1. 会議録本文
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000・会議録情報
大正八年二月二十七日(木曜日)午後一時九分開議
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議事日程 第十七號 大正八年二月二十七日
午後一時開議
第一 執達吏規則中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第三 執達吏の手數料及立替金増額に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第四 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第五 結核豫防法案(政府提出) 第一讀會
第六 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第七 「トラホーム」豫防法案(政府提出) 第一讀會
第八 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第九 農工銀行法中改正法律案(天春文衞君外十七名提出) 第一讀會
第十 日露語學校設置に關する建議案(松本誠之君提出)
第十一 松本鐵道建設に關する建議案(高鳥順作君外五名提出)
第十二 農務省新設に關する建議案(中倉万次郎君外十名提出)
第十三 農工銀行補助法第七條實施に關する建議案(中倉万次郎君外十名提出)
第十四 水産銀行設立に關する建議案(鵜澤宇八君外二名提出)
第十五 東方調査局設置に關する建議案(伊東知也君提出) (委員長報告)
第十六 朝鮮平元鐵道急設に關する決議案(牧山耕藏君外五名提出) (委員長報告)
第十七 伊萬里、佐世保間鐵道建設に關する建議案(中倉万次郎君外四名提出) (委員長報告)
第十八 羽越横斷鐵道建設に關する建議案(小林源藏君外七名提出) (委員長報告)
第十九 若松、柳津間輕便鐵道建設に關する建議案(八田宗吉君外四名提出) (委員長報告)
第二十 (特別報告第四十二號)産業組合に對し印紙税免除の請願 (委員長報告)
第二十一 (特別報告第四十三號)製鹽特別賠償價格制定の請願 (委員長報告)
第二十二 (特別報告第四十四號)特別用鹽規定中鰊追加の請願 (委員長報告)
第二十三 (特別報告第四十五號)專賣官吏派出所設置の請願 (委員長報告)
第二十四 (特別報告第四十八號)質屋取締法中改正の請願外一件 (委員長報告)
第二十五 (特別報告第五十一號)仙臺地方裁判所石卷支部權限復舊の請願 (委員長報告)
第二十六 (特別報告第五十四號)太田、三次間輕便鐵道測量及速成の請願 (委員長報告)
第二十七 (特別報告第五十五號)上越鐵道速成の請願 (委員長報告)
第二十八 (特別報告第五十六號)上越鐵道敷設工事急施の請願 (委員長報告)
第二十九 (特別報告第五十七號)池田、川之江間鐵道敷設の請願 (委員長報告)
第三十 (特別報告第五十八號)津山、新見間鐵道敷設速成の請願 (委員長報告)
第三十一 (特別報告第六十一號)都城、福島間鐵道敷設の請願 (委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=0
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001・大岡育造
○議長(大岡育造君) 諸般ノ報告ガアリマス
〔原田書記官朗讀〕
一昨二十六日政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
結核豫防法案
「トラホーム」豫防法案
-盍一十五日議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
鶴岡、大泉間國有輕便鐵道敷設ニ關スル建議案
提出者熊谷直太君戶狩權之助君
小林源藏君高橋辰二君
大石五郞君齋藤紀一君
新見、庄原間輕便鐵道建設ニ關スル建議案
提出者湯淺凡平君西村丹治郞君
福井三郞君
一去二十五日議員ヨリ提出セラレタル質問主意書左ノ
如シ
靑年指導ニ關スル再質問主意書
提出者田中萬逸君
國民思想ノ善導ニ關スル再質問主意書
提出者田中善立君
一昨二十六日議員ヨリ提出セラレタル質問主意書左ノ
如シ
小學校〓員ニ給スル臨時手當ニ關スル再質問主意書
提出者高田耘平君
一今二十七日議員ヨリ提出セラレタル質問主意書左ノ
如シ
公娼制度ノ存廢ニ關スル第三質問主意書
提出者橫山勝太郞君
一昨二十六日貴族院ニ於テ本院ノ送付ニ係ル左ノ議
案ヲ可決シタル旨同院ヨリ通牒ヲ受領セリ
第一回國勢調査施行ニ要スル地方經費國庫支辨ニ
關スル法律案(政府提出)
作業會計法中改正法律案(政府提出)
戰時利得稅法中改正法律案(政府提出)
國債整理基金特別會計法中改正法律案(政府提
出
海軍工廠資金會計法中改正法律案(政府提出)
朝鮮醫院及濟生院特別會計法中改正法律案(政府
提出)
(特第一號)大正七年度各特別會計歲入歲出豫算
追加案(政府提出)
一去二十五日政府ヨリ受領シタル報告左ノ如シ
大正六年四月一日ヨリ大正七年三月三十一日ニ至
ル各省所管官有財產增減異動報告
〔左ノ報告ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載
즈
一去二十五日木津川治水ニ關スル建議案委員井上敬
之助君辭任ニ付其補闕トシテ小田切磐太郞君ヲ、衆
議院議員選擧法中改正法律案委員柵瀨軍之佐、古
島一雄君、村松恆一郞君辭任ニ付其補闕トシテ下岡
忠治君、野添宗三君、高木益太郞君ヲ孰レモ議長ニ
於テ選定セリ
一昨二十六日衆議院議員選擧法中改正法律案委員
政尾藤吉君、福本寅松君、生原忠右衞門君、佐々木
文一君辭任ニ付其補關トシテ三土忠造君、中村啓
次郞君、武藤金吉君、〓〓太郞君ヲ議長ニ於テ選定
セリ
一今二十七日衆議院議員選擧法中改正法律案委員
松浦五兵衞君、鳩山一郞君、古屋慶隆君辭任ニ付
其補闕トシテ森田正路君、粕谷義三君小泉又次郞
君ヲ、精神病院法案委員山根正次君辭任ニ付其補
關トシテ佃安之丞君ヲ孰レモ議長ニ於テ選定セリ
一去二十五日委員長及理事互選ノ結果左ノ如シ
決議案起草ノ件委員
委員長小川平吉君理事金杉英五郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=1
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002・議長(大岡育造君)
○議長(大岡育造君) 是ヨリ會議ヲ開キマス-諮問ヲ
致シマス、第四部選出決算委員前田卯之助君、右常任委
員辭任ノ中出ガアリマシタ、許可シテ異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=2
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003・議長(大岡育造君)
○議長(大岡育造君) 御異議ガ無ケレバ許可スルコトニ
決シマス、第四部ノ諸君ハ、速ニ補缺選擧ヲ行ヒ屆出アラ
ンコトヲ望ミマス-此際宣告シテ置キマス、本期議會ハ既
ニ會期ノ三分ノ二ヲ經過シマシタ、先例ニ依リ一、法律案
ハ成規ノ日時ヲ要セズ日程ニ掲載スルコト、一、本會議時間
ニ於ケル委員會ノ開會ハ議長ニ於テ之ヲ許可スルコト、一
案ノ都合ニ依リ定日以外ノ日ニ於テモ本會議ヲ開クコト、
是ハ先例デアリマスカラ、念ノ爲メニ宣告致シテ置キマス-
日程第一、第三ハ、便宜上一括議題ト爲スニ御異議ハア
リマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=3
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004・議長(大岡育造君)
○議長(大岡育造君) 御異議ガ無ケレハ一括議題ト致
シマス、日程第一、執達吏規則中改正法律案第三執達
吏ノ手數料及立替金增額ニ關スル法律案ヲ一括シテ議
題ト致シ、第一讀會ヲ開キマス-豊島政府委員
第執達吏規則中改正法律案(政府提出)
第一讀會
執達吏規則中左ノ通改正ス
第十九條中「百八拾圓」ヲ「四百五拾圓」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三執達吏ノ手數料及立替金增額ニ關スル
法律案(政府提出)第一讀會
執達吏手數料規則ニ依ル手數料及立替金ニ付テハ當
分ノ內勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ百分ノ五十以內ヲ增
額スルコトヲ得
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔政府委員法學博士豐島直通君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=4
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005・政府委員(法學博士豊島直通君)
○政府委員(法學博士豊島直通君) 執達吏規則中改
正法律案、是ハ執達吏ノ手數料ト一年間ノ收入ガ百八十
圓以下デゴザイマスレド、國庫カラ支出スルト云フコトニ、之
ヲ今日ハ定メラレテゴザイマスルノヲ、現今ノ經濟狀態ニ副ヒ
マセヌ所カラ致シマシテ、其額ヲ四百五十圓ニ上ゲマシテ、
其不足額ハ國庫カラ之ヲ支給スルト云フコトニ致シタイ趣
意デゴザイマス、次ニ執達吏ノ手數料及立替金ノ增額ニ關
シマスル法律案ハ、是モ經濟界ノ變動ニ伴ヒマシテ、物價
ノ昂騰著シキモノガゴザイマスカラシテ、當分ノ間其經濟狀
態ニ適應スル爲メニ、五割ノ手數料ノ金額ヲ增加致シタイ
ト云フ趣意デゴザイマス、ドウカ何分御協賛ヲ御願致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=5
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006・議長(大岡育造君)
○議長(大岡育造君) 委員選擧ヲ議題ト致シマス
右議案ノ審査ヲ付託スへキ委員ノ選擧
1○岩崎動君日程第一及第三ヲ一括シテ、委員ノ數ヲ九
