第45回帝国議会　衆議院　本会議　第20号　大正11年2月28日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  大正十一年二月二十八日（火曜日）午後一時十九分開議
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  　議事日程　第十九號　大正十一年二月二十八日
  　　　午後一時開議
  　　　　　質問
  　　一　關東州の支那人壓迫に關する質問（清水留三郎君外一名提出）
  　　二　陸海軍大臣任命に關する官制改正に對する質問（野村嘉六君提出）
  　　三　普通教育竝中等教育に關する質問（野溝傳一郎君提出）
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  　第一　銃砲火藥類取締法中改正法律案（政府提出、貴族院送付）　　　　　　第一讀會
  　第二　右議案の審査を付託すへき委員の選擧
  　第三　壓縮瓦斯及液化瓦斯取締法案（政府提出）　　　　　　　　　　　　　第一讀會
  　第四　右議案の審査を付託すへき委員の選擧
  　第五　明治四十四年法律第六十一號中改正法律案（政府提出）　　　　　　　第一讀會
  　第六　右議案の審査を付託すへき委員の選擧
  　第七　破産法案（政府提出、貴族院送付）　　　　　　　　　　　　　　　　第一讀會
  　第八　和議法案（政府提出、貴族院送付）　　　　　　　　　　　　　　　　第一讀會
  　第九　右各案の審査を付託すへき委員の選擧
  　第十　明治四十年法律第二十一號中改正法律案（政府提出）　　　　　　　　第一讀會
  　第十一　大正九年法律第十二號中改正法律案（政府提出）　　　　　　　　　第一讀會
  　第十二　右各案の審査を付託すへき委員の選擧
  　第十三　所得税法中改正法律案（政府提出）　　　　　　　　　　　　　　　第一讀會
  　第十四　相續税法中改正法律案（政府提出）　　　　　　　　　　　　　　　第一讀會
  　第十五　登録税法中改正法律案（政府提出）　　　　　　　　　　　　　　　第一讀會
  　第十六　印紙税法中改正法律案（政府提出）　　　　　　　　　　　　　　　第一讀會
  　第十七　日本興業銀行法中改正法律案（政府提出）　　　　　　　　　　　　第一讀會
  　第十八　臺灣銀行法中改正法律案（政府提出）　　　　　　　　　　　　　　第一讀會
  　第十九　北海道拓殖銀行法中改正法律案（政府提出）　　　　　　　　　　　第一讀會
  　第二十　右各案の審査を付託すへき委員の選擧
  　第二十一　貨幣法中改正法律案（政府提出）　　　　　　　　　　　　　　　第一讀會
  　第二十二　右議案の審査を付託すへき委員の選擧
  　第二十三　裁判所の設立に關する法律案（政府提出）　　　　　　　　　　　第一讀會
  　第二十四　大正二年法律第九號中改正法律案（政府提出）　　　　　　　　　第一讀會
  　第二十五　右各案の審査を付託すへき委員の選擧
  　第二十六　大正十年勅令第三百七十五號（承諾を求むる件）（貴族院送付）
  　第二十七　大正十年勅令第三百七十六號（承諾を求むる件）（貴族院送付）
  　第二十八　右各案の審査を付託すへき委員の選擧
  　第二十九　和賀輕便軌道株式會社所屬軌道經營廢止に對する補償の爲公債發行に關する法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　第三十　決議案（安達謙藏君外五名提出）
  　第三十一　決議案（佐々木安五郎君提出）
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• 001・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　諸般ノ報告ヲ致シマス
  〔原田書記官朗讀〕
  一政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  傳染病豫防法中改正法律案
  海港檢疫法中改正法律案
  明治四十年法律第四十九號中改正法律案
  陪審法案
  (以上二月二十八日提出)
  一議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  農業組合法案
  提出者土井權大君
  (以上二月二十七日提出)
  國庫支辨ニ依ル雇員傭人ニ退職手當支給ニ關スル
  建議案
  提出者中村〓造君有馬秀雄君
  江崎幸太郞君靑柳郁次郞君
  花柳病豫防法制定ニ關スル建議案
  提出者大林森次郞君齋藤壽雄君
  八木逸郞君山田永俊君
  岩崎宗茂助君宜保成晴君
  松下禎二君三浦得一郞君
  中馬興丸君香川保忠君
  南千住驛淺草橋間高架鐵道敷設ニ關スル建議案
  提出者鈴木隆君前田米藏君
  土屋興君中島守利君
  長谷場敦君秋本喜七君
  內山安兵衞君鳩山一郞君
  大崎松田間鐵道速成ニ關スル建議案
  提出者森恪君小鹽八郎右衞門君
  中島守利君土屋興君
  吉野小一郞君秋本喜七君
  長谷場敦君
  木曾川外二川架橋速成ニ關スル建議案
  提出者加藤久米四郞君三輪市太郞君
  天春文衞君
  (以上二月二十七日提出)
  一今二十八日政府ヨリ受領シタル答辯書左ノ如シ
  衆議院議員〓水留三郞君外一名提出關東州ノ支
  那人壓迫ニ關スル質問ニ對スル答辯書
  衆議院議員野村嘉六君提出陸海軍大臣任命ニ關
  スル官制改正ニ關スル質問ニ對スル答辯書
  衆議院議員野溝傳一郞君提出普通〓育竝中等〓
  育ニ關スル質問ニ對スル答辯書
  關東州ノ支那人壓迫ニ關スル質問主意書
  右成規ニ據リ提出候也
  大正十一年二月二日
  提出者〓水留三郞山道裏
  賛成者平出喜三郞
  外二十九名
  關東州ノ支那壓迫ニ關スル質問主意書
  一李子明ニ故ナク退去處分ヲ命シタル如キ金建反對ノ
  支那人ヲ威嚇シテ取引ヲ强要セシメタル如キハ支那
  人ノ對日感情ヲシテ益惡化セシムルモノニ非スヤ政府
  ノ所見如何
  二三十里堡ノ支那人耕作地ヲ無償取上ケ之ヲ和田某
  ニ下付シタル如キハ官紀紊亂綱紀頽廢ノ一事實タル
  ト共ニ支那人ノ反感ヲ招キシコト尠カラスト思考ス政
  府ノ所見如何
  右及質問候也
  大正十一年二月二十八日
  內閣總理大臣子爵高橋是〓
  衆議院議長奧繁三郎殿
  衆議院議員〓水留三郞君外一名提出關東州ノ支那
  人壓迫ニ關スル質問ニ對シ別紙各〓書差進候
  (別紙)
  衆議院議員〓水留三郞君外一名提出關東州ノ
  支那人壓迫ニ關スル質問ニ對スル答辯書
  一大連取引所ニ於テ賣買取引ニ用フル建値ヲ金ニ變
  更セラルヽヤ大連華商公議會副會頭李子明ハ百方
  其ノ實行ヲ阻止セムトシ之カ爲自己ノ地位ヲ利用シ
  テ金建取引ヲ爲サントスル支那人ヲ脅迫シテ其ノ營
  業ヲ妨害シ又日本輸入綿絲布ノ不買同盟ヲ計畫シ
  或ハ滿鐵沿線各地商務會ニ不穩文書ヲ發送シテ熾
  ニ排日排貨ヲ煽動スル等其ノ行動過激ニ涉ルモノアリ
  タルヲ以テ大連民政署長ハ彼ニ對シ再三警告ヲ與ヘ
  タル結果一度不穩行動ヲ中止スヘキ旨ヲ誓ヒタルモ
  其ノ後同志ニ使嗾セラレテ曩ノ誓約ヲ破リ再ヒ華商
  ヲ煽動シテ不穏ノ行動ヲ爲サシムル等治安ヲ妨害シ
  財界ヲ攪亂スルノ惧アリタルヲ以テ民政署長ハ客年
  五月十四日更ニ彼ヲ招致シテ其ノ不心得ヲ戒メ且
  此際一時州外ニ旅行スルコト得策ナルヘキ旨ヲ忠告
  シタルニ彼ハ署長ノ厚意ヲ謝シテ翌日營口ニ旅行シ
  タルコトアルモ退去處分ヲ命シタルコトナシ又支那人ヲ
  威嚇シテ金建取引ヲ强要シタルカ如キコト更ニナシ
  二三十里堡水田ハ元來官有地ニシテ從來之ヲ農民ニ
  貸下ケ小作料ヲ徴收シ來リタルモノナルカ大正九年
  右貸下期間滿了シ一方官ニ於テ金州ニ農事試驗場
  ヲ移轉スル爲其ノ豫定地ヲ買收スルノ必要アリタル
  ニ由リ該貸下土地ト和田某所有ニ係ル右豫定地ト
  ヲ交換シタルニ和田某ト農民トノ間ニ前記水田ノ小
  作料ニ付一時爭議アリタルモ其後圓滿ニ解決ヲ告ケ
  其ノ間毫モ官紀紊亂綱紀頽廢ノ事實ナシ
  右及答辯候也
  大正十一年二月二十八日
  內閣總理大臣子爵高橋是〓
  陸海軍大臣任命ニ關スル官制改正ニ對スル質問
  主意書
  右成規ニ據リ提出候也
  大正十一年二月二日
  提出者野村嘉六賛成者田中善立
  外二十九人
  陸海軍大臣任命ニ關スル官制改正ニ對スル質問
  主意書
  陸海軍大臣任命ニ關スル官制改正ノ意思ナキヤ
  一陸軍省官制第二十六條ニハ陸軍省職員ハ附表ノ如
  シト在リテ其ノ附表横線ニハ大臣ハ大中將ト規定セ
  リ海軍省官制第三十三條ニハ海軍省ノ定員ハ別表
  ニ依ルト在リテ其ノ別表ニハ陸軍省官制第二十六條
  附表ト同シク横線ニテ大臣ハ大中將ト規定セリ此ノ
  官制ヨリ見レハ陸海軍大臣ハ陸海軍大中將ヨリ任
  命セサルヘカラサルカ如クニテ曩ニ山本内閣ノ當時豫
  後備迄ニ資格範圍ヲ擴張セシモ其ノ大中將タルコト
  ハ依然タリ然ルニ大正十年海軍大臣加藤友三郞華
  府會議全權委員ニ任セラレ同時ニ軍人タラサル原内
  閣總理大臣ハ內閣官制第九條各省大臣故障アルト
  キハ他ノ大臣臨時攝任シ又ハ命ヲ承ケ其ノ平務ヲ管
  理スヘシトノ規定ニ基キ海軍大臣事務管理ヲ命セラ
  レタリ玆ニ於テ内閣官制第九條文官大臣管理ト陸
  軍省官制第二十六條附表海軍省官制第三十三條
  別表卽チ武官官制ト矛盾セサルヤ
  一假ニ事務管理ハ大臣ヲ別ニ任命スルニ非サルヲ以テ
  矛盾ナシトスルモ事實海軍大臣ト同一事務シ處理ス
  ルモノナルコト論ナシ大正十年十月以來歳月短シト雖
  其ノ間原、内田、高橋ノ三代ノ文官大臣カ海軍大臣ノ
  權限ニ屬スル事務ヲ管理セリ而シテ亦其ノ問ニ支障
  ヲ生シタルコトヲ聞カス然ラハ事實上ニ於テ海軍大臣
  ハ大中將ニ限ラス文官大臣ヲ以テ之ニ充ツルモ支障
  ナキ唯一ノ證據ナラスヤ若又政府カ官制改正ノ意ナ
  ク武官大臣制度ニ限ルモノトセハ現在ノ高橋内閣總
  理大臣ノ海軍大臣事務管理ハ事實ニ於テ否認スル
  ニ均シ況ヤ軍備國防ハ國力ト相俟タサルヘカラス卽チ
  今日ノ趨勢ハ國家ノ財政其ノ他諸般ノ政務ト倍不
  可分ノ關係ヲ滋フス是レヲ歐米各國ニ見ルモ文明國
  ハ殆ト陸海軍大臣ニ文官制度ヲ採用セリ而シテ日本
  ハ現ニ文官大臣ニテ海軍大臣事務ヲ管理セリ
  內閣官制第七條事ノ軍機軍令ニ係リ奏上スルモノハ
  天皇ノ旨ニ依リ之ヲ內閣ニ下付セラルヽノ件ヲ除ク
  外陸軍大臣海軍大臣ヨリ內閣總理大臣ニ報告スヘ
  シトアリテ内閣總理大臣ハ單ニ報告ヲ受クルニ止マレ
  リ一面憲法第五十五條ニハ國務各大臣ハ天皇ヲ輔
  弼シ其ノ責ニ任ストアリ輔弼ノ責任アル各大臣カ陸
  海軍大臣ヨリ報告ヲ受クルノミニテ其ノ責ヲ盡スコト
  ヲ得ヘキヤ殊ニ軍機軍令ニ關スルコトハ國務中ノ重
  大事ナリト信ス此ノ點ニ對シ政府ハ同官制ヲ改正シ
  憲法第五十五條ノ國務大臣輔弼ノ責任ヲ充分ニ盡
  サシムル意ナキヤ
  右及質問候也
  大正十一年二月十八日
  內閣總理大臣子爵高橋是〓
  衆議院議長奥繁三郞殿
  衆議院議員野村嘉六君提出陸海軍大臣任命ニ關スル
  官制改正ニ關スル質問ニ對シ別紙答辯書差進候
  (別紙)
  衆議院議員野村嘉六君提出陸海軍大臣任命ニ
  關スル官制改正ニ對スル質問各辯書
  一陸海軍大臣任命ニ關スル官制ハ目下之ヲ改正スルノ
  必要ヲ認メス
  一海軍大臣任用ノ資格ヲ以テ直ニ海軍大臣事務管理
  ノ資格ト爲スノ理由ナシ
  一海軍大臣ト海軍大臣事務管理トハ之ヲ同祝スヘキモ
  ノニ非ス
  軍機軍令ニ係リ奏上スルノ件ハ現制ノ下ニ於テ別ニ
  支障アルヲ認メス
  右及答辯候也
  大正十一年二月二十八日
  內閣總理大臣子爵高橋是〓
  臨時海軍大臣事務管理
  内閣總理大臣子爵高橋是〓
  陸軍大臣山梨半造
  普通〓育竝中等〓育ニ關スル質問主意書
  右成規ニ據リ提出候也
  大正十一年二月十五日
  提出者野溝傳一郞贊成者安藤正純
  外二十九人
  普通〓育竝中等〓育ニ關スル質問主意書
  一政府ハ刻下ノ急務タル小學校〓育費問題解決ノ爲
  本院ノ建議ヲ容レテ地方〓育行政調査會ヲ設ケ之
  カ對策ヲ講セシメシモ旣ニ半歲ノ餘ヲ閱シテ猶未タ成
  案ノ以テ此ノ急ニ應スルモノナク僅ニ得タル假決議ナ
  ルモノハ物論ノ囂囂ヲ招キテ其ノ何レニ歸スルヤヲ知
  ラス市町村ハ今ヤ次年度計畫ニ際シテ多大ノ困惑ニ
  陷リツツアリ政府ハ何故ニ速ニ之カ解決ノ方途ニ出
  テサルヤ
  二政府ハ小學校〓育ノ施設ニ關シテ劃一打破ヲ唱ヘ
  市町村ノ狀況ニ應シテ其ノ施設ヲ異ニスルヲ至當ナリ
  トスルノ見解ヲ持セラルル如シ斯ノ如キハ最均等ヲ期
  スヘキ國民〓育ノ實ヲ害ヒ國運ノ進歩ノ上ニ一大障
  碍ヲ與ヘムコトヲ恐ル政府ノ所見如何
  三中學四年修了者ヲシテ高等學校ニ入學セシムルノ制
  度ハ中學〓育ヲ破壞スルモノト認ム當局ノ所見如何
  若果シテ其ノ弊ヲ認メハ之カ匡救ノ道如何
  右及質問候也
  大正十一年二月二十八日
  內閣總理大臣子爵高橋是〓
  衆議院議長奧繁三郞殿
  衆議院議員野溝傳一郞君提出普通〓育竝中等〓育
  ニ關スル質問ニ對シ別紙答辯書差進候
  (別紙)
  衆議院議員野溝傳一郞君提出普通〓育竝中等
  〓育ニ關スル質問ニ對スル答辯書
  一臨時〓育行政調査會ハ成立以來先ツ市町村立小學
  校ノ施設ニ關スル調査審議ニ從事シ目下特別委員
  會ニ於テ議ヲ重ネツツアルモ事極メテ重要且詳密ニ
  亙ルヲ以テ未タ成案ノ確定ヲ見ルニ至ラス政府ハ之
  カ進捗ヲ圖リツジアリ而シテ市町村ニ於テ次年度ノ
  計畫ヲ爲スニ當リテハ大體ニ於テ從來ノ施設經營ノ
  方針ニ據リ土地ノ狀況ト時勢ノ推移トニ鑑ミテ適當
  ナル方法ヲ講スヘキヲ以テ敢テ支障ヲ來タスコトナシ
  二市町村立小學校ノ施設ハ地方ノ狀況ニ依リ之ニ適
  應スル方法ヲ講スヘキモノニシテ全國畫一ヲ期圖スヘ
  キニアラス小學校ニ關スル現行法令ノ精神モ亦同樣
  ニシテ小學校ノ施設ニ一定ノ限界ヲ定メ其範圍內ニ
  於テ各地方ノ自由裁量ニ委ネタリ斯ノ如ク小學校施
  設ニ一定ノ制限アルハ所謂義務〓育統一ノ眞義ニシ
  テ地方ノ自由裁量ヲ許シタルハ卽畫一打破ノ本旨ノ
  在ル所ナリ
  三中學校第四學年修了者ヲシテ高等學校ニ入學セシ
  ムルノ制度ハ延イテ中學校〓育ニ多少ノ影響アルコ
  ト勿論ナリト雖モ之ヲ以テ直ニ中學校〓育ヲ破壞ス
  ルモノト認メス當局ハ此制度ノ實施ヲ圓滿ナラシムル
  カ爲常ニ周到ナル注意ヲ怠ラス
  右及答辯候也
  大正十一年二月二十八日
  內閣總理大臣子爵高橋是〓
  文部大臣中橋德五郞
  一今二十八日貴族院ニ於テ本院送付ニ係ル左ノ議案
  ヲ可決シタル旨同院ヨリ通牒ヲ受領セリ
  家畜傳染病豫防法案(政府提出)
  〔左ノ報告ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭
  載ス〕
  一昨二十七日理事補關選擧ノ結果左ノ如シ
  未成年者飮酒禁止法案
  理事望月政友君(理事大石大君補闘)
  一今二十八日常任委員補闕選擧ノ結果左ノ如シ
  第一部選出豫算委員大矢馬太郎君(菊池長右衞門
  君補關)
  第五部選出懲罰委員高見之通君(永屋茂君補關)
  第七部選出決算委員齊藤巳三郞君(川副綱隆君補
  關
  第八部選出懲罰委員山移定政君(森山儀文治君
  補閥)
  第九部選出懲罰委員近藤達兒君(渡邊昭君補閥)
  一今二十八日六大都市行政監督ニ關スル法律案委員
  野田文一郞君辭任ニ付其ノ補闘トシテ阿由葉勝作
  君ヲ議長ニ於テ選定セリ

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• 002・奧繁三郎

  ○議長(奥繁三郞君)　會議ヲ開キマス、議事!進行ニ關
  シテ板野友造君ヨリ發言ヲ求メラレマシタ、此際之ヲ許シ
  やっ、板野君

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• 003・坪田十郎

  ○坪田十郞君　議長

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• 004・奧繁三郎

  ○議長(奥繁三郞君)　坪田君何デスカ

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• 005・坪田十郎

  ○坪田十郞君　委員會ヲ開キタイト思ヒマス、六大都市
  行政監督ニ關スル法律案ノ委員會ヲ開キマシテ、府縣制
  中改正法律案ノ審査ヲ致シタイノデアリマス、許可ヲ願ヒ
  マス

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• 006・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　坪田君ヨリ委員會開會ノ請求ガ
  アリマスガ、許可シテ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 007・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　許可致シマス、板野君

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• 008・坪田十郎

  ○坪田十郞君　委員ノ諸君ハ委員室ニ御集リヲ願ヒマス

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• 009・板野友造

  ○板骨友造君　此席カラ申上ゲマス、私ハ都市計畫ニ關
  スル質問主意書ヲ提出致シマシタ、尤モ本年ノ一月三十
  日ニ其趣旨ノ辯明ヲ致シテ置イタノデアリマス、ソレニ對シ
  テ未ダ答辯ニ接シマセヌ、此一月三十一日ニ質問ノ趣旨ノ
  辯明ヲ致シマシタ際ニ、小橋内務次官ハ是ハ內務省ノ所
  管ト大藏省ノ所管ト兩省ニ跨シテ居ルカラ篤ト交渉ヲシテ
  書面ヲ以テ答辯スルト云フコトデアリマシタガ、未ダ其書面
  ニ接シマセヌ、私ハ此處デ別ニ急ギ立テルト云フ意味デハア
  リマセヌガ、私ノ質問ヲ致シマシタ大部分ハ、都市計畫ノ財
  源ニ關スル件デアル、當時質問致シマシタコトヲ此處デ繰
  返スコトハ致シマセヌ、繰返スコトハ致シマセヌガ、其主ナル
  モノハ都市計畫ニ對シテ政府ハ補助ヲスルカドウカ、補助ノ
  必要ヲ認メルトスレバ、如何ナル程度ノ補助ヲ爲サルカ、之
  ヲ承リタイ、ソレカラ都市計畫事業ニ對シテ特別稅ヲ課ス
  ル所ノ勅令ヲ出スト云フコトハ二年前カラ極ッテ居ル、二年
  前ニ財源ニ付テ特別稅ヲ起スコトヲ許スト云フコトヲ定メ
  テ置キナガラ.此特別稅トシテ政府ガ開陳シタ所ニ依レバ、
  間地稅及土地增價稅、是等ノモノニ對シテ之ヲ都市計畫
  ノ財源トシテ、之ヲ取ラスヤウニスルト云フコトヲ約束シテ
  サウシテ仕事ヲサセテ置キナガラ、其財源ヲ與ヘナイデ今マ
  デ居ル、斯ウ云フコトデハ、仕事ニ掛クテモ其仕事ヲ遂行ス
  ル上ニ於テ困難デアルカラ、果シテ約束通リスルカドウカ之
  ヲ承リタイ、斯ウ云フコトヲ申シテ置イタノデアッテ、一 四一
  ハ事業ヲ著々トシテ進メテ居ルニ、其際ニ於テ約束ヲ履マ
  ナイ、所ガ今日ハドウカトー云フト、大正十一年度ノ都市計
  畫事業ニ付テハ、各都市トモ豫算ヲ市會へ提出シテ居ル、
  若シ政府ガ約束ヲ履マナイトスレバ、各都市共相當ノ考ガ
  アル筈デアル、ソレデアルカラ『私ガ』此處デ殊更ニ政府ニ迫
  ルノデモ何デモナイガ、大正十一年度ノ事業ヲスル上ニ於
  テ、政府ガ其約束ヲ履ムカドウカト云フコトハ、仕事ヲ遂行
  スル上ニ大關係ガアルカラ、此財源ニ付テ速ニ私ノ質問ニ
  答辯ヲ得タイト考ヘル、此質問ニ對スル政府ノ御答辯ヲ速
  ニ、正確ニ且ツ明確ニ御開示ヲ願ヒタイト云フコトヲ此際
  中上ゲルノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=9

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• 010・奧繁三郎

  ○議長(奥繁三郞君)　質問ノ第一、第二、第三、共ニ政
  府ヨリ答辯ガ參リマシタカラ、本日ノ日程ヨリ省キマス、但
  シ第一及第二ノ質問ニ對シテハ意見陳述ノ申出ガアリマ
  ス、之ヲ許可致シマス、陸海軍大臣任命ニ關スル官制改正
  ニ對スル質問、野村嘉六君
  陸海軍大臣任命ニ關スル官制改正ニ對スル
  質問ノ答辯ニ對スル野村嘉六君ノ意見(野
  村嘉六君提出)

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• 011・野村嘉六

  ○野村嘉六君　私ハ陸海軍大臣任用ニ關スル官制改正
  ノ點ニ付テ當局ニ質問ヲスルノデアリマス、今一ツハ帷幄上
  奏ノ關係ニ於テ質問ヲ致シタイノデアリマス、陸軍省官制
  第二十六條、海軍省官制第十七條、此條文ニ依リマスル
  ト云フト、陸軍大臣又ハ海軍大臣ハ孰レモ現役ノ陸海軍
  大中將ニ限ラレテ居ルノデアリマス、併シ山本內閣ノ當時此
  範圍ガ擴張サレマシテ、豫後備マデ其有資格者ト爲ッタノデ
  アリマス、私ハ進ンデ之ヲ普通ノ文官ニ改ムル必要ハナイカ、
  文官ヲ以テ陸海軍大臣ニスル意思ガナイカト一云フ質問ガ
  第一ノ趣意デアリマス、私ハ斯ウ質問ヲスルノハ一一ツノ理由
  ガアルノデアリマス、第一ハ文官ヲ以テ陸海軍大臣ニシテモ
  事實上差支ナイ、此點デアル、今一ツハ軍人ヲ以テ陸海大
  臣ニシナケレバナラヌト云フコトハ、或ル情弊ニ因ハレタル所
  ノ結果デアル、更ニ第三ト致シマシテハ、各國ノ權衡上、各國
  ニ對スル關係上、文官ヲ以テスルノハ我國ノ利益ナリ、此三
  點ニ基イテ當局ノ意見ヲ質ス次第デアリマス、事實ニ於テ
  差支ナイト云フ事ハドノ點ヲ以テ言フカト云フト、申スマデ
  モアリマセヌ、昨年十月時ノ海軍大臣加藤友三郞氏ガ、
  華府會議ノ全權委員ノ一人トシテ派遣サレタノデアル、其
  間海軍大臣トシテ事務ヲ執ルベキ人ハ無カッタノデアル、所
  ガ原總理大臣ハ當時內閣官制第九條「各省大臣故障ア
  ルトキハ他ノ大臣臨時攝任シ又ハ命ヲ承ケ其事務ヲ管理
  スヘシ」ト云フ內閣官制ノ第九條ニ基キマシテ、サウシテ海
  軍大臣ノ事務ヲ管理サレタノデアリマス、其後内田臨時總
  理大臣、現高橋總理大臣、此三大臣ニ及ンデ居ルノデアリ
  マス、大臣ノ事務管理ト云フコトハ申スマデモアリマセヌ、詰
  リ大臣ノ仕事ソレ自體ヲ攝シ處理スルノデアリマス、唯大
  臣ト云フ特殊ノ辭令ハ受ケマセヌケレドモ、其內容、職責タ
  ル事務ニ付テハ、全部執行スル責任ガアルノデアリマス、而
  シテ原、內田、高橋、此三總理大臣、卽チ海軍大臣事務ヲ
  管理シタル人ハ、孰レモ文官出デアルト云フコトハ今更此
  處ニ申上ゲル必要ハナイノデアル、或ハ時期ガ短イト云フ議
  論ガアルカ知レマセヌケレドモ、免モ角モ此三大臣ガ海軍ノ
  事務ヲ處理シテ、今日未ダ支障ノアルト云フ事ハ聞カヌノ
  デアル、之ガ爲ニ不便ヲ感ジタト云フコトハ聞カヌノデアル、
  然ラバ此文官大臣ニ依"テ、海軍大臣ノ事務ガ完全ニ圓滿
  ニ施行サレテ居ルト云フ事ハ、此點ニ依シテ證明サレルノデ
  アリマス、若シ又差支ガアル、圓滿ニ行カズ事務ノ澁滯ヲ來
  シ、或ハ海軍大臣トシテ不當デアッタナラバ、必ズヤ何カ其間
  ニ於テ問題ガ起ルニ相違ナイノデアル、併シソレヲ押包ンデ
  其地位ニ居ラレルヤウナ諸君デハナイノデアル、故ニ私ハ此
  活キタル事實ヲ以テ、文官制度ニシテ差支イナイト云フコト
  ヲ玆ニ斷言スルノデアリマス、又各國ノ例ヲ見マシテモ、英
  吉利ニ致シマシテモ、亞米利加ニ致シマシテモ、佛蘭西ニ致
  シマシテモ、陸海軍大臣ハ孰レモ文官デアル、未曾有ノ世界
  大戰爭ニ際シテ、此文官ハ優ニ十二分ニ其職務ヲ果スコト
  ヲ得タノデアル、事外國ニ關スル例デアリマスルケレドモ、依
  テ以テ是ハ一ツノ參考ニスル價ガアルト斯ウ信ズルノデアリ
  マス、御承知ノ通リニ軍備國防ハ其國ノ國力ト相俟タナケ
  レバナラヌノデアル、卽チ非常事ニ於キマシテハ國民總動員
  ノ決心ガナケレバナラヌノデアル、經濟上ノ關係ニ於キマシ
  テハ、其國人所有財產權ヲ擧ゲデ一毫モ殘ラズ時ノ緩急ニ
  應ジテ提供スル決心ガナケレバナラヌノデアル、對外關係、今
  日ノ國家ノ狀態、卽チ國ノ經濟ト富ノ程度、相比較シテ之
  ニ加フルニ國民ノ和、依テ以テ國防軍備ニ當ラナケレバナラ
  ヌノデアル、軍閥ト稱スル局部ノ人ガ一角ニ立籠ッテ、サウシ
  テ國家ノ安危ヲ負擔スルト云フコトハ、業ニ旣ニ時代遲レ
  ナリト云フコトヲ私ハ玆ニ斷言シテ憚カラナイノデアル(拍
  手)時勢旣ニ然リ、私ハ軍閥軍人ト云フ者ハ特殊ノ忠愛
  心、特殊國ヲ護ル普通ノ人間以上ニ能力アルト思ハヌノデ
  アル、國ノ爲ニ捧ゲル決心、國ノ爲ニ盡ス決心ト云フモノハ、
  六千万人同一ナリト斯ウ信ズルノデアリマス、軍閥云トフ
  一ツノ城廓ハ、要スルニ因襲ニ囚ハレタル過去ノ歷史ナリト
  私ハ玆ニ斷言シテ憚カラヌノデアル、佛蘭西ノ如キハ今日ハ
  獨逸ト平和關係ニハナッテ居リマスガ、尙ホ油斷ノ出來ナイ
  立場ニ在ルニモ拘ラズ、矢張文官制度ヲ以テ此任務ヲ盡ス
  ニ十分ナリト云フ此制度ヲ採用シテ居ルノデアル、又英吉
  利、米國ニ致シマシテモ、世界ノ大海軍ヲ有シテ居ル所ノ國
  デアルニ拘ラズ、尙ホ其大臣ガ文官デアルノデアリマス、私ハ
  現實ニ於ケル此日本ノ制度ニ於テ、文官ヲ以テ三大臣兼
  攝シテ少シモ差支ナカッタ此現實ノ事實ト、今一ツハ外國ノ
  例ヲ見テモ文官制度デ差支ナイト思フ、又經濟其他國ノ
  富ノ關係等ヲ比較シマスルト云フト、今日ニ於テ文官制度
  ニ改正スルノハ最モ時ヲ得タルモノナリト云フコトヲ私ハ斷
  言スルノデアリマス、私ノ聞ク所ニシテ誤リナクンバ、是ハ陸
  海軍大臣ヲ殊ニ軍人ニ限シタ制度ヲ設ケタノハ、明治三十
  一年ト信ズルノデアリマス、是ハ國防用兵自體ノ問題デハ
  ナクシテ、內部ニ對スル政爭ノ關係、世ニ言フ藩閥間ノ勢
  力維持ノ必要カラ生ジタモノナリト云フコトヲ聞及ンデ居
  ルノデアリマス、御承知ノ通リニ過去ノ歴史ヲ見マスト云フ
  ト、軍人専門ノ陸軍大臣、海軍大臣ヲ置ク必要上、連帶責
  任ヲ執ラナケレバナラヌ內閣ガ、何レノ内閣ト言ハズ幾度カ
  之ガ爲ニ苦痛ヲ感ジテ居ルノデアル、此陸海軍大臣ノ特別
  官制ノ下ニ任用サレタル結果、內閣ガンレガ爲ニ餘儀ナク
  更迭サレタヤウナ事蹟モアルノデアリマス、惟フニ又陸海軍
  大臣ヲ特別任用ニシタト云フコトモ、此大ナル勢力ヲ扶植
  スル必要上カラ起ッタモノデアラウト斯ウ信ズルノデアリマス、
  併シ時代ハ經過シ、今日ノ時代ニハ是ハ相應セヌノデアル、
  故ニ私ハ是非共此點ニ對シテ改正ヲ要スルコトデアル、斯
  ウ信ズルノデアル、今申上ゲル所ハ今日ノ現在、海軍大臣ノ
  事務ヲ執ッテ居ル人ニシテ差支ナイノデアルカラ、事實上ニ
  於テ文官デ宜シイト云フ此實證ト、今一ツハ軍人制度ニシ
  タノハ或ル一種ノ勢力ヲ作ル爲ナリト云フ此陋習ヲ打破ス
  ルト云フ事實ト、今一ツハ對外關係ニ於テ動トモスルト
  云フト、軍人本位ノ陸海軍大臣ハ誤解ヲ招クト云フ事ヲ
  聞イテ居ルノデアリマス、近キ此外電ノ-九モ一新聞ノ報
  ズル所デアリマスカラシテ、全部眞ナリトハ思ハレヌガ、吾々
  ガ常ニ聞イテ居ル所ト稍ヤ同ジ點ガアリマスカラ、陸海軍大
  臣ヲ軍人ノミニ限ルト云フ弊害歷々トシテ外交上ニモ及ボ
  ス嫌ガアルト云フコトヲ、新間ニ依シテ其事實!一端ヲ申述
  ペタイト思フノデアリマス、ソレハ先日ノ電報ニ依リマスルト云
  フト、市俄古ノ「ジヤーナル」紙ト云フ新聞ノ發電シタ「メル
  ツ」ノ日本ニ對スル通信ハ、此點ニ對シテ意見ヲ述ベテ居ル
  「輓近日本ニ於テモ自由主義擡頭シ、漸次其勢力ヲ占メ
  來ッタノハ疑ナキモ、日本ノ官制上陸海軍大臣ハ常ニ陸海
  軍人中ヨリ任命シナケレバナラヌ、故ニ如何ナル民主的内
  閣ト雖モ、一度陸海軍大臣ノ反對ニ逢著スルト、忽チ遂ニ
  瓦解スルノ已ムナキニ至ル次第デアル、是レ日本ノ政治家
  ガ今尙ホ軍國主義デアル所以デアル、故ニ米國ガ日本ノ華
  府會議使節ヲ民主的日本ノ代表者ナリトシテ遇スルナラ
  バ、米國ハ大ナル損害ヲ被ラネバナラヌ」云々ト云フ記事ガ
  アルノデアリマス、之ニ依ッテ私ハ直ニ彼此レ言フ次第デハア
  リマセヌケレドモ、免モ角モ外國ニ於キマシテモ、日本ノ官制
  カ軍人ニ限ルト云フ結果ハ、動トモスルト云フト軍國主義
  ト誤ラレテ、圓滿ニ結ブベキ會議其他ノ交際場裡ニモ差支
  ガ生ズルト云フコトハ、此一新聞ノ記事ニ依シテモ私ハ想像
  シ得ベキ事ナリト信ズルノデアリマス、外交上ノ關係ニ於テ
  然リ、現在ノ事實ニ於テ文官タル高橋總理大臣ハ、裕ニ海
  軍ノ事務ヲ處理シテ餘リアルノデアル、又過去ノ一種ノ障
  壁ヲ設クル官ニ捉ハレタル所ノ時代ハ既ニ經過シテ居ルノ
  デアル、然ラパ〓ニ於テ文官ニ改メテ、是等ノ弊害ヲ除キ、是
  等ノ設備ヲ除キ、圓滿ニ日本全國民、國家ノ國防ニ任ズル
  ト云フ精神ヲ養フノハ、最モ必要ナリト信ジマスカラシテ、私
  ハ玆ニ文官制度ニ改メテハドウデアルカト云フコトノ意見ヲ
  當局ニ質スノデアリマス、第二ハ内閣官制ノ第七條、此規
  定ノ改正デアル、内閣官制ノ第七條ニ斯ウ云フ規定ガアル
  ヘ事ノ軍機軍令ニ係リ奏上スルモノハ天皇ノ旨ニ依リ之
  ヲ內閣二下附セラルヽノ件ヲ除ク外陸軍大臣海軍大臣ヨリ
  內閣總理大臣ニ報告スヘシ」世ニ謂フ所ノ帷幄上奏權デ
  アル、私ハ此點ニ對シテ先日政友會ノ大岡君ガ此議會ニ
  於テ、帷幄上奏權ヲ廢サナケレバナラヌト云フ議論ト意見
  ヲ徹底的ニ述ベラレタノデアルガ、大岡君ハ斯ク申サレテ居
  ル「宣戰講和ハ大權ノ發動ニ仰グベキコト勿論ノ義デアリ
  マス、併ナガラ憲政ノ治下ニ帷幄ノ上奏ト云フモノヽアルコ
  トハ、甚ダ不可思議ト謂ハナケレバナリマセヌ」私ハ此點ニ
  對シテ確ニ大岡君ト同意見デアルノデアル、更ニ又進ンデ
  「況ヤ總理大臣モ之ニ干與スルコトガ出來ヌト一云フヤウナコ
  トニ至リマシテハ、愈〓以テ不可思議トセナケレバナラヌノデ
  アリマス」徹底的ニ帷幄上奏ノ不可ナリト云フコトヲ大岡
  君ガ述ベラレテ居ルノデアル、私モ此意見ニ對シテハ全然贊
  成デアル、帷幄上奏ト云フ特殊ノ關係ガアルカラシテ、
  軍閥ガ根據ヲ造リ巢ヲクウノデアル、申ス迄モアリマセヌ、憲
  法ノ第五十五條ニハ「國務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其ノ責
  ニ任ス」トアル、帷幄上奏ニ上ルベキ問題ハ何デアルト斯ウ
  申シマスト云フト、主ナルモノハ國防用兵デアル、此國防用
  兵ト云フモノハ、國家ノ國務ノ中ノ最モ重大ナル問題デア
  ルノデアリマス、此重大ナル國務ヲ帷幄上奏ノ名ノ下ニ於
  テ、最後ニ單ニ時ノ總理大臣ニ報告スルノミニ止メテ置イ
  テ、果シテ立憲政體ノ實ガ舉ルノデアリマセウカ、大岡君ノ
  心配サレタノハ此點デアル、帷幄上奏ナルモノハ立憲治下
  ニ於テ、實ニ不可思議ナルモノナリト玆ニ斷言シテ居ラレル
  ノデアル、繰返シテ申上ゲル必要ハナイノデアル、立憲政體
  ニ於テ、國務ハ總テ大臣ノ輔弼ニ依ッテ行ハレルノデアルヽ
  「天皇ハ神聖ニシテ侵スへカラス」此大臣ノ輔弼ノ行動ガナ
  ケレバ、立憲國トシテハ國務ハ行ヘヌノデアリマス、而シテ輔
  弼ノ事務タルヤ、卽チ一面ニハ奬順賛襄ノ職ヲ盡シ、一 一
  ニハ陛下ニ對シテ匡救獻替ノ責ガアルノデアリマス、此責ハ
  卽チ國務大臣自ラ躬ヲ以テ任ジナケレバナラヌノデアル、帷
  幄上奏ニ對シテハ此點ガアルノデアリマセウカ、總テノ事
  ガ出來夕後デ總理大臣ニ報告スル許リデアッテ、結果ヲ報
  告スルト云フコトニナルノデアリマス、出來夕後ノ結果ダケヲ
  報告シテ、サウシテ此國務大臣ノ必要ナル奬順贊襄ノ職務
  ハ盡サレルノデアリマセウカ、匡救獻替ノ義務ハ果サレルデ
  アリマセウカ、如何ナル人ト雖モ私ハ國務大臣トシテ、輔弼
  ノ大責任ト云フモノハ決シテ盡スコトハ出來ヌト云フコトヲ
  茲ニ斷言スルノデアル、併シ帷幄上奏ハ單ニ將卒ノ指揮權
  ノミニ止マルコトデアッタナラバ、憲法ノ他ノ條文ニ依ッテ是
  ハ別問題デアル、雜幄上奏ニ關スル事項ハ政府當局ノ辯
  明ニ依リマシテモ、約十二三項アルノデアル、其中ノ主ナル
  項ヲ申シマスト云フト、卽チ第一作戰計畫ニ關スル所ノ事
  項デアル、第二ニハ外國ニ軍隊ヲ派遣スル事項デアル、其他
  澤山アリマス、帷幄上奏ニ依シテ是等ガ決定シテ、此結果ヲ
  總理大臣ニ報告シテ然ルベク行政上ノ手續ヲ履メト申シ
  テモ、此天皇ヲ輔弼スル所ノ大責任ノアル國務大臣ハ、ドウ
  シテ之ガ實行ガ出來ルデアリマセウカ(拍手)作戰計畫ヲス
  ルニハ、勿論國防上ノ關係ヲ顧慮セナケレバナラヌノデアル、
  國防上ノ關係ヲ顧慮スルニハ、ドウシテモ總テノ政務ト互ニ
  交叉シテ總理大臣ノ考慮贊襄ノ關係ニ置カナケレバナラヌ
  ノデアル、又外國ニ軍隊ヲ派遣スル點ニ付テモ同樣デアル、
  既ニ決定シテ御親栽ヲ經テ時ノ總理大臣ニ報告シテ、此
  事後ノ手續ハ貴官ニ於テ然ルベク-若シモ斯ノ如キ事ガ
  アッタナラバ、ドウシテ時ノ總理大臣ガ輔弼ノ任ヲ盡スコトガ
  出來ルデアリマセウカ(拍手)全ク帷幄上奏ナルモノハ憲法
  ノ上ニ一ツノ憲法ヲ置イテ、而モ責任ヲ憲法上ニ有セナイ
  所ノ機關ナリト私ハ信ズルノデアル(拍手)憲法上ニ責任ヲ
  有セナイヤウナル機關デアッタナラバ、立憲國ノ大ナル部分ヲ
  破壞スルモノナリト斷言サレテモ辯解ノ辭ハ無イト私ハ信
  ズルノデアル(拍手)私ハ國防用兵ハ必ズ國務デアル、斯ウ
  斷言スルノデアル、而シテ各大臣ハ總テノ政務ニ對シテー
  國務ニ對シテ輔弼ノ責任ガアル、而モ此責任ノ本タルヤ、昨
  日今日ニ始ッテ居ルノデハナイ、此點ニ對シテ一言申シテ置
  キマス、孝德天皇ノ詔ニ斯ウ云フ詔ガアル「夫レ天地ニ君タ
  ル万民ヲ宰スル者獨制スヘカラス要ハ臣翼ヲ須ツ」卽チ臣
  ノ翼ケヲ須ツト云フノデアル、天皇ハ獨制ハ出來ヌ、臣翼ヲ
  須ッテサウシテ万事ノ國務ヲ行フト云フ此思召ハ、孝德天
  皇ノ時代ニ既ニ詔ニ依ッテ明カデアリマス、之ガ立憲政體ニ
  ナリマシテ、所謂輔弼ノ責任ニ歸著スルノデアル、此大ナル
  大臣ノ輔弼ノ外ニ、帷幄上奏ナル制度ヲ設ケテ、サウシテ誰
  ガ憲法上ノ責任ヲ負フト云フ、茲ニ明確ナル關係ガ明ニナ
  ラヌ以上ハ、全ク是ハ憲法ヲ紛更スルモノデアルト言ハレテ
  モ、私シ辯解ノ途ガ無イト斯ウ思フデノアル(拍手)推フニ帷幄
  上奏ハ軍閥ノ隱レテ以テ一ツノ城廓ト爲シ、國家ノ利益ト
  ナル事モアリマセウガ、所謂一種ノ勢力ノ貯藏所ナリト私ハ
  思フノデアル、私ハ大臣輔弼ノ責任上、憲法ノ精神ニ基イ
  テ、此帷幄上奏ナル制度ヲ須ク撤廢シテ、總テ憲法第五十
  五條ノ所謂各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其責ニ任ズト云フ、此
  原則ノ下ニ於テ、國防用兵其他ノ行動ヲ進行サレンコトヲ
  希望スル爲ニ、玆ニ私ハ內閣官制第七條ヲ廢シテ、帷幄上
  奏ノ制度ヲ撤廢セントスル考デアル、政府ハ果シテ此考ニ
  對シテ如何ナル見解ヲ持ッテ居ルカ、答辯ヲ求メル次第デア
  ルノデアリマス、私ハ質問ハ此二點ニ終ルノデアル(拍手)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=11

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• 012・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　質問第一關東州ノ支那人壓迫ニ
  關スル質問ノ意見陳述、〓水留三郞君
  關東州ノ支那人壓迫ニ關スル質問ノ答辯ニ
  對スル〓水留三郞君ノ意見
  〔〓水留三郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=12

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• 013・清水留三郎

  ○〓水留三郞君　諸君、本員ハ關東州ノ支那人壓迫ニ
  關スル質問ニ付キマシテ、政府ノ答辯書ヲ只今受領致シマ
  シタ所ガ、其答辯書ハ要領ヲ得テ居ラナイ、遺憾ナガラ私ハ
  玆ニ意見ヲ陳述致シタイト思フノデアリマス、日支ノ親善
  是ハ何人モ唱ヘテ居ルノデアル、併ナガラ支那政府、支那人
  ノ日本ニ對スル近來ノ態度ハドウデアリマスカ、日支親善ト
  ハ大分疎隔シテ居ルノデアル、昨日ノ四十四議會ニ於キマ
  シテ、本員ハ支那人ノ留學生ニ關スル所ノ質問ヲ〓シマシ
  タ、所謂今日亞米利加ヨリ歸朝セル所ノ支那ノ留學生ガ、
  歸朝後親米論者タルニ反シテ、日本ヨリ歸レル所ノ支那ノ
  留學生ガ、アベコベニ排日論者ニナッテ居ルヤウナ傾向デア
  ル、是ハ一ニハ政府ノ對支方針ガ動搖シテ一定ノ根據ニ出
  テ居ラザルコトヽ、一ニハ亞米利加ニ於テハ、支那內地ニ於
  テ或ハ「レターシド、スチユーデント、アツソシエーシヨン」其他
  種々ナル所ノ設備ヲ爲シテ居ルガ、日本ニ於テハ其設備ガ
  少イ、更ニ日本ニ於テ支那人ノ學生ニ對シ此侮辱的ノ言
  辭ヲ弄シテ居ルコトガ多イ、之ガ所謂日本カラ歸ッタル支那
  ノ留學生ガ歸朝後排日論者トナル所ノ一ノ原因デアリマス、
  而シテ我ガ政府ノ支那ニ對スル態度ト云フモノハ益、無理
  解デアル、例ヘテ見マスト云フト、彼ノ哈爾賓ノ取引所ノ如
  キハドウデアル、日本ノ一一三ノ政治家ト之ニ關聯セル所ノ
  政商ノ一派ガ、自分達ノ懐中ヲ肥サンガ爲ニ、遂ニ外務省
  ヲ動シ、哈爾賓居留地内ニ取引所ヲ設ケル、而シテ之ニ依ク
  テ支那人ノ感情ヲ害シタコトハ實ニ偉大ナルモノデアル(拍
  手)一部ノ日本ノ政治家ト政商トカノ懷中ヲ肥サンガ爲ニ
  國交上ニ及ボシタル所ノ害毒ハ多大デアル、而シテ張作霖
  ノ如キハ若シモ日本ノ哈爾賓取引所ニ出入スル支那人ア
  リトセバ、之ヲ嚴罰ニ付スルト云フ風ナ觸レ迄出シテ居ル、
  更ニ大連ニ於ケル所ノ金建銀建ノ問題ハドウデゴザイマス
  ル、私ハ此金建銀建ノ問題ヲ經濟上カラ此所ニ論爭シヤウ
  トハ思ハヌ、併ナガラ政府ノ此取引所ニ對スル所ノ政策ハ
  ドウデアルカ、全ク不統一極マルモノデアル、或ハ大連デアル
  トカ、遼陽デアルトカ、營ロデアルトカ云フ所ニ於テハ、今日
  金建ヲ利用シ、長春ニ於テハ銀建、鐵嶺、開原、四平街、公
  子嶺等ニ於テハ小洋票建ヲシテ居ル、而シテ此政府ノ保護
  ヲ受ケテ居リマスル所ノ特殊會社ノ人々、或ハ正金銀行ノ
  關係、ソレ等ノ關係ノ人ミガ官憲ニ反抗シテ支那人ヲ燭
  動シ、而シテ種々ナル物議フ釀シテ居ル現在ノ如キ狀態、更
  ニ政府ノ後援ヲ賴ミトシテ居リマス所ノ彼ノ朝鮮銀行ノ如
  キハ、徒ニ無謀ナル所ノ貸付ヲ爲シテ財界ヲ攪亂シ、サウシ
  テ醜怪ナル行動ヲ爲シテ居ル、私ハ銀建全建ノ此雨派ノ裏
  面ニ於ケル醜怪ナル行動ニ付テハ、此所ニ之ヲ論ズルモ屑
  シトシナイノデアル、唯政策論ト致シマシテ、政府ノ當局ガ
  大連ト云フ、一小都會ノミノ利益ニノミ汲々トシテ居リマシ
  テ、國家ノ上ヨリ何等考慮シテ居ラヌノデアル、大連ニ於ケ
  ル所ノ現在ノ取引所、所謂此取引所ノ如キモノハ却テ今
  日ニ於テハ有害デアル、私ハ豆トカ豆粕ノ取引ニ於テハ須
  ラク之ハ現物取引ダケヲ埠頭ノ取引ニ許シ、而シテ定期取
  引ハ寧口此内地ニ移シテ、或ハ神戶ナリ、大阪ナリ、東京ナ
  リノ取引所ニ合併シテモ宜シカラウト思フノデアル、唯政府
  ハ單純ニ大連ト云フ一小都會ノ所謂財閥ノ爲ニ誤ラレテ、
  サウシデ此所謂大連ト云フ風ノ一小都會ノミ眠中ニ置イ
  テ、國家ノ大體ノ上カラ何等御考慮ヲ拂シテ居ラザルコト
  フ私共ハ非常ニ遺憾ニ感ズルノデアリマスル【(拍手)而シテ
  私ガ玆ニ質問ヲ出シテ居リマス問題ハ二ツデアル、第一ノ
  問題ハ此質問書ニモ一古イテアリマス李子明、所謂大連公
  諮會ノ副會長ヲシテ居リマスル李子明ニ退去處分ヲ命ジ
  タルコト、或ハ金建反對ノ支那人ヲ威赫シテ取引ヲ强要セ
  シメタル如キハ、支那人ノ對日感情ヲシテ益惡化セシムル
  モノデハナイカト云フ第一ノ質問アアル(拍手)之ニ對スル
  政府ノ答辯ニ依リマスト、李子明ノ退去處分ニ對シ、政府
  ノ言フ所ハ民政署長ハ客年五月十四日更ニ彼ヲ招致シテ
  其不心得ヲ戒メ、且ツ此際一時州外ニ旅行スルコトノ得
  策ナルベキ旨ヲ忠告シタルニ、彼ハ署長ノ好意ヲ謝シテ翌日
  營口ニ旅行シタルコトアルモ、退去處分ヲ命ジタルコトナシ、
  是ハ言フニ落チズ語ルニ落チタ、所謂退去處分ヲ命ジタル
  コトナシト云フガ、私共ノ大連ニ於テ聞イタ所ニ依ルト、一
  種ノ退去處分ト云フノデアル、又假令政府ノ言フ通リ退去
  處分ニアラズトモ、之ヲ强制的ニ而モ警察官ヲ以テ李子明
  ニ對シ、オ前ハ旅行シナケレバイケナイ、大連ニ居ッテハイケチ
  イ、卽日旅行セヨト言。テ警察官ヲシテ嚴談セシメタト云フ
  コトハ、是ハ私ハ假令表面ハ退去處分デナクテモ、退去處分
  ト何等擇ブ所ハアルマイト思フノデアリマス(拍手)更ニ政
  府ハ又支那人ヲ威喝シテ金建取引ヲ强要シタルガ如キコ
  トハ更ニナシト云フ答辯デアリマスルガ、私共ノ調ベニ依リ
  マスルト、李子明以外ニ幾多ノ實例ガアル、例ヘテ見ルト、大
  連ニ於ケル日支合辨龍口銀行ノ取締役ヲシテ居リマスル、
  有力ナル大連ノ輸入商張松山ト云フ人ガ、此銀建ヨリ全
  建ニナッテ取引ヲスル場合ニ、此取引ヲスルコトハ不利益デ
  アルト言ッテ取引ヲ拒否スルヤ、大連ニ於ケル所ノ民政署ノ
  刑事ノ連中ハ、此張松山ヲシテ取引セシムベク、張松山ガ
  家ニ居ルト云フト、遂ニ刑事ハ其閨房ニ迄侵入シ、サウシテ
  强制的ニ之ヲスベク勸誘シタ、是ニ於テカ張松山ハ怒クテ其
  翌日哈爾賓ヘ立テテササウシテ大連ニ歸ラナカッタト云フ風ナ
  事實モ存在シテ居ルノデアル、更ニ信昌東ト申シマシテ、南
  〓派ノ大連ニ於ケル有力ナル貿易商デアル、此貿易商ガ矢
  張取引ヲ承諾シマイトスルト、政府ニ於テ所謂民政署ニ於
  テハ八名ノ刑事代用ニスベキ所ノ無賴漢、所謂支那人ノ無
  賴漢ヲ利用シテ、若シモ取引シナケレバ才前ノ生命ニ迄影
  〓スルト云フ風ナ脅迫ヲ以テ、此取引ヲ强要セシメタル事
  實モアル、其他支那人デ此取引ヲ肯ンゼザル者ガアルト云
  フト、一々之ニ向ッテハ刑事ヲ出シ、或ハ巡査ヲ派シテサウシ
  テ何故取引ヲシナイカ、早速取引ヲセヨ、サウシテ此刑事ノ
  威喝ニ依ッテ取引スルト云フコトヲ受合フ、受合フト云フト
  其場合ニ於テ一々取引ヲスルナラバ取引ヲスルト云フ證書
  11ヲ八レテ、其證書ニハ一々拇印ヲ押サセテ居ルノデアル、支
  那ニ於テ拇印フ押サセルノハ何デアルカ罪人ヲ取扱フト同
  ジデアル、善良ナル所ノ支那商ニ取引ヲ强要セシメル爲ニ
  之ニ拇印ヲヒシメテ罪人同樣ニ取扱フト云フ事ハ、餘リト
  言ヘバ私ハ無道無慈非心ノ行動ナリト斷言シテ憚カラスノデ
  アリマス(拍手)更ニ支那人側ノ言フ所ヲ聽キマスルト金
  建銀建ノ問題ニ對シテ、銀建派デアル支那人ガ東京へ參リ
  マシテ是非支那問題ニ付テハ殊ニ銀ノコトガ必要デアルカ
  ラ、銀ニシテ貰ヒタイト云フコトヲ懇談スベク支那ノ代表
  者ガ東京へ參ッテ各大臣ニ面會ヲ求メテモ二一人トシテ大
  臣ハ之ニ面會シナイ、支那人ハ折角東京迄來テモ何等政
  府ノ要路ト面會スルコトガ出來ナク、淚ヲ呑ンデ歸ッタト云
  フ事實デアル、是等ノコトハ所謂今日大連、關東州ニ於ケ
  ル支那人ノ感情ヲ害シタルコトハ莫大ナルモノデゴザイマス
  是ハ國交上私ハ非常ナル所ノ障碍ヲ來スルモノナリト信ジ
  テ疑ハナイノデアリマスル、第二ノ問題ハ。三十里堡ノ支那
  人耕作地ヲ無償ニテ取上ゲ、之ヲ和田某ニ下付シタル如キ
  ハ、官紀紊亂、綱紀頽廢ノ事實ナルト共ニ、支那人ノ反感
  ヲ招キタルコト尠カラザルモノト思フ、故ニ此問題ニ付テ一
  言簡單ニ申上ゲマス、滿蒙ノ開發ト云フコトハ官民一般唱
  道シテ居ル所デアッテ、其咽喉地タル關東州ニ於テハ、十有
  餘年來此開墾ニ對スル何等ノ法規ガ無イ、何等ノ施設ガ
  無イ、植民政策上呈ハ甚ダ遺憾ト思フノデアリマス、五千
  餘町步ト云フ此廣漠タル原野ハ、殆ド太古ノ儘デアル、偶こ
  支那人ガ之ヲ開墾シテ或ハ田トシ、或ハ畑トシテ居ル、其
  三十里堡附近ニ於テ既ニ百五十餘町步ハ開墾サレ、七箇
  村百餘戶三千餘人ノ者ガ、所謂聞墾地ニ於テ生活シテ居
  ルヤウチ狀態デアリマス、而シテ支那人ハ此聞墾地ヲ自分
  ノ子々孫々ニ傳ヘテ居ル、所ガ此開墾地ニ對シテ政府ハ何
  等開墾費ヲ支給シタ譯デハナイ、唯權力ヲ以シテ聞墾地ヲ取
  上ゲ、開墾地ヲ取上ゲルコトハ不都合極マルノデスガ、之ヲ
  官ニ沒收シ、更ニ之ヲ和田某ト云フ人ニ讓渡シタ、和田ト
  云フ人ハ政友會ニ關係スル貴族院ニ於ケル交友倶樂部ノ
  和田彦次郞君ノ親戚ニ當ル人ト云フコトデアル、此和田ト
  云フ人ガ此土地デ貫ヒ受ケタ、政府ノ答辯ニ依ルト是ハ金
  州城外ニ於ケル模範農場ニ對シテ、ソレノ交換トシテ渡シ
  タヤウナ答辯デアリマスガ、私共ノ調ベニ依リマスルト、此和
  田ト云フ人ガ金州城外ニ模範農場ヲ買ッテ之ヲ政府ニ寄
  附シタ、其金額ハ幾ラデアルカ、和田ト云フ人ハ九万圓餘ノ
  金ヲ出シテ金州城外ニ土地ヲ買シテ之ヲ政府ニ寄附シタ、
  政府ハ此代償トシテ三十里堡ニ於ケル百五十餘町步ノ地
  所ヘヲ與タ、所ガ此地所ノ見積價格ハドノ位デアルカ、田畑、
  森林宅地、其中ニ於ケル一小部分タル所ノ田ヲ大連銀行
  ニ擔保トシテ全ヲ借リタ、其借受ケタル金ハ十八万三千圓
  デアル、故ニ此價格ハ何十万デアルカ知レヌ、其何十万圓ノ
  地所ヲ支那人ヨリ無償デ取上ゲ、僅カ九万圓ノ地所ト交
  換シタ、政府ハ之ヲ唯土地交換デアルカラ何等官紀紊亂、
  綱紀頽廢ノ事實ハナイト云フ答辯ヲスルニ至ッテハ、餘リニ
  政府ノ無責任ナルニ驚カザルヲ得ナイノデアリマス、若シモ
  金州城外ノ此農場ガ必要デアルナラバ、何故ニ總督府自ラ
  此土地ヲ買ハナイノデアルカ、和田ヲシテ之ヲ買ハシメル必
  要ハナイノデアル、又三十里堡ノ支那人ノ耕作地ヲ取上ゲ
  テ、金州城外ノ模範農場ノ用地ト交換スル必要ガアッタト
  スレバ、總督府自ラ此土地ヲ購買シ、其金額ヲ以テ此用地
  ニ充當シテ宜イノデアル、ソレヲシナカッタノハ何カ其處ニ魂
  膽ガナケレバナラス、而シテ該聞墾地ニ於ケル支那人ノ功
  勞ハ認メナイデ、之ヲ無償ニテ取上ゲルト云フコトハ、一 四
  ニ於テハ新附ノ民ヲシテ開墾事業ヲ忌避シ、我ガ政府ニ對
  シテ恐怖ノ念ヲ生ゼシメルモノデアッテ、我國未曾有ノ酷政
  デアル、一視同仁ノ詔勅ニモ反スルノデ、此三十里堡ノ問
  題ハ事少ナルガ如キニシテ、其事實ハ一面ニ於テ官紀奈亂、
  綱紀頽廢、一面ニ於テハ支那人ニ對スル國交上重大ナル
  問題デ、斯ノ如キ政府ノ答辯ハ全ク要領ヲ得テ居ラヌ、故
  ニ私ハ政府ノ反省ヲ求ムベク、意見ヲ陣述スルニ至ッタ次第
  デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=13

