1. 会議録本文
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000・会議録情報
大正八年三月十七日(月曜日)
午前十時五分開議
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議事日程 第十九號 大正八年三月十七日
午前十時開議
第一 耕地整理法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第二 都市計畫法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第三 市街地建築物法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第四 會計士法案(衆議院提出) 第一讀會
第五 司法代書人法案(衆議院提出) 第一讀會
第六 地租條例中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會
第七 大垣郵便局を二等郵便局と爲すの請願 會議
第八 青秋海岸輕便鐵道敷設の請願 會議
第九 宮崎飫肥間鐵道敷設の請願 會議
第十 三陸沿岸鐵道敷設の請願 會議
第十一 岐阜富山間鐵道線路に關する請願 會議
第十二 能代港五所川原間輕便鐵道敷設の請願 會議
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=0
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001・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 諸般ノ報〓ヲ致サセマス
〔成瀨書記官朗讀〕
一昨十五日本院ニ於テ修正議決シタル左ノ政府提出案ハ卽日之ヲ衆議院ニ
囘付セリ
精神病院法案
結核豫防法案
「トラホーム」豫防法案
同日本院ニ於テ修正議決シタル左ノ政府提出案ハ卽日之ヲ衆議院ニ送付セ
リ
度量衡法中改正法律案
同日本院ニ於テ可決シタル左ノ衆議院提出案ハ卽日裁可ヲ奏請シ又可決ノ
旨ヲ衆議院ニ通知セリ
家祿賞典祿處分ニ關スル法律案
沒祿處分ヲ受ケタル者ニ對スル給與處分ニ關スル法律案
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
耕地整理法中改正法律案
都市計畫法案
市街地建築物法案
同日衆議院ヨリ左ノ法律案ヲ提出セリ
會計士法案
司法代書人法案
地租條例中改正法律案
同日衆議院ヨリ本院ノ囘付ニ係ル左ノ政府提出案ハ本院ノ議決ニ同意シ奏
上セル旨ノ通牒ヲ受領セリ
精神病院法案
結核豫防法案
「トラホーム」豫防法案
同日豫算委員長ヨリ分科擔當委員ヲ左ノ如ク決定セル旨ノ報告書ヲ提出セ
リ
第五分科擔當子爵唐橋在正君
同日特別委員會ニ於テ當選シタル正副委員長ノ氏名左ノ如シ
執達吏規則中改正法律案外一件特別委員會
委員長伯爵松木宗隆君副委員長子爵本多實方君
同日特別委員長ヨリ左ノ報〓書ヲ提出セリ
執達吏規則中改正法律案可決報告書
執達吏ノ手數料及立替金增額ニ關スル法律案可決報告書発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=1
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002・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ會議ヲ開キマス、日程第一、耕地整理法中
改正法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會、本日モ御異議ガナケレバ通
牒文ノ朗讀ハ省略イタシタク存ジマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
〔左ノ送付文及議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ茲ニ載錄ス以下之
ニ傚フ〕
耕地整理法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
大正八年三月十五日
衆議院議長大岡育造
貴族院議長公爵德川家達殿
耕地整理法中改正法律案
(小字ハ衆議院ノ修正文)
耕地整理法中左ノ通改正ス
第一條中第三號ヲ第四號トシ「前二號」ヲ「前三號」ニ改メ左ノ一號ヲ加フ
三開墾又ハ湖海ノ埋立若ハ干拓ニ依ル耕地整理ニ附隨シテ行フ整理施
行地ノ利用ニ關スル必要ナル工作物ノ設置其ノ他ノ施設
第五條中「消滅シタルトキハ」ノ下ニ「帝室及國ヲ除クノ外」ヲ加フ
第九條中「登記所」ノ下ニ「漁業ニ關スル登錄官廳」ヲ加へ「耕地整理組合ノ
組合長、組合副長」ヲ「耕地整理組合若ハ耕地整理組合聯合會ノ組合長組合
副長若ハ聯合會會長聯合會副會長」ニ改ム
第十四條第二項中「二十年以上三十年以內」ヲ「四十年」ニ、但書中「二十年以內」ヲ「十年以內」ニ改ム」
第十四條ノ二中「五十年以內」ヲ「六十年」ニ、「十年以內」テ「二十年」ニ、但書中「二十年以内」ヲ「十年
以內」ニ改ム
第十五條中「九年」ヲ「二十年」ニ、第三號中「十年目」ヲ「二十一年目」ニ改ム
第十六條中「九年」ヲ「二十年」ニ改ム
第二十五條中「訴訟ノ目的タリ又ハ整理施行地區ニ編入後訴訟ノ目的トナ
リタル爲」ヲ「訴訟ノ目的タル爲」ニ改ム
第二十五條ノ二整理施行地ニ付存スル漁業權カ登錄シタル先取特權又ハ
抵當權ノ目的タル場合ニ於テ第二十七條ノ二ノ規定ニ依リ補償金ヲ拂渡
スヘキトキハ整理施行者ハ其ノ金額ヲ供託スヘシ但シ先取特權者又ハ抵
當權者ノ同意ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ規定ハ整理施行地ニ付存スル漁業權又ハ入漁權カ訴訟ノ目的タル
爲訴訟當事者ヨリ請求アリタル場合ニ之ヲ準用ス
登錄シタル先取特權若ハ抵當權ヲ有スル者又ハ訴訟當事者ハ前二項ノ規
定ニ依リ供託シタル金錢ニ對シテモ其ノ權利ヲ行フコトヲ得
第二十七條ノ二整理施行地ニ付漁業權存スル場合ニ於テハ漁業權者ニ對
シ、漁業權及入漁權存スル場合ニ於テハ漁業權者及入漁權者ニ對シ整理
施行者ハ整理施行ニ依リ生スヘキ損害ヲ補償スルコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依ル補償ヲ受クル權利ハ漁業權者及入漁權者共同シテ之ヲ
有スルモノトス
整理施行者ハ前二項ノ規定ニ依リ損害ノ補償ヲ爲シタル後ニ非サレハ工
事ニ著手スルコトヲ得ス但シ其ノ損害ノ補償ヲ受クル權利者ノ同意ヲ得
タルトキ、第二十五條ノ二ノ規定ニ依リ供託ヲ爲シタルトキ又ハ第八十
七條第三項ノ規定ニ依リ決定ヲ得タル金額ヲ供託シタルトキハ此ノ限ニ
在ラス
第二十八條中「前條」ヲ「第二十七條」ニ改ム
第四十條ノ二整理施行地區カ數府縣ニ渉ル場合ニ於テハ本法中地方長官
ノ職權ニ屬スル事項ハ關係地方長官中主務大臣ノ指定スルモノ之ヲ行フ
第五十條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ土地所有者中共有者アル場合ニ於テハ各共有地ニ付共有者總數ノ
二分ノ一以上ニシテ其ノ持分ノ三分ノ二以上ニ當ル者ノ同意ヲ得タルト
キハ其ノ共有地ニ付同意アリタルモノト看做ス
第六十一條中第十號ヲ第十一號、第十一號ヲ第十二號トシ左ノ一號ヲ加フ
十耕地整理組合聯合會ヲ設ケ、聯合會ニ加入シ又ハ聯合會ヲ脫退スル
事
第八十條中「二十年迄延期スルコトヲ得」ヲ「五十年以內ト爲スコトヲ得」ニ
改ム
第二章ノ二耕地整理組合聯合會
第八十一條ノ二耕地整理組合ハ登記手續ニ關スル事項ヲ除クノ外其ノ事
業ノ一部ヲ他ノ耕地整理組合ト共同シテ行ハムトスル場合ニ於テ之ヲ代
リ行ハシムル爲協議ニ依リ設計書及規約ヲ作リ地方長官ノ認可ヲ得テ耕
地整理組合聯合會ヲ設クルコトヲ得
聯合會ハ法人トス
聯合會其ノ所屬組合ノ增減ヲ爲サムトスルトキハ各組合ノ協議ニ依リ地
方長官ノ認可ヲ受クヘシ
