1. 会議録本文
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000・会議録情報
大正八年三月七日(金曜日)
午前十時四分開議
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議事日程 第十五號 大正八年三月七日
午前十時開議
第一 豐川良平君、富永猿雄君請暇の件
第二 精神病院法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第三 地方鐵道法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第四 輕便鐵道補助法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第五 鐵道抵當法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第六 鐵道船舶郵便法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第七 鐵道營業法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第八 度量衡法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第九 事業公債金特別會計法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十 臨時國庫證券法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十一 朝鮮事業公債法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十二 臺灣事業公債法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十三 造幣局据置運轉資本増加及設備擴張費に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十四 鐵道敷設法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十五 北海道鐵道敷設法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十六 北海道舊土人保護法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十七 利息制限法中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會
第十八 未成年者飮酒取締法案(衆議院提出) 第一讀會
第十九 釧路相生間鐵道敷設の請願 會議
第二十 熊阪信號所を停車場に變更の請願 會議
第二十一 三刀屋郵便局に電信開始の請願 會議
第二十二 軍人恩給法中改正の請願 會議
第二十三 養殖事業奬勵に關する請願 會議
第二十四 水産試驗場設置の請願 會議
第二十五 大正六年法律第六號軍人恩給法則附改正の請願 會議
第二十六 稚内築港の請願 會議
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=0
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001・徳川家達
○議長 公爵德川家達君)是ヨリ報〓ヲ致サセマス
〔長谷川書記官朗讀〕
去ル一日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出案ハ卽日裁可ヲ奏請シ又可決
ノ旨ヲ衆議院ニ通知セリ
裁判所ノ設立ニ關スル法律案
大正二年法律第九號中改正法律案
不動產登記法中改正法律案
帝國大學特別會計法中改正法律案
東京帝國大學及京都帝國大學臨時政府支出金ニ關スル法律案
大正七年法律第四號中改正法律案
同日特別委員長ヨリ左ノ報〓書ヲ提出セリ
事業公債金特別會計法案可決報告書
臨時國庫證券法中改正法律案可決報〓書
朝鮮事業公債法中改正法律案可決報告書
臺灣事業公債法中改正法律案可決報〓書
造幣局据置運轉資本增加及設備擴張費ニ關スル法律案可決報告書
同日特別委員副委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
北海道舊土人保護法中改正法律案可決報告書
同日第三部ニ於テ決算委員男爵伊東義五郞君ノ補闕選舉ヲ行ヒシニ其結果
男爵調所恒德君當選セリ
同日決算委員會ニ於テ決定シタル分科及分科擔當委員ノ氏名左ノ如シ
第一分科(〓人、大藏省)
伯爵大木遠吉君子爵本多忠鋒君男爵島津久賢君
男爵岩倉道倶君男爵安藤直雄君男爵調所恒德君
男爵藤堂高成君星島謹一郞君田中〓文君
第二分科(例)者省、省、司法省(内)
子爵東坊城 德長君子爵五條爲功君男爵若王子文健君
男爵千秋季隆君男爵橫山隆俊君男爵二條正麿君
三宅秀君澤柳政太郞君西久保弘道君
第三分科(遞信省) (五五)
子爵五辻治仲君子爵立花種忠君男爵西村精一君
男爵西紳六郞君男爵肝付兼行君男爵藤井包總君
男爵黑田長和君石黑五十二君石橋謹二君
第四分科(文部省、農商務)
省遞信省
伯爵堀田正恆君子爵新庄直知君男爵平野長祥君
男爵東鄉安君伊藤傳七君佐藤友右衞門君
山田斂君三木與吉郞君櫻井伊兵衞君
同日決算委員分科會ニ於テ當選シタル主査ノ氏名左ノ如シ
第一分科主査子爵本多忠鋒君第二分科主査子爵東坊城德長君
第三分科主査子爵五辻治仲君第四分科主査伯爵堀田正恆君
從二位勳二等子爵加納久宜君
去ル二日薨去セラル依テ五日弔辭ヲ贈レリ
去ル四日特別委員會ニ於テ常選シタル正副委員長ノ氏名左ノ如シ
道路法案特別委員會
委員長伯爵林博太郞君副委員長古市公威君
高等諸學校創設及擴張費支辨ニ關スル法律案特別委員會
委員長伯爵大 木遠吉君副委員長高崎親章君
大正六年法律第六號中改正法律案特別委員會
委員長侯爵蜂須賀正韶君副委員長男爵山內長人君
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ハ本院ノ議決ニ同意シ奏上セル旨ノ通牒ヲ
受領セリ
大正七年法律第二十四號中改正法律案
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
精神病院法案
地方鐵道法案
輕便鐵道補助法中改正法律案
鐵道抵當法中改正法律案
鐵道船舶郵便法中改正法律案
鐵道營業法中改正法律案
同日政府ヨリ左ノ法律案ヲ提出セリ
度量衡法中改正法律案
同日衆議院ヨリ左ノ法律案ヲ提出セリ
利息制限法中改正法律案
未成年者飮酒取締法案
一昨五日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
結核豫防法案
「トラホーム」豫防法案
同日政府ヨリ左ノ要求書ヲ受領セリ
結核豫防法案「トラホーム」豫防法案緊急議決ノ要求書
同日內閣總理大臣ヨリ左ノ通政府委員仰付ケラレタル旨ノ通牒ヲ受領セリ
農商務省所管事務政府委員
農商務技師橘川司亮君
昨六日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
大正八年度歲入歲出總豫算案、大正八年度各特別會計歲入歲出豫算案、
豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件、臨時軍事費豫算追
加案(第一號)、大正八年度歲入歲出豫算追加案(第一號)、豫算外國庫ノ
負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件(追第一號)可決報告書
大正六年法律第六號中改正法律案可決報〓書
請願文書表第七囘報告書
同日特別委員會ニ於テ當選シタル正副委員長ノ氏名左ノ如シ
時局ノ影響ニ因ル地方稅制限擴張ニ關スル法律案特別委員會
委員長伯爵松浦厚君副委員長男爵南岩倉具威君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=1
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002・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ會議ヲ開キマス、爾今議案配付後ニ於ケル
定規ノ日數ハ短縮イタシタク存ジマス、御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=2
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003・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=3
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004・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第一、豐川良平君、富永猿雄君請暇ノ件、豐
川君病氣ニ付キ會期中、富永君病氣ニ付キ九日間ノ請暇デゴザイマス、何レモ
許可ヲ致シテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=4
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005・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=5
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006・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第二、精神病院法案、政府提出、衆議院送付、
第一讀會、本日モ御異議ガナケレバ通牒文ノ朗讀ハ省略イタシタク存ジマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=6
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007・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス
〔左ノ送付文及議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ茲ニ載錄ス
以下之ニ傚フ〕
精神病院法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
大正八年三月四日
衆議院議長大岡育造
貴族院議長公爵徳川家達殿
精神病院法
第一條主務大臣ハ北海道又ハ府縣ニ對シ精神病院ノ設置ヲ命スルコトヲ
得但シ必要ト認ムルトキハ二以上ノ道府縣ヲ指定シ共同設置ヲ命スルコ
トヲ妨ケス
前項ノ精神病院ニ關スル經費ハ北海道地方費又ハ府縣ノ負擔トス
第一項但書ノ規定ニ依リ共同設置ヲ命シタル精神病院ノ管理及費用分擔
ノ方法ハ關係地方長官ノ協議ニ依リ之ヲ定ム協議調ハサルトキハ主務大
臣之ヲ定ム
第二條地方長官ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル精神病者ヲ前條ノ規定ニ依リ
設置スル精神病院ニ入院セシムルコトヲ得
-精神病者監護法ニ依リ市區町村長ノ監護スヘキ者
二罪ヲ犯シタル者ニシテ司法官廳特ニ危險ノ虞アリト認ムルモノ
三療養ノ途ナキ者
四前各號ニ揭クル者ノ外地方長官特ニ入院ヲ必要ト認ムル者
前項ノ規定ニ依リ精神病者ヲ入院セシムルニハ命令ノ定ムル所ニ依リ醫
師ノ診斷アルコトヲ要ス
第三條國庫ハ勅令ノ定ムル所ニ從ヒ第一條ノ規定ニ依リ設置スル精神病
院ノ經費ニ對シ六分ノ一乃至二分ノ一ヲ補助ス
第四條第一條ノ規定ニ依リ設置スル精神病院ノ長ハ主務大臣ノ定ムル所
ニ依リ入院者ニ對シ監護上必要ナル處置ヲ行フコトヲ得
第五條地方長官ハ入院者ヨリ入院費ノ全部又ハ一部ヲ徵收スルコトヲ得
地方長官入院者ヨリ徵收スルコトヲ得スト認ムルトキハ其ノ扶養義務者
ヨリ之ヲ徵收スルコトヲ得
前項費用ノ徵收方法ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六條第二條ノ規定ニ該當スル精神病者ニシテ主務大臣ニ於テ特ニ必要
ト認ムルモノハ之ヲ國立精神病院ニ入院セシムルコトヲ得
前二條ノ規定ハ國立精神病院ニ之ヲ準用ス
第七條道府縣ニ於テ設置スル精神病院ニシテ地方長官ノ具申ニ依リ主務
大臣ニ於テ適當ト認ムルモノハ第一條ノ規定ニ依リ設置スルモノト看做
ス
第八條主務大臣必要ト認ムルトキハ期間ヲ指定シ適當ト認ムル公私立精
神病院ヲ其ノ承諾ヲ得テ第一條ノ規定ニ依リ設置スル精神病院ニ代用ス
ルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第二條乃至第五條ノ規定ヲ準用ス
第九條本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ノ執行ニ關シ行政官廳ノ處分ニ
不服アル者ハ訴願スルコトヲ得行政官廳ノ違法處分ニ由リ權利ヲ傷害セ
ラレタリトスル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ各條ニ付之ヲ定ム
〔國務大臣床次竹二郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=7
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008・床次竹二郎
○國務大臣(床次竹二郞君) 我國ニ於キマシテ精神病者ノ數ハ明治四十四年
ニ二万五千餘リデゴザイマシタガ、其後年々增加イタシマシテ、大正五年末
ニハ四万四千有餘人ニナッテ居リマス、而シテ更ニ昨年調査イタシマシタ所ニ
依リマスレバ、其數六万四千以上ニ及ンデ居リマス、之ヲ歐米ノ例ニ徵シマ
スルニ、社會ノ複雜ナルニ從ッテ、益〓病者ノ數ヲ增加スル傾ガゴザリマス、
而シテ現在ニ於キマシテハ是等ノ病者ニ對シテ精神病者監護法ガ制定セラ
レテ居ルノデゴザイマスルガ、現行法ハ專ラ監置患者ノ取締ニ重ヲ置キマシ
テ、不法ノ監置ヲ防グト共ニ、監護義務者及市區町村長等ニ對シテ、ソレ〓〓
監置ノ權能ヲ與ヘルコトニナッテ居ルノデゴザリマスルガ、監護ノ場所等ニ付
キマシテハ必要ナル規定ヲ缺イテ居ルノデゴザリマス、唯今、前申シマシタ
如ク六万有餘ノ精神病者中、病院其他ノ設備ニ收容セラレテ居リマス者ハ僅
ニ四千餘名デゴザイマス、其他ノ患者ハ不完全ナル私宅監置ニ付セラレ、中
產階級以下ニ屬シマスル者ニアリマシテハ、其慘狀見ルニ忍ビザルモノモゴ
ザリマス、加之適當ナル保護治療ノ方法ガ〓ケテ居リマスル所ヨリシテ、是等
患者ノ中ヨリ恐ルベキ殺人若クハ放火ノ罪ヲ犯ス者、年々百六十名ヲ下ラザ
ル有樣デゴザリマス、右樣ナ狀況デゴザリマスノデ、衞生上、社會政策上、
一日モ速ニ改善ノ途ヲ講ズベキハ最モ必要ナル事柄ト考ヘマスルノデアリマ
ス、依ッテ玆ニ此法案ヲ制定イタシマシテ、專ラ道府縣ヲシテ病院ノ經營ニ任
ゼシメ、國パ之ニ對シテ一定ノ補助ヲ與へ、以テ今日ノ缺陷ヲ補ヒタイト考ヘ
ル次第デゴザリマス、ドウカ何卒御審議ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=8
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009・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 別ニ御質問モナイト認メマスカラ、特別委員ノ氏
名ヲ書記官ヲシテ朗讀ヲ致サセマス
〔岡書記官朗讀〕
精神病院法案特別委員
侯爵花山院親家君子爵堤雄長君子爵米倉昌達君
男爵高木兼寛君北里柴三郞君江木千之君
男爵岩佐新君永田秀次郞君大森慶次郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=9
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010・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 此際諸君ニ御諮リヲ致シマス、唯今書記官ヲシテ
報告ヲ致サセマシタ結核豫防法案竝ニ「トラホーム」豫防法案ニ付テハ、政府
ヨリ緊急事件トシテ議決ノ要求ガゴザイマシタ、此際議事日程ヲ變更イタシ
マシテ、右兩案ノ第一讀會ヲ開クニ付テ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=10
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011・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス、付キマシテハ右兩案ノ第
一讀會ヲ開キマス、御異議ガナケレバ議案ノ說明モ一括シテ煩ハシタイト考
ヘマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
結核豫防法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
大正八年三月五日
衆議院議長大岡育造
貴族院議長公爵德川家達殿
結核豫防法
第一條本法ニ於テ結核ト稱スルハ肺結核又ハ喉頭結核ニシテ病毒傳播ノ
危險アルモノヲ謂フ
第二條醫師結核患者ヲ診斷シ又ハ其ノ死體ヲ檢案シタルトキハ患者ノ場
合ニ在リテハ患者又ハ其ノ居住ノ場所ノ管理ヲ爲ス者若ハ其ノ代理ヲ爲
ス者死體ノ場合ニ在リテハ死體所在ノ場所ノ管理ヲ爲ス者又ハ其ノ代理
ヲ爲ス者ニ命令ノ定ムル所ニ依リ消毒其ノ他ノ豫防方法ヲ指示スヘシ前
項ノ規定ニ依リ指示ヲ受ケタル者ハ其ノ指示ニ從ヒ消毒其ノ他ノ豫防方
法ヲ行フヘシ
