第49回帝国議会　衆議院　本会議　第14号　大正13年7月18日 | テキスト表示

1. 会議録本文

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000・会議録情報
大正十三年七月十八日（金曜日）午前十時二十五分開議
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　議事日程　第十三號
　　大正十三年七月十八日
　　　午前十時開議
　第一　鑛業法中改正法律案（政府提出、貴族院送付）　　　　　　　　　　　第一讀會の續（委員長報告）
　第二　清國及朝鮮國在留帝國臣民取締法廢止法律案（柏田忠一君外一名提出）　第一讀會
　第三　私有林野造林國庫補助に關する建議案（村山喜一郎君提出）
　第四　農村副業奬勵に關する建議案（隅田豐吉君外二名提出）
　第五　私學復興に關する建議案（山下谷次君提出）
　第六　大學令中改正に關する建議案（山下谷次君提出）
　第七　私立學校令中改正に關する建議案（山下谷次君提出）
　第八　高等學校令中改正に關する建議案（山下谷次君提出）
　第九　東京港修築及京濱運河開鑿促進に關する建議案（若尾幾太郎君外二名提出）
　第十　京濱運河開鑿促進に關する建議案（平沼亮三君外二名提出）
　第十一　東京灣築港速成に關する建議案（太田信治郎君外九名提出）
　第十二　蠶絲業の根本政策に關する建議案（武藤金吉君提出）
　第十三　小學校教員俸給國庫支辨に關する建議案（増田義一君提出）
　第十四　帝國在郷軍人會國庫補助に關する建議案（佐々木春作君外三名提出）
　第十五　名古屋に綜合大學設置に關する建議案（服部英明君外五名提出）
　第十六　蠶絲局設置に關する建議案（加藤知正君外四名提出）
　第十七　大阪臨港鐵道速成に關する建議案（廣瀬徳藏君外八名提出）
　第十八　三新鐵道敷設速成に關する建議案（横山金太郎君外七名提出）
　第十九　日露漁業協約に基く日本漁業者救濟に關する建議案（黒住成章君外八名提出）
　第二十　呉三原間鐵道敷設速成に關する建議案（山道襄一君外四名提出）
　第二十一　東京都制促進に關する建議案（作間耕逸君外十五名提出）
　第二十二　預金部資金運用委員會設置に關する建議案（川原茂輔君外三名提出）
　第二十三　千代川改修促進に關する建議案（由谷義治君外三名提出）
　第二十四　尾道開港場指定に關する建議案（嶋居哲君提出）
　第二十五　江戸崎郡間鐵道敷設に關する建議案（來栖七郎君提出）
　第二十六　佐貫江戸崎間鐵道敷設に關する建議案（來栖七郎君提出）
　第二十七　土浦江戸崎間鐵道速成に關する建議案（來栖七郎君提出）
　第二十八　利根川架橋に關する建議案（來栖七郎君外一名提出）
　第二十九　東京帝國大學農學部實科に關する建議案（岡田温君外五名提出）
　第三十　社會政策に關する建議案（山本芳治君提出）
　第三十一　日露國交の恢復竝損害の救濟企業貿易速進に關する建議案（一柳仲次郎君外七名提出）
　第三十二　越美線速成に關する建議案（山田道兄君提出）
　第三十三　水産養殖業者に對する營業税免除に關する建議案（山本勝次君提出）
　第三十四　畜産業助成に關する建議案（山本勝次君提出）
　第三十五　農村振興會議設置に關する建議案（猪野毛利榮君提出）
　第三十六　北海道土功組合事業助成に關する建議案（黒住成章君外三名提出）
　第三十七　肥前山口附近諫早間鐵道速成に關する建議案（西英太郎君外四名提出）
　第三十八　肥前山口附近諫早間鐵道速成に關する建議案（西岡竹次郎君提出）
　第三十九　佐賀矢部川間鐵道速成に關する建議案（加藤十四郎君外四名提出）
　第四十　肥前國鐵道三線速成に關する建議案（川原茂輔君外五名提出）
　第四十一　北海道拓殖速進に關する建議案（小池仁郎君外五名提出）
　第四十二　根室港修築工事に關する建議案（小池仁郎君外四名提出）
　第四十三　帝國在郷軍人會國庫補助に關する建議案（倉元要一君外一名提出）
　第四十四　用排水幹線改良事業費國庫補助増額竝補助範圍擴張に關する建議案（倉元要一君提出）
　第四十五　水産養殖業者に對する營業税免除竝輸送機關改善に關する建議案（倉元要一君外一名提出）
　第四十六　農蠶業及水産業助成に關する建議案（山本勝次君提出）
　第四十七　廣尾港修築速成に關する建議案（奧野小四郎君外五名提出）
　第四十八　繭絲價調節に關する建議案（大島要三君外十四名提出）
　第四十九　貴族院制度改正に關する建議案（箕浦勝人君外三十四名提出）
　第五十　小樽港鐵道省第二期工事速成に關する建議案（山本厚三君外六名提出）　（委員長報告）
　第五十一　小樽港海陸聯絡設備完成に關する建議案（山本厚三君外六名提出）　（委員長報告）
　第五十二　越中島線鐵道速成に關する建議案（太田信治郎君提出）　　　　　（委員長報告）
　第五十三　金鵄勳章年金令改正に關する建議案（三木武吉君外三名提出）　　（委員長報告）
　第五十四　金鵄勳章年金増加に關する建議案（土井權大君提出）　　　　　　（委員長報告）
　第五十五　金鵄勳章年金令改正に關する建議案（中林友信君外三名提出）　　（委員長報告）
　第五十六　金鵄勳章年金増額に關する建議案（熊谷直太君外三名提出）　　　（委員長報告）
　第五十七　飛行事業擴張に關する建議案（長岡外史君提出）　　　　　　　　（委員長報告）
　第五十八　用排水幹線改良事業費國庫補助に關する建議案（加藤知正君外七名提出）　（委員長報告）
　第五十九　用排水幹線改良事業費補助金に關する建議案（建部遯吾君提出）　（委員長報告）
　第六十　遠信鐵道速成に關する建議案（樋口秀雄君外三名提出）　　　　　　（委員長報告）
　第六十一　遠信鐵道速成に關する建議案（倉元要一君外二名提出）　　　　　（委員長報告）
　第六十二　澁川長野原間鐵道速成に關する建議案（木檜三四郎君提出）　　　（委員長報告）
　第六十三　花巻釜石間鐵道開通に關する建議案（志賀和多利君外二名提出）　（委員長報告）
　第六十四　大阪和歌山間鐵道敷設に關する建議案（山口義一君外一名提出）　（委員長報告）
　第六十五　地震研究の特殊機關設立に關する建議案（田中善立君外四名提出）　（委員長報告）
　第六十六　部落有林野統一緩和に關する建議案（土井權大君提出）　　　　　（委員長報告）
　第六十七　國有林野所在府縣市町村に對し交付金下付に關する建議案（八田宗吉君外二名提出）　（委員長報告）
　第六十八　（特別報告第一號）金鵄勳章年金令改正の請願外二百二十五件　　（委員長報告）
　第六十九　（特別報告第七〇號）小學校教員俸給國庫支辨の請願　　　　　　（委員長報告）
　第七十　（特別報告第七五號）辰野、濱松間鐵道敷設の請願　　　　　　　　（委員長報告）
　第七十一　（特別報告第八三號）金鵄勳章年金令改正の請願外四十一件　　　（委員長報告）
　第七十二　（特別報告第八六號）震災に因り喪失したる無記名地方債及社債救濟の請願　（委員長報告）
　第七十三　（特別報告第八七號）狹野神社を官幣社に昇格の請願　　　　　　（委員長報告）
　第七十四　（特別報告第八八號）警察署預り金品の滅失に因る見舞金下付の請願　（委員長報告）
　第七十五　（特別報告第八九號）國立公園地選定に關する請願　　　　　　　（委員長報告）
　第七十六　（特別報告第九〇號）由良川改修の請願　　　　　　　　　　　　（委員長報告）
　第七十七　（特別報告第九一號）石狩川治水計畫に依る堤外地買收の請願　　（委員長報告）
　第七十八　（特別報告第九二號）野馳郵便局に集配事務開始の請願　　　　　（委員長報告）
　第七十九　（特別報告第九三號）京都市上京區鹿ケ谷法葬院町内に無集配郵便局設置の請願　（委員長報告）
　第八十　（特別報告第九四號）東京府豐多摩郡戸塚町内に無集配郵便局設置の請願　（委員長報告）
　第八十一　（特別報告第九五號）東京府豐多摩郡和田堀之内村内に郵便局設置の請願　（委員長報告）
　第八十二　（特別報告第九六號）矢野町郵便局に集配事務開始の請願　　　　（委員長報告）
　第八十三　（特別報告第九七號）宇治三等請願郵便局を官設集配郵便局に變更の請願　（委員長報告）
　第八十四　（特別報告第九八號）八王子市追分町に三等郵便局設置の請願　　（委員長報告）
　第八十五　（特別報告第九九號）布施、猿ケ京兩郵便局に電信、電話事務開始の請願　（委員長報告）
　第八十六　（特別報告第一〇〇號）大原村大字市場に無集配郵便局設置の請願　（委員長報告）
　第八十七　（特別報告第一〇一號）築港郵便局昇格の請願　　　　　　　　　（委員長報告）
　第八十八　（特別報告第一〇二號）天神橋筋郵便局に電信事務復舊開始の請願　（委員長報告）
　第八十九　（特別報告第一〇三號）阿古郵便局に集配事務開始の請願　　　　（委員長報告）
　第九十　（特別報告第一〇四號）桐ケ谷郵便局に電信、電話事務開始の請願　（委員長報告）
　第九十一　（特別報告第一〇五號）門司市新大里に無集配郵便局設置の請願　（委員長報告）
　第九十二　（特別報告第一〇六號）藤竝郵便局に集配事務開始の請願　　　　（委員長報告）
　第九十三　（特別報告第一〇七號）内城田村大字棚橋に登記所設置の請願　　（委員長報告）
　第九十四　（特別報告第一〇八號）借地法借家法及借地借家調停法施行區域に關する請願　（委員長報告）
　第九十五　（特別報告第一〇九號）大田瀧原間鐵道敷設の請願　　　　　　　（委員長報告）
　第九十六　（特別報告第一一〇號）未設姫津線神岡村上構内に停車場設置の請願　（委員長報告）
　第九十七　（特別報告第一一一號）兵庫縣揖保郡新宮村に停車場設置の請願　（委員長報告）
　第九十八　（特別報告第一一二號）山陰鐵道三保村湊浦に停車場設置の請願　（委員長報告）
　第九十九　（特別報告第一一三號）山陰鐵道靜間村に停車場設置の請願　　　（委員長報告）
　第百　（特別報告第一一四號）三保三隅驛に公衆電信事務開始の請願　　　　（委員長報告）
　第百一　（特別報告第一一五號）京濱線川崎驛、鶴見驛間に電車停留場設置の請願　（委員長報告）
　第百二　（特別報告第一一六號）尾ノ道輕便鐵道終點、三次間鐵道敷設の請願　（委員長報告）
　第百三　（特別報告第一一七號）金鵄勳章年金令改正の請願外六件　　　　　（委員長報告）
　第百四　（特別報告第一一九號）富山、笹津間電話囘線増設の請願　　　　　（委員長報告）
　第百五　（特別報告第一二〇號）小學校教員俸給國庫支辨の請願　　　　　　（委員長報告）
　第百六　（特別報告第一二一號）左澤驛、荒砥驛間鐵道敷設の請願　　　　　（委員長報告）
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001・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　諸般ノ報告ガア
リマス
〔書記官朗讀〕
議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
貴族院制度改正ニ關スル建議案
提出者
箕浦勝人君望月小太郞君
野村嘉六君小池仁郞君
樋口秀雄君鈴木富士彌君
原脩次部君安達謙藏君
柵瀨軍之佐君賴母木桂吉君
橋本喜造君武內作平君
小寺謙吉君町田忠治君
三木武吉君小川平吉君
菅原傳君秦豐助君
渡邊祐策君田中定吉君
長田桃藏君岡崎邦輔君
山本悌二郞君井上敬之助君
東武君小久保喜七君
岩崎勳君關直彥君
古島一雄君秋田〓君
濱田國松君林田龜太郞君
增田義一君若尾璋八君
若宮貞夫君
(以上七月十七日提出)
一昨十七日議員ヨリ提出セラレタル質問主
意書左ノ如シ
滿蒙開發ニ關スル再質問主意書
提出者兒玉むヨホ
漁港施設及水產業保護獎勵ニ關スル再質
問主意書
提出者秋田寅之介君
排日移民法及日露交渉ニ凹スル質問主意
書
提出者東幸治君
(以上七月十七E提出)
一今十八日政府ヨリ受領シタル答辯書左ノ
如シ
衆議院議員竹内友治郞君提出經濟革新ニ
關スル質問ニ對スル答辯書
衆議院議員加藤知正君提出阿賀野川改修
工事ニ關スル質問ニ對スル答辯書
經濟革新ニ關スル質問
〔主意書ハ衆議院議事速記錄第十一號一
(七月十六日)ニ掲載ス〕
大正十三年七月十八日
內閣總理大臣子爵加藤高明
衆議院議長粕谷義三殿
衆議院議員竹内友治郞君提出經濟革新ニ
關スル質問ニ對シ別紙各辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員竹内友治郞君提出經濟革新
ニ關スル質問ニ對スル答辯書
一物價勞銀ノ引下ニ就テ
生產組織及事業經營方法ヲ改善シテ能
率ヲ增進スルト共ニ取引方法ノ整備ヲ
圖リ且生產ヲ增加スルト共ニ消費節約ヲ
奬勵シテ物價及勞銀ノ低下ヲ期セントス
一行政財政整理ニ就テ
行政財政ノ整理ニ就デハ機會アル每ニ
屢聲明セル如ク政府ハ今後銳意之カ遂
行ヲ期ス
一綱紀肅正特ニ民間ノ綱紀〓正ニ就テ
民間ノ綱紀ノ〓正ニ就テハ專ラ國民一
般ノ自省ニ俟ツノ外ナシ尙政府ニ於テ
ハ社會ノ〓化ニ努メ非違アラハ之ヲ匡
正シ以テ民間綱紀ノ自ラ振〓スルニ至
ラムコトヲ期ス
一社會習慣ノ改造ニ就テ
現下ノ社會狀態ニ鑑ミ政府ハ古來ノ良
風美俗ヲ保存シ質實ナル國民精神ノ涵
養ヲ圖ルト共ニ努メテ陋習ヲ改善シ時
代ニ順應シテ社會道德ノ振興ヲ圖リ以
テ社會習慣ノ改善ヲ期セントス
右及答辯候也
大正十三年七月十五日
〓商商大臣高橋是〓
文部大臣岡田良平
內務大臣若槻禮次郞
大藏大臣濱口雄幸
阿賀野川改修工事ニ關スル質問
〔主意書ハ衆議院議事速記錄第十三號
(七月十八日)ニ掲載ス〕
大正十三年七月十八日
內閣總理大臣子爵加藤高明
衆議院議長粕谷義三殿
衆議院議員加藤知正君提出阿賀野川改修
工事ニ關スル質問ニ對シ別紙答辯書差進
候
〔別紙〕
衆議院議員加藤知正君提出阿賀野川改
修工事ニ關スル質問ニ對スル答辯
阿賀野川改修工事ハ當初大正四年度ヨリ
同十二年度ニ至ル九ヶ年繼續事業ナリシ名ゑ
モ事業繰延ノ結果其ノ完成ハ大正十七年
度ニ延期セラレタリ質問ノ個所ハ改修區
域內ノ上流部ニ位シ工事ノ施行上未タ著
手ニ至ラサルモ將來可成速ニ之ヲ施行ス
ルノ見込ナリ
右及答辯候也
大正十三年七月十八日
內務大臣若槻禮次郞
一昨十七日貴族院ニ於テ本院ノ送付ニ係ル
左ノ議案ヲ可決シタル旨同院ヨリ通牒ヲ
受領セリ
震災善後公債法中改正法律案(政府提出)
借地借家臨時處理法案(政府提出)
高等諸學校震災復舊諸費ニ屬スル豫算ノ
施行ニ關スル法律案(政府提出)
(第一號)大正十三年度歳人歲出總豫算追
加案
(第二號)大正十三年度歲人歲出總豫算追
加案
(特第一號)大正十三年度特別會計歲入歲
出豫算追加案
(追第一號)豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ
契約ヲ爲スヲ要スル件
(追第二號)豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ
契約ヲ爲スヲ要スル件
(第三號)大正十三年度歲人歲出總豫算追
加案
(特第二號)大正十三年度各特別會計歲入
歳出豫算追加案
(追第三號)豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ
契約ヲ爲スヲ要スル件
(第五號)大正十三年度歳人歲出總豫算追
加案
大正九年法律第五十六號中改正法律案
(政府提出)
國籍法中改正法律案(政府提出)
戶籍法中改正法律案(政府提出)
朝鮮銀行法中改正法律案(政府提出)
震災ニ因ル喪失無記名國債證劵ニ關スル
法律案(政府提出)
復興貯蓄債劵法案(政府提出)
借地借家調停法中改正法律案(政府提出)
一昨十七日貴族院ニ於テ本院ノ送付ニ係ル
左ノ議案ニ對シ承諾スルコトヲ議決シタ
ル旨同院ヨリ通牒ヲ受領セリ
大正十三年勅令第四十六號(承諾ヲ求ム
(作)
大正十一年度第一豫備金支出ノ件(承諾
ヲ求ムル件)
大正十一年度特別會計第一豫備金支出ノ
件(永諾ヲ求ムル件)
大正十二年度第二豫備金支出ノ件(水諾
ヲ求ムル件)
自大正十二年四月豫備金外ニ於ケ豫算外
至同年十一月
支出ノ件(承諾ヲ求ムル件)
大正十二年度特別會計第二豫備金支出ノ
件(承諾ヲ求ムル件)
自大正十二年四月特別會計豫備金外ニ於
至同年十」月
テ豫算超過及豫算外支出ノ件(承諾ヲ求
ムル件)
臨時物資供給特別會計豫算外支出ノ件
(水諾ヲ求ムル件)
〔左ノ報告ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲
茲ニ揭載ス〕
一昨十七日委員長及理事互選ノ結果左ノ如
シ
小麥及小麥粉輸入稅稅率引上ニ關スル建
議案委員
委員長土井權大君
理事中谷貞賴君
水產助ルハニ關スル建議案(元田肇君外十
六名提出)委員
委員長松田三德君
理事黑住成章君
府縣稅戶數割規則改正ニ關ニル建議案
(藤田胸太郞君提出)委員
委員長藤田胸太郞君
理事戶澤民十郞君
花卷釜石間鐵道開通ニ關スル建議案志
賀和多利君外二名提出)外一件委員
委員長吉津度君
理事佐竹庄七君
地震〓究ノ特殊機關設立ニ關スル建議案
(田中善立君外四名提出)委員
委員長〓水留三郞君
理事山下谷次君
一昨十七日農村振興ニ聞スル建議案委員井
出繁三郞君辭任ニ付キ其ノ補關トシテ池
田龜治君ヲ議長ニ於テ選定セリ
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002・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　是ヨリ會議ヲ開
キマス、荒川五郞君ヨリ一身上ニ關スル辯
明ノ發言ノ通告ガアリマス、許シマス、荒
川五郞君
〔荒川五郎君登壇〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=2
003・荒川五郎
○荒川五郞君　昨夜ノ當識場ニ於テ私等ノ
提出シタル農村振興ニ關スル建議案討議中、
政友本黨ノ松浦五兵衞君ヨリ、私ノ名ヲ擧
テ農務省設置ニ關スルコトニ付テノ私ノ
議論ノ御引用ガアリマシタ、私ハ相違ノ點
ヲ其際直ニ辯明致スコトガ適當ト存ジマシ
テ、其旨ヲ議長ニ申出デマシタガ、時恰モ
時間モ遲ク、都合上モアルカラト議長ノ交
涉ヲ受ケマシテ、更ニ今日ニ致シタ次第デ
アリマス、此農務省設置ノ問題ハ實ハ曰
露戰爭後ノ頃ヨリ農業熱心家ノ間ニハ〓究
シ初メラレテ居ッタノデアリマス、我ガ農業
ノ前途ニ付テハ深キ憂ヲ懷イテ、農業ノ前
途ハ國家ノ前途ニ重大ナル關係ガアリト云
フノデ常ニ〓鑚怠ラナカッタ、吾々ノ尊敬致
ス貴族院議員子爵加納久宜君ガ議會ニ於テ
黨派ガ漸次發達スルニ連レテ立國ノ大本デ
アルベキ農業問題ニ黨派ノカガ加ハルヤウ
おいしく
ニナルト、是ハ國家將來ノ爲ニ由を敷キ大
事デアル、此問題ハ定派ヲ離レテ總テノ國
民政治家ガ共ニ研究スベキ、又ソレニ向シ
テカヲ盡スベキ重大ナル事デアルカラト云
フノデ衆試院竝ニ貴族院ノ農業ニ熱心ナル
人々ヲ集メテ農政〓究會ナルモノヲ起シタ
ノデアリマス、爾來シレガ殆ド二十年ニナ
リマス、其〓究會ヲ起シマシタル初メニ於
テ、、色々ナ問題ガアリマシタ中ニ漸次農村
ノ子弟ガ農村ヲ離ルヽノ狀況ガアル、是、
色々ナ關係、世ノ變遷ノ圓スルトコロモア
リマセウケレドモ、最モ力ヲ盡サンケレバ
ナラヌコトハ〓育デアル、元ハ農村ニ於テ
ハ〓育アリ學問アル人ハ殆ト只醫師ト僧侶
ノミ位デアンタノデアリマス、隨テ學問アリ
知識アル者ハ自ラ農業ヲシナイト云フノガ
普通ノ有樣デアッタ、然ルニ一般ニ〓自ガ普
及シ、ソレニ連レテ〓自ヲ受ケタ者ハ白然
多クハ月給取リ其他商工等ノ方面ニ走ヶテ、
漸次農村ヲ離レルヤウニナルカラ、此農村
民ノ〓白ハ農業ト一〓ニ致シテ農商務省ニ
デモ管轄スルヤウニスル方ハアルマイカト
云フ、斯ウ云フコトガ最初ノ相談ニ上ッテ、
雨來農務省ヲ獨立スルガ宜シイカト云フヤ
ウナ問題ガ起キタノデアリマス、其後小松
原文部大臣ノ時ニナリマシテ、農村ノ子弟
ガ漸次農村ヲ離ルヽ傾キガアル、是ハ第一
ニ所謂農繁期ニ農業ノ一寸一刻ヲ爭フ多忙
ナル-月ヲ踏ミ星ヲ戴イテ働ク其劇忙ノ
際ニ、農村ノ子弟ハ鞄ヲ下ゲテ唱歌ヲ唱ヒ
ナガラ學校ニ通フ、是デハ農業ノ實際ニ親
ミヲ持タナイ、漸次是等ノ傾向ハ農村ヲ離
ルヽニ至ルノデアルカラ、學校トサウシテ
農村ト云フコトニモウ少シ關聯セシメナケ
レバナラヌト云フノデ、文部大臣ニ其意見
ヲ申出マシタ所ガ、小松原文部大臣ハ速ニ
之ヲ容レラレマシテ、其當時地方長官ヲ召
集シタ場合之ニ對スル訓〓ヲサレテ、更二
全國ニ向シテ訓令ヲ發セラレマシテ、所謂農
繁期ノ休業ト云フコトガ實際ニ行ハルヽニ
至タノデアリマス、サウシテ農村ノ子弟ヲ
シテ農村ノ父兄ト其家業ヲ共ニシ、其勞ヲ
分ケ、サウシテ農業ニ親ミヲ持タスヤウニシ
ヤウト云フコトニナッテ來タノデアリマス、
爾來農村ト〓育ト竝ニ農村ト政治ト云フコ
トニ付キマシテハ世間ノ人ガ注視スルニ
至ノタノデアリマスケレドモ、其後加納子爵
ハ歿セラレ、此問題ハ殆ド其儘ニナッテ居ツ
タヤウナ有樣デアリマシタガ、數年前ヨリ
農務省獨立ノ問題ガ帝國農會竝ニソレニ關
聯スル農政〓究會ニ起リテ、此建議ヲ致ス
コトニナッタノデアリマス、然ルニ私ハ農政
ノミナラズ、全般ノ國政ニ向シテ大改造ヲ加
ヘナケレバ、日本ノ政治ハ到底前途ニ安定
ヲ求メ得ラレナイト云フ考ヘデ、此〓究ヲ
致シツヽアル所ニ、昨年大震火災ガ起キマ
シタカラ、斯ノ如キ改造意見ハ殆ド一物モ
無イヤウニ燒拂ッタル此ノ場合ニ、新ニ立直
シヲスルコトガ必要デアルカラ、斯ウ云フ
場合ニ私共ノ意兄ヲ出スコトヲ必要ト考へ
マシテ、昨年十二月ノ臨時議會ニ國政改造
ニ關スル建議案ヲ提出致シテ、サウシテ當
壇ニ於テ其說明ヲ致シタノデアリマス、其
說明中ニ松浦君ガ昨夜ノ御演說中ニ引用セ
ラレタ一節ガアルノデアリマスガ、其處ニ
相違ガアルノデアリマス、私ハ決シテ何モ
之ヲ惡意ニ考ヘテ、之ヲ評カウト云フ積リ
デ申スノデハナイノデアリマス、是ハ我農
業ノ前途ニモ又國政ノ大本ニモ大關係ヲ致
スコトヽ考ヘマスカラ、此處デ此問題ヲ私
ノ國政改造問題ノ大體ノ考案カラ割出シタ
ル一部ノ意見トシテ、ンレヲモ申シ加ヘタノ
デアリマス、私ハ各省ヲ多ク分合致サナケ
レバナラヌ、今少シ減ジタ方ガ宜シイ、例
ヘバ陸軍海軍、或ハ空軍ノ如キハ之ヲ一緒
ニシテ、之ヲ軍務省トスルトカ、或ハ國防
省トスルト云フヤウニ致シタイ、ソレカラ
交通機關ノ如キモ鐵道ハ鐵道省ニ屬シテ居
リ、道路ハ内務省ニ管シテ居リ、又港灣ハ
大藏省ニ、船舶ハ遞信省ニ管シテ居ル、同
ジク交通機關デアッテ之ヲ四省ニモ分屬シ
テ居ルヤウナ有樣デハ大事ナ國家ノ動脈
デアルベキ交通機關ノ完備發達ヲ求メル所
以デナイカラ、ソレ等ヲ併セテ交通省ニシタ
方ガ事務ノ進捗ノ爲ニモ宜シイ等、斯ウ云フ
意見ヲ述べマシタ、是等ハ今申上ゲレバ長
クナリマスカラ申上ゲマセヌガ、其序ニ農
務省ノ此分合問題ヲ申シタノデアリマス、
其事ハ昨年十二月二十一一日ノ本議場ニ於ケ
ル演說デ、二十三日ノ官報號外ニアリマス、
是ハ昨日引用セラレタ次第モアリマスカラ、
其一部分ヲ此處ニ朗讀致シマス「玆ニ此分合
問題ニ開聯シテ直ニ一ノ問題ノアルノハ農
務省設置ノ件デアリマス、私ノ考デハ大キ
ナ力ヲ背景ニ廣イ場所ニ立ッテ仕事ヲヤル
方ガ有力デアル、力ガ分レヽバ弱クナル、農
務省設置希望ノ御方ハ農政ノ振興ニ圖ルガ
爲ニ之ヲ獨立シタイト云フノデアリマスケ
レドモ、斯ル力ヲ分ツト云フコトハ、却テ
力ヲ弱ハウスルコトニナル、農業ニ理解ア
ル人ヲ求メテ其長官トスレバ、大ニ振興シ
得ルト思ハレマセウガ、政府ノ仕事ハサウ
誂へ通リニハ行キマセヌ、旣ニ文部省ノ如
キ今日マデノ經驗デ明カデハアリマセスカ、
全國農業者ノ利益、農業ノ振興ヲ圖ルガ爲
ニハ、强イ地盤ニ立テ廣キ肯景ニ據リ、有力
ナル人ヲ以テ仕事ヲセナケレバナラヌト思
フノデアリマス、力ハ集ムレバ强ク、分レ
バ弱イ、殊更ニ農務ヲ分テ狭キ範圍ニ入レ
ントスルコトハ、是レ果シテ有利ナルヤ否
ヤ、諸君ノ希望ヲ裏切リハシナイカ、此點ヲ
私モ農氏黨ノ熱心ナル一人トシテ、切ク
農業ノ振興ニ御熱心ナル諸君ノ御一考ヲ求
ムルノデアリマス、是ダケデアリマス、是
ハ此政務ノ分配ニ付テハ諸君ニ一ツノ問題ヲ
提供〓シタノデアル、問題ヲ提供シタト云
フコトガ惡ケレバソレマデヽアリマスケレ
ドモ、私ハ玆ニ農務省設置ノ建議ガ出タ、
其建議ニハ是等ノ點ニ付テ十分ニ御審議ヲ
願ヒタイト思ヒマス、農ハ決シテ黨派ノ問
題デナイ以上ハ、國民全般ニ於テ行掛リニ
拘ラズ、之ガ爲ニ共ニ與ニ眞劍ニ全幅ノ力ヲ盡
スベキコトヽ思フノデアリマス(「ヒヤノ〓」
拍手)因ミニ申ス、前カラ申上ゲルヤウ
ニ、議員ノ中ニ黨水ヲ離レテ農政〓究會ナ
ルモノガ出來テ、爾來二十年農業問題ニ關
シ、或ハンレニ關スル產業組合ノ如キ問題等
ガ、農政研究會ヲ主トシテ之ヲ〓究シ、議
會ノ問題トシタコトハ尠クナイノデアリマ
シテ、農政〓究會ナルモノガ農政振興ニ其
力アリ功アッタコトハ洵ニ多大デアルノデ
アリマス、然ルニ加納子等ガ斯ク熱心ニ之
ガ創立ニ盡サレテ、爾來二十年ノ年所ヲ經
タル此農政〓究會ガ、近クハ動モスレバ其
結果ニ弛ミヲ生ジハセヌカノ觀ガアッタノ
デアル、是ハ昨日長田君ノ言ハレタ通リデ
アリマス、然ルニ更ニ玆ニ甦シテ此度ノ新選
擧ニ集ッタノヲ機會ニ、舊ニ復ッテ此趣意ヲ
徹底シヤウト云フノガ御同樣熱心ナル希望
デアリマス、然ルニ昨日ハ種々ノ經緯ヨリ斯
樣ナ紛擾ニリナマシタガ、併シ幸ニソレニ
ハ松田源治君ノ如キガアッテ、我ガ意見ガ容
レラレヌデ、更ニ委員長ノ報告ニ贊成セラ
レタコトハ、驟雨一過晴天ヲ見ルノ思ガア
ル、洵ニ是ハ天空海潤ノ感ガアル、將來希
クバ此精神ヲ以テ農政ハ決シテ一己自分ノ
モノデハナイノデアリマス、國家ノ大問題
デアリマスカラ、此農政ノ問題ニ付テハ從
來ノ精神、國家精神ヲ以テ共ニ相協力シテ
進マレンコトヲ、玆ニ一身上ノ辯明ヲスルト
同時ニ此經歷ヲ申上ゲテ、滿堂諸君ノ切ニ
御注意ヲ望ム次第デアリマス(拍手)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=3
004・土井權大
○土井權大君　關稅ニ關スル委員會ガ開キ
タイノデアリマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=4
005・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　許可致シマス
-日程第一鑛業法中改正法律案ノ第一
讀會ノ續ヲ開キ、委員長ノ報告ヲ求メマス、
委員長佐々木文一郞君
第鑛業法中改正法律案(政府提出、
貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一鑛業法中改正法律案(政府提出、貴族院
送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
大正十三年七月十七日
鑛業法中改正法律案委員長
佐々木文一
衆議院議長粕谷義三殿
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=5
006・山口義一
○山口義一君　營業稅ノ廢止ニ關スル委員
會ヲ開キタイト思ヒマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=6
007・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　許シマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=7
008・山口義一
○山口義一君　ドウカ委員ノ諸君ハ御集リ
ヲ願ヒマス
〔佐々木文一君登壇〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=8
009・佐々木文一
○佐々木文一君　鑛業法中改正法律案ノ委
員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマス、
本案ハ頗ル法文ハ簡單デゴザイマシテ、工
場法ノ第十五條ト同樣ノ規定ヲ鑛業勞働者
ニモ適用スルト云フ意味ニ於テ、本案ガ提
出セラレテ居リマス、其主ナル要點ハ現
在ノ鑛業法ノ八十條ニハ自己ノ重大ナル過
失ニ因ラズシテト云フ、卽チ過失除外ノ規
定ガアリマスガ、之ヲ除カレマシタノガ今
度ノ本案デアルノデアリマス、是ハ此重大
ナル過失ト云フコトヲ除イタナラバ、鑛業
者卽チ鑛山業ヲヤル者ガ非常ニ困難ヲ受ケ
ハシナイカ、斯ウ云フ質疑ガ委員會ニ於テ
起リマシタノデアリマス、所ガ是ハ政府ノ
答辯セラレル所ニ依リマスレバ健康保險
法ノ六十一條ニモ規定シテアルヤウナ趣意
ニ依ッテ、故意ニ危險ニ關シマスル業務ニ當
ル業務上ノ監督者ノ指揮ニ從ハナイ爲ニ生
ジタル疾病、傷害等ニ付テハ之ニ休業手當
ヲ支給シナイデモ宜シイ、斯ウ云フ意味ハ
命令ニ於テ規定ヲスルト云フ趣意デアリマ
シタ、大體ニ於テ本案ハ工場勞働者ト鑛業
ニ從事スル鑛業勞働者トノ間ニ、權衡ヲ保
ツ爲ニ本案ヲ提出セラレタモノデアリマシ
テ、貴族院ニ於テモ既ニ可決ヲ致シテ本院
ニ廻ッテ居リマスル次第デアリマスカラ、委
員會ハ全會一致ヲ以テ原案ヲ可決スベキモ
ノト決定致シマシタ、右御報告致シマス(拍
手)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=9
010・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　本案ノ第二讀會
ヲ開クヤ否ヤヲ御諮リ致シマス
〔「二讀會開クニ異議ナシ」ト呼フ者ア
リ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=10
011・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　御異議ナシト認
メマス、第二讀會ヲ開クコトニ決シマシタ
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=11
012・作間耕逸
○作間耕逸君　直ニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、
第三讀會ヲ省略シテ委員長報告ノ通リ可決
セラレンコトヲ望ミマス
〔「異議ナシ」ノ聲起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=12
013・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　作間君ノ動議ニ
御異議ナシト認メマス直ニ第二讀會ヲ置
キ、議案全部ヲ議題ト致シマス
鑛業法中改正法律案第二讀會(確定議)
〔「異議ナシ」ノ聲起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=13
014・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　第三讀會ヲ省略
シテ委員長報告通リ可決確定致シマシタ
-日程第二、〓國及朝鮮國在留帝國臣民
取締法廢止法律案ノ第一讀會ヲ開キマス、
提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス、柏田忠一君
第二〓國及朝鮮國在留帝國臣民取締
法廢止法律案(柏田忠一君外一名提
出第一讀會
〓國及朝鮮國在留帝國臣民取締法廢止
法律案
〓國及朝鮮國在留帝國臣民取締法ハ之ヲ
廢止ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=14
015・柏田忠一
○柏田忠一君　簡單ニ此席カラ說明ヲ致シ
マス、該法律ハ今ヲ距ルコト三十八年前、明
治二十九年四月ニ制定サレタモノデアリマ
ス、其法律ノ内容ハ當時日〓戰爭直後デア
リマシテ、支那ニ於ケル領事裁判制度ガ未
ダ確定セズ、尙ホ戰㨗ノ後ヲ承ケテ、日本人
ガ朝鮮竝ニ支那ニ向ッテ續々參リマシタ結
果、アノ地方ニ於ケル治安ヲ妨害シタリ、公
安良俗ヲ害スル者ガ續々トシテ出ルヤウナ
始末ニナッタノデ、領事館ノ職務ヲ規定スル
法律ガナカッタガ爲ニ、已ムヲ得ズ該法律ヲ
以テ其地方ニ在留シテ居ル邦人ヲ取締ッタ
ノデアリマス其内容トスル所ハ領事館ニ
一年乃至三年ヲ限リト致シマシテ、邦人ノ
在留ヲ禁止スルト云フ權限ヲ與ヘタノデア
リマス、是ガ行政處分ヲ以テドシ〓〓ヤラ
レルト云フ風ナ始末デアリマシタガ、今ヲ
去ル三十餘年前ニ於テハ其必要ガアッタノ
デアリマスガ、其後時勢ガ變遷致シマシテ、
朝鮮國ハ我國ノ領土トナリ、該法律執行ノ
範圍カラシテ除去サレルコトニナリマシ
ケ、今日ト致シマシテハ僅カ支那ノ區域
ニ限ラレテ居ルノデアリマス、而シテ其後
明治三十二年ニナリマシテ、法律第七十號
ヲ以テ領事官ノ職務ニ關スル權限ヲ擴張シ
テ領事裁判權ヲ與ヘ、竝ニ立法權ヲ與ヘ、ソ
レカラ行政權ヲ與ヘルコトニナリマシタノ
デ、領事官ノ權限ハ舊來ヨリハ非常ニ廣汎
ナモノニナリマシテ、裁判、立法、行政ノ三
權ヲ併セテ許スコトニ相成ッタノデアリマ
ス、今日ト致シマシテハ明治二十九年ニ制
定サレタ法律ノ存在ノ必要ハナイノデアリ
マイ、然ルニ唯、是ガ領事ノ手ニ在リマス
ルト云フト若モ己ノ命令ニ從ハヌ者デア
ルナラバ、行政處分ヲ以テ在留ヲ禁止スル
ト云フコトモ出來ルノデ、在留邦人ノ一大脅
威デアルノデアリマス、爾來之ニ威サレ、或
ハ脅カサレマシテ、餘程支那ニ於ケル邦人
ノ發展ガ阻碍サレルト云フヤウナ嫌ガアツ
タノデアリマス、併ナガラ在留邦人ト致シ
マシテハ、若シ領事ノ意思ニ反スルヤウナ
行動ヲ執リマスト睨マレテ居ルガ最期、甚
ダ不利益デアル爲ニ敢テ是ガ廢止ヲ主張シ
タル者ガ無イト云フヤウナ有樣デアッタノ
デアリマス、今日トナリマシテハ殆ド其必
要ヲ認メマセヌノデ、私ハ此全部ヲ廢止シ
ヤウト云フ爲ニ提案シタノデアリマス、揚
子江沿岸ハ素ヨリ內地一般ノ在留邦人ハ其
廢止ヲ希望シテ居リマス、最近私ハ外務當
局ニ向ヒマシテ其存在ノ理由ヲ求メマシタ
所ガ、外務當局ノ言明スル所ニ依リマスト、
厦門邊ニマダ臺灣ノ人民ガアル、約三千人許
リアル、ソレ等ガ動モスレバ在留邦人ニ迫
害サレル虞アルガ爲ニ、是等ノ取締上必要
トスルト云フ辯明デアリマス、若シサウデ
アルトスレバ、明治三十二年ノ領事官ニ關
スル權利ト云フモノハ僅カ三千ノ臺灣人
民ヲ保護取締ル所ノモノデアッテ、在鮮二十
万ノ同胞ヲ犠牲ニスルト云フコトニナリマ
スルノデ、該法案ハ全部撤廢スルコトニ致
シタイト思フノデアリマス、ドウゾ滿堂ノ
諸君、御賛成ノ上直ニ該法律ヲ廢止セラル
ルコトニ御賛成ヲ願ヒタイノデアリマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=15
016・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ議長指名、九名ノ特
別委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス
〔「贊成」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=16
017・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　作間君ノ動議ニ
御異議ナイト認メマス、仍テ動議ノ如ク決
シマス-作間耕逸君ヨリ議事進行ニ關ス
ル發言ノ通告ガアリマス、作間耕逸君
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=17
018・作間耕逸
○作間耕逸君　會期モ愈〓本日ニ限ラレ且
ツ議案モ輻輳ノ如クデアリマスカラ、各建
議案ノ主旨辯明ハ、成ベク之ヲ略セラルヽ
事トシ、若シ之ヲ略セラレザルモノモ其陳
述ハ提案者ガ自席ヨリ簡單ニ之ヲ爲スベキ
コトヲ、議長ヨリ御勸告アランコトヲ望ミ
マス
〔「賛成」「賛成」ノ聲起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=18
019・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　只今作間君ノ動
議ガ出マシタ、本日ハ御承知ノ通リ日程ハ
山ノ如クアルノデアリマスカラ、皆樣ガ時
間ヲ節約スル爲ニ、成ベク摘要ノミノ御說
明ニ依ッテ、自席ニ於テ發言セラレンコトヲ
望ミマス、日程第三、私有林野造林國庫補
助ニ關スル、建議案ヲ議題ト致シマス、提
出者ノ趣旨辯明ヲ求メマス、村山喜一郞君
第三私有林野造林國庫補助ニ關スル
建議案(村山喜一郞君提出)
私有林野造林國庫補助ニ關スル建議案
私有林野造林國庫補助ニ關スル建議
我カ邦森林ノ蓄積近年著シク減少ヲ告ケ
今ヤ工業ノ進步生活ノ向上ニ伴ヒ木材ノ
消費逐年急激ナル增加ヲ來タシ伐採頻ニ
行ハルルモ植萩之ニ伴ハス特ニ大正十一
年十二年ニ於テ海外ヨリ其ノ輸入ヲ仰キ
タル數量ハ驚クヘキ巨額ニシテ正ニ產業
上ノ一大脅威タラスムハアラス政府ハ我
カ邦林野面積ノ七割ヲ包容スル私有林野
ノ造林ニ對シ速ニ國庫補助ノ方策ヲ樹立
シ以テ造林奬勵ノ實ヲ擧ケラレムコトヲ
望ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=19
020・村山喜一郎
○村山喜一君　議席ヨリ本案提出ノ理由ヲ
簡單ニ說明致シマス、本案提出ノ趣旨ハ、我
國木材ノ石數ガ益、減少ヲ告ゲルコト甚シ
キ狀態ニ鑑ミマシテ、一日モ速ニ造林獎勵
ノ實ヲ擧ゲナケレバナラヌト云フコトガ其
眼目デアリマス、隨テ公有林野ニ對シテハ
農商務省ガ治水費ヲ以テ造林費ヲ補助ヲ致
シテ居ルノデアリマス、卽チ治水ノ關係ニ
於テ公有林野ト私有林野ト其間何等價値ニ
於テ懸隔アルノデハナイノデアリマス、單
リ公有林野ニノミ補助ヲ與ヘテ、私有林野
ヲ関却スルト云フコトハ公平ヲ得タモノデ
ナイト思料致シマスル爲ニ、私有林野造林
ニ對シテモ公有林野補助ノ趣旨ニ鑑ミテ、
同樣ノ補助ヲ國庫ヨリ支給アランコトヲ望
ムト云フ趣旨ナンデアリマス、、御質成ヲ求
メマス(拍手)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=20
021・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　作間耕逸君
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=21
022・作間耕逸
○作間排逸君　本案ハ土井権大君提出ノ部
落有林野統一緩和ニ關スル建議案外一件委
員ニ併セテ付託セラレンコトヲ望ミマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=22
023・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　作間君ノ動議ニ
御異議ナイト認メマス、其動議ノ如ク決シ
マス日程第四、農村副業奬勵ニ關スル建
議案ヲ議題トナシ、提出者ノ趣旨辯明ヲ許
シマス-隅田豐吉君
第四農村副業奬勵ニ關マル建議案(隅
田豐吉君外二名提出)
農村副業災勵ニ開スル建議案
農村副業奬勵ニ關スル建議
現下我カ國農村ノ困憊ハ甚大ニシテ政府
竝民間ニ於テモ共ニ其ノ振興策ニ付屬心
シツツ在リ又議會ニ於テモ建議或ハ質問
ノ形式ヲ採リ政府ノ所見ヲ質シ或ハ民意
ヲ獻策シツツ在リ然レトモ未夕徹底的ニ
之ヲ力說激勵セルヲ見サルハ甚夕遺憾ト
スル所ナリ政府ハ國家ノ基礎タル農村ノ
振興ニ關シ副業其ノ他何等カノ方策ヲ樹
立シ之カ救濟方法ニ付速ニ相當ノ處置ヲ
請セラレムコトヲ望ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=23
024・隅田豐吉
○隅田豐吉君　只今議題トナリマシ夕農村
副業奬勵ニ關スル建議案提出ノ一人トシテ、
趣旨辯明ヲ簡單ニ致シマス、我ガ農村ノ疲
弊困憊シテ居ッテ、極メテ悲慘ノ境遇ニ沈淪
シテ居ルト云フコトハ、一昨々日以來ノ當
議場ニ於テ各派ノ鬪將ガ各、雄辯ヲ揮ッテ
御陳述ニナリ、是ガ原因竝ニ對策ニ付テ遺
憾ナク辯明セラレテ居リマスル故ニ、之ヲ
省略致シマスガ、要スルニ國家ト致シマシ
テモ、斯ノ如ク多數國民ヲ永ク悲慘ノ境遇
ニ沈淪セシメ、而モ之ヲ放任シテ置クト云
フコトハ確カニ國政上ノ一大缺陷ト思フ
ノデアリマス、故ニ朝野ヲ擧ゲテ今ヤ農村
振興ノ聲ガ甚ダ盛ンデアル、當臨時議會ノ
如キハ殆ド農村振興ノ議題ト言ノテモ宜イ
程盛ニ論議サレタ次第デアリマス、既ニ農村
振興ノ建議案ハ昨日ノ本會ニ於テ可決確定セ
ラレマシタ、其上ニ本員等ガ尙ホ農村副業
獎勵ニ閣スル建議案ヲ提出シテ之ヲ辯明ス
ルト云フコトハ、聊カ屋根ノ上ニ屋根ヲ自
キ屋上屋ヲ重ヌルノ感ナキ能ハスデアリマ
ス、我國ノ農業施設ト云フモノハ所謂小作
法デアリマシテ、米竝ニ麥ヲ以テ我ガ農家
ノ經濟ヲ維持シ、農家ノ經濟ヲ鞏固ニスル
ト云フコトハ甚ダ貧弱デアルノデアリマス、
故ニ吾々ハドウシテモ此農家ノ餘剩力
餘ノテ居ル所ノ能力ヲ經濟的ニ利用スル上
ニ於テ、ドウシテモ此農家ノ副業ト致シマ
シテ、其地方ニ適切ナル副業ヲ奬勵シ之ヲ
發達セシメテ、以テ農家ノ經濟ヲ十分鞏固
ニスルト云フ對策ヲ講ズルト云フコトハ
農村振興ニ於テ最モ急且ツ要ヲ得タモノト
私ハ信ズルノデアリマス、之ヲ統計ニ依ノテ
徴シマシテモ、米竝ニ麥ノ產額ハ、米ハ
年ノ產額六千万石而シテ一石三十五圓トシ、
之ヲ合計致シマシテ二十一億圓デアリマス
麥其他ノ雜穀ガ一箇年約三千万石トシマシ
テ之ヲ合計シテ二十圓ノ價格ニ積ルト六
億圓デアル、合計二十七億圓デアリマスガ、
而モ副業トナッテ居ル所ノモノハ、僅ニ農商
務省ノ統計ニ依リマシテモ、副業ノ中ノ繭
ハ五億七千三百万圓デアリマス、是ハ最近
ノ調査テアリマス、尙ホ其他繭ヲ除キマシ
タ副業ニ於テモ五億千四百万ト云フ統計ガ
現レテ居ルノデアリマス、斯ノ如ク米、麥
作卽チ本業以外ノ副業ノモノハ合計十一
億六千万圓强位デアリマシテ、之ヲ「パー
セント」ニ直シマシテモ殆ド五割デアリマ
ス、卽チ「五十パーセント」ノ價格ヲ持シテ
居ルノデアリマス、斯ノ如ク我ガ農家ノ經
濟ニ重大ナル關係ヲ持シテ居ル所ノ此副業
デアリマス、而モシレニ對シテ從來ノ政府
當局ハ何等十分ノ施設經營ヲセラレテナイ
ト云フコトヲ、本員等ハ遺憾トシテ居ル次
第デアリマス、誠ニ蘭卽チ養蠶ノ方ニ付テ
考ヘテ見マシテモ、僅ニ農商務省ノ一局ニ
蠶絲課ト云フ貧弱ナル課ガアルノミデ、而
モツレニ對シテ奬勵金ハナイノデアリマス、
更ニ繭以外ノ副業、卽チ三百幾十種アル副
業ニ對シテハ大正十三年ノ豫算ニ於テ僅
ニ十三万七千餘圓ト云フモノヲ計上サレテ
居ルノデアンテ三百殺十種アル副業ニ對シ
テ一縣僅ニ三百圓內外ノコトシカ與ヘラレ
テ居ラナイノデアリマス、政府當局ハ之ニ
對シテ十分調査シ、更ニ將來ノ對策ヲ講ゼ
ラルヽト云フコトデアリマスルガ、本員等
ハ斯ノ如キ我國農家ノ經濟ニ重大ナル關係
コ及ボスモノヲ益ニ發達セシメ、益〓奬勵セシ
ムルガ爲ニ、政府當局ニ於テハ此農村振興
ノ聲ノ盛ナル時ニ於テ、面モ我ガ農村ハ極
メテ悲慘ナル狀態ニ沈ム〓致シテ居ル、之ヲ救
濟スル爲ニ莫大ノ努力ヲセラレマシテ、十
分ナル御提案ヲ爲サルベク、次ノ議會ニ御提
案アランコトヲ切ニ希望シマシテ、本員等
ハ此建議案ヲ提出致シタ次第デアリマス、何
卒滿場ノ御賛成ヲ願ヒマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=24
025・作間耕逸
○作間料逸君　本案ハ特ニ提案ノ趣旨ニ鑑
ミテ、卽決ヲ以テ可決セラレンコトヲ望ミ
マス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=25
026・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　作間君ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=26
027・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　御異議ナイト認
メマス、作間君ノ動議ノ如ク可決致シマシ
タ日程第五乃至第八ノ議案ハ提出者ガ同
一デアリマスカラ、一括シテ議題ト爲スニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=27
028・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　御異議ナイト認
メマス、日程第五、私學復興ニ關スル建議
案、日程第六、大學令中改正ニ關スル建議
案、日程第七、私立學校令中改正ニ關スル
建議案、日程第八、高等學校令中改正ニ關
スル建議案ヲ一括シテ議題ト致シマス、提
案者ノ趣旨辯明ヲ許シマス、山下谷次君
第五私學復興ニ關スル建議案(山下
谷次君提出)
私學復興ニ關スル建議案
私學復興ニ關スル建議
由來私立學校ノ經營ハ困難ナリト言フ最
大原因ハ其ノ校舍カ民法ノ規定上完全ニ
資本化シ得サルニ依ル然ルニ昨年ノ大震
火災ハ一朝ニシテ校舍校具ノ一切ヲ灰爐
ニ歸シタルモノ其ノ數實ニ多シ是等ノ私
立學校カ一時ニ復舊或ハ復興ヲ計ルモ容
易ノ業ニ非ス假ニ政府カ三百萬圓四百萬
圓ヲ低利ニテ貸付クルモ九牛ノ一毫ナリ
故ニ此ノ私學ノ復興ヲ計ルニハ其ノ校舍
ヲ完全ニ資本化シ得ル特別法ヲ設クルハ
刻下ノ急務ナリト信ス依テ政府ハ之カ救
濟法ヲ制定セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第六大學令中改正ニ關スル建議案(山
下谷次君提出)
大學令中改正ニ關スル建議案
大學令中改正ニ關スル建議
現行大學令ハ道及府縣ニ限リ公立大學ノ
設立ヲ認メ市ヲ除外シタルハ時勢ノ進運
ニ應スル所以ニ非ス仍テ政府ハ本令ニ改
正ヲ加ヘ北海道府縣ノ下ニ「文部太臣ノ
指定スル市」ヲ追加セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第七私立學校令中改正ニ關スル建議
案(山下谷次君提出)
私立學校令中改正ニ關スル建議案
私立學校令中改正ニ關スル建議
明治三十二年八月三日勅令第三百五十九
號私立學校令第二條ノ二ヲ削除セラレム
コトヲ望ム
右建議ス
第八高等學校令中改正ニ關スル建議
案(山下谷次君提出)
高等學校令中改正ニ關スル建議案
高等學校令中改正ニ關スル建議
大正七年十二月勅令第三百八十九號高等
學校令第十二條中「中學校第四學年ヲ修
了シタル者」ヲ「中學校第五年ヲ卒業シ
タル者」ニ改正セラレムコトヲ望ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=28
029・志賀和多利
○志賀和多利君　委員會ヲ開キタイト思ヒ
やった、部落有林野統一緩和ニ關スル建議案
ノ委員會ヲ開キタイト思ヒマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=29
030・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　許可致シマス
〔山下谷次君登壇〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=30
031・山下谷次
○山下谷次君　昨年ノ大震大火ノ被害ヲ受
ケタル私立學校ハ二百校アリマスノデ、其
中ニ收容シテ居リマスル生徒ノ數ハ二十万
人其損害高ガ二千万圓ニ達シテ居リマス
ノデ、之ヲ復興シヤウト致シマスレバ、
億万圓カラ金ガ要ルノデアリマス、然ルニ
政府ハ今日マデニ百五十万圓ノ補助ヲ致シ
マシテ、是カラ尙モ三百万圓ノ補助ヲスル
サウデアリマスガ、結局政府ノ補助ハ四百
五十万圓、ソレデ一億万圓ノ復舊費ニ當テ
ネバナラヌノデアリマスカラ、私立學校ノ
經營者トシテハ非常ナ困難ヲ來シテ居ルノ
デアリマス、此救濟策ト致シマシテハ今
マデハ民法ノ規定ニ依リマシテ私立學校ノ
校舍ハ完全ナル擔保ニナラヌノデアリマス
カラ、政府ガ特別派ヲ拵ヘマシテ、學校ノ
校舍ガ完全ナル擔保ニナルト云フコトニナ
リマシタナラバ、五十万圓ノ建築ヲ致シマ
シテ其八割ヲ擔保ニシテ借リルト致シマシ
タナラバ、二割ダケ寄附ナリ或ハ其他ノ方
法デ拵ヘレバ宜イノデアリマスカラ、私學
ノ復興ハ容易ニナルコトヽ思ヒマス、故ニ
政府ト致シマシテハ特別法ヲ設ケマシテ、
學校ノ校舍ガ安全ニ擔保ニナルヤウニシテ
戴キタイト思ヒマス、是ガ本案ヲ提出致シ
マシタ理由デアリマス、第六ノ大學令中改
正ニ關スル建議案ハ是ハ大學ト云ヒマシ
テモ卽チ私立大學デアリマスガ、政府ハ常
ニ私學ト官學トノ區別ヲセヌト常ニ申サレ
テ居リマスルガ、此大學ナドニ於テハ最モ
官學ト私學トヲ區別シテ居ルノデアリマス、
卽チ大學令ノ第七條ニハ私立大學ヲ設立ス
ル時ニハ、一學部ニ對シテ五十万圓ノ保證
金ヲ政府ニ供託スベシ、尙ホ其上ニ一學部
ヲ增ス每ニ十万圓ノ金ヲ納メル卽チ政府
ニ保證金ヲ供託サシテ學校ヲ經營サセテ居
ルノデアリマス、苟モ〓育者デアノテ、國家
ノ〓育ヲ經營スル者ヨリシテ保證金ヲ取ル
ト云フコトハ〓育ノ權威ヨリ致シマシテ
モ是ハ宜シクナイト思フノデアリマス、故
ニ大學令第七條ノ此一學部ニ付テ五十万圓、
一學部ヲ曾ス每ニ十万圓ト云フ供記金ハ除
ケルヤウニ改正ヲ願ヒタイノデアリマス、
ドウゾ宜シク御願ヒ致シマス、ソレカラシ
テ其次ノ私立學校令中改正ニ關スル建議案
ハ、私立學校令ノ第二條ノ二ト云フ所ニ「私
人ニシテ中學校又ハ專門學校ヲ設立セムト
スルトキハ其ノ學校ヲ維持スルニ足ルベキ
收入ヲ生ズル資產及設備又ハ之ニ要スル資
金ヲ具ヘ民法ニ依リ財團法人ヲ設立スヘシ」
ト書イテアル、、政府ハ〓育ノ根本ヲ財產ニ
置イテ居ルノデアリマス、是ガ今日社會ガ
斯ノ如ク惡化シ、赤化シテ居ル所ノ原因デ
アル、〓育ノ眞ノ目的ハ人間ヲ造ルノデアル、
然ルニ政府ノ遣方ハ資產ヲ根抵ニ置イテ〓
育ヲヤッテ居ルカラ間違シテ居ル、民法ノ所
謂法人組織ニ依シタ學校ガ、學校騷動ヲ起シ
テ居ルノデアリマス、諸君ノ御承知ノ通リ
法人ニ依ッテヤレバ多數決デ行クノデアリ
やっ、此校長ガイカヌトスレバ、多數ノ評
議員ノ贊成ヲ得サヘスレバ校長ノ排斥ガ出
來ルノデアリマス、ソレガ卽チ法人、外國
ヨリ舶來シテ來夕所ノ法人ノ賜物デアリマ
ス、是等ニ鑑ミテ法人ノ如キヲ削ノテ私人
ニシテ眞ニ〓育ニ理解ノアル者ガ學校ヲ建
テルト云フナラバ、ドシ〓〓御許シニナッテ
宜カラウト思フノデアリマス、殊ニ今日ハ
學校ガ澤山燒ケマシテ、建ルニ困難ヲ來シ、
生徒モ困シテ居ル時デアリマスルガ、中ニ此
條項ガアルナラバ建テルコトモ出來マセズ、
隨テ多數ノ靑年ハ學途ニ迷フノデアリマス
カラ、斯ノ如キ規定ハ此際削除シテ貰ヒタ
イト思ヒマス、是ガ私立學校令中改正ノ眞
意デアリマス、高等學校令中改正案ハ、高
等學校令ニハ中學ノ四年ヨリ入學ヲ-四
年ヲ修了シタ者ニ入學ヲ許スト云フ規定ガ
高等學校令ニアルノデアリマス、是ガ爲ニ
中學ノ四年生ハ-中學校ノ四年ノ學科目
ヲ疎カニシテ、高等學校ニ入ラウト云フ豫
備ノ爲ニ豫備〓育ヲ受ケテ居ルト云フヤウ
ナ有樣デアル、中學校ノ〓育ハ四年ノ時代
ヨリ殆ド受ケテ居ラナイノデアリマス尙
且ツ五年生ニ至リマスルト云フト、四年ノ
時ニ下ゲラレタ劣等ノ生徒ガ殘シテ居ル、且
ツ其生徒モ四年ハ濟ンデ居リマスカラ、高
等學校ニ入學スル資格ガアルト云フ二ツノ
考ヨリシテ、中學ノ〓育ト云フモノヲ完全
ニ受ケテ居ラヌノデアリマス、故ニ中等〓
育ノ最モ値打ノアル所ハ四年、五年ノ間ニ
造ルノデアリマスルガ、其四年、五年ト云
フモノガ殆ド成シテ居ラスノデアリマス、是
等ニ鑑ミマシテ社會ノ中流ノ人物ヲ拵ヘル
ト云フ意味ヨリ、中等〓育ヲ施シテ居ルノ
デアリマスカラ、其眞意ガ達セラレルヤウ
ニスルニハ高等學校ノ學令ヲ改正シマシ
テ、四年ヨリ高等學校ニ入レルト云フコト
ヲ廢メテ、五年ヲ卒業シタ者ヲ人レルト云
フ風ニシタナラバ中學校ノ〓育ハ完全ニ
行ハレルコトヽ思ヒマス、是ハ中學校長會
議デハ既ニ決議ニナシテ居ルノデアリマス
ケレドモ、文部當局ハ之ニ一向鑑ミテ吳レ
ナイノデアリマス、ドウカ是ハ諸君ノ御盡
力ヲ以チマシテ全部私ノ申上ゲタ通リ可決
アランコトヲ偏ニ希望致シマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=31
032・原惣兵衞
○原惣兵衞君　議長
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=32
033・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　原君、何デスカ
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=33
034・原惣兵衞
○原惣兵衞君　山下谷次君ニ賛成ノ意見ヲ
述ベタイト思ヒマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=34
035・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　簡單ニナラバ許
シマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=35
036・原惣兵衞
○原惣兵衞君　私立大學ノコトハ重大ナ問
題デアリマシテ、非常ニ結構ト思ヒマスカ
ラ、是非此問題ハ諸君ノ御賛同ヲ願ヒマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=36
037・作間耕逸
○作間耕逸君　此議案ハ議長指名、九名ノ
特別委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=37
038・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　作間君ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=38
039・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　御異議ナイト認
メマス、動議ノ如ク決シマス、日程第九、東
京港修築及京濱運河促進ニ關スル建議案ヲ
議題ト致シマス、提出者ノ趣旨辯叫ヲ許シ
マス-若尾幾太郞君
第九東京港修築及京濱連河開鑿促進
ニ關スル建議案(若尾幾太郞君外二
名提出)
東京港修築及京濱運河開鑿促進ニ關ス
ル建議案
東京港修築及京濱運河間蔡促進ニ關
スル建議
政府ハ速ニ東京港修築及京濱運河開鑿ヲ
實施セラレムコトヲ望ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=39
040・若尾幾太郎
○若尾幾太郞君　簡單ニ說明致シマス、
都ノ復興ヲ促進シ、國家經濟ノ恢復ヲ圖ル
ベキ應急ノ施設ハ固ヨリ各方面ニ互リマ
シテ尠カラザルコトデアリマスルガ、就中
最モ緊急適切ナル施設ハ京濱兩港ノ水陸
設備竝ニ兩港聯絡ノ機開ヲ完備シ、物資ノ
配給ヲ送速圓滿ナラシムルコトニアルト思
ヒマス、卽チ橫濱港ノ復舊工事竝ニ既定擴
張計畫ノ速成ヲ圖ルト共ニ、東京港ニ適當
ナル港灣設備ヲ施シ、且ツ兩港ヲ聯絡セシ
メンガ爲ニ、京濱運河ヲ開鑿スベキハ最早
議論ノ餘地ヲ存セザル所ト信ズルノデアリ
マス、由來東京港ハ其港灣ノ設備備ハラザ
ルガ爲ニ、僅ニ五六百噸級ノ船舶ヲ入レル
ニ過ギマセヌデシタガ、一タビ歐洲大戰ガ
起リマシテカラ、我國經濟界ガ頓ニ活氣ヲ
呈シ來リマシタガ爲ニ、未ダ曾テ其片影
ダニ見ナカッタ所ノ千噸級ノ船舶ガ忽チ芝
浦地先ニ入港シ、常ニ五七艘ノ碇泊ヲ見ル
ニ至リ、尙ホ此趨勢ハ年ヲ逐ウテ益〓旺盛ニ
ナラントスルノ傾向ヲ呈シテ居ルノデアリ
やっ、偶ニ昨年ノ大震災ニ遭遇致シマシテ、
罹災地市民ノ日常生活ニ資スル物質ノ外、
帝都復興材料ノ移入俄然トシテ起リマシ
テ、千噸級乃至二千噸級ノ近海航路船ガ卒
然トシテ芝浦地先ニ蝟集シテ航路ヲ閉塞ス
ルノミナラズ、四五千噸級ノ船舶ガ臺場ノ
遙カノ沖ニ碇泊ニシテ、風浪ヲ圓シテ荷役
スルガ如キ狀況ヲ呈シマシテ、其操縱ノ危
險荷役ノ困難實ニ名狀スペカラザルモノ
ガアッタノデアリマス、是ハ全ク港灣設備ノ
缺陷ニ依ルノデアリマシテ、若シ現狀ノ儘
ニ放任シテ置クナラバ、啻ニ諸物資配給
ノ圓滑ヲ缺キ、賃率ヲ增嵩セシムルノミナ
ラズ一般ノ復興ヨ遲延セシメ、生產的活動
ヲ抑制シ、國連ノ恢復仲張ニ多大ノ惡影響
ヲ及ポスコトト思ハレルノデアリマス、故
ニ適當ノ港ノ設備ヲ迅速ニ完成シマシテ、
以上ノ缺陷ヲ補足スルコトハ一日モ等閑ニ
付スベカラザル喫緊事デアルト信ジマス、
而シテ横濱港ハ既定施設ノ完成ヲ企圖スル
ト共ニ、東京港ト相俟ノテ兩港ノ共存共榮ヲ
圖ルハ頗ル重要ナル意義ヲ有スルモノト
云フベキデアリマシテ、今横濱港輸入貨物
ノ移動狀態ヲ見マスルノニ、其約八割ハ東
京ニ輸送スベキモノデアリマシテ、其七割
ハ船船ニ依ッテ運送セラレルモノデアリマ
ス此艀船ノ運送ハ京濱運河ニ非常ナル關
係ヲ持ッテ居リマス、斯ノ如キ實况ニ在ルノ
デアリマシテ、京濱間廻漕ノ遲速、其賃率ノ
高低ハ直接間接ニ國民ノ生活上ニ至大ノ關
係ヲ有スルモノデアリマス、ノミナラズ帝都
ノ復興事業ニ影響スルコトハ多大ナモノデ
アリマシテ、是ハ疑フ餘地ハナイノデアリ
やっ、由來兩港ノ水上ノ聯絡ノ障碍ハ、東
京灣內ノ最難所タル羽田沖ニアルト稱ヘラ
レマシテ、每年艀船ノ沈沒又ハ衝突ノ頻出
スルモノ多ク、殊ニ二八月ノ頃ニ東北束ノ
烈風ノ爲ニ豪雨ヲ齎シ、六〓川ノ出水甚シ
キ時ハ航行全ク杜絕スルコトハ稀デナイノ
デアリマス、隨テ平均一箇年ノ一艀船ノ廻
航數ハ僅ニ三十六回ヲ超ユルコトハ出來ナ
イト云フヤウナ次第デアリマシテ、勢ヒ其
賃銀ノ高率ナルモノハ他ニ類例ヲ見ナイ所
デアリマシテ、此缺點ヲ除去スルニハ、一ニ
此京濱運河ノ開鑿ヲスルヨリ外ハナイノデ
アリマス、若シ此京濱運河ガ開鑿セラレマ
シテ、工業ノ竣成ヲ見マシタナラバ、此埋
立ニ依シテ得タル所ノ土地、其土地ハ水陸ノ
便利ニ依シテ忽チ工場地帶ト化スルノデア
リマシテ、生產業ノ發達亦見ルベキモノガ
アルノデアリマス、是ハ一擧ニシテ兩得ヲ
スルノデアリマシテ、經濟復興上一日モ忽
〓ニ付スルコトハ出來ナイ尙ホ此計畫ハ
復興計畫ノ中ニ入レラルベキモノト思ッテ
居リマシタガ、此臨時議會ニ於テ豫算ヲ拜
見シマスルト、之ニ計上サレテ居ラナイト
云フ所カラ、自ラ豫算會議ニ於テモ質問ヲ
爲シ、又之ヲ爲スコトハ土地ヲ得ルコト及
京濱間ニ於ケル賃銀ヲ低下スルコトニ依ソ
テ、又物資ノ運輸ヲ便ニスルコトニ依ノテ、
多大ナル影響ヲ得ベキコトハ數字ノ上ニ
於テ明カナ事デアリマスカラ、何卒一日モ
早ク此竣成ヲ見マスヤウニ、諸君ノ御賛同
ヲ得テ、政府ニ於テ成ベク來ル議會ニ於テ
豫算ニ編成セラルヽヤウニ諸君ノ御盡力ヲ
願ヒタイ、御賛成ヲ御願ヒ致シマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=40
041・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ特ニ提案ノ趣日ニ鑑
卽決可決セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ノ聲起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=41
042・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　作間君ノ動議ニ
御異議ナイト認メマス、仍テ動議ノ如ク可
決致シマシタ-日程第十、京濱運河開鑿
促進ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス、提
出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-平沼亮三君
第十京濱運河開鑿促進ニ關スル建議
案(平沼亮三君外二名提出)
京濱運河開鑿促進ニ關スル建議案
京濱運河開鑿促進ニ關スル建議
政府ハ速ニ京濱運河開鑿ヲ實施セラレム
コトヲ望ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=42
043・平沼亮三
○平沼亮三君　東京港修築及京濱運河ニ關
シマシテ、只今若尾君カラ說明ガアリマシ
ケ、京濱運河ノ開鑿モ其中ニ這入シテ居リ
マスカラ、極メテ簡單ニ申シマスガ、此京
濱運河ノ開鑿ハ一朝一夕ノ問題デハナイ、
今日ヨリ十數年前識者ノ間ニ於テ唱ヘラ
レ、民間ニ於テ之ガ計畫ヲセラレ、又四十
六議會ニ於テモ建議案トシテ提出セラレタ
ノデアリマス、先達ノ帝都復興評議員會ニ
於テモ是ガ問題ニナリマシテ滿場一致ヲ
以テ促進スルコトニ決定致シマシタノデア
リマスガ、其當時審議會トカ申シマスル極
メテ少數ナル老人ヲ以テ組織シ、テ居ル會カ
ラ、是ハ復舊デハナイ復興デアルト云フヤ
ウナ理由ヲ以テ削除サレタノデアリマス、
其當時非常ニ多數ノ專門家ヲ以テ組織セラ
レテ居リマスル評議員會ニ於テハ滿場一
致ヲ以テ可決サレタモノガ、極メテ少數ノ
人ノ集リノ而モ老人ノ集リデアル審議會デ
削ラレタノデアリマス、尙又之ガ爲ニ受ケ
マスル利益ハ單ニ京濱間ニ止マリマセヌ
デ、只今ノ統計ニ依リマシテモ一年ニ四百
四十万圓位ノ利益ヲ受ケル勘定ニナッテ居
リマス、サウ致シマスルト假ニ是ガ帝都復
典院ノ調査ニ依リマシテ約一千二百万圓程
要スルサウデアリマスガ、其費用ノ如キハ
數年ナラズシテ取返スコトガ出來ルノデア
リマス、況ヤソレガ爲ニ尨大ナル土地ヲ得
ラレテ、更ニ又澤山ノ工場ガ出來マスレバ
一擧兩得ト申ス譯デアリマスカラ、ドウゾ
是ハ小サキ問題デゴザイマセヌデ、國家ノ
非常ナ利益デアリマスカラ、一日モ早ク促
進セラレンコトヲ希フ譯デアリマス、ドウ
カ御賛同ヲ願ヒマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=43
044・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ曩ニ本院ヲ通過シタ
ルモノト同種ノ議案ナルニ依リ、卽決ヲ以
テ可決セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「贊成」ノ聲起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=44
045・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　作間君ノ動議ニ
御異議ナイト認メマス、動議ノ如ク可決致
シマシタ-日程第十一東京灣築港速成
ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス、提出者
趣旨辯明ヲ許シマス-提出者太田信治郞
君
第十一東京灣築港速成ニ關スル建議
案(太田信治郞君外九名提出)
東京灣築港速成ニ關スル建議案
東京灣築港速成ニ關スル建議
東京灣築港ヲ速ニ完成セラレムコトヲ望
ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=45
046・太田信治郎
○太田信治郞君　今此問題ニ付キマシテ
ハ、若尾君カラモ御說明ガアリマシタガ、御
承知ノ通リ我國ノ經濟ハ目下非常ニ憂慮ス
ベキ狀態ニ居リマス、國際勘定ハ御承知ノ
通り輸入超過ニ輸入超過ヲ繼ギ、爲ニ國際
勘定ハ不權衡ヲ來シテ居ルト云フコトノ原
因ハ、要スルニ物價騰貴ニ在ルト思フノデ
アリマス、此物價騰貴ノ原因ハ何デアルカ
ト申シマスレバ、物貨ニ賦課スル負擔力ヲ
輕減スルノガ、第一デアリマス、行政ノ整
理財政ノ整理、朝野ガ意見ヲ一ニシテ居
ル財政行政ノ整理ヲスルト云フコトモ、要
スルニ政費ヲ節約スル原因ハ、物價ノ低落
ニ俟ツノガ一番デアルト信ジマス、此意味
ニ於テ我國ノ物價ノ標準ハ何ニ依シテ決ス
ルカト云ヘバ、我國ノ物價ノ標準ハ束京ニ
於テ決マルノデアリマス、東京ガ全國ノ物
價ノ標準トナルノデアル、此物價ノ標準ト
ナル東京ニ集散スル物資ハ海デ持シテ來ル
ノガ內地ニ於テ二百万、海外カラ來ルノガ
百五十万、東京カラ横濱ヲ經テ輸出スルノ
ガ約二十九万噸、斯ノ如キ輸出入ノ頻繁ナ
ル東京ニ於テ未ダ築港計畫ガアルニ拘ラ
下、ソレガ實行セラレヌト云フコトハ全
ク經濟界ノ上カラ參リマシテモ、國費ヲ節
約スル上カラ參リマシテモ、物償調節ノ上
カラ參リマシテモ、產業振興ノ上カラ參リ
マシテモ、一大缺點ト私ハ信ジマス、御承
知ノ通リ農村振興ハ旣ニ屢、審議セラレテ居〓
リマスガ、農村振興ノ上カラ申シマシテモ、
生活必需品ノ高價ナコトハ、如何ナル迷惑
ヲ農村ニ與ヘテ居ルカ分ラナイ、此生活必
需品ノ標準ヲ何處ニ取ルカト云フト東京
ノ物價ニ依ッテ定マルノデアル、此東京ニ於
テ定マル所ノ物價ヲ引下ゲ、貨物ノ負擔ス
ル所ノ費用ヲ節約スルト云フコトガ最大
急務デアリマス、而シテ横濱カラ東京ニ來
ル運賃ハ門司、若松カラ横濱ニ參リマス
運賃ト匹敵シテ居ル、桑港カラ横濱ニ來ル
運賃ト、横濱カラ東京ニ持ッテ來ル運賃ト大
差ナイト云フコトハ、其相違ノ甚シキモノ
デアルト信ジマス、故ニ速ニ東京灣築港ヲ
速成セラレテ、サウシテ京濱運河ヲ經由シ
テ海外ニ輸出スルモノニ付キマシテハ、今
申ス二十九万噸ノ輸出貨物ガ、旣ニ非常ナ低
廉ナ艀賃ヲ掛ケラレテ居ルノト、高イ艀賃
ヲ以テ海外ニ輸出スルノトデハ、輸出奬勵
ノ點ニ於テ至大ノ關係ガアリマスルカラ、
速ニ啻都復興ニ併セテ束京灣築港ヲ速成セ
ラレンコトヲ切ニ希望スル次第デアリマ
ス、何卒滿場諸君ノ御賛成ヲ望ミマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=46
047・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ提案ノ趣旨ニ鑑ミ、
卽決ヲ以テ可決セラレンコトヲ望ミマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=47
048・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　作間君ノ動議ニ
ハ御異議ナイト認メマス、仍テ作間君ノ動
議ノ如ク可決セラレマシタ、日程第十二、蠶
絲業ノ根本政策ニ關スル建議案ヲ議題ト致
シ、提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-武藤
金吉君
第十二蠶絲業ノ根本政策ニ關スル建
議案(武藤金吉君提出)
蠶絲業ノ根本政策ニ關スル建議案
蠶絲業ノ根本政策ニ關スル建議
蠶絲業ハ國家經濟上至重至要ノ產業ナリ
ト雖從來ノ實狀ニ鑑ミ之ヲ自然ニ放任ス
ルトキハ到底其ノ健全ナル發展ヲ期圖シ
難キノミナラス或ハ却テ其ノ衰退ヲ招ク
カ如キコトナキヲ保セス仍テ政府ハ須ラ
ク之ニ對スル其ノ根本政策ヲ樹立シ速ニ
左ノ諸項ヲ實施セラレムコトヲ望ム
蠶絲業行政ヲ統一振作スルコト
蠶絲市場ヲ改善シ絲價ノ安定ヲ期ス
ルコト
蠶絲業ノ金融ヲ圓滑ナラシムルコト
一人造絹絲ニ關スル徹底的試驗〓究ヲ
爲スコト
右建議ス
〔武藤金吉君登壇、拍手〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=48
049・武藤金吉
○武藤金吉君　本建議案ハ農村振興ト工業
ノ振作ト貿易ノ發表トニ大關係ヲ持ツ建議
案デアリマス、御永知ノ通リ我國ノ蠶絲ハ
世界生產額ノ六割ヲ出シテ居リマス、更ニ
其輸出ハ世界ノ輸出額ノ八割ヲ出シテ居ル
ノデアリマス、今ヤ世界ノ生產額ハ九千万
封度トナッテ居リマス、其中五千万封度ヲ出
シテ居ル生絲及絹織物ハ昨年ニ於キマシテ
モ七億万圓以上、卽チ我國ノ輸出貿易ノ大
部分ヲ擔ッテ居ルノデアリマス、然ルニ此蠶
絲業ノ根本政策ノ立夕ザル爲ニ、時ニ暴騰
シ、時ニ暴落ヲ告ゲ、昨年百斤二千四百圓
ノ生絲ハ今日ハ千四百圓ニ暴落シテ居リマ
ス、昨年一貫目十三圓ノ繭ハ今年ハ八圓
乃至五圓デ農民ガ賣ラナケレバナラヌノデ
アリマス、全國ノ農家五百七十万戶ノ中ニ、
養蠶ヲスル農家ハ實ニ二百万ヲ越エテ居ル
ノデアリマス、此議場ニ於テ農村振興ノ聲ハ各
員ノ御熱心ニ依シテ紹介セラレテ、洵ニ結構
デアリマスガ、此蠶絲業政策ハ此議院ニ於
テ絕叫セラルヽ農村振興ノ問題ト相俟ノテ、
須叟モ閑却スベカラザル重大問題デアリマ
ス(拍手)加フルニ昨年ノ大震火災ニ於キマ
シテハ製絲業者ノ積出シタル生絲及問屋
ニ到著シタル荷物、輸出業者ノ輸出セント
スル荷物ハ六千四百万ヲ燒失シタノデアリ
マス、其始末モ今日ハ出來ヌト云フ狀態デ
アリマシテ、昨年十二圓、十三圓ニ賣タ夕繭
ハ、農家ガ六圓平均デ賣ッテ居ルノデアリマ
ス、左ナキダニ米價ノ問題モヤカマシイ時
ニ於テ、全國二百万ノ農民ハ、此養蠶ノ結
果ハ桑ノ價ニモ達シナイト云フ悲慘ノ狀態
ヲ呈シテ居リマス、洵ニ此問題ハ當局ニ於
テモ心配サレテ居ルデアリマセウガ要
スルニ國家ニ根本政策ガナイカラ、此數年
間ニ於キマシテモ、百斤ノ絲ガ四千二百圓
ノコトモアリ、千五百圓ノコトモアル、世界
ノ生產ノ六割以上ヲ占メテ居ッテ、我ガ日本
帝國ハ世界ニ於テ獨占權ヲ左右スル力ヲ
持ッテ居ルモノハ此蠶絲業アルノミニモ
拘ラズ、根本ノ蠶絲業ノ政策ガ立タヌト云
フコトハ洵ニ遺憾ニ思フノデアリマス、
只今隅田君ハ此農商務省內ニ蠶絲課ノ
課アルノミト云フコトヲ申サレマシタガ、
4/2此建議案ノ第一ニナッテ居リマスル行政ノ
統一振作ト云フコトハ現在ノ蠶業政策ヲ
完ク致シマスルニハ農務局ノ蠶絲課一課デ
ハ滿足ガ出來ヌノデアル若シ之ヲ農商務
省ヲ分割スル場合ニ於テハ農務省ノ主ナ
ル仕事ハ、食糧政策ト蠶業政策ト相竝ンデ
仕事ヲスベキモノデハナイカト思」ヒマス、
故ニ此農商務省ノ分離モ大體決ッテ居ルヤ
ウデアリマスカラ、分離ノ上ニ於キマシテ
ハ次ノ議會ニ於キマシテハ必ズ蠶絲局
ヲ拵ヘテ、サウシテ蠶業政策ノ作定ヲシテ
貰ヒタイ、其下ニ〓育機關若タハ獎勵ノ方
法飼育ノ事柄、栽培ノ事柄、氣溫ノ事柄、
又檢查ノ事柄、總テノモノヲ之ニ含マシテ、
行政ノ統一機關ヲヤッテ貰ヒタイト云フノ
ガ第一項デアリマス、次ハ市場ノ改善ヲ致
シマシテ、サウシテ此取引ヲ圓滿ニ行シテ
貰ヒタイ、御承知ノ通リ日本ノ製絲業者ハ
三千戶アリマス、是ガ職工ハ三十万人アリ
マス、釜數ハ三十万釜ト稱シテ居リマスガ、
現在ニ於ケル所ノ製絲家ノ狀態ハ殆ド半數以
上ハ破產ノ狀態ニ在ルノデアリマス、又横
濱ノ問屋仲買ハ震災火災ノ後ヲ承ケテ、非
常ニ窮乏ヲ致シテ居ルバカリデナク、横濱
ノ力ガ今日ハ乏シクナシテ居ルノデアリマ
ス、此五十四万戶デ輸出スル所ノ生絲ヲ扱
フカガ横濱ノ港ニ無クナッテ居リマス、是ニ
於テカ現在ニ於キマシテハ神戶ニ輸出港ヲ
更ニ拵ヘテ、一港主義トカ二港主義トカ云
フ議論モ主張サレテ居リマスガ、之ヲ要ス
ルニ横濱ノ市場ガ不完全デアル、其力ガ足
ラヌト云フコトガ實際デアリマス、是ニ於
テ横濱ノ問屋制度ノ改善ヲ致シマシテ、蠶
絲業ニ關シマシテハ中間ノ無駄ノ費用ヲ節
スル方策ヲ執ッテ、横濱ノ市場ヲ改善スルト
同時ニ、〓算取引所ノ如キモ實物取引ノ取
引所ニ致シマスレバ、日本ノ横濱ハ卽チ世
界ノ蠶絲ヲ左右スルダケノ力ヲ持シテ居ル
ノデアリマス然ルニ今日ハ内ハ二百餘万
ノ農民ニ不安ヲ與へ、一年ニ騰洛ノ甚シキ
繭ノ値ヲ爲サシメテ置クト同時ニ、製絲家
自身モ瀕死ノ狀態ニ在ル、問屋、輸出業者
モ瀕死ノ狀態ニ在ルト云フノハ甚ダ遺憾ノ
極デアリマス、是ニ於キマシテ此案ハ横濱
ノ市場ヲ改善ヲ致シマシテ有力ナル所ノ
統一機關ヲ造シテ、此生絲ヲ扱ヒタイト思フ
ノデアリマス(拍手)デ諸君モ御承知ノ通リ
生絲ガ暴落ヲ致シマシタ時ニ、救濟ヲ致シ
夕例ガ二度アリマス、大隈內閣ノ時代、原
內閣ノ時代、世間カラハ非難ハアリマシタ
ガ、二回トモ完全ニ枚濟ガ出來テ居ルノデ
アリマス、出來テ居ル譯ハ、日本ガ世界ノ
生產力ノ大部分ヲ占メテ居シテ、其力サヘア
レバ必ズ暴騰暴落ヲ爲サシメズシテ農民ガ
安心ヲシテ之ヲ生產スルコトガ出來テ行
キ、又製絲家モ安心シテ工業ニ從事シテ、サ
ウシテ横濱カラ出シテ行クコトガ出來ル、
然ルニ其機關ガ缺ケテ居ルノト、横濱ニ於
ケル所ノ資力ノ缺乏ト云フモノガ今日ヲ致
シテ居ルノデアリマスルカラ、此機會ニ於
キマシテハ國家ハ國家ノ力ヲ假シテ、此市
場ヲ改善スルコトヲヤンテ貫ヒタイト思フ、
之ニ就キマシテハ橫濱ノ市場ニ付キマシテ
モ弊害ガ澤山アリマス、此弊害ヲ矯正ヲ致
シマシテ、製絲家ト問屋トノ間、製絲家ト養
蠶家ノ間ヲ旨クヤリマシテ、サウシテ安心シ
テ行ケル所ノ方法ハ此市場ヲ改善スルニ在
ルノデアリマス會期切迫ノ折柄デゴザイ
マセヌケレバ委員會ニ於テ詳細ニ政府ノ
意見モ承リタイト思フノデアリマスガ、今
日ハ大要ヲ述ベテ置キマス、次ハ金融デア
リマス、生絲ノ金融ハ春蠶ノ前ノ買人時ニ
日本銀行ガ若干ヲ融通スルダケデ、不斷ニ
於キマシテハ極メテ資本ガ之ニ伴ハナイ爲
ニ、横濱ノ市場ニ於キマシテハ五万梱、六
万梱、乃至八万梱、堆積ヲ致シマスト、横
濱デ此資金ノ力ガナイコトガ病源デアリマ
ス帝蠶會社ガ僅ニ數千万圓ノ金ヲ積ンデ
十万梱乃至八万梱ヲ買入レヽバ世界ノ相場
ヲ左右シテ行クコトガ出來ル、又絲ハ乾燥
ヲシテ貯藏ヲ致シマスレバ、三四年間ハ其
貯藏力ニ於キマシテモ、何等差支ナイコト
ニナッテ居リマスカラ、金融ノ途ヲ玆ニ開ク
コトガ此蠶絲業ヲ改善スル最モ急務デアル
ト存ジマス、次ハ我ガ蠶絲業ノ强敵ハ支那ノ養
蠶デアルト申サレマシタガ、今日ハ支那ノ
養蠶ハサウ强敵デナイ、人造絹絲ノ發達ガ
驚クベキモノデアリマス人造絹絲ハ今
日ヨリ三十九年前ニ佛蘭西ノ「サルドマン」
氏ガ發明サレテマダ四十年ニナリマセヌ、
四十年ニナラヌノニ其數量ハ一億一千万封
度ニ達シテ居ルノデアリマス、全世界ノ生
絲四千年掛ッテ今日迄發達シタル生絲ト
較ベテ見ルト、其斤量ハ遙ニ高クナッテ居ル
ノデアリマス、一昨年以來全世界ニ於キマ
シテ出來マシタ會社ハ、五十幾ツニナッテ居
リマス、其工場ハ百六十七ニナッテ居リマス、
此世界戰後ニ於ケル人造絹絲ノ發達ト云フ
モノハ非常ナルモノデアリマス、唯〓幸ニ我
ガ醤絲ト違フ所ノ點ハ細イモノガ出來ナ
イダケデ、其細イモノ、醋酸纖維素ト云フ
モノガ井常ナ巧妙ニ出來テ參リマシタ、無
水醋酸ヲ以テヤリマスレバ四十「デニール」
ノモノガ今日出來テ、其四十「デニール」ノモ
ノガ生絲ハ水一ニ對スル重味ト云フモノガ
一、二ニナシテ居リマス、然ルニ普通ノ人造
絹絲ハ氷一ニ對シテ一、五デアリマス、醋
酸纖維素ヲ以テ仕上ゲタ所ノモノハ水
ニ對スル所ノ比重ハ一、〇二五トナッテ居リ
マス、生絲ト僅ニ人造絹絲ノ比重ト云フモ
ノハ五毛シカ違ハナイマデニ發展ヲシテ
參ッダノデアリマス、加之英吉利、瑞西、獨
逸ノ如キハ百「デニール」以下ノモノヲ拵
ヘテ殆ド横絲ト云フモノニ付テハ全部人造
絹絲ヲ用ヰテ居ル、今四十「デニール」以下
ノモノガ出來テ、サウシテ是ガ縱絲ニ使へ
ルコトニナリマシタナラバ、世界ニ於ケル
所ノ纖維工業ト云フモノハ、人造絹絲ヲ以
テ席〓ヲサレル時代ガ今日ハ來テ居リマ
ス、唯、現在ノ氷醋酸ト無水醋酸ノ製造費ガ
高イカラ、細イモノヲ造ルトキハ生絲ト同
ジ生產費ニナリマスカラ、進ンデ居リマセ
ス、私共ハ十數年前カラ人造絹絲ノ用途
ハ-亞米利加ノ「エデソン」博士ハ十七年
前ニ五十年後ハ世界ノ織維工業ハ人造絹絲
ヲ以テ壓倒スルト云フ論文ヲ揭ゲタノヲ私
共ハ笑ッテ居リマシタガ、今日ニナリマスト
私共ノ短見、私共ノ愚ナルヲ恥ヂテ居リマ
ス、人造絹絲ノ發達ハ今ヤ我ガ蠶絲業ヲ奪
ヒツヽアル、奪ヒツヽアルコトニ對シマシテ
ハ、我ガ蠶絲業ハドウナルカト申シマスト、
製產費ヲ暴騰暴落ヲサセナイデ、農家ニ維
持シテ居ルダケノ力ヲ與ヘテ、國家ガ根本
政策ヲ立ッテ、農家ノ副業若クハ正業デモ宜
シイ、穀類ノ增加、食糧政策ト相俟ノテ蠶業政
策ト云フモノガ併立スルニ非ザレバ農村
ノ振興ハ如何ニ呶々致シマシテモ、是ガ實
效ヲ奏スルコトガ困難ナリト確信スルノデ
アリマス(「ヒヤ〓〓」拍手)何卒此場合ニ於
キマシテ諸君ノ御賛成ヲ得、又此機會ニ政
府ノ所見ヲ永シテ本案ヲ通過セラレテ、次期
ノ議會ニ於キマシテハ、相當本案ノ建議ニ
伴フ所ノ施設ヲセラレンコトヲ要望致シマ
シテ、御賛同ヲ仰ギマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=49
050・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　三土政府委員
〔政府委員三土忠造君登壇〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=50
051・三土忠造
○政府委員(三土忠造君)　養蠶製絲ガ我國
ノ最モ重要ナル產業ノ一ツデアリ、且ツ生
絲及絹織物ガ我ガ貿易ノ大宗デアルコトハ
中スマデモアリマセス、隨テ是ガ生產貿易
ノ發展ニ付キマシテ、根本的國策ヲ樹立ス
ル必要ハ、政府ニ於キマシテモ十分認メテ
居ルノデアリマス、此點ニ於キマシテハ建
議者タル武藤君ニ全然同意見デアリマス、
武藤君ガ此處ニ列擧サシマシタル、差當リ
最モ急ヲ要スル四項目デアリマスルガ、第
一ニ蠶絲行政ノ統一ト云フコトデアリマ
ス現在ニ於キマシテモ統一ハサレテ居ル
ノデアリマスガ、一課ニ於テ之ヲ取扱ノテ
居ルノデアリマス、今日マデノ狀況ニ於キ
マシテハ一課デ澤山ダッタノデアリマシタ
ガ、人造絹絲ノ問題モ起ルシ、生絲其他絹
織物ノ範圍モ段々擴張サレテ參リマスルガ
故ニ、之ヲ如何ニスルカト云フコトヲ目下
政府ニ於テ考慮中デアリマス、前内閣ノ終
リニ於キマジテ、農商務省ノ分離、卽チ農
務省ノ獨立ト云フ案ヲ立テマシテ引繼ヲ受
ケマシタガ、其案ノ中ニハ養蠶ニ關スルコ
トヽ、製絲ニ關スルコトヽ別ニ致シマシテ、
養蠶ニ關スルモノハ農務省ニ之ヲ屬セシ
ノ、製絲ニ關スルモノハ商工省ニ屬セシム
ルト云フ案ニナッテ居リマス、是等ニ付キマ
シテモ理論カラ申シマスレバ、製絲業ハ加
工工業デアリマスルガ故ニ工務局ニ屬セ
シムルノモ一理アルノデアリマスケレド
モ、養蠶製絲兩々相俟クテ盛ニスルト云フ
關係カラ申シマスルト、此案ハ或ハ時宜ニ
適セヌカモ知レヌノデ、是等ハ卽チ吾々ガ
農務省ノ獨立ニ付キマシテ、趣旨ニ於テ贊
成シテ居リナガラ、尙ホ〓究考慮ヲ要スル
ト云フ一例デアリマス、今囘ノ政府ガ聲明
致シテ居リマスル行政整理ノ場合ニ於キマ
シテ、或ハ建議者ノ御希望ニ副フヤウナ
事モアリマセウガ、其點ハマダ明言スルコ
トハ出來マセヌケレドモ統一ト云フコト
ニ付キマシテハ成ベク吾々ハ其必要ヲ感
ジテ居ルノデアリマス、第二ノ價格ノ安定
ト云フコトデアリマスルガ、是ガ我國ノ生
絲貿易ノ上ニ於キマシテ、延イテハ養蠶製
絲ノ事業ニ於キマシテ最モノ病根デアリ
マス、價格ノ激變ハ生絲程甚ダシイモノハ
ナイノデアリマシテ、米國ノ機業家ノ如キハ
此價格ノ安定セザルガ爲ニ、非常ナ危險ヲ
感ジテ居ルノデアリマス、米國ニ於キマシ
テハ日本ノ生絲ヲ原料トシテ織物ヲ製造ス
ル程危險ナル事業ハ世界ニアルマイトマデ
極言シテ居ル人サヘアルノデアリマス、隨
テ米國ノ機業家カラ我ガ當業者ニ向ヒ、政
府ニ向ラテ屢。價格ノ安定ヲ要求致シテ居ル
ノデアリマス吾々ハ切ニ價格ノ安定ヲ希
望致ス、此價格ノ安定スルヤ否ヤト云フコ
トハ我國ノ養蠶製絲ノ盛衰與亡ニ關スル
問題ダト考ヘルノデアリマス、隨テ之ニハ
餘程力ヲ用ヰナケレパナリマセヌガ、要ス
ル所現在ノ取引ノ方法ヲ改善スルニ在ルノ
デアリマス、之ニ付キマシテハ政府ハ十分
ニ力ヲ盡シテ根本政策ヲ樹テル考デアリマ
ス第三ノ養蠶製絲ノ金融ヲ圓滑ニスルト
云フ案デアリマスルガ、是亦第二ノ問題ト
關聯致シテ居ルト思フノデアリマス、現在
ノ組織ニ於キマシテモ金融機關ノ組織ガ必
ズシモ不備ナルニアラズ、又資金ガ必ズシ
モ潤澤ナラザルニアラズ、寧口第一ノ缺點
ハ繭ト生絲ノ價格ノ不安定ナコトヽ卽チ金
融業者ガ金融ヲスル對象物件ガ不安ナコト
ガ、金融ノ圓滑ヲ阻害シテ居ルノデアリマ
ス、價格ガ安定スレバ自ラ金融問題モ解決
サレルト思フノデアリマス、第四ノ人造絹
絲デアリマスガ人造絹絲ハ只今武藤君カラ
モ述ベラレマシタ通リ近來非常ナ產額ノ增
加デアリマス、需要ガ非常ニ增進シテ參リ
マシタ、品質ニ於テモ著々トシテ、又價格
ニ於キマシテモ段々低下スルノデアリマス
ルカラ、我國ノ生絲ニ對シマシテハ重大ナ
ル脅威デアリマス、勿論品質ノ根本ニ於キ
マシテ異ルモノアリ、隨テ需要ノ途ハ必ズ
シモ一致ハ致シマセヌカラ、甚シク憂慮ス
ルニ及ビマセヌケレドモ、之ニ對シテハ頗
ル注意致サナケレバナラヌ、是マデニ於キ
マシテモ政府ニ於キマシテ相當機關ヲ備ヘ
テ、人造絹絲ノ調査ヲ致シテ居リマスガ、
此最近ノ情勢ヲ見マスト餘程徹底的ナル〓
究調査ヲスル必要ガアルト思フノデアリマ
ス是亦提案者ノ御趣旨ニ副フヤウニ致シ
タイト思ヒマス、簡單ニ御答致シマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=51
052・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　本問題ニ對シテ
賛成ノ通告ガアリマス、加藤知正君
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=52
053・加藤知正
○加藤知正君　此席ニ於テ贊成ノ意見ヲ申
述ベタイト思ヒマス、武藤君カラシテ御建
議ニナリマシタ此蠶絲業ノ根本政策ニ關ス
ル問題ハ極メテ斯業上重要ナ事デアルト
云フコトハ既ニ武藤君ノ御說明ニ依ノテ
明瞭ナルコトデアリマス、而シテ私ノ申上
ゲタイト思フコトハ武藤君ノ御說明ト三
土農商務次官ノ御說明ニ依シテ既ニ盡キテ
居リマスルカラ、私ハ此上駄辯ヲ添ヘマセ
ヌ、唯〓私ハ此案ニ賛成ヲ致シマスルト同時
ニ、此第一ノ蠶絲業行政ヲ統一振作スルコ
1、此中デ武藤君ノ御說明ニ依リマスト云
フト農務省ガ軈テ獨立セラレ、同時ニ蠶
絲局ヲ設置セラレタイト云フ御希望ガアリ
マシタ、私ハ之ニ向ッテ双手ヲ舉ゲテ賛成ヲ
スル者デアリマスルト同時ニ、今回此蠶絲
局設置ノ建議案ヲ提出救シテ置キマシタ
ガ、既ニ私ノ意思ハ之ニ依ッテ達セラレルコ
トデアリマスルカラ議事ノ進行上ヲ考慮
致シマシテ、私ノ建議案ハ之ヲ撤囘致シマ
ス(拍手)同時ニ私ガ蠶絲局設置ノ如何ニ急
務デアルカト云フコトハ此間「我國蠶絲業
ノ將來ト蠶絲局設置ノ急務』ト題シマスル
「パンフレット」ヲ皆サンノ御手許ヘ一部ヅ
ヽ差上ゲテ置キマシタカラ、私ノ意見ノ存
スル所ハ之ニ依シテ御承知ヲ願ヒタイト存
ジマス、同時ニ之ヲ御覽下サイマシテ、速
ニ蠶絲局ノ設置セラルヽヤウ御盡力ヲ御願
ヒ致シマス、私ノ贊成意見ハ是デ盡キマス
(拍手)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=53
054・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　御諮リ致シマ
ス、日程第十六、蠶絲局設置ニ關スル建議
案ハ只今提出者ヨリ撤囘ノ申出ガアリマシ
タ、計可スルニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=54
055・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　御異議ナイト認
メマス許可致シマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=55
056・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ特ニ提案ノ趣旨ニ鑑
ミ卽決ヲ以テ可決セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=56
057・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　作間君ノ動議ニ
御異議ナイト認メマス、動議ノ如ク可決致
シマシタ、日程第十三、小學校〓員俸給國
庫支辨ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス、
提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-增田義一君
第十三小學校〓員俸給國庫支辨ニ關
スル建議案(增田義一君提出)
小學校〓員俸給國庫支辨ニ關スル建議
案
小學校〓員俸給國庫支辨ニ關スル建
議
小學〓育ノ普及發達ヲ計リ小學〓員ノ精
神的獨立ヲ得セシムルハ刻下ノ急務ナリ
ト信ス而シテ其ノ實ヲ擧ケ且輓近萎靡シ
タル地方ノ財政ヲ救濟シ農村振興ノ途ヲ
計ル上ニ於テ政府ハ速ニ小學校〓員ノ俸
給全部ヲ國庫支辨ト爲サムコトヲ望ム
右建議ス
〔層田義一君登壇〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=57
058・増田義一
○僧田義一君　只今議題トナリマシタル小
學校〓員俸給國庫支辨ニ園スル建議案ノ說
明ヲ致シマス、元來小學〓育ハ國民ノ基礎
〓育デアッテ、其必要ナル事ハ申スマデモア
リマセヌ、同時ニ國家ハ國民ニ對シテ普通
〓有ヲ施スベキ責任義務ヲ有シテ居ルノデ
アリマス、隨テ一面ニハ義務〓育ト稱シテ
國民ニ普通〓育ヲ强ユルノデアリマスカラ、
其强制的意味カラ申シテモ、小學〓員ノ費
用ヲ全部國庫ガ負擔シテモ差支ナイト云
フ理由ガ立ツノデアリマス、又一面カラ申
シマスルナラバ、國民トシテハ普通〓育ヲ
受クベキ權利ヲ持ッテ居ルノデアリマスル
カラ、受クル方カラ云ヘバ國家ニ對シテ普
通〓育ヲ受クル權利ガアルカラ、其費用ハ
國庫デ持ッテ呉レトモ言ヒ得ルノデアリマ
ス就キマシテハ小學〓育ノ效果ヲ偉大ナ
ラシムル點ニ於テ、〓員ニ立派ナ人ヲ迎ヘ
ルト云フコトハ必要ナノデアル、故ニ小學
〓員ヲ待遇スル上ニ於テ、精神的ト物質的
ノ兩方面ニ於テ優遇スル必要ヲ認メテ居リ
マス、且ツ同ジク物質的待遇ニ於キマシテ
モ、俸給ノ支辨ノ方法ガ大層〓員ノ精神的
ニ大關係ヲ持ツノデアリマス(柏手)現在ノ
如ク市町村カラ支給ヲ受ケ、又小學〓員ノ
其俸給ノ增滅、進退等、總テ大體市町村ニ
於テ支配セラルヽニ於テハ、小學〓員ガ是
等ノ人ノ鼻息ヲ窺フ所ノ嫌ガアルノデアリ
マシテ、此點カラ精神ノ獨立ヲ害サレテ居
ルノデアリマス、現在最モ小學〓員ノ精神
的獨立ノ保障ト云フコトハ極メテ大切ナノ
デアル、私ハ此點カラ小學〓員ノ俸給全部
ヲ國庫カラ支辨シタイト云フハ此ニ理由ガ
在ルノデアリマス、更ニ小學〓員ノ人格ノ
感化ガ如何ニ兒童ニ及ブカト云フコトニ付
テ考慮シテ貫ヒタイ、或ル靑年ノ言ッタコト
ニ、小學校ニ於テ感化ヲ得、中學校ニ於テ
友ヲ得、高等學校ニ行,テ社會ヲ見タト申シ
マスルガ、是ハ餘程味フベキコトデアッテ、
小學校時代ノ感化ハ最モ偉大デアル、隨テ
小學校〓員ヨリ受ケタル印象ハ何人モ最モ
深イノデアリマス、此偉大ナル感化力ヲ持っ
テ居ル小學校〓員ニ、立派ナル人格ノアル
人ヲ出來ルダケ迎ヘタイト云フ意味カラ、
矢張此俸給ノ支辨ガ國庫デアルト云フコト
ニナルト、〓員諸君ガ精神的愉快ヲ得、精
神的安心ヲ得、自ラノ權威ヲ傷ケラレナイ
點ニ於テ甘ンジテ天職ニ盡スト私ハ信ズル
ノデアリマス(拍手)過日來農村振興ノ問題
ガ盛ニ此議場ニ現ハレ、諸君ノ熱誠ニ對シ
テ深ク敬意ヲ表シマス、今農村振興ノ最モ
簡單明瞭ナル方法ノ一ツハ何デアルカト云
フナラバ、私ハ小學校〓員ノ俸給全部ヲ國
庫ニ於テ支辨スルガ一番早イト思フノデア
ル(拍手)其位一面ニ於テ〓育ニ效果ヲ奏シ、
一面ニ於テ農村ノ振興ヲ圖ル一擧兩得ノ案
ト確信致シマス、唯〓費用ノ點デアル、現在
小學校〓員全體ノ体給ハ一億二千九百万圓
ニ上シテ居リマス、今ハ義務〓育費トシテ四
千万圓國庫ヨリ補助致シテ居リマスルカラ、
假ニ之ヲ俸給ニ充テルト致シマスレバ殘リ
八千九百万圓ガ國庫ノ負擔トナルノデアリ
マス、所デ現内閣ハ財政行政ヲ根本的ニ整
理スル、根本的ニ力ヲ人レルト共ニ、現在
ノ如キ膨脹シタル財政ハ緊縮シナケレバナ
ラヌ、此緊縮ト根本的整理ヲ綜合スレバ、
大ニ政費ヲ節約スルト云フコトヲ意味サレ
テ居ルノデアリマス其節約サレタル費用
ハ須ラク此小學校〓員ノ体給ニ充テラレタ
ナラバ、玆ニドノ位效果ガアルカ知レヌト
思フノデアリマス(拍手)私ハ他ノ事ヲ廢メ
テ、是非トモ此小學校〓員ノ俸給全部ヲ國
庫支辨ニセラレンコトヲ滿場ノ諸君ノ御賛
成ヲ得タイ次第デアリマス(拍手)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=58
059・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ議員元田肇君外十六
名提出、義務〓育費國庫負擔增額ニ關スル
建議案ノ委員ニ、併セテ付託セラレンコト
ヲ望ミマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=59
060・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　作間君ノ動議ニ
ハ御異議ナイト認メマス、仍テ動議ノ如ク
決シマス、日程第十四、帝國在〓軍人會國
庫補助ニ關スル建議案ヲ議題ト致シ、提出
者ノ趣旨辯明ヲ求メマス、提出者佐々木春
作君
第十四帝國在〓軍人會國庫補助ニ關
スル建議案(佐々木春作君外三名提
也
帝國在〓軍人會國庫補助ニ關スル建議
案
帝國在〓軍人會國庫補助ニ關スル建
議
政府ハ帝國軍人ノ大部分ヲ占ムル在〓軍
人ノ團體タル帝國在〓軍人會ニ對シ每年
相當ノ補助金ヲ交付シ以テ國防ノ根本義
ニ基キ良兵良民主義ノ徹底ヲ理想トスル
同團體ノ健全ナル發達ヲ促進セラレムコ
トヲ望ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=60
061・佐々木春作
○佐々木春作君　自席カラ簡單ニ提案ノ理
由ヲ申シマス、帝國在〓軍人會ニ於カレテ
ハ、去ル四日全國ニ互シテ一齊ニ軍事ノ普及
ヲサレ、今次ノ罷業ノ正義ニ悖ルモノナル
コトヲ宣告スルト共ニ、交通ノ緩和、保護
警戒、出動、勸誘等ニ市民ノ爲ニ活動セラ
レテ居リマス、是ハ先達テ大阪ニ於ケル大
阪市電從業員罷業ノ一大問題デアリマシタ、
此經過ヲ關大阪市長ヨリ報告ニナッタノデ
アリマス、丁度一週間前デアリマス、在〓
軍人會ノ社會的奉仕ニ付テハ既ニ提案ガ
ゴザイマス、既ニ皆サンノ御承知ノ通リデ
アリマス、昨年九月ノ大震火災ニ於テ在郷
軍人會ガ如何ニ活動シテアッタカト云フコ
トハ記憶ヲ新ニスルマデモナイノデア
リマス、而シテ一般社會ハ其三百人ノ會員
ヲ有シテ居ル所ノ在〓軍人會ニ向シテ、如何
ナル待遇ヲシテ居ルカト云フコトニ顧ミマ
シタナラバ、甚ダ赤面スルニ違ヒナカラウ
ト思ヒマス、サツ云フヤウナ意味カラ、ド
ウゾ國防ノ根本義ニ基キ良民良兵主義ノ徹
底ヲ期スルコトヲ理想トスル同團體ニ向。ソ
テ、政府ハ每年若干ノ補助金ヲ出シテ健全
ナル發達ヲ促進サレンコトヲ希望スル、
其意味ニ於テ此建議案ヲ提出シタ次第デア
リマス、是ハ一昨年三月ニ於テ既ニ決議ニナッ
テアッタ案デアリマスカラ喋々スル必要モ
アリマセヌ、ドウゾ諸君ノ御賛成ヲ得タイ
ノデアリマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=61
062・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ曩ニ本院ヲ通過シタ
ルモノト同種ノ議案ナルニ依リ、卽決ヲ以
テ可決セラレンコトヲ望ミマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=62
063・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　作間君ノ動議ニ
御異議ナイト認メマス、動議ノ如ク可決致
シマシタ、日程第十五、名古屋ニ綜合大學
設置ニ關スル建議案ヲ議題ト致シ、提出者
ノ趣旨辯明ヲ許シマス-提出者服部英明
君
第十五名古屋ニ綜合大學設置ニ關ス
ル建議案(服部英明君外五名提出)
名古屋ニ綜合大學設置ニ關スル建議案
名古屋ニ綜合大學設置ニ關スル建議
帝國ノ文化進蓮ノ現狀竝國民慾求ノ情況
ニ鑑ミ既存綜合大學ノミニテハ到底國民
ノ期待ニ酬ユルコト能ハサルハ言ヲ俟タ
ス而シテ帝國內既存大學ノ地理的配置ノ
上ヨリ亦進人志望者ノ經濟的便宜ノ上ヨ
リ看ルモ將來綜合大學ヲ名古屋ニ設置ス
ルノ必須緊要ナルコトヲ認ム依テ之カ計
畫ヲ立テラレムコトヲ望ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=63
064・服部英明
○服部英明君　私ハ名古屋ニ綜合大學設置
ニ關スル(「登壇」ト呼フ者アリ)名古屋ニ綜
合大學設置ニ關スル建議案ヲ提出致シマシ
タニ付テハ、其說明ヲ爲スベキガ當然ノ事柄
デア〓リマスケレドモ、此種ニ關スル建議案
ハ既ニ過ギニシ議會ニ於テ提案セラレタコ
トアリト聞及ンデ居リマスガ故ニ、玆ニ簡
單ニ說明ヲ致スコトニ致シマス、我ガ帝國
現在ノ文化ノ程度ニ於テ、吾々國民一般ハ
綜合大學ノ不足ヲ感ジテ居リマシテ、此際
其增設ヲ希望致シテ居ルト云フコトハ茲ニ
申スコトヲ要シナイコトデアリマシテ、就
中靑雲ノ志ヲ抱イテ他日我ガ帝國ノ國務ノ
重要ナル所ノ任ヲ擔ウテ、我が帝國ヲ料理
セントスル所ノ多數ノ靑年學生ガ、多額ノ
學資ヲ費シ、尙ホ螢雪ノ苦學ヲ積ミマシテ、
中學ヲ經、大學ノ豫備門タル所ノ高等學校
ヲ卒業致シマシテ、更ニ大學ニ進入致サン
ト致シマシテモ、今日ノ狀況ニ於テハ大學
ノ設備狹隘ノ爲ニ、玆ニ又一ツノ試驗ヲ經
過シナケレバナラヌト云フヤウナ遺憾ナル
現象ヲ呈シテ居ルヤウナ次第デアリマス
此新入學生ニ課スル所ノ試驗ハ、固ヨリ學生
ノ人格、識見又ハ體力ノ全體ヲ試驗スルニ
足ラザルト云フコトハ申スニ及バヌコトデ
アリマス、斯樣ナル單ナル試驗ニ依ッテ漸ク
ニシテ高等學校ヲ卒業シ、大學ニ入ラント
スル所ノ靑年ヲ茲ニ節ヒ落スト云フコト
ハ社會ノ上カラ見マシテモ多大ノ損失デ
アルノミナラズ、其本人ノ靑年學生ニ取リ
マシテハ、一生取返スベカラザル所ノ非常ナ
ル不幸ニ陷ルモノト中サンケレバナラヌヤ
ウナ次第デアリマス、是ガ爲ニ其選ニ漏レ
タル所ノ靑年ハ、或ハ其志ヲ變ヘンケレバ
ナラヌト云フヤウナ場合ニモ立至リ、又咋
今ノ如キ思想ガ動搖致シテ居ル場合ニ於
テハ、是等ノ學生ガ或ル機會ニ於テ、或ル機
會ノ術動ヲ起シテカラニ、一朝踏ミ誤リマ
シテ此危險ノ思想ニ對シテ衝動ヲ與ヘント
スルヤウナコトガナイトモ限ラヌノデアリ
マシテ、我國ニ於テハ斯樣ナ事ハ萬々アル
ベカラザルコトデアリマセウケレドモ、世
界的ニ鑑ミテモ一部不平ヲ懷イテ居ル學生
ガ、偶、重大ナル國家ノ問題ヲ惹起シテ居ル
ト云フ實例ガ、歐米諸國ニ於テ屢〓見ル所デ
アリマス、若シ斯樣ナ結果ヲ生ズルコトニ
ナリマスルト違此此モモナイ次第デアリ
マス、仍テ私ハ是等ノ學生ヲ收容スル爲ニ、
玆ニ我ガ帝國內ニ於テ一箇以上ノ綜合大學
ノ增設ヲ希望スル者デアリマスケレドモ、
今日ノ經濟上ニ顧ミテ此大學ノ增設ヲ希望
スルト云フコトハ、聊カ時宜ニ適シナイモ
ノト遠慮ヲ致シマシテモ、少クトモ差當リ
一箇ノ增設ヲ希望スルト云フコトハ無理デ
ナイト私ハ信ズルノデアリマス、既ニ其曾
設ガ必要デアリトスルナラバ、如何ナル地
方ニ之ヲ設クルヲ以テ適當ト致シマスル
カ、私考ヘマスルノニ、名古屋ニ設置スル
ヲ以テ最モ妥當ナル處置ナリト信ジテ居ル
ノデアリマス、蓋シ名古屋ハ御承知ノ如ク
東京、西京ノ中間ニ位シマシテ、北ハ中央
線北陸ヲ貫イテ靑森ニ達シ、又西ノ方ハ
三重縣ヲ通ジテ〓西ニ達シテ居ルト云フヤ
ウナ樞要ナ地デアル、南ハ太平洋ヲ懷イテ
居リマシテ地區ニ於テ誠ニ便宜デアルノミ
ナラズ、學生ニ取リマシテ經濟上利益ガア
ルノデアリマス、ソレハ名古屋ニ於テ勉强
致シマスルト比較的費用ガ掛カラナイ、卽
チ經濟的ニ勉强ガ出來ルト云フ利益ガアル
ノデアリマス、斯樣ナ次第ヲ以テ、帝國內
ニ綜合大學ヲ設置スルトスルナラバ、現在
ノ場合名古屋ニ設置スルコトガ妥當ナリト
信ズルノデアリマス、併ナガラ或者ハ斯樣
ナモノヲ以テ或ハ反對スル者ガアルカモ知
レナイ、卽チ行政財政ヲ整理緊縮ヲスル現
時ニ於テ、多額ノ費用ヲ要スベキ大學設置
ニ付テハ矛盾スルノデアル、政策ニ於テモ
矛盾スル國家モ亦堪へ忍ビザルモノデア
ルト云フ理由ヲ以テ反對スルカモ知レマセ
ヌガ、是ハ甚ダ當ラザル所ノ議論デアル、蓋
シ何ノ爲ニ行政財政ヲ整理緊縮スルカト云
フト、從來放漫ニ流レテ來テ居ル所ノ我ガ
帝國ノ經濟ヲ整理緊縮致シマシテ、更ニ鞏
固ナル財政ノ上ニ基礎ヲ造シテ、其基礎ノ下
ニ大ニ發展ヲシナケレバナラヌト云フ爲ニ
整理緊縮ノ必要ガアルノデアリマス、私ガ
玆ニ主張スル大學ノ增設ハ、此大學ノ增設
ニ依ッテ多數靑年ヲ收容致シマシテ、將來我
ガ帝國ノ諸般ニ亙ル所ノ國家重要ナル責務
ヲ負擔スル所ノ靑年ヲ養成セントスル意見
ノ下ニ主張ヲスルノデアリマスカラ、財政ノ
緊縮若クハ整理ト何等理論ニ於テ矛盾スル
所ハナイ、寧ロ私ガ進ンデ言ハント欲スル
所ノモノハ此際財政行政ヲ整理緊縮致シ
マシテモ、將來ニ於テ此增設ヲヤラナケレ
バナラヌト云フコトハ四圍ノ事情ニ鑑ミ
テ必要アリト私ハ認ムルノデアリマス、仍
テ財政ノ緊縮若クハ行政ノ整理ノ理由ヲ以
テ此大學ノ層設ニ反對スルコトハ毫モ其
理由ヲ認メナイノデアリマス、斯樣ナ理由
ノ下ニ私ハ本案ヲ建議致シタ次第デアリマ
ス、願クハ議員諸君、同意ヲ與ヘラレマシ
テ、政府モ亦本案ニ對シマシテ直ニ其ノ設
立ノ計畫アランコトヲ希望シテ止マナイノ
デアリマス(拍手起ル)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=64
065・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ曩ニ本院ヲ通過シタ
ルモノト同種ノ議案ナルニ依リ、卽決ヲ以
テ可決セラレンコトヲ望ミマス、尙ホ時刻
ガ丁度正午ニナリマシタカラ、本案議了ノ
上一時休憩セラレンコトヲ望ミマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=65
066・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君)　作間君ノ動議ニ
御異議ナシト認メマス、作間君ノ動議ノ如
ク決シマス-約一時間ノ休憩ヲ致シマ
ス
午後零時五分休憩
午後一時二十九分開議
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=66
067・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　休憩前ニ引續イテ會
議ヲ開キマス、日程第十七、大阪臨港鐵道
速成ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス、廣
瀨德藏君
第十七大阪臨港鐵道速成ニ開スル建
議案(廣瀨德藏君外八名提出)
大阪臨港鐵道速成ニ關スル建議案
大阪臨港鐵道速成ニ〓スル建議
大阪築港ハ今ヤ殆ト其ノ功ヲ竣リ出入、
船舶及貨物ハ港灣設備ノ充實ニ伴ヒ年年、
激層シ其ノ發展ノ狀況寔ニ駭クヘキモノ
アリ然ルニ海陸ヲ連絡シテ其ノ效用ヲ完
ウスヘキ埠頭臨港鐵道ハ嚮ニ用地ノ買收
ヲ了ヘ又地上物件ノ撤去ヲ終リタルモ未
夕敷設工事ニ著手スルニ至ラス用地一帶
徒ニ荒蕪ニ委スルヲ現在ノ狀態トス斯ノ
如クナレハ二十有八年ノ長日月ト四千万
圓ノ巨資ヲ費シ國庫亦巨額ノ補助ヲ與ヘ
タル大事業ハ竟ニ其ノ功ヲ一簣ニ虧キ我
カ國貿易上大ナル障礙ヲ遺スモノト謂ハ
サルヘカラス仍テ政府ニ於テ此ノ鐵道ヲ
速成セラレムコトヲ望ム
右建議ス
〔廣瀨德藏君登壇、拍手起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=67
068・廣瀬徳藏
○廣瀨德藏君　私ハ大阪臨港鐵道速成ニ關
スル建議案ノ說明ヲ申上ゲルノデアリマス
ルガ、會期ガ切迫ヲシテ居リマスルノト、事
柄ガ新シイ事柄デナイノデアリマスカラ
極メテ簡單ニ趣旨ヲ申述ベタイト存ジマ
ス、大阪ノ臨港鐵道ガ單ニ京、阪、神地方ノ
一地方ノ問題デナイト云フコトハ、國庫ガ
多額ノ補助ヲ爲シ來ッテ居ル事蹟ニ照シテ、
洵ニ明ナコトデアルト存ジマス、大阪ノ
築港ハ二十八年ノ歲月ト七千餘万圓ノ巨費
ヲ投ジマシテ經營ヲ爲シ來ッタノデアリマ
スルガ、其經營ガ進ムニ從ヒマシテ、之ヲ
利用スル者ガ非常ニ多クナリマシテ、大正
十一年ノ統計ニ依リマスルト、出入リ致シ
マス船ガ十七万二千餘艘、輸入輸出ノ合計
ガ八億四千万圓餘ニ達シテ居ルノデアリマ
ス、併ナガラ斯ノ如キ成績ハ二十有八年ノ
長イ日月ト七千餘万圓ノ巨財ヲ費シタルニ
照シマスルト、海ニ能率ノ上ラザルモノデ
アリマス、何ガ故ニ上ラナイカト中シマス
ルト、偏ニ此港灣ト陸地ヲ連絡絡スベキ臨
港鐵道ガ完成シナイカラデアリマス、政府
モ茲ニ見ル所ガアッテ、繼續事業トシテ工事
ヲ爲シツヽアルノデアリマスケレドモ未
ダ其完成ニ至ラナイノデアリマス、現在ノ
狀況ヲ申上ゲマスルト、既ニ土地ノ買收ヲ
終リ、近頃面倒ナ問題ヲ動モスレバ惹起ス
所ノ家屋ノ徹廢、地上物件ノ取拂等ハ總テ
之ヲ完了致シマシテ、今ヤ「レール」ヲ敷ケ
バ宜イト云フ程度ニナッテ居ルノデアリマ
スルケレドモ、是ガ未ダ其費用ノ缺乏ノ爲
ニ完了スルニ至ラナイノガ現在ノ狀況デア
リマス、此用地ハ今ヤ座棄場ニナリ、子供ノ
遊ビ場トナッテ非常ナ不經濟ノ狀態ヲ呈シ
テ居ルノデアリマスカラ、一日モ早ク之ヲ
完了セラレテ、長イ日月ト澤山ノ費用ヲ費
シタ仕事ノ效果ヲ擧ゲテ貰ヒタイト希望ス
ル者デアリマス、財政緊縮ハ吾々ノ信任ヲ
シテ居ル方策デアリマスケレドモ、殆ド出
來上ッテ九仞ノ功ヲ一簣ニ虧イテ居ルト云
フヤウナ事業ニ對シテハ、玆ニ多少ノ費用
ヲ出シテ之ヲ完成セシメル、其效果ヲ全ウ
スルト云フコトハ現内閣ノ施設ノ方針カラ
見テモ、決シテ扞格シナイコトヽ信ジマス
ルガ故ニ、私ハ速ニ是ガ完成ヲ希望致シマ
ス譯デアリマス、此意味ニ於テ諸君ノ御賛
同ヲ願フ次第デアリマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=68
069・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ特ニ提案ノ趣旨ニ鑑
:卽決ヲ以テ可決セラレンコトヲ望ミマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=69
070・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=70
071・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第十
八、三新鐵道敷設速成ニ關スル建議案ヲ議
題ト致シマス
第十八三新鐵道敷設速成ニ關スル建
議案(横山全太郞君外七名提出)
三新鐵道敷設速成ニ關スル建議案
三新鐵道敷設速戒ニ關スル建議
岡山縣新見ヨリ廣島縣束城ヲ經テ三次ニ
達スル鐵道ヲ先ツ新見ヨリ起工ニ著手シ
速ニ敷設セラレムコトヲ望ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=71
072・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ提案者ノ趣旨辯明ヲ
略シ、而モ曩ニ本院ヲ通過シタルモノト同
種ノ議案ナルニ依リ卽決ヲ以テ可決セラレ
ンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「贊成」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=72
073・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ動議ニ御異
議ナシト認メマス、仍テ動議ノ如ク決シマ
シタ、日程第十九、日露漁業協約ニ基ク日
本漁業者救濟ニ關スル建識案ヲ識題ト致シ
やっ、黑住成章君
第十九日露漁業協約ニ基ク日本漁業
者救濟ニ關スル建議案(黑住成章君
外八名提出)
日露漁業協約ニ基ク日本漁業者救済ニ
關スル建議案
日露漁業協約ニ基ク日本漁業者救濟
ニ關スル建議
政府ハ日露漁業協約ニ基キ露領沿岸ニ出
漁中ノ日本漁業者現下ノ窮狀ニ鑑ミ速ニ
適當ト認ムル救濟ノ途ヲ講シ以テ帝國ノ
權利ヲ確保スルト共ニ海外產業貿易ノ發
展ニ努力セラレムコトヲ望ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=73
074・黒住成章
○黑住成章君　此席ヨリ本建議案ノ趣
旨辯明ヲ致シマス、本案ハ露領沿岸
ニ出漁シテ居リマスル邦人漁業者ノ救
濟ヲ政府ニ求ムル建議デアリマス、此漁
業權バ諸君御承知ノ如ク、日露戰役ノ
結果「ポーツマス」講和條約ニ依ッテ滿洲ノ
租借權及南樺太譲與ト共ニ得タル貴重ナル
不可分ノ権利デアリマス、卽チ講和條約十
一條ニ基キ締結セラレタル日露漁業協約ハ
他ノ協約ト異ナリ諸君ノ記憶シ尙ホ新ナル
我同胞多クノ生靈ト國帑ヲ犧牲ニ致シテ得
タル所ノ對外的產業上、而カモ永遠性ノア
ル既得權デアリマス(拍手)其故ニ爾來十有
餘年邦人ノ此漁業ニ從事スル者年々其多キ
ヲ加ヘ、近年益、其發展ヲ見ルニ至リマシタ、
然ルニ偶〓歐洲ノ戰亂ハ露國ノ政變ヲ惹起
シ、遂ニ日露ノ斷交ヲ來シ、而シテ今尙ホ
其國交ノ恢復ヲ見ルコトガ出來ナイノハ頗
ル遺憾デアリマスルガ、併チガラ帝國ノ既
得權タル此漁業權ハ露國ノ政情ノ如何ニ依
年、毫モ影響ヲ受クベキ性質ノ權利デハナ
イノデアリマス、ソレ故其後モ邦人ハ帝國
政府ノ保護ノ下ニ、勇敢ニモ危險ヲ冒シ年
年、持續シテ漁業ヲ行ヒ來ノテ居ルノデゴザ
イマス、然ルニ露國側ノ時ノ政憲ハ、右漁
業協約ノ精神ヲ無視シ、各種ノ行爲ニ種々
ナル制限ヲ加へ、又契約更新ニ際シマシテハ
優良ナル漁區ヲ奪フガ如キ、或ハ漁場借區
料ヲ理由ナク暴騰セシムルガ如キ、尙且ツ
更ニ附加稅ヲ重課シ、或ハ又又貨ノ換算率
ヲ不當ニ高メタルノミナラズ、前年日本政
府ノ容認致シタル自衞的ニ出漁紋シマシタ
當時ノ借區料ノ追徴ヲ爲サシメル等、不當
不法ノ暴狀算フルニ遑ガナイノデアリマス、
今稍、具體的ニ當業者ガ從來ニ比シ、其苦痛
