1. 会議録本文
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000・会議録情報
會議
大正十一年三月十七日午前十一時三十分開議
出席委員左の如し
委員長 前田米藏君
理事 麓純義君 理事 渡邊昭君
清瀬規矩雄君 野副重一君 毛里保太郎君
安原仁兵衞君 岩崎幸治郎君 櫻内幸雄君
水野吉太郎君 作間耕逸君
今十七日委員高田良平君、久木田叶君、及木村作次郎君辭任に付其の補闕として清瀬規矩雄君、毛里保太郎君、及安原仁兵衞君を孰れも議長に於て選定せり
出席政府委員左の如し
司法次官 山内確三郎君
司法省民事局長 池田寅治郎君
司法省參事官 三宅正太郎君
本日の會議に上りたる議案左の如し
破産法案
和議法案
裁判所構成法中改正法律案
司法事務共助法中改正法律案発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/004512945X00719220317/0
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001・前田米藏
○前田委員長 ソレデハ是カラ開會致シマス、破產法案ニ
付テ討論ヲ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/004512945X00719220317/1
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002・岩崎幸治郎
○岩崎委員 私ハ貴族院ノ修正通リ可決アランコトヲ希望
致シマス
「贊成」「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/004512945X00719220317/2
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003・作間耕逸
○作間委員 本案ニ付キマシテハ、司法當局ノ御努力ニナ
リマシク司法制度改革案ノ一ト致シマシテ、成程現行法タ
ル舊商法破產編ニ比シテ、一段ノ進步ト一掬ノ新シ味トハ
之ヲ認ムルニ躊躇致シマセヌケレドモ、其内容ヲ具サニ點
檢致シマスルト滿足ヲ表シ難イ點ガ多イノデアリマス、第
一管轄裁判所ノ點ニ於テ、第二罰則ノ點ニ於テ、其他色々ア
リマスケレドモ管轄裁判所ノ點ハ自然破產者ヲ商人以
外-非商人、即チ一般人民ニ及ボスコトノ是非如何ト云
フヤウナ問題ニモ關聯シテ參リマシテ、結局主義ノ問題ト
モ相成ルノデアリマス、斯樣ナ立法上ノ主義ニ關スル事マ
デヲモ只今此處デ私其ノ思フ樣ニ修正ヲ施スコトニ相成
リマスト、本案ノ生命ヲ害スルニ至リマスカラ、暫ク當局ノ
努力ニ免ジテ、本案施行後ノ實績ニ徵シ、其上ニテ修正ヲ考
フルト云フコトハ他日ノ機會ニ俟タウト思ヒマス、唯本案
ニ對シテハ、左樣ナ觀念ヲ持ッテ居ルノデアリマスカラ、其
運用ニ付キマシテハ特ニ司法當局ニ對シテ此際愼重ノ御
注意ヲ警告的ニ促カシテ置キタイモノガアルノデアリマ
ス、ソレハ現行法ノ下ニ於テ、破產者ヲ商人ニ限ルト云フ今
日ノ場合デスラ、事件ガ非常ニ輻輳シ、且ツ停滯ヲ致シテ居
リマス之ヲ更ニ一般的ニ押擴ゲル時ニハ、今後ノ輻停滯
ハ一層甚シキモノアルコトヲ今ヨリ思ヒヤラレルノデア
リマス、尤モ管轄ガ地方ヨリ區ニ移リマシタノデアリマス
カラ、此點ニ於テ幾分カ緩和ガ出來ルカモ知レマセヌケレ
ドモ、併シ區裁判所ニ於テハ十分敏腕練達ノ士ヲ迎へ、テ其
任ニ當ラセテ戴カナケレバ吾々ノ不安ハ除カレナイノデ
アリマスカラ、此點ニ御注意ヲ願ヒタイ、ソレカラ尙ホ破產
申立ノ債權ハ、單ニ財產上ノ請求權ト相成ッテ居リマスカ
ラ、必シモ手形爭ノ多イモノモ多クアルノデアリマス、從テ
現在ノ地方裁判ニ於テサヘ扱ヒ兼ネル場合ガ多イノデゴ
