1. 会議録本文
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000・会議録情報
大正十五年三月十五日（月曜日）午後一時十八分開會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=0
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001・柳澤保惠
○委員長(伯爵柳澤保惠君) 開會イタシマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=1
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002・片岡直温
○國務大臣(片岡直溫君) 本改正ノ品目ハ
商工省ニ屬スルモノ極メテ多イノデゴザイ
マスルガ、私ヨリ先ヅ大體ノ御說明ヲ申上ゲ
テ置キタイト存ジマス、併シ關稅改正ノ極
ク大要ノ方針ハ大藏大臣ヨリ本議會ニ於テ
說明イタシタノデゴザイマスカラ、私ヨリ又
重複ニ涉ル所ノコトヲ省略イタシタイト存
ジマス、唯改正案中、極メテ重要ト存ジ
マスルコトハ、綿絲綿布ニ關スルコト、製
鐵ニ關スルコト、染料ニ關スルコトガ、其中
ニ最モ重要ノコトデアルト存ジマス、ソレ
ヲ申上ゲマスル前ニ大藏大臣ヨリ說明イタ
シマシタヨリ稍〓詳細ニ涉リマシテ御審議
ノ場合ニ御參考ニナルデアラウト考ヘマス
ル卽チ稅率ヲ算出イタシマシタ基礎ト申シ
マスカ、基準ト申シマスカ、此土臺ヲ一通リ
申上ゲテ置キタイト存ジマス、重要品目ノ
稅率ハ、其國內生產費ト外國ロ四ノ輸入ノ價
格トノ差額ヲ標準トシテ居ルノデアリマ
ス、之ヲ大體ノ原則ト致シタノデアリマ
ス、例ヘバ工業品ニ付テ申シテ見マスレバ、
一方ニ於テハ其純生產費ニ相當ノ利益ヲ加
算イタシマシテ、工場渡シ····工場デ渡シ
マスル値段ヲ取リマシテ、他方ニ於キマシ
テハ輸入物ノ沖合著ノ價格ニ陸揚其他ノ手
數料ヲ加算シタルモノヲ取リマシテ、其差
額ヲ標準ト致シテ稅率ヲ配シタノデアリマ
ス、謂ハバ斯ク致シマシテ内外品ヲ同等ノ
立場ニ置イタノデアリマス、尤モ是ハ大體
ノ原則ト致シタノデアリマシテ、更ニ各稅
目間ノ彼此ノ權衡ヲモ考慮イタシマシテ····
致シマシタノト、其他需要者、生產ノ狀
況當業者ノ經營狀態等、各般ノ事情ヲ考
慮イタシマシテ稅率ヲ定メタノデアリマ
ス、次ニ此生產費ノ算出ニ當リマシテ、
稅目ニ屬スル物品ト申シマシテモ、其製品
ノ種類多種多樣ナルモノガアルノデアリマ
スルガ、斯樣ナルモノニ於キマシテハ其主ナ
ルモノニ從ッタノデアリマス、又輸入價格ヲ
算出イタシマスル其期間ニ於キマシテ、物
價ノ比較的安定ヲ得タト認メマスル大正十
一年七月ヨリ大正十二年六月ニ至ル、箇
年間ヲ以テ大體ノ基準期間ト致シタノデア
リマス、或ハ此期間ノ輸入數量ガ極メテ僅
少デアリマシテ、其價格ガ基準期間ノ前後
ノ連年ト比較シテ著シク權衡ヲ失シテ居リ
マスル所ノモノガアリマシテ、基準期間ニ依
ルコトガ不適當デアルト認メマシタモノニ
付キマシテハ、十三年度ノ價格ニ依リ又ハ
二三年ヲ通ジテ平均價格ヲ求メ、或ハ最近
ノ價格ニ依ッタモノモ其中ニアルノデアリ
やさ、尙ホ從價稅ヲ從量稅ニ換算ヲ致シマ
スルニ當リマシテ、單ニ輸入價格ヲ其儘採
用シ難キ事情ノモノガアルノデアリマス、
蓋シ從價稅ノ物品ニアリマシテハ輸入申告
價格ガ常ニ必シモ正當デアルト認メ難イモ
ノガアルノデアリマス、例ヘバ合成染料ノ
如キモノガ其一例デアリマシテ、之ニ付キ
マシテハ幸ヒ國際賠償委員會作成ノ最低價
格表ガアリマスルカラ、是ガ稍〓正當ナル
價格ニ近イモノト認メラレマスルニ依リマ
シテ、之ニ依テ稅率ヲ配シタノデアリマ
ス、デ、此關稅定率算出ノ基礎、基準ト申
シマスル點ハ大體、以上ノモノデアリマス
カラ、之ニ依リマシテ各稅目ニ付キマシテ
比較御審議ヲ下サル方ガ或ハ御便宜ト存ジ
マスルカラ、稍〓詳細ニ細カイ····詳ノ字
ハチト當ラヌカモ知レマセヌガ、細カイ所
ニ涉リマシタケレドモ、此事ヲ申上ゲテ置
キマス、次ニ此綿絲綿布ニ付キマシテハ現
行ノ儘ニ据置イタノデアリマスル、之ニ付
キマシテハ昨年衆議院ニ於テ關稅廢止ノ法
律案ヲ提出イタシマシテ、可決イタシタノ
デアリマス、又建議書モ通過イタシタノデ
ゴザイマスル、尤モ貴族院ニ於テハ是ガ議
事ヲ進メラレナカッタノデアリマス、斯樣
ナ關係ニ於キマシテ衆議院ニ於テハ此關稅
ハ廢シテ宜シイト云フ議論ガ可ナリ多ク
アッタノデゴザイマス、併シ旣ニ衆議院ガ可
決イタシマシタニモ拘ラズ、尙ホ將來ニ於
テ大イニ考慮スベキ必要アリト考ヘマシ
テ、現行ニ据置キマシタ理由ヲ大要申上ゲ
テ置キタイト存ジマス、綿絲綿布ニ對スル
我ガ生產ハ御水知ノ通リノ多額ノモノデア
リマシテ、又輸出貿易ノ上カラ申シマシテ
モ生絲ニ次グモノニナッテ居ルノデアリマ
ス、併ナガラ是ガ關税ヲ撤廢シヤウト云フ
其根據ハ、多量ニ生產ガ出來ルト云フバカ
リニアラズシテ、現在ノ紡績會社ガ非常ニ
多額ノ配當ヲ爲スヤウニナッテ居ル、殊
時ニ依リ時間ノ縮メ方ヲシテ、製品ヲ多
クシテ價ヲ下ゲルト云フガ如キコトヲ防グ
爲ニ、需要者ハ高キ物ヲ消費スルノ弊ガア
ル、此見地ヨリシテ關稅撤廢ノ意見ガ成
立ッテ居ルヤウデゴザイマスガ、,現在並ニ
將來ノコトヲ考ヘテ見マスルト、我國ノ此
綿絲綿布生產ノ狀況ハ、如何ニモ盛況ヲ極
メテ居ルヤウデゴザイマスルガ、各輸出國
ノ狀況、言ヒ換レバ四圍ノ事情ヲ考ヘテ見
マスルト、紡績業者ニ在ッテハ今ヤ餘程ノ
講究ヲ致サナケレバ、將來ニ於テ或ハ苦痛
ヲ感ズル····感ズルコトガ避ケラレナイヂ
ヤナイカト考ヘラルルノデアリマス、如何
ニモ優良ナル會社ノ配當ヲ見マスルト、三
割或ハ四割ト云フガ如キ配當ヲ爲シタルコ
トハ事實デアリマスルガ、紡績業ノ今日ア
ルヲ致シマシタ徑路ニ付テ考ヘテ見マスレ
バ是等ノ會社ハ數回ノ變遷ニ能ク處シ
テ、又利益ヲ受クル時代ニアッテハ、相當、
固定資本ニ對シテ償却ヲ行ッタ、又一方ニ多
額ノ積立金ヲ持シテ居ルノデアリマス、ソ
レデ錘數ノ割合ニ、生產品其モノヲ比較イ
タシテ見マスルト、資本其モノガ幸ニ安ク
得ラレルヤウニナンヲ居ル、ソコヘ持シテ來
テ原料ノ買入等ノ場合ニ於キマシテモ、積
立金ヲ有シテ居ルガ爲ニ金融業者ノ方面ニ
高キ利子ヲ支拂フコトガ避ケラレル、斯ウ
云フ關係ニ於テ比較的有利ナヤウニ相成ッ
テ居ルノデアリマス、若シ今日ノ場合ニ於
