1. 会議録本文
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000・会議録情報
大正八年三月十日（月曜日）
午前十時九分開議
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議事日程 第十六號 大正八年三月十日
午前十時開議
第一 伯爵奥平昌恭君、三木與吉郎君請暇の件
第二 請願委員長報告
第三 衆議院議員選擧法中改正法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會
第四 大正六年法律第六號中改正法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會の續（委員長報告）
第五 史蹟名勝天然紀念物保存法案（侯爵徳川頼倫君外六名發議） 第一讀會
第六 工業原料植物研究所設置に關する建議案（侯爵徳川頼倫君外六名發議） 會議
第七 下關港修築の請願 會議
第八 喫煙取締法制定の請願 會議
第九 八戸町より久慈町を經て野田村に達する輕便鐵道敷設の請願 會議
第十 天鹽線を稚内より起工速成の請願 會議
第十一 大正六年法律第六號軍人恩給法附則改正の請願 會議
第十二 帝國在郷軍人會國庫補助の請願 會議
━━━━━━━━━━━━━発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=0
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001・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ報〓ヲ致サセマス
〔岡書記官朗讀〕
去ル七日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出案ハ卽日裁可ヲ奏請シ又可決
ノ旨ヲ衆議院ニ通知セリ
事業公債金特別會計法案
臨時國庫證劵法中改正法律案
朝鮮事業公債法中改正法律案
臺灣事業公債法中改正法律案
造幣局据置運轉資本增加及設備擴張費ニ關スル法律案
鐵道敷設法中改正法律案
北海道鐵道敷設法中改正法律案
北海道舊土人保護法中改正法律案
同日本院ニ於テ採擇スヘキモノト議決シタル釧路相生間鐵道敷設ノ請願外
七件ノ請願ハ各意見書ヲ附シ卽日之ヲ政府ニ送付セリ
同日請願委員長ヨリ左ノ報〓書ヲ提出セリ
請願委員會特別報告第五號
一昨八日特別委員會ニ於テ當選シタル正副委員長ノ氏名左ノ如シ
精神病院法案外二件特別委員會
委員長候爵花山院親家君副委員長北里柴三郞君
同日議員候爵德川賴倫君外六名ヨリ六十九名ノ贊成ヲ以テ左ノ法律案ヲ發
議セリ
史蹟名勝天然紀念物保存法案
同日議員候爵德川賴倫君外六名ヨリ四十五名ノ贊成ヲ以テ工業原料植物〓
究所設置ニ關スル建議案ヲ發議セリ
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
衆議院議員選擧法中改正法律案発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=1
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002・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ會議ヲ開キマス、去ル七日本院議員三島子
爵ノ薨去ノ報ニ接シマシタ、洵ニ痛惜ノ至ニ堪ヘマセヌ、依ッテ弔辭ヲ贈リタ
イト存ジマス、御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=2
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003・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=3
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004・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第一、伯爵奧平昌恭君、三木與吉郞君請暇ノ
件、奧平伯爵病氣ニ付キ十一日間ノ請暇デゴザイマス、許可イタシテ御異存
ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=4
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005・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 御異議ナイト認メマス、此際諸君ニ申上ゲマスガ、
三木君ノ請暇ハ申出ヲ取消サレマシタカラ、議事日程カラ削除イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=5
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006・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第二、請願委員長報告、細川候爵
〔候爵細川護立君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=6
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007・細川護立
○侯爵細川護立君 前囘御報告申上ゲマシタ後、即チ二月九日ヨリ三月八日
マデ委員會四囘、分科會十七囘開キマシタ、請願文書表ノ報告及特別報告ハ
各〓四囘デゴザイマス、請願書ノ受領件數カ百六十七件、二百六十九通、同ジ
ク連署人名數ガ一万六千九十名デゴザイマス、審査ノ經過及結果ヲ申上ゲマ
スレバ、第一囘報〓ノ際ニ文書表ニ揭載イタシマシタモノノ內、審査未了ノ
モノ五十七件、九十一通、第一囘報告後請願文書表ニ揭載シマシタ數ガ百四
十六件、二百十四通、合計二百三件、三百五通、此内院議ニ付スベシト決議
イタシタモノガ三十六件、六十五通、院議ニ付スルヲ要セズト議決イタシタ
モノガ三十七件、五十通、審査未了ノモノ百三十件、百九十通、請願文書表
ニ未ダ揭載イタシマセヌモノガ三十七件、八十七通デゴザイマス、尙ホ請願
文書ヲ御紹介ノ御方ハ成ルベク今月十五日マデニ願ヒタイト存ジマス、此段
申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=7
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008・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 唯今議長ガ申落シマシタガ、三島子爵ノ薨去ノ結
果、豫算委員ニ缺員ヲ生ジマシタ、第四部ニ於テ其補關選擧ヲ速ニ行ハレム
コトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=8
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009・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第三、衆議院議員選擧法中改正法律案、政府
提出、衆議院送付、第一讀會、本日モ通牒文ノ朗讀ハ省略イタシタイト存ジ
〒や、御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=9
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010・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス
〔左ノ送付文及議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス以下之
ニ傚フ〕
衆議院議員選擧法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
大正八年三月八日
衆議院議長大岡育造
貴族院議長公爵德川家達殿
衆議院議員選擧法中改正法律案
小字ハ衆議院ノ修正、)
ハ同削除ノ符號ナリ
衆議院議員選擧法中左ノ通改正ス
第三條中「町村ノ事務ノ全部」ノ下ニ「又ハ役場事務」ヲ加フ
第五條削除
第六條郡市長ハ選擧長トナリ選擧會ニ關スル事務ヲ擔任ス
一選擧區數郡市ニ渉ルトキハ地方長官ハ關係郡市長ノ一人ヲシテ選擧
長タラシムヘシ
第八條第二號及第三號ヲ左ノ如ク改ム
二選擧人名簿調製ノ期日迄引續キ滿六箇月以上同一選擧區內ニ住所ヲ
有スル者
三選擧人名簿調製ノ期日迄引續キ滿一年以上直接國稅三圓以上ヲ納ム
ル者
家督相續ニ依リ財產ヲ取得シタル者ニ付テハ其ノ財產ニ付被相續人
ノ爲シタル納稅ヲ以テ其ノ者ノ爲シタル納稅ト看做ス
第九條中「年限」ヲ「期間」ニ改ム
第十一條第三號ヲ左ノ如ク改ム
三六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者
四六年未滿ノ懲役又ハ禁錮ノ刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ
受クルコトナキニ至ル迄ノ者
第十三條第二項ヲ左ノ如ク改ム
政府ニ對シ請負ヲ爲ス者及其ノ支配人又ハ主トシテ同一ノ行爲ヲ爲ス法
人ノ無限責任社員、役員及支配人ハ被選擧權ヲ有セス
前項ノ役員トハ發起人、取締役、監査役及之ニ準スヘキ者竝〓算人ヲ謂フ
第十四條中「選擧區內」ヲ「關係郡市内」ニ改ム
第十八條中「生年月」ヲ「生年月日」ニ改ム
第三十四條中「投票簿ニ捺印シ」ヲ削ル
第四十二條投票管理者ハ一名又ハ數名ノ投票立會人ト共ニ町村ノ投票區
又ハ郡ト合セテ選擧區ヲ爲ス市ノ投票區ニ於テハ投票ノ翌日迄ニ、其ノ
他ノ投票區ニ於テハ投票ノ當日投票函、投票錄及選擧人名簿ヲ選擧長ニ
送致スヘシ
第四十三條中「開票」ヲ「選擧會」ニ改ム
第四十四條中「「選擧長ニ」ヲ「選擧長ヲ經テ地方長官ニ」ニ、「選擧長ハ」ヲ「地
方長官ハ」ニ改ム
第五十條但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ投票管理者ハ投票所ノ秩序ヲ紊ルノ虞ナシト認ムル場合ニ於テ投票
ヲ爲サシムルヲ妨ケス
第六章選舉會
第五十一條選擧會ハ選擧長ノ屬スル郡市役所又ハ地方長官ノ許可ヲ得テ
選擧長ノ指定シタル場所ニ之ヲ開ク
第五十二條選擧長ハ豫メ選擧會ノ場所及日時ヲ告示スベシ
第五十三條地方長官ハ各選擧區內ニ於ケル選擧人中ヨリ三名以上七名以
下ノ選擧立會人ヲ選任シ選擧會ノ期日ヨリ少クトモ三日前ニ之ヲ本人ニ
通知シ選擧會ニ參會セシムヘシ
選擧立會人ハ正當ノ事故ナクシテ其ノ職ヲ辭スルコトヲ得ス
第五十四條選擧長ハ總テノ投票函ノ送致ヲ受ケタル日ノ翌日選擧會ヲ開
キ選擧立會人立會ノ上投票函ヲ開キ投票ノ總數ト投票人ノ總數トヲ計算
スヘシ
第五十五條中「開票管理者」ヲ「選擧長」ニ、「開票立會人」ヲ「選擧立會人」ニ
メ左ノ一項ヲ加フ
改ム
一選擧區數郡市ニ渉ルトキハ各郡市別ニ前項ノ手續ヲ爲スヘシ
第五十六條選擧人ハ其ノ選擧會ノ參觀ヲ求ムルコトヲ得
中「開票立會人」ヲ「選擧立會人」ニ、「開票管理者」ヲ「選擧長」ニ改ム
第五十七條投票ノ效力ハ選舉立會人ノ意見ヲ聽キ選擧長之ヲ決定スヘシ
第五十八條ニ左ノ二號及一項ヲ加フ
六被選擧人ノ氏名ヲ自書セサルモノ
七衆議院議員ノ職ニ在ル者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
前項第七號ノ規定ハ第七十四條又ハ第七十八條ノ規定ニ依ル選擧ノ場合
ニ限リ之ヲ適用ス
メ左ノ一項ヲ加フ
第五十九條中「開票管理者」ヲ「選擧長」ニ改〓
一選擧區數都市ニ渉ルトキハ各郡市別ニ前項ノ手續ヲ爲スヘシ
第六十條選擧長ハ選舉錄ヲ作リ選擧會ニ關スル〓末ヲ記載シ選擧立會人
ト共ニ署名シ投票錄ト併セテ議員ノ任期間之ヲ保存スヘシ
選擧ノ一部無效トナリ更ニ選擧ヲ行ヒタル場合ニ於ケル選擧會ニ於テハ其ノ投票
ノ效力ヲ決定スヘシ
第六十一條削除
第六十二條中「開票」ヲ「選擧會」ニ改ム
第六十三條中「開票所」ヲ「選擧會場」ニ改ム
第七章削除
第六十四條削除
第六十五條削除
第六十六條削除
第六十七條削除
第六十八條削除
第六十九條削除
第七十條第二項乃至第五項ヲ左ノ如ク改ム
當選人ヲ定ムルニ當リ得票數同シキトキハ年齡多キ者ヲ取リ年齡モ亦同
シキトキハ選擧會ニ於テ選擧長抽籤シテ之ヲ定ム
選擧訴訟若ハ當選訴訟ノ結果更ニ選擧ヲ行フコトナクシテ當選人ヲ定ム
ヘキ場合ニ於テハ選擧會ヲ開キ之ヲ定ムヘシ
當選人當選ヲ辭シタルトキ、死亡者ナルトキ又ハ選擧ニ關スル犯罪ニ依
リ刑ニ處セラレ其ノ當選無效トナリタルトキ其ノ當選人第二項ノ規定ニ
依リ當選人トナリタル者ナル場合ニ於テハ選擧會ヲ開キ其ノ規定ノ適用
ヲ受ケタル他ノ得票者ニ就キ當選人ヲ定ムヘシ
前二項ノ場合ニ於テハ第五十四條第五十五條第五十七條乃至第五十九條
○第六十一條
○ノ規定ヲ適用セス
第七十一條當選人定マリタルトキハ選擧長ハ直ニ當選人ニ當選ノ旨ヲ〓
知シ同時ニ當選人ノ氏名、得票數及選擧人名簿ニ記載セラレタル者ノ總
數其ノ他選擧ノ〓末ヲ地方長官ニ報告スヘシ
當選人ナキトキ又ハ當選人議員ノ定數ニ達セサルトキハ選擧長ハ直ニ其
ノ旨ヲ地方長官ニ報告スヘシ
第七十二條ニ左ノ一項ヲ加フ
選擧長第一項ノ規定ニ依ル屆出ヲ受ケタルトキハ直ニ其ノ旨ヲ地方長官
ニ報告スヘシ
第七十四條左ニ揭クル事由ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ更ニ選擧ヲ行フ
コトナクシテ當選人ヲ定メ得ルトキ又ハ左ニ揭クル其ノ他ノ事由ニ依リ
若ハ第七十八條第四項ノ規定ニ依リ選擧ノ期日ヲ告示シタルトキヲ除クノ
外地方長官ハ選擧ノ期日ヲ定ノ豫メ之ヲ〓示シ更ニ選擧ヲ行ハシムヘシ
-當選人ナキトキ又ハ當選人議員ノ定數ニ達セサルトキ
二當選人當選ヲ辭シタルトキ又ハ死亡者ナルトキ
三選擧訴訟若ハ當選訴訟ノ結果ニ依リ當選人ナキニ至リ又ハ當選人議
員ノ定數ニ達セサルニ至リタルトキ
四當選人選擧ニ關スル犯罪ニ依リ刑ニ處セラレ其ノ當選無效トナリタ
ルトキ
選擧訴訟若ハ當選訴訟ノ出訴期間ハ前項ノ規定ニ依ル選擧ヲ行フコ
トヲ得ス其ノ出訴アリタル場合ニ於テ訴訟繫屬中亦同シ
第七十八條議員ニ關員ヲ生シタルトキハ內務大臣ハ地方長官ニ其ノ補闕
ノ手續ヲ爲スヘキ旨ヲ命スヘシ
地方長官ハ第七十四條ノ規定ニ依リ選擧ノ期日ヲ告示シタルトキヲ除ク
ノ外前項ノ規定ニ依ル命ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ補闕選擧ヲ行ハ
シムヘシ但シ第七十條第二項ノ規定ニ依リ當選人トナリタル議員闕員ト
ナリタルトキハ直ニ其ノ旨ヲ選擧長ニ通知スヘシ
選擧長ハ前項但書ノ規定ニ依ル通知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以内ニ第七
十條第四項及第五項ノ規定ヲ準用シ當選人ヲ定ムヘシ
補關選擧ノ期日ハ地方長官豫メ之ヲ告示スヘシ
第七十四條第二項ノ規定ハ補關選擧ニ之ヲ準用ス
第八十二條ニ左ノ一項ヲ加フ
當選訴訟ノ裁判確定前當選人死亡シタルトキハ檢事ヲ被〓トス
第八十四條ニ左ノ一項ヲ加ヘ之ヲ第一項トス
選擧訴訟若ハ當選訴訟ノ出訴アリタルトキハ裁判所ハ其ノ旨ヲ內務大臣
ニ通知スヘシ訴訟ノ繫屬セサルニ至リタルトキ亦同シ
第八十六條中「十圓以上五十圓以下ノ罰金」ヲ「五十圓以下ノ罰金」ニ改ム
第八十七條左ノ各號ニ揭クル行爲ヲ爲シタル者ハ一年以下ノ禁錮又ハ二
百圓以下ノ罰金ニ處ス
-議員候補者カ投票ヲ得ル目的ヲ以テ選擧人又ハ選擧運動者ニ對シ金
錢物品、手形其ノ他ノ財產上ノ利益又ハ公私ノ職務ノ供與若ハ其
ノ供與ノ約束ヲ爲シ又ハ其ノ供與ノ申込ヲ爲シタルトキ
二議員候補者カ投票ヲ得ル目的ヲ以テ選擧人又ハ選擧運動者ニ對シ酒
食、遊覽等其ノ方法及名義ノ何タルヲ問ハス饗應接待若ハ其ノ饗應
接待ノ約束ヲ爲シ又ハ其ノ饗應接待ノ申込ヲ爲シタルトキ
三議員候補者カ投票ヲ得ル目的ヲ以テ選擧人ニ對シ投票所ニ往復スル
爲ノ船車馬ノ類ノ供給旅費休泊料ノ類ノ代辨若ハ其ノ供給代辨ノ約
束ヲ爲シ又ハ其ノ供給代辨ノ申込ヲ爲シタルトキ
四議員候補者カ投票ヲ得ル目的ヲ以テ選擧人又ハ選擧運動者ニ對シ選
擧人若ハ選擧運動者又ハ其ノ關係アル社寺、學校、會社、組合、市
町村等ニ對スル用水、小作、債權、寄附其ノ他利害ノ關係ヲ利用シ
テ誘導ヲ爲シタルトキ
五議員候補者若ハ選舉運動者カ投票ヲ爲サシメサル目的ヲ以テ又ハ選
擧運動者カ議員候補者ノ爲ニ投票ヲ爲サシムル目的ヲ以テ第一號乃
至第三號ノ供與饗應接待供給代辨若ハ其ノ約束ヲ爲シ又ハ第一號乃
至第三號ノ申込若ハ前號ノ誘導ヲ爲シタルトキ
六議員候補者又ハ選擧連動者カ議員候補者ヲシテ議員候補者タルコト
ヲ止メシメ又ハ選舉運動者ヲシテ選擧運動ヲ止メシムル目的ヲ以テ
其ノ者ニ對シ第一號ノ供與其ノ供與ノ約束若ハ其ノ供與ノ申込ヲ爲
シタルトキ又ハ其ノ者若ハ其ノ者ニ關係アル社寺、學校、會社、組
合、市町村等ニ對スル用水、小作、債權、寄附其ノ他利害ノ關係ヲ
利用シテ誘導ヲ爲シタルトキ
七投票ヲ爲シ若ハ爲ササルコト議員候補者タルコトヲ止メタルコト選
擧運動ヲ爲シ若ハ止メタルコト又ハ其ノ周旋勸誘ヲ爲シタルコトノ
報酬ト爲ス目的ヲ以テ議員候補者又ハ選擧運動者カ選擧人、議員候
補者又ハ選擧運動者ニ對シ第一號ノ供與若ハ第二號ノ饗應接待、其
ノ供與若ハ饗應接待ノ約束又ハ其ノ供與若ハ饗應接待ノ申込ヲ爲シ
タルトキ
八第一號乃至第三號前三號ノ供與饗應接待供給代辨ヲ受ケ若ハ要求シ
又ハ第一號乃至第三號前三號ノ申込ヲ承諾シ若ハ第四號乃至第六號
ノ誘導ニ應シタルトキ
九第一號乃至前號ニ揭クル行爲ニ關シ周旋又ハ勸誘ヲ爲シタルトキ
前項ノ場合ニ於テ收受シタル利益ハ之ヲ沒收ス其ノ全部又ハ一部ヲ沒收
スルコト能ハサルトキハ其ノ價額ヲ追徵ス
第八十八條選擧ニ關シ左ノ各號ニ揭クル行爲ヲ爲シタル者ハ二年以下ノ
禁錮又ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
-選擧人、議員候補者又ハ選擧運動者ニ對シ暴行若ハ脅迫ヲ加ヘ又ハ