ザイマスカラ、區裁判所ニ於テ債權ヤ借金借權ノヤウニ、原
因數額ノ爭ノ少イモノ許リトハ限リマセヌ、損害賠償其他
色々原因數額ニ付テハ一層共債權ノ性質ニ着眼ヲセラレ
テ、苟モ債權ノ實質及ビ主ナル數額ノ爭ノアリマス場合ハ、
破產ノ申立ヲ受付ケルトカ、或ハ受付ケナイトカ云フコト
ニ付テ、明確ナル判斷ヲ下シテ戴カナケレバナリマセヌ、之
ニ付テモ只今申上ゲマス通リ、區裁判所ノ擔當判事ヲ大ニ
優遇シテ、相當ノ人士ヲ選拔セラレル必要ガ一層多カラウ
ト思ヒマス、ソレカラ第二ハ破產ノ豫納金ノ決定ニ對シテ、
不服ヲ申立テルコトガ出來ナイコトニナッテ居ル、是ハ小サ
イ問題ノヤウニ見エマスケレドモ、其實破產申立者ニ取リ
マシテハ自分ノ債權ガ回收不能ニナル場合ニ、更ニ豫納金
ヲ相當期間立換的ニ納メサセラレルノデアリマスカラ、二
重ノ苦痛ヲ感ズルノデアリマス、從テ裁判所ニ於キマシテ
ハ此豫納金ノ決定ニ不服ヲ申立テルコトノ途ヲ塞ガレタ
ト同時ニ、其豫納金額ハ常ニ必要ナル限度ニ於テ、必要ナル
最小限度ニ於テ御定メ下サルヤウナ方針ニ出デラレンコト
ヲ望ミマス、此點ハ過去ノ實例ニ於テ、屢〓破產債權者ガ其
申立ヲ爲サントシテ爲スコト能ハザル苦痛ヲ甞メテ居ッタ
點デアリマスカラ、敢テ申添ヘテ置ク次第デアリマス、ソレ
カラ第三、破產者ガ支拂不能ニ瀕シマシテ、往々形式上ノ合
資マ社、株式會社等ヲ設立シテ、以テ債權者ニ對スル一時ノ
急ヲ防グ場合ガアルノデアリマス、實際ニ於テ其例ガ多イ
ノデアリマス、所謂不拂會社ノ設立ト云フコトデアリマス、
此點ニ付キマシテハ、改正法案ヲ以テ致シマシテハ、實際ニ
此會社ノ設立ヲ否定スル途ガアリマセヌ、矢張一般ニ否認
權ノ行使ニ依ヲテ救濟ヲ求ムルノデアリマスガ、單ニ否認權
ノ行使ダケデハ此會社ノ設立ヲ否定スルグケノ法理上並
ニ實際上ノ效果ガ至ッテ乏シク、且ツ色々不都合ノ場合ヲ生
ズルノデアリマスカラ、自分共ノ觀察ノ如ク、此法案ノ解釋
上、其點マデヲモ含ムコトガ出來ナイト云フコトデアリマ
シタナラバ、司法當局ハ此近來ノ弊害ニ鑑ミラレマシテ共
場合ニ處スル所ノ適確ナル法律ノ制定ニ付テ、一應ノ御考
慮ヲ願ッテ置キタイト思ヒマス、其次ハ本案ハ送達ヲナスベ
キ場合、裁判所ニ於テ自由ニ公〓ヲ以テ之ニ代ヘラレルコ
トニナッテ居リマス、自分共ノ希望トシマシテハ送達ヲ公
告ニ代ヘルコトハ必シモ不可デハアリマセヌケレドモ;
レハ送達ガ不可能ノ場合、若ク、ハ著シキ手數ト費用トヲ要
スル場合トニ制限ヲシテ、實際ノ施行ヲシテ戴キタイト思
フノデアリマス、現在ノ公〓方法ハ改正案ニ於テモ別ニ改
マッテ居リマセヌ、即チ市町村役場ノ前ニ揭示スル是モ實
際ニ於テ餘リ人ノ注意ヲ惹キマセヌ、新聞紙ノ公〓モ、廣〓
料ヲ儉約セラレル爲デモアリマセウ、效能ガ乏シイノデア
リマス、ト云フヨリハ殆ド人ノ目ニ觸レ難イ、デ公〓ノ場合
ニ於テモ、、新品ノ廣〓或ハ市町村役場ノ掲示等、夫レ〓〓相
當ノ費用ト手數ヲ要スルノデアリマシテ、其點ハ送達ト何
等異ル所ハナカラウト思ヒマス、シテ見マスレバ私ハ飽ク
マデ利害關係人ニ對シテハ送達ヲ本位トシテ前ニ述ベマ
シタ已ムヲ得ザル場合ニハ公〓ヲ以テ之ニ代ユルコトヲ
得ル、サウシテ利害關係人ノ不測ノ損害ヲ少ナカラシムル
コトニ御注意ヲ願ヒタイ、最後ニ罰則ノ點デアリマス、詐欺
破產ノ界ノ中ニ現行破產編ノ規定以外ニ、新ニ「破產宣告
ノ前後ヲ問ハズ自己若ハ他人ノ爲ニ債權者ノ不利益ニ財產
ヲ處分シタルトキ」ト云フ項目ヲ加ヘラレテ、之ヲ他ノ不正
惡辣ノ手段ヲ以テナシタル財產ノ隱愚毀棄ト同様ニ處罰七
ラルヽコトニナリマシタ、是ハ刑罰法規ノ原則ニ照シテ成
ベク狹義ニ適用セラレマシタナラバ、別ニ不都合モゴザイ
マスマイケレドモ、若シ之ヲ廣義ニ適用相成ルコトニナリ
マスト、ドウシテモ法律ノ正面解釋トシテハ債務者ガ債務
ヲ負ウテ、自分ノ一家ノ經營生活、或ハ債權者ノ急迫ナル催
