1. 会議録本文
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000・会議録情報
大正十年二月三日(木曜日)午後一時三十五分開議
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議事日程 第九號 大正十年二月三日
午後一時開議
第一 會計法改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第三 會計檢査院法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第四 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第五 無盡業法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第六 船舶滿載吃水線法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第七 衆議院議員選擧法中改正法律案(關直彦君外三名提出) 第一讀會
第八 衆議院議員選擧法中改正法律案(箕浦勝人君外三名提出) 第一讀會
第九 府縣制中改正法律案(濱田國松君外二名提出) 第一讀會
第十 郡制中改正法律案(濱田國松君外二名提出) 第一讀會
第十一 市制中改正法律案(濱田國松君外二名提出) 第一讀會
第十二 町村制中改正法律案(濱田國松君外二名提出) 第一讀會
第十三 市制中改正法律案(大道寺慶男君提出) 第一讀會
第十四 町村制中改正法律案(大道寺慶男君提出) 第一讀會
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=0
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001・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 諸君、諸般ノ報告ヲ致シマス
〔原田書記官朗讀〕
一政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ加シ
大正九年勅令第五百三十四號(承諾ヲ求ムル件)
(以上二月二日提出)
煙草專賣法中改正法律案
一年現役小學校〓員俸給費國庫負擔法案
(以上二月三日提出)
議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
治安警察法中改正法律案
提出者押川方義君田淵豊吉君
松本君平君
免囚差別待遇撤廢ニ關スル建議案
提出者鮎川盛貞君
多摩川改修費及水源涵養費國庫支辨ニ關スル建議
案
提出者高木正年君八並武治君
淺賀長兵衞君小泉又次郞君
小野重行君出口直吉君
福本〓之輔君
(以上二月一日提出)
救世軍補助ニ關スル建議案
提出者横山勝太郞君
(以上二月二日提出)
科學智識普及ニ關スル建議案
提出者鈴木錠藏君
(以上二月三日提出)
一議員ヨリ提出セラレタル質問主意書左ノ如シ
石油政策ニ關スル質問主意書
提出者押川方義君
薩哈嗹洲占領ニ關スル政府ノ眞意質問主意書
提出者正木照藏君
在外鮮人取締竝朝鮮統治ニ關スル再質問主意書
提出者山道襄一君
(以上二月一日提出)
浦鹽ニ於テ我カ歩哨ノ米國將校ニ對シ任務執行ニ關
スル質問主意書
提出者田中武雄君
(以上二月二日提出)
思想問題ニ關スル質問主意書
提出者小橋藻三衞君
帝國軍隊カ鮮人ヲ虐殺シ學校及〓會ニ放火セリトノ
事件ニ關スル再質問主意書
提出者〓瀨一郞君
(以上二月三日提出)
一去一日政府ヨリ受領シタル答辯書左ノ如シ
衆議院議員鈴木富士彌君提出司法官ノ待遇ニ關ス
ル質問ニ對スル答辯書
司法官ノ待遇ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正九牢十二月二十七日
提出者鈴木富士彌賛成者濱口雄幸
外三十五人
司法、官ノ待遇ニ關スル質問主意書
近時司法部ニ於ケル諸般ノ施設稍改善ノ途ニ就キ
舊來ノ面目ヲ一新シタリト雖司法官ノ待遇尙行政官ニ
比シ一段ニ低位ニ在ル爲秀才動モスレハ司法部ヲ去ラ
ムトスルノ弊風アリ加フルニ部内人材ノ配置宜シキヲ得
サル爲裁判所ニ對スル國民ノ信賴日ニ疎薄ナラムトスル
ノ傾向アリ洵ニ國家心腹ノ大患タリ政府ハ如何ナル方
策ヲ以テ此ノ憂フヘキ現象ヲ矯革セムトスル乎司法大
臣ノ所見如何
右及質問候也
〓大正十年二月一日
內閣總理大臣原敬
衆議院議長奧繁三郞殿
衆議院議員鈴木富士彌君提出司法官ノ待遇ニ關スル
質問ニ對シ別紙答辯書差進侯
(別紙)
衆議院議員鈴木富士彌君提出司法官ノ待遇ニ
關スル質問ニ對スル答辯書
司法官ノ待遇ハ年來ノ宿題ニ屬ス政府ハ事情ノ容ス限
リ倍〓之カ向上ヲ圖リ以テ優獎ノ途ヲ講セムトス又人
材ノ配置ニ就テハ近年尤モ意ヲ用井テ施爲シ來リタルモ
尙ホ將來一層人材ノ網羅養成ニ勉メ各廳ノ人員ヲ適
當ナラシムルト共ニ適材ヲ適所ニ配置シテ其ノ實績ヲ擧
クルコトヲ期セムトス
右及答辯候也
大正十年二月一日
司法大臣伯爵大木遠吉
〔左ノ報告ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ茲ニ
掲載ス〕
一去一日議長ニ於テ選定シタル委員左ノ如シ
鐵道敷設法改正法律案
國澤新兵衛君植竹龍三郞君市村貞造君
前田米藏君遠藤良吉君栗林五朔君
河崎〓君靑木恆太郞君匹田銳吉君
天春文衞君玉置良直君井上敬之助君
國重政亮君福井三郞君原田十衞君
陣軍吉君菊池長右衛門君日野辰次君
正木照藏君古屋慶隆君小池仁郞君
鵜澤宇八君荒川五郞君三浦得一郞君
湯浅凡平君松田三德君鎌田三郞兵衞君
帝國鐵道會計法中改正法律案
穴水要七君佐藤良平君菅野傳右衞門君
海原〓平君金光庸夫君磯貝浩君
淺賀長兵衞君鈴木周三郞君最上直吉君
一去一日食糧政策及農家經濟ノ維持確立ニ關スル建
議案委員土井權大君辭任ニ付其ノ補關トシテ西村
丹治郞君ヲ、國有財產法案委員降旗元太郞君辭任
ニ付其ノ補闕トシテ金澤安之助君ヲ孰レモ議長ニ於
テ選定セリ
一昨二日借地法案外一件委員横山勝太郞君辭任ニ
付其ノ補闕トシテ森山儀文治君ヲ議長ニ於テ選定セ
リ
一昨二日委員長及理事互選ノ結果左ノ如シ
鐵道敷設法改正法律案委員
前田米藏君
荒匹川田銳吉君
委員長國澤新兵衞君理事五郞君
湯淺凡平君
松田三德君
帝國鐵道會計法中改正法律案委員
委員長穴水要七君理事金光庸夫君
一昨二日常任委員補關選擧ノ結果左ノ如シ
第八部
豫算委員坪田十郞君(多木久米次郞君補關)
一昨二日衆議院規則第十五條但書ニ依リ議長ニ於テ
議席ヲ左ノ通變更セリ
三二六 秋田縣第二區選出議員三三八福本清之輔君
三五四綾部惣兵衞君三六三井上剛一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=1
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002・奧繁三郎
○議長(奥繁三郞君) 會議ヲ開キマス、諮問事項ガアリマ
ス、議員高橋善五郞君病氣ニ付、今二月三日ヨリ十日間
請暇ノ申出ガアリマシタ、之ヲ許可スルニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=2
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003・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 異議ナイト認メマス、仍テ許可致
シマシタ、第六部選出懲罰委員植竹龍三郞君辭任ノ申出
ガアリマシタ、御異議ガナケレバ許可致シマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=3
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004・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 異議ナイト認メマス、仍テ許可致
シマシタ、其部ノ諸君ハ速ニ補關選擧ヲ行ウテ屆出テラレ
ンコトヲ望ミマス-議場整理ニ關シテ一言致シテ置キマ
ス、(拍手起ル)先日來或二三議員諸君ノ言論ノ一端ニ對
シマシテ、議長ヨリ注意ヲ加へ、若クハ制止ヲ致シマシタ所ガ
議員諸君ノ中ニ於テ、成ベク議場內ノ言論ニ對シテハ議長
ハ努メテ其自由ヲ與ヘラレンコトヲ望ムト云フ御忠言モ承
リマシタ、固ヨリ議長ハ議院法ノ認ムル所ニ依リマシテ、諸
君ノ言論ノ自由ハ成ベク之ヲ認メタク存ジマス、議長ニ於
キマシテ、議院法ニ依リ其言論ノ無禮、若クハ他人ノ人身
ニ涉ル事ヲ認メテ之ヲ制止スルコトハ、餘程困難デアリマス
片言一句直チニ以テ無禮ナリト判斷スルコトハ、極メテ困
難デアリマヌ、故ニ將來ハ此場所ニ於テハ、成ベク言論ノ自
由ハ努メテ之ヲ認メ、且ツ努メテ之ヲ制止スルコトハ避ケタ
ク存ジマス、サリナガラ若シモ議長ニ於テ之ガ制止ヲ怠ルヤウ
ナ嫌ノアル場合ニ於テハ、御遠慮ナク諸君ヨリ議長ニ御注
意アルコトヲ偏ニ希望シテ置キマス、過日モ申シマシタ如ク、
當演壇ニ立ッテ演說サレル諸君ハ、又力メテ其用語ヲ愼マ
レ、議院法ノ制スル所ニ於テハ、十分ニ注意ヲ拂ハレルコト
ヲ此機會ニ於テ重ネテ希望シテ置キマス、爰ニ重ネテ一言
致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=4
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005・三木武吉
○三木武吉君 議長発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=5
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006・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 三木君、何デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=6
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007・三木武吉
○三木武吉君 議事進行ニ對シテ、一寸發言致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=7
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008・奧繁三郎
○議長(奥繁三郞君) 三木君
〔三木武吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=8
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009・三木武吉
○三木武吉君 議院規則ノ第百三十九條ニ依リマスト、
議院內ニ於ケル議事ニ就テハ、速記錄ヲ作成シ、速記錄ハ速
記法ニ依リテ其議事ヲ記載スルト云フコトニナッテ居リマス
更メテ申スマデモアリマセヌガ、此速記ノ正確ナルコトニ依ッ
テ、吾ミノ言論ヲ永久ニ傳ヘ、又國民全體ニ傳ヘルコトガ
出來テ居ルノデアリマス、此議會內ニ於ケル、速記竝ニ其速
記ヲ掌ル所ノ速記者諸君ハ、恰モ海戰ノ場合ニ於ケル、艦底
深ク苦熱ト戰ハレテ居ル機關士ト同ジ職務ヲ執ッテ居ラレ
ルノデアリマス、私共ハ此速記者諸君ニ對シテハ、御同様ガ
國事ニ盡ス所謂立憲有終ノ美ヲ濟スニ努力シテ居ルヨリ、
以上ノ努力ヲ爲サレテ居ルモノトシテ、常ニ十二分ノ敬意
ヲ拂ウテ居ルノデアリマス、若シ此速記者ニシテ我ガ議會ニ
缺カンカ、我ガ議會ハ一日一刻ト雖モ、國政參與ノ大任ヲ
盡スコトハ出來ナイノデアリマス、其任ノ重ク且ツ大ナルコ
トハ更メテ申スマデモナイ、所ガ今日ノ東京日々新聞ノ議
會餘錄ト云フノヲ拜見致シマスト、斯樣ナ事ガ書カレテ居
ルノデアリマス、試ニ其一部ヲ讀ンデ見マスト云フト「請願
委員長ノ政友會植場平君各委員ガ集マッテ會ヲ開クバカ
リニナッテ居ルノニドウシタモノカ速記者ガ一人モ姿ヲ出サ
ナイ我黨ノナス所一モ成ラザルナシト考ヘテ居ル植場君、怪
カラヌトバカリ議ノ長許へ談シ込ムト奧君洒啞々々トシテ、速
記者ノ不足ハ新聞社へ不足ヲ申込ミナサイ少シ見所ノア
ルノハ大抵新聞社へ雇ハレテ行キマシテネ、殘ルノハ僕ノ宣
告スラ碌々書ケナイモノバカリデネ」斯ウ云フコトガ此新聞
ニ記載セラレテ居リマス、私ハ此新聞ノ記事ヲ見マシテ、非
常ニ憂慮ヲ致シマス、若シ奧議長ガ眞ニ斯ク信ゼラレテ、此
發言ヲセラレタトスルナラバ、是ハ由々シイ次第デゴザイマス、
諸君ハ御笑ニナルカモ知レマセヌガ、議長ノ宣告サヘモ書ケ
ナイヤウナ人こガ、此大ナル問題ニ就テ、特ニ今日ノ如キ普
選法案ト云フヤウナ重大ナル問題ニ就テ速記ヲ爲サレテ、
吾ニノ意見ヲ長ク永久ニ傳ヘルコトガ出來ルカドウカ、若シ
議長ノ言ハレル如クナレバ、我ガ立憲政治ノ運用ハ、到底完
全ニ之ヲ望ムコトガ出來マセヌ、是ニ於テカ私ハ議長ニ御尋
ヲシナケレバナラヌ、又議長ハ眞ニ我衆議院ニ議長ノ宣告ス
ラモ碌シキ速記ノ出來ナイヤウナ人とバカリヲ集メテ居ラレ
ルカ、若シ集メテ居ラレルトスルナラズ、之ニ對シテ議長ガ相
當ノ處置ヲ急速ニ執ラナケレバナラヌ、卽刻或ル適當ナル
處置ヲ執ラナケレバナラヌノデアリマス、併シ若シ議長ガサウ
ハ信ジテ居ラナイノデアルト云フナラバ、何ガ故ニ斯ノ如キ
無禮ノ言葉ヲ用井ラレタカ、是ハ單ニ一速記者ニ對シテノ
無禮ノ言葉デハアリマセヌ、議院政治其モノニ對シテノ一ノ
無禮ニナリマス、ノミナラズ、ノミナラズ、上ニ立ツベキ議長ヤ
書記官長ガ、斯ノ如ク速記者ヲ侮辱スルガ如キ言ヲ發スル
ト云フコトハ、軈テハ速記者總テノ惡感情ヲ釀シテ、ソレガ
爲メニ「ストライキ」ヤ、同盟罷業モ起ラナイトハ云ヘナイノデ
アリマス、此新聞紙ノ記載カラシテ、事務局內ニ於ケル物
語ガ囂々トシテ起ッテ居ルノデアリマスゾ、速記課內ニ於ケル
物論ハドウデアル、ソレ程役ニ立タヌ吾ミナラバ、今日唯今
此職務ハ御免蒙ルトマデモ、激論セラレテ居ル方ガゴザイマ
スゾ、故ニ私ハ此點ニ於テ、議長果シテ之ヲ信ジテ居ルカ、
信ジテ而シテソレニ對スル適當ナル處置ヲ執ッテ居ラナイカ、
若シ信ゼザルモノトスルナラバ、何ガ故ニ速記者諸君ノ感情
ヲ害シ、重大ナル事ヲ喚起サントスルヤウナ虞ノアル、不謹
愼ナル發言ヲ爲シタノデアルカ、若シ議長ガ假ニサウ云フコ
トハ信ジナイ、又信ゼザルノミナラズ、サウ云フ發言モシタコ
トナイト云フナラバ、此誤解ヲ解ク爲メニ、此誤解ヲ解ク爲
メニ、適當ナル手段ヲ講ジテ、速記者諸君ノ感情ヲ和ラゲ
且ツ世ノ中ヨリ輕侮ノ眼ヲ以テ見ラレントスル、我ガ立憲
政治ノ勇敢ナル機關士諸君ニ對シテ、相當ノ處置ヲ執ラレ
タ方ガ宜カラウト思フ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=9
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010・作間耕逸
○作間耕逸君 議長議事進行ニ就テ發言ガアリマス
〔「無用々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=10
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011・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 靜ニ-今三木君ノ議事進行ニ
就テノ御注意中、議長ニ御尋ノ點モアリマスカラ答ヘマス、
今ノ某新聞ニアリマス短評ニ就テハ、誤ガアリマスカラ事務
局ヨリ取消ヲ照會シタ筈デゴザイマス、且ツ其新聞ノ記事
ノ根據ハ、請願委員長ノ植場君ニ對シテ議長ガ答ヘタト
云フ話、事ハ植場君ト議長トノ間ノ事デ、其事ニ就テ新聞
記者等ノ與リ知ル所ニ非ズ、故ニ新聞記者ハ何ニ依シテ聽
カレタカ存ジマセヌガ、一切其事實ハアリマセヌ、植場君ヨ
リ速記者ノ不足ヲ質サレタ時分ニ、如何ニモ足ラナイコト
ガアッテ、甚ダ遺憾ニ存ズルト云フ一言ノ外ハ.何事モアリマ
セヌ(拍手)是ダケハ事務局ノ整理、若クハ議事ノ進行ニ關
スル事デアリマスカラ答ヘ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=11
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012・三木武吉
○三木武吉君 私ハ滿足致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=12
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013・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) ソレカラ尙ホ唯〓申シテ置キマス
ルガ、先日橫山勝太郞君ノ御演說ノ一端ニ對シテ議長ハ
注意ヲ致シマシタ、速記ヲ調ベマスルト、橫山君モ議長ノ注
意通リノ意味デアルナラバ取消ス、併シ吾輩ハ其考デ言ウタ
ノデナイト言フ、此事ガ旣ニ速記ニ明瞭デゴザイマスカラ、
是以上ノ要求ハ致シマセヌ、又先日宮古啓三郞君ノ演說
ノ一端ニ對シテ、議長ハ幾何ノ注意ヲ加ヘント欲シマシタ
ガ、速記ヲ調ベルト宮古君ノ言ハレタ說明通リ、故ニ何等
要求スル所ハアリマセヌ、此事ヲ言明ヲ致シテ置キマス(「議
長速記錄ニ就テ」「無用々々」ト呼フ者アリ)日程ニ八リマス
日程第一會計法改正法律案ノ一讀會ヲ開キマス
第會計法改正法律案(政府提出)
第一讀會
會計法案
會計法
第一章總則
第一條政府ノ會計年度ハ每年四月一日ニ始リ翌年
三月三十一日ニ終ル
一會計年度所屬ノ歳入歲出ノ出納ニ關スル事務ハ
翌年度七月三十一日迄ニ悉皆完結スヘシ
第二條租稅其ノ他一切ノ收納ヲ歲入トシ一切ノ經
費ヲ歲出トシ歲入歳出ハ之ヲ總豫算ニ編入スヘシ
第三條每會計年度ニ於ケル經費ノ定額ハ其ノ年度
ノ歳入ヲ以テ之ヲ支辨スヘシ
第四條各官廳ニ於テハ法律勅令ヲ以テ規定シタルモ
ノヲ除クノ外特別ノ資金ヲ有スルコトヲ得ス
第五條政府ハ日本銀行ヲシテ國庫金出納ノ事務ヲ
取扱ハシム
前項ノ規定ニ依リ日本銀行ニ於テ受入レタル國庫金
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ預金トス
第六條政府ハ國庫金出納上必要アルトキハ大藏省
證劵ヲ發行シ又ハ日本銀行ヨリ借入ヲ爲スコトヲ得」
大藏省證劵及借入金ハ當該年度ノ歲入ヲ以テ之ヲ
償還スヘシ
大藏省證劵及借入金ノ最高額ハ每年度帝國議會ノ
協賛ヲ經テ之ヲ定ム
第二章豫算
第七條歲入歲出ノ總豫算ハ前年ノ帝國議會集會ノ
始ニ於テ之ヲ提出スヘシ
必要避クヘカラサル經費及法律又ハ契約ニ基ク經費
ニ不足ヲ生シタル場合ヲ除クノ外追加豫算ヲ提出ス
ルコトヲ得ス
第八條歲入歳出ノ總豫算ハ經常臨時ノ二部ニ大別
シ各部中ニ於テ之ヲ款項ニ區分スヘシ
總豫算ニハ帝國議會參考ノ爲ニ左ノ文書ヲ添附ス
-シ
ー歲入豫算明細書
二各省ノ豫定經費要求書但シ各項中各目ノ明
細ヲ記入スヘシ
第九條豫算中ニ設クヘキ豫備費ハ左ノ二項ニ分ツ
第一豫備金
第二豫備金
第一豫備金ハ避クヘカラサル豫算ノ不足ヲ補フモノ
トス
第二豫備金ハ豫算外ニ生シタル必要ノ費用ニ充ツル
モノトス
第十條豫備金ヲ以テ支辨シタルモノハ其ノ第一豫備
金支出ニ係ルモノハ年度經過後其ノ第二豫備金支
出ニ係ルモノハ次ノ常會ニ於テ帝國議會ニ提出シ其
ノ承諾ヲ求ムルコトヲ要ス
第十一條政府ハ豫算ニ定ムルモノ及特ニ帝國議會ノ
協賛ヲ經タルモノヲ除クノ外災害事變其ノ他避クヘ
カラサル事由アル場合ニ於テハ翌年度ニ互ル契約ヲ締
結スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ翌年度ニ亙ル契約ヲ爲スコトヲ得
ヘキ金額ハ每年度帝國議會ノ協賛ヲ經テ之ヲ定ム
第三章收入
第十二條租稅其ノ他ノ歲入ハ法令ノ定ムル所ニ依リ
之ヲ徵收又ハ收納スヘシ
法令ノ定ムル所ニ依リ當該官吏ノ資格アル者ニ非サ
レハ租稅其ノ他ノ歲入ヲ徵收又ハ收納スルコトヲ得
ス但シ各廳事務員ヲシテ收納ヲ分掌セシムル場合又
ハ日本銀行ヲシテ收納ヲ取扱ハシムル場合ニ於テハ
此ノ限ニ在ラス
第四章支出
第十三條各年度ニ於テ決定シタル經費ノ定額ヲ以テ
他ノ年度ニ屬スヘキ經費ニ充ツルコトヲ得ス
第十四條國務大臣ハ其ノ所管ニ屬スル收入ヲ國庫ニ
納ムヘシ直ニ之ヲ使用スルコトヲ得ス
國務大臣ハ豫算ニ定メタル目的ノ外ニ定額ヲ使用シ
又ハ各項ノ金額ヲ彼此流用スルコトヲ得ス
第十五條國務大臣其ノ所管定額ヲ支出セムトスルト
キハ現金ノ交付ニ代ヘ日本銀行ヲ支拂人トスル小切
手ヲ振出スヘシ但シ他ノ官吏ニ委任シテ小切手ヲ振
出サシムルコトヲ得
第十六條國務大臣ハ債主ノ爲ニスルニ非サレハ小切
手ヲ振出スコトヲ得ス但シ以下四條ノ規定ニ依リ主
任ノ官吏又ハ日本銀行ニ對シ資金ヲ交付スル場合ニ
於テハ此ノ限ニ在ラス
第十七條國務大臣ハ勅令ヲ以テ定ムル經費ニ限リ
主任ノ官吏ヲシテ現金支拂ヲ爲サシムル爲勅令ノ定
ムル所ニ依リ之カ資金ヲ當該官吏ニ交付スルコト
ヲ得
第十八條國務大臣ハ日本銀行ニ命シ國債ノ元利拂
ヲ爲サシムル爲之カ資金ヲ日本銀行ニ交付スルコト
ヲ得
第十九條國務大臣ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ現金支
拂ヲ爲サシムル爲當該官吏ヲシテ其ノ保管ニ係ル歲
入金、歳出金又ハ歲入歲出外現金ヲ繰替使用セシム
ルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ歲出全ニ繰替使用シタル現金ヲ補
塡スル爲國務大臣ハ之カ資金ヲ當該官吏ニ交付スル
コトヲ得
第二十條國務大臣隔地者ニ支拂ヲ爲サムトスルト
ハ必要ナル資金ヲ日本銀行ニ交付シ之カ支拂ヲ爲サ
キシムルコトヲ得
前項ノ規定ハ隔地ノ出納官吏ニ資金ヲ交付セムトス
ル場合ニ之ヲ準用ス
第二十一條國務大臣ハ勅令ヲ以テ定メタル場合ニ
限リ前金拂又ハ〓算拂ヲ爲スコトヲ得但シ軍艦、兵
器、彈藥若ハ外國ヨリ直接購入スル機械圖書ノ代價
及官公署ニ對シ支拂フヘキ經費ヲ除クノ外物件ノ製
造若ハ買入又ハ工事ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第二十二條國務大臣ハ特殊ノ經理ヲ必要トスル場
合ニ限リ勅令ノ定ムル所ニ依リ各廳事務費ノ全部又
ハ一部ヲ主務官吏ニ對シ渡切ヲ以テ支給スルコト
ヲ得
第五章決算
第二十三條會計檢査院ノ檢査ヲ經テ政府ヨリ帝國
議會ニ提出スル歲入歳出ノ總決算ハ翌年開會ノ常
會ニ於テ帝國議會ニ之ヲ提出スヘシ
第二十四條總決算ハ總豫算ト同一ノ樣式ヲ用井左
ノ事項ノ計算ヲ明記スヘシ
歳入ノ部
歲入豫算額
調定濟歲入額
收入濟歲入額
不納缺損額
收入未濟歳入額
歲出ノ部
歲出豫算額
豫算決定後增加歲出額
支出濟歲出額
翌年度繰越額
不用額
第二十五條總決算ニハ會計檢査院ノ檢査報告ト俱
ニ左ノ文書ヲ添附スヘシ
-歳入決算明細書
二各省決算報告書
三國債計算書
第六章歲計剰餘定額繰越過年度支出豫算
外收入及定額戾入
第二十六條各年度ニ於テ歲計ニ剩餘アルトキハ其ノ
翌年度ノ歳入ニ繰入ルヘシ
第二十七條豫算ニ於テ特ニ明許シタルモノ及一年度
內ニ終ルヘキ工事製造又ハ物品ノ買入若ハ運搬ニシ
テ避クヘカラサル事故ノ爲ニ竣功又ハ納入若ハ運搬
ヲ遲延シ年度內ニ其ノ經費ノ支出ヲ終ラサリシモノハ
之ヲ翌年度ニ繰越シ使用スルコトヲ得
第二十八條數年ヲ期シテ竣功スヘキ工事製造其ノ
他ノ事業ニシテ繼續費トシテ總額ヲ定メタルモノハ每
年度ノ支出殘額ヲ竣功年度迄遞次繰越シ使用スル
コトヲ得
第二十九條過年度ニ屬スル經費ハ現年度定額ヨリ
支出スヘシ但シ豫備金ヲ以テ補充シ得ヘキモノヲ除ク
ノ外其ノ經費所屬年度ノ每項定額中不用ト爲リタ
ル金額ヲ超過スルコトヲ得ス
第三十條出納ノ完結シタル年度ニ屬スル收入其ノ
他豫算外ノ收入ハ總テ現年度ノ歳入ニ組入ルヘシ但
シ支出済歳出ノ返納金ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ各之
ヲ支拂ヒタル經費ノ定額ニ戾入ルルコトヲ得
第七章契約
第三十一條政府ニ於テ賣買貸借請負其ノ他ノ契約
ヲ爲サムトスルトキハ勅令ヲ以テ定メタル場合ヲ除ク
ノ外總テ公告シテ競爭ニ付スヘシ
國務大臣前項ノ方法ニ依リ契約ヲ爲スヲ不利ト認ム
ル場合ニ於テハ指名競争ニ付シ又ハ隨意契約ニ依ル
コトヲ得但シ不動產賣拂ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第八章時效
第三十二條金錢ノ給付ヲ目的トスル政府ノ權利ニシ
テ時效ニ關シ他ノ法律ニ規定ナキトキハ五年間之ヲ
行ハサルニ因リテ消滅ス政府ニ對スル權利ニシテ金錢
ノ給付ヲ目的トスルモノニ付亦同シ
第三十三條金錢ノ給付ヲ目的トスル政府ノ權利ニ
付消滅時效ノ中斷停止其ノ他ノ事項ニ關シ適用ス
ヘキ他ノ法律ノ規定ナキトキハ民法ノ規定ヲ準用ス
政府ニ對スル權利ニシテ金錢ノ給付ヲ目的トスルモノ
ニ付亦同シ
第三十四條法令ノ規定ニ依リ政府ノ爲ス納入ノ告
知ハ民法第百五十三條ノ規定ニ拘ラス時效中斷ノ
效力ヲ有ス
第九章出納官吏
第三十五條出納官吏ハ法令ノ定ムル所ニ依リ現金
又ハ物品ヲ出納保管スヘシ
出納官吏ハ其ノ出納保管ニ係ル現金又ハ物口四ニ付
一切ノ責任ヲ負ヒ會計檢査院ノ檢査判決ヲ受クヘシ
第三十六條出納官吏其ノ保管ニ係ル現金又ハ物品
ヲ亡失毀損シタルトキハ善良ナル管理者ノ注意ヲ怠
ラサリシコトヲ會計檢査院ニ證明シ責任解除ノ判決
ヲ受クルニ非サレハ其ノ亡失毀損ニ付辨償ノ責ヲ免
ルルコトヲ得ス
第三十七條國務大臣ハ特ニ必要アル場合ニ於テハ
勅令ノ定ムル所ニ依リ各廳ノ事務員ヲシテ現金又ハ
物品ノ出納保管ヲ分掌セシムルコトヲ得
出納官吏ニ關スル規定ハ前項ノ事務員ニ付之ヲ準
用ス
第三十八條第十五條ニ定メタル小切手振出ノ職務
ハ現金出納ノ職務ト相兼ヌルコトヲ得ス
第十章雜則
第三十九條特別ノ須要ニ因リ本法ニ準據シ難キモノ
アルトキハ特別會計ヲ設置スルコトヲ得
特別會計ヲ設置スルハ法律ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
第四十條政府ハ其ノ所有又ハ保管ニ係ル有價證
劵ノ取扱ヲ日本銀行ニ命スルコトヲ得
第四十一條日本銀行ハ其ノ取扱ヒタル國庫金ノ出
納、國債ノ發行ニ依ル收入金ノ收支、第十八條又ハ
第二十條ノ規定ニ依リ交付ヲ受ケタル資金ノ牧支及
前條ノ規定ニ依リ取扱ヒタル有價證劵ノ受拂ニ關シ
會計檢査院ノ檢査ヲ受クヘシ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
明治二十七年法律第十六號、明治三十三年法律第五
十號及明治四十四年法律第二十四號ハ之ヲ廢止ス
本法施行前ニ爲シタル第二豫備金ノ支出竝本法施行
ノ日ノ屬スル年度ノ前年度及前々年度ノ決算ニ付テハ
仍從前ノ例ニ依ル
本法施行前ニ期滿免除ト爲ラサル權利ニ付テハ本法其
ノ他ノ法律中時效ニ關スル規定ヲ適用ス但シ其ノ期間
ノ起算點ニ付テハ從前ノ規定ニ依ル
本法施行前ニ進行ヲ始メタル期滿免除ノ期間カ本法
其ノ他ノ法律ニ定メタル時效ノ期間ヨリ長キトキハ從前
ノ規定ニ依ル但シ其ノ殘期カ本法施行ノ日ヨリ起算シ
本法其ノ他ノ法律ニ定メタル時效ノ期間ヨリ長キトキハ
其ノ日ヨリ起算シテ本法其ノ他ノ法律ヲ適用ス
前三項ニ規定スルモノヲ除クノ外本法ノ施行ニ關シ必
要ナル規定ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=13
-
014・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 高橋大藏大臣
〔國務大臣子爵高橋是〓君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=14
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015・高橋是清
○國務大臣(子爵高橋是〓君) 諸君、只今議題トナリマ
シタル本改正法案ハ、曩ニ第四十二帝國議會ニ提出致シ
マシテ、御審議中衆議院ガ解散トナリマシテ、遂ニ決議ニ至
リマセノヌデゴザイマシタ、仍テ更ニ玆ニ提出致シマシテ、諸
君ト御審議ヲ待ツコトヽナッタノデゴザイマス、其改正ノ主
要ナ點ニ就テ簡單ニ說明ヲ致シマス、第一點ハ國庫金ノ
出納ニ關シマシテ、從來ノ卽チ現今ノ金庫制度ヲ廢止シマ
シテ、國庫預金制度ヲ採用スルト云フコトデゴザイマス、此
說ハ既ニ十數年以來唱ヘラレタ所デゴザイマシテ、政府ニ
於キマシテモ、夙ニ是ガ實施ノ利害、及其實行ノ方法ニ就
キマシテ、攻究ヲ重ネタノデゴサイマシタ、今ヤ政府ノ財政ト
一般金融トノ關係ニ鑑ミマシテ、預金制度ヲ採用致スヲ
適當ト認メマシテ、此制度ノ改革ヲ實行スルノデゴザイマス、
其〓要ヲ述べマスレバ、國庫金ノ出納ノ事務ヲ日本銀行ヲ
シテ取扱ハシメテ、サウシテ日本銀行ガ受入シマシタル所ノ
國庫金ハ、之ヲ政府預金ト爲スコトヲ規定シタノデゴザイ
マシテ、是ガ卽チ國庫金國庫預金制度ノ大本デアリマス、
其結果ト致シマシテハ、政府ノ仕拂ニ就テハ、從來仕拂命
令書ヲ發行シタ、之ヲ廢シマシテ、今度ハ商法ノ規定ニ依リ
マスル小切手ヲ振出シマシテ、サウシテ現金ノ交付ニ代ヘル
コトヽシタノデゴザイマス、又隔地者、卽チ隔ッタル所ノ土地
ニ居ル者ニ對スル政府ノ仕拂事務、又政府所有或ハ保管
ノ有價證劵ノ取扱事務モ、日本銀行ヲシテ是ニ當ラシムルコ
トヽシタノデアリマス、第二點ハ第二豫備金支出事後承諾
案、之ヲ提出スル期限ノ繰上ノ事デゴザイマス、現行法/
第八條ニ依リマスルト、豫備金ノ支出ハ、第一豫備金ブゴ
ザイマシテモ、又第二豫備金デゴザイマシテモ、總テ年度經
過後ノ帝國議會ニ提出スルコトヽナッテ居ルノデアリマス、
此提出ノ時期ニ就キマシテハ、從來年度ノ經過ヲ待タズ、
成ルベク早ク議會ニ提出スルコトヲ可ナリトスル議論ガ屢〓
起リマシタ、而シテ此第一豫備金ニ在リマシテハ、單ニ豫算
ノ不足ヲ補充スルニ止リマス、卽チ之ニ從屬スルノ性質ヲ
有スルモノデアリマス、其計算書ノ調製ニ就テモ、亦一年度
內ノ計算ヲ明ニスルノ必要ガゴザイマス、是ハ從來ノ通リ、
年度經過後ノ帝國議會ニ提出致スヲ適當ナリト考ヘルノ
デアリマス、併ナガラ第二豫備金ノ支出ニ就キマシテハ、全
然是ハ豫算外ニ生ジマシタ必要ナル費用ニ充ツルモノデア
リマシテ、全然獨立ノ性質ヲ有シテ居ルノデゴザイマス、ソレ
故ニ年度經過ヲ待タズシテ、最近ノ帝國議會ノ常會ニ提
出シテ、其承諾ヲ求メルコトニ改正ヲ致シタ次第デゴザイマ
ス、第三點ハ決算提出ノ時期ヲ繰上ゲルコトデアリマス、決
算提出ノ時期ニ關シマシテハ、現行會計法ニ於キマシテハ
何等ノ規定モ無イノデアリマス、唯タ事實上翌々年ノ開會
ノ帝國議會ニ提出スルノ慣例トナッテ居ル、而モ其時期ガ
遲レルト云フヤウナ非難ハ、從來屢、聞ク所デゴザイマス、仍
テ本改正案ニ於キマシテハ、出納事務完結ノ期限ヲ短縮
致シマシテ、決算書ノ調製ヲ迅速ニシテ、翌年開會ノ帝國
議會ニ之ヲ提出スルコトヽ改メタノデアリマス、決算審議ノ
效果ヲシテ、一層有效適切ナラシムルコトヲ期シタノデゴザ
イマス、而シテ此改正ノ結果ト致シマシテ、從來總豫算ノ參
考書トシテ、帝國議會ニ添付提出致シマシタル所ノ歲入歳
出現計書ハ、自ラ必要ガ無クナリマスノデアリマスカラ、是ハ
廢止スルコトヽ致シマシタ、第四點ハ契約ニ關スル競争入
札主義ノ原則ヲ緩和シテ、一般ノ實狀ニ適合セシムルヲ目
的トシタノデアリマス、現行法第二十四條ニ依リマスレバ、政
府ノ工事及物件ノ賣買貸借ハ、一般ノ競爭入札ニ依ルコ
トヲ原則トシテ居ルノデアリマス、改正案ニ於テモ矢張此原
則ハ原則トシテ守ルノデアリマスガ、從來此競爭入札ニ關
シマスル規定ヲ墨守スルノ結果、却テ國庫ノ損失ヲ招クヤ
ウナ弊害ニ陷ルコトガ屢〓アリマシタ、仍テ改正案ニ於キマ
シテハ、斯ル弊害ヲ防止スルノ必要ヲ認メマシテ、各省ノ大
臣ニ於テ競争ニ附スルコトヲ不利ト認メマシタル場合ニ於
テハ、其宜シキニ從ヒマシテ、指名競爭入札、又ハ隨意契約
ニ依リ得ルノ途ヲ開キマシテ、實際ノ事情ニ適合セシムルコ
トヲ期シタ次第デゴザイマス、唯ダ不動產ノ賣拂ニ就キマシ
テハ、其特別ナル性質ニ鑑ミマシテ、成ベク一般ノ競爭ニ付
セシムルコトヽ致シマシテ、特別ノ必要アル場合ニ於キマシ
テハ、勅令ノ制定ヲ待ヲデ、隨意契約ニ依ラシムルコトヽ致
シタノデゴザイマス、第五點ハ權利義務ニ關スル事デアリマ
ス、現行法ノ規定ハ、金錢ノ給付ヲ目的ト致シマスル權利
ニ就キマシテハ、公法私法何レニ屬シマシテモ、總テ年度經
過後五年ニシテ消滅スルト云フコトノ、原則ヲ採ッテ居ルノ
デアリマス、併ナガラ私法上ノ行爲ニ就キマシテハ、成ベク私
法上ノ原則ニ依ルコトヲ至當ト考ヘマスノミナラズ、一四、
場合ヲ通ジマシテ時效期間ヲ五年ト定メマスノハ、各種ノ事
情ニ應ジマシテ、時效期間ニ差別ヲ設ケマシタ趣意ヲ沒却
致シタ結果ヲ生ズルノデアリマス、ソレ故ニ改正案ニ於キマ
シテハ、私法上ノ權利義務ニ就キマシテハ、民法商法ノ規
定ニ依ルコトヽ致シマシタ、而シテ民法商法其他ノ法律ニ
規定ノ無イ所ノ權利ニ就キマシテハ、權利ヲ行使スルコトヲ
得ル時カラ、五年ニテ消滅スルコトニ致シタ次第デゴザイマ
ス、時效ノ中斷停止等ニ就キマシテハ、從來何等ノ規定モゴザ
イマセヌデシタガ故ニ、他ニ別段ノ規定ナキ限リ、民法ニ準