名トシ、議長ニ於テ指名セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=6
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007・議長(大岡育造君)
○議長(大岡育造君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ハアリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=7
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008・議長(大岡育造君)
○議長(大岡育造君) 御異議ガ無ケレバ此兩案ハ議長
指名九名ノ委員ニ付託スルコトニ決シマシタ-日程第
五、第七ハ便宜上一括議題ト爲スニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=8
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009・議長(大岡育造君)
○議長(大岡育造君) 御異議ガ無ケレバ一括議題ト致
シマス-第五、結核豫防法案、第七、「トラホーム」豫防法
案-床次内務大臣
第五結核豫防法案(政府提出)第一讀會
結核豫防法
第一條本法ニ於テ結核ト稱スルハ肺結核又ハ喉頭結
核ニシテ病毒傳播ノ危險アルモノヲ謂フ
第二條醫師結核患者ヲ診斷シ又ハ其ノ死體ヲ檢案
シタルトキハ患者ノ場合ニ在リテハ患者又ハ其ノ居住
ノ場所ノ管理ヲ爲ス者若ハ其ノ代理ヲ爲ス者、死體
ノ場合ニ在リテハ死體所在ノ場所ノ管理ヲ爲ス者又
ハ其ノ代理ヲ爲ス者ニ命令ノ定ムル所ニ依リ消毒其
ノ他ノ豫防方法ヲ指示スヘシ
前項ノ規定ニ依リ指示ヲ受ケタル者ハ其ノ指示ニ從
ヒ消毒其ノ他ノ豫防方法ヲ行フヘシ
第三條醫師ハ前條ノ規定ニ依リ指示ヲ受ケタル者其
ノ指示ヲ遵守セスト認ムルトキハ當該官吏又ハ吏員
ニ其ノ旨ヲ中告スヘシ
第四條行政官廳ハ結核患者又ハ其ノ死者アリタル場
所ニ付家屋物件ノ消毒其ノ他ノ豫防方法ヲ施行シ
又ハ其ノ施行ヲ患者又ハ場所ノ管理ヲ爲ス者若ハ其
ノ代理ヲ爲ス者ニ命スルコトヲ得
第五條行政官廳ハ結核豫防上必要ト認ムルトキハ左
ノ事項ヲ行フコトヲ得
-業態上病毒傳播ノ虞アル職業ニ從事スル者又
ハ病毒蔓延ノ虞アル場所ニ居住シ若ハ其ノ場所
ニ於テ職業ニ從事スル者ニ對シ健康診斷ヲ施行
スルコト
二結核患者ニ對シ業態上病毒傳播ノ虞アル職業
ニ從事スルヲ禁止スルコト
三學校、病院、製造所其ノ他ノ多衆ノ集合スル場
所又ハ旅店、料理店、理髪店其ノ他ノ客ノ來集
ヲ目的トスル場所ニ付病毒傳播ノ媒介トナルヘ
キ事項ヲ制限シ若ハ禁止シ又ハ場所ノ管理ヲ爲
ス者若ハ其ノ代理ヲ爲ス者ニ對シ結核豫防上必
要ナル施設ヲ爲サシムルコト
四古若、古蒲〓、古本、紙屑、襤褸、飮食物其ノ他
ノ物件ニシテ病毒ニ汚染シ又ハ其ノ疑アルモノノ
賣買若ハ授受ヲ制限シ若ハ禁止シ、其ノ物件ノ
消毒若ハ廢棄ヲ爲サシメ又ハ其ノ物件ノ廢棄ヲ
爲スコト
地方長官ニ於テ前項ノ規定ニ依リ健康診斷ヲ施行シ
又ハ物件ノ廢棄ヲ爲ス場合ニ於テハ其ノ費用ハ北海
道地方費又ハ府縣ノ負擔トス
第六條地方長官ハ結核豫防上必要ト認ムルトキハ採
光、換氣其ノ他ノ關係ニ於テ衞生上不良ナル建物ノ
使用ヲ制限シ又ハ禁止スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル制限又ハ禁止ニ因リ生シタル損害
ニ對シテハ地方長官必要ト認ムルトキハ勅令ノ定ムル
所ニ依リ補償金ヲ交付ス補償金ハ北海道地方費又
ハ府縣ノ負擔トス
第七條主務大臣ハ結核患者ニシテ療養ノ途ナキモノヲ
收容セシムル爲人口五萬以上ノ市又ハ特ニ必要ト
認ムル其ノ他ノ公共團體ニ對シテ結核療養所ノ設置
ヲ命スルコトヲ得但シ必要ト認ムルトキハ二以上ノ公
共團體ヲ指名シ共同設置ヲ命スルコトヲ妨ケス
前項ノ結核療養所ニ關スル經費ハ公共團體ノ負擔
トス
第一項但書ノ規定ニ依リ共同設置ヲ命スル結核療
養所ノ管理及經費分擔ノ方法ハ關係公共〓體ノ協
議ニ依リ之ヲ定ム協議調ハサルトキハ主務大臣之ヲ
定ム
第八條地方長官ハ結核患者ニシテ療養ノ途ナキモノ
及豫防上特ニ必要ト認ムルモノヲ前條ノ規定ニ依リ
設置スル結核療養所ニ入所セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル入所ノ費用ノ負擔及徵收ニ關シテ
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第九條國庫ハ勅令ノ定ムル所ニ從ヒ第七條ノ規定ニ
依リ結核療養所ヲ設置スル公共〓體ニ對シ其ノ結核
療養所ニ關シ公共〓體ノ支出スル經費ノ六分ノ一乃
至二分ノ一ヲ補助ス
第十條國庫ハ勅令ノ定ムル所ニ從ヒ第七條ノ規定ニ
依ラスシテ結核療養所ヲ設置スル公共〓體又ハ公益
法人ニ對シ其ノ結核療養所ニ關シ公共團體又ハ公
益法人ノ支出スル經費ノ二分ノ一以內ヲ補助スルコ
トヲ得
第十一條結核療養所ヲ設置スル公共〓體ニシテ第
九條又ハ前條ノ規定ニ依ル補助ヲ受クルモノハ他ノ
公共〓體ノ委託アルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ療
養ノ途ナキ結核患者ヲ其ノ結核療養所ニ收容スヘシ
第十二條北海道地方費又ハ府縣ハ勅令ノ定ムル所ニ
從ヒ第五條第一項第二號ノ規定ニ依ル從業禁止又
ハ第八條第一項ノ規定ニ依ル入所ニ因リ生活スルコ
ト能ハサル者ニ對シ其ノ生活費ヲ補給スヘシ
第十三條國庫ハ第五條第二項、第六條第二項又ハ
前條ノ規定ニ依リ支出ヲ爲ス北海道地方費又ハ府
縣ニ對シ其ノ支出額ノ四分ノ一ヲ補助ス
第十四條官廳、官立ノ學校病院製造所等ニ於テハ其
ノ長ハ第五條第一項)三號第四號及第六條第一項
ノ規定ニ準シ結核豫防ニ關スル事項ヲ施行スヘシ
第十五條第二條第一項若ハ第三條ノ規定ニ違反シ
タル者又ハ第四條ノ規定ニ依ル行政官廳ノ命令ニ違
反シタル者ハ科料ニ處ス
第十六條第五條第一項又ハ第六條第一項ノ規定ニ
依ル行政官廳ノ命令又ハ處分ニ違反シタル者ハ百圓
以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
大正三年法律第十六號ハ之ヲ廢止ス
大正三年法律第十六號ニ依リ設置ヲ命シタル肺結核療
養所ハ本法ニ依リ設置ヲ命シタル結核療養所ト看做ス
第七「トラホーム」豫防法案(政府提出)
第一讀會
「トラホーム」豫防法
第一條醫師「トラホーム」患者ヲ診斷シタルトキハ命令
ノ定ムル所ニ依リ患者又ハ其ノ保護者ニ消毒其ノ他
ノ豫防方法ヲ指示スヘシ
當該官吏又ハ吏員ハ必要ト認ムルトキハ「トラホーム」
患者又ハ其ノ保護者ニ消毒其ノ他ノ豫防方法ヲ指
示スヘシ
第一項又ハ前項ノ規定ニ依リ指示ヲ受ケタル者ハ其
ノ指示ニ從ヒ消毒其ノ他ノ豫防方法ヲ行フヘシ
第二條「トラホーム」患者ハ速ニ醫師ノ治療ヲ受クヘシ
「トラホーム」患者ノ保護者ハ其ノ患者ヲシテ速ニ醫師
ノ治療ヲ受ケシムヘシ
第三條行政官廳ハ「トラホーム」患者ニシテ治療ヲ受
クルノ途ナキ者ニ對シ治療ヲ施行スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ治療ヲ施行スル場合ニ於テハ其ノ
費用ハ患者所在地ノ市町村ノ負擔トス
第四條行政官廳ハ「トラホーム」豫防上必要ト認ムル
トキハ左ノ事項ヲ行フコトヲ得
-檢診ヲ施行スルコト
二「トラホーム」患者ニ對シ客ニ接スル業務ニ從事ス
ルヲ停止スルコト
三學校、幼稚園、製造所其ノ他ノ多衆ノ集合スル
場所又ハ旅店、料理店、理髮店其ノ他ノ客ノ來
集ヲ目的トスル場所ニ付病毒傳播ノ媒介トナル
ヘキ事項ヲ制限シ若ハ禁止シ又ハ場所ノ管理ヲ
爲ス者若ハ其ノ代理ヲ爲ス者ニ對シ「トラホーム」
豫防上必要ナル施設ヲ爲サシムルコト
地方長官ニ於テ前項第一號ノ檢診ヲ施行スル場合ニ
於テハ其ノ費用ハ北海道地方費又ハ府縣ノ負擔トズ
第五條市町村ハ地方長官ノ指元ニ從ヒ「トラホーム」
ノ豫防及治療ニ關スル施設ヲ爲スヘシ
第六條北海道地方費又ハ府縣ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ「トラホーム」ノ豫防及治療ノ爲費用ノ支出ヲ爲
ス市町村ニ對シ其ノ費用ノ補助ヲ爲スヘシ
第七條國庫ハ前條ノ補助ノ爲其ノ他「トラホーム」ノ
豫防及治療ノ爲費用ノ支出ヲ爲ス北海道地方費又
ハ府縣ニ對シ其ノ支出額ノ六分ノ一ヲ補助ス
第八條官廳、官立ノ學校製造所等ニ於テハ其ノ長ハ
第四條第一項第三號ノ規定ニ準シ「トラホーム」豫防
ニ關スル事項ヲ施行スヘシ
第九條第一條第一項又ハ第三項ノ規定ニ違反シタ
ルモノハ科料ニ處ス
第十條第四條第一項ノ規定ニ依ル行政官廳ノ命令
又ハ處分ニ違反シタル者ハ五十圓以下ノ罰金又ハ科
料ニ處ス
第十一條本法ニ於テ保護者ト稱スルハ左ノ各號ノ一
ニ該當スル者ヲ謂フ
未成年者ニ對シ親權ヲ行フ者又ハ未成年者若
ハ禁治產者ノ後見人、親權ヲ行フ者又ハ後見人
ナキトキハ戶主、戶主未成年者又ハ禁治產者ナ
ルトキハ戶主ニ對シ親權ヲ行フ者又ハ戶主ノ後
見人
二〓育、監護又ハ傭使ノ目的ヲ以テ未成年者ヲ寄
寓セシムル者又ハ其ノ法定代理人
第十二條本法中市町村トアルハ市制町村制ヲ施行
セサル地ニ於テハ之ニ準スヘキモノトス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣床次竹二郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=9
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010・床次竹二郎
○國務大臣(床次竹二郞君) 結核病ニ依ッテー死スル者年
々約八万以上ゴザイマス、此病者ノ推定數ハ、全國ニ於テ
五十万以上デゴザイマス、而モ逐年其病勢ハ增加シテ行ク
有樣デゴザイマス、衞生上及經濟上ニ及ボス影響ハ甚ダ大
ナルモノデアリマシテ、是ガ豫防撲滅ハ、國防竝ニ〓育上實
ニ看過スベカラザル緊要ノ問題ト考ヘマス、現在ニ於キマシ
テハ、肺結核療養所ノ設置及國庫補助ニ關スル規定ガア
リマシテ、人口三十万以上ノ都市ニ對シテ肺結核療養所
ノ設置ヲ命ジ、窮民患者ノ療養ヲ致スト云フコトニナッテ居
リマスルガ、前申上ゲルヤウナ現在ノ狀況デアリマスカラ、今
日ノ有樣デ到底過ス譯ニハ參リマセヌ、一般ニ豫防ニ關ス
