1. 会議録本文
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000・会議録情報
會議
大正十五年二月十二日(金曜日)午前十時三十五分開議
出席委員左の如し
委員長 加藤政之助君
理事 永田善三郎君
理事 岩切重雄君
橋本喜造君 飯塚春太郎君
神部爲藏君 太田信治郎君
工藤鐵男君 奥村千藏君
三好榮次郎君 堤康次郎君
中島守利君 松本眞平君
堀切善兵衞君 山本条太郎君
佐々木文一君 長田桃藏君
星島二郎君 山内範造君
高橋光威君 本多貞次郎君
沼田嘉一郎君 清水長郷君
佐々木平次郎君 岡田温君
倉元要一君
出席政府委員左の如し
大藏政務次官 武内作平君
大藏參與官 三木武吉君
大藏省主税局長 黒田英雄君
大藏書記官 藤井眞信君
大藏技師 矢部規矩治君
農林政務次官 小山松壽君
農林參與官 高田耘平君
農林書記官 戸田保忠君
商工政務次官 柵瀬軍之佐君
商工省工務局長 宮内國太郎君
委員長の許可を得て出席したる者左の如し
農林書記官 井野碩哉君
農林技師 間部彰君
本日の會議に上りたる議案左の如し
關税定率法中改正法律案(政府提出)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=0
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001・加藤政之助
○加藤委員長 是ヨリ關稅法中改正法
律案ノ委員會ヲ開カウト思ヒマス、ソ
レデ今日ハ第一類カラ終リマデ順ヲ經
テ質問ヲ開始シタイト思フノデアリマ
ス、先ヅ第一類ニ付テ御疑ノアル方ハ
御質問ヲ願ヒマス當局ハ今迄ノ說明
デ大抵盡キテ居ルト考ヘルカラ、當局
カラ說明ハ致サヌ、皆樣ノ御質問ニ應
ジテ應答スルト云フ事デアリマスカラ
其意味デ御質問下サルコトヲ御願ヒ致
シマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=1
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002・岩切重雄
○岩切委員 一寸一類五ノ緬羊ノ事ヲ
御尋致シタイト思ヒマス、緬羊ノ問題
ハ從來ノ稅率ヲ今度無稅ニナサッタ譯
デスカ、是ハ原料品トシテ輸入ヲ歡迎
スルト申シマスカ、日本ノ緬羊ノ奬勵
ト考ヘマスガ、大體日本ニ於テハドウ
云フ風ニ今發達ノ見込ガアリマスカ、
又滿蒙地方ニ於ケル緬羊ト云フモノハ、
果シテ我國ニ於テハドレダケ這入ル見
込デアルノデアリマスカ、其御調ガア
ルナラバ一寸······発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=2
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003・小山松壽
○小山政府委員 是カラ類別ニ付テ御
尋ガアリマスノニ御答申上ゲマスガ、
其前ニ大體御答ヲ申上ゲルニ付テ、皆
サンノ御諒承ヲ冀ッテ置キタイト思ヒ
マスノハ、大體ノ事ニ付キマシテハ私
申上ゲマスガ、其各論ニ這入リマスヤ
ウナ事ニ付キマシテナラバ、却テ當局
カラ委員長ノ御許シヲ得テ申上ゲル方
ガ、要領ヲ得ルト思ヒマスカラ、ドウゾ
今後御質疑ノ際ニハ、左樣ナ方針ニ致シ
タイト思ヒマス、御諒承ヲ願ヒマス、只
今御尋ノ緬羊ノ事デアリマスガ、是尺
大正七年以來其奬勵普及ノ方法ヲ講ジ
テ居リマスノデ、申上ゲル迄モナク御
承知ノ是ハ寺內內閣ノトキ、毛織物ノ
奬勵ニ對スル我ガ國策ヲ樹立シタイト
云フコトデ、議會デ大分論議サレマシ
タ、將來我ガ毛織物ノ對策トシテ、此事
業ヲ始メヤウト云フコトニナッタノデ
アリマスガ、是ハ本邦デハ明治八年大
久保內務卿以來、之ニ著眼シテ相當ニ
施設ヲサレマシタ、爾來其施設ノ見ル
ベキモノガアッタノデアリマスガ、何分
餘リ振ヒマセヌノデ、只今申上ゲタヤ
ウナ政策ヲ執ッテ參リマシタ、現在デハ
其數モ相當多數ニ上ッテ居リマスガ、併
ナガラ所期ノ通リニ參ッテ居リマセヌ、
併シ此緬羊飼育ノ事ハ、各地共ニ相當
ニ理解ヲ持ッテ參リマシテ、段々其頭數
ガ殖エテ參ルト云フヤウナ事ニナッテ
居リマス、併シ大正七年、此施設ヲ致シ
マシタ當時ニ於キマシテハ百萬頭ノ
計畫ヲ立テタノデアリマス、今其道程
ニ在ル譯デアリマス、併ナガラ我國毛
織物ノ現狀ヲ考ヘマシテ、尙ホ之ニモ
ウ一步ヲ進メナケレバナラヌト考ヘル
次第デアリマス、尙ホ細カイ事業ノ消
長ノ點ニ付テハ事務官ヨリ申上ゲマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=3
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004・岡田温
○岡田委員 一類ノ第三第四デアリマ
スガ、種牡牛トカ或ハ種牡馬ト云フモ
ノハ之ニ屬スル譯デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=4
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005・小山松壽
○小山政府委員 是ハ關稅法ノ先日御
審議ニナリマシタ法律案モアリマス通
リ、種馬種牛ニ屬スルモノハ此關稅法
ニ關係ガゴザイマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=5
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006・岡田温
○岡田委員 第八ノ家禽類ガ無稅ニ
ナッテ居リマスガ、從來ハドウ云フモノ
ガ輸入サレタカソレヲ一寸伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=6
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007・小山松壽
○小山政府委員 是ハ極メテ僅カナモ
ノデ、大シタコトハアリマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=7
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008・倉元要一
○倉元委員 私ハ大藏大臣ニ御尋申上
ゲル機會ヲ失シマシテ、總括的ノ質問
ヲ今申上上ゲテ相濟ミマセヌガ、逐條
審議ヲ致シマス參考ニシタイト思ヒマ
ス、今囘ノ關稅定率ノ改正ニ依リマス
其結果ハ、一般物價ハ騰貴スルト御覽
ニナッテ居リマスカ、今日ノ物價以上ニ
ハ騰貴シナイト云フ當局ハ御見込デ居
リマスカ、ソレヲ私ハ參考ニ伺ヒタ
イ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=8
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009・黒田英雄
○黑田政府委員 過日何方カノ御質問
ニ對シマシテ、大藏大臣カラモ此點ニ
付キマシテ、御答ヲ申上ゲタコトト考
ヘテ居リマスガ、關稅ノ改正ニ依リマ
シテ据置キマシタモノガ全體ノ五十バ
ーセント、半分ヲ据置イテ居ルノデア
リマス、此點ハ關係ガナイガ、引上ゲタ
モノニハ相當アリマス、卽チ內地ノ生產
ヲ保護スル-關稅引上ニ依テ、内地
ノ生產品ガ外國ノ品物ト競爭スル上ニ
於テ不利ナルモノニ對シテ、外國品ト
競爭出來ル程度ニ定率ヲ引上ゲル、保
護ヲスル、是等ノモノニ付テハ一時ノ
現象ト致シマシテ、其品物ノ價格ガ幾
分上ゲラレルト云フコトハ免レナイト
思ヒマス、併シソレ等ノ品物ガ段々生
產ヲ增加シテ參リ、外國品ヲ驅逐シ內
地ノ生產ガ殖エテ參ルト云フコトニナ
ルト、御互ノ間ニ競爭ヲ生ジテ參ルノ
デアッテ、自然物價ハ落付イテ參リ、安
クナルト云フコトモアラウト思ヒマ
ス、唯一時ノ現象トシテ、或ル品物ニ
付テハ多少騰ルト云フコトハ、內地ノ
產業ヲ保護スル結果トシテ已ムヲ得ナ
イ現象デアラウト考ヘルノデアリマ
ス、又或ル品物ニ付テハ、關稅率ノ引上
ガアリマシテモ、ソレダケ價格ノ騰ラ
ナイモノモアラウト思ヒマス、是ハ大
藏大臣モ例ニ御引キニナッタノデアリ
マスガ、贅澤稅ノ關係ニ於テ、從價稅ヲ
十割課スルコトニナリマシタガ、ソレ
等ノ品物ノ價格ト云フモノガソレダケ
騰ッテ居ラヌデ、全體トシテ四割何分ト
云フコトノ騰貴ニナッテ居ルノデアリ
TV、品物ニ依テハ却テ從來ヨリモ安
クナルコトモアル、外國カラ參リマス
モノガ關稅ヲ上ゲマスレバ、向フデ價
ヲ下ゲテ來ルト云フコトモアル、結局
政府ノ收入ハ關稅ノ增加ニ依テ殖エマ
スガ、併シ向フガ此値ヲ下ゲテ來マ
スレバ、外國ニ支拂フ金ハ少クナル、消
費者ニハ從前ヨリモ安イト云フ現象ヲ
呈スルコトモアルノデアリマス、是ハ
一〓ニハ申サレマセヌガ、唯或ル品
物ニ付テ前申シマスヤウニ生產保護ノ
結果ト致シマシテ、一時多少騰貴致ス
コトモアリマス、併ナガラ其事業ヲ保
護スルト云フ目的カラ申シマスト、相
當ノ効果ガアルト云フ風ニ考ヘテ居ル
次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=9
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010・倉元要一
○倉元委員 只今承リマスト、全體ノ
關稅品目ヲ通ジテ五割ト云フモノハ据
置ニナッテ居ルカラ、大體ニ於テ物價ハ
騰ラナイ見込ヲ付ケテ居ル、一時ハ騰
ルカモ知レヌガ、後ハ相當ニ大量生產
ニ依テ下リハシナイカト云フ御見込デ
アリマスガ、私共ハ今囘ノ關稅定率ノ
引上ニ依テ、据置ニナッテ居ル品目モ其
勢ヒニ驅ラレテ〓騰スルモノト私共ハ
見込ンデ居ル譯デアリマス、私共ノ見
込ガ間違ヒナイモノトスルナラバ、大
部分据置ニナッテ居ル農產物ノ如キハ、
一般物價ト一層懸隔ガ甚シクナリハシ
ナイカト憂フルノデアリマス、此點ハ
ドウ考ヘマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=10
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011・黒田英雄
○黑田政府委員 先程御答申上ゲマシ
タ通リ、或種ノ品物ニ付テハ其價格ガ多
少騰ルコトハ免レナイト考ヘルノデア
リマスガ、併シソレ等ニ依テ一般物價
ガ騰貴スルヤウニハ考ヘナイノデアリ
マス、唯特種ノモノニ付キマシテハ、其
結果ト致シマシテ多少影響ヲ生ズルダ
ケデアリマス、是ガ全體ノ物價ニ影響
ヲ及ボストハ思ッテ居リマセヌ、或モノ
ニ對シテハ價額ヲ引下ゲルト云フモノ
モアルノデアリマスカラ、サウ云フモノ
ニ付キマシテハ勿論下ッテ來ルコトデ
アリマシテ、是ハ特殊ノ品物ニ對シテ
及ボスダケデ、全體ト致シマシテハ先
程申シマス通リ、五割迄ハ据置ニナッテ
居ルノデアリマス、又先程モ申上ゲマ
シタ通リ消費者ノ手ニ渡リマスルマデ
ノ影響トシテハ極メテ輕微ナモノニ
ナッテ來ルノデアリマス、全體トシテハ
サウ影響ハナイト考ヘテ居リマス、是
ハ或ハ意見ノ相違カモ知レマセヌガ、
サウ云フ風ニ考ヘテ居ルノデアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=11
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012・倉元要一
○倉元委員 モウ一ツ伺ヒタイノハ、
內地產業保護ノ目的ヲ以テ、此處ニア
ル種目ニ對スル品物ニ付テハ、外國品
ガドコマデ生產費ヲ輕減シテ、日本ノ
今囘ノ定率改正ニ依テ保護サレタ品
目ニ對シテ、ドコマデ競爭ガ出來ルカ
ト云フコトニ付テ御調査ニナリマシタ
カ、詰リ私ノ申上ゲルノハ、外國品ガ何
處マデ生產能率ヲ擧ゲルカト云フギリ
ギリノ所マデ御調査ニナッテ居ルカ、今
度ノ改正ニ依ル日本品ノ恩惠以上ニ競
爭ガ出來テ、折角保護ナサッタ御苦心ニ