テ此積立金ト資本金トヲ合セマシテ、サウ
シテ收益ヲ割當テテ見マスルト、割
四分若クハ極ク良イ方ニシマシテモ
一割八分ハ超シテ居ラヌノデアリマス、單
ニ資本金ニ對シテハ三割餘ノ配當ノ出來ル
モノガ、自己ノ運用シテ居ル金ヲ見マスル
ト、今申上ゲマシタヤウニ、多クノ積立金
ヲ得テ居ルト云フコトト、一方ニ固定資本
ニ對シテ相當ノ償却ガ出來テ居ルトノ關係
ニ於テ、斯樣ニ利益ガ現ハレルノデアリマ
ス、デ、此積立金ト云フモノヲ資本トシテ
行ケバ、配當ガ三割ニナルト云フコトハ決
シテ出來ナイノデアリマス、而シテ是等ノ
會社、卽チ優良會社ト云フモノハ大正ノ年
度ニ移リマシテ出來タモノガ一ツハアルト
思ッテ居リマスガ、而モ是ハ大正二年、其
他ハ何レモ明治四十年前ノ設立ニ係ルモノ
デアル、其以後ニ出來マシタ會社ノ狀況ニ
至リマシテハ、相當積立金ヲ得マシタモノ
ハ一割二分位ニナッテ居ルモノモアリマス
ルガ、平均ヲ致シテ見マスルト、約八朱位
ニシカ當ラヌト思フ、又殊ニ最近、···單
ニ最近ト申シテハ語弊ガアリマスガ、我國
ノ經濟界ガ極メテ好調ノ····好調ト看做サ
レル時ニ出來マシタ會社ノ如キハ、殆ド運
轉ヲ停止セナケレバナラヌト云フ狀況ニ
ナッテ居ル、是ガ卽チ紡績業ノ現狀デアリ
マイ、更ニ眼ヲ轉ジテ將來ヲ考ヘマスルト
目下支那ニ於テハ關稅ノ會議ガ開カレマシ
テ、此結果ハ何處ニ歸著スルカト云フコト
ハマダ明言スルコトノ出來ナイ時機デゴザ
イマスルガ、何レニ致シマシテモ我ガ綿絲
ノ支那方面ニ輸出イタシテ居リマスルモノ
ニハ不利ナルコトハ勿論デアリマス、又印
度方面ニ向シテモ可ナリ多額ノ輸出ガ出來
テ居リマスルケレドモ、是等ニ對シマシ
テハ英國方面ニ於ケル自國ノ製品ヲ輸出
スル爲ニ、日本ノ輸入物ニ對シテ、或ハ防
禦、或ハ多少、壓倒的ノ計畫アリト云フ
コトヲ見ラルヽヤウニ思フノデアリマス、
デ、要スルニ日本ノ紡績其モノハ、最初太絲
ヨリ起ッテ來テ、今中細クラキニ進ンデ居リ
マスルモノモゴザイマスルガ、一方支那ノ
方ニ於テ製造會社ヲ起シテ居リマスル錘數
ノ狀況カラ見マシテモ、約三百万錘ニ達シ
掛ケテ居リマシテ、是等ト競争ヲ致スニハ、
彼地ニ於テ出來ナイ、粗ヨリ少シク細ニ入
タ所ノモノヲ造ルヤウニシテ行カナケレ
バ、我ガ勢力ヲ維持シ又擴張スルト云フコ
トハ困難デアルト思フノデ、殊ニ又紡績會
社ノ原料ト致ス綿ハ、殆ド日本ノ勢力範圍
ニ於テ調フモノガ無イノデアリマスルガ
··有リマシテモ極メテ僅少ノモノデア
ル、ソレデ日本ノ紡績業ノ將米ヲ考ヘマス
レバ、何レカノ方面ニ於テ此原料ヲ自己ノ
勢力範圍ニ於テ調ヘルト云フガ如キコト、或
ハ積立金ヲ割イテソコノ手段ニ待ツト云フ
ガ如キ必要モ迫ノテ居ルヤウニ私ハ思フノ
デアリマス、又ソレヲ爲サムトスレバ必ズ
成シ遂ゲラルヽ見込ノアル地モアルト信ジ
マス、デ、之ヲ要スルニ紡績業ノ將ネハ
現狀ニ滿足スルコトガ出來ズシテ、將來ニ
於テ改善ト共ニ現狀ヲ維持シ又擴張シテ行
クト云フ必要ニ今迫ノテ居ルト見ナケレバナ
ラヌ、此秋ニ方ッテサウ多額ナル關稅デハ
アリマセヌケレドモ、之ヲ撤廢シテ多少
ノ脅威ヲ感ゼシムルト云フガ如キコトノ時
機ニハ到達シテ居ラヌ、支那關稅ノ成行ヲ
モ見、亦將來ノ方針ヲモ確立イタサセ、其
後ニ於テ之ヲ撤廢スルモ決シテ遲クハナ
イ、斯樣ニ考ヘマシテ現行ノ儘ニ据置クコ
トト致シタノデアリマス、次ニ製鐵事業ニ
關シテ一通リ申上ゲテ置キタイト存ジマス
ルガ、鐵材等ニ對シテ相當ノ改正ヲ致シテ
居ルノデアリマスガ、此中、銑鐵ニ對シテ
關稅ヲ引上ゲルト云フコトヲ致サズニ現行
ノ儘ニ置キマシタ點ニ、相當世人ノ意見ガ
多イヤウニ存ジマス、我ガ銑鐵ノ内地ノ產
額狀況、鋼材ノ產額狀況等ノ有樣カラ先キ
ニ申上ゲマスガ、銑鐵ノ内地產出額ハ大正
十二年ニ於キマシテ、五十九万八千噸、其
內四十二万六千噸ガ八幡ノ製鐵所テアリ
マシテ、十七万二千噸ガ民間ノ製品ニ係ル
モノデアリマス、此八幡ノ製品ハ十四年度
ニ於テハ約六万噸ノ增加ヲ來シテ居ルト見
テ宜シイト存ジマス、併シ此處デ今申上ゲ
マスルノハ十三年度ノ方ノ統計ガ正シイト
存ズルノデアリマスルカラ、ソレヲ土臺ト
シテ申上ゲマス、更ニ五十二万噸ガ輸入、
移入デアリマス、其內、十六万五千噸ガ支
那カラ這入ッテ、七千八百噸ガ英國カラ、
二百噸ガ獨逸カラ、一万四千噸ガ瑞典、十
六万噸ガ印度、九万噸ガ其他ノモノデアリ
マス、朝鮮カラ移入シマシタモノガ八万三
千噸、卽チ此合計ガ五十二万噸ニ相成ルノ
デアリマス、內地產ノ五十九万八千噸ニ此
輸入移入ノ五十二万噸ヲ加へタモノガ百十
一万八千噸デアリマス、此內、更ニ日本ヨ
リ他へ出シタモノガ約六千噸、差引、銑鐵
ノ需要額ハ百十一万一一千噸、此百十一万二
千噸ノ內、四十万噸ガ鑄物用ニ使ハレ、七
十一万二千噸ガ製鋼用ニ使ハレテ居ルノデ
アリマス、而シテ其製鋼用ニ使シタ、其鋼材
ハドウ云フ風ニナッテ居ルカト申シマスル
ト、九十万五千噸ガ内地ノ生產額、此內五
十万噸ガ八幡ノ製鐵所デ拵へ、四十万五千
噸ガ民間ノ製造額デアリマス、此五十万噸
ノ八幡製鐵所デ造リマスルモノモ大正十四
年ニ於テハ更ニ十万噸ガ增シテ居ルモノト
御永知下サッテ宜シイノデアリマス、而シ
ラ此鋼材ノ需要狀況ヲ見マスト、百十五万
四千噸ガ輪移入額デアリマス、其價額約先
ヅ二億圓、其內····デハゴザイマセヌ、其
外ニ九十万五千噸ガ內地ノ生產額、合計二
百五万九千噸ガ日本ノ需要額、此内、八万
九千噸ガ更ニ我國ヨリ他ヘ出テ居ル輸出若
クハ移出シテ居ル分デアリマス、差引、鋼材
ノ需要額ハ百九十七万噸ガ內地ノ需要額デ
アル、卽チ內地ノ需要額ニ對スル生產額ノ
比例ヲ見マスト、約四割六分ニ當ル、是ガ
製鐵ノ現狀デアリマシテ、之ヲ、此現狀ヲ
更ニ各會社ノ生產狀況ニ立入ッテ考ヘテ見
マスト、遺憾ナガラ鑛石ヨリ鋼材マデ一貫
シテ仕事ヲ繼續シテ行クト云フ風ニ出來テ
居ルモノガ甚ダ少イ、所ガ是ガ外國ノ此比
較的安價ナルモノト競争イタシマスニハ、
生產費ヲ成ルベク廉クスルト云フコトヲ考
ヘナケレバナリマセヌガ、此點カラ申シマ
スト、日本ノ製鐵所ハ不備ナル點ガ少クナ
イ、之ヲドウシテモ此熱ノ利用ノ上カラ云,
テモ利益ノアルヤウニ、其他總テニ涉リマ
シテ、生產費ヲ廉クスルト云フコトニ考ヘ
ナケレバ、將來、他國トノ競爭ハ極メテ困
難デアリマス、玆ニ於テ生產費ヲ廉クスル
ノ餘地ヲ段々取調ベテ見マスト、相當確ニ
在ルト認メラレルモノガアルノデ[アリマ
ス、玆ニ於テ今回ハ鑛石ヨリ漸次一貫シテ
