1. 会議録本文
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000・会議録情報
委員會成立
本委員は大正十四年二月五日（木曜日）議長の指名を以て左の通り選定せられたり
高木益太郎君 大濱忠三郎君
一柳仲次郎君 飯塚春太郎君
佐竹庄七君 松井郡治君
荒井建三君 前田房之助君
金光庸夫君 津崎尚武君
吉村伊助君 田中定吉君
山口義一君 加藤知正君
濱口吉兵衞君 堤清六君
武藤嘉門君 土井權大君
同月六日（金曜日）午前十時十五分委員長理事互選の爲各委員參集す其の氏名左の如し
高木益太郎君 大濱忠三郎君
一柳仲次郎君 佐竹庄七君
前田房之助君 津崎尚武君
田中定吉君 山口義一君
堤清六君 土井權大君
年長者高木益太郎君投票管理者となる
○高木投票管理者は委員長及理事の互選を行ふへき旨を宣告す
○山口委員は投票を用ゐす高木益太郎君を委員長に推薦し理事は其の數を三名とし委員長の指名に一任すへしとの意見を提出す
○高木投票管理者は山口君の意見に異議なきを認め高木益太郎君は委員長に當選したる旨を宣告す
○高木委員長は山口義一君堤清六君土井權大君を理事に指名し散會を宣告す
于時午前十時三十五分発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=0
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001・高木投票管理者ハ委員長及理事ノ互
○高木投票管理者ハ委員長及理事ノ互 選ヲ行フヘキ旨ヲ宣〓ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=1
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002・山口委員ハ投票ヲ用ヰス高木益太郞
○山口委員ハ投票ヲ用ヰス高木益太郞 君ヲ委員長ニ推薦シ理事ハ其ノ數ヲ三
名トシ委員長ノ指名ニ一任スヘシトノ
意見ヲ提出ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=2
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003・高木投票管理者ハ山口君ノ意見ニ異
○高木投票管理者ハ山口君ノ意見ニ異 議ナキヲ認ノ高木益太郞君ハ委員長ニ
當選シタル旨ヲ宣〓ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=3
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004・高木委員長ハ山口義一君堤〓六君土
○高木委員長ハ山口義一君堤〓六君土 井權大君ヲ理事ニ指名シ散會ヲ宣告ス
于時午前十時三十五分
會議
大正十四年二月九日(月曜日)午後二時
二十分開議
出席委員左ノ如シ
委員長高木益太郞君
理事山口義一君
理事堤〓六君
理事土井權大君
一柳仲次郞君飯塚春太郞君
荒井建三君長峰與一君
金光庸夫君津崎尙武君
伊坂秀五郞君加藤知正君
濱口吉兵衞君武藤嘉門君
同月七日委員大濱忠三郞君辭任ニ付其
ノ補闕トシテ栗延敬太郞君ヲ同月九日
委員前田房之助君吉村伊助君辭任ニ付
其ノ補闕トシテ長峰與一君伊坂秀五郞
君ヲ孰レモ議長ニ於テ選定セリ
出席政府委員左ノ如シ
農商務政務次官三土忠造君
農商務參與官堀切善兵衞君
農商務書記官戶田保忠君
本日ノ會議ニ上リタル議案左ノ如シ
輸出組合法案(政府提出)
重要輸出品工業組合法案(政府提出)
〔以下速記〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=4
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005・高木委員長
○高木委員長 ソレデハ會議ヲ開キマ
ス、先ヅ政府カラシテ兩方ノ案ハ關聯
シテ居ルカラシテ、大體ニ付テ說明ヲ
セラルヽコトニナッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=5
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006・三士政府委員
○三士政府委員 本委員會ニ付託サレ
マシタル重要輸出品工業組合法案、竝
輸出組合法案、此二案ニ付キマシテハ
先般本會議ニ於テ農商務大臣ヨリ大體
ノ御說明ヲ致シマシタガ、尙ホ附加ヘ
マシテ御質問ニ先ダッテ、此二案ノ必要
ナル所以ヲ一應申上ゲタ方ガ御便宜デ
ハナイカト思フノデアリマス、我國ノ
工業ノ狀態ヲ見マスルト云フト、大規
模ノ工業ト云フモノハ非常ニ少イノデ
アリマシテ、大部分ハ所謂中小工業ニ
屬スルモノデアリマス、工場ノ割合ヲ
申シマスルト云フト、五人以上ノ職工
ヲ使ッテ居リマスル工場ハ、先ヅ五萬其
中デ五十人以下ノ工場ガ四萬五千二百
ヲ占メテ居ル、五百人以上ノ工場ト云
フノハ僅ニ四百五十シカ無イノデアリ
マス、百人以下ノ工場ガ四萬八千デア
リマシテ、總數ノ九割マデハ百人以下
デアリマス、其中原動機トカ、又電動機
ト云フヤウナ近代工業ノ機械ヲ全然用
ヰテ居リマセヌモノガ一萬三千五百ア
リマス、卽チ五人以上ノ工場五萬ノ中
デ、電動機原動機等ヲ用ヰテ居ラヌモ
ノガ一萬三千五百デアルカラ、二割八
分マデハサウ云フ極ク幼稚ナモノデア
リマス、要スルニ大體ニ於テ我國ノ工
業ト云フモノハ紡績トカ、造船、或ハ
車輛、曹達、硝子工業ト云フヤウナ大キ
ナモノハ極ク少イノデアリマシテ、多
クハ中小工業ガ雜然トシテ混在致シテ
居リマシテ、ソレガ互ニ不統一デアッテ、
無益ノ競爭ヲシテ居ル狀態デアリマス、
之ガ爲ニ原料ノ購入、機械ノ利用、販賣
ノ方法等ニ付キマシテモ、洵ニ幼稚ナ
狀態ト申サナケレバナラナイノデアリ
マス、斯ノ如キ雜然トシテ混在シテ居
ル中小工業ガ、如何ナル事ヲ致シテ居
ルカト申シマスルト云フト、多クハ問屋
カラ注文ヲ受ケテ、問屋ノ言フ通リノ
物ヲ造ル、自分ガ造ッタ品物ガ世界
ノ何處ヘ行ッテ、如何ナル人ニ用ヰ
ラレルカト云フコトハ製造業者自身
ハ少シモ知ラヌト云フヤウナコトガ多
イノデアリマス、故ニ或ル品物ガ新市
場ヲ開拓致シマシテ、之ガ爲ニ注文ガ
參リマスト云フト、其注文ヲ一時ニ背
負ヒ切ルコトガ出來マセヌカラ、見本
ヲ今マデ製造シテ居ッタ者ノ處ニ持ッテ
來テ問屋ガ製造セシムル、之ガ爲ニ粗製濫
造ノ弊ニ陷リマス、無益ノ競爭ヲシテ、
品物ヲ賣崩スト云フコトニナッテ居ル
ノデアリマス、最近十數年間ノ各工業
ニ付テノ盛衰興亡ノ跡ヲ見テモ、非常
ニ有望デアッタモノガ互ニ競爭ヲシタ
結果賣崩シテシマッテ、今日ハ氣息奄々
タルモノガ多イノデアリマス、ソレカ
ラ又互ニ固執致シテ競爭シテ居リマス
爲ニ、資金ノ關係ニ於テモ洵ニ貧弱デ
アッテ、多クハ問屋ニ依ッテ、資金ヲ融通
セラレテ、サウシテ注文サレテ製造ス
ルニ過ギナイ、斯云フコトガ、我國ノ工
業品ガ海外ニ於テ折角開拓シタル市場
ヲ失ヒ、粗製濫造ノ譏ヲ蒙ッテ、微々ト
シテ振ハヌ所以デアリマス、此病根ヲ
根絕致シタイト云フノガ、重要輸出品
工業組合法案ヲ制定致サウト云フ所以
デアリマス、是マデ同業組合等ガアリ
マシテ、互ニ或ル品物ノ檢査等ヲヤッテ
居リマスケレドモ、消極的ノモノデアリ
マシテ、ドウシテモ今少シク製造工程ニ
立入ッテ共同施設ヲヤルト云フコトデナ
ケレバ、製品ノ改良、價格ノ低廉、市場ノ
開拓ト云フコトハムヅカシイノデアリマス、
此組合ニ在リマシテハ、製造工程ニマデ
立入テ共同ノ働キヲサヽウト云フノデア
リマス、斯ノ如クシテ造上ゲマシタ物ヲ
海外ニ輸出致シマスニ、輸出商人ノ狀
況ヲ見マスルト云フト、資金貧弱ナル
輸出商人ガ大勢居リマシテ、ソレガ資
金ノ關係等カラシテ、互ニ競爭シテ海
外市場デ賣崩スノデアリマス、是亦無
益ノ競爭ヲ避ケテ、御互ノ間ニ統制ヲ
保ッテ、連絡共同シテ海外ノ市場ニ向ハ
シムルト云フヤウナ必要ガアルノデア
リマス、斯樣致シマスナラバ、第一共同
一致致シマスル爲ニ、資金ノ融通モ受
ケ易クナルシ、無益ノ競爭ガ避ケラレ
マス、尙ホ更ニ重要輸出品工業組合デ
造ッタ物ハソレヲ檢査濟ニシテ海外市
場ヘ出シテ立派ナ輸出品トスルゝサウ
云フ輸出品ニ對シマシテハ、其地方ニ於テ
仕向先ニ對シテ爲替手形等ニ付キマシ
テモ格別ナ援助ヲ與ヘル、安イ金利デ
長期ノ爲替ヲ融通スル斯ウ云フモノ
ニ向ツテ援助ヲ致サウト云フ方針デア
リマス、此二ツノ組合ガ相俟ッテ、始メ
テ我國ノ輸出品ニ對シテ根本的ノ改善
ヲ加ヘルト云フ考デアリマスカラ、此
二案ヲ提案シタ次第デアリマス、大體
左樣ナ趣旨デアリマスガ、尙ホ御質問
ニ應ジマシテ、段々ニ政府ノ意ノ在ル
所ヲ申上ゲタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=6
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007・高木益太郎
○高木委員長 ソレデハ是カラ御質疑
ヲ願ヒタイガ、何分條文ガ非常ニ多ク
アリマシテ、準用條文マデ入レマスル
ト、ドウシテモ二百箇條以上ニナルヤ
ウデアリマス、或ハ御評議ノ模樣デ、逐
條ニ付テ御審議ヲ煩スコトニシマス
ガ、先ヅ大體ニ付テ御審議ヲ願ヒマス、
ソレニ付テハ御發言ノ際ニ甚ダ恐縮デ
ゴザイマスガ、御尊名ヲ御〓ゲヲ願ヒ
タイト思ヒマス、先ヅ津崎君ノ御發言
ヲ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=7
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008・津崎尚武
○津崎委員 色〓細カク御聽シタイ事
モアルノデアリマスガ、ソレハ只今委
員長ノ御宣言モアリマシタノデ、又他
ノ委員諸君モ御質問ガアラウト思ヒマ
スカラ、細カイ事ハ後ニ讓リマシテ、大
體ニ輸出組合ヲ作リ、輸出工業品組合ヲ
作ッテ輸出品ノ振興ヲ圖ルト云フコト
ハ、帝國ノ實情ニ鑑ミマシテ、極メテ必
要ナリト思ッテ居リマス、之ニ付キマシ
テ御尋シテ置キタイ事ハ、斯ウ云フ組
合ヲ作ッテ貿易ノ振興ヲ圖ッテ、ソレニ
付テ政府當局者ト致シマシテハ、貿易
振興ノ根本策ニ觸レテ、何等カ此組合
以外ニ尙ホ考慮ニナッテ居リマセウカ
ドウカト云フ事ヲ第一ニ御聽シタイノ
デアリマス、段々本會議ニ於ケル質問
應答ノ模樣ヲ見マシテモ、又只今政府
委員ヨリノ御說明ニ依リマシテモ、サ
ウ云フ事ハ承知致シテ居リマスガ、唯〓
ソレノミデ輸出貿易ノ繁榮ヲ圖ッテ行
クト云フコトハ出來ナイト思フノデア
リマスガ、是レ以外ニ更ニ貿易振興ノ
根本策ニ付テ、何等カ御考慮ニナッテ居
リ、又是以外ニ此事ニ關聯シタ法案デ
モ御出シニナル御豫定ガアルカドウカ
ト云フコトヲ第一ニ伺ッテ置キタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=8
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009・三土忠造
○三土政府委員 此二法案以外ニ輸出
貿易ノ振興ニ付テ、何カ方策ヲ考ヘテ
居ルカト云フ御話デアリマスガ、輸出
貿易ノ振興策ニ付キマシテハ随分廣汎
ナ問題デアリマシテ、或ハ金融ノ關係、
或ハ物價ノ關係色ミアリマスルガ、私
共ノ見ル所デハ、政府ガ手ヲ入レテ物
價ヲ引下ゲルコトハ、其具體的ノ方法
手段ハ餘リ無イト思ヒマス、金融ニ付
キマシテモ、金ノ輸出解禁ト云フヤウ
ナ問題モアリマスケレドモ、是ハ我國
ノ現在ノ貿易ノ狀態、產業ノ狀態ニ於テ、
私共ハ到底實行スベキ時期ニ非ズト考
ヘテ居リマス、唯〓貿易上ノ競爭ヲシテ
參リマスニハドウシテモ商工業ノ根
本カラ立直シヲシテ掛ラナケレバナラ
ナイ、殊ニ中小工業ニ屬スルモノハ弊
害ガ多イノデアリマシテ、大キナ工業
ニ付テハ相當ヤッテ居ル、例ヘバ製絲工
業ニ致シマシテモ、、或ハ紡績、綿絲、綿
布ト云フコトニナリマスルト相當ニヤ
ツテ居ル、震災前ト較ベマシテ、寧ロ貿
易ハ發展シテ居ルト云フ譯デアリマス
唯〓中小工業ニ屬スルモノニ於キマシ
テハ、非常ニ萎微振ハザル狀態ニ陷リ
ツヽアルノデアリマスガ、吾〓農商務
省ノ立場トシマシテハ、先ヅ之ニ向ッテ
相當ノ力ヲ注ギツヽアル、尙ホ政府ノ
大ナル方針ニ付キマシテハ、大藏大臣、
農商務大臣カラ御答致シタガ宜カラウ
ト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=9
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010・津崎尚武
○津崎委員 只今ノ御說ニ依リマスト
本案ハ本邦ニ於ケル輸出工業ノ大キナ
方ニ向ッテハ別ニ考慮シテ居リ、又ヤツ
テ居ル事ガアルノデ、此案ハ中小工業
ニ對シテ適用スルコトヲ目的トシテヤッ
テ居ルノデアル、斯ウ云フ風ニ諒解シ
テ宜シウゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=10
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011・三土忠造
○三土政府委員 此輸出工業ノ方デア
