1. 会議録本文
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000・会議録情報
大正十年三月二十五日(金曜日)午後一時十九分開議
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議事日程 第三十四號 大正十年三月二十五日
午後一時開議
第一 裁判所構成法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二 定年に因る退職判事檢事の恩給に關する法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第三 度量衡法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第四 勞働組合法案(箕浦勝人君外五名提出) 第一讀會
第五 疾病保險法案(箕浦勝人君外五名提出) 第一讀會
第六 疾病保險特別會計法案(箕浦勝人君外五名提出) 第一讀會
第七 工場法中改正法律案(箕浦勝人君外五名提出) 第一讀會
第八 鑛業法中改正法律案(箕浦勝人君外五名提出) 第一讀會
第九 明治三十年法律第二十九號中改正に關する建議案(波多野喜右衞門君外一名提出)
第十 發明奬勵に關する建議案(奧村安太郎君外二名提出) (委員長報告)
第十一 産業組合補助に關する建議案(湯淺凡平君提出) (委員長報告)
第十二 特別市制促進に關する建議案(作間耕逸君外五名提出) (委員長報告)
第十三 多摩川改修費及水源涵養費國庫支辨に關する建議案(秋本喜七君外四名提出) (委員長報告)
第十四 多摩川改修費及水源涵養費國庫支辨に關する建議案(高木正年君外六名提出) (委員長報告)
第十五 西條松山間鐵道豫定線一部變更に關する建議案(成田榮信君外五名提出) (委員長報告)
第十六 議院本建築工事速成に關する建議案(清崟太郎君外十三名提出) (委員長報告)
第十七 小學校教員俸給國庫負擔額増加に關する建議案(砂田重政君外二名提出) (委員長報告)
第十八 小學校教員俸給國庫負擔額増加に關する建議案(高田耘平君外五名提出) (委員長報告)
第十九 市町村教育費の整理に關する建議案(井上角五郎君外十三名提出) (委員長報告)
第二十 東京外國語學校修業年限延長に關する建議案(菅原傳君外三名提出) (委員長報告)
第二十一 東京帝國大學農學部實科に關する建議案(有馬秀雄君外四名提出) (委員長報告)
第二十二 遠美鐵道速成に關する建議案(松浦五兵衞君外五名提出) (委員長報告)
第二十三 大垣、大野金澤間鐵道速成に關する建議案(西村正則君外八名提出) (委員長報告)
第二十四 熱海線完成に關する建議案(森恪君提出) (委員長報告)
第二十五 中央線淺川驛鹽山驛間電力速成に關する建議案(三枝彦太郎君提出) (委員長報告)
第二十六 濃飛鐵道速成に關する建議案(匹田鋭吉君外三名提出) (委員長報告)
第二十七 富山伏木間鐵道建設に關する建議案(高見之通君外三名提出) (委員長報告)
第二十八 東京大阪間高速度交通機關の設備に關する建議案(久下豐忠君提出) (委員長報告)
第二十九 信越東線鐵道速成に關する建議案(武田徳三郎君外一名提出) (委員長報告)
第三十 敦賀今津間輕便鐵道豫定線追加に關する建議案(安原仁兵衞君外一名提出) (委員長報告)
第三十一 御殿場大宮間及吉田大月間鐵道速成に關する建議案(岩崎勲君外二名提出) (委員長報告)
第三十二 山田川に河川法適用に關する建議案(原田藤次郎君外五名提出) (委員長報告)
第三十三 斐伊川治水工事速成に關する建議案(原夫次郎君外五名提出) (委員長報告)
第三十四 土器川外四川改修に關する建議案(大林森次郎君外四名提出) (委員長報告)
第三十五 宮河内谷川改修費國庫補助に關する建議案(岡順次君外三名提出) (委員長報告)
第三十六 阿武隈川阿賀川改修工事費國庫補助増額に關する建議案(八田宗吉君外六名提出) (委員長報告)
第三十七 阿武隈川阿賀川改修工事費國庫補助増額に關する建議案(中野寅吉君外三名提出) (委員長報告)
第三十八 石油政策に對する燃料調査會設立に關する建議案(高野毅君提出) (委員長報告)
第三十九 太茂、大黒鐵道敷設に關する建議案(松岡俊三君外三名提出) (委員長報告)
第四十 市寶鐵道敷設に關する建議案(友常穀三郎君外二名提出) (委員長報告)
第四十一 宇岩鐵道敷設に關する建議案(植竹龍三郎君外五名提出) (委員長報告)
第四十二 福相鐵道速成に關する建議案(鐸木三郎兵衞君外七名提出) (委員長報告)
第四十三 高田川井間鐵道速成に關する建議案(菊池長右衞門君外三名提出) (委員長報告)
第四十四 江戸崎境間及佐貫佐野間鐵道速成に關する建議案(市村貞造君外十一名提出) (委員長報告)
第四十五 平小名濱間鐵道速成に關する建議案(白井博之君外六名提出) (委員長報告)
第四十六 境飯能間鐵道敷設速成に關する建議案(山崎猛君外十名提出) (委員長報告)
第四十七 野岩羽鐵道速成に關する建議案(八田宗吉君外三名提出) (委員長報告)
第四十八 野岩羽鐵道速成に關する建議案(中野寅吉君外七名提出) (委員長報告)
第四十九 柳津小出間及只見古町間鐵道速成に關する建議案(八田宗吉君外三名提出) (委員長報告)
第五十 柳津小出間及只見古町間鐵道速成に關する建議案(中野寅吉君外七名提出) (委員長報告)
第五十一 大甕茂木間鐵道速成に關する建議案(石井三郎君外三名提出) (委員長報告)
第五十二 八王子高崎間鐵道速成に關する建議案(長谷川宗治君外十名提出) (委員長報告)
第五十三 水戸鹿島間高濱延方及玉造鉾田間鐵道速成に關する建議案(宮古啓三郎君外二名提出) (委員長報告)
第五十四 温泉政策に關する建議案(成田榮信君外一名提出) (委員長報告)
第五十五 港灣行政に關する建議案(三善清之君外四名提出) (委員長報告)
第五十六 鹿兒島縣各離島航海補助増額に關する建議案(祷苗代君外七名提出) (委員長報告)
第五十七 日向沿岸國庫補助港設定に關する建議案(長峰與一君外二名提出) (委員長報告)
第五十八 松江隱岐間海底電線増設速成に關する建議案(若林徳懋君外五名提出) (委員長報告)
第五十九 三國港築港に關する建議案(野村勘左衞門君外四名提出) (委員長報告)
第六十 北海道本州連絡完成に關する建議案(伊藤廣幾君外四名提出) (委員長報告)
第六十一 函館釜谷間鐵道速成に關する建議案(黒住成章君外一名提出) (委員長報告)
第六十二 北海道鐵道速成に關する建議案(松實喜代太君外七名提出) (委員長報告)
第六十三 酒造税法中改正に關する建議案(中村清造君外四名提出) (委員長報告)
第六十四 清酒の滓引及貯藏減量控除額増加に關する建議案(山邑太三郎君外二名提出) (委員長報告)
第六十五 酒造税法中改正に關する建議案(早川龍介君外一名提出) (委員長報告)
第六十六 酒造税法中改正に關する建議案(日野辰次君外十名提出) (委員長報告)
第六十七 三原呉間鐵道敷設速成に關する建議案(井上角五郎君外三名提出) (委員長報告)
第六十八 木次三次間鐵道建設に關する建議案(原夫次郎君外四名提出) (委員長報告)
第六十九 落合木次間鐵道起工年度繰上に關する建議案(佐野正雄君外五名提出) (委員長報告)
第七十 福山三次間鐵道速成に關する建議案(永屋茂君外三名提出) (委員長報告)
第七十一 大田瀧原間鐵道敷設速成に關する建議案(平田民之助君外四名提出) (委員長報告)
第七十二 兵庫福崎間鐵道敷設に關する建議案(木下甚三郎君提出) (委員長報告)
第七十三 國幣大社大山祇神社昇格に關する建議案(深見寅之助君外五名提出) (委員長報告)
第七十四 國幣大社大山祇神社國寶殿建築に關する建議案(深見寅之助君外五名提出) (委員長報告)
第七十五 縣社乃木神社昇格に關する建議案(横田千之助君外二名提出) (委員長報告)
第七十六 官幣大社三島神社の修繕竝境内擴張整理に關する建議案(岩崎勲君外一名提出) (委員長報告)
第七十七 賣藥營業税廢止に關する建議案(高見之通君外二名提出) (委員長報告)
第七十八 金融機關整備に關する建議案(河上哲太君外十一名提出) (委員長報告)
第七十九 織物消費税交付金増額に關する建議案(竹上藤次郎君外三名提出) (委員長報告)
第八十 自治體の貯蓄銀行經營に關する建議案(赤田瑳一君外一名提出) (委員長報告)
第八十一 水産銀行設置に關する建議案(鵜澤宇八君外四名提出) (委員長報告)
第八十二 日本大博覽會開設に關する建議案(竹澤太一君提出) (委員長報告)
第八十三 平和記念東京博覽會費國庫補助に關する建議案(前田米藏君外十四名提出) (委員長報告)
第八十四 衞生行政機關の統一及擴大に關する建議案(山田永俊君外五名提出) (委員長報告)
第八十五 癲狂院増設に關する建議案(中馬興丸君外三名提出) (委員長報告)
第八十六 精神病院法施行促進に關する建議案(山田永俊君外五名提出) (委員長報告)
第八十七 癩豫防關係法規改正に關する建議案(中馬興丸君外二名提出) (委員長報告)
第八十八 癩傳染絶對防止に關する建議案(鵜澤總明君外二名提出) (委員長報告)
第八十九 學校衞生の振興改善に關する建議案(山田永俊君外五名提出) (委員長報告)
第九十 (特別報告第三百八十號)賣藥印紙税全廢の請願 (委員長報告)
第九十一 (特別報告第三百八十一號)自家用醤油税法改正の請願外一件 (委員長報告)
第九十二 (特別報告第三百八十二號)國庫出納金端數計算法中改正の請願 (委員長報告)
第九十三 (特別報告第三百八十三號)葉煙草收納に關する請願外一件 (委員長報告)
第九十四 (特別報告第三百八十四號)朝鮮に衆議院議員選擧法施行の請願 (委員長報告)
第九十五 (特別報告第三百八十五號)南洋貿易救濟助長に關する請願 (委員長報告)
第九十六 (特別報告第三百八十七號)群馬縣佐波郡玉村町を群馬郡に編入の請願 (委員長報告)
第九十七 (特別報告第三百八十九號)利根、江戸兩河川底水工事の請願 (委員長報告)
第九十八 (特別報告第三百九十六號)甜菜栽培者保護の請願 (委員長報告)
第九十九 (特別報告第三百九十七號)蠶業救濟に關する請願 (委員長報告)
第百 (特別報告第三百九十九號)離野夫國有林無償拂下の請願 (委員長報告)
第百一 (特別報告第四百號)漁船避難港築造の請願 (委員長報告)
第百二 (特別報告第四百一號)増毛漁港修築の請願 (委員長報告)
第百三 (特別報告第四百六號)飛行機を以て南極探檢調査に要する經費下付の請願 (委員長報告)
第百四 (特別報告第四百九號)津屋崎郵便局に電話事務開始の請願 (委員長報告)
第百五 (特別報告第四百十號)大俣村に電信事務取扱郵便局設置の請願 (委員長報告)
第百六 (特別報告第四百十一號)堺市湊町に郵便局設置の請願 (委員長報告)
第百七 (特別報告第四百十二號)西長島村大字指江に無集配郵便局設置の請願) (委員長報告)
第百八 (特別報告第四百十三號)有明郵便局に電信事務開始の請願 (委員長報告)
第百九 (特別報告第四百十四號)野田郵便局に集配事務開始の請願 (委員長報告)
第百十 (特別報告第四百十五號)志染村に無集配郵便局設置の請願 (委員長報告)
第百十一 (特別報告第四百十六號)豐田村廣岡に無集配郵便局設置の請願 (委員長報告)
第百十二 (特別報告第四百十七號)足代村に無集配郵便局設置の請願 (委員長報告)
第百十三 (特別報告第四百十八號)西舊村に郵便局設置の請願 (委員長報告)
第百十四 (特別報告第四百十九號)畦町郵便局に電信事務開始の請願 (委員長報告)
第百十五 (特別報告第四百二十號)二俣郵便局に集配事務開始の請願 (委員長報告)
第百十六 (特別報告第四百二十一號)舞川村相川字原澤に郵便局設置の請願 (委員長報告)
第百十七 (特別報告第四百二十二號)湖北村に郵便局設置の請願 (委員長報告)
第百十八 (特別報告第四百二十三號)官民聯合無線電信調査委員會設置の請願 (委員長報告)
第百十九 (特別報告第四百二十五號)乙立村大字八幡原に登記所新設の請願 (委員長報告)
第百二十 (特別報告第四百二十七號)大瀁村大字百間町に登記所新設の請願 (委員長報告)
第百二十一 (特別報告第四百二十八號)大垣區裁判所に岐阜地方裁判所甲號支部事務取扱復活の請願 (委員長報告)
第百二十二 (特別報告第四百二十九號)淨法寺村に登記所新設の請願 (委員長報告)
第百二十三 (特別報告第四百三十號)關原村に登記所新設の請願 (委員長報告)
第百二十四 (特別報告第四百三十一號)辨邊村に室蘭區裁判所出張所新設の請願 (委員長報告)
第百二十五 (特別報告第四百三十二號)栗原郡に區裁判所新設の請願 (委員長報告)
第百二十六 (特別報告第四百三十九號)菱川、標茶間輕便鐵道敷設工事の請願 (委員長報告)
第百二十七 (特別報告第四百四十號)掛川驛、大井間竝大野、長篠間及浦川、佐久間鐵道敷設速成の請願 (委員長報告)
第百二十八 (特別報告第四百四十一號)八本松驛、志和口驛間(山陽線)鐵道敷設の請願 (委員長報告)
第百二十九 (特別報告第四百四十二號)輕便鐵道栗野線を出水郡迄延長の請願 (委員長報告)
第百三十 (特別報告第四百四十三號)羽越横斷鐵道敷設變更の請願 (委員長報告)
第百三十一 (特別報告第四百四十四號)留邊蘂驛伊頓、武華間鐵道をユーニ石狩迄延長敷設速成の請願 (委員長報告)
第百三十二 (特別報告第四百四十五號)網走町、下生田原驛間鐵道敷設の請願 (委員長報告)
第百三十三 (特別報告第四百四十六號)掛川驛、大井驛間竝千種、武節間鐵道敷設速成の請願 (委員長報告)
第百三十四 (特別報告第四百四十七號)下湧別驛、網走間(湧網線)鐵道敷設速成の請願 (委員長報告)
第百三十五 (特別報告第四百四十八號)下湧別驛、沼の上驛間鐵道敷設に關する請願 (委員長報告)
第百三十六 (特別報告第四百四十九號)天鹽沿岸鐵道延長の請願 (委員長報告)
第百三十七 (特別報告第四百五十號)青森市東端に停車場新設の請願 (委員長報告)
第百三十八 (特別報告第四百五十一號)錦木村、三戸町間鐵道敷設速成の請願 (委員長報告)
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001・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 諸般ノ報告ヲ致シマス
〔原田書記官朗讀〕
一今二十五日貴族院ヨリ回付セラレタル政府提出案左
ノ如シ
特許法改正法律案
地方鐵道福助法中改正法律案
一議員ヨリ提出セラレタル質問主意書左ノ如シ
朝鮮人ノモルヒネ注射取締ニ關スル質問主意書
提出者山道襄一君
(以上三月二十四日提出)
水戶中學校長辭職ニ關スル質問主意書
提出者高柳覺太郞君
磐越西線鐵道事故ニ關スル質問主意書
提出者中野寅吉君
(以上三月二十五日提出)
一昨二十四日提出者ヨリ撤回セラレタル議案左ノ如シ
決議案(議長ノ黨籍ニ關スル件)(中野正剛君提出)
一昨二十四日政府ヨリ受領シタル答辯書左ノ如シ
衆議院議員森下龜太郞君外一名提出特別市制制
定ニ關スル質問ニ對スル答辯書
衆議院議員田中萬逸君提出霞ヶ浦沿岸江戶崎入
干拓ニ關スル質問ニ對スル答辯書
衆議院議員安藤正純君提出文政竝ニ大本〓ニ關ス
ル質問ニ對スル答辯書
衆議院議員井上剛一君提出行政裁判所組織改造
ニ關スル質問ニ對スル答辯書
特別市制制定ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正十年三月五日
提出者森下龜太郞山本藤助
賛成者佐々木平次郞
外三十人
特別市制制定ニ關スル質問主意書
政府ハ第四十三回議會ニ於ケル本院ノ建議ヲ容レ東京
市外五大都市ニ適切ナル特別市制ヲ制定スヘキ筈ナル
ニ巷間或ハ政府ハ
-東京市ノミニ特別市制施行ノ意アリ
二府縣知事ニ委任事項ノ一部ヲ解キ之ヲ市長ニ移
ス爲勅令ノ改廢ヲ爲サムトス
ト噂セリ斯ノ如キハ本院ノ建議ノ趣旨ト相距ルコト遠シ
政府ハ果シテ本院建議ノ趣旨ニ副ヒ東京市及大阪市
外四大都市ニ適切ナル特別市制制定ノ意アリヤ有リト
セハ之カ法案提出ノ時期如何
右及質問候也
大正十年三月二十四日
內閣總理大臣原敬
衆議院議長奥繁三郞殿
衆議院議員森下龜太郞君外一名提出特別市制制定
ニ關スル質問ニ對シ
別紙答辯書差進候
(別紙)
衆議院議員森下龜太郞君外一名提出特別市制
制定ニ關スル質問ニ對スル答辯書
一所謂特別市制ノ制定ニ關シテハ曩ニ衆議院議員竹
上藤次郎君外一名ノ質問ニ對シ答辯シタル如ク未タ
各種ノ方面ヨリ觀テ滿足スヘキ成案ヲ得ス從テ提案
ノ時期等ニ付玆ニ明言シ難キヲ遺憾トス
右及答辯候也
大正十年十月二十四日
內務大臣床次竹二郞
霞ケ浦沿岸江戶崎入干拓ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正十年三月五日
提出者田中萬逸
賛成者大津淳一郞
外三十人
霞ヶ浦沿岸江戶崎入干拓ニ關スル質問主意書
茨城縣知事力石雄一郞ニ開墾奬勵ノ目的ラ以テ霞ケ
浦沿岸江戶崎入地先四箇町村ニ亙ル百七十七町步ヲ
干拓成田スヘク本事業ノ縣營案ヲ大正九年十二月同縣
縣會ニ提出セリ斯クテ本案ハ可決セラレ大正三年度ヲ
以テ事業完成ノ豫定トナレリ然ルニ本干拓事業タルヤ
同地沿岸民ノ利益ヲ全然無視シ剩ヘ洪水ノ慘害ヲ永
遠ニ貽スヘキモノニシテ爲ニ同地方民ノ非難陳情續出
シ殊ニ稻敷郡郡會ノ如キハ滿場一致ヲ以テ之ニ反對ノ
決議ヲ爲シ此ノ結果ヲ直ニ縣當局ニ陳情セリ而シテ今
日尙本事業ニ對シ反對愁訴ノ聲囂々トシテ絕エス斯ノ
如キハ眞ニ開墾奬勵ノ目的ニ背反スルモノナリ依テ左ノ
八項ニ付政府ノ明確懇切ナル答辯ヲ求ム
-江戶崎入地先ハ霞ケ浦及小野川ノ氾濫時ニ當リ古
來惡水ノ呑吐口トシテ調節作用ヲ爲シ如何ナル點ヨ
リ觀ルモ干拓スヘカラサル箇所ナリ卽チ現狀ヲ以テシ
テモ小野川上流ノ出水時ニ於テハ江戶崎入ノ廣濶ナ
ル川懷ニ入ルヘキ濁流カ上流數箇村千五百餘町歩ノ
耕地ヲ浸シ爲ニ同地方ノ免租請願者頻年絕エサル狀
態ナリ故ヲ以テ干拓完成ノ曉ニハ江戶崎入ヲ中心ト
セル小野川上下流ノ氾濫益激シク殊ニ干拓ノ爲流域
ノ屈曲點ヲ失ヒタル放水ノ反動ハ上下流一帶ノ耕地
住宅地ヲ更ニ一層浸水スルニ至ルヘキ恐アリ政府ノ
所見如何
二從來同地方ハ田地過剰ノ地方ニシテ勞力之ニ伴
ハス小作人ニシテ往々地主ヲ會威スル者アリテ所謂
勞資不協調ノ憾甚大ナリ故ニ現在以上成田出來ス
ルトセハ此ノ不協調ノ更ニ甚シカルヘキコト今ヨリ想
像スルニ難カラス、面モ隣接地タル同郡阿波村大字須賀
津入ニモ民營ニ係ル干拓百二十餘町步ノ許可アリ隨
テ目下ノ米價低落ノ趨勢ト相俟テ愈益地價低落ノ
慘狀ヲ現出シツツアリ故ヲ以テ縣營事業トシテノ〓算
ニ係ル段當リ三百四十四圓ト云フカ如キ成田ノ賣價
ハ遠カラス非常ナル違算ヲ生スルニ至ルハ彰々トシテ顯
ナルヘク延イテ縣當局者ノ〓算ニ係ル二十萬零二百
圓ノ總純益ヲ占有スルト云フカ如キハ到底期シ得ヘ
カラサルコトナリト認メラル斯クテモ尙當局ハ此ノ縣
營ヲ遂行セシメムトスルヤ
三茨城縣當局ノ設計書ニ依レハ水害豫防ノ爲延長
四百三十間馬踏二十一尺高サ十五尺ノ柵工ヲ施ス
ト謂ヘルモ這ハ單ニ干拓地営面ノミノ水害豫防ニ止
マリ之カ爲却テ對岸及下流一帶ノ水害程度ヲ激甚
ナラシメ其ノ慘狀ヲ一層猛烈ナラシムヘシ當局ノ所見
如何
四茨城縣當局ノ設計ニ依レハ江戶崎入地先小野川
ノ輻員ヲ五百間トシ水深六尺ニ浚渫ストアレトモ下
流ノ如キハ現在ニテモ水深六尺以上アリ斯クテモ尙
年々洪水ノ被害ヲ免レス故ニ干拓ヨリ生スル川幅ノ
狹少ハ必スヤ水量ノ呑吐及流域ノ無落差ヨリ生スル
放水ノ調節作用ヲ十分爲シ得サルヘシト信ス當局ノ
見解如何
五江戶崎入干拓ノ目的ハ水戶市外仙波湖干拓ニ伴
フ缺損ヲ塡補セムカ爲ナリ依テ茨城縣廳ニテハ此ノ企
業ヲ爲ス二當リ新ニ縣債ヲ起シ而シテ之ニ著手スヘキ旨
ヲ公元セリ然ルニ此ノ縣營案ヲ縣會ニ提案スル以前ニ
於テ豫メ政友會關係者ト默契アリ起工半途ニシテ其
ノ干拓地域ヲ此等政友會關係者ニ安價拂下ヲ爲ス
ト云フノ說專ラナリ此ノ事實ノ如何ハ免モ角他日若
拂下フ爲スノ場合アリトセハ公平無私ナル公入札ニ
依テ處分スルカ當然ナリト確信ス當局ノ所見如何
六從來ノ實驗ニ徵スルニ小野川ノ水位低減スルトキ
ハ必ス附近ニ於ケル井水ノ枯渴ヲ來ス事實アリ之ニ
由テ見ルニ本干拓ハ附近水田一般ノ養水難ヲ來スヘ
キ恐アリ政府ノ所見如何
七干拓地江戶崎入ハ風光明媚ニシテ宛ラ自然ノ一
大公園ナリ故ヲ以テ天然勝地保存ノ上ヨリスルモ首
都タル東京ノ一遊覽地トシテモ斷シテ干拓スヘカラサ
ル地理上ノ長所アリ當局ノ所見如何
八本年二月一日右干拓ニ利害關係アル沿岸民總代
ハ縣當局者ヲ訪ヒ大略以上各項ニ亙レル陳情ヲ爲セ
シニ縣當局ハ更ニ再調査研究スヘキ旨言明セルカ其
ノ後果シテ調査〓究スル所アリヤ否ヤ取調ノ上明確
ナル答辯ヲ求ム
右及質問候也
大正十年三月二十四日
內閣總理大臣原敬
衆議院議長奧繁三郞殿
衆議院議員田中萬逸氏提出霞ヶ浦沿岸江戶崎入干
拓ニ關スル質問ニ對シ別紙答辯書差進候
(別紙)
衆議院議員田中萬逸君提出霞ヶ浦沿岸江戶崎
入干拓ニ關スル答辯書
質問ニ關スル干拓事業ハ大正二年一月內務省訓令第
一號ニ依リ內務大臣ノ認可ヲ受クルヲ要スルモノナルモ
未タ其禀請ニ接セサルヲ以テ今直ニ質問ノ各事項ニ對
シ所見ヲ述へ難キモ該禀請アタリタル場合ニハ治水上
其他充分ナル調査ヲ遂ケ之カ許否ヲ決スル見込ナリ
右及答辯候也
大正十年三月二十四日
內務大臣床次竹二郞
〔文政竝大本〓ニ關スル質問主意書ハ大正十年三
月二十二日速記錄第二十二號八〇頁揭載〕
大正十年三月二十四日
內閣總理大臣原敬
衆議院議長奧繁三郞殿
衆議院議員安藤正純君提出文政竝大本〓ニ關スル質
問ニ對シ別紙答辯書差進候
(別紙)
衆議院議員安藤正純君提出文政竝大本〓ニ關
スル質問ニ對スル答辯書
一中學校第四學年修了者ニ對シ高等學校入學資格ヲ
與ヘタルニ依リ多少ノ混亂ヲ來シタリト雖モ中學校第
四學年修了者ニシテ高等學校ニ入學ヲ志望スル生徒
ヲ有スル學校數ハ全體ノ約三分ノ一ニ過キサルヲ以
テ其ノ影響スル所敢テ大ナリト謂フヘカラス又其ノ原
因タルヤ主トシテ高等學校入學困難ノ爲メ激甚ナル
競爭試驗ヲ誘起シ志願者カ試驗準備ニ忙殺セラルヽ
ノ情態ニ基キタルモノナリ政府ハ銳意高等〓育機關
ノ擴張ニ努力シツヽアルヲ以テ本問題ハ高等學校ノ
增設セラルヽニ隨テ漸次解決セラルヽモノト認ム
一傳〓大師ノ記事ヲ尋常小學國史ヨリ省略シタルハ從
來舊〓科書カ〓材多クシテ史實ノ羅列ニ過キ爲ニ兒
童ノ會得ニ困難ナリトノ世評ニ鑑ミ新〓科書ニアリ
テハ〓材ノ種類ヲ減シ而モ記述ノ事實ハ兒童ノ理解
ニ適スルヤウ委ハシク書キアラハスヲ以テ一方針トセリ
最澄空海ノ記事ノ如キモ舊〓科書ニハ桓武天皇ノ章
ニ於テ簡單ニ兩人カ入唐シテ宗派ヲ傳ヘタルコトヲ列
擧シタリシカ新〓科書ニテハ兒童ニ與味アリ且其理
解ニ適當ナル事蹟ニ富メル空海ヲ借リテ當代文運發
達ノ一斑ヲ示セルモノナリ若シ夫レ宗〓其他ノ文化
〓材ニ至リテハ更ニ後學年ノ〓科書ニ於テ考慮スル
所アラムトス
一大本〓ニ關シテハ其ク宣傳スル所公安上看過スヘカ
ラサルモノニ對シテハ政府ハ現ニ之カ取締ヲ實行スル
所ニシテ將來ニ於テモ之カ方針ニ依リ措置セムトス又新
聞記事ノ差止ハ豫審中ノ被告事件ニ關スルモノナル
ヲ以テ今日ニ於テ未タ之ヲ解禁スルノ時機ニ達セス
右及答辯候也
大正十年三月二十四日
文部大臣中橋德五郞
內務大臣床次竹二郞
〔行政裁判所組織改造ニ關スル質問主意書ハ大正
十年三月二十二日速記錄第三十二號八一二頁
揭載〕
大正十年三月二十四日
內閣總理大臣原敬
衆議院議長奧繁三郎殿
衆議院議員井上剛一君提出行政裁判所組織改造ニ
關スル質問ニ對シ
別紙答辯書差進候
(別紙)
衆議院議員井上剛一君提出行政裁判所組織改
造ニ關スル質問ニ對スル答辯書
-行政栽判法第十七條第一項ニ依レハ行政訴訟ヲ
提起スルニハ原則トシテ地方上級行政廳ニ訴願ヲ爲ス
ヲ前提要件トスルカ故ニ行政裁判所トシテ特ニ上訴
制度ヲ開クノ必要ヲ認メス
二違法ナル行政處分ニ對シテハ成ル可ク行政訴訟ヲ提
起スルヲ得セシムルハ時勢ノ推移ニ伴フ當然ノ必要ナ
リト雖モ今直ニ總テノ違法處分ニ付廣ク行政訴訟ノ
提起ヲ許スカ如キハ必要ニ非サルノミナラス却テ行政
ノ敏活ナル活動ヲ爲サシムル所以ニ非スト認ム
三行政裁判所ノ長官及評定官ハ行政ノ實務ニ經驗ア
ル者ノ外裁判事務ニ經驗ヲ有スル者ヨリモ亦任命ス
ルノ必要アルカ故ニ行政裁判法第三條ハ裁判官ノ職
ヲ奉シタル者ヨリ任用スルノ途ヲ開キ政府モ亦之ニ依
リ實行シツヽアリ
四行政裁判所ノ判決ハ結審後速ニ之ヲ爲サシムルコト
ヲ適當ト認ム此ノ趣旨ヲ以テ行政裁判所令第七條
ノ規定アリ
右及答辯候也
大正十年三月二十四日
內閣總理大臣原敬
〔左ノ報告ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
一昨二十四日山田川ニ河川法適用ニ關スル建議案委
員原田藤次郞君北山一郞君辭任ニ付其ノ補闕トシ
テ淺石恵八君坂本素〓哉君ヲ、府縣制中改正法律
案外八件委員三木武吉君淺川浩君辭任ニ付其ノ補
闕トシテ龍口了信君作間耕逸君ヲ、裁判所構成法中
改正法律案外一件委員本田恆之君辭任ニ付其ノ補
關トシテ鈴木富士彌君ヲ、航空事業ノ擴張及其ノ行
政機關ノ統一ニ關スル建議案委員田中武雄君辭任
ニ付其ノ補關トシテ』高木正年君ヲ、發明奬勵ニ關ス
ル建議案外一件委員牧口義矩君辭任ニ付其ノ補關
トシテ門屋尙志君ヲ、遠美鐡道速成ニ關スル建議案
外二件委員永井柳太郞君古屋慶隆君辭任ニ付其ノ
補闕トシテ小山松壽君手島鍬司君ヲ孰レモ議長ニ於
テ選定セリ
一昨二十四日委員長及理事互選ノ結果左ノ如シ
滿洲大學設立ニ關スル建議案委員
委員長戶水寛人君理事上塚司君
一昨二十四日理事補關選擧ノ結果左ノ如シ
府縣制中改正法律案外八件委員
一宮崎三之助君(理事深見寅之助君補閥)
理事正木照藏君(理事野村嘉六君補闕)
一森下龜太郎君(理事荻田悅造君補關)
一昨二十四日議長ニ於テ選定シタル委員左ノ如シ
地方稅財源擴張ニ關スル建議案
龍野周一郞君八田宗吉君阿部武智雄君
伊藤虎助君野口忠太郞君荒川五郞君
高田耘平君富永孝太郞君守屋松之助君
一今二十五日滿洲大學設立ニ關スル建議案委員福川
三郞君辭任ニ付其ノ補關トシテ副島義一君ヲ、所得
法中改正法律案外四件委員岩本平藏君辭任ニ付
稅其ノ補闕トシテ山口嘉藏君ヲ、發明奬勵ニ關スル建
議案外一件委員吉川吉郞兵衞君辭任ニ付其ノ補闕
トシテ出口直吉君ヲ、孰レモ議長ニ於テ選定セリ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=1
-
002・中村喜平
○中村喜平君 是ヨリ救世軍補助ニ關スル建議案ノ委
員會ヲ開キタイト思ヒマス、御許ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=2
-
003・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 是ヨリ會議ヲ開キマス、諮問事項
ガアリマス、守谷松之助君外二名提出、市町村義務〓育
費國庫負擔法中改正法律案、右提出者ヨリ撤囘ノ申出
アリマシタ許可スルニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=3
-
004・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 御異議ナイト認メマス、仍テ之ヲ許
可シマス-只今御報告致シマシタ通リ、貴族院ヨリ特許
法改正法律案ガ回付セラレマシタ、此際日程ヲ變更シテ議
題ト爲スニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=4
-
005・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 御異議ナイト認メマス、仍テ日程
ヲ變更シテ議題ト致シマス、貴族院囘付ノ箇所ヲ朗讀致サ
セマス
特許法改正法律案(政府提出、貴族院囘付)
〔原田書記官朗讀〕
特許法改正法律案中貴族院囘付ノ箇所左ノ如シ
第十四條第三項中「相當ノ補償金ヲ受クルノ權利ヲ
有ス」ノ下ニ「前項ノ規定ニ依リ使用者、法人又ハ職
務ヲ執行セシムル者カ其ノ發明ヲ實施スル場合亦同
シ」ヲ削ル
〔參照〕
第十四條被用者、法人ノ役員又ハ公務員ノ其ノ勤務
ニ關シ爲シタル發明ニ付テハ性質上使用者、法人又
ハ職務ヲ執行セシムル者ノ業務範圍ニ屬シ且其ノ發
明ヲ爲スニ至リタル行爲カ被用者、法人ノ役員又ハ公
務員ノ任務ニ屬スル場合ノモノヲ除クノ外豫メ使用
者法人又ハ職務ヲ執行セシムル者ヲシテ特許ヲ受ク
ルノ權利又ハ特許權ヲ承繼セシムルコトヲ定メタル契
約又ハ勤務規程ノ條項ハ之ヲ無效トス
使用者、法人又ハ職務ヲ執行セシムル者ハ被用者、法
人ノ役員又ハ公務員ノ其ノ勤務ニ關シ爲シタル發明
ニシテ性質上使用者、法人又ハ職務ヲ執行セシムル者
ノ業務範圍ニ屬シ且其ノ發明ヲ爲スニ至リタル行爲
カ被用者、法人ノ役員又ハ公務員ノ任務ニ屬スル場
合ノモノニ付其ノ被用者、法人ノ役員若ハ公務員カ
特許ヲ受ケタルトキ又ハ其ノ者ノ特許ヲ受クルノ權利
ヲ承繼シタル者カ特許ヲ受ケタルトキハ其ノ發明ニ付
實施權ヲ有ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=5
-
006・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 本案ニ就テ〓瀨一郞君ヨリ發言
ノ通告ガアリマス、之ヲ許シマス
〔〓瀨一郞君登壇、拍手〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=6
-
007・清瀬一郎
○清瀨一郞君 貴族院ノ修正ハ工場發明ノ場合ニ於テ、
技師職工等ノ發明ヲ工場主ガ實施スルニ當シテ、報酬ヲ與
ヘルノ必要ナシト云フノデアリマス、當院ハ曩ニ全院一致ヲ
以テ、此場合ニ同ジク報酬ヲ與フベシ、斯樣ニ決定致シタル
モノヲ、貴族院ニ於テ飜シタノデアリマス、之ニ就テ私ハ一ニ
ハ院議ヲ尊重スルト云フ意味ニ於テ。二ニハ本件ハ事小ナ
リト雖モ、勞働者技師ノ權利ニ關スル問題デアルガ故ニ、衆
議院ニ於テハ、主義トシテ之ニ同意スペカラズト云フ考ヲ
持ッテ居ルノデアリマス、斯樣ナ理由ニ於キマシテ、貴族院ノ
修正ニハ同意スベカラズト云フ意見ヲ陳述シテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=7
-
008・島田俊雄
○島田俊雄君 此貴族院囘付ノ修正ノ件ニ就キマシテハ、
只今〓瀨君ヨリ述ベラレマシタ通リ、曩ニ本員ハ此法律案
外四件ノ特別委員長ト致シマシテノ報告中ニモ、此點ハ事
小ナリト雖モ極メテ重要ナル意義ヲ含ミ、深長ナル意味ヲ
含ンデ居ル點デアルトシテ、報告ヲ致シタ所デアリマス、隨テ
此點ニ於テ貴族院ノ修正ヲ受ケタト云フコトハ、甚ダ遺憾
トスル所デアリマス、併ナガラ今日會期切迫ノ際ニ當ッテ、此
修正一箇條ノ爲メニ、之ニ關聯シテ提出セラレタ所ノ更ニ
重大ナル多クノ意義ヲ含ンデ居ル各種ノ法律案ガ、悉ク不
成立ニ終ルト云フガ如キコトニナルノハ、國家ノ爲メニ甚ダ
遺憾ト考ヘルノデアリマス、故ニ院議尊重ハ固ヨリ當然デア
リマスケレドモ、此場合ニ於テハ巳ムヲ得ザル事柄トシテ、衆
議院ハ此貴族院ノ修正ニ同意スルコトニ致シタイト考ヘマ
ス
〔「賛成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=8
-
009・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 御諮リ致シマス、特許法改正法律
案ハ、貴族院ノ修正ニ同意スルヤ否ヤヲ御諮リ致シマス、貴
族院ノ修正ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=9
-
010・奧繁三郎
○議長(奥繁三郞君) 起立多數、仍テ貴族院ノ修正ニ同
意スルコトニ決シマシタ、關和知君ヨリ議事ノ進行ニ就テ御
發言ノ通〓ガアリマス、發言ヲ許シマス
〔關和知君登壇、拍手〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=10
-
011・關和知
○關和知君 本員ハ議事ノ進行ニ就テ一言ヲ述ベタイト
思ヒマス、議會ノ神聖ヲ保チ、議場ノ秩序ヲ維持スルト云フ
コトハ、御互議員ノ常ニ確守スベキ貴任デアリマスガ、更ニ
此事ニ就キマシテ最モ責任ノ大ナルモノハ、議長ノ職務ヲ執
行スル點ニ在ルノデアリマス、本員等ハ····(「簡單ニ」ト呼フ
者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=11
-
012・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 靜ニ·発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=12
-
013・關和知
○關和知君(續) 議長ガ此議會ノ神聖、議場ノ秩序ヲ保
ツト云フコトニ就テ頗ル御熱心デアリ、又誠意ヲ以テ其職
ヲ盡サルヽト云フ點ニ就テハ、議會ノ初ヨリ深ク信賴シテ居ツ
タノデアリマス、本議會ノ初ニ當リマシテ、各派ニ交涉致シ
テ、互ニ議會ノ品位ヲ保ツト云フコトニ努力セラレ、再々御
盡力ニナッタコトハ、本員等深ク之ヲ認メテ其誠意ヲ諒トシ
テ居リマス、然ルニ爾來引續イテ議場ノ光景之ニ對スル議
長ノ職務ノ執行方ニ就テ觀察ヲ致シマスルト、往々ニシテ議
長ハ其初カラシテ心掛ラレテ居ッタ所ノ、其自己ノ御精神ニ
悖シテ、如何ニモ吾ミニ取ヲテハ不滿足、不公平ナル處置ガ往
往ニ議場ニ現ハレルコトヲ甚ダ遺憾ト致シマス、(拍手)卽チ
多クノ場合ニ於キマシテ、議場ニ於ケル議論ノ沸騰スル際、
御互ガ批評ヲ加へ、時ニ批評ノ言葉ノ種々ナル形ヲ以テ好
マシカラザルコトヲ見ルノハ、議場ヲ通ジテ決シテ一黨一派
ニ片寄ルモノデハナイ、少クトモ政府與黨、多數黨ノ間ニモ
殆ド聞クニ忍ビザル所ノ批評、時トシテハ暴言ヲモ聽クコト
ガ屢、アッタノデアリマス、(拍手)然ルニ其場合ニ於キマシテ、
議長ガ之ヲ制止スルトカ、注意スルトカ、禁止スルトカ、甚シ
キハ懲罰ヲ以テ臨ムト云フコトガ、常ニ憲政會ノ議員ニノミ
向ッテ加ヘラルルト云フコトハ、(拍手アリ「ノウ〓〓」ノ聲起
ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=13
-
014・奧繁三郎
○議長(奥繁三郞君) 靜ニ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=14
-
015・關和知
○關和知君(續) 公平ナル立場ニ在ッテ觀察スル者カラ見
マシテモ、議長ノ職務上ニ就テ、洵ニ不滿ニ堪ヘヌ點ガ多イ
ノデアリマス、(拍手起ル「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ)今回ノ議
會ニ於テ殊ニ國民ノ理性ヲ刺戟シ、或ハ感情ヲ刺戟スル所
ノ問題ヲ惹起シタモノハ何レニ在ルカ、又其問題ヲ惹起シ
タ責任ハ何レニアルカト申シマスレバ、是ハ現內閣ニ在ルノ
デアリマス、(拍手起ル、「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ)隨テ現內閣
ヲ助クル所ノ與黨諸君ノ方ニ、多ク此責任ガ在ルノデアリ
マス、(拍手起ル、「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ)此場合ニ於テ少
數ノ在野黨ガ、國民ノ理性ト感情ヲ代表シテ、當局大臣ノ
演說、若クハ政府與黨ノ反對論者ニ對スル所ノ批評、其等
ノ言葉ガ偶〓或ハ矯激ニ涉ルコトノ必無ヲ期シマセヌ、併ナ
ガラ斯ノ如キ事柄ハ、議場ニ於ケル黨派ノ立場カラ言ヒ、又
其議合論ノ立前カラ言ッテ、公平ナル議長ハ、宜シク此反對黨
少數黨ノ立場ニ對シテ、少クトモ同情ヲ以テ職務ヲ執行セ
ラルヽト云フコトガ、當然ノ事デアリマス、(拍手起ル、「ヒヤ
ヒヤ」「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ)然ルニ此感情ト理性トノ迸ル
所ノ僅カノ批評ヲ直チニ捉ヘテ、之ニ臨ムニ法ヲ以テシ、甚
シキニ至ッテハ、嚴罰ヲ以テ處スルト云フコトハ、議場ノ神聖
ヲ保チ、秩序ヲ維持スルト云フ點ニ於テ、議長ノ處置ニ甚ダ
滿足ヨ致シマセヌ、本來議場ニ於ケル言論行動ハ、斯ノ如
キ法ヲ以テ臨ムヨリモ、寧ロ御互ニ議員ノ自制、御互ノ問ニ
於ケル所ノ制裁ニ任セルト云フコトガ、寧口秩序ヲ維持シ
議會ノ神聖ヲ保ツ所以デアリマス(「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ)、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=15
-
016・奧繁三郎
○議長(奥繁三郞君) 靜ニ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=16
-
017・關和知
○關和知君(續) 若シ何レノ黨派ニ於テモ、或ハ何レノ議
員ニ於キマシテモ、其人ノ發言若クハ議論ガ、常軌ヲ逸スル
ガ如キコトガアッタトシテモ、其發言者ニ對スル制裁ハ、議場
ニ於ケル多數、御互ノ間ノ判斷ニ依テ定マルモノデアリ、又
其事ノ社會ニ影響スル上カラ言ッテモ、公平ナル社會ハ其言
論批評ニ對シテ、自ラ制裁ノ存スルコトヽ私ハ確信致シマ
ス、然ルニ事此ニ出テズシテ、常ニ反對黨ハ少數黨ノ議員ノ
言論ニ臨ムニ法ヲ以テセラレテ居ル、實際此議場ノ光景ヲ
御覽ニナッテ居ル所ノ天下一般ノ目カラ見マシタナラバ、其
發言、其批評ハ、寧ロ政府與黨ノ方ニ多數アルノデ、而シテ
其言葉ノ激シキ點ニ於テモ、亦政府與黨ガ最モ激シイノデ、
先日國民黨ノ濱田君カラ特ニ其名前ヲ包ンデ、サウシテ議
場ニ警戒ヲ與ヘタ所ノアノ出來事ノ如キ、或ハ議事中ニ殆
ド醉態ヲ以テ議場ヲウロツキ廻ッテ、秩序ヲ紊スト云フガ如
キコト、言葉ノ上ニ於テモ、其行ノ上ニ於テモ、殆ト目ニ餘ル
如キ狀態ハ、寧口憲政會ニ在ラズシテ、政友會ニ在ルノデア
リマス、議長ハ私ハ其人格ヲ信ジマス、又其議場ヲ整理セラ
ルヽ誠意ヲ信ジマス、併ナガラ其議長ヲシテ、尙ホ斯ノ如キ
偏頗ノ處置ニ出デシムルト云フコトハ、其裏面ニ於ケル一種
ノ政黨的感情-政府ヲ擁護スルト云フ其一種ノ感情カ
ラシテ、誤シテ議長ノ議場ニ對スル整理ノ方法ガ、斯ノ如キ
弊ニ陷ッタモノデハナカラウカト思ヒマス、(拍手起ル、「ノウ
ノウ」ト呼フ者アリ)此場合、會期ハ既ニ餘ス所一日ニ迫ッテ
居リマスルガ、議場ニ於ケル所ノ言論ニ就テ議長ハ深ク御
注意ヲ爲サレテ、願クハ與黨ニ對シテモ、反對黨ニ對シテモ、)
公平ナル立場ノ上ニ立チ、議長ガ始メ吾ミニ約束セラレタ
當時ノ心掛ヲ以テ、其職務ヲ執行セラルヽト云フコトヲ深
ク希望致シテ、將來ノ爲メニ議長ニ警告ノ一言ヲ捧グルモ
ノデアリマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=17
-
018・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 關和知君ノ御演說ハ、議長ニ對ス
ル警告ト云フノデアリマスガ、議長ハ第四十四議會當初ニ
於ケルト同ジク、今日ニ於テモ、尙ホ公平ニ扱ウテ居リマス考
デアリマスガ苟モ一黨ヲ代表シテ關君ヨリ深切ナル御警告
デアリマスカラ、謹ンデ此御警告ヲ守リマス、(拍手起ル)-
先刻御報告致シマシタ通リ、貴族院ヨリ地方鐵道補助法
中改正法律案ヲ囘付セラレマシタ、此際日程ヲ變更シテ議
題ト爲スニ御異議ハアリマセヌカ
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=18
-
019・奧繁三郎
○議長(奧繁三郎君) 御異存ハナイト認メマシタ、日程ハ
變更サレマシタ
地方鐵道補助法中改正法律案(政府提出、
貴族院囘付)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=19
-
020・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 貴族院回付ノ箇所ヲ朗讀致サセ
マス
〔原田書記官朗讀〕
地方鐵道補助法中改正法律案中貴族院囘付ノ箇所
左ノ如シ
附則「本法ハ大正十年四月一日ヨリ之ヲ施行ス」ノ下
ニ「但シ第一條ノ規定ハ大正十年三月三十一日ヲ含
ム營業年度ノ翌年度分ヨリ之ヲ適用ス」ヲ加フ
(小字ハ貴族院修正)
(參照)
第一條政府ハ地方鐵道ニ對シ該鐵道營業開始ノ日
ヨリ十年ヲ限リ每營業年度ニ於ケル建設費ノ百分ノ
五ニ相當スル金額ヲ補給スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ每營業年度ニ於ケル益金カ建設費
ノ百分ノ二ニ相當スル金額ヲ超ユルトキハ其ノ超過額
ハ之ヲ前項ノ金額ヨリ控除ス
前二項ノ建設費及益金ハ命令ノ定ムル所ニ依リ算出
シタル金額ニ依ル
第三條削除
附則第二項ヲ左ノ如ク改ム
大正二十一年一月一日以後ハ新ニ補助ヲ爲スコトヲ得
ス
附則
本法ハ大正十年四月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ第一條ノ
規定ハ大正十年三月三十一日ヲ含ム營業年度ノ翌年度分ヨリ
之ヲ適用ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=20
-
021・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 地方鐵道補助法中改正法律案ノ
貴族院ノ修正ニ御同意アルヤ否ヤヲ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=21
-
022・岩崎勲
○岩崎動君 貴族院ノ修正ハ適當ナリト思量致シマスカ
ラ、同意セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=22
-
023・奧繁三郎
○議員(奧繁三郞君) 貴族院ノ修正ニ同意ノ諸君ノ起
立ヲ求メマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=23
-
024・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 起立多數、仍テ貴族院ノ修正ニ同
意スルコトニ決シマシタ-日程第一第二ハ同一委員ニ付
託セル議案ナルヲ以テ、一括議題ト致シマスニ御異議ハア
リマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=24
-
025・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 御異議ハナイト認メマス、仍テ一括
議題ニ供シマス、日程第一、裁判所構成法中改正法律案
第二、定年ニ因ル退職判事檢事ノ恩給ニ關スル法律案、之
ヲ一括シテ其第一讀會ノ續ヲ開キマス-委員長戶水寬
人君
第裁判所構成法中改正法律案(政府
提出、貴族院送付)
第一讀會ノ續(金玉山0
報告書
一裁判所構成法中改正法律案(政府提出、貴族院送
付)
右ハ本院ニ於テ可決スへキモノト議決致候此段及報〓
候也
大正十年三月二十五日
裁判所構成法中改
正法律案委員長
戶水寬人
衆議院議長奥繁三郞殿
第二定年ニ因ル退職判事檢事ノ恩給ニ
關スル法律案(政付提出、貴族院送
付第一讀會ノ續(報告(昭和4年)
報告書
一定年ニ因ル退職判事檢事ノ恩給ニ關スル法律案(政
府提出、貴族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十年三月二十五日
定年ニ因ル退職判事檢事ノ
恩給ニ關スル法律案委員長
戶水寬人
衆議院議長奥繁三郎殿
〔戶水寛人君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=25
-
026・戸水寛人
○戶水寛人君 日程第一裁判所構成法中改正法律案、
日程第二定年ニ因ル退職判事檢事ノ恩給ニ關スル法律
案、此二ツノ議案ハ同時ニ委員會ノ議ニ付シマシタ、サウ致
シマスルト云フト、議論ガ三ツニ分レマシタノデス、第一ニハ宮
古啓三郞君ノ意見デゴザイマシテ、貴族院修正通リ可決ス
ペシト云フ御說デゴザイマス、第二番目ハ橫山金太郞君ノ御
說デゴザイマシテ、本案ニハ反對デアルト云フノデアル、其理
由ハ第一ニハ判事檢事ニ對シテ定年法ヲ設ケルノハ、憲法
違反デアル、第二ニハ日本現今ノ狀態デハ、斯ノ如キモノヲ
設ケルノ必要ガ無イト云フノデアリマス、ソレガ橫山君ノ說
デゴザイマシテ、第三ニハ高柳君カラ說ガ出テ居リマシタ、併
ナガラ賛成者ガゴザイマセヌデシタカラ、其意見ノ內容ハ報
告申上ゲマセヌ、此三ツノ說ノ中デ、宮古敬三郞君ノ說ガ
多數デゴザイマシタ、ソレデ貴族院ノ修正通リニ可決スルト
云フコトニ決議致シマシタノデゴザイマス、是ガ報告デアリマ
ス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=26
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027・奧繁三郎
○議長(奥繁三郞君) 本案ニ對シテ討論ノ通告ガアリマ
ス、通告順ニ依テ之ヲ許シマス、横山金太郞君
「橫山金太郞君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=27
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028・横山金太郎
○橫山金太郞君 私ハ此二案ニ反對ヲ致スモノデアリマ
ス、第一ノ理由ハ本案ハ憲法違反デアル、第二ハ我國現在
ノ程度ニ於テ斯ノ如キ立法ノ行爲ハ必要デナイ、此見地ニ
立チマシテ、本案反對ノ理由ヲ述進メテ見タイト思フノデア
リマス、其理由ノ大要ハ、去二十二日ノ本會議ニ於テ私ノ
質問、竝ニ之ニ對スル鈴木司法次官ノ答辯ガゴザイマスカ
ラ、之ヲ比較對照ヲセラレテ靜ニ御考ヲ賜リマシタナラバ、其
黑白輕重ハ自ラ明ナルコトデアラウト思ヒマス、デ成ベク重
複ヲ避ケマシテ、私ハ其後ノ委員會ニ於テ現ハレタル質問
應答、其他ヲ斟酌致シマシテ、本案反對ノ理由ヲ補ッテ置カ
ウト思ヒマス、第一憲法五十七條ニハ「司法權ハ天皇ノ名
ニ於テ法律ニ依リ裁判所之ヲ行フ」トアリマシテ、他ノ立法
權及行政權ニ對立致シテ居リマス故ニ、苟モ其司法權行
使ノ任ニ當ルベキ裁判官ノ位地ヲ、立法行政ノ爲メニ脅威
セラルヽガ如キ事ガアリマシテハ、司法權ノ獨立ハ決シテ確
保セラルベキモノデハナイノデアリマス、而シテ栽判官ノ地位
ヲ保障シテ居リマスノハ、憲法五十八條第二項ノ條規デア
リマスガ、其條規ノ期待致シマス所ハ、裁判ノ公正ヲ欲スル
ガ爲メデアルト云フコトハ、政府モ亦言明是認セラレタ所デ
アリマス、然ラバ則チ官ト職トヲ合セテ保障スルニ非ザレバ、
何時如何ナル場合ニ於テ、例ヘバ今囘提案ノ定年法ノ如
キ立法行爲ニ依リテ、栽判官タル現職ヲ剝奪セラルベク抑
壓角威ヲ受ケヌトモ限ラヌノデアリマス、政府ハ憲法五十八
條ノ第二項ハ、裁判官ヲシテ行政權ノ干涉ヲ免レシムルガ
爲メノ規定ニ過ギナイト辯明セラレマスケレドモ、私ハ右憲
法ノ規定ハ、必ズシモ行政權ノミデハナイ、立法權ノ作用ニ
依テ壓迫ヲ受クルコトヲ防止スルノ趣旨ニ於テ、此規定ガ
存在スルモノデアルト云フコトヲ信ジテ疑ハナイノデアリマス
試ミニ一例ヲ示シテ其然ル所以ヲ明カニ致シマス、卽チ茲
ニ刑事上ノ重大事件ガアッテ、大審院ハ之ニ就テ裁判所構
成法五十條第二項所定ノ、特別栽判權ヲ施行セントスル
ニ方リマシテ、行政官憲ハ其栽判ノ結果ヲ豫測シテ、之ヲ變
更スル目的ヲ以テ、議會ニ於ケル自黨ノ勢力ヲ恃ミ、其栽
判前立法ノ形式ヲ以テ判事ノ定年法ヲ制定シ、現在ノ大
審院ノ構成ヲ變更シヤウト企ツルコトアリト假定致シマシ
タナラバ其結果ハ如何ニ成行クノデアリマセウカ、故ニ立法
權ノ作用ニ依ッテ裁判官ノ地位ヲ動カシ、裁判ノ公正ヲ紊
ルコトガ出來ルデハアリマセヌカ、(拍手起ル)政府ハ此事例
ノ如キ場合ニハ、現ニ司法大臣ト職ヲ退カシメラルベキ裁判
官トノ間ニ、議會ガ介在存置致シテ居ルノデアッテ、彼ノ司
法大臣ガ行政權ノ作用トシテ、自己ノ獨斷專行ニ依テ人
ヲ任免黜涉スル場合トハ、大ニ違テテ居ルト辯明セラレタノ
デアリマス、併ナガラ若シ貴族院ガヨリ多ク政黨化致シマシ
テ、衆議院ハ政黨内閣ノ下ニ、多數黨ガ其內閣ヲ擁護スル
モノアル場合ヲ想定シテ、而シテ其多數黨ガ世ノ所謂惡政
黨デアッタト假定スルナラバデス、政府提出ノ案ヲ鵜呑ト爲
シテ、以テ政府ノ所期ノ目的ヲ達セシメルコトガ、理論上ニ
於テ可能性ヲ有スルモノト斷ジテ妨ゲナイノデアリマス、諸
君、憲法ノ規定ハ嚴正テアッテ、且ツ極メテ深遠デアリマス、
隨テ憲法五十八條ノ二項ハ、斯ノ如キ場合ノ生ジ得ベキコ
トモ想像考慮致シマシテ、裁判官ノ地位ノ安固ヲ保障シ
苟モ左樣ナル不祥事ノ生ゼザランコトヲ欲シテ居リマスノデ
アリマス、若シ不幸ニシテ定年法ノ如キ法律ガ成立スルコト
ガアリマスルト云フト、現ニ定年法規定ノ年齡ニ達シマシタ
者ハ、當然退職トナッテ其地位ヲ奪ハルモノデアッテ、憲法五
十八條二項ノ規定ノ趣旨ハ、自ラ沒却サレテシマウモノト
謂ハナケレバナラヌノデアリマス、政府ハ構成法ノ七十四條
ガ憲法違反デナイト云フ故ヲ以テ、定年法モ亦憲法違反デ
ハナイト申サレマスケレドモ、定年法ト構成法トノ間ニハ最
モ懸隔ノゴザイマスルコトハ、先日ノ質問ノ際ニ於テ申述べ
テ置キマシタ通リデアリマス、定年法ハ法律ノ擬制ニ依テ、當
然一定ノ年齡ニ達シタ裁判官ヲ身神ノ衰弱セザル執務可
能ナル裁判官ト雖モ、强テ退職セシムルノ規定デアリマシテ、
構成法七十四條ハ、執務上ノ無能力者、而モ之ヲ退クルニ
當ッテハ、裁判官〓體ノ自治權ノ働ニ依テ、退職セシムルト
云フコトノ規定ニナツテ居ルモノデアリマスカラ、二ツヲ比較
致シマシテ、實ハ比較ニナラヌノデス、其比較ニナラナイト云
フ特異點ガ、卽チ憲法ニ違反スルト否トノ岐ルヽ所デアルニモ
拘ラズ、政府ハ其區別ニ就テハ、如何ニモ事モナゲニ御答ヘ
ニナリマス、併シ窮追ヲスルト顧ミテ他ヲ言ハルヽノ態度ヲ
示サレル、更ニ責メルト云フト、ソレハ意見ノ相違デゴザイマ
スルト云フコトデ、適切ナル要領ヲ得タル所ノ御答ヲセラ
レヌノデアリマス、デ憲法若シ靈アラバ、泣イテ而シテ其侮蔑
蹂躪セラレタルコトヲ憤ルデアリマセウ、又政府ハ休職法ヲ
引用シテ云爲セラレマスケレドモ、休職法ハ一時限リノモノ
デゴザイマスルノミナラズ、ソレサヘモ栽判官國體ノ自治權
ノ行使ニ就テハ、自ラ其趣意ヲ認メラレテアルノデアリマス、
隨テ今囘ノ定年法トハ、其實質ニ於テ雲泥ノ差ノアルコト
ハ申スマデモナイ、此休職法ニ自治權ヲ認メラレタ所以ノ理
由ニ就キマシテハ、時ノ政府委員デアル小山次官ガ詳細ニ述
ペラレテ居リマシテ、其一端ハ前ノ質問ノ際ニ申述ベテ置イ
夕通リデアリマス、盖シ是ハ其當時ニ於ケル司法省ノ意見
デアッタト私ハ考ヘルノデアリマスル、凡ン時代ノ推移ニ依リ
マシテ、時ニ說ヲ變ヘルトカ、論ヲ改メルトカ云アコトハ、是ハ
世間間〓アル事例デアリマスケレドモ、千載不磨ノ大典デア
ル所ノ憲法ノ趣旨精神ニ關シマシテ、司法省ガ從來把持シ
來レル所ノ意見ヨリモ異、ッタ考ヲ有サレルト云フコトニナリ
マシテハ、須ラク先ヅ其然ル所以ヲ公表シア、國民ニ滿足ヲ與
ヘナケレバナラヌト思フノデアリマス、若シ然ラザレバ徒ラニ憲
法ノ紛更ヲ企ツルモノデアルト云フ謗ヲ受ケマシテモ、恐ラク
咯然ト致シテ之ニ答フル言葉ハ無イデアラウト私ハ思フノデア
リマス、(拍手)司法部内ノ現今ノ弊害ニ鑒ミテ、定年法ノ
必要ナルコトヲ政府ハ力說セラレマシタ、假リニ其必要アリ
ト致シマシテモ、部內ノ刷新改善ノ爲メニ此立法行爲ガ必
要デアルト云フコトハ憲法違反デアルト云フ瑕疵ヲ補フ譯
ニハ參ラヌノデアリマス、必ズヤ憲法ノ改正ヲ企テマスルカ、
定年法ノ中ノ裁判官〓體ノ自治權ヲ御認メニナルカ、又少
クトモ此憲法第五十八條一項ノ裁判官ノ任命規定ニ變
更セラレザル限リハ、憲法違反デアルト云フ此瑕疵ヲ醫治
匡救スベキ途ハ無イノデアリマス、其他政府ハ伊藤公ノ憲法
義解ヲ引用致シテ、定年法ノ違憲デナイコトノ論ヲ確メラレ
ント致シマシタケレドモ、此點ニ就テハ去ル三月十九日ニ貴
族院ノ本會議ニ於テ、池田男爵、及湯淺倉平君ニ依テ、洵
ニ穩健適切ナル解釋ヲ爲シ、批判ガ下サレテ居リマスカラ、
私ハ之ヲ拜借スルコトニ致シテ、復說ノ勞ヲ省キマス、又外
國ノ立法例ニ依リマシテモ、湯淺君ノ述ベラレテ居リマスル
如ク、定年法ト云フモノガ法律ニ依テ認メラレテ居リマス國
ハ憲法ニ依テ裁判官ノ保障ノ無イ國ニ限ラレテ居ルト云
フ一事ニ御留意アランコトヲ希望致シマス、其他ノ詳細ハ
湯淺氏ノ演說ヲ借用スルコトニ致シテ、私ハ此點ニ於ケル
論ハ此程度ニ止メマス、(「簡單」ト呼フ者アリ)憲法論ハ終
リマシタ、(「ヤリ給ヘヤリ給ヘモウ明日デ仕舞ダカラ」ト呼フ
者アリ)マア御待チナサイ、是ハ重大法案デス、(「此間ユック
リ聽キマシタ」ト呼フ者アリ)第二デス、本案提出ノ動機ニ就
テ、政府ハ力ヲ極メテ司法閥野心ノ發露デナイトテ、殊ニ七
十二條一ノ規定ノ、巳ムヲ得ザル理由ヲ辯明致サレマシタ、
而シテ發案ノ眞ノ動機ハ、構成法第七十四條ガ實地ニ行
ハレザルコトニ在リ、否ナ之ヲ行フノ至難ナルコトニ在リト辯
明ヲセラレタノデアリマス、然レドモ之ヲ實例ニ徵シマスルト、
現ニ行政裁判所法ノ中ニ、裁判所構成法七十四條ト同ジ
規定ガ置カレテアリマシテ、而モ其規定ハ實地ニ之ヲ應用
セラレタ所ノ例ガアルノデアリマス、又栽判所構成法七十
四條ノ適用ノ可能デアルト云フコトニ就キマシテハ、今提出
0ニナッテ。居リマス所謂定年法ノ規定ノ中ニ、七十四條ノ但
書下致シテ、裁判官ノ延年規定ガ置カレテアルニ徵シテ、明
カナル事實デアルト私ハ申シテモ、妨ナカラウト思フノデアリ
マス、若シ此栽判官ノ職ヲ延ベルカ延ベヌカ、ト云フ決議ヲ
スルコトノ出來ル規定ガアリマシテ、此規定ガ實地ニ運用ガ
出來ルナラバ、構成法七十四條ノ規定モ亦運用ガ出來ナ
イト云フコトハ、ドウシテモ見出シ得ラレナイノデアリマス、政
府ハ之ニ就テ斯樣ナ辯明ヲセラレタノデアリマス、構成法七
十四條ノ方ハ人ヲ殺ス方ノ側ニナル、定年法ノ方ハ人ノ命
ヲ延ベル側ニナルノデアルカラ、適用ノ難易ニ就テ、其間ニ餘
程ノ差ガアルト答ヘラレタノデアリマス、所ガ細カニ調ベテ見
ルト云フト、其間ニ過チノアルト云フ事柄ヲ容易ニ發見ヲス
ルコトガ出來ルノデアリマス、卽チ延年規定ニ依テ總會ノ決
議ニ掛ケマシタ時分ニ、延年可ナリト決定ヲスレバ、ソレハ裁
判官ノ命ヲ延ブルコトガ出來マセウガ、延年不可ナリト云フ
決議、卽チ否決ノ決議ヲ致スト云フコトニナレバ、結果ハ矢
張リ人ヲ殺スト云フ意味ニ歸著ヲスルノデアリマス、之ニ反
シテ構成法ノ七十四條ノ應用ノ事實ト致シテ、構成法ノ七
十四條ニ依テ總會ノ決議ニ掛ケタ際ニ、此人ハ退職ヲスベ
キ者デアルト決定ヲスレバ、ソレハ殺スノデアリマセウ、併ナガ
ラ退職スベキ者ニ非ズトスレバ、矢張人ヲ助クルコトニナル、
要スルニ是ハ權利ト云フモ、義務ト云フモ、裏カラ見ルト表
カラ見ルトノ差デアルト同一デアッテ、其精神趣意ニ於テハ
何等妨ハナイノデアリマス、之ニ依テ見マスルト云フト、政府
ノ此延年規定ニ對スル所ノ辯明ハ、少シノ效力ノ無イモノ
ト申シテ、何等ノ妨ガナイモノト思フノデアリマス、其次ニハ
政府ハ裁判所構成法ハ若朽ノ人ニハ、適用スルコトガ出來
ルト貴族院ニ於テ說明ヲセラレテ居ルノデアリマス、若朽ト
云フコトハ、詰リ年ノ若イ裁判官デアッテ、執務ノ能力ノ無
イモノト云フコトニ解釋ヲシナケレバナラヌ、年ノ若イ執務上
ノ無能力者ニ對シテハ適用ガ出來ルケレドモ、位置ノ高イ
古イ裁判官ニ對シテハ適用ガ出來ヌト云フ理由ハ、一體何
處ニアルノデアリマセウカ、若シ後者ニ對シテハ遠慮デアルト
カ、氣兼デアルトカ、免モ角モ總會ニ加ハル所ノ裁判官ガ躊
躇逡巡ヲ致シテ、七十四條ノ規定ガ適用ガ出來ヌト云フ意
味合デゴザリマスルナラバ、是ハ明カニ情實ノ爲メニ適用ヲ
一二ニスルモノデアッテ、其人ハ裁判官タル所ノ本分ニ背ク
モノデアリマスル、(「ノ』ウ〓〓」ト呼フ者アリ)免官馘首ノ値
ガアルモノト斷定シテ妨ケガナイノデアリマス、尙ホ政府ハ裁
判所構成法ヲ、是迄御適用ニナッタ例ガアリマスカト尋ネ
タノニ對シテ、實ハ退職ノ發案ヲシテモ、裁判官其人ノ態度
ガオシイカラ、適用ノ至難ナルコトヲ慮ッテ、十數年來此適用
ヲ企テナカッタノデアルト答ヘラレタノデアリマスルガ、是ハ一
體何タル曠職ノ沙汰デゴザイマセウ、(「簡單々々」ト呼フ者
アリ)畢竟スルニ司法省ハ自己ノ見込ヲ以テ、總會ノ決議
ニ與ルベキ裁判官ハ、公正ニ職務ヲ取扱フベキ人格者デナ
イト見タルモノデアリマシテ、其見解ヤ極メテ獨斷、極メテ早
計ナモノデアッタト謂ハナケレバナラヌノデアリマス、之ヲ要
スルニ栽判所構成法七十四條ノ適用ハ可能デアリマスル
ノミナラズ、司法省ハ之ガ適用ヲ爲スベク努力ヲ致サズ、又
假令不可能若クハ至難ナリトスルモ、其可能ナルヤ否ヤヲ
實地ニ試ミズ致シテ、司法省ガ單ナル見込ヲ以テ今日ニ馴
致シ、而モ尙且ツ今日ニ於テ進ンデ、七十四條ノ適用ヲ致
スト云フコトニ努メズ致シテ、別ニ定年法ノ如キ裁判官
剝職ノ規定ヲ以テ裁判官ニ臨ミマスト云フコトハ、恰モ
政府ガ自己ノ責任ニ屬スル物價ノ調節ヲ爲サズ致シテ、
增稅ヲ企テタルト異曲同工デアリマシテ、甚ダ我儘勝手ナ
處置デアルト申シテモ妨ナイト思フノデアリマス、更ニ政府
ハ常識的ニ此日本人ノ體力精神力ハ、定年後ノ規定スル
ガ如キ年齡ニ達スレバ、衰弱ヲシテ無能力者ニナルモノト考
ヘテ其結果此規定ヲ試ミタモノデアルト言明ヲセランタノデ
アリマス、此點ニ就テ私ハ特ニ言ヲ申上ゲテ置カナケレバナ
ラヌノデアリマス、此重大ナル立法行爲ヲ企テルノニ、生理
上カラ來ル所ノ人ノ身體、若クハ精神ノ衰弱ト云フコトニ
就テ、司法省ハ何等專門家ノ意見ヲ求メルコトナク、唯ダ自
己ノ常識判斷ニ依テ此規定ヲ置イタノデアルト言明ヲセラ
レタノデアリマス、サスレバ斯樣ナ重大ナ事柄ニ就テスラ、常
識的判斷ニ依テ、一般栽判官ニ適用ヲスル所ノ此重大ナ
ル立法行爲ガ企テラレルモノトスルナラバ、僅ニ數ヲ限ラレ
タル一人ト二人ト云フ裁判官ノ退職ヲ決スル裁判所構成
法第七十四條ノ場合ニ、此常識的判斷ト云フ鞏固ナル所
ノ證據ヲ提ゲテ、何故ニ其一二ノ退職スベキ栽判官ニ御臨
ミニナラナイノデアルカト私ヨリ尋ネタノデアリマス、之ニ對
シテ政府ノ答フル所ニ依リマスルト云フト、ソレハ證據ガ擧
ラナイカラ、左樣ニ參ラヌノデアルト「答へラレマシタガ、諸君
一人一事件ヲ判斷スルノニ、證據ガナク致シテ、確乎タル所
ノ見解ヲ把持スルコトガ出來ヌト言フナラバ、ソレ以上總テ
ノ栽判官ヲ通ジテ適用スルト云フ此立法行爲ヲ企テルノニ
ハ、モウ少シ其前ニ用意ト準備ガナケラネバナラヌト私ハ思
フノデアリマス、斯樣ナ薄弱ナル論據ニ於テ、此立法行爲ハ
企テラレタモノデアリマス、殊ニ前囘ノ質問ノ際ニ申述ベテ
置キマシタ通リ、構成法七十四條ノ適用ヲ爲スニ當ッテハ、
證據ノ制限ト云フモノハ無イノデアリマスルカラ、有ユル證
據ヲ蒐集シ來ッテ、一刃兩斷ノ處置ガ出來ナイト云フコトハ、
斷ジテ無イノデアリマスル、是ニ由ッテ之ヲ見マスルト、構成
法ノ適用ト云フコトハ、政府ノ申サルヽガ如キ至難不可能
ナルモノデハナイノデアリマス、斯樣ナ次第デアリマシテ、サウ
シテ現ニ世ノ中ニ存在ヲ致ス實際ノ事實ト云フモノハ、政
府ノ一定ノ年齡ニ達スレバ、人ハ役立タナクナルノデアルト
云フ常識的判斷ヲ、裏切ッタル事實ガアルノデアリマス、ソレ
ハ現ニ大隈侯ノ如キハ、諸君ドウデアリマセウカ、彼ノ元氣
ノ横溢ナル、識見ノ高邁ナル、生氣ノ潑溂タル、壯者ト雖モ
之ニ追隨スルコトガ出來ヌデハアリマセヌカ、又諸君ノ仰イ
デ居ラレマスル所ノ、而モ政友會ノ諸君ノ仰イデ居ラレル所
ノ原首相ノ如キハ如何デアリマセウカ、曰々議會ニ出席セ
ラレマシテ、或ハ本會議ニ、或ハ委員會ニ、堅白異同ノ辯ヲ
振ハレテ(「ノウ〓〓」笑聲起ル)勵精事ニ當テ、毫モ倦怠ノ
色ガ無イノデハゴザイマセヌカ、シテ見マスレバ年齡ノ差ハ、
必ズシモ人ノ能力ノ有無ヲ制定スベキ標準尺度デハナイノ
デアリマス、政府ノ說明ニ依リマスレバ、他ノ行政事務トハ
裁判事務ト云フモノハ特殊ノモノデアルガ故ニ、一般ノ比例
ヲ以テ律スルコトハ出來ナイト申シマスケレドモ、吾ミ特別
委員ニ政府ガ配付セラレマシタル所ノ表ニ依リマスルト、斯
樣ニアリマス、大正十年ノ二月一日現在ニ於テ、定年法ノ
適用ヲ受クベキ裁判官ハ大審院ガ五人、控訴院ガ五人、地
方裁判所ガ三人、區裁判所ガ十二人デアリマス、就中區栽
判所ノ十二人ニ就キマシテハ、政府ノ口吻ヲ藉リテ申シマ
スルト所謂若朽者デアル、言葉ヲ換へテ言ヘバ、地位ノ低キ
執務無能力者デアリマスカラ、政府ノ今日持ッテ居ラルヽ考
通リニ致シマシテモ、此人とニ對シテハ、構成法第七十
四條ノ適用ガ可能ノモノデアルト認メテ妨ナイノデアリマス
殘ル所ノ十三名デアリマスルガ、之ニ對シマシテハ····(「簡
單ニ顯ヒマス」ト呼フ者アリ)承知致シマシタ、モウ餘計アリ
マセヌ、(「議事錄ヲ國へ送ッテ上ケマス、餘計オヤンナサイ」ト
呼フ者アリ、笑聲起ル)卽チ其殘ル所ノ十三名ニ對シテノミ
定年法ノ適用ガ必要デアルト云フ論結ニ接スルノデアリマ
ス、併ナガラ大審院、控訴院、地方裁判所ノ十三人ノ裁判
官ハ、富際ノ上ヨリ見マスルト、彼ノ浩瀚ナル事件ノ書類ヲ
自ラ閱讀シテ、孜々トシテ裁判事務ニ沒頭スル所ノ人ト云
フヨリモ、寧口主トシテ司法行政ノ事務ニ當ッテ、部下ヲ監
督スル位置ニ在ル人デアリハ致シマスマイガ、サスレバ之ヲ大
腰侯ニ比シ、原首相ニ絞ブルニ於テ、彼此ノ間何等ノ事情
ノ異ッタモノハ無イデハアリマセヌカ、隨テ裁判ノ事務ハ特殊
ナモノデアルカラ、特ニ定年法ノ規定ヲ要スルモノデアルト云
フ理由ハ、此ニ至ッテ自ラ消滅致シタモノト謂ハナケレバナラ
ヌ、シレカラ今一言申上ケテ體キマスルガ、司法省ノ說明ニ
依サマスルト斯樣ナ言葉ガアリマシク、一陸軍ニ於テモ、此軍
人ト云フモノニ定年ノ規定ガアル、併シ此陸軍ト云フモノニ
就テハ、私ノ考ヲ以テ致シマスレバ、日本ノ國防軍備、是ハ國
民皆兵ノ主義カラ打算ヲセラレテ居ルモノデアリマシテ、兵
備編制上カラ來タモノデアッテ、必ズシモ陸軍ノ軍人ガ豫備
トカ後備トカ云フモノニ編人ヲセラレルノハ、其體力ガ堪ヘ
ナイトカ、智力ガ堪ヘナイト云フ理由カラ來タモノデナイト云
フコトヲ、一言附加致シテ置キマス、故ニ定年法ヲ定メル上
ニ於テ、此陸軍軍人ノ規定ヲ引用シ來ラレルコトハ、是ハ確
ニ穿違デアルト私ハ斷ズルノデアリマス、一番最後ニ申殘シ
テ置キタイ事ガ一ツゴザイマス、司法省ノ言ハレル所ニ依リ
マスト、此定年法ハ從來司法部内ニ蟠フテ積筭ヲ一掃スル
爲メニ、必要ナ立法行爲デアルト申サレルノデアリマス、謂ハ
〓今日マデ其職ニアッタ、此定年法ノ適用ヲ受クベキ裁判
官ハ尸位素餐ノ徒デアッタ、嚙付主義デアル、斯ウ云フノデ
アリマスカラ致シテ、此人ミニ向フテ、特ニ特待優遇ノ實ヲ現
ハスノ必要ハ私ハ無イト恩フノデアリマス、假令此立法行爲
ガ突然ノ行爲ト云フト雖モ、新シキモノデアルト云フト雖モ、
斯樣ナ恩惠的ノ規定ヲ置ク必要ハ無イノデアリマス、卽チ
今度ノ定年法ニハ延年規定デアルトカ、若クハ恩給五割增
ト云フガ如キ不徹底ナル所ノ規定ガアルノデアリマス、是ハ
催フニ本案ノ一番悲哀、虛空、寂漠ノ事情ヲ現ハシタル所
ノモノデアッテ、當局ノ自信ノ無イ、或ル意味ニ於ケル美點ヲ
發揮シタモノデアルト私ハ考ヘテ居ルノデアリマス、以上申
述べマシタ如ク、第一ガ憲法違反、第二ガ斯ノ如キ立法行
爲ノ必要ガ無イト云フ意味ニ於テ、本案ハ第二讀會ニ移ス
ベカラズト云フ議ヲ提唱スル者デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=28
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029・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 宮古啓三郞君
〔宮古啓三郞君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=29
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030・宮古啓三郎
○宮古啓三郞君 私ハ委員長ノ報告ニ賛成ヲ致シマシテ
只今ノ横山君ノ御主張ニ對シテ反對ヲ致シマス者デアリマ
ス、實ハ橫山君ノ御演說ヲ拜聽致シマシテ、餘リ多クノ價値
ヲ認メナイノデゴザイマスケレドモ、併ナガラ此事タルヤ、憲
法違反デアル云々ト云フノデアリマシテ、極メテ重大ナル
關係ヲ持っテ居ルノデアリマスルシ、又栽判官ノ進退ニ關係
ヲ有スル事柄デゴザイマシテ、最モ重大ナル案件デアリマスル
ガ爲メニ、一應ノ御挨拶ヲ致ス必要ガアラウト存ズルノデア
リマス、横山君ノ憲法違反論ガ、實際ニ於テ憲法違反デア
リマスルナラバ、是ハ誠ニ容易ナラヌ事デアリマスルカラ、本
案ノ如キモノヲ本院デ通過サセルト云フコトハ、出來ナイコ
トハ論ガ無イノデアリマス、而シテ又其憲法違反論ナルモノ
モ、獨リ橫山君ノ唱ヘルバカリデアリマセズ、世間ニ於テ或學
者モ之ヲ唱ヘ、裁判官ノ中ニモ之ヲ唱ヘル者ガアリマスルノデ
アリマスカラ、決シテ全然價値ノ無イ議論ナリトハ認メハ致
シマセヌノデアリマス、併ナガラ深ク今日マデノ經過ヲ考ヘ、
憲法制定當時ノ狀態ヨリシテ之ヲ〓究致シテ見マスルト、
決シテ是ハ憲法違反デナイト云フコトガ、極メテ明瞭ニ相分
ルノデアリマス、(「ヒヤ〓〓」)多數ノ裁判官ニ於キマシテモ
此法律案ガ如何ニナルカト云フコトハ、餘程注意シテ見テ
居リマスル譯デアリマスカラシテ、爰ニ憲法違反デナイト云
フ理由ヲ聊カ申上ゲテ置クト云フコトガ、最モ必要ナ事デア
ラウト思ヒマス、先ヅ第一ニ憲法違反デナイト申シマスルノ
ハ、意法ノ第五十八條、是ガ卽チ橫山君ノ所謂憲法違反ナ
リトスル骨子デアリマスルガ、其憲法第五十八條ノ第二項
ニ於テ「裁判官ハ刑法ノ宣告又ハ懲戒ノ處分ニ由ルノ外、其ノ
職ヲ免ゼラルヽコトナシ」ト斯樣ニ書イテアルカラシテ、今本
案ノ如ク六十三若クハ六十五ノ年ニナレバ、此職ヲ罷メサ
セルト云フ事デアルナラバ、卽チ此五十八條第二項ノ其ノ
職ヲ免スルト云フコトニナルノデアルカラ憲法違反デアル、斯
樣ニ論ゼラレルノデアリマス、然ル所此憲法ノ第五十八條
第二項ノ「其ノ職ヲ免ゼラルヽコトナシ」ト云フ「職」ノ文字
ハ、是ハ今日ノ所謂職務ト云フ事デハゴザイマセヌデ、官ト
讀マナケレバナラヌモノデアル、憲法制定ノ當時ニアリマシテ
ハ「官」ト云フ文字ト「職」ト云フ文字トノ使用ガ、頗ル混雜
ヲ致シテ居ルノデアリマス、混同致シテ居ルノデアリマス、卽
チ「職」ト云フ文字ヲ廣キ意味ニ於テモ用ヰ、狹キ意味ニ於
テモ用ヰ、二樣ニ使ッテアルノデアリマス、卽チ廣キ意味ニ於
キマシテハ、或ハ今日ノ所謂官ノ意味ニモ職ノ意味ニモ使
ヒ、又彼キ意味ニ於テハ今日ノ所謂職ノ意味ニ、使ッテ居ルノ
デアリマス、幾ツモノ法令ヲ調ベテ見マスルト、官ト謂ハネバ
ナラヌ所ニ「職」ト云フ文字ヲ使ッテアル所ガ澤山アルノデア
リマス、ソコデ此憲法第五十八條第二項ノ文字ヲ能ク御覽
下サルト、此「職」ト云フ文字ハ官ト云フ意味デアルト云フコ
トガ、極メテ能ク分ルノデアリマス、卽チ栽判官ハ刑法ノ宣
告又ハ懲戒ノ處分ニ由ルノ外其ノ職ヲ免セラルヽコトナシ」
刑法ノ宣告又ハ懲戒ノ處分ニ由レバ、其ノ職ハ免ゼラレル
コトヽナッテ居リマス、所デ刑法ノ宣告若クハ懲戒ノ處分デ
アリマスルナラバ、決シテ職務ダケヲ免ズルモノデハアリマセ
ヌ、必ズ官ヲ免ズル、所謂免官ニ相成ルノデアリマス、ソレデ
アリマスカラシテ、此憲法第五十八條第二項ノ書キ方ソレ
自身ニ依テモ、此職ヲ免ゼラレルト云フ「職」ノ字ハ、官ノ意
味ニ使ッテ居ルノデアルト云フコトガ相分ルノデアリマス、ソレ
カラ又餘リ此事ハ世間ニ明カニ相成ッテ居リマセヌガ、司法
省ニ於テ調べ出シタ所ノ明治二十三年ノ裁判所構成法ヲ、
樞密院ニ提出ヲ致シマシタ當時ノ樞密院ノ記錄ガアリマ
ス、其樞密院ノ記錄ハ、憲法第五十八條第二項ノ「職」ノ文
字ヲ解釋スルニ就テ、非常ニ有益ナルモノデアリマス、是ハ世
間ニ餘リ明カニナッテ居リマセヌカラ、一寸爰ニ朗讀ヲ致シ
テ見マス、樞密院ニ在リマシタ「裁判所構成法修正趣意書」
ト云フ記錄デアリマス、其記錄ノ中ニ斯樣ニ書イテアル「然
ルニ帝國憲法第五十八條ニ於テ裁判官ハ刑法ノ宣告又ハ
懲戒ノ處分ニ由ルノ外其ノ』職ヲ免ゼラルヽコトナシトノ規
定アリテ其ノ職ヲ免ゼラルヽコーナシトアルハ判事タルノ官
ヲ免ゼラルノ事ナキヲ云ヒ單ニ其奉ズル所ノ職ヲ免ゼラルヽ
コトナシト云フノ精神ニ非ザル可シ、故ニ栽判所構成法ニ
於テモ亦憲法ニ準據シ免官ニ換フルニ免職ノ語字ヲ以テス
可シ、然リ而シテ裁判所構成法ニ依ル時ハ轉官轉職ナルモ
ノハ、固ヨリ同一ノモノニ非ス、明カニ官ト職トヲ區別シタル
モノナレバ今退官ニ換フ可キ免官ヲ以テ免職ニ改ムルニ於
テハ凡テ懲戒ニ因リ職ヲ免ゼラルヽ者ハ自然其官ヲ失フモ
ノナリトノ明文ヲ懲戒法ニ揚クルトキハ免官ニ換フルニ免
職ヲ以テスルモ本條解釋上ノ誤解ヲ來ス恐ナカル可シ」斯
樣ニ書イテアル、是ハ明治二十三年ノ事デアリマス、憲法制
定ノ二十二年ヲ距リマスコト僅ニ一年、其際ニ於キマシテ
樞密院デ斯ノ如キ事ヲ書イテ居ル、以テ憲法第五十八條
第二項ノ意味ノ、卽チ職ト云フモノハ官ト云フコトニ使ッテ
居ルモノデアルト云フコトヲ、明カニ爰ニ書イテアルノデアリ
マス、是ハ卽チ此憲法ヲ解釋スルニ就キマシテ、最モ有力ナ
ル材料トナルモノト存ズルノデアリマス、ソレカラ又伊藤公ノ
憲法義解、是モ亦憲法ヲ解釋スルニ就キマシテハ、一大權
威タルコトハ諸君モ御認下サルデアラウト思フ、其憲法義
解ノ第五十八條ノ註釋デス、其註釋ニハ斯樣ニ書イテアリ
マス、「裁判官ハ刑法又ハ懲戒裁判ノ判決ニ由リ罷免セラ
ルヽヲ除ク外終身其ノ職ニ在ル者トス」裁判官ハ終身官ト
云フコトハ、裁判所構成法ニモ規定致シテアルノデアリマス
ガ、「終身其ノ職ニ在ル者トス」ト書イテアリマスカラ、卽チ伊
藤公ノ憲法義解ニ於テ、「職」ト云フ字ト「官」ト云フ字トヲ
混同シテ使ッテアルト云フコトハ明カデアリマス、「終身其ノ
官ニ在ル者トス」ト書クベキ所ニ「終身其ノ職ニ在ル者トス」
ト書イテアリマス、ソレカラ其次ノ方へ持ッテ來マシテ「其ノ他
停職非職轉任老退ニ於ケル詳節ハ總テ法律ノ揭クル所タ
リ」老退ニ於ケル詳節ハ總テ法律ニ揭クル所タリ、本案ハ六
十三年又ハ六十五年ニ至リマスレバ、退職致スト云フ案デ
アリマス、卽チ老退ニ於ケル詳節デアリマス、「老退ニ於ケル
詳節ハ總テ法律ノ掲クル所タリ」ト、伊藤公ノ憲法義解ニ
ハ書イテアルノデアリマス、ソレデアリマスカラシテ、卽チ本案
ノ如ク法律ヲ以テ此老退ニ於ル詳節、卽チ定年ノ法ヲ設ケ
ルト云フコトハ、伊藤公ノ憲法義解ニ於キマシテハ認メラレ
テ居リマスル所デアルト云フコトヲ、御承知ヲ願ヒタイノデア
リマス
〔奧議長議長席ヲ退キ粕谷副議長代リ著席」
ソレカラ又憲法第五十八條ノ第一項、此第一項ニ於キマ
シテ、裁判官ノ資格ガ書イテアリマス、「裁判官ハ法律ニ依リ
定メタル資格ヲ具フル者ヲ以テ之ニ任ス」卽チ裁判官ノ資
格ハ法律デ定メルコトニ相成ッテ居リマス、此憲法第五十八
條第一項ハ、直チニ本案ヲ拵ヘルニ適用スルモノナリトシテ
認ムルコトハ出來マセヌデアリマシテモ、旣ニ法律ヲ以テ資
格ヲ定メルト云フコトガ書イテアリマスレバ、矢張老退ニ關
スル事柄ヲ法律ヲ以テ規定スルト云フコトモ、同一精神ニ
出ヅルモノト解釋シテ、聊カ差支ナカラウト存ズルノデアリマ
ス、ソレカラモウ一ツ此憲法第五十八條第二項ノ「職」ト云
フ文字ヲ、「官」ト云フ文字ニ見ルニアラザレバ、到底解釋ヲ
致スコトノ出來ナイコトニ相成ルト申シマスノハ、此第五十
八條ノ第二項ニ於キマシテ、終身其ノ職ヲ免ズルコトガ出
來ナイト云フコトニ相成リマシタナラバ、其結果ハドウナルデ
アラウカ、裁判官ガ如何ニ身體ガ老衰致シマシテモ、精神ニ
異狀ヲ來シマシテモ、如何ナル場合ニ於テモ、其職ヲ免ズル
コトガ出來ナイコトニ相成ルノデアリマス、『文字通リ之ヲ解
釋致シマシテ、裁判官ハ刑法ノ宣告、又ハ懲戒ノ處分ニ由
ルノ外ハ、其職ヲ免ズルコトガ出來ナイト云フコトデアリマシ
テ、其職ト云フモノハ卽チ何時マデ經ッテモ免ズルコトハ出來
ナイト云フコトニナリマスレバ、如何ニ老衰致シマシテモ、如
何ニ精神ガ變ニナリマシナモ、免ズルコトガ出來ヌト云フコト
ニナルノデアリマス、併ナガラ斯樣ナ解釋ハ横山君モ致シテ
居ラナイ、斯樣ナ解釋ヲ致シテ居リマセヌト云フ事柄ガ、卽
チ橫山君ノ弱點ヲ示スモノデアルト私ハ信ズルノデアリマ
ス、卽チ裁判所構成法第七十四條ナルモノハ、憲法第五十
八條ノ條項カラ生レ來ッタモノデアリマス、裁判所構成法第
七十四條ニ於キマシテ「判事ノ身體若クハ精神ノ衰弱ニ因
リ職務ヲ執ルコト能ハサルニ至リタルトキハ司法大臣ノ控
訴院又ハ大審院ノ總會ノ決議ニ依リ之ニ退職ヲ命スルコト
ヲ得」ト書イテアルノデアリマスカラ、身體精神ガ衰弱シタ場
合ニハ、退職ヲサセルコトガ出來ルノデアリマス、是ハ橫山君
モ憲法上差支ナイト解釋サレテ居ル、若シ憲法第五十八條
第二項ヲ、如何ナル場合ニ於テモ職ヲ免ズルコトガ出來ナ
イト云フコトニ解釋致シマスレバ、此第七十四條ノ裁判所
構成法ノ條文ハ、憲法違反ニナラナケレバナラヌノデアリマ
ス、是カラ考ヘマシテモ憲法第五十八條第二項ノ「職」ト云
フ字ハ、官ヲ意味シテ居ルノデアッテ、決シテ職務其モノヲ意
味シテ居ルモノデハナイト云フコトガ、明カニ判ラネバナラヌ
ノデアリマス、斯樣ナ次第デゴザイマスカラ、憲法違反デアル
ト云フコトハ、ドウシテモ出テ來ナイノデアリマス、故ニ憲法
違反論ヲ以テ本案ヲ議スルト云フコトハ、到底其當ヲ得タ
モノデナイト云フ事ハ、極メテ明白デアラウト存ジマス、次ニ
横山君ガ本案ニ對シマシテ非難セラレルノハ、此裁判官ニ
對シマシテ、官ト職トヲ兩方トモ保障スルノデナケレバ、到底
裁判ノ公正ト云フコトヲ保ツコトガ出來ナイノデアル、斯樣
ニ申サレテ、ソレニ對シマシテ非常ニ極端ナル、栽判所構成法
第五十條第一項第二號ニ關スル例ヲ御引ニナッテ居ルノデ
アリマス、併ナガラ横山君ガ引カレタ所ノ裁判所構成法第
五十條ノ例ノ如キハ、是ハ到底アリ得ベキ事デハナイノデアリ
マス、卽チ所謂行政官ガ裁判官ヲ壓迫スル爲メニ、裁判官ヲ
自由自在ニ爲ス事ノ由來ル法律ヲ議會ニ提出シテ、サウシ
テ議會ニ於テ之ヲ作ッテ、之ヲ脅威スル、斯ウ云フ事ガ出來
ルデハナイカト云フ御議論デアリマスガ、併ナガラ此御議論
ニ對シマシテハ、議會ト云フモノヲ聞ニ挾ンデ居リマス、如何
ニ行政官ガ勝手次第ナ事ヲ爲サント致シマシテモ、議會ガ
之ヲ承諾ヲシナケレバ、到底是ハ實行スルコトガ出來ナイノ
デアリマス、議會而モ衆議院アリ貴族院アリ、此問題アリマ
スモノヲ、行政官例ヘバ政府ノ大臣ガ法律案ヲ出シマシテ、
サウシテ勝手ナ事ヲシヤウト致シマシテモ、之ニ對シテ兩院
ガ承諾致ス理窟ハ斷ジテ無イト云フコトハ、私ノ申スマデモ
ナイ事デアリマス、ソレデアリマスカラ行政官ガ司法官ヲ壓
迫スル爲メニ、如何ナル法律案デモ拵ヘテ脅威スルコトガ出
來ルノデハナイカト云フ御議論ハ、餘リニ極端デゴザイマシ
テ、斯樣ナ事ハ實際ニ於テアリ得ベキコトデハナイト云フ事
柄ハ、洵ニ明カデアルト思ヒマス、ソレカラ更ニ橫山君ハ、裁
判所構成法第七十四條ナルモノガアルカラシテ、本案ノ如
キ法律ノ必要ハナイデハナイカト、斯樣ナ御議論ヲ爲サレテ
只今本案ニ反對サレタノデアリマス、併ナガラ裁判所構成
法第七十四條ト本案トハ、餘程其趣ヲ異ニ致シテ居リマス
コトハ、申スマデモアリマセヌ、栽判所構成法第七十四條ニ
於キマシテハ、單ニ判事ノ身體若クハ精神ノ衰弱デ、職務ヲ
執ルコトガ出來ナイ場合規定致シテ居ルノデアリマス、本案
ハ六十三年、若クハ六十五年ニ至リマシタナラバ、其職ヲ退
カセルト云フノ案デアリマス、本案ガ如何ニ斯樣ナ規定ヲ設
ケマスカト申シマスト、矢張目的ハ裁判所構成法第七十四
條ト何等異ナル所ハ無イ、卽チ栽判ノ公正ヲ保ツ爲メニハ〓
老衰シタル所ノ人ヲ以テ裁判セシムルト云フコトハ宜クナ
イ、、日本ノ人ノ生理狀態ト致シマシテ六十年、數ヘ年ニ相
成リマスレバ先ヅ六十五歲トナリマスガ、六十五歲ニ相成
リマスレバ、普通先境ニ入ッタモノト謂ハナケレバナラヌ、申ス
マデモナク裁判ナルモノハ、非常ニ緻密ナル腦力ヲ要スルモ
ノデアル、浩瀚ナル書類ヲ調ベテ、色ニナ〓究ヲ遂ゲテ、始メ
テ栽判ヲ下スベキモノデアリマスカラシテ、其腦力ト云フモ
ノモ、餘程緻密デナケレバナラヌノデアリマシテ、老境ニ八ッタ
人ニ裁判ヲサセルト云フコトハ穩トルモノデハナイ、斯樣ナ見
地カラシテ、此法律案ト云フモノノ出來マシタノデアリマス、
ソレデアリマスカラシテ、矢張等シク裁判ノ公正ヲ保ツ爲メニ
出來上ッタモノデアルカラ、裁判所構成法第七十四條ト、立
法ノ趣意ニ於テ何等變ッタ所ハ無イノデアリマス、此第七十
四條ガアルノニ、何故ニ本案ノ如キモノヲ作ルヤト云フ橫
山君ノ非難デアリマスガ、此七十四條ノ方デハ、精神ノ衰弱
トカ、身體衰弱デ職務ヲ執ルニ堪ヘナイ所ノ者ヲ退職サ
セルト云フノデアリマスガ、之ニ對シマシテハ控訴院又ハ大
審院ノ總會ノ決議ヲ要スルノデアリマス、ソコデ實際之ヲ行
ヒマスル際ニドウデアルカト申シマスト、是ハ中〓容易ニ出
來ナイコトデアル、其實行ニ至リマシタナラバ、是ハ容易デハ
ゴザイマセヌノデアリマス、裁判官モ身體ノ方ハ判リ易イノ
デアリマスガ、精神ノ方ニ至リマシテハ容易ニ是ハ判リマセ
ヌ、精神ガ衰弱シテ居ルカドウカト云フコトヲ判斷スルト云
フコトハ、容易ナモノデハナイデアリマスカラシテ、此法律ハゴ
ザイマスルケレドモ、併ナガラ實行ニ至ッテハ餘程困難デア
ル、卽チ控訴院ノ會議ヲ開キ、若クハ大審院ノ會議ヲ開キマ
シテ、何某ト云フ者ハ精神ガ衰弱シテ居ルカ否ヤト云フコト
ヲ、裁判ヲ致ス際ニ於テ其判斷ハ頗ル容易ナモノデハアリマ
