1. 会議録本文
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000・会議録情報
大正十三年七月十二日(土曜日)午後一時十六分開議
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議事日程 第九號
大正十三年七月十二日
午後一時開議
第一 議員田淵豐吉君懲罰事犯の件 (委員長報告)
第二 復興貯蓄債券法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第三 借地借家臨時處理法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第四 借地借家調停法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第五 高等諸學校震災復舊諸費に屬する豫算の施行に關する法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第六 大正十一年度第一豫備金支出の件(承諾を求むる件) (委員長報告)
第六 大正十一年度特別會計第一豫備金支出の件(承諾を求むる件) (委員長報告)
第七 大正十二年度第二豫備金支出の件(承諾を求むる件) (委員長報告)
第七 自大正十二年四月至同年十一月豫備金外に於て豫算外支出の件(承諾を求むる件) (委員長報告)
第七 大正十二年度特別會計第二豫備金支出の件(承諾を求むる件) (委員長報告)
第七 自大正十二年四月至同年十一月特別會計豫備金外に於て豫算超過及豫算外支出の件(承諾を求むる件) (委員長報告)
第七 臨時物資供給特別會計豫算外支出の件(承諾を求むる件) (委員長報告)
第八 非常徴發令廢止に關する法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第九 大正十二年條約第二號海軍軍備制限に關する條約の實施に關する法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十 衆議院議員選擧法中改正法律案(西岡竹次郎君外一名提出) 第一讀會
第十一 議院法中改正法律案(武藤山治君提出) 第一讀會
第十二 所得税法中改正法律案(菊池謙二郎君提出) 第一讀會
第十三 農村振興に關する建議案(床次竹二郎君外十七名提出)
第十四 農村振興に關する建議案(東武君外十六名提出)
第十五 部落有林野統一緩和に關する建議案(土井權大君提出)
第十六 小麥及小麥粉輸入税税率引上に關する建議案(土井權大君提出)
第十七 國有林野所在府縣市町村に對し交付金下付に關する建議案(八田宗吉君外二名提出)
第十八 飛行事業擴張に關する建議案(長岡外史君提出)
第十九 澁川長野原間鐵道速成に關する建議案(木檜三四郎君提出)
第二十 遠信鐵道速成に關する建議案(樋口秀雄君外三名提出)
第二十一 遠信鐵道速成に關する建議案(倉元要一君外二名提出)
第二十二 金鵄勳章年金増額に關する建議案(熊谷直太君外三名提出)
第二十三 用排水幹線改良事業費國庫補助に關する建議案(加藤知正君外七名提出)
第二十四 義務教育費國庫負擔増額に關する建議案(元田肇君外十六名提出)
第二十五 水産助成に關する建議案(元田肇君外十六名提出)
第二十六 府縣税戸數割規則改正に關する建議案(藤田胸太郎君提出)
第二十七 花巻釜石間鐵道開通に關する建議案(志賀和多利君外二名提出)
第二十八 大阪和歌山間鐵道敷設に關する建議案(山口義一君外一名提出)
第二十九 地震研究の特殊機關設立に關する建議案(田中善立君外四名提出)
第三十 (特別報告第二號)元青島守備軍民政部鐵道部所屬文官待遇者に恩給付與の請願外一件 (委員長報告)
第三十一 (特別報告第三號)恩給法中改正の請願 (委員長報告)
第三十二 (特別報告第四號)元屯田兵豫備役服務期間を恩給年限に通算の請願外一件 (委員長報告)
第三十三 (特別報告第五號)國有地寺院境内無償下戻の請願外一件 (委員長報告)
第三十四 (特別報告第六號)徳島縣兵庫縣に於ける鹽賠償に關する請願外一件 (委員長報告)
第三十五 (特別報告第七號)萩港開港の請願 (委員長報告)
第三十六 (特別報告第八號)農家救濟の請願 (委員長報告)
第三十七 (特別報告第九號)萬國貨幣法統一の請願 (委員長報告)
第三十八 (特別報告第一〇號)大山祇神社昇格の請願 (委員長報告)
第三十九 (特別報告第一一號)點字投票有效の請願外五件 (委員長報告)
第四十 (特別報告第一二號)天皇陛下の御肖像竝勅語の新聞雜誌掲載方及之か奉拜方法に關する取締の請願 (委員長報告)
第四十一 (特別報告第一三號)天皇陛下御肖像奉掲取締の請願 (委員長報告)
第四十二 (特別報告第一四號)國際銀公司に對し警視廳の爲したる行政處分取消の請願 (委員長報告)
第四十三 (特別報告第一五號)鶴見川改修費國庫補助の請願 (委員長報告)
第四十四 (特別報告第一六號)元屯田斥候騎兵自馬手當支給の請願 (委員長報告)
第四十五 (特別報告第一七號)陸軍簡閲點呼參會者に旅費手當支給の請願 (委員長報告)
第四十六 (特別報告第一八號)滋賀縣滋賀郡に陸軍廠舎建設の請願 (委員長報告)
第四十七 (特別報告第一九號)敦賀町北津内區に無集配郵便局設置の請願 (委員長報告)
第四十八 (特別報告第二〇號)新宮局特設電話通話區域擴張の請願 (委員長報告)
第四十九 (特別報告第二一號)香川縣三豐郡麻村に郵便局設置の請願 (委員長報告)
第五十 (特別報告第二二號)網干驛前郵便局に集配事務開始竝特設電話増設の請願 (委員長報告)
第五十一 (特別報告第二三號)神田村に三等郵便局設置の請願 (委員長報告)
第五十二 (特別報告第二四號)金橋村に三等郵便局設置の請願 (委員長報告)
第五十三 (特別報告第二五號)三重縣南北牟婁郡沿岸に航路標識設置の請願 (委員長報告)
第五十四 (特別報告第二六號)北海道千歳郡千歳村字「ママチ」に航空場設置の請願 (委員長報告)
第五十五 (特別報告第二七號)減食罰廢止の請願 (委員長報告)
第五十六 (特別報告第二八號)宗教法制定調査會設置に關する請願外一件 (委員長報告)
第五十七 (特別報告第二九號)實業補習教育を義務制と爲すの請願 (委員長報告)
第五十八 (特別報告第三〇號)特別保護建造物修理費補助の請願 (委員長報告)
第五十九 (特別報告第三一號)磯部、小諸間(碓氷迂囘線)鐵道敷設速成の請願 (委員長報告)
第六十 (特別報告第三二號)徳佐、大井間鐵道敷設の請願 (委員長報告)
第六十一 (特別報告第三三號)萩、小郡間鐵道敷設の請願 (委員長報告)
第六十二 (特別報告第三四號)益田、萩間竝正明市、瀧部間鐵道敷設の請願 (委員長報告)
第六十三 (特別報告第三五號)柳津、野澤間鐵道敷設の請願 (委員長報告)
第六十四 (特別報告第三六號)宇都宮、岩瀬間鐵道敷設の請願 (委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=0
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001・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 諸般ノ報告ヲ致サセ
マス
〔書記官朗讀〕
-議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
尾道開港場指定ニ關スル建議案
提出者嶋居哲君
江戶崎郡間鐵道敷設ニ關スル建議案
提出者來栖七郞君
佐貫江戶崎間鐵道敷設ニ關スル建議案
提出者來栖七郞君
土浦江戶崎間鐵道速成ニ關スル建議案
提出者來栖七郞君
利根川架橋ニ關スル建議案
提出者
來栖七郞君鈴木隆君
東京帝國大學農學部實科ニ關スル建議案
提出者
岡田溫君小野重行君
中村〓造君植原悅二郞君
神村吉郞君湛增庸一君
社會政策ニ關スル建議案
提出者山本芳治君
日露國交ノ恢復竝損害ノ救濟企業貿易速
進ニ關スル建議案
提出者
一柳仲次郞君佐々木平次郞君
澤田利吉君武富濟君
川崎克君山道襄一君
永井柳太郞君野村嘉六君
越美線速成ニ關スル建議案
提出者山田道兄君
水産養殖業者ニ對スル營業稅免除ニ關ス
ル建議案
提出者山本勝次君
畜產業助成ニ關スル建議案
提出者山本勝次君
(以上七月十一日提出)
決議案(贅澤品等ノ輸入稅ニ關スル法律
案ニ關スル件)
提出者山本条太郞君
(以上七月十一日提出)
議員ヨリ提出セラレタル質問主意書左ノ
如シ
國民思想善導ノ根本策ニ關スル質問主意
書
提出者
高井商二君山下谷次君
(以上七月十一日提出)
〔左ノ報告ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲
玆ニ揭載ス〕
一昨十一日議長ニ於テ選定シタル委員左ノ
如シ
藥品營業竝藥品取扱規則第四十六條第一
項ノ適用ニ則スル法律案
小西和石八並武治君
小野寅吉君富田愿之助君
宜保成晴君傍士定治君
靑木精一君宮島幹之助君
秋田〓君
營業稅法廢止法律案
下元鹿之助君廣瀨德藏君
奥村千藏君井口延次郞君
吉村伊助君三善〓之君
山口義一君浦山助太郞君
砂田重政君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=1
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002・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、去ヌル五日ノ本會議ニ於キマシテ、議
長ニ御一任ニナリマシタ、故松方公爵ヘノ
弔詞ハ去ル八日議長自ラ公爵邸ヘ持參致
シマシテ、靈前へ差上ゲマシテゴザイマス、
是ハ特ニ御報告申上グベキデアリマシタ
ガ、今日玆ニ朗讀ヲ致サセマス
〔原田書記官朗讀〕
衆議院ハ屢、輔弼ノ重任ニ膺リ殊ニ財政
ニ貢獻セラレタル國家ノ元動從一位大動
位公爵松方正義君ノ薨去ヲ哀悼シ茲ニ恭
ク弔詞ヲ呈ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=2
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003・作間耕逸
○作間耕逸君 議事日程ノ順序ヲ變更シ、
日程第一議員田淵豊吉君懲罰事犯ノ件ハ
一時後廻シト爲シ、後刻上程セラレンコト
ヲ望ミマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=3
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004・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 作間耕逸君ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=4
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005・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマス、日程第二、復
興貯蓄債劵法案ノ第一讀會ノ續ヲ開キ、委員
長ノ報告ヲ求メマス、委貝長竹內友治郞君
第二復興貯蓄債劵法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一復興貯蓄債劵法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
大正十三年七月十一日
復興貯蓄債劵法案委員長
竹內友治郞
衆議院議長粕谷義三殿
〔竹内友治郞君登壇、拍手〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=5
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006・竹内友治郎
○竹內友治郞君 復興貯蓄債券法案ノ特別
委員會ノ經過ヲ御報告致シマス復興貯蓄
債劵法案ハ政府ノ政策ノ一端夕ル貯蓄奬
勵ト云フコトノ目的ノ下ニ、向フ五箇年ヲ
限ノテ二億圓ノ實收人ヲ得ル目的ヲ以テ發
行シタイト云フコトガ趣意デゴザイマス、
之ニ對シマシテ種々質問應答ヲ重ネマシタ
結果、委員會ハ大體ニ於テ可決スベキモノ
ナリト認メタノデゴサイマスガ、唯〓債劵
發行ノ爲ニ、或ハ地方農村ノ金融ヲ阻害ス
ルコトガナイトモ限ラナイ、又地方ノ產業
振興ノ爲ニ、此債劵ニ依シテ集シタモノヲ、
適當ナル程度ニ於テ必ズ融通スルコトモ必
要デアルト認ムル、此二ツノ點ヲ是非條件
トシテ置キタイト云フコトガ一點、今一ツ
ハ豫テ問題ニナッテ居リマス預金部制度ヲ
改善スルト云フコトガ、斯ウ云フ新シイ仕
事ヲスル場合ニ當ノテ殊ニ必要ヲ感ズルノ
デアルカラ、其點モ條件ヲ附シテ置キタ
イ、斯ウ云フ二ツノ趣意ニ依リマシテ、條
件附ヲ以テ可決致シマシタノデゴザイマ
ス、其條件ヲ玆ニ朗讀致シマス「復興貯蓄
債劵ノ募集ニ當ツテハ農村金融ヲ阻害セザ
ルヤウ細心ノ注意ヲ加フルト共ニ地方產業
振興ノ爲メ其資金ノ内ヨリ必ズ半額ヲ融通
セラレム事ヲ望ム」ト云フコトガ第一第
二ニハ「政府ハ本案ノ實施ニ當リ速カニ預
金部制度ノ改正ヲ行フヘシ」此二ツノ條件
ヲ附シマシテ委員會ハ可決スルコトニ決シ
タノデゴザイマス、此段御報告致シマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=6
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007・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 質疑ノ通告ガアリマ
ス束武君
〔東武君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=7
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008・東武
○東武君 極ク簡單デアリマスガ、大藏大
臣ニ質問致シテ見タイト考ヘル、ソレハ只
今上程ニナリマシタ復興債劵ノ募集ニ際シ
マシテ二億万圓ヲ小額債劵トシテ募集ス
ルコトデアリマスガ、只今委員長ノ報告ニ
依リマシテ、二ツノ希望條件ヲ附シテ報告
ヲ承ッタノデアリマス、第一ハ此復興債劵
トシテ募集スルニ對シテハ成ベク都下ノ
中流階級ノ餘レル所ノ資本ヲ吸收スルガ第
一ノ目的デアル、斯樣ナ趣意ニ依シテ成案
ニナッタモノデアリマスガ、此趣意ニ對シ
テ若シ此債劵ヲ募集スル際ニ於テ、之ヲ各
地方ヘマデ及ボスト云フコトニナレバ、此
地方ハ金融ガサナキダニ逼迫ヲ致シ、又地
方ガヨリ以上ニ金融ノ圓滑ヲ缺ク場合ニ、
中央都市ニ地方產業資金ヲ吸收サレルコト
ハ甚ダ國家ノ爲ニ喜プ現象デナイト云フ
理由ガ一ツモウ一ツハ成ベク募集シタ所
ノ金額ハ二分ノ一ハ必ズ地方產業資金ニ
流用スルコトニ願ヒタイ二ツノ希望條
件ヲ決議サレテ居ルノデアリマスガ、之ニ
對シテ政府當局者ノ御考ヲ承ッテ置キタイ
ノハ、資金ヲ吸收スルト云フコトハ、是ハ都
下ノ餘レル中流以下ノ資金ヲ目的トスルノ
デアリマスケレドモ、地方的ニ矢張各知事
或ハ郡長等ニ命ジテ、サウシテ債劵募集ヲ
スルコトニナレバ、地方ノ銀行、地方ノ總
テノ方面ニ於テ政府ノ信用ニ依ノテ出ス債
劵デアリマスカラ、必ズ地方カラモ多額ノ
應募者ガアルコトハ是ハ申スマデモナイ
事デアルガ、其點ニ付テ政府當局者ガ之ヲ
募集スル際ニ付テハ成ベク地方ノ資金ヲ吸
收シナイデ餘ッタ所ノ都下ノ贅澤スル或ハ
勞働者ノ非常ナ贅澤スルヤウナ金ヲ以テ目
的トシテ居ルノデアルカラ、其方針ニ副フ
ヤウニ御考ヲ願ヒタイト云フ希望デアリマ
ス、次ノ二分ノ一ヲ必ズ地万產業資金ニ融
通シテ貫ヒタイト云フ希望デアリマスガ、
大藏大臣ハ此點ニ付テ、委員會ニ於テモ此
事ハ既ニ聲明ヲサレテ居ルト承ッテ居ルノ
デアリマス、若シ果シテ然リトスルナラ
バ農村振興ノ聲ノ叫ビノ非常ニヤカマシ
イ今日ニ於キマシテ、此小額債劵ヲ募集シ
夕金ヲ、半額以上地方產業資金ニ融通ガ出
來ルト云フコトニナッタナラバ、是ハ農村振
(與ノ一端トシテ洵ニ喜フベキ事デアル、又斯
クアリタイト云フコトハ、木院一同ノ切實ナ
ル希望デアルト考ヘテ居リマスガ、大藏大
臣ノ此點ニ付テノ所信ヲ、若シ委員會ニ
明言シタ通リデアッタナラバ、此本會議ニ
於キマシテ、必ズ二分ノ一ハ此地方產業資金
ノ爲ニ融通スルモノデアルト云フコトノ御
聲明ヲ得タイト思フノデアリマス、此二ツ
ノ希望條件ニ付キマシテ、大藏大臣ノ御聲
明ヲ承リタイト考ヘテ質問ヲ致シタ次第デ
アリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=8
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009・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 濱口大藏大臣
〔國務大臣濱口雄幸君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=9
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010・濱口雄幸
○國務大臣(濱口雄幸君) 只今ノ東君ノ御
質問、第ハ復興貯蓄債劵ノ募集ニ關スル
コト、第二ハ募集ニ依ノテ得タル收入金ノ
使ヒ方ニ關スルコト、此二箇條デアリマシ
タガ、第一ノ募集ニ付テハ、抑〓此債劵ノ
發行ヲ計書致シマシタ最初ノ動機ハ帝都
復興竝ニ震災復舊ノ事業ノ進捗ニ伴ヒマシ
テ、本年度カラ大正十七年止迄五箇年ノ間
ニ、十二億圓以上ノ金ガ帝都復興竝ニ復舊
ノ爲ニ撒布サレルノデアリマス、其撒布サ
レマシタ金ヲ引上ゲズニ、其儘ニ致シテ置
キマスト云フト、是ガ物價ノ騰貴ヲ促シ、
又勞働階級ノ風儀ヲ惡クスル、ソレ故ニ斯
ノ如ク民間ニ撒布サレタル所ノ巨額ノ資金
ハ相當ノ方法ニ依リ之ヲ引上ゲテ、再ビ
之ヲ復興竝ニ地方產業ノ振興ノ資金ニ充テ
タイト云フノガ、此法案ヲ立テマシタ大體
ノ趣意デアリマス隨テ此募集ニ當ノテハ
主トシテ中央ニ重キヲ置キマスケレドモ、
然ラバ中央ノミカラ募集〓シマシテ、汎ク
全國ニ亙シテハ絕對ニ募集ヲシナイカト云
フト、サウ云フコトニハ參ラヌト思ヒマ
ス、汎ク全國ニ亙シテ募集ハ致シマスルガ、
其主タル目的ハ是ハ中央デアリマス、而シ
テ地方ニ向シテ募集スル場合ニ於テモ、只
今東君ガ擧ゲラレマシタ如ク、疲弊ヲ致シ
テ居ル所ノ地方ニ向シテ、强テ之ヲ募集ス
ルト云フガ如キ無理ナ遣方ハ政府ハ決シテ
採ラナイ積リデアリマス、此點ハ御安心ヲ
願ヒタイト思ヒマス、第二ノ此債劵ノ收人
金ノ使方ニ付テハ、最初ニ提案ノ趣旨說明
ノ際ニモ中上ゲマシタ通リ、一ニハ帝都ノ
經濟的復興ノ爲ニ、今一ニハ地方產業振興
ノ爲デアリマスガ故ニ、丁度算盤デ割リ
マシテ、半額ニ正確ニ當ルヤ否ヤト云フコ
トハ保證ハ出來マセヌケレドモ、大體ニ於
テ約半額ハ必ズ之ヲ地方產業ノ振興ニ充テ
ルト云フコトハ、政府ハ最初カラ考へテ居
リマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=10
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011・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 是ヨリ討論ニ人リマ
ス、通告順ニ依シテ其發言ヲ許シマス、八
木逸郞君、
〔八木逸郞君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=11
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012・八木逸郎
○八木逸郞君 私ハ遺憾ナガラ本案ニ對シ
テ否決ヲ望ム一人ガアリマス、加藤首相ガ
本會ニ於キマシテ、施政方針ヲ述べラレタ
御演說ノ中ニ、斯樣ナコトヲ申サレテ居リ
マス「綱紀ノ紊亂、風〓ノ弛廢ハ當今病弊ノ
最モ大ナルモノデアリマシテ、之ガ矯正ハ
庶政更張ノ第一義デアリマス」吾々モ時弊
ノ的ヲ狙ハレタ此首相ノ言ニ敬服欽シテ居
ル次第デアリマス、更ニ又首相始メ閣僚諸
公ガ、本會又ハ委員會ニ於テ屢。勤儉力行ヲ
說カレ、官民一致シテ今日ノ時弊ヲ救濟ス
ルコトヲ述ベラレタコトヲ拜聽シテ居リマ
シテ、如何ニ現時ノ時態ニ痛切ニ感ゼラレ
テ居ルコトヲ敬服シテ居ル一人デアリマス、
昨日我ガ敬服〓シテ居リマスル大口君ガ、
此點ニ向テ頗ル御切論ヲ爲サレマシテ、大
ニ感服シテ居ルノデアリマス、終ニ特ニ閣
僚諸公ハ躬自ラ其範ヲ示シテ以テ、國民ニ
臨マレンコトヲ望ムト云フコトヲ切言サレ
テ居リマスガ、今日ノ場合斯クアルベキ事
ヲ大口君ト同樣ニ、大ニ善イ事ヲ言ハレタ
ト感ジテ居ルノデアリマス、同時ニ又政府
ノ施設經營ガ若シモ此施政方針、此聲明ニ
反スル嫌アルモノ、副ハザルノ嫌アルモノ
ハ今日ノ場合特ニ之ヲ避ケテ以テ、之ニ
副ハザルヤウナ疑ヲ國民ニ抱カシメルコト
ヲ避ケナケレバナラヌト思フノデアリマス、
私此法案ヲ精査致シマシ夕所ガ、其趣意ハ頗
ル賛成ヲ致シテ居リマス、下層ノ人々ノ零
碎ノ資金ヲ得、之ヲ國家有用ニ供スル、面
シテ又其應ジタル者ニ向シテ奢リヲ戒メ、勤
儉力行ヲセシメ、貯蓄心ヲ獎勵スルト云フ
コトハ、何ト致シテモ非難スベキ點ノナイ
趣意デアリマス、併ナガラ吾々之ヲ爲ス方
法トシテハ、頗ル此御營明ニ副ハナイ事ヲ
見出スノデアリマス十圓ノ債劵ガ二十年
ノ間ニ償還ヲ受ケテ、其償還ニ當ノ夕者ハ、
一番大キナモノハ此五百陪ノ五千圓ヲ得ル
ノデアリマス、元金ニ利子ヲ附ケテ五千圓
ト云フモノヲ添ヘラレルノデアリマス、更
ニ或ハ二千圓、或ハ千圓、又ハ何百圓ナドヽ
云フモノヲ添ヘラレルノデアリマス、此事柄
ハ勤儉力行、剛健質實ノ氣風ヲ養フ、此事
ニ果シテ副フ事デアリマセウカ、綱紀、風紀
ヲ維持仲張シナケレバナラヌ此御聲明ニ副
フ事デアリマセウカ、(拍手起ル)私之ニ向)
テ疑ナキ能ハザル者デアリマス、大藏大臣
ハ替澤品輸入稅ノ討論ノ際ニ於テ、其内容
ハ免ニ角、贅澤品輸人、此文字ヲ出スダケデ
モ强烈ナル刺戟ヲ國民ニ與フルモノゾト言
ハレテ居リマス私ハ大藏大臣ノ自信ノ强
キニ感ジテ居リマスガ、若シモ此筆法ヲ以
テ之ヲ論ズルナラバ、十圓ノ債劵五千圓ヲ
得ルノデアル、之ヲ政府ガ爲スノデアル、
此宣傳ガ國民ニ行渡リマシタナラバ、如何
ナル强烈ナル刺戟ヲ與ヘルノデアリマセウ
カ(拍手起ル)如何ニ國民ノ氣風ヲ弛緩シ、
如何ニ國民ヲ投機ニ走ラセ、如何ニ國民ヲ
射倖ニ導クデアリマセウカ(拍手起ル)私ハ
此一點ガ卽チ本案ヲ否決スル大ナル理由デ
アルノデアリマス、政友會ノ木暮君ハ此
點ニ向ッテ質問ヲ委員會デサレテ居リマス、
何トシテモ是ハ射倖ヲ誘フ故ニ、成ベク此富
籤.花籤、割增金ト稱ヘル花錢ヲ出來能フ
ダケ小額ニスル御考ハナイカ、斯ウ云フコ
トヲ大藏大臣ニ聽カレテ居ルノデアリマス、
大藏大臣ノ答ニ曰ク、自分モ亦射倖ヲ挑發
スルコトヲ認ムル、物ニハ一利一害ガアル
カラシテ、種々ナル點ヲ考察シテ今日是ハ
宜イトシテ出シタノデアル、斯樣ニ答ヘラ
レテ居リマス、或ハサウデアリマセウ、私
ハ之ニ對シテ伺ッタノデアリマス、郵便貯金
バ每年增額ヲ致シテ居ルノデアリマス、而
シテ現在ニ於テ此數年間ハ郵便貯蓄ニ付テ、
政府ハ餘リ奬勵ハ致シテ居リマセヌ、然ル
ニ此增額ヲ來シテ居ルノデアル、更ニ政府
ガ玆ニ宣傳ヲシ、奬勵ヲサルヽナラバ、四
千万圓ノ金集ルコト決シテ難イ事ハナイト
思フ、大藏大臣既ニ射倖ヲ挑發スルト認メ
ラルヽ以上、左樣ナ不純ナ分子ヲ含マレタ
ル此法案ヲ拾テヽ、此方法ヲ執ラルヽ所ノ意
思ハアリマセヌカ、其方法ヲ何故御採リニ
ナラナカッタカ、斯樣ニ伺シタ所ガ、大藏大
臣ハ、吾々想ハザル存外ノ御答ヲ聽イタノ
デアリマス、郵便貯金ハ當座デアル、卽チ
此當座デアルト云フコトハ長期ニ此金ヲ
借換ヘルコトハ困難デアルト銀行家ガ言フ
ヤウナ言葉デアルト思フ、私ハ之ニ向ッテハ
反問シナカッタ、今日ノ郵便貯金、十一億万
ノ卽チ當座カラ集ノ夕所ノ郵便貯金ガ悉ク
長期ニ貸サレテアル、而シテ少シモ不安ハ
ナイノデアリマス(拍手)更ニ又預金制度內
ニ於テ此金ヲ支出スル方法ガ色々ニナッテ
居ルカラ、此法案ノ目的卽チ半分ハ復興ニ
用キル、興業銀行ヲ通ジテ復興ニ用キル、半
額ハ勸業銀行、農工銀行ヲ通ジテ、サウシ
テ地方ノ產業ニ資スルト云フコトニ、的確
ニ當嵌ラナイヤウナ御答ガアッタノデアリ
マス、私更ニ反問ヲ致シマシタ、當座ノ事
ハ言ハナイ、又反問スルノ價値ガ無イ、併
ナガラ預金制度ノ内輪ノ法律デモナク、勅
令デモナイ、極メ方ニ於テ此目的ノ二ツニ
四千万圓ヲ使フト云フコトガ出來惡イガ爲
ニ、斯ノ如キ不純分子ヲ入レテ法案ヲ御出
シニナッタノデアリマスカ、斯樣ニ伺シタノ
デアリマスガ、大藏大臣ハ他ヲ言ウテ何モ
仰セラレナカッタノデアリマス、郵便貯金ハ
御承知ノ通リ明治西十二年デアリマシタカ、
桂內閣ノ時分ニ僅ニ獎勵費ヲ三万圓要求サ
レタ場合ハ八千万圓位デアリマシタガ、現
在ハ殆ド十二億ニ達シテ居リマス、此九年、
十年ノ間ニ約平均一億圓弱ヲ增額シテ居ル
ノデアリマス、此增シテ居リマス郵便貯金
ニ向ンテ奬勵ヲシテ、而シテ三千万、四千万、
五千万ヲ增サシメル如キハ政府ノ力ニ於
テ此日本全國ノ郵便局ニ一號令ヲ下シタナ
ラバ、容易ナ事トヽ思フノデアリマス、
唯〓ソレ預金部ニ於テ左樣ナ困難-大
藏大臣ガ堪ヘラレル困難ノ爲ニ、勝手ニ
此法律ヲ出シタト云フコトハ、殆ド私ハ大
藏大臣トシテノ答辯ニナラナイト思フ、我
ガ同僚ノ吉植君カラ大臣學ヲ卒業シタト稱
セラレタ大藏大臣ニ向ッテ、私ハ疑ナキ能
ハズデアリマス、而シテ政府ハ又申シマ
ス、郵便貯金ハ四分八厘デアル、四分八厘
ノ郵便貯金ニ於テ毎年四千万圓ヨリ、ヨリ
多クノ增加ヲ求ムルコトハ頗ル困難ヲ感ズ
ル何ゾ知ラン此法案ハ四分デアリマス、
四分八厘ノ郵便貯金ノ方ガ多イノデアリマ
ス、4唯〓花籤、卽チ割增ニ於テ一分五厘增
スノデアリマスカラ、此割增金ニ當ッタ者
コソ或ハ五割、十割ヲ得ラレル者モアラウ、
併ナガラエライ多數ノ人ハ二十年後ニ於テ
此四朱ニ複利シタ四朱一一厘、一厘二厘位
デ甘ジナケレバナラヌ、卽チ郵便貯金ノ預
金ヨリハ甚ダ少イコトニ相成ルノデアリマ
ス(拍手)若シ政府ガ此事ヲ出シテ、而シテ
日夜營々トシテ稼イダ郵便貯金ヲ引出シテ
此債劵ニ應ズル當ルナラバ一時ノ成金ト
シテ其結果ハ知ルベシデアリマス、若シ當
ラヌモノデアルナラバ其貯金ヲ長ク持ッテ
居ラレヌ、債劵ヲ融通シテ質屋ヲ賑ハシ
「プローカー」ノ利益ニ供スルコトニ陷ルノ
デアリマス、外國ニ於テモ此法案ヲ出シタ
國ハ大分アリマス、佛蘭西、白耳義、獨逸、
墺地利、丁抹、伊太利、露西亞、是等ハヤ〃
テ居リマスルガ、其結果ハ政府トシテ之
ヲヤッテ、其金ヲ搾上ゲタト云フ成功ハ致
シテ居リマス、併シ搾上ゲタ結果ハ其應ジ
夕國民ガ難儀ヲシタト云フコトハ吾々ハ