リマスガ、工業ノ方ハ主トシテ中小工
業ト考ヘテ居リマス、ソレカラ輸出貿
易ノ方モ、是ハ扱フ品ト云フヨリハ、矢
張主トシテ大ナル資本家ハ餘リ這入ル
コトハ期待シテ居リマセヌ、多分這入
ルマイト思ッテ居リマス、資本ノ稍〓薄
弱ト云ハレール方ノ者ガ主ニ這入ッテ行
ク、又其邊ニ弊害ガ多イノデアルカラ
ソレヲ矯正シテ行キタイト思ッテ居リ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=11
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012・津崎尚武
○津崎委員 サウシマスルト過日ノ本
會議ニ於テモ、今ノ質問ニ對シテ農商
務大臣ノ御答辯ガアッタノデアリマス
ガ、日本ノ輸出ノ大宗ハ何ト云ッテモ生
絲デアル、之ニ付キマシテハ生絲竝ニ
絹織物、其他ノ關係ニ於テ八億數千萬圓
ノ輸出ニナッテ居ル、斯ウ云フ物ニ付キ
マシテハ色〓ナ問題ガ起ル每ニ、其時〓ニ
方策ハ講ゼラレテ居リマスルケレドモ
中小工業ノ保護モ洵ニ必要デアリ、其
方策ノ伸展ヲ圖ルト云フコトハ極メテ
大切ナ事デアリマスルケレドモ、今日
ノ如ク極メテ輸出入ノ均衡ヲ得ズシテ、
輸入超過ノ甚シイ狀態ヲ改メテ行クト
云フコトガ、國家ノ爲ニ必要ナ時ニ當
リマシテハ、此輸出貿易ノ大宗デアル
所ノ生絲ノ如キニ付テハ、何等カノ方
策ヲ講ジテ、假ニ其一割ノ輸出ノ奬勵ヲ
圖リマシテモ一億近イ輸出ガ增加ス
ルト云フヤウナ關係ニナリマスルノデ、
中小工業ノ保護奬勵ト共ニ、斯ウ云フ
方面ニ此場合ニ政府トシテ御施設ニナッ
テ居ルカドウカ、生絲問題ニ付テ只今ノ
狀態デ當分放任セラルヽノデアルカ、ソ
レトモ何カ此物ニ付キマシテ、輸出組
合法、工業組合法ヲ御制定ニナラウト
スル時ニ、何カ考慮ヲ御拂ニナッテ居ル
カドウカト云フ事ヲ伺ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=12
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013・三土忠造
○三土政府委員 我國ノ貿易ノ大宗タ
ル生絲ニ付キマシテハ是ハ最モ力ヲ
用ヒナケレバナラヌ問題デアリマシテ、
今囘ニ限ラズ斷エズ力ヲ用ヰテ居ルノ
デアリマスガ、政府ノ見ル所ニ於キマ
シテハ、此輸出生絲ノ上ニ於キマシテ
何ヲ考慮センケレバナラヌカト申シマ
スルト亞米利加ノ商人ナドノ注文ヲ
聽キマシテモ同樣デアリマスガ價格
ノ暴騰暴落ヲ防イデ、絲價ノ變動ヲ少ナ
カラシムルト云フコトガ根本方策デナ
ケレバナラヌ、モウ一ツハ品質ノ改善
デアリマスガ所謂細「ムラ」太「ムラ」
ト云フ「ムラ」ガ出來ル、之ガ我國生絲ノ
一番缺點ト言ハレテ居ルノデアリマス、
其因ハ何所ニアルカト云ヒマスルト、
價格ノ安定ヲ得ナイト云フコトガ、詰
リ取引關係ガ好都合ニ行ッテ居ラヌト
云フコトニ在ルノデアリマス、此價格
ノ安定ヲ圖ルト云フ根本ヨリ立テ直ス
必要ガアル、卽チ現在ノ如キ主トシテ
生繭ノ取引ヲシテ、サウシテ製絲家ガ
一度ニ多數ノ原料ヲ買フ、之ガ爲ニ資
金ニ非常ニ困ル、此關係カラ問屋ニ對
シテ資金ノ融通ヲ求メル、其製絲ハ問
屋ノ手ニ依ラナケレバ輸出ガ出來ヌ、斯
ウ云フ風ニナッテ居ルノガ、是ガ我國生
絲ノ絲價ニ種々不安ヲ生ゼシメテ居ル
原因デゴザイマス、之ハ一朝一夕ニ變
ヘラレナイガ、先ヅ根本カラ變ヘナケ
レバナラヌト云フノデ、今囘農村振興
ノ費用ノ中ニ、繭ノ乾繭裝置及繭倉庫
ノ普及奬勵ヲ圖ラウト云フ考カラ、相
當多額ノ豫算ヲ要求致シタ次第デアリ
マス、卽チ成ベク速ニ乾繭設備ヲ全國
ニ普及セシメテ、製絲家ガ生繭ノ儘十
數日ノ中ニ總テ買占メテシマフト云フ
ヤウナ、惡イ不健全ナ取引ヲ止メサセ
マスト、隨テ製絲家ハ資金ガ一時ニ要リ
マセヌカラ、製絲致シマシタル絲ヲ賣ッ
テカラ資金ヲ得テ、又繭ヲ買フト云フ風
ニ、大體ヤッテ行カナケレバナラヌト云
フ所カラ、乾繭設備、乾繭倉庫ノ普及ヲ
圖ルト云フコトニ致シタノデアリマス
サウナルト養蠶家ニ致シマシテモ、一時
ニ繭ヲ賣ッテシマハナケレバナラヌト
云フヤウナコトガ無クナリマス、又乾
繭シテ倉庫ニ貯藏致シマスモノハ行
行ハ日本銀行ノ指定倉庫ニ致シタ
イト云フ理想ヲ持ッテ居ルサウス
ルト一時ニ繭ヲ買集メテ貯藏シテ
置ク爲ニ起ル、繭ニ對スル損傷モ段々
減少シテ參リマス、之ガ爲ニ我ガ生絲
ノ缺點タル細「ムラ」太「ムラ」ト云フヤ
ウナモノガ無クナッテ來ル、斯ノ如クシ
テ製絲ノ-繭ノ取引ノ根本カラ變ヘ
テ行カナケレバナラヌ、是ハ成ルベク
速ニ此組織ノ改善ヲ致シ、政府ハ輸出
ニ力ヲ用ヰル積リデアリマス、ソレカ
ラ又成ルベク此ノ日本ノ生絲ヲ輸出港
ニ於テ檢査ヲシテ、其檢査シタ物ガ向
フヘ行ケバ、無檢査デ通ルヤウニシナ
ケレバナラヌ、斯ウ云フノデ只今橫濱
ニ元ノ帝蠶曾社ノ益金ノ寄附等ガアリ
マシテ、國立ノ生絲檢査所ヲ建テヽ居
リマスガ、之ト共ニ附屬ノ倉庫ヲ作リ
マシテ、此生絲ノ檢査モ正量檢査デア
リマスガ、段々進メテ格付ニ進メタイ、
斯ノ如クシテ始メテ我國ノ生絲ガ貿易
上、金融上、乃至價格ノ點ニ於テ支障ナ
キヲ得ルヤウニシタイ、斯ウ考ヘテ居リ
マス、是ハ無論現在ノ不振ヲ一時ニ取返
スト云フ譯ニハ行クマイト思フガ、段々
ニサウ云フ風ニヤッテ行カナケレバナラ
ヌト考ヘテ居ル、ソレカラ又我國ノ貿
易ノ全體ヲ見マスルト一昨年ノ九月
ニ大地震ガアリマシテ、此地震ノアッタ
後ニ拘ラズ、十三年ノ上半期ハ地震前
ノ十二年ノ上半期ニ較ベテ見ルト餘程
輸出ガ殖エテ居ルガ、更ニ輸入ガ殖エ
テ居ル爲ニ、非常ニ多額ノ輸入超過ト
ナッテ居ル、六億七千萬圓ノ輸入超過ニ
ナッテ居ル、是カラハ逆調ト云フコトハ
無カラウト思ヒマスガ、逆調ガ有ッテ
モ、我國ノ製品ヲ海外ニ輸出スルコト
ヲ力メナケレバナラヌト共ニ、一面ニ
於テハ輸入ノ防遏ト云フコトヲ考ヘナ
ケレバナラヌ、之ガ爲ニ關稅ノ改正ト
云フコトヲ今急イデ居ルノデアリマス、
御承知ノ通リ現行關稅定率法ガ明治四
十三年ニ制定致シマシテ、旣ニ我國ノ
關稅定率法ガ從價稅ニ依ルモノガ少ナ
クシテ、從量稅ニ依ルモノ多イコトハ
御承知ノ通リデアル、爾來非常ニ物價
ガ騰貴ヲ致シテ居ルニモ拘ラズ、其當
時從價デ割出シテ、從量稅ヲ課シテ居
ル爲ニ、其目的ヲ達シテ居ラヌモノカ
澤山アル、是等ハ少シ改正ヲ致シマシ
タナラバ、相當內地ノ生產ヲ盛ニシテ、
海外ノ輸入ヲ防止スルコトガ出來ルト
考ヘテ居リマス、成ルベクハ此議會ニ
出シタイ一部分デモ出シタイ積リデ、
最モ急ヲ要スルモノカラ引續キ調査ヲ
急イデ居ル、之ガ實施スレバ我國ノ貿
易上ノ輸入ヲ防止シ、我國ノ國際貸借
ノ關係ヲ改善スル一ツノ方策ダラウト
考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=13
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014・津崎尚武
○津崎委員 只今縷〓御述ニナリマシ
タガ、此生絲問題ニ付テ、農商務省ガ大
變御奮發ニナッテ、貨幣鑄造ノ益金マデ
農村振興ノ費用ニ御取リニナッテ、サウ
シテ施設ヲ爲サル、是ハ他ノ方ノ豫算
ナリ法律案トナッテ居リマスガ、只今三
土次官ガ其一例トシテ乾繭倉庫ノコト
ニ付テ御話ニナッテ居ルノデアリマス
ガ、此問題ハドウ決ッタカ存ジマセヌケ
レドモ、此日本ノ八億幾ラト云フ生絲
ノ輸出ニ付キマシテ、其生絲ノ品位ヲ
高メル、品位ヲ一方カラ改メマスト云
フト、ソレニ依ッテ八億幾ラノ輸出ガア
リマスカラ、僅ニ品位ヲ改良シタダケ
デモ、其增加額ト云フモノハ大キナモ
ノニナル極メテ重大ナ問題デアルト
思フノデアリマスガ、偶〓折角農商務
省ノ御奮發ニ依リマシテ、農村振興ノ
一トシテ御企テニナッタ事柄ヲ他ノ方
面ヨリ見マスルト、製絲家ハ急イデ繭
ヲ買入レナケレバナラヌ、農家モ生繭
ヲ早ク賣ラナケレバナラヌト云フ狀態
デ、理窟トシテハ改メルコトハ好イ事
デアルケレドモ、他ノ今御話ニナッタ生
繭ノ品質ヲ良クスルト云フ方面カラ云
ヒマスト、其事ガ障碍ニナリハセヌカ
ト思フ、詰リ殺蛹乾繭シテ倉庫ニ入レ
テ、良イ繭モ惡イ繭モゴッチヤニ混合セ
ラレマシテ、製絲家ノ力デハ、地方ノ眞
相ヲ聞イテ見マスト、良イ所デハ試驗
マデシテ製絲ニ掛ッテ居ルノガアル、光
澤ガアルトカ繭ノ品質ノ良イノハ隨
分奮發シテ買フ、斯ウ云フ狀態ニナッテ
居ルノニ、良イ繭モ惡イ繭モ乾繭ヤ倉庫
ヲ施設シテ、サウ云フ事ヲ奬勵シタ爲
ニ、一ツニゴチッヤニセラレテハ製絲ノ
方ハ製絲ニ困難ヲ來シ、日本ノ生絲ノ
品質ト云フモノガ下落スル虞ガアリハ
セヌカト云フコトヲ吾ミハ思フノデス、
ト申シマスノハ私モ十數年前地方ニ於
キマシテ勸業ニ當ッテ居ル時ニハ製絲
家ノ橫暴ヲ防グト云フヤウナコトヲ言ッ
テ、此殺蛹乾繭倉庫ト云フコトヲ奬勵
シタ經驗ガアル、其時ハサウ云フ農家
ノ養蠶家ノ立場ニ向ッテ、サウ云フ事モ
ヤッテ見マシタガ、又一方カラサウ云フ
貿易ノ大宗タル生絲ノ品質ヲ良クシテ、
今御話ノ通リ海外ニ於テハ何等ノ檢査
ヲモ要セズシテ、日本ノ生絲ガ海外ノ
需用ニ充テルヤウニシテ行カナケレ
バナラヌノデアリマスガ、所ガ折角ノ
御發案デ非常ニ御努力ニナラウト云
フ殺蛹乾繭倉庫ノ施設ト云フコトガ、
日本ノ生絲ノ海外ニ於ケル信用ヲ傷ケ
ルコトニナリハセヌカト云フコトヲ憂
ヘテ居ルノデアリマス、是ハ此問題ト
ハ間接デアリマスケレドモ、他ノ方デ
御決定ニナッタカ知レマセヌガ、吾〓ハ
ソレヲ一方ニ於テ憂ヘテ居ル譯デアリ
マス、此事ハ直接ノ問題デハアリマセ
ヌニシテモ、只今三土サンガ御話ニナッ
タノデ申上ゲタノデアリマス、支那ノ
生絲ニ致シマシテモ、何故ニ支那ノ生
絲ガアレダケ產シテ居ッテサウシテ品
位ガ落チルカト云ヘバ、矢張サウ云フ
物ヲ玉石混淆シテ出シテシマフト云フ
コトガ、生絲ノ聲價ヲ傷ケルコトニナッ
テ居リマス、其邊ノ點ハ十分ニ今御話ノ
施設ヲ御進メニナッテ行クニ付キマシ
テハ、御考慮ヲ願ヒタイ一點デアリマ
ス此生絲ノ問題ニ付キマシテハ、只今
御話ノ通リ色〓重大ナ問題ガアリマセ
ウカ、輸出工業組合竝ニ輸出組合ニ依ッ
テ爲サルヤウナコトハ、此問題ニ付テ
モ相當ニ御考慮ヲ願ハナイト、全ク製
絲家ト云フ者ガ橫濱ノ問屋ノ爲ニ支配
サレテ居ッテ、サウシテ生絲ノ需要ト直
接シテ居ナイト云フ現狀ニ在ルノデア
リマス、此事ヲ改メルノデナケレバ、ド
ウシテモ此生絲ノ問題ハ解決シテ行ク
コトハ出來ナイト思ヒマスカラ、此邊
ヲ十分御考慮願ヒタイ點デアリマス、
就キマシテハ只今御話ノ通リ、吾〓ハ
輸出ヲ奬勵シマスト共ニ、一方ニ於テ輸
入ノ大宗トモ謂フベキ棉花ヲ中心トシ
テ、輸出ノ關係ヲ考慮致シマストキニ
ハ其原料其他ノ輸入品ニ付キマシテ
ハ、特ニ御考慮ヲ願ハナケレバナラヌト
思フノデアリマスガ、ソレニ付キマシテ
棉花ノ如キハ原料品トシテノ輸入デア
リマスケレドモ、輸出ノ奬勵ヲ圖ルト共
ニ其輸入ヲ防遏スルト云フコトヲ、今
カラ相當ニ考慮致シテ行カナケレバナ
ラヌ、之ニ付キマシテハ第一棉花デア
リマス、斯ウ云フ物ニ付テ何等カノ御
考慮ヲ置カレテ、輸入ヲ防グト云フヤ
ウナ關係ニ依リマシテ、言ヒ換ヘマス
レバ、直接他國デ生產致シマシテモ、日
本人ノ手ニ依ッテ生產シテ、其原料品ヲ
日本ニ持ッテ來ルコトヲ考慮サレルカ
ト云フコトヲ伺ヒタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=14
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015・三土忠造
○三土政府委員 御尋デナク御注意デ
アリマシタガ、乾繭設備竝ニ乾繭倉庫
ノ普及ニ付キマシテハ御說ノヤウナ事
ハ餘程考ヘナケレバナラヌト思フ、併
シ、現在民間デヤッテ居リマス者ノ成
績ヲ見マシテモ、相當ナ成績ヲ擧ゲテ
居ル者モアルノデアリマス、併シ此乾
繭ノ設備、繭ノ倉庫ヲ普及致シマスニ
付キマシテハ、漫然トヤッテモ大變ナ事
ト思ヒマシテ、成ベク此方デ世話ヲ燒キ
マシテ、技術官ノ派遣等ヲヤッテ時〓世
話ヲ燒イテヤルト云フ風ニシテ初メハ
任セズ餘程手ヲ入レテヤル積リデアリ
マス、御說ノ如ク是ガ失敗致シマスト大
變ナ事ニリナマスカラ、餘程當局ニ於
テモ注意シテ居リマス、ソレカラ我國
ノ輸入品ノ大宗タル棉花ニ付テ如何ニ
考ヘテ居ルカ、輸入防止ノ方策ヲ考ヘ
テ居ルカト云フコトデアリマスガ、
我ガ帝國領土內ニ於キマシテ棉花ヲ栽
培シテ、外國ノ棉花ノ輸入ヲ防グト云
フコトハ到底出來ナイト思ヒマス、唯
併シ出來ルダケ領土内デヤラナケレバ
ナラヌト思ヒマシテ、朝鮮總督府ニ於
テモ多少〓究シテ居リマス、內地ニ於
キマシテモ鳥取縣ナドデ試驗ガ段々進
ンデ居リマシテ、實際栽培ヲ致シテ居
リマスガ、是ガドウ發達致シマシテモ
微々タルモノデアリマス、ドウシテモ
帝國領土外、帝國ノ經濟的ノ關係アル
所ニ帝國ノ同胞ガ行ッテ、自ラ栽培シタ
棉花ヲ輸入スルト云フコトニ付キマシ
テ、相當考慮ヲ拂ハナケレバナラヌト
云フ考デアリマス、具體的方法ニ付キ
マシテハ私共カラ一々申上ゲルコトハ
差控ヘテ置キマス、帝國ト經濟的關係
アル土地ニ於キマシテモ、成ベク邦人
ノ手ニ依ッテ栽培シタル棉花ヲ內地ニ
入レル分量ヲ多クスルト云フ方針ヲ以