鋼材ニ至ルマデノコトヲ奬勵スル、斯フ云
フコトニ致シマシタナラバ、製鐵業ヲ盛ン
ニシ、且ツ自給自足ノ域ニ達スルコトガ出來
ルデアラウT此見地ヨリシテ製鐵獎勵法ヲ
改正イタシマシテ、右申シマシタ趣旨ニ基
イテ奬勵金ヲ交付スルト云フ手段ヲ執ル方
針ヲ定メマシテ、唯〓其奬勵法ハ衆議院ニ
向ッテ法案ノ提出ヲ致シテ居ルノデアリマ
ス、或ハ今日、日程變更ヲサレテ議題ニナ
ルカト思シテ居リマス、其詳細ナ點ニ涉リマ
シテハ、何レ法案ガ貴族院ニ廻リマシタ際
ニ於テ本案ニ基イテ右申上ゲマシタ目的ヲ
達シ得ラレルト云フコトヲ明カニ致スコト
ガ相當デアラウト存ジマスルガ、關稅改正
ノ際ニ於テ銑鐵ニ別段ニ關稅ノ引上ゲヲ行
ハハ、現在ニ於キマシテ唯他ノ途ヲ以テ製
鐵業ノ前途ヲ稗益スル方法ヲ執リマシタコ
トヲ、玆ニ申上ゲテ置クノデゴサイマス、
次ニ此染料ノコトヲ申上ゲマスルガ、是モ
皆樣、既ニ大要ハ御承知ノコトデアリマシ
テ、細マ〓〓シキ說明ヲ要セヌカトモ存ジ
マスルガ、大正四年、此事業ヲ成立セシメ
ムトシテ、一ノ補助奬勵ノ法律ガ出來マシ
タ、大阪ニ於テ染料會社ナルモノガ成立イ
タシタノデアリマス、歐洲大戰ニ際シマシ
テ、染料ノ輸入ガ杜絕イタシマシタル所ヨ
リシテ、此染料會社ノ製品ニモ最モ努力ヲ
致シ、又民間ニ於テモ多クノ會社ガ出來マ
シテ、我國ノ必要ナル物ト認メテ居ル六十
種ノ中、三十二種ハ完全ニ出來ルヤウニナッ
タノデアル、然ル所、全部ノ製品ヲ仕遂ゲ
ルマデニ到達スル以前ニ於テ戰爭ハ休止セ
ラレ、玆ニ休止ヲ見マスルト、戰爭中ニ於
テ英吉利ナリ佛蘭西ナリ亞米利加ナリ、相
競ウテ內ニ染料ヲ調べルト云フ方針ヲ執ッ
タノデアリマスルカラ、其中、亞米利加ニ
於テハ多量生產ノ結果、比較的安價ニ輸入
シテ來ル、斯ウ云フコトノ爲ニ日本ノ染料
ハ非常ニ苦痛ヲ感ジタノデアリマス、茲ニ
於テ大正九年關稅ヲ三割五分引上ヲ行ヒマ
シテ、之ニ依ッテ亞米利加ヨリ輸入サレル
所ノモノハ防禦ガ出來タノデアリマス、所
ガ一方、佛蘭西、伊太利、亞米利加、英吉
利ト、孰レモ此自國ノ生產保護ノ爲ニ、戰
爭休止後ノ獨逸ノ製品ヲ這入ラセナイヤウ
ニスルガ爲ニ、輸入禁止ノ制ヲ布イタノデ
アリマス、玆ニ於テ獨逸ノ製品ガ日本及支
那方面ニ從前ノ力ヲ回復セムトシテ、壓倒
的ニ進ンデ來タノデアリマシテ、爲ニ日本
ノ染料製造ニ從事シテ居ル者ハ尙更ニ困難
ヲ感ジタノデアリマス、玆ニ於テ政府ハ是
等ノ壓倒的ノ手段ヲ防禦セムガ爲ニ輸入制
限法ヲ布イタノデアリマス、タシカ是ハ大
正十三年デアッタト思フノデアリマス、之ニ
依ノテ先ニ一時ニ多ク這入ッテ來テ居リマシ
タ物ノ存在シテロル間ハ日本ノ染料業ニ
從事シテ居ル者ノ苦痛モ去ラナカッタノデ
ゴザイマスガ、昨今ニ至リマシテ此制限ノ
實行ノ效果ハ相當ニ現ハレテ參ッテ居ルノ
デアリマス、更ニ大正十四年ノ末ニ於テ、
日本染料會社ニ對スル補助保護ノ期限ガ滿
了イタシマシテ、之ニ代ル爲ニ昨年ノ議會
ニ於テ、今、日本ニ出來テ居ラヌ品物ニシ
テ、サウシテ最モ需要ノ多キモノヲ成切セ
シムル爲ニ、其成功品ニ對シテ奬勵金ヲ與
フルト云フ手段ノ下ニ、タシカ六年ノ期限
デゴザイマシタカ、四百万圓ノ金額ノ御協
賛ヲ經テ居ルノデアリマス、之ニ基キマシ
テ今製造業者へ向シテ、二十種ヲ指定シテ之
ヲ成功セシムベク進ンデ店ル所デゴザイマ
ス、此二十種ニ對シテハ工業試驗所等ニ於
テ相當ノ試驗ノ結米、成功スルノ見込ヲ有
シテ居ルモノデアリマシテ、而シテ染料ノ
事業ハ單ニ染料ダケニ止マラズシテ、或ハ
國防上ノ關係ヲ有シ、化學工業ノ中樞ノ工
業ニ屬スルモノデアリマシテ、一方製鐵事
業ガ段々進ンデ、副產物トシテ出來ルモノ
モ、一方此染料會社等ノ事業ガ段々進ンデ
行クニアラザレバ、其副產物ノ利用モ完カ
ラシムルコトガ出來ナイノデアリマス、之
ヲ成ルベク速ニ國内ニ於テ自給自足ヲセシ
ムルヤウニシナケレバナラヌト云フ方針ノ
下ニ今進ンデ居ル所デゴザイマス、然ルニ
今ノ制限ノ制ヲ布キマシタノハ、無條約國
ニ對シテ效力ヲ有スルノデアリマスカラ、
獨逸ガ今、日本ト更ニ修交條約ヲ締結スベ
ク話ヲ進メテ居ルノデアリマス、此修交條
約ト本問題トガ多少ノ關聯ヲ有スルコトハ
勿論デアリマス、先刻モ外務大臣ニ更ニン
レ等ノ事情ヲ說明スベク交涉スル方ガ宜カ
ラウト云フ御話モ承ッテ居ルノデアリマス
ルガ、實ハ此點ニ對シマシテ、卽チ染料ノ
自給自足ヲ圖ルベキ方針ト致シマシテハ、
既ニ閣議ノ決定ヲ致シテ店ルモノガアルノ
デアリマス、單リ是ハ獨逸ニ關スルバカリ
デハゴザイマセヌ、併ナガラ是等ノコトハ
今ヤマダ交涉ヲ進メツヽアル所デアリマシ
テ、未ダ假令、祕密會ト雖モ具體的ニ斯ウ
アヽト申スコトヲ御話スルコトノ出來ル時
機ニ到達イタシテ居ラヌノデアリマス、唯
方針ト致シテハ內閣ハ別ノ方針ヲ決メテ進
ミツヽアル、其結果トシテ自給自足ノ目的
ヲ達セシメ得ル、是ダケノ程度ノ外、御話
ノ出來マセヌコトハ甚ダ遺憾ニ存ズル次第
デゴザイマスルガ、此點ハ幾重ニモ御諒察
ヲ願ヒタイト存ジマス、其他、部分部分ニ
付テマダ申上グベキ筋合ノコトモアルト存
ジマスルガ、是ハ要スルニ各品目ノ種類ノ
場合ニ於テ御質問ニ應ズル方ガ、議事ヲ進
メマスルニモ亦要領ヲ得マスルニモ便宜カ
ト考ヘマス、併ナガラ大要ノ點ニ付テ尙ホ
私ヨリ前ニ申上ゲル必要ガアレバ更ニ御質
疑ヲ受クルノ外ハナイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=2
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003・倉知鐵吉
○倉知鐵吉君 此際、外務大臣ノ御出席ヲ
願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=3
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004・郷誠之助
○男爵〓誠之助君 其間ニチヨット···発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=4
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005・柳澤保惠
○委員長(伯爵柳澤保惠君) 宜シウゴザイ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=5