據スルノ規定ヲ設ケテ、其不備ヲ補フコトヽ致シマシタ、第
六點ハ日本銀行ノ國庫全出納、國債事務及政府有價證
劵ノ取扱ニ關シ、會計檢査院ノ檢査ニ關スル事デアリマス
ガ、改正案ニ於キマシテハ、日本銀行ノ取扱ニ係ル國庫金
ノ出納、國債發行ニ依ル收入金ノ收支、國債元利拂、及隔
地者拂ノ爲メニ日本銀行ニ交付シマスル資金ノ收支、竝ニ
政府有價證劵ノ受拂ニ關シマシテハ、會計檢查院ノ檢査
ヲ受ケルコトヽ致シマシタノデゴザイマス、而シテ預金制度
ヲ採用シタル結果ト致シマシテハ、國庫金出納其他ニ關シ
マシテ生ジマスル所ノ日本銀行ノ賠償責任ハ、出納官吏ノ
場合ト異リマシテ、民事上ノ責任ニ屬スルノデゴザイマスカ
ラ、會計檢査院ハ日本銀行ニ對シテ檢査ハ致シマスガ、判
決ハ之ヲ致サザルコトニ致シテ、出納官吏ト之ヲ區別スルコ
トニ致シタ次第デゴザリマス、以上ハ主ナル改正ノ要點デゴ
ザイマスガ、此外從來ノ經驗ニ鑑ミマシテ、現行法上不便
不當ト致シマスモノヲ改メマシテ、又不備ナ部分ヲ補ヒマシ
テ、其他法ノ整理ノ目的ヲ以テ改廢ヲ加ヘタルモノガゴザイ
マシテ、多少ノ字句ノ修正等モゴザイマスガ、其外ハ總テ第
四十二帝國議會ニ提出致シマシタル改正案ト同一デゴサ
イマス、諸君ハ何卒愼重ニ御審議ノ上、速ニ御協賛アラン
コトヲ希致シマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=15
-
016・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 日程第二、右議案ノ審査ヲ付託
スベキ委員ノ選擧ヲ議題ニ致シマス
第二右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=16
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017・岩崎勲
○岩崎動君 委員ノ數ハ特ニ十八名トシ、議長ニ於テ指
名アランコトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=17
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018・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 岩崎君ノ動議ニ御異議アリマセヌ
カ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=18
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019・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 異議ナイモノト認メマス、動議ノ如
ク決シマシタ、日程第三、會計檢査院法中改正法律案ノ
第一讀會ヲ開キマス
第三會計檢査院法中改正法律案(政府提
〓 〓第一讀會
會計檢査院法中改正法律案
會計檢査院法中左ノ通改正ス
第二條中、「二員」ヲ「三員」ニ、「八員」ヲ「十二員」ニ、「十
七員」ヲ「二十五員」ニ改ム
第五條中「二部」ヲ「三部」ニ改ム
第十三條第二號ノ次ニ左ノ一號ヲ加へ以下順次繰下
三日本銀行ノ政府ノ爲取扱フ現金及有價證劵ノ
出納ニ關スル決算
第十四條中「諸項」ヲ「事項」ニ、「各出納官吏」ヲ「日本
銀行」ニ改ム
第十六條中「第十三條第三項」ヲ「第十三條第四項ノ」
三段八
第十七條中「金庫ノ出納」ヲ「現金物品ノ出納」ニ改ム
第十九條ニ左ノ一項ヲ加フ
前二項ハ會計檢査院ノ檢查ヲ受クル各官廳以外ノ
モノニ付之ヲ準用ス
第二十條ノ二會計檢査院ハ日本銀行ノ計算ヲ檢査
シ正當ナリト決定シタルトキハ其ノ旨ヲ大藏大臣ニ通
知スヘシ正當ナテスト決定シタルトキハ大藏大臣ニ移
牒シテ相當ノ處置ヲ要求スルコトヲ得
附則
本法施行ノ期日ハ各條ニ付勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔政府委員橫田千之助君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=19
-
020・横田千之助
○政府委員(横田千之助君) 本案ハ只今ノ大藏大臣ヨ
リ提案ノ理由ヲ說明セラレマシタ、會計法ノ改正ニ伴フ改
正案デアリマス、要スルニ會計檢查ノ周到適實ヲ期スル爲
メニ、會計檢査ノ部屬ヲ殖シ、人員ヲ增加スルト云フノガ要
旨デアリマス、此必要ハ會計法ニ於テ、決算ノ繰上ヲ爲スガ
爲メニ第一ノ必要ヲ生ズル、第二ニハ會計法ニ於キマシテ
金庫制度ヲ廢シテ、國庫預金制度ヲ採用スルガ爲メニ必
要ヲ生ズルノデアリマス、第三ニハ大臣ノ自由栽量ニ依ッテ
隨意契約ノ方面ガ擴張セラルヽニ就テ、之ニ對シテ最モ嚴
密ナル會計檢査ヲ要スルコトデアルノデアリマス、其他二
三ノ改正ハ、悉ク曩ニ大藏大臣ガ說明セラレマシタ所ノ會
計法ノ改正ニ伴ッテ、其必要ヲ感ジテ居ルノデアリマスカラ、
速ニ御協賛アランコトヲ希望致シマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=20
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021・奧繁三郎
○議長(奥繁三郞君) 日程第四、右議案ノ審査ヲ付託
スベキ委員ノ選擧ヲ議題ニ供シマス
第四右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=21
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022・岩崎勲
○岩崎勳君 本案ハ日程第一卽チ政府提出會計法改
正法律案ノ委員ニ、併セテ付託セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=22
-
023・奧繁三郎
○議長(奥繁三郞君) 岩崎君ノ動議ニ御異議アリマセヌ
カ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=23
-
024・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 御異議ナイト認メマス、仍テ動議
ノ如ク決シマシタ、日程第五、無盡業法中改正法律案ノ第
一讀會ノ續キヲ開キマス
第五無盡業法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(〓〓〓〓〓〓〓)〓確確議)
報告書
一無盡業法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スへキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十年一月三十一日
無盡業法中改正法律案委員長
熊谷直太
衆議院議長奧繁三郎殿
〔熊谷直太君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=24
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025・熊谷直太
○熊谷直太君 唯今議題ニナッテ居リマスル無盡業法中
改正法律案ノ委員會ノ經過、及結果ヲ玆ニ御報告致シマ
ス、本案ハ至ッテ簡單ナ法案デゴザイマシテ、改正ノ主點ハ
三點ニ局限セラレテ居ルノデアリマス、其第一點ハ是迄擔
保物ニ就キマシテハ、有價證劵ニ限ッテ居リマスノヲ、不動
產ニ擴張シタト云フコトガ一點、第二ニハ加入者ニ對スル
貸付金ト云フモノハ、是迄ハ拂込ミタル掛金ノ額ニ限ッタモ
ノヲ、契約給付金ヲ增額スルト云フ所ノモノガ第二點ニナッ
テ居リマス、第三點ハ此無盡業者ノ貸付金ノ總金額ト云
フモノガ、餘リ莫大ニナッテイケナイ、卽チ茲ニ一種ノ制限ヲ
置カナケレバナラヌト云フ此三點ヲ、此改正案ニ依リマシテ
規定シタノデアリマス、委員會ニ於キマシテハ、政府提出ノ
此三點ノ改正ハ、何レモ理由アリ、今日ノ進運ニ對シマシテ、
洵ニ相當ナモノト致シマシテ、異議ナク可決確定シタ次第
デアリマス、滿場ノ諸君モ御賛成アランコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=25
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026・岩崎勲
○岩崎勳君 本案ハ讀會ノ順序ヲ省略シテ、委員長報告
ノ通リ可決確定セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=26
-
027・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 岩崎君ノ動議ニ御異議アリマセヌ
カ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=27
-
028・奧繁三郎
○議長(奧繁三郎君) 御異議ナイト認メマス、仍テ讀會
ノ順序ヲ省略シ、直チニ可決確定致シマス、日程第六船舶
滿載吃水線法案ノ第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長坪田
十郞君
第六船舶滿載吃水線法案(政府提出)
第一讀會ノ續(株式会社長)/報告
報告書
一船舶滿載吃水線法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スへキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十年二月一日
船舶滿載吃水線法案委員長
坪田十郞
衆議院議長奧繁三郎殿
〔坪田十郞君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=28
-
029・坪田十郎
○坪田十郞君 委員會ノ經過及結果ヲ御報告致シマス、
委員會ヲ開キマスコトガ前後四回、政府當局ト質問應答
ヲ十分ニ重ネマシタ本案ハ、主トシテ海難ノ豫防ヲスルコト、
又經濟上ヨリ有利ニ爲ス方法ノ標準トナルモノデゴザイマ
ス、尙ホ進ンデハ本案ハ造船計畫ノ基礎トナルモノデゴザイ
マス、目下海運界ノ狀勢ヲ鑑ミマシテ、最モ重要ナル制度ト
認メマシテゴザイマス、本法ノ效力ニ就キマシテハ、諸外國ト
相互ニ認容ノ完全ヲ期スルノデゴザイマス、此點ニ就キマシ
テハ、委員正木君ヨリ政府ニ對シテ、十分ノ盡力ガアリタイ
ト云フ希望ガゴザイマシタ、其他委員會ニ於キマシテハ、討
論ヲ用ヰマセズ全會一致可決致シマシテゴザイマス、此段
御報告致シマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=29
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030・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 本案ノ第二讀會ヲ開クヤ否ヤヲ
諮リマス
〔「二讀會ヲ開クニ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=30
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031・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 第二讀會ヲ開クニ御異議ナイト
認メマス、仍テ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=31
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032・岩崎勲
○岩崎勳君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、第三讀會ヲ
省略シテ、委員長報告ノ通リ可決確定セラレンコトヲ希望
シマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=32
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033・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 岩崎君ノ動議ニ御異議アリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=33
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034・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 御異議ガ無ケレバ直チニ第二讀
會ヲ開キマス
船舶滿載吃水線法案第二讀會(確定議)
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=34
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035・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 御異議ナイト認メマス、仍テ第三
讀會ヲ省略シ委員長報告ノ通リ、可決確定致シマシター
日程第七、衆議院議員選擧法中改正法律案ノ第一讀會
ヲ開キマス提出者關直彥君
第七衆議院議員選舉法中改正法律案
(關直彥君外三名提出)第一讀會
衆議院議員選擧法中改正法律案
衆議院議員選擧法中左ノ通改正ス
第八條帝國臣民タル男子ニシテ年齡滿二十年以上
ノ者ハ選擧權及被選擧權ヲ有ス
第九條選舉人名簿調製ノ期日迄引續キ滿六箇月
以上同一選擧區內ニ住居スル者ニ非サレハ選擧權ヲ
行ヨノコトヲ得ス
前項ノ期間ハ行政區畫變更ノ爲中斷セラルルコトナ
シ
第十條削除
第十二條第一項ヲ左ノ如ク改ム
貴族院議員及貴族院議員ノ互選人ハ選擧權ヲ行フ
コトヲ得ス
同條第二項中「又ハ官公立私立學校ノ學生、生徒」ヲ削
ル
第十三條第一項ヲ削ル
第十八條第四項中「、納稅額及納稅地」ヲ削ル
第十九條削除
第二十二條削除
第二十三條中「前二條」ヲ「第二十一條」ニ改ム
第二十四條中「第二十二條」ヲ削ル
第四十三條ノ二航行中ノ船舶ハ前條ニ準ス
本條ノ施行ニ關スル細則ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第百九條削除
附則
本法ハ次ノ總選擧ヨリ之ヲ施行ス
本法ニ依リ初テ議員ヲ選擧スルニ必要ナル選擧人名簿
ニ關シ本法ニ定ムル期日又ハ期間ニ依リ難キトキハ勅
令ヲ以テ別段ノ規定ヲ設クルコトヲ得但シ其ノ選擧人
名簿ハ次ノ選擧人名簿確定ノ日迄其ノ效力ヲ有ス
〔關直彥君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=35
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036・關直彦
○關直彥君 諸君、本員ハ衆議院議員選擧法中改正法
律案ヲ提出致シマシタ、卽チ帝國臣民男子ニシテ二十歳
以上ノ者ハ、選擧權竝ニ被選擧權ヲ有セシムル斯樣ナル趣
旨ノ法案ヲ提出シタノデアリマス、少シク其理由ニ就テ說
明ヲ申上ゲタイト存ジマスルカラ、暫時御〓聽アランコトヲ
希望致シマス、凡ソ現在ノ-現行選擧法ニ依リマスルト、
有權者ノ數ハ僅ニ三百万人、本案ニシテ實行サレマス暁ニハ、
的確ナル數ハ未ダ申上ゲル譯ニハ參リマセヌケレドモ、約千
五百万人ノ數ニ增加致スデアラウト信ズルノデアリマス、此
趣旨ハ詰リ先帝陛下五箇條ノ御誓文ニ依ッテ誓ハセラ
レマシタル、「萬機公論ニ決スヘシ」ト云フ趣旨ヲ徹底セシム
ルノ趣意ニ外ナラヌノデアリマス、理想論カラ申シマスルト、
苟モ同ジ民族ノ中ニ血ヲ享ケテ、而シテ其社會ニ生レ出デ
マシタル者ハ苟モ丁年ニ達シマスル以上ハ、男子ト云ハズ、
婦人ト云ハズ、悉ク其國家社會ニ對スル義務ヲ負擔シ、權
利ヲ享有スルト云フコトハ、是ハ純理想ト信ズルノデアリマ
ス、併ナガラ如何ニ純理想ト致シマシテモ、之ヲ行フニ當リ
マシテハ、其時代ノ進步、社會ノ進步ノ狀況ニ徵シマシテ、
大ニ考慮ヲ要サナケレパナラヌ問題デアリマスルカラ、〓
此問題ヲ提出致シマスルコトニ就キマシテハ、純理想ニ依ツ
テ此趣旨ヲ說明スルコトジ姑ク措キマシテ、我國ノ法制ニ
依リマスルト云フト、選擧權ヲ有セシムルノハ、〓ネ國家ニ
對スル、義務的觀念ヨリ定メラレテ居ルモノデアルト信ズルノ
デアリマス、卽チ其義務的觀念ト申シマスレバ、國費ヲ負擔
スル、國費ヲ負擔スルト云フコトニ根據ヲ置イテアルモノト思
ハレルノデアリマス、故ニ私ハ重キヲ義務的觀念ニ置キマシ
テ、本案提出ノ理由ヲ說明シタイト思フノデアリマスルガ、
併ナガラ現行法ニ依リマスルト云フト、三圓ヲ以テ有權者
ノ限度ト致シテ居ルコトガ、甚ダ其意ヲ解スルニ苦シムノデ
アリマス、何故ニ三圓ヲ以テ-三圓以上ヲ納メル者デナケ
レバ、國政ニ參與スルノ權利ガ無イノデアルカ、何故ニ二圓
ヲ納メル者ニ之フ與ヘナイノデアルカ、同ジク國費ヲ負擔ス
ルト云フ以上ハ、一圓デモ宜シイ譯デハアルマイカ、何ヲ以テ、
如何ナル標準ニ依ッテ、之ヲ三圓ニ局限サレタカト云フコト
ニ就キマシテハ、徹底的理由ヲ發見スルノニ苦シムノデアリ
マス、又何故ニ齊シク國稅ヲ納ムル者ノ中ニ於キマシテ、左
樣ニ區別的待遇ヲ爲スノデアルカ、此事ニ就テモ私共ハ其
了解ニ苦シムノデアリマス、加之國費ヲ負擔スルト云フ上カ
ラ參リマスレバ、豈ニ啻ニ直接國稅ニノミ限リマセヌノデ、消
費稅ニ依リマスレバ、苟モ衣食住ヲ爲ス者ニ於キマシテハ、
其財產ノ程度、貧富ノ差ヲ論ゼズシテ、國民齊シク國費ノ
分擔ヲシテ居ルト云フコトニ申シマシテモ、差支ガナイ譯デ
アリマスカラ、義務的觀念カラ申シマシテモ、三圓ニ之ヲ區
限シナケレバナラヌト云フ論理ハ、頗ル徹底ヲ缺イテ居ルト
信ズルノデアリマス、故ニ吾ミノ納稅ノ資格ヲ撤廢シテシマッ
テ、苟モ丁年以上ニシテ國家社會ニ活動スル者ニ對シテハ、
選擧權ヲ與ヘルト云フコトガ本案ノ趣旨デアルノデアリマス、
又國家ニ對スル義務ノ觀念カラ申シマシテモ、國費ヲ分擔
スルト云フノミニ限シテ、義務ヲ盡シテ居ル者ト申スコトハ相
成リマスマイ、一身ヲ犧牲ニシテ、國家ノ爲メニ義務ヲ盡ス
者モアレバ、或ハ智識、技倆、勞力ヲ以テ、國家ノ爲メニ
義務ヲ盡シテ居ル者モアルノデゴザイマスカラ、苟
モ國家ニ對スル義務ヲ負擔スル者ニ權利ヲ與ヘルト云フ
根本カラ申シマシテモ、是等ノ人〓ニ向ッテ權利ヲ與ヘルト
云フコトハ、決シテ不道理デナイト信ズルノデアリマス、例へ
テ申シマスナラバ、貧富ノ差別ヲ問ハズ、苟モ丁年ニ達シマ
ス以上ハ、男子トシテハ徴兵ニ應ズルノ義務ガアル、或時ハ
朔北ノ野ニ戰ヒ、强敵ト戰ヒ、又ハ氣候ト戰ヒ、一身ヲ國家
ノ犠牲ニマデ供シテ、國家ニ義務ヲ盡シテ居ル者サヘモアル
ノデアリマス、是等ノ人ガ幸ニシテ生命ヲ完ウシテ凱旋シマ
シテ、今日我國ニ現在スル所ノ在〓軍人ノ數ハ、數百万ニ
上ッテ居ルノデアリマス、是等ノ人〓ノ中ニハ、財產ヲ有セザ
ル者ガ多數デアッテ、國家ノ爲メニ生命ヲ變牲ニシ來ッタ者
デアッテ、而シテ未ダ參政ノ權ヲ得ラレナイト云フコトハ、甚
ダ不公平ナ譯デハゴザイマスマイカト考ヘル、軍人ノミデハ
アリマセヌ、苟モ官吏、公吏、警察官ノ如キ多數ノ俸給ヲ取ッ
テ居ラナイ者ハ、何レモ國家ノ爲メ、若クハ公共ノ爲メ、或
ハ治安維持ノ爲メニ、重大ナル職責ヲ國家ニ對シテ盡シテ
居ルノデアリマスガ、是等ノ人〓モ收入ノ寡少ナルガ爲メニ、
參政ノ權利ヲ得ルコトガ出來ナイト云フコトハ、甚ダ不公
平デハアリマスマイカト信ズルノデアリマス、例ヘバ新聞記
者ノ如キ、全國ニ數万若クハ數十万ノ人モアルカモ知レマセ
ヌ、此人達ノ中ニ於キマシテモ、選擧權ヲ有スル者ハ甚ダ少
カラウト思フ、多數ノ新聞記者、卽チ社會ノ爲メニ事實ヲ
報道シ、輿論ヲ指導スル所ノ、重大ナル責任ヲ國家社會ノ
爲メニ盡シテ居ル所ノ人ニシテ、而シテ參政ノ權ヲ得ラレナ
イト云フノハ、甚ダ不公平デハアルマイカ、進ンデ〓員-數
十万ノ〓員、未來ノ國民ヲ養成スベキ重大ナル職責ヲ盡シ
テ居ル所ノ人ニシテ、未ダ國政ニ參與スルノ權利ヲ有シテ居
ラナイト云フノハ、是亦甚ダ不公平デハアリマスマイカ、神官
僧侶ノ如キ-數十万ノ神官、僧侶ノ如キ、選擧權モ被選
擧權モ有シテ居ラナイノデアル、此人ミノ職責ハ、最モ高尙
ナル吾ミノ安心立命ヲ定メ、未來ニ對スル考マデモ吾ミニ
與ヘテ吳レルベキ、最モ高尙ナル職務ヲ以テ、國家社會ノ爲
メニ努メテ居ル人ニモ拘ラズ、選擧權、被選擧權ヲ拒ンデ與
ヘナイト云フノハ、甚ダ不條理デハアリマスマイカ、進ンデ直
接ニ算へ擧ゲルコトガ出來マセヌデモ、苟モ社會共存ノ道
理カラ參リマスト云フト、如何ナル人ト雖モ、社會ニ於テ一
人デ生存スルト云フコトハ出來ナイモノデゴザイマスカラ、必
ズ社會全員ノ援助及扶掖ニ依ッテ相互ニ存スルコトハ、是
ハ申スマデモナイノデアリマス、此點カラ考ヘテ見マスルト云
フト、貧富ノ差別ハ更ニ論ズルコトナク、如何ナル商賣デモヽ
如何ナル職業デモ、若クハ勞働者ニ於キマシテモ、其一ヲ缺
ケバ必ズ社會ノ生存ト云フコトヲ得ルコトガ出來ナイノデア
リマスカラシテ、社會共存的ノ觀念カラ申シマスレバ、如何
ナル人デアリマシテモ、如何ナル職業ヲ有スル者デアッテモ、
又如何ナル商賣ヲ有スル者デアッテモ、悉ク國家社會ニ貢
獻セザル者ハ、凡ン一人モ無イト斷言シテ憚ラナノデアル、
苟モ國家社會ニ貢獻ヲスル以上ハ、齊シク國家ノ政治ニ對
シテ參政ノ權利ヲ得セシメルト云フコトガ、寧口當然デハナ
イカト考ヘラレマスノデアリマス、[苟モ立憲政治ヲ行ヒマス
以上ハ、内外ノ政治ニ區限セラレタル階級ニ依ッテ、〓斷セ
シムベキモノデハナカラウカト思フ、本來立憲政治ヲ行フト
云フ趣旨カラ申シマスレバ、出來得ルナラバ成ベク廣クノ國
民ニ參政ノ權ヲ與ヘテ、立憲政治ノ基礎ヲ多數ノ上ニ築ク
ト云フコトガ、本來立憲政治ノ趣旨デハアリハシマスマイカ、
然ルニ現在我國ノ立憲政治ノ狀態ハ、殆ト私ハ名アリテ其
實ナシト申スモ過言デハナイカト思フノデアリマス、今日ノ
狀態カラ中シマスレバ、僅ニ三百万人ノ代表者デゴザイマス
カラ、少數階級ノ代表政治ト申シマシテモ、敢テ差支ハゴザ
イマスマイ、殊ニ甚ダ悲ムベキハ、當局ノ政策動モスレバ富
豪資本家ノ擁護ニ傾クノ虞アリト云フコトハ、現在ニ於ケ
ル經濟界救濟ノ狀態ニ於キマシテモ、諸君ハ思半ニ過ギ
ラレルデアラウト信ズルノデアリマス、(拍手)又稅制ノ整
理ト中シ、行政ノ改革ト申シ、社界政策ノ思切ッタル實
行ト中シ、軍備ノ整理ト申シ、是等ノ根本的改革ヲ政
治ノ上ニ行フノニ就キマシテハ、今日ノ如キ薄弱ナル區
限サレタル少數ヲ代表スル議員ニ於テハ、私ハ甚ダ覺束
ナイデハナイカト云フ感ジヲ懷クノデアリマス、(拍手)之ヲ
權利ヲ十分ニ擴張致シマシテ、最大多數ノ與論ニ依ッテ政
治ヲ左右スルニ至リマシタナラパ、國民多數ノ意嚮ニ從テ
思切ッタル改革ヲ爲スニ、蓋シ躊躇スル所ハナカラウト思ハ
レルノデアリマス、恰モ今日ノ方憲政治ノ狀態ハコップノ如
キ有樣デアリマシテ、其基礎ガ甚ダ狹少ニシテ薄弱デアリマ
ス、吾ミガ之ラ擴ゲテー五倍六倍ニ之ヲ擴ゲテ、其基礎
ヲ-立憲政治ノ基礎ヲ固ウシマスルニハ、形ニシマスレバ、
ピラミットノ形ニ立憲政治ノ基礎ヲ築キタイト云フノガ吾〓
ノ望ム所デアリマス、其形ノ上ニ我ガ誇リトスル所ノ万世一
系ノ皇室ヲ戴キマシタナラバ、殆ド立憲ノ基礎ガ決シデ緩ム
コトナクシテ、國家ヲ泰山ノ安ニ置クト云フコトバ私ハ此
普通選擧ニ依シテ出來ルコトデハナイカト信ズルノデアリマ
ス、(拍手起ル)又内外ノ形勢ヲ察シマスルノニ、先年世界ノ
大戰爭以來、思潮ノ一變諸君ノ御承知ノ通リデアリマス、
世界ニ於ケル思潮ノ大變化、其影響ヲ受ケマシタル我國ニ
於ケル思潮ノ變化、其最モ主ナルモノヲ申シテ見マスレバ、
何レモ政治ニ致セ、戰爭ニ致セ、商賣ニ致セ、外交ニ致セ、悉
ク皆ナ國民的ニナリマシタル形ヲ持ッテ居ルト、私パ斷言シテ
憚ラヌト思フノデアリマス、嘗テ講和ノ前ニ於キマシテ「ウイ
ルソン」ガ宣言セラレタ所ヲ聞キマスルト云フト、國民ヲ基礎
トシタル政府ニ非ズンバ断ジテ講和ヲ許サナイト云フコト
ヲ宣言致シタノデアリマス、御承知ノ如ク獨逸ノ「カイゼル」
時代ノ有樣デゴザイマスルト云フト、國民ヲ基本トシタル政
府デナイト認メラレタノデアリマス、遂ニ其宣言ノ如ク其結
果ハ國民ヲ代表シタル政府ト講和ヲ致シマシテ、國民ノ少
數ヲ代表シ、軍閥或ハ侵略的ノ帝政主義ヲ持シテ居ッタモ
ノガ、實際ノ上ニ於テ亡滅ヲ致シタノデアリマス、國際聯盟
ノ草案ヲ見マシテモ、苟モ國際聯盟ニ加ハル所ノ國ハ、民本
主義ノ國デナケレバ聯盟ニ加入スルコトガ出來トイト云フ
コトニ規定サレテ居シタノデアリマス、併ナガラ當時ノ聯合軍
其一タル我ガ帝國ハ、帝國-形ニ於テ帝國デアリマス
ルシ民本主義ノモノデナケレバ、加ハルコトガ出來ヌト云フコ
トニナリマスルト云フト、日本ヲ除外シナケレバナラヌト云フ
ヤウナ羽目カラ、或ハ日本ヲ憚シテ草案ヨリ其文句ハ除キマ
シタケレドモ、其精神ニ於キマシテハ、今日ノ國際聯盟ノ趣
旨ハ更ニ變シテ居ナイノデアリマス、矢張民本主義ノ國ヲ
土臺トシテ、而シテ國際聯盟ヲ組織スルト云フ精神ニ於テ
ハ變リガナイト私ガ見テ居ルノデアリンス、斯ル大勢デゴザ
イマスルカラシテ、將來我國ノ國際關係-國際關係ニ於
キマシテモ、又背後ニ多數ノ國民ト云フモノヲ脊負テ居マセ
ヌケレバ、眞ノ國際的外交ハ出來難イモノト信ジテ疑ハナ
イノデアリマス、然ルニ今日我國ノ外交ノ狀態ハドウデアリ
マスルカ、中スト甚ダ失禮ナ申分カハ知レマセヌケレドモ、我
國ノ外交ハ殆ド國民トハ沒交涉デアルト私ハ察セラレルノ
デアリマス(拍手起ル)僅ニ霞ヶ關ノ一隅ニ於テ祕密ニ劃策
ヲサレ、而シテ國民トハ一切沒交涉デアル、國民全體ニ依ッ
テ外交ノ方針ヲ掩護サレタト云フコトハ、未ダ曾テ見ナイノ
デアリマス、(拍手起ル)故ニ其原因甚ダ薄弱ナル今日ニ於
キマシテハ露國ノ爲メ-旣ニ社會ノ破壞サレク露國ノ爲
メニモ侮ラレ、又隣國ノ支那ノ爲メニモ輕侮ヲ受ケ嘗テ我
ガ同盟國デアリシ、又同盟國デアル英國モ、亦我帝國ニ對
シマシテノ意嚮ハ、前日ノ如クナラザルヲ信ズル理由ガアリ
マスノハ、甚ダ遺憾ニ思フノデアリマス、殊ニ又亞米利加ノ
如キハ、諸君モ御承知ノ通リ排日朝野ニ熾ニシテ-排日
論朝野ニ熾ニシテ、加州ニ於ケル問題ノ如キモ、甚シキ差
別的待遇ヲ蒙リ、日本人ノ體面ト云フモノハ、世界ニ於テ
汚辱サレタト斷言シテ憚ラヌノデアリマス、(拍手起ル)畢竟
スルニ我國ノ外交ノ國民的後援ノナキ所以、此ニ至ラシメ
タ結果ト信ズルノデアリマス、加州ニ於テ我國民ガ差別的
待遇ヲ受クルコトヲ吾ニハ憤慨致シマスルガ、顧ミテ自分ノ
內ヲ見マスルト云フト、國民ノ中ニ政府ガ-政府トハ中シ
マセヌ、國家ガ差別的待遇ヲ施シテ居ルノデ、三圓以上納メ
ナイ者ハ權利ヲ有ツコトハ出來ナイ、自分ノ內ノ國政ニ參
與スルコトガ出來ナイト云フ差別的待遇ヲ施シテ居リナガ
ラ、世界ニ於テ日本人ニ向ッテ差別的待遇ヲ爲スコトハ、怪
シカラヌト言フコトハ、私ハ自ラ侮ルモノト思フノデアリマス
(拍手起ル、「ノウ〓〓」「謹聽々々」ト呼フ者アリ)今日我國ハ
世界各國ヨリ非常ナル誤解ヲ受ケテ居リマス、我國ハ恰モ
軍國主義デアルカラノ如ク、又帝國主義-其帝國主義ト
云フ意味ハ、獨逸ノ如キ侵略的帝國主義デアルカノ如ク非
常ナル誤解ヲ受ケ、甚シキハ恐怖ヲ受ケ、殆ド我國ハ世界
ニ於テ、孤立ノ狀態ニ陷リハシナイカト云フ吾ヒハ虞ヲ懷イ
テ居ルノデアリマス、何故ニ左樣ナル誤解ヲ受ケテ居ルカト
申シマスレバ、我國ノ立憲政治ニハ、名アッテ未ダ實ナキガ故
ニ、斯ル誤解ヲ受ケテ居ルノデハナイカト思フノデアリマス
(「拍手起ル」、「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ)唯今モ申シマシタ通リ
帝國ノ外交ハ一部少數ノ外交デアル、帝國ノ軍備ハ、一部
少數ノ支配スル所ニ左右セラレテ居ル、之ガ爲メニ左樣ナ
ル、誤解ヲ受ケルノデハナイカ、我國民ノ多數ハ平和ヲ望ミ
決シテ軍國主義ヲ喜ブ者デハナイト私ハ斷言シテ憚リマセ
ヌ、世界ニ向ヲテ斷言シア憚ラナイノデアリマス(「大ニ然リ」
ト呼フ者アリ)又我ガ帝國-畏多クモ我ガ帝國ハ萬世一
系ノ皇室ヲ奉戴シテ、天壞ト窮リナイノデアル、ソレト同時
ニ我ガ帝政ノ根本主義ハ常ニ國民ヲ基礎トシテ歷代帝
王ノ行ハレタル政治、歷代帝王ノ降サレタル詔勅ヲ拜讀致
シマシテモ、一トシテ國民ヲ基トセザル詔勅ハ無イノデアリマ
ス我國ノ帝國主義ハ上下一致、平和主義、博愛主義ノ帝
國主義デアリマシテ、決シテ獨逸ノ如キ侵略的帝國主義デ
ナイト云フコトハ是ハ我國ニ於テハ、吾こノ問ニ申スマデモ
ナイ事デアリマスケレドモ、世界ニ於テハ其形其名ニ拘泥シ
テ、矢張日本ハ帝國主義デアルカノ如ク、軍國主義デアルカ
ノ如ク吾ヒヲ誣ヒ吾ミヲ恐怖スルノデアリマス、此誤解ヲ
一掃シ此恐怖ヲ一掃シ、手ヲ擴ゲテ世界ト親密ノ交際ヲ
シマスルノニハ、我國ノ立憲政治ハ眞ニ民本主義ノ立憲政
治デアル、普通選擧ヲ實行シテ、眞ノ輿論ヲ代表シテ居ルモ
ノデアルト云フコトニ歸著セシメザレバ、絕體ニ其效能ハ無
カラウト信ズルノデアリマス(拍手起ル)外國ノ新聞ガ斯樣
ナコトヲ申ンテ居ル、日本ニ對スル最モ同情?ル記事ガ、去
ル三十一日ノ日日新聞ニ載セラレテアリマス、御參考ニ少
シク關係ノ項ヲ讀上ゲテ見マスルガ、是ハ紐育週刊雜誌ノ
「ネーシヨン」二月二日「日本號」ト云フノニ記載サレタル記
事デアリマス、論說デアリマス、其「日本號」ニハ「ラモント」氏
其他ノ寄書ヲ滿載シ、自由主義ノ立場カラ、日米親善ノ必
要ヲ力說スル筈ニナッテ居ル、而シテ同號ノ社說ニ於テハ次
ノ知ク論ゼラレル筈デアル、日本ノ帝國主義ハ、日米兩國
ノ親交ニ直接惡影響ヲ及ポシタケレドモ、吾〓ハ日本ノ現
狀ハ、全ク他ノ諸外國ト異ナル狀態ニアルコトヲ知ラナケレ
バナラヌ、今日日本國民ヲシテ、外國ニ於テ帝國主義的冒
險ヲ行ハシメ、日本國民ヲシテ、莫大ナル財寶ト多數ノ人
命ヲ犧牲ニ供セシメツヽアルモノハ、日本政府デアッテ日本
ノ國民デハナイノデアル斯樣ニ申シテ居ル、日本政府デアツ
テ、日本國民デナイノデアル-洵ニ我國ノ狀態ヲ諒解シタ
ル外國人ノ評ト申シテ差支ナカラウト思ヒマス、今尙過去
數百年ニ亙リ封建時代カラ傳統的ニ繼承シタ或特權階
級ノ人〓ニ治メラレテ居ルコトデアル、是等ノ特權階級ハ自
由主義ノ擡頭ヲ憎ミ」頭ヲ擡ゲルコトヲ憎ミ「勞働者ノ團
結權ヲ否認スルノデアル、然レトモ今ヤ日本ノ群集ハ漸ク
覺醒シ政府ト一般國民トノ間ニハ大ナル溝渠ガ築カレツヽ
アルノデアル」大ナル溝ガ築カレテ居ルト云フノデアル「而シ
テ是等ノ新自由主義者ハ、飽迄米國トノ親善ヲ金圖シテ
已マナイ、吾ミハ此自由主義ノ態度ヲ看過シテハナラナイノ
デアル、然リ日本ニハ今ヤ新時代ノ曙光ガ見エテ居ルノデア
ル、例ヘバ大阪每日東京日日ノ兩新聞ノ如キ、或ハ讀
賣新聞ノ如キ有力ナル自由主義ノ新聞ハ、公然無用
ノ海外發展ヲ止メテ、勞働階級ノ福利ノ爲メニ國家
ノ政策ヲ」一寸字ガ消エテ居リマスガ「國家ノ政策ヲ
傾倒セザルベカラザルコトヲ力說シテ居ル」云々、斯樣ニ
書イテアリマス、外國人ガ深切ニ我國ノ狀態ヲ觀察シ
テ吳レマスレバ、斯ノ如クデアル、不深切ニ我國ヲ誣ユ
レバ、軍國主義デアル、帝國主義デアルト斯様ニ申スノデア
ル、若シ權利ヲ擴張致シマシテ、所謂普通選擧ヲ行ヒ
マシテ、國民ノ輿論ヲ直接ニ政治ノ上ニ行フト云フコト
ニナリマシタナラバ、全ク斯ル誤解ハ世界ニ一掃セラレルデ
アラウト信ズルノデアル、世界ノ大勢ハ既ニ然リデアリマスカ
ラ、私ハ將來ニ於テハ我帝國ノ國步モ、世界ノ大勢ニ順應
シナケレバナラヌモノデアルト信ズル、又我國ノ狀態ハドウデ
アルカ、我國ニ於テ所謂普選ト云フモノヲ要望スルモノハ、
總理大臣ノ御目ニハ甚ダ大ニハ映ジナイカモ知ラヌケレド
モ、吾〓ノ見ル所吾〓ノ聞ク所ニ依ルト、今日我ガ國民ハ十
分覺醒シタルモノト信ジテ疑ハナイノデアリマス、現ニ日本
ノ内國ノ輿論ハドウデアルカト申シマスレバ、諸君ハ每日新
聞ヲ御覽ニナリマスカラ御承知デアリマセウ、政黨政派ニ關
係セザル公平無私ナル大新聞ニ於テ、普選論ヲ賛成セザル
新聞ト云フモノハ殆ドアリマセヌ、又全國ノ新聞雜誌中ニ、
或一黨ノ機關ヲ除クノ外ハ、擧ッテ普選ヲ賛成シナイモノハ
無イコトハ、日々諸君ノ目ニ觸レラレルコトデアラウト信ジテ
疑ハナイノデアリマス、又全國ノ智識階級悉ク之ヲ要望シ
テ居ルト申シテモ、差支ハゴザイマスマイ、〓育家ノ如キ、過
日モ所謂〓育團體ノ-六〓體ノ決議ヲ以テ、吾〓ニ要求
スル所ノ三箇條ノ一トシテ、〓育家ニ選擧權及被選擧權
ヲ與ヘヨト云フコトヲ要求シテアルノデアリマス、數十万ノ
〓育家ハ擧〓テ選擧權被選擧權ノ要求ヲ致シテ居ルト云
フコトハ、是ハ爭フベカラザル事實デアリマス、〓育家ノミナ
ラズ、宗〓家旣ニ來ル六日ニ於テ大集會ヲ催スト云フコト
ヲ聞イテ居リマスルガ、其要望スル所ハ、宗〓家ニモ選擧權
被選擧權ヲ與ヘヨト云フコトノ要望ガ盛ンデアルト云フコ
トハ、是亦事實疑ガナイノデアリマス、全國ノ下級官吏、會
社員、其他モ權利ヲ有ッテ居ラナイ者ノ多數ハ悉ク之ヲ要
望シテ居ルト云フコトハ、是亦疑ヒマセヌ、勞働者ノ多數モ
之ヲ要望シテ居ルト云フコトハ疑ノナイ事實デアリマス、全
國ノ在〓軍人ノ多數權利ヲ有ッテ居ラナイ者ハ、悉ク之ヲ
要望シテ居ルト云フコトモ、是亦疑ノナイ事實デアリマス、凡
ソ現在有權者以外ノ多數ハ、之ヲ望ンデ居ルト云フコトニ
斷言致シマシテモ、私ハ敢テ過言デハナカラウト信ズルノデ