ル法規ヲ作ル必要ガゴザイマス、仍テ此際一般的豫防法ヲ
制定スルト同時ニ、人口五万以上ノ都市及特ニ必要ト認
メタル公共團體ニ對シ、結核療養所ノ設置ヲ命ズルコトヲ
得ルコトニシテ、以テ此病氣ノ豫防撲滅ノ效果ヲ奏シタイ
ト思フノデゴザイマス、是ガ此結核豫防法案ヲ提出致ス理
由デアリマス、次ニ「トラホーム」豫防法案ヲ制定致シマスル
理由ハ、目下我國ニ於ケル「トラホーム」患者ハ、正確ナル數
ハ之ヲ知ルコトハ出來マセヌガ、徴兵檢査ノ結果ニ依ッテ推
算ヲ致シマスレバ、約一千万人ニ達シテ居ルヤウニ思ヒマス、
是亦產業、〓育、及國防上、影響スル所甚ダ大ナルモノデ
アリマス、國民的活動上ニ大ナル障礙ヲ與ヘテ居ル次第デ
アリマス、然ルニ之ニ對スル一般ノ法規未ダ備ッテ居ラヌノ
デアリマス、仍テ此際本案ヲ制定シタイト云フ趣意デゴザイ
マス
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=10
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011・大岡育造
○議長(大岡育造君) 右兩案委員ノ選擧ヲ議題ト致シ
マス
右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選擧発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=11
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012・岩崎勲
○岩崎勳君 議長発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=12
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013・大岡育造
○議長(大岡育造君) 岩崎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=13
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014・岩崎勲
○岩崎勳君 兩案ヲ一括シテ、精神病院法案ノ委員ニ併
セテ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=14
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015・大岡育造
○議長(大岡育造君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ハアリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=15
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016・大岡育造
○議長(大岡育造君) 御異議ガ無ケレバ動議ノ如ク決シ
マス-日程第九、農工銀行法中改正法律案ノ第一讀會
ヲ開キマス、提出者天春文衞君
第九農工銀行法中改正法律案(天春文衞君
外十七名提出)第一讀會
農工銀行法中左ノ通改正ス
第六條第三號中「五分ノ一」ヲ「三分ノ一」ニ改ム
同條第五號中「二十人以上」ヲ「十人以上」ニ改ム
第十三條貸付金ノ年賦償還ニ付キ据置年限ヲ定ム
ルトキハ五箇年以內トス但シ其ノ年限內ノ利子ハ此
ノ限ニ在ラス
年賦償還期限前天災事變其ノ他避クヘカラサル事故
ヲ生シタル場合ニ於テハ更ニ据置年限ヲ設クルコトヲ
得
第二十六條中「五倍」ヲ「十倍」ニ改ム
〔天春文衞君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=16
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017・天春文衞
○天春文衞君 諸君、私ハ此農工銀行法中改正案ノ提
出ノ理由ヲ簡單ニ述べマシテ、諸君ノ御贊成ヲ希望致シマ
ス次第デアリマス、此農工銀行法ハ、諸君モ御承知ノ如ク、
明治二十九年ノ法律第八十三號ヲ以テ發布セラレタモノ
デアリマシテ、爾來時勢ノ進運ニ伴ヒ、農工業者ノ發展ト
共ニ、此法律ノ改正ハ、時勢ニ適應シテ最モ必要ト存ジマ
スガ故ニ、玆ニ此改正案ヲ提出シ夕所以デアリマス、聊カ此
各條ニ就テ理由ヲ申上ゲタイト考ヘマス、法第六條ノ第二
號中ニ「五分ノ一」トアリマスノヲ「三分ノ一」ニ改メルノデア
リマスガ、其理由ハ現行法ニ於キマシテハ、年賦貸付金總
高ノ五分ノ一ニ相當スルマデノ金額ヲ限ッテ、不動產ヲ抵
當ト致シマシテ、五箇年以内ノ定期貸付ヲ爲スコトヲ得ト
規定サレテアルノデゴザイマス、然ルニ明治四十四年ニ農
工銀行貸付ノ目的ヲ、農工業者ニ限ルノ制限ヲ撤廢セラ
レマシタガ故ニ、爾來市街地等ニモ貸付ガ段々殖エテ參リ
マスヤウナ場合デアリマス、故ニ此定期貸ノ增加ヲ來シタガ
爲メニ、年賦貸付ノ總高ヲ三分ノ一マデ增加セントスルノ
希望デアルノデゴザイマス、又其次ノ法第六條第五號中ノ
「二十人以上」ヲ「十人以上」ニ改メマシタノハ、是ハ現行法
ニテハ「二十人以上ノ農業者又ハ工業者申合セテ連帶責
任ヲ以テ借用ヲ申出デタルトキハ其ノ信用ノ確實ナル者ニ
限リ五箇年以内ニ於テ定期償還ノ方法ニ依リ無抵當貸
付ヲ爲スコト」ト云フコトニナッテ居リマス、然ルニ二十人以
上ヲ連帶セシメテ、一手デ貸與ヘルト云フコトハ、餘程困難
デアリマシテ、甚ダ債務者ニ於テモ不便デアリマスナリ、又貸
方ノ農工銀行ニ於テモ、容易ニ纏ラナイト云フヤウナ場合
デ、兩方トモ甚ダ不便デアリマス、故ニ十人以上ト云フコト
ニ改メタノデゴザイマシテ、此二十人以上ノモノヲ十人ニ縮
メマスト、或ハ危險ノ虞ガアルトカ云フヤウナ疑モゴザイマス
ケレドモ、去リナガラ假令二十人ニシロ、又ハ十人ニ致シマ
シテモ、矢張同ジク資產ノ程度信用ノ程度ヲ能ク調査致シ
マシテ貸與ヘルノデアリマスカラ、決シテ危險ノ虞ハ無イト
考ヘルノデアリマス、故ニ此二十人ヲ十人ト改メルノデゴザ
イマス、又此法第十三條ノ「貸付金ノ年賦償還ニ付キ据置
年限ヲ定ムルトキハ五箇年以内トス但シ其ノ年限內ノ利
子ハ此ノ限リニ在ラス」ト改メマシタノハ、是ハ現行法ニテハ
-年賦償還ニ付テハ、必必一箇年以上五箇年以內ノ据置年
限ヲ定メナケレバナラヌコトニナッテ居リマス、然ルニ債務者
ガ借入レマシタ際ニ於テ、或ハ一月ナリ乃至ハ半箇年ト云
フヤウナ場合ニ當ッテ、必ズ一箇年以上ノ据置ヲセナケレバ
ナラヌト云フコトハ甚ダ不便デアリマス、矢張其年度ノ都合
ニ依ッテ、直グ年賦ニ致シテ、サウシテ平等ノ返濟ヲスル、斯
ウ云フ方法ニナッタ方ガ便利デアリマス、故ニ此一箇年以上
五箇年以內ト云フノヲ、据置年限ヲ定ムルトキハ、唯、五箇
年以内トスルダケニ止メタイト思フノデゴザイマス、又次ニ
「年賦償還期限前天災事變其ノ他避クヘカラサル事故ヲ
生シタル場合ニ於テハ更ニ据置年限ヲ設クルコトヲ得」ト
改メマシタノハ、是ハ年賦期限中ニ天災事變等ガアッテ、既
定ノ年賦金ヲ繼續スルコトガ出來ナイ場合ニ於テハ、其事
情ヲ斟酌致シマシテ、更ニ中間据置ヲスルノデ、假リニ十年
ト定メテアリマスモノガ、或ハ三箇年後ニ至ッテ何カ天災事變
等ガ起キマシテ、其年賦金ヲ繼續シテ納メルコトガ出來ヌト
云フトキニハ、其間唯〓利息ノミヲ取リマシテ、サウシテ中間
ノ据置ヲ二年ナリ三年ナリ致シマシテ、又其上デ年賦ヲ
繼續スル斯ウ云フコトニ致シタナラバ、債務者ニ於テ大ニ都
合ガ好イト云フ考カラシテ、斯ノ如ク改正ヲ致シタイト云フ
考デゴザイマス、ンレカラ法第二十六條中「五倍」ヲ「十倍」
ニ改メルト云フノデアリマス、是ハ農工銀行法ノ現行法ニ
於キマシテハ、資本金四分ノ一以上ノ拂込アリタルトキハ
拂込金額ノ五倍ヲ限ノテ、農工債劵ヲ發行スルコトヲ得ル
ト云フノ規定デアリマス、然ルニ既ニ全國農工銀行中、其
發行限度ニ達セントスルモノガ十二三行モアリマスヤウナ
譯デ、此上債劵ヲ發行スルコトガ出來ナイト云フヤウナ銀
行モアルノデゴザイマス、殊ニ農工業者ノノ興興ヲ圖ラントス
ルニ方リマシテハ、成ベク低利資金ヲ供給スルハ最モ必要ノ
事デアリマス、然ルニ農家ノ負債ノミニテモ、十六七億圓ノ
巨額ニ達シテ居ルト云フコトデアリマシテ、而モ其利子ノ如
キハ、一割以上或ハ一割五分內外デアルト云フヤウナ、高
步ノ借金ヲ致シテ居ルヤウナ次第デゴザイマスカラ、農工銀
行ニ致シマシテハ、成ベク此債劵ヲ發行致シマシテ、サウシテ
低利ノ貸金ヲ致スト云フコトハ、卽チ農工業者ヲシテ、高步
ナル利息ヲ免レシムルト云フコトノ方針デアルノデゴザイマ
ス、然ルニ一面ニ考ヘテ見マスルト云フト、此農工債劵ヲ五
倍ノモノヲ十倍ニ許スト云フコトニナリマスルト、或ハ危險
ノ虞ガアラウカト云フコトノ疑モ起リマスケレトモ、去リナガ
ラ此債劵發行額ハ、矢張年賦低利ノ貸金ノ高以上ハ、超エ
ルコトガ出來ナイコトニナッテ居ルノデゴザイマスカラ、其發
行額ダケノ資產ハ卽チ農工銀行ニアルノデゴザイマス、少シ
モ危險ハ無イト考ヘルノデゴザイマス、斯樣ナ理由ヲ以チマ
シテ、此農工銀行法ノ改正ヲ望ミマス次第デゴザイマス、尙
ホ詳細ノ事柄ハ、委員ヲ設ケラレマシタ以上ニ於キマシテ
ハ、又十分ニ辯明ヲ致シマスケレドモ、大體ノ事柄ヲ申上ゲ
タ次第デゴザイマス、何卒諸君ノ御協賛ヲ希望致シマス
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=17
-
018・岩崎勲
○岩崎動君 本案ハ議長指名ヲ以テ、九名ノ委員ニ付託
セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=18
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019・大岡育造
○議長(大岡育造君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ハアリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=19
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020・大岡育造
○議長(大岡育造君) 御異議ナケレバ本案ハ議長指名、
九名ノ委員ニ付託スルニ決シマシタ-日程第十、日露語