第三條醫師ハ前條ノ規定ニ依リ指示ヲ受ケタル者其ノ指示ヲ遵守セスト
認ムルトキハ當該官吏又ハ吏員ニ其ノ旨ヲ申告スヘシ
第四條行政官廳ハ結核患者又ハ其ノ死者アリタル場所ニ付家屋物件ノ消
毒其ノ他ノ豫防方法ヲ施行シ又ハ其ノ施行ヲ患者又ハ場所ノ管理ヲ爲ス
者若ハ其ノ代理ヲ爲ス者ニ命スルコトヲ得
第五條行政官廳ハ結核豫防上必要ト認ムルトキハ左ノ事項ヲ行フコトヲ
得
-業態上病毒傳播ノ虞アル職業ニ從事スル者又ハ病毒蔓延ノ虞アル場
所ニ居住シ若ハ其ノ場所ニ於テ職業ニ從事スル者ニ對シ健康診斷ヲ
施行スルコト
二結核患者ニ對シ業態上病毒傳播ノ虞アル職業ニ從事スルヲ禁止スル
コト
三學校、病院、製造所其ノ他ノ多衆ノ集合スル場所又ハ旅店、料理店、
理髪店其ノ他ノ客ノ來集ヲ目的トスル場所ニ付病毒傳播ノ媒介トナ
ルヘキ事項ヲ制限シ若ハ禁止シ又ハ場所ノ管理ヲ爲ス者若ハ其ノ代
理ヲ爲ス者ニ對シ結核豫防上必要ナル施設ヲ爲サシムルコト
四古著、古蒲團、古本、紙屑、襤褸、飮食物其ノ他ノ物件ニシテ病毒
ニ汚染シ又ハ其ノ疑アルモノノ賣買若ハ授受ヲ制限シ若ハ禁止シ、
其ノ物件ノ消毒若ハ廢棄ヲ爲サシメ又ハ其ノ物件ノ廢棄ヲ爲スコト
地方長官ニ於テ前項ノ規定ニ依リ健康診斷ヲ施行シ又ハ物件ノ廢棄ヲ爲
ス場合ニ於テハ其ノ費用ハ北海道地方費又ハ府縣ノ負擔トス
第六條地方長官ハ結核豫防上必要ト認ムルトキハ採光、換氣其ノ他ノ關
係ニ於テ衞生上不良ナル建物ノ使用ヲ制限シ又ハ禁止スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル制限又ハ禁止ニ因リ生シタル損害ニ對シテハ地方長官
必要ト認ムルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ補償金ヲ交付ス補償金ハ北海
道地方費又ハ府縣ノ負擔トス
第七條主務大臣ハ結核患者ニシテ療養ノ途ナキモノヲ收容セシムル爲人
口五萬以上ノ市又ハ特ニ必要ト認ムル其ノ他ノ公共團體ニ對シテ結核療
養所ノ設置ヲ命スルコトヲ得但シ必要ト認ムルトキハ二以上ノ公共團體
ヲ指定シ共同設置ヲ命スルコトヲ妨ケス
前項ノ結核療養所ニ關スル經費ハ公共團體ノ負擔トス
第一項但書ノ規定ニ依リ共同設置ヲ命スル結核療養所ノ管理及經費分擔
ノ方法ハ關係公共〓體ノ協議ニ依リ之ヲ定ム協議調ハサルトキハ主務大
臣之ヲ定ム
第八條地方長官ハ結核患者ニシテ療養ノ途ナキモノ及豫防上特ニ必要ト
認ムルモノヲ前條ノ規定ニ依リ設置スル結核療養所ニ入所セシムルコト
ヲ得
前項ノ規定ニ依ル入所ノ費用ノ負擔及徵收ニ關シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定
ム
第九條國庫ハ勅令ノ定ムル所ニ從ヒ第七條ノ規定ニ依リ結核療養所ヲ設
置スル公共團體ニ對シ其ノ結核療養所ニ關シ公共團體ノ支出スル經費ノ
六分ノ一乃至二分ノ一ヲ補助ス
第十條國庫ハ勅令ノ定ムル所ニ從ヒ第七條ノ規定ニ依ラスシテ結核療養
所ヲ設置スル公共團體又ハ公益法人ニ對シ其ノ結核療養所ニ關シ公共〓
體又ハ公益法人ノ支出スル經費ノ二分ノ一以內ヲ補助スルコトヲ得
第十一條結核療養所ヲ設置スル公共團體ニシテ第九條又ハ前條ノ規定ニ
依ル補助ヲ受クルモノハ他ノ公共〓體ノ委託アルトキハ勅令ノ定ムル所
ニ依リ療養ノ途ナキ結核患者ヲ其ノ結核療養所ニ收容スヘシ
第十二條北海道地方費又ハ府縣ハ勅令ノ定ムル所ニ從ヒ第五條第一項第
二號ノ規定ニ依ル從業禁止又ハ第八條第一項ノ規定ニ依ル入所ニ因リ生
活スルコト能ハサル者ニ對シ其ノ生活費ヲ補給スヘシ
第十三條國庫ハ第五條第二項、第六條第二項又ハ前條ノ規定ニ依リ支出
ヲ爲ス北海道地方費又ハ府縣ニ對シ其ノ支出額ノ四分ノ一ヲ補助ス
第十四條官廳、官立ノ學校病院製造所等ニ於テハ其ノ長ハ第五條第一項
第三號第四號及第六條第一項ノ規定ニ準シ結核豫防ニ關スル事項ヲ施行
スヘシ
第十五條第二條第一項若ハ第三條ノ規定ニ違反シタル者又ハ第四條ノ規
定ニ依ル行政官廳ノ命令ニ違反シタル者ハ科料ニ處ス
第十六條第五條第一項又ハ第六條第一項ノ規定ニ依ル行政官廳ノ命令又
ハ處分ニ違反シタル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
大正三年法律第十六號ハ之ヲ廢止ス
大正三年法律第十六號ニ依リ設置ヲ命シタル肺結核療養所ハ本法ニ依リ設
置ヲ命シタル結核療養所ト看做ス
「トラホーム」豫防法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
大正八年三月五日
衆議院議長大岡育造
貴族院議長公爵德川家達殿
「トラホーム」豫防法
第一條醫師「トラホーム」患者ヲ診斷シタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ
患者又ハ其ノ保護者ニ消毒其ノ他ノ豫防方法ヲ指示スヘシ
當該官吏又ハ吏員ハ必要ト認ムルトキハ「トラホーム」患者又ハ其ノ保護
者ニ消毒其ノ他ノ豫防方法ヲ指示スヘシ
第一項又ハ前項ノ規定ニ依リ指示ヲ受ケタル者ハ其ノ指示ニ從ヒ消毒其
ノ他ノ豫防方法ヲ行フヘシ
第二條「トラホーム」患者ハ速ニ醫師ノ治療ヲ受クヘシ
「トラホーム」患者ノ保護者ハ其ノ患者ヲシテ速ニ醫師ノ治療ヲ受ケシム
ヘシ
第三條行政官廳ハ「トラホーム」患者ニシテ治療ヲ受クルノ途ナキ者ニ對
シ治療ヲ施行スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ治療ヲ施行スル場合ニ於テハ其ノ費用ハ患者所在地ノ
市町村ノ負擔トス
第四條行政官廳ハ「トラホーム」豫防上必要ト認ムルトキハ左ノ事項ヲ行
フコトヲ得
-檢診ヲ施行スルコト
二「トラホーム」患者ニ對シ客ニ接スル業務ニ從事スルヲ停止スルコト
三學校、幼稚園、製造所其ノ他ノ多衆ノ集合スル場所又ハ旅店、料理店、理
髪店其ノ他ノ客ノ來集ヲ目的トスル場所ニ付病毒傳播ノ媒介トナル
ヘキ事項ヲ制限シ若ハ禁止シ又ハ場所ノ管理ヲ爲ス者若ハ其ノ代理
ヲ爲ス者ニ對シ「トラホーム」豫防上必要ナル施設ヲ爲サシムルコト
地方長官ニ於テ前項第一號ノ檢診ヲ施行スル場合ニ於テハ其ノ費用ハ北
海道地方費又ハ府縣ノ負擔トス
第五條市町村ハ地方長官ノ指示ニ從ヒ「トラホーム」ノ豫防及治療ニ關ス
ル施設ヲ爲スヘシ
第六條北海道地方費又ハ府縣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ「トラホーム」ノ豫
防及治療ノ爲費用ノ支出ヲ爲ス市町村ニ對シ其ノ費用ノ補助ヲ爲スヘシ
第七條國庫ハ前條ノ補助ノ爲其ノ他「トラホーム」ノ豫防及治療ノ爲費用
ノ支出ヲ爲ス北海道地方費又ハ府縣ニ對シ其ノ支出額ノ六分ノ一ヲ補助
ス
第八條官廳、官立ノ學校製造所ニ於テハ其ノ長ハ第四條第一項第三號ノ
規定ニ準シ「トラホーム」豫防ニ關スル事項ヲ施行スヘシ
第九條第一條第一項又ハ第三項ノ規定ニ違反シタルモノハ科料ニ處ス
第十條第四條第一項ノ規定ニ依ル行政官廳ノ命令又ハ處分ニ違反シタル
者ハ五十圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第十一條本法ニ於テ保護者ト稱スルハ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ヲ謂フ
未成年者ニ對シ親權ヲ行フ者又ハ未成年者若ハ禁治產者ノ後見人、
親權ヲ行フ者又ハ後見人ナキトキハ戶主、戶主未成年者又ハ禁治產
者ナルトキハ戶主ニ對シ親權ヲ行フ者又ハ戶主ノ後見人
二〓育、監護又ハ傭使ノ目的ヲ以テ未成年者ヲ寄寓セシムル者又ハ其
ノ法定代理人
第十二條本法中市町村トアルハ市制町村制ヲ施行セサル地ニ於テハ之ニ
準スヘキモノトス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣床次竹二郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=11
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012・床次竹二郎
○國務大臣(床次竹二郞君) 兩法案ノ說明ヲ申上ゲマス、結核病ニ付テ死亡
イタシマスル者ノ數ハ年々約八万以上デゴザイマス、其推定患者ノ數ハ五十
万以上ニ達シテ居リマシテ、逐年其病勢ヲ加ヘル有樣デゴザリマスル、衞生
上經濟上ニ及ボス影響ハ甚ダ大ナルノミナラズ、是ガ豫防撲滅ハ國防竝ニ
〓育上看過スベカラザル重大ナル問題デゴザリマス、曩ニ肺結核豫防上最モ
緊要ナル窮民患者ノ療養ニ關シマシテハ、肺結核療養所ノ設置及國庫補助ニ
關スル法律ヲ制定セラレマシテ、三十万以上ノ都市ニ對シテ肺結核療養所ノ
設定ヲ命ズルコトニナッテ居リマスルガ、未ダ豫防撲滅ニ關スル一般的ノ法
規ハゴザリマセヌ、爲ニ豫防上常ニ遺憾ヲ感ジテ居ル次第デゴザリマス、依ッ
テ此際一般的豫防法ヲ制定イタシマスルト同時ニ、人口五万以上ノ都市及特
ニ必要ト認メマスル公共〓體ニ對シ、結核療養所ノ設置ヲ命ズルコトヲ得ル
コトニ致シマシテ、以テ此疾病ノ豫防撲滅ノ效果ヲ擧ゲタイ考デゴザリマフ
何卒御贊成ヲ願ヒタウゴザイマス、次ニ「トラホーム」患者ノ正確ナル數ハ之
ヲ知ルコトハ出來マセヌガ、徵兵檢査ノ結果ニ依リマシテ推算イタシマスル
ノニ、約一千万人ニ逹シテ居ルヤウニ思ハレマス、是亦產業、〓育、國防上
ニ及ボス影響甚ダ大ナルモノデアッテ、國民ノ活動ニ大ナル障碍ヲ與ヘル次第
デゴザイマス、之ニ對シテ一般的法規ノ制定ガアリマセヌノハ、甚ダ遺憾ト
致シテ居ル所デアリマス、依ッテ此豫防撲滅ニ關スル一般的法規ヲ制定イタシ
マシテ、豫防撲滅ノ效果ヲ擧ゲタイト考ヘマスルコトデゴザイマス、是亦何
卒然ルベク御詮議ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=12
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013・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 此兩案ノ特別委員ハ、御異議ガナケレバ前ノ精神
病院法案ト同一委員ニ付託イタシマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=13
-
014・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 次ニ御諮リヲ致シマス、日程第三ヨリ第七マデノ
議案ハ一括シテ第一讀會ヲ開イテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=14
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015・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=15
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016・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 第三、地方鐵道法案、第四、經便鐵道補助法中改
正法律案、第五、鐵道抵當法中改正法律案第六、鐵道船舶郵便法中改正法
律案、第七、鐵道營業法中改正法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會
地方鐵道法案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
大正八年三月四日
衆議院議長大岡育造
貴族院議長公爵德川家達殿
(小字ハ衆議院ノ修正、
ハ同削除ノ符號ナリ
地方鐵道法
第一條本法ハ軌道條例ニ規定スルモノヲ除クノ外道府縣其ノ他ノ公共團
體又ハ私人カ公衆ノ用ニ供スル爲敷設スル地方鐵道ニ之ヲ適用ス
地方鐵道業者カ運送營業ノ爲支線ヲ敷設スルトキハ公衆ノ用ニ供セサル
場合ト雖本法ヲ適用ス
道府縣其ノ他ノ公共團體又ハ私人カ專用ニ供スル爲敷設スル鐵道ニシテ
政府ノ鐵道又ハ地方鐵道ニ接續スルモノニ關スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ
定ム
第二條地方鐵道ハ人力又ハ馬力其ノ他之ニ類スルモノヲ以テ動力ト爲ス
コトヲ得ス
第三條地方鐵道ノ軌間ハ三呎六吋トス特別ノ場合ニ在リテハ四呎八吋半
又ハ二呎六吋ト爲スコトヲ得
第四條地方鐵道ハ之ヲ道路ニ敷設スルコトヲ得ス但シ已ムコトヲ得サル
場合ニ於テ主務大臣ノ許可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第五條地方鐵道會社ノ株金ノ第一囘拂込金額ハ株金ノ十分ノ一迄下ルコ
トヲ得但シ兼業トシテ地方鐵道ヲ敷設スル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第六條地方鐵道會社ハ株金全額拂込前ト雖監督官廳ノ認可ヲ受ケ線路ノ
延長又ハ改良ノ費用ニ充ツル爲其ノ資本ヲ增加スルコトヲ得但シ軌道會
社ニ非サル會社カ兼業トシテ地方鐵道ヲ敷設スル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第七條地方鐵道會社ハ監督官廳ノ認可ヲ受クルニ非サレハ社債ヲ募集ス
ルコトヲ得ス
社債ハ總株金四分ノ一以上ノ拂込アリタル後ニ非サレハ之ヲ募集スルコ
トヲ得ス
社債ノ額ハ鐵道抵當法ニ依ル債務ノ額ト併セテ總株金拂込額ヲ超ユルコ
トヲ得ス但シ舊債償還ノ爲ニスル場合ニ於テハ舊債務ノ額ハ之ヲ算入セ
ス
第八條鐵道及其ノ附屬物件ハ鐵道抵當法ニ依ルニ非サレハ之ヲ擔保ト爲
スコトヲ得ス
鐵道ノ附屬物件ハ命令ノ定ムル所ニ依リ監督官廳ノ認可ヲ受クルニ非サ
レハ之ヲ貸渡又ハ讓渡スルコトヲ得ス
第九條地方鐵道會社ハ監督官廳ノ認可ヲ受クルニ非サレハ他ノ事業ヲ營
ムコトヲ得ス
第十條地方鐵道會社ハ監督官廳ノ認可ヲ受クルニ非サレハ合併ヲ爲スコ
トヲ得ス
合併後存續スル會社又ハ合併ニ因リテ設立シタル會社ハ合併ニ因リテ消
滅シタル會社ノ免許ニ屬スル權利義務ヲ承繼ス
第十一條免許、許可又ハ認可ニハ條件ヲ附スルコトヲ得
第十二條地方鐵道業ヲ營マムトスル者ハ左ノ書類及圖面ヲ提出シ主務大
臣ノ免許ヲ受クヘシ
一起業目論見書
二線路豫測圖
三建設費〓算書
四運送營業上ノ收支〓算書
免許ニハ工事施行ノ認可ヲ申請スヘキ期限ヲ附ス
第十三條免許ヲ受ケタル者ハ左ノ書類及圖面ヲ監督官廳ニ提出シ工事施
行ノ認可ヲ受クヘシ
-線路實測圖
二工事方法書
三建設費豫算書
四免許ヲ受ケタル者カ會社ノ發起人ナルトキハ定款及會社ノ設立登記
謄本
工事施行ノ認可ニハ工事ノ著手及竣功ノ期限ヲ附ス
第十四條地方鐵道業者ハ天災事變其ノ他已ムコトヲ得サル事由アル場合
ニ限リ第十二條第二項又ハ前條第二項ノ規定ニ依リテ附セラレタル期限
ノ伸長ヲ申請スルコトヲ得
第十五條左ニ揭クル土地ヲ以テ鐵道用地トス
一線路用地
二停車場、信號所、車庫及貨物庫等ノ建設ニ要スル土地
三鐵道專用ニ供スル發電所、變電所及配電所等ノ建設ニ要スル土地
四鐵道構內ニ職務上常住ヲ要スル鐵道係員ノ舍宅及運輸保線ノ職務ニ
從事スル鐵道係員ノ駐在所等ノ建設ニ要スル土地
五鐵道ニ要スル車輛、器具、機械ヲ修理製作スル工場及其ノ資材、器
具、機械ヲ貯藏スル倉庫等ノ建設ニ要スル土地
第十六條道路、橋梁、河川、運河及溝渠等ニ關スル工事ノ施設ハ所管行
政廳ノ許可ヲ受クヘシ
第十七條政府又ハ政府ノ許可ヲ受ケタル者ニ於テ地方鐵道ニ接續シ若ハ
之ヲ橫斷シテ鐵道若ハ軌道ヲ敷設シ又ハ地方鐵道ニ接近シ若ハ之ヲ橫斷
シテ道路、橋梁、河川、運河及溝渠等ヲ造設スルトキハ地方鐵道業者ハ
之ヲ拒ムコトヲ得ス
前項ノ場合ニ於テ公益上必要アリト認ムルトキハ主務大臣ハ地方鐵道業
者ニ設備ノ共用又ハ變更ヲ命スルコトヲ得
設備ノ共用又ハ變更ニ要スル費用ノ負擔ニ付協議調ハサルトキハ申請ニ
因リ主務大臣之ヲ裁定ス
第十八條地方鐵道業者ハ監督官廳ノ許可ヲ受ケタル場合ニ限リ免許ニ屬
スル權利義務ヲ他人ニ讓渡スルコトヲ得
第十九條左ノ場合ニ於テハ免許ハ其ノ效力ヲ失フ
ー工事施行ノ認可ヲ申請スヘキ期限迄ニ認可ヲ申請セサルトキ
二工事施行ノ認可ヲ受ケサルトキ
三工事施行ノ認可ニ附シタル工事著手ノ期限迄ニ工事ニ著手セサルト
キ
四營業廢止ノ許可ヲ受ケタルトキ
免許ヲ受ケタル者死亡シタルトキハ相續人ハ免許ニ屬スル權利義務ヲ承
繼スルコトヲ得
第二十條地方鐵道業者ハ監督官廳ノ認可ヲ受クルニ非サレハ運輸ヲ開始
スルコトヲ得ス
第二十一條地方鐵道業者ハ旅客及荷物ノ運賃其ノ他運輸ニ關スル料金ヲ
定メ監督官廳ノ認可ヲ受クヘシ
監督官廳ハ公益上必要アリト認ムルトキハ運賃及料金ノ變更ヲ命スルコ
トヲ得
第二十二條地方鐵道業者ハ旅客列車及混合列車ノ發著時刻及度數ヲ定メ
監督官廳ノ認可ヲ受クヘシ
監督官廳ハ公益上必要アリト認ムルトキハ列車ノ發著時刻及度數ノ變更
ヲ命スルコトヲ得
第二十三條監督官廳ハ監査員ヲ派遣シテ鐵道ノ工事、運輸保線ノ狀態、
會計及財產ノ實況ヲ監査セシムルコトヲ得
鐵道ノ工事、運輸保線ノ狀態及會計ノ整理ニ付法令若ハ法令ニ基キテ爲
ス命令ニ違ヒ又ハ不適當ナリト認ムルモノアルトキハ監督官廳ハ其ノ改
築又ハ改善ヲ命スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ其
ノ工事、運輸又ハ設備使用ノ停止ヲ命スルコトヲ得
監査員ハ地方鐵道業者又ハ其ノ役員若ハ使用人ニ說明ヲ求メ金櫃、帳簿、
書類及圖面ヲ檢閱スルコトヲ得
第二十四條地方鐵道業者ハ地方鐵道ノ監督事務ニ關シ往復スル吏員ニシ
テ監督官廳ノ發行スル證票ヲ携帶スル者ヲ無賃ニテ乘車セシムヘシ
第二十五條主務大臣ハ公益上必要アリト認ムルトキハ地方鐵道業者ニ他
ノ鐵道又ハ軌道トノ連絡運輸又ハ直通運輸ヲ命スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ設備ノ共用又ハ變更、運輸ノ手續、運賃ノ割合及費用
ノ負擔ニ付協議調ハサルトキハ申請ニ因リ主務大臣之ヲ裁定ス
第二十六條地方鐵道業者ハ監督官廳ノ許可ヲ受クルニ非サレハ鐵道ノ貸
借又ハ營業若ハ運轉ノ管理ノ委託若ハ受託ヲ爲スコトヲ得ス