副ハナイカト云フコトヲ伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=12
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013・黒田英雄
○黑田政府委員 是ハ洵ニムヅカシイ
問題デアリマシテ、調査ヲ致シマスル
際ニ於テ、御話ノ通リ其點ニ付テモ或
ル特殊ノ品物ニ付テ考慮ヲ致シタノデ
アリマス、果シテ何處マデ下ゲテ來ル、
所謂基準期間ト申シテ居リマスガ、其
基準期間ノ輸入價格ヲ標準ニハ取リマ
スケレドモ、或ル方面ヲ見マスルト隨
分下ゲタモノモアル、是等ニ付テハ一
時競爭上又下ゲテ來ハシナイカ、又下
ゲル力ヲ持ッテ居ナイ爲ニ不當販賣ト
云フ範圍ヲ出デヤシナイカ、勿論全體
ノ品物デハアリマセ·ヌガ、或ル品物ニ
付テハ考慮ヲ致シタノデアリマス、併
ナガラ是ハ正確ニ其數ヲ見積ルト云フ
コトハ到底出來ナイ仕事デアリマシテ、
隨テ又一割位ハ或ハ下ゲル力ガアラウ
ト云フヤウナコトモ頭ニ置イテ稅率ヲ
盛ッタモノモアルノデアリマスガ、只今
御尋ノヤウニ然ラバドレダケ下ゲル力
ガアルカラ、ソレダケハ引イテ置クト
云フ所マデ正確ニ見積ルコトハ出來ナ
カッタノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=13
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014・倉元要一
○倉元委員 モウ一ツ私審議ニ這入ル
前ニ參考ニ伺ヒタイノハ、從量ト從價
トヲ區別ナサル基準ハドコニアルノデ
アリマスカ、是ハ徵稅上ノ便宜カラ御
定メニナルノカ、其點ヲ一ツハッキリ區
別シタ御說明ヲ願ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=14
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015・黒田英雄
○黑田政府委員 從量稅ニ致シマスノ
ハ、價額ノ大體-卽チ其品物デ餘リ區
々ニ亙テ『居リマセヌ、大體ニ於テ統一
シテ居リマスル品物ニ付テ、而モ相當
輸入ガアリマシテ、輸入價額ノ算出ガ
出來ルモノ、大體平均產額ガ是レ位ア
ルデアラウト云フモノニ付キマシテハ
從量稅ニ致シタノデアリマス、餘リ區
々ニ亙テ居ルヤウナモノニ付テハ從
價稅ニ止メル、或ハ輸入價額ガ少クシ
テ平均ノ價額ヲ得ルニ困難デアルト云
フヤウナモノハ從價稅ニ止メテ居ルノ
デアリマス、ソレカラ從量稅ニスルニ、
徵稅上ノ便宜カラ來ル-カト云フ御
尋デアリマスガ、勿論從量稅ハ從價稅ニ
比シテ便利デアル、其際ニ於テドウ云フ
コトヲ評定ニスルカ、是ハ隨分深刻ニ
間違ッタコトモ多イノデアリマシテ、之
ヲ評定致シマスコトニ付テ非常ニ面倒
ガアリマスカラ、ソレノミナラズ輸入
者ノ方ニ於キマシテモ、從量ナラバ幾
ラ々々ノ稅ガ掛カルト云フコトガピ
チット分ルノデアリマスカラ、其品物ガ
內地ニ這入ッテ幾ラニナルト云フ價格
ヲ算出スル上ニ於テ大變便利デアリマ
ス、從價稅デアルト稅關デドレダケニ
評定スルカト云フコトハ分ラナイ、故
ニ正確ニ輸入業者ニハ分ラヌ譯デアリ
マス、這入ッテ來テ稅ヲ掛ケテ見ナケレ
バ、果シテ是ガ幾ラノ物ニナルト云フ
見當ハ付ケ惡イノデアリマス、ソレヲ
從量稅デアレバ初メカラ自分デ計算シ
タモノデ直ニ分ルノデアリマスカラ、
輸入者側ノ方カラモ此方ガ便利デアリ
や、 、モウ一ツ從量稅ニ致シテ置キマ
スルト、先程一寸申シマシタ通リニ、非
常ニ値段ヲ安クシタト云フヤウナ場合
ニハ稅金ガ掛カラナイ、若シ從價稅ナ
ラバ二割ナラ二割デ大抵宜カラウト云
フモノニ付テ、非常ニ價ヲ下ゲテ來マ
スト稅金モ安イモノニナッテ來ルト云
フ關係モアルノデアリマス、隨テ從量
稅ノ方ガ從價稅ヨリモ色〓ノ點カラ見
マシテ便利デアリマスガ、併シ是ハ從
量稅ニ致シマスルノニハ、前申シマス
ヤウナ狀況ノモノデナイト出來マセヌ
カラ、御覽ノ通リ從量稅ニ致ス方針ヲ
大體執リマシタガ、全體ノ數カラ申シ
マスルト餘リ增シテ居ラナイノデアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=15
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016・倉元要一
○倉元委員 モウ一ツ徵稅上ノコトニ
付テ御尋致シテ置キマスガ、品目ニ依
リマシテ、品種ノ認定ノ甚ダ疑ハシイ、
ドレニ屬スルカト云フヤウナ場合ニ
全クソレハ稅關官吏ノ裁量デ認定シテ
決メルモノデアリマスカ、先年承リマ
スルト云フト、滿洲カラ驢馬ヲ輸入シ
タ人ガアル、馬ノ稅金ヲ掛ケラレルト
思ッテ居ッタ所ガ、外ノ物ニ入レラレテ
二割取ラレタ、馬デアレバ五分デアル、
私共ハ驢馬ハ馬デアルト思ッテ居リマ
スガ、サウ云フヤウナ稅關官吏ノ認定
ニ依テ、左樣ニ課稅ノ率ガ間違ッテ來
ルノデ迷惑ヲスル、其點ヲ一ツ伺ッテ置
キタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=16
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017・黒田英雄
○黑田政府委員 御尋ノ通リ輸入品ニ
對シマシテ、何レノ稅率ヲ適用スルカ、
凡ソドコニ分類スルカト云フコトハ
稅關ニ居リマス監査官ガ決定致スノデ
アリマス、ソレデ只今御話ノヤウニ、當
業者ハドノ稅番ニ當ルモノデアルト
思ッテ居ッテモ、稅關デ他ノ稅番ヲ適用
スルモノデアルト云フ結果ト致シマシ
テ、初ノ計算ガ違フト云フヤウナコト
モ間〓起ルモノデアリマス、ソレデ成
程分類ニ於キマシテ、ドッチニモ着カナ
イヤウナモノハアリマス、例ヘバ一寸
初ノ方ニアリマス、粟、稗、黍ト云フヤ
ウナモノガ今マデ分ケテアッタノデア
リマスガ、是ナドハ此度ハ一ツニ致シ
タト云フヤウニ是等モ一寸組ミマス
上ニ於テ困難ナモノガアルノデアリマ
ス、其他分類ニ付キマシテモ、解釋上ニ
於キマシテサウ云フ風ナ疑義ガ起ルモ
ノモアラウカト思ヒマスガ、新シイ物
ガ這入ッテ來マシタ場合ニ於テ、時〓稅
關ニ於キマシテモ問題ニナルコトガア
ルノデアリマス、其場合ニ於テサウ云
フ問題ニナリマシタモノニ付テハ稅
關ニ於キマシテ主稅局ニ其旨ヲ伺ッテ
參リマシテ、主稅局ニ於キマシテハ、各
稅關ニ其意見ヲ問ヒマシテ、サウシテ
稅關每ニ區々ニ亙ラナイヤウニ統一シ
テ、各稅關ニ更ニ通牒スルト云フ風ニ、
常ニ色ミナ物ガ這入ッテ來マシタトキ
ニ、多少問題ニナルヤウナモノニ付キ
マシテハ統一ヲスルト云フコトニ努メ
テ居リマス、併シ有ユル物ヲ玆ニ揭ゲ
テナイノデアリマスカラ、ドウシテモ
多少ハ分類上ニ於テ〓究ヲ要スルモノ
ガアルノデアリマスガ、併シソレ等ノ
點モ除キ得ルモノニ付キマシテハ大
體今囘ノ改正ニ於テモ意ヲ用ヒテ居ル
ノデアリマス、只今ノ驢馬ガ馬デアル
カト云フコトデアリマスルガ、是ハ此
處ニ揭ゲテアル馬デナクシテ、別ニ揭
ゲザル動物ノ中ニ解釋シテ居リマスヤ
ウデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=17
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018・倉元要一
○倉元委員 農林當局ニ御伺シマス
ガ、小麥ノ作附增收ノ御奬勵ハ·発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=18
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019・加藤政之助
○加藤委員長 小麥ノ方ハ第二類ニ這
入ッテ御質問ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=19
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020・長田桃藏
○長田委員 今日伺ヒマシタ、アノ競
馬用ノ馬ハ結局最後ノ目的ハ種馬ニナ
ルノデアリマスガ、アレハ矢張種馬ト
シテ御認ニナルカ、此稅種ノ中ニ這入
リマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=20
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021・小山松壽
○小山政府委員 先刻御答申上ゲマシ
タガ、競馬用ノ馬ハ這入ッテ居リマセ
ヌ、種馬ト申〓致シマシタモノハ無稅
ニナリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=21
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022・長田桃藏
○長田委員 モウ一應伺ヒマスガ、競
馬用トシテ主務省ノ御認可ヲ經テ、濠
洲產ノ「サラブレ」ナドヲ入レルノデア
リマスガ、アレハ競馬用トシタ場合ニ
ハ課稅セラレテ、究極ノ目的ノ種馬ニ
ナルト云フ意味ガ表示サレタ場合ニ於
テハ、免稅サレルト云フ結果ニナルモ
ノト諒解シテ宜シウゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=22
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023・小山松壽
○小山政府委員 輸入致シマストキニ
農林大臣ノ認可ヲ經、若クハ申〓致シ
タルモノニナッテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=23
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024・長田桃藏
○長田委員 其第二ノ點ヲモウ一應
伺ッテ置キタイト思ヒマス、ソレハ競馬
用トシテ御認可ヲ經タ場合ニハ課稅サ
レルシ、ソレカラ種馬用トシテ御認可
ヲ經ルコトガ出來マスレバ、是ハ無稅
ニナルト了解シデ宜シイノデアリマス
カ、第一目的ハ競馬ニ使ッテモ、申請ス
ルトキニサウ云フ風ニ申請シタラ、無
稅ニナルト了解シテ宜シウゴザイマス
カ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=24
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025・小山松壽
○小山政府委員 此現行法ト改正法ト
ノ法律案ノ第七條ノ第二十三ヲ御覽下
サイマスト発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=25
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026・長田桃藏
○長田委員 見テ居リマス、見テ居リマ
スガ、私ノ申シマスノハ、競馬用ノ馬ハ
競馬ニ使用後ハ、多クノ場合種馬ニナ
ルト私ハ想像シテ居リマス、デアルカ
ラ種馬ノ目的カラ結局是ハ奬勵シテモ
輸入シナケレバナラヌ日本現狀ノ產馬
改良ノ狀態ニ在ルノデアリマス、縱令
競馬ニ使用スルト云フノガ第一次ノ目
的デアッテモ、第二次ノ目的ハ矢張種馬
ニナルノデアリマス、ソレデ種馬使用
ト云フ意味デ、主務省ノ認可ヲ經タナ
ラバ、是ハ無稅ニナルト了解シテ宜シウ
ゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=26
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027・小山松壽
○小山政府委員 御質問ノ通リデアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=27