學校設置ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス、提出者松本
誠之君
第十日露語學校設置ニ關スル建議案(松本誠
之君提出)
日露語學校設置ニ關スル建議
日露兩國ノ親善ヲシテ益敦厚ヲ保持シ兩國民ノ交誼ヲ
シテ一層親密ナラシメムトセハ相互ノ誤解謬想ヲ排除シ
以テ彼我ノ國民性ヲ理解セシムルニ在リ而シテ尙進ムテ
兩國ノ貿易其ノ他諸般ノ事項ニ對シ將來一大發展ヲ
策セムト欲セハ宜シク哈爾賓ノ地ヲトシ曰露語學校ヲ設
置スルノ急要ナルヲ認ム依テ政府ハ速ニ其ノ施設ヲ講セ
ラレムコトヲ望ム
右建議ス
〔松本誠之君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=20
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021・松本誠之
○松本誠之君 本案提出ノ理由ヲ極ク簡單ニ申述べマ
ス、私ガ本案ヲ提出致シマシタ所以ハ、諸君モ御承知ノ通
リ、先月外務大臣ニ向ッテ、西伯利ノ事ニ就テ質問ヲ試ミ
マシタ時ニ當ッテ、日露語ノ〓究ノ必要ハ無イカト云フコト
ヲ御尋致シマシタラ、最モ必要ト認メテ居ルノミナラズ、又
日露ノ語學校ヲ拵ヘタイト云フ考モ無イコトハナイ、斯ウ云
フ御答辯デアリマシタ、ソレニ就キマシテハ、日露兩國ノ親
善ヲシテ、益敦厚ヲ保持シ、兩國民ノ交誼ヲシテ一層親密
ナラシメントスルニハ、相互ノ誤解謬想ヲ排除シテ、以テ彼
我ノ國民性ヲ理解セシメネバナラヌト信ジマシテ、自分モ熱
誠ノ餘リ此案ヲ出シタヤウナ次第デゴザイマス、申スマデモ
ナク言葉ノ必要ナルコト、人生ノ社會ニ處スル上ニ於テハ、
言語ノ疏通了解ヲ得ルト云フコトガ、第一ノ要件デアラウ
ト信ジテ居リマスルシ、又言語ノ不了解ヨリシテ、毫厘ノ差
ハ遂ニ千里ノ過ヲ來スヤウナコトニモナル次第デアリマス、
我ガ大日本帝國ガ將來北ニ向ッテ西伯利ニ進ンデ、貿易上
商業上ニ於テ、大ナル手足ヲ伸バス上ニ於キマシテ、而シテ
彼我兩國ノ利益ヲ圖ルト云フ事ニ就テカヲ入レル上ニ於
キマシテハ、ドウシテモ日本人ヲシテ露西亞語ヲ十分ニ〓究
セシメ、露西亞人ヲシテ日本語ヲ十分ニ覺エシメルト云フ事
ガ、總テノ上ニ就テ、何ヲ爲ス上ニ就キマシテモ、今日將來ニ
於テ最大ノ急務ト自分ハ深ク之ヲ認メタノデアリマス、ソコ
デ彼方へ參リマシテ聞ク所ニ依リマスルト、西伯利へ軍隊ヲ
日本ガ派遣サレマシタ時分カラシテ、露西亞語ヲ生嚙リノ
人間ヲバ、餘程澤山軍隊ニ使用サレマシテ、サウシテ露西亞
人トノ間ノ總テノ便宜上ニ使用サレタト云フコトデアル、ケ
レドモ其生嚙リノ露西亞語ノ爲メニ、露西亞人ト日本ノ軍
隊トノ間ニ於テ、折々意思ノ疏通ヲ缺キ、或ハ作戰ノ上、又
軍隊ノ上ニ於テモ、間違ヲ隨分言語ノ過カラ、疏通致シマ
セヌ所カラシテ-來シタト云フコトヲ聞イタ次第デゴザイマ
ス、又日本ノ同胞兄弟ガ哈爾賓、滿州里、彼ノ西伯利地
方ニ數多入込ンデ、貿易業或ハ商業ニ從事シテ居リマスガ
是等ノ人ノ中ニ於キマシテモ、露語ノ〓究、露語ニ熟達
シテ居ルト云フコトガ少イ、又露西亞人ニ於キマシテモ、日
本語ヲ十分ニ〓究致シ、日本語ニ通ジテ居ルト云フ人間モ
實ニ少イノデアリマス、我ガ日本帝國ガ支那々々ト言ッテ、支
那問題ニ就テハ朝野ノ人ガ擧ッテ〓究セラレテ、數年前ヨリ
支那人ニ於キマシテモ、競ウテ我ガ帝國ノ日本語ニ熟達セ
ンコトヲ欲シ、〓究センコトヲ致シ、又日本人ニ於キマシテ
モ、支那語ト云フモノハ最モ必要デアルト言フテ力ヲ八レテ
ズット以前ヨリ諸君ノ御承知ノ通リ、上海ニ同文書院ナル
モノガアッテ、今日ニ於キマシテハ年々百名內外ノ卒業者ヲ
出シテ居ルノデアリマス、此卒業者ガ支那ノ大陸ニ居リ、或
ハ日本ニ歸リ、總テノ上ニ於テ、ドレ位今日マデ國家ニ貢獻
ヲ致シテ居ルカト云フト、實ニ偉大ナル働ヲ爲シテ居ルト云
フコトハ、諸君モ御認ニナッテ居ルト考ヘマス、前段申シマシ
タ通リ、露西亞人ニシテ日本語ニ熟達スル者最モ少シ、
日本人ニシテ露語ニ通ズル者最モ少シ、帝國ガ將來北ニ
向ッテヤラント欲シ、此日露ノ貿易ヲ盛ンニ爲シ、總テノ上ニ
於テ兩國ノ利益ヲ圖リ、發達ヲ期セントスル上ニ於テハ、此
樞要ナル中心ナル哈爾賓ノ地ヲトシテ、此日露語學校ヲ
設置スルト云フコトハ、今日ノ最大急務ト深ク信ジマシタガ
故ニ、此案ヲ出シタ次第デゴザイマス、冀クハ諸君ニ於テモ、
是ハ國家ノ爲メニ御賛成下サルト同時ニ、政府ニ於テモ宜
シク之ヲ採用サレテ、一日モ早ク此施設方法ヲ講ゼラレン
コトヲ、自分ハ深ク望ンデ止マザル次第デゴザイマス
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=21
-
022・岩崎勲
○岩崎勳君 本案ハ議長指名ヲ以テ、九名ノ委員ニ付託
セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=22
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023・大岡育造
○議長(大岡育造君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ハアリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=23
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024・大岡育造
○議長(大岡育造君) 御異議ナケレバ本案ハ議長指名、
九名ノ委員ニ付託スルニ決シマシタ-日程第十二、農務
省新設ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス-齋藤宇一郞君
第十二農務省新設ニ關スル建議案(中倉万
次郞君外十名提出)
農務省新設ニ關スル建議
國家ノ進運ニ伴ヒ農商工業ノ振興發展著シク之ヲ併セ
管理スル農商務省ハ一行政官廳トシテ事務餘リニ廣汎
繁多ニシテ適切ナル施設ヲ缺クノ嫌ナキニ非ス特ニ歐洲
戰爭ノ實驗ニ鑑ミ我カ國產業ニ對シテ根本的ニ諸般ノ
經營施設ヲ要スヘキ秋ニ際シ益其ノ感ヲ深フフ故ニ現
行農商務省官制中農務ニ屬スル局課ヲ統一シテ農務
省ヲ新設スルコト極メテ機宜ニ適シタルモノト認ムルヲ以
テ政府ハ速ニ之ヲ實施セラレムコトヲ望ム
右建議ス
〔齋藤宇一郎君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=24
-
025・大岡育造
○議長(大岡育造君) 日程ノ順ヲ變ヘルダケヲ諸君ノ御
承知ヲ請ヒマス
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=25
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026・齋藤宇一郎
○齋藤宇一郞君 唯今議題ニナッテ居リマス、農務省新設
ニ關スル建議案ノ提案ノ趣旨ヲ簡單ニ述べマス、農商務省
ハ、國富ノ涵養ニ關スル諸般ノ政務ヲ掌ッテ居ル所デアリマ
ス、而シテ是ハ國民ノ生活ニ要スル總テノ物資ノ供給ヲ完
全ニスル政策ヲ實行シナケレバナラヌ所ノ、大切ナル一省デ
アリマス、隨テ事務ノ繁多複雑ナルコトハ、他ノ省ニ比シテ
實ニ數倍ニナッテ居ルノデアリマス、殊ニ時局以來生活問題
ハ非常ニ八釜敷クナリマシタ、隨テ農商務省ニ屬シテ居ル
所ノ政務ガ非常ニ繁多複雜ヲ加ヘテ參ッタコトハ、既ニ諸
君ノ御承知ノ事デアリマス、現ニ大正八年度ノ豫算ヲ見マ
シテモ、商工局ヲ二ツニ分ケテ、事務ヲ執ラナケレバナラヌ程
ニナッテ參ッタノデアリマス、實ニ生活物資ノ豐富ナランコト
ヲ望ミマス爲メニハ、農務ニ屬スル所ノ仕事ガ非常ニ殖エ
テ參ルコトハ、申スマデモナイノデアリマス、此生產方面ノ發
達ヲ圖ッテ、大切ナル國民ノ生活ニ安定ヲ與へルヤウニ致シ
マスニハ、ドウシテモ啻ニ内地ノミナラズ、植民地ニマデモ亙ッ
テ、統一シタル所ノ政策ヲ施カネバナラヌコトハ申スマデモ
ナイ事デアリマス、果シテ然リトスレバ、此農商務省ニ於ケ
ル仕事ハ、非常ニ殖エテ參ルノデアリマスカラ、其敏活ヲ圖
リ、十分ナル活働ヲ爲スニハ、是等ノ非常ナル分量ノアル所
ノ仕事、非常ニ六ケ敷イ政務ヲ一省ニ纏メテ置クコトハ、甚
ダ不利益ナルコトヽ考ヘルノデアリマス、故ニ吾こノ考フル
所ニ依リマスレバ、將來益こ發達ニナリマス所ノ、生活物資
ノ需給ヲ安全ニ爲スベキ事務ヲ事トシテ扱フ所ノ、農務ニ
屬スル政策ヲ分ケマシテ、玆ニ農務省ト云フモノヲ新設シ
テ、而シテ此方面ニ力ヲ盡サナケレバ、日本ノ將來ニ於ケル
生活上ノ問題ヲ解決スル上ニ於テ、甚ダ缺クル所アルダラ
ウト斯ウ考ヘマシテ、玆ニ建議案ヲ提出シタ次第デゴザイマ
ス、此問題ハ頗ル重要ナル政務ニ屬スルノデアリマスカラ、
委員會ニ付シテ、政務當局トモ十分意見ノ交換ヲ爲シ、研
究ヲシテ滿場一致ヲ以テ可決セラレンコトヲ望ムノデアリマ
ス、簡單ニ提案ノ理由ヲ述ベマス
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=26
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027・岩崎勲
○岩崎勳君 本案ハ議長指名、九名ノ委員ニ付託セラレ
ンコトヲ望ミマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=27
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028・大岡育造
○議長(大岡育造君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ハアリマ
セヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=28
-
029・大岡育造
○議長(大岡育造君) 御異議ガ無ケレバ本案ハ議長指
名、九名ノ委員ニ付託スルニ決シマシタ、日程第十一、松本
鐵道建設ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス、提出者高鳥
順作君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=29
-
030・金杉英五郎
○醫學博士金杉英五郞君 精神病院法案ノ委員會ヲ開