之ヲ拐引シタルトキ
二選擧人、議員候補者若ハ選擧運動者ノ往來ノ便ヲ妨ケ又ハ詐僞ノ方
法ヲ以テ投票若ハ選擧運動ヲ妨ケ、爲サシメ若ハ止メシメタルトキ
三選擧人、議員候補者若ハ選擧運動者又ハ其ノ關係アル社寺、學校、
會社、組合、市町村等ニ對スル用水、小作、債權、寄附其ノ他利害
ノ關係ヲ利用シテ選擧人、議員候補者又ハ選擧運動者ヲ威逼シタル
トキ
第八十九條中「二月以上二年以下ノ輕禁錮ニ處シ五圓以上百圓以下ノ罰金
ヲ附加ス」ヲ「二年以下ノ禁錮又ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス」ニ改メ同條
二
ニ左ノ」項ヲ加フ
選擧ニ關シ官吏又ハ吏員故意ニ其ノ職務ノ執行ヲ怠リ又ハ職權ヲ濫用シテ選擧ノ自由ヲ妨害シ
タルトキハ二年以下ノ禁錮ニ處ス
官吏又ハ吏員其ノ職權ヲ濫用シ選擧人ニ對シ其ノ投票セムトシ又ハ投票
シタル被選擧人ノ氏名ノ表示ヲ强要シタルトキハ三月以下ノ禁錮又ハ百
圓以下ノ罰金ニ處ス
第九十條中「開票所」ヲ「選擧會場」ニ、「一月以上一年以下ノ輕禁錮ニ處シ又
ハ十圓以上百圓以下ノ罰金」ヲ「一年以下ノ禁錮又ハ二百圓以下ノ罰金」ニ、
「投票ヲ取出シタル者ノ罰亦前項ニ同シ」ヲ「投票ヲ取出シタル者ハ三年以
下ノ禁錮又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス」ニ改ム
第九十一條中「暴行」ヲ「暴行若ハ脅迫」ニ、「四月以上四年以下ノ輕禁錮」ヲ
「四年以下ノ輕禁錮」ニ改メ「開票管理者、L、「、開票所」及第二項ヲ削ル
第九十二條多衆聚合シテ第八十八條第一號又ハ前條ノ罪ヲ犯シタル者ハ
左ノ區別ニ從テ處斷ス
一首魁ハ一年以上七年以下ノ禁錮ニ處ス
二他人ヲ指揮シ又ハ他人ニ率先シテ勢ヲ助ケタル者ハ六月以上五年以
下ノ禁鋼ニ處ス
三附和隨行シタル者ハ五十圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第八十八條第一號又ハ前條ノ罰ヲ犯ス爲多衆聚合シ當該公務員ヨリ解散
ノ命ヲ受クルコト三囘以上ニ及フモ仍解散セサルトキハ首魁ハ二年以下
ノ禁鋼ニ處シ其ノ他ノ者ハ五十圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第九十三條中「選擧人、議員候補者及選擧運動者ニシテ」ヲ削リ「二年以下
ノ輕禁鋼又ハ五圓以上二一自圓以下ノ罰金」ヲ「二年以下ノ禁錮又ハ三百圓以
下ノ罰金」ニ改ム
第九十四條中「、開票所」ヲ削リ「前條ノ例ニ依リ一等ヲ加フ」ヲ「三年以下ノ
禁鋼又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス」ニ改ム
第九十五條中「十五日以上六月以下ノ輕禁錮ニ處シ又ハ五圓以上百圓以下
ノ罰金」ヲ「六月以下ノ禁鋼又ハ百圓以下ノ罰金」ニ改ム
第九十六條演說又ハ新聞紙、雜誌、引札、張札其ノ他何等ノ方法ヲ以テ
スルニ拘ラス第八十七條第八十八條第九十條乃至前條ノ罪ヲ犯サシムル
目的ヲ以テ人ヲ煽動シタル者ハ一年以下ノ禁錮又ハ二百圓以下ノ罰金又
ハ科料ニ處ス但シ新聞紙、雜誌ニ在リテハ仍其ノ編輯人及實際編輯ヲ擔
當シタル者ヲ罰ス
第九十七條中「六月以下ノ輕禁錮ニ處シ五十圓以下ノ罰金ヲ附加ス」ヲ「二
年以下ノ禁錮又ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス」ニ改ム
第九十八條選擧人ニ非サル者投票ヲ爲シタルトキハ一年以下ノ禁錮又ハ
二百圓以下ノ罰金ニ處ス
氏名ヲ詐稱シ其ノ他詐僞ノ方法ヲ以テ投票ヲ爲シタル者又ハ投票ヲ僞造
シ若ハ其ノ數ヲ增減シタル者ハ二年以下ノ禁錮又ハ三百圓以下ノ罰金ニ
處ス
選擧事務ニ關係アル官吏、吏員、立會人又ハ監視者前項ノ罪ヲ犯シタル
トキハ三年以下ノ禁錮又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第九十九條中「五圓以上五十圓以下ノ罰金」ヲ「五十圓以下ノ罰金」ニ改ム
第百條中「第九十二條第二項」ヲ削ル
第百一條中「選擧ニ關スル犯罪ニ依リ」ヲ「本章ニ揭クル罪ヲ犯シ」ニ改ム
第百二條本章ニ揭クル罪ヲ犯シタル者ニシテ罰金ノ刑ニ處セラレタルモ
ノニ在リテハ其ノ裁判確定ノ後五年間、禁錮以上ノ刑ニ處セラレタルモ
ノニ在リテハ其ノ裁判確定ノ後刑ノ執行ヲ終ル迄又ハ刑ノ時效ニ因ル場
合ヲ除クノ外刑ノ執行ノ免除ヲ受クル迄ノ間及其ノ後五年間選擧權及被
選擧權ヲ有セス禁錮以上ノ刑ニ處セラレタルモノニ付其ノ裁判確定ノ後
刑ノ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ間亦同シ
前項ノ規定ハ第十一條第三號ノ規定ニ該當スル者ニハ之ヲ適用セス
第百六條郡長ヲ置カサル地ニ於テハ本法中郡ニ關スル規定ハ島司北海道
廳支廳長其ノ他郡長ニ準スヘキ者ノ管轄區域ニ、郡長ニ關スル規定ハ島
司北海道廳支廳長其ノ他郡長ニ準スヘキ者ニ、郡役所ニ關スル規定ハ島
廳北海道廳支廳其ノ他郡役所ニ準スヘキモノニ之ヲ適用ス
市制第六條ノ市又ハ沖繩縣若ハ北海道ノ區ニ於テハ本法中市ニ關スル規
定ハ區ニ、市長ニ關スル規定ハ區長ニ、市役所ニ關スル規定ハ區役所ニ
之ヲ適用ス
町村制ヲ施行セサル地ニ於テハ本法中町村ニ關スル規定ハ町村ニ準スヘ
キモノニ、町村長ニ關スル規定ハ町村長ニ準スヘキ者ニ、町村役場ニ關
スル規定ハ町村投場ニ準スヘキモノニ之ヲ適用ス
第百七條中、開票管理者、」ヲ削ル
第百十一條本法ノ適用ニ付テハ明治十三年第三十六號布告刑法ノ重罪ノ
刑ニ處セラレタル者ハ六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ、同法ノ禁錮ノ刑
ニ處セラレタル者ハ六年未滿ノ懲役又ハ禁錮ノ刑ニ處セラレタル者ト看
做ス
第百十二條明治十三年第三十六號布告刑法第二編第四章第九節ハ衆議院
議員ノ選擧ニ關シテハ之ヲ適用セス
第百十三條本法ハ東京府小笠原島竝北海道廳根室支廳管內占守郡、新知
郡得撫郡及色丹郡ニハ當分ノ內之ヲ施行セス
別表
選擧區議員數
東京府
麴町區
第-區一人
四谷區
麻區
第二區坂布-人
赤區
第三區芝區-人
第四區京橋區人
第五區日本橋人
本
第六區三人
第七區人
郷谷田草川所區區區區區區區區
第八區小本下神淺深三人
九區一
第第人人
十區石川
第十-區牛込區人
第十二區八王子市一人
豊多摩郡
第十三區在原郡三人
伊豆七島
北豐島郡
第十四區人
南足立郡
第十五區南葛飾郡人
南多摩郡
第十六區西多摩郡二人
北多摩郡
京都府
第區上京區人
第二區下區二人
愛訓野 宕京
葛
第三區郡郡郡郡人
乙
紀伊
宇
世治
久
第四區郡郡郡郡-人
喜
相綴
樂
南桑田郡
第五區北桑田郡人
第六區謝佐鹿田井人
佐中與加何天船
郡郡郡郡郡郡郡郡
第七區人
野野
熊
大阪府
一
二三
二
第第第第第區區區區區三人人 人 人人
西堺南北東西
五四三三
郡郡郡郡市區區區區一
-
第六區成成人
東
三島
第七區豊野二人
北河內郡
中河內郡ー
十九八區區區南河內郡-
第第第第人人 人人
泉北郡一
十一區泉南郡一
神奈川縣
第一區横濱市三人
第二區橫須賀市人
久良岐郡
第三區橋人
都
倉浦筑樹
一三
第四區郡郡郡郡郡郡人
鎌
高座
第五區愛甲二人
津久井郡
第六區中郡人
足柄上郡
第七區人
(足柄下郡
兵庫縣
第一區神戶市三人
二區姬路市一人
第第
三區尼一人
第四區人
川武
第五區人
一
第六區人
第七區崎磨西可東南古囊石上紀馬邊庫崎郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡市人
多加印加美明氷多有
-
第八區一人
第九區人
加
第十區神飾人
揖
第十一區二人
美城佐赤宍
第十二區人
原名來父石方崎用穗粟保郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡
第十三區朝養出人
津
第十四區人
三
長崎縣
第一區長崎市-人
第二區佐世保市一人
西彼杵郡
第三區人
東彼杵郡
-北高來郡
第四區人
南高來郡
第五區北松浦郡人
南松浦郡
第六區一人
壹岐郡
第七區對馬一人
新潟縣
第一區新潟市一
二長岡市一
區區人人 人人
第第第三高田市一
四區西蒲原郡-
北蒲原郡
第五區人
岩船郡
-東蒲原郡
第六區二人
中蒲原郡
兩蒲原郡
第七區二人
古志郡
第八區島郡人
第九區北刈三羽郡一人
-魚沼郡
第十區-人
南魚沼郡
中魚沼郡
第十一區人
東頸城郡
一中頸城郡
第十二區人
西頸城郡
第十三區佐渡人
埼玉縣
第一區北足立郡二人
第二區入間郡二人
比企郡
第三區二人
大里郡
南埼玉郡
第四區人
北葛飾郡
第五區北埼玉郡人
兒玉郡
第六區人
秩父郡
群馬縣
第-區橋人
高前
第二區一人
新
第三區山二人
郡郡郡郡郡郡市市
邑氷妻馬樂田田崎
群
第四區吾二人
碓
利 佐根波郡郡
第五區二人
勢多郡
北甘樂郡
第六區人
多野郡
千葉縣
一葉郡
區區
二旛郡ー
第第第第人人 人人
三區葛飾
四區匝海香東印千
-
第五區一人
山
第六區郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡人
房津原隅生武瑳上取
第七區市夷長一人
-
第八區人
君
第九區安一人
茨城縣
第一區水戶市一
人人
第二區茨城郡一
第三區久那東一人
第四區二人
多
治方島賀慈珂郡郡郡郡郡郡
鹿
第五區人
第新行
六區一人
西茨城郡
第七區一人
(眞壁郡
結城郡
第八區-人
筑波郡
稻敷郡
第九區ー人
北相馬郡
第十區猿島郡人
栃木縣
第-宇都宮市-
二內郡一人人人
二區區區區區賀郡一
第第第第上下芳河
四都賀郡人
五都賀郡人
妥
第六區人
足
須谷利蘇郡郡郡郡
鹽
第七區人
那
奈良縣
第-區奈人
添
第二區山城駒邊上良郡郡郡郎市人
生
磯
第三區人
宇陀郡
北葛城郡
第四區南葛城郡人
高市郡
孕智郡
第五區人
-吉野郡
三重縣
第一區津市-
人人
第二區四日市市
第三區宇治山田市人
安濃郡
第四區一人
志郡
鈴鹿郡
第五區河藝二人
三
一員
第六區人
桑
郡郡郡郡郡郡郡郡
飯摩會氣南名辨重
第七區人
多
-度
第八區人
志志
北牟婁郡
第九區人
南年婁郡
阿山郡
第十區人
名賀郡
愛知縣
第-區名古屋市三人
第二區豊橋市一人
第三區岡崎市人
愛知郡
第四區人
(西春日井郡
第五區東春日井郡人
丹羽
第六區人
一
人人
第第第第十九八七區區區區幡碧知海中葉豆海多部島栗郡郡郡郡郡郡郡郡
一人
人
額田
第十一區二人
西加茂郡
東加茂郡
北設樂郡
第十二區南設樂郡人
寶飯
渥美郡郡郡
第十三區人
八名
靜岡縣
第一區靜-
人人
二區
第第安濱
三區人
富
第四區-人
第五區-人
榛志駿庵
第六區-人
方茂佐名田智笠原太東原士倍松岡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡市市
第七區人
小
周
第八區人
濱磐
-
第九區人
引
賀
第十區二人
田
山梨縣
第一區甲府市人
第西山梨郡
二區人
東山梨郡
第二區人
北巨摩郡
第三區人
中巨摩郡
東八代郡
四
第三區西八人
摩代郡郡
南巨
四五南都留郡
第區人
北都留郡
滋賀縣
第一區人
滋大賀津
第二區一人
高
甲
第三區人
郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡市
上知崎生太洲賀島
第四區犬愛神蒲栗野人
第五區人
阪田
第六區東淺井郡人
伊香郡
岐阜縣
第-區-人
第二區稻大岐一人
縣葉垣阜郡郡市市
第三區人
山
第四區安不養海羽郡郡郡郡郡二人
巢斐八破老津島
-揖
第五區人
本郡郡郡
武儀
第六區人
郡上郡
りんどう
第七區可加人
-土
第八區人
城田野那岐兒茂郡郡郡郡郡郡郡
益大惠
第九區人
吉
長野縣
第-長野-
市市人人
第二區區區松本一
第三上水內郡人
下水內郡
第四區上高井郡人
下高井郡
更級郡
第五區人
埴科郡
第六區小縣郡人
東筑摩郡
第七區人
西筑摩郡
南安曇
第八區人
北安曇郡郡郡
南佐久
第九區人
北佐久郡
第十區諏訪郡人
第十一區上伊那郡人
第十二區下伊那郡-人
宮城縣
第-區仙臺市人
宮城
第二區郡郡人
名取
第三區人
玉遠志加黑亙伊刈柴
第四區人
鹿生吉米原造田田美川理具田田郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡
一人
第五區
第六區桃本登栗人
第七區人
牡
福島縣
第一區一
人人
第二區
第三區人
田安安伊信若福
瀨川村積達達夫松島
第四區人
郡郡郡郡郡郡郡郡郡市市
第五區人
石
岩
第六區東白人
河川
西白
南會津郡
第七區北會津郡人
大沼郡
沼郡
第八區耶河人
麻郡
第九區石城郡人
雙葉郡
第十區一人
相馬郡
巖手縣
第一區
紫巖盛
第二區戶波 手岡人
郡郡郡郡市
一二
第三區人
戶
下九
閉伊郡
第四區人
上閉伊郡
貫
第五區和稗人
賀
膽澤
郡郡郡郡郡郡
第六區江刺人
氣仙
西磐井
第七區人
東磐井郡
靑森縣
第一靑森市-
區區
第二弘前市一人人人
第三區南津一
輕輕
中や津郡郡郡
第四區一人
西津輕
東津輕郡
第五區人
北津輕郡
上北
第六區郡郡一人
下北
第七區三戶郡人
山形縣
第一區山形市人
第二區米澤市人
南郡
村村
第三區東二人
賜山 山山郡郡
西村
東置郡
第四區南置賜郡人
西置賜郡
東田川郡
第五區西田川郡三人
飽海郡
最上郡
第六區一人
北村山郡
秋田縣
第-區秋田市ー人
第-區南秋田郡人
第三區山本郡人
北秋田郡
第四區人
鹿角
第五區人
平 仙 田 河鹿北利邊郡郡郡郡郡郡
第六區人
第七區人
雄勝
福井縣
第-區福人
吉大足立田野羽井郡郡郡郡市
第二區人
今
第三區坂井郡人
四丹
第區人
南
敦
飯敷方賀條生郡郡郡郡郡郡
三
第五區人
遠
大
石川縣
第一區人
第二區能石金-人
-
第三區人
ii
河洲至島咋北沼美川澤郡郡郡郡郡郡郡郡市
第四區羽二人
鹿
鳳
第五區人
-珠
富山縣
一區富山市-人
第第
二區高岡市一人
上新川郡
第三區人
中新川郡
第四區下新川郡人
婦負郡
第五區東礪波郡人
西礪波郡
射水
第六區郡郡人
永見
鳥取縣
第-區鳥取市-人
岩岩郡
第二區頭美人
八郡
氣高郡
第三區人
東伯
西郡郡郡
第四區野伯一人
一日
島根縣
第-區人
第二區人
〓 飯 大 仁 能 八 松
第三區二人
足濃賀智摩濃川石原多義束江
岐郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡市
安
第四區邇人
邑
第五區人
隱鹿美那
第六區人
岡山縣
第-區-人
第二區上兒御岡人
第三區二人
田口備窪久氣磐道島 津山
郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡市
淺吉都邑和赤
第四區人
第五區二人
後小
月
上川
第六區人
阿
眞田田米庭哲房上
第七區郡郡郡郡郡郡郡郡人
久
苦
第八區勝人
英田
廣島縣
第-島-
二
人人 人人人
區區區區區區佐安福尾吳廣
第第第第第一
六五四三
一
人
安
第七區二人
八區人
第第郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡市市市市
九區雙世御豊賀高山安品奴石婆三羅調田茂田縣佐伯藝山道人
-
第十區人
第十-區人
比
神
第十二區甲人
蘆
深
第十三區人
沼隈
山口縣
第一區下關市一人
ト
第二區吉一人
第三區人
第四區人
毛濃浦津武狹禰波敷
第五區熊都豊大阿厚美佐人
-郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡
六區人
第第
七區人
第八區人
大島
第九區玖珂人
和歌山縣
第一區和歌山市人
第二區海草郡人
伊
賀都
第三區那二人
郡郡郡郡
有田
日高
第四區西牟婁郡二人
東年婁郡
德島縣
第-區德島市人
名
第二區人
海那勝
第三區波西部賀浦東人
-郡郡郡郡郡郡郡
名
第四區阿人
麻植
第五區板野郡人
美馬郡
第六區人
三好郡
香川縣
第-區-人
第二區香九高一人
第三區一人
一歌田川豆川龜松郡郡郡郡郡市市
第四區綾木 大小人
ー
第五區人
仲多度郡
第六區三豊郡人
愛媛縣
第區松人
-温
第二區人
一摩居桑智豫泉山郡郡郡郡郡郡市
第三區新周越伊人
-
第四區人
字
一上浮穴郡
第五區人
G go多郡
東宇和郡
第六區
西宇和郡
北宇和郡
第七區人
南宇和郡
高知縣
第-區高人
土
岡川佐知郡郡郡市
第二區吾二人
長
香一人
第三區藝美
安
郡郡郡郡
第四區高岡一人
第五區幡多一人
福岡縣
第-福岡市一
二留米市-
區區區區區區區人人人人入人人
第第第第第幡松倉司市市市市
七六五四三早大八若小門久
牟田市
-良人
第八區
(糸
糟人
第九區
宗
遠
第十區鞍三人
嘉
筑
第十區人
朝
三郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡
第十二區上都川救池門女潴羽井倉紫穗手賀像屋島人
第十三區一人
山八 三浮
第十四區-人
-
第十五區人
三
第一企
十六區人
田
第十七區築京人
大分縣
第-區分ー人
大大郡市
第二區分一人
北海部郡
第三區人
南海部
一大
第四區入野人
郡郡郡郡郡
玖直
-珠
第五區人
一日田
西國東郡
第六區人
東國東郡
下毛郡
第七區宇佐二人
郡郡
速見
佐賀縣
第-區佐賀一人
郡市一人
第二區佐賀
神埼
第三區一人
〔三養基
郡郡郡郡
小城
第四區杵島人
藤津郡
東松浦郡
第五區人
西松浦郡
熊本縣
第--人
第區區區玉飽熊一人
第三人
蘇池本名託本郡郡郡郡郡市
鹿
第四區二人
阿菊
城郡
下上益 益
第五區城郡二人
字土
八
第六區郡郡郡郡郡二人
球 葦草磨北代
第七區天人
宮崎縣
宮崎郡
第一區兒湯郡二人
南那珂郡
北諸縣郡
第二區西諸縣郡二人
東諸縣郡
東臼杵郡
第三區人
西臼杵郡
鹿兒島縣
第一區鹿兒島市一人
第二區兒島郡人
揖鹿
第三區宿
人
川邊
第四區一人
薩日
第五區人
出
郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡
第熊
六區唹良佐屬毛水摩置人
肝
伊
第七區始人
大囎
第八區島人
沖繩縣
第-區那區人
尻覇郡
島
第二區宮古郡二人
八重山郡
首里區
第三區人
頭郡
國中
四區頭郡人
北道廳
二一
-
川館樽幌區區區區
第第第第第第第海第室旭 函小札-人人 人人人
