1. 会議録本文
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000・会議録情報
大正八年三月四日（火曜日）午後一時十四分開議
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議事日程 第十八號 大正八年三月四日
午後一時開議
質問
一 食糧政策に關する質問（小橋藻三衞君提出）
二 外交問題に關する質問（押川方義君提出）
三 吉野川改修工事に關する質問（高島兵吉君提出）
四 航空取締に關する質問（横山勝太郎君提出）
五 市町村吏員優遇に關する質問（荒川五郎君提出）
六 社會主義取締に關する質問（鈴木富士彌君提出）
七 甘蔗作に關する質問（我如古樂一郎君提出）
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第一 私立學校用地免租に關する法律案（政府提出） 第一讀會
第二 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第三 耕地整理法中改正法律案（政府提出） 第一讀會
第四 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第五 大正六年度豫備金支出の件（承諾を求むる件）
第五 大正六年度豫備金外に於て豫算超過及豫算外支出の件（承諾を求むる件）
第五 大正六年度特別會計豫備金支出の件（承諾を求むる件）
第五 大正六年度特別會計豫備金外に於て豫算超過及豫算外支出の件（承諾を求むる件）
第五 大正六年度大正三年臨時事件豫備費支出の件（承諾を求むる件）
第五 大正六年度帝國鐵道特別會計積立金支出の件（承諾を求むる件）
第五 大正六年度帝國鐵道特別會計積立金外に於て豫算超過支出の件（承諾を求むる件）
第六 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第七 精神病院法案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第八 大正七年法律第二十四號中改正法律案（政府提出、貴族院送付） 第一讀會の續（委員長報告）
第九 利息制限法中改正法律案（赤尾彦作君提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第十 未成年者飲酒取締法案（根本正君外三名提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第十一 四國海岸循環鐵道建設に關する建議案（小西和君外一名提出） （委員長報告）
第十二 四國循環鐵道建設に關する建議案（林毅陸君外四名提出） （委員長報告）
第十三 四國鐵道循環線敷設に關する建議案（高島兵吉君外一名提出） （委員長報告）
第十四 野岩羽鐵道速成に關する建議案（八田宗吉君外六名提出） （委員長報告）
━━━━━━━━━━━━━発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=0
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001・大岡育造
○議長(大岡育造君) 諸般ノ報告ガアリマス
〔原田書記官朗讀〕
一去一日政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
私立學校用地免租ニ關スル法律案
耕地整理法中改正法律案
大正六年度豫備金支出ノ件
大正六年度豫備金外ニ於テ豫算
超過及豫算外支出ノ件
大正六年度特別會計豫備金支
出ノ件
大正六年度特別會計豫備金外ニ
於テ豫算超過及豫算外支出ノ件
大正六年度大正三年臨時事件(承諾ヲ求ムル件)
豫備費支出ノ作
大正六年度帝國鐵道特別會計
積立金支出ノ件
大正六年度帝國鐵道特別會計
積立金外ニ於テ豫算超過支出ノ
件
一去二十八日議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
市制中改正法律案
提出者下岡忠治君加藤政之助君
柵瀨軍之佐君本田恆之君
齋藤隆夫君
町村制中改正法律案
提出者下岡忠治君加藤政之助君
柵瀨軍之佐君本田恆之君
齋藤隆夫君
府縣制中改正法律案
提出者下岡忠治君加藤政之助君
柵瀨軍之佐君本田恆之君
齋藤隆夫君
郡制中改正法律案
提出者下岡忠治君加藤政之助君
柵瀨軍之佐君本田恆之君
齋藤隆夫君
一今四日議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
山口縣德山港ヲ特別輸出入港ト爲スノ建議案
提出者渡邊祐策君
馬匹奬勵ニ關スル建議案
提出者八田宗吉君丸山嵯峨一郞君
石射文五郞君廣田宇一郞君
圓山川改修ニ關スル建議案
提出者齋藤珪次君坪田十郞君
人權保護ニ關スル法律案
提出者高木益太郞君
刑事訴訟法中改正法律案
提出者高木益太郎君
一去二十七日議員ヨリ提出セラレタル質問主意書左ノ
如シ
東京帝國大學醫科大學內精神病學〓室及病室新
設ニ關スル質問主意書
提出者山根正次君
一去一日議員ヨリ提出セラレタル質問主意=左ノ如シ
地方稅制限ニ關スル質問主意書
提出者小林嘉平治君
同仁會ニ關スル質問主意書
提出者秋山金也君
一去一日政府ヨリ受領シタル答辯書左ノ如シ
衆議院議員小山松壽君提出勞働政策ニ關スル質問
ニ對スル答辯書
大正八年三月一日
內閣總理大臣原敬
衆議院議長大岡育造殿
衆議院議員小山松壽君提出勞働政策ニ關スル質問ニ
對シ別紙答辯書差進候
(別紙)
衆議院議員小山松壽君提出勞働政策ニ關スル質
問ニ對スル答辯書
資本家ト勞働者トハ其ノ利害ヲ一ニシ互ニ協調信愛ノ
念ヲ以テ事ニ當ルヘキモノト認ムルカ故ニ政府ハ勞働者
カ益其ノ智能ヲ啓成シ共同自省ノ精神ヲ涵養スルト共
ニ資本家ニ於テモ亦克ク勞働者ノ生活ノ實況ト其ノ思
想ノ傾向トヲ理解スルニ努メムコトハ其ノ最モ希望スル
所ニシテ如斯ニシテ兩者ノ關係ヲ圓滿ナラシメ相互ノ福
利ヲ增進セシムルコトヲ得ヘシト信ス而シテ治安警察法
第十七條ハ勞働團體ノ加入ノ强制若ハ其ノ妨碍ニ付
暴行脅迫等ノ不正手段ヲ用ヒ又ハ同盟解雇同盟罷業
ヲ遂行セシメムカ爲誘感煽動スルコトヲ禁止スルモノニ
シテ稔健ナル勞働團體ノ成立等ハ之ヲ阻碍スルモノニ
非スト認ム
右及答辯候也
大正八年三月一日
內務大臣床次竹二郞
一去一日貴族院ニ於テ本院ノ送付ニ係ル左ノ議案ヲ可
決シタル旨同院ヨリ通牒ヲ受領セリ
栽判所ノ設立ニ關スル法律案(政府提出)
大正二年法律第九號中改正法律案(政府提出)
不動產登記法中改正法律案(政府提出)
帝國大學特別會計法中改正法律案(政府提出)
東京帝國大學及京都帝國大學臨時政府支出金ニ
關スル法律案(政府提出)
大正七年法律第四號中改正法律案(政府提出)
〔左ノ報告ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載
ス」
一去二十七日地方鐵道法案外四件委員本田恆之君
辭任ニ付其補闕トシテ臼田久内君ヲ、精神病院法案
委員山根正次君、磯貝浩君、長島律太郞君辭任ニ
付其補關トシテ佃安之丞君、小山松壽君、唐端〓太
郞君ヲ孰レモ議長ニ於テ選定セリ
一去二十八日衆議院議員選擧法中改正法律案委員
岩崎總十郞君、川原茂輔君、松永安左衞門君辭任
ニ付其補闕トシテ大石五郞君、小久保喜七君、石原
正太郞君ヲ、農工銀行法中改正法律案外一件委員
高戶郁三君辭任ニ付其補關トシテ土井權大君ヲ孰
レモ議長ニ於テ選定セリ
一去二十七日辭任シタル常任委員左ノ如シ
第四部選出
決算委員前田卯之助君
一去二十八日常任委員補關選擧ノ結果左ノ如シ
第四部
決算委員大谷高寛君(前田卯之助君補關)
一去二十八日委員長及理事互選ノ結果左ノ如シ
執達吏規則中改正法律案外一件委員
委員長則元由庸君理事津末良介君
農工銀行法中改正法律案外一件委員
委員長天春文衞君理事松井文太郞君
日露語學校設置ニ關スル建議案委員
委員長小橋藻三衞君理事-宮房治郞君
松本鐵道建設ニ關スル建議案委員
委員長丸山嵯峨一郞君理事古川〓君
農務省新設ニ關スル建議案委員
委員長中倉万次郞君理事上田彌兵衞君
一去一日衆議院議員選擧法中改正法律案委員理事
補關選擧ノ結果左ノ如シ
衆議院議員選擧法中改正法律案委員
理事石原正太郎君(理事松永安左衞門君補
閥発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=1
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002・大岡育造
○議長(大岡育造君) 是ヨリ會議ヲ開キマス、諮問事項
ガアリマス、左ノ議員ヨリ請暇ノ申出ガアリマス、病氣ニ付
キ去ル一日ヨリ向十日間山田正年君、病氣ニ付キ去ル一
日ヨリ向フ二十五日間生田和平君、病氣ニ付キ云ル一日
ヨリ向フ十日間仙石貢君、病氣ニ付キ明五日ヨリ向フ二
週間關直彦君、海外旅行ニ付キ今四日ヨリ二十六日マデ
松永安左衞門君、病氣ニ付キ今四日ヨリ向フ三週間紫安
新九郎君、右何レモ請暇ノ願出ガアリマスルガ、許可スルニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=2
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003・大岡育造
○議長(大岡育造君) 御異議ガ無ケレバ許可致シマス、
尙ホ四部選出決算委員中野寅次郎君、右常任委員辭仕
ノ中出ガアリマス、許可スルニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=3
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004・大岡育造
○議長(大岡育造君) 御異議ガ無ケレバ之ヲ許可致シマ
ス、第四部ノ諸君ハ速ニ補關選舉ヲ行ヒ屆出アランコトヲ
望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=4
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005・武市彰一
○武市彰一君 決算委員會ヲ開キタウ存ジマスカラ、御
許可ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=5
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006・大岡育造
○議長(大岡育造君) 許可致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=6
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007・武市彰一
○武市彰一君 ドウゾ決算委員ノ諸君ハ、委員室ニ御集
リヲ願ヒタウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=7
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008・丸山嵯峨一郎
○九山嵯峨一郞君 松本鐵道建設ニ關スル委員會ヲ開
キタウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=8
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009・大岡育造
○議長(大岡育造君) 許可致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=9
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010・高木益太郎
○高木益太郞君 議事進行ニ就テ政府ニ質シタイノデア
リマスルガ、政府ハ本議會ノ初ニ、貴族院ノ方へ借地人法
ノ御提案ガアリマシテ、此借地人法ニ關スル規定ニ就キマ
シテハ、明治四十二年ニ借地人保護法ナルモノガ提案ニ
ナッテ.本院ハ滿場一致ヲ以テ可決ヲシテ、貴族院ノ方へ送
リマシタ所ガ、其重要ナル規定ヲ削除セラレマシテ、其削除
シタル理由ト云フモノハ、尙ホ鄭重ニ審査ヲスルト云フ意味
デ削ラレタト云フコトハ、吾ミノ記憶ニ存スル所デアリマス、
其後本院カラ、屢〓滿場一致ヲ以テ可決ヲシタ借地人保護
ニ關スル法案ガ貴族院ノ方へ送付ニナリマシテモ、何時モ
貴族院ノ審査未了デ今日マデ過ギタノデアリマス、前議會
ニ於テ政府モ借地人法ノ必要アルコトヲ自覺セラレテ、先
ヅ貴族院ノ方へ借地人法ヲ御提案ニナッタノデアリマスル
ガ、是モ審査未了デ遂ニ法律ト云フモノガ成立シナイデシ
マッタノデアリマス、今囘モ亦政府ハ貴族院ノ方へ同趣意ノ
法律ヲ御提案ニナリマシタ所ガ、今日ノ新聞ヲ見マスルト
云フト、一向此委員會ガ進行ヲセヌト云フ事ヲ聞イテ、吾こ
甚ダ遺憾ニ思フノデアリマス、此故ニ政府ハ御自身ノ御提
案ニナッタ法案ノ成立スルヤウニ、貴族院ノ委員會ニ對シテ
速ニ議事ヲ進行スルヤウ御要求アランコトヲバ政府ニ質シ
タイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=10
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011・大岡育造
○議長(大岡育造君) 是ヨリ質問ニ移リマス、日程ノ質
問ノ第一、食糧政策ニ關スル質問、小橋藻三衞君
食糧政策ニ關スル質問(小橋藻三衞君提出)
食糧政策ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正八年二月八日
提出者小橋藻三衞贊成者鈴木梅四郞
外三十二人
食糧政策ニ關スル質問主意書
食糧不足ニ對スル政策トシテ政府ノ說明ニ依レハ輸入
關稅撤廢ニヨリテ當面ノ不足ヲ救濟シ開墾助成ニヨリ
テ後年ノ自給ヲ謀ルト云フニ在ルモ此ノ如キ方策ニテハ
到底我カ國民ノ膨脹力ニ伴フヘキ確實ナル食糧供給ヲ
爲シ得ヘカラスト信ス
政府ハ當面ノ不足供給ハ勿論永遠ノ供給ニ互リテ更ニ
確乎タル成案ヲ元サレムコトヲ望ム
右及質問候也
〔小橋藻三衞君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=11
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012・小橋藻三衞
○小橋藻三衞君 食糧政策ニ就キマシテハ、本會議竝ニ委
員會等ニ於キマシテ、屢。質問應答ヲ繰返サレタノデアリ
マスルガ、要スルニ政府ノ今日マデ明言サレテ居ル所ノ御意
見ト致シマシテハ當面不足ノ物ヲ補給スルト云フコトニ
付キマシテハ、關稅ノ撤廢、或ハ雜穀ノ廢減稅等ニ依シテ、
輸入ヲ潤澤ニスルト云フコトニ依シテ補充ヲ致シ、又永年ニ
亙クテノ自給自足ノ策ト致シテ、助成法等ニ依ヶテ耕地ヲ
增加致シテ、之ニ依テテ食糧ノ自給自足ノ途ヲ立テル、斯ウ
云フ事ヲ明言致サレテ居ルノデアリマスル、現ニマダ此食糧
政策ニ就テハ、委員會等ヲ御繼續ニナッテ居リマスル事モア
リマスルシ、或ハ經濟調査會等ニ於テ、各種ノ調査ヲ致サ
レテ居ルコトデアリマスルケレドモ、今日政府ノ言明致サレ
テ居ル所ハ、吾ヒハ結構ナ事トハ考ヘマス、洵ニ結構ナ事ト
ハ考ヘマスルガ、之ニ依ッテ當面不足ノ問題ガ、果シテ十分
ニ補充シ得ラルヽノデアルカドウカヲ、此脅サレタル食糧問題
ガ、果シテ安定ヲ得ルノデアルカドウカト云フコトニ就キマシ
テハ、多大ノ疑ヲ存シ、六千万ノ國民ハ、決シテ是デ安心ヲ
致スト云フ譯ニハ參ラヌノデアリマス、尙又此開墾助成法
等ニ依ヶテ、永年ニ亙〓テ自給自足ノ策ヲ立テルト云フ御
計算ニ就キマシテハ、我日本民族ノ大ナル膨脹力ニ伴ッテ、
果シテ遺憾ナク自給自足ガ出來ルヤ否ヤト云フコトニ就テ
ハ、是亦多大ノ不安ヲ感ジ、多大ノ缺陷ヲ感ズルノデアリマ
スルカラ、爰ニ政府ニ向ッテ、更ニ根本的ノ政府ノ懷抱サレ
テ居ル所ヲ、今少シ突込ンデ伺ヒタイト考ヘルノデアリマス、
デ先ツ此米ノ不足スルト云フコトノ原因ガ、如何ナル事情
ノ下ニ不足ヲ致シテ居ルカト云フコトヲ考へルト云フコト
ハ、此〓糧問題ニ就テ、最モ重要ナル事ト考へルノデアリマ
スガ、政府ハ此不足スル理由、不足スル事情ヲ、如何ニ御
覽ニナ、テ居ルノデアルカト考ヘタノデアリマス、デ是マデ政
府ノ言明致サレテ居ル所ニ依リマスト、數年間ノ米ノ不足
ハ、約二百万石平均デアルト云フコトデアリマスガ、ソレガ
昨年ノ如キハ殆ト六百万石內外ノ不足ヲ告ゲタ、卽チ
六千万石ノ米ガアッテ、尙ホ開國以來-此日本開闢以
來ノ最高値段ヲ現シタノデアリマス、而シテ其米ノ在高モ、
日本開闢以來ノ在高ヲ示シタニ拘ラズ、非常ナ空前ナ高
値ヲ現シタノデアリマス、デ此理由ハ啻ニ此日本ノ通貨ガ
非常ナ膨脹ヲ致シテ、十五億幾千万圓ト云フ、是亦開國
以來未會有ノ通貨ノ膨脹デアッタコトガ、一ツノ大ナル原
因ニ相違ハナイケレドモ、ソレヨリモ更ニ痛切ナル理由トシ
テハ、矢張此需給關係ヨリ來タト云フコトハ、爭ハレナイ事
實デアルト考ヘルノデアリマスガ、其不足ガ何故ニ左樣デ
アッタカ、一昨年ノ米ガ平年作ヨリ少ナカッタカト云ヘバ、決
シテサウデハナイ、一昨年ノ作柄ハ、確ニ平年作以上ノ豐
作デアッタノデアリマス、ソレニ持ッテ來テ、朝鮮或ハ臺灣等
ノ植民地ヨリ移入ノ物ガアリ、或ハ海外ヨリ輪入シタ物ガア
リ、一昨年ヨリ持越シタ物ガアル、サウシテ此六千万石內外
ノ物ガアッタニ拘ラズ、斯ノ如キ米ノ不足ヲ訴へタト云フコ
トノ理由ハ、如何ナルモノデアルカト云フコトヲ考慮致シテ
見マスルト、從來此我國ノ米ハ、一人約一石ノ消費ト云フ
コトニナッテ居リマシテ、一一千万ノ人口ノ時代ニハ二千万石
ノ米ヲ收穫致シテ居ル、ソレガ三千万トナリ、四千万トナ
リ、五千万トナッテ、大抵人口ニ對スル一石ノ米ノ收穫ヲ得
タモノデアルニモ拘ラズ、此人口ヨリ非常ニ突飛ニ昨年費
消セラレタ所ノ原因、此原因ヲ考ヘテ見マスルト云フト、食
糧問題ノ恐ルベキモノヲ發見スルノデアリマス、卽チ是ハ我
ガ國民ノ全部ガ總テ一日米食ヲシテ居ルト云フ譯デハナ
ク、國民ノ或ル部分ニハ確ニ米食ヲシナイ、麥若クハ雜穀、
或ハ甘藷ノ類ヲ喰ベテ、米ヲ喰べナイ者ガ昨年ニ至テテ常常
ニ米ヲ喰ベタト云フコトノ事實ハ見逃スベカラザル一大原
因デアルト考ヘマス
〔議長大岡育造君退席副議長濱田國松君議長席
ニ著ク〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=12
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013・小橋藻三衞
○小橋藻三衞君 而シテ其原因ハドウデアルカト云ヘバ、
御承知ノ通リ此戰亂ノ結果、麥、小麥或ハ麥粉ノ如キ物ヲ
莫大ニ海外ニ輸出ヲ致シテ、之ガ爲メニ麥ノ價ガ非常ナル
騰貴ヲ致シテ、麥ト米ノ差額ガ甚ダ接近ヲ致シタト云フコ
トニ於テハ、美味クナイ麥ヲ食フヨリハ、又二度炊ヲスル面
倒ナ麥ヲ食フヨリハ、寧ロ米ノ方ガ便利デアルト云フノデ、
此米ヲ非常ニ費消スルト云フコトガ、一ツノ原因トナッタニ
相違ナイト考ヘラレマス、又一ツニハ諸工場ノ勃興シタト云
フコトハ、一ツノ大ナル原因デアル、卽チ工場ガ戰前ヨリハ
此戰爭中ハ殆ド二倍ニモ增加致シ、職工ノ如キモ亦殆ド