キタウゴザイマスカラ、許可ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=30
-
031・大岡育造
○議長(大岡育造君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=31
-
032・金杉英五郎
○醫學博士金杉英五郞君 委員ノ諸君ハ委員室へ御集
リヲ願ヒマス
第十一松本鐵道建設ニ關スル建議案(高鳥
順作君外五名提出)
松本鐵道建設ニ關スル建議
一北陸線新潟縣下糸魚川ヨリ中央線長野縣下松本ニ
至ル鐵道
右鐵道ハ中央北陸兩線連絡ノ捷路線タリ故ニ本線敷
設ハ軍事上ハ勿論產業上ニ於テモ最必要ナルハ疑ヲ容
レス
政府ハ速ニ本鐵道敷設ノ計畫ヲ立テ以テ地方無限ノ富
源ヲ開發シ國家經濟ノ發達ヲ圖ラレムコトヲ望ム
右建議ス
〔高鳥順作君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=32
-
033・高鳥順作
○高鳥順作君 私ハ松本鐵道建設ニ關スル建議案ニ就
キマシテ、一言申上ゲマシテ諸君ノ御贊成ヲ乞ハント欲スル
者デアリマス、此建議ノ鐵道ハ、新潟縣糸魚川ヨリ長野縣
松本市ニ達スル鐵道デアリマス、其延長ハ六十三哩九分ア
ルノデアリマシテ、工費ハ鐵道院ノ調ニ依リマスト、四百八
十万圓ヲ要スルト云フコトデアリマス、卽チ本線ハ裏日本ヨ
リ表日本ニ貫通シマスル本州中央横斷線ノ一部デアリマ
シテ、非常ニ必要ナル線路デアリマス、此線路ニ就キマシテ
ハ、二十六議會以來屢〓本會ニ建議ヲサレマシテ、何時モ
可決ニナッテ居ルノデアリマス、殊ニ昨年卽チ第四十議會ニ
於キマシテハ、各派ヨリ御提出ニナリマシテ、御賛成ヲ得テ
アルノデアリマスカラ、此場合ニ於テハ私ハ說明ヲ省略致シ
テ置キマス、唯〓玆ニ一ツ言明シテ置キタイコトハ、本線ハ明
治二十九年三月私設鐵道會社ヲ計畫致シマシテ、富山ヨ
リ直江津マデト、唯〓ノ糸魚川ヨリ松本マデ通ズル鐵道ヲ、
八百五十万圓ノ資本ヲ以テ計畫サレタ鐵道デアリマス、隨
分古イ鐵道デアリマスガ、其一部ガ豫定線デアルト云フコト
デ許可ニ相成ラヌノデアリマシタ、最早時節モ來テ居ル鐵
道デアルト思ヒマスカラ、令囘ハ諸君ノ御賛成ニ依シテ目的
ヲ達シタイト思フノデアリマス、ドウゾ御贊成下サルヤウニ願
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=33
-
034・岩崎勲
○岩崎勳君 本案ハ議長指名ヲ以テ、九名ノ委員ニ付託
セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=34
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035・大岡育造
○議長(大岡育造君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ハアリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=35
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036・大岡育造
○議長(大岡育造君) 御異議ガ無ケレバ、本案ハ議長指
名九名ノ委員ニ付託スルコトニ決シマシタ、日程第十三ヽ
農工銀行補助法第七條實施ニ關スル建議案ヲ議題ト致
シマス、提出者土井權大君
第十三農工銀行補助法第七條實施ニ關スル
建議案(中倉万次郎君外十名提出)
農工銀行補助法第七條實施ニ關スル建議
政府ハ農工銀行補助法第七條ニ依リ市町村ニ交付ス
ルコトヲ得ヘキ府縣農工銀行株式ヲ此ノ際直ニ市町村
ニ交付シ產業基本財產トシテ斯業ノ發達ヲ助長セシム
ル方策ヲ講セラレムコトヲ望ム
右建議ス
〔土井權大君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=36
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037・土井權大
○土井權大君 極メテ簡單ニ說明ヲ致シマス、提出者ハ
中倉万次郞君外數名デアリマス、御存シノ通リ〓ヲ去ルコ
ト二十三年以前ニ於テ、農工銀行法ガ公布サレタノデアリ
マス、其目的トスル所ハ地方產業ノ發達、特ニ小サキ農業
小サキ工業ノ發達ヲ圖ル爲メニ設立サレタルコトハ、諸君ノ
御存シノ通リデアリマス、ソレト同時ニ此農工銀行ヲ補助
シナケレバナラヌト云フノデ、農工銀行補助法ト云フモノガ
其當時公布サレテ居リマス、其農工銀行補助法ノ一條ヲ
眺メマスト、斯ウ云フ事ガアリマス「農工銀行法ニ依リ設立
スル農工銀行ノ營業ヲ補助スル爲政府ハ豫算ニ定ムル所
ニ從ヒ其ノ營業區域ヲ管轄スル府縣ニ其ノ株式引受資金
ヲ交付ス」斯ウ云フコトニ相成シテ居リマス、北海道及沖繩
縣ニ對スル農工銀行ニハ、別ニ條文ガアリマスガ、其他ノ府
縣ハ唯〓一ツ申上ゲタ條文ノ適用ヲ受ケマシテ、ソレ〓〓交
付金ヲ受ケテ居リマス、而シテ其交付金ガ、現在ニ於テ幾ラ
ニナッテ居ルカト計算致シマスルト、約一千万圓ニ達シテ居
リマス、而シテ此創立當初ヨリ十五箇年ハ、其府縣ノ持株
ニ對シテハ配當ヲシナイデモ宜イ、後ノ五箇年ノ利益配當
ハ府縣ノ收入ニ繰入レル、斯ウ云フコトニナリマシテ、二十
年ヲ經過シタ後ニ於テハ、必ズ是ハ府縣ノ收入ニ繰八レナ
ケレバ、配當シナイト云フコトハ出來ナイ、又其銀行ノ繰入
金ニスルコトモ出來ナイ、斯ウ云フ法律ニナッテ居リマス、ソ
コデ第七條ヲ眺メマスト「農工銀行創立初季ヨリ二十箇
年經過ノ後府縣知事ハ府縣會ノ決議ヲ經內務大臣及大
藏大臣ノ認可ヲ得テ此法律ニ依リ引受ケタル農工銀行ノ
株式ヲ市町村ニ交付スルコトヲ得」「市町村ハ前項ニ依リ
交付セラレタル農工銀行ノ株式ヲ基本財產ト爲スヘシ」斯
ウ云フコトニ相成ッテ居リマス、ソレガ卽チ農工銀行ノ補助
法ノ極ク〓要)デアリマスガ、最早此二十年ヲ大抵ノ農工銀
行ハ經過致シテ居リマス、故ニ府縣ノ持株ト云フモノハ、當
然府縣ガ配當ヲ受クルノデアリマスルガ、併シ法律ノ精神カ
ラ考ヘマスルト、二十年後ニ於テハ、必ズ之ヲ府縣ノ市町村
ニ交付ヲシテヤレト、斯ウ云フヤウニナッテ居ッテ飽マデモ地方
ノ產業ノ發達、小サキ農業、小サキ工業ノ發達ヲ圖ルト云フ
法律ノ精神デアリマス、所ガ現在ニ於テハ、法律ノ精神ハ左樣
デアリマスガ、此補助法ガ出來タ當時ノ沿革ヲ調ベマスル
ニ、二十年經タナクテモ、五箇年ヲ經過シタナラバ、市町村
ニ交付シタラ宜カラウト云フ法律ニナッテ居ッタノデアリマス、
所ガ段々ソレデハ農工銀行ノ獨立ガ圖レマイ、ンレ故ニモウ
少シ保護ヲ與ヘタナラバドウデアルカト云フノデ、二十箇年
間保護ヲ與ヘテアッタヤウナコトニナッタ次第デアリマスガ、御
存ジノ通リ、最早何レノ農工銀行モ其基礎ハ堅實トナリ、
此保護ヲ受ケル必要ハナイト云フ狀態デアリマスカラ、此時
ニ方ッテ直チニ此第七條ノ適用ヲ承ケマシテ、府縣ニ此一
千万圓ノ金ヲ交付スルト、斯ウ云フヤウニシタラドウデアル
カト云フノガ、提案ノ理由デゴザイマス、又此法律ノ沿革ハヽ
唯〓申上ゲタガ如キ沿革ヲ有ッテ居リマス、ソレニ付キ聞ク
所ニ依リマスト、日〓戰爭後ニ於テ、〓國ヨリ償金ヲ日本
ガ受取リマシタ時、此戰後ノ餘澤ト云フモノヲ國民一般ニ普
及シヤウ、ソレニ就テハ金ヲ分ケテヤルノモ如何ト思フ、故ニ
先ヅ此農工銀行ノ方ニ豫メ交付シテ置イテ、小サキ農業、
小サキ商業ノ發達ニ赴クヤウニ、此金ヲ使ハセタラドウカト
云フガ如キ沿革デアルト云フコトヲ、聞イテ居ルノデアリマ
ス、以上ノ如キ理由ト沿革デアリマスルガ故ニ、此際政府ハ
農工銀行補助法第七條ニ依リ、市町村ニ交付スルコトヲ
得ベキ府縣農工銀行株式ヲ、此際直チニ市町村ニ交付シ、
產業ノ基本財產トシテ、斯業ノ發達ヲ助長セシムル方策ヲ
講ゼラレンコトヲ望ム、斯ウ云フ建議デゴザイマス、ドウゾ滿
場ノ御賛成ヲ願ヒマス
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=37
-
038・岩崎勲
○岩崎勳君 本案ハ日程第九ノ委員ニ併セテ付託セラレ
ンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=38
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039・大岡育造
○議長(大岡育造君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ハゴザイマ
セヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ」発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=39
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040・大岡育造
○議長(大岡育造君) 御異議ガ無ケレバ、日程第九ノ委
員ニ併セテ付託スルコトニ決シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=40
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041・岩崎勲
○岩崎勳君 日程第十四ニ對シテ、延會ノ動議ヲ提出致
シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=41
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042・大岡育造
○議長(大岡育造君) 日程第十四延期ノ御申出ガアリ
マシタガ、御異議アリマセンカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=42
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043・大岡育造
○議長(大岡育造君) 御異議ナケレバ延期ニ致シマス、
日程第十五、東方調査局設置ニ關スル建議案ヲ議題ト致
シマス、委員長伊東知也君
第十五東方調査局設置ニ關スル建議案(伊
東知也君提出)
第讀會ノ續(委員長報告)
〔伊東知也君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=43