アル、偶〓玆ニ一ツノ吾〓ニ反對スル諸君ノ、最モ鼻ヲ高ウス
ル事實ト云フノハ、汝ハ左樣ニ申スカ知ラヌケレ「ドーモ、現ニ
此衆議院ニ於テ、吾ミガ多數ヲ占メテ居ルデハナイカト云フ
コトハ、是ハ普選ニ反對スル者ノ多數ガ-國民ノ多數ガ、
普選ニ反對スルカラデアルト云フコトヲ仰セラレルノデアル、
洵ニ慶賀ノ至リニハ堪ヘマセヌケレドモ、少シク冷靜】ニ考ヘ
テ見マスルト云フト、是ハ私ノ推測カハ知レマセヌケレドモ、
後ニハ政府ト云フ背景ガアル、昨年總選擧ニ於キマシテ、
後ロニハ政府ト云フ權力ノ背景ガアリ、而シテ全國ニハ非
常ニ有力ナル地盤ガアリ、而シテ又多數ノ諸君ハ非常ナル
努力ヲセラレタ結果、多數ヲ收メラレタノデアラウト信ズル
ノデアリマス、若シ之ヲ解放シテ、普通選擧ヲ實行シテ、國
民多數ノ自由意思ニ依ッテ選擧サセタナラバ、甚ダ御氣ノ
毒デアルカハ知リマセヌケレドモ(拍手起ル)其形勢ハ急轉
直下、大々的少數ニ陷リハセヌカト思フノデアリマス(拍手
起ル「ノウ〓〓」「手前味噌ダ」ト呼フ者アリ)手前味噌デナイ
コトハ、近キ將來ニ。於テ諸君ハ之ヲ見ラレルデアラウト思
フ(拍手起ル)又吾ミガ此案ノ提出ヲ致シマシテモ、其運命
ハ知ルベキノミデアリマス、勿論多數ノ諸君ガ之ニ御賛成
デナイト云フコトハ承知シテ居リマス、居リマスルガ、吾〓ニ
ハ實行ノ出來ル時期ニ至ルマデハ、年々歳々努力シテ怠ラ
ナイ積リデアリマス、是ハ國民ニ對スル吾〓ノ義務ト考ヘル
ノデアリマス-
〔此時發言スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=36
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037・奧繁三郎
○議長 奧繁三郞君)靜ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=37
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038・關直彦
○關直彥君(續) 若シ天下ノ多數ニ於テ權利ヲ得ント要
望スル者ガ、之ヲ放任シテ置キマスナラバ、或ハ之ニ反對スルト
云フコトヲ續ケマスルト云フト、多數ノ國民ノ上ニ、非常ナル
不滿ヲ醸シハシナイカト思フノデアリマス、(拍手起ル)幸ニ
シテ、此一角ニ居ラレル憲政會ノ諸君、不肖吾ミノ同志、又
無所屬ニ於ケル有志ノ諸君ガ聯合シテ、此問題ヲ解決セン
ト努力ヲ致シマスルガ故ニ、國民ノ多數ハ、斯ク申セバ嗚呼
ガマシクハゴザイマスケレドモ、吾〓ノ努力ニ信賴シテ、其
時機ノ到ルコトヲ待ッテ、不平ヲ抑ヘテ居ルモノト私ハ觀察
ヲ致シマス····(拍手起ル)
〔「ノウ〓〓」「人氣取リニヤルノカ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=38
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039・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 靜肅ニ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=39
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040・關直彦
○關直彥君(續) 若シ何時マデモ抑ヘラレテ、何時マデモ
之ヲ通過スルコトガ出來ナイト云フコトニナリマスルト云フ
ト、國民多數ノ不平ニ乘ジテ、諸君ガ最モ恐レル所ノ過激
思想ノ乘ズル所トナッテ、如何ナル結果ヲ來スカト云フコト
ヲ吾ミハ虞レルノデアリマス、(拍手起ル)丁度爰ニ面白イ例
ガアリマスルガ、昨年ノ一月二日吾〓ガ之ヲ提唱致シマシテ
議院ニ提出シタル時ニ當ッテハ、院外ノ聲援者ガ雲ノ如ク
集シテ、隨分紛擾ヲ醸シタコトハ諸君モ御覽ニナッタ事デアリ
マスルガ、今日ノ形勢ハドウデアリマスカ、甚ダ靜肅デアル
(「ソラ見口」ト呼フ者アリ笑聲起ル)此靜肅ト云フコトハ-
諸君御聽下サイ、此靜肅ト云フコトハ、果シテ祥事デアルカ
不祥事デアルカ(「祥事デアル」ト呼フ者アリ)、其眞相ヲ考ヘ
マスルト云フト、甚ダ私ハ寒心ニ堪ヘナイ、祥事デ「アルト
樂觀サレルヤウデハ、吾〓ハ甚ダ寒心ニ堪ヘナイノデアル(拍
手起ル)其中ニハ普選案ヲ手緩シト云フ議論ガ行レテ居ル
ノデアリマス(拍手起ル)議會賴ムニ足ラズ、政府賴ムニ足ラ
ズ、卽チ直接行動ニ出ヅルト云フコトノ議論ガ、行ハレ掛ケ
テ來テ居ルノデアリマス、(拍手起ル)現ニ或ル勞働團體ノ
如キハ、議會否認、政府否認ノ議論ヲスラ公言シテ居ルノ
デアル、是レ吾〓ノ眞面目ニ後世子孫ノ爲メニ此壇上ニ於
テ、諸君ト共ニ本問題ヲ解決スルト云フコトニ參與ヲシナイ
所以、最早一步ヲ飛越エテ、非常手段ヲ望ム者ガアルト云
フ傾向ガアルノデアリマス、(拍手起ル「憂慮ニ堪ヘヌ」「悧巧
ニナッタノダ」「君ノ煽動ニ乘ラヌノダ」ト呼フ者アリ)諸君ハ
左樣ナ事ヲ仰セラレマスルケレドモ、十四年前ニ於テ既ニ諸
君ガ此論ヲ此壇上ニ於テ提唱サレテ居ル、向フニ居ラレル
小川總裁ノ如キ、或ハ松田源治君ノ如キ、望月圭介君ノ
如キ、錚々タル今日ノ政府ニ於テ有力ナル地位ヲ占メテ居ラ
レル諸君ガ、既ニ十四年前ニモ此事ヲ提唱サレテ居ルデハ
ナイカ(拍手起ル)而シテ是ニ於テ時勢ノ進ンダル今日ニ當ツ
テ、吾〓ノ議論ニ對シテノウ〓〓ト云フヤウナコトガ、能クモ言
ハレタモノデアル(拍手起ル、「經驗ヲ積ンデ悧巧ニナッタンダ」
ト呼フ者アリ)政府當局者ハ頻リニ危險思想ノ傳播ヲ怖レ
テ居ラレマス、私共御尤ト思フ、希クバ我國ニ危險思想ノ
傳播スルコトノナカランコトヲ欲スル、併ナガラ此危險思想
ノ傳播ト云フモノハ、啻ニ警察力ニノミ依ッテ····(「國粹會
ガ附イテルゾ」ト呼フ者アリ)國粹會ハ政友會ノ機關デアル
ト云フコトヲ聞イテ居リマス、是ハ風說デアリマスルガ···
〔「馬鹿ナ事ヲ言フナ」「何ヲ言フ默ッテ居レ」ト呼フ者
アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=40
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041・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 靜肅ニ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=41
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042・關直彦
○關直彥君(續) 危險思想ノ防禦ハ、警察力ニ依ッテハ
決シテ取締リ得ルモノデハナク、防止シ得ルモノデハナイノデ
アリマス、危險思想ヲ防禦スルト云フコトニ就テハ、國民〓
育ヲ徹底的ニ爲スコトヽ、モウ一ツハ普通選擧ヲ行ッテ、國
民多數ヲ滿足セシメテ、此國家ハ我物デアルト云フ觀念ヲ
汎ク國民ノ上ニ及ボスト云フコトガ、卽チ危險思想ノ唯一
ノ防禦策デアルト信ズルノデアリマス(拍手起ル)現ニ英吉
利ノ狀態ヲ御覽ナサイマセ、鐵道從業者ノ大「ストライキ」、
炭坑業者ノ大「ストライキ」ガ起シテ、殆ド社會ヲ破壞セント
スルノ勢ヲ以テ、風靡シタノデアリマスケレドモ、(「ソレダカラ
マダ早イノダ」ト呼フ者アリ)社會ガ悉ク完全ナル權利ヲ得
國民ガ悉ク完全ナル權利ヲ得テ、此國家ハ我物デアルト云
フ觀念カラシテ、政府ガ斷乎タル抑壓手段ヲ用井タニ對シ
テ、國民ガ之ヲ援護シテ、少シモ社會ノ秩序ヲ破壞スルト云
フヤウナコトハ無カッタデハアリマセヌカ、亞米利加ニ於テモ
亦然リデアリマス、之ニ反對シタル獨逸ノ如キ、墺地利ノ如
キト云フモノハ、少數ノ國民一部分ニ基礎ヲ置イテ、勝手ナ
政治ヲシタガ爲メニ、遂ニ〓日ノ滅亡ヲ見タノデアリマスヽ
國家ノ基礎ヲ固クスル、立憲政治ノ基礎ヲ固クスルト云フ
ノハ詰リ國民多數ヲシテ、此國家ハ我物ナリト云フノ觀念
ヲ起サシムルニ如クモノハナイト思フ、此國家ハ我物ナリト
云フ觀念ヲ起サシムルニハ、權利ヲ與ヘテ國政ニ參與セシメ
ルト云フコトデナケレバ、徹底シナイト私ハ信ズルノデアリマ
ス、(拍手起ル)私ハ右最早長クハ申シマセヌ、希クバ多數ノ
諸君モ御賛成ヲ下サイマシテ、(「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ):本
案ノ通過ノ一日モ早カランコトヲ望ミマスルシ、假令今日
ニ於テ是ガ否決セラルヽト雖モ、遠カラザル將來ニ於テ、必
ズ實行スルノ時機ガ來リ、多數ノ諸君ガ再ビ後悔ヲサレル
ノ時機ガ到來スルデアラウト信ジテ疑ハナイノデアリマス(拍
手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=42
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043・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 前川虎造君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=43
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044・前川虎造
○前川虎造君 此場合、本案ヲ委員付託トスル動議ヲ提
出致シマス、委員ノ數ハ三十六名、議長指名ト致シタイト
思ヒマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=44
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045・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 岩崎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=45
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046・岩崎勲
○岩崎勳君 本案ハ旣ニ數次ノ議會ニ於テ審議ヲ盡シタ
ル案件デアリマスカラ、今更之ヲ委員ニ付託スル必要ハ無
イト存ジマス、仍テ當議場ニ於テ、直チニ討論審議セラレン
コトヲ望ミマス、前川君提出ノ委員付託ノ動議ニハ反對致
シマス
〔「贊成」ト呼フアリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=46
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047・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 前川君ノ委員付託ノ動議ニハ、制
規ノ賛成ガアリト認メマスカラ採決致シマス、前川虎造君
提出ノ委員付託ノ動議ニ、賛成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=47
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048・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 少數ト認メマス-議長ノ宣言ニ
ハ御異議ガ無イト認メマスカラ否決トナリマシタ、討論ヲ續
ケマス-川原茂輔君
〔川原茂輔君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=48
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049・川原茂輔
○川原茂輔君 諸君、衆議院議員選擧法改正案ニ對シ
マシテ、唯〓國民黨ノ關君ヨリ縷々其理由ノ御陳辯ガアリ
マシテ、確ニ敬承致シマシタガ、併シ此問題タルヤ年々歲々
出デ來リタル問題デアリマシテ、其御說明ノ大要モ矢張リ
前年ト同樣デアリマス、反對ノ理由モ亦前年ト同樣デアル、
ソレデ其理出ヲ聞ハセマス上ニ於テハ、寧口前言ヲ繰返スト
同ジ事デアル(「世ニ進化ナキヤ」ト呼フ者アリ)進化アリトス
レバ、新ナル理由ガ現レ出ナケレバナララガ、,矢張御說明モ
同樣、囘顧スレバ四十一議會ト記憶致シマス、四十一議會
ニ於テ、高木益太郞君デアリマシタカノ說明ノ中ニ、卽チ國
民黨諸君ノ改正案ハ、納稅資格ガ二圓、年齡ガ二十五歳
政府ハ納稅資格ヲ三圓トシタ、御承知ノ通リ此改正ガ四
十一議會ニ行ハレタ、國民黨然リ、憲政會諸君ノ提案ハ
是モ二圓デアッタカト記憶スル、政府案ガ三圓、唯ダ一圓ノ
差アルノミデアリマス(「時代ガ違「フ」ト呼フ者アリ)時代ガ違
フ、成程時代ガ違フガ、其四十一議會ニ於テ決定シタ案ガ
上下兩院ヲ通過シテ、卽チ現在ノ法律トナッタ、時代ガ違フ
ト云フ理由ヲ以テ、四十二議會ニ普選案ガ現レタ世ニ所
謂普選案、國民黨ハ滿二十歲、憲政會ハ二十五歲、ソレニ
獨立ノ生計ト云フ有名ナ問題ヲクッ附ケテ御提出ニナッタ、
所ガ議會ハ解散セラレタ、其國民黨ノ提案ノ理由トシテ階
級ノ打破、卽ナ選擧權ノ擴張、議會解散ノ結果ニ於テ、世
ニ所謂普通選擧ト云フモノハ、果シテ現在日本帝國國民
ノ與論デアルカドウカト云フコトガ、解散ノ理由デアリマス、
今關君ヨリ此點ニ就テ色〓御說明ガアリマシタガ、其說明
ハ十分ニ徹底スルコトハ不可能デアル(「ノウ〓〓」ト呼フ者
アリ)其改選ノ結果ハドウデアッタカ、卽チ此問題ニ向テハ、
國民ノ裁判ハ既ニ成遂ゲタノデアル、ソレニ向ッテ又今年モ
御出シニナッタ、斯ノ如キ問題ニ於テ、每囘同ジ事ヲ繰返シ
テ世ノ中ヲ騒ガセルト云フコトハ、是ハ諸君ノ再考ヲ促サナ
ケレバナラヌノデアリマス、(「騷ガセルトハ何ダ」「十三年前ニ
出シタノハドウシタ」ト呼フ者アリ)善イ哉問ヤ、古證支ヲ引
出シテ今日ノ爭點トスルナラバ、諸君ハ在野黨タルノ時如
何ナルコトヲ言ッタ、十三年前ノ古證文ヨリモット近イ證文
ヲ出シマセウ、諸君ガ在野黨タル時ニ於テ卽チ營業稅撤廢
ハスベシトカ色こ言ッタモノガ、一度大隈內閣トナッテ何ヲシ
タカ、互ニ古證文ヲ引出シテ論難スルト云フコトハ、是ハ御
互ニ避ケナケレバナラヌ、(「十三年前ニハ多數デ通過シテ居
ルト呼フ者アリ)十三年前ニ賛成シタコトハ聞ク、併ナガラ
ソレハ日向君ト云フ人ガ其時提案シタ、ソレニ贊成ヲシタト
云フコトガ、議場ノ慣例トシテ贊成者ノ署名スルト云フコト
ハ、是ハ諸君ノ能ク今日ノ實際ヲ御判斷ニナリマシタナラ、
古證文トシテ十三年後ニ於テ論爭セラルベキ價値ハアリマ
セヌ、ソンナ事ヲ爭フヨリモ、諸君ハ在野黨トシテ、卽チ自己
ノ政策トシテ、世ノ中ニ宣言シタ事ヲ、自ラ廟堂ニ立ツヤ
一モ行ハザル諸君ノ責任ハ如何、ンコデ四十一議會ト四十
二議會トノ議論ハ卽チ一圓ノ差デアッタ、ソレガ今日ニ於テ
世ニ所謂普通選擧ヲ行ハナケレバナラヌト云フ御議論トシ
テハ、今ニ至ッテモ矢張感服スルコトハ出來ナイ、既ニ國民
ノ裁判ヲ下シタモノニ向ッテ、又斯ノ如キ問題ヲ出サルヽノ
ハ寧ロ諸君ノ反省ヲ希望セザルヲ得ナイノデアリマス、唯
今關君ノ御議論ノ中ニ此問題ヲ遂行スルニハ、國民ハ卽チ
憲政、國民雨黨ノ協同一致ニ待ツノデアル、(「判ラヌゾ」ト
呼フ者アリ)ト云フ御議論ヲ爲サレタノデアル、而シテ又一
昨年昨年ノ此案ガ提出セラレタ時ノ、世間ノ此問題ニ對ス
ル態度ハ如何デアッタカ、前年此問題ガ提出セラレマスヤ、
盛ニ一部ノ地方ニ於テハ熱狂シテ、此問題ヲ歡迎シタル所
モアリマスル、(「全國皆然リ)「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ)一部
ニ於テ盛ニ反對セラレタ所モアリマス(「ソレハ政友會ナリ」
「ソレハプルヂヨアナリト」呼フ者アリ)政友會以外ニ(「反對
シタ人ハナシ」ト呼フ者アリ、笑聲起ル)地方ノ將來ニ於テ、
眞ニ發展ヲ來シタ人ハ、〓ネ反對ヲシタノデアル、(「ノウ〓〓
ト呼フ者アリ)此間ニ於テ策士ハ縱橫ニ手段ヲ運ラシ或ハ
盛ナル示威運動モアッタノデアリマスガ、今日唯今ハドウデア
ルカ殊ニ東京ニ於テスラ然リ、一般民衆ノ態度ハ其靜カナ
ルコト林ノ如シ(「ヒヤ〓〓」ト呼フ者アリ、拍手起ル)此問題
ヲ解決スルニハ、政國-政國デハナイ、國憲兩黨ノ協同ノ
力ヲ藉ラナケレバナラヌト云フコトヲ御議論ニナリマシタガ、
國憲兩黨ノ此問題ニ對スル共同動作ガ出來マスカ、(拍手起
ル)是ハ甚ダ疑ハシイ事デアル、新聞紙ノ報ズル所ニ依レバ、
憲政會ノ御内輪ニ於テモ、色〓此問題ニ就テ紛擾ガ起リ、
或ハ除外例ヲ要求シ、其問題ハ有耶無耶ニ葬クタナドト云
フ新聞モアル(拍手起ル、「顏色ナシ」ト呼フ者アリ)若シ眞ナ
リトスレバ、此問題ニ對スル一般民衆ノ思想ガ前年ヨリモ
減退シタト云フコトハ、此普通選擧ヲ唱ヘル諸君ノ誠意ヲ
疑フノデアリマス、(拍手起ル、「顏色ナシ」ト呼フ者アリ)若
シ眞ニ普通選擧ヲ理想一片ヨリ申シマシタナラバ、國民黨
ノ案ニ百尺竿頭一步ヲ進メ、婦人ニ參政權ヲ與ヘルト云フ
マデ行カナケレバ、眞ノ普通選擧トシテ言フコトガ出來マセ
ウカ、(「ヒヤし〓」ト呼フ者アリ、拍手起ル)國民黨ノ諸君ガ
理想一片デ行カレルナラバ、勢ヒ此ニ來ナケレバナラヌガ、ソ
レヲ爲サヾル所ハ、卽チ現在ノ日本ノ國情ニ對シテ、今ノ國
民黨提案ガ必要ナリト御認メニナッタニ違ヒサイ、(「故ニ贊
成スベシ」ト呼フ者アリ)又憲政會ノ諸君ハ、是カラ問題ト
ナリマセウガ、法曹社會其地ニ於テ、盛ニ非難ノ中心點トナッ
ッテ居ル、獨立ノ生計(「ノウ〓〓」「君ニ判ルカ冗談言フナ」ト
呼フ者アリ、笑聲起ル)是ガドウシテ普通選擧ト云フコトガ
言ヘマスカ、矢張階級ノ選擧デアル、吾ミハ此選擧法改正
案ニ就テハ、熱心ナル選舉權擴張論者デアル、(「ヒヤ〓〓」ト
呼フ者アリ)回顧スレバ十五圓ガ十圓ニナリ、一躍シテ三圓
トナッタモノハ卽チ吾ヒノ力デアル、(拍手起ル「政友會橫暴
ノ力デアル」ト呼フ者アリ)ソレカラ將來ノ時機ニ於テ、選擧
權ヲ尙ホ是レ以上ニ擴張スルコトガアルベシト云フコトハ、
諸君モ吾ヽモ豫想シテ疑ハナイ、唯ダ今日ノ場合ニ於テ策
士此間ニ縱橫シテ色〓ノ問題デ世間ヲ騒ガスト云フコトハ
甚ダ宜シクナイ(「早ク降壇シロ」ト呼フ者アリ)ソレデ理由モ
同ジク、反對ノ理由モ同ジ事デアル、一向ニ是レ進歩セザル
所デアル、唯ダ外國ノ事例ヲ盛ニ御引キナサレマシタガ、今英
吉利ニ於テ、非常ニ一般ノ職工勞働者ガ、「ストライキ」或ハ
怠業ヲシテ大變困ル、ソコデ以テ普通選擧ヲ行ハナケレバナ
ラヌト斯ウ關君ハ御論斷ニナリマシタガ、英吉利ハ普通選
擧ヲ行ッタ後ノ騒動デアル(「ヒヤ〓〓」ト呼フ者アリ、拍手起
ル)ソコデ現在ニ於テハ普通選擧ヲ行ッタ爲メニ非常ニ困難
ニ陷ッテ居ルト云フコトハ實際ノ事實デハアリマセヌカ、(拍
手起ル「誰カラソンナ間違ッタコトヲ聞イタカ」ト呼フ者アリ)
要スルニ斯ノ如ク年々歲々同ジ事ヲ繰返サンヨリモ、寧口日
本ノ國情ニ對シ、現在ノ國民ノ此思想ノ風潮ヲ鑑ミ、斯ノ如
キ問題ハ年々歲々之ヲ現ハサズシテ、而シテ他ノ方法ヲ以テ
相當國民ノ智識ヲ向上セシムル手段アリト存ジマス、故ニ
私ハ例ニ依シテ反對ヲ致シマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=49
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050・奧繁三郎
○議長(奥繁三郎君) 松本君平君
〔「松本君平君登壇、拍手起ル、「シッカリヤリ給へ」ト
呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=50
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051・松本君平
○松本君平君 諸君、私ハ普通選擧ノ提案者トシ、且ツ
賛成者トシテ、此壇ニ立ツ者デアリマスガ、此處ニ登ッテ洵ニ
悲痛ノ威ニ打タルヽノデアリマス、無限ノ悲ミノ情ニ堪ヘナ
イノデアリマス、(「泣ケ」ト呼フ者アリ、笑聲起ル)ソレハ帝國
議會ノ爲メニ悲ミ、國民ノ爲ニ悲ミ、又立憲政治ノ爲メニ
悲ミ、特ニ政友會諸君ノ爲メニ悲シムノデアリマス(拍手起
ル)諸君ヨ、普通選案-此案ハ四十一年ノ議會ニ於テ、
始メテ議場ニ提出サレマシテ、四十四年ノ議會ニ、衆議院
ニ於テ大多數ヲ以テ通過セラレタルコトハ、諸君ノ能ク知ラ
ルヽ所デアリマス、此事實ハ諸君ノ記憶ニ尙ホ新タナル所デ
アリマスルガ、私ハ其當時ノ提出者トシテ、說明者トシテ、此
壇ニ立ッタ者デアリマスルガ、其當時提出者デアリ、贊成者
デアッタ所ノ多數ノ政友會諸君ガ、尙ホ今日此議場ニ在ル
コトヲ甚ダ喜ブノデアリマス、(「悲喜交"、至ル」「政友會靜肅
静肅」ト呼フ者アリ、笑聲起ル)今口ノ多數ノ政友會ノ幹
部諸君ハ、卽チ其當時ニ於テ普選ノ最モ熱心ナル主張者
デアリ、賛成者デアッタ所ノ其政友會員諸君ガ、今日ハ一黨
ノ幹部ヲ組織シ、黨ノ統率ヲシテ居ル所ノ方とデアリマス諸
君ハ今日向ホ眞面目ニ普通選擧ニ反對スルデアラウカドウデ
アルカ(拍手起ル)若シ諸君ガ果シテ普通選舉ニ反對セラルヽ
モノデアッタナラバ、先年諸君ガ贊成セラレタルコトハ間違ヲテ
居ッタノデアル、卽チ昨日ハ非デアッテ、今日ハ是デアルカ、今
日ガ果シテ是デアッテ、昨日ガ非デアルカ、甚ダ諸君ノ心事ヲ
疑ハザルヲ得ナイノデアリマス、(拍手起ル)諸君、普通選擧
案ガ四十四年ノ議會ヲ通過シテ貴族院ニ迴ッタ時ニ、貴族
院ニ於テ頑冥ナル-最モ頑冥ニシテ高名ナル學者穗積
八束ト云フ人ガ、斯ノ如キ國體ト相容レザル普通選擧案
ハ、再ビ貴族院ノ門ニ入ラシムベカラズト云フコトヲ絕叫シ
タノデアリマス、諸君ヨ、其時ニ於テ如何ニ諸君ガ痛憤ノ叫
ヲ洩シタノデアリマスカ、(「無常迅速」ナリト呼フ者アリ)諸
君ハ當時政友會ガ常ニ天下ノ憂ニ先タッテ憂フル、其先覺
者ノ使命ヲ以テ常ニ新機運ニ鞭ッテ時代ヲ開拓スル所ノ
此進步的態度ハ、滿天下ノ普ク感佩スル所デアリ、又天下
ノ識者ハ最モ政友會ニ望ヲ屬シ、國民ノ與望ガ諸君ノ頭ニ
被ッタノデアリマス、惟フニ政友會ノ今日アル所以ハ其當時
ニ於ケル所ノ意氣、國民ノ輿望ヲ脊負フ所ノ天下ノ先覺
者デアリ、天下ノ憂ニ先ッテ憂フル此氣〓ガ、今日ノ政友會
ノ大ヲ致シタノデアリマス(「其通リ」ト呼フ者アリ)併ナガラ
今日ノ政友會ハ如何デアリマスカ、(「益〓盛ンダ」ト呼フ者ア
リ)卽チ諸君ノ今日ノ盛ナルハ、卽チ諸君ガ將ニ亡ビントス
ル所ノ第一ノ階梯デアリマス、(拍手起ル)恐クハ穗積博士
ハ地下ニ於テ、諸君ノ知己ヲ得タコトヲ喜ンデ居ルデアラウ
ト思フノデアリマス、(拍手起ル)只今川原茂輔君ハ私ノ最
モ舊キ友人デアル、(「迷惑ダ」ト呼フ者アリ)又政友會ニ於
ケル所ノ中樞ノ幹部ヲ組織セラレテ居ル方デアリマス、其川
原君ノ此處ニ上ッテ普通選擧ニ對スル所ノ辯駁ハ、殆ト辯
駁ヲ爲シテ居ラナイノデアリマス、其言ハルヽ所ハ、提出ノ理
由ニ進歩ガ無イカラ、之ニ反對スル所ノ理由ニモ進步ガ無
イト言ハレタ、洵ニ其言フ所ハ(「反對ハ進步シテ居ル」ト呼
フ者アリ)殆ト進歩ナキノミナラズ、化石シテ居ルノデナイカ
ト思フノデアリマス、私ハ洵ニ此友人ニ對シテ一々其說ヲ
辯駁スルコトハ、甚ダ敬意ヲ失スルガ如キコトニ思フガ、併ナ
ガラ之ニ對シテ辯駁ヲ加フベキ所ノ少シモ價値ノ無イコト
ヲ悲ムノデアリマス、(拍手起ル)其言フ所ハ殆ト何等ノ進
步ナキノミナラズ、唯ダ古證文-十三年前ノ古證文ノ事
ヲ言ウテ居ル、或ハ總選擧デ既ニ此問題ハ濟ンデ居ル、或ハ
英國デハ普通選擧ノ行ハレタ後ニ騒ガアルデハナイカ、斯ウ
云フヤウナ議論デアルカ何テアルカ判ラヌヤウナ事ヲ以テ、
此普通選擧問題ニ反對セントスルコトハ、洵ニ川原君ノ爲
メニ悲マザルヲ得ナイノデアリマス、(拍手起ル)私ハ窃ニ思
フニ、普通選舉ニ反對スル所ノ政友會ノ諸君ハ、蓋シ是ハ
本心デハナイト思フノデアリマス、私ハ善意ヲ以テ政友會ヲ
解釋スル一人デアルト信ロズルノデアリマスガ、今日ノ政友會
員諸君ガ議場ニ於テ此普選案ニ反抗スルコトハ、諸君ノ心
事デナカラウ(「心事デアル」「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ)又最モ
今日普通選擧ト云フ問題-眞面目ナル政治上ノ問題ガ
政治上ノ黨派ノ爭トナリ、政權爭奪ノ爭トナッタガ如キ傾
向ヲ見ルコトハ、私ハ此議場ノ爲メニモ、普通選擧ノ爲メニ
モ最モ悲ム一人デアリマス、又斯ノ如キ事ハ國民ノ最モ迷
惑スル所デアリマス(「噫悲シイ哉」ト呼フ者アリ)私ハ小サナ
ル區々タル問題ニ就テ、今普通選擧ニ贊成ノ案ヲ議論シナ
イ積リデアリマス、ソレニ就テハ無論贊成スルコトニモ、反對
スルコトニモ、色ニ小サナル問題ニハ、利益モアレバ反對ノ方
ニモ議論モアル、サウ云フヤウナル區々タル此問題ニ就テ論
議スベキコトデハナイ、大處ヨリ-大局ヨリ見テ、普通選
擧ト云フ問題ガ速ニ實行スベシ、或ハ早シトスルト云フ、此
簡單明白ナル二ツノ論ニ歸著スルト思フノデアリマス、先ヅ
私ハ極メテ小サナル問題ヲ避ケテ、大局ヨリ之ヲ見マシテ、
第一ニ此政治上ノ見地カラ-政治的見地カラ見テ、普通
選擧ハ速ニ斷行シナケレバナラヌト云フコトヲ述ベクイノデ
アリマス、今ヤ「デモクラシー」ノ思想ガ世界ニ風靡シテ、世界
改良ノ思潮トナッテ、新シキ政治ト新シキ文明ノ建設ヲ此
力ニ依ッテ爲サント、世界ガ努力シテ居ルノデアリマス、然ル
ニ我國ノ今日ノ狀態、今日ノ政治上ノ狀態ハ、殆ト封建ノ
殘夢ヨリ尙ホ未ダ覺メズ、階級政治ノ夢ヲ見テ居ルノデア
ル、或ハ貴族政治ヲ謳歌シテ居ルノデアリマス、今日ノ日本
ハ百年世界ノ進步ニ遲レテ居ルノデアリマス、立憲政治卜
云フコトハ唯ダ名ノミデアル-立憲政治ト云フコトハ
唯ダ名ノミデアッテ、實ハ封建ノ政、封建ノ思想ニ依シテ支配
サレテ居ルノデアリマス(一ヒヤ〓〓」「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ)
今日ハ尙ホ古ノ斬拾御免ノ政治ヲシテ居ルノデアリマス、
民衆ノ利益ヲ無視シ、多數國民ノ政治、國民ノ利害ト云フ
モノヲ度外視シテ、少數ナル階級ノ人ノミガ勝手ナル政治
ヲシテ、多數人民ヲ無視シテ居ルト云フコトハ、是ハ立憲政
治ノ名ニ於テ、專制政治階級政治ヲ行フノデアリマス、所謂
今日ノ政治ハ代議政治ノ名ニ於テ-美シキ名ニ於テ桀紂
ノ政ヲスルト言フモ、敢テ過言デナイノデアリマス、是ハ卽チ
政治的見地ヨリ、速ニ普通選擧ヲ斷行シナケレバナラ
ヌ理由ノ一ツデアリマス、第二ハ國家的見地ヨリシテ、速ニ
普通選擧ヲ斷行シナケレバナラヌコトヲ信ズルノデアリマス
(「君ノ理由ハ貧弱ダ」ト呼フ者アリ)世界ノ大戰ガ世界ノ
民ニ與ヘタル所ノ政治上ノ〓訓ハ何デアルカ、國家ノ基礎
ハ權力デナクシテ、人民ノ力、人ノカデアルト云フコトガ、此
大戰爭ヨリ得タル世界人類ノ『大ナル〓訓デアリマス、是ハ
古キ詞デアリマスルケレドモ、尙ホ新シキ無限ノ意味ヲ有ッテ
居ルノデアリマス、今日迄ノ政治ハ「ブルヂヨアー」ノ政治デ
アル、金持ガ政治ヲシテ、多數民衆ヲ虐使スル所ノ政治デア
リマス、(「君ハ能ク判ラヌノダ」ト呼フアリ)健全ナル鞏固ナ
ル國家ヲ建設スル所ノ最大ノ條件ハ、卽チ各階級ノ間ニ蟠
ル所ノ色ミノ感情ヲ融和シ、一致結合スルト云フコトガ、健
全ナル鞏固ナル國家ヲ建設スル所ノ基礎デナケレバナラヌ
ノデアリマス、卽チ一般民衆ノ間ニ不平ガアリ、不滿ガアッテ
少クトモ不平不滿ト云フコトガ蟠ッテ居ル間ハ、其國民ノ融
和一致、隨テ健全ナル國民國家ヲ建設スルコトハ出來ナイ
ノデアリマス、ソレニハドウスレバ宜イカ、卽チ普ク國民ニ參
政權ヲ與ヘ、政治ニ參加シ、政治ニ力ヲ入レ、責任ヲ持タシ
テ、サウシテ普通選擧ヲ基礎トシタルモノヽ上ニ國家ヲ建設
スルト云フコトガ、卽チ强大ナル健全ナル國家ヲ造ル所以デ
アリマス、是ガ今日ノ政治トシテ最モ安全ナル政治デアル、又
最モ健全ナル政治デアル、又最モ健全ナル、危險ノ無イ所ノ
政治ト謂ハナケレバナラヌノデアリマス、然ルニ今日ノ制度
ハ著シク國民ノ不平ヲ招キ、國民ノ間ノ階級ノ軋轢、感情
ノ融和ヲ破ル所ノ有ユル制度ヲ、今日ハ尙ホ見ルヤウニナッ
テ居ルノデアリマス、隨テ國民ノ聞ニ不平不滿ノ氣ガ漲ッテ
居ルト云フコトハ言フマデモナイ話デアリマス、今日思想問
題ガ八釜シクナリ、到ル處ニ危險ナル思想ガ彌蔓シテ居ルト
云フコトハ、卽チ國民ノ間ニ、不平不滿ノ氣ガアルコトヲ證
明スルモノト思フノデアリマス、(「ノウ〓〓」「ヒヤ〓〓」ト呼ヒ
拍手スル者アリ)細民ヤ勞働者、或ハ無產階級ノ人ハ、滔々
相率井テ此危險思想ノ中ニ投ジテ行ッテ居ルノデアリマス、
或ハ社會主義ニ走リ、或ハ「ポルセヴイズム」ニ走リ、或ハ更
ニ進ンデ共產主義ト云フヤウナ、過激ナル思想ニマデ國民ヲ
驅シテ、此無產階級ノ人、勞働階級ノ人、細民ガ洛々トシテ、
斯ル危險思想ノ中ニ沒入シテ行クト云フコトガ今日ノ狀態
デアリマス、恰モ燎原ノ火ノ如キ有樣デアリマス、(「ノウ〓〓
「歐羅巴亞米利加ニアルゾ」「ソレハ嘘ダ」ト呼フ者アリ)國
民ガ一齊ニ反抗スル政治、國民ガ非常ナル不滿ヲ懷ク所ノ
政府ハ、常ニ危險ナル狀態ニ國家ヲ導クト云フコトハ、既ニ
露西亞ニ於テモ、獨逸ニ於テモ、吾マハ著シイ經驗ヲ有ツノデ
アリマス、(「君ハ露西亞ノ事ヲ言ッテ居ルノカ」ト呼フ者アリ)
斯ノ如キ此危險ナル思想ノ下ニ國民ヲ鞭ッテ走ラシムル所
ノ此政治ハ、卽チ(「煽動者」ト呼フ者アリ)國家ヲシテ最モ
危險ナル狀態二進マシムルモノデアリマス(拍手「歐米ノ史
蹟ニ鑑ミヨ」「日本人ノ演說トハ思ハレヌヨ」ト呼フ者アリ)
曩ニ私ハ原首相ニ質問ヲシタノデアリマスガ、未ダソレニ就
テ御答ヲ得ナイノデアル、ソレハ卽チ此點ヲ憂フルノデアリマス、
斯ノ如ク國家ガ國民ノ思想ヲ險惡ニ導キ、自然ニ洛々トシ
テ危險思想ニ走ラシムル此狀態ハ、今日ノ時代ノ政治家ノ
眼ニ-心眼ニハ觸レナイカモ知レナイノデアリマス、併シ是
ハ僞ラザル所ノ事實デアリマス、國民ノ思想ガ長足ノ進歩ヲ
以テ、險惡ノ激流ニ投ジツヽアルト云フコトハ、爭フベカラザル
所ノ事實デアリマス、卽チ本年ノ新年ニ於キマシテ、原首相
ガ國ヲ憂フル赤誠、卽チ義勇奉公ノ念ガ國民ノ間ニ衰頽シ
ツヽアルト云フコトヲ憂ヘラレテ、國家ノ爲メニ前途寒心ニ
堪ヘナイト云フコトヲ國民ニ披瀝サレテ居ル、是ハ明ニ其根
柢ニ於テ、何故ニ義勇奉公ノ念ガ國ノ思想ノ裡ヨリ衰頽シ
ツヽアルカト云フコトハ、原君ハ其理由ヲ究メナイガ、其實ハ
此國民ガ斯ノ如キ非常ナル精神的思想上ノ變化ヲ受ケテ
居ッテ、不平不滿ノ氣ヲ漏ラス所ナクシテ、總テノ危險ナル
方面ニ向ッテ思想ガ走ッテ行ク、其結果ガ抑、こ愛國心ノ衰頽
トナリ、義勇奉公ノ念ノ衰頽トナッテ來テ居ルノデアリマス、
(拍手「誤解」ト呼フ者アリ)是ハ言フマデモナク顯著ナル一
大事實デアリマス、旣ニ今日ノ原首相ガ、ソレヲ憂ヘラレテ
居ルコトヲ以テ見テモ判ル、併ナガラ原首相ハ、國民ノ間ニ
義勇奉公ノ念ガ衰頽シテ居ルト云フコトノ原因ヲ知ラズシ
テ、唯夕徒ラニ其結果ガ國家ノ爲メニ寒心スベキ危險ナル
狀態ニ在ルト云フコトヲ訴ヘテ居ルノデアル、卽ヲ斯ル事實
ニ依シテ、私ハ速ニ普通選舉ヲ斷行セラレテ、國民ノ有ユル
不平不滿ヲ政治ノ上ニ現ハシ、此所デ各階級ノ間ニ橫ハル
所ノ軋轢思想、或ハ争フベキ所ノ幾多ノ感情ヲ融和シテ、
玆ニ圓滿ナル國民ノ和合一致、健全ナル國家ヲ建設スル
爲メニ、政治上ノ方面ヨリシテ、速ニ普通選擧ヲ斷行スルコ
トノ急務ヲ說クノデアリマス、(拍手)第三ノ社會的見地ヨ
リ觀テ、私ハ普通選舉ノ一日モ忽ニスベカラズシテ、速ニ斷
行シナケレバナラヌコトヲ力說スルノデアリマス、(拍手)吾こ
ガ此普通選擧ニ就テ、一般ノ國民ガ總テ參政權ヲ持チ選
擧ヲスル、或ハ自分ノ希望スル所ノ代表人ヲ國家ニ出スト
云フ、此選舉權ニ携ハルト云フコトガ、自分ノ意見ヲ尊重シ
自分ノ信念ヲ貴ブ所ノ空氣ヲ、一般國民ノ上ニ及ポスノデ
アリマス、卽チ普通選舉ニ依シテ、一般國民ガ政治ニ參加ス
ルコトニナレバ、玆ニ社會ヲシテ『最モ道德的ナラシムル所ノ
一ツノガヲ得ルノデアリマス、政治家モ亦眞實ニ。國家ヲ憂
ヒ、國民ノ意思ヲ尊重シテ國ノ利害ニカヲ注クト云フコト
ガ、普通選擧ニ依ッテ始メテ現レルノデアリマス、國民ノ利害
ヲ貴ブト云フコトガ、今日ノ政治家ニ於テ甚ダ缺ケテ居ルト
云フコトハ嘆息ノ至ニ堪ヘナイノデアリマス、今日ノ制度デ
ハ、唯夕少數ナル有權者、少數ナル選擧權ヲ持ッテ居ル人ニ
ノ意思ヲ尊重スルガ、多數民衆、多數國民ノ意思ヲ尊重ス
ルト云フコトニ就テハ、今日ノ政治家等ハ第二義ニ置イテ
居ルノデアリマス、政黨ノ如キモ、洵ニ國家ノ政黨ト云フコ
トハ甚ダ其實ガ乏シイノデアリマス〓卽チ〓日ノ政黨ノ如キ
ハ國家ノ政黨デハナクシテ、所謂政治家ノ政黨デアリマスヽ
殆ド政治家ノ傀儡デアリマス、今日ノ選擧ノ狀態ヲ見テモ
判リマス、諸君ハ玆ニ新シク總選擧ヲ經テ、此處ニ御集リニ
ナッタ人デゴザイマス、年一年ニ腐敗ヨリ腐敗更ニ大ナル腐
敗ニ進ンデ行ッテ居ルコトハ事實デアリマス、卽チ選擧界ノ
大腐敗ハ、世界ノ立憲國ニ於テ未ダ曾テ有ラザル所ノ此大
腐敗ト云フモノガ、日本ノ選擧ニ行ハレテ居ルノデアリマス、
選擧ノ爲メニ何万圓、何十万圓ト云フ金ヲ投ジテ一議員
ノ席ヲ得ルト云フコトハ、世界ノ歴史アッテ以來、未ダ曾テ
斯ノ如キ例ハ無イノデアリマス、大統領ノ選舉-亞米利
加ニ於ケル大統領ノ選擧デサヘモ、ソンナ馬鹿ナ金ヲ使ッテ
居ラナイノデアル、況ヤ一小選擧區カラ出ル所ノ議員ガ、何
十万圓ノ金ヲ投ジテ出ルト云フコトハ、政治上ニ於ケル-
選擧場裡ニ於ケル所ノ、大ナル腐敗ヲ現ハシテ居ルノデアリ
マス(拍手起ル)斯ノ如キ狀況ニシテ年々歳々進ンデ行ッタナ
ラバ、終ニハ選擧ニ依ッテ、日本ノ國ハ亡國ニナッテシマウノデ
アリマス(笑聲起リ拍手スル者アリ)此情勢ヲ救ヒ、此大腐