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• 014・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞)　質問第三、普通〓育竝中等〓育ニ
  開スル質問、是ハ政府ヨリ答辯ガアリマシタガ、ソレニ對スル
  意見ノ陣述ト-野溝傳一郞君
  普通〓育竝中等〓育ニ關スル質問ノ答辯ニ
  對スル野溝傳一郞君ノ意見
  〔野溝傳一郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=14

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• 015・野溝傳一郎

  ○野溝傳一郞君　私ノ質問ニ對シマシテモ、只今政府カ
  ラ答辯書ガアリマシタノデアリマスルガ、此谷辯書ヲ見マス
  ルト云フト、マダ諒解シ兼ル點ガアリマスルノデ、爰ニ努テ簡
  單ニ自分ノ意見ヲ陳述シテ見タイト思フノデアリマス、私ノ
  質問ハ小學校〓育ニ關スルモノガ二ツト、中學校ニ關スル
  モノガ一ツト、此三ツデアッタノデアリマス、其第一ハ卽チ小
  學校ノ〓育ニ關係シタ事デアッタノデアリマス、之ニ付キマシ
  テハ既ニ先日此小學校〓員俸給國庫負擔增額ノ建議案
  ガ上程サレマシタ際ニ、政府當局ニ對シテ聊カ質問ヲ試ミ
  タノデアリマシタガ、之ニ對シマシテ中橋文部大臣ノ答辯
  ハ、縷々當局ノ御苦心ノ程ヲ御話ニナッタノデアリマス、併
  ナガラ結局此問題ニ對シテ未ダ何等ノ具體案ヲ持ッテ無イ
  ト云フコトデアッタノデアリマス、更ニ只今受取リマシタ此答
  辯書ニ依リマシテモ、矢張臨時〓育行政調査會ハ成立以
  來既ニ市町村小學校ノ施設ニ關スル調査審議ヲ繼續シ、
  目下特別委員會ニ於テ議ヲ重ネツヽアルモ、事極テ重要
  且ツ詳密ニ亙ルヲ以テ、未ダ事案ノ確定ヲ見ルニ至ラズ、政
  府ハ之ガ進捗ヲ圖リツヽアリ、斯樣ニ述ベラレテ居ルノデア
  リマス、併ナガラ斯ノ如キ御答辯ヲ今日尙ホ私共ハ受取ラ
  ネバナラナイト云フコトハ、如何ニモ遺憾千万ナ事デアリマ
  スルト同時ニ、當局ノ誠意ヲ大ニ疑ハナケレバナラスト思フ
  ノデアリマス、前會ニ於テ此問題ニ關スル種々ノ建議ノ案ト
  云フモノニ付テ、政府ハ速ニ〓育行政調査會ヲ開キ、市町
  村ノ〓育費ヲ整理シ、尙ホ相當ノ金額ヲ支出シ以テ〓育
  ノ振興ヲ圖ルト共ニ、市町村〓育費ノ負擔輕減ノ途ヲ講
  ズベシ、斯樣ニアッタノデアリマス、此速ニト云フコトハ決シテ
  是ハ無意義ニ用井タモノデハナイト思フノデアリマス、幾年
  經ッテモ構ハヌト云フノデハナカッタト思フノデアリマス、卽チ
  當時此建議案ノ趣旨ト云フモノハ、必ズヤ十一年度カラシ
  テ實現サレルヤウニト云フ、サウ云フ見込デアッタト思フノデ
  アリマス、然ルニ只今ノ狀況デアリマスレバ、果シテ何ノ時ニ
  實現サレマスルコトニナルヤラ一向分ラヌコトデアルノデアリ
  マス、斯ノ如キコトハ當院ノ建議ト云フモノガ甚ダ權威無イ
  コトニナッテシマフモノト言ハナケレバナラヌト思フノデアリマ
  ス、所ガ政府ハ此建議ノ趣旨ニ基イテ調査會ダケハ御設ケ
  ニナッタ、サウシテロハ今申上ゲタ答辯書ニアルヤウニ、政府ガ
  之ガ進捗ヲ圖ルト言ハレテ居ルノデアリマスケレドモ、實際
  ノ成績ヲ見マスレバ、一向ニ進捗サレテ居ナイノデアル、其
  調査會ニ於キマシテハ、昨年ノ十二月十六日ニ特別委員
  會ガ開カレテ、其委員會ニ於テ彼ノ世上ノ問題トナッタ所
  ノ假決議ト云フモノガ得ラレタノデアリマスガ、ソレ以來ハ
  更ニ此特別委員會モ本會議モ開カレナクテ、荏苒日ヲ送ツ
  テ居ラルヽノデアリマス、此調査會ノ會長ハ申スマデモナク
  高橋總理大臣デアリマス、若シモ政府當局ニシテ眞ニ此問
  題ノ解決ヲ大ニ進捗セシメヤウト爲サルナラバ、如何樣ニモ
  賢勵ヲ加ヘデ、速ニ其解決ヲ告ゲサセルコトガ出來ヤウト
  私ハ思ヒマス、然ルニ只今中シタヤウニ昨年ノ十二月ニヤ
  ラレテ以來、今日ニ至ルマデ何等ノ處置ガ執ラレテ居テナ
  イト云フコトハ、如何ニモ當局ノ態度ハ不誠意緩慢極マル
  モノデアルト思フノデアリマス、ンコデ斯樣ニ此問題ノ解決
  ト云フコトガ速ニ決セラレナイ其結果、此市町村ニ對シ
  テ如何ナル影響ヲ及ボスカト言ヒマスルト、之ガ私ガ非常ナ
  心配ノ點デアリマシテ、先頃モ當局ニ質問ヲ致シタノデアリ
  マス、所ガ政府當局ハ只今受取リマシタ答辯書ニ於テハ、
  次年度ノ計畫ヲ爲スニハ-市町村ニ於テ次年度ノ計畫
  ヲ爲スニ當リテハ、大體ニ從來ノ施設經營ノ方針ニ依リ、
  土地ノ狀況ト時勢ノ推移トニ鑑ミ、適當ナル方法ヲ講スベ
  キヲ以テ敢テ支障ヲ來スコトナシト言ハレテ居リマス、所ガ
  之ガ市町村ニ於テ、平常ノ時デアリマシタナラバ、成程從來
  ノ施設經營ノ方針ニ依シテ行キマスレバ、別ニ何等ノ支障
  ヲ感ズルコトデハナイノデアリマセウケレドモ、今日ハ申スマ
  デモナク此町村ノ財政ト云フモノハ、〓育費ノ爲ニ非常ナ
  ル壓迫ヲ受ケテ、非常ニ窮迫ニ陥ノテ居ル、如何ニ之ヲ切拔
  ケテ行クベキカト云フコトガ、目下ノ非常ナル緊要ナル問題
  ニナッテ居ル、切迫シタル問題ニナッテ居リマス、斯ウ云フ際
  ニ當リマシテハ、如何ニカシテ此難局ヲ切拔ケルコトニ町
  村ハ苦心慘膽スル場合デアリマスルガ、如何ニカシテ切拔
  ケルト云フコトハ、從來ノ施設經營ノ方針ニ依ッテハ出來ヌ
  コトデアリマス、所デ新ナル途ヲ玆ニ見出サウト云フコトニ
  付キマシテハ、矢張政府當局ノ此場合、此問題ニ對スル方
  針ヲ成ベク速ニ決セラレチケレバ、非常ニ困ルコトニナルト
  思ヒマス、卽チ十一年度ノ市町村ノ豫算ヲ組立テルニ當リ
  マシテモ、如何ニ政費ノ按排ヲ致スベキカ、學校ノ職員組
  織竝ニ其施設經營ト云フモノヲ如何ニヤッテ行クベキカト
  云フコトニ付テ考慮ヲ費ス場合ニ當リマシテ此政府當局
  ノ方針ハ大ナル參考ト〓サネバナラスノデアリマス、デ一旦
  此市町村ノ計畫ト云フモノガ立テラレマスレバ、中途ニシテ
  先頃カラ言ハレテ居リマスヤウニ、政府ガ此軍備制限ノ結
  果ニ依シテ剥餘金ガ得ラレマス其際ニ於テ、市町村ノ〓育
  費ノ補助ヲ增額シヤウト云フコトガアリマスガ、之ガ假ニ實
  現サレルト致シマシテモ、其中途ニ於テサウ云フ補助費ガア
  ルト言ンテ、學校ノ組織經營ヲ速ニ變更スル譯ニハイカヌ、
  又ンレニ從ッテ市町村ノ政費ノ按排ト云フヤウナモノモ-
  全體ニ涉ッテノ政費ノ按排ト云フモノヲ中途ニ於テ變更ス
  ルコトニ容易ニ出來ベキモノデナイ、若シ强テ之ヲシヤウト
  スレバ、其際ニ於テ色ミナ支障ヲ來スコトハ免レヌコトデア
  リマス、私ハ一日モ速ニ卽チ市町村ノ來年度ノ豫算編成
  決定前ニ當ッテ、當局ガ適當ナル方針ヲ示サルヽト云フコト
  ガ最モ必要デアリ最モ市町村ニ對シテ深切ナルヤリ方デ
  ハナイカト思フノデアリマスガ、左樣ナ態度ニ出テ居ラレヌ
  コトヲ私ハ甚ダ遺憾ニ思フノデアリマス、而モ此先程申シタ
  〓育行政調査會ノ特別委員會ニ於キマシテ決定ニナッタ
  此假決議、之ニ付キマシテハ先頃私ガ文部大臣ニ對シテ
  質問シタ時ニハ、其點ニ付テハ何等ノ御答辯モアリマセナ
  ンダガ、併シ是ハ實ニ重大ナ問題デアルト思フノデアリマス、
  御承知ノ通リ此假決議ハ二ツノ案ガ出テ居ル、第一ハ學
  級整理、第二ハ〓員ノ配當ヲ節約スル、此二ツノ案ニ依シ
  テ市町村ノ〓育費ノ節約ヲ圖ルコトニシヤウト、斯ウサレタ
  ノデアリマスルガ、併シ此原案ガ一度發表ニナリマスルヤ、
  〓育界ノ非常ナル物議ヲ惹起シマシテ、其結果ハ遂ニ此
  原案ニ大修正ヲ加ヘテ、殆ド骨拔キ同様ナモノニサレテシ
  マヒマシタ、隨テ之ガ愈〓實行サレル日ニナリマシテモ、實際
  ノ狀況ニ照シテ見マスレバ、其實行上ノ能力ト一云フモノハ
  殆ド無イモノト見テモ差支ナイト思フノデアリマスガ、併シ
  此町村ノ小學校〓育費ノ此難局ニ陷ッテ居ルノヲ切拔ケ
  ルニハ、何等カノ途ヲ與ヘラレルデナケレバ、矢張是ハ好マシ
  クナイコトヽ致シマシテモ、勢七已ムヲ得ズ或ハ各市町村ノ
  此甚ダ問題ニナッテ居ル所ノ、此假決議ニ示サレタ案ニ從ッ
  テ行クヤウナコトニナラヌトモ限ラヌト思フノデアリマス、デ
  之ガ若シモサウ云フヤウナ行方ヲ市町村ガシナケレバナラヌ
  コトニナリマスト、此二ツノ案ト云フモノハ今〓育界ノ定論
  ト致シマシテハ必ズ此一一ツノ案ヲ實施スル場合ニナレバ、〓
  育ノ效果ヲ低下スルコトヲ免レヌト斯ウ言ハレテ居ルノデア
  リマス、初ニ此調査會ニ對シテ此案ヲ審議サセタ趣旨ハ、現
  在ノ〓育ノ效果ヲ低下セシメズシテ、〓育費ノ節約ヲ圖ラ
  ナケレバナラヌ、斯ウ云フコトデアリマシタケレドモ、最早今
  日ノ〓育界ノ定論ハ、ドウシテモ此案ヲ實施スル場合ニハ
  〓育ノ效果ヲ低下セシメルコトハ免レヌト言ハレテ居リマ
  ス、斯ノ如キ重大ナ關係ノアル此假決議ニ對シマシテモ、
  日モ速ニ之ヲ決定シテ、政府ガ之ヲ取用ヰテ行フカ、或ハ
  廢棄シテシマフカ、敦レニカ此方針ヲ示サレルト云フコトガ、
  今日必要ナ事デアルト思フノニ拘ラズ、矢張段々申上ゲル
  如ク當局ハ緩慢ナル態度ヲ執ッテ居ラルヽコトハ、甚ダ私ハ
  遺憾トスル所デアリマス、次ニ爰ニ矢張政府當局ガ此小學
  校〓育費ノ節約ヲ圖ラウト云フ御考ノ上カラ、市町村ノ
  〓育ノ施設ト云フモノヲ畫一ニスルノデハイケナイ、町村ノ
  狀況ニ應ジテ之ヲ異ニスルヤウナ、劃一主義ヲ打破シナケ
  レバナラヌト云フコトヲ言ハレテ居ルノデアルガ、此町村ノ
  〓育上ノ施設ニ付テ、劃一主義ヲ採ルト云フコトヲ打破ス
  ルト云フコトニ付テハ、私モ多ク異存ハ無イノデアリマス、併
  ナガラ之ガ單ニ施設ノ上ニ付テダケナラバ宜シイノデアリマ
  スケレドモ、ソレ以上ニ市町村〓育ノ標準程度ト云フヤウ
  ナモノニ付テモ、之ヲ異ニシテモ差支ナイ、卽チ實質ニ付テ
  矢張割一打破ヲヤッテ宜シイ、ヤラネバイケナイト云フヤウナ
  コトヲ政府當局ハ言ハレテ居ルノデアリマスガ、是ハ矢張私
  ハ容易ナラヌ問題、此國民〓育ノ上ニ取シテ容易ナラヌ問
  題デアル、斯ウ思フノデアリマス、高橋總理大臣ガ此臨時
  〓育行政調査會ノ會長トシテ、昨年十二月確カ十一日デ
  アリマシタカ、其調査會ニ於テ述ベラレタル御言葉ノ中ニ、
  矢張明ニ其意味ヲ言ッテ居ラレルノデアリマス、サウシテ其
  御言葉ノ中ニハ、此實質ニ付テモ矢張劃一主義ヲ打破シ
  ナケレバイケナイ、サウシテ農村ニ居ル所ノ者ハ-農村ハ
  農村トシテ適當ナル〓育ヲ施スガ宜シイ、漁村ハ漁村トシテ
  適當ナ〓育ヲ施シ、都市ニ在ル者ハ都市ノ者トシテ適當ナ
  ル所ノ〓育ヲ施スガ宜シイ、斯樣ニシテ其〓育ノ內容ニ於
  テモ之ヲ異ニシテ宜シイ、詰リ標準移度ヲ異ニシテ宜シイ、
  斯ウ云フ意味ニ申サレテ居ル、併ナガラ斯ノ如キ事ガ若シ
  實際ニ行ハレルコトガアリマシタナラバ、私ハ容易ナラヌ結
  界ヲ生ズル事ニナッテ來ルト思フノデアリマス、何故カト申シ
  マスルト云フト、此國民〓育ノ上ニ於キマシテハ、此
  〓育ノ程度標準ト云フモノヲ出來ルダケ平等ニサセテ、
  サウシテ此國民ヲシテ一樣ニ國家ノ基礎ニ爲リ得ル所
  ノ能力ヲ授ケ、又個人トシマシテハ、其個性ヲ出來得ル限
  リ發揮シ得ル所ノ素地ヲ與ヘルト云フコトニシナケレバナラ
  ナイノデアリマスガ、只今中上ゲルヤウニ其市町村ノ狀
  況ニ應ジテ、農村ノ人ニハ農村向ノ〓育ヲ授ケ都市ノ
  人ニハ都市向ノ〓育ヲ授ケルト云フコトニナリマスレバ、農
  村ニ生レタ所ノ人ニハ、農村以外ニ一步モ發展スルコトガ
  出來ナイト云フノハ、少シ極端ナ言方カ知レマセヌガ、少ク
  トモサウ云フ結果ニ陷ッテ來ルノデアリマス、少クトモ農村以
  外ニ發展スルニ付テ甚ダ不便ヲ感ジナケレバナラヌ事ニナツ
  テ來ル、又都市ニ生レタ所ノ人ハ、都市生活以外ノ生活ヲ
  爲スニハ甚ダ不適當ト云フコトニナッテ來ル、斯ノ知クシテ
  國民ガ皆其生レタル〓土ニ、縛付ケノ形ニ勢ヒサレテ行ク
  ト云フコトニナリマスレバ、此國民ノ進步發達、國運ノ進步
  發達ノ上ニ非常ナル不都合ヲ見ルコトニナリハシナイカト
  思フノデアリマス、詰リ斯樣ナ方針デ參リマスル結果ハ、國
  民ノ文化ノ程度ト一云フモノガ、著シク不均一トナリ、ンレカ
  ラ國家ノ基礎ト云フモノヲシテ不健全ニナラシメル、斯樣ナ
  事ニナッテ行クノデアリマスカラシテ、是ハ社會上由々シキ問
  題デアリマスル許リデナク、國運ノ進歩發達ノ上ニモ一大
  障碍ニナラネバナラヌト思フノデアリマスルガ、斯樣ナ點ニ付
  キマシテ當局ハ何等ノ考慮モ拂ッテ居ラレヌヤウナ樣子デア
  ルコトヲ、私ハ深ク遺憾トシテ當局ニ大ナル反省ヲ促サナケ
  レバナラマト思フノデアリマス(拍手)デ第三ノ私ノ質問ハ、
  卽テ此中等〓育ニ關シテヾアリマス、是ハ此中學ノ現在ノ
  制度ニ於テハ、中學ノ四年修業程度以上ガ、高等學校ニ
  入學出來ルト云フコトニナシテ居ル、デ其爲ニ中學校ノ在學
  者ハ最早其四學年ノ時代カラシテ、高等學校へ進マントス
  ル所ノ者ハ其準備ニ沒頭スルト云フコトニナル、之ガ其高等
  學校ニ進マントスル人ニ取シテモ、基礎〓育ガ不十分デアル
  ト云フ結果ニ陷ルコトニナッテ、甚ダ不幸テアルノミナラズ、高
  等ノ學校へ進マザル所ノ者モ、亦其進マントスル所ノ人達
  ノ影警ヲ受ケテ、矢張十分ニ落著イテ其就學ヲ續ケルコト
  ガ出來ナイト云フヤウナ事ニナッテ、詰リ此中學〓育ノ大攫
  亂ヲ來サシムルコトニナルト云フ譯デ、此事ニ付キマシテハ
  全國中等〓育ニ從事シテ居ル所ノ者ハ皆共ニ其弊害ノ非
  常ナル事ヲ感ジテ居ルノデ、先年來問題ニナッテ居ル所デア
  リマス、之ニ付キマシテハ、既ニ前議會ニ於テ安藤正純君カ
  ラシテ矢張質問ガ發セラレタノデアリマス、然ルニ其質問ニ
  對シテ政府ノ御答辯ハ、ンレハ成程多少ノ影響ハ認メヌデ
  ハナイ、多少ノ弊害ヲ認メナイデハナイケレドモ、併ナガラサ
  ウ云フ弊害ヲ認メル所ノ學校ハマダサウ澤山ハ無イ、全國
  ノ中學校ノ中デ約三分ノ一ニ止ッテ居ルカラシテ、サウ大シ
  テ氣遣フニハ及バヌト云フヤウナ事ヲ言ハレタ、尙ホ進ンデ
  旣ニ多少ナリトモ其弊害ヲ認メテ居ル以上ハ、其弊害ヲ出
  來ルダケ避ケルガ爲ニ、當局ハ出來ルダケノ考慮ヲシテ居ル、
  斯ノ如キ弊害ガ何故ニ起ルカト云ヘバ詰リ高等學校ニ進
  ムニ付テ競爭試驗ガ激シイ場合ニ、激シイ競爭試驗ニ堪ヘ
  ネバナラヌ、此激シイ競爭試驗ガ行ハレル爲ニ、隨テ中學校
  ニ於ケル學業ヲ抛擲シテ、唯入學試驗ニ合格スレバ宜イト
  云フ事ダケニ沒頭シテ行クノデアルカラ、成ベク容易ニ高等
  學校ニ進ミ得ル爲ニ、政府當局ハ出來ルダケ此高等〓育
  機關ノ擴張ニ努メツヽアル、之が思フヤウニ行渡ルヤウニナ
  レバ、則チ此問題ハ圓滿ニ解決サレルコトニナルカラト、斯ウ
  云フ御答辯デアッタノデアリマス、併ナガラ此御答辯ニ付テ
  見マスト、私ハ聊カ疑ヲ換マザルヲ得ナイ、何故カト言ヒマス
  レバ、政府當局ハ全國中學校中、約三分ノ一ダケガ其弊害
  ヲ認メテ居ルト、斯ウ言フノデアリマスケシドモ、私ハ是ハ學
  校數ダケノ統計ヲ以テ判斷スルコトハ出來ナイト思フノデ
  アリマス、何故カト言ヒマスレバ、高等學校ノ澤山ノ志願者
  ヲ持ツ所ノモノハ、矢張是ハ多クハ都市ノ大キナ中學校ニア
  ルー思フノデアリマス、地方ノ邊鄙ナ所ノ小キナ中學校ニ於
  キマシテハ、ドウシテモ此高等學校ノ入學志願者ト云フモノ
  ハ少イト思フ、ソレ故ニ之ヲ眞ニ統計ノ上カラシテ言ハウト
  スルナラバ、生徒數若クハ學級數ヲ以テ質シテ見ルデナケレ
  バナラヌト思フ唯學校ノ數ダケヲ擧ゲテ、約三分ノ一ニ止
  ルノデアルカラ、ソレニ過ギナイカラマダ其弊害ハ普ク及ンデ
  居ルデハナイト云フヤウナ判斷ヲ下サレルト云フコトハ間
  違ッテ居リハセナイカト思フ、兔ニ角私ノ見ル所ヲ以テシマス
  レバ、又今日現在中等〓育ニ從事シテ居ル所ノ人こノ考
  ヲ聽イテ見マスレバ、孰レモ皆此弊害ヲ痛切ニ感ジテ居ルノ
  デアリマス、サウシテ此問題ニ付キマシテハ、獨リ高等學校ニ
  進ム者ニ付テヾナクシテ、ツイ先頃高等〓育評議員會デ問
  題トナリマシタガ如ク、高等專門學校ニ進ム上ニ付キマシテ
  モ、矢張此中學四年カラ進ム事ガ宜シイカ、或ハ五年卒業
  ノ上トスルガ宜シイカト云フ事ニ付テハ、大ナル議論ガアッタ
  ヤウニ承ッテ居リマス、サウシテ此高等專門學校ニ進ム事ノ
  問題ダケニ付キマシテハ、ドウヤラ斯ウヤラ一鳧-極リガ
  付イタヤウデアリマスケレドモ、要スルニソレハ唯其場ダケノ
  決定デアッテ、此問題ノ全體ニ付テ何レガ果シテ宜シイカ、
  中學ノ修業年限ヲ四年トシテ、ソレヲ卒業シタ者ハ高等學
  校ヘ進メルト云フ事ニスルガ宜シイカ、或ハ中學ノ修業年
  限ハ五年トシテ置イテ、サウシテ四年カラモ行キ得ルト云フ
  コトニスルガ宜シイカト云フ事ニ付テハ、是ハ中ミマダ決定
  シテ居ラナイノデアリマス、併シ私ハ此問題ハ矢張一貫シタ
  所ノ方針ヲ、政府當局ガ速ニ定メラレルガ至當ナ事デアラ
  ウト思フノデアリマス、私ノ見ル所ヲ以テシマスト云フト、
  是ハドウシテモ中學四年カラ進ミ得ルヤウニ定メラレマシタ
  事ハ、恐ラクハ〓育ヲ受ケル年限ト云フモノヲ成ベク短縮ス
  ルガ宜シイト云フ考カラ、四年カラ高等學校へ進ミ得ルト
  云フ事ニシタト思フノデアリマスガ、併シ眞ニ國家ノ中堅
  タルベキ人こヲ〓育スル所ノ中等〓育ニ於テ、十分ニ基礎
  タルベキ所ノ〓育ヲ施サントスルニハ、矢張五箇年ノ修業
  年限ガ適當デハナイカト思フ、併ナガラ今日既ニ四年カラ
  ヤッテモ宜イト云フ意見モ相當ニアル以上ハ、私ハ現在定メ
  テ居ラレル所ノ高等學校令ノ七年制ト云フモノヲ、全國ニ
  對シテ實施スル所ノ必要ガアリハシナイカト思フ、所ガ是ハ
  今日迄ハ官立ニ於テハ殆ド認メラレヌ位デ、私立デツイ近
  頃ニナッテ或ル有志ノ企テカラ、此七年制ノ高等學校ガ設
  ケラレルト云フ事ヲ承ッタノデアリマスガ、免ニ角此七年制ノ
  高等學校ト云フモノガ普ク設ケラレルコトニナリマシタナラ
  バ、此問題ハ殆ド解決ガ付クト云フコトニナルト思フノデア
  リマス、ソレガ若シモ政府ノ財政ノ都合上ナドカラシテ、近イ
  内ニ十分ニ行渡ラセルコトガ出來ナイ、實現スルコトガ出來
  ナイトシタナラバ、矢張現在ノ四年カラ進ムガ宜イガ、五年
  マデヤラシテ然ル後ニ高等學校へ入ラセルガ宜イカト云フ
  事ニ付テハ、十分ナ考慮ヲ拂ッテ適當ナル解決ヲ玆ニ付ケラ
  レル事ガ、非常ニ緊喫ナ事デハナカラウカト思ヒマスガ故ニ、
  此質問ヲ發シタ次第デアリマス、ドウゾ此點ニ付テ當局ハ
  唯漫然ト只今御答辯ニナリマシタヤウニ-「中學校第四
  學年終了者ヲシテ高等學校ニ入學セシムルノ制度ハ延テ
  中學校〓育ニ多少ノ影響アルハ勿論ナリト雖モ之ヲ以テ
  直ニ中學校〓育ヲ破壊スルモノト認メズ當局ハ此制度ノ
  實施ヲ圓滿ナラシムルガ爲常ニ周到ナル注意ヲ怠ラス」ト
  云フヤウナ漫然タル事デナクシテ、十分深切ナル注意ヲ拂ハ
  レテ、此弊害ヲ出來ルダケ除去スルコトニ努メラレンコトヲ
  希望致ス次第デアリマス(拍手)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=15

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• 016・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　日程第一第三ハ便宜上一括議題
  ト爲スニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」「異議ナシ」ノ聲起ル〕

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• 017・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　御異議ナイト認メマス、仍テ日程
  第一銃砲火藥類取締法中改正法律案、日程第三壓縮瓦
  斯及液化瓦斯取締法案ヲ一括シテ第一讀會ヲ開キマス小
  橋内務次官
  第銃砲火藥類取締法中改正法律案(政
  府提出、貴族院送付)第一讀會
  銃砲火藥類取締法中改正法律案
  銃砲火藥類取締法中左ノ通改正ス
  第一條銃砲ノ製造又ハ火藥類ノ製造、變形若ハ修理
  ハ其ノ營業者又ハ行政官廳ノ許可若ハ委託ヲ受ケタ
  ル者ニ非サレハ之ヲ爲スコトヲ得ス但シ理化學上ノ實
  驗、鳥獸ノ捕獲及驅除、射的練習等ノ用ニ供スル火
  藥類ニ付命令ヲ以テ別段ノ規定ヲ設ケタル場合ハ此
  ノ限ニ在ラス
  第二條火藥、爆藥ノ製造ハ帝國臣民又ハ帝國臣民
  ノミヲ社員若ハ株主トスル會社ニ非サレハ之ヲ爲ス
  コトヲ得ス但シ行政官廳ノ委託ヲ受ケタル場合、行政
  官廳ノ許可ヲ受ケ新規發明ニ係ル火藥、爆藥ヲ一定
  ノ期間試驗ノ爲製造スル場合又ハ前條但書ノ規定
  ニ該當スル場合ハ此ノ限ニ在ラス
  第二條ノ二ヲ削ル
  第四條第二項ヲ左ノ如ク改ム
  製造業者及行政官廳ノ許可ヲ受ケ其ノ委託額以上
  ノ同種類ノ火藥類ヲ製造スル者ニシテ其ノ製造シ又
  ハ加工シタル銃砲、火藥類ノ販賣業ヲ兼ヌルモノハ前
  項ノ定員ニ算入セス
  第十四條中「第二條第一項第三號ノ規定ニ依リ製造又
  ハ變形若ハ修理シ得ル普通火藥類ノ範圍」ヲ「新規ノ發
  明ニ係ル火藥類ヲ一定ノ期間試驗ノ爲製造スル場合ヲ
  除クノ外行政官廳ノ許可ヲ受ケ又ハ營業トシテ製造、變
  形又ハ修理シ得ル普通火藥類ノ範圍」ニ改ム
  第十六條中「第二條、」ヲ削ル
  附則
  本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  第三壓縮瓦斯及液化瓦斯取締法案(政府
  提出)第一讀會
  壓縮瓦斯及液化瓦斯取締法案
  壓縮瓦斯及液化瓦斯取締法
  第一條壓縮瓦斯又ハ液化瓦斯ノ製造、貯藏又ハ販
  賣ノ業ヲ爲サムトスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ行政
  官廳ノ許可ヲ受クヘシ
  相續又ハ法人ノ合併ニ因リ前項ノ業ヲ繼永スル場合
  ハ前項ノ許可ヲ受ケタルモノト看做ス
  第二條行政官廳ハ壓縮瓦斯又ハ液化瓦斯ノ製造、
  貯藏又ハ販賣ノ業ヲ爲ス者カ本法若ハ本法ニ基キテ
  發スル命令ニ違反シタルトキ又ハ安寧秩序ヲ害スルノ
  虞アリト認ムルトキハ其許可ヲ取消シ又ハ其ノ事業ヲ
  停止シ若ハ制限スルコトヲ得
  第三條行政官廳ハ何時ニテモ當該官吏ヲシテ壓縮
  瓦斯液化瓦斯若ハ其ノ容器ノ製造所、貯藏所其ハ
  他之ヲ收藏スルノ疑アル場所ニ臨檢シ又ハ壓縮瓦斯
  液化瓦斯及其ノ容器竝之ヲ收藏スルノ疑アル物件
  若ハ事業上ノ帳簿其ノ他ノ書類ヲ檢查セシムルコト
  ヲ得
  行政官廳ハ試驗ノ用ニ供スル爲必要ナル數量ニ限リ
  當該官吏ヲシテ壓縮瓦斯液化瓦斯又ハ其ノ容器ヲ
  無償ニテ收去セシムルコトヲ得
  行政官廳ハ危害豫防又ハ衛生ノ爲壓縮瓦斯液化瓦
  斯ノ製造所、貯藏所ノ改築若ハ修繕ヲ命シ又ハ壓縮
  瓦斯液化瓦斯若ハ其ノ容器ニ關シ若ハ其ノ貯藏、運
  搬其ノ他ノ取扱ニ關シ取締上必要ナル處分ヲ爲スコ
  トヲ得
  第四條行政官廳ハ保安上必要アリト認ムルトキハ壓
  縮瓦斯又ハ液化瓦斯ノ授受、運搬又ハ携帶ヲ禁止シ
  又ハ制限スルコトヲ得
  前項ノ場合ニ於テ行政官廳ハ壓縮瓦斯又ハ液化瓦
  斯ノ假領置ヲ爲スコトヲ得
  第五條左ノ事項ニ關シ必要ナル規定ハ命令ヲ以テ
  之ヲ定ム
  -本法ヲ適用セサル壓縮瓦斯又ハ液化瓦斯ノ範
  圍
  二壓縮瓦斯液化瓦斯及其ノ容器ノ製造、貯藏、
  販賣授受、使用、運搬其ノ他ノ取扱
  第六條第一條第一項ノ規定ニ違反シ又ハ第二條ノ
  規定ニ依ル命令ニ違反シタル者ハ一年以下ノ懲役若
  ハ禁錮又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
  第七條第四條第一項ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタ
  ル者ハ六月以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ三百圓以下ノ
  罰金ニ處ス
  第八條第三條第三項ノ規定ニ依ル命令ニ違反シ又
  ハ第三條若ハ第四條第二項ノ規定ニ依ル當該官吏
  ノ職務ノ執行ヲ拒ミ若ハ之ヲ妨ケタル者又ハ其ノ執
  行ニ際シ當該官吏ノ尋問ニ對シ答辯ヲ爲サス若ハ虚
  僞ノ陳述ヲ爲シタル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
  第九條壓縮瓦斯液化瓦斯又ハ其ノ容器ノ製造、貯
  藏販賣又ハ運搬ノ業ヲ爲ス者未成年者又ハ禁治產
  者ナルトキハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依リ
  之ニ適用スヘキ罰則ハ之ヲ法定代理人ニ適用ス但シ
  營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ
  付テハ此ノ限ニ在ラス
  第十條壓縮瓦斯液化瓦斯又ハ其ノ容器ノ製造、貯
  藏販賣又ハ運搬ノ業ヲ爲ス者ハ其ノ代理人、戶主、
  家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者カ其ノ業ニ關シ
  本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違反シタルトキハ
  自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ處罰ヲ免ルルコトヲ
  得ス
  第十一條前二條ノ場合ニ於テハ罰金、科料又ハ沒收
  以外ノ刑ニ處スルコトヲ得ス
  第十二條明治三十三年法律第五十二號ハ本法又ハ
  本法ニ基キテ發スル命令ニ依ル犯罪ニ付之ヲ準用ス
  附則
  本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  〔政府委員小橋一太君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=17

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• 018・小橋一太

  ○政府委員(小橋一太君)　只上ノ上程ニナッテ居リマス
  銃砲火藥類取締法中改正法律案ノ提出ノ理由ヲ說明致
  シマス、現行銃砲火藥類取締法ニ依リマスレバ、軍用銃砲
  及軍用火藥類ノ製造ハ行政官廳ノ委託ヲ受ケタル場合
  輸出ノ目的ヲ以テスル場合、試驗製造ノ爲ニスル場合等ノ
  外ハ、目下營業トシヲ民間ニ於テ之ガ製造ハ許シテ居リマ
  セヌケレドモ、近時ニ於ケル工業ノ發達狀態ニ鑑ミマシテ、之
  ガ製造ヲ民間ニ委ネテモ差支ナイ、寧ロ其方ガ宜シイ場合
  モセリマスガ故ニ、之ヲ民間ノ營業ニ委ネル場合ヲ認メルコ
  トガ一ツ、次ニ現行法ニ於キマシテハ火藥類ノ製造ニ付キ
  マシテハ、行政官廳ノ許可ヲ受ケズシテ製造シ得ル場合ハ
  理化學ノ實驗ノ場合ニ限ッテ居リマスケレドモ、待獵用ニ用
  井ル場合、又ハ射的練習用、或ハ發火演習用等ノ特殊ノ
  用法ニ供シマス場合ニ於キマシテハ、火藥類ノ製造ハ其使
  用ノ數量及其用途ニ徵シマシテ、之ヲ行政官廳ノ許可ヲ
  受ケズシテ製造シ得ル途ヲ開キマシテモ、取締上更ニ差支
  ナイノミナラズ、至テ便利デアリマスルガ故ニ、其許可ヲ受ケ
  ザル場合ハ是ハ命令ノ規定ニ讓フテ、火藥製造ノ途ヲ開ク
  コトニ致シタノデアリマス、其二點ニ付テ本法律案ノ改正ヲ
  致シマス次第デアリマスルガ故ニ、何卒愼重御審議ノ上御
  協賛アランコトヲ願ヒマス、次ニ日程第三ニナッテ居ル壓縮
  瓦斯及液化瓦斯取締法案ノ提出ノ理由ヲ簡單ニ申止ゲ
  マイ、化學工業ノ勃興ニ伴ヒマシテ、酸素、水素、「アンモニ
  ア」等ノ瓦斯ヲ壓縮、又ハ液化致シマシテ、鋼鐵罐ニ充填致
  シタルモノヲ鐵ノ鎔接、或ハ融接用、或ハ冷凍用、卽チ冷藏
  用等ニ使用スルモノガ漸次此頃增加致シマシテ、之ガ製造
  貯藏、運搬等ノ際ニ於キマシテ、瓦斯爆發ノ慘禍ヲ演ジマ
  シテ、人命、財產ニ障害ヲ與ヘタル事例ガ少クナイノデアリ
  マス、而シテ今後益、是等ノ瓦斯ヲ使用スル者ガ增加致シ
  マスル傾向ニ徵シマシテ、今日ニ於テ取締法ヲ制定致シマ
  シテ、危害豫防上必要ナル處置ヲ執ルコトハ洵ニ必要ト認
  メ、本案ヲ提出致シマシタル次第デアリマス、何卒御審議ノ
  上御協賛アランコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=18

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• 019・奧繁三郎

  ○議長(奥繁三郞君)　日程第三ニ對シテ質疑ノ通告ガ
  アリマス、之ヲ許シマス-作間耕逸君
  〔作間耕逸君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=19

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• 020・作間耕逸

  ○作間耕逸君　私ハ瓦斯ノ取締法案ガ提出ニ相成リマ
  シタ此機會ニ於キマシテ、瓦斯等ノ行政監督上ノ方針ニ付
  テ政府當局ニ御尋致シタイト斯ウ思フノデアリマス、國民ノ
  都市生活ニ必要デアリマスル所ノ事務ノ經營、例ヘバ電燈、
  電車殊ニ瓦斯ノ如キ、之ヲ市町村其他ノ公共團體ニ許可セ
  ラレマスル場合ハ別デアリマスルガ、報償契約ニ基イテ個人又
  ハ私設ノ營業會社等ニ御許シニナッタ場合ニ、此營業者、
  事業者ノ獨占經營ヲ認メラレマスル場合ニ於キマシテノ、
  行政監督上ノ取締ニ付キマシテハ、唯單ニ保安又ハ衞生警
  察ノ方面許リカラ之ヲ御注意ナサル許リデナク、供給者ト
  使用者トノ需要供給ノ關係カラシテモ、十分ニ御注意ヲ下
  サル必要ガアラウト思フノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=20

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• 021・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　一寸作問君ニ御注意致シマス、瓦
  斯事業法案ハ近日出ルト云フコトデアリマス、只今出テ居
  ルノハ熱用ノ瓦斯·

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=21

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• 022・作間耕逸

  ○作間耕逸君　瓦斯事業法案ガ近日出ルト云フコトナラ
  バ、私ハ內務次官ニ御尋ヲシテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=22

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• 023・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　其時ニナッタラー是ハ違フノデス
  カラ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=23

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• 024・作間耕逸

  ○作間耕逸君(續)　一寸御尋シテ置キマス、ソレデハ內務
  次官ニ瓦斯事業法案ガ、此議會ニ於キマシテ近日提案ナ
  サルト云フコトデアリマスナラバ、私ノ質問ハ其時ニ讓フテ置
  キマス、ソレハ近々ノ中ニ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=24

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• 025・奧繁三郎

  ○議長(奥繁三郞君)　所管ガ違フカモ知レマセヌヨ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=25

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• 026・作間耕逸

  ○作間耕逸君(續)　宜シウゴザイマス、ソレヲ御提案ニ相
  成リマスルカ-今御列席ニナッテ居リマスルノハ内務次官
  ダケデアリマスカラ、内務次官ヲ政府當局トシテ此御尋ヲ
  致シテ置キマス、サウシテ御提案ナサルト云フコトデアレバ、
  私ノ質問ハ其場合ニ讓ッテ置キマスルシ、若シ御提案出來
  ナイト云フコトデアリマスレバ、私ノ質問ハ此機會ニ於テ繼
  績致シテ置キタイト思ヒマス、-ソレデハ便宜上其御答ヲ
  先ニ求メテ置キタイノデアリマス
  〔政府委員小橋一太君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=26

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• 027・小橋一太

  ○政府委員(小橋一太君)　作間サンノ御尋ハ、今壓縮瓦
  斯トハ違フ御尋デアリマスルガ、今法案トシテ取締リマスル
  ノハ化學工業用ニ使フ壓縮瓦斯デアリマシテ、全ク御尋ノ
  モノトハ違フノデアリマスルガ、此一般點燈用、其他動力等
  ニ使フ所謂瓦斯-今御尋ノ瓦斯事業法案ニ付キマシテ
  ハ、是モ相當取締ノ必要アルモノト認メマス、併シ是ハ單リ
  內務省ノ所管ノミデハアリマセヌ、農商務省及內務省各、
  關係ヲ持ッテ居リマスルノデ、此法案ニ付テハ目下審議ヲ盡
  シテ居リマス、幸ニ適當ナル案ガ兩省ノ間ニ出來マシタナラ
  バ、成ベク今期議會中ニ提出致シタイト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=27

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• 028・作間耕逸

  ○作間耕逸君　ソレデハ私ノ質問ハ其際ニ讓ッテ置キマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=28

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• 029・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　日程第四、右議案ノ審査ヲ付託
  スベキ委員ノ選擧ヲ議題ニ致シマス
  第四右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選
  擧

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=29

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• 030・鈴木錠藏

  ○鈴木錠藏君　日程第一、第二ノ兩案ハ一括シ、委員ノ
  數ヲ九名トシ、議長ニ於テ指名アランコトヲ望ミマス
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=30

  ---

• 031・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　鈴木君ノ動議ニ御異議ナシト認
  メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第五、明治四十四
  年法律第六十一號中改正法律案ノ第一讀會ヲ開キマ
  ス-文部大臣
  第五明治四十四年法律第六十一號中改
  正法律案(政府提出)第一讀會
  明四十四年法律第六十一號中改正法律案
  明治四十四年法律第六十一號中左ノ通改正ス
  「陸海軍所屬」ヲ「陸海軍又ハ帝國大學所屬」ニ改ム
  附則
  本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
  本法ハ本法施行前ノ在職月數ニモ之ヲ適用ス
  〔國務大臣中橋德五郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=31

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• 032・中橋徳五郎

  ○國務大臣(中橋德五郞君)　此法案ハ洵ニ簡單ナ法案
  デアリマス、四十四年ノ法律第六十一號ハ、朝鮮其他ノ地
  方ニ在勤致シマスル陸海軍所屬ノ者ノ恩給年限ヲ短縮ス
  ル特典ヲ與ヘル法律デアリマス、所ガ文部省ニ於キマシテモ
  東京帝國大學、京都帝國大學所屬ノ者ガ、彼方ニ演習林
  ガアリマスノデ、其演習林ニ在勤シテ居ル者ガ僅カ五名デア
  リマス、其者モ矢張其六十一號ノ法案ノ恩典ニ均霑シマセ
  ヌト云フト公平ヲ得マセヌノデ、今回之ヲ括メテ改正ヲ致シ
  タイト云フノデアリマス、デ單ニ從來陸軍所屬、斯ウ云フ文
  字ガ-此法案ニ在リマシタ文字ヲ改正致シマシテ、「陸海
  軍又ハ帝國大學所屬」是ダケニ改正スル簡單ナル案デゴザ
  イマスカラ、ドウゾ御審議ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=32

  ---

• 033・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　日程第六、右議案ノ審查ヲ付託
  スベキ委員ノ選擧、之ヲ議題ニ致シマス
  第六右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選
  擧

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=33

  ---

• 034・鈴木錠藏

  ○鈴木錠藏君　委員ノ數ヲ九名トシ議長ニ於テ指名アラ
  ンコトヲ望ミマス
  〔「賛成」「贊成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=34

  ---

• 035・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　鈴木君ノ動議ニ御異議ナシト認
  メマス、仍テ動議ノ如ク決シマス、日程第七、第八ハ、便宜
  上一括議題トナスニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=35

