1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
大正十五年三月十八日(木曜日)
午前十時十八分開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程 第二十七號 大正十五年三月十八日
午前十時開議
第一 大正十四年度歳入歳出總豫算追加案(第一號) 會議(委員長報告)
第二 大正十四年度各特別會計歳入歳出豫算追加案(特第一號) 會議(委員長報告)
第三 農業倉庫業法中改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第四 府縣制中改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第五 市制中改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第六 町村制中改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第七 北海道會法中改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第八 北海道地方費法中改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第九 水利組合法中改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第十 徴發令中郡及郡長に關する規定の適用に關する法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第十一 造幣局工場其の他改築費に關する法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十二 京都高等工藝學校移轉改築費に關する法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十三 健康保險法中改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十四 健康保險特別會計法案(政府提出衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十五 王公族の權義に關する法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=0
-
001・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ諸般ノ報〓ヲ致サセマス
〔長書記官朗讀〕
一昨十六日本院ニ於テ採擇スルコトヲ議決シタル姫路津山間鐵道敷設ノ請
願外二十一件ノ請願ハ各意見書ヲ附シ卽日之ヲ政府ニ送付セリ
同日王公族ノ權義ニ關スル法律案特別委員會ニ於テ當選シタル正副委員長
ノ氏名左ノ如シ
委員長公爵近衞文麿君副委員長水野鍊太郞君
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
農業倉庫業法中改正法律案
府縣制中改正法律案
市制中改正法律案
町村制中改正法律案
北海道會法中改正法律案
北海道地方費法中改正法律案
水利組合法中改正法律案
徵發令中郡及郡長ニ關スル規定ノ適用ニ關スル法律案
同日衆議院ヨリ本院ノ送付ニ係ル左ノ政府提出案ハ同院ニ於テ之ヲ可決シ
奏上セル旨ノ通牒ヲ受領セリ
日本勸業銀行法中改正法律案
農工銀行法中改正法律案
北海道拓殖銀行法中改正法律案
昨十七日特別委員會ニ於テ當選シタル、正副委員長ノ氏名左ノ如シ
對支文化事業特別會計法中改正法律案特別委員會
委員長伯爵松浦厚君副委員長男爵北里柴三郞君
明治三十八年法律第十七號中改正法律案外一件特別委員會
委員長伯爵酒井忠正君副委員長山之內一次君
輸出生糸檢査法案特別委員會
委員長服部-三君副委員長子爵西大路吉光君
同日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
王公族ノ權義ニ關スル法律案可決報告書
請願文書表第八囘報告書
喜山古市山真発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=1
-
002・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ本日ノ會議ヲ開キマス、一昨十六日侯爵德
川義親君病氣ニ付キ輸出生糸檢査法案特別委員辭任ノ申出ガゴザイマシタ、
之ヲ許可スルコトニ御異存ゴザイマセヌカ
[「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=2
-
003・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス、右補關トシテ上山君ヲ指
名イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=3
-
004・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 昨十七日男爵二條正麿君病氣ニ付キ商事調停法案
特別委員辭任ノ申出ガゴザイマシタ、是亦許可スルコトニ御異存ゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=4
-
005・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス、右補闕トシテ男爵渡邊修
二君ヲ指名イタシマス
U〓発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=5
-
006・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ議事日程ニ移リマス、日程第一、大正十四
年度歲入歲出總豫算追加案、第一號、第二、大正十四年度各特別會計歲入歲
出豫算追加案、特第一號、會議、委員長報告、林伯爵
一大正十四年度歲入歲出總豫算追加案(第一號)
一大正十四年度各特別會計歲入歲出豫算追加案(特第一號)
右衆議院ヨリ送付シタル各案ヲ審査シ總テ衆議院議決案ノ通可決スヘキモ
ノナリト議決セリ依テ及報告候也
大正十五年三月十六日
豫算委員長
伯爵林博太郞
貴族院議長公爵德川家達殿
〔伯爵林博太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=6
-
007・林博太郎
○伯爵林博太郞君 唯今、日程ニ上リマシタ大正十四年度歲入歲出總豫算追
加案、第一號、大正十四年度各特別會計歲入歲出豫算追加案特第一號、此二ツ
ノ追加豫算案ニ付キマシテノ豫算委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報〓イタシマ
ス、此兩案ハ去ル三月十一日豫算委員會ニ移サレタノデゴザイマス、今簡單
ニ其內容ヲ御紹介イタシマスト云フト、此二ツノ追加案歲入歲出ハ各〓三千六
十四万七千二百二十四圓、歲入ニ關シテ主要ナルモノハ刑務所收入增加二十
万七千圓餘、帝國學士院奬勵費寄附金ノ增加三十一万八千圓、前年度剩餘金繰
入增加三千十二万圓餘デアリマシテ、歲出ニ付キマシテノ主ナルモノハ、爲
替相場ニ於ケル貨幣交換差金千五十八万九千圓餘、横濱市ノ永代借地整理ノ
爲ニ買收資金ヲ國庫ヨリ貸付ケルモノガ六百万圓、六大都市失業者救濟ノ爲
公共團體ノ公共事業ニ對スル國庫補助金ガ百二十二万圓餘、朝鮮水害復舊費
ノ內ニ、一百五十五万圓餘、其他恩給、警察費連帶支辨金、刑務所收容費ノ
增加等計上シラアリマスルガ、何レモ必要ナル補充費途デゴザイマシテ、三
月十六日ノ午後此兩案ニ付キマシテノ質問ヲ致シマシテ、橫濱永代借地、日
露漁業協約竝ニ支那關稅會議ノ進行ニ關スル件等、簡單ナル二三ノ質問ガアッ
タノデアリマス、續イテ討論ニ移リマシタケレドモ、何等ノ反對論モ出マセ
ヌデ、此二ツノ追加豫算案ハ全會一致ヲ以テ可決ニナリマシタ、右御報〓イ
タシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=7
-
008・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 唯〓林豫算委員長ノ報告セラレマシタ豫算追加案
日程第一第二ヲ一括シテ議題ト致シマス、全部ヲ問題ニ供シマス、全部原案
ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=8
-
009・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス
美南山호주호古発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=9
-
010・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第三、農業倉庫業法中改正法律案、政府提出
衆議院送付、第一讀會、高田農林參與官
農業倉庫業法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
大正十五年三月十六日
衆議院議長粕谷義三
貴族院議長公爵德川家達殿
農業倉庫業法中左ノ通改正ス
第一條第一項ヲ左ノ如ク改ム
本法ニ於テ農業倉庫業者トハ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ヲ謂フ
一農業ヲ營ム者カ其ノ生產シタル穀物、繭其ノ他勅令ヲ以テ指定スル
物品ヲ所有スル場合又ハ土地ニ付權利ヲ有スル者カ小作料トシテ受
ケタル穀物其ノ他勅令ヲ以テ指定スル物品ヲ所有スル場合ニ於テ其
ノ者ノ爲ニ本法ニ依リ之ヲ倉庫ニ保管スル者
二販買組合又ハ販賣組合聯合會ガ賣却スル繭ヲ其ノ者ノ爲ニ本法ニ依
リ倉庫ニ保管スル者
同條第四項中「前三項」ヲ「前二項」ニ改メ第三項ヲ削ル
第二條中第五號ヲ第六號トシ第四號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
五受寄物ヲ聯合農業倉庫業者ニ寄託シタル場合ニ於テ其ノ物品ノ聯合
農業倉庫證劵ヲ擔保トシテ貸付ヲ爲スコト
第四條中「非サレハ」ノ下ニ「第一條第一項第一號ノ」ヲ加ヘ同條ニ左ノ一項
ヲ加フ
命令ヲ以テ指定スル產業組合聯合會ニ非サレハ第一條第一項第二號ノ農
業倉庫業者タルコトヲ得ス
第五條第一項中「產業組合カ農業倉庫業者タルトキ」ヲ「農業倉庫業者タル
產業組合又ハ產業組合聯合會」ニ、同條第二項中「產業組合」ヲ「前項ノ產業
組合又ハ產業組合聯合會」ニ、「組合員」ヲ「組合員又ハ所屬組合若ハ所屬聯
合會」ニ、「及第五號」ヲ「乃至第六號」ニ、同條第三項中「農會又ハ公益法人
カ農業倉庫業者タルトキ」ヲ「農業倉庫業者タル農會又ハ公益法人」ニ、「及
第五號」ヲ「乃至第六號」ニ改ム
第七條ノ二農業倉庫業者ハ寄託者ノ請求ニ因リ寄託物ノ倉荷證劵ヲ交付
スルコトヲ要ス
商法第三百八十三條ノ二第二項及第三百八十三條ノ三ノ規定ハ前項ノ倉
荷證劵ニ之ヲ準用ス
第八條第一項中「預證劵及質入證劵又ハ」ヲ削ル
第十條第二項中「又ハ第三項」ヲ削リ同條第三項中「第四項」ヲ「第三項」ニ、
「乃至第三項」ヲ「及第二項」ニ改ム
第十一條中「及第九章第二節」ヲ「、第三百七十五條乃至第三百七十八條及第
三百八十一條乃至第三百八十三條ノ規定」ニ改ム
第十四條中「所得稅」ノ下ニ「、營業收益稅」ヲ加フ
第十四條ノ二農業倉庫業者ノ農業倉庫又ハ其ノ敷地ニ關スル權利ノ取得
ニ關シテハ地方稅ヲ課スルコトヲ得ス
第十九條本法ニ於テ聯合農業倉庫業者トハ農業倉庫業者カ第一條第一項
及第二項ノ規定ニ依リ寄託ヲ受ケタル物品ヲ本法ニ依リ倉庫ニ保管スル
者ヲ謂フ
聯合農業倉庫業者ハ他ノ聯合農業倉庫業者カ前項ノ規定ニ依リ寄託ヲ受
ケタル物品ヲ保管スルコトヲ得
聯合農業倉庫業者ハ前二項ノ規定ニ依ル保管ニ支障ナキ場合ニ限リ業務
規程ノ定ムル所ニ依リ農業倉庫業者カ第一條第三項ノ規定ニ依リ寄託ヲ
受ケタル物品又ハ販賣組合若ハ販賣組合聯合會カ賣却スル物品ヲ保管ス
ルコトヲ得他ノ聯合農業倉庫業者カ本項ノ規定ニ依リ寄託ヲ受ケタル物
品ニ付亦同シ
第二十條產業組合聯合會ニ非サレハ聯合農業倉庫業者タルコトヲ得ス
第二十一條聯合農業倉庫業者タル產業組合聯合會ハ產業組合法ニ規定ス
ルモノノ外第二條(第二十六條第一項ノ規定ニ依リ準用)及第十九條ニ規
定スル事業ヲ目的ト爲スコトヲ得
前項ノ產業組合聯合會ハ所屬組合又ハ所屬聯合會ノ爲ニ前項ノ事業ヲ爲
スノ外附隨トシテ所屬組合又ハ所屬聯合會ニ非サル組合又ハ聯合會ノ爲
ニ之ヲ爲スコトヲ得但シ第二條第四號乃至第六號(第二十六條第一項ノ
規定ニ依リ準用)ノ事業ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第二十二條農業倉庫業者カ寄託者又ハ農業倉庫證劵ノ所持人及受寄物ノ
質權者アル場合ニ於テハ其ノ質權者ノ承諾ヲ得テ其ノ受寄物ヲ聯合農業
倉庫業者ニ寄託シタル場合ニ於テハ其ノ寄託ニ因リ生シタル農業倉庫業
者ノ權利義務ハ當初ノ寄託者又ハ農業倉庫證劵ノ所持人ニ移轉シ當初ノ
寄託ハ將來ニ向テ其效力ヲ失フ
第二十三條農業倉庫業者カ其ノ寄託物ヲ聯合農業倉庫業者ニ寄託セムト
スル場合ニ於テ其ノ受寄物ノ農業倉庫證劵アルトキハ將來ニ向テ其ノ證
劵ノ裏書ヲ禁止スルコトヲ得
農業倉庫業者ハ前項ノ證劵ノ裏書ヲ禁止スルニ非サレハ受寄物ヲ聯合農
業倉庫業者ニ寄託スルコトヲ得ス
第二十四條聯合農業倉庫業者ハ其ノ受寄物ノ農業倉庫證劵ナキ旨ノ農業
倉庫業者ノ證明書又ハ前條第二項ノ規定ニ依リ裏書ヲ禁止セラレタル證
劵ト引換ニ非サレハ其ノ受寄物ノ聯合農業倉庫證劵ヲ交付スルコトヲ得
ス
第二十五條前三條ノ規定ハ聯合農業倉庫業者カ其ノ受寄物ヲ他ノ聯合農
業倉庫業者ニ寄託スル場合ニ之ヲ準用ス
第二十六條第二條、第三條、第六條乃至第九條、第十條第一項及第十一
條乃至第十八條ノ規定ハ聯合農業倉庫業者ニ之ヲ準用ス但シ第二條第六
號中農業倉庫業者トアルハ農業倉庫業者又ハ聯合農業倉庫業者、農業倉
庫證劵トアルハ農業倉庫證劵又ハ聯合農業倉庫證劵トシ第八條中農業倉
庫證劵トアルハ聯合農業倉庫證劵トス
第十條第二項ノ規定ハ第十九條第一項又ハ第二項ニ規定スル寄託物ニ、
同條第三項ノ規定ハ第十九條第三項ニ規定スル寄託物ニ之ヲ準用ス但シ
聯合農業倉庫業者カ第十九條第一項及第二項ノ規定ニ依リ寄託ヲ受ケタ
ル第一條第二項ノ物品ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ農業倉庫業者カ從前ノ第一條第三項ノ規定ニ依リ保管ス
ル物品ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
本法施行ノ際現ニ存スル預證劵及質入證劵ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
〔政府委員高田耘平君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=10
-
011・高田耘平
○政府委員(高田耘平君) 本案提出ノ理由ヲ說明イタシマス、大正六年ニ農
業倉庫業法ヲ制定イタシマスト共ニ、農業倉庫ノ奬勵計畫ヲ立テマシテ、其
建設費ニ對シマシテ年々補助金ヲ交付イタシマシテ、其普及ヲ圖リマシタガ、
更ニ大正十四年度ヨリ農村振興ノ施設ト致シマシテ、其助成金ヲ增加交付イ
タシマシテ、大ニ之ヲ奬勵助長スルコトト致シマシタ、斯ノ如クニシテ大正
十四年度ノ終リニ於キマシテ、農業倉庫經營主體ノ數ハ一千九百餘、其棟數
ガ三千九百五十餘、建坪ガ十四万四千五百餘坪ニ達シマシテ、其收容力ハ穀
物ニ於テ約一千百三十万俵、繭ニ於キマシテ約七十五万貫ニ達シタノデアリ
やべ、斯ノ如ク農業倉庫ハ、政府ノ施設ト民間當業者ノ努力トニ依ッテ、其發
達ハ著シキモノガアリマスルガ、現行ノ農業倉庫業法ハ大正六年ノ制定以來
略〓十年ノ年月ヲ經マシテ、其發達ヲ圖リマスル上ニ於キマシテハ、實際上ニ
不便ノ點ヲ生ジタノデゴザイマス、故ニ之ニ適用セシメムガ爲ニ、次ノ數個
ノ點ニ於テ改正ヲ加ヘムトスルノガ、本案ノ趣旨デゴザイマス、卽チ第一、
現行法ニ於キマシテハ其受寄物ノ範圍ハ穀物及繭ニ制限シテアリマスガ、此
點ニ付テ改正ヲ加ヘマシテ、農業倉庫ノ受寄物ノ範圍ヲ擴張イタシマシテ、
從來ノ穀物又ハ繭ノ外ニ勅令ヲ以テ制定スル所ノ物品ノ保管ヲ目的トシテ、
農業倉庫ノ經營ヲ認メ、沖繩地方ノ如クニ砂糖ヲ主產物ト致シ、穀物及ビ繭
ノ生產ノ無イ地方ニ於キマシテハ、其主產物ノ爲ニ農業倉庫ヲ設置スルコト
ト致シマシタ而シテ農業倉庫ノ利益ヲ與ヘテ、沖繩地方等ノ振興ニ資セム
トスルノガ第一デゴザイマス、更ニ第二ハ乾繭取引奬勵ノ爲ニ、大正十四
年度ヨリ助成金ヲ交付イタシマシテ、共同的ノ乾繭ノ裝置及繭ノ倉庫ヲ建設
セシメテ居ルノデアリマス、是ハ農村振興費ノ一部ヨリ支出シテ居ルノデゴ
ザイマス、此共同繭倉庫ハ、販賣組合等ノ取扱繭ノ寄託ヲ受ケルモノデアリ
マシテ、農業倉庫業法ニ依ッテ、是ガ經營ヲ爲サシムルノヲ適當ト致シマス、
所ガ現行法ニ於キマシテハ、農業倉庫業ノ本體ト致シマシテ、生產者ノ品物
ヲ直接ニ寄託スルノ外ハ認メテ居ラナイノデゴザイマス、故ニ今囘ハ其當面
ニ處スル必要上、新ニ產業組合聯合會ヲシテ此種ノ事業ヲ行フ所ノ倉庫業者
タラシムルコトニ改正シタノデゴザイマス、之ガ改正ノ第二點デゴザイマ
ス、更ニ第三點ハ、從來農業倉庫ハ中小農家ノ利用ニ便ナラシムル爲ニ、努
メテ分散的ニ各地農村ニ設置シテ來タノデゴザイマス、併ナガラ更ニ是等ノ
各地ニ發達シ來レル所ノ各個ノ農業倉庫ノ連絡機關ト致シマシテ、殊ニ聯合
農業倉庫ノ制度ヲ今囘設ケマシタ、各地ニ分散的ニ發達シテ來タ所ノ農業倉
庫ヲ相互ニ聯絡イタシマシテ、其受寄物ヲ出入スル場合ニ當ッテ利用スベキ
倉庫設備ニ便利ヲ與フルコトト致シマシテ、之ニ伴ウテ寄託ノ法律關係ニ二
三ノ改正ヲ生ズルノ必要ガアルノデゴザリマス、以上數點ニ改正ヲ加へタノ
ガ本案ノ趣旨デゴザイマス、衆議院ニ於キマシテハ、委員會及本會議等ニ於
キマシテ格別ノ異議モナク、全會一致ヲ以テ通過イタシタヤウナ次第デゴザ
イマスルカラ、何卒愼重ニ御審議ノ上御協賛アラムコトヲ御願ヒ申ス次第デ
アリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=11
-
012・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 本案ノ特別委員ノ氏名ヲ書記官ヲシテ朗讀ヲ致サ
セマス
〔小林書記官朗讀〕
農業倉庫業法中改正法律案特別委員
子爵伊東祐弘君笠井信一君男爵松岡均平君
原保太郞君志村源太郞君西久保弘道君
宮田光雄君奥田榮之進君小林嘉平治君
三重山市やま東発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=12
-
013・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第四ヨリ第十マデノ法律案、政府提出、衆議
院送付、第一讀會
府縣制中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
大正十五年三月十六日
衆議院議長粕谷義三
貴族院議長公爵德川家達殿
一小字ハ衆議院ノ修正文、
ハ同削除ノ符號ナリ
府縣制中左ノ通改正ス
第一條中「郡市」ヲ「市町村」ニ改ム
第三條第二項中「郡」ヲ削リ同條第三項中「府縣郡市參事會及町村會」ヲ「府
縣參事會及市町村會」ニ改ム
第四條第二項中「郡市ノ區域」ヲ「市ノ區域又ハ從前郡長若ハ島司ノ管轄シ
タル區域」ニ改メ同條第三項及第四項ヲ削ル
第六條府縣內ノ市町村公民ハ府縣會議員ノ選擧權及被選擧權ヲ有ス
陸海軍軍人ニシテ現役中ノ者(未タ入營セサル者及歸休下士官兵ヲ除ク)
及戰時若ハ事變ニ際シ召集中ノ者ハ選擧權及被選舉權ヲ有セス兵籍ニ編
入セラレタル學生生徒(勅令ヲ以テ定ムル者ヲ除ク)及志願ニ依リ國民軍
ニ編入セラレタル者亦同シ
市町村公民權停止中ノ者ハ選擧權及被選擧權ヲ有セス
在職ノ檢事、警察官吏及收稅官吏ハ被選擧權ヲ有セス
選擧事務ニ關係アル官吏及吏員ハ其ノ關係區域內ニ於テ被選擧權ヲ有セ
ス
府縣ニ對シ請負ヲ爲シ又ハ府縣ニ於テ費用ヲ負擔スル事業ニ付府縣知事
若ハ其ノ委任ヲ受ケタル者ニ對シ請負ヲ爲ス者及其ノ支配人又ハ主トシ
テ同一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ無限責任社員、取締役監査役若ハ之ニ準スヘ
キ者、〓算人及支配人ハ其ノ府縣ニ於テ被選擧權ヲ有セス
府縣ノ官吏及有給ノ吏員其ノ他ノ職員ニシテ在職中ノ者ハ其ノ府縣ノ府
縣會議員ト相兼ヌルコトヲ得ス
衆議院議員ハ府縣會議員ト相兼ヌルコトヲ得ス
第八條第一項及第二項ヲ左ノ如ク改ム
府縣會議員中關員ヲ生シタルトキハ三箇月以內ニ補闕選擧ヲ行フヘシ但
シ其ノ闕員ト爲リタル議員カ第三十一條第二項、第三項若ハ第六項ノ規
定ニ依ル期限前ニ於テ闕員ト爲リタル者ナル場合ニ於テ第二十九條第一
項但書ノ得票者ニシテ當選者ト爲ラサリシ者アルトキ又ハ其ノ期限經過
後ニ於テ闕員ト爲リタル者ナル場合ニ於テ第二十九條第二項ノ規定ノ適
用ヲ受ケタル得票者ニシテ當選者ト爲ラサリシ者アルトキハ直ニ選擧會
ヲ開キ其ノ者ノ中ニ就キ當選者ヲ定ムヘシ此ノ場合ニ於テハ第三十二條
第三項ノ規定ヲ準用ス
第三十二條第四項及第五項ノ規定ハ補闕選擧ニ之ヲ準用ス
第九條府縣會議員ノ選擧ハ其ノ府縣內ニ於ケル市町村會議員選擧人名簿
ニ依リ之ヲ行フ
町村制第三十八條ノ町村ニ於テハ同法第十八條乃至第十八條ノ五ノ規定
ニ準シ選擧人名簿ヲ調製スヘシ
前項ノ選擧人名簿ハ之ヲ町村會議員選擧人名簿ト看做シ第一項ノ規定ヲ
適用ス
第十條削除
第十一條削除
第十二條削除
第十三條第一項中「選擧ノ日ヨリ少クトモ二十日前」ヲ「選擧ノ期日前二十
日目マテ」ニ、同條第二項中「少クトモ七日前」ヲ「投票ノ期日前七日目マテ」
ご依人
第十三條ノ二議員候補者タラムトスル者ハ選擧ノ期日ノ〓示アリタル日
ヨリ選舉ノ期日前七日目マテニ其ノ旨ヲ選擧長ニ屆出ツヘシ
選擧人名簿ニ登錄セラレタル者他人ヲ議員候補者ト爲サムトスルトキハ
前項ノ期間內ニ其ノ推薦ノ屆出ヲ爲スコトヲ得
前二項ノ期間內ニ屆出アリタル議員候補者其ノ選擧ニ於ケル議員ノ定數
ヲ超ユル場合ニ於テ其ノ期間ヲ經過シタル後議員候補者死亡シ又ハ議員
候補者タルコトヲ辭シタルトキハ前二項ノ例ニ依リ選擧ノ期日ノ前日マ
テ議員候補者ノ屆出又ハ推薦屆出ヲ爲スコトヲ得
議員候補者ハ選擧長ニ屆出ヲ爲スニ非サレハ議員候補者タルコトヲ辭ス
ルコトヲ得ス
前四項ノ屆出アリタルトキ又ハ議員候補者ノ死亡シタルコトヲ知リタル
トキハ選擧長ハ直ニ其ノ旨ヲ告示スヘシ
第十三條ノ三議員候補者ノ屆出又ハ推薦屆出ヲ爲サムトスル者ハ議員候
補者一人ニ村二百圓又ハ之ニ相當スル額面ノ國債證書ヲ供託スルコトヲ
要ス
議員候補者ノ得票數其ノ選擧區ノ配當議員數ヲ以テ有效投票ノ總數ヲ除
シテ得タル數ノ十分ノ一ニ達セサルトキハ前項ノ供託物ハ府縣ニ歸屬
ス
議員候補者選擧ノ期日前十日以內ニ議員候補者タルコトヲ辭シタルトキ
ハ前項ノ規定ヲ準用ス但シ被選擧權ヲ有セサルニ至リタル爲議員候補者
タルコトヲ辭シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第十四條市町村長ハ投票管理者ト爲リ投票ニ關スル事務ヲ擔任ス
第十五條投票區ハ市町村ノ區域ニ依ル
投票所ハ市役所、町村役場又ハ投票管理者ノ指定シタル場所ニ之ヲ設ク」
投票管理者ハ選擧ノ期日前五日目マテニ投票所ヲ〓示スヘシ
府縣知事特別ノ事情アリト認ムルトキハ市町村ノ區域ヲ分チテ數投票區
ヲ設ケ又ハ數町村ノ區域ヲ合セテ一投票區ヲ設クルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ投票區ヲ設クル場合ニ於テ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ
之ヲ定ム
第十六條議員候補者ハ各投票區ニ於ケル選擧人名簿ニ登錄セラレタル者
ノ中ヨリ本人ノ承諾ヲ得テ投票立會人一人ヲ定メ選擧ノ期日ノ前日マテ
ニ投票管理者ニ屆出ツルコトヲ得但シ議員候補者死亡シ又ハ議員候補者
タルコトヲ辭シタルトキハ其ノ屆出テタル投票立會人ハ其ノ職ヲ失フ
前項ノ規定ニ依ル投票立會人三人ニ達セサルトキ若ハ三人ニ達セサルニ
至リタルトキ又ハ投票立會人ニシテ參會スル者投票所ヲ開クヘキ時刻ニ
至リ三人ニ達セサルトキ若ハ其ノ後三人ニ達セサルニ至リタルトキハ投
票管理者ハ其ノ投票區ニ於ケル選擧人名簿ニ登錄セラレタル者ノ中ヨリ
三人ニ達スルマテノ投票立會人ヲ選任シ直ニ之ヲ本人ニ通知シ投票ニ立
會ハシムヘシ
投票立會人ハ名譽職トス
投票立會人ハ正當ノ事故ナクシテ其ノ職ヲ辭スルコトヲ得ス
第十八條中「被選擧人」ヲ「議員候補者」ニ改メ同條第六項ノ次ニ左ノ一項ヲ
加フ
投票ニ關スル記載ニ付テハ勅令ヲ以テ定ムル點字ハ之ヲ文字ト看做ス
第十八條ノ二確定名簿ニ登錄セラレサル者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ス但シ
