改正ス
第十八條第三項ヲ左ノ如ク改ム
登錄實用新案カ實用新案公報ニ揭載セラレタル日ヨリ二年ヲ經過シタル
トキハ之ニ對シテ無效審判ヲ請求スルコトヲ得ス但シ第四條又ハ第十一
條ノ後段ニ該當スルトキハ此ノ限ニ在ラス
第十九條中「審判ノ審決」ノ下ニ「又ハ再審査ノ査定」、「審決」ノ下ニ「又ハ査
定」ヲ加フ
第二十條中「第五十三條、」ノ下ニ「第五十四條第二項、」ヲ加フ
附則
本法ハ大正八年一月一日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行ノ際現ニ繫屬スル審判事件ニ付テハ第十八條第三項ヲ適用セス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=59
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060・山脇玄
○山脇玄君 私ハ此案ノ政府委員ニ質問ヲ致シタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=60
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061・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 宜シウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=61
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062・山脇玄
○山脇玄君 此特許法ハ確カ四十一年カ二年ノ改正ニ係ルモノデアリマシ
テ、其當時議會ニ於テ隨分議論ノアッタ法律案デアリマス、デ其際ニ當局ガ先
ヅ一旦提出案通リニ制定ヲシテ置イテ、他日更ニ改正ヲ致ス考デアルト云フ
說明デ通過イタシタヤウニ考ヘテ居リマス、ソレヨリ殆ド十年ホド時日ヲ經
過イタシマシテ、未ダ當局ヨリ改正案ガ提出ニナッテ居ラヌノデアリマス、
デ今囘提出ニナッタノハ衆議院ノ案デアリマス、デ此中ヲ精讀イタシテ見マス
ルト云フト、重モナル改正ノ箇條ハ七八箇條アルヤウデアリマス、デ細カイ
コトハ申シマセヌガ、此重モナル七箇條ノ改正案ニ付キマシテ當局ハ如何ナ
御考ヲ有ッテ居ラレルノデアリマセウカ、全部不同意ナ點ハナイノデアリマ
スルカ、若シモ其中不同意ノ點アリト致シマスルナラバ、其不同意ノ點ヲ御
示シヲ願ヒタイ、ソレガ一ツ、今一ツハ大分多數ノ改正デアリマスルガ、若
シ斯ク改正ヲ致シマスルナラバ、尙ホ他ニモ改正スル點ガアルト云フ御見込
デアリマスルナラバ、其改正ノ點ヲ御示シヲ願ヒタイ、ソレガ第二、第三デ
斯樣ニ全體ニ亙ッテ改正ヲスルナラバ、政府ノ方デ尙ホ審査ヲ致シテ、十分ニ
改善改正ヲ致シタイト云フ御考ハナイノデアリマスルカ、其三點ヲ伺ヒ
タイノデアリマス
〔政府委員村上隆吉君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=62
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063・村上隆吉
○政府委員(村上隆吉君) 唯今ノ山脇君ノ御尋ネニ御答ヘ申上ゲマス、此特
許法外三法ハ明治四十二年ニ改定ニナリマシテ、其當時ノ事情ニ付テノ御話
モゴザイマシタガ、其後政府ニ於キマシテモ色〓缺點ノアルコトヲ感ジマシ
テ、其改正ニ付キマシテ目下攷究中デゴザイマス、此議會ニ提出ノ運ビニナ
リマセナカッタコトハ、實ハ此特許發明ノコトハ此度ノ時局ニ付テモ色〓關係
ガゴザイマスルノデ、尙ホ一昨年巴里經濟會議ノ時ニモ、甲案ト申シテ、戰
時臨機ノ處分ノ方ハ昨年六月特別議會ノ節ニ、工業所有權ノ戰時法トシテ御
協賛ヲ得マシテ、公布ノ上施行ニナッテ居リマスガ、其他ニ乙案ト申シマスル
分ガゴザイマシテ、是ハ戰時、戰後ニ亙ッテ聯合與國ノ間ノ特許法其他ノ三
法ノ關係ニ付テモ、篤ト攷究シヤウト云フヤウナ申合セモアリマシテ、其題
目モ色〓練ッテ居ル譯デゴザイマスカラ、ソレ等ノ關係モ考慮イタシテ、〓
究イタシテ居ルヤウナ次第デゴザイマス、併シ此時局ガドウ云フ風ニナリマ
スカ、又經濟會議ノ所謂乙案ノ結果ガドウナリマスカ、ソレヲ俟ッテ始メテ
改正スルト云フ趣旨デハゴザイマセヌノデ、頻リト〓究中デゴザイマス、第
一ノ御尋ネノ衆議院提出ノ議案ニ付テ全部不同意ノ點ガアルカナイカ、其中
ニ不同意ノ點ガアルトスレバ、ドウ云フ問題デアルカト云フ御尋ネニ付キマ
シテハ、此改正案ハ先刻御話ノ通リ、箇條ハ割合ニ澤山アリマスルガ、要點
ハ七八箇條ニナリマス、其七八箇條ノ中趣旨ニ於テ同意イタシテモ宜シイカ
ト思フ點モゴザイマスケレドモ、併シ尙ホ餘程攻究ヲシマセヌケレバ同意ノ
出來ナイ、或ハ到底同意ガ出來ナイカト思ハレルヤウナ點モゴザイマス其
重モナル點ヲ申上ゲマスト、第一、特許ノ審査ニ於テ出願ガアリマスルト
審査ヲ致シ、ソレニ不服デアリマスルト、再審査ヲ致ス、更ニ不服デアリマ
スルト、抗告審判ト云フモノヲ致シマス、三段ノ審査ノ手順ニナッテ居リマ
スガ、衆議院提出案ニ依リマスルト更ニ之ヲモウ一度大審院迄持ッテ行ク、
卽チ四級審ノ制度ヲ執ラウト云フヤウナ點ナドガ其一番重モナル問題デアル
ヤウニ考ヘラレテ居リマス、尙ホ是等ニ付キマシテ衆議院提出ノ提案者ノ說
明モ色〓斟酌イタシマシテ、十分考慮イタス積リデ居リマスガ、俄ニ同意ト
云フコトハ出來マセヌノデ、其第二ノ點ノ御尋ネト致シマシテハ、他ニモ改
正スル點ガアレバソレヲ示セト云フ御尋ネノヤウニ承ハリマシタガ、是ハナ
カ〓〓澤山アリマスルノデ、殊ニ國際關係ノ上カラ見マシテモ化學工業ノ發
達ニ付テ、化學製品、化學上ノ方法ニ依ッテ造リマシタ品物、其モノニ特許