セヌ、左樣デアリマスカラシテ斯樣ナ法律ハアルケレドモ、是
ハ中〓實行ガ困難デアルト云フコトハ申スマデモナイ、而シ
テ近年ニ於キマシテハ之ヲ實行シタ例ガ無イノデアル、ソレ
デアリマスカラ、是ハ矢張或一定ノ年限ニ達シマシタナラバ、
先ヅ裁判ヲ爲スニハ適當デナイ者ト認メテ、法律デ以テ之
ヲ退職サセルト云フコトガ一番良イ方法デアルト思フノデア
リマス、法律ヲ以テ退職ヲサセルナラバ議論ガアリマセヌ、併
ナガラ例外ハ固ヨリアリマス、只今横山君ガ頻リニ例ニ引カ
レ、貴族院ニ於テモ亦例ニ引カレテ居リマス、原總理大臣ノ
如キ、如何ニモ精力絕倫デアルノデアルカラシテ、裁判官デ
モ同ジヤウナ者ガアル故ニ、本案ノ如キモノハ設ケナイデモ
宜イト云フ御議論デアリマスケレドモ、是ハ例外デアリマス、如
何ナル人デモ六十三年、若クハ六十五年以上ニ相成ッテ、鑁
鑠トシテ壯者ヲ凌グ人バカリガアルモノデハアリマセヌ、是ハ
平均ヲシテ見テ、一般ニ考ヘテ見テ判斷ヲ致サナケレバナラ
ヌ、例外ヲ以テ一般ヲ率スルコトハ出來ナイノデアリマス、普
通日本人ノ生理狀態ト致シマシテ、六十三年以上ト相成
リマスレバ、先ヅ老境ニ入ルノデアリマス、固ヨリ普通ノ能力
アル者多クアリマスケレドモ、〓シテ緻密ナル〓究ヲ爲シ、周
到ナル調査ヲ遂ゲ、公正ナル裁判ヲ下スノニハ適當デナイ
ト云フコトニ之ヲ認ムルノデアリマス、併ナガラ之ニ對スル例
外モアリマスル爲メニ、特ニ延年法ヲ規定シテ居ルノデアリ
マス、卽チ原案ニハ五年トアッタノデアリマスガ、貴族院ニ於
テ三年ト修正ニ相成ッテ居リマス、六十三年以上ニ於テハ、
尙ホ三年ハ之ヲ延バスコトガ出來ルノデアリマス、例外ノ人
ノ爲メニ斯ノ如キ延年法ヲ設ケテ居ルノデアリマス、是ハ矢
張實行ガ六ケシイデハナイカト云フ只今横山君ノ御意見モ
アリマシタケレドモ、此方ハ割合ニ容易イ、容易イト申シマス
ノハ卽チ此方ニ於キマシテハ、控訴院若クハ大審院ノ會議
ヲ開キマシテ、此者ハ尙ホ裁判官トシテ適當デアッテ、マダ延
年シテ差支ガナイト認ムルト云フ案ガ提出ニ相成シテ、ソレ
ニ對シテ議スルノデアリマスカラ、割合ニ此方ハ容易イノデ
アリマス、デ斯樣ナ方法ヲ設ケマシテ、例外ナル者ニ對シマシ
テハ特ニ延年ヲスルト、斯ウ云フコトニ此法律案ガ出來テ居
ルノデアリマスカラシテ、毫モ非難スベキ理由ハ無カラウト存
ズルノデアリマス、ソレカラ又橫山君ハ、官ト職ト兩方トモ保
障シナケレバナラヌト云フ御議論デアリマスガ、只今申シマ
シタ通リ、職ヲ保障シテ終身其職ニ置クト云フコトハ、到底
不可能デアルト云フコトハ申スマデモナイノデアリマシテ、我
ガ法律ニ於キマシテハ、官ハ之ヲ終身保護スルノデアル、所
謂終身官ト云フコトニ致シマシテ、裁判官ハ終身其官ト云
フモノヲ免ジラレナイノデアリマス、既ニ官ト云フモノハ終身
免ゼラレヌコトニ致シマシテ、獨立ノ保障ヲ與ヘマシテ、而シ
テ之ニ伴フ所ノ恩給其他ノ持別ノ待遇ト言フモノハ亦存
シテ居ルノデアリマス、而シテ又其職ヲ免ズルト云フ場合ニ
於キマシテモ、行政官ガ勝手ニスルト云フコトハ勿論出來ナ
イノデアリマシテ、法律ヲ設ケテ卽チ兩院ノ協贊ヲ經テ、法
律ヲ設ケテ其法律ニ依テ免ズル場合ヲ拵ヘルノデアリマス
カラシテ、之ニ依テ裁判官ノ獨立ハ保障サレ、裁判ノ公正ヲ
保ツト云フコトニ於テ、聊モ差支ナイノデアラウト思フノデア
リマス、而シテ又今日此法律ヲ設ケラレマスル理由ノ一ツト
致シマシテハ、申スマデモナク數多ノ裁判官ヲ要スルノデア
リマスガ、裁判官トナルコトヲ好マナイ者ガ、秀才ノ人ニハ殊
ニ多イノデアル、何故デアルカト云フト、裁判官ハ終身官デ
アリマスカラ、ソレガ爲メニ先キガ支ヘテ立身ガ出來ナイ立
身ガ出來ナイカラシテ、何時マデモ詰ラナイ所ニ居ルト云フ
コトハ好マヌノデアリマスガ爲メニ、司法界ニ入ラナイ者ガ
澤山アルノデアリマス、左樣ナ事ガアッテハ、裁判ノ爲メニ宜
シクナイコトデゴザイマスカラ、先キノ方ノ段々ニ老衰ニ傾ク
所ノ者ハ其職ヲ罷メルコトニ致シテ貰ヒマシテ、サウシテ段々
ト立身ノ途ヲ開キ後進ノ進路ヲ開ク、斯ウ云フコトニ致シ
マシテ、司法ノ刷新ヲ圖リタイト云フノガ、卽チ此案ノ趣意
ノ一デアルノデアリマス、斯樣ナ案デゴザマスカラシラ、今日
ニ於キマシテハ、最モ是ハ焦眉ノ急ニ迫ッテ居ルノデアリマス
カラシテ、此案ニ對シマシテ贊成ヲスルコトハ私ハ相當デア
ラウト思ヒマス、終リニ一言申上ゲテ置キタイト思ヒマス、先
刻モ申シマシタ通リ、此案ハ裁判官ヲシテ或ル年限ニ達シ
マスレバ、其職ヲ退カシムルト云フ案デゴザイマス、此法律案
ガ通過致シマスルト云フト、間モナク此法律ノ適用ニ依テ其
職ヲ退カナケレバナラヌ所ノ人ガ數多アルノデアリマス、斯
樣ナ人とニ對シマシテハ、如何ニモ氣ノ毒ノ情ニ堪ヘヌノデ
アル、如何ニモ同情ニ値スルノデゴザイマス、併ナガラ此法律
ヲ制定スルト云フコトガ今日ノ司法界ノ狀態トシテ、如何
ニモ必要デアルノデゴザイマスカラシテ、是等ノ方ニハ犠牲心
ヲ發揮致シマシテ、國家ノ爲メ又後進ノ爲メ、此法律案ノ
通過ヲ却テ喜ブヤウニ致シタイト存ズルノデアリマス、一言
申上ゲマシテ贊成ノ意ヲ表シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=30
-
031・岩崎勲
○岩崎動君 討論終結ノ動議ヲ提出致シマス
〔「賛成々々」「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=31
-
032・粕谷義三
○副議長(粕谷義三君) 岩崎君ノ討論終結ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=32
-
033・粕谷義三
○副議長(粕谷義三君) 御異議ナイト認メマス、仍テ討
論ハ終結セラレマシタ、兩案ノ第二讀會ヲ開クヤ否ヤヲ御
諮リ致シマス、兩案ノ第二讀會ヲ開クニ御異議アリマセヌ
カ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=33
-
034・粕谷義三
○副議長(粕谷義三君) 御異議ナイモノト認メマス、仍テ
兩案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=34
-
035・岩崎勲
○岩崎勳君 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開キ、三讀會ヲ省
略シテ、委員長報告通リ可決確定アランコトヲ望ミマス
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=35
-
036・粕谷義三
○副議長(粕谷義三君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ナイト
認メマス、仍テ直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開キマス
裁判所構成法中改正法律案
第二讀會(確定議)
定年ニ因ル退職判事檢事ノ恩給ニ關スル
法律案第二讀會(確定議)
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=36
-
037・粕谷義三
○副議長(粕谷義三君) 御異議ナイト認メマス、仍テ兩
案ハ第三讀會ヲ省略シテ、可決確定致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=37
-
038・戸水寛人
○戶水寬人君 滿洲大學設立ニ關スル建議案ノ委員會
ヲ開キマスカラ、許可ヲ請ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=38
-
039・粕谷義三
○副議長(粕谷義三君) 許シマス-日程第三、度量衡
法中改正法律案第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長今泉嘉
一郞君
第三度量衡法中改正法律案(政府提出、
貴族院送付)第一讀會ノ續(譯
報〓
報告書
一度量衡法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スへキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十年三月二十四日
度量衡法中改正法律案委員長
今泉嘉一郞
衆議院議長奥繁三郞殿
〔今泉嘉一郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=39
-
040・今泉嘉一郎
○今泉嘉一郞君 度量衡法中改正法律案委員會ノ經
過、竝ニ結果ヲ報告致シマス、此委員會ニ於キマシテ政府ガ
說明致サレ、且ツ應答致サレマシタ事柄ハ、極メテ精細ニ
亙ヲテ居リマスル故ニ、私ハ爰ニ其詳細ノ報告ヲ遂ゲマシテ、
大要ヲ申述ベタイト存ジマス、元來我國ノ度量衡ト云フモ
ノハ、我國固有ノ系統ト致シマシテハ、此大政官時代以來、
法律或ハ勅令ニ依テ定メラレマシタル所ノ尺貫系、又鯨尺
系、及斤系、此三ツノ系ニナルノデアリマス、然ルニ明治十九
年ニ於キマシテ、我國ハ國際「メートル」條約ニ加入ヲ致シマ
シタル結果、明治二十四年ニ於キマシテ、法律上此「メート
ル」系ト云フモノヲ、我ガ固有系ト『相竝ベテ使フト云フコト
ヲ許シタノデアリマス、而シテ明治四十二年ニ至リマシテ、更
ニ「ポンド」「ヤード」系ト云フノヲ、勅令ヲ以テ更ニ我ガ度量
衡ノ系統ニ加へタノデアリマス、此ニ至リマシテ我國ハ、此五
ツノ系統ヲ併セ用井テ居ルト云フ姿ニナッテ居リマス、而シテ
今之ヲ使ッテ居リマスル所ノ狀況ヲ見マスルト云フト、洵ニ
多岐多端ノモノデアリマシテ、此法律デ定メテ居リマスル所
ノ度量衡ノ單位名稱ダケデゴザイマシテモ、六十幾ツト云フ
數ガゴザイマス、又民間ニハ此法律デ規定致シマシタル以外
ニ於キマシテ、更ニ若干ノ度量衡ヲ私ニ使ッテ居ル有樣デア
リマス、而シテ此度量衡ヲ使フ狀況ヲ能ク調べテ見マスルト
云フト、更ニ統一ガゴザイマセヌノデ、或ハ地方ノ習慣ニ依
リ、或ハ職業上ノ慣例ニ依リ、或ハ又品物ノ種類ニ依リ、或
ハ又甚シキニ至リマシテハ、個人々々ノ任意ニ依リマシテ、是
等ノ系統ヲ併セ使フ者モアリ、或ハ專ラ一ツヲ擇ブ者モアリ
或ハ甚ダシキハ混用ヲシテ居ル者モアル姿デアリマス、斯ウ
云フ混亂ノ狀態デアリマスルガ爲メニ、我國ノ度量衡ノ狀
況ト云フモノハ、頗ル不統一又錯雜ノ狀ヲ呈シテ居ルノデ
アリマス、デ度量衡ノ不統一ト云フコトガ斯ノ如キ有樣デア
リマシテハ、吾人日常ノ生活ニ於キマシテ、此換算、或ハ積
算、或ハ統計、或ハ又ンレヲ記帳スル場合、斯ウ云フ風ナ各
種ノ場合ニ於キマシテ、非常ニ多クノ能力ヲ要シ、時間ヲ要
シ、又誤謬錯誤、或ハ紛爭ト云フ風ナ事ガ、是カラ始終起ル
ノデアリマス、デ度量衡ト云フモノハ只今モ申シタ通リ、吾人
日常ノ生活ニ、有ユル社會ノ階級ヲ通ジテ必要ナルモノデ
ゴザイマシテ、其始終使ッテ居ル所ノ此精神的ノ道具ト云フ
モノガ、斯ノ如ク混亂ヲシテ居ルト云フコトハ、國民全體ニ
對シマシテ非常ナル不利益デアリマス、殊ニ就中兒童ノ〓
育上、或ハ商賣ノ取引上、或ハ仕事ヲスル上ニ於キマスル
作業ノ經濟上、能率上、又工業ノ經營上ニ於キマシテモ、或
ハ法律ノ運用上ニ於キマシテモ、或ハ學術ノ〓究上モ、又
是ハ延テハ國際關係上ニ於キマシテモ、有ユル方面ニ亙ッテ、
此我ガ日本帝國ノ不統一ナル度量衡デアルト云フモノガ、
煩ヲ及ボシテ居ルノデアリマス、曩ニ第四十議會ニ於キマシ
テ、軍事工業動員法ガ此衆議院ヲ通過スル場合ニ、衆議院
ハ希望條件ト致シマシテ、度量衡ニ關シテハ此際政府ハ急
速ニ統一的ノ方針ヲ以テ、之ガ遂行ヲ努ムベシ、斯ウ云フ風
ニ付議サレタノデアリマス、政府ハ此衆議院ノ議決ヲ尊重
致シマシテ、直チニ我ガ帝國ノ度量衡統一ト云フコトニ手
ヲ染メタノデゴザイマスルガ、此事ハ他ノ法律命令トハ違ヒ
マシテ、吾人日常ノ生活ニ重大ナル關係ガアルト共ニ、其效
力ガ將來永久ニ亙ルベキコトヲ規定スル性質ノモノデアリマス
ルガ故ニ、事頗ル重大ト認メマシテ、一方ニ於テハ大正八年六
月特別ノ學制ヲ定メマシテ、度量衡及工業品規格統一調
査會ト云フモノヲ組織致シマシタ、是ニハ有ユル方面ノ度量
衡關係ノ學者、及度量衡ト密接ノ關係ノ有ル所ノ陸海軍
首メ、大藏省、内務省、或ハ鐵道省等ノ諸官衙ノ當局者、
斯ウ云フ風ナ人ミヲ三十餘名ヲ網羅シテ、長イ間掛ッテ此
審議ヲサセマシタ、其審議ニ提出シタル所ノ政府ノ諮問ハ、
我ガ帝國ノ度量衡ト云フモノハ、如何ナル系統ニ統一スベ
キモノデアルカ、而シテ統一スベキ系統ガ決シタ以上ハ、如何
ナル方法順序ニ依テソレヲ實行スルカ、斯ウ云フ案デゴザイ
マシタ、而シテ他ノ一面ニ於テ、政府ハ全國ノ官廳、公署、或
ハ高等〓育ニ關スル所ノ各種工業學校、或ハ主ナル製造
工業會社、或ハ各學會、或ハ各團體、斯ウ云フ風ナ方面ニ
向シテ、其意見ヲ徴シタノデゴザイマス、然ルニ此調査會ノ
回答、竝ニ此各種方面ノ囘答ヲ見マスルト云フト、此等ガ
總テ一致シタ答案ヲ得タノデアリマス、殆ド一致シタル所ノ
答案、卽チ我國ノ度量衡ト云フモノハ、「メートル」式ニ統一
スベキモノデアルト云フコトニナッタノデアリマス、此「メート
ル」系ニ統一シタト云フコトハ、重大ナル事デゴザイマスルカラ、
其原因ヲ簡單ニ申シマスルト、一體吾とガ日本人トシテ此
度量衡ヲ統一スルト云フ以上ハ、我國固有ノ度量衡ニ統
一シタイノデアリマスルケレドモ、悲イ哉我國ノ度量衡ハ、各
種度量衡ノ中最モ不完全ナル度量衡デアル、其理由ノ一
ト致シマシテハ、我國ノ度量衡ノ此單位ノ間ニハ、十進法ガ
行ハレテ居ルノガ少ナウゴザイマス、例ヘバ寸カラ尺ニ行キマ
スルノガ十進法デアリマスケレドモ、尺カラ間ニ行キマスノハ
六進法、間カラ町ニ行クノガ六十進法、町カラ里ニ行クノガ
三十六進法、斯樣ナコトガ總テノ度量衡ニ行ハレテ居ル、誠
ニ不完全、是ハ今日ノ時勢ニ合ハナイ、又度ト量ト衡トノ間
ニ何等ノ連絡ガ無イ、例へバ此所ニ一升ノ桝ガアル、一升ノ
桝ト云フモノハ何立方尺デアルカ、何立立寸デアルカト云フ
ト、更ニ關係ガ有リマセヌ、之ヲ分ニ直ストキハ六万四千八
百二十七立法分デアルト云フ譯デアル、斯樣ニ何等ノ連絡
ガ、此ノ度ト量ト衡トノ間ニ無イト云フノハ、我ガ度量衡ノ
缺點デアル、其次ニハ日本ノ度量衡ハ、悲イ哉マダ日本ダケ
ニ其使用ガ限定サレテ居リマシテ、外國ニ向っテハ之ヲ使フ
コトガ出來ナイ、又モウ一ツハ我國ノ國人ハ、此自國ニ固有
系統ガアルノニ拘ラズ、軍事殊ニ陸軍、又貿易上、或ハ學術
上、工業或ハ醫療-醫者或ハ藥品等、是等ノモノニ向シテ
ハ、殆ド我國固有ノ度量衡ト云フモノハ活用サレテ居ラヌ
ノデアル、是等ノ缺點カラ致シマシテ、吾ミハ悲イ哉日本國
有ノ度量衡ヲ以テ、統一スルト云フコトガ出來ナイノデア
リマス、然ラパヨリ多クノ美點ヲ備ヘテ居ル所ノ他ノ方面ニ
向ッテ進ミマスレバ、次ニ來ルベキ問題ハ「ヤード」封度系、是
ガ英吉利亞米利加デ統一サレテ居ル系統デコザイマス、此
モノハドウデアルカト申シマスト、是モ亦各單位間ニ十進法
ガ行ハレテ居リマセヌ、十二吋ヲ以テ一呎トシ、又三呎ガ集ヅ
テ一碼ニナル、斯ウ云フ風ナ關係デアリマス、又此系統モ度
量衡ノ中ニ互ニ何等ノ關係ガ無イ、而シテ第三ニ來ルベキ
モノハ「メートル」系デアリマスガ、此「メートル」系ニ至リマシ
テハ、只今言フ所ノ有ユル缺點ヲ有セズシテ、更ニ多クノ美
點ヲ持ッテ居ルノデアリマス、デ「メートル」系ハ如何ナル方面
ニ向シテモ十進法ニナッテ居ル、又度量衡ノ中ニハ完全ナル
連絡ガアル、「メートルヲ上ゲナイデ簡單ニ」ト呼フ者アリ笑
聲起ル)一立法「メートル」ノ水ガ卽チ一「リットル」デアル、斯
ウ云フ關係ニナルノデアリマス、ソレカラ尙ホ此「メートル」系
統ハ完全ナル根據ヲ有シテ居ル、卽チ萬國ガ「メートル」條約
ニ依テ、其原器ヲ巴里ニ保管シテ居ルト云フコトニナッテ居
リマス、ソレカラ又「メートル」系ハ細密ナル寸法、容量、重量
等ヲ測定スルニ、最モ適當ナル方法ニナッテ居リマス、加之我
國ハ先程申シタ通リ、世界ニ十六箇國ト共ニ、此國際「メー
トル」條約ト云フモノヲ締結シテ居リマスガ、此二十六箇
國ノ中日本、英吉利、亞米利加、斯ウ云フ國ハマダ「メート
ル」系ニ統一スルニ至ラズシテ、之ヲ併用シテ居ルト云フ姿
ニナッテ居リマス、併ナガラ「メートル」條約ニ入ラザル各國エ
致シマシテモ、國ノ法律ヲ以テ此「メトトル」系ヲ度量衡トシ
テ强制シテ居ル國ガ、世界ヲ通ジテ三十一箇國ゴザイマシ
テ、日本、英吉利、亞米利加ヲ除イタル所ノ總テノ列强ヲ殆
ド網羅シテ居ルノデアリマス、英吉利及亞米利加ハ何故ニ
「メートル」系ニ入ラヌカト云フト、彼等ハ旣ニ碼磅系ニ依テ
固ク統一サレテ居ル國デアリマス、併用トハ申シナガラ、僅カ
ノ部分デ「メートル」系ヲ使ッテ居リマスガ故ニ、今日舊イ統
一ヲ廢シテ、新タナル統一ヲ企テタル場合ニ於キマシテハ、其
過渡時期ニ於ケル混亂狀態ヲ深ク虞レルノデアリマス、ソレ
故ニ屢〓議會ノ問題トナリ、或ハ或ル場合ニ於キマシテハ、上
院ヲ通過シタル場合ハ屢、ゴザイマスニ拘ラズ、英吉利モ亞
米利加モ今申ス「メートル」系ニ移ルコトノ困難ナルヲ、頗ル
遺憾トシテ居ル所デアリマスガ、種々ナル情報ニ依テ調ベテ
見マスルト、今後或ハ十年內外ニ於キマシテ、必ズヤ亞米利
加ハ「メートル」系ニ變へルト考ヘマス、英吉利ト雖モ、私ハ
是ハ亦遠キ將來ヲ待タズシテ、「メートル」系ニ變ルト考ヘマ
ス、而シテ「メートル」系ノ將來ヲ國際的ニ憂フルノ議論モゴ
ザイマシタガ、此度ノ國際聯盟ニ於キマシテモ、此際「メート
ル」條約、卽チ明治八年ニ巴里ニ締結サレタル所ノ此條約
ヲ尊重シテ、之ヲ承認スルト云フ議決ヲ今回ナサレタノデア
リマス、斯ウ云フ次第デアリマスカラ、政府ニ於テモ差支ナク
「メートル」系ニ統一サレルト云フコトニ決心ヲシタト云フ次
第デアリマス、而シテ此次ニ依ルベキ問題ニ、如何ナル方法
順序ニ依テ之ヲ實行スルカ、斯ウ云フノデゴザイマスルガ、此
實行ノ年限ヲ定メルト云フ風ナコトハ、矢張勅令ヲ以テ規
定スル考デアルガ、大體ノ狀態ヲ申述ベテ置クト云フコトデ
アッタノデアリマスガ、世界ニ於テ「メートル」系ヲ採用シテ、
最モ迅速ナル成功ヲ遂ゲマシタノハ獨逸デアル、是ハ僅ニ三
箇年ニ於テ自國系統ヲ廢シ、「メートル」ヲ統一的ニ實行シ
タト云フコトデアリマスガ、我國ニ於キマシテハ、從來色ミナ
關係ガアリマスカラ、是ハ調査會ノ答申タル漸進法ヲ執ツ
テ、今日總テノ官署或ハ工業等、最モ此「メートル」系統一
ヲ必要トスル方面、或ハ最モ容易ニ實行シ得ラルベキ方面
ニ於テ先ヅ試ミテ、サウシテ漸次二十箇年ヲ期シテ、全國ヲ
「メートル」系ニ統一シテ、其以後ニ及ンデハ强制的ニ他ノ
系統ヲ使フコトハナラヌト云フヤウニスルト一云フ考デアルサ
ウデアリマス、而シテ其順序ノ方法ハ官廳公署等ニ於キマ
シテハ、大〓多クハ官廳公署ハ、是亦十年以上モ既ニ「メー
トル」系ヲ使ッテ居ル所ガゴザイマス、斯ウ云フコトモアリマス
カラ、旁で五年位ヲ以テ總テ統一ヲシ、又〓育上ニ於キマ
シテハ、旣ニ〓科書等ハモウ「メートル」ガ大分入ッテ居リマ
ス、失禮ナ申分デアリマスガ、諸君ノ中ニハ「メートル」ノ寸
法ヲ御承知ナイ方ガアリマスカ知リマセヌガ、(「ノウ〓〓」)
諸君ノ御子サンハ必ズヤ御承知ナサッテ居ル、(笑聲起リ「委
員會ノ報告ヲヤッタラドウダ」ト呼フ者アリ)委員會ノ事ヲ申
上ゲテ居ルノデス、ソレカラ又〓授上ニ於キマシテ、始終是
ハ工業學校ニ非ザル普通ノ〓育ニ於キマシテモ、始終使ッテ
居ルノデアリマスカラ、斯ウ云ウ學校〓育ノ方ハ、三年間位
ト云フコトニサレルサウデアリマス、ソレカラ民間ノ諸工業、
是ハ九州ノ製鐵所ナドハ、明治三十年以來總テ「メートル」
式ヲ使ッテ居リマスガ、諸工業ハ總テ先ヅ五年間位井ニスル
ソレカラ大工業ノ中デ造船事業、紡績事業、竝ニ建築事業
斯ウ云フ風ナモノハ、其材料ガ外國カラ來ル爲メニ、殊ニ未
ダ「メートル」式ヲ完全ニ利用セザル所ノ國、亞米利加或ハ英
吉利カラ紡績ノ材料ヲ取ルトカ、機械ヲ取ルトカ云フ關係
ガアリマスカラ、是ハ暫ク度外シテ順序ヲ待ツト云フコトデ
アリマス、ソレカラ一ツ强イ問題ニナリマシタ、日本ノ土地段
別改正、土地臺帳ノ改正ヲ如何ニスルカト云フコトデゴザ
イマシタガ、土地臺帳ノ如キモノハ、是ハ當分其儘ニ存シテ置
キマシテ、其臺帳ノ訂正、或ハ更正ヲ爲ス場合ニ於テ、間斷
ナク「メートル」式ニ移ルト云フコト、而シテ此「メートル」ハ式ヲ
何時デモ舊イ別段ニ併記スルト云フコトハ、今日デモ差支
ナイト云フコトニスル積リデアル、ソレカラ商取引等ノ關係
ニ於キマシテハ、是ハ何レ一定ノ時期ヲ定メテ、命令的ニ强
制スル積リデアルガ、家庭的ニ之ヲ用井ルト云フ風ナコトニ
就テハ、是ハ法律ヲ以テ强制スルコトハ出來ナイ、家庭ハ總
テ社會〓育一般ノ〓育竝ニ政府ノ手續上ノ關係、サウ云
フ風ナ事カラ自然ニ誘致サレルモノデゴザイマス、尤モ今日
田舍ノ百姓ニ致シマシテモ、是ハ軍役カラ歸ッタ所ノ人〓ハ、
却ッテ「メートル」式ハ卽チ何「メートル」ト云フコトヲ以テ、何
里ト云フヨリモ能ク明ニ腦髓ニ泌ミ渡シテ居ルト云フヤウナ
コトガ、段々ニ傳播サレルコトデゴザイマスカラ、決シテ是ハ
深ク憂フル程ノコトハ無イト云フ考デアルサウデゴザイマス、
要スルニ此施行方法如何ト云フコトハ、「メートル」式ヲ採用
スベキヤ否ヤト云フ問題ニモ、少シ關係ノアル位ナ問題デゴ
ザイマス、ソレ故ニ私ハ是等ノ事モ十分ニ聽質シタ次第デ
ゴザイマス、ンコデ尙ホ此案ハ貴族院カラ迴リマシタ案デゴ
ザイマスガ、貴族院ノ修正ガゴザイマス、ソレハ第一條ノ第二
項ニ於キマシテ、「メートル」原器ト云フ下ニ「示ス所ノ」ト云
フ四字ヲ加ヘテ、其下ガ長サ云々トナル、原案ハ「メートル」
原器ノ長サト云フコトニナッテ居リマスガ、「メートル」原器ノ
示ス所ノ長サ、斯ウ云フコトニスル必要ガアル、其改正シタル
趣意ト云フモノハ、原器ノ長サ-玆ニ「メートル」ノ長サ「プ
ラチナ」、「ラジユーム」ト云フモノヽ原器ガアリマシテ其端カラ
端ノ長サト云フ意味デナク、其原器ニ記シテアル所ノ線ト線
ノ間ト云フ風ニナラナケレバナラヌノデアリマスカラ、斯ウ云
フ風ニ訂正スル、是ハ貴族院ノ修正ノ趣意デアリマス、サウ
云フノガ先ヅ說明ノ大要デアリマス、詳細ハ速記錄ヲ御覽
ヲ願ヒマス、ソコデ討論ニ入リマシタ所ガ、其討論ニ入リマ
シテ、正木照藏君ハ本案ノ趣旨ニハ贊成デアルガ、免モ角之
ヲ十分ニ審議スル所ノ時間ニ乏シイカラ、延期ノ意味ヲ以
テ此案ニ反對サルヽト云フコトデゴザイマシタ、ソレカラ上
田彌兵衞君ハ、本案ハ宜イガ、本案ノ施行令ナルモノハ容
易ナラザル關係ヲ持ツカラ、政府ハ施行令ヲ制定スル場合
ニ於テ相當ナル注意ヲ與ヘヨ、斯ウ云フ條件付テ此案ヲ賛
成サレマシタ、要スルニ反對者ハ正木君一人デアリマシテ、
他ノ諸君ハ全部賛成ヲ表サレテ、本案ハ貴族院ノ修正ノ通
リ可決サレタノデゴザイマス、申スマデモナク此度量衡ノ改
正ト云フモノハ、明治ノ初年ニ於テ彼ノ太陰曆ヲ廢シテ、太
陽曆ヲ用井ルコトガアリマシタ以來ノ我國ノ實ニ壯舉デアリ
マシテ、是ハ我國ガ世界的雄飛ヲ爲ス上ニ於テ、最モ大切
ナル方法ト考ヘマスカラ、ドウゾ御賛成ヲ願ヒマス(拍手起
ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=40
-
041・粕谷義三
○副議長(粕谷義三君) 本案ニ對シテハ討論ノ通告ガア
リマスカラ、順次發言ヲ許シマス、正木照藏君
〔正木照藏君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=41
-
042・正木照藏
○正木照藏君 只今委員長今泉博士ノ廣博ナル智識ヲ
以テ、政府委員以上ノ御報告ガゴザイマスシテ、諸君モ
定メテ御諒解ニナッタコトヽ考ヘマスガ、私ハ遺憾ナガラ本
案ニ對シマシテハ、延期ノ意味ヲ以テ反對ヲ表スル者デアリ
マス、度量衡ヲ統一スルト申スコトハ必要ナル事デゴザイマス、
是ハ洵ニ必要ナ事デアルト云フコトハ、私モ異存ガ無イト同
時ニ我國ニ於テ太寶令以來、千幾百年ノ間用井來ッタ所ノ
度量衡ノ基本ヲ改メテ、將來幾百千年ニ亙ッテ效力ヲ有セシ
ムル所ノ、新タナル紀元ヲ拵ヘルト云フコトハ、非常ナル大變
革大事業デアリマス、容易ナラザル是ハ仕事デアルノデア
リマス、若シ本案ガ通過致シマシタ場合ニハ、卽チ本案ノ
制度ハ度量ニ於テハ「メートル」或ハ衡ニ於テハ「キログラム」
式ヲ用井ルト云フコトニナッテ居ル、故ニ今後何尺何寸、何
里何町、或ハ何町何段何坪ト申シテ居ッタ所ノモノガ、皆ナ
幾「メートル」、幾「キロメートル」、又ハ一幾平方「メートル」ト云
フヤウナ稱呼ニ變ッテ來マス、又何石何斗ト云フヤウナコト
ヲ申シテ居ッタ所ノ數字モ、是カラ何立方「メートル」、或ハ幾
立法「デシメートル」トナリ、又何貫何百匁、或ハ何斤ト申シ
テ居ルノガ、幾「キログラム」トカ云フコトニナッテ行ク、是ハ只ダ
其名稱ガ變ルバカリデハゴザイマセヌ、隨テ其標準ガ皆ナ變ツ
テ來マス、卽チ其關係スル所極メテ大ナルモノデアル、是ハ社
會百般ノ事物ニ重大ナル關係ヲ及ボスモノデゴザイマス、例
ヘバ地積ノ測量等モ變ヘナケレバナラヌ、臺帳ノ編成モ仕
直サナケレバナラヌ、又杭ニ書イテアル所ノ里程表ノ改正モ
シナケレバナラヌ、又租稅ヲ取ルニシテモ標準ガ違ッテ來ルカ
ラ是モ悉ク方式ヲ變ヘナケレバナラヌ、船舶ノ速度表ノ如キ
モ變ヘナケレバナラヌ、運賃ノ制度ノ如キモ變ヘナケレバナ
ラヌ、是ハ數へ來リマスレバ數限リモナイ、總テ物ニ涉ル所ノ
大變革デアル、隨テ其實行ノ順序方法ニ至リマシテハ實ニ
錯雜ヲ極メテ居リマス、調査會デ拵ヘテ居ル所ノ答申案ヲ
讀ンデ見マシテモ、中〓容易ナル事デハゴザイマセヌ、凡ンド
レ位ノ年月ガ掛ルカト云フコトヲ政府委員ニ聽イテ見マス
ト、先ヅ二十年ト云フコトヲ申シテ居ル、恐ラク二十年ブハ
六ケシイト私共ハ考ヘル、委員長モ申サレマシタ如ク、大陰
曆ヲ廢シテ大陽曆ニ改メテ以來、今日五十有餘年ニナッテ
居ルケレドモ、未ダ田舍ニ於テハ、矢張大陰曆ヲ用井テ
〔粕谷副議長議長席ヲ退キ奧議長復席〕
居ルト申スヤウナ狀況デアル、曆デスラ然リ、社會萬般ノ事
物ニ大影響ヲ及ボス所ノ度量衡ヲ改正スルコトハ、中こ
二十年ヤ三十年デハ六ケシイ、私ノ如キ老人ハ到底見ル
コトハ出來ナイト考ヘル次第デ、中ニハ或ハ是ガ實行不可
能ニ終リハセヌカト、斯ウ思ハレルヤウナ點モゴザイマス、又
此度ノ改正ノ趣意ハ、萬國共通ノモノヲ用井ルト云フコト
ガ一ツノ主義ニナッテ居ル、是ハ至極結構ナ事デゴザイマス
ガ、サレバト申シテ、一般ニ對シテ最モ重大ナル貿易取引關
係ヲ有シテ居ル所ノ英吉利亞米利加ノ如キハ、先刻モ委員
長ノ報〓ノ通リ、中〓之ヲ實行シヤウトシテ居リマセヌ、亞
米利加ノ方ハ、政府委員ノ申ス所デハ少シ景氣ガ好イヤウ
デアルガ、英吉利ハ中〓用井ヤウトシテ居ラヌ、英吉利ガサウ
デアレバ植民地ハ皆ナサウデアル、英吉利ノ上院ハ可決サレ
タケレドモ、下院ハ中ミ賛成ハセヌ、今日ハ申スマデモナク戰
ニ勝ッテ誇ッテ居ル所ノ英吉利ノ國デアリマシテ、彼ノ保守ノ
英吉利ノ國ハ、中〓容易ニ之ヲ廢メルコトハ無イト考ヘルヽ
其未英兩國ニ對シテ、日本ノ國ハ貿易上最モ大ナル關係
ヲ持ッテ居ルカラ、彼等ノ國ガ未ダ改メヌ先ニ、日本ノ國ガ改
メルト云フコトハ如何デアルカト申スコトモ、大ニ是ハ考ヘナ
ケレバナラヌコトヽ思フ、斯ノ如ク本案ハ内外兩方ニ對シマ
シテ、非常ナル大ナル關係ヲ持ッテ居ル所ノ重大ナル法案デ
ゴザイマス、然ルニ不幸ニモ貴族院ヨリ本案ヲ衆議院ニ迴
サレマシタノガ、僅カ兩三日前ノコトデゴザイマシテ、委員會
ハ漸ク二十三日ニ初メテ開イテ、其日吾〓ハ厖大ナル參考
書ヲ受取リマシテ、メレヲ漸タニシテ一讀ヲ致シマシテ、昨日
ノ午前中ニ農商務省ノ一局長一技師ヲ對手ニシテ、三五
ノ質問ヲシタニ過ギナイ、私ハ此場合ニ於テ、最モ關係ノ深
イ所ノ大藏省トカ、内務省、或ハ遞信省、鐵道省ノ如キ政
府委員ヲ呼出シテ、審議ヲ進メタイト申スコトヲ要求致シ
マシタケレドモ、委員長首メ多數ノ委員ガ、其必要ナシト申
シテ之ヲ拒絕サレマシタ、私共何ヲ以テ之ヲ審議スルコトガ
出來マセウ、殊ニ短イ時間ノ間ニ、斯ノ如キ重大ナル千年百
年ノ後マデモ影響ヲ及ボス案ニ向ッテ、賛否ヲ表スル所ノ確
信ヲ持ヲ得マセヌ、或ハ今泉博士ノ如キ廣博ナル知識ヲ持ッ
テ居ル御方ハ免ニ角、私共ニ於キマシテハ、ソレニ對シテ贊
否ヲ表スルダケノ確信ヲ得持チマセヌ、卽チ審查不能ノ案
デゴザイマス、如何ニ貴族院ヲ通過シ、其原案ハ特別ニ設ケ
タ調査委員デ拵ヘタモノデアルトハ云ヒナガラ、吾ニハ吾こノ催
能トシテ之ニ盲從スベキモノデハアリマセヌ、盲從シ得ナイノ
デアリマス、(拍手)委員長ガ旣ニ御報告ノ通リ、英吉利ニ於
テハ上院ニ於テハ可決サレタケレドモ、幾度モ下院ニ於テ否
決サレテ居ル、卽チ如何ニ貴族院ニ於テ通過シタモノトハ云
ヒナガラ、吾衆議院ハ、衆議院ダケノ權能ヲ以テ調査ヲシナ
ケレバナラヌ、斯ノ如キ問題ヲ僅カ三時間カ四時間ノ間ニ、
農商務省ノ一局長一技師ヲ對手ニシテ、ソレデ審議ガ出來
タト云フコトガ出來マスカ、(拍手)國家千百年ノ後迄モ效
力ヲ有シ、又遡ッテ申シマスレバ、千百年ノ「昔カラ用ヰ來ッテ
居ル所ノ度量衡ノ變更ヲスルコトニ就テ、斯ノ如キ輕率ナ
ル論議ヲ以テ之ヲ實行スルト云フコトハ、洵ニ責任ヲ解シ得
ヌ話ト吾〓ハ考ヘル、殊ニ又此案ノ如キハ、三年ヤ五年ノ間
ニ必ズ之ヲ制定シナケレバナラヌト云フヤウナモノデハナイ、
今私ガ申シマス通リ、一一十年、三十年、五十年モ掛ラナケレ
バ實行ガ出來ヌト云フ問題デ、今日急イデ之ヲヤラナケレバ
ナラヌト云フコトハ、何モ無イ、若シ輕率ナ事ヲシマシテ、後
カラ取返シガナラヌヤウナコトニ至リマシタナラバ、吾ミハ免
モ角其責任ニ任ジナケレバナラヌコトデアリマスカラ、少クト
モ私ハモウ少シ審議ヲシテ決定スルノガ相當ト思ヒマスガ故
ニ、私ハ延期ノ意味ヲ以テ反對ヲ表シ、私ガ反對ヲ表シタコ
トヲ國家ノ記錄ニ留メ、他日此問題』ニ就テ事ガ起ノタ時ノ
證左トスルコトヲ希望スル、是ガ私ノ反對スル趣意デアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=42
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043・早川龍介
○早川龍介君 委員長ニ一寸質問ガアリマスガ、マダ通告
ガアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=43
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044・奧繁三郎
○議長(奥繁三郞君) マダ通告ガゴザイマスカラ、其次ニ
許シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=44
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045・早川龍介
○早川龍介君 ソレデハ好イ時期ニ於テ、洵ニ簡單デス
ガ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=45
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046・奧繁三郎
○議長(奥繁三郞君) 矢野丑乙君
〔矢野丑乙君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=46
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047・矢野丑乙
○矢野丑乙君 私ハ只今上程サレテ居リマス度量衡法中
改正法律案ニ對シテ、賛成ノ意味ヲ申述ベントスルモノデ
アル、只今正木君カラ、本案ニ對シテ御反對ノ意思ヲ表明
サレマシタ之ニ對シマシテ私ハ反對ノ意見ヲ申述ベタイト思
ヒマス、元來本案ニ就キマシテ、私ノ考ヘテ居リマス賛成演
說ヲ爰ニ演說シタイト思ッテ居ッタコトハ、殆ド全部委員長
カラ御說明ガアリマシタカラ、大抵ハ省略ヲ致スコトニ致シ
マス、正木君ノ輕卒ニ本案ヲ議スベキモノデナイト云フコト
ニ對シマシテ、反對ノ意見ヲ申述ベル前ニ當リマシテ、本案
ノ骨子トナルベキ所デアッテ、委員長ノ報告ニ「洩レタ點ニ就
テ少シ說明ヲ致シタイト思ヒマス、本案ノ第二條ニ於キマ
テ「メートルハメートル條約ニ依リ帝國ニ交付セラレタル
メートル原器ニ依リキログラムハメートル條約ニ依リ帝國ニ
交付セラレタルキログラム原器ニ依リ之ヲ現示ス」ト書イテ
ゴザイマスガ、此事ニ就テ少シ申上ゲテ見タイ、抑モ「メート
ル」法ト云フモノハ、ドウ云フモノカラ生レテ來タカト申シマ
スト、今ヨリ百三十六年程前ニ、佛國ニ於キマシテ、其當時
ノ內國ノ度量衡ノ頗ル混亂シテ居ルト云フコトニ鑑ミマシ
テ、何トカシテ之ヲ改正シヤウト云フコトニ就キマシテ、佛國
ノ學者ニ依テ案出セラレタモノデアリマス、其後「ナポレオン」
三世ガ亡ビタ前後ニ於キマシテ、獨逸國首メ十六箇國ノ代
表者ガ巴里ニ寄リマシテ、度量衡ノ世界的統一ノ協調ガ
アッタノデアリマス、其時ニ佛國ニ於テ始メテ作リマシタ所ノ
「メートル」ノ原器、及其分銅、之ヲ以テ標準トスルコトニナク
タノデゴザイマス、サウシテ其原器ヲ本ニシマシテ、澤山ノ原
器ヲ作ッテ條約國ニ配付スル、斯ウ云フコトニ決マッタノデゴ
ザイマス、其後十何年カ致シマシテ、今委員長カラ申サレマ
シタ通リ、我國モ此「メートル」條約ニ加入スルコトニナリマ
シテ、二十三年ニ至リマシテ、此原器ヲ「メートル」條約ノ國
カラ配付ヲ受ケタノデゴザイフス、是ガ卽チ第二條ニ規定シ
テアリマス所ノ「メートル」原器、「キログラム」原器デアルノデ
アリマス、ソレカラ我國ノ度量衡制度ガ如何ニ混亂シテ居
ルカト云フコトニ就テ、私ハ委員長ノ申サレタ所ヲ少シ補ッテ
見タイノデアリマス、「メートル」制度ノ日本ノ度量衡ト、英國
ノ度量衡、之ニ就キマシテ少シ比較ヲシテ見タイト思ヒマス、
「メートル」制ニ於キマシテハ、「メートル」ノ」原器ト、「キログラ
ム」ノ原器、及「リットル」ト一云フ三ツノ單位ヲ以チマシテ、サウ
シテ度ト量ト衡トノ本ニ致シマス、ソレカラ十進法ニ依リマ
シテ、下ヘモ算ヘ上ヘモ算ヘルコトニナッテ居リマシテ、少シモ
混亂ヲ來サヌノデアル、然ルニ日本ノ度量衡ハ如何ニナッテ
居ルカト申シマスト、是ハ皆サン御存知デアリマスガ、大體ニ
於テ曲尺ト鯨尺ト云フモノガアリマシテ、頗ル混雜ヲ來スノ
デアリマス、ソレカラ六尺ヲ以テ一間トスル、六十問ヲ以テ一
町トスル、三十六町ヲ以テ一里トスル、ソレカラ石、斗、升、
合、勺、斯ウ云フモノニ就キマシテハ、十進法ガ完全ニ行ハレ
テ居リマスカラ、枡目ト云フコトニ就テハ、日本ノ制度モ十
進法ニナッテ居リマス、サウシテ衡ト云フ方ニ於キマシテハ、百
六十匁ヲ以テ一斤トスル、斯ウ云フ百六十匁ヲ一斤トスル
ト云フヤウナコトガ行ハレテ居ル、是ハ日本ノ制度デアリマ
シテ、世界共通ノモノデナイカラ、是ハ甚ダ不便デアル、然ラ
バ正木君ノ御主張ニナリマシタ英國ハドウデアル、英國ト云
フモノハ實ニ驚クベキ複雜ナモノデアルノデゴザイマス、假リ
ニソレヲ申シテ見マセウナラバ、度ニ於キマシテハ「ヤード」ト
云フモノガ本ニナッテ居リマスガ、「ヤード」ヲ三分シテ之ヲ「フ
ート」ト中シマス、「フート」ヲ十二分シテ之ヲ「インチ」ト申シ
マス、「インチ」ト云フモノヲ二分ノ一四分ノ一、八分ノ一、
十六分ノ一三十六分ノ一ト云フモノデ、實際ニモウ機械ヲ
拵ヘテ居ル、甚ダ不便デス、ソレカラ二「ヤ〓ド」トー云フモノヲ
以テ一「フワゾン」二十二「ヤード」ヲ以テ一「チエーン」トスル、
(「簡單」ト呼フ者アリ)八十「チエーン」ヲ以テ一「マイル」トス
ル、洵ニドウモ不便デアル、更ニ其「ガロン」ト云フ枡目ニ付テ
申シマスルト云フト、四分ノ一「ガロン」ヲ以テ一「クオールト」
トシ、半「クオールト」ヲ以テ一「バイント」トシ、四分一「パイン
ト」ヲ一「ギル」トスル、ソレカラ上ニ行キマシテ二「ガロン」ヲ以
テ一「ベック」トスル、四「ベック」ガ一「ブッセル」、八「ブッセル」ガ一
「クオーター」、斯ウ云ムヤヤウニ實ニ不便ナモノデアルノデゴザ
イマス、更ニ此「ポンド」ニ行キマシテ一層混亂ヲシテ居ルノ
デゴザイマス、十六分ノ一「ポンド」ト云フモノヲ以テ一「オン
ス」トシ、一「オンス」ヲ十六ニ割リマシテ之ヲ一「ドラム」ト云
ヒ、七千分ノ一「ポンド」ガ是ガ一「ゲレーン」ト云フモノニナル
十四「ポンド」ガ一「ストーン」、二十八「ポンド」ガ一「コーター」
百十二「ポンド」ガ一「ハンドレト、ウエート」、二千二百四十
「ポンド」ガ一「トン」、斯ウ云フヤウナ實ニドウモ複雜極マルモ
ノデアル、斯ウ云フモノヲ以テ、吾ラモ成ベクナラバ我國ノ文
明ヲ輸入シタ本デモアルシ、又商賣上ノ關係ノ最モ密接ナ
ル英國米國ノ度量衡デアリマスカラ、成ベクナラバ英國ノ「ヤ
ード」、「フード」ト云フ度量衡ヲ用井タト考ヘマスガ、斯ノ如
キ混亂ヲシテ居ル所ノ度量衡制度ト云フモノハ、到底用井
ルコトハ出來ヌノデアル、是ハ正木君カラ英米ノ度量衡ニ就
テ御話ガアリマシタケレドモ、是ハ統一スル上ニ於テハ、全ク
無價値ノモノデアルト謂フテ私ハ差支ナイト思フ、ソレカラ
日本ニ於キマシテ度量衡ノ混雑ヲシテ居ルコトハ、大體前
ニ委員長カラ御話ガアリマシタガ、一ツノ例ヲ試ニ擧ゲテ見
マセウ、製鐵所ニ於キマシテドウ云フコトニナッテ居ルカト申
シマスト、製鐵所ハ初メ「メートル」式ヲ採用シタノデ、アリマ
ス、併ナガラ之ヲ遂行スルコトガ出來ナイ、今日ハドウ云フ事
ニナッテ居ルカト申シマスト云フト、製品デアル所ノ鋼材ニ付
テハ、英國式ノモノヲ用ヰテ居リ、サウシテ機械ヲ拵ヘル何ゾノ
設計ト云フコトニ就テハ、「メートル」ヲ使ッテ居リマス、更ニ礦
石ヲ勘定スルニハ、英國ノ噸ヲ用井テ居ル、サウシテ石炭ヲ
買入レルニ就テハ、英國噸カ若クハ斤ヲ用井テ居リマス、頗
ルオカシイノハ、其石炭ヲ勘定スルノニ「メートル」ノ秤ニ計
ル秤ガ無イカラシテソレヲ佛蘭西噸ニ依テ帳面ニ記入スル、
實ニ滑稽ナ事デアリマス、サウシテ造船業者ト、鐵道省カラ
ノ注文ハ、「ヤード」、「ポンド」ノ英國ノ式ニ依テ居リマス、陸
軍ノ注文ハ又「メートル」ニ依テ居リマス、建築業者ノ注文
ノ鐵筋ノ-色ミナ鐵骨ノ建築ナゾノ原料、是ハ日本尺ヲ用
井テ居ル、ソレヲ又細カク內容ニ亙ッテ見ルト一云フト、頗ル滑
稽ナ事ガアルノデゴザイマス、同一ノ官署、同一ノ事業者カ
ラノ注文デアッテモ、而モ同一ノ品物ニ對シテ擔任者所謂技
術者ガ更ハルト云フト、英國式ヲ用井、或ハ日本式ヲ用井、種
々雜多ニ變シテ居ル、尙ホ甚シキニ至リマシテハ、或ハ一ツノ
製品ニ就キマシテ、其重量ニ於テハ何貫目ト云フ日本ノ式
ヲ用井テ、サウシテ其幅ニ於テハ、英國ノ「インチ」トカ「フー
ト」ヲ用井テ居ル、サウシテ其長ハ「メートル」ヲ使ッテ居ル、斯
ウ云フヤウナ注文ガ續々來ルト云フコトデアリマス、製鐵所
ニ於テサヘモ、斯ノ如キ度量衡ノ混亂ヲシテ居ルノデアル、況
ヤ一般ノ機械ノ製造業者、或ハ電機製造業者等有ユル製
造業者ハ、此度量衡ノ混亂ニ依テ、頗ル困ッテ居ルノデアリ
マス、實ニ氣ノ毒ナ有樣ニナッテ居ルノデアル、斯ノ如キ有樣
デアリマスカラシテ、此度量衡ノ改正ト云フモノハ、一般ノ人
ニハソレダケ感ジガ深クナイカモ知レマセヌガ、斯ノ如ク當業