促ニ耐ヘ兼ネテ、自分ノ財產ヲ安ク金ニ代ヘテ、之ヲ支拂ツ
タ場合ヲモ含メラレ、處分サレテモ致方ナイト云フヤウナ
不安ヲ懷キマスコトハ質問ノ場合ト同樣、今日ニ於テモ矢
張之ヲ感ズルノデアリマス、尤モ債務者ガ自己ノ不當ナル
支拂等ノ爲ニ財產ヲ極ク安ク所謂投賣デモシタ場合ニ之
ニ觸レルト云フコトハ致方プリマセヌ、ソレハ法律ノ解釋
カラ言ッテモ相當ト思ヒマスケレドモ先ニ申述ベマシクヤ
ウナ場合モ包含セラレルヤウナ解釋ノ出來ル餘地ガ法律ノ
正面デゴザイマスカラ、サウ云フ普通ノ事情ノ場合、世間實
際ニアリ觸レテ起ル問題ニ對シマシテハ、此法條ヲ正面カ
ラ適用ナサラナイヤウナ方針ヲ御採リ下サルコトヲ特ニ御
注意ヲ促カシテ置ク次第デアリマス、今一ツハ共項ノ條ノ
元ノ過怠破產-本案ニハサウ云フ名稱ハアリマセスガ、
野副サンカラモ屢〓御意見ノ出マシタ如ク、單ニ債務者ガ債
權者カラ責メラレテ債務ノ返済ガ出來ナイ爲ニ、一時擔保
ヲ代リニ供用シタト云フ場合ニモ、矢張有罪破產ト云フコ
トニ相成ルコトモ、法律ノ正面解釋カラハ含マレテモ致方
ナイヤウナ規定ニナッテ居リマス、斯ウ云フ事ハ全ク信務
者ガ支拂ヲ停止シ、若クハ不能ニナッタ場合ニハ多クノ場
合伴ッテ起ル現象デアリマス、若シ法律ノ正面カラ且ツ廣ク
認メラレテドシ〓〓適用セラレタナラバ、凡ソ破產者ニシ
テ有罪破產ナラザルモノハ蓋シ一人モナイヤウナ結果ニ
相成ラヌトモ限リマセヌ、此點ニ關シマスル由內政府委員
ノ司法當局トシテノ御見解、御意思ノアル所ハ能ク諒ト致
シテ居リマスケレドモ、全國ノ各地方裁判所、區裁判所ノ判
事諸君、殊ニ今度ハ地方裁判所ノ單獨デナク區裁判所ガ管
轄スルコトニモナッテ居リマスカラ、多數ノ司法官ノ中ニ
ハ法律ノ正面カラ斯樣ナ解釋モ出來ルト云フ意味デ、司法
當局ノ御眞意ノ存スル所ヲ酌マレズ、敢テ非常識トカ何ト
カ申ス譯デハアリマセヌガ、唯解釋上致方ガナイ、已ムヲ得
ナイト云フヤウナ主意ヲ以テ、有罪破產ト云フコトニ認メ
ラレ易イト云フコトハ私共ノ非常ニ不安ト懸念ニ堪ヘナ
イ所デアリマスカラ、此點モ亦前段申上ゲマシタ通リ、サウ
云フ事ノ無イヤウニ、司法當局カラ全國ノ司法官ニ對シテ
相當ノ御注意ヲナサレテ、司法當局ノ考ヘテ居ラレル御精
神ガ、一般ニ貫徹スル樣ニ、相當ノ御取計ヲ御願致シタイト
思フノデアリマス、デ私ノ申上ゲマシタコトハ是ガ希望ト
モ見ラレマセウ、、注意トモ見ラレマセウ、或ハ進ンデ警告ト
モ見ラレルカモ知レマセヌケレドモ、兎ニ角私共-本案
ニ對シテ、何方カト申セバ衆議院ヨリ緣故ガ比較的淺イ貴
族院デサヘモ、一部ハ修正ヲ加ヘラレテ通過シタニモ拘ラ
ズ、私共ガ玆ニ敢テ修正ヲ致シマセヌノハ本案ノ生命ヲ害
スルコトヲ憂ヘマスノデ、修正說ハ述べマセヌケレドモ、左
樣ナ意見ヲ以テ本案ニ贊成ヲ表スルモノデアルト云フコ
トヲ茲ニ特ニ明ニ致シテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/004512945X00719220317/3
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004・渡邊昭
○渡邊委員 破產法ニ對シマシテハ、司法當局ニ於テ十分
ノ調査〓究ヲ重ネラレマシテ、此成案ヲ得ラレタノデアリ
マスカラ、大體ニ於テ贊成ノ意ヲ表スル者デアリマス、併ナ
ガラ此法案全體ヲ通ジテ精讀致シマスルト、多少ノ修正ヲ
ナスベキ點ガアルト信ズルノデアリマスガ、、此機會ニ於キ
マシテハ三ツノ希望事項ヲ中述ベマシテモ此案ニ贊成ヲ表
シマス、三ツノ希望條項ハ、第一ガ破產事件管轄裁判所ノ點
デアリマス、第二ハ本法第四編ノ罰則ニ關スル點、第三ハ本
法施行ノ期日ニ付テノ點デアリマス、第一ノ破產事件ガ、總
テ本法ニ依リマスト、區裁判所ニ於テ專屬管轄ヲナスト云