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• 036・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　日程第七破產法案、日程第八和
  議法案ヲ一括シテ議題ニ致シマス、第一讀會ヲ開キマ
  ス-司法次官
  第七破產法案(政府提出、貴族院送付)
  第一讀會
  小字ハ貴族院ノ修正、
  -ハ同削除ノ符號
  破產法案
  破產法
  第一編實體規定
  第一章總則
  第一條破產ハ其ノ宣告ノ時ヨリ效力ヲ生ス
  第二條外國人又ハ外國法人ハ破產ニ關シ日本人又
  ハ日本法人ト同一ノ地位ヲ有ス但シ其ノ本國法ニ
  依リ日本人又ハ日本法人カ同一ノ地位ヲ有スルトキ
  ·一応レ
  第三條日本ニ於テ宣告シタル破產ハ破產者ノ財產
  ニシテ日本ニ在ルモノニ付テノミ其ノ效力ヲ有ス
  外國ニ於テ宣告シタル破產ハ日本ニ在ル財產ニ付テ
  ハ其ノ效力ヲ有セス
  民事訴訟法ニ依リ裁判上ノ請求ヲ爲スコトヲ得ヘキ
  債權ハ日本ニ在ルモノト看做ス
  第四條解散シタル法人ハ破產ノ目的ノ範圍內ニ於
  テハ仍存續スルモノト看做ス
  第五條相續人又ハ相續財產ニ對スル破產ノ宣告ハ
  限定承認又ハ財產分離ヲ妨ケス但シ破產取消若ハ
  破產廢止ノ決定カ確定シ又ハ破產終結ノ決定アル
  迄其ノ手續ヲ中止ス
  第二章破產財團
  第六條破產者カ破產宣告ノ時ニ於テ有スル一切ノ
  財產ハ之ヲ破產財團トス
  破產者カ破產宣告前ニ生シタル原因ニ基キ將來行
  フコトアルヘキ請求權ハ破產財團ニ屬ス
  差押フルコトヲ得サル財產ハ破產財團ニ屬セス但シ民
  事訴訟法第五百七十條第一項第四號第七號ニ揭ク
  ルモノ、同條第二項ノ規定ニ係リ差押ノ承諾アリタル
  モノ及破產宣告後差押フルコトヲ得ルニ至リタルモノ
  ハ此ノ限ニ在ラス
  第七條破產財團ノ管理及處分ヲ爲ス權利ハ破產管
  財人ニ專屬ス
  第八條破産宣告前ニ破產者ノ爲ニ相續ノ開始アリ
  タル場合ニ於テ破產者カ破產宣告後ニ爲シタル單純
  承認ハ破產財團ニ對シテハ限定承認ノ效力ヲ有ス
  第九條破產宣告前ニ破產者ノ爲ニ遺產相續ノ開始
  アリタル場合ニ於テ破產者カ破產宣告後ニ相續ノ抛
  棄ヲ爲シタルトキト雖破產財團ニ對シテハ限定承認
  ノ效力ヲ有ス
  破產管財人ハ前項ノ規定ニ拘ラス抛棄ノ效力ヲ認
  ムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ抛棄アリタルコトヲ知
  リタル時ヨリ三月內ニ其ノ旨ヲ裁判所ニ申述スルコ
  トヲ要ス
  第十條前二條ノ規定ハ包括遺贈ニ之ヲ準用ス
  第十一條破產宣告前ニ破產者ノ爲ニ特定遺贈アリ
  タル場合ニ於テ破產者カ破產宣告ノ當時承認又ハ
  抛棄ヲ爲ササリシトキハ破產管財人破產者ニ代リテ
  其ノ承認又ハ抛棄ヲ爲スコトヲ得
  民法第千八十九條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用
  ス
  第十二條相續財產ニ對シテ破產ノ宣告アリタル場合
  ニ於テハ之ニ屬スル一切ノ財產ヲ以テ破產財團トス
  被相續人カ相續人ニ對シ又ハ相續人ノ財產ノ上ニ
  被相續人ニ對シテ
  有シタル權利及相續人カ相續財產ノ上ニ有シタル權
  利ハ消滅セサリシモノト看做ス
  第十三條隱居又ハ入夫婚姻ニ因ル家督相續ノ場合
  ニ於テ相續財產ニ對シテ破產ノ宣告アリタルトキハ留
  保財產モ亦破產財團ニ屬ス
  國籍喪失ニ因ル家督相續ノ場合ニ於テ相續財產ニ
  對シテ破產ノ宣告アリタルトキハ相續開始ノ時ニ於
  テ前戶主カ有シタル財產ヲ以テ破產財團トス
  第十四條相續人カ相續財產ノ全部又ハ一部ヲ處分
  シタル後相續財產ニ對シテ破產ノ宣告アリタルトキハ
  相續人カ反對給付ニ付有スル權利ハ破產財團ニ屬ス
  相續人カ既ニ反對給付ヲ受ケタルトキハ之ヲ破產財
  團ニ返還スルコトヲ要ス但シ其ノ當時相續人カ破產
  ノ原因タル事實又ハ破產ノ申立アリタルコトヲ知ラサ
  リシトキハ其ノ現ニ受クル利益ヲ返還スルヲ以テ足ル
  前二項ノ規定ハ前戶主カ前條ノ財產ヲ處分シタル
  場合ニ之ヨ準用ス
  第三章破產債權
  第十五條破產者ニ對シ破產宣告前ノ原因ニ基キテ
  生シタル財產上ノ請求權ハ之ヲ破產債權トス
  第十六條破產債權ハ破產手續ニ依ルニ非サレハ之ヲ
  行フコトヲ得ス
  第十七條期限附債權ハ破產宣告ノ時ニ於テ辨濟期
  ニ至リタルモノト看做ス
  第十八條債權カ無利息ニシテ其ノ期限カ破產宣告
  後ニ到來スヘキ場合ニ於テハ破產債權ノ額ハ破產宣
  告ノ時ヨリ期限ニ至ル迄ノ破產債權ニ對スル法定利
  息ヲ債權額ヨリ控除スルモノトス
  第十九條前條ノ規定ハ金額及存續期間ノ確定スル
  定期金債權ニ之ヲ準用ス但シ其ノ總額カ法定利率
  ニ依リ其ノ定期金ニ相當スル利息ヲ生スヘキ元本額
  ヲ超ユルトキハ其ノ元本額ヲ以テ破產債權ノ額トス
  第二十條第十八條ノ場合ニ於テ期限カ不確定ナル
  トキハ破產宣告ノ時ニ於ケル評價額ヲ以テ破產債權
  ノ額トス定期金債權ノ金額又ハ存續期間カ不確定
  ナルトキ亦同シ
  第二十一條前三條ノ規定ハ法人又ハ相續財產ニ對
  シテ破產ノ宣告アリタル場合ニハ之ヲ適用セス
  第二十二條債權ノ目的カ金錢ニ非サルトキ又ハ金
  錢ナルモ其ノ額カ不確定ナルトキ若ハ外國ノ通貨ヲ
  以テ定メタルモノナルトキハ破產宣告ノ時ニ於ケル評
  價額ヲ以テ破產債權ノ額トス
  第二十三條條件附債權ハ其ノ全額又ハ前條ノ規定
  ニ依ル評價額ヲ以テ破產債權ノ額トス
  前項ノ規定ハ破產者ニ對シテ行フコトアルヘキ將來
  ノ請求權ニ之ヲ準用ス
  第二十四條數人カ各自全部ノ履行ヲ爲ス義務ヲ負
  フ場合ニ於テ其ノ全員又ハ其ノ中ノ數人カ破產ノ宣
  告ヲ受ケタルトキハ債權者ハ破產宣告ノ時ニ於テ有
  スル債權ノ全額ニ付各破產財團ニ對シ破產債權者
  トシテ其ノ權利ヲ行フコトヲ得
  第二十五條保證人カ破產ノ宣告ヲ受ケタルトキハ債
  權者ハ破產宣告ノ時ニ於テ有スル債權ノ全額ニ付
  破產債權者トシテ其ノ權利ヲ行フコトヲ得
  第二十六條數人カ各自全部ノ履行ヲ爲ス義務ヲ負
  フ場合ニ於テ其ノ全員又ハ其ノ中ノ數人若ハ一人カ
  破産ノ宣告ヲ受ケタルトキハ破產者ニ對シテ將來行
  フコトアルヘキ求償權ヲ有スル者ハ其ノ全額ニ付破
  產債權者トシテ其ノ權利ヲ行フコトヲ得但シ債權者
  カ其ノ債權ノ全額ニ付破產債權者トシテ其ノ權利ヲ
  行ヒタルトキハ此ノ限ニ在ラス
  前項但書ノ場合ニ於テ前項ノ求償權ヲ有スル者カ辨
  濟ヲ爲シタルトキハ其ノ辨濟ノ割合ニ應シテ債權者
  ノ權利ヲ取得ス
  前二項ノ規定ハ擔保ヲ供シタル第三者カ破產者ニ
  對シテ將來行フコトアルヘキ求償權ニ付之ヲ準用ス
  第二十七條第二十四條、第二十五條及前條第一項
  第二項ノ規定ハ數人ノ保證人カ各自債務ノ一部ヲ
  負擔スヘキ場合ニ於テ其ノ負擔部分ニ付之ヲ準用ス
  第二十八條法人ノ債務ニ付其ノ債權者ニ對シテ無
  限ノ責任ヲ負フ者カ破產ノ宣告ヲ受ケタルトキハ法
  人ノ債權者ハ破產宣告ノ時ニ於テ有スル債權ノ全額
  ニ付破產債權者トシテ其ノ權利ヲ行フコトヲ得
  第二十九條法人ノ債務ニ付其ノ債權者ニ對シテ有
  限ノ責任ヲ負フ者又ハ其ノ法人カ破產ノ宣告ヲ受久
  タル場合ニ於テハ法人ノ債權者ハ有限ノ責任ヲ負フ
  者ニ對シテ其ノ權利ヲ行フコトヲ得ス但シ法人ハ出
  資ノ請求ニ付破產債權者トシテ其ノ權利ヲ行フコト
  ヲ妨ケス
  第三十條相續人カ破產ノ宣告ヲ受ケタル場合ニ
  於テハ財產ノ分離アリタルトキト雖相續債權者及受
  遺者ハ其ノ債權ノ全額ニ付破產債權者トシテ其ノ
  權利ヲ行フコトヲ得
  第三十一條相續財產及相續人ニ對シテ破產ノ宣告
  アリタルトキハ相續債權者及受遺者ハ其ノ債權ノ全
  額ニ付各破產財團ニ對シ破產債權者トシテ其ノ權
  利ヲ行フコトヲ得民法第九百八十九條又ハ第九百
  九十一條ノ場合ニ於テ相續財產及前戶主、相續人
  及前戶主又ハ相續財產相續人及前戶主ニ對シテ破
  〓相續債權者ニ付
  產ノ宣告アリタルトキ○亦同シ
  第三十二條前二條ノ場合ニ於テ破產ノ宣告ヲ受ケ
  タル相續人カ限定承認ヲ爲シタルトキハ相續債權者
  及受遺者ハ相續人ノ固有財產ニ付破產債權者トシ
  テ其ノ權利ヲ行フコトヲ得ス第八條又ハ第九條第一
  項ノ規定ニ依リ限定承認ノ效力ヲ有スル場合亦同シ
  第三十三條相續財產ニ對シテ破產ノ宣告アリタルト
  キハ相續人ハ其ノ被相續人ニ對スル債權及被相續
  人ノ債務消滅ノ爲ニ爲シタル出捐ニ付相續債權者ト
  同一ノ權利ヲ有ス
  第三十四條相續財產ニ對シテ破產ノ宣告アリタルト
  キハ相續人ノ債權者ハ破產債權者トシテ其ノ權利ヲ
  行フコトヲ得ス
  第三十五條相續財產ニ對シテ破產ノ宣告アリタル場
  合ニ於テ第十三條ノ財產アルトキハ相續開始後ノ前
  戶主ノ債權者ハ債權ノ全額ニ付破產債權者トシテ
  其ノ權利ヲ行フコトヲ得
  第三十六條相續財產及前戶主ニ對シテ破產ノ宣告
  アリタル場合ニ於テ第十三條ノ財產アルトキハ相續
  開始後ノ前戶主ノ債權者ハ債權ノ全額ニ付各破產
  財團ニ對シ破產債權者トシテ其ノ權利ヲ行フコトヲ
  得
  第三十七條民法第九百八十九條又ハ第九百九十
  一條ノ場合ニ於テ相續人カ破產ノ宣告ヲ受ケタルト
  キハ前戶主ハ將來行フコトアルヘキ求償權ノ全額ニ
  付破產債權者トシテ其ノ權利ヲ行フコトヲ得
  第二十六條第一項但書及第二項ノ規定ハ前項ノ場
  合ニ之ヲ準用ス
  第三十八條左ニ揭クル請求權ハ之ヲ破產債權トセス
  但シ法人又ハ相續財產ニ對シテ破產ノ宣告アリタル
  トキハ此ノ限ニ在ラス
  -破產宣告後ノ利息
  二破產宣告後ノ不履行ニ因ル損害賠償及違約金
  三破產手續參加ノ費用
  四罰金、科料、刑事訴訟費用、追徴金及過料
  第三十九條破產財團ニ屬スル財產ニ付一般ノ先取
  特權其ノ他一般ノ優先權アル破產債權ハ他ノ債權
  ニ先ツ
  第四十條同一順位ニ於テ辨済スヘキ債權ハ各其
  ノ債權額ノ割合ニ應シテ之ヲ辨濟ス
  第四十一條優先權カ一定ノ期間內ノ債權額ニ付存
  在スル場合ニ於テハ其ノ期間ハ破產宣告ノ時ヨリ遡
  リテ之ヲ計算ス
  第四十二條相續財產ニ對シテ破產ノ宣告アリタルト
  ○受遺者ノ債權又ハ
  キハ相續債權者及受遺者ノ債權ハ。相續開始後ノ前
  戶主ノ債權者ノ債權ニ先ツ
  相續債權者ノ債權ハ受遺者ノ債權ニ先ツ
  第四十三條相續財產ニ對シ破產ノ申立ヲ爲スコトヲ
  得ル期間內ノ申立ニ因リ相續人ニ對シテ破產ノ宣告
  アリタルトキハ相續人ノ債權者ノ債權ハ相續債權者
  及受遺者ノ債權ニ先チ相續財產ニ付テハ相續債權
  者及受遺者ノ債權ハ相續人ノ債權者ノ債權ニ先ツ
  第四十四條相續財產及相續人ニ對シテ破產ノ宣告
  アリタルトキハ相續人ノ債權者ノ債權ハ相續人ノ破
  產財團ニ付テハ相續債權者及受遺者ノ債權ニ先ツ
  第四十五條相續財產及前戶主ニ對シテ破產ノ宣告
  アリタルトキハ相續開始後ノ前戶主ノ債權者ノ債權
  ハ前戶主ノ破產財團ニ付テハ相續債權者ノ債權ニ
  先ツ
  第四十六條法人又ハ相續財產ニ對シテ破產ノ宣告
  アリタル場合ニ於テハ債權額ト第十八條乃至第二十
  條ノ規定ニ依リテ定ル額破產債權額トノ差額ノ請求
  權及第三十八條ニ揭クル請求權ハ法人ノ債權者又
  ハ相續債權者ノ他ノ債權ニ後ル
  第四章財團債權
  第四十七條左ニ揭クル請求權ハ之ヲ財團債權トス
  -破產債權者ノ共同ノ利益ノ爲ニスル裁判上ノ
  費用
  二國稅徴收法又ハ國稅徵收ノ例ニ依リ徵收スル
  コトヲ得ヘキ請求權但シ破產宣告後ノ原因ニ基ク
  請求權ハ破產財團ニ關シテ生シタルモノニ限ル
  三破產財團ノ管理、換價及配當ニ關スル費用
  四破產財團ニ關シ破產管財人ノ爲シタル行爲ニ
  因リテ生シタル請求權
  五事務管理又ハ不當利得ニ因リ破產財團ニ對シ
  テ生シタル請求權
  六委任終了又ハ代理權消滅ノ後急迫ノ必要ノ爲
  ニ爲シタル行爲ニ因リ破產財〓ニ對シテ生シタル
  請求權
  七第五十九條第一項ノ規定ニ依リ破產管財人カ
  債務ノ履行ヲ爲ス場合ニ於テ相手方カ有スル請求
  權
  八破產宣告ニ因リテ雙務契約ニ關シ解約ノ申入
  アリタル場合ニ於テ其ノ終了ニ至ル迄ノ間ニ生シ
  タル請求權
  九破產者及之ニ扶養セラルル者ノ扶助料
  第四十八條破產管財人負擔附遺贈ノ履行ヲ受ケタ
  ルトキハ負擔ノ利益ヲ受クヘキ請求權ハ遺贈ノ目的
  ノ價額ヲ超エサル限度ニ於テ之ヲ財團債權トス
  第四十九條財團債權ハ破產手續ニ依ラスシテ隨時
  之ヲ辨濟ス
  第五十條財團債權ハ破產財團ヨリ先ツ之ヲ辨濟
  ス
  第五十一條破產財團カ財團債權ノ總額ヲ辨濟スル
  ニ不足ナルコト分明ナルニ至リタルトキハ財團債權ノ
  辨濟ハ法令ニ定ムル優先權ニ拘ラス未タ辨濟セサル
  債權額ノ割合ニ應シテ之ヲ爲ス但シ財團債權ニ付存
  スル留置權、特別ノ先取特權、質權及抵當權ノ效力
  ヲ妨ケス
  第四十七條第一號乃至第七號ノ財團債權八他ノ財團債權ニ
  先ツ
  第五十二條第十七條乃至第二十條、第二十二條
  及第二十三條第一項ノ規定ハ第四十七條第七號
  及第四十八條ニ規定スル財團債權ニ之ヲ準用ス
  第五章法律行爲ニ關スル破產ノ效力
  第五十三條破產者カ破產宣告ノ後破產財團ニ屬ス
  ル財產ニ關シテ爲シタル法律行爲ハ之ヲ以テ破產債
  權者ニ對抗スルコトヲ得ス
  破產者カ破產宣告ノ日ニ於テ爲シタル法律行爲ハ破
  產宣告後ニ之ヲ爲シタルモノト推定ス
  第五十四條破產宣告ノ後破產財團ニ屬スル財產ニ
  關シ破產者ノ法律行爲ニ因ラスシテ權利ヲ取得スル
  モ其ノ取得ハ之ヲ以テ破產債權者ニ對抗スルコトヲ
  得ス
  前條第二項ノ規定ハ前項ノ取得ニ之ヲ準用ス
  第五十五條不動產又ハ船舶ニ關シ破產宣告前ニ生
  シタル登記原因ニ基キ破產宣告ノ後爲シタル登記又
  ハ不動產登記法第二條第一號ノ規定ニ依ル假登記
  ハ之ヲ以テ破產債權者ニ對抗スルコトヲ得ス但シ登
  記權利者カ破產宣告ノ事實ヲ知ラスシテ爲シタル登
  記又ハ假登記ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
  前項ノ規定ハ權利ノ設定、移轉又ハ變更ニ關スル登
  錄又ハ假登錄ニ付之ヲ準用ス
  第五十六條破產宣告ノ後其ノ事實ヲ知ラスシテ破
  產者ニ爲シタル辨濟ハ之ヲ以テ破產債權者ニ對抗ス
  ルコトヲ得
  破產宣告ノ後其ノ事實ヲ知リテ破產者ニ爲シタル辨
  濟ハ破産財團力受ケタル利益ノ限度ニ於テノミ之ヲ
  以テ破產債權者ニ對抗スルコトヲ得
  第五十七條爲替手形ノ振出人又ハ裏書人カ破產ノ
  宣告ヲ受ケタル場合ニ於テ支拂人又ハ豫備支拂人カ
  其ノ事實ヲ知ラスシテ引受又ハ支拂ヲ爲シタルトキハ
  之ニ因リテ生シタル債權ニ付破產債權者トシテ其ノ
  權利ヲ行フコトヲ得
  前項ノ規定ハ小切手及金錢其ノ他ノ物又ハ有價證
  劵ノ給付ヲ目的トスル有價證劵ニ之ヲ準用ス
  第五十八條前三條ノ規定ノ適用ニ付テハ破產宣告
  ノ公告前ニ在リテハ其ノ事實ヲ知ラサリシモノト推定
  シ公告後ニ在リテハ其ノ事實ヲ知リタルモノト推定ス
  第五十九條雙務契約ニ付破產者及其ノ相手方カ破
  產宣告ノ當時未タ共ニ其ノ履行ヲ完了セサルトキハ
  破產管財人ハ其ノ選擇ニ從ヒ契約ノ解除ヲ爲シ又ハ
  破產者ノ債務ヲ履行シテ相手方ノ債務ノ履行ヲ請
  求スルコトヲ得
  前項ノ場合ニ於テ相手方ハ破產管財人ニ對シ相當
  ノ期間ヲ定メ其ノ期間內ニ契約ノ解除ヲ爲スカ又ハ
  債務ノ履行ヲ請求スルカヲ確答スヘキ旨ヲ催告スルコ
  トヲ得破產管財人カ其ノ期間內ニ確答ヲ爲ササルト
  キハ契約ノ解除ヲ爲シタルモノト看做ス
  第六十條前條ノ規定ニ依リ契約ノ解除アリタルト
  キハ相手方ハ損害ノ賠償ニ付破產債權者トシテ其ノ
  權利ヲ行フコトヲ得
  破產者ノ受ケタル反對給付カ破產財團中ニ現存スル
  トキハ相手方ハ其ノ返還ヲ請求シ現存セサルトキハ其
  ノ價額ニ付財〓債權者トシテ其ノ權利ヲ行フコトヲ
  得
  第六十一條取引所ノ相場アル商口四ノ賣買ニ付一定
  ノ日時又ハ一定ノ期間內ニ履行ヲ爲スニ非サレハ契
  約ヲ爲シタル目的ヲ達スルコト能ハサル場合ニ於テ其
  ノ時期カ破產宣告後ニ到來スヘキトキハ契約ノ解除
  アリタルモノト看做ス此ノ場合ニ於テ損害賠償ノ額ハ
  履行地又ハ其ノ地ノ相場ノ標準ト爲ルヘキ地ニ於ケ
  ル同種ノ取引ニシテ同一ノ時期ニ履行スヘキモノノ相
  場ト賣買ノ代價トノ差額ニ依リテ之ヲ定ム
  前條第一項ノ規定ハ前項ノ規定ニ依ル損害賠償ニ
  付之ヲ準用ス
  第一項ノ場合ニ付取引所ニ於テ別段ノ定ヲ爲シタルトキハ
  其ノ定ニ從フ
  第六十二條第五十九條第二項ノ規定ハ民法第六
  百二十一條、第六百三十一條又ハ第六百四十二條
  第一項ノ規定ニ依リ相手方又ハ破產管財人カ有ス
  ル解除權ノ行使ニ付之ヲ準用ス
  第六十三條賃貸人カ破產ノ宣告ヲ受ケタル場合ニ
  於テハ借負ノ前拂又ハ借賃ノ債權ノ處分ハ破產宣
  告ノ時ニ於ケル當期及次期ニ關スルモノヲ除クノ外
  之ヲ以テ破產債權者ニ對抗スルコトヲ得ス
  前項ノ規定ニ依リ破產債權者ニ對抗スルコトヲ得サ
  ルニ因リテ損害ヲ受ケタル者ハ其ノ損害ノ賠償ニ付
  破產債權者トシテ其ノ權利ヲ行フコトヲ得
  前二項ノ規定ハ地上權及永小作權ニ付之ヲ準用ス
  第六十四條破產者カ請負契約ニ因リ仕事ヲ爲ス義務
  ヲ負擔スルトキハ破產管財人ハ必要ナル材料ヲ供シ
  破產者ヲシテ其ノ仕事ヲ爲サシムルコトヲ得其ノ仕事
  カ破產者自ラ爲スコトヲ要セサルモノナルトキハ第三
  者ヲシテ之ヲ爲サシムルコトヲ得
  前項ノ場合ニ於テハ破產者カ其ノ相手方ヨリ受クヘ
  キ報酬ハ破產財團ニ屬ス
  第六十五條委任者カ破產ノ宣告ヲ受ケタル場合ニ
  於テ受任者カ破產宣告ノ通知ヲ受ケス且破產宣告
  ノ事實ヲ知ラスシテ委任事務ヲ處理シタルトキハ之ニ
  因リテ生シタル債權ニ付破產債權者トシテ其ノ權利
  ヲ行フコトヲ得
  第六十六條交互計算ハ當事者ノ一方カ破產ノ宣告
  ヲ受ケタルトキハ終了ス此ノ場合ニ於テハ各當事者ハ
  計算ヲ閉鎖シ殘額ノ支拂ヲ請求スルコトヲ得
  前項ノ規定ニ依ル請求權ハ破產者之ヲ有スルトキハ
  破產財團ニ屬シ相手方之ヲ有スルトキハ破產債權ト
  ス
  第六十七條數人共同シテ財產權ヲ有スル場合ニ於
  テ共有者ノ中破產ノ宣告ヲ受ケタル者アルトキハ分
  割ヲ爲ササル定アルトキト雖破產手續ニ依ラスシテ其
  ノ分割ヲ爲スコトヲ得
  前項ノ場合ニ於テ他ノ共有者ハ相當ノ償金ヲ拂ヒテ
  破產者ノ持分ヲ取得スルコトヲ得
  第六十八條民法第七百九十六條第二項第三項及
  第七百九十七條ノ規定ハ配遇者ノ財產ヲ管理スル
  者カ破產ノ宣告ヲ受ケタル場合ニ、同法第八百九十
  七條ノ規定ハ親權ヲ行フ者カ破產ノ宣告ヲ受ケタル
  場合ニ之ヲ準用ス
  第六十九條破產財〓ニ屬スル財產ニ關シ破產宣告
  ノ當時繋屬スル訴訟ハ破產管財人又ハ相手方ニ於
  テ之ヲ受繼クコトヲ得第四十七條第七號ニ揭クル請
  求權ニ關スル訴訟ニ付亦同シ
  前項ノ場合ニ於テハ訴訟費用ハ之ヲ財團債權トス
  第七十條破產債權ニ付破產財〓ニ屬スル財產ニ
  對シ爲シタル强制執行、假差押又ハ假處分ハ破產財
  團ニ對シテハ其ノ效力ヲ失フ但シ强制執行ニ付テハ
  破產管財人ニ於テ破產財團ノ爲其ノ手續ヲ續行ス
  ルコトヲ妨ケス
  前項但書ノ規定ニ依リ破產管財人カ强制執行ノ手
  續ヲ續行スルトキハ費用ハ之ヲ財團債權トシ强制執
  行ニ對スル第三者ノ異議ノ訴ニ付テハ破產管財人ヲ
  被告トス
  前二項ノ規定ハ一般ノ先取特權者カ破產財團ニ屬
  スル財產ニ對シ爲シタル競賣手續ニ之ヲ準用ス
  第七十一條破產財團ニ屬スル財產ニ對シ國稅徵收
  法又ハ國稅徵收ノ例ニ依ル滯納處分ヲ爲シタル場合
  ニ於テハ破產ノ宣告ハ其ノ處分ノ續行ヲ妨ケス
  破產財團ニ屬スル財產ニ關シ破產宣告ノ當時行政
  廳ニ繫屬スル事件アルトキハ其ノ手續ハ受繼又ハ破
  產手續ノ解止ニ至ル迄之ヲ中斷ス
  第六十九條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
  第六章否認權
  第七十二條左ニ揭クル行爲ハ破產財團ノ爲之ヲ否
  認スルコトヲ得
  -破產者カ破產債權者ヲ害ヌルコトヲ知リテ爲シ
  タル行爲但シ之ニ因リテ利益ヲ受ケタル者カ其ノ
  行爲ノ當時破產債權者ヲ害スヘキ事實ヲ知ラサリ
  シトキハ此ノ限ニ在ラス
  二破產者カ支拂ノ停止又ハ破產ノ申立アリタル後
  ニ爲シタル擔保ノ供與、債務ノ消滅ニ關スル行爲
  其ノ他破產債權者ヲ害スル行爲但シ之ニ因リテ利
  益ヲ受ケタル者カ其ノ行爲ノ當時支拂ノ停止又ハ
  破產ノ申立アリタルコトヲ知リタルトキニ限ル
  三前號ノ行爲ニシテ破產者ノ親族、戶主、家族又ハ
  同居者ヲ相手方トスルモノ但シ相手方カ其ノ行爲
  ノ當時支拂ノ停止又ハ破產ノ申立アリタルコトヲ
  知ラサリシトキハ此ノ限ニ在ラス
  四破產者カ支拂ノ停止若ハ破產ノ申立アリタル後
  又ハ其ノ前三十日內ニ爲シタル擔保ノ供與又ハ債
  務ノ消滅ニ關スル行爲ニシテ破產者ノ義務ニ屬セ
  ス又ハ其ノ方法若ハ時期カ破產者ノ義務ニ屬セサ
  ルモノ但シ債權者カ其ノ行爲ノ當時支拂ノ停止
  若ハ破產ノ申立アリタルコト又ハ破產債權者ヲ害
  スヘキ事實ヲ知ラサリシトキハ此ノ限ニ在ラス
  五破產者カ支拂ノ停止若ハ破產ノ申立アリタル後
  又ハ其ノ前六月內ニ爲シタル無償行爲及之ト同
  視スヘキ有償行爲
  第七十三條前條ノ規定ハ破產者ヨリ手形ノ支拂ヲ
  受ケタル者カ其ノ支拂ヲ受ケサレハ債務者ノ一人又
  ハ數人ニ對スル手形上ノ權利ヲ失フヘカリシ場合ニハ
  之ヲ適用セス
  前項ノ場合ニ於テ最終ノ償還義務者又ハ手形ノ振
  出ヲ委託シタル者カ振出ノ當時支拂ノ停止又ハ破產
  ノ申立アリタルコトヲ知リ又ハ過失ニ因リテ之ヲ知ラ
  サリシトキハ破產管財人ハ之ヲシテ破産者カ支拂ヒタ
  ル金額ヲ償還セシムルコトヲ得
  第七十四條支拂ノ停止又ハ破產ノ申立アリタル後
  權利ノ設定、移轉又ハ變更ヲ以テ第三者ニ對抗スル
  ニ必要ナル行爲ヲ爲シタル場合ニ於テ其ノ行爲カ權
  利ノ設定、移轉又ハ變更アリタル日ヨリ十五日ヲ經
  過シタル後惡意ニテ爲シタルモノナルトキハ之ヲ否認
  スルコトヲ得但シ登記及登錄ニ付テハ假登記又ハ假
  登錄アリタル後本登記又ハ本登錄ヲ爲シタルトキハ
  此ノ限ニ在ラス
  前項ノ規定ハ權利取得ノ效力ヲ生スル登錄ニ付之ヲ
  準用ス
  第七十五條否認權ハ否認セムトスル行爲ニ付執行
  力アル債務名義アルトキ又ハ其ノ行爲カ執行行爲ニ
  基クモノナルトキト雖之ヲ行フコトヲ妨ケス
  第七十六條否認權ハ訴又ハ抗辯ニ依リ破產管財人
  之ヲ行フ
  第七十七條否認權ノ行使ハ破產財團ヲ原狀ニ復セ
  シム
  第七十二條第五號ニ揭クル行爲カ否認セラレタル場
  合ニ於テ相手方カ行爲ノ當時善意ナリシトキハ其ノ
  現ニ受クル利益ヲ償還スルヲ以テ足ル
  第七十八條破產者ノ行爲カ否認セラレタル場合ニ於
  テ其ノ受ケタル反對給付カ破產財團中ニ現存スルト
  キハ相手方ハ其ノ返還ヲ請求シ反對給付ニ因リテ生
  シタル利益カ現存スルトキハ其ノ利益ノ限度ニ於テ財
  團債權者トシテ其ノ權利ヲ行フコトヲ得
  反對給付ニ因リテ生シタル利益カ現存セサルトキハ相
  手方ハ其ノ價額ノ償還ニ付破產債權者トシテ其ノ權
  利ヲ行フコトヲ得反對給付ノ價額カ現存スル利益ヨ
  リ大ナル場合ニ於テ其ノ差額ニ付亦同シ
  第七十九條破產者ノ行爲カ否認セラレタル場合ニ於
  テ相手方カ其ノ受ケタル給付ヲ返還シ又ハ其ノ價額
  ヲ償還シタルトキハ相手方ノ債權ハ之ニ因リテ原狀ニ
  復ス
  第八十條條第七十二條、第七十三條及前二條ノ規
  定ハ相續財產ニ對シテ破產ノ宣告アリタル場合ニ於
  テ被相續人、相續人、相續財產管理人及遺言執行
  者カ相續財產ニ關シテ爲シタル行爲竝前戶主カ第十
  三條ノ財產ニ關シテ爲シタル行爲ニ之ヲ準用ス
  第八十一條相續財產ニ對シ破産ノ宣告アリタル場
  合ニ於テ受遺者ニ對スル辨濟其ノ他債務ノ消滅ニ關
  スル行爲カ其ノ債權ニ先ツ債權ヲ有スル破產債權者
  ヲ害スルトキハ之ヲ否認スルコトヲ得
  第八十二條相續財產ニ對シテ破產ノ宣告アリタル場
  合ニ於テ第八十條ニ規定スル行爲カ否認セラレタル
  トキハ相續債權者ニ辨濟ヲ爲シタル後否認セラレタル
  行爲ノ相手方ニ其ノ權利ノ價額ニ應シテ殘餘財產ヲ
  分配スルコトヲ要ス
  第八十三條左ノ場合ニ於テハ否認權ハ轉得者ニ對シ
  テモ亦之ヲ行フコトヲ得
  -轉得者カ轉得ノ當時各其ノ前者ニ對スル否認
  ノ原因アルコトヲ知リタルトキ
  二轉得者カ破產者ノ親族、戶主、家族又ハ同居者
  ナルトキ但シ轉得ノ當時各其ノ前者ニ對スル否認
  ノ原因アルコトヲ知ラサリシトキハ此ノ限ニ在ラス
  三轉得者カ無償行爲又ハ之ト同視スヘキ有償行
  爲ニ因リテ轉得シタル場合ニ於テ各其ノ前者ニ對
  シ否認ノ原因アルトキ
  第七十七條第二項ノ規定ハ前項第三號ノ規定ニ依
  リ否認權ノ行使アリタル場合ニ之ヲ準用ス
  第八十四條破產宣告ノ日ヨリ一年前ニ爲シタル行
  爲ハ支拂停止ノ事實ヲ知リタルコトヲ理由トシテ之
  ヲ否認スルコトヲ得ス
  第八十五條否認權ハ破產宣告ノ日ヨリ二年間之ヲ
  行ハサルトキハ時效ニ因リテ消滅ス行爲ノ日ヨリ二
  十年ヲ經過シタルトキ亦同シ
  第八十六條民法第四百二十四條ノ規定ニ依リ破產
  債權者ノ提起シタル訴訟カ破產宣告ノ當時繋屬ス
  ルトキハ其ノ訴訟手續ハ受繼又ハ破產手續ノ解止ニ
  至ル迄之ヲ中斷ス
  第六十九條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
  第七章取戾權
  第八十七條破產ノ宣告ハ破產者ニ屬セサル財產ヲ
  破產財團ヨリ取戾ス權利ニ影響ヲ及ホサス
  第八十八條破產宣告前破產者ニ財產ヲ譲渡シタル
  者ハ擔保ノ目的ヲ以テシタルコトヲ理由トシテ其ノ財
  產ヲ取戾スコトヲ得ス
  第八十九條賣主カ賣買ノ目的タル物品ヲ買主ニ發
  送シタル場合ニ於テ買主カ未タ代金ノ全額ヲ辨濟セ
  ス且到達地ニ於テ其ノ物品ヲ受取ラサル間ニ破產ノ
  宣告ヲ受ケタルトキハ賣主ハ其ノ物品ヲ取戾スコトヲ
  得但シ破產管財人カ代金ノ全額ヲ支拂ヒテ其ノ物
  品ノ引渡ヲ請求スルコトヲ妨ケス
  前項ノ規定ハ第五十九條ノ規定ノ適用ヲ妨ケス
  第九十條前條第一項ノ規定ハ物品買入ノ委託ヲ
  受ケタル問屋カ其ノ物品ヲ委託者ニ發送シタル場合
  ニ之ヲ準用ス
  第九十一條破產者カ破產宣告前取戾權ノ目的タル
  財產ヲ讓渡シタル場合ニ於テハ取戾權者ハ反對給
  付ノ請求權ノ移轉ヲ請求スルコトヲ得破產管財人カ
  取戾權ノ目的タル財產ヲ讓渡シタル場合亦同シ
  前項ノ場合ニ於テ破產管財人カ反對給付ヲ受ケタ
  ルトキハ取戾權者ハ破產管財人カ反對給付トシテ受
  ケタル財產ノ給付ヲ請求スルコトヲ得
  第八章別除權
  第九十二條破產財團ニ屬スル財產ノ上ニ存スル特
  別ノ先取特權、質權又ハ抵當權ヲ有スル者ハ其ノ目
  的タル財產ニ付別除權ヲ有ス
  第九十三條破産財團ニ屬スル財産ノ上ニ存スル留
  置權ニシテ商法ニ依ルモノハ破產財團ニ對シテハ之
  ヲ特別ノ先取特權ト看做ス此ノ先取特權ハ他ノ特
  別ノ先取特權ニ後ル
  前項ニ規定スルモノヲ除クノ外留置權ハ破產財團ニ
  對シテハ其ノ效力ヲ失フ
  第九十四條數人共同シテ財產權ヲ有スル場合ニ於
  テ其ノ一人カ破產ノ宣告ヲ受ケタルトキ之ニ對シ共
  有ニ關スル債權ヲ有スル他ノ共有者ハ分割ニ因リテ
  破産者ニ歸スヘキ共有財產ノ部分ニ付別除權ヲ有
  ス
  第九十五條別除權ハ破產手續ニ依ラスシテ之ヲ行フ
  第九十六條別除權者ハ其ノ別除權ノ行使ニ依リテ
  辨濟ヲ受クルコト能ハサル債權額ニ付テノミ破產債
  權者トシテ其ノ權利ヲ行フコトヲ得但シ別除權ヲ抛
  棄シタル債權額ニ付破產債權者トシテ其ノ權利ヲ行
  フコトヲ妨ケズ
  第九十七條破產財團ニ屬セサル破產者ノ財產ノ上
  ニ特別ノ先取特權、質權又ハ抵當權ヲ有スル者ハ其
  ノ權利ノ行使ニ依リテ辨濟ヲ受クルコト能ハサル債
  權額ニ付テノミ破產債權者トシテ其ノ權利ヲ行フコ
  トヲ得華族世襲財產ヲ差押フル權利ヲ有スル者及
  破產者カ更ニ破產ノ宣告ヲ受ケタル場合ニ於テ前ノ
  破產ニ付破產債權ヲ有スル者亦同シ
  前項ニ揭クル權利ヲ有スル者ニハ第二編中別除權ニ
  關スル規定ヲ準用ス
  第九章相殺權
  第九十八條破產債權者カ破產宣告ノ當時破產者ニ
  對シテ債務ヲ負擔スルトキハ破產手續ニ依ラスシテ
  相殺ヲ爲スコトヲ得
  第九十九條破產債權者ノ債權カ破產宣告ノ時ニ於
  テ期限附若ハ解除條件附ナルトキ又ハ第二十二條
  ニ掲クルモノナルトキト雖相殺ヲ爲スコトヲ妨ケス債
  務カ期限附若ハ條件附ナルトキ又ハ將來ノ請求權ニ
  關スルモノナルトキ亦同シ
  第百條停止條件附債權又ハ將來ノ請求權ヲ
  有スル者カ其ノ債務ヲ辨濟スル場合ニ於テハ後日相
  殺ヲ爲ス爲其ノ債權額ノ限度ニ於テ辨済額ノ寄託
  ヲ請求スルコトヲ得
  第百一條解除條件附債權ヲ有スル者カ相殺ヲ爲
  ストキハ其ノ相殺額ニ付擔保ヲ供シ又ハ寄託ヲ爲ス
  コトヲ要ス
  第百二條第十八條乃至第二十條、第二十二條及
  第二十三條ノ規定ハ破產債權者ノ債權ニ之ヲ準用
  ス
  第百三條破產債權者カ賃借人ナルトキハ破產宣
  告ノ時ニ於ケル當期及次期ノ借賃ニ付相殺ヲ爲スコ
  トヲ得敷金アルトキハ其ノ後ノ借賃ニ付亦同シ
  前項ノ規定ハ地代及小作料ニ付之ヲ準用ス
  第百四條左ノ場合ニ於テハ相殺ヲ爲スコトヲ得ス
  破產債權老カ破產宣告ノ後破產財團ニ對シテ
  債務ヲ負擔シタルトキ
  二破產者ノ債務者カ破產宣告ノ後他人ノ破產債
  權ヲ取得シタルトキ
  三破產者ノ債務者カ支拂ノ停止又ハ破產ノ申立
  アリタルコトヲ知リテ破產債權ヲ取得シタルトキ但
  シ其ノ取得カ法定ノ原因ニ基クトキ、債務者カ支
  拂ノ停止若ハ破產ノ申立アリタルコトヲ知リタル
  時ヨリ前ニ生シタル原因ニ基クトキ又ハ破產宣告
  ノ時ヨリ一年前ニ生シタル原因ニ基クトキハ此ノ
  限ニ在ラス
  第二編手續規定
  第一章總則
  第百五條破產事件ハ債務者力營業者ナルトキハ
  其ノ主タル營業所ノ所在地、外國ニ主タル營業所ヲ
  有スルトキハ日本ニ於ケル主タル營業所ノ所在地、營
  業者ニ非サルトキ又ハ營業所ヲ有セサルトキハ其ノ普
  通栽判籍ノ所在地ヲ管轄スル區裁判所ノ管轄ニ專
  屬ス
  第百六條相續財產ニ關スル破產事件ハ相續開始
  地ヲ管轄スル區栽判所ノ管轄ニ專屬ス
  第百七條前二條ノ規定ニ依ル管〓裁判所ナキト
  キハ財產ノ所在地ヲ管轄スル區裁判所ノ管轄ニ專
  屬ス
  債權ハ裁判上ノ請求ヲ爲スコトヲ得ル地ヲ以テ其ノ
  所在地ト看做ス
  前二項ノ規定ニ依リ二以上ノ裁判所カ管轄權ヲ有
  スルトキハ先ニ破產ノ申立アリタル裁判所ノ管轄ニ専
  屬ス
  第百八條破產手續ニ關シテハ本法ニ別段ノ定ナキ
  トキハ民事訴訟法ヲ準用ス
  第百九條破產事件ニ關シテハ裁判所ハ互ニ法律
  上ノ輔助ヲ求ムルコトヲ得
  第百十條破產手續ニ關スル裁判ハ口頭辯論ヲ經
  スシテ之ヲ爲スコトヲ得
  裁判所ハ職權ヲ以テ破產事件ニ關シ必要ナル調査
  ヲ爲スコトヲ得
  第百十一條破產手續ニ關スル裁判ハ職權ヲ以テ其
  ノ送達ヲ爲スコトヲ要ス
  第百十二條破產手續ニ關スル栽判ニ對シテハ本編ニ
  別段ノ定アル場合ヲ除クノ外其ノ裁判ニ付利害關
  係ヲ有スル者ハ卽時抗告ヲ爲スコトヲ得其ノ期間ハ
  裁判ノ公告アリタル場合ニ於テハ其ノ公告アリタル
  日ヨリ起算シテ二週間トス
  第百十三條抗告裁判所ノ決定ハ確定ノ後ニ非サレ
  ハ其ノ效力ヲ生セス但シ裁判所ハ其ノ決定ヲ以テ直
  ニ效力ヲ生スヘキコトヲ定ムルコトヲ得
  抗告裁判所ノ破產ノ宣告ハ前項ノ規定ニ拘ラス直
  ニ其ノ效力ヲ生ス
  第百十四條破產手續ニ關スル申立、陳述及抗告ハ
  書面又ハ口頭ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ得
  第百十五條本編ノ規定ニ依リ爲スヘキ公告ハ官報
  及登記事項ノ公告ヲ揭載スヘキ新聞紙ヲ以テ之ヲ
  爲ス
  公〓ハ最終ノ掲載アリタル日ノ翌日ニ於テ其ノ效力
  ヲ生ス
  第百十六條裁判所ノ管轄內ニ前條第一項ノ新聞
  紙ナキトキハ公告ハ裁判所及破產者ノ營業所若ハ
  住所ノ所在地ノ出張所又ハ其ノ管轄內ノ市役所、
  町村役場若ハ之ニ準スへキ公署ノ揭示場ニ揭示シテ
  之ヲ爲ス此ノ場合ニ於テハ公告ハ揭示ノ日ヨリ三日
  ヲ經過シタル後其ノ效力ヲ生ス
  第百十七條本編ノ規定ニ依リ送達ヲ爲スヘキ場合ニ
  於テハ公告ヲ以テ之ニ代フルコーヲ得
  第百十八條本編ノ規定ニ依リ公告ノ外送達ヲ爲ス
  ヘキ場合ニ於テハ送達ハ書類ヲ郵便ニ付シテ之ヲ爲
  スコトヲ得
  前項ノ場合ニ於テハ公告ハ一切ノ關係人ニ對スル送
  達ノ效力ヲ有ス
  第百十九條法人ニ對シテ破產ノ宣告ヲ爲シタルトキ
  ハ裁判所ハ職權ヲ以テ遲滯ナク囑託書ニ破產決定
  書ノ謄本ヲ添附シテ破產ノ登記ヲ各營業所又ハ各
  事務所ノ所在地ノ登記所ニ囑託スルコトヲ要ス
  第百二十條栽判所カ破產者ニ關スル登記アルコトヲ
  知リタルトキハ職權ヲ以テ遅滯ナク囑託書ニ破產決
  定書ノ謄本ヲ添附シテ破產ノ登記ヲ登記所ニ囑託ス
  ルコトヲ要ス破產財團ニ屬スル權利ニシテ登記シタル
  モノアルコトヲ知リタルトキ亦同シ
  第百二十一條前二條ノ規定ハ破產取消、破產廢止
  又ハ强制和議取消ノ決定カ確定シタル場合及破產
  終結ノ決定アリタル場合ニ之ヲ準用ス破產管財人カ
  破產ノ登記アリタル權利ヲ破產財團ヨリ地棄シタル
  場合ニ於テ登記囑託ノ申立アリタルトキ亦同シ
  第百二十二條登記所カ前三條ノ規定ニ依リテ登記
  ノ囑託ヲ受ケタルトキハ遅滯ナク其ノ登記ヲ爲スコト
  ヲ要ス
  前項ノ登記ニ付テハ登錄稅ヲ課セス
  第百二十三條登記ノ原因タル行爲カ否認セラレタル
  トキハ破產管財人ハ否認ノ登記ヲ爲スコトヲ要ス登
  記カ否認セラレタルトキ亦同シ
  第百二十條及前條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ
  之ヲ準用ス
  第百二十四條前四條ノ規定ハ破產財團ニ屬スル權
  利ニシテ登錄シタルモノニ之ヲ準用ス
  第百二十五條法人ニ對シテ破產ノ宣告ヲ爲シタル
  場合ニ於テ其ノ法人ノ設立又ハ目的タル事業ニ付
  官廳ノ許可アリタルモノナルトキハ裁判所ハ破產ノ宣
  告アリタル旨ヲ主務官廳ニ通知スルコトヲ要ス
  前項ノ規定ハ破產取消、破產廢止若ハ强制和議取
  消ノ決定カ確定シ又ハ破產終結ノ決定アリタル場合
  ニ之ヲ準用ス
  第二章破產宣告
  第百二十六條債務者カ支拂ヲ爲スコト能ハサルトキ
  ハ裁判所ハ申立ニ因リ決定ヲ以テ破産ヲ宣告ス
  債務者カ支拂ヲ停止シタルトキハ支拂ヲ爲スコト能
  ハサルモノト推定ス
  第百二十七條法人ニ對シテハ其ノ財產ヲ以テ債務
  ヲ完濟スルコト能ハザル場合ニ於テモ亦破產ノ宣告
  ヲ爲スコトヲ得
  前項ノ規定ハ合名會社及合資會社ノ存立中ハ之ヲ
  適用セス
  第百二十八條法人ニ對シテハ其ノ解散ノ後ト雖殘
  餘財產ノ引渡又ハ分配カ終了セサル間ハ破產ノ申立
  ヲ爲スコトヲ得
  第百二十九條相續財產ヲ以テ相續債權者及受遺
  者ニ對スル債務ヲ完濟スルコト能ハサルトキハ裁判所
  ハ申立ニ因リ決定ヲ以テ破產ヲ宣告ス
  第百三十條破產ノ申立又ハ破產ノ宣告アリタル
  後相續カ開始シタルトキハ破產手續ハ相續財產ニ對
  シテ之ヲ續行ス
  破產ノ申立又ハ破產ノ宣告アリタル後ニ於ケル國籍
  ノ喪失ハ破產手續ニ關シテハ其ノ效力ヲ有セス
  第百三十一條相續財產ニ對シテハ民法第千四十一
  條ノ規定ニ依リ財產分離ノ請求ヲ爲スコトヲ得ル間
  ニ限リ破產ノ申立ヲ爲スコトヲ得其ノ間ニ限定承認
  又ハ財產分離アリタル場合ニ於テハ相續債權者及受
  遺者ニ對スル辨濟カ未タ終了セサル間亦同シ
  第百三十二條債權者又ハ債務者ハ破產ノ申立ヲ爲
  スコトヲ得
  債權者カ破產ノ中立ヲ爲ストキハ其ノ債權ノ存在及
  破產ノ原因タル事實ヲ疏明スルコトヲ要ス
  第百三十三條民法ニ依リテ設立シタル法人又ハ產
  業組合ニ對シテハ理事、合名會社合資會社又ハ株式
  合資會社ニ對シテハ無限責任社員、株式會社又ハ相
  互保險會社ニ對シテハ取締役ハ破產ノ申立ヲ爲スコ
  トヲ得
  前項ニ規定スル法人ニ對シテハ〓算人モ亦破產ノ申
  立ヲ爲スコトヲ得
  第百三十四條理事、無限責任社員、取締役又ハ〓
  算人ノ全員カ破產ノ申立ヲ爲ササル場合ニ於テハ破
  產ノ原因タル事實ヲ疏明スルコトヲ要ス
  第百三十五條前二條ノ規定ハ第百三十三條ニ規定
  スル法人以外ノ法人ニ之ヲ準用ス
  第百三十六條相續財產ニ對シテハ相續債權者及受
  遺者ノ外相續人、相續財產管理人及遺言執行者モ
  亦破產ノ申立ヲ爲スコトヲ得
  相續財產管理人、遺言執行者又ハ限定承認若ハ財
  產分離アリタル場合ニ於テハ相續人カ相續財產ヲ以
  テ相續債權者及受遺者ニ對スル債務ヲ完濟スルコト
  能ハサルコトヲ發見シタルトキハ直ニ破產ノ申立ヲ爲
  スコトヲ要ス
  相續人、相續財產管理人又ハ遺言執行者カ破產ノ
  申立ヲ爲ストキハ破產ノ原因タル事實ヲ疏明スルコ
  トヲ要ス
  第百三十七條破產申立ノ當時既ニ外國ニ於テ破產
  ノ宣告アリタルトキハ破產申立人ハ破產ノ原因タル
  事實ヲ疏明スルコトヲ要セス
  第百三十八條破產申立人カ債權者ニ非サルトキハ
  申立ト同時ニ財產ノ〓況ヲ示スヘキ書面竝債權者
  及債務者ノ一覽表ヲ提出スルコトヲ要ス申立ト同時
  ニ提出スルコト能ハサルトキハ爾後遲滯ナク之ヲ提出
  スルコトヲ要ス
  第百三十九條債權者カ破產ノ申立ヲ爲ス場合ニ於
  テハ破產手續ノ費用トシテ裁判所カ相當ト認ムル金
  額ノ豫納アルコトヲ要ス豫納ナキトキハ裁判所ハ其ノ
  申立ヲ棄却スルコトヲ得
  費用ノ豫納ニ關スル決定ニ對シテハ不服ヲ申立ツル
  コトヲ得ス
  第百四十條破產申立人カ債權者ニ非サルトキハ
  破產手續ノ費用ハ假ニ國庫ヨリ之ヲ支辨ス破產申
  立人カ債權者ナル場合ニ於テ費用ノ豫納ナキニ拘ラ
  ス裁判所カ破産ノ宣告ヲ爲シタルトキ、豫納金カ不
  足ナルニ至リタルトキ及栽判所カ職權ヲ以テ破產ノ
  宣告ヲ爲シタルトキ亦同シ
  第百四十一條破產決定書ニハ破產宣告ノ年月日時
  ヲ記載スルコトヲ要ス
  第百四十二條裁判所ハ破產ノ宣告ト同時ニ破產管
  財人ヲ選任シ且左ノ事項ヲ定ムルコトヲ要ス
  -債權屆出ノ期間但シ其ノ期間ハ破產宣告ノ日
  ヨリ二週間以上四月以下ナルコトヲ要ス
  二第一回ノ債權者集會ノ期日但シ其ノ期日ハ破
  產宣告ノ日ヨリ一月內ナルコトヲ要ス
  三債權調査ノ期日但シ其ノ期日ト債權屆出期間
  ノ末日トノ間ニハ一週間以上一月以下ノ期間ヲ
  存スルコトヲ要ス
  前項第二號及第三號ノ期日ハ之ヲ併合スルコトヲ
  妨ケス
  第百四十三條裁判所カ破產ノ宣告ヲ爲シタルトキハ
  直ニ左ノ事項ヲ公告フルコトヲ要ス
  -破產決定ノ主文
  二破產管財人ノ氏名及住所
  三前條ノ規定ニ依リ定メタル期間及期日
  四破產者ノ債務者及破產財團ニ屬スル財產ノ所
  持者ハ破產者ニ辨濟ヲ爲シ又ハ其ノ財產ヲ交付ス
  ヘカラサル旨及債務ヲ負擔スルコト又ハ其ノ財產
  ヲ所持スルコト、所持者カ別除權ヲ有スルトキハ其
  ノ債權ヲ有スルコトヲ一定ノ期間內ニ破產管財人
  ニ屆出ツヘキ旨ノ命令
  知レタル債權者、債務者及財產所持者ニハ前項ニ揭
  クル事項ヲ記載シタル書面ヲ送達スルコトヲ要ス
  前二項ノ規定ハ第一項第二號乃至第四號ニ揭クル
  事項ニ變更ヲ生シタル場合ニ之ヲ準用ス
  第一項第四號ノ屆出ヲ怠リタル者ハ之ニ因リテ破產
  財團ニ生シタル損害ヲ賠償スルコトヲ要ス
  第百四十四條裁判所カ破產ノ宣告ヲ爲シタルトキハ
  遲滯ナク其ノ旨ヲ檢事ニ通知スルコトヲ要ス
  第百四十五條裁判所カ破產財團ヲ以テ破產手續ノ
  費用ヲ償フニ足ラスト認ムルトキハ破產ノ宣生ロト同
  時ニ破產廢止ノ決定ヲ爲スコトヲ要ス此ノ場合ニ於
  テハ裁判所ハ破產決定ノ主文竝破產廢止ノ決定ノ
  主文及理由ノ要領ヲ公告スルコトヲ要ス
  前項ノ場合ニ於テ破產廢止ノ決定ノ取消カ確定シタ
  ルトキハ前三條ノ規定ヲ準用ス
  第百四十六條前條ノ規定ハ無限責任又ハ保證責任
  ノ相互保險會社、產業組合其ノ他ノ法人ニハ之ヲ適
  用セス破產手續ノ費用ヲ償フニ足ルヘキ金額ノ豫納
  アリタル場合亦同シ
  第百四十七條破產者ハ裁判所ノ許可ヲ得ルニ非サ
  レハ其ノ居住地ヲ離ルルコトヲ得ス
  第百四十八條裁判所ハ必要ト認ムルトキハ破產者ノ
  引致ヲ命スルコトヲ得
  引致ハ引致狀ヲ發シテ之ヲ爲ス
  引致ニハ刑事訴訟法中勾引ニ關スル規定ヲ準用ス
  第百四十九條破產者カ逃走シ又ハ財產ヲ隱匿若ハ
  毀棄スル虞アルトキハ栽判所ハ其ノ監守ヲ命スルコト
  ヲ得
  前項ノ場合ニ於テハ裁判所ハ決定書ノ正本ヲ檢事ニ
  送致スルコトヲ要ス檢事ハ破產者ノ居住地ヲ管轄ス
  ル警察官署ニ命シテ監守ヲ執行セシム
  第百五十條監守ヲ命セラレタル破產者ハ裁判所ノ
  許可ヲ得ルニ非サレハ外人ト面接又ハ通信スルコト
  ヲ得ス
  第百五十一條監守ノ必要カ止ミタルトキハ裁判所ハ
  破產者若ハ破產管財人ノ中立ニ因リ又ハ職權ヲ以
  テ監守ノ決定ヲ取消スコトヲ要ス
  前項ノ場合ニ於テハ裁判所ハ決定書ノ正本ヲ檢事ニ
  送致スルコトヲ要ス檢事ハ警察官署ニ命シテ監守ヲ
  解カシム
  第百五十二條前五條ノ規定ハ破產者ノ法定代理人
  理事及之ニ準スヘキ者竝支配人ニ付之ヲ準用ス相
  續財產ニ對スル破產ニ於テ相續人及前戶主竝其ノ
  法定代理人及支配人ニ付亦同シ
  第百五十三條破產者、其ノ代理人並其ノ理事及之
  ニ準スヘキ者ハ破產管財人、監査委員又ハ債權者集
  會ノ請求ニ因リ破產ニ關シ必要ナル說明ヲ爲スコトヲ
  要ス相續財產ニ對スル破產ニ於テ相續人、前戶主、
  相續財產管理人、遺言執行者竝相續人及前戶主ノ
  代理人亦同シ
  前項ノ規定ハ前ニ前項ニ規定スル資格ヲ有シタル者
  ニ之ヲ準用ス
  第百五十四條破產ノ申立アリタルトキ:裁判所ハ破
  產宣告前ト雖債務者及第百五十二條ニ規定スル者
  ノ引致又ハ監守ヲ命スルコトヲ得
  第百五十五條破產ノ申立アリタルトキハ裁判所ハ破
  產宣告前ト雖利害關係人ノ申立ニ因リ又ハ職權ヲ
  以テ破產財團ニ關シ假差押、假處分其ノ他ノ必要
  ナル保全處分ヲ命スルコトヲ得
  栽判所ハ前項ノ規定ニ依ル處分ヲ變更シ又ハ之ヲ
  取消スコトヲ得
  前二項ノ規定ニ依ル裁判ハ決定ヲ以テ之ヲ爲ス
  第百五十六條破產取消ノ決定カ確定シタル場合ニ
  於テハ裁判所ハ直ニ其ノ主文ヲ公告スルコトヲ要ス
  第百四十三條第二項、第百四十四條、第百五十一
  條第二項、第百五十二條及第三百五十五條ノ規定
  ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
  第三章破產管財人
  第百五十七條破產管財人ハ裁判所之ヲ選任ス
  第百五十八條破產管財人ハ一人トス但シ裁判所必
  要ト認ムルトキハ數人ヲ選任スルコトヲ得
  第百五十九條裁判所ハ破產管財人ニ其ノ選任ヲ證
  スル書面ヲ交付スルコトヲ要ス
  破產管財人ハ其ノ職務ヲ行フニ當リ利害關係人ノ
  請求アルトキハ前項ノ書面ヲ示スコトヲ要ス
  第百六十條破產管財人ハ正當ノ事由アルニ非サレ
  ハ其ノ任務ヲ辭スルコトヲ得ス
  破產管財人カ其ノ任務ヲ辭セムトスルトキハ裁判所
  ニ申立ヲ爲スコトヲ要ス
  第百六十一條破產管財人ハ裁判所ノ監督ニ屬ス
  第百六十二條破產財團ニ關スル訴ニ付テハ破產管
  財人ヲ以テ原告又ハ被告トス
  第百六十三條破產管財人數人アルトキハ共同シテ
  其ノ職務ヲ行フ但シ裁判所ノ許可ヲ得テ職務ヲ分掌
  スルコトヲ得
  破產管財人數人アルトキハ第三者ノ意思表示ハ其ノ
  一人ニ對シテ之ヲ爲スヲ以テ足ル
  第百六十四條破產管財人ハ善良ナル管理者ノ注意
  ヲ以テ其ノ職務ヲ行フコトヲ要ス
  破產管財人カ前項ノ注意ヲ怠リタルトキハ其ノ破產
  管財人ハ利害關係人ニ對シ連帶シテ損害賠償ノ責
  元はじ、
  第百六十五條破產管財人ハ臨時故障アル場合ニ於
  テ其ノ職務ヲ行ハシムル爲自己ノ責任ヲ以テ豫メ代
  理人ヲ選任スルコトヲ得
  前項ノ代理人ノ選任ハ裁判所ノ認可ヲ得ルコトヲ要
  ス
  第百六十六條破產管財人ハ費用ノ前拂及報酬ヲ受
  クルコトヲ得其ノ額ハ裁判所之ヲ定ム
  第百六十七條裁判所ハ債權者集會ノ決議若ハ監査
  委員ノ申立ニ因リ又ハ職權ヲ以テ破產管財人ヲ解
  任スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ破產管財人ヲ審訊
  スルコトヲ要ス
  第百六十八條破產管財人ノ任務終了ノ場合ニ於テ
  ハ破產管財人又ハ其ノ相續人ハ遲滯ナク債權者集
  會ニ計算ノ報告ヲ爲スコトヲ要ス
  破產者、破產債權者又ハ後任ノ破產管財人カ債權
  者集會ニ於テ計算ニ付異議ヲ述ヘサリシトキハ之ヲ
  承認シタルモノト看做ス
  破產管財人ハ利害關係人ノ閲覽ニ供スル爲計算報
  告書及監査委員ノ意見書ヲ債權者集會ノ日ヨリ三
  日前ニ裁判所ニ提出スルコトヲ要ス
  第百六十九條破產管財人ノ任務終了ノ場合ニ於テ
  急迫ノ事情アルトキハ破產管財人又ハ其ノ相續人ハ
  後任ノ破產管財人又ハ破產者カ財產ヲ管理スルコト
  ヲ得ルニ至ル迄必要ナル處分ヲ爲スコトヲ要ス
  第四章監査委員
  第百七十條監査委員ヲ置クカ否ハ第一囘ノ債權
  者集會ニ於テ之ヲ議決スルコトヲ要ス但シ後ノ債權
  者集會ニ於テ其ノ決議ヲ變更スルコトヲ得
  第百七十一條監査委員ハ三人以上トシ債權者集會
  ニ於テ之ヲ選任ス
  監査委員ノ選任ノ決議ハ裁判所ノ認可ヲ得ルコトヲ
  要ス
  第百七十二條監査委員ノ職務ノ執行ハ過半數ヲ以
  テ之ヲ決ス
  特別ノ利害關係ヲ有スル者ハ表決ヲ爲スコトヲ得ス
  第百七十三條各監査委員ハ何時ニテモ破產管財人
  ニ對シテ破產財團ニ關スル報告ヲ求メ又ハ破產財團
  狀況ヲ調査スルコトヲ得
  第百七十四條監査委員ハ何時ニテモ債權者集會ノ
  決議ヲ以テ之ヲ解任スルコトヲ得
  重要ナル事由アルトキハ裁判所ハ利害關係人ノ申立
  ニ因リ監査委員ヲ解任スルコトヲ得
  第百七十五條第百六十四條及第百六十六條ノ規
  定ハ監査委員ニ之ヲ準用ス
  第五章債權者集會
  第百七十六條債權者集會ハ破產管財人若ハ監査
  委員ノ申立ニ因リ又ハ職權ヲ以テ裁判所之ヲ招集ス
  屆出ヲ爲シタル總債權ニ付裁判所ノ評價シタル額ノ
  五分ノ一以上ニ當ル破產債權者ノ申立アリタルトキ
  亦同シ
  第百七十七條債權者集會ノ期日及會議ノ目的タル
  事項ハ裁判所之ヲ公告スルコトヲ要ス
  債權者集會ノ延期又ハ續行ニ付言渡アリタルトキハ
  送達又ハ公告ヲ爲スコトヲ要セス
  第百七十八條債權者集會ハ裁判所之ヲ指揮ス
  第百七十九條債權者集會ノ決議ニハ議決權ヲ行フ
  コトヲ得ヘキ出席破產債權者ノ過半數ニシテ其ノ債
  權額カ其ノ者ノ總債權ノ半額ヲ超ユル者ノ同意アル
  コトヲ要ス
  債權者集會ノ決議ニ付特別ノ利害關係ヲ有スル者ハ
  其ノ議決權ヲ行フコトヲ得ス
  第百八十條前條ノ規定ニ依リ決議ヲ爲スコト能ハ
  サルトキト雖議決スヘキ事項ニ付同意シタル者ノ債
  權額カ議決權ヲ行フコトヲ得ヘキ、出席破産債權者ノ
  總債權ノ半額ヲ超ユルトキハ裁判所ハ決定ヲ以テ決
  議アリタルモノト看做スコトヲ得
  前項ノ決定ハ裁判所之ヲ公告スルコトヲ要ス其ノ決
  定ニ對シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス
  第百八十一條破產債權者ハ代理人ヲ以テ其ノ議決
  權ヲ行フコトヲ得此ノ場合ニ於テハ代理人ハ代理權
  ヲ證スル書面ヲ提出スルコトヲ要ス
  第百八十二條破產債權者ハ確定債權額ニ應シテ其
  ノ議決權ヲ行フコトヲ得
  未確定債權、停止條件附債權、將來ノ請求權又ハ別
  除權ノ行使ニ依リテ辨濟ヲ受クルコト能ハサルヘキ債
  權額ニ付破產管財人又ハ破產債權者ノ異議アルト
  キハ裁判所ハ議決權ヲ行ハシムヘキカ否及如何ナル
  金額ニ付之ヲ行ハシムヘキカヲ定ム
  裁判所ハ利害關係人ノ申立ニ因リ何時ニテモ前項
  ノ規定ニ依ル決定ヲ變更スルコトヲ得
  前二項ノ規定ニ依ル決定ハ其ノ言渡アリタルトキハ
  送達ヲ爲スコトヲ要セス其ノ決定ニ對シテハ不服ヲ
  申立ツルコトヲ得ス
  第百八十三條債權者集會ノ決議ハ之ヲ以テ監査委
  員ノ同意ニ代フルコトヲ得
  債權者集會ノ決議カ監査委員ノ意見ト異ナルトキハ
  其ノ決議ニ從フ
  第百八十四條債權者集會ノ決議カ破產債權者ノ一
  般ノ利益ニ反スルトキハ裁判所ハ破產管財人、監査
  委員若ハ破產債權者ノ申立ニ因リ又ハ職權ヲ以テ
  其ノ決議ノ執行ヲ禁止スルコトヲ得
  議決權ヲ有セサリシ破產債權者カ前項ノ申立ヲ爲ス
  ニハ其ノ破產債權者夕ルコトヲ疏明スルコトヲ要ス
  第一項ノ規定ニ依ル禁止決定ハ其ノ言渡アリタルト
  キハ送達ヲ爲スコトヲ要セス
  第六章破產財團ノ管理及換價
  第百八十五條破產管財人ハ就職ノ後直ニ破產財團
  ニ屬スル財產ノ占有及管理ニ著手スルコトヲ要ス
  第百八十六條破產管財人必要ト認ムルトキハ裁判
  所書記、執達吏又ハ公證人ヲシテ破産財團ニ屬スル
  財產ニ封印ヲ爲サシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テ封
  印ヲ爲シタル者ハ調書ヲ作ルコトヲ要ス
  前項ノ規定ハ封印除去ノ場合ニ之ヲ準用ス
  第百八十七條裁判所書記ハ破產宣告ノ後直ニ破
  產者ノ財產ニ關スル帳薄ヲ閉鎖シ之ニ署名捺印シ
  且調書ヲ作リ之ニ帳簿ノ現狀ヲ記載スルコトヲ要ス
  第百八十八條破產管財人ハ遲滯ナク栽判所書記、
  執達吏又ハ公證人ノ立會ヲ以テ破產財團ニ屬スル
  一切ノ財產ノ價額ヲ評定スルコトヲ要ス此ノ場合ニ
  於テハ遲滯ノ虞アル場合ヲ除クノ外破產者ノ立會ヲ
  求ムルコトヲ要ス
  第百八十九條破產管財人ハ財產目錄及貸借對照
  表ヲ作ルコトヲ要ス
  破產管財人ハ財產目錄及貸借對照表ノ勝本ニ署
  名捺印シ之ヲ裁判所ニ提出スルコトヲ要ス封印ニ關
  スル調書ニ付亦同シ
  利害關係人ハ前項ニ規定スル書類ノ閲覽ヲ求ムルコ
  トヲ得
  第百九十條裁判所ハ通信官署又ハ公衆通信取扱
  所ニ對シ破產者ニ宛テタル郵便物又ハ電報ヲ破產
  管財人ニ配達スヘキ旨ヲ囑託フルコトヲ要ス
  破產管財人ハ其ノ受取リタル前項ノ郵便物又ハ電
  報ノ開披ヲ爲スコトヲ得
  破產者ハ前項ノ郵便物又ハ電報ノ閲覧ヲ求メ且破
  產財團ニ關セサルモノノ交付ヲ求ムルコトヲ得
  第百九十一條裁判所ハ破產者ノ申立ニ因リ破產管
  財人ノ意見ヲ聽キ前條第一項ノ囑託ヲ取消シ又ハ
  之ヲ制限スルコトヲ得
  破產取消若ハ破產廢止ノ決定カ確定シタルトキ又ハ
  破產終結ノ決定アリタルトキハ裁判所ハ前條第一項
  ノ囑託ヲ取消スコトヲ要ス
  第百九十二條第一回ノ債權者集會前ニ於テハ破產
  管財人ハ裁判所ノ許可ヲ得テ破產者及之ニ扶養セ
  ラルル者ニ扶助料ヲ與ヘ又ハ破產者ノ營業ヲ繼續ス
  ルコトヲ得
  貨幣、有價證劵其ノ他ノ高價品ノ保管方法ハ裁判
  所之ヲ定ム
  第百九十三條破產管財人ハ破產宣告ニ至リタル事
  情竝破產者及破產財團ニ關スル經過及現狀ニ付第
  一回ノ債權者集會ニ報告ヲ爲スコトヲ要ス
  第百九十四條第一囘ノ債權者集會ニ於テハ扶助料
  ノ給與、營業ノ廢止又ハ繼續及高價品ノ保管方法ニ
  付決議ヲ爲スコトヲ要ス
  第百九十五條破產管財人ハ別除權者ニ對シ其ノ權
  利ノ目的タル財產ヲ示スヘキコトヲ求ムルコトヲ得
  破產管財人カ前項ノ財產ヲ評價セムトスルトキハ別
  除權者ハ之ヲ拒ムコトヲ得ス
  第百九十六條一一般ノ債權調査ノ終了前ニ於テハ破
  產管財人ハ破產財團ノ換價ヲ爲スコトヲ得ス一般ノ
  債權調査ノ終了前强制和議ノ提供アリタル場合ニ
  於テ其ノ落著ニ至ル迄亦同シ
  破產財團ニ屬スル財産ニンテ遲滯ナク之ヲ換價スルニ非
  サレハ破產財團ニ損害ヲ生スル虞アルモノハ前項ノ規定ニ
  拘ラス監査委員ノ同意、監査委員ナキトキハ栽判所ノ
  許可ヲ得テ破產管財人其ノ換價ヲ爲スコトヲ得
  第百九十七條破產管財人左ニ揭クル行爲ヲ爲スニ
  ハ監査委員ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス但シ第七號乃至
  第十四號ニ揭クル行爲ニ付千圓以上ノ價額ヲ有ス
  ルモノニ關セサルトキハ此ノ限ニ在ラス
  不動產ニ關スル物權、登記スヽキ日本船舶及外
  國船舶ノ任意賣却
  二鑛業權、漁業權、特許權、意匠權、實用新案權
  及著作權ノ任意賣却
  三營業ノ譲渡
  四商品ノ一括賣却
  五借財
  六第九條第二項ノ規定ニ依ル相續抛棄ノ承認、
  第十條ノ規定ニ依ル包括遺贈拋棄ノ承認及第十
  一條第一項ノ規定ニ依ル特定遺贈ノ抛棄
  八七動產ノ任意賣却
  債權及有價證劵ノ譲渡
  九第五十九條第一項ノ規定ニ依ル履行ノ請求
  十訴ノ提起
  十一和解及仲裁契約
  十二權利ノ抛棄
  十三財團債權、取戾權及別除權ノ承認
  十四別除權ノ目的ノ受戾
  第百九十八條第一囘ノ債權者集會前ニ於テ前條ノ
  規定ニ依リ監査委員ノ同意ヲ要スル行爲ヲ爲スノ必
  要アルトキハ破產管財人ハ裁判所ノ許可ヲ得ルコト
  ヨルチ
  監資委員ヲ置カサル場合ニ於テハ破產管財人ハ債權
  者集會ノ決議ヲ經ルコトヲ要ス但シ急迫ノ必要アル
  トキハ裁判所ノ許可ヲ得ルヲ以テ足ル
  第百九十九條前二條ノ場合ニ於テ破產管財人ハ遲
  滯ノ虞アル場合ヲ除クノ外破產者ノ意見ヲ聽クコト
  ヲ要ス
  第二百條破產管財人カ第百九十七條ニ揭クル
  行爲ヲ爲スニ付監査委員ノ同意ヲ得タルトキト雖栽
  判所ハ破產者ノ申立ニ因リ其ノ行爲ノ執行ノ中止
  ヲ命シ且其ノ行爲ニ關スル決議ヲ爲サシムル爲債權
  者集會ヲ招集スルコトヲ得
  第二百一條破產管財人カ第百九十六條乃至第百
  九十八條ノ規定ニ違反シ又ハ前條ノ規定ニ依ル執行中
  止ノ命令ニ違反シタルトキト雖之ヲ以テ善意ノ第三
  者ニ對抗スルコトヲ得ス
  第二百二條第百九十七條第一號及第二號ニ揭クル
  モノノ換價ハ民事訴訟法ニ依リテ之ヲ爲ス
  第二百三條破產管財人ハ民事訴訟法ニ依リ別除權
  ノ目的タル財產ノ換價ヲ爲スコトヲ得此ノ場合ニ於
  テハ別除權者ハ之ヲ拒ムコトヲ得ス
  前項ノ場合ニ於テ別除權者ノ受クヘキ金額カ未タ確
  定セサルトキハ破產管財人ハ代金ヲ別ニ寄託スルコ
  トヲ要ス此ノ場合ニ於テハ別除權ハ代金ノ上ニ存ス
  第二百四條別除權者カ法律ニ定メタル方法ニ依ラス
  シテ別除權ノ目的ヲ處分スル權利ヲ有スルトキハ裁
  判所ハ破產管財人ノ申立ニ因リ別除權者カ其ノ處
  分ヲ爲スヘキ期間ヲ定ム
  別除權者カ前項ノ期間內ニ處分ヲ爲ササルトキハ前
  項ノ權利ヲ失フ
  第二百五條破產管財人ハ債權者集會ノ定ムル所ニ
  依リ債權者集會又ハ監査委員ニ破產財團ノ狀況ヲ
  報告スルコトヲ要ス
  第二百六條破產管財人カ其ノ寄託シタル貨幣、有價
  證劵其ノ他ノ高價品ノ返還ヲ求ムルニハ監查委員ノ
  同意、監査委員ナキトキハ裁判所ノ許可ヲ得ルコトヲ
  要ス但シ債權者集會ニ於テ別段ノ決議ヲ爲シタルト
  キハ其ノ決議ニ依ル
  破產管財人カ前項ノ規定ニ違反シタル場合ニ於テ受
  寄者カ善意ニシテ且過失ナキトキハ辨濟ハ其ノ效力
  ヲ有ス
  前二項ノ規定ハ破產管財人カ受寄者ヲシテ支拂其
  ノ他ノ給付ヲ爲サシムル爲證劵ヲ發行スル場合ニ之
  ヲ準用ス
  第二百七條商法第九十二條ノ規定ハ法人カ破產ノ
  宣告ヲ受ケタル場合ニ之ヲ準用ス相互保險會社カ破
  產ノ宣告ヲ受ケタル場合ニ於テ基金ノ支拂ニ付亦同
  シ
  第二百八條無限責任又ハ保證責任ノ相互保險會
  社カ破產ノ宣告ヲ受ケタルトキハ破產管財人ハ損失
  分擔ノ割合ニ應シ會社ノ債務ヲ辨濟スルニ必要ナル
  金額ヲ社員ニ賦課スルコトヲ要ス
  前項ノ場合ニ於テ社員中ニ無資力者アルトキハ其ノ
  負擔スヘキ金額ハ他ノ社員之ヲ負擔ス
  第二百九條前條ノ場合ニ於テハ破產管財人ハ第百
  八十九條第二項ノ規定ニ依リ財產目錄及貸借對照
  表ノ謄本ヲ裁判所ニ提出シタル後直ニ計算表ヲ作リ
  之ニ各社員ノ氏名、住所及負擔額ヲ記載スルコトヲ
  要ス
  第二百十條破產管財人ハ前條ノ計算表ニ主務官廳
  カ認證シタル定款ノ謄本ヲ添附シ之ヨ裁判所ニ提出
  シテ其ノ認可ヲ申請スルコトヲ要ス
  破產ノ宣告ヲ受ケタル相互保險會社ニ關スル登記簿
  カ破產裁判所タル區裁判所ノ出張所ニ在ルトキハ登
  記所カ交付シタル社員名簿ノ謄本ヲ申請書二添附ス
  ルコトヲ要ス
  第二百十一條前條ノ申請アリタルトキハ裁判所ハ計
  算表ニ記載シタル社員ヲ呼出タス爲期日ヲ定メ之ヲ
  公告スルコトヲ要ス
  裁判所ハ利害關係人ノ間覽ニ供スル爲期日ヨリ三
  日前ニ計算表ヲ備ヘ置クコトヲ要ス
  第二百十二條裁判所ハ前條ノ期日ニ於テ相互保險
  會社ノ取締役、監査役、破產管財人及監査委員ノ意
  見ヲ聽クコトヲ要ス
  社員ハ期日ニ於テ異議ヲ述フルコトヲ得
  第二百十三條裁判所ハ社員ノ異議ヲ理由アリトスル
  トキ其ノ他必要ト認ムルトキハ計算表ヲ更正シ又ハ
  破產管財人ヲシテ之ヲ更正セシメタル後計算表認可
  ノ決定ヲ爲スコトヲ要ス
  計算表認可ノ決定ハ期日又ハ直ニ言渡シタル一週
  間内ノ期日ニ於テ之ヲ言渡スコトヲ要ス
  計算表認可ノ決定書ハ利害關係人ノ閲覽ニ供スル
  爲計算表ト共ニ之ヲ備ヘ置クコトヲ要ス
  第二百十四條第二百十一條第一項及前條第一項
  第二項ノ規定ニ依ル決定ニ對シテハ不服ヲ申立ツル
  コトヲ得ス
  第二百十五條計算表認可ノ決定アリタルトキハ破產
  管財人ハ遲滯ナク各社員ヲシテ其ノ負擔額ノ拂込ヲ
  爲サシムルコトヲ要ス
  社員ニ對スル强制執行ハ執行文ヲ附シタル決定ノ正
  本及計算表ノ抄本ニ依リテ之ヲ爲ス
  民事訴訟法第五百二十一條、第五百四十五條及第
  五百四十六條ノ規定ニ依ル訴ハ第二百四十五條ニ
  定ムル裁判所ノ管轄ニ專屬ス
  第二百十六條各社員ハ計算表認可ノ決定言渡ノ日
  ヨリ一月ノ不變期間內ニ破產管財人ニ對シ計算表
  ニ付異議ノ訴ヲ提起スルコトヲ得
  異議ノ訴ハ期日ニ於テ其ノ理由ヲ主張シタルトキ又
  ハ過失ナクシテ之ヲ主張スルコト能ハサリシコトヲ疏
  明スルニ非サレハ之ヲ提起スルコトヲ得ス
  第二百十七條前條ノ異議ノ訴ハ破產裁判所ノ管轄
  ニ專屬ス但シ訴訟ノ目的ノ價額カ區裁判所ノ權限ヲ
  超ユル場合ニ於テ本案ノ辯論前ニ當事者ノ申立アリ〃
  タルトキハ決定ヲ以テ破產裁判所ノ所在地ヲ管轄ス
  ル地方裁判所ニ一切ノ事件ヲ移送スルコトヲ要ス
  前項ノ決定ニ對シテハ卽時抗告ヲ爲スコトヲ得其ノ
  抗告期間ハ決定言渡ノ日ヨリ之ヲ起算ス
  第一項ノ決定カ確定シタルトキハ事件ハ地方栽判所
  ニ繫屬ス此ノ場合ニ於テハ區〓判所ノ訴訟手續ニ關
  スル費用ハ之ヲ地方裁判所ノ訴訟手續ニ關スル費用
  ノ一部ト看做ス
  第二百十八條第二百十六條第一項ノ期間內ハ異
  議ノ訴ニ付口頭辯論ヲ開クコトヲ得ス
  數個ノ訴ノ辯論及栽判ハ併合シテ之ヲ爲スゴトヲ
  要ス
  第二百十九條强制執行ノ停止及續行竝執行處分
  ノ取消ニ付テハ民事訴訟法第五百四十七條及第五
  百四十八條ノ規定ヲ準用ス
  第二百二十條異議ノ訴ニ付爲シタル判決ハ社員ノ
  全員ニ對シテ其ノ效カヲ有ス
  第二百二十一條社員ノ無資力、異議ノ訴其ノ他ノ
  理由ニ因リ社員ニ對スル賦課ヲ必要トスルトキハ破
  產管財人ハ更ニ計算表ヲ作ルコトヲ要ス
  第二百二十二條最後ノ配當ノ許可アリタルトキハ破
  產管財人ハ最後ノ計算表ヲ作ルコトヲ要ス
  第二百二十三條最後ノ計算表ニ依リ全部ノ辨濟ヲ
  爲スニ足ルヘキ金額ヲ得ルコト能ハサルトキハ破產管
  財人ハ更ニ計算表ヲ作ルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ
  ハ脫退シタル社員ニ對シテモ亦其ノ責任ノ限度內ニ
  於テ賦課ヲ爲スコトヲ得
  第二百二十四條前十六條ノ規定ハ無限賞任又ハ保
  證責任ノ產業組合其ノ他ノ法人カ破產ノ宣告ヲ受
  ケタル場合ニ之ヲ準用ス