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006・郷誠之助
○男爵〓誠之助君 唯〓ノ御說明ノ中ノ品
目ニ付キマシテハ種々伺ヒタイコトモアリ
マスルガ、ソレハ追テ此各分類ニ付テ審議
ヲサレル場合ニ於テ伺ヒタイト思ヒマス
ガ、大體ニ付テ一度伺ッテ置キタイト思ヒ
マスルコトハ、我ニノ審議ヲスル上ニ於テ
大イニ參考トナルト思ヒマスノハ、ソレハ
此間、農林大臣ノ御說明ニ引續イテ伺ヒタ
イト思ヒマシタガ、或ハ農林大臣カラ伺フ
方ガ適當デアルト思ヒマスルケレドモ、政
府ヲ代表シテ御答ヘ下サルト云フコトデア
レバ、ドナタカラ伺シテモ宜シイ、ソレハ此
度、衆議院ニ於テ小麥、小麥紛、鳥卵ニ付
テノ修正ガアッタノデアリマス、其修正ハ農
林大臣ノ說明ニ依ルト餘リ甚シク需要者ニ
脅威ヲ與ヘナイ、一ヶ、小麥ノ奬勵ニモ相
成ル次第デアルカラ同意ヲスルコトニシタ
ノデアルト云フ御說明ハ具サニ伺シテ居ル、
サリナガラ私ノ伺ハムト欲スル所ノコトハ
成程、需要者ヲ脅威スルカ脅威シナイカ、
是ハ見方デアリマセウガ、現ニ昨今、小麥
ノ七十七錢ヲ一圓五十錢ニ上ゲルト云フコ
トニナレバ其爲ニ影響スルコトガ多イ、麵
麭モ高クナルコトデアラウシ、饂飩モ盛リ
ガ惡クオルト云フヤウナコトヲ新聞ニモ書
イテ居ル、我ニノ所ニモ斯ク陳情書ガ來テ
居ルノデアリマスガ、ソレハ見樣デアリマ
セウガ、又御說明ヲ伺ッテ居ル筈デアリマ
スガ、私ノ伺ハムト欲スル所ノコトハ政府
デ之ニ御同意ニナッタト云フ經過ハ伺ヒマ
シタケレドモ、政府ノ御考トシテハ矢張リ
原案ノ方ガ宜シイト云フ御考デアリマス
カ、又ハ衆議院ノ修正ガ相當ノ道理アルコ
トデアッテ、而シテ是ハ堪へ得ラレヌコト
デハナイノデアルカラシテ、之ニ同意ヲシ
タ次第デアルト云フダケノコトデアリマス
カ、詰リ七十七錢ガ宜イノカ、一圓五十錢
ガ宜イノカ、ドチラガ政府ハ宜イカ、自分
ニ七十七錢ト出シタガ、衆議院ノ修正ノ一
圓五十錢ノ方ニ同意シタノデアルカ、七十
七錢ノ方ガ宜シイノデアルカ、衆議院ノ修
正ガ道理アルモノトシテ一圓五十錢ノ方ニ
同意シタノデアルカ、要スル七十七錢ガ宜
シイノカ、一圓五十錢デ宜シイノカ、ソレ
ヲ併セテ一應伺ッテ置キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=6
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007・片岡直温
○國務大臣(片岡直溫君) 唯〓ノ御尋ハ主
務大臣ヨリ御答申上ゲルコトデ正當ト存ジ
マスガ、一通リ私ダケノ所信ヲ申上ゲテ見
マセウ、政府ハ原案ノ通リスルコトガ相當
ナリトシテ案ヲ出シタノデアリマスカラ、
決シテ惡イトハ思ッテ居ラヌノデアリマス、
サリナガラ、衆議院ニ於テ熱心ニ此小麥ノ
生產ノ狀況ヲ述ベテ之ヲ今原案ノ通リスレ
バ益〓生產ガ減ル、之ニ反シテ改正ノ程度
ニ致セバ生產ハ增ス、又此改正ハ消費者ヲ
シテ非常ニ苦痛ヲ感ゼシメルト云フ程ノモ
ノデモナイト云フ理由ノ下ニ、殆ド議院ノ
全部ト申シテ宜シイ希望ヲ以テ主張セラレ
タノデアル、玆ニ於テ政府ハ自分ノ案ガ必
ズ惡イカラト自省シテ飜然ソレニ從ノタト
云フノデハアリマセヌガ、如何ニモ製品ヲ
增スト云フコトモアルデアラウシ、又甚シ
キ苦痛ヲ與ヘルモノトモ思ハヌ、ソレ故ニ
衆議院ノ全部ノ主張ニ對シテ反對スル程ノ
コトモアルマイ、此程度ニ御諒承ヲ下サッ
テ宜シイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=7
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008・郷誠之助
○男爵〓誠之助君 サウシマスルト的確ニ
申シマスト、政府ハ需要者竝ニ生產ノ方ノ
兩方面カラ考ヘテ、矢張リ七十七錢ガ適當
デアル、併ナガラ衆議院ノ言フ所モ一應理
窟ガアルカラ其方ニ賛成シタノダト云フコ
トニナリマスルカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=8
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009・片岡直温
○國務大臣(片岡直溫君) 極クアッサリト
申セバ其通リデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=9
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010・郷誠之助
○男爵〓誠之助君 更ニ伺ッテ置キタイ
ノハ衆議院ノ方カラシテ希望ガ一二出テガ
ルヤウデアリマスガ、之ニ對シマシテ政府
ノ御所信ハ如何デアリマスカ、ソレヲ伺ッ
テ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=10
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011・片岡直温
○國務大臣(片岡直溫君) 是ハ今私ヨリモ
申上ゲテ置カウト存ジテ、ツイ申殘シタノ
デアリマスガ、今回ノ此關稅改正ニ付キマ
シテハ各關係ノ省ハ固ヨリ其他各省ニ亙リ
マシテ委員ヲ設ケテ餘程ノ〓究ヲ致シタノ
デアリマス、有體ニ申上ゲレバ多少神經衰
弱ヲ惹起ス位ナ程度マデ重ネタモノデゴザ
イマス、其〓究ノ結果玆ニ決定ヲ見テ提案
ヲ致シテ居ルノデアリマスカラ、サウ甚ダ
シキ齟齬若クハ不通當ナモノハナイト信ジ
マスルガ、サリナガラ中ミ多數ニ亙ッテ居
ル、品目ニ於テモ多イノミナラズ、之ヲ各
種類ニ當嵌メルト、千六七百ノ數ニ亙ノテ居
ルト存ジマス、又一方經濟界ノ事情ヲ考へ
マスレバ、極メテ變遷ノ甚ダシキ事態ニア
ルノデアリマス、本案ガ兩院ヲ通過イタシ
マシタ後ニ於テ、繼續調査委員ヲ任命イタ
シマシテ、此調査委員ニハ大體ニ於キマシ
テ半數位ハ民間ノ斯ノ道ニ知識經驗ヲ有セ
ラルル方ヲ煩ハシテ、更ニ議決ヲ經マシタ
モノニ付キマシテモ、民間ニ於テ色ニナ陳
狀ニモナッテ居リマスルシ、又議會ニ於テ
議論ヲ生ジテ居リ、討論ヲ交換セラレタモ
ノモゴザイマスルカラ、是等ニ付テ十分ニ
調査ヲ致シテ、果シテ不適當ノモノアルヲ
發見シマシタナラバ、此次ノ議會ニ於テ協
贊ヲ求メル、此意思ハ最初カラ持。テ居ッタ
ノデアリマス、卽チソレ等ニ要スル費用ハ
追加豫算トシテ協賛ヲ求メル手順ヲ最初ヨ