ト致シマスル主ナル事項ヲ示シマスト左ノ
通リデアリマス、第一大正十年、十一年度
ノ對露支拂金トシテ今後三箇年間ニ百二十
万圓及其利子年八分ノ支拂ヲ要スルコト、
第二魚族繁殖保護費トシテ本年度ヨリ借區
料ノ五分ヲ徴收セラルヽコト、第三契約登
錄料及其他公課金ハ從來借區料ノミヲ基準
ト致シテ居リマシタノヲ、本年ヨリハ前記
魚族繁殖保護費ヲ加ヘタルモノ、三分ヲ徴
牧セラルヽコト、第四借區料ガ前年ニ比シ
マシテ、平均シテ約四割强暴騰シタルコト、
第五露貨「チエルオンツイ」ニ依ル納入ヲ强
要セラルヽ爲ニ、其換算ニ大ナル不利アル
コト、第六汽船査證ノ不便ト其料金ヲ增加
セラレタルコト、第七各漁區ノ漁獲ヲ制限
セラレ、尙ホ總括的ニ製魚ノ制限ヲ附セラ
レタルコト及ヒ第八本年カラ漁區ヲ國營ト
稱シテ優良漁區ノ數固所ヲ奪取サレマシタ、
大樣斯樣ナ次第デアルノデアリマス、斯ク
テハ當業者ハ收支ガ相償ヒマセヌ、卽チ經
營困難又ハ不能ニ陷リマシテ、邦人ノ出漁
者ハ漸次其跡ヲ絕ツニ至リ、折角得タル帝
國ノ此意表アル漁業權ノ將來、頗ル憂慮ス
ベキデアリマス、勿論其根本問題デアリマ
スル修交恢復ニ關シマシテハ目下北京ニ於
テ第三回ノ會議續中デアリマスレバ、對
露諸多ノ懸案ハ近ク解決セラルヽコトデア
リマシヤウ、又吾々ハ衷心ヨリ一日モ早ク
其解決ヲ期待シ日露國交ノ親善ナランコト
ヲ熱望スル者デゴザイマスガ、而モ本件漁
業ニ關スル邦人出漁問題ハ、是等ニ拘ハラ
ズ、一日モ忽セニスルコトノ出來ナイ現下
ノ案件デアルノデアリマス、要シマスルニ
露國側ノ不當ナル條件ト、負擔重課ヲ强要
セラルヽニ於キマシテハ、當業者ノ困難ハ
察スルニ餘リアルノデアリマス、若シ此窮
狀ヲ此儘ニ默過スルトキハ、遂ニ漁業ヲ行
フ者ナキニ至リマシテ、折角戰勝ノ賜タル
漁業權ガ喪失スルニ至ル虞ガアリマス、內
地產業不振ノ時ニ際シマシテ、有ユル社會
問題、卽チ人口過剩問題或ハ食糧問題、對
外貿易問題等、是等ニ思ヒ及ビマスト、年
年五六十万石ノ收得アル對外產業デアル本
件ハ、吾國ノ將來ニ於テ實ニ由々シキ問題デ
アルノデアリマス、何卒政府ハ速ニ當業者
ニ對シ、適當ナル救濟ノ途ヲ講ゼラレマシ
テ、此重大ナル國権ヲ擁護シ、面シテ帝國
產業發展ノ爲ニ產業者ノ漁業ニ中断ノナイ
ヤウニ、適當ノ措置ヲ執ラレンコトヲ切望
スル次第デアリマス、(拍手)是レ本案ノ建議
ヲ爲ス所以デアリマス、諸君ノ御賛成ヲ求
メマス、以上ハ建議ノ要旨デゴザイマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=74
075・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ特ニ提案ノ趣旨ニ鑑
:卽決ヲ以テ可決セラレンコトヲ望ミマ
ス
〔「賛成」「贊成」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=75
076・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ動議ニ御異
議ナシト認メマス、仍テ動議ノ如ク決シマ
シタ-日程第二十、呉三原鐵道敷設速成
ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス
第二十吳三原間鐵道敷設速成ニ關ス
ル建議案(山道襄一君外四名提出)
吳三原間鐵道敷設速成ニ關スル建議案
吳三原間鐵道敷設速成ニ關スル建議
廣島縣吳ヨリ三津ヲ經テ三原ニ至ル四十
四哩ノ海岸線ハ地勢平坦人口稠密ニシテ海
陸ノ物產ニ富ミ鐵道敷設ノ必要ヲ感スルコ
ト甚夕緊切ナリ恐フク全國屈指ノ營利線
ナリ加フルニ吳鎮守府吳廣兩海軍工廠ヲ
シテ安全ニ山陽鐵道幹線ニ連絡スルノ便
ヲ得セシムルモノナレバ軍事上亦之ヲ忽
諸ニ付スヘカラス依テ政府ハ既定計畫ヲ
進メ其ノ速成ニ努メラレムコトヲ望ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=76
077・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ提案者ノ趣旨辯明ヲ
略シ、而モ曩ニ本院ヲ通過シタルモノト同
種ノ議案ナルニ依リ、卽決ヲ以テ可決セラ
レンコトヲ望ミマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=77
078・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ動議ニハ御
異議ナシト認メマス、仍テ動議ノ如ク決シ
マシタ-日程第二十一、東京都制促進ニ
關スル建議案ヲ議題ト致シマス、作間耕逸
君
第二十一東京都制促進ニ關スル建議
案(作間耕逸君外十五名提出)
東京都制促進ニ關スル建議案
東京都制促進ニ關スル建議
東京都制案ハ已ニ政府ニ於テ大體ノ審議
ヲ了セラレタル所ニシテ之カ施行ヲ急速
ナラシムル爲政府ハ次ノ議會ニ必ス提案
セラレムコトヲ望ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=78
079・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ提案者ノ趣旨辯明ヲ
略シ、而モ曩ニ屢〓本院ヲ通過シタルモノ
ト同種ノ議案ナルニ依リ、卽決ヲ以テ可決
セラレンコトヲ望ミマス(拍手)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=79
080・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ動議ニハ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=80
081・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
二十二、預金部資金通用委員會設置ニ關ス
ル建議案ヲ議題ト致シマス中村啓次郞君
第二十二預金部資金運用委員會設置
ニ關スル建議案(川原茂輔君外三名
提出)
貯金部資金運用委員會設置ニ關スル建
議案
預金部資金運用委員會設置ニ關スル
建議
大藏省預金部資金ノ運用ニ就テハ其ノ資
金カ主トシテ郵便貯金ヨリ成ルノ性質ニ
鑑ミ國氏利福ノ增進上最適切ナラシムヘ
キモノナルハ言ヲ俟タス然ルニ政府ハ全
然之ヲ專斷シテ其ノ運用當ヲ得サルモノ
尠シトセス〓ヤ經濟界ハ萎靡シテ振ハス
農村ハ疲弊ノ極ニ達シ之カ救濟トシテ低
利資金ノ供給ニ俟ツコサ頗ル切ナルモノ
アリ政府ハ宜シク速ニ官民ヨリ成ル預金
部資金運用委員會ヲ設置シテ之カ使途及
運用ノ方法ヲ議セシメ以テ其ノ公明ニシ
テ適正ナラシムルコトヲ期スヘシ
右建議ス
〔中村啓次郞君登壇、拍手起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=81
082・中村啓次郎
○中村啓次郞君　本議案ハ大藏省ノ預金部
ヲ改善シヤウト云フ建議案デアリマス國
民ノ勤勞ノ結果ニナル蓄積ハ、郵便局ヲ通
シマシテ大藏省預金部ニ吸收セラレテ居リ
マスルモノ既ニ十一億三千万圓以上ニ上
テ居ルノデアリマス會テ桂内閣ガ預金奬
動費ヲ計上致シマシテ當院ニ要求致シマシ
タル時分ニ、當院ハ此預金ノ半ヲ割イテ地
方ノ低利資金ニ還元致シタイト云フコトヲ
中出デマシテ、之ニ對シマシテハ桂内閣ハ
此提案ヲ致シマシタ明治四十二年ニ於キマ
シテハ其三分ノ一其翌年カラハ二分ノ一
ヲ地方ニ還元スルト云フ約束ヲ致シテアツ
タノデアリマス、然ルニ其後此預金部ノ運
用ヲ見マスルト云フト、或ハ内國債或ハ外
國債、或ハ興業債劵、勸業債劵、或ハ鐵道
特別會計其他一般ノ經濟界ノ影響ニ關シマ
スルヤウナ場合ニハ或ル銀行或ル會社ニ
モ融通ヲ致シテアルノデアリマス、多少國
民ノ疑惑ヲ招クヤウナ事モナイデハナイノ
デアリマス、殊ニ近來全融ガ極メテ梗塞シ
マシテ、農村ノ困弊實ニ名狀スベカラザル
モノガアルノハ、皆樣ノ當議場ニ於ケル光
景ニ依リマシテモ明ニスルコトハ出來ルノ
デアリマス、ソコデ此預金部ニ委員會ヲ設
ケマシテ、一ハ以テ其連用ヲ適當ニ致シマ
シテ、世ノ疑惑ヲ解キ、又一ハ農村ノ金融
ヲ滑カニ致シマシテ、其疲弊ヲ救ウテ以テ
農村ノ振興ヲ企テタイ、斯ウ云フノガ本案
ヲ提出致シマシタル理由デアリマス、政府ニ
於キマシテモ先頃來本會議若クハ委員會ニ
於ケル數大ノ聲明ニ依リマシテ、此案ヲ容ル
ルニ吝ナラナイヤウニ見受ケラルヽノデア
リマスケレドモ、此案ハ數年來懸案ニナッテ
居ルモノデアリマス、一片政府者ノ言明ノ
ミヲ以チマシテハ安ンズルコトガ出來ナイ
ノデ、此案ヲ提出致シマシタ次第デアリマ
ス、ドウカ滿場ノ御賛成ヲ以チマシテ、政
府ニ於テ此施設ヲセラレンコトヲ希望スル
ノデゴザイマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=82
083・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ議員森田金藏君提
出、營業稅法廢止法律案外一件ノ委員ニ併
セテ付託セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=83
084・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ動議ニハ御
異議アリマセスカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=84
085・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク委員付託ニ決シマシ
タ-日程第二十三、千代川改修促進ニ關
スル建議案ヲ議題ト致シマス、由谷義治君
第二十三千代用改修促進ニ關スル建
議案(由谷義治君外三々石提出)
千代川改修促進ニ關スル建議案
千代用改修促進ニ關スル建議
千代川ノ改修ハ災害ノ防止產業ノ開發農
村ノ振興上速ニ之ヲ完成スルノ必要アリ
ト認ム政府ハ該工事竣功年限ヲ繰上急施
スルノ措置ヲ講セラレムコトヲ望ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=85
086・由谷義治
○由谷義治君　此席カラ千代川改修促進ニ
關スル建議案ノ趣旨ヲ簡單ニ辯明シタイト
考ヘマス、昨年ノ九月ニ鳥取縣ノ鳥取市ガ
全滅セリト云フ悲報ヲ齋シマンタノハ貨
ニ此千代川ノ大洪水デアッタノデアリマス、
此川ハ大正十二年度カラ十箇年ノ計畫ヲ以
チマシテ河川改修ノ事ニナッテ居リマシタ
ケレドモ、昨年山本內閣ノ行政整理ノ爲ニ
四年間ノ延期ヲ見タノデアリマス、卽チ大
正二十五年ニ竣工スルコトニナッテ居リマ
スルガ、此川ノ實體ガ是ヨリ十三四箇年ノ
間ヲ漫然トシテ待ツコトガ出來ナイノデア
リマス、其理由ハ多々アリマスルガ、近來
此用ノ水害ハ一年ハ一年ヨリモ其度數が頻
繁ニ起ルコトニナ,テ居リマス、現ニ昨年
ノ水害ノ如キモ唯〓僅ニ一晝夜ノ降雨、而モ
餘リ多カラザル降雨ノ結果彼ノ洪水ヲ惹起
シタノデアリマス、更ニ水害ノ損害高ハ一
回ハ一回ヨリモ非常ニ增加シツヽアリマ
ス、大正元年ノ大洪水ハ當時前古未曾有ナ
リト稱セラレマシテ、其被害額ハ七百二十
六万圓デアリマシタガ、更ニ大正七年ノ水
害ニ至リマシテハ實ニ千七百十六万圓ノ多
キニ達シタノデアリマス、斯樣ナ意味ニ於
キマシテ、此川ハ速ニ改修ノ實ヲ擧ゲテ貰
ヒマセヌト、其延期スルニ從ヒマシテ非常
ナル危險ヲ招來スルト共ニ、其損害額ハ加
速度的ノ意味ニ於テ增加スル虞ガアルノデ
アリマス元來千代川ノ平均水害ノ損害額
ハ內務省ノ調査ニ依リマシテモ大正八年
マデ十箇年ノ平均年額ガ、實ニ一年二百四
十六万四千圓ノ多キニ達シテ居ルノデアリ
マシテ、之ヲ第一期河川ヲ除キ日本中ノ一
番大キナ-百三十五ノ河川ノ中ニ比較シ
テ見マスルト、損害額ガ第一位ニ在ルノミ
ナラズ、現ニ國家ニ於テ只今工事ヲ起シテ
居リマスル所ノ第二期河川中ノ天龍、肥後、
筑後、蘆田ノ四川ニ比較シテ見マシテモ、
是等ノ河川ノ損害ハ二十万乃至四十七万
圓デアルニモ拘ラズ、千代川ハ前申上ゲマ
ス通リ一躍二百四十六万四千圓ノ多キニ達
シテ居ルノデアリマス、卽チ前述ノ意味ニ
於キマシテ、此河川ニ付キマシテ政府ハ速
ニ特殊ノ方法ヲ御講ジ下サイマシテ、河川
改修ノ促進ノ實ヲ擧ゲテ貫ヒタイノデアリ
マス、行政財政ノ整理緊縮ハ、屢〓吾々ノ信
ズル內閣ノ諸公ガ申サレマス通リ、獨リ數
字ノ減少ノミデハナイ、豫算ノ數字ノ減少
ノミニアラズシテ、政府事業或ハ行政機關
ノ内容ノ充實、能率ノ增進デアリマス、此
意味ニ於キマシテ千代川ノ如キハ行政財政
ノ整理緊縮ノ場合ニ在リマシテモ、速ニ改
修スルヲ急務ナリト感ズルノデアリマス
何卒滿場ノ諸君ノ御賛同ニ依リマシテ、政
府ヲシテ速ニ適當ナル施設ヲ執ラシムル
ヤウニ、格別ノ御援助ヲ御願ヒスルノデア
リマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=86
087・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ曩ニ本院ヲ通過シタ
ルモノト同種ノ議案ナルニ依リ、卽決ヲ以
テ可決セラレンコトヲ望ミマス
〔「贊成」「賛成」ノ聲起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=87
088・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ動議ニハ御
異議ナシト認メマス、仍テ動議ノ如ク決シ
マシタ-日程第二十四、尾道開港場指定
ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス、嶋居哲
君
第二十四尾道開港場指定ニ關スル建
議案(嶋居哲君提出)
尾道開港場指定ニ關スル建議案
尾道開港場指定ニ關スル建議
政府ハ速ニ尾道港ヲ開港場トシテ指定セ
ラレムコトヲ望ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=88
089・嶋居哲
○嶋居哲君　自席カラ本案提出ノ理由ヲ簡
單ニ說明サシテ戴キタイト存ジマス、御承
知ノ如ク尾道ハ港灣トシテノ歷史ハ隨分古
クカラ之ヲ持シテ居リマス、殊ニ中國トシテ
ハ商業上餘程重要ナル地點ニ存在致シテ居
ル港灣デアリマシテ、是マデニ開港場ニ指
定サレテ居ナカッタト云フコトハ、本員ノ誠
ニ遺憾ト致シテ居ル所デアリマス、殊ニ目
下排日問題ノ惹起スルト同時ニ、支那方面
ノ事ニ關シテハ餘程世人デ注目致シテ居
リマスル際ニ、本案ノ如キ支那貿易ト特別
ノ關係ノアルモノハ一日モ速ニ此目的ヲ
達成シタイト思フノデアリマス、本港ノ取
引地ト致シマス所ハ朝鮮滿洲及北支那方
面デアリマシテ、貿易額ハ千五百万圓ヲ超
エテ居リマス、而モ是等ノ事ガ一々他ノ開
港場ニ於テ關稅手續ヲ行ハルヽガ爲ニ、非
常ナル煩雜ト不利益ヲ被シテ居ルノデアリ
やく、附近ノ糸崎港ガ開港場トシテ指定セ
ラレテハアリマスケレドモ、此糸崎港ニハ
唯〓「スタンダード」ノ石油會社ガ存在致シ
テ居ルノミデアリマシテ、他ニ貿易港トシ
テ何等貿易商ガアリマセヌガ爲ニ、積載ス
ベキ船舶ガアリマセヌカラ、稅園手續ヲ致
シマシテモ他ノ開港場ニ一タビ轉送シナケ
レバナラヌト云フ狀態ニ在ルノデアリマシ
テ、何等之ヲ利用スルコトガ出來ナイノデ
アリマス、殊ニ財政ノ整理緊縮ヲ叫バルヽ
昨今ニ當リマシテ、本問題ガ餘程財政上ノ
援助ヲ必要トスルガ如ク御考ニナルカ知
レマセヌガ、之ニ對シテ殆ド政府ノ補助ヲ
必要トシナイノデアリマス、殊ニ多少ノ設
備ニ對シテ金ガ要ルカモ分リマセヌケレド
モ、是ハ地方ニ於テ十分負擔シ得ルノ確信ヲ
持ノテ居ルノデアリマス、ソレ故ニ左樣ナ大
ナル方針ト何等矛盾ヲ來サナイノデアリマ
ス、之ヲ要スルニ唯此名前ヲ許シテ戴クト
云フコトノミデアリマシテ、地方產業ノ隆
盛及北支那、滿洲方面ノ貿易ヲ促進スルコ
トガ出來ルノデアリマスカラ、ドウゾ諸君
ノ御協賛ヲ願ヒ、當局ノ一日モ速ニ此事ヲ
實行セラレンコトヲ希望シテ止マナイ次第
デアリマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=89
090・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ特ニ提案ノ趣旨ニ鑑
ミ卽決ヲ以テ可決セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「贊成」ノ聲起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=90
091・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ動議ニ御異
議ナシト認メマス、仍テ動議ノ如ク決シマ
ス-日程第二十五、第二十六、第二十七
ハ提出者同一ナルニ依リ一括議題ト爲ス
ニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ノ聲起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=91
092・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第二十五、江戶崎郡間鐵道敷
設ニ關スル建議案、日程第二十六、佐貫江
戶崎間鐵道敷設ニ關スル建議案、日程第二
十七、土浦江戶崎間鐵道速成ニ關スル建議
案、右三案ヲ一括議題ト致シマス-來栖
七郞君
第二十五江戶崎郡間鐵道敷設ニ關ス
ル建議案(來栖七郞君提出)
江戶崎郡間鐵道敷設ニ關スル建議案
江戶崎郡間鐵道敷設ニ關スル建議
本鐵道ハ芙城縣江戶崎ヨリ關東平野中米
穀繭等ノ產額多キ部落ヲ經テ千葉縣郡驛
ニ連絡スルモノニシテ地方開發上緊要ナ
ルハ勿論千葉縣佐原銚子間ノ鐵道及別ニ
提案セル土浦江戶崎間鐵道ノ開通ト共ニ
本線ヲ敷設スルヲ得ハ東京地方ヨリ銚子
港佐原成田佐倉千葉及房總方面ニ連絡ス
ル利便ヲ得ル唯一ノ要衝路ナリ依テ政府
ハ速ニ之カ鐵道網編入及敷設計畫ヲ立テ
ラレムコトヲ望ム
右建議ス
第二十六佐貫江戶崎間鐵道敷設ニ開
スル建議案(來栖七郞君提出)
佐貫江戶崎間鐵道敷設ニ關スル建議案
佐貫江戶崎間鐵道敷設ニ關スル建議
本線ハ常盤線佐貫驛ヨリ茨城縣南部ノ物
資集散地タル龍ケ崎ヲ經テ關東平野中米
穀繭ノ產額最多キ部落ヲ貫迪シ江戶崎ニ
至ルモノニシテ人文ノ開發產業ノ發展上
極メテ緊要ナルヲ以テ政府ハ速ニ鐵道網
ニ編入シ且敷設計畫ヲ立テラレムコトヲ
望ム
右建議ス
第二十七土浦江戶崎間鐵道速成ニ關
スル建議案(來栖七郞君提出)
土浦江戶崎間鐵道速成ニ關スル建議案
土浦江戶崎間鐵道速成ニ關スル建議
常般線土浦驛ヨリ茨城縣江戶崎ニ通スル
鐵道ハ曩ニ貴衆兩院ニ於テ可決シタル鐵
道網ニ編入セラレタルモ未夕工事ニ著手
セラレス沿道人民ノ深ク遺憾トスル所ナ
リ本鐵道ハ人文ノ開發產業ノ發展上極メ
テ緊要ナルハ固ヨリ言ヲ俟タサルナリ政
府ハ速ニ本鐵道敷設工事ニ著手セラレム
コトヲ望ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=92
093・來栖七郎
○來栖七郞君　三案ヲ一括シテ此席ヨリ最
モ簡單ニ其理由ヲ說明致シマス三案中佐
貫江戶崎間ト稱スルハ常磐線ノ茨木縣南
部ノ物資集散地タル龍ケ崎ヲ經テ、關東平
野ノ米穀、繭等ノ收穫ノ最モ多量ナル町村
ヲ經テ江戶崎ニ到ルノデ、又土浦江戶崎間
ト稱スルノハ常磐線ノ土浦ヨリ只今申上
ゲマシタ江戶崎ニ通ズルモノデアリ、又江
戶崎郡間ト稱スルノハ其合併シタル江戶崎
ヨリ、千葉縣郡驛ニ通ズルモノデアリマス、
是等ノ地方ハ只今申上ゲマシタ通リ、關東
平野中ノ米穀、繭等ノ產額ガ最モ多量ナル
地方デアリマスカラ、產業開發上最モ必要
デアルノミナラズ、沿線ノ阿見村ニハ海軍
ノ航空隊ガ出來テ、此方面ノ交通ガ甚ダ頻
繁デアルノデアリマスカラ、軍事上ヨリ見
マシテモ緊要缺クベカラザルモノデアリマ
ス、ノミナラズ此線ガ開通致シマスレバ、東
北地方ヨリ千葉縣ノ銚子、千葉市、房總方
面ニ聯絡スル唯一ノ要衝デアリマスカラ、
私ハ政府ニ向ノテ速ニ本線ノ計畫ニ著手セ
ラレンコトヲ望ムノデアリマス、以上ノ次
第デアリマスカラ、諸君ノ御賀成ヲ御願ヒ
致シマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=93
094・作間耕逸
○作間耕逸君　此三案ハ何レモ〓ニ本院ヲ
通過シタルモノト同種ノ議案ナルニ依リ、
卽決ヲ以テ可決セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ノ聲起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=94
095・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ動議ニ御異
議ナシト認メマス、仍テ三案共動議ノ如ク
決シマス-日程第一一十八、利根川架橋ニ
關スル建議案ヲ議題ト致シマス
第二十八利根川架橋ニ關スル建議案
(來栖七郞君外一名提出)
利根川架橋ニ關スル建議案
利根川架橋ニ關スル建議
本橋ハ昔陸前濱街道トシテ著名ナリシ現
在ノ國道千葉縣我孫子町茨城縣取手町間
ノ利根川ニ架設スルモノニシテ交通上產
業發展上及軍事上ヨリ緊要ナルニ拘ラス
不完全ナル渡船ヲ以テスルカ故ニ出水若
ハ風浪ノ場合ハ交通ヲ遮斷セラレ沿道人
民ノ常ニ蒙ル損害尠少ナラサルモ之レ尙
忍フヘシト雖一朝有事ニ際シ軍機ヲ失ス
ルカ如キコトアラハ由由敷國家ノ大事ナ
リ今ヤ全國樞要ノ國道中未架橋ノ箇所ハ
近ク古河栗橋間ノ架橋ニ依リ殘ルハ本橋
ノミナリト當局ハ近來國通ノ架橋ニ對シ
地方費ノ支辨ニ依リ國家ハ之ニ補助ヲ與
フル方針ナリト聞ク之レ思ハサルノ甚シ
キナリ現在ノ如ク地方農村ノ疲弊其ノ極
ニ達シ且地方ニ於テ爲スヘキ事業多ク到
底其ノ負擔ニ堪フル能ハサルナリ故ニ沿
道人民ハ從來數回ニ亙リ貴衆兩院ニ請願
シ採擇セラレタルモ未タ工事著手ヲ見ル
ニ至ラス甚夕遺憾トスル所ナリ政府ハ速
ニ國費ヲ以テ架セラレンコトヲ望ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=95
096・來栖七郎
○來栖七郞君　簡單ニ提案ノ理由ヲ說明致
シマス、本案ハ昔シ陸前濱街道ト稱シテ著
明ナモノデ、現在ノ國道タル千葉縣我孫子
ト、芙城縣ノ取手ノ間ヲ流ルヽ利根川ニ架
橋スルモノデアッテ、交通上軍事上、產業開
發上極メテ緊要ナルモノデアリマスガ、現
在ニ於テハ不完全ナル渡船ヲ以テ僅ニ通行
スル始末デアリマス、故ニ出水、風浪等ノ
場合ニハ交通ガ遮斷セラレ、附近住民ノ被
ムル交通上ノ迷惑、損害ハ多大ナモノガア
ルノデアリマス、而シテツレハ尙ホ多少忍
フトシテモ、一朝有事ノ際ニ軍機ヲ失スル
コトガナイトハ限ラナイノデアリマス、時
々陸軍ノ砲車等ガ渡船中墜落シマシテ、其引
揚ニ半日以上ヲ費シテ、軍事ニ支障ヲ來シ
テ居ルノデアリマス又阿見村ニハ海軍ノ
飛行隊ガ出來マシテ、東京方面トノ交通ガ
頗ル頻繁デアリマス、ソコデ其軍用自動車
ガ只今デハ小サナ船二三般ヲ繼合セテ渡船
ヲシテ居ル有樣デ、渡船ニ二時間モ掛ルヤ
ウナ始末デアリマス、當局者ハ此國道ニ於
ケル架橋ニ對シテ、地方事業トシテ國家ガ
補助ヲ與ヘル方針ヲ執ッテ居ルサウデアリ
マスガ、現在ノ如ク地方財政ノ窮迫ニ際シテ
居ル時代デハ致底一地方費ヲ以テ出來マ
セヌカラ、私ハ國費ヲ以テ此架橋ヲ希望ス
ル者デアリマス、全國ノ國道中樞要ナル處
ニ對シテハ、先頃古河栗橋間ノ開通ヲ見マシ
タ上ハ、本橋ノミガ不架設デアルヤウニ聞
及ブノデアリマスドウカ政府ニ對シテ私
ハ速ニ此架橋ニ若手セラレルヤウ希望スル
者デアリマス、以上ノ事實デアリマスカラ、
諸君ニ於テモ何卒御賛成アランコトヲ希望
致シマス(拍手)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=96
097・作間耕逸
○作間耕逸君　木案ハ特ニ提案ノ趣旨ニ鑑
卽決ヲ以テ可決セラレンコトヲ望ミマ
ス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=97
098・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ動議ニハ御
異議ナイト認メマス、仍テ動議ノ如ク決シ
マシタ、日程第二十九、東京帝國大學農學
部實科ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス、
岡田溫君
第二十九東京帝國大學農業部〓料ニ
關スル建議案(岡田溫君外五名提出)
東京帝國大學農學部實科ニ關スル建議
案
東京帝國大學農學部實科ニ關スル建
議
東京帝國大學農學部實科ハ駒場農學校創
立以來既ニ三十有餘年此ノ間卒業生ヲ出
スコト二千七百餘名ニ及ヒ我カ產業界ニ
貢獻セルコト頗ル大ナリトス然ルニ政府
ハ最近ニ至リ東京帝國大學農學部ヲ本〓
ニ移轉スルニ決シ此ノ歴史アリ功績アル
實科ニ對シテハ何等ノ考慮施設ヲ加フル
所ナシ斯クテハ實地ニ重キヲ置キ其ノ特
長ヲ發揮シタル實科ノ本質ヲ失ヒ其ノ設
立ノ主旨ニ悖ルノ虞アルヲ遺憾トス故ニ
政府ハ速ニ東京帝國大學農學部實科ヲ東
京ニ於テ分離シ之ヲ獨立シタル専門學校
ニ改定セラレムコトヲ望ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=98
099・岡田温
○岡田溫君　簡單ニ提案ノ理由ヲ申上ゲマ
ス本案ハ東京帝國大學農學部實科ヲ分離
獨立セシムルト云フ案デアリマス、現在ノ
狀態ハ大學ノ制度ノ上カラ見マシテモケーイ不
ノ本質ノ上カラ見マシテモ、不都合ノ狀態
ニナッテ居ルノデアリマシテ、本問題ハ旣ニ
數年以來大學當局ニ於キマシテモ、文部當
局ニ於キマシテモ、分離獨立ヲ適當デアル
ト云フ了解モアリ、且ツ計畫ガ進行中ノヤ
ウニ伺ッテ居リマス、又本院ニ於テモ第四十
四議會以來屢と此建議ガ通過シテ居リマ
ス、目下農村振興問題ノヤカマシイ時デア
リマスガ、本案ノ如キハ農村問題ノ中心ニ
觸レマス農業〓育ノ改善ニ園スル問題デア
リマス許細ハ又會ニ於テ中上ゲマス、
ドウゾ御賛同ヲ願ヒマス(拍手)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=99
100・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ曩ニ本院ヲ通過シタ
ルモノト同種ノ議案ナルニ依リ、卽決可決
アランコトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=100
101・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ動議ニハ御
異議ナシト認メマス、仍テ動議ノ如ク決シ
マシタ、日程第三十、社會政策ニ關スル建
議案ヲ議題ト致シマス、山本芳治君
第三十社會政策ニ關スル建議案(山
本芳治君提出)
社會政策ニ關スル建議案
社會政策ニ關スル建議
近時國民思想ノ漸次惡化シツツアルハ吾
人ノ憂慮措ク能ハサル所ナリ今ノ時ニ方
リテ旺ニ社會事業ノ經綸ヲ行ヒ以テ一般
國民殊ニ無產者ヲシテ國家生活ノ恩惠ヲ
如實ニ經驗セシムルニ非サレハ或ハ國家
ノ存立ヲ脅スモノアルニ至ルヘシ茲ニ於
テ就中急ヲ要スルモノヲ左ニ揭ケ之カ急
う速ノ實施ヲ求ム
勞働爭議調停ニ關スル法規ノ制定
K勞僧ウ爭議ノ發生ハ產業上最嫌忌スヘキ
所ナリト雖而モ近來頻發シテ之カ爲ニ
產業ニ打擊ヲ與ヘツツアルハ掩フヘカ
ラサル事實ナリ面シテ國家カ之ニ對シ
テ何等救濟ノ方法ヲ講セサルハ頗ル遺
憾ナリ政府カ今期議會ニ小作爭議調停
ニ關スル法案ヲ提出シ乍ラ寧口之ヨリ
モ急ヲ要スル勞働爭議ニ關スル調停法
規ヲ提案セサルハ其ノ措置妥當ナラス
ト信ス
二勞働組合ニ關スル法規ノ制定
近來勞衛者ノ組合ヲ組織スルモノ日日
多キヲ加フルニ拘ラス法規ノ準據スヘ
キモノナキ爲組合員ノ権利ヲ保護スル
ニ途ナシ曩ニ革新倶藥部ヨリ提出セル
法案モアレハ之ヲ參酌起案シ速ニ法規
制定ノ措置ニ出テラレムコトヲ望ム
三公營住宅ニ關スル法規ノ制定
曩ニ制定セラレタル借家法ハ借家人ノ
權利保護ヲ目標トシテ立案セラレタル
モノナリト雖而モ經濟上ヨリ之ヲ觀察
スルトキハ却テ借家人ノ負擔ヲ加重シ
タル怨ナシトセス卽チ借家法施行後家
主ヨリ借家人ニ要求スル敷金額ノ激增
シタルカ如キ又從來家主借家人間ニ存
セシ溫情關係ハ漸滅シテ借家ノ經營ハ
専ラ企業化シタル結果家賃ノ昇騰シタ
ルカ如キ是ナリ斯ノ如クシテ近來ノ住
宅難ハ更ニ住宅借人難ヲ招來シ中產以
下ノ階級ヲシテ却テ生活ノ窮乏ヲ訴ヘ
シムルモノアリ之カ對策トシテ住宅ノ
公營ハ最機宜ニ適セルモノニシテ政府
ニ於テモ低資追ノ途ヲ開キ最近之ニ
依リテ稍公營住宅建設ノ見ルヘキモノ
アリ公共團體ニ於テモ之ニ傚ハムトス
ルモノ漸次多キヲ加ヘムトス
然ルニ現行借家法ハ元來營利ヲ目的ト
スル借家ヲ標準トシテ制定セラレタル
モノナルカ故ニ之ヲ以テ營利ヲ離レタ
ル公營住宅ヲ律スルハ當ヲ得ス卽チ居
住者ノ權利ノ保護ヨリモ寧ロ經濟上ノ
救濟ヲ目的トシ經營者ノ權利ヲ簡單適
確ニ實行シ得ヘキ法規ヲ別ニ制定ヲ以
テ公營住宅ノ權利關係ヲ規律スルニ非
サレハ其ノ經營ニ支障ヲ生セシメ延テ
其ノ發達ヲ阻害スルニ至ルヘシ
四公營質屋ニ關スル法規ノ制定
現行質屋取締法ハ質屋事業自體ヲ營利
ノ爲ニスルモノナリト前提シ警察ノ取
締ヲ主眼トシテ制定セラレタル圓係上
現在公共團體ニ於テ社會政策ノ見地ニ
立テ經營セル質屋事業ニ之ヲ適用スル
トキハ種種ナル不便ヲ見ルヘシ(一)
若之ヲ適用スルトセハ質屋營業者ハ地
方命令ニ從テ組合ヲ設ケ必ス之ニ加人
スルコトヲ要シ組合所定ノ規約ニ属束
セラレサルヘカラス然ルニ公營質屋ハ
其ノ性質上組合規約ノ利率ニ從フ能ノ
サルノミナラス流質物ノ處分ニ就テモ
組合規約ニ從フコトヲ得サルヘシ何ト
ナレハ營利業者ノ爲ニ設ケラレタル規約
ニ依レハ流質物處分ニ依リテ得ル所ノ
對價ハ全部質屋ノ收入トナルヘケムモ
公營質屋ニ在リテハ債務ヲ超過セル部
分ハ之ヲ質置主ニ返還スルヲ至當トス
レハナリ(二)質屋取締法ヲ適用セス
シテ民法ヲ適用スレハ債務不履行ノ場合
ニ於ケル質物ノ處分ニ付手數ト費用ニ
於テ尠カラサル不便不制アルノミナラ
ス公營質屋事業ニ在リテハ其ノ利率ニ
於テ到底利息制限法ニ從フ能ハサルヘ
シ何トナレハ數多ノ質物ヲ收藏スルニ
付テハ相當ノ保管設備ヲ要シ多數ノ小
口金額ヲ取扱フニ付テハ繁雜ナル手數
ヲ必要トスレハナリ左レハ社會政策ノ
見地ニ立テ經營セル公營質屋ノ爲ニ左
記諸點ヲ考慮シテ通當ナル法令ノ制定
アラムコトヲ望ム
イ行政廳ノ許可ヲ要セスシテ事業ヲ
經營セシムルコト
ロ利息制限法ヲ超過スル利率ノ認容
ハ流質物特別處分ノ認容
前記四種ノ法規ニ付テハ政府ニ於テ適當
ノ案ヲ具シ必ス次回議會ニ提出セラレム
コトヲ求ム
五健康保險法ノ實施
大正十一年法律第十七號健康保險法ハ
本年四月以降實施セラルヘキ豫定ナリ
シニ今日ニ至ルモ之カ實施ヲ見ル能ハ
サルハ頗ル遺憾ナリ政府當局ニ於テ相當
ノ財源ヲ捻出シ速ニ之カ實施アラムコ
トヲ求ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=101
102・山本芳治
○山本芳治君　本案ノ趣旨ハ大體書而ニ記
載シテアル通リデアリマス、時間ヲ節約シ
テ詳細ノ說明ハ委員會ニ於テ致シタイト思
ヒマス、大體ノ理由ハ書面記載ノ通リデア
リマス、ドウゾ御賛成アランコトヲ希望致
シマス(拍手)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=102
103・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ議長指名、九名ノ特
別委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ノ聲起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=103
104・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ動議ニハ御
異議ナシト認メマス、仍テ委員付託ニ決シ
マシタ、日程第三十一日露國交ノ恢復竝
損害ノ救濟企業貿易速進ニ關スル建議案ヲ
議題ト致シマス、一柳仲次郞君
第三十一目露國交ノ恢復竝損害ノ救
濟企業貿易促進ニ關スル建議案(一
柳仲次郞君外七名提出)
日露國交ノ恢復竝損害ン救濟企業貿易
速進ニ關スル建議案
日露國交ノ恢復竝損害ノ救濟企業貿
易速進ニ關スル建議
露國政變以來久シク日露國交ノ杜絕ハ兩
國民ノ誠ニ遺憾トスル所ニシテ之カ恢復
ハ兩國親善上最焦眉ノ急務ニ屬ス政府ハ
過般北京ニ於テ其ノ商議ノ進行ヲ圖リ居
レルモ未タ其ノ締結ヲ見ス速ニ之カ解決
ヲ圖ルト共ニ西比利亞事變ノ爲受ケタル
邦人ノ損害ヲ救濟シ企業ノ速進貿易ノ振
興ニ資スヘシ
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=104
105・澤田利吉
○澤田利吉君　一柳君不在デアリマス、私
提出者デアリマスカラ
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=105
106・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　澤田君
〔澤田利吉君登壇〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=106
107・澤田利吉
○澤田利吉君　曰露ノ貿易ハ我ガ日本ト地
理的ノ上ニ於キマシテモ特ニ發達センケレ
バナラヌ關係ヲ持ッテ居リマスガ、元來貿易
事業ナルモノハ頗ル困難ナモノデアリマシ
テ、歐米地方ノ貿易ノソレニ比シテ、遲々
トシテ進マナカッタノデアリマス、併シ日露
戰爭ノ後、所謂日露貿易ニ從事シテ居ル所
ノ殆ド國家的犠牲ヲ拂ヒ、其業ニ從事シタ
人々ノ御蔭ニ依リ、非常ナ最近發達ヲ見夕、
然ルニ彼ノ歐洲ノ戰後露西亞ノ政變ノ結
果、端ナクモ日露ノ國交ガ杜絕致シマシテ、
遂ニ今日ニ至ッテ居リマス、之ガ爲ニ日露貿
易業者ノ被ッタ所ノ損害ハ頗ル夥シイノデ
アリマス、デ本院ニ再三同一ナル案ガ提案
セラレマシテ通過シテ居ルノデアリマス、
要スルニ今日ノ日本ノ狀態、一面カラ申シ
マスト亞米利加トノ關係カラ見マシテモ、
我ガ日本ハドウシテモ總テノ上ニ於テ日露
ノ貿易ニ大ナル力ヲ人レンケレバナラヌト
云フコトニナッテ居ルノデアリマスケレド
モ、未ダ其國交ノ恢復ヲ見ルコトガ出來ヌ
コトハ日露兩國民ノ洵ニ遺憾トスル次第
デアリマス、ドウゾ政府ハ一日モ速ニ此國
交ノ恢復ヲ圖リ、同時ニ之ニ依ノテ損害ヲ
被ッタ所ノ貿易業者ヲシテ、相當ノ救濟ヲ爲
シ、再ビ是等ヲシテ安全ニ、更ニ一段ノ發
展ヲスルヤウニ救濟ノ策ヲ講ジテ載キタイ
ト云フノガ此案ヲ提出シタ理由デアリマ
ス、ドウゾ諸君ハ御賛成下サイマシテ、卽
決可決アランコトヲ希望致シマス(拍手)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=107
108・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ特ニ提案ノ趣旨ニ鑑
卽決ヲ以テ可決セラレンコトヲ望ミマ
ス
〔「賛成」「賛成」ノ聲起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=108
109・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ動議ニハ御
異議ナシト認メマス、仍テ動議ノ如ク決シ
マシタ、日程第三十二、越〓線速成ニ關ス
ル建議案ヲ議題ト致シマス、山田道兄君
第三十二越美線速成ニ關スル建議案
(山田道見若提出)
越美線速成ニ關スル建議案
越美線速成ニ關スル建議
越美鐵道ハ現在岐阜ヨリ起リ美濃ヲ終點
トセルモ本線ハ少クトモ八幡ニ至ル間ヲ
速成スルニ非サレハ本線ノ效果ヲ發揮スル
能ハス依テ速ニ之カ敷設ヲ實行セラレム
コトヲ望ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=109
110・山田道兄
○山田道兄君　本案ハ極メテ簡單明瞭ナ案
デアリマスカラ此席上ヨリ申上ゲマス、只
今ノ越美線ハ此建設ヲ終リマシタ地點ガ美
濃町デ終了シテ居リマスガ、軍事上ノ見地
ヨリ致シマシテモ、經濟上ノ見地ヨリ致シ
マシテモ地方開拓ノ立場ヨリ申シマシテモ、
之ヲ放任致スト云フコトハ斷ジテ許サナイ
線路デゴザイマスカラ、一日モ速ニ少クト
モ八幡町ニ至ル間ノ建設ヲ希望スルト云フ
ノガ趣旨デアリマス、何卒御贊成ヲ願ヒマ
ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=110
111・作間耕逸
○作問耕逸君　本案ハ特ニ提案ノ趣旨ニ鑑
ミ、卽決ヲ以テ可決セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ノ聲起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=111
112・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ動議ニハ御
異議ナシト認メマス、仍テ動議ノ如ク決シ
マシタ、日程第三十三及第三十四ノ議案ハ、
提出者同一ナルニ依リ一括議題ト爲スニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼ヲ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=112
113・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第三十三、水產養殖業者ニ對
スル營業稅免除ニ關スル建議案、日程第三
十四、高產業助成ニ關スル建議案、右兩案
ヲ一括議題ト致シマス山本勝次君
第三十三水產養殖業者ニ對スル營業
稅免除ニ關スル建議案(山本勝次君
提出)
水產養殖業者ニ對スル營業稅免除ニ關
スル建議案
水產養殖業者ニ對スル營業稅免除ニ
關スル建議
水產養殖業者ハ土地ヲ利用スル勞働的業
態ニ於テ農業ト差別ナク又販賣方法等何
等異ナルコトナシ殊ニ養魚地ニ高率ノ地
償ヲ定メ地租ヲ課セラレ尙物品販賣業者
トシテ營業稅ヲ課セラルルハ當業者ノ最
苦痛トスル所ナリ之レ政府カ斯業奬勵ノ
政策ト相反スルモノト認ム仍テ政府ハ速
ニ水產養殖業者ニ對シ營業稅課稅ヲ撤廢
スルノ途ヲ講セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第三十四畜產業助成ニ關スル建議案
(山本勝次君提出)
畜產業助成ニ關スル建議案
畜產業助成ニ關スル建議
農村振興ノ一策トシテ畜產業ノ助成獎勵
ニ努ムルノ喫緊ナルコトハ論ヲ俟タス殊
ニ優良外國種畜ノ普及地方種畜場設置奬
勵畜類輸送機關ノ完備、種畜檢査法及
家畜取締法ノ制定改正等ノ如キハ速ニ施
設スルノ必要アリト認ム仍テ是等ノ實行
ヲ計リ以テ畜產業ノ發達ヲ期セラレムコ
トヲ望ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=113
114・山本勝次
○山本勝次君　此席ヨリ簡單ニ提案ノ理由
ヲ申シマス、水產養殖業者ニ對スル營業稅
免除ニ關スル件、水產養殖業ノ奬勵スベキ
コトハ、昨日政友本黨諸君ヨリ提案サレタ
水產助成建議案ノ中ニモ明ニ示サレテ居ル
コトデアリマス、此養殖業ハ食料問題ノ解
決トモ關係ガアル、此重大ナル養殖業ヲ奬
勵スル上ニ於テ、一面ニ於テハ非常ニ當業
者ニ苦痛ヲ與ヘテ居ルノデアリマス、ソレ
ハ養魚池ナルモノニ對シテ高キ地價ヲ課シ、
サウシテ地租ヲ取ッテ居ル外ニ、其當業者ニ
對シテハ物品販賣業ト看做シテ營業稅ヲ課
シテ居リマス、然ルニ此養殖業ヲ見マスレ
バ、丁度農業者ノ米麥蔬菜或ハ果實等ヲ作ッテ
之ヲ需要者ニ販賣スルト同ジ業務狀態デア
ル、又養蠶家ガ繭ヲ賣ルノト同ジ狀態デアル、
別ニ加工スル譯デモナケレバ店舗ヲ設ケテ
ヤルノデハナイ、然ルニ之ヲ物品販賣業ト
看做シテ營業稅ヲ課スルハ酷デアル、一
地租ヲ課シテ居ルカラ一一重稅デアルト云フ
ノデ、當業者ニ非常ナ苦痛ヲ與ヘテ居リマ
スカラ、是非此營業稅ヲ免除シタイト云フ
ノデ提案シタ次第デアリマス、何卒御賛成
ヲ願ヒマス(「贊成」ト呼フ者アリ)次ガ畜產
業助成ニ關スル建議案デアリマス、農村ノ
疲弊救濟策ト致シマシテ、農業ニ最モ密接
ノ關係アル畜產業ヲ獎勵スルコトハ刻下ノ
急務デアルト考ヘテ居リマス、而シテ此畜
產業ノ然ラバ助成ハ何ニ在ルカト云ヘバ一
口ニ言ヘバ優良ナル品種ヲ全國ニ普及スル
ト云フコトニ歸著スルノデアリマス、併ナ
ガラ外國カラ優良ナル種畜ヲ購入致シマス
ルノニハ、非常ナ高價デアリマス、昨年ア
タリハ種牡牛一頭三方圓以上デ購入シタコ
トガアルト云フヤウナコトデ、到底一地方
ノ農民、或ハ小サナ畜產組合ガ之ヲ購入ス
ルコトハ容易デアリマセヌ、故ニ政府ハ此
優良ナル外國種ヲ購入シテ、之ヲ國立ノ種
畜場ニ於テ繁殖シテ、ソレヲ地方ニ配付ス
ル、又地方ニ於テハ縣立ノ種畜場ニ於テ之
ヲ蕃殖サセテ、普及サスト云フヤウナ方法
ヲ講ジテ貰ヒタイ、其他輸送機關ニ關スル
コト、或ハ此畜類ヲ取扱フ者ノ取締ニ關ス
ル法律、或ハ種畜ニ關スル檢査ト云フヤウ
ナ建議書中ニモ羅列シテアリマス、是等ノ
方法ヲ講ジタナラバ、一層畜產業ガ發達シ
マシテ、サウシテ此農村振興ノ一助トナル
ト信ジマス、ドウゾ御賛成ヲ願ヒマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=114
115・作間耕逸
○作問耕逸君　日程第三十三ノ建議案ハ議
員森田金藏君提出、營業稅法廢止法律案外
二件ノ委員ニ併セテ付託シ、又日程第三十
四ノ建議案ハ、特ニ提案ノ趣旨ニ鑑ミ、卽
決ヲ以テ可決セラレンコトヲ望ミマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=115
116・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ動議ニハ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=116
117・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第三
十五、農村振興會議設置ニ關スル建議案ヲ
議題ト致シマス、猪野毛利榮君
第三十五農村振興會議設置ニ關スル
建議案(猪野毛利榮君提出)
農村振興會議設置ニ關スル建議案
農村振興會議設置ニ關スル建議
現時農村ノ疲弊其ノ極ニ達シ國運ノ消長
ニ關スルコト最大ナリ今ニ於テ之カ對應
策ヲ講セサルニ於テハ國家ノ前途轉夕寒
心ニ堪ヘサルモノアリ然ルニ現內閣ノ施
設方針ヲ見ルニ更ニ農村ノ振興若ハ救濟
ニ及ハサルハ深憂ノ至ナリ依テ政府ハ速
ニ廣ク朝野ノ人材ヲ集メテ農村振興會議
ヲ起シ以テ之カ根本策ヲ確立セラレムコ
トヲ望ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=117
118・猪野毛利榮
○猪野毛利榮君　本席ヨリ簡單ニ說明致シ
やっ、農村振興竝ニ救濟ニ付キマシテハ
一昨日及昨日ニ於キマシテ遺憾ナク其必要
ヲ述ペラレテ居ルノデアリマス、實ハ此問題
ハ玆ニ現レタ以上ニ農村ガ實際窮境ニ陷ッテ
居ルノデアリマシテ、是ハ地主モ、小作モ、自
作農モ、擧ゲテ全國的ニ大疲弊ヲ來シテ居
ル狀態デアリマシチ、御存知ノ通リ政府ヘ
土地ノ返還、或ハ小作者ノ如キモノハ田園
ヲ去ッテ都會ニ逃ゲルト云フ如キ狀態デア
リマスガ故ニ、日本デハ穩カデアリマス、ガ若
シ外國ニ於テ斯ノ如キ狀態デアッタナラバ
是ガ卽チ「クーデター」ヲ起ス所ノ狀態デア
ラウト思ヒマス、シテ見レバ此問題ハ單ニ
農村ノ經濟問題ニ止ラズ、是ガ社會問題ニ
止ラズ、實ニ是ハ日本ガ滅ビルカ、滅ビヌ
カト云フ所ノ岐レ目ノ重大問題ト考ヘルノ
デアリマス、而シテ之ニ對スル、所置卽チ此
對策ナルモノハ、色々論ゼラレマスゲ、法
律ニ現ハレタル所ヲ見マスト今日迄漸ク一、
開墾助成法二、米穀法三、國民〓育費ノ一
部國庫負擔位ノモノデ、要スルニ是等ノ對
策ト云フモノハホンノ一時ノ應急策デア
ル、應急策ハ宜イトシタ所デ、是位ノモノ
ヲ以テ來テ、農村ノ窮弊ヲ救ハウトシテモ
恰モ燒石ニ水ヲ掛ケルカ如キ狀態デアリマ
ス、幸ニモ昨日本員等モ賛成シテ卽チ全院
一致ヲ以テ可決サレマシ夕所ノ數箇條ニ亙レ
ル建議案ノ如キモノハ實ニ其根本ニ觸レタル
モノト思ウテ、前ノ應急策ト今囘ノ根本策ト相
俟ノテ、本員ハ是ガ遂行ノ一日モ早カランコ
トヲ希望スルノデアリマス、併ナガラ玆ニ吾々
ハ考ヘナケレバナラヌコトハ、今之ヲ行フ
ニ當ッテ、其手段方法ニ付テモ幾多ノ議論ガ
生ジテ來ルコトデアルト存ジマス、例へバ
地租問題ニ就テ昨年來ノ行掛リヲ見レバ
憲政會ガ地租ノ二分減、政友會ハ地方委譲、
革新倶樂部ハ全廢スルト云ッテ、是レ位ノモ
ノデモ一致點ヲ見出スニ骨ガ折レテ、動モス
レバ感情ノ衝突ヲ來シテ、此問題ノ解決ヲ
見ルコトサヘ出來ナイノデアリマス、ソレ
故ニ私ノ考フル所デハ、昨日此處ニ於テ斯ノ
如キ良案ガ出サレテ可決サレタト雖モ、政
府ガ之ヲヤルカヤラヌカ分ラヌ、又貴族院
ガ賛成スルカセヌカモ分ラヌ、是故ニ先ヅ
天下ノ人材ヲ網罹スル、官民合同ノ卽チ政
府、貴衆雨院、議員、學者、地王、竝ニ小作
代表ノ如キ者マデ集メテ、サウシテ國論ノ
統一ヲ圖シテ、丁度小サイ川ガ幾ツモ集ヲテ大
キナ川トナッテ海ニ注クガ如ク、農村振興竝
ニ救濟ニ對スル國論ノ大根幹ヲ拵ヘテ、此
大根幹ヲ以テ而シテ此問題ノ解決ニ進ミタ
イト思フ、此意味ニ於キマシテ本員ハ是ガ
調査機關ヲ設置スルト云プコトヲ建議シタ
ノデアリマス、何卒皆樣モ熱心ナル農村救
濟ニ付テノ御方デアリマスカラ、黨派心ヲ
離レテ滿場一致ヲ以テ之ヲ御贊成アランコ
トヲ望ミマス(拍手)
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119・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ議員床次竹次郎君外
十七名提出、農村振興ニ關スル建議案外二
件ノ委員ニ併セテ付託セラレンコトヲ望ミ
マス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=119
120・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
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121・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第三
十六、北海道土工組合事業助成ニ關スル建
議案ヲ議題ト致シマス-岡田伊太郞君
第三十六北海道土工組合事業助成ニ
關スル建議案(黑住成章君外三名提
出
北海道土功組合事業助成ニ關スル建議
案
北海道土功組合事業助成ニ關スル建
議
政府ハ北海道拓殖ノ現狀竝農村刻下ノ疲
弊困憊ヲ察シ北海道ニ適應スル開墾助成
法ヲ實施シ及農家ノ集團タル土功組合ノ
事業ヲ助成スル爲其ノ經費ヲ國費支辨ト
爲シ又ハ補助セラレムコトヲ望ム
右建議ス
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122・岡田伊太郎
○岡田伊太郞君　農村問題、農事改良ノ問
題、食糧問題ニ當リマシテハ、本議會ニ於
キマシテモ屢、論議セラレタ案件デアリマ
ス、此案モ矢張食糧ニ關係ヲ與ヘルベキ最
モ重大ナル案件デアリマス、是ハ北海道ニ
於キマシテ水田ヲ增成スル、而モソレヲ有
利ナ方法デ以テ速成セシメナケレバナラヌ
ト云フノガ趣意デアリマス、北海道ハ頗ル
肥沃ナ土地ヲ豐富ニ抱擁シテ居リマシテ、農耕
ニ適スベキ土地ヲ百四十万町步有シテー店ルノ
デアリマス、其中デモ水田ニ屬スベキ最モ
天恵ノ土地ヲ三十万町步以上ヲ有シテ居ル
ノデアリマス、而シテ是ガ既設ノ水田トナン
テ居リマスルモノハ僅ニ三分ノ一ニ達シナ
イノデアリマス、然レドモ是等ニ對シテ最
近出テ居リアス所ノ統計ガ示ス數字ハ百四
十四万八千石ノ米穀ヲ收納シテ居ルノデア
リマス若シ是ガ全部ノ成墾ヲ致シマシタ
ナラバ、五百万石ノ米穀ヲ得ルコトハ實ニ易
々タルモノデアリマス、然レドモ此水田ヲ
完成致サントスレバ相當ノ資力ヲ要スルコ
トハ申スマデモナイノデアリマス、然ルニ
今ヤ我國ノ農業ガ不振ニ陷クテ、何レノ農業
モ皆疲弊困憊シテ居ルコトハ今更甲スマデ
モナイノデアリマス、デ此時ニ當ノテ北海迫
ノ農民ハ尙ホ倦マズ之ヲ遂行シツヽアル
ノデアリマス、如何セン歐洲大戰以後ノ經
濟界ノ打撃-北海道ノ農業方面ニ與ヘラ
レタル打擊ハ著シイモノガアルノデアリマ
ス、其爲ニ國庫ガ補助シテ居ル所ノ僅カノ
補助ニテハ、到底此未開ノ土地ヨリ豐富ナ
ル米ヲ穫ルマデニ至ラシムルコトハ困難デ
アリマス、此ニ至リマシテ今補助額ヲ幹線、
支線分派線ト云フ風ニ區別ヲサレテ居リマ
スガ、全部ニ對シテ補助ヲスルノミデナク、
此幹線ト稱スル大共同ノ力デナケレバ出來
ナイ所ノ幹線ヲ國費ニ依ッテ償ッテ貰ヒタイ、
支線、分派線ニ至リマシテハ相當ノ補助
ヲ仰ギタイ、斯ウ云フ趣意デアリマス、ド
ウカ現在色々ナ方面ニ向ッテ食糧政策ニ惱
マサレ、多大ノ國費ヲ投ジテ居ル實情ニ
鑑ミマシタナラバ、北海道ニ投ズル所ノ僅
カナ國費ヲ以テ、採算上カラ申シマシテモ
完全ニシテ確實ナル我國ノ食糧政策ニ對シ
テ安定ヲ與ヘル基礎ヲ造ルコトガ出來ルノ
デアリマス、過日ノ本會議ニ於キマシテノ
論議中ニ、三十年ヲ出デズシテ我國ノ要ス
ル食糧ハ米一億万石ヲ要スルト云フノデア
リマス、此場合ニ於キマシテ五百万石乃至
千万石ノ米穀ヲ安々ト、而モ安全ニ收穫シ
得ル所ハ北海道ノ開墾、北海道ノ水田增成
ニアルノデアリマス、今ヤ帝國ニ於キマシ
テハ國策ト致シマシテ開墾助成法ガ行ハレ
テ居リマスル、北海道ハ未ダ其恩典ニ
潤フテ居ラヌノデアサマス、何卒適當ナ方法
ヲ以テ、北海道ニモ此開墾助成法ノ恩典ニ
浴セシメラレテ戴キタイト云フノデアリマ
ス、何卒滿場ノ諸君、此〓糧問題ハ重大デ
アリマスカラ、滿場一致ノ御賛成ヲ仰グ次
第デアリマス(拍手)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=122
123・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ曩ニ本會ニ於テ通過
シタルモノト同種ノ件ナルニ依リ、卽決ヲ
以テ可決セラレンコトヲ望ミマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=123
124・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ動議ニハ御
異議ナシト認メマス、仍テ動議ノ如ク決シ
マシタ
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=124
125・作間耕逸
○作間耕逸君　議事日程ノ順序變更ニ關ス
ル緊急動議ヲ提出致シマス、卽チ此際先ヅ
日程第六十八以下ヲ特ニ繰上ゲ、請願特別
報〓ヲ一括シテ議題トナシ請願委員長ノ
報告ニ付キ審議シ次ノ日程第四十九箕浦
勝人君外三十四名提出、貴族院制度改正ニ
關スル建議案ヲ特ニ繰上ゲテ議題トナシ、
提案者ノ趣旨辯明ヲ求メ、續イテ其審議ヲ
進メラレンコトヲ望ミマス(拍手)
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126・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ日程變更ノ
動謙ニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ノ聲起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=126
127・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマス、日程ハ變更
セラレマシタ、此際議事進行ニ付テ發ニロヲ
求メラレテアリマス、吉良元夫君-吉良
君ハ自席ニオキデニナリマセヌカラ發言ヲ
許シマセヌ-日程第六十八乃至百六マデ
請願特別報告デアリマスガ、例ニ依シテ一括
シテ識題ト爲スニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異謙ナシ」「異議ナシ」ノ聲起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=127