營業又ハ運轉ノ管理ノ委託ヲ受ケタル地方鐵道業者ハ其ノ管理ニ付監督
官廳ニ對シ委託ヲ爲シタル者ト共ニ其ノ責ニ任ス
第二十七條地方鐵道業者ハ主務大臣ノ許可ヲ受クルニ非サレハ運輸營業
ノ全部又ハ一部ヲ休止シ又ハ廢止スルコトヲ得ス
地方鐵道會社ノ解散ノ決議ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非サレハ其ノ效
力ヲ生セス
第二十八條主務大臣ハ地方鐵道ノ會計及運賃ノ割引ニ關シ特別ノ規定ヲ
設クルコトヲ得
第二十九條地方鐵道業者ハ法令ノ定ムル所ニ依リ平時及戰時ニ於テ鐵道
ヲ軍用ニ供スル義務ヲ負フ
第三十條政府カ公益上ノ必要ニ因リ地方鐵道ノ全部又ハ一部及其ノ附屬
物件ヲ買收セムトスルトキハ地方鐵道業者ハ之ヲ拒ムコトヲ得ス
地方鐵道ノ一部買收セラレタル爲殘存線路ノミニ付營業ヲ繼續スルコト能ハサルニ至リタルト
キハ地方鐵道業者ハ該線路及其ノ附屬物件ノ買收ヲ申請スルコトヲ得
第三十一條買收價額ハ最近ノ營業年度末ヨリ遡リ既往三年間ニ於ケル建
設費ニ對スル益金ノ平均割合ヲ買收ノ日ニ於ケル建設費ニ乘シタル額ヲ
二十倍シタル金額トス
前項ノ益金トハ營業收入ヨリ營業費及賞與金ヲ控除シタルモノヲ謂ヒ益
金ノ平均割合トハ三年間ニ於ケル每營業年度末ノ開業線建設費ノ合計ヲ
以テ同期間ニ於ケル益金ノ合計ヲ除シタルモノニ一年間ニ於ケル營業年
度ノ數ヲ乘シタルモノヲ謂フ
營業收入及營業費ノ計算ハ命令ノ定ムル所ニ依ル
第三十二條買收ノ日ニ於テ運輸開始後前條第一項ニ規定スル三年ヲ經過
シタル線路ヲ有セサル場合又ハ前條第一項ノ金額カ建設費ニ達セサル場
合ニ於テハ其ノ建設費以內ニ於テ協定シタル金額ヲ以テ買收價額トス
第三十三條地方鐵道業者カ鐵道若ハ其ノ附屬物件ノ補修ヲ爲サス又ハ法
令若ハ法令ニ基キテ爲ス命令ニ依リ改築若ハ改造ヲ爲スヘキ場合ニ於テ
之ヲ爲ササルトキハ補修ニ要スル金額ハ之ヲ營業費ニ加算シ改築又ハ改
造ニ要スル金額ハ之ヲ買收價額ヨリ控除ス
第三十四條買收ヲ受クヘキ地方鐵道業者カ兼業ヲ營ム場合ニ於テハ其ノ兼業ニ屬スル資產ヲ併セ
テ買收スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ買收價額ハ協定ニ依ル
五
第三十四條買收代價ハ劵面金額ニ依リ五分利付國債證券ヲ以テ以テ之ヲ
交付ス此ノ場合ニ於テ五十圓未滿ノ端數ハ之ヲ劵面金額五十圓トス
第三十五條ヨリ第四十三條マテ條數順次繰下ケ
第三十五條政府ニ於テ地方鐵道ニ接近シ又ハ竝行シテ鐵道ヲ敷設シタル
爲地方鐵道業者カ其ノ接近シ又ハ竝行スル區間ノ營業ヲ繼續スルコト能
ハサルニ至リタルトキハ政府ハ其ノ營業廢止ニ因リテ生スル損失ヲ補償
スルコトヲ得殘存線路ノミニ付營業ヲ繼續スルコト能ハサルニ至リタル
トキ亦同シ
補償金額ハ第三十一條乃至第三十三條ノ規定ニ依リテ算出シタル價額ヨ
リ殘存物件ノ價額ヲ控除シタル金額以内ニ於テ政府之ヲ定ム
第三十六條地方鐵道業者カ法令若ハ法令ニ基キテ爲ス命令又ハ免許、許
可若ハ認可ニ附シタル條件ニ違反シ其ノ他公益ヲ害スル行爲ヲ爲シタル
トキハ主務大臣ハ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一取締役其ノ他ノ役員ヲ解任スルニト
二政府ニ於テ又ハ他ノ地方鐵道業者ヲシテ地方鐵道業者ノ計算ニ於テ
必要ナル施設若ハ營業ノ管理ヲ爲シ又ハ爲サシムルニト
三免許ノ全部又ハ一部ヲ取消スコト
前項ノ規定ニ依リテ解任セラレタル取締役其ノ他ノ役員ハ再任セラルル
コトヲ得ス
第三十七條免許ヲ受ケスシテ地方鐵道ヲ敷設シ又ハ認可ヲ受ケスシテ運
輸ヲ開始シタル者ハ百圓以上二千圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十八條左ノ場合ニ於テハ地方鐵道業者又ハ其ノ役員若ハ使用人ヲ十
圓以上千圓以下ノ過料ニ處ス
-前條ノ場合ヲ除クノ外本法ニ依リ許可又ハ認可ヲ受クヘキ事項ヲ許
可又ハ認可ヲ受ケスシテ爲シタルトキ
二法令ニ基キテ爲シタル命令又ハ免許、許可若ハ認可ニ附シタル條件
ニ基キテ爲シタル命令ニ違反シタルトキ
三監査員ノ職務ノ執行ヲ妨ケタルトキ
四法令又ハ法令ニ基キテ爲ス命令ニ依リテ爲スヘキ屆出、報〓其ノ他
ノ書類、圖面ノ提出若ハ調製ヲ怠リ又ハ虛僞ノ屆出、報〓若ハ記載
ヲ爲シタルトキ
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ之ヲ準
用ス
第三十九條前二條ノ規定ハ公共團體カ地方鐵道業ヲ營ム場合ニ之ヲ適用
セス
附則
第四十條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十一條私設鐵道法及輕便鐵道法ハ之ヲ廢止ス
舊法ニ依リテ爲シタル免許若ハ指定、許可又ハ認可ハ本法ニ依リテ爲シ
タル免許、許可又ハ認可ト看做ス但シ其ノ免許若ハ指定、許可又ハ認可
ニ附シタル條件ニシテ本法ニ牴觸スルモノハ其ノ效力ヲ失フ
第二條及第三條ノ規定ハ舊法ニ依リテ免許又ハ指定ヲ受ケタルモノニ之
ヲ適用セス
第四十二條輕便鐵道法ニ依リテ輕便鐵道抵當原簿ニ登錄セラレタル事項
ハ之ヲ鐵道抵當法ニ依リ鐵道抵當原簿ニ登錄セラレタルモノト看做シ輕
便鐵道抵當原簿ハ鐵道抵當原簿ト看做ス
第四十三條輕便鐵道法ニ依リテ爲シタル處分、手續其ノ他ノ行爲ハ本法
中之ニ相當スル規定アル場合ニ於テハ本法ニ依リテ之ヲ爲シタルモノト
看做ス
輕便鐵道補助法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
大正八年三月四日
衆議院議長大岡育造
貴族院議長公爵德川家達殿
輕便鐵道補助法中改正法律案
輕便鐵道補助法中左ノ通改正ス
「輕便鐵道補助法」ヲ「地方鐵道補助法」ニ改ム
第一條、第二條及第六條中「輕便鐵道」ヲ「地方鐵道」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ補助ヲ受クルモノハ本法ニ依リテ之ヲ受クルモノト看做
ス
鐵道抵當法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
大正八年三月四日
衆議院議長大岡育造
貴族院議長公爵德川家達殿
鐵道抵當法中改正法律案
鐵道抵當法中左ノ通改正ス
「主務官廳」ヲ「監督官廳」ニ改ム
第一條中「私設鐵道株式會社」ヲ「地方鐵道株式會社」ニ改ム
第三條中「舍宅」ノ下ニ「其ノ他工事又ハ運輸ニ要スル建物」ヲ、「保線」ノ下
ニ「其ノ他ノ修繕」ヲ加へ「鐵道用水」ヲ「用水」ニ改メ同條ニ左ノ一項ヲ加
フ
會社カ鐵道ニ要スル電氣ノ餘力ヲ以テ電氣供給ノ業ヲ營ム場合ニ於テハ
其ノ供給ノ爲要スル第二號乃至第五號及第七號ニ揭ケタルモノニシテ鐵
道財團ノ所有者ニ屬スルモノハ之ヲ鐵道財團ニ屬セシムルコトヲ得
第十一條中「第三條」ヲ「第三條第一項」ニ、「前項ニ揭ケタルモノ」ヲ「前二項
ニ揭ケタルモノ」ニ改メ同條第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ規定ハ第三條第二項ニ依リテ鐵道財團ニ屬セシメタルモノニ之ヲ
準用ス
第二十六條ノ二株式會社ニ非サル地方鐵道業者ノ鐵道ノ抵當ニ關シテハ
勅令ノ定ムル所ニ依ル
第五十條削除
第五十一條中「前條第一項ニ依リ」ヲ「鐵道事業ヲ營ム者ニ非スシテ」ニ改ム
第五十四條削除
第六十條中「第五十四條」ヲ「第五十三條」ニ改ム
第六十五條中「本免許ヲ受クルコトヲ要スル者ニ在リテハ本免許」ヲ「第七
十三條ノ許可ヲ受クルコトヲ要スル者ニ在リテハ其ノ許可」ニ改ム
第六十六條中「第五十條第一項ニ依リ競賣ニ加入シタル者」ヲ「會社ノ發起
人」ニ改ム
第六十七條中「本免許狀ノ下付ナキトキ」ヲ「第七十三條ノ許可ヲ受ケサル
トキ」ニ、「本免許」ヲ「許可」ニ改ム
第七十二條削除
第七十三條競落人カ政府ニ非サル場合ニ於テハ競落ヲ許ス決定カ確定シ
タル日ヨリ三箇月內ニ許可ヲ申請スヘシ
第七十四條競落人カ會社ノ發起人ナルトキハ前條ノ許可ノ申請ニハ定款
及會社ノ設立登記謄本ヲ添附スヘシ
第七十五條削除
第七十六條中「前三條」ヲ「第七十三條及第七十四條」ニ、「本免許狀ヲ下付ス
ヘシ」ヲ「許可スヘシ」ニ改ム
第七十七條中「本免許」ヲ「第七十三條ノ許可」ニ、「會社」ヲ「競落人又ハ競落
人ニ依リテ設立セラレタル會社」ニ、「原免許」ヲ「免許」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
鐵道船舶郵便法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
大正八年三月四日
衆議院議長大岡育造
貴族院議長公爵德川家達殿
鐵道船舶郵便法中改正法律案
鐵道船舶郵便法中左ノ通改正ス
第一條中「私設鐵道法又ハ輕便鐵道法」ヲ「地方鐵道法」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
鐵道營業法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
大正八年三月四日
衆議院議長大岡育造
貴族院議長公爵德川家達殿
鐵道營業法中改正法律案
鐵道營業法中左ノ通改正ス
第三條運賃其ノ他ノ運送條件ハ關係停車場ニ公告シタル後ニ非サレハ之
ヲ實施スルコトヲ得ス
運賃其ノ他ノ運送條件ノ加重ヲ爲サムトスル場合ニ於テハ前項ノ公〓ハ
一月以上之ヲ爲スコトヲ要ス
第十三條ノ三鐵道カ其ノ責ニ歸スヘカラサル事由ニ因リ貨物ノ引渡ヲ爲
スコト能ハサルトキハ貨主ノ費用ヲ以テ之ヲ倉庫營業者ニ寄託スルコト
ヲ得
貨物ヲ寄託シタルトキハ鐵道ハ遲滯ナク荷送人及荷受人ニ對シ其ノ通知
ヲ發スルコトヲ要ス
貨物ヲ寄託シタル場合ニ於テ倉庫證劵ヲ作製セシメタルトキハ其ノ證劵
ノ交付ヲ以テ貨物ノ引渡ニ代フルコトヲ得
鐵道ハ第一項ノ費用ノ辨濟ヲ受クル迄倉庫證劵ヲ留置スルコトヲ得
前四項ノ規定ハ貨物ノ引取期間内ニ其ノ引取ナキ場合ニ之ヲ準用ス
第二十條中「私設鐵道」ヲ「地方鐵道業者」ニ、「主務大臣」ヲ「監督官廳」ニ改
ム
第二十三條中「私設鐵道係員」ヲ「地方鐵道係員」ニ、「會社」ヲ「地方鐵道業
者」ニ、「主務大臣」ヲ「監督官廳」ニ改ム
第二十八條ノ二第十九條及第二十一條ノ規定ハ政府及公共團體ノ鐵道
ニ、第二十條及第二十三條ノ規定ハ公共團體ノ鐵道ニ之ヲ適用セス
第四十四條削除
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔政府委員床次竹二郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=16
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017・床次竹二郎
○政府委員(床次竹二郞君) 各法案連ネテ說明ヲ申上ゲマス、私設ノ鐵道ニ
關シマシテ、現在私設鐵道法ト輕便鐵道法ト二種ゴザイマス、然ルニ私設鐵
道法ハ明治三十九年鐵道國有法ヲ制定セラレマシタ以來、其適用ノ範圍ハ
極メテ制限ヲセラレマシテ、次イデ明治四十三年輕便鐵道法ノ實施ニ依リマ
シテ、益〓其實用ヲ失ッタ譯デゴザイマス、今日ニ於キマシテハ、私設鐵道法
ノ支配ヲ受ケル鐵道ハ全ク存在ヲ致サヌノデゴザイマス、之ニ加フルニ輕便
鐵道法制定後、私設鐵道法ニ依ッテ出願イタシマシタモノハ、殆ド無イト云フ
有樣デゴザイマス、斯ノ如ク其實際ニ於キマシテ實用ノ無キ法律ハ、之ヲ廢
止イタシマスルコトヲ相當ト認メタノデゴザイマス、輕便鐵道法ハ明治四十
三年ニ實施セラレテ、今日ニ至ルマデ十年ノ年所ヲ經テ居ル譯デゴザイマス
ガ、條文ノ數ガ極メテ少イガ爲ニ、其運用ニ當ッテハ常ニ不便ヲ感ジマス次第
デゴザリマス、ソレ故ニ免許ノ際ニ命令書ヲ下付イタシマシテ、其命令書ノ
規定ニ依ッテ法ノ不備ヲ補ウテ、今日ノ實際ニ處シテ居ルト云フ次第デアリマ
ス、然ルニ命令書ノ中ニ在リマスル事項ハ、法律ヲ以テ規定スベキ事柄ニ屬
スルモノモ少クナイノデアリマス、ソレ故此度ハ右申ス私設鐵道法ト、輕便
鐵道法トヲ廢止イタシマシテ、玆ニ法規ノ統一ヲ圖リマシテ、地方鐵道法ヲ
制定イタシタイ考デゴザイマス、地方鐵道法ニ於キマシテ重ナル改正ノ點ヲ
申上ゲマスレバ、鐵道ノ動力ヲ電氣、蒸氣等ニ限リマシテ、人力、馬力ヲ認
メヌコトニ致シタノガ一ツデゴザイマス、第二ニハ軌間ヲ三呎六吋、之ヲ原則
ト致シマシテ、特別ノ場合四呎八吋半及二呎六吋ヲ認メ、結局三種ニ限定ス
ルコトニ致シマシタ、次ニ鐵道及其附屬物件ヲ、各別ニ今日マデハ擔保トナ
シ得ルコトニナッテ居リマシタガ、ソレハ改メマシテ、今後ハ鐵道抵當法ニ依
リマシテ、財團擔保ノ制度ニ致スコトニ致シマシタ、次ニ會社解散ノ決議ハ、
主務大臣ノ許可ヲ受クルニアラザレバ其效力ヲ生ゼザルコトニ改メマシタ、
尙ホ一箇條政府ガ地方鐵道ト竝行又ハ接近シテ鐵道ヲ敷設イタシマシタガ爲
ニ、地方鐵道業者ガ營業ヲ繼續スルコト能ハザルニ立至リマシタル時ニハ、
政府ニ於テ營業廢止ニ依ル損失ノ補償ヲ爲シ得ルノ規定ヲ新ニ設ケマシタ、
其他ハ事務ノ簡㨗ヲ圖ル爲ニ、多少ノ改正ヲ致シタ點モゴザリマスルガ、右
ハ重ナル箇條デゴザリマス、斯ノ如ク私設鐵道法及輕便鐵道法ヲ廢止イタシ
マシテ、玆ニ地方鐵道法ヲ制定イタシマスル結果ハ、輕便鐵道補助法、鐵道
抵當法、鐵道船舶郵便法中、自然字句ノ改正ヲ要スルモノガアリマスルノデ、
改正案ヲ提出イタシマシタ次第デアリマス、尙又鐵道營業法中ニモ前申上ゲ
マスル次第ニ依ッテ、改正ノ必要ヲ感ジマシタノデゴザリマス、ソレト共ニ此
營業法中ニ於キマシテ改正ヲ致シタイト云フ重ナルコトハ、第一運賃其他運
送ノ條件ハ、公共ノ運送機關トシテ其取扱ハ總テ之ヲ公〓イタスコトガ宜シ
カラウト思ヒマシテ、其事ニ改正イタシマシタ、現行法ニ於キマシテ運賃ヲ
增シマスルニハ二週間以上ノ公〓ヲ以テ足レリトスルコトニナッテ居リマス
ルガ、ソレハ取引ノ安全ヲ保持スルガ爲ニ、其期間ハ尙ホ少シ長キヲ宜シイ
ト考ヘマシテ、一箇月ニ延長イタシマシタ、尤モ此度此營業法ヲ改正セムト
致シマスル點ハ、到著貨物ノ引渡ノ際ニ荷主ノ怠慢等ニ依リマシテ引渡ヲ爲
スコトガ出來マセヌデ、ソレガ爲ニ貨車ノ利用ヲ大ニ妨ゲラレ、貨物置場ニ
狹隘ヲ來タシテ、一般貨物ノ取扱ニ支障ヲ及ボスト云フ事例ガ少クナイノデ
ゴザリマスル、是等ハ營業上最モ改正ヲ要スベキ重大ナル事柄ト考ヘマシテ、
是等ノ貨物ハ鐵道營業者ニ於テ荷主ニ代ッテ倉庫營業者ニ寄託スルコトヲ得
ルコトニ致シマシタ、以テ一般運輸上ノ便益ヲ圖ルコトニ致シマシタ、尙ホ
地方鐵道法中ニ衆議院ニ於キマシテ修正セラレマシタ箇條ガ二點ゴザリマス
ルガ、何レモ相當ナル修正條項ト考ヘマスルノデ、是ニハ同意ヲ致スコトニ
致シマシタ、何卒御審議ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=17
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018・阪本さん之助
○阪本釤之助君 チヨット伺ヒタイト存ジマスル、此地方鐵道法第一條ニ揭ゲ
テゴザイマスル軌道條例デアリマスルガ、軌道條例ハ洵ニ歷史ノ舊イモノデ
アリマシテ、長ク行ハレテ居ルノデゴザイマス、其後輕便鐵道法ガ出來マシ
テ、免角實際ニ於テハ軌道條例ト輕便鐵道法トハ洵ニ錯綜イタシテ、或ル營
業者ノ如キハ、一方ハ軌道條例デ營業ヲシ、一方ハ輕便鐵道法デ營業シテ居
ルト云フ者モアルノデアリマス、而シテ官廳ノ方カラ申シマスルト、內務省
ト鐵道院ト兩方ノ關係ニナッテ居リマシテ、其間ノ關係ト云フモノモ亦實際頗
ル面倒ナモノデアルヤウニ存ジマスル、免ニ角軌道條例ハ多ク道路ノ上ニ敷
設スル方デアリ、輕便鐵道法ハ特設軌道ガ多イノデアリマスルカラ、自ラ原
因ハ異ニシテ居リマスルケレドモ、等シク地方ニ於テ運輸交通ノ便ニ供スル
ガ爲ニ軌道ヲ敷イテ、國有鐵道以外ニ於テ運輸ノ便ニ供スルト云フモノデア
ルノデアリマスルカラ、出來ルコトナラバ折角御整理ニナル場合デアルカラ、
軌道條例ヲモ地方鐵道法ノ中ニ入レテ、何トカ規定ガ出來ナカッタモノデアラ
ウカ、餘ホド是ハ面倒デハゴザイマセウ、面倒デハゴザイマセウガ、法文ノ
書方ニ依ッテ出來ヌコトハナイノデハナイカ、折角地方鐵道法ト云フ極ク應用
ノ廣イモノヲ御作リニナッタ以上ハ、此中ニ軌道條例ニ依ル事柄ヲモ規定シ
テ、道路ノ上ニ敷設スルノデアルカラ內務省ガ管スルト云フコトガ至當ナコ
トデハアリマスルガ、官廳同士ノコトデアリマスルカラ、重モニ矢張リ鐵道
院デ支配スルトカ、或ハドウシテモ地方鐵道法ニ依ルコトガ出來ヌト云フコ
トナラバ、軌道條例ノ方ハ全ク內務大臣ノ所管ニシテ仕舞フトカ何トカ、大
ニ包容スルカ、大ニ分離スルカドチラカノ改正法ヲ此際行ハレタナラバ宜
カリサウナモノト私共ハ認メルノデアリマスルガ、政府ニ於カレマシテハ、
ドウ云フヤウナ御詮議デアリマセウカ、甚ダ遣憾ニ存ジマスルガ故ニ、一應
伺ッテ置キタイト思ヒマスル
〔政府委員床次竹二郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=18
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019・床次竹二郎
○政府委員(床次竹二郞君) 御答イタシマスガ、唯今ノ御尋ハ至極御尤モナ
ルコトト考ヘマス、何レ目下御審議ヲ願ッテ居ル道路法案モ制定ヲセラレルコ
トト考ヘマスルガ、御尋ノ如キコトヲ考慮イタシマシテ、次期ノ議會マデニ
改正ヲ致シタイ考ヲ有ッテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=19
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020・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ガナケレバ····
〔矢口長右衞門君發言ノ許可ヲ求ム〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=20