ヲ與ヘルガ宜シイカ、或ハ製造方法ノミニ限ッテ、方法ノ特許ノミニ制限スル
ガ宜シイカト云フ問題ハ、各國ノ立法、殊ニ獨逸ノ立法ト英吉利ノ立法ト非
常ニ爭ッテ居ルヤウナ譯デアリマスカラ、日本モ此時局ニ際シマシテ、益〓發
明ヲ發逹セシメマスル上カラ、何レガ宜シイカト云フヤウナコトモ餘程重大
ナ問題ニナッテ居リマスル、其外唯今ノ所デハ特許ヲ許シマスルノニ最先發
明者主義、最先ニ發明シタ者ニ特許權ヲ與ヘルト云フ主義ヲ執ッテ居リマス
ルガ、各國ノ成績カラ見マスルト、或ハ先願發明者主義、最初ニ出願シタ者
ニ發明ノ特許ヲ許ス方ガ宜クハナイカト云フヤウナ問題、其外非常ニ澤山ア
リマスル、從ッテ第三ノ御尋ネニ御答ヲ致ス順序ニナリマス、左樣ナ次第デ
ゴザイマスルカラ、特許法外三法ノ全體ニ亙リマシテ比較的多數ノ箇條ニ付
テ改正ヲ致シタイト考へテ居リマス、其提案ノ時機ニ付キマシテハ、確實ニ
申上ゲラレマセヌケレドモ、出來得ルダケ早ク、若シ出來得マスナラバ次ノ
議會ニ提出ヲスルヤウニ努メタイト存ジテ居リマス、併シ何分多數ノ箇條ニ
亙ッテノ〓究ガゴザイマスルカラシテ、必ズ其運ビニ參ルトハ申上ゲ兼ネマ
ス次第デゴザイマス、右樣御答ヲ申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=63
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064・山脇玄
○山脇玄君 段々政府委員ノ御說明デ略〓分リマシタ、政府デモ改正ヲ爲サ
ル御趣旨デアルト云フコトハ分リマシタ、ソレト今一ツハ此歐洲大戰ノ終ル
ノヲ俟タズシテ修正スルト云フコトモ分リマシタ、所ガモウ既ニ十年近イ間
モ段々攷究御調査ヲ願ッタコトト私共ハ考ヘルノデアリマス、ソレデアリマ
スルカラ、成ルベクナラバ此次ノ議會ニ提出スルト云フダケノコトヲ此議場
デ御明言下サルナラバ、定メシ滿場ノ諸君モ會期ノ餘リ長クナイ所デ審査ス
ルト云フコトヲ爲サズシテ、其期ヲ御待チニナルコトト私ハ信ジマスガ、成
ルベクナラバ其時期ヲ御明言ヲ願ヒタイ、假令御明言ニナッテモ萬已ムヲ得
ヌ事情ガアルナラバ、ソレハ又其場合デアリマスガ、ドウカ御明言ヲ希望イ
タシマス
〔政府委員村上隆吉君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=64
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065・村上隆吉
○政府委員(村上隆吉君) 唯今ノ御尋ネニ付キマシテハ、政府ト致シマシテ
ハ成ルベク次期ノ議會ニ提出スルヤウニ努メタイト存ジテ居リマス、此特許
法ノ問題ハ特許法一法デモ條文ガ百箇條以上モアリマスルシ、中〓大キナ法
律デアリマス、ノミナラズ一面條約ノ關係モ餘ホド〓究シナケレバナリマセ
ズ、殊ニ最近私共ガ餘ホド考慮シナケレバナラヌト思ヒマスノハ、軍事上ノ
まつここの
發明ノ關係デアリマス、是等ニ付キマシテハ陸海軍ノ方面ニモ極ク詳細ナ打
合セヲ致サナケレバナラズ、關係スル所ガ非常ニ廣ウゴザイマシテ、問題ガ
中〓ムヅカシウゴザイマス、次ノ議會ニ必ズ提出スルト云フ御約束ダケハ御
容赦ヲ願ヒタイト思ヒマス、出來ルダケ提出スルヤウニ努メマスル積リデ居
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=65
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066・黒田長成
○副議長(候爵黑田長成君) 日程第六ヨリ第九マデノ特別委員ハ同一委員ニ
付託シテ宜シカラウカト存ジマス、御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=66
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067・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 御異議ナイト認メマス、第六ヨリ第九マデ、四
案ノ特別委員ノ氏名ヲ書記官ヲシテ朗讀イタサセマス
〔岡書記官朗讀〕
特許法中改正法律案外三件特別委員
子爵一柳末德君子爵大宮以季君子爵本多實方君
和田彥次郞君男爵毛利五郞君原保太郞君
和田維四郞君星島謹一郞君井芹康也君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=67
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068・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 諸君ニ於テ御異議ガゴザイマセヌケレバ、日程
ノ第十ヨリ第十二マデハ同一委員ニ付託シテゴザイマスカラ、委員長ノ報〓
ハ一括シテ宜シカラウカト存ジマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=68
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069・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 御異議ガナイト認メマスカラ、委員長ノ報告ハ
一括スルコトニ致シマシテ、尙ホ是等三案ヲ束ネテ問題ニ供シテ御異存ゴザ
イマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=69
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070・黒田長成