リ極メテ居ッタノデアリマス、然ルニ衆議院
ニ於テ關稅會議···委員會ノ進行中ニ於テ
モ、種々ノ希望ガ出タノデアリマス、政府
當局者ヨリハ此趣旨ヲ說明シマシタガ、尙
ホ是ニノモノハ是非其調査ニ漏ラサヌヤウ
ニ調査ヲシテ欲シイ云フ希望デゴザイマシ
タガ故ニ、其、希望ニ對シテハ固ヨリ常設委
員會ニ於テ調査〓究くルト云フコトヲ聲明
イタシテ居ルノデアリマス、固ヨリ是ハ其
希望ノ事項ダケニ止メル趣意デハナクシ
テ、總テノ御意見ノアル所ノモノガ議場ニ
現ハレタ所ノモノハ固ヨリ、假令其他ト雖
モ、經濟界ノ變遷等ニ顧ミ、實施ノ上ニ於
テ是ハ變更スベシト云フコトヲ考ヘマスレ
バ、此調査機關ニ於テ調査ヲ進メテ、明年
ノ議會ニ更ニ御協賛ヲ求メル積リニ致シテ
居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=11
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012・郷誠之助
○男爵〓誠之助君 唯今ノ御說明デ、衆議院
ニ於テ決議ヲシタ希望ノ一ノ方ハソレデ分
リマシタガ、モウ一ツ希望ノ二ト云フモノ
ガアリマシテ、其第一ニハ不當廉賣ノコト
ソレカラ合成染料ニ關スルコト、鐵ニ關ス
ルコト此三ツノ希望ガアリマスルガ、之ニ
對スル御說明ハ如何デアリマスガ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=12
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013・片岡直温
○國務大臣(片岡直溫君) 此不當廉賣ノコ
トハ今日ノ世界ノ貿易ノ狀況カラ考ヘマシ
テ、極メテ必要デアルト存ジテ居リマス、
旣ニ今日マデ不當廉賣ニ處スル途ハ付イテ
居リマスガ、如何ニモ適用ヲセムトスル時
ニ至ッテハ適用シ惡クイノデアリマス、是
ハ是非、所謂不當ト認メル所ノモノハ、何
ニ依ッテ認メルト云フコトヲ極メテ置カナ
ケレバ、實際ニ於テ出來惡イコトデアリマ
ス、是等ノモノヲ調査イタシマシテ、不當
廉賣ニ關スル改正ヲ實行スル積リデ、今調
査中ニ屬シテ居リマス、是ハ關稅法ノ實施
ト共ニ現行法ヲ改メマシテ、適用上餘リ疑
團ノ生ジナイヤウニ、且ツ有效ナラシムル
ヤウニト云フ考ヲ持ッテ居リマスルガ、マ
ダ玆ニ唯今斯樣ニ致スト云フ御參考ニ供ス
ル程マデニ協議ヲ纏メタモノニハナッテ居
リマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=13
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014・郷誠之助
○男爵〓誠之助君 唯今ノハ希望ノ二ノ第
一ノ所ヲ伺ッタノデアリマスガ、尙ホ第二第
三卜云フモノハ如何デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=14
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015・片岡直温
○國務大臣(片岡直溫君) 唯〓御答ヲ申上
ゲマシタ中ニ於テ、一ト三トハ御承知下サッ
タコトヽ思ヒマスガ、此染料ニ關シマシテ
ハ、現在染織業者ガ甚シク不便ヲ感ジテ居
ルト云フガ如キコトハナイト考ヘテ居リマ
スルケレドモ、既ニ不便ガアルト云フ聲ヲ
聞キマスル以上ハ、現在日本ニ於テ出來マ
セヌモノ、サウシテ輸入ニ俟タナケレバナ
ラヌト云フモノニ對シテノ輸入ヲ致シマス
ル手續ニ於テ、是ハ商工省限リ適當ノ處置
ノ出來ルコトデアリマスカラ、篤ト取調べ
マシテ其不便ハ艾除イタシマスル積リデア
リマス、是ハ同時ニ附加ヘテ申上ゲテ置キ
マスガ、日本デ出來マセヌモノハドウシテ
モ出來ルマデノ間輸入ニ仰グト云フコトハ
避ケラレヌコトデアリマス、先刻申上ゲマ
シタ通リマダ詳シク之ヲ申上ゲル時期ニ到
達イタサナイノデアリマスガ、ソレ等ノコ
トハ十分緩和スル方法ヲ努メツヽアルノデ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=15
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016・郷誠之助
○男爵〓誠之助君 第一第二ハソレデ分リ
マシタガ第三ノ問題ニ付テハ先刻ノ御說
明ハ、此度鐵鑛ノ中デ以テ銑鐵ニ付テハ据
置イテ、而シテソレハ別ノ方法ニ依ッテ奬
勵スルト云フ御說明ト伺,テ居ルノデスガ、
其希望ト云フノハ將來ノコトニ屬スルノデ
スカ、ソレニ對スル御考ハドウデゴザイマ
スカ、尙ホ伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=16
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017・片岡直温
○國務大臣(片岡直溫君) 是ハ前列モ申上
ゲマシタ如ク、現在ノ關稅ガ或ハ不十分デ
アルトカ、或ハ適當デアルトカ云フガ如キ
コトハ、今後ノ調査ノ上ニソレヲ認メマス
レバ、此鐵ノ國策方針ヲ貫徹スルニ差支ノ
ナイヤウニ現在ニ於テハ國策ノ見地ヨリ差
支ハナイト見テ居リマスガ、尙ホ篤ト〓究
致シマシテ、若シソレガ不當ナリト云フコ
トガゴザイマシタナラバ、是ハ更ニ改メル
コトニ向シテ御協賛ヲ仰グノ外ハナイト思
ヒマス、私ノ信ズル所ノモノハ現在ノ製鐵
業者ニシテ、無益ノ競爭ヲ致シテ居ル、所
ノ者ヲ矯メル、其他設備ノ上ノ改善、種々
ノ手段ニ依シテ生產費ヲ減少スルコトガ出
來、又製鐵獎勵法ニ依ッテ奬勵金ヲ貰フト
同時ニ、一方ニ所得稅其他ノ免稅ニ於テ保
護セラレテ居ルモノモアルノデアリマス、
是等ノモノモ卽チ奬勵金ノ外ニ免稅等ノ爲
ニ、大正十一、十二、十三ノ三ケ年ノ平均
ヲ以テ將來ヲ考ヘマスルト、所得稅ニ於テ
三十六万六千圓餘、營業稅ニ於テ二十七万
圓餘、計六十三万六千七百圓餘ノ免稅ニ依ッ
テ利益ヲ得テ居ルモノガアルノデアリマス、
卽チ今回實行致サムトスル所ノ奬勵金ノ外
ニ斯ウ云フモノガゴザリマシテ、鑛材生產
額ニ比較致シマシテモ、一噸一圓八十二錢
位ニ是ハ當ッデ居ルト思ヒマス、ソレデ是
ノ外ニ生產費ヲ節約スル方法ヲ一ツ實行シ
テ見タイト、今當業者ヲシテ頻ニ研究モサ
セテ居ルノデアリマス、是等ノ實行ヲ見マ
シタ上ニ、尙ホ國策ノ上ニ於テ缺クル所ア
リト云フコトニ至レバ、是ハ明年度ニ於テ