テ進ミタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=15
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016・津崎尚武
○津崎委員 次ニ御尋シタイ事ハ私ハ
細カイ事ハ讓ルト申シテ置キマシタガ、
輸出貿易ノ振興ヲ圖ル爲ニハ、唯〓海外
ノ市場ニ於テノ品ハ假令此工業組合
ナドガ出來テ品質ガ良クナッテ、價格ガ
安クナッテモ、唯〓押賣スル譯ニ行カヌ、
ドウシテモ貿易ノ振興ヲ圖ル爲ニハ、
海外ニ緣故ヲ造ルト云フコトガ根本間
題デハナカラウカ、成ベク海外ノ消費
地ニ緣故ヲ造ルト云フコトガ大切ナ事
デアルコトヲ感ジテ居ルノデアリマス、
例ヘバ御承知ノ通リ「カリニフォルニヤ」
ニハ同胞ガ十餘萬行ッテ居ル爲ニ、日本
ノ醬油ガ今デハ二十萬樽行ッテ、百七十
萬圓ト思ヒマスガ、西洋人ハ日本ノ醬
油ヲ嫌フト云ッテ居リナガラ、日本ノ同
胞ガ米國デ醬油ヲ使フ、ソレヲ支那料
理屋デ使フヤウニナッデ、支那料理ヲ喰
ベル西洋人ガ又重寶ナ物ダト云フコト
デ、「カリフォルニヤ」ニ於キマシテハ
二十萬樽ノ醬油ガ出テ居ルト云フ事情
デアル、是ハ一例デアリマスガ、其他ノ
品物ニ付キマシテモ、海外ノ市場ニ日
本ノ製品ノ販路ヲ擴張スル爲ニハド
ウシテモ日本ト特殊ノ關係ヲ海外ニ結
ブト云フ一方ニ、斯ウ云フ組合ヲ造ッテ、
製品ヲ統一シ、價格ヲ低廉ニスルコト
ヲ努ムルコトガ根本トシテ最モ大切ナ
事デナカラウカ、本案ノ第三條ニモ「市
場ノ調査、新販路ノ開拓」ト云フコトガ
アリマスカラ、大ニソレニ依ッテ御施設
ガアルト思ヒマス、最近ハ大ニ發展シ
テ旣ニ五萬有餘ノ日本人ガ段々ニ南米
ニ行ッテ居ル、最近歸ッテ來タ人ノ話ヲ
聞キマシテモ、例ヘバ信州ノ信濃川ノ
鎌デアリマスガ、此方デ二十五錢ノ鎌
ヲ移住者ガ八百梃許リ持ッテ行ッタ、サ
ウシマストソレガ向フノ御金デ五ミル
デアリマスカラ、日本ノ金ニシテ一圓
二十五錢許リニナリマス、其八百梃許
リノ鎌ハ、持ッテ行クヤ否ヤ直ニ賣レテ
シマッタ、內地デ二十五錢ノ鎌ガ一圓二
十五錢ニナッテ直グ賣レルト云フヤウ
ナコトデ、是ハ卑近ナ小サナ例デアリ
マスガ段々日本人ガ海外ニ出テ行キ
マスト、海外ニ居ル日本人ガ消費スル
ノミナラズ、其日本人ト關係交通スル
海外ノ人モ之ヲ使用シテ行クト云フ
コトノ爲ニ緣故ガ出來テ、輸出貿易ト
云フモノガ盛ニナッテ來ル、支那大陸
其他ハ勿論デアリマスガ、有ユル方面
ニ向ッテサウ云フ方面ノ考慮ヲシナケ
レバ輸出貿易ヲ根本的ニ盛ナラシム
ルコトハ出來ヌト云フ考ヲ持ッテ居リ
マスガ、ソレニ付テハ海外ニ移住シテ
只今御話ノ棉花ヲ主ニシテ、ソコニ資
本ト勞力ヲ投ジテ、海外ノ適當ノ土地
ヲ開イテ行カナケレバナラヌノデアリ
マス、サウスルニ付テハ資本ニ對スル
組合、資本ヲ出スニ都合ノ好イ組合ヲ
新設スルコトヲ御考慮ニナッテ居リマ
スカ如何デスカ、言ヒ換ヘレバ產業組
合ヲ活用シタイノデアリマスガ、日本
ノ組合ノ監督權ハ一府縣ヲ範圍トシ、
數府縣ニ及ブコトハ出來ナイ、二府縣
デモ一ツニナレヌ狀態デアリマスカ
ラ、況ヤ海外ニ及ブコトハ出來ヌコト
ニナッテ居リマス、併シ監督權ノ關係ダ
ケデアリマスカラ、農商務當局アタリ
デ解釋ヲ上手ニシテ貰ヘバ出來ヌコト
ハナイト思ヒマスガ、中〓役人ノ方ニ
ハ理窟ガ多イノデ、御話ニハナッテ居ル
ヤウニ承知シテ居リマスガ、若シソレ
ガイカナケレバ產業組合ニ依ッテ資本
ヲ海外ニ出スト云フコトヽ一方ニ於
テハ移住者ノ組合人ト資本ノ組合ト云
フモノヲ造ッテ、貿易ノ振興ヲ圖ルコト
ニモナリマスカラ、サウ云フ事ニ付テ
考慮ガ拂ハレテ居ルカドウカ、若シ拂
ハレテ居リマスレバソレヲ一ツ御話願
ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=16
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017・三土忠造
○三土政府委員 國民ガ海外ニ發展ス
ルニ從ッテソレニ品物ガ附隨シテ發展
シテ行クト云フ事柄モ經濟上ノ原則
デ、無論其方策モ始終講ジナケレバナ
ラヌ、旁〓努メツヽアルノデアリマス、
併シ海外發展ニ付キマシテ、現在ノ產
業組合ノヤウナモノヲ活動サセテ行ク
コトハ難イコトヽ考ヘマス、移民政策
ニ付キマシテ昨年來外務省ニ於テ調査
委員ガ設ケラレテ、委員會デ〓究サレタ
ガ、中〓一ツノ方策ヲ立テヽヤッテ行
クコトハ困難デアル、外務省デモ低利
資金ヲ融通スル方法ヲ考ヘ、國ガ補助ス
ル點ヲ考ヘテ居ルノデアリマスガ、中
中旨ク行カナイノデアリマス、個人ノ
組合ヲ基礎ニシテ金融ノ途ヲ付ケルト
カ、或ハ移民ノ振興ヲ圖ルト云フコト
ハ私共中〓困難ト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=17
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018・津崎尚武
○津崎委員 ソレデハ困難デアルトシ
テ、御考慮ニナッテ居ラヌト見テ宜シイ
ト思ヒマスガ、此組合法ノ事ニ付キマ
シテ一番ノ本ハ資金ノ間題ダト思ヒマ
ス、此事ハ過日本會議ニ於テモ多少御
話ガアッタノデアリマスガ此資金ハ組
合ニ對シテハ輸出組合ト輸出工業組
合トハ違フト思ヒマスガ、サウ云フ所
ハドウ云フ方法デ此資金ヲ供給セラレ
ル御積リデアルカ、ソレヲ御伺致シ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=18
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019・三土忠造
○三土政府委員 輸出組合ノ方ハ主ト
シテ爲替資金デアル、爲替資金ニ付テ
一番困ッテ居リマスノハ支那、印度、南
洋方面デアル、殊ニ南洋方面、海峽植民
地、印度方面等ハ爲替ノ期間ガ非常ニ
短イノデアリマス、之ヲ其方面ノ他ノ
國ノ爲替期間ト大體同ジヤウニ致シマ
シテ、成ベク期間ヲ長クシテ、爲替ノ期
間ガ來タ爲ニ投賣ヲシナケレバナラヌ
ト云フ情弊ヲ濟者スル、ソレカラ爲替
資金ノ金利ハ今ノ所高イノデアル此
金利ヲ今少シ安クスル、サウスルニハ
日本銀行デ再割引ヲスル方法ヲ開クノ
デアル、是ハ具體的ニハッキリ申サレマ
セヌガ、サウ云フ方法ヲ大藏、農商務省
デ攻究中デアル、要スルニ低利ニシテ
長期ノ資金ヲ融通スルト云フ方法ヲ執
ル積リデアリマス、ソレカラ輸出工業
ノ資金ハ、直ニ之ニ向ッテ具體的ニドウ
云フ資金ヲ融通スルト云フコトハ決定
致シテ居リマセヌ、併シ今マデ雜然ト
シテ高イ利率デ爭ッテ居ル中小工業者
ガ、或同一ノ工業ニ從事シテ團體ヲ組
織シテ行ケバ、自然信用モ出來マセウ
シ、資金融通ノ途モ普通銀行特殊銀行
カラドン〓〓講ゼラレルト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=19
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020・津崎尚武
○津崎委員 尙ホ細イ質問ハ他ノ時ニ
讓リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=20
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021・高木益太郎
○髙木委員長 第二番ノ御通知ハ加藤
君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=21
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022・加藤知正
○加藤委員 私ハ此輸出組合法案並ニ
重要輸出品工業組合法案ト、重要物產
同業組合法トノ關係ニ付テ御伺シテ見
タイト思ヒマス、重要物產同業組合法ハ
明治三十三年三月四日法律第三十五號
ニ依ッテ發布セラレマシタ、ソレト同
時ニ從前ノ輸出同業組合法ハ之ヲ廢
止セラレタノデアリマス、此重要物產
同業組合法ノ主ナル目的ハ、第二條ニ
アリマス如クニ、組合ハ共同一致シテ
營業者ノ弊害ヲ矯正シ其利益ヲ増進
スルヲ以テ目的ト爲ス、此法律ノ大ナ
ル主眼點ハ詰リ營業者ノ弊害ヲ矯正
スルト云フコトニ在リマスカラ、無
論消極的ノ弊害矯正ヲ目的トシテ居
ル法律デアルコトハ言フマデモナイ
ノデアリマス、併シナガラ近來ハ此營
業者ノ弊害ノ矯正ノミヲ主トスル組
合ヨリモ、同時ニ又營業上ノ製品ノ
改良奬勵等ニ向ヲテ働イテ居ル組合ガ
大分澤山アルノデアリマス、私共ノ考
ヘル所ヲ申シマスト、此法律ガ若シ積
極的ノ方面ニ於テ、製造改良等ニ關シ
マシテ不備缺點ガアリマスレバ、之ヲ
十分改良致シマシタナラバ、別ニ法律
ヲ設クル必要ハナカラウト考ヘルノデ
アリマス、此重要物產同業組合法ノ目
的ハ、卽チ主トシテ內地ノ生產物ノ改
良發展ヲ圖ッテ、サウシテ外國ニ十分ニ
之ヲ輸出シタイト云フ精神デアルコト
ハ言フマデモナイノデアル、故ニ此法
律サヘ其缺點ヲ十分ニ修正加除致シマ
スレバ、旣ニ其目的ト云フモノハ達セ
ラレルヤウニ考ヘマス、然ルニ更ニ斯
ノ如キ二ノ法律ヲ御設ケニナリマシタ
御趣旨ハ何所ニアリマスカ、ドウモ重
複ノヤウナ嫌ガアルノデアリマス固
ク一方ハ消極的ノ方面ニ働キ、一カノ
積極的方面ニ働ク、斯ウ云ヘバ別ニ重
複トハ申サレナイガ吾〓ト雖モ重要
物產同業組合法ガ十分ニ改正サヘ出來
マスレバ、別ニ其必要ハ感ジナイノデ
アリマス、甞テ支那內地ヲ步キマシテ
其狀態ヲ視察致シマシタ際ニ、最モ痛
切ニ感ジマシタノハ、日本カラ參リマス所ノ
品物ガ丁度歐洲戰爭ノ眞最中デアリマシ
タ爲ニ、殆ド英米佛等ノ品物ヲ驅逐致シ
マシテ、全部日本ノ品物デアルノ狀態ヲ
見マシテ非常ニ快心ニ感ジタノデアリ
マス、併ナガラ其當時又一面ニ憂フベキ
事ヲ屢〓耳ニ致シマシタ、ソレハ粗製
品ト云フヨリモ、不正品ガ澤山ニ向フ
ニ輸入サレテ居ル、今日戰爭ノ爲ニ已
ムヲ得ズ日本ノ品物ヲ買ッテ居ルモノ
デアルカラシテ、是非モナイ事デアリ
マスケレドモ、一度歐洲ノ戰亂ガ治レ
バ、日本品ノ如キ物ハ顧ミル者ハ無カ
ラウト云フヤウナ批評サヘモ聞イタノ
デアリマシテ、旣ニ日本ノ品物デアレ
バ之ヲ買フコトヲ嫌フト云フヤウナ所
カラシテ、已ムヲ得ズ品物ハ日本ノ品
物デアリマシテモ、他ノ外國ノ「マー
ク」ヲ附ケテ、サウシテ支那內地ノ市場
ニ賣出スト云フヤウナ狡獪ナル手段サ
ヘモ當時行ハレテ居ッタノデアリマス、
ソコデ思ブノデアリマス、此重要物產
同業組合法ト云フヤウナ法律モアル、
其他又我國カラシテ輸出スル所ノ重要
品ガ多々アル、ソレニ對シマシテハ燐
寸デアリマシテモ、或ハ「メリヤス」デ
アリマシテモ、其他ノ輸出品ニハソレ
ゾレ嚴重ナル所ノ取締訓令ナルモノ
ガ、農商務省カラソレ〓〓出サレテ居
ル、サウ云フヤウ|ナモノガ澤山アルニ
モ拘ラズ、斯ノ如キ不正ガ盛ニ行ハル
ルト云フヤウナコトデアリマスカラ
シテ、幾ラ法律ヲ設ケマシテモ、其運用
宜シキヲ得ナイ場合ニ於テハ到底其目
的ヲ達スルコトガ出來ナイト思ヒマ
スデ現在思ヒマスニハドチラカト云
フト詰リ法律倒レニナル傾ガアリハ
セヌカトモ考ヘラレル、幾ラ法律ヲ出
シマシテモ其運用宜シキヲ得ナケレ
バ結局ハ今申シタヤウナコトニナッテ
行クデアラウト思フノデアリリマスカ
ラシテ、寧ロ私ハ斯樣ナ法律ヲ御設ケ
ニナリマスヨリモ、本重要物產同業組
合法ヲ十分ニ訂正改正ヲシテ、サウシ
テ其運用ヲ十分ニ付ケルヤウニシテ下
スッタ方ガ宜シクハナイカト云フヤウ
ナ考ヲ持ッテ居リマスガ、當局ノ御考ハ
如何デアリマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=22
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023・三土忠造
○三土政府委員 重要物產同業組合法
ガ現在アルノニ、更ニ其一部ニ屬スル
工業者ノミヲ引拔イテ、別ニ組合ヲ組
織セシムル必要ハ無イデハナイカト云
フ御質問デアリマスルガ、一應御尤ニ
聞エマスルケレドモ、是マデノ經驗實
績ニ依ッテ考ヘテ見マスルト云フト、重要物
產同業組合ト云フモノハ、工業者ノミナラ
ズ、問屋商人總テ縱ニ一〓ニナッテ居ルノ
デアリマス、隨テ工業者ノミヲ寄セテ、
此生產ノ功程ニマデ立入ッテ之ガ弊害ヲ
矯正スルト云フコトニナリマシテハ
ドウモ不十分デアリ、支障モアルノデ
アリマス、御承知ノ通リ現在ノ重要物
產同業組合ト云フモノハ、是ハ御說ノ
通リ消極的デアリマシテ、製品ノ檢査ヲ
スル位ガ重ナルモノデアリマシタ所
ガ今度ノハ進ミマシテ、生產功程ニ立
入ッテ改善ヲスル、而シテ檢査ノミナラ
ズ事業ノ制限マデヤルト云フノデアリ
マシテ、ソコマデ行カヌト云フト即チ
設備モ立入ッテ監督シ、製品ニ對シテ
監督シ、ソレカラ事業其ノモノニ對シ
テ制限ヲ加ヘルト云フ所マデ行カヌト
云フト、ドウモ旨ク行カヌノデアリマ
スソレカラ然ラバサウ云フ風ニ改正シ
タラ宜イヂヤナイカト云フ問題ガ起ル
ノデアリマスガ、併シ御承知ノ通リ只
今同業組合法ト云フモノハ强制加入デ
アリマス、サウシテ經費ハ賦課ニ限ッテ
居ル、所ガ今度ノハドウナルカト云フ
ト任意加入デアリマシテ、サウシテ經
費ハ寧ロ出資ヲ主トシテ居ル、同業組
合法ヲ出資ヲサシテヤッタラドウカト