敗ヲ政治界ヨリ一掃スルニハ、普通選擧ヨリ外ニハ他ニ力
ハナイト確信スルノデアリマス、(拍手起リ「ヒヤ〓〓」ト呼フ
者アリ)私ハ此意味ニ於テ、社界上ノ見地ヨリシテ、速ニ日
本ノ選擧界ヲ救ヒ、速ニ立憲政治ノ完備ヲ期スル上ヨリシ
テ、普通選舉ヲ斷行セナケレバナラヌコトヲ主張スル者デア
リマス、(「論旨不徹底」ト呼フ者アリ)第四ニハ國民的見地
ヨリシテ、私ハ普通選舉ノ大急務ナルコトヲ說ク者デアリマ
ス、國民ガ今日普通選擧ニ對シテ、熱烈ナル要求ヲ持ッテ居
ルコトハ諸君ノ知ラルヽ所デアラウト思ヒマス、是ハ全國ノ
新聞ヲ見-言論ノ機開デアル所ノ新聞ヲ見、學者ノ說ヲ
見、又近クハ宗〓家-最モ穩カナル所ノ佛〓徒サヘモ、
起シテ此選擧界ノ廊〓ヲ叫ビ、而シテ佛〓徒モ、尙ホ此腐
敗シタル政治上ニ力ヲ入レテ、改革ヲセナケレバナラヌト云
フ、一大廓〓ノ曙光ガ現ハレタト云フコトヲ見テモ、尙ホ今
日國民ノ大ナル普通選擧ニ對スル、强烈ナル要求ガアルコ
トヲ知ルコトガ出來ルノデアリマス、而シテ〓育ノ進歩、國
民ノ間ニ普及サレル所ノ此智識〓育ノ進步モ、亦既ニ著シ
イノデアリマス、而シテ今日ニ於テハ、徹底的ニ普通選擧ヲ
斷行スベキ秋-又徹底的ノ普通選舉ヲ斷行スベキ秋デ
アルト思フノデアリマス、(「モウ澤山デアリマス」ト呼フ者ア
リ)私ハ是ニ於テ尙ホ所謂今日ノ時代ハ、徹底的ノ普通選
擧ヲ斷行セナケレバナラヌト云フコトニ於テ、吾ニハ獨立ノ
生計ト云フ意義ヲ-今日議論ニナッテ居ル事柄デアリマ
スガ、此獨立ノ生計ト云フ事ニ就テ、甚ダ明瞭ナラザルコト
ヲ思フノデアリマス(拍手起リ「ヒヤ〓〓」ト呼フ者アリ)此獨
立ノ生計ト云フ意義ニ就テハ、明確ナル〓念ガ無イノデア
リマス、今日ノ社會組織ニ於テ、吾〓ガ獨立ノ生計ヲ營ミ
得ルト云フコトガ出來ルヤ否ヤト云フコトハ、卽チ社會組織
ノ結果ガ之ヲ致スノデアリマス、是ハ政治ニ依ッテ改善サレ
ル所ノ問題デアリマス、其政治ニ依フテ改善サレル所ノ問題
ノ獨立ノ生計ト云フコトヲ-若シ世ノ中ニ獨立ノ生計ヲ
營ムコトノ出來ナイ者ガアルトスレバ、ソレハ現代ノ社界組
織ガ惡イノデアル、此社界組織ヲ改造スルト一云フコトガ、卽
チ政治ノ要諦デアリマス、(「面白イ」「其通リ」ト呼フ者アリ)
此政治デ改善ノ出來ルモノヲ選擧權ノ標準トスルト云フコ
トハ甚ダ矛盾デアッテ、又之ヲ徹底シタルモノデハナイト思フ
ノデアリマス、(拍手起リ「ヒヤ〓〓」「耳ガ痛イヨ」「モフト猛烈
ニヤレ」ト呼フ者アリ)第三條ノ資格ニ就テモ、私ハ此第三
條ノ標準ヲ選擧權ノ資格トスルコトニ就テ、全ク時代錯誤
ノ思想デアルト思フノデアリマス(「甚タ贊成」ト呼フ者アリ)
一定ノ財力ヲ有スル者ニ限ッテ、政治ニ參與スル所ノ權利
ヲ與ヘルト云フ思想ハ、是ハ例ヘバ納稅主義ノ如キ、是等ノ
思想ハ舊時代ノ思想デア,テ、最早今日ノ時代ニ於テ適應
シナイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=51
-
052・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 松本君、問題外ニ涉ラヌヤウニ注
意シマス
〔「議長問題外ヂヤナイ」「議長公平」「議長干涉スル
ナ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=52
-
053・松本君平
○松本君平君(續) 是ガ普通選舉ニシナケレバナラヌト
云フ理由デアリマス、恆產アル者ハ恆心アリト云フ所ノ此
趣意ハ、物質主義ノ根抵ヨリ成ッテ居ル所ノ思想デアリマ
ス、我國デハ恆產アル者ハ恆心アリト云フコトハ無イノデア
ル、是ハ支那人ノ思想デアッテ、物質萬能ノ支那人ノ思想デ
アリマス、現ニ今日ノ狀態ハ、恆產アル者ガ却テ恆心ノナイ
所ノ事實ヲ現ハシテ居ルノデアリマス、恆產アル者ガ、多クハ
誘惑ニ罹リ買收ニ罹ル、多クノ政治上ノ罪惡ヲ犯シテ居ル
ノデアリマス、(「理由ハ如何」ト呼フ者アリ)我國ニ於ケル
歴史ハ、恆産アル者ハ恆心アリト云フ此支那ノ古キ間違へ
ル誤レル所ノ格言ヲ、悉ク明白ニ打毀シテ居ルノデアリマス、
(「其通リ」ト呼フ者アリ)我國ニ於ケル所ノ人ハ、却テ貧民
ノ方ガ正シキ思想、正シキ行ヲシテ居ルノデアリマス、政治
上ニ於テハ、浪人ガ何時モ常ニ政治的改革ノ原動力トナッ
テ居ルノデアリマス、維新ノ革命、維新ノ變革ニ於テモ、無
產階級デアル所ノ浪人ガ、新ラシキ明治ノ天地ヲ開イタノ
デアリマス、斯ノ如キ財產ヲ以テ-納稅ノ資格ヲ以テ、選
擧權ヲ決メル所ノ標準ニスルト云フ思想ハ、全ク政治上ヨ
リ排斥セナケレバナラヌノデアリマス(拍手起ル、「是ハ宜シ
イ」ト呼フ者アリ)現代ノ選擧法ガ、三圓ノ納稅ノ財力ヲ以
テ恆心アル者トスルハ實ニ大正ノ御代ニ於ケル所ノ、政治
上ノ一大滑稽ナル事實デアリマス、吾〓ハ絕對ニ此不合理
ナル不當ナル所ノ財力ニ依ル制限、若クハ納稅ニ依ル所ノ
制限ヲ、選擧場裡ヨリ打破シナケレバナラヌノデアリマス、斯
ノ如ク國民的見地ヨリ之ヲ見テモ、又世界的見地ヨリ之ヲ
見テモ、又社會的見地ヨリ之ヲ論ジテモ、國家的見地ヨリ
之ヲ觀察致シマシテモ、將タ政治的見地ヨリ之ヲ論ジマシ
テモ、今日普通選擧ガ最モ急務デアルト云フコトヲ、力說シ
テ已マナイノデアリマス、又玆ニ多數ヲ制セラルル所ノ政友
會ノ諸君モ、之ニ對シテハ總テノ黨派ノ觀念、總テノ黨派
上ノ些細ナル行掛ヲ棄テヽ、速ニ普通選舉ニ立返ッテ、十三
年前ニ於テ諸君ガ國民ノ輿望ヲ負ヒ、天下識者ノ望ヲ囑
セラレタ如ク、而シテ今日ノ諸君ガ此大勢ヲ擁セラルヽ所ニ
於テ、更二一大發奮ヲセラレタナラバ、獨リ是ハ政友會ノ爲
メノミナラズ、實ニ國家ノ爲メニ慶事デアルト思フノデアリマ
ス、私ハ尙ホ諸君ガ斯ウ云フ判リ切ッタ問題ニ就テ(「判ラヌ
コトヲ言フナ」ト呼フ者アリ)詰リ斯ノ如ク逡巡躊躇セラレ
テ居ルト云フコトハ、實ニ遺憾ニ堪ヘナイ次第デアリマス、古
へ「バビロン」ノ滅ビタル時ニ、「パピロン」ノ壁ニ赤キ手ノ影ガ
映ッタト云フコトデアリマスガ、(笑聲起ル)今日諸君ノ目ノ
前ニ-諸君ハ何物モ見ナイケレドモ、爰ニ赤キ手ガ諸君ノ
背ニアルト云フコトヲ、諸君ガ知ラナケレバナラヌノデアリマ
ス、若シ諸君ガ此機宜ヲ誤ッタナラバ、諸君ハ卽チ政友會ハ、
「パビロン」ノ運命ニ陷ルト云フコトヲ斷言スルノデアリマス
(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=53
-
054・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 原總理大臣
〔「國務大臣原敬君登壇、拍手起ル〕
〔「解散デスカ」ト呼フ者アリ、笑聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=54
-
055・原敬
○國務大臣(原敬君) 諸君、衆議院議員選擧法改正案
關君其他ニ依ッテ提出セラレタル案ニ就テ、關君ノ御演說
ヲ拜聽致シタノデアリマス
〔「高聲ニ」「地聲ダ」ト呼ヒ、其他發言スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=55
-
056・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 靜ニ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=56
-
057・原敬
○國務大臣(原敬君)(續) 併シ此議論ハ第四十二議會
以來、屢、繰返シテ居ル論デアリマスカラ、爰ニ私ガ之ヲ繰
返スコトハ、甚ダ無益ナリト考ヘルノデアリマス(「ノウ〓〓」
「ヒヤ〓〓」ト呼フ者アリ)併ナガラ關君モ多少ノ御辯論アッ
タガ如ク、簡單ニ其趣意ヲ述ベテ置キタイノデアリマス、元
來現今ノ衆議院議員選擧法ナルモノハ、唯〓川原君カラ
モ言ハレタ如ク、第四十一議會ニ於テ議決セラレタ案デア
リマス、第四十一議會ニ政府ヨリ提出致シタ折ニハ、如何
ナル議場ノ狀態デアッタカト申セバ、所謂普通選擧論ハ一ツ
モ無イ、僅カ數人ノ人ハアリマシタケレドモ、是ハ其黨派ヨリ
除名セラレタト云フコトニ聞イテ居リマス、(拍手)免ニ角ニ
議場ニ於テ、何レノ黨派モ普通選擧論ハ唱ヘラレナカッタノ
デアル、左樣ナル時代デアッテ、審議ノ後ヲ現行法ハ成立致
シタ、是ハ四十一議會デアル、翌四十二議會、此間僅ニ一
年デアリマス、一箇年ヲ經過シタル四十二議會ニ於テハ、盛
ニ普通選擧論ヲ唱ヘラルヽノデアリマス、僅カ一年經ッカ經
タヌ間ニ、斯ク迄ノ變化ハ驚カザルヲ得ヌノデアリマスガ、其
理由トスル所ハ時勢ノ變化デアル、時勢ハ時々刻々ニ變化
致シマスカラ、一年經テバ相當ノ變化ハ致シマセウケレドモ、
凡ン立法ニ參與スル者ハ、一年先ガ見エズシテ法律ヲ決議
スルコトハアリマスマイ(拍手起ル)甚シキ矛盾ヲ感ジタノデ
アリマス(「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ)併ナガラ頻リニ之ヲ唱ヘ
ラルヽ、國論ナリト而モ言ハルヽノデアリマスカラ、遂ニ解散
トナリ、國論ノ歸著ハ明暸ニナッタノデアリマス、是レ卽チ私
ハ斯ウ云フコトヲ論ゼラルヽ人〓ノ、極メテ矛盾ナル議論ニ
驚ク、決シテ國民ノ多數ハ、斯樣ナ議論ニ贊成ハ致サヌト
考ヘル(「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ、拍手スル者アリ)次ニ又普
通選擧ヲ主張セラルヽ餘リ、年齢ノ上ナドニ就テ色と御議
論ガアル、年齡ナシト云フナラバ格別、二十五年ニセヨ、二
十年ニセヨ、年齡ノ制限ヲ置クト云フナラバ程度ノ問題デ
アル(「ヒヤ〓〓」「政治ハ皆ナ程度問題デアル」ト呼フ者アリ)
其通リ、政治ハ程度ノ問題デアル、此程度ノ問題デアル以
上ハ、左マデ重大ナル議論デハナイ、併シ之ヲ以テ普通選擧
論者ハ頻リニ主張スル、更ニ關君ノ御議論ヲ承レバ、關君
ノ如キ聰明ナル人ニシテ、何故之ニ氣付カレヌカト云フ一
點ガアル、關君ノ反覆丁寧ニ論ゼラレタノハ、國民ガ義務ヲ
果ス以上ニハ、權利ヲ持ツノガ當然ヂヤナイカト云フ御議
論ニ聞エルノデアル、故ニ三圓ノ資格ヲ制限致サズトモ、國
家ニ對スル義務ヲ果ス者ハ、選擧權ヲ有スルガ當然デアル、
故ニ普通選舉ヲ主張スルト云フヤウニ聞エルノデアル、果シ
テソレデアルナラバ、何故婦人ニ選擧權ヲヤラナイカ(拍手)
婦人ニシテ何百圓何千圓-(「三百」ト呼フ者アリ)多キハ
何万圓ノ稅ヲ取ラレル者ガアル、何万圓ノ納稅ヲ致シテモ
婦人ナラバ選擧權ヲヤラヌ、ソレハ極メテ不審ナル事デアル、
納稅ヲ致シテ居ルカ居ラヌカ知ラヌガ、免ニ角國家ノ義務
ヲ盡シサヘスレバ選擧權ヲヤルト云フコトハ、此論トシテハ
大ナル矛盾デアル(拍手)併ナガラ此矛盾ノ起ル所以ハ、程
度ヲ論ゼラルヽカラデアル、關君モ段々世ノ中ノ進步スルニ
從フテ、婦人ニモ選擧權ヲヤルト言フ、吾と同樣ニ言ハルペキ
筈デアル、ンコニ至ルマデノ程度、此程度論ヲ以テ普通選擧
ヲヤル、普通選擧デナケレバ國家ガ今ニモ滅ビル如ク言ハレ
ルノハ、甚ダーオ盾デハナイカ、決シテ國民大多數ハ、斯ノ如キ
論ニ賛成ハジナイト思ヒマス、(「ノウ〓〓」ト呼フ者拍手スル
者アリ)要スルニ斯樣ナ事ヲ以テ、關君ノ御議論ニ對シテ議
論ヲ鬪ハスコト左マデ必要ハナイ、(「自分ノ論ヲ言へ」「論ガ
無イ」ト呼フ者アリ)吾ミハ選擧權ノ擴張固ヨリ賛成デア
ル、啻ニ贊成デアルノミナラズ十五圓ノ納稅資格ヲ十圓ニ
減ジタノモ吾〓デアル、(拍手起ル)十圓ノ納稅資格ヲ三圓
ト減ジタノモ吾ミデアル、拍手起ル、「三百」ト呼フ者アリ)更
ニ吾ミハ段々此選擧權ヲ擴張致シテ、諸君ノ言ハルヽ通リ
ノ普通選擧デアルカナイカ知ラヌガ··
〔「詭辯」「默レ」ト呼フ者其他發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=57
-
058・奧繁三郎
○議長(奥繁三郞君) 靜肅ニ-靜肅ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=58
-
059・原敬
○國務大臣(原敬君)(續) 此選擧權ノ擴張ノ結果ガ、或
ハ婦人ニモ選擧權ヲ與ヘルヤウニナルカモ知レナイ、併シ是
ハ時勢ノ進運ニ應ジテデアル、世ノ中ノ進步發達ニモ顧ミ
ナケレバナラヌ、篤ト國家ノ利害ヲ打算シタ上デナケレバナ
ラヌ、一年ヤ二年ノ間ニ時勢ガ變化致シタト云ッテ、手ノ裏
ヲ返スガ如キ政策ハ執レナイ、(拍手起ル)又左樣ナル秩序
ナキ制定ハ、決シテ國民多數ノ賛成スルモンデハナイ、今日
國民多數ノ希望スル所ハ、秩序アル進步デアリマス、過激
思想モ共產主義モ、唱ヘル人ガ絕無デナイト致シマシタ所
ガ、決シテ國民ノ輿論デナイ、國民ハ秩序アル進歩ニ依フテ、
此上ニモ國家ノ基礎ヲ固フシテ、國運ノ發達ヲ此上ニモ期
シテ居ルノデアル、決シテ諸君ノ言ハルヽ如ク、普通選擧ヲ
スレバ國家ガ安素デアルヤウナ事ニ國民多數ノ希望デハナ
イ(拍手起ル、「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ)國民多數ハ飽迄秩
序アル進步ヲ希望スルノデアル、又國家ガ秩序ナケレバ發
達スルモノデナイ、故ニ豹變常ナク一年ヤ半年ノ間ニ議論
ガ引繰返ル如キコトデ行ケルモノデナイ、此邊ハ篤ト政治ノ
實際ヲ考ヘナケレバナラヌ、政治ノ實際ヲ考ヘルト左樣ニハ
ナラヌノデアリマスカラ、年々歲々之ヲ唱ヘラルヽト云フ事ヲ
ヤリマスルガ、年々歳々唱ヘラレルナラバ、此論ニ忠實ナル者
ノヤウニモ見エナイ、本當ニ普通選擧論ニ忠實デアルナラバ
今少シ時勢ヲ見ラレテ篤ト考ヘテ、世ノ進歩ニ應ジテ始メ
テ公正ノ政策ヲ執ランコトヲ希望スル、政府ハ國家ノ大局
ヨリ打算致シマシテ、此法案ニハ反對致スノデアリマス、ソレ
ヽミナラズ、尙ホ憲政會ノ諸君ヨリ提出セレタ衆議院議員
選擧法ガアリマスガ、是モ大同小異、重ネヲ辯駁ヲスル必要
モアリマセヌカラ、是ニモ反對スルモノナリト云フ事ヲ爰ニ表
明シテ置キマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=59
-
060・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 岩崎勳君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=60
-
061・岩崎勲
○岩崎勳君 討論終結ノ動議ヲ提出致シマス
〔「賛成賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=61
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062・奧繁三郎
○議長(奥繁三郞君) 岩崎君ノ討論終結ノ動議ニ、御
異議ハアリマセスカ
〔「異議ナシト」呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=62
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063・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 異議ナシト認メマス、仍テ討論ハ終
結サレマシタ、是ヨリ採決致シマス、採決ハ記名投票ニ依
リマス、關直彥君其他ヨリ提出サレマシタル衆議院議員選
擧法中改正法律案、之ニ對シマシテ、第二讀會ヲ開クベシ
トノ諸君ハ白票、第二讀會ヲ開クベカラズトスル諸君ハ
靑票-閉鎖-指名點呼ヲ行ヒマス
〔書記指名ヲ點呼ス〕
第二讀會ヲ開クヘカラストスル議員ノ氏名ノ如シ
石井三郞君石川三郞君今泉嘉一郞君
岩崎勳君岩崎幸治郞君岩本平藏君
岩切重雄君市村貞造君一宮房治郞君
禱苗代君伊藤廣幾君井上角五郞君
原田十衞君原夫次郞君原敬君
林毅陸君長谷川宗治君花岡次郞君
濱口吉兵衞君波多野承五郞君秦豊助君
鳩山一郞君西村伊亮君本多貞次郞君
友常穀三郞君戶水寛人君戶待權之助君
竹二郞君小田切磐太郞君小山田信藏君
簡味邦輔君大岡育造君長田桃藏君
渡邊修君渡邊祐策君若尾幾造君
河崎〓君河上哲太君川原茂輔君
川口誠三郞君改野耕三君海原〓平君
海江田準一郞君君加藤久米四郞君
風間八左衞門君金粕光谷庸義夫三君横山寅一郞君
吉原祐太郞君吉原正隆君吉木陽君
米澤與三次君高見之通君高柳淳之助君
高木第四郞君高野毅君高山長幸君
武田德三郞君田中隆三君田邊熊一君
田村順之助君龍野周一郞君瀧正雄君
大道寺慶男君塚原嘉藤君土屋興君
坪田十郞君根本正君中西六三郞君
中山佐市君中島鵬六君中島守利君
中橋德五郞君中倉万次郞君成田榮信君
永屋茂君南里條 野長峰與一君
武藤金吉君梅田報塔植竹龍三郞君
植場平君鵜澤總明君上塚司君
上埜安太郞君内山安兵衛君野副重一君
野口忠太郞君野田卯太郎君野呂駿三君
黑住成章君熊谷直太君藏內次郞作君
久慈貫一君山本悌二郞君山本条太郎君
山本〓三郞君山口義一君山崎猛君
谷津新八郞君矢野丑乙君八逸郞君
松岡俊三君源治君野木鶴平君
松田
松山常次郞君牧野良三君耕藏君
前田米藏君舞田壽三郞君小福益牧松
麓純義君福井三郞君太三次君君君
古林新治君水坂橋井谷山順一甚秀
與六君古林
小鹽八郞右衞門君小久保喜七君造君
良吉君穴小要七君
江崎幸太郞君遠藤
阿部武智雄君有馬秀雄君東武君
天春文衞君佐野正雄君齋藤鷲太郞君
阪上貞信君坂本素魯哉君指田義雄君
崎山克治君櫻內幸雄君澤來太郞君
榊田〓兵衞君菊池長右衞門君菊川惣吉君
吉良元夫君宜保成晴君木村〓三郞君
木村作次郞君木下謙次郞君木下成太郞君
北井波治目君三土忠造君三善〓之君
水野吉太郞君宮崎三之助君宮崎友太郞君
宮古啓三郞君下出民義君島田俊雄君
〓水市太郞君廣岡宇一郞君廣瀨爲久君
廣瀨鎭之君樋口伊之助君匹田銳吉君
毛里保太郎君門田新松君元田肇君
森恪君望月圭介君〓崟太郞君
菅原傳君鉛木錠藏君鈴木義隆君
石川淳君今井今助君岩崎宗茂助君
伊藤虎助君伊澤平左衞門君井上敬之助君
井坂豐光君池田泰親君池田猪三次君
原田藤次郞君八田宗吉君井藤吉君
長谷場敦君花城永渡君萩蓮亮君
波多野喜右衞門君西澤大西嘉門君
西村正則君陣吉林石川大君
岡田伊太郞君大林森若德懋君
柿原政一郎君河相小林·志摩吉植庄一郞君
吉野小一郞君吉村鉄之助君高橋長七郞君
高橋金治郞君竹內明太郞君竹澤太一君
竹上藤次郎君鶴見孝太郞君中村〓造君
中村喜平君德三君成田直一郞君
向井倭雄君宇仲野田勇作君野村勘左衛門君
國重政亮君國澤新兵衞君栗林五朔君
久下豐忠君久木田叶君山田永俊君
柳原九兵衞君松實喜代太君松本孫右衞門君
深見寅之助君兒玉亮太郞君秋本喜七君
赤田瑳一君靑木〓太郞君靑柳郁次郞君
佐々木志賀二君佐藤寅太郞君佐藤良平君
齋藤壽雄君三枝彥太郞君〓瀨規矩雄君
木下十四三君木下甚三郞君北山一郞君
三好德松君白井博之君島本信二君
樋渡次右衞門君日野辰次君平田民之助君
妹尾順平君菅野傳右衞門君鈴木隆君
鈴木巖君鐸木三郞兵衞君奥村千太郞君
荻田悅造君若尾璋八君難波作之進君
上田彌兵衞君山本藤助君越山太刀三郞君
佐々木平次郞君三輪市太郞君仙波太郞君
井上孝哉君臼井哲夫君宮田光雄君
第二讀會ヲ開クヘシトスル議員氏名左ノ如シ
一柳仲次郞君飯塚春太郞君磯貝浩君
石井〓二君井上剛一君濱口雄幸君
早川龍介君早速整爾君本田恆之君
大本竹間三郞君中馬興丸君岡本幹輔君
貫一君大津淳一郞君太田信治郞君
小野重行君尾崎行雄君春日俊文君
加藤定吉君香川保忠君川副綱隆君
門屋尙志君神谷彌平君河野廣中君
金澤安之助君金尾稜嚴君横山勝太郞君
吉田磯吉君吉川吉郞兵衞君武內作平君
武富時敏君賴母木桂吉君龍口了信君
高木正年君高田耘平君高橋久次郞君
田川大吉郞君田中萬逸君田中武雄君
田中善立君添田飛雄太郞君津原武君
內藤濱治君永井柳太郎君中野寅吉君
紫安新九郞君鵜澤宇八君野村嘉六君
野尻彌重郞君野呂丈太郞君野田文一郞君
黑金泰義君山邊常重君八並武治君
正木照藏君松井鉄夫君牧口義矩君
藤井啓一君福本〓之輔君降旗元太郞君
古屋慶隆君古賀三千人君小山松壽君
小池仁郞君小泉又次郞君木檜三四郞君
出口直吉君手島鍬司君淺川浩君
淺賀長兵衞君淺野順平君安達謙藏君
秋虎太郞君荒川五郞君阿由葉勝作君
綾部惣兵衞君佐々木千秀君佐藤
佐竹庄七君齋藤宇一郞君森林
定行八郞君作間耕逸君菊池コースルーム
三浦得一郞君三木武吉君箕浦勝人
重松重治君〓水留三郞君島田
下田勘次君下岡忠治君樋口秀雄君
平出喜三郞君森達三君森田茂君
望月小太郞君關和知君鈴木周三郞君
鈴木久次郞君鈴置倉次郞君犬養毅君
板野友造君西村丹治郞君星島二郞君
大口喜六君渡邊昭君高柳覺太郞君
高草美代藏君中川幸太郞君村田虎之助君
植原悅二郞君倉石知藏君前川虎造君
福地錢吉君小橋藻三衞君古島一雄君
近藤達兒君鮎川盛貞君有森新吉君
〓瀨一郞君湯淺凡平君最上直吉君
開直彥君鈴木梅四郞君砂田重政君
納富陳平君山邑太三郞君南鼎三君
守屋松之助君林田龜太郎君富永孝太郞君
大濱忠三郞君田淵豐吉君中野正剛君
野溝傳一郞君山本厚三君山科愼次郞君
松本君平君安藤正純君秋田〓君
佐々木安五郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=63
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064・奧繁三郎
○議長(奥繁三郞君) 投票漏ハアリマセヌカ-投票漏
ナシト認メマス、投票函閉鎖-開匣-開鎖
〔書記官投票ノ數ヲ計算ス〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=64
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065・奧繁三郎
○議長(奥繁三郞君) 投票ノ結果ヲ報告致シマス
〔寺田書記官長朗讀〕
投票總數四百
可トスル者(白票)百四十二
否トスル者(靑票)二百五十八
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=65
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066・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 仍テ本案ハ第二讀會ヲ開クベカラ
ズト決シマシタ
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=66
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067・奧繁三郎
○議長(奧繁三郎君) 日程第八衆議院議員選擧法中
改正法律案ノ第一讀會ヲ開キマス-關和知君
第八衆議院議員選舉法中改正法律案(箕
浦勝人君外三名提出)第一讀會
衆議院議員選擧法中改正法律案
衆議院議員選擧法中左ノ通改正ス
第五條開票區ハ郡市ノ區域ニ依ル
郡市長ハ開票管理者トナリ開票ニ關スル事務ヲ擔任
ス
第六條地方長官ハ選擧長トナリ選擧ニ關スル事務ヲ
統轄ス
第八條第三號ヲ左ノ如ク改ム
三獨立ノ生計ヲ營ム者
第十條中「滿三十年以上」ヲ「滿二十五年以上」ニ改
ム
第十三條第一項ヲ削ル
同條第二項ノ次ニ左ノ一項ヲ加へ第三項中「前項」トア
ルヲ「前二項」ニ改ム
政府ノ特別ノ保護又ハ監督ヲ受クル法人ノ無限責
任社員、役員及支配人ハ亦前項ニ同シ其ノ法人ハ勅
令ヲ以テ之ヲ指定ス
第十四條官吏ハ勅令ヲ以テ指定シタル者ヲ除クノ外
被選擧權ヲ有セス但シ退職者ハ此ノ限ニ在ラス
選擧事務ニ關係アル吏員ハ其ノ選擧區內ニ於テ被
選擧權ヲ有セス
選擧事務ニ關係アル官吏吏員其ノ職ヲ罷メタル後三
箇月ヲ經過セサル者亦前項ニ同シ
第十五條削除
第十六條削除
第十八條第四項中「、納稅額及納稅地」ヲ削ル
第十九條削除
第二十二條削除
第二十三條中「前二條」ヲ「第二十一條」ニ改ム
第二十四條中「第二十二條」ヲ削ル
第三十八條中「選擧權ヲ有セサルトキハ」ヲ「第十一條
又ハ第十二條ニ該當スル者ナルトキハ」ニ改ム
第四十二條町村ニ於テハ投票管理者ハ一名又ハ數
名ノ投票立會人ト共ニ投票ノ翌日迄ニ投票函、投票
錄及選舉人名簿ヲ開票管理者ニ送致スヘシ
第四十三條中「選擧會」ヲ「開票」ニ改ム
第四十四條中「選擧長ヲ經テ地方長官ニ」ヲ「選舉長
ニ」ニ、「地方長官ハ」ヲ「選擧長ハ」ニ改ム
第六章開票及開票所
第五十一條開票所ハ郡市役所又ハ地方長官ノ許可
ヲ得テ開票管理者ノ指定シタル場所ニ之ヲ設ク
第五十二條開票管理者ハ豫メ開票所ヲ告示スヘシ
第五十三條地方長官ハ各開票區內ニ於ケル選擧人
中ヨリ三名以上七名以下ノ開票立會人ヲ選定シ開
票ノ期日ヨリ少クトモ三日前ニ之ヲ本人ニ通知シ開
票ニ立會ハシムヘシ但シ市ニ於テハ投票立會人ヲ以
テ開票立會人トス
開票立會人ハ正當ノ事故ナクシテ其ノ職ヲ辭スルコ
トヲ得ス
第五十四條開票管理者ハ郡ニ於テハ投票函ノ總テ
到達シタル翌日、市ニ於テハ投票ノ翌日開票立會人
立會ノ上投票函ヲ開キ投票ノ總數ト投票人ノ總數
トヲ計算スヘシ
第五十五條中「選擧長」ヲ「開票管理者」ニ、「選擧立會
人」ヲ「開票立會人」ニ改メ第三項ヲ削ル
第五十六條選擧人ハ其ノ開票所ニ就キ開票ノ參觀
ヲ求ムルコトヲ得
第五十七條中「選擧立會人」ヲ「開票立會人」ニ、「選擧
長」ヲ「開票管理者」ニ改ム
第五十九條中「選舉長」ヲ「開票管理者」ニ改メ第二項
イカル
第六十條開票管理者ハ開票錄作ヲリ開票ニ關ス
ル〓末ヲ記載シ開票立會人ト共ニ署名シ投票錄ト
併セテ議員ノ任期間之ヲ保存スヘシ
第六十一條投票ノ點檢終リタルトキハ開票管理者ハ
直ニ其ノ結果ヲ選擧長ニ報告スヘシ
第六十二條中「選舉會」ヲ「開票」ニ改ム
第六十三條中「選擧會場」ヲ「開票所」ニ改ム
第七章選擧會
第六十四條選擧會ハ選擧長ノ指定シタル場所及日
時ニ於テ之ヲ開キ第六十一條ノ報告書ヲ調査ス
選擧ノ一部無效トナリ更ニ選擧ヲ行ヒタル場合ニ於
テ第六十一條ノ報告ヲ受ケタルトキハ選擧長ハ選擧一
會ヲ開キ他ノ開票管理者ノ報告書ト共ニ更ニ之ヲ調
查スヘシ
第六十五條選擧長ハ豫メ選擧會ノ場所及日時ヲ告
示スヘシ
第六十六條選擧長ハ各選擧區內ノ選擧人中ヨリ三
名以上七名以下ノ選擧立會人ヲ選任シ選擧會開會
ノ期日ヨリ少クトモ三日前ニ之ヲ本人ニ通知シ選擧
會ノ當日選擧會ニ參會セシムヘシ
選擧立會人ハ正當ノ事故ナクシテ其ノ職ヲ辭スルコ
トヲ得ス
第六十七條選舉長ハ選擧錄ヲ作リ選擧會ニ關スル
〓末ヲ記載シ選擧立會人ト共ニ署名シ第六十一條
ノ報告書ト併セテ議員ノ任期間之ヲ保存スヘシ
第六十八條選擧人ハ其ノ選擧會ニ參觀ヲ求ムルコト
ヲ得
第六十九條選擧會場ノ取締ニ付テハ第五章ノ規定
ヲ準用ス
第七十條第五項ヲ削ル
第七十一條當選人定マリタルトキハ選擧長ハ直ニ之
ヲ當選人ニ告知スヘシ
第七十二條第三項ヲ削ル
第七十四條中「第七十八條第四項」ヲ「第七十八條第
三項」ニ改ム
第七十八條第二項但書ヲ左ノ如ク改メ第三項ヲ削ル
但シ第七十條第二項ノ規定ニ依リ當選人トナリタル
議員闕員トナリタルトキハ二十日以內ニ第七十條第
四項ノ規定ヲ準用シ當選人ヲ定ム
第八十八條ノ二議員候補者ハ戶別訪問ノ方法ニ依
リ選擧運動ヲ爲スコトヲ得ス違背シタル者ハ二百圓
以下ノ罰金ニ處ス
第九十條中「選擧會場」ヲ「開票所」ニ改ム
擧會場」ノ下ニ「開票所」ヲ加フ
第百五條ノ二
要セス
第百五條ノ三
ルコトヲ得
擔トス
第百九條削除
別表
選擧區
東京府
第一區
第二區
第三區
第四區
第五區
第六區
第七區
第八區
第九區
第十區
第九十一條中「投票管理者」ノ下ニ「開票管理者」ヲ、「選
第九十四條中「選擧會場」ノ下ニ「開票所」ヲ加フ
選擧ニ關シ公衆ヲ會同スル集會ヲ開カ
ムトスルトキハ治安警察法第二條及第四條ノ屆出ヲ
議員候補者ハ選擧期日公布後選擧
期日前選擧ニ關スル公開ノ集會ノ爲管理上支障ヲ
及ホササル限リ其ノ選擧區內ノ公立小學校ヲ使用ス
使用ニ依リテ生シタル費用及損害ハ議員候補者ノ負
第百七條中「投票管理者」ノ下ニ「開票管理者」ヲ加フ
議員數
麻赤四牛麹布坂谷込町四人
-京芝
橋區區區區區區區區區區區區區四人
本橋
神日
下〓谷田三人
本二人
小石川
淺草二人
本所區區人
深川三
八王子市ー人
豐多摩郡
荏原郡四人
伊豆七島
北豊島郡
南足立郡四人
南葛飾郡
(西多摩郡
南多摩郡二人
北多摩郡
京都府
第一區
第二區
第三區
第四區
大
第第第第第阪五四三二一府區區區區區
第六區
第七區
第八區
神奈川縣
第-區
第二區
第三區
上京區三人
下京區內(通北側以北鶴川以西四條)
下京區內鴨川以西四條通)二人
北側以北ヲ除ク
愛宕郡
葛野郡
訓
二人
綴久宇紀乙世治伊郡郡郡郡郡郡
喜
相樂
南桑田郡
北桑田郡
井
田
鹿三人
中與加何天船佐
謝郡郡郡郡郡郡郡郡
熊竹野野
一三四四二人人人人人
西堺北南西東
郡郡郡郡市區區區區
東成成
四人
三島
豊能
(北河内郡
中河內郡三人
南河內郡
泉北郡人
泉南郡二
橫濱市三人
横須賀市人
久良岐郡
橘樹郡二
都人
筑郡
三浦郡
第四區
第五區
兵庫縣
第一區神戶市
内
第二區神戶市
內
第三
第四區區區
第五
第六區
第七區
第八區
第九區
第十區
第十一區
鎌倉郡
高座郡二人
愛甲郡
津久井郡
中郡
足柄上郡二人
足柄下郡
葺合
東戶三人
須林湊湊湊神
二人
姫石崎路磨田西
人人人
武明尼
庫
川邊
三人
多加美明氷多有東囊石上紀馬
郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡市市市區區區區區區區
二人
可
加西
加古
印南二人
神崎
飾磨
揖保
宍二人
赤
城佐
父石方崎用穗栗
養出美二人
朝來
津名二人
三原郡
長
第崎一縣
區區
第二
第三區
第四區
第五區
區
新潟第
二一縣六
第
第區區區
第三
第四區
第五區
第六區
第七區
第八區
第九區
區
埼第玉第一縣十
區
第二區
第三區
第四區
第五區
群馬縣
第一區
長崎市
佐世保市一二人人
西彼杵郡人
二
東彼杵郡
北高來郡二人
南高來郡
北松浦郡
壹岐郡二人
南松浦郡
對馬-人
新潟市
長岡市一一一人人人
高田市
北蒲原郡人
岩二
船郡
東蒲原郡人
二
中蒲原郡
[西蒲原郡二人
三島郡
南蒲原郡二人
舌志郡
北魚沼郡
南魚沼郡
中魚沼郡二人
東頸城郡
刈羽郡
中頸城郡三人
西頸城郡
佐渡-人
北足立郡人
入問郡二人
南埼玉郡
北葛飾郡三人
北埼玉郡
大里郡
二人
比企
兒玉郡郡郡
二人
秩父
前橋市人
第二區
第三區
第四區
第五區
第六區
千葉縣
第-區
第二區
第三區
第四區
第五區
茨城縣
第-區
第二區
第三區
第四區
第五區
人
新山高田田崎
二人
樂郡郡郡郡郡郡市
勢邑
多
佐波二人
利根
群馬郡
吾郡二人
妻
碓氷郡
北甘樂郡二人
多野郡
千葉市人
千葉郡
印旛郡三人
束葛飾郡
香取
海上二人
匝瑳
山武
長郡郡郡郡郡郡郡郡郡三人
夷隅生
市原
君津三人
安房
水戶市人
東茨城郡
西茨城郡二
人
鹿島郡
多久那行
壁賀慈珂方三人
郡郡郡郡郡郡郡
眞
筑波人
三
結城
猿島郡
新治郡
稻敷郡二人
北相馬郡
栃木縣
第一
區區
第二
第三區
第四區
第五區
奈良縣
第一區
第二區
第三區
三重
一縣
第
第二區區區
第三
第四區
第五區
第六區
第七區
宇都宮市人
足利市人
河內郡
芳賀郡三人
上都賀郡
下都賀郡
安蘇郡三人
足利
那郡郡郡二人
谷須
鹽
人
添奈上良
山邊郡郡郡郡市
生駒二人
磯城
宇陀郡
北葛城郡
南葛城郡
高市郡二人
宇智郡
吉野郡
津市一
四日市市人人人
宇治山田市
三重郡
桑名二人
名阿鈴河員二人
南志濃賀山鹿藝辨郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡
飯一安二人
多
摩氣
志
度會郡二人
北牟婁郡
南牟婁郡
愛知縣
第-區
第二區
第三區
第四區
第五區
第六區
第七區
靜岡縣
第-區
第二區
第三區
第四區
第五區
第六區
第七區
山梨縣
第-區
名古屋市三人
豊橋市一人
岡崎市一人
愛知郡
西春日井郡四人
東春日井郡
知多郡
丹羽
葉島栗郡郡郡郡三人
中
海部
碧豆海郡郡
幡
額田郡三人
東加茂郡
西加茂郡
南設樂郡
北設樂郡
寶飯二人
渥美郡郡郡
八名
靜岡市一人
濱松ー人
安二人
東太倍
駿志
二人
周小榛庵富郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡市
三人
磐茂方名佐田智笠原原士
引二人
濱
田二人
加
甲府市人
第二區
第三區
滋賀縣
第一區
第二區
第三區
岐阜縣
第一區
第二區
第三區
第四區
第五區
西山梨郡
東山梨郡
北巨摩郡
三人
西 大 中代代摩郡郡郡
南巨摩郡
南都留郡人
北都留郡
大津市人
滋
高賀島賀
甲
郡郡郡郡郡郡郡三人
神蒲栗野崎生太洲
愛知郡
犬上郡
阪田郡二人
東淺井郡
伊香郡
岐阜市人
大垣市人
上儀縣葉二人
養安不本揖海羽郡武山稻
郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡
三人
岐那老八破巢斐津島
惠
土二人
可
加茂兒郡
-
第六區
長野一縣
第
第二區區區
第三
第四區
第五區
第六區
第七區
宮城縣
第-區
第二區
第三區
福島縣
第-區
益大田野郡郡人
吉城郡
長野市
松市人人人
田本市
上
-上水內郡
下水內郡二人
上高井郡
下高井郡
小縣郡
更級郡
埴科郡三人
南佐久郡
北佐久郡
南安曇郡
北安曇郡三人
東筑摩郡
(西筑摩郡
諏訪郡
上伊那郡三人
下伊那郡
仙臺市人
宮
三人
遠志加黑亙伊刈柴名
生吉米原造田田美川理具田田取城郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡
登栗玉
三人
佻本
牡鹿
若松市一人
第二區.