更ニ改正ノ御協賛ヲ仰グ外ハナイト存ジマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=17
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018・内田嘉吉
○內田嘉吉君 私ハ唯今〓男爵カラ御質
問ノアリマシテ、商工大臣ヨリ御答ニナリ
マシタ點ニ付テ簡單ニ御尋ヲシタイト思ヒ
マスガ、唯今衆議院ニ附帶希望、其中ニ不
當廉賣防止ニ付テ御說明ガアリマシタガ、
其御說明ノ中ニ適用シ難イト云フ御話ガア
タノデアリマスガ、此制度ガ設ケテレマシ
テカラ、之ヲ實行シタト云フコトガ有シタ
ノデゴザイマスカ、無カッタノデアリマセ
ウカ、ソレヲ一ツ伺ッテ置キタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=18
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019・片岡直温
○國務大臣(片岡直溫君) 未ダ一囘モアリ
マセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=19
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020・内田嘉吉
○内田嘉吉君 一回モナイ····將來ハ御見
込デハ御修正ニナッテ之ヲ御實行ニナルヤ
ウニシヤウ、斯ウ云フ御意嚮デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=20
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021・片岡直温
○國務大臣(片岡直溫君) 無論實行スル法
デナケレバ甚ダ無益ダト思シテ居リマスシ
實ハ實行ガ出來難イト云フノハ、今玆ニ不
當廉賣ニ關スル法ヲ持,テ居リマセヌガ、
寸抽象的過ギテ、實行シヤウト思ヘバ議論
倒レデ餘程難カシイヤウデアリマス、例へ
バ不當廉賣、不當ト云フノハ何ヲ以テ不當
トスルカト云ヘバ、向ウノ純粹ノ適當ナル
生產費ヲ以テスル、卽チ向ウノ市價、ソレ
カラ日本ノ沖合ヘ持ノテ行ッテ陸揚ゲヲスル
所ノ費用、是等ヲ加ヘタ所ノモノヨリ、マ
ダ廉クシテ居ルト云フガ如キコトデアレバ、
無論不當ト認メラレルト思ヒマス、其不當
ト云フモノヲ定メル、···定メ易イ方法ニ
シテ置カナイト、之ヲ不當ト見ル、之ヲ不
當ト見ナイ、斯ウ云フ議論ガ起ッチヤイク
マイト思フ、ソレデ是等ノコトニ付テハ可
ナリ〓究ヲ致シマシテ、こ略〓是デ宜カラウ
ト云フガ如キモノモ出來ルコトモゴザイマ
スルガ、是ハ御承知ノ通リ、關係ノ所ノ意
見ト、法制局ノ方ノ意見トヲ能ク交換致シ
マシタ上デナケレバ、公ケニ御話ヲスルト
云フ場合ニハ到達シナイ、免ニ角法ヲ拵ヘ
ナガラ一向實行ガ出來スヤウニナッテ居ル、
ソレヲ實行出來ルヤウニシテ之ヲ有效ナラ
シメルト云フコトニハ此關稅法ノ實施ト
同時ニシナケレバナラヌト思ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=21
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022・内田嘉吉
○内田嘉吉君 此不當廉賣防止ノ事柄ハ、
歐羅巴戰爭ガ終了致シマシテ經濟狀態ガ非
常ニ平時ト異ノタヤウナ時ニ之ヲ急イデ實
施シテ、サウシテ各國ニ於テハ自國ノ經濟
狀態、生產ニ關スル利益ヲ保護シヤウト云
フノデアッタノデアリマスガ、戰爭後今日
マデ既ニ相當ナ年限ヲ經タノデアリマシテ
モウ斯樣ナル事柄ハ寧ロ實施スル必要ガ無
クナッタノデナイカト私共ハ考ヘルノデア
リマス、尙政府ハ之ニ現在ノ制度ニ修正ヲ
加ヘテ、引續イテ之ヲ御實施ニナル必要ガ
アリト御考ヘニナルノデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=22
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023・片岡直温
○國務大臣(片岡直溫君) 御尋ノ御要旨ハ
御尤モト存ジマスルガ、併シ實際ニ於キマ
シテハサウ單純ニ參ルマイト思フ、例ヘバ
染料ノ上ニ制限ヲシマシテ、サウスルト日本
ノ方ニ出來ナイモノニ向ッテハ、可ナリ高
イ····可ナリドコロデナイ、非常ニ高イ價
格ヲ以テスル、日本ニ出來ルモノニ對シテ
ハ廉イ物ヲ持ッテ來ルト云フ、廉イ物ハ這
入ラセヌヤウニシテ居ルノデアリマス、防
止ニ努メル積リデアリマスガ、事實上明カ
ニ見ラレルモノハ、日本ニ出來ナイモノニ
對シテ非常ニ高イ、元來不當廉賣ノ仕向ケ
ヲシテ來ルト云フコトハ、其國ノ進マント
スル事業ヲ成ルタケ廉クシテ押出シテ、押
出スコトガ出來タ時ニ更ニ自國ノ物ヲ高ク
シテ、其前ニ損シタ所ノモノヲ償フ、是ガ
不當廉賣ノ目的デアリマス、是ハ今後ノ貿
易ニ於テ絕對ニ生ジナイトハ思シテ居リマ
セヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=23
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024・内田嘉吉
○內田嘉吉君 尙次ニ染料ニ付テノ輸入制
限令デゴザイマスガ、是ニ此制度ヲ御布キ
ニナッテカラドレ程ノ斤數ヲ御扱ヒニナッタ
カ、若クハ實行ノ模樣デゴザイマス、ソレ
ヲチヨット御伺ヒシタイノデアリマス、大
體デ宜シウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=24
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025・片岡直温
○國務大臣(片岡直溫君) 唯今玆ニ材料ヲ
持チマセヌカラ、後デ調ベテ材料ヲ差出シ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=25
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026・内田嘉吉
○內田嘉吉君 私ハ矢張リ或ル時期ニハ、
卽チ歐羅巴戰爭ノ終了後間モナク、染料ナ
ドニ付テハ此制度ヲ御布キ下サルコトヲ必
要ナリト認メテ、其事モ當局ニモ御話ヲシ
タコトモ有タノデアリマスガ、是亦矢張