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028・山内範造
○山內委員 一昨々日デアリマシタ
カ同僚星島君カラ參考資料トシテ要
求シテ居リマシタ、產業ニ從事シテ居
ル各會社ノ生產能率其他ヲ表ニシテ戴
キタイト云フコトヲ要求シテ居リマシ
タガ、マダソレハ出來ナイノデアリマ
スカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=28
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029・柵瀬軍之佐
○柵瀨政府委員 只今御尋ノ事ハ星島
君ガ御見エニナッタラバ、私カラ御答ヲ
シヤウト思ッテ居ッタ所デアリマス、
昨日、個人若クハ法人組織ノ工場ニ於
テ五百萬人見當若クハ以上ト云フ御
話デアッタト思ヒマス、ソレ等ニ對シテ
此關稅改正ニ依テ與ヘル所ノ利害ハド
ウ云フコトニナルカ、其表ヲ欲シイト
云フ御話デアリマシタ、色〓考ヘマシ
タガ、中〓非常ナ手數ヲ要スルコトニ
ナリマスノデ、急ニ御目ニ懸ケルト云
フコトマデニ取運ビ兼ネテ居リマス、
就キマシテ甚ダ申兼ネマスガ、各品目
ヲ御審議ヲ願フ場合々々ニ、ソレ等ノ
點ハ御報告申上ゲル、斯ウ云フコトニ
致シタイト思ヒマス、ドウカ左樣ニ御
勘辨ヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=29
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030・山内範造
○山內委員 其星島君ガ要求致シテ居
リマシタル參考資料ハ、私等ガ考ヘテ
居リマスノニハ、內地產業ノ助長及奬
勵保護ト云フ意味ニ於テ、其製造會社
ノ製造能率ガドノ位アルカ、或ハ個人
若クハ會社ニ於テ製造能率ガドノ位ア
ルカ、其製造業者ガドノ位ノ保護ヲ受
ケレバ產業ノ發達ニ資シ得ルカト云
フヤウナコトヲ參酌シテ、此稅率ハモ
ウ少シ保護セヌケレバ、到底是デハ製
造業ハ立行カヌデアラウ、或ハ是ダケ
ノ利益ノアルモノニ持ッテ行ッテ、一般
需要者ガ高價ノ物ノ供給ヲ受ケルニ於
テハ不都合デアルカラ、是ハ輸入稅ヲ
モウ少シ減ラシテモ宜イデハナイカト
云フヤウナコトヲ斟酌スル上ニ於テ必
要ナリ、斯ウ云フ考デ要求シタモノデ
ゴザイマセウ、就キマシテハ、今次官カ
ラノ御說ノ通リ御手數デゴザイマスル
ナラバ大略デモ-一々品物ニ付テ其
部類ニ這入ッタ時分ニ質問スルト甚ダ
面倒デゴザイマスルガ、大略デモ參考
資料ニナルヤウナ風ニ御拵ヘハ出來ナ
イノデアリマスカ、モウ一度御伺致シ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=30
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031・柵瀬軍之佐
○柵瀨政府委員 御尋ノ通リノ御趣意
デアッテ、極ク必要ナ參考ニ供サルルモ
ノデアラウト思ッタノデアリマス、併シ
御承知ノ通リ非常ナ稅番ニナッテ居リ
マスノデ、之ヲ一々資本額カラ割出シ
テ之ヲ計上シマスト云フコトハ、非常
ナ手數ヲ要スルノデアリマス、各稅番
ニ付テ總テ基礎調査ヲ持ッテ居リマス
ノデ、其御審議ヲ願フ場合々々ニ、御話
ヲ申上ゲテ御諒解ヲ得ルコトニ致シタ
イト實ハサウ考ヘマシタ譯デアリマ
ス、一品一目ニ付テ皆基礎調査ヲ持ッテ
居リマス、其審議ノ場合ニ一々說明申
上ゲテ御諒解ヲ得ルコトニ致シタイト
思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=31
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032・山内範造
○山內委員 ソレデハ今星島君ガ居マ
セヌカラ、星島君ニ其事ヲ傳ヘルコト
ニシマシテ、後廻シニ致シマス、一々基
礎調査ガアルナラバ私ハ出來ナイコト
ハナカラウト云フヤウナ感ジモ起リマ
スケレドモ一ツ々々ニ付テノ質問ハ
後廻シニ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=32
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033・岡田温
○岡田委員 蜂蜜ハ園藝ナドノ進步ニ
伴ッテ原料ガ出來ルノデアルカラ、多少
奬勵シテモ宜カラウカト想像致スノデ
アリマスガ、内地ニ對シテハ大シテ奬
勵スル價値ハナイモノデスカ、其御見
込ハ如何デアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=33
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034・小山松壽
○小山政府委員 只今御尋ノ蜂蜜ハ奬
勵致シテ居リマス、殊ニ最近此蜂蜜專門
ノ技師ヲ海外ニ派遣致シマシテ、優良
種ヲ日本ニ入レテヤラウト云フノデ、
今ハマダ其道程ニ在ルヤウナ譯デ、御
質疑ノ通リノ方針ヲ有シテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=34
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035・加藤政之助
○加藤委員長 ソレデハ第一類ニ付テ
ハ質問ハアリマセヌカ--ナケレバ是
カラ第二類ニ移リマス、第二類ニ付テ
ハ太田信治郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=35
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036・太田信治郎
○太田委員 一々ニ付テ質問致シマス
ノモ面倒デスカラ、此二類ニ含マレテ
居ルモノヲ總括シテ質問ヲ致シタイト
思ヒマス、先ヅ農產物ノ米、大豆、小麥
ト云フヤウナ物ニ付テ伺ッテ見タイト
思ヒマス、一體今囘ノ關稅改正ニ付テ
ハ、政府ノ御方針ハ是マデ屢御說明ニ
ナッテ居リマス所ニ依リマスト、國民ノ
生活ノ安定、又重要產業ノ保護課稅ノ
均衡ト云フヤウナコトニナッテ居ルノデ
アリマスガ、大體此米ノ如キ物ニ付テハ、
其量ニ於テモ、値ニ於テモ是ガ調節ヲ爲
スベキ相當ナ機關ガ實際ニアルノデ、サ
ウシテ見レバ、關稅ヲ之ニ掛ケテ產業ヲ
保護指導スルト云フヤウナコトハ必要
ナイデハナイカト思フ、其他小麥、大豆
ノ如キデアリマシテモ、近頃聞ク所ニ
依ルト、農村ニ於テハ此關稅ノ引上ヲ
希望シテ居ル、其所以ハ、到底現在ノ價
格ニ於テハ其收支ノ償ハザル爲ニ產業
ガ發展シナイカラ、之ニ保護ヲ加ヘテ
農村ノ振興ニ資スルトカ云フヤウナコ
トデゴザイマスレバ、現在ノ此課稅標
準デハ、產業保護ニハナラナイカノ如
キ感ヲ致スノデアリマス、併ナガラ政
府ガ之ニ關稅ヲ御置キニナッタ意味ハ、
所謂產業保護ノ方針ノ爲ニ此關稅ヲ御
置キニナッタト云フコトデアリマセウ
カ、或ハ又關稅ノ收益ノ關係上此儘据
置イタト云フ意味デアリマセウカ、又
一面カラ申シマスレバ、所謂國民生活
安定ト云フヤウナ上カラ申シテ、斯ノ
如キ重要ナル食糧品ハ、關稅ヲ撤廢シ
テ價ヲ低下セシメテ、而シテ生活ノ安
定ヲ得セシメルト云フ方ガ、社會政策
的見地カラ云ヘバ最モ必要デハナイカ
ト思フ、サウスルト社會政策的立場カ
ラ申セバ、寧ロ撤廢ヲ希望シ、若シモ產
業保護ト云フ上カラ云ヘバ、農村ニ於
テハ是等ノ課稅デハ產業保護ニ不十分
デアル、斯樣ナコトニナルト、政府ノ見
方ハ何レニ在ッテ、是ダケノ稅ヲ課スル
ノデアリマスカ、關稅改正ヲ以テ直ニ
我國ノ經濟政策ノ全部ヲ解決スルト云
フヤウナコトノ間違ッテ居ルト云フコ
トハ無論ノ話デアリマス、サレバソレ
ニ依テ經濟政策ヲ云々スル次第デハア
リマセヌケレドモ、大體ニ於テ現在ノ
社會狀態カラ申シマスレバ、國民ノ生
活ノ安定ト云フコトガ、一番差迫ッテ居
ル問題デハナイカト私ハ思フ、國民生
活ノ安定ト申シマシタ所デ、其內容ハ
ドウデアルカト申セバ、衣食住ノ三ツ
ガ眞先ノ問題デアリ、又緊急ナル問題
デアル、其中ニ於テモ、特ニ食糧ガ重要
問題デアリマスガ、サウスルト此收支
ノ均衡ガ保テナイト云フコトガ生活ノ
不安定ヲ來スノデアリマス、現在ノ勞
働者ガ屢爭議ヲ起シ、或ハ思想ガ惡化
シテ行クト云フヤウナコトモ、要スル
ニ收支ノ均衡ヲ得ナイト云フコトガ、
一番生活問題ニ直面シテノ問題デア
ル、サウスルト此農產物ノ價格ガ、多少
デモ保護關稅ニ依テ引上ゲラレルト云
フコトハ要スルニ生活費ノ增加ト云
フコトニナル、其生活費ノ增加ト云フ
コトハ直ニ生活ノ不安定ト云フコトニ
相成ルノデアリマス、又一面カラ申シ
マスト、農村振興ノ爲ニ農產物ノ價格
ヲ引上ゲレバ宜シイト云フヤウナ御說
モ伺ッテ居リマスルガ、私共ハ甚ダ之ヲ
不審ニ思フノデアリマス、所ガ大體ニ
於テ農村ノ有樣ヲ見ルト、所謂無產階
級全ク其勞働ニ依テ衣食シテ居ル人
ト、ソレカラ半分ハ有產者、半分ハ無產
者ト云フヤウナ、所謂僅カナル田地ヲ
有シテ居ル所ノ小農ノ人〓ヲ觀察スル
ナラバ、農村ノ約七割ハ無產者若クハ
半無產者ニ屬スル人デアラウト思フ、
是等ノ人〓ハ多少農產物ヲ高ク賣ッテ
モ、不足ノ物ハ買ハナケレバナラヌ、サ
ウスルト結局ニ於テ、農產物ヲ賣却シ
タ費用ヨリモ、購入シタ費用ノ方ガ多
イト云フコトニナルナラバ、生活ノ不
安ヲソレ等ノ人ミニ感ゼシメルノデ、
食糧ノ騰貴スルト云フコトハ決シテ農
村ノ勞働階級ノ喜ブ所デハナイダラ
ウ、少數ノ有產階級ノ利益ニハナルガ、
無產階級又ハ半無產階級ノ利益ニハナ
ラナイ、一面ニ於テ農村ノ勞働階級ノ
生活ト云フモノハ、〓育ノ進ムニ從ヒ、
文化ノ普及スルニ伴レテ生活ガ向上致
シマス、隨テ收入ノ增加ト云フコトヲ
希望シテ居ル、然ルニ其收入ガ增加シ
ナケレバ、生活費ガ低下致サナケレバ
ナラヌ、生活費ガ低下シナケレバ、收入
ガ假リニ增加シタ所デ、常ニ生活費ニ
追懸ケラレテ、困難ナ立場ニ陷ル、斯樣
ナ例ハ農產物ニ於テモ私ハ見ラレルダ
ラウト思フノデアリマス、重要產物ノ
生絲ノ如キモ、價格ガ騰貴シテモ、勞働
賃銀ガ高クテハ、矢張引合ハナイ、一面
ニ於テ勞働賃銀ノ安イト云フコトハ直
ニ生絲ノ收益ニ關係ヲ持ツモノデアル、
又木材ノ如キモサウデアリマシテ、木
材ノ問題ハ餘リ農村ノ振興ト云フコト
ニ付テハ觸レナイヤウデアリマスル
ガ、現在ニ於テ一億二千萬圓ト云フ木
材ヲ海外カラ輸入シテ居ルガ、是ハ日
本ニ木材ガ無イノデハナイ、日本ノ蓄
積木材ハ十四億萬石以上アルノデアリ
マス、ソレガ引合ハナイト云フノハ、所
謂農村ノ勞働賃銀ガ高イ爲ニ、外國材
ト競爭スルコトガ出來ナイ、農村ノ勞
働賃銀ノ高イト云フコトハ何デアルカ
ト云フト、農村ノ生活費ガ高イ、薪炭ニ
シテモ其通リ、畜產ニシテモ共通リ、勞
働賃銀ノ高價ナ爲ニ是ガ事業ガ振ハ
ナイ、振ハナイトスルト一面ニハ農村
ニ於テハ勞働收入ヲ得ルコトガ出來ナ
イ、農事ノミデハ足ラナイ、何レモ農村
ノ勞働者ハ他ノ事業ニ從事シテ-他
ノ勞働ニ從事シテ生活ヲシテ居ルノデ
アル、其他ノ勞働ガ興ラナイト云フコト
ハ、直ニ彼等ノ生活狀態ニ影響ヲ及ボ
シテ來ル、斯ウ云フ意味カラ參リマス
ト云フト、此農村ノ振興ト云フコトガ、農
村產物ノ價ノ引上ニノミアルモノトハ
私ハ思ハナイ、サウシテ此現在ノ關稅ニ
在ル所ノ農產物ノ定率ヲ、更ニ之ヲ引
上ゲントスルガ如ク聞イテ居リマス
ガ、私共ハ寧ロ之ヲ撤廢スルカ、然ラズ
ンバ現在ノ狀況ヨリ引下ゲルコトガ私
ハ必要デハナイカ、旣ニ殊ニ此米ノ如
キハ、先刻モ申上ゲマシタ通リ、調節機
關ガアルトシテ見レバ、玆ニ存シテ置
クノ必要ハナイ、寧ロ農村ノ收入ヲ增
加スル方ニ於キマシテハ、質ヲ改良シ、
若クハ量ヲ增シ、增收ヲ圖ッテ價ヲ下ゲ
テ金ヲ餘計取ル、左樣ナコトデナケレ
バナラヌト思フ、又此機械設備ノ如キ、
是ハ工業上ノ相當ナル技倆ヲ要シ、又
相當ノ資本ヲ要スル次第デアリマス