128・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　異議ナシト認メマ
ス委員長ノ報告ヲ求メマス、-委員長
八田宗吉君
第六十八(特別報告第一號)金鵄勳章
年金令改正ノ請願外二百二十五件
(委員長報告))
第六十九(特別報告第七〇號)小學校
〓員俸給國庫支辨ノ請願(委員長報告)
第七十(特別報告第七五號)辰野、
濱松間鐵道敷設ノ請願(委員長報告)
第七十一(特別報告第八三號)金鵄勳
章年金令改正ノ請願外四十一件
(委員長報告)
第七十二(特別報告第八六號)震災ニ
因リ喪失シタル無記名地方債及社債
救濟ノ請願(委員長報告)
第七十三(特別報告第八七號)狹野神
社ヲ官幣社ニ昇格ノ請願(委員長報告)
第七十四(特別報告第八八號)警察署
預リ金品ノ滅失ニ因ル見舞金下付ノ
請願(委員長報告)
第七十五(特別報告第八九號)國立公
園地選定ニ關スル請願(委員長報告)
第七十六(特別報告第九〇號)由良川
改修ノ請願(委員長報告)
第七十七(特別報告第九一號)石狩川
治水計畫ニ依ル堤外地買收ノ請願
(委員長報告)
第七十八(特別報告第九二號)野馳郵
便局ニ集配事務開始ノ請願
(委員長報告)
第七十九(特別報告第九三號)京都市
上京區鹿ケ谷法葬院町內ニ無集配郵
便局設置ノ請願(委員長報告)
第八十(特別報告第九四號)束京府
豊多摩郡戶塚町內ニ無集配郵便局設
置ノ請願(委員長報告)
第八十一(特別報告第九五號)東京府
豊多摩郡和田堀之内村內ニ郵便局設
置ノ請願(委員長報告)
第八十二(特別報告第九六號)矢野町
郵便局ニ集配事務開始ノ請願
(委員長報告)
第八十三(特別報告第九七號)宇治三
等請願郵便局ヲ官設集配郵便局ニ變
更ノ請願(委員長報告)
第八十四(特別報告第九八號)八王子
市追分町ニ三等郵便局設置ノ請願
(委員長報告)
第八十五(特別報告第九九號)布施、
猿ヶ京兩郵便局ニ電信、電話事務開
始ノ請願(委員長報告)
第八十六(特別報告第一〇〇號)大原
村大字市場ニ無集配郵便局設置ノ請
願(委員長報告)
第八十七(特別報告第一〇一號)築港
郵便局昇格ノ請願(委員長報告)
第八十八(特別報告第一〇二號)天神
橋筋郵便局ニ電信事務復舊開始ノ請
願(委員長報告)
第八十九(特別報告第一〇三號)阿古
郵便局ニ集配事務開始ノ請願
(委員長報告)
第九十(特別報告第一〇四號)桐ケ
谷郵便局ニ電信、電話事務開始ノ請願
(委員長報告)
第九十一(特別報告第一〇五號)門司
市新大里ニ無集配郵便局設置ノ請願
(委員長報告)
第九十二(特別報告第一〇六號)藤並
郵便局ニ集配事務開始ノ請願
(委員長報告)
第九十三(特別報告第一〇七號)內城
田村大字棚橋ニ登記所設置ノ請願
(委員長報告)
第九十四(特別報告第一〇八號)借地
法、借家法及借地借家調停法施行區
域ニ關スル請願(委員長報告)
第九十五(特別報告第一〇九號)大
田、瀧原間鐵道敷設ノ請願
(委員長報告)
第九十六(特別報告第一一〇號)未設
姫津線神岡村上横内ニ停車場設置ノ
請願(委員長報告)
第九十七(特別報告第一一一號)兵庫
縣揖保郡新宮村ニ停車場設置ノ請願
(委員長報告)
第九十八(特別報告第一一二號)山陰
鐵道三保村湊浦ニ停車場設置ノ請願
(委員長報告)
第九十九(特別報告第一一三號)山陰
鐵道靜間村ニ停車場設置ノ請願
(委員長報告)
第百(特別報告第一一四號)三保三隅
驛ニ公衆電信事務開始ノ請願
(委員長報告)
第百一(特別報告第一一五號)京濱線
川崎驛、鶴見驛間ニ電車停留場設
置ノ請願(委員長報告)
第百二(特別報告第一一六號)尾ノ道
輕便鐵道終點、三次間做道敷設ノ請
願(委員長報告)
第百三(特別報告第一一七號)金鵄勳
章年全令改正ノ請願外六件
(委員長報告)
第百四(特別報告第一一九號)富山、
笹津間電話囘線曾設ノ請願
(委員長報告)
第百五(特別報告第一二〇號)小學校
〓員俸給國庫支辨ノ請願
(委員長報告)
第百六(特別報告第一二一號左澤
驛、荒砥驛間鐵道敷設ノ請願
(委員長報告)
特別報告第一號
意見書
請願文書表第一號
金鵄動章年金令改正ノ請願岡山縣
小田郡美川村大字下高末二千七百
九十五番地農竹井慶治外九名呈出
(紹介議員高草美代藏君)
同第二號
同上岡山縣小田郡北川村大字甲努
五百五十五番地農土屋傳太郞外十
名呈出(紹介議員高草美代藏君)
同第三號
同上岡山縣小田郡笠岡町大字笠岡
六百八十六番地商金藤庄太郎外二
十名呈出(紹介謙員高早美代藏君)
同第四號
同上岡山縣後片郡縣主村大字西方
千二百十三番地農藤川近一外九名
呈出(紹介議員高草美代藏君)
同第五號
同上岡山縣後月郡芳井村大字川相
千三百二十一番地農川上源右衞門
外八名呈出(經介議員高草美代藏
君)
同第六號
同上岡山縣淺口郡金光町大字占見
千三百七十八番地農渡邊廉太外三
十八名呈出(紹介議員高草美代藏
君
同第七號
同上岡山縣淺口郡玉島町大字柏島
千七百四十三番地農太田松之助外
二十四名呈出(紹介議員高草美代
藏君)
同第八號
同上岡山縣川上郡成羽町大字下原
千九番地農平松梅吉外八名呈出
(紹介議員西村丹治郞君)
同第九號
同上岡山縣阿哲郡丹治部村大字田
治部二千三百十六番地農赤木和吉
外四名呈出(紹介議員西村丹治郞
君
同第一〇號
同上岡山縣川上郡高山村大字高山
三百七十六番地農內田萬三郞外三
名呈出(紹介議員西村丹治郞君)
同第號
同上富山縣射水郡伏木町大字石坂
一番地醫師堀政次外八十二名呈出
(紹介議員野村嘉六君)
同第一二號
同上廣島縣安藝郡音戶町六百七番
地ノ二十五號商杉岡彥三郞外九名
呈出(紹介議員橫山金太郞君)
同第一三號
同上富山縣西礪波郡大美山村吉見
六百十四番地農松本豐藏外百十五
名呈出(紹介議員上埜安太郞君外
二名)
同第一四號
同上滋賀縣坂田郡南〓里村大字今
川十番屋敷農中川忠太郞外八十八
名呈出(紹介議員勝澤萬九郞君)
同第一五號
同上滋賀縣伊香郡高時村大字川合
四百六十二番地〓員酒井又治郎外
三十七名呈出(紹介議員藤澤萬九
郞君)
同第一六瓣
同上東京府北豐島郡尾久町大字上
尾久千五百二十四番地若林多七外
四名呈出(紹介議員淺長兵衛君)
同第一七號
同上京都府船井郡園部町字若松町
六十番地田口孝吉外六十六名呈出
(紹介議員長田桃藏君)
同第一八號
同上岡山縣兒島郡藤戶町大字天城
同し二百四十三番地面戶田孝平外十三
名星出(紹介議員星島一一郞君)
同第一九號
同上岡山縣兒島郡味野町三千九百
三十五番地商木村唯八外二十八名
呈出(紹介議員星島一一郞君)
同第二〇號
同上岡山縣兒島郡藤戶町大字天城
五百九十三番地坂川美太郞外十七
名呈出(紹介議員星島二郞君)
同第二一號
同上廣島縣世羅郡東大田村本郷千
三百二十七番地農阿部義一外七名
呈出(紹介議員金田平兵衞君)
同第二二號
同上廣島縣世羅郡吉川村大字吉原
四千百九十二番地農古本眞一外三
名呈出(紹介議員金田平兵衞君)
同第二三號
同上廣島縣世羅郡甲山町大字小世
良三百五十八番地ノ二農杉原政平
外八名呈出(紹介議員全田平兵衞
君)
同第二四號
同上廣島縣世羅郡小國村七十七番
屋敷農津金登市外四名壬出(紹介
議員金田平兵衛君)
同第二五號
同上廣島縣世羅郡神田村大字上德
良千六百九十六番地農戶田〓作外
八名旱出(紹介議員金田平兵衞君)
同第二六號
同上廣島懸世羅郡西大田村大字中
原六百九十五番地農宗重景一外四
名呈出(紹介議員金田平兵衞君)
同第二七號
同上廣島縣御調郡土生町二千百七
番地農香川國平外九名呈出(紹介
議員金田平兵衞君)
同第二八號
同上廣島縣安佐郡三條町四十番屋
敷農山本豐松外九名王出(紹介議
員(荒川五郎君)
同第二九號
同上廣島縣安佐郡三川村大字東野
百三十番屋敷農大西俊輝外十二名
呈出(紹介議員荒川五郞君)
同第三〇號
同上廣島縣安佐郡川內村字溫井七
十六番地農石田作太郞外二十一名
呈出(紹介議員荒川五郞君)
同第三一號
同上廣島縣安佐郡久地村六千三百
六十番地農藤井勉外九名呈出(紹
介議員荒川五郞君)
同第三二號
同上廣島縣安佐郡小河内村五千三
十六番地農松島翠外九名呈出(紹
介議員荒川五郞君)
同第三三號
同上廣島縣安佐郡狩小川村字符留
家二千百七十一番地ノ一農林權七
外十名呈出(紹介議員荒川五郞君)
同第三四號
同上廣島縣安佐郡符小川村大字上
深川五十四番屋敷農染川謙四郞外
三名呈出(紹介議員荒川五郞君)
同第三五號
同上廣島縣山縣郡戶河内村六百四
十四番地公吏栗栖甚八外五名呈出
(紹介議員荒川五郞君)
同第三六號
同上朝鮮忠〓南道論山郡彩雲面上
里二百二十五番地ノ一商館宗太郞
外十名呈出(紹介議員荒川五郞君)
同第三七號
同上鳥取縣東伯郡市勢村大宇金市
二百十八番地農吉中民藏外三名呈
出(紹介議員山枡儀重君)
同第三八號
同上廣島縣芦品郡綱引村大字官内
甲二百四十四番地醫師黑瀨藤一郞
外二十八名呈出(紹介議員栗延敬
太郞君)
同第三九號
同上廣島縣神石郡田頭村四百五十
二番地農谷本棟太郞外七名呈出
(紹介議員栗延敬太郞君)
同第四〇號
同上靜岡縣引佐郡東濱名村都筑二
百五十五番地會社員山出利一郎外
五十四名呈出(紹介議員山本勝次
君つ
同第四一號
同上静岡縣濱名郡蒲村丸塚四十二
番地農内山卯吉外七十名呈出(紹
介議員山本勝次君)
同第四二號
同上静岡縣濱名郡雄踏村宇布見七
千九百七十七番地商宮崎太助外六
十六名呈出(紹介議員山本勝次君)
同第四三號
同上靜岡縣小笠郡會我村字篠場四
十五番地銀行員宮川伊作外二十一
名呈出(紹介議員三橋四郞次君)
同第四四號
同上廣島縣比婆郡比和村大字三河
內百四十七番地農松本捨四郞外五
名呈出(紹介議員湯淺凡平君)
同第四五號
同上廣島縣雙三郡作木村字香淀三
百二十二番地農久竹久登外六名呈
出(紹介議員湯淺凡平君)
同第四六號
同上廣島縣雙三郡川地村下川立二
百七十七番地農村上雅男外五名呈
出(紹介議員湯淺凡平君)
同第四七號
同上廣島縣雙三郡和田村字和知農
平川太郞八外七名呈出(紹介議員
湯淺凡平君)
同第四八號
同上廣島縣雙三郡八幡村字辻農山
崎政市外四名呈出(紹介議員湯淺
凡平君)
同第四九號
同上廣島縣雙三郡三次町千百九十
七番地商額田龜市外十名呈出紹
介議員湯淺凡平君)
同第五〇號
同上廣島縣雙三郡古市町二千百四
十七番地會社員福田順次外四名呈
出(紹介議員湯淺凡平君)
同第五一號
同上廣島縣雙三郡酒河村大字靑河
千五百六十一番地農山田啓四郞外
九名呈出(紹介議員湯淺凡平君)
同第五二號
同上廣島縣雙三郡川西村字上田二
十五番屋敷農槇野林市外六名呈出
(紹介議員湯淺凡平君)
同第五三號
同上廣島縣比婆郡西城町三十二番
地農田澤平治郎外四名壬出(紹介
議員湯淺凡平君)
同第五四號
同上山口縣厚狹郡王喜村百三十一
番屋敷農熊谷浦松外十二名呈出
(紹介議員渡邊祐策君)
同第五五號
同上山口縣厚狭郡厚束村大字棚井
七百九十番地農小林十六外二名呈
出(紹介議員渡邊祐策君)
同第五六號
同上山口縣厚狭郡高千帆村五百四
十二番屋敷官吏河野祐則外十三名
呈出(紹介議員渡邊祐策君)
同第五七號
同上山口縣厚狹郡厚南村九百四十
九番地農高橋榮熊外五名呈出
介議員渡邊祐策君)
同第五八號
同上山口縣厚狹郡小野田町千六百
五十六番地農岡本計一外四名呈出
(紹介議員渡邊祐策君)
同第五九號
同上山口縣厚狹郡吉部村大字西吉
部三千百五十七番地農高木寅松外
九名呈出(紹介議員渡邊神策君)
同第六〇號
同上宇部市大字沖宇部千三百二十
番地農西村新七外二十一名呈出
(紹介議員渡邊祐策君)
同第六一號
同上山口縣大津郡向津具村大字向
津具上二百二十三番地ノ三農藤川
菊松外三名呈出(紹介議員渡邊祐
策君)
同第六二號
同上香川縣綾歌郡長炭村大字長尾
千八百三十番地第一農長尾新四郞
外十名呈出(紹介議員三土患造君)
同第六三號
同上呉市西本通一丁目一番地會社
員森國五郎外一名呈出(紹介議員
渡邊伍君)
同第六四號
同上廣島縣豊田郡沼田束村大字七
寶四百五番地農山田伊太郞外四名
呈出(紹介議員望月圭介君)
同第六五號
同上兵庫縣津名郡志筑町五百十八
番屋敷商谷土長次郞外四十九名呈
出(紹介議員千葉宮次郞君)
同第六六號
同上奈良縣吉野郡下市町大字下市
三千四十四番地醫師杉山富之助外
八十名呈出(紹介議員大園榮三郞
君)
同第六七號
同上奈良縣高市郡八木町大字北八
木百七十一番地僧侶鈴木惠順外八
十六名呈出(紹介議員八木逸郞君)
同第六八號
同上岡山縣和氣郡英保村三百四十
九番地〓員杉本義三郎外百十六名
呈出(紹介議員中野寅吉君)
同第六九號
同上宮崎縣東臼杵郡北〓村千九百
八十番地農坪井繁太郎外五十二名
呈出(紹介議員西英太郞外一名)
同第七〇號
同上福岡三潴郡三潴村三百三十四
番地商八山辰次郞外六十四名呈出
(紹介議員西英太郞君外一名)
同第七一號
同上熊本縣鹿本郡山本村千七百六
十五番地農德永又藏外百二十六名
呈出(紹介議員西英太郞外一名)
同第七二號
同上鹿兒島縣肝屬郡西串良村有里
二千五百二十四番地農姫宮四郞助
外百二十九名呈出(紹介議員西英
太郞君外一名)
同第七三號
同上石川縣羽咋郡柏崎町字竹生野
ホ三十一番地農山田庄三郞外百十
二名呈出(紹介議員佐藤實君外二
名
同第七四號
同上佐賀縣藤津郡古枝村三百五十
六番地會社員中村又一外七十六名
呈出(紹介議員中野寅吉君)
同第七五號
同上高知縣高岡郡高岡町十三番地
乙ロノ一商橫飛馬次外七十七名呈
出(紹介議員中野寅吉君)
同第七六號
同上佐賀縣藤津郡濱町四百十三番
地農高田袈業一外百六名呈出総
介議員西英太郞君外一名)
同第七七號
同上長崎縣北高來郡森山村杉谷名
二千六百五十六番地農林田增治外
八十一名呈出(紹介議員西英太郞
君外一名)
同第七八號
同上甲府市太田町七十四番地農杉
野宗吉外十三名呈出(紹介議員西
英太郞君外一名)
同第七九號
同上佐賀縣小城郡三日月村九百十
九番地辯護士大島正義外五十名呈
出(紹介議員西英太郞君外一名)
同第八〇號
同上三重縣河藝郡白子町大字白子
六千五百十八番地農田中所太郎外
百五十名呈出(紹介議員中野寅吉
君
同第八一號
同上神奈川縣橋樹郡保土ケ谷町千
五百八番地會社員高橋豐員外五十
一名呈出(紹介議員熊谷直太君)
同第八二號
同上栃木縣安蘇郡田沼町山越三十
二番地農津布久榮四郞外五十七名
呈出(紹介議員熊谷直太君)
同第八三號
同上岩手縣氣仙郡綾里村字大明神
百六十三番地漁業田中留作外五十
五名呈出(紹介議員熊谷直太君)
同第八四號
同上仙臺市新河原町四番地商山田
卯吉外七十三名呈出(紹介議員熊
谷直太君)
同第八五號
同上山形縣西村山郡七軒村三十四
番地農松田惣五郎外百三名呈出
(紹介議員熊谷直太君)
同第八六號
同上靑森縣中郡駒越村大字一町田
字石田二百九十九番地農木村武之
助外百二十四名呈出(紹介議員熊
谷直太君)
同第八七號
同上秋田縣北秋田郡米內澤村十番
地商片山華一外百四十四名呈出
(紹介議員熊谷直太君)
同第八八號
同上埼玉縣見玉郡東兒玉村五十一
番地農井上角太郞外百五十二名呈
出(紹介議員横山勝太郞君)
同第八九號
同上茨城縣西茨城郡南山內村二千
百八十番地ノ一農片圖汎外七十五
名呈出(紹介議員橫山勝太郞君)
同第九〇號
同上長野縣埴科郡倉科村千六百五
十二番地農神戶九重郞外百二十四
名呈出(紹介議員横山勝太郞君)
同第九一號
同上東京府豊多摩郡戶塚町三百五
十四番地會社員佐藤伍作外四十名
呈出(紹介議員橫山勝太郞君)
同第九二號
同上群馬縣群馬郡倉田村大字三ノ
倉百一番地農岡本重太郞外八十七
名呈出(紹介議員橫山勝太郞君)
同第九三號
同上千葉縣君津郡豐岡村二千六百
二十四番地農高梨吉太郞外五十四
名呈出(紹介議員橫山勝太郞君)
同第九四號
同上神奈川縣三浦郡衣笠村平作九
百五十五番地農原芳太郞外五十四
名呈出(紹介議員横山勝太郞君)
同第九五號
同上栃木縣上都賀郡西方村十四番
地會社員上田實外九十名呈出
(紹介議員小西和君)
同第九六號
同上靜岡縣安倍郡服織村山崎新田
三十八番地農若杉寅吉外百八名呈
出(紹分議員靑木精一君)
同第九七號
同上大阪府東成郡平野〓町梅ケ枝
町六丁目一番地商石橋留吉外百七
十二名呈出(紹介議員靑木精一君)
同第九八號
同上奈良縣北葛城郡新庄村五十番
地農古川德松外百二夕皇由(紹介
議員靑木精一君)
同第九九號
同上廣島縣神石郡永渡村大字永野
千九百十八番地農橫山周一郞呈出
(紹介議員栗延敬太郞君)
同第〇〇號
同上京都市丸田町通川端東入陳丸
太町二十九番地商佐貫淺次郎外百
十三名呈出(紹介議員森田茂君)
同第一〇一號
同上福井縣今立郡粟田部村第六號
四十六番地工千秋彌治郞外三十四
名呈出(紹分議員猪野毛利榮君)
同第一〇二號
同上福井縣足羽郡六條村江端二十
四番地農酒井竹松外十六名呈出
(紹介議員猪野毛利榮君)
同第一〇三號
同上福弁縣今立郡鯖江町上小路六
十番地齋藤繪三郞外二十名呈出
(紹介議員猪野毛利榮君)
同第一〇四號
同上福井縣吉田郡中、藤島村舟橋新
第十五號二番地農若島春作外四十
三名呈出(紹介議員猪野毛利榮君)
同第一〇五號
同上福井縣丹生郡朝日村田中第十
號十七番地農大橋庄吉外五十名呈
出(紹介議員熊谷五右衞門君)
同第一〇六號
同上福井縣坂井郡金津町八日八十
號二番地儈侶渡邊不證外七十八名
呈出(紹介議員熊谷五右衞門君)
同第一〇七號
同上石川縣江沼郡勅使村字勅使リ
九十七番地公吏西川石松外四十五
名呈出(紹介議員米原於菟男君)
同第一〇八號
同上福井縣敦賀郡松原村松島百七
號二番地〓員鴨梅吉外一一十四名呈
出(紹介議員河崎〓君)
同第一〇九號
同上福井縣敦賀郡松原村杏見六十
二號九番地農山内林藏外二十九名
呈出(紹介議員河崎〓君)
同第一二一號
同上秋田市楢山南新町上丁三十五
番地官吏服部健之助外四十二名呈
出(紹介議員田中隆三君)
同第一二二號
同上秋田縣山本郡能代港町能代畠
町一番地也端昇一郞外十七名呈出
(紹介議員田中隆二君)
同第一二三號
同上秋田縣平鹿郡横手町十五番地
ノ三公吏環貫毅外六名呈出(紹介
議員田中隆三君)
同第一二四號
同上秋田縣仙北郡豐岡村百四番地
[農高橋龍治外十一名呈出(紹介議
員田中隆三君)
同第一二五號
同上秋田縣北秋田郡大舘町字長木
川南十三番地齒科醫三浦五平外十
一名呈出(紹介議員田中隆三君)
同第一二六號
同上滋賀縣蒲生郡八幡町大字正神
三十四番地商田中伴治外六十二名
呈出(紹介議員高井商一一君)
同第一二七號
同上滋賀縣蒲生郡中野村大字中野
八十番屋敷會社員村田茂平治外四
十三名呈出(紹介議員高井商二君)
同第一二八號
同上岡山縣小田郡吉田村三百八十
六番地農武部友太郞外八十九名呈
出(紹介議員西村丹治郞君)
同第一二九號
同上岡山縣吉備郡秦村大字秦三千
四百六十二番地公吏板野照次外三
十六名呈出(紹介議員西村丹治郞
君
同第一三〇號
同土岡山縣都窪郡倉敷町四百十六
番地醫師木村靖外三十三名呈出
(紹介議員西村丹治郞君)
同第一三一號
同上山形懸束村山郡金井村千八十
九番地農有澤寅次郞外八十九名呈
出(紹介議員齋藤眞三郞君)
同第一三二號
同上和歌山金龍寺町一番地無臓高
松龜吉外六十一名呈出(紹介議員
中村啓次郞君)
同第一三三號
同上群馬縣邑樂郡伊奈良村百五十
五番地農小林治作外八十八名呈出
(紹介議員靑木精一君)
同第一三四號
同上福島縣信夫郡野田村大字下野
寺字六本松二番地農佐藤保吉外五
十一名呈出(紹介議員八田宗吉君
外一名)
同第一四三號
同上鳥取市立川町二丁目四十七番
地宮石宇之吉外十六名呈出(紹介
議員由谷義治君)
同第一四四號
同上大阪府西成郡今宮町東入船六
百九十六番地藤田平吉外十二名呈
出(紹介議員森田政義君)
同第一四五號
同上大阪市東區八尾町六百八十四
番地無職安井卯之助外四十七名呈
出(紹介議員武內作平君)
同第四六號
同上大阪市東區山ノ下町百三十一
番地商植村繁藏外八十五名呈出
(紹介議員武內作平君)
同第一四七號
同上富山縣婦負郡八尾町大字今町
千七百三十四番地工吉井松太郎外
六十七名呈出(紹介議員武内作平
君)
同第一四八號
同上埼玉縣人間郡高麗村大字栗坪
二百三十四番地農野村信太郞外百
七十九名呈出(紹介議員神谷彌平
君)
同第一四九號
同上大阪市東區東雲町丁目二十
二番地商北辰次郞外五十七名呈出
(紹介議員式內作平君)
同第一五〇號
同上兵庫縣宍粟郡神野村五十波百
四十五番地農橋本丑太郎外五十二
名呈出(紹介議員土井權大君外一
色
同第一五一號
同上大阪府泉北郡濱寺町字下千十
二番地工林圓治外五十二名呈出
(紹介議員中林友信君外一名)
同第一五二號
同上今治市大字本町二十番地商吉
田寅之助外四十八名呈出(紹介議
員河上哲太君外一名)
同第五三號
同上埼玉縣入間郡〓能町大字小岩
井六十六番地農早野政吉外十九名
呈出(紹介議員神谷彌平君)
同第一五四號
同上茨城縣新治郡石岡町大字石岡
六百七十四番地公吏渡邊文外三十
名呈出(紹介議員原脩次郞君)
同第一五五號
同上滋賀縣神崎郡八幡村大字垣兄
一番屋敷農桂田友左衞門外三十五
名呈出(紹介議員高井商二君)
同第一五九號
同上尼崎市別所村八十四番地岡部
末吉外十三名呈出(紹介議員中馬
興丸君)
同第一六〇號
同上廣島縣沼隈郡赤坂村大字赤坂
千三百七十一番地ノ二農伊藤友吉
外五名呈出(紹介議員梅田寛一君)
同第一六一號
同上廣島縣沼隈郡熊野村乙二千三
百三十五番地農貝田音次郞外十名
呈出(紹介議員梅田寛一君)
同第一六二號
同上廣島縣深安郡八尋村七十四番
屋敷農藤間僚太郎外五十六名呈出
(紹介議員梅田寬一君)
同第一六三號
同上廣島縣沼隈郡本〓村九百四十
四番地農石井福藏外四名呈出紹
介議員梅田寛一君)
同第一六四號
同上廣島縣沼隈郡千年村大字草深
千五百五十三番地銀行員村上正英
外四名呈出(紹介議員梅田寬一君)
同第一六五號
同上廣島縣沼隈郡神村八番地農大
塚久吉外十七名呈出(紹介議員梅
田寛一君)
同第一六八號
同上和歌山縣那賀郡龍門村大字杉
原二百二十六番地農蓬臺駿太郞外
五十四名呈出(紹介議員隅田豐吉
君
同第一六九號
同上福井市城町三ノ丸銀行員〓水
藤市外四十九名呈出(紹介議員土
生影君)
同第一七〇號
同上福井縣南條郡武生町蓬萊八十
七番地商長谷川政次郞外十七名呈
出(紹介議員土生影君)
同第一七一號
同上福井縣起羽郡上文殊村大村七
番地農前田廣外十五名呈出(紹介
議員土生影君)
同第一七二號
同上福井縣南桑郡鹿蒜村歸第四十
五號三番地農糀谷嘉助外十八名呈
出(紹介議員十生彰君)
同第一七三號
同上福井縣南條郡武生町浪花五十
四番地〓員吉田仁夫外十八名呈出
(紹介議員土生彰君)
同第一七四號
同上香川縣香川郡直島村九百五十
三番地農三宅廣太外七名呈出紹
介議員三善〓之君)
同第一七五號
同上丸龜市葭町九十二番地無職西
岡逸雄外三十七名呈出(紹介議員
三善〓之君)
同第一七六號
同上香川縣小豆郡池田村千二百二
十五番地商高尾藤太郞外九十六名
呈出(紹介議員山下谷次君)
同第一七七號
同上茨城縣多賀郡日立村大字宮田
千二番地商佐藤邦次郞外五十八名
呈出(紹介議員大津淳一郞君)
同第一七八號
同上秋田縣南秋田郡土崎港町相染
新田字街道下一番地商柴爲治外三
十五名呈出(紹介議員村山喜一郞
君
同第一七九號
同上埼玉縣南埼玉郡栢間村大字柴
山枝〓九十三番地農森田才次外六
十九名呈出(紹介議員齋藤珪次君
外一名)
同第一八〇號
同上京都府中郡峰山町字杉谷千二
百番地商藤山宗太郞外二十八名呈
出(紹介議員吉村伊助君)
同第一八一號
同上京都府熊野郡久美濱町二千九
百七十八番地商島貫由造外十八名
呈出(紹介議員吉村伊助君)
同第一八二號
同上京都府竹野郡竹野村字竹野九
百二十七番地商小谷增太郎外二十
三名呈出(紹介議員吉村伊助君)
同第一八三號
同上京都府與謝郡桑飼村字溫江二
千二百二十三番地農西馬松藏外四
十六名呈出(紹介議員吉村伊助君)
同第一八四號
同上山梨縣東山梨郡日川村字歌田
五番地士族〓員長谷川尙彥外三十
名呈出(紹介議員田邊七六君)
同第一八五號
同上山梨縣東山梨郡春日居村百五
十八番戶無職芹澤龜藏外二十九名
呈出(紹介議員田邊七六君)
同第一九五號
同上宮城縣牡鹿郡石卷町後町四十
八番地漁業佐藤榮三郞外二十八名
呈出(紹介議員熊谷直太君)
同第一九六號
同上京都府綴喜郡普賢寺村大字上
小字宇頭城三十三番地農田宮寅吉
外二十四名呈出(紹介議員鷲野米
太郞君)
同第一九七號
同上京都府愛宕郡修學院村字一乘
寺九十六番地農渡邊綱次郞外十四
名呈出(紹介議員鷲野米太郞君)
同第一九八號
同上京都府久世郡淀町字新町五十
六番地商岩崎珪治郎外十五名呈出
(紹介議員鷲野米太郎君)
同第二〇〇號
同上滋賀縣東淺井郡虎姫村大字三
川六十番屋敷農吉田歸一外五十八
名呈出(紹介議員藤澤萬九郞君)
同第二〇一號
同上福井縣大飯郡高濱町蘭部五十
一號二十二番地澤山喜之助外二十
名呈出(紹介議員河崎〓君)
同第二〇四號
同上德島縣名東郡佐那河內村下字
父ノ久保二十番地農窪田〓左衞門
外七十四名呈出(紹介議員原田佐
之治君外二名)
同第二〇五號
同上山口縣吉敷郡陶村四千七百六
番地商山下儀兵衞外三名呈出(紹
介議員古林新治君)
同第二〇六號
同上山口縣吉敷郡西岐波村三千二
百七十一番地農宮本常吉外三名呈
出(紹介議員古林新治君)
同第二〇七號
同上山口縣吉敷郡小鯖村大字上小
鯖千六百十六番地農矢野兵次外二
名呈出(紹介議員古林新治君)
同第二〇八號
同上山口縣吉敷郡井關村六千五百
六十二番地公吏兼重作一外七名呈
出(紹介議員古林新治君)
同第二〇九號
同上山口縣吉敷郡東岐波村百九十
四番屋敷農松重禎助外三名呈出
(紹介議員古林新治君)
同第二一〇號
同上山口縣吉敷郡宮野村三百二十
一番屋敷農德田半助外五名呈出
(紹介議員古林新治君)
同第二一一號
同上山口縣吉敷郡山口町大字上金
古曾七十番地無職中島千熊外八名
呈出(紹介議員古林新治君)
同第二一二號
同上山口縣吉敷郡山口町大字道場
門前九十三番地無職山田忠輔外二
十三名呈出(紹介議員古林新治君)
同第二一三號
同上山口縣吉敷郡秋穂二島村二千
一番地農早川才助外三名呈出締
介議員古林新治君)
同第二一四號
同上山口縣吉敷郡小郡町三百八十
番屋敷士族醫師岡善治郎外十六名
呈出(紹介議員古林新治君)
同第二一五號
同上和歌山縣海草郡日方町三百六
十四番地工武田直次郞外四十七名
呈出(紹介議員隅田豐吉君)
同第二一六號
同上岡山縣赤磐郡葛城村三百八十
四番地農八代虎狼外二十名呈出
(紹介議員土井權大君)
同第二一七號
同上岡山縣上道郡幡多村大字兼基
二百九十四番地農井松五郞外二十
二名呈出(紹介議員土井權大君)
同第二一八號
同上岡山縣和氣郡英保村大字三股
三百三十一番地農湯口米吉外五名
呈出(紹介議員土井權大君)
同第二一九號
同上岡山縣亦磐郡山方村大字瀧山
百八十三番地面勝田勇外九名呈出
(紹介議員土井權大君)
同第二二三號
同上島根縣邑智郡高原村大字伏谷
七百五十五番地農漆谷健治郞外三
名旱出(紹介議員原夫次郞君)
同第二二四號
同上島根縣海士郡海士村大字崎千
三十四番地農廾後松次郎外六名呈
出(紹介議員原夫次郎君)
同第二二五號
同上島根縣美濃郡都茂村大字都茂
六百五十六番地農寺井重次郞外一
名呈出(紹介議員原夫次郞君)
同第二二六號
同上島根縣周吉郡東〓村大字大久
三十二番地公吏富田巖外三名呈出
(紹介議員原夫次郞君)
同第二二七號
同上島根縣大原郡木次町大字木次
町四十一番二地小西甚之助外四名
呈出(紹介議員原夫次郞君)
同第二二八號
同上島根縣簸川郡乙立村大字乙立
九百八十五番地農曾田菊市外十名
呈出(紹介議員原夫次郞君)
同第二二九號
同上島根縣簽川郡伊波野村大字富
村千八十八番地農中尾彌一郞外二
十五名呈出(紹介議員原夫次郞君)
同第二三〇號
同上島根縣餞川郡江南村千三百三
十六番地農片伊勢万三郎外十五名
呈出(紹介議員原夫次郞君)
同第二三一號
同上島根縣簸川郡杵築町大字杵築
南七百八十五番一地公吏金山甲三
郎外十八名呈出(紹介議員原夫次
郞君)
同第二三二號
同上濱松市旅籠町十五番地會社員
石川善次郞外三十八名呈出(紹介
議員中村四郞兵衞君)
同第二三三號
同上和歌山縣有田郡鳥屋城村大字
金屋商前山建之丞外二十九名呈出
(紹介議員中村巍君)
同第二三四號
同上金澤市上島間町百三十一番地
士族無職中野鏡正外四十九名呈出
(紹介議員永井桝太郞君)
同第二三五號
同上金澤市川上新町二丁目三十三
番地會社員島崎治吉郞外十七名呈
出(紹介議員永井柳太郞君)
同第二三六號
同上金澤市上主馬町五番地福塚藤
次郞外二十九名呈出(紹介議員永
井柳太郞君)
同第二三七號
同上金澤市西御影町九十二番地工
德田乙松外十七名呈出(紹介議員
永井柳太郞君)
同第二三八號
同上金澤市五十人町二十六番地銀
行員束敏元外三十一名呈出(紹介
議員永井柳太郞君)
同第二三九號
同上全澤市石浦町十五番ノ二十六
番合併地士族商熊谷孝四郞外二十
三名呈出(紹介議員永井柳太郎君)
同第二四〇號
同上金澤市巴町七番地ノ一士族官
吏諸田市三郞外九名]壬出(紹介議
員永井柳太郞君)
同第二四一號
同上埼玉縣北足立郡南平柳村大字
十二月田四十三番地商西山辰之助
外三十二名呈出(紹介議員秦豐助
君外一名)
同第二四二號
同上埼玉縣北足立郡小針村大字小
針內宿千四百四十一番地農加藤小
善大外四十名呈出(紹介議員秦豐
助君外一名)
同第二四九號
同上富山縣東礪波郡井波町藤橋百
六番地無職林藤太郞外七十九名呈
出(紹介議員野村嘉六君)
同第二五〇號
同埼玉縣南埼玉郡和土村大字飯塚
千三百五十九番地農天野俊道外
三十六名旱出(紹介議員丸山五郞
君
同第二五一號
同上茨城縣ニ波郡大德村大字大會
根七十一番地農齋藤三次外四十八
名呈出(紹介議員飯村五郞君)
同第二五三號
同上兵庫縣加東郡米田村廻淵農亦
坂孫治郎外五十名呈出(紹介議員
藤井忠兵衞君)
同第二五七號
同上茨城縣東英城郡酒門村大字石
川二百六十二番地農關寬外五名呈
出(紹介議員河野正義君)
同第二五八號
同上栃木縣上都賀郡落合村大字文
挾四百四十番地醫師村尾誠外五名
呈出(紹介議員高橋元四郞君)
同第二五九號
同上京都府葛野郡川岡村大字下津
林小字宅地五十三番地農太田安之
助外十五名呈出(紹介議員中林友
信君外二名)
同第二六〇號
同上大阪府西成郡千船町大字大和
田百五十八番地公吏阪田万太郞外
十八名呈出(紹介議員中林友信君
外二名)
同第二六一號
同上大阪府豊能郡池田町五百六十
七番地會社員古谷定吉外九名呈出
(紹介議員中林友信君外二名)
同第二六二號
同上大阪府東成郡生野村國分四百
二十五番地商店員中山繁吉外五名
呈出(紹介議員中林友信君外二名)
同第二六五號
同上水戶市大字下市根積町五百五
十三番地ノ一公吏中山〓吉外四十
四名千出(紹介議員菊池謙二郞君)
同第二六六號
同上岡山縣苫田郡津山町大字南新
坐三十九番地士族公吏日下良四郞
外二十一名呈出(紹介議員土居通
憲君)
同第二六七號
同上岡山縣苫田郡高田村大字下橫
野千四百三十五番地農坂本忠次郞
外十四名呈出(紹介議員土居通憲
君
同第二六八號
同上岡山縣英田郡豊田村大字北原
二百四十二番地農多賀一郎外四十
八名呈出(紹介議員土居通憲君)
同第二六九號
同上和歌山縣日高郡御坊町大字島
二百五十三番地商林新十郎外十二
名呈出(紹介議員田淵豊吉君)
同第二七〇號
同上石川縣石川郡松任町字八日市
町二十七番地ノ一農龜田庄太郞外
百十五名呈出(紹介議員佐藤實君
外一名)
同第二七一號
同上石川縣河北郡三谷村字堅田二
ノ五十七番地農細川長八外十八名
呈出(紹介議員佐藤實君外一名)
同第二七二號
同上石川縣能美郡板津村字長野田
リ六十一番地農佐伯善太郎外四十
五名呈出(紹介議員佐藤實君外一
名
同第二七三號
同上石川縣能美郡小松町字土居原
町六十一番地商福田平作外四十五
名呈出(紹介議員佐藤實君外一名)
同第二七四號
同上石川縣能美郡粟津村字符津ワ
六番地會社員中田仁三松外二十名
呈出(紹介議員佐藤實君外一名)
同第二七五號
同上石川縣能美郡鳥越村字別宮ロ
六十八番地上野榮太郞外十六名呈
出(紹介議員佐藤實君外一名)
同第二七六號
同上金澤市胡桃町四十八番地商桑
田與重郞外百三十八名呈出(紹介
議員永井柳太郞君外二名)
同第二八四號
同上福島縣安積郡郡山町字本町六
十九番地商中村作重郞外六十九名
呈出(紹介議員栗山博君)
右請願ノ要旨ハ動章ノ制定ナキ封建時代
ニ於テハ武功ノ表彰ハ一ニ其ノ優劣ニ
應シ祿高ヲ給賜シタリ現在金鵄動章年〓
令ニ於テ武功ノ拔群者ニ對シ名譽ノ勳
ト相俟テ年金ヲ加賜セラルルハ名實相伴
ヒ誠ニ深遠ナル御思召ニ依ル恩賞方法ニ
シテ制定當時ノ功七級年金百圓八實ニ米
三十俵ノ價格ニ相當セリ然ルニ制定後將
ニ三十年ニ垂ムトシ時勢ニ大變化ヲ來シ
且恩給ノ如キハ再三曾額セラレタルニ拘
ラス金鵄勳章年金ハ依然增加セラレス斯
ノ如キハ一ニハ御制定當時ノ趣旨ニ反シ
他ニハ亦最近改正增加セラレタル一般恩
給ニ比シ均シク國家ノ功勞者ヲ遇スル上
ニ於テ失當ニシテ殊ニ軍縮ニ依ル退職者
ノ一時賜金ノ利潤額ニモ及ハサル如キハ
假令年金ノ性質彼此相異ナルト雖戰場ニ
馳驅シタル殊動者ニ對シ物質的優遇ノ途
ヲ誤リ延テ將來ノ國民思想上ニ動搖ヲ來
シ愛國ノ觀念ニ一大缺陷ヲ生セムコトヲ
虞ル依テ速ニ金鵄勳章年金令ヲ改正セラ
レタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第七十號
意見書
請願文書表第三二八號
小學校〓員俸給國庫支辨ノ請願京
都府船井郡園部村字大村第七番戶
田中藤地衞門外八十五名呈出(紹
介議員木戶豐吉君)
右請願ノ要旨ハ曩ニ政府ハ義務〓育ノ本
義ニ鑑ミ義務〓育費國庫負擔法ヲ制定セ
ラレタリト雖列國カ戰後ニ於テ國民〓育
ノ振興ニ力ヲ致スコト多大ナルニ比スレ
ハ尙甚夕遺憾ナル點尠カラス依テ〓員優
遇ノ途ヲ啓キ義務〓育ノ內容ヲ充實スル
爲尠クトモ小學校〓員ノ俸給額全部ヲ國
庫ニ於テ支辨セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第七十五號
意見書
請願文書表第二九〇號
辰野、濱松間鐵道敷設ノ請願濱松
市長渡邊素夫呈出(紹介議員樋口
秀雄君)
右請願ノ要旨ハ長野縣辰野ヨリ飯田ヲ經
テ靜岡縣濱松ニ至ル所謂遠信鐵道ハ其ノ
延長百餘哩ニ亙リ東海道、中央、信越及北
陸ノ諸線ニ連絡シ以テ本州中部ニ於ケル
太平洋ト日本海トヲ南北一直線ニ貫通セ
ラルル一大幹線ナリ其ノ沿線一帶ハ地味肥
沃ニシテ且千古ノ森林ニ富ミ山嶽重疊シテ
中ニ無限ノ鑛石ヲ包藏ス是等天賦ノ寶庫
無盡ノ富源ヲ開發スルハ國利民福上極メ
テ必要ナリト信ス依テ前記鐵道ヲ速ニ敷
設セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第八十三號
意見書
請願文書表第二九二號
金鵄勳章年金令改正ノ請願茨城縣
眞壁郡下館町甲六百五番地無職渡
邊泰藏外二十八名呈出(紹介議員
磯部保次君)
同第二九三號
同上茨城縣西茨城郡南山內村大字
手越三百八十五番地農前川多一郞
外三十二名呈出(紹介議員磯部保
次君)
同第二九四號
同上千葉縣香取郡大倉村大倉二千
三十八番地公吏成毛種吉外百四十
二名呈出(紹介議員關和知君)
同第二九九號
同上福島縣河沼郡片門村字片四甲
三十九番地士族農渡邊貞次外七名
呈出(紹介議員八田宗士口君)
同第三〇一號
同上茨城縣東茨城郡磯濱町千七十
二番地塙長次外九名呈出(紹介議
員内田信也君)
同第三〇二號
同上茨城縣那珂郡湊町五千五百十
番ノ二商立原三之介外十七名呈出
(紹介議員內田信也君)
同第三〇七號
同上愛媛縣北宇和郡成妙村大字成
家三百二十一番地農藥師寺權六外
五十五名呈出(紹介議員成田榮信
君)
同第三〇八號
同上愛媛縣南宇和郡御莊町大字平
城二千六百八十番地商谷本愛之助
外二十四名呈出(紹介議員成田榮
信君)
同第三〇九號
同上愛媛縣宇摩郡中之庄村大字具
定九十番戶公吏藤原康利外六名呈
出(紹介議員成田榮信君)
同第三一〇號
同上愛媛縣西宇和郡喜須來村大字
喜木三番耕地百二十六番地商室谷
爲次郞外百十二名呈出(紹介議員
成田榮信君)
同第三一一號
同上愛媛縣上浮穴郡中津村大字黒
藤川百六十六番地佐藤忠次外八名
呈出(紹介議員成田榮信君)
同第三一二號
同上愛媛縣喜多郡內子町大字內子
甲千百五十一番地ノ第一中田鹿太
郞外十二名呈出(紹介議員成田榮
信君)
同第三一三號
同上愛媛縣東宇和郡高山村大字出
之濱甲四百六十五番地農出村彌七
郞外二十七名呈出(紹介議員成田
榮信君)
同第三一四號
同上宇和島市伊吹町九十五番戶農
山口久四郞外十五名呈出(紹介議
員成田榮信君)
同第三一五號
同上松山市杉谷町二十二番地士族
生島賢二外六十一名字出(紹介議
員成田榮信君)
同第三一六號
同上愛媛縣溫泉郡難波村大字上難
波甲八百二十七番地農宮下源吉外
百七十九名呈出(紹介議員成田榮
信君)
同第三一七號
同上德島縣板野郡撫養町林崎十二
番地商曾川繁藏外四十八名呈出
(紹介議員成田榮信君)
同第三一八號
同上愛媛縣新居郡神拜村大字神拜
甲三百六十六番地商白石時次郎外
二十三名呈出(紹介議員成田榮信
君
同第三一九號
同上愛媛縣周桑郡小松町大字新屋
敷甲二十九番地農眞鍋庄平外三十
九名呈出(紹介議員成田榮信君)
同第三二〇號
同上愛媛縣越智郡宮窪村大字友浦
甲千二百二十九番地公吏矢野克鑑
外十九名呈出(紹介議員成田榮信
君
同第三二一號
同上愛媛縣伊豫郡伊豫村大字下三
谷二百四十九番戶農菊澤緣三郞外
八十一名呈出(紹介議員成田榮信
煮
同第三二二號
同上香川縣木田郡西植田村大字西
植田五千六十九番地第二農一原又
八外十九名呈出(紹介議員成田榮
信君)
同第三二三號
同上香川縣小豆郡草壁町大字上村
甲千五百十番地農森伊十郞外六名
呈出(紹介議員成田榮信君)
同第三二四號
同上香川縣絞歇郡西庄村千九百六
十番地農宮西好太郎外九十二名呈
出(紹介議員成田榮信君)
同第三二五號
同上香川縣三豐郡下高瀨村三百六
十七番地ノ第一工永江辰之助外
百二十九名呈出(紹介議員成田榮
信君)
同第三二六號
同上高松市宮脇町七百九十六番地
會社員井上勝三外五十名呈出紹
介議員成田榮信君)
同第三二七號
同上新潟縣三島郡深才村大字福田
四十四番戶小林〓三外九名呈出
(紹介議員松井郡治君外一名)
同第三三七號
同上德島市北佐古町字臺所一
ノ二番地會社員大西兵藏外五十
名呈出(紹介議員海原〓平君外一
名
同第三四〇號
同上宮城縣登米郡佐沼町宇西佐沼
七十六番地商高橋嘉三郞外六十二
名呈出(紹介議員屋廉平君)
同第三四一號
同上埼玉縣北足立郡指扇村大字高
木四百十七番地農〓西藤太郞外三
十七名呈出(紹介議員小島善作君)
同第三四五號
同上石川縣鹿島郡七尾町字鍜冶町
五十六番地銀行員川村萬次郞
外二名呈出(紹介議員佐藤實君外
二名)
同第三四六號
同上島根縣飯石郡掛合村大字掛合
町九百四十六番地小瀧伴藏外十
四名呈出(紹介議員俵孫一君外一
色
同第三五二號
同上富山縣氷見郡窪村農陸田拾一
外三十四名呈出(紹介議員野村嘉
六君)
同第三五六號
同上埼玉縣北足立郡浦和町四千五
百五十二番地瀧澤信芳外三十六名
呈出(紹介議員秦登助君外一名)
同第三五七號
同上埼玉縣北足立郡新倉村二千八
百九十八番地農鳥飼市太郎外
七名呈出(紹介議員秦豐助君外一
名
同第三五八號
同上別府市井手野逸五郞呈出総
介議員松田源治君)
同第三七三號
同上岡山縣久米郡稻岡南村大字南
庄三千二百十九番地農福田和平外
四名呈出(紹介議員湛增庸一君)
同第三七四號
同上岡山縣久米郡弓削町大字下弓
削五百三十番地公吏宮本正志外一
名呈出(紹介議員湛增庸一君)
同第三七五號
同上岡山縣久米郡大倭村士族公吏
石川四郞外二十四名呈出(紹介議
員湛增庸一君)
同第三七六號
同上横須賀市深田十九番地淺川末
次郞外百十三名呈出(紹介議員小
野重行君)
同第三七七號
同上芙城縣眞壁郡下妻町大字下妻
三百五十八番屋敷ノ一河面芳雄外
十六名呈出(紹介議員磯部保次君)
同第三八五號
同上大分縣直入郡長湯村大字長湯
四百二十三番地甲斐泰丸外三名呈
出(紹介議員山口義一君)
右請願ノ要旨ハ動章ノ制定ナキ封建時代
ニ於テハ武功ノ表彰ハ一ニ其ノ優劣ニ應
シ祿高ヲ給賜シタリ現在金鵄勳章年金令
ニ於テ武功ノ拔群者ニ對シ名譽ノ動章ト
相俟テ年金ヲ加賜セラルルハ名實相伴ヒ
誠ニ深遠ナル御思召ニ依ル恩賞方法ニシ
テ制定當時ノ功七級年金百圓ハ實ニ米三
十俵ノ價格ニ相當セリ然ルニ制定後將ニ
三十年ニ垂ムトシ時勢ニ大變化ヲ來シ且
恩給ノ如キハ再三增額セラレタルニ拘ラ
ス金鵄勳章年金ハ依然增加セラレス斯ノ
如キハ一ニハ御制定當時ノ趣旨ニ反シ他ニ
ハ亦最近改正增加セラレタル一般恩給ニ
比シ均シク國家ノ功勞者ヲ遇スル上ニ於テ
失當ニシテ殊ニ軍縮ニ依ル退職者ノ一時
賜金ノ利潤額ニモ及ハサル如キハ假令年
金ノ性質彼此相異ナルト雖戰場ニ馳驅シ
タル殊動者ニ對シ物質的優遇ノ途ヲ誤リ
延テ將來ノ國民思想上ニ動搖ヲ來シ愛國
ノ觀念ニ一大缺陷ヲ生セムコトヲ虞ル依
テ速ニ金鵄勳章年金令ヲ改正セラレタシ
ト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第八十六號
意見書
請願文書表第四三八號
震災ニ因リ喪失シタル無記名地方債
及社債救濟ノ請願横濱市南仲通
リ三丁目五十六番地井坂孝外十八
名呈出(紹介議員若尾後太郞君)
右請願ノ要旨ハ昨秋ノ大震火災ニ喪失シ
タル無記名地方債及社債ノ復權ニ對シ速
ニ適當ナル措置ヲ講セシメラルヘク政府
ヲ鞭撻セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第八十七號
意見書
請願文書表第三九八號
狹野神社ヲ官幣社ニ昇格ノ請願宮
崎縣縣諸縣郡小林町長赤木通茂外
十八名呈出(紹介議員陣軍吉君外
(名b)
右請願ノ要旨ハ官幣大社宮崎神宮別宮狹
野神社ハ宮崎縣西諸縣郡高原村ニ在リテ
皇祖神武天皇御降誕ノ需五ナナ而而テレ
ノ神社ハ人皇五代孝照天皇御宇ノ御造營
ニ係リ幾多ノ變遷ヲ經テ明治維新ノ際狹
野神社ト稱セラレ明治六年縣社ニ列セラ
レタリ然ルニ神武天皇宮都ノ御遺跡タル
宮崎宮ハ曩ニ官幣大社ニ列セラレ尋テ明
治三十二年樞原大宮ノ靈墟亦官幣大社ニ
列セラレタルニ獨リ御發祥ノ靈地狹野神
社ノ縣社タルハ御神靈ニ對シ誠ニ恐懼ニ
堪ヘス依テ速ニ徒野神社ヲ官幣大社宮崎
神宮ヨリ公立シ更ニ官幣社ニ列セラレタ
シト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第八十八號
意見書
請願支書表第三九七號
警察署預リ金品ノ滅失ニ因ル見舞金
下付ノ請願熊本縣下益城郡小野
部田村大字牝部田谷川進呈出(紹
介議員藤井敬愼君)
右請願ノ要旨ハ請願人ハ東京地方ニ於テ
飮食店開業ノ志ヲ立テ自己所有ノ田地ヲ
抵富トシテ借用シタル全ノ內千二百圓ヲ
推帶シテ昨年八月〓里ヲ出發シ途中橫濱
市ニ立寄リ某所ニ於テ飮食中偶刑事ニ同
行ヲ命セラレ大金ヲ所持スルノ故ヲ以テ
伊勢佐木署ノ取調ヲ受ケ數日間留置セラ
レタルモ同月三十日要保護原因ナキ理由
ニ依リ一旦釋放セラレタリ然ルニ翌三十
一日再ヒ同署ニ出頭ヲ命セラレ保護室ニ
留置セラレ翌九月一日所持金千百圓及衣
類其ノ他八點(時價百圓)ヲ命セラルル儘
ニ同所刑事部長ニ引渡シ預證書ノ交付ヲ
辭退シテ旅宿ニ歸還ノ途中大震災ニ遭遇
シ辛ウシテ危難ヲ免レ超エテ同月三日同
署假事務所ニ出頭曩ニ預ケ置キタル金品
ノ引渡ヲ請求シタルニ金庫破壞ノ爲其ノ
形跡ヲ認ムルニ由ナク唯氣ノ毒ナリトノ
挨拶ヲ受ケタルノミ仍テ神奈川縣警察部
長ニ面會シ右ノ事情ヲ具陳シテ善後ノ處
置ヲ求メタルニ何等カノ方法ヲ以テヲ拂
フヘシトノ言明ヲ得タリ而シテ本年二月
某辯護士ヲシテ之カ交涉ヲ爲サシメタル
ニ當局ヨリ數百圓ノ見舞金ヲ下付スルコ
トニ結著シタルモ未タ之カ交付ヲ見ス本
件發生以來請願人ノ受ケタル物質上ノ損
害及精神上ノ苦痛極メテ大ナルモノアリ
依テ之カ救濟トシテ相當ノ見舞金ヲ下付
セラルル樣處置アラムコトヲ望ムト謂フ
ニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第八十九號
意見書
請願文書表第三六三號
國立公園地選定ニ關スル請願靜岡
縣田方郡三島町二千五百十五番地
中山庚辰外百三名呈出(紹介議員
小泉策太郞君外一名)
右請願ノ要旨ハ西ハ富士愛鷹山ノ嶺線ヲ
區劃シ北ハ甲駿ノ境界ヨリ相州大磯ノ線
ヲ區劃シ東南ハ太平洋ニ面スル一地域内
ハ風光明媚ナルコト他ニ匹敵スルモノナ
キハ何人モ之ヲ疑ハサルトコロナリ依テ
之ヲ國立公園地トシテ選定セラレタシト
謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第九十號
意見書
請願文書第三六八號
由良川改修ノ請願京都府何鹿郡綾
部町長四村源之助外二十二名呈出
(紹介議員村上國吉君)
右請願ノ要旨ハ由良川ハ京都府北桑田郡
ニ源ヲ發シ牧川ト合シ延長三十里ニシデ
已ム沿岸ノ住民十二萬灌漑面積七千町步
ニ及ヒ住民ノ生業ハ林業農業ヲ主トシ
殊ニ養蠶業盛ナリ然ルニ該川沿岸地帶ハ
降雨量多キ爲每年洪水ノ苦ヲ甞メ其ノ都
度道路橋梁ノ破壞水田桑園ノ被害ハ勿論
人家ノ流失スルコト多々アリト雖地方住
民ニ財政上ノ餘裕ナキ爲改修ニ著手スル
能ハス依テ前記由良川ヲ國費ヲ以テ速ニ
改修セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第九十一號
意見書
請願文書表第四四〇號
石狩川治水計畫ニ依ル堤外地買收ノ
請願北海道札幌郡江別町對雁村
百番地農三田文次郞外十三名呈
出(紹介議員岡田伊太郞君)
右請願ノ要旨ハ石狩川治水計畫ノ實施ニ
當リ河川切替所要ノ爲河敷及築堤地ハ大
正七年九月政府ニ於テ買收セラレタルモ
其ノ當時河敷、築堤間ノ耕地所謂堤外地
ハ國費ノ關係上買收セラレスシテ今日ニ
及ヘリ然ルニ該工事ノ進捗ニ伴ヒ屢洪水
ノ爲堤外地ニ於ケル耕作物ノ被害甚大ニ
シテ個人所有ノ利益更ニ無シ依テ速ニ前
記堤外地ヲモ買收セラレタシト謂フニ在
リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ院院第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第九十二號
意見書
請願文書表第三九三號
野馳郵便局ニ集配事務開始ノ請願
岡山縣阿哲郡野馳村長津村六郞呈
出(紹介議員西村丹治郞君)
右請願ノ要旨ハ岡山縣阿哲郡野馳村ハ備
中備後ノ北部ヲ聯絡スル要路ニ當リ人口
約三千ヲ算シ地方物資ノ集散地トシテ益
發展スヘキ狀勢ニアリ隨テ通信事務年々
增加シツツアルモ該村所在野馳郵便局ハ
無集配局ナル爲住民ノ不便尠カラス加之
該村ハ僻陬部落散在シ其ノ遠キハ所轄郵
便局ヲ距ル三里ニ及ヘル所アルヲ以テ通
信上ノ不利益ハ到底想像シ得ルトコロニ
アラス依テ前記野馳郵便局ニ速ニ集配事
務ヲ開始セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第九十三號
意見書
請願文書表第三九九號
京都市上京區鹿ケ谷法茲院町内ニ無
集配郵便局設置ノ請願京都市上
京區鹿ケ谷宮ノ前町四十一番地堀
內乕之輔外五十三名呈出(紹介議
員森田茂君)
右請願ノ要旨ハ京都市上京區鹿ケ谷法葬
院町附近ハ近時商工業發達シ殊ニ京都帝
國大學其ノ他諸學校ノ所在地ニシテ人口
ノ增加著シ然ルニ附近ニ郵便局ノ設置ナ
キ爲通信上ノ不便甚大ナリ依テ前記鹿ケ
谷町淨土寺町及北白川町ヲ管轄區域トシ
テ鹿ケ谷法葬院町四十一番地ニ無集配郵
便局ヲ設置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第九十四號
意見書
請願文書表第四〇三號
東京府豐多摩郡戶塚町內ニ無集配郵
便局設置ノ請願東京府豐多摩郡
戶塚町大字戶塚五百八十九番地中
村兼次郞呈出(紹介議員高木正年
君)
右請願ノ要旨ハ東京府豐多摩郡戶塚町ハ
近時人口稠密シ宛然市街地化セルニ拘ラ
ス附近ニ郵便局ノ設置ナキ爲不便甚大ナ
リ依テ前記戶塚町大字戶塚三百七十番地
ニ無集配郵便局ヲ設置セラレタシト謂フ
ニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第九十五號
意見書
請願文書表第四〇四號
東京府豊多摩郡和田堀之內村內ニ郵
便局設置ノ請願東京府豊多摩郡
和田堀之内村大字堀之內七十二番
地商大高政吉呈出(紹介議員高木
正年君)
右請願ノ要旨ハ東京府豊多麾郡和田堀之
内村ハ古刹妙法寺ノ所在地トシテ普ク知
ラレ從テ商家ノ繁昌亦他町村ノ比ニ非ス
然ルニ郵便局ノ設置ナキ爲通信上ノ不便
甚大ナリ依テ前記和田堀之內村大字堀之
內七十二番地ニ郵便局ヲ設置セラレタシ
ト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第九十六號
意見書
請願文書表第四〇五號
矢野町郵便局ニ集配事務開始ノ請願
廣島縣安藝郡矢野町三百五十番地
商細田謙二外一名呈出(紹介議員
橫山金太郞君)
右請願ノ要旨ハ廣島縣安藝郡矢野町ハ郡
內ニ於ケル物資集散ノ樞要地ニシテ吳線
ノ開通以來諸種ノ產業勃興シ就中髢製造
ノ如キハ全國唯一ノ稱アリ其ノ生產品ハ
遠ク海外ニ及ヒ年產額實ニ百五十万圓餘
ニ上リ又牡蠣ノ如キモ產額六十万圓ヲ超
ユルノ狀況ニアリ隨テ郵便事務ノ如キ益
繁忙ヲ極メツツアリ然ルニ該町所在矢野
町郵便局ハ無集配局ニシテ集配事務ハ海
田市郵便局ノ所管ニ屬スル爲住民ノ不利
益ハ勿論產業ノ發展ヲ阻害スルコト甚シ
依テ前記矢野町郵便局ニ集配事務ヲ開始
セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第九十七號
意見書
請願文書表第四一三號
宇治三等請願郵便局ヲ官設集配郵便
局ニ變更ノ請願岡山縣川上郡宇
治村長仲田季雄外二名呈出(紹介
議員西村丹治郞君)
右請願ノ要旨ハ岡山縣川上郡宇治村所在
宇治郵便局ハ曩ニ小池啓一郞ノ請願ニ依
リ設置セラレタルモノナルカ集配事務ヲ
取扱ハサル爲之カ事務ハ遠隔不便ナル吹
屋局ノ管轄ニ屬シ又隣接ノ中村ハ地勢上
不利益ナル富家局ノ管轄ニシテ孰レモ通
信上不便尠カラス依テ前記宇治郵便局ヲ
宇治村及中村ヲ管轄區域トシ官設ニ變更
ノ上集配事務ヲ開始セラレタシト謂フニ
在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第九十八號
意見書
請願文書表第四一五號
八王子市追分町ニ三等郵便局設置ノ
請願八王子市追分町三十九番地
土族大野〓次郞外百二十一名呈出
(紹介議員瀨沼伊兵衞君外一名)
右請願ノ要旨ハ八王子市追分町ハ市ノ西
部ニ位シ千人町、日吉町、元本郷町及元八
王子村、橫山村等ニ隣接シ交通上樞要ノ
地ニ當リ既設郵便局ノミニテハ不便尠カ
ラス依テ前記追分町ニ三等郵便局ヲ設置
セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第九十九號
意見書
請願文書表第四二二號
布施、猿ケ京兩郵便局ニ電信、電話事
務開始ノ請願群馬縣利根郡新治
村長澤口蔦五郞外四名呈出(紹介
議員生方大吉君)
右請願ノ要旨ハ群馬縣利根郡布施、猿ケ京
ノ兩郵便局ハ孰レモ新治村內ニアリ電信、
電話事務開始ノ件ハ多年ノ懸案ニシテ架
設經費ノ關係上兩局同時ニ開始ヲ希望シ
ツツアル際上越鐵道ノ開通ト相俟ツテ地
方ノ發展著シク益其ノ必要ヲ痛感スルニ
至レリ依テ前記兩郵便局ニ電信、電話事
務ヲ開始セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百號
意見書
請願文書表第四二四號
大原村大字市場ニ無集配郵便局設置
ノ請願滋賀縣坂田郡大原村長箕
浦相〓外一名呈出(紹介議員藤澤
萬九郞君外一名)
右請願ノ要旨ハ滋賀縣坂田郡大原村ハ最
近商工業殷盛ヲ告ケ人口亦漸次增殖シツ
ツアルニ拘ラス最寄春照郵便局ヘバ三十
二町餘ヲ距ツル爲通信上ノ不便甚大ナリ
依テ前記大原村大字市場ニ無集配郵便局
ヲ設置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百一號
意見書
請願文書表第四三〇號
築港郵便局昇格ノ請願大阪市西區
築港二條通四丁目四十二番地無職
吉田秀呈出(紹介議員板野友造君)
右請願ノ要旨ハ大阪市西區所在築港郵便
局ハ三等郵便局ニシテ内容證明等ノ重要
事務ヲ取扱ハサル爲若シ之カ用ヲ辨セム
トセハ一里餘ヲ隔ル市岡局ニ於テセサルヘ
カラス殊ニ前記築港郵便局ノ管內タル八
幡屋、田中、池田、石田ノ各町ノ戶數ハ一萬
戶以上ニ達セムトシ人口稠密ノ今日住民
ノ不便甚大ナリ依テ築港三等郵便局ヲ二
等郵便局ニ昇格セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百二號
意見書
1.請願文書表第四三一號
天神橋筋郵便局ニ電信事務復舊開始
ノ請願大阪市北區天神橋筋一〒
目官吏奥田晋明呈出(紹介議員〓
瀨一郞君)
右請願ノ要旨ハ大阪市北區天神橋筋郵便
局ハ從來電信事務ヲ取扱ヒ一日ノ發信數
ハ四百通ヲ下ラサリシモ一昨年春以來其
ノ取扱ヲ廢止セラレタル爲天滿市場取引
者ハ皆七八丁ヲ距ル天滿郵便局ヲ利用セ
サルヘカラスシテ不便甚大ナリ依テ前記
天神橋筋郵便局ニ電信事務ヲ復舊開始セ
ラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百三號
意見書
請願文書表第四三二號
阿古郵便局ニ集配事務開始ノ請願
東京府三宅島阿古村長沖山房之助