者カラ云ヒマスルト、實ニドウモ非常ニ之ヲ歡迎シテ居ルノ
デアル、何トカシテ之ヲ統一シナケレバナラヌ、此統一ガ出來
タナラバ、吾とハドレダケ助カルカ知レヌト云フヤウナ聲ガ、矢
ノ如ク吾〓ノ耳ニ入ッテ居ルノデアリマス、政府ニ於キマシテ
モ此問題ニ就キマシテハ、既ニ「メートル」條約ニ加入シ、又
今囘ノ世界聯盟會議ニ於キマシテモ、「メートル」制ヲ成ベク
早ク使用スルト云フ申合モアルコトデモアリ、長イ間〓究シ
テ居ル所ノ問題デアッテ、既ニ「メートル」制ヲ採用スルト云フ
コトハ議論ハモウ盡キテ居ル、如何ナル方法ニ依テ之ヲ實行
スルカト云フ問題ニ歸著シテ居ルノデアリマス、正木君ノ御
話ニ依リマスルト云フト、日本古來ノ度量衡ノ制度ヲ破壞
スルコトハ、如何ニモ惜シイト云フヤウナ意味ガゴザイマシタ
(正木照藏君「惜シイトハ中シマセヌ、ソンナ事ハアリマセヌ」
ト呼フ)惜シイト云ヘバ語弊ガアリマスカ知レマセヌガ、日本
ノ古來ノ制度ヲ破壊スルコトハ、餘程考モノデアルト云フコ
トヲ申サレマシタガ、成程之ニハ同感デアリマス、日本固有
ノ制度ヲ破壞スルト云フコトハ考モノデアリマス、併ナガラ單
ニ此制度ノミデハアリマセヌ、日本デ從來用井タ所ノ大陰曆
ヲ廢シテ太陽曆ヲ用井タ、ソレガ爲メニ或ハ節句ダトカ、或
ハ七夕ト云フヤウナモノガ無意味ニナッテ、洵ニ惜シイヤウナ
感ガアリマスガ、度量衡ト雖モ之ヲ改正シテシマヘバ、格別
ナ事ハナカラウト思フ、今日思想界ニ於テモ、隨分突飛ナ改
革ヲシヤウトスル人ガ澤山ニアル、度量衡ノ如キ是ハ一ノ死
物デアル、唯ダ其便利ヲ圖ル爲メノモノデアル、之ヲ改正ス
ルト云フコトハ、惜シイヤウナ感ガアリマスケレドモ、ソレハ囚
ハレタ一ノ御考デハナカラウカト私ハ考ヘルノデアル、實行困
難ト云フゴトモ亦申サレマシタガ、成程斯ウ云フ制度ヲ實行
スルコトハ頗ル困難デアリマセウ、併ナガラ日本ノ此度量衡
ト云フモノハ、何時ノ頃カラ始リマシタカ知リマセヌガ、餘程
前カラアッタモノデアリマシテ、屢〓、是ハ改正サレテ居リマス、
改正サレル度毎ニ、大陰曆ヲ太陽曆ニ更ヘタ如ク、此「メー
トル」制ニ度量衡ヲ改正シタ所ガ差支ナイ、唯ダ其名前ガ西
洋ニ流行シタ名前ヲ持っテ來タト云フ點ガ、唯ダ不愉快ナ
考ガアルト云ヘバアルダケノ話デ、何等差支ナイ、是ダケノ寸
法ヲ是ダケニ定メルト云フコトハ、何等思想上ニ差支ハ無
イト思フ、歐羅巴各國ガ皆ナ-皆ナデハアリマセヌガ、「メ
ートル」式ニ統一サレツヽアル、殆ド近キ將來ニ於テ、全部改
良サレルト云フ現況ニナッテ居リマスガ、唯ダ英國ト米國ガ
「ヤード」「フード」「ポンド」ヲ改正シナイ、是ハ如何ナモノデア
ラウト云フ御話デアリマスガ、此度ノ戰爭ニ就キマシテ、英
國デモ亞米利加デモ、度量衡ノ改正ノ必要ハ、頗ル熱心ニ
〓究ヲシ努力シテ居ル次第デアリマス、併ナガラ英國人ハ頗
ル保守的人種デアリマスカラ、之ヲ改正スルコトニハ〓躊ス
ルカモ知レマセヌガ、亞米利加ハ如何ニシテ此不便ナ所ノ度
量衡ヲ守ッテ居ノテ、「メートル」式ヲ採用シナイカ、此點ハ頗ル
怪訝ニ堪ヘマセヌ、併ナガラ是ハ先程申上ゲマシタ通リ、英
國ノ度量衡ト云フモノハ頗ル複雜デアッテ、中ミ容易ニ改正
スルコトガ出來ナイ、面倒臭イモノデアルカラ、ソレダケ改正
スルニ困難デアル、故ニ彼ノ歐米ノ國ニ於キマシテハ、度量
衡ノ改正ト云フモノハ、容易ニ實行スルコトガ出來ナイ所デ
アラウト私ハ考ヘルノデアリマス、斯ウ云フ意味カラ申シマシ
テ、成程正木君ノ御話ノヤウニ、短日月ノ間ニ斯ノ如キ重
大ナル問題ヲ決スルト云フコトハ宜クナイ、私ハ是ハ御同感
デゴザイマスケレドモ、本案ハ二月ノ二十九日ニ貴族院ニ提
出サレタモノデアリマシテ、貴族院デハ三月十九日ニ漸ク可
決シテ居リマス、其間ニ十分貴族院ニ於テハ愼重審議ノ時
間ガアッタコトヽ考ヘマス、唯ダ衆議院ニ參リマシテカラノ時
間ハ成程少イ、是ハ頗ル遺憾デアル、又正木君ハ鐵道省、遞
信省、陸軍、海軍、大藏省ノ委員ニ悉ク來テ貰フテ、質問應
答ヲ重ネタイ、斯ウ云フ御話デアリマシタガ、之ニ就テモ決シ
テ不贊成デハアリマセヌガ、併ナガラ昨日ノ委員會ト云フモ
ノハ、前後通ジテ三十幾ツカアッタサウデアリマス、況ヤ貴族
院ニ於テハ、衆議院デ可決シタ所ノ案ハ山ノ如ク積マレテ
居ルノデアリマス、晝夜ニ掛ケテ貴族院ハ熱心ニ審議ヲシテ
居ラレル、此時ニ當リマシテ各省ノ委員ヲ悉ク寄セルト云フ
コトハ、今日ハ餘程六ケシイコトヽ思ヒマス、是ハ殆ド實行
不可能ト思ヒマス、今期ハ最早今日ト明日ト二日シカ無
イ、サウ云フヤウナ場合デアリマスカラシテ、政府委員ガ揃ハ
ナイト云フコトハ、私ハ諒トシナクテハナルマイト思ヒマス、故
ニ正木サンノ御議論ハ私ハ賛成デハアリマスガ、併ナガラ此
「メートル」計系ヲ實行スルト云フコトハ、今日ハモウ其時機ハ
十分來テ居ルノデアル、唯ダ衆議院ニ於テ愼重審議ノ時間ガ
無カッタト云フニ止マルト思ヒマス、今日ノ此衆議院ト貴族
院ノ議事ノ有樣ニ御考ヲ及ボシテ戴イテ、ドウカ反對ノ御
意見ヲ撤回シテ戴キタイト私ハ御願ヲスル次第デ、ドウカ此
案ハ非常ナ重大ナモノデアッテ、當業者ハ大早ニ雲霓ヲ望ム
ガ知ク歡迎ヲシテ居ル(「ノウ〓〓」)案デゴザイマス、ドウカ滿
堂ノ御賛成アランコトヲ希望致シマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=47
-
048・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 早川君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=48
-
049・早川龍介
○早川龍介君 極ク短ウゴザイマスカラ是カラ申上ゲマス、
此日本ノ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=49
-
050・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 一寸早川君-委員長ニ質疑デ
アリマスガ、委員長ハ遠方デスカラ聞エナイカモ知レマセヌ、
登壇ナスッテハ如何デス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=50
-
051・早川龍介
○早川龍介君 ソレヂヤ登壇致シマス
〔早川龍介君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=51
-
052・早川龍介
○早川龍介君 委員長ノ御報告ハ洵ニ長ク詳シク御話
デアリマシテ能ク解リマシタガ、日本ノ一間ヲ六尺トシ、而シ
テ六十町トシテ、一里ヲ三十六町トシタト云フヤウナ十進
法デナイ、洵ニ據ロガ無イト云フ御話デアリマシタガ、是ハド
ウモ御間違デハナカラウカト思ヒマス、之ヲ一寸申上ゲテ質
問ニ入リマスガ、極ク簡單デス、御承知ノ通リ六ト申シマス
ルノハ、卽チ日本ノ氣候ニ依リマシラ六法ト云フモノガ出テ
參リマス、三十六ハ圓形ノ詰リ三百六十度、卽チ太陽ノ一
年ノ三百六十日ト云フモノヲ三百六十度ト致シタノハ、詰
リ一年間ノ三百六十日ハ三百六十五度デナケレバナラヌ
ノデアリマスケレドモ、ソレデハ端數ガ出マスカラ、圓形ノ計
算上惡イカラサウヤッタノデ、日本ノ尺度ハ所謂天地ノ公
道ト申シマス、乃チ明治天皇ノ御誓文ノ第四箇條ニアリマ
ス、天地ノ公道ニ基クベシト仰セラレタノハ、斯ノ如キ本ニ向ツ
テ起ヲテ居ルノデ、根源ガ無イト云フコトヲ仰セラレタガ、ソ
レハ間違ッテ居ルノデアリマス、ンコデ私ガ只今矢野君ノ御
說デアリマシタガ、寸法ハ死物デアル、定メレバ宜イ、一、斯ウ云
フコトデアリマスガ、凡テ寸法ノ起シテ來タ一番ノ始マリハ、
大陽ノ光ノ陰影カラ起。テ、始メテ尺度ト云フモノガ起ッテ
居リマスカラ、總テ天地間ノ原理ニ適ハナケレバナラヌ、決シ
テ死物デハナイト思フ、活キテ居ルモノニ適合シナケレバ、所
謂天地ノ公道ニ會ハヌモノニナルノデアリマス、銘々ガ約束
ノ上ニ定メレバ便利ノ方ガ宜イカモ知レマセヌガ、サウ云フ譯
デ、決シテ死ンダモノデハナイト思ヒマス、ソコデ伺ヒタイノハ
十進法デ行クト、圓形ノ三百六十ハ是ガ四百トカ、百トカ、
何カ世界通有ニ定メルコトガ出來ルノデアリマスガ、之ヲ一
ツ伺ヒタイ、圓形ノハ十進法デドウシテ定マルカ、斯ウ云云
事ヲ一ツ伺ッテ置キタイ(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=52
-
053・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 委員長発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=53
-
054・今泉嘉一郎
○今泉嘉一郞君 尺間ノ事ニ就テ十進法ニ非ズト云フコ
トヲ申シタノデアリマスガ、據ロガ無イト云フノデハゴザイマ
セヌ、ソレカラソレガ天理ニ合フトカ合ハストカ、又三百六
十度ノ代リニ、或ハ十進法ノ物デヤッタラドウカト云フヤ
ウナ事ヤ、其他ノ問題ハ此委員會デハ出マセヌデゴザイマシ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=54
-
055・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 討論ハ盡キマシタ、本案ノ第二讀
會ヲ開クヤ否ヤヲ御諮リシマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=55
-
056・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 第二讀會ヲ開クニ御異議ナシト認
メマス、仍テ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ
〔「異議アリ」ト呼フ者アリ」発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=56
-
057・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 異議ガアリマスカ、然ラバ採決致シ
マス、本案第二讀會ヲ開クニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=57
-
058・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 起立多數、仍テ第二讀會ヲ開クニ
決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=58
-
059・岩崎勲
○岩崎勳君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、第三讀會ヲ
省略シテ、委員長報告ノ通リ可決確定セラレンコトヲ望ミ
マス
〔「賛成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=59
-
060・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 岩崎君ノ動議ニ御異議アリマセヌ
カ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=60
-
061・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 御異議ナイト認メマス、仍テ直チニ
本案ノ第二讀會ヲ聞キマス
度量衡法中改正法律案第二讀會(確定議)
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=61
-
062・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 御異議ナイト認メマス、仍テ委員
長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手起ル)只今貴族院ヨ
リ日本勸業銀行法中改正法律案ガ回付セラレマシタ、此
際日程ヲ變更シテ議題ト爲スニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=62
-
063・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 御異議ナイト認メマス、仍テ日程ヲ
變更致シマス、貴族院囘付ノ箇所ヲ朗讀致サセマス
日本勸業銀行法中改正法律案(政府提出、
貴族院囘付)
〔原田書記官朗讀〕
日本勸業銀行法中改正法律案中貴族院回付ノ箇所
左ノ如シ
第五條中「參與二人以上ヲ置ク」ラ「顧問二人以內ヲ置
クコトヲ得」ニ改ム
第六條中「地方參與」ヲ「地方顧問」ニ「業務ニ參與ス」ヲ
「業務ニ關シ總裁ノ諮問ニ應ス」ニ改ム
第七條中「地方參與」ヲ「地方顧問」ニ改ム
(小字及-ハ貴族院修正)
〔参照〕
第五條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ニ規定スルモノノ外農工銀行ノ存在セサル府縣
顧問二人以內ヲ置クコトヲ得
每ニ地方參與二人以上ヲ置ク
第六條中「分掌ス」ヲ「分掌シ又ハ之ニ參與ス」ニ改メ同
條ニ左ノ一項ヲ加フ
顧問
地方參與ハ定款ノ定ムル所ニ依リ當該府縣內ニ於ケ
關シ總裁ノ諮問ニ應ス
ル日本勸業銀行ノ業務ニ參與ス
第七條中「百株」ヲ「四百株」ニ、「五十株」ヲ「二百株」ニ、
「三十株」ヲ「百二十株」ニ改メ同條ニ左ノ一項ヲ加フ
顧問
地方參與ハ當該府縣內ニ住所ヲ有シ百株以上ヲ所
有スル株主中ヨリ政府之ヲ命シ其ノ任期ヲ三箇年ト
ス但シ其ノ任期滿限ノ後再任ヲ命スルコトヲ得発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=63
-
064・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 御諮リ致シマス、貴族院ノ修正ニ
同意ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=64
-
065・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 起立多數、仍テ本案ハ貴族院ノ修
正ニ同意スルニ決シマシタ-次ハ日程第四乃至第八ノ各
案ハ、提出者同一ノ議案ナルニ依リ、一括議題ニ供シマス、
卽チ日程第四、勞働組合法案、第五、疾病保險法案、第
六、疾病保險特別會計法案、第七、工場法中改正法律
案、第八、鑛業法中改正法律案ノ第一讀會ヲ開キマス、提
出者鈴木富士彌君
第四勞働組合法案(箕浦勝人君外五名
提出)第一讀會
勞働組合法案
勞働組合法
第一條同種若ハ類似ノ企業又ハ之ニ密接ノ關係ヲ
有スル企業ニ從事スルコトヲ目的トスル勞働者ハ相集
リテ本法ニ依リ勞働組合ヲ設立スルコトヲ得
前項ニ屬セサル勞働者ハ別ニ勞働組合ヲ設立スルコ
トヲ得
同種若ハ類似ノ企業又ハ之ニ密接ノ關係ヲ有スル企
業ノ種類及前項ノ勞働組合ニ關シテハ主務大臣之
ヲルチノ
第二條勞働組合ハ組合員相互ノ扶助其ノ地位及利
益ノ擁護竝上進ヲ以テ目的トス
勞働ノ條件又ハ報酬ニ關シ協同ノ行動ヲ爲シ又ハ之
カ爲組合員ノ行爲ニ制限ヲ加フルハ前項目的ノ範圍
內ノ行爲ト看做ス
第三條勞働組合ヲ設立セムトスルトキハ設立ニ同意
シタル者ノ創立總會ヲ開キ定款ヲ議定スヘシ前項定
款ノ議定ハ設立同意者ノ四分ノ三以上ノ同意アルコ
トヲ要ス
第四條定款ニハ別ニ定ムル所ニ依リ規定スルコトヲ要
スルモノノ外左ノ事項ヲ規定スルコトヲ要ス
一目的
二名稱
三事務所
區域
六五四組織及事務管理ノ方法
資產ニ關スル規定
七組合員タル資格ニ關スル規定
八組合員ノ加入及脫退ニ關スル規定
九會費、加入金、手數料又ハ授業料等ノ額及拂込
方法
十組合員相互扶助ノ事業ニ關スル規定
十一組合員相互又ハ組合及組合員間ノ爭議栽定
ノ方法ヲ定ムル場合ニハ之ニ關スル規定
十二組合カ職業紹介及職工資格ノ證明ヲ爲ス場
合ニハ之ニ關スル規定
十三組合カ販賣組合、購買組合又ハ生產組合ノ事
業ヲ爲ス場合ニハ之ニ關スル規定
十四前各號ノ外組合ノ目的タル事業ノ遂行ニ關ス
ル規定
十五準備金ヲ置ケ場合ニハ其ノ額及積立方法
定款ハ總組合員ノ四分ノ三以上ノ同意アルニ非サレ
ハ之ヲ變更スルコトヲ得ス但シ定款ニ別段ノ定アルト
キハ此ノ限ニ在ラス
定款及其ノ變更ハ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第五條勞働組合ハ定款ノ認可ヲ受ケタルトキハ遲滯
ナク其ノ區域ヲ管轄スル地方廳ニ設立ノ屆出ヲ爲ス
ーン
屆出ニ關スル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
地方廳第一項ノ屆出ヲ受ケタルトキハ直ニ之ヲ公示
スヘシ
前項ノ公示ハ法人ノ登記ト同一ノ效力ヲ有ス
第六條勞働組合ハ法人トス
第七條勞働組合ニハ所得稅及營業稅ヲ課セス
組合ノ爲ス行爲ニ付テハ登錄稅ヲ課セス
組合ト組合員ドノ間ノ法律行爲ニ關シテハ印紙稅ヲ
課セス
第八條勞働組合カ組合員相互扶助ノ目的ヲ以テ生
命保險ノ事業ヲ營ム場合ニ於テハ保險業法ヲ適用セ
ス
第九條勞働組合カ組合員相互扶助ノ目的ヲ以テ販
賣組合購買組合又ハ生產組合ノ事業ヲ營ム場合ニ
於テハ產業組合法ヲ適用セス
第十條使用者ハ使用人ニ對シ其ノ勞働組合員タルヲ
理由トシ雇傭ヲ解クコトヲ得ス
第十一條勞働組合ハ少クトモ每年一回組合員ノ通
常總會又ハ總會ニ代ル機開ノ通常會ヲ開クコトヲ要
ス
必要アリト認ムル場合ニハ何時ニテモ臨時總會又ハ
總會ニ代ル機關ノ臨時會ヲ招集スルコトヲ得
第十二條特別ノ事由ニ依リ總會ヲ開クコト困難ナル
勞働組合ニ在リテハ定款ヲ以テ總會ニ代ル機關ヲ設
クルコトヲ得
前項機關ノ組織員ハ組合員中ヨリ之ヲ選擧スルコト
aldre
本法ニ定ムルモノノ外總會ニ代ル機關ニ關スル事項ハ
定款ヲ以テ之ヲ定ム
第十三條總會ニ代ル機關ハ定款ノ議定其ノ變更解
散及合併ノ決議ヲ爲スコトヲ得ス
第十四條組合員ハ總組合員五分ノ一以上ノ同意ヲ
得テ總會ノ目的及其ノ招集ノ理由ヲ記載シタル書面
ヲ提出シテ總會ノ招集ヲ理事ニ請求スルコトヲ得但シ
此ノ定數ハ定款ヲ以テ之ヲ增減スルコトヲ得
前項ノ規定ハ總會ニ代ル機關ヲ設ケタル場合ニ之ヲ
準用ス
第十五條組合員ニシテ總會又ハ之ニ代ル機關ノ招集
手續又ハ其ノ決議ノ方法カ法令又ハ定款ニ違反スト
認ムルトキハ議決ノ日ヨリ一箇月以内ニ其ノ決議ノ
取消ヲ監督官廳ニ請求スルコトヲ得
第十六條總會及之ニ代ル機關ハ理事之ヲ招集ス
第十七條總會又ハ之ニ代ル機關ノ招集ハ少クトモ五
日前ニ其ノ會議ノ目的タル事項ヲ示シ定款ニ定メタ
ル方法ニ從ヒテ之ヲ爲スコトヲ要ス
第十八條勞働組合ニ理事及監事ヲ置ケ
理事及監事ハ總會又ハ之ニ代ル機關ニ於テ之ヲ選舉
ス但シ組合設立當時ノ理事及監事ハ定款ヲ以テ之
ヲ定ム
第十九條理事ノ任期ハ三年トシ監事ノ任期ハ一年ト
ス但シ定款ニ別段ノ定アルトキハ此ノ限ニ在ラス
第二十條理事及監事ハ何時ニテモ總會又ハ之ニ代ル
機關ノ決議ヲ以テ之ヲ解任スルコトヲ得
第二十一條理事及監事ノ選擧及解任ハ總組合員ノ
半數以上出席シ其ノ議決權ノ四分ノ三以上ヲ以テ
之ヲ決ス但シ定款ニ別段ノ定アルトキハ此ノ限ニ在ラ
ス
前項ノ規定ハ總會ニ代ル機關ヲ設ケタル場合ニ之ヲ
準用ス
第二十二條民法第五十三條乃至第五十五條、第五
十七條、第五十九條、第六十三條乃至第六十六條ノ
規定ハ勞働組合ニ之ヲ準用ス
第二十三條勞働組合ハ主務官廳之ヲ監督ス
主務官廳ハ何時ニテモ理事ヲシテ組合ノ事業及財產
ニ關スル報告ヲ爲サシメ組合一ノ事業及財產ヲ檢査シ
其ノ他監督上必要ナル命令又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第二十四條勞働組合ノ事業又ハ行爲カ法令又ハ定
款ニ違反シ其ノ他公益ヲ害スツノ虞アルトキハ主務
官廳ハ總會又ハ之ニ代ル機關ノ決議ヲ取消シ理事監
事ノ改選ヲ命シ組合事業ヲ停止シ又ハ組合ヲ解散ヌ
ルコトヲ得
第二十五條民法第六十八條乃至八十四條ノ規定
ハ勞働組合ニ之ヲ準用ス
第二十六條勞働組合相互ノ氣脈ヲ通シ其ノ目的ヲ
達成スル爲同種ノ勞働組合ハ勞働組合聯合會ヲ設
立スルコトヲ得
勞働組合聯合會ヲ設立セムトスルトキハ各組合ノ聯
合總會又ハ總會ニ代ル機關ノ聯合會ヲ開キ定款ヲ議
定スヘシ
本法ノ規定ハ勞働組合聯合會ニ之ヲ準用ス
勞働組合聯合會ハ法人トス
附則
本法ハ大正十年六月一日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行前ニ成立スル組合ニシテ本法ニ該當スルモノ
本法施行後二箇月以內ニ第四條第三項ノ認可ヲ受ケ
ムトスル場合ニハ第三條ノ手續ヲ經ルヲ要セス
第五疾病保險法案(箕浦勝人君外五名
提出)第一讀會
疾病保險法案
疾病保險法
第一章總則
第一條疾病保險ハ政府之ヲ管掌ス
第二條疾病保險ニ於テハ政府カ被保險者ノ疾病、癈
疾、分娩及死亡ニ關シ保險給付ヲ爲シ之カ對償トシテ
國家、傭主及被保險者ヨリ保險料ヲ徴收スルモノトス
第三條疾病保險ノ保險給付及保險料ハ被保險者ノ
基本給料ニ依リ之ヲ量定ス
第四條被保險者ノ基本給料及保險料ニ關スル規定
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム但シ保險料ハ基本給料ノ百分
ノ六ヲ超ユルコトヲ得ス
第五條當該官署ニ於テ必要ト認メタル場合ハ醫師ヲ
シテ被保險者ノ身體檢査ヲ爲サシメ若ハ健康證明書
ヲ提出セシメ又ハ當該吏員ヲシテ傭主ノ事務所、工場
其ノ他附屬建物及被保險者ノ住居ニ臨檢セシムルコ
トヲ得
第六條疾病保險ニ關シ當該官署ニ對シ未成年者
ノ爲シタル行爲ハ成年者ノ爲シタル行爲ト看做ス
第七條疾病保險ニ關スル爭議事項ハ司司裁判所ノ
管轄トス
第八條疾病保險ニ關スル書類ニハ印紙稅ヲ課セス
第九條疾病保險ノ事務ニ關スル郵便物ハ命令ノ定
ムル所ニ依リ無料ト爲スコトヲ得
第二章保險範圍
第十條傭主ヨリ報償ヲ受ケテ從業スル左記ノ者ハ從
業ノ時ヨリ疾病保險ノ被保險者タルヘキモノトス
-勞働者、徒弟及小使
二事務員及技術員
三公吏、官公署雇員及傭人
四〓員
五日本ノ國籍ヲ有スル船舶ノ下級海員
公吏、官公署雇員及備人其ノ他國家又ハ公共團
體ノ勞務ニ從事スル者ニ付テハ國家又ハ公共團體ヲ
以テ傭主ト看做ス
傭主ヨリ受クル報償トハ俸給又ハ給料ノ外被保險者
カ其ノ代用トシテ受クル利益配當、現品給與其ノ他
ノ給與ヲ總稱ス
現品給與ノ價額ハ命令定ムル所ニ依リ市價ニ依リ
政府之ヲ評價ス
第十一條前條第一項第二號乃至第四號ニ揭ケタル
者ニ於テハ其ノ受クル報償カ一年ノ所得額七百圓以
下ナルコトヲ要ス
第十二條疾病、癈疾、分娩及死亡ニ關シ本法ニ準ス
ヘキ場合ニ於テ他ノ法令ニ依リ本法ト同等以上ノ給
付ヲ受クル者又ハ傭主ヨリ本法ト同等以上ノ給付ヲ
受クルノ保障アル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ疾病保險
ノ被保險者タルコトヲ免除セラルルコトヲ得
第十三條被保險者カ第十條ノ勞務ヲ去リタルトキ又
ハ第十一條ノ制限ヲ超過シタルトキハ疾病保險ノ被
保險者タル資格ヲ失フ
第十四條前條ニ依リ被保險者タル資格ヲ失ヒタル者
ニシテ一年以上問斷ナク疾病保險ノ被保險者タリシ
トキハ命令ノ定ムル所ニ依リ任意ニ疾病保險ノ被保
險者タルコトヲ繼續スルコトヲ得
第十五條前條ノ被保險者ニシテ一年ノ所得額一千
五百圓ヲ超過シタルトキ又ハ二回以上引續キ保險料
ノ拂込ヲ爲ササルトキハ疾病保險ノ被保險者タル資
格ヲ失フ
第十六條疾病保險ノ被保險者夕ルヘキ義務アル從業
員ノ從業ノ開始又ハ終了、所得ノ變更其ノ他疾病保
險ニ關シ必要ナル事項ハ命令ノ定ムル所ニ依リ傭主
ヨリ當該官署ニ屆出ツヘシ
第三章保險給付
第十七條疾病保險ノ保險給付ハ疾病給付、痿疾給
付、分娩給付及死亡給付ノ四種トス
基本給料ニ依リ保險給付ヲ爲スヘキコトヲ定メタル
場合ニハ事由發生當時ノ基本給料ニ依ル
第十八條疾病保險ノ被保險者カ故意ニ因ラスシテ疾
病ニ罹リタルトキハ被保險者ハ罹病期間命令ノ定ム
ル所ニ依リ左ノ疾病給付ヲ受クルモノトス但シ職業的
疾病ニ罹リタル者ハ此ノ限ニ在ラス
醫師ノ診斷治療ヲ受ケシメ必要ナル藥劑其ノ他
ノ治療品ヲ支給ス
二疾病ノ爲勞務不能ト爲リタルトキハ發病後第四
日目ヨリ每勞務日ニ付被保險者ノ基本給料ノ半
額ニ相當スル疾病手當金ヲ支給ス勞務不能ノ事
實カ第四日目以後ニ發生スル場合ニハ其ノ發生ノ
日ヨリ支給ス
被保險者カ故意ニ因ラスシテ業務上ノ傷害ニ非サル
傷害又ハ之ニ基ケル疾病ニ罹リタルトキハ前項ヲ準用
ス
職業業疾疾ノ種類ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十九條被保險者ノ同意アルトキハ前條ノ給付ニ代
ヘテ命令ノ定ムル所ニ依リ被保險者ヲ病院ニ收容シ
治療ヲ爲サシムルコトヲ得但シ左ノ場合ニ於テハ被保
險者ノ同意ヲ要セス
-疾病ノ性質ニ依リ自宅治療ノ不能ナルトキ
二傳染病ナルトキ
三斷ヘス診斷ヲ要スヘキ病狀ニ在リテ醫師カ必要
ト認ムルトキ
第二十條前條ノ場合ニ於テ被保險者カ其ノ勞務所
得ノミヲ以テ其ノ家族ヲ扶養シ又ハ家族ノ生計費ノ
大部分ニ供シタルモノニ在リテハ命令ノ定ムル所ニ依
リ疾病手當金ノ半額ニ相當スル家族手當金ヲ支給
ス
第二十一條第十八條第一項第一號ノ給付ハ發病ノ
日ヨリ同條第一項第二號及前條ノ給付ハ支給開始
ノ日ヨリ起算シ六箇月ヲ以テ終了ス
第二十二條入院ノ必要ヲ認ムルモ實行不能ナルトキ
又ハ自宅治療ヲ爲サシメ若ハ家族ト同居セシムヘキ重
大ナル事由アルトキハ被保險者ノ同意ヲ得テ看護
ヲ付スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ疾病手當金ノ中ヨリ命令ノ定ム
ル所ニ依リ其ノ四分ノ一以內ノノ額ヲ控除スルコトヲ
得
第二十三條三年以上繼續シテ疾病保險ノ被保險者
タリシ者ノ疾病ニシテ六月ヲ超ユルトキハ被保險者ハ
從業不能ノ繼續スル限リ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ
基本給料ノ四分ノ一ニ相當スル金額ノ癈疾給付ヲ受
クルモノトス
第二十四條疾病保險ノ被保險者ト爲リタル後六月
ヲ經過シタル產婦ハ命令ノ定ムル所ニ依リ八週間被
保險者ノ基本給料ノ半額ニ相當スル金額ノ分娩給
付ヲ受クルモノトス
前項ノ分娩給付中六週間分ハ分娩後支給スルヲ要
第二十五條被保險者ノ同意アルトキハ前條ノ分娩給
付ニ代ヘ命令ノ定ムル所ニ依リ產婦ヲ產婦收容所ニ
收容シ又ハ分娩給付ヲ減シテ、看護婦ヲ付スルコトヲ
得
第二十條ノ規定ハ產婦ヲ產婦收容所ニ收容シタル場
合ニ之ヲ準用ス
第二十六條被保險者カ第十八條ニ定ムル疾病又ハ
傷害若ハ之ニ基ケル疾病ノ、結果死亡シタルトキハ命
令ノ定ムル所ニ依リ其ノ相續人ハ被保險者ノ基本給
料ノ二十日分ニ相當スル金額ノ死亡給付ヲ受クルモ
ノトス但シ職業的疾病又ハ業務上ノ傷害ニ付テハ此
ノ限ニ在ラス
被保險者カ疾病給付ヲ受ケ其ノ給付期間滿了後一
年內ニ死亡シ且死亡ノ時迄勞務不能ナリシトキ亦前
項ニ同シ
死亡給付ハ相續人ナキトキハ之ヲ埋葬管理者ニ支給
ス
第二十七條本章ニ規定スル保險給付ヲ爲シ尙疾病
保險特別會計ニ剩餘金アル場合ニ於テハ其ノ範圍
內ニ於テ保險給付ヲ增額シ又ハ支給期間ヲ延長スル
コトヲ得
前項ノ場合ニ關スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十八條六月以上疾病保險ノ被保險者タリシ者
ニシテ失業ノ爲被保險者タル資格ヲ失ヒタル後三週
間以内ニ保險事故ヲ發生シタル場合ハ命令ノ定ムル
所ニ依リ保險給付ヲ受クルコトヲ得
第二十九條第十四條ノ規定ニ依リ繼續被保險者ト
爲リタル者ハ繼續被保險者ト爲リタル時ヨリ二月ヲ
經過スルニ非サレハ保險給付ヲ受クルコトヲ得ス
第三十條左ノ場合ニ於テハ其ノ期間保險給付ヲ
停止ス
一保險給付ヲ請求シ得ル者禁錮以上ノ刑ニ處セ
ラレタルトキ又ハ感化院ニ收容セラレタルトキ
二保險給付ヲ請求シ得ル者外國ニ其ノ住所ヲ移
轉シタルトキ
四三治療中ノ被保險者カ醫師ノ指揮ニ從ハサルトキ
被保險者カ故意ニ疾病ヲ招キ又ハ犯罪ニ因リ疾
病ヲ招キクルトキ
第三十一條疾病保險ノ被保險者ト爲リタルトキ旣ニ
疾ニ罹リタルモノナルトキハ其ノ疾病ニ付テハ命令ノ
定ムル所ニ依リ保險給付ヲ爲サス又ハ之ヲ減額スル
コトヲ得
第三十二條保險給付ヲ受クヘキ者二年間請求ヲ爲
ササルトキハ請求權ハ時效ニ依リテ消滅ス
第三十三條保險給付ハ命令ノ定ムル所ニ依リ被保
險者其ノ家族若ハ相續人又ハ埋葬管理者ノ申請ニ
基キ當該官署之ヲ決定ス
第三十四條保險給付ノ請求權ハ之ヲ譲渡スルコトヲ
得ス但シ法令ニ別段ノ定アルトキハ此ノ限ニ在ラス
第三十五條保險給付ノ請求權ハ之ヲ差押フルコトヲ
得ス
第三十六條被保險者カ疾病ニ罹リタルトキ、傷害ヲ
受ケタルトキ、分娩シタルトキ又ハ死亡シタルトキハ傭主
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ當該官署ニ之ヲ屆出ツヘシ
第四章保險料
第三十七條疾病保險ノ保險料ハ國庫、傭主及被保
險者左ノ割合ニ依リ之ヲ分擔ス但シ第十四條ノ規定
ニ依リ繼續被保險者ト爲リタル者ハ保險料ノ全額ヲ
負擔ス
一四庫保險料ノ百分ノ
傭主保険料ノ百分ノ四十五
一被保險者保險料ノ百分ノ四十五
第三十八條被保險者ノ從事スル職業ニシテ罹病危
險率著シク高キモノニ在リテハ命令ノ定ムル所ニ依リ
其ノ保險料額ヲ高ムルコトヲ得但シ第四條ノ制限ヲ
超ユルコトヲ得ス
前項職業ノ傭主ハ前項ノ處分ニ對シ異議ヲ申出ツル
コトヲ得
異議及其ノ決定ニ關スル事項ハ命令ヲ以テ之ヨ疋ム
第三十九條前條ノ割增保險料額ハ傭主ノ負擔トス
第四十條被保險者カ本法ノ規定ニ依ル保險給付
ヲ受クル期間ハ保險料ヲ徴收セス
第四十一條傭主ハ命令ノ定ムル所ニ依リ自己ノ負擔
タルヘキ保險料額ト共ニ其ノ使用スル被保險者ノ負
擔タルヘキ保險料額ヲ拂込ムヘシ但シ第十四條ノ繼
續被保險者ノ負擔タルヘキ保險料額ハ此ノ限ニ在ラ
ス
第十四條ノ繼續被保險者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其
ノ負擔タルヘキ保險料額ヲ拂込ムヘシ
第四十二條前條第一項ニ依リ傭主ノ拂込ミタル被
保險者ノ負擔タルヘキ保險料額ハ被保險者ノ受クヘ
キ報償ノ中コリ控除スヘキモノトス
第四十三條被保險者カ同時ニ二個以上ノ勞務關係
ヲ有スルコトハ各傭主ハ其ノ保險料ニ付連帶シテ其
ノ責ニ任ス
第四十四條保險料ノ徵收ニ付テハ國稅徵收法ノ例
二九ノ
前項ノ徵收金ハ國稅ニ次キ先取特權ヲ有シ其ノ追
徵、還付及時效ニ付テハ國稅ノ例ニ依ル
第五章審議機關
第四十五條疾病保險ニ關シ重要ナル。事項ヲ審議セ
シムル爲疾病保險委員會ヲ置ク
疾病保險委員會ニ關スル規定ハ本法ニ定ムルモノノ
外勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十六條本法ニ基キテ發スル命令ハ疾病保險委
員會ノ審議ヲ經ルコトヲ要ス
第四十七條疾病保險委員會ハ政府、傭主及被保險
者竝學識經驗アル者ノ中ヨリ政府ニ於テ委員ヲ命シ
之ヲ組織ス
第六章審査機關
第四十八條疾病保險ニ關シ爭議事項ヲ審査セシム
ル爲疾病保險審査會ヲ置ク
疾病保險審査會ニ關スル規定ハ本法ニ定ムルモノノ
外勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十九條疾病保險ニ關シ民事訴訟ヲ提起セムト
スル者ハ疾病保險審查會ノ審査ヲ經ルコトヲ要ス
前項ノ審査ヲ受ケタル後一月ヲ經過シタルトキハ訴訟
ヲ提起スルコトヲ得ス
第五十條前條ノ審査ノ請求ハ時效ノ中斷ニ關シテ
ハ之ヲ裁判上ノ請求ト看做ス
第七章罰則
第五十一條正當ノ理由ナクシテ當該官吏ノ臨檢ヲ拒
ミ若ハ之ヲ妨ケ又ハ其ノ訊問ニ對シ虚僞ノ答辯ヲ爲
シ若ハ答辯ヲ爲ササル者ハ二百圓以下ノ罰金ニ處ス
第五十二條正當ノ理由ナクシテ被保險者ノ身體檢
査又ハ健康證明書ノ提出ヲ拒ミクル者ハ五十圓以下
ノ罰金ニ處ス
第五十三條本法ノ保險給付ヲ受クル目的ヲ以テ故
意ニ不實ノ告知又ハ陳述ヲ爲シタル者ハ六月以下ノ
懲役ニ處ス
第五十四條傭主カ故意ニ被保險者ノ負擔タルヘキ保
險料額以上ノ金額ヲ其ノ支拂ハルヘキ給料中ヨリ控
除シタルトキハ三月以下ノ懲役ニ處ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六疾病保險特別會計法案(箕浦勝人
君外五名提出)第一讀會
疾病保險特別會計法案
疾病保險特別會計法
第一條疾病保險ヲ經營スル爲特別會計ヲ設置シ其
ノ歲入ヲ以テ其ノ歲出ニ充ツ
第二條本會計ニ於テハ傭主及被保險者ノ支拂フ保
險料額、毎年度豫算ノ定ムル所ニ依リ一般會計ヨリ
繰入ルル國庫ノ負擔夕ルヘキ保險料額、積立金ヨリ生
スル收入及附屬雜收入ヲ以テ其ノ歳入トシ保險給付
トシテ支給セラルル一定金額及經費竝事業取扱費
其ノ他ノ諸費ヲ以テ其ノ歳出トス
第三條本會計ニ於ケル歳入力歲出總額ニ超過スル金
額ハ之ヲ積立ツヘシ
本會計ノ歲計ニ不足アルトキハ積立金又ハ一般會計
ヨリ之ヲ補足スヘシ
第四條政府ハ每年本會計ノ歲入歳出ノ豫算ヲ調製
シ歳入歳出ノ總豫算ト共ニ之ヲ帝國議會ニ提出スヘ
シ
第五條本會計ノ收入支出及積立金ノ運用ニ關スル
規定ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附則
本法ハ疾病保險法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第七工場法中改正法律案(箕浦勝人君
外五名提出)第一讀會
工場法中改正法律案
工場法中左ノ通改正ス
第十五條職工故意ニ因ラスシテ業務上死亡シ若ハ負
傷シタルトキ又ハ職業的疾病ニ罹リタルトキ又ハ業務
上ノ負傷若ハ職業的疾病ニ因リ死亡シタルトキハ工
業主ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ本人又ハ其ノ遺族ヲ扶
助スヘシ
職業的疾病ノ種類ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第八鑛業法中改正法律案(箕浦勝人君
外五名提出)第一讀會
鑛業法中改正法律案
鑛業法中左ノ通改正ス
第八十條鑛夫故意ニ因ラスシテ業務上死亡シ若ハ負
傷シタルトキ又ハ職業的疾病ニ罹リタルトキ又ハ業務
上ノ負傷若ハ職業的疾病ニ因リ死亡シタルトキハ鑛
業權者ハ命令ノ定ムル所ニ從ヒ鑛夫又ハ其ノ遺族ヲ
扶助スヘシ
職業的疾病ノ種類ハ命令ヲ之ヲ定ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=65
-
066・岩本平藏
○岸本平藏君 議長-議事ノ進行ニ就テ發言ヲ求メ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=66
-
067・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 今鈴木君ニ許シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=67
-
068・岩本平藏
○岩本平藏君 此問題ニ就テノ議事ノ進行ニ就テデアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=68
-
069・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) ソレデハ一寸鈴木君御待チ下サ
イ-岩本君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=69
-
070・岩本平藏
○岩本平藏君 只今ノ日程ニ上リマシタ第四乃至第八ノ法
律案ハ、私ハ提案者ニ向ッテ御撤回ヲ御勸告ヲ致シタイト
思フノデアリマス、卽チ本議會ハ明日ヲ以テ最後ノ日デアリ
マス、而シテ此法律案ハ只今決議ヲ致シマシテモ、常識ヨリ
之ヲ考ヘテ見マシテモ、決シテ本院ヲ通過スルノ見込ハ無イ
ノデアリマス、然ルニ此問題ヲ玆ニ提出ヲ致シマスコトハ、單
ニ一黨ガ此案ヲ提出スルト云フ名ヲ天下ニ賣ル爲メニ、私
ハ出スノデハアルマイカト思フ、(「ノウ〓〓」)殊ニ只今正木
君ノ如キハ、前ニ決議ヲ致シマシタ案ニ就キマシテモ、提案サ
レタ日ガ遲ク、深切ニ之ヲ討議スル時間ガ無イト云フマデ、
謂フ所ノ反對ノ議論ヲセラレテ居ル所ノ憲政會ノ諸君トシ
テ、私ハ之ヲ提出サレルノハ甚ダ不可思議ト田心、是ハ決シ
テ惡意ヲ以テ申上ゲルノデハナイ、何卒諸君ノ常ニ御主張
ナサル所ノ、正當ナル御意見ニ基ツイテ御撤囘ナサルコトガ、
私ハ至當デハナイカト思ヒマス、(「モウ日程ニ上ッタ」ト呼フ
者アリ)爰ニ御勸告ヲ申シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=70
-
071・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 鈴木富士彌君
〔「マダ建議案ガ澤山出テ居ルヂヤナイカ「「建議案ハ
別デス」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=71
-
072・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 靜ニ
〔鈴木富士彌君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=72
-
073・鈴木富士彌
○鈴木富士彌君 會期切迫ノ折柄、勞働組合法案ノ上
程ノ非常ニ遲レタルコトハ、洵ニ遺憾ニ堪ヘナイ所デゴザイ
マス、併ナガラ是ハ政府カラ此議會ニ同一ノ法案ガ提案サ
レルヤニ承ッテ居リマシタカラ、之ヲ待ツ意味ニ於テ提案ガ遲
レ、提案ノ後色ミナ行違ガアリマシテ、上程ガ今日マデ延引
セラレタ次第デアリマス、此邊ハ皆樣ノ御諒承ヲ願ッテ置キ
タイト思フノデアリマス、而シテ本案ハ國際勞働會議ノ決議
ニモ關係ヲ有スル重要ナル法案デアリマスカラ、切迫ノ折柄
デハアリマスルガ、提案ノ理由ダケデモ申述ベテ置ク必要ガ
アルト信ジマス手短ニ理由ノ存スル所ヲ申述べテ見タイト
思フノデアリマス、近年勞働爭議ノ著シク多クナッタト云フ
コトハ、閑却スベカラザル社會現象ノ一ツデゴザイマス、殊ニ
歐洲大戰亂後ニ於テ、日本ノ勞働者ハ一面世界ノ大勢ニ
促サレテ、自己ノ權利ト勢力トヲ自覺スルト同時ニ、又一面
物價ノ暴騰ニ伴フ生活ノ脅威ニ刺戟セラレ、或ハ同盟罷工
或ハ「サポタージユ」ノ手段ヲ以テ、資本家ニ對スル勞働條件
ノ改善ヲ求メル者ガ、所在到ル處ニ頻々トシテ起ッテ來タノ
デアリマス、斯ノ如キハ產業ノ自由競爭ヲ認メル現在ノ經
濟組織ノ下ニ於テハ、當然起ルベキ現象デアル、既ニ歐米諸
國ニ於テハ前世紀以來ノ大問題デアリ、日本ハ工業ノ發達
ニ伴ッテ、輓近激シク此種ノ現象ガ生ズルニ至ッタノデアリマ