ガ、兎ニ角···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=36
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037・加藤政之助
○加藤委員長 簡明ニ願ヒマス-議
論ヲ避ケテ簡明ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=37
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038・太田信治郎
○太田委員 是等ノ農產品ヲ世界ノ大
勢ニ逆行シテ、關稅ヲ引上ゲテ、ソレデ
保護サレルト云フコトハ、私ハ到底不
可能ノ事ト思フノデアリマス、之ヲ下
ゲテ成ベク簡便ニ致スト云フコトガ、
寧ロ社會政策的ノ見地カラ云ヘバ相
當ナモノデアルト私共ハ思フノデアリ
マス、併ナガラ政府ハソレヲ御置ニナツ
テ、尙且ツ米ノ如キ他ニ調節機關ガア
ルニモ拘ラズ、一割六分弱ノ關稅ヲ置
キ、又其他ノ食糧品モ現在ノ儘デ御据
置ニナッタト云フコトハ、其根本方針ガ
何所ニ在ルカト云フコトヲ伺ッテ見タ
イ、ソレカラモウ一ツハ此小麥粉デア
リマス、此小麥粉ノ關稅ガ、若シ此現在
ノ小麥粉ノ關稅ヲ現在ノ儘デ置キマス
ト致シマシテモ、之ヲ生產ヲスル上ニ
於テハ相當ノ步減リガアル、步減リヲ
見込ンデ其儘ニ御置ニナッタノデアラ
ウト思フ、若シソレガ一層此小麥粉ノ
關稅ニ變動ヲ來シマスヤウナ點ガアリ
トスルナラバ、隨テ此小麥粉ノ價格ニ
影響ヲ及ボサナケレバナラヌ、是ハ由
由敷問題ガ又其所ニ起ルノデアル、更
ニ物價ノ騰貴ト云フヤウナコトガ、私
ハ起ルデアラウト思フノデアリマス、
ガ要スルニ此〓糧品ニ對シマス所ノ關
稅ノ政府ノ根本方針ハ社會政策ノ見
地ヨリシテ之ヲヤル、農村ノ保護ノ見
地ヨリ是ダケノ關稅ヲ御置ニナッタ次
第デアリマスカ、若クハ社會政策的ノ
見地ニ戾ッテ、更ニ之ヲ引下ゲルヤウナ
御考ハアリマセヌカ、ソレヲ伺ヒタイ
ト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=38
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039・黒田英雄
○黑田政府委員 只今ノ御質問ハ廣ク
農產物ト云フ風ナ意味デアリマシタ
ガ、主トシテ米、小麥、小麥粉ニ付テノ
御意見ナリ、御質問ノヤウデアリマシ
タノデ、大體ソレ等ニ付テ申上ゲタイ
ト思ヒマス、是等ノ關稅、米竝ニ小麥ニ
付キマシテハ-小麥粉ニ付キマシテ
モ、現行ノ關稅率ヲ据置イテ居ルノデ
アリマスガ、是ハ屢申上ゲル通リ、
方ニハ消費者ノ狀態等ヲ考惑致シマシ
テ、卽チ消費者ニ成ベク安キ物ヲ供給
シタイ、卽チ生活ノ必需品デアリマス
カラ、成ベク安價ニ是等ノモノヲ消費
者ノ手ニ供給シタイト云フコトガ、必
要デアルノデアリマス、其點ハ只今太
田君ノ色〓御述べニナリマシタヤウナ
コトハ、洵ニ御尤ト思ヒマスガ、サウ云
フ風ナ見地ヨリ、成ベク安ク之ヲ供給
シタイ、又一方ニ於キマシテハ、是等ノ
モノガ我國ニ於キマシテ、今日相當ノ
生產ヲサレテ居ルノデアリマシテ、小
麥ニ致シマシテモ、大體土地ニ依テ多
少ノ增減ハアリマスガ、五十萬町步位
ノ耕作面積ニ栽培ヲサレテ居リマス、
サウ云フ風ナ狀況デアリマシテ、而モ
是ハ農家ノ重要副產物ノ主要ナルモノ
ニナッテ居ルノデアリマス、是等ノモノ
ノ現狀カラ見マシテ、ソレ等ノ生產
ニ對シテ脅威ヲ及ボスト云フコトハ、
避ケナケレバナラヌト思ヒマス、ソレ
故ニ生產竝ニ消費ト云フ兩方面カラ見
マシテ、是等ノ間ヲ調和スルト云フ見
地カラ致シマシテ、現行ノ稅率ヲ据置
イタノデアリマス、卽チ簡單ニ申上ゲ
マスレバ、是等ノ稅率ヲ尙ホ消費方面
ノミカラ見マシテ、モウ少シ輕減スル
コトガ宜イデハナカラウカト云フ風
ナ、只今ノ御意見モアッタヤウデアリマ
スガ、成程消費ノ方面ノミカラ見マシ
タナラバ、或ハ是等ノ麥及小麥ト致シ
マシテハ、或ハ味噌ノ原料トナリ、或ハ
醬油ノ原料トモナリ、又直接消費モサ
レマス、又小麥粉トナリマシテハ、是ガ
色ミナル食料トシテ消費サレルト云フ
ヤウナ現狀カラ見マスト云フト、消費
ノ方面ノミカラ見マスレバ、成ベク安
クスル主義カラ致シマシテ、關稅ヲ撤
廢スルカ、或ハ輕減スルト云フコトモ
必要デアラウト思ヒマス、併ナガラソ
レハ單ニ消費ノ方面ノミカラ見マシタ
ノデアリマシテ、現在農村ニ於キマシ
テ、五十萬町步ノ耕作面積ヲ以テ生產
ヲサレテ居ル、而モ是等ノモノノ需要
ハ、將來段々增シテ來テ、小麥粉トナリ
マシテハ、今日ノ消費ノ狀況カラ見マ
シテモ、旣ニ八百萬圓位ニナッテ居ルノ
デアリマスガ、將來是ガ九百萬圓ニナ
リ、千萬圓ニナルト云フ風ニ、段々增加
シテ來ルベキ趨勢ニ在ルノデアリマ
ス、是等ノ內地ニ於テ生產ヲ致シテ居
ル方面カラ見マスレバ、是等モ相當保
護シテ行カナケレバナラヌ、併ナガラ
是モ亦內地ノ生產ノ方面ノミカラ見マ
シテ、保護ノミカラ見マスレバ、或ハ是
等ヲ引上ゲルト云フコトモ一ツノ見方
モ知リマセヌガ、左樣ニ致シマスト云
フト、消費ノ方面ニ又影響ヲ及ボシテ
來ルト云フコトニナルノデアリマス、
又是ハ獨リ消費ノ方面ノミナラズ、小
麥ノ生產ニ付キマシテハ、是ガ世界的
ノモノデアリマス、是ハ申上ゲル迄モ
ナク御承知ノ通リデアリマスカラ、詳
シクハ申上ゲマセヌガ、亞米利加ニ於
キマシテモ、濠洲ニ於キマシテモ、非常
ナル多量生產デアッテ、世界的ノ共通ノ
今日ハ生活ノ必需品ニナッテ居リマシ
テ、非常ニ多量ノ生產ガ出來、又非常ニ
安ク出來ルト云フヤウナ狀況デアリマ
スカラ、是等モ考ヘマシテ、非常ナル高
イ關稅ヲ以テ、內地ノ生產ヲ何所迄モ
保護シテ行クト云フコトハ、是ハ又餘
程考ヘモノデアラウト思ヒマス、サウ
云フ風ニ生產竝ニ消費ノ兩方面カラ見
マシテ、現在ノ稅率ヲ据置クコトガ適
當デアラウト云フ風ニ考ヘマシタ次第
デアリマス、米ニ付キマシテモ、大體左
樣ナ次第デアリマスガ、米ニ付キマシ
テハ特ニ米穀法ガアリマシテ、內地ノ
生產ノ狀況、價格ノ關係、色ミナ關係カ
ラ致シマシテ、之ヲ保護シ得ル權限ヲ
米穀法ニ依テ與ヘテアルノデアリマス
カラ、此稅率ハ特ニ玆ニ之ヲ變更致シ
マセヌデモ、時〓ノ時勢ニ應ジマシテ
必要ナル變更ヲ爲シ得ルコトニナッテ
居ルノデアリマス、ソレ等ノ點モ考慮
致シマシテ、又其生產ノ狀況ヲ考ヘマ
シテ、現行ノ稅率ヲ据置イタノデアリ
マス、小麥粉ニ付キマシテ御話デアリ
マシタガ、小麥粉ニ付キマシテハ、農村
ニ於テモ近來水車トカ電氣トカ云フ方
法ガ段々機械製粉ニ變ッテ參リマシテ、
非常ナ生產能力ヲ持ッテ居リマス、是等
ノ小麥ガ內地デ不足シテ、小麥ヲ入レ
ルニシテモ、セメテハ小麥粉ダケハ內
地デ十分ニ自給自足ヲサセタイト考ヘ
テ居ルノデアリマス、ソレ故ニ小麥ノ
關稅ヲ現行ノ通リ百斤七十七錢ニシマ
スナラバ、ソレ等ノ生產ノ費用等ヲ考
ヘマシテ、勿論歩減等モ考ヘマシテ、現
在ノ開キガアルコトガ小麥粉ノ生產上
必要デアル、必シモ今日其開キガ大キ
過ギルトモ考ヘナイノデアリマス、又
今日ノ開キヲ少クスル、卽チ言換ヘレ
バ小麥粉ノ關稅ヲ尙ホ下ゲルト云フコ
トハ、折角自給自足ノ域ニ達セントシ
テ居リマスル生產ニ對シテ、不利益ヲ
與ヘルコトニナルト考ヘマスカラ、小
麥ノ關稅ヲ現行ノ儘据置ク以上ハ小
麥粉ニ付テモ同樣ニ現行ノ稅率ニ据置
クコトガ適當デアルト考ヘテー居リマ
ス卽チ只今御話ノアリマシタ通リ、小
麥ノ稅率ガ假ニ動クト致シマスレバ、
勿論ソレニ應ジテ小麥粉ニ付テモ考慮
シナケレバナラヌモノデアラウト私ハ
考ヘテ居リマス、併スガラ小麥ノ稅率
ヲ据置クコトガ適當ト考ヘマスカラ、
小麥粉モ現行ノ通リ据置イタノデアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=39
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040・太田信治郎
○太田委員 尙ホ伺ヒマス、米穀法ニ
依テ調節ガ行ハレルトスレバ、關稅ヲ
設ケテ、關稅ノ所謂產業保護ノ障壁ヲ
設ケテ置ク必要ノアルノハドウ云フ意
味デアリマスカ、無論價ノ調節ニ付テ
ノ事柄ガ他ノ方法ニ依テ行ハレルトス
レバ、敢テ其必要ヲ認メナイデハナイ
カト、斯ウ云フ風ニ私ハ御尋致シタノデ
アリマス、ソレカラ小麥ニ付テハ只今
御話モアリマシタガ、是モ今日デハ重
要ナ食糧品デアル、而モ一年ニ七千三
百萬圓カラ七千五萬圓、年ニ依テハ八
千萬圓ヲ收入シテ居ルト云フコトハ
是モ自給自足シテ行カレレバ誠ニ國家
ノ爲ニ慶ブベキ事デアル、又サウナケレ
バナラナイ事ト考ヘマスケレドモ、今
御話ノ通リ世界ニ於ケル產額ト云フモ
ノニ到底我國ノ現在ノ所デハ百分ノ一
ニモ滿タナイヤウナ有樣デアル、斯樣
ナ事デアリマスト、是ガ現在ノ關稅ノ
障壁ニ依テ、所謂關稅ノ保護ニ依テ自
給自足シテ行ニマデニ到達スルコトハ、
頗ル至難ナ問題デハナイカ、此頃聞ク
所ニ依レバ、小麥粉ハ實際現在ノ價格ニ
於テハ引合ハナイ、一年草ダカラ引合
ヒサヘスレバ作レル、作レルノダケレ
ドモ價格ガ引合ハナイ爲ニ作ラナイト
云フヤウナコトデアリマスト、假ニ此
關稅デアッテハ、引合ハナケレバ何時マ
デモ產業ヲ助長シテ行クコトガ困難デア
ル、併ナガラ政府ノ見ル所デハ其產業ヲ
徐々ニ增殖シ得ラレル、質ノ改良若ク
ハ耕地ヲ改善致シテ自給自足シテ行ク
域ニ至ルト、斯樣ニ御覽ニナッテ居リマ
スガ、此點ニ付テハ過日來屢御意見ガ
出テ居ルヤウデアリマスケレドモ、要
スルニ世界ノ大勢ニ逆行シテ、我國ガ
關稅ノ障壁ニ隱レテ產業ヲ發達セシム
ルト云フコトハ、假ニ小麥ガ自給自足
シテ行ッテモ、海外ノ相場ガ安ケレバ直
ニ引合ハナイヤウニナル、斯樣ナ事デ
アレバ如何ニ助長シテモ見込ガナイデ
ハナイカ、併ナガラ此程度ニ於テ增收
ヲ圖ルベキ見込ガアルトスレバ誠ニ慶
スベキ事デアルト思ウ、斯樣ニ私ハ思
フ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=40
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041・黒田英雄
○黑田政府委員 小麥ニ付キマシテ、
米穀法ニ依テ其年ノ狀況等ニ對シテ適
當ナ手段ヲ執リ得ルコトニナッテ居ル
ナラバ、此關稅ハ無クテモ宜イヂヤナ
イカト云フ御質問ノヤウニ承リマシタ
ガ、米穀法ニ於キマシテハ其年ノ狀況
ニ依テ適當ナ手段ヲ執リ得ルノデアリ
マシテ、原則トシテハ矢張現行ノ關稅
ガアルト云フコトハ、內地ノ麥作ヲ現
狀ニ保護スル上ニ於テハ必要デアルト
云フコトニ考ヘテ居リマス、隨テ原則
ト致シマシテハ百斤一圓ト云フ稅率ハ
必要デアラウト云フ考デ居リマス、ソ
レカラ小麥ニ付キマシテ、關稅ノ障壁
ニ依テ自給自足シ得ルヤウニ發達シ得
ルモノナラバ格別デアルガ、若シ內地
デ自給自足ガ出來ナイモノナラバ、寧
ロ此障壁ヲ撤廢シテ、安イ小麥ヲ輸入
シテ消費者ニ供給スルガ宜イヂヤナイ
カト云フ風ナ御意見ノヤウニモ承リマ
シタガ、內地ノ小麥ニ付キマシテハ、尙
ホ今日ニ於テ五十萬町步內外ノ耕作面
積ガアリマス、ソレ等ノ生產ガアリマ
スシ、又一方カラ見マスレバ或ハ品質
ノ改良、或ハ耕作方法ノ改良ト云フコ
トニ依テ尙ホ生產ヲ增加シテ行クコト
モ出來ル、又一方ニハ氣候ノ關係上作
リ得ル場所ニ於キマシテハ、尙ホ小麥ノ
收穫ヲ改良シテ行キマスレバ、段々增
收シテ參ルコトデモアラウト思ヒマス、
又將來開墾サレル土地ニ於テモ、是等
ノモノガ作付サレルコトニモナラウト
思ヒマス、卽チ自給自足ノ域ニ達スル
コトハ或ハ困難デアルト致シマシテ
モ、今日ノ現狀ヲ維持シ、尙ホ是等ヲ改
善シテ增殖ヲ圖ッテ行クト云フコトハ、
一方ニ於キマシテハ小麥作ノ改善奬勵
ト云フ施設ト相俟テ爲シ得ルコトデア
リマスカラ、自給自足ガ近キ將來ニ於
テ出來ナイカラト云ッテ、直ニ關稅ヲ撤
廢スルト云フコトハ早計デハナイカト
考ヘルノデアリマス、仍テ現行ノ稅率
ヲ据置イテ、一方ニハ改良ヲシテ行ク