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021・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 矢口君ハ質問デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=21
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022・矢口長右衞門
○矢口長右衞門君 ハイ質問デス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=22
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023・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 矢口長右衞門君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=23
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024・矢口長右衞門
○矢口長右衞門君 政府委員ニ御尋イタシマス、此法律ニ依リマスト云フト
私設鐵道法ト輕便鐵道法ハ之ヲ實施スルト直グ廢止スルト云フコトニナッテ
居リマス、而シテ此實施ハ本年過ギテ直チニ實施スルト云フノデアリマスカ、
又實施シテ前ノ輕便鐵道法ニ依ッテ補助トカ何トカ、サウ云フヤウナ事柄ニ衝
突スルヤウナコトハゴザイマセヌカ、チヨット其邊ヲ伺ヒタイ
〔政府委員床次竹二郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=24
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025・床次竹二郎
○政府委員(床次竹二郞君) 御答イタシマスルガ、比法ノ實施ハ勅令ヲ以テ
期日ヲ定メマス積リデアリマス、サウシテ私設鐵道法ナリ、若クハ輕便鐵道
法ニ依ッテ今日マデ認可敷設ニナッテ居ルモノニ向ッテハ、別ニ變更ヲ加ヘル考
ハゴザイマセヌ、輕便鐵道法ハ········補助法ハ其儘變更ハ致シマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=25
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026・徳川家達
○議長(公爵德川家逹君) 御異議ガナケレバ此五案ノ特別委員ハ同一委員ト
致シマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=26
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027・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 特別委員ノ氏名ヲ書記官ヲシテ朗讀イタサセマス
〔岡書記官朗讀〕
地方鐵道法案外四件特別委員
侯爵細川護立君子爵豐岡圭資君子爵伊東祐弘君
河村讓三郞君小松謙次郞君古市公威君
男爵福原俊丸君男爵調所恆德君佐藤傳兵衞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=27
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028・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第八、度量衡法中改正法律案、政府提出、第
一讀會
〔左ノ提出文及議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ茲ニ載錄ス〕
度量衡法中改正法律案
右
勅旨ヲ奉シ帝國議會ニ提出ス
大正八年三月四日
內閣總理大臣原敬
農商務大臣山本達雄
度量衡法中改正法律案
度量衡法中左ノ通改正ス
第四條ノ二度量衡ニ基キテ定ムル温度、密度、壓力、工率其ノ他ノ狀態
及能率ノ計量ノ單位ニ關シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第八條中「販賣シ若ハ販賣ノ爲所持シ又ハ取引上若ハ證明上ニ於ケル度量
衡ノ計畫ニ使用シ又ハ使用ニ供スル爲所持スルコトヲ得ス」ヲ「之ヲ販賣
シ又ハ販賣ノ爲之ヲ所持スルコトヲ得ス」ニ改ム
第八條ノ二度量衡器ニ非サルモノ及前條各號ノ一ニ該當スル度量衡器ハ
命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外取引上又ハ證明上ニ於ケル度量衡ノ計
量ニ之ヲ使用シ又ハ使用ニ供スル爲之ヲ所持スルコトヲ得ス
第八條ノ三度量衡ニ依ル正味量ノ表記アル商品ニシテ其ノ正味量ガ實量
ヲ超過スルモノハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外之ヲ販賣シ又ハ販賣
ノ爲之ヲ所持スルコトヲ得ス
商品ノ度量衡ニ依ル量目ノ表記ハ正味量ノ表記ニ非サルコト明ナル場合
ヲ除クノ外之ヲ度量衡ニ依ル正味量ノ表記ト看做ス
第九條中「使用ノ制限」ノ下ニ「竝度量衡ノ計量ノ取締」ヲ加フ
第十條中「度量衡器取締」ヲ「度量衡器ノ取締又ハ度量衡ノ計量ノ取締」ニ改
ム
第十一條ノ二當該官吏ハ度量衡ニ依ル正味量ノ表記アル商品ニシテ其ノ
正味量カ實量ヲ超過スルモノノ表記ヲ更正シ又ハ消去シ其ノ他取締上必
要ノ處分ヲ爲スコトヲ得
第十三條中「第八條」ノ下ニ「、第八條ノ二又ハ第八條ノ三第一項」ヲ加フ
第十六條及第十七條中「又ハ業務上」ヲ「、業務上」ニ改メ「度量衡器ヲ使用ス
ル者」ノ下ニ「又ハ度量衡ニ依ル正味量ノ表記アル商品ヲ販賣スル者」ヲ
加フ
第十九條ノ二第六條乃至第八條ノ二、第九條乃至第十一條及第十二條乃
至前條ハ勅令ヲ以テ定ムル計量器ニ之ヲ準用ス
第二十條中「度量衡器」ヲ「度量衡」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣山本達雄君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=28
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029・山本達雄
○國務大臣(山本達雄君) 近來我國ニ於ケル學術及產業ハ顯著ナル發達ヲ致
シマシタガ、ソレニ伴ヒマシテ壓力器、寒暖計、比重計等ノ、其計量器ガ使
用セラレマスコトガ漸次增加イタシテ居リマスル、然ルノニ此物ニ付テノ檢
定取締ニ關シマシテハ何等ノ規定ガ無イ爲ニ、不正確ナルモノガ甚ダ多ウゴ
ザイマシテ、一般ノ不便ガ少クナイノデアリマス、依ッテ計量器中主要ナルモ
ノニ付キマシテハ度量衡器ト同樣ニ政府ニ於テ檢定取締ヲ行ヒマシテ、是ガ
正確ヲ期スルコトガ極メテ緊要デアルノデゴザイマスル、又多年度量衡法實
施ノ結果、不正確ナル度量衡器ノ使用ハ年々減少シテ參ヲテ居リマスルガ、是
ハ如何ニモ喜プベキコトデアリマスル、然ルニ度量衡ニ依ッテ取引ヲセラレマ
ス商品ニシテ、其量目ヲ表記セシニモ拘ラズ、實際ノ量目ガ不正確ナルモノ
ガ漸次多キヲ加ヘマシテ、殆ド物ニ依リマシテハ常習的傾向ヲ呈スルニ至ッテ
居ルノデゴザイマス、斯ノ如キ弊習ハ一般取引上ノ信用及公益ヲ害スルコト
ハ勿論、殊ニ海外輸出品ノ販路ニモ影響スルコトガ少クナイノデアリマスル
故ニ、其正確ノ規定ヲナシ、其他現行法ノ不備ヲ補フ爲、度量衡法中改正ヲ
ナスノ必要ガ起ッタノデアリマス、是ガ本案ヲ提出シタル所以デアリマスルカ
ラ、ドウカ御審議アラムコトヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=29
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030・石黒忠悳
○男爵石黑忠悳君 此案ニ付キマシテ質問イタシマスガ、瓦斯若クハ電氣ナ
ドノ量ヲ以テ、人民ガ幾ラニ付テ幾ラト云フ拂ヲ致シマスルモノノ、其檢定
法ハ勅令ヲ以テ定ムト云フ、其中ニ御定ニナルモノデゴザイマスカ、チヨッ
ト伺ヒマス、水モ其通リデアリマス、モウ一ツハ本案ノ第八條ノ三ト云フ所
ニ「度量衡ニ依ル正味量ノ表記アル商品ニシテ其ノ正味量ガ實量ヲ超過スル
モノハ命合ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外之ヲ販賣シ又ハ販賣ノ爲之ヲ所持ス
ルコトヲ得ス」ト云フコトガアリマスガ、是ハ一貫目ナラ一貫目ト表記シラ
ゴザイマシテ、九百五十目、九百目シカナイト云フ、其不足ガアルニ拘ラズ
一貫目ト書イテアル、一貫百目、一貫五百目アルト云フ其超過高ガ明ニナッタ
ト云フモノハ、ドウ云フ譯デアリマセウカ、目方ガ少イノハ構ハヌ、多イノ
ガ惡ルイト云フ譯デモゴザイマスマイガ、ソレハドウ云フノデゴザイマスカ、
チヨット伺ヒマス
〔政府委員岡本英太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=30
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031・岡本英太郎
○政府委員(岡本英太郞君) 御答ヲ申上ゲマス、前段ハ本法ニ依リマシテ新
ニ檢定ヲ致シタイト考ヘテ居リマスル計量器ノ種類ヲ勅令ヲ以テ規定イタシ
タイト云フ考デゴザイマス、第二段ノ不正量目ノ件ハ石黑男爵ノ御質問ノ趣
旨トハ違フノデゴザイマシテ、例ヘバ一貫目ト表記イタシテ居リマスル品物
ニ對シマシテ九百五十目ト云フヤウナコトガアリマスルモノハイカヌ、正味
量ガ實際ノ正味量トシテ表記イタシテ居リマスモノガ、實際ノ量目ヲ超過イ
タシテ實量ガ無イト云フモノハ、販賣シ又ハ所持シテハナラヌト云フコトデ
アリマス、實量ガ表記量ヨリ多イモノハ無論差支ナイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=31
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032・石黒忠悳
○男爵石黑忠悳君 第八條ノ三ハ能ク分リマシタ、本員ノ讀損ヒデアリマシ
タ、本員ノ前段ノ方ノ質問ニ御答デアリマスガ、瓦斯トカ、電氣トカ、若ク
ハ水トカ云フモノノ量目ヲ以テ販賣ヲ致シテ居リマスモノニ對シテ、唯今マ
デハ私共ガ實際ニ於テ電氣ヲ使ヒマスガ、其電量ニ付テ代價ヲ拂ヒマスケレ
ドモ其電量ヲアラタメラレタコトモナク、會社ノスルガ儘ニシテ拂シテ居リマ
ス、瓦斯モ亦然リデアリマス、是等ニ對シマシテハ、今度ハ之ヲ量リマス者
ガ、斯ウ云フ道具ヲ以テ此度ヲ計レト云フコトガ、施行サレマスノデゴザイ
マスカ
〔政府委員岡本英太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=32
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033・岡本英太郎
○政府委員(岡本英太郞君) 唯今御質問ノ電氣ノ如キモノハ電氣測定法ニ依ツ
テ取締ガ出來テ居ルコトニ承知イタシテ居リマス、瓦斯ニ付キマシテハ瓦斯
「メートル」ノ檢定ハ現ニヤッテ居リマス、詰リ今度ノ改正ノ趣旨ハ計量器具其
物ノ不正確ヲ取締ルガ爲ニ檢定ヲ致シタイト云フ趣意デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=33
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034・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 特別委員ノ氏名ヲ書記官ヲシテ朗讀イタサセマス
〔岡書記官朗讀〕
度量衡法中改正法律案特別委員
子爵冷泉爲勇君子爵大河內正敏君男爵山川健次郞君
上山滿之進君男爵〓誠之助君鍋島桂次郞君
和田維四郞君安樂兼道君矢口長右衛門君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=34
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035・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第九ヨリ第十三マデノ法案ハ同一委員ニ付託
セラレマシタカラ、御異議ガナケレバ報告モ一括シテ委員長ヲ煩ハサウト考
ヘマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=35
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036・徳川家達
○議長(公爵德川家逹君) 日程第九、事業公債金特別會計法案、第十、臨時
國庫證劵法中改正法律案、第十一、朝鮮事業公債法中改正法律案、第十二、
臺灣事業公債法中改正法律案、第十三、造幣局据置運轉資本增加及設備擴張
費ニ關スル法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ續、委員長報告
〔左ノ報〓書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ茲ニ載錄ス以下之ニ傚フ〕
事業公債金特別會計法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
大正八年三月一日
右特別委員長
伯爵松平賴壽
貴族院議長公爵德川家達殿
臨時國庫證劵中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
大正八年三月一日
右特別委員長
伯爵松平賴壽
貴族院議長公爵德川家達殿
朝鮮事業公債法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
大正八年三月一日
右特別委員長
伯爵松平賴壽
貴族院議長公爵德川家達殿
臺灣事業公債法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
大正八年三月一日
右特別委員長
伯爵松平賴壽
貴族院議長公爵德川家達殿
造幣局据置運轉資本增加及設備擴張費ニ關スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
大正八年三月一日
右特別委員長
伯爵松平賴壽
貴族院議長公爵德川家達殿
〔伯爵松平賴壽君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=36
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037・松平頼壽
○伯爵松平賴壽君 唯今議題ニナッテ居リマスル事業公債金特別會計法其外
四件ノ委員會ノ經過及結果ヲ御報告ヲ申上ゲマス委員會ヲ開キマシタコト
ガ三囘開キマシテ、第一ニ政府委員ヨリ說明ヲ伺ヒマシタ、第一ノ事業公債
金特別會計法ノ說明ニ付テ一應申上ゲテ置キマスルガ、此特別會計法ト云フ
モノハ今度初メテ出マシタノデアリマシテ、他ニ個々ニ特別會計法ト云フモ
ノハ各事業ノ臺灣臺灣デハゴザイマセヌ、朝鮮及鐵道ガ單ニ事業公債特
別會計法ト云フモノガゴザイマシタノデアリマスガ、之ヲ一括イタシテ今度
ノ特別會計法ト云フモノニ入レテ仕舞ッタ次第ナンデアリマス、此法律ノ趣旨
ト申シマスルノハ、第一ノ趣旨ハ事業公債ニ付キマスル特別會計法ヲ統一ス
ルト云フノガ第一ノ趣旨、第二ノ趣旨ハ、卽チ收入金ヲ運用、利殖スルト云
フノガ第二ノ趣旨デゴザイマス、第三ノ趣意ハ一般會計ヲ········今マデ特別會
計法デアリマシテモ一般會計ヲ經由イタシテ再ビ負擔會計へ移シ、改メテ利
子等ヲ拂ヒマスルトキニハ國債整理基金特別會計ヘ移シマシテ、ソレデ利子
等ヲ拂フ、非常ニ複雜ナル手續ヲシテ居ッタノヲ、此特別會計法ニ付テ其煩ハ
シイ手續ヲ省キマシテ、一般會計ヘ一旦金ヲ入レズシテ直グ國債整理基金ノ
方ヘ參ルト云フ輕便法ヲ取ッタト云フコトデゴザイマス、事業公債金特別會計
法ニ付テハ、別段委員ノ御方ヨリ御質問モ何モゴザイマセヌデゴザイマス、
ソレデ事業公債金特別會計法案ハ終リマシテ、ソレカラ次ニ臨時國庫證劵法
中改正法律案、是ハ改正法律案ノ趣意ハ今マデ臨時國庫證劵法ハ爲替資金ノ
融通、戰利品ノ賣········外國爲替調節資金ニ當テルコトト、軍需品ノ代金ノ決
濟ヲスルコトノ目的ヲ以テシテ居ルト云フコトノ二ツノ筒條デアリマシタ、
然ル所此度改正イタシマスル趣意ハ、此法案ニモゴザイマスル通リ、「其ノ他
聯合國ノ財政ヲ援助スル爲」ト云フニトガ一ツ這入ッタノデアリマス、此事ハ
政府委員ノ說明ニ依リマスルト、本年度ニ於テ英佛國ノ大藏證劵ノ償還ヲス
ル時期ガ來テ居リマスノデ、借換ヲセヌケレバナラヌ、其借換ヲ致サヌケレ
バナラヌノデアリマスガ、今英佛及他ノ國カラ金ガ此方ヘ參リマシテ、其借
換ヲ其國デ致シテ吳レルカ、セヌカ分ラナイノデアリマス、若シソレガ事實
上借換ガ出來マセヌトキニハ、政府ニ於テ、政府ガ一時ソレヲ借換ヲシマシ
テ、國庫債券ヲ發行スルト云フノデ、卽チ聯合國ノ財政ヲソレガ援助スルト
云フ意味ダサウデゴザイマス、ソレカラ第二條ニゴザイマス所ノ「五億圓」ト
云フノヲ「八億圓」ニスルト云フノハ、卽チ今申上ゲタ第一ノ聯合國ノ財政ヲ
援助スル爲ニ要ル所ノ借換等ニ要リマス所ノ金ハ大凡一億圓、第二ハ爲替資
金ノ座ニ金ガ要ルノデアリマシテ、殆ド二億圓バカリ要ルト云フコトデゴザ
イマス、ソレヲ合セマシテ三億圓、ソレヲ今度殖ヤシテ貰ヒタイト云フニト
ノ趣旨デゴザイマス、國庫證券法中ニ付テハ大分御質問ガ澤山出マシタノデ
ゴザイマス、是ハ終ニ質問ノ趣旨ヲ一應申上ゲマス、ソレカラ次ニ朝鮮事業
公債、是ハ政府委員ノ說明ニ依リマスレバ、一億六千八百万圓ヲ一億七千八
百万圓ニスルト云フノデアリマス、朝鮮事業公債法ハ明治四十四年三月二十
三日ニ法律第十八號ヲ以テ發布サレテ居リマシテ、其シマヒノ第一項ノ「公
債及借入金ノ額ハ通シテ一億六千八百萬圓以內トス」ト云フノデアリマス、