區區區區區區區一
六五四三
蘭區-
札幌支廳管內人
七空知支廳管內人
留萌支廳管內
第八區上川支廳管內二人
宗谷支廳管內
網走支廳管內
根室支廳管內
第九區二人
釧路支廳管內
河西支廳管內
「浦河支廳管內
第十區人
〔室蘭支廳管內
第十一區函館支廳管内人
檜山支廳管內
第十二區二人
〔後志支廳管內
本表ハ十年間ハ之ヲ更正セス
附則
本法ハ次ノ總選擧ヨリ之ヲ施行ス
本法ニ依リ初テ議員ヲ選擧スルニ必要ナル選擧人名簿ニ關シ第十八條乃至
第二十條第二十四條第二十六條第二十七條ニ規定スル期日又ハ期間ニ依リ
難キトキハ勅令ヲ以テ別ニ其ノ期日又ハ期間ヲ定ム但シ其ノ選擧人名簿ハ
次ノ選擧人名簿確定ノ日迄其ノ效力ヲ有ス
〔國務大臣床次竹二郞君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=10
-
011・床次竹二郎
○國務大臣(床次竹二郞君) 本案ノ御說明ヲ致シマス、現行衆議院議員選擧
法ハ實施後旣ニ十有餘年ニナリマシテ、總選擧ヲ致シマスルコト八囘以上ニ
及ンデ居リマス、其實績ニ徵シマスルニ、當初改正ノ趣旨ヲ十分ニ貫徹イタ
シテ居ラヌ憾ガアルノミナラズ、時運ノ促ス所、夙ニ其改正ノ必要ヲ認メラ
レマシテ、是マデモ度〓改正案ヲ衆議院ニ於キマシテハ提出ニナッタノデゴザ
イマスケレドモ今日マデ適當ノ改正ヲ見ルニ至ラナカッタコトハ、深ク遺憾
ト致ス所デゴザイマス、此度時勢ノ趨ク所ニ鑑ミ、立憲政治ノ運用ヲ完ウ致
シタイ考ヨリ致シマシテ、玆ニ改正ヲ企テタ次第デゴザイマス、其重モナル
點ヲ是ヨリ申上ゲマスレバ、第一ハ議員數ノ增加デゴザイマス、現在三百八
十一名デゴザイマスル現行法ノ制定セラレテ以來、三万以上ノ人口ヲ有
シマシテ市トナリマシタモノガ二十二ニナッテ居リマス、是等ノ市ハ從前ノ例
ニ依リマシテ之ヲ獨立選擧區ト認メルコトニ致シマシテ、此爲ニ議員數ヲ增
加イタシマスルモノ二十二名デゴザイマス、次ニハ人口ノ增加ニ因ッテ議員ノ
增加ヲ必要ト致シマス、現行法ニ於テ議員配當ノ方法ハ人口十三万ニ付テ一
人其算出方ハ四捨五入ノ法ヲ採ッテ居リマス、此度モ此標準竝ニ算出法ヲ襲
フコトハ最モ穩當ナリト考ヘマシタノデゴザイマス、其結果議員ノ增加ヲ致
スモノ六十一名デゴザイマス、之ヲ市區ノ特別選擧區增設ノ爲ニ增加イタシ
マスル二十二名ト合セマスレバ、八十三名ノ增加ニナリマシテ、卽チ現在ノ
三百八十一人ハ、增シテ四百六十四人トナル次第テゴザイマス、次ニ選擧權
ノ擴張デゴザイマス、唯今ハ御承知ノ如ク直接國稅年額十圓以上ヲ納ムル者
ヲ以テ選擧資格者ト致シテゴザイマスル、今日ノ時勢ニ於キマシテハ多少此
選擧權ノ擴張ヲ致スト云フコトハ、己ムヲ得ザル時代ノ要求デアルト考ヘマ
ス、人心ヲ安定セシムル上ニ於テモ必要ナル事柄ト考ヘマス、ソレ故ニ幾分
ノ擴張ヲ致スト云フコトハ已ムヲ得ナイ次第デアリマスガ、唯其程度ヲ幾何
ニ致スカト云フコトガ玆ニ攻究ヲ要スル點デゴザイマス、現在ノ法律ニ於キ
マシテハ單リ衆議院議員ノ選擧法ノミナラズ、地方議會ノ議員ノ選擧ニ於キ
マシテモ總テ納稅ヲ以テ選擧資格ノ要件ト致シテゴザイマス、蓋シ此納稅
額ヲ以テ選擧資格ノ要件ト致シマスルコトハ、最モ適當ニシテ穩當ナル事柄
ト考ヘルノデアリマス、ソレ故ニ此度ノ改正ニ當リマシテモ此標準ヲ採用イ
タシテ、唯其程度ヲ引下ゲルト云フコトガ、最モ穩當ナル方法デアラウト考
ヘマシタノデゴザイマス、ソレ故ニ或ハ世ノ中ニハ知識階級ヲ新ニ加ヘル、
若クハ兵役ノ義務終了者ヲ加ヘル、若ハ進ンデ普通選擧ヲ唱ヘル議論モゴザ
イマスルガ、前申上ゲル通リノ次第ニ依ッテ
〔副議長候爵黑田長成君議長席ニ著ク〕
當局ニ於テハ現行法通リノ標準ヲ襲フコトヲ以テ可ナリト致シタ次第デゴザ
イマス、而シテ稅額ヲ五圓ニ下ゲルカ、或ハ七圓ニ下ゲルカ、若クハ三圓ニ
下ゲルカ、若クハ二圓ニ下ゲルカ、是ハ自ラ程度ノ議論デゴザイマスルガ、
三圓ニ引下ゲマスレバ現在百四十有餘万ノ有權者ガ增シテ二百八十六万人ニ
ナル譯デゴザイマス、是ハ今日ノ約倍數ニ擴張イタスコトニナルノデゴザイ
マス、而シテ此三圓ト云フ高ハ恰モ府縣會議員ノ選擧資格ニ相當イタスノデ
ゴザイマス、旁〓此高ヲ以テ改正ノ納稅額ニ致スト云フコトガ穩當デアラウト
考ヘタ次第デアリマス、或ハ之ヲ二圓マデ引下ゲル說モゴザリマス、二圓マ
デ引下ゲマスレバ、此上尙ホ約五十万ノ有權者ヲ增スコトニナリマス、其數
ニ於テハ甚シイ差ガアルト云フ譯デモゴザイマセヌガ、兔モ角現在ノ縣會議
員ノ選擧者ガ三圓以上デアリマスル今日ニ於キマシテハ、先ヅ衆議院ノ選擧
權者モ其所マデ引下ゲルト云フコトハ極メテ實際ニ適ウタ改正デアルト考ヘ
マシタ次第デアリマス、或ハ智識階級者ヲ加ヘテ選擧界ニ新シイ分子ヲ加ヘ
ルコトガ宜シイト云フ議論モゴザイマスル、併ナガラ智識階級ト單ニ申シマ
スルコトハ、此中學校卒業以上ノ學力ヲ有スル智識階級ト申シマスル事柄ハ、
第一明瞭ヲ實際ニ於テ缺イテ居リマス、選擧ノ資格ノ如キハ極メテ明確ニ規
定スベキモノト考ヘルノデアリマス
〔議長公爵德川家達君議長席ニ復ス〕
ソレカラ世ノ中ニ處シテ相當ノ經驗ヲ有チ政治上ノ判斷力ヲ有スル者ハ、必
シモ中學ノ卒業生ノミニハ限リマセヌ、苟クモ義務〓育ヲ卒ヘ、相當世ノ經
驗ヲ經タ者デアリマスルナラバ、是等ノ所謂知識階級者ト少クトモ同等若ク
ハソレ以上ノ人ハ國民ノ中ニ多クノ數ヲ占メテ居ルト考ヘマス、然ルニ選擧
權ヲ與フルニ單ニ中學ノ卒業者デアルヤ否ヤト云フコトノミニ依ッテ判斷ヲ
下スコトハ、甚シキ不公平ナル結果ヲ見ルモノト考ヘルノデアリマス、極メテ
公平ニシテ極メテ又明確ナル新ナル標準デアリマスナラバ、在來ノ立法標準
ヲ此際改メルト云フコトモ敢テ拒ムベキデハアリマセヌガ、今申上ゲルヤウ
ナ考ヨリシテ此改正案ニ於テハ知識階級ヲ加ヘルコトニ致シマセヌノデアリ
や、 、又之ヲ實際ノ數字ノ上カラ申上ゲマスレバ、中學卒業者ト云フ者ハ全
國ニ於テ五十万人以上デゴザイマス、此內納稅額三圓以上ニ當ル者ガ十五万
人、年齡二十五歲ニ達セザルモノガ二十万人ゴザイマス、サウ致シマスルト
云フト殘ル所ノ十八万人ガ此度ノ改正案ニ加ハル加ハラヌノ問題ニナルノ
デアリマシテ、其數ノ上カラ申上ゲマシテモ、特ニ是等ノ人〓ノ爲ニ、前申
上ゲマシタ考慮スベキ點アルニ拘ラズ、此際强テ認メナケレバナラヌ必要モ
無イト考ヘタ次第デゴザイマス、兵役ノ義務ヲ了ヘタ者、若クハ普通選擧ノ
論ノ如キハ、殊更此處デ申上ゲル必要モアルマイト考ヘマス、尙ホ此選擧權
ノ所ニ於キマシテ、現行法ニ於テハ納稅ノ年限ハ、地租ハ一年、其他ノ直接國
稅ハ二年間引續キ納付スルコトヲ要スル次第ニナッテ居リマスルガ、强テ地租
ト其他ノ直接國稅トヲ區別スル必要モナイト考ヘマシテ、地租ト同ジク一年
ト云フコトニ短縮イタシマシタ、ソレカラ現行法ニ於キマシテハ、選擧權者ノ
其選擧區內ニ住所ヲ有スル期間ヲ、一年ト致シテゴザイマスルガ、是ハ六箇月
ニ此度短縮イタシマシタ、此事柄ハ納稅ノ資格ト共ニ、今日マデハ名簿調製後
ニ於テモ引續イテ其資格ヲ具ヘルコトヲ要シテゴザイマスルガ、此度ノ改正
ニ於キマシテハ、名簿調製後ノ異動ハ問ハヌコトニ致シマシタ、是ハ取扱上ノ
便宜、主トシテ左樣ニ改正ヲ致シタ次第デアリマス、次ニ重ナル點ハ所謂選擧
區制度ノ改正デゴザイマス、唯今ハ一府縣ヲ以テ一選擧區ト致シテゴザリマ
スルガ、此度ハ一區一人ト云フコトニ大體ノ方針ヲ採リマシテ議員ノ配當ヲ
致シマシタ、曩ニ小選擧區ニナッテ居リマシタノヲ、現行ノ法ノ如ク大選擧區
制度ニ改メラレマシタ當時ノ理由ヲ取調ベテ見マスルニ、小選擧區デハ一府
縣内ヲ通ジテ名望ノアル所謂大人物ト申シマスルカ、其選出ニ小選擧區デハ
不便デアルト云フ黨派ノ勢力ニ正比例ヲシテ議員ヲ選出スルコトガ出來ナ
イト云フノガ一ツト、小選擧區デアリマスレバ選擧ガ激烈デアリ、賄賂ナリ暴
行、脅迫等ノ弊ガ甚シイ、此三點ガ曩ノ小選擧區ヲ現行ノ大選擧區ニ改メラレ
タ理由デゴザイマス、然ルニ之ヲ今日ノ實況カラ申シマスルニ、必シモ今日ノ
制度ハ其目的ヲ達シテ居ラヌヤウニ考ヘマスルノミナラズ、今日我國ノ選擧
界ニハ種々ノ弊害モ起ッテ居リマス、又曩ノ選擧區ノ時代ト今日トハ民知ノ程
度モ大ニ相異ガゴザイマスル、彼レ此レ此ニ區制ヲ改正イタシマシテ、新ナル
企ヲ致シテ、選擧界ノ廓〓ヲ免モ角モ圖ルト云フコトハ、最モ必要ナルコトト
考ヘタ次第デゴサイマス、現在ニ於テ最モ選擧界ニ立ツ者ノ憂ト致シマスル
所ヲ、玆ニ數點ヲ擧ゲテ說明ヲ申上ゲマスレバ、第一ハ選擧運動費ノ最モ多イ
コトデゴザイマス、今日選擧界ニ立チマスル者、先ヅ頭ヲ惱スノハ此點デゴザ
イマス、ドウカ如何ニ致シマスレバ此選擧費ノ減少ヲ圖ルコトガ出來マスル
カ、イロイロ方法モゴザイマスルカ知レマセヌガ、免モ角區制ヲ改メルト云フ
コトガ其第一デアルト考ヘルノデアリマス區域ノ大ナルヨリモ區域ノ小ナ
ルコトハ、差向キ通信費ノミヲ申シマシテモ、明ニ小選擧區ノ方ガ費用ヲ要セ
ヌノデゴザイマス、殊ニ小選擧區ニナリマスレバ、無競爭ノ選擧區モ尠カラヌ
コトト考ヘマス、無用ノ競爭モ從ッテ省クコトガ出來ルノデアリマス、要スル
ニ選擧費ノ減少ヲ圖ル點ニ於テハ、小選擧區ハ確ニ有利ナリト信ズルノデア
リマス、殊ニ此度ノ改正案ニ於キマシテ選擧有權者ノ數ヲ倍加イタシマシタ
以上、殊更此ニ區制ヲ改メルト云フコトハ其必要アリト考ヘマス、次ニ今日我
〓選擧界ニ立ッテ最モ遺憾ト致シマスル點ハ、單リ同ジ黨派ノ人ノミナラズ、
黨派ヲ異ニ致シテモ政見ヲ同ジウスル同志ノ者ガ、互ニ相擊ッテ同士討ヲ致ス
ト云フコトハ、甚ダ政治道德上カラ考ヘマシテ面白クナイ事柄デゴザイマス、
又其實際カラ申シマスルト云フト、最モ投票ノ奪合ヒ、モウ一ツ語ヲ換ヘテ申
セバ、投票ノ買收デモ致スト云フコトハ、同士討ノ行ハレル所ニ於テ最モ行ハ
レ易イノデゴザイマス、小選擧區ニ致シマスレバ、此弊ハ餘ホド省クコトガ出
來ルト考ヘマス、殊ニ大選擧區ニ於テ同士相擊ツ現象ノアリマスルコトハ
方ニ於テ選擧ノ結果ヲシテ甚ダ不公平ナラシムルコトガ往々ゴザリマスル、
卽チ一人ノ同士ガ過剩ノ投票ヲ集メマスレバ、他ノ同士ハソレガ爲ニ落選ヲ
致サナケレバナラヌト云フコトニナリマス、例ヘバ一地方ニ於テ四分六分ノ
勢力ノアル所ニ、其六分ノ勢力ヲ有ッテ居ル黨派ノ中カラ一人ノ極メテ人望
ノアル者ガ出テ、此人ノ投票ガ過剩ニ集マルコトニナレバ、六人選出シ得ル
力ヲ有ッテ居ルニ拘ラズ、或ハ二人若クハ三人シカ選出スルコトノ出來ナイ
ト云フヤウナコトガ往々アルノデアリマス、此弊ヲ防グニハ候補者ノ立テ方
ニ注意ヲスレバ防ゲルデハナイカト云フ說モアリマス、確ニ候補者ノ立テ方
如何ニ依ッテハ幾分其弊ヲ矯正スルコトガ出來得ナイデモアリマセヌガ、如
何ニ巧ニ立テマシテモ自由自在ニ一府縣內ヲ驅廻ッテ得票ヲ爭フノデアリマ
スカラ、到底此弊ハ防グコトガ出來ナイノデゴザイマス、先ホド曩ノ小選擧
良くとたべすべき
區制度ヲ現行ノ大選擧區ノ制度ニ改メル所ノ理由ノ一ツトシテ、小選擧區デ
ハ黨派ノ勢力ニ比例シテ選擧ガ出來ナイカラ大選擧區ニ改メルト云フノモ一
ツノ理由デアッタノデアリマスガ、今申上ゲルヤウナ點カラ申シマスレバ、却。ツ
テ大選擧區ハ黨派ノ勢力ニ比例シ得ナイト云フ玆ニ事實ヲ見ルノデアリマ
ス、然ルニ大選擧區デアレバ多數黨、少數黨ヲ比例的ニ選出シ得ル、小選擧區
ニナレバ其事ガ出來ナイト云フ議論ガアルノデアリマスルケレドモ、今申上
ゲマス其事柄ノ如キハ、確ニ其反對ノコトヲ證明スルノデアリマス、要スルニ
若シ勢力ニ正比例ニ議員ヲ選出セムト致シマシタナラバ、學者ノ唱ヘル所ノ
比例選擧法ヲ採用イタシマシタナラバ、其事ガ目的ヲ達セラルヽノデアリマ
セウ、去リナガラ此比例選擧制度ナルモノハ其實行容易ナラザルモノデアツ
テ、我國ノ如キ今日ノ實狀ニ於テハ施行甚ダ困難デアルト考ヘマス、既ニ現
在ノ大選擧區制度ニ於テ正比例的ニ勢力ヲ選出スルコトガ出來ナイト申ス以
上、必シモ大選擧區ハ少數代表ニ都合ガ宜イカラ之ヲ維持シナケレバナラヌ
ト云フコトハ、何所マデモ强イ理由トハ見ルコトガ出來マセヌ、又之ヲ我國
ノ選擧界ノ實狀カラ申上ゲマスレバ、各黨派ノ勢力ナルモノハ其府縣ヲ通ジ
テ必シモ平等ニ分布サレテ居ルモノデハアリマセヌ、黨派ノ勢力ハ全縣ヲ通
ジテ其局部局部ニ甚ダ不平等ニ分布サレテ居ルノガ今日ノ實際デゴザイマ
ス、ソレ故ニ之ヲ小選擧區ニ改メマシタ所デ、必シモ少數黨ニ有利ナラズト申
ス譯ニハ參リマセヌ、多數黨常ニ有利ナリト申ス譯ニモ參リマセヌ、今日ノ
實際ノ狀況カラ申スニ、大小選擧區ヲ比較シテ明ニ大選擧區ガ少數代表ニ宜
シイト云フコトハ、事實ノ上ニ斷定ハ出來ナイト考ヘルノデアリマス、殊ニ大
選擧區ノ制度ニ於キマシテ我〓ガ最モ苦シム所ハ補闕選擧ノ煩累デゴザリマ
ス、昨年ノ如キハ八囘ニモ及ンデ居リマス、其度每ニ一府縣ヲ通ジテ競爭ヲ致
シ、莫大ナル選擧費ヲ要スルコトデアリマス、茲ニ小選擧區制度ニ改メマス
レバラ此費用ト手數トヲ省キ得ルコトガ出來ルノミナラズ、大選擧區ニ於テ
ハ已ムヲ得ズ補充員制度ヲ採ル必要モアラウト思ヒマスケレドモ、大選舉區
ニ於キマシテハ其時ニ選擧ヲ致シテ、所謂眞實ニ民意ヲ常ニ代表セシムルト
云フコトガ適切ニ出來ルノデアリマス、之ヲ選擧ノ取締ノ點カラモ、選擧ノ
公正ヲ維持スルト言フ點カラ申シマスルモ、私ハ小選擧區ノ方ハ大選擧區ヨ
リハ優ヲテ居ルト考ヘマス、先キニモ申上ゲマシタ如ク無競爭ノ選擧モ尠カラ
ズ生ズルコトト考ヘマス、從ッテ選擧ノ取締上ニハ小選擧區ノ方ガヨリ多ク力
ヲ用フルコトガ出來マス、取締ヲ嚴密ニシ其公正ヲ保ツコトハ小選擧區ヲ以
テ優レリト申シテ宜シイト思ヒマス、小選擧區ニナリマスレバ取締ノ仕宜イ
其裏面ニ於テハ、干渉ガ出來易イデハナイカト云フ、直チニ茲ニ議論ガ起ッテ
來ルノデゴザリマスルガ、此點ニ於テハ私ハ斯樣ニ考ヘマス、選擧干涉ナル
モノハ元〓當局官吏ノ不心得ヨリ起ルコトデアリマス、不心得ナル官吏ガ居ツ
テ强テ干涉ヲ致サムト試ミマスレバ、敢テ選擧區ノ大小ハ妨ニハナラヌノデ
アリマス、是ハ曩ノ小選擧區時代、今日ノ大選擧區時代、時代モ違ッテハ居リマ
スルガ、二十五年ノ大干渉、又大選擧區ニナッタ時ノ干涉ヲ比較イタシテ、確ニ
選擧區ノ大小ハ選擧干涉ノ容易ナルヤ否ヤニハ關係ノ無イト云フコトハ明デ
ゴザイマス、況ヤ又選擧區ガ小ニナリマスレバ、其選擧區民ト選出議員トノ
間ハ大選擧區ヨリモ、ヨリ以上ニ密接ナル關係ヲ生ジマスル、自己ノ選出セ
ムトスル候補者ノ人格政見等ヲ、ヨリ能ク了解スルコトガ出來マス、卽チ選
擧民ハ其人格、其政見ノ爲ニ、ヨリ多ク投票スルノデアリマシテ、金ヤ情實
ノ爲ニ誘引サレルト言フコトハ、割合ニ少クナルト考ヘルノデアリマス、卽
チ選擧區ノ小ナルダケ議員候補者ノ、玆ニ地盤ト言フ言葉ヲ使ヒマスナラバ、
地盤、其立脚地ガ固クナルノデアリマス、其立脚地ガ固イダケ選出セラレタ議
員ハ自己ノ所信ニ向ッテ忠實ニ論議シ得ルノミナラズ、一旦解散ニ臨ンデモ
其立脚地ノ鞏固ナルダケ干涉ヲ受クルコトハ少イノデアリマス、干涉ヲ受々
マシテモ當選ノ餘地ハ大選擧區ヨリハ多イノデゴザリマスル、此點ニ付キマ
シテモ、議員ト選擧民ト密接ナルダケ、ソレダケ賄賂ガ行ハレ易クハナイカ、
請託ガ行ハレ易クハナイカト云フ議論モ直チニ起ルノデアリマスケレドモ
是ニチチ曩ノ小選擧區ヲ大選擧區ニ改メラレタ理由ノ一ツニナッテ居ルノデ
アリマスガ、賄賂ナリ暴行、脅迫ナリト云フヤウナコトハ曩ノ小選擧區時
代ノ數字ヲ擧ゲテ今日議論スルト云フコトハ、既ニ時代ノ進步ヲ考ヘナイ議
論デアルト考ヘマス、今日小選擧區制度ヲ實行セラレマシテモ、曩ノ日ノ選
擧區制度ノ下ニ現ハレタ如キ暴行脅迫ハ必ズ多クアルマイト見ルノデアリマ
ス、寧ロ今日ハ左樣ナル露骨ナ事ヨリモ、アリト致シマスレバ隱レタル所ノ
運動ガ行ハレルノデアリマス、其隱レタ運動ト申セバ投票ノ買收ニナリマス
投票ノ買收ハ何レガ最モ仕易イカト云ヘバ、先カラ段々申上ゲル如ク、寧ロ
其區域ノ廣漠ナル方ガ行ハレ易イト思フノデアリマス、又其點ニ於テハ議員
ト選擧民ト密接デアルト云フコトハ、議員ヲシテ眞面目ナル行動ヲ執ラシメ
ルト云フコトニ於テモ利益ガアルト考ヘマス、又地方ノ利害ヲ代表スルト云
フコトガ必シモ惡シイ事デハナイノデ、寧ロ各地方各地方ノ民情ヲ能ク中央
ノ議會ニ移シ得ルト云フコトハ、是亦決シテ捨ツベキコトデナイ、寧ロ宜シ
イコトト私共ハ考ヘマス、先ニモ申上ゲマス如ク大選擧區デアレバ同士討ノ
行ハレル弊ガアル、又小選擧區デアレバ議員ト選擧民ト密接ナル關係ガアル、
此事柄ハ一方カラ申シマスレバ、選擧民ノ政治思想ヲ發達セシムル上ニ於テ
ハ最モ宜シキ事柄ト考ヘマス、大選擧區ニ於テ互ニ相討チ、若クハ己ノ選出
セムトスル所ノ投票ガ如何ニナルヤモ的確ニ分ラナイ、大選擧區ニ於ケルヨ
リハ能ク政治上ノ議論ヲ徹底セシメ、自己ノ投票シタル者ハ勝ツカ、敗ケル
カ、明白ニ小選擧區ノ方ナラ分ルノデアリマス、玆ニ於テ選擧民ノ政治思想
ヲ進メルト云フコトガ、大選擧區ヨリハ能ク出來ルト考ヘマス、今日立憲政
治ヲ進メテ行カウト云フニハ、申スマデモナク、色〓手段ヲ盡サナケレバナ
リマセヌガ、最モ選擧民ノ政治思想ヲ發達セシムルト云フコトニ考慮ヲ費ス
ト云フコトガ必要ナル事柄ト考ヘマス、又今日ノ時勢ニ於キマシテ私共ハ政
黨ナルモノハ既ニ善カレ惡シカレ存在シテ取除クベカラザルモノデアル以上
ハ之ヲシテ成ルベク善良ナル發達ヲ遂ゲシムルト云フコトハ、政治ヲ進メ
ル所以デアルト考ヘマスガ、其點カラ申シマスルナラバ、同士相討ツト云フ
ヤウナ事柄ハ決シテ政黨ヲ進メル所以デゴザリマセヌ政黨ノ善良ナル發達
ヲ圖ルニハ、小選擧區ノ方ガ宜シイト考ヘルノデゴザイマスルガ、唯政黨ト
申シマスレバ、如何ニモ政黨ノ下ニ選擧法ヲ改正スルカ何ト云フヤウナ衆議
院ニ於テハ質問モ出タノデアリマスルガ、政黨ノ爲ニ便利ニナルヤウニ選擧
法ヲ改正スルト云フコトハ、斷ジテ出來ナイコト、テゴザリマスルガ、選擧法
ノ改正ヲ致シテソレガ政黨ノ發達ニモ都合ノ好イト云フコトハ、是亦考慮
シナケレバナラヌ事柄ト思ッタノデアリマス、尙ホ今日ノ實際カラ申上ゲマス
レバ、我〓今日選擧場裡ニ立チマスル時分ニハ、決シテ漠然ト一府縣內ヲ通
ジテ選擧ヲ爭フト云フ譯デハゴザリマセヌ、多クハドコソコドコソコノ郡ヲ
以テ先ヅ其所ヲ根據地トシテ、ソレヲ本トシテ候補ヲ爭フト云フノガ今日ノ
實況デゴザリマス、卽チ此事柄タルヤ、大選擧區ノ下ニ於テ其實ハ選擧ノ必
要ヨリシテ、私設選擧區ナルモノカ自ラ生ジタノデアルト、斯樣ニ斷定シテ
宜シイト思ヒマス、然ラバ凡ソ法ヲ立テムト欲スル者ハ、時ノ實情ニ應ジテ