リ必要ナル時期ヲ經過シテシマッテ、サウ
シテ餘程經ッテカラ是ガ實施サレタヤウニ
承知欽シテ居ルノデアリマス、尙ホ色こナ
國際關係ニ於テ、唯今私ガチヨノト遲レテ
參リマシタガ、商工大臣カラ獨逸トノ關係
ナドニ於テ、是等ガ問題ニナンテ居ル、斯ウ
云フ御話デ、恐ラクハ通商條約ヲ締結イタ
シマスニ付テ、斯樣ナ問題ガ多少ノ障碍ヲ
ナシテ居ルノデハナイカト推察ヲ致スノデ
アリマス、果シテ今日尙ホ輸入制限令ヲ維
持スルト云フ必要ガアルカドウカ、次第ニ
戰前ノ狀況ニ各國ノ關係ハ戾ッテ參リツヽ
アルノデアリマスガ、一方ニ於テ輸入ニ對
シテ相當ナ關稅ヲ課スルト云フコトデ、國
內ノ產業ハ保護サレルモノデハナイカト思
ヒマスガ、今日尙ホ此制限ヲ續イテ實施シ
テ行カナケレバナラヌト云フヤウニ御考へ
ニナルノデアリマスカ、其點ニ付テ御見込
ヲ尙ホ伺ヒタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=26
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027・片岡直温
○國務大臣(片岡直溫君) 不幸ニシテ我國
ノ此染料ニ對スル經驗、及ビ製品ノ狀況カ
ラ考ヘマシテ、マダ漸クニシテ、一體ニ必
要ナルモノノ中ノ六十種ノ中三十二種、完
全ニ出來ルヤウニナッタト云フ、其三十二
種モ、工業試驗所等ノ試驗ノ結果ニ依リマ
シテモ、又極ク公平ナル立場ノ方カラ見マ
シタモノニ依リマスレバ、極メテ完全ニ且
ツ良ク出來テ居ルモノト看做サルルノデア
リマスガ、免角我國ハ動モスレバ外國品ガ
宜シイト云フ觀念ニ支配サレテ居ル嫌ガア
リマス、サウ云フ嫌ノマダ解ケマセヌ時代
ニ、單ニ關稅デ以テ之ヲ制スルト致シマシ
テモ、此種類ガ極メテ御承知ノ通リ多イノ
デアリマス、其多イモノノ中デノ配合ニ依ツ
テ、又相當ノモノガ出來ルノデアリマス、
今之ヲ、此城壁ヲ撤廢シマスレバ、必ズヤ
是ハ壓倒セラレルニ極ンテ居リマス、マダ
外國ニ於テモ禁止的ノ行爲ヲ續ケテ居ル國
モアルト存ジマス、ンレカラ又自國ノ物ガ
相當發達イタシタニ付テ、關稅ヲ非常ニ引
上ゲテ、ソレヲ防イデ居ルト云フモノモア
ルト存ジマス、日本ノ狀況ニ於キマシテハ、
今暫クノ間此現狀ヲ續ケテ行クコトガ極メ
テ大切デアルト考へテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=27
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028・稻畑勝太郎
○稻畑勝太郞君 染料工業ニ對シマシテ、
政府ニ於カレマシテハ多大ノ御配慮ヲナサ
レマシテ、此工業ヲ保護セラレルト云フコ
トハ、我國ニ於テモ必要ナ工業デアリマス
ルカラ、已ムヲ得ザルコトヽ思ヒマスガ、
玆ニ商工大臣又大藏當局ニ御尋ネ致シタイ
ノハ、此支那ニ綿布ノ輸出ト云フモノガ盛
デアリマシタガ、段々支那ノ關稅ヲ改正サ
レマスレバ、織布ト云フモノハ追こ是ハ輸
出ガ減ッテ來ル、支那自身デ織布ガ出來ル
ヤウニナッテ來レバ、今後ハ加工ト云フモ
ノニ重キヲ置カナケレバナラヌト云フ爲ニ
當事者ハ其準備ヲシテ居ルノデアリマシテ、
旣ニ加工綿布ト云フモノハ近頃ハ「マンチェ
スター」製品ト競爭シテ、十分ノ效果ヲ收
メテ居ルノデアリマス、支那輸出ハ無論デ
アリマスガ、又羽二重ノ加工其他ニ至リマ
シテモ、今後ハ益〓染色シタ物ヲ輸出スル
ト云フコトニシナケレバナラヌ、シテ見ル
ト一方ニ染色ノ重要ナル原料タル此染料ヲ
保護ナサレマスノハ結構デアリマスルガ、
此輸出ニ對シテハドウ云フ奬勵ヲナサル御
見込デアリマスカ、之ヲ商工大臣ニ伺ヒタ
イ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=28
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029・片岡直温
○國務大臣(片岡直溫君) 私ガ取次イデ答
ヘマスルヨリモ、能ク分ッテ店ラレル政府委
員ナリ說明者ガ居リマスカラソレヨリ···発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=29
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030・矢部規矩治
○政府委員(矢部規矩治君) 染料ノ稅率ガ
重イト云フノハ御承知ノ通リデゴザイマシテ、
是ノ影響ノ及ブ所ニ付キマシテハ、篤ト考
慮イタシテ居ルノデアリマシテ、內地ノ商
品ニ對シマシテハ、此稅率ヲ以テ保護イタ
スヨリ外ニ途ガナイノデアリマス、外國
ノ····支那ニ付キマシテハ其影響ノ重大ナ
ルニ鑑ミマシテ、成ルベク負擔ヲ輕クスル
爲ニ、假置場ノ制度ヲ之ニ應用スルコトニ
付テ考ヘテ居ルノデス、若シ此制度ト云フ
モノガ立テラレマスレバ、外國カラ入リマ
ス所ノ染料ヲ應用シ、內地ノ布帛ニ對シテ
加工ヨシ、支那ニ對シテ從來ノ如ク影響ナ
ク運ビガ付クモノト認メテ居リマス、現在
ノ制度ニ於キマシテ、此假置場ヲ直チニ應
用スルト云フコトモ出來ルノデゴザイマシ
テ、唯他ノ方面ニ對シマシテ、此假置場ノ
制度ト云フモノガ支障ガナケレバ、現在ノ
制度ノ下ニ許スト云フコトガ出來マスノデ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=30
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031・稻畑勝太郎
○稻畑勝太郞君 此本案ガ通過シ染料ノ關
稅ガ實施サレルト同時ニ、假置場ノ制度ヲ
御設ケニナルト云フ御考デアリマスカ、ソ
レヲ伺ヒタイ、ソレニハ期間ガアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=31
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032・矢部規矩治
○政府委員(矢部規矩治君) チヨット失禮
デスガ、聽漏ラシマシタデスガ、最初ノ所
ヲ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=32
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033・稻畑勝太郎