第三區
第四區
第五區
第六區
巖手縣
第-區
第二區
第三區
靑
第第森二一縣區區
第三區
第四區
人
伊福
信三人
安瀨積達夫達島郡郡郡郡郡郡市
安
岩
田村
石川郡二人
東白川郡
西白河郡
北會津郡
大沼郡
河沼郡二人
南會津郡
耶麻郡
相馬郡
雙葉郡三人
石城郡
盛岡市-人
巖手
紫波郡郡郡
二戶人
九郡三
戶
下閉伊郡
上閉伊郡
稗貫郡
和賀郡
膽澤郡
江刺郡三人
氣仙郡
西磐井郡
東磐井郡
弘前市人人
靑森市
東津輕郡
南津輕郡
中津輕郡三人
北津輕郡
西津輕郡
一上北郡
下北郡二人
三戶郡
山一縣
第第形
區區
二
第三區
第四區
第五區
秋田縣
第-區
第二區
第三區
第四區
福井縣
第一區
第二區
第三區
第四區
石川縣
第一區
第二區
山形市一人人
米澤市
南村山郡
西村山郡
東置賜郡三人
南置賜郡
西置賜郡
最上郡
北村山郡二人
東村山郡
東田川郡
西田川郡二人
飽海郡
秋田市人
山本郡
北秋田郡人
鹿角郡
南秋田郡
河邊二人
由利
仙北郡郡郡郡郡
平鹿三人
雄勝
井人
坂大福
二人
足吉生羽田井野
丹郡郡郡郡郡郡郡那郡郡郡市二人
今立
南
敦
三飯敷方賀條人
遠
大
金澤市=人
江沼郡
能美郡二人
石川郡
第三區
富山縣
第一區
第二區
第三區
第四區
鳥取縣
第一區
第二區
島根縣
第-區
第二區
第三區
第四區
岡山縣
第一區
河北郡
羽咋郡
鹿島郡三人
鳳至郡
珠洲町
富山市-
一人人
高岡市
上新川郡
中新川郡
下新川郡三人
婦負郡
射水郡
氷見郡
東礪波郡二人
(西礪波郡
鳥取市人
岩美
八頭
氣高郡郡郡郡郡郡三人
東伯
西伯
日野
松江市人
能八
三人
簸飯大仁
足濃賀智摩濃川石原多義束
安岐郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡
選
邑二人
鹿美那
隱人
岡山市人
第二區
第三區
第四區
第五區
廣島
一縣
第
第二
區區區區
第三
第四
第五區
第六區
第七區
第八區
山口縣
第一區
御津郡
兒島
上三人
氣磐久道
淺和赤邑
ロ
二人
郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡
眞久阿上川吉都後小二人
田田庭米哲房上備窪月田
苫二人
勝
英田
廣島市-
道市
人人人人
福吳尾市
山市
佐
安三人
山
茂藝田縣佐伯
高
安
加三人
豊
郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡
安隈羅調田二人
蘆深沼世御
品
甲奴
神石三人
比婆
雙三
下關市人
第二區
第三區
第四區
和歌山縣
第區
第二區
第三區
德島縣
第-區
第二區
第三區
香川
一縣
第
區區
第二
第三區
第四區
三人
佐吉大豊阿美厚
毛濃波敷津浦武補狹
郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡
三人
熊都
玖珂二人
大島
和歌山市人
海草郡
有田郡三人
那賀郡
伊都郡
日高郡
西牟婁郡二人
東牟婁郡
德島市人
名東郡
名西郡
勝浦郡二人
阿海那波部賀郡郡郡
麻植
板野郡郡郡三人
美馬
三好郡
高松市人
九市人
香
小歌田川豆川亀二
人
大郡郡郡郡郡
木
綾
仲多度郡三人
三豊郡
愛第媛
二一縣區區
第
第三區
第四區
第五區
高知縣
第一區
第二區
第三區
福
第第岡二一縣
區區區區區區區
第第第第第七六五四三
第八區
第九區
第十區
今松治山人人
溫泉郡郡市市
伊豫三人
上浮穴郡
喜多
越智
周桑郡郡郡郡郡
三人
新居
宇摩
東宇和郡
西宇和郡二
北宇和郡人
南宇和郡
高知市人
土佐
吾岡川
長郡郡郡郡郡郡三人
香美
安藝
高岡二
幡多郡人
岡市
門久福留米市
市
市人人人人人人人
松幡倉司
市
大阪府大阪市中央区市
--
早良
糸島
糟屋
三人
像
筑宗
朝倉紫郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡
遠賀
鞍穗手三人
嘉
三井
三瀦郡二人
浮羽郡
第十一區
第十二區
大分縣
第-區
第二區
第三區
第四區
佐賀縣
第一區
第二區
第三區
熊本縣
第一區
第二區
第三區
第四區
山八二人
三
企上都川救池門女郡郡郡郡郡郡郡
京田三人
築
大分市人
大分郡
北海部郡
南海部郡三人
大野郡
直入郡
速見郡
東國東郡二人
西國東郡
-宇佐郡
下毛郡ヘ
二
玖珠郡郡
日田
佐賀市人
佐賀郡
神崎郡
三養基郡三人
小城郡
東松浦郡
杵島郡
藤津郡二人
西松浦郡
熊本市-人
飽託郡
上益城郡三人
下益城郡
玉名
鹿本
池三人
阿菊赫郡郡郡郡郡郡
葦北
八代二人
球磨郡
第五區
宮崎縣
第一區
第二區
鹿兒島縣
第ー區
第二區
第三區
第四區
第五區
第六區
沖繩縣
第一區
第二區
第三區
北海道廳
第一
第二
三區區區區區區
第第第五四
第六
第七區
宇土郡二人
天草郡
宮崎郡
南那珂郡
北諸縣郡三人
西諸縣郡
東諸縣郡
兒湯郡
東臼杵郡二人
西臼杵郡
鹿兒島市人
鹿兒島郡
日郡人
置
揖宿二人
川邊
薩摩
出水人
伊佐郡郡郡郡郡郡郡郡郡郡
始
贈唹良
三人
肝屬
熊毛
大島人
首那覇人
里
中頭郡郡區區人
國頭
-島尻郡
宮古郡二人
八重山郡
幌
館
旭小函札區區區區
樽
川人人人人人人
一
室蘭區
釧路區
札幌支廳管內二人
後志支廳管內
空知支廳管內
第八區浦河支廳管內三人
室蘭支廳管內
第九區函館支廳管內二人
檜山支廳管內
第十區上川支廳管內人
留萌支廳管内
第十一區網走支廳管內人
宗谷支廳管內
根室支廳管內
第十二區釧路支廳管內二人
河西支廳管內
本表ハ十年間ハ之ヲ更正セス
附則
本法ハ次ノ總選擧ヨリ之ヲ施行ス
本法ニ依リ初テ議員ヲ選擧スルニ必要ナル選舉人名簿
ニ關シ本法ニ定ムル期日又ハ期間ニ依リ難キトキハ勅令
ヲ以テ別段ノ規定ヲ設クルコトヲ得但シ其ノ選擧人名
薄ハ次ノ選擧人名簿確定ノ日迄其ノ效力ヲ有ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=67
-
068・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 箕浦勝人君外三名提出ノ改正
案デゴザイマス、提出ノ趣旨辯明者トシテ、關和知君ノ通
知ガアリマス
〔「今來マス」ト呼フ者アリ〕
〔關和知君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=68
-
069・關和知
○關和知君 諸君、唯今上程セラレマシタル所ノ吾ガ憲
政會同志ノ提出ニ依リマスル衆議院議員選擧法中ノ改
正法律案ハ、先刻國民黨ノ關直彥君ニ依シテ提案セラレ、
且ツ說明セラレタル所ノ案ト根本ニ於テ其主張ヲ一ニスル
所ノ世ニ所謂普通選擧ノ案デアリマス、普通選擧ノ問題ハ
御承知ノ如クニ日本ノ憲政史上ニ於ケル多年ノ宿題デア
リマシテ、而カモ不幸ニシテ今日ニ至ル迄其解決ヲ見ルコト
ガ出來ズ、現在當面喫緊ノ國家的重大問題トシテ存在シ
テ居ルノデアリマス、最近本案ニ對スル歷史ヲ囘顧シマスレ
バ、近ク第四十二議會ノ當時ニ於キマシテハ、當局政府ノ
狡獪ナル黨略本位ノ手段ニ供セラレテ、解散ノ問題トナリ、
選擧場裡ニ於テハ、有ラユル干涉迫害ノ下ニ、普通選擧ノ
提唱ハ無殘ナル失敗ヲ遂ゲタノデアリマス、次デ第四十三
議會ニ於キマシテモ、均シク政府興黨ノ大多數ニ依リマシ
テ、卽決否決ノ敢ナキ運命ニ遭遇シタノデアリマス、今日先
キニ國民黨案ト言ヒ、唯今吾黨ノ此案ト言ヒ、三度諸君ニ
相見エマスル此場合ニ於キマシテ、普通選擧案其モノハ、恰モ
創痍ヲ包ンデ鮮血淋漓夕ル間ニ三度一決戰ヲ試ントスル所
ノ面影ヲ有ッテ居ルノデアリマス、惟フニ今日ノ議場ノ形勢
ニ徵スレバ、先刻ノ國民黨案ニ對スル所ノ議場ノ態度ニ依
リマシテモ、又再ビ吾黨ノ本案ガ如何ナル運命ニ逢著スベ
キカト云フコトハ、豫メ豫想セラレナイノデハアリマセヌ、併ナ
ガラ此問題ハ幾度提出シテモ、幾度繰返シマシテモ、苟モ此
提唱-此主張ニ反對スル現内閣ノ存在スル限リハ、又此
案ニ對シテ反對ヲ爲サル政府輿黨ノ多數ガ此議會ヲ充サ
レテ居ル限リハ、叫ビニ叫ビ、戰ニ戰ッテ、最後ニ政府竝ニ輿
黨諸君ノ覺醒ヲ促シ、反省ヲ求メ、終ニ吾ヒノ主張ニ屈伏
セラレルニ至ル迄ハ、飽迄叫ビ且戰フベキ所ノ責任ヲ吾ヽハ
自覺シテ居ルモノデアリマス、(拍手)此信念ガ再ビ三タビ重
ネテ茲ニ之ヲ提案スル所以デアリマス、吾黨提案ノ內容ニ
就テハ、前年來屢。此壇上ニ於テ諸君ノ前ニ說明ヲ致シタ
ル關係カラ致シテ、此場合ニ詳細ノ内容ヲ說明スルノ必要
ヲ感ジマセヌ、唯ダ大體ノ趣旨ヲ申シマスレバ、選舉權ノ分
配ヲ納稅資格ニ依ッテ定ムルト云フ現行ノ制度ヲ廢棄致シ
テ、年齢二十五歳以上ノ男子、六箇月間其區內ニ一定ノ
居住ヲ有シ、獨立ノ生計ヲ營ム者、是等ノ要件ヲ充タス者
ニ對シテ、衆議院議員ノ選擧權ヲ與ヘヤウト云フノデアリマス、
其他ニ於キマシテハ、多クノ點ニ於テ國民黨案ト同一デア
リマスガ、卽チ神官、神職、僧侶、小學〓員等、社會ノ〓化
ニ關係ヲ有ッテ居ル所ノ人〓ノ側ニ、是迄此權利ノ普及セ
ザルコトヲ憾ト致シテ、之ニ選擧權ノ分配ヲ致スト云フコト
又被選擧人ノ資格ニ於テ、現行法ノ上ニ純然タル行政ノ
官吏、殊ニ地方官等ガ被選擧ヲ有スルガ爲メニ、誤シテ政爭
ノ巷ニ投ジ、延イテ地方ノ行政等ニ惡影響ヲ與フルコトニ
鑑ミマシテ、斯樣ナル官吏ノ被選權ヲ廢シヤウト一云フノデア
リマス、又選擧區制ニ於キマシテハ現在ノ小選擧區制ノ
實驗上、其弊害ノ甚キコトヲ認メテ、之ヲ中選舉區ニ改正
ヲ致シ、一區少クトモ二人若クハ三人、四人ノ議員ヲ選擧
スルト云フコトノ制度ニ改メテ、其競爭ノ熾烈ヲ避ケ、併セ
テ少數代表ノ趣意ヲ徹底セシムルト云フノガ本案ノ骨子デ
アリマス、元來立憲政治ヲ行フ以上ハ、其初ヨリシテ國民ノ
全體-尠クトモ文明國民トシテノ生活ヲ遂グル其國家ノ
構成分子トシテ、生活ノ一單位ヲ占ムル所ノ者ニ向ッテハ、
公平ニ參政ノ權利ヲ與フルト云フコトハ、理論ニ於テモ、實
際ニ於テモ、是ガ當然ノ事デアルコトハ、恐ラクハ何人モ異
論ノ無イ所デアラウト思ヒマス、(拍手起ル)明治二十三年
ニ初メテ憲法ガ施行セラルヽ場合ニ方ッテ、事創始ニ屬スル
ト云フ點カラデモアリマセウガ、選擧權ノ分配ガ極メテ狹隘
ナル範圍ニ限ラレテ居ッタノデアリマス、併ナガラ當時ノ直接
國稅十五圓ト云フ制度ノ餘リニ狹隘ニシテ、立憲ノ本旨ニ
背キ、時勢ニ適應セザルト云フコトハ、實施以來未ダ十年ナ
ラズシテ、明治ノ歴史ヲ通ジテ最モ進歩的ニシテ且ツ卓見
ノ政治家タリ、政友會ノ創立者ニシテ其第一代ノ總栽タル
伊藤公爵、此伊藤公爵ガ局ニ當ッタル時、恰モ明治三十一
年、帝國議會ハ第十二回ニ相當スル其時ニ、第一回ノ衆
議院議員選擧法ノ改正案ガ提出セラレタノデアリマヌ、惟
フニ此事ハ諸君ノ深ク御記憶ナサレテ居ル事デアラウト信
ジマスルガ、當時ノ伊藤公ノ改正案ハ如何ナルモノデアッタ
カト言ヘバ、御承知ノ如ク納稅資格ノ其主義ニ於テハ無論
變リマセヌケレドモ、十五圓ト云フ制限ヲ一躍シテ、地租ハ
五圓以上、所得稅及營業稅ハ三圓以上ノ者ニ向ッテ選擧
權ヲ與フルト云フ所ノ案デアッタノデアリマス、此明治三十
一年ニ、地租ハ五圓、所得稅及營業稅ハ三圓ヲ納ムル者ニ
選擧權ヲ與フルト云フ所ノ改正案ハ、當時ノ衆議院ニ於テ
ハ大多數ヲ以テ通過致シタ所ノ案デアリマス、此伊藤公ノ
改正案ナルモノハ、之ヲ今日問題トナッテ居リマスル所ノ現
行ノ衆議院議員選擧法、卽チ一昨年本議會ニ於キマシテ、
現內閣ノ大奮發トシ、又大成功トシテ成立ヲ遂ゲラレタル
所ノ現行ノ選擧法卜比較シタナラバ、如何ナルモノデアリマ
スルカ、僅ニ地租ノ納額ニ於テハ、當時伊藤公爵ハ五圓ト
限ッタノデアリマスルガ、所得稅營業稅ニ於テハ三圓トセラ
レテ、恰モ原內閣ニ依ッテ提案セラレタル納稅資格ノ制限ト
殆ド伯仲ノ間ニアルノデアリマス、當時伊藤公爵ガ其改正
案ヲ提出セラレマシタ時ニ、議會ニ於テ演說ヲセラレタル所
ノ一節ハ、以テ如何ニ伊藤公爵ガ日本ノ立憲政治ニ忠實
デアリ、國民ノ參政權ニ向ッテ深切デアリ、且ツ極メテ高尙
ナル政治上ノ理想ヲ持ッテ居ッタカト云フコトヲ窺ヒ知ルニ
足ルノデアリマスカラ、其一二節ヲ簡單ニ御紹介致シテ見ヤ
ウ思ヒマス、伊藤公爵ノ議會ニ於ケル改正案提出ノ理由ニ
斯樣ニ述ベテ居リマえ「近々數年ノ間デアリマスケレドモ、今
ノ選擧法ノ規定ニ據リマス所ノ選擧人ノ資格デハ、各種國
民ノ意思ヲ十分代表スルニ足ラズト認メマシタ」ト、ソレカラ
「左樣スルト卽チ改正案ニ依リマスルト、選擧人卽チ參政
權ヲ得ル者ガ今ヨリ五倍以上ニ成リマスルガ、此位ノ增加
ハ先ヅ當然ノ事デアラウト思ヒマス」而シテ最後ニ斯樣ナ事
ヲ述ベラレテ居リマス「ス一方カラ見マスルト、國政ノ結果
自カラ人民ノ負擔ヲ增サザルヲ得ヌ情勢ニ赴イテ參ッテ居
リマス、依ッテ之ト相伴ッテ參政ノ權ヲ擴張スルコトノ必要ヲ
認メマシタ」ト、伊藤公爵ハ斯樣ナル改正ニ依ッテ從來ノ選
擧權者ニ一躍五倍ノ擴張ヲ致サウト言ハレタ、其數ハ如何
程デアルカト云ヒマスルト、當時ノ人口ハ丁度四千二百万
人デ、選舉人ハ四十四五万人ノ有權者デアッタノデアリマス、
之ヲ二百万人ニ增加スルト云フ所ノ案デアリマス、此伊藤
公ノ提案ノ理由ニ依リマシテモ、議會ノ政治ニ對シテ各種
國民ノ思想ヲ十分ニ代表スルニ足ラズト、斯樣ニ考ヘラレ
タト云フコトハ、行ク〓〓時勢ガ變化シ、社會ノ組織ガ複雜
ニナリ、種々ナ階級ガ生ジテ來タル場合ニハ、各種階級ノ其
勢力、利害感情ヲ代表セシムルト云フ、言換ヘレバ普通選
擧ノ理想ナルモノガ、當時ノ伊藤公爵ノ胸中ニハ磅礴タル
モノガアッタコトヲ疑ハヌノデアリマス、然ルニ當時三十一年
ニ於ケル伊藤公爵ガ、此程度ノ改正デナケレバ國民ノ意思
ヲ代表スルニ足ラナイ、又國勢ガ變化シ、國民ノ負擔モ增
加シテ來、政治上ノ施設モ多クナルニ伴ウテ、選擧權ヲ擴
張シナケレバナラヌト言ハレタ、此三圓程度ノ選擧法ガ、大
正、而モ八年、世界大革新ノ渦卷ク中二立ッタ所ノ此日本
國、此日本ノ選擧權ヲ改正スルニ方リマシテ、伊藤公爵ガ
今日ヨリ遡レバ殆ド二十五年ニ近キ昔ニ適當ナリト認メタ
ル程度ガ、今ノ時代ニ於テ、今ノ内閣ニ依クテ、今ノ政府與
黨ノ諸君ニ依シテ、此程度コソ適當ナルモノデアルト云フコ
トノ御考ハ、果シテ如何ナルモノデアリマセウカ、私ハ此伊藤
公爵ノ改正案卜、原首相ニ依ッテ企テラレタル所ノ改正案
トヲ比較致シマシテ、原首相ノ立憲的知識ト、其經世的手
腕ト、又國家ニ對スル所ノ誠意トヲ、之ヲ故伊藤公ニ比較
致シマシテ、其間ニ幾千哩ノ間隔ガアルカト云フコトヲ私ハ
測リ知ルコトガ出來ナイノデアリマス、(拍手起ル)況ヤ今日
此議場ニ於テ、斯ノ如キ條件ノ下ニ選擧權ヲ擴張スル-
原首相ガ殊ニ選擧權擴張ト云フ言葉ヲ御好ミニナリマス
カラ、私共ハ所謂選擧權擴張ノ、現代ニ於ケル最大限度ノ
擴張ヲ企テル、此吾こノ主張ヲ、之ヲ以テ或ハ急躁過激ナ
ル思想デアリト云ヒ、或ハ社會ノ秩序ヲ破壞スルモノデ
アリ、國家ノ基礎ヲ脅スモノデアリ、甚シキハ誣フルニ危
險思想ヲ以テスルニ至フテハ、其政治上ニ於ケル所ノ識見ニ
至リマシテハ、私ハ若シ地下ノ伊藤公爵ヲ起シテ今日ノ改
正案、今日ノ原首相ノ言說ヲ御覽ナサレマシタナラバ、果シ
テ伊藤公ハ如何ナル御感ジヲ持ツデアラウカ、私ハ定メテ公
爵ハ其低級ニシテ其固陋ナル點ニ向フテ、撫然トシテ呆レ、
潜然トシテ或ハ淚ヲ流スデハナカラウカト思ヒマス、(拍手)
隨テ今日ノ此時勢、此內外非常ナル所ノ國運ノ危機ニ當ク
テ、國民全體協力シテ臨ムベキ所ノ時期ニ、斯様ナル程度
ニ於テノ選擧權ノ擴張ヲ爲スト云フコトガ、何デマダ時期ガ
早イノデアルカ、何デ是ガ危險デアリマスカ、何デ是ガ輕躁デ
アリマスカ、殊ニ疑フ、原首相ハ此頃屢〓我國ノ世界ノ五
大國ニ加ハッタト云フコトニ就テ、頗ル御得意ニ各地ニ於テ
吹聽ヲナサレテ居リマス、日本ノ國家ガ五大國ノ一ニ加ハク
タト云フコトニ就テノ政治上ノ經歴、其責任カラ論ジマスレ
バ、私ハ原首相ニ對シテ一言ヲ申述ベタイ事ガアリマスガ、
ソレハ問題ノ餘義ニ涉リマスカラ之ヲ省キマスト致シテ、偖
テ首相ノ認ムル如クニ我國ハ確カニ五大國ノ一ニ加ハッテ
居ルノデアルトスル原首相ハ、國民ニ向ッテ本年一月所感
トシテ語ル所ニ依レバ、我ガ帝國ハ世界五大國ノ一ニ加ハ
タ、是ヨリ以後國民ハ其五大國民タル所ノ自覺ノ上ニ立ッ
テ活動センコトヲ望ムト言ハレテ居リマス、又我國ハ五大國
ノ一トシテ、他ノ四大國ト共ニ世界ヲ指導スル所ノ責任ヲ
持ッテ居ルト云フコトヲ感ジナケレバナラヌト迄仰セラレテ居リ
マス、五大國ニ加ハッタ所ノ名譽ニ對シテ、國民ニ其自覺ヲ
促シ、其活動ヲ望マルヽ所ノ原首相ニ向ッテ、私ハ先ヅ第一
ニ伺ヒタイ、抑ミ五大國ト云フモノハ如何ナルモノデアリマス
カ、五大國民ノ資格ト云フモノハ如何ナルモノデアリマスカ、五
大圖ニ加ハリタル國際上ノ歷史ニ就キマシテハ、此處ニ申
上ゲル必要モアリマセヌガ少クトモ五大國タル所ノ國家ハ、
其内容トシテ、現代世界ヲ通シテ最高ノ文明、最高ノ文化
ヲ持シテ居ル所ノ國民デナケレバナラヌト信ジマス、最高ノ文
明ヲ持ッテ居ル所ノ國民ヲ內容トスレバ、其國家ノ政治組
織ト云フモノハ、必ズヤ國民ノ大多數、苟モ政治上ノ能力
アル所ノ國民ニハ、一樣公平ニ政治上ノ權利、或ハ自由獨
立ノ權利ヲ認ムル所ノ政治組織デナケレバナラヌ、國民ニ
其權利ヲ與ヘテ居ラナケレバナラヌ筈デアリマス(拍手)世
界ノ五大國ト稱スル他ノ四大國ノ政治組織ハ如何ナルモ
ノデアルカ、四大國ノ國民ノ政治上ノ生活ハ如何ナルモノ
デアリマスカ、何處ノ國ニンレニ算へラルヽ四國ノ間ニ、日本
ノ如キ政治組織ヲ持チ、多數ノ國民ガ斯ノ如キ不遇不幸
ナル生活ヲ送ゲテ居ル所ノ國民ガ、他ノ四大國ノ中何レニ
在リマスカ、(拍手)若シ原首相ガ國民ニ五大國民タル自覺
ヲ以テ活動セヨト望マルヽ時、國民ノ自覺ノ先ヅ第一ニ浮
ビ來ル所ノモノハ如何ナル觀念デアリマスカ、此政治組織、
此國民生活ノ實情ヲ他ノ四大國ニ比較シ來ル時ニ、國民
ノ胸中ニ浮ビ來ル所ノモノハ、政治上ニ於ケル所ノ不幸ナ
ル所ノ觀念、耻辱ノ觀念デアリマス不滿ノ觀念デアリマス、
ソレデ如何ニシテ活動セント欲スルノデアリマスカ、國家ノ
爲メニ五大國民トシテ最高文明ヲ競爭スル場合ニ、選擧
權ニ於テ斯ノ如キ狹隘ナル制限ヲ有シ、政治組織ニ於テ殆
ド少數代表トモ謂フベキ政治組織ヲ以テ、其間ニ國民ヲ生
存セシメテ置イテ、而シテ五大國民タル自覺ノ上ニ活動セ
ヨト云フコトハ、手足ヲ縛シテ之ヲ鞭ッテ走レト云フト同シ
事デアリマス、(拍手)私ハ聰明ナル原首相ニ向ッテ、既ニ首
相ガ帝國ノ五大國タル地位ヲ認メ、國民ニ向ッテ此自覺ヲ
喚起セラレル以上ハ、其自覺ニ伴ウテ活動シ得ベキ所ノ手
段、及之ニ機會ヲ與フルト云フコトガ、政府當然ノ責任デア
ルト謂ハネバナリマセヌ、而シテ此手段ト此機會トハ何デア
ルカ、政治上ニ於ケル今日ノ吾〓國民ノ一般ニ要求スル所
ノ普通選擧ニ非ラズシテ何ゾヤト私ハ答ヘナケレバナリマ
セヌ(拍手起ル)更ニ原首相ハ、確カ十月ノ二十七日カト記
憶ヲ致シマスガ、全國ノ靑年團ノ代表者七百餘名ガ明治
神宮參拜ノ爲メニ上京セラレタルコトヲ機會ト致シテ、之ヲ
其當日官邸ニ御呼ニナッテ、其全國ノ靑年團代表者ニ向ッ
テ斯樣ナ事ヲ語ラレテ居リマス、其言葉ハ例ニ依ッテ今日日
本ハ五大國ノ位置ニ進ンデ居ル、國民ハ上下一致シテ國事
ノ爲メニ盡サナケレバナラヌ、而シテ斯樣ニ迄切言セラレテ
居リマス「殊ニ今日憲法政治ノ下ニ於テハ、國民全部ノ協
力ヲ俟タナケレバナラヌ」斯樣ナルコトヲ全國ノ靑年團ノ代
表者ニ向ッテ原首相ガ訓示サレテ居リマス、此事ハ誠ニ一
國ノ首相トシテ、次代ヲ繼承スベキ靑年ニ向ッテノ〓訓ト致
シテ、謹ンデ拜承スベキ價値ハアリマス、併ナガラ今日立憲
政治ノ世ノ中デアルカラ、國民全體ノ協力ヲ候タナケレバナ
ラヌト云フコトヲ〓ヘラレル原首相ガ、図民全體ノ協力ヲ
爲スベキ所ノ唯一ノ政治的ノ活動、政治的ノ生活、卽チ普
通選擧ノ權利ヲ-制度ヲ施行セズシテ如何ニシテ國民
ノ協力活動ヲ望ムコトガ出來マスカ、若シ原首相ガ眞ニ靑
年ニ向ッテ深切ニ〓ヘラレル所ハ、今日憲法政治ノ世ノ中
デ、國民全體ノ協力ヲ俟ツト云フ所ノ思召ガアルナラバ、此
協力ニ便宜ナル所ノ、又必要ナル所ノ政治上ノ權利ヲ公
平ニ分配スルト云フコトハ、之ヲ語ラルヽ原首相自ラ其責
任ヲ取シテ實行シナケレバナラヌト思ヒマス、(拍手起ル)原
首相ハ先程松本君カラ御引用ニナリマシタガ、卽今國民ノ
義勇奉公ノ精神ノ減退セラレタルコトノ事實ヲ認メテ、非常
ニ御心配ニナラレテ居ルト云フコトヲ、自ラ新年ノ劈頭ニ語
ラレテ居リマスガ、私ハ此言葉ハ實ニ國家國民ニ取ッテ重大
ナル問題デアルト思ヒマス、若シ一國ノ總理大臣ガ陛下
ヲ輔弼シテ万民ヲ統率シテ居ル其總理大臣ノ唇カラ、國民
ノ義勇奉公ノ精神ガ減退シツヽアルト云フコトハ、殆ド我
三千年ノ歷史ニ向ノテ疑ヲ懷キ、七千万ノ同胞ノ精神ニ向フ
テ大ナル恐ヲ懷イテ居ルト云フコトヲ語ッテ居ルノデアリマス、
(拍手起ル)原首相ハ如何ニシテ義勇奉公ノ精神ガ國民カ
ラ減退シツヽアルカト云フ其原因ニ就テハ、不幸ニシテ私共
窺ヒ知ルコトヲ得ナイノデアリマスケレドモ、若シ其國民ノ義
勇奉公ノ精神、言換ヘレバ愛國心ガ近來減退シツヽアルト
云フーラバ、政治ノ局ニ田ッテ居ル所ノ大政府ノ大宰相ハ、
先ヅ以テ此事實ニ向ッテ重大ナル責任ヲ自覺シナケレバナ
ラヌト思フ、(拍手起ル)一人其所ヲ得ズトモ、一夫恨ヲ懷ク
トモ、其政治ノ局ニ當ル所ノ當局者ハ、其責任ヲ上下ニ對
シテ感ジナケレバナラヌノデアリマス、三千年來曾テ疑ハレタ
コトモナイ所ノ我ガ日本國民ノ義勇奉公ノ精神ガ、近來減
退シツヽアルト云フコトヲ御明言爲サルニ至ッテハ、陛下
ニ對シ、吾ミノ祖先ニ對シ、子孫ニ對シ、實ニ是ハ容易ナラ
ザル問題デアリマス、(拍手起ル)而シテ其此ニ至ッタコトニ
就テ原首相ハ如何ナル御考ヲ持チ、又之ヲ救濟スルノニ如
何ナル經綸ガアルノデアリマスルカ、動モスレバ首相ハ、政友
會諸君ノ黨ノ大會、或ハ此議場ニ於キマシテモ、國カヲ充
實スルトカ、他ノ長ヲ採ッテ、我ガ短ヲ補フトカ新文明ヲ創
造スルトカ云フヤウナ、種々ナ抽象的ノ言葉ハ聽キマスケレド
モ、斯樣ナル首相ノ言葉ニ依ッテ、果シテ今日ノ國民ノ減退
シツヽアル愛國心ヲ恢復シ、之ヲ供給スルコトガ出來ルト思
ヒマスカ、勿論吾〓ハ普通選擧ヲ實行スル、此一事ニ依ッテ
此愛國心ヲ供給シ得、或ハ恢復シ得ルトハ斷言スルコトヲ
憚リマスルケレドモ、少クトモ普通選擧ニ依シテ國民ノ各個
ニ獨立シテ國費ノ負擔ニ堪へ、國民ハ各政治ノ利害休戚
ニ就テ、恰モ己レノ直接ノ生活ト一致シタル考ヲ以テ、國家
ノ事ニ奉公スルト云フ精神ヲ喚起スルノニハ、如何ニシテモ
其國民ニ對スル所ノ生活ト、之ニ伴フ所ノ權利ヲ與ヘナケ
レバ、到底國民ガ國家ニ對スル愛國心ヲ之ヲ養フト云フコ
トモ、之ヲ維持スルコトモ出來マセヌ、(拍手起ル)大切ナル
所ノ愛國心ヲ養フベキ有力ナル手段タル所ノ普通選擧ヲ、
之ヲ時期早シトシ、若クハ危險思想ナリトシテ、却テ國民ノ
自覺ニ向ッテ手ヲ加ヘテ居リナガラ、一面ニ於テハ國民ノ義
勇奉公ノ精神漸ク減退セリト言ッテ御嘆キニナルト云フコ
トハ、孟子ノ所謂濕ヲ惡ンデ卑キニ居ルト同ジ事デアル、(拍
手起ル)何ト云フ矛盾デアリマスルカ、私ハ此意味ニ於キマ
シテモ、原總理大臣ハ、今日ノ時勢今日ノ時局ニ處シテ、吾
吾ノ主張スル普通選擧ノ要求ニ對シテハ、衷心ニ於テ既ニ
降參ヲセラレ、既ニ同意ヲセラレテ居ルモノト私ハ斷言シテ
差支ナイモノト思ヒマス、(拍手起ル)殊ニ五大國-五大
國ト云ウテ國民ニ虚名ヲ以テ一時ノ嬉シガラセヲ言フニ等
シクシテ、五大國ニ於ケル有難味、實際國民ノ上ニ取ッテドレ
ダケ五大國ガ有難イノデアルカ、又五大國タルガ故ニドレダ
ケノ働ヲシナケレバナラヌカト云フコトニ就テ、仔細ニ其五大
國ヲ〓究シテ見マスルト、吾ミハ唯夕五大國ト云フ空名ヲ
原首相ニ依シテ與ヘラレルノミデ、アッテ、直接吾こノ生活狀
態ニ關係ヲ持フテ居ラヌ、此五大國ヲ支持シテ、世界ノ最高
ノ文明國ト對立スルガ爲メノ國家施設ノ費用ト致シテ、莫
大ナル費用ヲ唯タ國民ハ五大國ニナッタト云フ御土產トシ
テ受ケタト云フヨリ外ニハ何モナイ、(拍手起ル)今大正二
年ノ戰爭以前ノ我ガ國民ノ地方費及國家ノ政治上ニ要
スル費用ノ負擔ト、之ヲ今日五大國ニ算ヘラルヽニ至ッタル
此現代ノ國家ヲ支ヘル爲メノ費用トヲ比較致シテ見マスル
ト、ドレダケノ相違ガアルト言ヒマスレバ、大正二年度ノ地方
費ノ決算ニ依リマスルト云フト、其當時ノ地方費ハ三億二
千七百十七万圓、而シテ同ジク大正二年度ノ國費ノ決算ハ
ト言ヘバ、五億七千三百六十五万圓デアリマス、之ヲ地方
費國費ヲ總計致シマスルト云フニ、國民ノ國家ニ對スル總
負擔ハ僅ニ八億九千九百八十万圓、九億圓ニ足ラザル所ノ
吾〓ハ大正二年ニ於キマシテハ負擔ヲ致シテ居ッタノデアリ
マスルガ、扨愈、五大國ニ算ヘラルヽニ至ッタト云フ戰後、大正
九年度ノ-是ハ決算ヲマダ見ルニ至リマセヌガ、豫算ノ上
ニ於テ調ベタ所ニ依リマスレバ、地方費ノミニ於テ既ニ大正
九年度ノ豫算ハ八億三千百二十五万圓ニ達シテ居リマス、
同樣ニ國費膨脹、是ハ特ニ諸君御承知ノ事デ、此處ニ披露
スルコトハ聊カ憚リガアルノデアリマスルガ、國費ノ負擔ハ大正
九年度ノ豫算ニ於テ十三億二千五百三十五万圓デアリマ
ス、之ヲ合計致シマスルト一云フト、地方費國費ハ大正九年
度ニ於テ二十一億六千六百餘万圓、若シ十年度ノ豫算ヲ
之ニ較ベテ見マシタナラバ、或ハ二十五六億ニ達シテ居ル
デアラウト思ヒマス、シテ見マスルト戰爭ノ前ニ於ケル所ノ、
所謂五大國ナラザル以前ニ於キマシテハ、地方費國費ノ負
擔ヲ合スト僅ニ八億九千万圓、大正九年度ニ於テハ二十
一億ト云フ巨額ヲ負擔シテ居リマス、私ハ國費ノ負擔ニ伴
ウテ、國費ヲ負擔スル者必ズシモ選擧權ヲ有スベシト云フガ
如キ固陋ノ意見ヲ持ッテ居ル者デハアリマセヌ、併ナガラ今
日ノ近代國家ノ生活ニ於キマシテハ、國民ノ負擔ヲ課スル
ニ當ッテハ、國民ハ先ヅ以テ其負擔ニ對スル理解、其承諾、又
其協力ヲ得ナケレバナラヌト云フコトハ、立憲政治ノ是ハ常
則デアリマス、國民ノ負擔ノミ一方ニ於テ過大ニ增加致シ
テ、而シテ國民ガ其負擔分配ヲ受ケ、其國費ノ使用ノ點
ニ就テ、何等ノ理解ナク、了解ナキヤウナ多數ノ國民ヲ所有
シテ居ルト云フコトハ、少クトモ立憲國ニ於ケル國民ノ権利
ト生活トヲ認ムル所ノ政治ニアルマジキ事デアリマス、卽チ
伊藤公ガ明治三十一年ニ於テ、一方カラ見ルト是ヨリ國
勢ノ進ムニ從テ國費ハ增加スル、而シテ選擧權ヲ擴張スル
ノ必要ガアルト、斯樣ニ述ベラレダ此御精神ニ對シマシテモ
今日此五大國ト云フコトハ、徒ラニ國民ニ對スル空名デアッ
テ、事實ニ於テハ空名ニ非ラズシテ、五大國ノ空名ニ對スル
大ナル犠牲ヲノミ拂ッテ居ルノデアリマシテ、五大國タル國
民トシテノ活動ヲ爲ス機會モ境遇モ與ヘラレナイト云フコ
トハ、洵ニ一國ノ政道トシテ、私ハ聰明ナル原首相、政友會
ノ内閣諸公ニ向ッテ大ナル反省ヲ促シタイト思フノデアリマ
ス、(拍手起ル)然ルニ此場合ニ於キマシテ吾とノ普通選擧
ノ提唱ニ對シテ、前年來繰返シテ政友會諸君ヨリハ反對ヲ
受ケテ居リマス、今日モ唯今川原君ヨリ國民黨案ニ對シ、卽
チ普通選擧ニ對スル反對論ヲ承リ、重ネテ總理大臣ヨリ一
應ノ御意見ヲ伺ッタノデアリマス、其反對爲サルヽ所ノ趣旨
ヲ伺ヒマスルト云フコト、寔ニ事ハ古イタルガ如クニ屬シマス
ルケレドモ、反對論-殊ニ原首相トシテハ、何時モ何時モ
其事ヲ御引合ニナラレマスル所ノ、普通選舉ハ吾ミノ主張
ガ階級打破デアル、秩序ヲ脅スモノデアルト云フコトニ就テ
御辯駁ヲ爲サレテ居リマス、此事ニ就テハ今更私ガ此處
ニ絮說スルノ必要モナク、當時階級打破ノ言葉ヲ述
ベラレタ所ノ島田三郞君ノ演說ヲ通讀爲サレバ、其階
級打破ト云フコトノ意味合ハ、恰モ明治天皇ノ維新ノ
宏謨ヲ翼賛シテ、其趣旨ヲ徹底スル意味合デアルト云
フコトハ、明カニ何人ニモ了解シ得ル所ノモノデアリマス、(拍
手起ル)而シテ其秩序ヲ脅スナドト云フ如キ、如何ニモ秩序
トカ階級トカ云フコトヲ動カスベカラザルモノヽ如クニ常ニ
原首相ハ辯ゼラレマスケレドモ、私ハ斯樣ニ信ジテ居リマス、
今日日本ノ國家ニ於テ、此日本ノ國ノ歷史國體ノ上ニ於
テ、又今日ノ文明ノ程度ニ於キマシテ、若シ因襲的ニシテ且
ツ不合理ナル所ノ階級ガ存在シテ居レバ、其階級ハ破壞ス
ベキモノデアリ、又破壞サルベキ當然ノ運命ヲ持ッテ居ルモノ
デアリマス、(拍手起ル)其階級ガ合理的デアッテ、而シテ因
襲的デナク、實際的ニ國家ニ必要ナル階級デアリ秩序デア
レバ、何者カ之ヲ破壞セント欲シテ、我ガ此金甌無缺ノ國
家ニ於テ、斯ノ如キ合理的ニ必要ナル所ノ階級秩序ト云フ
モノハ、普通選舉-普通選擧法ナドト云フコトノ爲メニ
決シテ破壞サルベキモノデナイ、(「ヒヤ〓〓」ト呼フ者アリ、拍
手起ル)故ニ「ウイルソン」ガ古キ秩序ハ破壞サレルト言ハレ
タ、古クシテ而シテ因襲的デ、其間ニ道理ノ無イ、生命ノ無
イ、維持スベキ所ノ力ノ無イ階級、力ノ無キ秩序ハ、當然文
明ノ進歩ト國民ノ幸福トノ爲メニ破壞サレ打破セラレルガ
當然デアル、(拍手起ル)又昨年モ伺ヒマシタガ、反對論者ノ
繰返サレル所ノ理由ノ一ト致シマシテ、今日普通選擧ヲ唱
ヘル所ノ論者ハ、恰度此一二年、世界戰後ニ於ケル所ノ世
界思想ノ變革ニ驚カサレ、若クハ此外來思想ニカブレテ、普
通選擧ヲ唱ヘル者デアルト云フコトヲ伺ヒマス、昨年ノ議會
ニ於テハ鳩山君ヨリモ斯樣ナル議論ヲ承リ、中西六三郞君
ヨリモ、斯樣ナル議論ヲ承ッタ、驚キ入ッタル議論デアリマス、
普通選擧ヲ要求スルト云フコトハ、日本ノ議會、日本ノ政
界ニ於テ多年ノ問題デアッテ、諸君モ其經歷ヲ持ッテ居ルト
云フコトハ言フ迄モナイ、今日ニ於テ普通選擧ノ必要ヲ唱
ヘルト云フコトハ、時期甚ダ遲レテ居ルノデアル、遲レタリト
雖モ尙ホ爲サヾルニ優ルト云フテ、吾〓ガ唱ヘテ居ルノデア
ル、何スレゾ此二三年ノ間ニ、急激ニ外來ノ思想ニカブレタ
ナゾト云フ所カラ起ッテ來タ議論デモ運動デモアリマセヌ、若
シ普通選擧ノ要求ヲ爲ス者ガ、外來思想ニカブレタ者デア
リ、動カサレタモノデアルト云フナラバ、日本ノ憲法政治、帝
國ノ此議會政治ト云フモノハ、同ジク外來思想ニカブレ、或
ハ動カサレタモノト言ハネバナリマスマイ、(拍手起ル)唯ダ今
日ニ於テ普通選擧ノ要求ノ叫ガ强クナリ、其運動ガ激シク
ナッテ來タト云フコトハ、內外ノ國情-實ニ原首相ノ言ハ
レル通リニ、國民全體ノ協力ニ俟ツニ非ザレバ、今日ノ國勢
ヲ維持シ、未來ノ進運ヲ圖ルコトガ出來ナイト云フ切迫シ
タル境遇ニ此國家ガ立ッタレバコン、(拍手起ル)卽チ此一二
年ノ大ナル社會國家ノ大變革ニ處シテ、愛國ノ士、愛國ノ
士ガ普通選舉ノ實行ニ依ッテ最大限度ノ國民ガ選擧權ヲ
持チ、其選擧權ヲ運用スルコトニ依ッテ、此時運ニ協力シヤ
ウト云フ所ノ要求デアル、決シテ外來思想ニカブレタノデモ
ナケレバ、動カサレタト云フヤウナ如キモノデモ何デモナイノ
デアル、況ヤ此事ヲ論ゼラルヽ所ノ人〓ガ、政友會ノ諸君デ
アルト云フコトニ至ッテハ、私ハ政友會ノ歷史、伊藤公爵ノ
彼ノ進步シタル所ノ思想、理想ニ對シマシテ、此場合ニ原
首相ノ言葉ヲ藉リテ、諸君ハ政友會員タル所ノ自覺ノ上ニ
立ッテ活動セラレンコトヲ望マザルヲ得ヌト言ハネバナリマセ
ヌ、(拍手起ル)又同時ニ普通選擧ヲ吾〓ガ唱フルコトニ對
シテ、昨年中西君、鳩山君カラモ承ッタガ、普通選擧、普通選
擧ト唱ヘルケレドモ、普通選擧ヲ與ヘルカラト云ウテ、決シテ
國民ト云フモノハ滿足スベキ結果ヲ得ルモノデハナイ、甚シ
キニ至ッテハ、昨年中西君ハ斯樣ナル事ヲ此演壇ニ於テ御
話ニナッテ居リマス、之ヲ紹介致シマスルガ「之ガ故ニ相當ノ
道理アル學說若クハ主張ノ下ニ、諸外國ガ普通選擧ヲ行ウ
タコトハ、既ニ年アルノデゴザイマスガ、其普通選擧ヲ實行
シタコトノ結果ニ於テ、之ヲ要求シタ民衆ガ十分ノ滿足ヲ
購ヒ得タリヤ否ヤト云フコトヲ考慮致シマスト、普通選擧ヲ
實行シタル國ミノ多クハ却テ其實施ノ以後ニ於テ是等ノ
要求ヲナシタル多數ノ民衆ハ、寧口失望ヲ來シテ居ルト云フ
タコトヲ認ムルノデアリマス、世界ノ國民、普通選舉ヲ要求
シタル所ノ世界ノ國民ガ、普通選擧ノ結果ニ對シテ失望ヲ
致シテ居ルト云フ國ハ多クノ國ミ皆然リ」ト仰セラレテ居リ
マスガ、何レノ國民ガ普通選擧ヲ實行シテ、普通選舉ノ結
果ニ失望シタ所ノ多クノ國ミガアリマスカ、(「英吉利ト亞米
利加」ト呼フ者アリ)若シ之ガアリトスルナラバ、私ハ謹ンデ
〓ヲ受ケタイ、(「ロイドジヨージ」ニ聞キ給へ」ト呼フ者アリ)
只今川原茂輔君ガ、此壇上ニ於テ英吉利ハ千九百十八年
ニ彼ノ普通選擧ヲ更ニ擴張シタガ、アノ大ナル「ストライキ」
ガアリ、アノ騒動アル、普通選擧ヲ行ッタ後デモ、尙ホ此通リ
デアルト云フコトヲ御引證ニナラレマシタガ、普通選擧ヲ實
行シタ後ニ、彼ノ「ストライキ」ノアリ、勞働運動ノアルト云フ
コトハ私モ認メマス、〓水君ハ英吉利ニアリ、亞米利加ニア
リト言ウテ、英吉利ノ國民、亞米利加ノ國民ガ普通選擧ニ
失望シテ居ルト御認メニナリマスカ、(「大政治家ガ失望シテ
居ル」ト呼フ者アリ)普通選擧ニ就テ失望セルニ非ズシテ、私
ハ斯樣ニ-斯樣ニ論ゼラルヽ方〓ニ御答ヲシタイ、若シ戰
後ノアノ變革ニ處シテ、普通選擧ガ英吉利若クハ亞米利加
ニ於テ實行シテ居ラナカッタナラバ、其英吉利、亞米利加ノ
運命ハ、或ハ虞ル今日ノ獨逸、墺地利若クハ露西亞ノ如キ
モノデハナカッタラウカ、(拍手起ル)彼ノ三角同盟ガアリ、彼
ノ亞米利加ノ坑夫「ストライキ」等ガアッタニ拘ラズ、ソレヲ健
全ナル國論ガ能ク之ヲ制栽ヲ致シ、之ヲ調節ヲ致シテ、國
家ノ安定ヲ保チツヽアルト云フコトハ、確ニ亞米利加、英吉
利ノ普通選擧ノ國民ガ、國家ノ全體ノ幸福ト公ノ利害ノ
判斷カラシテ、非愛國的ノ運動「ストライキ」ニ反對ヲ致シテ
政府ニ協力ヲ致シク、結果デアリ其賜デアルト斷言スル(「ヒ
ヤ〓〓、」又「伊太利ハ如何」ト呼フ者アリ)或ハ墺太利、或ハ
獨逸、若クハ露西亞ノ如キ、彼場合ニ於テ斯ノ如キ狀態ヲ
惹起シテ來タコトハ、先刻國民黨ノ關君モ說明セラレタガ、
是ハ露西亞ニ於テモ、獨逸、墺太利ニ於テモ、早クヨリ國民
ノ權利ガ尊重セラレテ居ラナイ、參政權ガ公平ニ分配サレ
テ居ラナイ、少數代表、不具ナル政治組織ノ下ニ多年國民
ヲ壓迫シ來ッタガ爲メニ、一朝歐洲戰爭ノ彼ノ渦卷ク所ノ
潮流ニ出遭シテ、遂ニ國家ヲ維持スルト云フコトノ自制ノ心
ナクシテ、終ニ破壞ニ陷ッタノデアリマス、(拍手起ル)今日國
民ニ權利ヲ與フルコト吝カニシテ、徒ラニ口舌ヲ以テ五大
國或ハ四大政綱ナドヽ一云フコトノミヲ以テ、國民直接ノ憲
法的生活ニ大關係ヲ有スル權利ノ承認ヲ與へズシテ、眼前
ノ平和ヲ姑息シテ居ルト云フコーハ私ハ此帝國ノ前途-
原君ニ非ザルモ實ニ寒心ニ堪ヘズ、憂慮ニ堪ヘズト謂ハナケ
レバナラヌ、(拍手起リ「大間違ヒダ」ト呼フモノアリ)今日我
ガ此帝國ノ現狀ヲ見マスルト云フト、如何ナル御感想ヲ諸
君ハ御持チニナリマスルカ、原總理大臣ハ只〓國民黨ノ案
ニ反對シテ、普通選擧ト云フモ程度ノ問題デアッテ、唯ダ
時勢ノ如何ニ依テ適不適ヲ定ムルニ外ナラナイト云フ
所ノ御演說デアッタノデアリマス、如何ニモ其時勢ニ應
ジテ選擧權ノ適不適ヲ判斷スルト云フコトハ、吾こモ
勿論同感デアリマス、政友會ノ政府、原總理大臣始メ
與黨ノ諸君ハ、今日ノ納稅資格ノ三圓ノ程度ヲ以テ、
是ガ時勢ニ適當シタル所ノ擴張ナリト認メ、吾ニハ其程
度ノ選擧權ヲ以テシテハ、今日ノ時勢ニ不適當ナリト
唱フルノハ、卽チ諸君ト吾〓ノ議論ノ岐レ目デアリマ
ス、然ラバ今日ノ時勢ヲ果シテ如何ニ御覽ニナルカト
云フコトガ、雙方議論ノ岐レ目ノ由ッテ來タ所ノ根
本ヲ爲スモノデアル、今日ノ時勢ハ果シテ如何ナルモノデア
ルカ、普通選擧ヲ實行スルニ不適當ナル時デアリマスカ、制
限選擧ヲ必要トスル所ノ時勢デ、殊ニ狹隘ナル財產納稅
資格ノ制限選舉ヲ適當ナリトスル時勢デアリマスカ、原君
ハ國民全體ノ協力ヲ要スル時勢デアルト言ハレタ、此一言
ハ國民七千万-六千万ヲ算フル中ノ三百万ニ足ラザル
政治權力ヲ有スルト云フガ如キ狹隘ナル選擧權ハ、國民全
體ノ協力ヲ爲ス爲メニ極メテ不適當ナル時勢デアリ、不適
當ナル制度デハアリマセヌカ、之ヲ外ニ鑑ミ、之ヲ內ニ察シマ
スレバ、先刻關君モ御繰返サレテ御話ニナリマシタカラ、私
ハ是カラ省カウト思ヒマスケレドモ、現ニ日本ノ國外ニ對ス
ル國際的關係、今日ノ地位ハ如何デアリマスルカ、五大國
ト稱スル其日本ガ、世界ニ於テ全ク狐立ヲ致シ、何等ノ同
情ヲ持シテ居ラレナイ、勞働會議ニ於テハ特殊國ノ待遇ヲ
甘ンジテ受ケナケレバナラナイ、國際聯盟會議ニ於テ、委任
統治問題ヲ決スルニ當ッテハ、又同ジク特別ナル規定ノ下ニ
我ノ權利ヲ自ラ制限シ、若クハ讓歩シナケレバナラヌト云フ
狀態デアル、亞米利加ニ於テ排日ノ問題ヲ惹起シ其根本
ノ市民權ヲ與フルヤ否ヤト云フコトノ問題同樣ニ、加奈陀
ニ於テモ亦此問題ガ排日問題ノ根本ヲ爲シテ居ルノデアル、
私ハ此日本ニ於ケル政治組織、殊ニ國民ノ選擧權ノ廣狹
ノ程度ハ、普通選擧!行ハレテ居ルヤ否ヤト云フコトガ、國
際間ノ、若クハ國民ノ外ニ向ッテノ權利ノ上ニ、如何ニ重大
ナル關係ヲ持シテ居ルカト云フコトノ一ツノ證據トシテ、諸
君ニ語ッテ見タイ事ガアリマスル、ソレハ昨年ノ五月頃、東京
日々新聞ニ揭載セラレテアッテ、而モ其事ハ島田三郞君モ
亦或ル場合ニ於テ御話シニナッタ事柄デアリマスルガ、丁度
歐羅巴戰爭ノ當時ニ、御承知ノ英領加奈陀ニ於ケル在留
日本人-在留ノ日本人ハ、自分ノ自費ヲ以テ義勇兵ヲ
募ッテ、而シテ百四十幾人ト云フ所ノ我ガ加奈陀ニ於ケル
所ノ同胞「ブリチッシュコロンビヤ」ニ於ケル所ノ同胞ガ、英吉
利ノ國旗ノ下ニ歐洲ノ戰場ニ犧牲的ノ働ヲ爲サレタノデア
リマス、當時英吉利ガ戰爭中ノ本國ニ於テ、選擧法ノ大改
正ノ行ハレタ事ハ、諸君御承知ノ通リデアリマス、加奈陀ニ
於テモ此「ブリチッシュ」州政府ニ於テモ、此戰爭ニ參加シタ
所ノ人とハ、其國籍ト其出身ノ如何ニ拘ハラズ「ブリチッシュ
コロンビヤ」ニ居住ヲ致シテ此戰爭ニ參加シタ者ニハ、市民
權ヲ與ヘ、選擧權ヲ與フベシト云フコトノ法律案ヲ「ブリチッ
シュ」州政府ハ立案ヲ致シテ、之ヲ議會ニ提出シタノデアリ
マス、其國籍如何ニ拘ラズ、戰爭ニ參加シタ所ノ人民ニ選
擧權ヲ與フルト云フ法律ニハ、特ニ日本人ト文字マデ掲ゲ
テ、日本人ニ選擧權ヲ與フベシト云フコトデアッタ、是ガ議會
ニ提出サレルニ當ッテ、如何ナル運命ニ出遭ヒマシタカト云
ヘバ、州會ノ多數ハ勿論保守派ノ人〓デアリマセウガ、其選
擧權ヲ日本人ニ與フルト云フ州政府ノ案ニ反對ヲ致シタ、
其反對ノ理由ハ如何ナル理由デアルカト言ヒマスレバ、日
本人ガ此戰爭ニ參加シタト云フコトハ、是ハ日本人-日
本人ノ自ラノ爲メノ戰デアル、此戰爭ニ參加シタト云フガ
爲メニ之ニ選擧權ヲ與フルト云フコトハ、是ハ大ニ考慮スベ
キ事柄デアル、論ヨリモ證據、此日本國民百四十餘人ノ中
ニ、極クし〓最少數ヲ除イテハ、彼等ガ其母國ノ日本國ニ
於テスラ、會テ國政ニ對シテ選擧權ヲ持ッテ居ル國民デハナ
イ、選擧權ヲ行使シタ所ノ經歷ヲ持ッテ居ル國民デハナイ、
本國ニ於テスラ政治上ノ權利ヲ持タヌ所ノ國民ニ向ッテ、英
國ノ加奈陀ニ於テ此國民ニ選擧權ヲ與フルコトハ、危險デ