之ヲ今數字ノ上デ直スト云フダケノコトデゴザイマス、其數字ノ出マシタ根
源ハ、朝鮮ニ於キマシテ釜山ノ海關工事費、是ハ卽チ豫算ニ請求ニナッテ居ル
サウデアリマスガ、卽チ九百十七万二千圓、大正八年ヨリ十三年マデノ繼續糸
事業ニナッテ居リマス、又元山ノ海關工事費百八万三千餘圓、是ハ三箇年間、
合計イタシマシテ一千二十五万五千圓、是ダケノ實費ガ要ルノデアリマスル
ケレドモ、實際ノ入用ナ額ヲ參酌イタシマシテ端數ダケヲ減ラシテ、一千万
圓ダケヲ起債最高額ヲ增加シテ貰ヒタイト云フコトデゴザイマス、是ダケノ
コトデゴザイマシテ、外ニ改正ノ條文ニハ何モ障ッタ所ハナイノデゴザイマ
ス、ソレカラ次ニ申上ゲマスノハ臺灣事業公債法中改正法律案、是ハ政府ガ
提出ニナリマシタノヲ衆議院ニ於テ又修正ニナッテ、貴族院ヘ廻ッタ次第ナン
デゴザイマスガ、臺灣ノ事業公債法ハ、非常ニ出來マシタノガ古ウゴザイマ
シテ、明治三十二年ニ出來テ居リマスル法律デゴザイマス、ソレデ是モ卽チ
事業ヲ致スベキ限度ガ今迄ノ金額ヨリハ殖ヤスト云フコトニナッテ居リマス
ノデ、卽チ今迄ノ金額ガ七千三百五十万圓、ソレヲ今年九千二百五十万圓ト
云フコトニ致スノデアリマス、一千九百万圓ダケ今度殖エルト云フコトデゴ
ザイマス、ソレハ鐵道建設費ノ豫算デ三十議會ニ於キマシテ一千万圓ノ鐵道
建設費ノ豫算ガ成立シテ居リマス、デ又今囘ニ於キマシテ鐵道建設費ト致シ
テ千五十五万二千六百圓ノ追加ヲ今度要求シテゴザイマス、之ヲ合セマスル
ト二千五十五万二千六百圓ノ起債增額ヲ要スル譯デアルノデゴザイマス、併
ナガラ其中デ以テ大正八年度ニ於キマシテ既定ノ起債額ノ中デ、卽チ水利事
業ニ要リマスル所ノ金額ノ中デ、二百万圓ト云フモノハ一般歲入ノ··臺灣
ノ一般歲入ノ支辨等ニ移スコトニナッタノデアリマス、デ其結果二百万圓ヲ差
引イテ端タノ金、卽チ一千九百万圓········端タヲ拾テテ仕舞ッテ一千九百万圓ダ
ケ增加シテ貰ヒタイト云フコトニナッテ居リマス、是ガ骨子ノ問題デ、ソレデ
修正ノ所ニ於キマシテ、衆議院デ修正イタシマシタ中ノ第二、第三、第五、
第六、第七條ト云フモノハ卽チ法文上ノ整理デゴザイマシテ、第二條ハ
第七條カラ申上ゲマス、第七條ハ整理公債上ニ········今マデ此事業公債ニ付キ
マシテノ取扱ガ是ハ特別會計法ガ無カッタノデアリマス、デ已ムヲ得ズ整理公
債法ニ依ッテ居ッタノデアリマス、準ジテヤッテ居ッタノデアリマス、ソレデ是
ハ當然新シクナリマスレバ、事業公債金特別會計法ト云フモノガ出來マシタ
以上ハ、ソレト同ジ取扱ヲ受ケルト云フコトニナラナケレバナラヌト云フ意
味ニ於キマシテ、之ヲトッタ次第デゴザイマス、ソレカラ又第二條、第三條ト
申シマスルモノハ、利子ノコトニ付キマシテハ、公債ノ利子ノコトハ法律ガ
別ニ規定シテアルノデアッテ、國債ニ關スル通則ニ依リマシテ、矢張リ條例デ
以テ發スルト云フコトガチヤント決ッテ居ルノデアリマスカラ、態〓茲ニ現ハ
ス必要ガナイカラシテ削除スルト云フコトデアリマシタ、ソレカラ第六條ハ
卽チ此規則ノ出來マシタ時ニハ舊一圓銀貨ガアッタ爲ニ、其一圓銀貨デ以テ起
債スルコトガ出來ルト云フコトノ條文ナンデゴザイマス、是ハ今ハ當然消滅
シテ居リマスル爲ニ、是ハ削ッタト云フコトノ話デゴザイマス、臺灣ノ方ハソ
レ位ニ止メテ置キマス、ソレカラ造幣局据置運轉資本增加及設備擴張費ニ
關スル法律案、是ハ矢張リ金額ヲ增加スルト云フコトデゴザイマシテ、大正
八年度ニ於テ造幣局据置運轉資本ニ百五十万圓殖ヤシテ貰ヒタイト云フコト
ト、ソレカラ大正八年度乃至大正十年度ニ亙ッテ造幣局ノ設備擴張ニ要スル經
費ヲ充實スル爲ニ、造幣局資金ノ內デ二百六十一万四千九百五十二圓ヲ限リ
一般會計ニ繰入ルルコトヲ得ト云フコトノ條文デゴザイマス、造幣局ノ設備、
卽チ設備ノ擴張ト据置資金ヲ增サナケレバナラヌト云フコトノ結果デゴザイ
やす、デ造幣局ニ於キマシテハ唯今ノ所、年ニ鑄造スル能力ハ卽チ二億枚、
一年ニ二億万枚位出來ルノデ大體二千百万圓ホド七年度ハ鑄造シタノデア
リマス、併ナガラ是カラ先キ昨年度ニ於キマシテ小紙幣ヲ發行シ、又舊銀貨
及銅貨ト云フモノヲ鑄造シ直サナケレバナラナイ時機ガ今來テ居リマスノデ
アリマスルカラシテ、迚モ一年ニ二千百万圓位ノ能力デハ十分ナコトガ出來
ナイノデアルカラ、枚數ニ致シマスレバ一年ニドウシテモ四億枚クラヰ出來
ナケレバナラヌト云フコトデゴザイマス、卽チ圓ニ致シマスルト四千四百万
圓、卽チ唯今マデノ倍額要ルト云フコトノ計算ニナッテ居リマス、ソレニハ迚
モ今マデノ設備デハ行キマセヌカラ、十分ニ擴張シテヤラナケレバイカヌト
云フコトノ爲ニ、此金額ヲ請求シタ次第デアルト云フコトデゴザイマス、又
据置資金ニ付キマシテハ、造幣局ノ運轉資本ト云フモノハ卽チ二百五十万圓
ニナッテ居ルノデス、其內ノ大部分ノ九割强ト云フモノハ、矢張リ金銀ノ地金
ニ利用サレテ居ルノデアリマス、其中貨幣ニ鑄造サレル········用ヒラレルモノ
ハ金地ニ於テ二百十八貫目、銀地ニ於キマシテ千六百三十五貫目デアリマス、
其他貨幣ノ鑄造以外ニ、金銀地金精製用ノ壓地金ト云フモノガ必要デアリマ
シテ、此金銀貨デナク········通貨デナクシテ金銀ヲ精製スルモノダサウデアリ
マス、ソレガ要ルノデアリマシテ、ソレガ段々此頃ハ殖エテ參リマシタ爲ニ、
ソレヲ備ヘテ置ク所ノ········備付ノ金ト云フモノガ少クテハ、ソレデハ捗ッテヤ
ルコトガ出來ナイト云フ御話デアリマス、ソレ故ニソレヲ殖ヤス爲ニ今此ニ
申上ゲマシタ金額ヲ請求シタト云フ御話デゴザイマス、是デ說明ハ終リマス
ルガ、臨時國庫證劵ト他ノ四件ハ、臨時國庫證劵ヲ除ケマシテ他ノ四件ハ別
段一ツモ御質問ハ········造幣局ノ方ハ少シ御質問ガアリマシタ、大シタ御質問
デハアリマセヌガ、御質問ガアリマシタガ、其他ハ御質問モナク可決イタシ
マシタ········委員會ニ於キマシテハ可決イタシマシタ次第デ、國庫證劵ニ付キ
マシテハ段々御質問ガアリマシタガ、最終ニ於キマシテ或ル委員ヨリ國庫證
劵ヲ發行サレマシテモ、露西亞ノ如ク利子ヲ拂ハズ、現金モ拂ハナイト云フ
コトニナッテ居ルガ、ソレハ政府ニ於テハ取レル見込ガ有ルカ無イカト云フ御
尋デアリマシタガ、政府委員ニ於キマシテハ今ノ所デハ取ル考デ·······取
ル考デ居ルト云フコトニ········今ノ先キノコトハ考ヘテ居ラヌト云フ御答辯デ
アリマシタ、マダモウ一ツ其他ニ質問ガゴザイマシタケレドモ、ソレハ略シ
ダンク或ル委員ガ終ニ於キマシテ希望トセラレテ居リマスノハ、或ル一委員
ノ御方ヨリ希望ガ出マシタ、ソレハ取ラレナカッタ所ノ未濟ノ債券ノ金ト云フ
モノヲ一般會計ニ移シテ、ソレデ是ハ未濟デアルト云フコトヲ國民ニ知ラシ
テ、ソレデ國民ニハ政府デ取換ヘテ置イテ、若シモ政府デ取レタナラバソレ
ヲ一般會計ノ內ニ戾シタラドウデアラウカト云フ御希望ガ出テ居リマス、唯
是ハ希望ダケデアルト云フニトデアリマシテ、委員會ハ三月一日ヲ以テ全部
ヲ可決イタシマシタカラ、御報告申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=37
-
038・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 唯〓委員長ノ報告セラレマシタ五案トモ、束ネテ
問題ニ供シテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=38
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039・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス、五案ノ第二讀會ヲ開クベ
シトスル諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=39
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040・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 過半數ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=40
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041・松平頼壽
○伯爵松平賴壽君 直チニ第二讀會ヲ開カレムコトヲ·······発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=41
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042・廣澤金次郎
○伯爵廣澤金次郞君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=42
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043・大木遠吉
○伯爵大木遠吉君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=43
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044・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 直チニ第二讀會ヲ開クト云フ松平伯爵ノ御說ニ、
御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=44
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045・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=45
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046・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 直チニ五案ノ第二讀會ヲ開キマス········御異議ナケ
レバ全部ヲ問題ニ供シマス·········全部原案ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=46
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047・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=47
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048・松平頼壽
○伯爵松平賴壽君 直チニ三讀會ヲ開カレムコトヲ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=48
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049・大木遠吉
○伯爵大木遠吉君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=49
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050・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 直チニ三讀會ヲ開クコトニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=50
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051・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=51
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052・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 第二讀會決議通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=52
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053・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス、日程第十四、第十五ハ同
一委員ニ付託セラレマシタカラ、是モ委員長ノ報告ハ束ネテ御異存ゴザイマ
セヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=53
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054・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=54
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055・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第十四、鐵道敷設法中改正法律案、第十五、
北海道鐵道敷設法中改正法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ續、委
員長報告
鐵道敷設法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
大正八年二月二十八日
右特別委員長
伯爵柳原義光
貴族院議長公爵德川家達殿
北海道鐵道敷設法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
大正八年二月二十八日
右特別委員長
伯爵柳原義光
貴族院議長公爵德川家達殿
〔伯爵柳原義光君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=55
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056・柳原義光
○伯爵柳原義光君 唯〓議題ニナリマシタ鐵道敷設法中改正法律案及北海道
鐵道敷設法中改正法律案ノ委員會ノ經過竝ニ結果ヲ簡單ニ御報道申上ゲマ
ス、此委員會ハ去ル二月二十七日ニ第一囘ヲ開キマシタ、此時ハ單ニ正副委員
長ノ選擧ノミ行ヒマシテ、其儘ニ致シテ置キマシタ、併シ其時ニ成ルベク調査
ノ材料ヲ潤澤ニ送ッテ貰ヒタイト云フコトヲ政府ニ向ッテ要求ヲ致シテ置キマ
シタ次第デゴザイマス、次ニ二十四日ニ第二囘ノ委員會ヲ開キマシテ、此時
ハ午前、午後ニ亙ッテ委員會ヲ開イタ次第デゴザイマス、ソレカラ更ニ又翌二
十七日ニ委員會ヲ開キマシタ、是ハ朝ダケデアリマス、更ニ又二十八日ニ第
四囘ノ委員會ヲ開キマシテ、此時ハ午前、午後ニ亙リマシテ委員會ヲ開イタ
譯デアリマスデ質問ハ頗ル多々アリマシタケレドモ、結局全會一致ヲ以テ
兩案トモ可決イタシタ次第デアリマス、此鐵道敷設法中改正法律案ハ、鐵道
敷設法ノ豫定線竝ニ第一期線ニ新ニ線路ヲ加ヘテ、ソレカラ又北海道鐵道敷
設法ニ於キマシテモ一線路ヲ加ヘムガ爲ニ改正ヲシタイト云フノガ、此法
案ヲ提出セラレマシタ趣旨デアリマス、而シテ此鐵道敷設法ノ方ハ、線路ガ
五ツアルノデアリマス、其一ツハ和歌山縣下和歌山ヨリ三重縣相可ニ至ル鐵
道福岡縣下久留米ヨリ大分ニ至ル鐵道、千葉縣下松田、勝浦間ヲ貫通スル鐵
道、四國ニ於テハ四國縱貫線及富山、高山間、之ヲ一期線ニ入レタイト云フ
ノガ、此鐵道敷設法中改正法律案ヲ提出サレタ所ノ趣旨デアリマス、又北海
道ニ於キマシテハ釧路國釧路、北見國斜里ヲ經テ網走ニ至ル線路、膽振國長
萬部ヨリ輪西ニ至ル線路ヲ追加イタシタイト云フノガ、此北海道鐵道敷設法
中改正法律案ヲ提出サレタ趣旨デアリマス、本法ノ線ハ右申上ゲマシタ如ク、
五線デアリマシテ合計四百十九哩、北海道ハ二線デアリマシテ延長合計百五
十一哩ナノデアリマス、ソレデ去月ノ二十四日第二囘ノ委員會ヲ開キマシタ
時ニ、鐵道院總裁モ出席イタサレマシテ、具ニ說明ヲセラレ、又委員ノ質問
ニ對シテモ具ニ答ヘラレタ次第デアリマシテ、他ニ直接此法案ニハ關係ノナ
イコトデハアリマスカ、鐵道ノ根本ノ經營方針ハ如何ニスルノデアルカトカ、
或ハ又昨年ノ如ク米價ガ非常ニ高クナッテ國民ガ大ニ米價ノ騰貴ニ苦シム、是
ハ勿論經濟上ノ主タル原因ニ因ルノデハアルガ、併ナガラ又米ノ輸送ト云フ
コトガ能ク出來ルカドウカト云フコトモ、極メテ此問題ニ痛切ナ關係ガアル
ト思フカラ、卽チ米ノ產地カラ米ノ輸送ヲスルコトガ完全ニ出來ルカドウカ、
如何ナル方法ヲ以テ米ヲ輸送シテ居ルカト云フヤウナ質問モアッツタノデア
リマス、其質問ニ對シテ、是ハ出來ルダケ、他ノコトハ差置イテモ米ノ輸送
ト云フコトハ、十分ニ其當時ニ於テハシタト云フヤウナ答辯ガアッタノデアリ
やっ、又其他軈テハ鐵道ハ廣軌鐵道ニスルカ如何ト云フヤウナ、鐵道ノ根本
ノ政策ニ關スル質問モアッタノデアリマス、是等ノコトハ幸ニ速記錄ガアリマ
スカラシテ、速記錄ニ就テ御覽ヲ願ヒタイト思ヒマス、ソレカラ又二十七日
ニ第三囘ノ委員會ヲ開キマシタ時ニハ特ニ北海道鐵道敷設法改正案ニ付キ
マシテハ北海道廳長官ノ出席ヲ請ヒマシテ、サウシテ其地方ノ利害得失ノア
ル所ノ點ニ付テ北海道廳長官ノ意見ヲ尋ネタノデアリマス、北海道廳長官ノ
云ハレルノニ、此政府ノ提案ニハ全然贊成スルト云フ答辯ヲ得タノデアリマ
ス其他ノコトハ主トシテ鐵道院ノ副總裁ガ專ラ質問ニモ答ヘラレ、又懇切
ニ、親切ニ、熱心ニ質問ニ答ヘラレタノデアリマシテ、是ハ職責上、當然ノコ
トナガラ、頗ル其熱心ハ多トスルモノデアルト云フコトヲ諸君ニ御紹介申上
ゲタイト考ヘマス、質問ハ頗ル多岐、多方面ニ涉ッタノデアリマシテ、或ハ線
路網ノコトニ付キ、或ハ鐵道ノ豫算ニ付キ、或ハ鐵道ノ計畫ニ付キ、詳細ナ
ル數字ニ付キ、或ハ又詳細ナル所ノ技術ノ點ニ付テモ、極メテ細カイ質問ガ