呈出(紹介議員高木正年君)
右請願ノ要旨ハ東京府三宅島阿古郵便局
ハ近來地方產業文化ノ發達ニ伴ヒ郵便物
ノ發着數激增セリ然ルニ島ノ北端ナル神
著郵便局ニ於テ集配事務ヲ取扱フノミニ
テ不使尠カラス依テ前記阿古郵便局ニ集
配事務ヲ開始セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百四號
意見書
請願文書表第四三三號
桐ヶ谷郵便局ニ電信、電話事務開始ノ
請願東京府荏原郡大崎町大字桐
ケ谷二百九十八番地官吏藤田淺次
郞呈出(紹介議員高木正年君)
右請願ノ要旨ハ東京市ニ隣接スル大崎町
及平塚村ハ工業地又ハ住宅地域トシテ目
覺シキ發展ヲ爲シ人口ノ增加著シク電信
電話ノ利用亦日々增加シツツ在リ然ルニ
之カ用ヲ辨スルニハ東京市內ノ郵便局ニ
於テセサルヘカラスシテ不便尠カラス依
テ前記大崎町所在桐ヶ谷郵便局ニ電信、
電話事務ヲ開始セラレタシト謂フニ在
リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百五號
意見書
請願文書表第四三五號
門司市新大里ニ無集配郵便局設置ノ
請願門司市大里町字柳四千七百
三十番地會社員井上鐵之助外一名
呈出(紹介議員河波荒次郞君)
右請願ノ要旨ハ門司市舊大里ハ土地狭小
ナル爲所謂新大里ト稱スル地吐ニ發展シ
ツツ在リ然ルニ新大里ニハ郵便局ナキ爲
住民ノ不便尠カラス依テ該所ニ三等無集
配郵便局ヲ設置セラレタシト謂フニ在
リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百六號
意見書
請願文書表第四一八號
藤並郵便局ニ集配事務開始ノ請願
和歌山縣有田郡藤並村助役林甚助
外二名呈出(紹介議員松山常次郞
君)
右請願ノ要旨ハ和歌山縣有田郡藤並、田殿
及御靈ノ三箇村ハ該郡ノ中央部ニ位シ人口
一万一千餘縣立農事試驗場其ノ他吉備實
業學校等地方產業開發指導ノ機關完備シ
尙是等ノ村内ニ有田輕便鐵道ノ停車場數
箇所ニアリ又近ク工事中ノ紀勢鐵道開通
ノ曉ハ村內ニ一大停車場設置セラレムト
シ交通運輸ノ便ハ益良好ニ趨カムトスル情
勢ニ在リ然ルニ通信事業ノ中心タル藤並郵
便局ハ無集配局ナル爲住民ノ不便甚大ナリ
依テ前記郵便局ニ於テ藤並、田殿及御靈
ノ三箇村ヲ管轄區域ト爲シ集配事務ヲ開
始セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百七號
意見書
請願文書第一三七號
內城田村大字棚橋ニ登記所設置ノ請
願三重縣度會郡内城田村長福井
兵衞外三名呈出(詔介議員濱田國
松君)
右請願ノ要旨ハ三重縣度會郡ニ於ケル内
城田、中川、小川〓ノ三箇村ハ山田區裁
判所田丸出張所又一之瀨村ハ同慥柄出張
所ノ管轄ナルモ登記所孰レモ遠距離ナル
爲不便尠カラス依テ内城田村大字棚橋ニ
登記所ヲ新設セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百八號
意見書
請願文書表第四二五號
借地法、借家法及借地借家調停法施
行區域ニ關スル請願名古屋市中
區南新町二丁目三番地辯護士小林
茂呈出(紹介議員小山松壽君)
右請願ノ要旨ハ名古屋中ハ大正十年四月
公布ノ借地法、借家法及借地借家調停法
ノ施行區域ニ指定セラレサルモ近來產業
ノ發達ニ伴ヒ横濱市、京都市等ニ比シ人
口、工場等ノ數ニ於テ敢テ劣ルトコロナ
シ殊ニ都市計畫ノ實施ニ因リ住宅ヲ失フ
者續出シ輓近思想界ノ影響ヲ受ケテ借地、
借家ニ關スル爭議ヲ頻發シ爲ニ民心益惡
化スルニ至レリ依テ速ニ名古屋市ニ前記
借地法、借家法及借地借家調停法ヲ施行
セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百九號
息書
請願文書表第三九六號
大田、瀧原間鐵道敷設ノ請願島根縣
安濃郡大田町長石川重太郞外四十
八名呈出(紹介議員平田民之助君)
右請願ノ要旨ハ曩ニ鐵道敷設法ニ據リ決
定セラレタル大田、瀧原間ノ鐵道ハ山陰
山陽連絡ノ㨗徑ニシテ且沿道產業ノ啓發
上最モ完成ノ急ヲ要スルモノナリ依テ速
ニ該鐵道ヲ敷設セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百十號
意見書
請願文書表第四〇六號
未設姫津線神岡村上横內ニ停車場設
置ノ請願兵庫縣揖保郡神岡村北
横内十四番地農田淵眞哉外二名呈
出(紹介議員西村丹治郞君)
右請願ノ要旨ハ鐵道敷設法別表中始津鐵
道ハ近ク起工ノ運ヒニ至ルト聞ク依テ交
通ノ圓滑ヲ圖ル爲因伯從來ノ樞要地タル
兵庫縣揖保郡神岡村上橫内ノ適當ナル地
點ニ停車場ヲ設置セラレタシト謂フニ在
リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百十一號
意見書
請願文書表第四〇七號
兵庫縣揖保郡新宮村ニ停車場設置ノ
請願兵庫縣掛保郡新宮村井野原
四百七十八番地農辻井定之外二名
呈出(紹介議員西村丹治郞君)
右請願ノ要旨ハ近ク敷設セラルヘキ姫津
鐵道ノ沿線ナル現在播州水力電氣鐵道ノ
終點ニシテ交通頻繁ナル兵庫縣揖保郡新
宮村ニ停車場ヲ設置シ以テ關係地方民ノ
便益ニ資セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百十二號
意見書
請願文書表第四一四號
山陰鐵道三保村湊浦ニ停車場設置ノ
請願島根縣羽賀郡三保村長藤田
經太郞外十二名呈出(紹介議員俵
孫一君)
右請願ノ要旨ハ山陰縱貫鐵道三保三十
驛鎌手驛間ハ其ノ距離六哩餘アリテ地
方開發上誠ニ遺憾ナリトス依テ前記三保
三隅驛ト鎌手驛ノ中間湊浦ニ停車場ヲ設
置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百十三號
意見書
請願文書表第四一六號
山陰鐵道靜間村ニ停車場設置ノ請願
島根縣通摩郡靜間村百二十六番地
農楫野卓治外七名呈出(紹介議員
平田民之助君外一名)
右請願ノ要旨ハ島根縣邇摩郡靜間村地方
ハ我カ建國史上最由緒深キ地ニシテ現ニ
神代ノ古蹟静ノ窟ヲ存シ四季遠近ノ訪客
多ク且此ノ地方ハ農產物、林產物竝海產物
等夥シク殊ニ石膏ハ全國屈指ノ產地ト稱
セラル然ルニ是等ノ產物ヲ搬出スルニ遠
隔ナル石見大田驛又ハ五十猛驛ニ據ラサ
ルヘカラサルハ經濟上、產業上ノ不利益
極メテ大ナリ依テ速ニ石見大田、五十猛
驛間ニ靜間驛ヲ設置セラレタシト謂フニ
在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百十四號
意見書
請願文書表第四三四號
三保三隅驛ニ公衆電信事務開始ノ請
願島根縣那賀郡三保村大字西河
內千二十九番乙地商齋藤彌作外七
十三名呈出(紹介議員俵孫一君)
右請願ノ要旨ハ山陰線三保三隅驛ハ石見
西部ノ樞要ノ地ニ當リ附近部落ノ海陸產
物ハ中央市場ニ於テ聲價在ルモ該驛附近
ニハ通信機關ノ設備ナク三隅郵便局へ約
二十一町三保郵便局へ約十八町ノ地點ニ
在ル爲商取引上不便甚大ナリ依テ前記三
隅驛ニ公衆電信事務ヲ開始セラレタシト
謂フニ在リ
子クデ呉議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百十五號
意見書
請願文書表第四三六號
京濱線川崎驛鶴見驛間ニ電車停留
場設置ノ請願神奈川縣橘樹郡潮
田町市場千六百三十八番地梶木直
藏外三十三名呈出(紹介議員小野
重行君外二名)
右請願ノ要旨ハ神奈川縣橘樹郡潮田町及
旭村ハ京濱線川崎、鶴見兩驛間ノ中間ニ
シテ數多ノ工場ヲ有シ今後益發展スルノ
狀勢ニ在リ然ルニ交通上頗ル不便ノ點多
キハ遺憾トスルトコロナリ依テ前記川崎
驛鶴見驛間ノ古市場踏切附近ニ電車停
留場ヲ設置セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百十六號
意見書
請願文書表第四三七號
尾ノ道輕便鐵道終點、三次間鐵道敷
設ノ請願廣島縣雙三郡川西村字
三若甲四百三十二番地農湯淺唯一
外十九名呈出(紹介議員湯淺凡平
君
右請願ノ要旨ハ運輸交通ノ便ヲ完フシ地
方產業ヲ開發スル爲尾ノ道輕便鐵道終點
ヨリ世羅郡西大田津久志、小國、吉川、
上山、津名ノ各村及雙三郡川西、田幸、神
形、八次ノ各村ヲ經テ三次町ニ達スル鐵
道ヲ速ニ敷設セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
宋別報告第百十七號
意見書
請願文書表第四〇〇號
金鵄勳章年金令改正ノ請願東京市
四谷區左門町五十三番地會社員野
村眞一外五名呈出(紹介議員本田
義成君)
同第四〇一號
同上東京市四谷區谷町二丁目三十
三番地商名川〓志外十四名呈出
(紹介議員本田義成君)
同第四〇二號
同上東京市四谷區舟町六十七番地
商中山保次郞外五名呈出(紹介議
員本田義成君)
同第四一九號
同上兵庫縣三原郡福良町千十二番
屋敷士族工飛松常次外一一百八名呈
出(紹介議員田中武雄君)
同第四二〇號
同上兵庫縣川邊郡伊丹町四百六十
八番地商大堂〓次郞外六百八十六
名呈出(紹介議員田中武雄君)
同第四二一號
同上兵庫縣多紀郡篠山町山内町五
十三番地銀行員坂野麻次郞外二百
八十八名早出(紹介議員田中武雄
君)
同第四四一號
同上大阪市南區逢阪上ノ町五十四
番地商竹中島藏外十三名呈出紹
介議員武藤山治君)
右請願ノ要旨ハ動章ノ制定ナキ封建時代
ニ於テハ武功ノ表彰ハ一ニ其ノ優劣ニ應
シ祿高ヲ給賜シタリ現在金鵄動章年金令
ニ於テ武功ノ拔群者ニ對シ名譽ノ動章ト
相俟テ年金ヲ加賜セラルルハ名實相伴ヒ
誠ニ深遠ナル御思召ニ依ル恩賞方法ニシテ
制定當時ノ功七級年金百圓ハ實ニ米三十
俵ノ價格ニ相當セリ然ルニ制定後將二三
十年ニ垂ムトシ時勢ニ大變化ヲ來シ且恩
給ノ如キハ再三增額セラレタルニ拘ラス
金鵄勳章年金ハ依然增加セラレス斯ノ如
キハ一ニハ御制定當時ノ趣旨ニ反シ他ニ
ハ亦最近改正增加セラレタル一般恩給ニ
比シ均シク國家ノ功勞者ヲ遇スル上ニ於
テ失當ニシテ殊ニ軍縮ニ依ル退職者ノ一
時賜金ノ利潤額ニモ及ハサル如キハ假令
年金ノ性質彼此相異ナルト雖戰場ニ馳驅
シタル殊勳者ニ對シ物質的優遇ノ途ヲ誤
リ延テ將來ノ國民思想上ニ動搖ヲ來シ愛
國ノ觀念ニ一大缺陷ヲ生セムコトヲ虞ル
依テ速ニ金鵄動章年金令ヲ改正セラレタ
シト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ條リ別册及御送付候也
特別報告第百十九號
意見書
請願文書表第四四二號
富山、笹津間電話回線增設ノ請願
富山縣上新川郡大澤野村長片桐忠
範呈出(紹介議員石坂豐一君)
右請願ノ要旨ハ富山縣上新川郡大澤野村
笹津ハ富山鐵道ノ終點ニシテ飛驒方面ニ通
スル關門ニ位シ旅客ノ出人物資ノ集散極
メテ旺ナリ殊ニ該地方ハ發電力豐富ナル
關係上多數ノ發電所ヲ抱擁シ富山市トノ
通信ハ益繁劇ヲ加ヘツツアリ然ルニ富山
市、笹津間ノ電話ハ一囘線ナル爲其ノ通
話輻輳ノ調節不可能ニシテ住民ノ受クル
不利益及不便ハ到底忍フ能ハサルトコロ
ナリ依テ前記富山市、笹津間ニ於ケル電
話囘線ヲ更ニ一回線增設セラレタシト謂
フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百二十號
意見書
請願文書表第四四三號
小學校〓員俸給國庫支辨ノ請願松
江市北堀町八十一番地士族〓員田
村稔夫外百九名呈出(紹介議員佐
藤球三郞君)
右請願ノ要旨ハ曩ニ政府ハ義務〓育ノ本
義ニ鑑ミ義務〓育費國庫負擔法ヲ制定セ
ラレタリト雖列國カ戰後ニ於テ國民〓育
ノ振興ニ力ヲ致スコト多大ナルニ比スレ
ハ尙甚夕遺憾ナル點尠カラス依テ〓員優
遇ノ途ヲ啓キ義務〓育ノ內容ヲ充實スル
爲尠クトモ小學校〓員ノ俸給額全部ヲ國
庫ニ於テ支辨セラレタシト謂フニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ハ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
特別報告第百二十一號
意見書
請願文書表第四四四號
左澤驛、荒砥驛間鐵道敷設ノ請願
山形縣西村山郡大谷村長畠彌次右
衞門外二十二名呈出(紹介議員西
澤定吉君)
右請願ノ要旨ハ山形縣下ニ於テ置賜平野
ヲ縱貫セル長井線ハ旣ニ荒砥驛ニ達シ山
形驛ヲ起點トシテ村山平野ヲ横斷セル左
澤線ハ左澤驛ヲ終點ト爲シ此ノ兩驛間ハ
僅ニ六里餘ノ未成區間ヲ殘スノミナリ而
シテ此ノ地方ニ於ケル豐富ナル木材、石材
其ノ他ノ產物ヲ輸送セムニハ右兩驛ノ連
絡ヲ最モ必要トス依テ速ニ前記左澤驛、
荒砥驛間ニ鐵道ヲ敷設セラレタシト謂フ
ニ在リ
衆議院ハ其ノ趣旨ヲ至當ナリト認メ之ヲ
採擇スヘキモノト議決セリ依テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及御送付候也
〔八田宗吉君登壇〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=128
129・八田宗吉
○八田宗吉君　請願委員會ノ經過竝ニ結果
ヲ報告致シマス、先ヅ今上程ニナッテ居リ
マスル、第六十八特別報告第一ヨリ日
程第百六特別報告第百二十一號、此各案
ハ請願委員會ニ於キマシテ愼重審議ヲ加
ヘ、採擇スベキモノト決定致シクノデアリ
マー、此段御報告致シテ置キマス(拍手起
ル)デ話願委員會ノ今日マデノ〓末ニ關シ
マシテ御參考ニ一言申述ベテ置キタイト思
ヒマス、本日マデ受理シマシタル請願ノ件
數ガ四百四十五件アリマス、內採擇ニ決シ
タルモノハ四百六件、政府ニ參考送付ト決
シタルモノガ三十件、不採擇ト決シタルモ
ノガ二件、昨日最終ノ委員總會ヲ開キマシ
テ其後受理シマシタルモノガ一件アリマス
ガ、最早時間モ遲レマシタガ爲ニ、之ヲ審
議スルコトガ出來ナカッタノデアリマス、又
審査ノ都合ニ依リマシテ延期ニ決シタルモ
ノガ六件アリマス、審査ニ當リマシテハ、分
科會ヲ開キマシタルコト四回、委員總會ヲ
開キマシタルコトガ四回、各委員諸君ハ最
モ熱心ニ此各請願ニ對シマシテ愼重審議ヲ
盡サレマシタルコトニ付キマシテハ、私ハ
委員長トシテ特ニ此處ニ御報告申上ゲル次
第デアリマス、サウシテ今回ノ請願ノ各件
數ニ付キマシテ最モ多數ヲ占メテ居リマシ
タルノガ金鵄動章年金增額、或ハ改正ノ件、
斯樣ナ件數ガ二百七十五件アリマス、何レ
モ皆是ハ採擇ニ決シテ居ルノデアリマス、
ソレカラ臺灣議會設置ノ件、此問題ハ請願
委員會ニ於キマシテハ餘程ノ重大問題デア
リマスルノデ、紹介議員ヨリ詳シク提出ノ
理由等ヲモ聽キマシタノデアリマスケレド
モ、請願ノ此書類中ニ認メラレテ居ル所ノ
文字ト、紹介議貝ノ紹介スル言葉トノ間ニ
非常ナル逕庭アルコトヲ見出シタノデアリ
マス、請願者ノ趣意ハ臺灣ニ議會ヲ欲スル、
又紹介議員ハ然ラズシテ地方ノ府縣會ノヤ
ウナモノヲ欲スルノデアル、斯樣ナ釋明等
モアリマシタルノデ、要スルニ是ハ內地ノ
此日本ノ統治上ニ於テ重大問題デアルカラ
シテ、モウ少シ小委員ヲ置イタリ、樣々愼
重審議ヲ加フル必要アリト思ウテ、是ハ滿
場一致延期スルコトニ決シマシタ、今期請
願委員會中ニ於ケル大問題デアリマシタカ
ラ、特ニ御報告申シテ置キマス、又北海道
磯谷川水力利用ニ關スル行政處分ノ件、是
モ此件ニ付キマシテ先願デアルカラト云,
テ、行政裁判所ガ先願ニ許可スルノガ至當
デアルト云フ判決ヲ與ヘタコトハ不當デア
ルト云フ請願ノ趣意デアリマス、之ニ付キ
マシテモ慎重審議ヲ加ヘタノデアリマスケ
レドモ、要スルニ短期議會ニ於テ斯樣ナル
大問題ヲ取扱フコトハ當ニ然ルベカラズト
シマシテ、是モ滿場一致延期スルコトニ決
定致シテ置イタノデアリマス、又國際銀公
司ニ對スル警視廳處分取消ノ件、是モ請願
委員會ニ於キマシテハソレ〓〓審議ヲシマシ
テ、一旦ハ採擇ト致シマシテ、議場ニ報告ス
ベク之ヲ提案スルコトニ至リマシタノデス
ガ、議長ガ滿場ニ御諮リニナッテ之ヲ延期ス
ルコトニ議會ノ御承認ヲ得タノデアリマ
ス、爾來之ニ付キマシテツレ〓〓調査ヲ盡
シテ居リマスルケレドモ、未ダ此調査ハ未
了ニ屬シテ居ル次第デアリマス、斯樣ナ次
第デ、此議會ニ於ケル請願委員ノ問題トシ
テ特ニ御報告申上ゲマスル大問題ハ此位
デアリマスルガ、要スルニ今回ノ請願、受
理シマシタル件數ニ於テ最モ大多數デアッ
タノハ金鵄勳章ノ件デアルト云フコトハ、
先程申上ゲマシタガ、次デ多イノハ大震火
災ニ起因スル所ノ人民ガ侵サレタル所ノ權
利其他ノ問題カラシテ出發シタル要求ノ請
願デアリマス、是ガ最モ多イノデアリマシ
テ、帝都復興ニ關シテ云々、或ハ震火災ニ
關シテ借地上ノコトハドウデアル、斯樣ナ
事ガ餘程澤山アリマス、又思想問題ニ關ス
ル請願モ此議會ニ於ケル特別ナル事例デア
リマシテ、吾々ハ此思想問題ニ對シテ非常
ナル注意ヲ喚起シ來ッタノデアリマス、或ハ
精神作興院ヲ置カントスル請願デアルトカ
或ハ御眞影ニ對シテドウトカ、色々ノ方面
カラシテ請願ヲ提出シテ居リマス、件目ノ
多イコトモ注目スベキ點デアラウカト考へ
ルノデアリマス、以上所見ヲ報告申上ゲマ
シテ、此處ニ請願委員會ノ報告ニ致ス次第
デアリマス(拍手起ル)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=129
130・作間耕逸
○作間耕逸君　議長
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=130
131・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間耕逸君
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=131
132・作間耕逸
○作間耕逸君　委員長ノ報告中既ニ同種ノ
建議案等ノ議決セラレタルモノハ採擇ヲ
要セザルモノトシテ之ヲ除キ、其他ハ委員
長報告ノ通リ採擇セラレンコトヲ望ミマ
ス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=132
133・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ動議ニ御異
議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=133
134・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、此際先刻
日程ヲ變更セラレマシ夕議案ヲ議題ニ供シ
マス、貴族院制度改正ニ關スル建議案ヲ議
題ト致シマス、提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマ
ス、箕浦勝人君
第四十九貴族院制度改正ニ關スル建
議案(箕浦勝人君外三十四名提出)
貴族院制度改正ニ關スル建議案
貴族院制度改正ニ關スル建議
現行貴族院制度ハ明治二十二年ノ制定ニ
係リ時勢ノ進運ニ伴ハサルモノアリ政府
ハ宜シク其ノ聲明ノ趣旨ニ基キ國論ノ要
望スル所ニ隨ヒ速ニ之カ改正ニ著手セラ
レムコトヲ望ム
右建議ス
〔箕浦勝人君登壇、拍手起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=134
135・箕浦勝人
○箕浦勝人君　貴族院制度改正ニ關ズル建
議案ノ提出ノ理由ヲ簡單ニ說明ヲ致シマ
ス、御永知ノ通リ現行ノ貴族院ノ制度ハ明
治二十二年ノ制定ニ係ルモノデアリマシ
テ、旣ニ三十六年ヲ經過致シテ居ルノデア
リマス、其間貴族院令ノ改正ハ三回行ハレ
タノデアリマスケレドモ、ソレハ定員ノ增
加ニ關スルモノデアリマシテ、組織ノ根本
ニ關シタル所ノモノデハナイノデアリマ
ス、大體ニ於キマシテハ矢張古イ昔ノ儘デ
存在ヲシテ居ルノデアリマス、殊ニ附則ノ
選擧規則ニ至リマシテハ僅ニ其餘波ヲ受
ケテ些細ナル改正ハ行ハレテ居リマスルケ
レドモ、大體ニ於キマシテハ殆ド舊制ノ儘
デ今日放任サレテアルト云フ形デアルノデ
アリマス、三十六年ノ年月ハ國家ノ壽命カ
ラ申シマスレバ、決シテ長イトハ申サレヌ
ノデアリマスルガ、併ナガラ我國ノ最近ノ
歴史ニ於テ、憲法發布以來今日ニ至ルマデ
ノ三十六年ノ間ニハ內外種々ノ變化ニ遭
遇ヲ致シテ居ルノデアリマス、隨分社會上、
政治上ニ於テ非常ナル變動ヲ生ジテ居ルノ
デアリマス、ソレデアリマスルカラ三十六
年ノ此間ニ餘程澤山ノ變化ガ生ジナケレバ
ナラヌノデアリマスルガ、存外其變化ガ此
法制上ニ於テ、制度ノ上ニ於テ起ッテ居ナ
イト思フノデアリマス、此三十六年ノ間ニ
ハ一面ニ於キマシテハ我國ガ世界ニ對シ
テ國際的地位ヲ大ニ向上スルト同時ニ、又
國氏ノ思想モ世界ノ思潮ニ相伴ウテ變化シ
タルコトガ眞ニ夥シイノデアリマス、ソレ
デアリマスカラ國政ノ運用ニ關シマシテ、
國內ノ諸法制ト云フモノガ、矢張時勢ノ進
運ニ相伴ウテ大ニ改正ヲサレナケレバナラ
ヌト云フコトハ論ノナイコトヽ信ズルノデ
アリマス(拍手)是ニ於テ衆議院ニ於テハ普
通選擧論ガ頻ニ高調ヲサレ、又貴族院ニ於
テハ制度ノ改造ト云フコトノ議論カ提起サ
レテ居ルヤウナ次第デアリマシテ、貴衆兩
院ニ對シテ一般ニ此組織ノ改造卜云フコト
ヲ必要トスル聲ガ殆ド全國中ニ充チ渡シテ
居ルト言ウテ宜シイノデアリマス(拍手)日
本ニ於ケル貴族院ノ制度ニ對スル改正ノ先
驅ヲ爲シタル者ハ故ノ公爵伊藤博文氏デ
アリマス、伊藤公爵ハ明治三十年頃ニ貴族
院ノ制度ノ改正ヲ必要トサレテ、具體案マ
デモ作成ヲサレタノデアリマス、又踵テ貴
族院議員ノ某々ト云フヤウナ人達ハ此貴
族院改造ニ就テノ大體論ヲ起草致シテ之ヲ
印刷ニ付シ、「パンフレット」トシテ知己ノ
間ニ廻サレタト云フ事實モアルノデアリマ
ス、殊ニ昨年ノ二月ノ謙會デアリマシタカ、
貴族院議員鎌田勝太郞氏ハ、貴族院ノ壇上
ニ於テ堂々ト貴族院制度改正ノ具體案ヲ提
示シテ、サウシテ時ノ政府ニ之ニ對スル意
見ヲ質サレタノデアリマス、時ノ總理大臣
加藤友三郞氏ハ之ニ對シテ返答ヲサレテ居
リマスルノデアリマスルガ其要領ヲ申シ
マス加藤總理大臣ノ答ノ一節ニ「勿論此
問題ニ付テハ鎌田君ノ御述ベニナリマシタ
通リ、改正ノ必要ガアルト云フ大體ノ趣旨
ハ一般ニ論ゼラレテ居ルコトモ承知致シテ
居リマス、故ニ相當ノ時期ニハ之ニ著手ス
ベキ必要ガアルトハ考ヘテ居リマス、而シテ
如何ナル程度ニ改正ヲスルカト云フコトハ
卽チ具體的ノ問題デアラウト存ジマス政
府ハ貴族院ノ制度ニ付テ何等考慮ヲ爲シ居
ラヌト云フ意見デハナイノデアル、相當ニ
攻究ヲナスベキ必要ノアルト云フコトハ政
府ハ之ヲ認メテ居リマス、又現ニモ形式ハ
備ヘテ居リマセヌケレドモ、何等放任シテ
居ルト云フ趣旨デナイト云フコトダケハ御
了解ヲ願ヒマス」、斯樣ニ答ヘラレテ居リマ
ス、ソレモ矢張此問題ニ關スル沿革ノ一ツ
デアリマスカラ此處ニ申シテ置キマス爾
來貴族院制度改正ノコトハ著シク世上ノ注
目ヲ引イタノデアリマス、殊ニ〓浦內閣成
立以後ニ至リマシテハ頓ニ白熱ノ狀態ヲ呈
シマシテ、全國到ル處ニ熱烈ニ貴族院改正
ノ議論ガ唱ヘラレ叫バルヽト云フコトニ
相成ッテ參ッタノデアリマス、尙ホ貴族院議
員中某公爵、某子爵、某男爵等ノ人々達モ
大分盛ニ改革論ヲ唱ヘラレマシテ、殊ニ某
男爵ノ如キノ大正十年以來、凡ン三回程意
見書ヲ發布シテ、多クノ人ニ頒タレタヤウ
デアリマス、其等ノ人々ガ此改正ニ付テ如
何ナル改正ヲ施スト云フコトデアルカ、其
點ヲ調ベテ見マスルト、是ハ多岐ニ涉ノテ
居リマスガ、併ナガラソレヲ綜合シテ纏メ
テ見ルト、大凡左ノ數箇條ニナッテ居リマ
ス、第一ハ公侯爵ノ世襲制度、之ヲドウス
ル、有爵議員ノ選擧ノ方法ヲドウスル、又
有爵議員ノ選擧資格ノ中、年齡ノ制限ハド
ウスル、又其定員ハ如何ニスルカ又勅選
議員ノ任期ハドウスルカ、或ハ多額納稅議
員ハ如何ニスルカト云フコトガ其箇條ノ中
ニ揭ゲラレテ居ルノデアリマスマダ細カ
ニ算ヘ上ゲマスレバ世間ニ唱ヘラレテ居ル
箇條ハ澤山アリマスケレドモ、先ヅ約メテ
見マスレバ主ナモノハサウ云フ位ノ所ニ纏
マルノデアリマス、尙ホ貴族院ノ各團體ニ
於キマシテモ、各〓調査會ヲ設ケラレ、サウ
シテ綿密ナル調査ヲ遂ゲ、既ニ其調査ノ出
來夕所ノモノヲ、直接ニ又ハ間接ニ之ヲ世
間ニ發表シタモノモアルノデアリマス吾
吾モ又ソレ等ノ點ニ付テ種々考慮ヲ費シマ
シタガ、大ニ今日ニ於テソレ等ノ點ニ付テ
之ヲ實施ニ近ケルト云フコトノ必要ヲ感ジ
マシテ政府ニ建議ヲ致ス順序ニナリマシ
タノデアリマスガ、併ナガラ其程度及範圍ト
云フモノハ是ハ政府ニ十分ナル愼密ナル
調査ノ上デ、決定ヲサルヽコトヲ望ムノデ
アリマス、又貴族院ノ權限ニ至リマシテハ
是ハ憲法ノ條文ヲ改正シナクテハ實行スル
コトガ出來ナイノデアリマス、仍テ提案者
ト致シマシテハ此點ニハ觸レナイ-觸ル
ルコトノ意思ハナイノデアリマス、隨テ本
案ノ要求スル-要望スル所ノ點ハ憲法
ニ觸レザル範圍內ニ於テ政府ハ宜シク十分
ナル審議ヲ遂ゲラレタイト云フコトヲ希望
スル次第デアリマス、元來貴族院制度改正
ノコトハ實ハ貴族院目體ガ時代ノ要求ニ
應ジテ政府ニ建議ヲサレルト云フコトガ當
然デアルト思フ、又吾々ハ左樣ニ在ルコト
ヲ希望スルノデアリマス、併ナガラ時勢ハ
駸々シトシテ進ミ、國民ノ思想モ隨分急激
ニ變化ヲ致シテ參ル時デアリマス、ソレ故
ニ餘リ長ク之ヲ引摺ッテ其儘ニ置クト云フ
コトガ、甚ダ面白カラザル結果ニ至ルコト
ヲ考ヘタノデアリマス(「ヒヤ〓〓」拍手)古
語ニ「天ノ未ダ陰雨セザルニ迨ンデ彼ノ桑
土ヲ取ノテ牖戶ヲ綱終ス」ト云フ、是ガ爲政
家ノ最モ用意ヲ促ス所ノ事柄デアリマス
(拍手)此〓ニ從ヒマシテ、吾々ハ政府ガ豫
テノ聲明ノ趣意ニ基イテ、國論ノ要求スル
所ニ從ヒ、速ニ是ガ改正ニ著手セラレンコ
トヲ希望スル次第デアリマス、何卒諸君ノ
御賛成ヲ希望スル次第デアリマス(拍手起
ル)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=135
136・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　本案ニ對シテ質疑ノ
通告ガアリマス、其發言ヲ許シマス、牧野
良三君
〔牧野良三君登壇、拍手起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=136
137・牧野良三
○牧野良三君　本員ハ本建議ニ付テ政〓
ニ提案者ニ對シ數項ニ亙ル質疑ヲ致シ、以
テ本員等ノ本案ニ對スル態度ヲ決セント欲
スル者テアリマス、抑〓本員ノ解スル所ニ依
リマスレバ、貴族院改革ノ問題ハ、現內閣竝
ニ其與黨三派ノ諸君ニ取テハ單ナル希望ヤ
理想ニ關スル問題デハナク、實ニ現内閣ノ
使命ヲ託セラレタル根本主義ノ問題デアリ、
随テ又現内閣存立ノ意義ヲ明カニスル重大
政策ニ關スル問題デアルト信ズルノデアリ
マス(拍手起ル)然ルニ現內閣ノ之ニ對スル
態度ハ如何デアリマスカ、加藤內閣總理大
臣ハ其施政ノ方針ニ關スル演說中ニ於テ、
斯樣ニ申シテ居ラレルノデアリマス、卽チ
「貴族院ノ改善ニ關シマシテハ世間ニ既ニ
其論ガアリ、貴族院內ニモ亦其議ガアリマ
ス、政府ハ一ツニハ憲法制定ノ趣旨ニ鑑ミ
又一ツニハ時代ノ要求ヲ斟酌致シマシテ、
愼重ノ攻究ヲ遂ゲ、本問題ニ善處センコト
ヲ期スル次第デアリマス」ト斯ノ如ク述べ
テ居ラレマス、本員等之ヲ聽イテ實ニ其意
外ナル言明ニ驚キ、其眞意ノ何レニ在ルカ
ヲ疑ハザルヲ得ナイノデアリマス(拍手)果
然間モナク政友、革新ノ一角ヨリ之ニ對ス
ル不平不滿ノ聲ガ起リ、直ニ本院ニ對シ決
議案ヲ提出シ、以テ其眞意ヲ明カニセント
スルノ議アルコトヲ聞キ、本員等ハサモア
ルベキコトヽシテ、之ニ對シ多大ノ期待ヲ
懷イテ居アタノデアリマス、然ルニ何ゾヤ本
日只今ニ至ッテ傳ヘラレタル決議案ハ、姿ヲ
變ヘテ建議案トナリ、國民ニ向シテ諸君ガ堂
々ト述ベタル其聲明ハ骨ヲ碎カレ血ヲ吸取
ラレ、惴々爲トシテ何タルコトデアル政
府ヨ、此問題ニ對シドウゾ然ルベク御盡力ヲ
願フ右建議ス」ト云フガ如キハ何タル腑甲
斐ナキ無責任ノ態度デアリマスルカ、控
諸君ガ〓浦内閣ニ對シテ所謂護憲運動ナル
モノヲ起シ、以テ同內閣ノ成立ニ對シ極力
是ガ倒壞運動ニ從事セラレタル所以ノモノ
ハ同内閣ガ單ニ官僚内閣デアルト云フ故
デハナカッタ、又同内閣ガ單ニ超然内閣デ
アルト云フコトノ爲メデモナカッタ、卽チ諸
君ハ單ニ其組閣ノ形式ヲ捉ヘテ以テ之ニ反
對シ、是ガ倒壞運動ヲ爲シタノデハナク、
實ニ諸君ガ同內閣ノ成立ヲ以テ一部特権
階級ガ恣ニ其本分ヲ穿窬シ、其特權ヲ恃
テ以テ憲政ノ進步ヲ中斷セントスルガ爲メ
デアルト言ハレタ、隨テ單ノ〓浦內閣ノ倒
壞ヲ以テ滿足スルモノデハナク、我ガ貴族
院ノ改革ヲ斷行シ、我ガ憲政ノ常道ヲ確立
シテ、以テ輿論政治ノ基礎ヲ磐石ノ固キニ
置カナケレバナラヌト云フコトヲ主張シテ
居ラレルノデハナイカ(「其通リ」ト呼フ者
アリ)斯ノ如クニシテ諸君ハ三派ノ結束ヲ
爲シタ、斯ノ如クニシテ諸君ハ總選擧ニ臨ン
ダ、而シテ又斯ノ如クニシテ實ニ諸君ハ內
閣ヲ組織スルニ至ッタノデアルト云フコト
ヲ、諸君自ラガ國民ニ聲明ヲ致シテ居ルノ
デアル、果シテ然ラバ-若シ果シテ然ラ
バ現內閣諸公ガ其内閣組織ノ大命ヲ拜スル
ヤ、先ヅ何ヨリモ著手スベキモノハ卽チ貴
族院ノ改革問題デハナカッタカ(拍手)(「ソン
ナニ早ク出來ルモノカ」ト呼フ者アリ)勿論
本員等卽チ之ヲ卽時ニ實施セヨト云フガ如
キ輕薄ナル要求ヲ爲ス者デハゴザイマセヌ、
サリナガラ尠クトモ其聲明シタル所ヲ具體
的政策ニ表ハシ、是ガ實現ノ爲ニハ全力ヲ
傾注シテ、苟モ及バザルヲ恐ルヽノ誠意ダ
ケハ之ヲ示サナケレバナラナイト信ズル
デアル(拍手)是ニ於テカ本員ハ本案ニ關シ
テ、先ヅ政府ニ質疑ヲ致シタイト思フ、其
第ハ諸君ノ所謂-現內閣諸公竝ニ三派
ノ諸君ノ所謂護憲運動ト、貴族院改革トノ
關係如何ト云フコト是デアル、其第二ハ所
謂諸君ノ護憲運動ナルモノトハ關係ナク
(發言スル者多シ)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=137
138・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　靜肅ニ
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=138
139・牧野良三
○牧野良三君(續)　貴族院改革論ノ目的ト
スル具體的內容ハ何處ニ在ルカ、卽チ言葉ヲ
換ヘテ申シマスレバ、由テ以テ現内閣ガ達
セント欲スル所ノ主要眼目ハ何處ニ在ルカ
ト云フコトデアリマス、本員等ハ細目ヲ御
問ヒスルノデハアリマセヌ、現内閣ガ由テ
以テ達セントスル所ノ具體的ノ目的ハ何處
ニ在ルカト云フコトヲ御問ヒスルノデアル、
此第一問及此第二問ハ現內閣ガ世間ヨリ、
又自ラ護憲内閣デアルト稱シテ居ル點ニ敬
意ヲ表シマシテ、特ニ加藤內閣總理大臣竝
ニ高橋、犬養、兩國務大臣ヨリ明確ナル御
答辯アランコトヲ希望スルノデアル、或
之ニ對シマシテ加藤總理大臣ハ愼重ニ攻究
ヲ遂ゲテ、以テ之ニ善處セントスルト云フ
ヤウナ御答ガアルカモ知レヌ、又他ノ諸君
ハ現内閣成立日尙ホ淺クテ逃ゲヤウトセ
ラレルカモ知レナイ、サリナガラ、マサカ
ニ三派竝ニ現内閣ノ諸君ガ、何等ノ用意モ
ナク、何等ノ確信モナクシテ、斯ノ如キ重
要問題ヲ聲明セラレルコトハ無カラウト深
ク信ズルノデアル(拍手)勿論本員等諸君ヲ
待ツニー現内閣ヲ待ツニ寛大デナケレバ
ナラヌト云フコトヲ期シテ居ル、現ニ諸君
ガ卽時ニ斷行シナケレバ國家卽チ危シト、
三年モ四年モ叫ンデ來ラレタ普通選舉問題
ニ對シテモ、又綱紀肅正ノ問題ニ對シテモ、
共ニ其時期ハ勿論、其內容ノ變更マデモ無
條件ニ御許シヲ致シタ本員等ハ此重大ナ
ル問題ニ對シテ相當用意ノ時間ヲ與ヘルト
云フコトニ對シマシテハ決シテ吝ナルモノ
デハアリマセヌ、サリナガラ、例ヘバ諸君
ガ選舉法改正ノ問題ニ於テ其目的トスル所
ハ那邊ニアルカ、普通選擧ノ卽行ト否トニ
アリト云フガ如クニ此貴族院改革ノ問題
ノ中心ハ何レノ點ニ在ルカト云フコトヲ、
其程度其範圍ヲ-卽チ何ノ爲ニ之ヲ行フ
カト云フ目的ト、如何ニシテ如何ナル方面
ニ改正ヲ加ヘントスルカト云フ方面ニ付テ
ハ、之ヲ具體的ニ聲明スルコトガ、今日只
今此議場ニ於テ聲明スルコトガ、現內閣竝
ニ三派諸君ノ國民ニ對スル重大ナル義務デ
アルト考ヘルノデアル(拍手)次ニ質疑ノ第
三ハ現內閣ノ貴族院改革問題ト、憲法第三
十四條トノ關係デアリマス、只今提案者ノ
說明ニ依リマスレバ、憲法ニ觸レザルコト
ヲ希望シタイト云フコトヲ言ハレテ居ル、
本員ハ其意味ノ那邊ニ在ルカヲ十分ニ解ス
ルコトガ出來ナカッタノデアリマスガ、本員
ハ玆ニ申上グルモ恐懼デアリマスガ-吾
吾ハ申上ゲルモ恐懼ノ至リデアリマスガ、
聖上陛下ニハ久シキニ亙ル御大患ノ結果、大
政ヲ親ラセサセラルヽコトガ出來ズ、其爲
ニ只今ハ攝政ヲ置カレテ居ル時デアル、故
ニ貴族院ノ改革問題ハ其權限ノ問題ニ及ブ
コトヲ許サヌト云フ意味デアッタカモ知レ
ヌト思フノデアル、此事ハ憲法第七十五條
ノ規定上自ラ當然ノ事デアルガ、諸君ガ聲
ヲ嗄シテ國民ニ叫バレタ所謂貴族院改革ノ
大問題モ、畢竟スルニ貴族院ノ單ナル組織
ノ改正以上ニハ出デナイト云フコトガ、是
ニ於テ明ニセラルヽニ至ッタノデアリマス、
卽チ其内容ハ第一公侯爵議員ニ關スル件、
第二所謂勅選議員ニ關スル件、第三多額納
稅議員ニ關スル件等ノ外ニハ、互選連記ニ
關スル選擧方法等ニ關スル點ニ過ギナイノ
デアリマス、而モ此點ニ於テスラ尙ホ考慮
ヲ要スベキハ憲法第三十四條トノ關係デア
リマス、同條ハ規定シテ曰ク「貴族院ハ貴
族院令ノ定ムル所ニ依リ皇族華族及勅選
セラレタル議員ヲ以テ組織ス」トアリマス
-第三十四條「貴族院ハ貴族院令ノ定ム
ル所ニ依リ皇族華族及勅任セラレタル議員
ヲ以テ組織ス」トアリマス、我ガ憲法ハ貴族
院ノ組織ヲ法律ヲ以テ規定スベキモノト爲
サズシテ、單ニ之ヲ貴族院令ニ委ネ、我ガ
衆議院ノ議決權以外ニ置イタト云フコトハ
其内容ニ關シ少カラズ疑ヲ懷ク者デアルケ
レドモ、兎ニ角此規定ハ我ガ憲法上ノ一大
特徴デアルト云フコトヲ諸君モ御承知デア
ラウト思フ、而シテ此憲法ノ條章ニ依シテ發
セラレタル所謂貴族院令第十三條ニ何トア
ルカ、卽チ貴族ノコトハ貴族院令之ヲ規定
シ、之ガ改正增補ハ貴族院ノ議決ヲ要スル
ト云フコトガ規定シテアル、而シテ本員ノ
解スル所ニ依レバ、此貴族院令第十三條ノ
規定ハソレ自身獨立シタル規定デハアリマ
セヌ、實ニ憲法第三十四條ノ規定ノ當然ノ
結果デアルト信ジマス、是ニ於テカ本員ハ
政府當局ニ問ヒタイノデアル、即チ貴族院
ノ改革ニ關シテハ憲法第三十四條ノ規定
並ニ貴族院令第十三條ノ規定ヲ如何ニ解シ
テ居ルカ、同時ニ又是等ノ規定ニ觸ルヽコト
ナクシテ、尙且ツ其目的ヲ達スル所ノ改正
ヲ斷行スルコトガ出來ルヤ否ヤト云フ點デ
アル、諸君ガ國民ニ向ッテ叫バレタ聲ハ頗ル
大デアッタ、サリナガラ諸君ノ行ハントシテ
居ラルヽ所ハ實ニ狹小ナルコト豆ノ如キモ
ノデハナイカト云フコトヲ思フ、本員等之
ヲ憂フルガ故ニ、此壇上ニ於テ政府當局ヨ
リ此點ニ關シ明瞭ナル御答辯アランコトヲ
希望スル者デアル(拍手)然リ而シテ現内閣
諸公竝ニ提案者諸君、貴族院ノ改選期ハ明大
正十四年七月ニ迫フテ居ル、而シテ解散ヲ受
クルコトノナイ貴族院ハ、此機會ヲ失シタ
ナラバ、又更ニ七年間ヲ待ツニアラザレバ
其改革ヲ具體的ニ實行スルコトガ出來ナイ
ト云フコトモ諸君御永知ノ通リデアル諸
君ノ貴族院改革ノ聲明ハ、卽チ此事實ヲ知。ツ
テ爲サレタカ、又諸君ノ建議案ハ此事實ヲ
知フテ以テ此處ニ提出セラレタカ、卽チ此點
ニ於テ本員ハ加藤内閣總理大臣ガ其施政方
針ノ演說中ニ於テ貴族院改革ヲ言明セラレ
タノハ、大正十四年ヨリ是ガ斷行ノ用意ト
確信ヲ以テ爲サレタノデアルカドウカト云
フコトヲ質問致シタイノデアル(拍手)次ハ
第五問、本案ヲ提出シタル與黨三派ノ諸君ヨ
リ御答ヲ願ヒタイト存ジマス、貴族院ノ改
革問題ニ關シ現內閣ノ能度ニ付キマシテハ
本員等遺憾ナガラ理解スルコトノ出來ヌ重
要ナル點ノアルコトハ只今申述べタ通リ
デアル、サリナガラ内閣總理大臣ハ兎ニモ
角ニモ其施政ノ方針中ニ於テ之ニ言及シ、
其實行ヲ誓約セラレテ居ルコトハ前ニ述べ
タル通リデアリマス、然ルニ今ヤ其内閣ニ
對シ、其內閣ノ與黨デアル諸君三派ノ人々
ガ、全員連署シテ以テ殊更本案建議ニ及バ
ルヽト云フ其所以、其理由、其意味ハ何レ
ニ在ルカト云フコトヲ解スルコトガ出來ナ
イノデアル、或ハ現内閣ガ此臨時議會ニ案
ヲ具シテ實行ノ誠意ヲ示サナイト云フコト
ニ對シテ、三派ノ諸君ガ不安ヲ感ゼラレタ
爲デアルカ(「ノウ〓〓」)ソレトモ又現内閣ノ
態度ニ不滿ヲ懷カレタ結果デアルカ、或
又加藤内閣總理大臣ノ聲明ヲ不徹底ト爲シ
更ニ之ガ實行ヲ確保センガ爲ニ斯カル案ヲ
提出セラルヽニ至ッタノデアルカ、其意那邊
ニ在ルカト云フコトヲ改メテ御問ヒ致シタ
イノデアル、蓋シ現内閣ハ國民ニ對シ綱紀
肅正ヲ約シ、普通選擧ノ卽行ヲ約シ、又更
ニ財政行政ノ整理ヲ約シテ居ル、ケレドモ
尙ホ未ダ之ニ對シテ一モ實行ニ著手シタ事
實ヲ示サナイニモ拘ラズ、諸君ハ是等ノ事
實ニ對シテ建議案ハ愚カ、一言ノ質問サヘ
之ヲ爲シテ居ナイニ拘ラズ、獨リ貴族院改
革ノ問題ニ對シテノミ同ジク總理大臣ガ聲
明シ、同ジク諸君ガ政綱ノ中ニ入レテ居ル
其貴族院改革ノ問題ニ對シテノミ建議案ヲ
提出セラルヽニ至ッタト云フコトニ付テハ
其所ニ何等カノ意味ガナケレバナラヌト解
スルノデアル(拍手)若シ特別ノ意味ガアル
トスルナラバ、ソレハ爲サミル政府、爲ス能
ハザル政府ニ向クテ要望スベキデハナク、自
ラ案ヲ具シテ決議案ヲ提出シ、以テ諸君ガ
國民ニ聲明セラレタル所ニ向ノテ、一步々々
ヲ進メル誠意ヲ示サレルコトガ、正ニ諸君
ノ義務デアルト思フノデアル(拍手)然ルニ
諸君ハ貴族院改革ヲ叫ンデ起チ、其叫ビニ
依ッテ國民ニ信任ヲ得、而シテ以テ多數ヲ得
タト諸君自カラ口ニ言ヒナガラ、尙且ツ決
議案提出ノ擧ニスラ出ヅルコトガ出來ナイ
ト云フ其軟弱ナル能度ハ、正ニ是レ國民ヲ
欺クモノデアルト思フ(拍手)然リ、若モ諸
君ガ國民ヲ欺クガ如キ態度デアルナラバ、
遺憾ナガラ吾々ハ斯カル建議案ノ卽決可決
ニ對シテハ斷々乎トシテ反對シ、慎重審議
自ラ改革案ヲ提出セザルヲ得ナイ、故ニ諸
君ハ-故ニ諸君ハ欺クモノニ非ズト云フ
コトヲ具體的ニ玆ニ聲明セラレムコトヲ希
望スルモノデアル、以上ヲ以テ本員ハ本員
ノ質疑ノ大半ヲ終リマシタ、最後ニ本員ハ
貴族院改革論ニ對シテ直接ノ原因ヲ與ヘタ
所ノ最近ノ政治的事實ニ言及シ、以テ本員
質疑ノ意義ヲ明確ニシテ置キタイト存ジマ
ス、抑々貴族院改革論ノ沿革ヲ見ルニ、其
古キハ本員之ヲ問ヒマセヌガ、其最近ニ於
ケル政治的原因ヲ見マスレバ、其端ハ正ニ
原內閣ニ對スル憲政會ノ誤レル政策ニ胚胎
致シテ居ルト云フコトヲ斷言セザルヲ得ナ
イノデアル(拍手)我國ニ憲法政治ノ布カレ
テ以來名實共ニ政黨內閣ト稱セラレルモノ
ハ過去ニ於テ唯、一ツ原内閣アリシノミ
政友會内閣アリシノミナルコトハ諸君モ
正ニ之ヲ承認セラルヽデアラウト思フ、然
ルニ此内閣ハ決シテ原氏一人ノ手ニ依シテ
成ノタ内閣デハアリマセヌ、又政友會ノ人々
ノ手ノミニ依ッテ成シタ内閣デモアリマセヌ
實ニ過去三十年間我ガ政界ノ先輩諸君ガ、
或ハ藩閥ト戰ヒ、或ハ官僚ト戰ヒ、惡戰苦
圖實ニ三十餘年、漸ク大正七年ノ九月ニ至ソ
テ產ミ出サレタルモノガ卽チ此政黨內閣
デアッタノデアル、サレバ身苟モ政黨ニ關係
アル者ハ、其政友會タルト、其憲政會タル
ト、將夕國民黨タルトヲ問ハズ、憲政ノ爲
ニ久シク求メテ漸ク得タ所ノ此政黨內閣ノ
爲ニ盡シ、若シ誤レル所ガアッタナラバ之
ヲ正シ、若シ足ラザル所ガアッタナラバ之
ヲ補ウテ、以テ國民ニ對シテ政黨內閣ト云
フモノヽ信用スルニ足ル事實ヲ明カニスル
ニ努メナケレバナラナカッタノデアル、然ル
ニ時ノ在野黨ノ中心勢力デアッタ憲政會ノ
諸君ハ、遺憾ニモ此大切ナル時期ニ於テ、
自己ノ此重大ナル使命ヲ自覺セズ、唯ニ感
情的ニ原內閣ヲ以テ政友會內閣ナリトシ、
其成立直後ヨリ、如何ニシタナラバ原內閣
ヲ倒潰スルコトガ出來ルカ、如何ニシタナ
ラバ原內閣ノ閣臣ニ惡名ヲ附シ、其與黨ノ
幹部ニ汚名ヲ被セテ以テ國民ノ信賴ヲ奪フ
コトガ出來ルカト云フコトニノミ腐心焦慮
シ、日トナク夜トナク之ニ沒頭セラレタト
云フコトハ隱レモナイ事實デアル、(拍手發
言者多シ)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=139
140・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　靜肅ニ
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=140
141・牧野良三
○牧野良三君(續)　斯ノ如クニシテ、諸君
ガ反對黨ヲ倒サンガ爲ニ第一ニ擇ンダモノ
ハ何デアッタカ、此衆議院ノ議場ニ於テハ如
何ニ戰ハウトモ、多數ニ少數、如何トモスル
能ハズト見ルヤ、諸君ハ直ニ貴族院ノ勢力
ヲ利用シテ以テ原内閣ノ倒壞ニ資セント致
シタノデアル、此事實ハ如何ニ健忘症ナリ
ト雖モヨモヤ諸君ハ御忘レニナリマスマイ
(拍手)更ニ第二ニ擇ンダ所ノ手段ハ何デ
アッタカ、卽チ利用スベカラザル刑事問題ヲ
利用シ、以テ綱紀出正ヲ叫ビ、貴族院ヲシ
テ殊更之ヲ叫バシメ、次デ諸君ガ政友會
ニ、將夕政友會幹部ニ惡名ヲ被セントシタ
コトデアル、而モ此事實ハ、今ヤ逆ニ、逆マ
ニ諸君三派ノ結束ヲ非常ニ苦シメツツアル
ト云フコトハ、諸君ノ苦キ經驗デアルト云
フコトヲ御察シスルノデアル(拍手)諸君ガ
諸君ノ反對黨ヲ倒サンガ爲ニ擇ンダ所ノ貴
族院利用ノ此二ツノ手段ガ、諸君ノ所謂特
權內閣ヲ出現セシムルノ重大原因ニナッタ
ト云フコトヲ知ラナケレバナラヌノデア
ルノミナラズ、國民ヲシテ貴族院改革論
ト云フモノニ對シテ重大ナル共鳴ヲ感ゼシ
ムルニ至ッタ所ノ重要動機デアッタト云フコ
トヲ諸君ニ告ゲザルヲ得ナイノデアル、此
問題ニ關シテ本員-此問題ニ對シテ本員
ハ此處デ詳細ニ述フルコトハ遠慮ヲ致シマ
セウ、唯〓併シ、諸君ガ當時貴族院ノ勢力ヲ
惡用シ、利用スペカラザル刑事問題ヲ利用
シテ、第一ニ政友會ニ惡名ヲ附シ、第二ニ
原首相其人ヲ倒シ、第三ニハ政友會ヲシテ
天下ニ信ヲ失ハシムルノ目的ハ卽チ諸君之
ヲ達シタノデアル、サリナガラ、是ハ唯〓反
對黨ニ對スル陰謀ニ成功シタト云フダケ
デ、其事ニ依シテ諸君自ラハ何等ノ勢力ヲモ
增サナカッタ、又何レノ方面ニモ民心ヲ得ル
コトノ出來ナカッタト云フコトハ、諸君自ラ
御承知ノ事實デアル(拍手)斯ノ如クニシ
テ、多數黨ハ爲ニ信ヲ天下ニ失ヒ、而モ少數
黨ハ依然トシテ國民ノ信任ニ背馳致シテ居
ルトキニ、我國ノ政權ハ果シテ何レノ方面
ニ向シテ其移動ヲ爲サントスルカハ知ルベキ
デアル、卽チ遺憾ニモ、諸君ガ使嗾シ、諸君ガ
煽動シタル所ノ貴族ト官僚トノ間ニ、特殊
ノ勢力ヲ醞釀シ來タト云フコトハ、是ハ當
然ノ結果デアル、斯ノ如クニシテ諸君、斯
ノ如クニシテ遂ニ三タビ超然内閣ヲ見ルガ
如キ狀態ニ陷。ッタト云フコトハ諸君モ亦
之ヲ認メナケレバナラヌ事實デアル當時
本員等ハ、諸君ノ此陰險ニシテ謗劣貫ニ憲
政ヲ毒スル所ノ態度甚シキヲ憎ンタノデア
ル(拍手)斯クノ如クニシテ諸君ハ現下ノ政
界ニ於ケル有ラユル-ニ對スル重大ナ
ル責任者デアルト云フコトヲ白覺シナケレ
バナラヌ(拍手)今ヤ其責任者ガ、自ラ造リ
成シタル所ノ弊害ヲ改草スルニ當ッテハ、先
ヅ自ラ其責任ヲ明カニシ、又自ラ其態度ヲ鮮
明ニシ、而シテ如何ナル方面ニ如何ナル改革
ヲ斷行セントスルカヲ、加藤內閣總理大臣自
ラ此議場ヨリ國民ニ對シテ、詳細ニ、具體的
ニ、而シテ徹底的ニ答辯セラレナケレバナ
ラヌト思フノデアリマス、今ヤ本問題ノ愼
重審議ヲ恐レテ卑怯ニモ逃ゲ足速ク卽決可
決ヲ致サントスルガ如キハ、何タル卑怯ノ
態度デアルカ、第一ハ國氏ヲ欺ク爲デアル、
第二ハ再ビ黨利黨略ニ用ヰテ、卽チ諸君ガ
院外ニ之ヲ提ゲテ國民燭動ノ武器トスルヤ
ウナコトガアッテハナリマセヌ、諸君ガ若シ
モ此問題ニ對シテ眞ニ眞(面目デアルナラ
バ本日玆ニ卽決可決スルト云フヤウナ態
度ニ出テハナリマセヌ、諸君ハ總テ憲法ガ
許シ議院ガ許ス手段ヲ盡シ、以テ之ニ對シテ
慎重審議ヲ爲ス所ノ誠意アリヤ否ヤ、之ヲ
併セテ提案者ニ質問スル所以デアリマス、
冀クハ是等ノ諸點ニ對シテ明確ナル御答辯
アランコトヲ希望致シマス(拍手)
〔「答辯ノ必要ナシ」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=141
142・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　加藤總理大臣
〔國務大臣子爵加藤高明君登壇〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=142
143・加藤高明
○國務大臣(子爵加藤高明君)　只今牧野良
三君ヨリ質問ト稱スル御演說ガアリマシタ
ガ、貴族院改正ノ事ニ關シテハ既ニ私ノ施
政方針ニ於テ申述べ夕如ク、憲法制定ノ精
神ニ鑑ミ時代ノ要求ニ應ジテ篤ト〓(元ノ
末ニ善處スルト申シタ、今日ノ-今日ノ
建議ノ事ニ付テハ私ニ御質問ト云フコトハ
少シ門ガ違シテ居ルカモ知ラヌ、ソレ故ニ種
種此機會ヲ以テ御述ニナッタ事ニ付テハ
一私カラ答辯スル必要ハナイト認メマス
(拍手起ル)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=143
144・鈴木富士彌
○鈴木富士彌君　只今政友本黨ノ···發
言スル者多ク「登壇」「登壇」ト呼フ者アリ)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=144
145・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　靜〓ニ
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=145
146・鈴木富士彌
○鈴木富士彌君(續)　牧野君ノ御演說中、
言屢、不穩當ナルモノガアッタト認メマス
(「登壇」「登壇」「登壇スベシ」ト呼フ者ア
リ、其他發言スル者多ク聽取スル能ハス)議
長ヨリ取消ヲ命ゼラレンコトヲ望ミマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=146
147・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　只今鈴木富士彌君ヨ
リ御要求デアリマシタケレドモ、議長ニ於
テハ十分ニ聽取リ兼ネテ居リマス
〔鈴木富士彌君登壇〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=147
148・鈴木富士彌
○鈴木富士彌君　只今-默ノテ御聽キナ
サイ-只今政友本黨ノ議員牧野良三君ノ
御演說中ニ、甚ダ不穩當ナル御言葉ガ澤山
ゴザイマス、其中特ニ諸君ハ總テノ有ユル
醜惡率ニ對スル責任者デアル云々ト云フ趣
旨ノ言葉ガゴザイマシタ、是ハ頗ル怪シカ
ラヌ御言葉ト思ヒマスカラ、私ハ牧野君ニ
對シテ取消ヲ要求致シマス
〔「必要ナシ」ト呼フ者アリ拍手起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=148
149・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　牧野君、只今ノ
(發言スル者多ク議場騷然)靜〓ニ-只今
鈴木君ヨリ御聽取リノ通リ、アナタノ發言
中ノ或ル言葉ノ取消ヲ要求サレテ居リマス
御取消ニナリマスカ
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=149
150・牧野良三
○牧野良三君　國務大臣カラ續イテ又御答
辯ヲ戴クコトガ出來マスカ-憲政會ノ鈴木
議員ヨリ本員ニ對スル取消ノ要求ガアリマ
シタ、サリナガラ本員ハ大ナル確信ヲ以テ
本日ノ演說ヲ致シマシタ、若シ其一言一句
ニ懲罰ニ値スルトカ、取消サナケレバナラ
ヌト云フヤウナ字句ガアルナラバ、速記像
ヲ讀ミシ上ニ於テ、更メテ御返答致シタイ
ト存ジマス
〔「ヒヤ〓〓」「取消シノ必要ナシ」ト呼
フ者アリ拍手〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=150
151・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　牧野良三君
〔牧野良三君登壇〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=151
152・牧野良三
○牧野良三君　本員ハ內閣總理大臣以下二
國務大臣ニ對シテ答辯ヲ要求シタニモ拘
ス、內閣總理大臣ハ極メテ冷淡ナル數言ヲ
發シ、二大臣ハ沈默ヲ守ッテ居ラレマスガ、
此重要ナル問題ニ對シテ、苟クモ議員ガ質
問ヲ爲シテ答辯ヲ要求シタニ拘ラズ、是ガ
答辯ヲ爲サナイ、爲サヾルニアラズシテ爲
ス能ハザルモノデアルト認メマス(拍手)サ
リナガラ此場合總理大臣ニ重ネテ御質問ヲ
申シマス、總理大臣ハ旣ニ施政方針中、
ニハ憲法制度ノ趣旨ニ鑑ミ、一ニハ時代ノ
要求ヲ川酌致シマシテ善處スルト云フコト
ヲ申シテ居ラレルガ、是デハ分ラナイト云
フコトヲ申上ゲタ、若シ爾カク世間旣ニ其
論ガアリ、貴族院內ニモ其議ガアルト云フ
コトヲ認メラレルナラバ、此貴族院改革ノ
問題ハ何ノ爲ニ改正シ、如何ナル改正ヲ行
ハントスルカ、具體的ノ說明ヲ要求スルノ
デアル(拍手)徒ニ抽象的言葉ヲ以テ貴族院
改革ト云フヤウナ事ヲ叫フノハ、是レ卽チ國
民ヲ煽動スル者デアル(拍手)苟モ政黨トシ
テ、苟モ內閣總理大臣トシテ愼シマナケレ
バナラヌ言辭デアルト考ヘマス、之ニ對シ
テ明確ナル御答辯アランコトヲ希望致シマ
ス(拍手)
〔「答辯ノ必要ナシ」「無用々々」ト呼フ
者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=152
153・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　猪野毛利榮君
〔猪野毛利榮君登壇〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=153
154・猪野毛利榮
○猪野毛利榮君　只今與黨三派ヲ代表サレ
マシテ、箕浦勝人氏ノ出サレマシタ貴族院
令改正ノ建議案ナルモノハ至極機宜ニ適シ
タルモノト本員ハ信ズルノデアリマス、此
問題ニ付テハ與黨三派ニ止マラズ、本員惟
フニ全院一致此趣旨聲明ニ向シテハ贊成デ
アラウト考ヘル者デアリマス、本員モ此問題
ハ實ニ剴切ナリト認メマスガ故ニ、誠心誠意
ヲ披瀝シテ贊成ヲ致シタイノデアリマスル
ガ、此事タルヤ實ニ重大ナル事柄デアッテ、文
字ハ僅カ二十字以內ニ止マリマスルケレド
モ、此一ツノ事柄タルヤ日本ノ缺陷アル社
會制度、此ソ社會制度ノ大改造ノ第一步ニ
入ル所ノ問題デアルノデアリマス何卒憲
政會ノ諸君モ、本黨ノ諸君モ感情ニ
驅ラレズシテ眞面目ニ一ツ眞劍ニ、命懸
ケデ以テ此問題ヲ〓究ヲシテ、最善ノ途
ニ出デラレンコトヲ本員ハ特ニ切望致
スノデアリマス、抑&貴族院ナルモノガ明
治二十二年以來今日迄三十六箇年ノ間貴族
院令ノ下ニ隱レテ日本ノ憲法政治ニ向ッテ
害毒ヲ流シテ來タコトハ絕大ナモノデアリ
やっ、從來ニ於キマシテハ卽チ官僚政治家
ノ是ガ走狗トナリ、コヽ數年ニ於テハ原內
閣ナルモノガ下院ニ於テ二百八十名ノ絕對
過半數ヲ以テ臨ンダ時ニ、之ニ上院ノ大多
數黨ナル-大多數黨ト申シテモ宜シイ卽
チ〓究會ガ相應ジテ幾多ノ專制政治ヲ日本
ノ政界ニ行ッタノデアル、是故ニ本員ハ下院
ニ於テ普通選擧ヲ實施スルト共ニ上院ニ於
テハ貴族院令ノ改正ヲ斷行スルノ大改革ヲ
致サナケレバ、眞ノ善政ヲ望ムコトガ出來
ヌト目シテ居シタノデアリマス、今日玆ニ此
問題ガ現レタコトハ喜、フト雖モ、此中ニ數
點疑問ノ餘地ヲ挾ムガ爲メ、玆ニ質疑ヲ致
スノデアリマス、現内閣ノ出現ニ就テ卽チ
國民ニ對シテノ公約タル一、普通選擧ノ實
施ト、二、貴族院令ノ改正ト、此二ツヲヤラ
ナクチヤイカヌト田心ラノデアリマス、何レ
ガ先カト申セバ本員ハ先ヅ普通選擧、御
互共ノ普通選擧ヲ先ニヤッテ、然ル後此案ナ
ルモノヲヤルカ、又ハ兩々相對峙シテ、車
ノ兩輪、鳥ノ兩翼ノ如クヤルカ、此二ツノ
問題デアルノデアル、然ルニ首相モ政府黨
モ今日ニ於テ更ニ普通選擧ヲ斷行スルコ
トヲ明言シナイ、次ノ議會ラシイコトヲ言
ウテ居ルガ、卽時断行ハヤラヌ心ハ明ニ分シ
タ、而シテ貴族院ノ改革ノ問題ダケヲ先ニ
出スト言フコトニナレバ、自分ノスベキコ
トハセズシテ置イテ、武藤君ノ言葉ヲ籍リ
テ言ヘバ、自分ノ子供ノ道樂ヲ責メズシテ
他人ノ子供ノオセッカイヲ言フ如キモノデ
アル(拍手)此點矛盾ガアルカナイカト云フ
點デアリマスルガ、多少ノ矛盾ガアルヤウ
ニ本員ハ考ヘテ居ルノデアリマス三派ノ
諸君ノ性格ヲ本員ガ考ヘテ見ルトキニハ
誠心誠意此問題ヲヤリタイノデアルケレド
モ、段々々々幹部ノ方へ來ルト多少其氣分
ガ鈍ルノデアル、又此三派ガ如何ニヤラウ
トシテモ、內閣自身ガヤラナケレバ-ヤ
ル氣ガナケレバ其效ヲ果スコトハ出來ナイ
ノデアル、然ルニ內閣ニ至ッテハ幹部ノ諸君
ヨリマダ此點ハ鈍ルノデアル、又內閣ノ大
體ニ於テ之ヲヤリタイ空氣ガ充滿ヲシテ