○稻畑勝太郞君 假置場制度ヲデスネ、置
ク考ヲ持ノテ居ルト云フ御話デアリマスガ、
此本案ガ施行サレマスト、輸入稅ガ直チニ
增加スル、僧加シテ其間ニデスネ、假置場
其他適當ナル方法ノ行ハレルマデノ期間
ハ、ドノ位ノモノデアルカ、其間若シ期間
ガ長ケレバ、此戾稅或ハ假置場ノ方法ヲ實
施サレヌ間ダケハ、矢張リ此輸出加工織布
ト云フモノガ其打擊ヲ受ケナケレバナラ
ヌ、成ルベク、ソレニ對シテハ早ク假置場其
他戾稅ノ方法ヲ御講ジヲ願ヒタイト思フ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=33
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034・矢部規矩治
○政府委員(矢部規矩治君) 別段之ニ對シ
マシテ、法律トカ命令ト云フモノハ要ルモノ
デナイノデゴザイマスカラシテ、關係ノ及
ブ所ダケヲ考究イタシマスレバ、直チニデ
モ出來ヤウカト考へテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=34
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035・倉知鐵吉
○倉知鐵吉君 唯今外務大臣ハ御差支デ御
出席ガムヅカシイサウデゴザイマス、私ノ
外務大臣ニ伺ヒタイノハ二件アッタノデゴ
ザイマス、其一ツハ染料問題ニ關スル曰獨
兩國間ノ交涉〓末デゴザイマス、是ハ外務
大臣カラ伺ヒタイト思ヒマスルカラシテ、
他日適當ノ機會ニ大臣御出席ノ上御說明ヲ
願ヒタイト存ジマス、第二ニハ銑鐵ノ稅率
ニ關スル問題デゴザイマス、是ハドウゾ御
出席ノ政府委員ヨリ御說明ヲ願ヒタイト思
ヒマス、本關稅法案調査ノ際ニ、銑鐵ニ對
スル稅率ヲ多少高メタラ宜イヂヤナイカト
云フ意見ガアッタサウデゴザイマスガ、是
ハ若シ銑鐵ニ對スル關稅ヲ高メルト云フ場
合ニハ、之ニ依ッテ最モ重大ナル影響ヲ受
ケル所ノ印度カラ苦情ガ出ハシナイカト云
フコトヲ考慮セラレテ、銑鐵關稅引上ゲノ
案ヲ放棄セラレテ、サウシテ今回、先刻商
工大臣ノ御說明ニナッタ助成金制度ヲ採ラ
レタト云フヤウニ承ッテ居リマス、元來鐵ノ
自給自足ヲ圖ルベキコトハ、經濟上軍事上
竝ニ產業上極メテ必要ナコトデアルノデア
リマシテ、此目的ヲ達スルノニ最モ便利ナ
方法ハ關稅引上ゲニアルト云フコトハ、是
ハ論ノナイコトデアリマス、況ヤ此助成金
ヲ以テ之ヲ保護スルナドト云フコトハ甚ダ
ヤリ惡イ、難カシイ方法デアリマシテ、決
シテ萬全ノ策トハ申上ゲ兼ネルノデ、已ム
ヲ得ズ政府ニ於テモ斯ノ如キ策ヲ採ラレタ
ノデアルカト思フノデアリマス、就キマシ
テハ何故關稅ヲ引上ゲテハイケナイト云フ
コトニナッタノデアリマスカ、其理由ハ餘
程重大ナモノデナケレバナラヌト思フノデ
アリマスガ、印度方面カラ苦情ノ來ルト云
フコトハドノ位根據ガアルコトデアリマシ
テ、ドウ云フ問題ガ苦情ノ種ニナルノデア
リマスカ、例ヘバ民間ニ流布シテ居ル綿絲
布ノ販路ヲ害スル虞ガアルナドト云フコト
モ申シテ居リマスガ、ソレハ關稅政策マデ
モ變ヘネバナラヌ、助成金ノヤウナ不完全
ナル方法デ重要ナル鐵ヲ保護シナケレバナ
ラヌ程、ソレ程重大ナ故障デアルノデアリ
マセウカ、印度政府ナリ、或ハ英國政府カ
ラ何カ苦情デモアッタノデアリマセウカ、
或ハ苦情、又ハ依賴ガナクトモ、印度ノ形
勢ガソレ程憂慮スベキ狀態デアッタデアリ
マセウカ、ソコノ所ヲ成ルベク詳シク御說
明ヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=35
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036・矢吹省三
○政府委員(男爵矢吹省三君) 唯今ノ倉知
サンノ御質問ニ御答ヲ致スニ付キマシテ、
對外關係相當機微ヲ要スルコトガアリマス
ノデ、祕密會ニ於テ申上ゲル方ガ便利トモ
考ヘマス、委員長ニ於テ祕密會ニ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=36
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037・柳澤保惠
○委員長(伯爵柳澤保惠君) 祕密會ト云フ
ノハ速記者ヲ置イテ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=37
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038・矢吹省三
○政府委員(男爵矢吹省三君) 速記者ヲ置
カナイデ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=38
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039・柳澤保惠
○委員長(伯爵柳澤保惠君) ソレデハ速記
者ハ退席ヲ·
午後二時四十五分祕密會ニ移ル
午後三時五十四分祕密會終ル発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=39
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040・柳澤保惠
○委員長(伯爵柳澤保惠君) 祕密會ハ是デ
解キマシテ、今日ハ是デ散會イタシマス、
明日ハ午前十時ヨリ開會イタシマス
午後三時五十五分散會
出席者左ノ如シ
委員長伯爵柳澤保惠君
副委員長男爵斯波忠三郞君
委員
子爵八條隆正君
犬塚勝太郞君
和田彥次郞君
內田嘉吉君
中村是公君
神野勝之助君
男爵〓誠之助君
男爵東〓安君
倉知鐵吉君
中川小十郞君
內藤久寛君
稻畑勝太郞君
磯貝浩君
國務大臣
商工大臣片岡直溫君
政府委員
外務政務次官男爵矢吹省三君
大藏技師矢部規矩治君
農林政務次官小山松壽君
農林省農務局長石黑忠篤君
商工政務次官柵瀨軍之佐君
商工參與官野村嘉六君
商工省工務局長宮內國太郞君
商工書記官侯爵木戶幸一君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005100404X00219260315&spkNum=40
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