聯合會ニ會長一人及副會長一人又ハ數人ヲ置ク
第四十二條ノ二、第四十六條、第五十一條乃至第五十四條、第五十七條
乃至第五十九條第一項、第六十條、第七十三條乃至第七十五條及第七十
七條乃至第八十一條ノ規定ハ聯合會ニ之ヲ準用ス但シ第五十九條第一項
中土地所有者トアルハ組合、第七十三條中組合員トアルハ聯合會所屬組
合ノ組合員トス
第八十三條中「組合長若ハ組合副長」ヲ「組合長組合副長若ハ聯合會會長聯
合會副會長」ニ、「組合ノ解散」ヲ「組合組合聯合會ノ解散」ニ改ム
第八十七條ニ左ノ一項ヲ加フ
第二十七條ノ二第一項ノ規定ニ依ル補償金ニ付亦前二項ニ同シ
第九十一條中「耕地整理組合ノ組合長若ハ組合副長」ヲ「組合長組合副長若
ハ聯合會會長聯合會副會長」ニ改ム
第九十一條ノ二中「耕地整理組合ノ組合長、組合副長」ヲ「組合長、組合副長、
聯合會會長、聯合會副會長」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前第十四條及第十四條ノ二ノ規定ニ依ル許可アリタル土地ニ關シテハ仍從前ノ例ニ依ル
〔國務大臣山本達雄君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=2
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003・山本達雄
○國務大臣(山本達雄君) 耕地整理法中改正法律案ノ提出ノ理由ハ、國民食
糧ノ、其必要ナル食糧ノ生產增加ヲ圖ル爲ニ開墾埋立、干拓等、耕地ノ擴張
ヲ奬勵スルノ急務ナルコトハ申上ゲル迄モナイノデアリマス、而シテ當業者
ガ實地ニ其事業ヲ計畫スルニ當リマシテハ、耕地整理法ニ依リ企業ノ組織ヲ
立ツルノヲ便利トスル場合ガ多イノデゴザイマス、然ルノニ現行法ニ依リマ
スト是マデ耕サレテ居ル其耕地改良ノ外、耕地ノ擴張ヲ主トシテ居ルノデ
ゴザイマシテ、之ニ伴ヒマスル其諸規則ニ於テ不便、不利ノ廉ガ實行上追〓
アルノデゴザイマスルカラシテ、此不便、不利ヲ改正イタシマス爲ニ此案ヲ
提出シタル所以デゴザイマス、然ルノニ衆議院ニ於キマシテ多少ノ修正ガ起
リマシタ、其修正ニ於キマシテハ鍬下年期ヲ增加スルコトニ付テ、二三ノ修
正ガ起ッタノデゴザイマスルガ、政府ニ於キマシテハ衆議院ノ修正案ニ同意シ
タ次第デゴザイマス、ドウカ御審議ノ上御協賛アラムコトヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=3
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004・湯淺倉平
○湯淺倉平君 チヨット伺ヒマスルガ第四十條ノ二ニ整理施行地區ガ數府縣
しか
ニ渉ル場合ノ規定ガゴザイマスルガ、斯ウ云フ實例ガ現在矢張リ必要カ、現
在御認メニナッテ居ルノデゴザイマセウカ、サウ云フ事實ガゴザイマスルナラ
バ、其點ヲ御示ヲ願ヒマス
〔政府委員道家齊君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=4
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005・道家齊
○政府委員(道家齊君) 唯今御尋ノ第四十條ノ二ニ付テノコトデアリマス
ガ、之ニ付キマシテ申上ゲタイト思ヒマス、是ハ實例ト致シマシテハ屢〓此事
柄ガ起ッテ居ルノデアリマス、然ルニ此地方數縣ニ涉リマシタ場合ニ於キマシ
テ、聯合會ヲ認メテ居リマセヌ故ニ、施行上ニ不便ヲ感ジテ居リマス、其實
例ト致シマシテハ、或ハ京都府デアリマストカ、或ハ熊本縣、宮城縣ト云フ
ヤウナ場所ニ於キマシテ、旣ニ此耕地整理ヲ施行イタシマシテ、此不便ヲ實
際感ジマシタ譯デアリマス、ソレ故ニ今囘ハ其實例ニ鑑ミマシテ、其不便ヲ
除ク爲ニ、此改正ヲ提出イタシマシタ次第デアリマス、其實例ト致シマシテ
ハ數縣ニ此實例ガアルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=5
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006・湯淺倉平
○湯淺倉平君 了解イタシマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=6
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007・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 別ニ御質問モ無イト認メマスカラ、特別委員ノ氏
名ヲ書記官ヲシテ朗讀イタサセマス
〔成瀨書記官朗讀〕
耕地整理法中改正法律案特別委員
伯爵川村鐵太郞君子爵大宮以季君子爵米津政賢君
男爵武井守正君岡田良平君谷森眞男君
室田義文君湯淺倉平君石橋謹二君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=7
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008・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ガナケレバ日程第二、第三ハ一括シテ第一
讀會ヲ開キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=8
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009・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 第二、都市計畫法案、第三、市街地建築物法案、
政府提出、衆議院送付、第一讀會
都市計畫法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
大正八年三月十五日
衆議院議長大岡育造
貴族院議長公爵德川家達殿
都市計畫法
第一條本法ニ於テ都市計畫ト稱スルハ交通、衞生、保安、經濟等ニ關シ
永久ニ公共ノ安寧ヲ維持シ又ハ福利ヲ增進スル爲ノ重要施設ノ計畫ニシ
テ市ノ區域内ニ於テ又ハ其ノ區域外ニ亙リ施行スヘキモノヲ謂フ
第二條前條ニ規定スル市ハ勅令ヲ以テ之ヲ指定ス其ノ市ノ都市計畫區域
ハ關係市町村及都市計畫委員會ノ意見ヲ聞キ主務大臣之ヲ決定シ內閣ノ
認可ヲ受クヘシ
第三條都市計畫、都市計畫事業及每年度執行スヘキ都市計畫事業ハ都市
計畫委員會ノ議ヲ經テ主務大臣之ヲ決定シ內閣ノ認可ヲ受クヘシ
第四條都市計畫委員會ノ組織、權限及費用ニ關スル規定ハ勅合ヲ以テ之
ヲ定ム
第五條都市計畫事業ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ行政廳之ヲ執行ス
主務大臣特別ノ必要アリト認ムルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ行政廳ニ
非サル者ヲシテ其ノ出願ニ依リ都市計畫事業ノ一部ヲ執行セシムルコト
ヲ得
第六條都市計畫事業ノ執行ニ要スル費用ハ行政官廳之ヲ執行スル場合ニ
在リテハ國、公共團體ヲ統轄スル行政廳之ヲ執行スル場合ニ在リテハ其
ノ公共〓體、行政廳ニ非サル者之ヲ執行スル場合ニ在リテハ其ノ者ノ負
擔トス
主務大臣必要ト認ムルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ都市計畫事業ニ因リ
著シク利益ヲ受クル者ヲシテ其ノ受クル利益ノ限度ニ於テ前項ノ費用ノ
全部又ハ一部ヲ負擔セシムルコトヲ得
第七條主務大臣必要ト認ムルトキハ前條ノ規定ニ依リ公共團體ノ負擔ス
ヘキ每年度ノ金額ノ最低限度ヲ定ムルコトヲ得
第八條公共團體ハ第四條又ハ第六條ノ費用ニ充ツル爲左ノ特別稅ヲ賦課
スルコトヲ得但シ府縣費ヲ市ニ分賦スル場合ニ於テ市カ營業稅、雜種稅
又ハ家屋稅ヲ賦課スルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受ケ其ノ稅率ヲ定ムヘシ