フコトニナッテ居リマスガ、此區裁判所ニ專屬ヲセシメルト
云フコトハ法曹社會ニ於テモ隨分議論ノアル事柄デアリ
マシテ、或ハ小破產ニ對シテハ區裁判所ヲ以テ相當ナリ
トシ、或ハ普通破產ニ於テハ地方裁判所ヲ以テ相當デア
ル、或ハ全體ヲ通ジテ破產事務ト云フ事柄ハ其破產者ガ支
拂不能ノ狀態ニ至リシヤ否ヤト云フ點ハ甚ダ重要ナル審
査ヲ要スルコトデアリマスカラ、之ヲ全部地方裁判所ノ管
轄ニスルガ相當デアルト云フ議論モアルノデアリマス、又
外國ノ立法例ニ依リマシテモ政府委員ヨリ御示シニナリ
マシタ書面ニ依リマシテモ、區々ニナッテ居リマス、或ハ單
獨裁判所ニ於テ破產事務ヲ取扱ッテ居ル所モアル、又合議制
ニ於テ地方裁判所ノ管轄ニ屬シテ居ル所モアルノデアリマ
ス是ハ餘程此點ハ此法案ノ全體ヲ通ジテ、、重大ノ關係ヲ持
ツ事柄デアラウト思フノデアリマス、殊ニ本法案ニ於テハ
一般主義ヲ採リマシテ、商人非商人ヲ區別ヲセヌコトニナッ
テ居ルノデアリマシテ、且ツ金額ノ如何ニ拘ラズ、數万圓、
數十万圓ノ破產事件ト雖モ、區裁判所ニ於テ之ヲ取扱フト
云フ法ノ精神デアリマス、故ニ金額ノ上ニ於テ無制限デア
リマスシ、又商人非商人ヲ問ハナイ、斯ウ云フ意味カラ申シ
マシテモ、此破產者ト云フモノハ破產ノ狀態ニ在ルカドウ
カト云フコトノ決定ヲ爲スト云フコトハ極メテ破產者ニ
取リマシテ、重要ノ關係ヲ持ツノデアリマス、ソレ故ニ當局
ノ御說明ニ依レバ、手續ハ迅速ヲ貴ビ、監督ノ統一ヲ期スル、
斯ウ云フ意味ニ於テ區裁判所ニ專屬セシムルガ宜イト云
フ御趣意ニナッテ居リマスガ、是モ一面道理アル御意見ト存
ジマス、故ニ希望ト致マシシテハ區裁判所ニ於テ破產事務
ニ當ラレル所ノ判事ニ對ジマシテハ-司法官ニ對シマシ
テハ、今日司法當局ノ御說明ノ如ク、專門的ノ判事ヲ以テソ
レニ充テル、專門的ト申シマシテモ、ドウ云フ方法デ御選任
ニナルカ判リマセヌガ、十分愼重ナル其點ニ付テハ御注意
ヲ乞ウテ、其當ラレル所ノ判事ニ對シテハ、相當優遇ノ途ヲ
講ゼラレンコトヲ希望致シマスノデアリマス、サウ致シマ
スレバ此單獨制ニ致シマシテモ、大シタ弊害モナク、此法
案ノ趣旨ガ徹底スルト思ヒマス、其事ヲ希望シタイノデア
リマス第二ノ罰四ノ點デアリマスガ、之ハ三百七十四條三
百七十五條、破產者ニ取リマシテ、又破產者以外ノ第三者ニ
取リマシテ此破產事務ニ關係致シマス者ハ第三百七十四
條懲役十年以下、三百七十五條ノ五年以下ノ懲役又ハ二千
圓以下ノ罰金、斯ウ云フ餘程重キ體刑ナリ罰金ノ額モ多イ
ノデアリマス、サウシテ條ヲ見マスト云フト、只今作間君
カラモ御話ノゴザイマシタ通リ、正面ノ解釋ノ上カラ見マ
スルト、隨分疑義ノアルコトガ多イノデアリマス、ソレ故ニ
此罰則ノ條項ニ付キマシテハ特ニ解釋ノ上ニ於テ、立法者
ノ御精神ガ、其破產事務ヲ執ラレル司法官ニ徹底スルヤウ
ニ解釋ノ統一ヲ御圖リヲ願ヒタイ、立法ノ精神ハ斯ノ如キ
モノデアルト云フコトニ付テ、適當ナル方法ニ依ッテ、解釋
區々ニ出デザルヤウ當局ガ本委員會ニ於テ御說明ニナッタ
ヤウナ趣旨デアルト云フコトヲ、御取扱ニナル判事ニ向ッテ
徹底スル途ヲ講ゼラレンコトヲ望ミマス、第三ノ實施期限
デアリマスガ、本法案ニ依リマスルト、附則ニ於テ本法實施
ノ期限ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ムトナッテ居リマスカラ、何レ勅
令ニ於テ相當ノ期間ヲ置カルヽコトヽ信ジマスガ、私ハ少
クモ一年以上ノ期間ヲ置カレテ、サウシテ破產事務ニ當ラ
レル所ノ司法官ニ對シテ、相當其間ニ於テ〓究セラレル餘
地ヲ與ヘラレ、又民間ニ向ッテモ、ソレニ對シマシテハ相當
ニ之ヲ周知セシメル、知ラシメルト云フヤウナ意味ニ於キ
マシテ成ベク長ク實施期ト云フモノヲ長キ間ノ猶豫ヲ與
ヘテ置カレテ實施セラレルヤウニシタイ、斯樣ニ考ヘマ
ス、此三點ニ依リマシテ本案ニ贊成ヲ表スル者テアリマス、