選擧人名簿ニ登錄セラルヘキ確定裁決書又ハ判決書ヲ所持シ選擧ノ當日
投票所ニ到ル者ハ此ノ限ニ在ラス
確定名簿ニ登錄セラレタル者選擧人名簿ニ登錄セラルルコトヲ得サル者
ナルトキハ投票ヲ爲スコトヲ得ス選擧ノ當日選擧權ヲ有セサル者ナルト
キ亦同シ
同府縣內ニ於ケル二以上ノ市町村ニ於テ公民權ヲ有スル者ハ住所地市町
村ニ於テノミ投票ヲ爲スコトヲ得
第十九條投票ノ拒否ハ投票立會人ノ意見ヲ聽キ投票管理者之ヲ決定スヘ
シ
前項ノ決定ヲ受ケタル選擧人不服アルトキハ投票管理者ハ假ニ投票ヲ爲
サシムヘシ
前項ノ投票ハ選擧人ヲシテ之ヲ封筒ニ入レ封緘シ表面ニ自ラ其ノ氏名ヲ
記載シ投函ヒシムヘシ
投票立會人ニ於テ異議アル選擧人ニ對シテモ亦前二項ニ同シ
第二十條投票管理者ハ投票錄ヲ作リ投票ニ關スル〓末ヲ記載シ二人以上
ノ投票立會人ト共ニ之ニ署名スヘシ
第二十一條投票管理者ハ其ノ指定シタル投票立會人ト共ニ町村ノ投票區
ニ於テハ投票ノ翌日マテニ、市ノ投票區ニ於テハ投票ノ當日投票函、投
票錄及選舉人名簿ヲ選舉長ニ送致スヘシ
第二十二條中「投票函」ヲ「投票函、投票錄及選擧人名簿」ニ改ム
第二十三條選擧長ハ市長又ハ府縣知事ノ指定シタル官吏ヲ以テ之ニ充
ッ
選擧長ハ選擧會ニ關スル事務ヲ擔任ス
選擧會ハ市役所又ハ選擧長ノ指定シタル場所ニ之ヲ開ク
選擧長ハ豫メ選擧會ノ場所及日時ヲ告示スヘシ
第二十三條ノ二府縣知事特別ノ事情アリト認ムルトキハ區劃ヲ定メテ開
票區ヲ設クルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ開票區ヲ設クル場合ニ於テ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ
之ヲ定ム
第二十四條第十六條ノ規定ハ選擧立會人ニ之ヲ準用ス
第二十五條選擧長ハ總テノ投票函ノ送致ヲ受ケタル日ノ翌日選擧會ヲ開
キ選擧立會人立會ノ上投票函ヲ開キ投票ノ總數ト投票人ノ總數トヲ計算
スヘシ但シ場合ニ依リ投票函ノ送致ヲ受ケタル日選擧會ヲ開クコトヲ
得
前項ノ計算終リタルトキハ選擧長ハ先ツ第十九條第二項及第四項ノ投票
ヲ調査シ選擧立會人ノ意見ヲ聽キ其ノ受理如何ヲ決定スヘシ
選擧長ハ選擧立會人ト共ニ投票區每ニ投票ヲ點檢スヘシ
天災事變等ノ爲選擧會ヲ開クコトヲ得サルトキハ選擧長ハ更ニ其ノ期日
ヲ定ムヘシ
第二十六條ノ二選擧會場ノ取締ニ付テハ第十七條第一項及第二項ノ規定
ヲ準用ス
第二十七條左ノ投票ハ之ヲ無效トス
一成規ノ用紙ヲ用井サルモノ
二議員候補者ニ非サル者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
三一投票中二人以上ノ議員候補者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
四被選擧權ナキ議員候補者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
五議員候補者ノ氏名ノ外他事ヲ記載シタルモノ但シ爵位、職業、身分、
住所又ハ敬稱ノ類ヲ記入シタルモノハ此ノ限ニ在ラス
六議員候補者ノ氏名ヲ自書セサルモノ
七議員候補者ノ何人ヲ記載シタルカヲ確認シ難キモノ
八府縣會議員ノ職ニ在ル者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
前項第八號ノ規定ハ第八條、第三十二條又ハ第三十六條ノ規定ニ依ル選
擧ノ場合ニ限リ之ヲ適用ス
第二十八條投票ノ效力ハ選擧立會人ノ意見ヲ聽キ選擧長之ヲ決定スヘシ
第二十九條第一項但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ其ノ選擧區ノ配當議員數ヲ以テ有效投票ノ總數ヲ除シテ得タル數ノ
五分ノ一以上ノ得票アルコトヲ要ス
第二十九條ノ二當選者選擧ノ期日後ニ於テ被選擧權ヲ有セサルニ至リタ
ルトキハ當選ヲ失フ此ノ場合ニ於テハ第三十七條第二項ノ規定ヲ準用ス
第二十九條ノ三第十三條ノ二第一項乃至第三項ノ規定ニ依ル屆出アリタ
ル議員候補者其ノ選擧ニ於ケル議員ノ定數ヲ超エサルトキハ其ノ選擧區
ニ於テハ投票ヲ行ハス
前項ノ規定ニ依リ投票ヲ行フコトヲ要セサルトキハ選擧長ハ直ニ其ノ
旨ヲ投票管理者ニ通知シ併セテ之ヲ告示シ且府縣知事ニ報告スヘシ
投票管理者前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ直ニ其ノ旨ヲ〓示スヘシ
第一項ノ場合ニ於テハ選擧長ハ選擧ノ期日ヨリ五日以內ニ選擧會ヲ開キ
議員候補者ヲ以テ當選者ト定ムヘシ
前項ノ場合ニ於テ議員候補者ノ被選擧權ノ有無ハ選擧立會人ノ意見ヲ聽
キ選擧長之ヲ決定スヘシ
第三十條選擧長ハ選擧錄ヲ作リ選擧會ニ關スル〓末ヲ記載シ之ヲ朗讀シ
二人以上ノ選擧立會人ト共ニ之ニ署名スヘシ
選擧錄、投票錄、投票其ノ他ノ關係書類ハ選擧長(府縣知事ノ指定シタ
ル官吏選擧長タル場合ニ於テハ府縣知事)ニ於テ、府縣會議員選擧ニ用
井タル選擧人名簿ハ市町村長ニ於テ議員ノ任期間之ヲ保存スヘシ
第三十一條第一項ヲ左ノ如ク改ム
當選者定マリタルトキハ選擧長ハ直ニ當選者ニ當選ノ旨ヲ告知シ同時ニ
當選者ノ住所氏名ヲ〓示シ且選擧錄及投票錄ノ寫ヲ添ヘ之ヲ府縣知事ニ
報告スヘシ當選者ナキトキハ直ニ其ノ旨ヲ告示シ且選擧錄及投票錄ノ寫
ヲ添ヘ之ヲ府縣知事ニ報告スヘシ
同條第四項ノ次ニ左ノ一項ヲ加へ第五項中「第六條第九項」ヲ「前項」ニ
改ム
六
第六條第七項ニ揭クル在職ノ官吏以外ノ官吏ニシテ當選シタル者ハ所屬
長官ノ許可ヲ受クルニ非サレハ之ニ應スルコトヲ得ス
同條ニ左ノ二項ヲ加フ
府縣ニ對シ請負ヲ爲シ又ハ府縣ニ於テ費用ヲ負擔スル事業ニ付府縣知事若ハ其ノ委任ヲ受ケタ
ル者ニ對シ請負ヲ爲ス者若ハ其ノ支配人又ハ主トシテ同一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ無限責任社員、
役員若ハ支配人ニシテ當選シタル者ハ其ノ請負ヲ罷メ又ハ請負ヲ爲ス者ノ支配人若ハ主トシテ
同一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ無限責任社員、役員若ハ支配人タルコトナキニ至ルニ非サレハ當選ニ
應スルコトヲ得ス
前項ノ役員トハ取締役、監查役及之ニ準スヘキ者竝〓算人ヲ謂フ
第三十一條ノ二選擧長ハ前條第一項ノ報告ヲ爲シタルトキハ直ニ選擧人
名簿ヲ町村長ニ返付スヘシ
第三十二條當選者左ニ揭クル事由ノ一ニ該當スルトキハ三箇月以內ニ更
ニ選擧ヲ行フヘシ但シ第二項ノ規定ニ依リ更ニ選擧ヲ行フコトナクシテ
當選者ヲ定メ得ル場合ハ此ノ限ニ在ラス
-當選ヲ辭シタルトキ
第三十一條
二般選票區ニ於テ選擧ニ當リタル場合ニ於テ副條第三項ノ規定ニ依リ
一ノ選擧區ノ選擧ニ應シタル爲他ノ選擧區ニ於テ當選者タラサルニ至
リタルトキ
三第二十九條ノ二ノ規定ニ依リ當選ヲ失ヒタルトキ
四死亡者ナルトキ
五選擧ニ關スル犯罪ニ依リ刑ニ處セラレ當選無效ト爲リタルトキ但シ
同一人ニ關シ前各號ノ事由ニ依ル選擧又ハ補闕選擧ノ告示ヲ爲シタル
場合ハ此ノ限ニ在ラス
六第三十四條ノ二ノ規定ニ依ル訴訟ノ結果當選無效ト爲リタルトキ
前項ノ事由第三十一條第二項、第三項若ハ第六項ノ規定ニ依ル期限前ニ
生シタル場合ニ於テ第二十九條第一項但書ノ得票者ニシテ當選者ト爲ラ
サリシ者アルトキ又ハ其ノ期限經過後ニ生シタル場合ニ於テ第二十九條
第二項ノ規定ノ適用ヲ受ケタル得票者ニシテ當選者ト爲ラサリシ者アル
トキハ直ニ選擧會ヲ開キ其ノ者ノ中ニ就キ當選者ヲ定ムヘシ
前項ノ場合ニ於テ第二十九條第一項但書ノ得票者ニシテ當選者ト爲ラサ
リシ者選擧ノ期日後ニ於テ被選擧權ヲ有セサルニ至リタルトキハ之ヲ當
選者ト定ムルコトヲ得ス此ノ場合ニ於テハ第三十七條第二項ノ規定ヲ準
用ス
第一項ノ期間ハ第三十四條第七項ノ規定ノ適用アル場合ニ於テハ選擧ヲ
行フコトヲ得サル事由已ミタル日ノ翌日ヨリ之ヲ起算ス
第一項ノ事由議員ノ任期滿了前六箇月以內ニ生シタルトキハ第一項ノ選
舉ハ之ヲ行ハス但シ議員ノ數其ノ定員ノ三分ノ二ニ滿チサルニ至リタル
トキハ此ノ限ニ在ラス
第三十三條ニ左ノ一項ヲ加フ
當選者ナキニ至リタルトキ又ハ當選者其ノ選擧ニ於ケル議員ノ定數ニ達
セサルニ至リタルトキハ府縣知事ハ直ニ其ノ旨ヲ〓示スヘシ
第三十四條第一項中「選擧人選擧若ハ當選」ヲ「選擧人又ハ議員候補者選
擧又ハ當選」ニ、「前條告示ノ日」ヲ「第三十一條第一項又ハ前條第二項
ノ〓示ノ日」ニ、同條第二項及第三項ヲ左ノ如ク、第六項中「郡市長」ヲ
「又ハ選擧長」ニ、同條第七項中「第三十六條第二項」ヲ「第三十六條第一
項若ハ第三項」三郎人
前項ノ異議申立アリタルトキハ府縣知事ハ七日以內ニ之ヲ府縣參事會ノ
決定ニ付スヘシ
府縣知事選擧又ハ當選ノ效力ニ關シ異議アルトキハ第一項申立ノ有無ニ
拘ラス第三十一條第一項ノ報告ヲ受ケタル日ヨリ三十日以内ニ府縣參事
會ノ決定ニ付スルコトヲ得
第三十四條ノ二衆議院議員選舉法第百十條ノ規定ノ準用ニ依リ當選ヲ無
效ナリト認ムルトキハ選擧人又ハ議員候補者ハ當選者ヲ被〓トシ第三十
一條第一項〓示ノ日ヨリ三十日以内ニ控訴院ニ出訴スルコトヲ得
衆議院議員選擧法第百三十六條ノ規定ノ準用ニ依リ選擧事務長カ同法第
百十二條又ハ第百十三條ノ規定ノ準用ニ依ル罪ヲ犯シ刑ニ處セラレタル
ニ因リ當選ヲ無效ナリト認ムルトキハ選擧人又ハ議員候補者ハ當選者ヲ
被〓トシ其ノ裁判確定ノ日ヨリ三十日以內ニ控訴院ニ出訴スルコトヲ
得
前二項控訴院ノ判決ニ不服アル者ハ大審院ニ上告スルコトヲ得
衆議院議員選擧法第八十五條、第八十七條及第百四十一條ノ規定ハ前三
項ノ規定ニ依ル訴訟ニ之ヲ準用ス
第三十五條第一項ニ左ノ但書ヲ加ヘ第二項ヲ削ル
但シ當選ニ異動ヲ生スルノ虞ナキ者ヲ區分シ得ルトキハ其ノ者ニ限リ當
選ヲ失フコトナシ
第三十六條選擧無效ト確定シタルトキハ三箇月以內ニ更ニ選擧ヲ行フヘ
シ
當選無效ト確定シタルトキハ直ニ選擧會ヲ開キ更ニ當選者ヲ定ムヘシ此
ノ場合ニ於テハ第三十二條第三項ノ規定ヲ準用ス
當選者ナキトキ、當選者ナキニ至リタルトキ又ハ當選者其ノ選擧ニ於ケ
ル議員ノ定數ニ達セサルトキ若ハ定數ニ達セサルニ至リタルトキハ三箇
月以內ニ更ニ選擧ヲ行フヘシ
第三十二條第四項及第五項ノ規定ハ第一項及前項ノ選擧ニ之ヲ準用ス
ヲ左ノ如ク改メ第二項中「被選擧權ヲ有セサル者」ノ下ニ「又ハ第三十
第三十七條第一項。中左ノ如ク改ム
一條第七項ニ揭クル者」ヲ、同條第三項中「通知ヲ受ケタルトキハ」ノ下ニ「七日以內ニ」ヲ、
「被選擧權ヲ有セサル者」ノ下ニ「又ハ第三十一條第七項ニ揭クル者」ヲ加フ
〓二破產者ト爲リタルトキ
府縣會議員被選擧權ヲ有セサル者ナルトキ又ハ第三十一條第七項ニ揭クル者ナルトキハ其ノ職
同條同項ノ次ニ左ノ一項ヲ、第三項中「通知ヲ受ケタルトキハ」ノ下ニ「七
ヲ失フ其ノ被選擧權ノ有無又ハ第三十一條第七項ニ揭クル者ニ該當スルヤ否ハ府縣會議員カ左ノ
日以內ニ」ヲ加フ
各號ノ一ニ該當スルニ因リ被選擧權ヲ有セサル場合ヲ除クノ外府縣參事會其ノ異議ヲ決定ス
一禁治產者又ハ準禁治產者ト爲リタルトキ
二破產者ト爲リタルトキ
三禁錮以上ノ刑ニ處セラレタルトキ
四選擧ニ關スル犯罪ニ依リ罰金ノ刑ニ處セラレタルトキ
府縣會議員ハ住所ヲ移シタル爲被選擧權ヲ失フコトアルモ其ノ住所同府
縣內ニ在ルトキハ之カ爲其ノ職ヲ失フコトナシ但シ同府縣內ニ於テ住所
ヲ移シタル後被選擧權ヲ失フヘキ其ノ他ノ事由ニ該當スルニ至リタルト
キハ此ノ限ニ在ラス
第三十九條府縣會議員ノ選舉ニ付テハ衆議院議員選擧法第十章及第十一
章竝第百四十條第二項及第百四十二條ノ規定ヲ準用ス但シ議員候補者一
人ニ付定ムヘキ選擧事務所ノ數、選擧委員及選舉事務員ノ數竝選擧運動
ノ費用ノ額ニ關シテハ勅令ノ定ムル所ニ依ル
第五十一條第二項中「開會ノ日ヨリ少クトモ十四日前」ヲ「開會ノ日前十
四日目マテ」二四人
第五十三條ニ左ノ一項ヲ加フ
議長ハ其ノ職務ヲ行フ場合ニ於テモ之カ爲議員トシテ議決ニ加ハルノ權
ヲ失ハス
第六十四條第二項ヲ削ル
第六十五條府縣ニ府縣參事會ヲ置キ議長及名譽職參事會員十人ヲ以テ之ヲ組織ス
第六十六條第五項中「每年」ヲ「隔年」ニ、同條第六項中「後任者就任ノ
前日マテ」ヲ「後任者ノ就任スルニ至ルマテ」ニ改メ同條ニ左ノ一項ヲ加
フ
名譽職參事會員ハ其ノ選擧ニ關スル第八十二條第一項ノ處分確定シ又ハ
判決アルマテハ會議ニ參與スルノ權ヲ失ハス
第六十七條中「高等官參事會員」ヲ「其ノ代理者」二〇六、
第六十八條中左ノ如ク改ム
三削除
第二項ヲ削リ第三項中「過半數」ヲ「名譽職參事會員ノ過半數」三反八
第七十三條第三項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
議長ハ其ノ職務ヲ行フ場合ニ於テモ之カ爲參事會員トシテ議決ニ加ハル
ノ權ヲ失ハス
第七十四條第一項中「府縣參事會員」ヲ「議長、其ノ代理者及名譽職參事會員」三六九
第七十九條削除
第八十條第一項中「郡島ノ官吏吏員又ハ」ヲ削ル
第九十六條第二項中「前項ノ異議ハ」ヲ「前項ノ異議ノ申立アリタルトキ
ハ府縣知事ハ七日以內ニ」ニ改ム
第百條第一項中「其ノ細則ニハ過料五圓以下ノ罰則ヲ設クルコトヲ得」ヲ
及同條第二項ヲ削ル
第百十條ニ左ノ一項ヲ加フ
府縣ハ公益上其ノ他ノ事由ニ因リ課稅ヲ不適當トスル場合ニ於テハ命令
ノ定ムル所ニ依リ府縣稅ヲ課セサルコトヲ得
第百十一條府縣ノ一部ニ對シ特ニ利益アル事件ニ關シテハ府縣ハ不均一
ノ賦課ヲ爲シ又ハ府縣ノ一部ニ對シ賦課ヲ爲スコトヲ得
第百十四條詐僞其ノ他ノ不正ノ行爲ニ依リ使用料ノ徵收ヲ免レ又ハ府縣
稅ヲ通脫シタル者ニ付テハ府縣知事ハ府縣會ノ議決ヲ經テ其ノ徵收ヲ免
レ又ハ通脫シタル金額ノ三倍ニ相當スル金額(其ノ金額五圓未滿ナルト
キハ五圓)以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クルコトヲ得
前項ニ定ムルモノヲ除ク外使用料、手數料及府縣稅ノ賦課徵收ニ關シテ
ハ府縣知事ハ府縣會ノ議決ヲ經テ五圓以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クル
コトヲ得財產又ハ營造物ノ使用ニ關シ亦同シ
過料ヲ科シ及之ヲ徵收スルハ府縣知事之ヲ掌ル其ノ處分ニ不服アル者ハ
行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百十五條第三項中「前二項ノ異議ハ」ヲ「前二項ノ異議ノ申立アリタル
トキハ府縣知事ハ七日以內ニ」ニ、同條第五項中「郡島ノ官吏吏員」ヲ「、
其ノ委任ヲ受ケタル官吏吏員又ハ」三段八
第百二十四條第二項及第三項ヲ削ル
第百二十六條ノ四中「其ノ財產處分ニ付亦同シ」ヲ「關係府縣ノ協議ニ依
リ之ヲ定ム」三四人
第百二十八條ノ二異議ノ決定ハ本法中別ニ期間ヲ定メタルモノヲ除ク外
其ノ決定ニ付セラレタル日ヨリ三箇月以內ニ之ヲ爲スヘシ
府縣參事會訴願ヲ受理シタルトキハ其ノ日ヨリ三箇月以內ニ之ヲ裁決ス
ヘシ
第百三十三條中左ノ如ク改ム
一削除
四第百十一條ノ規定ニ依リ不均一ノ賦課ヲ爲シ又ハ府縣ノ一部ニ對シ
賦課ヲ爲スコト
第百三十九條第一項ヲ削ル
第百四十二條本法中官吏ニ關スル規定ハ待遇官吏ニ之ヲ適用ス
第百四十三條第四條第二項但書ノ市ニ於テハ第二章第一款中市ニ關スル
規定ハ區ニ、市長ニ關スル規定ハ區長ニ、市役所ニ關スル規定ハ區役所
ニ之ヲ適用ス
第百四十四條町村組合ニシテ町村ノ事務ノ全部又ハ役場事務ヲ共同處理
スルモノハ本法ノ適用ニ付テハ之ヲ一町村、其ノ組合管理者ハ之ヲ町村
長、其ノ組合吏員ハ之ヲ町村吏員、其ノ組合役場ハ之ヲ町村役場ト看做
ス
第百四十五條從前郡長又ハ島司ノ管轄シタル區域內ニ於テ市ノ設置アリ
タルトキ又ハ其ノ區域ノ境界ニ涉リテ市町村ノ境界ノ變更アリタルトキ
ハ其ノ區域モ亦自ラ變更シタルモノト看做ス
從前郡長又ハ島司ノ管轄シタル區域ノ境界ニ涉リテ町村ノ設置アリタル
場合ニ於テハ本法ノ適用ニ付其ノ町村ノ屬スヘキ區域ハ內務大臣之ヲ定
ム
附則
本法中議員選擧ニ關スル規定ハ次ノ總選擧ヨリ之ヲ施行シ其ノ他ノ規定ノ
施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
次ノ總選擧ニ至ルマテノ間從前ノ第九條、第十二條、第十四條、第二十一
條、第二十三條乃至第二十五條、第三十條及第三十四條ノ規定ニ依リ難キ
事項ニ付テハ勅令ヲ以テ特別ノ規定ヲ設クルコトヲ得
大正十五年市制中改正法律又ハ町村制中改正法律中公民權ニ關スル規定ハ
之ヲ施行セサル市町村ニ於テハ府縣制中市町村公民ニ關スル規定ノ適用ニ
付之ヲ施行シタルモノト看做ス此ノ場合ニ於テ議員ノ選擧ニ必要ナル選擧
人名簿ニ關シテハ命令ヲ以テ特別ノ規定ヲ設クルコトヲ得
大正十五年市制中改正法律又ハ町村制中改正法律中公民權ニ關スル規定ハ
之ヲ施行シタル市町村ニ於テハ府縣制中市町村公民ニ關スル規定ノ適用ニ
付次ノ總選舉ニ至ルマテノ間未タ之ヲ施行セサルモノト看做ス
本法施行ノ際大正十四年法律第四十七號衆議院議員選擧法未タ施行セラレ
サル場合ニ於テハ本法ノ適用ニ付テハ同法ハ既ニ施行セラレタルモノト看
做ス
本法施行ノ際必要ナル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
市制中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
大正十五年三月十六日
衆議院議長粕谷義三
貴族院議長公爵德川家達殿
小字ハ衆議院ノ修正文、)
ハ同削除ノ符號ナリ
市制中左ノ通改正ス
第三條第二項中「內務大臣ノ許可ヲ得」ヲ削ル
第四條第二項中「前項ノ例」ヲ「前條第二項ノ例」三郎八
第七條第二項及第三項ヲ削ル
第九條帝國臣民タル年齡二十五年以上ノ男子ニシテ二年以來市住民タル
者ハ其ノ市公民トス但シ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ此ノ限ニ在ラス
一禁治產者及準禁治產者
二破產者ニシテ復權ヲ得サル者
三貧困ニ因リ生活ノ爲公私ノ救助ヲ受ケ又ハ扶助ヲ受クル者
四一定ノ住居ヲ有セサル者
五六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者
六刑法第二編第一章、第三章、第九章、第十六章乃至第二十一章、第
二十五章又ハ第三十六章乃至第三十九章ニ揭クル罪ヲ犯シ六年未滿ノ
懲役ノ刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至リ
タル後其ノ刑期ノ二倍ニ相當スル期間ヲ經過スルニ至ル迄ノ者但シ其
ノ期間五年ヨリ短キトキハ五年トス
七六年未滿ノ禁錮ノ刑ニ處セラレ又ハ前號ニ揭クル罪以外ノ罪ヲ犯シ
六年未滿ノ懲役ノ刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコト
ナキニ至ル迄ノ者
市ハ前項二年ノ制限ヲ特免スルコトヲ得
第一項二年ノ期間ハ市町村ノ廢置分合又ハ境界變更ノ爲中斷セラルルコ
トナシ
第十條第二項中「市ハ一年以上四年以下其ノ市公民權ヲ停止シ場合ニ依リ
其ノ停止期間以內其ノ者ノ負擔スヘキ市稅ノ十分ノ一以上四分ノ一以下ヲ
增課スルコトヲ得」ヲ「市ハ一年以上四年以下其ノ市公民權ヲ停止スルコ
トヲ得」ご依頼人
第十一條陸海軍軍人ニシテ現役中ノ者(未タ入營セサル者及歸休下士官
兵ヲ除ク)及戰時若ハ事變ニ際シ召集中ノ者ハ市ノ公務ニ參與スルコト
ヲ得ス兵籍ニ編入セラレタル學生生徒(勅令ヲ以テ定ムル者ヲ除ク)及
志願ニ依リ國民軍ニ編入セラレタル者亦同シ
第十四條中「第十一條第三項ノ場合ニ當ル者」ヲ「第十一條ノ規定ニ該當
スル者」ご依頼.
第十五條削除
第十六條第一項中「二級選擧ノ爲ノミニ付亦同シ」及同條第五項ヲ削ル
第十七條特別ノ事情アルトキハ市ハ區劃ヲ定メテ投票分會ヲ設クルコト
ヲ得
第十八條選擧權ヲ有スル市公民ハ被選擧權ヲ有ス
在職ノ檢事、警察官吏及收稅官吏ハ被選擧權ヲ有セス
選擧事務ニ關係アル官吏及市ノ有給吏員ハ其ノ關係區域内ニ於テ被選擧
權ヲ有セス
市ニ對シ請負ヲ爲シ又ハ市ニ於テ費用ヲ負擔スル事業ニ付市長若ハ其ノ
委任ヲ受ケタル者ニ對シ請負ヲ爲ス者及其ノ支配人又ハ主トシテ同一ノ
行爲ヲ爲ス法人ノ無限責任社員、取締役監査役若ハ之ニ準スヘキ者、〓
算人及支配人ハ其ノ市ニ於テ被選擧權ヲ有セス
市ノ有給ノ吏員〓員其ノ他ノ職員ニシテ在職中ノ者ハ其ノ市ノ市會議員
ト相兼ヌルコトヲ得ス
第十九條第二項中「總選擧ノ第一日」ヲ「總選擧ノ日」ニ、同條第三項ヲ
左ノ如ク改ム
議員ノ定數ニ異動ヲ生シタル爲解任ヲ要スル者アルトキハ市長抽籤シテ
之ヲ定ム但シ闕員アルトキハ其ノ關員ヲ以テ之ニ充ツヘシ
前項但書ノ場合ニ於テ闕員ノ數解任ヲ要スル者ノ數ニ滿チサルトキハ其
ノ不足ノ員數ニ付市長抽籖シテ解任スヘキ者ヲ定メ闕員ノ數解任ヲ要ス
ル者ノ數ヲ超ユルトキハ解任ヲ要スル者ニ充ツヘキ闕員ハ最モ先ニ闕員
ト爲リタル者ヨリ順次之ニ充テ闕員ト爲リタル時同シキトキハ市長抽籤
シテ之ヲ定ム
議員ノ定數ニ異動ヲ生シタル爲解任ヲ要スル者アル場合ニ於テ選擧區ア
ルトキハ第十六條ノ市條例中ニ其ノ解任ヲ要スル者ノ選擧區ヲ規定シ市
長抽籤シテ之ヲ定ム但シ解任ヲ要スル者ノ選舉區ニ闕員アリタルトキハ
其ノ闕員ヲ以テ之ニ充ツヘシ此ノ場合ニ於テハ前項ノ例ニ依ル
第二十條市會議員中闕員ヲ生シタルトキハ三月以內ニ補關選擧ヲ行フヘ
シ但シ第三十條第二項ノ規定ノ適用ヲ受ケタル得票者ニシテ當選者ト爲
ラサリシ者アルトキハ直ニ選擧會ヲ開キ其ノ者ノ中ニ就キ當選者ヲ定ム
ヘシ此ノ場合ニ於テハ第三十三條第三項及第四項ノ規定ヲ準用ス
第三十三條第五項及第六項ノ規定ハ補關選擧ニ之ヲ準用ス
補闕議員ハ其ノ前任者ノ殘任期間在任ス
選擧區アル場合ニ於テハ補闘議員ハ前任者ノ選舉セラレタル選擧區ニ於
テ之ヲ選擧スヘシ
第二十一條市長ハ每年九月十五日ノ現在ニ依リ選擧人名簿ヲ調製スヘシ
但シ選擧區アルトキハ選擧區每ニ之ヲ調製スヘシ
第六條ノ市ニ於テハ市長ハ區長ヲシテ前項ノ例ニ依リ選擧人名簿ヲ調製
セシムヘシ
選擧人名簿ニハ選擧人ノ氏名、住所及生年月日等ヲ記載スヘシ
第二十一條ノ二市長ハ十一月五日ヨリ十五日間市役所(第六條ノ市ニ於
テハ區役所)又ハ其ノ指定シタル場所ニ於テ選舉人名簿ヲ關係者ノ縱覽
ニ供スヘシ
市長ハ縱覽開始ノ日前三日目迄ニ縱覽ノ場所ヲ告示スヘシ
第二十一條ノ三選擧人名簿ニ關シ關係者ニ於テ異議アルトキハ縱覽期間
內ニ之ヲ市長(第六條ノ市ニ於テハ區長ヲ經テ)ニ申立ツルコトヲ得此
ノ場合ニ於テハ市長ハ縱覽期間滿了後三日以內ニ之ヲ市曾ノ決定ニ付ス
ヘシ市會ハ其ノ送付ヲ受ケタル日ヨリ十日以内ニ之ヲ決定スヘシ
前項ノ決定ニ不服アル者ハ府縣參事會ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第三項ノ裁
決ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項ノ決定及前項ノ裁決ニ付テハ市長ヨリモ訴願又ハ訴訟ヲ提起スル
コトヲ得
前二項ノ裁決ニ付テハ府縣知事ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第二十一條ノ四選擧人名簿ハ十二月二十五日ヲ以テ確定ス
選擧人名簿ハ次年ノ十二月二十四日迄之ヲ据置クヘシ
前條ノ場合ニ於テ決定若ハ裁決確定シ又ハ判決アリタルニ依リ名簿ノ修
正ヲ要スルトキハ市長ハ直ニ之ヲ修正シ第六條ノ市ニ於テハ區長ヲシテ
之ヲ修正セシムヘシ
選舉人名簿ヲ修正シタルトキハ市長ハ直ニ其ノ要領ヲ〓示シ第六條ノ市
ニ於テハ區長ヲシテ之ヲ告示セシムヘシ
投票分會ヲ設クルトキハ市長ハ確定名簿ニ依リ分會ノ區劃每ニ名簿ノ抄
本ヲ調製スヘシ第六條ノ市ニ於テハ區長ヲシテ之ヲ調製セシムヘシ
第二十一條ノ五第二十一條ノ三ノ場合ニ於テ決定若ハ裁決確定シ又ハ判
決アリタルニ依リ選擧人名簿無效ト爲リタルトキハ更ニ名簿ヲ調製スヘ
シ
天災事變等ノ爲必要アルトキハ更ニ名簿ヲ調製スヘシ
前二項ノ規定ニ依ル名簿ノ調製、縱覽、確定及異議申立ニ對スル市會ノ
決定ニ關スル期日及期間ハ府縣知事ノ定ムル所ニ依ル
市ノ廢置分合又ハ境界變更アリタル場合ニ於テ名簿ニ關シ其ノ分合其ノ
他必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十二條市長ハ選擧ノ期日前七日目(第三十九條ノ二ノ市ニ於テハ二
十日目)迄ニ選擧會場(投票分會場ヲ含ム以下之ニ同シ)、投票ノ日時及
選擧スヘキ議員數(選擧區アル場合ニ於テハ各選擧區ニ於テ選擧スヘキ
議員數)ヲ〓示スヘシ投票分會ヲ設クル場合ニ於テハ併セテ其ノ區劃ヲ
告示スヘシ
總選擧ニ於ケル各選擧區ノ投票ハ同日時ニ之ヲ行フ
投票分會ノ投票ハ選擧會ト同日時ニ之ヲ行フ
天災事變等ノ爲投票ヲ行フコト能ハサルトキ又ハ更ニ投票ヲ行フノ必要
アルトキハ市長ハ其ノ投票ヲ行フヘキ選擧會又ハ投票分會ノミニ付更ニ
期日ヲ定メ投票ヲ行ハシムヘシ此ノ場合ニ於テ選擧會場及投票ノ日時ハ
選擧ノ期日前五日目迄ニ之ヲ告示スヘシ
第二十三條第三項乃至第五項ヲ左ノ如ク改ム
市長(第六條ノ市ニ於テハ區長)ハ選擧人名簿ニ登錄セラレタル者ノ中
ヨリ二人乃至四人ノ選擧立會人ヲ選任スヘシ但シ選擧區アルトキハ各別
ニ選擧立會人ヲ設クヘシ
投票分會ハ市長ノ指名シタル吏員投票分會長ト爲リ之ヲ開閉シ其ノ取締
·莊仕入
市長(第六條ノ市ニ於テハ區長)ハ分會ノ區劃內ニ於ケル選擧人名簿ニ
登錄セラレタル者ノ中ヨリ二人乃至四人ノ投票立會人ヲ選任スヘシ
選擧立會人及投票立會人ハ名譽職トス
第二十四條中「分會長」ヲ「投票分會長」二段一、