○副議長(候爵黑田長成君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=70
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071・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 第十、日本勸業銀行法中改正法律案、衆議院提
出、第十一、輕便鐵道法中改正法律案、衆議院提出、第十二、軌道條例中改
正法律案、衆議院提出、第一讀會ノ續、委員長報〓
日本勸業銀行法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
大正七年三月十五日
右特別委員長
子爵松平直平
貴族院議長公爵德川家達殿
輕便鐵道法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
大正七年三月十五日
右特別委員長
子爵松平直平
貴族院議長公爵徳川家達殿
軌道條例中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報〓候也
大正七年三月十五日
右特別委員長
子爵松平直平
貴族院議長公爵德川家達殿
〔子爵松平直平君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=71
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072・松平直平
○子爵松平直平君 唯今議事日程ニ上ッテ居リマスル日本勸業銀行法中改正
法律案、軌道條例中改正法律案、輕便鐵道法中改正法律案、此三案ニ付キマ
シテ委員會ノ經過及結果ヲ御報〓イタシマス、此三案ハ共ニ牽連ヲ致シテ居
リマスルカラ、一括シテ中上ゲマスルガ、日本勸業銀行法第十四條ニハ、輕便
鐵道財團ノミ不動產ト看做シテ從來抵當ニ取ルコトガ出來マスルケレドモ
軌道財團ハ抵當ニ取ルコトガ出來ナイコトニナッテ居リマス、ソレヲ此度輕
便鐵道財團ト同樣、ヽ軌道財團ヲ抵當ニ取ルコトノ出來ルヤウニシタイト云フ
改正案デアリマス、次ニ輕便鐵道法ノ改正ハ、私設鐵道法中ノ第二十三條卽
チ「會社ハ株金全額拂込前ト雖主務大臣ノ認可ヲ受ケ線路ノ延長又ハ改良ノ
費用ニ充ツル爲其ノ資本ヲ增加スルコトヲ得」ト斯ウ云フ規定ガアリマスル
ノデ、軌道條例ニモ第四條ヲ追加イタシマシテ「私設鐵道法第二十三條ノ規
定ハ軌道ニ之ヲ準用ス」ト云フ改正デアリマス、併ナガラ但書ヲ加ヘマシテ私
設鐵道株式會社ニ非ザル會社又ハ軌道會社ニ非ザル會社ガ、本業ガ外ノモノ
デアッテ、兼業トシテ輕便鐵道ヲ敷設スル場合ハ此限リデナイト云フ但書ガ附
イテ居ルノデアリマス、此三案ハ衆議院ノ提出デアリマシテ、政府ノ意向ヲ質
シマシタ所ガ、軌道モ今日デハ餘ホド發達ヲシテ居リ、交通機關ト地方產業ノ
關係ハ最モ密接デアルノデ、此改正ハ適當ノモノデアルト云フコトデ同意ヲ
致サレタノデアリマス、デ委員會ニ於キマシテハ二三質問ハアリマシタケレ
ドモ、玆ニ改メテ申上ゲル程ノ重要ナルコトハゴザイマセヌ、委員會ニ於キマ
シテハ全會一致ヲ以テ此三案トモ可決ヲ致シマシタ、此段御報告ヲ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=72
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073・黒田長成
○副議長(候爵黑田長成君) 三案トモ第二讀會ヲ開イテ御異存ゴザイマセヌ
カ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=73
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074・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=74
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075・松平直平
○子爵松平直平君 直チニ第二讀會ヲ開カレムコトヲ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=75
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076・清岡長言
○子爵〓岡長言君 贊成
〔其他「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=76
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077・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 直チニ第二讀會ヲ開イテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=77
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078・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 御異議ナシト認メマスカラ、三案トモ直チニ第
二讀會ヲ開キマス、全部ヲ問題ニ供シマス·········全部特別委員長ノ報告通リデ
御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=78
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079・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=79