ト云フコトガ必要ノヤウニ考ヘテ居
ルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=41
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042・飯塚春太郎
○飯塚委員 第二類ニ於キマシテ私モ
太田君ノ質問ト同樣ナ質問デス、穀物
關稅ニ付テハ重大ナル關係ガアリマス
ノデ、結局消費者ト生產者トノ間ニ利
害ガ反スル結果、非常ナ大問題デアラ
ウ、現ニ近頃全國ノ農會カラ集ッテ東京
ニ聯合會ヲ開キマシテ、昨日私ナドノ手
ニ入ッタモノヲ見マスレバ、例ヘバ小麥
粉ヲ四圓ノ關稅ニスル、一方ハ二圓ニ
スルト云フコトヲ決議シテ各議員ニ
配ッタヤウナコトデアリマス、是ガ今日
ノ農業界ノ輿論ダト私ハ思ッテ居リマ
ス、此時ニ只今政府委員ノ仰シヤル通
リ、關稅ハ小麥粉ノ消費者ノ利益ヲ圖
リ、生產者ノ利益ヲ圖ル爲ニ已ムヲ得
ズ其間ヲ考慮シテ、サウシテ今日ノ合
ノ子ヲ取ッタノダト、斯ウ云ウ曖昧ナル
徹底シナイ議論ヲ言ッテ居マスナラバ、
是ハドチラカラモ承知ガ出來ナイ事ダ
ト考ヘマス、此際政府ハ斷然タル決心
ヲ示サレテ、消費者ノ爲ニハ是マデ消
費者ヲ保護シナケレバナラヌ、生產者
ニ向ッテハ、ドウ云フ手段ニ依テ之ヲ保
護スル積リデアルカ、若シ保護ガ出來
ナイ萬已ムヲ得ナイモノナラバ放棄
スル、自給自足ハドウ云フ手段デヤル、
斯ウ云フ明カナル決心、囘答ヲ得ナケ
レバ、今日ノ生產者ト云ヒ、消費者モ承
知ガ出來ナイコトト思フ、ソコデ私ハ
明カナル決心ヲ聞キタイト思フノデア
リマス、例ヘバ小麥粉ニ例ヲ取ルノガ
最モ好イ例デアリマスカラ、之ニ例ヲ
取ッテ見マス、例ヘバ小麥粉ト云フモノ
ハ今日一圓八十五錢ノ稅率ニナッテ居
ル、政府ハ一圓八十五錢ノ關稅ヲ尙ホ
上ゲテモ宜イカ、上ゲル所ノ餘地アリ
ヤ否ヤト云フコトヲ先ヅ伺ヒタイ、ド
ウシテモ上ゲルコトガ出來ナイナラ
バ、上ゲルコトノ出來ナイト云フ確タ
ル決心ガナケレバナルマイ、又小麥粉
ダケニ付テ、私共ハ消費者ノ立場カラ
云ヒマスルナラバ、小麥粉ト云フモノ
ハ世界中ノ國際的食物デ、我ガ日本ト
云フ小サイ、食糧ノ少イ國デハ、元來米
ヲ食ッテ居ルト云フコトガ非常ニ一ツ
ノ弱點デハナイカ、將來出來ルナラバ
此世界的ノ食物ニ日本ノ國民ト云フモ
ノヲ慣ラスト云フコトガ非常ニ必要デ
ハナイカ、是ハ生キル爲バカリデハナ
イ、國家生存ノ爲ニ於テモ、色ミナ問題
ニ於テモ必要ヂヤナイカト思フ、其原
料ヲ得ルト云フコトニ於テ-現ニ日
本デハ食糧ガ足リナイ、足リナイト云
フノハ米パカリヲ食ッテ居ル、ケレドモ
米ハ或ル所カラ-東洋アタリカラ來
マス、是カラ取ルヨリ外ニ仕方ガナイ、
〓糧問題解決ノ爲ニハ、米ヲ得ルコト
ト、小麥粉ヲ得ルコトニ於テハ、小麥粉
ヲ得ルト云フコトノ方ガ、原料ヲ得ル
ト云フ方ニ於テモ非常ニ容易デアル
シ、又之ヲシナケレバ、例ヘバ軍事上ノ
ヤウナトキニ、三度々々飯ヲ炊イテ食
フト云フコトデハ能率ガ擧ラナイ、一
方ニ於テ麵麭ノヤウナモノヲ拵ヘルト
云フコトハ能率ヲ擧ゲルコトデアル、
私共桐生地方デ、僅カノ人ヲ使ッテ居ル、
工場デ何トカシテ一食飯ヲ炊イテ食
ハナイヤウニシタナラバ、ドレダケ生
產能率ガ擧ガルカト云フヤウナコトニ
付テ餘程研究シタコトガアリマスガ、
是ハ國ノ經濟能率ヲ上ゲルニ付テハ、
米食ヨリハ此小麥ヲ使ッテスルト云フ
コトガ餘程能率ヲ擧ゲルト云フコトニ
付テモ、前途考ヘナケレバナラヌコト
デアラウト思フ、旁〓此小麥粉ト云フ
ヤウナモノハ、日本ノ食糧品トシテ最
モ必要ナモノデアルカラ保護シナケレ
バナラヌト思フ、今農會ノ宣傳スル如
ク、私ハ小麥粉ヲ保護スルガ爲ニ、日本
ノ農產物ヲ保護セヌデモ宜イト云フ議
論ヂヤナイ、農產物ト云フモノハ、例へ
バ自給自足ガ出來ナクトモ、足リナク
トモ、政治上ノ立場カラ言ッテ、農產物
ト云フモノハ假令自給自足ガ出來ナク
トモ是ハ或ル程度マデ保護シナケレバ
ナラヌ、十分ニ保護ヲスベキモノト思ッ
テ居ル、一方ニ於テ小麥ノヤウナ食糧品
ニ付テハ、成ベク安クシナケレバナラ
ヌ、是ハ今言フ通リ、國民ノ食糧問題カ
ラシテ、此小麥ヲ食フ所ノ者ハドウ云
フ階級ノ人デアルカ、日本デ食フ所ノ
モノハ麵麭トカ饂飩ノヤウナモノデア
ルケレドモ其饂飩ト云フヤウナモノ
ヲ實際ニ於テ多ク食フ所ノ者ハ下層階
級デアル、下層階級ノ多ク食フ所ノ食
物デアリマスカラ、社會政策上、ドウシ
テモ是ハ安クシナケレバナラヌト云フ
コトハ疑ナイコトデアル、此恩澤ヲ受
ケル者ハ、單リ消費者ト申シマシテモ、
農業者以外ノ消費者バカリデナクシ
テ、農業家モ其影響ヲ受ケル、此小麥ト
云フモノハ今日ヨリモ之ヲ上ゲルト云
フコトノ政策ハ、國家ノ爲ニ斷ジテ出
來ルモノヂヤナイト思フ、寧ロ下ゲル
トテモ之ヲ上ゲルト云フヤウナコト
ハ、斷ジテ今日國家ノ食糧問題ノ解決
ノ上カラ、又社會政策ノ上カラシテ上
ゲルコトハ出來ナイト私ハ感ジテ居
ル、此決心ガ政府ニ於テアリヤ否ヤ、之
ヲ第一ニ聞キタイト思フ、唯農村ノ方
ノ小麥モタント上ゲタクナイ、コッチノ
方モ上ゲタクナイ、仕方ガナイカラ合
ノ子ヲ取ッテ現在ノ儘ニ置クト云フヤ
ウナ、曖昧ナコトデハ今日ノ消費者ト
生產者トハ納得シナイト思フ、故ニ小
麥粉ハ少クトモ是ヨリ上ゲルト云フコ
トハ斷ジテ出來ナイト云フ決心ガアリ
ヤ否ヤヲ聞キタイト思フノデアリマ
ス、運動ノ强イ方ニ向ッテ、ドッチニデモ
スルト云フヤウナ考デハイカヌト思
フ、此決心ヲ聞キタイト思フ、又小麥ノ
方カラ申シマスナラバ、小麥ト云フヨ
ノハ今言フ通リ日本デ五十萬町步ア
ル日本ノ穀物カラ云フト重要ナ穀物
デアル、殊ニ是ハ原料ニナルヤウナ穀
物デアル、是ハ現在ノ儘デ五百萬石出
來ルト云ヒマスカラ、必要ナモノデア
ル、ケレドモ是ハ今日ノ儘ニスルナラ
バ或ハ段々世界的ノ脅威ヲ受ケテ減ッ
テシマフデアラウ、是ハ世界的ノモノ
デ其儘ニスルナラバ減ルカラ、ドウシ
テモ保護シナケレバナルマイ、少クト
モ日本ノ食糧品ト云フモノハ、政治上
ノ立場カラ損デモ保護シナケレバナラ
ヌト云フコトハ、今日議論ノ無イコト
デアル、況ヤ日本デ出來ルダケノモノ
ハドウシテモ保護シナケレバナラヌ
其保護ハソレナラバ關稅ヲ髙クスレバ
保護ガ出來ルト云フ議論ガアリマスケ
レドモ、果シテ關稅ヲ高クサヘスルナ
ラバ、自給自足ガ出來ル程度ニ行クト
云フ決心ガアルカ、若シ關稅ヲ高クス
レバ自給自足ガ出來ルト云フナラバ、
國民ハ暫クノ間-幾年ノ間ニ見込ガ
立ツト云フナラバ、消費者ノ方ハ國ノ
爲ニ高イ粉ヲ食ッテモ暫クノ間我慢ス
ル、關稅ヲ高クスレバ出來ル、何年經ッ
タナラバ出來ルト云フ見込ガアレバ、
其見込ヲ御明示ヲ願フナラバ消費者ハ
我慢スルカモ知レヌ、唯其案ガ無クシ
テ、一方ニ於テ關稅デサウモ高ク出來ナ
イカラ、先ヅ此程度デ行クナドト云フ
コトデハ、生產者ハドウシテ我慢ガ出
來ルカ、ソレ等モ關稅ダケデ出來ナイ
ナラ出來ナイ、出來ルナラ出來ルト云
フ見込ガアルナラバ御明答ヲ願ヒ
タイ、若シ出來ナイト云フナラバ此
儘自然ニ任セテ置クカ、或ハドウシ
テ保護ヲスルカト云フ二ツノ點ヲ伺
ヒタイ、次ニドウシテモ保護スル、
小麥ヲ上ゲルト云フナラバ小麥粉ヲ
上ゲナケレバナラヌガ、今日社會政
策上カラ小麥粉ノ關稅ヲ是ヨリ上ゲ
ルコトハ出來ナイ、ソレナラバ後ハ
ドウシテ保護スルト云フ案ヲ生產者
ニ示スニアラザレバ、農民ノ大會ト云
フモノヲシテ滿足サシテ解散サセルコ
トハ出來ナイ、政府ハ此食糧ノ點ニ付
テノ決心ヲ御示シ下サルコトヲ希望ス
ル、彼方モ上ゲタクナイ、此方モ上ゲタ
クナイ、双方カラ引張ラレルカラ現狀
ノ儘ニスルト云フヤウナ曖昧ナ態度デ
ハ、生產者モ消費者モ我慢ハ出來ナイ、
サウ云フ曖昧ナコトデアルト、農民黨
ト商工黨ト云フヤウナ爭ガ非常ニ起ル、
今日ハ農民モ商工モナイ、國家ノ爲ニ
ハ一律ニ行ク、双方トモ立ツヤウナ方法
ガナケレバナラヌ、是ハ非常ニ重大ナ問
題ト思フ、政府ハ此問題ニ對シテハ明カ
ニシナケレバナラヌ場合ト思ヒマスカ
ラ御明答ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=42
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043・小山松壽
○小山政府委員 只今御尋ノ點ハ曩ニ
國務大臣カラ大體ノ方針ヲ申上ゲテア
ル譯デアリマス、飯塚君ノ今ノ御議論
ハ、大局カラ見テ洵ニ御互ニ〓究スベ
キ重大問題デアルト考ヘマス、此場合
此農產物關稅改正ニ對シテ、ドウ云フ
風ナ方針デ之ヲ致シテ來タカト云フ點
ニ付テ、要ヲ摘ンデ申上ゲルノモ亦適
當ト思ヒマスガ、今囘ノ關稅率改正ニ
當リマシテハ、、曩ニ財政經濟調査會等
ニ於テ愼重ニ審議セラレテ、其方針ト
シテハ〓糧品、原料品ハ原則トシテ無
稅又ハ低稅トスル方針ニ決定セラレテ
居ッタノデアリマスガ、是等ノ方針カラ
見マシテ、又是等ノコトヲ斟酌致シマ
シテ、農產物ノ主要ナルモノハ多クハ
現行稅ニ据置キ、中ニハ低減シタモノ
モ又アリマス、其据置ノ主ナルモノヲ
申上ゲマスト、米及籾、小麥、大豆、小麥、
粉牛豚ノ生キタモノト云フヤウナコト
ニナッテ居リマス、ソコデ低減シタモノ
モアリマス、ソコデ只今ノ御尋ノ點デ
アリマスガ、右申上ゲマシタヤウナモ
ノハ、何レモ農家ノ主要ナル生產物デ
アリマシテ、同時ニ國民全般ノ重要ナ
ル生活上缺クベカラザルモノデアル、
要ハ農業保護ト生活費ノ低減トノ兩者
ノ重要程度ヲ愼重ニ考慮〓究致シマシ
テ、國內生產ヲ以テ需要ヲ滿スコトガ
困難ナリト認メラレルモノ、及ビ國內
供給ヲ爲シ得ベキモ、關稅ヲ以テ其目
的ヲ達スルガ爲ニハ、相當高稅ヲ以テ
シナケレバナラナイ、サウナリマスト
國民生活ニ當面ノ影響ヲ來スト云フ虞
ノ大ナルモノモアル、是等ノ兩者ノ關
係ヲ篤ト考慮致シマシテ、先日農林大
臣カラモ繰返シ、繰返シ御質問ニ御答
ヲ申上ゲマシタヤウニ、兩者ノ調和、此
點ニ重キヲ置イテ、而シテ現行改正ヲ
以テ妥當ナルモノト斯ウ考ヘマシテ御
審議ヲ煩スコトニナッタノデアル、斯ウ
申上ゲテアルノデアリマスガ、此趣旨
ニ外ナラヌノデアリマス、デ小麥ノコ
トニ付テモ段々御話モゴザイマシタ
ガ、是ハ先日私ハ明ニ申上ゲテ-米
ノ場合ト違ッテ世界共通ノ食糧品デア
ル、玆ニ考慮ヲシテ置カナケレバナラ
ヌモノデアルト云フコトヲ申上ゲマシ
タ、數日前各議員ノ手許ヘ英國ノ學者
デアルト云フ人ノ意見ノ小册子モ配付
サレテ居ルヤウデアリマス、之ヲ見マ
シテモ矢張小麥ノ問題ハ世界ノ食糧問
題ノ重大問題トシテ取扱ッテ居ルノデ
アリマスガ、第一ハ作附段別ノ增加ヲ
圖ル、若シ國土ノ關係上其事ガ將來ニ
於テ至難デアルトスルナラバ、同一段
別ニ於テ其收穫ノ量ヲ增ス、收穫ノ量ヲ
增スニハドウスルカ、第一ニ品種ノ改
良、第二ニ肥料ノ〓究ト云フヤウナコ
トヲ致サナケレバナラナイト云フヤウ
ナコトモ書イテアリマシタガ、是等ハ
私共全然意見ノ一致スル所デ、先日申
上ゲマシタ趣旨モ蓋シソレニ外ナラヌ
ノデアリマス、要ハ繰返シテ屢申上ゲ
マシタ通リ生產保護、生活安定、此二ツ
ノ調和ヲ以テ現改正案ニ對シテハ之ヲ
妥當ト認メルト云フ譯デ、御審議ヲ煩
シテ居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=43
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044・飯塚春太郎
○飯塚委員 御話ノ所ハ能ク分ッテ居
リマシテ、調和ヲ取ルト云フコトハ寔
ニ平和的デアリマスガ、尙ホ進ンデ今
日現在行フ所ノ決心ノ程モ、今日御話
ニ依テ稍分リマシタガ、左樣ナラバ小
麥粉ハ社會政策上消費者ノ立場ニ於テ
是ヨリ上ゲルコトハ出來ナイ、是ヨリ
上ゲレバ却テ社會政策ノ上カラ消費者
ノ爲ニナラヌカラ、一圓八十五錢ヨリ
上ゲルコトハ出來ナイト云フ御決心デ
アルト、一方カラ解釋シテ宜カラウト
思フ、而シテ小麥ノ方ハ七十七錢トス
ルノハ、是デ詰リ小麥ノ生產ガ保護出
來ルト言ハレルコトデアルカ、或ハ是