  第二百二十五條匿名組合契約カ營業者ノ破產ニ因
  リテ終了シタルトキハ破產管財人ハ匿名組合員カ負
  擔スヘキ損失ノ額ヲ限度トシテ出資ヲ爲サシムルコト
  ヲ得
  第二百二十六條相續人カ破產ノ宣告ヲ受ケタル後
  限定承認ヲ爲シタルトキ又ハ財產分離アリタルトキハ
  相續財產ノ處分ハ破產管財人之ヲ爲スコトヲ要ス限
  定承認又ハ財產分離アリタル後相續人カ破產ノ宣告
  ヲ受ケタルトキ亦同シ
  破產管財人カ前項ノ處分ヲ終ヘタルトキハ殘餘財產
  ニ付破產財團ノ財產目錄及貸借對照表ヲ補充スル
  コトヲ要ス
  前二項ノ規定ハ包括受造者カ破產ノ宣告ヲ受ケタル、
  場合ニ之ヲ準用ス
  第二百二十七條前條ノ規定ハ第八條又ハ第九條第
  一項ノ規定ニ依リ限定永認ノ效力ヲ有スル場合ニ之
  ヲ準用ス
  第七章破產債權ノ屆出及調査
  第二百二十八條破產債權者ハ裁判所ノ定メタル期
  間內ニ其ノ債權ノ額及原因、一般ノ先取特權其ノ他
  一般ノ優先權アルトキハ其ノ權利ヲ裁判所ニ屆出テ
  且證據書類又ハ其ノ謄本若ハ抄本ヲ提出スルコトヲ
  要ス
  別除權者ハ前項ニ規定スル事項ノ外別除權ノ目的
  及其ノ行使ニ依リテ辨濟ヲ受クルコト能ハサルヘキ債
  權額ヲ屆出ツルコトヲ要ス
  破產債權ニ付破產宣生ロノ當時訴訟カ繋屬スルトキハ
  第一項ニ規定スル事項ノ外裁判所、件名及番號ヲ屆
  出ツルコトヲ要ス
  第二百二十九條栽判所書記ハ債權表ヲ作リ之ニ左
  ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
  一債權者ノ氏名及住所
  二債權ノ額及原因
  三優先權アルトキハ其ノ權利
  四別除權者カ前條第二項ノ規定ニ依リテ届出テ
  タル債權額
  栽判所書記ハ債權表ノ謄本ヲ破產管財人ニ交付ス
  ルコトヲ要ス
  第二百三十條債權ノ屆出ニ關スル書類及債權表
  ハ利害關係人ノ閲覽ニ供スル爲之ヲ裁判所ニ備ヘ置
  クコトヲ要ス
  第二百三十一條債權調査ノ期日ニ於テハ屆出アリ
  タル各債權ニ付第二百二十九條第一項ニ揭クル事
  項ヲ調査ス
  第二百三十二條破產者ハ債權調査ノ期日ニ出頭シ
  テ意見ヲ述フルコトヲ要ス但シ正當ノ事由アルトキハ
  代理人ヲ出頭セシムルコトヲ得
  屆出ヲ爲シタル破產債權者又ハ其ノ代理人ハ債權
  調査ノ期日ニ出頭シテ意見ヲ述フルコトヲ得代理人
  ハ代理權ヲ證スル書面ヲ提出スルコトヲ要ス
  第二百三十三條債權ノ調査ハ破產管財人出頭スル
  ニ非サレハ之ヲ爲スコトヲ得ス
  第二百三十四條期間後ニ屆出アリタル債權ニ付テハ
  破產管財人及破產債權者ノ異議アル場合ヲ除クノ
  外債權調査ノ一般期日ニ於テ其ノ調査ヲ爲スコトヲ
  得
  破產管財人又ハ被產債權者ノ異議アリタルトキハ裁
  判所ハ前項ノ債權ノ調査ヲ爲ス爲特別期日ヲ定ムル
  コトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ費用ハ期間後ニ屆出ヲ
  爲シタル破產債權者ノ負擔トス
  第二百三十五條前條ノ規定ハ破產債權者カ屆出テ
  タル事項ニ付屆出期間後他ノ破產債權者ノ利益ヲ
  害スヘキ變更ヲ加ヘタル場合ニ之ヲ準用ス
  第二百三十六條第二百三十四條第一一項ノ規定ハ
  破產債權者カ債權調査ノ一般期日後ニ債權ノ屆出
  ヲ爲シタル場合ニ之ヲ準用ス
  第二百三十七條債權調査ノ特別期日ヲ定ムル決定
  ハ之ヲ公告シ且破産管財人、破產者及屆出ヲ爲シタ
  ル破產債權者ニ之ヲ送達スルコトヲ要ス
  第二百三十八條前條ノ規定ハ債權調査ノ期日ノ變
  更竝債權調査ノ延期及續行ニ之ヲ準用ス但シ言渡
  アリタルトキハ公告及送達ヲ爲スコトヲ要セス
  第二百三十九條前二條ノ規定ニ依ル決定ニ對シテ
  ハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス
  第二百四十條債權調査ノ期日ニ於テ破產管財人
  及破產債權者ノ異議ナカリシトキハ債權ノ額及優先
  權ハ之ニ因リテ確定ス
  破產者カ異議ヲ述ヘタル債權ニ付破產宣告ノ當時
  訴訟カ繋屬スルトキハ債權者ハ破產者ヲ相手方トシ
  テ之ヲ受繼クコトヲ得
  第二百四十一條裁判所ハ債權調査ノ結果ヲ債權表
  ニ記載スルコトヲ要ス破產者ノ述ヘタル異議亦同シ
  裁判所書記ハ確定シタル債權ノ證書ニ確定ノ旨ヲ記
  載シ裁判所ノ印ヲ押捺スルコトヲ要ス
  第二百四十二條確定債權ニ付テハ債權表ノ記載ハ
  破產債權者ノ全員ニ對シ確定判決ト同一ノ效力ヲ
  有ス
  第二百四十三條破產債權者カ債權調査ノ期日ニ
  出頭セサル場合ニ於テ其ノ債權ニ付異議アリタルト
  キハ裁判所ハ之ヲ其ノ債權者ニ通知スルコトヲ要ス
  第百十八條第一項ノ規定ハ前項ノ通知ニ之ヲ準用
  ス
  第二百四十四條異議アル債權ニ付テハ其ノ債權者
  ハ異議者ニ對シ訴ヲ以テ其ノ債權ノ確定ヲ求ムルコ
  トヲ得
  異議者數人アルトキハ之ヲ共同被告トス破產者カ異
  議者ノ一人ナルトキ亦同シ
  裁判所ハ債權者ニ其ノ債權ニ關スル債權表ノ抄本
  ヲ交付スルコトヲ要ス
  第二百四十五條債權確定ノ訴ハ破產裁判所ノ管
  轄ニ專屬ス但シ訴カ地方栽判所ノ權限ニ屬スルトキ
  ハ破產裁判所ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所ノ管
  轄ニ專屬ス
  第二百四十六條異議アル債權ニ付破產宣告ノ當時
  訴訟カ繋屬スル場合ニ於テ債權者カ其ノ債權ノ確定
  ヲ求メムトスルトキハ異議者ヲ相手方トシテ訴訟ヲ受
  8繼クコトヲ要ス
  第二百四十四條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ
  準用ス
  第二百四十七條破產債權者ハ第二百四十一條第
  一項ノ規定ニ依リ債權表ニ記載シタル事項ニ付テノ
  ミ債權確定ノ訴ヲ提起シ又ハ第二百四十條第二項
  若ハ前條ノ規定ニ依リ訴訟ヲ受繼クコトヲ得
  第二百四十八條執行力アル債務名義又ハ終局判決
  アル債權ニ付テハ異議者ハ破產者カ爲スコトヲ得ヘキ
  訴訟手續ニ依リテノミ其ノ異議ヲ主張スルコトヲ得
  第二百四十四條第二項、第三項、第二百四十六條
  及前條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
  第二百四十九條裁判所ハ破產管財人又ハ破產債
  權者ノ申立ニ因リ債權ノ確定ニ關スル訴訟ノ結果ヲ
  債權表ニ記載スルコトヲ要ス
  第二百五十條債權ノ確定ニ關スル訴訟ニ付爲シタ
  ル判決ハ破產債權者ノ全員ニ對シテ其ノ效力ヲ有ス
  第二百五十一條破產財團カ債權ノ確定ニ關スル訴
  訟ニ因リテ利益ヲ受ケタルトキハ異議ヲ主張シタル破
  產債權者ハ其ノ利益ノ限度ニ於テ財團債權者トシ
  テ訴訟費用ノ償還ヲ請求スルコトヲ得
  第二百五十二條債權ノ確定ニ關スル訴訟ト目的ノ
  價額ハ配當ノ豫定額ヲ標準トシ受訴裁判所之ヲ定
  ム
  第二百五十三條公訴附帶ノ私訴ニ付テハ第二百四
  十六條又ハ第二百四十八條ノ規定ニ依リ訴訟ヲ受
  繼キ、上訴ヲ爲シ又ハ再審ノ訴ヲ提起スルコトヲ得ス
  公訴附帶ノ私訴ノ目的タル債權ニ付破產者カ異議
  者ノ一人ナル場合ニ於テハ之ヲ共同被告トスルコト
  ヲ得ス
  第二百五十四條第三十八條第四號ニ揭クル請求權
  ニ付テハ國又ハ公共團體ハ遲滯ナク其ノ額及原因ヲ
  裁判所ニ屆出ツルコトヲ要ス
  第二百四十一條第一項ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ
  屆出アリタル請求權ニ付之ヲ準用ス
  第二百五十五條前條第一項ノ規定ニ依リ屈出アリ
  タル請求權ノ原因カ訴願又ハ行政訴訟ヲ爲スコトヲ
  得ヘキ處分ナルトキハ栽判所ハ遲滯ナク其ノ請求權
  ノ額及原因ヲ破產管財人ニ通知スルコトヲ要ス
  第二百四十八條乃至第二百五十條ノ規定ハ破產
  管財人ガ異議ヲ主張スル場合ニ之ヲ準用ス
  第八章配當
  第二百五十六條一般ノ債權調査終了後ニ於テハ破
  產管財人配當スルニ適當ナル金錢アリト認ムル每ニ
  遲滯ナク配當ヲ爲スコトヲ要ス
  第二百五十七條破產管財人配當ヲ爲スニハ監査委
  員ノ同意、監査委員ナキトキハ裁判所ノ許可ヲ得ル
  トヲ要ス
  第二百五十八條破產管財人ハ配當表ヲ作リ之ニ左
  ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
  配當ニ加フヘキ債權者ノ氏名及住所
  二配當ニ加フヘキ債權ノ額
  三配當スルコトヲ得ヘキ金額
  配當ニ加フヘキ債權ハ優先權ノ有無ニ依リテ之ヲ區
  別シ優先權アルモノニ付テハ其ノ順位ニ從ヒテ之ヲ記
  載スルコトヲ要ス
  第二百五十九條破產管財人ハ利害關係人ノ閲覧ニ
  供スル爲配當表ヲ裁判所ニ提出スルコトヲ要ス
  第二百六十條破產管財人ハ配當ニ加フヘキ債權
  ノ總額及配當スルコトヲ得ヘキ金額ヲ公告スルコト
  ヲ要ス
  第二百六十一條異議アル債權ニ付テハ債權者カ配
  當ノ公告アリタル曰ヨリ起算シテ二週間內ニ破產管
  財人ニ對シ其ノ債權ノ確定ニ關スル訴ノ提起又ハ訴
  訟ノ受繼ヲ爲シタルコトヲ證明セサルトキハ其ノ配當
  ヨリ除斥セラル
  第二百六十二條別除權者カ前條ニ定ムル除斥期間
  內ニ破産管財人ニ對シ其ノ權利ノ目的ノ處分ニ著
  手シタルコトヲ證明シ且其ノ處分ニ依リテ辨濟ヲ受ク
  ルコト能ハサルヘキ債權額ヲ疏明セサルトキハ配當ヨ
  リ除斥セラル
  第二百六十三條左ノ場合ニ於テハ破產管財人ハ直
  ニ配當表ヲ更正スルコトヲ要ス
  債權表ヲ更正スヘキ事由カ除斥期間內ニ生シタ
  ルトキ
  二前二條ニ定ムル事項ノ證明及疏明アリタルトキ
  三別除權者カ除斥期間內ニ破產管財人ニ對シ其
  ノ權利抛棄ノ意思ヲ表示シ又ハ其ノ權利ノ行使ニ
  依リテ辨濟ヲ受クルコト能ハサリシ債權額ヲ證明
  シタルトキ
  第二百六十四條債權者ハ配當表ニ對シ除斥期間經
  過ノ後一週間內ニ限リ裁判所ニ異議ヲ申立ツルコト
  ヲ得
  裁判所カ配當表ノ更正ヲ命シタルトキハ其ノ決定書
  ハ利害關係人ノ閲覽ニ供スル爲之ヲ備ヘ置クコトヲ
  要ス此ノ場合ニ於テ抗告期間ハ決定書フ備ヘタル日
  ヨリ之ヲ起算ス
  第二百六十五條破產管財人ハ前條第一項ニ定ムル
  期間經過シタル後、異議ノ申立アリタルトキハ其ノ決
  定アリタル後遲滯ナク配當率ヲ定メ配當ニ加フヘキ
  各債權者ニ對シテ其ノ通知ヲ發スルコトヲ要ス
  配當率ヲ定ムルニハ監査委員ノ同意、監査委員ナキ
  トキハ裁判所ノ許可ヲ得ルコトヲ要ス
  第二百六十六條解除條件附債權ヲ有スル者ハ相當
  ノ擔保ヲ供スルニ非サレハ配當ヲ受クルコトヲ得ス
  第二百六十七條强制和議ノ提供アリタルトキハ裁判
  所ハ破產管財人カ未夕配當率ノ通知ヲ發セサル場合
  ニ限リ提供者ノ申立ニ因リ其ノ配當ノ中止ヲ命スル
  コトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ旨ヲ公告スルコトヲ要
  ス
  第二百六十八條前條ノ規定ニ依リ配當ノ中止ヲ命
  シタル場合ニ於テ强制和議ノ提供ノ棄却若ハ其ノ不
  認可ノ決定カ確定シタルトキ又ハ債權者集會ニ於テ
  强制和議ヲ否決シタルトキハ裁判所ハ配當手續ヲ續
  行スヘキコトヲ命ス此ノ場合ニ於テハ其ノ旨ヲ公告ス
  ルコトヲ要ス
  第二百六十九條債權者ハ破產管財人ニ就キ配當ヲ
  受クルコトヲ要ス
  破產管財人力配當ヲ爲シタルトキハ債權表及債權ノ
  證書ニ配當シタル金額ヲ記入シ之ニ記名捺印スルコ
  トヲ要ス
  第二百七十條第二百六十一條又ハ第二百六十
  二條ニ定ムル事項ヲ證明又ハ疏明セサルニ因リテ配當
  ヨリ除斤セラレタル債權者カ後ノ配當ニ關スル除斥
  期間內ニ其ノ證明又ハ疏明ヲ爲シタルトキハ前ノ配
  當ニ於テ受クヘカリシ額ニ付他ノ同順位ノ債權者ニ
  先チテ配當ヲ受クルコトヲ得
  第二百七十一條左ニ揭クル債權ニ對スル配當額ハ破
  產管財人之ヲ寄託スルコトヲ要ス
  第二百四十四條、第二百四十六條又ハ第二百
  四十八條ノ規定ニ依リ異議アル債權ニ付訴ノ提
  起又ハ訴訟ノ受繼アリタルモノ
  二配當率ノ通知ヲ發スル前ニ訴願又ハ行政訴訟ノ
  落著セサル債權
  三第二百六十二條ノ規定ニ依リ別除權者カ疏明
  シタル債權額
  四停止條件附債權及將來ノ請求權
  五第二百六十六條ノ規定ニ依リ擔保ヲ供セサル
  場合ニ於ケル解除條件附債權
  第二百七十二條破產管財人最後ノ配當ヲ爲スニハ
  監査委員ノ同意アリタルトキト雖栽判所ノ許可ヲ得
  ルコトヲ要ス
  第二百七十三條最後ノ配當ニ關スル除斥期間ハ配
  當ノ公告アリタル日ヨリ起算シテ二週間以上一月內
  ニ於テ裁判所之ヲ定ム此ノ決定ニ對シテハ不服ヲ申
  立ツルコトヲ得ス
  第二百七十四條最後ノ配當ニ在リテハ破產管財人
  ハ配當表ニ對スル異議落著ノ後遲滯ナク各債權者ニ
  對スル配當額ヲ定メ其ノ通知ヲ發スルコトヲ要ス
  第二百七十五條停止條件附債權又ハ將來ノ請求權
  カ最後ノ配當ニ關スル除斥期間內ニ之ヲ行使スルコ
  トヲ得ルニ至ラサルトキハ其ノ債權者ハ配當ヨリ除斥
  セラル
  第二百七十六條解除條件附債權ノ條件カ最後ノ配
  當ニ關スル除斥期間内ニ成就セサルトキハ第二百六
  十六條ノ規定ニ依リテ供シタル擔保ハ其ノ效力ヲ失
  ヒ第二百七十一條第五號ノ規定ニ依リテ寄託シタル
  金額ハ之ヲ其ノ債權者ニ支拂フコトヲ要ス第百一條
  ノ規定ニ依リテ供シタル擔保又ハ寄託シタル金額亦
  同シ
  第二百七十七條別除權者カ最後ノ配當ニ關スル除
  斥期間內ニ破產管財人ニ對シ其ノ權利抛棄ノ意思
  ヲ表示セス又ハ其ノ權利ノ行使ニ依リテ辨濟ヲ受ク
  ルコト能ハサリシ債權額ヲ證明セサルトキハ配當ヨリ
  除斥セラル
  第二百七十八條第二百七十五條又ハ前條ノ規定ニ
  依リテ除斥セラレタル債權者ノ爲ニ寄託シタル金額ハ
  之ヲ他ノ債權者ニ配當スルコトヲ要ス第百條ノ規定
  ニ依リテ寄託シタル金額亦同シ
  第二百七十九條配當額ノ通知ヲ發スル前新ニ配當
  ニ充ツヘキ財產アルニ至リタルトキハ破產管財人ハ遲
  滯ナク配當表ヲ更正スルコトヲ要ス
  第二百八十條左ニ揭クル配當額ハ債權者ノ爲破
  產管財人之ヲ供託スルコトヲ要ス
  -第二百七十一條第一號又ハ第二號ノ規定ニ依
  リ寄託シタル配當額
  二配當額ノ通知ヲ發スル前ニ異議ノ訴、訴願又ハ
  行政訴訟ノ落著セサル債權ニ對スル配當額
  三債權者カ受取ラサル配當額
  第二百八十一條計算報告ノ爲ニ招集シタル債權者
  集會ニ於テハ破產管財人カ價値ナキ爲換價セサリシ
  財產ノ處分ニ付決議ヲ爲スコトヲ要ス
  第二百八十二條債權者集會終結シタルトキハ裁判
  所ハ破產終結ノ決定ヲ爲シ且其ノ主文及理由ノ要
  領ヲ公告スルコトヲ要ス
  前項ノ決定ニ對シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス
  第二百八十三條配當額ノ通知ヲ發シタル後新ニ配
  當ニ充ツヘキ相當ノ財產アルニ至リタルトキハ破產管
  財人ハ裁判所ノ許可ヲ得テ追加配當ヲ爲スコトヲ要
  ス破產終結ノ決定アリタル後ト雖亦同シ
  破產管財人追加配當ノ許可ヲ得タルトキハ遲滯ナク
  配當スルコトヲ得ヘキ金額ヲ公〓シ且各債權者ニ對
  スル配當額ヲ定メ其ノ通知ヲ發スルコトヲ要ス
  第二百八十四條追加配當ハ最後ノ配當ニ付作リタ
  ル配當表ニ依リテ之ヲ爲ス
  第二百八十五條破產管財人追加配當ヲ爲シタルト
  キハ遲滯ナク計算報告書ヲ作リ之ヲ裁判所ニ提出シ
  テ其ノ認可ヲ申請スルコトヲ要ス
  第二百八十六條配當率又ハ配當額ノ通知ヲ發スル
  前破產管財人ニ知レサル財團債權者ハ各配當ニ於
  テ配當スヘキ金額ヲ以チ辨濟ヲ受クルコトヲ得ス
  第二百八十七條確定債權ニ付テハ破產者カ債權調
  査ノ期日ニ於テ其ノ債權ニ對シテ異議ヲ述へサリシ場
  合ニ限リ債權表ノ記載ハ破產者ニ對シ確定判決ト
  同一ノ效力ヲ有ス
  債權者ハ破產終結ノ後債權表ノ記載ニ基キテ强制
  執行ヲ爲スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第二百十五條
  第三項及民事訴訟法第五百十六條乃至第五百五
  十八條ノ規定ヲ準用ス
  第二百八十八條破產者カ天災其ノ他避クヘカラサル
  事變ノ爲債權調査ノ期日ニ出頭スルコト能ハサリシ
  トキハ破產裁判所ニ原狀囘復ノ申立ヲ爲スコトヲ
  得
  裁判所ハ職權ヲ以テ破產者ノ異議アル債權ノ債權
  者ニ原狀囘復ノ申立書ヲ送達スルコトヲ要ス
  裁判所原狀回復ヲ許シタルトキハ破產者カ債權調査
  ノ期日ニ於テ異議ヲ述ヘタルト同一ノ效力ヲ生ス此
  ノ場合ニ於テハ裁判所ハ債權表ニ異議ノ記載ヲ爲ス
  コトヲ要ス
  民事訴訟法第百七十五條及第百七十六條第二項
  ノ規定ハ第一項ニ定ムル原狀囘復ニ付之ヲ準用ス
  第二百八十九條相續財產ニ對シテ破產ノ宣告アリ
  タル場合ニ於テ最後ノ配當ヨリ除斥セラレタル相續
  債權者及受遺者ハ殘餘財產ニ付其ノ權利ヲ行フコ
  トヲ得
  第九章强制和議
  第二百九十條破產者ハ何時ニテモ强制和議ノ提
  供ヲ爲スコトヲ得
  第二百九十一條强制和議ノ提供ハ法人ニ在リテハ
  理事又ハ之ニ準スヘキ者ノ一致アルコトヲ要ス
  第二百九十二條强制和議ノ提供ハ相續財產ニ在リ
  テハ相續人之ヲ爲シ相續人數人アルトキハ其ノ一致
  アルコトヲ要ス
  第二百九十三條一般ノ先取特權其ノ他一般ノ優先
  權ヲ有スル者ハ强制和議ニ付テハ之ヲ破產債權者ト
  看做サス
  第二百九十四條强制和議ノ提供ヲ爲スニハ提供者
  ハ辨濟ノ方法擔保ヲ供セムトスルトキハ其ノ擔保其ノ
  他强制和議ノ條件ヲ裁判所ニ申出ツルコトヲ要ス
  第二百九十五條强制和議ノ提供者ノ所在不明ナル
  トキ又ハ詐欺破產ノ公訴繫屬スルトキハ强制和議ヲ
  爲スコトヲ得ス詐欺破產ニ付有罪ノ判決確定シタル
  トキ亦同シ
  第二百九十六條左ノ場合ニ於テハ裁判所ハ破產管
  財人及監査委員ノ意見ヲ聽キ强制和議ノ提供ヲ棄
  却スルコトヲ得
  一債權者集會ニ於テ强制和議ヲ否決シタルコトア
  ルトキ
  二强制和議ノ爲ニスル債權者集會ノ期日公告後
  ニ其ノ提供ヲ撤回シタルコトアルトキ
  三强制和議不認可ノ決定ヲ爲シタルコトアルトキ
  四强制和議取消ノ決定ヲ爲シタルコトアルトキ
  第二百九十七條裁判所强制和議ノ提供ヲ棄却セサ
  ル場合ニ於テ監査委員アルトキハ之ヲシテ意見書ヲ
  提出セシムルコトヲ要ス
  第二百九十八條强制和議ノ提供ニ關スル書類及監
  査委員ノ意見書ハ利害關係人ノ閲覽ニ供スル爲之
  ヲ裁判所ニ備へ置クコトヲ要ス
  第二百九十九條强制和議ノ爲ニスル債權者集會ノ
  期日ハ其ノ決定公告ノ日ヨリ一月內ニ於テ之ヲ定ム
  ルコトヲ要ス
  期日ニハ屆出ヲ爲シタル破產債權者、强制和議ノ提
  供者、强制和議ノ爲ニ保證人ト爲リ其ノ他破產者ト
  共ニ債權ヲ負擔シ又ハ破產債權者ノ爲ニ擔保ヲ供ス
  ル者、破產管財人及監査委員ヲ呼出スコトヲ要ス
  前項ニ規定スル者ニハ强制和議ノ條件及監査委員
  ノ意見ノ要領ヲ記載シタル書面ヲ送達スルコトヲ要ス
  第三百條裁判所ハ强制和議ノ提供者及監査委員
  ノ申立ニ因リ强制和議ノ爲ニスル債權者集會ノ期日
  ヲ債權調査ノ一般期日ト併合スルコトヲ得
  第三百一條强制和議ノ提供者ハ期日ニ出頭シテ强
  制和議ノ申立ヲ爲スコトヲ要ス但シ正當ノ事由フル
  トキハ代理人ヲ出頭セシムルコトヲ得
  代理人ハ代理權ヲ證スル書面ヲ提出スルコトヲ要ス
  强制和議ノ提供者又ハ其ノ代理人期日ニ出頭シテ
  强制和議ノ申立ヲ爲ササルトキハ其ノ提供ヲ撤回シ
  タルモノト看做ス
  第三百二條强制和議ノ提供者ハ破產債權者ヲ利ス
  ル場合ニ限リ債權者集會ニ於テ其ノ條件ヲ變更スル
  コトヲ得
  第三百三條强制和議ハ一般ノ債權調査ノ終了前又
  ハ最後ノ配當ノ許可アリタル後ハ之ヲ決議スルコトヲ
  得ス
  第三百四條强制和議ノ條件ハ各破產債權者ニ付平
  等ナルコトヲ要ス但シ不利益ヲ受クル者ノ同意アリタ
  ルトキハ此ノ限ニ在ラス
  第三百五條强制和議ノ提供者又ハ第三者カ强制和
  議ノ條件ニ依ラスシテ或破產債權者ニ特別ノ利益ヲ
  與フル行爲ハ之ヲ無效トス
  第三百六條强制和議ヲ可決スルニハ議決權ヲ行フコ
  トヲ得ヘキ出席破產債權者ノ過半數ニシテ其ノ債權
  額カ屆出ヲ爲シタル破產債權者ノ總債權ノ四分ノ三
  以上ニ當ル者ノ同意アルユトヲ要ス
  前項ノ債權額及總債權ノ計算ニ付テハ確定債權ニ
  在リテハ其ノ額ニ依リ其ノ他ノ債權ニ在リテハ裁判
  所カ第百八十二條第二項ノ規定ニ依リ定メタル所ニ
  依ル
  第三百七條、前條ニ規定スル條件ノ一カ成立シタルト
  キ又ハ議決權ヲ行フコトヲ得ヘキ出席破產債權者ノ
  過半數ニシテ其ノ債權額力其ノ者ノ總債權ノ半額ニ
  超ユル者カ期日ノ續行ニ同意シタルトキハ裁判所ハ
  强制和議ノ提供者ノ申立ニ因リ又ハ職權ヲ以テ續
  行期日ヲ定メ之ヲ言渡スコトヲ要ス
  第三百八條强制和議ノ可決アリタルトキハ裁判所ハ
  其ノ期日ニ言渡シタル期日ニ於テ强制和議ノ認否ニ
  付決定ヲ爲スコトヲ要ス
  第二百九十九條第二項ニ規定スル者ハ强制和議ノ
  認否ニ付意見ヲ述フルコトヲ得
  第三百九條第二百三十八條但書及第二百三十九
  條ノ規定ハ前二條ノ規定ニ依リ期日ヲ定ムル決定ニ
  之ヲ準用ス
  第三百十條栽判所ハ左ノ場合ニ限リ破產債權者ノ
  申立ニ因リ又ハ職權ヲ以テ强制和議不認可ノ決定
  ヲ爲スコトヲ得
  强制和議ノ手續又ハ決議カ法律ノ規定ニ反ス
  ル場合ニ於テ其ノ欠缺カ追完スヘカラサルモノナル
  トキ
  二第二百九十五條ニ規定スル事由カ强制和議ノ
  決議後ニ生シタルトキ
  三强制和議ノ決議カ不正ノ方法ニ因リテ成立スル
  ニ至リタルトキ
  四强制和議ノ決議カ破產債權者ノ一般ノ利益ニ
  反スルトキ
  議決權ヲ有セサリシ破產債權者カ前項ノ申立ヲ爲ス
  ニハ其ノ破產債權者タルコトヲ疏明スルコトヲ要ス
  申立人ハ申立ノ原因タル事實ヲ疏明スルコトヲ要ス
  第三百十一條法人カ破產ノ宣告ヲ受ケタル場合ニ
  於テ强制和議ノ可決アリタルトキハ社團法人ニ在リ
  テハ定款ノ變更ニ關スル規定ニ從ヒ財團法人ニ在リ
  テハ主務官廳ノ認可ヲ得テ法人ヲ繼續スルコトヲ得
  第三百十二條法人ヲ繼續スルカ否ノ定リタルトキ
  又ハ遲滯ナク其ノ手續ヲ爲ザサルトキハ裁判所ハ其ノ
  法人ノ理事又ハ之ニ準スヘキ者ノ申立ニ因リ又ハ職
  權ヲ以テ强制和議ノ認否ニ付決定ヲ爲ス爲期日ヲ
  定メ之ヲ公告スルコトヲ要ス
  前項ノ期日ノ決定ニ對シテハ不服ヲ中立ツルコトヲ
  得ス
  法人ヲ繼續セサルトキ又ハ遲滯ナク其ノ手續ヲ爲ササ
  ルトキハ裁判所ハ强制和議不認可ノ決定ヲ爲スコト
  ヲ要ス
  第三百十三條相續財產ニ對シテ破產ノ宣告アリタル
  場合ニ於テハ相續債權者ニ限リ强制和議ニ關スル決
  議ニ加ハルコトヲ得
  第三百十四條相續財產ニ對シ破產ノ申立ヲ爲スコ
  トヲ得ル期間内ノ中立ニ因リ相續人ニ對シテ破產ノ宣
  〓限定永認又ハ財產分離アリタルトキ
  告アリタル場合ニ於テ。ハ相續人ノ債權者ニ限リ强制
  和議ニ關スル決議ニ加ハルコトヲ得
  第三百十五條相續財產及相續人又ハ前戶主ニ對シテ
  被產ノ宣告アリタル場合ニ於テハ相續人又ハ前戶主ノ
  强制和議ニ付テハ相續人ノ債權者又ハ前戶主ノ相續
  開始後ノ債權者ニ限リ之ニ關スル決議ニ加ハルコトヲ得
  第三百十六條前三條ノ場合ニ於テハ强制和議ニ關
  スル決議ニ加ハルコトヲ得サル破產債權者ノ債權ハ
  第三百六條第一項ノ總債權ニ之ヲ算入セス
  第三百十七條强制和議カ前條ノ破產債權者ノ正當
  ノ利益ヲ害スヘキトキハ裁判所ハ其ノ申立ニ因リ强制
  和議不認可ノ決定ヲ爲スコトヲ要ス
  第三百十條第二項及第三項ノ規定ハ前項ノ申立ニ
  之ヲ準用ス
  第三百十八條强制和議認否ノ決定ハ之ヲ言渡シ且
  公告スルコトヲ要ス但シ送達ヲ爲スコトヲ要セス
  第三百十九條議決權ヲ有セサリシ破產債權者カ强
  制和議認否ノ決定ニ對シテ不服ヲ申立ツルニハ其ノ
  破產債權者タルコトヲ疏明スルコトヲ要ス
  第三百二十條强制和議ニ關スル決議ニ加ハルコトヲ
  得サル破產債權者ハ强制和議不認可ノ決定ニ對シ
  テハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス
  第三百二十一條强制和議ハ認可ノ決定ノ確定ニ因
  リテ其ノ效力ヲ生ス
  第三百二十二條强制和議認可ノ決定カ確定シタル
  トキハ裁判所書記ハ强制和議ノ條件ヲ債權表ニ記
  載スルコトヲ要ス
  第三百二十三條强制和議認可ノ決定カ確定シタル
  トキハ破產管財人ハ財團債權者及一般ノ先取特權
  其ノ他一般ノ優先權ヲ有スル者ノ確定債權ノ辨濟ヲ
  爲スコトヲ要ス
  財團債權及一般ノ優先權アル債權ニシテ異議アルモ
  ノニ付テハ破產管財人ハ債權者ノ爲供託ヲ爲スコト
  ヲ要ス破產管財人ニ對シ疏明アリタル一般ノ優先權
  アル債權ニ付亦同シ
  第三百二十四條第二百八十二條ノ規定ハ强制和
  議ノ認可ノ決定カ確定シタル場合ニ之ヲ準用ス
  第三百二十五條破產財團ノ管理及處分ニ付テハ破
  產者ハ强制和議ニ定メタル制限ニ從フコトヲ要ス
  第三百二十六條强制和議ハ破產債權者ノ全員ノ爲
  且其ノ全員ニ對シテ效力ヲ有ス
  强制和議ハ破產債權者カ破產者ノ保證人其ノ他破
  產者ト共ニ債務ヲ負擔スル者ニ對シテ有スル權利及
  破產債權者ノ爲ニ供シタル擔保ニ影響ヲ及ホサス
  第三百二十七條法人ノ債務ニ付責任ヲ負フ社員ハ
  破產債權者ニ對シ强制和議ノ定ムル限度ニ於テ其ノ
  責任ヲ負フ但シ强制和議ニ別段ノ定アルトキハ其イ
  定ニ從フ
  第三百二十八條確定債權ヲ有スル破產債權者ハ破
  產者カ債權調査ノ期日ニ於テ其ノ債權ニ對シ異議ヲ
  述ヘサリシ場合ニ限リ破產終結ノ後破產者、强制和
  議ノ爲ニ保證人ト爲リ其ノ他破產者ト共ニ債務ヲ負
  擔シ又ハ破產債權者ノ爲ニ擔保ヲ供シタル者ニ對シ
  債權表ノ記載ニ基キテ强制執行ヲ爲スコトヲ得但シ
  民法第四百五十二條及第四百五十三條ノ適用ヲ
  妨ケス
  第二百十五條第三項及民事訴訟法第五百十六條
  乃至第五百五十八條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準
  用ス
  第三百二十九條强制和議カ不正ノ方法ニ因リテ成
  立スルニ至リタルトキハ各破產債權者ハ强制和議ヲ
  以テ定メタル讓歩ヲ取消スコトヲ得但シ過失ニ因リ
  强制和議不認可ノ申立ヲ爲ササリシ破產債權者ハ
  此ノ限ニ在ラス
  讓歩ノ取消權ハ破產債權者カ取消ノ原因ヲ知リタル
  時ヨリ一月間之ヲ行ハサルトキハ消滅ス强制和議認
  可ノ決定確定ノ時ヨリ二年ヲ經過シタルトキ亦同シ
  第三百三十條破產者カ强制和議ノ履行ヲ怠リタル
  トキハ其ノ履行ヲ受ケサル破產債權者ハ强制和議ヲ
  以テ定メタル讓步ヲ取消スコトヲ得
  第三百三十一條譲歩ノ取消ハ破產債權者カ强制和
  議ニ因リテ得タル權利ニ影響ヲ及ホサス
  讓步ノ取消ニ因リテ囘復シタル債權額ニ付テハ破產
  債權者ハ强制和議ノ履行完了ノ後ニ非サレハ其ノ權
  利ヲ行フコトヲ得ス
  第三百三十二條破產者カ强制和議ノ履行ヲ怠リタ
  ル場合ニ於テ屆出ヲ爲シタル破產債權者ノ過半數ニ
  シテ其ノ債權額カ其ノ者ノ總債權ノ四分ノ三以上ニ
  當ル者ノ申立アリタルトキハ裁判所ハ强制和議取消
  ノ決定ヲ爲スコトヲ要ス
  强制和議ノ定ムル所ニ從ヒ全部ノ履行ヲ受ケタル破
  產債權者ハ前項ノ申立ニ必要ナル員數ニハ之ヲ算入
  セス全部又ハ一部ノ履行ヲ受ケタル者ニ付テハ從前
  ノ破產債權ノ額ヨリ其ノ受ケタル額ヲ控除シタルモノ
  ヲ以テ其ノ債權額トス
  第一項ノ債權額及總債權ノ計算ニ付テハ第三百六
  條第二項ノ規定ヲ準用ス
  第三百三十三條詐欺破產ニ付有罪ノ判決カ確定シ
  タルトキハ裁判所ハ破產債權者ノ申立ニ因リ又ハ職
  權ヲ以テ强制和議取消ノ決定ヲ爲スコトヲ得
  裁判所ハ有罪ノ判決確定前ト雖第百五十四條及第
  百五十五條ニ定ムル處分ヲ命スルコトヲ得
  第三百三十四條第三百三十一條第一項ノ規定ハ
  强制和議ノ取消ニ之ヲ準用ス
  第三百三十五條强制和議取消ノ決定カ確定シタル
  トキハ破產手續ヲ續行ス
  第三百三十六條第一編ノ規定ノ適用ニ付テハ强制
  和議ノ取消ハ之ヲ破產ノ宣告ト看做シ第三百三十
  二條ノ場合ニ在リテハ强制和議取消ノ申立、第三百
  三十三條ノ場合ニ在リテハ公訴ノ提起ハ其ノ前ニ支
  拂ノ停止又ハ破產ノ申立ナキトキハ之ヲ支拂ノ停止
  又ハ破產ノ申立ト看做ス
  第三百三十七條第百四十一條乃至第百四十六條
  及第百五十四條乃至第百五十六條ノ規定ハ强制
  和議ノ取消ニ付之ヲ準用ス
  破產手續續行ノ費用ハ假ニ國庫ヨリ之ヲ支辨ス
  第三百三十八條强制和議ノ效力ヲ受ケタル債權者
  ニ付テハ從前ノ破產債權]ノ額ヨリ强制和議ノ定ムル
  所ニ從ヒテ受ケタル額ヲ控除シタルモノヲ以テ破產債
  權ノ額トス
  第三百三十九條從前ノ確定債權ニ付テハ破產債權
  者カ强制和議ノ定ムル所ニ從ヒテ受ケタル額ノミヲ
  調査ス
  第三百四十條强制和議ノ效力ヲ受ケタル債權者カ
  强制和議ノ定ムル所ニ從ヒテ受ケタルモノアルトキハ
  從前ノ破產債權ノ額ヲ以テ配當ニ加フヘキ債權ノ額
  ト看做シ破產財團ニ其ノ債權者カ受ケタルモノヲ加
  算シテ配當率ノ標準ヲ定ム但シ其ノ債權者ハ他ノ破
  產債權者カ自己ノ受ケタルモノト同一ノ割合ノ配當
  ヲ受クル迄ハ配當ヲ受クルコトヲ得ス
  第三百四十一條破產終結ノ後破產者カ强制和議ノ
  效力ヲ受ケタル債權者ニ對シテ爲シタル擔保ノ供與
  ハ强制和議ノ取消ニ因リテ其ノ效力ヲ失フ
  第三百四十二條强制和議ノ效力ヲ受ケタル債權者
  ハ從前ノ債權ニ付テハ破產ノ申立ヲ爲スコトヲ得ス
  第三百四十三條强制和議取消ノ申立及破產ノ申
  立アリタル場合ニ於テ裁判所カ其ノ一ニ付强制和議
  取消ノ決定又ハ破產ノ宣告ヲ爲シタルトキハ他ノ一
  ノ申立ヲ棄却スルコトヲ要ス
  前項ノ規定ニ依ル棄却ノ決定ニ對シテハ不服ヲ申立
  ツルコトヲ得ス
  第三百四十四條第三百三十一條第一項及第三百
  三十八條乃至第三百四十一條ノ規定ハ强制和議ノ
  履行完了前ニ破產ノ宣告アリタル場合ニ之ヲ準用ス
  第三百三十三條ノ規定ニ依リ强制和議取消ノ決定
  ヲ爲スコトヲ得ル場合ニ於テ破產ノ宣告アリタルトキ
  亦同シ
  第三百四十五條相續財產ニ對シテ破產ノ宣告アリ
  タル場合ニ於テハ相續人ハ强制和議ノ履行完了前其
  ノ固有財產ニ於ケルト同一ノ注意ヲ以テ相續財產ノ
  管理ヲ繼續スルコトヲ要ス但シ强制和議ニ別段ノ定
  アルトキハ其ノ定ニ從フ
  民法第六百四十五條、第六百四十六條、第六百五
  十條第一項、第二項及第千二十一條第二項、第三
  項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
  第三百四十六條第三十一條ノ規定ハ相續財產ニ關
  スル强制和議取消ノ申立ニ之ヲ準用ス
  第十章破產廢止
  第三百四十七條破產者ハ債權屆出ノ期間內ニ屆出
  ヲ爲シタル總破產債權者ノ同意ヲ得タルトキ又ハ同
  意ヲ爲ササル破產債權者ニ對シ他ノ破產債權者ノ同
  意ヲ得テ破產財團ヨリ擔保ヲ供シタルトキハ破產廢
  止ノ申立ヲ爲スコトヲ得
  未確定債權ニ付其ノ債權者ノ同意ヲ必要トスヘキカ
  否ハ裁判所之ヲ定ム破產債權者ニ供スヘキ擔保カ相
  當ナルカ否ニ付亦同シ
  前項ノ規定ニ依ル決定ニ對シテハ不服ヲ申立ツルコ
  トヲ得ス
  第三百四十八條法人カ破產ノ宣告ヲ受ケタル場合
  ニ於テ破產廢止ノ申立ヲ爲スニハ法人繼續ノ手續ヲ
  爲スコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ第三百十一條ノ規
  定ヲ準用ス
  第三百四十九條破產廢止ノ申立ヲ爲スニハ其ノ申
  立ニ必要ナル條件カ具備スルコトヲ證スル書面ヲ提
  出スルコトヲ要ス
  第三百五十條裁判所ハ破產廢止ノ申立アリタル旨
  ヲ公告シ且利害關係人ノ閲覽ニ供スル爲其ノ申立
  ニ關スル書類ヲ備へ置クコトヲ要ス
  第三百五十一條破產債權者ハ前條ノ公告アリタル
  日ヨリ起算シテ二週間内ニ破產廢止ノ申立ニ付裁
  判所ニ異議ヲ申立ツルコトヲ得
  前項ノ期間經過前ニ屆出ヲ爲シタル破產債權者モ
  亦異議ヲ申立ツルコトヲ得
  第三百五十二條裁判所ハ前條第一項ノ期間經過ノ
  後破產廢止ノ決定ヲ爲スニ必要ナル條件カ具備スル
  カ否ニ付破產者、破產管財人及異議ヲ申立テタル破
  產債權者ノ意見ヲ聽クコトヲ要ス
  第三百五十三條破產宣告ノ後栽判所カ破產財團ヲ
  以テ破產手續ノ費用ヲ償フニ足ラスト認メタルトキハ
  破產管財人ノ申立ニ因リ又ハ職權ヲ以テ破產廢止
  ノ決定ヲ爲スコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ裁判所ハ
  債權者集會ノ意見ヲ聽クコトヲ要ス
  前項ノ規定ハ無限責任又ハ保證責任ノ相互保險會
  社、產業組合其ノ他ノ法人ニハ之ヲ適用セス破產手
  續ノ費用ヲ償フニ足ルヘキ金額ノ豫納アリタル場合
  亦同シ
  第三百五十四條栽判所カ破產廢止ノ決定ヲ爲シタ
  ルトキハ其ノ主文及理由ノ要領ヲ公告スルコトヲ要ス
  第三百五十五條破產廢止ノ決定カ確定シタルトキハ
  破產管財人ハ財團債權ノ辨濟ヲ爲シ異議アルモノニ
  付テハ債權者ノ爲供託ヲ爲スコトヲ要ス
  第三百五十六條第二百九十一條及第二百九十二
  條ノ規定ハ破產廢止ノ申立ニ之ヲ準用ス
  第三百五十七條第二百八十七條ノ規定ハ破產廢
  止ノ決定カ確定シタル場合ニ之ヲ準用ス
  第十一章小破產
  第三百五十八條破產財團ニ屬スル財產ノ額カ一萬
  圓ニ滿タスト認ムルトキハ裁判所ハ破產ノ宣告ト同
  時ニ小破產ノ決定ヲ爲スコトヲ要ス
  前項ノ場合ニ於テハ裁判所ハ第百四十三條第一項
  ニ揭クル事項ノ外小破産決定ノ主文ヲ公告シ且同
  條第二項ノ書面ニ之ヲ記載スルコトヲ要ス
  第三百五十九條裁判所被產手續中ニ破產財團ニ
  屬スル財產ノ額カ一萬圓ニ滿タサルコトヲ發見シタル
  トキハ小破產ノ決定ヲ爲スコトヲ得
  前項ノ規定ニ依リ小破產ノ決定ヲ爲シタル場合ニ於
  テハ栽判所ハ決定ノ主文ヲ公告シ且破產管財人、監
  査委員竝知レタル債權者及債務者ニ之ヲ記載シタル
  書面ヲ送達スルコトヲ要ス
  第三百六十條裁判所破產手續中ニ破產財團ニ屬
  スル財產ノ額カ一萬圓以上ナルコトヲ發見シタルトキ
  ハ小破產取消ノ決定ヲ爲スコトヲ得此ノ場合ニ於テ
  ハ前條第二項ノ規定ヲ準用ス
  第三百六十一條小破產ノ決定及小破產取消ノ決
  定ニ對シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス
  第三百六十二條第一回ノ債權者集會ノ期日及債
  權調査ノ期日ハ已ムコトヲ得サル事由アル場合ヲ除
  クノ外之ヲ併合スルコトヲ要ス
  第三百六十三條監査委員ハ之ヲ置カス
  第三百六十四條第一囘ノ債權者集會、强制和議取
  消後ノ第一囘ノ債權者集會竝債權調査、計算報告
  及强制和議ノ爲ニスル債權者集會ヲ除クノ外栽判
  所ノ決定ヲ以テ債權者集會ノ決議ニ代フ前項ノ決
  定ニ對シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス
  第三百六十五條配當ハ一囘トシ最後ノ配當ニ關ス
  ル規定ニ依ル但シ追加配當ヲ爲スコトヲ妨ケス
  第三百六十六條小破產手續ニ關スル公告ハ第百十
  六條ノ規定ニ依ル揭〓ヲ爲スヲ以テ足ル
  第三編復權
  第三百六十七條破產者カ辨濟其ノ他ノ方法ニ因リ
  破產債權者ニ對スル債務ノ全部ノ免責ヲ得タルトキ
  ハ破產裁判所ハ破產者ノ申立ニ因リ復權ノ決定ヲ
  爲スコトヲ要ス
  申立人ハ免責ヲ證スル書面ヲ提出スルコトヲ要ス
  第三百六十八條復權ノ決定ハ確定ノ後ニ非サレハ
  其ノ效力ヲ生セス
  第三百六十九條裁判所ハ復權ノ申立アリタル旨ヲ
  公告シ且利害關係人ノ閱覽ニ供スル爲其ノ申立ニ
  關スル書類ヲ備へ置クコトヲ要ス
  第三百七十條破產債權者ハ前條ノ公告アリタル
  日ヨリ起算シテ三月內ニ復權ノ申立ニ付裁判所ニ異
  議ヲ申立ツルコトヲ得
  第三百七十一條異議ノ申立アリタルトキハ裁判所ハ
  破產者及異議ヲ申立テタル破產債權者ノ意見ヲ聽
  クコトヲ要ス
  第三百七十二條復權ノ決定カ確定シタルトキハ栽判
  所ハ其ノ主文ヲ公告スルコトヲ要ス
  第三百七十三條第百八條乃至第百十二條及第百
  十四條乃至第百十七條ノ規定ハ復權ノ手續ニ之ヲ
  準用ス
  第四編罰則
  第三百七十四條債務者破產宣告ノ前後ヲ問ハス自
  己若ハ他人ノ利益ヲ圖リ又ハ債權者ヲ害スル目的ヲ
  以テ左ニ揭クル行爲ヲ爲シ其ノ宣告確定シタルトキ
  ハ詐欺破產ノ罪ト爲シ十年以下ノ懲役ニ處ス
  破產財團ニ屬スル財產ヲ隱匿、毀棄又ハ債權者
  ノ不利益ニ處分スルコト
  二破產財團ノ負擔ヲ虛僞ニ增加スルコト
  三法律ノ規定ニ依リ作ルヘキ商業帳簿ヲ作ラス、之
  ニ財產ノ現況ヲ知ルニ足ルヘキ記載ヲ爲サス又ハ
  不正ノ記載ヲ爲シ又ハ之ヲ隱匿若ハ毀棄スルコト
  四第百八十七條ノ規定ニ依リ裁判所書記カ閉鎖
  シタル帳簿ニ變更ヲ加へ又ハ之ヲ隱匿若ハ毀棄ス
  ルコト
  第三百七十五條債務者破產宣告ノ前後ヲ問ハス左
  ニ揭クル行爲ヲ爲シ其ノ宣告確定シタルトキハ五年
  以下ノ懲役又ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
  浪費又ハ賭博其ノ他ノ射倖行爲ヲ爲シ因テ著
  ク財產ヲ減少シ又ハ過大ノ債務ヲ負擔スルコト
  二破產ノ宣告ヲ遲延セシムル目的ヲ以テ著ク不利
  益ナル條件ニテ債務ヲ負擔シ又ハ信用取引ニ因リ
  商品ヲ買入レ著ク不利益ナル條件ニテ之ヲ處分ス
  ルコト
  三破產ノ原因タル事實アルコトヲ知ルニ拘ラス或
  債權者ニ特別ノ利益ヲ與フル目的ヲ以テ爲シタル
  擔保ノ供與又ハ債務ノ消滅ニ關スル行爲ニシテ債
  務者ノ義務ニ屬セス又ハ其ノ方法若ハ時期カ債務
  者ノ義務ニ屬セサルモノ
  四法律ノ規定ニ依リ作ルヘキ商業帳簿ヲ作ラス、
  之ニ財產ノ現況ヲ知ルニ足ルヘキ記載ヲ爲サス又
  ハ不正ノ記載ヲ爲シ又ハ之ヲ隱匿若ハ毀棄スルコ
  五第百八十七條ノ規定ニ依リ裁判所書記カ閉鎖
  シタル帳簿ニ變更ヲ加へ又ハ之ヲ隱匿若ハ毀棄ス
  ルコト
  第三百七十六條債務者ノ法定代理人、理事及之ニ
  準スヘキ者竝支配人前二條ニ規定スル行爲ヲ爲シ債
  務者ニ對スル破產宣告確定シタルトキハ前二條ノ例
  ニ依ル相續財產ニ對スル破產ニ於テ相續人及前戶
  主竝其ノ法定代理人及支配人ニ付亦同シ
  第三百七十七條本法ニ依リ監守ヲ命セラレタル者逃
  走シ又ハ裁判所ノ許可ヲ得スシテ外人ト面接若ハ通
  信シタルトキハ一年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金
  ニ處ス
  破產者裁判所ノ許可ヲ得スシテ居住地ヲ離レタルト
  キ罰前項ニ同シ
  第三百七十八條債務者及第三百七十六條ニ規定
  スル者ニ非スシテ第三百七十四條ニ規定スル行爲ヲ
  爲シタル者又ハ自己若ハ他人ヲ利スル目的ヲ以テ破
  產債權者トシテ虚偽ノ權利ヲ行ヒタル者ハ債務者ニ
  對スル破產宣告確定シタルトキハ十年以下ノ懲役ニ
  處ス
  第三百七十九條第三百七十四條、第三百七十五條
  及前條ノ規定ノ適用ニ付テハ强制和議ノ取消ハ之ヲ
  破產ノ宣告ト看做ス
  第三百八十條破產管財人又ハ監査委員其ノ職
  務ニ關シ賄賂ヲ收受シ又ハ之ヲ要求若ハ約束シタル
  トキハ三年以下ノ懲役又ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス
  破產債權者、其ノ代理人又ハ理事若ハ之ニ準スヘキ
  者債權者集會ノ決議ニ關シ賄賂ヲ收受シ又ハ之ヲ
  要求若ハ約束シタルトキ亦同シ
  前項ノ場合ニ於テ收受シタル賄賂ハ之ヲ沒收ス其ノ
  全部又ハ一部ヲ沒收スルコト能ハサルトキハ其ノ價額
  ヲ追徵ス
  第三百八十一條破產管財人、監査委員、破產債權
  者、其ノ代理人又ハ理事若ハ之ニ準スヘキ者ニ賄賂ヲ
  交付、提供又ハ約束シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ
  三千圓以下ノ罰金ニ處ス
  前項ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキハ其ノ刑ヲ減輕
  又ハ免除スルコトヲ得
  第三百八十二條第百五十三條ノ規定ニ依リ說明ノ
  義務アル者故ナク說明ヲ爲サス又ハ虚僞ノ說明ヲ爲シ
  タルトキハ一年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處
  ス
  前項ノ罪ヲ犯シタル者破產栽判所ニ其ノ事實ヲ申出
  テタルトキハ其ノ刑ヲ減輕又ハ免除スルコトヲ得
  附則
  第三百八十三條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ
  定ム
  第三百八十四條明治二十三年法律第三十二號商
  法第三編、同年法律第百一號及家資分散法ハ之ヲ
  廢止ス
  第三百八十五條民法施行法第二條第三條及非訟
  事件手續法第百五十一一條第百五十三條ハ之ヲ削
  除シ刑法施行法第二十五條第一項第三號ハ之ヲ削
  ル
  第三百八十六條他ノ法令中身代限ノ處分ヲ受ケ債
  務ヲ完濟セサル者ニ關スル規定ハ破產又ハ家資分散
  ノ宣告ヲ受ケタル者ニ之ヲ準用ス
  身代限ノ處分ヲ受ケ債務ヲ完濟セサル者及家資分
  散ノ宣告ヲ受ケタル者ハ他ノ法令ノ適用ニ付テハ之
  ヲ破產者ト看做ス
  第三百八十七條本法施行前破產若ハ復權ノ申立、
  破產若ハ家資分散ノ宣告又ハ支拂猶豫ノ許可若ハ
  假許可アリタルモノニ付テハ仍舊法ニ依ル但シ明治
  二十三年法律第三十二號商法第千五十四條ノ規
  定ハ此ノ限ニ在ラス
  本法施行前ニ爲シタル家資分散又ハ支拂猶豫ノ申
  立ハ決定ヲ以テ之ヲ棄却ス此ノ決定ニ對シテハ不服
  ヲ申立ツルコトヲ得ス
  第三百八十八條舊法ニ依リテ破產若ハ家資分散ノ
  宣告又ハ身代限ノ處分ヲ受ケタル者ハ本法ニ依リテ
  復權ノ申立ヲ爲スコトヲ得此ノ申立ハ其ノ事件ノ第
  一審裁判所ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
  第三百八十九條他ノ法律ニ依リ法人ノ理事又ハ之
  ニ準スヘキ者カ其ノ法人ニ對シ破產ノ申立ヲ爲スコト
  ヲ要スル場合ニ於テモ和議開始ノ申立ヲ爲スコトヲ
  妨ケス
  第三百九十條商法第四百五條ヲ左ノ如ク改ム
  保險者カ破產ノ宣告ヲ受ケタルトキハ保險契約者ハ
  契約ノ解除ヲ爲スコトヲ得但其解除ハ將來ニ向テノ
  ミ其效力ヲ生ス
  前項ノ規定ニ依リテ解除ヲ爲ササル保險契約ハ破產
  宣告ノ後三箇月ヲ經過シタルトキハ其效力ヲ失フ
  第三百九十一條商法施行法中第百三十八條乃至
  第百四十五條及第百四十七條ヲ削リ「第百四十六
  條」ヲ「第百三十八條」ニ改メ同法ニ左ノ一條ヲ加フ
  第百三十九條商法施行條例ハ之ヲ廢止ス但シ
  同條例第二十一條乃至第二十三條及第五十
  一條ノ規定ハ舊商法ノ規定ニ依ルヘキ場合ニ於
  テハ仍其ノ效力ヲ有ス
  第八和議法案(政府提出、貴族院送付)
  第一讀會
  和議法案
  和議法
  第一章總則
  第一條本法ニ於テ和議ト稱スルハ破產豫防ノ爲ニス
  ル强制和議ヲ謂フ
  第二條和議手續ハ其ノ開始決定ノ時ヨリ效力ヲ生
  ス
  第三條破產法第百五條及第百七條ノ規定ハ和議
  事件ノ管轄ニ付之ヲ準用ス
  第四條破產法第八十七條、第八十八條、第八十九
  條第一項、第九十條及第九十一條ノ規定ハ和議ノ
  開始アリタル場合ニ之ヲ準用ス
  第五條破產法第九十八條乃至第百四條ノ規定ハ
  和議債權者ノ相殺權ニ付之ヲ準用ス
  第六條前二條ノ規定ノ適用ニ付テハ和議開始ノ申
  立ハ之ヲ破產ノ申立ト看做シ和議ノ開始ハ之ヲ破產
  ノ宣告ト看做ス
  第七條和議手續ニ關スル裁判ニ對シテハ本法ニ特別
  ノ規定アル場合ニ限リ其ノ裁判ニ付利害關係ヲ有ス
  ル者ハ卽時抗告ヲ爲スコトヲ得其ノ期間ハ裁判ノ公
  告アリタル場合ニ於テハ其ノ公告アリタル日ヨリ起算
  シテ二週間トス
  第八條破產法第百十九條、第百二十條、第百二十
  二條及第百二十四條ノ規定ハ和議開始、和議開始
  決定取消又ハ和議廢止ノ決定アリタル場合及和議
  認否又ハ和議取消ノ決定カ確定シタル場合ニ之ヲ
  準用ス
  第九條和議廢止ノ決定アリタル場合又ハ和議不認
  可若ハ和議取消ノ決定カ確定シタル場合ニ於テ裁判
  所ハ破產ノ申立アルトキハ其ノ申立ニ因リ、申立ナキ
  トキハ職權ヲ以テ破產ノ宣告ヲ爲スコトヲ要ス
  前項ノ規定ニ依リ破産ノ宣告ヲ爲シタル場合ニ於テ
  ハ前條ノ規定ニ依ル登記又ハ登錄ノ囑託ハ破產ノ登
  記又ハ登錄ノ囑託ト共ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
  第十條前條第一項ノ規定ニ依リ破產ノ宣告アリタル
  トキハ破產法第一編ノ適用ニ付テハ和議開始若ハ和
  議取消ノ申立又ハ詐欺破產ノ罪ニ該ルヘキ和議申
  立人ノ行爲ハ其ノ前ニ支拂ノ停止又ハ破產ノ申立ナ
  キトキハ之ヲ支拂ノ停止又ハ破產ノ申立ト看做シ和
  議ノ爲ニ生シタル債權及和議手續ノ費用ハ之ヲ財團
  債權トス
  第十一條破產法第二條、第三條、第百九條乃至第
  百十一條、第百十三條乃至第百十八條及第百二十
  五條ノ規定ハ和議ニ關シ之ヲ準用ス
  和議手續ニ關シテハ本法ニ別段ノ定ナキトキハ民事
  訴訟法ヲ準用ス
  第二章和議ノ開始
  第十二條破產ノ原因タル事實アル場合ニ於テハ債務
  者ハ和議開始ノ申立ヲ爲スコトヲ得但シ法人ニ在リ
  テハ理事又ハ之ニ準スヘキ者ノ一致アルコトヲ要ス
  相續財產ニ付テハ和議開始ノ申立ヲ爲スコトヲ得ス
  第十三條和議開始ノ申立ヲ爲スニハ辨濟ノ方法、擔
  保ヲ供セムトスルトキハ其ノ擔保其ノ他和議ノ條件ヲ
  裁判所ニ申出ツルコトヲ要ス
  和議申立人ハ申立ト同時ニ財產ノ狀況ヲ示スベキ
  明細書竝債權者及債務者ノ一覽表ヲ提出スルコトヲ
  要ス申立ト同時ニ提出スルコト能ハサルトキハ爾後遲
  滯ナク之ヲ提出スルコトヲ要ス
  第十四條和議開始ノ申立ヲ爲スニハ和議手續ノ費
  用トシデ栽判所カ相當ト認ムル金額ノ豫納アルコト
  ヲ要ス
  第十五條和議開始ノ決定アリタル後ハ破產ノ申立
  ヲ爲スコトヲ得ス
  第十六條破產ノ宣告アリタル後ハ和議開始ノ申立ヲ
  爲スコトヲ得ス
  第十七條和議開始ノ申立及破產ノ申立アリタルトキ
  ハ破産手續ハ之ヲ中止ス
  第十八條左ノ場合ニ於テハ裁判所ハ和議開始ノ申
  立ヲ棄却スルコトヲ要ス
  -破產回避ノ目的ヲ以テ申立ヲ爲シタルトキ
  二和議申立人ノ所在カ不明ナルトキ
  三詐欺破產ノ罪ニ該ルへキ行爲アリト認ムルトキ
  四和議ノ條件力法律ノ規定ニ反スルトキ
  五和議ノ條件カ和議債權者ノ一般ノ利益ニ反ス
  ルトキ
  第十九條左ノ場合ニ於テハ裁判所ハ和議開始ノ申
  立ヲ棄却スルコトヲ得
  -和議手續ノ費用ノ豫納ナキトキ
  二債權者集會ニ於テ和議ヲ否決シタルコトアルト
  キ
  三和議開始ノ申立又ハ和議ノ提供ヲ撤回シタルコ
  トアルトキ
  四和議不認可ノ決定ヲ爲シタルコトアルトキ
  五和議取消ノ決定ヲ爲シタルコトアルトキ
  第二十條裁判所ハ和議開始ノ決定前ト雖利害關係
  人ノ申立ニ因リ又ハ職權ヲ以テ債務者ノ財產ニ關シ
  假差押、假處分其ノ他ノ必要ナル保全處分ヲ命スル
  コトヲ得
  裁判所ハ前項ノ規定ニ依ル處分ヲ變更シ又ハ之ヲ取
  消スコトヲ得
  前二項ノ規定ニ依ル栽判ハ決定ヲ以テ之ヲ爲ス此ノ
  決定ニ對シテハ卽時抗告ヲ爲スコトヲ得
  第二十一條裁判所ハ整理委員ヲ選任シ期間ヲ定メ
  テ債務者ノ財產、帳簿及和議ノ條件ニ付必要ナル調
  查ヲ爲サシメ且和議ヲ開始スヘキカ否ニ付意見書ヲ
  提出セシムルコトヲ要ス
  整理委員ハ自己ノ責任ヲ以デ鑑定人ヲ選任スルコト
  ヲ得
  第二十二條和議申立人ハ前條第一項ニ依ル調査ヲ
  拒ムコトヲ得ス
  第二十三條破產法第百五十三條ノ規定ハ和議ニ關
  シ整理委員ノ請求アリタル場合ニ之ヲ準用ス
  第二十四條重要ナル事由アルトキハ裁判所ハ利害關
  係人ノ申立ニ因リ又バ職權ヲ以テ整理委員ヲ解任ス
  ルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ整理委員ヲ審訊スルコト
  ヲ要ス
  第二十五條破產法第百五十九條乃至第百六十一
  條、第百六十四條乃至第百六十六條、第百六十九
  條及第百七十二條ノ規定ハ整理委員ニ之ヲ準用ス
  第二十六條和議開始決定書ニハ決定ノ年月日時ヲ
  記載スルコトヲ要ス
  第二十七條栽判所ハ和議開始ノ決定ト同時ニ管財
  人ヲ選任シ且左ノ事項ヲ定ムルコトヲ要ス
  債權屆出ノ期間但シ其ノ期間ハ決定ノ日ヨリ
  二週間以上二月以下ナルコトヲ要ス
  二債權者集會ノ期日但シ其ノ期日ト債權屆出期
  間ノ末日トノ間ニハ一週間以上一月以下ノ期間
  ヲ存スルコトヲ要ス
  和議開始ノ決定ニ對シテハ卽時抗告ヲ爲スコトヲ得
  第二十八條裁判所カ和議開始ノ決定ヲ爲シタルトキ
  ハ直ニ左ノ事項ヲ公告スルコトヲ要ス
  -和議開始決定ノ主文
  二管財人ノ氏名及住所
  三債權屆出ノ期間及債權者集會ノ期日
  知レタル債權者、和議中立人、管財人及整理委員ニ
  ハ前項ニ揭クル事項、和議ノ條件及整理委員ノ意見
  ノ要領ヲ記載シタル書面ヲ送達スルコトヲ要ス
  前二項ノ規定ハ第一項第二號及第三號ニ揭クル事
  項ニ變更ヲ生シタル場合ニ之ヲ準用ス
  第二十九條裁判所カ和議開始決定取消ノ決定ヲ爲
  シタルトキハ直ニ其ノ主文ヲ公告スルコトヲ要ス
  前條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
  第三十條和議開始ノ申立ニ聞スル書類竝第二十
  一條ノ規定ニ依ル整理委員ノ調査書類及意見書ハ
  利害關係人ノ閲覽ニ供スル爲之ヲ裁判所ニ備ヘ置ク
  コトヲ要ス
  第三十一條和議開始申立ノ時ヨリ決定ノ時迄ハ債
  務者ハ通常ノ範圍ニ屬セサル行爲ヲ爲スコトヲ得ス
  第三十二條和議ノ開始ハ債務者カ其ノ財產ヲ管理
  及處分スル權利ニ影響ヲ及ホサス但シ通常ノ範圍ニ
  屬セサル行爲ハ管財人ノ同意ヲ得ルニ非サレハ之ヲ爲
  スコトヲ得ス
  通常ノ行爲ト雖管財人ノ異議アルトキハ債務者ハ之
  ヲ爲スコトヲ得ス
  重要ナル行爲ニ付管財人カ第一項ノ規定ニ依リ同
  意ヲ爲スニハ整理委員ノ意見ヲ聽クコトヲ要ス
  第三十三條第三十一條又ハ前條第一項第二項ノ
  規定ニ反スル行爲ハ和議債權者ニ於テ之ヲ否認スル
  コトヲ得但シ相手方カ行爲ノ當時其ノ事實ヲ知リタ
  ルトキニ限ル
  第三十四條管財人ハ自ラ金錢ノ收支ヲ爲スヘキコト
  ヲ債務者ニ請求スルコトヲ得
  第三十五條管財人ハ裁判所ノ許可ヲ得テ債務者及
  之ニ扶養セラルル者ニ給スヘキ扶助料ノ額ヲ定ムルコ
  トヲ得
  第三十六條管財人ハ何時ニテモ債務者ニ對シテ其ノ
  財產ニ關スル報告ヲ求メ又ハ債務者ノ財產ノ狀況ヲ
  調査スルコトヲ得
  整理委員ハ何時ニテモ管財人ニ對シテ債務者ノ財產
  ニ關スル報告ヲ求ムルコトヲ得
  第三十七條破產法第百五十三條ノ規定ハ和議ニ關
  シ管財人又ハ債權者集會ノ請求アリタル場合ニ之ヲ
  準用ス
  第三十八條管財人ノ任務終了ノ場合ニ於テハ管財
  人又ハ其ノ相續人ハ遲滯ナク裁判所ニ計算ノ報告ヲ
  爲スコトヲ要ス
  第三十九條第二十四條及破產法第百五十八條乃
  至第百六十一條第百六十三條乃至第百六十六條
  第百六十九條ノ規定ハ管財人ニ之ヲ準用ス
  第四十條和議手續中ハ和議債權ニ付債務者ノ財
  產ニ對シ强制執行、假差押又ハ假處分ヲ爲スコトヲ
  得ス
  和議開始前和議債權ニ付債務者ノ財產ニ對ン爲シ
  タル强制執行、假差押及假處分ハ和議手續中之ヲ
  中止ス
  第三章和議債權及其ノ屆出
  第四十一條債務者ニ對シ和議開始前ノ原因ニ基キ
  テ生シタル財產上ノ請求權ハ之ヲ和議債權トス
  第四十二條一般ノ先取特權其ノ他一般ノ優先權ア
  ル債權ハ之ヲ和議債權トセス
  第四十三條破產ノ場合ニ於テ別除權ヲ行使スルコト
  ヲ得ヘキ權利ヲ有スル者ハ其ノ權利ノ行使ニ依リテ
  辨濟ヲ受クルコト能ハサル債權額ニ付和議債權者ト
  シテ其ノ權利ヲ行フコトヲ得
  第四十四條左ニ揭クル請求權ハ之ヲ和議債權トセス
  -和議開始後ノ利息
  二和議開始後ノ不履行ニ因ル損害賠償及違約金
  三和議手續參加ノ費用
  四罰金、科料、刑事訴訟費用、追徴金及過料
  前項ノ請求權ハ和議債權ニ後ル
  第四十五條破產法第十七條乃至第二十條、第二十
  二條乃至第二十七條及第二百二十八條乃至第二
  百三十條ノ規定ハ和議債權ニ付之ヲ準用ス此ノ場
  合ニ於テハ和議ノ開始ハ之ヲ破產ノ宣告ト看做ス
  第四章債權者集會
  第四十六條債權者集會ノ期日ニハ屆出ヲ爲シタル和
  議債權者、和議申立人及和議ノ爲ニ保證人ト爲リ其
  ノ他債務者ト共ニ債務ヲ負擔シ又ハ和議債權者ノ
  爲ニ擔保ヲ供スル者ヲ呼出スコトヲ要ス
  前項ニ規定スル者ニハ和議ノ條件及整理委員ノ意見
  ノ要領ヲ記載シタル書面ニ送達スルコトヲ要ス但シ第
  二十八條第二項第三項ノ規定ニ依リ既ニ送達ヲ受
  ケタル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
  第四十七條管財人整理委員ハ屆出アリタル各債權
  ニ付債權者集會ニ於テ議決權ヲ行ハシムヘキカ否及
  如何ナル金額ニ付之ヲ行ハシムヘキカヲ調査スルコト
  ヲ要ス
  第四十八條管財人及整理委員ハ債權者集會ニ於テ
  和議ノ開始ニ至リタル事情、債務者及其ノ財產ニ關
  スル經過及現狀竝前條ノ規定ニ依ル調査ノ結果ニ
  付報告ヲ爲シ且和議ノ條件ノ適否ニ關シ意見ヲ述
  フルコトヲ要ス
  破產法第百八十二條第二項乃至第四項ノ規定ハ屆
  出アリタル債權ニ付第四十六條第一項ニ規定スル
  者、管財人又ハ整理委員ノ異議アル場合ニ之ヲ準用
  ス
  第四十九條破產法第百七十八條、第百八十一條、
  第二百三十八條但書、第三百一條、第三百二條、第
  三百六條及第三百七條ノ規定ハ債權者集會ニ付之
  ヲ準用ス
  破產法第三百四條及第三百五條ノ規定ハ和議ニ付
  之ヲ準用ス
  第五章和議ノ認否
  第五十條債權者集會ニ於テ和議ヲ可決シタルトキ
  ハ裁判所ハ其ノ期日又ハ直ニ言渡シタル期日ニ於テ
  和議ノ認否ニ付決定ヲ爲スコトヲ要ス
  第四十六條第一項ニ規定スル者、管財人及整理委
  員ハ和議ノ認否ニ付意見ヲ述フルコトヲ得
  破產法第二百三十八條但書ノ規定ハ和議認否ノ期
  日ヲ定ムル決定ニ付之ヲ準用ス
  第五十一條栽判所ハ左ノ場合ニ限リ和議債權者ノ
  申立ニ因リ又ハ職權ヲ以テ和議不認可ノ決定ヲ爲
  スコトヲ得
  -和議ノ手續又ハ決議カ法律ノ規定ニ反スル場
  合ニ於テ其ノ欠缺カ追完スヘカラサルモノナルトキ
  二第十八條第二號又ハ第三號ニ規定スル事由ア
  ルトキ
  三和議ノ決議カ不正ノ方法ニ因リテ成立スルニ至
  リタルトキ
  四和議ノ決議カ和議債權者ノ一般ノ利益ニ反ス
  ルトキ
  第五十二條和議認否ノ決定ハ之ヲ言渡シ且其ノ主
  文及理由ノ要領ヲ公告スルコトヲ要ス但シ送達ヲ爲
  スコトヲ要セス
  第五十三條和議認否ノ決定ニ對シテハ卽時抗告ヲ
  爲スコトヲ得
  破產法第三百十九條ノ規定ハ和議債權者ニ之ヲ準
  用ス
  第五十四條和議ハ認可ノ決定ノ確定ニ因リテ其ノ效
  力ヲ生ス
  第五十五條和議認可ノ決定カ確定シタルトキハ裁判
  所書記ハ和議ノ條件ヲ債權表ニ記載スルコトヲ要ス
  第五十六條和議認可ノ決定カ確定シタルトキハ債務
  者ハ和議ノ爲ニ生シタル債權、和議手續ノ費用及一
  般ノ先取特權其ノ他一般ノ優先權アル債權ノ辨済
  ヲ爲スコトヲ要ス
  前項ニ規定スル債權ニシテ異議アルモノニ付テハ債
  權者ノ爲供託ヲ爲スコトヲ要ス
  第五十七條破產法第三百二十五條乃至第三百二
  十七條及第三百四十二條ノ規定ハ和議ノ效力ニ付
  之ヲ準用ス
  第五十八條和議認可ノ決定カ確定シタルトキハ第十
  七條ノ規定ニ依リ手續ヲ中止シタル破產ノ申立竝第
  四十條第二項ノ規定ニ依リ中止シタル强制執行、假
  差押及假處分ハ其ノ效力ヲ失フ
  第六章和議ノ廢止
  第五十九條左ノ場合ニ於テハ裁判所ハ職權ヲ以テ
  和議廢止ノ決定ヲ爲スコトヲ要ス
  一和議ノ可決前ニ和議ノ提供者カ其ノ提供ヲ撤
  回シタルトキ
  二債權者集會ノ第一期日ヨリ二月內ニ和議ヲ可
  決セサルトキ
  第六十條左ノ場合ニ於テハ裁判所ハ管財人若ハ
  整理委員ノ申立ニ因リ又ハ職權ヲ以テ和議廢止ノ
  決定ヲ爲スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ債務者ヲ審訊
  スルコトヲ要ス
  -第二十條第一項、第二項ノ規定ニ依ル裁判所
  ノ命令ニ違反シタルトキ
  二債務者カ第三十一條又ハ第三十二條第一項
  第二項ノ規定ニ違反シタルトキ
  三債務者カ第三十四條ノ規定ニ依ル請求アリタル
  ニ拘ラス自ラ金錢ノ收支ヲ爲シタルトキ
  第六十一條裁判所カ和議廢止ノ決定ヲ爲シタルトキ
  ハ其ノ主文及理由ノ要領ヲ公告スルコトヲ要ス
  第七章讓步及和議ノ取消
  第六十二條破產法第三百二十九條乃至第三百三
  十一條ノ規定ハ和議ヲ以テ定メタル讓歩ノ取消ニ之
  ヲ準用ス
  第六十三條債權者ニ詐欺破產ノ罪ニ該ルヘキ行爲ア
  ルトキハ裁判所ハ和議債權者ノ申立ニ因リ又ハ職權
  ヲ以テ和議取消ノ決定ヲ爲スコトヲ得
  第六十四條破產法第三百三十二條第一項及第二
  項ノ規定ハ和議ノ取消ニ之ヲ準用ス
  和議取消ノ申立ニ必要ナル債權額及總債權ノ計算
  ニ付テハ第四十八條ノ規定ニ依リテ定リタル債權額
  二課程
  第六十五條和議ノ取消ハ和議債權者カ和議ニ因リ
  得タル權利ニ影響ヲ及ホサス
  第六十六條栽判所カ和議取消申立棄却又ハ和議
  取消ノ決定ヲ爲シタルトキハ其ノ主文及理由ノ要領
  ヲ公告スルコトヲ要ス
  前項ノ決定ニ對シテハ卽時抗告ヲ爲スコトヲ得
  第六十七條破產法第三百三十八條、第三百四十條
  及第三百四十一條ノ規定ハ第九條ノ規定ニ依リ
  破產ノ宣告アリタル場合ニ之ヲ準用ス
  第八章罰則
  第六十八條整理委員又ハ管財人其ノ職務ニ關シ賄
  賂ヲ收受シ又ハ之ヲ要求若ハ約束シタルトキハ三年
  以下ノ懲役又ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス和議債權
  者、其ノ代理人又ハ理事若ハ之ニ準スヘキ者債權者
  集會ノ決議ニ關シ賄賂ヲ收受シ又ハ之ヲ要求若ハ約
  束シタルトキ亦同シ
  前項ノ場合ニ於テ收受シタル賄賂ハ之ヲ沒收ス其ノ
  全部又ハ一部ヲ沒收スルコト能ハサルトキハ其ノ價
  額ヲ追徴ス
  第六十九條整理委員、管財人又ハ和議債權者、其ノ
  代理人、理事若ハ之ニ準スヘキ者ニ賄賂ヲ交付、提供
  又ハ約束シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ三千圓以
  下ノ罰金ニ處ス
  前項ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキハ其ノ刑ヲ減輕
  又ハ免除スルコトヲ得
  第七十條第二十三條又ハ第三十七條ノ規定ニ依
  リ說明ノ義務アル者故ナク說明ヲ爲、サス又ハ虛僞ノ
  說明ヲ爲シタルトキハ一年以下ノ懲役又ハ千圓以下
  ノ罰金ニ處ス和議申立人又ハ債務者第二十一條又
  ハ第三十六條ノ規定ニ依ル調査若ハ報告ヲ拒ミ又
  ハ虛僞ノ報告ヲ爲シタルトキ亦同シ
  前項ノ罪ヲ犯シタル者和議裁判所ニ其ノ事實ヲ申出
  テタルトキハ其ノ刑ヲ減輕又ハ免除スルコトヲ得
  附則
  本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  和議手續參加ハ時效ノ中斷ニ關シテハ之ヲ栽判上ノ請
  求ト見做ス
  〔政府委員山內確三郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=36