二倍ニ近イ增加ヲ致シテ、此百万ニ近イ職工ガ非常ニ米ヲ
費消スル、是ハドウ云フ譯デアルカト申シマスレバ、卽ヂ工場
ガ增加スレバ動力ヲ要スル、其動力ハ容積ノ多大ニシテ「エ
ネルギー」ノ少ナイ石炭ヨリハ、容積ガ少ナクシテ「エネルギ
ー」ノ多イ石炭ヲ要求スルト同ジク、其職工トナル者ハ、從
來雑業ニ從事シ、若クハ農業ニ從事シタ者ガ職工ニナルト
云フト、非常ニ美食ヲ致シ良イ米ヲ食フト云フコトハ、確ニ
米ノ食量增加ヲ致シタト云フコトノ、大ナル原因ニナルノデ
アラウト考ヘルノデアリマス、デ是等ノ職工、或ハ又鑛山ノ
坑夫、或ハ石炭坑ノ坑夫、其他車力輓、或ハ馬力輓ノ如キ
勞働者ガ、一日五圓六圓ノ收入ヲ得ル、卽チ工場ノ職工ノ
如キモ、一等職工ハ五圓六圓ノ給料ヲ得ルノデアリマス、其
一箇年ノ收入ハ、確ニ低級ナル高等官、或ハ議員ノ歲費以
上ノ收入ヲ彼等ガ得ルノデアリマス、而シテ是等ハ〓事ニ
付テ非常ニ贅澤ヲ致シ、美イ食事ヲ致スト云フコトハ、確ニ
其量ガ從來ヨリ增加シテ居ルト云フコトハ、爭ハレナイ事實
デアリマス、戰前ニ於テハ勞働者ノ心掛ノ良イ者ハ、銀貨ヲ
質ニ置イタト云フ例ガアリマス、ソレハドウ云フ譯デアルカト
云フト、一家數口ノ食フ食事ガ足リナイ、ンコデ居候三杯
目ニハソット出シト云フコトガアルガ、居候デハナイ家族ノ〓事
ヲ充タス爲メニ、己ノ食フ食事ヲ控ヘテ、己レハ銀貨ヲ握クテ
一膳飯屋ニ行ッテ酒ヲ一杯引掛ケテ、其金ヲ以テ支拂ヲスレ
バ、其金ハ直チニ費消スルガ故ニ、之ヲ質ニ置イテ、一日勞
働シテ其得タル金ヲ以テ受出シテ歸ッタト一云フコトハ、往々
聞ク所デアッタノデアリマス、卽チ銀貨ヲ崩セバ早ク費消スル
ト云フコトヲ虞レテ、斯樣ニ節約勤儉ヲ致シタモノデアル、
斯樣ナ時代ニハ、四椀ハ三椀、五椀ハ四椀ニ減スト云フ考デ
アッタニ相違ナイ、然ルモノガ此世間ノ景氣ニ連レテ大ナル收入
ノアル時代ニ於テハ、四椀ノモノガ五椀喰ベル、或ハ三椀ノ
モノガ四椀喰ベルト云フコトヲヤル爲メニ相違ナイ、此一椀
ノ著ノ上ゲ下シト云フモノガ非常ニ應エルノデアリマス、卽
チ三椀ガ四椀、或ハ五椀ノモノガ四椀ト云フ一椀ノ增減
ハ、二割、二割五分ノ增減ヲ來スガ故ニ、此幾百万幾千万
ノ者ノ一割二割三割ト云フ食事ノ箸ノ上ゲ下シハ、非常ナ
ル費消ニ相違ヲ來スト一云フコトハ、爭ハレヌ事實デアルト思
フノデアリマス、サウシテ第一ハ米飯卽チ食糧、或ハ酒造用、
或ハ麴、或ハ味噌用、或ハ菓子用、鮨用、團子用ニ使フ、或
ハ糊ニ使フ、家畜家禽ノ食糧ニ使フ、斯樣ナモノガ非常ニ
費消セラレル、隨テ景氣ノ好キ時ノ費消ハ非常ナルモノデア
ルト云フコトモ事實デアリマス、サウシテ世間ノ景氣ノ好イ
時ハ鮨屋ガ繁昌ヲ致シ、不景氣ノ時ハ饂飩屋ガ繁昌ヲ致
ス、世間ノ景氣不景氣ハ、鮨屋ト饂飩屋ノ繁昌ニ依クテ分
ルト云フ、此「バロメートル」ニナルト云フ事實モ全ク是ハ間
食ノ結果デアル、卽チ斯樣ナル事ニ依ッテ、費消ノ量ガ非常
ニ增シテ居ルガ故ニ、決シテ國民ノ從來收穫シタル所ノ卽チ一
人一石ト云フ率デハ迚モ治マラナイ、故ニ五百石六百石ト
云フ大ナル缺陷ヲ生ズルト云フコトニナッテ居ルノデアリマス、
而シテ今年ノ如キモ、確ニ昨年ノ不足額位ノモノハ不足ス
ルモノト見ナケレバ相成ラヌノデアリマスガ、今之ヲ補充スル
方法ト致シマシテハ、朝鮮臺灣ノ如キ植民地ヨリ約三百万
石、ソレカラ海外ヨリ百四五十万石、又端境期ニ持越シタル
モノガ百万石、是デ約六百万石ニ近イモノガアッテ、サウシテ此
不足ヲ當面ノ不足ハ補充ガ出來ルト云フコトニナッテハ居
リマスガ、併シ果シテ是ガ豫定ノ通リニ行ケルノデアルカドウ
デアルカ、最近ハ成程定期米ノ如キハ非常ニ下ゲテ居リマ
ス、併ナガラ正米ハ餘リ下ゲテ居ナイノデアリマス、サウシテ
此植民地ノ狀況ヲ見ルト、臺灣ノ如キ、或ハ朝鮮ノ如キニ
致シマシテモ、内地ニ移入スルト云フコトニハ、隨分反對ノ聲
ガ高イノデアリマス、彼等ノ米ヲ減ジ、サウシテ價格ガ騰貴
スルト云フ聲ガアルノデアリマス、又支那ノ如キハ、卽チ防穀
令ニ依ッテ米ヲ持出スト云フ事ニハ反對ヲ致シ、海外ニ於テ、
蘭貢ノ如キ、柴棍ノ如キ、或ハ東京ノ如キ、暹羅ノ如キヲ通
ジテ、約三千万石ノ輸出力アリト稱シテ居リマスガ、其二分
ノ一ノ輸出力ヲ持ッテ居ル所ノ蘭貢ハ、印度ノ饑饉ニ依ッテ
全ク輸出禁止ヲ致サレテ居リマス、又安南暹羅ノ如キ船腹
其他ノ關係ニ依ッテ、餘リ捗ミシイ輸出ヲ見ルコトガ出來ナ
イ、唯〓殘ル所ハ其四分ノ一ノ輸出力ヲ持ッテ居ル柴棍方
面デアリマスガ、是ハ此各所ノ注文ガ殺到致シ夕爲メニ、隨
分價格モ騰リ、サウシテ又此日本ニ對シテ輸出スルト云フ
コトハ、最近ニハ幾ラカ緩和セラレタト云フ情報モ傳ハッテ
居リマスケレドモ、先月ノ如キハ香港政廳ノ發表スル所ニ
依レバ、傳染病ノ流行地ト認メタト云フコトガアリマスルガ、
若シ之ガ輕微ナ事デ相濟メバ宜シイケレドモ、非常ニ猛烈
ナ流行地ト云フコトニナルト、此物ヲ日本へ輸八スルト云フ
コトハ、或ハ困難ヲ來シハシナイカ、斯ノ如ク考ヘテ見マスル
ト、現在ノ唯、此輸入稅ヲ撤廢スルトカ、或ハ此ノ雜穀ノ輪
入稅ヲ廢減スルトカ云フコトニ依クタ、安全ニ十分ニ輸八シ
得ルヤ否ヤト云フコトハ、甚ダ前途ガ氣遣ハレル次第デアリ
マス、又此開墾助成法ハ成程結好ナ事デハアリマスケレド
モ、近事此一般農間ノ狀況ヲ以テ見マスルト、兎角都會ニ
走ル、農業ヲ廢メテ商工業ニ走ルト云フコトハ一般ノ傾向
デアリマス、是ハ何故ニ左樣デアルカト申セバ、勞力ニ對スル
收入ノ率ヲ他ノ職業ト比較シテ見ルト、或ハ此勞働ノ狀況
ヲ他ノ職業ノ生活狀態ト比較シテ見ルト云フ上カラ、斯樣
ナ現象ガ續々現レ來ッテ居ル譯デアリマス、サウ致シテ見ルト
云フト、果シデ此政府豫定ノ通リニ、此開墾助成抔ガ旨ク
進行スルカドウカ、假リニ之ガ旨ク進行ヲ致スト致シマシテ、
十五年ノ後ニドウナルノデアルカ、三十五万町歩ノ開墾ヲ
スルト云フノデアリマスガ、此二十五万町步ノ開墾地ガ、十
五年ノ後ニ於テ舊來ノ熟田ト同一ノ收穫ヲ見ルコトハ困難
デアリマス、假リニ之ヲ一段一石ノ收穫ヲ得ルモノト致シテ、
五百万石ニ過ギナイノデアリマス、然ルニ一方十五年ノ後
ノ我國民ノ膨脹スル數ハ如何デアルカト申セバ、約一千二
三百万人ノ增加ヲ致スコトハ確カデアルト考ヘマス、左樣
致シマスルト云フト、此物ノ費消量ガ今日ノ率ヲ以テ申シ
マスレバ、一千五六百万石ノ米ヲ確ニ十五年後ニハ要スル
ノデアリマス、ソレヘ持ッテ來テ開墾助成法ガ完成致シテ、
五百万石ノ未ヲ得タト致シテモ、增加シタ人口ノ三分ノ一
ノ食糧ヲ得ルコトガ漸クノ事デアリマス、若シモ吾〓日本人
ガ不老不死デアリ、サウシテ此十五箇年生殖機關ヲ休止
スルコトガ出來タナラバ、カツ〓〓ニ此〓糧ハ自給自足ヲス
ルカモ知レマセヌ、併ナガラ人生自然ノ新陳代謝ガ行ハレ、
生殖作用ガ間斷ナク行ハレルト致シマスレバ、到底此十五
年後ニ於テ、自給自足ハ思モ依ラヌ事デアルト考ヘルノデ
アリマス、更ニ五十年後ヲ考ヘマスルト云フト、吾こ今日ノ
人口ハ確ニ二倍以上ニ增加スル、卽チ一億二三千万人ト
相成ル、此要スル米ハ今日ノ率ヲ以テスレバ、一億五六千
万石ヲ要スルコトニナルノデアリマス、更ニ百年後ヲ考ヘマ
スト、今日ノ人口ノ確ニ四倍以上ニ相成ル、卽チ二億五六
千万人以上ニ增加ヲ致ス、此要スル米ノ量ハ、殆ド三億万
石ニ近イ米ヲ要スルノデアリマスルガ、如何ニ我國ガ自給
自足ノ方法ヲ立テルト致シマシテモ、此限リナキ國民ノ膨
脹力ニ伴フ自給自足ハ、思モ依ラヌ事デアルト考ヘルノデ
アリマス、然ラバ如何ニシテ之ニ對シテ食糧ノ安定ヲ得ルカ
ト申セバ、先ヅ當面ノ急ヲ救フ安定法ト致シマシテ、何故
ニ政府ハ此植民地夕ル臺灣、朝鮮ハ固ヨリ、支那方面ニ
向ッテ、技術ト資力トヲ注イデ、此當面ノ急ヲ救フト云フコ
トヲ御講ジニナラナイノデアリマスルカ、朝鮮ノ如キハ水田
約百二十万町歩、而シテ其得ル所ハ一千二百万石ニ過ギ
ナイノデアリマス、卽チ一反一石デアリマス、之ヲ大ナル經
費ヲ掛ケテ、水利灌漑ヲ致スト云フ事ハ、暫ク差控ヘルト
致シマシテモ、内地ノ熟練シタル技術家ヲ送リ、而ジテ又此
內地ノ如キ立派ナル肥料ヲ之ニ施スト云フコトヲ講究致シ
タナラバ、朝鮮ニ於テ五割六割ノ增收ヲ得ルコトハ何デモ
ナイ事、卽チ五六百万石ノ增收ヲ得ルコトハ容易ナ事デア
リマス、少シ之ニ力ヲ加ヘルナラバ、殆ド今日ノ二倍ノ米ヲ
得ルコトハ、左程難事デハナイノデアリマス、又支那ノ如キ
モ、成程今日ハ防穀令ヲ布カザルヲ得ナイ、大ナル輸出ヲ
致セバ、支那自體ノ食糧不足ヲ來スガ故ニ、是ハ固ヨリ當
然ノ事デアリマス、併ナガラ我國ノ最モ世界ニ於テモ特絕
致シテ居ル所ノ米作ノ技術、此技術家ヲ支那ニ送リ、或ハ
日支共辦ニ依シテ此肥料會社抔ヲ立テ、サウシテ日本內地
ノ米價ヲ脅ス程ノ事ヲヤッテハイケナイガ、國ガ要スル三百
万石ナラ三百万石、五百万石ナラ五百万石、我國トノ協
調ヲ保シテ、此支那方面ニ於テ技術ト肥料ヲ相當ニ施スト
云フナラバ、相當ナモノヲ得ルコトガ出來マス、是ハ江蘇、浙
江或ハ安徽ノ方面ニ於テ、此手段ヲ施スナラバ、恐クハ二
十年三十年後ニ米ヲ得ルト云フコトハ、左程難事デハナイ
ト考ヘルノデアリマス、此點ニ就キマシテハ非常ナル考慮ヲ
要スルト云フコトハ、前年此米國、或ハ英國等ガ、亞米利
加、印度等ノ棉政策ニ依シテ日本ヲ苦メテ以來、我國ノ棉
ノ供給ハ、朝鮮、支那方面ニ待タナケレバナラナイト云フコ
トハ識者ガ唱ヘテ居リナガラ、未ダ實現ヲ致サナイ今日ノ
狀態デアリマス、然ルニ最近ニ至ッテ「マンチエスター」ヲ始メ
英吉利ノ各地ノ商業會議所、或ハ米國ノ實業家、當局者
等ガ、盛ンニ其技術ト其資本トヲ持シテ支那方面ニ出掛ケ
テ、棉ノ調査ニ取掛ッタト云フコトハ、恐ルベキ出來事ナリ
ト思フノデアリマス、若シ日本ガ一步ヲ遲レルナラハ、彼等
ハ或ハ此米作ニ就テモ、先鞭ヲ著ケナイトモ限ラナイノデア
リマス、故ニ我國ハ宜シク此食糧政策ノ安定ヲ圖ラントス
ルナラバ、或ル程度ノ技術ト資力トヲ注イデ、此植民地、支
那方面ニ於テ相當ナル施設ヲスルコトガ必要デハナイカ、政
府ハ此點ニ就テモ、何等カノ御考慮ガ有ルノカ無イノカト
云フコトヲ伺ッテ見タイノデアリマス、又我國ノ食糧問題ハ、
決シテ斯樣ナ姑息ナ事ニ依シテ最後ノ決定ハ著カナイノデ
アリマス、何故ナラバ五十年後ニ今日ノ人口ガ二倍シ、百
年後ニ四倍以上ニ增加スルト云フコトニ於テハ、如何ニシ
テモ此人口問題ノ解決ヲ著ケナケレバ、食糧ヲ安定セシメ
ルト云フコトハ到底出來ナイノデアリマス、然ルニ彼ノ歐米
ノ政治家ハ、現ニ巴里ニ於ケル此講和會議ニ於テ、確ニ人
種的差別待遇撤廢ヲ斥ケテ、彼等ハ之ヲ肯カナイト云フコ
トガ傳シテ居ルノデアリマス、一面顧ミレバ、歐羅巴戰亂ノ
眞最中、彼レ聯合國ハ猫ノ手モ杓子ノ手モ借リタイト云フ
時ニ於テ、我ガ日本ノ努力ニ依ッテ、非常ナル聲援ヲ得タト
云フコトガ現ニ有ル、其當時ニ於テ彼レ英吉利ハ、日本ノ
莫大小輸入ノ禁止ヲ致シタノデアリマス、此時ニ於テ亞米
利加ガ其裏面ニ於テ如何ナル活躍ヲ致シタカト云フコト
ハ、卽ナ慧眼ナル識者ハ夙ニ看破致シテ居ッタコトデアリマ
スルガ、其後亞米利加ガ此鐵ノ輸出禁止ヲ致シタ、決シテ
彼ハ鐵不足デハナイ、鐵ハ有リ餘ッテ居ルニモ拘ラズ、鐵ノ
輸出禁止ヲ致シテ、日本ヲ苦メタノデアリマスルガ、此時ニ
於テ英吉利ガ、其裏面ニ於テ如何ナル活動ヲ致シタカト云
フコトモ、慧眼ナル識者ハ夙ニ看破致シテ居ッタ事デアリマ
ス、又最近ハ此英吉利ハ固ヨリ亞米利加抔ノ大資本家大
銀行家ハ、一致協同、非常ニ恐ルベキ堅實ナル計畫ヲ以
テ、露西亞殊ニ西伯利方面、支那方面ニ向シテ、非常ニ彼等
ハ大計畫ヲ以テ經濟上ノ侵略ヲ試ミント致シテ居ルノデア
リマス、卽チ彼等ハ我國ノ此張出スベキ殖民地方面ニ於
テハ、總テ之ヲ禁止致シテ、而シテ彼等ハ此自分ノ經濟戰
ヲ思フ儘ニ進メテ居ル、卽チ軍國主義ノ此獨逸ノ遣方ヲ打
破ッテ、卽チ鐵血的帝國政策ヲ右ノ手ニ於テ破ッテ、左ノ手
ヲ以テ經濟的帝國主義ノ施ヲ進メツヽアルノデアリマス、卽
チ刀ヲ以テ人ヲ殺スノ術ヲ止メテ、金ヲ以テ人ノ咽喉首ヲ
締メルト云フ政策ヲ執ッテ居ルノデアリマス、此所謂列國平
和會議ニ於テ、國際聯盟ヲ唱ヘ、軍備制限ヲ唱ヘ、海洋ノ
自由ヲ唱ヘマシテモ、此經濟的ノ自由自在ナル侵略主義ノ
制限ヲスルト云フコトテナク、又人種的差別待遇ノ撤廢ヲ
スルト云フコトデナケレバ、決シテ眞ノ平和、眞ノ幸福ト云
フモノヲ得ルコトガ出來ナイ、殊ニ我國ノ此食糧問題最後
ノ解決ハ、到底著カナイト信ズルノデアリマス、諸君、我國
ガ此二十七八年戰役ガ終リマシテ、朝鮮ノ國ニ初メテ日本
國人ガ入ッテ、朝鮮ノ溝ニ鰻掻一挺ヲ下ゲテ參リマスルト、
一日ニ二十貫三十貫ノ鰻ヲ得タノデアリマス、所ガ不思議
ニ其朝鮮ノ鰻ハ、頭ガ非常ニ大キクシテ、胴體ガ細クシテ、
此ニトト美美味クナイ、食スルニ堪ヘナイ、所ガ二十年後ノ今
日ニ於テハ、朝鮮ノ溝ニ鰻掻ヲ入レマシテモ、一日ニ纔ニ
一貫二貫ノ鰻以上ハ獲レナイノデアリマス、不思議ニ今日
ノ朝鮮ノ鰻ハ、頭ガ細クシテ胴體ガ太ク、內地ト變ラナイ
非常ニ美味イ鰻デアル、何故カト云ヘバ、卽チ數百年間「數
罟不入洿池魚鼈不勝食也」デ食糧不足ノ爲メニ、頭ガ太
クテ胴體ガ細クナッテ居ッタノデアリマス、若シ今日ノ如ク人
種的差別撤廢ヲ斷行スルコトヲ斥ケテ、一面ニ經濟的ノ帝
國主義ヲ進メテ、所謂我國ノ發展スベキ咽喉首ヲ締メルト
云フコトヲ、彼レ歐米ノ政治家ガヤルト云フニ付テハ、我國
民ハ朝鮮ノ鰻タランコトヲ憂フルノデアリマス、斯ノ如キ事
ハ、此平和會議ニ於キマシテ撤廢致サナイト云フコトハ、我
ガ六千万ノ熱誠ガ屆カナイノデアルカ、或ハ講和大使ノ努
力ガ足リナイノデアルカ、彼レ歐米ノ政治家ガ、口ニハ自由
平等ヲ唱ヘナガラ、其心ニハ人類共存ノ大意義ヲ理解シナ
イ爲メニ、斯樣ナ事ニナルノデアリマスルガ、此點ニ就キマシ
テハ、政府ハ如何ナル抱負ヲ持ッテ如何ナル解決ヲ致シ
テ、前途永遠ニ亙ル此人口ノ問題、食料政策ノ十分安定
ヲ圖ルト云フ御意見デアリマスルカ、此點三【就キマシテ、政
府ノ御意見ヲ伺ヒタイノデアリマス、固ヨリ一面此食糧ノ
豐富ヲ計ルト同時ニ食料ノ轉換ヲ行ツテ、麥雜穀ヲ食フト
云フ事モ宜シイガ、斯樣ナ事ハ所謂國民ノ自制ニ待ツノデ
アリマス、政治家、新聞記者、宗〓家、〓育家ノ如キ者ガ、
靑年團デアルトカ、在〓軍人團デアルトカ、會社デアルト
カ、學校デアルトカ、各種ノ〓體ニ實行ノ出來ルコトヲ指
導シテ、國民ノ自制力ニ待タナケレバ、政府ガ唯〓一面訓
令ヲサレル位デ迚モ行ク事デナイ、併ナガラ政府モ相當ナル
方法ニ依シテ直接間接ニ指導獎勵セラルヽ-食糧品ノ轉
換ヲ指導奬勵セラルヽト云フコトハ當然ノ事デアリマス、之
ヲ約シテ申セバ、政府ハ植民地或ハ支那方面ニ向ケテ、所
謂技術ト資力トヲ以テ、今少シ當面ノ食糧不足ヲ補フベ
キ方法ヲ講ズルト云フ、御意見ガ有ルノデアルカ無イノデア
ルカ、此食糧品轉換ヲ指導奬勵スルニ付キマシテ、何等カ
御考案ヲ持タレテ居ルノデアルカドウデアルカ、又所謂人口
ノ處分問題ト云フ事ニ就キマシテハ、歐羅巴ノ此平和會
議ニ於キマシテ、政府ハ如何ナル抱負ヲ以テ、其所信ヲ貫
クト云フ御意見デアリマスルカ、此三點ニ就テ明確ナル御
意見ヲ伺ヒタイト思フノデアリマス
〔拍手起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=13
-
014・伊東知也
○伊東知也君 議長発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=14
-
015・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 伊東君何デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=15
-
016・伊東知也
○伊束知也君 唯今私ガ調べマシタガ、定足數ヲ缺イテ
居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=16
-
017・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 議長ハ定足數ニ達シテ居ルト
思ヒマス
〔「議事ガ無イカラ宜イ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=17
-
018・伊東知也
○伊東知也君 休會ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=18
-
019・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 質問第二、外交ニ關スル質問
ハ、提出者ヨリ延期ノ申出ガアリマシタ、質問第三、吉野川
改修工事ニ關スル質問、高島兵吉君
三吉野川改修工事ニ關スル質問(高島兵吉君提
出
吉野川改修工事ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正八年二月十日
提出者高島兵吉賛成者鈴木梅四郞
外三十二人
吉野川改修工事ニ關スル質問主意書
德島縣下吉野川ハ目下國庫支辨ヲ以テ改修工事中ナ
リト雖築堤工事粗略ニ失シ竣工建設ノ箇所ニ於テモ
尙決潰ノ虞アリ此ノ際政府ハ愼重ニ該工事ヲ督勵シ
以テ沿岸多數民ノ憂慮ヲ除去スルノ要アリト信ス政府
ノ所見果シテ如何
右及質問候也発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=19
-
020・伊東知也
○伊東知也君 定足數ヲ缺イテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=20
-
021・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 質問中ハ從來差支ナキ慣例デ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=21
-
022・伊東知也
○伊東知也君 慣例デアリマセヌ、定足數ヲ缺イテ居リマ
ス
〔高島兵吉君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=22
-
023・高島兵吉
○高島兵吉君 私共ハ吉野川改修工事ノ質問ヲ致シマ
ス、此吉野川改修工事ナルモノハ、國庫支辨トシテ明治四
十二年ヨリ起工致シテ居ッタノデアリマス、今日デハ七八分
通リ竣工致シテ居ルノデアリマスルガ、然ルニ此改修工事
ノ全體ヲ見ルト、甚ダ遺憾ニ堪ヘヌノデアリマス、其工事其
ノモノガ甚ダ粗漏ニシテ、改修ノ效力ガ更ニ無イコトニ及ン
デ居ルノデアリマス、抑〓此河川改修ナルモノヽ目的ハ何レ
ニ在ルカト申セバ、卽チ沿岸ノ一帶ノ地方ノ民ヲシテ、貴重
ナル生命ヲ保護シ、尙又殖產興業ヲ促シ、運輸交通ノ便ヲ
圖リ、有ユル此沿岸ニ對シテ進步發達ヲ期待スペキ、大切
ナル改修其ノモノヽ目的デアル、然ルニ改修其ノモノガ不
完全ニ終ランカ、生命財產ヲ毀損シ、諸般ノ進步發達ヲ阻
害スルト云フコトニナルノデアリマス、地方ノ不幸不利益ナ
ルノミナラズ、國家經濟上、多大ナル損失ヲ來ス譯ニナッテ
來ルノデアリマス、從來此吉野川ハ四國三郞ト稱シテ.流
域二十五里アッテ、水力水勢ノ急ナルコトハ、大井川或ハ
淀川ヲ凌駕スルダケノ力ヲ持ッテ居ルノデアリマス、故ニ改
修ヲスルト云フニ當ッテハ、最モ大切ニ、而モ完全ニ終了シ
ナケレバナラヌノデアル、然ルニ此工事ノ大體ヲ見ルニ、大ニ
粗漏極マリ、且ツ改修ニ對シテ不完全ナンデアル、河川改