能ク之ヲ利導スルト云フコトヲ考ヘルコトガ最モ然ルベキ次第ト思ヒマス
ル、而モ大選擧區ノ下ニ在リマシテハ、私設選擧區ヲ銘々設ケテ居リマスル
ガ、此私設選擧區ヲ設ケテ居リマシテモ、爭ハ全縣ニ亙ッテ居ルモノデアリマ
ス、私設選擧區ヲ設ケナガラ其利ヲ十分ニ收メルコトガ出來ナイノデアリマ
ス、寧ロ之ヲ實際ニ應ジテ小選擧區ニ致シ、其小選擧區ノ利ヲ十分ニ收メル
ト云フコトガ、事ヲ事實ニ於テ適切ニ處シテ行ク所以デアルト考ヘマスノデ
アリマス、色〓此制度ニ付テ議論ヲ致シマスレバ雜多ニナリマスガ、先ヅ大
體以上申上ゲマシタルヤウナ點ヲ考慮イタシテ、今日ノ選擧界ニ幾分デモ改
善ヲ加ヘムト欲スルナラバ、先ヅ此制度ヲ改正スルヨリ外致方ナイト考ヘマ
スル次第デゴザイマス、次ニ此選擧區制度ヲ改正イタシマスルニ付テ、自ラ
別表ノ改正ヲ致サナケレバナリマセヌ、其別表ノ改正卽チ議員ノ配當方法デ
ゴザイマスルガ、之ニ付テハ出來得ルダケ一區一人ノ選擧區ニ致シタイト云
フコトヲ原則ト致シテ、而シテ人口ハ成ルベク十三万ニ近イ所ヲ以テ議員一
人ヲ出ス、選擧區ノ區劃ハ出來得ル限リ郡ノ區域ニ依リタイ、郡ノ區域ニ依
ルコトガ出來ナケレバ二郡若クハ三郡、若クハ四郡ヲ合シテ一選擧區トスル、
郡ヲ分割スルコトハ致サヌ、斯ウ言フノガ一ツ、自然郡ヲ合スルコトニナリ
マスレバ、地勢、交通等ヲ參酌イタシテ、一方ニ於テハ人口十三万ノ標準ニ
成ルベク遠カラヌコトヲ圖リマシテ、茲ニ選擧區ヲ區劃イタシマシタ、其結
果大體ニ於テ人口十万ヨリ十八万ノ程度ニ於キマシテ、一人一區ト云フ選擧
區ヲ造ッタ次第デゴザイマスルガ、已ムヲ得ズ前申上ゲマシタ人口、郡ノ行政
區劃、地勢、交通ト云フヤウナ色〓ナ標準カラ、已ムヲ得ズ人口十九万臺ノ
モノ五區、人口九万臺ノモノ十二區ヲ造ルコトニナリマシテ、其結果ハ玆ニ
二人若クハ三人區ト云フモノガ八十程出來マシタ、其他ノモノハ總テ一人一
區ト云フコトニナリマシタ、此區劃ノ制定ニ付テハ最モ議論モ惹起シ易イコ
トデゴザイマスル、此區劃ヲ爲スニ當ッテ、或ハ黨ノ事情、利害得失等ニ鑑ミ
ルコトガアリマシタナラバ、甚ダ不公平ナル分ケ方ニナルノデゴザイマス、
ソレ故當局ト致シマシテハ、最モ注意ヲ拂ヒマシタ積リデアリマスル、所謂
人口十三万ヲ中心トシ、ソレニ郡ノ行政區劃、地勢、交通、是等ノ何等血モ
涙モナイ所ノモノヲ條件ト致シテ、之ニ依ッテ相當按排、區劃ヲ致スヤウニソ
レ〓〓主任ノ者ニ命ジテ、玆ニ出來上ッタノガ卽チ此案デアリマシテ、或ハ衆
議院ニ於キマシテハ、選擧ノ事情ニ通ゼザル屬僚共ガ斯ノ如キ區劃ヲ拵ヘル
ト云フコトハ、甚ダ不適當ナル事柄デハナイカト云フ議論モアリマシタヤウ
ナコトデアリマスルガ、私ハ選擧ノ事情ニ通ゼザル所ノ者ガ何等血モ涙モナ
イ、玆ニ數字ナリ、區劃ナリ、地形ナリト云フヤウナモノニ依ッテ區劃ヲ致ス
ト云フコトガ、卽チ公平ナル所以デアルト申シタヤウナ次第デゴザイマス、
固ヨリ多クノ區ノ中デゴザイマスルカラ、萬遺算ナイト云フコトハ申上ゲラ
レマセヌ、無イトハ申上ゲラレマセヌガ、併ナガラ免ニ角其精神ニ於テハ、
何所マデモ公平ナルコトヲ欲シテ區劃イタシタヤウナ次第デゴザイマス、此
點ニ於テ若シ一點御疑ヲ招クヤウナコトガアリマスレバ、全部極メテ嚴密ナ
ル御審査ヲ經ナケレバ、到底御協賛ヲ得難イト考ヘルノデアリマス、併ナガ
ラ私ハ今申上ゲマシタルヤウナコトデ、事情ヲ知ラザルガ卽チ公平ナル所以
デアルト考ヘテ、玆ニ區劃表ヲ作ッタ次第デゴザイマス、此點ハドウカ深ク御
諒承ヲ願ヒタウゴザイマス、而シテ此政府ノ原案ニ對シテ衆議院ニ於テ修正
ヲ致シマシタ、本文ノ中ニ修正イタシタ箇條ハ數點ゴザイマスルガ、其重ナ
ルモノハ請負········政府ノ請負事業ヲ爲ス者ノ資格ヲ此度細規イタシマシタ、
細カク規定スルコトニ致シマシタ、中ニ會社ノ「發起人」ト云フ者ガゴザイマ
シタ所、發起人ハ會社ノ成立シタ以上ハ無クナルノデアルカラ、斯ノ如キ者
ヲモ尙ホ被選擧權ヲ與ヘヌト云フコトハ穏當ナラヌデハナイカト云フ議論ノ
結果、衆議院ニ於テ是ハ削除イタサレマシタ、ソレカラ現行法ニ於テハ投票
ヲ開キマスルノハ、各郡市每ニ投票ヲ開クコトニナッテ居リマス、然ルニ此度
ノ原案ニ於キマシテハ、選擧區ヲ小選擧區ト致シマシタ結果、選擧區每ニ開
票ヲ致シ、選舉會ヲ開ク、斯ウ云フコトニ致シタノデアリマス、然ルニ數郡
ヲ合シテ一選擧區ニ致シマス所デハ、現行法ノ如キ郡、市ヲ以テ郡市別ニ開
票ヲ致スト云フコトハ、實際ニ於テ便宜デアルノデゴザリマスルカラ、是ハ
衆議院ガ左樣ニ修正ヲ致サレマシタ、モウ一ツハ官吏ノ選擧ニ關スル行動ニ
付テ罰則ノ規定ヲ加ヘラレタノデアリマス、其他ハ多ク文字上ノ修正デゴザ
リマスル、申上ゲマスル如ク何レモ穩當ナル修正ト考ヘマシテ、此修正ニハ
同意ヲ致シマシタ、尙ホ一箇條衆議院ニ於テ別表ノ中ニ修正ニナッタノデア
リマス、ソレハ山梨縣ノ政府ノ原案第二區デゴザリマスルガ、政府ノ原案ニ
於マシテハ、西山梨、東山梨、北巨摩、中巨摩此四郡ヲ合シテ二人一區ニ致
シテゴザリマスル、然ルニ衆議院ニ於テ成ルベク東西山梨ノ兩郡ヲ一區ト致
シ、北中巨摩兩郡ヲ一區ト致シマシテ、二人一區トシタ政府ノ原案ヲ各〓一人
一區ニ修正ニナッタノデゴザリマス、之ニ對シテ當局ト致シマシテハ原案ヲ
是ナルモノト信ズルト云フコトニ答ヘマシタ、併ナガラ多數ニ於テ修正セラ
ルヽト云フコトデアレバ、强テ反對スル譯ニモ行カヌト申シタノデゴザリマ
ス、他ノ修正ニハ進ンデ同意ヲ致シマシタガ、此點ニ付テハ右樣ナ答辯ヲ實
ハ致シマシタ、致シマシタガ政府ガ此原案ヲ以テ是ナリト申シマスルコトハ
先程中上ゲマシタ如ク人口ニ鑑ミ地形ニ鑑ミ、サウシテ作ッタノデアリマス
卽チ此山梨ノ第二區ノ如キハ四郡ヲ合シテ人口二十六万五千デゴザイマス、
ソレデ二人ノ定員デゴザリマスカラ、人口カラ申セバ恰モ一人十三万人ニ當ッ
テ居リマス、尙ホ此政府ノ原案ハ四十五年ノ政府案ニ於テモ同樣ナコトニナッ
テ居リマス、然ル所衆議院ノ修正ノ通リニナリマスンバ、東西山梨兩郡ヲ合
併シテ人口九万八千デ、北中巨摩兩郡ヲ合シテ人口十六万七千、一方ハ九万
八千、一方ハ十六万七千、各、一人ノ議員ヲ出スト云フコトデアリマス、人口
ノ上カラ申シマスレバ修正案ノ方ハ宜シクナイノデアリマス政府案ノ方ガ
公平デゴザリマス之ヲ地形ノ上カラ申シマスレバ、何レカト申セバ修正案
ノ方ガ宜シウゴザイマス、東西山梨、北中巨摩兩郡共ニ各〓川ヲ挟ンデ一地形
ヲ成シテ居ル所デゴザイマスルカラ、此點ハ修正案ノ方ガ宜シウゴザイマス、
町村ノ數モ甚ダ多イノデアリマシテ、是ハ此點カラ申セバ修正案ノ方ガ寧ロ
宜シウゴザイマス、ソレカラ又出來得ルダケ一區一人ノ制度ヲ採ルト云フコ
トカラ申セバ、修正案ノ方ハ意義ガ徹底イタシテ居ルノデアリマス、山梨ノ
全體ヲ申上ゲマスレバ、政府ノ原案ハ二區ハ二十六万人デ二人ノ議員、三區
ハ十六万人デ一人ノ議員、四區ハ十二万四千人デ一人ノ議員、此度北中巨摩
ヲ分割イタシマシタ所デ、十六万七千人ニ付テ一人ノ議員デゴザリマスカラ、
山梨縣全體ヲ通觀イタシマシテ、此修正必シモ不可ナリト申ス次第デゴザイ
マセヌ、而モ此別表ノ如キハ、政府ハ前申上ゲマスルヤウナ考ヲ以テ區劃イ
タシマシタノデ、何處マデモ大體カラ申セバ政府ノ方ガ宜イト考ヘマスケレ
ドモ、又衆議院ノ此修正必シモ其意義ナキニアラズ、却ッテ政府案ヨリ或點ニ
於テハ優ル所モゴザリマス、唯斯ウ云フ區劃ヲ一々擧ゲテ各〓自己ノ爲ニ利
ナラムト欲スル眼ヨリシテ論評イタシマスレバ、各區各〓〓皆議論ヲスルコトガ
出來ルダラウト考ヘマス、此修正モ其裏面ニ立入ッテ玆デ申上ゲマスレバ、修
正ノ結果ハ政友會ノ方ガ有利デアルノデゴザリマス、政府ハ左樣ニ考ヘマス、
併ナガラ此點ニ付テハ先キニ此改正案ガ新聞ニ出マシタ時分ニ、憲政會側
ノ安達謙藏君、選擧ニ最モ通ジタ人デアリマス、此人ガ原案ニ對シテ非難ヲ
加ヘテ居リマス、其非難ノ一箇條ノ中ニ不公平ノ實例トシテ卽チ此山梨縣ノ、
今申上ゲタ區ガ擧ゲテアリマス、ソレニ依リマスレバ「山梨縣ノ第二區ノ西
山梨、東山梨、北巨摩、中巨摩四郡ヲ一選擧區二名トセルハ此內中巨摩ノミ
ヲ中堅トセル憲政會ヲ打破シ、政友會ヨリ二名ヲ出ダサムトスル魂膽ナリ」
憲政會側カラ見マスレバ、左樣ニ見ラレルカモ知レマセヌガ、却ッテ其同ジ事
ヲ以テ政友會ニ利ナリトシテ、是ハ政友會カラノ修正案デハアリマセヌガ、
之ニ贊成シテ成立ッテ居リマス、デ各〓自己ノ見ル所ニ依ッテ、自己ノ都合ノ宜
カラムコトヲ欲シテ、一々別表ニ論議ヲ致シマシタナラバ、實ニ日モ亦足ラ
ヌト申シテ宜シイ次第デゴザリマス、私ハ左樣デゴザリマスカラ、却ッテ選擧
ノ事情ニ通ゼザル者ヲシテ一定ノ條件ヲ示シテ、其下ニ區劃ヲ致サセマシタ
ヤウナ次第デゴザリマスルノデ、原案ヲ以テ是ナリト信ジマスケレドモ、併
シ此修正ニ付テハ今申上ゲマスル如ク、十分ナル理由モアルト認メテ宜カラ
ウト考ヘマス其政友會ニ利ナルヤ、憲政會ニ利ナルヤ、勝手ニ議論ヲ雙方
カラ致シテ居ルモノト見テ宜カラウト考ヘルノデアリマス、要スルニ當局者
ト致シマシテハ、大體········幸ニ御協賛ヲ得マスルト云フコトデゴザイマスル
ナラバ、議論ハ何レニテモ爲シ得ル、僅カ一點ノ事ニ付テ彼レ此レ申スト云
フコトハ欲シマセヌ、デ寧ロ大體ヨリ見マシテ甚シイ不都合ガナイナラバ、
幸ニ御協賛ヲ得ルト云フコトデアレバ誠ニ仕合セニ考ヘマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=11
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012・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ通告順ニ依リマシテ質問ヲ許シマス、山脇
玄君
〔山脇玄君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=12
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013・山脇玄
○山脇玄君 私ハ選擧法改正案ニ付キマシテ、二三政府當局ニ伺ヒタイノデ
アリマス、其質問ノ趣意ヲ明ニスル爲ニ聊カ理由ヲ述ベタウゴザイマスカラ、
暫時時間ヲ御與ヘ下サルヤウニ願ヒマス、デ質問ニ移リマス前ニ當局ニ御願
ヒ致シタイノハ、此案ニ付キマシテ統計ナリ色〓材料ガ印刷ニナッタモノガ
アラウト存ジマスレバ、ドウカ我〓ニモ汎ク御配付ニナラムコトヲ求メテ置
キマス、ソレカラ其中ニ二十五歲以上ノ女子ノ數ガ御調ニナッテ居リマスカモ
知レマセヌガ、御調ニナッテ居リマスレバ、ソレモ同時ニ御交付ヲ願ヒタイノ
デアリマス、諸君、改メテ申スマデモアリマセヌガ、立憲君主政治ノ下ニ在ツ
テ、君主ノ意思ガ一般ノ拘束ノ力ヲ有スルニハ國民ノ同意ヲ得テ之ヲ定メネ
バナラヌ、サレバ君主ノ意思ヲ決定スルニ方リ、國民全體ヲシテ直接ニ參與
セシムベキ筈デアリマスルガ、國民ハ頗ル多數デアリマシテ實行甚ダ困難ナ
ルガ故ニ、國民代表ノ議會ヲ設ケ、其同意アリタルトキハ全國民ノ同意アリ
タルモノト看做スノデアリマス、是レ全ク已ムヲ得ザルニ出タモノデアリマ
スカラ、セメテハ其手續デアル所ノ選擧權ヲ洽ク國民ニ認ムベキデアリマシ
テ、立憲政治ノ本旨ハ玆ニ初メテ完ウスルコトガ出來ルノデアリマス、ソレ
デアリマスレバコソ明治元年五箇條ノ御誓文ニ「廣ク會議ヲ興シ萬機公論ニ
決スヘシ」ト宣ハセラレテアルデハアリマセヌカ、固ヨリ議員タル者ハ、全
國ニ亙ッテ國民各部ノ利害ヲ代表スベキハ言フ迄モアリマセヌ、併シ實際ニ
於キマシテハ選擧區ノ有權者ト、所屬黨派ノ事情ヤ、意嚮ニ動カサレ易キハ
明白ナル事實デアリマス、然ラバ之ヲ立憲政治ノ本旨ニ接近セシムル方法ハ
無キカト申シマスレバ、大ニアルノデアリマス、則チ國民各部ノ利害ヲ代表
セシメルガ爲ニ、各部ニ有權者ヲ置キ各部ヨリ議員ヲ選出セシムルトキハ、
單リ上流、中流階級ノ利害バカリデハナク、下流階級ノ利害ヲモ等シク代表
セラルヽコトニナリマシテ、玆ニ選擧權擴張ノ主要ナル意義ハ初メテ徹底ス
ルノデアリマス、尙ホ具體的ニ申シマスレバ、制限選擧ヲ改メテ普通選擧ト
スルノガ最上ノ方法デアリマス、吾人ハ前述ノ如ク立憲政治ノ本旨ヲ解セネ
バナラヌト信ジテ疑ヒマセス、然ルニ政府案ハ何故ニ選擧權擴張ニ方ッテ今
尙ホ立憲政治ノ本旨ニ適應セヌ制限選擧ヲ固守セムトサレルノデアリマセウ
カ、玆ニ於テ私ハ二三ノ質問ヲ試ミネバナラヌコトニナッタノデアリマス、政
府ノ御考デハゝ第一我國ハ尙ホ立憲政治ノ初期ニ在ルノデ、一般國民ハ未ダ
立憲ノ施行ニ慣レヌカラ、餘リニ選擧權ヲ廣クスルノハ危險デアルト云フノ
デアリマセウカ、斯ル擴張ハ却ッテ弊害ヲ生ズル虞ガアルト云フノデアリマセ
ウカ、第一此點ヲ伺ヒタイノデアリマス、成ルホド我國ハ歐米諸國ヨリモ憲
政ノ施行ガ比較的新シキコトハ言フ迄モアリマセヌ、ソレデモ憲法發布後三
十年、府縣會設置後四十年餘ニナッテ居リマス、三十年、四十年ノ試驗ハ、人
間ノ生活ニ於キマシテハ決シテ短イモノデハアリマセヌ、選擧ニ付テ全ク經
驗ヲ有シナイ國民ノ間ニ、初メテ憲政ヲ施行スル場合デアリマシタナラバ、
最初ノ試トシテハ制限ヲ加フルコトモ已ムヲ得ナイカモ知レマセヌガ、三四
十年ノ經驗ヲ有スル我國ニ於テハ、試驗ノ時代ハ過去ッテ居リマス、國民ガ
憲政ノ施行ニ慣レヌト云フコトハ決シテ選擧制限ノ理由ト爲スニハ足リマセ
ヌ、又弊害ヲ生ズル虞アリト云フコトモ出來マセヌ、況シテ明治四十一年以
來一再ニ止ラズ、普通選擧案ガ議會ニ出現シタデハアリマセヌカ、獨逸帝國
ノ如キハ其初メテ北獨逸聯邦ヲ組織シ、初メテ憲政ヲ施行スルニ方ッテ、最初
ヨリ既ニ普通選擧ヲ採リ、毫モ危險トシナカッタノミナラズ、其後モ之ガ爲ニ
弊害ヲ生ジタコトモナイノデアリマス、遡ッテ我ガ憲政施行ノ徑路ヲ顧ミテ見
マスルト、明治元年ノ五箇條ノ御誓文、同八年ノ立憲政體ノ詔書、同十四年
ノ國會開設ノ勅諭、同二十二年ノ憲法發布ノ勅語等ガアリマシテ、漸次準備
ニ準備ヲ重ネテ、同二十三年ニ初メテ議會開會トナッタノデアリマス、尙ホ其
期間ニ明治六年以來、板垣、後藤、副島、江藤參議ノ民選議員ノ建白モアリ
マスルシ、先輩諸公ノ國會開設請願ノ運動モ起リマスシ、同十四年大隈侯ノ
野ニ下リシ頃ハ最早國會開設ノ詔勅ナクテハ天下ノ政道安全ニ進行シ難キ
程ニナッタノデアリマス、明治六年ヨリ十四年マデニ國民ノ政治的自覺ハ大ニ
進步シタニ相違ハアリマセヌガ、尙ホ此自覺ヲ有シタ者ハ僅々少數ノ部分ニ
過ギナカッタノデアリマス、然レドモ此誠意ト勢力トハ專橫ナル藩閥政府ヲ强
要シ、同二十三年ヲ期シテ國會ヲ開キ立憲政治ノ端ヲ發セシムルコトニナッタ
ノデアリマス、憲政施行ニ至ルマデノ經過斯ノ如ク、二十三年ヲ費シ、其施
行後今日ニ至ルマデ、又殆殆三十二年ノ星霜ヲ經タルニ拘ラズ、世ニハ國民
一般ガ普通選擧ノ要求ヲスルマデ之ヲ延期セムト欲スル論者ガナカ〓〓多イ
ノデアリマス、然レドモ是ゾ甚ダ危險ナ方法ト言ハネバナリマセヌ、何故ナ
ラバ國民一般ガ普通選擧ヲ要求スルマデ放任シ置キマシタナラバ、取モ直サ
ズ社會ノ有力ナル分子ニ非常ナ不平ヲ鬱結セシメ、政府ガ民意輿論ト認メテ
讓歩スル頃ハ、旣ニ不自然ナル政變ヲ生ズル虞ガアルカラデアリマス、彼ノ
國會開設ノ請願ニモ一般ノ國民ハ與ラナカッタノデアリマス、少數ナガラ社會
ノ一部ニ政治思想ヲ有スル有力ナル分子ガアッテ、遂ニ國會開設ヲ見ルニ至ツ
タノデアリマス、是ハマア第一デアリマス、第二ニ伺ヒタイノハ、或ハ國民ノ
政治思想ガ尙ホ未ダ幼稚デアルト云フノデアリマセウカ如何ヲ伺ヒタイノデ
アリマス、勿論國民ノ總テガ政治家ノ如ク國事ニ熱心デアルコトハ望ムベカ
ラザルコトデアリマスシ、又決シテ望マシイコトデハアリマセヌ、實際上國
政ニ參與スル者ハ、唯議員トシテ當選シタ者ノミデアリマス、一般選擧人ハ
唯選擧權ヲ行フバカリデアリマスカラシテ、自ラ國政ニ參與スル所ノ能力ヲ
有スル者デアリマセヌ、單ニ候補者トシテ立ッテ居ル者ハ、果シテ議員トシテ
適任デアルカ否カヲ識別シ得ベキ能力ダニアリマスレバ足レリトスルノデア
リマス、斯ノ如キ普通能力ニ於キマシテハ、我ガ國民ハ決シテ歐洲國民ニ劣
ルモノデアリマセヌ、普通〓育ノ普及ニ於キマシテモ、敢テ後レヲ取ルモノ
デアリマセヌ、況シテ愛國忠誠ノ念ニ至リマシテハ、實ニ我ガ國民ノ誇トス
ル所デアリマス、此忠良ナル國民ニ對シテ廣ク選擧權ヲ與ヘルコトハ危險デ
アルトカ、弊害ヲ生ズル虞ガアルトカ、政治思想ガ幼稚デアルトカト云フノ
ハ、實ニ國民ヲ侮辱スルモノデハアリマスマイカ、今日我國ト歐洲諸國トヲ
比較シテ見マスニ、我國ニ於キマシテ單リ選擧權ニ制限ヲ加ヘルコトハ全ク
其理由ヲ見出シ得ナイノミナラズ、却ッテ反對ニ我國ニ於テハ選擧權ヲ制限ス
ル理由ニ乏シイノデアリマス、歐洲諸國ニ於キマシテハ社會民主黨ノ如キ、
虛無黨ノ如キ、又ハ民族黨ノ如キ、甚シキニ至リマシテハ國家其モノノ存在
ヲ呪フコトヲ主義トスル如キ思想ガ相當ニ勢力ヲ有スルニ拘ラズ、既ニ選擧
權ノ制限ヲ全廢シタノニ危險モナケレバ弊害ヲモ生ゼヌデハアリマセヌカ、
唯、普魯西國ガ今日尙ホ不合理極マル三段選擧ヲ維持シ、索遜國ガ普通選擧
ニ改メタノハ宜シイケレド、尙ホ複數投票制ヲ採ッテ選擧權ニ差等ヲ付ケテ
居リマスノモ、詰リ社會民主黨ノ勢力增加ヲ恐ルヽ爲デアリマス、單リ我國
ニ於テ選擧權ノ制限全廢ハ斯ノ如キ危險ノ伴フ虞ガナイ、等シク陛下ノ忠良
ナル臣民デアッテ、政體ノ爭モナケレバ、民族ノ爭モナイ、六千万人ノ臣民一
人トシテ皇室ノ隆運ヲ祈ラナイ者ハナイ、一トシテ國家ノ存在ヲ呪フ者モナ
イ、若シ世界ニ於テ最モ安全ニ選擧權ノ制限全廢ヲ決行シ得ルモノヲ求メマ
シタナラバ、我國ハ確カニ其一ツデアラウト信ジテ疑ヒマセヌ、第三ニハ女
子ノ參政權ニ付テデアリマス、佛國ノ革命議會ニ於テ「ミラボー」ガ演說シタ
中ニ、國會ハ猶ホ地圖ノ如シ、地圖ニ於テ全國ノ地形ガ其儘縮寫サレル如ク
ニ、國會ニ於テモ尙ホ國民ノ總テノ階級ノ勢力、利益ガ遺憾ナク代表セラレ
ネバナラヌト言ヒマシタノハ、國會ノ性質ヲ說明スルモノトシテ屢〓引用サ
レルガ、國會ハ實ニ斯ノ如キモノデアラネバナリマセヌ、國會ハ國民ノ代表
機關デアルトハ、何人モ異口同音ニ唱フル所デアリマス、今ヤ個人ガ其本性、
本能ヲ自由ニ發展シテ、社會國家ニ貢獻スル機會ニ平等ニ均霑シ得ルト云フ
コトハ、世界ノ風潮デアリマシテ、如何ナル權力モ之ニ逆行スルコトハ到底
不可能デアルト謂ハザルヲ得マセヌ、若シ强テ之ニ逆行セムトスルモノガア