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• 037・山内確三郎

  ○政府委員(山内確三郞君)　只今議題ニナリマシタル破
  產法案及和議法案ニ付キマシテ、提案理由ヲ簡單ニ申上
  ゲマス、御承知ノ通リ現行破產法ハ明治二十三年ノ法律
  デアリマス、明治二十三年法律第三十二號、商法、其一編
  デアリマシテ、此破產法ハ商人ノミニ適用スル所ノ法律デア
  リマス、ソレカラ明治二十六年ニ至リマシテ、之ヲ一部修正
  ヲシテ實施セラレテ以テ今日ニ至ッテ居リマスガ、固ヨリ其規
  定ハ不備ノ點ガ頗ル多イノデアルノミナラズ、爾後制定セラ
  レマシタル民法、商法、其他ノ法律ガ完備致シマシタ結果、
  此破產法ガ-現行破產法ガ商法、民法ノ規定トノ調和
  ヲ得ヌコトガ澤山アリマス、サウ云フ次第デアリマスカラ、當
  局ハ爾來二十有餘年此破產法案ノ調査ニ掛リマシテ、漸
  ク玆ニ案ヲ立ッテ帝國議會ニ提出スルコトガ出來タノデアリ
  マス、本案ノ內容ハ多岐ニ亙リマシテ、此處デ詳細ニ申土ゲ
  ルコトハ固ヨリ出來ナイノデアリマス、大體ヲ申シマスレバ-
  極ク大體ヲ言ヘバ實體規定ト、手續規定トノ兩編ニ分レテ
  居リマス、其他二三點アリマスケレドモ、是ハ全ク附隨ノ關
  係デアリマスガ、實體規定ハ今中シマシタ民法、商法等トノ
  調和ヲ圖ル規定ヲ初メト致シマシテ、破產ニ關スル實體ノ
  法律關係ヲ規定スルノデアリマス、手續規定ハ純乎タル規
  定デアリマス、全編四百條許リニナルノデアリマスルガ、是ハ
  委員會ニ於キマシテ、內容ニ付キマシテハ細カニ御說明ヲ
  致シタイト考ヘテ居リマス、ソレカラ和議法案ハ是ハ新ナル
  企テヾアリマシテ、破產法ノ中ニハ强制和議ノ規定ガアリマ
  ス、是ハ債務者ガ破產ヲシタ後ニ協諧契約ニ屬スルノデア
  リマス、此和議法ニ於テ債務者ガ未ダ破產セザル前、既ニ
  破產ニ瀕シテ居ル場合デアリマスレバ、其破產狀態ヨリ之
  ヲ救濟スル爲ニ、之ヲ法律語ヲ以テ中シマスレバ、破產ヲ豫
  防スル爲ニ、特ニ强制和議同樣ノ手續ヲ定メ、而シテ此社
  會經濟上ノ破產ノ慘禍ヲ救フト云フノガ、案ノ趣旨ニナッテ
  居ルノデアリマス、雨案極テ密接ナ關係ガアルノデアリマス、
  ドウヅ愼重ニ御審議ノ上ニ御協賛アランコトヲ希望致シマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=37

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• 038・奧繁三郎

  ○議長(與繁三郞君)　右兩案ノ審査ヲ付託スベキ委員
  ノ選擧ヲ議題ニ付シマス
  第九右各案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選
  舉

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=38

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• 039・鈴木錠藏

  ○鈴木錠藏君　日程第七、及第八ノ雨案ヲ一括シテ委員
  ノ數ハ特ニ十八名トシ、議長ニ於テ指名アランコトヲ望ミマ
  ス
  〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=39

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• 040・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　鈴木君ノ動議ニ御異議アリマセヌ
  カ
  〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=40

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• 041・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　御異議ナシト認メマス、仍テ動議
  ノ如ク決シマシタ、日程第十、第十一ハ同種ノ議案デアリマ
  スカラ、一括シテ議題ニ付シマス、御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=41

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• 042・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　御異議ナシト認メマス、一括シテ
  議題ニ付シマス、日程第十、明治四十年法律第二十一號
  中改正法律案、日程第十一、大正九年法律第十二號中
  改正法律案ヲ一括シテ議題ニ付シマス其第一讀會ヲ開キ
  マス、川村政府委員
  第十明治四十年法律第二十一號中改正法
  律案(政府提出)第一讀會
  明治四十年法律第二十一號中改正法律案
  明治四十年法律第二十一號中左ノ通改正ス
  第一條第一項ヲ左ノ如ク改ム
  樺太ニ於テハ左ニ掲クル租稅ヲ賦課徴收ス
  一市街宅地稅
  二所得稅
  三營業稅
  四酒造稅
  五醬油稅
  附則
  本法ハ大正十一年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
  本法施行前賦課シタル戶數割及雜種稅ニ付テハ仍從
  前ノ例ニ依ル
  第十一大正九年法律第十二號中改正法律
  案(政府提出)第一讀會
  大正九年法律第十二號中改正法律案
  大正九年法律第十二號中左ノ通改正ス
  第四條乃至第六條中「至灣」ヲ「臺灣又ハ樺太」ニ改ム
  附則
  本法ハ大正十一年四月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ第三
  種ノ所得ニ付テハ大正十一年分所得稅ヨリ之ヲ適用ス
  〔政府委員川村竹治君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=42

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• 043・川村竹治

  ○政府委員(川村竹治君)　本案ハ大正十一年四月ヨリ
  樺太ニ町村制ヲ實施スル結果、其町村經費ノ財源ニ充ン
  ガ爲ニ、從來樺太ニ於ケル租稅ノ中、戶數割及雜種稅ヲ地
  方稅ニ移サントスルノ改正案デアリマス、何卒御協賛アラン
  コトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=43

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• 044・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　神野大藏次官
  〔政府委員神野勝之助君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=44

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• 045・神野勝之助

  ○政府委員(神野勝之助君)　大正九年法律第十二號
  ハ內地ト臺灣其他ノ地方トノ間ニ於ケル所得稅ノ重複課
  稅ヲ避ケルコトヲ主タル眼目トシタ法律デアリマスガ、從來
  樺太ニ於キマシテハ、第一種ノ所得稅ノミヲ。施行シテ居ッタ
  ノデアリマスルカラ、大正九年、法律第二號ノ適用モ、第一
  種所得ニ關スル規定ダケデアッタノデアリマス、然ルニ大正
  十一年度ヨリハ樺太ニ於キマシテモ、第二種及第三種ノ所
  得稅ヲ課スル事トナリマスカラ、内地ノ第二種及第三種所
  得稅ト重複課稅ヲ避ケタイト云フ趣意ヲ以テ、本法律ヲ改
  正致シタイト云フノデアリマス、御審議ノ上御協賛アランコ
  トヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=45

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• 046・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　右兩案ノ審査ヲ付託スベキ委員
  ノ選擧ヲ議題ニ付シマス
  第十二右各案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ
  選舉

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=46

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• 047・鈴木錠藏

  ○鈴木錠藏君　日程第十、及第十一ノ兩案ヲ一括シテ
  委員ノ數ヲ九名トシテ、議長ニ於テ指名アランコトヲ望ミマ
  ス
  〔「贊成」「賛成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=47

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• 048・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　鈴木君ノ動議ニ御異議ナシト認
  メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第十三乃至第十
  九ハ關聯セル議案デアリマスカラ、一括シテ議題ト致シマ
  ス、御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=48

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• 049・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　御異議ナシト認メマス、日程第十
  三乃至十九ヲ一括シテ議題ト致シマス、其第一讀會ヲ開
  キマス、神野大藏次官
  第十三所得稅法中改正法律案(政府提出)
  第一讀會
  所得稅法中改正法律案
  所得稅法中左ノ通改正ス
  第三條ノ二信託財產ニ付生スル所得ニ關シテハ其ノ
  所得ヲ信託ノ利益トシテ享受スヘキ受益者カ信託財
  產ヲ有スルモノト看做シテ所得稅ヲ賦課ス
  前項ノ規定ノ適用ニ付テハ受益者不特定ナルトキ又
  ハ未タ存在セサルトキハ受託者ヲ以テ受益者ト看做
  ス此ノ場合ニ於テハ受託者カ本法其ノ他ノ法令ニ依
  リ所得稅ヲ課セラレサル者ナルトキト雖尙所得稅ヲ賦
  課ス
  受託者法人ナル場合ニ於テ前項ノ規定ニ依リ所得
  稅ヲ課スヘキ所得ハ之ヲ個人ノ所得ト看做ス
  第十六條ノ二第三條ノ二第二項第三項ノ規定ニ依
  リ所得稅ヲ課スヘキ所得ハ之ヲ受託者固有ノ所得ト
  區分シテ所得金額ヲ定ム二以上ノ信託アル場合ニ於
  テハ尙各信託每ニ之ヲ定ム
  第十五條第二項、第十六條、第二十條第二項及第
  二十三條第二項ノ規定ハ前項ノ所得ニ付之ヲ適用
  セス
  第五十六條中「前項ノ支拂調書」ヲ「第一項又ハ前項ノ
  支拂調書又ハ計算書」ニ改メ同條第一項ノ次ニ左ノ一
  項ヲ加フ
  信託ノ受託者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ各信託ニ付計
  算書ヲ政府ニ提出スヘシ
  第五十七條中「前條第一項ノ支拂調書」ヲ「前條第一
  項又ハ第二項ノ支拂調書又ハ計算書」ニ改ム
  第七十五條中「第五十六條第一項」ヲ「第五十六條第
  一項又ハ第二項」ニ、「支拂調書」ヲ「支拂調書又ハ計算
  書」ニ、「第五十六條第二項」ヲ「第五十六條第三項」ニ
  改ム
  附則
  本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  第十四相續稅法中改正法律案(政府提出)
  第一讀會
  相續稅法中改正法律案
  相續稅法中左ノ通改正ス
  第五條中「存續期間ノ不確定ナル權利」ノ下ニ「、信託ノ
  利益ヲ受クヘキ權利」ヲ加フ
  第二十三條ノ二信託ニ付委託者カ他人ニ信託ノ利
  益ヲ受クヘキ權利ヲ有セシメタルトキハ其ノ時ニ於テ
  信託ノ利益ヲ受クヘキ權利ヲ贈與又ハ遺贈シタルモ
  ノト看做シ第三條、第二十條及前條ノ規定ヲ適用ス
  但シ不動產又ハ船舶ノ歸屬スヘキ權利ニ付テハ前條
  ノ規定ヲ適用セス
  附則
  本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  第十五登錄稅法中改正法律案(政府提出)
  第一讀會
  登錄稅法中改正法律案
  登錄稅法中在ノ通改正ス
  第二條第一項第四號中「第三號」ヲ「第三號ノ二」ニ改
  メ同項第三號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
  三ノ二信託財產ヲ委託者ヨリ受託者ニ移ス場合
  ニ於ケル受託者ノ所有權ノ取得
  不動產價格千分ノ六十
  但シ神社、寺院、祠宇、佛堂及民法第三十四條ニ
  依リ設立シタル社團又ハ財團法人カ歸屬權利者
  ナルトキハ不動產價格ノ千分ノ三十
  同條第一項第十三號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
  十三ノ二信託ノ登記不動產價格千分ノ五
  第三條第一項第四號中「第三號」ヲ「第三號ノ二」ニ改
  メ同項第三號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
  三ノ二信託財產ヲ委託者ヨリ受託者ニ移ス場合
  ニ於ケル受託者ノ所有權ノ取得
  船舶價格千分ノ五十
  同條第一項第七號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
  七ノ二信託ノ登記船舶價格千分ノ三
  第三條ノ二第一號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
  一ノ二信託ノ登錄債權金額千分ノ一
  第三條ノ三第一號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
  一ノ二信託ノ登記債權金額千分ノ一
  第三條ノ四第一號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
  一ノ二信託ノ登記債權金額千分ノ一
  第十條第一項第四號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
  四ノ二信託ノ登錄每一件金一圓
  第十一條第一項第四號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
  四ノ二信託ノ登錄每一件金二圓
  第十二條第一項第四號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
  四ノ二信託ノ登錄每一件金一圓
  第十二條ノ二第一項第四號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
  四ノ二信託ノ登錄每一件金一圓
  第十三條第一號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
  一ノ二信託ノ登錄每一件金二圓
  第十四條第一項第九號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
  九ノ二信託ノ登錄每一件金十圓
  第十五條第一項第六號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
  六ノ二信託ノ登錄每一件金五圓
  第十五條ノ二第一項第九號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
  九ノ二信託ノ登錄每一件金二圓
  第十九條ニ左ノ各號ヲ加フ
  六登記又ハ登錄スヘキ信託財產ニシテ委託者カ信
  託行爲ニ依リ信託利益ノ全部ヲ享受スヘキモノ
  ヲ委託者ヨリ受託者ニ移ス場合ニ於ケル財產權
  取得ノ登記又ハ登錄
  七信託ニ付受益者又ハ歸屬權利者ノ財產權取得
  ノ登記又ハ登錄
  八信託ノ受託者更迭ノ場合ニ於ケル新受託者ノ
  財產權取得ノ登記又ハ登錄
  前項第六號ノ規定ハ當該信託財產ニ付受益者變更ノ
  登記又ハ登錄ヲ受クル場合二ハ之ヲ適用セス此ノ場合
  ニ於テハ信託財產ハ其ノ變更ノ登記又ハ登錄ノ時ニ於
  テ受託者ニ移轉シタルモノト看做シ登錄稅ヲ課ス
  附則
  本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  第十六印紙稅法中改正法律案(政府提出)
  第一讀會
  印紙稅法中改正法律案
  印紙稅法中左ノ通改正ス
  第四條中「一使用貸借、賃貸借、雇傭、寄託、定期金ニ
  關スル契約證書印紙稅三錢」ノ次ニ左ノ如ク加フ
  一信託行爲ニ關スル證書印紙稅三錢
  附則
  本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  第十七日本興業銀行法中改正法律案(政
  府提出)第一讀會
  日本興業銀行法中改正法律案
  日本興業銀行法中左ノ通改正ス
  第九條中「信託ノ業務」ヲ「擔保附社債ニ關スル信託事
  業」ニ改メ同條第一項ニ左ノ一號ヲ加フ
  第十國債證劵地方債證劵社債券若ハ株劵ノ募
  集、其ノ拂込全ノ受入又ハ其ノ元利金若ハ配
  當金ノ支拂ノ取扱
  附則
  本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  第十八臺灣銀行法中改正法律案(政府提
  出.第一讀會
  臺灣銀行法中改正法律案
  臺灣銀行法中ノ通改正ス
  第五條中「信託ノ業務」ヲ「擔保附社債ニ關スル信託事
  業」ニ、「有價證劵ヲ買入ルルコトヲ得」ヲ「有價證劵ノ
  應募、引受又ハ買入ヲ爲スコトヲ得」ニ改メ同條第一
  項ニ左ノ一號ヲ加フ
  第十國債證劵地方債證劵社債劵若ハ株劵ノ募集、
  其ノ拂込金ノ受入又ハ其ノ元利金若ハ配當
  金ノ支拂ノ取扱
  附則
  本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  第十九北海道拓殖銀行法中改正法律案
  (政府提出)第一讀會
  北海道拓殖銀行法中改正法律案
  北海道拓殖銀行法中左ノ通改正ス
  第七條中「信託ノ業務」ヲ「擔保附社債ニ關スル信託事
  業」ニ改メ同條第一項ニ左ノ一號ヲ加フ
  九國債證劵地方債證劵社債劵若ハ株劵ノ募集、
  其ノ拂込金ノ受人又ハ其ノ元利金若ハ配當金
  ノ支拂ノ取扱
  第九條中「有價證劵ヲ買入ルルコトヲ得」ヲ「有價證劵
  ノ應募、引受又ハ買入ヲ爲スコトヲ得」ニ改ム
  附則
  本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  〔政府委員神野勝之助君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=49

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• 050・神野勝之助

  ○政府委員(神野勝之助君　所得稅法中改正法律案、
  外六案ハ總テ信託法ノ制定ニ伴ヒマシテ改正ヲ要スルノ
  デアリマス、今囘信託法ノ制定ヲ致シマスルニ付キマシテ、
  信託ト云フ法律行爲ガ認メラルヽコトニナリマシタノデアリ
  マスルガ、然ルニ現行ノ所得稅法ニ於キマシテ、信託ト云フ
  行爲ヲ豫想シテ居ラヌノデアリマス、ソレガ故ニ愈ミ信託行
  爲ガ行ハレマスルト云フト、或ハ現行稅法ニ依シテ二重課稅
  トナリ、或ハ課稅漏トナリ或ハ課稅ノ權衡ヲ得ナイト云フ
  不都合ヲ生ズルノデアリマス、ソレ故ニ此稅法中ニ改正ヲ
  致シマシテ、此不都合ノ無イヤウニ致シタイト云フノデアリ
  マス、所得稅法ニ付キマシテ其要點ヲ申上ゲマスレバ、信託
  財產カラ生ズル所ノ所得ハ、之ヲ何人ノ所得トシテ課稅シ
  テ宜シイカト云フ問題ヲ生ズルノデアリマス、是ハ受益者ガ
  信託財產ヲ所有スルモノト看做シテ、課稅スルコトニ致シ、
  其他之ニ關聯シテ二三ノ改正ヲ致スコトヽ致シマシタ、次
  ニ相續稅法ニ付キマシテハ、受託者ガ信託ニ依シテ他人ヲ
  受益者ト致シマスルコトハ、實質ニ付テハ贈與ト同一ノ效
  果ヲ生ズルコトヽナリマス、仍テ相續稅法ニ於キマシテハ、信
  託ニ依シテ他人ニ利益ヲ享受セシムル時ハ、之ヲ贈與ト看
  做シテ規定スルコトニ致シマシタ、次ニ登錄稅法ニ付キマシ
  テハ信託ニ關スル登記、又ハ登錄中信託其モノヽ登記又ハ
  登錄ト、信託財產ノ移轉ノ登記、又ハ登錄トノ二樣アルノ
  デアリマス、信託其モノヽ登記、又ハ登錄ニ付キマシテハ、比
  較的ニ輕徵ナル課稅ヲ爲スコトニ致シ、又信託財產移轉ノ
  登記、又ハ登錄ニ付キマシテハ、委託者カラ受託者ニ財產
  ヲ移ス場合ニ於テ課稅致シマシテ、受託者カラ受益者ニ移
  ス場合ニ於キマシテハ、之ヲ免稅スルコトヽ致シ、其稅率ニ
  付テハ財產ノ種類ニ依ッデソレート適當ノ課稅ヲ致スコトニ
  致シマシタ、次ニ印紙稅法ニ付キマシテハ信託行爲ニ關ス
  ル證書ハ印紙稅法ノ原則タル記載金高ニ依ッテ、其万分ノ
  五ノ稅率ニ依シテ課スル卜云フコトハ酷ニ失スル嫌ガアリマ
  スカラ、一通ニ付テ三錢ノ定額稅ヲ課スルコトニ致シマシ
  タ、次ニ日本興業銀行法ノ改正案、臺灣銀行法ノ改正案
  北海違拓殖銀行法改正案ハ同一ノ改正デアリマシテ、此
  三銀行法ノ中ニハ各〓其營ム業務中ニ信託ノ業務ト云フ
  ノガアルノデアリマス、然ルニ信託業法ニ於テ、信託業ト銀
  行業トハ兼營ヲ許サナイ主義ニナッテ居ルノデアリマスカラ、
  此結果三銀行ニモ一般ノ信託業務ヲ營ムコトヲ禁ジテ、唯
  擴保附社債信託法ニ依ル信託業務ヲ許スコトニ致シテ
  豫テ從來信託業務ノ名ノ下ニ營ンデ來マシタ或ル代理業
  務ヲ許スコトニ致シタノデアリマス、御審議ノ上御協賛アラ
  ンコトヲ望ミマス(拍手)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=50

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• 051・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　右七案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ
  選擧ヲ議題ニ致シマス
  第二十右各案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ
  選舉

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=51

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• 052・鈴木錠藏

  ○鈴木錠藏君　日程第十三ヨリ第十九ニ至ル七案ヲ一
  括シテ、政府提出信託法案外四件ノ委員ニ併セテ付託セ
  ラレンコトヲ望ミマス
  〔賛成ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=52

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• 053・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　鈴木君ノ動議ニ御異議ナイト認
  メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第二十一、貨幣
  法中改正法律案ノ第一讀會ヲ開キマス、神野大藏次官
  第二十一貨幣法中改正法律案(政府提出)
  第一讀會
  貨幣法中改正法律案
  貨幣法中左ノ通改正ス
  第五條第二號ヲ左ノ如ク改ム
  二銀貨幣純銀七百二十分參和銅二百八十分
  第六條中第四號及第五號ヲ左ノ如ク改ム
  四五十錢銀貨幣一匁三分二厘
  五二十錢銀貨幣五分二厘八毛
  第十條第二號ヲ左ノ如ク改ム
  二銀貨幣五十錢ハ每片一厘七毛一一千枚毎ニ一
  匁零分六厘六毛六二十錢ハ每片一厘零毛七
  一千枚每ニ五分三厘三毛三トス
  附則
  本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
  從來發行ノ銀貨幣ハ從前ノ通通用スヘシ
  〔政府委員神野勝之助君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=53

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• 054・神野勝之助

  ○政府委員(神野勝之助君)　現行ノ貨幣法ニ依リマスト
  云フト、銀貨ノ鑄潰點ガ銀相場六十五片半ニナルト一ムフ
  ト、之ヲ鑄潰シテ和益アル點ニナッテ居リマス、六十五片半
  ノ銀相場ト云フノハ餘リ低過ギルノデアリマス、一時ハ八
  十九片半ニモ上ッタト云フ位デアリマスルカラ、今日デハ低
  イノデアリマスガ、將來又騰貴スルト云フ虞ガアルノデアリマ
  ス、ソレ故ニ其鑄潰點ヲ高メテ鑄潰ノ虞ノナイ程度ニ銀貨
  ヲ改鑄致シマシテ、大正十一年度カラハ多ク銀貨ヲ鑄造シ
  テ、之ヲ發行致シタイト云フ積リデアリマス、御審議ノ上御
  協賛ヲ望ミマス(拍手)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=54

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• 055・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　日程第二十二、右議案ノ審査ヲ
  付託スベキ委員ノ選擧ヲ議題ト致シマス
  第二十二右各案ノ審査ヲ付託スヘキ委員
  ノ選舉

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=55

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• 056・鈴木錠藏

  ○鈴木錠藏君　委員ノ數ヲ九名トシ、議長ニ於テ指名セ
  ラレンコトヲ望ミマス
  〔「賛成」ノ聲起ル」

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=56

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• 057・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　鈴木君ノ動議ニ御異議ナイト認メ
  マス、仍テ動議ノ如ク決シマス-日程第二十三、第二十四
  ハ關聯セル議事デアリマスカラ、一括議題ニ供シマス、御異
  議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=57