修ナルモノハ、浚渫ト同時ニ兩岸ニ於ケル此築堤ナルモノ、
其築堤ナルモノガ而モ完全ニシテ、其兩岸ナルモノガ優劣
ナク衡平的ニ併行シテ實施スルト云フノガ、是ガ所謂築堤
工事其ノモノヽ原則デアル、斯ク運ビ行ケバ、改修中ニ於テ
一朝出水ガアルトモ、稍、。安全ニ防禦ノ出來ル方法デアル、
然ルニ此吉野川改修ノ築堤其ノモノヽ工事ヲ見テ見ルニ、
雨岸相併行シテ居ラヌ、兩岸ノ工事甚ダ不衡平デアル、北
岸ハ甚ダ薄弱デアッテ、南岸ガ完全ナンデアル、是ガ卽チ工
事其ノモノヽ第一步ヲ誤ッテ居ルモノデアル、北岸ノ如キハ
尙ホ之ニ對シテ、分派口ニ於ケル運河或ハ闡門ト云フモノ
モマダ施設ニナッテ居ラヌ、然ルニ一方南岸ハ支流ニ對スル
閘門モ出來、ソラ出水ト云フ場合ニハ、調節ノ出來ルタケ
ノ餘裕ガ出來テ居ル、然ルニ北岸ハ用意ガ出來テ居ラヌ、
殊ニ其北岸ノ如キ工事ニ對シテハ、護岸ニ於ケル堤脚一部
ノミガ石卷ニ致シテ、上層ニ於ケル全部ハ固著力ナキ土砂
ヲ以テ積上ゲテアルト云フヤウナ形デアル、甚ダ微弱ナル築
堤デアル、昨年ノ秋水デサヘモ此護岸以上ニ浸水シタノデ
アル、故ニ其上ニ於テハ崩壞スルシ、或ハ崩落スルシヽテ、昨
年ノ如キハ殆ドモウ決潰セントシタノデアッタガ、農民ガ生
命ヲ犠牲ニシテ努力ノ結果、漸ク其決潰ノ危ヲ止メタト云
フヤウナ、實ニ悲慘ナ運命ニ接シタノデアル、危機一髪ヲ容
レザル大危險ニ瀕シカケテ居ッタノデアル、モウ少シ水源地
ノ水ガ增加スルナラバ、到底決潰ノ運命ハ免レヌノデアル、
固ヨリ御承知ノ如ク此水ナルモノハ、抵抗力ノ薄弱ナル方
ヲ突破スルト云フノハ自然ノ道理デアル、若シ是ガ決潰シ
タナラバドウデアルカ、卽チ北岸ニ於ケル十數萬ノ人口ト
數万町歩ノ立派ナル田畑ヲ控ヘテ居ル、是等ニ對シテ、大
大的慘劇ヲ來シ、苦境ニ陷ラシメルト云フコトハ免レヌノデ
アル、先ヅ斯ル次第デアル、尙ホ上流ノ善八寺川附近ノ工
事ハドウデアルカト云フト、善入寺川ノ其附近ニ對シテハ、
上流下流共ニ幅五百間ニモ足ラヌノニモ拘ラズ、順應上
其善入寺川附近ニ對シテ、一千間ニ幅ヲ擴メタト云フヤウ
ナ始末ニナッテ居ル、而モ立派ナ良田ヲ以テ游水地トシテ
幅ヲ擴メタト云フヤウナコトニナッテ居ルノデアル、是ハドウ
デアラウカ、斯クシナクテモ、兩岸ニ於テ相當ナル防備工事
ヲ施セバ結構ナモノデアル、洵ニ無用ナ事ヲ致シテ居ルノデ
ハナイカ、此立派ナル良田ヲ潰シテ、ソウシテ河川ノ結果ヲ
惡クスルト云フコトハ、甚ダ矛盾シタ譯デアラウト思フ、卽チ
此良田殆ド五百町步ヲ犠牲ニシテ居ルノデアル、今日ノ如
ク食糧缺乏ノ問題、耕作補助政策ト云フコトハ、頗ル輿論
沸騰ノ際ニモ拘ラズ、此良田ヲ斯ク皆無ナラシムルト云フ
コトハ、所謂食糧ノ要素ヲ減殺スルノモ道理ハ同ジ事デア
ル、洵ニ時節柄大ニ矛盾シテ居ルト謂ハナケレバナラヌノデ
アル、是等ニ對シテモ大ニ問ハナケレバナラヌノデアル、要ス
ルニ此吉野川改修問題ノ、斯ノ如ク粗漏ナル點、斯ノ如ク
不完全ナル點ニ對シテ、之ヲ總括シテ申セバ、幅モ廣クナッ
タハ、川敷モ深クナッタハ、築堤ガ高クナッタハト云フ爲メニ、
水勢ヲ妨ゲルカト云フモノハ大ニナルノデアル、其大ニナル
ガ故ニ、若シ決潰ヲスルトスレバ、改修以前ニ比シテ數倍ノ
害ヲ被ルコトモ、亦是レ道理ノ然ラシムル所デアル、斯ノ如
キ場合ニ立至ッテ居ルノデアル、誠ニ改修其ノモノヽ效力ハ
更ニ無イ、是マデニ八百万圓ノ起工費ヲ投ジテ、改修セザ
ル前ニ比シテ數倍ノ災害ヲ來スト云フコトハ、甚ダ怪ムベキ
話デアル、金ヲ入レテ却テ金ヲ入レザル-改修セザル前ニ
比シテ、數倍ノ災害ヲ來スト云フコトハ、甚ダ怪訝ニ堪ヘナ
イ、立憲治下ノ怪事ト謂ハナケレバナラヌノデアル、殊ニ今囘
ハ又追加トシテ卽チ百三十九万圓ノ改修費ガ見エテ居ル
ガ、吾とモ亦大ニ之ヲ協賛シナケレバナラヌガ、協賛スルト同
時ニ、而モ之ヲ有效ニ使ウテ貰ハナケレバナラヌ、有益ニ使用
シテ貰ハナケレバナラヌノデアル、斯ノ如ク無用ニ使用スル
ヨリカ、大ニ有益ニ使用センナラヌト云フコトニ付テ、從來
ノ如キ不完全、粗漏ナル方法ヲ一變スル御意見デアルカ、
又從來ノ方法ヲ持續スル方針デアルカ、又是マデノ築堤ニ
對シテ、斯ク決潰ノ兆候ガ現レテ居ル處ニ對シテ、應急策
ヲ施スノ御意見ハ如何デアルカ、又聞門ノ經營設備ガ出
來テ居ラヌノニ對シテ、施設經營ナサルト云フコトニ對シテ
ハ、如何ナル御方針デアルカ、ドウシテモ本年ノ秋ノ出水マ
デニ、所謂雨降ラザルニ牗戶ヲ綱繆シナケレバナラヌノデア
ル、是等ノ防禦ト云フモノハシナケレバナラヌノデアル、此等
ノ改修工事ヲ再改修スルカ、尙ホ此石卷ヲ全部ニ致シテ、
尙ホ堅固ニ致スカ、是等ニ對シテ大ニ吾ヒハ聽カント欲ス
ルノデアリマス、從來斯ノ如ク改修工事ニ於テ百害百出致
シタル所以ノモノハ、官僚的屬僚政治ノ通弊トシテ、國利
民福ヲ口ニシテ、實際ニ行ハズ、實際ニ致サズ、唯〓官僚的
机上ノ形式ニノミ拘泥スルヲ以テ、施設ノ方針トシテ改メ
ヌカラデアル、殊ニ此間違ツテ居ル所ノ方針ヲ以テ金科玉
條ト致シテ居ルノデアル、吾〓ハ豫テヨリ此事ニ對シテハ指
摘シテ止マヌノデアル、今回ノ此吉野川改修問題ノ如キ
ハ、所謂官僚的屬僚政治ニ流レテ居ルト云フ活キタ手本
デアル、然ルニ現内閣ハ自ラ稱スラク、民意ヲ代表シ、民利
民福ヲ增進スルヲ以テ本旨トセラレテ居ルト、果シテ然ラバ
斯ノ如キ默スベカラザル所ノ失敗タルベキ方針、此工事ニ
對スル不完全、斯ノ如キ誤ッタ所ノ失政ヲ直チニ改廢シテ、
愈こ民意的本領ヲ發揮シテ貫ヒタイモノデアル、願クハ現内
閣ニ於テハ、吉野川沿岸ノ民ヲシテ怨ナカラシメ、枕ヲ高ウ
シ安心スベキ程度ニ於テ、御親切ナル御答辯ヲ煩ハシタイ
ノデアリマス、是ダケヲ·
〔拍手起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=23
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024・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 池田政府委員
〔伊東知也君「議長、議事ノ進行ニ就テ」····ト呼
己発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=24
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025・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 政府委員ニ發言ヲ許シマシタ
〔政府委員池田宏君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=25
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026・池田宏
○政府委員(池田宏君) 唯〓ノ御質問ニ對シマシテハ、
追テ書面ヲ持シテ御答辯ヲ致シマス
〔伊東知也君「議長々々」ト呼フ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=26
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027・濱田國松
○副議長〔濱田國松君〕 質問第四、航空取締ニ關スル
質問、横山勝太郞君
四航空取締ニ關スル質問(橫山勝太郞君提出)
航空取締ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正八年二月十二日
提出者橫山勝太郞賛成者小西和
外三十二人
航空取締ニ關スル質問主意書
航空機關ノ發展ニ件ヒ歐米各國ニ於テハ既ニ航空法ヲ
設定シ殊ニ國際飛行ニ關シテハ多大ノ注意ヲ拂ヒツツ
アリ今回ノ講和會議ニ於テモ米佛英伊ノ四大强國ハ航
空法案ニ就テ特ニ協議會ヲ開始シタルハ巴里電報ニ元
セルカ如シ然ルニ我カ日本ニ於テハ未タ航空法ニ關スル
規定ナキノミナラス巴里會議ニ參加セサル理由如何
我カ日本ニ航空法ノ規定ナキヲ奇貨トシテ昨年來外國
人ニシテ我カ國内ニ於テ無條件ニテ長距離飛行ヲ企圖
スル者アリ當局ニ於テハ果シテ斯ル行動ニ對シ絕對的
危險ナシト思惟スルヤ如何若國防上多少ノ危險ヲ慮ル
者アリトセハ斯ル場合ニ於テ如何ナル手段ヲ取ラムトス
ルヤ反之萬一國防上危險ナシトシテ默過シタル後不測
ノ事故ニ際會シタルトキハ當局ハ果シテ其ノ責ニ任スル
ヤ如何
右及質問候也
〔橫山勝太郞君登壇〕
〔拍手起ル〕
〔伊東知也君「議長-議長-議長横暴デハナイ
カ」「議長公平」ト呼フ者アリ〕
〔伊束知也君「先例ニアリマセヌ」「議長公平」ト呼フ
者アリ〕
〔伊東知也君「公平デハナイ不公平ダ先例ガ無イ」ト
呼フ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=27
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028・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 伊東君、靜肅ヲ望ミマス
〔伊東知也君「靜粛デハナイ、議事ノ進行ダ」ト呼フ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=28
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029・横山勝太郎
○横山勝太郎君ニ航空法ノ制定ニ就テ、 聊カ質問シテ置
キマス····伊東君何デス(伊束知也君「何ガ何ンダ」ト呼フ)
無禮ナ事ヲ仰シヤルナ(伊東知也君「ドッチガ無禮ダ」ト呼
フ)無禮デス··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=29
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030・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 私ニ應答スルコトヲ許シマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=30
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031・横山勝太郎
○橫山勝太郞君 航空法ノ制定ニ就テ、極メテ簡單ニ當
局ニ質問ヲ致シタイノデアリマス、既ニ海陸軍ニハ航空隊ガ
アリマス、ソレカラ民間ニハ。帝國飛行協會ナルモノモアリマ
シン、當代ノ名士ハ悉ク之ニ網羅セラレテアリマシテ、畏多
クモ久邇宮邦彥王殿下ヲ總裁トシテ戴イテ居リマス、現シ
昨年八月五日ニハ、五十万圓ノ御下賜金ガアリマシテ、民
間カラモ約五十万圓ノ寄附金ヲ集メテ居ルヤウナ次第デア
リマス、此帝國飛行協會ニ對シテハ、色と民間ニ議論ガア
リマスヤウデアリマスガ、是ハ併シ事實ノ眞相ガ分リマセヌ、
當局ニ於キマシテハ、宜シク航空法ノ制定ニ關シテ、是ガ御
取締ヲ願ヒタイノデアリマス、ソレニ就テ第一ニ質問シテ置
キタイノハ、新聞紙上ニ掲ゲラレテアリマス所ノ外國電報ノ
報ズル所ニ依レバ、既ニ巴里ニ於キマシテ、航空會議ナルモ
ノガ開催セラレタノデアリマスガ、其航空會議ニ對シテ、我
日本ノ使節ハ加入致シテ居ラヌト云フコトニ承ッテ居リマ
ス、是ハ將來ノ爲メニ由々敷キ大事ト考ヘマスガ、何故ニ航
空會議ニ參加致シマセヌカ、其理由、竝ニ現今ニ於ケル航
空會議ノ經過、竝ニ將來我國ハ、之ニ對シテ如何ナル態度
ヲ執リマスカ、此數點ニ就テ承リタイノデアリマス、色ニ申
上ゲタイ點モアリマスガ、今日ハ之ヲ省略シテ置キマス、ソレ
カラ第二ニ承リタイノハ、航空法ノ制定ニ關シテ至大ノ關
係ヲ持ット考ヘマスガ、領海竝ニ領土ノ上空ハ自由ナリトノ
原則ヲ認メマスルカ、或ハ我國ノ領海我國ノ領土ノ上ニ於
テハ、我國ニ於テ空中主權ヲ持ッテ居ルト云フ主義ヲ執ル
カ、此根本義ニ就テ御說明ヲ煩シタイノデアリマス、學者ノ
唱フル所ニ依レバ、航空ハ自由デアルト云フ說モアリマス、
卽チ航空ハ自由ニスルニ非ズンバ、人類ノ自由ノ行動ヲ妨
ゲルト言ヒ、又或說ニ依レバ、空中ノ主權ヲ認ムルニ非ズン
バ、領土權ノ本質ヲ完ウスルコトガ出來ナイト言フ、此兩說
ガアリマス、此兩說ノ委シキ說明ハ私ヨリ之ヲ爲ス必要ハ
認メマセヌガ、當局ニ於テハ、兩說ノ孰レヲ採ラントスルノデ
アリマスカ、若シ領土領海ノ上空ニ於テ絕對ノ自由デアル
トノ原則ヲ認メマスト云フト、我日本ノ領土領海ノ上ヲ、他
國ノ飛行機飛行船ガ通行致シテモ、之ヲ承認シナケレバナ
ラヌ、若シ空中ノ主權ヲ認メルト云フコトニナリマスレバ、他
國ノ飛行機飛行船ニ對シテハ、何等カノ制限ヲ取ラネバナラ
ヌト云フ結果ヲ生ズルノデアリマス、傳フル所ニ依レバ、巴里
ニ於ケル航空會議ニ於テハ、絕對自由ノ說ヲ採ルト云フヤ
ウナコトモ聞イテ居リマスガ、若シ果シテ眞ナリトスレバ、我
日本帝國ニ取リマシテハ、由々敷キ大事デアルト考ヘマス、
此點ニ就テ參照スベキモノハ、英國ノ飛行家「ハンドレー
ページ」氏ハ、昨年十二月十三日ニ往訪ノ某新聞記者ニ語〃
テ申シマスルノニ、英國ニ於ケル民間飛行家ノ飛行ニ關ス
ル檢束ハ、近ク撤去セラレルデアラウ、余ハ印度及更ニ東方
マデノ乘客、竝ニ貨物運搬用飛行ヲ始メントス、斯ウ云フ
大膽ナル演說ヲ致シテ居リマス、卽チ英國ニ於ケル民間飛
行ノ制限ト云フモノハ、悉ク撤去セラレルカラシテ、余ハ印
度其他ノ東洋方面ニ向ッテ、旅客竝貨物ノ運送ヲ始メルト
云フヤウナ希望ヲ述べテ居ルノデアリマス、其次ニハ「マックエ
ワン」將軍ノ便乘シタル所ノ、倫敦ヨリ印度ニ向フ所ノ「ハ
ンモレーページ」氏操縱ノ飛行機、是ハ印度ニ行ク目的ヲ達
セズシテ、伊太利ノ「ビザ」市ニ到著シタ、ソレハ天候不良ナ
ル爲メデアッテ、豫定ヨリハ少シク後レタノデアルト云フコト
ニナッテ居リマス(十二月十九日倫敦發電報)ソレカラ英國
ノ航空省ノ一官吏ノ語ル所ニ依レバ、緬甸、暹羅「スマトラ」
其他ヲ經テ濠洲北方地方ニ至ル著陸地點ノ連絡系ヲ踏
査ノ爲メニ、航空官吏二名印度ニ赴ケリ、巨大ナル「ハント
レイページ」型飛行機ハ右組織完成ノ際ノ飛行ニ用意セラ
ルベシ(ロイテル一月一日倫敦發)斯ウ云フ意見モ述ベラレ
テアリマス、旣ニ英國ノ航空省ニ於テハ、印度方面或ハ東
洋方面ニ飛行機ノ連絡ヲ取ル爲メニ、既ニ二名ノ官吏ヲ
派遣シテ居ルト云フコトニナッテ居リマス、ソレカラ米國ノ女
流飛行家ノ一人ハ、太西洋横斷ノ飛行ヲ企テヽ居リマス、
斯ノ如キ次第デアッテ、今カラ數年前ニハ、浦潮斯德カラ日
本ニ飛行機ガ來ルト云フヤウナ話ヲ承ック際ニ、殆ド之ニ耳
ヲ傾ケル者ハ無カッタノデアリマスガ、今日ニ於テハ太西洋ノ
橫斷ヲ企テル者アリ、既ニ印度方面マデハ、旅客竝貨物運
送ヲ企ツルト云フヤウナ程度ニマデ、飛行機ハ進步致シテ
居ルノデアリマス、此時此際ニ當ッテ、我國ノ領土ノ上空領
海ノ上空ヲ如何ニスベキヤト云フコトハ、直チニ考慮ヲシテ置
カナケレバナラヌ必要ナル點デアルト考ヘルノデアリマス、當局
ノ意見ハ此點ニ就テ、如何ナルモノデアルカトー云フコトヲ承リ
タイノデアリマス、第三ニハ此海陸軍ノ國防上、飛行機飛行
船ヲ如何ニ取扱ハントスルカト云フ點ニ就テ、質問ヲ致シタイ
ノデアリマスガ、現行ノ法令ヲ見マスルト、明治三十二年ノ
法律要塞地帶法ニ於キマシテ、其第七條ニ「何人ト雖要塞
司令官ノ許可ヲ得ルニ非サレハ要塞地帶内水陸ノ形狀ヲ測
量、撮影、模寫、錄取シ又ハ要塞地帶內ヲ航空スルコトヲ得
ス」ソレカラ大正四年ノ法律第十七號ニ依リマシテ多少ノ
改正ヲ加ヘマシテ「前項ノ規定ハ要塞地帶外ト雖第三區ノ
境界線ヨリ外方三千五百間以内ノ區域ニ於テ之ヲ適用ス」
其第七條第二項ノ所謂第三區ト云フノハ、基線ヨリ測リ
テ二千二百五十間以内ト云フコトニナッテ居リマス、卽チ大
正四年法律第十七號ノ規定ニ依ル制限尺數ハ、合計五
千七百五十間ト云フコトニ相成リマス、ソレカラ第三項ニ
於テ「航空ノ許否ニ關シテハ要塞司令官ハ陸軍大臣ノ認
可ヲ受クヘシ」ソレハ陸軍省令ト海軍省令トニ依ッテ規定サ
レテアリマス、斯ノ如キ次第デアッテ、我國ニ於ケル要塞地帶
法ガ、航空ノ問題ニ關シテハ洵ニ貧弱ナル立法ヲ爲シテ居
ルニ過ギマセヌ、其他關東州ノ防禦營造物地帶令、是ニモ
要塞地帶法同樣ノ規定ガアリマス、朝鮮ニモ僅ニ同樣ノ規定
ガアリマス、卽チ飛行機ニ關シ、若クハ飛行船ニ關シテハ、我
國ノ法令ニ於テ、全ク其規定ヲ缺イテ居ルトハ申シマセヌケ
レドモガ、到底此日進月步ノ飛行機飛行船ニ關シテ、海陸
軍ノ防備ヲ完ウスル爲メニ必要ト考ヘラレル所ノ法令ト云
フモノハ、一モ無イノデアリマス、私ハ專門家デアリマセヌカ
ラ詳シイ事ハ無論分リマセヌガ、唯今申上ゲタ五千七百五
十間ト云フ制限ガアリマシテモ、之ニ對シテ相當ナル立法ヲ
爲スニ非ズンバ今飛ンデ居ル所ハ五千七百五十間以內デ
アル、以外デアルト云フ事實問題ヲ起シマシタナラバ、其時
分ニハ如何ニシテ之ヲ取締ルノデアリマスカ、唯〓要塞地帶
法ノ罰則ニ、一年以下ノ懲役トカ罰金トカ云フヤウナコト
ハ規定シテアリマスケレドモ、單ニ此罰則ノミニ依ッテ、重大
ナル陸海軍ノ國防上ノ事ノ目的ヲ達スルト考へテ居ルト云
フ事柄ハ、餘リニ大膽ニ失スルト考ヘマス、要塞地帶以外ニ
於キマシテモ、火藥庫モアリマス、又兵營モアリマス、其他砲
兵工廠トカ、被服廠トカ、糧抹廠トカ、色と海陸軍ノ防備
ニ必要ナル機關ガゴザイマスガ、此貴重ナル海陸軍ノ國防
上ノ直接間接ノ機關夕ル物ノ上ヲ、飛行機トカ飛行船ト
云フモノガ自由ニ飛ンデ步クコトガ出來ルヤウニ現行法ハ
ナッテ居リマス、是ハ不備モ亦甚シト私ハ信ズル考デアリマ
ス、此點ニ就テ如何ナル御考ヲ御持デアリマスガ、切ニ聽カ
ントスル點デアリマス、ンレカラ第四點ニ於テ御尋致シタイ
點ハ、唯今申上ゲマシタ要塞地帶法ノ規定ノ裏面ノ解釋
ニ依レバ、要塞地帶法ノ第七號第一項及第二項ニ於テ制
限シテアリマス以外ハ、日本ノ飛行機ハ勿論ノ事、外國ノ
飛行機ト雖モ、飛行船ト雖モ、自由ニ飛ンデ步クコトガ出
來ルヤウニナッテ居リマス、何トナレバ要塞地帶法ノ規定ハ、
要塞地帶ノ上若クハ要塞地帶ノ附近ヲ航行スルコトヲ禁
ジタルノミデアッテ、其他ニ付テハ、何等ノ規定ヲ持ッテ居ラヌ
ノデアリマスカラ、此禁令以外ノ場所ハ、自由ニ飛行機モ、
飛行船モ、航空スルコトガ出來ルト云フ結論ニ至リハセヌカ
ト考ヘマス、隨テ外國人竝ニ內國人ニ對シテ屢〓問問題トシテ
起ッテ居リマス點ハ、所謂長距離飛行ノ問題デアリマス、或
ハ大阪ヨリ東京マデ郵便飛行ヲヤルトカ、或ハ東京カラ大
阪マデ外國人ガ飛行スルトカ云フヤウナ色こナ問題ガ起ッテ
居リマス、是等ニ關シテハ一モ取締法規ガ無イノデアリマ
ス、現今ニ於テハドウシテ取締ニナッテ居ルノデアリマスカ、吾
吾國民トシテ甚ダ憂慮ニ堪ヘヌ點デアルノデアリマス、ソレカ
ラ第五ニ御尋ヲシテ置キタイノハ、此土地所有權ト飛行機
飛行船トノ關係、言葉ヲ換ヘテ申シマスレバ、土地所有權
ト上空ノ關係デアリマス、是ハドウ云フ工合ニ法律關係ガ
ナルモノデアルト云フコトヲ御認ニナッテ居リマスカ、陸海軍
ノ大臣ニ於テ御答辯ガ出來ナイト云フコトデアリマスナラ
バ、司法大臣デモ結構デス、又內務大臣ト雖モ決シテ異存
ハ言ハヌノデアリマス、民法ノ二百七條ノ規定ニ依レバ「土
地ノ所有權ハ法令ノ制限內ニ於テ其土地ノ上下ニ及フ」
斯樣ニ相成シテ居リマス、卽チ日本國民ノ持ッテ居ル所有權
ハ、法律或ハ行政命令ノ制限ノ範圍內ニ於テ、土地ノ上下