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080・松平直平
○子爵松平直平君 直チニ第三讀會ヲ開カレムコトヲ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=80
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081・山内豐政
○男爵山內豐政君 贊成
〔其他「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=81
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082・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 直チニ三案トモ第三讀會ヲ開イテ御異存ゴザイ
マセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=82
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083・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=83
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084・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 三案トモ直チニ第三讀會ヲ開キマス········三案ト
モ第二讀會ノ決議通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=84
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085・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=85
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086・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 日程第十三、美術ノ振興ニ關スル建議案、馬屋
原彰君外一名發議、會議
〔成瀨書記官朗讀〕
美術ノ振興ニ關スル建議案
右貴族院規則第六十四條ニ依リ提出候也
大正七年三月十六日
發議者
馬屋原彰阪本彭之助
賛成者
公爵德川慶久公爵近衞文麿伯爵〓閑寺經房
伯爵吉井幸藏伯爵松浦厚伯爵寺島誠一郞
伯爵柳澤保惠伯爵柳原義光伯爵川村鐵太郞
子爵田尻稻次郞男爵野村素介山脇玄
男爵小澤武雄服部-三子爵野宮定穀
子爵松平乘承子爵靑山幸宜子爵大田原一〓
子爵松平康民子爵久留島通簡淺田德則
小野田元凞男爵石黑忠悳男爵高木兼寬
男爵杉溪言長大澤謙二江木千之
男爵北島齊孝和田彥次郞柴田家門
河村讓三郞男爵村木雅美小松謙次郞
男爵阪井重季男爵目賀田種太郞男爵阪谷芳郞
男爵内田正敏男爵肝付兼行男爵藤井包總
男爵梨羽時起男爵新田忠純男爵南岩倉具威
男爵伊東義五郞男爵外松孫太郞男爵平野長祥
男爵山内豐政男爵小早川四郞男爵靑山元
男爵毛利五郞男爵藤大路親春男爵若王子文健
男爵德川厚男爵千秋季隆男爵長松篤業
男爵〓水資治男爵津田弘道男爵島津久賢
男爵佐竹義準石井省一郞谷森眞男
三宅秀中島永元湯地定基
森山茂原保太郞藤田四郞
鮫島武之助富井政章關〓英
石黑五十二山田春三仁尾惟英
加藤恆忠澤柳政太郞若槻禮次郞
橋本圭三郞倉知鐵吉磯部四郞
杉田定安樂兼道下條正雄
古賀廉造南弘高橋作衞
西久保弘道江木翼湯淺倉平
德富猪一郞桑田熊藏鈴木摠兵衞
田島竹之助海江田準一郞江原素六
木村誓太郞江原芳平星島謹一郞
竹村與右衞門森田庄兵衞平山浪三郞
美馬儀一郞尼崎伊三郞橋本辰二郞
上松泰造西川甚五郞福島文右衞門
井芹廉也
貴族院議長公爵德川家達殿
美術ノ振興ニ關スル建議
今ヤ中外ノ形勢ニ鑑ミ國運ノ發展ヲ期スルト同時ニ我帝國ノ美術ハ益〓上
進發達ヲ圖ラサルヘカラス然ルニ方今世間ニ流行スル日本畫ヲ觀ルニ斯道
ノ本義ニ重キヲ置カスシテ漫ニ輕佻浮虚ノ工巧ヲ競ヒ隨テ固有美術ノ特技
特長ハ將ニ衰微セムトスルノ傾向アリ夫レ斯ノ如キハ必竟中央ノ美術〓育
及奬勵方法ノ宜シキニ適セサル所アルニ起因スルモノト認ム
政府ハ內閣直轄ノ下ニ臨時美術調査機關ヲ設ケ斯道ノ本義及歷史的要義ヲ
調査セシメ其ノ査定ノ方針ニ據リ中央ノ美術〓育上ニ根本的改善ヲ加ヘ其
ノ奬勵方法ノ如キモ亦〓育ノ方針ト一致セシメ是ニ由テ以テ美術ノ振興發
達ヲ圖ルノ計畫アラムコトヲ望ム玆ニ之ヲ建議ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=86
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087・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 馬屋原君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=87
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088・柳原義光
○伯爵柳原義光君 私ハ此案ノ贊成者トシテ、文部大臣ハ此案ニ關係ノアル
主管ノ大臣デアリマスカラ、出席セラルヽコトガ宜カラウト思ヒマス、一態
申上ゲテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=88