尙ホ只今ノ希望事項ニ對シマシテハ、委員長ヨリ本會議ニ
於テ御報〓ノ際ニ於テ、附加ヘテ御報告アランコトヲ希望
致シテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/004512945X00719220317/4
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005・岩崎幸治郎
○岩崎委員 私ハ一寸議事ノ進行ニ付テ御尋致シタイノデ
アリマシタガ、只今昨間君竝ニ渡邊君ノ御言葉ノ中ニ、本案
ニ贊成ヲスルト云フコトデアリマシテ、之ハ本案自體ヲ仰
シヤルノデアリマセウカ、或ハ修正サレタル貴族院ノ修正
案ニ御贊成ニナルト云フ意味デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/004512945X00719220317/5
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006・渡邊昭
○渡邊委員 私ハ此貴族院ノ修正ノ箇條ガ六箇條ニ互ッテ
居リマスガ、大體ニ於テ原案ノ趣旨ヲ明ニシタト云フ意味
デアリマスカラ、修正ニ贊成致シタイモノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/004512945X00719220317/6
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007・作間耕逸
○作間委員 同樣ナ意味デアリマス
〔「採決」「採決」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/004512945X00719220317/7
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008・前田米藏
○前田委員長サウスルト採決致シマス、岩崎君ノ此所謂貴 族院ノ修正ニナッテ居リマス本案ニ付テ贊成ノ諸君ハ學手
ヲ願ヒマス
〔贊成者擧手〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/004512945X00719220317/8
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009・前田米藏
○前田委員長 全會一致テアリマス、全會一致可決ニナリ
マシタ、ソレカラ和議法ノ討論ニ移リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/004512945X00719220317/9
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010・岩崎幸治郎
○岩崎委員 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/004512945X00719220317/10
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011・前田米藏
○前田委員長 岩崎君ノ發議ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/004512945X00719220317/11
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012・前田米藏
○前田委員長 全會一致デ和議法案ハ可決致シマシタ-
ソレカラ裁判所構成法中改正法律案ノ討論ヲ始メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/004512945X00719220317/12