アルト云フ所ノ理由ノ下ニ反對ヲ致サレテ、遂ニ此改正
案-日本人ニ選擧權ヲ賦與スルト云フ所ノ法律案ハ、無
期延期ト云フ形ヲ以テ否決ヲセラレタノデアリマス、斯樣ナ
ル狀態、此一ツノ事實ニ依テ見マシテモ、日本ノ國ノ政治
組織ガ如何デアル、日本ノ國民ノ政治生活ガ如何ニ自由
ヲ得、如何ニ獨立ヲ得テ居ルカト云フコトニ就テノ此疑ヲ
外國人ニ與ヘルト云フコトガ、一ツハ日本國民ノ外ニ在ル
者ニ向ッテノ權利利害ノ上ニ影響ヲ與へ、延イテハ帝國ノ
外ニ向ッテノ外交上、國家ノ威信ノ上ニ、利益ノ上ニ、常ニ
大ナル損害ヲ受ケツヽアルト云フコトハ、以テ想像ニ餘リア
ルコトヽ私ハ思ヒマス、(拍手起ル)今日內政ニ於キマシテモ
如何ナル狀態デアルカ、私ハ當路ノ政府原首相ガ、頻リニ
内外ノ國情ニ就テ、或ハ國民思想ニ就テ、心配サレテ居ル
所ノ其御苦心ヲ察シマス、此總理大臣ヲ助ケ、此政府ヲ助
ケテ居ル所ノ與黨諸君ノ同情モ、亦頗ル察スベキモノガアリ
マス、如何ナル狀態デアリマスカ、諸君ガ四大政綱ヲ振廻サ
レテ、或ハ既ニ一段落ヲ告ゲタト仰セラレテ居ル、其四大政
綱ナルモノヲ一ツ〓〓調ベテ見マスレバ、如何ナル狀態ニナッ
テ居リマス、產業政策ニ於テハ何トシテ居リマス、交通政策
ニ於テハ何トシテ居リマス、〓育政策ニ就テハ如何ナル狀
態デアリマス、其他財政稅制等ノ整理問題ニ就テ、唯夕只
管攻究シ、只管調査スルガ爲メニ、吾ミカラ見レバ殆ド無益
ノ機關トモ稱スベキ行政機關ノ擴張ヲ企テヽ居ルダケノコ
トデアリマス、實際ノ成績ニ於テハ、何等見ルベキモノガナイ
デハアリマセヌカ、(拍手起ル)而シテ之ヲ爲スガ爲メニハ、如
何ニシテモ私ハ原サンガ國民全體ノ協力ヲ待タネバナラヌ
ト仰セラレタ、其通リノ精神ニ基キ、其通リノ働ヲナサルコト
ハ、今日行詰ッタ所ノ外交ヲ刷新シ、此紊亂セル所內政、動
搖セル思想ヲ安定セシムルト云フコトハ、先ヅ以テ第一ノ手
段、必スシモ私ハ唯一ノ手段トハ言ハナイ、併シ必要當面ニ
註ッテ居ル第一手段タル國家ノ參政ノ權利ヲ公平ニ分配
ナサルト云フコトガ、是等內外國事ヲ改定シ、國運進展ヲ
圖ルニ於テハ、必要缺クベカラザル所ノ手段デアルト信ズル
ノデアリマス(拍手起ル)或ハ選擧-普通選舉ノ運動ハ院
外ニ於テノ聲ガ低クナッテ、運動ガ見エナイト云ヒマスガ、其
形ノ上ニ就テノ-此平和ト云ヒマスカ、安定ト云ヒマスカ、
此狀態ヲ見テ普通選擧ニハ國民ガ反對ヲシテ居ル、此制
限選擧ニハ選擧ニ於テ政友會ガ多數ヲ占メタルガ如クニ
國論ハ一致シテ、此三圓ノ納稅資格ヲ以テ滿足シテ居ルト
仰セラレマスガ、成程普通選擧ニ就テノ院外ニ於ケル所ノ
叫ピ、若クハ形ニ現レタ所ノ運動ハ之ヲ昨年ニ比較シ、一
昨年ニ比較シテハ、大ナル違ヒガアリマス、併シ此違ヒハ、眼
ニ見エル所ノ違ヒ、形ニ現レタル所ノ違ヒデアリマス、此形ノ
上ニ於テ靜ナルト云フコト爲メニ安心ヲナサルト云フコト
ハ、恐ラクハ諸君ノ大ナル御考違ヒデハナカラウカ、(拍手起
ル)今日此議政壇上ニ於テコン、吾ミハ憲法ノ保障ノ下ニ、
國政上ニ於テ遺憾ナク御互ノ意見思想ヲ發表スルコトガ
出來マスケレドモ、一步此院外ニ步ヲ移シマスレバ、國民ノ
言論若クハ集會、思想ノ自由ト云フモノハ、確ニ苛酷ナル
所ノ壓抑ノ下ニ在ルノデアリマス、(拍手起ル)言論ノ取締
ト稱スル名ノ下ニ於テ、國民ノ言論思想ノ壓迫ハ、施政方
針ニ對スル安藤君ノ質間ニ依ッテ、私ハ共鳴ヲ爲スモノデア
リマス、若シ今日院外ニ於テ普通選擧ヲ要求ヲスル運動ヲ惹
起ス行列ヲ爲スト云フガ如キコトデナレバ、事實茲ニ千人ノ
民衆ガ集ッテ其聲ヲ擧ゲントスレバ、二千人ノ警官ガ包圍ス
ルト云フ實況デハナイカ、(拍手起ル)集會ヲ開イテ其運動
ヲ共ニナサント欲スレバ、其集會ノ場所ハ或ル手段、或ル方
法ニ依シテ殆ド集會ノ場所ヲモ得ルニ苦ンデ居ルト云フ實
況デアリマス、(拍手起ル)而シテ議會ニ於テ普通選擧ノ論
ヲ擧グルトスレバ、其普通選擧論ニ對シテハ二百八十餘名
ノ政府與黨ガ、一モ二モナク一タビ卽決否決ヲ爲シ、再ビ
三度卽決否決ヲシテ、殆ド之ヲ眼中ニ置カザルガ如キ狀態
ヲ現實ニ現シテ居ルノデアリマス、(拍手起ル)此問題ニ對シ
テ國民ノ運動ガ形ノ上ニ現レテ大ニ起ラナイト云フコトハ、
故アリト謂ハナケレバナラヌ、併シ此平和、此鎮靜ハ、嵐ノ
前ニ於ケル所ノ平和デアル、此平和ヲ樂ンデ居ル中ニ、若シ
モ嵐ガ來ッタナラバ何トスル、其嵐ヲ産出シタモノハ最モ不
合理ナル壓迫ノ爲メニ、言論思想運動ヲ抑壓シタル結果ガ
遂ニ嵐ヲ惹起ス原因トナルコトハ、(拍手起ル)歐米ノ歷史、
古今東西ヲ通ジテ諸君ノ疾クニ御承知ノ事デアラウト思ヒ
マス、普通選擧ノ要求ノ聲ガ院外ニ聞エナイ、議會ニ於テモ
少數デハナイカ、此少數ナルガ故ニ普通選擧-選擧權ノ
最大限度ノ今日ノ擴張ハ必要ナシト云フガ如キ御議論ヲ
以テ、甘ンジテ此制限選擧ヲ維持サレル總理大臣、及ピ之
ヲ助クル所ノ與黨諸君ガ、歐羅巴其他ノ諸國ニ於テノ普
通選擧ヲ民衆ガ獲得シタト云フ、彼ノ恐ルベキ所ノ歴史ヲ
繰返ス時ニ至ラザレバ、普通選擧ヲ與フル所ノ必要ハ來ラ
ズ、國民ノ要求未ダシト言ハルヽノデアリマスルカ(拍手起
ル)私ハ雨ノ降ラザルニ隔戶ヲ綱繆スル經世家ノ態度ハ、宜
シク斯ノ如クナケレバナラヌト思フ、此覺悟アッタレバコソ、明
治ノ初年ニ於ケル民權自由ヲ唱ヘタ所ノ志士有志家ト云
フモノハ、之ヲ恐レテ彼ノ運動ヲ起シタノデアル、政友會ノ
前身、原君ノ其前ノ前ノ民權ノ泰斗タル所ノ人〓、彼等ハ
其不合理ノ間ニ壓迫セラルヽ國民ノ其運動ヲ恐レルガ故
ニ、早クヨリ國會開設ノ願望書トナリ、民選議院ノ建白書
トナリ、太政官ニ於ケル所ノ請願トナッテ、ソレガ爲メニ遂ニ
憲法政治ヲ開キ明治大帝ガ所謂古今ヲ變通シテ斷ジテ
之ヲ行フト仰セラレテ、玆ニ萬世不磨ノ大典ガ發セラレタノ
デアリマセヌカ、(拍手起ル)私ハ此歴史ニ鑑ミ、此形勢ニ察
シマシテ、苟モ國家ヲ愛シ、憲政ニ忠ナラントスル所ノ御考
ガアルナラバ、原總理大臣ヲ始メ政友會與黨ノ諸君ハ、願
クバ吾〓少數者ノ意見ナリト雖モ、而モ其背後ニハ國民ノ
大多數、言ハント欲シテ言ヒ能ハザル所ノ大多數ノ國民ノ
熱烈ナル要求ヲ代表シテ、玆ニ諸君ニ訴フルモノデアルト云
フ、此哀情ヲ諸君ハ十分ニ御斟酌ニナッテ、潔ク-潔ク非
ヲ改メ、君子ノ過ハ蝕スルガ如ク、普通選擧ヲ以テ解散ヲ
斷行シタル所ノ其過ヲ改メテ、原君ガ今日年ノ新ナルガ如
クニ國民モ心ヲ新ニシテ、五大國民ノ一タル資格ヲ自覺シ
テ、年ノ新ナルコトハ一年ト云ハヌ、半年ト云ハヌ、年ノ新ナ
ルト共ニ心ヲ改メテ、吾こノ要求、國民ノ要求スル此普通
選擧案ニ御賛成御採用アランコトヲ希望致シマス
〔「ソレハ此方ガ言フコトダイ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=69
-
070・奧繁三郎
○議長(奥繁三郞君) 靜ニ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=70
-
071・佐々木安五郎
○佐々木安五郞君 議長発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=71
-
072・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 今發言中デス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=72
-
073・佐々木安五郎
○佐々木安五郎君 議長、通告シテアル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=73
-
074・田川大吉郎
○田川大吉郞君 議長発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=74
-
075・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 田川君何デス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=75
-
076・田川大吉郎
○田川大吉郞君 議事ノ進行ニ關シテ一言申シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=76
-
077・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 御發議ナサイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=77
-
078・田川大吉郎
○田川大吉郞君 簡單デアリマスカラ、此席カラ發言ヲ許
サレンコトヲ望ミマス
〔「判ラヌ」「登壇々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=78
-
079・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 靜ニ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=79
-
080・田川大吉郎
○田川大吉郞君 憲法第三十九條ニ、兩議院ノ一ニ於
テ否決シタル法律案ハ、同會期中ニ於テ再ヒ提出スルコト
ヲ得スト明確ニ規定シテアリマス、唯〓關和知君ノ辯明シ
主張セラレタル所ノ要領ハ、先ニ既ニ否決セラレタル關直
彥君ノ普選案ノ辯明ノ趣旨ト、全ク同一デアリマス、同
ノ範圍ニ限ラレテ居ル論辯デアル、故ニ兩論ヲ比較シテ考
へ來レバ、本院ハ今一旦否決シタル同一ノ議事ヲ、再議シ
ツヽアル實際ノ狀態ニナヲテ居リマス(拍手起ル)
〔「ノウ〓〓」「賛成々々」ト呼フ者アリ」発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=80
-
081・奧繁三郎
○議長(奥繁三郞君) 靜肅ニ-
〔「謹聽々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=81
-
082・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君〕 靜肅発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=82
-
083・田川大吉郎
○田川大吉郞君(續) 同一ノ議案ガ否決セラレタ場合ニ、
再議致シマスコトハ、憲法第三十九條ノ規定ニモ精神ニ
モ、私ハ反スルト思ヒマス(「內容ガ違フ」ト呼フ者アリ)本員
ハ議長ニ希望スルノデアリマス、若シ之ヲ此儘···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=83
-
084・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 判リマシタ-モウ要旨ハ判リマシ
タ、說明致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=84
-
085・田川大吉郎
○田川大吉郞君 御待チ下サイ、若シ之ヲ此儘進行致シ
マスレバ、私ハ衆議院ガ取返スベカラザル失態ニ陷ルコトヲ
惧レマス(「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ)故ニ議長ニ於テ、之ヲ匡
正スベキ途ヲ執ラレンコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=85
-
086・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 說明致シマス、關直彥君外幾名ヨ
リ提出シテ居リマスノト、箕浦勝人君外幾名ヨリ提出サレ
テ居リマスノハ、其名ノ上ニ於テハ如何ニモ衆議院議員選
擧法ノ一部ノ改正案デアリマスケレドモ、改正サルベキ必要
ナル箇條ニ於テ相違ガアリマス、故ニ斯ノ如ク取扱ヒマシタヽ
如何ニモ關直彥君ノ御演說ト〓和知君ノ御演說ハ、大體
ノ要旨ニ於テ似タ所ガゴザイマスケレドモ、ソレハ演說サレル
人ノ自由デアリマス、案其モノニ於テハ相違ノ點ガゴザイマ
ス、故ニ今援用サレタ憲法ノ精神ニハ反セヌト思ヒマス(拍
手起ル)斯ノ如キハ先例モアリマスシ、憲法ニ違反セヌトシ
テ扱ッテ居リマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=86
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087・尾崎行雄
○尾崎行雄君 議長発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=87
-
088・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 尾崎君、何デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=88
-
089・尾崎行雄
○尾崎行雄君 議事ノ進行ニ就テ一言···
〔「登壇々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=89
-
090・奧繁三郎
○議長(奥繁三郞君) 靜ニ····靜ニ····登壇ナサルトナ
サラヌトハ、尾崎君ノ自由ニ任セマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=90
-
091・尾崎行雄
○尾崎行雄君 極メテ簡單デアリマスカラ、此席カラ申上
ゲマス、若シ唯〓ノ兩案ノ趣旨ガ違フ、其違シタ趣意ヲ討論
ニ付スルト云フコトナラバ、是ハ一說デアリマスケレドモ、納
稅資格撤廢ト云フコトヲ、此所デ再ビ討論スルト云フコトハ、
旣ニ終結セラレテ決ヲ採ッタ其問題ニ就テ、再ヒ討論ヲ開
始スルト云フ實質ニナルノデアリマス、(「ノウ〓〓」ト呼フ者
アリ)斯樣ナ事ハ是ハ議事上許スベカラザル事デアリマス、
憲法第三十九條ハ、再ビ提出スルコトヲ禁ジテ居リマス、唯
タノ法律デハナイ、憲法ニ於テ之ヲ禁ジテ居ル、(「ヒヤ〓〓
ト呼フ者アリ)或ハ提出ト、討議トハ、違フナドト云フ形式ノ
事ヲ申サレルカモ知レマセヌケレドモ、憲法ガ許サヌ事ヲ提
出シ、更ニ決ヲ採ルト云フコトハ、許サルベキ事デナイト思ヒ
マス、假令是ハドレダケノ多數デアラウトモ、實際ニ於テ憲
法違反、議長ノ此問題ノ取扱ガ、絕對ニ間違ッテ居ルコトヲ
確信致シマスルガ故ニ、御改メアランコトヲ希望致シマス、
此儘ニ進行スルナラバ、本員ハ遺憾ナガラ憲法違反ノ議事
ニ參加スルコトガ出來マセヌ、故ニ此事ヲ豫メ御斷リ致シテ
置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=91
-
092・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞す) 實質ノ上ニ於テ相違ノ點ガアリマ
スルカラ、議長ノ意見トシテ討論ニ移リマス、採決ノ方法ハ
採決ノ際ニ諮リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=92
-
093・尾崎行雄
○尾崎行雄君 旣ニ終結セラレタル事ヲ、更ニ討論ニ付ス
ルト云フコトデアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=93
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094・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) ソレハ違フ點ヲヤリマス、討論ハ同
一ノ討論ヲサレマシテモ、敢テ干涉致シマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=94
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095・尾崎行雄
○尾崎行雄君 旣ニ終結セラレタ問題デアリマス、故ニ同
ジ事ヲ再ビ討論ニ付スルコトデアルナラバ、本員ハ斷ジテ憲
法違反ト信ズル、若シサウデナクシテ、獨立ノ生許トカ、年齡
ノ制限トカ、特別ノ事ヲ討論ニ付スルト云フコトデアルナラ
バ、許サレルカモ知レマセヌガ、ソレハ二次會ノ問題デ、此所
デ許サルベキ性質ノモノデナイト思ヒマス
〔「賛成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=95
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096・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 唯〓問題ニ供シテ居リマスノハ、
發議サレテアル案ヲ問題ニ供シテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=96
-
097・尾崎行雄
○尾崎行雄君 ソレハ何デアリマス、納稅資格撤廢、所謂
普通選擧ト云フ議題デハアリマセヌカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=97
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098・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) サウ云フ問題モ含ンデ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=98
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099・尾崎行雄
○尾崎行雄君 ソレハモウ議決サレマシタ、納稅資格撤廢
ト云フコトノ、討論既ニ終結シテ、決議ハ既ニ否決ニナッテ居
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=99
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100・奧繁三郎
○議長(奥繁三郞君) ソレハ議論デス、納稅資格撤廢ト
云フノハ結果デアリマス、其如何ナル條件ニ於テ改正スルト
云フノガ實質デス、ンレハ確ニ違シテ居リマスカラ、斯樣ニ扱ヒ
マシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=100
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101・尾崎行雄
○尾崎行雄君 議長ノ宣告ハ、確ニ間違ッテ居ルコトヲ宣
言致シマス
〔「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=101
-
102・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 靜ニ-關和知君ニ對シマシテ、
質疑ノ通告ガアリマス、上畠益三郞君
〔上畠益三郞君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=102
-
103・上畠益三郎
○上畠益三郞君 私ハ提出者ニ對シテ、簡單ニ質疑ノ要
點ヲ申述ベテ、御說明ヲ仰ギタイト思ヒマス(「謹聽」ト呼フ
者アリ)私ハ此選擧權ノ擴張ニハ賛成ヲ表スル者デアル、而
シテ此擴張ヲ、憲政會諸君ノ御提出ニナリマシタ方法ニ依
テ實現スルト云フ事ニモ、私ハ賛成デアリマス、是ト同時ニ私
ノ信ズル所ニ依リマスルト、現行ノ選擧制度ノ最大ノ缺點
ト申スモノハ、候補者夕ル者ニ多大ノ運動費ヲ要求スルト
云フコトガ、是ガ現行選擧法ノ最モ甚シキ缺點デアルト私
ハ考ヘマス··
〔「其通リ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=103
-
104・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 靜ニ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=104
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105・上畠益三郎
○上畠益三郞君(續) ソレデ凡ン此候補者ハ四十日ノ
間、自己ノ職業ヲ擲チ、一家ヲ忘レテ選擧ニ奔走スルノデゴ
ザイマスカラ、此點ニ於テモ其負擔タルヤ、非常ニ重大ト謂
ハナケレバナラヌ、加フルニ巨萬ノ運動費ヲ以テスルト云フコ
トハ、是ハ到底通常人ノ堪へ得ベキ所ノ程度デナイト考ヘ
マス(「ヒヤ〓〓」ト呼フ者アリ)而シテ斯ノ如キ所ノ負擔ニ堪
へ得ル人ハ、畢竟此少數ノ資產階級ノ人カ、然ラザレパソレ
ダケノ資金ヲ融通スルノ力ノアル、一部少數ノ人士ニ限ラ
レテ居ルノデアリマス、大多數ノ人ハ、如何ニ適當ナル資格ガ
アッテモ、此選擧ノ運動費ノ爲メニ、選擧界ニ入リ來ルコトヲ
躊躇スルノデアル(拍手)由來此選擧權ノ擴張ト云モノハ、
多數ノ民意ニ從ヒ、サウシテ汎ク人材ヲ選ブト云フコトガ
其唯一ノ目的デナケレバナライ、而シテ此候補者ノ人數ヲ
極メテ狭隘ナル範圍ニ制限シテ、多數ノ適任者ヲシテ、悉ク
此圈內カラ除外スルト云フコトガ、選擧權ノ擴張ノ精神ト
相容レザルモノデアルト私ハ確信スルノデアリマス、ソレテ將
來私ノ考ヘル所ニ依レバ、選擧權ノ擴張ト云フモノハ、選擧
界ノ廓〓ト云フコトヽ相俟ッテ、始メテ完全ナルモノトナルノ
デアル、今日ノ如キ實際的ノ制度ノ下ニ、多額ノ選擧運動
費ヲ候補者ニ要求スル惡弊ヲ其儘放任シテ置イテ、徒ラニ
選擧權ノ擴張ノミヲ以テ能事トスルノハ、恰モ傳染病患者
ノ傍ニ賓客ヲ迎ヘルト同一デアル、加之吾〓立法府ニ參與
シテ、最高ノ政治ニ携ハル一人トシテ、深ク國家百年ノ爲メ
ニ思ヲ致サナケレバナラヌ事ガアル、卽チ此選擧費ニ多額ノ
運動費ヲ要スルト云フ一事ハ、轉ジテ各政黨ヲシテ、各黨員
ニ運動費ヲ補助スルト云フ必要ヲ生ズルノデアル、而シテ此
運動費ヲ補助スルト云フ必要ノ、政黨ヲシテ平素カラ其資
金ヲ蓄積スルト云フ必要ヲ生ゼシムルノデアル、諸君、凡ン
吾ミノ考フル所ニ依リマスレバ、總テノ政黨ガ信ヲ天下ニ失
フト云フコトハ、要スルニ此一點ヨリ來ルノデアリマス、若シ
モ此政黨ト云フモノガ、資金ヲ蓄積スル必要ガナカッタナラ
バ、決シテ世人ノ誤解ヲ受ケナイ、世人ノ邪推ヲ受ケナイ
ノテアル、從來ノ歷史ニ徵スレバ、一ノ重要ナル法案ガ提出
セラレレバ、隨テ流言アリ、曰ク此案ガ通過ニナッタナラバ、某
政黨ハ數十萬ノ收入ガアル、或ハ一ノ大ナル會社ガ設立サ
レタナラバ、又流言アリ、曰ク、此權利株ハ飛ンデドノ政黨ニ
入ル、吾ヒハ斯ノ如キ流言ヲ決シテ信ジナイ、風評ハ信ジナ
イ、併ナガラ世人ハ何等ノ根據ナクシテ、直チニ斯樣ナ流言、
斯樣ナ風說ヲ信ズルノデアリマス、斯ノ如キ今日ノ狀況ニ
放任スルト云フコトハ、要スルニ政黨ノ信用ヲ增進スル所
以デナイト思フ、現ニ彼ノ滿鐵事件ノ如キニ於キマシテモ、
人一タビ之ヲ口ニスレバ、天下其事實ノ有無ヲ究メズシテ、
之ニ響應スルノデアル、吾ミハ假令如何ナル小サイ事デモ、
證據ナクシテ事實ヲ認定スルコトヲシナイガ、悲シイ哉世人
ハ常ニ邪推ヲ以テ見、常ニ臆測ヲ以テ迎ヘルモノデアルカ
ラ、斯樣ナ事ガ出來タナラバ、證據ニハ頓著セズ、直チニ斯ノ
如キ事實アリト云フコトヲ認定スル、凡ン此選擧界ニ多額ノ
運動費ガ要リ、而シテ政黨ガ之ニ對シテ多大ノ資金ヲ要ス
ルト云フコトハ、是ハ爭フペカラザル事實デアル、然ラバ此資
金ト云フモノハ、天ヨリ降ルニ非ズ地ヨリ湧クニ非ズ、何トカ
シテ或ル手段ヲ講ジテ之ヲ調ベナケレバナラヌ、故ニ私ノ考
フル所ニ依レバ、選擧權ノ擴張ト同時ニ、此實際的ノ選舉
制度ト云フモノヲ根本カラ革新シテ、候補者ニ多大ノ運動
費ヲ要求シナイ、隨テ政黨ハ黨員ニ補助スル必要ハ無イ、
斯ノ如キ所ニ制度ヲ確立シ、此弊害ヲ根本カラ除去スルト
云フコトハ、政黨ノ信用ヲ增ス所以デアッテ、而シテ政黨ノ信
用ヲ增スト云フコトハ、政治ニ對スル國民ノ信賴ヲ繫グ所
以デアリマス、斯ノ如キ次第デアリマスカラ、私ノ考フル所ニ
依レバ、此選擧權ノ擴張ト、選擧制度ヲ實際ニ革新スル所ノ
選擧制度ノ改革ハ、相待ッテ離ルベカラザルモノト考ヘル、此
好機會ニ於テ、憲政會諸君ニ於テ此二ツノモノヲ併セテ行
ハレタナラバ、私ハ今日以後ニ於テ、政治界ノ面目ヲ一新シ
選擧界ノ面目ヲ一新シ、國民ノ政黨竝ニ政治ニ對スル信賴
ノ念ハ、愈ヒ厚キヲ加フルモノト考ヘルノデアリマス、故ニ
私ハ憲政會ノ提出者諸君ニ御尋シタイ、ソレハ第一ニ提出
者諸君ハ、選擧權擴張ノ必要ト同時ニ、選擧界ノ革新ノ
必要ヲ感ゼラルヽヤ否ヤ、第二ニ此選擧界ノ革新ノ必要ヲ
感ゼラルヽトスレバ、諸君ノ茲ニ提出シタ案ニ就テ、委員會
或ハ第二讀會ニ於テ、適當ナル手續ヲ以テ、此目的ニ副フ
ベク補充シ修正スルト一云フコトニ、御同意デアルヤ否ヤヲ御
尊致シタイノデアル、諸君、此選擧界ノ廓〓卜云フコトハ、
固ヨリ選擧關係者ノ自制心ニ待タナケレバナラヌ問題デア
リマスガ、併ナガラ自制心ハ賴ムニ足ラズトスレバ、法ノ威力
ヲ藉リ來シテ之ヲ匡正スルコトハ勢イ免レザル所デアル、法
ノ威力ハ十二分ニ之ヲ匡正シテ、餘リアルコトヽ考ヘテ居ル
ノデアリマス、故ニ此一點ニ於テ、憲政會ノ提案者ニ御明
答ヲ得タイト考ヘマシテ、御〓聽ヲ煩シタ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=105
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106・奧繁三郎
○議長(奥繁三郞君) 關君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=106
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107・關和知
○關和知君 簡單デアリマスカラ、此席デ答辯ノ御許シヲ
願ヒマス、唯〓上畠君ノ御質問ニナリマシタ選擧法ノ改正ト
同時ニ、選擧界ノ廓新ニ就テ考ガアルカト云フ御尋デアリ
マシタガ、如何ニモ御同感デ、選擧法ノ改正ト同時ニ、選擧
界ノ廓〓ハ私共必要ト考ヘテ居リマス、第二ノ御尋ニ就キ
マシテ、本案ノ審議ガ進ミマシテ二讀會ニ移リマシタ場合ニ
ハ、御互ニ〓究調査ヲ致シテ、然ルベク選擧法ノ改正ト同
時ニ、選擧界廓〓ノ目的ヲ達シタイト本員モ考ヘテ居リ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=107
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108・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 佐々木君ハ關君ニ對シテ質疑ガ
アルト云フコトデアリマス-佐々木君
〔佐々木安五郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=108
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109・佐々木安五郎
○佐々木安五郞君 議案第八號ニ就テ、關君ハ唯〓憲
政會側ノ意見ヲ代表シテ演說サレマシタ、其御演說ノ中
ニ、議案第七號ヲ稱シテ國民黨案ト云フコトヲ屢〓言ハレ
マシタガ、アレハ國民黨案デハアリマセヌ、普選同盟案デアリ
マス、國民黨ガ出シタダケノモノデハナイ、普選同盟ガ出來
テ、若シ其同盟ガ破レズンバ、其處ニゴザル島田君モ、武富
君モ、尾崎君モ、其同盟案ニ署名サレル筈デアッタ、ソレガ破
レタト云フコトハ、非常ニ殘念ニ思ヒマスガ、唯〓尾崎君ハ
同一ノ議案ヲ同一ノ議會ニ出スコトハナラヌト言ハレマシ
タガ、同一ノ議案デハアリマセヌ、同一議案ナランコトヲ希
望シタケレドモ、憲政會ノ方カラ御破リニナッテ、同一ノ案デ
ナクナッテシマッタ、私ハ斯ウ思フ、此普通案ノ審議ニ就テハ、
敵ノ强キニ非ズ味方ノ弱キナリト、唯〓普選案ニ就テ、總
理大臣ガ御演說ヲ爲サレマシタ、一國ノ宰相デアルカラ、堂々
タル意見デアラウト思ウテ聽イテ居リマスト、何ゾ計ラン
頗ル取ルニモ足ラザル幼稚ナル議論デス、第一何ト言ハレマ
シタカ、普通選擧ト云フ以上ハ、年齡ニ差別デモ置カナケレ
バ免モ角モ、年齡ニ差別ヲ置ケバ、普通選擧デハナイト云フ
語氣ガアリマシタ、物ハ程度ノ問題デ、差別ヲ置クト云フコ
トガ必要ナノデアル、(「穿違ヘテハ困ル」ト呼フ者アリ)普通
ト云フコトハ讀ンデ字ノ如ク、普通ノ常識デ、普通ノ一人前
ト見ラレル人ニ普通選擧權ヲ與ヘテヤッテ吳レ、年齡ニ制限
ヲ置カズニ、赤兒ニマデモ選擧ノ權利ヲ與ヘネバ普通選擧
デナイト云フ議論ハ一體何處カラ出ルカ、マルデ問題ニナ
ラヌデハナイカ、(拍手起ル)ソレカラ其次ニハ女子ニ權利ヲ
與へヌカラ普通選擧デナイト言フ、女子ニ與フベカラズト
云フ明文ハ、吾〓ノ議案ニ書イテアリマセヌ、是ハ順序ノ問
題デアリマス、順序ノ問題デ、豫算ニ追加ガ許サレル、法律
ニ追加ガ許サレルガ如ク、時機ガ來テ必要ナラバ、追加シテ
一向差支ナイ、日本ノ國體ト云フモノハ男子ガ先キニ進ン
デ、ソレカラ女ニナル、是ハ一國ノ原史ヲ書イタ所ノ古事記
ヲ御讀ミナスッタラ、能ク判ル話デアル、總理大臣ハ一國ノ
大本ノ御本位ハ讀ンデ居ラレルト思ヒマス、伊弉諾伊祥册
尊が相會シタ時ニ、伊弉諾尊ガ先キニ物ヲ言ハレタ爲メニ、
蛭子命ガ生レタ、女先ヅ物ヲ言フハ不祥ナリト云フコトガア
ル、女ニ先キニ物ヲ言ハセルト云フコトハ不祥デアルト云フ
コトハ、古事記以來ノ是ハ日本ノ憲法デアル、(笑聲起ル)ダ
カラ先ヅ男子カラ先キニ言フコトハ何ガ惡イ、而シテ女ニヤ
ラヌト云フコトハ書イテナイ、女ニモヤル、ソレガ唯今書イテ
ナイカラ、迚モ吾〓ノ普通選擧論者ト云フモノハ、女ニ選舉
權ヲ與フベカラズト言ウタガ如ク詭辯ヲ弄サレル、是ハ詭辯
デアル、是モマルデ取ルニ足ラヌ議論デアル、ソレカラ一年前
ニ決メタ事ヲ、今直チニ變ルト云フコトハ出來ナイト云フ、
斯ウ云フコトヲ仰シヤ,タケレドモ、惡イト云フコトガ判ッタラ
止メタラ宜イデハナイカ、孟子ト云フ(「質問デハナイ、討論
ダ」ト呼フ者アリ)是ヨリ質問ニ入ル、是ハ順序デス、(笑聲
起ル)孟子ト云フ書物ニ、人アリ鷄ヲ攘ム者ガアッタ、止メタ
ラドウカ、明日カラ攘ムコトヲ止メルト言ウタ、惡イト知ッタラ
今止メタラドウダト言ハレタ、政治ノ施設ガ時々刻々變ルト
云フコトハ、其時場合ニ依ルダラウ、西伯利政策ノ如キハ、
一年ノ中ニ何遍變ッタカ分ラナイ、昇格問題ノ如キハドウデ
ゴザルカ、昇格問題ノ如キモ度〓變ゥタデハナイカ、其時ノ場
合ニ依ッテハ變ヘルト云フコトガ、活キタ政治ノ所以デアルト
私ハ思フ、釘付ニサレタヤウニ變ヘラレナイト云フコトガ何
處ニアルカ、此議論モ物ニナラヌ、故ニ私共ガ若シ憲政會ト
國民黨卜無所屬ト聯合シテ、大ナル勢力ヲ作ッテ之ヲ此議
場ニ打ッテ一丸ト爲シタモノヲ署名シテ、而シテ六千万人ノ
共鳴ヲ求メタナラバ、此敵ハ餘リ難イムヅカシイ强イ敵デハ
ナイケレドモ、殘念ナ事ハ憲政會ノ方ハ、門ヲ閉ヂテ人ニ來
レト命ズルト云フヤウナコトヲシタ、ソレハ一體ドウ云フ事デ
アルカ、此ニ至ッテ初メテ質問ニ入ル(笑聲起リ「十分ヤリ給
へ」ト呼フ者アリ)唯〓關君ハ議案第八號ヲ稱シテ、憲政會
ノ案ト言ハレマシタガ、此議案ハ果シテ憲政會全會一致ノ
案デアリマスカドウデアリマスカ、(「謹聽」ト呼フ者アリ)若シ
憲政會全會一致ノ案デアリマスルナラバ、何故ニ全部ノ署
名ガアリマセヌカ、(「ソコダ」ト呼フ者アリ)署名シタ者ハ僅
カ二十五名トカト云フコトヲ聞イテ居リマス、或ハ便宜ニ
依シテ省略シタト云フコトデアリマスレバ、省略サレタル人と
ハ、悉ク此議案ニ反對ハアリマセヌカドウデスカ、聞ク所ニ
依レバ、尾崎君モ、田川君モ、其他七名許リノ健全分子ハ、
「獨立ノ生計」ト云フ事ニ向ッテ、異論ガアルト云フコトデア
リマシタ(拍手起ル「旨イここ」「謹聽」ト呼フ者アリ)若シ此
七名ノ健全分子ヲ除イテ、、而シテ之ヲ通スト云フコトニナリ
マスルト、平生言ウテゴザル黨議尊重ノ事ハドウナリマツタ
カ(拍手起ル)黨議尊重其モノヲ破ッテ、而シテンレデモ其黨
ニ居ラセル、居ル、之ヲ糊塗彌縫スル爲メニ二十五名ノ署名
ダケデ止メテ、其他ノ名ヲ省イタト云フコトデアリマセウカ、
ドウデアリ、マスカ、(拍手起ル)是ハ黨人ノ(「ノウ〓〓」ト呼フ
者アリ)「ノウ」ト云フコトハ能辯ノ「ノウ」ト云フコトデアル、
黨人ノ尾崎君及田川君カラモ後ニ承リクイ···
〔「議長注意シマセヌカ」「ソンナ質問ガアルカ」ト呼フ
者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=109
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110・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 靜ニ-定刻ニ近ヅキマシタガ時
間ハ延シマス
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=110
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111・佐々木安五郎
○佐々木安五郞君(績) 痛クナケレバ静ニ聽クベシ、是ハ
私ハ政治道德及政黨改善ノ意味ニ於テ、尾崎君田川君カ
ラモ此壇上ニ於テ釋明ヲシテ貰ヒタイ、ドウ云フ立場デゴザ
ルカ、ドウ云フ事ヲシテゴザルカ、ンレヲ承リタイ(「質問デナ
イ、要求デアル」ト呼フ者アリ)ソレカラ今度ハ「獨立ノ生計」
吾ニノ野黨ノ聯合ヲ破ッタト云フコトハ、唯、此「獨立ノ生
計」ト云フ中ニ假名ガ一字デアッテ、跡ハ本字ガ四字アル此
五字ダケデ之ヲ破ラレタ、ソレ程大切ナ「獨立ノ生計」ト云
フコトハ、一體ドウ云フモノデアルカト云フコトヲ〓究シテ見
ルト、釋明ガ付カネバ分ラヌ、其釋明ヲ一々讀ンデ行クト云
フト、詰リ「獨立ノ生計」ト云フコトハ有ッテモ無クテモ宜イ、
文字ダケ存在シテ居レバ宜ト云フコトニナッテ居ル(「ノウ〓〓ㄴ
ト呼フ者アリ)「ノウ」デハナイ、此「獨立ノ生計」ト云フ文字
ダケ存在シテ居ッテ、サウシテ其文字ニ對スル犧牲トシテ、野
黨ノ聯合ハ破ッテモ構ハヌト云フ大切ナ値打ガ何所ニアリ
マスカ、吾ミノ考ヘル所デハ、此「獨立ノ生計」ノ釋明付ノ法
律文ト云フモノハ迚モ出來ルモノデハナイ、出來テモソレガ
實行サレルモノデハナイ、實行シタ以上ハ各地方ノ町村長
ガ各、見ル所ヲ異ニシ、テ勝手氣儘ノ解釋ヲ付ケルト云フ
コトニナレバドウデス、甲ノ町ト乙ノ町ト違フコトガ出來ル、
此爲メニハ選擧ニ關スル訴訟ト云フモノガ簇出シテ、其煩
ニ堪ヘヌト云フコトガ必ズ出來マス(拍手起ル)而シテ斯ノ
如キ如何ニデモ解釋ノ付ケ次第、市町村長位ノ者ノ釋解
ハドウデモナルヤウナ事ヲスルモノデアルナラバ、若シモ-若
シモ政府黨ガ之ヲ利用スルト云フコトニナッタナラバ、諸君ハ
ドウデゴザイマスカ、ドウスルカ(「モウ利用サレテ居ルデハナ
イカ」ト呼フ者アリ)利用スベキ事ヲ提供スルコトガアルカ、
改メレバ宜イデハナイカ(「解釋ノ餘地ガアッタラ宜イデハナイ
カ」ト呼フ者アリ)而シテ尙ホ「獨立ノ生計」ヲ尊重スルト云フ
コトニナリマスト、今日ノ如キ財界ノ動搖ノ甚シキ時ハ失
業者モ澤山出來ル、金持モ貧乏ニナル、斯ノ如キ者ニ一言
モ物ヲ言ハセナイト云フコトニナレバ、彼等ハ何處ニ走ルカ、
ソレハ言論ノ府ヲ開イテヤレバ安全瓣ガ行ハレルケレドモ、
此安全瓣ヲ取上ゲルト彼等ハ何レノ處ニ走ルカ、過激思想
ニ走ルノ外ハナイ、(「旨イここ」ト呼フ者アリ)斯ノ如キ事ガ
此「獨立ノ生計」ノ文字ノ中ニ含マレテ居ルト云フコトニ氣
付カレタカドウデアルカ、是ガ承リタイ、ソレカラ此普選問題
ニ就テ誠意ガアリヤ否ヤヲ私ハ疑フ(「ヒヤ〓〓」ト呼フ者ア
リ、拍手起ル)無論最初ノ問ハ國民黨モ除名ヲ出シ、憲政
會モ出シタ、是ハ原サンカラ言ハレテモ仕方ガナイ、威張リ
得ルノハ六人組ノ私ガ一人ダ(拍手起ル)ケレドモ國民黨ハ
非ヲ改メテ、今日ハ吾ミノ普選同盟ガ事實出來テ居ル、過
ヲ改ムルハ君子ナリ、吾スハ國民黨ト手ヲ携へテ行クコトヲ
非常ニ喜ブ、憲政會ハドウデアリマスカ、殆ド自分ノ拵ヘタ
モノヲ、中デ統一ガ取レナイト云フヤウナモノヲ出シテ、ソレニ
天下ニ向ッテ尾イテ來イト言テッモ、誰ガ尾イテ來ルカ、(拍
手起ル)ソレカラ更ニ承リタイ-更ニ承リタイノハ、吾こノ
案ノ中ニハ、憲政會ノ中ノ永井柳太郞君ノ說ヲ容レテ、其
案ヲ拵ヘタモノモアル、永井柳太郞君ノ彼時ノ態度ハドウ
デアリマスカ、必ズ賛成ヲスル、脫黨シテヾモ賛成ヲスル、愈、
ノ場合ニナルト提出者ニモナレナイ、賛成者ニモナレナイ、斯
ウ云フコトヲ言ハレテハ、政治道德ノ上トシテ吾ニドウデアル
カ、一言辯明ヲ求メタイ(「ンレハ誰ニ質問ダ」ト呼フ者アリ
是ハ關君ニ辯明ヲ求メル-先ヅ〓君ニ求メル黨內ニ斯
樣ナ者ガアッテ、此案ハドウ云フ態度ヲ執ルカ、關君ニ辯明
ヲ求メル、(「議長注意ヲシ給へ」ト呼フ者アリ)若シ·····今度
ノ案ニ、吾とノ人數ガ多イカラ提出スルコトガ出來、タケレド
モ、第四十一議會ノ松島肇君ノ當時ノヤウニ、永井君一人
逃ゲタト云フコトニナレバ出ラレヌト云フコトニナル、若シ永
井君ノ口調ヲ藉リテ西ニ「レニン」アリ、東ニ原君アリト云フ
コトハ、四十一議會ニ松島肇君アリ、四十四議會ニ永井柳
太郞君アリト謂ハナケレバナラヌ(拍手起ル)是ハ政治道德
ノ上カラ御尋スル-モウ終リマス(「範圍ヲ脫シテ居ル」ト
呼フ者アリ)決シテ範圍ヲ脫シテ居ラヌ、是ハ永井君ガ單獨
デヤッタノカ、憲政會ガヤラレタノカト云フコトヲ問フノデアリ
マス、範圍ハ脫シテ居ラヌ、モウ是デ濟ンダ、左樣ナラ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=111
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112・關和知
○關和知君 議長発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=112
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113・奧繁三郎
○議長(奧繁三郎君) 關和知君
〔關和知君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=113
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114・關和知