常ニ承ッテ居ルノデアリマス、英吉利ニ於
テ此法案ガ出夕時ニ、英吉利ノ健全ナル國
民ヲ傷害スルモノデアルト云フ一言ノ下ニ
此法案ハ葬ラレタノデアリマス(拍手)亞米
利加ニ於テ軍需ノ爲ニ-軍需工業デ非常
ニ職工ニ全ガ入ル、此金ヲ吸收シテ以テ利
用スルト云フ爲ニ低額ナ軍事公債ヲ募ッタ、
多ク宣傳ヲ致シテ目的ヲ達シタコトハ承ツ
テ居リマスガ、未ダ花籤ナル提灯ヲ燈シ
テ、サウシテ之ヲ呼出シテ、事實ハ僅カナ
利息デアルガ、其一時ニ取レル投機心ヲ促
シテ集メタト云フヤウナコトハ、歐米ニ於
テハ更ニ聞イタコトハナイノデアリマス、
元來此法案ハ數十年來カラ大藏省デ屬僚間
ニ唯サレテ居ノ夕案ノヤウニ聞イテ居ル、
大藏省ノ屬僚ハ其結果ハドウナラウトモ、
安イ利息デ吸收シテ、サウシテ國家ニ利用
スレバソレデ足レリト云フ觀念デアリマシ
テ、其影響ガ國民ニ及ボス、其影響ノ結果如
何ニナルカト云フコトハ御考ハナイノデア
リマス、寺內內閣ノ時ニ勝田大藏大臣ハ之
ヲ出サントシテ、政友會ハ之ヲ許スナラバ
絕對ニ反對スルト云フ一喝ノ下ニ引シ込メ
ラレタコトハ政友會ノ幹部諸君ハ今尙ホ
御記憶ニナッテ居ルコトヽ存ジマス、聞ク
所ニ依レバ〓浦内閣ニ於テモ、勝田大藏大
臣ガ之ヲ試ミントシタ此案ヲ、其儘ニ本政
府ガ御出シニナッタヤウニ承ハルノデアリ
マス、大藏省トシテハ安イ金利ヲ-公債
ヲ募ル時ニハ七朱以上ノ金ヲ使ハナケレバ
公債ハ募レナイ、然ルニ四朱ト花籤ノ一朱
五厘ト寄セテ五朱五厘デ、下層ノ日々營々
働ク所ノ人民カラ安イ利ノモノヲ吸收シテ、
サウシテ他ニ之ヲ利用セントスルガ如キ方
法ハ、或ル意味カラ言ウタナラバ、下層國
民ノ經濟念應ノ無キヲ利用シテ、サウシテ
現在ノ利率ヨリ以上ニ低イ金デ取ラウトス
ル卽チ下層苛メノ法案トモ申サレルノデ
アリマス(拍手)斯樣ニ致シマシテ四朱八厘
ノ郵便貯金ヲ引出シテ、之ニ應ズル其結
果ハ知ルベシデアリマス、斯樣ニシテマデ
モ一面ニ僅カ四千万圓ノ金額ヲ吸收シナケ
レバナラヌ必要ガ何處ニ在ルノデアリマス
カ、大藏省ガ之ヲ出スノハ私敢テ咎メハ致
シマセヌガ、二宮宗ノ本家トモ、本山トモ
言ハレテ居ル所ノ岡田文相ガ、我モ許シ人
モ許シテ居ル本山ノ岡田文相ガ、閣議ニ於
テ此提案ニ賛意ヲ表サレタト云フコトニ向ソ
テ、私ハ非常ニ文相ノ爲ニ憂フル次第デア
リマス、人或ハ言ハン、是ハ新シク出タノ
デハナイ、勸業銀行ガ之ヲヤッテ居ルノヂ
ヤナイカ、ソレヲ今政府ガヤルノデアルカ
ラ、是ハ同一ヂヤイナカト云フヤウナコト
ヲ言フカモ知レヌ、然リ勸業銀行ハヤッテ居
リマス、併ナガラ今日ノ場合、而シテ首相
及閣僚ガ風紀、綱紀ノ弛廢、之ヲ防ガント
スル此場合ニ於テ、若シ勸業銀行ガヤラン
ト欲スレバ之ヲ撤回或ハ縮メル若クハ中
止、此數年間中止セシムルノガ當然デアリマ
ス、然ルニ此勸業銀行ニ五年間之ヲスルコ
トヲ止メテ置イテ、サウシテ政府自ラ代ソ
テ之ヲ行ハントスルハ、何事ノ行爲デアリマ
セウカ(拍手)併ナガラ私ハ此趣旨、目的、
卽チ零碎ナル資金ヲ吸收スルト云フコトニ
向シテハ賛意ヲ表シテ居ルガ故ニ、私ハ此
修正ヲ政府ニ問ウタノデアリマス、卽チ四
朱ノ上ニ花籤一朱五厘ヲ加ヘルヨリハ或
ハ勸業銀行ニ拂フ所ノモノヲ加ヘテ五朱五
厘、六朱トシ、割引若クハ据置ノコトニシ
テ此債劵ヲ募ル御考ハナイカ、之ニ同意ヲ
シナイカト言ウタ所ガ斷ジテ同意シナイ
ト云フコトデアリマシタ爲ニ、已ムヲ得ズ
玆ニ否決ノ動議ヲ持出ス所以デアリマス、
終ニ臨ンテ諸君ニ是ハ申スヨリハ報告致ジ
テ置キタイノデアリマス、委員會ニ於テ三
派協調ノ下ニ、委員長ガ讀マレテ、半分ハ
地方產業ニ資スル、半分ハ興業銀行ヲ通ジ
テ復興ニ資スル、斯ウ云フ聲明ノアッタニ
拘ラズ、必ズト云フ字ヲ入レテ、必ズ地方
產業ニ半分ハ貸サナケレバナラヌト云フコ
トヲ入レテ協調シタ附帶決議ガアリマスル
ト共ニ、又政友會ノ東總務ガ更二立ッテ此
所ニ大臣ニ辯明ヲサレタ所ノ、御念ノ入ツ
夕事ニハ感服ヲ致シマシタガ、其場合ニ於
テ政府ガ斯樣ニ言ハレタノデアリマス、此
復興卜云フノハ決シテ震災ノ復興デナイ、
日本帝國經濟ノ復興ト云フ意味デアル斯
樣ニ中サレタノデアリマス、今又大藏大臣
ガ此所ニ立ッテ言ハレタコトハソレト反
對シテ居リマス恐ラク大藏大臣ノ言ガ本
當デアッテ、他ノ政府委員ガ見得ヲ切ラレ
夕此言葉ハ嘘デアラウト思フ、又嘘デナケ
レバナラヌノデアリマス、一年ニ四千万
圓、五年デ二億万圓、是デ帝國ノ經濟ガ復
興ガ出來レバ吾々ハ枕ヲ高ウシテ寝ルノ
デアリマス、斯カル杜撰ナル、斯ウ云フ無
責任ナル事ヲ委員會デ見得ヲ切ッテヤラレ
ルト云フヤウナ杜撰ナ案デアリマスカラ、
否決ノ動議ヲ出スノデアリマス、ドウカ御
賛成ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=12
-
013・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 川崎克君
〔川崎克君登壇拍手〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=13
-
014・川崎克
○川崎克君 只今上程サレテ居リマスル本
案ニ對シテ贊成ノ意見ヲ述ベタイト存ジマ
ス、現內閣ハ成立ノ當初ニ於キマシテ行
政財政ノ整理ヲ爲スト云フコトヲ聲明ヲ致
シタノミナラズ、大正十三年度ノ豫算ヲ協
賛スルニ當リマシテ、之ヲ實行スルニ當ノ
テ年度內ニ於テ必ズ行政財政ノ一大緊縮ヲ
行ッテ、一大消費者デアル所ノ政府自ラ政
費ヲ節減スルト云フコトヲ申シテ居ルノデ
アリマス、サウシテ一面ニ於テハ浪費ヲ戒
ノ、政費ヲ節約ヲ致シ、其結果國民ニ對シ
テハ勤儉貯蓄ノコトヲ宣傳ヲ致シテ居ル
ノデアリマスルガ、今日上程セラレマシタ
ル所ノ貯蓄債劵、昨日決定セラレマシ夕所
ノ輸入稅-關稅ノ引上、此兩案ガ姉妹稅
トナッテ其政策ノ實行ヲ助ケルモノデアル、是
ガ我ガ現下ノ經濟界ニ對シテ新シキ緊張味
ヲ齎ス所ノ重大ナル使命ヲ果ス案トシテ、
私共ハ賛成ヲ致シタノデアリマス、今囘募
集セラレル所ノ此貯蓄債劵ハ、固ヨリ全國
ニ亙ッテ募集セラレルモノデアリマスルケ
レドモ、只今大藏大臣ノ說明セラレマシタ
如ク、大正十三年ヨリ大正十七年ニ亙リマ
シテ、東京市ノ復興、震災地ノ復興、復舊
費ノ爲ニ要シマスル經費十二億七千八百万
圓ノ中デ、大體勞働者ニ給付セラルベキ金
ハ其三分ノ一卽チ四億万圓以上ニ上ルノ
デアリマス、五年ノ間ニ東京ヲ中心ト致シ
テ、此四億万圓ノ金ガ撒布セラレル結果ハ
勞働者ニ與ヘラレル所ノ金ハ消費力ヲ以テ
居ル、消費セラルベキ運命ヲ持ッテ居リマ
スル金デアリマスカラ、其結果ハ必ズ日用
品ノ騰貴ヲ誘致シ、及奢侈ヲ助長スル結果
ヲ生ムノデアリマスカラ、此事柄ニ對シマ
シテハ、爲政者トシテ特ニ深甚ノ注意ヲ拂
ハナケレバナラヌノデアリマシテ、此法案
提出ノ趣意ハ當然浪費セラルベキ是等ノ金
ヲ吸收シテ、之ヲ生產化シ、之ヲ資本化ス
ルト云フ上ニ於テ、此法案ハ一大使命ガア
ルト信ズルノデアリマス、私ハ斯樣ナ意味
ニ於テ、此法案ノ精神ニ向ッテ賛成ヲ致ス
ノデアリマスガ、只今八木君ノ御話ヲ承ル
1、第一ハ此債劵ハ割曾附ノ債劵デアッテ、
或モノニ付キマシテハ五百倍ノ割增ガ附ク
カラ、其結果ハ射倖心ヲ誘發スルノ憂ガア
ルト云フコトニ向シテ重キヲ置カレテ、反
對ヲセラレタノデアリマス、成程八木君ノ
仰シヤル通リ割增附ノ債劵デアルコトハ、
固ヨリ私共モ認メテ居リマス、併ナガラ此
割增附ノ債劵ト云フモノハ、八木君モ此壇
上デ御述ニナリマシタ如ク、今日改メテ斯
樣ナ異例ガ開カレタノデナイノデアリマ
ス、勸業銀行ニ於テハ今日マデ實際ニ之ヲ
行ッテ來テ居ルノデアル、大正九年、大正
十年、大正十一年、大正十二年、最近ノ實
例ヲ見マスト平均一年千六百八十万圓ノ募
債額ガアルノデアリマス、此募債ヲ爲スニ
當リマシテハ、主務大臣ノ許可ヲ得テ募債
スルノデアリマスガ、若シ八木君ノ仰シヤ
ル通リ是ハ射倖心ヲ誘フ爲メ弊害アルト御
認ニナルナラバ、諸君ノ支持セラレタル內
閣ハ、卽チ諸君ノ支持セラレテ居ッタ內閣
ノ大藏大臣ガ、歷代ノ大藏大臣ガ之ニ認可ヲ
與ヘテ來ラレタト云フコトハ其當時ニ於
テ御反對ニナルベキモノデアラウト私ハ思
フ、其時ニハ御反對ニナラズシテ、此法案
ガ政府案トシテ現レルヤ、之ニ對シテ反對
ヲセラレルノハ殆ド理由ヲナサヌト思フ、
主務大臣ガ許可ヲ與へルノデアル、若シソ
レガ惡イト云フコトナラバ、アナタ方ノ支
持セラレテ居ツ夕內閣ニ於テ、大藏大臣
ガ之ヲ許可シナカッタナラバ、最近ニ於テ
モ募集致シテ居ル所ノ勸業債劵ノ募集ガナ
カッタ筈デアル、吾々ハ現在復興、復舊ノ
爲ニ帝都ヲ中心トシテ、一箇年八千万圓ノ
勞働者ニ給付セラルベキ金ガアルカラシ
テ、此給付セラレル仝ヲ生產化シ、資本化
スル爲ニ此法案ヲ通過サスコトノ必要アリ
ト云フコトヲ力說スル者デアルノデアル、
面シテ此法案ハ其一部ハ復興資金ニ當テラ
レ一部ハ農村振興ニ當テラレルノデアリ
甲 、反對黨ノ諸君ハ屢、此壇上ニ於テ、
現內閣ハ農村振興ニ付テハ何事モ爲シ得ナ
イ、又財政方針ノ演說中ニモ此問題ニ觸レ
ナイト言ッテ攻撃ヲセラレタノデアリマ
スガ、今日此法案ハ農村振興ノ爲ニ資源ヲ
呈シテ、五箇年ニ於テ一億萬圓ノ資源ヲ呈
スルト云フコトニ對シテハ反對黨ノ諸君
ト雖モ之ヲ賛成セラルヽニ吝カナラザルコ
トデアルト私ハ思フノデアル(拍手)農村問
題ハ屢〓此議場ニ於テ議論サレマス、此數
年間ニ亙シテ農村問題ハ論議サレマシタガ、
歴代ノ內閣ドレダケノ仕事ガ出來テ居リマ
スカ、吾々、又諸君ノ不備ト信ゼラルヽ所
ノ米穀法案、開墾助成法案、或ハ中央金庫
ノ問題ノ如キモノ以外ニ、何等其實ヲ見ナ
イデハアリマセヌカ、現內閣ハ組閣僅、三
旬ニシテ、其僅カナル期間ニ於テモ、諸君
ガ此間此議場ニ於テ滿場一致ヲ以テ議決セ
ラレタ所ノ小作法ノ調停法案ノ如キ、又農村
振興ノ爲ニ年々二千万圓ヅヽ支出スル此法
案ノ如キヲ提出致シタト云フコトハ、明ニ
現內閣ハ農村振興ノ爲ニ多大ノ盡力ヲ致シ
テ居ルト云フコトヲ證明シテ餘リアルモノ
デアルト思フノデアル(拍手)唯〓最後ニ一
言致シタイ事ハ只今東君ノ述べラレマシ
夕如ク、此法案ノ實施ノ結果、地方ノ金融
ニ壓迫ヲ加ヘルヤウナ募集ノ仕方ハ愼ンデ
戴キタイト云フ希望ガアルノデアリマス、
又第二ニハ此金ガ預金部ニ流入セラルヽ結
果吾々ハ多年預金部ノ改正ヲ唱へ來リマ
シタ當然ノ立場ニ於テ、預金部制度ノ改正
ヲ要求シナケレバナラヌノデアリマス、現
在ノ預金部ハ御永知ノ如ク單獨ナル主務大
臣ノ勝手ニ支出スルコトノ出來マス結果
ハ不良貸付ガ多クシテ、其結果償還不能
ニ終ルベキ所ノ貸付ノ內容ガ多イト云フコ
トヲ、吾々ハ甚ダ遺憾ト致シテ居ルノデア
ル、何レノ國ヲ見テモ、預金部制度ニ於テ、
法律ニ依シテ此支出ヲ限定シテ居ルカ、或
ハ委員制度ヲ設ケテ是等ノ監督ヲ爲スカ、
單獨ナル自由支出ヲ許シテ居ル國ハ無イノ
デアル、獨リ日本ハ十四億ノ預金ヲ抱イテ、
之ヲ主務大臣ノ自由ニ任ジテ居ルト云フガ
如キコトハ惡例デアリマスカラ、是ハ是非
共改正セラルベキモノデアッテ、現內閣ハ
是ガ改正ノ爲ニ調査中デアルト云フコトヲ
明言致サレマシタガ、吾々共ハ是非トモ此
改正案ヲ提出セラレンコトヲ布望シ、又提
出セラルベキコトヲ信ジテ本案ニ賛成致ス
所以デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=14
-
015・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 六禱苗代君
〔禱苗代君登壇、拍手〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=15
-
016・祷苗代
○禱苗代君 私ハ八木君ノ提出セラレタル
本案否決ノ意見ニ賛成ヲスルノデアリマス、
政府ハ本案提出ノ理由ニ於テ、木案ハ國民
ノ勤儉貯蓄ヲ奬勵スル所ノ政策ノ具體案デ
アッテ、而シテ國民ニ此貯蓄ヲ奬勵シテ、此震
災地ノ復興ト、竝ニ地方產業ノ振興ニ必要
ナル所ノ資金ヲ調達スルノガ目的デアルト
云フコトヲ聲明セラレタノデアリマス、私
ハ本案ヲ能ク讀ミマシテ、此目的ガ果シテ
達セラルヽカ、達セラレナイカト云フコト
ニ付テ頗ル疑ヲ有スルノデアリマス、凡ソ
債權者ガ債務者ニ對シテ金ヲ貸ス時分、其
債務諸ノ信用ト回收ガ略、同一デアリマシ
タナラバ、債權者ハ利率ノ低イモノヨリモ、
高キモノニ貸スト云フコトハ、是ハ當然ノ
事柄デアリマス、而シテ本案ニ依リマスル
ト本案ノ三條ニハ此割引料竝ニ利子ノ
步合ト云フモノハ是ハ主務大臣ガ定メル
ノデアルト云フコトヲ書イテアリマスケレ
ドモ、政府ノ聲明セラルヽ所、卽チ說明ヲ
セラルヽ所ニ依リマスト云フト、此割引料
竝ニ利子ノ步合ト云フモノハ、年四分ニ相
當スル所ノ複利ニ計算致シマシテ、約十七
箇年三箇月ニ於テ倍額ノ金額ヲ之ニ還スノ
デアル、斯ウ云フ說明ヲセラレテ居ルノデア
リマス、ソレト同時ニ本案ニ依リマシテハ、
先刻來論議セラレテ居リマスヤウニ、此四分
ノ外ニ約二億万圓ノ一割一分五厘ニ相當ス
ル所ノ割增金ヲ附ケテ、サウシテ之ヲ當籤
シマシタ者ニ對シテ、割增金ヲ交付スルト
云フコトニナッテ居ルノデアリマス、多クノ
人ガ此債劵ヲ買入レマスル人ハ、年四分ノ利
息ニ滿足シテ買入レナケレバナラナイノガ
當然デアル、所ガ一面カラ考ヘテ見マスル
ト言フト、政府ノ借入レマスル金ニハ、或
ハ郵便貯金モアリマス、或ハ郵便局デ賣出
シマスル所ノ小額債劵モアリマスガ、郵便
貯金ノ利子ハ御永知ノ如ク年四分八厘ニ相
當スル所ノ利息ヲ拂.ノテ居ルノデアリマス、
又郵便局ニ於テ賣出シマスル所ノ小額債券
ハ、年七朱ニ相當スル所ノ金額ヲ支拂ノテ居
ルノデアリマス、若シ此割增金附ノ債劵デ
ナケレバ、到底是ハ應ズル筈ガナイト云フ
コトハ是ハ申上ゲルマデモナイ事デアラ
ウト思フノデアリマス、然ルニ郵便貯金ニ
於テハ、御承知ノ如ク政府ノ今日マデ奬勵
ト國民ノ自覺ニ依リマシテ、每年一億圓內
外ノ增額ヲ來シテ居ルノデアル斯ク割增
金ヲ附ケナクテモ-割增金ヲ附ケズトモ
國民ハ既ニ自覺ヲ致シテ居リマシテ、每年
一億圓内外ノ增額ヲ郵便貯金ニ於テ爲シテ
居ルノデアリマスカラシテ、政府ガ若シ一
段ノ努力ヲシ、一段ノ奬勵ヲシテ、所謂現
政府ノ如ク勤儉力行ヲ奬メラルヽナラバ、
消費節約ヲ獎メラルヽナフバ、郵便貯金ト
云フモノハ尙ホ一層ノ增額ヲ見ルハ火ヲ観
ルヨリモ明カナル次第デアル然ルニモ拘
ラズ何ヲ思立ッテカ此割增金附ノ債劵ヲ發
行シテ、態、ソレニ一年ニ四千万圓ニ相當
スル金額、五年ヲ通ジテ二億万圓ヲ募集ス
ル爲ニ、其割增金附ノ債劵ヲ發行スルト云
フニ至リマシテハ私ハ其眞意ヲ疑フノデ
アリマス、何トナラバ御承知ノ如ク先刻カ
ラ八木君カラモ御話ガアリマシタガ、此債
劵ノ發行ニ對シテハ、年々四分ノ利子ヲ拂
フノデアリマスガ、尙ホソレニ加フルニ一
分五厘ヲ加算シテ、其一分五厘ニ相當スル
金額ノ最高額ハ凡ン五百倍-卽チ五百倍
ニナル所ノモノヲ、所謂抽籤ニ當ノタ所ノ偶
然ノ故ニ依テ、而シテ此多クノ金額ヲ得セ
シメ、所謂國氏ノ射倖心ニ訴へ、賭博行爲
ヲ奬メルト云フコトニ至リマシテハ、獨リ
健全ナル所ノ經濟上ノ發展ヲ阻碍スルバカ
リデナク、人心ヲシテ浮華輕佻ニ陷ランメ、
所謂質實剛健ニ基ク所ノ勤儉力行ノ美風ヲ
破壞セラルヽコトニナリハシナイカト云フ
コトヲ、私ハ虞レルノデアリマス(拍手)川
崎君ハ先刻割增金附ノ〓劵ノ發行ハ、既ニ勸
業銀行ニ於テモヤノテ居ルヂヤナイカ、而シ
テ是ハ主務大臣ガ許可シテ店ルヂヤナイカ、
斯ウ云フコトヲ言ハレルガ、ソレハ勸業銀
行ガ或ル必要ナル場合ニ已ムヲ得ナカッタ
勸業銀行ノ資金ヲ、國民ノ零碎ナル資金ヲ
資本化スルノ已ムヲ得ザリシ過去ニ於テ之
ヲ計畫シタ事ニ付テ、御互モ、御互ノ先革モ
皆之ヲ賛成シタノデアリマスガ、此事柄ヲ
以テ國家自ラ之ヲ爲サントスルニ至シテハ、
是ハ國家ノ經濟上ノ發展ヲ阻碍スルノミナ
ラズ、其國家ノ淳風美俗ヲ破壞スル事柄デ
アリマスカラ、國家トシテ容スベカラザル
所ノ事柄デアルト私ハ信ズルノデアリマス
(拍手)凡ン勸業銀行債劵ニ於キマシテモ、又
競馬劵ヲ發行スルコトニ致シマシテモ、斯
ノ如キ賭事、博奕ノ行爲ハ將來大ニ禁ジナ
ケレバナラヌ、御互共ニ是ハ漸次禁ジテ、
剛健質實ナル思想ヲ涵養シテ行カナケレバ
ナラヌノデアル、然ルニ政府自ラ今日ニ於
テ斯ノ如キ事ヲ爲サントスルニ至ノチハ、言
語道斷デアルト私ハ考ヘルノデアリマス、
次ニハ政府ハ此金ヲ以テ一部ハ四千万圓ツ
ツ毎年募集ヲ致シマスル其半額卽チ二千万
圓ハ興業銀行ヲシテ復興事業ニ充テ、殘
額ノ二千万圓ハ是ハ勸業銀行ヲシテ總テ之
ヲ產業上ノ資金ニ充テル、斯ウ云フコトヲ
申サレテ居リマス、吾々ハ過去ニ於テ勸菜
銀行、農工銀行ガ產業上ニ貢獻ヲ致シテ居
ルト云フコトニ付テハ敢テ異存ハアリマセ
ヌケレドモ、此勸業銀行、農工銀行ノ方ハ
多クハ今日ハドウナッテ居ルカト申シマス
レバ、御承知ノ通リ對人擔保ニ依シテ貸ス
ノハ極メテ少數デアル、極ク少額デアル、對
物擔保ニ依ノテ貸シテ居リマスルガ故ニ、此
勸業銀行ヲ通ジ、農工銀行ヲ通ジテ貸出サ
レル所ノ金ハ、凡ソ中產階級ノ者ガ其大部
分ヲ占メテ居ルノデアッテ、中產以下ノ農民
ニ對シテ、殆ド其恩澤ニ均霑シナイト申上
ゲテモ宜カラウト思フノデアリマス、斯樣
ニ勸業銀行ニ之ヲ託シテ產業上ノ資金ニス
ルト云フコトニナリマスレバ、矢張從前ノ
如ク大資產家ヲ助ケ、大資產者ニ多ク利用
セフルヽノデアリマシテ、中產階級以下ノ
所謂多數ノ農民ハ、其恩澤ヲ受ケナイト云
フ結果ニナル、是ハ昨年ノ此議場ニモ現レ
マシタガ、凡ン勸業銀行、其他大銀行ニ依ツ
テ、貸出サレテ居リマスル金ガ百三十億アツ
テ是ガ中產階級以下ニ貸出サレテ居ル金ハ
僅ニ三億ニ過ギナイ、而シテアトノ百二十
七億ト云フ金ハ、多クハ大資產家ニ利用セ
ラレテ居ルノガ今日ノ現狀デアル、又一面ニ
於キマシテ此地方農民ノ懷ロカラ多ク出テ
居リマスル所ノ郵便貯金ハ、今日十二億ニ
垂ント致シテ居リマスルガ、此金モ此地方
農民、殊ニ中產階級以下ノ農民ニ融通セラレ
テ居ル金ハ至テ少額デ、一千万圓ニモ及バ
ナイ額デアルト云フコトヲ統計ガ希シテ居
ルヤウデアル、斯樣ニ政府自ラ若クハ中央
ニ集ッタ金ト云フモノハ、多クハ大資產家ニ
利用セラレルモノデアリマシテ、中產階級
以下ニハ少クトモ利用セラレテ居ナイ、ソ
レ故ニ昨年ドウシテモ此中產以下ノ農民ヲ
救濟スルニ於テハ產業組合ノ發展ヲ促ス
ヨリ外ニナイ、產業組合ノ發展ヲ促スニハ
金融ヲシテ裕カナラシメナケレバナラヌ意
味ニ於テ、吾々ハ產業組合中央金庫ナルモ
ノヲ設立シ、之ニ依リマシテ其產業組合ノ
金融機關タラシメントシタノデアル、此產
業組合中央金庫ニ依シテ、始メテ小資產家、
詰リ中產階級以下ノ農民モ漸ク其農業上ノ
資金ヲ得ラレル途ノ端緒ガ開ケルノデアリ
マス、之ニ依ノテ將來農民ハ漸ク資本ヲ利用
スルコトガ出來テ、追々ト農村モ振興スル
コトニナ、テ來ルデアラウト云フコトヲ吾
吾ハ信ジテ居ルノデアリマス、然ルニ突如
トシテ又斯ノ如キ所ノ此賭博行爲、所謂射
倖心ヲ誘發スル所ノ-挑發スル所ノ法案
ガ出デヽ、此旗印ノ下ニ多クノ投機心ヲ煽
リマシテ、此少額ノ金額ヲ集メルヤウニナ
リマシタナラバ、凡ソ地方民ノ財源ト云フ
モノハ之ガ爲ニ枯渴セラルヽコトニナリハ
シナイカト云フコトヲ吾々ハ憂フルノデア
リマス、面シテ一面ニ於テハ漸ク出來上ッタ
所ノ產業組合中央金庫モ追々ト債劵ヲ發行
シテ、是モ亦資金ヲ得ントスルノデアリマ
スケレドモ、斯樣ナ法案ガ出タナラバ此
財源ト云フモノガ枯渴シテ居ル爲ニ、其目
的ヲ達スルコトハ(「心配スルナ」「神經衰弱
ニ罹ル」ト呼フ者アリ)頗ル心配ニ堪ヘナイ
次第デアル、心配シナイノハ是ハ國ヲ憂フル
者デナイ····斯樣ナ意味カラシテ此資金ト
云フモノヲ產業資金ニ向ケラレルトハ言フ
ケレドモ、是ハ多クガ大資產家ニ利用セラ
ルヽ意味ニ於テハ或ハ其效果ガアルカモ
知レヌケレドモ、中產階級以下ハ少クトモ
其效果ナルモノガ遲イ、之ニ依シテ日本ノ產
業ノ發達ニ資セントスル如キハ是ハ蓋シ
想ヒモ寄ラナイ無謀ノ計畫デアルト私ハ信
ズルノデアリマス、本案ハ前ニモ申上ゲマ
シタル如ク、一面ニ於テハ國民ノ射倖心ヲ
挑發スル所ノ、頗ル不健全ナル所ノ思想ヲ獎
勵スル法案デアッテ、一面ニ於キマシテ產業
資金ニ對シテハ中產階級ニ及バザル結果、
農村ハ益〓疲弊スルヤウニナッテ來ル結果ヲ
生ズル所ノ法案ナリト、私ハ斷言シテ憚ヲ
ナイノデゴザイマス、然ルニ尙ホ政府ハ是
等ノ事ガ分ラナイ、質問應谷ノ際ニ、能ク分ッ
夕筈デアルト思フ、然ルニ此法案ヲ尙ホモ
通過サセヤウト云フコトハ是ハ國民ノ貯
蓄心ノ涵養ト、竝ニ地方產業ノ發展ト云フ
所ノ美名ノ下ニ、現内閣ノ標榜セル所ノ非
募債主義ニ基ク財政計畫ノ缺陷ヲ蔽ハント
スル、不純ナル動機ノ暴露デアルト私ハ斷
言シテ憚ラナイノデアリマス(拍手)政友會
ノ諸君ハ昨年吾々ト共ニ產業組合中央金
庫ヲ議定シ、其法案ヲ成立セシメラレタニ
對シテ是ト全ク相反スル結果ヲ生ズル此法
案ニ對シテハ恐ラク私ハ賛成ハセラレナ
イダラウト思シタノデス、ノミナラズ委員會
ニ於キマシテモ、昨年ノ人々ガ委員長始メ
委員一人モ居ラレナカ。タノハ、蓋シ其邊ノ
消息ヲ物語ルデハナカラウカト私ハ考ヘタ
ノデアリマス、斯樣ニ此法案ハ其目體ニ於
テ不純ナル所ノ動機ニ基イテ居ル有害無益
ノ法案デアリマスガ故ニ、政友會ノ諸君ハ
-私ハ諸君ガ之ニ賛成セラルヽカラ矛盾
撞著トハ申シマセヌガ、昨年ノ產業組合中
央金庫法ノ精神ニ鑑ミラレテ、サウシテ吾
吾ト共ニ本案ヲ否決スルコトニ自覺セラレ
ンコトヲ、政友會諸君ニ切ニ希望スル次第
デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=16
-
017・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 高木正年君
〔高木正年君登壇、拍手〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=17
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018・高木正年
○高木正年君 此法案ハ時局救濟ノ爲メノ
一ノ政策ト見ナケレバナラヌ重要ノ問題デ
アルト思フノデアリマス、サリナガラ吾々
ガ常識ニ訴ヘマスレバ、決シテ反對論ナド
ノ起ルベキ問題トハ思ハナカッタ、但シ私
ハ委員デアリマスケレドモ、今日此壇上ニ
立ンテ、此法案ノ反對者ニ酬ヒネバナラヌ
立場ニ在ルトハ考ヘテ居ラナカッタノデア
リマスハソレ故ニ何等ノ用意モ致シテ參ラ
ナカッタノデアリマスガ、極メテ簡單ニ反
對論者ニ對シ一撃ヲ酬ヒテ、自分ノ責任ヲ
終リタイト思フノデアリマス、十三年度ノ
財政計畫ノ極メテ尨大デアリ、之ニ對シテ
ハ何等カノ救濟ヲ要セネバナラヌ、其結果
トシテ經濟上ニモ亦何等カノ對策ガナケレ
バナテヌノデアリマス、政友本黨ノ方ガ此
案ニ反對セラルヽノハ如何ニモ其本ヲ忘レ
ラレテ居ルト私ハ思フノデアリマス(拍手)
何故左樣ニ私ハ申スカト云フト、元來十六
億ノ豫昇ハ誰ガ其因ヲ成シタノデアリマ
ス、若シモ〓浦內閣ガ成立セズシテ、國民本
位ノ内閣ガアノ場合成立セラレタナラバ、
今日ノヤウナ尨大ナル財政計畫ヲ以テ十三
年度ヲ迎フベシトハ考ヘラレナカンタノデ
アリマス(拍手)追加豫算ハ二億六千餘万圓
デアリマスケレドモ、之ニ加フル十三億幾
ラト云フ財政計畫ハ〓浦內閣ガ實行豫算
ヲ作ルトキニ何等ノ注意モ警戒モセズ作ノ
タ其結果ガ、十六億ニナッタノデハアリマ
セヌカ、而モ追加豫算ノ求メル所ノ各項目
ヲ調ベテ見ルト、是ハ臨時議會ヲ待タズト
モ、此問題ハ早クカラ分ッテ居ル、追加豫
算ガ出レバ第一復興ノ要求モ出テ來ル、恩
給ノ增加モ來ル、國債利子ノ增加モ來ル、
ソレ等ノ事ハ當然實行豫算ヲ作ルトキニ考
ヘナケレバナラヌ、然ルニ實行豫算ノトキ
ニハ何等ノコトモ言ハズ、考ヘズニ居ッタ
政友本黨ノ人ガ、今日ニナッテ枝葉末節ニ
絡ンデ、此救濟策ニ向ッテ反對ヲ試ミルト
云フコトハ如何ニモ大人氣ナイ、謂ハヾ
常識ニ外レタ反駁デアルト私ノ中サネバナ
ラス、是ハ〓論デアリマス、豫算ノトキニ
申上ゲヤウト思ノタガ、ツイ自分ハ發言權
ヲ得ナカッタカラ玆ニ申上ゲルノデアリマ
ス、併シ是ハ無駄ナ事デハナイ、能ク御考
ヲ願ヒタイト、政友本黨ノ方ニ申上ゲルノ
デアリマス、斯樣ニ考ヘマスレバ、政府ニ
向ッテ財政ノ緊縮ト云フコトガ、此十六億
ノ豫算ニ對シテハ一般緊要ナル事デアル、
是ト同時ニ經濟上ニ取シテハ、ドウシテモ
放漫ニ流レ易イ所ノ經濟界ヲ緊縮スル爲ニ
ハ何等カ國民ヲシテ勤儉ニ導クト云フコ
トノ對策ヲ以テ之ニ當ラザレバ、今日ノ財
政上モ經濟上モ、救濟ヲ全ウスルコトガ出
來ナイノデアリマス、些々タル割增金位ノ
コトデ論難ヲ試ムベキ場合デナイト私ハ信
ジテ居ル、諸君、只今禮君ガ頻ニ從來ノ勸
業銀行ノ處置ニ付テ御論ジニナッタ、低利資
金ガ容易ニ農村ノ資金ニナンテ來ナイ、ソ
レハ今マデノ政治ノ監督ガ宜シクナイカラ
デアル、畢竟勸業銀行ノ貸出ニ付テ云爲セ
ラレルノハ、資金ノ缺乏ガ一ツデアリマスカ
ラ此方法ニ依シテ政府ノ聲明スル如ク、
或ハ二億以上ノ金ヲ吸收スル場合ニ至リマ
シタナラバ、ジ〓君ノ所謂勸業銀行ノ貸出
ハ自ラ同君ノ不平ヲ慰シテ尙ホ餘リアル
所ノ結果ヲ得ルト私ハ判斷セザルヲ得ヌノ
デアリマス、一體今日ハドウ云フ事ガ必要
デアルカ、私共如何ニシテモ忘レルコトノ出
來ナイノハ貿易ガ平準ニ歸シナイ事デア
リマス、輸入超過ニノミ傾ク今日ノ狀態
ハ、ドウシテモ恢復シナケレバナラヌ、根本
カラ申セバ日本ノ生活費ヲ少クシ、生產ヲ
之ニ依シテ奬勵シ、而モ產業上ニ於テ最モ必
要ナル低利資金ノ供給ト云フコトガ、極メ
テ今日ハ緊急ナル時代デアル、東洋貿易ニ
於キマシテモ、對手國ノ經濟狀態ガ宜シク
ナイト云フコトモ、確ニ貿易ノ振ハヌ一原
因デアル、此場合ニ於テ私共ハサウ思ウテ
居ル、セメテ〓浦內閣ガ外債募集ノ失敗ヲ
セズニ、アヽ云フ高利ナ金ヲ借リズニ居ッ
タナラバ、工業資金ノ如キ、產業資金ノ如
キ、更ニ安キ資金ヲ迎へテ我國ノ經濟界ヲ
賑ハシ、產業界ヲ賑ハスベキ結果ガ得ラレ
タラウト思シタガ失敗シテ、外債ノ結果ハ
アノ外債ガ發表ニナルト、直グ興業銀行ガ
八分ニ上ゲタ結果ハ、諸君ハ考ヘテ貰ハナ
ケレバナラヌ、要スルニ財政ヲ緊縮シテ今
日ノ財力ノ全ウセシムルコト、第二ニハ經
濟界ニ於テ之ヲ勤儉ニ導イテ、而シテ今日
ノ最モ吾々ノ憂フル所ノ貨幣價値ノ囘復ト
云フコトニ努メネバナラヌ、如何ニ金利ノ
低落ヲ要求シテモ、貨幣ノ價値ガ回復セザ
ル間ハ、金利ノ低落シナイト云フコトハ、今
日世界經濟上ノ定論トナンテ居リマス、之ニ
ハ此法案ヲ以テ、政府ガ先ヅ緊張ノ氣分ヲ
以テ自ラ財政ヲ整理シ、自ラ冗費ヲ節約シ
テ範ヲ天下ニ元スト共ニ、國民ニ向シテ
大自覺ヲ求ムル、此資金ヲ集メサヘスレ
バ、諸君ガ今日憂ヘラレル農工振興ノ如キ
ハ必ズ勸業銀行ノヤッテ居ル流ヲ求メ
テ、十分間澤ナル金融ヲ得ルコトハ是亦容
易ナ事デアルト思フ、又目下ノ問題トシテ
殘サレテ居ル經濟復興問題ノ如キモ、確ニ
此資金ノ集リ方ニ依ッテハ世間多クノ論
者ヲシテ滿足セシムル所ノ結論ヲ迎ヘサセ
ル喜ビノ時代ガ來ラストモ限ラヌ、要スル