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• 058・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　御異議アリマセヌカラ日程第二十
  三、裁判所ノ設立ニ關スル法律案、第二十四、大正二年法
  律第九號中改正法律案ヲ一括シテ議題ニ供シマス、其第
  一讀會ヲ開キマス司法次官
  第二十三裁判所ノ設立ニ關スル法律案
  (政府提出)第一讀會
  栽判所ノ設立ニ關スル法律案
  福岡縣鞍手郡ニ區裁判所ヲ置キ之ヲ直方區裁判所ト
  稱ス
  福岡縣田川郡ニ區裁判所ヲ置キ之ヲ田川區裁判所ト
  稱ス
  附則
  本法施行判期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  第二十四大正二年法律第九號中改正法律
  案(政府提出)第一讀會
  大正二年法律第九號中改正法律案
  大正二年法律第九號中左ノ通改正ス
  別表栽判所管轄區域表中飯塚區裁判所ノ項ヲ左ノ如
  ク改ム
  飯塚福岡縣ノ內
  嘉穗郡
  福岡縣ノ內
  直方鞍手郡
  遠賀郡ノ內
  底井野村長洋村香月村
  同表中小倉區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
  福岡縣ノ內
  小倉市若松市八幡市門司市
  企救郡
  小倉遠賀郡ノ內
  折尾町黑崎町戶畑町蘆屋町
  岡垣村島門村淺木村水卷村
  上津役村島〓村
  同表中行橋區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
  橋福岡縣ノ內
  行京都郡築上郡
  福岡縣ノ內
  田川田川郡
  附則
  本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  本法施行前從前ノ管轄裁判所ニ於テ受理シタル事件
  ハ其ノ裁判所ニ於テ之ヲ完結ス
  〔政府委員山內確三郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=58

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• 059・山内確三郎

  ○政府委員(山内確三郞君)　福岡縣ノ田川郡、同鞍手
  郡、此雨郡ハ近來經濟上非常ノ發展ヲ致シマシテ、訴訟件
  數モ餘程多イノデアリマス、度ミノ請願ガアリマシテ、是ハ貴
  衆兩院共通過シテ居ル事柄デアリマスガ、此兩所ニ區裁判
  所ヲ設置スルノ必要ヲ認メマシテ、本案ヲ提出致シタ次第
  デアリマス、ソレガ裁判所設立ニ關スル法律案ノ提出ノ理
  由デアリマス、其結果ト致シマシテ、裁判所ノ管轄區域ヲ改
  メルノ必要ガアルノハ當然デアリマス、ソコデ大正二年法律
  第九號中改正法律案ヲ提出スルト云フ事ニナルノデアリマ
  ス、兩案共御協賛アランコトヲ希望致シマス(拍手)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=59

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• 060・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　日程第二十三ニ對シテ質疑ノ通
  告ガアリマス、前川虎造君
  〔前川虎造君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=60

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• 061・前川虎造

  ○前川虎造君　司法當局ニ此際一寸伺ッテ置キマスガ、
  世ノ中ガ進步致シテ段々事件ガ殖エテ參リマスレバ、栽判
  所ヲ增設シナケレバナラヌ必要ハ今後モ起ッテ來ヤウト私ハ
  考ヘマス、ソコデズット昔シ松田君ガ司法大臣ヲサレタ時分
  ニ行政整理ト云フ事デ多數ノ裁判所ヲ廢止サレタノデアリ
  マス、是ガ寺內內閣ノ時代ニ兩年ニ亙ッテ復活サレタノデア
  リマス、其復活サレル當時ニ於テ今復活スル裁判所ハ在來
  アッタ所ノ家屋及總テノ設備ヲ利用スル必要ガアルカラ、此
  處へ置クノデアル、併ナガラ交通總テノ上ニ於テ大變化ヲ
  來シテ居ルカラ、行ク〓〓ハ之ヲ整理スルノデアルト云フ事
  ヲ此處デ當時ノ司法次官ガ明言サレテ居ルノデアリマス、
  私共ハ最モ此交通機關ヲ無視シタ甚ダ不便ナル箇所ヲ四
  五箇所モ列擧シテ當時司法次官ニ之ヲ如何ニ爲サルカト
  云フコトヲ質問致シタノデアリマス、司法次官ハ只今直グト
  云フ譯ニハ行カヌガ、一兩年ノ間ニ此區裁判所ノ所在地ヲ
  整理シテ、サウシテ一般ノ人間ノ便利ニ、交通ト相伴フヤウ
  ニ整理ヲ致スト云フコトヲ當時明ニ答ヘラレテ居ルノデアリ
  マス、然ルニ斯様ナ整理ヲ御拾置ニナッテ、更ニ必要ガアルカ
  ラト云ウテ、玆ニ福岡縣ニ直方ト田川ト二箇所へ新ニ區裁
  判所ヲ設置ナサルト云フ事ハ如何ナル事デアルカ、一體今
  日ハ區裁判所ノ所在地及其管轄町村ヲ見マスノニ、電車
  デ行ケバ便利デアルガ、マダ步イテ行カナケレバナラスト云フ
  ヤウナ關係デ、極テ此管轄區域ガ不便ヲ來シテ居ル所ハ澤
  山アル、殊ニ昔ハ相當ノ土地ノ中心地ニナッテ居ッタモノガヽ
  交通機關、或ハ工業開係カラ今日ハ非常ニ寂レテ、却テソ
  レヨリヨリ以上ニ必要ナ場所ガ出來テ居ルト云フヤウナ處
  ハ澤山日本國中ニアルノデアリマス、然ルニ其舊イ處へ持。ツ
  テ行ッテ、何故復活スルカト云フコトガ當時ノ問題デアル、所
  ガ其處ニハ是迄ノ設備ガアルカラ、今俄ニ之ヲ變ヘルト云
  フコトハ困ルカラ、先ヅ此場所ヲ復活シテ置イテ、サウシテ
  直ニ之ヲ整理シテ、都合ノ好イ場所ニ置キ更へルノデアルト
  云フコトヲ當時ノ司法次官ガ言明サレタガ爲ニ、吾々ハ之
  ニ同意致シタノデアリマス、然ルニ今日マデ最早三四年ニモ
  ナリマスガ、之ヲ御拾置キニナッテ、サウシテ之ヲ整理ナサラ
  ヌデ、新ニ此二箇所ニ區裁判所ヲ增設スルト云フコトハ甚
  ダ其意ヲ得ヌノデアリマス、故ニ此事ノ賛否ハ[別問題トシ
  テ御整理ナサル御考デアルカドウデアルカ、茲ニ私ハ再ビ司
  法當局ノ言明ヲ望ムノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=61

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• 062・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　司法次官
  〔政府委員山內確三郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=62

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• 063・山内確三郎

  ○政府委員(山内確三郞君)　區裁判所ノ管轄及所在
  地ニ付テ、交通其他ノ事情ヲ見テ適當ノ時期ニ之ヲ整理
  スルト云フコトハ、前司法次官ガ議會ニ於テ言明致シタコ
  トハ承知シテ居リマス、私モ當時民事局長トシテ其議ニ與
  カッテ居ツタ、併ナガラ此整理問題ハ、サウ容易ク出來ルモノ
  デハナイ、例ヘバ一ツノ區裁判所ノ所在地ヲ他ニ移スト云
  フコトニ致シマシタ所か、餘程ノ調査ヲシナイト云フト、單
  純ニ汽車或ハ事件數等ニ依ノテ-交通等ノミヲ以テ變更
  シ難イ事情ガ中ミアル、此區裁判所ノ設立ヲスルトガ、或ヘ
  區裁判所ヲ廢止スルト云フ事ハ、餘程地方ノ利害關係ニ
  モ重大ナル關係ガアル、唯理屈一遍デ直ニ之ヲ實行スルト
  云フコトハ甚ダ困難デアル、サウ云フ事情デアリマスカラ、諸
  般ノ關係ニ付テ調査ヲシテ居ル事ハ一日モ怠テテ居
  ノデス然ルニ此兩區裁判所ニ至リマスト、是ハ其土地ノ事
  情又土地ノ住民等ニ於キマシテ、非常ナル熱望デアリマシ
  テ、又當局モアノ地方ノ區裁判所ガ事件數ガ餘リ多過ギル
  ノデ、此二ツノ場所ニ區栽判所ヲ置クト云フコトニナレバ
  事件ノ整理等ニ於テモ餘程好都合デアリマスカラ、民意ノ
  在ル所ヲ諒トシテ此處ニ置イタノデアリマス、之ヲ置クガ爲
  ニ、裁判所ノ管轄其他ノ整理ニ付テ怠ッテ居ルト云フ次第
  デハナイノデアリマス、勿論出來ルダケノ努力ヲ致シマシテ、
  整理ノ問題ハ著々トシテ進メル積リデアリマス、イツ何時之
  ヲスルカト云フコトハ、是ハ調査ノ進行ノ次第ニ依シテ決ス
  ル外、致方ガアリマセヌカラ、只今時期ヲ明言スルコトハ
  出來マセヌガ、前ニ致シマシタ言明ハ決シテ之ヲ踈カニシテ
  居ナイト云フコトヲ御承知ヲ願ヒタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=63

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• 064・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　日程第二十五、右兩案ノ審査ヲ
  付託スベキ委員ノ選擧ヲ議題ニシマス
  第二十五右各案ノ審査ヲ付託スヘキ委員
  ノ選舉

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=64

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• 065・鈴木錠藏

  ○鈴木錠藏君　日程第二十三、及第二十四ノ雨案ヲ一
  括シテ委員ノ數ヲ九名トシ、議長ニ於テ指名アランコトヲ望
  ミマス
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=65

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• 066・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　鈴木君ノ動議ニ御異議ナイト認
  メマス、仍テ動議ノ如ク決シマス-日程第二十六、第二
  十七ハ便宜上一括シテ議題ト爲スニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」「異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=66

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• 067・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　御異議ナイト認メマス、仍テ日程
  第二十六、大正十年勅令第三百七十五號、日程第二十
  七、大正十年勅令第三百七十六號、此兩案ノ事後承諾ヲ
  求ムルノ件ヲ一括シテ議題ト致シマス
  第二十六大正十年勅令第三百七十五號
  (承諾ヲ求ムル件)(貴族院送付)
  大正十年勅令第三百七十五號
  朕玆ニ緊急ノ必要アリト認メ樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ帝
  國憲法第八條第一項ニ依リ帝國ト洪牙利國トノ間ニ設
  置スル混合仲裁裁判所ニ關スル件ヲ栽可シ之ヲ公布セシム
  御名御璽
  大正十年八月八日
  內閣總理大臣原敬
  海軍大臣男爵加藤友三郞
  外務大臣伯爵内田康哉
  大藏大臣子爵高橋是〓
  農商務大臣男爵山本達雄
  內務大臣床次竹二郎
  文部大臣中橋德五郞
  遞信大臣野田卯太郞
  鐵道大臣元田肇
  司法大臣伯爵大木遠吉
  陸軍大臣山梨半造
  勅令第三百七十五號
  大正九年勅令第八十七號ハ同盟及聯合國ト洪牙利國
  トノ平和條約第二百三十九條ノ規定ニ依リ帝國ト洪牙
  利國トノ間ニ設置スル混合仲裁裁判所ニ關シ之ヲ準用ス
  附則
  本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
  第二十七大正十年勅令第二百七十六號
  (承諾ヲ求ムル件)(貴族院送付)
  大正十年勅令第三百七十六號
  朕玆ニ緊急ノ必要アリト認メ樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ帝
  國憲法第八條第一項ニ依リ同盟及聯合國ト洪牙利國
  トノ平和條約ニ依ル財產處理ニ關スル件ヲ栽可シ之ヲ
  公布セシム
  御名御璽
  大正十年八月八日
  內閣總理大臣原敬
  海軍大臣男爵加藤友三郞
  外務大臣伯爵内田康哉
  大藏大臣子爵高橋是〓
  農商務大臣男爵山本達雄
  內務大臣床次竹二郞
  文部大臣中橋德五郞
  遞信大臣野田卯太郞
  鐵道大臣元田肇
  司法大臣伯爵大木遠吉
  陸軍大臣山梨半造
  勅令第三百七十六號
  大正九年勅令第百七十一號ハ洪牙利國又ハ其ノ國人
  若ハ法人ニ屬スル政府管理財産ヲ以テ同盟及聯合國
  ト洪牙利國トノ平和條約第二百三十二條ニ規定スル
  支拂ニ充ツル場合ニ之ヲ準用ス
  附則
  本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
  〔政府委員山川端夫君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=67

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• 068・山川端夫

  ○政府委員(山川端夫君)　日程第二十六ニ付テ說明ヲ
  申上ゲマス、本案ハ日獨混合仲裁裁判所ニ關スル大正九
  年勅令第八十七號ノ規定ヲ、日本ト洪牙利國トノ間ニ設
  ケラレマシタ混合仲栽栽判所ニ付テ準用シタイト云フノデ
  アリマス、本件勅令ノ規定スル事項ハ立法事項デアリマス
  カラ、本來ハ法律ヲ以テ之ヲ規定スベキノデアリマス、併ナ
  ガラ此日本ト洪牙利トノ混合仲裁裁判所ハ、洪牙利ト
  ノ平和條約ノ第二百三十九條ニ依リマシテ、其條約ノ
  實施ノ日タル、大正十年七月二十六日カラ起算致シマシ
  テ、三箇月以內ニ之ヲ設置スルト云フコトニナッテ居ルノデ
  アリマス、ソレデ其期日內ニ之ヲ設クルコトハ、日本ノ條約
  上ノ義務トナッテ居ルノデアリマス、ソレデ昨年ノ八月八日
  ニ本件ヲ緊急勅令トシテ公布セラレタノデアリマス、而シテ
  此勅令ハ將來モ尙ホ其效力ヲ有セシムル必要ガアリマスカ
  ラ、帝國憲法第八條第二項ニ依リマシテ、議會ノ承諾ヲ求
  ムル爲ニ玆ニ呈出セラレタノデゴザイマス、何卒御審議ノ上
  ニ御永諾アランコトヲ希望致シマス
  〔政府委員山内確三郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=68

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• 069・山内確三郎

  ○政府委員(山内確三郞君)　勅令第三百七十六號、承
  諾ヲ求ムル件ノ提案理由ヲ申上ゲマス、是モ洪牙利ニ對ス
  ル平和條約ニ依リマシテ、洪牙利國人ニ對スル日本人ノ有シ
  テ居ル所ノ金錢債權、ソレカラ日本人ガ洪牙利政府ノ非常
  措置等ニ依リマシテ受ケタル損害賠償、其請求權、是ハ共
  ニ帝國政府デ以テ管理致シテ居リマス洪牙利國人ノ財產
  ヲ以テ、其支拂ニ充テルト云フコトニナッテ居ル、之ガ條約ノ
  趣旨ニナッテ居リマス、而シテ其損害賠償ノ請求權ニ付テハ
  是ハ結局混合仲裁裁判所ニ行クノラアリマス、ソレヲ先ヅ
  特殊權利審査會ト云フ一ツノ委員會デ以テ一應ノ調査ヲ
  スル、ソレカラ金錢債權ノ分ハ、是ハ本來ハ裁判所ノ裁判ス
  ベキ事デアリマスガ、併ナガラ是モ手續ノ簡易ヲ圖ッテ、特殊
  權利審査會ニ於テ審査スル、斯ウ云フ事ニナルノデアリマ
  ス、是ハ墺地利ニ對スル關係、獨逸ニ對スル關係ガサウ云フ
  事ニナッテ居ルノデアリマスカラ、洪牙利ニ對スル關係モ之ヲ
  同樣ニ處理シタイト云フノガ此緊急勅令ノ趣旨デアリマス
  而シテ其勅令ハ尙ホ將來ニ向ッテ其效力ヲ有セシムルノ必
  要ガアリマスカラ、其承諾ヲ求ムル爲ニ玆ニ提出致シタ次
  第デアリマス(拍手)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=69

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• 070・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　日程第二十八、右議案ノ審査ヲ
  付託スベキ委員ノ選擧ヲ議題ニ致シマス
  第二十八右各案ノ審査ヲ付託スヘキ委員
  ノ選舉

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=70

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• 071・鈴木錠藏

  ○鈴木錠藏君　日程第二十六及第二十七ノ兩案ヲ一括
  シテ委員ノ數ヲ九名トシ、議長ニ於テ指名アランコトヲ望
  ミマス
  〔「贊成」「賛成」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=71

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• 072・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　鈴木君ノ動議ニ御異議ナイト認
  メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第二十九和賀
  輕便軌道株式會社所屬軌道經營廢止ニ對スル補償ノ爲
  公債發行ニ關スル法律案、第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員
  長ノ報告ヲ求メマス、中山佐市君
  第二十九和賀輕便軌道株式會社所屬軌道
  經營廢止ニ對スル補償ノ爲公債
  發行ニ關スル法律案(政府提出)
  第一讀會ノ續(委員長報〓)
  報告書
  一和賀輕便軌道株式會社所屬軌道經營廢止ニ對スル
  補償ノ爲公債發行ニ關スル法律案(政府提出)
  右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致候此段及報〓
  候也
  大正十一年二月二十五日
  和賀輕便軌道株式會社所屬軌道廢
  止ニ對スル補償ノ爲公債發行ニ關ス
  ル法律案委員長
  中山佐市
  衆議院議長奧繁三郞殿
  〔中山佐市君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=72

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• 073・中山佐市

  ○中山佐市君　本案ハ極テ簡單ナル案デアリマシテ、委員
  會ニ於キマシテ全會一致ヲ以テ可決致シマシタカラ、此段
  御報告致シマス(拍手)

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• 074・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　本案ノ第二讀會ヲ開クヤ否ヤヲ
  御諮リ致シマス
  〔「二讀會ヲ開クニ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 075・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　第二讀會ヲ開クニ御異議ナイト
  認メマス、依テ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=75

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• 076・岩崎勲

  ○岩崎勳君　直ニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、第三讀會ヲ省
  略シテ委員長報告ノ通リ可決確定アランコトヲ望ミマス
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 077・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　岩崎君ノ動議ニ御異議ナイト認
  メマス、仍テ直ニ本案ノ第二讀會ヲ開キマス
  和賀輕便軌道株式會社所屬軌道經營廢止
  ニ對スル補償ノ爲公債發行ニ關スル法律
  案第二讀會(確定議)
  〔「賛成々々一ノ聲起ル〕

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• 078・奧繁三郎

  ○議長(奥繁三郞君)　御異議ナイト認メマス、仍テ本案
  ハ委員長報告通リ可決確定致シマシタ-日程第三十決
  議案ヲ議題ニ致シマス、提出者安達謙藏君外五名、決議
  案ノ趣旨ハ關和知君ヨリ辯明ガアリマス、關君
  第三十決議案(安達謙藏君外五名提出)
  決議案
  決議
  昨二十三日普通選擧法案上程ニ當リ政府ハ警吏、憲
  兵ヲ以テ議院ヲ包圍シ國民請願ノ自由ヲ壓迫シ溫良ノ
  人民ヲ檢束スルノミナラス議員ヲ毆打拘禁シタルハ憲政
  ヲ破壞スルモノト認ム政府ハ須ラク其ノ責ニ任スヘシ
  右決議ス

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• 079・關和知

  ○關和知君　總理大臣、內務大臣ニ出席要求ガアリマス

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• 080・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　今事務局カラ總理大臣、內務大
  臣ノ出席ヲ促シ遣リマシタ、內務大臣ハ議員席ニ居ラレマ
  スカラ、大臣席ニ著カレルデセウ、總理大臣ノ所ヘハ人ヲ遣
  リマシタ
  〔關和知君登壇〕

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• 081・關和知

  ○關和知君　諸君、本決議案ニ付キマシテハ、去ル二十四
  日ノ議場ニ於テ議事日程變更ノ動議ノ下ニ、同志ノ森田
  茂君ヨリ大體趣旨ノ說明ヲ致サレテ居リマス、其際森田君
  ノ動議ノ成立ヲ得ズシテ、自然日程ノ繰越サレマシタ結果
  ト致シマシテ、今日此場合ニ聊カ森田君ノ說明ヲ補足致シ
  改メテ私ヨリ本案提出ノ理由ヲ說明致シタイ卜思ヒマス、
  去ル二十三日ヨリ昨日ニ及ブ數日間、本議場ノ討議ニ上
  リマシタ議案ハ、申ス迄モナク衆議院議員選舉法ノ改正案
  デアッテ、我黨及國民黨、庚申倶樂部、無所屬ノ同志ニ依ッ
  テ一致聯合ノ提案ニナル所ノ所謂普通選擧ノ議案デアッタ
  ノデアリマス、卽チ此案ハ實質ニ於テハ憲法附屬ノ大法
  デアリマス、其内容ニ於テハ時代ノ要求ト國民ノ希望トヲ
  代表スル所ノモノデアッテ、之ヲ立憲政治ノ精神ニ鑑ミ、又
  之ヲ今日內外ノ情勢ニ察シマスレバ、如何ナル問題ヲ差措
  イテモ當面最モ喫緊重要ナル所ノ大問題デアリマス(拍手)
  隨テ此議案ノ上程サルヽ場合ニ、全國同胞國民ガ、此案ノ
  通過ヲ希望シ普通選擧ノ實現ヲ期スル爲ニ、四方言合ハ
  セズシテ、或ハ北海道ノ果ヨリ、或ハ九州ノ片隅ヨリ、議會
  ヲ中心トシテ集リ來ッテ、或ハ請願書ノ提出ト云ヒ、或ハ其
  議員ニ對スル訪問ト云ヒ、熱心ニ其民意ノ在ル所ヲ明カニ
  シテ、此案ノ成立ノ爲ニ内外力ヲ協セルト云フコトハ、洵ニ現
  代ノ多數國民ガ等シク聖明ノ恩澤ヲ仰ギ、等シク參政ノ權
  利ヲ得テ、之ニ依ッテ以テ國ニ報ジ之ニ依ッテ自己生存ノ意
  義ヲ全ウシ、之ニ依ッテ文化ノ進展ニ資セントスル所ノ誠意
  ノ餘リ、衷情ノ迸ルトコ口此所ニ至ッタ、所謂民衆ノ政治上
  ニ於ケル一大運動デアリマス(拍手)故ニ斯ノ如キ問題ニ對
  シテ斯ノ如キ民衆ノ運動ヲ見ルト云フコトハ、苟モ立憲治
  下ニ於ケル所ノ國民トシテハ、又政府トシテハ、寧ロ喜ブベ
  キ所ノ現象デアッテ、何者ト雖モ此希望、此運動ヲ妨害シ、
  阻止ス可キ所ノ理由ハ一點モ尙此間ニ存スルモノデハアリ
  マセヌ(拍手)然ルニ···
  〔此時「ノウ〓〓」ト呼ヒ發言スル者多シ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=81

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• 082・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　靜〓ニ···

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• 083・關和知

  ○關和知君(續)　然ルニ何ノ故デアリマシタカ、現內閣-
  政友會ノ内閣ハ此普通選擧ノ要求ニ、啻ニ反對スル許リ
  デナク、之ヲ阻止シ、之ヲ妨害シ(「ノウ〓〓」)之ヲ壓迫致シ
  テ、之ガ爲ニ集會ヲ開ケバ直ニ之ニ解散ヲ命ジ、若クハ禁止
  ヲ命ジ、之ヲ語ラントスル者ニハ其口ヲ塞ギ、若クハ其筆ヲ
  縛シテ、殆ド政治上ニ於ケル國民ノ自由ヲ全ク無視スルノ態
  度ニ出デタノデアリマス(拍手)殊ニ本案ノ上程ノ二十三日
  ノ如キハ、當時佐々木君ニ於テ內務大臣ニ質問ヲ起サレ、
  又先日森田君ガ當時ノ事情ハ詳細ニ說明致サレマシタガヽ
  現內閣ノ此場合ニ於ケル所ノ取締ノ態度ト云フモノハ、殆
  ド言語道斷ト云フノ外ハナイノデアリマス(拍手)輦載ノ下
  ニ於テ交通ノ自由ヲ遮斷シ、國民ヲシテ議會ニ近ヅケシメ
  ルコト能ハザラシメ、甚シキニ至ッテハ故ナク民衆ヲ拘禁ヲ致
  シ、議會ノ内部ニ於テハ、或ハ木棚ヲ設ケ、其周圍ニハ網索
  ヲ張ッテ、殆ド一萬ヲ以テ數フル所ノ警吏憲兵ヲシテ(「ノウ
  ノウ」)議院ノ周圍ヲ包圍··
  〔發言スル者多シ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=83

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• 084・奧繁三郎

  ○議員(奧繁三郞君)　靜ニ···

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=84

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• 085・關和知

  ○關和知君(續)　我ガ帝都ハ殆ド戒嚴令下ニ在ルガ如キ
  忌シキ實情ヲ示シタノデアリマス(拍手)殊ニ其甚シキニ至ッ
  テハ、同僚ノ議員田中善立氏ガ當局ト妥協ノ結果、集リタ
  ル民衆ヲ之ヲ解散セシムルガ爲ニ、導イテ內幸町ノ畔ニ參
  リマシタ際、不法ナル所ノ書官ガ之ヲ道ニ擁シテ、遂ニ田中
  君ヲ毆打致シ、警視廳ニ之ヲ拘禁致シタト云フガ如キ、實
  ニ神聖ナル所ノ議員ノ身邊ニ向ッテ言フベカラザル所ノ凌
  辱ヲ加ヘタト云フコトハ、憲法五十三條ノ保障ヲ亂ル所ノ
  行爲デアッテ、洵ニ由々シキ所ノ政府ノ一大失態ト言ハネバ
  ナリマセヌ(拍手)何故ニ現內閣ハ此普通選擧ノ問題ニ對
  シテ、又此運動ニ對シテ斯ノ如キ態度ヲ執ラレタノデアリ
  マスカ、何故ニ斯ノ如キ取締ヲナサネバナラナイヤウニ餘儀ナ
  クセラレタノデアリマスカ、本來此普通選擧ノ問題ト、政友
  會ノ内閣及與黨ニ付テノ歷史的關係ヲ顧ミマスルト云フ
  ト、或ハ此間ニ於テ斯ノ如キ失態ヲ惹起スルコトノ如何ニ
  モ偶然ニアラザルコトヲ發見スルノデアリマス(拍手)政友會
  ノ內閣、殊ニ前首相原敬君ノ如キハ、此問題ニ對シテ全ク
  根本的ノ誤解ニ陷ッテ居ッタ、甚シキ僻見ニ陷ッテ居ッタコト
  ハ、今更言フマデモナイコトデアリマス、彼ガ四十二議會ニ
  於テ普通選擧ヲ危險思想ノ胚胎スルモノトシ、若クハ社會
  ノ秩序ヲ破壞スルモノナリト唱ヘタト云フコトハ、事理ヲ誣
  ユルノ甚シキモノデアッテ、所謂原氏一流ノ「マキヤベリズム」
  カラ來ル所ノ一條ノ權變ニ外ナラナイノデアリマス、(拍手)
  不明ノ權變ニ依ッテ起ッテ來タ所ノ次ノ手段ハ何モノデアッ
  タカト云フト、明白ナル此問題、當時議會ノ議員ノ本案ニ
  對スル態度ノ明白ナルニ拘ラズ、理由ナクシテ議會ヲ解散
  ヲ致シタト云フコトハ、當時ノ内閣原君ノ政治的失態ヲ更
  ニ重ネタ所ノ是ハ事實デアリマス、議會ヲ解散致シテ而シテ
  如何ナルコトガ其結果トシテ現ハレマシタカ、現ニ大正九年
  五月ノ總選擧ノ結果ニ現レタル所ノモノハ、與黨二百八十
  餘人ヲ選出致シタト云フコトヽ、今一ツハ極テ忌ハシキ
  所ノ滿鐵事件、若クハ阿片事件ト云フガ如キ、所謂今日ノ
  綱紀類廢ノ醜怪ナル事件ヲ惹起シタト云フコトハ、全ク議
  會ノ解散ノ齋シタル所ノ結果デアリマス、與黨ノ多數ヲ選
  出シタト云フコトヽ、彼ノ忌ハシキ疑獄事件ヲ頻出致シタト
  云フコトハ、政治上ヨリ判斷スレバ、此兩者ノ間ニ一種ノ因
  果關係ヲ持ッテ居ルト云フコトハ、天下ノ認ムル所デ、私ハ此
  解散ノ結果ニ依クテ選出セラレタ此與黨ノ多數ト云フコト
  ガ主ナル產物デアッタカ、或ハ疑獄事件ガ主ナル產物デアッタ
  カ、孰レガ總選擧ノ副產物デアッタカト云フコトヲ疑ヒ感フ
  者デアリマス、斯ノ如クニシテ總選舉ノ結果トシテハ、忌ハシ
  キ疑獄事件ト、不名譽ナル二百八十餘人ノ多數ヲ選出シ
  タト云フ事實デアル(議場騒然)故ニ政友會ノ内閣、若クハ
  與黨ノ諸君ニ取リマシテハ(議場騒然)此普通選擧ノ問題
  ハ
  〔「不名譽トハ何ダ」ト呼ヒ發言スル者多シ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=85

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• 086・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　諸君靜肅ニ-關君ノ發言ニ付
  テ咎ムルナラバ、ドナタカ議長ノ許シヲ得テ發言ナサイー
  萩君何デスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=86

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• 087・萩亮

  ○萩亮君　不名譽ナル議員トハ、議員ニ對シ侮辱ヲ加へ
  タモノト思ヒマス、私ハ關君ガ此言ヲ取消サレルコトヲ希望
  シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=87

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• 088・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　何ト云フ言葉ヲ取消セト云フノデ
  スカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=88

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• 089・萩亮

  ○萩亮君　只今關君ハ演壇上ニ於テ、不名譽ナル二百八
  十餘人ヲ選出シタト云フ言葉ハ、正シク侮辱シタモノデアリ
  マスカラ、取消スコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=89

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• 090・關和知

  ○關和知君(續)　斯ノ如クニシテ政友會ノ內閣及與黨
  諸君ニ取ッテハ、此普通選擧ト云フモノニ對シテ非常ナル恐
  怖ヲ感ジテ居ルノデアル··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=90

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• 091・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　今萩君ノ希望ニ對シテ關君ハ如
  何ニセラレマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=91

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• 092・關和知

  ○關和知君(續)　議長ニ御答致シマス、私ハ發言權ヲ得
  テ自分ノ意見ヲ說明スル爲ニ、此壇上ニ立ッテ居リマス、演
  說ノ最中萩君デアラウガ、誰デアラウガ、私ニ交涉談判ヲス
  ル所ノ必要ヲ認メテ居リマセヌ、私話ヲ禁ジマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=92

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• 093・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　宣告致シマス、不名譽ナル二百八
  十人ヲ選バレタト云フ言葉ハ不穩當ト思ヒマスカラ取消ヲ
  命ジマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=93

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• 094・關和知

  ○關和知君(續)　取消スト云フコトハ議長ガ曩ニ春日君
  ニ向ッテ申サレタト同ジ意味ニ於テ、速記ノ上ニ或ハ效力ヲ
  持ツコトニナルカモ知レマセヌ、併シ私ノ述ベタ所ノ不名譽
  ナル二百八十ノ多數ト云フコトハ、此政友會ノ多數ガ當時
  ノ總選舉ニ依フテ選出セラレタト云フコトハ、私共政治ノ上
  カラ判斷致シテ、反對黨ノ立場カラ之ヲ批評致シテ、決シテ
  名譽ナル當選ト信ジテ居リマセヌ···

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=94

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• 095・奧繁三郎

  ○議長(奥繁三郞君)　諸君ニ宣言シマス、議長ガ取消ヲ
  命ジマシタニ付テ、關君ハ反抗ノ意思ヲ表サレマシタ、之ニ
  付テ適當ノ處置ヲ執ル積リデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=95

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• 096・關和知

  ○○和和知君(續)　斯クシテ政府及政友會ノ諸君ガ普通
  選擧ニ對スル態度ハ、恰モ一種ノ惡夢ニ襲ハレテ(「ノウノウ」)
  惡シキ夢ニ襲ハレテ、己ノ疑惑カラシテ自ラ會カサレテ、
  而シテ轉輾反側シテ、居ルト同ジヤウナ狀態デアリマス··
  〔「ノウ〓〓」ト呼ヒ其他發言スル者多シ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=96

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• 097・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　靜肅ニ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=97

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• 098・關和知

  ○關和知君(續)　諸君及內閣ノ諸公ハ、少クトモ政黨内
  閣ヲ以テ立ツ者デアリマス、政黨內閣トハ抑〓何デアルカ、政
  黨內閣ノ生命ハ何處ニ在リマスカ、言フ迄モナク民衆ノ勢
  力ヲ基調トシテ、其上ニ組立テラレタ所ノ內閣組織ガ卽チ
  政黨內閣デアルノデアル(拍手)民衆ノ勢力ヲ度外視シテ、
  何處ニ政黨內閣ノ生命ガアリマスカ(拍手)何處ニ內閣存
  立ノ理由ガアリマスカ、諸君ハ嘗テハ憲政擁護ヲ唱ヘ、民衆
  勢力ヲ鼓吹シ、民衆勢力ノ發揚ノ爲ニハ殆ド血ヲ見ルモ厭
  ハザルマデノ意氣ヲ現シタ所ノ諸君デアリ、又斯ノ如キ歷史
  ヲ有シテ居ル所ノ諸君デアル、然ルニ何事デアルカ、今日ニ
  於テ普通選擧ノ大問題ニ對スル民衆ノ此勢ノ勃興ニ對シ
  テ妨碍ヲ致シ、之ヲ阻止スルガ爲ニ、遂ニハ警吏憲兵ノ···
  〔「恥シクナイカ」「何ダ煽動シテ」「ヤカマシイ」ト呼ヒ
  其他發言スル者多シ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=98

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• 099・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　靜〓ニ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=99

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• 100・關和知

  ○關和知君(續)　之ニ對抗シナケレバナラヌト云フ狀態ニ
  至ッタト云フコトハ····(此時發言スル者多シ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=100

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• 101・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　諸君ニ宣言シマス、三善〓之君ト
  吉良君ニ發言ヲ停止シマス(拍手「議長公平」ト呼フ者ア
  リ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=101

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• 102・關和知

  ○〓和知君(續)　斯ノ如キ民衆勢力ノ基礎ノ上ニ立ツト
  稱スル政友會內閣ノ諸君ハ、少クトモ自ラ其歷史ニ對シテ
  聊カ恥ル所ナキヲ得マイト私ハ信ズルノデアリマス(拍手)若
  シ藩閥ノ專橫、若クハ官僚ノ跋扈ニ對シテ、民衆ノ勢力ヲ
  鼓吹シ發揚シタル所ノ諸君ガ、今日同ジ民衆ノ勢力ニ對シ
  テ、普通選擧ノ問題ニ向ヲテ之ニ反抗的ノ態度ヲ執ルト云
  フコトハ嘗テ自由ヲ救ハンガ爲ニ起ッタ所ノ者ガ、却テ自ラ
  自由ノ公敵トナリ、破壞者トナッタト云フ「ダントン」「ロベス
  ピール」ノ亞流ヲ學ブモノト批評セラレテモ恐ラクハ辯解ノ
  言葉ハナカラウト私ハ思フノデアリマス(拍手)諸君ハ嘗テ
  本議會ノ開院ノ當時、畏クモ陛下ヨリ賜ッタ所ノ勅語ニ
  對シテ如何ニ拜讀ナサレテ、如何ニ感佩セラレテ居リマスカ
  開院式ノ勅語ニ仰セラレタ御言葉ニ朕ハ忠良ナル臣民
  ノ協力ニ倚藉シ國運隆昌ノ實ヲ擧ケ以テ世界ノ平和ヲ確
  立シ以テ文化ノ進展ニ資セムコトヲ期スト仰セラレテアルノ
  デアリマス、陛下ガ御覽ニナレバ忠良ナル所ノ臣民デアル
  其臣民ニ向ッテ陛下ハ畏クモ此臣民ノ協力ニ倚藉スルト
  マデニ仰セラレテ居ル所ノ、愛撫深キ所ノ陛下ノ御心ニ
  適シテ居ル此臣民、極テ忠良ナル所ノ此臣民ヲ、現內閣ノ
  諸公若クハ政友會ノ諸君ノ眼中ヨリ見レバ(發言スル者ア
  リ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=102

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• 103・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　靜肅ニ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=103

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• 104・關和知

  ○〓和知君(續)　恰モ危險視セラレ、殆ド仇敵セラルヽ
  ト云フガ如キニ至ッテハ陛下ノ御勅語ニ對シテ、諸君ノ今
  日ノ同胞國民ヲ見ル所ノ其判斷ノ甚シク相違アル事ヲ私
  ハ驚クノ外ハナイノデアリマス(拍手)陛下ノ忠良ナル臣
  民ガ政治上ノ權利ヲ得ヤウト云フ運動ガ、何故ニ斯ノ如ク
  危險デアリ、何故ニ斯ノ如ク諸君ニ依ッテ恐怖セラルヽノデ
  アリマスカ(「何ガ恐怖ダ」ト呼フ者アリ)此運動目的及理由
  ニ對シテハ先日來私共ノ同僚諸君ガ屢〓論究セラレ、討論
  セラレテ居ル問題デアリマス、然ルニ與黨ノ諸君ガ之ニ反對
  ヲスルノミナラズ、內閣ノ當局者ガ口ヲ時期尙早ニ藉ヲテ、而
  シテ天下國民ノ要望ニ對シテ』依然トシテ反對ヲセラルヽト
  云フコトハ、果シテ內閣ノ諸公立憲ノ常道ヲ解スルヤ、果シ
  テ民衆ノ精神ヲ解スルヤ、ン私ハ深ク感ハザルヲ得ナイノデア
  リマス(拍手)普通選擧ノ運動ガ斯ノ如ク熾烈ヲ極メテ來
  テ、諸君ニ依ッテ怖レラレルト云フコトハ、寧口諸君ガ普通選
  擧ヲ解セズ、民衆ノ勢力ヲ壓迫スル所カラ誤解ニ誤解ヲ重
  ネ、偏見ニ偏見ヲ重ネテ、之ニ應ズル所以ノ途ヲ誤レルコト
  ガ、却テ諸君ノ恐怖ヲシテ自ラ深カラシムル所以デアリマス、
  諸君ガ斯ノ如ク暴力ヲ以テ、威壓ヲ以テ臨ム所ノ彼ノ民衆
  ガ、當時如何ナル實際ノ態度ヲ執ッタノデアルカ、如何ナル
  狀態ニ在リマシタカ、幾万ノ民衆ガ集ヲテ其間ニ於テ一人ノ
  不穩ノ擧動ナク、一人ノ兇器ヲ持ツガ如キ者モナク、誠ニ平
  和ニシテ柔順ナル所ノ民衆ノ運動デアッタト云フコトハ天下
  萬衆ノ認ムル所デアリ、事實ハ國民ノ耳目タル所ノ新聞紙
  ノ明ニ證明スル所デアル、然ルニ是等ノ民衆ノ間ニ百數十
  名ノ拘禁者ヲ出シタト云フコトハ、畢竟スルニ當時ノ取締
  ニ當ッタル官憲ノ態度ガ、寧ロ人權ヲ蹂躪シ(「ノウ〓〓」拍
  手)市民ノ往來交通ヲ妨ゲ、立憲的國民ノ當然ノ運動ヲ
  妨害シタルガ爲ニ、自ラ挑發シ自ラ陷レテ、而シテ斯ノ如キ
  不祥ノ事件ヲ惹起シタト言ハナケレバナラヌ、水ハ平靜ニ流
  ルヽモノデアル、併シ激スレバ以テ山ニ登スベシ、諸君ガ何時
  マデ危險思想トシテ普通選擧ヲ誣ヒ、社會ノ秩序ヲ破壞ス
  ルモノナリトシテ、民衆運動ヲ誣ヒ、而シテ僅ニ時期尙早ノ
  如キ姑息ナル口實ニ藉テ其實現ヲ妨ゲテ居ルガ、諸君ハ
  何レノ時ヲ以テ時期ナリト認メテ居ルノデアリマスカ、或ハ
  佛國ノ二月革命ノ如キ事件、或ハ白耳義ニ於ケル所ノ千
  九百十三年ノ勞働者四十餘万ノ總「ストライキ」ヲ見ルガ
  如キ時期ガ到來ヲ致シソナラバ、茲ニ初テ時期ナリト認メル
  ノデアリマスカ(拍手)凡ソ政治ノ要道ハ其極端ニ至ラシメ
  ザルト云フ事ガ大切デアリマス、物極ニ至レバ必ズ變ズル、動
  アレバ此ニ反動アリ、諸君ハ此動、反動ノ原則ニ付政治上
  ニ於テ當然責任ノアルコトヲ自覺シナケレバナラヌ、内閣ノ
  諸公ハ大命ヲ拜シテ補弼ノ責ニ任ジテ居ル、其內閣ノ下ニ
  於テ、此昭代ニ於テ、畏クモ攝政宮第一年ノ最初ノ議會
  ガ、戒嚴令下ニ開カルヽト云フガ如キ不祥事ヲ惹出シテ、尙
  ホ〓弼ノ責任ヲ全ウスルト言ハルヽカ、而シテ之ヲ援クル所
  ノ多數ガ、果シテ民意ヲ代表スル所ノ多數ト言ハレマスカ、
  私ガ不名譽ナル多數ト云フコトハ、民意ヲ代表セズ陛下
  ノ聖旨ニ副ヒ奉ルコトニ怠ル所ガアルコトヲ以テ、之ヲ不名
  譽ノ多數ト言フノデアル(拍手)是等ノ事實ニ基イテ、單リ
  此問題ハ其取締ノ局ニ當ッタ內務大臣ノ責任ノミナラズ、
  內閣全體ノ負擔スベキ陛下ニ對シ、國民ニ對スル政治上
  ノ一大責任デアルト信ジマシテ、玆ニ此決議案ヲ提出シタ
  ル所以デアリマス(拍手)決議案ノ本文ヲ朗讀致シマス「決
  議案、昨二十三日普通選舉法案上程ニ當リ政府ハ警吏
  憲兵ヲ以テ議院ヲ包圍シ國民請願ノ自由ヲ壓迫シ溫良ノ
  人民ヲ檢束スルノミナラズ議員ヲ毆打抅禁シタルハ憲政ヲ
  破壞スルモノト認ム政府ハ須ラク其責ニ任スへシ」(拍手)責
  任ヲ重ンズルト云フコトガ、政黨内閣ノ常道デアリマス、多
  クノ點ニ付テ總テ責任自覺ナキ所ノ內閣ト雖モ、此一事ニ
  對シテハ、少クトモ一片ノ良心ハ内閣自體ノ責任ヲ自覺ス
  ルノ餘地アルモノト信ズルガ故ニ、玆ニ所決ヲ促シテ此說明
  ヲ爲シタ所以デアリマス(拍手起ル)
  〔松田源治君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=104

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• 105・松田源治

  ○松田源治君　諸君、本員ハ今關君ヨリ說明ノアリマシ
  タル內閣不信任ノ決議案ニ絕對ニ反對ヲ表スルノデアリマ
  ス、關君ハ此決議案以外ニ、普通選擧ノ事ニ付テ論ジマシ
  タガ、私ハ多ク此點ニ付テ論ズル必要ハナイト思ヒマス、卽
  チ普通選擧ノ國論ハ、昨日ノ議場ニ依シテ明ニ發表サレテ
  居ルノデアリマス、總テ立憲國ニ於テ、公ナル輿論ト云フモ
  ノハ、衆議院以外ニ無イノデアリマス、國民ノ代表機關ガ、
  卽チ普通選擧ノ卽時實行ト云フコトニ反對シタル以上バ、
  是レ輿論ナリト斷定セザルヲ得ナイノデアリマス、唯一言玆
  ニ辯明スベキ事ハ、原前首相ガ普通選擧ハ危險思想ナリト
  申シタト言ヒマスガ、是ハ間違ッテ居ルノデアル、普通選擧ハ
  選擧權ノ擴張デアルカラ、危險思想デハナイ、唯說明者ガ
  色々ナル說明ヲナシテ、階級打破ヲ叫ンダカラ、其聲ガ社會
  組織ヲ脅威スル嫌ヒガアルト言ッタニ過ギナイノデアリマス、
  卽チ原總理大臣ハ普通選擧ハ危險思想ニ非ザルノミナラ
  ズ、婦人ニマデ選擧權ヲ與ヘナケレバナラヌト云フコトヲ申
  シテ居ルノデアリマス、唯其說明者ノ說明中ニ社會組織ヲ
  脅威スル說明ノ趣旨ガアッタカラ、是ハ卽チ危險思想ヲ帶ビ
  テ居ルト云フコトヲ申シタノデアリマス、唯一言此點ニ付テ
  辯明ヲ致シテ置キマス、決議案ノ趣意ハ三段ニ分レテ居リ
  マス、政府ハ警吏憲兵ヲ以テ議院ヲ包圍シ、國民請願ノ自
  由ヲ壓迫シ、是ガ一ツデアリマス、ンレカラ溫良ノ人民ヲ拘
  束シト云フ事ガ一ツデアリマス、一ツハ議員ヲ毆打拘禁シタ
  ト云フ事デアリマス、此三ツハ何等ノ事實ノ根據ガナイト云
  フコトハ私ハ申シテ置キタイノデアリマス、去ル二十三日ニ
  普通選擧法ガ上程ノ日ニ於キマシテ、政府當司ノ爲シタル
  事ハ、帝都ノ治安ヲ維持シ、東京市民ノ安寧ヲ維持スル爲
  ニハ、其當時ノ狀況ニ徴シテ、實ニ已ムヲ得ザル處置ニ出デ
  タノデアリマス、此二十三日以前ニ、政府ノ反對黨ハ、屋内
  及屋外ノ集會ヲ開催シテ、輿論ヲ喚起スルト稱ヘテ、如何
  ナル事ヲ爲シマシタ、其中ニハ往ミ過激ノ言動ヲ敢テ致シマ
  シテ、或ハ中岡艮一ノ行動ヲ稱揚シタル者モアリ、直接行
  動ヲ慫慂シタル者モアル、現ニ本月ノ十一日芝公園ニ於キ
  マシテ、憲政會ノ代議士中野寅吉君ハ、ドウ云フ演說ヲ致
  シタ、其演說ノ中ニ、見ヨ中岡艮一、彼ハ僅々一二分間ニ
  於テ大演說ニ優ル大仕事ヲ爲遂ダタ云々、又同月十七日
  ニ神田靑年會舘ニ開催サレマシタ普選ノ促進演說會ニ於
  テ、函館ノ立憲靑年黨員ノ濱口一藏ト云フ人ハ、斯ウ云フ
  演說ヲシテ居ルノデアル、中岡艮一ヲ激稱致シテ、同人ノ行
  爲ニ對シテハ、動一等ヲ授ケル資格ガアルト云フ意味ヲ述
  ベ、直接行動ヲ慫慂シテ、其結果起訴セラレテ目下審理中
  デアリマス、又二十二日ニ同ジク靑年會館ニ開催セラレタル
  全國各地ノ代表者ノ大會ニ於テ、堀川某ナル者ハ、多數ノ
  泥棒議員ノ制定シタル法律ニハ服從ノ義務ガナイ、國民ノ
  熱求スル所ノ普選案ヲ否決スルニ於テハ、租稅モ牧メナケ
  レバ、又徵兵モ拒ンデ宜イト云フヤウナ過激ナ演說ヲ致シテ
  居ル、又其場所ニ於テ宣傳ビラヲ撒布致シマシテ-(此時
  私語スル者多シ)

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• 106・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　靜ニ···

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• 107・松田源治

  ○松田源治君(續)　「水戶ノ新人十七士櫻田門外ニ叫
  ブ、吾等ニ參政權ヲ與ヘヨ、吾ハ死ヲ賭シテ此請願ヲ敢テ
  ス」ト云フヤウナ宣傳ビラヲ撤布致シマシタ、斯ウ云フ事例
  ハ枚擧ニ遑アラザルノデアリマス、而シテ新聞紙ノ全部トハ
  申サレマセヌガ、其一部ニ於キマシテモ、煽動的ノ言論、或ハ
  誇大不穏ノ記事ヲ連載致シマシテ、明白ニ又ハ暗々裡ニ、
  直接行動ヲ慫慂スル者ガアルノデアリマス、斯ウ云フ情報ヲ
  綜合致シタ時分ニ於キマシテハ、請願ニ名ヲ籍リテ多數ノ
  人ヲ議院ニ殺到セシメテ、而シテ如何ナル騒擾ヲ起スヤモ
  測リ知ルベカラザルモノデアリマス、普選實行派ニ於キマシテ
  ハ、數日前ニ請願書ヲ二十万枚振リ撒イテ、ソレデ巧ミニ
  請願運動ヲ勸誘シテ、サウシテ一時ニ群衆ヲ議院ニ殺到セ
  シメテ而シテ議院ノ周圍ニ大紛擾ヲ惹起スト云フ計畫ガ
  アッタト云フコトハ、火ヲ賭ルヨリモ明カナ事實デアラウト思
  フノデアリマス、斯ウ云フ事實ニ基キマシテ、帝都公安維持
  ノ責任ノアル當局者ハ、警吏ヲ以テ取締ノ責ニ任ジテ、其
  安寧秩序ヲ維持スルト云フコトハ、當然ノ處置デアルト考
  ヘマス、又請願ノ自由ヲ壓迫シタト申シマスレドモ、請願書
  ヲ持ッテ二十万人モ一時ニヤッテ來タラ、交通ノ整理ヲセズ
  シテドウシテ、請願ガ出來マス、安全ニ請願ノ趣旨ヲ達セシ
  メル爲ニ、櫻田門ノ一部ニ綱ヲ張ルト云フコトハ當リ前デア
  ル、集マル所ハ車道ト人道トノ區別ハ無イノデアリマス、而
  シテ電車モ通ルノデアル、大勢ノ何千何万ノ人ガ押掛ケタ
  ナラバ、怪我人モ出來ヤウ、交通モ出來ナイ、電車ノ通行モ
  出來ナイノデアッテ、交通整理ノ爲ニ請願ノ安全ヲ保障スル
  爲ニ、アレダケノ處置ヲシタノハ當然デアラウト思フ故ニ政
  府ガ卽チ虎ノ門ニ綱ヲ張リ-議院ニ於テ爲シタ柵ハ、是
  ハ議長ノシタ事デアリマシテ、卽チ當局ニ責任ハ無イガ、彼
  處ニ棚ヲ拵エテ、ズット交通ノ安全ヲ保障シテ、而シテ議院
  ニ請願書ヲ出シテ、ンレカラ他ノ方カラ出ルト云フ法ヲ講ジ
  ナケレバ、安全ニ私ハ請願書ヲ議院ニ提出スルコトハ出來
  ナカッタト思フ、即チ一万何千人ガ二十三日ニ議院ニ請願
  書ヲ提出シ、何等ノ騒擾ヲ來サナイト云フコトハ、請願者ガ
  寧口政府ヲ感謝シテ宜シイト思フ、又日本ノ人民ノ或ル一
  部ニハ、頻リニ權利トカ自由トカ言ッテ叫ビマスガ、自由ノ裏
  面ニハ制限觀念ガアリマス、責任觀念ガアリマス、又權利ノ
  裏面ニハ義務ガアリマス、憲法政治ノ元祖國ト謂ハレル英
  國等ニ於キマシテモ、煽動的集會取締法ト云フモノガアリ
  マシテ、議院ノ開會ノ當日ハ、政治ノ目的ノ爲ニ議院カラ
  一哩以内ノ街路デアルトカ、廣場デアルトカ、空地デアルト
  カ云フ所ニ、五十名以上ノ集會ハ禁ジテアリマス、卽チ煽動
  的集會取締法ノ二十三條ニ斯ウ云フコトガアル、能ク御聽
  キ下サイ、「議院ノ兩院若クハ一院ノ開會召集延期若クハ
  閉會ノ當日ニ於テ〓會若クハ國家ニ關スル事項ノ變改ノ
  爲メ兩院若クハ一院ニ請願哀訴疏明建議ヲ爲シ準備ノ
  目的若クハ其口實ニテ「ウエストミニスターホールゲート」ヨ
  リ一哩以內ニ在ル地內ノ街路廣場空地若クハ「ウエストミ
  ニスター」特許地若クハ「ミットルセックス」等ニ丑十人以上集
  合スルハ適法ニ非ラズ不法ノ集會ト認定セラル」トアルノデ
  アリマス、斯ノ如ク自由ヲ尊ブ國デモ、煽動的集會取締法
  ト云フモノガアルノデアリマス、自由ト云フ言葉ハ絕對ノ自
  由デハアリマセヌ、放縱勝手トハ違フノデアリマス、卽チ自由
  ハ制限デアリマス、責任觀念デアル、賢明ナル諸君ノ前ニ外
  國語等ヲ引イテ相濟ミマセヌガ、英語ノ「リバーチー」ト云フ
  言葉ハ「リミット」ト「バウンダリー」カラ成ッテ居ル、卽チ限界、
  範圍ト云フモノカラ成ッテ居ルノデアル、吾々ノ行動スル限
  界、吾々ノ言論スル範圍ト云フコトヲ極メタノガ「リバーチー」
  デアルト云ハナケレバナラヌノデアル、卽チ自由ト云フモノハ
  制限デアル、責任感念デアル、立憲政治ナルモノハ秩序ト制
  度ヲ尊重シ、平和ノ裡ニ行動シナケレバ、立憲政治ノ圓滿
  ノ發達ト云フコトヲ期スルコトハ出來ナイノデアル、卽チ自
  由ナルモノハ制限デアッテ、責任デアッテ、制度ヲ尊ビ秩序ヲ
  尊ビ平和ノ裡ニ行動スルノガ是レ「デモクラシー」ト云フテ、是
  レ自由ナリト謂ハナケレバナラヌノデアリマス、又溫良ナル人
  民ヲ檢束シタ、斯ウ云フコトハ政府ハ絕對ニアリマセヌ、卽
  チ諸君等ノ協賛シマシタ法律ノ行政執行法ニ依リマシテモ、
  暴行逃走其他公安ヲ害スル虞アル者ニ對シ、之ヲ豫防スル
  爲メ必要ナル時ハ、檢束ヲ加フルコトヲ得ト云フコトガアル、
  卽チ暴行逃走其他公安ヲ害スル虞アル時分ニハ、公安ヲ
  維持スル爲ニ檢束ヲ爲スト云フコトハ、遺憾ナガラ已ムヲ得
  ザル處置デアルト私ハ考ヘルノデアリマス、是ハ皆議會ニ於
  テ協賛シタル法律ニ依ッテ、アヽ云フ騒擾ノアル場合ニ於テ、
  或ハ煽動的ノ言語ヲ使ヒ、或ハ公安ヲ害スルト云フヤウナ
  コトガアッタナラバ、諸君等ノ協賛シタル法律ニ依ッテ、之ヲ
  檢束シテ治安ヲ維持スルト云フコトハ、政府絕對ノ任務ナ
  リト私ハ斷ズルノデアリマス、又議員ヲ段打拘禁シタ、議員
  ヲ毆打シタコトハナイノデアル(「アルアル」ト呼フ者アリ)又
  田中君ガ警視廳ニ勾引サレタノハ、是ハ治安警察法及公
  務執行妨害罪ニ該ッテ檢束シタノデアル、假令代議士デア
  ルト雖モ、憲法ノ保障ハアリマスケレドモ、卽チ憲法第五十
  三條ニ現行犯罪又ハ内亂外患ニ關スル罪ヲ除ク外トアル、
  卽チ現行犯ノ時分ニハ、議員デアラウガ誰デアラウガ、卽チ
  現行犯ト認メテ之ヲ勾引スルコトハ當然デアリマス、又勾
  引シテ調ベタ所ガ、代議士デアルカラ身分モ確カデアル、逃
  走ノ虞モナケレバ、證據湮滅ノ虞モナイカラ、之ヲ釋放スル
  コトハ當然デアリマス、今ヤ此事件ハ治安警察法職務執行
  妨害トシテ、檢事局ニ一件書類ヲ送リマシテ、審査中デアリ
  マスカラ、數日ヲ出デズシテ田中君ガ犯罪ヲシタカ否ヤト云
  フコトハ明ニ分ル事デアルト思フ、卽チ田中君ハ憲政會本
  部ニアリタル群集ヲ率イテ、之ヲ日比谷門ニ連レテ來テ、日比
  谷門ノ中ニハ多數ノ群集ガアル、ソレニ一致セシメントステ、警
  戒線ヲ突破セント致シタノデアル、其時分ニ其處ヲ守ッテ居
  ル所ノ警察官ハ、此方ニ來ラレテハ、日比谷公圓ニ群集ガ
  居ルカラ、ソレト一致スル場合ニ於テハ、不穏ナル行動ヲ起
  スカラ、櫻田町方面ニ解散スルガ宜イト言ウテ解散ヲ命ジタ
  ノデアル(「嘘ヲ言フナ」ト呼フ者アリ)然ルニ解散ノ命ニ從ハ
  ズ制止ノ聲ニモ從ハヌ、警戒線ヲ突破致シマシテ、遂ニ警察
  官ヲ歐打シテサウシテ職務ノ妨害ヲ致シタカラ、公務執行妨
  害及治安警察法違反トシテ勾引シタノデアル、代議士ト致シ
  マシテハ、私ハ愼重ナル態度ヲ執ッテ、而シテ秩序ヲ維持シナ
  ケレバナラヌノデアリマス、然ルニ群衆ヲ率イテ、其場合ニ屋
  外集會ノ禁ゼラレテ居ルト云フコトモ知ッテ居ル、屋外ニ群
  集ガ集ルコトヲ禁ジテ居ルト云フコトモ明ニ知ッテ居ル、然ル
  ニ當該警官ノ制止解散ニ應ゼズシテ、警戒線ヲ突破シテ進
  ムト云フコトハ、是レ犯罪ニアラズシテ何ゾヤト私ハ申スノデ
  アリマス、斯ノ如キ狀態ニシテ政府ガ治安維持ノ爲ニ····
  (「嘘ヲ言フナ」ト呼ヒ其他發言者多シ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=107