○關和知君 唯〓佐々木君ノ御質問ニ對シテ答辯ヲ致シ
マス、佐々木君ノ質問ノ中、本員ノ答辯ノ必要ヲ認メマスル
一トシテ、「獨立ノ生計」ト稱スル一要件デアリマス、「獨立ノ生
計」ト云フコトヲ、選擧權ノ資格ノ一ツニ擧ゲタト云フコト
ハ、凡ソ今日ノ文明政治ハ總テ國民生活ノ安定ヲ目的ト
スルノデアリマスカラ、國民トシテ同ジク國民ノ中ニ在ッテモ
生活ノ一位タル所ノ位置ヲ有スル獨立ノ生計ヲ營ム所ノ
者デナケレバ、直接政治利害ニ關シテ交涉ヲ持ッテ居ラナイ
カラ、獨立ノ生計ヲ有スル者ニシテ、始メテ今日ノ文明政治
ニ參與スル資格ヲ有ッテ居ルモノト認メテ、之ヲ一要件トシ
タノデアリマス、ソレ以外ノ事ハ一黨ノ內事若クハ一私人ノ
行爲ニ涉ル事デアリマスカラ、折角誠意ヲ籠メタ眞面目ナ
御質問デアリマシタケレドモ、本員遺憾ニシテ答辯ノ必要ヲ
感ジマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=114
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115・佐々木安五郎
○佐々木安五郞君 議長発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=115
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116・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 佐々木君、何デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=116
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117・佐々木安五郎
○佐々木安五郞君 田川君及尾崎君ニハ、一身上ニ關ス
ル事デアリマスカラ、此際說明ヲ希望シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=117
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118・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) ソレハ要求スル手續ハアリマセヌ
〔「無用々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=118
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119・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 靜ニ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=119
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120・田川大吉郎
○田川大吉郞君 議長
〔「登壇々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=120
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121・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 田川君、何デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=121
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122・田川大吉郎
○田川大吉郞君 唯今、佐々木君ノ質疑ニ對シテ說明
ヲ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=122
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123・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 貴方ノ一身上ノ事ニ就テ、自ラ辯
解スルノデアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=123
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124・田川大吉郎
○田川大吉郞君 唯〓ノ御質問ニ對シテ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=124
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125・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 其手續ハアリマセヌ、田川君自ラ
辯明ナサルナラバ許シマスサウデナケレバ許シマセヌ、
〔「自ラ辯明スベシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=125
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126・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 自ラ辯明ナサレルノデスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=126
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127・田川大吉郎
○田川大吉郞君 辯明シマス(「登壇々々」ト呼フ者アリ)
〔田川大吉郞君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=127
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128・田川大吉郎
○田川大吉郞君 唯〓佐々木君ヨリ、憲政會ノ提案セル
普選案ニ關シテ、私共執レル態度如何ト云フコトニ關シ
テ御質問ヲ受ケマシタ、ンレニ關シテ(「謹聽々々」ト呼フ者ア
リ)簡單ニ私共ノ立場、所信ヲ明言致シテ置キマス、(「謹聽
謹聽」ト呼フ者アリ)「獨立ノ生許」ト云フコトヲ問題トシテ
御話ニナリマシタガ、其「獨立ノ生計」/實際上ノ運用ニ關
シテ多クノ疑ヲ懷イテ居リマスコトハ、佐々木君ト略〓同樣ノ
見解ヲ持ッテ居リマス(「ヒヤ〓〓」ト呼フ者アリ)其爲メニ同
ジ憲政會ノ中ニ屬シテ居リナガラモ、其問題ニ對シテハ進
ンデ賛成スルコトガ出來ズニ、今御質問ヲ受ケルヤウチ奇態
ナル立場ニ陷リマシタ、(拍手起ル)是ハ事實デアリマスー
明白ニ申上ゲマス、是ハ事實デアリマス、(「謹聽々々」ト呼
フ者アリ)サリナガラ私ハ私自身ノ立場カラ申シマスレバ、憲
政會ハ早晩私共ノ意見ヲ容レル時機ニ達スルデアラウト斯
ウ信ジテ居ル、此希望ヲ懷イテ居ル、又單ニ一ツノ問題ニ
對シテ意見ノ相違ノ爲メニ、直チニ黨ヲ脫スベキカ否ヤト云
フ問題ノ起ルベキモノトハ、私ハ思ウテ居ナイ、是ガ私ノ所
信デアリマス、又私ハ此場合ニ於テ、憲政會ニ向ッテ諸君ハ
非常ニ冷評ヲ御浴セニナルヤウデアリマスケレドモ、私自身
普通選擧ト云フ觀念ヲ與ヘラレタノハ、自由黨ノ諸君ニ依ツ
テ與ヘラレタノデアリマス、自由黨ハ其興ルノ日ニ普通選
擧ヲ提唱シ來シタノデアル、其思想ノ流レヲ逐ウテ四十四年
ニ於ケル普通選擧案ハ此議會ヲ通過シタノデアル、私ハ當
時政友會ノ諸君ト共ニ、此案ヲ此議場ニ提案シタ一人デ
アル、私ハ憲政會ガ他日完全ナル普選案ヲ提案セラルノ日
ノ來ランコトヲ待チマスルト同時ニ、政友會ノ諸君ガ亦初
心ニ復シテ一日モ早ク普選案ヲ提出セラルヽ日ノアランコト
ヲ希望スルノデアリマス(拍手起リ「ヒヤ〓〓」ト呼フ者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=128
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129・永井柳太郎
○永井柳太郞君 議長発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=129
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130・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 永井君、何、テス
〔「登壇々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=130
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131・奧繁三郎
○議長(奥繁三郞君) 静カニ-諸君ガ登壇ヲ許サルヽ
ノデナイ-永井君、何デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=131
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132・永井柳太郎
○永井柳太郞君 唯〓佐々木君カラ、私ノ一身上ニ關ス
ル御言葉ガアリマシタカラ、ソレニ對シテ田川君ト同樣ノ位
置ニ於テ辯明スルノ機會ヲ與ヘラレンコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=132
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133・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 貴方ノ一身上ニ就テノ辯明ナラバ
此際許シマス、佐々木君ノ要求若クハ質問ニ對シテナラバ、
惡例ニナリマスカラ許シマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=133
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134・永井柳太郎
○永井柳太郞君 辯明ノ機會ヲ與ヘテ戴キタイ(「登壇登
壇」ト呼フ者アリ、拍手起ル)
〔永井柳太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=134
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135・永井柳太郎
○永井柳太郞君 唯今佐々木君ノ御演說カラ、幸ニシテ
私ノ一身上ニ關スル誤解ヲ解クノ機會ヲ得マシタルコトヲ
幸ト存ジマス、昨年普通選同盟ガ議會ニ提出スベキ普選
法案ヲ議シマシタ時ニ、私モ招カレテ其會議ニ列席致シマ
シタノデアリマスルガ、私ハ當時在野ノ各政黨ガ、眞ニ一身
一體トナッテ普選案ノ爲メニ戰フ能ハザル狀態ニ在ッタコト
ヲ、頗ル遺憾トシテ居ッタノデアリマス、併シ旣ニ在野ノ各政
黨ガ、同一ノ步調ヲ執ルコトガ不可能ニナッタ以上ハ、普選
同盟ニ殘ッテ居ラルヽ所ノ諸君ハ、頻リニ進步主義ノ思想
ヲ皷吹シ普選案ニ對シテハ、出來得ルダケ理想ニ近イモノ
ヲ出シタイト云フ態度ヲ示シテ居ラレタコトニ私ハ共鳴致
シマシテ、ドウセ個々別々ニナッテ、別々ノ普選案ヲ出サナケレ
パナラナイナラバ、サウシテソレガ何レモ議會ニ於テ敗北スベ
キ運命ヲ持ッテ居ルノナラバ、願クハ眞ニ普通選擧ノ理想案
ト稱スベキモノヲ提出シテ、内ニ於テハ國民ニ眞ノ普通選
擧ノ目標ヲ明ニシ、又外國ニ對シテハ我ガ日本ニモ斯ノ如
ク進步的ノ議案ヲ提出シタル者ガアルト云フコトヲ示シタ
イト存ジマシテ、諸君ガ果シテ普選ニ對スル理想案ヲ提出
スル御考ガアルナラバ、私共モ諸君ノ驥尾ニ附シタイト云フ
コトヲ申シタニ相違アリマセヌ、ンコデ私ハ普選ノ理想案ハ
二十歲以上ノ男女ニ普通選擧權ヲ與ヘルノデナケレバ理
想案トハ言ハレナイ、二十歲以上ノ男女ニ選擧權ヲ與ヘル
ト云フコトガ普通案デアルカラ、ソレニ諸君ノ御同意ヲ得ラ
レナイカト云フコトヲ諮ッタノデアリマス、其時ニ二十歲以上
ノ男子ニ對シテ普通選擧權フ與ヘルト云フコトハ同意デア
ルガ、女子ニ對シテハ一考ヲ煩ス必要ガアル、併ナガラ免ニ
角明日普通選擧ノ男子ニ對スル部分ダケヲ提出スルコト
ニ同意シテ吳レヽバ、女子ニ對スル部分ハ後ニ吾等ガ一同
記名調印スルト云フ御話デアッタノデス、ソレデ私ハ事實上
ニ於キマシテ、私ノ所謂普選ノ理想案ヲ諸君ガ採用シテ下
サッタコトヲ非常ニ感謝致シマシテ、然ラバ諸君ノ驥尾ニ附
シテ遺憾ナガラ憲政會ノ方ニ對シテハ除外例ヲ求メ、除外
例ヲ求メテ聽カレザレバ進退ヲ決シテモ、普選同盟ノ諸君
ニ追隨スベキモノデアルト考ヘタノデアリマス、併ナガラ私熟、
考ヘテ見マスルニ、(笑聲起ル)全體二十歲以上ノ男子ニ對
シテハ、今此處デ總テ記名調印ハスルケレドモ、女子ニ對ス
ル部分ハ後ニハ全部記名調印ハスルガ、此處デ記名調印スル
約束ハ出來ヌト言ハルヽコトガ、實ニ不可解デアッタノデアリ
マス、眞ニ普通選擧ノ理想案ニ共鳴セラルヽナラバ、私ノ原
案ニハ二十歲以上ノ男女ト云フコトガ書イテアッタノデアリ
マスカラ、ソレヲ其儘ニ承認シテ下サルコトガ出來ナケレバナ
ラヌ筈デアルニ拘ラズ、女子ノ方ダケハ後ニナレバ記名調印
ハ出來ルガ、現在ハ出來ナイト云フコトハ不徹底デアルト考
ヘマシテ、其事ガ自分ニ明白ニナリマスルト同時ニ、數時間
ヲ出デズシテ電話ヲ以テ普選同盟ノ代表者ト認ムル方ミ
ニ私ノ意見ヲ通告致シタノデアリマス、ソレデアリマスカラ私
ハ決シテ普選問題ニ對シテハ、何等ノ變說ヲモ致シテ居リ
マセヌガ、唯夕私ガ考違ヲシタト云フコトダケハ、之ヲ正直ニ
申上ゲテ置キマス、全體人間ハ思違ヲスルト云フコトハアル
モノデ、ソレガ何ノ不思議デアルカ、全體佐々木君自ラデモ
會テ「シーメンス」事件ノ起リマシタ時ニ、佐々木君ガ海軍
攻擊ヲ中途デ廢サレテ、ソレガ爲メニ天下ノ誤解ヲ蒙ッテ居
ラレタコトハ、實ニ御氣ノ毒ダト思ッテ居ル、是ハ佐々木君ノ思
違デアル、人間ノ思違デアルト云フヤウナコトヲ、直チニ變說
ト云フガ如キ言葉デ非難スルト云フガ如キ事ハ誤レルノ甚
シキモノデアッテ、(拍手起ル)私ハ納稅資格主義ニ對スル所
ノ戰ニ於キマシテハ、此處ニ居ラルヽ如何ナル人ミニモ、人後
ニ落チナイト云フ熱心ヲ持ッテ居ルノデアル、(拍手起ル)、「間
違シテ居ル」ト呼フ者アリ)唯ダ普通選擧ニ對スル理想案ガ
提出セラレマセヌ以上ハ、普選同盟ノ案ハ、確ニ憲政會ノ
案ヨリハ稍、進步的ナモノデアルト云フコトハ、十分是ハ認メ
マスケレドモ、普通選擧ノ理想カラ申セバ、是レ共ニ五十步
百步ノ議論デアル、其五十步百步ノ妥協案デアルト致シマ
スレバ、何等ソレガ爲メニ私ハ外交上、財政上、或ハ(「虚吐
クナ」ト呼フ者アリ)生活問題上ニ於キマシテ、私ト思想及
主義ヲ同ジウシ、私ノ政治上ノ先輩又ハ友人トシテ居ル人
人ノ居ル憲政會ヲ棄テヽ特ニ諸君ニ追從スルノ必要ヲ認
メナイ、(拍手起リ「ヒヤ〓〓」ト呼フ者アリ)ソレガ爲メニ私ハ
憲政會案ニ附屬スルト云フコトガ當然ト認メマシテ、諸君
ニ對スル通告ヲ取消ヲ致シタ譯デアリマス(「モウソレ位デ措
ケ」ト呼フ者アリ)諸君ニ對シテ若シ誤解ヲ解クコトガ出來
レバ非常ニ幸福デアル、又納稅資格主義ヲ破〓テ普通選擧
ノ大義ヲ日本ニ行フト云フコトノ意氣ニ致シテハ、諸君ノ如
何ナル方ニモ、斷ジテ劣ル者デナイト云フコトヲ斷言スル者
デアリマス
〔「佐々木君辯明シロ」「シーメンス」事件ノ辯明ヲシ
ロ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=135
-
136・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 靜ニ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=136
-
137・佐々木安五郎
○佐々木安五郞君 議長発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=137
-
138・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 佐々木君、何デス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=138
-
139・佐々木安五郎
○佐々木安五郞君 一身上ノ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=139
-
140・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 貴方ハ永井君ノ演說中、自分ノ
一身上ニ關スル事ニ就テ辯明シタイト云フノデアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=140
-
141・佐々木安五郎
○佐々木安五郞君 左樣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=141
-
142・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 許シマス
〔佐々木安五郞君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=142
-
143・佐々木安五郎
○佐々木安五郞君 唯〓永井君カラ「シーメンス」事件ノ
時ニ、中途デ攻撃ヲ止メタト云フコトヲ言ハレタ、斷ジテ止
メテ居リマセヌ、調ベテ御覽ナサイ、其時ノ新聞ヲ一々御調
ニナレバ、日記ヨリ詳シク書イテアル、斯ノ如キ事ヲ以テ自
分ノ虚僞ヲ吐イタコトヲ掩ハウトスル-ドウデス、虚僞ノ
上塗ヲスル爲メニ、人ノ名譽ヲ傷ケヤウト企ランダケレドモ、
而モ懲罰ガ恐ロシイカラ-佐々木君ハ誤解ヲ受ケラレタ
ト云フヤウナコトヲ言ハズ、何故堂々ト「シーメンス」事件ヲ
途中デ止メタト言ハヌカ、マルデ恐ルここ物ヲ言ウテモ、何ニ
モナルモノヂヤナイ、若シモ本當ノ證據ガアッテ議論ヲスルト
云フナラバ、法廷デモ何處ヘデモ出テ議論ヲシテ宜シイ、(「政
友會萬歲」ト呼フ者アリ)私ガ一ツ念ヲ押シテ置キタイノハ
取消ス癖ノ付イテ居ル、永井君ハ、今此處デ言ウタ言葉モ、
亦取消シハセヌカト云フコトヲ一言シテ置ク発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=143
-
144・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 議論ニ入リマス、中西六三郞君
〔中西六三郞君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=144
-
145・中西六三郎
○中西六三郞君 段々賑カナ質問應答ガ行ハレマシタノ
デゴザイマスルガ、何時マデモ賑カデハ納リマセヌ、私ハ關和
知君ニ依シテ述べラレマシタル本案提出ノ理由ヲ拜聽致シ
マジタカラ、之ニ對シテ反對スル理由ヲ極メテ簡單ニ申述べ
テ置キタイト考ヘテ居リマス、但シ關和知君ノ御演說ヲ拜
聽致シテ居リマシテ、私ノ大體ヲ通ジテ遺憾ニ感ジマシタノ
ハ選擧法ノ改正ノ如キハ現在及將來ニ亙ッテ長ク我ガ政
治界ヲ支配スル重大ナル立法デゴザイマスガ故ニ、唯ダ單ニ
當面ノ内閣若クハ當面ノ大臣ノ事ニ就テ、此案ノ理否ガ
定マルモノデハナイノデアリマス、然ルニ關君ノ御演說ノ其
多クノ部分ガ、原首相ニ對スル攻撃不平デアッタト云フコト
ハ、偶〓以テ此案ニ對スル提案者ノ眞實味ノ薄キコトヲコン
見レ、眞面目ナル意見ニ於テハ甚ダ薄カッタコトヲ遺憾トス
ルモノデアリマス(拍手起ル)更ニ又關君ハ極メテ輕易ニ此
案ト前案所謂國民黨案ト唱ヘルモノト、根本ニ於テハ同ジ
モノデアルト云フコトヲ一口述ベラレタノデアリマス、サリナ
ガラ形ニ於テハ或ハ演說ノ趣旨ニ於テハ、洵ニ同ジモノカノ
如ク聞エテ居リマスガ、質ニ於テハ此案ト別案トハ全ク違フ
ノデアリマス、此案ハ現ニ獨立ノ生計ト云フコトガ認メラレ
テ居ル、元來國民黨案ナルモノハ選擧權ノ基礎ヲ財產ニ置
カナイト云フ、憲政會モ曾テハ斯カル意見ヲ述ベラレタ方ガ
アリマシタ、然レドモ獨立ノ生計ト云フモノアル以上ハ、矢
張基礎ヲ財產ニ置イテ居ルト云フコトヲ否定スル譯ニハイ
カヌ(「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ)諸君ハノウ〓〓ト言ハルヽナラ
バ、諸君ノ謂フ財產ハ何ヲ指スノデアルカ、固有ノ財產、特
定ノ所有財產ヲ指シテ財產ト云フ、其勤勞ニ於テ得ル所ノ
收入ヲ財產ト言ハヌト云フノデアルナラバ、現在ノ法律ニ於
テモ特定若クハ特有ノ財產ヲ必要トセズ、家ニ儋石ノ儲ヘ
無キ者ト雖モ、其勤勞ノ所得ニ於テ所得稅ヲ納ムレバ權利
ガアルコトニナッテ居ルカラ、此レト彼レト何處ニ相違ガアル
(「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ、拍手起ル)故ニ假令言葉ハ如何
ヤウニ使ハレ、形ハ如何ヤウニ裝ハレテモ、要スルニ此案ハ現
行法律ノ如ク、所得若クハ所有財產、是等ノ上ニ於テ尙ホ
一種ノ制限ヲ保留サレテ居ル財產制限案デアルト云フコト
ハ蔽フベカラザルモノデアル(拍手起ル)斯カル案ヲ提出シテ
唯〓尾崎君等ノ如キ別案ト同ジテアルト云フ誤解ヲ起サ
ルヽ程、ソレ程此案ヲ以テ財產ヲ基礎ニ置カザルモノデアル
ト唱ヘラレルモノハ、誠ニ是ガ羊頭ヲ懸ゲテ狗肉ヲ賣ルト云
フモノデアル(拍手起ル)殊ニ又私ガ昨年ノ演說ニ於テ遺憾
ニ感ズルノハ、其理由ノ多ク、誠ニ熱心ニ唱ヘラレテ居リマ
スルケレドモ、〓ネ是ハ一兩年ニ於テノミ見出スベキ理由デ
ハナイ、承ッタ如キ理由ハ、理論トシテハ古クヨリ唱ヘテ差支
ガナイモノデアル、果シテ關君等ガ、此處デ述べラレタル如キ
理由ヲ、眞ニ其哀心ヨリ懷カレルモノデアルナラバ、何ガ故ニ
四十一議會ニ於テ、此論ト裏切ッタル行動ヲ執ラレタノデア
リマスカ、四十一議會ニ於テハ明カニ諸君ハ二圓三圓ノ差
コンアレ、財產ノ制限ヲ維持スルコトガ必要デアルト唱ヘラ
レテ居ッタデハナイカ、今日述ベタル理由ハ誠ニ諸君ガ再ビ
速記ニ就テ御覽ナサイ、アノ理由ノ中ニ此四十一議會ニ於
テ述ベルコトガ出來ナカッタモノガ、ドレダケアリマスカ、恐ラ
クハ今日斯ノ如キ論ヲ唱ヘルノハ、最近ノ事情ノ變化デア
ルト言ッテ、之ヲ叫バレルカモ知レヌガ、サレバ諸君ハアノ多ク
ノ理由ハ別ニ四十一議會迄ハ、實際ノ事情ノ上カラ制限
選擧ノ必要ヲ感ジタガ、其以後ニ於テ斯ク〓〓ノ理由ガア
ルカラ、變更ヲ加ヘタト云フ論ヲナサルナラバ、論ノ可否ハ姑
ク措イテ、吾ミハ之ヲ傾聽スルナレドモ、其大部分ガ當然四
十一議會ニ於テ言ハレネバナラヌコトヲ其時ニハ言ハズ、今
日俄ニ斯樣ナル事ヲ言ハレルハ、此提案ノ眞意ヲ吾ニハ疑
ハザルヲ得ヌノデアル(拍手起ル)殊ニ私ハ特ニ關君ニ遺憾
ヲ感ズルコトガアル、此處ニ私ハ携へ來ッテ居ル最モ周到ナ
ル選擧ニ關スル意見ヲ公ニセラレタル著述ガアリマス、是ハ
昨年大正九年ノ三月發行サレテ居ルモノデアル、誠ニ深切
丁寧ナル論ガ書カレテ居リマシテ、此大部分ハ正ニ吾ミガ
首肯スルモノデアリマス、殊ニ結論ニ於テ甚ダ深切ナルコト
ヲ言ハレテ居ル、「必シモ尙早論ヲ唱ヘル譯デハナイ併シナガ
ラ同ジク實行スル以上ハ豫メ一般國民ヲシテ其意義ヲ諒
解セシメ、之ガ行使運用ノ能力ヲ養ヒ、將來ノ過ヲ尠カラシ
メントスルハ寔ニ忠實ナル愛國者ノ態度デナケレバナラヌ、
眼前ノ時流ニ媚ビテ-眼前ノ時流ニ媚ビテ、徒ラニ黨略
政略ノ犠牲ニ供スルガ如キハ斷ジテ與スル能ハザル所デア
ル」ト云フコトガ書イテアル、昨年ノ三月ニ於テ公ニセラレタ
ル同君ノ著述ニ於テ、斯クマデニ言ハレテ居ル、其人ノ口カ
ラシテ〓日ノ如キ御議論ヲ承ッタルコトヲ、私ハ意外ニ思
フノデアル(「黨略政略デハナイ」ト呼フ者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=145
-
146・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 中野君靜ニ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=146
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147・中西六三郎
○中西六三郞君(續) 私ハ我國ノ今日ノ政界ニ於テ、甚
ダ遺憾トスルモノ固ヨリ少カラヌノデアリマス、サリナガラ政
治家ガ政治上ノ事項ニ就テ、公ニシタル意見ニ對スル責任
ノ餘リニ薄弱ナルコトガ、我政界ニ於ケル今日ノ一大通弊
デアルト考ヘテ居リマス(「文部大臣ハドウダ」「ヒヤ〓〓」ト呼
フ者アリ)斯ノ如キ重大ナル立法、斯ノ如キ國民一般ノ注
意ヲ拂ッテ居ル立法ニ向ッテ、明カニ一昨年ニ於テ力ヲ極メ
テ制限選擧ノ非ナルコトヲ擧黨一致喰止メテ居ラレタル所
ノ人ヨリ、而モ又更ニ進ンデ著述ヲ以テ其所信ヲ天下ニ明
カニシタル人ガ、恬トシテ其前言ヲ顧ミズ、今日此壇上ニ於
テ盛ニ己ガ本來ノ所信タリシ如ク、此案ノ趣旨ヲ述ベラル
ルニ至ッテハ、其昨今政治上ノ所信ノ變化ノ甚シキニ吾ニハ
驚駭セザルヲ得ヌノデアリマス(拍手起ル)同君ハ又幾多ノ
議論ヲ述ベラレマシタル末ニ、前議會ニ於テ本員ノ述ベタル
コトニ就テ、御批評ニナッテ居リマス、本員ハ前議會ニ於テ
歐米各國ニ於テ、普通選擧ヲ實行シタル國ノ多クガ、却テ今
日ハ失望ノ樣子ニ見エルト云フコトヲ申シタノヲ捉ヘテ非
難サレテ居ル、併ナガラ私ハアノ演說ヲナシタルトキニ於テ、
爾カク信ジタルノミナラズ、其以後ニ於テ益〓其點ニ於テ疑ヲ
深クシテ居リマス、此頃世間ニ於テ議會政治ニ慊ラズ議會
政治ヲ呪咀シテ、直接行動ニ出デントスルコトノ叫ノ强イノ
ハ何處デアリマスカ(「普通選擧反對ニアラズ」ト呼フ者アリ)
最モ早ク普通選擧ヲ實行シテ居ル所ノ國デハナイカ、而モ
是等ヲ叫ブ所ノ人〓ガ、元ト普通選擧ヲ要求シタル勞働階
級デアルト致シマスルナラバ、吾〓ガ歐米各國ノ實情ヲ模範
トスル、若クハ參考トスル場合ニ於テハ、彼ノ國ニ於テ普通
選擧ノ要求ヲ爲シタル所ノ人〓ガ、此權利ヲ疾クヨリ滿足
ニ得タル點ニ於テ、其權利ノ行使ヲ爲シタル結果ニ於テ、尙
ホ慊ラズシテ、更ニ進ンデ議會ノ政治ヲ否定スルマデノ有樣
ニナッテ居ル斯樣ナル實情ヲ吾こガ見ル以上ハ、今日ニ於テ、
サナキダニ諸國共ニ惱ンデ居ル危險ナル思想ガ宣傳サレル
折柄ニ於テ、斯ノ如ク海外ニハ其權利ヲ與ヘテ尙且ツ滿足
セザル狀態ノ現ハレテ居ル場合、吾こガ最モ愼重ナル注意
ヲ以テ、如何ナル程度ニ於テ、又如何ナル方法ニ於テ、如何
ナル機會ニ於テ、更ニ今後ノ權利ヲ擴張ヲナスベキカト云フ
コトハ、今日最モ愼重ニ最モ緻密ナル考慮ヲ加ヘナケレバナ
ラヌ瞬間デアリマス、斯ル場合ニ方ッテ外國ガ普通選舉ヲ
疾クヨリ行ッテ居ルト云フガ如キ、其外形ノミヲ捉ヘ來ッテ、
俄ニ現在ノ我國ニ移サント欲スルコトハ、眞ニ我國ノ國家
社會ノ實情ヲ解セザル所以ニ於テ、眞實ナラザルモノアリト
云フコトハ····(「ノウ〓〓」ト呼ヒ又發言スル者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=147
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148・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 中野君ノ發言ヲ禁止シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=148
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149・中西六三郎
○中西六三郞君(續) 正ニ關君ガ昨年著述ヲ以テ天下
ニ告ゲラレタルト、吾〓ハ全然其所感ヲ一ニスルモノデアリ
マス、普通選舉ハ現在ノ我國ニ於テ要求スル人〓ハ種々ナ
ル階級ノ人ガアリマス、所謂知識階級ノ人ノ多クハ歐米各
國ノ學問若クハ歷史ノ上ヨリ〓究シテ、此意見ヲ採ッテ居
ラレル人ガ多シト見受ケマス、サレド知識階級トハ目サレナ
イ卽チ勞働階級ノ人、若クハ是ト同種類ノ人〓、斯ル人ニ
ノ間ニ於キマシテ、目今普通選擧ノ要求ノ聲ノアルト云フ
コトハ、是ハ實際ノ事實ニ相違ナイ、但シ此人ミガ、其學者
若クハ宣傳者ノ宣傳ニノミ共鳴サレテ居ルト言ヘバ何ヲカ
言ハン、左ニ非ズシテ現在ノ其人〓ノ現實ノ生活狀態、生
活境遇ノ上カラ、眞ニ實感的ノ要求トシテ斯ル聲ガ出ルモ
ノデアルト致シマスルナラバ、是等ノ人ニ向ッテハ吾ミハ最モ
深キ顧慮ヲ求メナケレバナラヌノデアリマス、生活ノ幸福、生
活狀態ノ安定ト云フ事柄ガ、或一部ノ人ノ言フガ如クニ、
單ニ選擧權ノ獲得ニ於テノミ到達シ得ルト思フナラ、大ナ
ル誤リデアリマス(拍手)其人〓ノ幸福ハ一體ノ社會ノ狀態
ノ調和ト改善ノ上ニ於テ、漸クニ向上シ及其目的ノ位地
ニ到達シ得ルノデアル、唯各般ノ狀態ヲ眼中ニ置カズシテ、
一直線ニ選擧權ヲ獲得シ、此權利ノ行使ニ依ッテ急激ニ
現在ノ其人々ノ境遇ノ變化ヲ見ント欲スルナラバ、斯ノ如
キハ正當ナル變化ニ非ズシテ、寧口破壞ニ終ル(拍手)破壞
ハ-破壞ハ何人ノ幸福ヲモ生ムモノデアリマセヌ、カルガ
故ニ眞ニ-眞實世間ノ人々ガ自己ノ生活ノ實際狀態カ
ラ、實際ノ要求トシテ是等ノ主張ニ共鳴サレルナラバ、願ク
ハ眞ニ其人〓ノ幸福ハ如何ナル關係ニ於テ生ミ來ルカト云
フコトニ向シテ、今一段ノ考慮ヲ吾ニハ促シタイト思フ(拍
手)サウシテ吾ミハ眞實吾ミノ誠意ヲ以テ此人こニ訴ヘタナ
ラバ、必ズヤ世間ノ此人ニハ吾等ガ日夕苦慮スル所以ノモ
ノニ向ッテ、深キ諒解ガアラネバナラヌト信ズルノデアリマス
(拍手)論者ノ中ニハ關君モ同樣ニ言ハレマシタガ、漸クニ
此頃ハ思想ガ動搖ヲ致シテ居ル、斯ノ如キ要求ヲ强テ抑壓
致シテ置ケバ、是ガ惡化シテ偶〓危危思想ニナルト云フコトヲ
唱ヘラレマスルガ、私ハ此論ニ向ッテハ-其論其モノニ向ツ
テ極メテ危險ナル意見ト思ッテ居ルノテアリマス(拍手)如何
ニモ此頃ハ外來思潮ニ打タレ、其外各種ノ事情ノ下カラ、
世間ニ或種ノ不平ノアルコトハ吾〓之ヲ知ル、然レドモ吾と
ノ恐レルノモハ其生活狀態ノ實際ヨリ生ジタル世間ノ不
平ニ非ズシテ、實際ノ要求カラ發生セズ、徒ラニ海外ノ事情
ニ倣ハントスルガ爲メニ、現實ノ我國ノ實相ヨリ懸離レタル
空想ヲ抱イテ、漫ニ世間ノ實際ニ生活スル人こニ向ッテ、不
用意ナル宣傳ヲ爲スト云フコトヲ吾〓ハ危險ニ思フ(拍手)
吾ミハ吾ミノ尊敬スル勞働者ノ其人とガ、自覺的ニ發生ス
ル要求ニハ何等ノ危險ヲ感ジマセヌ、却テ是等ノ人ニ危險
思想ヲ誤解若クハ直覺的ニ抱カシムル虞アル危險ナル宣
傳ヲ爲ス其宣傳ヲスル者ニ向ッテ(「ノウ〓〓」「誰ガサウ云フ
宣傳ヲシタ」「ヒヤ〓〓」ト呼フ者アリ、拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=149
-
150・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 靜上発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=150
-
151・中西六三郎
○中西六三郞君(續) 勿論ソレガ故ニ政府ニ於テモ今日
是等ノ宣傳ニ向ッテハ相當ノ取締ヲシテ居ラレマセウ、時ト
シテハ諸君ノ御議論ノ中ニ、言論若クハ文章ノ自由ヲ拘束
スル事ヲ罵ラレル事ヲ耳ニ致シマスル、固ヨリ無用ニ言論出
版ヲ拘束スルコトノ非ナルハ今日言フマデモナイ、併ナガラ
今日ノ如キ場合ニ於テ-今日ノ如キ場合ニ當リマシ
テ····(此時發言者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=151
-
152・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 田淵君ニ注意シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=152
-
153・中西六三郎
○中西六三郞君(續) 其危險ナル宣傳ヲ爲ス虞アリト認
メル場合ニ於テ、相當ナル取締ヲ爲スト云フコトハ、國家民
衆ノ幸福ヲ支持スル上ニ於テ萬已ムヲ得ザル手段デアラネ
バナリマセヌ(拍手起ル)獨リ斯ノ如キハ我國ニ於テアルバカ
リデハナイ、動トモスレバ諸君ガ憧憬セラレル所ノ自由國ト
云フ歐米各國ニ於テサヘ、吾ミノ聞ク所ニ於テハ近來言論
及出版ニ向ッテハ相當ナル取締ヲシテ居ルト承ハル、ヤラネ
バナラヌ事デアリマス、如何ナル國ト雖モ····(此時發言スル
者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=153
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154・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 田淵君再ビ注意シマス
〔「宜シイ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=154
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155・中西六三郎
○中西六三郞君(續) 民衆ノ思想ガ或ル種ノ宣傳ノ爲
メニ危險化スル虞ノアルト云フトキニ、唯ダ政府ガ漫然手
ヲ懷ニ致シテ居ッテ、是デ國家民衆ノ幸福ヲ支ヘ得ルモノデ
ハナイカラ、我國バカリデナク、諸國共ニ今日ハ此點ニ向ッテ、
政府及其國〓ノ識者ハ極メテ苦慮致シテ居ル事ヲ吾とハ
認メマスル(拍手起ル)斯ノ如キ時期デゴザイマスルガ故ニ、
我國ガ-政府ハ相當ノ取締ヲ爲シ、是等ノ宣傳ノ爲メニ、
誤シテ民衆ノ一部ニ惡性ナル思想ヲ釀成セザランガ爲ニ苦
慮スルコトノ淺カラザルヲ吾〓ハ諒トスルト共ニ、斯カル機
會ニ於キマシテ漫ニ海外諸國ノ思想其モノヲ移シ來シテ、直
ニ我ガ民衆ニ當テ嵌メ、是等ノ關係ヨリ今直チニ選擧權ノ
大擴張ヲ實行セントスルニ至ッテハ、吾等ハ容易ク同意スル
コトハ出來マセヌ、現在我國ニ於テハ-現在我國ニ於テ
ハ此選擧權ヲ將來ニ擴張スルガ爲メニ豫メ準備シ、豫メ同
意スベキ多クノ事柄ガアリマス、國家立法ニ於テモ、社會立
法ニ於テモ、マダ此權利ノ擴張前ニ於テ必ズ用意セニヤナ
ラヌモノガ多々アリマス、今之ヲ私ガ一々申スマデモアリマセ
ヌ、周到ナル注意ヲ平生加ヘラレテ居ル諸君ハ、早クモ御承
知デアリマセウ、現ニ今問題ニナッテ居リマスル陪審制度ノ
改正ノ如キハ、斯ノ如キ吾等民衆ガ裁判權ノ上ニ於テ更ニ
一個ノ位地ヲ獲得シ、現在ノ栽判ヲ一層民衆化セシメテ、
一般民衆ガ此裁判ニ向ッテ直接國民タル義務ト觀念ノ思
想ガ更ニ進ムト云フコトニナリマスレバ、矢張他ノ政治的ノ
一般ノ思想モ、是ト併行シテ進マナケレバナラヌモノデアル、殊
ニ又曩ニ植原悅二郞君ハ此演壇ニ於テ我國ノ現在ノ自治
制度ハ未ダ完全ナル狀態ニ達シテハ居ラナイ、今日ノ如キ
自治制度ニ於テ直ニ選擧權ノ擴張ヲ爲スコトハ不當デア
ルト云フコトヲ最モ熱心ニ論ジラレマシタ、其當時ニ於テ私ハ
寔ニ周到ナル注意デアルト敬服ヲ致シテ居ノタ、植原君ガ言
ハレルガ如ク、我國ノ現在ノ自治制度ニ於テハ、吾と遺憾ヲ
感ズルコトガ多々アリマス、蓋シ斯ル所以ノモノハ、現在ノ民
衆ハ未ダ政治ノ上ニ理解スル其知識ト習慣ノ未ダ淺キ所
以デアリマス、カルガ故ニ植原君ガ嘗テ唱ヘラレタ如ク、如何
ナル方法ニカ更ニ現在ノ自治制度ノ改善發達ヲ爲シ、有ラ
ユル階級ノ人ガ政治ニ對スル責任ト及權利トノ關係ニ向ツ
テ、今一段ノ理解ヲ致シタル場合ニ於テ、卽チ衆議院ノ選
擧權ニ向ッテ、モウ一步ヲ進メルト云フコトガ、最モ用意深キ
事柄デアルト考ヘマス(拍手)現ニ四十一議會ニ於テ植原
君ハ斯ノ如キ理由ニ於テ、普通選擧ニ反對ヲシテ居ッタノデ
アリマスガ、他ノ理由ハ姑ク措キマシテ、斯樣ナ用意ヲスルコ
トガ、國家ノ爲メニ必要デアルト云フ御意見ガ、唯ダ半年一
年ノ間ニ取消サルベキ筋合ノモノデナイト考へマス(拍手)
私ハ曩ニ植原君ノ論ゼラレタルコトニ於テ、最モ深ク共鳴シ
タ其頭ガ尙ホ依然トシテ今日ニ存在致シテ居リマス、今日
ハ自治制度ノ改善裁判制度ノ改善、其外尙ホ吾こガ用意
スベキ數多ノモノニ向ッテ、十分ナル準備ヲ整へ、國家民衆
ノ爲メニ千萬過チナシト云フコトニ向ッテ、我とガ安ンジ得ル
機會ヲ以テ、此權利ノ擴張ヲ爲スコトコン、眞ニ國家ノ爲メ
ニ深切ナルモノデアルト確ク信ズルノデアリマス(拍手)最早
幾多ノ議論ガ交換サレマシタカラ、私ハ此處ニ多クヲ述ベル
コトヲ省略致シマシテ、極ク大體ノ上デ此案ニ反對スル〓
念ヲ述ベマシテ、卽決否決ニ賛成スルモノデアリマス(拍手
起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=155
-
156・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 古屋慶隆君
〔古屋慶隆君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=156
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157・中野寅吉
○中野寅吉君 議長、發言禁止ノ範圍ヲ伺ヒマス、ドウデ
ス、此位デ宜イデセウ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=157
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158・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) イケマセヌ、範圍ハ此討論ノ終ル
迄デ宜シイ、特ニ注意致シマスガ、金澤安之助君ハ、餘リ發
言ガ多ウゴザイマス、先刻注意致シマシタガ、重ネテ注意ヲ
致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=158
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159・古屋慶隆
○古屋慶隆君 諸君、本員ハ我黨ノ關和知君ニ依ッテ提
出セラレマシタ議案ニ賛成ヲ表スル者デアリマス、唯今中西
君ガ關君ノ議論ニ就キマシテ、色〓御批評ガアリマシタガ、殊
ニ第一ニ關君ハ滔々數千万言述ベラレタガ、唯夕現内閣ノ