ス、而シテ日本ニ於キマスル勞働ノ爭議ノ結果ハ、多ク勞働
者側ノ不利益ニ落著ヲ致シテ居リマス、統計ノ上デハ妥協
解決ト云フコトガ澤山アルヤウニ見エテ居リマスケレドモ、事
實ニ於テハ、資本家側ノ勝利ニ歸シテ居ルノガ多イノデアリ
マス、勿論過當ノ要求ヲ提出シテ無暗ニ資本家ヲ窘メ、不
合理ナル勞働問題ガ失敗ニ歸スルノハ當然デアリマスケレ
ドモ、第三者カラ見テ至極穗當ダト思ハレルヤウナ條件ヲ持
出シタ場合デモ、勞働者側ノ敗北ニ歸シテ、却テ是ガ爲メニ
前ヨリモ一層悲慘ナ境遇ニ陷ルヤウナ例ガ少ナクナイノデ
アリマス、此點ハ爲政者トシテ、特ニ愼重ニ考慮スベキ重要
ナ案件デアルト信ズルノデアリマス、現在ノ日本ニ於キマシ
テ、勞働者ノ大部分ト云フモノハ、其牧入ヲ以テシテハ、遠
ク子孫ノ計ヲ爲スコトノ出來ナイノハ『勿論、當面ノ生活ノ
安定スラ得ラレナイト云フヤウナ狀態デアルノデアリマス、夙
ニ起キ夜半ニ寢ネ終日攷々營々トシテ得ル所ノ勞銀ハ、未
ダ以テ滿足ニ一家ヲ支フルニ足ラズト云フ有樣デアリ、肉體
精神ノ過勞竝ニ不足勝ナ生活ニ基ヅイテ發スル所ノ健康
上ノ障害、又ハ工場ノ衞生設備ノ缺陷ニ基ヅイテ發スル諸
種ノ傷害疾病等ハ、漸次彼等ノ肉ヲ削リ骨ヲ殺イデ、遂ニ
其天壽ヲ全フスルコトガ出來ナイト云フ者モ亦多々存スルヽ
此悲ムベキ現象ヲ此儘ニ放任シテ行クト云フコトハ、洵ニ忍
ピナイ事デアリマス、果シテ然ラバ、如何ナル手段ヲ以テ勞働
者ヲ此窮地ヨリ救濟スベキカト申シマスレバ、爰ニ二ツノ方
法ガ存スルノデアリマス、卽チ法律ヲ以テ勞働條件ヲ規定
シテ、資本家竝ニ勞働者ヲシテ之ニ依ラシムルノモ一ツノ方
法デアリマス、又勞働組合ヲ組織セシメテ、其團體的勢力
ヲ以テ條件ノ改善ヲ圖ラシムルノモ、一ツノ方法デアリマス、
前ノ方法ハ勞働法規ノ制定ニ依テ其目的ヲ達シ、後ノ方
法ハ勞働組合ノ承認保護ニ依テ其目的ヲ達スルコトガ出
來ルノデアリマス、各種ノ勞働條件ノ中最モ重要ナル勞働
賃銀ノ問題、竝ニ失業防止ノ問題ハ、是ハド「ウシ】テモ勞働
組合法ノ制定ニ依テ、其組合ノ勢力ヲ以テ解決シタ後デナ
ケレバ、到底合理的ノ解決ヲ見ルコトハ出來ナイノデアリマ
ス、斯樣ナ場合ニ於テ、勞働組合ハ獨リ闘争的團體、戰鬪
的勢力トシテ働クノデアリマスルガ、勞働組合ハ是パカリガ
作用デハアリマセヌ此鬪爭的ノ職分ノ外ニ、又共濟的ノ職
分ヲ持ッテ居リマス、卽チ組合ニ屬スル勞働者ハ、相互扶助
ノ精神ニ依テ、緩急相應ジテ自治的ノ救濟ヲ互ニヤルコト
ニ依テ、多大ノ利益ヲ得ルノデアリマス、或ハ葬式惠與金、
或ハ養老惠與金、或ハ失業惠與金、或ハ疾病恵與金、或ハ
傷害惠與金ト云フモノヲ與ヘテ、互ニ有無相通ジテ、彼等
ニ幸福ナル生活ヲ爲サシムルコトガ出來ルノデアリマス、斯
樣ナ次第デアリマシテ、勞働組合ハ勞働者ノ幸福ヲ保護增
進スルノガ主タル目的デアリマスルガ、.組合組織ノ結果、利
益ヲ受クル者ハ獨リ勞働者バカリデハアリマセヌ、資本家ニ
於テモ勞働争議ヲ解決スルニ的リマシテ、整頓セル一ノ對
手ヲ見出シテ、是ハ互ニ談判スルト云フコトハ、爭議ヲ合理
的ノ基礎ノ上ニ解決スルニ、ドウシテモ必要ナ次第デアリマ
スノミナラズ、又世ニ所謂山師的勞働運動者、卽チ勞働運
動ノ「ブローカー」ト稱セラルルヤウナ者ガ、勞働者ノ無智ニ
乘ジテ產業界ノ平和ヲ攬亂スル、ソレヲ牽制スル上ニ於テ
モ、又之ヲ抑ヘル上ニ於テモ、少ナカラヌ利益ガアルノデアリ
マス、斯樣ナ次第デアリマスカラ、勞働組合法ヲ制定スルコ
トハ、各種勞働問題解決ノ前提デアリ、基礎デアルト申シテ
差支ナイノデアリマス、或人ハ申シマスガ、勞働組合ハ現在
ノ法制ノ下ニ於テ、何等之ヲ禁止スル所ノ條文ガ無イカラ
自由デアル、故ニ何モ勞働組合法ヲ急イデ制定スルニ及バ
ナイ、斯樣ナ意見ガ政府部內ノ或省ニ存在スルト云フコト
ハ隱レモナイ事實デアリマス、是ハ丁度十九世紀ノ終リ頃
ニ於テ、歐洲諸國ノ固隅ナル官憲ノ頭ヲシタル所ノ舊思想
ノ殘物デアルト云フノデアリマス、(拍手起ル)勞働組合發達
ノ歴史ヲ尋ネテ見ルト、會テ組合結社ヲ嚴禁シタ時代ガア
リマス、續イテ組合ハ認メタケレドモ、其運動ヲ嚴シク制限
シタ時代モアリマス、其後ニ至ッテ「其制限ヲ取ッテ完全ニ勞
働組合ヲ認メ、勞働者ノ團結權罷業權ト云フモノヲ確立
シテ、寧ロ其組合ヲ保護スル時代ガ來タノデアリマス、只今歐
米諸國ハ此時代デアッテ、何レノ國ト雖モ、勞働組合ヲ保護
獎勵シテ居ラヌ所ハアリマセヌ、卽チ勞働者及勞働組合ヲ
國家統制ノ下ニ總轄シテ、之ガ監督ヲ容易ナラシムルト同
時ニ、又之ニ保護ヲ加へテ居ルト云フ頗ル厚イモノガアリマ
ス、飜テテ日本ヲ見ルト、僅ニ第二期ノ制限時代ニ彷徨シテ
居ルノ有樣デアリマス、組合ノ組織ハ口デコソ自由デアルト
申シマスガ、治安警察法十七條其他幾多ノ法規ガアリ
マシテ、此組合ノ組織ト云フモノヲ束縛致シテ居ルノデアリ
マス、世界ノ大勢ニ遲ルヽコト頗ル大ナルモノガアリマス、日
本ノ國運ノ進展ハ、斯ノ如キ蒙昧時代ニ逡巡ンテ、惰眠ヲ
貧フテ居ルコトヲ許シマセヌ、形勢ニナッテ居リマス、(拍手起
ル)歐米先進國ト同樣ニ完全ナル勞働組合法ヲ制定シテ、
第三期ノ保護時代ニ入ラナケレバナラヌコトヽ私ハ確ク信
ズル次第デアリマス、(拍手起ル)大正八年ノ秋ニ第一囘國
際勞働會議ガ華盛頓デ開カレマス際ニ、日本ハ之ニ派遣ス
ペキ勞働者側ノ委員ヲ選定スル際ニ、非常ナル混雜ト紛擾
トヲ惹起シテ、血ヲ見ルバカリノ騒ヲ致シタコトハ、今尙ホ世
人ノ記憶ニ新ナル所デアリマス、斯クテ辛ウジテ選出シタル
委員桝本某ガ華盛頓ニ到著シタル後、早々準備委員會ニ
於テ、米國委員「ゴンバース」氏ヨリ其資格ニ疑アリトシテ詰
問セラレ、又抗議書ヲ其席上ニ於テ朗讀セラレ、非常ニ面
目ヲ失シタル事實ガアルノデアリマス、百方辯疏ノ後僅ニ其
資格ヲ認メラレタノデアリマスケレドモ、白耳義選出ノ勞働
者委員「メルタン」氏ハ之ニモ滿足セズシテ、本會議ニ於テ日
本ニ對スル干涉/決議案ナルモノヲ持山シタト云フコトデ
アリマス、其干涉決議案ナルモノハ、甚ダ日本ヲ侮辱セルモ
ノデアリマス、其文ヲ讀〓マスト、「華盛頓國際會議ノ勞働委
員ハ日本ノ正式勞働委員ノ列席ナキヲ認メ且此出席ナキ
ハ日本政府ガ勞働者ノ結社權ノ自由ナル行使ヲ禁止シタ
ル結果ナリト思考シケルニ依リ又斯ル政策ハ民主々義ニ悖
戾シ兼ネテ國際勞働會議ノ根本精神ニ抵觸スルモノナリ
ト思考シタルニ依リ又竝ニ「本會ヨリ日本政府ニ對シ日本
ニ於テモ國際聯盟ノ各構成國ト同樣組合結社權ノ無制限
ナル行使ヲ完全ニ承認シ且遵守セシムル爲干渉ヲ爲スベキ
コトヲ要求ス」干涉ト云フ文字ヲ用井、民主々義ニ悖戾ン、
勞働會議ノ根本精神ニ抵觸スルト云フヤウナ文字ヲ用井
テ、我カ日本帝國ヲ罵ルノ文書ヲ作ッテ提出致シテ居ルノデ
アリマス、世界五大國ノ一ニ數ヘラレタル日本モ、華盛頓ノ
勞働會議ニ於テハ、列國環視ノ間ニ斯ン如キヨ苦シキ醜態
ヲ暴露致シタノデアリマス、(拍手起ル)是ハ全ク勞働組合
法ノ制定ノ遲延シタル罪ノ報デアルト私ハ深ク信ズルノデ
アリマス、(拍手起ル)以上述ブルガ如キ次第デアリマシテ、第
一ニハ勞働者ヲ保護シ、勞働者ノ幸福ヲ增進セシムル爲メ
ニ、第二ニハ勞働組合竝ニ勞働運動ノ監督ヲ容易ナラシム
ル爲メニ、又一ツニハ國際聯盟ノ重要ナル一員トシテ、他ノ
工業國トヲ肩較ヘル帝國ノ面目ヲ維持スル爲メニ、勞働組
合法ヲ制定スルコトハ、一日ヲ緩ウスベカラザル日本國家ノ
急務デアルト確信致シマシテ、】本案ヲ提出致シマシタ次第
デゴザイマス、(拍手起ル)次ニ疾病保險法案提出ノ理由ヲ
簡單ニ一言致シマス、御承知ノ如ク明治四十四年ニ工場
法ガ制定公布セラレテ、我ガ日本ハ社會政策的立法ニ始
メテ第一ノ指ヲ染メタノデアリマス、爾來勞働者ノ數ハ著シ
ク增加致シテ、勞働ハ商品ニ非ズト云フ原則スラ承認セラ
レマシテ、勞働者保護ノ聲ハ、翕然トシテ政府竝ニ資本家
ヲ覺醒シタルニモ拘ラズ、其後勞働ニ關スル立法事業ト云
フモノハ、名ヲ調査ニ藉リテ、其實ハ殆ド之ヲ放棄シテ顧ミ
ザルノ狀態デアッタノデアリマス、惟フニ勞働者保護ノ爲メニ
必要ナルモノ、勞働組合法ヲ別ニシテハ、第一ニ工場法ヲ推
シ、第二ニハ勞働保險法ヲ推サナケレバナラヌト信ジマス、御
存ジノ如ク工場法ハ、勞働者ノ被ルベキ害惡ヲ未然ニ防グ
爲メノ法規デアリ、勞働保險法ハ、同ジ害惡ヲ事後ニ枚済
スルノ法律デアリマスルカラ、此兩者ハ相俟ッテ、始メテ勞働
者ノ保護ヲ完全ニスルコトガ出來ルノデアリマス、數年前ニ
於テ工場法ヲ採用シタル所ノ日本ハ、其順序ト致シマシテ、
ドウシテモ勞働保險法ヲ制定シナケレバナラヌ立場ニ在ル
モノト信ジマス、而シテ單ニ勞働保險法ト申シマシテモ、疾
病保險アリ、傷害保險アリ、失業保險アリ、死亡保險アリ、
是等ノ保險ヲ一時ニ採用實行スルト云フコトハ不可能デ
アリマス、然ラバ其內孰レヲ先ニシタラバ宜シ。イカト云フ問
題ニナリマスレバ、何人モソレハ疾病保險デアルト云フニ躊
躇シナイノデアリマス、疾病ニ對スル救濟ノ事業ハ、日本ニ
於キマシテハ夙ニ財團法人濟生會ノ設ケガアリマス、又普
通ノ病院醫院ニ於テ、施藥治療ノ設備ノアル所モアリマス、
又業務上ノ傷害及職業的疾病ニ關シマシテハ、場主ニ賠
償責任ヲ負ハシメテ居ル所ノ法律モゴザイマス、又勞働者
ノ團體若クハ工場自ラガ、共濟的制度ヲ設ケテ居ル所モア
リマス、先程申シマシタ勞働組合ノ如キモ、此共濟的職分
トシテ極メテ重要ナルモノデアリマスルガ、併シ是等ハ國家
ノ大局カラ見マスルナラバ、不整頓不十分デアリマシテ啻
ニ此救濟ノ程度ガ不徹底デアルバカリデナク、總テノ勞働者
階級全部ヲシテ其患ニ依ラシムルコトハ、今日殆ド出來ナ
イ狀態ニナッテ居リマス、故ニ疾病保險ノ制度ヲ政府ガ採用
致シマシテ、之ヲ國家事業トシテ、勞働者又ハ是ト境遇ヲ同
ジウスル人〓ヲ强制的ニ保險ニ加入セシメテ、疾病ニ對スル
彼等ノ艱苦ヲ救濟スル途ヲ講ズルコトハ、今日ノ場合極メ
テ必要ナコトヽ確信ヲ致スノデアリマス、又斯クスル事ニ依
テ、彼等ノ思想ノ奇矯ニ赴グコトヲ防ク一助ト爲スコトモ出
來ルト信ズルノデアリマス、是等ノ趣意ニ於テ、疾病保險法
ト云フモノヲ提出シタル次第デゴザイマス、偖テ疾病保險法
ヲ愈、こ採用スルトナリマスレバ、國家ノ一般會計ニ依テ爲スト
云フコトハ不便デアリマスルカラ、爰ニ特別會計ニシナケレ
バナラヌト云フ必要ヲ生ジマス、而シテ此疾病保險ニハ、業
務上ノ傷害、竝ニ職業的疾病ノ救濟ヲ除外致シテ居リマ
スルカラ、是等ノ救濟ヲ爲スタメニハ、更ニ他ノ法規、卽チ工
場法竝ニ工業法中ニ改正ヲ加ヘマシテ、是等ノ點ハ其等特
別法規ニ讓ル必要ガアリマスルカラ、是等ノ改正法律案ヲ
モ併セテ提出致シマシタ次第デゴザイマス、甚ダ簡單デアリ
マスルガ提案理由ヲ說明致シタ次第デゴザイマズ(拍手起
ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=73
-
074・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 此提案ニ對シマシテ質問ノ通告ガ
アリマスカラ之ヲ許シマス、土屋君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=74
-
075・土屋興
○土屋興君 簡單デアリマスカラ本席カラ申上ゲマス、此
勞働法規ニ就キマシテハ、吾ニモ非常ニ之ヲ熱望シ、贊成ヲ
致シテ居ル者デアリマス、而シテ本期議會ニ於キマシテモ、勞
働法規ニ就キマシテハ、政府ヨリ近ク之ヲ提案スルト云フユ
トヲ聲明セラレマシタカラ、本員共ハ是ノ提案ヲ中止シテ居〃
タヤウナ次第デアリマス、只今提案者カラ段々ト御說明ガア
リマシタガ、ソレニ就キマシテ一二私ハ提案者ノ御意思ヲ
伺ッテ見タイト思フノデアリマス、此勞働組合法ニ就キマシ
テ、是ト竝ンデ勞働爭議法ヲ何故ニ御提案ナラナカッタカト
云フコトヲ伺ッテ見タイト思フノデアリマス、ソレハ折角勞働
組合法ト云フモノハ制定セラレマシテ、勞働組合ト云フモノ
ガ設立セラルヽコトニナリマシテモ、勞働爭議法ト云フモノガ
制定セラレマシテ、此勞働運動ノ合法ニ行ハレルノ範圍ト、
違法タルノ境界ト云フコトガ明瞭ニナリマセヌ限リニ於キマ
シテハ、勞働組合ト云フモノハ、完全ナル發達ヲ促スコトハ
出來ナイト私ハ信ズル者デアリマス、又本法案ト同時ニ此
疾病保險法モ御提案ニナッテ居リマスルガ、勿論是ハ社會
政策ノ上カラ行キマシテモ、甚ダ必要ナル案デアリマス、併ナ
ガラ只今鈴木君ノ御話ニ依リマスト、勿論此勞働組合ト云
フモノニモ、爭鬪的職分ト共済的職分ト雙方アル私ノ考ヘ
マスル所デハ、勞働組合ト云フモノガ、此日本ノ勞働界ノ上
ニ於テ最モ必要デアルモノト致シマシタナラバ、勞働組合ノ
發逹ト云フモノヲ助成スルコトニ努メナケレバナラヌ、然ル以
上ハ疾病保險ト云フモノハ之ヲ後ニシテ、眞ニ勞働組合ト
云フモノヽ共済的職分ヲ完全ナラシムル上カラ行キマシテ、
國家ガ疾病保險ヲ行フト云フコトハ、勞働組合ハ完成シタ
ル後ニ行ヒタイト私ハ信ズルノデアリマス、如何トナレバ其國
邊リニ於ケル勞働組合ニ於キマシテモ、國家ガ失業保險デ
アリマスルトカ、疾病保險デアリマスルトカ、幾多社會政策
的事業ヲ行ヒマシテ、後ニ於キマシテハ勞働組合ノ共濟的
職分ト云フモノガ段々廢棄サレマシテ、今日ニ於キマシテハ、
事實上唯ダ爭鬪的職分ノミヲ行フト云フヤウナ狀態ニナッ
テ居リマス、若シ我國ニ於キマシテ、直チニ是等ノ雙方ヲ實
行致スト致シマスト、勢ヒ勞働組合ト云フモノヽ發達ト云フ
モノハ、ソレガ爲メニ阻害サレルト云フコトハ、事實ノ上ニ起ン
テ來ルト私ハ信ズルノデアリマス、此見地カラ行キマスト、只
今申上ゲマシタ三點ヲ一寸伺ッテ見タイト云フノデアリマス、
勿論私共ハ斯ル法案ト云フモノガ、一日モ早ク制定セラレ
マシテ、勞働法規ト云フモノガ立派ニ國家的ニ施行セラレマ
シテ、勞働者ノ合理合法ナル運動、合理合法ナル發達ト云
フコトヲ切望シテ已マナイ者デアリマス、其意味カラ行キマシ
テ、提案者ハドウ云フヤウナ意響ヲ以テ、只今私ノ質問致シ
マシタ三點ニ就キマシテノ御考ヲ御持ニナッテ居リマスルカ、
其點ヲ簡單ニ伺ッテ見タイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=75
-
076・鈴木富士彌
○鈴木富士彌君 土屋君ノ御尋ニ御答ヲ致シマス、勞働
爭議ニ關スル御意見ハ私モ全ク同一デアリマス、是ハ成ベ
ク早ク提案致シタイト考ヘテ居リマシタノデアリマスルガ、是
ガ勞働組合法ニ比シマシテ一層面倒ナ法案デアリマス、只
今種々攻究中デアリマスカラ、此議會ニドウシテモ提出スル
コトガ出來ナカッタ次第デアリマスカラ、是ハ宜シク御了承ヲ
願ヒタイト思ヒマス、ソレカラ勞働組合ノ共濟的職分ト疾
病保險法トノ關係デアリマスルガ、是ハ見方ニ依リマシテハ、
土屋君ノヤウナ御意見モ立テラレル次第デアリマスガ、又見
方ニ依リマシテハ、此兩者ハ互ニ相兩立スルモノデアルト云
フ意見モ立テラレル次第デアリマス、是ハ詳シク申シマスル
ト、非常ニ混雜ヲ致シマスカラ、只ダ是ハ御意見ノ相違デア
ルト云フ御答ヲ致シテ置クニ止メテ置キマス、一今一ツハ何デ
アリマシタカ、大體ンレデ答辯ハ盡キテ居ルト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=76
-
077・岩崎勲
○岩崎勳君 本案ハ濱田國松君外一名提出、新聞紙法
改正法律案ノ委員ニ併セテ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=77
-
078・奧繁三郎
○議長(奥繁三郞君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ナイト認
メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、只今貴族院ヨリ米穀法
案ガ囘付セラレマシタ、此際日程ヲ變更シテ議題ト爲スニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=78
-
079・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 御異議ナシト認メマス、仍テ日程ヲ
變更致シマシタ、貴族院回付ノ箇處ヲ朗讀致サセマス
米穀法案(政府提出貴族院囘付)
〔原田書記官朗讀〕
米穀法案中貴族院回付ノ箇所左ノ如シ
第三條中「其ノ價格」ノ下「及期間」ヲ削リ同條ニ左ノ一
項ヲ加フ
前項ノ價格ハ時價ニ準據シテ之ヲ定ムヘシ
附則中「大正十年四月一日」ヲ「公布ノ日」ニ改ム
〔參照〕
(小字及-ハ貴族院修正)
米穀法
第一條政府ハ米穀ノ需給ヲ調節スル爲必要アリト認
ムルトキハ米穀ノ買入、賣渡、交換、加工又ハ貯藏ヲ爲
スコトヲ得
第二條政府ハ米穀ノ需給ヲ調節スル爲特ニ必要アリ
ト認ムルトキハ勅令ヲ以テ期間ヲ指定シ米穀ノ輪入稅
ヲ增減若ハ免除シ又ハ其ノ輸入若ハ輸出ヲ制限スル
コトヲ得
第三條政府ハ帝國內ニ於テ第一條ノ規定ニ依リ米
殻ノ買入又ハ賣渡ヲ爲サムトスルトキハ其ノ價格及期間
ヲ告示スヘシ但シ米穀ノ買換、貯藏米穀整理ノ爲ニ
スル賣渡其ノ他必要ト認ムル場合ニ於テハ此ノ限ニ
在ラス
前項ノ價格ハ時價ニ準據シテ之ヲ定ムヘシ
第四條政府ハ米穀需給調節上米穀現在高調査ノ必
要アリト認ムルトキハ米穀ノ生產者、取引業者、倉庫
業者其ノ他占有者ニ對シ調査ニ必要ナル事項ノ報
告ヲ命シ又ハ官吏若ハ吏員ヲシテ其ノ營業所、倉庫
其ノ他ノ場所ニ臨檢シ帳簿物件ヲ檢査】セシムルコト
ヲ得
第五條前條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シ又ハ當該官
吏若ハ吏員ノ職務ノ執行ヲ妨ケタル者ハ五百圓以下
ノ罰金ニ處ス
附則
公布ノ日
本法ハ大正十年四月一旧ヨリ之ヲ施行ス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=79
-
080・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 御諮リヲ致シマス、貴族院ノ修正
二.
〔岩崎動君」質疑ガアルデセウ」ト呼フ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=80
-
081・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 今通告ヲ受ケマシタ、齋藤宇一郞
君
〔齋藤宇一郞君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=81
-
082・齋藤宇一郎
○齋藤宇一郞君 私ハ此場合政府ニ對シテ質疑ヲ致シタ
イト思ヒマス、只今貴族院カラ送付セラレマシタ所ノ修正
案ハ、定メテ政府ガ同意シタノデアラウト考ヘマスガ、之ニ同
意ヲ致シタト云フコトニナリマスレバ、曩ニ本院ニ於テ政府
ノ說明致シマシタ點ニ對シテ疑義ガ起ルノデアリマス、政府
ハ第三條ニ於テ價格及期間ヲ公示スルト云フコトハ、本法
施行上ニ於テ或ハ弊害ガ起ラントスル、ソレヲ防グ所ノ最モ
大切ナル事項デアルト言明サレタノデアリマス、然ルニ其中
「及期間」ト云フコトヲ削除スルコトニナリマスレバ、此大切
ナ事項デ、之ニ依テ餘程破ラレルコトニナリハセヌカ、卽チ此
價格ト期間ヲ前以テ公示スルト云フコトハ、此間ニ於テ色
色ナ弊害ヲ除ク爲メデアルト云フ、其中ノ「及期間ト」云フコ
トヲ除イテシマヒマスルト、政府ノ前ノ說明ハ非常ニ變フテ來
ルノデアリマス、之ニ對シテ政府ハ如何ナル御考ヲ持ッテ居リ
マスカ、少シモ差支ナイト云フ御考デアルカ、ソレヲ明カニ辯
明セラレンコトヲ望ムノデアリマス、又追加サレマシタ所ノ第
三條ノ第二項ノ「前項價格ハ時價ニ準據シテ之ヲ定ムへ
シ」斯樣ニ修正サレタノデアリマスガ、政府ハ曩ニ本院ニ於
キマシテ、此價格ト云フモノヲ如何ニシテ定メルカト云フ質
問ニ對シテ、生產費及時價ヲ主ナル標準ノ資料トシテ、需
供調節委員ニ諮詢シテ、愼重ナル考慮ヲ拂ッテ決メルノデア
ル、斯樣ニ言明ヲシテ居ルノデアリマス、然ルニ明カニ「時價
ニ準據シテ」ト云フコトニナッテ居リマス、此法文カラシテ見マ
スレバ生產費ヲ標準ニ取ラナイ、只ダ其時ノ價ノミヲ標準
トシ、ソレニ準據シテ決メルト云フコトニナルノデアリマシテ、
說明モ亦破ラレルコトニナルノデアリマス、元來本法ハ申ス
マデモナク、生產費ト時價トヲ標準トシテ決メルト云フコト
ハ、卽チ本法ノ精神デアル所ノ生產者モ消費者モ、共ニ此
法律ニ依テ安定ヲ得ルト云フコトヲ目的トシテ、立法ヲサレ
タモノデアルト云フコトハ明カナ事デアリマス、然ルニ此修正
ヲ見マスト云フト、只ダ時價ニノミ依テ生產費ヲ標準ニシナ
イト云フコトニナレバ、卽チ生產者ガ非常ニ不安ヲ懷クノデ
アリマス、故ニ本法ノ基礎ニ於テ、非常ニ動搖ヲシテ來ルヤ
ウニ私共ハ考ヘテ、甚ダ遺憾ニ存ズルノデアリマス、政府ハ只
今私ノ見ル如キ意味ニ於テ、此修正ニ同意セラレタノデアル
カ、併シ私共ノ考ヘル所ニ依レバ、政府ハ必ズ本院ニ於テ明
ニ言明セラレマシタ通リニ、矢張生產費及時價ト云フモノ
ヲ主ナル標準ノ資料ト致シマシテ、而シテ勅令ニ依テ定メラ
レル所ノ、米穀ノ需給調節委員ニ諮詢ヲシマシテ、慎重審
議消費者及生產者ノ安定ヲ得テ、我國ノ食糧充實、生活
ノ安定ト云フ大目的ヲ完全ニ達スルヤウニ努力セラレ、又
前言ヲ〓マザルコトニ努メラレルコトヲ、私共ハ信ジタイト思
フノデアリマスガ、政府ハ之ニ對シテ如何ナル所信ヲ持ッテ
居ラレルノデアルカ、此場合ニ於テ政府ハ明カニ辯明ヲシテ、
本院ニ說明セラレルコトヲ私ハ責任上必要ト認メマスシ、又
吾と聽カント欲スル所デアリマス、故ニ此場合私ハ大臣ノ出
席ヲ求メテ、辯明ヲ聽カントシタノデアリマスガ、出席ガ出來
ナイト云フコトデアリマスカラ、今出席中ノ次官デモ宜シイ
ノデアリマスガ、爰ニ明ニ說明セラレンコトヲ望ミマス(拍手
起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=82
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083・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 田中農商務次官
〔政府委員田中隆三君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=83
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084・田中隆三
○政府委員(田中隆三君) 御答申上ゲマスガ、第一點ノ
「及期間ト〕云フ文字ヲ削除致シマシタノハ、期間ヲ削除シ
テ之ヲ告知セシメナイト云フ意味デ以テ、修正ニナッタノデハ
ゴザイマセヌ、多クノ場合ニ於テ告知サレ、又政府當局ニ於
テモ告知致シマス、心持ヲ持ッテ居リマス、併ナガラ貴族院ニ
於キマシテハ、或長キニ亙ル期間ノ如キハ、其長キ間價格ヲ
動カザルモノトシテ釘付ニスルト云フコトハ、實際ニ於テシ得
ナイコトニナリハシマイカ、其期間ト云フコトハ必要アル時ニ
之ヲ告知シ、其必要ヲ認メザル場合ニ於テ之ヲ告知シナイ
ト云フ自由ノ出來ルヤウニシテ行ク方ガ、此法律ノ運用ニ
於テ却テ便宜デアラウ、恰モ數量ノコトモ之ニ書イテナイト
同ジ事デ、數量ト雖モ或場合、或ハ又多クノ場合ニ於テ告
知ヲスルト云フヤウナコトハアラウケレドモ、法律ニハ必ズ之
ヲ告示セヨト命ジテ居ナイノデアリマス、ソレト同ジ意味デ
以テ之ヲ削除スル、斯ウ云フノデアリマスカラ、齋藤君ノ御
心配ノ如ク之ヲ削ッタガ爲メニ何等ノ差支モ無シ、弊害モ
起ルヤウナコトハ無イト認メテ居リマス、ソレカラ三條ノ第
二項トシテ、「時價ニ準據シテ之ヲ定ムヘシ」ト書イテアリマ
スコトハ、詰リ時價ニ依テー時價ニ依レト云フコトデナイ
チ、時價ニ準據シテ之ヲ定メルト云フノデアリマスカラ、
時價以外ノ一般ノ經濟狀態ヲ參酌致シマシテ、然ルベキ
價格ヲ定メテ之ヲ告示スルト云フコトニナラウト思ヒマス、
而シテ一般ノ經濟狀態ヲ參酌スルト云フコトニ就キマシテ
ハ、固ヨリ只今御擧ゲニナリマシタ所ノ、生產費ノコトモ考
慮シナケレバナラズ、又一般物價ノ價格等ニ就キマシテモ、
考慮ノ中ニ無論入ルコトヽ思ヒマスノデ、ソレハ每々申上
ゲマシタ通リ、委員會等ノ經驗アル方ノ御審議ノ上ニ定
メル譯デアリマスケレドモ、農商務省ニ於テ考へテ居リマス
ル考ヲ申上ゲマスレバ、今申上ゲル通リデアル、又貴族院ニ
於テ御修正ニナッタノモ、繰返シテ申上ゲマスガ、ソレニ準
據シテソレニ據レト云フノデアリマセヌノデ、ソレヲ主ナル
根據トシテ、サウシテ諸般ノ事情ヲ參酌シテ、之ヲ定メヨト
云フ意味ト解釋シテ居リマスノデアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=84
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085・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 御諮リ致シマス、貴族院ノ修正ニ
同意ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=85
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086・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 起立者多數、仍テ本案ハ貴族院ノ
修正ニ同意スルコトニ決シマシタ(拍手起ル)日程第九、明
治三十年法律第二十九號中改正ニ關スル建議案ヲ議題
ト致シマス、波多野喜右衞門君
第九明治三十年法律第二十九號中改正
ニ關スル建議案(波多野喜右衞門
君外一名提出)
明治三十年法律第二十九號中改正ニ關スル建議
案
明治三十年法律第二十九號中改正ニ關スル建
議
現行法ニ依ルトキハ砂防設備ヨリ生スル收入ハ府縣ニ
歸スルヲ原則トシ又實際ノ取扱ニ於テモ多クノ場合ニ於
テ府縣ノ收入トナシツツアリ其ノ收入ノ大部分ハ植樹ノ成
長ヨリ生スルモノナルモ樹木ノ成長ノ要素ハ土地ニ在リ其
ノ土地所有者ハ一面該植樹ノ保護ヲ爲シ且地租ヲ初
メ總テノ公課ヲ納入シ居ルモノナレハ之ヲ府縣ノ收入ト
爲スハ不合理ナリト認メラル依テ左案ノ通土地又ハ森
林ノ所有者ノ收入ト爲スコトニ改正セラレムコトヲ望ム
第二十七條砂防設備ヨリ生スル收入ハ地方行政
廳ハ第二條ニ依リ主務大臣ノ指定シタル土地若ハ
其ノ土地ニ在ル森林ノ所有者ニ下付ス
第二十八條中「下付スルコトヲ得」ヲ「下付ス」ニ改ム
右建議ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=86
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087・波多野喜右衞門
○波多野喜右衞門君 本案ハ明治三十年法律第二十
九號中改正ニ關スル建議案デアリマス、理由ハ省略致シマ
シテ委員會ニ於テ詳細說明致シマス、願クハ全會一致御
賛成アランコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=87
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088・岩崎勲
○岩崎動君 本案ハ岩本平藏君外九名提出ノ、所得稅
法中改正法律案外九件ノ委員ニ併セテ付託セラレンコト
ヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=88
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089・奧繁三郎
○議長(奧繁三郎君) 岩崎君ノ動議ニ御異議アリマセヌ
カ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=89
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090・奧繁三郎
○議長(奥繁三郞君) 御異議ナイト認メマス、仍テ動議
ノ如ク決シマシタ、日程第十、第十一ハ同一委員ニ付託セ
ラレタル議案ナルヲ以テ、一括シテ議額ト致シマス、日程第
十、發明獎勵ニ關スル建議案、第十一、產業組合補助ニ關
スル建議案ヲ議題ト致シマス、波多野承五郞君
第十發明奬勵ニ關スル建議案(奧村安
太郞君外二名提出)(委員長報告)
報告書
一發明奬勵ニ關スル建議案(奧村安太郞君外二名提
也
右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノト議決致候此
段及報告候也
大正十年三月十二日
發明獎勵ニ關スル建議案委員長
波多野承五郞
衆議院議長奥繁三郞殿
第十一產業組合補助ニ關スル建議案
(湯淺凡平君提出)(委員長報告)
報告書
一產業組合補助ニ關スル建議案(湯淺凡平君提出)
右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノト議決致候此
段及報告候也
大正十年三月十二日
產業組合補助ニ關
スル建議案委員長
波多野承五郞
衆議院議長奧繁三郞殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=90
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091・波多野承五郎
○波多野承五郞君 發明奬勵ニ關スル建議案ハ、奧村安
太郞君外二名ノ提出デゴザイマスガ、是ハ委員會ニ於テ修
正ヲ致シマシタ、其修正ハ諸君ノ所へ廻ッテ居リマスカラ、讀
マナクテモ宜カラウト思ヒマスガ、要スルニ建議者ノ說明ト、
及政府ノ意見トヲ參酌シテ修正ヲ致シタノデゴザイマスカ
ラ、修正デハアリマセヌケレドモ、建議者ノ意見其モノト同ジ
デアッタノデゴザイマス、而シテ此建議案ハ、滿場一致ヲ以テ
可決確定致シマシテゴザイマス、其次ハ產業組合補助ニ關
スル建議案デアリマスガ、是モ湯淺凡平君ノ提出ニ係ルモ
ノデアリマスガ、提出者ノ意見ト政府當局ノ御意トヲ聽キ
マシタ上ニ矢張修正ヲ加ヘタ、其修正ノ趣意ハ建議者ノ意
見ト同ジ事デゴザイマス、ソレヲ稍〓、體體化シタルダケニ過ギ
マセヌカラ、修正トハ云フモノノ、原建議案ト殆ド同ジモノデ
アル、是モ全員一致ヲ以テ可決確定シタ次第デアリマス、御
報告ヲ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=91
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092・岩崎勲
○岩崎勳君 兩案ヲ一括シテ委員長報告ノ通リニ、卽チ
委員會ノ修正決議案ノ通リ可決確定アランコトヲ望ミマ
ス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=92
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093・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ナイト認
メマス、仍テ此兩案ハ委員長報告通リ可決確定致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=93
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094・岩崎勲
○岩崎勳君 議事日程變更ニ關スル緊急動議ヲ提出致
シマス、卽チ爰ニ岩本平蔵君外九名提出ノ所得稅法中改
正法律案、及齋藤鷲太郎君外六名提出ノ明治三十四年
法律第三十號中改正法律案ヲ一括議題ト爲シ、其第一
讀會ノ續ヲ開キ、委員長報告ヲ聽キ、且ツ其審議ヲ進メラレ
ンコトヲ望ミマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=94
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095・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ハナイト認
メマス、仍テ日程ハ變更サレマシタ、所得稅法中改正法律
案、明治三十四年法律第三十號中改正法律案、兩案ヲ一
括シテ其第一讀會ノ續キヲ開キマス、委員長報告遠藤良
吉君
所得稅法中改正法律案(岩本平藏君外九
名提出)第一讀會ノ續
報告書
一所得稅法中改正法律案(岩本平藏君外九名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スへキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十年三月二十五日
所得稅法中改正法律案委員長
遠藤良吉
衆議院議長奥繁三郞殿
明治三十四年法律第三十號中改正法律案
(齋藤鷲太郞君外九名提出)第一讀會ノ續
報告書
一明治三十四年法律第三十號中改正法律案(齋藤鷲
太郎君外六名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十年三月二十五日
明治三十四年法律第三十
號中改正法律案委員長
遠藤良吉
衆議院議長奧繁三郞殿
〔遠藤良吉君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=95
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096・遠藤良吉
○遠藤良吉君 只今御報告申上ゲマス前ニ一寸所懷ヲ
陳述致シマシテ、諸君ノ御了解ヲ得タイト存ジマス、本議會
モ餘ス所僅ニ一日ニ相成リマシテ、而シテ本日ノ議案モ百
四十一殘ッテ居リマス、故ニ一案ニ十分ヲ費シマスレバ卽チ
十四時間掛ル、五分ト致シマシテモ七時間掛ルヤウナコト
ニナッテ居リマス、既ニ是マデ僅カノ議案ヲヤリマシテモ、五時
間ヲ經過致シテ居リマスカラ、此樣ナコトニナリマスレバ、當
年ノ議案ガ殆ド堆積致シテ低止スル所ヲ知ラヌト思ヒマス
(「要ラヌ事ダ」ト呼フ者アリ)何デス-故ニ私ハ成ベク時間
ヲ節約致シテ、諸案ノ通過ヲ圖リタク存ジマス、(「謹聽」ト呼
フ者アリ)又此委員會ノ應答質問ハ、速記ヲ以テ諸君ノ御
手許ニ配付相成ッテ居リマスコトヽ存ジマスカラ、是ハ略シマ
シテ、可否ノ結果ヲ御報告申上ゲヤウト思ヒマス、併ナガラ
若シ又諸君ニ於テ、詳細ニ其經過等ヲ述ベルヤウニト云フコ
トニナリマスレバ、是亦何時デモソレニ應ジマス、其事ヲ御了
解ヲ得タク存ジマス、(「簡單ニ願ヒマス」ト呼フ者アリ)只今
何致シマシタ所得稅改正法律案ハ、提出者ノ詳細ナル說
明ト政府委員ノ說明ヲ聽キマシテ、愼重審査ノ上滿堂一
致ヲ以テ委員會ハ原案ノ通リ可決致シマシタ、又法律三十
號モ只今申上ゲマシタ通リ、愼重審査ノ結果滿場一致ヲ
以テ議決相成リマシタ、故ニ成ベク此兩案共ニ委員會通過
ノ如ク、本會ニ於テモ滿堂一致ヲ以テ御可決アランコトヲ
希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=96
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097・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 本案ノ第二讀會ヲ開クヤ否ヤヲ御
諮リ致シマス
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=97
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098・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 御異論ナイト認メマス、仍テ第二
讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=98
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099・岩崎勲
○岩崎勳君 兩案ヲ一括シテ直チニ第二讀會ヲ開キ、第
三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通リ可決確定アランコトヲ
望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=99
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100・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ハナイト認
メマス、仍テ直チニ二讀會ヲ開キマス
所得稅法中改正法律案第二讀會(確定議)
明治三十四年法律第三十號中改正法律案
第二讀會(確定議)
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=100
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101・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 御異議ナイト認メマス、仍テ兩案
ハ第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通リ決シマシタ、日程
第十二、特別市制促進ニ關スル建議案ヲ議題ニ供シマ
ス-松浦五兵衞君
第十二特別市制促進ニ關スル建議案
(委員長報告)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=101
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102・松浦五兵衞
○松浦五兵衞君 簡單デアリマスカラ、是ヨリ御報告致シ
マス、本案ハ作間耕逸君外五名ノ提出デ、特別市制促進
ニ關スル建議案デアリマス、讀ンデ字ノ如ク簡單ナモノデア
リマスカラ、委員會ニ於テハ滿場一致ヲ以テ可決致シマシ
タ、此可決ニ就テ特ニ宮崎三之助君ヨリ賛成ノ意見ト共
ニ所感ヲ御述ニナリマシタ、其御趣意ハ本建議案ノ權威ヲ
重カラシムル上ニ於テ、最モ必要ト存ジマスカラ、簡單ニ其
說ヲ申上ゲマス、東京市ニ於テ從來特別市制ノ實施ヲ
希望シタルコトハ、現在ノ市制實行以來ノ宿題デアリマス、
東京市民三百万人ハ擧ッテ之ヲ希望シテ居リマス、左レバ
衆議院ニ對シマシデモ、十分數年來每年此建議ガ提出サ
レ又可決サレテ居リマス、而シテ其提出サルヽヤ、是ハ東京
市民三百万人ノ休成ニ關スル重大ナル案トシテ、東京市選
出ノ衆議院議員諸君ハ、或ハ政友會ト云ハズ、憲政會ト云
ハズ、國民黨卜云ハズ、悉ク一致ノ步調ヲ執ラレ、東京市民
ノ利害ヲ代表スル上ニ於テ、常ニ步調ヲ一ニシテ此建議案
ヲ提出シ、又其建議案ハ委員會ニ於テ滿場一致ヲ以テ可
決シ、本會ニ於テモ可決サレテ居ルノデアリマス、然ルニ今議