申シマスト云フト、出資マデ認メマシ
テ强制加入ト云フコトニナリマスト、
中〓是ハムヅカシイモノデアリマス、
サウナリマスト製造業者トソレカラ問
屋商人、是等ト全ク利害ガ相反スル場
合ガ出來テ來ルノデアリマスカラ、ド
ウシテモ一致共同ガ出來ナイト云フコ
トニナル、ソレヨリハ寧ロ此現在ノ我
國ノ輸田工業品ノ最モ缺點トスル所ノ
生產功程ニマデ立入ッテ改良ヲ圖ルト
云フノニハ、利害ノ相一致シタル最モ
密接ナル關係ヲ有スル製造業者ノミヲ
寄セテ組合ヲ組織セシムル、サウシテ、
組合ノ設備ヲ改善シ、ソレカラ調査モ
致シ、或ハ徒弟ノ養成モ致スト云フヤ
ウナ大キナモノニセシムル、サウ云フコ
トニ致シマスレバ、ドウシテモ相當ナ出
資ヲシナケレバナラヌ、其出資ニ依〃
テ相當ナ資金ヲ以テヤラナケレバ出來
マイト思フノデアリマス、斯ウ云フ關
係カラシテ、現在ノ同業組合法ノ實績
ニ鑑ミテ、是ダケ別ニ切離シテヤッタガ
宜シカラウ、斯ウ云フ考デ此工業組合
ガ出來タノデアリマス、輸出組合ノ方
ニ於キマシテモ、此輸出組合ノ方ノ一番
大事ナ事ハ無益ノ競爭ヲ避ケルト云フ
コトヽソレスラ資金關係デアリマス
檢査ニ合格シタ品物ヲ扱フニ成ベク共
同シテヤル、サウシテ資金ハ其檢査ニ
合格シタ物ニ對シテ、先刻申シタヤウナ
資金ノ融通ノ途ヲ圖ル、サウ致シマシ
テ輸出業者ノ海外ニ於テ濫リニ競爭ヲ
シテ賣崩スト云フヤウナ病弊ヲ嬌メル
爲ニ、是ダケ切離シテ利害ノ密接ナ者
ノミヲ寄セテ組合ヲ組織セシメタ方ガ
一層適切デアルト云フ考カラ切離シタ
次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=23
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024・加藤知正
○加藤委員 只今御說明ヲ伺ヒマスト
云フト、此資金關係ガアルノデ、詰リ重
要物產同業組合ノ方デハ强制的ニ加入
セシムル、サウ云フモノニ對シテ出資ヲ
セシムルト云フコトハ、出來ナイカラト
云フ御趣旨ノヤウニ伺ヒマシタ、此加
入ト云フコトニ付キマシテ一寸御伺申
上ゲタイト思フノデアリマス、假令此
組合ヲ設立致シマシテモ、詰リ强制的ニ
加入セシムル位デナケレバ、本當ノ目的
ヲ達スルコトハ出來ナイト思フノデア
リマス、詰リ此所ニ十人ナラ十人ノ同
業者ガアリマシテ、其中ノ七人ナリ八人
ナリガ其組合ニ加入シタト假定致シマ
セウ、若シ其他ノ加入セザル所ノ一二名
ノ者ガ、或ハ資金薄弱ノ關係上、或ハ商略
上不正品ヲ拵ヘ、粗製品ヲ拵ヘルト云フ
ヤウナコトガ、卽チ延テ他ノ者ニ非常
ナル迷惑ヲ與ヘルヤウナ實例ハ今日マ
デ澤山アルノデアリマス、日本カラシ
テ海外ヘ輸出スル所ノ物ハ悉ク不正品
デアル粗製品デアルト云フ譯デハナ
イ、偶ミ中ニ不正品ヲ販賣スル者ガアリ
粗製品ヲヤル者ガアル、ソレガ卽チ日本
ノ品物ハ不正品デアル、粗製品デアルト
云フヤウナ、大體ニ於テ〓括的ニ惡評ヲ
受ケル所ノ原因ニナッテ居ルデアリマスカ
ラシテ、任意ニ組織セシメテ行ク、サウ
シテ日本ノ輸出品ノ以テ聲價ヲ高メ、十
分ノ働ヲ爲サシムルト云フコトノ目的
ヲ達シ得ラレヌコトガアリハセヌカト云
フ懸念ガアリマスガ、此點ハ如何デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=24
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025・三土忠造
○三土政府委員 此工業組合法モ輸出
組合法モ、之ヲ制定スルニ至リマシタニ
付テハ、實ハ當業者カラノ切ナル希望
モアリマス、殊ニ大阪等ノ中小工業ノ
澤山アル處デハ是非共斯ウ云フモノ
ヲ作ッテ日本ノ商品ノ向上發展ヲ圖リ、
貿易ノ伸張ヲ圖ラナケレバナラヌト云
フコトデ、餘程目醒メテ居リマス、吾〓
ハ此法事ニ依ッテ組合ヲ組織シテ恐ラ
ク圓滑ニ行クコトヽ思ヒマスガ付け
今御話ノ如キ場合モ隨分アルカモ知レ
マセヌ、ソレデアルカラ工業組合法ノ
第八條ニ於キマシテ「營業上ノ弊害ヲ矯
正スル爲特ニ必要ト認ムルトキハ行政
官廳ハ命令ノ定ムル所ニ依リ工業組合
ノ組合員ニ非サル者ニシテ其ノ組合ノ
地區內ニ於テ組合員タル資格ヲ有スル
モノヲシテ其ノ組合ノ定ムル取締又ハ
制限ニ依ラシムルコトヲ得」ト云フ規
定ガアリマス、卽チ大多數ノ者ガ組合
ニ屬シテ小部分ノ者ガ組合ニ屬セナイ
爲ニ共同施設ニ支障ヲ生ジ、日本ノ製
品ノ聲價ヲ低クスルト云フ場合ニ於テ
ハ、此組合ノ定款ニ從ハセル積リデア
リマス、輸出組合法ニモ第八條ニ同樣
ノ規定ガアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=25
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026・加藤知正
○加藤委員 尙ホ御伺申上ゲマス、生
絲ノ關係デアリマスガ、此法律ハ中小
工業者ヲ網羅シテヤルト云フコトガ、
大體ノ目的デアルト云フ御說明デアリ
マスガ、サウスルト全國ノ製絲工場ヲ
見マスルト、百釜以上ノモノハ殆ド無
イ、大抵ハ五十釜カ二十釜位ノモノデ
アリマス、是等ノ製絲業者ハ資本ガ豐
富デアルカト云フト決シテサウデハナ
イ、資本ガ極メテ薄弱デアルト云フヨ
リモ、寧ロ他ノ資本ニ依ッテ營業シテ居
ルト云フ方ガ適評デアルト思ヒマス、
而シテ其規模タルヤ極メテ小規模デア
ル、隨テ其生產額モ少イ、斯ウ云フヤウ
ナ關係デアリマスルガ爲ニ、往々ニシ
テ投賣ヲヤルト云フコトハ、先般第六
分科會ノ際ニモ此事ニ付キマシテ御間
ヲ申シタノデアリマスルガ、若シ政府
ガ此輸出組合法ナリ、或ハ工業組合法
ナリヲ御設置ニナル以上ニ於キマシテ
ハ、特ニ是等ノ製絲業者ヲモ之ニ御入
レニナッテ然ルベキモノデハナカラウ
カト云フ感ジヲ持ッテ居リマス、然ルニ
之ヲ御除キニナリマシテ、而モ其理由
ノ一部分カドウカ知リマセヌガ、兎ニ
角日本ノ絲價ノ暴騰暴落ハ生繭賣買ニ
在ルノデアリマスカラ、之ヲ矯メル爲
ニ此乾繭裝置ヲ奬勵スルコトニ致シ
テ、多額ノ費用ヲ投ズルト云フコトデ
アリマスルガ、是ダケデハ到底今日ノ
絲價ノ暴騰暴落ヲ防グコトハ、出來ナ
イト云フコトヲ申上ゲテ憚ラヌノデア
リマス、故ニ私ハ此乾繭設備ヲシテ戴
キマスルト同時ニ、折角玆ニ斯樣ナ組
合ヲ設ケル以上ハ、此製絲業ヲモ此中
ニ御入レニナッテハ如何デスカ、此點ヲ
モ尙ホ一ツ承リタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=26
-
027・三土忠造
○三土政府委員 製絲業ト云フモノ
ハ、御說ノ通リ繭ト離レテ單獨ニ組合
ヲ組織スルコトニナリマスルト、圓滑
ニ行クカ行カヌカト云フコトガ疑問ニ
ナリマス、併シ製絲業者ガ此法律ニ依ッ
テ組合ヲ組織シヤウト云フ機運ガ隨分
高イヤウデアリマスレバ、組合ニ入レ
テモ差支ナイト考ヘテ居リマス、併シ
是ハ御承知ノ通リ蠶絲業法ト餘程關係
ヲ持ッテ居リマス、卽チ蠶絲業法ニ依ツ
テ、今マデ養蠶家ト製絲家トハ一團ニ
ナッテ居リマシタ、蠶絲業法ノ改正ハ加
藤君モ御熱心デアリマシテ、當局モ此
議會ニ改正案ヲ出サウト思ヒマシタ
ガ、遂ニ出來ナカッタ譯デアリマシテ、
此改正ヲ致シマシタ結果、製絲業者モ
此新法律ノ中ニ入レルカ、是ハ蠶絲業
法ノ改正ノ際ニ考ヘテ見タイト云フノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=27
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028・加藤知正
○加藤委員 只今御答辯ニ依リマスル
ト云フト、蠶絲業法ニ依ッテ組合ヲ作ッ
テ、其中ニ加入シテ居ル者ハ、今ノ輸出
組合法或ハ工業組合法ニ加入スルコト
ガ出來ナイヤウナ仰セデアリマスガ
私ハ一方デ組合ニ加入シテ居ル者ガ之
ヲ脫退シナクテモ、新ニ設ケラルヽ組
合ニ加入シテ差支ナカラウト思ヒマス
ガ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=28
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029・三土忠造
○三土政府委員 ソレハ此法案ノ第九
條ニアリマスルガ「重要物產同業組合
法ニ依ル同業組合ニ加入セス又之ヨリ
脫退スルコトヲ得」ト云フ規定ガアリ
マシテ、一方デハ同業組合ハ强制加入
デアリマスガ、ソレヲ此法律ニ依ッテ免
除スル、此組合ニ屬シテ居ル者ハ之ヲ
脫ケテモ構ハヌ、兩方ニ這入ッテ居テモ
宜イデハナイカト云フ者モアリマスル
ガ元起,經費モ負擔シナケレバナラヌ
カラ困難デアル、隨テヅル〓〓脫ケテ
來ルヤウニナリマスルト、其時分ニド
ウ云フ風ニナルカ製絲業モ今度ノ組
合ニ入レルト、此第九條ニ依ッテ前ノ組
合ヲ脫退シテシマフカ、或ハ二重ノ負
擔ヲスルノデアリマスカラ、是ハ蠶絲
業法ノ改正ノ際ニ考ヘテ見ヤウト云フ
ノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=29
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030・加藤知正
○加藤委員 尙ホ詳細ニ涉ッテ御質問
ヲ申上ゲタイト思ヒマスガ、逐條審議
ニスルカセヌカト云フコトモマダ決ッ
テ居ラヌヤウデゴザイマスカラ、ソレ
ガ決リマシテカラ申上ゲマス、私ハ是
デ打切リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=30
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031・飯塚春太郎
○飯塚委員 私モ之ニ付テハ皆樣ノ御
說ヲ聽キタイト思ヒマスガ、先ヅ逐條
審議ニ入リマシテ、其後質問シタ方ガ
宜イカト思ヒマスガ如何デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=31
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032・高木益太郎
○高木委員長 何分條文ガ二百箇條許
リアルノデアリマスカラ、大體ノ質問
ヲ濟マシテ、ソレカラ逐條ニ入リタイ
ト思ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=32
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033・金光庸夫
○金光委員 先程三土次官ノ御答辯ニ
依リマスレバ、爲替資金ヲ日本銀行デ
再割引ヲスル云々ノ御話ガゴザイマシ
タガ、從來トテモ「スタンプ」手形ノ方
法ニ依ッテ居ルノデアリマスカラ、其再
割引ト云フコトハ安イ利子ノ金ヲ供給
スルト云フ意味デアラウト思ヒマスガ、
安イ利子ノ金ヲ供給スルト云ヘバ、日
本銀行ガ一般ノ營業トシテ貸付ケル金
デナクシテ、預金部ノ金カ何カ低利資
金ヲ御出シニナルト云フコトデナケレ
バ意味ヲ爲サヌト思ヒマスガ、左樣心
得テ宜シウゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=33
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034・三土忠造
○三土政府委員 ソコマデハマダ決定
シテ居リマセヌガ、日本銀行ガ數千萬
圓位ノ金ニ對シテ相當ノ犧牲ヲ拂フコ
トハムツカシクナイト思ヒマス、例ヘ
バ正金銀行ニ對シテ二千萬圓ヲ二分デ
融通シテ居ルヤウナコトモアル、政府
ノ預金ト云フモノハ隨分多イノデアリ
マスカラ、多少ノ犧牲ハ拂フコトガ出
來ルト思フ、必シモ預金部カラ融通セ
ヌデモ出來ルト思ニヒマスガ、マダ決定
ハ致シテ居リアセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=34
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035・金光庸夫
○金光委員 サウ致シマスト唯〓日本
銀行ニ對シテ成ベク安ク貸シテヤッテ
吳レ位ナコトデハ、日本銀行モ營業デ
スカラ、中〓其間ガ圓滑ニハ行クマイト
思ヒマスガ、政府ハ低利デ貸付ケサセル
ト云フ手段方法ヲ御執リニナラネバ、
此法案ノ意味ヲ爲サヌト思ヒマスガ、
ソレガ必シモ預金部カラデナクトモ
宜シイデスガ、低利資金ヲ供給セシム
ル手段ヲ御執リニナルノデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=35
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036・三土忠造
○三土政府委員 無論低利資金ヲ融通
セシムル積リデアリマス、サウシテ南
洋、印度、支那方面ニ於テ外國ノ貿易商
人ト競爭シ得ラルヽマデ、日本銀行ニ
對シテ註文シテ其程度ニヤラセル積リ
デ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=36
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037・金光庸夫