ルト致シマスレバ、是レ時勢ヲ解セザル頑冥不靈ノ人デアッテ、自ラ好ンデ進
步デナク、退步セルモノデアルト謂ハナケレバナリマセヌ、サウシテ女子ノ
〓育モ維新以來大ニ其面目ヲ改メテ進步發展シツヽアルノミナラズ、漸ク社
會ノ需要ニ應ジテ〓育事業ヤ、交通機關ヤ、其他ノ職業ト勞作トヲ通ジテ精
神的ニ、將又物質的ニ社會、國家ニ貢獻シテ居ルノデアリマス、斯樣ニ立憲
政治ノ本旨カラ云ヒマシテモ、世界ノ大勢カラ見マシテモ、尙又國民タルベ
キ義務履行ノ上カラ論ジマシテモ、今日選擧權擴張ノ場合ニ於キマシテ、愛
國心ト國民的義務履行トニ於テ平等デアル女子ガ、ドウシテ國政ニ參與スル
上ニ於テ、不平等ナル待遇ヲ受ケネバナラヌノデアリマセウカ、私ハ甚ダ了
解ニ苦シムノデアリマス、素ヨリ女子參政權ニ付キマシテ、人體ノ構造ヤ、
〓育ノ程度ヤ、古來ノ習慣ヤ、其他種々ノ原因ヨリシテ反對論ガアルニ相違
アリマセヌガ、其反對論タルヤ詮ジ詰レバ、古來女子ヲ男子ト同等ノ人間扱
ニセナンダ結果ヲ捉ヘテ、直チニ之ヲ論及スルカ、或ハ又男子自己ノ便宜ヲ主
トスル偏見ニ基因スルニ非ザレバ、全ク一片ノ𣏌憂ニ外ナラヌノデアリマス、
早イ話ガ社會、國家ノ進步ト云ヒ、國力充實ト云フノモ、詰ル所ハ國民全體
ノ勤勞ノ結品デアリマス、上ハ知識階級精神的ノ人ヨリ、下ハ勞働階級ノ庶
民的階級ニ至ルマデ、勞働ヨリ成ルノデアリマス、ソレデアレバコソ我國ニ
於キマシテモ、古來男女相俟ッテ協力シテ現代ノ程度マデ漕付ケタノデハアリ
マセヌカ、況シテ今日ハ女子ガ富國强兵ノ上ニ貢獻シテ居リマスル狀況ハ、
殆ド男子ト同等デアルト云ッテモ過言デアリマセヌ、然ルニ女子ヲ參政權ヨリ
除外スルコトニナレバ、是ゾ卽チ女子ヲ非國民扱ニシ、女子ニ對スル非常ナ
侮辱デアルト云ハネバナリマセヌ、斯ル非立憲的ノ法制ハ、苟モ文明國ノ仲
問入ヲシタ我國ニアルマジキコトデハナイデアリマセヌカ、終ニ臨ミマシテ
一言附加ヘテ置キタイコトハ、家庭ニ於ケル母親ノ權威ニ付テデアリマス、
申ス迄モアリマセヌガ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=13
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014・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御意見ハ御斷ヲ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=14
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015・山脇玄
○山脇玄君 イヤ、質問ノ趣意ヲ徹底サシテ頂キタイ········古來英雄、偉人ノ
背後ニハ必ズ賢明ナル母親アルニ鑑ミマシテモ、亦現代靑年子女ノ〓育程度
ノ進步ニ見マシテモ、男女性別ニ依ッテ社會上ノ地位、境遇ニ差等ガアルヤウ
デアリマスト、家庭ニ於テ靑年子女ヲ〓養スル上ニ甚ダ不便ヲ感ズルコトハ、
皆サンモ我〓ト共ニ日常實驗ナサレル所デアラウト存ジマス、シテ見レバ此
點ヨリシマシテモ、此好機會ヲ逸シマセズ、男女同等ニ參政權ヲ要求セネバ
ナラヌ次第トナルノデアリマス、右三點ニ付キマシテ徹底的ノ御答ヲ願ヒタ
イ
〔國務大臣床次竹二郞君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=15
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016・床次竹二郎
○國務大臣(床次竹二郞君) 唯〓ノ御尋ハ斯ウ心得マスガ、政府ハ普通選擧
論ニ對シテドウ考ヘテ居ルカ、斯ウ云フ大體御尋ノヤウニ心得マス普通選
擧論ニモソレ〓〓程度ノアルヤウニ考ヘマス、一定ノ年齡ニ逹シタ男子ノミ
ニ參政權ヲ與ヘル、若クハ又一定ノ年齡ニ達シタ女子ヲモ加ヘ參政權ヲ與ヘ
ル或ル年齡ニ達セヌ者ハ男女共ニ省クト、斯ウ云フコトノヤウニ色〓アリ
マスルヤウデスガ、何レノ途、人間ハ生レナガラニシテ平等ナルモノデハナ
イト考ヘマス、又長幼ニ依ッテ思想ノ相違モアルモノト考ヘマス、既ニ男ナラ
バ男、女ヲ加ヘテモ、相當ノ年齡ニ制限ヲ置イテ、玆ニ選擧權ヲ認メルト云
フ以上ハ何等カ制限ヲ置クベキ必要ガアッテ置クノデアルト考ヘルノデア
リマスガ、詰リ選擧權ヲ與ヘル與ヘヌト申シマスノハ之ヲ行使スル能力ア
リヤ否ヤト云フコトガ、結局問題ノ歸著點ニナルノダラウト思ヒマス、左樣
ニ致シマスルナラバ、此選擧權問題ト云フモノハ、時ニ依ッテ、所ニ依ッテ、ソ
レ〓〓差異ノアルコトハ勿論ノコトト考ヘマス、歐羅巴ニ於テ普通選擧ガ行
ハレテ居リマスルニハソレ〓〓相當ノ歷史、沿革ガアッテ其所ニ至ッタコト
デアリマセウ、我國ニ於テ選擧權ヲ論ズルニモ亦時勢ニ依ラザルヲ得ナイ、
最初カラ今日マデ漸次選擧權ヲ擴張イタシ來ッテ、卽チ此度モ又約倍數ニ之ヲ
擴張セムトスルノデゴザイマスノデアリマスガ、凡ソ斯ウ云フコトハ順序ヲ
履ンデ漸次其途ヲ執ルト云フコトガ、最モ然ルベキコトデアルト考ヘマシタ
ノデアリマス、ソレヲ細カク分ッテ、直チニ玆ニ選擧權ヲ與ヘレバ弊害アルヤ
否ヤ、政治思想ガ發達セザルヤ否ヤト云フ所マデ論及スルノデアリマセウガ
一定ノ納稅額ヲ納メヌ者ニ致シマシテモ相當ノ知識、經驗ヲ備ヘタ者ハアリ
マン·納稅者デアリマシテモ一々之ヲ吟味スルトキニ於テハ、其能力ニ疑ハ
シイ者モアルト考ヘマス、併シ制度ヲ立テルニハ先ヅ大體カラ判斷ヲ致スヨ
リ外ハナイノデアリマシテ、今日ノ大體カラ申セバ、先程申上ゲマシタ如ク、
漸ヲ以テ進ムト云フコトガ最モ適當ナリト考ヘマシタノデゴザリマス、細カ
ク分ッテ御答ヲ申上ゲマセヌデモ、其邊ハ御了解下サルコトト考ヘマス、女子
ニ選擧權ヲ與ヘナイノモ同ジ理由デゴザリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=16
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017・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 高崎君ニ伺ヒマスガ、高崎君ノ質問ハ大分時間ヲ
要シマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=17
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018・高崎親章
○高崎親章君 極ク簡單デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=18
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019・山脇玄
○山脇玄君 モウ一應內務大臣ニ伺ヒタイ、內務大臣ハ此知識ノ程度或ハ制
限ノコトヲ御述ノヤウデアリマスガ、我〓ガ一番伺ヒタイノハ、今此制限ヲ
直チニ撤廢シタナラバドレ程ノ弊害ヲ生ズルカ其弊害ヲ伺ヒタイ、我〓ハ
弊害ハアルマイト見込ンデ居リマス、內務大臣ハ弊害ガアルト認メラレル
其弊害ノ點ヲ一々列擧シテ下サレバ、我〓ガ反省スル材料ニナルト思ヒマス、
モウ一應弊害ノ點ヲ列擧シテ戴キタウゴザイマス
〔國務大臣床次竹二郞君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=19
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020・床次竹二郎
○國務大臣(床次竹二郞君) 私ハ斯樣ニ考ヘマス、一國ノ政治ヲ爲スニハ、
ソレ〓〓秩序アル穩當ナル進ミ方ヲ致スコトガ、其國ヲ進ムル所以デアルト
思フノデアリマス
〔山脇玄君「我國ガ········」ト述フ〕
ソレ故ニ今日ノ大體カラ達觀イタシマスルニ、政府ノ原案ガ即チソレニ適フ
所以デアル、其程度ヲ超エテ進ムルト云フコトハ穩健ナル政治ヲ進ムル所以
デナイト考ヘタ次第デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=20
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021・高崎親章
○高崎親章君 極ク簡單デゴザイマスカラ此席カラ申述ベマス、衆議院議員
選擧法改正ニ付キマシテ政黨ニ關係ノアルコトハ、唯今內務大臣ヨリ縷々數
百言ヲ申述ベラレタノデアリマス、固ヨリ此改正ニ付テハ各政黨ニ利害關係
ヲ及ボスコト少カラヌト考ヘマスガ、殊ニ區劃ノ改正ニ於テハ最モ其關係ガ
厚イノデアリマス、玆ニ於テ內務大臣ニ御伺ヒ致シタイノハ、政府ガ立憲政
治ノ運用上政黨ヲ目セラルヽコトハ大政黨ヲ主眼トセラルヽカ、將タ小黨分
立ヲ目的トセラルヽカ、此選擧法ヲ議會ニ提供セラレタル此御目的ニ付テハ、
大政黨若クハ小黨分立、此二ツノ何レヲ以テ目的トセラレタルカ、將タ政黨
ヲ更ニ眼中ニ置カナイデ本案ヲ編纂セラレタモノデアルカ、唯今內務大臣ノ
御說明ニ依リマスト、政黨ノ爲ニ本案ノ改正ハ不可ナリ、併ナガラ本案改正
上政黨ノ發達ニ資スルト云フコトハ必要デアル、斯ウ云フコトヲ申述べラレ
マシタガ、是ハ誠ニ巧ナル御言葉デアッテ、私共解釋ニ苦シム、本案改正ガ如
何ナル政黨ノ爲ニ利益デアルカト云フ事柄ニ付テハ、何カ御目的ガアルデア
ラウト察セラレマスナレドモ、唯今ノ御言葉ハ甚ダ解釋ニ苦シムノデアリマ
ス、玆ニ御伺ヒ致シタイノハ、本案ヲ編成セラルヽニ當ッテ、大政黨ヲ目的ト
セラレタノデアルカ、或ハ小黨分立ヲ主眼トセラレタノデアルカ、此御目的
ヲ伺ヒタイノデアリマス、次ニ伺ヒタイノハ現行ノ大選擧區ヲ小選擧區ニ改
メラレル、此別表ヲ見マスルト、二人制ガ六十九、三人制ガ十一區ニナッテ
居リマスガ、三人制ト云フ事柄ナドハ殆ド中選擧區トモ申スベキモノデアラ
ウト思ヒマス、小選擧區ニ改メラルヽ以上ハ一人一區制ヲ採ラレテ然ルベキ
ト思ヒマスガ、或ハ是ハ行政區ノ人口ノ都合ニ依ッテ其配合ガ出來ルト云フ
關係デアリマセウケレドモ、法律ヲ以テ之ヲ改正スル以上ハ、必シモ行政區
ニ依ラズトモ選擧區ヲ別ニ立テテモ差支ナイコトデアリマスガ、一人一區制
ト云フコトハ、ドウシテモ出來ナカッタノデアリマスカ、出來ナイノハドウ云
フ理由デアルカ、之ヲ伺ヒタイ、此二點ヲ伺ッテ見タイノデアリマス
〔國務大臣床次竹二郞君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=21
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022・床次竹二郎
○國務大臣(床次竹二郞君) 御答ヘ致シマス、先程說明ノ中ニ申上ゲマシタ
コトハ、今日同士討ト云フヤウナコトガ行ハレテ居ル、斯ウ云フコトハ政黨
ノ發達上甚ダ宜クナイ、デ小選擧區ニ改メマスレバ其邊ノ弊害ハ宜クナル積
リデアル、自然政黨ノ發達上ニモ是ハ都合ガ宜シイ、斯樣ニ申シマシタ、併ナ
ガラ選擧法ノ改正ハ元ト政黨ノ都合ノミヲ以テ改正スベキモノデハ勿論ゴザ
イマセヌト云フコトハ、併セテ申上ゲタ積リデアリマス、從ッテ此改正ニ於テ
小黨分立若クハ大政黨ヲ作ルト云フヤウナコトハ何等眼中ニゴザリマセヌ又
區制ノ大小ニ依ッテ大政黨ニ都合ガ宜クナル、小政黨ガ分立、小政黨ニ不都合
デアルトモ私ハ考ヘマセヌ、小黨分立若クバ大政黨ガ出來ルト云フコトハ、世
ノ勢デアルト考ヘマス、寧ロ今日ハ各國トモニ社會ノ狀態複雜ナルニ從ッテ、
政黨ハ分裂スル傾ガアルカト其點ハ考ヘテ居リマス、小選擧區若クハ大選擧
區タル爲ニ左樣ナルモノトハ考ヘマセヌソレカラ二人區若クハ三人區ノ選
擧區ヲ作ルニ至リマシタコトハ、先程申上ゲマシタ如ク、原則トシテハドコ
マデモ一區一人制ヲ採リタイト云フ積リデゴザリマシタ、併ナガラ一區一人
制ヲ嚴守イタスト云フコトニナリマスト、人口ノ上ニ於テ甚ダ不平均ナルコ
トモ起ッテ參リマス、地形上カラ申シマシテモ無理ナ所ガ隨分起ッテ參リマス、
已ムヲ得ズ二人若クハ三人一區ト致ス方ガドウモ公平ニシテ都合ガ好イト思
フ所ガアル爲ニ、左樣ナモノガ出來タ次第デゴザイマス、選擧區ヲ區劃イタ
シマスルニ、町村別ヲ以テ致シマシタナラバ、或ハ人口ノ點ナゾハ極メテ公
平ヲ得テ一區一人制ヲ行フノニ都合ガ好イト思ヒマスルガ、偖此行政區劃ヲ
分割イタシマシテ、勝手次第ト申シテハ語弊ガアルカ知レマセヌガ、兔ニ角
左樣ニ分配ヲ致スト云フコトハ甚ダ困難ナコトデモアリマスルシ、手數デモ
アリマスルシ、左樣ナコトヲ致シテマデモ此選擧區制ヲドコマデモ畫一式ニ
ヤラナケレバナラヌ次第トモ考ヘナカッタ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=22
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023・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 休憩ヲ致シマス
午後零時一分休憩
午後一時十八分開議発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=23
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024・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ會議ヲ開キマス、高崎君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=24
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025・高崎親章
○高崎親章君 先刻ノ續ヲモウ一言內務大臣ニ御說明ヲ願ヒタイ、先刻ノ御
答辯ニ本案制定ニ付テハ政黨ハ大政黨モ小政黨モ更ニ眼中ニ置カナイト云フ
御辯明デアリマシタガ、併ナガラ其前ニ內務大臣ノ御說明中、大選擧區デア
ルト同ジ黨派ガ互ニ競爭シ、德義上ニ於テモ甚ダ面白カラザル結果ヲ見ルコ
トガ多々アル、是等ニ付テモ小選舉區ガ最モ適當デアルト云フ御說明デアッタ
ノデアリマス、果シテ右樣ナ事實ガアリトシマスレバ、大政黨デアルト云フ
ト候補者ガ其選舉區內ニ數多現ハレルノデアリマス、小黨デアルト云フト其
候補者ガ從ッテ少イノデアリマス、故ニ此大選擧區ニ於テ同ジ黨派ガ鎬ヲ削ツ
テ爭フト云フ所ノ弊ヲ除却スルニハ、小選擧區ガ宜シイト云フ御意見デアリ
マスルト、内務大臣ノ御目的ハ此選擧區ニ付テハ、大政黨ヲ主眼トシテ居ラ
レルト云フニトガ、御言葉ノ中ニ現ハレルヤウデアリマス、然ラバ私共ノ內
務大臣ノ御說明ニ依ッテ考ヘル所デハ、此選擧法ノ改正ハ、政府ハ憲法政治ノ
運用ヲ爲ス上ニ於テハ大政黨デナケレバナラヌト云フ御目的ガアルト云フニ
トガ、御言葉ノ中ニ現ハレルヤウニ考ヘマスガ、ソレデハ此選擧法ノ改正ニ
付テハ、何等眼中政黨ヲ置カナイト云フ御考デゴザイマセウカ、モウ一遍伺
ヒタイノデゴザイマス
〔國務大臣床次竹二郞君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=25
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026・床次竹二郎
○國務大臣(床次竹二郞君) 御答イタシマス、小選擧區ニ致シマシタ方ガ政
黨ノ爲ニ都合ガ宜シイト考ヘマス、其事ハ左樣ニ申上ゲマシタ、併ナガラ政
黨ノ爲ニ都合ガ好イト申上ゲタコトハ、大政黨ニ限ッテ都合ガ宜イト申上ゲタ
次第デハアリマセヌ、黨ノ大小ヲ問ハズ、政黨ト致シマシテハ小選擧區ノ方
ガ都合ガ宜イ、斯樣ニ申上ゲタコトデアリマスル、デ大小選擧區ノ爲ニ、小
選擧區デアレバ是ガ大政黨ニ都合ガ宜イト云フコトハ、私ハ理窟ヲ發見イタ
シマセヌ、唯大選擧區ノ方ガ少數代表者ヲ出スニ都合ガ宜イト云フコトハ往
々議論ヲセラレル所デアリマシテ、或ハ强テ區別ヲ致シマシタナラバ、大選
擧區ノ方ガ少數黨ノ爲ニ宜イカモ知レマセヌガ、併シ强チ左樣ニハ今日ノ實
際ニ於テ斷定ハ出來ナイト云フコトモ更ニ申上ゲタノデアリマス、ソレハ何
故カト申セバ、政黨ノ勢力ノ分布ノ狀況ハ一府縣ヲ通ジテ一樣ニゴザイマセ
ヌ、南部ノ方ニハ甲黨ガ勢力ガアリ、北部ノ方ニハ乙ノ黨ガ勢力ガアルト云
フコトガ今日ノ實況デゴザイマスルカラ、小選擧區制ニナルガ爲ニ少數黨ハ
却ッテ利益ノアル場合モゴザイマス、又小選擧區制ノ時分ニハ少數黨ガ比例的
ニ選擧サレナイ、ソレダカラ之ヲ大選擧區ニ改メル、其例トシテ少數黨ガ却
ッテ利益ヲ得テ居ルコトガアル、利益ト云フコトハ少數黨ノ方ガヨリ以上ノ議
員ヲ選出スル、卽チ黨ノ勢力ニ比較シテ不均衡デアル、是ガ小選舉區ヲ改メ
テ大選舉區ニスル所以デアルト云フノガ、現行法ニ改メラレル時ノ理由ノ一
ツデアリマス、即チ反面カラ申シマスレバ、小選擧區必シモ少數黨ノ不利益
ニナラナイト云フコトニナリマス、實際ノ狀況ハ私ハ左樣ニ考ヘマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=26
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027・高木兼寛
○男爵高木兼寬君 本案ノ特別委員ヲ十八名ト定メテ御選定アラムコトヲ希
望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=27
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028・石黒忠悳
○男爵石黑忠悳君 贊成イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=28
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029・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 本案ノ委員ノ數ヲ十八名トスル高木男爵ノ動議ニ
同意ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=29