會ニ限リ如何ナル譯デアリマシタカ、一部ノ議員諸君、卽チ
作間耕逸君ガ提出サレテ、其他ノ東京市選出ノ議員諸君
ガ之ニ參加シナカッタノハ、甚ダ東京市民ノ爲メニ遺憾ト存
ジマスルノデアリマス、殊ニ斯ノ如キ重大ナル都市ニ關スル
本案ガ、或ル一派ノ政黨ノ主張ノ如クニ解釋セラレルト云
フコトハ、本案ノ權威ニ對テ頗ル遺憾デアル、併ナガラ實
際ニ於テハ此建議案ニ參加セラレザル議員ト雖モ、東京市
選出ノ方ハ皆十分ナル熱誠ヲ以テ賛成セラルヽニ相違ナ
イト思フガ、參加セラレザリシハ頗ル遺憾ト思ヒマスガ、是ハ
何カ爲ニスル所ガアッテ一種ノ策ニ出タノカモ知レマセヌガ、
免ニ角吾ミハ斯ノ如キ小事ヲ眼中ニ置カズ、東京市ヲ思
フ熱誠ヨリ全幅ノ賛成ヲ表スルト云フ御趣意ノヤウデアリ
マシタ、之ヲ表明シテ可決シタ譯デアリマスカラ、此段御報
告致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=102
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103・岩崎勲
○岩崎動君 本案ハ委員長報告ノ如ク可決セラレンコト
ヲ望ミマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=103
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104・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ナイト認
メマス、仍テ委員長報告通リ決シマシタ-日程第十三、第
十四ハ同一委員ニ付託シタモノナルニ依リ、一括議題ニ供
シマス、多摩川改修費及水源涵養費國庫支辨ニ關スル建
議案-委員長秋本喜七君
第十三多摩川改修費及水源涵養費國庫
支辨ニ關スル建議案(秋本喜七
君外四名提出)一人の代わり員長報告)
第十四多摩川改修費及水源涵養費國庫
支辨ニ關スル建議案(高木正年
君外六名提出)(委員長報告)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=104
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105・秋本喜七
○秋本喜七君 本建議案ハ委員會ニ於テハ、此提出家ニ
就テ無提出者ノ說明ヲ聽キ、尙ホ政府委員ノ意口九モ聽キ
マシタ所ガ、本案ノ趣意ニハ賛成ヲ得タノデアリマス、而シテ
此建議ニ對シテハ少シク異議ヲ生ジマシタノデ、委員諸君
ヨリノ請求ガアリマシテ、協議會ヲ開キマシタ、其結果先例
ニ依リマスルト、兩案共ニ趣意ガ同一デアリマス場合ハ一
案ヲ可決シ、一案ヲ否決シタ場合モアリマス、又一案ヲ議決
シテ一案ヲ議決セヌト云フコトニ決定シタコトモアリマスガ、
是ハ兩案ヲ併合シテ一案トスルト云フ趣旨ヲ執リマシタ、之
ヲ一案トスルニ就テハ、孰レヲ主トスルカト云フコトニナリマ
スト、秋本喜七君外四名ヨリ提出ノモノヲ主トシ、高木正年
君外六名ヨリ提出サレタ案ヲ併合シテ一案トスルト云フコ
トニ致シマシテ、委員會ヲ更ニ開イテ、此修正ヲ滿場一致ヲ
以テ可決シタ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=105
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106・岩崎勲
○岩崎勳君 兩案ヲ一括シテ、委員會ニ於テ修正併合ノ
通リ可決確定セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=106
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107・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ナイト認
メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、-日程第十五、西條
松山間鐵道豫定線一部變更ニ關スル建議案ヲ議題ニ供
シマス-委員長渡邊修君
第十五西條松山間鐵道豫定線一部變更
ニ關スル建議案(成田榮信君外
五名提出)(委員長報告)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=107
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108・渡邊修
○渡邊修君 此席カラ御報告致シマス、本案ハ西條松山
間ノ鐵道ヲ一部變更シテ、三津濱ヲ通過スルヤウニシテ貰
ヒタイト云フ建議案デアリマス、三津濱ハ人口一万二千餘
船舶ノ出入、旅客ノ往復、貨物ノ集散ノ少ナカラヌ所デア
リマシテ、總テ縣下ニ於ケル重要ナル港灣デアリマス、仍テ此
三津濱ヲ鐵道ガ通過スルト云フコトハ、鐵道ノ效用ヲ全カ
ラシムル點カラ考ヘテモ、又地方ノ開發上カラ申シテモ、又
軍備上カラ考ヘテモ必要ト思ヒマス、之ニ對シテ委員中一
人ノ反對者ガアリマシタ、其反對ハ絕對ノ反對デハアリマセ
ヌケレドモ、三津濱ヲ廻ルナラバ多少迂廻スルモノデアルカ
ラ、ソレガ爲メニ工事ガ遲延スルデアラウ、又三津濱ヲ廻ル
ニ就テハ、工事モ困難デアラウ、故ニ三津濱ニ迴ルコトヲ止
メテ、眞直ニ松山へ至ルヤウニシタラ宜カラウト云フ趣旨デ
アリマス、政府委員ノ御答ヲ聽キマスト、此線路ハ西條カラ
松山迄ノ線路ノ測量ハ出來テ居ルガ、實測ハマダシテ居ラ
ヌノデアル、故ニ本建議案モアリ、又地方ヨリノ請願モアリ
マス故ニ、速ニ三津濱ノ方ノ線路ト比較調査ヲシテ、其上
デ設計ヲスルト云フ答辯デアリマス、故ニ委員會ハ速ニ政府
ハ三津濱ヲ通過スル線路ヲ調査シテ貰ヒタイト云フ希望ヲ
附シテ、一人ノ反對者ヲ除クノ外悉ク賛成シテ、本案ヲ可
決シタノデアリマス、ドウカ本會ニ於テモ可決セラレンコトヲ
希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=108
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109・岩崎勲
○岩崎勳君 本案ハ委員長報告ノ通リ可決セラレンコト
ヲ望ミマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=109
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110・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ナイモノト
認メマス、仍テ本案ハ委員長報告ノ如ク可決確定セラレマ
シタ-日程第十六、議院本建築工事速成ニ關スル建議
案ヲ議題ニ供シマス-委員長中倉万次郞君
第十六議院本建築工事速成ニ關スル建
議案(〓室太郞君外十三名提出)
(委員長報告)
報告書
一議院本建築工事速成ニ關スル建議案(〓〓太郞君
外十三名提出)
右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノト議決致候此
段及報告候也
大正十年三月二十四日
議院本建築工事速成ニ
關スル建議案委員長
中倉万次郞
衆議院議長奧繁三郞殿
議院本建築工事速成ニ關スル建議
議院建築工事ハ物價騰貴ノ結果經費ノ增加ヲ來シ豫
定期間内ニ竣成ヲ期シ能ハサル惧アリ政府ハ宜シク逐
年追加豫算ヲ提出シ以テ既定計畫ノ遂行ヲ誤ラサラム
コトヲ望ム
右建議ス
〔中倉万次郞君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=110
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111・中倉万次郎
○中倉万次郞君 報告致シマス、此建議案ハ議院本建築
速成ニ關スル建議案デアリマス、現議事堂ハ帝國議會初期
議會ニ於キマシテ不幸ニシテ火災ニ罹リマシテ、明治二十
四年ニ僅カナ數箇月ノ間ニ建築致シマシタ假リノ建築物
デアリマス、ソレ故ニ最早殆ド三十有餘箇年間、大分朽腐
致シタ所モアリマスルシ、度〓修繕ヲ加ヘテ今日ヲ、保ッテ居
リマスルノデアリマスガ、御承知ノ如ク最近ニ選舉法ノ改正
ニ依リマシテ、議員數モ增加致シ】マシタノデ、一非常ニ狹隘ヲ
告ゲマシテ、不便甚シイコトニナッテ居リマスル、又建物ノ各
部ニ於キマシテハ、竹腐致シマシタノミナラズ、白蟻ノ害ニ
罹ヲテ、最早修繕ニ耐ヘナイト云フヤウナ有樣ニナッテ居ルノ
デアリマス、御承知ノ通リ議院本建築ノ事ハ旣ニ確定致シ
テ居リマスルガ、其建築工事ヲ遲々トシテ一向振ヒマセヌー
進ミマセヌデ、物價騰貴ノ爲メニ、經費ノ不足ト云フコトモ
一ノ原因デアリマセウガ、此建議ノ趣旨ハ、成べク經費ノ增
加ハ致シマシテモ、速ニ完全ナル議院ヲ建築シタイト云フノ
ガ此建議案ノ趣旨デアリマス、委員會ハ去ル十九日ニ開キ
マシテ質問ニ入リマシテ、樋口秀雄君ヨリ第一ニ、只今マデ
支出致シマシタ所ノ五十幾万圓ノ費途、竝ニ此豫算ノ金
額等ニ就テ質問ガアリマシテ、矢橋技師ヨリ之ニ對シテノ答
辯ガアリマシタ、五十万圓ノ金ハ基本工事ニ支出シタノデ
アル、又只今契約致シマシテ、其支出ヲ要スルモノカ百四十
幾万圓ト云フモノハ、造營物ノ移轉其他ニ要スル費用デア
ル、總豫算ハ七百五十八万圓ニナッテ居ルノデアルト云フ答
辯ガアリマシタ、引續キ設計上技術上ニ就テ數囘ノ應答ガ
アリマシタガ、前川君ヨリノ質問ノ其答辯中ハ、昨年ノ春ノ
此物價騰貴ノ實況ニ依ッテ調査致シマスレバ、二千二百八
十万圓ヲ要スルト云フ技師ノ答辯モアッタノデアリマス、斯
ノ如キ三倍以上ヲ要スルト云フ費用ガ嵩ムト云フコトニナ
レバ、只今七百何十万圓ノ豫算デ此儘デ進行シテモ、到底
期間中ニ豫定ノ工事ヲ進メルト云フコトハ出來ナイト云フ
コトデ、其等ノ事ニ就キマシテモ質問應答ガアッタノデアリマ
ス、其質問ノ末ニ、此案ハ質問應答ヲ此會期切迫ノ際ニ鬪
ハシテ居ッテモ、進行上甚ダ宜シクナイ、ンレデ何トカ政府ト
折衝ヲ致シマシテ、懇談ヲ重ネテ、成ベク此建築ノ速カナラ
ンコトニシタラ宜カラウト云フ意見一モアリマシタ、清崟太郞
君ヨリ、之ニ就キマシテハ委員長ヲ加ヘテ、五名ノ委員ヲ設
ケテ、政府當局ト懇談ヲ重ネテ、其方法ヲ協議シタイト云フ
意見ガ出マシテ滿場其小委員ト云フ說ガ成立ッタノデアリ
マス、デ其委員ノ還擧ハ委員長ノ指名ニ委スルト云フコト
デアリマシタカラ、改野耕三君、前川虎造君、樋口秀雄君、
守屋松之助君ノ四名ヲ指名致シマシテ、去ル二十二日ニ
小委員會ヲ開キマシテ、大藏次官ノ出席ヲ求メテ懇談ヲ致
シマシタ、第一其懇談中ニ、此建築ハ別途ノ方法ヲ執ヲテ、
別ノ官制ヲ設ケテ、サウシテ速ニ竣成ヲ期スルヤウナ方法ハ
執ラヌカ、又此追加豫算ヲ要求シテ、サウシテ成ベク此事業
ノ速成ヲ圖ルト云フコトハ如何ト云フヤウナコトデ、十分相談
ヲ重ネタノデアリマシタガ、官制ヲ特ニ設ケルコトヽ云フコト
モ、ドウシテモ同意ガ出來ナイ、又今日ノ場合ニ、追加豫算
ヲ此處デ出スト云フコトモ出來ナイデ、色と研究致シマシタ
末ニ、當局者ニ於キマシテモ、此一兩年ノ間ハ其經費ハ主
ニ材料等ニ經費ヲ要スルノデアルカラ、此十年デ注文等ニ
不足ヲ生ズルノハ十一年度ヲ見越シテ契約ヲシテモ差支ナ
イノデアル、又萬一此年度末ニ至ッテ經費ガ不足シテ、事業
ニ差支ヘルト云フ時分ニハ、此次ノ議會ニ十年度ノ追加豫
算トシテ兩院ノ協賛ヲ求メテモ差支ナイト思フデ、成ベク此
大正十六年度迄ノ期間中ニハ竣成セシムル見込デアル、斯
ウ云云コトデアリマシタ、小委員會ハ數時間協議致シマシ
タ末デ終リマシタ、ソレヨリ昨日更ニ委員會ヲ開キマシタ、樋
口秀雄君ヨリ小委員會ノ結果ヲ精細ニ報告ガアリマシテ、
討論ニ移リマシテ、樋口君ヨリ此建議案ノ修正說ガ出マシ
テ、之ニ對シテ〓〓太郞君ガ贊成セラレマシテ、玆ニ修正ノ
案ガ成立致シマシタ、一寸朗讀致シマス「議院本建築工事
速成ニ關スル建議、議院建築工事ハ物價騰貴ノ結果經費
ノ增加ヲ來シ豫定期間內ニ竣成ヲ期シ能ハサル惧アリ政
府ハ宜シク逐年追加豫算ヲ提出シ以テ既定計畫ノ遂行ヲ
誤ラサラムコトヲ望ム右建議ス」斯ウ云フ改正案ガ出マシテ
先刻申上ゲマシク通リ〓崟太郎君ガ賛成セラレマシテ、他
ニ一人ノ異論者モナク、滿場一致ヲ以テ此修正說ニ委員
會ハ決定致シマシテ、此段御報告申上ゲマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=111
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112・岩崎勲
○岩崎動君 本案ハ委員長ノ報告通リ、卽チ委員會ニ於
テ修正議決ノ通リ可決確定アランコトヲ望ミマス
〔「贊成」「賛成」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=112
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113・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ハナイト認
メマス、仍テ本案ハ委員長報告通リ可決確定致シマシタ
(拍手起ル)-日程第十七乃至二十一ハ同一委員ニ付
託シタル議案ナルニ依リ、一括議題ニ致シマス、此中日程第
十七乃至第十九、此三案ハ委員會ニ於テ修正シテ一案ト
致サレマシタ、是ニハ討論ノ通告モアリマスカラ、先ヅ此三案
ニ就テ討論ニ移リマス、ンレニ先チマシテ政府ニ質疑ノ通告
ガアリマス、ソレヲ許シマス委員長ノ報告ヲ聽キマスー委
員長鈴木錠藏君
第十七小學校〓員俸給國庫負擔額增加
ニ關スル建議案(砂田重政君外
二名提出)(委員長報告)
第十八小學校〓員体給國庫負擔額增加
ニ關スル建議索(高田耘平君外
五君提出)(委員長報告)
第十九市町村〓育費ノ整理ニ關スル建
議案(井上角五郞君外十三名提
四(委員長報告)
第二十東京外國語學校修業年限延長ニ
關スル建議案(菅原傳君外三名
提出)(委員長報告)
第二十一東京帝國大學農學部實科ニ關
スル建議案(有馬秀雄君外四
名提出)(委員長報告)
〔鈴木錠藏君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=113
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114・鈴木錠藏
○鈴木錠藏君 只今議題トナリマシタ建議案ハ、極メテ
重大ナル建議案デゴザイマシテ、今日迄ノ議會ニ現ハレマシ
タコト三囘、請願トシテ呈出サレタコト數百囘ノ多キニ及ビ
マシテ、曩ニハ全國町村長ノ上京請願トモナリマシテ、今ヤ
各派聯合ノ建議案又ハ法律案トナリマシテ審査サレマスル
爲メニ、天下ノ耳目ハ悉ク本案ニ集中致シマシテ、成行如
何ト見テ居ルヤウナ次第デゴザイマス、本議會ノ重大案件
モ種々ゴザイマスケレドモ、本案ノ如ク重要視セラルヽト云
スコトハ、單リ財政經濟ニ關係スルノミナラズ、彼ノ第二ノ
國民ヲ養成スベキ所謂國民〓育ノ基礎ニ關係スル重大ナ
ル案件デアリマスカラデゴザイマス、故ニ委員會ハ殆ド每囘
缺席ナク勤勉精勵、慎重審議致シマシテ、回ヲ累ヌルコト九
囘ノ多キニ及ビマシタ、政府側ト致シマシテハ、文部大臣、大
藏、陸軍、内務ノ各當局ガ出席セラレマシテ、質問應答ハ微
ニ八リ細ヲ穿チ、懇切詳細ヲ極メテ居リマス、玆ニ其〓末ヲ
御報告ヲ申上ゲルノハ、私ノ最モ光榮トスル所デゴザイマス、
本委員會ニ付託セラレマシタ議案ハ、卽チ小學校〓員俸給
國庫負擔額增加ニ關スル建議案、國民黨ノ砂田重政君外
二名ノ提出ニ係ルモノ、同ジク憲政會ノ高田耘平君外五
名提出ニ係ルモノ、及市町村義務〓育費國庫負擔法中
改正法律案、庚申倶樂部ノ守屋松之助君外二名御提出
ニ係ルモノ、ソレニ市町村〓育費ノ整理ニ關スル建議案、片
上角五郞君外十三名提出ニ係ルモノ、此四案ガ付託サレ
マシク譯デゴザイマス、國民當憲政會ノ兩案ハ、小學校〓員
俸給國庫負擔額ヲ大正十年度ヨリ增加シテ貰ヒタイ、其
金額ハ明示ハゴザイマセヌケレドモ、小學校〓員俸給總額
四千万圓ノ時ニ、其半額二千万圓迄ヲ支出ヲ要求シタコ
トガアルカラ、切メテソレ迄增加シテ貰ヒタイト云フ意味デ
ゴザイマス、庚申倶樂部ハ右兩案ニ一步ヲ進メマシテ、市町
村義務〓育費國庫負擔法中、俸給ニ關スル費用ノ一部ト
アリマスノヲ全部ト改正シテ、法律案トシテ御提出ニナリマ
シタノデゴザイマス、井上君提出ノ案ハ、二月五曰ニ本會議
ニ於キマシテ原總理大臣ガ言明サレタル如クニ、速ニ調査
機關ヲ設ケテ〓育費ノ整理節約ヲ圖リ、尙ホ必要アル場合
ニ於テハ、相當ノ金額ヲ增加支出シ、〓育ノ振興ヲ圖ルト
共ニ、市町村〓育費負擔輕減ノ途ヲ講ズベシ、斯ウ云フノ
デゴザイマス、四案共ニ主義ニ於テハ、年々地方〓育費ガ增
加致シマシテ、其負擔ガ重大デアリマスカラ、國庫ガ其負擔
額ヲ增加シテ、市町村ノ〓育費負擔ヲ輕減シヤウト云フ點
ニ於テハ、何等反對ノ意味ハ無イノデゴザイマス、只ダ國民
憲政兩案ハ、大正十年ヨリ其增加ヲ希望致シテ居リマス、
庚申倶樂部案ハ全部ノ負擔ヲ主張致シマシテ、政友會ノ
案ハ、總理大臣モ言フガ如ク、地方〓育費ノ增加ハサルコト
ナガラ、國庫ノ負擔モ亦財政ニ餘裕ノ無イ今日、容易ナモノ
デナイカラ、此ニ於テ相當ナル整理ヲ爲ス必要ガアル、整理
シテモ支出ノ必要ガアルナラバ、其時國庫負擔ノ增加ヲ爲
スモ亦已ムヲ得ヌ、斯ウ云フ意味ガアリマス、要スルノニ程度
ト時期ノ問題デゴザイマス、此ニ於テ各派トモ熱心ニ質問
應酬ヲ試ミマシタ、其大要ヲ御紹介申サウト思ヒマス、第一
ノ問ト致シマシテ、目下地方義務〓育ニ關係アルモノニ對
シテハ、一千万圓ノ外ニ二百五十万圓、合計千二百五十
万圓ノ補助ガアルガ、此一千万圓ト云フノハ、大正七年建
議ノ際ハ、俸給額ガ三千七百万圓、追ッテハ四千万圓ニ達
スル見込デアルカラ、其半額ヲ補給スル意味カラ來テ居ルノ
デアル、然ルニ本年ハ俸給ガ一億五百万圓ノ多キニ及ンデ
居ルノデアル、建議ノ趣意ニ從ヘバ、其半額五千万圓ヲ算ス
ル譯ニナルガ、政府ハドノ位マデ增加スル見込デアルガ、此質
問ニ對シテ文部大臣答ヘテ曰ク、右建議ノ當時ノ趣意ハ、
〓育費半額位ダケヲ出シテ宜カラウ、故ニ國庫負擔ノ法律
案ガ出マシテ、〓員給ノ一部ノ負擔ヲスルコトニナッタノデア
ル、然ルニ三年後ノ〓日ハ一億圓ノ多キニ及ンデ居ル、其時
ノ希望ノ如クスレバ五千万圓出サナケレバナラヌケレドモ、
政府ハソレ程ノ考ヲ持ッテ居ラナイ、又斯ノ如ク增加致シマ
シタノハ〓員給ノ增加ハ勿論デアルケレドモ、物價ノ騰貴モ
アルカラ、又經濟界ノ狀態モ激變シテ居ルカラ、此際第一ニ
一ツ節約スルコトガ出來ヤシナイカ、〓育ノ效果ヲ減セヌ程
度ニ於テ節約スル必要ガアルカモ知レナイ、先年モ一昨年
モ訓令ヲ發シテ、節約スルコトヲ命令シタケレドモ、今日迄
未ダ徹底シタト云フコトハ出來ナイ、故ニ〓囘委員會ヲ設
ケマシテ、一方ニ節約ノ事ヲ十分〓究シテ、尙ホ補助ノ必要
ガアルナラバ、增加シテ見タイト云フ答デアリマス、次ニ小學
校〓員ノ俸給ダケハ、全部國庫ガ負擔スルト云フ意味モア
ルカラシテ、原則トシテ全部國庫負擔ニスルト云フ考デハナ
イカト云フ問ニ對シマシテ、文部大臣ハ、原則ト致シテハ、高
等〓育ハ國庫ノ負擔、中等〓育ハ主トシテ府縣ノ負擔、初
等〓育ハ町村負擔ト云フ考デアルカラシテ、〓員給全部ヲ
國庫ヨリ支辨スルト云フ考ハ持ッテ居ラヌ、次ニ小學校〓
員俸給ヲ地方費ヨリ支出スルト、町村長等ニ〓員ノ位置
ヲ左右サレマシテ、或ハ干涉セラルヽコトモアル、是ハ帝國〓
育會ノ決議ヲ見ルモ明瞭デアルガ故ニ、形式ヲ國庫ガ支出
スルコトニシテ、其幾分ヲ府縣ガ負擔スルト一云フコトニ改メ
タラドウデアルカ之ニ對シテノ答ハ其利害相半バシテ居ル、
今日マデノ我國ノ初等〓育ノ發達ハ、市町村ノ努力ニ因ル
ノデアル、佛蘭西ノ如ク全部國庫デ負擔スルナラバ、或ハ今
日ノ成績ヲ見ルコトハ出來ナカッタカモ知レヌ、故ニ斯ノ如
キ考ハ持ッテ居ラヌ、次ノ問ハ一昨年出シタ地方稅制限擴
張ニ依リマシテ、二千三百二十万圓ヲ得テ居リマス、此結
果地方民ハ非常ナ苦痛ヲ感ゼラレテ居リマス、內務大臣及
文部大臣ハ、之ニ對シテ、何カ方法ガアルナラバ、行ク〓〓ハ
之ヲ變ヘタイト云フ言明ヲ得テ居リマスガ、之ヲ今撤廢スル
コトガ出來ヌトシテモ、自治體トシテハ當然爲スベキ土木、
勸業、衞生等ノ施設ハ之ガ爲メニ壓迫ヲ受ケテ居ルカラシ
テ、此金額位ノモノハ差當リ國庫負擔ヲ增シテ、地方民ヲ
救濟シテハドウダト云フ問ガアリマシテ、之ニ對シテ地方費
ノ增加ハ獨リ〓育ノミデハナイ、同ジ比例、同ジ速度ヲ以テ
土木、勸業、衞生、其他ノ費用モ進ンデ居ルノデアル、制限
擴張ノ爲メニ得タ資金ヲ〓育費ノミニ向ケルト云フコトハ
ナイ、各町村ニ於テ事情ハ異ッテ居ルケレドモ、制限擴張ノ
苦痛ヨリモ、主トシテ地方民ノ苦痛トスル所ハ戶數割デア
リマス、故ニ今囘調査會ヲ作リマシテ、〓育費ノ調査ヲ主眼
トスルケレドモ、廣ク關係各省ニ涉ッテ負擔ノ關係ヲ調査シ
テ見タイト云フ答デアリマス、次ニ國庫負擔法ノ法律トシテ
出夕以上ハ、勅令ノ力ハ法律ニ及バズトノ趣意カラ、〓育費
ト云フモノハ國庫負擔ヲ原則トスルノデナイ、從前ノ如ク原
則ハ町村負擔主義デアルケレドモ-大正七年ノ國庫負
擔ハ例外デアル、勅令ノ力ハ法律ニ及バズトハ、緊急勅令ノ
場合等ニ於テハ、法律トシテ其效力ヲ打消スコトガ出來ル
ケレドモ、普通勅令ニ於テハ其效力ハ同一ナルモノデアル、
且ツ大正八年二月小學校令ガ改正サレマシテ、特別ノ規
定アル場合ト規定シテアリマシテ、國庫ノ負擔ト對立セシメ
テアルト云フ答デアリマス、又寺內内閣ノ時ニ於テ、〓員俸
給ノ總額ハ三千七百万圓デアッテ、追テハ四千万圓ニ達ス
ルト云フコトヲ標準ト致シマシテ、其半額二千万圓マデハ國
庫ガ負擔スベシト云フ各派一致ノ決議デアフタ、サレバ如何
ニ調査會ヲ設ケタト雖モ、今日四千万圓以內ニ削減スルト
云フコトハ出來マスマイ、俸給令俸給等級表ト云フモノモ改
正サレタ今日デアルカラシテ、ソレハ中バ困難ナ事デアル、町
村ガ負擔ニ堪ヘヌト云フ事ガ明瞭デアル以上ハ、國家財政
上ノ遺繰ハ困難デアルカモ知リマセヌケレドモ、一千万圓位
ノ金ハ十五億六千万圓ノ大豫算デアルノデアルカラ、其內
カラ、捻出サレヌコトハアルマイ、又刺餘金ガ一億九千万圓
モアルカラ、コレカラ支出シテハドウカト云フ問ガアリマシタ、
之ニ答ヘマシテ、成程一千万圓位ハドウカナルト云フケレド
モ、天災トカ地變トカ云フ臨時費ナラバ、大藏省モ支出スル
カ知レヌガ、俸給支出ニ就キマシテハ、輕々ニ言フコトハ出
來ナイ、又一千万圓ヲ一一千万圓ニシナケレバ、ドウシテモ市
町村ガ負擔ニ堪ヘナイトモ見エナイ、各市町村ト云フケレド
モ、市ハ平均致シマスト百分ノ十五位デアル、氣ノ毒ナノハ町
村ノ狀態デアッテ、隨分多額ノ〓育費ヲ負擔シテ居リマス、
併シ分配ノ方法ガ宜シキヲ得ルヤ否ヤモ疑問デアリマスカラ
シテ、救済ノ意味カラ申シマスナラバ、富裕ナル町村ノモノヲ
廢メテ、貧弱ナ町村ニ之ヲ持ッテ行ッテヤッタナラバ、非常ニ公
平ニナッテ助カルト思フ、此等モ調査シテ見タイト云フ文部
當局ノ答デアリマシタ、次ニ財政ニ就テ大藏省ノ政府委員
ハ斯ウ答ヘテ居リマス、今日ノ如ク〓員ノ俸給ガ一億圓ニ
モ達スルガ如キハ、殆ド豫想外デアッテ、四十二議會ニ於テ、
經濟狀態ガ激變スルト同時ニ、一方ニ於テハ〓員ノ俸給ハ
官吏ノ增俸ト共ニ增サレタノデ、其結果ト致シマシテ市町
村ガ非常ナ窮地ニ陷っタ、故ニ大正十年度ニ於テ國庫ヨリ
補助スル金額ヲ出來ルダケ出サウト考ヘタケレドモ-或ハ
此際郵便電信電話ノ値上ヲナストカ、煙草ヲ引上ゲルトカ
云フ話モアッタガ、此經濟界不況ノ場合ニ於テ、增稅ニ類ス
ルヤウナ增收ヲ圖ルコトハ、ドウデアラウカト云フ事カラ之ヲ
見合シタ、サスレバ是迄ノ財政ノ立方ニ於テハ、餘裕ヲ以テ
補助金ヲ出スヨリ外ハナイ、其基礎ノ上ニ段々計算ヲ致シ
テ見マシタケレドモ何トシテモ、一千萬圓以上ノ金ガ經常費
ニ於テ增加スルコトガ出來ナイノデアリマス、又一億九千万
圓ノ剰餘金ガアルト言ハルヽケレドモ、日本ノ財政ノ立方ト
云フモノハ、經常歲入ガ經常歲出ヨリ多クアリマシテ經常
歲入ヲ以テ經常歲出全部ヲ支辨致シマシテ其上臨時支出
ノ大部分ヲ經常歲入ヲ以テ支辨シテ居ルヤウナ有樣デア
ル、經常歲入ノ足ラヌ所ヲ臨時歲入デ補ッテ居ルナラバ、剩
餘金繰入ト云フコトガ出來ルカモ知レマセヌケレドモ、其反
對ニナッテ居ルガ故ニ、剩餘金ヨリ支出スルコトハ出來マセ
ヌ、大正十年度ノ豫算ト云フモノハ、前年度ノ實行豫算ニ
對シマシテ二億三四千万圓增シテ居リマスケレドモ、其內デ
物價騰貴、其他臨時費ヲ除イタ經常歲出ニ屬スルモノハ、
極メテ少額アアリマス、若シ其等モノヲ削ッテ一千万圓位〓
育ニ迴スト致シマスト、他ノ經常歲出ニ屬スル計畫ハ立タ
ヌト云フコトニナリマス、地方自治體ノ實情ハ實ニ御氣ノ毒
デ、熟知シテ居リマスケレドモ、已ムヲ得ズ本年ハ我慢シテ貰
ハケレバナラヌト云フノガ、政府ト各委員間トノ問答デゴ
ザイマシタ、更ニ井上君ノ提案ニ對シマシテ、各派ヨリ質問
ガアリマシタ、井上君ガ答ヘテ曰フニハ、此提案ノ意味ハ、總
理大臣ノ言明ヲ速ニ具體的ナラシメントスルモノデアリマ
ス、過日ノ本會議ニ於テ三四割ト申シマシタノハ、必ズ三四
割ト云フ意味ヂヤナイ、或程度迄ト云フ輕イ意味デアリマ
ス、斯ウ云フ訂正ガアリマス(笑聲起ル)町村ノ併合、學校ノ
廢合、〓員ノ流用、代用〓員、准〓員、複式〓授ノ如キハ、
井上君ガ個人的ニ假定說ヲナサレタモノト云フ御釋明ガア
リマシタ(拍手起ル)併ナガラ條件ト致シマシテモ、市町村ノ
負擔ヲ輕減シテ、地方ノ財政及稅制ヲ整理致シマシテ、且
ツ校舍ノ設備其他ニ關シテ勉メテ冗費ヲ節約スルコトヲ希
望スト云フ希望條件ガ〓育會ニアル位デアリマス、斯ク說
明サレマシテ、〓育費調査ノ必要ヲ力說サレタ譯デアリマ
ス、松下禎二君ハ質問十三箇條ヲ掲ゲテ御質問ニナリマシ
テ、〓員ノ素質、義務〓育年限ノ延長、低能兒〓育、聾啞
〓育、結核病〓員ノ待遇、其他衞生學ノ見地カラシテ、同
君獨特ノ該博ナル知識ノ上ニ於テ、詳細ナル質問應答ガゴ
ザイマシタ、要スルニ本年度ヨリノ負擔ニ屬スルモノト、〓育
費調査ト共ニ增額セントスルモノト、其趣意ニ於テハ逕庭ス
ル所ハゴザイマセヌガ、只ダ緩急遲速ノ差ガアルダケデゴザイ
マス、旣ニ御承知ノ通リ、追加豫算ニ於テ〓育行政調査費
ヲ協賛シタル〓日デアリマスカラシテ、成ベク各派一致ノ行
動ヲ執リタイト云フ考カラ致シマシテ、井上君カラシテ四案
ノ希望ヲ參酌一括セラレアシテ、斯ノ如キ修正案ガ出マシ
タノデス、卽チ標題ヲ「市町村〓育費ニ關スル建議案」ト改
メマシテ、其趣意ヲ「政府ハ速ニ〓育行政調査會ヲ開キ市
町村ノ〓育費ヲ整理シ尙ホ相當ノ金額ヲ支出シ以テ〓育
ノ振興ヲ圖ルト共ニ市町村〓育費ノ負擔輕減ノ途ヲ講ズ
ベシ」斯ノ如キ修正案ガ出マシタ、續イテ討論ニ入リマシタ
所ガ、此修正案ニ就テ憲政會ノ諸君ヲ除クノ外ハ、滿場一
致ヲ以テ可決ニナリマシタ、唯ダ守屋氏ノ提出ニナッタ議案
ハ、法律案デアル爲メニ、此修正案ニ御同意ニナルト同時ニ
自然ノ結果トシテ撤回サレルヤウナコトニ相成ル次第デア
リマス、此點ニ就キマシテハ守屋君カラ御述べニナルト云フ
コトデアリマスルカラ、其詳細ハ御自身ノ御辯明ニ譲シテ此
壇ヲ降リマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=114
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115・樋口秀雄
○樋口秀雄君 只今委員長御報告ニ、一寸誤リト云フ程
デモアリマセヌガ、補足致シタイト思ヒマスカラ、御許シヲ願
ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=115
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116・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 許シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=116
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117・樋口秀雄
○樋口秀雄君 簡單デアリマスカラ此席ヨリ申述ベマス、
只今ノ鈴木委員長ヨリ詳細ナル御報告ガアリマシタ、大體
ニ於テ極メテ實況ニ近イ御報告デアリマシタガ、只其初ニ於
キマシテ、憲政會竝ニ國民黨カラ提出ニナリマシタ建議案
ハ、各金額ノコトハ明記シナイガ、其趣意ハ曾テ〓員俸給ガ三
千七百万圓ノ頃ニ二千万圓-其半額ノ意味ヲ以テ二千
万圓ヲ支出セヨト云フ建議ヲシタ位デアルカラ、切メテ二千
万圓位マデハ支出シテ貰ヒタイト云フ趣意デアルト云フヤ
ウニ御報告ニナリマシタ、是ハ少シク訂正ヲ要シマス、吾とモ
國民黨ノ方モ御同樣ノ意見デアリマシタガ、吾ミハ當時ノ
建議ノ趣旨ニ從ヘバ、小學校ノ義務〓育ニ從事シテ居リマ
ス、〓員ノ俸給、其俸給ノ半額マデハ國庫ガ之ヲ負擔スル
ノガ然ルベシト云フ意味デアリマシタカラ、若シ此當然ノ論
理ヲ追ウテ參リマスレバ、今ヤ一億五百万圓ニナッタ其半額
約五千万圓ニ達スルダケノ補助ヲシタイト云フノガ理想デ
アリマス、併シ財政ノ現狀ニ於テ、此五千万圓ノ支出ハ直
ニ之ヲ要求致シテモ無理デアリマスカラ、切メテハ大正十年
度ニ於テハ二千万圓、曩ノ建議ノ精神ニ從ヒマシテ、大正
十年ニハ二千万圓位マデ補助ヲ致シテ然ルベシ、尙ホ財政
ノ狀況ノ許ス限リ、理想トシテハ約五千万圓ニ達シタイト
云フノガ吾ヽ希望デアッタノデアリマス、只今ノ御報告ハ間
違シテハ居リマセヌガ、切メテハ二千万圓ト、斯ウ單純ニ御說
明ニナリマシタカラ、或ハ誤解ヲ虞レマシテ、茲ニ申上ゲテ置
キマス
〔鈴木錠藏君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=117
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118・鈴木錠藏
○鈴木錠藏君 次ニ御報告申シマスノハ、同ジク付託サレ
マシタル所ノ東京外國語學校修業年限延長ニ關スル建議
案ヲ御報告中上ゲマス、此趣意ハ現在ノ修業年限ノ三年
ヲ二箇年延長シテ五箇年ニシタイト云フ趣意デアリマシテ、
理由ト致シマシテハ、大正八年ニ東京外國語學校ノ規則ガ
改正サレマシテ、其外國ノ部ヲ文科、貿易科、拓殖科ノ三科
ニ分チマシテ、各、専門的ノ外國語ノ上ニ、文科ニ於テハ文
學ニ關スルモノ、或ハ法律ニ關スルモノ、貿易科ニ於テハ商
業貿易ニ關スルモノ、拓殖科ニ於テハ農業植民ニ關スルモ
ノ、是等ノモノヲ〓授スルコトニナリマシタ爲メニ、甚ダ時間
ガ少ナイカラシテ、一箇年ヲ延ベテ貰ヒタイト云フノデアリマ
ス、モウ一ツハ二十年前ニ規定致シマシタ同校ノ課程ニ依
リマスト語學専門デアリマシテ、三學年ヲ通ジマシテ每週二
十七時間デアル、今日ハ社會ノ狀態モ異ッテ居リマスニ拘ラ
ズ、一週二十時間デ、十分語學ノ練習ガ出來ナイ、故ニ此
方面ニ於テ一年延長シテ貰ヒタイ、合セテ二箇年ノ延長ヲ
必要トスル所ノ建議案デゴザイマス、モウ一ツハ東京帝國大
學農學部實科ニ關スル建議案デアリマス、此農學部ノ實科
ハ、駒場農學校創立以來旣二三十餘年ノ間ニ、二千有餘
名ノ卒業生ヲ出サレマシテ、農業界ニ貢獻スル所大デアル
サウデアリマス、然ルニ帝國大學ノ附屬デアルガ爲メニ、經費
ノ關係上カラシテ、常ニ大學ノ改善ヲ先ニセラレテ、實科ノ
改善ト云フモノハ閑却セラレテ居ル、右ハ〓育行政ノ大勢
ニ悖ッテ、學制統一上ニモ速ニ分離獨立セシムベキ氣運ニ際
會シテ居ル、故ニ現在ノ駒場ニ於テ專攻科ヲ附設スル所ノ
專門學校トシテ、獨立セシメタイト云フ趣意デゴザイマシタ
此兩案ニ對スル政府ノ意見ヲ求メマシタ所ガ、建議案ノ趣
意ハ道理アルモノト思フケレドモ、之ヲ實行スルト云フニ付
テハ一得一失、一利一害ガアルカラ、十分〓究調査ヲ要ス
ルト云フ御答デゴザイマシタ、併シナガラ委員會ハ兩案トモ
理由アルモノトシテ、全會一致ヲ以テ可決致シマシタカラ、
此段御報告申シマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=118
-
119・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 高田耘平君
〔高田耘平君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=119
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120・高田耘平
○高田耘平君 本員ハ只今ノ委員長ノ報告ニナリマシタ
ル修正案ニ就テ、政府ノ意見ヲ伺ヒタイト思フノデアリマス
實ハ會期切迫ノ折柄デアリマスカラ、本會議ニ於テ質問ス
ルコトヲ略シマシテ、昨日委員會ニ於キマシテ、井上君ヨリ
此修正案ガ出マシタトキニ、政府ノ意見ヲ伺ヒタイ積リデ、
委員長迄申上ゲテ置キマシタノデス、所ガ政府ヲ代表スベ
キ意味ノ方ガ御多忙ノ爲ニ御出デニナリマセヌノデ、ソレデ
已ムヲ得ズ此席デ政府ノ意見ヲ伺フ次第ニナリマシタ、極
メテ簡單ニ申上ゲマス、先程委員長ノ御報告ノ通リ、井上
角五郞君外十三名提出ノ小學校〓育費ノ整理ニ關スル建
議案外三件ニ就テ一種ノ修正ガ出マシク、其修正案ハ委
員長ノ御報告ノ通リ、〓育調査會ヲ速ニ開カレテ、而シテ
尙ホ相當ノ金額ヲ國庫ヨリ市町村ニ向ッテ出スベシト、斯ウ
云フコトノ大體ノ意味デアリマス、之ヲ曩ニ井上君外十三
名ノ方ガ、卽チ政友會ヲ代表スル意味ニ於テ御提出ニナリ
マシタル〓育費整理ニ關スル建議案ヨリ見マスレバ、餘程
吾ミノ意見ト接近シテ參リマシタノデゴザイマス、卽チ曩ノ
御提案ニハ、尙ホ必要アル場合ニ於テハ整理節約ヲ爲シテ
モ、尙ホ必要アル場合ニ於テハ國庫ヨリ出スト云フノデアツ
タノヲ、整理ハ別ニシロ、而シテ國庫ヨリ出スニトハ別ニシロ全然
〓育調査會ノ整理ト云フコトヽ一方國庫ヨリ相當ノ金ヲ
支出スベシト云フ事ハ別箇ノ問題トナッテ現レタノデアリマ
ス、故ニ或意味ニ於テハ吾〓ノ大正十年度ヨリ支出スベシ
ト云フ案ト接近シテ參リマシタコトハ、是ハ非常ニ私共國民
〓育ノ爲メニ喜ブ次第デ、而シテ又政友會ノ諸君ガ其過レ
ルヲ覺ッテ、吾ミノ意見ニ幾分タリトモ一致シタルコトニ對シ
テ深ク敬意ヲ表シマス、但シ無定見デアリシコトニ就テハ甚
ダ驚ク者デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=120
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121・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 高田君ニ注意シテ置キマスガ、本
案ニ就テハ質疑ノ通告ト討論ノ通告ト二ツアリマスカラ、此
場合意見ヲ述ベラレナイヤウニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=121
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122・高田耘平
○高田耘平君(續) 而シテ此修正案ニ就キマシテ、政府
ノ意見ヲ伺ヒタイノデアリマス、申スマデモナク總理大臣及
文部大臣ガ度〓聲明スル通リ、而シテ昨日モ貴族院ノ豫算
總會ニ於テモ、原總理大臣ノ聲明ハ〓育行政調査會ヲ開
イテ整理節約ヲ圖ッテ、尙ホ不足ノ場合ニ於テハ國庫ノ負
擔金ヲ增額スル見込デアル、斯ウ云フコトヲ今尙ホ聲明シ
テ居ルノデゴザイマス、所ガ政府ト政府與黨ノ諸君トノ今日
マデノ行動ハ、是ハ何ト申シタテ宜シイカ、影ノ形ニ從フガ如
シト云フタラ徳當デアリマセウカ、是ハ又當然デアラウト思フ、
卽チ第四十一議會ニ於キマシテハ、吾〓ガ〓育振興ニ關ス
ル建議案ヲ出スト、原總理大臣ハ此問題ハ考慮中ニアルト
云フコトニナッテ、直グ建議案ヲ卽決否決スル、尙ホ又過般
御提出ニナリマシタル、卽チ〓育費整理ニ關スル建議案モ
原總理大臣ガ此議場ニ於テ植場君ノ質問ニ對シテ、調査
ヲ致シテ見テ、ソレデ不足ノ場合ニハ相當金額ヲ出スト云
フコトヲ言ッタ、ソレヲ取ッテ全然其意思ニ依ッテ建議案-
提案ノ文ヲ御出シニナッタノデアル、是ハ又政府ト政府與黨
ノ關係ハ影ノ形ニ從フ如シ、是ハ又已ムヲ得ナイト思フ、所
ガ今度井上君ガ委員會ニ於テ修正說ヲ御出シニナ,テ、通
過致シマシタル修正說ハ、全然政府ノ意見ト變っテ居ルノデ
ゴザイマス、卽チ井上君ノ修正說ハ、〓育行政調査會ヲ開
イテ整理節約スルト云フ事ヲヤル一方ニ、之ニ關セズシテ相
當ノ金額ヲ國庫ヨリ支出スル、斯ウ云フ事デゴザイマスカラ
シテ、政府ノ意見ト異フテ居ルノデゴザイマス、併ナガラ前申
上ゲマシタ通リ、政友會ト政府ノ關係ハ影ノ形ニ從フガ如
シ、此問題ハ政友會ト政府トノ意見ガ異ヲテ居ルヤウニ思フ
ノデゴザイマス、併ナガラ幾分惡口ニナリマスルケレドモ、度と
變ル文部大臣デゴザイマスカラ、近頃又御意見ガ變ヲテ、
政府黨諸君ノ御修正案ノ通リニ、整理節約上云フモノト、
國庫負擔金增加ト云フモノト、別ニスルト云フ御意見ニデ
モ相成リマシタモノデモゴザイマスカ、之ヲ伺ヒタ{イノデス、サワ
ウスルト又二枚舌トカ三枚舌トカ云フコトガ出來マスケレ
ドモ、ソレハ私ハ何枚舌ニナッテモ構ヒマセヌ、唯ダ若シ政府
與黨ノ修正案ノ通リ政府ガ同意スルト云フコトデアリマス
レバ、私ハ唯ダ文部大臣及政府ノ言フコトガ〓度變シテモ、
少クトモ吾ミノ主張ニ接近シテ、國民〓育ノ振興ヲ圖リ、
一方市町村ノ負擔ヲ輕滅スルコトニナリマスガ故ニ、成ベク
サウ御願ヒスルノデゴザイマスケレドモ、果シテ主張ガ變ヲテ、
所謂只今ノ御報告ニナリマシタ修正案ノ全然節約ト云フ
コトヽ國庫負擔ヲ增加スルト云フコトハ、別箇ノ問題トシ
テ進ムトシテ、政府ノ御決心ガ吾ミノ意見ニ近付イテ來マ
シタモノデアルト云フコトヲ、此際承ァテ置キタイノデアリマ
ス、極メテ簡單ノ問題デアリマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=122
-
123・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 中橋文部大臣
〔國務大臣中橋德五郞君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=123
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124・中橋徳五郎
○國務大臣(中橋德五郞君) 只今高田君ノ御質問ニ御
答致シマス、屢、變ル文部大臣ト御言ヒニナリマシタガ、變へ
タ事ハアリマセヌ、是ハ豫メ中上ゲテ置キマス、此建議案ニ
就キマシテ最初ニ御提出ニナリマシタ建議案ガ、委員會ニ
於テ段々御修正ニナッタコトハ認メマシタ、併シ政府ハ矢張
最前ヨリシテ申上ゲマシタ通リノ考ヲ持ッテ居リマスカラ、左
樣御承知ヲ願ヒタウゴザイマス、別ニ變ッタ考ヲ持ッテ居リマ