-地租割地租百分ノ十二半以內
二國稅營業稅割國稅營業稅百分ノ十七以內
三營業稅、雜種稅又ハ家屋稅各府縣稅十分ノ四以內
四其ノ他勅令ヲ以テ定ムルモノ
公共團體ハ主務大臣ノ許可ヲ受ケ公共團體ノ他ノ收入ヲ以テ第四條又ハ
第六條ノ費用ニ充ツルコトヲ得
第九條都市計畫區域内ニ存スル國有河岸地ニシテ公共ノ用ニ供セサルモ
ノハ第六條ノ費用ヲ負擔スル公共團體ニ之ヲ下付スルコトヲ得
第十條都市計畫區域内ニ於テ市街地建築物法ニ依ル地域又ハ地區ノ指
定變更又ハ廢止ヲ爲ストキハ都市計畫ノ施設トシテ之ヲ爲スヘシ
都市計畫區域內ニ於テハ市街地建築物法ニ依ル地域及地區ノ外土地ノ狀
況ニ依リ必要ト認ムルトキハ風致又ハ風紀ノ維持ノ爲特ニ地區ヲ指定ス
ルコトヲ得
第十一條第十六條第一項ノ土地ノ境域內又ハ前條第二項ノ規定ニ依リ指
定スル地區內ニ於ケル建築物、土地ニ關スル工事又ハ權利ニ關スル制限
ニシテ都市計畫上必要ナルモノハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十二條都市計畫區域內ニ於ケル土地ニ付テハ其ノ宅地トシテノ利用ヲ
增進スル爲土地區畫整理ヲ施行スルコトヲ得
前項ノ土地區畫整理ニ關シテハ本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外耕地
整理法ヲ準用ス
第十三條都市計畫トシテ內閣ノ認可ヲ受ケタル土地區畫整理ハ認可後一
年內ニ其ノ施行ニ著手スル者ナキ場合ニ於テハ公共團體ヲシテ都市計畫
事業トシテ之ヲ施行セシム
前項ノ規定ニ依リ公共〓體ノ施行スル土地區畫整理ニ付耕地整理法ヲ準
用シ難キ事項ニ關シテハ勅令ヲ以テ必要ナル規定ヲ設クルコトヲ得
第十四條地方長官土地區畫整理ノ設計ニ關スル認可ヲ爲ス場合ニ於テハ
主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第十五條土地區畫整理ヲ施行シタル土地ノ地價ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ
之ヲ定ム
第十六條道路、廣場、河川、港灣、公園其ノ他勅令ヲ以テ指定スル施設
ニ關スル都市計畫事業ニシテ内閣ノ認可ヲ受ケタルモノニ必要ナル土地
ハ之ヲ收用又ハ使用スルニトヲ得
前項土地附近ノ土地ニシテ都市計畫事業トシテノ建築敷地造成ニ必要ナ
ルモノハ勅令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ收用又ハ使用スルコトヲ得
第十七條土地區畫整理ノ爲又ハ衞生上若ハ保安上ノ必要ニ依ル建築物ノ
整理ノ爲必要アルトキハ建築物其ノ他ノ工作物ヲ收用スルコトヲ得
第十八條前二條ノ規定ニ依ル收用又ハ使用ニ關シテハ本法ニ別段ノ定ア
ル場合ヲ除クノ外土地收用法ヲ適用ス
前項ノ規定ニ依ル土地收用法ノ適用ニ付テハ前條ノ工作物ハ之ヲ土地ト
看做ス
第十九條第十六條又ハ第十七條ノ規定ニ依ル收用又ハ使用ニ付テハ第三
條ノ規定ニ依ル都市計畫ノ認可ヲ以テ土地收用法ニ依ル事業ノ認定ト看
做ス
第二十條土地收用法第二十二條第一項ノ協議調ハサル場合又ハ其ノ協議
ヲ爲スコト能ハサル場合ニ於テハ事業執行者ハ主務大臣ノ裁定ヲ求ムル
コトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ收用審査會ノ裁決ヲ求ムルニトヲ得ス
前二項ノ規定ハ損失ノ補償ノ協議ニ關シテハ之ヲ適用セス
第二十一條第九條ノ規定ニ依リ下付ヲ受ケタル土地及第十六條第二項ノ
規定ニ依リ收用シタル土地ノ處分及管理ニ關シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十二條都市計畫事業ニ依リ生シタル營造物ノ管理ニ付特ニ必要アル
トキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ管理者ヲ定ム
第二十三條行政執行法第五條及第六條ノ規定竝之ニ基キテ發スル命令ハ
本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ依リテ爲ス處分ニ依リ行フヘ
キ作爲又ハ不作爲ヲ行政廳カ强制スル場合ニ之ヲ準用ス
第二十四條本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ依リテ爲ス處分ニ
依リ私人ノ義務ニ屬スル負擔金其ノ他ノ費用ハ行政廳國稅滯納處分ノ例
ニ依リ之ヲ徵收スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル徵收金ノ先取特權ノ順位竝其ノ追徴還付及時效ニ付テ
ハ行政廳ノ統轄スル公共團體ノ徵收金ノ例ニ依ル
第二十五條本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ規定シタル事項ニ付行政
廳ノ爲シタル處分ニ不服アル者ハ訴願スルコトヲ得
本法ニ依リ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得ル場合ニ於テハ主務大臣ニ訴
願スルコトヲ得ス
第二十六條本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ規定シタル事項ニ付行政
廳ノ爲シタル違法處分ニ因リ權利ヲ毀損セラレタリトスル者ハ行政裁判
所ニ出訴スルコトヲ得
附則
第二十七條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十八條東京市區改正條例、東京市區改正土地建物處分規則及大正七
年法律第三十六號竝之ニ基キテ發シタル命令ハ之ヲ廢止ス
第二十九條東京市區改正條例及東京市區土地建物處分規則ノ適用又ハ準
用ヲ受クル市ハ第二條ノ規定ニ依リ指定セヲレタルモノト看做ス
第三十條東京市區改正條例又ハ大正七年法律第三十六號ニ依リ內閣ノ認
可ヲ受ケタル設計又ハ議定シタル事業ハ各本法ニ依リ內閣ノ認可ヲ受ケ
タル都市計畫又ハ都市計畫事業ト看做ス
第三十一條東京市區改正條例、東京市區改正土地建物處分規則若ハ大正
七年法律第三十六號又ハ之ニ基キテ發シタル命令ニ依リ爲シタル處分ハ
本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ牴觸セサル限リ本法ニ依リ爲シタル
處分ト看做ス
第三十二條東京市區改正土地建物處分規則ノ適用又ハ準用ニ依リ行政廳
ノ爲シタル處分ニ關シテハ同規則第一條第二項乃至第四項ハ仍其ノ效力
ヲ有ス
第三十三條東京市區改正條例又ハ大正七年法律第三十六號大正七年勅令
第百八十四號ニ依リ下付ヲ受ケタル官有ノ河岸地ハ其ノ下付ヲ受ケタル
市ノ所有ニ屬スル間地租ヲ免除ス但シ其ノ市ノ都市計畫事業ノ終リタル
トキハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ河岸地ヨリ收入スル金額ハ其ノ市ノ都市計畫事業ノ終ル迄之ヲ他
ニ支出スルコトヲ得ス
第一項ノ河岸地ノ下付ヲ受ケタル市ハ之ヲ賣却讓與スルコトヲ得ス但シ
已ムヲ得サル場合ニ於テ都市計畫委員會ノ議決ヲ經テ主務大臣ノ認可ヲ
受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラス
市街地建築物法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
大正八年三月十五日
衆議院議長大岡育造
貴族院議長公爵德川家達殿
市街地建築物法
第一條主務大臣ハ本法ヲ適用スル區域內ニ住居地域、商業地域又ハ工業
地域ヲ指定スルコトヲ得
第二條建築物ニシテ住居ノ安寧ヲ害スル虞アル用途ニ供スルモノハ住居
地域內ニ之ヲ建築スルコトヲ得ス
第三條建築物ニシテ商業ノ利便ヲ害スル虞アル用途ニ供スルモノハ商業
地域內ニ之ヲ建築スルコトヲ得ス
第四條工場、倉庫其ノ他之ニ準スヘキ建築物ニシテ規模大ナルモノ又ハ
衞生上有害若ハ保安上危險ノ虞アル用途ニ供スルモノハ工業地域內ニ非