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089・黒田長成
○副議長(候爵黑田長成君) 文部大臣ニハ出席ニナルヤウニ通知イタシマス
〔馬屋原彰君演壇ニ登ル〕
〔山脇玄君發言ノ許可ヲ求ム〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=89
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090・黒田長成
○副議長(候爵黑田長成君) 唯今馬屋原君ニ發言ヲ許シマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=90
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091・山脇玄
○山脇玄君 其事ニ付テ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=91
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092・黒田長成
○副議長(侯爵黑田長成君) 馬屋原君ニ發言ヲ許シマシタカラ、其後デ願ヒ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=92
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093・馬屋原彰
○馬屋原彰君 本員ハ發議者ノ一人ト致シマシテ美術ノ振興ニ關スル建議案
ノ趣旨ヲ述ベマスル、近來世間ニ此流行ヲ致シテ居リマスル謂ハユル新日本
畫ト稱スルモノハ、〓シテ申シマスルト云フト、斯道ノ原理原則ニ依ッテ新機
軸ヲ描クモノニモアラズ、他ノ方路ニ向ッテ新奇新巧ヲ競フト云フガ如キ實況
デアリマス、未ダ以テ中外識者ノ鑒ニ供スルニ足ラザルモノ多シト云フ有樣
デアリマス、斯カル畫風ノ流行ハ畢竟イタシマスルニ、中央ノ美術〓育及奬
勵方法ノ結果及影響ニ起因スルモノデアラウカト思ヒマスル、ソレデ本員ガ
記憶イタシマスル所ニ依リマスルト、我ガ美術界ニ於キマシテ、往々斯ウ云
フ說ヲナス者ガアリマス、我ガ日本帝國ハ東洋ノ一隅ニ在ル島國ニシテ、固
有繪畫ノ如キハ日本一國限リノ美術デアッテ、世界的共通ノ美術デナイ、故ニ
仍ホ之ヲ墨守スル必要ハナイ、寧ロ根本的ニ之ヲ排斥シテ世界的共通ノ美術
ヲ原理原則トシテ、別ニ新シキ日本畫ヲ開發シテ可ナリト云フガ如キ說ヲ爲
ス者ガアルヤウデゴザイマスルガ、抑〓美術ナルモノハ御承知ノ通リ國風及
民情ノ反映ナルト同時ニ、各國共ニ各〓其歴史ニ基イテ、其畫風ニ自ラ多少
トモ異同ノアル譯デアリマスルガ、人ノ本性ニ基ク美術ノ根本原理ニ至リマ
シテハ、東西南北ノ別、乃至古今新舊ノ別ガアルベキ筈ガナイト思フノデア
リマス、故ニ我ガ日本畫ノ如キモ帝國固有繪畫ノ歷史的大路ニ依ッテ、益〓是
ガ上進發達ヲ圖ル爲ニ、形ノ變更ヲ企ツルト云フコトハ、毫モ妨ゲナイコト
デアッテ固ヨリ大ニ希望スル所デアリマスルガ、左リナガラ其歷史的大路ヲ
離レ、漫ニ外國ノ畫風ヲ模倣シ、若クハ前人ノ糟粕ヲ踏襲スル等ノ如キハ、
中外識者ノ斷ジテ取ラザル所デアルト思フノデアリマス、然ルニ方今ノ趨勢
タルヤ、斯道ノ原理原則ニ依ッテ日本畫ヲ描ク者ヲ、或ハ流行後レナリ、陳
腐ナリナドト評シテ、頻ニ此畫風ノ變更ヲ誘致スルト云フ傾向ガアリマス、
隨ッテ本然ノ繪畫ノ系統ハ段々ニ衰微スルト云フ有樣ヲ呈シテ居リマス、デ、
皆樣モ御承知デアリマスガ、現ニデス、每年開催スル文展ノ出品畫ニ徵シマ
スルニ純東洋式、純日本式本然ノ繪畫ト云フモノハ年ヲ逐ウテ益〓其數ヲ減
ジ、之ニ代ッテ多數ヲ得ルモノハ浮世繪ト今ノ流行畫ナルハ、何人モ見テ以
テ深ク遺憾ヲ感ジテ居ル所デアリマス、デ卽チ本建議ノ目的ト致シマス所ハ、
民間ニ於テ勝手ニ描ク者ハ風俗ヲ害セザル限リ其勝手ニ任カシテ可ナリデア
リマスルガ、中央〓育ハデス、一般ノ畫風ニハ、申スマデモナイ至大ノ影響
ヲ及ボスモノタルニ拘ラズ、從來東京美術學校ノ日本畫ノ〓育ニ於キマシテ、
日本畫ニ必要ノナイ油繪ノ技術ニ屬スル所ノ學科目ヲ混入シ、加フルニデス、
世間ニ於テ大ニ非難アル彼ノ生人「モデル」此「モデル」ヲ課シテ居ルノデアリ
マスガ、是ガ果シテ帝國固有繪畫ノ特技特長ヲ傳フベキ日本畫專門ノ技術家
ヲ養成スル趣旨ニ適シテ居ルヤ否ヤ、又斯カル雜駁ナル〓育ガ帝國ノ眞ノ美
術トシテ果シテ前途ニ成功ノ望ミアリヤ否ヤト云フコトハ、大ニ疑ヲ容ルベ
キ問題デアルト認メマシテ、此際政府ハ深ク現狀ニ鑑ミ、深ク前途ノ利害ニ
想到シテ、速ニ臨時美術調査機關ヲ設ケテ、以テ現今ノ〓育上ニ對シテ利害
得失ヲ斯道ノ本義ニ照シテ調查シテ、果シテ其當ヲ得ザルモノトスレバ、現
行ノ〓育上ニ根本的改正ヲ加ヘテ以テ、前申シマスル總テノ學科目ハ純東洋
式ニ改メ、又奬勵機關ノ如キモ其〓育ノ方針ト一致セシムルヤウニ實行シテ
貰ヒタイト云フニ外ナラヌ譯デアリマス、又此日本畫ノ〓育ハデス最モ系統
正シキ畫系ヲ選ブト同時ニ、西洋畫モ亦御承知ノ通リ各國トモ各〓國風民情
ニ伴ヒ其特色ヲ異ニシテ居リマスル如ク、我ガ帝國ニ於キマシテモ成ルベク
我ガ國風民情ニ適スル畫系ヲ選ンデ、以テ此中央〓育ノ方針ヲ此際一定スル
ト云フコトハ極メテ必要ノコトデアルト思ヒマスルノデゴザイマス、又此建
議ノ件ノ如キハ國家永遠ノ利害ニ關スル重大ノ問題デアリマスルガ故ニ、之
ガ解決ハ內閣總理大臣ノ行政統一權ノ處理ニ俟ツノ外ナク、從ッテ臨時美術
調査機關ノ如キモデス、內閣直轄ノ下ニ之ガ設置ヲ切望スル次第デアリマス、
ドウカ諸君ニモ多大ノ御贊成ヲ願ヒマス
〔國務大臣岡田良平君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=93