○金光委員 サウ致シマスト政府ノ努
力ニ依ッテ、日本銀行カラ低利デ爲替銀
行ニ融通サセタ場合ニ、爲替銀行ガ高イ
利子ヲ取ッタトキニハ何ニモナラヌコ
トデアリマス、之ニ對シテモ當然御監
督ナサルト云フヤウナ意味ガ含マレテ
居ルノデアリマスカ、ソレニ付テ本會
議ノ時モ一寸其事ヲ質問致シマシタケ
レドモ、御答辯ガゴザイマセンデシタ
ガ、ソレハ或ハ大藏省ノ關係カ五月,
セマスガヽ其邊ヲ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=37
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038・三土忠造
○三土政府委員 是ハ大藏省ノ問題デ
アリマスケレドモ、無論サウヤ人前駅
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=38
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039・金光庸夫
○金光委員 安ク貸スコトニナリマス
ト、從來小サナ商人ガ申出ルノデアル
カラ、利子ハ高カッタコトデアラウト思
ヒマスガ今後ハ輸出組合ニナッタカラ、
其點ハ幾ラカ信用モ高マル譯デアリマ
セウガ、又一面ニハ輸出組合ハ新タニ
出來タモノデアリ、外國ノ信用狀ヲ得
ルコトハ中〓困難デアラウト思フ、四
五年位ハ到底得ラレマイト思ヒマス、
サウスルト危險ノ度ガ多イ、從來ト雖
モ信用狀ノアル者ト無イ者トハ非常ナ
差ガアッタノデアリマス、今後輸出組合
ト云フモノガ出來テモ、數年間信用狀
ヲ得ルニ困難デアルト思ヘバ、矢張利
子ヲ相當高ク取ラナケレバ營業上引合
ハヌト云フコトニナリマスガ、此點ニ
付テハ矢張十分御監督ヲ下サルモノデ
アリマセウカ、ドウカモ伺ヒタイノデ
アリマス-先程ノ御答辯デ監督ナサ
ルト云フコトデアリマスカラ、ソレデ
差措キマセウ、其次ニ伺ヒタイノハ、例
ヘバ南洋方面ナドニ輸出致シマスモノ
ハ信用狀ノ有ルト無イトデ大分差ノ
アルモノデアリマス、元來南洋方面ニ
ハ再割引ノ市場ガ無イノデアリマス
又信用ガ有ッテモ無クテモ爲替銀行ニ
ハ差支ガ少イノデアリマス隨テ是マ
デハ殆ド金利ハ同ジデアリマシタガ、
今度低利ノ金ヲ御貸シニナルト云フコ
トニナリマスト、信用狀ノ無イモノ、例
ヘバ南洋方面ニ物ヲ賣込ミマスニハ、
見込輸出ガ多イノデアリマス、見込デ
輸出スル所ハ皆信用狀ガ得ラレナイコ
トハ勿論デアリマスガ、サウ云フ者ト
信用狀ノ有ル者トノ間ニ差ガ出ルト云
フコトニナルノデアリマス、其場合ニ
モ矢張同ジ利子デ貸出サセル御考デア
リマスカ、ソレハ從來ハ利子ガ高カッタ
ケレドモ、今度ハ利子ニ差ガ出來ルガ、
是ハ仕方ガナイト御考ニナルカ、若シ
ソレハ商賣ダカラ仕方ガナイト云フコ
トニナリマスレバ、見越輸出ヲスル者ガ
非常ナ不便ヲ感ズルコトニナル、同ジ
程度ノ金ヲ借リテヤッタ者ガ、今度ハ見
越輸出ヲスル者ト然ラザル者トノ間ニ、
金利ノ差ガ出來ルノデアリマスルカラ、
劣敗ノ地位ニ立ツト云フコトニナッテ
益〓不便ヲ感ズルト云フ傾ガアル、ソレ
ハ利子ハ前モ今度モ同ジヂヤナイカト
申シマスガ、他トノ振合上競爭上違フ
コトニナルノデアリマス、所ガ南洋方
面ト云フモノハ註文ニ依ッテ品ヲ輸出
スルト云フヨリモ、見込輸出ヲスル場
合ノ方ガ多イノデアリマス、サウシテ
其見込輸出ト云フコトヲ奬勵スル方ガ
宜シイト思フノデアリマス、新タニ新
販路ヲ開拓スル場合ニハ、多クハ見込
ニ依フテ行クノデアリマスカラ、是ノ妨
ゲニナルヤウナ制度ハ考慮セネバナラ
ヌト思フノデアリマスルガ、其邊ノ御
考ハ如何デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=39
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040・三土忠造
○三土政府委員 現在ニ於ケル南洋印
度方面等ノ我ガ輸出商品ノ爲替關係上
不利ナルコトハ、金光君モ御承知ノ通
リデ「マージン」ヲ拂ハナケレバナラヌ
トカ、信用狀ガ取レヌトカ不利ニナッテ
居ル、南洋方面ニナルト再割引ノ機關
ガ無イカラ、手形ハ倫敦デ決濟スル、サ
ウ云フ不利ナ點ガ多少アリマスルガ、
併シ此日本銀行ガ低利ヲ以テ廻スト云
フコトニナルト、我ガ爲替銀行ハソレ
ダケ步合ヲ見テ、手形ヲ切ッテ行キサヘ
スレバ宜シイノデアルカラ、兎ニ角細
カイ方法ハ決定致シテ居リマセヌガ、
私共ハ外國ノ商人ト角逐スル上ニ於テ、
安イ資金ノ方デ我ガ貿易商人ガ不利デ
ナイヤウニ致シタイト考ヘテ居ル細
カイ計算ハ大藏省ト、正金銀行トカ、臺
灣銀行トカト協定シナケレバナラヌト
思フ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=40
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041・金光庸夫
○金光委員 サウ致シマスト此組合ニ
這入ッテ居ル者ト、這入ッテ居ラナイ者
トノ關係ガドウ云フコトニナリマセウ
カ、政府ハ特別ナ努力ヲ以テ此組合員
ニ對シテ便利ヲ御與ヘニナッテ、低利ノ
金ヲ御貸シニナルト云フコトハ今ノ御
話デ分リマシタガ、組合ニ這入ッテナイ
者モ、爲替銀行ガ金ヲ貸スニ付テ之ニ
均霑スルヤウナ形ニナリマスカ、組合
員ダケニハ安ク貸スガ、組合員外ノ者
ニハ高クヤルト云フ譯ニハ參リマスマ
イト思フノデスガ、ソレハ安ク貸シテ
モ此ニトト差差支ナイコトデアルガ唯~政
府ガ低利ナ金ヲ貸サシタ其出シタ金ノ
行場ニ付テ、其利子ノ差ノ關係ガドウ
ナリマスカ、私ノ考ヘタヤウニ組合員
モ、組合外ノ者モ同一ノ步合デ貸出ス
ト云フ結果ニナリマセウカドウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=41
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042・三土忠造
○三土政府委員 ソレハ組合員以外ニ
對シテハ、同一ナ融通ハセヌ積リデア
リマス、サウ致シマセヌト云フト、組合
ノ根本ハ壞レマス、ソレカラ又其低利
ノ金ヲ融通スルト致シマスニモ、此輸
出工業組合-輸出重要品ノ工業組合
此組合デ造ッタ物デ、サウシテ檢査ニ合
格シタ物、之ニ限ルト云フコトニ致ス
積リデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=42
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043・金光庸夫
○金光委員 只今御答辯ノヤウナ方法
ニヤリマスト、兩方ニ差ガ出來ルト云
フコトデアリマスルガ、ソレハ爲替銀
行ノ扱方ガ頗ル困難ダラウト思ヒマス
ケレドモ、只今ハ論ズベキ場合デナイ
ト思ヒマスカラ他日ニ讓リマス、ソレ
カラ檢査證ノコトデアリマスルガ是
ハマア組合法ノ骨子ノヤウデゴザイマ
スケレドモ、特ニ御考慮ヲ願ヒタイノ
ハ、從來諸外國ノ輸出品ハ契約ヲスル
際ニ何ミ組合ノ檢査證アルモノト斯
ウ云フコトヲ條件トシテ居ルノデゴザ
イマスカラ、品物ノ授受ニ付テ爭ハ起
ラナイノデアリマス、割引ナド云フ問
題モ起ラナイノデアリマスガ、我國ノ
輸出品ハ全部左様ナ條件ガ附イテナイ
ノデアリマス、隨テ組合ノ檢査ガアッ
テモ、ドウシテモ矢張割引ノ問題ハ起
ルノデアリマス、詰リ檢査證ト云フモ
ノニ權威ガ無イノデアリマスルガ輸
出品ノ品物ニ依リマシテハ、例ヘバ花
莚ノ如キニシマシテモ、輸出花莚ハ檢
査ニ合格シナイカラト云ッテモ、內地デ
ハ使場ガ無イノデアリマスカラ、何等
カノ方法ヲ以テ之ヲ輸出スル手段ヲ執
ルノデアリマス、サウ云フコトニナル
ノデアリマスカラ、大シテ檢査ノ效力
ガ無イ、西洋ノ方デハ此檢査證ト云フ
モノガアレバ、ソレデ文句無シ二種一
ト云フコトハ、品物ヲ拵ヘルト云フ意
味ヨリモ文句ヲ防グ、割引ナドノ爭ヲ
防グト云フ方ニ特ニ使ハレテ居ルノデ
アリマス、所ガ日本ノ檢査證ノ關係ハ、
却テ其割引問題ヲ起スコトニナルヤウ
ナ商慣習ニナッテ居ルノデアリマスル
カラ、其點ヲ特ニ御考慮ニナッテ、此檢
査證ト云フモノヲ最モ有益ニ使フヤ
ウニ、政府ハ御指導ヲ願ヒタイト思ヒ
マス、サウ申上ゲルト質問デ無クナッテ
來マスガ、-ソレカラ其次ニ伺ヒタ
イノハ今マデノ販路ガアリマス所ニ益〓
品物ヲ餘計出スト云フコトモ是モ
無論講セネバナラヌケレドモ、新ニ販
路ヲ求ムルト云フコトガ今日ノ場合私
ハ特ニ必要デハナイカト思フ、何故カ
ト申スト日本ノ輸出ノ大宗タル絹絲ノ
如キモ、年來段々人造絹絲ガ發達スル
ニ伴レマシテ、販路ガ追〓狭バメラレ
ル嫌ガナイカト思ヒマス、隨テ斯ウ云
フ物以外ニ何カソレヲ補フ物ヲ見付ケ
ネバナラヌ、ソレデ種々ナル商品ノ新
シイ販路ヲ求メタイト思フノデアリマ
ス、所ガ新シイ販路ト申シマスレバ、歐
米ノ非常ニ文化ノ進ンデ居ル所ナドニ
ハ中〓新販路ノ開拓ガ困難デアリマス
カラ、ドウ云フ方面ニ販路ヲ開拓スル
カト云ヘバ、先ヅ巴爾幹附近トカ、ソレ
カラ「バルチック」沿岸トカ、或ハ南阿弗
利加トカ、或ハ南亞米利加地方、或ハ西
伯利ノ如キ、滿洲ノ如キ、蒙古ノ如キ、支
那ノ河川貿易ト、斯ウ云フ地方ガマダ
マダ新販路擴張ノ餘地ガアルト思フ、
所ガ斯ウ云フ地方ニ新販路ヲ求メヤウ
トスルニハ頗ル危險ガ伴フノデアリマス、其
他餘程長期ノ手形ノ割引ヲシテ貰ハナケレ
バ出來ナイ、例ヘバ獨逸ガ戰前ニ西伯
利邊リニ新販路ヲ擴張シテ、殆ド滿洲
カラ西伯利ノ方ハ獨逸ノ商品ニ非ザル
ハ無シト云フマデニ致シマシタノハ
ドウ云フ事ヲ致シマシタカト云フト
六箇月ノ間ニ手形ヲ三囘位切換ヘル、
詰リ一年半位ハ金ヲ借リラレルト云フ
ヤウナコトガ一番大キナ理由デアル、
サウシテ金利ガ非常ニ安イ、斯ノ如ク
安イ長期ノ金ヲ使ヒ得タノデアリマ
スカラ、彼ノ廣大ナル地ニ新販路ヲ開
拓シ得タノデアリマス、ソレデ我國ニ
於テモ斯ウ云フ新販路ヲ開拓ヲシヤウ
ト思ヘバ、先程三土次官ノ仰セラレタ
ヤウニ、安イ利ノ長期ノ金ヲ貸ス方法
ヲ講ゼネバナラヌ、サウシテモウ一ツ
安イト長期ダケデハイカヌ、斯ウ云フ
新販路ノ開拓ニ當ッテハ非常ニ危險ガ
伴フノデアリマス、何故カト申スト先
程津崎君ノ言ハレタヤウニ、信州ノ鎌
ノヤウナサウ云フノデモ持ッテ行ケバ、
ドン〓〓賣レルノデアリマス、併シサ
ウ云フ物ハ序ガアッタカラ持ッテ行ッテ
偶然ソレガ賣レタノデアリマスカラ、
序ノナイ物ハワザ〓〓危險ヲ冐シテ持ッ
テ行カネバ賣ルコトハ出來ヌ、ドンノ
同業者ガ持ッテ行ッテ賣レタラ、最初持ッ
テ行ッタ者ガ特權ノアル專賣ト云フ譯
ノモノデハナイカラ、危險ヲ冐シテ若
シ失敗シタラ、其失敗ヲ國デ負擔シテ
ヤラネバナラヌト思ヒマスガ、何等序
ノナイ物ハ、態〓南米トカ何カニ危險ヲ
冐シテ行クト云フ者ハ無イ、斯ウ云フ販
路ノ擴張ハ政府ガ援助シナケレバ發展
シナイノデアリマス、其程度ハドウデ
モ宜シイガ、若シ不渡ニナッタ賣掛代金
ノ損失ニナッタ幾分カヲ負擔スルト云
フコトニナレバ、新販路ノ開拓ニ宜シ
イト思ヒマスガ、賣掛代金ノ不渡ノ幾
「パーセンテージ」トカヲ負擔シテ御奬
勵ニナルコトハ、最モ販路擴張ノ爲ニ
宜シイト思フノデアリマスガ、斯ウ云
フ種類ノコトニ付テ政府ハ御考ニナッ
テ居リマスカ、又是マデ〓究ノ結果ド
ウモ駄目ダト云フ御考デアルカ、尙ホ
サウ云フコトニ付テモウ少シ〓究シテ
見ヤウト云フ御考ガアルカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=43
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044・三土忠造
○三土政府委員 販路ノ開拓ニ付テハ
出來ルダケ手段ヲ講ズル積リデアリマ
シテ、今囘豫算ニ要求致シマシタ通信
員ナドモ、必要ノアル新ナル販路ノ見
込ガアルヤウナ所ニ多ク置ク、併シ今
マデ日本ノ品物ガ送ラレテ居ラナカッ
タ所デ、卽チ取引ガ極メテ不確實ト云
フヤウナ所デ新販路ヲ求メヤウトスレ
バ、賣掛代金ノ不渡ガ起ルカラ、此幾分
カヲ政府デ補助スル意志ガアルカト云
フ御質問デ、尙ホ之ニ付テ〓究シタコ
トガアルカト云フ御話デシタガ、ソコ
マデ踏込ム積ハナイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=44
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045・金光庸夫
○金光委員 ソレカラ貿易官ノ御話ガ
アリマシタガ、政府ハ商務官ヲ御廢止
ニナッテ貿易通信員ヲ置カレルヤウデ
スガ、此度ノ御計畫ハ頗ル規模ガ小サ
イヤウニ思ヒマスガ、今日爲替對策ノ
ヤカマシイ際、特別ノ奬勵ヲシナケレ
バナラヌト云フ重大ナル時期ニ於テ、斯
樣ナモノヲ縮小シタト云フコトハ洵ニ
遺憾デアリマスガ、將來政府ハ諸外國
ニ見本市トカ、或ハ見本ノ陳列トカ、云
フモノヲ、只今御話ノ通信官ヲ利用シ
テヤルカ、若クハ他ノ方法デモハウ一層
御奬勵ニナル御考ハ無イカ、若シ御奬
勵ニナルト云フ御考ガアレバ、次ノ年
度カラデモ、モウ少シ新制度ヲ設ケテ、
貿易官ノ擴張ヲ圖ル御考ハ無イノデア
リマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=45
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046・三土忠造
○三土政府委員 商務官ヲ廢シマシタ
コトハ洵ニ遺憾デハアリマスガ、如何
セン財政上一定ノ節約額ヲ割出サナケ
レバナラヌト云フノデ、天引的ニ外務
省ノ商務官ハ廢メルコトニナッタサウ
デアリマスガ、最初私共ハ商務官ヲ置
イテ、其上ニ商務官ノ行カナイヤウナ
所ニ貿易通信員ヲ置クト云フコトニ考
ヘテ居ッタ、併シ外務省ニ於キマシテノ
若干新ナル經費ヲ取ッテ、在外公館ヲシ
テ、商務官ノ代リニ成ベク商務官ノ廢
止後ニ遺憾ノナイヤウニスル、斯ウ云
フコトデアリマヌ、ソレカラ貿易ノ發
展ヲ圖ル爲ニ、新販路ノ開拓ヲシマス
ルニハ見本市ナドハヤラナケレバナラ
ヌ、內地ノ商品ハ成ベク外國ニ持ッテ
行ッテ見セルコトハ必要デアリマスガ、
此組合ガ發達致シマスルナラバ、相當
組合デモサウ云フ計畫ハ致シマセウ
ガ、政府ガ單獨ニヤルカドウカハ今ノ
所デハ申上ゲラレマセヌ、併シ絕エズ
ヤルト云フ意思ヲ持ッテ居ルコトハ申
上ゲテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=46
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047・金光庸夫
○金光委員 此組合法ニ付テ一二點
伺ッテ見タイト思ヒマス、仕上信用ノ制
度ニ依ッテ、資金ヲ御供給ニナルト云フ
ヤウナ御考ノ仕向ニナッテ居リマスカ、
其邊ノ事ハ如何デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=47
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048・三土忠造
○三土政府委員 資金ノ關係ニ於キマ
シテハソコマデ〓究致シテ居リマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=48
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049・金光庸夫
○金光委員 私ハドウカ其仕上信用ノ
制度ヲ御利用ニナッテ、資金ノ御融通ヲ
爲サルヤウナ方法ヲ御執リ下サルヤウ
ニ願ヒマス、ソレカラ重要輸出品ノ中
デ、之ニ無イ品目ノ物デ將來重要ナル輸
出品タルベキ物ガ出來マスレバ、ソレ
ニ對シテドウ云フ御考ヲ持ッテ居ルカ、
例ヘバ此品目ニ無イ新シイ品目ノ重要
輸出品ガ出來マスレバ、ソレハ多ク二
三ノ會社等ニ依ヲテ製造サレル物ガ
多イノデアリマスカラ、サウ云フ物ハ
餘リ數ガ少ナイカラ、組合ト云フモノ
ガ出來ル譯ニハ行カナイト思ヒマス
サウ云フ物ガ非常ニ出來テ重要輸出品
ニナルト云フコトハ歡迎スベキデアッ
テ、大ニ奬勵スベキモノデアルト思ヒ
マスガ、、數ガ少イカラ組合ナドハ出來
ナイ、故ニ組合法デハ之ヲ奬勵スルコ
トハ出來ヌガ、何カ他ノ方法デ奬勵ス
ルト云フ御考ガアレバ結構デアルガ
サウ云フ御考ハアリマスカ、例ヘバ發
明品ニシマシテモ、西洋デ、發明セラレ
タ「ハーバーヤクロード」ノ空中窒素ノ
如キ重大ナル發明ニ依ッテ、色ミナ發明
品ヲ作フテ海外ニ出スヤウナコトハ無
論必要ノ事ト思ヒマスガ、ソレハ數ガ
少ナイカラ組合ニスルコトハ出來ヌ、
組合ガ出來ヌカラ之ヲ放ッテ置クト云
フコトハ遺憾ニ思ヒマス、他ニ何等カ
考テ見ヤウト云フ御考ハアルカドウカ、
其ノ點ヲ伺ッテ置キタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=49
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050・三土忠造
○三土政府委員 重要物產ト云フ標準
ヲ今囘選擇致シマシタノハ、大體輸出
金額一千萬圓ト云フモノヲ以テ標準ト
シテ居ルノデアリマス、併シ此海外市
場ノ關係、及國內ノ經濟關係等デ重要品
ト云フ物ハ非常ニ變ルノデアリマス
例ヘバ過去四五年間ノ貿易ノ統計表ヲ
見マシテモ、重要輸出品デアッタ物
ガ、今日殆ド消失セタヤウナ物モア
ル、人ガ注意シナイ中ニ、非常ナ金高ニ
達シテ居ル物ガアル、例ヘバ先達大阪
デ見タ模造眞珠ノ如キハ誰モ注意シマ
セヌガ大正十三年ニ一千萬圓程輸出
ヲ致シテ居ル、此間マデ輸出組合ヲ造ッ
テヤレバドウカ知リマセヌガ、今マデ
ノヤウデハ、重要輸出品ノ範圍カラ出
ルコトヲ心配致ス、重要輸出品ノ費目
ト云フモノハ始終變ルモノト見ナケレ
バナラヌト思ヒマス、新ニ興ッタ工業ニ
對シテ工業組合ヲ組織スル程デナイ極
ク少數デヤッテ居ル者ニ對シテ、何トカ
道ヲ開イタラ宜イト云フ御話シデアル
ガ、此組合法ハ產業組合法ト違ヒマシテ、
產業組合ハ七人以上デナケレバナラ
ヌ、七人以下ニナッタラ社合ラ解散シナ
ケレバナラヌ、併シ工業組合ハ制限ガ
無イ、組合ヲ組織シヤウトスレバ五人
デモ七人デモ出來ル、而モソレガ我國
ノ重要輸出品デアルト云フ場合ニ於テ
ハ、相當他ノ事業ト均衡ヲ得ル範圍ニ
於テ保護奬勵スル必要ハアラウト思ヒ
マス、或ハ關稅政策、、運賃·政策、其他資
金ノ融通、色ミナ事モアリマセウ、ソレ
ハ併シ別箇ノ問題トシテ考ヘナケレバ
ナラヌト思フ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=50
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051・堤清六
○堤委員 私ハ此法案ガ產業政策ノ發
展上重要ナル問題ト考ヘマシテ、頗ル
贊意ヲ表スル一人デアリマスガ、私事
實問題ニ付テ疑義ノアル點ヲ簡單明瞭
ニシテ、御質問申上タイト思ヒマスガ、
簡單ニ御答ヲ願ヒタイト思ヒマス、先
刻加藤君カラ御質問ガアリマシタガ、
私ハ舊法ト對立スルヤウニ思フガ、當
局ハ如何御考ニナッテ居ルノデアリマ
セウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=51
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052・三土忠造
○三土政府委員 先刻中上ゲマシタ通
リ、此重要輸出品工業組合法ニ於キマ
シテハ其第九條ニ於テ「工業組合又ハ其
ノ組合員ハ其ノ營業ニ關スル重要物產
同業組合法ニ依ル同業組合ニ加入セス
又ハ之ヨリ脫退スルコトヲ得」トアリマ
スカラ、是ガ出來マスレバ、重要物產同
業組合カラ脫退スル者ガ澤山出來ル
ダラウト思ヒマス、卽チ重要物產同業
組合ナルモノガ、獨リ工業者ノミナラ
ズ、商人モ皆入ッテ居ルノデアリマス、
一部分ノ工業者デ、利害問題ニ密接ナ
ル者ガ脫退スル、現在ノ同業組合ノ方
ハ脫退スルコトヲ法律デ許スノデアリ
マスカラ、自然二重ノ負擔ヲ免レル爲
ニ脫退スル者ガ出來ルト思ヒマス、是ハ
致方ナイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=52
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053・堤清六
○堤委員 大變重複シタ關係ニ陷ルト
思フノデアリマスガ、脫退シテ直ニ此
方ノ組合ニ加入スルコトニナレバ宜イ
ノデアリマスケレドモ、矢張舊來ノ組
合ハ其組合ニ從ッテ、機能ハ又別ノ働キ
ヲ爲ス場合モ別々ニアラウト思ヒマス、
サウスルトドウシテモソコニ矛盾ガ
起ルト思フノデアリマスガ、是ガハッキ
リシタ法文ヲ見出スコトガ出來ナイノ
デアリマス、如何デアリマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=53
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054・三土忠造
○三土政府委員 二ツノ組合ガ同業組
合ト重要輸出品工業組合トガ對立致シ
マスト云フト、利害關係ニ於テ對立ス
ル、併シ金ヲ拂ッテデモソレニ入ッテ宜
イト云フ人ハ兩方ニ入ルコトガ出來
ル、多クノ場合ニ於テハ同業組合ノ方
ハ脫退スルカモ知レヌト私共ハ考ヘテ
居リマス、同業組合一個ノ使命ヲ以テ
スレバ、卽チ工業者トカ、問屋トカ、商
人トカ、云フ者デ、縱ニ一ツノ組合ヲ作
ルコトガ發達上ニ於テ宜イト思ヒマ
ス、殊ニ內地向キノ品物ニ付テハ是ハ
必要デアルト思フ、重要輸出品ノ關係
ニ於テハ、脫退スル方ガ便宜デアルト
考ヘル人ガ多クナイカト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=54
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055・堤清六
○堤委員 便不便ヨリモ、兩方デ異ッタ
決議ヲスルヤウナ場合ガ出テ困難デア
ルト想像サレルノデアリマス、舊法トノ
關係ガ大變困難トナラヌカト思フノデ
アリマス、ソレハ其程度デ宜シウゴザ
イマス、更ニ產業組合法ナリ、又ハ重要
物產組合法ガ存在シテ居リマスニ拘
ラズ、只今申上ゲマシタヤウニ兩法案
ガ制定セラレルコトニナリマシタ場合
ニ於テハ、從來ノ工業組合等ハ如何ニ
御處理爲サル御考デゴザイマセウカ、
私ノ記憶致シテ居リマス所ニ依リマス
ト、現在我國ニ於テ同業組合ガ約千位
ニ達シテ居ルカト思フ、又產業組合ハ
約一萬四千位ニ達シテ居ル、其中ノ約
三分ノ二ハ農業組合其他ノ三分ノ一ハ
工業的組合デアル、然ルニ由來此組合
ナルモノハ其種類ニ於テ、其程度ニ於
テ餘リ複雜デゴザイマシテ、且ソ又餘
リニ多キニ過グルノデアリマシテ、或
ハ統一上、或ハ機能發揮ノ上ニ、種々ナ
ル不便ト弊害ヲ吾ミハ現ニ味ヒツヽ來
タノデアリマス、其弊ヲ助長スルコト
ガアリマセヌカ、ソレハ實際問題トシ
テ世間周知ノ事實デアラウト思ヒマス、
然ルニ此法律ニ依ッテ新ニ組合ガ出來
タト致シマスレバ、勢ヒ同業組合ヲ整
理致シマセヌケレバ、折角此新法ニ依
リマシテ設立セラレル組合ハ、甚シク
其活動ノ力ヲ節減サルヽコトニナリハ
シナイカ、立法ノ目的ニ副ハズ、或ハ副
ハザルニ非ザルマデモ、大ニ遠ザカル
ヤウナ憾ガアルヤウデアリマスガ、此
點ニ付テ舊法ヲ整理爲サルト云フ政府
ノ御考ハ如何デゴザイマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=55
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056・三土忠造
○三士政府委員 同業組合ガアルノニ、
更ニ重要輸出品ノ工業組合法ヲ作ルト
云フ其趣旨ハ、先刻加藤君ニ對シテ御
答シタ通リデアリマス、同業組合ハ現
在千四百七十三アルノデアリマス、其
中デ工業組合ニ屬スルモノガ約六百幾
十カアリマス、其中デ蠶絲業ト染色工
業ヲ引キマスト跡ハ洵ニ少イ、重要物
產同業組合ト云フモノハ、割合振ッテ居
ラヌ狀態デアル、產業組合ハ一萬四千
二百アリマスガ、是ハ主トシテ農村ノ
產業狀態ヲ善クスルト云フ目的デ出來
タノデアリマシテ、農村ノ組合ガ多イ
ノデアリマス、市街地ノ工業組合ニ屬
スルモノハ非常ニ少イノデアリマス
茲ニ新ナ工業組合ガ出來ルト云フト、
前申シタ通リ同業組合ノ方ハ工業ニ關
スル範圍ニ於テハ、新ナ法律ニ依ッテ設
立サレタ組合ニ段々入ッテ行キハセヌ
カ、サウスルト工業家ハ無クナル、後ハ
ドウナルカト云フト商人ダケノ組合ニ
ナルノデアリマス、產業組合ハ大部分
ガ農村ノ組合デアリマスカラ、大シタ
影響ハアリマセヌガ、都會地ニ於ケル
工業組合ハ此法律ノ範圍ニ於テハ矢
張脫會シテ新タナ方ニ入ルト云フコト
ニナリマシテ、三ツ對立スルコトニナ
リマセウガ、是ハ仕方ガナイト考ハマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=56
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057・堤清六
○堤委員 私ハ此舊法ニ依ル組合ガ、
新法ニ依ル組合ニ變ルコトガ必要デア
ラウト考ヘマス、私ノ見ヤウガ惡イノデ
アリマセウカハッキリ條文ノ中ニ見エ
テ居リマセヌガ、舊法ニ依ル組合ハ新
法ニ從ッテ變化スルコトニナラヌト或
ハ組合ノ〓算等ノ關係ガアリ、從來ニ
於テ爲シ來ッタ系統トノ關係ガアルノ
デ、新法ガ出來タカラト云ウテ、其方ニ
ドン〓〓入ッテ行クト行フコトハ事實
上不可能ノ場合モ多々アルノデアリマ
ス、舊法ニ依ッテ組織サレタ組合ハ新
法ノ組合ニ變ルコトガナイト、非常ニ
其間ニ事實問題トシテ--現ニ私共モ
其問題ニ直面シテ大變困ッテ居ルノデ
アリマスガ、此法ニハ明ニナッテ居ラヌ
ヤウデアリマスガ、サウ云フ場合ハ如
何デアリマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=57
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058・三土忠造
○三土政府委員 ソレハ重要物產同業
組合ノ方ハ、强制加入デ脫退ヲ許サヌ
コトニナッテ居リマス、今新ナ法律ノ第
九條ニ依ッテ此束縛ヲ解クノデアリマ