ニ及ブ、此上下ト云フ範圍ハ甚ダ問題デアリマス、上ハ何所
マデ行クカ、下ハ何所マデ行クカ、學者ノ間ニ於テモ議論ノ
アルヤウニ考ヘテ居リマス、而シテ此民法二百七條ハ、土地
ノ所有權ニ關シテ、法令ノ制限內ニ於ケル自由ト云フコト
ヲ認メテ居リマスガ、法令ノ規定ヲ案ズルノニ、鑛業法ノ規
定ニ於テ、地下ノ鑛物ハ國家ニ屬スルト云フ規定ガアリマ
ス、又狩獵法ニ於テ、空中ヲ飛翔スル鳥類ノ狩獵ヲ許可シ、
又地上ヲ走ル獸類ノ狩獵ヲ許可致シテ居リマスカラシテ、
此狩獵法ノ制限ノ範圍ニ於テハ、此所有權ノ制限ヲ受ケ
テ居ルコトハ明瞭デアリマス、又電氣事業法ノ規定ニ依リ
マスルト、其第十條ニ、電氣事業者ハ必要アルトキハ現在
ノ使用方法ヲ妨ケサル限度ニ於テ、他人ノ地上ノ空間若ク
ハ地中ニ電線路ヲ施設スルコトヲ得ト、斯ウ云フ規定ガアリ
マスガ、此規定以外ニ、日本國民ノ持ッテ居ル所有權ヲ制限
シタル法律モ命令モ無イト考ヘテ居リマス、サウスルト此民
間ノ飛行機、飛行船ハ勿論ノ事、國家ノ所有ニ屬スル飛
行機飛行船ト雖モ、猥リニ個人ノ土地ノ上空ヲ航空スル
ト云フ事柄ハ、憲法ニ依シテ保障セラレテ居ル所ノ、土地所
有權ノ侵害ニナルト私ハ考ヘテ居リマス、此故ニ海軍省ノ
飛行船トカ、或ハ陸軍省ノ飛行隊ト云フモノガ、帝都ノ上
空其他村落ノ上空ヲ自由自在ニ翔廻ッテ居リマスガ、是一
法令上ノ根據ト云フモノハ全ク無イノデアリマス、是ハ如何
ナル根據ニ於テ、吾と國民ノ上空ヲ自由自在ニ飛步イテ居
ルノデアリマスカ、此法令上ノ根據ヲ承リタイノデアリマス、
之ニ關シテモ、至急ニ航空法ヲ制定スル必要ガアルト云フコ
トハ勿論デアルト考ヘマス、第六ニ特ニ御尋シタイ點ハ、一般
航空法制定ノ必要ト云フコトノ根據ニ就テ、特ニ內務大臣
ノ御答辯ヲ願ヒタイノデアリマスガ、理窟ヲ一切止シマシ
テ、事實ダケヲ爰ニ申上グテ置カウト考ヘマス、此飛行機飛
行船ノ進歩發達ニ付テ、個人ノ生命財產ト云フモノハ、非
常ナル危險ニ頻シテ居リマス、其事例ノ數點ヲ擧ゲマスト、
飛行機ニ依シテ殺害セラレタル事例ハ、大正四年十一月二
十一日ニ、陸軍ノ航空除附荒瀬中尉ハ、束北演習ノ際、靑
森縣南津輕郡五〓村角田周助三女テツヲ推進機ニ懸ケ
デ殺戮シ、外一人ノ重傷者ヲ出シマシタ、二ニ同年四月二
十三日、静岡縣東松浦郡愛知村ニ於テ、民間飛行家吉森
音吉ハ、同村飯田鶴乃ニ衝突シテ之ヲ死亡セシメマシタ、
三ハ大正五年六月三日、追濱海軍航空隊附井上大尉ハ、
神奈川縣金澤村ノ漁夫神明長次郎ノ頭部ニ重傷ヲ負ハ
シメ、之ヲ死亡セシメマシタ、四ニ大正五年六月十日ニ、宮
崎縣都城ニ於テ、民間飛行家中澤某ハ飛行中群衆中ニ墜
落シ、卽死者二人、負傷者四人、氣絕者一人ヲ出シマシタ、
五ニ、大正六年九月九日、民間飛行家立石關二ハ、岐阜縣
大垣市ニ於テ飛行中、群衆中ニ墜落、卽死二人、負傷者數
名ヲ出シマシタ、ソレカラ財產ニ對スル危險ノ點モ一二申
上ゲテ、内務大臣ノ御參考ニ供シマスガ、大正三年七月十
九日、廣島市練兵場ニ於テ、民間飛行家坂本壽一ハ、飛行
ノ際附近ノ人家ノ屋上ニ墜落シ、財產上多大ノ損害ヲ與
ヘマシタ、二ハ大正五年三月八日海軍航空隊阿部中尉ハ、
帝都訪問飛行ノ際、東京芝區明舟町陸軍將官ノ町田氏
ノ邸宅ノ上ニ墜落シテ、非常ノ損害ヲ與ヘテ、同乘者ト共
ニ慘死シマシタ、第三ニ、大正七年四月、日ハ分リマセヌ、
名古屋市ニ於テ陸軍航空隊附伊庭中尉ハ、德川大尉ト
共ニ同乘飛行中、同市ノ人家屋上ニ墜落シ、非常ノ損害
ヲ與ヘマシタ、其他大正六年五月六日、民間飛行家玉井
〓太郎ト云フ人ハ、帝都訪問飛行中、芝浦埋立地ニ墜落
シ、火災ヲ起シ慘死致シマシタ、是ガ若シ市中ニ落チタナラ
バ、一大慘事ヲ惹起シタコトヽ存ジマス、斯ノ如キ次第デ
アッテ、私ガ調査致シマシタ所ニ依リマシテモ、吾こノ生命財
產ニ對シテ、飛行機ト云フモノガ如何ナル危險ヲ與ヘテ居
ルカト云フ事柄ノ、一端ヲ知ルコトガ出來ルノデアリマス、此
三四ノ事例ヲ見テモ、亦以テ航空法ヲ制定シテ、飛行機飛
行船ノ奬勵ヲ爲スト同時ニ、國民ノ財產、國民ノ生命ヲ保
護スル必要ガアルト考へマス、昔ハ地震雷火事ト云フモノガ
一番怖イト云ウテ居リマシタガ、現今ニ於テハソレ以外ニ、
飛行機ノ如キ非常ナル威力ヲ有スル破壞力ヲ有スル所ノ
文明ノ利器ガ、吾と國民ニ對シテ非常ナル危害ヲ與ヘルト
云フ上カラ、餘程政府當局ニ於テ、御考ガナケレバナラヌ點
デアルト考ヘマス、殊ニ内國ノ問題ハ姑ク措クトシマシテ、外
國トノ交涉デス、卽チ外國飛行機飛行船ト云フヤウナモノ
ガ、航空自由原則ニ依シテ、我と帝國內ノ領土領海ノ上空
ヲ飛行スルト云フヤウナコトガアッテハ、國防上ニ於キマシテ
モ、多大ナル危險ヲ感ズルノデアリマス、此數點ニ關シテ如
何ナル御考慮ヲ御持デアリマスカ、詳細ナル御答辯ヲ御願
マスル次第デアリマスル発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=31
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032・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 質問第五、市町村吏員優遇ニ
關スル質問、荒川五郞君
五市町村吏員優遇ニ關スル質問(荒川五郞君
提出)
市町村吏員優遇ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正八年二月十四日
提出者荒川五郞賛成者井原百介
外百七人
市町村吏員優遇ニ關スル質問主意書
市町村吏員ハ國ノ基礎タル自治中樞ノ最必要機關ニ
シテ其ノ執ルトコロノ事務ハ〓育產業衞生徴稅土木兵
事戶籍統計等其ノ大部分ハ國及府縣ノ行政ニシテ國
家ノ上ヨリ見ルモ亦極メテ必要ノ公務員タルハ多言ヲ
要セス
隨テ其ノ適良ノ人物ヲ得ルハ最緊切ノコトニシテ之ヲ優
遇奬勵スルノ途ヲ開クハ目下ノ急トスル所ナルニ拘ラス
未タ其ノ實現ヲ見サルハ自治ノ發達振興ヲ圖ル上ニ於
テ將タ國運ノ進展隆昌ヲ期スル上ニ於テ頗ル遺憾ノコ
トタリ
仍テ本員等ハ第四十囘議會ニ於テ市町村吏員優遇ノ
建議案ヲ提出シタルニ其ノ特別委員會ニ於テ當時當局
大臣ハ大體其ノ趣旨ヲ容レ考慮實行セムトノ說答アリ
タリ
然ルニ本年ノ紀元節ニ於テ只全國九十餘町村長ニ對
シ一級昇動アリシノミニシテ最多年勤續者ノ極メテ小
範圍ニ止リ且助役以下ノ吏員ハ其ノ恩典ニ與カラス此
ノ如キハ決シテ其ノ目的ヲ達スル所以ニ非サルナリ
政府ハ他ニ講究計劃スルドコロ無キカ
右及質問候也
〔荒川五郎君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=32
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033・荒川五郎
○荒川五郞君 諸君、市町村吏員優遇ニ關スル質問ノ趣
意ヲ簡單ニ申上ゲマス、私ハ昨年ノ議會ニ市町村吏員優
遇ニ關スル建議案ヲ提出致シマシタル時ニ、某委員會ニ於
テ、時ノ當局大臣ハ市町村吏員ノ待遇ヲ善クシテ、之ニ適
材ヲ得、且ツ長ク其職ニ安ンゼシムルヤウニシタイト一ムフコ
トハ、政府モ氣ニ掛ケテ居ル所デ、其方法ニ就テハ最モ愼重
ニ考慮ヲ費シツヽアルガ、今日マデ行ッテ居ル所ヲ言ヘバ、市
町村吏員ノ爲メニ、市町村ニ對シテ退隠料、退職給與金
等ノ條例ヲ設ケルヤウニ勤誘ヲ致シ、又長ク市町村長、助
役等ノ職ニ在リテ、公共ノ事務ニ勤勉致シ、功勞ノ顯著ナ
ル者ニ對シテハ、褒章條例ニ依ッテ之ヲ表彰シ、又其功勞
成績ガ優良デアルモ、未ダ褒章條例ニ依レル表彰スルニ至
ラザルモノニ付テハ、明治四十二年以來內務大臣ニ於テ之
ヲ選奬シ、以テ一般ニ奬勵ニ努メテ居ル、併シ尙ホ其他ノ
優遇法ニ關シテハ、考究シテ實行ニ努メルト云フコトデアリ
マシタ、其後昨年政府ニ於テ、此件ニ關シテ特ニ考究セラ
レテ居ルヤウニ新聞紙上ニチラホラ見ヘテ居リ、殊ニ現内閣
ニナッテカラ、市町村長等優遇ニ關シ、政府ハ何カ施設スル
所ガアルト云フ聲モ高マリ、次デ紀元ノ佳節ニ方ッテ、是
ガ實現スル由デアルト云フコトガ傳ヘラレテ居リマシタカラ、
私共窃ニ期待シテ居ッタノデアリマス、紀元節ハ來マシタ、果
シテ全國ノ市町村長ニ〓動ノ恩典ガアリマシタ、ソレヲ見マ
スルノニ、全國一万三千ノ市町村長ノ中デ、僅ニ九十五
名、然モ二十八年以上勤續デ、二十八年以上勤續ト云フ
極メテ永キ勤續者、謂ハヾ殆ド市町村制實施以來引續イ
テノ勤續者バカリニ、此恩典ガアッタノデアリマス、此中ニハ
市長ハ全國ニ一人モアリマセヌ、又町村長モ一人モ無イ府
縣ガ段々アル位デアリマス、甚ダ意外ニ感ジ、且ツ失望致シ
タノデ、仍テ已ムナク爰ニ質問ヲ提出致シタ次第デアリマ
ス、諸君、市町村ノ事務ハ今更申上ゲルマデモアリマセヌ、
自治ハ一ノ小國家トモ申スベク、國家ノ事務ハ皆ナ市町村
ニ於テモ、同ジク同種ノ事務ヲ有シテ居リマス、〓育、土木、
稅務、衞生、兵事、戶籍、統計等、中〓煩雜デ、凡テノ法令ヤ
習慣等ヲ諳ンズルコトヲ要スルノミテハナク、其事務ノ中デ
モ、市町村固有ノ事務ハ僅ニ其一部分ニ止ッテ、大部分ハ
悉ク皆ナ國ヤ府縣ノ事務デアリマス、故ニ其名ハ自治ノ吏
員ト云フモ、其實執ル所ノ事務ハ、國家ノ官吏ト更ニ異ル
所ハナイノミナラズ、唯國及府縣ノ事務ノ中デ無イト云フ
ノハ、警察事務ガ無イ位デアリマス、他ハ悉ク關係ガ有ル、新
ニ一ノ法令ガ出マスルト云フト、直チニ市町村ニ一ノ事務
ガ增シテ來マス、彼ノ先年行ハレタ行政整理ノ如キデモ、行
政ヲ整理シテ簡易ニスルニ非ズシテ、官廳ノ事務ヲ押集メ
テ、之ヲ市町村ヘ持込ムト云フ結果ヲ來シ、年々歲々其事
務ハ增シテ來ルバカリデアリマス、此度行ハレル國勢調查ノ
如キニシマシテモ、主ナルモノハ市町村長ガヤランケレバナラ
ヌ、市町村ガ實ニ其主タル事務ヲ執リマスルノデ、此類ノ新
事業、新國務ハ、續々トシテ年々加ハリ來ルノデアリマス、斯
ウ云フ場合ニ官廳デハ特別ノ課ヤ係ヲ設ケマスルケレドモ、
市町村ハ皆ナ之ヲ一手ニ引受ケナケレバナラナイ、隨ッテ是
等ノ舊イ法、新シイ命令ハ悉ク之ヲ能ク知悉シ、習熟ヲ要
スル上ニ、市町村ノ事情、內情、人民ノ程度、貧富等モ悉
ク知拔イテ居ラナケレバナラナイ、上級官廳ト人民トノ間ニ
在ッテ、官廳カラハ壓サレ、人民カラハ又色こ我儘ヲ言ハレ
テ、其面倒デアリ煩雜デアルコトハ、他ノ官廳ト決シテ同
日ノ論デハアリマセヌ、隨テ之ニ適當ナル人ヲ得ルコトハ實
ニ容易デナイ、其事務ヲ執ル爲メニ其人物ヲ要スルコト
ハ、國家府縣ト寸毫モ異ル所ハアリマセヌ、否ナヨリ以上ニ
其人物ヲ要スルノデアル、デ其六ヶ敷イ町村長以下三役ノ
者ガ、四年改選ノ法トナッテ居リマスカラ、別シテ其人ヲ得
テ、長ク其職ニ安ンズルト云フコトハ六ケ敷イノデアリマス、
併シ自治其ノモノガ旣ニ永久デアル以上ハ、均シク永久繼
續ノ力ヲ要シ、其適材ヲ得ルヲ要スルコトハ、勿論申スマデ
モナイノデアリマス、然ルニ諸君、官吏ハ唯こ一局部ノ事務
ヲ執レバ、ソレデ先ヅ誰デモ出來ルノデアル、勿論官吏モ其
人物ヲ要シ、適材ヲ要スルコトハ申スマデモアリマセヌケレド
モ、凡庸ノ人デモ官吏ハ務マル、凡庸デモ年限ガ經テバ、位
階モ授ケラレルシ、敍勳ニモナルガ、市町村長ノ如キハ中ミ
サウハ行キマセヌ、況ヤ今日競爭ノ激シイ時ニ二度モ三度
モ引續イテ當選ヲ致シ、此難儀ナ面倒ナ中ヲ切抜ケルト云
フコトハ、隨分人材デ、又誠實デ、我ガ一身ヲ捧ゲテ努力ス
ル人デナケレバ、到底出來ナイノデアリマス、然ルニ官吏ハ十
五年モ經テバ敍動トナル、市町村長ハ二十八年-三十
年モ勤續勵精シテ、唯、僅ニ動六等ト云フコトハ、實ニ比
較ニナラヌ話デハアリマセヌカ、私ノ考デハ、市町村長ニモ既
ニ勤續ノ年限デ恩典ニ算スル以上ハ、官吏ヨリハ却テ其年
限ヲ短クスルノガ相當デハナイカト思フノデアリマス、ガ一體
此法律トカ官制等ハ、上ノ人ニ非常ニ厚ク、下ノ者ニハ極メ
テ薄イノデアリマス、婦人ノ作ッタ法律ガ無イカラ、婦人ニ酷デ
男子ニ寛ダト云フコトモアリマスガ、矢張之ト同ジク官制等
モ上級ノ官吏ガ作ッタモノデアリマスカラ、上級ノ官吏ニハ
手厚ク出來テ居リマスルケレドモ、下級ノ者ニハ極メテ
薄イノデアリマス、殊ニ唯〓官吏ト云フ名前ガ無イノミデ、官
吏ト同ジヤウナ事務ニ鞅掌シナガラ、其者ニハ大ナル等差ヲ
設ケ、差別ヲ立テヽ居ル、例ヘバ〓員、又此自治ノ吏員ト云
フヤウナ者ハ、全ク別物ニ取扱ハレテ居ルト云フコトハ、全
體根本ノ考ガ違フト思ヒマス、是故ニ地方制度布カレテ三
十年、豫期シタル自治ノ發達ハ一向ニ見ルコトガ出來ナイ
ノミナラズ、其事務ハ地方到ル處澁滯シテ、自然自治ノ活
動モ出來ナイ、隨テ其爲メニ國務モ進步發展シナイト云フ
ヤウナ有樣デアルト私ハ思フ、斯ウ云フ譯デアリマスカラ、國
運ノ進歩隆盛ノ上ニモ、自治ノ振興發達ノ上ニモ、市町村
吏員ノ優遇、奬勵ト云フコトハ、極メテ大切、且ツ必要ナ事
ト思フノデアリマス、政府ハ退隱料ヤ退職給與金ノ條例ヲ
設ケルコトヲ勸誘シテ居ルト云フノデアリマスケレドモ、是八、
自治自ラガ定メル仕事デ、政府ノ法令デ定メナイ以上ハ、
自治ノ吏員トシテハ聊カ手盛ノ嫌モアリマス、殊ニ此經費
膨脹困難ノ時ニ於テハ、中ミソレガ實際ニ行ハレ惡イノデア
リマス、勿論全國ノ中ニハ、退隱料條例、或ハ遺族扶助法
ト云フヤウナ例規ヲ自治デ設ケテ居ル處ガアリマス、アリマ
スケレドモ、多クハ死文空法デアリマシテ、」實際ニ於テ其恩
典ニ與ル者ハ、殆ド無イノガ今日ノ實況デアリマス、又政府
ハ褒章條例ノ適用ト云フコトヲ言ハレマスケレドモ、是ハ市
町村吏員ニ特ニ限ッタモノデハナイノデ、一般ノ人ニ對スル
名譽ノ恩典デアリマスカラ、之ヲ以テ必ズシモ市町村吏員
ノ優遇トシテ、特ニ爰ニ擧ゲルコトハ出來マセヌ、先年以來
旣ニ市町村長ニモ敍動ノ途ヲ開カレタ以上ハ、少クトモ普
通官吏ト同様ニ、敍動竝ニ敍位ノ制モ立テ、其他特別ノ表
彰方法モ講ジ、又物質ノ上ニモ出來得ル優遇ノ途ヲ開キ、
以テ適當ノ人物ヲ得、其事務ニ習熟練達シテ自治ノ發達
ヲ圖リ、國家ノ基礎ヲ鞏固ナラシムルト云フコトハ、實ニ大
切ナ事ト思フノデアリマス、政府ハ紀元節ニ、僅カ九十五名
ノ町村長ニ一級陞動セラレタノガアッタノミ、デアリマスガ、
唯〓之ニ止マルノカ、他ニ計畫セラルヽ所ガアルノカ、ソレガ
承リタイ、私ハ敍位敍動等ノ名譽ノ恩典ハ、是非少ナクト
モ官吏ト同樣ノ取扱方ニセラレタイト思ヒマス、敍位條例
ヤ敍勳法ニ於テモ、決シテ之ヲ官吏トカ華族トカ云フ者ニ
限ツテハナイノデアリマス、其文面ヲ見マスルニ、國家ニ動
功アル者又ハ表彰スベキ功績アル者云々ト規定シテアリマ
スカラ、ソレニ依ルコトハ決シテ差支ナイバカリデハアリマセ
ヌ、既ニ實業家ヤ或ハ多額ノ金ヲ政府ニ獻納シタト云フヤ
ウナ者ニモ、敍位〓勳ノ實例ハ少ナクナイノデアリマス、速ニ
地方自治ノ吏員ニ此優遇ヲ及ボシテ、之ヲ奬勵スルノ途ヲ
講ゼラレタイ、尙ホ私ガ一案ト致シマシテ、市町村吏員恩給
基金法デス、市町村吏員恩給基金法ト云フガ如キモノヲ
設ケテ、ソレニハ地方費ヤ又ハ市町村カラモ多少ノ納付金
モサセテモ宜シイガ、大部分ヲ國庫カラ補助シテ、玆ニ此基
金ヲ造ッテ、サウシテ相當資格有ル者ニ、給與スルト云フ事
ニセラルヽコトモ宜イト思フノデアリマス、茲ニ聊カ希望ヲモ
併セテ、政府ノ計畫ヲ御質問致ス次第デアリマス
〔拍手起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=33
-
034・岩崎勲
○岩崎勳君 緊急事件ノ上程竝ニ審議ノ都合上、爾餘
ノ質問ハ全部延會ノ動議ヲ提出致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=34
-
035・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ハアリ
マセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=35
-
036・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ガ無ケレバ質問第六、質
問第七ハ延會ニ決シマシタ、日程第一、私立學校用地免
租ニ關スル法律案、政府提出、第一讀會ヲ開キマス
第私立學校用地免租ニ關スル法律案(政
府提出)第一讀會
第一條左ニ揭クルモノヽ用ニ供スル土地ニ付テハ納
稅義務者ノ申請ニ因リ其ノ地租ヲ免除ス但シ有料
借地ハ此ノ限ニ在ラス
-私立ノ幼稚園、小學校、中學校、高等女學校、實
業學校、專門學校、高等學校及大學
二前號ニ揭ケサル私立學校ニシテ大藏大臣ニ於テ
指定シタルモノ
第二條前條ノ規定ニ依リ地租ヲ免除スヘキ土地ハ校
舍及寄宿舍、圖書館其ノ他保育又ハ〓育上必要ナ
ル附屬建物ノ敷地竝運動場、實習用地其ノ他直接
ニ保育又ハ〓育ノ用ニ供スルモノニ限ル但シ收益ヲ
生スル土地ニ付テハ大藏大臣ハ免租スヘキ區域ヲ制
限スルコトヲ得
第三條北海道府縣市區町村其ノ他ノ公共團體ハ本
法ニ依リ免租セラレタル土地ニ對シ租稅其ノ他ノ公
課ヲ課スルコトヲ得ス
附則
本法ハ大正九年一月一日ヨリ之ヲ施行ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=36
-
037・高橋是清
○國務大臣(男爵高橋是〓君) 議長発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=37
-
038・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 高橋大藏大臣
〔國務大臣男爵高橋是〓君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=38
-
039・高橋是清
○國務大臣(男爵高橋是〓君) 私立學校用地免租ニ
關スル法律案デゴザイマシテ、〓育振興ニ關シマシテハ、私
立學校ヲモ保護獎勵致シマシテ、其健全ナル發達ヲ圖ルノ
必要ガアルノデゴザイマス、仍テ其〓育上必要トスル用地ニ
對シマシテ、地租ヲ免除致シ、以テ私立學校ノ發達ヲ圖ル
ベキ趣旨ヲ以テ、此法案ヲ提出致シタル次第デゴザイマス、
御審議ノ上御協賛ヲ與ヘラレンコトヲ切望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=39
-
040・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 此場合質疑ヲ許可致シマス、樋
口秀雄君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=40
-
041・樋口秀雄
○樋口秀雄君 極メテ簡單デアリマスカラ、此席上デ申シ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=41
-
042・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 許可致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=42
-
043・樋口秀雄
○樋口秀雄君 〓育ノ振興ニ關シマシテハ、豫テ吾ミカラ
質問ヲ致シマシタ當時ニ、中橋文部大臣ハ、私立學校ノ件
ニ言及致シマスルト、是モ考慮中デアルカラシテ、必ズ何等
カノ案ヲ出スト云フ御答辯デアッタ、又政友會ノ諸君ニ於カ
レマシテモ、〓育振興ヲ以テ一大政策ニ數ヘラレテ居ル極
メテ重大ナル案デアル、吾こノ出シマシタ〓育振興案ハ、政