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094・岡田良平
○國務大臣(岡田良平君) 唯〓馬屋原君ノ御說明ニナリマシタ建議案ニ對シ
マシテ、極メテ簡單ニ當局者ノ意見ヲ申述ベテ御參考ニ供シタイト存シマス、
馬屋原君ガ豫テ熱心ニ御主張ニナリマスル點、此建議案ノ前段ニ表ハレテ居
リマスル所ノ御趣意ニ付キマシテハ當局者ニ於テモ格別變ハッタ意見ハ有ツ
テ居ラヌノデアリマス、卽チ此建議案ノ前段ヲ見マスルト、近來「世間ニ流
行スル日本畫ヲ觀ルニ斯道ノ本義ニ重キヲ置カスシテ漫ニ輕佻浮虛ノ工巧ヲ
競ヒ隨テ固有美術ノ特技特長ハ將ニ衰〓セムトスルノ傾向アリ」ト云フヤウ
ナコトガ書イテゴザイマス、此點ニ付キマシテハ當局者ニ於テモ矢張リ同樣
憂ヘテ居ル所デアリマス、申スマデモアリマセヌ、各國美術ニハ各〓其特徵
ガゴザイマシテ、日本畫ハ日本畫ノ特徵ヲ發揮イタスト云フコトニセナケレ
バナラヌ、然ルニ動モスルト日本〓ノ特徵ヲ失ヒ、或ハ輕佻浮虛ノ技工ヲ競
ヒマシテ、我國固有ノ美術ヲ衰微セシメムトスルガ如キ傾向ノアルト云フコ
トハ、
〔議長公爵德川家達君議長席ニ復ス〕
是ハ當局者ニ於キマシテモ、深ク憂慮イタシテ居ル所デアリマス、ソレデ昨
年ノ美術展覽會ヲ開キマスル前ニ、私ハ此審査員ニ對シマシテ、美術ニ殊ニ
日本繪畫ノ上ニ有スル所ノ意見ヲモ述ベテ置キマシタコトデアリマスルシ、
其意見ハ既ニ世間ニモ發表イタシテアリマスル所デアリマス、又其後展覽會
ヲ終リマシタ後ニ日本繪畫ノ審査委員ノ報告ヲ致シマシタ、其報告モ世間ニ
發表イタシテゴザイマス、其報告ノ趣意ニ依リマシテモ、此前段ニ書イテア
リマスル所ノ御意見ト格別大差ハナイヤウニ考ヘテ居ルノデゴザイマス、唯
併シ馬屋原君ノ唯〓此處デ御述べニナリマシタ事項ノ中ニ付キマシテハ當局
者ハ多少意見ヲ異ニスル點モゴザイマス、例ヘバ美術學校ニ於テ日本繪畫ニ
必要デナイ所ノ學科ニ時ヲ費ヤシテ居ルト云フヤウナコトモゴザイマシタ
ガ、此日本繪畫ニ必要ナラザル學科ト云フモノハドウ云フコトデゴザイマス
カ存ジマセヌガ、例ヘバ解剖デアリマスルトカ、或ハ又遠近法デアリマスル
トカ、サウ云フ類ノモノヲ日本美術ノ學生ニモ課シテ居ルノデアリマスルガ、
斯ウ云フヤウナコトハ是ハ必要ト當局者ハ考ヘテ居ルノデゴザイマス、日本
〓デアリマシテモ、是等ノ學科ヲ缺キマシタトキニハ決シテ適當ナルモノヲ
得ルコトハ出來マセヌデハアリマセヌカト思ヒマス、古來日本畫ノ人物ヲ畫
クニ最モ短所デアルト云フノハ何處ニ出デテ居ルカト云フト、此解剖ト云フ
コトヲ怠ッテ居ル其結果ニ外ナラヌノデ、古來ノ日本畫ノ大家ト雖モ人物ヲ
畫クト云フコトハ最モ短所ト致シテ居ル所デアル、ソレハ畢竟是等ノコトデ
ハナイカト思ッテ居リマス、又美術學校ノ日本畫ニ於テ「モデル」ヲ用ヒルコ
トハ宜シクナイト云フヤウナ意味ノ御話ガアリマシタガ、斯樣ナコトモ當局
者ト馬屋原君ト意見ガ少シ異ナッテ居ルヤウニ思ヒマス、當局者ニ於キマシ
テハ、例ヘバ日本畫ト雖モ「モデル」ヲ用ヒルコトハ必要ト考ヘテ居リマス、
又日本ノ畫家ト云フモノハ或ハ南宗畫ノ一派ナドハ別デアリマスケレドモ、
古來「モデル」ト云フモノハ用ヒタモノデアリマス、決シテ此「モデル」ヲ用ヒ
ルト云フコトハ外國輸入ノ方法デハナイト信ズルノデゴザイマス、斯樣ナ點
ニ於テハ少シク馬屋原君ノ御意見トハ異ナリマスケレドモ、大體ニ於ケル御
精神ハ當局者ハ大シタ相違ハナイト考ヘテ居リマス、唯之ヲ實行スル方法ニ
付テハ相當努力イタシテ居リマスケレドモ今日當局者ノ考ヘテ居リマスル
通リニ其結果ガ現ハレテ參ラヌト云フコトハ甚ダ遺憾ニ思ッテ居リマスルガ、
併ナガラ茲ニ內閣ノ直屬ノ調査會ヲ設ケマシテ、其調査ヲ致シマシテ果シテ
其效果ヲ得ル見込ガアルデゴザイマセウカ、如何デゴザイマセウカ、其調査
ハドウ云フコトヲ調査スルノデゴザイマセウ、斯道ノ本義及歷史的要義ヲ調
査スルト云フヤウナ點ニ付テハ實ハ餘リ今日ハ議論ハゴザイマセヌ、少クト
モ當局者ノ考ヘテ居ル所ハ先刻申ス通リノ譯デ、深ク調査スルヲ俟タズシテ
建議者ノ御趣旨ニ適ウテ居ルコトト思ッテ居リマス、果シテ然ラバ此本義及
歷史的要義ヲ調査シテ、之ヲ實際ニ現ハス上ノ手段方法ニ付キマシテハ、是
ハ種々努力イタサヌケレバナラヌコトデアリマスルガ、調査會ヲ設ケル趣旨
ト云フモノハ決シテソレテハナイヤウニ思ヒマス、然ラバ此調査會デ調査セ
ムト欲スルモノハ最早調査ノ必要ノナイ事項デハナイカ、斯樣ニ考ヘラレル
ノデゴザイマス、又內閣直轄ノ下ニ美術調査機關ヲ設ケルト云フコトハ、
體官制ノ立前ノ上カラ如何デアリマセウカ、內閣直轄ノ下ニ調査機關ヲ設ケ
ルトナリマスレバ、是ハ各省ノ所管ニ屬セザルコト、若クハ二三省ニ連帶シ
テ居ルコトハ從來內閣ニ於テ之ヲ調査スルコトハヤッテ居リマスノデアリマ
スガ、玆ニ現ハレテアリマスル所ノ美術ノ本義及歷史的要義ト云フコトノ如
キ、是ハ純然タル文部省ノ所管事項デアルト考ヘルノデアリマス、斯樣ナル
文部省所管ノ事項ヲ取ッテ之ヲ內閣ニ於テ調査スルト云フコトハ、是ハ官
制ノ立前ノ上カラ考ヘマシテモ、如何デアリマセウカ、是ハ篤ト御考慮ヲ願
ヒタイト思フノデゴザイマス、要スルニ斯樣ナ次第デゴザイマスルカラ、建
議案ヲ御提出ニナリマシタ御精神ニ付テハ當局者ト御提出者トノ間ニ何等ノ
相違ハナイノデゴザイマスガ、此調査會ノコトニ付キマシテハ當局者ニ於
テハ直チニ御同感ト申上ゲル譯ニハ參ラヌノデ、卽チ御提出者ニ於カレマシ
テモ、又贊成ノ諸君ニ於カレマシテモ、尙ホ宜シク御講究ヲ願ヒタイト考へ
ルノデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=94
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095・馬屋原彰