批評ヲスルノミデアッテ、何等要領ヲ得ナカッタト云フコトヲ
言ハレタノデアリマス、私ハ關君ノ言ハレタコトハ、吾とカラ
見ルト能ク要領ヲ得テ居タンデス、併ナガラ中西君ハ提案
者タル關君ノ說明ガ要領ヲ得ナカッタト云フコトデアル、マダ
要領ヲ御解釋ニナラナカッタト思ヒマスレバ、不肖私カラ更
ニ進ンデ十二分ニ申上ゲテ見タイト思フノデアル、ソレ前ニ
中西君ハ憲政會ノ提案ハ、是ハ一種ノ財產制限案デアル、
斯ウ云フコトヲ言ハレタガ、吾ミハ決シテサウハ信ジナイ、固
ヨリ獨立ノ生計ト云フ文字ハ、是ハ稍〓抽象的デアッテ判ラ
ナイ、併ナガラ先刻關君モ申シマシタヤウニ、今日ノ文明生
活ニ於ケル最小限度ノ生計資料デアル、斯ウ云ウ風ニ或ハ
言フカモ知レマセヌ、併ナガラ之ヲ法律的ニ言フナラバ、自
己ノ經濟ニ於テ其生計ヲ維持スルノ義デアッテ、決シテ財產
制限デハナイノデアル、是ハ一種ノ勤勞デアルト吾〓ハ考ヘ
ルノデアル、ダカラ此以上私ハ申述ベル必要ハ無カラウト思
フ、唯ダ文句ガ抽象的デアルノハ稍〓遺憾デアリマスケレドモ
是ハ法文ノ體栽トシテハ已ムヲ得ナイ、殊ニ今日法ノ解釋
ト云フコトニ就キマシテハ、羅馬法-法律家ノ中西君ハ、
十分御承知ダラウト思ヒマスカラ、殆ド是ハ蛇足デアル、羅
馬法時代ノ沿革ニ於キマシテハ、總テ個人本位デアル、隨テ
其場合ニハ權利ヲ濫用シタ、併ナガラ今日デハ法ハ所謂社
會化シテ來タ、ダカラ權利ト雖モ是ハ決シテ濫用ハ出來ヌ、
斯ウ云ウヤウナ風ニ、其時其場合ニ於テ變化スルノデアル
シ、法文ハ元是レ死文デアル、之ヲ活用スルニハ其當時ノ社
會現在ニ依ヲテ、是ガ出來ルノデアリマスカラ、本員ノ信ズル
所デハ、獨立ノ生計ト云フコトハ、法文ノ體裁トシテハ頗ル
其當ヲ得テ居ルト本員ハ信ジテ居ルノデアリマス(拍手)關
君ノ論旨ガ中西君ニ徹底ヲシナカッタト言ハレルト同時ニ、
何カ關君ノ若書ヲ出サレマシテ、何ダカ終リノ頁ノ中ニアル
一小部分ヲ讀マレテ、眼前ノ時流ニ媚ビテ、輕卒ナコトヲ
遣クテハイケナイ、斯ウ云フコトガ書イテアルト云フ其所謂片
言隻句デアル、其片言隻句ヲ中西君ハ捉へマシテ、關君ガ
普通選擧ヲ主張セラレルナドヽ云フコトハ、以テノ外デアル
ト云フヤウナ風ニ御論斷ニナッタヤウニ私ハ拜承シタ、是ハ思
ハザルノ甚ダシキモノデアル、不肖私モ關君ノ著書ヲ一度讀
シダコトガアル、其著書ノ最後ニ書イテアルコトハ、其當時
隨分世間デ所謂普選運動ト云フヤウナコトニ名ヲ藉ッテ、
存外世間囂々トシテ、無責任ナル、或ル亂暴ナルコトヲヤルト
云フ徒ガ無キニシモ非ズデアッタノデアル、故ニ關君ハサウ云
フコトヲ遣シテハイケナイト云フヤウナ點ニ對シテ、御灸ヲ据
エタノデアル、決シテ關君ハ普通選擧其物ニ對シテ反對サ
レタノデモ何デモナイカラ、併セテ一言是ハ矯明シテ置ク必
要ガアルト思フ、先刻來中西君ノ縷々御意見フ拜承致シマ
スト、ドウモ外來ノ危險思想ト云フモノハ總テ普通選擧ニ
依シテ招徠シツヽアル、普通選擧ニ依ッテ現在各方面ニ蘊釀
セラレ、サウシテ是ハ社會組織ヲ會威スルヤウナ危險ナル思
想デアル、斯ウ云フヤウナコトヲ御話ニナッタヤウニ承知ヲ致
シマスガ、是ハ畢竟中西君ガ吾ミノ論ズル所謂普通選擧ハ
ドウ云フモノデアルカト云フコトヲ、徹底的ニ御諒解ニナラ
ナカンタカラ、サウ云フ言葉ガアッタノデアラウト本員ハ信ズ
ル、故ニ本員ハ吾〓ノ論ズル-關君カラモ十分ニ論ジ盡サ
レテ居ルカラ、其必要ハ認メナイト思フケレドモ、中西君ハ
唯夕現內閣ノ攻撃ノミデアッテ、何等要點ニ觸レテ居ラヌト
云フヤウナコトヲ言ハレタノデアリマスカラ、私ノ信ズル普通
選擧ニ關スル意見ヲ述ベテ、冷靜ナル御判斷ヲ仰ギタイト
思フノデアル、申ス迄モナク立憲政治ト云フモノハ、吾〓國
民ノ生存活動ハ、全部吾こ國民ガ其責任ヲ擔ヒ、其負擔ヲ
負ウテ、サウシテ共同的自覺ノ上ニ立ッテ、政治ノ運用ヲス
ルノデアル斯ウ云フ事ハ、モウ私カラ諄ニシク申ス迄モナイ
コトデアル、此意味ニ於キマシテ、吾とハ出來ル限リ參政ノ
範圍ヲ廣ク與へマシテ、總テノ人ニ權利ヲ與へナケレバナラ
ヌト云フコトハ是ハ私ハ議論ノ餘地ガアルマイ、尤モ其時
ト民情如何ニ依ッテハ多少ノ制限ヲ爲スノ必要ガアルカト
思ヒマスガ、今日二三ノ半開國ヲ除クノ外ハ、先進文明國
ニ於テ、何レモ普通選擧ヲ採ッテ居ラヌ所ハナイ、而シテ其普
通選擧ヲ採ルト云フコトニ就テハ國民ノ政治的能力ハド
ウデアル、是カ先ヅ第一問題デアル、私信ズルニ、我日本ノ
今日ニ於キマシテハ吾〓ハ國民ノ文化ノ狀態カラ言ヒマシ
テモ、世界ニ於テ最モ〓育ハ開ケテ居ル、故ニ先進文明國
ノ國民ハ、國家ノ政治ニ對シテ其責任ヲ分ツコトガ出來ル
ト云フナラバデス、吾〓ト雖モ決シテ分ツコトガ出來ナイト云
フ理由ハナイノデアル吾ニハ十分其責任ヲ分ツコトガ出來ル、
參政スルノ能力ガアルト思ッテ居ル、若シ參政ノ能力ガナイト
云フナラバ、吾〓ハ國民ヲ侮辱スルノ甚ダシキモノデアルト斷言
スルノデアル(拍手起ル)又今日ハドウデアルカ、所謂國際聯
盟ト云フヤウナモノガ出來テ、從來吾マハ國內政治ニノミ
參與スル權利ト義務ヲ有シテ居ル、今日ハ更ニ進ンデ國ト
國トノ政治ニ參與スル權利ヲ有スルヤウニナッテ來マシタノ
デ、所謂世界ノ大改造ニ際シマシテ吾マハデス、吾ミノ能力、
吾〓ノ理解、吾ミノ活動、其能力ナリ活動ナリ理解ヲ基礎
トシテ、其基礎ノ上ニ於テ政治ノ運用ヲシナケレバナラヌト
云フコトハ私ハ國家當然ノ要求デハアルマイカト信ズルノ
デアル、卽チ世界ノ大勢ニ棹シマシテ、之ヲ內ニ於テハ吾ミ
ガ政治ヲ改革シ、又國民ノ權利ヲ十分ニ伸張セシメ、又外
ニ對シテハ列國ト伍シマシテ世界ノ大道ヲ潤步スルダケノ
資格ヲ拵ヘナケレバナラヌト云フコトガ、私ハ憲政ノ要デハ
アルマイカト思フノデアリ、之ガ卽チ吾とハ普通選擧ヲ主張
スル所以デアリマシテ、明治大帝陛下ノ廣ク會議ヲ興シ萬機
公論ニ決スベシト御宣ベニナッタノハ此意ニ外ナラヌト本員
ハ信ズルノデアリマス、先刻來多クノ諸君ニ依ッテ述ベラレマ
シタ如ク、選擧法ノ沿革ヲ觀テ見マスルト、初メニハ十五圓
デアル、其次ハ十圓ニナリ、現行法ニ於テ三圓ニナリ、面シテ
諸君ガ明治四十四年ニ於テ政友會ノ諸君ガ普通選舉ヲ
出サレタ當時ニ於テハ、或ハ其當時ノ國情民度ト云フ點カ
ラ考ヘテ見マスルト云フト、普通選擧ハ少シク早カッタト云
フコトハ、或ハ言ヒ得ルカモ知レマセヌガ、併ナガラ十餘年ヲ
經タル今日ニ於テソレガ危險思想デアルナドヽ一云フニ至ッテ
ハ、私ハ思ハザルノ甚ダシキモノデアルト考へルノデアル(拍
手起ル)ドウモ其點カ論理上ノ聯絡ニ於テ本員ハ能ク分ラ
ヌ、免モ角モデス、今囘ノ大戰爭後我日本ハ歐羅巴各國
トハ大變ナ相違ガアラウト思ヒマスガデス、歐羅巴各國トハ
大變ナ相違ガアラウト思ヒマスガ、思想ノ上ニ物質ノ上ニ
於テ非常ナ影響ヲ蒙シタノデアル、卽チ今日ノ我國ニ於テハ
或ハ生活問題、或ハ思想問題、勞働階級、知識階級ニ於ケ
ル思想ノ傾向ハドウデアル、勞働者ト資本家トノ關係ハド
ウデアル、又地主ハ小作人トノ關係ハドウデアルカ、生產者
ト消費者トノ關係ハドウデアルカ、雇人ト雇主トノ關係ハド
ウデアルカ、ト云フヤウナ幾多ノ思想上物質上ノ重大ナル
問題ガ〓日起ッテ來タノデアリマシテ、是等ノモノハブス、私ハ
斯ウ云フ外來ノ思想、否當然經濟上起ラナケレバナラヌ思
想ト云フモノハ、必ズヤ澎游トシテ日本ニ這入ッテ來ルニ違
ヒナイ、這入ッテ來タ場合ニハデス、所謂床次君ノ言ハレルヤ
ウニ、思想ハ思想ヲ以テ相對ス、併ナガラ思想ヲ善導シテ之
ヲ決シテ阻止シテハイケナイノデアル、ソレヲ善導シテ未ダ國
民ノ要求ガ如何ナル方面ニ於テモダ、熾烈ヲ極メザル前ニ
彼等ニ政治上ノ發言帯ソ與ヘ、政治上ニ於テ責任ヲ自
覺セシメ、政治上ニ於テ國家ニ對スル自覺ヲ喚起セシムル
ノガ、私ハ急務中ノ急務デハアルマイカ、ソレヲセシムルノ方
法ハ、唯タ普通選擧斷行ト云フヨリ外私ハナカラウト思フ
(拍手起ル)ソレハ何ニモ異論ハナイト私ハ考へルノデアリマ
ス、之ニ就キマシテハ今日制限選擧制ヲ採ノテ居ル、一體此
制限選擧ノ制度ハドウ云フモノデアルカト云フコトヲ、私
玆ニ簡單ニ考一考シテ見タイ、何トナレバ之ヲ一考スルニア
ラザレバ、普通選舉ノ眞義ト云フモノハ判ラナイノデアル、卽
チ私ガ申スマデモナク、直接國稅何圓ト云フヤウナ納稅上
ノ制限ト云フモノハ、中世時代ノ遺物ブアルノデアル、諸君
モ御承知ノ通リ中世ニ於キマシテハ、國家ノ費用ト云フモ
ノハ總テ王室ノ財產ニ依ッテ支拂ハレタノデアル、併ナガラ
世ノ中ガ段々進ンデ來ルヤウニナッテ、王室ノ財產ノミデハ
足ラナイ、玆ニ於テカ貴族ナリ、地主ナリ、富豪ノ寄附金ヲ
求メ、サウシテ是等ノ金ヨ强制的ニ徴收シテ、終ニ之ガ議會
制度ノ起原トナッタノデアル、故ニ其當時ニ於テハ吾ニノ生
業ト云フモノハ申ス迄モナク、農業ガ唯一ノ生業デアッタ、故
ニ直接國稅デアル、所ガ時代ノ推移ト共ニ獨リ、農業ニ依ル
收入ノミデハナイ、商業ナリ工業ニ依ル牧入ト云フモノガ
吾ミノ所得ノ大部分ヲ爲シ、資力ニ依ル收入ヨリ能力ニ依
ル收入、斯ウ云フヤウナ風ニナッテカラ、國家ノ財政ト云フモ
ノハ、所謂直接稅、間接稅、此二ツニ依シテ成ル、殊ニ今日ニ
於アハ諸君ノ御承知ノ通リ、間接稅ノ方ガ非常ニ多イ、故
ニ昔ハ直接國稅何園ト云フ事ガ選擧權ノ要件デアリマシ
タガ、今日ニ於テハ直接國稅何圓ト云フコトハ選擧權ノ要
件デハナイ、故ニ先進支明國ニ於テハ、疾クノ昔カラ是ガ取
レテシマッテ居ルノデアル(「簡單々々」ト呼フ者アリ)簡單ニ
ハ出來マセヌ(笑聲起リ、發言スル者多シ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=159
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160・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 靜ニ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=160
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161・古屋慶隆
○古屋慶隆君 斯ウ云フ譯合デアリマスカラ、皆樣モ御水
知ノ通リ彼ノ獨逸ノ有名ナル憲法學者ノ「グナイスト」ガ申
シマシタヤウニ、等シキ義務ヲ有スル者ニハ等シキ權利ヲ與
ヘヨト言ウタ、其所謂義務ト云フコトハ直接國稅ニ依ル義
務ノミデハナイ、間接國稅ニ依ル義務デモ一向差支ナイ、卽
チ今日吾こガ煙草ヲ一日ニ一ツ宛吸シテモ、酒ヲ一合宛飮
ンデモ、一年ニ十圓ヤ七八圓ノ金ハ必ズ拂フノデアル、詰リ
間接國稅又ハ專賣ノ形式、免モ角モ間接稅ト云フモノヲ
拂フノデアルカラ「グナイスト」ガ言フヤウニ、等シキ義務ヲ負
フ者ハ等シキ權利ヲ與ヘヨト云フ點カラ見テモ、私共ハ直
接國稅ニ限ルベキモノデナイ、間接國稅ニモ權利ヲ與フベキ
モノデアル、否今日ニ於ヤマシテハ直接國稅ニノミ權利ヲ與
ヘルト云フ法律上ノ根據ト云フモノハ無クナルモノト私ハ
思フノデアル、故ニ今日ニ於キマシテハ總テ納稅トカ云フ事ノ
ミデハナイ、納稅ノ義務ノ外ニ兵役ノ義務ガアル、納稅兵役
ノ義務ノ外ニ、吾と國民ノ一擧一動ガ皆國家ニ影響スル、
故ニ國家ハ吾ミニ對シテ原則トシテ權利ヲ與ヘルト云フコ
トハ、是ハ當然要求デハアルマイカ、詰リ此意味ニ於キマシ
テ中世時代ノ遺物ヲ保存シテ置イテ、尙且今日モ直接國
稅何圓ト云フヤウナ制度ヲ置クト云フ事ハ、時代錯誤ノ甚
シキモノデハアルマイカト本員ハ信ズルモノデアル(拍手)斯
ノ如ク論ジ來リマスルト云フト、直接國稅ト云フヤウナ事ハ
殆ド問題ニナラナイ、更ニ之ヲ大局カラ觀テ見マスト云フト
今日國家ノ憂ハ何デアルカ、何ガ一番國家ノ憂デアルカト
云フト、一般國民ガ政治ニ冷淡デアル、政治ニ無頓著デア
ルト云フコトガ國家ノ一番憂デアルト私ハ思フ、一般國民ヲ
シテ國家ノ政治ニ相當趣味ヲ有タシメ、國家ノ政治ニ對シテ
相當ナル發言權ヲ彼等ニ與ヘタナラバ、彼等ハ躬自ラ其事
ニ當リ、躬自ラ其事ヲ處スルノデアルカラ本當ニ其事ヲ愛ス
ルノ觀念アリ、所謂忠君愛國ノ本義ト云フモノハ、彼等ヲ
國家ノ政治ニ參與セシメテ、初メテ私ハ起ル事デアラウト思
フノデアル(拍手)忠君愛國ト云フモノハ外ニハナイ、諸君ガ
御承知ノ通リ希臘ニ於テハドウデアルカ、彼ノ「ソロン」ガ故
ナク議會ニ出席シナイ者ニハ罰金ヲ科シ、又十九世紀ノ初
メニ於テ獨逸ガ「ナポレオン」ノ馬蹄ノ下ニ蹂躪セラレタ場合
ニ、其當時ノ「スタイン」ガ「フイヒテ」ト云フ學者ト謀ッテ國民
〓育ヲ强制シテ、サウシテ彼等ニ自治制度ノ根本ノ運用ヲ
スルヤウナ一ツノ慣習ヲ與ヘタト云フコトガ、戰前ノ獨逸ガ
斯ノ如ク强イモノデアル、詰リ獨逸富强ノ原因デアッタト云
フコトハ言フ迄モナイ、殊ニ今回ノ歐羅巴戰爭ニ於テ、過去
四年ノ間ヲ通ジマシテ、先進文明國ニ於テハドウ云フ辛苦
艱難ガアッタカ、有ユル辛苦艱難ヲ嘗メ、有ユル方面ニ奮闘
努力ヲシタ是ガト云フノハ何デアルカト云フト、所謂國家ニ
對スル彼等ノ自覺心ト云フモノガ、一番力ニナクテ居ル國家
ニ對シテ、國民ノ自覺心ヲ起サシムル方法ハ何デアルカト云
フト、國家ノ政治ニ參與セシムル外ニ無イ、國家ノ政治ニ參
與セシムルト云フコトハ何デアルカト云フト、彼等ニ選擧權
ヲ與フルト云フ事ヨリ、私ハ外ナイト思フノデアリマス(拍手)
然ルニ今日ニ於テハドウデアル、今日ニ於テハ所謂直接國稅
何圓以上ヲ納ムル者ノ外ハ入ルベカラズト云フ鐵條綱ヲ設
ケテ、サウシテ一般國民ニ對シテ、貴様等ハ國ヲ愛セヨ君國
ニ對シテ、忠ナレト云フコトハ如何ニモ酷イト田心フ、國ニ對シ
テ忠ナラシムルト云フニハ、彼等ニ政治的ノ訓練ヲ與ヘテ
而シテ彼等ノ政治上ノ責任ヲ自覺セシメ、而シテ彼等ノ最
善ノ努力ヲ君國ニ致サシムルト云フコトハ、私共普通選擧
ノ斷行ト云フコトヨリ外ニアルマイト思フノデアル、斯ノ如ク
論ジ來リマスルト云フト(「モウ宜イ」止メ、一分、
ト呼フ者アリ)斯ウ云フ風ニ致シマシテ、一般國民ヲシテ、國
ノ政治ニ參與セシメ而シテ政治的責任ノ自覺ヲ彼等ニ起
サシムルト云フコトガ無論急務デアル、併ナガラ之ニ就キマ
シテハ、私共ノ考デハ、今日所謂世ノ中ニ一ノ反對論ガアル
先刻中西君ガ申サレタヤウニ、普通選擧ハ何カ危險思想デ
モ持ッテ來ルヤウナ、而シテ一般國民ノ產業ニ對シテ、怪シカ
ラヌ事ヲヤル、放縱ヲ〓ヘル、ナマクラヲ〓ヘル、サウシテ彼
等ヲシテ、國家ノ秩序ヲ破壞スルヤウナ事ヲ、平氣デ
ヤラセル、風ガ入ッテ來ルト云フヤウナコトヲ言ハレタノハ
是ハ普通選擧其モノトハ、何等ノ關係ハアルマイト思
フ、普通選擧ハ決シテサウ云フモノデナイ、先刻來私ガ申
述べタ通リ、普通選擧ト云フモノハ、國民ニ政治的
自覺ヲ與ヘル、其結果國民ヲシテ國ヲ愛セシムルト云フコト
ニ歸著スルノデアリマスカラ、私ハ是以上論ズル必要ハ無イ
唯タ一言之ニ就テハ、所謂反對論ガアルノデアル、此反對
論ハ私共議論ノ便宜上、絕對的反對論ト相對的反對論
トニ區別シテ見タイ、絕對的反對論トハ何デアル、現內閣
ノ諸公ノ言ッテ居ラレルヤウニ、所謂普通選擧ハ階級ヲ打
破スル危險思想、社會組織ヲ脅威スル危險思想デアルト
云フヤウナ事デス、之ヲ始終言ッテ居ラレル、先刻モ言ハレタ
階級ヲ打破スルカライケナイ-今日ハ早イ々々ト云フコト
ヲ言ハレルナラバ、是ハ相對的ノ反對論ノヤウデアリマスケ
レドモ階級ヲ打破スルカライケナイト言ヘバ、是ハ絕對的反
對論ノヤウニ聞エルノデアル、故ニ私ハ議論ノ便宜上、之ヲ
絕對反對論ト稱シテ見タイノデアル、一體階級ヲ打破ス
ル-是ハ我黨ノ島田氏ガ遣ハレタ言葉デ、其言葉ソレ自身
ガ社會ニ不穏ナル思想ヲ起サシメルト云フコトガ、一ノ解散
ノ理由ニナッタ、併ナガラ是位馬鹿氣夕事ハナイ、私共ハ···
今日日本ニ階級ナルモノガ在リマセウガ、階級ナルモノガ在
ルデアリマセウカ、明治ノ維新ト同時ニ、此世ノ中カラ所謂
階級ナルモノハ取除ケラレテシマッタ、明治ノ維新前ニ於テ
ハ百姓町人ハドンナ悧巧ナ奴デモ、未來永劫百姓町人デア
ル、武士ハ如何ナル馬鹿ナ奴デモ永却武士デアクタ、然ルニ
明治ノ維新ト共ニ階級ヲ打破シテシマッタ、所謂機會均等
ニナッテ以來、能力ガアリサヘスレバズン〓〓進メル、現內閣
ノ總理大臣原氏ノ如キモ、若シ御一新前デアッタナラバー
階級制度ノ下ニ在ッタナラバ、如何ニ明敏ナル原氏ト雖モ
總理大臣ニナルコトハ出來ナカッタケレドモ、併ナガラ御一
新ト共ニ階級ヲ打破シテシマッテ機會均等ニナッタカラ、手
腕サヘアレバズン〓〓進メル、斯ウ云フ風ニ私ハ考ヘルノデア
リマヌ、決シテ階級ヲドウ斯ウスルト云フコトデナクシテ、島
田氏カラ言ハレタノハ、是ハ去ル臨時議會ニ於テ、我黨ノ下
岡君カラ十分御話ニナリマシクノデ、私ハ別ニソレヲ繰返ス
必要ハナノ併ナガラ(「簡單々な」「必要ナシ」ト呼フ者アリ)
併ナガラ階級ト云フ事ハ-此階級ト云フ事ハ、之ヲ一言
ニシテ言ハバ、島田氏ノ言ハレタノハ、所謂國民ノ中ニハ參
政能力階級ト參政無能力階級トアル、而シテ此參政無能
力階級ヲ打破シテシマッテ、共ニ參政能力階級ニシテヤリタ
イト云フコトガ、明治大帝陛下ノ所謂廣ク會議ヲ興シ萬機
公論ニ決スベシト云フ御趣旨ニ合フ譯デアリマシテ、決シテ
差支ナイ、斯ウ云フ事ヲ言フノガ何ガ不思議デアル、私ハ何
等不思議デナイ、ダカラ之ヲ以テ危險思想デアルナドト云フ
人ノ心理狀態ガ、更ニ分ラヌノデアル(拍手)又明敏ナル現
内閣ノ總理大臣ノ原氏ハ、此位ノ事ヲ知ラヌ人デナイ、而
モ知ッテ之ヲ現ダ危險思想デアルカノ如ク吹聽シタノハ、何
等カ黨略本位ニ基イタモノデナイカト考ヘラレルノデアル、ソ
レヨリ外ニハ想像ノ餘地ガ無イ、分リ切ッタ話デアル、又先
刻來中西君ノ所說ヲ伺ヒマスルト云フト、又川原君ノ御意
見ヲ伺フト云フト、共ニ普通選擧ハマダ早イト云フコトヲ言ッ
テ居ル、私共ハ決シテサウハ考ヘナイ、固ヨリ早イト云フコ
トハ是ハ一ノ立派ナ議論デアル、併ナガラ早イ晩イト云フヤ
ウナ事ハ一體ドウ云フノデアルト云フコトヲ考ヘテ見マスル
ト、私ハ我ガ日本ハ開國僅ニ五十年デアル、維新以來日本
ノ文物典章ノ沿革ニ徵シテ見マスルトドウデアリマス、憲法
實施モ早イト云フ議論ガアリ、市町村制實施ノ時モ早イト
云フ議論ガアッタ、而モ明治大帝陛下ハ、斷乎トシテ御英
斷ニ依ッテ遂ニ憲法ヲ實施セラレ、市町村制ヲ實施セラレタ
結果ハドウデアル、日〓戰爭ハ之ガ爲メニ勝ッタノデアル、明
治三十二年ノ條約改正、治外法權モ之ガ爲メニ出來タノデ
アル、若シ彼ノ當時ニ於テ、早イトカ晩イトカ云フヤウナ議
論殊ニ早イト云フヤウナ議論ニ拘泥ニナリマシテ、憲法ヲ實
施サレナカッタナラバ、日〓戰爭或ハ、三十二年ノ條約改正
ハ、私ハ出來ナカッタト思ヒマス、然ルニ彼ノ時斷乎トシテオ
ヤリニナッカラ、遂ニ我國ガ立憲政治國トシテ、外國ト對等
ノ交際ガ出來ルヤウニナッタ、殊ニ分リ易イ話ガ、諸君御承
知ノ通リ、甚ダ言葉ハ野卑ナ言葉デアリマスガ賭博ハドウデ
アル、賭博ハ如何デアリマス、吾ニハ生レナガラニシテ、投機
射倖ノ念ヲ持ッテハイケナイ、是ハ能ク分ッテ居ル、併ナガラ
吾〓凡夫ノ淺シサ、時トスルト投機的倖ヲヤル、所ガ四十年
ノ刑法改正前マデハドウデアルガ、舊刑法時代ハドウデアル、
所謂賭博ハ現行犯デアル、現在ヤンテ居ル所ノ者、若クハヤッ
テ終ッタ所ヲ見付ケラレナケレバ犯罪ニナラナカッタ、然ルニ
刑法ヲ改正セラレテ以來所謂賭博ガ非現行犯ニナッテ以
來ドウデアル、苟モ時效ニ罹ラヌ内ハ何時ヤッタト云フコトヲ
見ケラレテモ、吾〓ハ警察へ引張ラレテ行クノデアル、此狀
態ハ一體ドウデアル我ガ日本ハ開國以來頗ル曰ガ淺イ、
外國デ云ヒマスト、皆サン御承知ノ通リ、法律ト云フモノハ
國民文化ノ反映デアル(一簡單下呼フ者アリ)國民文化ト
法律ト云フモノハ、車ノ兩輪ノ相須ツガ如クニ進ンデ行ッタ、
然ルニ我日本ハ開國以來日ガ淺イ、ダカラ法律ガ先ニ進ン
デ國民ノ文化ヲ後ニ引張シテ來タ、果シテ然ラバ普通選擧
ハ早イト言フケレドモ、未ダ國民ノ要求熾烈ナラザルガ故ニ
國民ヲ引張ッテ、政治的訓練ヲ彼等ニ與ヘルコトハ、決シテ
早クナイト私確信スルノデアル、斯ノ如ク論ジ來リマスルナ
ラバ、所謂普通選擧ハ危險思想デアル、或ハ普通選擧ハ怪
シカラヌ事ヲ-危險思想ヲ誘發スル一般ニナマクラヲ起
サシメルト云フヤウナ議論ハ、私ハ殆ト價値ノナイ議論デア
ルト思フ、既ニ普通選擧ヲ早キニ及ンデ、實施スルコトガ可
ナリト致シマスレバ、先刻來我黨ノ關君カラ、十分申述ベラ
レマシタ如ク、私共今日早ク實施スル此好機ヲ逸シテハ、他
ニ機會ハナイト思フノデアリマスカラ、願クハ諸君ニ於テ十分
賛成セラレンコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=161
-
162・岩崎勲
○岩崎動君 討議終結ノ動議ヲ提出致シマス
〔「賛成」「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=162
-
163・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 岩崎君ノ動議ニ御異議アリマセヌ
カ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=163
-
164・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 異議ナシト認メマス、仍テ討論ハ
終結サレマシタ、此箕浦君外三名提出ノ、衆議院議員選
擧法中改正案ノ第二讀會ヲ開クヤ否ヤニ就テ採決致シマ
ス、此採決ニ就テ一應辯解致シテ置キマス、箕浦君外三名
提出ノ改正案、嚮ニ二讀會ヲ開クベカラズト決定ニナリマ
シテ、關直彦君ヨリ御辯明ニナリマシタ改正案、是ニハ主タ
ル點ニ於テ、例ヘバ年齡ノ點、獨立ノ生計等、主タル點ニ於テ
一致セヌコトハ諸君御承知ノ通リ、去リナガラ同一ノ點モ
八箇所アリマス、申シマス、第十三條第一項ヲ削ル、第十八
條第四項中ノ「納稅額及納稅地」ヲ創ル、第十九條削除、
第二十二條創除、二十三條中「前二條ヲ」第二十一條ニ
改ム、第二十四條中「第二十二條」ヲ削ル、第百九條創除、
此ハ箇條ガ同一ノ箇條、此同一ノ點ハ、曩ニ關直彥君ノ辯
明サレマシタ案ニ就テ····
〔「間違ッテ居ル」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=164
-
165・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 一寸-案ニ就テ既ニ決定済デア
リマス
〔「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=165
-
166・奧繁三郎
○議長(奥繁三郎君) 聞違ッテ居ルナラバ後トデ正シテ下
サイ
〔「逐條審議ヂヤナイ」「間違ッテ居ル」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=166
-
167・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 間違ッテ居レバ正シマス、宣言終ル
マデ聽イテ下サイ、ンコデ同一箇所ハ旣ニ決定サレテ居リマ
スカラ、之ヲ取除イタ部分ニ就テ二讀會ヲ開クヤ否ヤ··
〔「ノウ〓〓」「間違ッテ居ル」ト呼フ者アリ、議場騒然〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=167
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168・奧繁三郎
○議長(奥繁三郎君) 間違ッテ居レバ注意ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=168
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169・三木武吉
○三木武吉君 唯〓ノ議長ノ御釋明ヲ拜聽致シマスルト、
第二讀會ニ逐條審議ノ際ニ於ケル採決ノ方法其儘ヲ、此
議場ニ御諮リニナラレテ居ルヤウニ私共聽取リマス、元來
所謂國民黨案、所謂憲政會案、共ニ納稅資格ノ撤廢ト云
フ點ニ於テハ一致致シテ居リマスカラ、其點ヨリノミ言ヒマ
スレバ、先刻尾崎君ノ言レタヤウナ、一事再議ト云フヤウナ
非難ガナイデハアリマセヌケレドモ、此法律案ンレ自身ヲ一
ツノ法案トシテ彼此對照致シマスレバ、ソコニハ自ラ大ナル
差ガアルノデアリマス、法案ハ元來不可分デアリマスカルラ、
其內容逐條、是ガ相違ヲ拾ヒ集メテ審議ヲ致シマスレバ、唯
今議長ノ御宣告ノヤウニナリマスルケレドモ、議案不可分ノ
原則ヨリ致シマスレバ、唯ダ此案ニ對シテハ、第二讀會ニ移
スヤ否ヤト云フコトノ御宣告ノミアッテ然ルベシト思ヒマス
(拍手、「ヒヤ〓〓」「逐條デハアリマセヌ」「ソレデ宜シイト呼フ
者アリ」其他發言スル者多シ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=169
-
170・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 議長ハ諮ッテ居ルノデス、諮ッテ居リ
マスノデ、一寸若シ其異議ガアリマスレバ、發言ヲ求メテ摘
發ヲ願ヒマス、ソコデ今三木君ノ議案ハ一括シテ不可分ノ
モノデアルト云フコトモ、確ニ道理アルコトニ思ヒマスカラ諮ッ
テ居ル、又三木君ノ說ノアリマシタコトハ、一ノ議案ヲ再議
シタヤウナ嫌モアリマスカラ、ソコデ是〓ノ事ハ既ニ決ッテ居
リマスト云フ注意ヲ與へテ、其他ノ部分ニ就テ採決スルト
云フコトヲ議長ハ諮ッテ居ル、是ハ不可分デナイ、可分サレテ
居ルコトハ明瞭デアリマス、故ニ何レトモ院議ニ依ッテ採決
ノ方法ヲ定メマス、ソコデ三木君ノ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=170
-
171・三木武吉
○三木武吉君 院議ニ御諮リニナル前ニ一寸一言シタイ
此重大ナル問題ニ就テ、議長ガ從前此席ニ御出デニナル前
ニ懷カレテ居ッタ所ノ御考ハ、恐クハ私ト同ジヤウデアッタラ
ウト思ヒマス、又此普通選擧法案ハ、屢〓此議場ニ提出セラ
レテ居リマスガ、從前ノ例カラ云ヒマシテモ、討議ハ國民黨
案、及憲政會案、同時ニ交互酷綜シテセラレタコトガアリマ
スルガ、採決ノ場合ニ於キマシテハ、一括シテ所謂國民黨案
所謂憲政會案トシテ、各個ニ採決ヲセラレテ居ルノデアリマ
ス、私ハ先例カラ云ヒマシテモ、道理ノ上カラ申シマシテモ、
議長ノ懷カレテ居ル御自信カラ中シマシテモ、私ノ申上ゲル
通リニスルコトガ至當デアラウト思フ、議長ハ此點ニ對シテ、
豫メ院議ニ御諮リニナルト云フコトデゴザイマスルガ、院議ニ
御諮リニナルマデノ必要ハナイコトデゴザイマス、若シ院議ガ
之ヲ否ナリトシタ場合ニ於テハ、ソレコソ重大ナル憲法問題
ガ起ルノデゴザイマスカラ、却テ是ハ御諮リニナラナイデ、先
例通リ議長ノ御自信通リニセラルヽコトガ、此場合ニ於テ
最モ穏當ナ處置デアルト信ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=171
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172・岩崎勲
○岩崎勳君 日程第八ニ就キマシテハ、單ニ第二讀會ヲ
開クベキヤ否ヤニ就テ御採決ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=172
-
173・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 諸君、三木君ノ意見ト云ヒ、岩崎
君ノ今ノ發言ト云ヒ、單ニ第二讀會ヲ開クヤ否ヤニ就テ
總括シテ採決スルコトニ致シマス(拍手起ル)ンレデ御異議
ナイヤウニ認メマス
〔「異議ナシ」「記名投票」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=173
-
174・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 是ヨリ關和知君ニ依ッテ辯明サレ
マシタ此日程第八、第二讀會ヲ開クヤ否ヤヲ採決致シマス
第二讀會ヲ開クベシトスル諸君ハ白票、第二讀會ヲ開クペ
カラズトスル諸君ハ靑西示-閉鎖ヲ命ジマス-氏名點呼
ヲ命ジマス
〔書記氏名ヲ點呼ス〕
第二讀會ヲ開クヘカラストスル議員氏名左ノ如シ
石井三郞君石川三郞君石川淳君
今井今助君今泉嘉一郞君岩崎宗茂助君
岩崎勳君岩崎幸治郞君岩本平藏君
岩切花卉市村貞造君一宮房治郞君
禱海苔は伊藤廣幾君伊澤平左衞門君
井上敬之助君井上角五郞君井坂豐光君
池田泰親君池田〓三次君原田十衞君
原田藤次郞君原夫次郞君原敬君
八田宗吉君林毅陸君蓮井藤吉君
長谷川宗治君長谷場敦君花城永渡君
花岡次郞君濱口吉兵衞君萩亮君
波多野承五郞君波多野喜右衞門君秦豐助君
鳩山一郞君西澤定吉君西川嘉門君
西村正則君西村伊亮君本多貞次郎君
友常穀三郞君戶水寬人君戶待權之助君
床次竹二郞君陣軍吉君小田切磐太郞君
小山田信藏君小川平吉君大石大君
岡崎邦輔君岡田伊太郎君大林森次郞君
大岡育造君長田桃藏君渡邊修君
渡邊祐策君若尾幾造君若林德懋君
柿原政一郞君河相三郞君河崎〓君
河上哲太君川原茂輔君川口誠三郞君
改野耕三君海原〓平君海江田準一郞君
粕谷義三君加藤久米四郞君横山寅一郎君
吉植庄一郞君吉原祐太郞君吉原正隆君
吉木陽君米澤與三次君高橋長七郞君
高橋光威君高橋金治郞君高見之通君
高柳淳之助君高木第四郞君高野毅君
高山長幸君竹內明太郞君竹澤太一君
竹上藤次郞君武田德三郞君田中隆三君
熊一君田村順之助君龍野周一郞君
本屋 邊正雄君大道寺慶男君塚原嘉藤君
根土瀧田坪田十郞君鶴見孝太郞君
正典君君中西六三郎君中山佐市君
中村〓造君中村喜平君中島鵬六君
中島守利君中橋德五郞君中倉万次郞君
仲由德三君成田榮信君成田直一郞君
永屋茂君南里琢一君長峰
向井倭雄君武藤金吉君梅田潔
植竹龍三郞君植場平君宇野重要件有限公司 (電子製君君君君君
鵜澤總明君上塚司君上基
內山安兵衛君野村勘左衞門君野副
野口忠太郞君野田卯太郞君野呂駿三君
國重政亮君國澤新兵衞君黑住成章君
熊谷直太君栗林五朔君久慈
久下豐忠君女大百叶君山本悌二郞
山本条太郞君山本〓三郞君山田永俊營業者會
山口義一君山口熊野君山崎猛
谷津新八郞君柳原九兵衞君矢野
八木逸郞君松浦五兵衞君·お客様
松岡俊三君松田源治君松野鶴平君
松山常次郞君松本孫右衞門君牧野良三君
牧山耕藏君前田米藏君舞田壽三郞君
益谷秀次君麓福井三郞君
福井甚三君深見寶寶丸丸居書古林與六君
古林新治君小橋君小鹽八郎右衞門君
小倉第水坂要順一七造太君君江崎幸太郞君
遠藤良吉電話電話 分解:30 分鐘:35. 100阿部武智雄君
有馬秀雄天秋穴小本喜七君東
武君
赤田春文衞君靑木恆太郞君
方向見熊本縣人佐野正雄君佐藤寅太郞君
佐藤齋藤鷲太郞君齋藤壽雄君
阪上貞信君坂本素魯哉君
田崎山克治君櫻內幸雄君
澤指榊田〓兵衞君菊池
木木宜菊澤指三菊川工事會以下來自我國人的な惣睛吉郞若 岩 若 者 公 務 署〓瀨規矩雄君吉良
宜保成木村〓三郞君木木德成人 有人生育て、著者 若者君
木木下十四三君下
北山一郞君三好
三土之地說書三善大補と君水野吉太郞君
宮崎三宮崎友宮古啓三郞君
白井博之君下出民義君島田俊雄君
〓水市太郞君廣岡宇一郞君廣瀨爲久君
廣瀨鎮之君樋渡次右衞門君樋口伊之助君
日野辰次君平田民之助君匹田銳吉君
毛里保太郞君元田肇君森恪君
望月圭介君妹尾順平君〓崟太郞君
菅原傳君菅野傳右衞門君鈴木巖君
鈴木錠藏君鈴木義隆君鐸木三郞兵衞君
奥村千太郞君難波作之進君上田彌兵衞君
山本藤助君松田三德君越山太刀三郞君
佐々木平次郞君三輪市太郞君仙波太郞君
井上孝哉君臼井哲夫君宮田光雄君
第二讀會ヲ開クヘシトスル議員ノ氏名左ノ如シ
一柳仲次郞君飯塚春太郞君磯貝浩君
石井〓二君井上剛一君橋本喜造君
濱口雄幸君早川龍介君早速整爾君
本田恆之君本間中馬興丸君
岡本幹輔君大竹重貫三行一郞君君君大津淳一郞君
太田信治郞君小野春日俊文君
加藤定吉君保忠君綱隆君
神香谷川河川野副廣中君
門屋尙志君大本郵便料理
金澤安之助君橫山勝吉田磯吉君
吉川吉郞兵衞君武內作平君武富
賴母木桂吉君龍口了信君高木萬正時逸年敏君君君
高田耘平君高橋久次郞君田中
田中武雄君田中善立君添田飛雄太郞君
津原武君內藤濱治君永井柳太郎君
中野寅吉君紫安新九郞君鵜澤宇八君
野村嘉六君野尻彌重郞君野呂丈太郞君
野田文一郞君黑金泰義君山道襄一君
山邊常重君八並武治君正木照藏君
松井鉄夫君牧口藤井啓一君
福本〓之輔君降旗元大樓閣府君古屋慶隆君
古賀三千人君小山松壽君小池仁郞君
小泉又次郞君木檜三四郞君出口直吉君
手島鍬司君淺川浩君淺賀長兵衞君
淺野順平君安達謙藏君秋虎太郞君
荒川五郞君阿由葉勝作君綾部惣兵衞君
佐々木千秀君佐藤啓君佐竹庄七君
齋藤宇一郞君齋藤巳三郞君定行八郞君
作間耕逸君菊池良一君三浦得一郞君
三木武吉君箕浦勝人君重松重治君
〓水留三郞君下田勘次君下岡忠治君
樋口秀雄君平出喜三郞君森達三君
森田茂君望月小太郞君關
鉄本町總統府一部分
板野大野真實 有限公司大學造君新疆味の西村覺丹久大書籍者星島
大口六君高草美代藏君
中川幸郞君付植原悅二郞君
倉石知藏君前川一覽證據書處福地錢吉君
小橋藻三衞君古島鮎川盛貞君
〓瀨一郞君最上直吉君關直彥君
砂田重政君奥村千太郞君上畠益
納富陳平君山邑太三郞君松下三部車
南鼎三君森下龜太郞君守屋松之助君
林田龜太郞君富永孝太郎君大濱忠三郞君
中野正剛君野溝傳一郞君山本厚三君
山科愼次郞君秋田〓君佐々木安五郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=174
-
175・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 投票漏ハアリマセヌカ-投票漏
ハナイト認メマス-開鎖-投票ノ結果ヲ報告致シマス
〔寺田書記官長朗讀〕
投票總數三百八十四
可トスル者(白票)百三十五
否トスル者(靑票)二百四十九
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=175
-
176・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 仍テ本案ハ第二讀會ヲ開クベカラ
ズト決定シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=176
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177・岩崎勲
○岩崎勳君 日程第九以下ニ對シテ、延期ノ動議ヲ提出
致シマス
〔「賛成賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=177
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178・奧繁三郎
○議長(奥繁三郞君) 岩崎君ノ動議ニ御異議アリマセヌ
カ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=178
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179・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 異議ナシト認メマス、仍テ動議ノ如
ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=179
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180・佐々木安五郎
○佐々木安五郞君 議長、議長発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=180
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181・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 佐々木君、何デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=181
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182・佐々木安五郎
○佐々木安五郞君 最前永井君ノ言葉ノ中ニ、私ニ對シ
テ人身攻撃ノ所ガアリマシタマダ速記ハ見マセヌケレドモ、
如何ナル事デアッタカ、明瞭ニ此席上デ言ハレルコトヲ希望
致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=182
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183・奧繁三郎
○議長(奥繁三郞君) 此席上デ永井君ニ質シタイト云フ
ノデスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=183
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184・佐々木安五郎
○佐々木安五郞君 サウデス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=184
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185・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 演說ニ對シテ質スコトハ、其際限
リニハ許シテ居リマスケレドモ、他ノ案件ニ移っタ後許スト云
フ先例ハ認メマセヌ、尙又佐々木君ハ速記錄ヲマダ見ナイ
ト云フコトデスカラ、能ク速記錄ヲ御調ニナッテカラ御質シニ
ナルコトヲ望ミマス、本日ハ是ニテ散會
午後七時五十一分散會
衆議院議事速記錄第九號正誤
頁段行誤正
下一六無イ、アル、
下二度後
三五コトヲ說コトガナイト說
二四申上引上
一一一一----ーー六六六六六六六六六六五五五五五五五四四四上上上上上下二六ハ判ナレハ判
二ハ高イ、モ安イ、
二七六六六分ハ安分モ安
二コトガコトナレバ
上上二ルカラ、ル、
二八アルナイ、
一上=0ガ、少シモ差支ナイガ通常デアル、故
六六ト云フ、ニ
五五五五上三此行
一一一中一二テ、タイ、
会 立 会中一二答語
中一三アッテ前例モアツタアツタカラ、
カラ、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X01019210203&spkNum=185
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