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044・伊東知也
○伊東知也君 本委員會ハ會議ヲ開キマスルコト三回、
政府委員幣原外務次官、松田大使館參事官ノ出席ヲ得
マシテ、愼重審議ニ討議ヲ致シマシタ、其結果政府委員ノ
意見ト致シマシテモ、本案ハ實ニ重大ナル案件デアッテ、政
府ニ於テモ多少其意ヲ酌ンデ、著手ノ一端トシマシテ、昨
年來亞細亞局設置ト云フコトヲ企テタ、併ナガラ豫算ノ都
合其他ニ依ッテ未ダ實行ヲ見ルニ至ラナイガ、此本案ノ趣
旨ニ對シテハ、十分ナル贊成ヲ表スルト云フコトヲ申サレマ
シタ、其委シイ點ニ就キマシテハ、委員會ノ會議錄ニ載ッテ
居リマスカラ、御覽ヲ願ヘバ分ルコトデアル、委員諸君モ一
人ノ異議者無ク、滿場一致、然モ政府ヲシテ、成ベク速ニ
本案ヲ實行セシメルト云フ條件ノ下ニ本案ガ可決致シマシ
タ、此段御報告シマス
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=44
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045・岩崎勲
○岩崎勳君 本案ハ委員長報告ノ通リ可決セラレンコト
ヲ希望シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=45
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046・大岡育造
○議長(大岡育造君) 委員長報告ノ通リ御異議アリマ
セヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=46
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047・大岡育造
○議長(大岡育造君) 御異議ガ無ケレバ委員長報告ノ
通リ決シマス、日程第十六、朝鮮平元鐵道急設ニ關スル建
議案ヲ議題ト致シマス、委員長一宮房治郞君
第十六朝鮮平元鐵道急設ニ關スル建議案(牧
山耕藏君外五名提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
〔一宮房治郞君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=47
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048・一宮房治郎
○一宮房治郞君 朝鮮平元鐵道急設ニ關スル建議案委
員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報告致シマス、本鐵道ハ、朝鮮西
部ノ大商工業地タル平壤カラシテ、東海岸ノ要港タル元山
トヲ連絡スル、約百六十哩ノ鐵道ノ建設ヲ望ムト云フ案デ
ゴザイマス、本委員會ヲ三回之ヲ開會致シマシテ、政府當
局者ノ出席ヲ求メマシテ、愼重審議ヲ盡シマシタ、先ヅ最
初ニ提案者タル牧山耕藏君カラシテ、本鐵道ノ建設ハ、東
ハ朝鮮半島ヲ横貫シテ、遙ニ日本海ヲ隔テヽ裏日本タル所
ノ北陸ニ連ナリ、西ニ於テハ海ヲ隔テヽ支那ノ要港デアル
所ノ靑島ニ連絡スル、朝鮮開發上最モ必要ナル鐵道デアツ
テ、本鐵道ノ建設ハ、朝鮮ニ於ケル交通政策上、一大革命
ヲ來スモノデアルト云フ說明ガゴザイマシタ、政府委員ハ之
ニ對シテ、廟議ハ未ダ決定ハシテ居リマセヌトノコトデアル
ガ、朝鮮總督府トシテハ、本鐵道ハ最モ朝鮮ノ鐵道政策上
必要ナルモノト認メテ、明治三十九年以來數年ノ間是ガ
測量ニ著手シテ、旣ニ其採擇線ヲモ決定致シマシテ、出來
得ベクンバ明年度カラシテ其豫算ヲ計上シテ、大正十四年
度ニ於テ、咸鏡線ノ竣工ト共ニ之ヲ完成シタイ所ノ希望ヲ
持ッテ居ルト云フ御答辯デゴザイマシテ、朝鮮總督府ニ於テ
ハ、是非トモ是ガ急設ヲヤリタイト云フコトヲ言明サレマシ
タ、陸軍次官ニ於キマシテハ、京義、京釜ノ複線ニ比較〓
究スレバ、先ヅ此複線ノ方ヲ急設ヲシタイト思ヒマスガ、本
線モ軍事上必要ナル線ト認メテ居ルヤウナ意見デゴザイマ
シタ、委員會ニ於テハ愼重審議ノ結果、本鐵道ハ朝鮮開發
上最モ必要ナル鐵道デアルカラシテ、至急其開設ヲ望ムト
云フコトニ滿場一致ヲ以テ決議ヲ致シマシタ、唯〓一部委
員ノ間ニ於キマシテハ、本鐵道ノ財源ニ付テ、從來朝鮮鐵
道經營ノ成績カラ考へテ見マスルト、本鐵道開通ノ曉ニ於
テ、其收入ガ果シテ財源トシテ、借入又ハ公債ニ依シタ所ノ
資本ニ對シテ、適當ナル利廻ノ收入ガアルヤ否ヤト云フコト
ニ付テハ、政府委員ノ答辯ガ甚ダ不滿足デアルガ、先ヅ朝
鮮開發上缺クベカラザル鐵道デアルカラシテ、是ノ開設ニハ
異議ハ無イト云フヤウナ少數意見モゴザイマシタガ、結局滿
場一致ヲ以テ、政府ハ速ニ本鐵道ヲ開設サレルコトヲ望ム
ト云フコトニ決議致シマシタ、此段委員會ノ經過ヲ御報告
致シマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=48
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049・岩崎勲
○岩崎勳君 本案ハ委員長報告ノ通リ可決セラレンコト
ヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=49
-
050・大岡育造
○議長(大岡育造君) 委員長報告ノ通リ御異議アリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=50
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051・大岡育造
○議長(大岡育造君) 御異議ナシト認メマス、仍テ可決
致シマシタ-日程第十七、伊萬里、佐世保間鐵道建設
ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス、委員長中倉万次郞君
第十七伊萬里、佐世保間鐵道建設ニ關スル
建議案(中倉万次郞君外四名提出)
(委員長報告)
〔中倉万次郞君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=51
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052・中倉万次郎
○中倉万次郞君 付託ヲ受ケマシタ此伊萬里、佐世保間
鐵道建設ニ關スル建議案、委員會ノ經過竝ニ結果ヲ報告
致シマス、本委員會ハ前後三囘開キマシク、此線路ハ佐世
保鎭守府ノ背面ニ當ッテ居リマシテ、軍事上ノ關係モアリマ
スル所カラ、政府當局者モ、海軍ノ當局者竝ニ鐵道院ノ當
局者ノ出席ヲ求メテ、質問應答ヲ致シマシタ、先ヅ以テ海
軍當局者ニ意見ヲ某委員ヨリ質問致シマシタ、海軍次官
ガ出席サレマシテ、此線ニ沿フ所ノ地方ハ、大ニ海軍ノ軍事
上ニモ關係ヲ有シテ居ル處デアル、無論此鐵道ヲ開設シテ
差支ナイノミナラズ、是ガ全通シタ曉ニ於テハ、非常ニ便利
ヲ得ル線路デアル、斯ウ云フ答辯ガアリマシタ、ソレヨリ牧
山君ヨリ鐵道院ノ政府委員ニ質問ガアリマシタ、鐵道院ノ
政府委員ノ答辯ハ、政府ニ於テモ此線路ニ就テハ、先年ヨ
リ調査ヲ致シタコトガアル、哩數ハ四十五哩ニシテ、線路ノ
工事ハ餘リ困難ナ場所デハナイ、一哩當リガ十五万圓位ノ
豫算ヲシテ居ルノデアル、此調査シタ當時ノ明治四十四年
十一月ノ調査ニ依ッテ、其物貨ノ集散、旅客ノ數等ヲ調査
致シテ、鐵道經濟ノ上カラ見レバ、餘リ損モナケレバ、大シタ
利益デモナイト云フ位ノ算盤ガ出テ居ル處デアルガ、今日
總テノ事柄ガ進歩シテ居ル時デアッテ、殊ニ石炭抔ガ彼ノ地
方ニ於テハ、其時ヨリカ數十倍增加シテ居ルト云フコトデ、
今日ノ物貨ノ上カラ、又旅客ノ增加シテ居ル所カラ計算シ
タナラバ、利益ノアル線ト考ヘテ居ルノデアル、豫算ノ都合
ニ依シテ、未ダ一期線ニ組入レルコトニハナッテ居ナイケレド
モ、成ベク速ニ之ヲ一期線ニ組入レテ建設シタイト云フ考
ヲ持ッテ居ルト云フ答辯ガゴザイマシタ、ソレカラ又一面ニハ
先年此本會ニ於キマシテ決議ニナッテ居リマスル建議案、卽
チ福岡縣ヨリ佐賀縣ノ唐津伊萬里ヲ經テ、今ノ建議案ニ接
續スル線路ノ一部、伊万里マデハ昨年何月カニ私設鐵道
ニ許可ニナッテ居ル、其私設鐵道ノ許可ニナッテ居ル所ノ內
容等ニ就テモ質問ガアリマシタガ、之ニ對シテモ鐵道院ノ
政府委員ヨリ說明ガゴザイマシテ、他ニハ一人ノ質問者モ
無クシテ質問ハ終了致シマシタ、第三回ニ於テ討論ニ移リ
マシテ、審議ヲ致シマシタ所、南里琢一君ガ賛成ノ意見ヲ
發表サレマシテ、西君ガ賛成サレマシテ、他ニハ異議ガアリ
マセヌノデ、滿場一致デ可決スベキモノト決定致シマシタ、
此段御報告致シマス
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=52
-
053・岩崎勲
○岩崎勳君 本案ハ委員長報告ノ通リ可決セラレンコト
ヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=53
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054・大岡育造
○議長(大岡吉造君) 委員長報告通リ御異議アリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=54
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055・大岡育造
○議長(大岡育造君) 御異議ガ無ケレバ可決シタルコト
ヲ宣告致シマス、日程第十八、第十九ハ、同一委員ニ付託
シタル議案ナルニ依リ、一括議題ト爲スニ御異議アリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=55
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056・大岡育造
○議長(大岡育造君) 御異議ガ無ケレバ、第十八、羽越
横斷鐵道建設ニ關スル建議案、第十九、若松、柳津間輕
便鐵道建設ニ關スル建議案ヲ一括シテ議題ト致シマス、委
員長小林源藏君
第十八羽越横斷鐵道建設ニ關スル建議案(小
林源藏外七名提出)(委員長報告)