デハ保護ガ足リナイ、保護ガ足リナイ
ケレドモ、小麥ノ爲ニ保護ガ足リナイ
ト云フコトハ政府ガチヤント認メテ居
ル、關稅デハ七十七錢デ保護スルガ、是
デハマダ|保護ガ足リナイ、故ニ其他ノ
事デ保護スル積リデアルト云フコトヲ
明ニ御明言下サレバ、玆ニ消費者ト生
產者ト云フモノガ安堵スルデアラウト
思フガ、唯調和ヲ圖ルト云フヤウナ暖
味ナコトデ强イ方ニ使ハレルヤウデア
リマシタナラバ、一向御見識ガナイコ
トニナルト思フ、故ニ政府ノ言ハレル
作付段別ヲドウスルトカ、種ヲ改良ス
ルトカ云フノモ一ツノ保護デアラウト
思フ、私ハ斯ウ解釋シテ差支ナイト思
ヒマス、卽チ小麥粉ハ一圓八十五錢ヨ
リ上ゲルコトハ出來ナイ、之ヲ以テ十
分ナル保護トシ、マダモット下ゲタイ考
モアルガ、今ノ所ハ是ヨリ仕方ガナイ
カラ、是ヨリ上ゲルコトハ出來ナイト
云フ御決心、一方ハ七十七錢ヨリ上ゲ
ルコトハ出來ナイ-小麥ノ爲ニハ七
十七錢ヨリ上ゲルコトハ出來ナイ、併
ナガラソレデハ保護ハ十分デナイ、故
ニ其他ノ方法ニ於テ出來ルダケ生產者
ト云フモノヲ保護ヲスル積リデアル、
斯樣ナ御意見デアルト認メマシテ差支
アリマセヌカ、尙ホ其點ノ御考ヲ御說
明ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=44
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045・小山松壽
○小山政府委員 繰返シテハ申上ゲマ
セヌ、只今申上ゲマシタヤウナ方針デ
此改正法律案ヲ提出致シタ譯デアリマ
スガ、更ニ積極的ニ申上ゲマスルノハ
前日モ屢申上ゲマシタガ、日本ノ小
麥ノ栽培ニ付テハ尙ホ一段努力ヲ要ス
ル點ヲ多々認メマス、是ガ爲ニ十五年
度豫算ニ於テモ御審議ヲ願ッテ居ルヤ
ウナ譯デ、何分ニモ遺憾ナガラ我國ノ
小麥ノ現在ノ品質カラ參リマスト輸
入致ス物ニ劣ッテ居リマス、之ヲ若シ輸
入致シテ居リマスルモノト同一品質
ノ物ニマデ生產ノ成績ヲ擧ゲテ參リマ
スレバ、私ハ先日モ申上ゲマシタ我國
ノ小麥ノ栽培ハ、作付ノ方面ニ於テ尙
ホ意ヲ强ウスルニ足ルデアラウ、チヨ
ツト玆デ御參考ニ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=45
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046・飯塚春太郎
○飯塜委員 ソレハ宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=46
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047・小山松壽
○小山政府委員 宜シケレバ申上ゲマ
セヌガ、例ヘバ埼玉縣ノ小麥ノ如キハ
製粉ノ上カラ申シマシテ、其品質ハ輸
入シテ參リマス所ノ小麥ト餘リ差額ナ
キマデ進步致シテ居リマス、若シ埼玉
縣ノ品質ノ改良、アノ栽培ノ方法ガ全國
生產業者ニ於テ之ヲ採ッテ則トシテ以
テ協力シテ參ルト云フヤウナコトニナ
リマスレバ、私ハ飯塚君ノ御心配ニナ
ル所ニ付テ、心ヲ安ゼシムルヤウニナ
ルデアラウト斯ウ考ヘテ居リマス、政
府ト致シマシテハ第一ニ栽培方法ノ改
良、第二ニハ品質ノ改良增殖、之ヲ圖ツ
テ以テ期スル所ハ、先刻申上ゲマシタ
生產ト消費ノ其調和ノ點ニ各懸念ナク
一致スルヤウナ結果ヲ得タイ、斯ウ考
ヘテ居ルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=47
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048・加藤政之助
○加藤委員長 飯塚君ハマダ質問アリ
マスカ、アレバ午後ニシタイト思ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=48
-
049・飯塚春太郎
○飯塚委員 マダアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=49
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050・加藤政之助
○加藤委員長 ソレデハ是レデ休ミマ
シテ、午後引續イテ午後一時カラ開キ
マス
午後零時二分休憩
午後一時二十六分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=50
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051・加藤政之助
○加藤委員長 午前ニ引續イテ委員會
ヲ開キマス、飯塚春太郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=51
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052・飯塚春太郎
○飯塚委員 午前ニ申上ゲタ通リ、此
關稅ヲ政府案通リ支持セントスル意見
デアルト云フコトヲ前提ニシテ申上ゲ
マス、今日四圍ノ狀況カラ言フト、今日
穀物關稅ヲ大ニ上ゲヤウト云フ說ガ天
下ニ漲ッテ居リマス、是ハ眞ノ社會ノ聲
カ或ハ中間ノ者ノ聲カハ別デアリマス
ガ、兎ニ角議會、政府ヲ强要シテマデ
モ穀物關稅ヲ上ゲルト云フ所ノ空氣ガ
漲ッテ居ルコトヲ私ハ知ッテ居ルノデア
リマス、併シ若シ其聲ニ制セラレテ、穀
物關稅ト云フモノガ上ッタラ由々敷大
事ト思ヒマス、何トナレバ日本ノ食糧
ハ內地ニ於テ生產ヲスルコトガ出來ナ
クテ、日本ノ食糧ハ少イ、少イト云フコ
トハ高イト云フコトヲ云フノデアリマ
ス、其高イ食物ヲ食ッテ、サウシテ日本
ノ島國ニ在ッテ日本ノ經濟ヲ立テルト
云フコトハ、ソレデハ產業ノ發達ノ基
礎ガ破レマスカラ、安イ物ヲ食ハナケ
レバナラヌ、ソレガ根本デアル、食糧ハ
大ニ之ヲ保護シテ生產シナケレバナラ
ヌ、又安イモノヲ食ハナケレバナラヌ、
日本ハ兩方ノ立場ニ苦ンデ居ルノデア
リマスカラ、此間ニ處シテドウシタラ
宜カラウカト云フコトニナルト、生產
ト消費ヲ調和スルト云フヤウナ、唯手
緩イ考デハイカヌト思ヒマス、矢張食
物ハ何所マデモ保護シテ之ヲ安クス
ル、兎ニ角生產物ヲ保護スルト云フ政
策ガ立ッテ居ラヌト云フト、今日ノ消費
者ト生產者ト云フ者ガ安心シナイト云
フコトデアリマスカラ、尙六重テ質問
致スノデアリマス、先刻申スヤウニ小
麥粉ト云フ國際的ノ食物ハ、是ハ實ニ食
糧品トシテハ世界ニ豊富ナル食糧品デ
アリマスカラ、此豐富ナル食糧品ヲ是
非日本國民ノ食糧品トスルヤウニシナ
ケレバナラナイ、是ガ一ツノ國策デア
リマス、其國策ニ順應スルニハ、小麥ハ
成ベク安ク安全ニ得ナケレバナラヌ、
是ガ今日ノ問題ト思ヒマス、其見地カ
ラ云ッテ小麥粉ノ關稅ヲ一圓八十五
錢ニ今日迄シテ置クト云フコトハ、色
色歷史ガアリマスカラ、之ヲ上ゲ下ゲ
スルト云フコトハ-一圓八十五錢ト
云フ關稅ヲ維持スルコトガ適當ダト思
ヒマス、此一圓八十五錢ニ於テ饂飩ト
カ、麵麭トカ、或ハ醬油トカ、味噌トカ
云フヤウナ物ノ價格ガ割出サレナケレ
バナラヌカラ、之ヲ上ゲルトナルト物
價ガ上リ生活費ガ上ルト云フコトニナ
ルカラ、之ヲ成ベク下ゲタイト思ヒマ
スガ、下ゲルコトガ出來ナケレバ之ヲ
何所マデモ維持シナケレバナラヌ、是
ガ小麥粉ニ付テノ考ダト思ヒマス、故
ニ小麥粉ニ付テハ、政府ハ次第ニ依テ
ハモウ少シ小麥粉ヲ上ゲテ宜イト云
フヤウナ考ガアルカ、或ハ少クモ是
ハ維持スルト云フ御決心カ、ソレヲ發
表ヲ願ヒタイ聲明ヲ願ヒタイ、ソレデ
始メテ消費者ガ安堵スルノデアリマ
ス、其次ニ又小麥デス、假ニ小麥ト云フ
モノハドウカト云フト、是ハ小麥ト云
フモノハ主要ナル農產品デアリマスカ
ラ、世界ノ他ノ生產地ニ比シテ日本ハ
不利ナ地ニ在ッテ、非常ニ生產費ガ高ク
シテ、生產費ヲ償フニ足リヌト農業者
ガ唱ヘテ居リマス、或ハ然ラン、私ハ之
ニ就テハ能ク分リマセヌ、併ナガラ若
シモ之ヲ保護シテ自給自足ガ出來ルヤ
ウナコトデアルナラバ、是ハ是非共保
護シテ自給自足ノ域ニ達スルコトヲ私
ハ希望スル、併ナガラ其保護スルト云
フコトハ何ニ依テ保護スルカ、關稅ニ
依テ保護スルト云ヘバ、關稅ト云フモ
ノハ少クモ、小麥粉ニ關係スルコトハ
關稅ヲ以テ之ヲ保護スルト云フコトハ
出來ナカラウト思フ、併ナガラ政府ガ
關稅ニ於テ尙ホ餘裕アリトスルナラ
バ、ドレダケ上ゲル積リデアルカ、例へ
バ製粉業者ト云フモノヲ脅威セズシ
テ、製粉ト云フモノノ關稅ヲ上ゲナク
テ-製粉業者ト云フモノハ非常ニ儲
ケガアル、例ヘバ七十五錢ノ保護ガア
レバ七十錢デ宜イ、或ハ六十錢デ宜
イ、小麥ト云フ物ノ關稅ヲ上ゲテ、サウ
シテ尙ホ日本ノ製粉業ト云フモノハ力
ガアルカラ上ゲルト云フ御考デアルナ
ラバ、私ハソレニ賛成スル、若シ製粉業
ト云フモノガ、七十五錢ノ保護ヲ以テ
今日ハヤッテ居ルコトデアルカラ、是ヨ
リ製粉業者ト云フモノヲ窘メルコトハ
出來ナイト云フコトデアルナラバ、ド
ウシテモ是ハ小麥ニ對シテハ七十七錢
ト云フ關稅デ保護ハ出來ナイト云フコ
トヲ是亦聲明致サナケレバナラナイト
思フ、ソレナラバ小麥生產業者ガ七十
七錢デハ到底自給自足ト云フコトハ何
時マデモ出來ナイノミナラズ、何トカ
保護シナケレバ段々減退スル有樣デア
ルガ、之ヲ如何ニスルカト云フコトニ
ナレバ日本ノ政策トシテ、少クモ小麥
ナラ小麥ニ付テ-之ヲ現狀ノ儘ニ放
任シテ置ケバ減退スルカモ知レナイ
或ハ現狀ヲ維持スルノミナラズ、
益此增殖ヲ圖ラナケレバナラヌト云フ
ナラバ、關稅以外ノ他ノ方法ニ依テ之ヲ
保護シテ、少クモ農業者ノ生產費ヲ償
フニ足ルダケマデハ何所マデモ保護ス
ル決心デアルト云フコトヲ私ハ御明言
ヲ聽ケバ滿足致シマス、或ハソレヲ種
子ノ改良ニ依ルトカ、或ハ用排水ニ依
ルトカ、或ハ其他保護金ヲ吳レルトカ
色ミナコトハ別問題トシテ-ソレヲ
私ハ今日聽ク必要ハナイ、唯四圍ノ狀
況ガ、生產者ノ聯合會ヲ造ッテ、農民大
會ト云フヤウナ聯合會ヲ造ッテ、之ヲ關
稅ノミニ依テ生產費ヲ上ゲヤウト云フ
空氣ガアリマスカラ、此空氣ニ左右サ
レマシテハ、日本ノ社會政策ハ、之ヲ消
費スル所ノ多クノ者ガ一大脅威ヲ感ズ
ルコトデアリマスカラ、其脅威ヲ除ク
ニハ、政府ガ玆ニ於テソレダケノ言明
ヲ致サレルコトガ非常ニ私ハ必要ダト
思ヒマス、デ是ハ現在此消費者ノ立場
ニ於テ、現在ノ關稅ト云フモノハ、少ク
モ小麥粉ニ付テハ適當ト見テ居リマ
ス、是ヨリ上ゲルト云フコトハ、小麥ノ
關稅ヲ上ゲテ同時ニ又小麥粉ヲ上ゲル
ト云フコトニナリマシタナラバ、日本
ノ製粉業ト云フモノハ脅威ヲ受ケテ、
却テ是ハ農民ノ害ニナリハシナイカ、
作ッテモ自分デ作ッタ所ノ小麥ヲ、自分
デ手引ノ饂飩ニスルトカ、或ハ味噌ニ
スルト云フコトハ出來テモ、製粉業ト
云フコトガ出來ナイカラ、却テ下ルト
云フコトガアッテ、却テ農民ノ害ニナリ
ハシナイカト云フヤウナ憂モアリマス
カラ、此場合政府ハ大ナル決心ヲ以テ
聲明セラレンコトヲ私ハ希望致シマス
ガ、ソレニ付テ如何ニ御考デアリマス
カ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=52
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053・小山松壽
○小山政府委員 午前ニモ申上ゲマシ
タガ、要スルニ農業生產ノ保護、生活費
ノ低減ト此兩方ノ關係ヲ考慮シテ、此
程度ヲ以テ妥當ノモノト認メタ譯デア
リマス、飯塚君ノ縷々御心配ニナリマ
ス所ヲ拜承シマシテ、一應御尤ト思フ
所モアリマスガ、麥ノ如キハ農家經濟
ノ立場カラ申セバ、所謂裏作デアリマ
シテ、殊ニ是ハ年貢ノ中ニモ麥ハ別ニ
年貢トシテ納メテ居ラヌ、唯全國ノ中
デ裏作年貢ト稱ヘルモノガ一縣、香川
縣ダケニ裏作年貢ト云フモノヲ唯一ツ
認メルコトガ出來ルヤウナモノデアリ
マスカラ、其邊ノコトニ付テハ、農業生