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030・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 過年數ト認メマス、特別委員ノ氏名ヲ、書記官ヲ
シテ朗讀ヲ致サセマス
〔岡書記官朗讀〕
衆議院議員選擧法中改正法律案特別委員
候爵德川賴倫君伯爵〓棲家〓君伯爵松平賴壽君
男爵小澤武雄君平山成信君子爵前田利定君
子爵板倉勝憲君松室致君男爵中川興長君
有松英義君男爵南岩倉具威君男爵東郷安君
石渡敏一君澤柳政太郞君伊澤多喜男君
江原素六君鎌田勝太郞君橫山章君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=30
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031・松浦厚
○伯爵松浦厚君 時局ノ影響ニ因ル地方稅制限擴張ニ關スル法律案ノ特別委
員會ヲ開キタイト思ヒマス、是ヨリ其特別委員ダケノ退場ヲ御許ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=31
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032・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 松浦伯爵ノ要求ニ對シテ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=32
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033・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス、此際諸君ニ御諮リヲ致シ
テ置キマスガ、他ニモ常任委員會若クハ特別委員會ヲ本會議中ニ開會シタイ
ト云フ要求ガゴザイマシタナラ、議長ニ於テ差支ナイト認メマス限リ許可ヲ
致シテ宜シウゴザイマスカ、豫メ諸君ノ御意見ヲ伺ッテ置キマスト、大ニ便利
ニナルト存ジマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=33
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034・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス、議長ニ於テ左樣御取計ヒ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=34
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035・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第四、大正六年法律第六號中改正法律案、政
府提出、衆議院送付、第一讀會ノ續、委員長報告
〔左ノ報〓書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス〕
大正六年法律第六號中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
大正八年三月六日
右特別委員長
候爵蜂須賀正韶
貴族院議長公爵德川家達殿
〔候爵蜂須賀正韶君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=35
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036・蜂須賀正韶
○侯爵蜂須賀正詔君 大正六年法律第六號中改正法律案ノ委員會ノ經過及結
果ヲ御報告イタシマス、本委員會ニ於キマシテハ、委員會ハ前後二囘開キマ
シタ、去ル四日及六日デゴザイマシタ、委員會ニ於キマシテハ、委員一同本
案ニハ誠ニ同感デゴザイマシテ、全會一致ヲ以テ可決イタシマシタノデゴザ
イマス、本案ハ軍人ノ恩給ニ關係イタシマシタモノデアリマシテ、大正六年
法律第六號デハ明治四十四年四月以前ニ恩給ヲ受ケテ居リマス者ニ、現在行
ハレテ居ル恩給額ヲ給シタイト云フコトデ、其際ハ財政ノ都合上全額ヲ給ス
ル譯ニイカナイノデ、大正七年一月ヨリ五箇年ニ亙ル年割額ノ規定カソレニ
添ウテ居ルノデアリマス、所ガ段々物價ハ騰貴スル、下級者デ卽チ下士卒ノ低
イ恩給ヲ受ケテ居ル者ガ生計ニ困難スル事情モアリ、旁〓政府ハ年割額ノ規定
ヲ改正シマシテ四月一日ヨリ全額ヲ給シタイ、斯ウ云フノガ改正ノ趣意デア
リマス、委員會ニ於キマシテハ、段々御質問ガアリマシタガ、其中デ四月ノ
一日ニ改正ト云フコトハ、寧ロ大正八年一月一日トシタ方ガ宜イノデハナイ
カシラ、僅カ三箇月分ノ經費トシテハサウ大シタコトデハアルマイシ、又法
律ハ既往ニ遡ラズトハ申シナガラ、是ハ唯政府ノ財政ノ都合上、五箇年ノ年
割額ノ規定ヲ拵ヘタノデアルカラ、左程困難ナコトデモアルマイガト云フ質
問モ出マシタノデゴザイマシタガ、政府委員ノ方ニ於キマシテハ、一月一日
カラト云フコトニ致スト、追加豫算ノ財源ニ困ル、ソレト四月一日カラト云フ
コトデ漸クト此案ガ出來上ガッタ譯デアルカラ、是ハ已ムヲ得ナイノデアルカ
ラ、其儘ニシテ貰ヒタイト云フコトデアリマシタ、尙ホ委員ノ御一人カラ、名
譽進級サレタ者ニ名譽進級サレタ當時、其階級ノ恩給ヲ給スル譯ニハ今マデ
ナッテ居ラヌノデ、ドウゾ將來ハ名譽進級サレタラ、其階級ノ恩給ヲ給與スル
ヤウニシタイト云フ、斯ウ云フ希望ガアリマシタ、又今一ツハ一體政府ハ、
此恩給法デ現在ノ事情ニ鑑ミテ、下級者卽チ下士卒アタリノ低イ恩給デ、滿
足シテ居ラルヽノデアラウカト云フ御問ガ出マシタ、是ハ餘リ十分デアルノ
デハナイ、斯ウ云フ政府委員カラノ御答辯ガアリマシタモノデスカラ、是モ
附加ヘテ希望トシテ述ベルガ、ドウゾ近キ將來ニ於テ是ガ改正ヲ行ハレテ、
而シテ成ルペク低イ恩給者ニ厚ク恩給ヲ給スルヤウナ方法ガ付クナラバ、尙
ホ宜シイガト云フコトノ希望ヲ述ベラレマシタコトデゴザイマシタ、右御報
告イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=36
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037・山内長人
○男爵山內長人君 唯今議題ニナッテ居リマス法律案ハ洵ニ簡單明瞭ナ案デ
アリマス、而シテ此法案ニ關係イタシマスル請願ハ、本院ヘ數十通旣ニ提出
ニナッテ居リマス、當院ニ於キマシテハ願意ノ大體ハ採擇スベキモノトシテ、
政府ニ御送付ニナリマシタコト既ニ四囘ニ及ブト考ヘマス、故ニ讀會ヲ省略
シテ可決確定アラムコトヲ希望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=37
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038・高木兼寛
○男爵高木兼寬君 贊成イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=38
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039・小澤武雄
○男爵小澤武雄君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=39
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040・藤井包總
○男爵藤井包總君 讀會省略ニ贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=40
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041・中川興長
○男爵中川興長君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=41
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042・内田正敏
○男爵内田正敏君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=42
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043・佐竹義準
○男爵佐竹義準君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=43
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044・山脇玄
○山脇玄君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=44
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045・柳原義光
○伯爵柳原義光君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=45
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046・加太邦憲
○加太邦憲君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=46
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047・西紳六郎
○男爵西紳六郞君 贊成
〔其他「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=47
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048・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 山內男爵ノ讀會省略ノ動議ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ
請ヒマス
起立者多數発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=48
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049・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 三分ノ二以上ト認メマス、原案ニ御異存ゴザイマ
セヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=49
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050・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=50
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051・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第五、史蹟名勝天然紀念物保存法案、侯爵德
川賴倫君外六名發議、第一讀會
〔左ノ提出文及議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ茲ニ載錄ス〕
史蹟名勝天然紀念物保存法案
右貴族院規則第六十四條ニ依リ提出候也
大正八年三月八日
發議者
侯爵德川賴倫男爵小澤武雄男爵石黑忠悳
男爵目賀田種太郞男爵阪谷芳郞三宅秀
水野鍊太郞
贊成者
侯爵蜂須賀正韻侯爵德川圀順侯爵細川護立
侯爵佐佐木行忠伯爵吉井幸藏伯爵松木宗隆
伯爵廣澤金次郞伯爵大木遠吉伯爵松平賴壽
子爵伏原宣足子爵山口弘達子爵土方雄志
子爵舟橋遂賢子爵實吉安純子爵樋口誠康
子爵東坊域德長子爵靑木信光子爵牧野忠篤
子爵伊集院兼知子爵前田利定子爵西大路吉光
子爵井上匡四郞子爵榎本武憲子爵豐岡圭資
子爵伊東祐弘子爵片桐貞央子爵野村益三
子爵八條隆正男爵高木兼寬男爵山中信儀
阿部浩大山綱昌男爵中川興長
男爵村上敬次郞和田彥次郞河村讓三郞
男爵宇佐川 一正男爵高千穗宣麿男爵名和長憲
男爵西紳六郞男爵太秦供康男爵阪井重季
男爵內田正敏男爵肝付兼行男爵南岩倉具威
男爵山內豐政男爵小早川四郞男爵船越光之丞
男爵千秋季隆男爵北大路實信男爵伊丹春雄
男爵長松篤業男爵神山郡昭男爵楠本正敏
男爵〓水資治男爵橫山隆俊男爵二條正麿
男爵藤堂高成男爵辻太郞谷森眞男
藤田四郞加太邦憲阪本 多之助
高田早苗菅原通敬高橋作衞
鎌田榮吉星島謹一郞鎌田勝太郞
貴族院議長公爵德川家達殿
史蹟名勝天然紀念物保存法
第一條本法ヲ適用スヘキ史蹟名勝天然紀念物ハ內務大臣之ヲ指定ス
前項ノ指定以前ニ於テ必要アルトキハ地方長官ハ假ニ之ヲ指定スルコト
ヲ得
第二條史蹟名勝天然紀念物ノ調査ニ關シ必要アルトキハ指定前ト雖當該
吏員ハ其ノ土地又ハ隣接地ニ立入リ土地發掘障碍物ノ撤去其ノ他調査ニ
必要ナル行爲ヲ爲スコトヲ得
第三條史蹟名勝天然紀念物ニ關シ其ノ現狀ヲ變更シ又ハ其ノ保存ニ影響
ヲ及ホスヘキ行爲ヲ爲サムトスルトキハ地方長官ノ許可ヲ受クヘシ
第四條內務大臣ハ史蹟名勝天然紀念物ノ保存ニ關シ地域ヲ定メテ一定ノ
行爲ヲ禁止若ハ制限シ又ハ必要ナル施設ヲ命スルコトヲ得
前項ノ命令若ハ處分又ハ第二條ノ規定ニ依ル行爲ノ爲損害ヲ被リタル私
人ニ對シテハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府之ヲ補償ス
第五條內務大臣ハ地方公共團體ヲ指定シテ史蹟名勝天然紀念物ノ管理ヲ
爲サシムルコトヲ得
前項ノ管理ニ要スル費用ハ當該公共〓體ノ負擔トス
國庫ハ前項ノ費用ニ對シ其ノ一部ヲ補助スルコトヲ得
第六條第三條ノ規定ニ違反シ又ハ第四條第一項ノ規定ニ依ル命令ニ違反
シタル者ハ六月以下ノ禁鋼若ハ拘留又ハ百圓以下ノ罰金若ハ科料ニ處ス
附則
本法施行ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ期日ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
古社寺保存法第十九條ハ本法施行ノ日ヨリ之ヲ廢止ス
〔水野鍊太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=51
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052・水野錬太郎
○水野鍊太郞君 唯今議題ニ上リマシタ史蹟名勝天然紀念物保存法案ニ付キ
マシテハ、私モ提出者ノ一人デアリマスルガ故ニ、簡單ニ此法案ノ趣旨ヲ說
明イタシタイト思フノデアリマス、申スマデモナク我國ハ三千年ニ近イ特殊
ノ歷史ヲ有ッテ居ルノデアリマス、其歷史ヲ有ッテ居リマス國ト致シマシテ、
各地方ニ於キマシテ歷史上由〓アリ、且又國家ノ精華トモ見ラルベキ所ノ幾
多ノ史蹟名勝、其他各般ノ紀念物ガ存在シテ居ルノデアリマス、是等ノ史蹟、
紀念物等ハ、國ノ歷史ヲ偲ビ、國家ノ精華ヲ發揚スルニ於テ最モ有力ニシテ
且ツ必要ナルモノデアルト云フコトハ申スマデモナイコトデアリマス、故ニ
斯ル史蹟、紀念物等ヲ永遠ニ保存スルト云フコトハ、國家思想ヲ發揚シ國民性
ヲ涵養スルコトニ於テ、最モ力アルモノト考ヘルノデアリマス、御承知ノ如
ク歐米諸國ニ於キマシテモ、其國ノ歷史ヲ偲ブ所ノ史蹟、紀念物等ニ對シマ
シテハ、國竝ニ公共團體及國民ガ、皆之ニ對シテ相當ノ費用ヲ拂ヒ、之ガ保
存ニ努メツヽアルト云フ實況デアリマス、現ニ亞米利加ノ如キ新造國ニ於テ
ハ、新ニ歷史上由緒アル土地其他ノ史蹟ヲ製造イタシマシテ之ヲ保存シ、之ヲ
永遠ニ傳ヘルト云フコトヲ以テ國ノ誇トシテ居ル位デアリマス、我國ニ於キ
マシテハ是等ノコトニ對シマシテ、大ニ意ヲ用ヒツヽアルト云フコトハ事實
デアリマス、ケレドモ之ニ對スル特殊ノ法制ガアリマセヌガ爲ニ、十分ナル效
果ヲ收メルコトガ出來ナイ、是ハ實ニ御互ニ遺憾トシテ居ル所デアリマス、幸
ニ明治三十年ニ古社寺保存法ナルモノガ制定セラレマシテ、歷史上由〓アリ
若クハ美術ノ模範トナルベキモノヲ、特ニ保護スル所ノ制度ガ立ッタノデアリ
マス、ケレドモ是等ノ法律ニ依ッテ支配セラレテ居リマスルノハ、社寺ノ建造
物若クハ寶物ニ過ギナイノデアリマス、之ニ對シマシテハ、或ハ特別保護建
造物トシテ、或ハ國寳トシテ、之ガ維持ニ努メテ居ルノデアリマスルガ、是
亦固ヨリ結構ナコトデアリマスルケレドモ、其以外ニ於キマシテ、尙ホ史蹟、
名勝、紀念物ガ幾多存シテ居ルト云フコトハ、是亦申スマデモナイノデアリ
やき、是等ノモノニ對シマシテハ、今日法制ヲ以テ之ヲ保存スル制度ガ立ッテ
居ラナイ、ソレデアリマスカラシテ、時ニハ破壞シ、時ニハ湮滅セラルヽ虞
ガアルノデアリマス、幸ニ史蹟名勝天然紀念物保存協會ト云フ私設ノ會ガア
リマス、此所ニ御出デノ德川賴倫候ヲ會頭トシテ居ル會ガアリマシテ、是等
ノ調査ニ從事セラレツヽアルノデアリマス、併ナガラ是ハ固ヨリ一私立〓體
ニ過ギナイ、是等ノモノヲ保存シ、特別ノ保護ヲ與フルニ付キマシテ法ガ備
ハッテ居リマセヌガ爲ニ、知ラズ識ラズノ中ニ湮滅シ、若クハ破壞セラルヽト
云フ狀勢ニアルノデアリマス、而シテ是等ノモノガ一タビ破壞セラレ、一タ
ビ湮滅セラルヽニ於キマシテハ、之ヲ恢復スルト云フコトハ極メテムヅカシ
キコトニナルモノデアリマス、左樣ノ次第デアリマスカラ、今日ニ於キマシ
テ之ガ保存ヲ爲スト云フコトハ、最モ必要ナコトト考ヘルノデアリマス、此
趣旨ヲ以チマシテ、玆ニ此法案ヲ提出イタシマシテ、斯ル由〓アル歴史上ノ
昔ヲ偲ブコトヲ得ル所ノ史蹟、名勝、天然紀念物ニ對シマシテハ、國法ガ之
ヲ保護シ、必要ナル場合ニハ是等ノモノニ對シマスル行爲ヲ制限シ、禁止シ
以テ是等ノモノヲ永遠ニ傳ヘルト云フノガ此法案ノ大體ノ趣旨デアルノデア
リマス、私共ハ今日ニ於キマシテハ時機或ハ遲キノ憾ガアル位ニ考ヘルノデ
アリマス、尙ホ今日ニ於キマシテ斯ル法ヲ制定イタシマシテ、願ハクバ是等
ノモノヲ永遠ニ保存イタシタイト云フ考ヲ有チマシタ次第デアリマス、大體