第十九若松、柳津間輕便鐵道建設ニ關スル建
議案(八田宗吉外四名提出)
(委員長報告)
〔小林源藏君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=56
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057・小林源藏
○小林源藏君 羽越横斷鐵道建設ニ關スル建議案、竝
ニ若松、柳津間輕便鐵道建設ニ關スル建議案ノ委員會ノ
經過竝ニ結果ヲ御報告致シマス、兩案ニ對シテ委員會ヲ
開クコト三回、政府委員ト質問應答ヲ致シ、愼重ニ審議ヲ
重ネマシテ、羽越横斷鐵道ナルモノハ、政府委員ニ於テモ、
委員側ニ於キマシテモ、徹底的ニ其必要ヲ認メテ居リマシ
テ、唯〓何ノ時ニ於テ建設ニ著手スルカト云フコトニ就テ、專
ラ政府委員ト質問應答ヲ致シタ次第デアリマスガ、政府委
員ノ答辯ニ依リマスト、固ヨリ此鐵道線路ノ必要ヲ認メテ
居ルバカリデナク、山間ノ鐵道トシテハ、外ニ類例ヲ多ク見
ザル良イ線路デアル、線路ノ延長五十二哩、勾配モ六十分
ノ一ヲ以テ通過スルコトガ出來ル、ソレデ豫算ノ許ス範圍ニ
於テ、近キ將來ニ於テ此線路ハ建設ニ著手シタイト思ッテ
居ルト云フ答辯ヲ得タノデアリマス、ソコデ委員側ニ於キマ
シテハ、全會一致此建議案ハ、本院ニ於テ可決スベキモノ
ト議定致シタル次第デアリマス、若松、柳津間輕便鐵道建
設ニ關スル建議案ニ就キマシテモ、同ジク政府委員ト質問
應答ヲ致シマシテ、愼重ニ審議ヲ重ネマシタガ、是ハ政府ニ
於テマダ詳シク調査ハ致シテ居ラヌカラシテ、何レ此建議案
ノ趣旨ニ基イテ、調査ニ著手シヤウト云フコトデアリマシタ
委員側ニ於キマシテハ、此線路ハ若松、柳津間ニ於ケル地
方ノ交通ニ資スルハカリデナク、柳津ハ正ニ只見川沿岸ニ
於ケル大森林ノ咽喉ヲ扼シテ居リマスノデ、此鐵道一タビ
開通致シマシタナラバ、政府既成線ノ榮養線トシテ非常ニ
利益アルバカリデナク、其大森林ヲ開發シ、國家ノ富ヲ殖ス
上ニ於テ、實ニ必要ナル線路デアルト委員側ニ於テ認メマ
シテ、是亦全會一致ヲ以テ本院ニ於テ可決スベキモノト決
定致シタル次第デアリマス、右御報告申上マス
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=57
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058・岩崎勲
○岩崎動君 日程第十八、十九兩案ヲ一括シテ、委員長
ノ報告通リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=58
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059・大岡育造
○議長(大岡育造君) 兩案共御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=59
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060・大岡育造
○議長(大岡育造君) 御異議ガ無ケレバ委員長ノ報告
通リ可決致シマシタ、日程第二十乃至三十一ハ、請願特
別報告ナルニ依リ、例ニ依ッテ』一括議題ト爲シ、委員長ノ
報告ヲ求メマス、佐々木文一君
第二十(特別報告第四十二號)產業組合ニ對
シ印紙稅免除ノ請願(委員長報告)
第二十一(特別報告第四十三號)製鹽特別
賠償價格制定ノ請願(委員長報告)
第二十二(特別報告第四十四號)特別用鹽
規則中鰊追加ノ請願(委員長報告)
第二十三(特別報告第四十五號)專賣官吏
派出所設置ノ請願(委員長報告)
第二十四(特別報告第四十八號)質屋取締
法中改正ノ請願外一件
(委員長報告)
第二十五(特別報告第五十一號)仙臺地方
裁判所石卷支部權限復舊ノ請願
(委員長報告)
第二十六(特別報告第五十四號)大田、三次
間輕便鐵道測量及速成ノ請願
(委員長報告)
第二十七(特別報告第五十五號)上越鐵道
速成ノ請願(委員長報告)
第二十八(特別報告第五十六號)上越鐵道
敷設工事急施ノ請願(委員長報告)
第二十九(特別報告第五十七號)池田、川之
江間鐵道敷設/請願(委員長報告)
第三十(特別報告第五十八號)津山、新見
間鐵道敷設速成ノ請願
(委員長報告)
第三十一(特別報告第六十一號)都城、福島
間鐵道敷設ノ請願(委員長報告)
〔佐々木文一君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=60
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061・佐々木文一
○佐々木文一君 請願委員會ノ結果ヲ御報告申上ゲマ
ス、特別報告第四十二號產業組合ニ對シ印紙稅免除ノ
請願、請願人ハ秋田縣秋田市茶町有限責任秋田共益信
用組合長河村周吉外六十二名ノ呈出ニシテ、紹介議員
ハ齋藤宇一郎君デゴザイマス、本件ハ院議ニ付スベキモノト
シテ採擇ニ決シマシタ、特別報告ノ四十三號、製鹽特別賠
償價格制定ノ請願、德島縣板野郡撫養町近藤爲五郞外
百八十名ノ請願デアリマシテ、紹介議員ハ高島兵吉君デゴ
ザイマス、本件モ亦同樣院議ニ付スベキモノトシテ採擇ニ決
シマシテゴザイマス、特別報告ノ四十四號、特別用鹽規則
中鰊追加ノ請願、靑森縣靑森市大字大町松森豐外一名
ノ呈出デアリマシテ、紹介議員ハ工藤卓爾君デゴザイマス、
本件モ採擇ト決シマシテゴザイマス、特別報告四十五號、
專賣官吏派出所設置ノ請願、廣島縣賀茂郡三津口村長
上田榮造ノ請願デゴザイマシテ、紹介議員ハ花井卓藏君
外一名デゴザイマス、本件モ委員會ニ於テ採擇ト決シマシ
タ、特別報告ノ四十八號、質屋取締法中改正ノ請願、是ハ
德島縣德島市助任西町、德島縣德島市名東郡質屋組合
組長〓水役藏外十九名ノ呈出デアリマシテ、紹介議員ハ
武市影一君、今一件同樣ノ請願ハ德島縣板野郡撫養町
岡村爲三郞外十八名ノ呈出デアリマシテ、紹介議員ハ高
島兵吉君デアリマス、右兩件トモ採擇ニ決定致シマシテゴ
ザイマス、特別報告ノ五十一號仙臺地方裁判所石卷支部
權限復舊ノ請願、宮城縣牡鹿郡石卷町ノ武山一郎外三
百二十一名ノ呈出ニ係リマシテ、紹介議員ハ遠藤良吉君
外六名デゴザイマス、本件モ採擇ト決シマシタ、特別報告
五十四號、大田、三次間輕便鐵道測量及速成ノ請願、島
根縣安濃郡大田町長楢崎錄三郎外百八十八名ノ請願デ
アリマシテ、紹介議員ハ恒松隆慶君外三名デゴザイマス、本
件モ採擇ト決シマシタ、特別報告ノ五十五號、上越鐵道
速成ノ請願、群馬縣群馬郡澁川町長羽島年太郞呈出、
紹介議員ハ武藤金吉君デアリマス、本件モ採擇ト決シマシ
テゴザイマス、次ハ特別報告ノ五十六號、上越鐵道敷設工
事急施ノ請願、請願人ハ群馬縣高崎商業會議所會頭小
島彌平ノ請願デゴザイマシテ、紹介議員ハ土谷全次君デゴ
ザイマス、本件モ採擇ト決シマシタ、特別報告ノ五十七號
池田川之江間鐵道敷設ノ請願、請願人ハ愛媛縣宇摩郡
川之江町一柳藤市外十四名ノ請願デゴザイマシテ、紹介
議員ハ河上哲太君外三名デアリマス、本件モ採擇スベキモ
ノト決シマシタ、特別報告ノ五十八號、津山新見間鐵道敷
設速成ノ請願、請願人ハ岡山縣苦田郡津山町長三好次
男外六十名ノ呈出デゴザイマシテ、紹介議員ハ福井三郞
君デアリマス、本件モ採擇ト決シマシタ、特別報告ノ六十一
號都城福島間鐵道敷設ノ請願、請願人ハ宮崎縣北諸
縣郡高城村ノ新穗千秋外二百六十五名ノ請願デゴザイ
マシテ、紹介議員ハ陣軍吉君外三名デアリマス、本件モ院
議ニ付スベキモノトシテ採擇ト致シマシタ、以上御報告ヲ申
上ゲマス(拍手起ル)
特別報告第四十二號
意見害
請願文書表第五三〇號
產業組合ニ對シ印紙稅免除ノ請願秋田縣秋田市茶町梅千
三十二番地有限責任秋田共益信用組合長河村周吉外六十二
名呈出(紹介議員齋藤宇一郞君)
右請願ノ要旨ハ今次世界動亂ノ終熄後ハ先國民經濟ノ基礎ヲ鞏固
ナラシムルコトヲ要ス之カ鞏固ヲ期セムニハ產業組合ノ活動ニ俟
ツ所大ナリ何トナレハ產業組合ハ國民ノ多數ヲ占ムル下層社會ニ
於ケル經濟界ノ弱者ヲ以テ組織セル公共團體ニシテ之等多數國民
ノ零細ノ貯蓄取扱ヲ使命トスル公益的機關ナレハナリ然ルニ政府
ハ該組合ニ對シ一般商事會社ニ對スルト同樣證書又ハ通帳ニ對シ
印紙稅ヲ課シ居レリ就中銀行預金證書ニハ僅ニ三錢ノ印紙稅ヲ課
シ居ルニ拘ラス產業組合ニ對シテハ記載金高一萬分ノ五ニ相當ス
ル印紙稅ヲ徵スルハ公平ヲ失スルモノナリト謂ハサルヘカラス依
テ印紙稅法ニ改正ヲ加ヘ產業組合ニ對シテハ之ヲ免稅セラレタシ
ト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セ
リ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四十三號
意見書
請願文書表第四四八號
製鹽特別賠償價格制定ノ請願徳島縣板野郡撫養町立岩九
番屋敷近藤爲五郞外百八十名呈出(紹介議員高島兵吉君)
右請願ノ要旨ハ徳島縣下阿波濱ノ製鹽業ハ鹽專賣法實施以來十洲
鹽田區域ニ編入セラレ爲ニ賠償價格ニ改變ヲ來シ專賣法施行以前
ノ如ク之カ生產費ヲ補フ途ヲ失ヒ製鹽業者ハ祖先傳來ノ事業ヲ約
續スル能ハサル蒜境ニ陷リタリ殊ニ阿波濱ノ製鹽業タル製鹽ニ要
スル石炭ノ需用潮流ノ干滿氣候ノ變動鹽田從業者ノ風習其ノ他諸
種ノ事情ヨリ現在ノ十洲鹽田區域ニ編入シ置クヘキモノニ非サレ
ハ速ニ製鹽特別賠償區域ヲ別異ニ制定シテ阿波活製鹽者ノ苦境ヲ
救濟セラレタシト詞フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セ
リ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四十四號
意見書
請願文書表第五五一號
特別用鹽規則中鯨追加ノ請願靑森縣靑森市大字大町百四
十二番地平民松森豐外一名呈出(紹介議員工藤卓爾君)
右請願ノ要旨ハ鰊ハ北海道及樺太ノ特產物ニシテ一箇年內ノ漁獲
高十五億乃至三十億尾ニ達シ魚食中營養成分ノ多量ナルコト稀ニ
見ル魚類ナルニ拘ラス現今我カ國民ノ〓料ニ供セラルルハ其ノ百
分ノ一弱ニシテ其ノ他ハ悉ク肥料ニ供セラレ從テ之カ價格ノ如キ
モ他ノ魚類ニ比較シ甚低廉ナリ之ヲ〓料問題ヨリ考フルモ特別法
規ヲ設ケ鰊業ヲ保護スル必要アリ依テ既ニ制定セラレタル特別用