セヌ、先日總理大臣モ此所デ申上ゲタ次第デ、私共モ申上
ゲタ次第デアル、昨日又貴族院ノ豫算總會ニ於テモ、只今
御話ノ如ク御承知ノ事ト考ヘマスガ、總理大臣ヨリシテ說
明申上ゲマシタヤウナ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=124
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125・高田耘平
○高田耘平君 尙ホ極メテ簡單デスガ、大體分リマシタガ
尙ホ伺ヒタイト思ヒマス
〔「無用々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=125
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126・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 靜ニ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=126
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127・高田耘平
○高田耘平君 委員ノ修正案、即チ國庫負擔金增加ト、
而シテ〓育行政調査會ノ整理節約ト云フコトハ、全然別
箇ノニシテ進ムベシト云フ政友會諸君ノ御提案ニ反對デゴ
ザイマスカ、ソレヲ伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=127
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128・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 中橋文部大臣
〔國務大臣中橋德五郞君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=128
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129・中橋徳五郎
○國務大臣(中橋德五郞君) 御答致シマスガ、政友會ノ
御提案ナリ御修正ニナッタ案ノ御說明ハ、委員長カラシテ申
サレタ通リデアリマス、政府ニ於キマシテハ此〓育行政調査
會ヲ設ケマシテ、之ヲ成ベク速ニ開キ成ベク速ニ結了ヲ致シ
タイト思ウテ居ル次第デアリマス、而シテ必要ニ應ジマシテ
國庫ノ力ヲ計リマシテ、力ガアリマスルナラバ此補助金ノ增
額ヲ致シ、但シ增額ノ方法ハ或ハ變更スルカモ知レマセヌ、
政府ハ先日ヨリシテ申上ゲマシタ所ト、少シモ變ッテ居リマ
セヌカラ、左樣御承知ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=129
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130・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 討論ニ入リマス、荒川五郞君
〔荒川五郞君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=130
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131・荒川五郎
○荒川五郞君 小學校ノ〓育費ノ問題ハ、政黨以上ニ立
チマス國家ノ大問題デアリマス、黨派ノ別ヲ離レテ成ベク滿
場一致ニ行キタイト私共ハ希望致シタノデアリマス、然ルニ
吾〓ノ意見トハ全ク別ノ修正ヲ致サレテ、已ムナク玆ニ反對
ヲシナケレがナラヌ事ヲ遺憾ト思フノデアリマス、是ヨリ理由
ハ省キマシテ、成ベク其趣旨ヲ簡單ニ申述べマス、諸君、市町
村ハ最下級ノ自治體デアッテ、最モ完全シタル自治デアリマ
ス、其自治ノ事業、殊ニ最モ大事ナ市町村自治ノ事業デア
ル、其〓育事業、其〓育事業ノ費用ヲ、政府ノ設ケル〓育
行政調査ノ一ツノ機關ヲ以テ、ソレヲ整理シ節減シヤウト
云フコトハ、其事自體ガ自治ノ壓迫デアリ、自治ノ干渉デア
ルト言ハナケレバナラヌノデアリマス(拍手)全國一万三千ノ
市町村、是等ノ市町村ハ國肇ヲテ以來、山河自然ノ形勢、
風俗人情又歷史ヲ異ニ致シテ居リマス各〓市町村、箇々ニ
就テ總テノ事ヲ調ベナケレバナラヌモノデアルコトハ、人各〓
其顏ノ違フガ如ク自治體ハ異ルノデアリマス、其全國一万
三千ノ市町村ニ向ッテ、其風俗、習慣、事情、歷史ヲ異ニス
ル其自治ノ事業、其費用ヲ中央ノ機關デ、是ガドウシテ整理
節約ガ出來ルカ、ソレハ澤山ナ人ヲ置キ、長イ月日ヲ掛ケテ
一々箇々ニ取調ベタナラバ、其間ニハ勿論一厘一毛ヲ減ゼラ
レヌトハ申サヌノデアリマスケレドモ、ソレガ如何ニシテ出來ル
カ、此〓育整理機關ノ問題ガ現ハルヽヤ、必ズ是ハ〓員ノ
頭ニ掛ル問題トシテ、全國ノ〓員ハ殆ド不安ノ地位ニ陷ヲテ
居ルノデアリマス(拍手)〓育ノ爲メニドレダケノ打擊ヲ與ヘ
タ事デアリマセウ(拍手)諸君政友會諸君ハ、〓育振興ト云
フコトヲ四大政綱ノ一ニ揭ゲテ居ラレル、〓育振興ト云フ
コトヲ四大政綱ノ一トシテ標榜セラレル諸君ガ、茲ニ斯ル理
由ノナイ暴論ヲ-サウシテ天下ノ〓育、其ノ進步ヲ壓迫
シ打擊ヲ與へ破壞ヲシヤウトスルガ如キハ實ニ是レ諸君ノ
標榜ニ反スルモノデハアリマセヌカ(拍手)諸君、〓育ノ振興
ト云フコトハ決シテ政友會諸君ノ專有物デハアリマセヌ、
苟クモ國ヲ成ス以上ハ、國民ノ進步向上ヲ圖ラナケレバナ
ラヌ、國民ノ進步發達ヲ圖ルニハ、國民ヲ〓育シナケレバ
ナラヌ、卽チ〓育ハ立國ノ大本デアリマス、此立國ノ大本ハ
苟モ政治ヲ致ス者ノ皆夙ニ意ヲ拂ハナケレバナラヌ事デア
リマシテ、決シテ政友會獨特ノ專有物デナイノデアリマス、諸
君ガ〓育振興ヲ我物顏ニサレルノハ、恰モ空中ニ圓ヲ描イ
テ是ハ吾ガ物ナリト云フノト同ジデアリマス
〔「何故ヤラヌカ」ト呼ヒ其他發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=131
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132・荒川五郎
○荒川五郞君(續) 何デスカ(「簡單」ト呼フ者アリ)何カ
言ッテ居リマス-イヤ私ハ何カ言ハレマシタカラ、或ハ大事
デモ起ッタカト思ヒマシタ、何カアルナラ私ハ御待チシマス、成
ベク初メカラ申スヤウニ理由ヲ省イテ簡單ニ申シタイト思ヒ
マス、殊ニ會期切迫、時間モ切迫ノ場合デアリマスカラ、諸
君モ成ベク演說ヲ妨害シナイヤウニ(「簡單」ト呼フ者アリ)
簡單ニ申スダケヲ御聽キアラムコトヲ希望シマス(「無駄ナコ
トヲ言ハヌヤウニ願ヒマス」ト呼フ者アリ)諸君斯ノ如ク全國
ノ自治體箇々ノ事業ヲ中央ノ政府ガ干涉シ壓迫シヤウト
云フコトハ、其事自體ガ大矛盾デアリマスノミナラズ、ソレニ
致シテモ實際ニ整理シ得ル餘地ガアレバ尙ホ宜イ、整理ス
ル途ガアリマセウカ、今ヤ全國ノ義務〓育費ハ凡ソ一億五
千万圓、其中デ大部分ヲ占メテ居ルノハ御承知ノ如ク〓員
ノ俸給デアリマシテ、一億餘万圓デアリマス、後ノ五千万圓
內外ハ設備ヤ消耗其他ノ費用デアリマシテ、殊ニ斧鉞ヲ加
ヘヤウト思ヘバ、此〓員費デアリマス、ソコデ此〓員費ニサウ
云フコトガ出來ルカ、設備ニ節約ガ出來ルカト云フコトガ世
間ノ議論デアリマス、ソレデ政府ノ當局者モ斷片的ニ其等
ノ所ヲ言ッタリ言ハナイダリセラレタ所ガアルノデアリマスガ、
ソレ等ヲ綜合致シテ見ルト、中ニハ學校ノ合併-學校ノ
合併ト云フコトガアルノデアリマス、學校ハ今日市街地デハ
專門ノ校長ヲ置イテ居ル學校ガアリマス、元ハ十八學級デ
ス、一ツノ校長ノ支配スル學校ハ十八學級マデトナッテ居ツ
タノデアリマス、然ルニソレデハ中〓屆キマセヌカラ-〓員
ヲ得ラレヌカラシテ、遂ニ今デハソレガ破レテ-十八學級
ガ二十學級トナリ、二十五學級トナリ甚シキハ日本ノ中ニ
ハ一學校一校長ノ下ニ三十學級マデモ持ッテ居ルノガアリ
マス、隨テソレ等ノ校長ナルモノハ、唯ダ學校ノ飾リニ置イテ
居ルノデハナイノデアリマス、專務ノ校長ヲ已ムヲ得ズシテ之
ヲ置イテ居ルノデアリマス、然ラバ地方ノ小サナル學校ニ於
テハ、校長ノ合併兼務ガ出來ルカト云ヘバ、此地方ノ校
長ハ-小サナ學校ノ校長ハ皆ナ訓導ヲ兼ネテ居ル、又訓
導バカリデハアリマセヌ、學校ノ書記モ兼ネテ居ル、小使モ兼
ネテ居ル、一人ノ校長デ總テノ仕事ヲ致スノミナラズ、マダ
其餘暇ニ於テ靑年團ノ指導ニ從事シ、婦人會ノ事ニ力ヲ
盡シ、又夜學會ニモ手ヲ盡シテヤッテ居ルノデアリマス、是等
ハ校長ト云フ名ハアリマスケレドモ、決シデ校長專務ノモノ
デハナイノデアリマスカラシテ、既ニ學校ガ合併出來ナイノミ
ナラズ、校長ノ合併兼務モ出來ナイノデアリマス、サウシテ又
中ニハ一〓員ノ受持兒童ノ數ヲ增加シヤウ、卽チ學級兒童
ノ數ヲ增加シヤウト云フ說モアルノデアリマス、併シ我日本
デハ一學級ヲ七十人ト致シテ、八十人マデハ增スコトガ出
來ルトナッテ居ルノデアリマス、世界廣シト雖モ日本ノ如ク
多クノ生徒ヲ預カル制度ノ國ハナイノデアリマス、如何ニ日
本ノ小學校〓員ガ精力絕倫ト雖モ、如何ニモヒドイノデア
リマス、英吉利、佛蘭西ノ如キハ一學級ノ生徒ヲ凡ソ三十
五名ト致シテ居ルノデアリマス、又我日本デモ官立ノ小學
校、府縣立ノ小學校、是等ハ皆ナ三十五名、最モ多キモ四
十人位デアリマス、設備モ整ヒ、總テ萬端ガ十分デアル官立
小學校、府縣立小學校、ソレ等デスラ尙ホ三十五名、四十
名位デアリマスノニ、地方ノ農村ノ設備モ不完全デアル、不
行屆ノ中ニ一人七十人、甚シキハ八十人ト云フコトハ、全ク
〓員ノ〓授能力ヲ無視シタル今日ノ制度デアルノデアリマ
ス、若シ完全ニ〓育ヲ行フトシタナラバ、卽チ西洋ノヤウニ致
シ或ハ政府ガ〓究ノ爲メニヤッテ居ル官立ヤ公立學校ノ
ヤウニ致シタナラバ、今ノ〓員ノ三倍モ置カナケレバナラヌ
コトニナルノデアリマス、〓員ノ數ヲ迚モ減ズルコトノ出·來
ナイコトハ明カデアリマス、又二部制或ハ三學級二〓員制、
斯ウ云フヤウチコトヲ大臣モ話サレタコトモアリマス、又文部
次官モサウ云ヲヤウナコトモ宜カラウト云フ說明ガアッタノヲ
承タテ居リマスケレドモ、是等ハ或ル場合ニ一時的ニサウ云
フヤウナコトヲ行フ場合ハ已ムヲ得ヌコトモアリマセウガ、之
ヲ常久的ニ行フナドヽ云フコトハ、最モ然ルベカラザルコトデ
アリマス、尙ホ井上君ノ如キモ複式ニ致シタラ宜カラウ、甲
ノ組ニ讀方ヲ〓ヘテ、乙ノ組ニ書キ方ヲ〓へタラ宜カラウト
云フ、併シ此樣ナ事ハ皆疾ニヤッテ居ルノデアリマス、單級ノ
學校ガ全國ニ幾何アリマスカ、此單級學校ト云フモノハ複
式ドコロデハアリマセヌ、一年生カラ六年生マデヲ一人デ一
緒ニ〓ヘテ居ルノデアリマス、サウ云フ學校ガ澤山アルノデ
アリマス、ツレヲ只ダ都會ノ一部分ヲ見テ、此方ニ讀方ヲヤリ
此方ニ書方ヲヤッタラ宜カラウト云フヤウナコトハ、全ク今日
ノ〓育ノ實情ヲ御承知ナイ議論デアリマス、只讀方ト書方
ダケチラバ行ケマセウケレドモ、學校ノ課業、兒童ノ〓育ハ
讀方チ書方ノミデハナイノデアリマス、混ヤ今申シマス如ク、
一年ヨリ六年ニ至ル單學級、又一年ヨリ三年、四年ヨリ六
年ト二組ニ分ケル二學級學校、是等ノ少學級學校ガ全國
ノ大半ヲ占メテ居リマス、然ルニ玆ニ一ツ僅カナ一部分ヲ
見テ複式〓授ナドヲ論ゼラレルニ至ッテハ、最モ驚クニ堪ヘ
タルモノデアリマス(拍手)、諸君今日ノ制度ニシテ普通ノ〓
員ノ能力ヲ二倍ニ見テモ、今日ノ制度デスラ、ソレデモ五六
万ノ〓員ガ不足シテ居ルノデアリマス、其五六万ノ〓員ノ
不足シテ居ル其今日、使ッテ居ル〓員ノ中ニ、准〓員、代用
〓員ガ七万人パカリモアルノデアリマス、斯ル有樣デドウシ
テ〓育ガ完全ニ出來マセウカ、國家ハ義務〓育トシテ國民
ニ此〓育ヲ强イナガラ、ンレヲ〓育スベキ人、其人ノ現狀ハ
如何デアリマスカ、農商務ヤ其他世人ニ於テモ商品ノ粗製
濫造ヲ叫ビ戒メテ居リマスガ、今日大事ナ人間ノ粗製濫造
ヲ如何ニスベキ(拍手)斯ノ如ク今日ノ〓員ハ二倍以上ノ
仕事ヲ致シ、サウシテ其實際ノ有樣ハ斯ノ如クデ、大事ナ國
民ガ實ニ粗製濫造ニ陷ルノデアリマス、國家ノ前途國運ノ
仲張ニ顧ミテ、國民〓育ノ粗製濫造、此有樣ヲ吾ミハ看過
シ得ルコトデアリマセウカ、諸君斯ノ如キ有樣デアリマシテ、
之ヲ〓育ノ實際ニ調べタナラバ、先ヅ普通ノ目安カラ取ッテ
モ、今ノ〓育ヲ二倍ニモシナケレバナラ]ヌノデアリマス、文部
大臣ハ寺院デモ使ハレル所ガアラウト言ハレマシタ、今ノ寺
院ガ若シ使ハレル所ガアッタニシテモ、是ハ未來ノ設備ノ問
題デアリマス、今日ノ〓育費ヲ整理スル問題ニハ關係ハナ
イノデアリマス、將來ノ問題デアル、況ヤ寺院ナルモノハ或ハ
光線或ハ空氣其等ノ事ニ於テ洵ニ不完全デアリマス、又殊
ニ學校ニ一番重要ナ條件ハ學校ノ位置デアリマス、今日學
校騒ギト云フモノガ、全國ニアルノハ殆ド多クガ位置ノ問題
デアリマス、是等ノ位置ヲ考ヘタナラバ、寺院ナドヽ云フモノ
ハ大正ノ今日ヲ去ッテ明治ノ初メニ遡ッテモ實際多クハ使用
出來ナイノデアリマス(拍手)斯樣ニ申シマスト大體ソレダケ
デモ今ノ市町村ノ〓育費ヲ整理節減致シテ、是デ以テ相當
ノ補ヒヲシヤウト云フコトハ全ク無益、マルデ目當ノ無イ空
論デアル、畑ニ蛤ヲ掘ルヨリモ難イ仕事デアルノデアリマス
(拍手)文部大臣ハ整理節約スルニハ調ベテ見ネバ分ラヌト
云フ、其樣ナ空論デドウシテ國家ノ政治ガ出來マセウ、今日
ノ有樣ハ全ク整理ノ餘地ハ無イノデアリマス、其餘地ノ無
イ事實ガ分ッテ居ラナケレバナラヌ、分ッテ居ルベキ人ガ今日
玆ニ整理ノ機關ヲ設ケ整理ノ法ヲ立テヤウナドヽ云フコト
ハ、全ク〓育ノ破壞デアリマス、全國ノ〓育家ノ代表トシテ
帝國〓育界ノ野口君ガ此間演ゼラレタ其中ニモ、是レ實ニ
〓育ノ破壞デアルト叫ンデ居ル、斯ウ天下ヲ〓育家ハ皆叫
ンデ居ルノデアリマス、況ンヤ今日·発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=132
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133・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 定刻ニ近付キマシタガ、都合ニ依ク
テ延長ヲ致シマス
〔「簡單ニヤレ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=133
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134・奧繁三郎
○議長(奥繁三郞君) 靜ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=134
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135・荒川五郎
○荒川五郞君(續) 斯ウ云フ譯デアリマシテ、〓育費ハ非
常ニ嵩ンデ居リマシテ、サウシテ地方ノ財力ハ今日非常ニ困
難ニ陷ッテ居ルノデアリマス、稅源ノコトニハ苦ンデ、既ニ政
友會ノ御方カラモ稅源ノ擴張ニ就テ建議案ガ出テ居ルノ
デアリマス、斯ノ如キ今日ノ有樣デアリマシテ、稅源ノ擴張
ヲシナケレバナラヌト云フ其案ガ』出テ、ソレハ既ニ委員會ニ
決シテ居ル筈ト思ヒマス(「簡單々々」ト呼フ者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=135
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136・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 靜ニ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=136
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137・荒川五郎
○荒川五郞君(續) 我地方ノ財政ハ、直接國稅ノ附加稅
ヨリ外ナイノデアリマス、今日世間多クノ事業ハ皆中央ニ集
中致シテ居リマシテ、地方ハ日夜枯渴ニ赴キツヽアルノデア
リマス、斯ノ如キ中ニ向テテ重重要ナル〓育、ンレニ僅カノ國
費ヲ出スコトヲ吝ンデ、無暗ニ之ヲ地方ニ押付ケヤウト云フ
ノハ、國家全般ノ事情ヲ知ラナイト云フモ甚ダシキモノデア
リマス、(拍手)斯ウ云フヤウナ事情デアリマスカラ、今日全國
ノ市町村長ハ勿論、小學校ノ〓員其他ノ人民カラモ、此〓
育費ニ向シテ國庫負擔ノ增加ヲシテ貰ヒタイト云フコトノ請
願ハ、每日是レ汗牛充棟モ啻ナラヌ有樣デ、此衆議院ノ門
ニ來ッテ居ルノデハアリマセスカ(「簡單」ト呼フ者アリ)此有
樣デドウシテ此〓育ガ出來ルカ、今日ノ場合ニ於テ此〓育
ヲ如何ニスルカト云フコトハ、吾こノ直前、目下ニ懸ッテ居ル
大問題デアリマス、ソレヲ今カラ調査ヲ開イテサウシテ自治
ニ向ッテ何カ通牒スルノカ、干涉スルノガ知リマセヌガ、サウシ
テヤラウナドヽ云フヤウナコトハ、全ク是レ責任ノ轉嫁デア
ル、大切ナ〓育ヲ司ルベキ政府ガ、責任ヲ轉嫁シテ口實ヲ
茲ニ求メサウシテ一時ヲ遁レントスル所ノ卑怯未練ナル策
ト謂ハナケレバナラヌノデアリマス(拍手)恰モ火事ヲ見テ喞
筒ノ買入相談ヲスル如キモノデアル(「簡單」ト呼フ者アリ)
不渡手形ヲ出シテヤッテ居ルモノデアル突ケバ血ノ出ルヤウ
ナ生キタ此問題ニ向ッテ、〓育整理機關ヲ置クト云フコトハ
全ク不渡手形ヲ發行シテ責ヲ遁レヤウトスルモノデアリマス
〔此時發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=137
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138・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 木村君注意シマス
〔「議長公平」「稍、公平」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=138
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139・荒川五郎
○荒川五郞君(續) 斯ウ云フ有樣デアリマスカラ、世間デ
ハ是ハ文部省ニ於テ〓員ノ給料ヲ前年上ゲタケレドモ、之
ヲ今下ゲルト云フコトヲ文部省デスル譯ニ行カヌカラ、ソコ
ヂ內閣ニ一ツノ機關ヲ設ケテ、ソレデヤッテ貰ハウ、此機關ニ
ハ民間ノ人モ入レマスト、文部省ハ頻リニ言ウテ居ル、民間
ノ人モ入レマス、貴衆兩院議員モ入レマス、ソレ等調查委
員ニ言ウテ貰ウテ、サウシテ自分ノ責任ヲ免レテ、此〓員ノ
給料減ニ手ヲ掛ケル積リデアルト云フコトニ天下ノ人ガ多
ク疑ヲ懸ケテ居ルノデアリマス(拍手)諸君、弱キ者ヨ、汝
〓員デアルノデアリマス、此弱キ者、〓員ニ向ッテ諸君ハ斯ノ
如キ惡虐暴横ヲ致スト云フコトハ何事デアリマスカ、諸君、
〓員ノ實際ノ眞相モ知ラズ、此重大ナ活キタ問題ニ斯ノ如
キ同情ガナイ冷酷デアルト云フコトハ、〓育振興ノ標榜ノ
手前果シテ諸君ハ如何ニ思ハレルカ(拍手)僅カナ此時間
ヲ尙ホ成ベク節約シテ申サウトスル私ノ演說ニ向ッテ、斯ノ
如キ亂雜ナル批評ヲ浴セ掛ケルト云フコトハ、此大切ナ〓
育ノ爲メニ實ニ甚ダ遺憾トスル所デアリマス(拍手)諸君、
今日國家ノ第一番ノ大事ハ〓育デアルト云フコトハ今更
申ス迄モナイ(「勿論」ト呼フ者アリ)然ルニ今ヤ國防ノ爲メ
ニハ巨億巨萬ノ費用ヲ投ジテ惜マヌノデアリマスガ、併シ國
防ノ第一線ハ人デアリマス、國防ノ第一線ハ人デアリマス、
其人ヲ如何ニスルカト云フ其大問題ニ當ッテ、僅カノ費用ス
ラ惜ンデ、サウシテ以テ此大事ナル〓育ニ向ッテカヲ注グコ
トヲ拒ミ、言葉ヲ他ニ藉リ口實ヲ設ケテ、サウシテ此〓育ノ
振興ヲ侵害セントスルモノ、卽チ諸君ハ是レ天下〓育ノ敵、
國民ノ敵ト言ハンケレバナラヌノデアリマス(拍手「ノウ〓〓」
ト呼フ者アリ)諸君、此僅カナ費用ガドウシテ出サレヌコト
デアリマセウカ、今ヤ少年法トカ矯正院法トカ云フヤウナ法
律ヲ作ッデ、其モノニスラ非常ナル巨額ノ費用ヲ出サウトシテ
居ル、ソレヨリモ先ダツモノハ是レ小學〓員ノ費用デアリマ
ス、兒童ノ〓育ノ費用デアリマス、善良ナル兒童、其兒童ヲ粗
製濫造シテ置イテ(笑聲)サウシテ不良少年ヲ造ッテ、ソレヲ
矯正院或ハ少年院ニ入レヤウト云フコドハ、殆ド本末ヲ轉
倒シタ誤ッタモノデハアリマセヌカ(拍手、笑聲、議場騒然)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=139
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140・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 靜ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=140
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141・荒川五郎
○荒川五郞君(續) 諸君、政友會ノ諸君ハ御承知デ出サ
レタノカ、多クノ諸君ガ出サレテ居ル建議、卽チ林間學校ニ
政府ヨリノ補助ヲシテ下サイト云フ建議ヲシテ居ルガ、林
間學校ナルモノハ上級裕福ナ者ガ間合ニ林ノ中ニ學校ヲ
造ッテ、贅澤ノ〓育ヲシヤウト云フ事デアル、ソレスラ補助ヲ
シテ貰ヒタイト云フテ居ル、而シテ此活キタ〓育ノ國民問
題ヲドウスルノカ、寔ニ政治ヲ愚弄シ〓育ヲ蔑視スルモノデ
アルトシカ是ハ言ハレナイ、政治ハ愚弄スベキモノデハナイノ
デアリマス、林間學校ニ國費ヲ以テ補助シテ貰ヒタイ、サウ
云フ建議ヲシテ居ル政友會諸君ガ、此大事ナ國民〓育、義
務〓育ニ向ッテ、僅カ千万圓ガ二千万圓ノ費用ヲ惜ンデ、ソ
レガ爲メニ〓育調査機關ヲ設ケテ、此處ニ逃ゲヤウト云フ
コトハ是レ實ニ何タル臆病卑劣ノコトデアリマセウカ(拍手)
諸君、整理ハ文部大臣ハヤッテ見ネバ分ラヌト云フ、ヤッテ
見ル位ナラバ文部省自ラ整理ヲナサイ、文部省ノ一體遣方
ハドウナッテ居ルカ、專門學務局、普通學務局ハ之ヲ橫ニ切
テ居ル、ソレニ持ッテ行ッテ實業〓育局ナドハ縱ニ關シタモ
ノデアル、デアリマスカラ此錯綜シタル事ト云フモノハ、實業
〓育ノ中デモ甲ニ入ルベキモノモアレバ、乙ニ入ルモノモアル
ヤウナ有樣ニナッテ居ル、是等ヲ橫ニ切ルカ縱ニ切ルカノ僅
カノ整理デモ、以テ文部省ノ費用デモドレダケ減スコトガ出
來ルカ分ラヌ、今日ノ官制ヲ更ヘマシテ政府ノ整理ヲ致シ
タナラバ、一千万圓ヤ二千万圓ハ立ロニ捻出スルコトガ出
來ルノデアリマス、吾〓カラ考ヘタナラバ、各省ニ建築課ナル
モノヲ置イテヤッテ居ル、是等デモ一ツノ所ニ集メテ、サウシテ
完全ナル學者ヲ集メ實際家ヲ集メテ、サウシテ調査計畫ヲ
致シタナラバ、事務ハ簡捷トナリ且便利ニ運ンデ、サウシテ
尙ホ十分費用ハ節セラレルト思フノデアリマス、政府ノ仕事
ニ節約出來ル所ノモノハ尙ホ澤山アルニモ拘ラズ、其等ヲ
棚ニ上ゲテ置イテ、市町村ノ一厘一毛、此ノ僅カナ費用ニ
向ッテ斧鉞ヲ加ヘヤウト云フノハ、何タル冷酷ナ遣方デアリ
マセウ、諸君、第一此政友會ノ建議案竝ニ委員會デ修正シ
タル案ハ、政府不信任案デアリマス、何故カト言ヘバ政府
ガ整理スル必要ヲ認メテ之ヲヤラウト云フノデアリマス、政
府ハヤリマスト言ウテ居ルノダカラ、政府ガ馬鹿カ阿呆カデ
ナカラネバ、之ヲヤルトカンダモノヲ、何時マデモ〓〓棚ヘ上
ゲテ置ク譯ハナイノデアリマス、ソレヲ速ニヤレト言フ、政府
ハヤルト言フガ、ヤラヌカモ知レナイト云フノデ、速カト云フ
文字ヲ加ヘテ鞭タナケレバナラヌト云フ皆サンノ態ハ何タル
態デアル、直ニ此問題ハ政府不信任案デアルノデアリマス
(拍手)苟モ政府ノ局ニ當ッテ居ル者ガ之ヲヤラウト云フコト
デ費用マデモ出シタモノヲ、果シテヤルダラウカヤラヌダラウ
カ、建議ヲ以テ之ヲ督勵シナケレバナラヌト云フヤウナ諸君
ノ政府ハ、呆レ返ッタ事デハアリマセヌカ(拍手)イヤ一體政
友會ノ諸君ハ、政府ヲ不信任セラレル事ガ多イノデアリマス
事每ニ不信任案ガ出テ居ル(拍手、議場騒然)木下、靜ニ
聽ケ、頭ヲ振ッタッテ仕方ガナイ、ソンナ頭ハ承知シナイ(拍手、
笑聲)木下君ハ田舍ノ百姓ノ村長位ハシタノデアリマセウ、
〓員ノ事ハ知ッテ居ルダラウ静ニシテ御聽キナサイ(「君ガモ
ウ止メ給へ」「サッサトヤリ給へ」ト呼フ者アリ)-萩君ガ又
出タ、萩君控へナサイ(笑聲)少シク御氣ニ入ラヌカモ知レマセ
ヌ、私ハ御氣ニ入ラヌ事ヲ言フ積リデナイノデアリマスガ、此
〓育問題ハ全ク眞劍ノ問題デアリマス、活キタ血ノ出ル問
題デアリマス、是ハ決シテ口舌ノ問題デナイ(拍手)〓育家
ノ眞劒腹ノ底ノ問題デアルカラ、諸君ハ之ヲ聽カレヌト云ウ
テモ、私ハ言ハナケレバナラヌノデアリマス(「サッサトヤレ」「餘
計ナ事ヲ云フナ」ト呼フ者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=141
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142・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 靜仁発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=142
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143・荒川五郎
○荒川五郞君(續) マダ是ダケノ問題ガ御判リニナラヌト
見エル、諸君ガ政府ヲ不信任シテ居ルノヲモウ一ツ例ヲ擧
ゲマス、名前ヲ言フノハ失禮デスガ、政友曾ノ森恪君ガ提出
シテ居ラレル熱海線完成ニ關スル建議案(「何ンダソンナ事
ガ」ト呼フ者アリ)直ニ是ハ鐵道省ヲ不信任シテ居ルノデアル
ドウ云フコトカト云ヘバ十三年マデニヤルト云フガ-(「脫
線々々」ト呼フ者アリ)ソレガ出來ナイ云々、ソレガ政府不信
任ノ證據デアル、アナタ方ハ御承知ナンデ每日政府ヲ不信
任シテ居ルカラ、ソレダケ御忠告ヲ申ス(拍手)政府ハ十三
年ニ能ウヤラヌ、費用ガ增シテ到底出來ナイ、出來ナイカラ
今オ先眞暗デアルノダ、熱海線ハ-デアルカラ之ヲ完成シ
テ貰ヒタイト云フ、是ハ貴族院デモ年月通リニ出來ルガ金
ガ足ルマイト云ウテ居ルノニ對シテ、鐵道大臣ハ出來マスヤ
リマスト云フテシドロモドロニナッテ說明シテ居ルノニ、此衆
議院ヘ政友會ノ諸君ハ、貴族院以上ニ不信任シテ居ルヂ
ヤアリマセヌカ(拍手)其意味ニ於テ此〓育費整理案モ、現
政府ヲ不信任スルト云フ意味ニ於テハ、吾〓ハ賛成スベキ
デアルガ、サウ一々政府ヲ突クノモ氣ノ毒ニ思ヒマスカラ、是
ダケハ反對スル所デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=143
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144・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 守屋松之助君
〔守屋松之助君登壇、拍手〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=144
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145・守屋松之助
○守屋松之助君 私ハ只今委員長御報告ニナリマシタ修
正案ニ對シテ、賛成ノ意ヲ表スル者デゴザイマス、サウシテ本
員ハ曩ニ義務〓育國庫負擔法改正法律案ヲ提出致シテ
居リマスルモノデゴザイマスル"ケレドモ、國民黨竝ニ憲政會、
政友會ヨリ御提出ニナリマシテ建議案ト同一ノ委員ニ御
委託ニナッタ爲メニ、且ツ其内容ニ就キマシテ多少同一ナル
點ガアル譯ニ依リマシテ、此場合私ノ提案致シマシタル所ノ
此改正法律案ノ趣旨ハ、現在ノ小學校〓員費ニ對シテハ
如何ニシテ之ヲ整理スルカト云フコトヲ第一ニ之ヲ置キマ
シテ、サウシテ現下ニ於ケル町村費ノ困難ヲ如何ニ救濟ス
ルガ、更ニ又〓育ノ振興ヲ圖ルノニハドウシタラバ宜シイカ、
斯ウ云フ四點ニ就キマシテ、自分ハ曩ニ本議場ニ於テ述ベ
マシタノデゴザイマスガ、幸ヒニシテ國民黨竝ニ憲政會ニ於
キマシテハ、是等ノ三點ニ就キマシテハ國庫負擔ヲ增加スル
ト云フコトノ建議案ガ出タノデゴザイマス、私ノ法律案ハ此
國庫負擔增加ニ對シテ-增加ハ之ヲ具體的ニ全部國庫
ガ負擔スベキト云フコトヲ申上ゲマシタノデアリマス、然ルニ
此建議案ノ精神ト私ノ出シマシタ所ノ法律案ノ精神トヲ
照シ合セマスルト云フト、同一ナル精神ノ下ニアルコトデゴ
ザイマスカラ、尙ホ又井上君ノ今回委員會ニ於テ御修正ニ
ナリマシタ所ノ此修正案ノ御說明ニ依リマスルト云フト、本
員ノ提出シタル所ノ法律案ト共ニ四案ヲ一括シテ動議ト
シテ出サレタコトデアリマスカラ、其意思ノ存スル所ガ私ノ
出シマシタ所ノ改正法律案ト、十分ニ徹底的ニ明瞭デアリ
マスカラ此建議案ニ對シテ-修正建議案ニ對シマシテ、同
意ヲ致シタ次第デゴザイマス、サウシテ此修正建議案ニ對シ
テ同意ヲ致スト云フコトニナリマスト云フト、建議案ト法律
案トヲ一括シテ修正スルト云フ井上君ノ御說明モアリマシ
タケレドモ、ソレハ建議案ト法律案トヲ一括シテ修正スルノ
ハ不合理ト私ハ存ジマシテカラニ、玆ニ自分ノ提案致シマシ
タ所ノ法律案ヲ撤囘スルノ已ムナキニ至ッタノデゴザイマス、
此修正案ニ對シマシテノ贊成ノ意見ヲ表スル眼目ト致シマ
スノハ、卽チ政府ガ曩ニ追加豫算ト致シマシテ、〓育行政調
査會ヲ設ケルト云フコトノ意思ヲ、此場合表明シタノデゴザ
イマス、サウシテ此〓育調査會ニ對シテ、政府ハ何時之ヲ開
クカト云フコトニ就テハ、其場合ノ明言ハ聽キマセナンダケ
レドモ、只今此議場ニ於キマシテ、文部大臣ノ先刻高田君
ニ對スル御說明ニ依リマスト云フト、速ニ之ヲ開クト云フコ
トデアリマスカラ、私ハ勿論此〓育調査會ニ對シテハ、全然
同意ヲ致シテ居ル者デアリマスガ、尙ホ之ヲ速ニ開クト云フ
御明言ガアッタコトハ、大イニ意ヲ强ウスルノデアリマス、サウ
シテ修正建議案モ又此速ニト云フ文字ヲ入レマシテ、サウ
シテ此開クト云フ文字ニ强キ意味ヲ入レタノデアリマスカラ、
私ノ此修正案ニ賛成スル第一ノ理由トナルノデゴザイマス、
サウシテ修正案ノ調査-〓盲調査會ヲ開クト云フコトニ
依リマシテ、整理ヲ致スコトニ致シマスレバ、自然其結果ト
致シマシテハ、必ズヤ政府ハ爰ニ先程憲政會ノ荒川君ヨリ
御說明ニナリママタ通リニ、色〓市町村〓育費ノ中ニハ種々
ナル複雜ナル組織ノ下ニ、或ハ學校ノ合併ニ就テ、若クハ
學級ノ整理ニ就テ、或ハ〓員ノ改善ニ就テ、又ハ校舍ノ使
用方法ニ就テ、或ハ其他種々ノ町村費ニ對スル色ニナル御
注文ガアリマシタガ、是等ノ御注文ノ點モ此調査會ニ於テ
十分ニ御調査ガ出來ルコトニナリマスレバ、隨ッテ此調査會
ノ調査ノ結果卽チ制度ヲ-〓育上ノ制度ノ變革ノ結果
ニ於テ、此處ニ生ズル所ノモノハ何カト言ヘバ、或ハ節約ノ
出來ルモノハ節約シ、若クハ政府トシテ此市町村義務〓育
費ニ對シテ補助スベク、或ハ國庫ガ負擔スベキ點ハ十分ニ
負擔ガ出來ルダラウト私ハ信ジテ居ルノデアリマス、斯ウ云
フ風ニシテ此二ツノ點カラ考ヘマシテ、此政府ガ實行ガ出來
マスコトニナリマスレバ、初メテ爰ニ憲政會竝ニ國民黨或ハ
政友會ニ於テ、御希望ニナッテ居リマス所ノ〓育ノ振興、或
ハ市町村ノ現狀ノ經濟上ノ枯渴ヲ救濟スルコトモ出來ルコ
トニナルノデゴザイマス、此小學校〓育費ニ對シテハ、明治
二十五年以來彼ノ伊澤修二君ガ、國立〓育會期成同盟
會ト云フモノヲ設立シマシテ、其當時ノ議會ニ小學校〓育
費ニ對スル國庫ノ補助ヲ請願シタノデゴザイマス、ソレ以來
年々此小學校〓育ニ對シテハ、色ニナル形式ヲ以チマシテ、
或ハ請願若クハ建議等ヲ致シマシテカラニ、衆議院若クハ
貴族院ニ向ッテ此要求ガアッタノデゴザイマス、斯ル要求ガア
リマシタコトハ、政府ニ於テモ十分ニ御承知ノコトデアリマ
スケレドモ、此國家ノ重大ナル本問題ヲ解決スル爲メニハ、
如何ニシテモ只ダ補助ヲ增シ或ハ負擔ヲ增加スルノミヲ以
テ足レリトスルノデナクシテ、之ニ對シテハ色と複雜ナル所
ノ〓係ヲ有シテ居ルト云フ考カラ致シマシテ、吾ミガ此今ノ
狀態ヲ考ヘマスト云フト、殆ド明治二十五年以來今日ニ至
ル迄、或ハ建議ニ或ハ請願ニ、此國庫ニ對スル-國庫ヨリ
ノ補助若クハ負擔ヲ要求シテ居ルト云フコトノ狀態ハ、町
村ニ於テハ-町村ナル或ハ吾〓ノ議員若クハ〓育方面カ
ラハ、是等ノ要求ヲ致シマシタケレドモ、政府ニ於テハ尙ホ
市町村ノ負擔ヲスベキ十分ナル資力ノアルト云フ事ヲ察シ
テ居ッタ爲メニ、此間ニ色ミナル見解ガ違ッテ居ッタノデアラウ
ト存ジマス、然ルニ此今日ノ場合ニ於テハ、殆ド市町村ノ財
政ガ行詰リノ狀態ニナッテ居ルノト、サウシテ此問題ニ對シ
テハ殆ド慢性的ノ問題トナッテ、年ミ斯ル要求ヲ提出スルト
云フコトガ殆ド政府ニ於ケル是ハ常習的ノ問題デアルト云
フ風ナ考モアッタモノト吾とハ察シマス、ソレガ爲メニ爰ニ此
補助或ハ負擔ニ對シテ、相當ナル見解ヲ立テントセバ、必ズ
ヤ爰ニ一ツノ大キナ外科的ノ治療ヲシナイトイケナイノデア
ラウト私ハ察シマス、此外科的治療ヲシテ、卽チ政府ノ追加
豫算トシテ出サレマシタ所ノ〓育行政調査會デアルト、私
バ斷案ヲ下シマシテモ敢テ差支ナイト存ジマス、然ルニ此徒
ニ大正七年三月法律ノ第十八號ノ國庫負擔法ノ制定セ
ラレタ當時ノ言質ニ拘泥致シマシテ、政府ニ迫リ負擔金ノ
增額ヲ政府ニ迫リ、或ハ先刻荒川君カラ申サレマシタ所ノ
學校ノ合併ニ就テハドウスル、或ハ〓育ノ學級ノ整理ニ就
テハ、政府ノ言明ニ對シテハ甚ダ不滿足デアル、或ハ〓員ノ
改善ニ就テハドウスルカト云フヤウナ色ミナル御注文、竝ニ
現狀ニ對スル悲觀的御言葉ガアリマシタガ、卽チ是等ノ悲
觀的ノ御言葉ハ此〓育行政調査會ニ依リマシテ、初メテ
是等ノ事ヲ制度改革ニ依リマシテ決定スルコトガ出來ルト
私ハ信ズルノデゴザイマス(拍手起ル)斯カル重大ナル問題
ヲ唯ダ議論ニ依リマシテ、一ノ言葉ヲ捕ヘテ彼此申シマス
事ハ、吾ミガ最モ急ニ此市町村ノ現下ノ財政ヲ救濟スルト
云フ本旨カラ考ヘマシテモ、詰リ本來ノ〓倒シテ居ルノデハ
ナイカト存ジマス(「ヒヤ〓〓_ト呼フ者アリ)此點ニ於テ私ハ
其本末ノ御〓倒ニナッテ居ルト云フコトヲ荒川君ニ於テ御
察シ下サランコトヲ希望致シマス、殊ニ委員會ニ於キマシテ
ハ樋口君カラモ〓育調査會ヲ設ケルト云フコトハ無用デ
ナイト云フコトヲ言ッテ居ラレマス、又高田君モ二月七日ノ
委員會ニ於キマシテ、文部大臣ニ對シテ〓育調查會ヲ設ケ
レバ、是レ是レノ事項ヲ注文スルト云フ御注文モ出タサウデ
ゴザイマス、サウシテ見ルト云フト、此〓育調査會ト云フモノ
ハ必シモ憲政會ニ於テ御不滿デハナイト私ハ察シマス、殊ニ
相當ナル希望ト熱心ヲ以テ居ラルヽコトヲ自分ハ察シテ居
ルノデアリマス(「聞エマセヌ」ト呼フ者アリ)何故ニ修正案ニ
御賛成ガ出來ヌノカ、甚ダ不思議デアリマス、願クハ是等ノ
小異ヲ捨テヽ大同ニ就カレンコトヲ誠意ヲ以テ希望致シマ
ス、斯ル理由ニ依リマシテ殆ド此重大ナル〓育費ニ關スル
建議案ハ、何等議論ヲ挾ム所ノ餘地ガナイノデゴザイマシテ、
本員ハ此場合ニ於テ政府ノ爲スベキ十分ナル施設ニ信賴
致シマシテサウシテ本員ノ提出致シテ居リマス、法律案ヲ撤
囘シマシテ、修正案ニ贊成スルモノデゴザイマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=145
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146・岩崎勲
○岩崎勳君 討論終結ノ動議ヲ提出致シマス
〔「贊成」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=146
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147・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 討論ノ終結ニ御異議ナイト認メマ
ス、仍テ討論ハ終結サレマシタ、採決致シマス、只今討論ニ
入ッテ居リマシタ日程第十七、十八、十九、此三案ヲ一括シ
テ採決シマス、續イテ殘ル二案ニ就テ採決シマス、此三案卽
チ委員長報告ニ御同意ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=147
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148・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 起立多數-仍テ委員長報告通
リ可決確定致シマシタ(拍手起ル)次ニ日程第二十、二十
一ハ委員長報告通リ決シマス、御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=148
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149・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 御異議ナイト認メマス、仍テ報告
通リ可決確定致シマシタ
議事日程變更ニ關スル緊急動議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=149
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150・岩崎勲
○岩崎勳君 議事日程變更ニ關スル緊急動議ヲ提出致
シマス、卽チ茲ニ日程第九十ヨリ第百三十八ニ至ル請願特
別報告ヲ一括議題ト爲シ、請願委員長ノ報告ヲ求メ、且ツ
一括審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=150
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151・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 岩崎君提出ノ日程變更ノ動議ニ
ハ御異議ナイト認メマス、仍テ動議ノ如ク決シマス、日程ハ
變更サレマシタ、日程第九十乃至第百三十八請願特別報
告、例ニ依リマシテ一括シテ議題ト致シマス、委員長植場
平君
第九十(特別報告第三百八十號)賣藥印
紙稅全廢ノ請願(委員長報告)
第九十一(特別報告第三百八十一號)自
家用醬油稅法改正ノ請願外一
件(委員長報告)
第九十二(特別報告第三百八十一一號)國
庫出納金端數計算法中改正ノ
請願(委員長報告)
第九十三(特別報告第三百八十三號)葉
煙草收納ニ關スル請願外一件
(委員長報告)
第九十四(特別報告第三百八十四號)朝
鮮ニ衆議院議員選舉法施行ノ
請願(委員長報告)
第九十五(特別報告第三百八十五號)南
洋貿易救濟助長ニ關スル請願
(委員長報告)
第九十六(特別報告第三百八十七號)群