ニ此法案ノ是非ニ付テハ些々タル反對論ヨ
リモ、苟モ政局ニ立ッテ之ヲ〓視スル任ニ
在ル諸君ハ宜シク政府ガ如何ニ行政財政
ノ整理ヲスルカヲ監督シナケレバナラス、
如何ニ政府ガ眞劒味ヲ以テ國民ニ對スルヤ
否ヤヲ考ヘナケレバナラス、其結果トシ
テ、當然此法案ノ效果ハ現レテ來ル、ホセル
モ角ニモ今日ノ產業界ヲ賑ハシ、經濟復興
ノ途ヲ完ウシテ、昨年大震災以來全國ニ亙,
テ不景氣ヲ來シタ所ノ機運ヲ一掃スルト
云フコトハ一ニ財政ノ緊縮ト、國民勤儉
ノ美風ノ二ツニ依ッテ決定セラルベキモノ
ト考ヘル、其道行トシテハ、此法案ノ如キ
ハ是非共之ニ伴ハネバナラヌ、一ツノ要件
デアルト斯樣ニ考ヘル、私ハ大局カラ申上
ゲル些々タル事ニ付テ反對ヲ爲サレタ所
ノ二君ノ御論ニ對シテハ先ヅ是ハ敬意ヲ
拂ッテ細カニ御答ヲシナイ考デアリマス、
斯ル意味ニ於キマシテ是非共此案ノ通過ス
ルヤウニ、皆樣ノ滿場一致デ賛成下サルコ
トヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=18
-
019・作間耕逸
○作間耕逸君 討論終結ノ動議ヲ提出致シ
マス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=19
-
020・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 作間君ノ動議ニハ成
規ノ賛成アルモノト認メマス、此討論終結ノ
動議ニハ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=20
-
021・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ討論ハ終結致シマシタ、直ニ採決ヲ
致シマス、本案ノ第二讀會ヲ開クニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナジ」「異議アリ」ト
呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=21
-
022・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 分リマシタ、採決ヲ
致シマス、本案ノ第二讀會ヲ開クニ贊成ノ
諸君ノ起立ヲ求メマス
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=22
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023・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 起立多數、第二讀會
ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=23
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024・作間耕逸
○作間耕逸君 直ニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、
第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通リ希
望條件ヲ附シテ原案ヲ可決セラレンコトヲ
望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=24
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025・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 作間君ノ動議ニハ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=25
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026・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、乃チ直ニ
第二語會ヲ開キ、議案全部ヲ議題ト致シマ
ス
復興貯蓄債劵法案第二讀會(確定議)
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=26
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027・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 別ニ御異議ナシト認
メマス、仍テ第三語會ヲ省略シテ、委員長
報告ノ通リ可決確定セラレマシタ(拍手)次
ハ日程第三、第四ハ同一委員ニ付託シ、且
ツ同種ノ議案デアリマスカラ、一括議題ニ
供スルニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=27
-
028・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ二案ヲ一括シテ議題ト致シマス、
卽チ日程第三、借地借家臨時處理法案、日
程第四、借地借家調停法中改正法律案、右
兩案ヲ一括議題ト爲シ、第一讀會ノ續ヲ開
キマス、委員長磯部尙君
〓〓〓
第三借地借家臨時處理法案(政府提
出第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一借地借家臨時處理法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
大正十三年七月十一日
借地借家臨時處理法案委員長
磯部尙
衆議院議長粕谷義三殿
第四借地借家調停法中改正法律案
(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一借地借家調停法中改正法律案(政府
提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
大正十三年七月十一日
借地借家調停法中
改正法律案委員長
磯部尙
衆議院議長粕谷義三殿
〔磯部尙君登壇、拍手〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=28
-
029・磯部尚
○磯部尙君 昨年ノ九月一日ノ大震火災ニ
於キマシテ、一朝ニシテ鳥有ニ歸シマシタ建
物ノ數ハ我ガ東京市ノミデモ貝ニ三十万
戶餘ヲ數ヘルノデアリマス斯ノ知キ多ク
ノ建物ノ亡失ハ、一般罹災者ノ住居營業ノ
上ニ急激ナル變化ヲ與ヘマシテ、地主ト家
主、借地人、借家入トノ間ニ於テ、洵ニ面
白カラザル感情ノ疎隔ヲ來シマシテ、多ク
ノ紛糾セル法律問題ヲ醸シ、サラデダニ險
惡ヲ極メマシタ人心ハ一層寒心ニ堪ヘザ
ルモノヲ現シタノデアリマス、此際ニ當リ
マシテ、政府ハ只今懸案トナッテ居リマス
ル借地借家臨時處理法案、竝ニ借地借家調
停法中改正法律案ノ二ツノ法律案ヲ提出セ
ラレマシテ、此地主、家主、借地人、借家
人トノ間ノ感情ノ融和ニ努メ、人心ノ變動
ニ備ヘントセラルヽガ爲ニ此二法案ヲ提出
セラレタノデアリマス、借地借家調停法中
改正法律案ニ付テハ、別ニ申立ツル程ノ事
ハゴザイマセヌ、借地借家臨時處理法案ノ
骨子ト致シマスル所ハ第一ニハ借地借家
ノ契約中ニ、頗ル不當ナル條件ガアリマシ
タ場合ニハ相當ノ機關ヲシテ此不當ヲ矯
正セシメル、卽テ權利金ト云フガ如キ、或
ハ雜作金ト云フガ如キ名目ノ下ニ、著シキ
不當ナル利得ヲ圖リマシタ地主、家主ニ對
シマシテハ或ル機關ヲシテ之ヲ返サシム
ルト云フ手段ヲ執ル、ロ疋ガ第一デアリマス、
第二ニハ燒跡ノ上ニ建テマシタ家屋ニ付テ、
震災前ニ其家ヲ借リテ居リマシタ人ヲシテ、
借家ノ先取權ヲ得セシメルト云フコトガ第
二ニ數フベキ點デアリマス、第三ニハ借家
人ガ燒ケマシタ跡ニ、借地人ノ承諾ヲ得マ
シテ家ヲ建テマシタ場合ニハ、其所ニ一種
ノ借地權ヲ得セシムル、卽チ今日ノ多クノ
「バラック」ノ類例ヲ見マスルト、本來カラ申
シマシタナラバ、借地權ノアルマジキ住居
人ニ對シテ一種ノ借地權ヲ認メルト云フコ
トガ、第三ニ特ニ申上グベキ點デアリマス、
第四ニハ大震火災以前ニ借地權ヲ有シテ居
リマシタ者ハ、大震火災後ニ於キマシテモ、
借地權若クハ建物ノ登記ナクトモ、一百合一
借地權ヲ得セシムルト云フ此四ツガ骨子ト
相成シテ居ルノデアリマス、只今最初ニ申上
ゲマシタ點、卽チ遡及法ヲ認ムルニ付キマ
シテハ、本年ノ七月一日ヲ堺ト致シマスノ
デアリマスガ、其以前ニ取得シタル第三者
タルト、其後ニ取得シタル第三者タルトヲ
分ケ隔テヲスベキ理由ハ無イト云フ議論モ
アッタノデゴザイマスケレドモ、左樣ニ遠ク
一年有餘モ遡ラシムルト云フコトニ致シマ
スト、法律關係ヲシテ益、と紛淆セシムルト
云フ弊害ガアリマスノデ是ハ矢張政府ノ
原案ニ從フト云フコトニ相成リマシテゴザ
イマス、此二法案ハ若シ大震火災直後ニ於
キマシテ緊急勅令ノ形デ御公布下サイマシ
タナラバ罹急民中中產階級以下ノ人々ニ
取ッテハ洵ニ一大福音デアッタラウト思フ
ノデアリマス、善キ智慧ハ後カラ出ルノデ
アリマスガ、時機稍、こ逸シタルノ憾ナキデハ
ゴザイマセスケレドモ、善キ法律ヲ民衆化
シ、現代化シ、現時苦ンデ居リマスル借地
人、借家人ニ取シテハ、依然トシテ福音ヲ與ヘ
マシテ、善キ法律善キ法タルノ閃キノ一ト
シテ、吾々委員ハ全會一致ヲ以テ二法案ヲ
可決致シマシタ(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=29
-
030・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 賛成演說ノ通告ガア
リマス
〔横山勝太郞君登壇、拍手〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=30
-
031・横山勝太郎
○橫山勝太郞君 本案ニ付テ委員長報告ノ
通リ賛成ヲ致ス者デアリマスガ、少シク意
見ヲ述ベテ置キタイ點ガアリマス、只今御
報告ノ通リ東京、横濱ヲ始メトシテ、震災
地ニ於ケル住宅問題ハ帝都復興事業ノ一ト
致シマシテモ、最モ重大ナル問題デアリマ
ス、御互ニ生存ノ中デ最モ必要ナル條件ハ、
衣食住三者ノ條件ヲ充タスコトガ出來ル
カ、出來ナイカト云フコトガ其主タルモノ
タルコトハ申スマデモアリマセヌ、而シテ
昨年ノ震火災ニ依リマシテ、俄然數十万戶
ノ家屋ヲ烏有ニ歸セシメタノデアリマス、
震災地ニ於テハ此事ナシト雖モ、非常ニ困
難ヲ致シテ居リマスル中產階級以下ノ者
ハ、震火災ニ依シテ俄然急激ナル住宅ノ困難
ニ陷ッタト云フコトハ中スマデモナイ事デ
アリマス、此重大ナル社會問題ヲ解決スル
ニ付テ、政府、東京府、東京市、共ニ力ヲ
協セテ之ガ解決ニ努力致シテ居リマスルケ
レドモ、御承知ノ如ク今日尙ホ此問題ヲ圓
滿ニ解決スルコトガ出來ヌト云フコトハ
洵ニ國家ノ一大不幸デアルト吾々ハ考ヘテ
居リマス、而シテ只今未兵員長報告ノ通リ、本
案ノ如キモノハ震災直後ニ於テ直ニ相當ナ
ル方法ニ依ッテ解決セラルベキ必要ガアッタ
ノデアリマスルガ、其事無カリシコトハ洵
ニ遺憾ノ事デアリマスガ遲レタリト雖モ
今日司法當局ガ震災地ノ中產階級以下ノ者
ノ實際生活ニ著目ヲセラレテ、本案ヲ當期
ノ議會ニ御提出ニナッタト云フ其努力ト誠
意ニ對シテハ吾々罹災民ノ多數ヲ代表シ
テ威謝スルコトヲ決シテ吝マヌモノデアリ
マス(拍千)其内容ニ付テハ委員長報告ノ通
リ、地主家主ガ不當ナル敷金、不當ナル權
利金ヲ徴收致シテ居ル場合ニ於テハ、其全
部若クハ一部ノ返還ヲ命ズルコトガ出來ル
ト云フ條項ハ、確ニ現下ノ時弊ニ的中スル
適當ナル立法デアルトシテ、吾々ハ賛成ス
ルノデアリマス、今日借地、借家ノ問題ニ
付テ罹災者ノ最モ脅威ヲ感ジテ居ルモノ
ハ此二ツノ事項デアリマス、吾々同志ハ
曩ノ議會ニ於キマシテ此問題ヲ提唱致シマ
シタケレドモ、當時司法當局ハ吾々ノ意見
ニ耳ヲ藉サナカッタノデアリマス、今日吾々
ノ主張ト、又震災後ノ事情ニ著目ヲ致シマ
シテ、成ル程度ノ返還ヲ命ズルト云フ原則
ヲ認メタト云フコトハ洵ニ罹災民ニ取リ
テ非常ナ幸福デアルト吾々ハ考ヘマス其
他新築セラレタル家屋ニ對シテ、前ノ賃借
人ガ一種ノ優先權ヲ持ツト云フ事柄ト、又借
地人ノ同意ヲ得テ假設建築物ヲ築造致シタ
ル者ガ一ノ權利ヲ得ルト云フコトヲ此法案
ガ認メタト云フコトハ、是亦現下ノ時局ニ
處スル最モ適當ナル方法デアルト吾々ハ考
ヘテ居リマス、此三點ニ付テハ委員會ニ於
テモ滿場一致ヲ以テ可決致シマシテ、一人
ノ異議モ無カッタノデアリマス、唯、最後ノ
借地権ヲ持ッテ居ル者ガ家屋ヲ失ッタ爲ニ、
其借地權ヲ第三者ニ對シテ對抗スルノ權利
ヲ失フ場合ニ當リマシテ、本年ノ七月以後
ニ於テハ假令登記ガ無クテモ、其權利ヲ
第三者ニ對抗スルコトガ出來ルト云フ意味
ノ立法ヲ爲シタト云フコトハ其精神ニ於
テハ毫モ間然スル所ハアリマセヌガ、之ヲ
七月一日以後ト限定シタト云フコトニ至リ
マシテハ此法案ノ一ノ瑕瑾トシテ吾々
ハ甚ダ遺憾ニ堪ヘザル者デアリマス、然レ
ドモ此點ニ於キマシテモ、吾々ハ目頭ニ於
テ申上ゲマス通リ、本案ノ如キハ震災直後
ニ於テ、直ニ相當ナル立法的ノ手段ヲ執ル
ノ必要ガアッタモノデスガ、第四十七議會ノ
如キハ臨時議會デアリマシテ、極メテ會期
ハ短キモノデアリマスルシ、第四十八議會
ハマダ何事モ爲サズシテ解散ノ運命ニ陷
テ居リマスルシ、政府ガ立法的ノ手段ヲ執
ルニ付テ非常ニ困難ヲ感ゼラレタト云フ事
情モアリマス、而シテ多少ノ不備ヲ包含致
シテ居ルトハ申セ、兎ニ角震災地ノ罹災民
ニ取リマシテ甚ダ必要ナル法律デアリマス
ルカラシテ、此場合ニ於テ吾々ガ議論ヲ逞
シウシテ、假令一日デモ半日デモ此審議ノ
進行ヲ阻止スルヤウナコトガアリマシテ
ハ、却テ吾々ノ豫期セザル所ノ害ヲ招キ、却
テ罹災地住民ノ不幸ヲ招クガ如キ事アリテ
ハ不可ナリト思料致シマスルカラシテ、此
點ニ付テハ吾々ハ忍ンデ此法案ニ對シテ一
點ノ修正ヲ加ヘズ、其運用ニ關シ司法當局
ノ誠意ト手腕ニ信賴シテ、之ヲ賛成致シマ
シタノデアリマス、而シテ此機會ニ於テ一
言司法當局ノ參考ニ供シテ置キタイト思ヒ
マスル點ハ借地問題ト借家問題トハ共
ニ吾々ノ實際生活ニ至大ノ關係ヲ有スルモ
ノデアリマシテ、之ガ解決ノ衝ニ當ル裁判
官竝ニ調停委員會ノ諸氏ガ、非常ナル勞苦
ヲ感ゼラレテ居ルト云フコトハ吾々ハ經驗
上能ク之ヲ了解致シテ居ル所デアリマス、
此問題ハ如何ニ細密ニ立法ヲ爲シテモ、又
如何ニ裁判ヲ開キマシテモ、如何ニ調停委
員會ヲ開キマシテモ、地主ト借地人トノ間、
家主ト借家人ノ間ニ異存ノ無キ程度ニマデ
了解ヲ與ヘテ之ヲ解決スルト云フコトハ
洵ニ困難ナ問題デアリマス、何レノ問題デ
モ之ヲ裁判ニ付シテ、最後ノ決定ヲ與ヘマ
シテモ、原被兩告ハ之ニ向シテ非常ナ不滿ヲ
抱クノデアリマス、調停法ニ依リマシテ調
停ヲ致シマシテモ、原被兩告ノ孰レカハ必
ズ不平ヲ抱クノデアリマス、況ヤ前段申上
ゲマスル通リ本案ノ第七條ニ於キマシテ、
借地權ノ對抗ノ時期ヲ七月一日以後ト云フ
コトニ限定シタト云フ點ノ如キハ、今後益〓
困難ナル借地問題ヲ惹起スモノデアルト
云フコトハ殆ド言說ヲ要シナイト考ヘテ
居リマス、此故ニ委員會ニ於テモ極メテ簡
單ニ吾々ノ意見ヲ表白致シテ置キマシタ
ガ、此立法ノ精神ヲ何所マデモ尊重致シマ
シテ、震災地罹災民ノ實際生活ト云フモノ
ヲ圓滿ニ解決セントスルナラバ、法律ノ明
文ニ拘泥スルヨリモ、事實裁判官ガ原被兩
告ノ間ニ立ッテ、深切ナル和解ヲ試ミ、調停
委員會モ亦本案ノ如キ法律ノ精神ヲ傘重致
シマシテ丁寧深切ニ調停ノ勞ヲ執ルト云
フ事柄ガ、此問題解決ノ良策デアルト吾々
ハ考ヘテ居ル者デアリマス、此故ニ從來ニ
於テモ裁判官、或ハ調停委員會等ハ非常ナ
ル努力ヲ致シテ居ルコトハ或ル程度マデ
吾々ハ之ヲ了解致シテ居リマスルガ、此法
律ガ現實ノ法制トナッテ、吾々ノ實生活ヲ規
律致スト云フコトニ相成リマスル以上ハ
裁判官、調停委員會ノ如キモノハ一層ノ努
力ヲ致サレテ、此問題ノ解決ニ盡力ヲセラ
ルヽト云フコトノ必要ガアルト吾々ハ考フ
ル者デアリマス、此故ニ司法當局ハ個々ノ
借地問題、借家問題ニ對シテト涉ヲ爲スガ
如キハ今日ノ制度ノ許サベル所デアリマ
スルガ、一般的ニ相當ナル手段ヲ以テ栽
判官竝ニ調停委員ニ或ル程度マデ社會的ノ
智識ヲ與ヘテ、社會ノ實狀ト云フモノヲ了
解セシメテ、丁寧深切ニ事件ノ解決ヲ爲サ
シムルノ必要ガアルト吾々ハ考ヘテ居ル者
デアリマス、此故ニ司法當局ハ此提案ヲ爲
サレタル趣旨ニ基キマシテ、何所マデモ此
法律ノ效果ヲシテ十全ナル結果ヲ現サシメ
ル爲ニ、裁判所竝ニ調信委員會ニ對シテ、法
律ノ許ス範圍內ニ於テ、相當ナル行政的ノ手
段ヲ執ラレテ、サウシテ罹災地ニ於ケル此
複雑紛糾セル問題ヲ解決致シマシテ、帝都
復興ノ一ニ資セラレンコトヲ切ニ希望スル
者デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=31
-
032・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 採決ヲ致シマス、兩案
ノ第二讀會ヲ開クニ御異議ハアリマセヌ
カ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=32
-
033・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ第二讀會ヲ開クコトニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=33
-
034・作間耕逸
○作間耕逸君 直ニ兩案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、兩案トモ委員長
報告ノ通リ可決アランコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=34
-
035・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 作間君ノ動議ニ御異
議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=35
-
036・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直ニ兩案ノ第二讀會ヲ開キ、議案
全部ヲ議題ト致シマス
借地借家臨時處理法案
第二讀會(確定議)
借地借家調停法中改正法律案
第二讀會(確定議)
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=36
-
037・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 別ニ御異議ナシト認
メマス、仍テ第三讀會ヲ省略シテ、兩案トモ
委員長報告ノ通リ可決確定致シマシター
日程第五、高等諸學校震災復舊諸費ニ屬ス
ル豫算ノ施行ニ關スル法律案、第1讀會ノ
續ヲ開キマス-委員長荒川五郞君
第五等諸學校震災復舊諸費ニ屬ス
ル豫算ノ施行ニ關スル法律案(政府
提出)第一會ノ續(委員長報告)
報告書
一高等諸學校宸災復諸費ニ屬スル豫算
ノ施行ニ關スル法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此投及報告候也
大正十三年七月十一日
高等諸學校震災復花諸
費ニ屬スル豫算ノ施行
ニ關スル法律案委員長
荒川五郞
衆議院議長粕谷義三殿
〔荒川五郞君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=37
-
038・荒川五郎
○荒川五郞君 高等諸學校宸災復舊諸費ニ
屬スル豫算ノ施行ニ關スル法律案委員會
ハ二日ニ亙シテ種々熱心ナル審議、質問應
答ガゴザリマシ夕、本案ハ帝國大學ノ農科
大學、商科大學、千葉醫科大學等ガ震災ノ爲
メ焼失致シマシタニ付テハ是ハ不時ノ事
業デアリマスルカラ、是等特別會計ノ普通經
營ニ屬セナイモノデアル故ニ、之ヲ特別會
計ヨリ切離シテ、一般會計ニ於テ行フコト
ヲ經費ノ上ニモ事業進捗ノ上ニモ便利トス
ルト云フノデ、其特例ヲ設ケタイト云フノ
ガ一ツデアリマス、又其大學ノ一部航空〓
究所、竝ニ東京女子高等師範學校、東京高
等蠶絲學校等ノ震災燒失ニ付キマシテ移轉
ヲ要スルモノハ、其爲ニ不用ノ土地ヲ生ズ
ル場合ニ、之ヲ其儘特別會計ニ置クト云フ
コトモ必要ガ無イ場合ニ於テハ之ヲ一般
會計ニ移スコトガ出來ルヤウニシタイト云
フ、震災ノ結果ニ伴フ便宜ノ例外法ヲ設ケ
タイト云フノデアリマシテ、委員會ハ滿場
一致ヲ以テ本案ニ協賛スルコトニナリマシ
タ、此段御報告申シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=38
-
039・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 本案ニ對シテハ別ニ
發言ノ通告モアリマセヌ、直ニ採決ヲ致シ
マス、本案ノ第二讀會ヲ開クニ御異議アリ
マセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=39
-
040・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=40
-
041・作間耕逸
○作間耕逸君 直ニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=41
-
042・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 作間君ノ動議ニ御異
議ナシト認メマス、仍テ直ニ第二讀會ヲ開
キ、議案全部ヲ議題ト致シマス
高等諸學校震災復舊諸費ニ屬スル豫算
ノ施行ニ關スル法律案
第二讀會(確定議)
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=42
-
043・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告
ノ通リニ可決確定致シマシタ-次ハ日
程第六、日程第七ハ同一委員ニ付託シタ議
案デアリマス、仍テ一括議題ト爲スニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=43
-
044・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、卽チ日程第六、大正十一年度第一豫備
全支出ノ件、承諾ヲ求ムル件、外六件、之ヲ
一括シテ議題トシ、委員長ノ報告ヲ求メマス、
委員長田中善立君
大正十一年度第一豫備全
支出ノ件承諾ヲ
第六求ムル
大正十一年度特別會計第件
一豫備金支出ノ件(委員長
報告)
大正十二年度第二豫備金
支出ノ件
自大正十二年四月豫備金
至同年十一月
外ニ於テ豫算外支出ノ件
大正十二年度特別會計第(承諾ヲ)
第七二豫備金支出ノ件求ムル
自大正十二年四月特別會件
至同年十一月(委員長
計豫備金外ニ於テ豫算超報告)
過及豫算外支出ノ件
臨時物資供給特別會計豫
算外支出ノ件
報告書
一大正十一年度第一豫備金支出ノ件(承
諾ヲ求ムル件)
右ハ本院ニ於テ承諾ヲ與フヘキモノト議
決致候此段及報告候也
大正十三年七月十一日
大正十一年度第一豫備金支出
ノ件(承諾ヲ求ムル件)委員長
田中善立
衆議院議長粕谷義三殿
報告書
一大正十一年度特別會計第一豫備金支出
ノ件(承諾ヲ求ムル件)
右ハ本院ニ於テ承諾ヲ與フヘキモノト議
決致候此段及報告候也
大正十三年七月十一日
大正十一年度特別會計第
一豫備金支出ノ件(承諾
ヲ求ムル件)委員長
田中善立
衆議院議長粕谷義三殿
報告書
一大正十二年度第二豫備金支出ノ件永
諾ヲ求ムル件)
右ハ本院ニ於テ承諾ヲ與フヘキモノト議
決致候此段及報告候也
大正十三年七月十一日
大正十二年度第二豫備金支出
ノ件(承諾ヲ求ムル件)委員長
田中善立
衆議院議長粕谷義三殿
報告書
-自大正十二年四月豫備金外ニ於テ豫算
至同年十一月
外支出ノ件(承諾ヲ求ムル件)
右ハ本院ニ於テ承諾ヲ與フヘキモノト議
決致候此段及報告候也
大正十三年七月十一日
自大正十二年四月豫備金外ニ
至同年十一月
於テ豫算外支出ノ件(承諾
ヲ求ム件)委員長
田中善立
衆議院議長粕谷義三殿
報告書
一大正十二年度特別會計第二豫備金支出
ノ件(承諾ヲ求ムル件)
右ハ本院ニ於テ承諾ヲ與フヘキモノト議
決致候此段及報告候也
大正十三年七月十一日
大正十二年度特別會計第
二豫備金支出ノ作(承諾
ヲ求ムル件)委員長
田中善立
衆議院議長粕谷義三殿
報告書
一自大正十二年四月特別會計豫備金外ニ於
至同年十一月
テ豫算超過及豫算外支出ノ件(承諾ヲ
求ムル件)
右ハ本院ニ於テ承諾ヲ與フヘキモノト議
決致候此段及報告候也
大正十三年七月十一日
自大正十二年四月年十一月特別會計
至同
豫備金外ニ於テ豫算超過
及豫算外支出ノ件(承諾
ヲ求ムル件)委員長
田中善立
衆議院議長粕谷義三殿
報告書
一臨時物資供給特別會計豫算外支出ノ件
(承諾ヲ求ムル件)
右ハ本院ニ於テ承諾ヲ與フヘキモノト議
決致候此段及報告候也
大正十三年七月十一日
臨時物資供給特別會計
豫算外支出ノ件(承諾
ヲ求ムル件)委員長
田中善立
衆議院議長粕谷義三殿
〔田中善立君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=44
-
045・田中善立
○田中善立君 大正十一年度第一豫備金支
出ノ件外六件ノ承諾ヲ求ムル件ノ委員會ノ
經過竝ニ結果ヲ御報生〓シシスス、此承諾ヲ
求ムル件ハ各省ニ亙シテ廣汎ナル豫備金支
出及豫算外支出ニ關シ、承諾ヲ求ムル重要
ナル案件デアリマスカラ、委員會ニ於キマ
シテハ、愼重審議三日間ニ亙シテ質問應答
ヲ重ネマシタ、其結果臨時物資供給特別會
計豫算外支出ノ件外一一一件ニ付テ、ノ警
告ヲ附シマシテ承諾ヲ與フルコトニ全會一
致ヲ以テ可決致シマシタノデアリマス、其
質問應答ノ中、最モ重要ナル點ヲ申シマス
レバ、明治二十四年以來ヤカマシイ問題ニ
ナッテ居リマスル豫備金外ニ於テ、豫算ノ超
過及豫算外支出、卽チ剩餘金支出ノ憲法上
ノ根據ニ付キマシテノ質疑應答ガアッタノ
デアリマス、小川〓太郞君ヨリ大藏大臣及
法制局長官ニ對シ、第二豫備金ノ剩餘金支
出ヲ約二億ニ垂ンタル多額ノ責任支出ヲス
ルト云フコトハ、憲法上之ヲ違反ト認メナ
イカドウデアルカト云フ、多年ノヤカマシ
イ問題デアリマスル點ニ付テ質問ヲサレタ
ノデアリマス、之ニ大藏大臣ハ憲法違反ト
ハ認メナイガ、併ナガラ爾今成ベク責任支
出ト云フコトハシナイ考デアルト云フ答ガ
アリマシタ、更ニ志賀和多利君カラ之ニ對
シ、現内閣ハ更始一新ヲ聲明シテ居ルノデ
アルカラ、斯カル誤レル慣例ハ此際改メ
テ、成ベクニアラズシテ、絕對ニ支出セヌト
云フコトニサルル意思ハナイカト云フ質
問ガアッタノデアリマスガ、之ニ大藏大臣ハ