サレハ之ヲ建築スルコトヲ得ス
主務大臣必要ト認ムルトキハ前項ノ建築物ニシテ著シク衞生上有害又ハ
保安上危險ノ虞アル用途ニ供スルモノニ付テハ工業地域内ニ於テ其ノ建
築ニ付特別地區ヲ指定スルコトヲ得
第五條前三條ニ規定スル建築物ノ種類ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六條前四條ノ規定ノ適用ニ付テハ新ニ建築物ノ用途ヲ定メ又ハ建築物
ヲ他ノ用途ニ供スルトキハ其ノ用途ニ供スル建築物ヲ建築スルモノト看
做ス
第七條道路敷地ノ境界線ヲ以テ建築線トス但シ特別ノ事由アルトキハ行
政官廳ハ別ニ建築線ヲ指定スルコトヲ得
第八條建築物ノ敷地ハ建築線ニ接セシムルコトヲ要ス但シ特別ノ事由ア
ル場合ニ於テ行政官廳ノ許可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第九條建築物ハ建築線ヨリ突出セシムルコトヲ得ス但シ建築線カ道路幅
ノ境界線ヨリ後退シテ指定セラレタルモノナルトキハ命令ノ定ムル所ニ
依リ建築物ノ前面突出部又ハ基礎ハ道路幅ノ境界線ヲ超エサル範圍內ニ
於テ建築線ヨリ之ヲ突出セシムルコトヲ得
第十條行致官廳ハ市街ノ體裁上必要ト認ムルトキハ建築線ニ面シテ建築
スル建築物ノ壁面ノ位置ヲ指定スルコトヲ得
第十一條建築物ヲ建築スル場合ニ於ケル其ノ高又ハ其ノ敷地內ニ存セシ
ムヘキ空地ニ關シテハ地方ノ狀況、地域及地區ノ種別、士地ノ情態、建
築物ノ構造、前面道路ノ幅員等ヲ參酌シ勅令ヲ以テ必要ナル規定ヲ設ク
ルコトヲ得
第十二條主務大臣ハ建築物ノ構造、設備又ハ敷地ニ關シ衞生上又ハ保安
上必要ナル規定ヲ設クルコトヲ得
第十三條主務大臣ハ火災豫防上必要ト認ムルトキハ防火地域ヲ指定シ其
ノ地區內ニ於ケル防火設備又ハ建築物ノ防火構造ニ關シ必要ナル規定ヲ
設クルコトヲ得
防火地區內ニ於テハ建物ノ部分ヲ爲ス防火壁ハ土地ノ疆界線ニ接シ之ヲ
設クルコトヲ得
第十四條主務大臣ハ學校、集會場、劇場、旅館、工場、倉庫、病院、市
場屠場、火葬場其ノ他命令ヲ以テ指定スル特殊建築物ノ位置、構造、
設備又ハ敷地ニ關シ必要ナル規定ヲ設クルコトヲ得
第十五條主務大臣ハ美觀地區ヲ指定シ其ノ地區内ニ於ケル建築物ノ構
造、設備又ハ敷地ニ關シ美觀上必要ナル規定ヲ設クルコトヲ得
第十六條主務大臣ハ建築物ノ工事執行ニ關シ必要ナル規定ヲ設クルコト
ヲ得
第十七條行政官廳ハ建築物左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ其ノ除
却、改築、修繕、使用禁止、使用停止其ノ他ノ必要ナル措置ヲ命スルコ
トヲ得
-保安上危險ト認ムルトキ
二衞生上有害ト認ムルトキ
三本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違反シテ建築物ヲ建築シタルト
キ
第十八條本法適用區域ノ設定若ハ變更、地域若ハ地區ノ指定若ハ變更其
ノ他ノ場合ニ於テ從來存在スル建築物カ其ノ後新ニ建築セラレタリトセ
ハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違反スヘキモノナルトキハ行政官
廳ハ相當ノ期間ヲ指定シ其ノ建築物ニ付前條ニ揭クル必要ナル措置ヲ命
スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル措置ヲ命スルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ建築物所在
地ノ公共〓體ヲシテ損失ヲ補償セシム
前項ノ規定ニ依リ補償ヲ受クヘキ者補償金額ニ付不服アルトキハ其ノ金
額決定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三月內ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
此ノ場合ニ於テハ訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得ス
第十九條建築主、建築工事請負人、建築工事管理者又ハ建築物ノ所有者
若ハ占有者本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ
違反シタルトキハ二千圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第二十條前條ノ規定ハ前條ニ揭クル者未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ
其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有ス
ル未成年者其ノ營業ニ關シ前條ニ規定スル違反ヲ爲シタルトキハ此ノ限
ニ在ラス
前條ニ揭クル者ハ其ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業
者其ノ營業ニ關シ前條ニ規定スル違反ヲ爲シタルトキハ自己ノ指揮ニ出
テサルノ故ヲ以テ處罰ヲ免ルルコトヲ得ス
前條ニ揭クル者法人ナルトキハ明治三十三年法律第五十二號ヲ準用ス
第二十一條本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ規定シタル事項ニ付行政
官廳ノ爲シタル處分ニ不服アル者ハ訴願スルコトヲ得
本法ニ依リ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得ル場合ニ於テハ主務大臣ニ訴
願スルコトヲ得ス
第二十二條本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ規定シタル事項ニ付行政
官廳ノ爲シタル違法處分ニ因リ權利ヲ毀損セラレタリトスル者ハ行政裁
判所ニ出訴スルコトヲ得
第二十三條本法適用ノ區域ハ勅令ヲ以テ指定スル市、區其ノ他ノ市街地
トス
特別ノ必要アル場合ニ於テ勅令ヲ以テ其ノ定ムル所ニ依リ前項ノ市街地
ノ外ニ亙リ本法適用ノ區域ヲ定ムルコトヲ得
第二十四條本法ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ建築工事中ノ建築物、建築工事
ニ著手セサルモ設計アル建築物又ハ建築物ニ非サル工作物ニ之ヲ準用ス
ルコトヲ得
第二十五條本法ノ全部又ハ一部ノ適用ヲ必要トセサル建築物ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第二十六條本法ニ於テ道路ト稱スルハ幅員九尺以上ノモノヲ謂フ
道路ノ新設又ハ變更ノ計畫アルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ計畫ノ
道路ハ之ヲ道路ト看做ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣床次竹二郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=9
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010・床次竹二郎
○國務大臣(床次竹二郞君) 近時我國都市ノ膨張著シイ有樣デアリマシテ、
東京、大阪ハ勿論ノコト其外ノ大都市ニ於キマシテモ、市ノ區域ノ內外ニ於キ
マシテ膨張、發展ノ勢ヒ顯著ナルモノガゴザイマス、人口ノ密集イタシマス
ルニ從ッテ、都市ノ交通、衞生、保安、經濟等ニ及ボス影響尠クナイノデゴザ
イマス、此有樣ニ對シテ速ニ都市ノ計畫ヲ確立シタイト云フコトハ、各都市
ニ於キマスル希望デゴザイマスル、曩ニ第四十議會ニ於テ、東京市區改正條
例中一部ノ改正ヲ加ヘラレマシテ、京都、大阪其他內務大臣ノ指定スル市ニ
モ、之ヲ準用スルコトニナリマシタノデアリマスルガ、之ノミヲ以テハ今日
ノ狀況ニ十分ニ應ズルコトガ出來マセヌ、殊ニ市區改正條例ニ附屬イタシテ
居リマスル土地建物處分規則ノ如キハ、二十年前ノ發布デアリマシテ、不備