ノ趣旨ハ今申ス通リノ次第デアリマス、若シ幸ニ特別委員等ニ御付託ニナル
ヤウナコトガアリマシタナラバ、詳細ノコトハ尙ホ委員會ニ於テ申述ベタイ
ト思フノデアリマス、ドウゾ御贊成アラムコトヲ切望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=52
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053・矢口長右衞門
○矢口長右衞門君 質問ヲ致シタウゴザイマス、唯〓ノ發案者ニ對シマシテ
一言ノ質問ヲ致シマスルガ、此史蹟、名勝ト云フコトハ此字句ヲ見テ何人
モ了解シ得ラレマス、而シテ天然紀念物ト云フ文字ガゴザイマスガ、此文字
ニ對シテ紀念物ト云フ理由ハ詳細ニ說明サレマシタガ、天然ト云フコトニ付
テ何等ノ解釋モ與ヘテ下サイマセヌ、天然紀念物トハ如何ナルモノデアルカ
字句ノ上カラ申シマスレバ、天然ニ紀念サレル物ト云フコトガ分ッテ居リマス
ガ、果シテ實物ハ如何ナルモノデアルカ、實蹟ハ如何ナルモノデアルカ、紀
念物ト云フ御說明ハアリマシタガ、殊更ニ天然ト云フ二字ヲ使ヒマシタコト
及二三ノ實例ニ付テ御說明ヲ願ヒタウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=53
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054・水野錬太郎
○水野鍊太郞君 此席カラ御答イタシマス、天然紀念物ト申シマスルノハ、
文字ソレ自身ガ現ハシテ居リマスルガ如ク、天然物ニシテ紀念スベキモノト
云フコトデアリマシテ、例ヘテ申シマスレバ、大キナ木トカ、或ハ其他特殊
ノ動物ト云フモノガアリマシテ、サウ云フヤウナ物ガ、歷史上特殊ノ由〓ヲ
有ッテ居ルモノガアル、是ハ各地方等ニ於キマシテモ御覽ニナリマスルガ如キ
昔カラ由〓ノアル所ノ巨木、大樹ト云フモノガアリマシテ、是等ノモノハ相
成ルベクハ保存ヲ致シタイ、斯ウ云フ趣旨ナノデアリマス、サウ云フヤウナ
意味ヲ以チマシテ、天然紀念物ト云フコトヲ、今日ハ通稱トシテ用ヒテ居ル
次第デアリマス
〔阪本釤之助君發言ノ許可ヲ求ム〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=54
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055・小澤武雄
○男爵小澤武雄君 本案ハ關係スル所ガ廣クゴザイマスルシ、又相當質問モ
アルコトト思ヒマスカラ、此際議長指名ノ特別委員ニ付託シテ審査ヲ進メラ
レムコトヲ希望イタシマス、諸君ノ御贊成ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=55
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056・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 阪本君ニ伺ヒマスガ、質問デゴザイマシタカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=56
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057・阪本さん之助
○阪本釤之助君 チヨット質問デス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=57
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058・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 宜シウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=58
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059・阪本さん之助
○阪本釤之助君 大シタ事デモアリマセヌガ、近頃領收イタシマスル案ニハ、
多ク主務大臣ト書イテアリマスルガ、本案ハ內務大臣ト書イテアリマス、格
別深イ趣旨ハナカラウト思ヒマスガ、若シ內務大臣ト云フコトニ何カ御意味
ガアリマスナラバ、御說明ヲ請ヒタイト思ヒマス、若シ深イ意味ガアリマセヌ
ナラバ委員會デモ成立チマシタナラバ、矢張リ近頃ノ例ニ依ッテ主務大臣ト
御改ニナッタ方ガ宜カラウカト思ヒマス、氣付キマシタ故ニ、御注意旁〓一應
御尋イタシタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=59
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060・水野錬太郎
○水野鍊太郞君 主務大臣ト書ク法例モアリマス、又特ニ其法案ノ內容ノ明
ナルモノハ、主務大臣ヲ法律ニ明カニシテ居ル法制モアルノデアリマス、而
シテ此法律案ハ內務大臣ノ所管ニ屬スベキコトハ明デアリマスルガ故ニ、玆
ニ內務大臣ト云フ風ニ明瞭ニ書イタノデアリマス、併ナガラ若シ之ヲ主務大
臣ト書イタ所デ一向差支ナイ、唯主務大臣ト書キマスレバ更ニ勅令ヲ以テ主
務大臣ヲ指定シナケレバナラヌコトニナリマスルカラ、斯ル明ナモノニ對シ
テハ必ズ主務大臣ト書ク必要ハナイガ、內務大臣ト書イタ所デ別ニ差支ナイ
ト云フコトデ、斯ウ書イタ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=60
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061・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 小澤男爵ニ伺ヒマスガ、特別委員ノ數ハ通例ノ九
名デ宜シウゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=61
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062・小澤武雄
○男爵小澤武雄君 左樣デス
〔山脇玄君發言ノ許可ヲ求ム〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=62
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063・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 山脇君ハ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=63
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064・山脇玄
○山脇玄君 唯今ノ議長指名ノ特別委員ニ付スルト云フコトニ贊成イタシマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=64
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065・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 小澤男爵ノ此法案ヲ特別委員ニ付託スルト云フ說
二、御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=65
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066・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス、特別委員ノ氏名ヲ書記官
ヲシテ朗讀ヲ致サセマス
〔岡書記官朗讀〕
史蹟名勝天然紀念物保存法案特別委員
服部-三君子爵大給近孝君子爵松平乘長君
黑岡帶刀君男爵阪谷芳郞君岡田良平君
水野鍊太郞君三宅秀君土田萬助君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=66
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067・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第六、工業原料植物〓究所設置ニ關スル建議
案、侯爵德川賴倫君外六名發議、會議、建議案ヲ朗讀イタサセマス
〔成瀨書記官朗讀〕
工業原料植物研究所設置ニ關スル建議案
右貴族院規則第六十四條ニ依リ提出候也
大正八年三月八日
發議者
候爵德川賴倫伯爵林博太郞子爵榎本武憲
古市公威谷森眞男三宅秀
石渡敏
贊成者
侯爵蜂須賀正韶伯爵柳澤保惠伯爵廣澤金次郞
伯爵大木遠吉伯爵柳原義光伯爵松平賴壽
伯爵小笠原長幹男爵小澤武雄平山成信
子爵山口弘達子爵松平康民子爵實吉安純
子爵松平直平子爵靑木信光子爵牧野忠篤
子爵酒井忠亮子爵前田利定淺田德則
男爵石黑忠悳高崎親章男爵中川興長
河村讓三郞男爵武井守正男爵内田正敏
男爵肝付兼行男爵山內長人男爵若王子文健
男爵德川厚男爵眞田幸世男爵安場末喜
男爵坪井九八郞男爵赤松第22藤田四郞
仁尾惟茂伊澤多喜男高橋作衞
大谷嘉兵衞鈴木摠兵衞石橋謹二
鎌田榮吉鎌田勝太郞矢口長右衞門
橋本辰二郞高橋隆島定治郞
貴族院議長公爵德川家達殿
工業原料植物〓究所設置ニ關スル建議
近時工業用ノ植物原料ノ缺乏日ニ甚シク之ヲ等閑ニ付スルトキハ將來國內
ノ生產力ヲ減損スルノ虞アリ因テ政府ハ速ニ工業原料植物〓究所ヲ設ケ以
テ原料植物ニ關スル研究ヲ行ハシメ汎ク利用及供給ノ途ヲ講セシメムコト
3NH4
右建議ス
〔三宅秀君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=67
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068・三宅秀
○三宅秀君 本員モ建議案提出着ノ一人デゴザイマスルカラ、簡單ニ此建議
ヲ致シマスル由來ヲ一言イタシマシテ、續イテ一大研究所ヲ設立イタサナケ
レバナラヌト云フコトノ必要、竝ニ此〓究所デ致シマスル〓究事項ノ一二ヲ
申上ゲタイト思ヒマス、勿論今日ノコトデゴザイマスルカラ、成ルベク簡單
ニ要點ノミヲ申述ベル積リデアリマスガ、事ノ起リハ矢張リ歐羅巴デ、數年
ニ亙リマスル大戰ガ本デゴザイマスル、歐羅巴デ大戰ガ起リマシテ以來、各
國デ敵モ味方モ先ヅ最初ニ研究ヲシ實行ヲ致シテ居リマスルコトハ、兵器及
糧食ノ供給ナドニ付テ、敵モ味方モ〓究ヲ致シテ居リマス、私モ自分デ被服
竝ニ糧食ノコトニ付キマシテ、聊カ外國デ致シテ居リマスコトヤ、或ハ日本
古來ノ糧食ナドノコトニ付キマシテ取調ヲ致シテ居リマシテ、就中、漢土竝
ニ本邦自國デ〓究ノ積ンデ居リマスルノハ、彼ノ救荒植物ナルモノデ、凶歲
ノトキニ食物ニ窮乏イタシタトキニ、ドウ云フモノヲ以テ食物ノ足リナイノ
ヲ補フカ、或ハ如何ナルモノヲ以テ主食ノ代用ニスルカト云フヤウナ〓究ハ
支那傳來デ、日本デモ十分サウ云フヤウナ〓究ハ出來テ居リマスカラ、ソレ
等ノ古イ物ヲ調ベテ居リマスル際ニ、彼ノ飢年要錄ト申シマスル書物ヲ讀ン
デ居リマスルト、其中ニ偶然ニモ四木三草ノ培養ヲ怠ルナト云フコトヲ庶民
ニ示シテゴザイマス、此四木トゴザリマスルノハ桑ノ木、茶ノ木、楮ノ木、
ソレカラ漆ノ木デゴザイマス、ソレカラ三草ト申シマスルノハ被服ノ方ニ使
ヒマスル所ノ麻ト綿ト染草ニ使ヒマス藍デ、此三ツノモノト上記ノ四ツノ種
類ノ木ノ培栽ヲ平日怠ルナト云フコトガ示シテゴザイマス、饑饉ノ時ニ必要
ナ植物等ヲ書イテアリマスモノノ中ニ、唯今申シマシタ所ノ四木三草ト云フ
モノハ皆工業用ノ植物デアリマシテ、直チニ取ッテ吾ハ〓フコトノ出來ヌモノ
デゴザイマス、饑饉ノ時デスカラ食フコトガ第一ダラウト思ッテ居リマスト、
其饑饉ノ植物ニ工業用ノ植物ガ擧ゲテゴザイマスカラ、國ガ貧シクナリマス
ト被服其他ノモノニ、同時ニ注意ヲ注ガナケレバナラヌモノト云フコトヲ大
ニ悟リマシテ、昔ノ爲政者ハ深遠高崇ナル所ヘ注意ガ屆イテ居ルト云フコト
ヲ深ク感ジマシテ、是ハ〓物ノ供給バカリニ汲々トシテ居ルモノデナイ工
業用ノ植物類ト云フモノヲ特ニ〓究シテ居ルコトガ、日本ニハ是マデ乏シイ
ヤウニ存ジテ居リマス、歐羅巴デモ近頃ニナリマシテ、〓糧ノ代用品ナドヲ
研究シ始メタ位デアリマスカラ、我國デハ古クカラヤッテ居リマスコトデハゴ
ザイマスケレドモ、工業用ノ植物ナドノ研究ガ至ッテ乏シウゴザイマスカラ、
晏然トシテ居テハ、此建議案ノ最初ニ書イテアリマス通リニ、追く殖產工業
ノコトガ進ンデ參リマシテ、原料ニ構ハンデ置イテハ、原料ノ缺乏ヲ來タシ
テ遂ニ殖產工業ノ途ト云フモノハ、獨リデニ潰レル、獨リデニ衰亡ニ傾クト
云フコトガゴザイマスカラ、速ニ斯ウ云フコトノ研究ヲスルヲ必要トスル
歐羅巴邊リデヤッテ居リマスル眞似ヲスルヤウデアリマスケレドモ、遲レバセ
ナガラモ今日一日モ忽ニスルコトガ出來ヌ、卽チ戰後經營ノ一ツト致シテ、
緊急缺クベカラザルコトト存ジマシテ、此建議案ヲ提出イタシタ譯デアリマ
ス、ソコデ此〓究所ノ設立ノコトニ付キマシテハ、理化學〓究所ト云フモノ
ガ近頃設置ニナリマシタガ、此理化學研究所ト云フ所ハ頗ル高尙ナ學理ヲ攻
究イタシテ、ソレニ基イテ實地ノ應用ノ〓究ヲスル場所デ、而モ國庫カラモ
其補助ガ出マシテ官民一致デ拵ヘテゴザイマスルデ我〓ノ希望シテ居リマ
スル所ノ此〓究所デ〓究スル仕事ハ、唯一私人ナドガ企テマシテ、小サイ極
ク幅ノ狹イ工業用ノ植物原料ヲ〓究スルト云フヤウナコトデナクシテ、廣ク
專門中ノ專門家ガ集リマシテ、種々ノ方面ニ向ッテ原料トナルベキ所ノ植物ノ
〓究ヲ致シタイト考ヘテ居リマス、從ッテ一私人ノ計畫イタシマシタ小規模ノ
〓究所デハ迚モ斯ウ云フ有力ナ人〓ヲ集メルト云フコトモ出來マセズ、又己
ノ目的トスル狹イ物質上ニ付テノ研究ヲ致シテ居テ、廣ク諸方面ニ亙ッテ〓
究ヲスルト云フコトガ出來マセヌカラ、是非トモ一大官立研究所ト云フモノ
ヲ建テナケレバナラヌト云フコトヲ感ジタ次第デアリマス、次ニ範圍ハ今申
上ゲマシタ通リニ諸方面ニ亙ッテ、至ッテ廣ク〓究ヲ致ス筈デアリマスルガ、高
尙ナル專門的ノ學理ヲ以テ〓究イタシマセヌト云フト、例ヘバ代用ノ品、代リ
ニナルベキ品ヲ〓究イタスコトニ付キマシテモ、餘程廣ク手ヲ擴ゲテ材料ヲ
集メテ比較研究ヲ致サヌケレバナリマセヌ、是マデハ物資ノ缺乏ヲ告ゲマシ
タ時分ニハ其品物ノ適否ノ攻究ニ遑アラズシテ、何デモ取ッテ以テ代用品ニ
使フト云フヤウナ嫌ガゴザイマシタガ、此度出來ル所ノ研究所ニ於キマシテ
ハ左樣ナ淺薄ナ考デナクシテ、適所ニ適材ヲ用ヒルト云フヤウナコトニ致シ
テ、餘程高遠ナ所ノ學識ヲ以テ研究ヲ致シテ、今マデ使ッテ居リマシタ所ノ材
料ガ惡ルイト分リマシタナラバ、又新シキ別ノ品物ヲ以テ代用ニスル、或ハ今
マデ使ヒ來ッテ居リマスル所ノ材料ガ、追〓品ガ落チルト云フヤウナコトデア
リマシタナラバ、植物學ノ學理ヲ以チマシテ、之ヲ培栽スル所ノ方法マデモ細
カニ〓究スル、ト斯ウ云フヤウナコトヲ企テ居リマスルノデゴザイマスヽソレ
故ニ此理由書ノ中デハ利用ノ方法ヲ改良イタシマスルモノ、或ハ又總テ其物
質ノ特性ヲ檢シ其繁殖ヲ圖リ利用ヲ講ジト云フヤウニ細カニ色〓ナ諸方面ニ
亙リマシテ、是等ノ〓究ヲ致シマスルノデゴザリマス、餘リ低イ程度ノ學問ヲ
以テ致スコトノ出來ナイ高イ········層高イ所ノ〓究所ニ致シタイト云フ考デ
ゴザリマス、私ノ此案ヲ提出イタシマスルニ付テ、チヨット思付キマシタコト
ガゴザリマスカラ、ソレヲ此ヘ申添ヘテ置キタイト存ジマスルガ、前述ベマ
シタ如ク、草木ノ類ナラバ誰モ氣ガ付イテ居リマスルガ、我國ニ在ッテ歐羅巴
ナドニゴザリマセヌ彼ノ竹ノコトデアリマス、竹ノコトニ付テ私ガ一ツ氣ノ
付キマシタノハ竹ト云フモノハ凡ソ六十年目ニシテ花ガ咲イテ竹ノ根ガ枯
レテ仕舞ヒマス、而モ此六十年目ニ花ガ咲イテ根ガ枯レテ仕舞ヒマスル場合
ニハ例ヘバ孟宗竹ノ枯レル年モゴザリマスルシ、眞竹ノ枯レル年モゴザリ
マスル、デ花ガ出來テ實ガ生ッテ、サウシテ其實カラシテ竹ヲ實生デ養ヒ立テ
マスルノニハナカ〓〓大キナ孟宗竹ノ·······大キナ筍ガ三年ヤ五年デ出來ルモ
ノデハゴザリマセヌカラ、此三年、五年ノ間ニハ此工業用ニ供スル所ノ竹材
ト云フモノガ地ヲ拂ッテ無クナリマスル、此ニアリマスル東京ノ竹ハ枯レテモ
西京ノ竹ガ枯レナイト云フ工合ダト都合ガ宜シウゴザイマスケレドモ、今ノ
所デハ日本全國ハ申スニ及バズ、海ヲ跨イデ大陸ノ方ニゴザイマスル竹マデ
モ凡ソ六十年目ニ參リマスト云フト、孟宗竹ナドト云フモノモ皆品切レニナッ
テ仕舞フ筈デアリマス、サウシテ見マスルト竹竝ニ竹ノ皮ヲ以テ、工業ヲ營
ンデ居リマスル者ハ、二三年間ト云フモノハ商賣ヲ止メテ居ラナケレバナラ
ヌト云フヤウナ譯ニナリマスルノデ、ドウカ致シテ研究ヲ致シテ、遺傳ノ〓
究トカ、或ハ其他培栽ノ法ニ依リマシテ、六十年目ニ花ノ咲クモノハ致方ア
リマセヌガ、爰ノ場所ノ竹ハ枯レテモ他ノ塲所ノ竹ハ枯レナイ、卽チ國内全
滅ト云フヤウナ災ニ罹ラヌヤウナ工夫ガ、研究上ニ付キマスルナラバ、大變
ニ國家ノ利益ナリト思ヒマス、是ハ私ガ唯偶然ニ考ヘ付キマシタ研究ノ材料
ノ一ツナノデアリマス、ソレカラ今一ツ此竹ニ付テ申シマスレバ、丁度此前
ニ出來マシタ所ノ天然紀念物保存會ノ方ノ保存法ニ關聯シテ居リマスルコト
デゴザリマス、日本ニゴザリマス極ク面白イ旣ニ工業ニ依ッテ細工サレタルモ
ノデアルカノ如キ彼ノ雅致ノアル班竹ト云フモノガゴザリマスル、斑ラニナッ
タモノガゴザリマスル、此斑ラニナリマシタ斑竹ナドハ支那ニハゴザイマセ
ウガ、殆ド日本、支那邊リノ特產物デアリマシテ、其中ニモ最モ一種ノ
絕滅サレテハ困ルヤウナ斑竹ナドガゴザイマスル、是等ハ天然紀念物ノ
先刻矢口君デスカノ御尋ニナリマシタ天然紀念物ノ例ノ一ツデアリマス、是
非トモ是ハ保存ヲ圖ラナケレバナラヌ、隨ッテ保存ヲ圖ッタラ之ヲ利用シナイ
トイカヌト云フト、丁度彼ノ法案ト此建議案ト相俟チマシテ天然紀念物ノ竹
ノ枯レナイヤウニシテ、サウシテ日本ノ國產トシテ、外國ニデモ輸出ニナリ
誇ルコトガ出來ル、斯ウ云フヤウニ保存ト利用ト相俟ッテ働クト云フノニハ、