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013・岩崎幸治郎
○岩崎委員 此改正ハ破產法ノ改正ニ伴ノ結果トシテ爾
カアルベキコトヽ存ジマス、原案ニ贊成致シマス-刑事
訴訟法ノ改正ニ伴フ結果、共ユ必要卜思ヒマスカラ贊后致
シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/004512945X00719220317/13
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014・前田米藏
○前田委員長 岩崎君ノ動議ニ御贊成デゴザイマスカ
贊成」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/004512945X00719220317/14
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015・前田米藏
○前田委員長 サウスルト全會一致本案ハ可決致シマシ
タ續イテ司法事務共助法中改正法律案ヲ議題ニ供シマス、
其討論ヲ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/004512945X00719220317/15
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016・岩崎幸治郎
○岩崎委員 是ハ條約ノ結果、當然ノコトト信ジマスノデ、
原案ニ贊き致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/004512945X00719220317/16
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017・渡邊昭
○渡邊委員 此案自體ニ付テハ別ニ異議ハゴザイマセヌ
ガ、是ハ南洋ニ事務廳ヲ置カレルト云フコトヂ、關東廳同樣
ニスルト云フノデゴザイマスカラ、本案自體ニハ贊成デア
リマスガ、取扱ノ上ニ於テ時トシテ苦情ヲ聞クノデアリマ
スガ、或ハ此關東州等ニ於キマシテ、事件ヲ御取扱ノ際ニ於
テ法律上實ニ重キヲ置カザル爲、或ハ憲兵若タハ蓬査等ノ
聽取書ト云フヤウナモノユ付テ非常ニ御取扱上重キヲ於
カレテ、法律上效果ノ無イモノデモ、尙且ツ效果ノルカノ如
クスシテ重キヲ置カレテ居ルヤウナ取扱ノアルヤウナ說ヲ
聞クノデアリマス、是ハ他日十分ス此法ノ適用ノ上ニ於テ
御注意ヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/004512945X00719220317/17
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018・前田米藏
○前田委員長 本案ユ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/004512945X00719220317/18
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019・前田米藏
○前田委員長 本案ハ全會一致賛成デアリマシチ、原案ニ
可決セラレマシタ、是デ四案共可決致シマシタカラ、今日ハ
是デ〓會致シマス
午後零時十一分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/004512945X00719220317/19
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