絕對ニ責任支出ヲセヌト云フコトハ申サレ
マセヌ、卽チ非常緊急ノ場合ニハドウシテ
モ第二豫備金ダケデハ間ニ合ハヌノデアル
カラ、已ムヲ得ズ時ニ依ッテハ責任支出ヲセ
ンケレバナラヌ、如何ニ第二豫備金ヲ增サ
ントシテモ、一億以上ニ增スト云フコトハ
到底不可能デアル以上、絕對ニ責任支出ヲ
今後爲サヌト云フコトハ言ハレヌト云フ答
ヲ以テ是ハ終リマシタ、次ニ警告ヲ附スル
コトニ至リマシタ次第ハ昨年ノ大震火災
當時及其以後ニ於ケル諸官省ノ當局ノ行動
ハ世間一般ノ見ル所ヲ以テスレバ、甚ダ
怠慢デアル、中ニハ最モ勵精忠實ニ能ク働
イタ人モアリマスルケレドモ、大體ニ於テ
ハ怠慢デアッタ、其職責ヲ能ク盡シテ居ラ
ヌ、斯ウ云フコトニナッテ居ルノデアリマ
ス、勿論昨年ノ大震火災ハ前古未曾有ノ何
人モ未ダ曾テ經驗セザル災害デアリマスカ
ラ、普通ノ災害ノ場合ヲ以テ律スルコトハ
出來マセヌケレドモ、諸官省ガ地震後大分
時間ヲ經過シテ燒カレタニ拘ラズ、非常持
出シノ物ハ多クハ燒盡シテシマッタ、民間ノ
銀行、會社等ニ較プレバ餘程怠慢ノ嫌ガアソ
タト云フヤウナル點、及臨時物資供給ノ購
入拂渡等ニ付テモ、甚ダ放漫ノ點ガ少クナ
イト云フ故ヲ以テ、茲ニ一ツノ警告ヲ與フ
ルコトニナッタノデアリマス、警告文ヲ朗讀
致シマス「大正十二年九月一日ノ大震火災
ハ前古未曾有ノ災難ニシテ之カ救護竝復興
ノ事業ハ國家當面ノ急務トシテ其ノ經費ノ
支出ハ固ヨリ國民ノ吝ム所ニアラムト雖モ
其ノ支出ノ跡ヲ觀ルニ放漫ノ點尠カラス、
是當局ノ事務ニ忠實ナラサル結果ニ外ナラ
ス政府ハ宜シク綱紀ヲ振〓シ將來非常事變
ニ際會スルモ萬遺漏ナキヲ期スヘシ右警告
ス」之ヲ附シテ前申シタ如クニ全會一致可
決致シマシタ、ドウゾ御協賛アランコトヲ
希望致シマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=45
-
046・作間耕逸
○作間耕逸君 本件ハ七件トモ委員長報告
通リ、承諾ヲ與ヘラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=46
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047・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 只今ノ作間君ノ動議
ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=47
-
048・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ七件共承諾ヲ與フルコトニ決シマ
シタ-次ノ日程第八及第九ハ同一委員
ニ付託シタル議案デアリマスカラ、ニック
テ議題ニ供スルコトニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=48
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049・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 異議ナシト認メマ
ス、乃チ日程第八、非常徵發令廢止ニ關ス
ル法律案、日程第九、大正十二年條約第二
號海軍軍備制限ニ關スル條約ノ實施ニ關ス
ル法律案、右兩案ヲ議題トシ、其第一讀會
ノ續ヲ開キマス-委員長田中善立君
第八非常徵發令廢止ニ關スル法律案
(政府提出、貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一非常徵發令廢止ニ關スル法律案(政府
提出、貴族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
大正十三年七月十一日
非常徵發令廢止ニ關
スル法律案委員長
田中善立
衆議院議長粕谷義三殿
第九大正十二年條約第二號海軍軍備
制限ニ關スル條約ノ實施ニ關スル法
律案(政府提出、貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一大正十二年條約第二號海軍軍備制限ニ
關スル條約ノ實施ニ關スル法律案(政
府提出、貴族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
大正十三年七月十一日
大正十二年條約第二號海軍
軍備制限ニ關スル條約ノ實
施ニ關スル法律案委員長
田中善立
衆議院議長粕谷義三殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=49
-
050・田中善立
○田中善立君 簡單デアリマスカラ自席ヨ
リ發言ヲ求メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=50
-
051・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 許シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=51
-
052・田中善立
○田中善立君 非常徵發令廢止ニ關スル法
律案及大正十二年條約第二號海軍軍備制限
ニ關スル條約ノ實施ニ關スル法律案、此兩
案トモ審議ノ末、全會一致ヲ以テ可決致シ
マシタ、何卒御協賛アランコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=52
-
053・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 賛成演說ノ通告ガア
リマス-志賀和多利君
〔志賀和多利君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=53
-
054・志賀和多利
○志賀和多利君 諸君、私ハ日程第九海軍
ノ軍備制限ニ關スル條約ノ實施ニ關スル法
律案ニ付テ、賛成ノ意見ヲ表〓シタイノデア
リマス、問題ハ固ヨリ明ニ極マッテ居リマ
ス、卽チ昨年八月實施セラレマシタ所ノ華
盛頓條約-華盛頓ニ開カレマシタ會議ノ
結果ニ基ク海軍軍備制限ニ付テ、此條約ヲ
實施スル爲ノ法律案デアリマスガ故ニ、何
人ト雖モ異論ノナキ法律案ナノデアリマ
ス、併ナガラ此條約ニ加盟致サレマシタ所
ノ國々ヲ調ベテ見マスルト、申スマデモナ
ク亞米利加ガ主唱者デアリマシテ、英吉利、
佛蘭西、伊太利ノ四國デアリマス、此四國
ガ我國ト共ニ締結セラレタル所ノ條約デアツ
テ卽チ世界平和ノ運命ヲ左右スベキ所
ノ重大ナル條約デアリマス、然ルニ此條約
ニ基ク本法ノ如キ法律ヲ制定致シタル國柄
ヲ調ベテ見マスルト僅ニ英吉利ニ於キマ
シテ加奈陀、濠洲ト共ニ此條約ヲ創定致シ
マシタル以外ニ於テ、何國モ佛蘭西、伊太
利ハ固ヨリ、彼ノ主唱者デアリマス所ノ米
國スラモ、未ダ此條約ニ基ク所ノ法律案ハ
出テ居ラヌノデアリマス、此點ハ私ヨリ當
局ニ質問ヲ致シマシテ、明カナル答辯ヲ得
タル所デアリマスガ故ニ、萬誤リナキ所デ
アルト信ジテ居リマス、現ニ締盟各國ニ
於テ未ダ條約ニ基ク所ノ法律ヲ何等制定セ
ザルニ拘ラズ、單リ英國ト我國トノミ進ン
デ斯ノ如キ法律ヲ制定スル必要アリヤ否
ヤ、想フニ英國ノ如キニ至リマシテハ國ガ
廣イノデアリマス、造船所モ多イノデアリ
マスカラ、此法律ノ如キ規定ヲ速ニ要求ス
ルコトハ疑ナイノデアル、我國ニ於キマシ
テハ申スマデモナク國ハ狹イ、而シテ造船
所ノ數モ少ナイ、必ズシモ今俄ニ之ヲ制定
スルノ必要ヲ認メナイ、認メナイニモ拘ラ
ズ尙且ツ海軍當局竝ニ司法當局ガ、此案ニ
對シテ周到ナル注意ヲ爲サレマシタル所以
ノモノハ要スルニ海軍軍備制限條約ヲ實
施スルト云フ國際信モ我ヲ明白ニ表市スルガ
爲メノ用意デアッタト云フコトヲ確信スル
ノデアリマス、然ルニ諸君、此制限條約ノ
主唱者タル所ノ米國ハ、今中シマシタ通リ
未ダ斯ノ如キ法律ヲ制定スルコトヲ爲シテ
居ラヌ、否、爲シテ居ラザルノミナラズ甚シ
ク我ガ國人ヲ壓迫スルガ如キ不必要ナル、
否、全ク世界ニ無用デアルベキ筈ノ移民法
ノ如キ法律ヲ制定致シマシテ、我ガ國人ヲ
壓迫スルコトノ暴虐ヲ敢テシテ居ルノデア
リマス、軍備制限條約ノ如キ、世界ノ平和ニ
關スル此條約ヲ實施スルト云フ信義ヲ示ス
コトハ米國ガ建國以來正義ヲ愛シ、人道
ヲ重ンズル主義ニ於テ最モ痛烈ナル必要ア
ルコトヲ認メテ、主唱者トシテ此條約ヲ締
結セラレタルコトヲ疑ヒマセヌ、然ルニ一
方ニ於テハ世界ニ於テ最モ不用デアルベキ
所ノ移民法ノ如キヲ制定シテ、我ガ國人ヲ
凌辱スルガ如キ、所謂正義人道ニ反スル所
ノ法律ノ制定ヲ敢テシテ居ル、私ハ此點ニ
於テ米國ト云フモノハ果シテ世界ニ對シテ
建國以來ノ方針デアル正義ヲ尊ビ、人道ヲ
重ンズルノ精神今何處ニ、在リヤト斷言セザ
ルヲ得ナイノデアリマス、此見地カラ見マ
スレバ、我國ニ於テ今日斯ノ如キ法律ヲ作
ルコトハ、恰モ彼ノ暴虐ナル米國ノ御機嫌
ヲ取シテ、斯樣ナ法律ヲ作ノタカト疑ハルヽ
ヤウナ感ヲ爲スノデアル、サリナガラ諸
君、米國ノ排日立法ハ實ニ本件軍備制限條
約ガ實施致サレマシテ、海軍當局ガ此法律案
ヲ制定センコトヲ決意セラレマシタ以後ニ
於テ現レタ次第デアリマス、其點ヨリ見マ
シテ、此法律ガ我ガ日本帝國ガ國際信義ヲ
重ンズル表徵トシテ制定セラレタモノデア
ルト云フコトハ、何人モ疑フベキ筋ハ無イ
ノデアリマス、斯ノ如キ點ヨリ觀察致シマ
シテ、而シテ之ヲ彼ノ排日立法ガ亞米利加
ニ於テ實施致シマシタル七月一日ニ於テ、
此法律ガ我ガ帝國議會ニ提出セラレタト云
フ皮肉ナル對象ヲ見ルニ至リマシテハ、私
ハ此法律ハ正ニ日本帝國ガ國際信義ヲ重ン
ズル表徴トシテ世界ニ表明シテ置クベキ、
重大法律案デアルト確信致シマスルガ故
ニ、私ハ此趣意ニ於テ本案ヲ賛成スル意思
ヲ表明致スルコトヲ敢テスル所以デアリマ
ス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=54
-
055・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 此兩案ノ第二讀會ヲ
開クコトニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=55
-
056・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ第二讀會ヲ開クコトニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=56
-
057・作間耕逸
○作間耕逸君 兩案共直ニ第二讀會ヲ開キ、
第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通リ可
決確定アランコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=57
-
058・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 作間君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=58
-
059・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ第二讀會ヲ開キ、議案全部ヲ議題
ト致シマス
非常徵發令廢止ニ關スル法律案
第二語會(確定議)
大正十二年條約第二號海軍軍備制限ニ關
スル條約ノ實施ニ關スル法律案
第二讀會(確定議)
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ノ啓起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=59
-
060・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ第三讀會ヲ省略シテ、兩案共委員
長ノ報告ノ通リ可決確定致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=60
-
061・作間耕逸
○作間耕逸君 議事日程ノ順序變更ニ關ス
ル緊急動議ヲ提出致シマス、卽チ日程第十
乃至第二十九ノ議員提出法律案及建議案ハ、
一時後廻シト爲シ、此際特ニ日程第三十以
下ノ各請願特別報告ヲ一括議題ト爲シ、請
願委員長ノ報告ニ付キ審議セラレンコトヲ
望ミマス
〔「贊成」「贊成」ノ聲起リ「ノウ〓〓」ト
呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=61
-
062・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 作間君ノ動議ニ御異
議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」「異議アリ」「異
議アリ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=62
-
063・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 採決ヲ致シマス作間
君ノ動議ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=63
-
064・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 起立多數デアリマス
仍テ日程ハ變更セラレマシタ、日程第三十
一乃至第六十四ハ請願特別報告デアリマス
カラ、一括議題ト爲シ委員長ノ報告ガアリ
マス、委員長八田宗吉君-御諮リヲ致ス
事ガアリマス、日程第四十二ハ委員長ヨリ
延期ノ申出ガアリマス是ハ許可シテ差支
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=64
-
065・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ延期ニ決シマシタ
第三十(特別報告第二號)元靑島守備軍
民政部鐵道部所屬文官待遇者ニ恩給
付與ノ請願外一件(委員長報告)
第三十一(特別報告第三號)恩給法中
改正ノ請願(委員長報告)
第三十二(特別報告第四號)元屯田兵
豫備役服務期間ヲ恩給年限ニ通算ノ
請願外一件(委員長報告)
第三十三(特別報告第四號)國有地寺
院境內無償十戾ノ請願外一件
(委員長報告)
第三十四(特別報告第六號)德島縣、
兵庫縣ニ於ケル鹽賠償ニ關スル請願
外一件(委員長報告)
第三十五(特別報告第七號)萩港開
港ノ請願(委員長報告)
第三十六(特別報告第八號)農家救濟
ノ請願(委員長報告)
第三十七(特別報告第九號)萬國貨幣
法統一ノ請願(委員長報告)
第三十八(特別報告第一〇號)大山祇
神社昇格ノ請願(委員長報告)
第三十九(特別報告第一一號)點字投
票有效ノ請願外五件(委員長報告)
第四十(特別報告第一二號)天皇陛下
ノ御省像竝勅語ノ新聞雜誌掲載方及
之カ奉拜方法ニ關スル取締ノ請願
(委員長報告)
第四十一(特別報告第一三號)天皇陛
下御肖像奉揭取締ノ請願
(委員長報告)
第四十三(特別報告第一五號)鶴見川
改修費國庫補助ノ請願(委員長報告)
第四十四(特別報告第一六號)元屯田
斥候騎兵自馬手當支給ノ請願
(委員長報告)
第四十五(特別報告第一七號)陸軍簡
閱點呼參會者ト旅費手當支給ノ請願
(委員長報告)
第四十六(特別報告第一八號)滋賀縣
滋賀郡ニ陸軍廠含建設ノ請願
(委員長報告)
第四十七(特別報告第一九號)敦賀町
北津內區ニ無集配郵便局設置ノ請願
(委員長報告)
第四十八(特別報告第一〇號)新宮局
特設電話通話區域擴張ノ請願
(委員長報告)
第四十九(特別報告第二一號)香川縣
三豐郡麻村ニ郵便局設置ノ請願
(委員長報告)
第五十(特別報告第二二號)網干驛前
郵便局ニ集配事務開始竝特設電話增
設ノ請願(委員長報告)
第五十一(特別報生第二三號)神田村
ニ三等郵便局設置ノ請願(委員長報告)
第五十二(特別報告第二四號)金橋村
ニ三等郵便局設置ノ請願
(委員長報告)
第五十三(特別報告第二五號)三重縣
南北牟婁郡沿岸ニ航路標識設置ノ請
願(委員長報告)
第五十四(特別報告第二六號)北海道
千歳郡千歲村字「ママチ」ニ航空場設
置ノ請願(委員長報告)
第五十五(特別報告第二七號)減食罰
廢止ノ請願(委員長報告)
第五十六(特別報告第二八號)宗〓法
制定調査會設置ニ關スル請願外一件
(委員長報告)
第五十七(特別報告第二九號)實業補
習〓育ヲ義務制ト爲スノ請願
(委員長報告)
第五十八(特別報告第三〇號)特別保
護建造物修理費補助ノ請願
(委員長報告)
第五十九(特別報告第三一號)磯部、
小諸間(碓氷迂囘線)鐵道敷設速成ノ
請願(委員長報告)
第六十(特別報告第三二號)德佐、大井
間鐵道敷設ノ請願(委員長報告)
第六十一(特別報告第三三號)萩、小
郡間鐵道敷設ノ請願一七·長報告)
第六十二(特別報告第三四號)益田、
萩間竝正明市、瀧部間鐵道敷設ノ請
願(委員長報告)
第六十三(特別報告第三五號)柳津、野
澤間鐵道敷設ノ請願(委員長報告)
第六十四(特別報告第三六號)宇都宮、
君潑間鐵道敷設ノ請願(委員長報告)
特別報告第二號
意見書
請願文書表第一二〇號
元靑島守備軍民政部鐵道部所屬支官
待遇者ニ恩給付與ノ請願神戶市
須磨町大手上庄條十三番ノ九西田
寛三外八十二名呈出(紹介議員川
崎安之助君)
同第一八六號
同上朝鮮度尙北道慶山郡〓泉驛林
鯛之助外二十五名呈出(紹介議員
川崎安之助君)
右請願ノ要旨ハ大正三四年戰役ノ結果ト
シテ我カ帝國カ山東鐵道ヲ管理スルニ當リ
南滿洲鐵道株式會社員ヲ派遣シ其ノ管理
ニ任セシメタリ而シテ此等從事員ハ大正
三年以降九箇年間官吏ノ職務ニ服シタル
ニモ拘ラス待遇官ナルノ故ヲ以テ恩給法
ノ適用ヨリ除外セラレタリ是當時ノ恩給
法上已ムヲ得サリシトコロナラムモ其ノ
後新恩給法發布セラレ待遇官ニモ亦恩給
ヲ受クルノ特典ヲ與へタルニ依リ同一資
格ノ待遇官ナル元靑島守備軍民政部鐵道
部所屬文官待遇者ニ對シテモ恩給付與ノ
恩典ニ浴セシメラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第三號
意見書
請願文書表第二五四號
恩給法中改正ノ請願岩手縣和賀郡
二子村字澁谷二百二十八番地小原
忠三郞外四名呈出(紹介議員志賀
和多利君外一名)
右請願ノ要旨ハ現行恩ね法中別表第二號
表症狀等差第一項以下ニ對シテハ舊軍人
恩給法中ノ症項ニ相應スル更正年金額支
給セラレ居ルニ拘ラス獨リ特別項ニ於テ舊
法ノ十分ノ六以内ヲ十分ノ五以内ト遞減
改正セラレタルハ特別項該當ノ癈症者ニ
對シ極メテ不公平ナリト信ス依テ現行恩
結法中特別項ノ加給率十分ノ五以內トア
ルヲ十分ノ六以内ト改正セラレタシト謂
フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第四號
意見書
請願文書表第二四六號
元屯田兵豫備役服務期間ヲ恩給年根
ニ通算ノ請願北海道札幌郡琴似
村大字琴似村字新琴似二百九番地
農中山武雄外五十九名呈出(紹介
議員岡田伊太郞君外一名)
同第二四七號
同上北海道上川郡永山村百二番地
農松野萬壽外百四十四名呈出総
介議員淺川浩君外一名)
右請願ノ要旨ハ屯田兵豫備役ハ常備師團
ニ服務シタル豫備役トハ大ニ實情ヲ異ニ
シ殆ト其ノ現役服務ニ等シキニ拘ラス現
ニ改正セラレタル恩給法ニ於テハ現役服
務期間ノミヲ恩給年限ニ通算セラルルハ
甚タ不公平ノ措置ナリト信ス依テ北海道
屯田兵豫備役服務期間ヲ恩給年限ニ通算
セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第五號
意見書
請願文書表第一一四號
國有地寺院境內無償下戾ノ請願靜
岡縣駿東郡鷹根村鳥谷十六番地五
味密成外百八十五名呈出(紹介議
員安藤正純君外一名)
同第一一五號
同上東京市本〓區元町二丁目二十
八番地僧侶湯澤確岳外百十五名呈
出(紹介議員安藤正純君)
右請願ノ要旨ハ寺院境內地ハ其ノ寺院創
立以來數百年問所有シタル私有地ニシテ
之ヲ上地セシメサルハ明治四年太政官布
告ノ社寺上地令ニ明カナリ而シテ從來衆
議院ニ於テハ社寺境內無償還附法律案ヲ
提出可決シタルコト六回ニ及ヒ政府モ第
四十六議會ノ貴族院委員會ニ於テ速ニ調
査提案スルコトノ言明ヲ與ヘテ該法律案
ヲ保留シタルコトアリ然ルニ這般ノ大震
災ニ因リ東京市及神奈川縣下ニ於ケル數
百箇寺ハ殆ト燒失或ハ倒潰ノ慘狀ニ遭遇
シ而カモ其ノ檀信徒ノ全滅ノ爲是等各宗
派寺院ノ興廢ハ繋ツテ本問題解決ノ成否
ニアリ此ノ成否ハ延テ市民精神生活ノ將
來ニ重大ナル影響ヲ及ホスコトト信ス依
テ寺院境內ヲ當該寺院ニ無償下戾セラレ
タシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第六號
意見書
請願文書表第一四〇號
德島縣、兵庫縣ニ於ケル鹽賠償ニ關
スル請願兵庫縣赤穗郡赤穗町加
里屋千七百四十五番地製鹽業司波
尙太郞外九十九名呈出(紹介議員
土井權大君外一名)
同第一四一號
同上德島縣板野郡鳴門村高島百三
十七番屋敷製鹽業篠原彌治兵衞外
百十八名呈出(紹介議員高島兵吉
君外一名)
右請願ノ要旨ハ德島縣竝兵庫縣下ニ於ケ
ル製鹽業ハ之ヲ他縣ニ於ケル製幽業ニ比
較セハ著シク特種ノ事由ヲ有スルニ拘ラ
ス其ノ賠償價額全ク同一ナル爲甚シク不
利ナル狀況ニ在リ依テ前記德島縣竝兵庫
縣ニ於ケル製鹽業ニ對スル賠償金額ヲ第
一區以上ニセラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別朋及御送付候也
特別報告第七號
意見書
請願文書表第二七八號
萩港開港ノ請願山口縣阿武郡萩町
長北野右一外二十四名呈出(紹介
議員藤田包助君)
右請願ノ要旨ハ山口縣阿武郡萩港ハ山陰
濱田港以西山陽下之關港間ニ於ケル西日
本海唯一ノ港灣ニシテ貨物ノ輻輳、船舶
ノ出入累年其ノ數ヲ增加シ近時滿洲、南
支那地方トノ連絡頻繁ヲ加へ且海岸鐵道、
萩小郡線、德佐大井線、岩國日原線等ノ諸
線開通ノ曉ニ於テハ當港ノ發展タル期シ
テ俟ツヘキモノアリ依テ速ニ該港ヲ開港
場トセラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第八號
意見書
請願文書表第一四二號
農家救濟ノ請願奈良縣磯城郡川西
村大字結崎百十三番屋敷農片山太
郎外二百二十八名呈出(紹介議員
八木逸郎君外四名)
右請願ノ要旨ハ近時農家ノ疲弊困懲其ノ
極ニ達シツツアルハ一ニ農業生產物ノ價
格低廉ナルニ反シ農家ニ於ケル生活必需
品ノ價格甚夕高價ニシテ經濟的ニ其ノ收
支相償ハサルニ因ルモノナリ然ルニ從來
政府ニ於テモ此ノ價格均衡問題ニ關シテ
ハ何等顧ミラレス加フルニ農民ノ負擔ハ
逐次過重シ來リ此ノ儘推移スルニ於テハ
國家ノ將來ニ對シテ深憂ニ値スルモノア
リ依テ之カ根本的救濟方法トシテ外國農
產物ノ輸入關稅ノ曾額、改良農具竝肥料
輸入稅撤廢及農民ノ負擔輕減ノ途ヲ講セ
ラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第九號
意見書
請願文書第一九〇號
萬國貨幣法統一ノ請願廣島縣安
藝郡上瀨野村千六百四十三番地松
永良作呈出(紹介議員橫山金太郞
君
右請願ノ要旨ハ方今世界各國ニ於テ最急
務ナルハ蓋世界萬有ノ標準タルヘキ萬國
貨幣法ノ統一ナリトス依テ最近開カレム
トスル國際會議ニ於テ我カ國ヨリ該法ヲ
提案セラレタク玆ニ案ヲ具シテ請願スト
謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第十號
意見書
請願文書表第二八五號
大山祇神社昇格ノ請願福島縣河沼
郡野澤町長齋藤兵鬼千壬出(紹介
議員八田宗吉君)
右請願ノ要旨ハ福島縣河沼郡野澤町臺倉
山宇田歸ニ鎭座スル村社大山祇神社ハ大
山祇命、岩長比賣命、木花開邪姫命ノ三
神ヲ奉祀スルトコロニシテ當地方民ノ崇
敬厚キ神社ナリ依テ神社ノ尊嚴ヲ維持ス
ルト共ニ益地方民ノ敬虔ノ念ヲ深カラシ
ムル爲縣社ニ昇格セラレタシト謂フニ在
リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第十一號
意見書
請願文書表第一一〇號
點字投票有效ノ請願神戶市山本通
三丁目十五番屋敷大野茂市外九名
呈出(紹介議員砂田重政君)
同第一一一號
同上東京市赤坂區新町二丁目五番
地銀炙業森田蒿英外百五名呈出
紹介議員齋藤珪次郎君外二名)
同第一三九號
同上兵庫縣揖保郡網干町新在家五
百八十番地ノ二按摩業出射德助外
十三名呈出(紹介議員土井權大君)
同第一九九號
同上名古屋市東區中市場町一丁目
十九番地鍼術業河村作男外七百三
十七名呈出(紹介議員小山松壽君)
同第二〇三號
同上明石市東仲之町千八十八番地
森本常次外四名呈出(紹介議員廣
岡宇一郞君)
同第二六三號
同上姫路市驛前町百九十七番地ヨ
シマスリユウザブロ呈出(紹介議
員關俊吉君)
右請願ノ要旨ハ立憲代議政體ノ基礎ハ選
擧權ニ在リ是ヲ以テ選擧權ハ最モ之ヲ尊
重セサルヘカラサルニ拘ラス現行制度ノ
如ク國家カ一方ニ於テ納稅ノ資格ニ依リ
テ盲人ニ選擧權ヲ與ヘナカラ他方ニ於テ
其ノ國字ヲ使用シ得サルノ故ヲ以テ事實
上其ノ權利ヲ剝奪シツツアルカ如キハ誠
ニ遺憾ニ堪ヘサル所ナリ依テ純理ト實狀
トニ照シ盲人ニ限リ點字投票ノ有效ナル
コトヲ認ムル法律ヲ速ニ制定シ以テ盲人
ノ選擧權ヲ擁護尊重セラレタシト謂フニ
在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第十二號
意見書
in,請願文書表第一五六號
天皇陛下ノ御百像竝勅語ノ新聞雜
誌揭載方及之カ奉拜方法ニ關スル
取締ノ請願鳥取市西町十一番地
疊職井口千代藏呈出(紹介議員由
谷義治君)
右請願ノ要旨ハ新聞及雜誌ニ揭載セラレ
タル天皇陛下ノ御肖像竝勅語ハ之ヲ
謹拜シ叮重ニ保存スル者アルモ動モスレハ
不知不識不敬ニ亙ルカ如キ取扱ヲ爲ス者
往々アリテ憂慮ニ堪へス依テ之ヲ紙上ノ
上段又ハ附錄トシテ掲載セシメ且之ヲ切
拔キ各自ノ神欄ニ納メ未拜セシムル樣之
カ取締リヲ爲シ一般國民ノ皇室ニ對スル
敬度ノ精神ヲ徹底セシメラレタシト謂フ
ニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第十三號
意見書
請願文書第一八九號
天皇陛下御省像奉揭取締ノ請願甲
府市柳町三番地鍼術業長田保春呈
出(紹介議員三本武吉君)
右請願ノ要旨ハ近時御尊影ヲ新聞雜誌等
ニ揭載スルモノ頗ル多ク爲ニ不知不識ノ
間ニ之ヲ汚瀆シ奉リ不敬ニ涉ル虞ナシト
セス斯テハ帝國臣民トシテ誠ニ恐懼ニ堪
ヘス依テ將來新聞雜誌等ノ印刷物ニ御尊
影ノ奉掲ヲ禁セラレタク若シ奉揭スルト
セハ附錄トスルカ又ハ相當ナル方法ヲ以
テ永久保存セシムル樣取締法ヲ制定セラ
レタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第十五號
意見書