府ノ考慮中ナル故ヲ以テ、卽決セラレタモノニ外ナラヌモノ
ト信ジテ居ッタ、然ラバ私立學校ニ對シマシテ如何ナル御名
案ガアルカ、考慮中ノ考慮中カラ生出夕最初ノ案ハ、高等
諸學校ノ增設デアリマス、假令早急ノ政策ニセヨ何ニセヨ、
〓ニ角大キナ案ヲ提出ニナッテ、私立學校ニ對シテモ亦多
大ノ恩澤ノアルモノト期待致シマシタ所ガ、思ヒキヤ今回御
提出ニナリマシタ案ハ、僅ニ前三回繼續致シマシテ衆議院
ヲ通過致シマシタ建議、私立學校用地免租ニ關スル法律
案ヲ出サレマシタニ過キナイ、泰山嗚動シテ鼠一匹ノ感ガア
ル、言責ヲ重セラルヽ中橋文相ト致シマシテ、此議會ノ開期
尙ホ三週間ヲ餘シテ居リマスカラ、定メテ此以外ニ御提案ガ
アルト思ヒマスガ、果シテ私學優待ニ對シテ、何等カノ御提
案ガアルノデアルカ、唯、是切リデ-是一ツデ以テ、〓育
振興私學奬勵ト云フコトニ打切ニナルノデアルカト云フコト
ヲ先ヅ第一ニ伺ヒタイ、第二ハ此法律ノ其第一條ニ於キマ
シテ、納稅義務者ノ申請ト云フコトガアリマス、所ガ政府ノ
當局者ハ、果シテ私學ノ狀態ヲ御承知デアルカ否ヤ、私立大
學抔ニ於キマシテハ、多クハ自ラ其校舍トシテ用井マス宅地
ト云フモノヲ所有シテ居ル、卽チ納稅義務者ガ、自己ノ負
擔減少ノ爲メニ之ヲ申請スルノデアリマスガ、ンレ以外ノ學
校ニ至リマスルト、多クハ借地デアリマス、借地デアリマスル
カラシテ、若シ私學奬勵ノ意味デアリマスレバ、其土地ノ使
用人ノ申請ニ依ッテ、免除スベキガ當然ダラウト思ヒマスガ、
假リニ神田邊ノ或慾張リタル地主ノ如キ者ガ、自分ガ納稅
義務者デアルガ爲メニ、、自分ノ用地ハ免除シテ貰フ、附加
稅ヲ免除シテ貰フ、サウシテ私立學校ニ舊通リノ地代デ貸
スト云フコトニナッタ時ハ、何人ガ利益ヲ受ケマスカ、何所ニ
私立奬勵ノ意味ガアリマスカ、更ニ解サレナイ、何ガ故ニ此
用地申請ト云フコトニ爲サラナカッタノデアルカ、併シ但書
ガアル通リ、借地人タル私學ニ此恩典ヲ與ヘヌナラバ、此案
ハ私學ノ奬勵デハナイ、私立學校ノ土地ノ所有者ニ對シテ
恩典ヲ加ヘル、ドウモ私學奬勵ト云フ事ノ意味ヲ見出スコ
トガ出來ヌノデアリマスガ、之ニ對スル御考如何、此二點ノ
御答辯ヲ願ヒマス
〔國務大臣中橋德五郞君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=43
-
044・中橋徳五郎
○國務大臣(中橋德五郞君) 唯今ノ樋口サンノ御質問
ニ御答ヲ致シマス、私學奬勵ト云フコトニ付キマシテ本案
ヲ提出シタハ、泰山鳴動鼠一匹ト云フ御話デアリマシタガ、
是ダケデハ稍、其感ガアリマセウ、マダ考ヘテ居ル積リデアリ
マス、併シ餘ス所三週間位シカ御話ノ通リアリマセヌ此議
會ニ向ッテ、追加豫算ヲ出スト云フヤウナ計畫ハ持ッテ居リ
マセヌ、又私學ノ奬勵ハ、必ズヤ三週間ヤ一月、二月ノ問題
デアリマセヌ、大體ニ考ヘナケレバナラヌト思ウテ居リマス、ド
ウカ其點ハ左樣ニ御承知ヲ願ヒマス、ソレカラ私學ガ借地
ヲシテ居リマス場合、其所有者ニ免除シタッテ、効ガ無イデナ
イカト云フ御話デアリマシタガ、ソレハ免除シナイ積リデア
リマス、無料デ借地シテ居ル。學校ニハ免除シマスケレドモ、
有料デヤッテ居ルモノニハ、免除シナイ方法ニナッテ居リマス
カラ、其點ハ尙ホ委シク御承知ニナリタケレバ、大藏ノ當局
者カラ御返事ヲ致シマス、私カラ御返事ヲ致シテモ宜シウゴ
ザイマス、大體ダケ···発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=44
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045・樋口秀雄
○樋口秀雄君 ソレデ十分デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=45
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046・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 日程第二、右議案ノ審査ヲ付
託スベキ委員ノ選擧
第二右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選擧発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=46
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047・岩崎勲
○岩崎勳君 委員ノ數ヲ九名トシ、議長ニ於テ指名セラ
レンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=47
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048・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 岩崎君ノ動議ニ御異議アリマ
セヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=48
-
049・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ガ無ケレバ、動議ノ如ク
本案ハ議長指名、九名ノ委員ニ付託スルコトニ決シマシタ、
日程第三耕地整理法中改正法律案、政府提出第一讀會
山本農商務大臣
第三耕地整理法中改正法律案(政府提出)
第一讀會
耕地整理法中左ノ通改正ス
第一條第三號ヲ第四號トシ「前二號」ヲ「前三號」ニ改メ
左ノ一號ヲ加フ
三開墾又ハ湖海ノ埋立若ハ干拓ニ依ル耕地整理
ニ附隨シテ行フ整理施行地ノ利用ニ關スル必要
ナル工作物ノ設置其ノ他ノ施設
第五條中「消滅シタルトキハ」ノ下ニ「帝室及國ヲ除クノ
外」ヲ加フ
第九條中「登記所」ノ下ニ「、漁業ニ關スル登錄官廳」ヲ
加へ「耕地整理組合ノ組合長、組合副長」ヲ「耕地整理
組合若ハ耕地整理組合聯合會ノ組合長組合副長若
ハ聯合會會長聯合會副會長」ニ改ム
第二十五條中「訴訟ノ目的タリ又ハ整理施行地區ニ編
入後訴訟ノ目的ト爲リタル爲」ヲ「訴訟ノ目的タル爲」ニ
改ム
第二十五條ノ二整理施行地ニ付存スル漁業權カ登
錄シタル先取特催又ハ抵當權ノ目的タル場合ニ於テ
第二十七條ノ二ノ規定ニ依リ補償金ヲ拂渡スヘキト
キハ整理施行者ハ其ノ金額ヲ供託スヘシ但シ先取特
權者又ハ抵當權者ノ同意ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在
ラス
前項ノ規定ハ整理施行地ニ付存スル漁業權又ハ入
漁權カ訴訟ノ目的タル爲訴訟當事者ヨリ請求アリタ
ル場合ニ之ヲ準用ス
登錄シタル先取特權若ハ抵當權ヲ有スル者又ハ訴訟
當事者ハ前二項ノ規定ニ依リ供託シタル金錢ニ對シ
テモ其ノ構利ヲ行フコトヲ得
第二十七條ノ二整理施行地ニ付漁業權存スル場合
ニ於テハ漁業權者ニ對シ、漁業權及入漁權存スル場
合ニ於テハ漁業權者及入漁權者ニ對シ整理施行ニ
依リ生スヘキ損害ヲ補償スルコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依ル補償ヲ受クル權利ハ漁業權者及
入漁權者共同シテ之ヲ有スルモノトス
整理施行者ハ前二項ノ規定ニ依リ損害ノ補償ヲ爲
シタル後ニ非サレハ工事ニ著手スルコトヲ得ス但シ其
ノ損害ノ補償ヲ受クル權利者ノ同意ヲ得タルトキ、第
二十五條ノ二ノ規定ニ依リ供託ヲ爲シタルトキ又ハ
第八十七條第三項ノ規定ニ依リ決定ヲ得タル金額
ヲ供託シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第二十八條中「前條」ヲ「第二十七條」ニ改ム
第四十條ノ二整理施行地區カ數府縣ニ涉ル場合ニ
於テハ本法中地方長官ノ職權ニ屬スル事項ハ關係
地方長官中主務大臣ノ指定スルモノ之ヲ行フ
第五十條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ土地所有者中共有者アル場合ニ於テハ各共
有地ニ付共有者總數ノ二分ノ一以上ニシテ其ノ持
分ノ三分ノ二以上ニ當ル者ノ同意ヲ得タルトキハ其
ノ共有地ニ付同意アリタルモノト看做ス
第六十一條中第十號ヲ第十一號、第十一號ヲ第十二
號トシ左ノ一號ヲ加フ
十耕地整理組合聯合會ヲ設ケ、聯合會ニ加入シ
又ハ聯合會ヲ脫退スル事
第八十條中「二十年迄延期スルコトヲ得」ヲ「五十年以
內ト爲スコトヲ得」ニ改ム
第二章ノ二耕地整理組合聯合會
第八十一條ノ二耕地整理組合ハ登記手續ニ關スル
事項ヲ除クノ外其ノ事業ノ一部ヲ他ノ耕地整理組
合ト共同シテ行ハムトスル場合ニ於テ之ヲ代リ行ハシ
ムル爲協議ニ依リ設計書及規約ヲ作リ地方長官ノ
認可ヲ得テ耕地整理組合聯合會ヲ設クルコトヲ得
聯合會ハ法人トス
聯合會其ノ所屬組合ノ增減ヲ爲サムトスルトキハ各
組合ノ協議ニ依リ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ
聯合會ニ會長一人及副會長一人又ハ數人ヲ置ク
第四十二條ノ二、第四十六條、第五十一條乃至第
五十四條、第五十七條乃至第五十九條第一項、第
六十條、第七十三條乃至第七十五條及第七十七條
乃至第八十一條ノ規定ハ聯合會ニ之ヲ準用ス但シ
第五十九條第一項中土地所有者トアルハ組合、第
七十三條中組合員トアルハ聯合會所屬組合ノ組合
員トス
第八十三條中「組合長若ハ組合副長」ヲ「組合長組合
副長若ハ聯合會會長聯合會副會長」ニ、「組合ノ解散」
ヲ「組合組合聯合會ノ解散」ニ改ム
第八十七條ニ左ノ一項ヲ加フ
第二十七條ノ二第一項ノ規定ニ依ル補償金ニ付亦
前二項ニ同シ
第九十一條中「耕地整理組合ノ組合長若ハ組合副長」
ヲ「組合長組合副長若ハ聯合會會長聯合會副會長」ニ
改ム
第九十一條ノ二中「耕地整理組合ノ組合長、組合副
長」ヲ、組合長、組合副長、聯合會會長、聯合會副會長」
三段六
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣山本達雄君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=49
-
050・山本達雄
○國務大臣(山本達雄君) 耕地整理法中改正法律案、
此提出致シマシタ理由ハ、申スマデモナク、國民必需ノ食糧
ノ生產增加ヲ圖ル爲メニハ、開墾、埋立、干拓等、耕地ノ擴
張ヲ奬勵スルノ急務ナルコトハ申スマデモナイノデアリマス、而
シテ當業者ガ實地ニ其事業ヲ計畫スルニ當リマシテハ、耕
地整理法ニ依シテ計畫ノ組織ヲ立テルノガ、便利ナル場合
ガ多イノデアリマス、然ルニ現行ノ耕地整理法ニ於キマシテ
ハ、現耕地改良ノ外、耕地ノ擴張ヲ主ニ致シテ居ルノブゴザ
イマシテ、此耕地整理ヲ致シテ居リマス土地ヲ、利用スルト
云フ方ニ於キマシテノ諸施設ニ於テ、色〓不便ナ點ガアルノ
デゴザイマス、之ニ向ッテ改正ヲ試ミタイト思フノガ、此案ヲ
提出シタル所以デゴザイマス、ドウカ御審議アランコトヲ望
ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=50
-
051・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 日程第四、本案ノ審査ヲ付託
スベキ委員ノ選擧ヲ議題ト致シマス
第四右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選擧発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=51
-
052・岩崎勲
○岩崎勳君 委員ノ數ハ特ニ十八名トシ、議長ニ於テ指
名セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=52
-
053・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ハアリ
マセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=53
-
054・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ガ無ケレバ岩崎君ノ動
議ノ如ク決シマシタ-日程第五、大正六年度豫備金支
出ノ件、大正六年度豫備金外ニ於テ豫算超過及豫算外
支出ノ件、大正六年度特別會計豫備金支出ノ件、大正
六年度特別會計豫備金外ニ於テ豫算超過及豫算外支
出ノ件、大正六年度大正三年臨時事件豫備費支出ノ件、
大正六年度帝國鐵道特別會計積立金支出ノ件、大正六
年度帝國鐵道特別會計積立金外ニ於テ豫算超過支出ノ
件、何レモ承諾ヲ求ムル件ヲ議題ト致シマス、高橋大藏大
臣
大正六年度豫備金支出ノ件
大正六年度豫備金外ニ於テ豫
算超過及豫算外支出ノ件
大正六年度特別會計豫備金
支出ノ件
大正六年度特別會計豫備金
外ニ於テ豫算超過及豫算外支
第五出ノ件Alburger
ムル件
大正六年度大正三年臨時事
件豫備費支出ノ件
大正六年度帝國鐵道特別會
計積立金支出ノ件
大正六年度帝國鐵道特別會
計積立金外ニ於テ豫算超過支
出ノ件
〔國務大臣男爵高橋是〓君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=54
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055・高橋是清
○國務大臣(男爵高橋是〓君) 唯今議題トナリマシタル
此六件ノ事務承諾ヲ求メマスル提出案ニ付キマシテ、大體
ニ就テ申上ゲマス、大正六年度一般會計第一豫備金ノ豫
算額ハ、二百万圓デゴザイマス、衞生試驗所阿片費、傳染
病豫防檢疫諸費、遞信省諸拂戾金、遞信事業用證票及
式紙類費、其他必要避クベカラザル豫算ノ不足ニ對シテ、
其全部ヲ充用シタノデゴザイマス、大正六年度一般會計ノ
第二豫備金ノ豫算額ハ四百万圓デコザイマシテ、在天津居
留民團水害復舊費補助、各省風水害及火災復舊費、米
國派遣軍艦費、其他必要ナル豫算外ノ支出ニ對シテ、
是ガ全部ヲ充用シタノデゴザイマス、大正六年度大正三年
臨時事件豫備費豫算額ハ八千二百万圓デ、臨時事件ニ
關シ、各省所管ニ於テ豫算外ニ支出ヲ要シタル諸般ノ費
途ニ對シテ、七千六百二十二万餘圓ヲ要シマシタ、大正六
年度一般會計第一第二豫備金ハ、豫算拂切トナリマシ
タ、ンレガ爲メニ陸軍精米精麥及馬糧費、在監人費、遞信
省諸拂戾金、各省水風害復舊費、其他必要ナル費途ニ對
シテ國庫剩餘金ヲ以テ豫算超過及豫算外ノ支出ヲ爲シタ
ルモノガ、七百四万餘圓、大正六年度帝國鐵道特別會計
積立金勘定ニ於テ、補塡金ノ豫定額ハ三百九万餘圓、收
益勘定ニ於テ織道事業費豫算不足ニ對シテ是ガ全部ノ
補塡ヲ致シマシタ、右ノ外尙ホ歲出豫算ノ不足スルモノガ
アリマシタ爲メニ、收益勘定及資本勘定ニ於テ、各〓其歲
入ヲ以テ豫算超過ノ支出ヲ爲シタルモノ、收益勘定ニ於テ
二千四百九十万餘圓、資本勘定ニ於テ二千二百万圓デ
アリマス、右ノ外各特別會計ニ在ッテモ、亦必要已ムヲ得ザ
ル費途ニ對シテ、豫備金又ハ豫備金外ノ歲入ヲ以テ、豫算
超過及豫算外ノ支出ヲ爲シタルモノデアリマス、以上ハ何
レモ緊急避クベカラザル事項ト認メテ、是ガ支出ヲ爲シタル
モノデアリマス、愼重審議ノ上、承諾ヲ與ヘラレンコトヲ御
願致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=55
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056・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 日程第六、本案ノ審査ヲ付託ス
ヘキ委員ノ選舉ヲ議題ト致シマス
第六右議案ノ審査ヲ付託スへキ委員ノ選擧発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=56
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057・岩崎勲
○岩崎動君 委員ノ數ハ特ニ十八名トシ、議長ニ於テ指
名セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=57
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058・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ハアリ
マセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=58
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059・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ガ無ケレバ、岩崎君ノ動
議ノ如ク十八名ノ委員ニ付託スルコトニ決シマシタ-
程第七、精神病院法案、政府提出第一讀會ノ續ヲ開キマ
ス、委員長ノ報告ヲ望ミマス-金杉英五郞君
第七精神病院法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
〔醫學博士金杉英五郞君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=59
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060・金杉英五郎
○醫學博士金杉英五郞君 私ハ唯〓議題ト相成リマシタ
ル、精神病院法案委員會ノ經過竝ニ結果ヲ簡單ニ報告致
シマス、右案ハ甚ダ緊要ナル案デアルト云フコトデ、全會一
致ヲ以テ可決致シマシタ、唯〓玆ニ一言申上ゲ置キタキ事
ハ、精神病院法ハ、事人權ヲ拘束スルト云フコトヲ頗ル顧
慮シナケレバナラヌト云フ、委員諸君ノ御議論ガ澤山出マ
シタ、政府當局者トモ質問應答ヲ重ネテ、尙ホ慎重ニ審議
致シマシテ、總テノ疑惑モ氷解致シテ美シク、經過致シマ
シタヤウナ次第デアリマス、尙ホ橫山、高木兩委員カラ、此
事ニ就テハ附帶條件ヲ希望スルト云フヤウナコトガ出マシ
タ、ソレハ「第一檢事竝ニ府縣市町村吏員、府縣市參事會
員ハ臨時精神病院ニ出張シテ現狀ヲ視察シ人權保護ノ
實ヲ完クセラレンコトヲ望ム、第二從來面會、差入、通信其
他精神病者ノ取扱ニ關シ往々不滿ヲ訴フルモノアリ當局
ハ常ニ是ガ監視ニ努メラレタシ」ト云フ希望條件ヲ出サレマ
シタガ、是ハ決議ニ依ラズシテ、希望ノ趣ヲ政府當局二申
達致スト云フコトニ致シマシテ、折合ガ著キマシタヤウナ次
第デアリマス、右御報告申上ゲマス
〔拍手起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=60
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061・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 本案ノ第二讀會ヲ開クヤ否ヤ
ヲ議題ト致シマス、二讀會ヲ開クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=61