馬縣佐波郡玉村町ヲ群馬郡ニ
編入ノ請願(委員長報告)
第九十七(特別報告第三百八十九號)利
根江戶兩河川底水工事ノ請
願(委員長報告)
第九十八(特別報告第三百九十六號)甜
菜栽培者保護ノ請願
(委員長報告)
第九十九(特別報告第三百九十七號)蠶
業救濟ニ關スル請願
(委員長報告)
第百(特別報告第三百九十九號)離野
夫國有林無償拂下ノ請願
(委員長報告)
第百一(特別報告第四百號)漁船避難港
築造ノ請願(委員長報告)
第百二(特別報告第四百一號)增毛漁港
修築ノ請願(委員長報告)
第百三(特別報告第四百六號)飛行機ヲ
以テ南極探檢調査ニ要スル經費
下付ノ請願(委員長報告)
第百四(特別報告第四百九號)津屋崎郵
便局ニ電話事務開始ノ請願
(委員長報告)
第百五(特別報告第四百十號)大俣村ニ
電信事務取扱郵便局設置ノ請願
(委員長報〓)
第百六(特別報告第四百十一號)堺市湊
町ニ郵便局設置ノ請願
(委員長報告)
第百七(特別報告第四百十二號)西長島
村大字指江ニ無集配郵便局設置
ノ請願(委員長報告)
第百八(特別報告第四百十三號)有明郵
便局ニ電信事務開始ノ請願
(委員長報告)
第百九(特別報告第四百十四號)野田郵
便局ニ集配事務開始ノ請願
(委員長報告)
第百十(特別報告第四百十五號)志染村
ニ無集配郵便局設置ノ請願
(委員長報告)
第百十一(特別報告第四百十六號)豐田
村廣岡ニ無集配郵便局設置ノ
請願(委員長報告)
第百十二(特別報告第四百十七號)足代
村ニ無集配郵便局設置ノ請願
(委員長報告)
第百十三(特別報告第四百十八號)西舊
村ニ郵便局設置ノ請願
(委員長報告)
第百十四(特別報告第四百十九號)畦町
郵便局ニ電信事務開始ノ請願
(委員長報告)
第百十五(特別報〓第四百二十號)二俣
郵便局ニ集配事務開始ノ請願
(委員長報告)
第百十六(特別報告第四百二十一號)舞
川村相川字原澤ニ郵便局設置
ノ請願(委員長報〓)
第百十七(特別報告第四百二十一一號)湖
北村ニ郵便局設置ノ請願
(委員長報告)
第百十八(特別報告第四百二十三號)官
民聯合無線電信調査委員會設
置ノ請願(委員長報告)
第百十九(特別報告第四百二十五號)乙
立村大字八幡原ニ登記所新設
ノ請願(委員長報告)
第百二十(特別報告第四百二十七號)大
瀁村大字百間町ニ登記所新設
ノ請願(委員長報告)
第百二十一(特別報告第四百二十八號)
大垣區裁判所ニ岐阜地方裁
判所甲號支部事務取扱復活
ノ請願(委員長報告)
第百二十二(特別報告第四百二十九號)
淨法寺村ニ登記所新設ノ請
願(委員長報告)
第百二十三(特別報告第四百三十號)關
原村ニ登記所新設ノ請願
(委員長報告)
第百二十四(特別報告第四百三十一號)
辨邊村ニ室蘭區裁判所出張
所新設ノ請願(委員長報告)
第百二十五(特別報告第四百三十二號)
栗原郡ニ區裁判所新設ノ請
願(委員長報告)
第百二十六(特別報告第四百三十九號)
菱川、標茶間輕便鐵道敷設
工事ノ請願(委員長報告)
第百二十七(特別報告第四百四十號)掛
川驛大井間竝大野、長篠間
及浦川、佐久間鐵道敷設速
成ノ請願(委員長報告)
第百二十八(特別報告第四百四十一號)
八本松驛、志和口驛間(山陽
線)鑽道敷設ノ請願
(委員長報告)
第百二十九(特別報告第四百四十二號)
輕便鐵道栗野線ヲ出水郡迄
延長ノ請願(委員長報告)
第百三十(特別報告第四百四十三號)
羽越橫斷鐵道敷設變更ノ
請願(委員長報告)
第百三十一(特別報告第四百四十四號)
留邊蘂驛伊頓、武華間鐵道
ヲユーニ石狩迄延長敷設速
成ノ請願(委員長報告)
第百三十二(特別報告第四百四十五號)
網走町、下生田原驛間鐵道
敷設ノ請願(委員長報告)
第百三十三(特別報告第四百四十六號)
掛川驛、大井驛間竝千種、武
節間鐵道敷設速成ノ請願
(委員長報告)
第百三十四(特別報告第四百四十七號)
下湧別驛、網走間(湧網線)
鐵道敷設速成ノ請願
(委員長報告)
第百三十五(特別報告第四百四十八號)
下湧別驛、沼ノ上驛間鐵道
敷設ニ關スル請願
(委員長報告)
第百三十六(特別報告第四百四十九號)
天鹽沿岸鐵道延長ノ請願
(委員長報告)
第百三十七(特別報告第四百五十號)靑
森市東端ニ停車場新設ノ請
願(委員長報告)
第百三十八(特別報告第四百五十一號)
錦木村、三戶町間鐵道敷設
速成ノ請願(委員長報告)
〔植場平君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=151
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152・植場平
○植場平君 只今議長ノ御宣告ノ通リ日程ノ九十ヨリ
百三十八ニ至ル四十九件、一括シテ御報告申上ゲマス、此
請案ニ對シマシテハ愼重審議ヲ致シタ結果、各案共相當理
由アル請願ナリト認メマシテ採擇ニ決シタ次第デアリマス、
其内日程ノ九十四朝鮮ニ衆議院議員選擧法施行ノ請願
デアリマス、之ニ就キマシテハ一言ヲ加ヘテ置ク必要ガアル
ノデアリマス、卽チ委員會ニ於キマシテ報告ノ場合ニ敢テ一
言ヲ致シテ置クヤウニト云フ決議ガアリマシタ、其決議ニ從ッ
テ一言ヲ致シマス、此請願ハ衆議院議員法ヲ朝鮮ニ施行セ
レラタシト云フノデアリマス、靜ニ之ヲ案ジマスルニ台韓-
日鮮待遇ヲ異ニセザルコトハ、日鮮併合ノ大詔ニ依リマシ
テ炳然タルコトデアルノデアリマス、偶〓無暴ノ擧ヲ企テル如
キ者ノ輩出ハ、偏心懷疑ニ出ルニ依ルモノデゴザイマシテ、本
請願ノ如ク穩健ナル方法ニ依ルモノハ、誠意アルモノト認メ
タノデアリマス、請願委員會ハ朝鮮文化ヲ促進セシメンガ爲
メ、此請願ヲ採擇ニ決シタ次第デゴザイマス(拍手起ル)然レ
ドモ其施行ニ就キマシテハ、諸多ノ準備ヲ要スル所アルコト
ヲ深ク信ジテ居ル次第デゴザイマス、何卒委員會ニ於テ決シ
マシタル通リ、本議會ニ於キマシテモ、御採擇アランコトヲ希
フ次第デゴザイマス、之ヲ併セテ御報告ヲ致シマス、又例ニ
依リマシテ報告ニ添付致シテゴザイマスル意見書ハ、總テ御
報告ヲ略シマシテ、議長ノ御承認ヲ經テ速記錄ニ掲載致ス
コトニ致シマス、是亦併セテ御承諾置キヲ請ヒマス、右御報
告申シマス(拍手起ル)
特別報告第三百八十號
意見書
請願文書表第一八七四號
賣藥印紙稅全廢ノ請願富山市富山縣費藥同業組合副組長
飯倉平兵衞呈出(紹介議員高見之通君外一名)
右請願ノ要旨ハ醫藥、賣藥共ニ其ノ目的ハ疾病ノ治瘡ニ在リ然ル
ニ醫藥ト賣藥トノ區別ヲ立テ賣藥ノミニ苛重ノ印紙稅ヲ課スル
ハ斯業ノ改善發展ヲ阻害スルコト尠カラス依テ賣藥稅法ヲ改正
シテ印紙稅ヲ全廢セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第三百八十一號
意見書
請願支書表第二六一八號
自家用醤油稅法改正ノ請願岡山縣小田郡三谷村大字東三
成千四百九十七番地淺野房次外十七名呈出(紹介議員高
草美代藏君)
同第二七三一號
同上岡山縣小田郡堺村大字星田千九十五番地平民農川上
生太郞外二十二名呈出(紹介議員守屋松之助君)
右請願ノ要旨ハ自家用醬油稅法ニ據ル第一種一石未滿ノ製造ノ
如キハ主ニ僻陬居住ノ庶民力日常必須品ト爲スニ過キス依テ速
ニ自家用醤油稅法ヲ改正シ第一種一石未滿製造者ニ課稅セサル
樣爲サレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第三百八十二號
意見書
請願文書表第一七四三號
國庫出納金端數計算法中改正ノ請願福岡縣糸島郡小富士
村大字御床三百八十五番地平民農藤瀨典右衞門外四名呈
出(紹介議員納富陳平君)
右請願ノ要旨ハ請願人等ハ大正五年法律第二號國庫出納金端數
計算法施行以來雜地租トシテ二錢其ノ他ノ公課トシテ四錢合計
六錢ノ賦課ヲ受ケ僅ニ一錢ノ地價ニ對シ六倍以上ノ負擔ヲ受ケ
ツツアルハ苛酷ニ過クルノミナラス該法ノ規定ニ據リ地租一錢
未滿ノ端數ハ之ヲ切捨ツルニ拘ラス地租全額一錢未滿ナルトキ
之ヲ一錢ニ切上クルハ富者ニ寛ニシテ貧者ニ嚴ナル規定ト謂ハ
サルヘカラス依テ前記國庫出納金端數計算法ノ第一條ヲ「國庫
ノ收入金又ハ支拂金ニシテ一錢未滿ノ端數アルトキハ其ノ端數
ハ之ヲ切捨ツ其ノ全額一錢未滿ナルトキハ之ヲ收入又ハ支拂ヲ
爲サス、」同第七條ヲ「第一條末段ノ規定ニ據リ收入セサル金額
ハ法律上總テノ納稅資格中ニハ納稅シタルモノト看做ス」ト改
正セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第三百八十三號
意見書
請願文書表第二六七五號
葉煙草收納ニ關スル請願德島縣海部郡奧木頭村長蔭原留
太呈出(紹介議員原田佐之治君外一名)
同第二六七六號
同上德島縣海部郡下木頭村中木頭村組合村長宮本則太郞
呈出(紹介議員原田佐之治君外一名)
右請願ノ要旨ハ德島縣每部郡奧木頭村ハ煙草耕作ニ適シ其ノ產
出額多數ニ上レリ然ルニ輪送收納上不便多ク爲ニ之カ運賃ノ負
擔ニ堪ヘス依テ收納所設置又ハ專賣局官吏ヲ當地方へ出張セシ
メ收納ノ便ヲ促進セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第三百八十四號
意見書
請願文書表第一九八二號
朝鮮ニ衆議院議員選舉法施行ノ請願朝鮮京畿道京城府貞
洞二十五番地國民協會長関元植外三千二百二十六名呈出
(紹介議員大岡育造君外十六名)
右請願ノ要旨ハ日鮮兩國併合以來激成セラレタル鮮民ノ排日感
情ヲ一掃シ眞ニ朝鮮統治ノ實效ヲ擧ケムニハ唯地方自治制ノ實
施ト參政權附與ノ二途アルノミナリ而シテ地方自治制ニ在リテ
ハ之カ準備機關タル諮問機關設置ニ因リ漸ク其ノ曙光ヲ認ムル
ニ至リタリト雖獨參政權ニ對シテハ當局ノ方針鮮明ナラス或ハ
民度ニ差アルヲ理由トシテ永ク特種制度ノ下ニ別異ノ待遇ヲ爲
サムトスルモノノ如シ斯テハ近キ將來ニ於テ之カ實現ヲ見ルコ
ト全ク望ミナキニ似タリ之請願人等ノ忍フ能ハサルトコロニシ
テ併合ヲ悔ユルノ念玆ニ胚胎セムトシ誠ニ遺憾ニ堪ヘサルナリ
依テ彼等新附ノ民ヲシテ國政ニ參與セシメム爲速ニ衆議院議員
選擧法ヲ朝鮮ニ施行セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第三百八十五號
意見書
請願文書表第二八一一號
南洋貿易救濟助長ニ關スル請願東京市淺草區旅籠町一丁
目十六番地南洋貿易同盟會理事松崎伊三郞外四名呈出
(紹介議員田邊熊一君)
右請願ノ要旨ハ南洋ハ我カ國ト密接ナル地理的關係アルノミナ
ラス人情風俗ノ點ヨリ觀ルモ邦人ト共通點多ク正ニ邦人發展ノ
好適地ナリトス而シテ從前ヨリ有スル我カ商權ヲ維持シ更ニ之
カ發展ヲ策スル爲金一千萬圓ヲ銀行ヲ通シテ五箇年間据置キ低
利資金ヲ以テ貸與セラレ其ノ擔保ハ當業者カ南洋ニ有スル資金
ヲ以テスルノ外組合組織ヲ以テ保證責務ニ應シ而シテ東京及大
阪ノ當業者ヲ組合員トシテ更ニ關係銀行ヲ監督機關ト爲セル組
合組職ニ依テ貿易業者ヲ統一シ指揮監督ニ任スルコトトセラレ
タシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第三百八十七號
意見書
請願文書表第二二三〇號
群馬縣佐波郡玉村町ヲ群馬郡ニ編入ノ請願郡馬縣佐波郡
玉村町長井田金七呈出(紹介議員〓泉嘉一郎君)
右請願ノ要旨ハ群馬縣佐波郡玉村町ノ戶數ハ多ク群馬郡ノ近キ
ニ在リテ其ノ地形上、交通上及商業上、水利上將夕亦本町歷史上
ヨリ觀ルモ群馬郡ニ編入スヘキモノトス依テ其ノ編入ノ御詮議
アリタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第三百八十九號
意見書
請願文書表第二八〇三號
利根、江戶兩河川底水工事ノ請願千葉縣東葛飾郡農會長
並木重太郞外八十九名呈出(紹介議員吉植庄一郞君外二
名
右請願ノ要旨ハ利根、江戶兩川ハ一府五縣ニ跨レル物資輸送上
唯一ノ水路ナリト雖其ノ減水時斯ニ於テハ淺瀨ヲ現出シ通航困
難トナル箇所アリテ輸送力減殺セラレ殖產興業ノ發達ヲ阻害ス
ルコト甚大ナリ依テ速ニ底水工事ヲ施行セラレタシト謂フニ在
リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第三百九十六號
意見書
請願文書表第二六七三號
甜菜栽培者保護ノ請願北海道河西郡帶廣町字大通六丁目
十六番地平民商高倉安次郞外千五十名呈出(紹介議員木
下成太郞君外一名)
右請願ノ要旨ハ北海道ニ於ケル產業ノ改善發達ヲ促シ且國民生
活ノ向上竝砂糖ノ自給自足ヲ期スル方策トシテ甜菜糖業ノ振興
ヲ獎勵助長スル爲甜某栽培者ニ對シ相當ノ保護ヲ與ヘラレタシ
ト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第三百九十七號
意見書
請願支書表第二八〇九號
蠶業救濟ニ關スル請願鳥取縣岩美郡浦富村二百二十番屋
敷平民油淺富藏外四名呈出(紹介議員下田勘次君)
右請願ノ要旨ハ近來絲ノ不況ナルニ際シ當局ニ於テ奬勵保護
ノ途ヲ開カレアルモ猶一層ノ保護獎勵ヲ要スル狀態ニ在リ依テ
蠶種ノ統一ヲ圖リ養蠶及桑園ノ獎勵保護ノ爲救濟的法案ヲ實現
セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第三百九十九號
意見書
請願文書表第二四六〇號
離野夫國有林無償拂下ノ請願山口縣佐波郡柚野村大字野
谷百三十八番地平民農伊藤三樹三外十名呈出(紹介議員
阪上貞信君)
右請願ノ要旨ハ山口縣佐波郡柚野村大字柚木所在離野夫國有林
ハ明治十五年國有林ニ編入セラレタリト雖該地ハ四周民有地ニ
シテ樹木ハ日光ヲ遮斷シ農作物ノ被害多大ナリ依テ離野夫國有
林ヲ無償拂下ケラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百號
意見書
請願文書表第二六一七號
漁船避難港築造ノ請願香川縣三豐郡觀音寺町大字長宮本
秋四郎外二十名呈出(紹介議員松田三德君)
右請願ノ要旨ハ瀨戶內海就中香川縣三豐郡沿岸ハ魚族豐富ナル
ヲ以テ出漁船ノ集散地ナルト同時ニ亦漁獲物ノ集散場タリ然ル
ニ一朝暴風アラムカ漁民ノ被害歲次枚擧ニ遑アラス依テ三豐郡
觀音寺ニ漁船避難港ヲ築造セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百一號
意見書
請願文書表第二六七二號
增毛漁港修築ノ請願北海道增毛郡增毛町大字辨天町一丁
目二十九番地平民漁業本間泰藏外四百十三名呈出)紹介
議員東武君)
右請願ノ要旨ハ北海道增毛郡增毛町ハ豐富ナル魚族ヲ包擁セル
モ西北ノ强風ニ遭遇スルトキハ人命ヲ失ヒ其ノ漁獲物ヲ流失ス
ルコトアリテ其ノ損害實ニ多大ナリ依テ增毛港ヲ避難錨地タラ
シムル爲修築セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百六號
意見書
請願文書表第二五三二號
飛行機ヲ以テ南極探檢調査ニ要スル經費下附ノ請願東京
府荏原郡世田谷村字太字堂三百四十九番地平民退役陸軍
輜重兵中射白瀨〓呈出(紹介議員國澤新兵衞君)
右請願ノ要旨ハ南極探檢ノ不成功ハ是レ必竟數百哩ノ氷上ニ於
ケル徒步又ハ橇旅行ノ爲糧食携行ノ關係上永ク極地ニ止マルヲ
得スシテ詳細ノ調査ヲ遂クル餘裕ナカリシニ因由ス然ルニ飛行
機ヲ以テセムカ行程日數僅少ニシテ充分ナル探檢調査ノ實蹟ヲ
擧ケ得ヘシ依テ相當費用ヲ下附シテ所志ヲ達成セシメラレタシ
ト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百九號
意見書
請願文書表第二六二七號
津屋崎郵便局ニ電話事務開始ノ請願福岡縣宗像郡津屋崎
郵便局長阿部圓呈出(紹介議員中村〓造君)
右請願ノ要旨ハ福岡縣宗像郡津屋崎郵便局ハ電話事務ヲ取扱ハ
サル爲商取引上公衆ノ不便尠カラサルニ依リ同局ニ之カ事務ヲ
開始シ其ノ利便ヲ與ヘラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スへキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百十號
意見書
請願文書表第二六二八號
大俣村ニ電信事務取扱郵便局設置ノ請願德島縣阿波郡大
俣村大字上喜來七十三番屋敷松永與平呈出(紹介議員原
田佐之治君外一名)
右請額ノ要旨ハ德島縣阿波郡大俣村ハ山間僻地ニシテ交通不便
ナルノミナラス往往洪水氾濫等ノ障害ニ因リ交通杜絕音信不通
ヲ來スコトアリテ郵便物ノ遅著不著ノ事實多ク之カ爲公衆ノ不
便尠カラス依テ連ニ大俣村ニ電信事務ヲ取扱フ郵便局ヲ設置セ
ラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議員法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百十一號
意見書
請願文書表第二六五七號
堺市湊町ニ郵便局設置ノ請願堺市湊町三十九番地質屋業
吉野小三郞外十一名呈出(紹介議員山口義一君)
右請願ノ要旨ハ堺市湊町ハ近時商工業著シク發達シ隨テ各種郵
便物ノ激增ヲ來シ之カ爲通信機關ノ完備ヲ要スルコト愈痛切ナ
ルニ拘ラス郵便局ノ設置ナキハ住民ノ不便トスルトコロナリ依
テ堺市湊町ニ郵便局ヲ設置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百十二號
意見書
請願文書表第二六六六號
西長島村大字指江ニ無集配郵便局設置ノ請願鹿兒島縣出
水郡西長島村長飯尾市次外十五名呈出(紹介議員萩亮君)
右請願ノ要旨ハ鹿兒島縣出水郡西長島村大字指江ニ郵便局ノ設
置ナキ爲公衆ノ不便尠カラス依テ速ニ前記ノ地ニ無集配郵便局
ヲ設置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議員法第六十五條ニ依リ別册及御送付侯也
特別報告第四百十三號
意見書
請願文書表第二六七九號
有明郵便局ニ電信事務開始ノ請願新潟縣岩船郡神納村大
字桃川二百三十八番地平民農佐藤耕吉外四十七名呈出
(紹介議員高橋光威君)
右請願ノ要旨ハ新潟縣岩船郡神納村ハ近時商工業ノ發達ニ伴ヒ
通信上電信ノ架設ナキ爲商取引ノ機宜ヲ失シ不便甚シ依テ大正
十年度ヨリ有明郵便局ニ電信事務ヲ開始セラレタシト謂フニ在
リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百十四號
意見書
請願文書表第二七一三號
野田郵便局ニ集配事務開始ノ請願巖手縣九戶郡野田村長
中野憲郞呈出(紹介議員久慈貫一君)
右請願ノ要旨ハ巖手縣九戶郡野田郵便局ハ集配事務ヲ取扱ハサ
ル爲通信事務ノ緩慢ヲ來シ公衆ノ不便甚シ依テ速ニ野田郵便局
ニ之カ事務ヲ開始セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト識決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百十五號
意見書
請願文書表第二七一八號
志染村ニ無集配郵便局設置ノ請願兵庫縣美嚢郡志染村御
坂十番屋敷平民農黑井濱太郞外十八名呈出(紹介議員下
岡忠治君)
右請願ノ要旨ハ兵庫縣美囊郡志染村ハ遠距離ナル三木局ノ管轄
ニ屬シ近時產業ノ發達ニ伴ヒ通信上不便甚シ依テ速ニ志染村ニ
無集配郵便局ヲ設置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百十六號
意見書
請願文書表第二七二七號
豊田村廣岡ニ無集配郵便局設置ノ請願岡山縣勝田郡豊田
村長鷲田祐一呈出(紹介議員福井三郞君)
右請願ノ要旨ハ岡山縣勝田郡豊田村ハ逐年人口ノ繁殖事業ノ勃
與夥シク随テ遞信事務亦頻繁ヲ極ムルニ至レリ加之既設廣戶及
行方ノ兩郵便局トハ各里餘ヲ隔テ而モ幾多ノ峻坂アリテ地方民
ノ不便不利甚シ依テ速ニ豊田村廣岡ニ無集配郵便局ヲ設置セラ
レタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百十七號
意見書
請願文書表第二七七二號
足代村ニ無集配郵便局設置ノ請願德島縣三好郡足代村長
喜井信郞呈出(紹介議員原田佐之治君)
右請願ノ要旨ハ德島縣三好郡足代村ハ隣接郵便局ニ至ル道路嶮
惡ナルノミナラス距離遠キ爲通信上不便不利尠カラス依テ速ニ
足代村ニ無集配郵便局ヲ設置シ之カ利便ヲ與ヘラレタシト謂フ
二合わ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百十八號
意見書
請願文書表第二八一三號
西田村ニ郵便局設置ノ請願福井縣三方郡西田村長多邊市
兵衞外十八名呈出(紹介議員河崎〓君)
右請願ノ要旨ハ福井縣三方郡西田村ハ交通ノ關係竝產業ノ發展
ニ伴ヒ現在郵便局管轄內ニ在リテハ通信上不便甚シ依テ速ニ西
田村ニ郵便局ヲ設置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百十九號
意見書
請願文書表第二八二一號
畦町郵便局ニ電信事務開始ノ請願福岡縣宗像郡上西〓村
長川崎光太郞呈出(紹介議員中村〓造君)
右請願ノ要旨ハ福岡縣宗像郡上西〓村及神典村ハ逐年殖產事業
ノ發展ニ伴ヒ海外移住者ノ激增ヲ來シ電信ノ需要愈痛切ナルニ
至レリ然ルニ所轄畦町郵便局ニ於テハ電信事務ヲ取扱ハサルヲ
以テ不便甚シ依テ速ニ同局ニ電信事務ヲ開始セラレタシト謂フ
ニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付侯也
特別報告第四百二十號
意見書
請願文書表第二八三〇號
二俣郵便局ニ集配事務開始ノ請願石川縣河北郡浅川村字
二俣農大瀨與三吉外十一名呈出(紹介議員米田積君外一
色
右請願ノ要旨ハ大正元年八月一日石川縣河北郡二俣郵便局ノ集
配事務ハ廢止トナリ同郵便局ノ集配區域タリシ村落ハ淺川及森
本ノ兩郵便局ノ集配區域內ニ編入セラレタリ之カ爲關係地方民
ノ不便甚シ依テ速ニ二俣郵便局ニ集配事務ヲ開始シ之カ利便ヲ
與ヘラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百二十一號
意見書
請願文書表第二八二八號
舞川村相川字原澤ニ郵便局設置ノ請願巖手縣東磐井郡舞
川村長內田孫彥外六名呈出(紹介議員佐藤良平君)
右請願ノ要旨ハ最手縣東磐井郡舞川村ハ近時農、商、工業ノ發展
ニ伴ヒ商取引頻繁ヲ極メ既設長坂郵便局ノ管轄内ニ在リテハ通
信上不便甚シ依テ速ニ舞川村相川字原澤ニ郵便局ヲ設置セラレ
タシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當田ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百二十二號
意見書
請願文書表第二人三一號
湖北村ニ郵便局設置ノ請願千葉縣東葛飾郡湖北村中里三
百二十四番地平民農小池喜助外二十一名呈出(紹介議員
本多貞次郞君外一名)
右請願ノ要旨ハ千葉縣東葛飾郡湖北村ハ半農半商ノ村落ナルノ
ミナラス近時交通機關ノ弊備竝地方產業ノ開發ニ伴ヒ通信機關
ノ設置ヲ要スルコト痛切ナルニ拘ラス〓尙郵便局ノ設置ナキハ
地方民ノ不便ト爲ストコロナリ依テ速ニ前記湖北村ニ郵便局ヲ
設置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百二十三號
意見書
請願文書表第二七一二號
官民聯合無線電信調査委員會設置ノ請願東京市小石川區
小日向臺町一丁目四十六番地會社員加島斌呈出(紹介議
員島田俊雄君)
右請願ノ要旨ハ歐洲戰前ニ在リテハ日本ノ外交舞臺ハ主トシテ
東洋ニ限定セラレタルカ爲對外通信機關ニ對スル我カ日本ノ絕
緣的地位ハ今日ノ如ク適切ニ感セサリシカ昨年巴里ニ於ケル講
和會議ノ際英、米、佛、伊ノ四大國カ各自國系統ノ有線及無線ニ依
ル通信機關ヲ通シテ隨時ニ且數時間内ニ各本國政府トノ間ニ打
合セヲ爲シ能ク時機ヲ失セス其ノ主張ヲ貫徹セシニ獨我カ日本
ノミ斯ノ如キ機關ノ缺如ノ爲非常ナル不利ノ地位ニ立チタル事
實ニ鑑ミ對外竝對内通信政策ノ實行機關トシテ陸海軍、外務、遞
信及民間ヲ合シタル一ノ無線電信調査委員會ヲ設置セラレタシ
ト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百二十五號
意見書
請願支書表第二六三〇號
乙立村大字八幡原ニ登記所新設ノ請願島根縣飯石郡西須
佐村大字返邊七百三十八番地公吏土谷松太郞外二十四名
呈出(紹介議員原夫次郞君)
右請願ノ要旨ハ島根縣籔川郡窪田、乙立、飯石郡西須佐、東須佐ノ
各村所管登記所ハ距離其ノ他ノ事情ニ依リ不便尠カラス依テ前
記四箇村ヲ管轄スル登記所ヲ乙立村大字八幡原ニ新設セラレタ
シト謂フニ左リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別粗告第四百二十七號
意見當
請願文書表第二七一四號
大積村大字百間町ニ登記所新設ノ請願新潟縣中頸城郡大
養村長石黑長五郞外三名呈出(紹介議員鈴木義隆君外一
色
右請願ノ要旨ハ新潟縣中頸城郡大淺、明治、保倉、美守ノ各村ノ登
記事件ハ高田區裁判所管下直江津、柿崎、吉川、飯田ノ四箇所ニ分
レ距離其ノ他ノ事情ニ依リ不便尠カラス依テ前記四箇村ヲ管轄
スル登記所ヲ大棧村大字百間町ニ新設セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百二十八號
意見書
請願文書表第二七一五號
大垣區裁判所ニ岐阜地方裁判所甲號支部事務取扱復活ノ請
願岐阜縣大垣町長三原範治外七十九名呈出(紹介議員
川村數郞君外一名)
右請願ノ要旨ハ明治三十六年五月岐阜縣大垣區裁判所內岐阜地
方裁判所甲號支部ノ事務取扱ヲ廢シテ以來同地方ノ不更尠カラ
ス依テ之カ不便ヲ除去シ地方ノ福社ヲ增進セムカ爲右區裁判所
ニ岐阜地方裁判所甲號支部ノ事務取扱ヲ復活セラレタシト謂フ
ニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百二十九號
意見書
請願文書表第二七二八號
淨法寺村ニ登記所新設ノ請願巖手縣二戶郡淨法寺村長〓
川豊治外二十三名呈出(紹介議員久慈貫一君)
右請願ノ要旨ハ巖手縣二戶郡淨法寺村ハ二戶區裁判所及荒屋登
記所ノ管轄ニ屬シ距離其ノ他ノ事情ニ依リ不便尠カラス依テ前
記淨法寺村ニ登記所ヲ新設セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至心田ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送附候也
特別報告第四百三十號
意見書
請願文書表第二七二九號
關原村ニ登記所新設ノ請願新潟縣三島郡關原村長本問貞
治外五名呈出(紹介議員高橋金治郞君)
右請願ノ要旨ハ新潟縣三島郡關原、日越、王寺川、日吉、宮本、大積
ノ各村ハ與板登記所竝長岡區裁判所ノ管轄ニ屬シ距離其ノ他ノ
事情ニ依リ不便尠カラス依テ前記六箇村ヲ管轄スル登記所ヲ關
原村ニ新設セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百三十一號
意見書
請願文書表第二八〇四號
辨邊村ニ室蘭區裁判所出張所新設ノ請願北海道虻田郡辨
邊村大字辨邊番外地平民商横田德二郎外四十八名呈出
(紹介議員栗林五朔君外一名)
右請願ノ要旨ハ北海道虻田郡辨邊村ハ室蘭區裁判所虻田出張所
ノ管轄ニ屬シ距離其ノ他ノ事情ニ依リ不便〓カラス依テ辨邊村
大字辨邊市街ニ室蘭區裁判所出張所ヲ新設セラレタシト謂フニ
在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百三十二號
意見書
請願文書表第二八一〇號
栗原郡ニ區裁判所新設ノ請願宮城縣栗原郡長岡村長福地
慶助外二十八名呈出(紹介議員伊澤平左衞門君外六名)
右請願ノ要旨ハ宮城縣栗原郡ハ古川區栽判所ノ管轄ニ屬シ距離
其ノ他ノ事情ニ依リ不便尠カラス依テ同郡内ニ區裁判所ヲ新設
セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百三十九號
意見書
請願文書表第二六七四號
菱川、標茶間輕便鐵道敷設工事ノ請願北海道厚岸郡厚岸
町大字松葉町百四番地平民農菊池若松外百六十二名呈出
(紹介議員木下成太郞君外一名)
右請願ノ要旨ハ北海道釧路國菱川、標茶間二十二哩ノ輕便鐵道
ハ大正十二年度ヨリ起工シ同十四年度ニ至リ竣工ノコトニ決定
セラレ在リト雖地方ノ實情ハ一日モ之ヲ緩フスヘキニアラス依
テ既定ノ年度ヲ繰上ケ速ニ起工セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百四十號
意見書
請願支書表第二六七八號
掛川驛、大井間竝大野、長篠間及浦川、佐久間間鐵道敷設速成
ノ請願愛知縣八名郡大野町長大橋正太郞外十一名呈出
(紹介議員松浦五兵衞君)
右請願ノ要旨ハ交通機關ヲ完備シ地方ノ產業發達ニ資セムカ爲
静岡縣掛川驛ヨリ二俣、愛知縣大野、浦川、武節ヲ經岐阜縣大井ニ
至ル鐵道及大野附近ヨリ分岐シテ長篠ニ至ル鐵道竝浦川附近ヨ
リ分岐シテ靜岡縣佐久間ニ至ル鐵道ヲ速ニ敷設セラレタシト謂
フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百四十一號
意見書
請願文書表第二六八七號
八本松驛、志和口驛間(山陽線)鐵道敷設ノ請願廣島縣賀
茂郡東志和村大字志和東三千八百四十一番地農川島正人
外二十九名呈出(紹介議員望月圭介君)
右請願ノ要旨ハ交通機關ヲ完備シ地方ノ產業發達ニ資セムカ爲
廣島縣賀茂郡川上村八本松驛ヨリ同郡西志和、東志和、志和堀ノ
各村ヲ經地方鐵道高田郡秋越村志和口驛ニ接續スル鐵道ヲ敷設
セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百四十二號
意見書
請願文書表第二七一號
輕便鐵道栗野線ヲ出水郡迄延長ノ請願鹿兒島縣出水郡出
水町長肱黑誠吉外八名呈出(紹介議員萩亮君外一名)
右請願ノ要旨ハ交通機關ヲ完備シ地方ノ產業發達其ノ他ノ利便
ニ資セムカ爲鹿兒島縣栗野線輕便鐵道ヲ出水郡迄延長セラレタ
シト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百四十三號
意見書
請願支書表第二七一六號
羽越横斷裁道敷設變更ノ請願山形縣西置賜郡長井町大字
小出二千四百五十八番地工橫山孫助外三百五十二名呈出
(紹介議員戶待權之助君外一名)
方請願ノ要旨ハ地方ノ實情ニ鑑ミ其ノ利便ニ資セムカ爲新潟縣
坂町驛ヨリ分岐シ山形縣今泉驛ニ達スル羽越橫斷鐵道ノ著驛ヲ
山形縣長井驛ニ變更セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百四十號
意見書
請願支書表第二七二三號
留邊蘂驛伊頓武華聞鐵道ヲユーニ石符迄延長敷設速成ノ請
願北海道常呂郡野付牛町四十番地平民農前田駒次外四
百十六名呈出(紹介議員木下成太郞君外一名)
右請願ノ要旨ハ交通機關ヲ完備シ地方ノ產業發達ニ資セムカ爲
北海道北見國湧別線留邊菜驛ヨリ分岐シ同図武華村伊頓武華ニ
至ル線路ヲ更ニ延長シ石狩國上川郡ユーニ石待ニ於テ上士幌ル
ベシベ線ト連絡シ留邊蘂ユーニ石待線ト改メ速ニ敷設セラレタ
シト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百四十五洸
意見書
請願文書表第二七二四號
網走町、下生田原驛間〓道敷設ノ請願北海道網走郡網走
町大字北見町北通一丁目二十五番地遠藤熊吉外五百九名
呈出(紹介議員木下成太郎君外一名)
右請願ノ要旨ハ交通機關ヲ完備シ地方ノ産業發達ニ資セムカ爲
北海道北見國網き町ヲ起點トシ常呂、佐呂間ノ二大原野ヲ貫通
シ下生田原驛ニ於テ湧別線ト連絡スル三十九哩七分ノ鐵道ヲ計
割シ速ニ敷設セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百四十六號
意見書
請願文書表第二七三五號
掛川驛、大井驛間竝千種、武節間鐵道敷設速成ノ請願愛知
縣北設樂郡名倉村大字西納庫三番戶平民農岡松鍬次郎外
六十名呈出(紹介議員舞田壽三郞君)
右請願ノ要旨ハ交通機關ヲ完備シ地方ノ產業發達ニ資セムカ爲
東海道掛川驛、中央線大井驛間竝千種、武節間ノ鐵道ヲ速ニ敷設
セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百四十七號
意見書
請願文書表第二八〇一號
下湧別驛、網走間(湧網線)鐵道敷設速成ノ請願北海道紋
別郡下湧別村市街地四丁目西一番地平民商楠瀨留次郎外
四百五名呈出(紹介議員木下成太郞君外一名)
右請願ノ要旨ハ交通機關ヲ完備シ地方ノ產業發達ニ資セムカ爲
北海道下湧別驛ヨリ網走港ニ至ル鐵道(湯網線)ヲ速ニ敷設セラ
レタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百四十八號
意見書
請願文書表第二八〇二號
下湧別驛、沼ノ上驛間鐵道敷設ニ關スル請願北海道紋別
郡下湧別村市街地四丁目西一番地平民商楠瀨留次郞外四
百五名呈出(紹介議員木下成太郞君外一名)
右請願ノ要旨ハ北海道湧別線ノ終點タル下湧別驛ハ百貨集散ノ
要地ニシテ近年名寄線ト連絡スヘキ分岐點ヲ中湧別驛ト決定セ
ラレタルモ未タ之ヲ以テ交通運輸ノ便完キヲ得ル能ハス依テ下
湧別驛ヨリ名寄線ノ一部タル沼ノ上驛ニ至ル鐵道ヲ速ニ敷設セ
ラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百四十九號
意見書
請願支書表第二八〇五號
天鹽沿岸鐵道延長ノ請願北海道天鹽郡遠別村大字本通リ
二丁目六番地平民醫師飯塚文太外五百二十三名呈出紹
介議員東武君外一名)
右請願ノ要旨ハ交通機關ヲ完備シ地方ノ產業發達ニ資セムカ爲
北海道留萌郡留萌町ヨリ苫前郡羽幌村ニ至ル天鹽沿岸鐵道ヲ更
ニ羽幌以北沿岸各村ヲ經天鹽線ニ連絡スル樣延長セラレタシト
謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百五十號
意見書
請願文書表第二八一八號
靑森市東端ニ停車場新設ノ請願青森市長代理助役石黑熊
三郞呈出(紹介議員北山一郎君)
右請願ノ要旨ハ靑森市ハ同地方ニ於ケル百貨集散ノ要地ニシテ
靑森築港ハ近ク完成セムトシ靑森驛操車ヤードノ新設モ既ニ計
畫成リテ方ニ著手セムトシ浦町驛ハ自然南方ニ移轉スヘキ狀況
ニ在ルヲ以テ同市ノ東端ニ停車場ヲ新設セラレタシト謂フニ在
リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四百五十一號
意見書
請願文書表第二八二三號
錦木村三戶町間鐵道敷設速成ノ請願秋田縣鹿角郡大湯
村大湯農諏訪富多外二百八十五名呈出(紹介議員成田直
一郞君)
右請願ノ要旨ハ交通機關ヲ完備シ地方ノ產業發達ニ資セムカ爲
秋田鐵道毛馬內驛ノ東方錦木村、毛馬內町、大湯村及不老鑛山、來
滿峠ヲ經靑森縣ニ入リ三戶郡上郷、田子、斗川ノ各村落ヲ通過シ
三戶町ニ至リ東北本線ニ連絡スル三十七哩ノ鐵道ヲ速ニ敷設セ
ラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇スヘキモノト議決
セリ依テ議院法第六十五條ニ依リ別册及御送付候也発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=152
-
153・岩崎勲
○岩崎動君 日程第九十ヨリ第百三十八ニ至ル請願
特別報告ハ、一括シテ委員長報告ノ通リ採擇アランコトヲ
望ミマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=153
-
154・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ナイト認メ
マス、仍テ其報告ノアリマシタ各案、委員長報告ノ通リ可決
確定致シマシタ
議事日程變更ニ關スル緊急動議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=154
-
155・岩崎勲
○岩崎勳君 重ネテ日程變更ノ緊急動議ヲ提出致シマ
ス、卽チ爰ニ議員佐々木千秀君懲罰事犯ノ件ヲ議題トナ
シ、懲罰委員長ノ報告ヲ求メ、其審議ヲ進メラレンコトヲ望
ミマス
〔「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=155
-
156・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ナイト認メ
マス、仍テ岩崎君ノ動議ノ如ク決シ、日程ハ變更サレマシタ、
乃チ議員佐々木千秀君懲罰事犯ノ議事ヲ開キマス-傍
聽ヲ禁ジマス
〔午後六時三十四分祕密會ニ入ル〕
〔午後七時十四分秘密會ヲ終ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=156
-
157・奧繁三郎
○議長(奥繁三郞君) 是ヨリ會議ヲ公開致シマス、佐々
木千秀君ノ入場ヲ許シマス-祕密會ノ結果ヲ報告致シ
マス、祕密會ニ於キマシテハ佐々木千秀君ニ對シ公開シタル
議場ニ於テ謝辭ヲ表セシメルコトニ議決致シマシタ、佐々木
君ハ先刻祕密會以前ニ懲罰委員長ノ報告ヲ御聽取リニナ
リマシタ、卽チ御聽取リノ通リノ謝辭ヲ表スルコトヲ命ジマ
ス、此處ニ案文ガアリマス
〔佐々木千秀君登壇、拍手起リ「感心々々」「男ラシ
イ」ト呼フ者アリ、」発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=157
-
158・佐々木千秀
○佐々木千秀君 判決ノ當否ハ別問題デアリマスケレド
モ、私ハ院議ハ尊重スペキモノナリト信ジマスルガ故ニ(拍手
起ル)玆ニ此御指定ノ文ヲ朗讀致シマス
謝辭要領
自分儀大正十年三月二十四日ノ會議中議長ノ發言禁
止ノ命令ニ從ハス更ニ退場ヲ命セラレタルモ尙之ニ從ハ
ス議場ノ秩序ヲ紊亂シタルハ議院ノ神聖ノ爲ニ恐縮ノ
至リニ堪ヘス玆ニ謹テ謝辭ヲ表ス
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=158
-
159・岩崎勲
○岩崎動君 殘餘ノ日程ニ對シテ延期ノ動議ヲ提出致シ
マス
〔「賛成々々」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=159
-
160・奧繁三郎
○議長(奧繁三郞君) 岩崎君ノ動議ハ御異議ナイト認メ
マス-一寸御待チ下サイ、御報告ガアリマス-岩崎君ノ
動議ハ御異議ナイト認メマス、仍テ動議ノ如ク殘餘ノ日程
ハ延期ニ決シマシタ、尙ホ明日ハ本會ノ開ケル日デゴザイマ
ス、澤山案件モ殘シテ居リマセウシ、委員會カラ決議ノ報告
モアリマセウ、或ハ貴族院カラ送付ノ議案ガアルカモ判リマ
セヌ、故ニ明日ハ午前十時ヨリ本會ヲ開キマス(拍手)其日
程ハ公報ヲ以テ御通知致シマス、是ニテ散會
午後七時十八分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X03519210325&spkNum=160
4. 会議録のPDFを表示
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