產ヲ脅威スルト云フヤウナコトガアリ
マシテモ、我國食糧政策ノ現狀及將來
カラ見テ、此點ハ深ク考ヘナケレバナ
リマセヌシ、又一方國民生活ノ不安ヲ
招クト云フヤウナコトガアリマスレ
バ、是ハ又由々敷社會問題ヲ起スト云
フヤウナ譯デ、要スルニ兩者ノ其利害
得失ノ點ヲ深ク考ヘマシテ、相當ニ〓
究シテ、此程度ヲ以テ妥當ト認メマシ
タヤウナ譯デアリマス、製粉業ノコト
ニ付キマシテハ、先ニ申上ゲマシタヤ
ウニ、近時我ガ製粉業モ段々發達シテ
參リマシテ、相當ノ成績ヲ擧ゲテ居ル
ヤウナ譯デアリマス、繰返シテ申スヤ
ウデアリマスガ、何ヲ申シマシテモ、今
ノ麥ノ粒其物ガ外國ヨリ這入ッテ參リ
マス物ト比較シテ、製粉事業ノ步止リ
ガ劣ッテ居ル、此步止リガ這入ッテ來ル
物ト殆ド同一ニ參ルト云フコトデアリ
マスルナラバ、大ニ其原料ノ關係ニ於
キマシテモ、尙ホ一段吾〓意ヲ强ウス
ルニ足ルノデアル、問題ハ麥ノ粒及粉
ニ於キマシテモ、先日來屢申上ゲマス
ヤウナ所ニ其方針ヲ置イテ居ルノデア
リマシテ、歸スル所ハ生產消費ノ兩方
面ノ調和宜シキヲ得テ、以テ我國ノ食
糧問題ト社會問題ト相俟テ、將來ノ施
設ヲ全ウシタイ、斯ウ考ヘテ居ル譯デ
アリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=53
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054・加藤政之助
○加藤委員長 モウ宜シウゴザイマス
カ.発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=54
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055・飯塚春太郎
○飯塚委員 是デ濟ミマス、何ダカ徹
底シナイヤウデスガ、私ハモウ少シハツ
キリシタ方ガ政府ノ立場トシテ宜イト
考ヘルノデアリマス、製粉業ト云フモ
ノハ是ヨリ上ゲルト云フコトハ却テ政
策ノ上デイカヌカラ、是ヨリ上ゲナイ
ト云フコトヲ御聲明爲サッタ方ガ宜ク
ハナイカ、調和ヲ圖ッタト云フコトデア
ルガ製粉業ハ一圓八十五錢ト云フモ
ノガ適當ナルモノトシテ之ヲ維持スル
ト斯ウ御言明ヲ願ヘレバ私モ安心ス
ル、私モ安心スルト云フヨリモ此小麥
消費者ガ安心スル譯デアリマス、ソレ
ナラバ小麥ト云フモノハ七十七錢デ十
分保護ガ出來ル、相當ナ發達ガ出來ル
ト云フ見込デアルカト云ヘバ、恐ラク
政府デモ七十七錢デハ小麥ノ生產ヲ十
分ニ保護出來ナイト考ヘテ居ルダラウ
ト思フ、若シソレナラバ小麥ト云フモ
ノハ種子ヲ改良スルトカ、耕作法ヲ改
良スルト云フ考ガアルニシテモ七十
七錢デ十分ニ自發的ニ發達サスルコト
ハ出來ナイカラ、其他ノ施設デ小麥ヲ
保護スルダラウト思フ、故ニ關稅ニ於
テハ製粉-關係モアルニ依リ、七十七
錢デハ、小麥ノ產業ト云フモノガ十分
ニ保護出來ナイ故ニ、其他ノ施設ニ依テ
小麥ノ產業ヲ保護スル積リデアル、斯
ウ云フ風ノ御辯明ヲ得タイノデアル、
得タイノミナラズ、サウ云フ御辯明ガ
アレバ、農民大會、農會ノ聯合會ナドモ
安心スルダラウト思フ、農業者ハ自分
ハ生產者デアリ、又消費者デアルカラ、
生產ニ於テハ七十七錢デハ十分デナイ
ケレドモ、其他ノ方法ニ依テ、例ヘバ米
ノ調節法ト云フヤウナモノデ保護サレ
ル、少クトモ生產費マデハ保護スル所
ノ施設ヲヤッテ吳レルモノト安心スレ
バ、消費者モ生產者モ安心スルダラウ
ト思フ、推測スル所、恐ラク政府モ其御
意見ノヤウデアリマスガ、其意見デア
ルト見テ是デ質問ハ止メマスガ、御異
議ガアレバ御辯明ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=55
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056・小山松壽
○小山政府委員 今ノ農業生產ヲ、關
稅ヲ以テ保護スルト云フコトガ方針デ
アルト致シマスナラバ、現在ノ農業生
產物ニ非常ニ高率ナモノヲ掛ケナケレ
バナラヌ事ニナリマセウト思ヒマス、
若シサウナリマスト、一方消費者階級
ニ一大不安ヲ與ヘルト云フ譯デアリマ
スカラ、先日來屢申上ゲマシタガ、積
極的ニ施設ヲシテ、サウシテ其調和ヲ
圖ッテ居ル、其方針ニ基イテ更ニ其增收
ヲ圖リ、以テ生產消費ノ其間ノ調和宜
シキヲ得ルト云フコトニ致シテ居ルト
云フコトヲ申上ゲタ、是ハ屢繰返シ
テモ同一ナ事ヲ申上ゲルノテアリマス
カラ、ドウゾ其邊デ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=56
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057・奥村千藏
○奧村委員 私ノ御尋セントスルノ
ハ、稅番二十二ノ第四項ニアリマス所
ノ「タピオカ」「マニオカ」及「セーゴ、
之ニ就テ御尋ヲ致シタイト思フノデア
リマス、現在ノ所ハ「タビオカ」「マニオ
カ」每百斤ニ付一圓五錢ノ稅率デアリ
マス、「セーゴ」ハ每百斤ニ付二圓ノ割
合ニナッテ居ル、是ヲ今囘ノ改正表ニ依
リマスト一圓ニナッテ居ル、御下ゲニ
ナッテ居ルコトハ至極結構デアリマス、
又其用途ハ工業方面デアリマスノデ至
極結構デアリマスガ、今囘ノ改正表ハ
ソレヲ分ケテ甲乙ト爲シ、サウシテ二
十二ノ五ノ「コーンスターチ」、之ニ對
シテハ現行法ハ一圓六十五錢デアルノ
ヲ、四圓五十五錢ニ引上ニナッテ居ル、
此「コーンスターチ」ト云フモノハ何
ニ使用サレテ居ルカト云フコトヲ
當局者ハ如何ニ御覽ニナッテ居ルカ、其
邊ヲ一應承リタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=57
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058・黒田英雄
○黑田政府委員 「タピオカ」「マニオ
カ」「セーゴ」デアリマスガ、是ハ現行ハ
御話ノ通リ二ツニ分レテ居ルノデアリ
マス、其用途ハ矢張工業用ノ糊トシテ
用ヒルノデアリマスガ、一ツニ合シタ
方ガ適當ダラウト云フ考カラ一ツニ合
シタノデアリマスガ、其內ノ「粉狀ノモ
ノ」ニ付テハ、是ハ主トシテ工業用ニ使
ハレルノデアリマス、隨テ一割五分位
ノ程度ガ適當ダラウト云フノデ、一圓
ニ致シタノデアリマス、「其ノ他」ノモ
ノハ是ハ〓用トシテ用ヒルノデアリ
マスガ、多少嗜好品ニ屬スルモノト考
ヘマシテ、三割ニ致シタノデアリマス、
「コーンスターチ」ニ付テハ是ハ內地ニ
於テ生產ガアルノデアリマス、併ナガ
ラ非常ニ困難ナ狀態ニ在ルノデアリマ
スカラ、之ヲ多少保護致シマシタナラ
バ、折角出來掛ッタ所ノ生產ヲ助長スル
コトガ出來ルダラウト云フコトカラ致
シマシテ、現行ヨリ少シ上ゲテ居ルノ
デアリマスガ、併シ其用途ハ勿論工業
用ニモ用ヒマスガ、食用ニ用ヒルノガ
多イノデアリマス、ソレ故ニ此點カラ
見マシテ稍-〓用ト申シテモ生活ノ
必需品デナク嗜好品ニ屬スルノデアリ
マスカラ、稍上ゲテモ宜カラウ、ソレ
ト一ツハ生產ガ出來掛ッテ居ルカラ、此
位ガ適當ト信ジタノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=58
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059・奥村千藏
○奧村委員 只今當局ノ說明ニ依リマ
スト、「コーンスターチ」ヲ食用ノ爲ニ
使ハレルト云フヤウニ承リマシタガ、
當業者ノ吾〓ノ所ニ陳情シタ所ニ依ル
↑或ハ吾〓ガ紡績會社、特ニ日本
紡績ニ於テ調ベタ點ニ依ルト、其他種
種ノ統計ニ依テモ、今當局ノ言ハレル
食用ト云フヨリハ日本ニ八十萬圓ノ
輸入ノ八割五分ハ、此纎維工業ノ方ニ
使ハレテ居ル、サウシテ彼ノ「タビオ
カレ「セーゴ」ナドガ企及シ得ナイ所ノ
「コーンスターチ」ハ特色ヲ持ッテ居ル、
隨テ迚モ今囘ノ如キ一圓六十五錢ノモ
ノヲ、四圓五十五錢ニ上ゲテ貰フト云
フコトハ甚ダ困ルト、當業者ガ言ウテ
居ルノデアリマス、ソレ故ニ私ハ先ニ
御尋シタハ、如何ナル方面ニ使用サレ
ラ居ルカト云フコトデアッテ當局ハ非
常ナ見當違ヒノ答辯ヲサレテ居ルガ、
是ハ事實御調ベヲ願ヒタイト思ヒマ
ス、私ハ其次ニ移リマシテ稅番二十三
ノ胡麻子、是ハ胡麻油ヲ製造スルノデ
アリマスガ、現行率一圓トアルノヲ五
十錢ニ下ゲタ、併シ是ハ下ゲタノハ至
極結構デアリマスガ、併ナガラ二十五
ノ菜子及芥子、是等トハ餘程違ッテ殊ニ
胡麻子カラ得タ所ノ胡麻油ノ用途ト云
フモノハ、今政府委員ガ言ハレタ如ク、
食料ノ中デモ嗜好ニ屬スル方ニ私ハ近
イト思フ位デアリマス、然ルニ之ヲ半
額ニシタ、所ガ二十五ノ菜子及芥子ニ
付キマシテハ、在來ハ六十五錢デアッタ
ノヲ今囘八十五錢ニ改正セントシテ居
ル、此在來六十五錢ノ率モ油四十錢、粕
二十五錢ノ戾稅ガ行ハレテ居リマス
ガ是ハ當業者及本員ノ調ベタ所ニ依
リマスト、菜子百ニ對シテ六十「パーセ
ント」ハ粕デアル、サウシテ油ハ三十
一、不純物ガ九ト云フコトノ計算ニ相
成ッテ居ル然ル所價格ノ上カラ云ッテ
モ、粕ノ方ガ高イノデアリマス、然ルニ
其粕ニ對シテ二十五錢、油ノ方ニ對シ
テ四十錢ノ戾稅ガアリマスガ、當局ハ
之ヲ今囘八十五錢ニ引上ケントシテ居
ラレルガ、之ヲ無稅トスルハ考ハナイ
カ、或ハ又無稅ガ出來ナイナラバ、現在
ノ戾稅ノ率ヲ正反對ニシテ、粕ニ多ク
油ニ少クスル考ハナイカ、此粕ノ用途
ハ、大藏當局ハ御承知ノ通リ、煙草ノ栽
培ニハ他ノ肥料ノ及バナイ特長ヲ持ツ
テ居ル等、色〓ノ關係ガアリマスガ、當
局ハ今私ノ御尋シタ二點ニ對シテハ
如何ナル御考ヲ持ッテオヰデニナリマ
スカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=59
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060・黒田英雄
○黑田政府委員 最初ニ御尋ニナリマ
シタ事ハ後デ調ベテト云フ御話デア
リマシタガ、一應御答ヲ申シテ置キタ
イト思ヒマス、「コーンスターチ」ニ付
キマシテハ御話ノ通リ、勿論紡績等ニ
使ヒマスト云フコトハ承知致シマス
ガ、其外ニ「ブッデイング」或ハ「パイ」或
ハ西洋菓子ト云フモノニモ隨分使ハレ
マス、織物トシテ特ニ是ハ或種ノ物ニ
ハ必要ナモノトハ考ヘテ居リマスガ、
又食料トシテ用ヒラレルモノモ相當多
イ、寧ロ大部分ハ食料トシテ用ヒラレ
テ居ルモノデアルト云フ風ニ、實ハ考
ヘテ居ルノデアリマス、唯是ハ前ニモ
申シマシタ通リ一般カラ申シマスト
以前明治四十一年頃デアリマシタカ、
段々日本デ出來ルヤウニナッテ參ッテ、
一時ハ相當生產ガアッタノデアリマス
ガ、安價ナ外國品ノ爲ニ非常ニ壓迫ヲ
サレマシテ、段々廢メルコトニナッテ、
今ハ非常ニ窮境ニ在ルト云フ風ニ見ラ
レルノデアリマス、折角出來マスモノ
デアリマスカラ、是ハ多少ノ保護ハ致
シマシテ生產ヲ進メルト云フコトガ、
國策トシテ必要デハナカラウカ、紡績
或ハ西洋洗濯ノ糊ニハ用ヒマスガ、ソ
レハ比較的其影響ハ少イモノデアラウ
ト云フ風ニ實ハ考ヘタ次第デアリマ
ス、ソレカラ次ニ此菜子及芥子デマリ
マスガ、是ハ胡麻子、荏胡麻子等ハ引上
ゲテ居ルニ拘ラズ、菜子及芥子ヲ引上
ゲテ居ラヌ、此菜子及芥子ニ付テハ內
地ニ於テハ相當菜種ノ生產ハアルノデ
アリマスガ、併シ近年段々減ッテ居ルヤ
ウニモ見ラレマス、是等ニ對シテハ、內
地生產ノ狀況カラシテ、多少之ヲ引上
ゲラレルト云フコトハ必要デアルト云
フ風ニ考ヘタノデアリマス、胡麻子、荏
胡麻子ニ付テハ、是ハ內地ノ生產ガ少
イノデ、安イ物ノ這入ッテ來ルノガ適當
デアルト云フ風ニ考ヘタノデアリマ
ス、然ラバ是等ヲ原料ト致シマシタ油
粕ニ對スル戾稅ハ、調査ヲシテ見ルト
却テ反對デアル、油粕ニ對スル戾稅ハ
多クナクテハナラヌチヤナイカト云フ
御意見デアリマスガ、是ハ今囘稅率ガ
變リマスレバ、自然戾稅致スニ付キマ
シテハ率ヲ變ヘナケレバナラヌノデア