ナル點モ少クナイノデアリマシテ、度〓議會ニ於テ問題ニナリ、政府ニ於キマ
シテモ適當ノ時期ニ之ヲ改正シタイト云フコトハ申上ゲテアル次第デゴザリ
マスガ、今ヤ茲ニ本法ヲ制定スルノ必要ヲ認メマシタ次第デアリマス、此都
市計畫法ノ要點ヲ申上ゲマスレバ第一ハ都市ノ發展ニ應ジテ地域ノ設定ヲ
致スコトノ出來ル規定ヲ設ケマシタ、住居ノ安寧、住居ノ利便、工業ノ能率
等ニ鑑ミマシテ、住居、商業、工業等ノ地域ヲ設定スルコトノ出來ル規定ヲ
設ケマシタ、又市街宅地ノ利用ヲ十分ニ致サムガ爲ニ、土地ノ區劃整理ニ關
スル規定ヲ設ケル必要ヲ認メマシタ、唯今ノ所デハ耕地整理法ノ規定ニ依ッテ
漸ク步ンデ居ル狀況デゴザリマスル、次ニハ都市計畫上必要ナル土地收用ニ
關スルコトデアリマス、現行法ハ甚ダ不備ト考ヘマスルノデ、今日ノ時代ニ
應ズルヤウニ土地收用法ノ規定ニ依ルコトニ致シマシタ、又道路、運河等ノ
築造ヲ致シマスル際ニ、建築地帶ノ收用ニ關スル制度ヲ設ケマシテ、舊沿道
者ノ利益ヲモ保護スル途ヲ開キマシタ、右ガ重ナル點デゴザイマスルガ、其
他ノコトハ大體今日ノ東京市區改正條例ヲ踏襲、整理イタシタ次第デアリマ
ス、市街地建築物法案ハ、都市計畫法案ト相俟ッテ都市計畫ノ施設ヲ全ウ致シ
タイ爲ニ、此ニ制定ヲ必要トスル次第デアリマス、今日御承知ノ如ク此建築
物ニ關シマスルコトハ、全ク地方警察令ニ任セテゴザリマシテ、而モ多クハ
斷片的ノ規定ニ止ッテ居リマス、曩ニ市區改正條例ヲ制定セラレル當時ニ於キ
マシテ、政府當局ニ於キマシテハ此條例ト併セテ建築ノ制度ヲモ制定シタイ
考モアリマシタ趣デアリマスルガ、當時我國ノ民度未ダ此制度ヲ立ツルニ至
ラズシテ、遂ニ今日ニ及ンデ居ル次第デゴザイマス、段々民度ガ進ミマシテ
建築物等ノ如キモ其規模宏大ナルモノガ出來ル有樣ニナリマシタニ付キマシ
テハ、玆ニ地區域ノ設定ヲ致シ、或ハ建築物ト道路トノ關係ヲ規定シ、又ハ
建築物ノ高サ、構造等ニ付キマシテ相當ノ規定ヲ設ケマスルト云フコトハ、
最モ必要ナル事柄ト考ヘマスル次第デアリマス、此二ツノ法案トモ相當ニ條
文モ多イノデゴザリマシテ、會期切迫ノ今日提出イタシマスルト云フコトハ
洵ニ相濟マス次第デゴザリマスガ、段々手續ガ遲レマシテ玆ニ至リマシタ次
第デゴザリマスドウゾ御諒承ヲ願ヒマシテ然ルベク御審議ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=10
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011・山脇玄
○山脇玄君 私ハ內務大臣ニ御尋イタシマス、申スマデモアリマセヌガ、我
國ノ帝都タル東京ノ道路ノ有樣ハ如何デアリマセウカ、今日ノヤウニ駄々ッ廣
イ高低ノアル東京ノ········東京市ノ道路ヲ完全ノ道路ニ致シマスルニハ莫大
ナ費用ヲ要スルコトデアリマス、ナカ〓〓我〓東京市民ノ負擔ニ堪ヘルコト
ハ出來ナイノデアラウト感ズルノデアリマス、或ル外國人ノ評ニ依リマスト
東京ノ帝都ノ道路ハ雨ガ降レバ水田ノ如ク泥濘脚ヲ沒シ、天氣ガ續ケバ砂塵
天ヲ蔽ウテ咫尺ヲ辨ゼズト云フ評ガアリマスルガ、一理ナイデモアリマセヌ
我〓日本人ハ足駄、下駄ナドヲ履イテ通行イタシマスルカラ、雨ガ降リマシ
テモ天氣ガ續キマシテモ通行ハ出來マスルガ、ナカ〓〓靴ヲ以テ通行ノ出來
ル道路デハアリマセヌ、デアリマスルカラ大〓都市計畫法案ガ提出ニナルノ
デアリマスレバ、此東京市ト云フモノヲ皇居ヲ中心ニシマシテ狹イ區劃ニシ
テ、サウシテ帝都タルニ恥ヂザル眞ノ道路ヲ造ルト云フ話モ間〓アルヤウデ
アリマスガ、今日ノ所デ内務大臣ハ其邊ノコトニ於キマシテハドウ云フ御考
ヲ御有チニナッテ居リマスカ、今ノヤウナ駄々ッ廣イ道路ヲ完全ニスルト云フ
コトハ、到底不可能ノコトデアラウト考ヘルノデアリマス、當局ノ御意見ヲ
一應承ッテ置キタイノデアリマス
〔國務大臣床次竹二郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=11
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012・床次竹二郎
○國務大臣(床次竹二郞君) 東京市ノ道路ガ時代ノ進步、發達ヨリモ後レテ
居ルト云フコトハ全ク御同感デゴザイマス、又其區域モ御話ノ通リ私ハ考ヘ
マス、承リマスルニ東京市ノ六間以上ノ道路ヲ改良イタスノニハ三千万圓以
上ヲ要スルト云フコトデアリマス、其調ハ何時ノ調デアリマスカ、今記憶イ
タシマセヌガ、要スルニ道路ノ改良ニ付キマシテハ市當局ハ勿論ノコト、
般ニ於テモ將來何等カノ考慮ヲ致サヌケレバナラヌコトト考ヘテ居ルノデゴ
ザリマス、市街地ノ廣サニ付キマシテハ御話ノ通リニ考ヘテハ居リマスガ、
併ナガラ都市ノ計畫ヲ致スニ付キマシテハ、全ク舊市街地ヲ眼中ニ置カズ茲
ニ勝手ニ新ナル計畫ヲ致スト云フコトハ、餘ホド考慮ヲ致サヌケレバナラヌ
次第ト考ヘマス、私ハ不便デアリマシテモ、現在ノ市區ハ之ヲ元ニ致シマシ
テ、サウシテ大體ノ計畫ヲ致スガ宜シカラウト考ヘテ居リマスガ、最モ是等
ノ點ニ付キマシテハ何レ都市計畫委員ヲソレ〓〓設置スル積リデゴザイマス
ルカラ、主トシテ是等ノ委員會ニ於キマシテ、地方ノ事情ニ最モ通ジタル人
人ニ於テ十分審議ヲ致シマシタナラバ、相當ナ考ガ付クコトデアラウト考ヘ
テ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=12
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013・石黒忠悳
○男爵石黑忠悳君 此兩案ハ重要ナ案デアリマスルカラ、十五名ノ委員ニ付
託ニナラムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=13
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014・中川興長
○男爵中川興長君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=14
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015・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ガナケレバ第二、第三ハ同一委員ニ付託イ
タシマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=15
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016・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 唯今石黑男爵ノ述ベラレマシタ此特別委員ノ數ヲ
十五名トスルニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=16
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017・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス、書記官ヲシテ特別委員ノ
氏名ヲ朗讀イタサセマス
〔岡書記官朗讀〕
都市計畫法案外一件特別委員
伯爵松木宗隆君子爵榎本武憲君男爵山中信儀君
古市公威君內田嘉吉君男爵阪谷芳郞君
水野鍊太郞君男爵斯波忠三郞君男爵辻太郞君
加太邦憲君福永吉之助君菅原通敬君
市來乙彥君永田秀次郞君安田善三郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=17
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018・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第四、會計士法案、衆議院提出、第一讀會
會計士法案
右本院提出案及送付候也