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• 108・奧繁三郎

  ○議長(奥繁三郞君)　靜ニ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=108

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• 109・松田源治

  ○松田源治君(續)　治安維持ノ爲ニ安寧秩序ヲ維持ス
  ル爲ニ、アレダケノ取締ヲシタカラ、帝都ハ安全ニ擁護サレタ
  ノデアリマセヌカ立憲政治ハ完全ニ進行シタノデアリマセヌ
  カ、之ヲ憲政破壞行爲ト云フコトハ、是ハ諸君等ノ言フコト
  ガ理論ニ違ッテ居ル所ノ言論ナリト申サナケレバナラヌト私
  ハ思フノデアリマス(拍手)又斯ノ如キ決議案デ政府ヲ彈劾
  シテ、政府ヲ辭職セシムルト云フコトハ、憲政ノ常道カラ言っ
  テモ違ッテ居ル、諸君等ハ政府ガ取リタケレバ、政策ヲ以テ
  對抗スルガ宜シイ、政策ヲ以テ對抗シテ國民ガ之ニ共鳴致
  シテ、國民ガ贊成スレバ、來ル總選擧ニハ政府ノ反對黨ガ
  多數出ルノデアル、立憲治下ニ於テ政府ヲ倒スト云フ立憲
  的ノ處置ハ、タッタ一ツシカナイ、曰ク總選擧デアルト云フコ
  トヲ私ハ斷言致スノデアリマス、政府ノ善政失政ハ、總テ總
  選擧ニ依ッテ勘定サレルノガ立憲政治ノ常態デアル諸君等
  ハ總選擧ニ於テ多數ヲ占メズシテ、內閣ヲ倒サウト云フコト
  ハ、原因ト結果ヲ誤ッテ居ルノデアル、多數ニナルト云フコト
  ガ原因デアッテ、内閣ヲ取ルト云フコトハ結果デアル、卽チ諸
  君等ノ言論ハ憲法ノ常道ニ由ラザルノミナラズ、逆施倒行
  ノ甚シキモノナリト私ハ論斷致スノデアリマス、諸君、國民ニ
  基礎ヲ置イテ居ル政黨內閣ハ、陰謀ヤ騒擾デ潰レルモノデ
  ハナイノデアル、吾々ハ憲政ノ常道ニ依ッテ、論理アル行動ヲ
  取ッテ日本ノ憲法政治ニ貢獻スルト云フコトガ吾々ノ任務
  デハアリマセヌカ而シテ日本ノ國民ノ一部ハ、激スル國民性、
  熱スル國民性、附和雷同スル國民性ヲ帶ビテ居ルノデアル、
  政黨ノ領袖ト致シ、有識アル責任アル士ト致シテハ、此國民
  性ヲ能ク考ヘテ、急激ナル行動ヲセズシテ秩序アル行動ヲ
  取ラシメテ、今ノ日本ノ憲法政治ヲ英國流ノ如ク、穩健實著
  ニ、健全ナル圓滿ナル發達ヲ爲サシムルト云フコトガ、一大任
  務デアルト考ヘマス、之ヲ察セズシテ、院外デ或ハ煽動的ノ言
  論ヲ爲シ、此熱シ易キ、此激シ易キ、此雷同附和性ノアル國
  民ヲシテ益〓激セシメ、益〓熱セシメ、益、雷同附和セシメタ
  ナラバ、日本ハ拉丁民族ノ行ウテ居ル憲法政治ノヤウナル
  墮落ヲ見ナケレバナラヌト私ハ考ヘルノデアリマス、今日ニ
  於テハ日本ノ憲法政治ヲ英國流ノ憲法政治ニスルカ、或ハ
  拉丁民族流ノ憲法政治ニスルカト云フ分岐點ニ際會致シ
  テ居ルノデアリマス、吾々ハ益〓此日本國民ノ思想ヲ善導シ
  テ、憲法政治ノ爲ニ秩序アル進步ヲシテ、穩健實著ナル行
  動ヲ取ッテ以テ、國民ニ報ズルト云フコトガ、當然ノ處置ナリ
  ト考ヘルノデアリマス、斯ノ如久輕卒ナル、斯ノ如ク急燥ナル
  唯騒グ決議案ヲ以テ、政府ヲ退ケヤウト云フコトハ、立憲ノ
  常道ニ於テ吾々ハ斷ジテ反對ヲスルノデアリマス、多ク論ズ
  ル必要ハアリマセヌ、斯ノ如キ決議案ハ憲政ノ常道ヲ破壞
  シ、自ラ憲政ヲ破壊スルモノデアリマスカラ、之ニ向ッテ絕對
  的反對セラレンコトヲ望ムノデアリマス、且此案ハ不信任案
  デアリマスケレドモ、裏面ニハ信任案デアル此少數ノ不信任
  案ヲ否決シタナラバ、內閣ニ絕對信任ヲ與ヘルト云フコトニ
  ナルノデアリマス、不信任ハ表面デアッテ、{裏面ハ信任案デア
  ル、諸君ハ宜シク此案ヲ否決シテ、政府ニ向ッテ絕對ノ信任
  ヲ與ヘラレンコトヲ望ンデ私ハ此壇ヲ下リマス(拍手)
  〔紫安新九郞君「議長--議事ノ進行ニ付テ」田中
  善立君「議長-議長」ト呼フ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=109

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• 110・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　田中善立君ヨリ、一身上ノ辯明ニ
  付テ發言ヲ求メラレマシタカラ之ヲ許シマス
  〔田中善立君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=110

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• 111・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　靜肅ニ···

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=111

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• 112・田中善立

  ○田中善立君　只今松田源治君ノ本員身上ニ關スルコ
  トハ、全ク〓倒シ、全ク事實無根ナルコトヲ私ハ辯明ヲ致シ
  マス、去ル二十三日本會議ガ了ヘマシテ、憲政會本部ニ引
  上ゲマスルト云フト、本部ノ門ノ內外ハ、多數ノ警官ト構內
  ニ居リマスル熱誠ナル普選同志ガ、互ニ押合ヒヲシテ居ル光
  景デアッタノデアリマス、之ヲ聞キマスルト云フト、吾々ガ歸ル
  少シ前ニ、亂暴ニモ警官ハ我ガ本部ノ構內ヘ闖入シテ、其
  三名ハ拔劍シテ此民衆ヲ解散セシメントシタ、中ニ泉田保
  雄ナル仙臺ヨリ態、上京セル靑年ハ、左腕ニ三箇所ノ斬創
  ヲ受ケタト云フコトデアル、其他警官ノ土足ニ掛ケラレ、打
  チ打擲ヲサレタ者モ少カラズアル、其餘波ノ騒ギデアルト云
  フコトヲ耳ニ致シタノデアリマス、故ニ私ハ黨務委員長ノ職
  責上(「偉イ偉イ」ト呼ヒ笑聲起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=112

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• 113・奧繁三郎

  ○議長(奥繁三郞君)　靜粛ニ···

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=113

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• 114・田中善立

  ○田中善立君(續)　是バ默シテ「置クコトガ出來ヌト云フ
  所カラ、警官ニ對シテ何故ニ我ガ構内ヘ濫リニ闖入シテ、サ
  ウ云フ暴行ヲ加ヘルノデアルカト叱咤致シマシテ、警官ヲ皆
  構外ヘ押出シマシタ、是ニ於テ一先ヅ其喧騒ハ鎭マリマシ
  タガ故ニ、私ハ本部ノ樓上ニ引上ゲマシタ、暫クスルト云フ
  ト、賴母木幹事長ガ樓上ヘ上ッテ參リマシテ、今佐々木方面
  觀察ト田邊麹町署長ガ吾輩ニ向ッテ、ドウゾ此構內ノ民衆
  ヲ一刻モ早ク解散サシテ吳レト云フコトデアッタ故ニ、吾輩
  ハ彼等ニ向ッテ解散ハサセルガ、今橫山勝太郞君ガ院內ノ
  模樣ヲ報告セシメントシテ居ルカラ、此報告ヲ了ヘタナラバ
  解散ヲサセヤウ、斯ウ答ヘタ、ンコデ方面觀察ハ宜シク賴ム
  ト言ヲテ歸ヲテ行ッテ、暫クスルト云フト田邊署長ガ再ビ賴母
  木君ヲ呼出シニ來タノデアリマス、賴母木君ガ行ッテ交涉ノ
  結果、又歸ヲテ報告シマス所ニ依ルト、今田邊署長ガ言フノ
  ニハ既ニ報告モ濟ンダカラ、ドウゾ早ク解散セシメテ貰ヒタ
  イト云フコトデアッタ、ソコデ古賀三千人君、〓水留三郞君
  等ガ傍ニ居"タガ、田邊署長ニ向ノテ、我輩ハ解散ヲサセヤウ
  併ナガラ一步門外ニ是等ノ民衆ガ出レバ、皆ナ暴民ト看做
  シテ檢束サレル虞ガアルノデアル、此故ニ君等ガ決シテ檢束
  ヲセヌト云フ保證ヲ與へタナラバ、責任ヲ以テ解散サセヤウ、
  併ナガラ君等ガ今玆ニ保證ヲ與ヘルト云フタ所ガ、是迄サ
  ウ云フ約束ハ往々間違ッテ居ル、故ニ愈〓サウナレバ吾々ガ監
  視シ、吾々ガ引率シテ、適宜ナル場所迄連出シテ、其所ニ於
  テ解散ヲセシムルコトニセヌケレバ、到底責任ヲ有ッテ解散セ
  シメルコトガ出來ヌノデアルト、斯ウ答ヘタ、所ガ田邊署長ハ
  其議ハ-諸君ガ引率シテ出ルト云フ議ハ、長官ト打合ヲ
  セヌケレバ、獨斷デ御答ガ出來ナイカラ、暫ク待ッテ吳レト云
  フ報告ガアリマシタ、樓上ニ於テ待ツ事約三十分ニシテ、田
  邊署長ガ參リマシテ、其所デ幹事長ガ三度ビ廊下ヘ行キマ
  シテ交涉シタ結果ノ報生ロニ依リマスルト、愈、アナタ方ノ御意
  見通リニ、連レ出シテ適當ナル場所ニ於テ解散サシテ吳レ、
  斯ウ云フ事デアッタカラ、ドウゾ諸君ト共ニ引率ヲシテ、適宜
  ナル場所ニ於テ解散サセルコトニシタイカラト。一云フコトデアッ
  タノデアリマス、此ニ於テ私共ハ其千餘ノ民衆ヲ先ヅ先キニ
  賴母本幹事長ガ先頭トシテ引率ヲシ、小池仁郞君、〓水留
  三郞君ガ之ニ踵テ私ハ殆ド殿リノ所ニ位シテ、以テ内幸町
  ノ正門ノ方へ出マシテ、アノ溝端ノ細キ道ヲ內幸町ノ電車
  通リニ向ッテ靜カニ進行シタノ」デアリマス、電車通リニ差蒐
  リマスルト、前方ガ立寒ッタノデアリマス、何事カ起ッタカト思シ
  テ民衆ヲ押分ケテ電車通リニ出テ見マスルト、彼處ノ位置
  ハ向ッテ右ノ方ハ共保生命保險會社ガアリマス、左ノ方ニハ
  胃膓病院ガアリマス、其胃膓病院ノ前ニ當ッテ、多クノ民衆
  ト警官ト何カ騒イデ居ル模樣デアリマスカラ、私ハ其民衆ノ
  方面ニ向ッテ一人進ミマスト、院外團ノ加藤鯛一ナル者、其
  他有志數名私ノ身邊ニ來ッテ、君等ハ怪シカラヌ、吾々ヲ欺
  イテ斯ウ云フ危險ナ所へ連レ出サウトシタデハナイカ、前方
  ニ進マントスルト一步モ進マセナイノデアル、退カンカ、又警
  官ガ之ヲ立塞ガルノデアル、怪シカラヌト私ニ喰ッテ掛リマシ
  タガ、ソレハ其所ニ居ル警官ガ、幹事長ト田邊麹町署長ト
  ノ交涉ノ結果ヲ知ラナイノデアラウカラ、然ラバ我輩ガ行ッテ
  能ク其交涉ヲシテヤラウト云フノテ、民衆ヲ押分ケテ行キマ
  スルト、間モナク警官ノ堵列スル所ニ達シタノデアリマス、私
  ハ其事ヲ言ハントスルト、警官ガ私ヲ突飛バスノデアリマス、
  故ニ私ハ白薔薇ノ微章ト議員ノ徽章ヲ見セマシテ、自分ノ
  姓名ヲ名乘リマシテ、斯カル談判ヲシニ來タノデアル、何故
  ニサウ云フ暴行ヲスルカト言ハセモ果テズニ、四方カラ私共ニ
  打ッテ掛ルノデアリマス、其時ニ背後ニ大ナル一聲アリ、煽動ノ
  現行犯デアル、議員デアラウガ何デアラウガ、檢束シテシマヘ
  ト云フコトデアッタ(「其ノ通リ」ト呼ヒ發言スル者多シ)靜カ
  ニ御聽キナサイ、[周圍ヲ顧ミマスルト、皆警官ヲ以テ包圍サ
  レテ居ルノデアリマス(此時發言スル者多ク、議場騒然)

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• 115・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　靜ニ··

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• 116・田中善立

  ○田中善立君(續)　私ガロヲ開カントスレバ、打ツ、蹴ルト
  云フヤウナ狀態デ、此左ノ手ノ甲ト、此ノ所ニ少々擦過傷ヲ受
  ケマシタ、到底私ハ最早口ヲ開クコトガ出來ヌカラ、彼等ノスル
  ガ儘ニシテ置キマスト、丁度私ニ取ッテハ幸ヒデアリマシタガ、十
  數名ノ新聞記者諸君ガ、警官ヲ離レテ私ニ着イテ來マシタ、
  ソレカラ勸業銀行ニ向ッテ內幸町ノ方カラ日比谷門内ニ引
  入レラレタ、多クノ新聞記者ハ其所カラ追歸へサレタ、其間
  ニ背後カラ何者カ矢張私ヲ打ツ者ガアリマシタ、内幸町ノ
  門內ニ這入ルト、左ノ方ニ共同便所ガアリマシタ、其共同便
  所ノ脇ノ所ニ引出サレマシテ、其所ニ數十分間待シテ居リマ
  シタガ、數多ノ十數名ノ檢束者ハ顏面ニ疵ヲ受ケテ、血ヲ
  流シテ居ル者ヤ、色々ナ者ガ隨分殘酷ナル取調ヲ受ケテ居
  リマシタ、約二十分程經チマシテ、其附近ニ居リマシタ無蓋
  貨車自動車ニ押上ゲラレテ、十九名ノ檢束者ト共ニ警視
  廰ニ送ラレタノデアリマス、警視廳ノ留置場ニ這入リマスト、
  既ニ幾十名ノ檢束者ガ居ルノデアル、殘酷ナル取調ヲ受ケ
  ツヾアルノデ、暫ク私ハ見テ居リマスト、愈〓私ヲ取調ベント
  シタノデアリマス、將ニ身體檢査ヲ受ケントスル刹那、一倍
  官ガ〓ヲ排シテ這入ッテ、田中ハ居ルカ、此所ニ居ル、數步ヲ
  隔ッタ所ニ私ヲ呼出シマシテドウ云フ譯デ君ガ此所ニ來タ
  カト云フコトヲ聞キマシタカラ、君ガ冷靜ニ聞クナラバ御話
  モシヤウ、冷靜ニ聞クカラ話シテ吳レ、ンコデ其〓末ヲ話シマ
  スト、始メテ私ヲ人間扱ヲシタ、シンデ暫ク其所ノ椅子ニ掛
  ケテ待ッテ居テ吳レト云フコトデアリマシタ、出テ云ッテ暫クス
  ルト、其警官ガ捜査課長ノ室ニ來テ貰ヒタイ、故ニ私ハ踵イ
  テ行キマスルト、小泉搜査課長ノ室ニ參リマシタ、小泉搜査
  課長ガ私ニ向ッテ申シマスルニ、今斯ウ云フ報告ガ日比谷
  方面ノ警官カラ屆イタ、卽チ煽動ノ現行犯ヲ認メテ、君ヲ
  檢束シタト云フ報告ガ來テ居ル、事實ハ如何デアルカト云
  フコトデアリマシタカラ、私ハ詳細ニ話シマシタ、所ガ然ラバ
  其警官ヲ此所ヘ呼ンデ間キ訊サウト電話ヲ掛ケマシタケレ
  ドモ、其警官ノ所在ガ分ラナイ、其時ニ這入ッテ來タ人ガアッ
  テ、搜査課長ヲ連レ出シテ行キマシタ、捜査課長ハ稍〓暫クス
  ルト歸ッテ來テ、能ク分リマシタ、蓋シ幹事長ト田邊署長ト
  ノ交渉ガ、アノ内幸町ノ電車通ヲ警戒シテ居,タ警官ニ其
  旨ガ達セザリシ爲ニ、其誤解ヨリ斯ノ如ク君ヲ檢束シタモノ
  ト思フ、洵ニ御氣ノ毒デアッタ、ドウゾ御歸リ下サイト云フコ
  トデアッタカラ、私ハ約一時問ヲ經過シテ九時頃歸ッタノデア
  リマス、是ガ事實デアリマス、少シモ僞ラザル所ノ是ガ事實デ
  アリマス、斯ノ如ク明カナル事柄ヲ、全ク虛僞ノ部下ノ報告
  ニ依ッテ、我輩ヲ罪セントスルニ至ッテハ、其良心ノ有無ヲ疑
  ハザルヲ得ヌノデアル、事實ノ報告ハ右ノ如クデアリマス、尙
  ホ之ヲ目撃セル所ノ第三者タル權威アル十數名ノ新聞記
  者ガ、生キタ證人ニ立チ得ルノデアリマス、尙其他ニモ目撃
  者ガ幾ラモアルノデアリマスカラ、如何ニ良心ナキ當局者ガ
  詭辯ヲ弄スルト雖モ、公正ナル司法官ノ手ニ依ヲテ、天下ニ
  明カニナルデアラウト、私ハ信ジテ疑ハヌノデアリマス

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• 117・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　横山勝太郞君····

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• 118・紫安新九郎

  ○紫安新九郞君　議事ノ進行ニ付テ發言ヲ求メマス

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• 119・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　宜シイ

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• 120・紫安新九郎

  ○紫安新九郞君　簡單デスカラ此席デ-政府ヲ彈劾ス
  ル場合トカ、或ハ政府ニ對スル不信任案ノ討議ヲナス場合
  ニ於テ稍、穂當ヲ缺クノ言辭ヲ發スルト云フコトハ、殆ド從
  來ノ慣習ニナッテ居ッタノデアル、發ルニ先刻我黨ノ代表者
  關和知君不名譽ノ二百八十名/議員ヲ選出云々ト云フ
  言ヲ發スルヤ、政友會ヨリシテ議長ニ對シテ此言葉ノ取消
  ヲ要求セラレタ、而シテ議長ガ關君ニ對シテ其取消ヲ命ズ
  ルニ當リマシテ、關君ガ其言葉ノ意義ヲ釋明致シマシタ、其
  際ニ議長ハ關君ハ議長ノ命令ニ抗スルモノト認メルカラ云
  云ト云フコトヲ仰セニナリマシタ、ソレハ議長御見込ノ通リ
  デ、私共ハ何トモ申シマセヌガ先刻松田源治君ノ演說ニ
  至クテハ、吾々默過スルコトノ出來ヌ言辭ヲ發シテ居ルノデ
  アリマス、松田君ハ何ト中シマシタ、諸君ハ憲政ノ常道ニ依
  ラズ、陰謀騒擾ニ依ッテ(其通リト呼フ者アリ)

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• 121・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　靜チ

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• 122・紫安新九郎

  ○常安新九郎君(續)　騷擾ニ依フテ我黨ガ政權ヲ取ラン
  トシテ居ルト云フコトハ、是ハ實ニ我黨ヲ誣ユルノ甚シイモ
  ノト謂ハナケレバナラヌ、其言辭ハ不穩當ヲ超越シタル言辭
  デアリマス、議長ハ速カニ松田君ニ對シテ其言ノ取消ヲ命
  セラレンコトヲ提議致シマス(拍手起ル)
  〔發言スル者多シ〕

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• 123・奧繁三郎

  ○議長(奥繁三郞君)　靜ニ-靜ニ、先刻ノ一言ハ萩君
  ノ注意ガアリマシテ取消ヲ命ジタコトハ、確ニ此處デ言ッテ
  居リマス、今松田君ノハ、其言葉ノミヲ摘發サレルガ、前後
  ノ關係ナドヤ、其言葉ガドウ云フ場合ニ使ハレテヤラ記憶
  シテ居リマセヌカラ、早速速記錄ヲ調ベタ上デ致シマス(「公
  平公平」ト呼フ者アリ)
  〔此時發言スル者アリ〕

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• 124・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　金澤安之助君ノ發言ヲ禁ジマス
  〔「議長ノ不公平ヲ信ジマス」ト呼ヒ金澤安之助君
  「(私ハ發言シテ居リマセヌ」ト呼フ〕
  〔橫山勝太郞君登壇〕
  〔「皆讀ンデ居ルカラ新聞ハ止シ給ヘ」ト呼フ者アリ〕

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• 125・奧繁三郎

  ○議長(奥繁三郞君)　靜仁

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• 126・横山勝太郎

  ○橫山勝太郞君·　諸君、私ハ只今關和知君ニ依ッテ說明
  ヲセラレマシタ決議案ニ對シテ、聊カ贊成ノ理由ヲ述ベタイ
  ト思ヒマス、此賛成ノ理由ヲ述べマス順序ト致シテ、此頃現
  政府竝ニ與黨タル政友會ノ諸君ノ態度ニ關シテ一言スル
  ノ必要ヲ認メマス、今囘上程セラレテ數日間ニ亙ッテ議論ス
  セラレタル所ノ普通選擧ナルモノハ、其價値果シテ如何ナル
  モノデアルカト云フコトニ付テハ、私ハ別ニ此際意見ヲ中上
  ゲル必要ハアリマセヌ、唯此普通選擧ノ議案ガ上程ヲセラ
  レマシタル前日、卽チ本月ノ二十二日ノ朝以來、政府ハ如
  何ナル態度ヲ執ッタカト申シマスレバ、政府ハ諸君も御承知
  ノ通リ、議會ノ裏門ニ當ヲテ居ル所ノ議員倶樂部ノ附近ニ
  於テ、其他ノ場所ニ木側ヲ建テ、又大ナル繩ヲ以テ之ヲ連
  結ヲ致シテ、而シテ民衆ガ議會ニ來ルコトヲ妨害ヲセントス
  ルガ如キ態度ヲ元シタノデアリマス(「ノウ〓〓」ト呼フ者ア
  リ)只今松田源治君ノ說明ニ依レバ、二十万モ請願ヲ爲ス
  者ガ來ッテハ甚ダ迷惑デアルカラ、交通ノ整理上斯ノ如キ事
  ヲ致シタノデアルト言ハレマシタケレドモガ、ソレハ只今松田
  君ノ辯明ニ依シテ吾々ガ之ヲ聞クコトガ出來タノデアリマス、
  當時ノ狀態ハ、吾々ノ察知スル所ニ依レバ、請願書ヲ携ヘタ
  ル者モ請願書ヲ携ヘザル者モ、盡ク混同セラレテ、サウシテ
  警察官ハ請願書ヲ持,テ居ル者モ、持シテ居ラナイ者モ、
  樣ニ之ヲ妨害ヲ致シテ、議院ニ來ルコトヲ阻止シタト云フ
  事實ハ、動カスベカラザル事實デアルノデアリマス(拍手)議
  院ノ內部ニ於テ普通選擧ノ議案ガ上程セラルルニ當ノテ
  警察官ガ木柵ト繩ヲ以テ議院ヲ包圍シ、又約八千ノ警察
  官ト幾何カノ憲兵ヲ以テ之ヲ擁護セントシタト云フ事實、
  斯ノ如キコトガ議院ノ外部ニ於テ行ハレテ居ル、冷靜ニ之
  ヲ見ル者ガアリマシタナラバ、必ズヤ此警察官ノ取締ノ方法
  ニ對シテハ、非難攻撃ヲスルノハ當然ノコトデアリマス、幾何
  ノ民衆ガ來ルカ、幾何ノ請願者ガ來ルカト云フコトモ分ラナ
  イノニ、早ク旣ニ警察官ガ恰モ多數ノ暴民デモ來ルカノ如
  キ考ヲ以テ(「間違テ居ルヨ」ト呼フ者アリ)暴民ヲ防グガ如
  キ態度ヲ以テスルト云フコトハ、一般民衆ニ對シテ大ナル侮
  辱ヲ與ヘタモノト謂ハネバナラヌノデアリマス(拍手)而シテ
  院ノ內部ニ於テハ如何デアリマス、吾々普通選擧ノ提案ヲ
  致シタル所ノ在野黨ノ側ニ於テハ、河野廣中氏、或ハ島田
  三郞氏、或ハ尾崎行雄氏ノ如キ、數十年一日ノ如ク憲政
  ノ爲ニ努力致シテ居ラルヽ所ノ諸先輩ヲ始メトシテ、各派
  ノ名士諸君ガ極力普選案ノ通過ニ努力致シテ居ラルヽ際
  ニ、政友會カラモ相當ノ名士ガオイデニナッタヤウニ思ヒマス
  ケレドモガ、其多クハ地方長官デアルトカ、或ハ各省ノ祕書
  官デアルトカ、詰リ眼光豆ノ如キ地方官ヤ、一課長、祕書官
  ニ依ッテ此普選案ヲ議シタト云フ此態度ハ、如何ニモ此重
  大ナル議案デアル所ノ普通選舉案ニ對シテ、政友會ノ態度
  ガ甚ダ不深切デアルト云フコトヲ私ハ斷言シテ憚ラヌモノデ
  アル(拍手)
  〔「何ヲ言フカ」ト呼ヒ其他發言スル者アリ〕

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• 127・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　静止

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• 128・横山勝太郎

  ○橫山勝太郞君(續)　政友會ハ御承知ノ通リ二百八十
  名ノ多數ヲ包擁致シテ居ラレルノデアリマス、其中ニバ閲歷
  ニ於テ、人格ニ於テ、第一流ノ政治家デアルト目セラルベキ
  民衆政治家モ、假令多クハナイニシテモ、三人ヤ五人ハ居ラ
  ルヽ筈デアルト思フ、然ルニ此重大ナル議案ノ討議ニ際シ
  テ、民衆政治家ト目セラルベキ一流ノ人〓ガ其論難攻撃ノ
  衝ニ當ルコトヲ避ケテ、一地方官、一祕書官ノ如キ者ヲ以
  テ、是ガ辯明ノ衝ニ當ラシメタト云フ事柄ハ、少クトモ我國
  ノ憲法政治ニ對シテ甚ダ不熱心ナルモノデアルト云フコト
  ヲ、私ハ斷言シテ憚ラヌモノデアリマス、政府ハ木柵ト大ナル
  綱ヲ以テ民衆ヲ防遏セントシ、內部ニ於テハ祕書官ト縣知
  事ヲ以テ普通選擧案ニ當ル、其態度ノ不熱心ニシテ、其態
  度ノ甚ダ不都合デアルト云フコトハ、申スマデモナイ次第
  デアルト考ヘル(拍手)卽チ現政府ノ今囘ノ普通選擧ニ對
  スル民衆ノ運動ニ對シテ、其取締ノ方法ガ、第一段ニ於テ
  非常ナル失態デアル、非常ナル失敗ヲ致シテ居ルト私ハ考ヘ
  ル而シテ其普通選擧案ニ對スル演說ノ要旨ヲ承ッテ見マス
  ルト、普通選擧案ニ反對ヲ爲サレシ政友會側ノ諸君ノ議論
  ハ一トシテ聽クベキモノガアリマセヌ、偶〓聽クベキモノアリト
  スレバ、或ル議員ノ御演說ニナリマシタル如ク、無產階級ノ
  者ハ比較的利慾ニ感ハサレ易イ人物ガ多イノデアル、斯ノ
  如キ者ハ多ク買收ニ應ズルノ虞アルモノデアル、斯ノ如キ者
  ニ多數ノ選擧權ヲ與ヘルト云フコトニナレバ、之ニ依シテ選
  出セラルベキ候補者ノ素質ト云フモノガ大ニ低下スルモノ
  デアル、斯樣ナ議論ヲ爲サル方ガアリマシタ、私ハ他ノ議論
  ニ付テハ、旣ニ辯駁モアッタコトデアリマスカラ多ク申シマセ
  ヌガ、此衆議院ノ議政壇上ニ於テ、何等ノ必要ナキニ拘ラ
  ド·

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• 129・奧繁三郎

  ○議長(奥繁三郞君)　横山君注意致シマス、今ハ普選案
  ノ討議デハアリマセヌ、本論ニ入ルヤウニ注意致シマス
  〔「ヒヤ〓〓」ト呼フ者アリ〕

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• 130・横山勝太郎

  ○橫山勝太郞君(續)　民衆ヲ挑發シテ、民衆ノ反感ヲ買
  フガ如キ言論ヲ爲スノ必要ハ無イト私ハ認メテ居ルノデア
  ル、民衆ニ媚ビルノ必要モ無イケレドモガ、何ノ必要アッテ此
  民衆ニ對シテ侮辱ヲ與へ、罵詈讒謗ヲスルノデアルカト云フ
  コトヲ私ハ聽カネバナラヌ、斯ノ如キ議論ト云フモノハ、宛モ
  民衆ノ頭ノ上ニ爆彈ヲ投ジテ、政友會ノ諸君ガ無產階級
  ノ人とニ挑戰ヲ爲シタモノデアルト私ハ斷言シテ憚カラヌ
  (拍手)斯ノ如キ思想ニ依ッテ政府竝ニ政府與〓ガ普通選
  擧案ニ對シマシタノデアリマス、又或人ノ議論ニ依レバ、今
  回ノ普通選擧ノ民衆運動ト云フモノハ、或ル一派ノ者ガ之
  ヲ挑發シ、之ヲ煽動シタニ過ギヌノデアッテ、民衆ハ決シテ普
  通選擧其モノヲ了解致シテ居ラヌノデアルト、斯ノ如キ論ヲ
  シテ居ル、斯ノ如キ論據カラ政府竝ニ政府與黨ガ民衆ヲ觀
  察致シマスカラ、總テノ民衆ガ暴民デアルカノ如ク見エルノ
  デアル是ハ政府竝ニ政府與黨ノ鑑識ヲ誤マラレタ點デア
  ル、政府竝ニ政府與黨ノ諸君、殊ニ遞信省デアルトカ、內務
  省デアルトカ云フ役所ノ祕書官ノ諸君、或ハ神奈川縣知
  事卽チ地方長官ノ如キ人こガ、役所ノ小サナ窻カラ民衆ヲ
  眺メテ、サウシテ民衆ハ普通選擧ヲ要求致シテ居ラヌト叫
  バレルノハ、宛モ井底ノ痴蛙ガ天ヲ仰イデ天ハ小ナリト言フ
  ト等シイ議論デアルト考ヘル此意味ニ於テ私ハ今申上ゲ
  夕、井底ノ痴蛙ガ天ヲ眺メテ天ハ小サイト云フコトガ、若シ
  眞理デアルトスルナラバ、政友會ノ二百八十ノ諸君ハ、此議
  院ト云フ小サイ建物ノ內ニ於テ、サウシテ田舍カラ御上京
  ニナッテ、宿屋カラ自動車ニ乘ッテ來テ、サウシテ民衆ヲ眺メ
  テ、此民衆ハ普通選舉ヲ要求シテ居ルモノデハナイ、民衆ハ
  決シテ普通選舉ヲ自覺シタルモノデハナイト仰ッヤルナラバ、
  恰モ二百八十ノ蛙ガ、井戶ノ底カラ天ヲ眺メテ、天ハ小サイ
  ト言フノト同樣デアルト私ハ考ヘル樋(口伊之助君「横山君
  ソッチヤ向イテヤレ何故私ノ顏ヲ見ナハルカソッチヤ向イテヤ
  リナハレ」ト呼フ)

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• 131・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　靜ニ

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• 132・横山勝太郎

  ○橫山勝太郞君(續)　而シテ本問題ニ付テ只今內務省
  ノ參事官松田源治君ノ反對ノ御演說ヲ拜聽致シマシタガ
  松田源治君ハ代議士トシテ發言ヲ爲サレタノデアルカ、或
  ハ內務省ノ參事官トシテ御發言ヲ爲サッタノデアルカ、其資
  格ニ付テモ私ハ疑ヲ持ツモノデアリマス、若シ松田源治君ガ
  代議士トシテノ資格ニ於テ御發言ニ相成ッタモノトスレバ、
  私ハ松田源治君ノ其豹變ノ甚シキニ驚カザルヲ得ナイ(拍
  手)松田源治君ハ多年在野法曹トシテ聲望隆々タルモノト
  マデハ申シマセヌケレドモ(笑聲起ル)免ニ角一廉ノ名聲ヲ
  有セラル(「君ヨリハヱライヨ」ト呼フ者アリ)在野法曹デフツ
  テ、多年人權擁護ノ爲ニ御盡力ニ相成リ、民衆運動ノ何物
  タルカヲ能ク御了解ニナッテ居ル、又普通選擧ノ何物タルカ
  ヲモ能ク御了解ニナッテ居ル御方デアル、此松田源治君ガ
  此議政壇上ニ立ッテ、幾多ノ新聞紙ニ書イテアル火ヲ睹ル
  ヨリモ明ナル事實ニ對シテ、之ヲ御否認ニ相成ルト云フ事
  柄ハ、少クトモ在野法曹トシテ多年辯護士ノ職務ニ居ラ
  レタル松田源治君ノ發言トシテハ、私ハ之ヲ受取ル譯ニイ
  カヌノデアリマス、併ナガラ内務省ノ參事官トシテ、內務省
  カラ月給ヲ貰ッテ居ルカラ、官吏タル資格ニ基イテ、其關係
  上カラ只今ノ御答辯ヲ爲サッタト云フコトデアルナラバ、私ハ
  之ヲ了承致シマス(「ヒヤ〓〓」)併ナガラ松田源治君ガ內務
  省參事官トシテ御話ニナッタ事ハ、其御演說ノ根據タル材
  料ハ何處カラ御持チニナッタノデアルカト云フコトヲ聽カネバ
  ナラヌ、只今吾々ガ申上ゲテ居ルコトハ、之ヲ公平ニ觀察ヲ
  致シマスレハ、在野ノ代議士若クハ民衆ト警察官トノ喧嘩ヲ
  此所ニ持ッテ來テ、公平ナル諸君ノ批判ヲ仰ガント致シテ居
  ルノデアル、其喧嘩ノ相手方ノ一方ノ言葉ヲ聽イテ、卽チ下級
  ノ警察官ノ御報告ヲ御信用ニナッテ、ソレヲ金科玉條トシテ
  此議政壇上ニ持來シテ、警察官ノ報告ト云フモノヲ根據ト
  シテ御發言ニナッタモノト私ハ認メル、由來警察官ノ報告ト
  云フモノガ、多クノ場合ニ於テ餘リ價値ノナイモノデアルト
  云フコトハ、官吏タル資格ニ非ズシテ、在野法曹トシテノ資
  格ニ於テ、松田源治君ハ能ク御承知ニナッテ居ル次第デア
  ル、故ニ只今ノ總テノ事實ノ御否認ニナルコトハ、內務省參
  事官松田源治君ノ發言トシテ、暫ク-松田源治君ハ其
  下僚ノ持ッテ來タ、下級警察官ノ作ッタ、全ク信用ノ無イ文
  書ヲ机ノ上デ御朗讀ニナッテ、此席デ御報告ニナッタニ過ギ
  ヌト私ハ斷言ヲ致シテ置キマス(拍手)而シテ此決議案ノ骨
  子トナッテ居リマスル所ノ、憲政會ノ構内ニ於テ數名ノ警察
  官ガ拔劍ヲシタト云フ事實、之ヲ明カニ御否認ニナルヤウデ
  アリマスカラ、私ハ證據ヲ提供致シタイト思フ、其證據子提
  供スルコトハ、多少ノ時間ヲ要スルコトデアッテ、洵ニ諸君ニ
  對シテ御氣ノ毒ニ感ジマスケレドモガ、此著明ナル天下公
  衆ノ認メテ爭フコトノ出來ナイ事實ヲ御否認ニナリマスカラ、
  其否認ノ態度ニ對シテ、私ハ多少ノ時間ヲ要スルカ、之ヲ
  證明セネバナラヌ態度ニ出ヅルコトハ、諸君自ラ招イタ罪デ
  アルト斷言致シマス、吾々ハ責任上此新聞ヲ讀ンデ置キマ
  ス(「ヨセヨセ」ト呼フ者アリ)然ラバ諸君ノ御反對モアリマス
  カラシテ、私ガ其反對ヲ排シテマデ之ヲ朗讀セネバナラヌ必
  要ヲ一言述べテ置キマス、諸君ノ旣ニ新聞ヲ讀ンデ御承知
  デアルト云フナラバ、何故新聞ヲ御否認ニナルカ、吾々ハ此
  議政壇上ニ於テ、如何ニ正義ヲ主張シ、如何ニ眞理ヲ主張
  シテモ、橫暴ナル二百八十ノ多數ノ前ニハ、到底打勝ツコト
  ガ出來マセヌカラ、結論ニ於テハ吾々ハ何時デモ敗ケルノデ
  アル、ソレ故ニ吾々ハ今日二百八十ノ多數ト云フ者ヲ相手
  ニシテ見テハ居ラヌノデアリマス、二百八十ノ面前ニ於テ之
  ヲ朗讀スルコトニ依ッテ、速記錄ヲ通ジテ六千万ノ國民ニ此
  事實ヲ報道スルノ必要ガアル(拍手)去ル二月一一十四日發
  行ノ國民新聞ニハ、斯ノ如ク揭載セラレテアリマス、表題ニ
  ハ「突貫、拔劍、宛ラ夜戰、田中代議士署長ニブン毆ラレ、
  四代議士巡査ニ毆ラレテ負傷、럭捉ヘテハ貨物自動車
  ニ投リ込ム、檢束者五十名ニ上ル」其記事ノ內容ニ於テ「警
  官拔劍シテ憲政會ニ亂入、中野代議士危ク逃ル、百五十
  人檢束ノ大混亂、茨城普選聯盟團ノ決死隊五百餘名ヲ
  初メ、全國各地ヨリ普選斷行ヲ要求スル民衆ハ、續々トシ
  テ憲政會本部ヘ押寄セ、請願者ヲ手ニシテ議院ニ向ヘルガ
  同本部附近ハ警官憲兵ガ取圍ミ、民衆ノ同本部ニ入ルヲ
  拒ム、本部內及ビ附近ノ民衆ハ、午後三時既ニ數千ニ達シ
  或ハ屋上ニ上リ、塀ヲ攀ヂテ議會ノ經過ヲ待チツヽアル所
  へ、普選ノ主將河野廣中翁ハ、午後四時半議會ヲ去ッテ憲
  政會本部ニ現ハレ、民衆歡呼ノ裡ニ廣場ノ演壇ニ立チ、英
  姿颯爽熱辯ヲ揮フテ曰ク一今日ノ民衆諸君ノ熱烈ハ、交戰
  時以外トシテハ、五十餘年間稀ニ見ルトコロデアル、此諸君
  ノ熱望セル要求モ、政友會ノ頑冥ト横暴トニ依シテ、既ニ運
  命ヲ決セラレントシテ居ル、議場ノ內外繩ハ張ラレ、警官ノ
  人垣ハ作ラレ、民衆ノ運動ヲ阻止シテ居ル、吾人ハ與論ヲ
  喚起シテ、死ヲ賭シテモ權利ノ要求ニ邁進シナケレバナラ
  ヌ」憲政會ヲ中心トシテ、其附近ニ於ケル民衆ハ刻々トシテ
  增加シテ行クノデ、此方面ノ指揮官縣警務部長ハ、午後七
  吋三十分ニ至リ、斷然民衆ノ解散ヲ命ジ、警官ハ頻リニ活
  動ヲ始メタノデ、憲政會本部ニテハ、此形勢ヲ看取スルト同
  時ニ、正門ヲハタト締切ッタノデ、多數ノ警官ハ、決死ノ勢ヲ
  以テ鐵扉ヲ押破ヲテ聞入シテ解散ヲシ、中ニハ三名ノ警官
  ハ、理不盡ニモ抜劔シテ民衆ヲ威嚇シ、玆ニ大衝突ヲ演ジ、
  一時ニ民衆百餘名ハ檢束サレ、中ニハ追ハレテ溝中ニ墜落
  スルナド、大修羅場ガ現出サレ、報告演說中デアッタ代議士
  中野寅吉氏モ、血迷ッタ警官ノ爲メニ押シ取卷カレ、將ニ檢
  束サレントシダノデ中野氏ハ云々」其次ニ「全ク其警官隊ノ
  上逆セ加減ハ、御話シニナラナカッタ、所へ森田憲政會總務
  來蒐リ、其不法ヲ訳問シタルガ、更ニ小泉總務モ來合セ、共
  ニ糺問シテ不法ノ警官ヲ立去ラシメタガ、雨總務ハ直ニ階
  上ニ至リ、各代議士ニ報告シ「政黨本部ニ拔劔闖入セルハ
  人權蹂躪モ甚シ」トテ議會問題ト爲スベク大ニ敦圍テ居ル」
  其次ニ斯ノ如キ記事ガアリマス「拔劍ノ實見者中村雪山
  氏談、憲政會本部內デ橫暴ノ警官ノ抜劒ヲ目撃シタ憲政
  會院外團ノ中村雪山氏ハ語ル、恰度南代議士ハ議會ノ經
  過ヲ報告中、民衆ハ普選歌ヲ頗ル靜肅ニ歌ッテ居夕所、突
  然表門ヨリ多數ノ警官ガ闘入シ、一同ノ解散ヲ命ジタノデ
  何レモ躊躇シテ居ルト、理不盡ニモ拔劒シテ大混雜ニ陷ラ
  シメタノデアル」之ガ拔劒ニ關係アル前後ノ記事デアリマシ
  テ、國民新聞ニ揭載セラレテアル記事ノ一端デアリマス、其
  他二月二十四日付ノ萬朝報ノ記事ニ依リマスルト、是亦
  殆ド同樣ノ記事ガアリマス、其內容ハ長クナリマスカラシテ、
  成ベク簡單ニ致シマス、其標題ニハ「警官隊突然トシテ闘
  入、拔劔シテ猛リ狂フ、立籠レル民衆ヲ追拂ハントシテ、野
  黨本部前ノ大混亂」斯ノ如ク記載ヲセラレテ居リマシテ、其
  記事ノ中ニ「警官隊百餘名ハ表門ト裏門トヨリ矢庭ニ
  闖入、場內ノ民衆ヲ追拂ハントシタルニ依リ、同本部ヨリ院
  外團ノ人々ガ飛出シ來ッテ抗議ヲ申込ミタレド、警官隊ハ
  耳ニモ入レズ、無理無體ニ追出サントシタノデ、此處ニ民衆
  ト警官隊トノ大格闘トナリ、雙方入亂レテ大ニ爭ヒ、警官
  隊ハ遂ニ敵セズト見タカ、其中ニ三名ガ突然拔劒、白刄ヲ
  振翳シテ民衆ニ迫ッタノデ、民衆ノ憤怒一時ニ發激、殆ド收
  拾スペカラザルノ狀態ヲ呈スルニ至ノタ」是ガ萬朝報ノ記事
  デアリマス、次ニ二月二十四日ノやまと新聞ノ記事ヲモ、
  此際朗讀ヲシテ置キマス、其標題ニハ「無抵抗ノ民衆ヲ蹴
  ル、毆ル、血迷ヘル警官ノ暴狀、晝ハ猫ノ如ク、夜ニ入ッテ俄
  ニ本性ヲ現ハス、手當次第滅多矢鱈ニ檢束、拔劒巡查ヲ
  先頭ニ民衆ヲ散々ニ蹴散ラス、憲政會本部ヘ突如警官隊
  突進」而シテ拔劒ヲシタル〓末ハ前ニ朗讀ヲ致シマシタル
  二新聞ト大同小異デアリマスルコトヲ申上ゲテ置キマス
  (「モウヨシテ吳レ」「謹聽」ト呼フ者アリ)同樣二月二十四日
  ノ報知新聞ノ記事ノ一部ヲ朗讀致シテ置キマス(「皆讀ミ
  給へ」「中央新聞モ」ト呼フ者アリ)何タル暴狀ゾ、弘田象潟
  署長代議士ヲ毆打、檢束サレタ田中善立氏」而シテ此内
  容ハ申上ゲナイデモ御分リデアリマセウカラ、之ヲ省略シテ
  置キマス、其次ニ「警官門ヲ破シテ闖入、拔劍シテ立騒グ憲
  政本部內ノ亂闘」斯ノ如クシテ謂レナク數名ノ警察官ガ、
  我憲政會本部ニ不法ニ闖入致シテ、拔劍ヲ致シタト云フ
  〓末ガ、之ニ揭戴致シテアリマス、其次ニ同ジク二月二十
  四日ノ讀賣新聞ノ記事デアリマス、其標題ニ曰ク「憲政會
  本部前デ警官ガ拔劍シテ民衆ヲ追拂ハウトシ數名ノ民衆
  負傷ス」斯クノ如クニシテ、其內容ハ前ニ朗讀致シマシタ新
  聞紙ト、略ボ同樣ノ記事ガ揭載ヲセラレテアリマス、此五ツ
  ノ新聞、卽チ國民新聞、萬朝報、やまと新間、報知新聞、
  讀賣新聞、此等ノ新聞ハ極メテ明瞭ニ警察官ガ拔劍ヲシ
  タ〓末ヲ揭載致シテ居ルノデアリマス、而シテ一抜劍ヲスルニ
  付テ、如何ナル必要アッタカト申シマスレバ、全ク法律上ノ根
  據ハ無イノデアリマス、憲政會本部ノ廣庭ニアリマシタル所
  ノ民衆ハ、極メテ靜肅デアリマシテ、其一方ニハ演壇ガ設ケ
  ラレテアッテ、サウシテ數名ノ辯士ガ起ッテ演說ヲ致シテ居ル
  ト云フ狀態デアル、ソレニモ拘ラズ、警察官ハ無理ニ扉ヲ破シ
  テ闖入ヲ致シテ、而シテ謂レナク數名ノ警察官ガ拔劍ヲシ
  テ、靜〓ナル民衆ヲ追拂ッタト云フコトノ〓末ハ、此新聞ニ
  於テ極メテ明白ナノデアリマス(拍手)其他時事新報、東京
  日日新聞、東京朝日新聞、此三ツノ新聞紙ニ依リマシテ
  ハ、拔劍ノ事柄ハ揭載シテゴザイマセヌケレドモガ、弘田象
  潟警察署長ガ、先刻田中善立君ガ此壇上ニ立ッテ辯明シ
  タルガ如キ事實デアルニモ拘ラズ、不法ニ之ヲ毆打シ、傷害
  ヲ與へ、一時警視廳ニ之ヲ拘林示シタト云フ〓末ヲ、新聞
  記者ハ責任ヲ以テ此新聞紙ニ掲載致シテ居ルノデア
  リマス、斯ノ如キ新聞記事ニ對シテ、果シテ內務當局ハ
  之ヲ否認スルノ勇氣ガアルカドウカト云フ事ヲ私ハ此
  席デ承リタイ、只今私ガ此貴重ナル時間ヲ割イテ、此新
  聞ヲ朗讀致シテ居ル際ニ、政友會ノ諸君ハ、ソレハ新聞
  ノ記事ダカラ信用スルニ足リナイ、新聞ノ記事ハ虚僞デ
  アルト云フ意味ノ妨害的ノ彌次ヲ飛バサレテ居リマスガ、
  併ナガラ此拔劍ノ〓末ノ書イテアル四ツノ新聞記事ヲ、總
  テ御否認ニナルナラバ、何カ否認ノ根據ガアルカドウカ、ソレ
  ヲ承リタイ、此四ツノ大新聞ノ記事ハ、時間ト場所ヲ指摘
  シ、サウシテ拔劍ヲスルニ至リタル前後ノ事情マデモ筆ヲ揃
  ヘテ之ヲ書キ立テヽ居ルノデアリマス、時ニ新聞記事ガ間違
  ノアルト云フ事柄ハ、時々吾々ニモ經驗致シテ居リマスルケ
  レドモガ、免ニ角政黨本部ノ構内ニ於テ、此民衆運動ノア
  ル際ニ、警察官ガ拔劍シテ民衆ヲ脅威シタト云フヤウナ事
  實ハ、間違ガフニモ間違ヒヤウノナイ事實デアルト私ハ斷定
  シテ憚ラナイ(拍手)故ニ此新聞紙ニ此記事ヲ掲載セラレタ
  諸君ハ、責任ヲ持ッテ此事項ノ證言ヲスルト云フ事柄モ聲
  明サレテ居ル、又田中善立君ガ只今申上ゲタ經過ニ依シテ、
  檢束セラレ毆打セラレタニ至ッタト云フ〓末モ、責任ヲ持シテ
  證言ノ位置ニ立ツト云フコトヲ聲明セラレテ居ルノデアリマ
  ス、然ルニ松田君ガ極メテ無責任ナル下級ノ警察官ノ報告
  書ノミ信用シテ、此責任アル數多ノ大新聞ノ記事ヲ全然
  抹殺セラレタト云フ事柄ハ、實ニ大膽不敵、無責任極マル言
  動デアルト斷定シテ憚ラナイト思フノデアリマス、此故ニ此
  抜劍シタル〓末、田中善立君ガ毆打セラレ、若クハ拘禁ヲ
  セラレタル〓末ハ、諸君ノ方デハ事實ヲ否認セラルヽカ知ラ
  ヌガ、吾々ノ側ニ於テハ、是ハ何處迄モ眞實デアル、實際ノ
  事實デアルト云フコトヲ此席ニ於テ斷言シテ、之ヲ天下國
  民ニ訴ヘテ置キタイト私ハ考フルノデアリマス(拍手起リ「裁
  判所デ分ルヨ」ト呼フ者アリ)裁判所デ分ルト云フ御議論モ
  時々政友會ノ席カラ承リマスルガ、裁判所ハ御承知ノ通リ、
  此頃ハ或ル意味ノ政策ガ行ハレテ居リマス(「ノウ〓〓」)微
  罪不檢擧ト稱シテ、犯罪アルニ拘ラズ之ヲ不起訴ニスル場
  合モアリマス、或ハ起訴猶豫ト稱シテ、犯罪ノ情狀ニ依クテ
  ハ、犯罪ヲ起訴セザル場合モアリマス、(「其通リ」ト呼フ者ア
  リ)此政策ガ行ハレルト云フ事柄ハ、諸君モヨモヤ御爭ヒデ
  ハアリマスマイ、而シテ多クノ信用スベキ檢事ハ最モ公平誠實
  ニ此主義ニ依シテ犯罪ノ取調ヲ致シテ居ル事ト考ヘマスガ、
  時アッテカ、或ル方面カラ偉大ナル隱レタル力ノ干涉ニ依ッテ
  (「ノウ〓〓」)現ニ天下公知ノ事實デアル所ノ犯罪事件デアツ
  テモ、之ヲ起訴シナイト一云フ事實ガ眼前ニ現レテ居ルト云フコ
  トヲ、私ハ斷言シテ憚ラナイ、斯ノ如キ次第デアリマスカラシ
  シ、田中君ノ事案ガ〓目裁判所ニ運バレマシテモ、裁判
  所ノ決定其他モノハ直ニ此事實ヲ抹殺スルニハ足ラナイト
  云フコトヲ、私ハ國民ノ前ニ斷言スルノ根據ヲ持ツノデアリ
  マス(拍手)此故ニ吾々ニハ政友會ノ諸君ノ栽判所ニ行ケ
  バ分ルト仰セニナリマシテモ、吾々ハ其言ニ服從スル譯ニハ
  參リマセヌ、吾々立法部ノ者ハ、司法部ノ者ガ罪有リト斷
  定致シマセウガ、罪無シト斷定致シマセウガ、司法部ニ獨立
  シタル立法部ハ、立法部ノ眼識ニ依シテ此事實ノ有無ヲ判
  斷スレバソレデ宜シイノデアル(拍手)徒ニ諸君ノ如ク立法
  部ニ列シテ居リナガラ、立法部ガ當然ノ權能ヲ發揮スルコ
  ト能ハズ、若クハ權能ヲ發揮スルコトヲ故ラニ避ケテ、一ニモ
  裁判所、二ニモ裁判所、何事モ裁判所へ持ッテ行ケバ、眞否
  ガ解決セラルヽト考ヘテ居ル人ガ、自ラ此獨立ニシテ神聖ナ
  ル我ガ立法部ノ權威ヲ自ラ卑下スルモノデアルト、私ハ斷
  言ヲ致シマス(拍手)吾々ハ今申上ゲタ數個ノ事實ニ依ッテ
  斯ノ如キ結論ニ到著スルコトヲ得ルト考ヘマス、冒頭ニ於テ
  申上ゲマシタ如ク、何ノ必要アッテカ、我ガ內務省ノ監督ノ
  下ニ居ル所ノ警視廳ハ、此神聖ナル立法部ノ周圍ニ木柵
  ヲ立テ、繩ヲ以テ之ヲ連結シテ民衆ヲ防イダト云フ事實ハ、
  是ハ爭フコトノ出來ナイ事實デアル(拍手)ノミナラズ、數百
  人ノ憲兵ト、約八千人乃至一万人ノ力ヲ提ゲテ居ル警察
  官ヲ以テ此立法府ヲ包圍シタ事實モ爭フコトノ出來ナイ
  事實デアル(拍手)反對黨ノ門前ニ警察官ガ無數ノ群衆
  -格闘ヲ致シ、其結果我ガ憲政會本部ニ闖入ヲ致シテ、必
  要ナキニ拘ラズ數名ノ官ガ拔劒ヲシテ、民衆ヲ追拂ッタト
  云フ事實モ、是モ極テ明瞭デアル(拍手)斯ノ如ク議院ノ周
  圍ニ於テ綱ト、木柵ト、憲兵ト、警察官ト、警察官ノ及ニ依ノ
  テ吾々民衆ニ對シテ非常ナル暴行防壓ヲ加へタト云フコ
  トハ、抹殺スベカラザル事實ト言ハナケレバナラヌ(「ノウ〓〓」
  拍手)佛蘭西革命ノ際ニ、諸君ノ御承知ノ通リ、佛蘭西
  革命ノ終期ニ當ッテ有名ナル英雄奈破翁ガ刀ヲ提ゲテ
  議會ニ闖入ヲ致シテ、兵隊ノ力ニ依シテ上下雨院ヲ解散シ
  テ、遂ニ大統領ニナッタト云フ〓末ハ御承知デアリマセウ、時
  機ト時日ハ違ヒマスケレドモガ、獨立ナル立法府ニ對シテ軍
  人デアル所ノ奈破翁ガ、刄ヲ以テ議員ヲ逮捕シ、議院ヲ解
  散セシメテ、上下兩院ヲ解散シテ遂ニ政權ヲ取ルニ至ッタト
  云フ事實ハ、歴史ノ上デ御承知ニナッテ居ル事ト思フ、吾々ハ
  佛蘭西革命ノ當時ニ於テ、斯ノ如キ蠻行ガ行ハレタコトヲ、
  佛蘭西國民ノ立場カラ見テ、果シテ幸デアッタカ不幸デアッタ
  カハ、是ハ歷史家ノ判斷ニ一任シテ宜シイノデゴザイマスガ、
  吾々議會政治ヲ理想ト致シテ居ル所ノ此現實ノ政治ニ
  當ッテ居ル所ノ、吾々衆議院ニ席ヲ持ッテ居ル多數ノ議員ハ
  言論ニ依シテ政權ノ變更、政權ノ受授、或ハ言論ノ攻擊、斯
  ノ如キモノガ議院ノ内外ニ於テ行ハレルト云フ事柄ハ、吾々
  立憲政治家トシテ斯クアルベキモノト考へマスケレドモ、苟
  モ····(「ヨセ〓〓」「止メタガ宜イ」其他發言者多シ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=132

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• 133・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　靜肅ニ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=133