請願文書表第二五六號
鶴見川改修費國庫補助ノ請願神奈
川縣橘樹郡大綱村北綱島千二百六
十一番地農飯田助太夫外百八十一
名呈出(紹介議員小野重行君外三
名
右請願ノ要旨ハ鶴見川ハ東京、神奈川兩
府縣ヲ貫流シ水流近緩排水不良ニシテ洪
水ノ際ハ氾濫數日ニ亙ルコトアリテ農作
物ノ被害多ク下流一帶ノ地ハ横濱港ニ近ク
工業地帶トシテ極メテ有望ナリト雖屢洪
水アル爲草叢ノ荒野ト化シ多ク手ヲ觸ル
ル者ナシ之ヲ以テ神奈川縣ハ曩ニ改修ヲ
企テタリト雖地方經濟ノ微力ヲ以テハ到
底完全ナル工事ヲ施ス能ハス殊ニ地方費
ハ年ト共ニ膨張シ財政愈窮乏ヲ告ケ加フ
ルニ昨秋ノ大震災ニ因リ被リタル損害ノ
極メテ甚大ニシテ之カ復舊費ハ到底其ノ
負擔ニ堪エス依テ該川大改修工事ニ對シ
テ總工費ノ三分ノ二ヲ國庫ヨリ補助セラ
レタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第十六號
意見書
請願文書表第二四三號
元屯田斥候騎兵自馬手當支給ノ請願
北海道雨龍郡上納內市街地農村
上〓孝外七十名呈出(紹介議員淺
川浩君外一名)
右請願ノ要旨ハ第七師團元屯田歩兵大隊
附斥候騎兵ハ多數ノ一般屯田兵中ヨリ僅
僅八十有餘名ノ拔擢ヲ受ケ特別任務ニ服
シ五箇年乃至七箇年ノ現役期間中自馬ヲ
乘用シ兵農兩任ヲ完ウセルモノニシテ其ノ
間被服馬具竝飼料トシテ僅ニ一日十錢ノ
官給ヲ受ケタルニ過キス乘馬其ノ厩舍其
ノ他管理費用ノ一切ハ悉ク自辨シタリ若
シ夫レ癈馬トナリ或ハ斃死スルコトアラ
ムカ自ラ乘馬ノ補充ヲ要シ又耕作期ニハ
他ヨリ農耕馬借用ノ餘儀ナキニ至ル等是
等自辨ノ出費ヲ積算スルニ於テハ頗ル巨
額ニ上リ爲ニ財力微弱ナル移住者トシテ
ハ一家經濟ノ基礎ヲ危ウスルニ至リ現ニ
其ノ居ヲ捨テテ他ニ轉居セサルヘカラサ
ルカ如キ悲境ノ者殆ト請願者ノ全員ト謂
フモ過言ニアラス依テ斯ク異例ノ奉公ヲ
爲セル前記元屯田斥候騎兵ニ對シ相當ナ
ル自馬手當ヲ支給セラレタシト謂フニ在
リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第十七號
意見書
請願文書表第一三五號
陸軍簡閱點呼參會者ニ旅費手當支給
ノ請願福島縣信夫郡野田村大字
下野寺字六本松二番地農佐藤保吉
外二十三名呈出(紹介議員八田宗
吉君外一名)
右請願ノ要旨ハ簡閱點呼ノ召集ニ當リ被
召集者ハ經濟上ノ損耗ヲ蒙ルコト尠カラ
ス而シテ海軍ニ於テハ旣ニ參會旅費竝手
當ヲ支給シツツアルヲ以テ陸軍ニ於テモ均
シク之カ旅費手當ヲ支給セラレタシト謂
フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第十八號
意見書
請願文書表第一三六號
滋賀縣滋賀郡ニ陸車廠舍建設ノ請願
滋賀縣滋賀郡石山村長眞田武左衞
門外十三名呈出(紹介議員井上敬
之助君)
右請願ノ要旨ハ滋賀縣高島郡饗庭野ニ於
ケル第十六師團及第四師團各隊ノ演習行
軍ニ際シテハ往還每ニ滋賀郡內ノ孰レカ
ノ町村ニ宿營スルノ恆例ニシテ地方民ハ
軍隊宿營ノ命アル每ニ業ヲ休ミ專ラ軍隊
ノ給養歡待ニ努メ爲ニ地方人民ト軍隊ト
ノ相互ノ調和親睦ヲ深クスルハ君國ノ爲
大ニ意ヲ强ウスルニ足ルモノアリト雖深
ク其ノ實情ヲ察スレハ地方民ニ對シテモ
亦同情スヘキモノアリ冀クハ適當ナル地
ヲトシテ行軍含營ニ充ツヘキ完全ナル廠
舍ヲ速ニ建設シ行軍宿營ノ便ヲ圖ラレタ
シト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別朋及御送付候也
特別報告第十九號
意見書
請願文書表第一一三號
敦賀町北津内區ニ無集配郵便局設置
ノ請願福井縣敦賀郡敦賀町北津
內百八十二番地坂本榮吉外百名呈
出(紹介議員河崎〓君)
右請願ノ要旨ハ福井縣敦賀郡〓賀町北津
内ハ近來非常ニ殷盛ヲ極メ人事繁雅トナリ
敦賀町ノ東西兩端ニ既設セラレタル三島、
浪花ノ兩郵便局ノミニテハ通信事務上不
便抄カラス依テ前記北津內區ニ無集配郵
便局ヲ設置シ通信上ノ便ニ資セラレタシ
ト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第二十號
意見書
請願文書表第一一八號
新宮局特設電話通話區域擴張ノ請願
兵庫縣揖保郡新宮町商菅野六太郞
呈出(紹介議員土井權大君)
右請願ノ要旨ハ兵庫縣揖保郡新宮町所在
新宮局通話區域内ノ重要物產ハ素劑醬油
等ニシテ是等原料ノ過半ハ隣縣岡山地方
ヨリ供給ヲ仰キツツアリ然ルニ前記岡山
地方ハ中4枚秘ノ關係上通話區域ニ編人セラ
レサル爲至大ノ不便ヲ感ス依テ前記新宮
局ノ通話區域ヲ擴張シテ該地方ヲ之ニ編
入セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第二十一號
意見書
請願文書表第一九四號
香川縣三豐郡麻村ニ郵便局設置ノ請
願香川縣三豐郡麻村大字下麻千
七十七番地農藤村敏次外七十三名
呈出(紹介議員松田三德君)
右請願ノ要旨ハ香川縣三豐郡麻村、勝間
村字百山及二ノ宮村大字佐股ノ地方ハ近
時人口激增シ交通頻繁ヲ極メツツアルモ
四方孰レノ郵便局ニ至ルニモ約二里餘ノ
距離アリテ爲ニ住民ノ不便ヲ感スルコト
甚大ナリ依テ速ニ前記麻村ノ適當ナル地
ニ郵便局ヲ設置セラレタシト謂フニ在
リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第二十二號
意見書
請願文書表第二〇二號
網干驛前郵便局ニ集配事務開始竝特
設電話增設ノ請願兵庫縣揖保郡
石海村宮本二百五十五番地農川島
三二呈出(紹介議員土井權大君)
右請願ノ要旨ハ兵庫縣揖保郡旭陽村所在
網干驛ハ西播ニ於ケル唯一ノ貨物集散地ニ
シテ銀行商事會社及其ノ他ノ商賈軒ヲ竝
へ重要ナル一商業市街ヲ形成セリ然ルニ同
驛前郵便局ニハ特設電話アリト雖需用ヲ充
タスニ足ラヌ又無集配局ナルカ爲商取引ノ
敏活ヲ缺キ商機ヲ失シ不利不便甚大ナリ
依テ速ニ該局ニ集配事務ヲ開始シ且特設
電話ヲ增設セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第二十三號
意見書
請願文書表第二四四號
神田村ニ三等郵便局設置ノ請願香
川縣三豐郡神田村長岩倉國男呈出
(紹介議員松田三德君)
右請願ノ要旨ハ香川縣三豐郡神田村外隣
接二箇村ハ現ニ距離遠キ戶川、琴平及本
山ノ各郵便局ノ管轄ニ屬スル爲不便不利
頗ル大ナリ依テ二ノ宮村麻村及神田村
ヲ管轄區域トスル三等郵便局ヲ該三箇村
ノ中心地タル神田村ニ設置セラレタシト
謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第二十四號
意見書
請願文書表第二四八號
金橋村ニ三等郵便局設置ノ請願奈
良縣高市郡金橋村大字東坊城百十
二番屋敷商藤井良造外五十三名呈
出(紹介議議員八木逸郞君)
右請願ノ要旨ハ奈良縣高市郡金橋村ハ歷
史上由緒深ク且中和中樞ノ地ニシテ人口
四千餘ヲ算シ米麥醤油木綿其他ノ農產物
工產物ノ產額極メテ多ク隨テ取引亦旺盛
ヲ極ム而シテ數年前金橋停車場ノ設置セ
ラレシヨリ交通ノ便稍備レリト雖通信機
關ノ設備之ニ件ハス所管郵便局所在地夕
ル八木町ヘハ一里餘ヲ隔ツル爲住民ノ不
便尠カラス依テ前記金橋村ニ三等郵便局
ヲ施設セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第二十五號
意見書
請願文書表第一三八號
三重縣南北牟婁郡沿岸ニ航路標識設
置ノ請願三重縣北牟婁郡九鬼村
大字九木浦百四十七番屋敷公吏尾
崎七藏外百七十五名呈出(紹介議
員竹原樸一君)
右請願ノ要旨ハ紀伊國南北牟婁郡沿岸
帶ハ熊野灘ニ瀕シ常ニ波浪高ク暗礁多ク
シテ航海業者ノ難航路トスル所ニシテ遺
難船舶亦尠カラス加之近時木材ノ運搬又
ハ遠洋漁業等ノ發達ニ伴ヒテ貨物ノ集散
ハ日ヲ趁ウテ增加シ海洋ノ利用愈盛ナラ
ムトスルトキニ當リ何等航路標識ノ設備
ナキハ遺憾トスルトコロナリ依テ前記沿
岸適當ノ場所ニ燈臺ヲ設置セラレタシト
謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第二十六號
意見書
請願文書表第一九三號
北海道千歲郡千歳村字「ママチ」ニ航
空場設置ノ請願北海道千歲郡千
歳村長山田旦呈出(紹介議員岡田
伊太郞君外一名)
右請願ノ要旨ハ北海道千歲郡千歳村「マ
マチノハ東西四里南北二里ニ亙ル平坦ナ
ル平野ニシテ北方ハ石狩ノ平原ニ連リ西
方ハ石南振北ノ境界山脈ヲ望ミ南方ニ直
ニ膽振ノ低地ヲ越エテ太平洋ノ波濤ヲ見
ル絕勝ノ地ヲ占メ八方里ノ廣袤早燥セル
平野ニシテ航空場トシテ最適ノ地ナリト
信ス今ヤ航空ノ事邦家焦眉ノ急ナルニ際
シ北海道ニハ未タ一ノ航空場ナク本州ト
ノ空路ノ連絡上甚夕遺憾トスルトコロナ
リ依テ前記千歳村「ママチ」原野ニ航空場
ヲ設置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第二十七號
意見書
請願文書表第一八七號
減食罰廢止ノ請願東京市本〓區束
竹町三十二番地農中村正宏至出
(紹介議員關和知君)
右請願ノ要旨ハ減食罰ハ科刑手段トシテ
極メテ原始的ナルノミナラス直接心身ニ
及ホス影響頗ル深刻ニシテ動モスレハ怨
恨反逆ノ情ヲ增長シ延テハ社會ニ出テ害
毒ヲ流ス動因トスルノ虞アリ依テ速ニ減
食罰ヲ廢止セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ要旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及送付候也
特別報告第二十八號
意見書
諸願文書表第一一六號
宗〓法制定調査會設置ニ關スル請願
東京市本〓區元町二丁目二十八番
地僧侶湯澤龍岳外百十三名呈出
(紹介議員安藤正純君外一名)
同第一一七號
同上神奈川縣鎌倉郡小坂村山之内
渡邊謙榮外百四十名呈出(紹介議
員安藤正純君外一名)
右請願ノ要旨ハ現時諸種ノ法律制定セラ
ルルモ獨リ宗〓ニ對シテハ其ノ制定ナク
宗〓行政上宗〓家トシテ不使尠カラス依
テ該法制定ノ爲各宗〓〓體及朝野識者中
ヨリ適當ナル委員ヲ任命シ速ニ宗〓法制
定調査會ヲ設置シ來ル第五十議會ニ法律
案ヲ提出セラレタシト謂フニ在リ衆議院
ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ採擇ス
ヘキモノト議決セリ依テ議院法第六十五
條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第二十九號
意見書
請願文書表第一六七號
實業袖習〓育ヲ義務制ト爲スノ請願
和歌山縣有田郡廣村大字廣宇田嘉
市呈出(紹介議員隅田豊吉君)
右請願ノ要旨ハ實業補習〓育ハ國民ノ精
神方面ヨリ觀ルモ物質生活ノ方面ヨリ觀
ルモ極メテ重大ナル閣係アルモノニシテ
殊ニ中等學校以上ニ進學ノ不可能ナル者
ヲ救濟スル上ニ於テ最モ必要ナリト信ス
依テ實業補習〓育ヲ速ニ義務制ト爲シ以
テ健全ナル國民ノ養成ヲ策セラレタシト
謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第三十號
意見書
請願文書表第二五二號
特別保護建造物修理費補助ノ請願
弘前市銅屋四十五番地僧侶手塚知
猛外三名呈出(紹介議員工藤十三
雄君)
右請願ノ要旨ハ弘前市最勝院境內ニ在ル
五重塔ハ寛文八年ノ建立ニ係リ明治四十
一年四月古社寺保存法ニ依リ特別保護建
造物ニ指定セラレタルモノナルカ文久二
年修理セラレタル儘爾來六十餘年ノ間風
雨ニ曝サレ今ヤ處々ニ腐朽ノ箇所ヲ生シ
此ノ儘放置スルニ於テハ全ク倒壊スルニ
至ル虞アル爲同市ノ有志之ヲ憂ヘ新ニ五
重塔保存會ヲ組織シ極力修理費ノ醵出ニ
努メ漸ク其ノ額九千百五十一圓ニ上リシ
モ該塔ノ修理費ハ一萬八千五十圓ヲ要ス
ル次第ニ付此ノ不足額八千八百九十九圓
ヲ國費ヨリ補助セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第三十一號
意見書
請願文書表第一五七號
磯部、小諸間(碓氷迂回線)鐵道敷設
速成ノ請願群馬縣碓氷郡磯部村
長萩原量平外百三十三名呈出紹
介議員木檜三四郞君)
右請願ノ要旨ハ信越線磯部驛附近ヨリ分
岐シ妙義山ノ南麓ヲ經テ北廿樂郡西牧村
大字本宿ヨリ字初鳥谷ヲ通過シ長野縣北
佐久郡志賀、三井ノ二箇村及岩村田町ヲ
經テ小諸町ニ至ル所謂信越線碓氷迂囘鐵
道ハ曩ニ政府ノ實測セラレタル所ニシテ
「アブト式」ニ據ラス僅ニ四十分ノ一ノ緩
勾配ニテ國境ヲ越ユルヲ得ルノミナラス
之ヲ碓氷線ニ比較スレハ牽引力ニ制限ナ
キ爲貨物ノ輸送能力ヲ增大シ得ルノ利益
アリ且昨年大震災當時ノ實情ニ鑑ミルモ
一朝有事ノ場合ニ於テ鐵道ノ如キハ最モ
其ノ必要ヲ感セラルルモノナリ依テ該鐵
道ヲ速ニ敷設セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第三十二號
意見書
請願文書表第二七七號
德佐、大井間鐵道敷設ノ請願山口
縣阿武郡萩町長北野右一外二十四
名呈出(紹介議員藤田包助君)
右請願ノ要旨ハ山陽鐵道山口線德佐驛ヨ
リ分岐シ益田、萩線中大井村ニ達スル鐵道
ハ山口、島根兩縣境界ヨリ緩勾配ヲ以テ
阿武郡ヲ横斷シ長門ノ北海岸ニ通スルモ
ノニシテ沿線物資ノ集散上重要ナル線路
ナリ依テ速ニ是カ敷設ヲ斷行セラレタシ
ト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第三十三號
意見書
請願文書表第二七九號
萩、小郡間鐵道敷設ノ請願山口縣
阿武郡萩町長北野右一呈出(紹介
議員藤田包助君)
右請願ノ要旨ハ大正十三年度ヨリ著手セ
ラルヘキ萩、小郡間ヲ連絡スル山陰山陽
ノ縱貫鐵道ハ軍事上、交通上及地方產業
ノ開發上重要ナル線ナリ依テ帝都復興上
政費節約ノ餘波ヲ蒙ルコトナク既定計畫
ノ如ク起工セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第三十四號
意見書
請願文書表第二八〇號
益田、萩間竝正明市瀧部間鐵道敷設
ノ請願山口縣阿武郡萩町長北野
右一外二十二名呈出(紹介議員藤
田包助君)
右請願ノ要旨ハ山陽縱貫鐵道ノ一部益田
以西ハ既ニ鐵道敷設法第一期線ニ編入セ
ラレ大正十四年度竣成ノ計畫ヲ以テ進捗
セラレツツアリ開通ノ曉ハ豐富ナル利源
ハ開拓セラレ地方產業ハ振興シ國策上利
スルトコロ多シ依テ帝都復興費節約ノ影
響ヲ蒙ムルコトナク該鐵道ヲ速ニ完成セ
ラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第三十五號
意見書
請願文書表第二八六號
柳津、野澤間鐵道敷設ノ請願福島
縣河沼郡野澤町長齋藤兵鬼千外九
十一名呈出(紹介議員八田宗吉君)
右請願ノ要旨ハ地方產業ノ啓發竝交通機
關ヲ完備スル爲曩ニ第四十六議會ニ於テ
採擇セラレタル福島縣河津郡柳津村ヨリ
野澤町ニ達スル約七哩間ノ鐵道ヲ敷設セ
ラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第三十六號
意見書
請願支書表第一八八號
宇都宮、岩瀨間鐵道敷設ノ請願栃
木縣芳賀郡眞岡町長神田道堅外三
十一名呈出(紹介議員神田正雄君)
右請願ノ要旨ハ交通機關ヲ完備シ地方產
業ノ振興ヲ期セムカ爲停車場敷地ノ如キ
ハ各設置地元町村ニ於テ應分ノ寄附ヲ爲
スヘキニ據リ東北本線宇都宮驛ヨリ分岐
シ栃木縣河內郡平石村、芳賀郡〓原、大
內、眞岡、山前、物部各町村及芙城縣眞
壁郡小栗村、西茨城郡西那珂村ヲ經水戶
線岩瀨驛ニ達スル鐵道ヲ速ニ敷設セラレ
タシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
〔八田宗吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=65
-
066・八田宗吉
○八田宗吉君 請願委員會ノ經過ヲ御報告
致シマス、今日マデ請願委員會ガ受理シタ
ル件數ハ三百九十七件デアリマス內文書
表ニ載セテ御廻シ致シマシタモノガ三百八
十六件デアリマス審査ノ都合上内九件ヲ
延期致シマシタ、審査ヲ終リマシタモノガ二
百七十七件、內採擇ト決シタルモノガ二百
七十一件、政府參考送付ト決シタルモノガ
六件、審査未了ノモノガ百一一十件、斯樣デ
アリマス今日上程ニナリマシタル日程第
三十乃至四十一第四十三乃至第六十四ノ
特別報〓ノ案件ニ對シマシテハ、分科會、委
員總會ニ於キマシテ、愼重審議何レモ採擇
スベキモノト決定致シマシタ、分科會及委
員總會ニ於ケル質問應答等ノ詳細ハ之ヲ
速記錄ニ載セテアリマスカラ、報告ハ省略
致シマス、尙ホ特別報告ノ第一號金鵄動章
年金改正ノ件、是ハ今日マデニ受理シマシ
夕件數ガ殆ド大部分デアリマシテ、二百六
十九件アルノデアリマス、是ハ其目的ヲ同
ジウスル金鵄勳章年金增額ニ關スル建議案
此建議案ガ出テ居リマスカラシテ、先例ニ
依マテ日程カラ除イタノデアリマス、大要斯
ノ如キ結果デアリマス、御審議アランコト
ヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=66
-
067・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 只今委員長ノ報告ニ
係リマス日程第三十乃至第六十四、其中日
程第四十二ヲ除キマシテ此各請願ハ委員
長報告ノ通リ採擇ニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=67
-
068・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ報告ノ通リ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=68
-
069・作間耕逸
○作間耕逸君 再ビ議事日程變更ニ關スル
-今ノ發言ハ取消シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=69
-
070・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 是ヨリ日程ノ後ニ戾
リマス日程第十、衆議院議員選擧法中改
正法律案ノ第一讀會ヲ開キマス提出者ノ
趣旨掛明ヲ許シマス西岡竹次郞君
〔「提出者ガ出席シテ居ナイ」「後廻シ」
「延期」「延期」ト呼フ者アリ〕
第十衆議院議員選擧法中改正法律案
(西圖竹次郎君外一名提出)第一讀會
衆議院議員選舉法中改正法律案
衆議院議員選舉法中左ノ通改正ス
第八條帝國由民タル男子ニシテ年齡滿
二十五年以上ノ者ハ選擧權被選擧權ヲ
有ス
第九條選舉人名簿調製ノ期日迄引續キ
滿六箇月以上同一選擧區內ニ住居スル
者ニ非サレハ選擧權ヲ行フコトヲ得ス
前項ノ期間ハ行政區畫變更ノ爲中斷セ
ラルルコトナシ
第十條削除
第十二條第二項中「又ハ官立公立私立學
校ノ學生、生徒」ヲ削ル
第十三條削除
第十四條中「三箇月」ヲ「二十日」ニ改ム
第十五條中「宮內官」ノ上ニ「在職ノ」ヲ、
「判事、」ノ下ニ「朝鮮總督府判事、臺灣
總督府法院判官、國東廳法院判官、南洋
廳判事シ、「檢事、」ノ下ニ「朝鮮總督府
檢事、臺灣總督府法院儉察官、關東廳法
院檢察官、南洋廳檢事陸軍法務官、海
軍法務官」ヲ加フ
第十八條第四項中「納稅額及納稅地」ヲ削
ル
第十九條削除
第二十二條削除
第二十三條中「前二條」ヲ「第二十一條」ニ
改ム
第二十四條第一項中「第一一十二條」ヲ削ル
第二十八條總選擧ノ期日ハ勅令ヲ以テ
之ヲ定メ議員任期終了ノ二十二日以前
ニ於テ之ヲ公布シ議員任期終了ノ日若
ハ其ノ後二日間ニ於テ總選擧ヲ行フ
衆議院解散アリタルトキハ解散ノ日ヨ
リ二日以內ニ總選擧ノ期日ヲ公布シ二
十日以内ニ總選擧ヲ行フヘシ
總選擧ノ期日ハ休日トス
第二十九條ノ二議員候補者タラムトス
者ハ保證金二千圓又ハ之ニ相當スル額
面ノ公債證書ヲ添へ其ノ選擧區內ノ選
擧權者五十人以上百人以下ノ連署ヲ以
テ選擧期日前十日迄ニ選擧長ニ屆出ツ
-ン
前項ノ保證金ハ選擧終了ノ日ヨリ一週
間內ニ各選擧事務長ニ還付ス但シ候補
者ノ得票數カ第七十條但書ノ得票數ニ
達セサルトキ又ハ議員候補者選舉期日
前十日以内ニ候補者夕ルコトヲ辭シタ
ルトキハ之ヲ國庫ニ沒收ス
議員候補者ハ其ノ選擧區ノ選擧長ニ屆
出ヲ爲スニ非サレハ議員候補者タルコ
トヲ辭スルコトヲ得ス
前項ノ屆出アリタルト又ハ議員候補者
死亡シタルトキハ選擧長ハ第二十九條
ノ四ヲ適用シ第七十一條ノ手續ヲ爲ス
ヘシ
第二十九條ノ三議員候補者タラムトス
ル者ハ前條ノ屆出ト同時ニ選擧事務長
一名ヲ選定シ選舉長ニ屆出ツヘシ
第二十九條ノ四選擧ノ期日十日前迄ニ
第二十九條ノ二第一項ノ屆出ヲ爲シタ
ル者其ノ選舉區ニ於ケル議員定數ヲ超
過セサルトキハ選擧長ハ選舉ノ手續ヲ
省略シテ各候補者ヲ當選者トシ第七十
一條ノ手續ヲ爲スヘシ
第三十一條投票管理者ハ選舉ノ期日ヨ
リ少クトモ五日前ニ其ノ區内ニ於ケル
確定候補者竝投票所ヲ其ノ投票區內ニ
告所スヘシ
第三十二條第一項ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ議員候補者ノ數五名ヨリ多キトキ
ハ其ノ數ニ滿ツル迄ノ數ノ投票立會人
ヲ選任スヘシ候補者ハ選舉期日ノ五日
前迄ニ各一名宛ノ投票立會人ヲ選擧長
ニ對シ推薦スルコトヲ得此ノ場合ニ於
テハ選擧長ハ之ヲ投票立會人ニ選任ス
ヘシ
第三十五條投票用紙ニハ第三十一條ニ
依リ告示シタル候補者ノ氏名ヲ印刷シ
選擧ノ當日投票所ニ於テ之ヲ選擧人ニ
交付スヘシ
第三十六條選擧人ハ投票所ニ於テ投票
用紙ニ印刷セラレタル被選擧人一名ノ
氏名ノ上ニ自ラ×ノ記號ヲ附シテ投函
スヘシ但シ盲者ニ限リ×ノ記號ヲ用ユ
ルコトナクシテ點字投票ヲ爲スコトヲ
得此ノ場合ニハ別ニ投票用紙ヲ交付ス
-シ
第三十八條第二項ヲ削ル
第十章選擧運動
第七十九條ノ二議員候補者ハ選擧連動
ニ要スル一切ノ費用ヲ豫算シ之ヲ選擧
事務長ニ寄託スヘシ
前項ノ費用ハ市部ニ在リテハ有權者一
人ニ付二十錢郡部ニ在リテハ有權者一
人ニ付二十五錢ヲ超ユルコトヲ得ス
第七十九條ノ三選擧運動ニ要スル費用
ハ總テ選舉事務長ヲ經テ之ヲ支辨ス
第七十九條ノ四議員候補者ハ第七十九
條ノ二ノ豫算以外ニ候袖者自身ノ費用
トシテ金一千圓以内ヲ使用スルコトヲ
得
第七十九條ノ五議員候補者ノ爲ニ印刷
物ノ配布廣告ヲ爲シ集會ヲ催シ其ノ他
哉員候補者ヲ應援セムトスル者ハ豫メ
選擧事務長ノ承認ヲ受クルコトヲ要ス
之ニ要スル費用ハ第七十九條ノ二ニ規
定シタル費用中ニ包含セシムヘシ
第七十九條ノ六選舉事務長ハ選擧連動
ノ爲要シタル費用ノ明細書ヲ作リ選擧終
了後十五日以内ニ選擧長ニ提出スヘシ
第七十九條ノ七議員候補者ハ選擧期日
公布後其ノ選擧區ニ於テ選舉本部一箇
所ヲ設置スヘシ但シ必要アル場合ニハ
選擧有權者數五千人每ニ選擧事務所一
箇所ヲ設置スルコトヲ得
議員候補者選擧事務所ヲ設置シタルト
キハ二日以內ニ之ヲ所轄警察官署ニ屆
出ツヘシ
所轄警察官署前項ノ屆出ニ接ンタルト
キハ直ニ之ヲ選擧長ニ通知スヘシ
第七十九條ノ八議員候補者又ハ選擧事
務長ハ選擧本部設置ノ後ニ非サレハ選
擧事務ヲ開始スルコトヲ得ス
選擧本部ニ於テハ選擧事務長ノ外五名
選擧事務所ニ於テハ一箇所ニ付三名以
上ノ事務員ヲ使用スルコトヲ得ス
選擧本部及選擧事務所費用竝事務員ノ
給料ハ第七十九條ノ二第二項中ニ規定
シタル費用中ニ包含セシムヘシ
第七十九條ノ九議員候補者選擧事務長
及選擧事務員其ノ他何人ト雖公開ノ演
說若ハ文書ニ依ルノ外投票ヲ得ルノ目
的ヲ以テ議員ノ任期終了ノ日ノ三箇月
以前ヨリ、解散ノ場合ニ於テハ解散ノ
日ヨリ選擧人ヲ訪問シ其ノ他選擧人ヲ
勤誘スルコトヲ得ス
第七十九條ノ十議員候補者選擧事務長
及選擧事務員其ノ他何人ヨリスルヲ問
ハス選擧ニ關シ選擧人ニ對シテ配布ス
ル文書ハ二囘以上ナルコトヲ得ス但シ
名刺モ亦文書ト看做ス
前記ノ文書配布ニ要スル郵稅ハ之ヲ免
除ス
第七十九條ノ十一議員候補者選舉ニ關
スル公開ノ演說ノ爲其ノ選擧區內ノ營
造物竝官公有ノ空地ヲ使用セムトスル
トキハ管理者ハ管理上支障ナキ限リ之ヲ
拒ムコトヲ得ス但シ其ノ使用ニ必要
ナル實費ニ候補者ニ於テ之ヲ負擔スヘシ
第七十九條ノ十二議員候補者ハ選舉ノ
當日其ノ選擧區內ニ於テ休憩所其ノ他
之ニ類似ノ設備ヲ設クルコトヲ得ス
「第十章」ヲ「第十一章ニ、第十一章ヲ第十
二章」ニ改ム
第八十六條中「虛僞ノ宣言ヲ爲シタル者」
ノ下ニ「若ハ第二十九條ノ二第一項、第二
十九條ノ三、第七十九係ノ七第二項ニ違
反シタル者」ヲ加フ
第八十七條第一項第九號ノ次ニ左ノ一號
ヲタノ
十第七十九條ノ七第一項又ハ第七十
九條ノ九ニ違反シタルトキ
第百一條ノ二當選人第七十九條ノ二乃
至第七十九條ノ四、第七十九條ノ八第
七十九條ノ十、第七十九條ノ十二ニ違
反シタルトキハ其ノ選ヲ無效トス
「第十二章」ヲ「第十三章」ニ改ム
第百四條削除
第百九條削除
「第十三章」ヲ「第十四章」ト改ム
附則
本法中選擧運動者ヲ選擧事務員ニ改ム
本法ハ次ノ總選擧ヨリ之ヲ施行ス
本法施行ノ爲必要ナル手續ハ勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
本法ニ依リ初テ議員ヲ選擧スルニ必要ヲ
ル選擧人名簿ニ關シ第十八條第二十條第
二十四條第二十六條第一一十七條ニ規定ス
ル期日又ハ期間ニ依リ難キトキハ勅令ヲ
以テ別ニ其ノ期日又ハ期間ヲ定ム但シ其
ノ選擧人名薄ハ次ノ選擧人名薄確定ノ日
迄其ノ效力ヲ有ス
〔西岡竹次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=70
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071・西岡竹次郎
○西岡竹次郞君 本案ヲ說明致シマス前
ニ私ノ立場ヲ明カニシテ置キタイト思ヒ
マス私ハ只今中正倶樂部ニ屬シテ居ルノ
デアリマスガ、總選擧ノ時ニ於キマシテハ、
護憲ノ旗幟ノ下ニ、政府本黨竝ニ〓浦內閣
反對ノ下ニ私ハ戰ヲヤッタノデアリマス、故
ニ加藤現内閣ノ成立ニハ私ハ滿腔ノ喜ビ
ヲ持シテ居ル護憲ノ精神ニ反セザル以上
ハ現內閣ニ好意ヲ有スルコトヲ私ハ一言
附加ヘテ置キマス世界ノ强國ハ勿論二等
國三等國ヲ見マシテモ普通選擧ノ如キ
ハ疾クノ昔ニ解決致シマシテ、何レモ「デモ
クラシイ」ノ基調ノ下ニ新シイ政治、新文明
ノ建設ニ努力ヲ致シテ居リマス場合ニ、
世界ノ三大强國ノ一ト診ルテ居ル私共ガ、未
ダ改造ノ第一步デアル普通選擧サヘモ解決
スルコトガ出來ズシテ今日壇上デ其說明
ヲシナケレバナラヌト云フコトハ亞細亞
民族ノ盟主ヲ以テ自任シテ居ル吾々ト致シ
マシテハ恥カシイ次第デアルト思フノデ
アリマス中正會ノ中デモ總テガ普選ニ賛
成デハナク、先般此壇上カラ現內闇ニ普通
選舉ノ卽行ヲ熱心ニ迫ラレタル所ノ井上孝
哉君ノ如キハ此所デハ普選ノ卽行ヲ述べ
ラレマシタケレドモ、中正倶樂部ニ於キマ
シテハ普通選擧反對ノル〓先鋒デアルノデア
リマス、故ニ此案ニハ賛成デハナイノデア
リマス、普通選擧ノ可否、普通選擧ノ理論
ニ付キマシテハ院ノ內外ニ於キマシテ諸
先車ニ於テ十分審議シ盡サレテアッテ、加藤
若槻兩相カラモ、護憲三派ニ於テモ、眼目