居ッテモ唯〓一人總理大臣デアル加藤子ガ之
ヲ嫌ダト云フ氣分デアッタ時ニハ、是亦甚ダ
ヤリ惡イ所ノ問題デアルノデアル、然ルニ
加藤子ノ性格ヲ考へ加藤子ノ從來ノ政治哲
學ヲ吾々ガ考ヘテ見ルトキニ於テ、此問題
ヲ斷行スルニ加藤子ニ向ッテ御門違ヒデハ
ナイカノヤウニ考ヘルノデアル(ヒヤ〓〓)
諸君ノ熱望スル所ハ結構デアルケレドモ、
加藤子ニ向ッテ之ヲ願フコトハムヅカシイ
ト思フノデアル、何故ナラバ加藤子ノ思想
ナルモノハ今日ノ此貴族院議員ノ思想ト同
ジデアル、此思想ヲ破ルニハ是ヨリ强イ所
ノ民主思想デナケレバナラヌノデアル、恰
モ今日ノ貴族院ナルモノハ普通ノ材木トス
ルナラバ、加藤君ノ思想モ又材木デアル、材
木デ材木ヲ切ルガ如キモノデアル(ヒヤヒ
ヤ)其材木モ樫ノ木ヲ以テ桐ヲ切ルナラバ
宜シイケレドモ、桐ノ木ヲ以テアベコベニ
樫ノ木ヲ切ル如キ感ガアル、本員ノ考ヘル
ニハ此問題ヲ解決スルノニハ卽チ此材木ヲ
切ルニハ氷ノ如キ-銳利ナル鋼ヲ以テセ
ナクチヤイカヌト思フノデアル、然ラバ此
註文ハ加藤君ニ向。シテハ少シク手ニ餘ル所
ノ問題デアルト思フノデアリマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=154
155・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　〔發言者多ク聽取スル能ハス〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=155
156・猪野毛利榮
○猪野毛利榮君(續)　卽チ此問題ヲ断行ス
ルニ付テハ身白ラ斷乎タル決心ヲ持チ、此
貴族院ノ弊害ヲ打破セズバ止マヌトノ强キ
確信信念ノ者ガ冴ヘタル大刀ヲ揮フニアラ
ズンバ出來ナイ仕事デアル、然ルニ加藤君
ニハ此刀ノ持チ合セ無シ、之ヲヤリ切ル所
ノ決心モ覺悟モ無イヤウデアル、此意味ニ
於テ加藤君ニ向シテ要求スルコトノ頗ル無
理ナ註文デアルコトガ分リマセウ·
〔「要點ヲ言ヒ給へ」「今日ハ幾日ダト思
フ」ト呼ヒ其他發言者多シ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=156
157・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　靜南ニ
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=157
158・猪野毛利榮
○猪野毛利榮君(續)　先日來ヨリ加藤君ノ
申セレタ事ヲ顧ミレバ普通選擧ニ於テモ
サウデアル卽行トハ言ハス、斷行ト言ウ
タノデアルト又、己ハ護憲ト云フコトハ言
ハヌ、護憲ト云フコトハ新聞記者ガ勝手ニ
付ケタ言葉デアルト斯ウ云フヤウナ思想
デセウ、何故ニ今少シク大膽ニ是等ノ事ヲ了
解スルヤウニ言ハナイ、是ハ私ハ加藤君ノ
思想ノ露レタ所ノ證據デアルト考ヘテ居ル
ノデアル伊藤公ニ於テサヘ此問趣ハ手古
摺ッタト申サレタノデアル、伊藤君デサ
ヘ-伊藤公デサヘ出來ナカッタ所ノ問題
ヲ加藤君ガ之ヲヤラウト云フコトハ頗ル御
骨折レノコトデアルト考ヘルノデアル拍
手)玆ニ於テ本員ハ箇條書キデ之ヲ簡單ニ
總理大臣及提案者ニ御尋ヲスルノデアル、
第一普選問題、諸君ハ卽時斷行ト出サレタ
所ノ此普通選擧ノ手形ヲ支拂ハズシテ、尙
且ツ又此手形ヲ出サレ夕所ノ心ガ何處ニア
ルヤ、第二ハ-第二ニ於テハ此重大ナル
問題ヲ會期切迫シテ皆ノ尻ガ浮イテ居ル今
日突如トシテ出シタ所ノ精神ハ何處ニアリ
ヤト云フコトデアルソレカラデス第三、
加藤君ハ先般來上院ノ中川君ノ問ニ對シテ
モ憲法制定ノ趣旨ニ鑑ミ時勢ノ移推ニ際シ
テ善處スト斯ウ申シテ居ルノデアル、又次
ノ中川君ノ追窮ニ對シテ委員ヲ作ルナラバ
愼重ナル考慮ヲ拂シテ深ク考察シナケレパ
ナラヌ、衆議院ニ於ケル建議案ニ付テハ政
府ニ對スルモノナラバ、相當ノ敬意ヲ拂^テ
深ク熟慮スベキモノデアル又副島伯ノ質問
ニ對シテハ貴族院改善ニ-貴族院制度ノ
改革ニ付テハ時代ノ要求ニ鑑ミ適當ナル
處置ニ出デンモ、目下ノ所成案ナシト斯ウ
云フコトヲ言ッテ居ルノデアル、苟モ此總理
大臣ナル者ガ自己ノ田心想ヲ吐キ重大ナル聲
明ヲ茲ニ吐ク時ニ至ッテ、案無クシテ漫然ト
シテ之ヲ追ッ放スト云フコトハドウ云フ精神
デアルカ(拍手)第四更ニ玆ニ問ハントスル所
ハ此問題ハ單純ニ三派ダケニ於テ現レタ
モノト本員ハ考ヘヌ、表面ハ三派ガ出サレ
タケレドモ、裏面ニ於テハ三派ノ領袖ト加
藤君ノ間ニ於テハ何カ暗默ノ相談ガアッタ
ノデハナイカ(拍手)提案者ハ之ヲ爲シタル
事實アリヤ否ヤ、加藤子ハ又之ヲ受ケタル
コトアリヤ否ヤト云フ點デアル(拍手)第五
更ニ本員ハ玆ニ步ヲ進メテ問ハント欲スル
所ノモノハ只今牧野君ハ憲法第三十四條
ニ付テ述ベマシタガ、是ハ先ヅ牧野君ノ問
ニ對シテ加藤子ハ答ヘラレマセヌデシタカ
ラ本員ガ尋ネテモ答へヌモノト思ッテ問
ヒマセヌ、此貴族院令ノ-貴族院令デ
ス、明治二十二年勅令第十一號、此貴族院
令ノ第十三條ニハ「將來此ノ勅令ノ條項ヲ
改正シ又ハ增補スルトキハ貴族院ノ議決ヲ
經ヘシ」トアルノデアル玆ニ於テ(發言者
多シ)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=158
159・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　靜甫ニ願ヒマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=159
160・猪野毛利榮
○猪野毛利榮君(續)　今日ノ貴族院ニ向ッ
テ此貴族院議員ノ權限ヲ縮小スル如キ、貴
族院ノ氣儘ヲ拘束スルコトニ向ッテ、貴族院
其者ガヤラヌト云フコトハ今日ノ貴族社會
ノ思想ヲ諸君ガ御考ヘニナッテモ分ルモノ
ト思フノデアル、ドウシテモ是ハ外カラヤ
ラナクチヤナラヌ、外カラ迫ノテモ貴族院
ガ斷乎トシテヤラヌトキニ於テハドウスル
カ、此ニ於テ政府ナルモノハ卽チ此勅命ヲ
以テ-勅令ヲ以テ掛ラナケレバナラヌ、
然ルニ此勅令ヲ以テ爲ス時ニ於テハ樞密
院ノ議決ヲ經ナケレバナラヌノデアル樞
密院ノ議決ヲ經ナケレバナラヌガ、貴族院
ガヤラズ樞密院ガ之ヲヤラヌ時ニ於テハ
ドウスルカト云フコトデアル(拍手)此場合
ニドウスルカト云フコト是ガ眞ノ見モノデ
ハナイカ、是ガ生命デアル、是ガ一番ノ重
要ナル問題デアル貴族院自身ガヤラズ、
樞密院ガ之ヲ議決ヲセヌ時ニ、果シテ如何
ナル態度ヲ加藤君ガ執ラルヽカ、卽チ此場
合ニ於テ最モ立憲的ナル所ノ解散ヲ斷行ス
ルノ勇氣アリヤ否ヤ又與黨三派ト雖モ解
散ヲ要求シテマデモ之ヲヤラスル所ノ勇氣
アリヤ否ヤ(發言者多シ)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=160
161・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　靜肅ニ
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=161
162・猪野毛利榮
○猪野毛利榮君(續)　若クハ上奏案ヲ出シ
テモ-上奏案ヲ出シテモ尙ホ且ツ之ヲ
ヤッツケル所ノ諸君ハ確信アリヤ否ヤ(發言
者多シ)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=162
163・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　靜〓ニ願ヒマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=163
164・猪野毛利榮
○猪野毛利榮君(積)　此諸君ノ强キ決心ヲ
聽力ナクテハ本員ハ漫然タルモノニ贊成ハ
出來ナナイノデアル(拍手)諸君ハ此問題
ヲ靈派心ニ驅ラレテ不眞而目ノ間ニ諸君ハ
之ヲ葬ラントスルケレドモ、此一言一句ナ
ルモノハ日本ノ津〓浦ミノ所謂此日本ノ思
想ノ上ニ大ナル變動ヲ來スモノデアル柏
手)諸君ノ此一舉一動ガ誤っタル時ニ於テ、
日本ハ實ニ大ナル階級戰爭ト茲ニ思想上ノ
大衡突ヲ惹起ス所ノ憂ガアルノデアリマス
(拍手)何卒此點ニ付キマシテ誠意アル所ノ
答辯ヲ提案者デアル箕浦先生及總理大臣夕
ル加藤子ニ向シテ要求スル次第デアリマス
(拍手起リ發言者多シ)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=164
165・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　静甫ニ願ヒマス-
答辯ハアリマセヌ-次ノ發言ヲ許シマ
ス、川口義久君
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=165
166・川口義久
○川口義久君　議長-簡單デスカラ···
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=166
167・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　登壇ナサイ
〔川口義久君登壇〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=167
168・川口義久
○川口義久君　私ハ本案ニ對シテハ時代ノ
要求ニ鑑ミ、國勢ノ大勢ヨリ見テ賛成ノ者
デアリマス、併ナガラデス(發言者多シ)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=168
169・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　靜〓ニ
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=169
170・川口義久
○川口義久君(續)　提案者ノ說明ヲ聽キ、
國務大臣答辯ノ極メテ不深切ナルヲ見テ、
且ツ其内容ノ極メテ空漠ニシテ不誠意ナル
コトヲ見テ、吾輩自身ガ此處二立ッテ眞而
目ニ質問スルノ價値ナキモノト認メテ質問
權ヲ取消シマス(拍手起リ發言者多シ)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=170
171・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　靜粛ニ-靜〓ニ願
ヒマス-本案ニ對シテ-諸君、靜肅ニ
願ヒマス-木案ニ對シテ委員付託ノ動議
ガ提出サレテ居リマス、其發言ヲ許シマス
松田源治君
〔松田源治君登壇、拍手〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=171
172・松田源治
○松田源治君　吾々ハ-吾々ハ愼重ニ本
案ヲ審議スル爲ニ、議長指名十八名ノ特別
委員ニ付託シマシテ審議致シタトイ思ヒマ
ス、其理由ヲ說明致シマス、第一ノ理由ハ
此貴族院制度ノ改正ハ、申スマデモナク憲
法附屬ノ制度デアリマス、故ニ、愼重ナル調
査ヲ致ス必要ガアリマス、本日此議場ニ緊急
上程ヲ爲シ、議案ハ今朝受取夕位デハ此貴
族院制度ノ改正ヲ期スル所ノ建議案ヲ吾々ガ
比處デ卽決可決スルト一云フコトハ愼重審議ノ
意味ニ反シテ居ルト思フノデアリマス(拍三)
是ガ第一ノ理由デアリマス、第二ノ理由ハ本
案ニハ具體的ノ意見ガナイノデアリマス
先程箕浦君ガ提案ノ趣旨ヲ述べマシタガ、
或ハ勅選議員ニ年限ヲ附スルトカ、或ハ多
額納稅者ヲドウスルトカト云フコトハ是
ハ他人ノ意見デアッテ伊藤公ガ斯ウ言)タ、
加藤友三郞君ガ斯ウ言ッタ、鎌田君ガ斯ウ
言ッタト云フコトヲ言フノミデ、矢張改正ノ
範圍ハ政府ニ一任スルト云フコトデアル、
政府ノ意見モ、施政ノ方針ノ演說ニ於テ憲
法制定ノ趣旨ニ鑑ミテ、又時代ノ要求ヲ斟
酌シテ、慎重ナル考慮ヲ遂ゲテ善處スルト
云フコトデアリマスカラ、其趣意ハ同一デ
アルノデアル、政府ノ聲明ト何等違ヒノナ
イ所ノ建議案ヲ出スト云フコトハ議會ノ
權威ニ於テドウデアラウカト思フ(拍手)吾
吾ハ國民ガ眞ニ要望スル所ガアレバ之ヲ
委員ニ付託シマシテ、具體的ノ意見ヲ決メ
テ貴族院ノ改正ヲ爲ス必要ガアレバ政府
ニ建議スルト云フコトガ、本案權威ヲ維1
シ、愼重審議ノ實ヲ擧ゲルコトデアラウト
考ヘルノデアリマス(發言スル者多シ)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=172
173・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　靜肅ニ
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=173
174・松田源治
○松田源治君(續)　ソレカラ第三ニ諸
君モ御承知ノ通リニ我ガ帝國憲法ハ特有
ノ憲法デアリマシテ、欽定憲法デアル、外國
ノ眞似ヲシタノデハアリマセヌ、我國ノ皇
祖皇宗ノ遺訓ヲ昭ニシタルコトガ、我國ノ
憲法ノ特有デアルノデアル、又我國ノ貴族
院ハ、外國ノ貴族院トハ其趣旨ヲ異ニ致シ
テ居ルノデアリマス、伊藤公ノ憲法義解ニ
依リマシテモ「貴族院ニシテ其ノ職ヲ得ル
トキハ政權ノ平衡ヲ保チ政黨ノ偏張ヲ制シ
横議ノ傾勢ヲ撑へ憲法ノ鞏固ヲ扶ケ上下調
和ノ機關トナリ國福民慶ヲ永久ニ維持スル
ニ於テ其ノ效果ヲ收ムルコト多キニ居ラム
トス」ト云フコトニナッテ居ルノデアリマ
ス、故ニ我國ノ法ノ趣旨ニ鑑我
國ノ貴族院制度ノ趣旨ニ鑑ミマシテ、此制
度ヲ改正スルト云フコトハ、特ニ慎重ナル
考慮ヲ私ハ要スルコトヽ考ヘルノデアリマ
ス、之ヲ議會最終ノ日ニ緊急ニ上程シテ、直
ニ之ヲ可決スルト云フコトハ吾々ノ職責
ニ鑑ミ議會ノ權威ニ鑑ミテ、吾々ハドウ
デアラウカト云フコトヲ憂フルノデアリマ
ス、(拍手)故ニ私ハ本問題ヲ委員會ニ付託シ
マシテ、慎重審議ヲ爲シテ、具體的ニ改正
スル所ガアレバ具體的ニ改正ヲ致シ、之ヲ政
府ニ建議スルト云フコトガ、吾々ノ爲スベ
キ職責デアラウト思フノデアリマス、殊ニ
現政府ハ貴族院ノ制度ノ改正ニ付テハ何
等具體的ノ意見ガ無イノデアル、具體的ノ
意見ガ無イ政府ニ、具體的デナイ建議案ヲ
出スト云フコトハ議會ノ權威ニ於テ私ハ
無責任ナリト考ヘルノデアリマス故ニ吾
吾ハ此憲法制定ノ趣旨ト、我ガ貴族院制度
ノ趣旨ニ鑑ミテ、我ガ議院ノ權威ヲ發揮シ、
吾々議員ノ職責ニ鑑ミテ、慎重審議ヲ爲ス
爲ニ、議長指名十八名ノ委員ニ付託スルノ
動議ヲ提出スルノデアリマス、今日ハ最終
ノ議會デアリマスカラ、委員ニ付託シテ審
議未了ノ虞ガアル時分ニハ議院法ノ二十
五條ヲ活用〓シマシテ、政府ノ同意ヲ求メ
テとこ敬繼續員ヲ以テ調査スルト云フコトガ、
最モ適當デアラウト思フ(拍手)卽チ本問題
ヲ詰君ガ員劍ニ〓究シ、直面目ニ政府ニ建議
スルト云フコトナラバ、委員付託ニシテ、サ
ウシテ委員付託ニ於テ審議未了デアレバ
議院法ノ二十五條ヲ活用シテ繼續委員ニ付
託スルコトが、是ハ當然デアラウト考ヘル
ノデアリマス、之ヲ要スルニ吾々ハ議員ノ
職責ト、本院ノ權威ニ鑑ミテ、特ニ委員付
託ノ動議ヲ起シマス、提案者諸君モ、無論
愼重審議ト云フコトニハ反對ハナイコトヽ
思ヒマスカラ、全院一致ヲ以テ私ノ動議ニ
贊成セラレンコトヲ望ムノデアリマス(拍
き)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=174
175・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　只今ノ松田君ノ動議
ニ對シテ、贊否ノ通告ガアリマス、鈴木富
士彌君
〔鈴木富士彌君登壇〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=175
176・鈴木富士彌
○鈴木富士彌君　只今松田源治君ヨリ委員
付託ノ動議ガ提出セラレマシタ、遺憾ナガ
ラ私ハ之ニ反對ヲセザルヲ得ナイノデアリ
やっ、其理由ヲ簡單ニ申述ベマス、此建議
案ハ本文ニ於キマシテ、現行貴族院制度ガ
時勢ノ進運ニ件ハナイカラ、改正ノ必要ガ
アルト云フコトヲ申述ベマシテ、提案者ノ
趣旨辯明ニ於キマシテハ、更ニ貴族院内部
及輿論ニ於テ改正ノ必要アリト認メテ居ル
所ノ項目數點ヲ擧ゲテ居リマス、卽チ改正
ノ必要ハアルガ、如何ナル程度ニ於テ、如
何ナル範圍ニ改正スベキカト云フコトハ
政府ニ於テ是ハ攻究スベキモノデアルカ
ラ、政府是ガ改正ニ著手セラレンコトヲ望
ムト云フ趣旨ノ建議デアリマス、故ニ衆議
院ニ於テハ別ニ具體案ヲ提示スル必要ハ
斷ジテ無イモノデアル(發言スル者多シ)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=176
177・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　靜甫ニ
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=177
178・鈴木富士彌
○鈴木富士彌君(續)　殊ニ從來ノ慣例ニ於
キマシテ、貴族院制度ニ關スル諸規則ハ、勅
令ヲ以テ規定致シテ居リマスカラ、之ニハ
種々議論モアリマセウケレドモ、此規則ノ
發議權ハ專ラ政府ニアルモノト吾々ハ解釋
ヲ致シテ居ルノデアリマス、所謂大權事項
ニ屬スルモノデアリマスカラ、衆議院ニ於
テ具體案ニ付キ一々論議スル必要ハ斷ジテ
無イノデアリマス(拍手)同ジヤウナ趣旨ノ
事ヲ建議ニ出スノハ、建議案ノ權威ニ關ス
ルト云フコトヲ申サレマシタガ、衆議院ニ
於テ建議案ヲ提出スルノハ衆議院ノ當然
ノ權能デアリマス、加フルニ政府ト同ジヤ
ウナ趣旨デアリマシテモ、尙ホ之ヲ督促シ
テ成ベク早クヤラシメル意味ニ於テ、斯ノ
如キ建議案ヲ出スコトハ、決シテ無意味デ
ハナイト私ハ考ヘルノデアリマス(拍手)故
ニ此建議案ノミヲ以テ其事ハ足リルノデア
リマスカラ、委員ニ付託スル必要ノ無イモ
ノト認メマシテ、松田氏ノ動議ニ反對ヲシ
テ、本案ハ卽決可決ノ途ニ進マレンコトヲ
希望スル次第デゴザイマス(拍手)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=178
179・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　土屋興君
〔土屋興君登壇〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=179
180・土屋興
○土屋與君　諸君、本員ハ松田源治君ニ
依シテ提起セラレマシタ禾員付託ノ動議ニ
賛成ノ意ヲ表セントスル者デアリマス、諸
君、本案ハ憲法附屬ノ大典夕ル貴族院制度
ヲ改正セントスルモノデアリマシテ、此意
味ニ於キマシテハ、極メテ重大ナル意義ヲ
有スルモノデアリマス、私共モ貴族院ノ制
度ヲ改正致スト云フコトニ付キマシテハ、
敢テ反對ヲ表示スルモノデハナイノデアリ
そう、併ナガラ本案ノ內容ヲ見マスト云フ
ト「現行ノ貴族院制度ハ明治二十二年ノ制
定ニ係リ時勢ノ進運ニ伴ハサルモノアリ政
府ハ宜シク其ノ聲明ノ趣旨ニ基キ國論ノ要
望スル所ニ從ヒ速ニ之カ改正ニ著手セラレ
ムコトヲ望ム、右建議ス」ト云フノガ本案
ノ内容ナノデアリマス、諸君、護憲三派ニ
依リマシテ貴族院ノ改正トシテ天下ニ呼號
セラレテ居リマス所ノ貴族院改正案ナルモ
ノハ單ニ二行ニ過ギナイ所ノ空漠ナル案
ナノデアリマス、諸君、吾々ハ斯ノ如キ空
漠ナル案ニ向ヒマシテ、如何ナル審議ヲ爲
スコトガ出來ルデアリマセウカ、特ニ私ハ
只今鈴木君カラ提案ノ御趣旨ヲ伺ッタノデ
アリマスケレドモ、鈴木君ノ只今ノ御話ハ
政府ガ貴族院改正ヲ爲スノ意思ト成案トヲ
有スル場合ニ於キマシテ、始メテ意表ヲ爲
スモノデアリマシテ、今日ノ如ク政府ガ十
分ナル成案ヲ有セズ、寧ロ其意思サヘモ疑ハ
レルト云フ場合ニ於キマシテハ、斯ノ如キ
空漠ナル所ノ建議案ハ、其意義ヲ爲サナイ
モノデアリマス、(拍手「ノウ〓〓」ト呼フ者
アリ)本員ハ斯ノ如キ場合ニ際シマシテハ、
ドウシテモ具體案ヲ整ヘテ以テ政府ニ之ヲ
突付ケテ、斯ノ如キ案ヲ實行セヨト云フコ
トヲ要求スルト云フコトガ、最モ權威アル
建議デアラウト思フノデアリマス(拍手)此
意味ニ於キマシテ吾々ハ繼續委員ニ付シテ
以テ成案ヲ作ノテ、成案ナク意思ナキ所ノ政
府ヲシテ之ヲ强行セシムルト云フコトガ、
吾々ノ責任デアルト信ズルノデアリマス、
少クトモ與黨三派ノ方ミノ責任デアルト解
スルノデアリマス(拍手)尙ホ昨日貴族院ニ
於ケル中川良長男ノ質問ニ對スル加藤總理
ノ答辯ニ依リマスルト云フト、加藤總理ハ
「衆議院ニ於テ建謀案ヲ出ストカ出サナイ
トカ云フヤウナ話ガアルサウデアリマス、
衆議院カラ建議案ガ若シ出マシタナラバ、
之ヲ參考ニ供スル積リデアル」ト云フコト
ヲ言ハレテ居ルノデアリマス、斯ノ如ク成
案モ具體案モ有セザル江漠無意味ノ建議案
ヲ政府ニ突付ケマシタ所ガ、何等ノ參考ニ
モナラナイノデアリマス(拍手)諸君ハ這般
ノ選擧ニ際シマシテ、貴族院改善ト云フコ
トヲ眞向ニ振翳シテ以テ國民ニ臨ンダノデ
アリマス、諸君ガ眞ニ本案ヲシテ實現セシ
ムルノ誠意ガアラレマスルナラバ、吾々ノ
主張ニ同意ヲシテ、委員會ニ於テ愼重審議
ヲ爲サルト云フコトガ國家國民ニ忠ナル所
以デアルノデアリマス(拍手)然ルニ會期ノ
最終日タル本日、突如之ヲ上程ヲ致シマシ
テ、卽決可決ヲ爲サントスルガ如キコトハ
國民ヲ欺瞞スルノ甚シイモノデアル、卽チ
諸君ハ總選擧ニ際シテ、諸君ガ絕叫シタル
所ノモノヲ今日正當ニ實行スルニ窮シ、國
民ヲ欺瞞シテ以テ免レント欲シ、恰モ振出
シタル手形ノ仕拂ニ苦メル結果、詐欺假產
ヲ爲スト同一ノ行爲ニ出デタルモノトシカ
思ハレナイノデアリマス(拍手)本員ハ本案
ヲシテ益〓權威アラシムル意味カラ致シマ
シテ、委員付託ニセラレンコトヲ絕叫スル
者デアリマス、與黨三派ノ諸君ハ、之ニ向。ツ
テ大體御反對ニ相成ルト云フ理由ハ無イト
私ハ思フノデアリマス、何卒吾々ノ主張ニ
同意セラレンコトヲ望ムノデアリマス拍
手)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=180
181・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　之ニテ委員付託ノ動
議ニ對スル討論ハ終結致シマシタ仍テ採
決致シマス、松田君ノ動議ハ本案ヲ議長指
名十八名ノ委員ニ付託セントスルモノデア
リマス、此動議ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メ
マス
〔賛成者起立〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=181
182・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　起立少數デアリマス
(拍手)動議ハ否決セラレマシタ-是ヨリ
討論ニ入リマス、通告ニ依ノテ順次其發言ヲ
許シマス-菅原傳君
〔菅原傳君登壇〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=182
183・菅原傳
○菅原傳君　諸君、私ハ簡單ニ所信ヲ申述
ベテ本建議案賛成ノ意思ヲ表スル者デア
リマス、今我ガ帝國ノ國情ヲ大觀スレバ各
方面ニ於テ更始一新ノ必要ヲ感ズルノデア
リマス(拍手)行政ニ於テ然リ、司法ニ於テ
然リ、立法ニ於テ然リト感ズルノデアリマ
スル、司法ノ方面ニ於テハ曩ニ原內閣ノ
時代ニ於テ、陪審制度ヲ制定シ、民意ノ暢
達ヲ圖ルコトニ努メラレテ、今日著々トシ
テ其步ヲ進メツヽアルコトハ、國家民人ノ
爲ニ欣ブベキ所デゴザイマスル、尙ホ幾多
刷新スベキ事モアラウカト思フノデアリマ
スル、行政ノ方面ニ於キマシテハ大刷新
ヲ加ヘナケレバナラヌト云フコトハ芭民
齊シク認ムル所デアリマス(拍手)今日行政
ノ機關ガ膨脹シタノミナラズ、其取扱振モ
至ッテ官僚主義デ、繁文縟禮ノ弊ガアルコト
何人モ認ムル所デ、是等ノ如キハ皆刷
新改良シテ、以テ大ニ政費ノ節約ヲモ圖ラ
ンケレバナラヌ次第デアルト思フノデアリ
マス(拍牛)而シテ更ニ立法ノ方面ニ於テハ
ドウデアル衆議院ニ付キマシテハ、今日
マデモ幾多ノ變更ガアッタコトハ御承知ノ
通リデアル、或ハ選擧區制ニ付テ、或ハ選
擧權ニ付テ、殊ニ近頃ニ至テハ選舉權ノ大
擴張、所謂普選ノ問題モ遠カラズシテ解決
セラルヽコトニ迫フテ居ルヤウナ次第デア
リマスル、然ルニ獨リ貴族院方面ニ付テハ
如何デアルカ、三十餘年間殆ド是ト云フ改
Ⅱヲセラレタルコトガ無イノデアリマス
ル、然ラバ如何ナル方面ニ貴族院ノ改革ヲ
スルノデアルカ、世ノ人ノ中ニハ二院制度
ヲ否認シテ、一院制度ヲ唱フル人モアリマ
スルガ、私ハ此ノ如キ事ハ危險ナル說トシ
テ反對ヲ表スル者デアリマスル、更ニ又特
權階級ノ横暴ヲ鳴ラシ、貴族院ノ權限ヲ縮
小スルト云フ議論モアリマスルケレドモ、
是亦憲法ノ改正ヲ要スル次第デ、談何ゾ容
易ナランヤ、容易ク賛成ハ出來ヌ所ノ問題
デアリマス、然ラバ如何ナル方面ニ改正改
革ヲスルデアラウカト申シマシタナラバ、
箕浦君モ既ニ述ベラレタ如ク、貴族院令ノ
改正ニアルノデアル、其箇條等ニ付テハ2元
ニ箕浦君モ述ベラレテアリマスルガ、第一ハ
公侯二等ノ世襲的就任ヲ廢シテ互選的ニ
爲スコトノ如キ、或ハ伯子男ノ選舉法ヲ今
日マデノ連記ヲ廢シテ單記ニスルト云フガ
如キ、或ハ國家ニ功勳アル勅選議員ノ終身
制ヲ廢シテ、期限ヲ附スルト云フガ如キ或
ハ多額納稅議員ニ付キマシテモ、之ガ存廢
ニ付テ問題ガアル、假ニ之ヲ存スルトシテ
モ、選擧人ニ付テ十五人以上ニ爲スベシト
云フガ如キ議論モアル、兎モ角モ問題デア
ル其他有爵議員ナリ、勅選議員ナリノ數
ノ割合ニ付テモ問題ガアルノデアリマシ
テ是等ノ如キハ論議改善スル餘地ガ十分
ニアルモノト思フノデアリマス(ヒヤ〓〓)
要スルニ今日ノ民意國論ノ在ル所ハ、是非
貴族院令ヲ改正シテ、貴族ノ組織ヲ改善ス
ル必要アリト云フコトハ何人モ認ムル所
ト信ズルノデアリマス(拍手)然ルニ斯ノ如
ク國論ノ嚮フ所ニモ拘ラズ、貴族ノ一部ノ
方ニニ於カレテハ、貴族院ノ事ハ貴族院デ
爲スノデアル、他ノ容喙ヲ許サヌト云フガ
如キ口吻ヲ漏サレタルヤニモ御聽キ致スノ
デアルガ、併シ是ハ小威情、小手續ニ囚ハ
レタル所ノ意見デハナカラウカト思フ、斯
ノ如キ問題ハ寧口華族ノ諸公ニ於カレテ
モ寛容ナル雄大ナル心事ヲ以テ迎ヘラレ
ンコトヲ望ムノデアリマス、日本ノ近代ノ
歷史ヲ見マシテモデス、政治上ノ改革ノ場
合ニハ華族モ士族モ平民モ共ニ協力シテ
成シタノデハアリマセヌカ(拍手)御維新ノ
時ノ事ヲ御覽ナサイ、三條公ノ如キ、岩倉
公ノ如キ、固ヨリ貴族ノ方デアルガ、西〓、
大久保、木戶、板垣、後膝、副島、大隈、伊
藤公ノ方ミノ如キハ、或ハ士族出平民出ノ
方デアルト云フコトニ聞及ンデ居ルガ、是
等ノ方ミガ、貴族モ士族モ平民モ一緒ニナツ
テ、此中興ノ大化ヲ大成シタノデハアリマ
セヌカ(拍手)今囘ノ貴族院改革ノ事モ相當
ニ重要ナル問題デアル歪ンダル小サイ考
デハイカヌノデアル、貴族院モ衆議院モ共こ
ニ民意ノ在ル所ヲ諒シテ、此改革ニ向シテ進
マンケレバナラヌト思フノデアリマス(拍手)
幸ニ我國ニ於テハ今日マデ貴族院ト衆議院
トノ大衝突ガ無イコトハ喜ブベキ事デアリ
マス歐米諸國ニ於キマシテハ隨分激烈
ナル衝突ガアリ、爲ニ民心ガ動搖シテ、內
亂等マデモ起シタ國ガアルノデアリマス、
實ニ我國ハ幸デアルガ、大ニ注意ヲ要スル
時期デハナカラウカト思フ(拍手)輓近、殊
ニ〓浦內閣組織ノ際ニ於ケル特權階級ノ方ミ
ノ言動ニ對シ、輿論ガ沸騰シ、護憲ノ運
動マデ起ノ夕次第デアリマシテ、今日ノ此建
議案モ豈偶然ナランヤデアリマス(拍手)支
那語ニモ天ノ未ダ陰雨セザルニ及ンデ膈戶
ヲ綱終スルト云フコトガアリマスガ、實
ニ雨降ザル前ニ用心スルコトハ爲政者ノ
執ルベキ所ノモノデアリマス(拍手)今日ニ
於テ若シ用心セヌコトナラバドウナルノ
デアル實ニ貴族院ノ諸公モ、大局ヨリ考
ヘラレ、寬容雄大ナル心事ヲ以テ、吾々ト
共ニ此國家民人ノ爲ニ貴族院令ノ改正ニ努
力シ、以テ其組織ヲ一新セラレンコトヲ望
ンデ已マヌノデアリマス、又內閣諸公ニ於カ
レテハ旣ニ聲明モセラレタ以上ハ此歷
史的ノ事デアル-斷々乎トシテ吾々ノ意
ノ在ル所ヲ取ッテ、蹶然トシテ此改革ニ猛進
セラレンコトヲ望ム次第デアリマス(拍手)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=183
184・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　林田龜太郞君
〔林田龜太郞君登壇〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=184
185・林田龜太郎
○林田龜太郞君　私共ハ曩ニ貴族院制度ノ
改革ノ建議案ヲ政府ニ提出致シテ置キマシ
タ、今日ハ其提案ノ理由ヲ補足ヲ致シ、次
デ此案ノ賛成ノ理由ヲ明ニ致シタイト思フ
ノデアリマス(謹聽)同ジ帝國議會ノ一院デ
居リナガラ、他ノ議院ノ事ニ付キマシテ喙
ヲ容レルト云フコトハ、洵ニ好マシカラヌ
事デアルノデアリマスノデ、私共ハ既ニ貴
族院ノ改革ニ付キマシテハ、二十數年來宿
題ト致シマシテ、是ガ攻究ヲ怠ラヌノデア
リマスガ、併ナガラ貴族院諸公ノ賢明ナル
ニ鑑ミ、其自省ヲ欲シテ今日マデ之ヲ公ニ
致シタコトハナイノデアリマスケレドモ、
今日ノ國論、殊ニ今年ノ一月以來ノ國論ノ
沸騰ノ工合カラ考へマシテ、此儘ニ放棄ス
レバ、如何ナル點ニ到達スルカ、殆ド測リ
知ル可カラザルモノガアルノデアリマス
(拍手)私ハカルガ故ニ玆ニ本建議案ヲ提出
シタル所以デアリマス、貴族院ノ賢明ナル
諸公、私共ノ提案ノ主意ヲ御照覽アリマシ
タナラバ私共ノ心事ニ深ク必ズ御同情ヲ
賜ハルコトヽ信ズルノデアリマス、何レノ
點ガ私共ガ改革ヲ要求スル缺陷デアルカ、
私ハ先ヅ第一ニ憲法ノ精神ヨリ之ヲ諭ジテ
見タイト思フノデアリマス、御承知ノ通リ
我ガ帝國ノ憲法ハ兩院平等ノ主義ヲ採ッテ
居ル、伊藤伯ノ-當時伯爵デアリマシタ
ガ、伊藤伯ノ憲法義解ニモ、或特例ヲ除ク
ノ外平等ト云フコトガ書イテアル私共ハ
確ク兩院ガ平等ナルコトヲ信ジテ居ルノデ
アリマスケレドモ、實際ノコトヲ調ベテ見
マスルト、此平等ト云フコトハ丸切リ夢
想デアッタト云フコトヲ發見致シタノデア
リマス(拍手)如何ナル點デ斯ク言フノデア
ルカ、議院ノ權能ト云フモノハ、內ニ對ス
ル權能ト外ニ對スル權能ト二ツアル、内ニ
對スル權能ト申セバ則チ自ラ組織スル所
ノ權能デアリマシテ、外ニ對スルト申セバ卽チ
議案ニ協賛スル權能デアルノデアリマス、其内
ニ對スル権能卽チ自ラ組織ヲ爲スト云フ
所ノ權能ハ、議院ノ組織ニ依ッテ議院ノ意思ハ
自ラ定マルノデアリマスカラ、是ハ非常ニ
重大ナル權能デアル、卽テ此權能ハ主デアッ
テ、外ニ對スルモノハ從ト謂ッテモ宜イノデ
アル貴族院ハ自ラ勅令ニ協賛スル所ノ權
ヲ持チ、其自己ノ組織ニ對シテ十分ノ權能
ヲ持ッテ居ルニ拘ラズ、衆議院ハ其組織ニ對
シテ僅ニ一箇ノ協賛權ヲ持ッテ居ルニ過ギ
ナイ、貴族院ハ我ガ衆議院ノ組織ニ對シテ
モ十分容喙スルコトガ出來ルノデアリマス
ガ、衆議院ハ貴族院ノ組織ニ對シテハ何等
干涉ノ權ヲ持タナイ、是ガ不權衝不平等ニ
アラズシテ何デアリマセウ、斯ノ如キコト
ガ果シテ憲法ノ精神デアリマセウカ、若シ
是ガ憲法ノ精神デアッタラバ、私ハ相當ノ時
機ニ於テ速ニ憲法ノ改正ヲ要求シナケレバ
ナラヌト思フノデアリマス(拍手)否、〓
必ズシモ之ニハ及バヌト思フノデアリマス、
何ヲ以テ斯ク申スカ若シモ對等ト云フコト
ヲ理想ト致シマシタラバ、貴族院ガ自ラ其組
織ヲ決定スルノ權能ガアリマスレバ、衆議院
モ亦貴族院ノ容喙ヲ俟タズシテ、自ラ之ヲ
決定スルノ權能ガアルト謂ハナケレバナラ
ヌ、併ナガラ是ハ憲法上及今日ノ法令ノ解
釋ニ於テモ、許サレナイ所ノモノデアル、果
シテ然ラバ衆議院ガ法律ヲ以テ其組織ヲ定
メルト云フコトニナッテ居ル以上ハ、貴族院
モ亦其組織ニ對シテ、衆議院ガ容喙スル權
能ヲ遂ニハ持タナクテハナラヌ、是ハ理窟
デアリマス、私ハ此理窟ニ對シテドナタモ
御爭ヒハナイト思フノデアリマス、面シテ
此事ニ付テ反對論者ハ今日マデ憲法上ノ
解釋デハ、到底出來ナイト言ハレル御方ガ
アル併シ私ハ見樣ニ依シテハ出來ルト思
フ、其理由ハ憲法ノ第三十四條ニ「貴族院
令ト云フ文字ガアル、卽チ「令」トアルガ
爲ニ、勅令デアッテ、法律デハナイト言ハレ
ル、併ナガラ此令ト云フ字ガアル爲ニ、勅
令デナクテハナラヌ、法律デハイケナイト
云フコトハ是ハ事實ニ照シテ甚ダ怪シイ
議論デアルノデアリマス、何故ナラバ、貴
族院令ト同ジ年ニ發布ニナリマシタ所ノ徴
兵令ノ如キ、同ジク令ト稱シテ居ルガ、是
ハ法律デアリマス、而シテ其後屢、法律ヲ
以テ之ヲ改正致シテ居ル、故ニ令ト稱スル
ガ故ニ、必ラズ勅令デナクテハナラヌト云
フ理窟ニハナラヌノデアリマス、又戒嚴令
モ亦同ジコトデアリマス、尙ホ立法論ニ致
シマシテセ、法律ナルモノハ憲法ニ牴觸セ
ザル限リ、如何ナル事ヲモ規定スルコトガ
出來ルノデアル、勅令ハ法律憲法ノ範圍內
ニ於テ、其權能ヲ發揮スルコトガ出來ルノ
デアリマス、故ニ如何ナル勅令デモ、法律
ヲ以テ改正ヲシヤウトスレバ何時デモ出
來ルト云フコトガ立法ノ原則デアリマス、
故ニ貫族院令ト云フモノガ、假令其當時ハ
勅令デナクテハナラヌト云フ希望デ出來タ
ニ致シマシタル所ガ、今日ノ場合、此勅令
ヲ法律ヲ以テ改正スルノハ決シテ妨ゲナ
イト私ハ信ズルノデアリマス(拍手)併ナガ
ラ是ハ一種ノ議論デアリマシテ、既ニ明治
三十一二年ノ頃、法制局ニ於テモ此事ハ十
分ニ調ガアリマシ夕、併シ其當時ハ最後ノ
決定ヲ見ズシテ濟ンダノデアリマス、故一
此論ヲ最後マデ押通サウトセバ、勢ヒ樞密
院ノ諮詢デモ經ナケレバナラヌカト思フノ
デアリマスケレドモ、私ハ如何ニモシテ貴
族院ト衆議院トノ對等ト云フコトヲ要求ス
ル上ニ於テハ貴族院令改正ハ遂ニ法律
ヲ以テスルト云フ論ニ到著セザルヲ得ナイ
ノデアリマス、又貴族院令ガ勅令デアルカ
ラ、勅令ヲ以テ之ヲ改正スルコトガ出來ル
ト云フ論モアルノデアリマス、ソレノ先ヅ
第一番ニ貴族院令ノ第十三條、此勅令ヲ改正
スルニハ貴族院ノ議ヲ經ベシト云フモノヲ
削レバ、何デモナイト云フ論ガアルノデア
リマス、併ナガラ是ハ如何デアリマセウカ、
第十三條ヲ削ルニシテモ、一應貴族院ノ同
意ヲ經ナケレバナラヌト云フコトハ當然
デハナイカト私ハ思フ、若シ貴族院ノ同意
ヲ經ズシテ、勅令ヲ以テ之ヲ削除スルコト
ニナリマシタナラバ是ハ一種ノ「クーデ
ター」デアリマス、私ハ今日ノ聖代平和ノ時
代ニ於テ「クーデター」ヲ行フト云フコトハ
好マシカラヌト信ズルノデアリマス、以上
ノ如ク法律ヲ以テ之ヲ改正スルト云フコト
ニ致シマシテモ、亦勅令ヲ以テ改正スルト云
フコトニ致シマシテモ、種々ナル故障ガア
リマスガ、私ハ今日貴族院ガ非常ニ覺醒セ
ラレタル賢明ナル御方々ヲ以テ組織セラレ
テ居ル以上ハ必ズ政府ガ正當ナル案ヲ具
シテ貴族院ニ提出致シマシタラバ貴族
院ハ必ズ之ニ賛成ヲ與ヘラルヽコトハ決
シテ困難ノ事デハ-困難デハアリマセマ、
必ズ賛成ヲ吝マレナイダラウト云フコトヲ
固ク信ズル者デアリマス(拍手)私ハ貴族院
ト衆議院トハ非常ニ不權衡デアルト申シマ
シタ其一例トシテ、モ一ツ中上ゲタイ、衆
議院ト貴族院トハ或ル特例ヲ除クノ外平
等ダト言ハレマス、其特例ハ何デアルカト云
ハン憲法第六十五條ニ依ル豫算ノ先議權
ニ外ナラヌ、其先議權ト云フモノガ、如何
ナル程度マデ衆議院ノ特俸ト認メルコトガ
出來ルノデアリマセウカ、抑、豫算ノ先議
權ガ尊キヲ爲ス所以ノモノハ何デアルカト
云ヘバ、衆議院ガ先議ノ權能ニ依ッテ、款項
ヲ削除致シマシタル場合ニ於テ、衆議院ノ
案ガ貴族院ノ原案トナルノデアリマス、貴
族院ノ原案トナレバ卽チ衆議院ガ削除シ
タル所ノ款項ハ貴族院ニ於テハ現ハレナ
イ筈デアルノデアリマス、而シテ各議院ハ
豫算ノ編成權ニ立チ入ルコトハ出來ヌノデ
アリマスカラ、款項ヲ新タニ設ケルコトハ
衆議院モ出來ナケレバ貴族院モ出來ヌノ
デアリマス、款項ガ旣ニ削除サレテ貴族院
ニ送ラレタ以上ハ、貴族院カ新ニ基款項ヲ
復活スルハ宛モ衆議院ガ新ラシキ款項ヲ
設ケタルト同ジ事ニナルノデアリマス、故
ニ一旦衆議院ニ於テ削除シタル款項ハ貴
族院ニ現ハルベキ筈ガナイ、然ルニ此事ガ
明治二十五年度ノ豫算ニ於テ第三議會ニ於
テ問題トナッタノデアリマス、卽チ海軍省竝
ニ文部省ノ豫算ニ付テ、或ル款項ヲ削除シ
テ貴族院ニ送リマシタル所、貴族院ハ修正
ヲ名トシテ是ガ復活ヲ致シタノデアリマス
衆議院ハ之ニ對シテ抗議ヲ申込ンダノハ、
當然ノ事ト私ハ思フノデアリマス、此事ガ
端ナクモ勅救ヲ仰グコトヽナリマシテ、其
結果樞密院ノ諮詢ヲ經テ、豫算案ハ衆議院
ニ提出シタモノデハナク、帝國議會ニ提出
シタルモノデアルカラ、衆議院ト貴族院ト
何レガ復活ヲシ、何レガ削減シテモ是ハ問
題デハナイ、故ニ貴族院ニハ復活ノ權ガア
ルト云フヤウナ御判決デアッタノデアリマ
ス、斯クナレバ衆議院ノ先議權ノ果シテ何
ノ役ニ立チマセウ、英國ナドデ豫算ハ衆議
院ニ先議權ガアル故ニ、衆議院ヨリ削減致
シマシタル所ノ款項ニ付キマシテハ貴族
院ハ決シテ之ニ增額ノ發議ヲ爲スコトヲ得
ナイト云フコトニナッテ居マス、是ガ卽チ先
&議權ヨリ自然ニ生ズル所ノ特權デアルノデ
アリマス、然ルニ樞密院ノ裁定ニ依リマシ
テ、一日豫算案ニ現レタル所ノ款項ハ貴
族院デ復活ガ出來ルト云フコトニナリマス
1、衆議院ノ先議權ト云フモノハ全然無價
値ノモノトナリ無意義ノモノトナルノデ
アリマス(ヒヤ〓〓)斯ノ如クナッテ參リマ
シタカラ、衆議院ガ貴族院ニ對シテ有スル
所ノ殆ド唯一ノ特權ト認ムル所ノモノハ無
價値ニナッテ始末ニナッタノデアリマス、前
述ノ如ク組織ノ事ニ付テハ、衆議院ト貴族
院トハ、マルッキリ話ニナラヌ程ノ懸隔ガア
リ、衆議院ハ貴族院ノ組織ニ對シテ、何等
容喙スル權限ガ無ク、而シテ貴族院ハ衆議
院ノ組織ニ對シテ莫大ナル權利ヲ持ッテ居
ル-莫大ナル權能ヲ持ッテ居ル、此事ニ付
テハ更ニ後刻御話ヲ中ス積リデアリスガ
斯ノ如ク不權衡ガ多イコトヽ考ヘマシ
タナラバ、如何ニ貴族院ニ對シテ同情ヲ持シ
テ居ルト言フノハ少シ語弊ガアリマセ
ウガ、貴族院ノ特權ヲ尊重セラレルオ方デ
1此場合ニ於テ斯ノ如ク不平等不權衡ノ
制度ノ下ニ、完全ニ憲法政治ガ行ハレルト
云フコトヲ首肯セラルヽト云フォ方ハ恐
ラクアルマイト私ハ思フノデアリマス箱
手)故ニ貴族院令ノ改正、頁族ノ制度ノ改
正ト云フ事ヲ絕叶スルニ當リマシテ、先ヅ
第一ニ此憲法上ノ不權衡-憲法デハ十分
ニ兩院ノ對等ヲ認メテ居ルニ拘ラズ、實際
上斯カル不權衡ヲ生ジタル所以ノモノハ何
レニ在ルカト云フ事ヲ究メ、而シテ之ヲ嬌
正スル途ヲ講ゼナケレバ、到底衆議院ト貴
族院トノ對等ハ望マレナイ、卽チ如何ナル
手段ヲ以テシテモ、此目的ヲ達セナケレバ
眞ニ兩院ノ對等ハ得ラレナイ、兩院ノ對等
ハ得ラレナイトスレバ、眞ノ圓滿ナル憲法
政治ハ帝國ニ行ハレナイト私ハ信ズルノデ
アリマス(拍手)將來貴族院ニ對スル私共ノ
希望ハ種々アルノデアリマス、併ナガラ今
日ノ場合、先ツ此點ヨリ改メナケレバナラ
ヌト云フコトヲ私ハ第一ニ申シタイノデア
リマス、次ニ貴族院ノ內容ニ付キマシテ
-私ハ貴族院ノ內容ニ付マシテハ甚ダ
之ヲ申スコトヲ躊躇スルノデアリマス、併
ナガラ今日マデ現レタ所ノ各材料ニ付テ、且
亦貴族院內部カラ御發表セラレマシタル所
ノ諸公ノ御意見ニ付キマシテ之ヲ窺ヒマス
ルニ、抑〓貴族院ヲ置カレタ趣旨ハ黨派ノ
偏頗ヲ制スルト云フノガ第一ノ目的ニナッ
テ居リマス、然ルニ貴族院ノ伯子男爵ニハ
各〓選擧母體ト云フモノガアリマシテ、其母
體ニ屬セザル者ハ、如何ナル高潔ノ士、如
何ナル卓出ノ人傑モ、選バレテ議員トナル
望ハ永久ニ無イノデアリマス(拍手)而シテ
其選擧競爭ノ有樣ヲ見マスルト、恰モ我ガ
衆議院ニ於ケルト同一デアリマス、是ガ果
シテ貴族院ヲ置カレタル所ノ趣意ニ副フト
言ヘルノデアリマセウカ(拍手)又選バレテ
貴族院議員ニナラレタ御方モ、黨ヲ結ビ派
ヲ分チ、甚シキニ至ッテハ黨議拘束ノ制マデ
用キラレテ居ルノデアリマス(拍手)蓋
シ黨議拘束ノ制ハ、憲法ノ多數決ノ趣
意ヲ〓覆スルモノデアリマシテ、貴族
院全體ノ意見ガ表ハレルト云フ譯ノモノデ
ハアリマセマ、唯少數幹部ノ束縛ニ依ッテ行
動スルモノデアリマスカラ、貴族院ノ意見
ガ何レニ在ルカ、殆ド判斷ニ苦ムヤウナ次
第デアル(拍手)是ガ果シテ貴族院ヲ設ケラ
レタル所ノ精神デアルト言ヘルノデアリマ
セウカ、私ハ之ヲ考ヘマスレバ、貴族院ノ
改正ト云フコトハ貴族院ノ有識ノ御方ガ
仰セラレル通リデアラウト思フノデアリマ
ス、況シテ斯ノ如キ伯子男爵ノ議員ガ百六
十五人アルト云フコトデアリマス、卽チ皇
族十五ノ御方ヲ除キマシテハ、貴族院全體
ノ四割三步强ヲ占メテ居ルノデアル、弘
伯子男爵ノ御方々ガ、必ズシモ他ニ劣ノテ居
ルト云フコトヲ申スノデハアリマセヌ、否
伯子男爵ノ御方々ハ、私共ノ尊敬スル御方
ガ非常ニ多イノデアリマス、併ナガラ私ハ
今ノ選擧母體ノ事ト言ヒ、且又黨議拘束ノ
事ト云ヒ、不滿ニ堪ヘヌ次第デアリマス、斯
ノ如キ次第デアリマスカラ、貴族院ノ伯子
男爵ノ互選制度ニ付キマシテハ、十分ニ當
局ノ御考慮ヲ望ミタイノデアリマス(拍手)
貴族院令ノ第五條ニ依リマシテ勅選セラレ
タル御方ハ無論華族ノ中ニモアリマス、卽
チ子爵ノ四五人、男當ニ十人近クノ御方ガ
アルト私ハ覺エテ居ル此華族ノ御方ヲ除
キマシテ、他ニ勅選セラレル所ノ者ハ、其勳
功ハ未ダ以テ華族トスルニ足ラズト雖モ、
拔群ノ動功ガアッタ者デナケレバナラヌ、
又學識ニ付テモ同ジ事デアリマス、然ルニ近
頃ノ貴族院議員ノ選拔ヲ見マスト、國家ニ動功
ト云フコトヲ先ニセズシテ、先ヅ其内閣ニ
忠勤ヲ擢ンデタカ否ヤト云フコトヲ究メル
ノデアリマス、學識ノ方カラ見マシテモ、第
一流ノ人ハ其選ニ漏レテ、其内閣ニ特別ノ
働キヲシタ者ガ卽チ勅選議員ニナリマシ
テ、實際第一流ノ學者ハ漏レルコトガ多イ
ノデアリマス、是ガ果シテ貴族院ノ勅選議
員ヲ設ケタル趣意デアリマセウカ、次ニ勅
選議員ハ終身デアリマス、終身デアリマス
カラ日進月步ノ我ガ帝國ノ今日ノ場合、後
進ノ途ヲ開クコトハ出來ナイノデアリマ
ス、ノミナラズ非常ニ頽齡ノ御方マデ
モ、尙ホ貴族院ニ席ヲ列セラレルニ於キマ
シテハ、私ハ果シテ貴族院ヲ置カレタル御
趣旨ニ副フト云フコトガ出來ルカ、疑ナキ
能ハヌ(拍手)且又勅選議員ヲ終身ト致シマ
シタニ付キマシテ、非常ナ矛盾ガアル何
故ナラバ、動功ニ依ッテ伯子男爵トナッタ者
ハ七年ノ年期デ互選セラレ、而シテ動功
未ダ華族トスルニ足ラヌ者ガ終身議員デア
ル、此間非常ナ矛盾ガアリハシナイカト私
ハ考ヘル、(拍手)又多額納稅議員ノ如キ、是
ハ此制度ヲ設ケル當時ニ於テモ、既ニ非常
ナル議論ノアッタコトデアリマシテ、外國ノ
例ニ依ッテ之ヲ設ケラレタヤウナモノノ、其
實跡ヲ考ヘマスト、甚ダ其當初ノ目的ニ副
ハザルモノガ多イ、現ニ之ヲ最モ熱心ニ唱
ヘラレタル所ノ伊藤公ノ如キモ、失敗デアツ
タト云フコトヲ言ハレ夕程デアリマス、多
額納稅者ハ既ニ衆議院議員トナリ、且又衆
議院議員ノ選擧ノ權ヲ持ノテ居ラレル以上、
之ヲ除クコトニ付キマシテハ何等御異存ハ
無イコトヽ思フノデアリマス、(拍手)又歲費
ノ事モ、各國ノ例ヲ調ベテ見マスト、貴族
院議員ニ歳費ヲ給スル處ハ至ッテ少ナイノ
デアリマス、或ル樞密顧問官ヨリ承リマス
ト、貴族院ガ今日ヲ致シタル所以ノモノハ、
歲費ノ崇リデアル、速ニ歲費ヲ廢セバ、貴族
院ノ改革ハ自ラ成ルト云フコトヲ言ハレマシ
夕(拍手)私ハ貴族院ノ內情ニハ一向疎イ者
デアリマスガ、此一言ヲ諸君ニ絡介シテ、私
ノ責ヲ寒ギタイト思ヒマス(拍手)以上ノ次
第デアリマスカラ、私共ガ貴族院制度ノ改
革ヲ絕叫スルト云フコトガ果シテ非デアリ
マセウカ、非望ヲ懷クト云フ御咎メヲ受ケ
ナクテハナラヌデアリマセウカ、國民ガ貴
族院制度ノ改革ヲ要求スルノ熱心ナル事實
ヲ擧ゲテ、諸君ノ前ニ披瀝致シマシタナラ
バ、諸君ハ必ズ御了解ナスッタコトヽ思フノ
デアリマス(拍手)最後ニ私ハ申上ゲタイ事
ガアル(「委員長ニナレ」ト呼フ者アリ)私
ハ決シテ委員長トナル資格ハアリマセヌ、
私ハ唯貴族院制度ニ付キマシテ、私共ノ所
見ヲ述べ、政府ニ對シテ建議案ヲ出サント
スルノデアリマス、私共ハ建議ノ權能ガア
ル、義務ガアルト信ズル、何故デアルカ、既
ニ帝國議會ハ貴衆兩院ヲ以テ成ル、貴衆兩
院ハ車ノ兩輪ノ如キモノデアル、車ノ兩輪
ノ如キモノデアリマスカラ、其一輪ニ或ル缺
陷ガアリマシタナラバ、他ノ一輪ヲ以テ帝
國議會ハ大道ヲ行クコトハ出來ナイノデア
リマス、故ニ一輪ニ缺陷ガアリマシタナラ
其缺陷ヲ直スト云フコトヲ註文スルコ
トハ決シテ無理ナ注文デハナカラウト思
ヒマス(「兩輪トモ缺陷ガアル」ト呼フ者ア
リ)無論此兩輪共ニ缺陷ガアルカ知レナイ、
故ニ吾々衆議院ハ第一議會ヨリ今日ニ至ル
R〓、其缺陷ヲ發見スル每ニ衆議院ノ組織
ニ關スル法律、卽チ衆議院議員選擧法ノ改
正法律案ヲ出シマシテ、此缺陷ヲ補フコト
ヲ試ミテ居ル、私等ノ調ベル所ニ依リマス
ルト、第一議會ヨリ今日ニ至ルマデ、衆議院議
員選擧法改正案ヲ提出シタモノ八十三件ノ
多キニ達シテ店マス、政府モ亦衆議院議員
選擧法ノ改正ニ付キマシテハ數囘ノ提案
ヲ試ミ、或ハ調査會ナドモ設ケテ居ルモノ
デアリマス、然ルニ貴族院ハ如何デアリマ
セウ、貴族院ハ具體的ノ案ヲ以テ改良ヲ試
ミタコトガ果シテ幾度アルデアリマセウ
カ、貴族院ハ自ラ貴族院ノ改革ヲ企畫スベ
シト云フヤウナ說ガアリマスガ、是ハ今日
マデノ經驗ニ依レバ、百年河〓ヲ俟ツト同一
デハアリハシマイカ(拍手)况ヤ貴族院ハ貴
族院令ノ改正ニ付キマシテハ、全然衆議院ト
同ジ地位ニ在ルノデアリマス、衆議院ハ貴
族院令ノ改正ニ付キマシテハ、建議ノ權ダ
ケシカナイノデアリマス、而シテ是ハ貴族
院モ同ジ事デアリマス、貴族院ハ衆議院ト
同ジク自ラ勅合ノ發案權ヲ持タヌノデアリ
マツ、貴族院ガ自ラ貴族院改革ノ案ヲ出サ
ウト致シマシテモ、發案ノ權ガナイ、發案
權ノナイ貴族院ニ對シ、自ラ改良案ヲ出セ
ヨト云フコトハ、是ハ少シ無理ナ話ダト私
ハ思フノデアリマス、故ニ吾々ノ有スル所
ノ權能ニ依ッテ、政府ニ適當ノ案ヲ定メテ、
之ヲ提出スルヤウニ建議スルノガ、卽チ吾
吾ノ權利デアリ且ツ又義務デアルト思ヒマ
ス(拍手)先刻某代議士ヨリ調査會ノ動議ガ
起リマシタガ、是ハ否決シタコトデアリマ
スカラ、之ニ言及スルト云フコトハ、議院
法ノ原則ニ背クノデアリマスガ、衆議院ニ
對シテ具體案ヲ拵エロト云フコトハ卽チ
勅令ヲ衆議院ニ於テ發案センコトヲ求ムル
モノデアルト私ハ思フノデアリマス(拍手)
私ハ既ニ明治三十一年ヨリ調査ニ著手シ、
旣ニ貴族院令ニ對シテハ相當成案ヲ持ッテ
居ルノデアリマス、併ナガラ之ヲ提案シナ
イノハ、前述ノ理由ニ基クノデアリマス、決
シテ案ガ無イノデハナイノデアリマス(拍
手)又貴族院議員ノ御方〓ノ中ニハ、斯ウ云
フヤウナコトヲ言ハシル御方ガアルト云フ
コトヲ承シテ居ル、卽チ貴族院ノ事ハ貴族院
自ラ之ヲ決スベシト云フノデアリマス、此
精神ヲ貫徹セラレヤウトシタナラバ、衆議
院選擧法ニ付キマシテモ、貴族院ハ衆議院
ノ先議權ヲ法律上ノ先議權デハアリマ
セヌ、衆議院ニ於テ定メタ所ノ意見ヲ尊重
シ、十分ニ衆議院ノ意見ヲ容レラレルコト
ガ當然デアラウト思フノデアリマス、斯ノ
如ク致サレタナラバ衆議院モ亦貴族院ノ
態度ヲ尊重致スコトガ出來ルノデアリマセ
ウガ、事實ハ果シテ如何デアリマセウ、吾々
ガ選擧法ノ改正案ヲ提出致シマシテ、貴
族院ニ送ッ夕場合、貴族院ガ握リ潰シノ名譽
ヲ下シタル議案ガ十四回、否決セラレタモ
ノガ七囘アル、甚シキニ至ッテハ衆議院ガ小
選區制ヲ唱ヘテ、貴族院ニ送リマシタ場合
ニ於テ、貴族院ハ大選舉區デナケレバイケ
ナイト云フコトヲ言ハレ、又衆議院ガ納稅
資格ヲ五圓ニ低下センコトヲ要求シタニ對
シテ、貴族院ハ十圓デナクテハナラヌト云
フコトヲ申出サレ、是ガ爲ニ兩院協議會ヲ
開キ、其結果議案ガ不成立ニ終シタト云フ
ヤウナ場合モアルノデアリマス、貴族院ハ
斯クマデニ衆議院ノ自ラ有スル所ノ權能ニ
對シテ-無論協賛ノ權限ハ同一デアリマ
スケレドモ、貴族院ハ衆議院ノ組織ニ關シ
テマデモ、莫大ノ干涉ヲ爲サレテ居ルノデ
アリマス(拍手)殊ニ先年普通選擧案ヲ提出
致シマシタ場合ニ於キマシテモ、貴族院ハ再
ビ斯ノ如キ法案ハ貴族院ノ門ニ入ルベカラ
ズナド公言セラレタ者ガアルコトハ當時
ノ新聞ニモ明ニ記載セラレテ居リマス、事
實ノ保證ハ致シマセヌガ、斯ノ如キコトハ
卽チ吾々ノ發案權ニ對シテ非常ナ侮辱ヲ與
ヘルモノデアリマシテ、衆議院ガ貴族院令
ノ改正ヲ政府ニ建議スルガ如キハ、之ニ比
ベマシテハ微々タル事アデルト私ハ思フノ
デアリマス(拍手)私ハ斯ノ如キ理由ニ依リ
マシテ、政府ガ速ニ適當ノ案ヲ具シテ、貴
族院令ノ改正ヲ貴族院ニ提出セラレンコト
ヲ望ムノデアリマスガ、此際政府ニ對シテ
一ノ希望ガアル、其布望ハ何デアルカト申
セバ、貴族院ト衆議院ト衝突致シタ場合ハ、
如何ニ之ヲ處置スルカ、貴族院ト政府ト衝
突致シタ場合、如何ニ之ヲ處置スルカ、英
國ナドデハ既ニ數回苦イ經驗ヲ官メテ居リ
マジテ、遂ニ御水知デモアリマセウガ、千
九百十一年ノ法律ニ依ッテ、財政案ハ二回、
法律案パ三回、衆議院ヲ通過致シマシタナ
ラバ貴族院ノ協賛ヲ經ズシテ法律トナル
ト云フコトヲ制定致シテ、遂ニ其問題ヲ解
決致シマシタガ、今日衆議院ヨリモ遙ニ莫
大ノ權力ヲ有セラルヽ所ノ貴族院ガ、斯ノ
如キ法案ニ同意セラルヽコトハ夢ニモ思
ハヌコトデアリマス、果シテ然ラバ如何ニ
シテ此問題ヲ解決スルコトガ出來ルデアラ
ウカ、私ハ貴族院令ガ遠カラズ貴族院協賛
ヲ經ベク提出サレルコトヲ思ヒ、且又普選
案ガ衆議院ヨリ貴族院ニ送付セラルヽコト
ヲ思ヒマスカラ、政府ハ貴族院令ノ改正ニ
著手セラルヽニ當リマシテハ、此問題ニ付テ
深ク〓究ヲ遂ゲラルヽコトガ必要デアラウ
ト云フコトヲ政府諸公ニ申上ゲテ置クノデ
アリマス、終リニ臨ンデ私ハ更ニ一言致シ
マツ、此問題ハ決シテ黨派問題デナイノデ
アリマス、私ハ國家百年ノ後ヲ思ヒ、而シ
テ今日ノ民情ニ鑑ミテ提出致シタルモノデ
アリマス、此問題ガ速ニ解決スルト解決セ
ザルトハ、天下民心ニ至大ノ影響ガアルト
云フコトヲ思フノデアリマス(拍手)故ニ私
派ノ異同ヲ論セズ、本日此所ニ列セラ
レタル諸君ハ勿論、又傍聽席ニ居ラルヽ一
千內外ノ聽衆モ必ズ吾輩ト御同感デ、現內
閣ヲ後援シテ必ズ此問題ノ解決ヲ期セラル
ルコトヲ信ジテ疑ハヌ次第デアリマス(拍
き
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=185
186・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　岡田忠彥君
〔岡田忠彥君登壇拍手起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=186
187・岡田忠彦
○岡田思彥君　私ハ贊成ノ意見ヲ申述ベマ
ス、今日ノ政治ヲ一層廣汎ナル基礎ノ下ニ
置クト云フコトハ我國ニ於テ急進論者ト
然ラザルトヲ問ハズ、今日政治界ニ於ケル
大勢デアリマス(拍手)此大勢ハ實ニ我ガ政
治史上ニ於ケル最モ重大ナル政治運動ノ一
デアルト信ジマスル、獨リ政治ノ運動タル
ノミナラズ、此運動ハ實ニ國民ノ大ナル精
神的ノ運動デアリマス(拍手)此運動ハ卽チ
國民ヲシテ各、國家ノ重キニ任ゼシメテ、
各人ヲシテ相倚リ相扶ケテ國難ニ當ルト云
フ所ノ大ナル精神的ノ運動デアリマス、卽
チ此運動ハ大正維新ノ第一ノ主義デナクテ
ハナラヌ、又同時ニ大正維新ノ出發點デア
ルト私ハ信ズルノデアル此精神ガ過日ノ
選擧運動ノ際ニ於テモ、我國ノ津々浦々ニ於
テ唱道セラレタルコトハ我ガ日本國民ノ
將來ノ意氣ヲ發揮スル上ニ於テ、私ハ甚ダ
慶賀スル者デアリマス(拍手)此大ナル雰圍
氣ノ外ニ孤立セント欲スル者ハ、自ラ傷キュ
自ラ斃ルヽ者デアリマス、若シ政府ニシテ
此精神ヲ忘却スルナラバ、其政府ハ論ズル
ニ足ラザルモノデアル若シ貴族院ニシテ
此精神ヲ解シ得ザルナラバ、其貴族院ナル
モノハ自ラ傷キ自ラ或ハ斃ルヽ者デル、若
シ政黨ニシテ此精神ヲ解セザルナラバ、其
政黨ハ白ラ破壞スル者デアル(拍手)我ガ貴
族院ニシテ萬一特權無解散ノ城廓ニ依)テ、
或ハ內閣ノ製造係ヲ勤メタトカ、或ハ殊更
ニ些細ナ事ニ至ルマデ故障ヲ付ケテ、國連
ヲ阻碍スルモノデアルト云フ所ノ風評疑惑
ダニ生ズルコトハ私ハ我ガ神聖ナル貴族
院ノ前途ノ爲ニ甚ダ惜ムモノデアル(f)
手)若シカ斯ノ如キ風評ガ絕エズ存續スル
ニ於テハ彼ノ保守的ノ國家ヲ以テ任ズル
所ノ英國ノ憲法史ヲ繙イテ見テモ、我政治
將來ニ對シテ私ハ非常ナル憂慮ヲ禁ジ得ナ
イノデアリマス、併ナガラ私ハ貴族院ノ制
度ヲ敢テ否認スルモノデハナイ、今日此貴
族院ノ第二院トシテ存在スルコトニ付テ
ハ非常ナル必要ヲ覺エルモノデアリマス、
卽チ今日程貴族院ガ其能力ヲ發揮スル時ハ
ナイト信ズルノデアル(「役人ニ分ルカ」ト
呼フ者アリ)默ッテ聽キナサイ、貴族院ノ
本領トスル所ハ何デアリマスカ、卽チ我ガ
國憲ノ緩和劑トナリ大局ニ鑑ミテ或ハ民
心ノ暢達ヲ計リ、或ハ民論ノ緩和ヲ圖ルト
云フ點ガ、卽チ貴族院ノ權能ノ最モ重大ナ