○馬屋原彰君 唯〓文部大臣ヨリ此建議案ニ對スル御見込ヲ拜聽イタシマシ
タ、實ハ此美術ノコトニ涉リマシテハ失禮ナガラ文部大臣ハ委シク御承知ガ
ナイ、果シテ此解剖學ヤ遠近法ト云フモノガ必要デアルト仰ッシヤルケレド
モ、ソレハ今日普通ニ今世間デ唱ヘテ居ル所デゴザイマス、油繪ハ謂ハユル
塗抹式デアル、東洋畫ト西洋畫ハ其描ク所ノ間ニ非常ナ懸隔ガアル、又西洋
畫ニ致シマシテモ西洋畫ノ長所ガアル、ソレデ人物ヲ描クニハ成ルベク正確
ニ描カナケレバナラヌ、斯ウ云フノガ油繪ノ主義デアル、日本ノ方ノ主義デ
アリマスルト形ノ正確ハ言ハナイ、心ノ正格ヲ言フ、心ガ正格ヲ得レバ形ハ
ソレニ伴ッテ來ル、卽チ天地間ノ事物ヲ眞似ヲスルノデアリマセヌ、自分ノ
胸中ヨリ山嶽ヲ吐出スルコトガ根本ノ妙味ノアル所デアリマス、之ヲ唯機械
的ニ寸法ヲ取ッタリ何カシテ、解剖ノ骨格ヤ筋肉ノ大體論ナドノコトハチヨッ
トモ〓究スル必要ハナイ、是モ民間ニアッテ各〓ガヤルノナラバ、ソレハ勝手
デ宜シイガ、僅ニ五年間デ卒業セヌナラヌ中央ノ學校デ、ソンナコトヲスル
ヨリハ、マダ外ニ私共ノ考デハ必要ナコトハ澤山アル、又先刻私ノ演壇デ申
上ゲマシタ通リ日本ノ美術ハ一國ノ美術デ世界的ノ美術デナイト云フコトハ
往々私聞クコトデアリマスガ、文部大臣御一己ノ御著想カラサウ云フ御見込
ノアルコトモ無理カラヌコトデアリマスガ、併シ此美術タルヤ是ハ實ニ帝國
ノ美術トシテ將來ノ利害得失ヲ考ヘタナラバ唯一人一己ノ意見ヲ以テ之ヲ左
右スベキモノデナイ、十分其道ニ通曉スル人士ヲ集メテサウシテ以テ是ナラ
バ宜イト云フコトデ決スルノガ當然デアリマス、私共最モ遺憾ニ感ジマスノ
ハ現文部大臣ニハ直接ノ御關係ナイコトデアルガ、美術學校創立ノ際ニ於テ
東洋畫ノ根本原理ト云フモノハ如何ナルモノカ、又東西兩洋ノ繪畫ニ付テド
レダケノ長所ガアリドレダケノ短所ガアルト云フコトヲ十分ニ調ベテナイ、
是ハ甚ダ美術政務上ノ大缺點デアルト思ヒマス、今日ハ遲クトモ完全ナル調
査機關ヲ設ケテサウシテ國家永久ノ大方針ヲ定メルト云フコトハ誰シモ不同
意ハナカラウト思フ、然ルニ曾テ其根本ヲ取調ベズシテ漫ニ現狀ヲ維持セム
トスルハ私共甚ダ取ラザル所デ、國家前途ノ利害ヲ顧ルトキハ自分ノ意見ヲ
捨テテモ行カナケレバナラヌコトト思フ、文部大臣ニ於カレテモ現今ノ美術
學校及文展ニハ毫モ缺點ナイト云フ御見込デナク、必ズドウカシヤウシヤウ
ト云フ御考デアルト思フ、同學校及文展ハ例ヘテ申シマスト病的デ立派ナ健
全ナル働キヲシテ居ラナイソコデ私共ノ希望ハサウ云フ病的ヲ療治スルニ
ハドウスルカト云フト先ヅ醫師ノ大家ノ診斷ヲ求ムルノ必要ガアル、此病源
ハドコニアル、ドウシタナラバ是ハ全快スルト云フコトハ素人ニ分ル筈ガナ
イ依ッテ專門ノ大家ヲ集メ、サウシテ〓究ヲ盡シタ所デ初メテ當局者ヲ初
メ我〓ナドモ安心スルノデアル、初メカラ精密ナル取調ナクテ唯謂ハユル世
界的共通ノ美術ナドト云フガ如キ間違ッタル意見ガ一時流行シタルガ爲ニ中
央〓育ガ亂脈ニナッテ來タノデアル、モウ今日ハ最早模倣的ノ場合デナイ、
ドコマデモ根本カラ立テ直サナケレバナラヌ、先刻申シマス通リ美術ト云フ
モノハ決シテ西洋ノ美術日本ノ美術ト云ッテ根本ニ變ハリハナイ、唯畫風ノ
變ハルコトハソレハ國風ニ依ッテ變ハルノハ當然ノコトデアル、サウ云フ點
カラ見ルト御不同意ノアラウト云フコトハナイ、大ニ御贊成デアルト思ッテ居
タ所ガ、今ノヤウナ「モデル」トカ何トカ云フ御話ガアルノハ果シテ適當ナル
學科デアルヤ否ヤト云フコトハ素人ニハ分ラナイ、ドウシテモソレハ玄人ノ
言フコトヲ聞イテ、自分デ筆ヲ執ッテ見テ果シテ是ハドウデアラウト云フコ
トヲ發見セヌ以上ハ本當ニ分ラヌカラ、是非名家ニ掛ケテ以テ此病ノ病症ガ
明白ニ分ルノデアリマス、サウシテ以テ斯ウ云フノデアリマシテドウカ其邊
御諒察ノ上學科目ノコトハ餘リ御主張ニナラヌヤウニ願ヒタイ、私共ガ誠意
誠心此建議案ヲ提出シマシタ趣意ハ美術ノ根本問題デアリマス、文部大臣ノ
遣リ方ガ惡イノ宜イノト云フコトデハナイ、此問題ガ國家永遠ニ利害ニ關ス
ル問題デアルカラ、斯ウ云フ方針ヲ採ッタナラバ、官モ民モ皆安心スルダラ
ウト云フ所カラ建議案ヲ提出シタノデアリマス、今日ハ謂ハユル諸名家ヲ集
メ、サウシテ斯道ト云フモノハ二ッアルモノデナイ、之ヲ調ベテ之ニ照シテ之
ガ適當デアルヤ否ヤト云フコトヲ調ベレバ極マル話デアル、其根本ヲ調ベズ
ニ、唯此頃ノ新巧ヲ競フ方ノ側カラ立論セラルヽカラソレガ私共殘念デアル、
今日私共玆ニ持チ出シテ述ベタル意見ヲドコマデモ貫徹シヤウト云フ趣意ハ
ナイ、先ヅ御參考ニ述ベタノデアル、要スルニ重大ノ問題デ唯一人一己ガ斯
ウヂヤト言フベキ場合デナイ、卽チ自分ノ意見ハ抛擲シテ國家前途ノ爲ニ謀
とも
ルナラバ私ハ美術調査機關ヲ設ケルノ外ニ、他ニ途ハナイト斯ウ信ジテ居リ
PV.8ソレカラ又内閣ノ直轄ノ下ニ調査機關ヲ設クルト云フコトニ付テ御話
ガアリマシタガ、是ハ私共ハ酷ク考ヘタノデス、全體文部大臣ノ御話ガナク
テモ此美術ノコトハ文部省ノ御關係ニナッテ居ルコトハ知ッテ居ル、ケレドモ
是マデノ歷史カラ段々積重ッテ來タ問題デアルカラ、今日ハ文部省以外ニ其
機關ヲ設ケラレナケレバ折角設ケラレタ機關ガ一向效能ガナイ、ソレデ私ハ
考へ〓〓シテ内閣ノ直轄ノ下ニト云フコトニシタ譯デアリマス、必シモ文部
大臣ノ權限ヲ無視シタ譯デナイ、却ッテ私ハ文部大臣ノ御職權ニ付ラドウカ
將來十分ニ發展ノ出來ルヤウニシタイト思ッテ居ルノデアリマス、ソレカラ
段々········(聽取シ難シ)文部ノ·········(聽取シ難シ)卽チ今日ノ〓育調査會其他全
國ヲ見マスレバ段々アル、是ハ重大問題ダカラ········決シテ文部大臣ノ御職權
ヲ私ハ妨ゲル譯デナイ、却ッテ之ヲ重ンジテ此建議ノ方針ヲ執ッタノデアル、