ニ於テハ一致シタル成案ヲ持ッテ居ルト仰
シヤッタ如ク、又多年普通選擧ニ反對致シテ
居シタ所ノ松田源治君マデモガ政友本黨ヲ
代表シテ、此壇上カラ現內閣ニ普通選擧ヲ
卽行セヨト言ッテ〓ラレル程、普通選擧ノ問
題ハ卽チ一般ニ行渡リ、了解ガ出來テ居ル
ノデアル(拍手)故ニ私ハ普通選擧ノ可否ノ
議論ニ付テハ省略致シマシテ此本案ノ
内容ノ要點ノ說明ダケニ止メテ置キタイト
思フノデアリマス本案ノ眼目ハ滿二十五
歲以上ノ男子ニ選擧權被選擧權ヲ與ヘル
納稅資格ヲ無條件ニ敬廢スルト云フコトデ
アリマス、是ハ憲政革新兩黨ノ案ト同ジ
デアリマス納稅資格ヲ無條件ニ撤廢致
シマスレバ、ドノ位ノ有権者ノ數ニナルカ
ト申シマスルト只今ノ所ヂハ三百三十四
万三千七百十人デアリマスルガ是ガ改
正案ニ依リマスレバ一千三百四十六万
三千七百九十八人ニナルノデアリマス
世界ノ有権者ノ數ハドウ云フ風ニナッテ
居ルカ、年齡ノ方カラ申シマスレバ亞米
利加ハ男女二十一歳以上ノ者ニ與ヘ、獨逸
ハ二十歲以上ノ男女ニ與ヘテ居リマス英
吉利ハ男子二十一歲、最近マデハ女子ハ三
十歲以上ニ與ヘテ居リマシタガ、ツイ二箇
月程前ニ、勞働黨內閣ハ婦人ニモ男子同樣
二十一歲以上ノ者ニ與へテ居ッテ、今日世界
ノ何レヲ見テモ二十五歲ノ如キ制限ヲ置
イテ居ルモノハ唯、日本アルノミデアッテ、
單リ丁抹ガ男女二十五歲以上ニ與ヘテ居ル
ダケデアリマス、又有權者ノ數カラ申シマ
シテモ、百人ノ中ニ選擧權ヲ持ッテ居ル者
ハ、亞米利加デハ四十三名デアリ英國デ
ハ四十七名、獨逸デハ百名ノ中六十名デア
リマスルガ、日本ハ百名ノ中ニ僅ニ五名デア
リマス、此選擧法案ガ通過致シマシテモ、百
人ノ中ニ選擧有權者ノ數ハ僅ニ二十一名ニ
ナルニ過ギナイノデアリマス本當ノ普通
選擧ニ達シマスルニハ前途遼遠デ吾々ハ
大ニ努力ヲシナケレバナラナイノデアリマ
ス、加藤總理大臣ノ施政方針ノ演說ノ中ニ
モアリマシタヤウニ、選舉ニ非常ニ費用ガ
嵩ミサウシテ綱紀ガ頽廢シタト言ハレタ
コトハ所謂選擧界ガ腐敗シタト云フ意味
デアッタラウト思ヒマス、今日ノヤウニ選擧
費用ガ嵩ミマシテハ其結果卽チ政黨ノ墮
落トナリ、議會ノ品位ヲ墜スト云フコトニ
ナリマシテ、倫敦「タイムス」ノ束京通信員
ガ、日本ノ總選擧ニ於キマシテハ選擧費
用ガ嵩ム爲ニ、新シキ者殊ニ有爲ノ靑年ノ
蹶起スルコトハ少クシテ、日本ノ政界ハ依
然トシテ舊人物ニ依ッテ支配サレテ居ルト
云フコトヲ、選舉當時打電致シテ居ルノデ
アリマス、僅ニ日本ニ一年位居夕外人ノ眼
ニサヘモ、斯ノ通リニ映ズル程、日本ノ選擧
界ニハ莫大ナル費用ヲ要スル此結果各政
黨共ニ或ハ利權ヲ漁リ色々ノ事ヲシナケ
レバナラヌコトニナル、故ニ選擧界ヲ廓〓
シヤウトスルニハドウ致シマシテモ選擧
費用ヲ根本的ニ節約スル、根本的ニ制限ヲ
スルト云フコトデアル、本案ニ依リマスレ
バ、代議士ノ候補者ニナラウトシマスレバ
先ヅ保證金二千圓、其選舉區內ニ於ケル有
權者五十人以上百人以下ノ連署ヲ以テ、選
擧期日十日前マデニ選舉長ニ屆出デルコト
ニナッテ居リマス、而シテ其保證金ハ選擧
終了後一定ノ期間ニハ之ヲ本人ニ還スコ
トニナッテ居リマスルガ、其候補者ノ得票數
ガ法定數ニ達シナケレバ、是ハ國庫ニ沒收
スルト云フコトニナッテ居リマス、是ハ能ク
有ル所ノ彌次馬ノ候補者ヲ防グ爲デアル
此度ノ選擧ニ於キマシテモ一万ノ得票ノ
アル所ニ僅ニ百票カ二百票ヨリ取ラナイ
候補者ガアリ、甚シキハ三十票、五十票ヲ
取ッタト云フ如キ、所謂泡沫候補者ノ數ガ百
以上ニ達シテ居ルノデアリマス、斯ノ如キ
泡沫候補者ヲ防グ意味ニ於キマシテ、此制
度ヲ設ケタイノデアリマス、而シテ若シモ
途中ニシテ其立候補ヲ止メタ者ハ同ジク
其豫納金ヲ沒收スルト云フコトニナッテ居
リマス是ハ或程度マデ運動ヲ爲シテ而
シテソレヲ反對ノ候補者ニ賣付ケルガ如
キサウ云フ人々ヲ防グ爲ニ此制度ヲ設ケ
テ置キマシテ、之ト同時ニ選擧事務長ト云
フモノヲ指名シテ、選擧長ニ屆ケルコトニ
ナッテ居リマス選擧事務長ハ候補者ニ代ツ
テ總テノ選擧事務ヲ爲スコトニナッテ居リ
マツ、ソレト又選舉期日ガ餘リニ長過ギル
ノデアリマス、從來ノ十五回ノ總選擧ニ於
キマシテ、解散ノ日カラ總選擧マデ一番短
カッタ日ガ五十二日ヲ要シテ居リマス、長イ
日ガ百十日目ニ總選舉ガ行ハレテ居リマシ
テ、先般ノ選擧ハ百日目ニ行ハレテ居ッタ、
斯ノ如ク長時日ヲ要シマスレバ、精神勞力
ニ於テ非常ナル疲勞ヲ來シ、費用ニ於キマ
シテモ自然ニ嵩ムノデアリマスルガ故ニ、
期間ヲ極メテ短クスル本案ニ於キマシテ
ハ、期間ハ解散ガアッテカラ二十日目ニ選擧
ヲ行フト云フコトニ致シテ居ルノデアリマ
ス、卽チ解散ガアッタナラバ、二日以內ニ選
舉期日ヲ勅令ヲ以テ發布シテ、二十日以內
ニ總選擧ヲ行フ、又任期終了ノ場合ニモ同
樣デアルノデアリマス投票用紙モ從來ハ
選擧人自ラ記名致シテ居リマシタガ豫メ
候補者ノ名前ヲ印刷致シテ、投票用紙ニ自
分ノ投票スル候補者ノ名前ノ上ニ「エッキ
ス」ノ記號ヲ記ス、極ク簡單ニ、文字ヲ書キ得
ナイ人ニモ投票ノ出來ルヤウニ致シテ居ル
ノデアリマス更ニ十數万居リマスル所ノ
盲人ノ點字投票モ卽チ認メタノデアリマ
ス是ハ今日ハ點字ノ新聞雜誌モ發行致シ
テ居リマシテ、宮內省ノ詠歌モ點字ヲ認メ
テ居ル場合デアリマシテ、盲人ノ投票ヲ認
メルコトハ當然ナ事デアルト思フノデアリ
マス一番選擧ニ困ル事ハ御承知ノ通リ
運動員ノ數ガ非常ニ多イ、事務所ノ數ガ多
イト云フコトデアリマス、事務所ハ選擧本
部ヲ一箇所ダケ設ケルコトガ出來ルサウ
シテ必要ガアッタナラバ有權者ノ數五千人
ヲ增ス每ニ一ツノ事務所ヲ設ケルコトガ出
來ルヤウニナッテ居リマス、運動員ハ一切置
カナイ、其代リ選擧事務員ト云フモノヲ置
キマシテ、選擧本部ニハ選擧事務長ノ外ニ
五名、選擧事務所ニハ三名以下ノ事務員ヲ
置クコトニナッテ居ルノデアリマシテ、ソレ
等ノ人々ニハ給料ヲ支拂フノデアリマス
戶別訪問ハ一切之ヲ禁止致シマス、選擧ノ
運動ハ總テ言論文章ニ依ルノ外ハ出來ナ
イ候補者モ、或ハ選擧事務長モ、總テ何
人ヲ問ハズ、投票ヲ得ルノ目的ヲ以テ、戶
別訪問ヲスルコトモ禁ジテ居リマス、文書
モ二囘以上ハ之ヲ出スコトハ出來ナイコト
ニシテ居リマス、而シテ名刺モ亦文書ト認
メテ居ル其二回ノ費用ハ之ヲ免除スル
コトニナッテ居リマス、選擧ノ時ハ劇場デモ
御寺デモ非常ニ費用ヲ高ク致シマスガ小
學校或ハ公會堂、官有ノ空地公園ハ無料
デ使用スルコトガ出來ル投票當日ニハ其
選擧區內ニ於キマシテ、休憩所又ハ之ニ類
似シタモノヲ設ケテハイケナイ、所謂區
役所ノ前ニ立ッテ、候補者ヲ初メ細君マデ
モガ、米搗キバッタノヤウニスルノハ、候補
者ノ人格ヲ侮辱シタモノデアルカラ、絕對
ニ禁ズルト云フ精神デアリマス而シテ選
擧ノ費用ハ市內ニ於キマシテハ有權者一
人ニ付テ二十錢デ、郡部ハ二十五錢ト云フ
コトニ致シテアリマス友人ガ其候補者ノ
爲ニ選擧演說ヲシ、或ハ「ビラ」ヲ撒ク、ソレ
等ノ費用モ此費用ノ中ニ包含サレルノデア
リマス候補者ガ是ダケノ費用ヲ以テシマ
スレバドレダケアレバソレデハヤレルカ、
卽チ今ノ選擧法ニ於キマシテ、市部ノ有權
者數ハ四十五万九千四百八十六人デアリマ
ス、之ヲ一區割ニ致シマスレバ一區平均有
權者數ハ四千九百九十九人ニナルノデアリ
マス、ダカラ今ノ此金デ以テヤリマスレバ、
九百九十八圓八十錢アレバ選擧ガヤレルト
云フコトニナル郡部ニ於キマシテハ一一千
五百五十六圓餘リデヤレル二十五歳以上
ニ擴張致シマスレバ、ドノ位デヤレルカ、市
部ニ於キマシテハ約六千四五百圓程度デア
リ、郡部ニ於キマシテハ九千五百圓前後ノ
費用デヤレルト云フコトニナッテ居ルノデ
アリマス、是等ノ規定ニ違反スル者ハ、其當
選ヲ總テ無效トスルト云フヤウニ規定致シ
テ居ルノデアリマス、是ガ果シテ實行出來
ルモノデアルカドウカ英吉利ガ今日選擧
ノ母國ト稱サレ、世界ニ誇クテ居リマスル
ガ其英吉利ト雖モ、百年昔或ハ六七十年
前ニ於キマシテハ今日ノ日本ニ於ケルガ
如ク腐敗シテ居ッタノデアリマス、故ニ千八
百五十四年ニ腐敗防止法律案ヲ作リ、千八
百八十年ノ選擧ノ時ニ、其腐敗ニ鑑ミマシ
テ勅命選舉法調査委員會ヲ設ケマシテ、千
八百八十三年ニ腐敗防止及不正行爲防止ノ
今ノ選擧案ガ現レマシタ、ソレ以來今日ノ
英吉利ノアノ立派ナル所ノ選擧ガ行ハレル
ヤウニナッタノデアリマス、英吉利ニハソレ
デハ一ツノ選擧違反ガ無イカト申シマスル
ト、ソレハ時々アリマス、最近諸君モー
朝日新聞ニモ載シテ居タアレニ依ノテモ御
承知デアリマセウガ、英吉利ノ自由黨ノ院
内幹事デアル所ノ「グレー」ト云フ人ガ「オツ
クスフオード」選擧區ニ於キマシテ、此規定
以上ノ金ヲ使用シタト云フ理由ノ下ニ其
代議士ノ資格ヲ失ハレマシテ、七年間選擧
區ニ於テ立候補スルコトガ出來ナイト云フ
判決ガ、二箇月程前ニ裁判所ニテ判決サレ
タノデアリマス、ドノ位費用ヲ澤山使ッタカ
ト申シマスレバ「オックスフオード」ノ人口
ハ五万七千人デアル、其中有權者ノ數ガ二
万六千二百七十デアリマシテ、一人ノ費用
五片デアリマスガ、故ニ此人ガ使シテ宜イ所
ノ費用ハ五千四百七十圓デアリマシタガ、
ソレガ約六千圓程ノ費用ヲ使シタ、僅ニ四五
百圓使ヒ越シタト云フコトデアリマス是
ハ「グレー」ト云フ人ガ選ビマシタ所ノ選擧
事務長ガ、選擧ニ何等ノ經驗ヲ持ッテ居ラナ
イ所ノ僅カ二十九歳ノ靑年デアッテ、是ガ選
擧ガ終ッテカラ、金ヲ使ヒ過ギタト云フコト
ヲ發見致シマシテ、之ヲ瀰縫スル、所謂帳
尻ヲ合ハスル爲ニ、有ラユル苦心ヲ致シマ
シタ、瞞着シ了ヘタト思シテ居リマシタソ
レガ發見サレマシテ、裁判所ハ卽チ斯ウ云
フ理由ノ下ニ、其代議士ノ資格ヲ取消シタ
ノデアリマス、或ル商會ニ賴ンデ貼リマシ
夕所ノビラ代カラ(「委員會デヤリ給へ」「簡
單ニ」ト呼フ者アリ、其他發言スル者多シ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=71
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072・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 靜肅ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=72
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073・西岡竹次郎
○西岡竹次郞君(續) 諸君能ク考ヘテ見
給へ、日本ニ於キマシテハ、一度ノ選擧ニ少
クモ一万四五千圓、多クハ十万二十万ト云
フガ如キ澤山ノ費用ヲ使フノニ、僅ニ五六
百圓ノ金ヲ超過シタ爲ニ、其人ノ代議士ノ
資格ヲ無效トシテ、七年間其選擧區ニ於テ
立ツ能ハザルト云フ程ノ嚴格ナル此取締
ハドウ云フ理由ノ下ニ其判決ヲ下シタカ
ト云フコトハ私ハ聽クベキ價値ガアラウ
ト思フ、判官ハ曰ク或商會ニ託シテ貼ッ
タル所ノ其「ビラ」ヲ一一割引シタト云フコト
ハ二割引スベキモノデハナイ、又印刷所
ニ拂ッタ勘定ガ一割引ニナッテ居ルノハソ
レハ割引ヲスベキデナイ、或ハ「オツクス
フオード、クロニクル」ニ拂ッタ新間廣告代
ガ安過ギル、「グレー」ノ祕書ガ祕書ノ名前デ
有權者ニ配ッタ一万ノ葉書代ハ當然候補者ノ
費用ニ屬スベキモノデアルニ拘ラズソレ
ヲシナカッタカラ、卽チ此選擧代理人ノ不
正行爲ノ爲ニ「グレー」氏ハ其議員タル資格
ヲ失フト云フ判決デアルノデアリマス以
上ノ精神ヲ本案ノ條文ノ中ニ織リ込ンデア
ル積リデアリマス、私ハ數年ノ間議會政治
〓究/爲ニ歐羅巴ニ居リマス間ニ、幸ニ英
吉利ノ總選擧ヲ二回、愛蘭ノ總選擧ヲ一 四
見聞致シマシタ、或ハ選擧本部ニ、或ハ事
務所ニ、政黨本部ニ、投票ハ投票所ニ行)
テ見學致シタノデアリマス又過去ニ度々
友人ノ應援ヲシタコトモアリ、其經過ト私
ノ今般ノ選舉ニ於ケル體驗ヲ土臺ト致シマ
シテ此案ヲ起草致シマシタノヲ、更ニ中
正倶樂部ノ同僚諸君ノ修正、御〓究ノ結果、
此案ハ卽チ成ッタノデゴザイマス、不備ノ
點ガ若シアリマシタナラバソレハ委員會
ニ於キマシテ、ドウゾ御修正ヲ願ヒタイト
思ヒマス、選擧區制ノ問題デアリマス區
制ハ此案ニハ小選舉區制ヲ採ッテ居ルノデ
アリマス、私ノ理想ト致シマシテハ大選擧
區論者デアリマスガ、何ガ故ニ然ラバ小選
擧區ノ制度ヲ執ッタカト申シマスト、過去
ニ於キマシテ吾々ハ大選擧區ト小選擧區ノ
經驗ヲ持ノテ居ルノデアリマス、第一次カラ
第六次マデノ選擧ハ卽チ小選舉區デアッテ、
其後七囘ガ大選舉區デ、大正九年度ト今ノ
二囘ガ更ニ小選擧區デ行ハレテ居リマス
ガ、此大選擧區ト小選擧トノ利害得失ハハ)
キリト統計ニ現ハレテ居ルノデアリマス
其犯罪ノ數カラ申シマシテモ、小選擧時分
ノ平均ノ犯罪ハ運動者ノ數ガ八十八名
デ、選擧人ノ數ガ百二十八名デアルガ、大
選舉區ノ時ニハ千九百七十八人ノ運動者ノ
犯罪者、選擧人ニ於テハ三千二十三名ト云
フ多數ノ犯罪者ヲ現ハシテ居ル大選舉區
デアル時ノ利益ト小選擧デアル時ノ利益
トノ相違ヲ一二申上ゲマスナラバ大選擧
デアレバ卽チ一般的人物ヲ出スコトガ出來
ルケレドモ、小選擧區ニ於キマシテハ所
謂地方的小人物ヲ出ス、其代リ大選擧區デ
アレバ煽動的政治家ヲ出ス惧ガアルガ、
小選擧區デアッテハ地方的名望家ヲ選舉
スルト云フ弊害モ伴ッテ來ル色々ノ利益
得失ハアルデアリマスケレドモ、今ノ選擧
法ヲ改正シマスレバ、約四倍ニ有權者ノ數
ガ殖エルノデアリマス、私ハ此四倍殖エル
新シイ有權者ヲ、將來ニハ大選擧區デ宜シ
イガ、少クトモ一回二囘位小選舉區ニ於テ經
驗ヲ爲シ、然ル後ニ大選擧區デ行クノガ穩
當ノ遣方デハアルマイカト私ハ思ッテ居リ
マス、卽チ將來英吉利モ必ズ大選舉區ニナル
ニ相違ナイト思ヒマスガ現在千九百十人
年ニ普通選舉ヲ行,タガ、彼等ハ卽チ小選
擧區デ今日遣ノテ居ル點カラ見マシテモ
小選擧區デアルコトガ、選擧權擴張ニ伴,
テ、諸君ノ御賛成ヲ得ルノニ容易デアラ
ウト思シテ、私ハ小選擧區ノ制度ヲ採シテ居
ルノデアリマス、併ナガラ若シモ委員會ニ
於キマシテ、大選擧區又ハ中選舉區デ宜イ
ト云フコトデアリマシタナラバ私ハ其修
正意見ニ直グ賛成スルノデアリマス、若シ
モデス、諸君、獨リ私ハ區制バカリデハナ
イ-若シモ諸君ガ此議會ニ於テ通過セシ
メルト云フ條件ノ下デアルナラバ、昨年憲
政會革新倶樂部ガ御出シニナッタ普選案ヲ
其儘ニデモ、私ハ修正意見ニ賛成スルノデア
リマス何トナラバ其案ヲ通過セシメマシ
テモ、現行法ニ優ルコト萬々ナリト私ハ信
ジマスカラ、卽チ第一義ガイカナカッタ
場合ニハ第二義ヲ取ル、決シテ自分ノ拵エ
夕案ヲ固執スルモノデハナイト云フコトヲ
明ニ申上ゲテ置キマス(拍手)私ハ此デ眼目
ニ於キマシテハ卽チ憲政會革新倶樂部、
護憲三派ト私共ノ案ハ一致シテ居ル而シ
テ其罰則方法ニ付キマシテハ足ラナイ點
ガアッタナラバ委員會ニ於テ如何樣デモ
私ハ修正ハ出來ル區制ノ問題ハ前ニ申上
ゲマシタ通リ、是ハ〓究ノ餘地ハ無イ、大
選擧區ガ良イカ、小選舉區ガ良イカト云フ
コトハ簡單明瞭デアルノデアリマス、
カルガ故ニ是ガ審議ガ出來ナイカラト言ッ
テ或ハ期間ガ短イカラト云フ理由ノ下
ニ、今議會ニ之ヲ提案シナイト云フ理由ニ
ハナラナイト思フノデアリマス、若シモ期
間ガ短カシタナラバ、會期ヲ延長シテデモ此
普選案ヲ通過セシメナケレバナラナイ問題
デアルト私ハ思フ、特ニ憲政會ノ諸君ハ、
普通選擧法案ノ歴史ヲ考ヘテ御覽ナサイ
吾等ハ此普通選擧ノ名ノ下ニ、原內閣ノ時ニ
ハ解散ノ憂目ニマデ遭ノテ居ルノデアル、
ソレ程此普通選擧ハ重大問題デアル
〔粕谷議長議長席ヲ退キ、小泉副議長代
リ著席〕
現内閣ノ强味ト云フモノハ、決シテ護憲三
派ノ協調ガ强イト云フコトヨリ、或ハ人物
ヲ揃ヘテヰラッシヤルト云フ點ヨリモ私
ハ今マデノ内閣ニ比較致シマシテ、卽チ比
較善ニ於テ民衆ノ上ニ基礎ヲ置イテ居ルト
云フコトガ、現内閣ノ强味デアラウト思フ
デアリマス(拍手)ソレハ過グル總選擧ノ時
ニ、〓浦內閣ノ表面ニ於ケル-裏面ニ於
ケル壓迫ガアッタニモ拘ラズ、民衆ハ設憲
三派ヲ表ニ押上ゲタト云フ所以ノモノハ
是レ卽チ民衆ノ自覺デアリマスルガ、單二二
三百萬ノ有權者ノミナラズ、其背後ニ居ル
所謂選擧權ヲ持タザル多數ノ民衆ガ、有權
者ヲシテ護憲ノ勝利ニ歸セシメタル所以デ
アルト思ヒマス、此氏衆ガ設憲派ノ應〓ヲ
致シタ所以ト云フモノハ諸君ノ手ニ依ノ
テ選擧權ヲ擴張シテ貰ヒタイ、卽チ普通選
擧ニ諸君ガ努力シテ吳レルデアラウト云フ
コトヲ信ジテ、民衆ガ諸君ヲ援設致シタノ
デアル、諸君、吾々民衆ハ是マテ度々政府
ヤ議會ニ瞞サレテ來テ居ルノデアル此上
諸君マデモガ吾等民衆ヲ瞞サウトスルノデ
アルカ、私ハ卽チ此議會ニ於テ普通選擧法
案ヲ通過致シ、而シテ來ル十一月カ或ハ十
月ノ終リニ、此議會ヲ解散致シテ、新シイ
選擧法ノ下ニ民意ヲ問ハナケレバナラヌ、
僅カ二百万人ヲ代表〓シテ居リマス吾々ハ新
シイ有權石千三百万ノ有權者ニ吾々ノ信任
ヲ問フベキ態度ニ出ルノガ、立憲政治家ノ
執ルヘキ半途デアラウト信ズルノデアリマ
ス(發言者多シ)諸君ハ此重大ナル所ノ普迪
選擧法案ヲ、斯ノ如キ所ノ不眞面目ナル所
ノ態度ヲ持シテ居ルノデアリマス、諸君、
考ヘテ御覽ナサイ、サウ云フ態度ヲ致シ
テ居ルナラバ、國民ハ今諸君-議會ハ吾
々國民ノ議會ニアラズ、是ハ一部特権階級
ノ代辯者ノ集會所デアルト云フ呪ノ聲ヲ揚ゲ
ルト信ズルノデアリマス(拍手)「賣名」(發言者
多シ)一タビ-諸君ガ一タビ議會ノ門ヲ出
デ、見ヨ、アノ日比谷公園ニ於テサヘモ(「賣
名」「默レ」ト呼フ者アリ)五千三百人ト云フ
多數ノ者ハ今日住フニ家無クシテ、豚小
屋ノヤウナ所ニ住ノテ居ルノデアル澤山
ノ失業者ガ今日出デツヽアル、多クノ者ハ
食ハントスルニ食無ク、住ハントスルニ其
家無キ狀態ニ置カレテアルガ、併ナガラ此
壇上ニ於テ是等ニ關スル所ノ生活問題、社
會問題ヲ、何人ノ口ニ依シテ叫バレタノデ
アリマスカ諸君〓(發言スル者アリ)
諸君、私ハ-諸君、此眞面目ナル問題ニ
對シテ左樣ナル所ノ態度ヲ御執リニナル
以上ハ私ハ是レ以上言ハナイ、-併ナ
ガラ此問題ハ眞面目ナル所ノ普通選擧ノ問
題デアリマスルガ故ニ、諸君ハ愼重審議サ
レラ此法案ヲ此議會ニ通過セシメ、而シ
テ此議會ヲ解散致シ、十一月ニハ總選舉ヲ
擧行サレルヤウニ私ハ望ミ、私ノ說明演說
ヲ終リマス、餘ハ委員會ニ於テ說明致シマ
ス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=73
-
074・作間耕逸
○作間耕逸君 本案ハ議長指名十八名ノ特
別委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス
〔「貧成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=74
-
075・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 作間君ノ動議ニ
御異識アリマセンカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=75
-
076・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 御異議ナシト認
メマス其迪リ決シマス-日程第十一
議院法中改正法律案ノ第一讀會ヲ開キマス
提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-提出者武
藤山治君
第十一議院法中改正法律案(武藤山
治君提出)第一讀會
議院法中改正法律案
議院法中左ノ通改正ス
第十九條第三項ヲ左ノ如ク改ム
第二十五條ノ場合ニ於テハ第一項歳費
ノ外議院ノ定ムル所ニ依リ一日二十圓
以上三十圓以下ノ手當ヲ受ク
第二十五條各議院ハ議會閉會ノ間立法
事項又ハ三瓶亭意 〓 〓 〓 〓Encyclopedia
トヲ得之ニ關スル細則ハ各議院ニ於テ
之ヲ定ム
〔武藤山治君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=76
-
077・武藤山治
○武藤山治君 諸君、私ハ玆ニ提出〓シマ
シタ議院法中改正法律案ノ理由ヲ說明致シ
マス、近時我國ニ於キマシテハ能率ヲ曾
進スルノ必要ナルコトハ一般ニ唱ヘラレマ
シテ、近クハ我ガ政界ニ於テモ、能率增進
ノコトガ問題トナノテ居リマシテ、先頃大藏
大臣ノ御演說中ニモ行政整理ハ啻ニ費用
ヲ減スノミナラズ、能率ヲ增進スルコトヲ
シナケレバ、效果ガ無イト云フヤウナ御言
葉ガアッタヤウナ次第デアリマス、然ルニ我
國ノ政界ニ於キマシテ、最モ能率ノ惡イ私
ハ政治機關ハ何デアルカト問ハレタナラバ
遺憾ナガラ我ガ帝國議會ト答ヘザルヲ得ナ
イノデアリマス、諸君我ガ帝國議會ハ
(發言者多ク議場騒然)諸君(「下レ下レ」「靜
粛ニスベシ」其他發言者多ク議場騷然)諸君
(議場騒然)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=77
-
078・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 靜肅ニ願ヒマス
(發言者多ク議場騷然)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=78
-
079・武藤山治
○武勝山治石(續) 議長、整理ヲ願ヒマス
(「議長」「議長」ト呼ヒ議場騒然)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=79
-
080・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 靜肅ニ願ヒマス
-只今武藤君ノ御發言中何カ議長ニハ
聞エナイノデアリマスルケレドモ諸君ニ
ハ不穩當ナル言語ガアタ夕如クノ場內ノ光
景デアリマス、其故ニ武藤君ニ只今注意ヲ
致シマシタ、武藤君ハ答テ曰ク、自分ノ發
言中ニ不穏ノ言葉アリト致シマスレバ能
ク調ベタ後ニ於テ取消スト云フコトヲ言ハ
レテ居リマス、此故ニ此儘暫ク議事ヲ繼續もゑ
致シマシテ、速記錄ニ依シテ議長ハ相當ノ處
分ヲスル積リデアリマス(拍手起リ發言ス
ル者多ク議場騒然)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=80
-
081・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 靜〓ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=81
-
082・武藤山治
○武藤山治君(續) 諸君、若シ私ガ申上ゲ
マシタコトノ上ニ、若シ不穏ノコトガ、或
ハ諸君ニ對シテ不敬ノ言葉ガアリマシタナ
ラバ私ハ-(議場騒然)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=82
-
083・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 靜甫ニ願ヒマス
(發言者多ク議場騒然)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=83
-
084・武藤山治
○武藤山治君(續) 諸君-若シ-(議
場騒然)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=84
-
085・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=85
-
086・作間耕逸
○作間耕逸君 議事進行ニ付テ發言ガアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=86
-
087・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 只今發言中デア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=87
-
088・作間耕逸
○作間耕逸君 議事進行ニ付テー発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=88
-
089・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 只今發言中デア
リマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=89
-
090・武藤山治
○武藤山治君(續) 諸君-発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=90
-
091・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=91
-
092・武藤山治
○武藤山治君(續) 若シ私ガ諸君ニ
(議場騒然)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=92
-
093・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 只今作間君ヨリ
-只今作間君ヨリ議事進行ニ關スル發言
ノ通告ガアッタノデアリマスケレドモ、只今
武藤君ノ發言中デアルノデアリマス、但シ
(拍手起ル)但シ-但シ-但シ懲罰ノ動
議ナラバ許スノデアリマス、其他ノ發議ハ
許シマセヌ(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=93
-
094・三木武吉
○三木武吉君 議長-議長(議場騒然)議
長-發言ヲ求メマス(「議長」「議長」ト呼
フ者アリ)武藤君ノ發言ニ付テ-(議場騷
然)武藤君ノ發言ニ付テ、議事進行ニ關スル
發言ガアリマスー-武藤君ノ發言ニ對シテ
(議場騒然聽取スル能ハス)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=94
-
095・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=95
-
096・武藤山治
○武藤山治君(續) 諸君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=96
-
097・三木武吉
○三木武吉君 議長発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=97
-
098・作間耕逸
○作間耕逸君 休憩ノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=98
-
099・武藤山治
○武藤山治君(續) 諸君-我帝國議會ハ
(拍手起リ議場騒然)明治:発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=99
-
100・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 武藤君ノ發言ニ