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062・濱田國松
○副議長(濟田國松君) 御異議ガナケレバ二讀會ヲ開ク
ニ決シマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=62
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063・岩崎勲
○岩崎勳君 議長発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=63
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064・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 岩崎君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=64
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065・岩崎勲
○岩崎勳君 直チニ本案ノ二讀會ヲ開キ、三讀會ヲ省略
シテ、委員長報告ノ通リ可決確定セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=65
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066・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ハアリ
マセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=66
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067・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ガ無ケレバ直チニ二讀
會ヲ開キマス
精神病院法案(政府提出)第二讀會(確定議)
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=67
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068・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ガ無ケレバ三讀會ヲ省
略シテ、委員長報告通リ可決確定シタルコトヲ宣告致シマス、
日程第八、大正七年法律第二十四號中改正法律案ノ第
一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報告ヲ求メマス-委員
長ガ不在ナラバ理事ノ八田君ヨリ御報告ヲ求メマス
〔「委員長ハ居ラレマス」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=68
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069・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 委員長中川幸太郞君
第八大正七年法律第二十四號中改正法律
案(政府提出、貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報告)
〔中川幸太郞君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=69
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070・中川幸太郎
○中川幸太郞君 過日御付託ニナリマシタ大正七年法
律第二十四號中改正法律案ノ委員會ノ經過竝ニ結果
ヲ極メテ簡單ニ御報告申上ゲマス、本案ハ學制ノ改正ニ伴
ヒマシタル所ノ、一年志願兵ニ關スル徴兵令ノ改正デアリ
マシテ、御承知ノ如ク極メテ簡單ナ案デゴザイマス、委員會
ハ前後三回開キマシテ、愼重審議ノ上、全會一致ヲ以テ原
案ノ通リ可決致シマシタ、ドウカ本會ニ於キマシテモ、速ニ
可決アランコトヲ希望致シマス、此段御報告申上ゲマス
〔拍手起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=70
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071・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 本案ノ第二讀會ヲ開クヤ否ヤ
ヲ議題ト致シマス、二讀會ヲ開クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=71
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072・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ガ無ケレバ二讀會ヲ開
クニ決シマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=72
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073・岩崎勲
○岩崎勳君 議長発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=73
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074・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 岩崎君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=74
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075・岩崎勲
○岩崎勳君 直チニ本案ノ二諸會ヲ開キ、三讀會ヲ省略
シテ、委員長報告通リ可決確定セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=75
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076・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ハアリ
マセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=76
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077・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ナケレバ直チニ二讀會ヲ
開キマス
大正七年法律第二十四號中改正法律案(政府
提出、貴族院送付)第二讀會(確定議)
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=77
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078・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ガ無ケレバ三讀會ヲ省
略シテ、委員長報告通リ可決確定致シマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=78
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079・岩崎勲
○岩崎勳君 議長発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=79
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080・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 岩崎君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=80
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081・岩崎勲
○岩崎動君 議事日程變更ニ關スル緊急動議ヲ提出致シ
マス、卽チ玆ニ地方鐵道法案、輕便鐵道補助法中改正法
律案、鐵道抵當法中改正法律案、鐵道船舶郵便法中改
正法律案、鐵道營業法中改正法律案、以上五案ノ第一
讀會ノ續ヲ開キ、一括シテ委員長ノ報告ヲ求メ、且ツ其審
議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=81
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082・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ハアリ
マセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=82
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083・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ガ無ケレバ、地方鐵道法
案以下四案ヲ一括シテ第一讀會ノ續ヲ開クコトニ決シマス、
委員長ノ報告ヲ求メマス、戶水寛人君
地方鐵道法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
輕便鐵道補助法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
鐵道抵當法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
鐵道船舶郵便法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
鐵道營業法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
〔法學博士戶水寛人君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=83
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084・戸水寛人
○法學博士戶水寛人君 地方鐵道法案外四件ニ就テ、
委員會ノ經過及決議ヲ報告致シマス、先ヅ地方鐵道法案
ニ就テ申シマスガ、鐵道ニ關シテハ、御存ジノ通リ私設鐵道
法モアリ、輕便鐵道法モアル、然ル所明治三十九年ニ於テ
鐵道國有法ガ出マシテカラ、私設鐵道法ガ殆ド其ノ效力ヲ
失ッテシマウタノデアル、輕便鐵道ノ方ハ依然トシテ實地應
用セラレテ居リマスケレドモ、此條文ガ極メテ簡單デアル、私
設鐵道法ノ規則ノ中デ、輕便鐵道ニ準用セラレテ居ルモノ
モアリマスケレドモ、ソレニモ拘ラズ輕便鐵道法ノ規則ガ極
メテ簡單デアッテ、且ツ不完全デアル、ソコデ此法律ヲ改正
スルノ目的ヲ以テ、私設鐵道法ト輕便鐵道法ノ二ツヲ廢
シテシマッテ、其代リニ地方鐵道法案ヲ政府カラ提出シタノ
デアリマス、委員會ニ於テハ色〓審議致シマシテ、二ツノ修
正動議ガ出マシタノデアリマス、卽チ第三十條ト第三十四
條デアリマス、第三十條ノ第二項ヲ設ケマシテ「地方鐵道ノ
一部買收セラレタル爲殘存線路ノミニ付營業ヲ繼續スル
コト能ハサルニ至リタルトキハ地方鐵道業者ハ該線路及其
附屬物件ノ買收ヲ申請スルコトヲ得」斯ウ云云修正ガアリ
マス、次ノ第三十四條ニ「買收ヲ受クヘキ地方鐵道業者カ
兼業ヲ營ム場合ニ於テハ其兼業ニ屬スル資產ヲ併セテ買
收スルコトヲ得」「前項ノ場合ニ於テ買收價額ハ協定ニ依
ル」斯ウ云フノデゴザイマス、此修正說ニ就テ政府ノ意見ヲ
求メマシタ所ガ、是ニハ同意デアルト云フノデゴザイマス、委
員會ニ於テハ、全會一致ヲ以テ此修正動議ヲ可決致シマ
シタ、ソレカラ其次ノ輕便鐵道補助法中改正法律案、其
又次ノ鐵道抵當法中改正法律案、鐵道船舶郵便法中改
正法律案、鐵道營業法中改正法律案、此四案ハ原案ノ
通リ可決致シマシタノデアリマス、此外ニマダ軌道條例ナ
ルモノガアルノハ、固ヨリ御存ジデゴザイマスガ、是モ甚ダ不
完全デアルガ、併ナガラ道路法ガマダ議決ニナッテ居ラヌモ
ノデアルカラ、本年ニ於テハ、其軌道條例ノ改正案ト云フ
モノヲ政府ノ方カラ出スコトガ出來ナイ、多分次ノ議會ニ
於テ、是ハ提出スルト云フコトデアリマシタ、是モ併セテ御報
告致シマス、大要ハ斯ノ如シデアリマス
〔拍手起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=84
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085・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 各案ハ各〓別々ニ採決ヲ致シマ
ス、先ヅ第一ニ地方鐵道法案ヨリ採決致シマス、地方鐵道
法案ノ第二讀會ヲ開クヤ否ヤヲ議題ト致シマス
〔「二讀會ヲ開クニ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=85
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086・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 二讀會ヲ開クニ御異議アリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=86
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087・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 二讀會ヲ開クコトニ決シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=87
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088・岩崎勲
○岩崎勳君 本案ハ直チニ二讀會ヲ開キ、三讀會ヲ省略
シテ、委員長報告ノ通リ可決確定セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=88
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089・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ハアリ
マセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ」発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=89
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090・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ガナケレバ、直チニ二讀
會ヲ開マス
地方鐵道法案(政府提出)第二讀會(確定議)
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=90
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091・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ガ無ケレバ三讀會ヲ省
略シテ、委員會修正ノ通リ可決確定シタルコトヲ宣告致シ
マス、次ニ第二、輕便鐵道補助法中改正法律案ヲ採決致
シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=91
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092・岩崎勲
○岩崎勳君 本案ハ讀會ノ順序ヲ省略シテ、委員長報告
通リ可決確定セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=92
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093・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ハアリマ
セヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=93
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094・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ナケレバ讀會ノ順序ヲ
省略シテ、可決確定シタルコトヲ宣告致シマス、次ハ鐵道抵
當法中改正法律案ノ採決ヲ致シマス、本案ノ二讀會ヲ開
クニ御異議ハアリマセヌカ
〔「二讀會ヲ開クニ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=94
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095・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ガナケレバ、二讀會ヲ開
クコトニ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=95
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096・岩崎勲
○岩崎勳君 直チニ二讀會ヲ開キ、三讀會ヲ省略シテ、委
員長報告通リ可決確定セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=96
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097・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 岩崎君ノ動議ニ御異議アリマ
セスカ
〔「異議ナシ異議ナシ〕ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=97