外國デ眞似ノ出來マセヌ竹ナドガ最モ宜イ例デハナイカト存ジマシタカラ、
チヨット其事ヲ申シテ置キマスル、ソレカラ又皆サンノ御氣ノ付カレマセヌコ
トヲ今一ツ申加ヘテ置キタイト思ヒマス、今ノ斑竹ト云フモノノ出來マスル
ノハ·······ドウシテ竹ノ肌ニ麗シイ斑紋ヲ生ズルカト申シマスルト、是ハ通例
申シテ居リマスル「バクテリヤ」トカ「バチルス」トカ云フヤウナ極ク細カイ細
菌ガ出來マシテ斑ラヲ拵ヘルノデアリマス、醫者ノ口カラ申シマスルト「コ
レラ」ダノ結核ダノト云フヤウナ「バチルス」ハ、何時デモ恐ロシイ「バチル
ス」トノミシカ話ハ致シマセヌガ、私ハ國家ニ有益ナル所ノ「バチルス」ノ御
吹聽ヲ茲ニ申シテ置ク積リデアリマス、唯今ノ斑竹ナドノ出來マスルノハ
全ク黴菌ガ出來マシテ、サウシテ其黴菌ガ面白イ斑紋ヲ造ッタモノデアリマス
ルカラ、黴菌モナカ〓〓國家ニ有用ナモノガ出來マス、ソレカラ此研究所ニ附
帶シテ居リマスル研究ノ一ツハ酒、醬油、味噌等ノ釀造ニ用ヒマスル酵母、
卽チ醱酵ヲ促シマス所ノ細菌類モ、此研究所デ十分ニ致ス積リデアリマス、
今大藏省ノ釀造試驗所デ酵母ヲ純正培養イタシテ、サウシテ酒ヲ造リマスル
カラ、善イ酒ガ百發百中デアリマスケレドモ、尙ホ此上ドレ程カ酵母ノ研究
ナドト云フコトニ手ヲ擴ゲテ行キマシタナラバ、更ニ簡便ナル更ニ有益ナル
モノナドモ、追〓發見ヲ致シマスルデゴザイマセウ、又黴菌モ自然ニ任セテ
置キマスルト、段々惡變イタシマスルケレドモ、ソレヲ惡變イタサセナイヤ
ウニ喰止メ、何時デモ精良ナル品ニシテ貯ヘルト云フヤウナ研究モ、斯ノ如
キ工業用植物研究所デ致スノデアリマス、植物研究所ト云フモノヲ申立テテ
出來タ上デハ、大キナ家屋ヤ戰艦、橋梁等ヲ造ルヤウナ大キナ材木バカリ拵
ヘルノヤ、或ハ又我〓ノ日常食スル所ノ〓物又ハ醫藥ナドノヤウナ色〓ノモ
ノニ〓究ヲ及ボシマスルノモ勿論ノコトデアリマス、幸ニシテ之ヲ委員ニデ
モ御付託ニナリマスル場合ニハ、マダ澤山私モ調ベテ御話スル材料モ持ッテ居
リマスガ、是ハ委員會等デ御話ヲスルコトニ致シテ、チヨット皆サンノ御氣ノ
付カレナカラウト云フ、顯微鏡デ見ナケレバ見エナイヤウナ黴菌マデモ、此
研究所デ研究ヲシテ貰ヒタイト云フ考デ、餘ホド廣ク普ク目ヲ通シテ建議案
ヲ提出イタシマシタ積リデゴザイマス、國家ニ取リマシテハ一日モ忽ニスル
コトノ出來ナイ〓究所ト心得マシテ提出イタシタ譯デゴザイマスカラ、何卒
御贊成ヲ願ヒタウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=68
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069・高木兼寛
○男爵高木兼寬君 本建議案ニ對シマシテ、政府當局者ノ御意見ハ如何ナモ
ノデアリマセウカ、幸ヒ農商務大臣ガ御出席ノヤウデアリマスカラ、之ニ對
シテ御意見ヲ伺ヒタイ
〔國務大臣山本達雄君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=69
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070・山本達雄
○國務大臣(山本達雄君) 政府ニ於キマシテハ、是迄此工業ノ原料トナルベ
キ植物ノ〓究ニ付キマシテハ、農商務ニ於テ農務局又ハ山林局ナドニ於キマ
シテ、色〓調査ヲ致シテ居リマス、而シテ調查ヲ致シマシタル結果ハ其度每
ニ印刷ニ付シマシテ、ソレ〓〓世ノ中ニ公ニシ、又ハ講演ナドヲ致シテ居ル
ヤウナルコトハ相應ニ今日マデヤッテ居ルノデゴザイマス、併ナガラ此モノヲ
如何ニシテ是ガ行クカト云フコトノ實際ニ當嵌メマシテ試驗、〓究ヲナスコ
トニ付キマシテハ、十分ナル機關ヲ有ッテ居ラヌノデゴザイマス、斯ノ如キコ
トハ、今日ノ進運ニ於テハ、〓究ガ必要ノコトデアルト云フ考ヲ有ッテ居リマ
ス、今ノ建議案ニ付テハ、今日ノ時勢ニ於テハ必要ナルコトト承知シテ居リ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=70
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071・小澤武雄
○男爵小澤武雄君 本案ハ發議者ノ審ナル說明モアリ、又唯今政府ノ意嚮モ
御分リニナッタヤウデアリマスケレドモ、此事柄タルヤ、時勢ノ要求ニ應ジテ
發議ニナッタ所デアルガ、併シ〓究ヲスル途ハ最モ廣カラウト思ヒマスルノ
デ、此際特別委員ニ付託シテ十分ナル審査ヲセシメラレムコトヲ希望シマス、
而シテ其特別委員ハ九名トシテ議長ニ御選任ヲ願ヒタイト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=71
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072・高木兼寛
○男爵高木兼寬君 特別委員ニ付セラレルコトニ贊成シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=72
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073・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 特別委員ニ付託スル說ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=73
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074・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス、特別委員ノ氏名ヲ書記官
ヲシテ朗讀イタサセマス
〔岡書記官朗讀〕
工業原料植物〓究所設置ニ關スル建議案特別委員
伯爵津輕英麿君子爵永井尙敏君子爵井上匡四郞君
男爵高千穗宣麿君古市公威君男爵平野長祥君
谷森眞男君高橋琢也君平尾喜三郞君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=74
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075・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第七、下關港修築ノ請願、會議
〔左ノ意見書案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス以下之ニ傚
フ〕
意見書案
下關港修築ノ件
山口縣下關市大字上田中町士族公吏不破彥麿外四百二十三名呈出
右ノ請願ハ下關港ニ於ケル內外貿易ノ發展ハ近時著シキモノアルノミナラ
ス戰後東洋及南洋ニ於ケル各國貿易ノ活躍ハ同港ヲシテ一大貿易港タルノ
設備ヲ有セシムルヲ必要トスルコト明ナルヲ以テ政府ノ計畫トシテ小戶ノ
瀨戶ヲ閉鎻シ下關彥島間ノ海底ヲ浚渫シ內務省ノ施工ニ係ル埋立地竝沿岸
一帶ヲ整理シテ大船ノ碇泊ニ適スルヤウ同港ヲ修築セラレタシトノ旨趣ニ
シテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五
條ニ依リ別册及送付候也
大正八年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣原敬殿発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=75
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076・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 請願委員長報告通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=76
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077・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=77
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078・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 第八、喫煙取締法制定ノ請願、會議、第九、八戶
町ヨリ久慈町ヲ經テ野田村ニ達スル輕便鐵道敷設ノ請願、會議、第十、天鹽
線ヲ稚內ヨリ起工速成ノ請願、會議
意見書案
喫煙取締法制定ノ件
廣島縣比婆郡山內西村商山中武右衞門呈出
右ノ請願ハ目下喫煙ノ取締完全ヲ闕キ殊ニ公衆ノ集合スル寄席劇場等ニ於
テ其ノ甚シキヲ見ル故ニ是等ノ場所ニ於テハ必ス一箇以上ノ喫煙室ヲ設ケ
シメ其ノ設備ナキ所ニ於テハ喫煙ヲ禁止スル等相當ノ取締法ヲ制定セラレ
タシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ
議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
大正八年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣原敬殿
意見書案
八戶町ヨリ久慈町ヲ經テ野田村ニ達スル輕便鐵道敷設ノ件
巖手縣九戶郡久慈町平民農晴山重三郞外百五十九名呈出
右ノ請願ハ靑森縣下八戶町ヨリ巖手縣下久慈町ヲ經テ野田村ニ達スル輕便
鐵道ヲ敷設スルハ沿岸地方ノ產業ヲ開發スルハ勿論野田村ニ鄰接スル下閉
伊郡北部各村ニ多大ノ便益ヲ與フルヲ以テ速ニ之ヲ實行セラレタシトノ旨
趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及送付候也
大正八年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣原敬殿
意見書案
天鹽線ヲ稚內ヨリ起工速成ノ件
北海道宗谷郡稚内町商廣澤惣吉外百七十六名呈出
右ノ請願ハ北海道天鹽線ハ起點音威子府ヨリ起工シ大正十三年度ヲ以テ完
成ノ豫定ナルモ同地方面ハ天鹽川ノ斷崖ニ沿ヒ工事至難ナルヲ以テ同鐵道
ノ速成ヲ期スル爲該工事費ヲ分割シ終點稚內ヨリモ工事ヲ施行シテ且完成
期限ヲ大正十年度トセラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇
スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
大正八年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣原敬殿
〔男爵高木兼寬君發言ノ許可ヲ求ム〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=78
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079・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 高木男爵ハ何デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=79
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080・高木兼寛
○男爵高木兼寛君 是ハ委員長ニ質問イタシタウゴザイマス、此第八喫煙取
締法制定ノ請願ニ付テ····発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=80
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081・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 宜シウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=81
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082・高木兼寛
○男爵高木兼寬君 委員長ニ御尋イタシマスガ、是ハ如何ナル取締ヲナサレ
千歳ところう
タイト云フコトガ請願ニナッテ居リマスカ、一言デ分ルヤウニ出來マスナラ御
答ヲ願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=82
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083・細川護立
○侯爵細川護立君 此請願文書表ニ在ル通リ·発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=83
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084・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 第八ヨリ第十迄ノ請願ハ採擇イタシテ御異存ゴザ
イマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=84
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085・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=85
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086・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第十一、大正六年法律第六號軍人恩給法附則
改正ノ請願、第十二、帝國在〓軍人會國庫補助ノ請願、會議
意見書案
大正六年法律第六號軍人恩給法附則改正ノ件
山梨縣東山梨郡春日居村豫備役陸軍步兵中尉蘆澤龜藏外百八十六名呈
出(十五通)
右ノ請願ハ大正六年法律第六號ヲ以テ軍人恩給法ヲ改正シテ恩給ヲ受クル
ノ事由カ明治四十四年三月以前ニ生シタルト同年四月以後ニ生シタルトニ
依リ支給額ヲ異ニスルノ不公平ヲ除去セラレタルモ尙扶助料ハ大正九年分
ヨリ退職恩給又ハ免除恩給ハ同十一年分ヨリ初メテ增加セラレタル全額ヲ
給セラルルハ物價ノ暴騰セル今日ニ於テ受領權利者ノ甚苦痛トスル所ナル
ヲ以テ大正八年一月ヨリ十二月迄ノ分ヨリ增加セラレタル全額ヲ支給セラ
ルルヤウ同法附則第五項及第六項ヲ改正セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院
ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別
册及送付候也
大正八年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣原敬殿
意見書案
帝國在〓軍人會國庫補助ノ件
福井縣敦賀郡敦賀町平民呉服商天野市松外三十九名呈出
右ノ請願ハ帝國在〓軍人會ハ軍人精神ノ鍛鍊ト軍事知識ノ增進トヲ圖ルヲ
以テ目的トシ國防上最重視スヘキモノナルニ拘ラス其ノ經費ハ主トシテ會
員ノ醵金ニ俟タサルヘカラス斯ノ如キハ同會ヲシテ健全ナル發達ヲ遂ケシ
ムル所以ニアラサルヲ以テ同會ニ對シ其ノ基本金トシテ相當ノ金額ヲ國庫
ヨリ補助セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノ
ト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別冊及送付候也
大正八年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣原敬殿発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=86
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087・高木兼寛
○男爵高木兼寛君 此第十一ノ大正六年法律第六號軍人恩給法附則改正ノ請
願ト、本日ノ議事日程ニ上リマシタル第四トハ、其內容ガ異ナッテ居ル譯デゴ
ザイマセウカ、委員長ニ御說明ヲ願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=87
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088・細川護立
○候爵細川護立君 此內容ハ少シ異ナッテ居リマス、先刻蜂須賀委員長ガ御報
告ノ際希望ヲ述ベラレマシタガ、卽チ此度ノ法律案ハ大正八年四月一日デゴ
ザイマスガ、此請願ハ大正八年一月一日トナッテ居リマスカラ、其內容ハ違ツ
テ居リマス、此法律案ヨリ一歩進ンダ請願デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=88
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089・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是等ノ請願ハ請願委員長報告通リデ御異存ゴザイ
マセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=89
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090・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス、次ノ議事日程ハ決定次第
御通知ニ及ビマス、本日ハ是デ散會
午後二時十八分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01619190310&spkNum=90
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