第二十五條第五項ノ次ニ左ノ一項ヲ加ヘ同項但書ヲ削ル
投票ニ關スル記載ニ付テハ勅令ヲ以テ定ムル點字ハ之ヲ文字ト看做ス
同條第九項ヲ左ノ如ク改ム
投票分會ニ於テ爲シタル投票ハ投票分會長少クトモ一人ノ投票立會人ト
共ニ投票函ノ儘之ヲ選擧長ニ送致スヘシ
第二十五條ノ二確定名簿ニ登錄セラレサル者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ス但
シ選擧人名簿ニ登錄セラルヘキ確定裁決書又ハ判決書ヲ所持シ選擧ノ當
日選擧會場ニ到ル者ハ此ノ限ニ在ラス
確定名簿ニ登錄セラレタル者選擧人名簿ニ登錄セラルルコトヲ得サル者
ナルトキハ投票ヲ爲スコトヲ得ス選擧ノ當日選擧權ヲ有セサル者ナルト
キ亦同シ
第二十五條ノ三投票ノ拒否ハ選擧立會人又ハ投票立會人之ヲ決定ス可否
同數ナルトキハ選擧長又ハ投票分會長之ヲ決スヘシ
投票分會ニ於テ投票拒否ノ決定ヲ受ケタル選擧人不服アルトキハ投票分
會長ハ假ニ投票ヲ爲サシムヘシ
前項ノ投票ハ選擧人ヲシテ之ヲ封筒ニ入レ封緘シ表面ニ自ラ其ノ氏名ヲ
記載シ投函セシムヘシ
投票分會長又ハ投票立會人ニ於テ異議アル選擧人ニ對シテモ亦前二項ニ
同シ
第二十七條市長ハ豫メ開票ノ日時ヲ告示スヘシ
第二十七條ノ二選擧長ハ投票ノ日又ハ其ノ翌日(投票分會ヲ設ケタルト
キハ總テノ投票函ノ送致ヲ受ケタル日又ハ其ノ翌日)選擧立會人立會ノ
上投票函ヲ開キ投票ノ總數ト投票人ノ總數トヲ計算スヘシ
前項ノ計算終リタルトキハ選擧長ハ先ツ第二十五條ノ三第二項及第四項
ノ投票ヲ調查スヘシ其ノ投票ノ受理如何ハ選擧立會人之ヲ決定ス可否同
數ナルトキハ選擧長之ヲ決スヘシ
選擧長ハ選擧立會人ト共ニ投票ヲ點檢スヘシ
天災事變等ノ爲開票ヲ行フコト能ハサルトキハ市長ハ更ニ開票ノ期日ヲ
定ムヘシ此ノ場合ニ於テ選擧會場ノ變更ヲ要スルトキハ豫メ更ニ其ノ場
所ヲ告示スヘシ
第二十七條ノ三選擧人ハ其ノ選擧會ノ參觀ヲ求ムルコトヲ得但シ開票開
始前ハ此ノ限ニ在ラス
第二十七條ノ四特別ノ事情アルトキハ市ハ府縣知事ノ許可ヲ得區劃ヲ定
メテ開票分會ヲ設クルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ開票分會ヲ設クル場合ニ於テ必要ナル事項ハ命令ヲ以
テ之ヲ定ム
第二十八條第二項ヲ削ル
第二十九條第一項中「投票ノ拒否及效力」ヲ「投票ノ效力」ニ改メ同條第
二項ヲ削ル
第三十條第一項但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ議員ノ定數(選擧區アル場合ニ於テハ其ノ選擧區ノ配當議員數)ヲ
以テ有效投票ノ總數ヲ除シテ得タル數ノ六分ノ一以上ノ得票アルコトヲ
要ス
第三十條ノ二當選者選擧ノ期日後ニ於テ被選擧權ヲ有セサルニ至リタル
トキハ當選ヲ失フ
第三十一條選擧長ハ選擧錄ヲ作リ選擧會ニ關スル〓末ヲ記載シ之ヲ朗讀
シ二人以上ノ選擧立會人ト共ニ之ニ署名スヘシ
各選擧區ノ選擧長ハ選擧錄(第六條ノ市ニ於テハ其ノ寫)ヲ添へ當選者
ノ住所氏名ヲ市長ニ報告スヘシ
投票分會長ハ投票錄ヲ作リ投票ニ關スル〓末ヲ記載シ之ヲ朗讀シ二人以
上ノ投票立會人ト共ニ之ニ署名スヘシ
投票分會長ハ投票函ト同時ニ投票錄ヲ選擧長ニ送致スヘシ
選擧錄及投票錄ハ投票、選擧人名簿其ノ他ノ關係書類ト共ニ議員ノ任期
間市長(第六條ノ市ニ於テハ區長)ニ於テ之ヲ保存スヘシ
第三十二條第一項ヲ左ノ如ク改メ第三項中「數級又ハ」ヲ削リ同條第四項
中「第十八條第二項ニ揭ヶサル官吏」ヲ「官吏」三郎八
當選者定マリタルトキハ市長ハ直ニ當選者ニ當選ノ旨ヲ告知シ(第六條
ノ市ニ於テハ區長ヲシテ之ヲ告知セシメ)同時ニ當選者ノ住所氏名ヲ〓
示シ且選擧錄ノ寫(投票錄アルトキハ併セテ投票錄ノ寫)ヲ添へ之ヲ府
縣知事ニ報告スヘシ當選者ナキトキハ直ニ其ノ旨ヲ告示シ且選擧錄ノ寫
(投票錄アルトキハ併セテ投票錄ノ寫)ヲ添ヘ之ヲ府縣知事ニ報告スヘシ
同條ニ左ノ二項ヲ加フ
市ニ對シ請負ヲ爲シ又ハ市ニ於テ費用ヲ負擔スル事業ニ付市長若ハ其ノ委任ヲ受ケタル者ニ對
シ請負ヲ爲ス者若ハ其ノ支配人又ハ主トンテ同一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ無限責任社員、役員若ハ
支配人ニシテ當選シタル者ハ其ノ請負ヲ罷メ又ハ請負ヲ爲ス者ノ支配人若ハ主トシテ同一ノ行
爲ヲ爲ス法人ノ無限責任社員、役員若ハ支配人タルコトナキニ至ルニ非サレハ當選ニ應スルコ
トヲ得ス第二項又ハ第三項ノ期限前ニ其ノ旨ヲ市長ニ申立テサルトキハ其ノ當選ヲ辭シタルモ
ノト看做ス
前項ノ役員トハ取締役、監査役及之ニ準スヘキ者竝〓算人ヲ謂フ
第三十三條當選者左ニ揭クル事由ノ一ニ該當スルトキハ三月以內ニ更ニ
選擧ヲ行フヘシ但シ第二項ノ規定ニ依リ更ニ選擧ヲ行フコトナクシテ當
選者ヲ定メ得ル場合ハ此ノ限ニ在ラス
一當選ヲ辭シタルトキ
二數選擧區ニ於テ當選シタル場合ニ於テ前條第三項ノ規定ニ依リ一ノ
選擧區ノ當選ニ應シ又ハ抽籤ニ依リ一ノ選擊區ノ當選者ト定マリタル
爲他ノ選擧區ニ於テ當選者タラサルニ至リタルトキ
三第三十條ノ二ノ規定ニ依リ當選ヲ失ヒタルトキ
四死亡者ナルトキ
五選擧ニ關スル犯罪ニ依リ刑ニ處セラレ其ノ當選無效ト爲リタルトキ
但シ同一人ニ關シ前各號ノ事由ニ依ル選擧又ハ補闕選擧ノ〓示ヲ爲シ
タル場合ハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ事由前條第二項、第三項若ハ第五項ノ規定ニ依ル期限前ニ生シタ
ル場合ニ於テ第三十條第一項但書ノ得票者ニシテ當選者ト爲ラサリシ者
アルトキ又ハ其ノ期限經過後ニ生シタル場合ニ於テ第三十條第二項ノ規
定ノ適用ヲ受ケタル得票者ニシテ當選者ト爲ラサリシ者アルトキハ直ニ
選擧會ヲ開キ其ノ者ノ中ニ就キ當選者ヲ定ムヘシ
前項ノ場合ニ於テ第三十條第一項但書ノ得票者ニシテ當選者ト爲ラサリ
シ者選擧ノ期日後ニ於テ被選擧權ヲ有セサルニ至リタルトキハ之ヲ當選
者ト定ムルコトヲ得ス
第二項ノ場合ニ於テハ市長ハ豫メ選舉會ノ場所及日時ヲ告示スヘシ
第一項ノ期間ハ第三十六條第八項ノ規定ノ適用アル場合ニ於テハ選擧ヲ
行フコトヲ得サル事由已ミタル日ノ翌日ヨリ之ヲ起算ス
第一項ノ事由議員ノ任期滿了前六月以內ニ生シタルトキハ第一項ノ選擧
ハ之ヲ行ハス但シ議員ノ數其ノ定數ノ三分ノ二ニ滿チサルニ至リタルト
キハ此ノ限ニ在ラス
第三十四條第一項ヲ削リ同條ニ左ノ一項ヲ加フ
當選者ナキニ至リタルトキ又ハ當選者其ノ選擧ニ於ケル議員ノ定數ニ達
セサルニ至リタルトキハ市長ハ直ニ其ノ旨ヲ告示シ併セテ之ヲ府縣知事
ニ報〓スヘシ
第三十五條ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ當選ニ異動ヲ生スルノ虞ナキ者ヲ區分シ得ルトキハ其ノ者ニ限リ當
選ヲ失フコトナシ
第三十六條第一項中「第三十四條第二項」ヲ「第三十二條第一項又ハ第三
十四條第二項」ニ、同條第三項中「第三十四條第一項」ヲ「第三十二條第
一 一ニ、「同條第二項」ヲ「第三十二條第一項又ハ第三十四條第二項」ニ、
同條第八項中「第三十七條第三項」ヲ「第三十七條第一項若ハ第三項」ニ
改ム
第三十七條選擧無效ト確定シタルトキハ三月以內ニ更ニ選擧ヲ行フヘ
シ
當選無效ト確定シタルトキハ直ニ選擧會ヲ開キ更ニ當選者ヲ定ムヘシ此
ノ場合ニ於テハ第三十三條第三項及第四項ノ規定ヲ準用ス
當選者ナキトキ、當選者ナキニ至リタルトキ又ハ當選者其ノ選擧ニ於ケ
ル議員ノ定數ニ達セサルトキ若ハ定數ニ達セサルニ至リタルトキハ三月
以內ニ更ニ選擧ヲ行フヘシ
第三十三條第五項及第六項ノ規定ハ第一項及前項ノ選擧ニ之ヲ準用ス
ヲ左ノ如ク改メ第二項中「被選擧權ヲ有セサル者」ノ下ニ「又ハ第三十二
第三十八條第一項中左ノ如ク改ム
條第六項ニ揭クル者」ヲ加フ
仁破產者ト爲リタルトキ
市會議員被選擧權ヲ有セサル者ナルトキ又ハ第三十二條第六項ニ揭クル者ナルトキハ其ノ職ヲ
失フ其ノ被選擧權ノ有無又ハ第三十二條第六項ニ揭クル者ニ該當スルヤ否ハ市會議員カ左ノ各
號ノ一ニ該當スルニ因リ被選擧權ヲ有セサル場合ヲ除クノ外市會之ヲ決定ス
一禁治產者又ハ準禁治產者ト爲リタルトキ
二破產者ト爲リタル時
三禁錮以上ノ刑ニ處セラレタルトキ
四選擧ニ關スル犯罪ニ依リ罰金ノ刑ニ處セラレタルトキ
第三十九條中「第二十一條」ヲ「第二十一條ノ三」ご依頼
第三十九條ノ二勅令ヲ以テ指定スル市(第六條ノ市ノ區ヲ含ム)ノ市會
議員(又ハ區會議員)ノ選擧ニ付テハ府縣制第十三條ノ二、第十三條ノ
三、第二十九條ノ三及第三十四條ノ二ノ規定ヲ準用ス此ノ場合ニ於テハ
第二十三條第三項及第五項、第二十五條第五項及第七項、第二十五條ノ
三、第二十八條、第二十九條、第三十三條第一項竝第三十六條第一項ノ
規定ニ拘ラス勅令ヲ以テ特別ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第三十九條ノ三前條ノ規定ニ依ル選擧ニ付テハ衆議院議員選擧法第十章
及第十一章竝第百四十條第二項及第百四十二條ノ規定ヲ準用ス但シ議員
候補者一人ニ付定ムヘキ選擧事務所ノ數、選擧委員及選擧事務員ノ數竝
選擧運動ノ費用ノ額ニ關シテハ勅令ノ定ムル所ニ依ル
前條ノ規定ニ依ル選擧ヲ除クノ外市會議員(又ハ第六條ノ市ノ區ノ區會
議員)ノ選擧ニ付テハ衆議院議員選擧法第九十一條、第九十二條、第九
十八條、第九十九條第二項、第百條及第百四十二條ノ規定ヲ準用ス
第四十九條中「年長ノ議員議長ノ職務ヲ代理ス年齡同シキトキハ抽籤ヲ以
テ之ヲ定ム」ヲ「臨時ニ議員中ヨリ假議長ヲ選擧スヘシ」ニ改メ同條ニ
左ノ一項ヲ加フ
前項假議長ノ選擧ニ付テハ年長ノ議員議長ノ職務ヲ代理ス年齡同シキト
キハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
第五十一條第三項中「開會ノ日ヨリ少クトモ三日前」ヲ「開會ノ日前三日
目迄」二、同條第四項中「三日前迄」ヲ「會議ニ付スル日前三日目迄」ニ
改ム
第五十三條ニ左ノ一項ヲ加フ
議長ハ其ノ職務ヲ行フ場合ニ於テモ之カ爲議員トシテ議決ニ加ハルノ權
ヲ失ハス
第五十五條ニ左ノ二項ヲ加フ
連名投票ノ法ヲ用ウル場合ニ於テ其ノ投票ニシテ第二十八條第一號、第
六號及第七號ニ該當スルモノ竝其ノ記載ノ人員選擧スヘキ定數ニ過キタ
ルモノハ之ヲ無效トシ同條第二號、第四號及第五號ニ該當スルモノハ其
ノ部分ノミヲ無效トス
連名投票ノ法ヲ用ウル場合ニ於テ過半數ノ投票ヲ得タル者選擧スヘキ定
數ヲ超ユルトキハ最多數ヲ得タル者ヨリ順次選擧スヘキ定數ニ至ル迄ノ
者ヲ以テ當選者トシ同數者アルトキハ年長者ヲ取リ年齡同シキトキハ議
長抽籤シテ之ヲ定ム
第六十三條第二項中「三日以內出席ヲ停止シ又ハ二圓以下ノ過怠金ヲ科ス
ル規定ヲ設クルコトヲ得」ヲ「五日以內出席ヲ停止スル規定ヲ設クルコト
ヲ得」二四八
第六十五條第四項ヲ左ノ如ク改ム
名譽職參事會員ハ隔年之ヲ選擧スヘシ
名譽職參事會員ハ後任者ノ就任スルニ至ル迄在任ス市會議員ノ任期滿了
シタルトキ亦同シ
同條ニ左ノ一項ヲ加フ
名譽職參事會員ハ其ノ選擧ニ關シ第九十條ノ處分確定シ又ハ判決アル迄
ハ會議ニ列席シ議事ニ參與スルノ權ヲ失ハス
第六十七條中左ノ如ク改ム
二削除
第七十三條第二項及第三項ヲ左ノ如ク改ム
市長ハ市會ニ於テ之ヲ選擧ス
市長ハ其ノ退職セムトスル日前三十日目迄ニ申立ツルニ非サレハ任期中退職スルコトヲ得ス但
シ市會ノ承認ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在ラス
第七十四條第二項ヲ左ノ如ク改ム
市參與ハ市長ノ推薦ニ依リ市會之ヲ定ム
第七十五條第二項中「選擧シ府縣知事ノ認可ヲ受クヘシ」ヲ「選擧ス」ニ
改メ同條第三項ヲ削リ第四項ヲ左ノ如ク改ム
第七十三條第三項ノ規定ハ助役ニ之ヲ準用ス
助役ハ其ノ迫職セムトスル日間三十日目迄ニ申立ツルニ非サレニ任
退職スルコトヲ得ス但シ市會ノ承認ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在ラス
四
第七十七條市長市參與及助役ハ第十八條第二項又ハ第五項ニ揚ケタル職
ト兼ヌルコトヲ得ス又其ノ市ニ對シ請負ヲ爲シ又ハ其市ニ於テ費用ヲ負
擔スル事業ニ付市長若ハ其ノ委任ヲ受ケタル者ニ對シ請負ヲ爲ス者及其
ノ支配人又ハ主トシテ同一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ無限責任社員、取締役監
査役若ハ之ニ準スヘキ者、〓算人及支配人タルコトヲ得ス
第七十八條第一項中「有給市參與及助役」ヲ削ル
第七十九條第二項ヲ左ノ如ク改ム
第七十五條第一項及第二項、第七十六條、第七十七條竝前條第二項ノ規
定ハ收入役及副收入役ニ之ヲ準用ス
第八十條第二項中「第七十八條」ヲ「第七十八條第二項」三段人,
第八十二條第二項ヲ左ノ如ク改ム
前項ノ區長及其ノ代理者ハ名譽職トス市公民中選擧權ヲ有スル者ヨリ市
長ノ推薦ニ依リ市會之ヲ定ム
第八十三條第二項中「市會ニ於テ市會議員、名譽職參事會員又ハ市公民中
選擧權ヲ有スル者ヨリ之ヲ選擧ス」ヲ「市會議員、名譽職參事會員又ハ市
公民中選擧權ヲ有スル者ヨリ市長ノ推薦ニ依リ市會之ヲ定ム」ニ改メ同條
第三項中「常設」ヲ削ル
第八十四條第一項ヲ左ノ如ク改ム
市公民ニ限リテ擔任スヘキ職務ニ在ル吏員又ハ職ニ就キタルカ爲市公民
タル者選擧權ヲ有セサルニ至リタルトキハ其ノ職ヲ失フ
第八十八條削除
第九十二條ノ二市參事會ノ權限ニ屬スル事項ノ一部ハ其ノ議決ニ依リ市
長ニ於テ專決處分スルコトヲ得
第九十四條第一項中「府縣知事ノ許可ヲ得テ」ヲ削ル
第九十七條第三項中「府縣知事ノ許可ヲ得テ」ヲ削リ同條第五項ヲ左ノ如
ク改ム
副收入役ヲ置カサル場合ニ於テハ市會ハ市長ノ推薦ニ依リ收入役故障ア
ルトキ之ヲ代理スヘキ吏員ヲ定ムヘシ
第百七條第二項中「前項ノ異議ハ」ヲ「前項ノ異議ノ申立アリタルトキハ
市長ハ七日以內ニ」三八人
第百二十一條ノ二市ハ公益上其ノ他ノ事由ニ因リ課稅ヲ不適當トスル場
合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ市稅ヲ課セサルコトヲ得
第百二十九條第一項中「其ノ條例中ニハ五圓以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設
クルコトヲ得」ヲ削リ同條第二項ヲ左ノ如ク改ム
詐僞其ノ他ノ不正ノ行爲ニ依リ使用料ノ徵收ヲ免レ又ハ市稅ヲ通脫シタ
ル者ニ付テハ市條例ヲ以テ其ノ徵收ヲ免レ又ハ逋脫シタル金額ノ三倍ニ
相當スル金額(其ノ金額五圓未滿ナルトキハ五圓)以下ノ過料ヲ科スル
規定ヲ設クルコトヲ得
前項ニ定ムルモノヲ除クノ外使用料、手數料及市稅ノ賦課徵收ニ關シテ
ハ市條例ヲ以テ五圓以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クルコトヲ得財產又ハ
營造物ノ使用ニ關シ亦同シ
第百三十條第三項中「前二項ノ異議ハ」ヲ「前二項ノ異議ノ申立アリタル
トキハ市長ハ七日以內ニ」ご飯く
第百三十一條第六項中「前三項ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルト
キハ」ヲ「前三項ノ處分ニ不服アル者ハ」ニ改ム
第百四十二條第一項中「六月三十日」ヲ「五月三十一日」ニ改メ同條第四
項ヲ削ル
第百四十六條第三項ヲ削ル
第百四十九條第二項、第百五十條第二項、第百五十一條第二項及第百五十
三條第二項中「內務大臣ノ許可ヲ得」ヲ削ル
第百五十四條第一項中「府縣知事ノ許可ヲ受クヘシ」ヲ「之ヲ定ム」ニ改
メ同條第二項中「內務大臣ノ許可ヲ得」ヲ削ル
第百五十五條第一項中「前條第一項」ヲ「前條第二項」二、同條第三項中
「前項ノ異議ハ」ヲ「前項ノ異議ノ申立アリタルトキハ組合ノ管理者ハ七日
以內ニ」三郎人
第百六十條第二項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
決定書又ハ裁決書ノ交付ヲ受ケサル者ニ關シテハ前二項ノ期間ハ告示ノ
日ヨリ之ヲ起算ス
第百六十條ノ二異議ノ決定ハ本法中別ニ期間ヲ定メタルモノヲ除クノ外
其ノ決定ニ付セラレタル日ヨリ三月以內ニ之ヲ爲スヘシ
府縣參事會訴願ヲ受理シタルトキハ其ノ日ヨリ三月以內ニ之ヲ裁決スヘ
シ
第百六十五條市條例ヲ設ケ又ハ改正セムトスルトキハ內務大臣ノ許可ヲ
受クヘシ
第百六十六條第四號中「手數料及加入金」ヲ削ル
第百六十七條中左ノ如ク改ム
-市條例ヲ廢止スル事
二基本財產及特別基本財產ノ處分ニ關スル事
五手數料及加入金ヲ新設シ增額シ又ハ變更スル事
第百七十七條ノ二本法中官吏ニ關スル規定ハ待遇官吏ニ之ヲ適用ス
附則
本法中公民權及議員選擧ニ關スル規定ハ次ノ總選擧ヨリ之ヲ施行シ其ノ他
ノ規定ノ施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ニ依リ初テ議員ヲ選擧スル場合ニ於テ必要ナル選擧人名簿ニ關シ第二
十一條乃至第二十一條ノ五ニ規定スル期日又ハ期間ニ依リ難キトキハ命令
ヲ以テ別ニ其ノ期日又ハ期間ヲ定ム但シ其ノ選擧人名簿ハ次ノ選舉人名簿
確定迄其ノ效力ヲ有ス
本法施行ノ際大正十四年法律第四十七號衆議院議員選擧法又ハ大正十五年
府縣制中改正法律未タ施行セラレサル場合ニ於テハ本法ノ適用ニ付テハ同
法ハ既ニ施行セラレタルモノト看做ス
本法施行ノ際必要ナル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
町村制中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
大正十五年三月十六日
衆議院議長粕谷義三
貴族院議長公爵德川家達殿
小字ハ衆議院ノ修正文、)
ハ同削除ノ符號ナリ
町村制中左ノ通改正ス
第三條第二項ヲ左ノ如ク改ム
前項ノ場合ニ於テ財產アルトキハ其ノ處分ハ關係アル市町村會ノ意見ヲ
徵シ府縣參事會ノ議決ヲ經テ府縣知事之ヲ定ム
第五條町村ノ名稱ヲ變更セムトスルトキ、村ヲ町ト爲シ若ハ町ヲ村ト爲
サムトスルトキ又ハ町村役場ノ位置ヲ定メ若ハ之ヲ變更セムトスルトキ
ハ町村ハ府縣知事ノ許可ヲ受クヘシ
第七條帝國臣民タル年齡二十五年以上ノ男子ニシテ二年以來町村住民タ
ル者ハ其ノ町村公民トス但シ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ此ノ限ニ在ラ
ス
一禁治產者及準禁治產者
二破產者ニシテ復權ヲ得サル者
三貧困ニ因リ生活ノ爲公私ノ救助ヲ受ケ又ハ扶助ヲ受クル者
四一定ノ住居ヲ有セサル者
五六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者
六刑法第二編第一章、第三章、第九章、第十六章乃至第二十一章、第
二十五章又ハ第三十六章乃至第三十九章ニ揭クル罪ヲ犯シ六年未滿ノ
懲役ノ刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至リ
タル後其ノ刑期ノ二倍ニ相當スル期間ヲ經過スルニ至ル迄ノ者但シ其
ノ期間五年ヨリ短キトキハ五年トス
七六年未滿ノ禁錮ノ刑ニ處セラレ又ハ前號ニ揭クル罪以外ノ罪ヲ犯シ
六年未滿ノ懲役ノ刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコト
ナキニ至ル迄ノ者
町村ハ前項二年ノ制限ヲ特免スルコトヲ得
第一項二年ノ期間ハ市町村ノ廢置分合又ハ境界變更ノ爲中斷セラルルコ
トナシ
第八條第二項中「町村ハ一年以上四年以下其ノ町村公民權ヲ停止シ場合ニ
依リ其ノ停止期間以內其ノ者ノ負擔スヘキ町村稅ノ十分ノ一以上四分ノ
以下ヲ增課スルコトヲ得」ヲ「町村ハ一年以上四年以下其ノ町村公民權ヲ
停止スルコトヲ得」二段一、
第九條陸海軍軍人ニシテ現役中ノ者(未タ入營セサル者及歸休下士官兵
ヲ除ク)及戰時若ハ事變ニ際シ召集中ノ者ハ町村ノ公務ニ參與スルコト
ヲ得ス兵籍ニ編入セラレタル學生生徒(勅令ヲ以テ定ムル者ヲ除ク)及
志願ニ依リ國民軍ニ編入セラレタル者亦同シ
第二項中左ノ如ク改ム
第十一條第四項中「內務大臣」ヲ「府縣知事」ニ改ム
一削除
二人口五千未滿ノ町村十二人
同條第四項中「內務大臣」ヲ「府縣知事」三枚人
第十二條中「第九條第三項ノ場合ニ當ル者」ヲ「第九條ノ規定ニ該當スル
者」ご飯 人
第十三條削除
第十四條特別ノ事情アルトキハ町村ハ區劃ヲ定メテ投票分會ヲ設クルコ
トヲ得
第十五條選擧權ヲ有スル町村公民ハ被選擧權ヲ有ス
在職ノ檢事、警察官吏及收稅官吏ハ被選擧權ヲ有セス
選擧事務ニ關係アル官吏及町村ノ有給吏員ハ其ノ關係區域内ニ於テ被選
舉權ヲ有セス
町村ニ對シ請負ヲ爲シ又ハ町村ニ於テ費用ヲ負擔スル事業ニ付町村長若
ハ其ノ委任ヲ受ケタル者ニ對シ請負ヲ爲ス者及其ノ支配人又ハ主トシテ
同一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ無限責任社員、取締役監査役若ハ之ニ準スヘキ
者、〓算人及支配人ハ其ノ町村ニ於テ被選擧權ヲ有セス
町村ノ有給ノ吏員〓員其ノ他ノ職員ニシテ在職中ノ者ハ其ノ町村ノ町村
會議員ト相兼ヌルコトヲ得ス
第十六條第三項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
前項但書ノ場合ニ於テ關員ノ數解任ヲ要スル者ノ數ニ滿チサルトキハ其
ノ不足ノ員數ニ付町村長抽籤シテ解任スヘキ者ヲ定メ闕員ノ數解任ヲ要
スル者ノ數ヲ超ユルトキハ解任ヲ要スル者ニ充ツヘキ闕員ハ最モ先ニ闕
員ト爲リタル者ヨリ順次之ニ充テ關員ト爲リタル時同シキトキハ町村長
抽籤シテ之ヲ定ム
第十七條町村會議員中闕員ヲ生シタルトキハ三月以內ニ補闕選擧ヲ行フ
ヘシ但シ第二十七條第二項ノ規定ノ適用ヲ受ケタル得票者ニシテ當選者
ト爲ラサリシ者アルトキハ直ニ選擧會ヲ開キ其ノ者ノ中ニ就キ當選者ヲ
定ムヘシ此ノ場合ニ於テハ第三十條第三項及第四項ノ規定ヲ準用ス
第三十條第五項及第六項ノ規定ハ補關選舉ニ之ヲ準用ス
補闕議員ハ其ノ前任者ノ殘任期間在任ス
第十八條町村長ハ每年九月十五日ノ現在ニ依リ選擧人名簿ヲ調製スへ
シ
選舉人名簿ニハ選擧人ノ氏名、住所及生年月日等ヲ記載スヘシ
第十八條ノ二町村長ハ十一月五日ヨリ十五日間町村役場又ハ其ノ指定シ
タル場所ニ於テ選舉人名簿ヲ關係者ノ縱覽ニ供スヘシ
町村長ハ縱覽開始ノ日前三日目迄ニ縱覽ノ場所ヲ告示スヘシ
第十八條ノ三選擧人名簿ニ關シ關係者ニ於テ異議アルトキハ縱覽期間內
ニ之ヲ町村長ニ申立ツルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ町村長ハ縱覽期間滿
了後三日以內ニ之ヲ町村會ノ決定ニ付スヘシ
町村會ハ其ノ送付ヲ受ケタル日ヨリ十日以內ニ之ヲ決定スヘシ
前項ノ決定ニ不服アル者ハ府縣參事會ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第三項ノ裁
決ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項ノ決定及前項ノ裁決ニ付テハ町村長ヨリモ訴願又ハ訴訟ヲ提起ス
ルコトヲ得
前二項ノ裁決ニ付テハ府縣知事ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第十八條ノ四選擧人名簿ハ十二月二十五日ヲ以テ確定ス
選擧人名簿ハ次年ノ十二月二十四日迄之ヲ据置クヘシ
前條ノ場合ニ於テ決定若ハ裁決確定シ又ハ判決アリタルニ依リ名簿ノ修
正ヲ要スルトキハ町村長ハ直ニ之ヲ修正スヘシ
選擧人名簿ヲ修正シタルトキハ町村長ハ直ニ其ノ要領ヲ〓示スヘシ
投票分會ヲ設クルトキハ町村長ハ確定名簿ニ依リ分會ノ區劃每ニ名簿ノ
抄本ヲ調製スヘシ
第十八條ノ五第十八條ノ三ノ場合ニ於テ決定若ハ裁決確定シ又ハ判決ア
リタルニ依リ選舉人名簿無效ト爲リタルトキハ更ニ名簿ヲ調製スヘシ
天災事變等ノ爲必要アルトキハ更ニ名簿ヲ調製スヘシ
前二項ノ規定ニ依ル名簿ノ調製、縱覽、確定及異議申立ニ對スル町村會
ノ決定ニ關スル期日及期間ハ府縣知事ノ定ムル所ニ依ル
町村ノ廢置分合又ハ境界變更アリタル場合ニ於テ名簿ニ關シ其ノ分合其
ノ他必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十九條町村長ハ選擧ノ期日前七日目迄ニ選舉會場(投票分會場ヲ含ム
以下之ニ同シ)投票ノ日時及選擧スヘキ議員數ヲ〓示スヘシ投票分會ヲ
設クル場合ニ於テハ併セテ其ノ區劃ヲ〓示スヘシ
投票分會ノ投票ハ選擧會ト同日時ニ之ヲ行フ
天災事變等ノ爲投票ヲ行フコト能ハサルトキ又ハ更ニ投票ヲ行フノ必要
アルトキハ町村長ハ其ノ投票ヲ行フヘキ選擧會又ハ投票分會ノミニ付更
ニ期日ヲ定メ投票ヲ行ハシムヘシ此ノ場合ニ於テ選擧會場及投票ノ日時
ハ選擧ノ期日前五日目迄ニ之ヲ告示スヘシ
第二十條第二項乃至第四項ヲ左ノ如ク改ム
町村長ハ選擧人名簿ニ登錄セラレタル者ノ中ヨリ二人乃至四人ノ選擧立
會人ヲ選任スヘシ
投票分會ハ町村長ノ指名シタル吏員投票分會長ト爲リ之ヲ開閉シ其ノ取
締ニ任ス
町村長ハ分會ノ區劃內ニ於ケル選擧人名簿ニ登錄セラレタル者ノ中ヨリ
二人乃至四人ノ投票立會人ヲ選任スヘシ
選擧立會人及投票立會人ハ名譽職トス
第二十一條中「分會長」ヲ「投票分會長」ニ改ム
第二十二條第五項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
投票ニ關スル記載ニ付テハ勅令ヲ以テ定ムル點字ハ之ヲ文字ト看做ス
同條第八項ヲ左ノ如ク改ム
投票分會ニ於テ爲シタル投票ハ投票分會長少クトモ一人ノ投票立會人ト