鹽規則第一項第七城中ニ線ヲ追加セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セ
リ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四十五號
意見書
請願文書表第五八五號
專賣官吏派出所設置ノ調願廣島陸賀茂郡三津口村長上田
榮造呈出(紹介議員花井卓藏君外一名)
右請願ノ要旨ハ廣島縣廣島專賣支局竹原出張所管内中加茂郡三津
町外九筒町村ニ於ケル煙草耕作地ハ大正八年度告示段別四十三町
歩鹽田段別約五十町ヲ有シ之カ生產品ハ從來竹原出張所ニ於テ收
納シ來リタルモ政府ハ右町村ノ中ニ大正八年度ニ於テ專賣官吏派
出所ヲ一箇所新設スト仄聞ス依テ之カ設置ニ伴フ生產品格納倉庫
及其ノ他ノ設備ヲ村民ニ於テ負擔提供スヘキヲ以テ海陸交通上樞
要利便ノ地位ヲ占ムル同郡三津口村ニ該出張所ヲ設立セラレタシ
ト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セ
リ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四十八號
意見書
請願文書表第五五號
質屋取締法中改正ノ請願德島縣德島市助任西町百三十六
番屋敷平民質屋業德島縣德島市名東郡質屋組合組合長清水
役藏外十九名呈出(紹介議員武市彰一君)
同第一一八號
同上徳島縣板野郡撫養町辨財天百四十六番屋敷平民
質屋業岡村爲三郞外十八名呈出(紹介議員高島兵吉君)
右請願ノ要旨ハ質屋業ハ專ラ中流以下ノ社會ニ適切ナル金融機關
タルモ質屋取締法ハ明治二十八年ノ制定ニ係ルヲ以テ時勢ノ3變遷
ニ應セス斯業ノ發展ヲ阻害シ當業者ノ苦痛亦大ナルモノアリ依テ
質屋業ノ圓浦ナル發達ヲ圖ル爲取締法ヲ改メテ單ニ營業法ト爲ス
カ又ハ少クトモ近時ノ不正質置主ノ增加ヲ防キ及警察署ノ該業ニ
對スル取締ヲ緩和スル爲木法中(一)第三條中「確認シタル後」ヲ
「認メタル後」ト爲シ(二)第五條第二項ニ「但シ質置主ニ於テ之ヲ
必要トセサルトキハ交付セサルコトヲ得」トノ趣旨ヲ追加シ(三)
第九條中第二項「五圓以下ハ一筒月百分ノ三、十圓以下ハ一箇月百
分ノ二半」トアルヲ「十四以下ハ百分ノ三、三十圓以下ハ百分ノ二
半」ニ改メ(四)第十一條中「經過ノ後何時タリトモ其ノ質物ヲ處分
スルコトヲ得」ヲ「經過ノ時ヲ以テ所有權ヲ取得ス」ト爲シ(五)第
十六條ヲ「質物盜品ノ疑アルトキハ警察官ハ刑事裁判確定迄質屋
ニ之カ保管ヲ命シ置キ流質期限經過ノ後被害者知レサルトキハ警
察官ハ其ノ命令ヲ取消スヘシ若盜難者又ハ遺失主カ貸金ノ半額ヲ
辨償シテ其ノ物件ノ返還ヲ求ムル時ハ質屋ハ遲滯ナク之ヲ返還ス
ヘキモノトス但シ刑法第二百四十四條ノ犯罪物件ニ付テハ此ノ限
リニ在ラス」ト改メラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セ
リ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第五十一號
意見書
請願文書表第五五〇號
仙臺地方裁判所石卷支部權限復舊ノ請願宮城縣牡鹿郡石
卷町門脇後町六十六番地平民醬油醸造業武山一郎外三百二
十一名呈出(紹介議員遠藤良吉君外六名)
右請願ノ要旨ハ仙臺地方裁判所石卷支部ハ石卷、登米、氣仙沼ノ三
區裁判所ヲ管轄シ牡鹿、桃生、登米、本吉ノ四郡六十餘町村ニ跨リ
人口約二十三萬アリ其ノ仙臺ト距ルコト七里乃至三十里餘アリ而
モ交通不便ナルノミナラス近年產業取引ノ發展ニ伴ヒ訴訟事件增
加シ殊ニ石卷支部ノ深審作數ハ宮城控訴院管內ニ在リテ他ノ甲號
支部ニ比較シ軒輊ナク年年民刑事件共ニ繁劇ヲ加フル狀況ナルニ
依リ石卷支部ノ權限ヲ甲號支部ノ權限ニ復舊セラレタシト謂フニ
在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セ
リ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第五十四號
意見書
請願文書表第一二三號
大田三次間輕便鐵道測量及速成ノ請願島根縣安濃郡大田
町長楢崎錄三郞外百八十八名呈出(紹介議員恆松隆慶君外
三名)
右請願ノ要旨ハ山陰山陽兩道ヲ連絡スル鐵道ノ敷設ナキハ經濟上
軍專上遺憾トスル所ナリ而シテ陰陽連絡ノ目的ヲ達スヘキ線路中
廣島縣三次町ヨリ〓川ニ沿ヒ同縣隻三郡ノ一部及島根縣邑智郡都
賀村都賀行村濱原村粕淵村邇摩郡大森附近及安濃都ヲ經テ大田町
ニ到ルノ線ハ往昔ヨ〓運転交通最頻繁ヲ極ムルノミナラス半旣設
鐵道ヲ利用シ得ルノ便アリ且大部分ハ江川ニ沿ヒ路程短ク工事容
易ニシテ又廣江豫定線ノ營養線トシテ最有利ナリ依テ前記廣島三
次間輕便鐵道ノ終點タル三次町ヨリ〓川ニ沿ヒ島根縣濱原村ニテ
之ヲ橫斷シ粕淵村ヲ經テ北進シ大田町ニ達シ山陰線鐵道石見大田
驛ニ達スル線路ヲ速ニ測量シ以テ輕便鐵道ヲ建設セラレタシト謂
フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セ
リ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報〓第五十五號
意見書
請願文書表第四三三號
上越鐵道速成ノ請願群鳥縣群馬郡澁川町長羽鳥年太郞呈
出(紹介議員武藤金吉君)
右請願ノ要旨ハ群馬縣澁川町ハ年年發展シテ上越鐵道ノ速成ヲ俟
ツコト極メテ急ナルヲ以テ一日モ早ク完成ヲ期セラレタシト謂フ
三七一
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セ
リ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第五十六號
意見書
請願文書表第五八〇號
上越鐵道敷設工事急施ノ請願群馬縣高崎商業會議所會頭
小島彌平呈出(紹介議員土谷全次君)
右請願ノ要旨ハ上越鐵道敷設ハ大正七年度帝國議會ニ於テ同八年
度ヨリ工事ニ著手スルコトニ確定シタルモノナリ而シテ巷說ニ依
レハ該工事ハ近ク長岡方面ヨリ開始スル趣ナルモ高崎ト北越間ノ
百工取引ノ便益ニ鑑ミ此ノ際高崎市ヨリモ起工シ雙方相俟テ右鐵
道工事ノ速成ヲ期セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セ
リ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報〓第五十七號
意見書
請願文書表第四四〇號
池田川之江間鐵道敷設ノ請願愛媛縣宇摩郡川之江町千五
百九十一番地ノ一平民公吏一柳澤藤市外十四名呈出(紹介
議員河上哲太君外三名)
右請願ノ要旨ハ愛媛縣宇摩郡ハ讃阿、土ノ三國ニ境ヲ接シ四國中
央部ニ於ケル交通運輸ノ連鎖タル地ニシテ諸般ノ商取引頻繁ナル
ニ拘ラス交通機關タル鐡道ノ便ナキヲ以テ遺憾尠カラス該地方民
ハ德島縣下池田愛媛縣下川之江間鐵道ノ敷設ヲ要望スルヤ久シ若
本線完成ノ曉ハ四國全體ノ交通ヲ盛ナラシムルハ勿論中國トノ通
商ニ於テモ至大ノ效果ヲ實現シ延テハ德島線ノ收入ヲ增加セシム
ヘシ依テ速ニ池田川之江間鐵道ヲ敷設セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セ
リ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第五十八號
意見書
請願文書表第四四三號
津山新見間鐵道敷設速成ノ請願岡山縣苫田郡津山町長三
好次男外六十名呈出(紹介議員福井三郞君)
右請願ノ要旨ハ岡山縣下津山新見間ノ鐵道敷設ハ既ニ第四十囘議
會ニ於テ輕便鐵道敷設セラルルコトニ決シ大正十年度ヨリ起工セ
ラルル次第ナルモ同縣下ニ於テ輓近新ニ化學工業品ノ製出ヲ見ム
トシ又農工產額增加ノ趨勢上之カ速成ハ刻下ノ急務ナレハ大正八
年度ヨリ起工シテ一日モ早ク右鐵道ノ完成ヲ期セラレタシト謂フ
三作ら
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セ
リ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第六十一號
意見書
請願文書表第五八三號
都城福島間鐵道敷設ノ請願宮崎縣北諸縣郡高城村大字大
井手二千五百六十五番地士族農新穗千秋外二百六十五名呈
出(紹介議員陣軍吉君外三名)
右請願ノ要旨ハ宮崎縣下都城ヨリ鹿兒島縣志布志間ノ輕便鐵道敷
設ハ政府既定ノ計畫ナルモ宮崎縣南那珂郡ハ面積五十四方里ヲ有
シ一箇年ノ生產額七百萬圓ヲ下ラサル大郡ニシテ木炭ヲ始トシテ
海陸產物ニ冨メル天然ノ寶庫ナルニ拘ラス右鐵道敷設計畫中ニ加
ハラサルハ地方產業開發上至大ノ不利益ナレハ前記志布志ニ達ス
ル鐵路ヲ南那珂郡福島迄延長セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決セ
リ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=61
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062・岩崎勲
○岩崎勳君 日程第二十以下ノ請願ヲ一括シテ、委員
長報告通リ採擇サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=62
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063・大岡育造
○議長(大岡育造君) 委員長報告通リ御異議ハゴザイマ
セヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=63
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064・大岡育造
○議長(大岡育造君) 御異議ナケレバ總テ委員長報告
通リニ決シマシタ、本日ハ是ニテ散會
午後二時二十二分散會
衆議院議事速記錄第十七號正誤
頁段行誤正
二三五上六郡制郡道
二三五上一九縣費ヲ支辨縣費ヲ以テ支辨
二三六下二三廣大宏大発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01819190227&spkNum=64
4. 会議録のPDFを表示
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