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098・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ナケレバ直チニ二讀會
ヲ開キマス
鐵道抵當法中改正法律案(政府提出)
第二讀會(確定議)
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=98
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099・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議カ無ケレバ三讀會ヲ省
略シテ、委員長報告通リ確定シタルコトヲ宣告致シマス、次
ハ鐵道船舶郵便法中改正法律案ヲ採決致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=99
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100・岩崎勲
○岩崎勳君 本案ハ讀會ノ順序ヲ省略シテ、委員長報告
ノ通リ可決セラレンコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=100
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101・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 岩崎君ノ動議ニ御異議アリマ
セヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=101
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102・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ナケレバ、讀會ノ順序ヲ
省略シ、委員長報告通リ確定致シタルコトヲ宣告致シマ
ス、次ハ鐵道營業法中改正法律案ヲ採決致シマス、本案ノ
二讀會ヲ開クニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=102
-
103・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ガ無ケレバ二讀會ヲ開
クコトニ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=103
-
104・岩崎勲
○岩崎勳君 本案ハ直チニ二讀會ヲ開キ、三讀會ヲ省略
シテ、委員長報告通リ可決セラレンコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=104
-
105・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 岩崎君ノ動議ニ御異議アリマ
セヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=105
-
106・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ナケレバ直チニ二讀會ヲ
開キマス
鐵道營業法中改正法律案(政府提出)
第二讀會(確定議)
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=106
-
107・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ガ無ケレバ三讀會ヲ省
略シテ、本案ハ確定シタルコトヲ宣告致シマス、日程第九、
利息制限法中改正法律案ノ第一讀會ノ續キヲ開キマス、
委員長ノ報告ヲ求メマス
第九利息制限法中改正法律案(赤尾彥作
君提出)第一讀會ノ續(委員長報告)
〔赤尾彥作君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=107
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108・赤尾彦作
○赤尾彥作君 利息制限法中改正法律案ノ委員會ノ
經過及結果ヲ御報告申上ゲマス、委員會ハ開會ヲ致シマ
スルコトガ前後三回デアリマシテ、其間委員諸君ト政府委
員トノ間ニ於キマシテハ、微ヨリ細ニ八リトモ稱シテ宜イ
程、綿密丁寧ナル質問應答ヲ重ネマシテ、其結果政府ニ於
キマシテモ、本改正案ニ對シマシテハ、賛成ノ意ヲ表スルト
云フコトノ意思表示ガアリマシタ、又委員會ニ於キマシテ
ハ、全會一致ヲ以チマシテ可決ト云フコトニ定リマシタ、此
段御報告申上ゲマス、ンレト同時ニ委員會ノ開會中ニ種々
ナル重要問題ガ起リマシテ、〓究ヲ遂ゲマシタ、其一二ヲ簡
單ニ申上ゲマスレバ、利息制限法ナルモノハ、契約自由ノ
原則カラ見マスレバ、寧口之ヲ全部廢止シマシテ、當事者ノ
自由ニ委セル方ガ宜クハナイカト云フ意見モアリマシタ、ン
レガ〓究問題ノ一ツデアリマシタガ、併ナガラ現時ノ我國ノ狀
態ニ於キマシテ、利息制限法ヲ全部廢止致シマシタ場合ニ
ハ、道義心ノ缺ケテ居ル金貸等ガソレニ附込ミマシテ、非常
ニ高率ナル利息ヲ貪ル虞ガアリマスト同時ニ、社會ノ秩序ヲ
紊亂スル虞モアルト云フ理由デ、其問題ハ自然ニ消滅ヲ致
シマシタ、又今一ツハ利息制限法ノ法律ノ趣意ヲ徹底的ニ
之ヲ實行致シマスルニハ、禮金デアルトカ、又ハ暴利デアルト
カ云フヤウナ名義ヲ以チマシテ、借主ト貸主トノ間ニ受授ヲ
致シマシタ、其ノモノヽ取戾ヲ許スヤウナ法律ヲ制定致シタ
ナラバ如何デアラウト云フ事モ、〓究問題ノ一ツニナリマシ
タガ、是モ種々〓究ヲ遂ゲマシタ所ガ、若シ斯ノ如キ法律ヲ
制定致シマスルトキニハ信用モ乏シク、又擔保物モ有セナ
イ者ガ金策ヲ講ズル場合ニ方ッテ、甚シイ不便ヲ感ズル、其
結果金融ノ途ヲ塞グ虞ガアリハシナイカト云フ理由ノ下ニ、
徹底的ニ取戾ヲ許スト云フ法律制定ノ意見モ、自カラ消
滅ヲ致シマシテ、遂ニ全會一致ヲ以チマシテ、可決致シマシ
タ次第デゴザイマス、此段御報告ヲ申上ゲマス(拍手起ル)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=108
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109・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 本案ハ第二讀會ヲ開クヤ否ヤ
ヲ議題ト致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=109
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110・岩崎勲
○岩崎勳君 二讀會ヲ開クニ異議ナシ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=110
-
111・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 二讀會ヲ開クニ御異議ハアリマ
セヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=111
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112・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ガナケレバ開クコトニ決
シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=112
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113・岩崎勲
○岩崎動君 直チニ本案ハ二讀會ヲ開キ、三讀會ヲ省略
シテ、委員長報告ノ通リ可決確定セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=113
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114・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ハアリ
マセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=114
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115・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ガナケレバ二讀會ヲ開
キマズ
利息制限法中改正法律案(赤尾彥作君提出)
第二讀會(確定議)
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=115
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116・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ガ無ケレバ三讀會ヲ省
略シテ、本案ハ可決確定サレマシタ、日程第十、未成年者
飮酒取締法案ノ二讀會ヲ開キマス、委員長ノ報告ヲ求メ
マス、工藤卓爾君
第十未成年者飮酒取締法案(根本正君外
三名提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
〔工藤卓爾君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=116
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117・工藤卓爾
○工藤卓爾君 未成年者飮酒取締法案ノ委員會ノ經
過竝ニ結果ヲ御報告致シマス、本案ノ爲メニ委員會ヲ開キ
マシダコトハ三囘、回數ノ上ヨリ見マスルト一云フト、寧口少
ナイ方デゴザイマスガ、併シ本案ハ今日ノ場合ニ於テ、最モ
必要デアルト云フ所ノ點ヨリシテ、委員諸君ニ於キマシテ
ハ、政府當局者ニ向ヒマシテ、熱心ナル質問ヲ試ミタノデゴ
ザイマス、今其主ナルモノ點ヲ二三申上ゲマスト云フト、委
員諸君ニ於キマシテハ、本案ハ年々衆議院ヲ通過致シマス
ルケレドモ、貴族院ヲ通過セザルノハ甚ダ遺憾トスル所デア
ル、而シテ其原因ハ固ヨリ一ニシテ足ラズデアリマスルケレ
ドモ、政府ガ本案ニ對スル所ノ態度如何ニ依ルノデアル、卽
チ言葉ヲ換ヘテ申シマスレバ、政府當局ガ本案ニ對スル所
ノ誠意ヲ、缺イテ居ルカノ如ク見受ケラルヽノデアル、故ニ
本年ニ於キマシテハ、政府ハ本案ニ對シテ如何ナル意見ヲ懷
イテ居ルカト云フコトヲ問ハレマシタルニ對シマシテ、政府
委員ノ答ヘマスルニハ、本案ハ從來ノ案トハ違ヒマシテ、頗
ル完全ニ出來テ居ル、卽チ昨年マデノ本案ハ、酒類ヲ販賣
スル者ヲ罰スルダケニ止ッテ居リマシタケレドモ、本年ハ飮酒
スル者ヲモ取締ルト云フ點ニ存シテ居ルノデアッテ、頗ル完
全ニ出來テ居ル、故ニ本案ノ如クデアリマスルナラバ、政府
ハ無論之ヲ贊成スルモノデアルト云フコトヲ答ヘラレタノデ
ゴザイマス、之ニ對シマシテ重ネテ問ヲ發シマシテ、其様ニ政
府ハ本案ノ必要ヲ認メルナラバ何故ニ政府ヨリ本案ヲ提
出シナイノデアルカ、貴族院ノ樣子ヲ見マスルノニ、議員ヨ
リ提出スル案ト、政府ヨリ提出スル案トノ間ニ於テ、若干ノ
差違ガアルヤウニ見受ケラルヽ、卽チ政府ヨリ提出シマシタ
ル所ノ案ニ向ヒマシテハ、多ク賛成スル傾ガアルケレドモ議
員ヨリ提出シタル所ノ案ニ向ヒマシテハ、左程ノ注意ヲ拂
ハザルガ如クニ見受ケラルヽノデアリマス、故ニ政府ガ本案
ニ贊成ナラバ、何故ニ本年政府ヨリ本案ヲ提出シナイノデ
アルカト云フコトヲ反問致シタイノデゴザイマシタ、之ニ對シ
マシテ、政府ハ本案ニハ無論賛成デアッテ、提出ヲスベキデア
ルガ、内閣成立以來日尚ホ淺クシテ、調査ニ日ヲ要スルガ爲
メニ、提出スルコトガ出來ナカッタト云フコトヲ答ヘラレタノ
デアリマス、併ナガラ本案ニ對シマシテハ、最前ノ答ノ通リ
十分ニ賛成ヲスルノデアルカラ、應分ノ力ヲ致スコトヲ措マ
ザルガ如クノ答辯ガアリマシタノデゴザイマス、モウ一ツハ此
未成年者ノ中ニハ、學生ガ一番多イノデアル、中學ノ學生
ト云フ位ノ者ガ一番多イノデアルガ、此學生ノ飮酒スルト
セザルトハ、之ヲ〓ヘル所ノ〓員、又ハ之ヲ率ヰル所ノ學校
職員ノ飮酒スルトセザルトニ依ッテ、非常ナ結果ヲ及ボスノ
デアル、然ルニ今日ノ是等ノ學生ヲ率キル所ノ〓員若クハ
職員ニシテ、飮酒スル者ハ甚ダ多イヤウデアル、政府ハ之ニ
對シテ、何等ノ考ハ無イカト云フコトヲ問ヒマシタノデゴザ
イマシタ、政府委員ハ之ニ答ヘマシテ、今日マデト雖モ、相
當ノ訓令ハ發シテ居ルノデアル、併シ本案ガ通過致シマシ
テ法律トナリマシタコトナラバ、尙ホ是以上ニ相當ノ時機ニ
於テ、訓令ヲ發スル積リデアルト云フコトヲ答ヘラレタノデ
ゴザイマシタ、斯ノ如ク委員ト政府委員トノ間ニ愼重ナル
所ノ應答ヲ重ネマシテ、滿場一致ヲ以テ可決致シマシタノ
デゴザイマス、此段御報告ニ及ビマス
〔拍手起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=117
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118・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 賛成演說ノ通告ガアリマス、高
見之通君
〔高見之通登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=118
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119・高見之通
○高見之通君 諸君、私ハ此本案ニ就キマシテハ、衷心ヨ
リ賛成ヲ表スル一人デアリマス、理由二三點ヲ開陳致シマ
シテ、諸君ノ〓聽ヲ煩シタイト思ヒマス、第一ニ本案ハ最モ
現代ノ時勢ニ適合シテ居ル案デアルト信ジマス、此本案ガ
一度成立シテ法律トナリマシタナラバ、國ノ信用ヲ高メルデ
アラウト信ジマス、元來此我ガ日本ノ國ニ對シテハ種々ノ批
評ガゴザイマスルガ、要スルニ日本ハ、國内ノ充實ニ向シテ全
力ヲ振ッテ居リマスル時ニ於テハ、屢、〓對外發展ノ爲メニ、努
力スルコトヲ忘レル、又對外的ノ發展ヲシテ居ル時ニハ、國內
ノ大切ナモノヲ犠牲ニ供スルコトモ屢、意トシナイ、一ヶ月
傾ク弊ガアル、併シ幸ヒ過去三十年ノ間、日本ハ對外發展
ノ爲メニ多大ノ努力ヲ致シマシタガ、後多ノ國難ニ際會シ
マシテ、多大ノ成功ヲ博シ、其結果日本ハ五大列强ノ一ニ
マデ漕付タノデアリマス、去リナガラ一度歐洲大戰ガ結末ヲ
見マスルト云フト、對外的ノ外交問題、若クハ國防ニ關ス
ル問題ハ、幾許カ粗略ニサルヽノ傾ガアリ、而シテ國內ノ充
實ヲ圖ルト云フ點ニ向ッテ、總テノ注意ガ集中サレテ居ルヤ
ウナ傾ガアリマス、第四十一議會ニ於キマシテモ、或ハ選擧
法ノ問題ノ如キ、食糧調節ニ關スル問題ノ如キ、又ハ〓育
ニ關スル問題ノ如キ、其一例デアルト思ハレマス、故ニ吾こ
政治ニ志ス者ハ、苟モ其問題ガ國内ノ充實ニ大ニ資スルモ
ノデアッテ、相當國ノ信用ヲ對外的ニ發展スル傾ガアルナラ
バ直チニ採ッテ以テ之ヲ利用シナクテハナラヌト思フノデア
リマス、諸君、現在ハ少クモ禁酒ト云フコトハ、歐洲戰爭ガ
開カレテ以來、特ニ一ツノ風潮デアル、所謂大勢デアルト思
ハレルノデアリマス、此大勢ガ斯ノ如キ狀態デアルノニ、若シ
日本ハ未成年者ノ禁酒案ダケノ克己心ヲモ奮フコトガ出
來ナイトシタナラバ、現ニ全國ノ禁酒ヲヤッテ居ル米國其他
ノ有力ナル識者カラ、未ダ日本ハ克己自制ニ目ガ醒メナイ
國デアルト嗤ハレルタラウト思ヒマス(拍手スル者アリ)若夫
レ此案ノ採用シテ、法律トシテ成立ッタナラバ、寔ニ日本ハ對
外的ニ於テ多大ノ成功ヲ博シテ居ルノミナラズ、國內ニ於テ
克己自制ト云フコトニモ進ンダ考ヲシテ來タ、目ガ開イテ來
タト云フ、一種ノ日本ノ國ノ對外的ノ何ヲスルニモ便利ヲ
得ルト云フ國ノ信用ヲ揚ゲルト私ハ信ズルノデアリマス、是
ガ私ノ本案ヲ、特ニ法律トシテ成立サセタイト云フ第一點デ
アリマス、第二點ハ、此本案ハ屢、貴族院抔ニ於テ議論ト
ナッテ居ルノハ、取締ガ困難デアル、ソレ故ニ此法ノ威力ト
云フモノガ無クナルノデアル、故ニ之ヲ法トスルコトハ困難
デアルト云フ議論ハ、屢、唱ヘラルヽノデアリマス、併シ法ハ
必ズシモ形式的ノ威力ノミヲ尊ブ譯ニハ往キマセヌ、現代ノ
學說ハ段々變化シマシテ、形式的ノ威力ノ外ニ、實質的ノ
效力其モノヲ尊ブヤウニナッテ來タノデアリマス、然ラバ實質
上ノ效力ト云フモノハ、此未成年者禁酒法ニ於テハドウ云
フ工合ニ解程スベキカ、卽チ未成年者禁酒法案ニ關スル國
民ノ了解如何ニアルト私ハ思フノデアリマス、私ハ日本ノ一
般國民ハ、此法案ヲ能ク了解スルコトガ出來ル可能性ヲ
持ッテ居ルト信ズルノデアリマス、日本ノ國ガ建國以來種々
ノ外來ノ宗〓及思想、或ハ主義ガ移入サレテ來タノデアリ
マス、而シテ日本ノ國ノ根本ノ基礎ハ少シモ動搖シテ居ナ
イト云フハ、何ニ基クカト云ヘバ、日本國民ノ一種ノ特性ト
云フモノガ然ラシムル所以デアルト私ハ考ヘマス、日本國民
ノ特性ト云フモノハ何デアルカ、卽チ其長ヲ取リ短ヲ捨ツル
ト云フコトデアルト私ハ信ジマス、例ヘバ彼ノ儒〓ノ中ニモ
書經ノ如キ我ガ日本ノ國ニハ適セヌ所ガアリマスケレドモ、
儒〓ヲ採ッテ、尊キ部分ヲ吾ミノ風俗習慣〓化ノ最大ノ手
本トシテ居ルノデアリマス、之ヲ佛〓ニ見マシテモ、亦耶蘇
〓ニ見マシテモ、斯樣ニ信ズルノデアリマス、其總テノ主義
總テノ宗〓ニハ、其國ノ風俗ト適セヌモノガアリマスケレド
モ、日本ハ一度其風儀ニ會シ、一日其宗〓ニ出會ッタナラ
バ、其長所ヲ取リ其短所ヲ捨テ、益、日本ノ文化ニ資スルト
云フ日本國民ノ特性ガアルト私ハ思ヒマス、最近ニ於キマ
シテモ日本ハ軍國主義ト資本主義ト云フ二大潮流ノ上ニ
立ッタノデアル、去リナガラ日本ハ軍國主義ノ本尊デアリマ
シタ、彼ノ獨逸ニ、一切ノ軍制ヲ眞似テ居リマシタケレドモ、
而モ日本ハ彼等ノ本尊タル主義ノ奧ニ隱シテアル所ノ領
土擴張主義ト云フモノハ嘗テ日本ハ眞似タコトハナカッタ
ノデアル、劒ヲ取ッテ屢、立ッテモ、總テ之ハ束洋ノ平和ト云
フコトヲ基礎ニシ中心ニシテ來タノデアリマス、今ヤ軍國主
義ハ倒レテ、民主主義及資本主義トノ間ニ日本ガ立ッテ居
ルト同ジコトデアルト私ハ信ジマス、斯樣ニシテ日本ハ外來
ノ思潮ノ短ヲ捨テ長ヲ取ルト云フ特質ヲ持ッテ居ルノデアリ
マス、此未成年者ノ問題ニ付キマシテモ、此日本國民ノ假
ニ之ヲ對外的外來ノ思想ナリト致シマシテモ、尙ホ其最モ
良キ所ヲ取リ最モ惡イ所ヲ捨テルト云フ日本國民ノ特性
ガ、能ク此法案ヲ咀嚼シ翫味シ、此法トシテノ十分ノ實際
上ノ價値ヲ擧ゲルコトヲ得ルト信ジマス(拍手起ル)ンレ故
過般政府委員ノ答辯ノ中ニ於キマシテ、川村警保局長ハ
言ハレルニハ、假ニ此法律ガ未成年者法ガ成立ッタ上ニ於
テモ、例ヘパ嘗ムルガ如クヤル所ノ結婚式ノ盃ノ如キ、其場合
ニマデ此法デ取締ルト一云フホドノ考ハ持ッテ居ラヌ、斯樣ニ明
言サレテ居リマスルガ、法ノ威力ヲ徹底的ニヤルト云フコトヂ