スカラ、重要物產同業組合ヲ脫退シテ、
此新ナ法律ノ組合ニ這入ッテシマウコ
トハ世話ハナイノデアリマスガ、唯ダ
其中ニ金ヲ出シテ居ルノハドウ云フ事
ニナルカト云フコトデアリマスガソ
レハ特別ニ脫退スルコトヲ許シテ居リ
マスカラ、隨テ此脫退ヲシタ場合ニ賦
課金ヲドウスルト云フコトハ舊法ニ規
定シテアリマスカラ、其規定ニ依ッテ〓
算ヲ付ケレバ宜イノデアリマス、產業
組合ハ任意組合デアリマスカラ脫退
ハ自由勝手デアリマス、而シテ脫退ス
ル場合ノ規定ガ產業組合ニアリマスカ
ラ、ソレニ依ッテ處置シテ行ケバ宜シイ
ノデアリマス、斯ウナルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=58
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059・堤清六
○堤委員 此脫退ト云フコトヲ極論致
シマスト、九十九人ハ新シイ法ニ依ッテ
仕事ヲシテ行キタイカラト云ッテ脫退
スル、一人ハ残ヲテ元ノ組合ノ總テノ機
能、換言スレバ財產ガアリマスト、其人
ノ財產ニナルト云フヤウナ結果ニ陷ル
ノデアリマシテ、サウデナク舊法ニ依
レル-組合ヲ新法ニ依ルヤウニシテ
行カナイト、實際困ル問題ガ多イノデ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=59
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060・三土忠造
○三土政府委員 舊法ニ依ル組合ヲシ
テ新法ノ方ニ入レルヤウニスルナラバ、
新ニ法律ヲ作ル必要ハ無イノデアリマ
ス、產業組合デモイカズ、重要物產同業
組合デモイカズ、此法ハ混血兒ミタイ
ナ働キヲスルノデアリマス、此組合ハ
賦課金ノ他ニ出資金ヲ出シテヤラセル、
又任意組合ト云フコトハ產業組合ニ似
テ居ルノデアリマス、所ガ此檢査ヲス
ルトカ色ミナ消極的ノ仕事ヲスル點ニ
於キマシテハ重要物產同業組合ト能
ク似テ居ルノデアリマス、併シ斯ウ云
フ新シイ組合ヲ特別ニ作ラナケレバ、
本當ニ其目的ハ達セラレナイノデアリ
マス、產業組合ハ農工商ヲ問ハズ總テ
共通シタ組合デアル、重要物產同業組
合ハ貿易品タルト內地用品タルトヲ問
ハズ、又商人ト工業者トヲ問ハズ、其組
合ニ入リ得ルノデアリマス、ソコデ別
ニ工業者ダケノ組合ヲ作リ、輸出商人
ダゲノ組合ヲ作ルト云フコトニ付テデ
アリマスガ、脫退ハ今申スヤウナ法律
關係デアリマスカラ、簡單ニ行ク譯デ
アリマス、又極端ナ話ヲ申サンテ、大勢
ガ脫退シタ場合ニハドウナルカト云フ
コトデアルガ、サウナレバ舊法ノ組合
ハ自然消滅ニナリ、解散スルヨリ外ナ
イト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=60
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061・堤清六
○堤委員 ソレハ其程度ニ致シテ置キ
マスガ、私ハ兩法案ノ輸出組合法ト、工
業組合法ノ一ツニ依ラナケレバナラヌ
必要ガ生ズルト思ヒマス、一方ハ工業
家デアッテ、サウシテ其工業ニ依ッテ製
造シタ物ヲ資本家ハ直ニ之ヲ輸出ス
ル卽チ工業者ト輸出者ニナルノデア
リマスサウ云フ者ノ爲ニ兩方ヲ聯合
シテ一ツノ働キトシテ、總テノ事ヲ行ッ
テ行キタイ、斯樣ニ希望シテ居リマス
サウ云フモノヲ一ツニ纒メルト云フヤ
ウナ御考ハアリマセヌ、此點ヲ伺ヒマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=61
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062・三土忠造
○三土政府委員 サウ云フ御話ハ極メ
テ極端ナル場合ニ起ルノデアリマス、
例ヘバ堤君ノヤウニ鑵詰業組合ニ入リ、
サウシテソレヲ他ニ輸出スルト云フヤ
ウナ人モアリマセウ、卽チ輸出組合ニ
入ルト云フヤウナ人モアリマセウガ、
大體工業組合法ハ主トシテ中小ヲモ
當ニシテ居ルノデアリマス、ソレカラ
鑵詰業ナドモ此中ニ入ッテ居リマスガ、
其法ニ依リマスト、此二ツノ組合ニ御
入リニナルヨリ仕方ガナイト思ヒマ
ス、工業組合、鑵詰組合ニ入リ、輸出組
合ニ入ルト云フヨリ仕方ガナイト思ヒ
マス、此二ツノ聯合會ヲ組織スルト云
フヤウナコトマデハ、此法律案ヲ〓究致
シマス時分ニハ考ヘナカッタノデアリマ
ス、之ヲ實施致シマシタ後ニ、サウ云フ
事ガ頻々トシテ起レバ考ヘナケレバナ
リマセヌガ、今デハサウ云フ事ハ考ヘ
テ居リマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=62
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063・堤清六
○堤委員 只今ノ御答ニ依ッテ斯樣ニ
了解シテ宜シイノデアリマスカ、生產
業者トシテハ製造家ノ組合ニ這入リ、
輸出業者トシテハ輸出業者ノ組合ニ這
入ル外ハ無イ、先程次官ノ御說明ニモ
アリマシタ如ク、自己ノ品物ヲ何處ニ
輸出スルカ知ラナイヤウデモ甚ダ困ル、
製造家ガ何處ニ一番品物ガ多ク出ルカ
ト云フヤウナコトモ考ヘテ、仕事ヲシ
テ行クト云フコトガ必要ナル事デアラ
ウト思ヒマスカラ、此疑ヲ起スノデアリ
マスガ、斯樣ナル場合ニ於テハ、尙ホ御
考慮下サッテ、適當ナル施設ヲ爲サルコ
トニ了解シテ宜シウゴザイマスカ尙
ホ小業者ヲ助ケルト云フコトガ主ナル
目的デアルト云フコトハ屢〓御伺スル
ノデアリマスガ、小業者ト中業者ト大
業者ト云フヤウナ區別ハ甚ダ曖昧デア
リマシテ、日本ニ於テ大業著ノヤウニ
考ヘテモ、亞米利加邊リカラ見レバ頗
ル貧弱ナル小業者ト云フコトニ相成ル
カモ知レマセヌ、是ハ見ヤウニ依リマ
シテ大變違ヒマス、併シナカラ小業者
ヲ保護シテ大業者ノ働キヲ爲サシムル
ト云フコトガ、此機關ノ目的デアラウト
思ヒマス、左樣致シマスト、小業者ヲシテ
大業者ニ早クナレト云フコトガ、此機關
ノ最モ重要ナ點ダラウト私ハ考ヘマス、
次官ノ大業者ト小業者ノ程度ハドノ程
度ニ御置キニナルカ分リマセヌガ遂
ニ小業者ノ保護ニ全力ヲ注グ爲ニ延
テ次官ノ御考ノ中ニアル大業者ト云フ
モノヲ壓迫スルコトニ陷ル虞ハナイノ
デゴザイマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=63
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064・三土忠造
○三土政府委員 中小工業者ト大工業
者トノ區別ト云フコトハムツカシイ間
題デアリマス、併シ農商務大臣ガ指定
スル重要輸出品タル工業品ヲ製造スル
人ガ中小工業者ヲ集メテ、其中ニ大キ
ナ人ガ入ッテヤッテ宜シイト考ヘテ居リ
マス、唯〓組合員ノ中デ一人ガ非常ナ資
力ヲ持ッテ居フテ、出資額モ多クテ橫暴ヲ
スルト云フヤウナコトガアッテハ困リ
マスカラ、其點ハ法律ノ條文ニ於テ抑
ヘテアル、卽チ法律ノ第十七條「組合員
ハ出資一口以上ヲ有スヘシ、組合員ノ
有スヘキ出資口數ハ五十口ヲ超ユルコ
トヲ得ス但シ特別ノ事由アルトキハ定
款ノ定ムル所ニ依リ之ヲ增加スルコト
ヲ得」先ヅドンナ資本家ガ入リマシテ
モ、五十口以上ノ出資ハ許サヌ、併シ其
人ガ入ル爲ニ非常ニ其工業ガ旨ク行ク
ト云フヤウナ特別ノ事情ガアッテ、皆ガ
ソレヲ認メテ是非トモアノ人ニ入ッテ
貰ハナケレバナラヌト云フヤウナ場合
ニハ農商務大臣ガ見マシテ定款ニ定
メサセマシテ、ソレニ依ッテ五十口以上
ノ出資ヲ許ス、サウスルト非常ナ專權
ヲ振ヒハセヌカト云フコトニナル、其
專權ヲ抑ヘル爲ニ第二十一條デ「組合
員ハ總會ニ於テ各一個ノ議決權ヲ有ス
但シ定款ノ定ムル所ニ依リ一人ニ付議
決權總數ノ十分ノ一ヲ越エサル範圍內
ニ於テ出資口數ニ應シ二個以上ノ議決
權ヲ有セシムルコトヲ得」ト致シマシテ、
議決權ハ人的標準ヲ主トシテ居リマス、
物的標準ヲ第二ニ置イタノデアリマス、
大體平等ト云フノガ原則デアリマシテ、
唯〓定款デ定メマシタ場合ニ於テハ、出
資日數ニ於テ二個以上ノ議決權ヲ許ス、
併シソレデモ全議決權ノ總數ノ十分ノ
一ハ越エサヽヌト云フコトニナリマス、
之ニ依ッテ大キナ者ガ入フテ來マシテモ
橫暴ハサセヌ、工業ノ性質上其人ガ入ッ
タラ宜イト云フ場合ニハ、ドンナ人ガ
入ッテモ宜シイ、法律ノ目的トスル所ハ
今日所謂中小工業ト稱スルモノ、サウ
云フ種類ノ工業ニ對シテ組合ヲ組織セ
シムルト云フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=64
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065・堤清六
○堤委員 モウ一ツ伺ヒマスノハ財
團法人デアリマス關係上當業ノ最モ重
要ニシテ密接ナル關係ヲ有スルモノデ
アリマシテモ出資致シマセヌケレバ
其組合ニ加入スルコトハ出來ズ隨テ
組合員タル資格モ無イ譯デアリマス、
一面小工業者ト申シマスノハ、大體ニ
於テ工業家ナドハ甚ダ資本ノ貧弱ナル
者デアリマス、然ルニ自分ノ仕事ヲシ
テ居ル其關係ニ於キマシテ、組合ハ最
モ濃厚ニシテ重要ナ關係ヲ結バナケレ
バナラヌモノデアルニ拘ラズ、其出資ス
ル能力ニ於テ缺クル點ガアル、左樣ナ
者ハ是非入レナケレバナラヌト私ハ考
ヘルノデアリマスガ、其時ニ於キマシ
テハ何カ出資口數ニ應ジテ、先程金融
ノ問題モ大分出マシタガ、其出資スベ
キ口數ヲ見合ヒニシテ、サウシテ其人
間ヲシテ組合員タルノ資格ヲ作ラシム
ルコトニ御考慮下サル御考ハゴザイマ
セヌカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=65
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066・三土忠造
○三土政府委員 此法律ハ出資額一口
ノ金高ヲ制限シテナイノデアリマスカ
ラ、定款ニ依ッテ出資金高ヲ定メルコト
ハ勝手ナノデアリマス、其時分ニ其組
合員ニ是非屬シテ貰ヒタイ、ソレガ入
ランケレバ都合ガ惡イ、併シ其人ハソ
レヲ出資スル資力ガ無イト云フ場合、サ
ウ云フ時分ニハ一口ノ出資額ヲ少クス
レバ宜イ譯デス、三十圓カ五十圓拂ヘ
ナイ人ガ工業ヲヤルト云フコトモ出來
マスマイカラ、無論其組合ニ入ルヤウ
ナ人ハ五十圓ヤ百圓ノ金ハ拂ヘル人バ
カリデナイカト思ヒマス、產業組合ノ方
ハ抑ヘテアリマスガ、此方ハ抑ヘテナイ
ノデアリマスカラ、幾ラデモ定款ニ依ッ
テ定メサヘスレバ宜イノデアリマス、
サウ云フ人ガアルナラバ、組合員ガ寄ッ
テアノ人ヲ是非入レヤウト思ヘバ、出
資一口額ヲ少クスルカ、或ハ代ッテ出資
シテヤッテモ宜イ譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=66
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067・堤清六
○堤委員 私ハ先程ノ御說明ニ依リマ
シテ、色〓ナ制裁ヲ置ク組合員ニ加ヘル
場合ニ、ドウシテモ强制加入デナケレバ
イカヌ點ガ多イヤウニ考ヘマス、例ヘ
バ任意加入ニシテ、而シテ其組合ノ制
裁ヲ加入セザル者ニマデ及ポスト云フ
コトハ、先程モ條文ノ第何條カニゴザイ
マシタ、例ヘバ檢査ノ如キ、或ハ製造方
法ノ如キニ於テ、制裁ハ同一地方ナラ
バ及ボスト云フコトガアッタヤウデゴ
ザイマスガ、左樣ニ致シマスト其組合
ニ對シテ、其者ガ費用ノ支出、或ハ其他
ノ條件ニ服從セザル場合ガ起ッテ來ル
ト思フノデアリマス、此强制加入トス
ルコトニ付テハ、何カ不便ノ爲ニ斯ウナッ
タノデゴザイマスカ、何故强制加入ト
爲サルコトガ出來ナカッタカヲ御伺致
シタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=67
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068・三土忠造
○三土政府委員 我國ノ團體法制ト云
フモノハ澤山アリマス、產業組合、漁業組
合畜業組合、或ハ水產組合、色ミアリ
マスガ、其經費ヲ全部賦課ニ依ルト云フ時
分ハ强制ハ出來マスケレドモ、出資ニ依ツ
テ經濟的行爲ヲスルト云フモノニ對シテ、
サウ云フ〓體法制ニ於キマシテハ强制
加入ト云フコトハ主義トシテイカスト思
ヒマス、資力ノ無イ者ガ、强制加入セシ
メラレテ出資額ヲ一口デモ出サナケレ
バナラヌト云フコトニナリマスト、非常
ニ困ル場合ガアリマス、大體ニ於テ斯
フ云ウ經費賦課ノ外ニ出資ヲ認メテ、
經濟的行爲ヲスル、斯ウ云フ〓體法制
ニ於キマシテハ、主義トシテ强制加入
ハ法理上認メラレヌト思ヒマス、併シ
强制加入センガ爲ニ、組合ニ入ラザル
爲ニ組合ノ事業ニ支障ヲ生ズル、サウ
云フ場合ニハ農商務大臣ハ必要ト認メ
タ場合ニハ入ラスノデアル、其人間ガ
居ル所ニ於テ組合ガ出來テ居ッテ、組合
ニ於テ色ミナ檢査ヲヤル、共同經營ヲヤ
ルノニ其組合ノ事業ニ從ハヌト云フ者
ハ命令ヲ以テ服セシムル、斯ウ云フコ
トニナリマス、其從ハヌ者ニハ罰則ヲ
設ケテ罰スル、斯ウ云フコトニナリマ
ス、組合ニ入リマセヌケレドモ、共同組
合ニ反スル場合ニ於テハ强制シテ其命