共ニ投票函ノ儘之ヲ選擧長ニ送致スヘシ
第二十二條ノ二確定名簿ニ登錄セラレサル者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ス但
シ選擧人名簿ニ登錄セラルヘキ確定裁決書又ハ判決書ヲ所持シ選擧ノ當
日選擧會場ニ到ル者ハ此ノ限ニ在ラス
確定名簿ニ登錄セラレタル者選擧人名簿ニ登錄セラルルコトヲ得サル者
ナルトキハ投票ヲ爲スコトヲ得ス選擧ノ當日選擧權ヲ有セサル者ナルト
キ亦同シ
第二十二條ノ三投票ノ拒否ハ選擧立會人又ハ投票立會人之ヲ決定ス可否
同數ナルトキハ選擧長又ハ投票分會長之ヲ決スヘシ
投票分會ニ於テ投票拒否ノ決定ヲ受ケタル選舉人不服アルトキハ投票分
會長ハ假ニ投票ヲ爲サシムヘシ
前項ノ投票ハ選擧人ヲシテ之ヲ封筒ニ入レ封緘シ表面ニ自ラ其ノ氏名ヲ
記載シ投函セシムヘシ
投票分會長又ハ投票立會人ニ於テ異議アル選舉人ニ對シテモ亦前二項ニ
同シ
第二十四條町村長ハ豫メ開票ノ日時ヲ告示スヘシ
第二十四條ノ二選擧長ハ投票ノ日又ハ其ノ翌日(投票分會ヲ設ケタルト
キハ總テノ投票函ノ送致ヲ受ケタル日又ハ其ノ翌日)選擧立會人立會ノ
上投票函ヲ開キ投票ノ總數ト投票人ノ總數トヲ計算スヘシ
前項ノ計算終リタルトキハ選擧長ハ先ツ第二十二條ノ三第二項及第四項
ノ投票ヲ調查スヘシ其ノ投票ノ受理如何ハ選擧立會人之ヲ決定ス可否同
數ナルトキハ選擧長之ヲ決スヘシ
選擧長ハ選擧立會人ト共ニ投票ヲ點檢スヘシ
天災事變等ノ爲開票ヲ行フコト能ハサルトキハ町村長ハ更ニ開票ノ期日
ヲ定ムヘシ此ノ場合ニ於テ選擧會場ノ變更ヲ要スルトキハ豫メ更ニ其ノ
場所ヲ〓示スヘシ
第二十四條ノ三選舉人ハ其ノ選擧會ノ參觀ヲ求ムルコトヲ得但シ開票開
始前ハ此ノ限ニ在ラス
第二十四條ノ四特別ノ事情アルトキハ町村ハ府縣知事ノ許可ヲ得區劃ヲ
定メテ開票分會ヲ設クルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ開票分會ヲ設クル場合ニ於テ必要ナル事項ハ命令ヲ以
テ之ヲ定ム
第二十六條第一項中「投票ノ拒否及效力」ヲ「投票ノ效力」ニ改メ同條第二項
ヲ削ル
第二十七條第一項但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ議員ノ定數ヲ以テ有效投票ノ總數ヲ除シテ得タル數ノ六分ノ一以上
ノ得票アルコトヲ要ス
第二十七條ノ二當選者選擧ノ期日後ニ於テ被選擧權ヲ有セサルニ至リタ
ルトキハ當選ヲ失フ
第二十八條選擧長ハ選擧錄ヲ作リ選擧會ニ關スル〓末ヲ記載シ之ヲ朗讀
シ二人以上ノ選擧立會人ト共ニ之ニ署名スヘシ
投票分會長ハ投票錄ヲ作リ投票ニ關スル〓末ヲ記載シ之ヲ朗讀シ二人以
上ノ投票立會人ト共ニ之ニ署名スヘシ
投票分會長ハ投票函ト同時ニ投票錄ヲ選擧長ニ送致スヘシ
選擧錄及投票錄ハ投票、選擧人名簿其ノ他ノ關係書類ト共ニ議員ノ任期
間町村長ニ於テ之ヲ保存スヘシ
第二十九條第一項ヲ左ノ如ク、第三項中「第十五條第二項ニ揭ケサル官吏」
ヲ「官吏」ニ改ム
當選者定マリタルトキハ町村長ハ直ニ當選者ニ當選ノ旨ヲ告知シ同時ニ
當選者ノ住所氏名ヲ告示シ且選擧錄ノ寫(投票錄アルトキハ併セテ投票
錄ノ寫)ヲ添ヘ之ヲ府縣知事ニ報告スヘシ當選者ナキトキハ直ニ其ノ旨
ヲ告示シ且選擧錄ノ寫(投票錄アルトキハ併セテ投票錄ノ寫)ヲ添へ之
ヲ府縣知事ニ報告スヘシ
同條ニ左ノ二項ヲ加フ
町村ニ對シ請負ヲ爲シ又ハ町村ニ於テ費用ヲ負擔スル事業ニ付町村長若ハ其ノ委任ヲ受ケタル
者ニ對シ請負ヲ爲ス者若ハ其ノ支配人又ハ主トシテ同一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ無限責任社員、役
員若ハ支配人ニシテ當選シタル者ハ其ノ請負ヲ罷メ又ハ請負ヲ爲ス者ノ支配人若ハ主トシテ同
一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ無限責任社員、役員若ハ支配人タルコトナキニ至ルニ非サレハ當選ニ應
スルコトヲ得ス第二項ノ期限前ニ其ノ旨ヲ町村長ニ申立テサルトキハ其ノ當選ヲ辭シタルモノ
ト看做ス
前項ノ役員トハ取締役監査役及之ニ準スヘキ者竝〓算人ヲ謂フ
第三十條當選者左ニ揭クル事由ノ一ニ該當スルトキハ三月以內ニ更ニ選
擧ヲ行フヘシ但シ第二項ノ規定ニ依リ更ニ選擧ヲ行フコトナクシテ當選
者ヲ定メ得ル場合ハ此ノ限ニ在ラス
一當選ヲ辭シタルトキ
二第二十七條ノ二ノ規定ニ依リ當選ヲ失ヒタルトキ
三死亡者ナルトキ
四選擧ニ關スル犯罪ニ依リ刑ニ處セラレ其ノ當選無效ト爲リタルトキ
但シ同一人ニ關シ前各號ノ事由ニ依ル選擧又ハ補闕選擧ノ告示ヲ爲シ
タル場合ハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ事由前條第二項若ハ第四項ノ規定ニ依ル期限前ニ生シタル場合ニ
於テ第二十七條第一項但書ノ得票者ニシテ當選者ト爲ラサリシ者アルト
キ又ハ其ノ期限經過後ニ生シタル場合ニ於テ第二十七條第二項ノ規定ノ
適用ヲ受ケタル得票者ニシテ當選者ト爲ラサリシ者アルトキハ直ニ選擧
會ヲ開キ其ノ者ノ中ニ就キ當選者ヲ定ムヘシ
前項ノ場合ニ於テ第二十七條第一項但書ノ得票者ニシテ當選者ト爲ラサ
リシ者選擧ノ期日後ニ於テ被選擧權ヲ有セサルニ至リタルトキハ之ヲ當
選者ト定ムルコトヲ得ス
第二項ノ場合ニ於テハ町村長ハ豫メ選擧會ノ場所及日時ヲ告示スヘシ
第一項ノ期間ハ第三十三條第八項ノ規定ノ適用アル場合ニ於テハ選擧ヲ
行フコトヲ得サル事由已ミタル日ノ翌日ヨリ之ヲ起算ス
第一頂ノ事由議員ノ任期滿了前六月以內ニ生シタルトキハ第一項ノ選擧
ハ之ヲ行ハス但シ議員ノ數其ノ定數ノ三分ノ二ニ滿チサルニ至リタルト
キハ此ノ限ニ在ラス
第三十一條第一項ヲ削リ第二項中「郡長」ヲ「府縣知事」ニ改メ同條ニ左ノ一
項ヲ加フ
當選者ナキニ至リタルトキ又ハ當選者其ノ選擧ニ於ケル議員ノ定數ニ達
セサルニ至リタルトキハ町村長ハ直ニ其ノ旨ヲ〓示シ併セテ之ヲ府縣知
事ニ報〓スヘシ
第三十二條ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ當選ニ異動ヲ生スルノ虞ナキ者ヲ區分シ得ルトキハ其ノ者ニ限リ當
選ヲ失フコトナシ
第三十三條第一項中「第三十一條第二項」ヲ「第二十九條第一項又ハ第三十
一條第二項」ニ、同條第三項ヲ左ノ如ク改ム
府縣知事ハ選擧又ハ當選ノ效力ニ關シ異議アルトキハ選擧ニ關シテハ第
二十九條第一項ノ報告ヲ受ケタル日ヨリ、當選ニ關シテハ第二十九條第
一項又ハ第三十一條第二項ノ報告ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ之ヲ府
縣參事會ノ決定ニ付スルコトヲ得
同條第四項中「處分」ヲ「決定」ニ、同條第五項乃至第七項ヲ左ノ如ク、第八
項中「第三十四條第三項」ヲ「第三十四條第一項若ハ第三項」ニ改メ同條第九
項中「處分、」ヲ削ル
第二項若ハ第六項ノ裁決又ハ第三項ノ決定ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ
出訴スルコトヲ得
第一項ノ決定ニ付テハ町村長ヨリモ訴願ヲ提起スルコトヲ得
第二項若ハ前項ノ裁決又ハ第三項ノ決定ニ付テハ府縣知事又ハ町村長ヨ
リモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第三十四條選擧無效ト確定シタルトキハ三月以內ニ更ニ選擧ヲ行フヘ
シ
當選無效ト確定シタルトキハ直ニ選擧會ヲ開キ更ニ當選者ヲ定ムヘシ此
ノ場合ニ於テハ第三十條第三項及第四項ノ規定ヲ準用ス
當選者ナキトキ、當選者ナキニ至リタルトキ又ハ當選者其ノ選擧ニ於ケ
ル議員ノ定數ニ達セサルトキ若ハ定數ニ達セサルニ至リタルトキハ三月
以內ニ更ニ選擧ヲ行フヘシ
第三十條第五項及第六項ノ規定ハ第一項及前項ノ選擧ニ之ヲ準用ス
ヲ左ノ如ク改メ第二項中「被選擧權ヲ有セサル者」ノ下ニ「又ハ第二十九條
第三十五條第一項中左ノ如ク改ム
第五項ニ揭クル者」ヲ加フ
町村會議員被選擧權ヲ有セサル者ナルトキ又ハ第二十九條第五項ニ揭クル者ナルトキハ其ノ職
二破產者トナリタルトキ
ヲ失フ其ノ被選擧權ノ有無又ハ第二十九條第五項ニ揭クル者ニ該當スルヤ否ハ町村會議員カ左
ノ各號ノ一ニ該當スルニ因リ被選擧權ヲ有セサル場合ヲ除クノ外町村會之ヲ決定ス
一禁治產者又ハ準禁治產者ト爲リタルトキ
二破產者ト爲リタルトキ
三禁錮以上ノ刑ニ處セラレタルトキ
四選擧ニ關スル犯罪ニ依リ罰金ノ刑ニ處セラレタルトキ
第三十六條中「第十八條」ヲ「第十八條ノ三」ニ改メ「郡長ノ處分ハ郡長、」ヲ
削ル
第三十六條ノ二町村會議員ノ選擧ニ付テハ衆議院議員選擧法第九十一
條、第九十二條、第九十八條、第九十九條第二項、第百條及第百四十二
條ノ規定ヲ準用ス
第三十八條第一項中「郡長ハ府縣知事ノ許可ヲ得テ」ヲ「府縣知事ハ」ニ
改ム
第四十五條中「年長ノ議員議長ノ職務ヲ代理ス年齡同シキトキハ抽籤ヲ以
テ之ヲ定ム」ヲ「臨時ニ議員中ヨリ假議長ヲ選擧スヘシ」ニ改メ同條ニ左
二
ノ一項ヲ加フ
前項假議長ノ選擧ニ付テハ年長ノ議員議長ノ職務ヲ代理ス年齡同シキト
キハ抽籖ヲ以テ之ヲ定ム
特別ノ事情アル町村ニ於テハ第一項ノ規定ニ拘ラス町村條例ヲ以テ町村會ノ選擧ニ依ル議長及
其ノ代理者一人ヲ置クコトヲ得此ノ場合ニ於テハ市制第四十八條及第四十九條ノ規定ナ準用ス
第四十七條第三項中「開會ノ日ヨリ少クトモ三日前」ヲ「開會ノ日前三日
目迄」ニ、同條第四項中「三日前迄」ヲ「會議ニ付スル日前三日目迄」ニ改
ム
第四十九條ニ左ノ一項ヲ加フ
議長ハ其ノ職務ヲ行フ場合ニ於テモ之カ爲議員トシテ議決ニ加ハルノ權
ヲ失ハス
第五十一條ニ左ノ一項ヲ加フ
連名投票ノ法ヲ用ウル場合ニ於テ過半數ノ投票ヲ得タル者選擧スヘキ定
數ヲ超ユルトキハ最多數ヲ得タル者ヨリ順次選擧スヘキ定數ニ至ル迄ノ
者ヲ以テ當選者トシ同數者アルトキハ年長者ヲ取リ年齡同シキトキハ議
長抽籖シテ之ヲ定ム
第五十二條ニ左ノ一項ヲ加フ
第四十五條第三項ノ町村ニ於ケル町村會ノ會議ニ付テハ前二項ノ規定ニ拘ラス市制第五十六條
ノ規定ヲ準用ス
第五十八條ニ左ノ一項ヲ加フ
第四十五條第三項ノ町村ニ於ケル町村會ノ會議ニ付テハ市制第六十二條第三項ノ規定ヲ準用ス
第五十九條第二項中「三日以內出席ヲ停止シ又ハ二圓以下ノ過怠金ヲ科ス
ル規定ヲ設クルコトヲ得」ヲ「五日以内出席ヲ停止スル規定ヲ設クルコト
コンサ.三段人
第六十四條第一項中「又ハ助役ヲ定メ若ハ選擧シ」ヲ、同條第二項中「町村
長又ハ」ヲ削リ同條第三項ヲ左ノ如ク改ム
〓有給町村長及有給助役ハ其ノ退職セムトスル日前三十日目迄ニ申立ツル
ニ非サレハ任期中退職スルコトヲ得ス但シ町村會ノ承認ヲ得タルトキハ
此ノ限ニ在ラス
四
第六十五條町村長及助役ハ第十五條第二項又ハ第五項ニ揭ケタル職ト兼
ヌルコトヲ得ス又其ノ町村ニ對シ請負ヲ爲シ又ハ其ノ町村ニ於テ費用ヲ
負擔スル事業ニ付町村長若ハ其ノ委任ヲ受ケタル者ニ對シ請負ヲ爲ス者
及其ノ支配人又ハ主トシテ同一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ無限責任社員、取締
役監査役若ハ之ニ準スヘキ者、〓算人及支配人タルコトヲ得ス
第六十六條第一項中「及有給助役」ヲ削リ「郡長」ヲ「府縣知事」ニ改ム
第六十七條第三項及第四項ヲ削リ第五項ヲ左ノ如ク、第七項中「郡長」ヲ
「府縣知事」ニ改ム
第六十三條第二項及第四項、第六十五條竝前條第二項ノ規定ハ收入役及
副收入役ニ之ヲ準用ス
第六十八條第二項ヲ左ノ如ク改ム
區長及其ノ代理者ハ名譽職トス町村公民中選擧權ヲ有スル者ヨリ町村長
ノ推薦ニ依リ町村會之ヲ定ム
第六十九條第二項中「町村會ニ於テ町村會議員又ハ町村公民中選擧權ヲ有
スル者ヨリ之ヲ選擧ス」ヲ「町村會議員又ハ町村公民中選擧權ヲ有スル者
ヨリ町村長ノ推薦ニ依リ町村會之ヲ定ム」ニ改メ同條第三項中「常設」ヲ
削ル
第七十條第一項ヲ左ノ如ク改ム
町村公民ニ限リテ擔任スヘキ職務ニ在ル吏員又ハ職ニ就キタルカ爲町村
公民タル者選擧權ヲ有セサルニ至リタルトキハ其ノ職ヲ失フ
第七十四條第四項ヲ左ノ如ク、第六項中「郡長」ヲ「府縣知事」ニ改メ同條第
七項中「府縣參事會ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ」ヲ、同條第八項ヲ
及第九項中「及第四項」ヲ削ル
第二項ノ裁決又ハ前項ノ處分ニ不服アル町村長又ハ町村會ハ行政裁判所
ニ出訴スルコトヲ得
第七十五條第一項中「郡長」ヲ「府縣知事」ニ改ム
第七十八條第一項中「郡長ノ許可ヲ得テ」ヲ削ル
第八十條第二項中「町村ハ收入役故障アルトキ之ヲ代理スヘキ吏員ヲ定メ
郡長ノ認可ヲ受クヘシ」ヲ「町村會ハ町村長ノ推薦ニ依リ收入役故障アルト
キ之ヲ代理スヘキ吏員ヲ定ムヘシ」ニ改メ同條第四項中「郡長ノ許可ヲ得
テ」ヲ削ル
第八十七條第二項中「前項ノ異議ハ」ヲ「前項ノ異議ノ申立アリタルトキ
ハ町村長ハ七日以內ニ」ニ改ム
第百一條ノ二町村ハ公益上其ノ他ノ事由ニ因リ課稅ヲ不適當トスル場合
ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ町村稅ヲ課セサルコトヲ得
第百六條第五項中「郡長ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ」ヲ削ル
第百九條第一項中「其ノ條例中ニハ五圓以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クル
コトヲ得」ヲ削リ同條第二項ヲ左ノ如ク改ム
詐僞其ノ他ノ不正ノ行爲ニ依リ使用料ノ徵收ヲ免レ又ハ町村稅ヲ逋脫シ
タル者ニ付テハ町村條例ヲ以テ其ノ徵收ヲ免レ又ハ通脫シタル金額ノ三
倍ニ相當スル金額(其ノ金額五圓未滿ナルトキハ五圓)以下ノ過料ヲ科
スル規定ヲ設クルコトヲ得
前項ニ定ムルモノヲ除クノ外使用料、手數料及町村稅ノ賦課徴收ニ關シ
テハ町村條例ヲ以テ五圓以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クルコトヲ得財產
又ハ營造物ノ使用ニ關シ亦同シ
第百十條第三項中「前二項ノ異議ハ」ヲ「前二項ノ異議ノ申立アリタルト
キハ町村長ハ七日以內ニ」ニ改ム
第百十一條第六項中「前三項ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキ
ハ」ヲ「前三項ノ處分ニ不服アル者ハ」ニ改ム
第百十七條中「郡長」ヲ「府縣知事」ニ改ム
第百二十二條第一項中「六月三十日」ヲ「五月三十一日」ニ、同條第三項
中「第八項」ヲ「第五項」二、同條第四項中「郡長」ヲ「府縣知事」ご飯八
第百二十五條中「郡長」ヲ「府縣知事」ニ改ム
第百二十七條中「郡長」ヲ「府縣知事」ニ、「府縣知事」ヲ「內務大臣」ニ改ム
第百二十九條第三項、第百三十條第三項、第百三十一條第三項及第百三十
三條第二項中「內務大臣ノ許可ヲ得」ヲ削ル
第百三十四條第一項中「府縣知事ノ許可ヲ受クヘシ」ヲ「之ヲ定ム」ニ改メ同
條第二項中「內務大臣ノ許可ヲ得」ヲ削ル
第百三十五條第一項中「前條第一項」ヲ「前條第二項」ニ、同條第三項中「前
項ノ異議ハ」ヲ「前項ノ異議ノ申立アリタルトキハ組合ノ管理者ハ七日以內
ニ」ニ改ム
第百三十七條町村ハ第一次ニ於テ府縣知事之ヲ監督シ第二次ニ於テ內務
大臣之ヲ監督ス
第百三十八條中「郡長」ヲ「府縣知事」ニ改メ「府縣知事ニ訴願シ其ノ裁決ニ
不服アルトキハ」ヲ削ル
第百四十條第二項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
決定書又ハ裁決書ノ交付ヲ受ケサル者ニ關シテハ前二項ノ期間ハ〓示ノ
日ヨリ之ヲ起算ス
第百四十條ノ二異議ノ決定ハ本法中別ニ期間ヲ定メタルモノヲ除クノ外
其ノ決定ニ付セラレタル日ヨリ三月以内ニ之ヲ爲スヘシ
府縣參事會訴願ヲ受理シタルトキハ其ノ日ヨリ三月以內ニ之ヲ裁決スヘ
第百四十三條第一項及第二項中「郡長」ヲ「府縣知事」ニ改メ同條第三項中
「府縣知事ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ」ヲ削ル
第百四十五條町村條例ヲ設ケ又ハ改正セムトスルトキハ內務大臣ノ許可
ヲ受クヘシ
第百四十六條第四號中「手數料及加入金」ヲ削ル
第百四十七條中「郡長」ヲ「府縣知事」ニ、同條中左ノ如ク改ム
-町村條例ヲ廢止スル事
二基本財產及特別基本財產竝林野ノ處分ニ關スル事
五手數料及加入金ヲ新設シ增額シ又ハ變更スル事
第百五十條第一項中「又ハ郡長」ヲ、同條第四項中「郡長ノ處分ニ付テハ府
縣知事ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキ又ハ府縣知事ノ處分ニ付テハ」ヲヲ
削ル
第百五十二條削除
第百五十三條ノ二ヲ削ル
第百五十六條ノ二本法中官吏ニ關スル規定ハ待遇官吏ニ之ヲ適用ス
附則
本法中公民權及議員選擧ニ關スル規定ハ次ノ總選擧ヨリ之ヲ施行シ其ノ他
ノ規定ノ施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十八條ノ規定ニ依リ町村會ヲ設ケサル町村ニ付テハ本法ノ施行ノ期日
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
次ノ總選擧ニ至ル迄ノ間從前ノ第十四條、第十七條、第十八條、第三十一
條、第三十三條及第三十六條ノ規定ニ依リ難キ事項ニ付テハ勅令ヲ以テ特
別ノ規定ヲ設クルコトヲ得
本法ニ依リ初テ議員ヲ選擧スル場合ニ於テ必要ナル選擧人名簿ニ關シ第十
八條乃至第十八條ノ五ニ規定スル期日又ハ期間ニ依リ難キトキハ命令ヲ以
テ別ニ其ノ期日又ハ期間ヲ定ム但シ其ノ選擧人名簿ハ次ノ選擧人名簿確定
迄其ノ效力ヲ有ス
本法施行ノ際大正十四年法律第四十七號衆議院議員選擧法未タ施行セラレ
サル場合ニ於テハ本法ノ適用ニ付テハ同法ハ既ニ施行セラレタルモノト看
做ス
本法施行ノ際必要ナル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
北海道會法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
大正十五年三月十六日
衆議院議長粕谷義三
貴族院議長公爵德川家達殿
小字ハ衆議院ノ修正文、)
ハ同削除ノ符號ナリ
北海道會法中左ノ通改正ス
第一條第三項及第四項ヲ削ル
第三條帝國臣民タル年齡二十五年以上ノ男子ニシテ二年以來北海道內ノ
同一市町村內ニ住所ヲ有スル者ハ北海道會議員ノ選擧權及被選擧權ヲ有
ス但シ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ此ノ限ニ在ラス
一禁治產者及準禁治產者
二破產者ニシテ復權ヲ得サル者
三貧困ニ因リ生活ノ爲公私ノ救助ヲ受ケ又ハ扶助ヲ受クル者
四一定ノ住居ヲ有セサル者
五六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者
六刑法第二編第一章、第三章、第九章、第十六章乃至第二十一章、第
二十五章又ハ第三十六章乃至第三十九章ニ揭クル罪ヲ犯シ六年未滿ノ
懲役ノ刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至リ
タル後其ノ刑期ノ二倍ニ相當スル期間ヲ經過スルニ至ル迄ノ者但シ其
ノ期間五年ヨリ短キトキハ五年トス
七六年未滿ノ禁錮ノ刑ニ處セラレ又ハ前號ニ揭クル罪以外ノ罪ヲ犯シ
六年未滿ノ懲役ノ刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコト
ナキニ至ル迄ノ者
前項二年ノ期間ハ市町村ノ廢置分合又ハ境界變更ノ爲中斷セラルルコト
ナシ
第四條陸海軍軍人ニシテ現役中ノ者(未タ入營セサル者及歸休下士官兵
ヲ除ク)及戰時若ハ事變ニ際シ召集中ノ者ハ選擧權及被選擧權ヲ有セス
兵籍ニ編入セラレタル學生生徒(勅令ヲ以テ定ムル者ヲ除ク)及志願ニ
依リ國民軍ニ編入セラレタル者亦同シ
第五條在職ノ檢事、警察官吏及收稅官吏ハ被選擧權ヲ有セス
選擧事務ニ關係アル官吏及吏員ハ其關係區域內ニ於テ被選擧權ヲ有セス」
北海道廳長官若ハ北海道地方費ニ對シ請負ヲ爲シ又ハ北海道地方費ニ於
テ費用ヲ負擔スル事業ニ付北海道廳長官若ハ其ノ委任ヲ受ケタル者ニ對
シ請負ヲ爲ス者及其ノ支配人又ハ主トシテ同一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ無限
債任社員、取締役監査役若ハ之ニ準スヘキ者、〓算人及支配人ハ被選擧
權ヲ有セス
北海道廳ノ官吏及北海道地方費ノ有給ノ吏員其ノ他ノ職員ニシテ在職中
ノ者ハ北海道會議員ト相兼ヌルコトヲ得ス
衆議院議員ハ北海道會議員ト相兼ヌルコトヲ得ス
第六條北海道會議員ノ選擧ハ市ニ在リテハ市會議員選舉人名簿ニ依リ、
町村ニ在リテハ每年九月十五日ノ現在ニ依リ町村長ノ調製スル選擧人名
簿ニ依リ之ヲ行フ
町村制第十八條第二項、第十八條ノ二乃至第十八條ノ五ノ規定ハ前項町
村ニ於ケル選舉人名簿ニ之ヲ準用ス
第七條選擧長ハ北海道廳支廳長又ハ市長ヲ以テ之ニ充ツ
選擧長ハ選擧會ニ關スル事務ヲ擔任ス
選擧會ハ北海道廳支廳、市役所又ハ選擧長ノ指定シタル場所ニ之ヲ開ク」
選擧長ハ豫メ選擧會ノ場所及日時ヲ〓示スヘシ
第九條北海道參事會ハ議長及名譽職參事會員十二人ヲ以テ之ヲ組織ス
第十條中左ノ如ク改ム
三削除
第十四條府縣制第五條、第八條、第十三條乃至第二十二條、第二十三條
ノ二乃至第四十條、第四十二條乃至第六十四條、第六十六條、第六十七
條第六十九條乃至第七十四條、第八十二條乃至第八十七條、第百二十
七條乃至第百二十九條、第百三十一條、第百三十五條、第百三十六條、
其ノ第三十一條第七項
第百四十二候及第百四十四條ノ規定ハ之ヲ採用ス但シ其ノ船上十三
中府縣ニ對シ請負ヲ爲シトアルハ北海道廳長官若ハ北海道地方費ニ對シ請負ヲ爲シトス
第六十八條第二トアルハ本法第十條第二號トス
第十五條削除
附則
本法中議員選擧ニ關スル規定ハ次ノ總選擧ヨリ之ヲ施行シ其ノ他ノ規定ノ
施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ニ依リ議員ヲ選擧スル場合ニ於テ必要ナル選舉人名簿ニ關シ第六條ノ
規定ニ依リ難キトキハ命令ヲ以テ特別ノ規定ヲ設クルコトヲ得
本法施行ノ際大正十四年法律第四十七號衆議院議員選擧法又ハ大正十五年
府縣制中改正法律、市制中改正法律若ハ町村制中改正法律未タ施行セラレ
サル場合ニ於テハ本法ノ適用ニ付テハ同法ハ既ニ施行セラレタルモノト看
做ス
本法施行ノ際必要ナル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
北海道地方費法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
大正十五年三月十六日
衆議院議長粕谷義三
貴族院議長公爵德川家達殿
北海道地方費法中左ノ通改正ス
第六條削除
第八條第一項中「一戶長役場費及戶長以下給料旅費及諸給與」ヲ削リ同條
第二項ヲ左ノ如ク改ム
前項ノ外公共事務ノ爲費目ノ增加ヲ要スルトキハ北海道會ノ議決ヲ經テ
北海道廳長官之ヲ定ム
第八條ノ三中「第百十二條、」ノ下ニ「第百十四條、」ヲ加へ「及第百三十二條
乃至第百三十六條」ヲ「〓、第百三十二條乃至第百三十六條、第百四十二條及
第百四十四條」ご依人
第八條ノ四ヲ削ル
附則
本法施行ノ期日ハ各條ニ付勅令ヲ以テ之ヲ定ム
水利組合法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
大正十五年三月十六日
衆議院議長粕谷義三
貴族院議長公爵德川家達殿
水利組合法中左ノ通改正ス
第十條第一項中「郡長」及「郡長又ハ」ヲ削ル
第二十條第五項中「府縣知事ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アル者ハ」ヲ及同條
同項但書ヲ削ル
第二十一條第三項中「府縣知事ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アル者ハ」ヲ及同
條同項但書ヲ削ル
第三十三條中「郡長又ハ」ヲ削リ同條第一項ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ府縣知事必要アリト認ムルトキハ官吏ヲ指定シ組合ノ事務ヲ管理セ
シムルコトヲ得
第三十四條第一項中「郡長管理者タル場合ハ郡長ノ指定シタル郡書記」ヲ
「官吏管理者タル場合ハ府縣知事ノ指定シタル官吏又ハ府縣吏員」ニ改ム
第三十九條第三項中「前二項郡長ノ處分ニ不服アル組合會ハ府縣知事ニ訴
願シ其ノ裁決又ハ」ヲ、同條第五項中「府縣知事ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服
アルトキハ」ヲ及同條同項但書ヲ削ル
第四十四條第一項中「郡長」ヲ「官吏」ニ、「郡書記」ヲ「官吏、府縣吏員」ニ改
ム
第五十條第四項中「府縣知事ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アル者ハ」ヲ及同條
同項但書ヲ削ル
第五十五條第二項中「府縣知事ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ」ヲ及
同條同項但書ヲ削ル
第五十九條中「府縣知事ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アル者ハ」ヲ竝同條第三
項但書及第四項但書ヲ削ル