アリマシタナラバ、其點マデモ進マネバナリマスマイケレドモ、曰
本ノ國ノ政治ノ局ニ當ル者ガ、又此法律ノ下ニ服從シテ行
ク者モ、此法律ヲ實質的ニ解釋スルタケノ國民ノ力ハ上下共
ニアルト私ハ信ズルノデアリマス、必ズシモ未成年者ノ禁酒法
デアルカラト言ッテ、此法ヲ以テ提燈翳シテ暗闇ヲ搜スガ如ク
スルコトハアリマセヌ、床ニ懸ケタル鏡ノ如ク、各人ガ其處ニ
向ッテ威儀ヲ正シテ梳ルト云フ一種ノ時代道德ノ鏡トシテモ、
私ハ此法ノ價値ガアルト信ズルノデアリマス(拍手起リ「ヒヤ
ヒヤ」ト呼フ者アリ)第三ハ、先程委員長カラモ御話ガアリマ
シタガ、具體的ノ事例ヲ提ゲテ此法律ノ特ニ今日必要ナ
ル事ヲ申上ゲテ見タイト思ヒマス、現代ノ中學ノ學生ハ
約十五万人居リマス、之ニ相如ク所ノ商業學校ノ生徒ハ
三万五千、詰マリ二十万ノ今日中學程度ノ學生ガアリマス、
是ハ日本ノ將來ヲ雙肩ニ擔ッテ立ツベキ學生デアル、之ニ對
シテ酒ニ關スル文部省ノ方針ハドウカト申シマスト云フト、
明治四十二年ニ文部省ノ訓令ガ出テ居ルノデアリマス、其
訓令ノ意味ハ酒ハ兎ニ角學生ニ飮マセルベキモノデハナイ、
去リナガラ學校ニ於テ酒ヲ飮ムト云フコトハ殆ド無イガ、家
庭ニ於テ屢、學生ハ酒ヲ飮ムカラ、一般ニ此酒ニ關シテハ
家庭ト學校ト相俟ッテ、此實績ヲ擧ゲルヤウニト云フ訓令ガ
一ツ出テ居ルノミデアリマス、併シ私ハ今家庭ノ話ヲ此處
ニ持出スコトヲ必要ト致シマセヌ、現ニ今日各中學ニハ「ク
ラス」會ト云フ級ノ會モアリマス、又卒業生ノ送別會ト云フ
モノモアル、地方へ參リマスト云フト各郡々々カラ學生ガ出
テ居リマスカラ、郡ノ同〓會ト云フヤウナノモアリ、色ニナ會
ガアルノデアリマス、此會ハ時ニハ學校ノ講堂內ニ於テ茶話
會ヲ以テ終ルコトモアリマスガ、又時ニハ何處カノ料理屋デ
酒ヲ飮ムト云フコトモアル、澤山ノ學生ガ集リマスト云フト、
其處ノ女中許リデハ辨ジマセヌカラ、藝妓抔ヲ呼ンデ、ソレ
デ漸次酒ニ親シンデ行クト云フコトモアリマス、所ガ今日中
學校ノ事ニ關スル所ノ一般ノ監督ハ、御存ジノ通リ一切各
府縣ニ委セテアリマスルカラ、其ノ府縣ノ監督ノ理事者ノ
考ニ依ッテ酒ヲ飮ムベカラズト云フ考ヲ立テル人モアレバ、寛
大ニ取扱ッテ宜シイト一云フ人モアリ、少シハ飮ンデモ宜イト
云フ考ノ理事者モアルノデアリマス、何ガ故ニ文部省ハ之ヲ
統一シナイノデアルカト云フト、ドウモ今日中學校ハ各府縣
デヤッテ居ルノデアリマスカラ、文部省ノ一個ノ意見ニモ行
兼ネルト云フノデアル、ンコデ甲中學校ハ酒ヲ許シ、乙中學
校ハ酒ヲ許サヌ、又甲ノ校長ハ之ヲ許シ、乙ノ校長ハ之ヲ
許サヌト云フコトガアル、而シテ尙ホ此問題ニ付テ可笑シイ
事ノ出テ來ルト云フノハ、中學時代ニ於テ全然酒ヲ飮マセ
ナイノデ、ソレガ高等學校へ入ッテ酒ヲ少シ飮ムト云フヤウナ
工合ニ、年ガ取ルト段々酒ニ親ムト云フコトデアレバ宜イケ
レドモ、中學校ハ各府縣デ監督シテ居リマス故ニ、中學校
デハ或者ハ飮ミ、或者ハ校長ト一緒ニ送別會デヤル、此風
儀ヲ受ケテサウシテ文部省ノ直轄ヲ受ケテ居ル所ノ高等學
校へ入學スルノデアリマス、サウスルト或ル高等學校ノ校長
ノ如キハ絕對ニ酒ハ許サヌト來ル、中學ニ於テハ酒ヲ飮マセ
ナイ、或ハ高等學校カラ大學ニ入ッテ漸次酒ヲ飮ミ習フコト
ハマダ宜イケレドモ、中學ニ於テ飮ンデ居ッテ、高等學校ニ
入ッテ飮メナイト來マスト、一旦付ケタ所ノ風儀ノ習慣ハ、
容易ニ學校校長ノ制止ダケデハイカヌノデアリマス、サウシ
マスト下宿屋デモ飮ムコトガ出來テモ、學校デハ無論出來
ナイ、有ユル會デ飮ムコトガ出來ナイ、其惡風ハ窃ニ祕密ニ
ヤルト云フコトニナリ、其爲メニ折角高等學校ノ二三ノ校
長ガ特ニ嚴重ノ方法デヤッテモ、結局ハソレガ却テ惡イト云
フコトガ屢〓アリマス、現ニ其等ノ實例ハ私共幾ツモ知ッテ居
ルノデアリマス、斯ウ云フ如何ニモ矛盾ナ、如何ニモ可笑シ
ナ詰マリ結果ト云フモノガ何ガ故カト云フト、總テ統一ガ今
日不可能デアルカラデアリマス、若シ之ニ未成年者禁酒ガ
一度法律トシテ成立ッタナラバ、如何ナル府縣デモ、如何ナ
ル學校校長デモ、總テ是ニ於テ纏ヲテ一ニナルノデアリマ
ス、之ヲ此儘ニシテ置キマスルト、今申上ゲマシタ通リ、如何
ニモ矛盾ガアリ、如何ニモ不統一ノ爲メニ、學校ノ風儀ト云
フモノガ非常ニ益〓紊レテ來ルト云フコトハ、吾〓ハ憂フルノミ
ナラズ、實ニ今申上ゲタ狀態ニナルノデアリマス、ンレ故過般委
員會ニ於キマシテハ、文部省ノ當局ノ人ハ、此法律ガ是非
成立ツコトヲ希望スル、若シ此法律ガ成立ッタト致シマスレ
バ、文部省ニ於テモ相當ノ訓令ヲ出シ、此法ノ實行ガ十分
ニ行屆タヤウニシタイモノデアルト云フ、文部省ノ熱烈ナル
希望及贊成モアリマシタ、一方ニ於テ此法案ガ世界的ニ今
申上ゲタ國力ノ信用ノ上ニ多大ノ意味ヲ爲シ、又國民ハ
實質的ニ此法案ヲ上下ヲ通ジテ咀嚼翫味シテ、實質的ノ
效力ヲ發揮セシムル價値アルノミナラズ、現實極ク〓究狀
態ノ上ニ立ッテ、〓育上ノ諸般ノ取締ヲ統一スベキ必要ナ
ル標準トシテ、價値ノ上カラ見マシテモ、此法案ハ一刻モ速
ニ世ノ中ニ有效ナラシムルコトヲ私ハ特ニ諸君ニ申上ゲテ、
御賛同アランコトヲ幾重ニモ懇請スル次第デアリマス(拍手
起ル)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=119
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120・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 本案第二讀會ヲ開クヤ否ヤヲ
議題ト致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=120
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121・前田米藏
○前田米藏君 二讀會ヲ開クコトニ異議アリマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=121
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122・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 二讀會ヲ開クニ異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=122
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123・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ガナケレバ第一一讀會ヲ
開クコトニ決シマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=123
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124・前田米藏
○前田米藏君 直チニ本案二讀會ヲ開キ、三讀會ヲ省略
シテ、委員長報告通リ可決確定セラレンコトヲ望ミマス
〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=124
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125・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 前田君ノ動議ノ通リ御異議ア
リマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=125
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126・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ガナケレバ直チニ二讀會
ヲ開キマス
未成年者飮酒取締法案(根本正君外三名提出)
第二讀會(確定議)
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=126
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127・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ガ無ケレバ三讀會ヲ省
略シテ、本案ハ委員長報告通リ可決確定セラレマシタ、日
程第十一、第十二、第十三ハ、同一委員ニ付託シタ議案デ
アリマス、一括シテ議題ト爲スコトニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=127
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128・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ガナケレバ日程第十一、
四國循環鐵道建設ニ關スル建議案、第十二、四國循環鐵
道建設ニ關スル建議案、第十三、四國鐵道循環敷設ニ關
スル建議案、此三案ヲ一括シテ議題ト致シマス
第十一四國海岸循環鐵道建設ニ關スル建議
案(小西和君外一名提出)
(委員長報告)
第十二四國循環鐵道建設ニ關スル建議案
(林毅陸君外四名提出)(委員長報告)
第十三四國鐵道循環線敷設ニ關スル建議案
(高島兵吉君外一名提出)
(委員長報告)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=128
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129・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 委員長ノ報告ヲ求メマス、林毅
陸君
〔拍手起ル〕
〔林毅陸君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=129
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130・林毅陸
○林毅陸君 此三ツノ建議案ハ、大體趣旨ヲ同ジウスル
モノデアリマス、ソレデ委員會ニ於キマシテハ、武市彰一君ノ
發議ニ基キマシテ、林其他四名ヨリ提出致シマシタ案ヲ土
臺ト致シテ、此三ツノ案ヲ一ツニ線メルヤウニ修正案フ作ツ
タラ宜カラウト云フコトニナリマシテ、小委員會ニ於テ修正
案ヲ作リ、唯〓玆ニ御報告致シタヤウナ形ト致シタノデア
リマス、故ニ香川縣下高松市ヨリ白鳥本町及ビ德島縣撫
養町ヲ經テ德島市ニ至ル線、愛媛縣下松山市ヨリ大洲町
ヲ經テ宇和島町ニ至ル線、德島縣下小松島町ヨリ日和佐
町及牟岐町ヲ經テ高知縣下後免町ニ至ル線、高知縣下
須崎町ヨリ中村町ヲ經テ愛媛縣下宇和島町ニ到ル線、此
四線ヲ新タニ建設致シマシテ、既設ノ鐵道玆ニ既定ノ鐵道
ト相俟シテ、四國ノ循環鐵道ヲ完成スルコトハ甚ダ必要デア
ルガ故ニ、政府ハ其四線ノ緩急ヲ圖シテ、速ニ適當ノ案ヲ確
立シ、大正九年度ヨリ順次建設ニ著手セラレンコトヲ望ム、
斯ウ云フノデゴザイマス、此四國循環鐵道ニ付キマシテハ、
委員會ニ於キマシテモ政府ノ委員ト質問應答ヲ重ネタノデ
アリマスルガ、政府ニ於キマシテモ、大ニ此提出者ノ希望ニ
同感ヲ表セラレマシテ、政府ニ於テモ其必要ヲ十分認メテ
居ル、又政府ニ於テモ、成ベタ早ク著手シタイト云フ考ヲ
持ッテ居ル、斯ウ云フコトヲ言明セラレテ居ルノデアリマス、
旣ニ政府モ大體サウ云フ御賛成デアリマス以上ハ、此建議
ノ趣旨ノ徹底ハ必ズ期シテ待チ得ルト思フノデアリマスガ、
大體四國ニハ唯〓現在ニ於キマシテ、旣設線及既定線ヲ
併セテ、約二百五十五哩ノ線路ガアルノデアリマス、先日本
議場デ通過致シマシタ琴平、池田ヲ經テ山田ニ至リマス線
是レナゾヲ含ミマシテ二百五十五哩ニナル、今新ニ循環線
ヲ造ルト致シマスルト、今玆ニ建議案ニ於テ含マレテ居リマ
ス線路ヲ合シマスト、ソレガ丁度二百九十八哩八分ニナル
ノデアリマス、約三百哩デアリマス、是ダケノ線路ヲ造リマス
レバ、非常ニ四國ノ產業開發上、其他色〓ノ點ニ於キマシ
テ有益トナルノデゴザイマス、政府委員モ他ノ地方ニ於ケル
鐵道ト比較シテ見マスレバ、四國ニ於テ約三百哩位ノ鐵道
ガ出來テ、サウシテ此循環ノ目的ヲ完ウスルヤウニナルト云
フコトハ、甚ダ無理ノ註文デナイ、斯ウ云フ大ニ同情ヲ表サ
レテ居ル程デアリマス、又各線ノ部分ニ就キマシテ御參考ノ
爲メニ申上ゲテ置キマスガ、高松ヨリ-志度ヨリ德島ニ至
ル鐵道ガ政府ノ調ニ依リマスト、鐵道純益ガ三朱三厘六
毛、小松島ヨリ後免ニ至ル間ノ其鐵道純益ガ六厘八毛、
松山ヨリ高知縣須崎ノ線ヲ一ツニ纏メテ見マスルト一朱、
又鐵道利用者ノ利益、是ハ大變重要ノ箇條デアリマスガ、
鐵道利用者ノ利益ガ德島、志度間ニ於テ二割三分、小松
島、後免間ニ於テハ四朱二厘、松山、須崎間ガ七朱九厘、
又資本ニ對スル收益ヲ見マスルト、德島、志度間ガ二割六
分五厘、小松島、後免間ガ四朱七厘、松山須崎間ガ九朱、
斯ウ云フコトニナッテ居ル、但シ是ハ明治四十五年頃ノ調
查デアルカラ、多少今日ニ於テハ數字ガ犯フデアラウケレド
モ、大體ニ於テ之ニ依テ了解が出來ルト云フ、政府委員ノ
說明デアッタノデアリマス、勿論此中愛媛縣ノ松山ヨリ字和
島ニ至ルト云フ部分ニ、大ニ必要デモアルシ又有利ナ線デ
アリマシテ、之ヲ一括シテ松山ヨリ高知縣須崎ニ至ルモノト
シテ割出サレタ算盤カラ見マスルト云フト、實ハ松山ヨリ字
和島ニ至ル部分ガ、甚ダ不利益ナ算盤ニナッテ居ルノデアリ
マス、是ハ勿論認メテ置カナケレバナラヌ事ト思ヒマス、大體
サウ云フ割合デ利益ノ有リマスル線デアリマシテ、政府ニ於
テモ成ベク早ク著手シタイト云フ考ヲ持ッテ居ルノデアリマ
ス、委員ノ間ニ於キマシテハ、無論何レノ線ヲ先ニシ後ニス
ルト云フコトハ、强テ言フ譯デハナイ、唯〓大體ノ希望ト致シ
テハ高松、德島間ハ地理上經濟上ヨリ、成ベク先ニ著手シ
テ御貫申シタイモノデアルト云フ、斯ウ云フ事ハ委員諸君ノ
間ニ於テ一致セル意見デアッタト云フコトヲ、私ハ爰ニ報告
シテ差支ナイト思フノデアリマス、サウ云フ次第デコザイマス
カラ、願クバ諸君ニ於カレマシテモ、直チニ御賛同下サレマシ
テ、此建議案ノ末文ニアリマスル通リ、大正九年度ヨリ順
次著手サレルヤウニ致シタイト思フノデアリマス、勿論成ベ
ク多クノ場處ニ於キマシテ、著手ノ出來ルコトヲ望ムノデア
リマスケレドモ、色と國庫ノ都合モアリマセウ-財政ノ都
合モゴザイマセウカラ、緩急ヲ圖ッテ順次著手シテ貰ヒタイト
云フ、極メテ稔當ナル-穏健ナル建議案デアルノデアリマ
ス、宜シク御賛成ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=130
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131・岩崎勲
○岩崎勳君 日程第十一乃至第十三ニ至ル三案ヲ併合
シテ一案ト爲シ、委員長報告通リ卽チ委員會ノ修正議決
ノ通リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=131
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132・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 岩崎君ノ動議ニ御異議アリマ
セヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=132
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133・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ガナケレバ岩崎君ノ動
議ノ如ク日程第十一、第十二、第十三ハ委員長報告通リ、
卽チ委員會ニ於テ修正通リ本建議ヲ採用スルコトニ可決
シマス、日程第十四、野岩羽鐵道速成ニ關スル建議案、委
員長ノ報告ヲ求メマス、戶狩權之助君
第十四野岩羽鐵道速成ニ關スル建議案(八
田宗吉君外六名提出)(委員長報告)
〔戶狩權之助君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=133
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134・戸狩權之助
○戶狩權之助君 野岩羽鐵道速成ニ關スル建議案ハ、
委員會ヲ三四囘開キマシテ、而シテ本建議案ハ、四十議會
ニ於キマシテモ滿場一致ヲ以テ、本會デ決定致シタ問題デ
アリマス、尙ホ必要ナル線路デアリマスルカラ、政府ニ向ッテ
第一ニ政府ノ所信ヲ聽クト云フノガ、委員一同ノ希望デ
アッタノデアリマス、所ガ政府ニ於キマシテハ、本線路ハ二十
五六年頃カラ、今市若クハ會津地方ノ有志諸君ガ、非常
ナ熱誠ナル希望ノ線路デアッテ、又刻下有益ナル線路デア
ル、ソレガ故ニ財政ノ許ス限リ、一日モ早ク著手スルト云
フ、政府ノ答辯ヲ確的ニ得タノデアリマス、吾と委員モ其政
府ノ答辯ニハ一同滿足致シマシタ、但シ此線路ニ付キマン
テハ、田村君カラ、今市デ此線路ヲ止メテハ甚ダ遺憾デアル
カラ、鹿沼、栃木ヲ經テ古河ニ至ルコトニシタイト云フ意見
ガアリマシタ、又高田君カラハ、今市ヲ起點トシナイデ氏家
邊カラ東北線ニ連絡シ夕方ガ宜イト云フ御議論モアリマシ
タガ、此線路ニ就テハ、政府ニ於キマシテモ著手スルマデニ
ハ十分調査ヲシテ、之ヲ決定スルト云フコトデアッタノデア
リマス、委員會ハ滿場一致可決致シマシタカラ、宜シク諸
君ノ御賛同ヲ願ヒマス(拍手起ル)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=134
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135・岩崎勲
○岩崎勳君 本案ハ委員長報告通リ、可決セラレンコト
ヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=135
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136・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 岩崎君ノ動議ニ御異議アリマ
セヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=136
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137・濱田國松
○副議長(濱田國松君) 御異議ガナケレバ本案ハ委員
長報告ノ通リ可決致シマシタ、是ニテ日程ハ終リマシタ、次
會ノ日程ハ公報ヲ以テ御通知致シマス、今日ハ是ニテ散會
午後四時七分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004113242X01919190304&spkNum=137
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