其所ハドウカ文部大臣ニモ十分御參考ヲ願ヒタイ、序ニ申シテ置キマスガ、
是ハ明治四十四年桂內閣ノ時ニモ私ハ質問イタシマシタ其時ニハドウデス、
私ハ此ニ持ッテ居リマスガ、日本畫ノ〓育ハ徹頭徹尾固有ノ特色ヲ維持シテ
居ル、モウ一層進ンデハ流派ノ蘊奧マデ調ベサス、サウシテ文展ト學校ト
ノ方針ヲ一致セシムルト云フ立派ナ答辯ヲ拜承シタガ、サウカト思ヘバ其後
ニ更ニ文部當局者ノ意見ヲ聞クト云フトホット變ッテ來ル、同四十四年ヨリ今
日マデ文部當局ノ意見ハ四度モ變ハッテ居ル、是ハ私ガ證據ヲ持ッテ居ル、或
ハ西洋畫ニハ長所ガアルカラ參考ニスルト云フ意見ガアリ、詰リ美術學校デ
ヤッテ居ルコトノ反對ノ意見ヲ述ベラレタコト度〓アッタノデアリマス、要ス
ルニ文部當局者ハ實際ノ〓育上殊ニ技術上ノコトハ御承知デナイヤウニ思ハ
レマス、ソレニ今日學科目等ニ關シ種々御意見ヲ此デ御述ベニナルト云フコ
トハ甚ダ惜ム、私共ガ此建議案ヲ提出シタノハ專ラ國家ニ對シテ永遠ノ利益
ヲ考ヘテ苦心シテ提出シタノデアルカラ其所ヲ御考ヘニナリ又ドウカ折角ノ
コトデスカラ閣議ニモ付セラレテ其上内閣諸公擧ッテ此建議案ヲ非認セラル
レバ仕方ガナイ、當議院ニ於テハ多數ノ諸君ノ賛成ヲ得テ提出シタノデアル
カラドウカ宜シク願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=95
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096・村上敬次郎
○男爵村上敬次郞君 本案ニ付キマシテ提案者竝ニ文部大臣ノ意見ヲ拜聽イ
タシマシタガ、私ハ特別委員ヲ選出セラレテ、其調査委員ニ付託イタシタウ
ゴザイマス依ッテ此場合此動議ヲ提出イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=96
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097・江木千之
○江木千之君 此案ニ付キマシテハ到底當局者ト意見ガ全然一致スルト云フ
コトハムヅカシカラウト考ヘルノデアリマス、卽チ建議案ノ出ル所以デアラ
ウト考ヘルノデアリマス、然ルニ文部大臣ハ唯今內閣直屬ノ機關ヲ設ケルト
云フコトハ官制ノ許サザル所デアルト申サレマシタノデアリマスガ、成程唯
今ノ官制ノ下ニ此機關ヲ設ケヤウト言ッタナラバ、官制ノ許サヌト云フコト
モアリマセウ、併ナガラ是ハ勅令ヲ發布シテ特別機關ヲ設ケルトスレバ、必
シモ官制ニ觸レルト云フ譯デハナカラウト考ヘラレル、又官制ガ許サヌ、內
閣直屬ト云フコトヲ許サヌト云フコトデアレバ、他ノ如何ナル方法ニ依ッテ
シタナラバ一種ノ機關ガ設ケラレルト云フコトハ、ソレ等ノ點ニ付テハ〓究
ノ餘地ガアルト考ヘルノデアリマス、重大問題デアリマスカラ今ニ於テ十分
審査ヲ遂ゲテ、政府ニ提出スルコトニ致シタイト考ヘルノデアリマスルデ、
唯今ノ委員付託說ニ贊成イタスノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=97
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098・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 採決イタシマス、村上男爵ヨリ本建議案ヲ特別委
員ニ付託スルト云フ動議ガ出マシテ、江木千之君ノ贊成ガゴザイマス、依ッテ
問題ト致シマス、本建議案ヲ特別委員ニ付託スルト云フ說ニ同意ノ諸君ノ起
立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=98
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099・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 過半數ト認メマス、村上男爵ニ伺ヒマスガ、此特
別委員モ議長デ指名ヲ致シテ宜シウゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=99
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100・村上敬次郎
○男爵村上敬次郞君 左樣デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=100
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101・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 特別委員ノ氏名ヲ書記官ヲシテ朗讀イタサセマス
〔岡書記官朗讀〕
美術ノ振興ニ關スル建議案特別委員
伯爵〓棲家〓君折田彥市君渡正元君
男爵〓水資治君三宅秀君加藤恆忠君
阪本 影之助君高田早苗君木本源吉君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=101
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102・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 次ノ日程ハ決定次第本院彙報ヲ以テ御通知ニ及ビ
やっ、本日ハ是デ散會
午後零時七分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004003242X01419180318&spkNum=102
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