第七十二條第一項ヲ左ノ如ク改ム
組合ハ第一次ニ於テ府縣知事之ヲ監督シ第二次ニ於テ內務大臣之ヲ監督
ス
第七十六條第三項中「府縣知事ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ」ヲ及
同條同項但書ヲ削ル
第八十一條第一項中「郡長」ヲ、同條第二項中「郡長ノ行ヒタル解職ニ不
服アル者ハ府縣知事ニ訴願シ其ノ裁決又ハ」ヲ削ル
附則
本法ハ郡長廢止ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行ノ際必要ナル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
徵發令中郡及郡長ニ關スル規定ノ適用ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
大正十五年三月十六日
衆議院議長粕谷義三
貴族院議長公爵德川家達殿
徵發令中郡ニ關スル規定ハ町村ニ、郡長ニ關スル規定ハ町村長ニ之ヲ適用
ス
附則
本法ハ郡長廢止ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣若槻禮次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=13
-
014・若槻禮次郎
○國務大臣(若槻禮次郞君) 唯今日程ニ上ボッテ居リマス地方制度ニ關シマ
シタ各種ノ改正法律案ニ付テ、提出ノ理由ヲ申上ゲタイト思ヒマス、時勢ノ
進運ニ伴ヒマシテ、國民ノ政治思想モ亦著シク發達イタシタノデアリマス、
殊ニ地方行政ニ於キマシテ自治制施行以來數十年ノ訓練ト經驗トヲ積ミマシ
テ、其發達誠ニ顯著ナルモノガアルノデアリマス、依テ政府ハ、此際市制、
町村制府縣制等ノ地方制度ニ關スル諸法律ヲ改正シ、益〓公民自治ノ途ヲ擴
メマシテ、又地方自治權ノ擴張ヲ圖ル等、以テ制度ノ整備ヲ期セムト致シタ
ノデアリマス、而シテ今囘提出イタシマシタ地方制度ニ關スル各種改正法律
案ノ內容ニ付テ、其重ナルモノヲ要約シテ申上ゲマスト云フト、第一ハ地方
議會ノ選擧權及被選擧權ノ擴張デアリマス、第二ハ選擧方法ノ改善デアリマ
ス、第三ハ自治機關ノ整齊デアリマス、第四ハ地方自治權ノ擴張等ノ大體ノ
事柄ニ歸シテ居ル次第デアリマス、ソレ故ニ唯今申上ゲタ四項目ニ付テ、簡
單ニ要項ヲ說明申上グヤウト思ヒマス、第一ハ選擧權及被選擧權ノ擴張デア
リマス、選擧權ハ市町村ニ於キマシテハ市町村公民ノ享有スル所デアリマス
カラシテ、改正案ハ、公民權ヲ得ベキ要件中カラ、獨立ノ生計及納稅資格ノ
二要件ヲ撤廢イタシタノデアリマス、又府縣ニ於キマシテハ、府縣會議員選
擧權ノ要件中カラ、直接國稅ノ納稅ヲスルト云フ資格ヲ撤廢セントスルノデ
アリマス、思フニ、旣ニ改正衆議院議員選擧法ガ普通選擧制ニ依リマシタノ
ニ拘ラズ、地方制度ニ於キマシテ、尙ホ單リ特定ノ納稅要件又ハ經濟要件ヲ
以テ選擧資格ヲ制限セムト致シマスコトハ、適當デアルマイト考ヘルノデア
リマス、殊ニ公民自治ノ理想ハ、自治體ヲ構成スル、成ルベク多數ノ者ニ對シ
テ、其事務ニ參與スルノ機會ヲ與ヘテ、相倚リ相扶ケテ自治ノ進展ヲ期セシ
ムルニアル次第デアリマス、故ニ改正案ハ改正衆議院議員選擧方法ニ準ジマ
シテ、特定ノ缺格條項ニ當ル者ヲ除クノ外ハ、市町村ニアリマシテハ帝國臣
民タル年齡廿五年以上ノ男子ニシテ二年以來市町村內ニ住所ヲ有スル者ハ、
總テ其市町村公民タルモノト致シタノデアヲマス、又府縣ニアリマシテハ、
市町村公民タル者ニ對シテ、總テ府縣會議員選擧權ヲ付與スルコトト致シタ
ノデアリマス、斯ノ如クシテ、改正案ニ依リマス所ノ市町村公民ノ數ハ、約
千二百五十二万餘人ニナリマシテ、現行法ニ依リマス所ノ市町村公民數ハ約
七百八十二万餘人デアリマスガ、之ニ比較シテ見マスト約六割ノ增加トナル
ノデアリマス、又府縣會議員選擧有權者ハ、現行法ニ依リマスト約五百二十
九万餘人デアリマスガ、此度ハ千二百五十二万餘人ニナル次第デアリマス故
ニ、約十三割餘ヲ增加スルコトニナルノデアリマス、被選擧權ニ付キマシテ
ハ市村町及府縣ヲ通ジマシテ、衆議院議員選舉法改正ノ趣旨ニ鑑ミマシテ、
神官、神職、僧侶其他諸宗ノ〓師及小學校〓員ニ對スル被選擧權ノ制限ヲ撤廢
イタシタノデアリマス、且市町村ニアリマシテハ、其所屬府縣ノ官吏及有給
吏員竝ニ市町村ノ有給吏員ニ對シマシテ、又府縣ニアリマシテハ、其府縣ノ
官吏及有給吏員ニ對シマシテ、被選擧權ノ制限ヲ撤廢シテ、被選擧資格ノ自
由ヲ擴張イタスト共ニ、一面選擧事務ニ關係ノ有ル官吏吏員ハ其關係區域內
ニ於テダケハ被選擧權ヲ持タシメナイコトニ致シマシテ、以テ選擧執行ノ公
正ヲ期シタノデアリマス、尙又、當該市町村又ハ府縣ト密接ナ關係ヲ持シテ居
リマス所ノ特定ノ官吏、吏員等ニ對シマシテハ議員ト兼職ヲ禁ジマシテ、以
テ地方議會ニ於ケル議事ノ公正ヲ期スルコトト致シタノデアリマス、第二ハ
選擧方法ヲ改善スルコトデアリマス、選擧方法ニ關シマシテハ、選擧ノ公正
ト的確トヲ期スルガ爲ニ、種々ノ點ニ於テ必要ナル改正ヲ行ハムトシタノデ
アリマス、其第一ハ、市町村ニ於ケル等級選擧ノ制ヲ撤廢シタルコトニ存シ
テ居ルノデアリマス、蓋シ納稅額ノ多寡ニ依ッテ選擧權ノ效力ニ差等ヲ設ケマ
スガ如キハ、決シテ適當ナル事柄ト認メルコトガ出來ヌノデアリマス、加之
從來ノ實蹟ニ徵シテ見マシテ、等級選舉制ヲ存續スルノ必要ガナイヤウデア
リマス、殊ニ本改正案ニ於キマシテハ選擧資格中カラ納稅要件ヲ撤廢シタ
ノデアリマスガ故ニ、等級選擧ヲ認ムベキ基礎モ亦消滅シタ次第デアリマス
故ニ、此際等級選擧制ヲ全ク撤廢スルコトト致シタノデアリマス、次ニ改正
案ハ、府縣會議員選擧ニ關シマシテ、選擧區ヲ分ッテ更ニ數選擧區ヲ設ケ得ル
所ノ現在ノ選舉分區制ト云フモノヲ廢シタノデアリマス、蓋シ府縣會議員選
擧ニアリマシテモ、選擧區ガ餘リニ狹小ニナリマスコトハ選擧ノ實際ニ鑑
ミマシテ、適當ト認メ難イノデアリマスガ故ニ、之ヲ郡市ノ區域ニ依ラシメ
ルコトト致シタノデアリマス、選舉ノ人名簿ニ關シマシテハ、市町村會議員選
擧人名簿ノ隨時名簿主義ヲ改メマシテ、之ヲ定時名簿ト致シマスト共ニ、府縣
會議員選擧ニ關シマシテハ、別ニ名簿ヲ調製イタシマセヌデ、市町村會議員ノ
選擧人名簿ニ依ッテ之ヲ行フココト致シタノデアリマス、惟フニ、市町村會議
員選擧人名簿ヲ定時名簿トナシマシタ理由ハ選舉人ノ增加ニ伴ヒマシテ、
正確ナ名簿ヲ調製スルノ必要ガアルノデアリマス、且ツ補關選擧ノ主義ヲ改
メマシタ結果ニ對應スルモノデアルト云フコトハ、勿論デアルノデアリマス
ケレドモ、尙ホ一面ニ於キマシテ、府縣制ノ改正ニ依ッテ、市町村公民ニハ總
テ府縣會議員ノ選擧權ヲ付與スルコトト致シマシタ故ニ、各市町村ニ於ケル
名簿調製期日ヲ一致セシムルコトニ於テハ、從來ノ如ク府縣ニ於テ更ニ名簿
調製ヲ致ス必要ガナイノデアリマシテ、一ツノ名簿ヲ以テ二種ノ議員選擧ヲ
執行スルコトガ出來ルノデアリマス、之ニ依リテ手續ノ重複ヲ避ヶ得ルノミ
ナラズ、改正衆議院議員選擧法ニ依ル選擧權ト本改正案ニ依ル市町村公民權
トハ、僅ニ住所ノ制限ヲ異ニスルニ過ギナイノデアリマスガ故ニ、名簿調製
期日ヲ一定スルニ於キマシテハ、更ニ手續ヲ省略シ得ルコトガ少ナクナイノ
デアリマス、斯ノ如クシテ名簿調査上ニ事務簡捷ヲ圖リ得タコトガ、又尠少ナ
ラザルコトト信ジテ居ル次第デアリマス、府縣會議員選擧竝ニ勅令ヲ以テ指
定スル市及區ノ議員選舉ニ關シマシテハ、改正衆議院議員選舉法ニ傚ヒマシ
テ、議員候補者制度ヲ設ケ、且ツ選擧運動及選舉運動ノ費用ニ關スル規定及
公立學校其他公共營造物使用ニ關スル規定ヲ設ケマシタ、蓋シ是等ノ議員選
擧ニアリマシテハ、其選擧競爭ガ相當激甚デアリマスガ故ニ、選擧ノ眞摯ヲ
期スルガ爲ニハ議員候補者制度ヲ設クル必要ガアリマス、ノミナラズ選擧
運動ノ取締及選擧運動ノ費用ヲ制限スルコト等ニ依リマシテ、選擧ノ公正ヲ
期スルノ必要ガアルト認メタノデアリマス、而シテ一般市町村ニ付テモ亦、
選擧運動ヲ全然放任イタシマスコトハ適當デナイノデアリマスガ故ニ、戶別
訪問其他ニ必要ナル制限ヲ加ヘルコトニ致シタノデアリマス、其他市町村ニ
付キマシテハ補闕選擧ニ關スル從來ノ制度ヲ改メテ、議員ガ闕員トナリマシ
タ時ヨリ三箇月以內ニ補闕選擧ヲ行フノ原則ヲ立テマスト共ニ、一面ニ於キ
マシテハ市町村府縣ヲ通ジテ、補闕選擧又ハ再選擧ヲ行フベキ事由ガ、議員
ノ任期滿了前六箇月以內ニ生ジマシタ時ハ、特別ノ法定事由ノアリマス場合
ヲ除クノ外ハ、選擧ヲ行ハヌデ宜イト云フ便法ヲ定メムトシテ居ルノデアリ
やっ、、蓋シ斯カル際ニ於キマシテハ、特ニ支障ナキ限リ、選擧ヲ行ヒマセヌ
デモ、自治體ノ意思決定ニ大ナル差支ガナカルベキ次第デアルカラ、斯樣ニ
改正ヲ致サムトスルノデアリマス、更ニ改正案ハ假投票、點字投票ノ方法
ヲ設ケマスコトノ外、諸規定ノ改正ヲ行ヒマシテ、以テ選擧權ノ行使及選擧
ノ執行ニ遺憾ナカラシメムコトヲ期シタノデアリマス、第三ハ自治機關ノ整
齊デアリマス、現行制度ニ於キマシテハ、名譽職市參事會員ハ議員ノ任期ヲ
以テ其任期ト致シテ居リマシテ、名譽職府縣參事會員ハ每年之ヲ選擧スルコ
トニ相成ッテ居リマスガ前ノ者ニ付キマシテハ任期ノ短縮ヲ希望スル者ガ少
ナクナイト同時ニ、後ノ者ニ付キマシテハ相當任期ヲ延長スルノ必要アルト
認メテ居ルノデアリマス、依テ改正案ハ兩者ノ中庸ヲ採リマシテ、名譽職參
事會員ハ市及府縣トモ、隔年之ヲ選擧スルコトト致シタノデアリマス、又參
事會ノ職務權限中、府縣會又ハ市會ニ提出イタシマスル議案ノ審査ヲスルト
云フ權限ハ、實際上ノ效果ガ乏シイノミデハアリマセズ、却テ事務澁滯ノ原
因トナルコトガ少ナクナイノデアリマス、故ニ參事會ノ議案審查權ハ之ヲ廢
止スルコトニ致シタノデアリマス、次ニ市町村ニ於テハ市參與、名譽職、
區長、委員等ハ之ヲ市町村會ニ於テ選擧スルノ制度デアリマスケレドモ、是
等ノ機關ハ何レモ市町村長ノ補助機關デアリマス故ニ、改正案ニ於キマシテ
ハ市町村長ノ推薦ニ依ッテ市町村會ガ、之ヲ定ムベキモノデアルト云フコト
ニ改メムトスルノデアリマス、第四ハ地方自治權ノ擴張デアリマス、地方自
治權······殊ニ市町村自治權ノ擴張ハ、今囘ノ地方制度ニ關スル改正法律案ニ
於ケル改正事項中重要ナル意義ヲ有スルモノノ一ツデアリマス、惟フニ地方
團體ノ自治權ハ、國民ノ自治ニ關スル練達習熟ノ進度ニ伴ヒマシテ、益〓之ヲ
擴張スルコトガ必要デアラウト存ジマス、殊ニ自治監督ニ於キマシテ、制度
創設ノ際ニ當リマシテハ、官ノ補導監督モ亦、相當嚴密、且ツ精細ニ涉ルコト
ヲ要シマシタケレドモ、既ニ數十年ノ訓練ヲ經マシタノニ、尙ホ且ツ舊制ノ
如ク些細ノコトニ至ル迄監督ヲ致スヤウニ致シマスルコトハ、却テ自治體ノ
自立獨行ノ意義ヲ阻害イタシテ、眞正ナル自治ノ發達ヲ期スル所以デナカラ
ウト思フノデアリマス、政府ハ從來ニ於ケル地方自治ノ實蹟ニ徵シマシテ、
郡長ヲ廢シテ町村監督事務ノ簡捷ヲ圖リマスト共ニ、地方制度改正法律案ニ
於キマシテモ、諸般ノ許可、認可等二十數項ヲ整理イタシマシテ、以テ地方
自治權ヲ擴張シ、且ツ事務簡捷ヲ圖ラムトシタ次第デアリマス、以上ハ市制
町村制及府縣制中改正法律案ノ要項デアリマスガ、北海道會法及北海道地方
費法ニ關シマシテハ、北海道會議員選擧權及被選擧權ヲ、府縣會議員選擧權
及被選擧權ニ準ジテ擴張ヲ致シマシタシ、又北海道地方費ニ於ケル公共事務
ノ種目增加ニ關スル許可ヲ廢スルノ外、〓ネ府縣制改正ニ伴ヒマシテ、各法
條ノ改正ヲ行ナッタノデアリマス、以上各種ノ改正法律案ハ、最モ時運ノ趨勢
ニ適合シ、之ニ依リ益〓地方自治ノ發達ニ資スルコトアラムコトヲ期シタ爲
ニ、改正ヲ致サムトスルノデアリマス、最後ニ水利組合法ヲ改正イタシマス
ノハ郡長廢止ニ伴フ結果デアリマシテ、就中組合管理者ニハ、府縣知事ニ
於テ關係地ノ市町村長ノ一人ヲ指定スルヲ以テ原則ト致シマシテ、特ニ必要
アル場合ニ於テハ、官吏ヲ指定シテ組合事務ヲ管理セシムルノ途ヲ開キマシ
タ外.同法中郡長ノ行ヒマス監督規定、其他郡長ニ關スル規定ヲ改正イタシ
タノデアリマス、唯〓マデ申述ベマシタノガ、今囘政府ノ提案ニ係ル地方制度
ニ關スル各種改正法律案ニ付テ說明シタ所デアリマスガ、衆議院ニ於キマシ
テハ、府縣參事會ノ組織ノ變更、町村會ノ組織ノ變更、及市町村長ノ就職ニ關
スル手續規定等ニ關シテ、二三ノ修正ヲ加ヘタノデアリマス、政府ハ是等ノ
修正ニ付テハ、大體支障ノナイモノト認メテ居ルノデアリマス、尙ホ唯今問
題ニナッテ居リマス所ノ、徵發令中郡及郡長ニ關スル規定ノ適用ニ關スル法
律案ト云フノモ、是モ亦郡長ヲ廢止イタシマス爲ニ、是マデ郡及郡長ニ於テ
取扱ッテ居リマシタ所ヲ外ニ移ス必要ガアリマシテ、郡長廢止ニ伴ッテ改正ヲ
要スル法律トシテ、玆ニ協賛ヲ仰グ次第デアリマス、以上ノ如キ趣旨ニ依ッ
テ、一ツハ地方制度ノ改正ノ爲ニ、一ツハ郡長廢止ノ結果ヲ受ケテ、此改正
ヲ要スル次第デアリマス故ニ、御審議ノ上御協賛ヲ與ヘラレムコトヲ、切望
ニ堪ヘナイ次第デアリマス
〔阪本釤之助君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=14
-
015・阪本さん之助
○阪本釤之助君 唯今上程イタサレマシタ諸案ハ、地方自治體ノ法制トシテ
重大ナ關係ノアル諸案デアリマシテ、唯今內務大臣ヨリ縷々御說明ガアリマ
シテ拜承イタシタ次第デアリマス、此各案ノ內容ヲ一讀イタシマスルト、種々
ナル改正ガアルノデアリマスガ、唯今御說明ノ通リ、或ハ參事會員ノ任期ヲ延
ベルトカ、或ハ選擧ノ方デ申シマスレバ戶別訪問ヲ禁ズルトカ云フヤウナ、大
體ノ基礎ニ於テ、サシタル影響ヲ受ケルト認メマスル箇條ハ少ナイノデアリ
マシテ、此點ニ付テ一々質疑應答ヲ致スト云フコトノ煩ハ避ケタイト存ジマ
スルガ、私共默セムトシテ默スル能ハザルモノハ、此選擧被選擧權ノ擴張デア
ルノデアリマスルガ、國ノ選擧法ハ既ニ法律ガ決定イタシテ、所謂普選ナルモ
ノガ行ハレルコトニナッテ居ル、國ガ普選ヲ行フカラ府縣以下ノ自治團體モ普
選デナケレバナラヌト云フ理窟ハ、私共ハドウシテモ發見スルコトハ出來ナ
イノデアリマス、國ハ國、國ト云フモノハ廣イモノデアリマシテ、其廣イ所ノ
各地方ヨリ普選ヲ以テ選良ガ擧ガッテ來ルト云フコトハ見樣ニ依ッテハ至極
結構ナコトデアルト存ジマスシ、又既ニ今日ハ國論一定イタシテ居ルコトデ、
彼是申ス時機デハナイノデアリマスガ、府縣以下ノ自治團體ニ至ッテハ、國ト
ハ趣ヲ異ニスルノデアリマス、併ナガラ府縣ト云フモノモ可ナリ大キイモノ
デアリマシテ、一局部ニ局在イタシテ居ルモノデアリマセヌカラ、府縣ノ·····
府縣會ノ議員ノ選擧被選擧權ニ付キマシテハ、私共有リ体ニ申セバ、餘リ感服
ハ致シマセヌケレドモ、暫ク政府ノ御希望ニ副ヘルトシマシテ、市ト申シテモ
大キイ市ニナリマスレバ、矢張リ府縣ニ準ジテ、隨分市ニ依ッテハ小サナ府縣
ヨリ大キナ市モアルノデアリマスカラ、是等ニ向ヲテハ府縣ヲ認メルトスレ
バ、市モ暫ク讓ッテモ宜イカト思ヒマスガ、町村ニ至ッテハ私共ドウシテモ見
逃スコトハ出來ナイ、町村ハ元來此町村制ヲ實施セラレル初メニ於テ、御詔勅
ノ趣モアリマス、隣保相助クルト云フコトガ主ニナッテ居リマシテ、昔ノ卽チ
村寄合、卽チ膝突キデ、茶ヲ啜リ煙草ヲ喫ミナガラ村ノ相談ヲスルト云フコ
トガ、町村會ノ最モ甘味ノアル所デアリマスルガ、ソレガ段々今日ハ議會ト
云フ一ツノ御手本ガ出來、府縣會ガ又之ニ學ビ、或ハ郡會ノアリマスル當時
ハ郡會ガヤリ、町村會マデガ、議長、何番ト云フ譯デヤルコトニナッテシマッ
タノデ、兎角僅ナ經費ヲ議シ、町村會ノ自治團體ノ極ク細カナ温カナル會
議ヲ開カネバナラヌ性質ノモノガ、矢張リ町村長ヲイヂメテ見ルトカ、或、
妙ナ經費ノ節減ヲシテ見ルトカ云フヤウナコトデ、帝國議會ノ模倣ヲスルト
云フヤウナ風ガ、各地方ニ行ハレテ居ルト云フコトハ、私共ノ甚ダ痛歎シテ
已マヌ所デアルノデアリマス、然ルニ此度ノ改正ハ、尙ホ更ニ進ンデ、セメ
テ今日マデハ獨立ノ生計ヲ營ムモノ若クハ二年以上町村ノ負擔ヲ頒ッテ居ル
者ト云フ二ツノ條件ガアリマシテ、是デ幾分カ其町村會議員ト云フモノノ
階級ト申スト此節ハ非常ニ評判ノ惡イ言葉デアリマスガ、何ト申シテ宜シイ
カ、資格ガ備ハッテ居ッタノデ、ソレヲ此度ハ改正ヲ致シテ、全ク普通選擧ニ
シタイト云フノデアリマス、唯二年以上町村ニ居住シテ居ッタト云フコトガ、
一ツ條件ニナッテ居リマスルケレドモ、二年サヘ其村ニ居リマスレバ、二十五
歲以上ノ男子デアレバ、皆公氏デアルト云フコトニナルノデアリマスガ、隨
分近頃ハ村落ニモ工場ナドガ出來テ居リマスルガ、工場ナドノ若シ有リマス
ル所デアリマスレバ、工場ニ入込ンデ居ル所ノ他府縣ノ壯丁デモ、女房モ持
タナケレバ家モ持タヌ、ソコラニ轉ガッテ居ル人デモ、二十五歲以上ノ人デア
レバ選擧權被選擧權ヲ持ツノデアル、又サモナクテモ、山間僻地ノ村落ニ至
リマシテモ、是迄ハ免ニ角獨立ノ生計ヲ營ンデ、一家ノ戶主デアルカ若クハ二
年以上町村ノ負擔ヲ幾分デモシテ居ルト云フ、マア免ニ角其村ヘ落付イテ居
ル人、可ナリ資格ノ、大シタコトデハゴザイマセヌケレドモ、可ナリノマア
村民町民トシテ資格ヲ備ヘテ居ル人デアッタノデアリマスガ、今度ハサウ云フ
人ハ比較スルト數ハ少ナイ、却テ多數ノ二十五歲以上ノ壯丁、マダ一家ノ經
營モシテ居ラナイ、無論稅ナドモ納メテ居ラヌト云フ人ノ數ガ多イノデアル、
ソレガ盛ニ選擧ヲ爭ヒ、サウ云フ人達ガ非常ニヤレバ、モウ田舍ノ眞面目ナ
百姓ナドハ面倒デアリマスカラ引込ンデ仕舞ッテ居ル、ツマリ町村會ナドト
云フモノモ、サウ云フ人〓ノ占ムル所トナッテ、ソレガ村長モ舉ゲル、町長モ
擧ゲル、無論此自治制ヲ初メテ布カレタ時ノ豫期シタ時ノ町村會ノ甘味ト云
フモノハ、全ク根絕シテシマフト云フコトニナルノデアラウト、私共ハ杞憂ヲ
懷クノデアリマス、免角風潮ト云フモノハ恐ロシイモノデアリマシテ、普通
選擧法カ國家ニ行ハレタ、今度ハ府縣會ヲヤル、市會ヲヤル、町村會モ是非
ヤラナケレバナラヌト、斯ウ云フコトニナルノデアリマスガ、是ハ少シ間違ツ
テ居リハセヌデアラウカ、政府ハ種々審議ヲ致シテ發案セラレタノデアリマ
スカラ、オ前ノ言フコトハ尤モダトハ仰シヤリマスマイケレドモ、此邊ハド
ウ云フ風ニ御審議ニナッテ、ドウシテモ町村會マデモ一律ニヤラナケレバナラ
ヌト云フ、此趣旨ノ在ル所ヲ、私共會得ノ出來ルヤウニ、一ツ承ッテ見タイト
思フノデアリマス、次デ各案ノ中ノ條文ノ澤山改正ノアリマスルノハ、多ク
郡長廢止ノ結果ヨリ生ズル、唯郡長ト云フ字ガ御嫌ヒデ、之ヲ御取リニナラ
ウト云フコトニ過ギヌノデ、此郡長廢止ノ問題ハ、政府ノ所見ト私共全然所
見ヲ異ニスルモノデアリマスカラ、玆ニ御質問ヲ申ス必要モナイ、此事ニ付
テハ御質問ヲセヌカラ意見ガ無イト云フノヂヤナイ、寧ロ意見ガ有リ過ギル
カラ御質問ヲシナイノデアリマス、唯町村會ノコトニ向ッテ一ツ十分ニ御考
慮ヲ仰ギ、又御答辯モ承テ見タイト思フノデアリマス、尙ホ府縣制以下市制
町村制ニ、免ニ角條文ノ上カラ申シマスルト、多クノ改善ヲ加ヘラルルノデ
アリマスルノニ拘ラズ、私共多年唱道ヲ致シテ、復タ阪本ガ之ヲ持出シタト御
笑ヒニナルカモ知レマセヌガ、斯ノ如ク種々ナル改正ヲ行ハレ、殊ニ郡長マデ
モ廢シテ事務ノ簡㨗ヲ圖リ、自治ノ發達ヲ圖ルト仰シヤッテ居ル下ニ、告朔ノ
餼羊タル、此五六ノ府縣ニ、郡部會市部會ト云フモノヲ存置シテ置カレルト
云フノハ、ドウ云フ次第デアリマスカ、知事ト町村長トノ間ニ郡長ヲ取ッテ、
事務ノ簡㨗ヲ圖リ經費ノ節減ヲ圖ルト仰シヤル程ノ政府デアレバ、市長ト云
フモノガ存シテ居ッテ、市ノ仕事ハ市長ニヤラセレバ十分出來ルノデアル、然
ルニ矢張リ市部會、郡部會ト云フモノヲ置イテ、知事モ矢張リ市長ト同樣ノ仕
事ヲ爲シ得ル、此事實ノ制度ヲ此度モヤハリ御改正ニナラヌト云フコトハ
ドウ云フコトデアリマセウカ、現ニ大阪府ノ如キハ、自ラ悟ル所ガアッテ、既
ニ市部會、郡部會ト云フモノヲ廢シテ、一ツノ大阪府會ニ於テ府ノ經濟ヲ議ス
ルコトニナッタト承ッテ居リマス、アノ大都市ノ發達ノ盛ンナル大阪府ガ、ソ
レヲ實行イタシテ差支ナイトスレバ、東京市ト云ヒ、京都市ト云ヒ、名古屋
市ト云ヒ、横濱市ト云ヒ、皆是ハ差支ナイト思フ、然ルニ相變ラズ此大阪ヲ
除クノ外ノ六都市ニ於テハ、他ノ府縣ニハ無イコトデアリマスガ、六都市ニ
於テハ、知事ガ市部會ト云フモノヲ持チ、郡部會ト云フモノヲ持チ、市部、
郡部、必要ナル所ノモノニ於テ見解ヲ異ニシ、其市部縣會ト云フモノニナル
ト.市長ノヤルコトト同ジコトヲスル、近頃幸ニ大キナ都市ニナルト、土木
ノコトダケハ大抵市長ガヤルコトニナリマシタケレドモ、マダサウ云フ所デ
ナイ所モアルヤウデアル、デスカラ土木ノ事デモ、〓育ノ事デモ、產業ノ事
デモ、衞生ノ事デモ、市長ガ一面ニヤッテ居ルカト思フト、働キ手ノ知事ガ居
リマスト、市長ト同ジヤウナコトヲヤル、齊シク府縣民ノ幸福ニハナルカ知
レマセヌガ、其代リ重複ニ仕事ヲサレル爲ニ、重複ニ費用ヲ賦課サレルト云
フコトハ免レヌ、必要ナラバ一人ノ人ガヤッタラ宜シイ、二人ノ人ガ同ジ性質
ノ仕事ヲ分ケテヤルト云フコトハ、卽チ不經濟ノ原因ニナルノデアリマシテ、
是ハ早ク御取除ケニナッタラ宜カラウト存ジマスルガ、府縣制中ノ僅ニ一箇條
デアル、其一箇條ヲ御除ケニナレバ、此制度ハ消滅スルノデアリマス、之一
附隨シタ勅令ガ一ツ出テ居リマスガ、此勅令ト府縣制中ノ一箇條ダケヲ御取
リニナレバ、何等差支ナクイケルモノト思ヒマスガ、ドウモ差支ヘルヤウナ
氣ガスル、府縣知事ニ聽イテ見ルト、マダ有ル方ガ便利ダト云フヤウナコト
ノイツモ御答辯ヲ得ルノデアリマスガ、府縣知事ハ自分ノ仕事ガ減ルノデ
アルカラ、先ヅ〓〓有ッタ方ガ宜イ、市ノ仕事ハ一切市長ニ取ラレテ仕舞フト
云フコトニナルト、心寂シイ、田舍ノ知事サンノヤウニ見エルカラ、市ノ仕
事モヤリタイト云フコトハ、是ハ人情ノ免レザル所デアラウト存ジマスケレ
ドモ、政府ハ、私共カラ見レバ非常ニ必要ト認ムル郡長サヘモ、取ッテ除ケヤ
ウトナサル御勇氣ガアルナラバ、先以テ是等ノ事ハ御改正ニナルベキ筈ト存
ジマスルガ、一向手ガ着イテ居ラヌカ、相變ラズ屢〓承ル通リナ御答辯デアリ
マセウカト云フコトヲ伺ッテ見タイ、モウ一ツハ東京都制ノ問題デアリマスル
ガ、他ニ於テモ質問ガアッテ、內務大臣ハ考慮中デアルト御答ニナッタコトモ
記憶イタシテ居リマスガ、是ハ寧ロ政府ト云フヨリハ、東京市ノ態度ト云フ
モノガ私ハサッパリ分ラナイ、東京市民ヲ代表スル所ノ市會、又ハ市會ノ中ニ
モ委員ナドガ出來テ居ルヤウデアリマスガ、昨年ノ五十議會モ末期ノ、僅カ
閉會ノ十日カソコラ前ニ、急ニ運動ニヤッテ來ラレテ、會期中ニ一ツ發案シテ
貰ハヌト困ル、セメテ斯ウ云フ簡單ノ案ナリト出シテ、早ク······二重監督ハ
困ル、直チニ內務大臣ノ支配ヲ受ケテ、自治ノ完全ヲ期シタイト云フコトヲ、
會期ノ仕舞口ニ言ッテ來テ、頻リニ運動サレテ居リマシタガ、果シテ會期ガ
迫ッテ居リマスカラ、其事ハ行ハレズニ濟ンダノデアリマス、今年ハ政府モ豫
テ調查サレテ居ル所ノ、眞ノ東京都制案ト云フモノガ成案ガ出來テ、ソレ〓
審査ヲセラレテ、最早政府デハ案ハ整ッテ居ルト云フコトヲ傳聞イタシテ居
ルノデア·リマス、所ガ其內容ヲ見ルト、長官ハ卽チ都長官ハ官吏デアッテ、
而シテ都長官ノ官吏ガ宜イカ惡イカト云フコトハ、大ニ考慮ヲ要スル問題カ
ト存ジマスルガ、之ニ準ジテ助役モ、甚シキハ局長マデモ、官吏ニシヤウト
云フ案デアルカノヤウニ承ッテ居リマスガ、是ハ實ニ驚キ入ッタ案ト存ジマス
ルガ、併シ是ハ貴衆兩院へ御出シニナレバ、宜シク兩院ノ議員ハ適當ト認メ
ル所ノ決議ヲスルデアリマセウカラ、ソレデ宜シイノデアリマス、早ク御出シ
サヘシテ下サレバ宜シイノデアル、所ガ是ハ唯傳聞デスカラ分リマセヌガ、
新聞等ノ傳フル所ニ依ルト、東京市ノ方〓ハドウモ都長官ハ官選デハ氣ニ
喰ハヌ、或ハドウモ局長マデガ勅任官ニナッテモ困ル、又區域ノ問題ニ付テ
モ、三多摩郡ガ這入ルノガ宜イトカ惡イトカ、或ハ伊豆七島小笠原マデ這入ル
トハ驚クヂヤナイカ、ト云フヤウナコトヲ批評シテ居ッテ、案其モノヲ政府ガ
早ク出スカ出サヌカト云フコトニ付テハ、餘リ御盡力ヲ爲サラヌヤウニ思フ、
ソレガ直グ決ッテシマフモノナラバ、ソレハ餘程考ヘナケレバナラヌガ、貴衆
兩院ト云フモノガアッテ、輿論ノアル所ニ依フテ決議スルノデアリマス、東京
市ノ方〓ガ、若シソレガ氣ニ入ラヌト云フコトデアレバ、相當ニ貴衆兩院ノ
考慮ヲ求メレバ出來ルコトデアル、然ルニソレヲ氣ニシテ、政府ガ出サナイ
ノヲ矢張リズット見テルト云フコトハ、ドウ云フコトデアルカ、五十一議會モ
當ニモウ數日ニ過ギマセヌ、昨年ノ通リ或ハ近ク御運動ガ始マルカモ知レマ
セヌ、政府モ何ダカ今度政府ノ面目上是非出スノダト仰シヤッタト云フコト
デアルガ、昨日ノ新聞デ見マシタガ、何ガ政府ノ面目デアルカ、出來テ居ル
案ナラバサッサト御出シニナッタラ宜カラウト思フ、矢張リ政府モ東京市ノ聲
ヲ見テ居ラッシヤルノデアルカ、如何ニモ又三多摩郡ハ驚キマスガ、小笠原、
伊豆七島マデ東京市ト云フ中ニ這入ルト云フコトニ至ッテハ餘リニドウモ細
工過ギタ話デ、到底御同意ノ出來ルコトデアリマセヌガ、御同意出來ルカ出
來ヌカハ貴衆兩院ノ考ニアルコトデアリマス、折角出來テ居ルナラバ、早ク
御出シニナッテ、東京市民ノ積年ノ希望ヲ御滿タシニナル、又事務簡捷、政費
節減ト云フモノニ、十分ニ是ハ效果ノアルコトデアリマスカラ、御ヤリナサッ
タラ宜カラウト思フ、何故ニ御躊躇ニナッテ居ルカト云フコトヲ承ッテ見タイ
ノデアリマス
〔國務大臣若槻禮次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=15