大正八年三月十五日
衆議院議長大岡育造
貴族院議長公爵德川家達殿
會計士法
第一章會計士ノ業務
第一條會計士ハ當事者若ハ利害關係人ノ囑託ヲ受ケ又ハ官廳ノ命ニ依リ
會計ニ關スル事項ノ監査、整理、管理、證明及鑑定ノ業務ヲ執行スルモ
ノトス
第二條會計士ハ農商務大臣ノ監督ヲ受ク
第二章會計士ノ資格
第三條會計士タラムトスル者ハ左ニ揭クル資格ヲ具備スルコトヲ要ス
帝國臣民ニシテ三十歲以上ノ男子タルコト
二會計士試驗ニ合格シタルコト
三三箇年以上會計士ノ事務所ニ在リテ其ノ業務ヲ見習ヒタルコト
四高等官及學識經驗アル者ノ中ヨリ任命セラレタル委員ヲ以テ組織ス
ル會計士銓衡委員會ノ銓衡ヲ經タルコト
第四條會計士試驗及銓衡ニ關スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條左ニ揭クル者ハ會計士タルコトヲ得ス
ー禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者
二懲戒ノ處分ニ依リ免官免職除名又ハ業務ヲ禁止セラレタル者
三破產又ハ家資分散ノ宣告ヲ受ケタル者
四禁治產又ハ準禁治產ノ宣告ヲ受ケタル者
第六條會計士ハ報酬アル公務ヲ兼ヌルコトヲ得ス但シ議員若ハ委員ト爲
リ又ハ官廳ヨリ特ニ命セラレタル職務ヲ執行スルハ此ノ限ニ在ラス
會計士ハ他ノ業務ヲ營ミ法人ノ取締役其ノ他之ニ準スヘキ者若ハ無限責
任社員ト爲リ又ハ法人其ノ他ノ使用人ト爲ルコトヲ得ス但シ農商務大臣
ノ許可ヲ得タル者ハ此ノ限ニ在ラス
第三章會計士名簿
第七條會計士名簿ニ登錄セラレタル者ニ非サレハ會計士ノ稱號ヲ用ヰ又
ハ其ノ業務ヲ執行スルコトヲ得ス
第八條會計士名簿ニ關スル規程ハ農商務大臣之ヲ定ム
第四章會計士ノ權利義務
第九條會計士ハ正當ノ事由アルニ非サレハ當業者若ハ利害關係人ノ囑託
又ハ官廳ノ命ヲ拒ムコトヲ得ス
第十條會計士ハ利害ノ關係ヲ有スル事業ニ關シ其ノ業務ヲ執行スルコト
ヲ酸チ.
第十一條會計士其ノ業務ノ執行ニ關シ故意又ハ過失ニ因リ囑託人ニ損害
ヲ加ヘタルトキハ之ヲ賠償スルノ責ニ任ス
第十二條會計士又ハ會計士タリシ者故ナク其ノ業務上取扱ヒタル事項ニ
付祕密ヲ漏泄シタルトキハ六月以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第十三條刑法第百九十七條及第百九十八條ノ規定ハ會計士ノ業務ノ執行
ニ付之ヲ準用ス
第五章會計士會
第十四條會計士會ヲ設立セムトスルトキハ其ノ規約ヲ定メ農商務大臣ノ
認可ヲ受クヘシ其ノ規約ヲ變更セムトスルトキ亦同ジ
第十五條會計士會ヲ解散シタルトキハ農商務大臣ニ屆出ツヘシ
第六章懲戒
第十六條會計士業務上ノ義務ニ違反シタルトキ又ハ品位ヲ失墜スヘキ行
爲アリタルトキハ懲戒ニ付ス
第十七條懲戒ハ左ノ四種トス
-譴責
二千圓以下ノ過料
三三年以下ノ業務停止
四除名
第十八條懲戒ハ會計士銓衡委員會ノ議決ヲ經テ農商務大臣之ヲ行フ但シ
會計士會ニ屬スル者ニ付テハ豫メ其ノ議決ヲ經ルコトヲ要ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅合ヲ以テ之ヲ定ム
會計士銓衡委員會ノ銓衡ヲ經タル者ハ當分ノ內第三條第二號及第三號ノ規
定ニ拘ラス會計士タルコトヲ得発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=18
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019・柳原義光
○伯爵柳原義光君 此案ハ衆議院ノ提出デアリマスルガ、政府ノ此案ニ對ス
ル所見ハドウデアリマスルカ、伺ヒタイト考ヘマス
〔政府委員岡本英太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=19
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020・岡本英太郎
○政府委員(岡本英太郞君) 御答ヘ申上ゲマス、本案ニ付キマシテハ政府ハ
本案ノ趣旨ニハ贊成デゴザリマスルノデアリマス、併ナガラ本案ノ期待セラ
ルヽ如キ立派ナ會計士ヲ得ルト云フコトモ目下困難デゴザリマセウシ、又御
承知ノ如ク、我國ニハ會社其他ノ團體ニ於キマシテハ監査役、監事等ノ制度
ガゴザリマシテ、本案ノ如ク任意ニ會計士ノ檢査ヲ受ケルト云フ制度デゴザ
リマスレバ、此法案ノ目的ヲ達シマスル上ニ於キマシテ甚ダ困難デアラウト
存ジマス、ソレデ政府ニ於キマシテハ趣旨ニハ贊成イタシマスルケレドモ、
進ンデ此法案ノ效果ヲ擧グル困難ガ多カラウト云フ所カラ同意イタシ兼ネル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=20
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021・鈴木そう兵衞
○鈴木摠兵衞君 政府委員ニ御問ヒ致シマスルガ、此會計士ト云フモノハ
一面カラ見マスルト、法人ノ役員ガ橫暴ナコトヲスルニ付テハ之ヲ豫防スル、
又或ハ誠實ナル者ニ對シテ保證スルト云フ利益ガアリマスガ、若シ其當ヲ得
ザレバ却ッテ弊害ガアリマス、其邊ニ付テ政府ハ多少考慮スル所ガアッテ唯今
ノ如ク御說明デアリマスカ、或ハ又無用デアルト云フ御觀念デアリマスカ、
一應政府ノ御所見ヲ伺ヒマス
〔政府委員岡本英太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=21
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022・岡本英太郎
○政府委員(岡本英太郞君) 唯〓ノ御質問ノ如キコトハ、本案ノ審議ニナリ
マス際ニ色〓議論ガゴザイマシテ、衆議院ノ委員ノ中ニモ、御心配ニナルヤウ
ニ本案ガ制定サレレバ却ッテ弊ノ生ズルヤウナ虞モアリハシナイカト云フ御
議論モゴザイマシタ、併ナガラ本案ハ全ク任意ニ依賴ヲシテ、サウシテ會計
士ノ證明ヲ得ルト云フコトデアリマスカラ、强チ弊ノ多イト云フコトヲ見ナ
クテモ宜カラウ、唯本案ハ會計士ト云フモノヲ公認イタシテ、此制度ノ發達
ヲ圖リタイト云フ趣意デアリマスカラ、大體ニ於キマシテ唯今御心配ノ如キ
弊害ハ無イデアラウト思ウテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=22
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023・廣澤金次郎
○伯爵廣澤金次郞君 チヨット政府委員ニ御質問イタシタイノデアリマスガ、
唯今政府委員ノ御說明ニ依リマスト、此會計士法案ニハ趣旨ハ贊成デアルガ
內容ニ於テハ反對ノ條項ガアルト云フヤウニ承リマシタガ、元〓會計士ナル
モノハ人格ノ問題デアリマシテ、人格ノアル會計士ナルモノガ出來タナラバ、
諸會社ノ決算ノ檢査上ニ極ク至ッテ便利ナモノカト本員ナドハ考ヘルノデア
リマスガ、付キマシテハ政府ニ於キマシテハ將來政府案トシテ會計士法案ノ
如キモノヲ提出サレル御意思ハアリマセヌカト云フコトヲチヨット承ッテ置キ
タイ
〔政府委員岡本英太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=23
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024・岡本英太郎
○政府委員(岡本英太郞君) 御答へ申シマス、此會計士ノ制度ハ早晩我國ニ
於テモ行ハレナケレバナラヌト考ヘテ居リマシテ、從來本制度ニ付キマシテ
ハ當局ニ於テ調査モ致シテ居ルノデアリマス、併ナガラマダ提出サレルダケ
ノ成案ガ出來テ居リマセヌ、今日ニ於キマシテ何時之ヲ提出イタスト云フコ
トハ申兼ネマスケレドモ、調査ヲ致シテ居ル次第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=24