ルモノデアル、今日此政局不安定ニシテ思
想ノ動搖シ、我ガ國家ノ進路ニ對シテ樣々
ノ重大案件ノ橫ハル場合ニ於テ始メテ貴
族院ナルモノガ其重大ニシテ神聖ナル權能
ヲ發揮シ得ルノデアル、然ルニ今日ノ貴族
院ナルモノノ組織ハ果シテ此重大ナル權
能ヲ遂行スルニ足ルヤ否ヤ、私ハ現在ノ貴
族院ノ爲ス所ニ對シテ敢テ批評ヲ加ヘルモ
ノデハナイ、唯〓今日ノ組織ナルモノガ果
シテ之ニ堪ヘ得ルカ否カヲ疑フノデアリマ
ス、卽チ貴族院ノ殊ニ華族ヨリ出テ居ラレ
ル所ノ諸公ノ數ヲ見ルニ五人ニ付テ一人
ノ割合ヲ以テ選出サレテ居リマス、若シ一
戶平均五人アルトシテ其數ニ之ヲ充テル
ナラバ二十五人ニ一人ノ議員ヲ出シテ居
ルノデアル我ガ衆議院ニ於テハ十三万人
ニ付テ僅カ一人ノ代議士ヲ出シテ居ル又
之ヲ議員ノ定數ニ割當テヽ見テモ、四千五
百人ニ付テ一人ノ代議士デアル、諸君、此
點ハ大ニ吾々ノ論議スベキ點デアルト思フ
ノデアル吾々ハ華族諸君ガ-殊ニ父視
ノ榮爵ニ依シテ其位置ヲ得テ居ラルヽ方々
ガ皇室社會ヨリ相當ノ尊敬ヲ受クルニ付
テハ敢テ異議ヲ言フモノデハナイ、然レ
ドモ貴族院ナルモノガ唯〓之ヲ貴ビ、之ヲ重
ンズルト云フ精神デハナイ、卽チ衆議院貴
族院相竝ンデ國家ノ圓滿ナル國憲ノ連用ヲ
圖ルモノデアル卽ヲ其能力ニ重キヲ置カ
ナケレバナラヌ、父祖ノ榮爵ニ依リ僅ニ其
地位ヲ保チ得テ居ル所ノ人ニ於テ五人ノ
中ニ一人ヲ選フト云フコトニ依ノテ、果シテ
十分ナル能力ノ人ガ出デ得ルカドウカ十
手)此點ヲ言フノデアル又互選規則ノ如
キ萬國ニ兄ザル所ノ惡法ト信ズルノデア
ル、其他多額議員ノ廢止ノ件、公侯爵ノ世
襲ヲ廢スルノ件、勅選議員ノ定年ヲ設ケ、
若クハ詮衡ノ法ヲ設クルノ件、是等ノ點ニ
付テモ大ニ今日ニ於テ考慮ヲ費スベキ事ト
私ハ信ズル、之ヲ要スルニ今日ノ政局ハ不
安定デアル、從來ノ內閣ノ諸公ハ、徒ニ政
權ニ戀々トシテ、斷乎タル國策ヲ樹テルコ
トヲ怠ッテ居ッタノデアル(拍手)又從來ノ政
費動モスレバ黨利堂權ニ其目ヲ晦マシ
テ居シタノデアル、是ガ爲ニ政黨正シカラザ
ルガ爲ニ、我國ノ民心ハ將ニ倦怠ノ極ニ達
シテ居ル、又國策ニ於テモ非常ナル行詰リ
ヲ來シテ居ル今吾々ハ人心ヲ一新スルコ
トヲ以テ最大ノ急務トスルノデアル(拍手)
卽チ一面ニ於テ衆議院ニ於テハ普通選舉
ヲ實行シ、一面ニ於テハ民意ヲ了解シ得ベ
キ所ノ組織ニ貴族院ヲ改正致シテ、兩制度
相俟ノテ斷行スルコトハ卽チ大正更始一
新ヲ行フ所以デアリ、我ガ國民ノ精神ヲ一
新スル所以ト信ズルノデアリマス此點ニ
於テ贊成ヲ表シマス(拍手起ル)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=187
188・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　此際松田源治君ヨリ
發言ヲ求メラレテ居リマス-松田源治君
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=188
189・松田源治
○松田源治君　吾々ハ此重要案ヲ愼重審議
ノ爲委員付託ノ動議ヲ出シタノデアル只
今賛成者ノ意見ヲ聞キマスト、吾々ノ委員
付託ニスルト云フコトガ益、こ必要ニナッタ
ノデアリマス、吾々ノ委員付託ノ動議ハ遺
憾ナガラ否決サレタル以上ハ最終ノ日ニ
急速上程シテ、直ニ決スルト云フヤウナ輕
卒ナル取計ヲスルト云フコトハ反對スルノ
デアリマス、以上ノ趣意ニ依シテ卽決可決
ニ反對致シマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=189
190・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　是ニテ討論ヲ終結致
シマシテ、採決ヲ致シマス、採決ニ付テハ
箕浦勝人君外三十四名ヨリ記名投票ヲ以テ
採決ヲ望ムト云フ要求ガアリマス記名投
票ニ依シテ採決致シマス、豫メ投票ノ方法ヲ
申上ゲマス本案ニ贊成ノ諸君ハ白票デア
リマス、反對ノ諸君ハ靑票デアリマス是
ヨリ記名投票ヲ行ヒマス閉鎖
〔中御門書記官氏名ヲ點呼ス〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=190
191・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　投票漏ハアリマセヌ
カ-投票漏ナシト認メマス-開匣
開鎖
〔田口書記官投票ノ數ヲ計算ス〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=191
192・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　投票ノ結果ヲ御報告
致シマス
〔中村書記官長朗讀〕
投票總數三百七十三
可トスル者白票二百九十六
否トスル者青西示七十七
〔拍手起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=192
193・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　只今ノ結果ニ依リマ
シテ、本案ハ可決セラレマシタ
〔參照〕
箕浦君提出建議案ヲ可トスル議員ノ氏名
左ノ如シ
井本常作君石川安次郞君
石塚三郞君石黑大次郞君
飯塚春太郞君土生彰君
早速整爾君服部英明君
原脩次郞君橋本喜造君
戶田由美君戶澤民十郞君
大里廣次郞君大濱忠三郞君
大津淳一郞君大島要三君
太田信治郞君小野重行君
岡本實太郎君岡部次郞君
奧村千藏君片岡直溫君
川崎安之助君河波荒次郞君
加藤政之助君加藤鯛一君
加藤六藏君加藤十四郞君
金澤安之助君金田平兵衞君
神谷彌平君神田正雄君
神部爲藏君橫山勝太郞君
橫山金太郞君橫山一格君
吉川吉郞兵衞君吉原義雄君
吉田磯吉君賴母本佳吉君
武內作平君武富濟君
田中萬逸君田中武雄君
田中善立君高田耘平君
高橋元四郞君谷口宇右衛門君
谷口源十郞君建部遯吾君
俵孫一君永田善三郞君
永井柳太郞君中原德太郞君
中村貞吉君中谷貞賴君
中野寅吉君中野正剛君
中野害村上國吉君
村上紋四郞君村上喜一郞君
生方大吉君內ヶ崎作三郞君
野村嘉六君黑田重兵衞君
栗延敬太郞君工藤鐵男君
八並武治君山宮藤吉君
山枡儀重君山道襄一君
山田又司君山田助作君
山田道兄君山本勝次君
山本厚三君松井郡治君
松本忠雄君松田三德君
丸山五郞君町田忠治君
古屋慶隆君降旗元太郞君
藤澤幾之輔君藤井敬慎君し
小島證作君小泉又次郞君
小寺謙吉君小山松
小西和君小池仁郞君
木檜三四郞君河野曉君
近藤重三郞君紺野九右衞四君
寺島權藏君手代木隆吉君
淺賀長兵衞君淺川浩君
阿由葉勝作君靑木知四郞君
荒井建三君荒川五郞君
安達謙藏君蟻川五郞作君
作間耕逸君佐竹庄七君
佐藤實君佐藤球三郞君
齋藤隆夫君齋藤太兵衞君
齋藤仁太郞君齋藤金吾君
柵瀨軍之佐君澤田利吉君
木村小左衞門君由谷義治君
三木武吉君三橋四郞次君
箕浦勝人君下元鹿之助君
〓水留三郞君信太儀右衞門君
鹽田團平君重松重治君
廣瀨德藏君平川松太郞君
廟口秀雄君比佐昌平君
望月小太郞君栗山博君
闘矢孫一君關和知君
關俊吉君杉浦武雄君
鈴置倉次郞君鈴木富士彌君
菅原英伍君菅村太事君
磯部尙君岩崎幸治郞君
岩崎動君石井謹吾君
石井三郞君今井健彥君
飯村五郞君井上敬之助君
生田和平君八田宗吉君
秦豐助君西澤定吉君
西方利馬君堀切善兵衞君
細梅三郞君傍士定治君
長田桃藏君大竹謙治君
岡田伊太郞君岡崎邦輔君
小川平吉君若尾幾太郞君
渡邊伍君渡邊祐策君
加藤兼松寅太郞君
笠原河上哲太君
吉津吉田眞策君
竹原電話書籍附近小児竹内友治郞君
田邊田中定吉君
高井高山長幸君
高橋熊次郞君土屋〓三郞君
中島守利君中村巍君
中村〓造君武藤金吉君
內田信也君內野辰次郞君
野田卯太郞君野田俊作君
來栖七郞君熊谷巖君
熊谷直太君黑住成章君
矢野鉉吉君山本悌二郞君
山本条太郞君山口義一君
山口恒太郞君山内範造君
山下谷次君前出米藏君
松本眞平君松山常次郞君
二木洵君藤田胸太郞君
藤田包助君藤澤萬九郎君
藤川〓助君古川〓君
木暮正一君小久保喜七君
靑木精一君靑柳郁次郞君
赤間嘉之吉君東武君
榊原經武君佐々木文一君
佐々木春作君坂井大輔君
坂梨哲君木戶豐吉君
宮崎三之助君宮本逸三君
三善〓之君三土忠造君
志賀和多利君嶋居哲君
廣瀨爲久君望月是非は
瀨沼伊兵衛君鈴木隱居
菅原傳君隅田豐吉君
板野友造君井上利八君
林田逸太郞君馬場義興君
濱田國松君西村丹治郞君
星島二郞君富永孝太郞君
土井權大君土居通憲君
大口喜六君高木正年君
高島兵吉君田崎信藏君
植原悅二郞君山本芳治君
小橋藻三衞君古島一雄君
秋田〓君齋藤眞三郞君
〓瀨一郞君湯淺凡平君
關直彥君砂田重政君
井上雅二君今里準太郞君
磯部保次君坂東幸太郞君
西岡竹次郞君岡田忠彥君
岡田溫君奧野小四郞君
若宮貞夫君若尾璋八君
高鳥順作君長岡外史君
永田新之允君武藤嘉門君
浦山助太郞君畔田明君
山口政二君增田義一君
藤井忠兵衞君小屋光雄君
手塚正次君秋田寅之介君
齋藤藤四郞君佐々木平次郞君
宮島幹之助君平井光三郞君
森〓昶君杉宜陳君
鷲野米太郞君河崎助太郞君
前野芳造君小林彌七君
古林喜代太君猪野毛利榮君
高木益太郎君中野猪之助君
町野武馬君福田五郞君
深井功君安藤正純君
有馬賴寧君菊池謙二郞君
箕浦君提出建議案ヲ否トスル議員ノ氏名
左ノ如シ
井上虎治君池田泰親君
石原正太郞君岩切重雄君
鳩山一郞君原惣兵衞君
原夫次郞君堀喜幸君
富田愿之助君床次竹二郞君
東〓實君千葉宮次郞君
陣軍吉君折原巳一郞君
小島善作君小野寅吉君
大園榮三郞君川原茂輔君
河崎〓君加藤久米四郞君
加藤鐐五郞君柏田忠一君
吉村伊助君吉植庄一郞君
吉松忠敬君高橋光威君
高木第四郞君賣之通君
丹下茂十郞君田中隆三君
谷原公君土屋興君
筒井民次郞君津崎尙武君
中村四郞兵衞君中村啓次郞君
中村嘉壽君中林友信若
中山貞雄君長峰與一君
成田榮信君道場平君
上原好雄君上埜安太郞君
梅田寛一君則元由庸君
野村治三郞君熊谷五右衛門君
藏園三四郞君栗林五朔君
八木逸郞君前田房之助君
前田兼實君牧山耕藏君
牧野良三君松田源治君
福井甚三君麓純義君
小泉辰之助君小橋一太君
古林新治君櫻内幸雄君
佐藤重遠君木下謙次郞君
岸本賀昌君宜保成晴君
三輪市太郞君宮崎友太郞君
志村〓右衞門君〓水市太郞君
〓水長〓君島本信二君
東幸治君元田肇君
石坂豐一君堀田義次郞君
高木音藏君佐藤潤象君
〔拍手起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=193
194・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　此際一言致スコトガ
アリマス、先刻牧野君ノ御發言ニ對シマシ
テ、鈴木富士彌君ヨリ、其中ノ或ル部分ニ
對シテ取消ヲ求メラレタノデアリマス、此事
ニ付キマシテ議長ノ手許ニ於キマシテ其部
分ノ速記ヲ一讀致シマシタ其言葉ハ政界
ニ於ケル有ユル-ニ對シテ重大ナル責任
者デアルト云フコトヲ自覺シナケレバナラ
メ斯ウ云フ言葉ヲ用ヰラレテ居ルノデアリ
ママ、是ハ議長ノ考ト致シマシテモ甚ダ穩
當ナラズト認メマスルカラ、此點ヲ取消ヲ
命ジマス
〔「居ナイ」「居ナイ」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=194
195・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　兎ニ角日程ニ入リマ
ス、日程第三十七乃至第三十八ハ同種ノ議
案デアリマスカラ、一括シテ議題ト爲スニ
御異議アリマセヌカ
「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=195
196・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　御異議ナシト認メマ
ス、卽チ日程第三十七、肥前山口附近諫早
間鐵道速成ニ關スル建議案、日程第三十八、
肥前山口附近諫早間鐵道速成ニ關スル建議
案右兩案ヲ括シテ議題ト爲シ、各別ニ
提案者ノ趣旨辯明ヲ許シマス、日程第三十
七ニ付テハ橋本喜造君ガ趣旨辯明ヲセラレ
マス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=196
197・山口義一
○山口義一君　營業稅廢止ノ委員會ヲ開キ
タイト思ヒマスカラ御許シヲ願ヒマス、委
員諸君ハ御參集ヲ願ヒマス
第三十七肥前山口附近諫早間鐵道速
成ニ關スル建議案(西英七郎君外四
名提出)
肥前山口附近諫早間鐵道速成ニ關スル
建議案
肥前山口附近諫早間鐵道速成ニ關ス
ル建議
本線ハ長崎線肥前山口附近ヨリ同線諫早
驛ニ達スルモノニシテ國際幹線トシテ日
支聯絡ヲ完全ニシ人文ノ開發產業貿易ノ
發展上極メテ緊要ノ地域ヲ占ムルモノナ
リ依テ速ニ之カ敷設ヲ富行セラレムコト
ヲ望ム
右建議ス
第三十八肥前山口附近諫早鐵道速成
ニ關スル建議案(西岡竹次郞君提出)
肥前山口附近諫早間鐵道速成ニ關スル
建議案
肥前山口附近諫早間鐵道速成ニ關ス
ル建議
東京ヨリ下ノ關門司ヲ經テ長崎ニ至リ更
ニ長崎ヨリ上海ニ達スル線路ハ所謂國際
的幹線トシテ世人ノ知ル所ナリ然ルニ東
京下ノ關及長崎上海間ハ稍完備セルモ關
門海峽竝長崎線肥前山口驛附近ヨリ同線
諫早驛ニ達スル間ハ極メテ不完全ニシテ
爲ニ方今支那貿易又ハ南洋貿易ニ一大障
礙ヲ來シツツアリ依テ政府ハ速ニ右區域
間ノ完成ヲ遂ケ以テ國際的幹線ノ機能ヲ
發揮シ對外貿易ニ資セラレムコトヲ望ム
右建議ス
〔橋本喜造君登壇、拍手〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=197
198・橋本喜造
○橋本喜造君　諸君、此建議案ハ所謂九州
ニ於テ不田線ト稱スル所ノ有名ナル鐵道デ
アリマス面シテ此線路ハ佐賀縣山口附近
ヨリ長崎縣諫早ニ至ル所ノ線路デアリマス、
此線路ガ完成致シマシタナラバ、時間ニ於
テ約一時間、里程ニ於テ二十哩節約ヲ爲ス
コトガ出來ルノデアリマス政府ニ於キマ
シテモ旣ニ其必要ヲ認メマシテ長崎上海
間ノ連絡ニ於キマシテハ多大ナル補助金
ヲ出シマシテ、優秀ナル快速力ノ汽船二艘
ヲ以テ此連絡ヲ致シテ居ルノデアリマス
御承知ノ通リ既ニ日本ノ幹線ニ於キマシテ
東京ヨリ下關ニ至ル所ノ鐵道ノ線ガ幹
線デアリマス、此中間卽チ門司カラ長崎ニ
至ル所ノ中間線「インターメヂエートメン
ライン」此線ニ於キマシテ、徒ニ大村灣
ヲ迂廻致シマシテ、サウシテ今ニ舊態ヲ改
メズシテ此迂廻線ヲ取シテ居ルノデアリマ
ス、故ニ此鐵道ヲ完成スルコトニ付キマシ
テハ憲政會ハ言フニ及バズ、政友會、中正
倶樂部モ又政友本黨ニ於キマシテモ、私
ノ案ト同等ノ建議案ヲ出シテ居ルノデアリ
マス、斯ノ如キ重要ナル建議案デアリマス
カラ、何卒皆サンノ御承諾ヲ求メマシテ
一日モ早ク者手セラレンコトヲ希望致シマ
シテ、建議案ト致シマシタ(拍手)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=198
199・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　次ハ西岡竹次郞君
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=199
200・西岡竹次郎
○西岡竹次郞君　只今橋本君カラ此理由ノ
說明ガアリマシタカラ、私ハ理由ノ說明ヲ
省略致シマス、橋本君ガ申サレマシタ通リ、
此線路ハ地方ノ利害、地方ノ繁榮策ト云フ
意味ノ線路デナクシテ是ハ我國ニ於ケル
國際輸送上必要ナル線路デアルノデアリマ
ス、多ク此鐵道ノ問題ハ、地方ノ運動ニ依シ
テ持ッテ來ルノデアリマスガ、此線路ハ長崎
縣或ハ佐賀縣ノ諸君ノ運動ヲ待ツ前ニ、旣
ニ政府當局ガ其事ヲ叫バレテ居ルコトニ依
リマシテモ、如何ニ緊急ナ線路デアルカト
云フコトガ明カデアリマス、故ニドウカ諸
君ハ卽決可決セラレンコトヲ希望致シマス
(「賛成」ト呼フ者アリ)政府當局ニ於カレマ
シテモ、財政緊縮ヲ叫ンデ居ラレル場合デ
アリマスケレドモ、對支問題ヲ控ヘテ居ル
重要ナル此線路デアリマス、故ニ速ニ之ヲ
開始スルヤウニ御運ビ下サルヤウニ御願致
シマス(「賛成」ト呼フ者アリ)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=200
201・作間耕逸
○作間耕逸君　此案ハ提案ノ趣旨ニ鑑ミ、
卽決可決セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「贊成」ノ聲起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=201
202・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ニ御尋致シマ
スガ、只今ノ御發議ハ日程第三十七ニ關シ
テヾアリマスカ
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=202
203・作間耕逸
○作間耕逸君　日程第三十七ニ付テデアリ
マス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=203
204・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　只今ノ作間君ノ動議
ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=204
205・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　御異議ナシト認メマ
ス、卽チ日程第三十七ハ可決セラレマシタ、
日程第三十八、西岡竹次郞君提出ノモノハ
只今可決セラレタ案ト同一デアリマス、仍
テ可決ノ意味ヲ以テ議決ヲ要セザルモノト
致シタイト思ヒマス、御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=205
206・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　御異議ナシト認メマ
ス、仍テ其通リ決シマシタ次ハ日程第三
十九、佐賀矢部川間鐵道速成ニ關スル建議
案ヲ議題ト致シマス、加藤十四郞君
第三十九佐賀矢部川間鐵道速成ニ關
スル建議案(加藤十四郞君外四名提
也
佐賀矢部川間鐵道速成ニ關スル建議案
佐賀矢部川間鐵道速成ニ關スル建議
本線ハ長崎線佐賀驛ヨリ物資集散ノ中樞
地タル福岡縣大川ヲ經テ肥筑大平野ノ要
區タル鹿兒島線矢部川ニ至ルモノニシテ
人支ノ開發產業ノ發展上極メテ緊要ノ地
域ヲ占ムルモノナリ依テ速ニ之カ敷設ヲ
實行セラレムコトヲ望ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=206
207・加藤十四郎
○加藤十四郞君　本建議ハ極メテ簡單デア
リマスカラ、此席カラ申シマス、佐賀矢部川
間鐡道速成ニ關スル建議案ノ說明ハ三點ニ
分レマス、第一ハ此地域ハ九州大平野ノ中
央ニ於ケル必要ナル部分ヲ占メテ居リマス、
而シテ表九州ノ最モ重要線ニナッテ居リマ
ス、而シテ海產豐富ナル有明ヲ後ニ控ヘテ
居リマス、ソレカラ其他ノ米麥或ハ指物、「セ
メント」、電氣機械等ノ產物ハ他ニ其比ヲ見
ザル程豐富ナル地域デアリマスルカラ、此
點ニ鑑ミルモ實ニ有望ナル線デアリマス
第二點ハ諸君御承知ノ通リ九州幹線ハ鳥
栖ニ於テ分岐シ、西スルモノハ長崎ニ至リ、
南スルモノハ鹿兒島線トナッテ居リマス、而
シテ佐賀、鳥栖、矢部川間ハ三十五哩アリ
マスルガ、佐賀、矢部川ノ直通ハ十五哩デア
リマス、距離ヲ短縮スルト同時ニ、速力ノ
點ニ於キマシテモ違ヒガアリマス、此意味
カラ致シマシテモ、此線路ノ有望ナルコト
ハ多言ヲ要セヌノデアリマス、第三點ハ此
地帶ソレ自身ガ有望ナルノミナラズ、國際
幹線タル所ノ彼ノ肥前山口諫早間、及熊本
大分間ノ横斷鐵道貫迪ノ曉ニハ此線路ノ建
設ト相俟クテ始メテ其能力ヲ十分ニ發揮ス
ルコトガ出來ルノデアリマス卽チ九州ノ
西北ノ方ヨリシテ、九州ノ東南ニ達スルモ
ノ、又南東ヨリシテ西北ニ達スルモノハ此
線ニ依ルヲ最モ便トスル次第デアリマス、
斯ノ如ク右三箇ノ必要ナル點ヲ具ヘテ居リ
マスカラシテ、四十五議會及四十六議會ニ
於テ十二年度ヨリ著手シ、十三年度ヨリ實
行スベキモノト云フ聲明ヲ與ヘラレタ通リ
ノ有望ナル線路デアリマスカラ、何卒此案
ヲ實現セシメラレンコトヲ切望致シマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=207
208・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ特ニ提案ノ趣旨ニ鑑
卽決ヲ以テ可決セラレンコトヲ望ミマ
ス
〔「賛成」「賛成」ノ聲起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=208
209・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作問君ノ動議ニ御異
議ナシト認メマス、仍テ動議ノ如ク決シマ
スト日程第四十、肥前國鐵道三線速成ニ
關スル建議案ヲ議題ト致シマス川原茂輔君
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=209
210・則元由庸
○則元由庸君　議長
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=210
211・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　則元由庸君
第四十肥前國鐵道三線速成ニ關スル
建議案(川原茂輔君外五名提出)
肥前國鐵道三線速成ニ關スル建議案
肥前國鐵道三線速成ニ關スル建議
肥前國平坦線ハ日支聯絡ニ關スル必要線
路ニシテ其ノ企圖セラレタルコト遠ク今
ヤ漸ク實行ノ機ニ達ス三國線ハ兩肥及筑
後ヲ聯絡スルモノニシテ九州横斷線トシ
テ最重要ノ路線タリ伊佐線ハ第一國防上
有要ノ路線ニ屬スルノミナラス海陸產業
ノ發展ハ此ノ線ニ依テ其ノ面目ヲ新ス
ヘシ當該三線路ハ旣ニ議會ノ協賛ヲ經テ
今ヤ實行ノ一アルノミ然ルニ現内閣ハ事
業繰延ヲ斷行セムトシ此ノ三線モ亦或ハ
其ノ中ニ包含セラレムトスルノ風評頻ニ
シテ關係地方ハ漸ク危惧ノ念ニ驅ラレム
トス政府ハ速ニ民意ノ趨ク所ヲ察シテ旣
定計畫ニ力ヲ致サレムコトヲ望ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=211
212・則元由庸
○則元由庸君　本案ハ肥前ノ國鐵道三線ノ
速成ヲ希望スル案デゴザイマス其第一ノ
平坦線ハ只今加藤君、西村君ニ依ッテ說明セ
ラレタ線ト同一デアリマス趣意モ同樣デ
アリマスルガ、唯、一言私ヨリ補ッテ置キマ
スノハ、今現ニ長崎ニ通ジテ居リマス此線
路ハ其間ニ四十分ノ一ノ急勾配ガアリマ
ス、面シテ大村灣ヲ迂囘致シマシテ蜿蜒ト
致シマシテ、到ル處ニ非常ナル曲線ヲ持ッテ居
リマスル、一度此線ニ乘リマシタナラバ是一
ガ支那ニ通ズル所ノ國際線デアルカト云フ
コトニ驚ク次第デアリマス、今此平坦線
ノ方ニナリマスルト云フト、其里程ニ於キ
マシテハ十七哩乃至十八哩マデノ間ヲ短ク
致シマスルケレドモ勾配ニ於キマシテハ百
分ノ一ニナッテ居リマス、ツレカラ曲線ニ於
キマシテハ殆ド少イノデアリマス、故ニ此
日支連絡ニ要シマスル鐵道線ト致シマシテ
ハ同線ヲ速成致シマセンケレバ到底十分
ナル效力ヲ發揮スルコトハ出來マセヌ、今
ヤ長崎港ニ於キマシテハハ既ニ郵船會社ニ
於キマシテ乘用船二艘ヲ以テ連絡致シテ居
リマスガ、單リ陸上ノ鐵道ニ於キマシテ遲
遲トシテ工事ガ進ミマセヌガ故ニ、吾々ノ
希望シテ居リマスル日支連絡ノ目的ヲ達セ
ヌ今日ノ現狀デアリマス、故ニ速ニ政府ハ
此線路ニ著手セラレンコトヲ希望致シマ
ス第二ノ目的ト致シテ居リマスル此建議
與所謂肥前三國線デアリマス只今
日程第三十九ニ付テ說明セラレマシタル通
リノ次第デ、九州ノ中央ヲ横斷致シマスル
線路デアリマスルカラ、是亦速ニ建設スベ
キモノデアリマス、第三ノ方ハ伊佐線ー唱
ヘテ居リマス、肥前ノ國伊万里ヨリ長崎縣
ノ佐世保軍港ニ接續スル線デアリマス是
ハ第一軍事上必要ナルノミナラズ、此沿線
ハ有名ナル伊万里港及平戶灣ヲ控ヘテ居リ
マス、到ル處漁場ヲ控ヘテ居リマス故ニ、是
ハ國防上及經濟上ヨリ申シマシテ、一日モ
忽ニスベカラザル線デアリマス、既ニ此線
ノ目論見ハ十四五年前ヨリ彼此レト建議ニ
依リマシテ著手スルコトニナッテ居リマツ
タガ、傳フル所ニ依リマスレバ此三線共ニ
ドウヤラ繰延ニナルヤウナコトヲ承ルノデ
アリマス、地方ノ者ハ勿論ノコト、是速成
ヲ希望シテ居リマス者ハ非常ナル危惧ノ
念ニ驅ラレテ居リマス、ドウカ政府ニ於キ
マシテ斯樣ニ有力ナル線路ニ付テハ連シ
御著手アランコトヲ切望致シマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=212
213・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ曩ニ本院ヲ通過シタ
ルモノト同樣ノ議案ナルニ依リ、卽決ヲ以
テ可決アランコトヲ希望致シマス
〔「賛成」「賛成」ノ聲起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=213
214・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ動議ニ御異
議ハナイト認メマス、仍テ動議ノ如ク決シ
マシタ-日程第四十一及第四十二ノ議案
ハ提出者同一デアリマスカラ、一括議題ニ
供スルコトニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=214
215・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　御異議ナシト認メマ
ス即チ日程第四十一北海道拓殖速進ニ
關スル建議案、日程第四十二、根室港修築
工事ニ關スル建議案、右兩案ヲ一括シテ議
題ト致シマス-小池仁郞君
第四十一北海道拓殖速進ニ關スル建
議案(小池仁郞君外五名提出)
北海道拓殖速進ニ關スル建議案
北海道拓殖速進ニ關スル建議
北海道ノ拓殖ヲ速進スル爲既定計畫ノ外
左ノ事業ニ對シ速ニ計畫ヲ定メ實行セラ
レムコトヲ望ム
鐵道敷設法ニ定メラレタル豫定線
ノ敷設
國費支辨ニ屬スル河川ノ治水及森
林ノ經營
商漁港ノ修築
國費支辨ニ屬スル道路橋梁
北海道大學ニ法文理科ヲ增設シ綜
合大學ノ完成及高等諸學校ノ增設
產業ノ振興ニ關スル施設
金融機關ノ完備
右建議ス
第四十二根室港修築工事ニ關スル建
議案(小池仁郞君外四名提出)
根室港修築工事ニ關スル建議案
根室港修築工事ニ關スル建議
根室港修築工事費ヲ追加計上シ防波堤內
ヲ浚渫セラレムコトヲ望ム
右建議ス
〔小池仁郞君登壇〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=215
216・小池仁郎
○小池仁郞君　私ハ只今議題ニナリマシタ
北海道拓殖速進ニ關スル建議案ノ說明ヲ致
シマス、北海道拓殖ニ關シテハ明治大帝ガ
深ク叡慮ヲ懸ケサセ給ヒテ、特ニ長官ニ對
シ御沙汰書ヲ賜ハル位重大ナル問題デアリ
マス然ルニ此拓殖ニ一步踏出シテヨリ既
ニ五十年ニナリマスケレドモ、未ダ其效果
ガ半バニ達シナイヤウナ狀況デアリマス、
仍テ北海道ノ拓殖ヲ速進スル爲ニ、既定計
畫ノ外ニ左ノ事業ニ對シ速ニ計畫ヲ定メ、
實行セラレンコトヲ望ムト云フノデアリマ
ス、其方法ハ鐵道敷設法ニ定メラレタル豫
定線ノ敷設、國費支辨ニ屬スル河川ノ治水
及森林ノ經營、商漁港ノ修築、國費支辨ニ
屬スル道路、橋梁、北海道大學ニ法、文、理
科ヲ增設シ、綜合大學ノ官制、及高等諸學
校ノ增設、產業ノ振興ニ關スル施設、金融
機關ノ完備、是等各項ニ關スル施設ヲシテ
速ニ北海道拓殖ノ完成ヲ期シタイト云フ理
由デアリマス、尙ホ詳細ニ申上ゲマスレバ
大變長イノデアリマス、跡ハ理由書ヲ御覽
下サレバ分リマス、ドウゾ此意味合ヲ以チ
マシテ諸君ノ御賛成ヲ得、政府モ此建議ヲ
容レテ、速ニ其方法ヲユテラレンコトヲ望ミ
マス、次ハ根室港修築工事ニ關スル建議案、
是モ前項ノ中ニ包含セラレタル商港漁港ノ
築設ノ一ツデアリマス、但シ此根室港ハ旣
ニ工事ニ著手シテ居ルノデアリマス本年
ヲ以テ防波堤ハ竣工致シマス、其防波堤內ノ
浚渫ヲシテ、防波堤ヲ築造シタル利用效果
ヲ擧ゲタイト云フ案デアリマス、政府ハ其
工事費ヲ追加シテ明年度ヨリ直ニ其浚渫
ニ著手シテ、此港灣ノ利用ヲ完カラシムル
コトヲ望ムノデアリマス是モ理由書ニ詳
シク記シテアリマス、願クハ諸君ノ御賛成
ヲ得、政府ハ此建議ヲ容レラレンコトヲ切
望致シマス(拍手)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=216
217・作間耕逸
○作間耕逸君　日程第四十一ノ建議案ハ
曩ニ本院ヲ通過シタルモノト同一ノ議案ナ
ルニ依リ、又日程四十二ノ建議案ハ特ニ提
案ノ趣旨ニ鑑ミ何レモ卽決ヲ以テ可決セ
ラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=217
218・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ動議ニハ御
異議ガアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=218
219・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=219
220・牧野良三
○牧野良三君　先刻議長ヨリ本員演說中、
ナル二字ヲ取消サレタイト云フコトデ
アリマシタ玆ニ取消ヲ致シマス(拍手)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=220
221・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　日程第四十三乃至四
十五ハ提出者同一デアリマスカラ一括議
題ト爲スニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=221
222・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　御異議ナシト認メマ
ス、仍テ第四十三帝國在〓軍人會國庫補助
ニ關スル建議案、日程第四十四、用排水幹
線改良事業費國庫補助增額竝補助範圍擴張
ニ關スル建議案、日程第四十五水產養殖
業者ニ對スル營業稅免除竝輸送機關改善ニ
關スル建議案ヲ一括シテ議題ト致シマス、
倉元要一君
第四十三帝國在〓軍人會國庫補助ニ
關スル建議案(倉元要一君外一名提
也
帝國在〓軍人會國庫補助ニ關スル建議
案
帝國在〓軍人會國庫補助ニ關スル建
帝國在〓軍人會ノ地方ニ於ケル活動如何
ハ地方改善發達ヲ促進スル上ニ至大ノ關
係ヲ有ス現政府ノ方針タル一般國民ノ消
費節約等卒先シテ其ノ範ヲ示スニ適當ナ
ル團體ナリ故ニ政府ハ速ニ帝國在〓軍人
會ニ對シ相當ノ補助金ヲ交付シ以テ〓ニ
於テ良民タルノ範ヲ示スヘク活動セシメ
ラレムコトヲ望ム
右建議ス〓
第四十四用排水幹線改良事業費國庫
補助增額竝補助範圍擴張ニ關スル建
議案(倉元要一君提出)
用排水幹線改良事業費國庫補助增額竝
補助範圍擴張ニ關スル建議案
用排水幹線改良事業費國庫補助增額
竝補助範圍艦張ニ關スル建議
耕地ノ用排水幹線改良事業ハ一般耕地整
理ノ促進上重要ナル事業ニシテ食糧增加
ヲ圖ルニ最適切ナル施設ト信ス然ルニ政
府ノ之ニ對スル補助率甚タ僅少ナリ尙本
事業ハ府縣カ施業主夕ル場合ノミナラス
個人又ハ組合等ニモ同率ノ補助ヲ交付ス
ルコトニ改正ヲ加へ大正十三年度ニ於テ
其ノ實現ヲ期セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第四十五水産養殖業者ニ對スル營業
稅免除竝機關改善ニ關スル建議案
(倉元要一君外一名提出)
水產養殖業者ニ對スル營業稅免除竝輸
送機關改善ニ關スル建議案
水產養殖業者ニ對スル營業稅免除竝
輸送機關改善ニ關スル建議
水產養殖業者ハ農村ニ於テハ副業的業態
ニアルモノニシテ農家經濟緩和ニ與テ最
力アリ而シテ海洋漁業ト相竝ヒ帝國ノ食
料政策上重要ナルモノノ一ナリ依テ特ニ
政府ハ之ニ保護奬勵ヲ加ヘサルヘカラス
然ルニ本業者ニ對シ政府ハ地租竝營業ノ
二重稅ヲ賦課セラルル實況ナリ斯ノ如キ
ハ海島帝國ノ食糧政策ニ反スル甚シ尙水
產養殖業者ニ對シ市場輸送上ニ特種設備
ヲ利用セシムルノ途ヲ講モラレムコトヲ
望ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=222
223・倉元要一
○倉元要一君　國防ノ充實ヲ期シマス上ニ
於テ在〓軍人會ノ健全ナル發達ヲ望ム譯
デアリマス、現內閣ハ消費節約ト云フコト
ヲ切言シテ居ラレルノデアリマス、其消費
節約ト云フ事柄ヲ十分徹底的ニ實行セシム
ルニ付テハ、在〓軍人會ト云フヤウナ精神
的團體ヲシテ、地方ニ於テ卒先ジテ行ハシ
ムルヤウニスルニ非ラザレバ、到底所期ノ
目的ヲ達スルコトハ出來ナイノデアリマ
ス、軍人ハ五箇條ノ御勅諭ニ依リマシテ之
ヲ遵守シ、軍人精神ナルモノヲ持シテ居ル、
此軍人精神ハ同時ニ國民精神デナケレバナ
ラメト思フ、然ルニ此在〓軍人會ノ實況ヲ
見マスルト、在〓軍人ハ既ニ二年三年ノ血
稅ヲ拂ッタ上ニ、尙ホ年々此會ノ活動ノ爲ニ
少カラヌ會費ヲ負擔シテ居ルノデアリマ
ス、デアリマスカラ、之ニ向ッデハ國家ガ相
當ノ補助ヲ與ヘテモ少シ敏活ナル活動ヲ
致サシムル必要ヲ認ムルノデアリマス、此
問題ハ年々建議案ガ吾々同僚カラ提出ニ相
成ッテ居ルノデアリマスガ、未ダ實現シナイ
コトヲ甚ダ遺憾ト致シマス、政府ハ速ニ此
建議ノ趣旨ヲ御採用ニナリマシテ相當ノ
補助ヲ與ヘラレンコトヲ希望致シマス、日
程第四十四、用排水幹線改良事業費國庫補
助增額竝補助範圍擴張ニ關スル建議案デア
リマス、農事改善ノ第一步ハ耕地整理ニ在
ルト云フコトハ諭ヲ俟タヌト思ヒマス、此
耕地整理ノ進行ト共ニ用排水幹線ノ改良ハ
最モ必要ナル事業デアリマス、地方ニ於テ
ハ此工事ニ對スル希望ハ非常ニ熱烈ナルモ
ノガアルノデアリマス、然ルニ此補助額ニ
至リマシテハ甚ダ不十分デアリマス3ヶ丘
是ハ府縣ト云フ〓體ガ此仕事ヲ施行スル場
合ニ當リマシテハ、五百町步以上ニ其排水又
ハ用水ノ關係ノ及ブモノニ對シテノミ與ヘ
ルト云フコトデアリマス、併シ是ハ私ノ方
デ考ヘマスルト、個人デアッテモ組合デアツ
テモ、之ニ補助ヲ與ヘルト云フコトハ、農事
ノ改良ヲ圖ル上ニ於テ多大ナル效果ガアル
ト思ヒマス、ドウカ此補助ハ是非共七八割
ノ增額ヲ願ヒタイノデアリマス、地方ニ於
キマシテハ此補助ノ半額ヲ、又其關係地方
民ノ負擔ニ屬セシムルト云フコトニナッテ
居ル、是ハ地方經濟ノ事情カラ已ムヲ得ズ
斯ウ云フ少カラヌ負擔ヲシテ居ルト云フコ
トハ申スマデモアリマセヌ、故ニドウカ此
補助ニ付キマシテハ增額ヲ願ヒタイ、次ニ
日程第四十五ノ水產養殖業者ニ對スル營業
稅免除竝輸送機關改善ニ關スル建議案デア
リマス、是ハ日程第三十三ニ於キマシテ山
本勝次君カラ旣ニ同樣ノ建議案ガ出テ居リ
マス、私カラ玆ニ再ビ繰返ス必要ハナイト
思ヒマス、唯〓私ノハ之ニ附帶致シマシテ、
尙ホ鮮魚ノ輸送機關、現在鐵道省デ使用シ
テ居ラレマス所ノ輸送貨車ノ改造デアリマ
ス、承ル所ニ依リマスト、外國ニ於キマシ
テハ既ニ生キタ魚ヲ輸送スル爲ニ特殊ノ貨
車ノアルト云フコトデゴザイマス、之ヲ農
商務省デモ御〓究ニナリマシテ、養殖業ニ
利用セシメテ戴キタイ、是ハ極メテ今日ノ
養殖業者ノ方カラ云ヘバ必要デアリマス
(「簡單々々」「賛成々々」ト呼フ者アリ)大體
以上デ盡キマシタ、ドウカ滿場ノ諸君御賛
成下サッテ、此案ヲ可決セラレンコトヲ希望
致シマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=223
224・作間耕逸
○作問耕逸君　日程第四十三ノ建議案ハ
日程第十四デ既ニ議決ヲ經タモノト同種ノ
議案ナルニ依リ、是亦可決ノ意味ニ於テ決
議ヲ要セザルモノトセラレタイ、尙ホ日程第
四十四ハ議員床次竹二郞君外十一名提出、
農村振興ニ關スル建議案外三件ノ委員ニ併
セテ付託セラレ、又日程第四十五ノ建議案
ハ議員森田金藏君提出、營業稅法廢止法律
案外三件ノ委員ニ併セ付託セラレンコトヲ
望ミマス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=224
225・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ動議ニハ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=225
226・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第四
十六、農蠶業及水產業助成ニ關スル建議案
ヲ議題ト致シマス、山本勝次君
シ〓〓
第四十六農蠶業及水產業助成ニ關ス
ル建議案(山本勝次君提出)
農蠶業及水產業助成ニ關スル建義案
農蠶業及水產業助成ニ關スル建議
農村疲弊救濟策トシテ一般農業ハ勿論蠶
絲業及水產業等ニ對シ助成奬勵ノ爲負擔ノ
輕減資金ノ融通經營ノ改善收穫物價格ノ
安定等ノ方法ヲ講スルノ必要アリト認ム
仍テ政府ハ速ニ之カ施設擴張ヲ計リ斯業
ノ發展ヲ促進セラレムコトヲ望ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=226
227・山本勝次
○山本勝次君　此席カラ簡單ニ說明致シマ
ス此建議案ト同樣ニ農村振興ニ關シマシ
テ、農業ハ勿論水產業、蠶絲業等ニ涉リマ
シテ各種ノ建議案ガ出テ居リマス玆ニ私
ガ重ネテ是等ノ理由ヲ申述ブルコトハナイ
ト思ヒマスカラ略シマスガ、唯〓今マデ出テ
居リマシタ建議案ノ中ノ說明中ニ、稍、重要
ノ問題ヲ殘シテ居ッタモノガアルヤウニ思
ヒマスカラ、其分ダケヲ追加シテ說明シタ
イト思ヒマスソレハ例ヘバ用排水幹線改
良事業費ノ補助ヲ頻リト唱ヘラレルガ之
ニ關聯致シマシテ、幹線ダケガ如何ニ奬勵
セラレマシテモ、其附近ノ耕地整理ノ補助
モ同ジヤウニ增額ヲ唱ヘナケレバ何ニモナ
ラス、用排水ノ幹線ダケデハ駄目ダラウト
考ヘテ居リマスソレカラ又蠶絲業ノ方面
ニ於キマシテ蠶絲局ノ獨立、或ハ蠶絲法ノ
改正ナドモ唱ヘラレテ居リマスガ、凡ソ民
間ニ於ケル蠶絲業組合法ト云フ單獨法ヲ制
定スルト云フコトヲ今日當業者ハ頻リト望
ンデ居リマス、例へバ水產ニハ水產會、農
質、畜產組合法、皆單獨ノ法律デアルガ、
蠶絲業ニ限シテ重要物產同業組合法ニ準據
シテ居ルト云フヤウナ頗ル不便ガアル是
等ノヤウナモノヲ至急制定シテ貰ヒタイト
云フ問題モアリマス、或ハ水產業方面ニ於
テハ遠洋漁業ノ奬勵ヲ唱ヘラレテ居リマシ
タガ、矢張此奬勵ノ意味ニ於キマシテハ、
此遠洋漁業ニ於ケル遭難者-漁業者ノ遭
難者ヲ救濟スルト云フ點ニ付テ政府ガ十分
ト考慮シテ願ヒタイト思フ是ハ一寸一例
ヲ擧ゲテ置キタイ思ヒマス、靜岡縣ニ於テ
遠洋漁業ニ付テ明治四十四年ニハ非常ナ遭
難者ガ多ク、二百有餘名ニ上リ、又大正九
年ニハ百名近イ遭難者ヲ出シマシテ、畏ク
モ皇室カラ御下賜金ガアリマシテ是等ノ
救濟ヲ致シタヤウナ次第デアリマスコン
ナ工合デ船底ノ下ハ地獄ト云フヤウナ此遠
洋漁業ニ從事スル者ガ遭難シタル場合ニ於
テハ國家ハ之ヲ救濟スル途ヲ十分ニ立テ
テ置カナケレバ如何ニ遠洋漁業ヲ獎勵致
シマシテモ發逹ハ出來マスマイト思フ、是
等ノ點ヲ十分考慮セラレンコトヲ附加ヘテ
此建議案ノ說明ト致シマス、ドウゾ滿場ノ
御賛成ヲ願ヒマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=227
228・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ議員元田肇君外十六
名提出、水產助成ニ關スル建議案ノ委員ニ
併セテ付託セラレンコトヲ望ミマス
〔「異議ナシ」「賛成」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=228
229・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ動議ニハ御
異議ナシト認メマス、仍テ動議ノ如ク決シ
マス、-日程第四十七、廣尾港修築遠成
ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス-小池
仁郞君
第四十七廣尾港修築速成ニ關スル建
議案(奧野小四郞君外五名提出)
廣尾港修築速成ニ關スル建議案
廣尾港修築速成ニ關スル建議
廣尾港修築ノ速成ヲ望ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=229
230・小池仁郎
○小池仁郞君　廣尾港修築速成ニ關スル建
議案ノ理由ヲ簡單ニ說明申シマス、此港ハ
北海道十勝國唯一ノ港ロデアリマス、襟裳
岬ノ左ノ方ニアリマシテ太平洋ニ向デ
居リマス、其沖合ハ寒暖二潮流ガ交錯シテ
居ルノデ、定著囘游ノ魚族ガ豐富デアリマ
ス、政府ハ北海道漁港築設ノ急要ナルヲ認
メマシテ、先ヅ八箇所ノ漁港ヲ造ルト云フ
コトヲ定メテ大正十年カラ若々實行シテ
居リマス、而シテ此港ハマダ手ヲ著ケラレ
テ居リマセヌ是レ一ツダケ殘ッテ居ルノ
デアリマス、丁度陸ノ方ニ於テハ帶廣カラ
四十八哩ノ鐵道ガ此廣尾港ニ敷設セラレ
ルコトニ本年ヨリ著手シテ居リマス、仍テ
此漁港モ著手セラレテ、海陸相應ジテ前面
ノ大海田ヲ開發シ、又後方ハ十勝二十万町
步ノ平野ヲ開拓スルコトガ必要ナルコトヽ
信ジマシテ、本案ヲ提出致シタノデアリマ
スドウゾ御賛成下サルコトヲ御願シマ
ス
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231・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ特ニ提案ノ趣旨ニ鑑
卽決ヲ以テ可決セラレンコトヲ望ミマ
ス
〔「贊成」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=231
232・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ動議ニハ御
異議ナトシ認メマス、仍テ動議ノ如ク決シ
マシタ-日程第四十八、蘭絲價調節ニ關
スル建議案ヲ議題ト致シマス、加藤鯛一君
第四十八繭絲價調節ニ關スル建議案
(大島要三君外十四名提出)
繭絲價調節ニ關スル建議案
繭絲價調節ニ關スル建議
養蠶及製絲業ハ我カ國最要ノ產業ニシテ
之カ盛衰ハ直ニ國運ノ消長ニ至大ナル關
係ヲ有ス然ルニ絹絲價ノ變動ハ常ニ甚シ
ク當業者ハ安心シテ之ニ從事スルコト能
ハサル狀態ナリ殊ニ農村不振ノ今日其ノ
影響一層甚シキヲ見ル故ニ政府ハ速ニ適
當ナル調節機關ヲ設置シ以テ當業者ニ安
定ヲ與ヘラレムコトヲ望ム
右建議ス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=232
233・加藤鯛一
○加藤鯛一君　只今··
〔「登壇」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=233
234・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　既ニ定刻ニ近ヅキマ
シタカラ、時間ヲ延長致シマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
〔加藤鯛一君登壇、拍手〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=234
235・加藤鯛一
○加藤鯛一君　只今議題ニナリマシタ繭絲
價調節ニ關スル建議案ノ說明ヲ致シマス、
本案ハ詳細ニ說明ヲ致シタイノデアリマス
ルガ、最早時間モ切迫致シテ居リマスルシ、
殊ニ先程武藤金吉君ヨリ御提案ノ際、吾々
ノ言ハント欲スル精神ノ大部分ヲ述ベラレ
タノデアリマスカラ、極メテ簡單ニ說明ヲ
致シマス、我國ノ蠶絲業ガ最重最要ノ產業
ノ地位ニ在ルト云フコトハ今更申上ゲルマ
デモアリマセヌガ、此蠶絲業ハ言フマデモ
ナク農村ニ於テ行ハレテ居ル養蠶ノ事デア
リマス、現在ノ農村ガ非常ニ疲弊ヲ致シテ
居リマシテ、之ヲ何トカシテ振興セナケレ
バナラヌト云フコトハ諸君ノ一致セラレ
タル御意見デアリマスルガ、此疲弊ヲ致シ
マシタル農村ガ、纔ニ農村經濟ヲ維持致シ
テ居リマスル原因ハ、此養蠶ト云フ副業ガ
アルカラデアリマス、然ルニ此養蠶ノ最近
ノ狀況ハ如何デアリマセウカ、先程武藤君
ノ御說明ニモアリマシタ如ク、本年ノ春蠶
ノ狀態ノ如キハ工賃其他ヲ合スレバ繭一
貫目ヲ製スルニ九圓内外ノ實費ヲ要スルニ
モ拘ラズ、其生產サレタル繭ハ平均一貫目
ガ七圓五六十錢ト云フ値段ニ賣拂ハレテ居
ルト云フ狀態デアリマス、斯ノ如キ狀態デ
アリマシテハ纔ニ此養蠶ノ副業ニ依ッテ
維持サレテ居リマシタル農村經濟ハ益こ困
難疲弊ニ陷ノテ居ルト云フコトハ言フマデ
モナイ次第デアリマス、何ガ故ニ斯ノ如キ
狀態ニナルカト言ヒマスルナラバ其結論
ヲ申上ゲマスルナラバ、絲價卽チ之ニ伴フ
所ノ繭價ガ其變動ガ非常ニ甚シク、之ガ安
定ヲ得テ居ナイト云フコトニ原因ヲシテ
居ルノデアリマス、之ニ就キマシテハ先程モ
武藤君ノ御說明ガアリマシタカラ略シマス
ルガ、滿場一致ヲ以テ諸君ノ御同意ニナク
タコトデアリマスルシ、又三土農商務次官
モ此値段ノ變動ノ甚シキヲ防グコト、卽チ
言葉ヲ換ヘテ言ヘバ此蘭絲價ノ調節ノ出
來ルト出來ザルトハ蠶絲業ノ盛衰ニ至大
ノ關係ノアルモノデアルト云フ意味ニ於
テ御賛成ノ御意見ガアッタノデアリマス
ルカラ、此繭絲價ヲ調節スルト云フコトニ付
テ、官民共ニ最早異議ハナイノデアリマス
併ナガラ如何ニシテ之ヲ調節スルカト云フ
コトガ其問題デナケレバナリマセヌ、此問
題ニ付キマシテ私ハ簡單ニ其意味ヲ說明致
シタイト思ヒマスルガ、色〓取引ノ改善、金
融機關ノ增置、或ハ人造蘭絲ニ對スル所ノ
對策モ必要デアリマセウガ此手段ト致シ
マシテ私ハ資本金一億万圓程度ノ保護會
社ヲ設置致シマシテ、此會社ノ實力ト政府
ノ行政手段ト相俟ッテ、此力ニ依リマシテ
一定ノ卽チ標準價格ト云フモノヲ作リタイ
ト云フノガ本案ノ趣旨デアリマス(「簡單」
「賛成」ト呼フ者アリ)何トカシテ今ノ中ニ
此繭絲價ノ變動ノ甚シキヲ防グト云フコト
ヲ考ヘテ置キマセナンダナラバ、眞ノ農村
ノ振興ト云フコトハ出來ル譯ハナイノデアリ
マスカラシテ、何卒此趣旨ニ御賛成アラン
コトヲ御願ヲ致ス次第デアリマス(拍手)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=235
236・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ特ニ提案ノ趣旨ニ鑑
卽決ヲ以テ可決セラレンコトヲ望ミマ
ス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=236
237・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ動議ニハ御
異議ナシト認メマス、仍テ動議ノ如ク決シ
マシタ
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=237
238・作間耕逸
○作間耕逸君　議事日程ノ順序變更ニ關ス
ル緊急動議ヲ提出致シマス、卽チ日程第五十
三乃至第五十六ヲ此際特ニ繰上ゲ、議員三
本武吉君外三名提出、金鵄勳章年金令改正
ニ關スル建議案外三件ヲ一括議題ト爲シ、
委員長ノ報告ヲ求メ、審議セラレンコトヲ
望ミマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=238
239・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ日程變更ノ
動議ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=239
240・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　御異議ナシト認メマ
ス仍テ日程ハ變更サレマシタ日程第五
十三、金鵄勳章年金令改正ニ關スル建議案
外三件ヲ一括シテ議題トシ、委員長ノ報告
ヲ求メマス-古川〓君
第五十三金鵄勳章年金令改正ニ關ス
ル建議案(三木武吉君外三名提出)
(委員長報告)
第五十四金鵄勳章年金層加ニ關スル
建議案(土井權大君提出)
(委員長報告)
第五十五金鵄勳章年金令改正ニ閣ス
ル建議案(中林友信君外三名提出)
(委員長報告)
第五十六金鵄勳章年金會額ニ關スル
建議案(熊谷直太君外三名提出)
(委員長報告)
報告書
一金鵄勳章年金令改正ニ關スル建議案(三
木武吉君外三名提出)
一金鵄動章年金增加ニ關スル建議案士
井權大君提出)
一金鵄勳章年金令改正ニ關スル建議案(中
林友信君外三名提出)
一金鵄勳章年金層額ニ關スル建議案熊
谷直太君外三名提出)
右ハ本院ニ於テ四案ヲ併合シテ一案ト爲
シ表題ヲ「金鵄勳章年金令改正ニ關スル
建議」ニ改メ別紙ノ通修正スヘキモノト
議決致候此段及報告候也
大正十三年七月十七日
金鵄勳章年金令改正ニ關
スル建議案外三件委員長
古川〓
衆議院議長粕谷義三殿
金鵄勳章年金令改正ニ關スル建議
今ヤ物價ハ騰貴シ貨幣ノ價値ハ低落シ金
鵄勳章年金ノ如キハ零碎ナル賜金ニ位ス
ル感ナシトセス斯ノ如キハ忠勇ナル軍人
ヲ遇スル所以ニ非ス仍テ政府ハ速ニ年金
增加ノ途ヲ講セラルヘシ
右建議ス
〔古川〓君登壇〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=240
241・古川清
○古川〓君　本案ノ經過及結果ヲ御報告致
シマス、ソレニ先タチマシテ、大正十二年
十二月末調ペノ金鵄動章ノ拜受人員及金額
ヲ一寸御報告致シマス、功一級ノ人員ガ六
人此金額ガ九千圓、功二級ガ四十八人、此
金額ガ四万八千圓、功三級ガ三百十人、此
金額ガ二十一万七千圓、功四級ガ一千四百
八十人、此金額ガ七十四万圓、功五級ガ五
千三百七十五人、此金額ガ百六十一万二千
五百圓、功六級ガ三千百人、此金額ガ六十
二万圓、功七級ガ五万八千五百六十人、此
金額ガ五百八十五万六千八百圓、合計六万
八千八百八十七人、此金額九百十三万三千
三百圓デアリマス、サウシテ最近五年ノ死
亡率ガ平均五百十七人ニナッテ居ルト云フ
コトデアリマス、此案ニ付キマシテ內閣當
局デハ扶助料及恩給令トハ性質ヲ異ニシ
テ居ルカラ、同意ガ出來ヌト云フコトデア
リマス、併ナガラ大ニ同情ハスベキ點ガア
ル、又陸海軍ニ於カレマシテモ其趣旨デア
リマスガ、陸海軍ニ於カレマシテハ大ニ同
情スベキ點ガアルカラ好意ヲ以テ〓究ヲス
ル、斯ウ云フ言明ヲ得マシテ、委員會二於
キマシテハ全會一致ヲ以テ可決致シマシタ
右御報告ヲ致シマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=241
242・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　本案ニ對シテハ質疑
ノ通告ガアリマス、蟻川五郞作君
〔蟻川五郞作君登壇〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=242
243・蟻川五郎作
○蟻川五郞作君　私ハ遺憾ナガラ本案ニ付
テハ反對ノ意見ヲ表明スルノ已ムヲ得ナイ
ノデゴザイマス、成程金鵄勳章年金令ハ至ッ
テ不備ナ所ハゴザイマス又極ク不道理
ナ所モアルト私ハ思ヒマス其一例ヲ申シ
マスレバ明治二十七八年ノ戰役ニ於キマ
シテ、殊動ニ次グ者ニハ旭日章ニ年金ヲ附
ケテ與ヘテ居リマス、サウ致シマシテ日露
ノ戰役ニ於テ再ビ殊動ヲ重ネマシタル者ハ
其金鵄勳章ノ年金ト云フモノハ其前ノ分ハ
差引カレテ、新シク手柄ヲ立テタ者モ
囘重ネテ立テタ者モ、其受クル所ノ金額ニ
於テハ差ガナイノデゴザイマス、然ルニ二
十七八年ノ戰役ニ於キマシテハ殊勳ニ次
グ者トシテ旭日章ヲ貰ヒマシタ者ハ却テ
旭日章ノ年金ト新ニ受ケ夕所ノ金鵄勳章ノ
年金トヲ併セテ受ケテ居ルノデゴザイマス、
私ハ洵ニ斯ウ云フ道理ハナイ、是ガ不道理
デアル若シ私ヲシテ金鵄勳章ノ年金令ニ
付テ先ヅ改正ヲスルヤウナ所ヲ指摘シロト
言ハレマシタナラバ是等ノモノヲ以テ第
一ニ數フルノデゴザイマス、然ルニ本建議
ニ於キマシテハ此點ニ付テハ別ニ御論ジ
ニナラヌヤウデゴザイマスガ、是ハ別ニド
ウ斯ウト申ス譯デハゴザイマセヌ、唯〓私共
ヲシテ言ハシムレバ、此點アタリガ改正ヲ
スル要點デアルト申スニ止マルノデアリマ