(議場騒然聽取スル能ハス)ノ發言ガア
ルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=100
-
101・武藤山治
○武藤山治君(續) 諸君(議場騒然)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=101
-
102・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郎君) 暫時休憩致シマ
ス
午後四時十一分休憩
午後五時八分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=102
-
103・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 体憩前ニ引續キ
會議ヲ開キマス、樋口秀雄君ヨリ成規ノ贊
成ヲ得テ、議員武藤山治君ヲ懲罰委員ニ付
スルノ動議ガ提出サレマシタ、右動議ヲ議
題ニ供シマス、提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマ
ス-樋口秀雄君
〔「休憩中ヂヤナイカ、ソンナコトガ議
長ニ分ラヌノカ、演說繼續中デハナイ
カ」ト呼フ者アリ〕
〔樋口秀雄君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=103
-
104・樋口秀雄
○樋口秀雄君 諸君、私ハ只今甚ダ遺憾ナ
ル懲罰ノ動議ヲ提出セザルヲ得ザルニ至リ
マシタコトヲ遺憾ニ存ジマス、私ノ懲罰事
犯ノ動議ヲ提出致シマシタ理由、先刻ノ武
藤山治君ノ法律案御說明中ニ於ケル言葉ニ
於キマシテ、獨リ我ガ衆議院ノミナラズ帝
國議會全部ヲ誹毀スルノ言葉ガアリマス、
之ニ付キマシテ議長カラハ後刻速記ヲ調
ベタ上デ、若シ武藤君ニシテ不穩當ノ言葉
デアレバ取消ス如キ御考デアルト御傳へ
ガアリマシタガ、速記錄ヲ見マシタ所、遺
憾ナガラ是ハ決シテ失言ヲ以テ處理致スベ
キコトデナイ(ノウノヽ)重大ナ事柄ノヤウ
ニ見エルノデアリマス、(拍手「ノウ〓〓」)
私ガ速記錄ヲ讀上ゲマスカラ、此武藤君ノ
御發言ヲ暫ク御聽キヲ願ヒタイ武藤君ノ
御演說中ニ「然ルニ我國ノ政界ニ於キマシ
テ最モ能率ノ惡イノハ私ハ政治機關ハ何
デアルカト問ハレタナラバ遺憾ナガラ我ガ
帝國議會ト答ヘザルヲ得ナイノデアリマ
ス」ト言ハレテ居リマス、此武藤君ノ御言葉
ハ決シテ此壇上ニ於ケル一時ノ發言ニア
ラズシテ、同君ガ日頃政界ノ革新ヲ叫バレ
マスル同君ノ平生ノ御議論ニ出デマシタ言
葉デ、假令其一部ヲ御取消ニナリマシテモ、
此上下兩院ヲ侮辱シタル所ノ同君ノ意思ハ
決シテ消滅致スベキモノデナイト存ジマス
(拍手)是ニ於テ武藤君ノ所謂產業界ニ於ケ
ル立場、御人物等ニ對シ、私個人ハ敬意ヲ
表シテ居リマスルガ此帝國議會ヲ作辱シ
タル同君ノ御言葉ニ對シテハ遺憾ナガラ
懲罰事犯ニ該當〓スベキモノト信ジマス、
仍テ玆ニ動議ヲ提出シタノデアリマス
〔拍手「横暴」「横暴」ト呼フ者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=104
-
105・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 採決致シマス(發
言ヲ求ムル者多シ)採決ハ取消シマスー
此場合武藤君辯明ノ必要アリト云フコトデ
アリマスカラ、武藤君ノ發言ヲ許可致シマ
ス
〔武藤山治君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=105
-
106・武藤山治
○武藤山治君 諸君私ハ只今憲政會ノ樋
口氏ヨリ私ニ對シ御提出ニナリマシタ懲罰
ノ動議ニ對シ、玆ニ辯明申上ゲマス、諸君、
私ハ只今樋口氏ノ仰シヤッタ通リ、速記錄ニ
明カデアル通リ、我國ニ於キマシテ最モ
能率ノ惡イモノハ遺憾ナガラ我ガ帝國議會
デアルト云フコトヲ申シタノニ相違アリマ
セヌ(拍手「ソレガ惡イ」ト呼フ者アリ)併
ナガラ私ガ此動議ニ對シテ辯明ヲ申上ゲタ
イノハ是ヨリ私ハ此議會ノ能率ノ惡イ所
ノ理由ヲ述ベタイト考ヘテ居ッタノデアリ
マス、恰モ繪カキガ繪ヲ描ク時ニ、総
描イタト同ジコトデアリマス然ルニ全體
ノ繪ヲ見ズシテ一線一畫ヲ下シタ其筆ノ跡
ニ就テ批評ヲ下サレルコトハ私ハ不當デ
アルト思フノデアリマス(拍手「ノウ〓〓」
ト呼フ者アリ)諸君、私ハ帝國議會ノ能率ノ
惡イト云フコトハ我ガ憲法及議院法ノ結
果ニ因ルモノデアッテ(「憲法ヲ非議スルノ
カ」「尙ホ惡イ」ト呼フ者アリ)此議院法ノ修
正ニ依ッテ帝國議會ノ能率ヲ發揮センガ爲
ニ此改正案ヲ提出シタノデアリマス故
ニ私ハ此議會ガ能率ノ惡イト云フコトヲ申
シタノハ帝國議會ニ於ケル議員諸君ヲ非
難シタノデナクシテ(ノウー〓)此議院法ノ
改正案ヲ提出スル理由ノ一端トシテ特ニ述
ベントスル其初メニ當,テ、諸君ガ之ニ對シ
テ懲罰ノ動議ヲ提出セラレルノハ恰モ繪
カキノ一線一畫ヲ描イタノニ對シテ、之ヲ
非難セラルヽト同一デアルト云フコトヲ辯
明致シマス
〔田淵豊吉君「議長々々」ト呼フ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=106
-
107・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 是ヨリ採決ヲ致
シマス松田源治君外二十名ヨリ記名投票
ニ依リ決セラレタシトノ要求デアリマス、
仍テ是ヨリ記名投票ヲ行ヒマス-武藤山
治君ヲ懲罰委員ニ付スルノ動議ニ賛成ノ諸
君ハ白票、反對ノ諸君ハ靑票--閉鎖-
氏名點呼ヲ命ジマス
〔原田書記官氏名ヲ點呼ス〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=107
-
108・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郎君) 投票漏ハアリマ
セヌカ-投票漏ハナイト認メマス-投
票兩閉鎖-開匣-開鎖
〔書記官投票ノ數ヲ計算ス〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=108
-
109・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 投票ノ結果ヲ書
記官長ヨリ報告セシメマス(拍手起ル)
〔中村書記官長朗讀〕
投票總數三百十七
可トスル者白票百九十六
否トスル者青票百二十一発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=109
-
110・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 武藤山治君ヲ懲
罰委員ニス付ルコトニ決シマシタ
〔拍手起リ「議長横暴」ト呼フ者アリ、田
淵豊吉君「議長々々」ト連呼ス〕
〔參照〕
樋口君提出ノ動議ヲ可トスル議員ノ氏名
左ノ如シ
井本常作君石川安次郞君
石塚三郞君石黑大次郞君
早速整爾君服部英明君
原脩次郞君西英太郞君
由美君戶澤民十郞君
太太后信榜署名大島要三君
岡本實太郞君
岡部次郞君奧村千藏君
Harpung川崎克君
リングスランチーズ加藤政之助君
加藤鯛一若加藤六藏君
加藤十四郞君金澤安之助君
神谷彌平君神田正雄君
神部爲藏君横山勝太郞君
横山金太郞君吉川吉郞兵衞君
吉原義雄君吉田磯吉君
賴母木桂吉君武內佐平君
武富濟君田中萬逸君
田中武雄君田中善立君
高田耘平君谷口宇右衛門君
谷口源十郞君建部遯吾君
俵孫一君永田善三郞君
中原德太郞君中谷貞賴君
中野寅吉君中野實君
村上國吉君村上紋四郞君
村山喜一郞君生方大吉君
內ケ崎作三郞君野村嘉六君
黑田重兵衞君工藤鐵男君
八並武治君山宮藤吉君
山枡儀重君山道襄一君
山田助作君山田道兄君
山本勝次君山本厚三君
松井郡治君松本忠雄君
町田忠治君古屋慶隆君
降旗元太郞君藤澤幾之輔君
藤井敬慎君山島證作君
小寺謙吉君小小松壽君
小西和君小池仁郞君
木檜三四郞君河野正義君
河野味噌?近藤重三郞君
紺野九右衞門君寺島權藏君
手代木隆吉君淺賀長兵衞君
阿由葉勝作君荒井建三君
荒川五郞君安達謙藏君
蟻川五郞作君作間耕逸君
作業實君齋藤隆夫君
斎藤仁太郞君齋藤金吾君
澤田利吉君由谷義治君
三木武吉君三橋四郞次君
三好榮次郞君箕浦勝人君
〓水留三郞君信太儀右衛門君
監田團平君重松重治君
廣瀨德藏君平野光雄君
樋口秀雄君比佐昌平君
森田茂君關矢孫一君
關和知君關俊吉君
杉浦武雄君鈴木富士彌君
菅村太磯部尙君
岩崎郎動事動君君君謹吾君
石井三入井有きつとり
生田和平君田宗吉君
秦豐助君西方利馬君
傍士定治君長田桃藏君
岡崎邦輔君若尾幾太郞君
渡邊伍君渡邊祐策君
加藤知正君兼松寅太郎君
河上哲太君吉津度君
吉田眞策君竹原松元
竹內友治郞君田邊七つも
田中定吉君高井商二君
高橋熊次郞君中島守利君
中村書籍者に內田信也君
お前らせ郞君野田卯太郞君
來栖熊谷巖君
熊谷(原宿黑住成章君
山本悌二郞君山口義一君
山口恒太郞君山内範造君
山下谷次君松本眞平君
松山大沼所左衛門藤田胸太郞君
藤田包助君木暮正一君
靑木精一君青柳郁次郞君
赤間嘉之吉君東武君
榊原經武君佐々木文一君
佐々木春作君佐々木長治君
坂梨哲君木戶豐吉君
木村政次郞君宮本逸三君
二三七〓之君三土忠造君
志賀和多利君池C.居哲君
瀬沼伊兵衞君鈴木隆君
菅原傳君板野友造君
井上利八君馬場義興君
西村丹治郞君土井權大君
土居通憲君大口ゴルボール
草美代藏君後高島兵吉君
田崎信藏君植原悅二郞君
山本芳治君松本君平君
齋藤興三郞君〓瀨一郞君
湯淺凡平君砂田重政君
樋口君提出ノ動議ヲ否トスル議員ノ氏名
左ノ如シ
井坂3豐光君池田龜治君
池田泰親君岩切重雄君
書苗代君)鳩山一郞君
転
原田十衞君濱口吉兵衞君
濱田精藏君星廉平君
富田愿之助君床次竹二郞君
東〓實君陣軍吉君
沼田嘉一郞君折原巳一郞君
小島善作君大園榮三郞君
川原茂輔君加藤久米四郞君
加藤鐐五郞君神村吉郞君
米原於兎男君吉植庄一郎君
高橋光威君高木第四郞君
高見之通君丹下茂十郞君
田中隆三君湛增庸一君
津谷崎原公君筒井民次郞君
尙武君中村四郞兵衞君
中村啓次郞君中村嘉壽君
中林友信君中山貞雄君
長峰與一君永井作次君
浦野謙朗君則元由庸君
倉元要一君熊谷五右衞門君
藏園三四郞君栗林五州君
八木逸郞君前田兼實君
牧山耕藏君牧野良三君
松田源治君麓純義君
小泉辰之助君小橋一太君
寺田市正君安保庸三君
靑山櫻内幸雄君
榊田〓兵衛書店佐藤重遠君
木下謙大郞君吉良元夫君
岸本賀昌君宜保成晴君
三輪市太郞君志波安一郞君
〓水市太郞君〓水長〓君
廣岡宇一郞君森肇君
元田肇君井上孝哉君
今里準太郞君石坂豊一君
坂東幸太郞君本田義成君
堀田義次專業服務者岡田忠彥君
岡田小川〓太郞君
ライブル若宮貞夫君
若尾高鳥順作君
高木堤〓六君
長岡小林·明書·明書·明書の永田新之允君
武藤嘉門君浦山助太郞君
畔田明君山口政二君
山本愼平君增田義一君
松山兼三郞君小屋光雄君
小玉右二君秋田寅之介君
我〓的人之睨群雄佐藤潤象君
racious杉宜陳君
二木泊君鷲野米太郞君
河崎助太郞君前野芳造君
小林彌七君古林喜代太君
猪野毛利榮君川口義久君
高木益太郎君田淵豐吉君
太宰孫九君堤康次郞君
中野猪之助君町野武馬君
福田五郞君深井功君
正純君有馬賴寧君
菊池謙二郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=110
-
111・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 議事ノ進行ニ關
スル發言ノ要求ガアリマス、倉元要一君
〔田淵豊吉君「議事ノ進行ニ付テ屢、發
言ヲ求メテ居ルノニ何故許サヌカ」ト
呼フ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=111
-
112・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞右) モット先ニ發言
ノ通告ガアリマス
〔田淵豐吉君「此問題ニ付テノ議事ノ進
行デアル」ト呼フ〕
〔倉元要一君登壇、拍子起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=112
-
113・倉元要一
○倉元要一君 諸君、私ハ議事ノ進行ニ付
テ此壇上ニ登ッタ譯デアリマス、先刻此議場
ノ混亂ノ狀態ニ付テハ吾々憤慨ニ堪ヘナイ
(拍手、「誰ガシタ」ト呼フ者アリ)先刻ノ混
亂ノ狀態ノ原因ヲ見テ居リマスト云フト、
憲政會ノ與ハ黨ノ諸君ガ(「ノウ〓〓」「本黨
ダ」ト呼フ者アリ)頻ニ武藤山治君ノ發言ニ
付テ妨害ヲ與ヘタ、此妨害ニ對シテ議長ハ
一言モ注意ヲ爲サラナイ、甚ダ偏頗デアル
將來斯ノ如ク議場ヲ混亂ニ陷ラシメテ議
事ノ進行ヲ妨害スルガ如キコトハ憲政上
許スベカラザルモノデアル、憲政會ノ諸君
ハ「護憲」ノ二字ノ手前如何デアリマスカ、
斯ノ如キコトヲ以テ天下ニ顏向ケガ出來マ
スカ(「生意氣ナコトヲ言フナ」ト呼フ者アリ)
生意氣デハナイ、此議政府デ最モ尊重スベ
キモノハ言論ダ、其妨害ノ結果議長ノ制止
ナキ爲ニ言論ノ抑壓ノ結果ヲ見タコトハ
甚ダ遺憾デアル將來議長ハ此點ニ付テ十
分御注意アランコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=113
-
114・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郎君) 御谷致シマス
休憩以前ノ議場ノ紛擾ヲ招キマシタルコト
ハ、御同樣洵ニ遺憾ニ感ズルノデアリマス、
議場ノ靜〓ヲ保チマスルコトハ、諸君ノ責任
ニ在ルノデアリマス(「ノウ〓〓」)議長ノ執
リマシタル處置ハ極メテ公平デアリマシ
テ、一黨一派ニハ偏シテ居ラヌト云フコト
ヲ言明致シマス(拍手)此場合重ネテ申シマ
ス、田淵君ヨリ發言ノ要求ガアリマシタケレ
ドモ、其場合ハ許シマセヌ、凡ソ發言ハ通告
ノ順序ニ依ッテ許スノガ相當デアリマス、只今
ノ發言ガ濟ミマシタカラ此場合ニ許シマス
〔田淵豊吉君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=114
-
115・田淵豐吉
○田淵豊吉君 簡單ニヤリマス、私少シ遲
レマシテ十分ニ議場ノ光景ヲ知ラナカッタ
ケレドモ大分騒イデ居ッタ中へ私來マシ
テ、私一寸不思議ニ思フノハ先例ガ有ル
トカ無イトカ云フコトデアリマスガ、人
ガ-或ル議員ガ此所ニ居ッテ演說ヲシテ
居ルトキニハ其終リマデ聽イタ方ガ總テ
ノ事情ガ分ルト思フ、審問ニ對スル場合デ
モ其前後ノ關係ガ能ク分ルト思フサウシ
テ演說ヲ中斷スルト云フコトハ最モ惡イ
弊害ノ一ツデアルト私ハ確ク信スル(拍手)
サウシテ今此所デ武藤君ガ演說ナサッタト
キニ發言スル者ガ多カタ、作間君モ發言シ
タガ議長カラ叱ラレテ引込ンダ、ソレデ又
ブツ〓〓言フ者ガアッタカラ、議長カラ發言
ヲ禁止スルト云フヤウナ意味ノコトヲ言ハ
レタ、所ガ三木君ガ向フニ立テ約六分カ
七分モ長イコト喋ノテ居ラレタ、然ルニ議長
ハ何ガ故ニ靜〓ヲ命ジテ、退場ヲ命ゼラレ
ナカッタカ、若シ聞エナカッタナラバ、何故
モット大キク言フト云フコトヲシナカ夕
カ、何等ノ處置ヲシナイデ經過シタト云フ
コトハ分ラヌ事デアル、聞ク所ニ依ルト三
木君ノハ懲罰ノ動議デアリマスレバ、議
長ガ聞クトカ聽カヌトカ言ウタトカ云フ話
デアル其點ヲ若シ懲罰ノ動議デアルナラ
バ後カラシタラ宜カラウヂヤナイカト云
フコトヲ言ウタトカニロハヌトカ云フコトヲ
聽イテ居ル、サウ云フ御話ガアルナラバ、後
カラ懲罰ヲサレテモ--三木君ガガア〓〓
言フ時ニ何故三木君ヲ退場セシメナイノデ
アルカ、是ハ分ラヌ事デアル、サウシテ置
イテ武藤君ノ演說ヲ終ラシタナラバ、武
藤君ノ言フ所モハッキリ分ル、諸君ガ熱シナ
イデ冷靜ニ聽イタナラバ物事ガ分ッタト思
フ、然ルニ中途デ人ノ演說ヲ妨害スル議
員ノ發言ヲ阻碍シテブツ〓〓諸君ガ言ハレ
ルコトハ、如何ニモ議會ノ神聖ノ爲ニ私ハ
惜ムノデアル諸君、故ニ私ハ武藤君ガ議
事ノ進行デ發言ヲシテ居ル際ニ、議長ガ休
憩ヲ宣シテ議長ガ逃ゲタト云フコトハ或
ル意味カラスルト八百長ヂヤナイカト云フ
コトヲ疑フノデアル、故ニ此所デ若シ休憩
ガ止マッタナラバ、武藤君ガ來テ演說ヲ續ケ
ラレルノガ道デアルト思フ(拍手)ソレガ道
デアル、然ルニモ拘ラズ懲罰ノ動議ヲシテ
堂々廻リヲシテ、中ヘ合ノ手ヲ入レテヤル
ト云フコトハ最モ宜クナイ、斯ウ云フ點ハ
慣例デアルナラバ諸君ガ打破シテ、此惡イ憤
例ヲ言論ノ神聖ノ爲ニ取除クベキデアル
日本帝國ノ唯一ノ神聖ナル言論ノ自由ノ府
ニ於テ、其必要ナ事ヲ言ウタ時ニ、諸君ガ
之ヲ懲罰ニ附シタリ、其人間ニ言フコトヲ
言ハサナイナドト云フコトハ諸君ハ、議員
ノ職責ヲ忘レタ所ノ人デアルト言ハレテモ
誰カ反對スルカ斯ウ云フコトデハ諸君ハ
國民ノ敵デアルト言ハレナモ仕方ガアルマ
イ、斯ノ如キ事ヲシナイデ、國家ノ爲ニ奮
鬪セラルヽナラバ此議會ハ段々能率ガ上
テ來ルト思フ、昨日モ約二時間半ニ亙ンテ
與黨三派ニ屬スル諸君ノ內訌ノ爲ニ、此神
聖ナル議場ヲ-議事ノ進行ヲ不能ナラシ
メタト云フコトハ、諸君ノ大ナル責任デアル、
諸君ハ議事ヲ顧ミナイデ控室デ、大喧嘩ヲ
オツ始メテ居ルサウ云フヤウナ事ヲシテ
置イテ我身ノ上ヲ顧ミナイデ、唯〓人ノ言
葉尻ヲ捉ヘテ懲罰動議ヲ出シタリ、而モ適
當ナル行爲デアル演說最中ニ遮シタリ、議長
ガ故意ニ議事ヲ止メテ向フヘ逃ゲテ行シタ
リスルト云フヤウナコトハ、以後御愼ミア
ランコトヲ望ムノデアル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=115
-
116・小泉又次郎
○議長(小泉又次郞君) 御答辯致シマス、
休憩以前ニ三木君カラ發言ヲ求メラレマシ
タ、懲罰事犯以外ニハ發言ヲ許サヌト云フ
コトヲ宣告致シタノデアリマス、休憩前ニ
引續イテ武藤君ノ發言ヲ繼續セシメマス、
武藤君ニ登壇ヲ命ジマス
〔武藤山治君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=116
-
117・武藤山治
○武藤山治君 是ヨリ私ノ提出致シマシタ
議院法中改正法律案ニ對スル說明ヲ繼續致
シマス、我ガ帝國議會ハ明治二十三年ニハ
一箇年ノ歳入ガ特別會計ト一般會計ヲ合セ
テ一億五千万圓ニ滿タズ、當時一國ノ輸出
入ノ貿易額ヲ合セテモ尙ホ二億圓ニ達シ
ナイ、其當時ヨリ今日一國ノ歲計ガ十倍ノ多
キニ達シ、今日ノ輸出入ノ貿易額ガ十數倍
ニ達スル今日ニ至ルマデ、我ガ帝國議會ハ
會期ヲ三箇月ト定メラレテ居ルノデアリマ
ス、併ナガラ、是レ我ガ憲法ノ命ズル所ニ
シテ、政府ヨリ緊急必要已ムヲ得ザル理由
ニ依ッテ延會ノ勅命ヲ請フ場合ノ外ハ、議會
自ラハ何等此會期ヲ延長スル權能ヲ有シテ
居ラヌノデアリマス、故ニ此我ガ帝國議會
ノ能率ノ不十分ナル點ヲ補ハントスレバ
私ハ議院ヲ改正スル外途ハナイト思フノデ
アリマシテ玆ニ議院法中改正法律案ヲ提
出シタ次第デアリマス、私ノ提出致シマシ
タ議院法中改正案ハ二箇條ニ亙リマスケレ
ドモ、其一ツハソレニ附帶シタル事項ニ止
マルモノデアリマシテ、其主タルモクハ議
院法中ノ第二十五條ニ關スルモノデアリマ
ス、議院法ノ第二十五條ハ「各議院ハ政府
ノ要求ニ依リ又ハ其ノ同意ヲ經テ議會開會
ノ間委員ヲシテ議案ノ審査ヲ繼續セシムル
コトヲ得」トアルノデアリマス(「閉會ノ間
ダラウ」ト呼フ者アリ)「議會閉會ノ間デア
リマス是ハ間違ヒマシタ-諸君、此議
院法ノ二十五條ニ依リマスルト云フト、議會
ハ繼續委員ヲ設クルコトガ出來マスルケレ
ドモ、玆ニ二ツノ條件ガアルノデアリマス、
其一ツハ政府ノ要求ニ依リ、又ハ其同意ヲ
得ナケレバナラナイノデアリマス、又一ツハ
玆ニ議案ガ無ケネバ續委員ヲ設ケルコト
ハ出來ナイノデアリマス然ルニ遺憾ナガ
ラ政府ナルモノハ議會ノ能率ノ最モ惡イ
コトヲ望ンデ居ルノデアリマシテ、政府ノ
側カラ申セバ議會ガ餘リ多クノ能率ヲ發
揮セスコトヲ望ムモノト私ハ思フノデアリ
マス(發言スル者多シ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=117
-
118・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 靜肅ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=118
-
119・武藤山治
○武藤山治君(續) 故ニ私ハ玆ニ之ニ對シ
テ改正案ヲ提出スル者デアリマス、私ノ提
スル第二十五條ノ改正案ハ「各議院ハ議會
閉會ノ間立法事項又ハ議院ノ職務權限ニ關
スル事項ヲ審査セシムル爲繼續委員ヲ設ク
ルコトヲ得、之ニ關スル細則ハ各議院ニ於
テ之ヲ定ム」是ガ卽チ我ガ議院法ノ第二十
五條ノ政府ノ要求、若クハ同意ヲ得ナクテ
モ又玆ニ一ツノ議案ガ無クテモ議會閉
會中ニ此繼續委員ヲ常置シテ、サウシテ百
般ノ事項ヲ審査セシメントスル爲ニ此改正
案ヲ提出スル所以デアリマス、諸君、議會
ノ仕事ナルモノハ私ノ見ル所デハ單ニ法律
ヲ制定スルトカ、或ハ政府ヨリ提出スル豫
算ニ對シ協賛ヲ與フルノミガ、私ハ議會ノ
仕事デハナイト思フノデアリマス、議會ノ
仕事ナルモノハ議會ガ制定シタル法律ナ
ルモノガ如何ニ行ハレ、議會ノ協賛ヲ與ヘ
タル所ノ豫算ナルモノガ如何ニ執行サレテ
居ルカト云フ、其成績ヲ常ニ究メルト云フ
コトガ此議會ノ職務ノ中ノ一ツデアルト思
フノデアリマス殊ニ我國ノ如ク政府ガ種
々ナル仕事ヲ爲スヤウナ國ニ於テハ政府
ノ爲ス所ノ此營業ノ狀態ニ就テモ、議會夕
ルモノハ常ニ之ニ對シテ調査〓究シ、之ヲ
究ムル必要ガアルノデアリマス是レ卽チ
私ガ玆ニ議案ガ無クトモ政府ガ要求又ハ同
意シナクテモ、議會自ラ其職務ヲ盡サンガ
爲ニ、此議院法ノ二十五條ヲ改正シテ常置
委員ヲ設ケテ、議會閉會中ト雖モ、種々ノ
問題ニ付テ調査研究ニ當ラシメントスル所
以デアリマス諸君、今日我國ノ議會ナル
モノハ之ヲ世界ノ憲法ノ上ニ比較シテ見
マシテ、英米ニ此點ニ於テ劣ルハ勿論デア
リマスルケレドモ、更ニ獨逸ナドノ新ニ制
定シタル所ノ憲法ノ上カラ見マシテモ我
ガ帝國議會ハ方ニ私ハ一ノ改正ヲ行フ必要
ヲ認メザルヲ得ナイノデアル、獨逸ノ新憲
法ノ第三十五條ノ第二項ニ依リマスルト云
フト「前項ノ委員ノ外議會ハ其閉會中及任
期滿了後ニ於テ政府ニ對スル議會ノ權利ヲ
保護スル爲ニ常任委員ヲ置ク」トシテアリ
マス、又普魯西ノ新憲法ノ第一一十六條ニモ
「議會ハ其閉會中又ハ其任期滿了ノ時若ク
ハ議會解散ノ時ヨリ新議會開會ノ時ニ至ル
マデノ間、内閣ニ對スル議會ノ權利ヲ防護
スル爲ニ常任委員ヲ設ク、其組織ハ議事規
則ヲ以テ之ヲ定ム」ト修正シテ居ルノデア
リマス、斯ノ如ク世界何レノ國ニ於テモ、
議會ナルモノハ我國ノ帝國議會ノ如ク一箇
年三百六十五日ノ中九十日間働イテ、殘リ
ノ二百七十五日間ハ休止シテ居ルト云フヤ
ウナ國ハ何處ノ國ニモ無イノデアル若
シ是ガ明治二十三年ノ如キ一國ノ歲計ガ一
般會計ト特別會計ヲ合セテモ、尙ホ一億五千
万ニ滿タズ、當時ノ貿易額ガ輸出人ヲ合セ
テモ尙ホ二億圓ニ滿タナイ時代デアッタラ、
私ハ一箇年ノ間四分ノ一議會ガ開會サレテ
モ尙ホ職務ヲ盡シ得タト思フノデアリマス
然ルニ今日ノ如ク一國ノ歲計ガ膨大シ、
國ノ經濟界ガ非常ニ大キクナッテ居ルト云
フ今日ノ世ノ中ニ於テ、國民ヲ代表スル議
會ガ僅ニ一箇年ノ間ニ四分ノ一開會シテ、
閉會中何等其職務ヲ盡ス繼續委員ヲ常置シ
テ置カナイト云フコトハ、私ハ我ガ帝國議會
ニ於ケル能率ノ發揮ヲ妨グル所ノ大ナル缺
陷デアルト信ズル者デアリマス(ノウ〓〓)
諸君、玆ニ一例ヲ擧ゲテ申シマスレバ若
シ我ガ帝國議會ニ於テ繼續委員ガ常置サレ
テ居リマシタナラバ、今日問題ニナッテ居
リマスル普通選擧ノ問題ノ如キモ、宜シク
之ヲ繼續委員ニ託シテ十分ニ調査セシメ
テ、次ノ通常議會ニ提出サレ得ルモノデア
リマシテ濫ニ此提案ヲ政府ノミニ委任シ
テ、議員タル者ガ安心シテ居ルベキモノデ
ナイト私ハ思フノデアリマス然ルニ我ガ
帝國議會ニ於テハ斯ノ如キ設備ガ無イ爲
ニ我國ハ全ク此來ル通常議會マデ此大
切ナル議會ト云フ機關ガ運轉休止トナルノデ
アリマス、故ニ私ハ普通選擧ノ如キ問題ニ對
シマシテモ、私ハ諸君ト此繼續委員ノ常置ノ
必要ヲ認メルノデアリマス更ニ諸君ガ今
日唱ヘラレル所ノ貴族院制度ノ改正ナドニ
對シマシテモ、私ハ諸君ガ近ク建議案ヲ提
出セラレルコトヽ承知シテ居リマスガ、此
議會ガ貴族院制度改正ノ建議案ヲ決議シタ
ノミデ諸君ガソレヲ政府ニ放任スルト云
フコトハ私ハ諸君ガ議會トシテノ職務ヲ
盡サレヌモノト思フノデアリマス、若シ我
ガ貴族院ノ制度ニシテ改正スベキ理由ガア
リマスレバサウシテ貴族院ニ於テモ、此
衆議院ニ於テモ、常置委員ヲ設置サレテア
リマスナラ、相互ニ審議シテ協調シテソ
コニ改善ヲ見出シ得ルト思フノデアリマ
ス、濫ニ反感シテ其間ニ爭ヲ企テタ所デ、
何等益スル事ノナイト云フコトヲ信ズ
ル者デアリマス、併ナガラ我國ノ如ク今
日議會ナル機關ガ、一箇年ノ間ニ四分ノ
一ダケ働イテ、アトハ運轉ガ出來ナイト
云フ狀態ニ於キマシテハ斯ノ如キ事モ
思フニ委セナイノデアリマス若シ茲ニ常
置委員ガ設ケラレテアリマシタナラバ諸
君ガ貴族院制度改正ニ對スル建議案ヲ御提
出ニナシタ後ニ、其繼續委員ニ托シ、貴族
院ニ於ケル所ノ繼續委員ト合議シテ、圓滑
ニ其目的ヲ達シ得ラレルモノデナイカト私
ハ思フノデアリマス、更ニ諸君、今日私共
ハ此議會ニ於テ多クノ諸君ヨリ、我國ガ今
日經濟上ノ一大國難ニ陷ッテ居ルト云フコ
トヲ伺ッタノデアリマス、然ルニ諸君、此
經濟上一大國難ノ時ニ於テ國民ヲ代表ス
ル議會ナル機關ガ一箇年ノ僅カ四分ノ一ダ
ヶ運轉シテアト四分ノ三ダケ連轉ヲ休止
スルヤウナ狀態ニ於テ、諸君ハ果シテ我ガ
帝國議會ガ能率ヲ十分ニ發揮シテ居ルモノ
デアルト、斯ウ信ジラレルカドウカ伺ヒ
タイノデアリマス、諸君、若シ是ガ英國ノ
議會デアリマシタナラバ金解禁ノ如キ財
政經濟ニ關スル大問題ハ少クモ此議會ニ於
テ之ガ討議ノ爲ニハ數時間ヲ費スト思フノ
デアリマス、然ルニ諸君ハ此重大ナル問題
ニ對シテモ、僅ニ二十分カ三十分ノ時間シ
カ御與ヘニナラヌト云フコトハ會期ノ少
イ爲デ寔ニ此國ノ經濟ニ對シテ深切ナル
モノト思フコトガ出來ヌノデアリマス、若
シ諸君ガ今日我國ノ國民經濟ノ行詰ッタ原
因ハ我國ガ世界ニ於ケル最高物價國トナン
タカラデアルト一ムフコトヲ御考ニナッテ
而シテ其原因ハ藏相ガ明言サレタ通リ、我
ガ國費ガ重イ爲メデアルト云フコトデアリ
マスレバ、私ハ宜シク此繼續委員ヲ常置シ
テ置イテ、其繼續委員ガ政府ト協力シテ、
我ガ國民ノ方ニ困シテ居ル所ノ此經濟國難
ヲ轉換スル爲ニ、議會ハ宜シク協力スベキ
義務ガアルト私ハ思フノデアリマス、故ニ
私ハ此意味ニ於キマシテ、議院法第二十五
條ノ修正案ヲ提出シタ次第デアリマス而
シテ之ニ附帶スル所ノ第十九條ノ第三項ニ
於キマスル繼續委員ノ手當一日五圓ト云フ
コトヲ、一日二十圓以上三十圓ト斯ウ改メ
マシタノハ此一日五圓ト云フコトハ明治
二十三年ノ其當時ノ議院法ニ於テ定メラレ