-
016・若槻禮次郎
○國務大臣(若槻禮次郞君) 町村會議員ノ選擧、被選擧權ノ擴張ニ付テ、阪
本君ハ御質問ニナリマシタガ、是ハ先程申上ゲマシタ通リ、自治體ノ組成分
子ニハ、成ルベク廣ク其事務ニ參與セシメテ、自治ノコトハ自治體ヲ組成ス
ル分子ガ皆寄ッテ之ヲ實行スルト云フ風ニナルノガ、是ガ理想デアラウト思ハ
レルノデアリマス、併シ理想デアリマシテモ、何時デモ左樣ニスルコトハ出
來ヌノデアリマス、ソレニハ自治體ノ組成分子ハ皆相當ニ訓練ヲ積ンデ來テ、
サウシテ相當ニ智能ガ發達シテ、其事務ニ參與シテモ事ヲ誤ラナイヤウニナ
ラナケレバナラヌノデアリマス、今日マデ選擧權、被選擧權ガ制限セラレテ
居ッタノハマダソコマデニ至ラシムルノニハ早イト云フ意味デアッタラウト
存ジマスガ、今日ノ狀況ニ於テハ、可ナリ自治體ノ事柄ニ練熟シテ參ッタト
云ッテ宜シカラウト思ヒマス、自治制ヲ布カレテカラ既ニ四十年ニ垂ントシテ
居ルト云フ狀況デアリマスカラ、其ノ間可ナリニ訓練ハ出來テ居ッテ、而シテ
一般ノ人智ノ發達ハ私申上ゲルニ及バズ、自治制ノ施行ノ時ニ比ベテ見レバ、
今日ハ餘程進ンデ居ルノデアリマス、ソレデアリマス故ニ、選擧權、被選擧
權ノ制限ハ追〓之ヲ撤廢シテ、權利ノ享有ヲ廣クスルヤウニ至ラシムル方ガ
相當デアラウト思ハレルノデアリマス、市町村ニ於テハ先年法律ノ改正ガ
アッテ、國稅ヲ納メテ居ラナケレバ選擧權ガ無イトシテアッタモノガ、今日ハ
市町村ノ負擔ヲシテ居ル者ハ皆公民デアリ、選擧權ガ有ルト云フコトニナッタ
ノデアリマス、市町村ノ負擔ト申シマスト、今日ハ戶數割ノ如キモノヲ負擔
スルノハ、殆ド市町村民ノ全部、戶數割ヲ負擔シテ居ルト云フヤウニナッテ居
ルノデアリマス、此ノ一戶ヲ構ヘテ居ル者ハソレデアリマシテ、今日ノ市町
村會ノ議員ノ選擧資格ヲ有ッテ居リマス一戶構ヘテ居ル者ハ殆ド皆資格
ガ有ルト申上ゲテ宜イノデアリマス、昨年各地方ニ於テ、新シキ改正案ニ依ツ
テ市町村會議員ノ改選ガアッタノデアリマスガ、其選擧ノ實蹟ナドヲ見マスト
云フト、一向惡イ結果ハ呈シテ居ナイト認メラルル狀況デアリマス、左樣ナ
次第デ、選擧權ガ大ニ擴張セラレテ、現在ノ如クナリマシテ、ソレニ依ッテ行
ハレタ選擧ノ結果ガ至極良好デアルト云フコトデアリマスナラバ、之ヲ六割
程增加シテ、凡ソ年齡二十五年以上ニナッテ居ル男子ナラバ、選擧權ヲ行ハシ
メテ宜シイト云フコトニシタカラト云ッテ、阪本君ノ御憂慮ニナルヤウナ、町
村ガ極ク和協的ニ自治ノ事ヲ決定シテ行クト云フコトヲ妨ゲルコトニハナラ
ヌト思フノデアリマス、衆議院議員ノ選擧法ニ於テ普通選擧ノ制度ヲ採ッタ
カラ、必ズ地方制度ニハサウセナケレバナラヌト云フコトマデハ私ハ申シマ
セヌ、而シテ衆議院議員ノ選擧法ニ付テ普通選擧ヲ施行シテ宜イ位ニ、國民
ガ總テ自治ノ事ナリ、國政參與ノ事ニ慣レテ來テ居ル今日、府縣會議員ノ選
擧ト、衆議院ノ選擧ハ、所謂普通選擧ニスルト云フヤウニ迄ナッテ來テ居リマ
スナラバ、町村會議員ノ選擧權ニ於テ、特ニ制限ヲ加ヘテ置ク必要ハナカラ
ウ、斯ウ考ヘマスノデアリマス、ソレデ矢張リ市町村、府縣共ニ、今囘改正
シタヤウニ改メル方ガ相當デアラウ、斯ウ考ヘマス、殊ニ此獨立ノ生計ト云
フコトヲ取リマシタコトハ、納稅ト獨立ノ生計ト二ツノモノガ要件トナッテ
居リマス時ニ於テ、獨立ノ生計ト云フコトガアリマシテモ、大シタ疑義ハ生
ジマセヌケレドモ、納稅ノコトガ全然ナクテ、而シテ單リ獨立ノ生計ナル要
件ガ殘リマシテモ、ドウ云フ人ガ獨立ノ生計ヲ爲シテ居ルヤ否ヤト云フコト
ニ付テハ、隨分法制上疑義ガアルノデアリマス、此獨立ノ生計ト云フ事柄ニ
付テ、行政裁判所ノ與ヘテ居リマス解釋デハ、一戶ヲ構ヘルト云フヤウナ意
味ニハナッテ居ラナイノデアリマス、ソレデアリマスカラシテ、納稅ノ資格ヲ
離レテ、獨立ノ生計ト云フ資格ノミヲ殘シマスト云フト、非常ニ疑義ガ多ク
テ、選擧ノ度每ニ隨分爭ヒガ起ルデアラウト思ヒマス、ソレ故ニ今囘ハ前ノ
改正ニ依ッテ市町村ノ負擔ヲシテ居ル者ナレバ、選擧權ガアルト云フコトデ、
非常ニ選擧權者ノ數ガ殖エタノデアリマス、ソコ迄來テ居ルナラバ、納稅資
格ヲ撤廢シテモ宜イ、選擧ノ結果ヲ見ルト、大體ニ於テ好イ成蹟ニナッテ居
ル、之ヲ撤廢シテ獨立ノ生計ヲ殘シテ置クト云フト、却テ選擧ノ度每ニ爭ヒ
ガ起ッテ面白クナカラウト云フ、斯ウ云フ意味ニ於テ獨立ノ生計ト云フ要件ヲ
撤廢スルコトニ致シタノデアリマス、要スルニ、今日ノ國民ノ智能ノ發達シ
テ居ル上ニ、自治ノ行政ニ最早ヤ既ニ練熟シタ狀態ノ下ニ於テハ、唯今改正
法律案ヲ提出イタシマシタヤウニ、選擧權ヲ與ヘテ差支ナイト、斯樣ニ政府
ハ認メタノデアリマス、第二ノ御質問ノ三部制ヲ何故ニ直サヌカ、三部制
ノ宜シクナイト云フ議論ハ、世間ニ餘程アルノデアリマス、ソレ故ニ此事ニ
付テハ政府モ餘程氣ガ付イテ居ルノデアリマスガ、是ハ御承知ノ通リ、三部
制ニ依ッテ今日ハ市部、郡部、市郡連帶ト云フコトニ多年ズット慣習ノヤウニ
ナッテ、是ガ決マッテ居ルノデアリマス、三部制ヲ廢シマスト、此負擔ノ關係
ニ大イナル異動ガ生ズルノデアリマス、ソレガ爲ニ現ニ三部制ノ行ハレテ居
ル地方ニ於テハ、之ガ廢止ニ極力反對シテ居ル所モアルノデアリマス、左樣
ナ狀態ノ所ニ、斯ウ云フ、法律ヲ以テ直チニ、制度ヲ改メルト云フ事柄ハ、
是ハ又面白クナイヤウニ考ヘマス、或ル地方ノ人ハ、最早三部制ヲ廢シテ宜
イトシテ廢シタ所モアリマス、唯今御指摘ニナリマシタ大阪ノ如キガソレデ
アリマス、地方人ガ凡テ三部制ヲ廢シヤウト云フナラバ、政府ハ喜ンデ之ヲ
許可スルノデアリマス、併シ地方ノ人ガマダ三部制ヲ維持シテヤッテ居ル場
合ニ、法律ヲ改正スルノハ、負擔ノ關係ヲ急激ニ變更スルコトニナルノデ、
是ハ其結果餘リ面白クナイヤウニ考ヘマシテ、此度ノ法律改正ニ於テハ、三
部制ノ改正ハ致サナカッタノデアリマス、第三ノ御質問ノ東京都制案ナルモ
ノガ、政府ノ手許ニ出來テ居リナガラ、市會ノ意見等ニ顧慮シテ、躊躇シテ、
之ヲ議會ニ提出シナカッタヤウニ見エルガ、ナゼ速ニ之ヲ提案セヌカト云フ御
質問デアリマス、都制案ニ付テハ年來東京市民ノ中ニ希望ガアリマス故ニ、
政府デハ調査ハ致シテ居リマスガ、愈〓之ヲ法文ニ立案シテ見マスト云フト、
非常ニ大キナ法律案デアリマシテ、內務省ニ於テ之ガ立案竝ニ審議ニ多數ノ
時日ヲ要シタノデアリマス、唯今玆ニ上程セラレテ居リマスル地方制度ノ改
正案、又衆議院議員選擧法ノ改正案、其他內務省ニ於テ議會ニ提出スベキ諸
案ガ澤山アルノデアリマス、其上ニ廣汎ナル都制法案デアリマス故ニ、之ガ
調査ニハ大變ナ日子ヲ要シマシテ、內務省ノ手ヲ離レタノガ漸ク此五六日前
ダッタト私ハ思フノデアリマス、今日ハ法制局デ之ヲ審議シテ居ルノデアリマ
ス、左樣ナ次第デアリマシテ、市會議員ノ意向ニ顧ミテ、躊躇シテ居ルト云
フノデハアリマセヌ、ドウカシテ早ク議會ニ提出シタイト思ッテ、調査ヲ急ギ
マシタケレドモ、何分大キナ法律案デアリマス上ニ、外ニモ澤山ノ法律案ガ
アリマシタ爲ニ、之ガ調查ニ時日ヲ要シマシテ、遲レテ居ルガ爲ニ、提出ガ
今日マデ遲レテ居ルト云フ次第デアリマシテ、市會ノ意向等ノ關係デ提出セ
ヌト云フノデハナイト云フコトダケハ、玆ニ申上ゲテ置キタイノデアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=16
-
017・阪本さん之助
○阪本彰之助君 唯〓最後ニ御述ベニナリマシタ都制案ノコトデアリマス
ガ、愼重ニ審議ナサルト云フコトナラ已ムヲ得スコトデアリマスガ、震災前
二、既ニ大都市制度調査會ト云フモノヲ內務省ニ設ケラレマシタ、其時ニ各
方面ノ人ガ集マッテ、大都市卽チ東京市ノ都制案ト云フモノハ、免ニ角成案ガ
出來テ居ル、政府ノ人モ參加イタシテ、隨分審議討論ヲ致シテ、相當ナル文
案ガ出來テ居ル、所ガ震災ノ際、一時ハ何デゴザイマスケレドモ、議會ノ開
會等モ分ッテ居リマスカラ、本當ニ政府ガ必要トシテ出スト云フ考ナラバ、左
樣ニ議會ノ開會中ニ、將ニ會期ガ盡キムトシテ居ル五日カ六日ト云フ時ニ
ナッテ、マダ調査ヲシテ居ルト云フノハ、卽チ出シテモ宜インダケレドモ··
出スヤウナ振ヲスル位デ宜カラウ、サウ云フ御考デアッタカラデハナイカ、ソ
コガ私ガ政府ニ誠意ガ無イト思フノデアリマス、今大臣ガ仰シヤッタ所ニ依ッ
テ、モウ如何ニ攻擊シテモ仕方ガナイ、唯私ハ此都制案ニ付テハ政府ニ御誠
意ガ無イト云フコトヲ申シテ置キタイノデアリマス、ソレカラ町村制ノ改正
ニ付テハ、選擧權ヲ擴張シマスルト、今日ノ獨立ノ生計、町村ノ納稅ト云フ
モノヲ取リマシテ、全ク二十五歲以上ノ町村住民、卽チ居候デモ、又厄介者
デモ、職工デモ何デモ皆這入ルト云フコトニナル、之ヲ出シマスルト、ドノ
位ニ殖エマスカ、先刻御述ベニナッタカモ知レマセヌガ、チヨット聽キ漏ラシ
マシタカラ、其增加ノ步合ヲ伺ヒマス
〔國務大臣若槻禮次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=17
-
018・若槻禮次郎
○國務大臣(若槻禮次郞君) 先程其數ヲ申上ゲマシタガ、現在デハ七百八十
二万人デアリマスガ、ソレガ改正案ニ依リマスルト千二百五十二万餘人、卽
チ四百七十万人バカリ增加スルコトニナリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=18
-
019・阪本さん之助
○阪本釤之助君 政府ノ御調査ヲ疑フト云フ譯デハアリマセヌガ、府縣會議
員ノ選擧資格擴張ニ付テ、御述ベニナリマシタ步合ナドモ、如何ニモ殖エ方
ガ少イヤウニ考ヘマスガ、唯今承リマシタ町村會議員ノ選擧權デアリマスル
ガ、ソレノ中ニハ隨分二十五歲以上ノ同居者ト云フ者ハ澤山アルノデアリマ
シテ、又是マデ資格ノナカッタ人ガ隨分アルト思フ、ソレガ僅カ倍ニハ行カナ
イ七八割ノ增加ニ止マルト云フコトハ、ドウ云フ方法デ御調ベニナッタノデ
アリマスカ、政府委員デ宜シウゴザイマスカラ、ドウシテ斯ウ云フモノガ出
テ來ルカト云フコトヲ······発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=19
-
020・鈴木富士彌
○政府委員(鈴木富士彌君) 唯今、內務大臣カラ御答ヘ致シマシタ數字ハ
府縣ニ照會シテ取調ベサセタモノデ、衆議院議員ノ有權者ノ數ノ增加率ニ比
較シテ、ドウモ少イヤウデナイカト云フ御質問ノヤウニ拜承イタシマシタ、
若シサウ云フ御質問ノ御趣旨デアルト致シマスレバ、如何ニモ御尤デアリマ
スルガ、是ハ衆議院議員ノ選擧權ハ、御承知ノ通リ三圓ト云フ納稅資格ガア
リマス爲ニ、有權者ガ現行法ニ依リマスト著シク少イ、ソレガ爲ニ其納稅資
格ヲ撤廢イタシマシタ數字ガ著シク殖エマシテ、此間ノ差ガ甚シクナッテ居ル
ノデアリマス、然ルニ此公民ノ要件ハ、御承知ノ通リ三圓ト云フヤウナ數字
ハ制限ハアリマセヌ、從テ其數ハ衆議院議員ノ有權者ノ數ヨリハ多イノデア
リマス、從テ今度ノ改正案ニ依ル公民權ノ見込數トノ間ノ差ガ左程酷クナイ、
斯ウ云フ趣旨デアリマス、左樣御了承ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=20
-
021・阪本さん之助
○阪本彰之助君 チヨット無用ナ御答辯ヲ承リマシテ、甚ダ御氣ノ毒デアリマ
スガ、私ハサウ云フコトヲ御尋ネシテ居ルノデナクシテ、衆議院ノ比較デハ
アリマセヌ、極ク廣ク見渡シテ考ヘマシテ、四百何十万ト云フヤウナ、倍
モナラヌ、我〓ノ見渡シタ所ノ唯〓マデノ選擧權ハ、獨立ノ生計ヲ致シテ町
村ノ納稅ヲシテ居ル者ハ資格ガアリマスカラ、ドウシテモ是ハ戶主ト見テ宜
シイ、今度ハ一家ニ二十五歲以上ノ息子ヲ持ッテ居ル、二人モ三人モ持ッテ居
ル者モアル、サウデナクテモ一人位ハアル、或ハ後家世帶ノ中ニモ相當ノ者
ガ居ル、ドウシテモ、少クトモ倍數以上ニナルト云フコトハ爭フベカラザル
事實デアルマイカト考ヘラレルニ拘ラズ、七八割シカ增サヌト云フコトハ
マサカ政府ノ御仕事デ、成ルタケ······選擧權ガ廣クナルト人數ガ多クナル、
ビックリスルカラ、成ルダケ控目ニシテ置ケト云フヤウナコトヲ爲サレハ致シ
マスマイケレドモ、ドウモ各地方官ノ調ベガ粗漏デアルカ、或ハ私ノ觀察ガ
誤フテ居ルカ、是ガ極ク確實デアルト仰シヤレバ、モウ申上ゲル必要ハ無イガ、
私ハ衆議院議員ノ比較ヲ申上ゲタノデナイ、眺メ見渡シタ所デ、幾多ノ狀況
ヲ見テ、總テノ二十五歲以上ノ者ハ皆投票スルコトガ出來ルト云フノニソ
レガ倍數ニモナラヌト云フコトハドウモ考ヘラレヌ、故ニ御尋ヲシタノデ
アリマス
〔國務大臣若槻禮次郞君演墳ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=21
-
022・若槻禮次郎
○國務大臣、若槻禮次郞君) 是ハ唯今政府委員ヨリ御答ヘ致シタ通リ、府縣
廳ニ照會シテ調ベタ結果デアリマシテ、內務省デハ正確ナモノト認メテ居
ルノデアリマス、御承知ノ通リ、昨年、衆議院議員ノ選擧法ヲ改正シ、其時
ニ所謂普通選擧ニ依ッテドレダケノ選擧有權者ニナルカト云フノニ對シテ、約
千四百万人位ニナルト云フコトヲ、私ハ答辯シタコトガアッタノデアリマス、
今度ノハ千二百五十万人程、ソコニ丁度百五十万人程ノ差ガアリマス、同ジ
ク是モ稍〓普通選擧デアリマス、衆議院議員選擧法モ稍、普通選擧デアリマス、
兩方共ニ大體違ヒノ無イ筈デアルガ、唯、ソコニ百五十万人程ノ差ガ起ッタノ
ハ何カ、衆議院議員ハ一年以內其處ニ住居ヲ有ツト云フコト、此改正案ハ二
年以內住所ヲ有タナケレバナラヌ······二年以上、ソレデアリマスカラ、ソヨ
ニ衆議院議員ノ案ト、此法案トニ人數ノ違ヒノアリマスノハ其資格ニ兩者
ノ間ニ若干ノ差ガアルカラ生ジタコトト、私ハ思ッテ居ルノデアリマス
〔高橋琢也君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=22
-
023・高橋琢也
○高橋琢也君 私ノハ極ク小サナ問題デゴザイマシテ、極メテ簡單ニ一ツ伺
ヒタイト思ヒマス、先刻、內務大臣ノ御演說モ承リマシタ、尙ホ此府縣改正
案市町村ノモ同ジヤウナ理由書ニナッテ居リマスガ、其理由書ニ依リマスル
ト時運ノ趨勢ニ鑑ミ、地方自治ノ實蹟ニ徵シ此改正案ヲ要スル、斯ウ云
フ理由ノ下ニ皆出來テ居ルヤウデゴザイマス、私ハホンノ一地方ノコトデゴ
ザイマスルガ、他ノ一般ノ地方トハ歷史モ異ニシテ居リマスルシ、事情モ異
ニシテ居リマスルガ、彼ノ沖繩縣ノコトデ伺ハウト思ヒマス、政府デハ今囘、
沖繩縣ニ對シ、彼是レ產業上、或ハ縣治上、此方ニ向ッテ助成金ヲ御出シニナ
ル、是ハ豫算ニモ上ッテ居リマスルカラ、豫算面ヲ見マスレバ分リマスルガ、
此沖繩縣ノ今日ノ疲弊困憊ト云フモノハ實ニ尋常一樣ノコトデナイト云フ
コトハ、既ニ皆樣ガ御承知ノコトデアラウト存ジマス、ソレ故ニ政府デハ色
色御心配ニナッテ、ドウカシテ之ヲ救濟シタイ、斯ウ云フ御考ノ下ニ色〓御苦
心ノ結果デゴザイマセウ、沖繩縣ノ產業ニ向ッテ、謂ハヾ事業ノ奬勵ノ爲ニ助
成金ヲ出スト云フヤウナ點カラ、農林省ノ豫算ノ中ニハ五十二万餘圓ト云フ
モノノ助成金ガ出テ居リマスル、政府ハ今日ノ沖繩ノ窮狀ヲ救フト云フ、此
僅ナ金高デ、沖繩ノ今日ノ困難ヲ救フコトガ出來得ルト思ッテ御イデデゴザ
イマセウカ、御承知ノ通リ、年〓四百餘万圓ノ國稅モ納メテ居ル、サウシテ
沖繩ハ自分ノ方ニ政府カラ助成ヲシテ貰ッタト云フ金ハ是是モ僅ニ縣費ニ二
十万圓、時トシテハ之ヲ減ゼラレマシタト云フヤウナ有樣デ、サウシテ現在
ノ有樣ヲ見ルト云フト、各銀行モ非常ナ悲況ニ陷ッタ位ナ話デハナイ、、破產狀
態ニナッテ居ルト云フヤウナ有樣、其沖繩ニ對シテ、沖繩縣民ガ國庫ヘ入レル
金ハ四百餘万圓、サウシテ自分ノ方ニ貰フ金ハ五十万圓、或ハ縣費ニ二十万
圓ノ補助ヲシテ貰フトカ云フ位ナコトデハ、是ハ實ハ政府ノ方デ、モウ少シ
一ツ御考ヘニナリサウナモノデアルト、私ナドハ思ッテ居リマスル、殊ニ今日
ハ其疲弊ガ甚シイノデ、此儘デ行ケバ、沖繩縣ト云フモノハ立行カナイト云
フコトニ歸著スルダラウト思ヒマス、ソンナラ縣民ハドンナ生活ヲシテ居ル
カ、御承知ノ如ク、彼ノ甘藷ト內地デ稱スル芋ヲ食ノテ居ル、殆ド是ガ日々ノ
常食デアルノデス、子供ガ學校ニ行クニマデ、芋ノ蒸シタノヲ手拭ノ端ニ包
ンデ行クノガ常デゴザイマス、是程質素ナ生活ヲシテ居ル者ガ、今日其芋モ
購フコトガ出來得ナイト云フヤウナ苦境ニ陷ッテ居ルト云フコトハ、何タル慘
狀デゴザイマセウカ、政府モ定メシ此點ハ實地ノ御調査ノゴザイマシタコト
ト存ジマス、デ、各地ノ地方自治ノ實蹟ハ御調ベニナッテ能ク御分リニナッテ
居リマセウト存ジマスガ、沖繩縣ニ於キマシテハ、從來、謂ハバ丁度絕海ノ
孤島ト云フヤウナ所デアッテ、殊ニ沖繩縣ハ內地カラエライ誤解ヲサレテ居ル
所デ、或ハ飯匙蛇ガ澤山居ヲテ、一年ニ五千人位喰殺サレルサウダ、是ハ私ノ
所ニ來テ其話ヲシタ者ガアッテ驚キマシタ、甚シキハ、中央議會ニ席ヲ有ッテ
居ル人ガ、沖繩デハ縣會ノ場合ニハドウ云フ人ガ通譯ヲ致シマスルカト云フ、
飛ンデモナイコトデアッテ、國語ノ正シイコトハ寧ロ內地ノ如ク、九州、東北、
東京、是等ハ殆ド互ニ初メテ相會ヲテ言語ガ通ジナイト云フ位ニ違シテ居ルニ
拘ラズ、沖繩ハ誠ニ國語ガ能ク通ジマスル位ノコトデハナイ、小學校二三年
以上ノ子供ハ、ドレヲ摑ヘテ話ヲシテ見マシテモ、能ク分リマス、其狀態ヲ
知ラナイ位デアルノデゴザイマス、政府デ今度、ドウ云フ御調ベニナリマシ
タノカ存ジマセヌガ、地方自治ノ實蹟ト云フモノヲ徵スルニハ、十分ナ御調ベ
ガゴザイマシタラウト存ジマスル、殊ニ沖繩ハ、臺灣事件以來、政府モ特別
ニ力ヲ入レテアル所デアルガ、又縣制ヲ布カレマシタノモ大變遲レテ居リマ
スルガ、近頃此特別制度ヲ廢シテ、一般ノ市町村制、府縣制、同ジヤウニ縣
制モ市町村制モ行ハレルコトニナリマシタガ、偖テ之ヲ實施セラレタ後、其
實施セラレル以前ノ特別ノ制度デアッタ時、自治ノ問題、地方行政ノ問題、ト
同時ニ沖繩ノ產業ナドハ、〓育モ無論デゴザイマスガ、產業、〓育ト云フヤ
ウナモノガドウ云フヤウニ進ンデ居リマセウカ
〔副議長侯爵蜂須賀正詔君議長席ニ著ク〕
或ハ却テソレガ爲ニ退步シテ居ルト云フヤウナ廉デモアリハ致シマセヌカ、
是ハ定メシ十分ナ御調査ニナッタ上ノコトデアラウト思ヒマス、今囘ノ助成金
ヲ御出シニナルト云フ迄ニ至リマシタノハ······ソコデ此御調査ハドウ云フヤ
ウナ機關ヲ以テ、ドノ位ノ期日ヲ以テ、ドノ位ノ人員ヲ以テ地方ヲ御調査ニ
ナリマシタカ、ソレガ實ハ承リタイ、ナゼナラバ、之ニ基イテ初メテ今囘ノ
助成金ト云フモノモ御割當テニナッタノデハアルマイカト存ジマス、是マデ郡
村ニ參リマスルト、米ガ少クテドウモ芋ヲ食ベサセラレル、其芋ヲ食フノハ
困ルカラト云フノデ、役人ナドガ郡村ニ調査ニ入込ムト云フコトヲ非常ニイ
ヤガリマシタ、是ハ私、事實沖繩ニ居ッタコトデゴザイマスカラ、承知シテ居
リマス、サウ云フヤウナ有樣デゴザイマスルカラ、十分ナ調査ガ出來テ居リマ
スルヤ又沖繩ノ現狀ニ付テ其困窮ノ狀況ハ、定メシ內務省ヘ具サニ報告シ
テアルノデアラウト存ジマスル、其〓要ガ承ハルコトガ出來マスナラ、誠ニ仕
合セデゴザイマス、又茲ニ一ツ申上ゲナケレバナラヌ、世ノ中デ、沖繩ノ今
日ノ困難ハ詰リ政治上ノ缺陷カラ起ヲテ來テ居ル、是ハドウゴザイマセウカ、
私ハ强チサウトモ存ジマセヌガ併シ歷代ノ政府ガ沖繩ニ對スル方針ト云フ
モノハ、内地、他府縣ヘ對スル事柄トハ違ッテ居ルヤウデアリマス、ソコニ大變
ナ行違ガ生ジタノデハアルマイカ、今日モ尙ホ其方針ヲ御執リニナッテアルヤ
否ヤ、ソレハドウ云フコトデアルカ、沖繩ハ卽チ元ノ琉球ニ對スル場合、內
地。他府縣トハ事情ガ異ナルニ依ッテ、成ルタケ從來ノ習慣、風俗其他トモ其
儘ニシテ、餘リ色〓ナ仕事ヲセヌ方ガ宜イ、仕事ヲスレバ却テ縣民ノ反感ヲ釀
ストカ何トカ云フヤウナ政府ノ御方針デ御考デアッテ、デ、政府デハ歷代ノ政
府ガ、是非沖繩ハ其儘ニシテ、成ルタケ手ヲ著ケナイヤウニト云フ、是ハ恐ラ
クハ嘗テ過激派ナドト云フノガアッテ、支那へ對スル所謂一種ノ支那黨ナルモ
ノガゴザイマシテ、ソレニ對シテ、日本ニ對スルモノトノ區別ガゴザイマス、
此間ノ軋轢ハ隨分甚シイ、ソレ故ニ成ルタケ手ヲ著ケナイヤウニシテ、月日
ヲ藉セバ自然ニ穩カニナッテ仕舞フダラウ、斯ウ云フ事柄カラ起ッテ來タノデ
アラウト思ヒマス、併シソレハ今日ハモウ要ラヌコトデアル、今日モ尙ホサ
ウ云フヤウナ政府ハ御方針ヲ持ッテ御イデニナリマスヤ否ヤ、之ヲ一ツ承リタ
イ、元來沖繩ハ支那ト日本トノ兩屬デアルト云フヤウニ、支那カラハ册封マ
デモ受ケテ居ル、ケレドモ事實ハ日本版圖ノ中デ、又古來ノ歷史ガ證明シテ
用)、沖繩人ト云フノハ日本人デアル、ケレドモ臺灣事件ニ依ッテ、御承知
ノ如ク北京へ大使マデ派遣シテ此解決ヲ著ケタ。此點ニ至ルト或ハ朝鮮アタ
リトモ異ッタ點ハナイト云ウテモ宜シイ位デアル、唯其地積ハ彈丸黑子デア
ル人口モ誠ニ僅ナモノデアル、併ナガラ此歷史カラ云ウテ行キマスト、ナ
カナカ沖繩ハ其儘ニシテ置ケナイ所デアルト私ハ信ジテ居ル、況ヤ「ペルリ」
ガ參ヲテ、內地ト同ジヤウニ沖繩ヲ獨立國ト認メテ、一ツノ條約ヲ結ビ、佛蘭
西モ和蘭モ結ンダト云フヤウナ有樣マデアッタ所デゴザイマス、是ハ必ズ特別
ナ御扱ガ、ソレハ必要デアラウト思フ、ソレト同時ニ、一體ノ日本ノ一般ノ制
度ト云フモノガ、兎角畫一ニ流レマシテ、北海道ノ半年雪ニ埋モレテ居ル所
モ、年中蚊帳ヲハヅスコトノ出來ナイ沖繩モ、總テノ制度上ニ於テ、取扱ハ
同ジヤウニナッテ居リマス、是ハ中庸ヲ得テ居ラヌ、殊ニ〓育ナドト云フ點ニ
付テハ、大ニ考ヘナケレバナラヌコトガゴザイマス、申上ゲレバ長クナルカ
ラ、斯樣ナコトハ諄〓シク申上ゲマセヌケレドモ、當局デハ能ク御承知デア
ラウト存ジマス、今一ツハ沖繩ハ其儘ニシテ置イテ發達スレバ宜シ、セナ
ケレバ自業自得ダト、マサカサウデモナイデゴザイマセウガ、結果ガ···
···サウ云フ所ハ、日本トシテドウシテ是ガ捨置ケルカ、今日ノヤウナ窮狀
ヲ重ネレバ、沖繩ナルモノハ自然ニ滅亡イタシテシマフ、事業ノ上······斯
ウ云フヤウナ有樣ニナッテ居ル、幸ニ縣民ガ年々百餘万圓ノ金ヲ海外カラ
送ッテ來ル、是デドウヤラ斯ウヤラ活路ヲ凌イデ居ルト云フヤウナ有樣デ
アル、ソレデアルカラ此處ノ元來制度ト云フモノガ、政府ノ方針既ニ今申上
ゲタヤウデアッテ、今一ツハ沖繩ニ向ッテ、何時デモ二流、三流ノ長官ヲ御ヤ
リニナル、私モ三流位ノ人間デアルカラヤラレタノデアルケレドモ、ソレヂ
ャ······大變沖繩ニ大ニ新知識ヲ移入シナケレバナラヌ所デアル、ソレニモ拘
ラズ沖繩ニ向ッテ居ルヤウナ冷淡ナ御仕向ニナッテ居ルト云フコトハ是ハ
ツ政府ノ御考ガ違フチヤ居ラナイカ、ソレ故ニ〓育モ餘リ自慢出來マセヌガ、
產業ニ至ッタラ殆ド進ム所ヂヤナイ、寧ロ退クト云ウテモ宜イ、現ニ沖繩ハ田
ハ潰シテシマッタ、畑モ潰シテシマッテ、悉ク例ノ砂糖黍、黑砂糖ヲ出シマス
ガ、アノ黍ヲ作ル、是ガ一ニ沖繩ノ產物デゴザイマスガ、其沖繩ノ唯一ノ大
產物ガ、今日ハドウアルカト云フト、一樽ニ付テ却テ二圓五十錢、三圓ヅツ
損ガ行ク、誠ニ氣ノ毒千萬デアル、然ルニ今囘ノ政府ノ之ニ對スル助成金、
甘蔗卽チ砂糖黍ノ奬勵ニ對スル金ガ僅ニ三万八千圓餘、ドウ致シマセウカ
之ヲ何處へ振撒イタラ是ガ役ニ立チマセウカ、私ガチヨット其考ガ及ビマセ
ヌ、是レ以外幸ニシテ、水產ニハ二十八万餘圓ト云フモノガ、卽チ五十二万
餘圓ノ中是ガ皆割レル、併シ沖繩ノ水產ノ如キハ大島ニ比ベテ非常ニ遜色
ノアルコトモ御承知、是ハ今五十万、五十二万圓ヲ以テ何ニモカニモ振向ケヤ
ウ、斯ウ云フコトニナル、是デハ帶ニ短シ襷ニ長シト云フヤウナ結果ニナリ
マセウト思ヒマス、併シ政府カラ是ダケ下サルト云フコトデアルカラ、誠
結構ナコトデアッテ、是ハ沖繩縣民トシテ深ク感謝セナケレバナラズ、又沖繩
ハ日本國民トシテモ、是ハ他ノ府縣ト同ジヤウニハ見ラレヌ所デアルト云
フコトハ、歷史ガ證明シテ居ル、サウ云フ所デアルカラ、是ガ今死ンデシマッ
チヤ大變ダカラ、之ヲ生カサニヤナラヌカラ、生カスニハ僅ニ五十万圓ソコ
ラノ金デハ生カシヤウガナイト思フ、嘗テ私ガ明治ノ初メ、自分ノ私塾ニ獨
逸人ヲ傭ウテ、大變窮シテ居ル獨逸人デアルカラ、我ガ語學ノ先生ダカラ、
四十圓カ五十圓ヲヤッタラ宜カラウト云フ紹介デシタカラ、其人ニ對シテ、氣
ノ毒デアルガネ、此學校モ貧乏、オ前ニ四十圓上ゲルカラ······左樣デゴザ
イマスカ、ソレハ有難ウゴザイマス、四十圓デハ死ヌルニハ餘リマス、生キ
テハ居ラレマセヌ、成程サウデアル、チヨット此言葉ガ今日ノ沖繩ニ當嵌ルカ
當嵌ラヌカ存ジマセヌガ、或ハ知ラヌ、多少ナリ意味ガアリハセヌカト思ヒ
マスル、ソレ故ニ政府ガ折角沖繩ヲ救濟シヤウト云フ思召デアルナラバ、少
クモ沖繩ガ國庫ニ納ムル金ノ四百万圓ノ三分ノ二位ハ、沖繩ヘ出シテ御ヤリ
ニナッテモ、政府ノ方ノ御損ニハナッテ居ラナイ、サウシテ沖繩ガ產業、〓育
其他ニ付テ蘇生スルコトニナリマシタナレバ、他日ハ一千万圓デモ二千万圓
デモ三千万圓デモ、沖繩カラ上ッテ來マセウト存ジマス、ソレ故ニ今日之ヲシ
テヤラヌ以上ハ、益〓困窮ヲスルト云フコトハ申スマデモナイ、ソコデ政府ハ
此五十二万餘圓ハ是ハ應急ノコトデアッテ、何分今困ッテ居ルト云フカラ取敢
ズ出ト云フコトニシタノダ、若シ能ク調査ヲシテ見テ、是ハドウモ迚モ五十
二万圓ヲ百万圓ニシタッテ救ヒ得ラレルモノデナイトナレバ、政府デハ無論百
万圓デモ二百万圓デモ一一百万圓デモ、御出シニナルコトニ違ヒナイト私ハ思
ヒマス、併シ今囘ハ政府ノ應急ノ救助デアッテ、是ヘ續イテ何カ他ノ方法デ御