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025・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 本案ノ特別委員ノ氏名ヲ書記官ヲシテ朗讀イタサ
セマス
〔岡書記官朗讀〕
會計士法案特別委員
伯爵堀田正恆君子爵松平直德君子爵秋月種英君
岡野敬次郞君上山滿之進君男爵眞田幸世君
男爵長松篤業君男爵〓誠之助君西川甚五郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=25
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026・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第五、司法代書人法案、衆議院提出、第一讀
會
司法代書人法案
右本院提出案及送付候也
大正八年三月十五日
衆議院議長大岡育造
貴族院議長公爵德川家達殿
司法代書人法
第一條本法ニ於テ司法代書人ト稱スルハ他人ノ囑託ヲ受ヶ裁判所及檢事
局ニ提出スヘキ書類ノ作製ヲ爲スヲ業トスル者ヲ謂フ
第二條司法代書人ハ地方裁判所ノ所屬トス
第三條司法代書人ハ地方裁判所長ノ監督ヲ受ク
地方裁判所長ハ區裁判所判事ヲシテ司法代書人ニ對スル監督事務ヲ取扱
ハシムルコトヲ得
第四條司法代書人タルニハ所屬地方裁判所長ノ認可ヲ受クルコトヲ要
ス
第五條司法代書人ハ地方裁判所長ノ定ムル書記料ヲ受ク
第六條司法代書人ハ事務所ヲ設ケ地方裁判所長ノ認可ヲ受クルコトヲ要
ス
第七條司法代書人ハ正當ノ事由アルニ非サレハ囑託ヲ拒ムコトヲ得ス
第八條司法代書人ハ當事者ノ一方ノ囑託ニ依リテ取扱ヒタル事件ニ付相
手方ノ爲ニ書類ノ作製ヲ爲スコトヲ得ス
第九條司法代書人ハ其ノ業務ノ範圍ヲ超エテ他人間ノ訴訟其ノ他ノ事件
ニ關與スルコトヲ得ス
第十條司法代書人ハ其ノ取扱ヒタル事件ヲ漏泄スルコトヲ得ス但シ裁判
所又ハ檢事局ニ於テ訊問ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第十一條司法代書人其ノ業務上ノ義務ニ違反シタルトキ又ハ品位ヲ失墜
スヘキ行爲ヲ爲シタルトキハ地方裁判所長ハ司法大臣ノ認可ヲ受ケ左ニ
揭クル處分ヲ爲スコトヲ得
-業務ノ禁止又ハ停止
二五百圓以下ノ過料
非訟事件手續法第二百八條ノ規定ハ前項ノ過料ノ處分ニ付之ヲ準用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=26
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027・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 本案特別委員ノ氏名ヲ書記官ヲシテ朗讀ヲ致サセ
マス
〔岡書記官朗讀〕
司法代書人法案特別委員
伯爵柳原義光君山脇玄君子爵舟橋遂賢君
子爵東坊城德長君子爵伊東祐弘君淺田德則君
柴田家門君男爵佐竹義準君藤本閑作君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=27
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028・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第六、地租條例中改正法律案、衆議院提出、
第一讀會
地租條例中改正法律案
右本院提出案及送付候也
大正八年三月十五日
衆議院議長大岡育造
貴族院議長公爵德川家達殿
地租條例中左ノ通改正ス
第十六條第二項中「十年目」ヲ「二十一年目」ニ、第三項中「三十年以內」ヲ「四
十年」ニ、第四項中「十年以內」ヲ「二十年」ニ、第五項中「五十年以內」ヲ「六十
年」ニ、第六項中「三十年以內」ヲ「四十年」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前第十六條第一項ノ屆出ヲ爲シ又ハ同條第三項乃至第六項ノ許可
ヲ受ケタル土地ニ關シテハ仍ホ從前ノ例ニ依ル
〔國務大臣男爵高橋是〓君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=28
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029・高橋是清
○國務大臣(男爵高橋是〓君) 本案ハ衆議院ノ提出デゴザリマス、政府ニ於
キマシテモ今後益〓開墾ヲ奬勵イタシマスニ付キマシテハ、其費用モ從前ト違
ヒマシテ、浪費モ餘計加ハルコトハ明デアリマス、依ッテ此地價修正ノ年期、
鍬下年期、新開免租ノ年期、地價据置ノ年期總テ通ジテ現行法ニ比シテ十箇
年延長スルノガ一ツノ趣旨デゴザイマス、又一ツハ延期スル場合ニ於テ、何
十年以內ト云フ以內ト云フコトヲ取リマスノガ、本案ノ矢張リ趣旨ノ一ツデ
ゴザイマス、「以内」ト申シマスルコトハ、稅務署ノ判斷ニ依リマシテ、或ル
場合ニ於キマシテハ其裁量ニ任シテアリマスル故ニ統一シナイト云フヤウナ
懸念モゴザイマスシ、又開墾企業者ニ於キマシテハ、一ニ其延期ノ可否ト云
フモノハ地方ノ稅務署ノ鑑定ニ依ル譯デアリマスカラシテ、稍〓不安心ノ念ヲ
懷クト云フ虞モアリマス、依ッテ「以内」ト云フ字ヲ省キマスノガ第二ノ要點デ
アリマス、總テ政府ニ於キマシテハ時勢ニ相當ノ改正ト見マシテ同意ヲ致シ
マシタノデゴザイマス、御審議ノ上御協賛ヲ與へラレムコトヲ希望イタシマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=29
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030・阪本さん之助
○阪本彰之助君 此案ハ衆議院提出デゴザイマスガ、唯今大藏大臣ハ御贊成
ノヤウデアリマス、先刻農商務大臣ガ御說明ニナリマシタ耕地整理法中ノ改
正法律案ニ衆議院ハ矢張リ修正ヲ加ヘテ、之ニ類似シタコトニ出來テ居リマ
ス、此耕地整理法ノ修正ト、唯今ノ法案ト精神ガ一致シテ居リマシテ、其間
ニ何等寬嚴長短等ノ相違ハゴザイマセヌカ、其點ヲ一應伺ッテ置キマス
〔政府委員松本重威君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=30
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031・松本重威
○政府委員(松本重威君) 地租條例ニ於キマシテ各種ノ年期ヲ十年延長イタ
シマスル權衡上、耕地整理法ニ於キマシテモ同ジク年期ヲ十年延長スルヤウ
ナ權衡ヲ取ッテ耕地整理法ヲ改正シテ居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=31
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032・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ガナケレバ此法案ノ特別委員ハ、耕地整理
法中改正法律案ト同一委員ニ付託イタシマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=32
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033・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 第七、大垣郵便局ヲ二等郵便局ト爲スノ請願、會議
〔左ノ意見書案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス以下之ニ傚
フ〕
意見書案
大垣郵便局ヲ二等郡便局ト爲スノ件
大垣商業會議所會頭戶田銳之助呈出
右ノ請願ハ大垣市ハ西濃平野ノ中樞ニ位シ東海道本線及養老鐵道ノ停車場
ヲ有シ水陸交通ノ便備リ百貨集散ノ要衝タルノミナラス近時各種ノ工場勃