アッタノデアリマス、殊ニ此技術ノ點ニ付キマシテノ質問ハ、豫備知識ノナイ
者ニハ理解スルコトノ出來ナイ程、專門ニ渉ッタ細カイ技術ニ關スル質問モア
ッタノデアリマスガ、是等モ私ガ玆ニ御紹介申スコトハ全然省キマシテ、速記
錄ヲ以テ諸君ノ高覽ニ供ヘタイト考ヘマス、ソレカラ又政府ヨリ送ラレタル
所ノ材料モ頗ル澤山アリマシテ、例ヘバ線路ノ地形表デアルトカ、鐵道建設
及改良費豫算年度割表デアルトカ、輕便鐵道内譯デアルトカ、鐵道網線路一
覽デアルトカ、鐵道線路網縮圖デアルトカ、頗ル材料ハ潤澤ニ政府カラ提供
サレタノデアリマス、議論モ頗ル澤山アリ、又質問モ頗ル澤山アリマシタケ
レドモ結局全會一致ヲ以テ此兩案ハ可決シタノデアリマス、唯最後ニ於テ
二ツノ希望ガ委員中カラ出タノデアリマシテ、其一ツノ希望ト申シマスノハ、
多治見、岐阜間ヲ成ルベク早ク一期線ニ加入シテ貰ヒタイト云フ希望デアリ
マシタ、又モウ一ツノ希望ハ四國連絡線中曼陀線ヲ能ク調査シテ、成ルベク
早ク之ヲ實行スルヤウニ致シタイト云フ希望ヲ、政府ニ向ッテサレタノデアリ
Rv.8是モ詳細ナルコトハ速記錄ニ就テ御覽ヲ願ヒタイト考ヘマス、委員中
ニハ昨年モ此種ノ案ニ關係サレタ所ノ方ガ澤山アッタノデアリマスルガ故ニ、
質問モ頗ル澤山アリマシテ、又殊ニ續々質問ガアリマシテ、中ニハ質問ヨリ
ハ寧ロ詰問ニ涉ルヤウナ質問モ隨分アッタノデアリマシテ、政府委員ト特別委
員トノ間ニハ餘程論議頗ル澤山アリマシテ、中ニハ政府委員モ此質問ニハ稍〓
答辯ニ苦シメラレタカノ如キ質問モアッタノデアリマシテ、要スルニ質問ト
云フ域ヲ脫シテ詰問ト云フ域ニ涉ッタヤウナコトモ多々アッタノデアリマスル
故ニ私等モ或ハ是ハ修正案デモ出ルノデハナイカト窃ニ存ジテ居リマシタ所
ガ、所謂大山鳴動スルト雖モ鼠一疋出デズト云フ譯デアッテ、無事ニ全會一致
ヲ以テ此兩案トモ可決イタシタ次第デアリマス、是デ御報告ヲ終リマスガ、
若シ詳細ナル御質問ガゴザイマスレバ、何卒政府委員ニ就テ御尋アラムコト
ヲ希望イタシマス、之ヲ以テ報〓ヲ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=56
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057・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナケレバ唯今委員長ノ報告セラレマシタ兩
案トモ束ネテ問題ニ供シマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=57
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058・鎌田勝太郎
○鎌田勝太郞君 此今委員長ヨリ詳細ナル御報告ニ依リマシテ了承イタシマ
シタ、然ルニ此兩案中ノ鐵道敷設法案中、四國縱貫線ノコトニ付テ、更ニ御尋
ネ致シタイノデアリマス、此四國縱貫線ハ高知ヨリ德島縣ヲ經テ香川縣ニ至
ル鐵道、德島縣ヨリ香川縣ニ至ル線路ニハ比較線ガ二ツアル、一ハ曼陀線ト
云ヒ、一ハ鹽入線ト云フノデアル、昨年議會ノ委員會ニ於カレマシテ此曼陀
線ニ付テ種々議論ガアッタノデアル、委員中ノ古市博士ナドハ技術上ノ見地ヨ
リ大ニ意見ヲ發表サレタト記憶シテ居ル、本年ノ委員會ハ唯今委員長ヨリ詳
細ナル御說明デハゴザイマスガ、此縱貫線ノコトニ付キマシテハ未ダ具體的
ノコトヲ聞得テ居リマセヌ、殊ニ本年ハ速記錄ガマダ配布ニナッテ居リマセ
ヌ、速記錄ヲ見テ承知スルト云フコトハ唯今出來マセヌガ故ニ、此縱貫線ニ
付テ討論ノ有樣ヲ承リタイ、是ハ强テ委員長カラ御述ニナラナクテモ、御都
合ニ依レバ言論ヲサレタ委員ノ方カラ御述べ下サレテモ宜シウゴザイマス、
ソレダケ御願ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=58
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059・柳原義光
○伯爵柳原義光君 速記錄ノ配布ガ早クアルトカ遲クアルトカ、是ハ私ノ關
與スル所デアリマセヌ、而シテ今ノ曼陀線ノコトニ付テハ委員ノ中カラ、殊
ニ古市博士ト記憶イタシテ居リマスガ、御詳細ニ御質問ガゴザイマシタガ、
是ハ私ガ申上ゲルヨリ、幸ヒ古市博士ガ御居デニナリマスカラ、古市君カラ
御話ニナルコトヲ希望イタシマス
〔古市公威君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=59
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060・古市公威
○古市公威君 私ハ本案ニ修正ヲ加ヘル意見ヲ持ッテ居ルノデハアリマセヌ、
結局委員長報告通リニ免モ角モ賛成スルガ宜シイト考ヘテ居ルノデアリマ
ス、從ッテ結果ニ於テ何モ變リガナイノデアリマスルカラ玆ニ徒ラニ論辯スル
ノハ誠ニ詰ラヌコトノヤウニアリマスガ、前年ノ行掛リモアリマスシ、此度、
委員會ニ於テ政府委員ノ說明ヲ聞イテソレデ滿足シタノカト云フ御考ガアル
ナラバ、サウデナイト云フコトヲ玆ニ明言シテ置キタイノデアリマスカラ、暫
ク御聽ヲ願ヒマス、當局者ハ此鹽入線ト曼陀線ヲ比ベテ曼陀線ノ良イ所ハ唯
工費ニ於テ二百五十万圓少クテ濟ンデ仕舞フト云フダケダ、其外ハ總テ鹽入
線ノ方ガ宜シイ、斯ウ言ハレマスガ、第一ニ二百五十万圓ノ工費ガ少クテ濟
ンデ仕舞フト云フコトハ、サウ輕々ニ看過スベキモノデナイト思ハレルノデ
アリマス、二百五十万圓ト申シマスレバ、輕便鐵道ニスレバ三四十哩若クハ
ソレ以上モ出來マス、鐵道ノ普及速成ト云フニトヲ標榜シテ居ル當局ニ於テ、
此二百五十万圓ハ隨分利用ノ出來ルコトデアルト思ハレル、ソレデ假ニ二百
五十万圓ハ別問題ト致シマシテ、果シテ當局者ノ言フ如ク此鹽入線ト曼陀線
ヲ比ベルト、工費以外ノコトハ總テ曼陀線ノ方ガ惡ルク、鹽入線ノ方ガ良イ
ト云フコトハ、殊ニ私ノ疑ガアルノデアリマス、甲地點ヨリ乙地點ニ行ク道
ニ於テ二ツノ何レモ山ヲ越エル、其場合高イ山ト低イ山ト二ツアッタトキハ
ドチラヲ御越エナサルカト云フト無論低イ方ヲ御越シナサルニ相違ナイ、但
シ他ノ條件ニ於テ大差ナケレバ無論申スマデモナイ、ソコデ鹽入ト曼陀線ト
ノ里程ト高サヲ比ベテ見マスルト、鹽入ノ方ガ百六十尺高イ、曼陀ヨリ
ソレダカラ鹽入ヲ越エル時ハ旅客モ貨物モ曼陀ニ比シテ百六十尺上ッテ百六
十尺下ダル、斯ウ云フコトニナル、當局者ハ斯ウ云フコトヲ言ッテ居リマスガ、
琴平ト、琴平カラ鹽入マデノ高サトヲ豐濱カラ曼陀マデノ高サトヲ比べルト、
鹽入ノ方ガ低イ、是ハ理窟ニナラヌト思フノデアリマス、假ニ阪神地方カラ
高知ノ方ニ向ッテ進ム旅客貨物ガ、自然ニ琴平マデ上ッテ仕舞フノデナイ、矢
張リ百六十尺上ッテ百六十尺下ダルニ相違ナイ、況ヤ琴平カラ上ル方ヲ考ヘレ
バ、サウデアリマスガ、池田ノ方カラ行ケバドウデアルカ、池田ノ方カラシ
テ矢張リ曼陀ニ上ルヨリ鹽入カラ上ル方ガ百六十尺上ルニ相違ナイ、此點ニ
於テ利害ハナイ、論ハナイ、但シ線路ハ他ノ條件ニ於テ大シタ違ヒガナクバ
ト云フコトニナル、ソコデ線路ヲ比べテ見ルコトニナリマスト池田カラ阿
波方面、阿波方面デ池田カラ鹽入ノ「トンネル」マデ上リマスノガ約七哩程ノ
長サデ、其内五理半バカリデアッタト思ヒマスガ、四十分ノ一ノ勾配ガ續ク、勾
配ガ續クト云フト語弊ガアルカ知レマセヌガ、其間ニ箸藏ト云フ停車場ガア
ッテ、其停車場ガ六百六十分ノ一ノ勾配デ行ク、三十鎻バカリデ又ソレガ四十
四分ノ一ト云フ勾配デチヨット三十鎻バカリデ下タッテ居リマス、先ヅ〓シテ
五哩半ホドノモノハ四十分ノ一デ續イテ居リマス、ソレカラ池田カラ曼陀ニ
上リマス、是ハ比較ニナラヌ程宜シイ、四十分ノ一ノ勾配ガ總體デ、三哩程
アリマスガ、ソレガ三ツニ分レテ居ル、一哩五十鎻ガ一ツト、五十何鎻ノモ
ノガ二ツデ、三ツニ分レテ居ル、是ハ阿波ノ方デハ鹽入ト曼陀ヲ比ベルト、
丸デ比較ニナラヌ、曼陀ノ方ガ宜イ、然ルニ讚岐ガタデ鹽入ノ方ガ宜シイ、
讚岐ガタノ方ハ兩方ナガラ雙方八哩何程ト云フ長サデアリマスガ、其中ノ鹽
入ノ方デハ四十分ノ一ガ續イテ居ルノガ四哩少シ餘デアリマス、ソレカラ曼
陀ノ方デハ五哩四分バカリアッタト思ヒマス、一哩以上········一哩半以上四十分
ノ一ガ續ク、是ハ曼陀線ガ惡ルイ、曼陀線ノ方ガ惡ルイガ、唯是ダケデ比ベ
レバ此讚岐ノ方ノ曼陀線ノ惡ルイノヲ阿波ノ方ノ曼陀線ノ良イノト差引イテ
ドウナルカト云フコトハ甚ダ疑フ、如何ニモ阿波ノ方デハ曼陀線ガ宜シイ、
ソニデ之ヲ通ジタモノデ比較シテ見タイ、全體昨年ノ議會ノ時モ今度モ免角
比較ヲ琴平、池田觀音寺若クハ豐濱、池田、斯ウ云フ比較ニナッテ居リマスガ、
是ガ比較ガ甚ダ當ヲ得テ居ラヌ、問題ハ何デアルカト申スト、土州ヲ四國ノ
北海岸ノ鐵道ニ接續スルト云フノガ問題デ、ダカラ琴平デモナケレバ、豐濱デ
モナケレバ、觀音寺デモナイ、サウ致シマスルト、比較ヲ或ル一ツノ地點カ
ラ、或ル地點マデ比較シテ見ヌトイケヌ、デ土佐ヲ四國ノ北海岸ヘ接續シマス
ルト、ソレカラ東西ヘ向ッテ連絡ヲ取ル譯デアリマスガ、其中デ最モ重要ナル
方面ト申スノハ、無論阪神地方ト土佐トノ連絡ト見ナケレバナラヌ、阪神地
方ノ方ノ連絡點ヲ見マスルニ、先ヅ向ウノ北ノ方ノ起點ヲ多度津トスルガ宜
カラウト思ハレル、多度津デ兩線ガ連絡シマスカラ、多度津ト池田、池田ハ
精シク申シマスト、後ニ若シ曼陀線ヘ出ルヤウニナリマスルト、池田ヨリハ
モウ少シ「スティーシヨン」··南ノ「スティーシヨン」ノ中西カラ別レルラシイ
ト云フノデアリマス、目下ハ池田ヲ起點トスル、池田、多度津ト云フ所デ兩
線ヲ比較スルト、無論土佐ト阪神地方、卽チ東ノ方トノ連絡デアリマスカラ、
線路ハ上ルノガ八哩七分確カ長イ、併ナガラ御承知デモアリマセウガ、線路
ヲ比較イタシマスニ、又勾配ダノ、屈曲ナドヲ直シテ、サウシテ全部直線ニ
シテ比較シマスルガ、サウシテ見テ、サウシテ其長サヲ實哩デ以テ割ッタモノ
ガ延長率トナルノデアリマスルガ、其延長率ノ大小ニ依ッテ線路ノ善惡ガ略、
分ル、所ガ池田多度津間ノ延長率ハ鹽入線ノ方ガ二「コンマ」六デ、曼陀線ノ方
ハ二「コンマ」三、サウスルト線路ノ性質ハ曼陀線ガ宜イト云フコトニナル、
斯ウ云フ狀熊デアルノデ、全體二百五十万圓金ガ餘計掛カルカラ線路ガ良ク
ナル、水界ノ山ハ低クナルト云フベキデアルノガ、二百五十万圓掛ッテ尙ホ且
ツ高イ所ヲ越エルト云フノハ、ドウモ合點ガ行カヌ、ソレ故昨年是ハモウ一
ツ調ベテ御覽ナサッタラドウデゴザルト云フコトヲ言ウタノデアリマス、今日
モ唯今私ハ實ハ委員長ノ報告デ初メテ承知シタノデアリマスガ、此委員會ノ
決議スル時ハ、私ハ不幸ニシテ留守デアリマシタ、居リマシタナラバモウ
少シ調ベテ欲シイト云フ意見ヲ申述ベテ見ヤウト思ッタノデアリマスガ、其機
會ヲ得マセナンダ、今委員長ノ御報告ニ依ルト、ドナタカ委員ノ中ノ一人カ
ラ其意見ガ出タト云フコトデアリマスガ、サウスレバ益〓以テ私ガ此ニ立ツノ
ハ無益ニナルカモ知レマセヌ、私ハ右申スヤウナ次第デアッテ、モウ少シ調べ
テ見ル必要ガアラウト思ハレル、ドコガ調べテ見ル必要ガアルカト云ヘバ、
玆ニ算盤ニ掛ラヌ曼陀線ノ惡ルイコトガアル、算盤ニ掛ラヌ極クイカヌコト
ガアル、ソレハ何デアルカト云フト四十分ノ一ノ勾配ノ大「トンネル」ガ一哩
二十鎻モアル、是ガ非常ナ缺點デ、若シ是ガ直ラナイ位ナラバ固ヨリ、成ル
程二百五十万圓掛ッテモ、コチラノ琴平線ヘ持ッテ行クノガ當然デアルカモ知
レナイ、「トンネル」ノ中ヲ一哩以上モ四十分ノ一ノ勾配ガ續クト云フコトハ、
是ハ例ノ無イコトハナイガ、極クイカヌ、機關車ガ空轉リヲスル、機關士ガ窒
息スル、甚シキハ列車ガ逆行シテ、ドンナ災害ヲ受ケルカモ知レマセヌ、此
一哩以上、四十分ノ一ノ勾配ガ「トンネル」ノ中ニ在ルト云フノハ最上ノ缺點
デアル、之ヲ直スコトガ出來ルカ出來ヌカ、ドウモ昨年サウ考ヘタ、今日モ
尙ホ直セサウニ思ハレル、チヨット手眞似ヲシテ御覽ニ入レマスガ、「トンネ
ル」ノ中ノ路ガ斯ンナ風ニナッテ居ル、之ヲ斯ウ小シ上ゲル、勾配ヲ弱クスル、
サウスルト「トンネル」ハ短クナル、短クナレバ工費ハ益〓減ル、併ナガラ出タ所
デ、此鐵道ガ其儘デ谷ヲ下ダレルカ、下ダレヌカガ問題デアル、私ノ見ル所デ
ハドウモ下ダレハセヌカト思ハレル、又ヨシ其谷ヲ一ツ下ダッテモ、谷ノ狹イ
所カラ廣イ所ヘ出テ、トント瀧ノヤウニ落チテハドウモ仕方ガナイ、然ルニ觀
音寺方面ハ地形ガ谷ノ狹イ所ヲ出ルト、五万分ノ一ノ參謀圖デモ分リマスガ、
ドウヤラ緩勾配ノ傾斜地ラシイ、サウスレバ其間ノ勾配ガ取レルダラウトチ
ヨット思ハレル、ソレカラソレヲ調ベテ見タ、ソレカラ若シ「トンネル」ヲ短ク
シテ、勾配ヲ弱クスル、弱クシテ今度ハ「トンネル」ヲ少シ長クスル、長クシ
テ、サウシテ低イ所カラ出始メル、卽チ南口ヲ低クシ、サウシテ「トンネル」
中ノ勾配ヲ弱クスル、サウスルト無論「トンネル」ガ長クナル、從ッテ工費ガ殖
エル、殖エマスガ、鹽人線ノ「トンネル」ガ一万三千九百尺カラデゴザイマス、
サウスルト二哩半バカリ、ソレカラ曼陀ノハ八千三百ナンボト云フノデスカ
ラ、曼陀ノ大「トンネル」ト鹽入ノ大「トンネル」ト比ベルト、長サガ一哩カラ違
フ、ソレマデニ延バス必要ガナクテ出來ルト思フ、併シサウ無暗ニ「トンネル」
ヲ延バス必要モナシ、實際唯言ッテモ、馬鹿馬鹿シクテサウ云フコトハ出來ナ
イカモ知レナイ、或ル程度マデ入口ヲ下ゲテ、或ル程度マデ出口ヲ上ゲル、サ
ウスレバ「トンネル」ノ勾配ヲ弱クシテ、而モ樂ニ下ダルコトガ出來ル、但シ
ドコヘ接續スルカガ問題デアル、是ハ强チ觀音寺ニ接續スル必要モナイ、豐
濱ニ接續スル必要モナイ、前ニ申シマシタ通リ問題ハ何デアルカ、問題ハ土
佐ノ國ヲ四國ノ北海岸ノ鐵道ヘ連絡サセテ、ソレカラ延ビテ阪神地方ニ及ビ
若クハ九州ニ及ブト云フ問題デアリマス、ドコデモ接續シテ宜シイ、ソレガ
ドウモ私ハ出來サウニ思ハレル、ソレデ昨年サウ云フコトヲ調ベテ欲シイト
云フコトヲ申述ベテ、此處デ委員長カラモ報告ガアタコトデアリマスカラ、
當局者ガ如何ニ考ヘテ居ラレルカト云フニトヲ質問ニ及ンタ、所ガ當局者ハ
全體昨年十月ニ更迭ニナッタノデスカラ、ソレカラ調ヲスルト云フノハ隨分困
難ナ事情ダト云フコトハ恐察スル、石丸副總裁ノ言フノニ、時モナカッタカラ、
併シソレハ機械ニ依ッテ調ベル必要ハナイ、自分ガ十分踏査シテ知ヲテ居ル、
是ハ石丸君ノ線路調査ニ經驗アルコト、從ッテ其地勢ノ能ク分ルコトハ私ハソ
レヲ承認シマス、承認シマスガ、此線バカリハ少シ斷言ガ過ギルト思フ、ド
ウモマダ私ハ安心ガナラヌ、ソコデサウ云フ次第デアルカラ、委員會ニ於テ
私ガ若シ決議ノ時ニ居ッタナラバ、モウ少シ調ベテ御覽ナサラヌカ、マダ昨年
デハ此工事ニ掛ルノハ十年度ト云ッテ居ッタ、デ前ノ當局者ハ所謂普及速成ノ
主義ヲ持ッテ居ッテ急ニ掛ルコトハ惡ルクハナイ、私モ土佐ヘハ早ク鐵道ヲ敷
イテヤルト云フ考デアルカラ、急グハ宜シイガ、併シ何ト云ッテモ八年度ハ
年十万圓バカリノ豫算デアッテ、而モ專ラ測量ニ從事スル、斯ウ云フコトデア
ルカラ、今直グニ鍬ヲ入レナケレバナラヌコトデナイカラ、此場合ニ於テ大
シテ費用ガ掛ルデモナク、大シタ時ヲ費スノデモナイ、更ニモウ一遍アノ線
ヲ調ベテ見テ、「トンネル」ヲ短クスレバ是〓ヘハ出ラレナイヽ「トンネル」ヲ
長クスレバ、斯ノ如クナッテ工費ガ斯ノ如ク殖エルト云フコトヲ、具體的ニ說
明ガアッタナラバ、私モ安心シテ琴平線ニ贊成スル、今日ノ場合デハドウモマ
ダ安心シテ贊成スルコトガ出來ナイ、惜イカナ二百五十万圓無駄ニ使ッテシマ
フソレヨリモ輕便鐵道ヲ三四十哩敷イタ方ガ餘ホド宜イデハナイカト云フ
念慮ガ私ノ考ニ上ル、之ヲ調ベテ見ルト云フコトハ委員會デ申述ベテ見タカ
ッタガ、其間合ガアリマセヌデ、ドナタカラカ御話ガアッタカラ、今私ガ空辯ヲ
費ス必要ハアリマセヌガ、今免ニ角說明シロト云フ委員長ノ御話ガアリマシ
タカラ、暫ク御〓聽ヲ煩ハシタ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=60
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061・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 他ニ御發言モナイト認メマスカラ、採決ヲ致シマ
ス兩案ノ第二讀會ヲ開クベシトスル諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=61
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062・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 過半數ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=62
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063・柳原義光
○伯爵柳原義光君 直チニ第二讀會ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=63
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064・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 動議ニハ贊成者ヲ要シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=64
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065・吉井幸藏
○伯爵吉井幸藏君 贊成
〔其他「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=65
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066・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 柳原伯爵ノ直チニ兩案ノ二讀會ヲ開クト云フ說ニ