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• 134・横山勝太郎

  ○橫山勝太郞君(續)　刄ヲ以テ此言論ヲ抑壓シ、議員ヲ
  會威スルト云フヤウナ事ハ、吾々ハ斷ジテ承認スルコトガ出
  來ナイノデアル(拍手)昔ハ佛蘭西革命ノ際ニ刄ヲ以テ脅
  威サレタル議會ガアル、今又我ガ大日本帝國ニ於テハ內部
  ニ闖人コンセザレ、其外部ハ綱ト材木ト、刀ト、憲兵ト、警察
  官ニ依ッテ脅威サレタリト云フ事實ハ、何タル對照デアラウ
  カト考ヘル、斯ノ如キ現內閣ノ思想ガ段々嵩ジテ段々進ン
  デ參リマスナラバ、近キ將來ニ於テ我ガ內務當局ハ此議會
  ノ内部ニ、刀ヤ、鐵砲ヲ以テ脅威スルト云フ事ガアリハセヌカ
  ト思フノデアリマス(拍手)佛蘭西革命ノ際ニ劍ヲ提ゲタル軍
  人ニ依ッテ脅威サレタト云フ事ト、此議院ノ周圍ガ憲兵、巡
  查、木柵、縄ニ依ッテ脅威サレルト云フ事實ハ、程度ノ問題
  デアリマスケレドモガ、其同ジイ憲法政治ヲ破壞スル罪惡デ
  アルト云フ、此性質上ノ問題ニ至ッテハ同一デアルト言ハネ
  バナラヌト私ハ考ヘル(拍手)斯ノ如キ事ガ議院ノ周圍ニ於
  テ行ハレテ居ルト云フ事ハ、我ガ憲政史ノ上ニ一大汚點ヲ
  印シタルモノデアルトシテー(「ノウ〓〓」)吾々ハ之ヲ非常ニ不
  名譽ト考ヘル、然ルニ松田君ノ如キ多年民間ニ居シテ、民間
  ノ事情モ御承知ニナッテ居リ、又民衆運動ノ何モノタルヤヲ
  諒解シテ居ラルヽニモ拘ラズ、僅カ一年カ二年官吏ノ月給
  ヲ取レバ、直ニ官僚政治家ニ變シテ、先刻此演壇ニ立ッテ爲
  サレタル如キ官奧紛々タル御演說ヲ爲サレテ、サウシテ此靜
  粛ナル、圓滿ニ行ハレテ居ル所ノ民衆運動ニ對シテ、彼此レ
  非難ヲ加ヘラレルト云フ事柄ハ、私ハ松田君ノ爲ニ甚ダ之
  ヲ遺憾トスルノミナラズ、實ニ我ガ憲政史上ノ爲ニ、之ヲ遺
  憾トスル者デアルト云フ事ヲ、私ハ斷言スル(拍手)斯ノ如ク
  政友會諸君ハ現內閣ヲ擁立シテ居ラレマスカラシテ、現内
  閣ノ責任ハ卽チ諸君ノ責任デアル、諸君ハ今囘ノ如キ民衆
  運動ガ何ガ故ニ恐ロシイノデアリマスカ、何ガ故ニ此民衆
  運動ニ對シテ恐怖ヲ感ゼラレルノデアルカ(「誰モ恐レハシナ
  イ」ト呼フ者アリ)政友會ノ諸君ハ二十三日ノ日ニ、一體午
  前ノ何時ニ此議院ニ御出頭ニ相成ッタノデアリマスカ(拍
  手)其甚シキニ至ッテハ、午前六時頃ニ續々御登院ニナッタコ
  トヲ私ハ目撃致シテ居リマス、昔ハ五時半ニ登院シタルノ
  故ヲ以テ、諸君カラ惡罵冷笑ヲ買ハレタル人モアリマスルガ、
  今ハ僅カ三十分位ヲ置イテ此寒イノニ續々御登院ニナルト
  云フノハ、餘程諸君ハ御暇ノアル人デアルト私ハ考ヘル(拍
  手)若シ御暇ガ無イノニモ拘ラズ、斯ノ如ク早朝カラ御出頭
  ニナルト云フ事柄ハ、何カ御出頭ニ相成ル事情ガアルノデア
  ラウト私ハ思フ(拍手發言スルモノ多シ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=134

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• 135・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　靜肅ニ-靜〓ノ方ガ早ク濟ミサ
  ウデス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=135

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• 136・横山勝太郎

  ○橫山勝太郞君(續)　又議院ガ散會ヲセラレタル當時ニ、
  政友會ノ諸君ハ悉ク自動車ニ分乘ヲ致シテ、恰モ逃亡ヲス
  ルガ如キ態度ヲ以テ此議院カラ去ラレタト云フ事柄ハ、-
  體何タル醜態デアルカ(「ノウ〓〓」拍手)諸君ハ恐ラク民衆
  運動ニ對シテ非常ナル恐怖ヲ感ゼラレテ居ルコトヽ考ヘマ
  ス、吾々ハ我ガ政府竝ニ此政府ヲ擁立致シテ居ラレル所ノ
  政友會ノ諸君ニ御忠告ヲ申上ゲタイト思ヒマス、諸君ハ此
  朽廢ニ近ヅイタ此議院ノ内部デ、八千ノ巡査ト數百名ノ憲
  兵ノ擁護ニ依ッテ、而シテ二百八十名ノ議員ガ此處デ殆ド
  暴言トモ言ウテ宜シイ程ノ御演說ヲ爲サッテ、サウシテ拍
  手喝采ヲ浴ビラレテ居リマスガ、此演壇ガ如何ニ諸君ガ拍
  手喝采ヲ浴ビラレテ大勝利ニナリマシテモ、ソレハ此一衆議
  院內ノ勝利タルニ過ギナイノデアル(「ノウ〓〓」拍手)一歩此
  院ヲ出テ民衆ノ面前ニ向ハレタナラバ、諸君ノ言論ハ一文
  ノ價値モナイト云フコトヲ私ハ申ス(拍手)若シ吾々ノ申ス
  コトガ事實卜違ッテ居ルト云フ事デアルナラバ、ドウカ明日力
  ラ吾々ハ諸所方々ニ於テ、數十百囘ニ亙ッテ普通選擧ノ演
  說ヲ致シテ居リマスカラシテ、諸君モ非文明ナル野蠻的保
  護ノ下ニ、此貧弱ナル院內ニ於テ演說ヲスルト云フコトヲ
  御止メニナッテ、(「何ガ貧弱ダ」「馬鹿」「侮辱スルナ」ト呼フ者
  アリ)堂々ト東京市内ニ出テ、サウシテ三百万市民ノ前デ公
  開演說ヲ爲サレテ、此處デ爲サルヤウナ御演說ヲ爲サッタラ
  ドウデアルカト云フコトヲ、私ハ要求スルノデアル(拍手「ドウ
  ダ政友會」ト呼フ者アリ)私ハ只今貧弱ナル議院ト云フコト
  ヲ申上ゲタノハ、此粗末ナル建物ニ於テト斯ウ云フ意味デ
  アリマスルカラシテ、誤解ノナイヤウニ願ヒマス(「意味ヲナサ
  ヌデハナイカ」ト呼フ者アリ)サウシテ一タビ院外ニ出レバ民
  衆ガ御面會ヲ申上ゲントシテモ、御而會ヲ爲サルコトモ出
  來ズ、一囘ノ公開演說モ開催スルコトガ出來ズ、唯此院內
  ニ來ッテ憲兵ト巡査ノ保護ニ依シテ此處デ演說ヲシテ、ソレデ
  喜ンデ居ルト云フニ至ッテハ何タル不見議デアルト云ブコト
  ヲ申スノデアル(拍手)斯ノ如キ次第デアリマスカラシテ、吾々
  ハ現政府竝ニ政友會ノ諸君ハ、刀ヲ以テ民衆ヲ脅威シタ
  リ、憲法上保障ノアル代議士ヲ縛シテ問題ヲ起シタリスルヤ
  ウナコトハ、御避ケニナル方ガ私ハ宜カラウト思フ、田中善
  立君ハ一代議士デアリマスルガ、此一代議士ヲ毆打シ、
  代議士ヲ拘禁スルコトノ被害ハ、豈田中君一人ノ被害デハ
  ナイト私ハ考ヘル(拍手)世界ノ强國デアルト言ハレル所ノ
  文明國デアル日本ニ於テハ、憲法上ノ保障ヲ持ンテ居ル所
  ノ議員スラ警察官ハ之ヲ逮捕シテ、而シテ之ヲ監督スル所
  ノ内務當局ハ何等ノ責任ヲ感ジナイノデアルト云フコトニ
  ナリマシタナラバ、吾々國民ハ勿論、西洋各國カラ我ガ大日
  本ニ來ル所ノ人々モ、日本ノ警察ハ全ク猛獸ノ如ク恐ルベ
  キモノデアルト云フ感想ヲ持ツデアラウト私ハ考ヘマス(拍
  手)斯ノ如キ批評ヲ受クルニ至リマシタナラバ、田中君一人
  ノ被害ハ田中君ノ忍耐ニ依ッテ如何樣ニモ御解決ガ出來
  マセウケレドモ、此衆議院ノ面目ヲ如何ニナサルカ、帝國ノ
  憲法政治ヲ如何ニナサルカト云フコトヲ、私ハ憂慮ニ堪ヘナ
  イノデアルト云フコトヲ斷言スル(拍手)而シテ數日以來政
  友會ノ諸君ノ議論ヲ拜聽致シテ居リマスルト云フト、吾々
  ノ所謂民衆運動ナルモノニ對シテ、非常ニ理解ヲ缺イテ居
  ラレル、併ナガラ此理解ヲ缺イテ居ラレルト云フ事柄ハ、或
  ハ故意デアルカモ知ラナイ、民衆運動ノ何物タルコトヲ理解
  セラレツヽ、之ヲ知リツヽ民衆運動ニ對シテ罵詈讒謗ヲサレ
  ルト云フ事デアルナラバ、吾々ハ諸君ニ向ッテ言ハネバナラヌ
  事ヲ持ッテ居ルノデアル、併ナガラ諸君ハ民衆運動ノ何物タ
  ルヲ理解セヌトスルナラバ、又其意味ニ於テモ諸君ノ前ニ一
  言ヲ致シテ置カネバナラヌ事ガアリマス(一謹聽」止セ々々」ト
  呼フ者アリ)諸君モ御承知ノ通リ、吾々ハ最近ノ我國ノ歷史
  ニ於テ幾度カ民衆運動ヲ繰返サレテ居ルコトヲ記憶致シテ
  居ルシ、諸君モ御承知デアリマス、第一此場合ニ於テ私ガ明
  言致シテ置キタイノハ、明治三十八年九月五日、卽チ日露
  講和條約ノ際ニ於ケル民衆運動ヲ諸君ハ何ト御諒解ニナッ
  テ居リマスカ、此民衆運動ガ眞逆或人ノ煽動ニ因ッタモノデ
  アルトカ、或ハ兒暴ノ性質ヲ帶ビタモノデアルト斷言ヲ爲サ
  ルコトハ出來マスマイ、唯アノ明治三十八年日露講和條約
  ノ際ニ於ケル民衆運動ノ一部ニ、百人カ百人內外ノ者ガ暴
  動的行動ヲ致シテ、司法官憲ノ糺彈スル所トナッタト云フ事
  實ハ、誠ニ遺憾ニ堪ヘマセヌケレドモガ、併ナガラアノ日比谷ヲ
  中心トシテ集リシ數十万ノ民衆ノ、アノ靜肅ナル運動ノ全
  部ヲ擧ゲテ、陰謀性ナモノデアルト云フコトノ斷定ハ私ハ出
  來ヌド思フ(拍手)現ニ此日露講和條約ノ際ニ於ケル民衆
  運動ニハ、我黨ノ河野廣中、大竹貫一ノ兩氏モ御關係ニナッ
  テ居ル、殊ニ日露講和條約ノ際ニ於ケル民衆運動ガ、最モ
  合理的ナモノデアッテ、最モ靜肅ニ行ハレタモノデアル、唯、一部
  ニ犯罪人ガ居ッタト云フフコトハ寔ニ遺憾デアリマスケレドモ
  ガ、大體ニ於テ民衆運動ノ其體ヲ得タルモノデアルト云フ事
  柄ハ、現内閣ノ諸公ノ中ニ小川平吉氏アルコトニ依シテ明
  瞭ニ證據立ラレテ居ルト私ハ考ヘル(拍手)當時此民衆運
  動ヲ誤解シタル不法ナル警察官ハ、小川平吉君ヲモ犯罪
  ノ煽動者ナリトシテ拘禁致シタ事『ガアルケレドモ、ソレハ後
  日司法問題ニ依ッテ明ニ無罪ノ人間デアルト云フコトヲ立
  證セラレテ居ッタ、サウシテ今日國勢院總裁トシテ時メキ給
  フ大官ト爲ラレタト云フコトハ、諸君御承知ノ事デアル、此
  民衆運動ハ吾々バ正當ナ運動デアルト思フ、今回恰モ我黨
  ノ田中善立君ガ不法ナル警察官ノ爲ニ、代議士デアルト云
  フコトヲ證據立テ居リ、代議士デアルト云フコトヲ明言致シ
  テ居ルニモ拘ラズ、前約ヲ無視シテ之ヲ毆打シ、之ヲ拘禁ス
  ルト云フヤウナコトハ、之ヲ日露講和條約ノ際ニ小川平吉
  君ガ監獄ニ拘禁セラレタト同樣ノ意味ヲ以テ、吾々ハ內務
  當局ニ對シテ論難攻撃ヲシナケレバナラヌ必要ガアル、此意
  味ニ於テ私ハ此例證ヲ出シタノデアリマス、其次ニ私ハ特ニ
  甲上ゲテ置カナケレバナラヌ事ハ、大正二年ノ二月、歷史家
  ハ之ヲ大正ノ政變ト稱ヘテ居リマス、當時常侍輔弼ノ責任
  ヲ持ッテ居ラレタ所ノ桂公爵ガ、三度內閣ヲ組織セラレタル
  當時ニ、非常ナル民衆運動ガ起リマシタ、其當時政友會ノ
  諸君ハ國民黨ノ諸君ト聯合提携ヲ致サレテ、所謂憲政會擁
  護、閥族打破ナル大施ノ下ニ非常ナル民衆運動ヲオヤリニ
  ナッタト云フコトハ、諸君今日御記憶ニナッテ居ルト考ヘテ居
  ル、此常侍輔弼ノ責任ノアル、又雲上ニ接近シテ居ル所ノ
  桂公爵ガ、三度內閣ヲ組織シタト云フコトノ是非曲直ニ至〃
  テハ、今日之ヲ言明スルノ必要ハ無イノデアリマスケレドモ、
  當時政友會諸君ハ非立憲デアル、憲法破壞デアルト云フコ
  トヲ高唱セラレテ、而シテ道路傳フル所ニ依レバ、此憲政擁
  設、閥族打破ト云フコトハ實ニ政友會ノ岡崎君ノ發明ニナク
  タ名句デアルト云フコトデアル、此奇拔ナル憲政擁護、閥族
  打破ト云フ大施ノ下ニ、國民黨ノ諸君ト、又今日非常ニ民
  衆運動ガ御嫌ニナッタ政友會ノ諸君トガ、非常ナ運動ヲ起
  サレテ、サウシテ此國民大會ヲ開カレタ際ニ、國民大會カラ
  解散ヲ致シタ民衆ガ、此衆議院ヲ訪問致シタ際ニ、衆議院
  ノ正門ヲ開カレテ此民衆ヲ歡迎セラレテ、政友會多數ノ名
  士諸君ハアノ「バルコニー」ニ出デ、サウシテ」民衆歡迎ノ大演
  說ヲヤラレタ、當時或者ガラ之ヲ觀察致シマスレバ、衆議院
  ノ正門ノ上ニ於テ民衆ヲ煽動スルモノデアルト云フ非難モ
  アッタト云フコトハ、諸君今日御記憶ニナッテ居ルト考ヘル、
  卽チ政友會ノ諸君ガ第三次桂內閣ヲ打破スル當時ニ於テ
  爲サレタル民衆運動ト云フモノハ、今日之ヲ冷靜ニ考フル
  ナラバ、多少常軌ヲ逸シタルモノアリト云フコトノ非難モア
  ルデアラウト私ハ考ヘル、ソレハ何デアルカト、云ヘバ、民衆ヲ
  衆議院ノ正門カラ入レテ「バルコニーニ出デヽ、政友會ノ名
  士諸君ガ演說ヲスルト一云フニ至ッテハ、殆ド狂氣沙汰デアル
  ト私ハ斷言スルノデアル、併ナガラ吾々ハ政友會諸君ノ行
  動ノ極テ公明正大ナルコトヲ信ズルノ厚キ、又如何ナル場
  合ニ於テモ特殊ノ例外ヲ除ク以上ハ、民衆運動ト云フモノ
  ハ決シテ之ヲ妨害スベキモノデナイ、防壓スベキモノデナイト
  云フコトヲ諒解致シテ居リマスガ、故ニ吾々ハ此政友會諸
  君ノ民衆運動及「パルコニー」ニ出テ演說ヲセラレタト云フ
  事ニ付テ別ニ非難致スモノデハナイノデアル、勢ヒノ來ル所、
  感情ノ激スル所、斯ノ如クナルト云フコトハ已ムヲ得ヌ事柄
  デアッテ、決シテ政治家ニ對シテモ、民衆ニ對シテモ、苛酷ナ
  ル取扱ヲスベキモノデナイト云フコトノ證據ニ之ヲ供スルノ
  デアル(拍手)然ルニ其後所謂「シーメンス」事件ナルモノガ
  起リマシテ、是ハ大正三年二月十日ノ出來事デアリマス、所
  謂海軍問題ニ關シテ不信任案ノ決議ガ上程セラレマシテ、
  其時分ニハ政友會ノ諸君ハアノ收賄ヲ爲シテ天下ニ醜名
  ヲ流シタル所ノ山本內閣ヲ擁護セラレテ居ッタノデアル、此
  山本內閣ヲ擁護セラレテ居ル際ニ、所謂「シーメンス」事件、
  卽チ海軍收賄問題ナルモノガ起ッタ、ドウシテ此內閣ヲ擁護
  セラレル事ニナッタカト言ヘバ、ソレハ諸君ノ方ガ能ク御存知
  ニナッテ居ル通リ、先刻申上ゲマシタ大正二年

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• 137・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　再ビ横山君ニ注意シマス、決議案
  ニ關係ノアル事ニ止メテ···
  餘計ナ事ヲ言フナ」ト呼ヒ其他發言スル者多シ」

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• 138・奧繁三郎

  ○議長(奥繁三郞君)　議長ハ注意スル權能ヲ持シテ居リ
  マス

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• 139・横山勝太郎

  ○橫山勝太郞君(續)　モウ直キ濟ミマス-極力桂內閣
  ノ攻撃ヲセラレテ、サウシテ桂內閣ガ遂ニ土崩瓦解スルニ
  至ック際ニ、海軍ノ巨額、或ル意味ニ於テハ收賄ノ親玉デア
  ル所ノ山本權兵衞伯ヲ援ケテ、サウシテ非立憲極マル憲法
  政治ノ運用ヲヤラレタト云フコトハ、諸君御記憶ノ通リデア
  リマス、其際大正三年三月十日在野黨カラ不信任ノ決議
  案ガ提出セラレテ、矢張民衆運動ガ起リマシタ、其際ニ前ニ
  モ例ノアル事デアリマス通リ、數千ノ群衆ガ此議會ノ附近
  ニ參リマスト云フト、去モ去ヌル二十三日ノ出來事ノ如ク
  憲兵ト警察官ヲ以テ此周圍ヲ包圍セラレ、サウシテ多數ノ
  民衆ニ對シテ非常ナル脅威ヲ與ヘラレタ、此當時モデス、私
  或ル先覺ノ士ニ聞ク所ニ依レバ、政友會ノ諸君ハ民衆ニ對
  シテ非常ニ恐怖ヲ感ゼラレテ、當日未明ニ、人ノ知ラザル內
  ニ窃ニ全部ノ人ガ登院ヲセラレテ、色と協議ヲセラレタト云
  フ事實ハ、動スベカラザル事實デアル(拍手)諸君ハ今日ニ
  於テ冷靜ニ御考ニナリマシタナラバ、大正三年ノ「シーメン
  ス」事件ノ當時ニ起リシ民衆運動ト、山本內閣ノヤッタ事柄
  ト何方ガ善イ、何方ガ惡イト御考ニナッテ居ルノデアリマスカ
  吾々ハ當時ト雖モ、今日ト雖モ、山本內閣ガ非デアル、隨テ
  之ヲ援助セラレタ政友會ハ責任ヲ分タネバナラヌ隨テ、此
  內閣ノ責任ヲ問フ所ノ民衆運動ト云フモノハ正當デアッタ
  ト云フコトヲ、私ハ斷言スル(拍手)而シテ此正當ナル民衆
  運動ニ對スル政友會諸君ノ態度ハ如何デアリマスカ、恰モ
  仇敵ノ如キ御取扱ヲ爲サレ、丁度本年ノ二月二十三日ニ
  現内閣ノ與黨ガ民衆ニ對シテ執ラレタト同樣ナ態度ヲ執
  ラレタト云フ事柄ハ、歷史ノ證明スル所デアリマス(拍手)ン
  コデ私ハ政友會ノ諸君ニ問ハネバナラヌ(「答ヘマセヌ」「答ラ
  レマイ」ト呼フ者アリ)恐ラク御答ニナルコトハ出來マイト私
  ハ考ヘル、所謂民衆ナルモノガ諸君ノ味方ヲスル時分ニハ、
  民衆ヲ恰モ自分ノ子供デアルカノ如ク御扱ヒニナリ、卽
  チ衆議院ノ正門ヲ開イテ之ヲ歡迎ヲスルト云フ態度ヲ御
  執リニナリ、一タビ民衆ガ政友會ノ非ヲ鳴ラシテ政友會ニ
  反抗スレバ、此善良ナル民衆ヲ捉ヘテ讐敵ノ如ク御取扱ニ
  ナルト云フコトハ、何タル矛盾デアルト言ハネバナラヌ(拍手)
  民衆ヲ利用スル際ニハ極度マデ民衆ヲ利用シテ、恰モ親戚
  カ子供デアルカノ如ク御取扱ニナリ都合、ノ惡イ際ニハ之ヲ
  敵人ノ如ク扱フ、此故ニ全國到ル處ニ於テ公開ノ演說ヲナ
  サル際ニ、民衆ノ反抗ヲ受ケテ、ドノ名士諸氏ノナサル演說
  モ悉ク民衆ノ反抗ニ遭ウテ、完全ニ演說ヲスルコトガ出來
  ヌト云フノガ、之ガ政友會ノ現狀デアルト思フノデアリマス
  (拍手)(「何處デアルカ」ト呼フ者アリ)何處デ左樣ナ例ガア
  ルト云フコトヲ御尋ニナルマデモナイ、各地ニ於テ演說ヲシ
  ナイ諸君ハ知ルマイケレドモ、演說ヲシテ居ル諸君ハ皆知ツ
  テ居ルデハナイカ(拍手)最近ニ於テモ例ヲ示シマスナラバ、
  名古屋ニ於ケル演說ノ有樣ハ如何デアル、名古屋市ニ於ケ
  ル選擧ノ結果ノ勝敗ヲ彼此レ言フノデハアリマセヌガ、名古
  屋ニ於テ政友會諸君ノ御開催ニナッタ演說會ハ悉ク失敗
  ニ終ッテ居ル(拍手)又福島縣ニ於ケル補缺選擧ノ際ニ於ケ
  ル演說ノ有樣ハ何デアリマス、僅カ二百カ三百ノ有權者ナ
  ル者ヲ招待シ來ノテ、數百人ノ警察官ヲ以テ其演說會場ノ
  周圍ヲ保護セシメテ、サウシテ土木局長堀田君ガ此官憲
  ノ保護ニ依ッテ、官憲ノ有難味ノ演說ヲシテ居ノタケレドモ、
  此演說會ガ又大失敗ニ終ノタト云フコトハ掩フベカラザル
  事實デハアリマセヌカ(拍手)其他全國到ル處ニ於ケル政友
  會御開催ノ演說會ノ光景ハ悉ク失敗デアル、悉ク失敗ヲ
  爲サルト云フ理由ハ悉ク民衆ガ反抗スルカラデアル、全國
  到ル處ノ靑年ガ政友會ノ如何ナルモノデアルカト云フコト
  ヲ諒解致シテ居ルカラシテ、政友會ニハ反對スルノデアルト
  云フコトヲ私ハ目前目擊致シテ居ルノデアリマス(此時發
  言スル者多シ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=139

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• 140・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　靜〓ニ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=140

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• 141・横山勝太郎

  ○橫山勝太郞君(續)　ソレ故ニ私ノ申上ゲル事ガ間違ッ
  テ居ルト御考ニナリマスナラバ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=141

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• 142・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　一寸橫山君、宣言ガアリマス、時
  問ハ定刻ニ近ヅキマシタガ、本案ノ決定スルマデ延長スル考
  デアリマス
  〔「異議ナシ」「異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=142

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• 143・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　御異議ナイト認メマス、延長ヲ致
  シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=143

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• 144・横山勝太郎

  ○橫山勝太郞君(續)　私ノ申上ゲル事ガ間違ガアルト思
  召ニナルナラバ、先ヅ遠隔ナル地方ニ御出ニナッテ御演說會
  ヲ爲サルマデモナク、束京ノ眞中ニ於テ第一聲ヲ御揚ゲニ
  ナッタラ如何デアルカ、此帝都ノ中央ニ於テ現内閣ノ力ヲ以
  テ幹旋ヲセラレタナラバ、演說會場ノ一箇所ヤ二箇所ハ極
  テ容易ニ借入レルコトガ出來ルデアラウト考へル、吾々ノ方
  ガ演說會場ノ必要ヲ感ズル場合ニハ何者カ裏面ニ介在テ
  致シテ、之ヲ妨害スル者ガアリマスガ、現內閣ノ與黨ノ政友
  會ノ諸君ガ。演說會ヲスルト云フコトデアレバ、內務大臣ノ
  威力ニ依シテ何時デモ演說會場ハ出來ル筈デアル、然ラバ
  衆議院ノ壇上ニ於テ在野黨ノ者ガ斯ノ如キ演說ヲ爲スカ
  ラ、公開演說ヲヤッテ見ヤウト云フ御希望デアルナラバ、明日
  デモ明後日デモ一ツオヤリニナッタラドウデアルカ、併シ演說
  會ヲ御開催ニナッテモ其結果ハ知ルベキノミデアル、其結果
  ハ立ツ辯士モ立ツ辯士モ立往生デアルト云フコトヲ豫メ御
  諒解ニナッタ方ガ宜カラウト思フ、要スルニ私ハ內務省參事
  官松田源治君ガ此公知ノ事實ヲ御否認ニ相成リマスケレ
  ドモ、其根據ハ警察官ノ信用スベカラザル報告書ニ基クモ
  ノデアルガ故ニ、是ハ何等ノ價値ナキモノデアルト斷定ヲス
  ル、吾々ハ責任アル多數ノ活キタル證人ノ書イタ新聞ノ記
  事ニ筆ヲ執ッタ諸君ガ、責任ヲ以テ此事實ヲ證明爲サルト
  云フ此聲明ニ信賴致シ、又吾々ノ同僚デアル所ノ田中善
  立君ハ御承知ノ通リ我黨内部ニ於テモ最モ溫良ニシテ、最
  モ篤實ナ人デアリマス、決シテ群集ナドヲ煽動シテ非立憲ナ
  ル行動ヲ爲サルト云フヤウナ人格デナイト云フコトハ、私ガ
  申スマデモナク、全部ノ議員ガ御諒解ニナッテ居ル通リデア
  ルト私ハ考ヘル(拍手)而シテ田中善立君ハ我ガ東京市ニ
  於テモ到ル處ニ於テ群集ノ面前ニ立ッテ、警察官監督ノ下
  ニ御演說ヲ爲サッテ歩イテ居ルノデアリマスカラ、苟モ我ガ警
  視廳下ノ警察官吏ニシテ田中善立君ノ顏ヲ知ラヌ者ハ恐
  ラクアルマイト思フ····(此時發言スル者多シ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=144

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• 145・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　靜ニ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=145

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• 146・横山勝太郎

  ○橫山勝太郞君(續)　田中善立君ノ顏ヲ永知シテ居リ
  ナガラ、象潟署長ガ名ヲ現行犯ニ藉リテ之ヲ毆打シ、之ヲ
  拘禁シタト云フ事柄ハ、全ク弘田署長ノ橫暴無責任ノ罪
  デアルト云フ事ヲ私ハ此席ニ於テ斷言スル(拍手)而シテ田
  中善立君ガ民衆ヲ率ヰテ、アノ現場ニマデ行進ヲセラレタト
  云フ事柄ハ、監察官ト妥協ヲ遂ゲテ諒解ノ上デヤラレタト
  云フ事デアル、然ルニ弘田署長ガ其事ヲ知ラズシテ田中君
  ヲ拘禁シタト云フコトハ、警察內部ノ不統一ト云フ事ヲ暴
  露シテ居ルモノデアルト云フ事ヲ私ハ斷言スル(拍手)斯ノ
  如キ次第デアリマシテ、賢明ナル政友會ノ諸君ハ
  〔「マダ早イゾ」「モツトヤレ」其他發言スル者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=146

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• 147・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　靜肅ニ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=147

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• 148・横山勝太郎

  ○橫山勝太郞君(續)　諸君ハ良心ノ指導スル所ニ從ヒ
  (「自分ノ良心ニ從へ」ト呼フ者アリ)天下公知ノ事實ヲ否
  認スルト云フヤウナ非紳士的ノ行動ニ出デラルヽ事ナク、此
  事實ヲ肯定ヲセラレテ、サウシテ吾々ノ此決議案ニ贊成ヲセ
  ラレンコトヲ切ニ希望スル次第デアリマス(拍手)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=148

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• 149・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　橫山勝太郞君ニ照會シマス、横山
  君ノ演說中ニ、此內務大臣ハ近キ將來ニ於テ劍ヤ鐵砲ヲ
  以テ此議院ヲ脅威スル、斯ウ云フ一言ハ穏カナラヌヤウニ
  聽取リマシタ
  〔「ノウ〓〓」「サウヂヤナイ」ト呼フ者アリ)

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• 150・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　御默リナサイ-併シ尙ホ明日デ
  モ速記ヲ見ラレタ上、如何ニモ議長ノ警告尤モト思フナラ
  バ、御取消ナサイ(「ノウ〓〓」「事實ダ」ト呼フ者アリ)他ノ人
  ハ喙ヲ容レルコトハ許シマセヌ-ソレカラ尙ホ一ツ貧弱ナ
  ル議院ト云フ言葉ガアリマシタ、所ガ此建物ガ如何ニモ粗
  末ダト云フコトニハ、アナタ方一部ノ人ニハ響クカ存ジマセ
  ヌケレドモ、多數ノ人ニハサウ響キマセヌ
  〔拍手「言ヒ直シタヂヤナイカ」ト呼フ者アリ〕

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• 151・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　言直シテモ先キノ貧弱ナル議院ト
  云フコトハ議院ノ尊嚴ヲ損スル虞ガアリマス、是亦考ヘタ上
  御取消ヲ警告シマス
  〔拍手「ノウ〓〓」「必要ナシ」ト呼フ者アリ橫山勝太
  郞君「議長々々」ト呼フ〕

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• 152・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　床次內務大臣
  〔國務大臣床次竹二郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=152

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• 153・床次竹二郎

  ○國務大臣(床次竹二郞君)　本案ニ對シテ一言辯ジテ
  置キマス、去ル二十三日普選法案上程ノ日ハ、其前日來ノ
  狀況ニ依シテ判斷ヲ致シマスルニ、多クノ請願者ガ議院ニ參
  ルヤウニモナリ、又隨テ群衆モ極テ混雜スルコトデアラウト
  想像致シタノデス、斯ル時ニ於テハ相當ナル手配ヲ致シ、或
  ハ屋外集會、多衆運動ヲ禁ジ、若クハ又必要ナル場所ニ於
  テハ交通ノ遮斷ヲ致シテ整理ヲ圖リ、又ハ便利ヲ圖ルト云
  フ事ハ極テ當局トシテハ必要ナル事ト考ヘタ次第デアリマ
  ス、幸ニ思ウタ程ノ多クノ請願者モアリマセヌデアリマシタ、
  聞ケバ一万二千有餘ト云フ事デアリマシタガ、併シ左樣ニ
  致シマシテモ、中ミ是ハ容易ナラヌ數デアリマス、相當ニ前
  申スヤウナ手段ヲ以テ其請願ガ靜〓ニ行ハレルヤウニ注意
  ヲ致シタ次第デアリマス、又多衆ノ運動ノ禁止、若クハ必要
  ナル所ハ交通遮斷モ致シテ、以テ院外ノ騒擾ナカランコトヲ
  期シク次第デアル、斯樣ナ事デアリマシテ、政府ノ處置ト致
  シマシテハ、治安ヲ維持スル上ニ於テ必要ナ事デアル、決シ
  テ議院ヲ濫ニ包國シテ脅威シタナドト云フ事ハ申サレナイ(拍
  手)是ハ靜ニ考ヘテ今日迄隨分民衆、多衆運動ハアリマシタ
  ガ、何時デモ想ハザル事ガ惹起ッテ來ルノデアリマス、ソレ等
  ノ事カラ考ヘテ見マスレバ、此度ハ議院ノ神聖ト申シマスカ、
  獨立ヲ守ルト申シマスカ、是ハ相當ナルヤリ方デアッタ(拍手)
  「ノウ〓〓」)國民ノ請願自由ニ於キマシテモ、極テ障リナク
  行ハレル途ヲ執ッタノデアル(拍手「ノウ〓〓」)少シモ妨害ヲ
  致シタ事ニハナッテ居リマセヌ、其間幾多ノ檢束者ヲ生ジ、
  又ハ勾引セラレタ人モアリマシタ、此事ハ洵ニ遺憾千万デア
  リマスガ、併シ多數ノ人ガ集ッテ行動ヲスル時分ニハ折〓間
  違ノアルコトデアリマシテ、其間ニ於テ警察官トシテ職務ヲ
  執行スル上ニ於テハ、嚴正デナケレバナラヌ事ハ申ス迄モア
  リマセヌ(拍手)能ク間クコトデアリマス、下級ノ警察官、私
  共ハ洵ニ斯樣ナ言葉ヲ承ルコトハ遺憾ニ思ヒマス(拍手)俸
  給ハ低シ、地位ハ低イカモ知レヌ、併ナガラ銘々ガ其職務ヲ
  執行スル上ニ於テハ、上下ノ差別ハ無イ、神聖ナモノデアリ
  マス(拍手「ヒヤ〓〓」)ドウカ警察官トシテハ其職務ノ前ニハ
  嚴正ニ忠實ナランコトヲ祈ルノデアリマス(拍手)斯ノ如ク
  極テ靜肅ニ請願モ行ハレタ(「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ)次第
  デアリマスガ何等此間ニ人民ノ自由ヲ拘束シタ-濫ニ拘
  束シタト云フコトハゴザイマセヌ(拍手「ノウ〓〓澤山アル」ト
  呼フ者アリ)或ハ一種ノ人〓デ、警戒ガ行屆イタ爲ニ不都
  合ヲ感ジタト云フ人ハアッタカモ知レヌ(「ヒヤ〓〓」拍手)併
  ナガラ苟モ帝都ノ治安ニ任ズル者ハ不良ナル不心得ノ人〓
  ニ對シテマデモ自由ヲ與ヘナケレバナラヌト云フコトハ斷ジ
  テアリマセヌ(拍手)私ハ斯樣ナル事柄デアリマスカラ、當局
  ト致シテハ洵ニ相當ナル處置ヲ執ッタ者デアル(「ヒヤ〓〓」拍
  手)能ク其責任ヲ盡シ得タモノト考ヘテ居ルノデアリマス
  (拍手起リ「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ)只今橫山君カラ色と事
  實ヲ擧ゲテノ御話デアリマシタガ、多クハ此決議ニ何等關
  係ノ無イコトデアル(拍手)是ハ一々私ヨリ御辯解ヲ致サヌ
  方ガ却テ宜カラウト思フ、其間ニ警察官ガ一万デアッタトカ、
  八千デアッタトカ、敢テ其數ヲ爭フ譯ヂヤナイケレドモ、實際
  ハ四千有餘デアリマシタ、ソレカラ或ル事件ノ起ッ夕時ニ、場
  所ニ居ッタ者ハ象潟署長デアッタト頻ニ申サレマスガ、是ハ事
  實ガ違ッテ居ルカラ辯ジテ置キマス、象潟署長ハ其事件ノ
  起クタ場所ノ擔當者デハアリマセヌ、ソレカラ拔劍デモシタ如
  キ御話デアリマシタガ、此事ハ今日午前ノ1豫算委員會ノ御
  質問ノ際ニ當局ヨリ辯ジテゴザイマスカラ、茲ニ重ネテ申上
  ゲマセヌガ、左樣ナ事柄ハアリマセヌト云フ事ヲ玆ニ一言シ
  テ置キマス(拍手)ソレカラ民衆運動、秩序アル民衆運動必
  シモ惡クハアリマセヌ、併ナガラ時アッテ其狀況ニ依ッテ是ハ
  如何カト思フ時分ニハ、群集ヲ取締ヲテ秩序ヲ維持スルコト
  ハ、是亦相當ナル事ト思ヒマス(拍手起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=153

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• 154・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　·討論通告ハ全部終リマシタ、討論
  ハ終結サレタモノト認メマス、本案ヲ採用スルヤ否ヤヲ御諮
  リ致シマス、是ハ記名投票ニ依リマシテ決スル考デアリマス、
  此決議案ニ賛成ノ諸君ハ白票、反對ノ諸君ハ靑票-閉
  鎖
  〔田口書記官氏名ヲ點呼ス〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=154

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• 155・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　投票漏ハアリマセヌカ
  〔「アリマス」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=155

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• 156・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　投票漏ナシト認メマス-開鎖-
  投票ノ結果ヲ報告シマス
  〔寺田書記官長朗讀)
  投票總數三百三十五
  可トスル者百四
  否トスル者二百三十一
  〔拍手起ル〕

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• 157・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　仍テ本案ハ否決サレマシタ
  〔參照〕
  決議案ヲ可トスル議員ノ氏名左ノ如シ
  一柳仲次郞君飯塚春太郞君磯貝浩君
  石井〓二君橋本喜造君濱口雄幸君
  早速整爾君本田恆之君本間郞君
  友田文次郞君中馬興丸君岡本幹輔君
  大竹貫一君大津淳一郞君太田信治郞君
  小野重行君加藤定吉君川副網隆君
  門屋尙志君神谷彌平君河野廣中君
  金澤安之助君金田平兵衞君橫山勝太郞君
  吉川吉郎兵衞君武內作平君武富時敏君
  賴母木桂吉君龍口了信君高木正年君
  高田耘平君高橋久次郞君田中武雄君
  田中善立君添田飛雄太郞君津原武君
  內藤濱治君永井柳太郞君紫安新九郞君
  村田喜一郞君鵜澤字八君野村嘉六君
  野田文一郞君黑金泰義君山移定政君
  山道襄一君山邊常重君八並武治君
  正木照藏君松井鉃夫君牧口義矩君
  降旗元太郞君古屋慶隆君古賀三千人君
  小山松壽君小池仁郞君小泉又次郞君
  木檜三四郞君出口直吉君手鳥鍬司君
  淺川浩君淺賀長兵衞君淺野順平君
  安達謙藏君荒川五郞君阿由葉勝作君
  綾部惣兵衞君佐藤啓君齋藤巳三郞君
  定行八郞君坂口仁一郞君佐久間啓莊君
  菊池良一君三浦得一郞君箕浦勝人君
  重松重治君〓水留三郞君下田勘次君
  下岡忠治君樋口秀雄君平出喜三郞君
  森達三君森田茂君粟山博君
  關和知君鈴木周三郞君鈴木久次郞君
  鈴木富士彌君鈴置倉次郎君石川長右衛門君
  西村丹治郞君富永孝太郎君大口喜六君
  中川幸太郞君前川虎造君鮎川盛貞君
  最上直吉君關直彥君砂田重政君
  押川方義君尾崎行雄君野溝傳一郞君
  佐々木安五郞君島田三郞君
  決議案ヲ否トズル議員ノ氏名左ノ如シ
  石井三郞君石川善盛君石川玄三君
  石川淳君今井今助君今泉嘉一郞君
  岩崎宗茂助君岩崎動君岩崎幸治郞君
  岩本平蔵君岩切重雄君市村貞造君
  一宮房治郞君禱苗代君飯島信明君
  伊藤虎助君伊坂秀五郎君伊澤平左衞門君
  井上敬之助君井上角五郎君井坂豊光君
  磯田粂三郞君池田春親君池田猪三次君
  原田十衞君原田佐之治君原田藤次郞君
  原夫次郞君八田宗吉君林毅陸君
  長谷川宗治君長谷場敦君花城永渡君
  花岡次郞君濱口吉兵衞君萩亮君
  秦豐助君鳩山一郎君西村正則君
  本多貞次郞君堀切善兵衞君友常穀三郎君
  戶狩權之助君富安保太郞君床次竹二郞君
  陣軍吉君小田切磐太郞君小山田信藏君
  小川平吉君岡崎邦輔君岡順次君
  岡田伊太郞君大島實太郞君大林森次郞君
  大岡育造君大矢馬太郞君渡邊修君
  若林德懋君河相三郞君河崎〓君
  河上哲太君川原茂輔君川村數郞君
  改野耕三君海原〓平君海江田準一郞君
  粕谷義三君加藤重三郞君加藤久米四郞君
  加藤紋右衞門君風間八左衞門君金光庸夫君
  春日俊文君横田千之助君吉原祐太郞君
  吉原正隆君吉木陽君米原於莵男君
  米澤與三次君高橋辰二君高橋長七郞君
  高橋光威君高橋金治郞君高橋善五郞君
  高見之通君高柳淳之助君高島七郞右衞門君
  高木第四郞君高田良平君高野毅君
  竹內明大郞君竹澤太一君竹上藤次郞君
  武田德三郞君田中隆三君田中定吉君
  田邊熊一君田村順之助君龍野周一郞君
  瀧正雄君多木久米次郞君玉置良直君
  大道寺慶男君津野田是重君津崎尙武君
  土屋典君坪田十郞君根本正君
  中西六三郞君中山佐市君中村〓造君
  中村喜平君中島鵬六君中島守利君
  中橋德五郞君中倉万次郞君仲田德三君
  成田榮信君成田直一郞君永屋茂君
  南里琢一君長峰與一君向井倭雄君
  武藤金吉君梅田潔君植竹龍三郞君
  植場平君宇野勇作君鷄澤總明君
  上塚司君上埜安太郞君內山安兵衛君
  野村勘左衞門君野村治三郞君野副重一君
  野口忠太郞君野田卯太郎君野呂駿三君
  國重政亮君國澤新兵衞君黑住成章君
  熊谷直太君藏内次郎作君久慈貫一君
  久木由叶君山本悌二郎君山口義一君
  山口熊野君山崎猛君矢野丑乙君
  八木逸郞君松實喜代太君松岡俊三君
  松田源治君松野鶴平君松山常次郞君
  松本孫右衞門君牧野良三君牧山耕藏君
  前田米藏君舞田壽三郞君益谷秀次君
  麓純義君福井甚三君古林與六君
  小橋一太君小鹽八郎右衞門君小久保喜七君
  小坂順造君穴水要七君阿部武智雄君
  有馬秀雄君秋本喜七君天春文衞君
  靑木恆太郞君靑柳郁次郞君佐野正雄君
  佐藤寅太郞君佐藤良平君齋藤鷲太郞君
  阪上貞信君坂本素魯哉君崎山克治君
  櫻內幸雄君澤來太郞君榊田〓兵衞君
  〓瀨規矩雄君吉良元夫君宜保成晴君
  木村〓三郞君木下成太郞君木下甚三郞君
  北井波治目君三好德松君三土ヽ忠造君
  三善〓之君水野吉太郞君宮古啓三郞君
  三輪市太郞君白井博之君志賀和多利君
  下出民義君島本信二君島田俊雄君
  廣圖宇一郞君廣瀨爲久君廣瀨鎭之君
  樋渡次右衞門君樋口伊之助君日野辰次君
  平田民之助君匹田銳吉君毛里保太郞君
  元田肇君森恪君望月圭介君
  望月政友君菅原傳君菅野傳右衞門君
  鈴木巖君鈴木錠藏君鈴木義隆君
  鐸木三郞兵衞君若尾璋八君難波作之進君
  上田彌兵衞君納富陳平君越山太刀三郞君
  佐々木平次郞君守屋松之助君仙波太郞君

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• 158・岩崎勲

  ○岩崎勳君　此際日程第三十一モ迫加シテ審議セラレン
  コトヲ望ミマス
  〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕

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• 159・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=159

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• 160・奧繁三郎

  ○議長(奥繁三郞君)　御異議ナシト認メマス、仍テ日程
  三十一ヲ追加シテ討論ニ掛リマス-三十一ヲ追加シテ
  討議ニ掛リマス-佐々木君
  第三十一決議案(佐々木安五郞君提出)
  決議案
  決議
  本日內務大臣ノ執リタル措置ハ議院ノ獨立ヲ脅威シ人
  民ノ請願ノ自由ヲ妨害スルモノニシテ非立憲ノ甚シキモ
  ノト認ム
  右決議ス
  〔佐々木安五郎君登壇〕

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• 161・小山松壽

  ○小山松壽君　議長

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=161

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• 162・奧繁三郎

  ○議長(奥繁三郞君)　小山君

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• 163・小山松壽

  ○小山松壽君　只今日程ハ追加サレマシタガ、先刻議長
  ノ御宣告ニ依リマスレバ、本案ノ決定迄時間ヲ延長スルト
  云フコトノ御宣告ガアッタノデアリマス、然ルニ更ニ追加サル
  ル日程ニ對シテノ時間ノ延長ノ御諮リガナケレバ極テ違法
  ナルコトヽ私ハ考ヘルノデアリマス、其點ニ於テ辯明ヲ求メマス
  〔「餘計ナコトヲ云フナ」「無用々々」ト呼ヒ、議場騷
  怒

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• 164・議長(奧繁三郞君)

  ○議長(奧繁三郞君)　日程ヲ變更シテ本日追加サレルト
  云フコトニ御同意ノアッタ裏面ニハ、當然時間ノ延長モ含ン
  デ居ルト心得テ居リマス、居リマスケレドモ小山君ノ念入ツ
  タル注意ガアリマスカラ御諮リ致シマス、此日程ノ三十一ノ
  討議ノ終ル迄時間ヲ延長致シマス
  〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 165・小山松壽君

  ○小山松壽君　先ノ御宣告ニ案ノ決定スル迄延長スルト
  云フ御宣告ガアリマシタガラ、案ノ決定ニ依ッテ本日ハ此會
  ハ散會セラルヽモノトシテ退席シタ者モアルト考ヘマス、仍テ
  本日ハ是ニテ散會セラレンコトヲ改メテ····(議場騒然、聽
  取スル能ハズ)

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• 166・議長(奧繁三郞君)

  ○議長(奧繁三郞君)　小山君ノ散會動議ヲ先決問題ト
  シテ採決致シマス、小山君ノ散會動議ニ賛成ノ諸君ハ

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• 167・小山松壽君

  ○小山松壽君　私ハ動議ヲ提出シタノデハアリマセヌ、議
  長ノ宣告ノ通リニ今日散會サレルノガ當然デハナイカト申
  スノデアル、若シ然ラザレバ違法ナ事ヲ爲サルノデアリマスカ、
  當然ノ事ヲ要求スルノデアリマス

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• 168・議長(奧繁三郞君)

  ○議長(奧繁三郞君)　當然ナ事ハ小山君ノ言ハレル通リ
  デアリマセウケレドモ、院議デ以テ追加シ、時間ヲ延長シテヤ
  ルト言ハレマシタノデスカラ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=168

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• 169・小山松壽君

  ○小山松壽君　議長

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=169

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• 170・議長(奧繁三郞君)

  ○議長(奧繁三郞君)　小山君
  [議場騒然]

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=170

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• 171・小山松壽君

  ○小山松壽君　御聽ナサイ、議長ノ御宣告ハ本案ノ決定
  迄時間ヲ延長スル、斯樣ニ御宣告ニナッテ居ルノデアリマス
  カラ、卽チ只今記名投票ヲ致シマシタル其案ガ決定サルレ
  バ、當然本日ノ會議ハ是デ終了スルノデアリマス(「ノウ〓〓己
  「無用々々」ト呼フ者アリ)終了シタル以後ニ於テ(議場騒
  然)議長-尙ホ私ハ其理由ヲ述ベマス
  〔議場騒然〕

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• 172・議長(奧繁三郞君)

  ○議長(奧繁三郞君)　靜肅ニ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=172

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• 173・小山松壽君

  ○小山松壽君　終了サレタル會議後ニ於テ、議長ハ院議
  ニ諮ルベキ事ハナイデハアリマセヌカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=173

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• 174・議長(奧繁三郞君)

  ○議長(奧繁三郞君)　議長ハ本案ノ議事終了マデ時間
  ヲ延長スルト云フ宣言ヲ致シタニ相違アリマセヌ、而シテ終
  了ハシマシタ、マシタガ、マダ散會ヲ宣告シテ居リマセヌ、散
  會ヲ宣告シテ居ラナイ中ニ、新ナル院議ガ出タカラ、院議ニ
  從ッテ遣シテ居ルノデス
  〔「其通リ」「其通リ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=174

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• 175・小山松壽君

  ○小山松壽君　議長
  〔「無用」「無用」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=175

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• 176・議長(奧繁三郞君)

  ○議長(奧繁三郞君)　靜〓ニ-諸君靜〓ニ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=176

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• 177・小山松壽君

  ○小山松壽君　斷ジテ服スル譯ニ行カナイ-議長ハ本
  案ノ決定迄時間ヲ延長スル、斯樣ニナレバ本案ガ決定迄ノ
  時間ノ延長デアリマスカラ、本案ガ決スレバ當然散會致ス
  ベキモノデアル、此案ガ決スルト共ニ議長ハ直ニ散會スルノ
  宣告ヲシナケレバナラヌノハ當然デアル(「必要ナシ」ト呼フ
  者アリ)殊ニ時間ガ終了スレバー時間ガ終了スレバ當然
  散會サレタト同一ノ結果ヲ現スノデアリマス、散會ノ宣告ガ
  ナクトモ、散會ノ宣告ト同一ノ結果デアリマス
  〔「相手ニナルベカラズ」又ハ「無用々々」ト呼フ者ア
  リ

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• 179・小山松壽君

  ○小山松壽君　寧口散會ノ宣告ガナクトモ、此案ガ決定
  スレバ其瞬間ニ於テ本會ハナクナルノデアリマス
  〔「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=179

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• 180・議長(奧繁三郞君)

  ○議長(奧繁三郞君)　〓ニ

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• 181・小山松壽君

  ○小山松壽君　既ニ時間ハ無イノデアリマス、時間ガ無イ
  ノニ如何ニシテ之ヲ議スルノデアリマスカ、多數デヤッテモ同
  意ヲスル譯ニハ行カナイ、法理ノ命ズル所ハ如何ニ多數デモ
  從フコトハ出來ナイ、若シ之ヲヤラレルナラバ法理ヲ無視ス
  ルモノデアル
  〔議場騒然〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=181

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• 182・議長(奧繁三郞君)

  ○議長(奧繁三郞君)　静止

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=182

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• 183・小山松壽君

  ○小山松壽君　絕對ニ服サレマセヌ
  〔此時佐々木安五郞君降壇ス〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=183

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• 184・議長(奧繁三郞君)

  ○議長(奧繁三郞君)　議長ハ散會ヲ宣告スル迄ハ其日
  ノ會議中ト認メテ居リマス、尙ホ斯ノ如キ日程ハ總テ終了
  シタ場合ニ於テモ、平素尙ホ又諮問事項ナドガアッテ、諸君
  ノ意見ヲ問ウテ居ルコトハ是迄度〓ゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=184

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• 185・小山松壽君

  ○小山松壽君　然ラバ議長ニ御尋申ス、議長ノ御宣告ガ
  惡カッタト言ハレルノデアリマスカ、議長ハ最初ノ宣告ニハ私
  ハ此事アルガ爲ニ書留メテアリマス、最初ノ御宣告ハ本案
  ノ決定マデ延長スルト云フコトガ書イテアル、然ラバ此事實
  ヲ如何ニスルカ、若シ此事實ヲ議長ニ於テ否定セラルヽト
  云フ事デアルナラバ、速〓錄ヲ調べナケレバナラヌ、之ヲ肯定
  セラルヽト云フコトデアルナラバ、諮問事項ガアラウガ、何ガ
  アラウガ、直ニ此案ノ決定ト共ニ本會ハ無クナルノデアリマ
  ス、此問題ヲ如何ニスル··
  〔發言スル者多シ〕
  ○ ○長(奧繁三郞君)靜肅ニ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=185

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• 186・小山松壽君(續)

  ○小山松壽君(續)　故ニ議長ハ以前ノ宣告ヲ誤レリト云
  事ナラバ、誤リヲ正シテ、而シテ御諮リニナルガ宜イト考へ
  ル、ソレニ付テハ私ハ意見ガゴザイマス
  〔議場騒然

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=186

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• 187・議長(奧繁三郞君)

  ○議長(奧繁三郞君)　諸君靜ニ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=187

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• 188・小山松壽君(續)

  ○小山松壽君(續)　殊ニ議長ハ何ト言ッテモ衆議院規則ニ
  テ絕對ニ是ハ出來ヌト認メル

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=188

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• 189・議長(奧繁三郞君)

  ○議長(奧繁三郞君)　小山君終リマシタカ-靜ニ-
  小山君ハ曲解シテ居ル、之ヲ否定スルカト云フ御尋デアリ
  マスガ、是ハ否定シナイ、見解ノ通リノコトヲヤシタト度〓重
  ネテ言ウテ居ル、私ノ解釋ト貴方ノ解釋ト違フノハ、其言葉
  ガアッタカラト言ッテ散會ヲ宣言スルマデハ其日ノ會議ハ終
  了サレズニ居ルノデス(拍手)其所ガ解釋ガ違フノデス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004513242X02019220228&spkNum=189

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• 190・小山松壽君

  ○小山松壽君　講長ノ宣告ハ本案ノ決定マデ時間ヲ延
  長スルト云フ御宣告デアリマス、此投票ガ終ッテ書記官長ガ
  其投票ノ結果ヲ報告サレルト同時ニ、本會ハ消滅スルノデ
  アリマス(拍手「ノウ〓〓」)本會ガ消滅シタ以上ハ、議事ヲス
  ル時間ガ無イノデアリマス、。散會ノ宣告ヲスベキ時間モ更二
  無イノデアリマス、直ニ散會シテ宜イノデアリマス

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• 191・議長(奧繁三郞君)

  ○議長(奧繁三郞君)　諸君ニ御諮リヲ致シマス-諸君
  ニ御諮リヲ致シマス
  〔此時發言スル者アリ〕

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• 192・議長(奧繁三郞君)

  ○議長(奧繁三郞君)　靜ニ-今宣言中デアリマス、度こ
  御耳ニ達シタ如ク、只今ノ場合ニ於ケル議長ノ解釋ト、小山
  君ノ解釋ガ不幸ニシテ分レテ。居リマス、之ヲ再ビ院議ニ諮
  ウテ決シマス-院議ニ諮ウテ決シマス、小山君ノ解釋ニ贊
  成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
  〔賛成者〕
  〔議場騒然〕

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• 193・議長(奧繁三郞君)

  ○議長(奧繁三郞君)　諸君ニ宣言シマス、實ハ洵ニ區々
  タル手續ニ於テ、意見ガ岐レテ甚ダ遺憾ニ思ヒマス、然ルニ
  是ハ極ク些末ナ手續デゴザイマスケレドモ、各派ノ交涉會ヲ
  開イテ此點ヲ定メタク存ジマス
  〔拍手「其必要ナシ」ト呼フ者アリ〕
  は

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• 194・奧繁三郎

  ○議長(奥繁三郞君)　暫時休憩シマス-暫時休憩シマ
  ス
  午後六時四十四分休憩
  午後七時一分開議

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• 195・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　休憩前ニ引續イテ會議ヲ開キマ
  ス、休憩前ニ小山松壽君ヨリ議長ニ再三御尋ニナリマシタ
  コトデアリマスガ、議長ハ其際議場ニ於テ明白ニ答ヘタルノ
  ヲ以テ正當ト考ヘテ居リマス、ケレドモ、各派ノ意見モ伺ッテ
  見ヤウト思ヒマシテ、前例ニ依ッテ各派ノ交涉會ヲ開キタイ
  ト思ヒマシタ、所ガ既ニ多クノ人ノ中デ退院サレ夕方モアリ
  マスカラ、各派ノ交涉會ヲ開クニ至リマセナンダ、サリナガラ
  議長自ラ顧ミテ休憩前ニ宣言シタコトヲ以テ、正當トシテ
  其通リ取扱フ考デアリマス、左様御承知ヲ願ヒマス-
  佐々木安五郞君ハ著席シテ居ラレマセヌ、故ニ是モ前例ニ
  依シテ後日適當ナ時期ニ日程ニ上セルコトニ致シタイ(「抛
  棄シタ」ト呼フ者アリ)抛棄シタトモセヌトモ分リマセヌガ、ア
  ノヤウナ場合ニ於テハ延期スルコトニ致シテ、後日適當ナ時
  期ニ日程ニ上セルノガ前例デアリマス、其前例通リ致シテ
  御異議アリマセヌカ
  「「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 196・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　諮問事項ガアリマス、谷津新八郞
  君病氣ニ付本月二十六日ヨリ三月十八日マデ、三浦權兵
  衞君病氣ニ付三月一日ヨリ三月十四日マデ、江崎幸太郞
  君事故ニ付本月二十八日ヨリ三月七日マデ孰レモ請暇ノ
  申出ガアリマス、之ヲ許可スルニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 197・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　許可スルコトヽ致シマス
  〔吉良元夫君「議事進行ニ付テ一言シタイ、默ノテ居
  ラウト思ヒマシタガ、默ッテ居ル譯ニ參リマセヌ」ト呼
  こ

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• 198・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　本日ハ是デ散會、明日本會ハ開キ
  マセヌ、明後日ノ日程ハ公報ヲ以テ御通知致シマス
  午後七時五分〓會

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