救濟ニナル途ガ付イテ居リマスノデゴザイマスルヤ否ヤ、之ヲ一ツ伺ヒタイ、
又此五十二万餘圓ト云フモノモ本年限リデハナイ、年々無論出シテヤルノ
デアルト、斯ウ云フ御趣旨デゴザイマスカ、是モ伺ヒタイ、ソレカラ縣費ノ
上ニ二十万圓ノ補助、是ハ明治ノ彼ノ憲政ヲ布カレタ時分ニ二十万圓ヲ補助
セラレテ、途中デ又之ヲ減ゼラレタト云フヤウナ有樣デアル、是ハ其時ノ二
十万圓デ買フモノヲ今日買ッタラバ、恐ラクハ百万圓ノモノモ出來マセウ、ソ
レ故ニ今日ノ二十万圓ト云フモノハ事實ニ於テハ非常ニ減殺セラレタト云
フ結果ニナッテ居ルト思ヒマス、是ハ當局ノ方デ增加シヤウト云フ御詮議ガゴ
ザイマスルノデアルヤ否ヤ、之ヲ一ツ伺ヒタイ、免ニモ角ニモ沖繩ノ救濟ト
云フコトハ既ニ當局デモ、假令金額ハ僅ニモセヨ、助成金ヲ之ガ爲ニ御出
シニナリ、而モ今年ノ如キ非常ナ經濟ノ緊縮ト云フコトヲ、財政ノ緊縮ト云
フコトヲ御主張ニナッテ居ル場合ニモ拘ラズ、之ヲ御出シニナルト云フノダカ
ラ容易デナイト云フコトハ確ニ認メテ御イデニナルコトト存ジマス、私ハ
此質問ヲスルト云フヨリハ寧口沖繩ノ爲ニドウカ今一層ノ、政府ハ力ヲ入レ
テ、少クトモ沖繩縣民ガ立ッテ行ケルヤウニ御助成ヲ戴クコトヲ、私ハ切ニ希
望ヲ致シマスル、此點ニ對シテ御答辯ヲ煩シマス
〔國務大臣若槻禮次郞君演壇ニ登ル]発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=23
-
024・若槻禮次郎
○國務大臣(若槻禮次郞君) 唯今高橋君カラ、沖繩縣ノコトニ付テ御質問ガ
アリマシタ、其御質問中ニハ、沖繩縣ノ現狀誠ニ悲慘ナルモノアルト云フコ
トヲ擧ゲテノ御質問デアリマシタ、此點ニ付テハ私共モ、沖繩縣ノ今日ノ狀
態ハ、經濟上誠ニ同情スベキ狀態ニアルト云フコトヲ認メテ居リマシテ、政
府ニ於テモ沖繩縣民ガ此經濟上ノ難關カラ能ク離脫スルヤウニ相成リマスコ
トヲ切ニ祈ッテ居ル次第デアリマス、沖繩ノ狀況ニ付テハ如何ニシテ調ベタカ
ト云フ、御尋ノ中ニ先ヅ一點ガアリマシタ、沖繩縣ノ狀況ハ縣知事ヨリ詳細
書面ヲ以テ、又自ラ口頭ヲ以テ內務省ニ十分申出デテ居ルノデアリマス、其
狀況ニ對シテ內務省竝ニ大藏省ハ、人ヲ沖繩縣ニ出張セシメマシテ、實際ニ就
テ彼ノ地方ノ事情ヲ十分ニ調ベタノデアリマス、、其結果益〓沖繩縣ノ狀態ガ容
易ナラザルト云フコトヲ見マシテ、一段ト痛心ヲシテ、一段ト同情ヲ加ヘタ
次第デアリマス、沖繩縣ガ今日ノ如キ經濟界ノ悲慘ナル狀況ニナリマシタノ
ニハ一ツハ內地デモアリマシタ通リ、戰時ノ好況ノ時代ニ將來ノ慮リ少ク、
遂ニ思惑デ事業ヲヤッタ結果、資本ガ固定シ囘收スルコトガ出來ヌト云フヤウ
ナ點ガ、內地ニ於テモアリマスガ、沖繩ニ於テモアルノデアリマス、其關係
デ經濟界ノ餘程難儀ナ狀態ニナッタト云フコトハ、、是モ亦固ヨリ之ヲ認メナケ
レバナリマセヌ、其外丁度戰時中カラ戰後ニ掛ケテ砂糖ガ非常ニ······世界中
ノ砂糖ノ値段ガ高カッタノデアリマス、沖繩縣ハ御承知ノ通リ、產物ト云ウタ
ラ殆ド砂糖デアリマス、外ノ物モ無イノデハアリマセヌガ沖繩縣ノ產物ト云ッ
テチヨット簡單ニ申シマスレバ砂糖デアルト云フ位ニ、沖繩ノ重ナル產物ハ砂
糖ガソレデアリマス、其砂糖ガ世界ニ於キマシテ戰時カラ戰後ニ掛ケテ、
時非常ニ値段ガ好カッタノデアリマス、其時ニハ沖繩縣ノ經濟界モ大變良カッ
タノデアリマスガ、此砂糖ノ値段ガ最近非常ニ下落シタノデアリマス、足ノ
世界中サウナッタ爲ニ、砂糖ノ生產國ハ何處デモソレガ爲ニ今日ハ打擊ヲ受ケ
テ居ルノデアリマス、其同ジ打擊ガ沖繩縣ニ及ンデ、沖繩ハ其唯一ト云ッテモ
宜イ位デアリマスガ、唯一ト云フテハ或ハ語弊ガアルカモ知レマセヌガ、其主
要ナル產物ノ價格ノ下落カラシテ、今日ハ經濟界ガ非常ニ難儀ヲシテ居ル、其
上ニ其主要產物デアル砂糖黍ノ生產中ニ、耕作ヲシテソレガ生長シツツアル
間ニ、最近ニ、沖繩縣ニハ屢〓颶風カ襲來シテ來マシタ、一度强風ニ遇ヒマス
ト云フト、砂糖黍ガ折レテ行ク、折レテシマフト云フト、是ハ折角ノ耕作シタ
モノガ役ニ立タナクナルト云フコトカラシテ、元來彼ノ絕海ノ島デアリマス
カラ、風當リノ强イ所ヘ以テ來テ、最近數年ノ間ハ颶風ガ屢〓沖繩ニ襲來シマ
シテ、ソレガ爲ニ沖繩ノ主產物タル砂糖ヲ甚シク害シタノデアリマス、產額
其モノガ害セラレタ上ニ、價格其モノガ下落シタト云フノデアリマスカラ、
其結果沖繩ノ經濟界ニ及ンダ影響ガ甚大デアッタト云フコトハ、凡ソ想像ガ出
來ルノデアリマス、其影響ヲ受ケマシテ、沖繩ノ今日ノ縣民ノ經濟上ノ難儀
ハソレハ甚シイモノデアリマス、ソコヘ以テ來テ、銀行ガ前申上ゲマシタ通
リ,戰時好況ノ時代ニ不謹愼ナル貸附ケヲシテ、ソレガ滯ッテ取レヌト云フヤ
ウナ狀態デ、三ツノ銀行ガドウモ皆支拂ヲ爲スコトガ出來ヌヤウナ、誠ニ悲
慘ナル狀況ニナリマシタ、是ニハ銀行經營者自カラニモ私ハ過チガアッタト思
ヒマスガ、經營者自身ニ過チガアッタト否トニ拘ハラズ、免ニ角縣民ノ預金シ
テ居ルモノガ、預金ノ拂戾ヲ受ケルコトガ出來ヌト云フヤウナ狀態ハ是一
亦沖繩縣ノ經濟界ニハ非常ナ打擊ヲ與ヘタト申サヌケレバナリマセヌ、單リ
縣民ガ預金ヲ引出スコトガ出來ヌノミナラズ、縣廳ノ金ヲ是等ノ銀行ニ預ケ
テ居。久縣金庫ニナッテ居リマシタ爲ニ、縣廳モ亦金ヲ引出スコトガ出來ヌ
デ、縣費ノ支拂ニ屬シテ居ル、郡書記ナリ、學校ノ〓員ナリノ俸給モ、支拂
フコトガ出來ヌト云フヤウナ狀態マデ生ジタノデアリマス、高橋君ハ沖繩ノ
縣民ハ四百万圓以上ノ稅金ヲ納メテ居ルノニ、政府カラ補助スルモノハ僅ニ
二十万圓ダ、サウ云フコトデハ沖繩ノ縣民ガ難儀ヲスルニ決マッテ居ルト云フ
ヤウナ御觀察デアリマスガ、其點ハ高橋君ト私ハ觀察ヲ異ニシテ居ルノデア
ル其四百万圓ト云フ中ニハ、何レ砂糖ノ消費稅ガ這入ッテ居ルデアラウト思
ヒマス、砂糖ノ消費稅ハ間接稅デアリマス、消費稅デアリマス、ソレデアリ
マスカラ、∞砂糖ノ中デ沖繩縣デ消費セラレルモノニ付テハ、如何樣沖繩縣人
ガ稅金ヲ拂ッテ居ルノデアリマスガ、沖繩縣カラ縣外ヘ賣出サレルモノハ、消
費稅ハ消費者ノ負擔ニ歸著スルモノデアリマスカラ、沖繩縣カラ四百万圓ノ
稅金ガ取ラルルカモ知レマセヌガ、砂糖ノ代金ニナッテ四百万圓沖繩縣ニ這
入ッテ行クノデアリマス、大體ニ申スト······併シ値段ガ下ガッテ砂糖ガ下落ス
ル、損ヲスルト云フノハ是ハ別問題デアリマス、稅金ノ關係カラ云ッテ、沖繩
カラ四百万圓吸收シテ、サウシテ與ヘル所ノモノガ二十万圓ダ、ソレデハ沖
繩縣民ガ難儀スル筈ダト云フ御觀察ハ、餘リニ觀察ガ簡單ニ過ギテ居ルト私
ハ思ヒマス、其點ニダケハ稍〓見方ハ私ハ違ッテ居リマスガ、併シ今日沖繩縣
人ガ經濟上ニ非常ニ難儀シテ居ルト云フコトハ、高橋君ト同ジク私ハ之ヲ左
樣ニ考ヘテ居ルノデアリマス、其難儀スルニ至ッタ原因ハ、私ノ觀ル所ニ依レ
バ唯今マデ申上ゲタヤウナコト、其他ニモアリマセウケレドモ、唯今申上ゲ
タヤウナコトガ主ナルコトデアラウト思ヒマス、何レカラ難儀ガ來テ居ッテモ
兎ニ角彼等ガ難儀ヲシテ居ルト云フコトデアリマスルナラバ、出來得ル限リ
彼等ヲシテ難儀ノ狀態カラシテ離脫セシメルコトノ出來ルヤウニ圖ラヌケレ
バナリマセヌ、ソコデ政府ニ於テハ、唯金ヲ······貧乏シテ居ルカラ金ヲヤルト
云フ譯ニハ參リマセヌ、ソレデ縣金庫ノ支拂金ガ無クテ、縣ノ支拂ガ出來ヌデ
困ッテ居ルト云フヤウナ狀態ニ對シテハ、前議會ニ於テ議會ノ協贊ヲ受ケテ、
沖繩縣ニ金ノ貸付ヲシテ、ソレデ支拂ノ出來ルヤウニシテヤリマシタコトハ、
御承知ノ通リデアリマス、其外沖繩縣ニ向ッテハ、各府縣ニ低利資金ヲ、融通シ
やっ、其低利資金ヲ沖繩縣ニ對シテハ割合ニ多ク配當スル、配分スルト云フ
ヤウニシテ、是デ幾分ナリトモ經濟界ノ恢復ヲ圖ラシメルヤウニナッテアルノ
デアリマス、又唯今御話ニナリマシタ二十万圓ノ補助ト云フノモ、實ハ段々減
ゼラレテ十六万餘リニナッテ居ッタノデアリマス、ソレモ今囘ハ二十万圓ニ又
元ヘ戾シテ、矢張リ國庫トシテハ以前ニ補助シテ居ヲタ金額ニ戾スト云フコト
ニ致シテアリマス、ソレカラ又此產業ノ奬勵ノ爲ニ五十万圓餘リ出シテ居ル、
是モ外ノ縣ニハ無イコトデアリマスケレドモ、沖繩縣ガ困ッテ居ル者ヲ救濟
スルニハ、唯金ヲ給與スルヨリモ、事業ヲ起スコトガ出來ルヤウニシテ、サウ
シテ事業ヲ起シテ自ラ經濟界ヲ好況ニ至ラシメルヤウニサスル方ガ宜シイ、
ソレニハ幾ラカノ事業奬勵費ヲ支出シタナラバ、沖繩縣ニ於テモ、モウ少シ經
濟界ノ恢復狀態ニ至ラシムルコトガ出來ルデアラウト云フノデ、此奬勵費ノ
ヤウナモノヲ今囘豫算ニ計上シタ次第デアリマス、尙ホ其外那覇港ノ修築ト
云フモノハ、先年豫算ノ協賛ヲ受ケテ實行イタシマシタ、其豫算ハ皆使ッテシ
マッタノデアリマス、使ッテシマヒマシタガ、港ノ中ニ岩ガアッテ其岩ヲ取リマ
セヌト、中デ汽船ヲ廻轉スルコトガ出來ヌ、本當ハ豫算デソレ等モ皆取ッテシ
マフ筈ノモノガ、豫算ヲ使ッテシマッテ、ソレガ殘ッテ居ルト云フコトハ、是ハ大
藏省ナドデハ甚ダ不都合ナルコトダト云フコトニ見ラレル事柄デアリマスケ
レドモ、是モ現實左樣ニナッテ居リマスノデ、今囘ハ那覇ノ修築ニ若干又臨時
ヲ出スコトニ致シマシタ、是ハ港ガ良クナルコトデモアリマスガ、同時ニ港
ヲ良クスルヤウナ資金ヲ出シテヤッタナラバ、ソレデ彼地ニ仕事ガ出來ルカ
ラ、矢張リ勞働者ナリ其他ノ者ガ、之ニ依ッテ幾分此生計費ヲ得ルコトガ出來
ルヤウニナルカラト思ッテ、是モ出シタ次第デアリマス、又是マデハ鹿兒島ト
沖繩ノ間ノ航路ノ補助ヲシテ居ッタノヲ、今囘ハ沖繩ト大阪ノ航路ノ補助ヲス
ルト云フコトニシテ、是亦幾分ナリトモ沖繩ノ爲ニナルヤウニシテ、是ノミ
デ悉ク沖繩ノ救濟ハ出來マセヌ、併ナガラ今日ノ財政ノ中デ、此困窮シテ居
ル狀態ニ向ッテハ成ルベク同情シテ、何トカ出來ルコトナラバ沖繩ノ爲ニ支
出シヤウト考ヘマシタノガ、今囘豫算ニ計上シテアル所デアルノデアリマス
此金額ハ一年限リデナク、イツマデモ出スカト云フ御尋デアリマス、二十万
圓ノ補助ハ一年限リデナク、繼續シテ出ス考デアリマス、航路ノ補助ノ如キ
ハ年限ガアリマス、年限ガ盡キタラ其時ニ考慮スルト云フコトニナリマス、
勸業ノ奬勵ノ費用ハ、是ハ臨時費デアリマス、免ニ角形式ハ一年限リノモノ
ニナッテ居ルノデアリマス、併シ一年ノ奬勵デ、是デ目的ガ逹シマスルカ、
年ダケノ奬勵デハ目的ヲ達シマセヌカ、ソレハ又大正十六年度ノ豫算ヲ編成
スル時ニ於テ考慮スベキ問題デアラウト思ヒマス、斯樣ニシテ固ヨリ十分デ
ハアリマスマイ、十分デアリマスマイガ、政府ニ於テモ、沖繩ノ窮狀ニ對シ
テハ深イ同情ヲ以テ、出來得ル限リ沖繩縣民ノ難境ヲ救ヒタイト云フ考デ
總テ此狀態ヲ觀察シテ居ル次第アリマス、是ダケヲ御答ヘ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=24
-
025・蜂須賀正韶
○副議長(侯爵蜂須賀正韶君) 休憩ヲ致シマス、午後ハ一時半ヨリ開會イタ
シマス
午後零時十八分休憩
나루나루平山さホネ
午後一時四十三分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=25
-
026・徳川家達
○議長(公爵德川家逹君) 是ヨリ報〓ヲ致サセマス
〔成瀨書記官朗讀〕
本日議院法中改正法律案特別委員會ニ於テ當選シタル正副委員長ノ氏名左
ノカリ
委員長公爵一條實孝君副委員長男爵木越安綱君
平方発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=26
-
027・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ午後ノ會議ヲ開キマス、石川三郞君ノ登壇
ヲ望ミマス
〔石川三郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=27
-
028・石川三郎
○石川三郞君 私ハ時間切迫ノ折柄デアリマスガ故ニ、直チニ質問ノ箇條ヲ
簡單ニ御尋ネ致スノデアリマス、此度現內閣ハ一大決心ト英斷ヲ以チマシテ、
郡役所廢止ノ提案ヲ致シタノデアリマス、卽チ多年相當ニ貢獻ヲ爲シツツア
ル所ノ郡役所ヲ廢止スルト云フ提案ヲ爲シタノデアル、事柄ガ大デアリマス
ルダケ、ソレダケ之ニ伴フ利害關係モ亦頗ル重大ト思フノデアリマス、今順
序ト致シマシテ其主モナル利害ヲ申上ゲマスルト、廢止ノ爲ニ受ケル利益ハ、
町村自治ノ堅實ナル發達、事務ノ敏活、行政監督系統ノ整理ヲ爲スコト是
ハ確ニ利益デアラウト思フノデアリマス、之ニ反シマシテ受ケル所ノ害ハ
市町村事務ヲ繁多ニ爲シテ、又縣廳ノ事務モ繁多ニ爲シテ、兩方ノ責任ヲ重
ク爲スノデアリマス、其次ハ自治ノ精神ト申シマスルト、古キ習慣ヲ能ク守
ルト云フノガ自治ノ精神ノ胚胎ト思フノデアリマス、然ルニ此大キナル古キ
機關デアル郡役所ヲ突然廢止スルト云フコトハ地方民ノ自治ノ精神ヲ確ニ
毀損スルモノト申サナクテハナラヌノデアリマス、其次ハ郡役所ヲ廢スル爲
ニ地方自治ハ忽チ黨弊ノ禍中ニ投ズルト云フコトヲ覺悟イタサナケレバナラ
ヌ、郡長ハ超然タル位置ニ居リマシテ、能ク村政ヲ指揮監督シ緩和イタシテ、
黨弊カラ逃ルルヤウニ努メテ居ッタノデアル、又郡ノ政治······行政ニ付キマシ
テハ、郡選出ノ各派ノ縣會議員ニ渡リヲ付ケマシテ、黨弊カラ脫スルヤウニ
始終努メテ居ル、今郡役所ヲ廢スルト致シマスルト、是等ノ勞ヲ執ル者ハ忽チ
無クナッテシマフノデアリマスルカラ、從テ自治ガ黨弊ニ陷ルト云フ覺悟ヲシ
ナケレバナラヌト思フノデアリマス、以上ノ如ク甚大ナル利害ガアルノデア
リマスルカラ、政府ト致シマシテハ是亦大ナル決心ト英斷トヲ以チマシテ、
利益ハ之ヲ獲得伸張シ、弊害ハ除去スルヤウニ努メナケレバナラヌ、卽チ府
縣制、市町村制ヲ改革シナケレバナラヌト思フノデアリマス、其不備ナル點
ハ之ヲ補足イタシ、不可ナル點ハ改革スル上ニ付テ、吝カデアッテハナラヌ、
若シ補足改正ヲスル場合ニ於テ、政府ガ躊躇逡巡ヲ致シマシタナラバ、必ズ
ャ此郡役所廢止ハ先年ノ裁判所出張所ノ廢止ノ轍ヲ履ミハシナイカト、私
思フノデアル、又郡役所ヲ廢シマシタルガ故ニ、地方自治ハ府縣ト市町村ノ
二ツニナッテシマフノデアル、全ク此二自治機關ニ依ッテ行ハルルヤウニナル
ノデアリマスルガ故ニ、此二ツノ自治機關ヲ擴張シ、其基礎ヲ鞏固ニスルト
云フ點ニ付テハ、內閣ハ異存ノアラウ筈ハナイト思フノデアリマス、以上ノ
觀念ヲ基礎ト致シマシテ、今度提出ニナリマシタル府縣制竝ニ市町村制ノ改
正法律案ヲ研究イタシマスルト、如何ニモ物足リヌ感ジガ致スノデアリマス、
卽チソレ等ノコトヲ基礎トシテ考ヘマスルト、ドウシマシテモ自治機關ノ組
織モ改正セナケレバナラヌ、自治機關······自治ヲ施行シテ行ク長官、卽チ府
縣知事、市町村長、是等ノ人ノ選定任免ニ付テモ、相當ノ改正ガナクテハナ
ラヌ筈ト思フノニ、一ツモ是ニハ觸レテ居ラヌノデアリマス、今其例ト致シ
マシテ、箇條ヲ擧ゲテ御尋ヲ致シマスルト、先ヅ府縣ニ於キマシテハ、縣會
ノ權利竝ニ權威ニ缺クル點ハナイカト、斯ウ云フ疑ガ起ルノデアリマス、卽
チ權利ニ付キマシテハ、市町村ニ於テハ、市制第四十一條、町村制第三十九
條ニ於テ確乎タル權利ヲ持ッテ居ルノデアリマス、然ルニ縣會ハ唯府縣ニ關係
アル財政ノ決議權ノミヲ持ッテ、確乎タル權利ハ持ッテ居ラナイ、故ニ府縣會
ニ於キマシテモ市町村會ト同樣、府縣ニ關スル事件ハ一切之ヲ決議シ得ル權
利ヲ府縣會ニモ與ヘルノガ至當デハナイカ、斯ウ云フ疑ガ起ルノデアリマス、
第二ニハ府縣會ノ權威ヲ阻害スル、卽チ府縣知事ノ持ヲテ居ル原案執行權デ
アリマス、今日府縣知事ハ第八十二條ノ末項竝ニ第八十三條ニ於テ、原案執
行權ヲ持ッテ居ル、府縣制制定當時ニ於キマシテハ或ハ是ガ必要デアッカモ知
レヌ、卽チ府縣會ガ殊更ニ府縣知事ニ、卽チ官吏ニ反抗スルト云フ精神ヲ以
テ、無謀ナル決議ヲスルヤウナコトモ有ッタノデアリマセウケレドモ、今日ニ
於テ斯カル心理狀態ヲ以テ、公益ニ害アル決議、縣ノ收支ニ不適當ナル決議
ヲスルヤウナ縣會ハ無イノデアリマス、故ニ斯カル原案執行權ヲ今日府縣知
事ニ持タシテ置クト云フノハ、時代錯誤デアル、其利ハ害ヲ償フニ足ラヌト
思フノデアリマス、卽チ此箇條ガアリマスルガ故ニ、政府與黨ノ人ハ知事ニ
强望シテ、內閣ニ泣キ縋ッテ縣會ヲ攪亂シテ居ルコトハ理論デナクシテ、事
實ノ上ニ、歷代ノ內閣ニ於テ勃發イタシテ居ルノデアリマス、又縣參事會ハ
縣參事會ノ中ニハ官吏カラ三名出テ居ル、而モ三名ノ中一名ハ知事デアッテ、
其議長ヲ兼ネテ居ル、府縣會ノ代表機關タル參事會ニ官吏ガ這入ッテ決議ヲ
スルト云フノハ、是レ亦自治ノ精神ニ反シハシナイカ、殊ニ官吏ハ議案作成
者デアリ、提出者デアリ、說明者デアル、其人ガ自分モソレニカタッテ而シテ
決議ヲスルト云フノハ、私ハ意味ヲ爲サヌコトト思フ、ソコデ是モ廢止スル
ノガ至當デハナイカ、併シ萬々廢止スルコトガ出來ナイト云フコトニナリマ
スレバ、此官吏ノ參事會員ニ對シマシテハ、第六十八條ノ第六號ノ訴訟云々
······アレダケニ參與セシメルダケデ澤山デアラウ、斯ウ思フノデアリマス、
其次ハ市町村會デアリマスルガ、此市町村會ニ對スル市町村長ノ持ッテ居ル
原案執行權ニ付キマシテハ、府縣會ト同樣ノ意見デアリマス、同樣ノ疑ガ起
キテ居ルノデアリマス、尙又此町村長ハ、今度ノ改正案ニ依リマシテモ尙ホ
知事ノ認可ヲ受ケネバナラヌヤウニナッテ居ルノデアリマスガ、自治權ノ擴張
ニ依ッテ出來タル所ノ町村長ガ、尙ホ知事ノ認可ヲ得ナケレバナラヌト云フコ
トハ、是亦不思議ノ至リデアル、デ、是モ此箇條ガアリマスル爲ニ利害モアリ
マセウガ、利ハ害ヲ償ッテ居ラヌノデアリマス、實例ヲ申シマスルト、政府與
黨ノ人ガ知事ニ泣キ縋ッテ、反對黨カラドンナ優良ナ村長ガ出テモ到頭ソレヲ
許サナイデ、最後ニハ自分ノ派カラ出タ町村長ヲ許シタト云フ例ハ、私ハ佐
賀縣デアリマスガ、一二ニシテ止マラヌ、澤山其例ガアル、非常ニ迷惑ヲシ
テ居ル、是等ノ點モ此際篤ト御考ヘニナッテ然ルベキデハナイカト、斯ウ云フ
考ヲ持ツノデアリマス、マダ大體ニ付テ質問モアリマスルケレドモ、時間切
迫ノ折デアリマスカラ、單刀直入的ニ其箇條ダケヲ質問イタスノデアリマス
〔國務大臣若槻禮次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=28
-
029・若槻禮次郎
○國務大臣(若槻禮次郞君) 郡役所廢止ニ伴ヒマスル利弊ニ付テノ御意見
ハ必シモ私ハ同意見デナイノデアリマス、併シ是ハ御質問以外デアリマス
カラ、之ニ付テ唯〓申述ベルコトハ致シマセヌ、唯御質問ハ、第一ハ府縣制、
市町村制等ヲ改正スルナラバ、今日ノ府縣制ノ中ノ府縣會ノ權限ノ規定ヲ改
メテ、市制若クハ町村制ト同樣ニ何故セナカッタノデアルカト云フ御質問ガ
第一點デアリマス、如何樣市制及町村制ニ於テハ〓括ノ規定デアリマシテ、
市又ハ町村ニ關スル事務ヲヤルト云フヤウニ書イテアル、之ニ反シテ府縣制
ニ於テハ列擧シテアリマシテ、是〓ノ事務ヲ執行スルト云フヤウニシテアル
ノデアリマス、其點ハ異ナッテ居リマスガ、其列記シテアル箇條ハ、殆ド縣ノ
自治ニ關スルコトノ、大體ハ全部ニ亙ッテ居ルノデアリマス、細密ノ所ヲ申上
ゲタナラバ、〓括ノ規定ト列擧ノ規定デアリマスカラ、若干ノ相違ハアルカ
モ知レマセヌガ重要ノ事柄ニ付テハ、大體ハ府縣會モ亦、府縣ノ自治ニ關
シタル主モナルコトニ付テハ、皆議決權ヲ有ツヤウニナッテ居ルノデアリマ
ス、ソレ故ニ今囘ノ改正ニ於テハ、別段之ニマデ手ヲ著ケヌデモ宜シイ、斯
ウ云フ考ヲ持ッテ居リマス、第二ノ御質問ハ、府縣會ノ議決ニ對スル原案執行
ト云フ規定ハ甚シイ弊害ガアル、何故之ヲ廢メナカッタカト云フコトデアリマ
ス、府縣會ガアリマス以上、其議決ヲ尊重シナケレバナラヌト云フコトハ申
上ゲルマデモアリマセヌガ、原案執行ハ容易ニ爲スベキモノデナイト云フコ
トモ亦論ヲ俟タナイコトデアリマス、併ナガラ場合ニ依ルト云フト、縣會ノ
決議ガ極メテ公正ヲ失スルト云フヤウナ場合ガアルノデアリマス、此場合ニ
縣ノ自治行政ヲシテ適正ヲ得シムルノハ原案執行ニ依ルノ外ナイノデアリ
マシテ、此規定ハ濫用スレバ固ヨリ不可デアリマスケレドモ、此規定ニ依"ツ
テ、極ク弊ノアル場合ニ於テ之ヲ矯正スルト云フ利益モアルノデアリマスカ
ラ、ソレ故ニ全然之ヲ廢止スルト云フコトハ不可ナリト認メタノデアリマス、
殊ニ石川君ガ自治行政ノ上ニ於テ、黨派的不公平ノ行ハレルコトヲ甚シク御
憂慮ニナリマシタ、此黨派的不公平ヲ矯正シ得ル手段ハ原案執行デアルト
思フノデアリマス、ソレ故ニ之ヲ濫用スルコトハ、固ヨリ戒メナケレバナリ
マセヌガ、法律ノ中ニ此規定ヲ存スルト云フ事柄ハ、是ハ已ムヲ得ナイト思
フノデアリマス、第三ノ御質問ハ、府縣參事會員中ニ官吏ガアル、是ハ府縣參
事會ガ府縣會ニ代ル機關デアル以上ハ官吏ト云フ分子ハ除ク方ガ相當デハ
ナイカ、斯ウ云フ御質問デアリマス、政府ノ原案ニ於テハ此點ニ付テハ改
正ヲ加ヘヌデ居リマシタ、然ルニ衆議院ニ於キマシテハ、石川君ノ御考ト略,
同樣ナ考ニ依ッテ、矢張リ府縣參事會ノ中カラ官吏ト云フ分子ヲ除イタ方ガ至
當デアルトシテ、改正ガ加ヘテアルノデアリマス、今囘政府ノ原案ニ依リマ
シテモ、參事會ハ議案ヲ審査スル、先以テ府縣會ニ提出スル議案ヲ審査スル
ト云フコトハ全然之ヲ廢メマシテ、參事會ハ昔アリマシタ常置委員ノ如ク
縣會ノナイ場合ニ縣會ニ代ッテ議決スルト云フ機關ニスルノデアリマスカラ、
其意味カラ云ウテモ、此中カラ官吏ノ分子ヲ除クト云フノニ相當ノ道理ガア
ルト思フノデアリマス、ソレデアリマスカラ、衆議院ノ修正案ニ對シテハ
政府モ差支ナイモノデアルト云フコトヲ、先刻此コデ申上ゲタ次第デアリマ
ス、又市長、町村長ノ市長、町村會ノ議決ニ對シ、原案執行ノコトニ付テモ、
恰モ府縣會ノ議決ニ對シテノ原案執行ト同ジヤウニ、之ヲ御非難ニナリマシ
タガ、是ハ前ニ申上グル通リ必要ナル場合ガアッテ、而モ黨弊ヲ矯正スルガ爲
ニハ最モ必要デアルト存ジマスノデ、唯今之ヲ改正シヤウト云フ念慮ハ持タ
ナイ次第デアリマス、最後ノ御質問ノ、町村長ノ選擧ニ付テ縣知事ノ認可ヲ
要スルコトニナッテ居ルノモ、亦自治權ヲ尊重スル上カラ見テ面白クナイヂヤ
ナイカト云フ御質問、之ニ付テモ政府ノ原案ニハ其點ニ手ヲ觸レヌヤウニ
ナッテ居リマシタ、併シ衆議院ノ修正ニ依ッテ、矢張リ縣知事ノ認可ヲ要セヌ
コトニ矢張リ修正セラレテ居リマス、私ハ自分ノ就任以後、黨派ガ違ッテ居ル
故ニ町村長ノ選擧ニ對シテ認可ヲ與ヘナイナドト云フコトヲスル縣知事ガア
リマスナラバ、ソレハ私ノ意思ニ反スルノデアッテ、私ノ聞キ及ンデ居ル所ニ
於テハ、現內閣成立以來左樣ナユトハナイト思ウテ居ルノデアリマス、天下
ノ廣キ、私ノ聞キ及バヌ所ニ於テ、或ハサウ云フコトガアルカ知レマセヌガ、
若シ有ッタナラバ全然私ノ意思ニ反スルノデアリマス、是アリシハ既往ノ內
閣ノ下ニ於テハ有ッテ、私モ此弊害ハ十分認メテ居ルノデアリマス、今囘衆議
院ニ於テ町村長ノ選擧ニ對シテ知事ノ認可ヲ要セヌト云フコトノ修正ニ對シ
テモ、先程私ハ此席ニ於テ大體是デ差支ナイ、斯ウ云フ意見ヲ述ベテ居ルノ
デアリマスカラ、之ニ依ッテ御了承ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=29
-
030・石川三郎
○石川三郞君 簡單デアリマスカラ此席カラ發言ヲ御許シ下サイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=30
-
031・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=31
-
032・石川三郎
○石川三郞君 總理大臣ノ御說明ニハ能ク了解イタシタ點ト了解セザル點
トアルノデアリマス、了解セザル點ニ付キマシテ此上質問ヲ致シマスルト議
論ニ涉リマスルガ故ニ、私ハ差控ヘルノデゴザイマス、唯此場合、一言此差
控ヘル譯ヲ申上ゲマスト、總理大臣ニ於キマシテハ、府縣知事、市町村長ハ
何處マデモ政黨ニ超然ヲ致シタ立派ナモノト云フ見解ノ下ニ御話ニナッテ居
ルノデアリマス、私ハ今ヤマダ政黨ガ完全イタシテ居ラナイ過渡時代デアル
ガ爲ニ、府縣知事ヤ市町村長ガドウシテモ黨派ニ卷キ込マレルト云フノヲ基
礎ニシテ質問ヲ致シテ居リマス故ニ、此上質問イタシマシテモ議論ニ涉リマ
スカラ私ハ是ハ打止メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=32
-
033・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ニテ通告者ハ終リマシタ、特別委員ノ氏名ヲ書
記官ヲシテ朗讀ヲ致サセマス
〔長書記官朗讀〕
府縣制中改正法律案外六件特別委員
伯爵二荒芳德君子爵東園基光君嘉納治五郞君
水野鍊太郞君中村是公君小野塚喜平次君
男爵藤村義朗君阪本 多之助君絲原武太郞君
南京市発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=33
-
034・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第十一、造幣局工場其ノ他改築費ニ關スル法
律案、第十二、京都高等工藝學校移轉改築費ニ關スル法律案、政府提出、衆
議院送付、第一讀會ノ續、日程第十一第十二ハ、同一委員ニ付託セラレマシ
タカラ、一括シテ議題ト致シマス、二荒伯爵
造幣局工場其ノ他改築費ニ關スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
大正十五年三月十五日
右特別委員長
伯爵二荒芳德