御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=66
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067・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=67
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068・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開キマス、石丸鐵道院副
總裁
〔政府委員石丸重美君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=68
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069・石丸重美
○政府委員(石丸重義君) 先刻古市博士ノ此線路ニ付キマシテノ御說明ガゴ
ザイマシタガ、多少此政府ノ調ト違ッテ居リマスル所モアリマスルヤウデゴ
ザイマス甚ダ恐入リマスケレドモ、此デ少シ此線路ニニ付キマシテ御話ヲ申
上ゲテ、此眞相ヲ御了承ニナラムコトヲ願フ次第デ、今囘政府案ト致シマシ
テ此琴平、山田間ノ新線ヲ出シマシタノハ、是ハ鐵道敷設法案ノ出來マシタ當
初ニ於キマシテ、第一番ニ豫定線ヨリ繰入レラレテ居リマス香川縣下琴平ヨ
リ高知縣下高知ヲ經テ須崎ニ至ル、斯ウ云フ敷設法案ノ鐵道ニ規定セラレテ
居リマシタ次第デアリマス、其線路ヲ政府ハ是ナリト致シマシテ、今般敷設
法ヲ改正ヲ致シマシテ、此線路ヲ出シマシタ次第デゴザイマス、其地形ト經
濟ニ付キマシテハ、豫テ鐵道院當局ニ於キマシテ詳細調査ヲ致シマシタ次第
デ、都合違ヒマシタ組ヲ以チマシテ器械ヲ入レマシテ調査イタシマシタコト
ハ前後三囘デゴザイマス、尙ホ其外ニ比較踏査ヲ致シマシテ、又其線ノ調査
ヲ詳シクシタコトモゴザイマシタ、彼レ此レ四囘ノ調査ヲ經テ居ル線路デゴ
ザイマス、其上昨年政府案ト致シマシテ、此曼陀線及鹽入線ト云フモノノ比
較調査ガ········綿密ナル比較調査ガ鐵道院ニ出來マシテ、ソレガ昨年議會ニ出
マシテ、其觀音寺線ノ方ハ否決ニナリマシタ次第デゴザイマス、今囘之ニ付
キマシテハ豫テ昨年ノ議會ニ於キマシテ古市博士ノ特別ナル御註文ガゴザイ
マシテ、十分ニ調査ヲ仕直シテ見テ、サシテ尙ホ此勾配等ニ付テノ自分ノ考
ハ斯ウデアルト云フ其御考モゴザイマシタカラ、當局ニ於キマシテハソレニ
ハ十分ノ注意ヲ致シマシテ調ベタ次第デゴザイマス、但シ此器械ヲ入レテ現
場ニ參リマシテ、此線路ヲ測量スルト云フコトハ、既ニ唯今ノ鐵道院當局ニ
於キマシテハ其必要ヲ認メナイノデゴザイマス、ソレハ或ハ左右ニ少シ寄ル
トカ云フコトハソレハ出來マセウガ、大體ニ於キマシテ此線路ノ地形ヲ唯今
調ベテアルヨリ、ヨリ以上非常ニ違フ地形ニ引キ直スト云フコトハ、到底現
狀ニ於テ出來ヌト確信イタシマシタ次第デゴザイマス、ソレデ昨年調べマシ
タ所ノ其材料ヲ少シモ變化ヲ致シマセズシテ、其材料ニ依リマシテ机ノ上デ
尙ホ綿密ニ調査イタシマシタ、其結果ヲ見マスルト云フト、既ニ昨年調ベテ
アルモノニ於テ明ニ此優劣ガ見エマスル、ソレヲ申上ゲマスルト、此地形ニ
於キマシテ既ニ優劣ガ明ニナッテ居ルノデアリマス、琴平、池田間ハ長サガ實
測哩ガ十七哩七十五鎻ニナッテ居リマス、海面上ノ高サガ千二十八呎「コン
マ」二デゴザイマス、最急勾配ガ四十分ノ一ニナッテ居ル、曲線ノ最小圓徑ナ
ルモノガ十五鎻デアリマス、ソレカラ曲線一哩平均ノ總數ノ角度ノ締メ高七
十九度二十分デゴザイマス、ソレカラ線路ノ抵抗力デゴザイマス、是ガ一番我
〓技術者ト致シマシテハ重ヲ置クノデゴザイマス、是ガ一噸ニ付キマシテノ
抵抗ノ力ガ二十三「コンマ」九一八一デゴザイマス、ソレカラ之ニ依リマシテ
此曲線トソレカラ勾配、水平トソレカラ直線ニ換算イタシマシタル所ノ其線
路ノ長サガ五十四哩六十五鎖ニナッテ居リマス、是ハ實測哩十七哩七十五鎻ト
云フモノヲ此直線ト水平ニ直シマスルト、五十四哩六十五鎻ニナッタノデゴザ
イマス、依ッテ其延長率ナルモノガ三「コンマ」一一二一、斯ウ云フニトニナリ
マンチソレデ是ハ觀音寺ヨリ池田ニ至リマスル線、卽チ曼陀線ト稱シマスル
線ニ比較シマスルト、距離······實測哩ニ於キマシテハ十七哩三十鎻ニナッタノ
デアリマス、昨年ノ比較ハ觀音寺、池田間ト云フコトニナッテ居リマシタガ、
實際ニ於キマシテハ此豐浦ト云フ所カラ分岐シテ出テ居リマスノデゴザイマ
ス、サウシテ此總テノコトハ豐浦カラ比較ニナッテ居リマスカラ、公平ヲ缺イ
テ居ル、ソレ故ニ觀音寺、池田ト云ヒマスト、十七哩三十鎻ニナルノデゴザ
イマス、之ヲ琴平、池田間ニ較ベマスト、距離ニ於キマシテ僅ニ四十五鎻ダ
ケ違フノデコザイマス、ソレカラ此海面上ノ高サガ八百六十六呎「ニンマ」ノ
七七デゴザイマス、最急勾配ガ四十分ノ一、曲線ノ最小圓徑ガ十五鎻、ソレ
カラ直線一哩總數ノ曲度ガ八十度四十七分、ソレカラ平均抵抗力ハ二十六「コ
スマ」四七四九ト、斯ウナリマス、先刻古市博士ノ御話ノ中ニ此延長率ガ云
々ト云フ御讀立テニナリマシタノハ、チヨット私ニハ分リマセヌガ、多分之ヲ
仰セラレタノデハナカラウト思ヒマス、數字ガチヨット似テ居リマスカラ
是デゴザイマスレバ是ハ抵抗力デゴザイマシテ、此抵抗力ノ多イ方ガ線路ガ
惡ルイノデゴザイマス、ソレカラ此觀音寺線ナルモノハ二十六「ニンマ」何〓
ト云フノデゴザイマス、ソレカラ琴平線ハ二十二一「ニンマ」何〓ト云フコトニ
ナリマスルノデ、ソレレデ之ヲ水平直線ニ換算イタシマスル所ノ其哩數ヲ見
マスルト、五十八哩八十二鎻、斯ウ云フコトニナルノデ、サウ致シマスルト
此實際營業ヲ致シマシテ同ジ「コンヂシヨン」有樣ニ導キマシテ、サウシ
テ比較シタ長サニ於キマシテ、丁度四哩幾ラノ差ガ出テ參リマスルノデゴザ
イマス、ソレカラ延長率ガ三「コンマ」四デゴザイマス、卽チ此延長率モ觀音
寺線ノ方ガ少シ多イノデアリマス、斯ク申シテ參リマスト、此表ノ上ニ現ハ
レマスル所ノ地形ノ有樣ニ於キマシテハ、海面上ノ高サガ一方ガ高イ、斯ウ
云フコトニナリマス、此海面上ノ高サニ付テノ問題ハ是ハ其出發點ヲ同ジク
取リマセヌト、同ジ高サノコトガ論ゼラレマセヌ、ソレデ此昨年ノ比較ヲ致
シテ居リマスルノハ、一方ハ旣成琴平驛ヨリ池田ニ參リマスモノ、一方ハ既
成豐濱ヨリ池田ニ參リマスモノノ比較ニナッテ居リマスカラ、ソレ故ニ其海面
上ノ高サナルモノト、、琴平ノ高サト云フモノハ引イテ置キマシテ比較ヲ致シ
マセヌト、公平ナ比較ガ出來マセヌ、ソレデ比較ヲ致シマスルト、海面上ノ高
サガ高イ故ニ地形ガ惡ルイト云フコトノ結論ニハ參リマセヌノデゴザイマス
是ガ其地形ノ昨年ノ通リ動シマセヌ所ノ地形デゴザイマス、古市博士ノ特別
ナル御註文ニ依リマシテ、此多度津ヲ起點ニ致シマシテ調査イタシタモノガ
ゴザイマス、ソレハ今年急ニ作リマシタノデゴザイマス、ソレヲ見マスルト、
此多度津ヲ起點ニ致シマスルト、多度津ヨリ琴平ニ參リマスノニ、旣ニ海面ヨ
リ百何呎ト云フ觀音寺ニ較ベテ高クナリマス故ニ、一方觀音寺線ト云フモノ
ニ較ベマスト、此抵抗力ト云フモノガ、觀音寺線ノ方ガ減ッテ參リマス次第デ、
併ナガラ距離ニ於テ差ガ起キマスル故ニ、矢張リ其地形ニ於キマシテハ此觀
音寺線ノ方ガ、換算哩ニ於テ八哩ト七十三鎻ダケ長クナル、斯ウ云フコトニナ
ルノデゴザイマス、此八哩七十三鎻乃至四哩幾ラト申シマスモノハ將來營業
イタシマシタ後ニ時間ニ非常ナ關係ヲ及ボシ、尙ホ色〓ナコトニモ關係ヲ及
ボスノデゴザイマスガ、ソレハ先ヅ申上ゲナイコトニ致シテ、地形ダケ唯今ノ
所デハ申上ゲルコトニ致シマス、是ガザット致シマシタ詰リ地形ニ於テ琴平線
ガ觀音寺線ニ優ッテ居ルト云フコトデゴザイマス、然ラバ此地形ナルモノハ、
唯數字デ現ハレタモノデ判斷スルカト申シマスレバ、是ハ又サウ行カナイデ、
唯隧道ガドッチガ長イ、橋ガドッチガ長イ、ドウ云フ嶮シイ所ヲ通ルカト云フ
問題ガ起キテ參リマスガ、要シマスノニ此問題ハ總テ平均抵抗力デ解決ガ出
來ルノデ、幾ラ隧道ガ長クテモ、幾ラ橋ガ多クテモ、幾ラ谷ヲ廻リマシテモ、
抵抗力ノ少イ線路ガ比較イタシテ良クナリマス、卽チ此水平直線ニ換算イタ
シマシタ所ノ、其長サガ短イ方ガ良イ、斯ウ云フコトニナリマス、ソレカラ
今度ハ此線路ニ付キマシテノ經濟デゴザイマスガ、是ガ卽チ觀音寺線ノ方ハ
琴平線ニ對シマシテ二百幾十万ダケ安イ、安イガ故ニ是ガ良イ、斯ウ云フ
マア結論ニ昨年ハナッテ居リマスガ、是ハ二百五十万圓安イノニモ拘リマセ
ズ、此琴平線ト云フモノノ利益ト云フモノガ、觀音寺線ニ較ベマシテズット
宜シイノデゴザイマス、是ハ既ニ諄〓シク申上ゲルコトモゴザイマセヌガ、
唯利益ダケチヨット申上ゲマセヌト話ガ明デゴザイマセヌガ、琴平、池田間ハ
建設費ニ於キマシテ約六百三十八万圓デゴザイマス、ソレカラ豐濱、池田間
ノ豫算デハ、觀音寺カラ出マスレバ三哩幾ラカノ差ニナルカモ知レマセヌガ、
豐濱カラ分岐イタシマスカラ豐濱、池田間ノ豫算ニ致シマシテ、是ハ約三百
八十八万圓デゴザイマス、ソレカラ此琴平、池田間ノ資本建設費ニ對シマス
ル所ノ鐵道純益ナルモノハ一朱五厘六毛デゴザイマス、曼陀線ト稱シマス方
ニ出マス所ノ純益ガ一朱八毛デゴザイマス、ソレカラ鐵道利用者ノ利益ガ、
前者ハ二分四毛、後者ハ一分九厘一毛、資本ニ對スル總益ノ割合ハ三朱六厘、
後者ハ二朱九厘九毛、斯ウ云フ割ガ出マスル是ハ詰リ琴平線ノ方ガ旅客モ多
イシ、尙ホ貨物ノ集散ガ多イト云フコトガ分ルノデゴザイマス、ソレ故ニ地
形ハ此抵抗力ニ於テ既ニ一方ハ二十三、一方ハ二十六ト、其處ニ三ノ抵抗力
ノ差ガアリマシテ、尙ホ營業イタシマシテソレニ來リマスル旅客、貨物ノ調
ニ於キマシテハ、旣ニ斯ノ如キ差ガ出來テ居ルノデゴザイマス、是ハ若シ此多
度津ヲ起點ニ致シマシテ、雙方ノ地形、經濟ヲ論ズルヤウニナリマスルト、多
度津ヨリ琴平ニ至リマス此參詣者ノ利益ヲ琴平線ニ入レテ勘定イタシマシタ
ナラバ、此線ハ一割以上ノ利益ノアル線ト、斯ウ云フコトニナリマス次第デ、
是ガ今ノ經濟ノ關係デゴザイマシテ、ソレカラ尙ホ本年此委員會ニ於キマシ
テ古市博土ノ御註文デ此觀音寺線ノ方ノ隧道ヲマ少シ短クハ出來ナイカ、ソ
レハ約二十米突卽チ六十六呎上ノ方ニ行ッテ、サウシテ何トカ短クシテ顏ヲ突
出シテ、觀音寺ノ方ニ紆餘屈曲シテ勾配ハ何トカ取レマイカト云フ御話ガゴ
ザイマシタガ、ソレハ到底出來マセヌト斷言イタシマシタノデゴザイマス、
何故ナレバ唯〓ノ線デスラ八百幾ラト云フ高サニ向ッテ居リマス、其規準ノ高
サヲ尙ホ六十六呎高メテ、サウシテ勾配ヲ取ルト云フコトハ、到底ソレニ應
ズルダケノ長サヲ、此觀音寺線ノ方ニ向ッテ按排スルト云フコトハ、到底地形
ニ於テ許シマセヌ、外ニ小サイ谷デモ澤山アル所ナラバ免モ角モ、事實ニ於
テソレハ私ノ考ヘル力ニ於テハ、今ノ所ニ於テハ出來ナイト斷言イタス外ハ
仕方ガナイ、斯ウ云フコトヲ申上ゲタ次第デ、是ハ機械ヲ入レマシテモ到底
滿足ナル勾配ヲ得テ、隧道ヲ短クスルコトハ到底出來ナイト思ッテ居リマス、
然ルニ此琴平線ノ方ハ是ハ成ル程隧道ノ長サハ二哩半以上ゴザイマスルガ
併シ中ノ線路ノ勾配モ宜シウゴザイマスシ、從ッテ換算イタシマシタ所ノ延長
率モ少クナッテ來テ居ルヤウナ次第デゴザイマス、幾ラ隧道ガ長クナリマシテ
モ、又勾配ガ幾ラ四十分ノ一ガアリマシテモ、其善シ惡シヲ判斷イタシマス
所ノ此延長率及抵抗力ト云フモノハ現ニ此ニ出テ居リマス、是ハ唯見タトキ
ニ隧道ガ長イ短イ、橋ガ長イ短イト云フダケデ見テ居リマスガ、結局點ニ至
リマスト斯ウ云フ方ガ宜シイ、斯ウ云フコトニナリマス次第デアリマス、ソ
レカラ時間ノコトニ付キマシテ、此線路ハ元來局部線ト致シマシテ之ヲ比較
イタシマスレバ、ソレハ僅カ二十四哩足ラズノ所ニ、ドッチノ鐵道ヲ選プカト
云フコトニナリマスレバ、ソレハ二百五十万圓安イ方ヲ選ビマスルガ、是一
局部線デハゴザイマセス、四國ノ所謂橫斷線、四國ノ眞中ヲ突切ッテ、南街道
カラ北街道ヲ結付ケテ、尙ホ之ヲ既成山陽線ニ依ッテ大阪若クハ東京ニ行クト
云フ、一ツノ鐵道網ノ大切ナル所ノ是ハ系絡ニナッテ居ル線路デゴザイマス、
ソレ故ニ此二百五十万圓ナルモノハ、之ヲ須崎、琴平ニ割當テマスレバ、僅
カ一哩ニ致シマシテ一万足ラズノモノデゴザイマシテ、サウシテ永久此營業
費ニ於テ得ヲスル、斯ウ云フコトニナリマス、尙ホ無形ノ時間ニ於テ得ヲ致
シマスルコトガアッテ、唯普通ノ速力ヲ以テ行クコトニシテ比較シテ見マスル
ト、觀音寺ノ線ヲ通リマスル方ハ丁度十八分乃至二十分、多度津ニ出マスルノ
ニ違ヒマス、琴平線ノ方ハソレダケ早ク著クト、斯ウ云フコトニナリマスル
ノデ、之ニ付キマシテハマダ色〓ナ細カイ材料モゴザイマスルガ、餘リ申上
ゲル必要モ無イヤウデゴザイマスルカラ、是ダケ申上ゲテ置キマスルガ、今
ノ技術上ノ問題ニ付キマシテ、唯今御聽ニ達シマシタヨワ外ニ、マダ技術家
ト致シマシテハ申上ゲタイヤウニ思フコトモゴザイマスガ、是ハ餘リ細カク
ナリマシテ、此處デ御〓聽ヲ煩ハスノハ誠ニ恐多イ次第ト思ヒマスカラ、是
ハ略シマスガ、斯ノ如キ次第デゴザイマシテ、此調査ニ於キマシテハ十分私
ハ盡シテ居ルト存ジテ居リマス、併ナガラ委員會ノ席ニ於キマシテ、先輩古
市博士ヨリ懇々、愈〓ヤル時ニハ今一度調ベタラ宜カラウト云フコトヲ御言ヅ
ケモゴザイマシタカラ、ソレハ私ハ服膺イタシマシテ、尙ホ實測ニ於キマシ
テバ自分ガ自ラ參リマシテ、サウシテ能ク是ハ調ベル積リデ居リマス、斯樣
ナ次第デゴザイマシテ、此調査ト及其算盤ニ於キマシテハ、誤ガ無イヤウニ思
ヒマスルデ、其事ヲチヨット御說明旁〓申上ゲテ置ク次第デゴザイマス、サンチ
古市博士ノ仰セラレマシタ延長率ト云フノハ、ドウモ餘程私考ヘマスルガサ
ウ云フ數ガ出マセヌノデゴザイマスガ、或ハ抵抗力ノ御間違デハナカラウカ
ト唯思ヒマスル次第デ、後刻何レ〓ヲ請フコトニ致シタイ思ヒマス、甚ダ·発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=69
-
070・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 兩案トモ全部ヲ問題ニ供シマス、全部原案ニ御異
存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=70
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071・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=71
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072・柳原義光
○伯爵柳原義光君 直チニ第三讀會ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=72
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073・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=73
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074・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 直チニ第三讀會ヲ開イテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=74
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075・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=75
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076・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 兩案トモ第二讀會ノ決議通リデ御異存ゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=76
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077・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=77
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078・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第十六、北海道舊土人保護法中改正法律案、
政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ續、委員長報告
北海道舊土人保護法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
大正八年三月一日
右特別委員副委員長
伯爵〓棲家〓
貴族院議長公爵德川家達殿
〔伯爵〓棲家〓君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=78
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079・清棲家教
○伯爵〓棲家〓君 本日ハ該法案ノ委員長ガ缺席デゴザイマスカラ、私ヨリ
申上ゲマス、極ク成ルベク簡單ニ申上ゲヤウト存ジマス、北海道舊土人保護
法ト云フモノハ、現行法トシテ施行サレテ居ルノデゴザイマス、此度提出ニ
ナリマシタ理由ハ、本議場ニ於キマシテ當局大臣ヨリ御說明ニナッタト同樣ノ
コトヲ委員會ニ於キマシテモ政府委員ヨリ御說明ニナリマシタコトデアリマ
スカラ、私ハ重ネテ申上ゲルコトハ差控ヘマス、又此法案ニ付キマシテ豫算
ニ牽聯ヲシテ居リマス、此點モ豫算ニ關係ノコトハ私ヨリ申上ゲルコトハ差