令ニ服セシムル、斯ウ云フコトニ此團
體法制ハ出來テ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=68
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069・堤清六
○堤委員 重要物產デアッテサウシテ
日本ニ經營ノ根據ヲ有ッテ、サウシテ
私ノ申上ゲタイノハ西伯利ニ關係スル
ノデアリマスガ、滿洲西伯利ト云フ將
來日本ノ工業、或ハ其他ノ企業ノ發展
スベキ、或ハ發展シナケレバナラヌ重
要ナル地方ニ於テ起ルベキ事業ニ對シ
テ、法案ノ適用ヲ內地ノ企業ノ延長ト
認メテ戴クカ、然ラザレバ經營根據、或
ハ經營者ガ「內地ニ居リマス關係ニ於
テ、此施行範圍ガ擴マルノデアリマス
カ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=69
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070・三土忠造
○三土政府委員 ソレハ帝國領土內ノ
組合事務所ノ所在地デアリマスレバ、
矢張本法ニ依ッテ支配サレル、出テ行ク
仕事ガ波濤萬里ヲ超エテ仕事ヲシテモ
構ハヌノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=70
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071・堤清六
○堤委員 左樣致シマスト具體的ニ申
上ゲマスレバ、ソレハ日本ノ內地デアッ
テ、東京北海道ニ働ク者ガ一ツノ組合
ヲ作ル、ソレガ海外ニ働ク者モ此法ノ
中ニ這入ルト考ヘテ宜シウゴザイマス
カ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=71
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072・三土忠造
○三土政府委員 大體ソレデ宜シウゴ
ザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=72
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073・堤清六
○堤委員 一ツ私ハ重要品ノ金融問題
ニ對シマシテ御願シテ置キタイ事ガア
リマス、此輸出品ガー此品物ガ重要
輸出品デアルナラバ、輸出スルトキニ
ノミ限ッテ金融スルト云フコトデナク、
製造家ノ手ニ旣ニ在ル時ニ金融ヲ與ヘ
ラレテ、其品物ノ聲價ヲ維持サレルヤ
ウニシテ戴キタイト云フコトヲ希望ト
シテ置ク次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=73
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074・一柳仲次郎
○一柳委員 私ハ本案ニ付テ大體ニ於
テ贊意ヲ表シマスガ、前質問者ノ方ガ、
私ノ質問セントスル事ハ大略質問サレ
テ居リマスカラ、一二念ノ爲御伺シタ
イト思ヒマス、此法案ノ中ニ營業稅所
得稅ヲ免除スルト云フコトガアリマス
ガ、是ハ工業組合ノミニ對シテヾアリ
マセウカ、又他ノ普通組合モ、同ジク營
業稅所得稅ヲ免除スルト云フコトデア
リマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=74
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075・三土忠造
○三土政府委員 左樣デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=75
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076・一柳仲次郎
○一柳委員 堤君等ヨリノ御尋ニモア
リマシタガ、彼ノ重要物產同業組合法
ト此法案トハ大同小異、稍〓同ジ法案ノ
ヤウデアリマスガ、旣ニ數囘質問應答
ヲ重ネタノデアリマスカラ、政府ノ御
意思ノ在ル所モ窺ヒ知ルコトモ出來タ
ノデアリマスガ、私ノ考トスルト此案
ガ成立シ法律案トナリマシタ曉ニハ
殆ド重要物產同業組合法ノ必要ガ無ク
ナルモノト思ヒマス、然ル場合ニ於テ
此重要物產同業組合法ハ廢案ト爲サル
御考デアリマスカ、暫ク其儘其案ヲ御
置キニナッテ此案ヲ玆ニ制定セラレン
トスルノデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=76
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077・三土忠造
○三土政府委員 今マデ數ヘテ居ル重
要物產ト云フモノハ隨分廣イ範圍デア
リマス、其中カラ重要輸出品ダケヲ除
キマスト、重要輸出品ニ關スル範圍ニ
於テ、多分大多數ハ現在ノ同業組合ヲ
脫會スルト思ヒマスガ、後ニ殘ッテ居ル
者モ相當アラウト考ヘマス、ソレ等ノ
商人間屋等ガ組合ヲ作リ、內地ニ於ケ
ル仕事ニ付テ組合ヲ作リマスカラ、相
當矢張現在ノ重要物產同業組合法ニ依ッ
テ設立サレテ居ル組合ド云フモノハ、
仕事ガアルト考ヘテ居リマス、若シ此
法律ノ實施後ニ於ケル成績ヲ見テ現在
ノ組合法ガ不用デアレバ、之ヲ引離シ
タ以上ハ改善ヲシナケレバナラヌト思
ヒマスガ、實施後ニ於ケル實際ノ經驗
ニ依ッテ考ヘタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=77
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078・一柳仲次郎
○一柳委員 モウ一ツ御尋ヲシテ置キ
タイ、輸出業者ニ對シテハ、此組合法ニ
依ッテ特別ニ爲替ノ便宜ガ得ラレルト云
フコトガアリマスルガ、日本ノ中間工
業者ガ商品トナル輸出スベキ物ヲ製造
スル製造者ニ對シテハ、何等カ資金融
通ノ途ヲ得タイト云フヤウナ希望ガア
リマスガ、大體申上ゲマスレバ、小工業
者ハ資本ヲ欲シイノデアリマシテ、其
間ニ此法案ノ內容ノ中ニ默過サレテア
リマスガ、直接輸出スル人モアレバ、自
分ノ製造スル商品ガ何レノ如何ナル方面
ニ輸出サレルカモ知ラナイ、又如何ナ
ル價デ輸出サレテ居ルカソレモ知ラヌ、
其中間ニ居ル所ノ問屋ノ命ズル所ニ依
ッテ商品ヲ製造シ、其又資金モ問屋ノ資
金ヲ得テ工業ヲ營ンデ居ル、是ハ久シ
キ習慣デアリマシテ、問屋ト製造業者
ト此間ニ非常ナ深イ關係ヲ持ッテ居ル
ノデアリマス、其商業家ハ殆ド問屋ノ
命令スル所ニ依ッテ自分ノ營業ヲ致シ
テ居ルヤウナ次第デアリマス、ソレハ
唯〓問屋ト製造業者ノ間デアリマスガ、
尙ホ其他ニ一種ノ註文取トデモ申シマ
スカ「ブローカー」的ノ營業ヲ致ス者ガ
アル、ソレハ海外ノ輸出品ノ問屋輸出
業者、其間ヲ結付ケル一ツノ營業者ガ
アル、色〓又其他ニモ細カク種別ヲス
ルト、其業態ニ付テハ種々ノ手ヲ經テ
居ルノデアル、唯〓輸出業者ノ組合ト玆
ニ工業組合ト云フモノガ出來テ見マシ
テモ、往々手違ガ起ルノハ中間ニ立ツ
所ノ仲買人ト申シマセウカ「ブローカ
ー」ト申シマセウカ、或ハ註文取ト申シ
マスカ、サウ云フ手ヲ以テ左右スルコ
トガ往々アル、粗製濫造ト云フコトハ
最モ忌ムベキ事デアリマスガ、是亦强
チソレヲ廢スコトノ出來ヌ理由モアル、
若シ日本人ガ製造シタ物デアッテ、自分
ノ商標ヲ打ッテ海外ニ販路ヲ求メルト
云フコトガ漸次行ハレルナラバ、其人
ハ粗製濫造ヲ何ゾ好ンデヤル必要ハナ
イデアラウト思フ、日本ノ今日ノ貿易
ノ狀態其實況ヲ見マスト、先ヅ南洋方
面ニ、又南〓方面、印度方面ニ向ツテ輸
出サレル工藝品ハ、多クハ支那商人
ノ手ヲ以テ輸出サレル物ガ多イ彼等
ハ一種ノ世界的「ブローカー」デアッテ、
眞ニ其商標ヲ貴ビ、其商品ノ信用ヲ博
サントスルノデハナイノデアル、唯〓註
文先カラ註文ヲ受ケルト、彼等ハ商品
ヨリ唯〓自分ノ懷ロニ利益ガ多ク收マ
ルコトノミ努メテ居ル、其商標、其商品
ノ如何ニ拘ラズ、利益ノ多キヲ貴ブノ
ミデアッテ、萬一誤リガアルトスレバ彼
等ハ一向名譽ニ關係シナイ、支那人ハ唯〓
日本ト海外ダケデナク、海外各地ニ行ッ
テ同一ノ營業ヲシテ居ル、殊ニ烈シイノハ
西伯利、滿洲、蒙古ノ方ニ掛ケテハ、殆
ド日本ノ商品ノ取扱ハレテ居ル大部分
ノ物ハ、支那人ノ手ニ依ッテ扱ハレテ居
ル、私ガ申上ゲルマデモナク、文化ノ程
度ノ高キ國民ハ品物ノ善惡ヲ判別シ
テ、價ノ高イ安イニハサウ重キヲ置カ
ヌ、品物ノ良イ物ハ價ノ高イモノデア
ルト云フコトヲ能ク承知シテ居リマス
ガ、文化ノ程度ノ低キ國民ハ、品物ノ善
惡ヲ判別セズシテ價ノ低イコトヲ望ム
傾向ガアルノデアリマス、ソレガ爲ニ
商標ヤ商品ノ信用ヲ博サウト云フ考デ
ナクシテ、彼等ハ一時的利益ガ自分ノ
懷ニ多ク收マレバ宜イト云フ考ヲ以テ
日本ニ來ッテ輸出ヲスル、ソレガ假ニ日
本ノ仲買ノ手ニ註文ガ出ルト商品ノ
善惡ヲ問ハズニ價ノ低イコトヲ望マレ
ルカラ、製造業者ハソレヲ造ル、若シソ
レヲ甲ガ拒メバ乙、丙、丁ト、何レ仕事
ノ無イ時分ノ製造デアルカラ、濫造デ
アルト云フコトヲ知リツヽ製造ヲシ
賣渡ヲスル、斯ウ云フコトガ往々吾々
ノ目ニ見エル、唯〓玆ニ此組合法ガ出來
テ輸出ノ場合ニ檢査スル、組合法ノ規
定ニ反カナイヤウニスルコトハ一ツノ
取締デ寔ニ結構デアリマスガ、又其半
面ニ斯ル弊害ガ伏在シテ居ルト云フコ
トハ、如何ニシテ之ヲ防ガンカト吾〓
モ常ニ苦心スル所デアリマス、政府ニ
於カレマシテハ此點ニ御留意ニナリマ
シテ、サウシテ何カソレヲ防グ方法ヲ
御講ジニナッタコトガゴザイマセウカ
又其點ニ付テ御考ガアリマセウカ、
應承ッテ置キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=78
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079・三土忠造
○三土政府委員 我國ノ西伯利方面、
南米方面、南洋等ニ於ケル商品ノ實況
ハ、只今一柳君ノ言ハレタ通リデアリ
マーク、主トシテ支那人ノ手ニ依ッテ扱
ハレテ居ルノデアリマシテ、支那人ハ
日本ノ品物ハドウ云フ信用ヲ以テ賣レ
ルト云フコトハ、餘リニ重キヲ置カヌ
ト云フ弊風ガアルノデアリマス、併シ
是マデ御承知ノ通リ、燐寸外九品ト云
フモノニ付キマシテ檢査規定ヲ設ケマ
シテ、檢査ヲ致シテ居リマス、其中デモ
支那商人ガ扱フ物ガ多イト思ヒマス、
然ルニ此ノ檢査規定ガ出來マシテ後ノ
日本品ノ賣行キト云フモノハ、大變都
合好ク參リマシテ、他ノ物ハ潰レテモ
ソレハ潰レテ居ラヌ、同ジ品物デモ支
那人ノ扱フ品物ハ此方デ檢査ヲシテ掛
ル必要ガアル、ソレカラ品物ニ依ッテハ
倫敦ナドデ用ヰル物ト、西伯利亞トカ
支那ノ奧地デ用ヰラレル物ト餘程仕向
地ニ依ッテ需要ノ向キガ違ヒマスカラ、
其仕向地ノ方向ニ依ッテ組合ノ生產ス
ル品物モ違ヒマス、兎ニ角經濟上ノ原
則トシテ成ベク價格ヲ安クシテ優良ナ
ル品物ヲ造リ、品位ヲ成ベク下ゲズシ
テ生產費ヲ安クスル、サウシテ無益ノ
競爭ヲシナイト云フコトハ、商取引ノ上
ニ一番必要ナ事デアルト思ヒマス、現ニ歐
洲戰爭ノ長イ間獨逸ナドガ其方策ヲ執。ツ
テ參リマシテ、初メハ獨逸ノ品物ハ英吉利
ナドデハ粗製濫造ト云フ綽名ミタイニ
言ッテ居リマシタガ、ソレガ段々改良サ
レテ來マシテ、詰リ品ヲ落サズシテ段
段ニ之ヲ野蠻未開地マデ賣込ムヤウニ
致シテ、其地方ノ風俗、習慣、趣味等ヲ
能ク〓究シテ、其地方々々ニ向クヤウ
ナ物ヲ造ル、斯ウ云フコトニ致シマシ
テ、本國ト全世界トノ連絡ヲ取ッテ商略
ヲ遂行致シマシタ爲ニ、アヽ云フ風ニ
發達ヲ致シタノデアリマスガ、ソレカ
ラ同ジ支那人ガ扱フ物デモ、矢張品物
ニ依リマシテハ、矢張組合ニ依ッテ生產
ノ工程ニ立入ッテ監督ヲシテ行ク必要
ガアル、支那人ノ手ヲ經ズシテ、輸出組
合ニ依ッテ日本人ノ手ニ依ッテヤリタイ
ノデスガ、中ミサウ急ニハ行クマイト
思ヒマス、例ヘバ昨日モ大阪カラ琺瑯
鐵器ノ工業者ガ參リマシテ、直ニ組合
ヲ組織スルト云ッテ居リマスシ、矢張輸
出組合ノ方ガ旨ク行カナイ爲ニ、是ハ
支那人ノ手ヲ借リルヨリ仕方ガナイト
云フコトデアッタガ、段々輸出組合ノ資
金其他ノ關係ニ付テ援助ヲ與ヘテ、日
本人ノ手ニ依ッテヤラシテ見タイト思
ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=79
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080・高木益太郎
○高木委員長 マダ御通〓ノ方ガ四名
ゴザイマス、殊ニ山口君カラハ是非農
商務大臣ニ出席ヲ求ムルト云フヤウナ
コトデゴザイマスカラ、今日ハ此程度
ニ致シテ置キマシテ、明日ハ午前十時
カラ開會致シタイト思ヒマスガ如何デ
ゴザイマセウカ-ソレデハサウ云フ
コトニ致シマス
午後四時五十一分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005013485X00119250209&spkNum=80
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