興シ人口亦增加シテ市勢益發展セムトスルモ大垣郵便局ノ依然トシテ特定
三等局ナルハ此ノ趨勢ニ伴ハス公衆ノ不便不利甚シキモノアルヲ以テ之ヲ
二等郵便局トセラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキ
モノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
大正八年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣原敬殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=33
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034・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 請願委員長ノ報告通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=34
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035・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=35
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036・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 第八、靑秋海岸輕便鐵道敷設ノ請願、第九、宮崎
飫肥間鐵道敷設ノ請願、第十、三陸沿岸鐵道敷設ノ請願、會議
意見書案
靑秋海岸輕便鐵道敷設ノ件
靑森縣西津輕郡木造町平民銀行業高谷豐之助外七名呈出
右ノ請願ハ陸奥鐵道ノ終點タル靑森縣下五所川原ヨリ鰺ケ澤ニ出テ海岸一
帶ヲ經テ能代線鐵道ニ逹スル輕便鐵道ノ敷設ハ岩木川ノ改修竝鰺ケ澤港ノ
修築ト相俟チテ靑森秋田兩縣ニ於ケル豐富ナル海陸ノ資源ヲ開發スルノミ
ナラス奧羽本線ノ有力ナル營養線タルヘキヲ以テ之ヲ實行セラレタシトノ
旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及送付候也
大正八年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣原敬殿
意見書案
宮崎飫肥間鐵道敷設ノ件
宮崎縣宮崎郡宮崎町長加藤七五郞外三十五名呈出
右ノ請願ハ宮崎縣下宮崎ヨリ內海、油津ヲ經テ飫肥ニ達スル鐵道ノ敷設ハ
啻ニ交通ノ利便ヲ開クノミナラス沿線地方ニ於ケル國富ヲ進メ且諸港ノ利
用ヲ增シ及國防上亦重要ナルヲ以テ之ヲ急設セシメラレタシトノ旨趣ニシ
テ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條
ニ依リ別冊及送付候也
大正八年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣原敬殿
意見書案
三陸沿岸鐵道敷設ノ件
巖手縣九戶郡種市村長千葉倉之助外二百三十五名呈出(四通)
右ノ請願ハ宮城縣下仙北輕便鐵道前谷地驛ヨリ釜石、宮古ヲ經テ靑森縣下
八戶ニ至ル三陸沿岸鐵道ノ敷設ハ沿線地方一帶ノ人文竝富源ヲ開發スルノ
ミナラス旣設鐵道ト相俟チテ東北地方ヲ連環シ交通竝國防上甚大ノ影響ヲ
及ホシ工事亦容易ナルヲ以テ速ニ之ヲ實施セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族
院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ
別册及送付候也
大正八年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣原敬殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=36
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037・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是モ請願委員長ノ報告通リデ御異存ゴザイマセヌ
カ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=37
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038・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=38
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039・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 第十一、岐阜富山間鐵道線路ニ關スル請願、第十
二、能代港五所川原間輕便鐵道敷設ノ請願、會議
意見書案
岐阜富山間鐵道線路ニ關スル件
岐阜縣武儀郡菅田町長中島松太郞外七名呈出
右ノ請願ハ岐阜富山間縱貫鐵道ニ於テ岐阜縣加茂武儀兩郡ヲ經テ飛驒ニ入
ル線路中武儀郡上麻生村、神淵村、菅田町ヲ經テ益田郡下原村ニ至ル線路
ヲ第一候補線ト豫定セラレタルニ拘ラス近時之ヲ變更シ加茂郡下麻生町ヨ
リ飛驒川ニ沿ヒ下原村ニ至ル線路ヲ採用セラレタキ旨關係住民ヨリ衆議院
ニ請願シタルヤニ聞ケリ然レトモ之ヲ前記ノ候補線路ト比較セムカ其ノ利
害得失到底同一ナラサルヲ以テ豫定計畫ノ如ク該鐵道ヲ敷設セラレタシト
ノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法
第六十五條ニ依リ別冊及送付候也
大正八年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣原敬殿
意見書案
能代港五所川原間輕便鐵道敷設ノ件
秋田縣山本郡能代港町官吏荒田讀之助外三百四十二名呈出
右ノ請願ハ秋田縣下能代驛ヨリ八森村岩館村及靑森縣下鰺ケ澤町木造町ヲ
經テ五所川原町ニ於テ陸奥鐵道ト連絡スル輕便鐵道ノ敷設ハ秋田縣山本郡
ノ豐富ナル利源ヲ開發スルノミナラス兩羽ト北陸地方トヲ貫通スル日本海
沿岸線ノ延長トシテ極メテ必須ノ施設ナルヲ以テ速ニ之ヲ敷設セラレタシ
トノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院
法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
大正八年月日
貴族院議長公爵德川家逹
內閣總理大臣原敬殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=39
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040・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是モ請願委員長ノ報告通リデ御異存ゴザイマセヌ
カ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=40
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041・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス、明十八日ノ議事日程ハ決
定次第御通知ニ及ビマス、本日ハ是ニテ散會
午前十時四十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004103242X01919190317&spkNum=41
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