タル所ノ金額デアリマシテ而シテ議員ノ
歳費ノ手當ハ慥カ二回カ三回修正サレテ居
ルヤウデアリマス、然ルニ議員諸君ガ議員
ノ歲費ヲ二三回御修正ナスッテ此繼續委
員ノ手當ヲ御忘レニナッタト云フコトハ
賢明ナル議員諸君ノ千慮ノ一失デアルト思
フノデアリマスデ私ハ玆ニ此改正案ヲ提
出シテ、サウシテ賢明ナル諸君ノ十分ナ
ル冷靜ナル御判斷ニ訴へルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=119
-
120・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 本案ニ付テ質疑
ノ通告ガアリマス、此場合之ヲ許可致シマ
ス板野友造君-時間ヲ延長致シマス
〔板野友造君登壇、拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=120
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121・板野友造
○板野友造君 實ハ議院法ノ改正ト致シマ
スレバ私共多少根本的ニ改正スベキ所ノ
意見ヲ持ノテ居ル本案ノ如キハ極メテ其一
少部分ニ涉ルモノデアリマスガ案トシテ
ハ小サナモノデアル、唯、本案ト憲法ノ問題
ニ至リテハ重大ナ關係ガアル、武藤君ハ英
國ノ憲法、米國ノ憲法、殊ニ英獨ノ憲法ニ
至ッテハ條文ヲ舉ゲテ玆ニ御談議ニナッタノ
デアル私ガ武藤君ニ聽カントスルノハ英
國憲法及獨逸憲法ト本案トノ關係デハアリ
マセヌ、日本憲法卜本案ノ關係デアル我
ガ憲法ノ規定ニ依レバ兩院ノ權限、貴族院
及衆議院ノ權限ハ政府ガ提出シタル議案
政府ノ提出スル法律案ヲ議決シ、豫算ノ事
ハ勿論デアリマスガ、法律案ダケニ付テ言
ヘバ政府ノ提出シタル法律案ヲ審議スル權
能ガアルガ、法律案ヲ提出スルマデニ兩院
へ提出スル爲メノ準備行爲ヲ議院デ爲スコ
トハ認メテ居ナイノデアル本案ノ理由書
ヲ見ルト閉會ノ期間ヲ利用シテ、各般ノ
法律案ヲ改正スルノ必要ガ有ルカ無イカ、或
ル立法ヲスルノ必要ガ有ルカ無イカト云フ
ヤウナコトニ付ヲ調査ヲシ、立法事項ニ付
テノ調査ヲスル、ソレカラ其外ニ付テモ議
院ノ職務權限ニ關スル-議院ノ職務權限
ニ屬スルト云フ意味デアラウト思ヒマス
ガ職務權限ニ屬スル事項ニ付テ、政府ニ
建議スルコトガ有ルカ無イカ是モ審査ヲ
スル、ソレカラ政府ニ建議質問ヲスルモノナ
キヤ否ヤヲ調查スル、何カ質問ヲスル事ガ
有ルカ無イカト云フコトモ調査スル斯ウ
云フヤウナコトデアッテ議會ニ對シテ兩
院ニ對シテ或ル法律ヲ提出スルカ否カ、或
ハ建議ヲスルカ否カ、質問ヲスルカ否カ斯
ウ云スヤウナ謂ハヾ準備行爲ヲ議院トシテ
シヤウト云フノデアル議院ニ繼續委員會
ヲ置イテ是等ノ準備行爲ヲシヤウト云フノ
デアルガ、旣ニ言ヘル如ク我ガ帝國憲法ガ
認メタル、日本ノ憲法ガ認メタル議院ノ職
權ナルモノハ政府ノ提出シタル-既ニ
提出シタル議案若クハ議員ノ提出シタル議
案提出サレナケレバ駄目ダ提出サレテ
カラ始メテ此方ノ働ガ出來ルノデアッテ、ソ
レ以前ノ行爲ニ付テハ何モ權能ガ無イ、質
問ノ趣旨カ能ク御分リニナルヤウニト思ノ
テ繰返シテ置ク、然ルニ本案ハ斯ノ如キ意
味ヲ以テ成サレテ居ルノデアリマス日本
憲法ト本案トハ牴觸スルヤ否ヤ、卽チ本案
ハ我ガ憲法ノ違反デアルト確信致シマスガ
(拍手)此點ニ對スル提出者ノ明晰ニシテ十
分ナル御説明ヲ求メマス(拍手)ソレカラモ
ウ一ツ或ル法律ヲ議會ニ出スノ必要ガ有ル
カ無イカソレカラ法律ヲ改メル必要ガ有
ルカ無イカ色々ノ施設ニ付テ議會ノ協賛
ヲ經ルモノアルヤ否ヤト云フコトヲ調査ス
ルト云フ本案ノ目的ニ含マレル事項ノ如キ
ハ行政府ノ當ニ爲スベキ仕事デアル、政
府ノ當然シナケレバナラヌ仕事デアル其
政府ノ當然爲スベキモノヲ立法府ガヤルト
云フコトハ立法ト行政ヲ混淆スルモノデ
アッテ、是亦憲法ノ精神ニ違反スルモノデア
ル(拍手)此點ニ關シテ提案者ノ說明ヲ求メ
マスソレカラ今マデハ實ハ憲法論法律論
デ少シ何デスガ今度ハ一ツ實際-武藤
君ノ常ニ重キヲ置カレル實際問題カラ言ヒ
マセウ、法律論ヲ拔キマシテ實際論カラ申
シマスト武藤君ハ常ニ行政整理ノ必要ア
ルコトヲ述ベラレル方デアッテ、此點ニ對シ
テハ吾々ハ全然同感デアル、然ルニ本件ノ如
キ法律案ガ通ッテ、斯ノ如ク繼續委員ヲ置ク
ト云フ法律ガ出來タトシタナラバ結果ヲ
ドウ御考ニナリマスカ實際ハ蓋シ、若シ此
法律ガ出來タナラバ繼續委員ト云フモノガ
幾ツモ幾ツモ出來ルコトニナル、金輪出解禁ニ
熱心ナル論者ハ、金輸出解禁ノ委員會ヲ開
クト云フデアラウ、紡績業ニ熱心ナル人ハ、
紡績業ニ關スル委員會ノ開クト云フデアラウ
(拍手)文政ニ關スル委員會ヲ開ク、法律制
度取調委員會ヲ開カウト云フノデ、我國從
來ノ例カラ見マシテモ、若シ此法律ガ通過
スルナラバ幾十ノ委員會ガ出來ルト云フ
コトヲ断言致シテ置キマス、從末ノ例ヲ御
覽ナサイ、旣ニ色々ノ調査會ヲ設ケテ政
府ニ於テ色々ヤッテ居リマスガ、議會ニ於テ
出來ルト云フコトニナレバ、恐ロシイ事ニ
ナッテ來ル、行政整理ヲ高唱シ政費節減ヲ
高唱サレル武藤君ト雖モ甚ダ此點ニ於テ
矛盾ガアルト思フ武藤君ハ常ニ揚言シテ、
我國ノ政費カ驚クベキ擴大ヲシテ居ル宜
シク此政費ノ中カラ三億圓ヲ減ジテ民衆
ヲ救ハナケレバナラヌト云フ武藤君ノ議論
ガ是デアル、三億圓ノ政費節減論ヲ持シテ居
ル武藤君ガ、コンナモノヲ澤山拵ヘルト云
フコトヲ仰セニナルコトハ實際論トシテ
甚ダ私ハ宜シクナイト思フ、法律論ヲ別ト
致シマシテモ、實際ニ於テ結果ニ重キヲ置
ク方カラ、武藤君ハ此點ニ對シテ如何ナル
御所見ガアリマスカ、之ヲ承リタイ最後ニ
武藤君ハ頻ニ能率ノ事ヲ仰セニナル〓
武藤君ノ仰セニナッタ此帝國議會云々ト云
フ意見ハ申上ゲマセヌガ、議會ニ於テ議事
ノ進行ヲ多少滑カナラシムル能ハザルモノ
ガアリ、若クハ進行ニ多少妨害ガアルモノ
トシマスルナラバ或ハ近時確信ナキ提案
ガドン〓〓出ルコトハ議事ノ進行ヲ効ゲ
ルト思フ、昨日ドナタカノ提案ニ係ル法律
案ノ御說明ヲ聽クト政府ノ參考ノ爲ニ此
法律案ヲ出シタト提案者ガ說明シテ居ル
法律案ヲ提出スル宜シク確信ヲ以テヤル
入ハ、此法律案ヲ通過シテ、此法律ニ依シテ
支配ヲシヤウト云フ確信ヲ持テ御出デナサ
イ政府參考ノ爲ニ議員ガ議案ヲ提出スル
トハ何タル卑怯デアル斯ノ如キモノガ議
事ノ進行ヲ妨ゲル、或ハ能率ノ增進ヲ妨ゲ
ルコトノ一ノ原因ヲ爲シマス(拍手)失禮ナ
ガラ-失禮ナガラ殆ド日本ノ憲法英
米獨ハ知リマセヌ、日本ノ憲法ヲ餘リ御覧
ニナラヌデ提出サレタル如キ觀ガアル(拍
手)本件ノ如キモノハ、又議事ノ進行ヲ多少
妨ゲル虞ガアラウト考ヘマス、ノミナラズ
甚ダ失禮デスガ、私等ハドウモ斯ウ云フ確
信ノナイ案デハナイカト思ヒマスコンナ
モノガ澤山出ルカラ、是ガ進行ヲ妨ゲ、能
率ノ增進ニ害ガアルモノト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=121
-
122・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 武藤君、御答辯
ガアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=122
-
123・武藤山治
○武藤山治君 答辯シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=123
-
124・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞若) 武藤君
〔武藤山治君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=124
-
125・武藤山治
○武藤山治君 只今板野君ノ御質問ハ憲
法第三十八條ニ牴觸シヤセヌカト云フ御質
問デアッタヤウデアリマス、是ハ少シモ牴觸
シナイト考ヘマス、次ニ常設委員ガ幾ラモ
出來ヤセヌカト云フコトヲ仰セラレタヤウ
デアリマス、併シンレハ意見ノ相違デアリ
マス(「理由ヲ言へ」ト呼フ者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=125
-
126・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 御靜ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=126
-
127・武藤山治
○武藤山治君(續 )詰リ私ノ解釋ニ依リマ
スレ憲法ハ議院ガ繼續委員ヲ設ケテ
立法事項ヲ審査スルト云フコトガ、毫モ差
支ナイト云フコトヲ信ズルモノデアリマ
ス而シテ次ノ御質問ハ常置委員ヲ澤山
拵ヘタナラバ今日ノ經費ガ反對ニ增シハ
セヌカト云フ御尋デアノタト思ヒマス松
提案ハ常置委員ヲ澤山拵エヤウト云フ意味
デナクシテ、一箇ノ常置委員ヲ、或ハ二十
名ナリ三十名ナリ、或ハ四十名ナリ任命シ
テ置カウト云フノデアリマス、具詳細ハ此議
會ノ議事規則ヲ以テ細目ヲ以テ定メヨト云
フコトガ書イテアルノデアリマス、此點ニ付
キマシテ私カ板野氏ニ御答ヲシタイノハ
板野氏ハ〓加續委員ガ出來レバ濫リニ經費
ノ增加ヲ來スト御考ニナッテ店ルヤウデア
リマスケレドモソレハ一ニ繼續委員ニ任
命サレル人ニ依ルノデアリマシテ、트繼續委
員ヲ設ケテ此政府ノ財政行政ノ整理緊縮ニ
協力ヲ與ヘルト云フコトモ出來ルノデアル
ト信ズルノデアリマス、故ニ此點ニ於キマシ
テハ板野氏ノ誤解デアルト思フノデアリ
マス他ニ何カアリマシタカ板野サン発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=127
-
128・板野友造
○板野友造君 此席カラ發言ノ御許シヲ願
ヒマスル(「登壇々々」ト呼フ者アリ)
〔板野友造君登壇、拍手〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=128
-
129・板野友造
○板野友造君 私ハ再ビ問返スコトヲ甚ダ
遺憾トシマスガ今ノハ失禮ナガラ答辯ニ
ナッテ居リマセヌ、私ハ是ガ憲法違反ニナ
ラヌカ、私ハ之ヲ何故ナルカト云フト先
キ質問シタ通リ議會トシテハ政府ガ既ニ
提案シタル法律案、若クハ議員が提出シタ
ル法律案、ソレヲ議決スルノダ所ガ此案
ハサウデナクシテ提案ヲスルマデニ色々
立法事項ガ有ルカ無イカ或ハ改正スル事
ガ有ルカ無イカ或ハ建議スル質問スル
事が有ルカ無イカ斯ウ云フヤウナ準備ヲ
シヤウト云フノデアルカラ左樣ナ事ハ憲
法ガ許シテ居ラヌ憲法ハ既ニ適法ニ提出
サレタ-旣ニ政府若クハ議員カラ適法ニ
提出サレタ議案ニ對シテ決議權フ認メル其
提出以前ノ行爲衆議院トシテ若シクハ貴
族院トシテ院トシテ爲スト云フコト小説
メテ居ナイノデアル勿論吾々衆議院議員
若シクハ貴族院議員タル個人ノ各議員ガ
色々ノ調査ヲスルト云フコトハソレハ當
然デアル議= )會閉會中デアッテモ、吾々ハ四
六時中調査ヲ怠ルベカラザルモノデアル
ソレハ衆議院議員武藤山治或ハ板野友造ト
シテヤルノデアル衆議院若シクハ貴族院
トシテ法律ヲ出ス準備行爲ヲスルナドト云
フコトハ我ガ憲法ハ認メテ居ナイ、我ガ
憲法ノ認メル所ハ旣ニ適法ニ提出サレタ
法律案卽チ提出後ノモノデアル然ルニ
其以前ノ事マデヲ議院トシテ、衆議院トシ
テ貴族院トシテヤルト云フコトハ我ガ
憲法ハ認メザル所デアルト思フノデアリマ
スガアナタハドウ思フカ斯ウ云フコトデ
アル、ソレカラ若シ此案ガ通過シタ時ノ結
果ノ事ニ付テ御考へヲ願ヒタイ、衆議院ニ
現在アル所ノ懸案ヲ御覽ナサイ迚モ此案
ガ通ッタ日ニハ、二ツヤ三ツヤ四ツノ繼續委六
員ヲ置イテ滿足出來ルモノデナイ、殊ニ色
色說ヲ持ノテ居ル、サウスルト蓋シ惟フニ幾
ツカノ委員ガ出來ルコトニナル結果ニ於
テ洵ニ是ハ行政整理ノ趣旨ニ反スル事ニナ
ル此點ニ付フドウゾ明確ノ御各辯ヲ願ヒ
マス
〔武藤山治君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=129
-
130・武藤山治
○武藤山治君 只今板野サンノ御質問ニ御
答ヲ致シマス、私ノ信ズル所デハ我ガ憲
록法ハ私ハ續委員ヲ常置シタ場合ニハ繼續委
員ガ此立法事項ニ付テ調査ヲスル其準備
行爲ハ認メテ居ルト私ハ信ズルモノデ
アリマス、又次ニ私ガ御答シタイノハハ此
繼續委員ヲ設ケル爲ニ國費ヲ增スト云フコ
トノ御考ハ私ハ反對デアリマス何トナ
レバ厖大ナル議案其他多數ノ事項ヲ審査ス
ル爲ニ議會ハ三箇月間ニ於テ堆キ議案ニ
向フノデアリマス故ニ平時繼續委員ヲ設
ケテ十分調査ヲシテ置キマシタナラバ議
會ニ提出サレル議案ハ遙ニ穩健ナモノニナ
ルト云フコトヲ信ジマシテ、繼續委員ヲ設ケ
テ十分ニ調査スルト云フコトハ其結果私
ハ國家ノ爲ニナルト信ズルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=130
-
131・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 田崎信藏君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=131
-
132・田崎信藏
○田崎信藏君 通告ヲ取消シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=132
-
133・作間耕逸
○作間耕逸君 本案ハ繼續委員ノ權能ガ濫
ニ廣汎ニ過グルノ嫌モアリマスルシ桑椹
院ノ權能ヲ發揮スル上ニ於キマシテモ差
當リ現行ノ法制ヲ以テ足レリト考ヘラレマ
スル且ツ憲法トノ關係カラ申シマシテモ
俄ニ本案ノ通リノ改正ヲスルコトヲ不可ナ
リト信ジマス殊ニ委員ノ手當ノ增加ニ至
リマシテハ今日適當ノ時機デハアリマセ
ヌ、政費ノ節減ヲ旨トスベキ折柄、遠慮ス
ベキヲ至當ト信ジマス仍テ本案ハ卽決ヲ
以テ否決セラレンコトヲ望ミマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=133
-
134・副議長(小泉又次郞君)
○副議長(小泉又次郞君) 本案ニ對シ卽決
否決ノ動議ガ提出サレマシタ之ニ付テ採
決致シマス本案ノ第二讀會ヲ開クベシト
スルノ諸君ノ起立ヲ求メマス
賛成者起立〕
○副長(小泉又次郞君)起立少數、仍テ
本案ハ第二讀會ヲ聞カザルコトニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=134
-
135・作間耕逸君
○作間耕逸君 i議事日程變更ニ關スル緊急
動議ヲ提出致シマス卽チ先刻議員丹下茂
十郞君ヨリ成規ノ賛成ヲ得テ德川公暗殺
陰謀ニ關スル件ノ緊急ノ質問ヲ提出セラレ
マシタ此場合特ニ其意見ノ陳述ヲ許サレ
ンコトヲ望ミマス尙ホ殘餘ノ日程ニ對シ
テハ總テ延期セラレンコトヲ望ミマス
〔「議長」「議長」連呼スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=135
-
136・副議長(小泉又次郞君)
○副議長(小泉又次郞君) 只今ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=136
-
137・副議長(小泉又次郞君)
○副議長(小泉又次郞君) 御異議ナイト認
メマス仍テ其通リ決シマス丹下茂十郞
君
德川公暗殺陰謀ニ關スル緊急質問丹
下茂十郞君提出)
〔丹下茂十郞君登壇、拍手〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=137
-
138・廾下茂十郞君
○廾下茂十郞君 私ハ緊急ノ問題ニ付キマ
シテ、內務大臣及司法大臣ニ質問ヲ致シタ
イト考ヘマス演說ハ成ベク簡單ニ致シマ
ス併ナガラ問題ハ頗ル重要ナ問題ト考ヘ
マスルガ故ニ暫時御〓聽ヲ煩ハシタイト
考ヘルノデアリマス最近新聞紙上ノ傳フ
ル所ニ依リマスレバ去ル九日ニ衆議院議
長德川公爵ヲ····(「衆議院デハナイ」ト呼
フ者アリ)是ハ訂正シマス、貴族院議員ノ誤
リ、議長(「血迷ウナ」ト呼フ者アリ)宜シイ
貴族院議長德川公爵ニ對シマシテ或ル恐
ルベキ陰謀事件ガ發覺サレタト云フコトデ
アリマス(『衆議院デンンナ事ハ關係シタ事
デナイ」ト呼フ者アリ)マア一寸御待チ下サ
イ幸ニシテ此事ガ大事ニ至ラズシテ所
謂未然ニ防遏シ得タト云フコトハ洵ニ喜バ
シイ事デアリマス事件ノ內容ニ付キマシ
テハ固ヨリ事豫審中ニ屬シマスルガ故ニ
詳細ニ之ヲ知ルコトハ出來ナイノデアリマ
スケレドモ確ニ事實ニ相違ナイデアラウ
カドウカ又事件ノ內容ガ新聞ニ掲載サレ
タコトガ事實デアルトシマシタナラバ斯
ノ如キ大陰謀ガ此議會ヲ中心トシテ起〃夕
ト云フコトハ洵ニ寒心ニ耐ヘナイノデア
リマス
〔「議會中心トハ何ダ」「議會中心トハ何
事ダ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=138
-
139・丹下茂十郞君(續)
○丹下茂十郞君(續) 一寸中上ゲマス、義
會中心ト申シマシタノハ此議會ニ登院セ
ラレントスル所ヲ或ル陰課ヲ逞シウセン
トシタト云フコトデアリマス其意味デア
リマス、諸君、近時國民ノ思想ガ動モスレ
バ輕佻奇激ニ亙リマシテ、忌ハシキ不祥事
件ガ屢、突發スルト云フコトヲ深ク遺憾トス
ル所デアリマス、今回ノ事件ノ如キモノモ、
頗ル重大ナル事件デアリマス其他思想ノ
動搖惡化ニ依リマシテ、起シテ來夕所ノ大小
ノ事件ハ指ヲ屈スルニ遑ナイノデアリマ
ス、其原因タルヤ卽チ國民思想ノ動搖混
亂ニ對シマシテ或ハ一派ノ煽動ニ基クモ
ノガナイトモ限ラヌト思フノデアリマス
此際國民思想ノ善導ト云フコトニ付キマシ
テハ、最モ深甚ナル注意ヲ要スルコトヽ思
フノデアリマス(拍手)惟フニ今回ノ出來事
モ思慮淺薄ナル一靑年ガ、奇激ナル激越
ナル煽動ノ爲ニ動カサレテ遂ニ斯ノ如キ
無分別ノ行爲ニ出デタモノデハナカラウカ
ト思フノデアリマス此ニ於テ吾々ハ大ニ
考ヘネバナラヌ事ガアルノデアリマス
近頃階級打破、特權階級打破ト云フヤウナ
賛、殊ニ最近起ノテ參リマシタ所ノ貴族院
ノ改革ト云フヤウナ問題ガ、俗受ノスル易
當リノスル事柄ガ不祥事件ヲ產出シタ所
ノ動機ヲ與ヘタモノデナイカト云フコトヲ
疑フノデアリマス(「懲戒々々」「ソンナ柄
デナイ」ト呼ヒ其他發言スル者多シ)マア静
ニマア御聽ナサイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=139
-
140・副議長(小泉又次郞君)
○副議長(小泉又次郞君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=140
-
141・丹下茂十郞君(續)
○丹下茂十郞君(續) 諸君加藤總理大臣
ハ既ニ此議場ニ於キマシテ、貴族院改革ヲ
聲明シテ居ラレルノデアリマス何等ノ具
體案モ無シデ而モ之ヲ此議場デ聲明スル
ト云フコトハ洵ニ無責任デアリマス洵
ニ不謹愼デアリマス詰リ
〔「意見ハヨセ」ト呼ヒ其他發言スル者
多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=141
-
142・副議長(小泉又次郞君)
○副議長(小泉又次郞君) 靜〓ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=142
-
143・丹下茂十郞君(續)
○丹下茂十郞君(續) 體此貴族院ノ改革
問題ト云フコトハ最モ重大ナル問題デア
リマス一部ノ一小事件トハ違ヒマシテ
世間デハ動モスルト(「其問題ノ時ヤレバ宜
イジヤナイカ」ト呼フ者アリ)一寸御待チナ
サイ、斯ウ云フ問題ヲ階級的闘爭ニ引附ケラ
レル虞レガアルノデアリマス最モ愼重ニ
シテ言論ヲ愼マナケレバナラヌト思フノデ
アリマス、此意味ニ於テ首相ノ聲明サレタ
事ノ如キハ、私ハ洵ニ遺憾ニ田心ンテ居ルノデ
アリマス、今日ノ如ク思想ノ況亂シテ居ル
時ニ於テハ努メテ思想界ノ安定ヲ期セナ
ケレバナラヌト思フノデアリマス卽チ私
ノ質問セントスル所ノ要領ハ本件ノ勃發
ノ動機ガ、貴族院改革ノ問題ニ關聯シテ
(發言スル者多シ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=143
-
144・副議長(小泉又次郞君)
○副議長(小泉又次郞君) 靜〓ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=144
-
145・廾下茂十郞君(續)
○廾下茂十郞君(續) 其刺戟ニ依シテ起シタ
モノデナイカト云フコトヲ第一ニ承リタイ
ノデアリマス、分リマシタカ、更ニ本件ニ付
キマシテ、新間紙ノ報道スル所ニ依ルト
本事件ガ水平社ト關係ノアルヤウナ記事ヲ
見タノデアリマス、果シテ事實ハ如何デア
ルカ、由來水平運動ナルモノハ素ヨリ直
接行動ニ出ルヤウナコトハ斷ジテ許スベカ
ラザル事デアリマスケレドモ彼等ノ主張
ナリ或ハアル動機ニハ相當同情スベキ點
ガ多々アルト思フノデアル併シ多年不遇
ノ地位ニ立チ、差別的待遇ヲ忍ンデ明治大
帝ノ所謂四民平等ノ聖旨ニ悖リマシタ所ノ
差別的待遇ヲ受ケルニ忍ビナイノデアリマ
スサウシテ人類平等ノ立場ニ立チマシテ
其解放ヲ叫ブ者デアリマス故ニ一般社會
ト致シマシテハ大ニ之ニ同情シ、相倚リ
相助ケ、親善融和ノ途ヲ圖リマシテ、從事
ノ弊風ヲ一掃シナケレバナラナイト思フノ
デアリマス牡〓リ共存同榮ノ策ヲ講ジナケ
レバナラヌト思フノデアリマスソレデ私
ノ更ニ尋ネントスルコトノ要點ハ現在
ノ水平運動、全國ニ彌蔓シテ居リマス所ノ
水平連動ノ狀況ハ如何デアルカ之ニ對ス
ル政府ノ措置ニ付テハ如何デアルカ更ニ
之ヲ細別致シマスレヾ全國水平社同人ノ
數ハ何程デアルカ水平運動ノ狀況ハ如何ナ
ル樣子デアルカ政府ノ之ニ對スル措置ハ
如何デアルカ創業大學 中國人民」モノ酸辛ノロ
設ハ如何デアルカツ御
尋ネシタイノハ横田司法大臣ハ昨年因襲
打破ト云フコトニ付キマシテ、當議場ニ於
テ建議セラレ又論議セラレタノデアリマ
スガ矢張現在ニ於キマシテモソレト同樣
ノ意見ヲ以シテ、之ニ臨ンデ居ラレルカドウ
カ、又内務省當局トノ間ニ於テ、此水平社ノ
問題ニ付テ何等扞格ヲ致シテ居ルヤウナ
コトハナイノデアルカ、是等ノ點ニ付テ內
務大臣ト司法大臣ノ答辯ヲ煩ス次第デアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=145
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146・副議長(小泉又次郞君)
○副議長(小泉又次郞君) 內務大臣若槻禮
次郞君
〔國務大臣若槻禮次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=146
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147・國務大臣
○國務大臣 若槻禮次郞君只今御質問ニ
ナリマシタ事件ニ付テ犯人ノ逮捕セラレ
テ居ルコトハ事實デアリマス、併ナガラ未
ダ豫審ニ付サレテ居ル譯デハアリマセヌ
デ目下尙ホ捜査中デアルノデアリマス、ソレ
[故事件ニ付テ、E所此御答へ申上ゲルコト
ノ時期ニ達シテ居ナイト云フコトヲ申サ
ナケレバナリマセヌ、水平運動ニ付テハ御
尋デアリマシタガ、久シク差別的待遇ヲ受
ケテ居ル一部ノ人ガ社會的ニ平等ノ取扱
ヲ受ケントスル運動ハ、政府ニ於テハ國情
ヲ以テ之ヲ見テ居ルノデアリマス併ナガ
ラ總テノ運動ハ法規ノ範圍内ニ於テ行ハレ
ナケレバナリマセヌ若シ法規ヲ超脫スル
コトガアリマスナラバ、政府ハ嚴重ニ之ヲ
取締ル考デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=147
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148・副議長(小泉又次郞君)
○副議長(小泉又次郞君) 諸君、D語問事項
ガアリマス第四部選出懲罰委員原惣兵衞
君第五部選出同委員梅田寛一君第六部
選出同委員森田政義君第七部選出同委員
上原好雄君第七部選出同委員柏田忠-君
ヨリ常任委員辭任ノ申出ガアリマシタ、許
可スルニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=148
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149・副議長(小泉又次郞君)
○副議長(小泉又次郞君) 御異議ナイト認
メマス、各部ニ於テ諸君ハ直ニ補闕選擧ヲ
行ヒ議長マデ屆出アランコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=149
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150・廾下茂十郞君
○廾下茂十郞君 只今内務大臣ノ答辯ハ
私ノ
〔「無用々々」ト呼ヒ發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=150
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151・副議長(小泉又次郞君)
○副議長(小泉又次郞君) 静肅ニ願ヒ、マ
スー靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=151
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152・丹下茂十郞君(續)
○丹下茂十郞君(續) 私ノ質問シタ要點ニ
觸レテ居ラナイノデアリマス全國水平社
同人ノ數、ソレカラ水平運動ノ狀況政府
ノ措置、ソレカラ融和親善ニ關スル政府ノ
施設発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=152
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153・副議長(小泉又次郞君)
○副議長(小泉又次郞君) 內務大臣ヨリハ
御答辯ガアリマセヌ
(「散會」「散會」「司法大臣ノ答辯ガナイ」
「必要ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=153
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154・副議長(小泉又次郞君)
○副議長(小泉又次郞君) 次會ノ日程ハ公
報ヲ以テ御報告致シマス、本日ハ是ニテ散
會
午後六時三十一分散會
衆議院議事速記錄第八號中正誤
頁段行誤正
一二四一三豐三豊光
-등同同三三一政務官事務官
同三三同同発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01019240712&spkNum=154
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