控ヘマス、要スルニ此法案ハ現行法ニ於キマシテ僅ナ缺點ガゴザイマスガ爲
ニ、改正案トシテ提出サレマシテ、卽チ舊土人ガ一万八千人程居ルサウデゴ
ザイマス、是等ノ土人ハ誠ニ知識ニ於キマシテ幼稚デアリマスルガ爲ニ、病
氣又ハ傷ヲ致シマシテモ相當ノ治療ヲ施サナイ、故ニ現行法ニ於キマシテハ
病氣ヲシタ時ニハ相當ノ治療ヲスルコトニナッテ居リマスルガ、此度ノ此改正
案ニ於キマシテ、傷ヲシタ者マデニモ相當ナル保護ヲシテヤルト云フ、卽チ
此傷ヲシタ者ト云フダケガ、此改正案ノ要旨デゴザイマス、極ク極メテ簡單
ナモノデゴザイマス、委員會ハ二囘開キマシタガ、全會一致ヲ以テ可決スベ
キモノト議了シタ次第デゴザイマス、此段御報〓申上ゲマス、尙ホ前申上ゲ
マシタヤウナ、簡單ナ法案デゴザイマスカラ、望ムラクハ讀會ヲ省略セラレ
マシテ、決議アラムコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=79
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080・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 本案ノ第二讀會ヲ開クベシトスル諸君ノ起立ヲ請
ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=80
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081・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 過半數ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=81
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082・清棲家教
○伯爵〓棲家〓君 直チニ第二讀會ヲ開カレムコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=82
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083・細川護立
○候爵細川護立君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=83
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084・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 直チニ第二讀會ヲ開イテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=84
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085・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=85
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086・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 全部ヲ問題ニ供シマス、全部原案ニ御異存ゴザイ
マセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=86
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087・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=87
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088・清棲家教
○伯爵〓棲家〓君 直チニ第三讀會ヲ開カレムコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=88
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089・細川護立
○候爵細川護立君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=89
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090・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 直チニ第三讀會ヲ開イテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=90
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091・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 第二讀會ノ決議通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=91
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092・徳川家達
○議長(公爵德川家逹君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=92
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093・徳川家達
○議長 公爵德川家達君)日程第十七、利息制限法中改正法律案、衆議院提
出、第一讀會
利息制限法中改正法律案
右本院提出案及送付候也
大正八年三月四日
衆議院議長大岡育造
貴族院議長公爵德川家達殿
利息制限法中改正法律案
利息制限法中左ノ通改正ス
第二條中「元金百圓以下ハ一ケ年ニ付百分ノ二十訂百圓以上千圓以下百分
ノ十五罰千圓以上百分ノ十二割以下トス」ヲ「元金百圓未滿ハ一ケ年
五分二分
ニ付百分ノ十五一割百圓以上千圓未滿ハ百分ノ十二一個千圓以上百分ノ
五分
一十割以下トス」ご 人発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=93
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094・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 特別委員ノ氏名ヲ書記官ヲシテ朗讀イタサセマス
〔岡書記官朗讀〕
利息制限法中改正法律案特別委員
伯爵副島道正君子爵外山光庸君子爵京極高備君
淺田德則君男爵橫山隆俊君男爵二條正麿君
加太邦憲君大谷嘉兵衞君藤本閑作君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=94
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095・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第十八、未成年者飮酒取締法案、衆議院提出、
第一讀會
未成年者飮酒取締法案
右本院提出案及送付候也
大正八年三月四日
衆議院議長大岡育造
貴族院議長公爵德川家達殿
未成年者飮酒取締法
第一條未成年者ハ酒類ヲ飮用スルコトヲ得ス
未成年者其ノ自用ニ供スル爲酒類及器具ヲ所持スルトキハ行政ノ處分ヲ
以テ之ヲ沒收ス
第二條營業上酒類ヲ供給スル者ハ未成年者ニ酒類ヲ飮用セシメ又ハ其ノ
自用ニ供スルコトヲ知リテ之ヲ販賣若ハ給與スルコトヲ得ス
第三條前條ニ違反シタル者ハ十圓以下ノ科料ニ處ス
第四條營業上酒類ヲ供給スル者ハ家族、雇人其ノ他ノ從業者ニシテ未成
年者ニ酒類ヲ飮用セシメ又ハ其ノ自用ニ供スルコトヲ知リテ之ヲ販賣若
ハ給與シタルトキハ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ處罰ヲ免ルルコト
乙四、
第五條營業上酒類ヲ供給スル者ニシテ未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ
本法ニ依リ之ニ適用スヘキ罰則ハ之ヲ法定代理人ニ適用ス但シ營業ニ關
シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第六條法人ノ代表者其ノ他ノ從業者法人ノ業務ニ關シ本法ニ違反シタル
トキハ其ノ罰則ヲ法人ニ適用ス
法人ヲ處罰スヘキ場合ニ於テハ法人ノ代表者ヲ以テ被〓人トス
附則
本法ハ大正八年四月一日ヨリ之ヲ施行ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=95
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096・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 特別委員ノ氏名ヲ書記官ヲシテ朗讀イタサセマス
〔岡書記官朗讀〕
未成年者飮酒取締法案特別委員
伯爵小笠原長幹君子爵今城定政君子爵大浦兼一君
小野田元凞君三宅秀君岡田文次君
鎌田榮吉君星島謹一郞君竹村與右衞門君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=96
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097・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第十九ヨリ第二十六マデ請願會議
〔左ノ意見書案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス〕
意見書案
釧路相生間鐵道敷設ノ件
北海道網走郡美幌村平民農甲斐孫七郞外四百七十七名呈出
右ノ請願ハ北見國相生ヨリ釧路國釧路港ニ至ル地方ハ網走阿寒兩川ノ流域
ニシテ面積廣大、地味肥沃、林產鑛產ニ富ミ風光明媚ニシテ移民遊客ノ來
往多キヲ以テ兩地ヲ連絡スル鐵道ヲ敷設スルハ是等ノ富源ヲ開發スル所以
ナルノミナラス網走釧路間ノ距離ヲ短縮シ且近ク敷設セラルヘキ美幌相生
間輕便鐵道ノ效果ヲ完ウセシムルモノナルヲ以テ速ニ同鐵道ヲ敷設セラレ
タシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ
議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
大正八年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣原敬殿
意見書案
熊阪信號所ヲ停車場ニ變更ノ件
福井縣坂井郡坪江村平民農山本庄右工門外四百十九名呈出
右ノ請願ハ北陸本線細呂木驛ト大聖寺驛トノ中間ニ在ル熊阪信號所ハ待避
線ノ設備ヲ有スルヲ以テ之ヲ停車場ニ變更セラルルニ於テハ附近ニ於ケル
豐富ナル海陸ノ天產物ノ利用ヲ增シ多數ノ學校生徒ニ通學ノ便ヲ與ヘ其ノ
他吉崎御坊ニ參詣スル者ノ利ヲ圖ル等大ニ地方ノ利便ヲ進ムルヲ以テ同信
號所ヲ停車場ニ變更セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇
スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別冊及送付候也
大正八年月日
貴族院議長公爵德川家逹
內閣總理大臣原敬殿
意見書案
三刀屋郵便局ニ電信開始ノ件
島根縣飯石郡三刀屋村平民商南京正三郞外十五名呈出
右ノ請願ハ島根縣飯石郡三刀屋村ハ松江ヨリ廣島ニ至ル衝路ニ當リ人家多
ク車馬ノ來往頻繁ニシテ郡內ニ於ケル產物ノ集散場ナリ然ルニ村內郵便局
ニハ電信事務ノ取扱ナク該事務ハ遠隔ナル大原郡木次局ノ管轄ニ屬シ斐伊
川出水ノ際ハ交通屢杜絕シ村民ノ不便一方ナラサルヲ以テ三刀屋郵便局ニ
電信事務ヲ開始セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘ
キモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
大正八年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣原敬殿
意見書案
軍人恩給法中改正ノ件
栃木縣宇都宮市西塙田町平民無職業陸軍步兵中佐石井良吉外五名呈出
靜岡縣駿東郡沼津町無職業陸軍步兵中佐山田重郞外一名呈出
東京市豐多摩郡澁谷町士族陸軍步兵中佐井坂藝外十一名呈出
右ノ請願ハ軍人恩給法ハ數度ノ改正ヲ經テ殆ト公平ヲ得タルモ尙明治二十
三年勅令第二十四號ニ依リ特ニ官等ヲ進メラレタル者ニシテ其ノ官等ニ相
當スル恩給ヲ得サルハ文官退職ノ場合若ハ近來陸海軍人ノ現役ヲ去ル場合
ニ於テ優遇ノ方法ヲ採ラルルニ比シ權衡ヲ失スルヲ以テ彼此厚薄ノ差ナキ
ヤウ同法ヲ改正セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘ
キモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
大正八年月日
貴族院議長公爵德川家逹
內閣總理大臣原敬殿
意見書案
養殖事業奬勵ニ關スル件
靜岡縣磐田郡中泉町平民農川島瀧藏外五名呈出
右ノ請願ハ我國ニハ養殖事業ニ適スル干潟、池沼、汐溜等多キニ拘ラス斯
業ノ發達セサルハ天然資源ノ開發上遺憾ナルヲ以テ政府ニ於テ適地ヲ調査
シ利用方法ヲ指導シ事業經營者ニ對シテハ補助金ヲ交付スル等之ヲ奬勵セ
ラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候
因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
大正八年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣原敬殿
意見書案
水產試驗場設置ノ件
靜岡縣磐田郡中泉町平民農川島瀧藏外五名呈出
右ノ請願ハ水產ノ試驗ニ關シテハ水產講習所及府縣立水產試驗場ニ於テ其
ノ一部ヲ行フト雖互ニ連絡ヲ闕クカ爲試驗方法ノ統一ナク且經費不足ニシ
テ其ノ成績佳良ナラサルハ遺憾ナルヲ以テ海面ノ狀況ニ依リ各國ヲ數區ニ
分畫シ各區ニ國立水產試驗場ヲ設置セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願
意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及
送付候也
大正八年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣原敬殿
意見書案
大正六年法律第六號軍人恩給法附則改正ノ件
愛知縣名古屋市中區橫三藏町五丁目退役陸軍步兵少尉加藤光春外三十
五名呈出
右ノ請願ハ大正六年法律第六號ヲ以テ軍人恩給法ヲ改正シテ恩給ヲ受クル
ノ事由カ明治四十四年三月以前ニ生シタルト同年四月以後ニ生シタルトニ
依リ支給額ヲ異ニスルノ不公平ヲ除去セラレタルモ尙扶助料ハ大正九年分
ヨリ退職恩給又ハ免除恩給ハ同十一年分ヨリ初メテ增加セラレタル全額ヲ
給セラルルハ物價暴騰セル今日ニ於テ受領權利者ノ甚苦痛トスル所ナルヲ
以テ大正八年一月ヨリ十二月迄ノ分ヨリ增加セラレタル全額ヲ支給セラル
ルヤウ同法附則第五項及第六項ヲ改正セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ
願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册
及送付候也
大正八年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣原敬殿
意見書案
稚內築港ノ件
北海道宗谷郡稚内町商藤野和平外百六十五名呈出
右ノ請願ハ北海道稚內港ハ將ニ成ラムトスル宗谷天鹽兩線鐵道ノ完成ヲ俟
チテ海陸運送ノ中樞タラムトス而シテ同港ノ修築ハ曩ニ北海道拓殖計畫ノ
一部トシテ企圖セラレタルニ後又同道鐵道速成ノ犧牲ニ供セラレ廢棄セラ
レタルハ交通上竝國防上甚遺憾ナルヲ以テ速ニ同港ノ修築ヲ決定シ工事ニ
著手セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議
決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別冊及送付候也
大正八年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣原敬殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=97
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098・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 何レモ請願委員長ノ報告通リデ御異議ゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=98
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099・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス、次ノ議事日程ハ決定次第
御通知ニ及ビマス、本日ハ是ニテ散會
午後零時二十一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01519190307&spkNum=99
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