ス、次ニハ金鵄勳章ノ年金ナルモノヲ增額
シロト云フコトニ付テデゴザイマス、成程
此年金令ヲ定メラレマシタ當時ヨリハ物價
ハ甚シク騰貴シテ居リマスケレドモ、今日
ニ於テ其當時ノ年金ヲ其儘ニシテ置クト云
フコトハ誠ニ不合理ナヤウデゴザイマスガ
是ハ恩給等トハ全ク其性質ヲ異ニスルニ
依ッテ已ムヲ得ナイ、私ハ斯ウ思フノデアリ
せっ、卽チ此恩給ナルモノハ或ル程度マデ
隱退後ノ其人ノ生活ヲ保障シテ居リマスモ
ノデアリマスガ故ニ、是ハ物價ノ騰貴ニ伴シ
テ相當ニ改メラレルノハ固ヨリ當然ノ事
デアルノデアリマス、併シ此金鵄勳章ノ年
金ナルモノハ生活ヲ保障シタル意味ハ少
シモ無イト私ハ信ズルノデアリマス(拍手)
卽チ此金鵄勳章ナルモノハ全ク無形ノ名譽
ヲ以テ、之ヲ無上ノ名譽トシテ定メラレタ
ルモノデアッテ、之ニ附加ヘラレテアリマス
所ノ年金ハ、是ハ謂ハヾ景物デアルト私ハ
思シテ居ル(「ノウし〓」「頭ガ惡イ」ト呼フ者
アリ)卽チ之ニ就テ斯ク申サナケレバナラ
又、恩給ヲ增シタカラ此年金ヲモ增額シロ
ト云フ所ノ議論ハ、恰モ十數年前ニ致シマ
シタ貯金ニ對シテ、其元企ヲ物價ノ騰貴シ
タル今日ノ金額ニ換算シテ書換ヲシテ吳レ
ト云フノ類デアルト私ハ思フノデアル次
ニ此年金令ハ制定以來約三十年ノ間、何等
改メラレテ居ラナイト云フ御議論ヲ段々聞
キマスガ、日露ノ戰役ニ於キマシテハ殊勳
ヲ甲乙ト分ケマシテ、其殊動ノ著シキ者ニ
ハ一等上ッテ居ル所ノ動章ヲ授ケラレテ居
リマス、卽チ下士兵卒ニ對シマシテハ初メ
テ功ヲ立テマシタトキニハ功七級ニナル、
是ガ當前デアリマスガ、殊勳甲、此場合ニ
於キマジテハ功六級ヲ授ケラレテ居ル、斯
ノ如キ所カラシテ、兵卒ニシテ既ニ一級上
ノ一擧ニ二百圓ノ年金ヲ受ケテ居ル者ガ相
當ニアリマス、卽チ此手心ニ依ッテ、056
(「手心トハ何ダ」ト呼ヒ其他發言スル者多
シ
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=243
244・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　靜甫ニ
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=244
245・蟻川五郎作
○蟻川五郞作君(續)　既ニ此動章ト云フモノ
ハ相當ニ時勢ニ適應スルコトニナッテ居ル
ノデゴザイマス、次ニハ此年金ヲ改正增額
致シマシタナラバ、其及ボス所ノ影響ハ如
何デアルカト云フコトヲ私ハ氣遣フノデア
ル、卽チ戰場ニ於テ殊勳ヲ奏シマシテ斃レ
マシタ戰死者ノ遺族ハ如何デゴザイマス
凡ン軍人トシテ戰死ヲ致シマス以上ハ、是
以上ノ殊動ト云フモノガゴザイマセウカ
是レ以上ノ盡シ方ガゴザイマセウカ然ルニ
今日幸ニシテ生キテ居リマス者ガ增額ヲセ
ラレ、サウシテ若シ此遺族ガ其儘ニ置カレ
マシタナラバ如何デゴザイマス、私ガ虞レ
マス所ハ洵ニ此動章ノ年金ヲ增シテ貰フ
ト云フコトハ寧口軍人ト致シマシテ皆樣
ニ對シテハ感謝ヲ致サナケレバナラヌケレ
ドモハ洵ニ其困ル所ノ事ハ唯、此釣合ノ點
デゴザイマスルソレカラシテ次ニ甚ダ申
シ難イガ、中野君ニ又不謹愼ト言ハレカ知
レスセヌケレドモ、此金鵄動章ノ動ト功トノ
間デゴザイマズ、卽チ戰場ニ於キマシテモ、
大砲ノ音ヲ遠ク遠雷ノ如ク聞クヤウナ所ニ
居シテ勤務ヲ致シマスル者、或ハ內地ノ工場
ニ於テ勤務ヲ致シマスル者、或ハ內地ノ役
所ニ於テ勤務ヲ致シマスル者ノ間ニ於テ、
者グ全國民ニ一人、或ハ二人ト云フヤウナ
全ハ存ジマセヌガ、其他ニ一體殊勳ト云ヒ、
勳功ト云ウテ萬人ガ萬人トモ首肯スルヤウ
ナ區別ノ立テラレルデゴザイマセウカ(「ヒ
ヤし〓」)然ルニ之ヲ棄テ措イテ、殊勳ニ叙
セラレテ居ル者ハ亦尠クナイノデアリマ
ス、卽チ此關係ヨリシテ若シ金鵄勳章ノミ
ヲ增額致シマシタナラバ、勳功以下一時金
ヲ頂戴致シマシタ者ハ、必ズ相當ノ不平ヲ
鳴シ出スデアラウト云フコトヲ私ハ深ク信
ジチ心配スルノデゴザイマスル(拍手、同
感」ト呼フ者アリ)ソレカラ今中野君ガ貴樣
金鵄勳章ヲ返セト言ハレタコトニ付テ、已
ムヲ得ズ私ハ玆ニ一言シナケレバナラヌノ
デアル(中野寅吉君「君ト言ウタノダ貴樣ト
ハ言ハヌ」ト呼フ)一將功成ッテ萬骨枯ルト
云フヤウナコトヲ段々言フ者モゴザイマス
ルガ、昔ノ將ノ部下ハ私ノ物デゴザイマス
ル、自己ノ物デアル、今日ノ將校ガ指揮スル
所ノ兵ハ天皇陛下ノ兵デゴザイマスル
(拍手)將校モ、下士モ、兵モ、皆君國ノ爲ニ
盡シテ居ルノデアリマスル、一將功成シテ萬
骨枯ルト云フガ如キハ、唐人ノ寢言デアル
(拍手)今日ノ軍隊ニハ全ク筋違ノ言デゴザ
イマスル(「ノウ〓〓」)而シテ我國ニ於キマシ
テ上官ハ部下ノ御陰デ動章ヲ貰フ理窟ハ
ゴザイマセヌ、更ニ言換ヘマスレバ、上官
ハ天皇ノ軍隊ノ統帥權ノ一部ヲ代行シタ
ルニ止マルノデアリマス、兵ハ其義務ヲ盡
シタルニ止マルノデアリマス、兩者ノ間ニ
君國ノ爲ニ盡ス意味ニ於テ何ノ差異ガゴザ
イマスル(拍手)ソレカラ次ニ金鵄勳章ニ上
下ノ區別甚シイト言ウテ非難サレル者ガゴ
ザイマス一應尤ニ感ズル、尤ノ言ノ如ク
ゴザイマスルガ、私ハ之ニ就テハ多大ノ疑
問ヲ懷ク、卽チ百萬ノ兵ヲ敵前ニ進メテ、國
家ノ盛衰興亡ヲ兩肩ニ擔ノテ居ル元帥大將
モ、一挺ノ銃ヲ肩ニスル所ノ兵モ一體同ジ
者デゴザイマスガ、此間ニ相當差ノアルト
云フコトハ寧口私ハ理ノ當然デアルト信ジ
マスル、我國全鵄勳章ノ制度ハ上下ノ差別
ト云フモノノ至ッテ少ナウゴザイマスル、卽
チ兵ガ假ニ功六級ニ敍セラレマシタト致シ
マスルトキニ、此年金ハ二百圓デゴザイマ
シテ、大將、元帥ハ如何ニ殊動甲デゴザイ
マシテモ、千五百圓以上ノ年金ヲ受ケルコ
トハ出來マセヌ、是ガ極度デアリマス、然
ル時ニハ兵士ノ七人半分デアル、百萬ノ兵
ヲ指揮スル元帥、大將ハ兵七人半分以上ハ
受ケナイノデゴザイマス、私ハ是程差別ノ
少ナイモノハ容易ニ他ニ類ヲ索ムルコトハ
出來ナイデアラウト思ヒマスル(拍手)併ナ
ガラ年金ヲ僧シマシテ、殊ニ下級勳章ノ分
ヲ層シマシテ、サウシテ之ニ厚ウスルト云
フコトニ於キマシテハ、又此下級者ニ同情
ヲ致シマスル點ニ於キマシハ、私ハ決シテ
人後ニ落ツル者デハゴザイマセヌ(拍手)併
ナガラ今日ノ生者ニ之ヲ增スト云フコトニ
ナリマスレバ、戰死者ノ遺族ニモヤラナケ
レバナラヌ、旭日章ヲ貰シテ居リマスル所ノ
一時賜金ノ者ニモ此釣合ヲ圖ラナケレバナ
ラヌ、サウシテ是ガ我國二十七八年ノ戰役
以來、三十三年日露戰役ト云フガ如ク、陸
續トシテ是ガ續イテ居リマスル、若シ之ヲ
溯ルト致シマシタナラバ、何所マデ溯リマ
ス、到頭切ル所ハナイノデアル、然ル時ニ
於テハ行賞ヲ全クヤリ替ヘルト云フコトニ
ナラナケレバ、公平ノ維持ハ出來ナイノデ
アリマス(拍手)私ハ此點ニ於キマシテ、全
クドウモ下級勳章ヲ持テテララヽヽ御方ニ
對シマシテハ同情ニ堪ヘマセヌ、私ハ唯〓
行賞ノ公平ヲ維持シタイト云フコトノ此一
念カラシテ之ニ反對ヲ致スノデアリマス、
ドウゾ一ツ御了解ヲ願ヒタイト思ヒマス
(拍手起ル)
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=245
246・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　只今蟻川君ノ御發言
ノ時ニハ、私ハ質疑ト申シテ置キマシタガ
蟻川君ハ質疑及反對ノ通告ヲセラレテアッ
タノデアリマスガ、只今ノ御演說ヲ伺ヒマ
スト、反對論ト思ハレルノデアリマス、故
ニ此場合賛成ノ方ノ發言ヲ許シマス-中
林友信君
〔中林友信君登壇、拍手起ル〕
〔「簡單」ト呼フ者アリ〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=246
247・中林友信
○中林友信君　御心配ナサラナイデモ簡單
デ分ルノデアリマス、同ジ日露戰爭ニ軍人ト
シテ参謀官デアリ、更ニ論功行賞ノ考査員
タリシ蟻川前少將、現代議士蟻川君ヨリ
此反對ノ御議論ヲ伺ヒマシタコトハ、洵ニ
遺憾ト思フノデアリマス、諸君、私ハ簡單ニ
申シマスレバ、此勳章ノ年全ガ恩給ト違フト
カ生活ノ保障デアルトカ云フ簡單ナ問題
デハアルマイト私ハ思フノデアリマス(土)
手)明治二十三年立憲制度ヲ起サレ、我ガ
議會ガ始メテ開カレマシタ其時ニ明治大
帝陛下ガ此金鵄勳章令ヲ御出シニナッタノ
デアッテ、二十七年ニ是ガ極シタノデアル、而
シテ二十八年ノ戰ニ於テ初メテ金鵄勳章ノ
實行ガ出來、初メテ年金ヲ頂戴致シタノデ
アル、諸君、此年金ヲ恩給ト同ジ性質ノモ
ノト思ハレルコソ.間違ノテ居ルノデアリマ
シテ、卽チ此年金ハ或ル論者ハ褒賜ノ意味
デアルト申シマスルガ、褒賜ノ意味デアル
トスルナラバ、年金ニ非ラズシテ一時賜
金デ然ルベキデアルノデアリマズ、年金ト
シテアル以上ハ、其年金ヲ頂戴スル者ガ、
必ズ其年金ニ依シテ自分ノ生活ノ保障マデ
ハ行カナクッテモ、勳章ヲ瀆サザルダケノ地
位ハ保タナケレバナラヌモノデアルト私ハ
思フノデアリマス、然ルニ金鵄勳章ヲ有ス
ル者ガ或ハ泥棒ヲ爲シ、或ハ物貰ヲシテ動
章ヲ下ゲテ步ケマスカ、我國ノ思想ガ追々
ト惡化シテ來ル時代ニ於テ、國民ノ思想ヲ
涵養シ國民ノ思想ヲ善導スルコトハ非常ニ
必要デアル時代ニ於テ、此金鵄勳章ノ年金
ニ對シテ反對スルガ如キハ、國民ノ精神ヲ
涵養スル所以ニアラズ、在〓軍人ノ士氣ヲ
鼓舞スル所以ニアラズ、地方靑年團ノ精神
ヲ養フ所以ニアラズ、隨テ小学校〓育ノ國
民精神ニモ大關係ヲ有シテ來ル問題デアラ
ウト思フノデアリマス、而モ憲政會ヨリモ、
革新倶樂部ヨリモ、政友會ヨリモ、而シテ
政友本黨ヨリモ、殆ド各政黨政派ガ是程國
民フ輿論タル問題ハナカラウト思フ位、各
政黨政派ノ問題ニナッテ居ルデハアリマセ
スク(「本黨バカリ反對シテ居リマスゾ」ト呼
フ者アリ)其反對ハ反對ニ非ラズシテ、蟻川
君ノ御議論ニ一種ノ冷笑的反對デアッタノ
デアリマス、諸君、殊ニ前々議會ニ於テ此問
題ニ反對シタル者ハ大阪府ニ於ケル南代
議士ト森下前代議士ノ一一人デアッタノデア
ル、此二人ガ美事落選シテ居ル點カラ見マ
シテモ、天下ノ輿論ガ此問題ニ向テ大歡迎
シテ居ルト云フコトハ明カデアルト思ヒマ
ス、私ハ多クヲ語リマセヌ、唯"此意味ニ於
テ國民ノ精神ヲ涵養スル意味ニ於テ、及
軍人ノ士氣ヲ鼓舞スルトニ於テ、此問題ハ
滿場一致ヲ以テ可決セラレンコトヲ念ノ爲
ニ申上ゲテ置キタイノデアリマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=247
248・作間耕逸
○作間耕逸君　本案ハ委員長報告ノ通リ、
卽チ委員會決定ノ通り可決セラレンコトヲ
望ミマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=248
249・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　採決ヲ致シマス、委
員長ノ報告ニ賛成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔賛成者起立〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=249
250・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　起立多數、委員長報
告ノ通リ可決致シマシタ
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=250
251・作間耕逸
○作間耕逸君　重ネテ議事日程ヲ變更シ、
日程第五十乃至第五十二、竝ニ第五十七乃
至第六十七ノ各建議案ノ委員長報告ノ外、
此際特ニ議員土井權大君提出、小麥及小麥
粉輸入稅稅率引上ニ關スル建議案、議員村
山喜一郞君提出、私有林野造林國庫補助ニ
關スル建議案、及議員山下谷次君提出、
高等學校令中改正ニ關スル建議案ノ各案ヲ
追加上程シ、而シテ以上全部ヲ一括議題ト
シ、何レモ委員長ノ說明ヲ省略シ、其報告
卽チ委員會決定ノ通リニ總テ可決アランコ
トヲ望ミマス、之ヲ本會期ニ於ケル最終ノ
緊急動議トシテ提出致シマス
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=251
252・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ議事日程變
更ノ動議ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ノ聲起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=252
253・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　作間君ノ動議ノ通リ
決シマシタ
第五十小樽港鐵道省第二期工事速成
ニ關スル建議案(山本厚三君外六名
提出)(委員長報告)
報告書
一小樽港鐵道省第二期工事速成ニ關スル
建議案(山本厚三君外六名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
大正十三年七月十二日
小樽港鐵道省第二期工事速
成ニ關スル建議案委員長
山本厚三
衆議院議長粕谷義三殿
第五十一小樽港海陸聯絡設備完成ニ
關スル建議案(山本厚三君外六名提
出)(委員長報告)
報告書
一小樽港海陸聯絡設備完成ニ關スル建議
案(山本厚三君外六名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
大正十三年七月十二日
小樽港海陸聯絡設備完成
ニ關スル建議案委員長
山本厚三
衆議院議長粕谷義三殿
第五十二越中島線鐵道速成ニ關スル
建議案(太田信治郞君提出)
(委員長報告)
報告書
一越中島線鐵道速成ニ關スル建議案大太
田信治郞君提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
大正十三年七月十二日
越中島線鐵道速成ニ
開スル建議案委員長
山本厚三
衆議院議長粕谷義三殿
第五十七飛行事業擴張ニ關スル建議
案(長岡外史君提出)(委員長報告)
報告書
一飛行事業擴張ニ關スル建議案(長岡外
史君提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
大正十三年七月十七日
飛行事業擴張ニ關
スル建議案委員長
淺賀長兵衞
衆議院議長粕谷義三殿
第五十八用排水幹線改良事業費國庫
補助ニ關スル建議案(加藤知正君外
七名提出)(委員長報告)
第五十九用排水幹線改良事業費補助
金ニ關スル建議案(建)遯吾君提出)
(委員長報告)
報告書
一用排水幹線改良事業費國庫補助ニ關ス
ル建議案(加藤知正君外七名提出)
用排水幹線改良事業費補助金ニ關スル
建議案(建部遯吾君提山)
右ハ本院ニ於テ兩案ヲ併合シ表題ヲ「用
排水幹線改良事業費國庫補助ニ關スル建
議」トシ別紙ノ通修正スヘキモノト議決
致候此段及報告候也
大正十三年七月十七日
用排水幹線改良事業
費國庫補助ニ關スル
建議案外一件委員長
降旗元太郞
衆議院議長粕谷義三殿
用排水幹線改良事業費國庫補助ニ
關スル建議
農商務省ニ於ケル耕地ノ用排水幹線改良
事業費補助金ハ農村振興食糧增加ノ目的
ヲ達スルニ於テ其ノ最大㨗徑ナルヲ信ス
ト雖如何セム其ノ補助額僅少ニ失スルヲ
以テ其ノ目的ヲ達スルコト容易ナラサル
モノアリ仍テ政府ハ更ニ補助金額ヲ增加
セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第六十遠信鐵道速成ニ關スル建議案
(樋口秀雄君外三名提出)
(委員長報告)
第六十一遠信鐵道速成ニ關スル建議
案(倉元要一君外二名提出)
(委員長報告)
報告書
一遠信鐵道速成ニ關スル建議案(樋口秀
雄君外三名提出)
一遠信鐵道速成ニ關スル建議案(倉元要
君外二名提出)
右ハ本院ニ於テ二案ヲ併合シ表題ヲ「遠
信鐵道速成ニ關スル建議」トシ別紙ノ通
修正スヘキモノト議決致候此段及報告候
也
大正十三年七月十七日
遠信鐵道速成ニ關スル
建議案外一件委員長
木檜三四郞
衆議院議長粕谷義三殿
遠信鐵道速成ニ關スル建議
静岡縣濱松ヨリ長野縣飯田ヲ經テ辰野ニ
至ル百一哩ノ鐵道線所謂遠信鐵道線ハ鐵
道敷設法別表中主要ノ線路ニシテ天龍川
ニ沿ヒ東海中央二大線路ノ聯絡機關トシ
テ尤モ重要ナル地位ヲ占メ沿道ノ物資ト
シテ礦物石材木材生絲等ノ產出頗ル豐富
ニシテ國富開發ノ上ヨリスルモ軍事上ノ
必要ヨリ見ルモ其ノ速成ノ急ヲ要スルコ
トハ夙ニ當局ニ於テ認ムル所ナリ政府ハ
速ニ本線敷設計畫ニ著手セラレムコトヲ
望ム
右建議ス
第六十二澁用長野原間鐵道速成ニ關
スル建議案(木檜三四郎君提出)
(委員長報告)
報告書
澁川長野原間鐵道速成ニ關スル建議案
(木檜三四郞君提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
大正十三年七月十七日
澁川長野原間鐵道速成
ニ關スル建議案委員長
木檜三四郞
衆議院議長粕谷義三殿
第六十三花卷釜石間鐵道開通ニ關ス
ル建議案(志賀和多利君二名提出)
(委員長報告)
報告書
一花卷釜石間鐵道開通ニ關スル建議案
(志賀和多利君外二名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
大正十三年七月十七日
花卷釜石間鐡道開通ニ
關スル建議案委員長
吉津度
衆議院議長粕谷義三殿
第六十四大阪和歌山間鐵道敷設ニ關
スル建議案(山口義一君)外一名提出
(委員長報告)
報告書
一大阪和歌山間鐵道施設ニ關スル建議案
(山口義一君外一名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
大正十三年七月十七日
大阪和歌山間鐵道敷設
ニ關スル建議案委員長
吉津度
衆議院議長粕谷義三殿
第六十五地震〓究ノ特殊機關設立ニ
關スル建議案(田中善立君外四名提
出)(委員長報告)
報告書
一地震〓究ノ特殊機關設立ニ關スル建議
案(田中善立君外四名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
大正十三年七月十七日
地震〓究ノ特殊機關設立
ニ關スル建議案委員長
〓水留三郞
衆議院議長粕谷義三殿
第六十六部落有林野統一緩和ニ關ス
ル建議案(土井權大君提出)
(委員長報告)
報告書
一部落有林野統一緩和ニ關スル建議案
(土井權大君提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
大正十三年七月十七日
部落有林野統一緩和ニ
關スル建議案委員長
志賀和多利
衆議院議長粕谷義三殿
第六十七國有林野所在府縣市町村ニ
對シ交付金下付ニ關スル建議案(八
田宗吉君外二名提出)(委員長報告)
報告書
一國有林野所在府縣市町村ニ對シ交付金
下付ニ關スル建議案(八田宗吉君外二名
提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
大正十三年七月十七日
國有林野所在府縣市町
村ニ對シ交付金下付ニ
關スル建議案委員長
志賀和多利
衆議院議長粕谷義三殿
小麥及小麥粉輸入稅稅率引上ニ關スル
建議案(土井權大君提出)(委員長報告)
報告書
一小麥及小麥粉輸入稅稅率引上ニ關スル
建議案(土井權大君提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト決議致
候此段及報告候也
大正十三年七月十八日
小麥及小麥粉輸入稅稅率引
上ニ關スル建議案委員長
土井權大
衆議院議長粕谷義三殿
私有林野造林國庫補助ニ關スル建議案
(村山喜一郞君提出)(委員長報告)
報告書
一私有林野造林國庫補助ニ關スル建議案
(村山喜一郞君提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
大正十三年七月十八日
私有林野造林國庫補助
ニ關スル建議案委員長
志賀和多利
衆議院議長粕谷義三殿
高等學校令中改正ニ關スル建議案(山
下谷次君提出)(委員長報告)
報告書
一高等學校令中改正ニ關スル建議案(山
下谷次君提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノド議決致
候此段及報告候也
大正十三年七月十八日
高等學校令中改正ニ
關スル建議案委員長
荒川五郞
衆議院議長粕谷義三殿
本建議ハ左ノ希望ヲ附シ可決シタリ
中學在學生中優秀ナル者ハ便宜進級シ
得ル途ヲ開クコト
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=253
254・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　尙ホ只今作間君ニ
依シテ述ベラレマシタル各案ハ、作間君ノ動
議ノ如ク決定致シテ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ノ聲起ル〕
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=254
255・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、諸君、加
藤内閣總理大臣ヨリ左ノ通牒ヲ受領致シマ
シタ
本月十九日貴族院ニ於テ帝國議會閉會式
執行被仰出候
私ハ此場合一言御挨拶ヲ申上ゲマス(拍手)
諸君、第四十九囘議會ノ會期ハ本日ヲ以テ
終了致シマシタ、本會議ハ御承知ノ通リ解
散後ノ所謂特別議會デアリマシテ、會期ハ
僅カ二十一日ニ過ギナカッタノデアリマス
ルガ、而モ本會議ヲ開キマスルコト十四回、
部會、委員會ヲ開クコト百八十囘、議案ノ
提出セラレタルモノ五百八十二件、請願ノ
提出セラレタルモノ四百四十五件デアリマ
ス、就中帝都復興ノ關係及震災復舊ノ經費
等、巨額ノ追加豫算等ニ協賛ヲ與ヘマシタ、
各種ノ法律案、或ハ事後承諾案、或ハ決算、
其他重要議案ハ〓ネ議了ヲ致シマシタ此
短期間ニ於テ斯ノ如キ成績ヲ收メマシタト
云フコトハ、全ク諸君御勵精ノ結果デゴザ
イマス、私ハ玆ニ謹ンデ諸君連日ノ御苦勞
ニ對シテ感謝ノ意ヲ表シマス(拍手)例ニ依
リマシテ本會議ニ於ケル議事ノ成績ヲ書記
官長ヨリ御報告致シマス
〔中村書記官長朗讀〕
本會議ニ於ケル議案ノ總數及結果
豫算案十件可決
決算件是認ス
承諾ヲ求ムル議案九件承諾ヲ與フ
政府提出法律案二十五件
內
可決シタルモノ
二十四件
未決ノモノ件
議員提出法律案七件
内
未決ノモノ六件
否決シタルモノ件
上奏案一件可決
建議案七十三件
內
可決シタルモノ
五十四件
議決ヲ要セサルモノ
二件
撤回シタルモノ一作
未決ノモノ十六件
決議案二件可決
重要動議六件
內
可決又ハ宣告シタルモノ
四件
撤回シタルモノ二件
懲罰事犯三件可決
請願四百四十五件
內
採擇又ハ採擇ト看做シ
タルモノ四百五件
政府ニ參考トシテ送付
シタルモノ三十件
不採擇ニ決シタルモノ
二件
未了ノモノ八件
質問三十四件
口頭又ハ書面ニテ答辯
アリタルモノ三十三件
答辯ナキモノ件
緊急質問三件
口頭ニテ答辯アリタリ
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=255
256・粕谷義三
○議長(粕谷義三君)　是ニテ散會致シマ
ス、諸君ノ御健康ヲ祈リマス
午後六時二十九分散會
〔參照〕
〔左ノ報告ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲
玆ニ揭載ス〕
一今十八日政府ヨリ受領シタル答辯書左ノ
如シ
衆議院議員吉田眞策君提出綱紀肅正ニ關
スル質問ニ對スル答辯書
衆議院議員齋藤藤四郞君提出肥料政策確
立ニ關スル質問ニ對スル答辯書
衆議院議員秋田寅之介君提出漁港施設及
水產業保護獎勵ニ關スル再質問ニ對スル
答辯書
衆議院議員束幸治君提出排日移民法及日
露交涉ニ關スル質問ニ對スル各辯書
衆議院議員見玉右二君提出滿蒙開發ニ關
スル再質問ニ對スル答辯書
綱紀粛正ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正十三年七月十六日
提出者吉田眞策
贊成者靑柳郁次郞
外三十人
綱紀出正ニ關スル質問主意書
行政裁判所原告大正硫黄株式會社被告北
海道廳長官土岐嘉平間ノ大正十一年第一
八二號發電水利使用出願ニ對スル不許可
指令取消ノ訴ニ付原告ハ大正十二年十一
月二十九日原告勝訴ノ宣言アリテ「原告
ノ大正十年四月一日付北海道渡島國茅部
郡曰尻村大字熊治村宇磯谷所在磯谷川發
電用水利使用願ニ對シ被告ノ爲シタル大
正十一年五月五日付指令ハ之ヲ取消ス
被告ハ原告ノ右出願ヲ許可スヘシ
訴訟費用ハ被告ノ負擔トス」トノ判決ヲ
受ケタルニ拘ラス北海道廳長官ハ今日ニ
至ルモ右判決ニ從ヒタル處分ヲ爲サス行
政裁判所ノ判決ヲ無視セルハ所謂行政監
督ニ關スル國權ノ發動ヲ遮斷スルモノニ
シテ綱紀ヲ紊亂セルモノト信ス政府ノ所
見如何
右及質問候也
大正十三年七月十八日
內閣總理大臣子爵加藤高明
衆議院議長粕谷義三殿
衆議院議員吉田眞榮君提出綱紀肅正ニ關
スル質問ニ對シ別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員吉田眞策君提出綱紀〓正ニ
關スル質問ニ對スル答辯
大正硫黄株式會社ノ出願ニ係ル北海道渡
島國茅部郡白尻村大字熊泊字磯谷所在磯
谷川發電用水利使用願ハ其ノ設計實地ニ
適セス計畫ノ如キ發電不可能ナリト認メ
タルヲ以テ北海道廳長官ハ適當ナル設計
工法ニ訂正セシムル爲メ書類ヲ一應返戾
シタルモノニシテ該措置ハ行政栽判所ノ
判決ヲ無視シタルモノニ非ラス尙ホ出願
者カ該措置ヲ以テ不許可處分ヲ爲シタル
モノト誤解シ更ニ行政教判所ニ指令無效
確認ノ行政訴訟ヲ提起セルモ行政裁判所
ニ於テハ之ヲ受理スへカラサルモノトシ
テ却下ノ判決ヲ爲シタリ卽チ北海道廳長
官ノ措置カ不適當ナラサルコトハ行政裁
判所ニ於テモ之ヲ認ムル所ニシテ質問ノ
如ク行政監督ニ關スル國權ノ發動ヲ遮斷
シ綱紀ヲ紊亂セルモノニアラスト認ム
右及答辯候也
大正十三年七月十八日
內務大臣若槻禮次郞
肥料政策確カニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正十三年七月十五日
提出者齋藤藤四郞
贊成者本田義成
外三十九人
肥料政策確立ニ關スル質問主意書
農業振興ノ緊要ニシテ且急務ナルハ言ヲ
俟タス而シテ之カ對策トシテ近時諸種ノ
方策ヲ樹テ若ハ樹テムトシツツアリト雖
未夕肥料政策ニ論及スルナキヲ遺憾トス
農家ノ資本ニシテ原動力トモ稱スヘキ肥
料ハ一箇年約三億万圓ヲ消費シツツアル
現狀ニシテ此ノ肥料問題ヲ解決スルニ非
サレハ決シテ完全ナル農業ノ振興ヲ期ス
ルコト能ハサルヘシト信ス依テ次ノ事項
ニ關シ政府ノ所見ヲ問フ
-窒級肥料ノ〓究ヲ速進セシメ政府又
ハ官民協力シテ之カ大量生產ヲ企圖シ
豊富ナル窒素肥料ヲ得一ハ以テ國内ノ
消費ニ充テ他ハ以テ國外ニ輸出スルノ
意思ナキヤ
二「アンガウル」島ノ經營ハ現狀ヲ維持
スルヤ又ハ之ヲ基礎トシテ國立製肥所
ヲ設立スルノ意思ナキヤ
三肥料ノ品質改善需給及價格ノ調節ヲ
圖ルノ目的ヲ以テ重要集散地ヲ限定シ
肥料取引所ノ設置ヲ許可スルノ意思ナ
キヤ
右及質問候也
大正十三年七月十八日
内閣總理大臣子爵加藤高明
衆議院議長粕谷義三殿
衆議院議員齋藤藤四郞君提出肥料政策確
立ニ關スル質問ニ對シ別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員齋藤藤四郞君提出肥料政策
確ウニ關スル質問ニ對スル答辯書
一臨時窒素研究所ヲ設ケ極力窒素肥料ノ
國内生產ニ關シ〓究ヲ進メツヽアリ
二「アンガウル」燐礦ニ關シテ天然資源ノ
保存ニ留意シツヽ民間ニ燐礦ノ供給ヲ
爲シツヽアリ現時ニ於テハ別ニ國立製
肥所ヲ設立スルノ意思ナシ
三肥料取引所ノ新設ニ付テハ尙未タ其ノ
必要ヲ認ムルニ至ラス
右及答辯候也
大正十三年七月十八日
內閣總理大臣子爵加藤高明
農商務大臣高橋是〓
漁港施設及水產業保護獎勵ニ關スル再
質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正十三年七月十七日
提出者秋田寅之介
贊成者本田義成
外三十九名
漁港施設及水產業保護獎勸ニ關スル再
質問主意書
一下關港ハ東洋一ノ大漁港ト稱セラルヽ
位天與ノ地ニシテ利ヲ占メテ居リナカ
ラ未タ水產學校若ハ講習所ノ如キモノ
スラ設置ナキハ甚夕遺憾トスル所テア
リマス政府ハ此ノ種ノ學校ヲ設置セラ
ルヽ御考ハナイノテアリマスカ又地方
ニ於テ設置スル樣ノ場合ニハ之ニ對シ
相當ノ補助ヲ與ヘラルヽ御意見ノ有無
ヲ伺ヒタイ之ヲ御尋スル所以ハ現時〓
育機關不足ノ爲多數子弟ノ進學ヲ阻止
シテ居ルノ時之等専門學校ヲ設立スル
コトハ產業ノ發達ヲ圖ルト共ニ入學難
ヲ緩和シ一舉兩得ノ策ト考フルノテア
リマス
二水産事業ノ發達ヲ圖ル爲ニハ恰モ農工
銀行勸業銀行興業銀行等夫々特別ノ働
ヲ爲シ機能ヲ十分發揮スルカ如ク水產
事業保護奬勵ニ就テハ機國銀行ヲ設立
シテ大ニ金融ノ圓滑ヲ得セシムルコト
カ必要テアルト考フルノテアリマス政
府ハ此御意思アリヤ又民間ニ於テ此ノ
種銀行ヲ設立スル場合ハ相當保護セラ
ルヽ御意思アリヤ御伺ヒシタイノテス
三現在ノ捕鯨船ハ隻數ニ制限アリヤアリ
トスレハ其隻數ハ何隻ナリヤ又現在ノ
隻數ニテ相當ト御認メニナルヤ更ニ出
願者アレハ許可セラルヽヤ御意〓ヲ伺
ヒタイノテアリマス
四トロール船ハ現在七十隻ト制限セラレ
テ居ルト考ヘマスカ右隻數ニテ適當ナ
リト信セラルヽヤ又新ニ出願者アレハ
許可ニナリマスカ許可ニナルトスルナ
レハ幾隻ノ御見込ナリヤ伺ヒタシ
五手操發動船ハ目下無限ニ增加ノ傾向ア
ル樣ニ考ヘマスカ政府ハ之ニ對シ相當
制限ヲ加フルノ必要ヲ認メラレサルヤ
又既ニ制限セラレアルヤ往年トロール
無制限ノ爲當業者ノ苦境ニ陷リタル轍
ヲ履ム恐レナキヤ御伺ヒ致シマス
右及再質問候也
大正十三年七月十八日
内閣總理大臣子爵加藤高明
衆議院議長粕谷義三殿
衆議院議員秋田寅之介君提出漁港施設及
水產業保護奬勵ニ關スル質問ニ對シ別紙
答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員秋田寅之介君提出漁港施設
及水產業保護奬勵ニ關スル質問答辯書
水水〓育機關ノ整備ニ就テハ水產〓育
ノ現況ニ鑑ミ考究ヲ要スルモノアルモ
下關ニ之ヲ設置スヘキヤ否ヤ又地方ニ
於テ設置スル場合ニ之ニ對シ補助ヲナ
スヤ否ヤハ今遽カニ之ヲ決定スルヲ得
ス
二水產金融ノ圓滑ヲ缺クハ水產業ノ發展
上甚シキ支障ナルヲ以テ各種ノ方策ニ
付〓究中ニ屬スルモ水產ニ關スル特殊
銀行ノ設立竝民間特殊銀行ニ對スル補
助ニ就テハ尙考究ノ餘地アルモノト認
ム
三鯨漁汽船船數ニ就テハ現在三十隻ノ制
限アリ而シテ右制限隻數ハ其後ノ鯨族
ノ蕃殖狀態ニ徵シ特殊ノ理由ナキ限リ
新出願ニ對シテハ許可セサル方針ナリ
四トロール汽船ノ許可船數ハ七十隻ノ制
限ニ達セリ而シテ右制限隻數ニ就テハ
許可船操業ノ實績ニ鑑ミ現在ニ於テハ
未タ改正ノ機ニアラサルモノト認ム
五機船底曳綱漁業ハ近時著シク發達シ地
方ニ依リテハ相當制限ノ必要ヲ認ムト
雖元來該漁業ハ各地事情ヲ異ニスルモ
ノアルヲ以テ一樣ニ律シ難ク各地方長
官ヲシテ許可處分ヲ爲サシメ適當ニ制
限ノ途ヲ講ゼシメツヽアリ
右及答辯候也
大正十三年七月十八日
農商務大臣高橋是〓
文部大臣岡田良平
大藏大臣濱口雄幸
排日移民法及日露交涉ニ闊スル質問主
意書
右成規ニ據リ提出候也
大正十三年七月十七日
提出者東幸治
賛成者松田源治
外三十一名
排日移民法及日露交涉ニ關スル質問主
意書
一排日移民法ニ關スル米國政府ノ囘答ヲ
接手シテヨリ既ニ一箇月ニ垂ントス而
モ米國ノ回答タルヤ人種的理由ニ依リ
他ノ文明國民ト差別的待遇ヲ爲シ國際
信義ヲ蹂躪シ國家的凌辱ヲ加ヘタルニ
對シテハ一語ノ應フル所ナク顧ミテ他
ヲ言フ之ニ對シ政府ハ何等カノ手段ヲ
取リタルカ取リタリトセハ其ノ經過ヲ
報告セラレタシ取ラストセハ其ノ理由
ヲ示サレタシ
二米國ノ新移民法實施前後渡米シタル同
胞ノ健康診斷ニ際シ之ヲ裸體ニ爲シ凌
辱的行爲ヲ加ヘタルモノ少カラス又些
些タル疾病ヲ理由トシテ送還シタルモ
ノ少カラス之ニ對スル眞相ト政府ノ取
リタル經過ヲ示サレタシ
三新移民法實施ト同時ニ布哇在住ノ同胞
ハ合衆國本土ニ轉航ノ自由ヲ有スルモ
ノナリヤ政府ノ所見ヲ問フ
四新移民法實施ノ結果在米同胞ノ精神上
物質上ニ受ケタル打擊影響ノ情況ヲ報
告セラレタシ
五七月一日米國國旗窃取事件其ノ後ノ經
過竝日米兩國間ニ於テ此ノ事件ニ就テ
交涉アリタリトセハ其ノ內容ヲ承知シ
タシ
六政府ハ日露交渉ヲ近ク開始スルノ意思
アリヤ若シアリトセハ其ノ大體方針ヲ
示サレタシ
七芳澤駐支公使ノ樺太視察旅行ハ日露交
涉ニ關スル資料蒐集ノ爲ナリヤ
八特別議會ノ會期モ正ニ終ラムトス政府
ハ速ニ以上七項ニ對シ書〓ヲヲテレ辯
セラレムコトヲ希望ス
右及質問候也
大正十三年七月十八日
內閣總理大臣子爵加藤高明
衆議院議長粕谷義三殿
衆議院議員東幸治君提出排日移民法及日
露交涉ニ關スル質問ニ對シ別紙各辯書差
進候
〔別紙〕
衆議院議員束幸治君提出排日移民法及
日露交涉ニ關スル質問ニ對スル答辯書
一本年五月三十一日附ヲ以テ我方ヨリ米
國政府ニ送付セル覺書中ニ揭ケタル我
主張及立場ハ我ニ於テ毫モ之ヲ抛棄シ
タルモノニアラサルコトハ米國政府ニ
於テモ之ヲ諒得シ居ルモノト信スルモ
若シ此點ニ付何等カ誤解ヲ生スル虞ア
リト認メタル場合ニハ政府ハ更ニ適當
ナル措置ヲ執ル積ナリ
二米國ニ於テハ從來渡米外國人ノ上陸ニ
際シ「トラホーム」十一一指腸蟲、片山病
等ノ檢査ヲナシ最近尙花柳病ニ付テモ
檢査ヲ行フコトヽナレリ、之カ爲屢〓若
干邦人ノ送還ヲ見タルカ右ニ關シ世間
ニ傳ヘラレタル報道カ誇大ニ失スルコ
トニ付テハ既ニ關係領事ヨリ報告セル
次第モアリ、然レトモ政府ニ於テハ米
國官憲カ渡米邦人ニ對シ何等不當又ハ
不親切ノ措直ニ出ツルカ如キコト萬之
ナキコトヲ期スル爲在米臨時代理大使
ヲシテ米國政府ニ對シ適宜申入ヲナス
樣訓令濟ナリ
三布哇轉航禁止ハ千九百七年及千九百十
三年ノ法律及大統領令ノ定ムル所ニシ
テ米國新移民法實施ト同時ニ終了シタ
ル所謂紳士協約ト直接閣係ナシ從テ新
移民ノ結果布哇在住同胞カ合衆國本土
ニ轉航ノ自由ヲ有スルヤ否ヤハ全然米
國國內法ノ解釋問題ニ屬ス
四所謂紳士協約ノ下ニアリテハ在米邦人
ハ父母妻子ノ呼寄又ハ同伴ヲナシ得タ
ルモ新移民法實施ノ結果此等ノモノハ
米國ニ渡航スルコト不可能トナレリ、新
移民法カ在米邦人ニ齋セル最モ不幸ナ
ル影響ハ此點ニアリ、其ノ他ノ影響ニ
付テハ實施後日尙淺ク未タ的確ナル報
道ヲ得ルニ至ラス
五米國々旗事件ニ付テハ我ヨリ遲滯ナク
遺憾ノ意ヲ米國側ニ表シ米國側ニテモ
我方ノ取レル措置ニ滿足ノ意ヲ表シ兩
國政府間ニ於テハ本事件ハ全然終了シ
タルモノナリ
六政府ハ北京ニ於テ行ハレ來リタル日露
交涉ヲ繼續シ成ルヘク速ニ之ヲ再開セ
ントス其大體方針ニ付テハ交涉懸案ニ
屬スルニ依リ之ヲ公元シ難シ
七芳澤公使ヲ出張セシメタルハ交渉ノ局
ニ當ル同公使ヲシテ北樺太方面ノ狀况
ヲ現實ニ視察セシメ置クコト交涉上便
宜ナリト認メタルニ依ル
右及答辯候也
大正十三年七月十八日
外務大臣男爵幣原喜重郎
滿蒙開發ニ關スル再質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正十三年七月十七日
提出者兒玉右二
賛成者本田義成
外三十九名
滿蒙開發ニ關スル再質問主意書
滿蒙開發ニ關スル本員ノ質問ニ對シ加
藤總理大臣ノ御答辯ニ接シタルハ本員
ノ欣幸トスル所ナリ然レトモ滿蒙十九
萬ノ利害休戚ニ關シ遺憾ナキ能ハス重
テ文書ヲ以テ親切ナル御答辯ヲ望ム
一「ハルピン」施設ノ民衆化ヲ翹望スルコ
トニ於テ其ノ一例ヲ擧クレハ現ニ同市
居留民中ノ重ナル實業家カ組織セル
「ハルピン」商業會議所カ諸種ノ施設ヲ
爲シテ帝國進展ノ大義ニ努力スル一面
農商務省ハ年々五萬圓ノ補助金ヲ與ヘ
テ商品陳列館ヲ設ケシムルカ如キ尙シ
之ヲ在留邦人實業家全體ノ力ヲ以テ年
額五萬圓ヲ善用セシメハ帝國國策ニモ
貢獻スル所絕大ナルヘシト信ス政府ノ
所見如何
一昨年「ハルピン」市廳改築費五千萬圓ヲ
同市長ヨリ我カ東洋拓殖會社「ハルピ
ン」支店ニ依賴シ同支店ハ之カ貸出ニ
就テ十二分ノ條件ト擔保額ヲ說テ同市
長ヲ首肯セシメ後故ナク謝絕シタリ此
ノ事主務大臣ノ關知スル所ニ非サラム
モ此ノ貸出シ背信ノ爲ニ日本帝國ノ信
用ヲ毀損スルコト容易ナラス「ハルピ
ン」ハ日支露國際關係ノ中心市場ナル
ヲ以テ特ニ政府ノ之ニ對スル所見ヲ聽
取シ「ハルピン」市民ニ傳ヘタシ
滿蒙ニ於ケル重要ナル案件ハ商租權ノ
問題ト四百七十七哩ヲ有スル南滿鐵道
ノ消長盛衰ニ存ス同會社創立十八年今
日迄九人ノ社長ヲ代フ加奈陀太平洋鐵
道會社カ任期平均十二年ヲ超ユルニ比
セハ如何ニ帝國興業ノ施設ハ能率ニ重
キヲ置カスシテ人事ノ配置ニ腐心スル
政府者ノ重大主義ヲ發揮シテ餘アリ今
囘安廣社長ノ滿鐵社長ニ任セラレタル
本員等ハ其ノ措置ノ公平ナルヲ悅フト
雖滿織社中長キハ十五年ニ亙リテ社中
ノ實務ニ鞅掌シ理ニ於テ情ニ於テ遺憾
ナキ人材ニ乏シカラスシ)ヲ社長乃至副
社長理事ニ陞進セシメスシテ政機ニ依
リスル高等政策連用ノ爲ニ鐵道政策ノ
一端ヲモ解セサル徒ヲ任セムトスル印
度開發ノ實例ニ徵シテモ嘆慨セサルヲ
得ス殊ニ政府ノ所見ヲ問フ
右及再質問候也
大正十三年七月十八日
內閣總理大臣子爵加藤高明
衆議院議長粕谷義三殿
衆議院議員兒玉右二君提出滿蒙開發ニ關
スル再質問ニ對シ
別紙答辯書差進候
一別紙」
衆議院議員兒玉右二君提出滿蒙開發ニ
園スル再質問主意書ニ對スル答辯書
哈爾賓商品陳列所補助費ヲ廢止スルハ
對支對露貿易振興上不得策ナリト認ム
一ハルピン市廳改築費五十万圓借款ノ
件ハ東洋拓殖會社ノ商取引ニ屬スル事
項ナルニ付政府ノ關知スヘキ限リニア
ラス
一南滿洲鐵道株式會社々長ノ更迭ノ頻繁
ナルハ政府モ亦欲スル所ニ非ス政府ハ
社員タルト否ト問ハス廣ク適材ヲ得テ
長ク其ノ職ニ瘁サシムルヲ期ス
右及答辯候也
大正十三年七月十八日
內閣總理大臣子爵加藤高明
農商務大臣高橋是〓
外務大臣男爵幣原喜重郞
一今十八日委員長理事互選ノ結果左ノ如シ
私學復興ニ關スル建議案外三件委員
委員長荒川五郞君
理事山下谷次君
〓國及朝鮮國在留帝國臣民取締法廢止法
律業委員
委員長山道襄一君
理事松山常次郞君
一大正五年二月十八日ノ議決ニヨリ採擇シ
タルモノト見做シ政府ニ送付シタル請願
書左ノ如シ
點字投票有效ノ請願三通
元屯田兵豫備役服務期間ヲ恩給年限ニ
通算ノ請願二通
一参考トシテ政府ニ送付シタル請願書左ノ
如シ
皇位竝紀元算定ニ關スル論願一通
印紙稅法中改正ノ請願通
改名許可法制定ノ請願通
東京砲兵工廠ヲ福岡縣黑崎町ニ移轉ノ
請願一通
精神振興院設立ノ請願通
山陰線長門峡驛ヲ常設驛ニ變更ノ請願
通
震災地ニ於ケル國稅滅免ノ請願-雨
牛肉關稅免除ノ請願二通
在郷軍人ニ選舉權竝被選擧權付與ノ請
願-通
土地區劃整理實行延期ノ請願八通
農業保護政策ニ關スル請願通
借地法及借家法中改正ノ請願三通
精神作興ニ關スル請願一通
町村有給吏員優遇ノ請願一通
營業稅全廢ノ請願一道
產業組合ニ對シ煙草小賣指定反對ノ請
願通
娼妓名簿新規登錄不許可ノ請願-通
帝都復興ニ關シ特殊建築會社設立ノ請
願一通
皇國信仰會創設ノ請願通
國有鐵道整理法制定ノ請願一通
一今十八日議長ニ於テ選定シタル委員左ノ
如シ
〓國及朝鮮國在留帝國臣民取締法廢止法
律案
山道襄一君神田正雄君
永田善三郞君長峰與一君
牧山耕藏君柏田忠一君
松山常次郞君野田俊作君
兒玉右二君
社會政策ニ關スル建議案
山田又司君中野寅古君
生方大吉君麓純義君
千葉宮次郞君渡邊祐策君
赤間嘉之吉君佐々木文一君
山口政二君
私學後興ニ關スル建業外三件
荒川五郞君內ケ崎作三郞君
〓水留三郞君岩切重雄君
原熱兵衞君山下谷次君
起居哲君岡田忠彦君
齋藤眞三郞君
発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004913242X01419240718&spkNum=256

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会議録情報
小泉又次郎発言者情報
荒川五郎発言者情報
土井權大発言者情報
山口義一発言者情報
佐々木文一発言者情報
作間耕逸発言者情報
柏田忠一発言者情報
村山喜一郎発言者情報
隅田豐吉発言者情報
志賀和多利発言者情報
山下谷次発言者情報
原惣兵衞発言者情報
若尾幾太郎発言者情報
平沼亮三発言者情報
太田信治郎発言者情報
武藤金吉発言者情報
三土忠造発言者情報
加藤知正発言者情報
増田義一発言者情報
佐々木春作発言者情報
服部英明発言者情報
粕谷義三発言者情報
廣瀬徳藏発言者情報
黒住成章発言者情報
中村啓次郎発言者情報
由谷義治発言者情報
嶋居哲発言者情報
來栖七郎発言者情報
岡田温発言者情報
山本芳治発言者情報
澤田利吉発言者情報
山田道兄発言者情報
山本勝次発言者情報
猪野毛利榮発言者情報
岡田伊太郎発言者情報
八田宗吉発言者情報
箕浦勝人発言者情報
牧野良三発言者情報
加藤高明発言者情報
鈴木富士彌発言者情報
川口義久発言者情報
松田源治発言者情報
土屋興発言者情報
菅原傳発言者情報
林田龜太郎発言者情報
岡田忠彦発言者情報
橋本喜造発言者情報
西岡竹次郎発言者情報
加藤十四郎発言者情報
則元由庸発言者情報
小池仁郎発言者情報
倉元要一発言者情報
加藤鯛一発言者情報
古川清発言者情報
蟻川五郎作発言者情報
中林友信発言者情報

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000・会議録情報
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001・小泉又次郎
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002・小泉又次郎
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003・荒川五郎
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004・土井權大
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005・小泉又次郎
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006・山口義一
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007・小泉又次郎
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008・山口義一
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009・佐々木文一
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010・小泉又次郎
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011・小泉又次郎
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012・作間耕逸
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013・小泉又次郎
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014・小泉又次郎
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015・柏田忠一
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016・作間耕逸
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017・小泉又次郎
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018・作間耕逸
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019・小泉又次郎
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020・村山喜一郎
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021・小泉又次郎
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022・作間耕逸
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023・小泉又次郎
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024・隅田豐吉
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025・作間耕逸
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026・小泉又次郎
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027・小泉又次郎
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028・小泉又次郎
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029・志賀和多利
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030・小泉又次郎
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031・山下谷次
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032・原惣兵衞
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033・小泉又次郎
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034・原惣兵衞
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035・小泉又次郎
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036・原惣兵衞
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037・作間耕逸
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038・小泉又次郎
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039・小泉又次郎
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040・若尾幾太郎
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041・作間耕逸
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042・小泉又次郎
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043・平沼亮三
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044・作間耕逸
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045・小泉又次郎
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046・太田信治郎
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047・作間耕逸
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048・小泉又次郎
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049・武藤金吉
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050・小泉又次郎
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051・三土忠造
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052・小泉又次郎
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053・加藤知正
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054・小泉又次郎
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055・小泉又次郎
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056・作間耕逸
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057・小泉又次郎
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058・増田義一
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059・作間耕逸
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061・佐々木春作
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064・服部英明
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065・作間耕逸
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067・粕谷義三
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068・廣瀬徳藏
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069・作間耕逸
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070・粕谷義三
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072・作間耕逸
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073・粕谷義三
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074・黒住成章
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075・作間耕逸
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076・粕谷義三
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077・作間耕逸
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079・作間耕逸
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080・粕谷義三
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082・中村啓次郎
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201・作間耕逸
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256・粕谷義三
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