貴族院議長公爵德川家達殿
京都高等工藝學校移轉改築費ニ關スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報〓候也
大正十五年三月十五日
右特別委員長
伯爵二荒芳德
貴族院議長公爵德川家達殿
〔伯爵二荒芳德君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=34
-
035・二荒芳徳
○伯爵二荒芳德君 造幣局工場其ノ他改築費ニ關スル法律案外一件ノ特別委
員會ノ報告ヲ申上ゲマス、第一ニ造幣局工場其ノ他改築費ニ關スル法律案ニ
付キマシテ申上ゲマスト、此改築ノ經費ヲ充用イタシマス爲ニ、造幣局資金
ノ中、百十二万三千八十八圓ヲ限リマシテ大正十五年度乃至十七年度ニ亙リ
マシテ、之ヲ一般會計ニ繰入レマス法律案デゴザイマス、造幣局ノ事業ヨリ
生ジマスル歲入ハ、之ヲ造幣局特別會計法ニ依リマシテ、其資金ニ繰入レテ
居ルノデアリマス、而シテ今囘此工場其ノ他附屬ノ建物ヲ改築イタシマス爲
ニ、先程申上ゲマシタ百十二万三千八十八圓ノ費用ヲ要シマスカラ、之ヲ一
般會計ニ繰入レマスル必要ガアル爲ニ、卽チ法律ヲ要スルノデアリマス、現
今ノ造幣局ノ工場其ノ他ノ附屬物ハ、明治初年ノ建築ニ係リマシテ、頗ル舊
式ナル煉瓦造デアルサウデアリマス、ソコデ其改築ニ迫ヲテ居リマス爲ニ、今
囘之ヲ改築スル爲ニ、約一坪當リ三百八十圓ノ見當ヲ以チマシテ、千七百六
十坪餘ノ改築ヲ致スノデゴザイマス、而シテ其費用ハ十五年度ニ於テ十七万
八千圓、十六年度及十七年度ニ於キマシテ四十七万餘圓ヲ費ス豫定ニナッテ
居ルノデアリマス、而シテ元來造幣資金ハ補助貨幣鑄造ノ損失ヲ塡補スル目
的ノ爲ニ造ラレテ居ルモノデアリマスケレドモ、今日其積立金ハ約五千万圓
ヲ用意ヲ致シテ置キマスレバ差支ナイト云フ、政府當局ノ見込デゴザイマス
ノデ、之ヲ此以外ニ建築費ヲ一般會計ニ繰入レルコトハ差支ナイト云フ見解
デアルノデゴザイマス、次ニ京都高等工藝學校ノ移轉改築ニ關スル法律案ニ
付キマシテ、特別委員會ノ報告ヲ申上ゲマス、京都ノ高等工藝學校移轉改築
ニ關シマシテ、其經費ニ充用イタシマス爲ニ、學校及圖書館資金ノ中百六十
万圓ヲ限ッテ一般會計ニ繰入レル爲ニ、此法律案ガ提出サレタノデアリマス、
是モ特別會計法ニ依リマシテ······此資金ハ、學校圖書館特別會計法第四條前
段ニ依リマシテ、消費スルコトガ許サレテ居ラヌノデアリマス、然ルニ京都
ノ市區改正ノ結果ト致シマシテ、此學校ノ土地ノ一部、詳シク申シマスレバ
二千坪程ガ道路敷ニ編入サレルノデアリマス、而シテ其殘リノ約一万坪ト
云フモノハ之ヲ賣却イタシマシテ、サウシテ適當ナ土地、恐ラク京都市ノ郊
外ニ此學校ヲ移轉サセタイト云フ目的ノ爲ニ、全部デ百六十万圓ノ金ヲ要ス
ルノデアリマス、此費用ニ付キマシテモ、特別委員會ニ於キマシテハ巳ムヲ
得ナイモノト認メマシテ、之ヲ可決イタシタノデアリマス、特別委員會ハ前
後約三囘ニ亙リマシテ、詳細ニ審議ヲ致シタノデアリマスガ、此二案何レモ
巳ムヲ得ザルモノト認メマシテ、可決イタシマシタ次第デゴザイマス、右御
報告ヲ申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=35
-
036・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 唯今二荒特別委員長ノ報告セラレマシタ兩案ト
モ、第二讀會ヲ開イテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=36
-
037・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=37
-
038・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開カレムコトヲ希望イタシマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=38
-
039・櫛笥隆督
○子爵櫛笥隆督君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=39
-
040・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 西大路子爵ノ動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=40
-
041・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス
옷가호永安南无発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=41
-
042・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 兩案全部ヲ問題ニ供シマス、全部原案ニ御異存ゴ
ザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=42
-
043・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=43
-
044・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ兩案ノ第三讀會ヲ開カレムコトヲ希望イタシマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=44
-
045・櫛笥隆督
○子爵櫛笥隆督君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=45
-
046・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 西大路子爵ノ動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=46
-
047・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス
배후南東山嘉発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=47
-
048・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 第二讀會ノ決議通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=48
-
049・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス
山南市山호주호具発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=49
-
050・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第十三、健康保險法中改正法律案、第十四、
健康保險特別會計法案、政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ續、委員長報告、
日程第十三第十四ハ、同委員ニ付託セラレマシタカラ、一括シテ問題ニ供シ
マス
健康保險法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
大正十五年三月十六日
右特別委員長
伯爵柳原義光
貴族院議長公爵德川家達殿
健康保險特別會計法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
大正十五年三月十六日
右特別委員長
伯爵柳原義光
貴族院議長公爵德川家達殿
〔伯爵柳原義光君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=50
-
051・柳原義光
○伯爵柳原義光君 唯今議題ニ相成ッテ居リマスル、健康保險法中改正法律案
及健康保險特別會計法案ノ委員會ノ經過竝ニ結果ヲ、極メテ簡單ニ御報道申
上ゲマス、兩案トモ三月五日ノ當議場ニ於テ委員付託ニ相成ッタノデゴザイ
やく、爾來委員會ヲ開キマスルコトハ四囘デアッタノデアリマス、而シテ兩案
トモ全會一致ヲ以テ可決イタシタノデアリマス、健康保險法中改正法律案ハ、
既ニ大正十一年四月公布ノ健康保險法ノ附則ニ、本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ムト云フ規定ガアルノデアリマス、其期日ヲ大正十五年七月一日及
大正十六年一月一日ノ兩度ニ別チマシテ、施行スルコトヲ定メル法案ナノデ
アリマス、而シテ大正十五年七月一日ヨリハ、主トシテ準備ノ行爲ヲ爲シ、
又十六年一月一日ヨリハ、保險給付ヲ施行スル次第ナノデアリマス、又健康
保險特別會計法案ハ、右ノ期日ニ健康保險法ヲ施行イタシマスルニ付キマシ
テ、其事業ノ性質上、政府ノ管掌イタシマスル保險ノ經濟ヲ特別會計ニ致ス
ト云フノガ、此案ノ精神ナノデアリマス、何レモ適當ノ法律案ト認メマシテ、
委員會ニ於キマシテハ、前申上ゲマシタ如ク、滿場一致ヲ以テ之ヲ可決シタ
ノデアリマス、而シテ委員會ニ於キマシテハ、兩法案ニ付キマシテ愼重ナル
審議ヲ遂ゲマシテ、政府委員ト委員トノ間ニ質問應答ヲ多々重ネタノデアリ
マス、唯今其質問應答ノ中デ、二三極メテ簡單ニ其御紹介ヲ申上ゲタイト考
ヘマス、先ヅ第一ノ質問ハ、健康保險法ノ實施ニ伴ッテ、在來ノ此勤勞ノ美風
ヲ破ッテ、虛僞ノ疾病或ハ負傷等ヲ生ズルノ憂ガアリハセヌカト云フ質問ガ
アッタノデアリマス、之ニ對シテ政府委員ハ此點ニ付テハ極メテ監督ヲ嚴重
ニシテ、十分之ヲ取締ル、斯ウ云フ答辯ガアッタノデアリマス、又第二ニハ
健康保險法ノ施行ニ伴ッテ、工場法ノ施行ヲ嚴重ニ監督シテ、衞生設備ノ改善
ヲ爲ス必要ガアリハセヌカ、斯ウ云フ質問ガアッタノデアリマス、之ニ對シテ
ハ將來同法ノ施行ヲ嚴重ニ監督イタス、斯ウ云フ返答ガアッタノデアリマス、
又健康保險法ノ範圍ヲ擴張シテ、船員保險及ビ其他ノ社會保險ヲ創設スルノ
必要ガアリハセヌカ、斯ウ云フ質問ガアッタノデアリマスガ、ソレニ對シテハ
事業主ノ負擔能力及政府ノ財政ノ狀態ヲ能ク考慮スル必要ガアルカラ、是等
ノ點ヲ能ク考慮シタ上デナケレバ、速カニ之ヲ行フコトハ出來ナイガ、目下
政府ニ於テハ之ニ付テハ調査中デアル、斯ウ云フ答辯ヲ得タノデアリマス、
尙ホ華盛頓條約ニ對スル政府ノ措置、本法律案ト勞働保險調査會トノ關係、
ソレカラ健康保險法實施ニ伴フ共濟組合ノ措置、本邦及外國ニ於ケル勞働者
ノ健康狀態如何、又健康保險ニ對スル國庫負擔及健康保險實施ニ伴フ影響等
ニ關スル外國ノ事例ニ付テ、質問モアッタノデアリマス、其他又醫療給付ノ場
合ニ付テモ質問ガアリマシテ、一々之ニ對シテ答辯ヲ致サレタノデアリマ
ス詳シイコトハ速記錄ニ依ヲテ御覽ヲ願ヒタイト考ヘマス、而シテ將ニ採決
ニ入ラムトスル際ニ當リマシテ、一委員ヨリ希望ガ出タノデアリマス、ソレ
ハ此健康保險ノ如キモノハ、我ガ國ノ社會保險ノ最初ノ試ミデアルカラシテ、
ドウゾ十分ナル注意ト愼重ナル考慮ヲ以テ之ヲ取扱フコトヲ望ムト云フ希望
ガ出タノデアリマス、政府ハ之ヲ能ク了承シテ、努メテ其趣旨ニ添フヤウニ
致スト云フ、斯ウ云フ答辯ヲ得タノデアリマス、大體之ヲ以テ御報〓ヲ終リ
マス、前申上ゲマシタル如ク、兩法案トモ極メテ適當ナル法案ト考ヘマシテ、
委員會ニ於テハ可決ヲ致シタノデアリマス、ドウゾ諸君モ御贊成ヲ願ヒタイ
ト考ヘマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=51
-
052・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 此兩案ノ第二讀會ヲ開クコトニ御異存ゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=52
-
053・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=53
-
054・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開カレムコトヲ希望イタシマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=54
-
055・櫛笥隆督
○子爵櫛笥隆督君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=55
-
056・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 西大路子爵ノ動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=56
-
057・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス
山東薫山発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=57
-
058・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 兩案全部、原案ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=58
-
059・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=59
-
060・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ兩案ノ第三讀會ヲ開カレムコトヲ希望イタシマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=60
-
061・櫛笥隆督
○子爵櫛笥隆督君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=61
-
062・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 西大路子爵ノ動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=62
-
063・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス
生南小〓発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=63
-
064・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 第二讀會ノ決議通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=64
-
065・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス
봉한発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=65
-
066・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第十五、王公族ノ權義ニ關スル法律案、政府
提出、第一讀會ノ續、委員長報〓、特別委員長近衞公爵
王公族ノ權義ニ關スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
大正十五年三月十七日
右特別委員長
公爵近衞文歷
貴族院議長公爵德川家達殿
〔公爵近衞文麿君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=66
-
067・近衞文麿
○公傅近衞文麿君 本案ノ委員會ハ一昨日第一囘ヲ開キマシテ、政府ト質問
應答ヲ重ネタノデアリマスガ、其內容ニ付キマシテハ、政府ヨリ祕密會ノ要
求ガアリマシタノデ、祕密會デアリマスルカラ、玆ニ御報告ヲ申上ゲルコト
ハ差控ヘタイト考ヘマス、而シテ第二囘ハ昨日開キマシタ、直チニ討論ニ入
リマシタ、然ルニ一委員ヨリ、舊韓國ノ皇室ニ對シテハ、日韓併合ノ當時ニ
煥發セラレマシタ詔書ニ於キマシテ、待ツニ皇族ノ禮ヲ以テシ、世家率循ノ
道ニ付テハ別ニ軌儀ヲ定ムル、ト云フ仰セガ載ッテ居ルノデアリマス、然ルニ
モ拘ラズ今日マデ其法規ノ備ハラナカッタコトハ頗ル遺憾デアッタガ、今囘此
法案ニ依ッテ王公家ノ權利義務ニ關シテハ法律ニ除外例ヲ認メテ、皇室令ヲ以
テ之カ規定ヲ開クト云フ途ヲ開カレタコトハ、實ニ先帝ノ御趣意ニ副ヒ、適
宜ノ措置デアルト認ムルト云フ意味ノ意見ノ陳述ガアリマシタ、各人皆異議
ナク、全會一致ヲ以テ可決イタシタノデアリマス、此段御報告ヲ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=67
-
068・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 本案ノ第二讀會ヲ開クベシトスル諸君ノ起立ヲ請
ヒマス
總員起立発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=68
-
069・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 全會一致ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=69
-
070・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開カレムコトヲ希望イタシマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=70
-
071・櫛笥隆督
○子爵櫛笥隆督君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=71
-
072・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 西大路子爵ノ動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=72
-
073・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス
山東京市〓业景発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=73
-
074・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 本案全部ヲ問題ニ供シマス、全部原案ニ御異存ゴ
ザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=74
-
075・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=75
-
076・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第三讀會ヲ開カレムコトヲ希望イタシマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=76
-
077・櫛笥隆督
○子爵櫛笥隆督君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=77
-
078・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 西大路子爵ノ動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=78
-
079・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス
嘉禾九山王発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=79
-
080・徳川家達
○議長(公爵德川家逹君) 第二讀會ノ決議通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=80
-
081・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス
立熹〓東京発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=81
-
082・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 八條子爵ヨリ柳原伯爵外六名ノ賛成ヲ以テ、國有
財產報告書審査ニ關スル動議ヲ提出セラレマシタ、諸君ニ於テ御異議ガナケ
レバ、議事日程ヲ追加シタイト考ヘマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=82
-
083・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議案ヲ朗讀イタサセマセウカ、諸君ニ於テ御異議
ガナケレバ、朗讀モ省略シタイト考ヘマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
國有財產報告書審査ニ關スル動議
右提出候也
大正十五年三月十八日
發議者
子爵八條隆正
贊成者
伯爵柳原義光
子爵靑木信光
淺田德則
男爵阪谷芳郞
鎌田榮吉
阪本釤之助
西久保弘道
貴族院議長公爵德川家達殿
議院ニ於テ議定ニ至ラサリシ國有財產報告書ハ後會ニ於テ之ヲ審査スヘシ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=83
-
084・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 八條子爵ノ登壇ヲ望ミマス
〔子爵八條隆正君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=84
-
085・八條隆正
○子爵八條隆正君 唯今議題ニ上リマシタル、私ヨリ發議イタシマシタル國
有財產報告書審査ニ關スル動議ノ趣意ヲ御說明申上ゲマス、玆ニ先以テ動議
ヲ朗讀イタシマス、「國有財產報告書審査ニ關スル動議、議院ニ於テ議定ニ至
ラサリシ國有財產報告書ハ後會ニ於テ之ヲ審查スヘシ」斯樣ナ動議デアリマ
ス、國有財產法第二十六條ノ規定ニ依リマスルト、政府ハ毎會計年度間ニ於
ケル國有財產增減總計算書及每五年三月三十一日現在ノ國有財產現在額總計
算書、之ヲ帝國議會ニ提出スルコトニナッテ居ルノデアリマス、是等ノ國有財
產ニ關シマスル報〓書ハ議會ニ提出サレマシテ、議院ニ於テ受領イタシマシ
タル時ニハ、之ヲ決算委員ニ付託イタシマシテ、審查ヲナサシメルト云フコ
トハ曩ニ第五十囘議會ニ於キマシテ、本院ノ決議セラレタ所デアルノデア
リマス、然ルニ同議會ニ於キマシテハ、政府ヨリ受領イタシマシタル大正十
一年度ノ國有財產報告書ノ審査中ニ、議會ガ閉會ニナリマシタノデアリマ
ス、依テ今期議會ニ於キマシテ、引續イテ之ガ審査ヲ爲シ得ベキヤ否ヤト云
フコトハ疑義ガ存スルノデアリマス、ノミナラズ將來ニ於キマシテモ亦同樣
ノ場合ヲ生ズルコトガアルベシト思ハレルノデアリマス、依テ此際右ノ場合
ニ關スル取扱方ヲ議院ニ於テ決定ヲ致シテ置ク必要ガアラウト存ジマスノデ
アリマス、卽チ決算審査ニ關シマスル所ノ例ニ依リマシテ、議院ニ於テ議定
ニ至ラザリシ國有財產報告書ニ付キマシテハ、後ノ議會ニ於テモ其審查ヲ爲
シ得ルコトニ致シタイト存ズルノデゴザイマス、是ガ本動議ヲ提出イタシマ
シタ趣意デゴザイマス、ドウカ御贊成ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=85
-
086・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 動議ニ贊成ヲ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=86
-
087・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 八條子爵ノ動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=87
-
088・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス、次ノ議事日程ハ決定次第
本院彙報ヲ以テ御通知ニ及ビマス、本日ハ是ニテ散會イタシマス
午後二時三十四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005103242X02719260318&spkNum=88
-
本文はPDFでご覧ください。
3. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。