リマシテ、此際ニ尙ホ一應ソレ等ノ生
產ノ狀況ヲ、ドレダケノ步合ニナリマ
スカ、十分ニ調査ヲ致シマシテ、率ヲ極
メタイト思ッテ居リマスガ、只今御述ニ
ナリマシタコトハ十分參考ニ致シマシ
テ、〓究致シテ見ル積リデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=60
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061・奥村千藏
○奧村委員 只今ノ御說明ニ依リマス
ト、稅番二十二ノ「コーンスターチ」ニ
付キマシテ、見ル所ヲ異ニシテ居ルヤ
ウデアリマス、又重テ當局ノ御注意ヲ
御願シタイ、モウ一應御調べ願ヒタイ、
私モ調ベマス、是ハ後日ニ保留致シマ
スガ、、菜子及芥子ニ對スル戾稅ノ率ニ
付テハ、尙ホ考慮ヲシテ置クト云フ言
明ヲサレマシタノデ滿足致シマス、併
シ稅番二十一ノ豆類ノ中ニ大豆デアリ
マスガ、是ハ今御答辯ニナリマシタ稅
番二十五ノ菜子及芥子ニ對スル御見解
ト違ッテ、大豆ハ全部戾稅ニ相成ッテ居
ル、將來モ亦ナサルヤウデアリマスガ、
左樣ニシマスト、大豆ノ生產地ハ主ニ
北海道デアリマスガ、是等ニ對シテハ
細心ノ御注意ヲ拂ッテオヰデニナラヌ
ヤウデアリマスガ、大豆ニ對スル御見
解ハドウデアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=61
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062・黒田英雄
○黑田政府委員 大豆ニ付キマシテ
ハ御承知ノ通リ現行法ニ於キマシテ
ハ油粕ヲ拵ヘマスル大豆ニ付テハ關
稅ヲ全部返シテ居ルノデアリマス、之
ヲ今囘改正致シマシテ、油又ハ油粕ヲ
製造スルニ大豆ヲ使ッテ製造スル、其
油、油粕ニハ全部ヲ戾稅ニ致シタイト
考ヘテ居リマス、之ニ就キマシテ北海
道等ノ大豆生產ニ付テ、何故菜子、芥子
ニ對スル如キ考慮ヲシナカッタト云フ
御尋デアリマスガ、是ハ現行法ニ於テ
ハ全部戾稅ヲ致シテアルノデアリマ
ス、卽チ肥料ヲ拵ヘマス大豆ダケニ付
テデアリマスカラ、左程內地ノ生產ニ
是ガ爲ニ大ナル影響ハナイト云フ風ニ
考ヘマシテ、卽チ現行法通リノ取扱ニ
スルノデアリマスガ、ソレヲ更ニ保護
スル、或ハ油ニダケハ戾サナイト云フ
マデニスル必要ハナイト考ヘタノデア
リマス、又大體此油粕ノ方ハ、殆ド價格
ノ上カラ申シテモ、適當ナモノガ大部
分ヲ占メルト云フ狀態デアリマスカ
ラ、現行通リデ差支ナイト考·ヘタノデ
アリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=62
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063・長田桃藏
○長田委員 只今奥村サンノ御尋ニナ
リマシタ點ニ付テ、モウ一點承ッテ置キ
マス、玆ニ實ハ請願書ガ參ッテ居リマス
ガ、政府委員ニ於テ之ヲ御覽下サレバ
尙ホ結構デアリマス、私ハ其稅番ノ二
十二、ソレノ第四ノ「タピオカ」「マニオ
カ」及「セーゴ」ソレカラ同ジク第六ノ
「其ノ他」ト云フ問題ニ付テ矢張農產物
ノ方ノ側カラ御尋シタイノデアリマ
ス、此所ニ請願書ニ書イテアリマスル
主要ナル點ハ此「タピオカ」「セーゴ」ト
云フモノモ畢竟日本內地デ出來ル所ノ
ー北海道ノ馬鈴薯澱粉、或ハ內地デ
出來ル甘藷澱粉ノ葛ト云フモノト性質
ヲ同ジニシテ居ルト云フコトヲ記載シ
テ居ル、私モ左樣ニ伺ッテ居ルノデアリ
マスガ、ソレニ對シテ先年關稅率一圓
五十五錢デアッタノヲ近年政府ガ一圓
五錢ニ低減セラレタ、斯ウ云フ點カラ
非常ニ此甘藷業者ノ此葛ヲ製造スル側
ノ者ガ非常ニ經濟難ニ陷ッテ、倒產スル
者ガ頻々アッタト云フコトヲ記載シテ
居リマス、現在ニ於テ之ヲ造ッテ居ル者
ハ千葉縣ガ一萬五千噸、廣島縣ガ三千
噸、長崎縣ガ四千噸、熊本縣ガ五百噸、
鹿兒島縣ガ二千噸、宮崎縣ガ三百噸、沖
繩縣ガ二百噸ト云フコトデアリマシ
テ、合計二萬五千噸ヲ生產シテ居ッテ、
各皆小作民階級ノ人〓ノ副業ニナッテ
居ルト云フコトデアリマス、ソレガ今
又此稅率ガ更ニ減稅セラレテ「粉狀ノ
モノ」ガ一圓ニ下ルト云フコトニナレ
バ、益此小作ノ副業ガ困難ニ陷ルト云
フコトニナッテ、一層倒產スル者ガ頻々
トナリ、遂ニハ全滅ニ歸シハセヌカト
云フ虞ガアリハセヌカト云フコトヲ訴
ヘテ參ヲテ居ルノデアリマス、サウシテ
更ニ此所ニ記載シテ居ル點ヲ見マスル
ト、北海道ノ馬鈴薯ニ依テ造ラルル所
ノ片栗粉、此方ノ側ニ對シテ、之ニ匹敵
スル所ノ「ポテトー·スターチ」ノ方ハ
一圓六十五錢デアルモノガ二圓ニ引上
ゲラレテ、同ジ性質デアルモノガ、北海
道馬鈴薯ノ澱粉ハ保護サレテ居ルノニ
內地生產ノ葛ノナガ却テ壓迫サルルト
云フ取扱ヲ受ケルト云フコトハドウ云
フコトデアルカ、斯ウ云フコトモ書イ
テ來テ居リマス、此「ポテトー·スター
チ」ノ方ハ此中ニ其品目ガ現ハシテゴ
ザイマセヌガ、六ノ「其ノ他」ト云フモ
ノノ中ニ入ッテ居ルコトト思ヒマスガ、
五ニ「コーンスターチ」ヲ現ハシテ置イ
テ、「ポテトースターチ」ヲ何故現ハサ
ナカッタノデアルカ、果シテ此訴ヘテ來
テ居ルヤウナ同ジ性質ノ物ヲ、兩樣ニ
取扱ヲ異ニシタト云フコトガ事實デア
ルカ、此點ヲ伺ッテ置キタイト思ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=63
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064・黒田英雄
○黑田政府委員 一應私カラ御答申上
ゲマシテ、若シ不十分ナ所ガアリマシ
タナラバ、ソレゾレ專門ノ技術者カラ
御答致シタイト思ヒマス、「セーゴ」ガ
今マデ三割デアリマスモノガ一割五分
ノ一圓ニ、其粉狀ノモノガナッタト云フ
コトニ付キマシテハ、元來「セーゴ」ガ
〓糧ト同ジヤウニ取扱ハレテ居リマシ
タノガ抑間違ッテ居ルヤウニ私ハ思ヒ
マス、而シテ其粉狀ノモノハ工業用ノ
糊トシテ用ヒラレルノデアリマスカ
ラ、是ハ「タピオカ」ナドト同ジク一〓
ニシタ方ガ、粉狀ノモノニ付テハ適當
デアルト云フノデ一〓ニシタノデアリ
マス、其結果ト致シマシテ、工業用ニ使
ハレルモノガ引下ゲラレタト云フ結果
ニナッテ居ルノデアリマス、卽チ一圓ニ
致シマシタノハ工業用ニ用ヒラレル爲
ニ下ゲタノデアリマス、其結果ト致シ
マシテ或ハ甘藷ノ粉デアルトカ、或ハ
片栗トカ云フモノガ此爲ニ不利益ナ影
響ヲ受ケルト云フ風ナ御話デゴザイマ
スルガ、是ハ前申上ゲマスル通リ、大體
現在一圓五十錢ニナッテ居リマスルガ
是ハ工業用ノ原料トナルモノデアッテ、
天產物ニ對シテ僅カナ高低ヲ加ヘタモ
ノニ過ギナイノデアリマスカラ、是ハ
一割五分ト云フ位ノ程度ガ適當デアル
ト云フ所カラ參ッテ居ルノデアリマス、
サウ云フ風ナモノデアリマスカラ、左
程內地ノ他ノ物ヲ侵スト云フコトノ結
果モナカラウト云フ風ニ考ヘテ居ルノ
デアリマス、後ノ方ノ御尋ハ一寸私能
ク了解致シマセヌデシタカラ、今マデ
ノ答辯デ足ラナカッタヤウナ所ヲ更ニ
御問ヲ願ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=64
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065・長田桃藏
○長田委員 只今ノ御話ハ伺ヒマシタ
ガ、尙ホ伺ヒマスガ、小作人ノ側デ生產
シテ居ル所ノ二萬五千噸ノ葛ノ製造業
者ガ根抵カラ壓迫サレ倒產スルコトニ
ナル、斯樣ニ訴ヘテ參ヲテ居ルノデアリ
マス、ソレニ對シテハ此「タピオカ」或
ハ「セーゴ」ト云フガ如キモノガ工業用
トシテ使用セラルルト云フ理由デ、小
作ノ副業ヲ顧ミル暇ガナイ、斯樣ニ御
答辯ニナッタト了解シテ宜シイノデア
リマスカ、而シテソレナラバ此點ハ工
業用ノ使用ニ重キヲ置イテ、小作ノ副
業ヲ顧ミナカッタト云フ、所謂保護政策
ノ方ニハ全然觸レナカッタト云フノデ
アリマスカ、サウ云フヤウニ了解シテ
宜シイノデアリマスカト云フコトデア
リマス、今一ツハ此現ハシテ居ル中ニ
葛ト同ジ性質ノモノノ片栗、是ハ北海
道ノ馬鈴薯澱粉デ拵ヘルガ、其馬鈴薯
澱粉デ拵ヘル片栗ノ方ニ對シテハ却
テ一圓六十五錢ノモノガ二圓ニ引上ゲ
ラレテ、其職業ガ却テ保護セラレテ居
ルノハドウ云フ譯デアルカ、內地ノ葛
ノ製造ニ對シテハ却テ其稅率ヲ下ゲテ
壓迫ヲサレテ居ルノニ、北海道ノ方ノ
馬鈴薯澱粉デ造ル片栗ニハ、其稅率ヲ
上ゲテ之ヲ保護シテ居ルト云フコトニ
ナッテ居ルコトハ、不公平デハナイカト
云フ訴デアリマス、而シテ此「ポテトー
スターチ」ノ方ノ名目ガ現ハレテ居リ
マセヌガ、是ハ其他ト云フ部類ニ入ッテ
居ルノカト云フノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=65
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066・黒田英雄
○黑田政府委員 只今ノ御尋ハ馬鈴薯
ヲ原料ト致シマシタ卽チ片栗モ、甘藷
ヲ原料ト致シマシタ葛ト云フモノモ、
矢張六ノ中ニ「其ノ他」ノ中ニ入ッテ居
ルト考ヘルノデアリマス、ソレカラソ
レニ類似シタル所ノ「セーゴ」等ガ安ク
ナッテ居ル、其爲ニ內地ノ澱粉、是等ノ
片栗、若クハ葛ト云フモノノ製造ガ非
常ニ壓迫ヲ受ケルデハナイカト云フ御
話デアリマスガ、是ハ「セーゴ」ニ付キ
マシテモ單ニ工業用ニ使ヒマスルダケ
ヲ書イタノデアリマシテ、食料等ニ用
ヒマスルモノハ現行通リ矢張三割ノ課
稅ヲ致シテ居ルノデアリマスカラ、此
工業用ニ使ヒマスモノダケノ引上ゲデ
アリマスレバ、是等ノ澱粉ノ製造業ニ
對シテ必シモ壓迫ヲ與ヘルモノデナ
イ、卽チ單ニ工業用ニ用ヒラレルト云
フ理由ノ下ニ內地ノ產業ハ構ハナイ、
顧ミナカッタト云フ意味デハナイノデ
アリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=66
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067・長田桃藏
○長田委員 此問題ハ其程度ニ止メテ
置キマス、私ハ番號ノ第十二、米及籾ト
云フ問題ニ對シテ少シク伺ッテ見タイ
ト思ヒマス、是ハ總論ノ質問ノ場合ニ
於テ旣ニ盡サレテ居ルノデアリマスカ
ラ、諄クハ申上ゲマセヌ、併シ明瞭ニシ
ヲ置キタイ點ガアリマスカラ御伺致ス
ノデアリマス、米及籾、此關稅ヲ引上ゲ
ルト云フ問題、若クハ此儘ニ置クト云
フ問題ハ現在特別法デアル米穀法ノ
條文ノ中ニ、政府ハ必要ナ場合ニ於テ
ハ關稅ノ增減又ハ免除ヲスルコトガ出
來ルト云フコトニナッテ居ルノデアル
カラ、此所ニヤカマシク此問題ヲ論議
スル殆ド價値ガナイト云フ風ニ見ラル
ルノデアリマシテ、玆ニ稅額ヲ上ゲテ
吳レトカ、或ハ此儘ニ置カウト云フコ
トヲ、此法文ガアルガ爲ニヤカマシク
言ハナクテモ宜イヤウニ考ヘラルルノ
デアリマス、併ナガラ農業者ノ方ノ側
カラ考ヘマスルト、其關稅率ヲ增減シ、
若クハ免除スルト云フ條文、免除ハ偖
措キマシテ增減ト云フ文字ノ中ニハ
矢張基準ノ關稅ガナケレバナラヌ、其
基準ノ關稅ヲ之ヲ現在ノ稅率ノ一圓ニ
止メルト云フコトト、或ハ之ヲ倍ニシ
テ二圓ニ止メルト云フノトハ、其增減
ヲセラルル時ノ觀念ニ於テ非常ニ等差
ノアルベキ筈デアルト云フノデ、是非
之ヲ動カシテ、今少シク增額ヲシテ貰
ヒタイト云フ農村ノ要求ヲ持ッテ居ル
ノデアリマス、ソレカラ今一ツハ此米
穀法ガアリマスレバ、增減ガ自由ニ出
來ルノデアルカラ、サウ心配シナクテ
モ宜イデハナイカト云フ議論ガアリマ
スケレドモ、御承知ノ如ク米穀法ハ日本
內地ノミニ施行セラレテ居ルノデアリ
マシテ、植民地ニハ施行サレテ居ラナ
イノデアリマス、最近ノ狀態カラ見マ
シテモ、朝鮮米-內地ノ種子ニ依テ
作ラレタル內地米ト少シモ變ラナイ性
質ヲ持ッテ居ル所ノ朝鮮米ハ、殆ド昨年
ニ於テモ五百萬石移入サレテ居ル本
年豫算ニ現ハレタル、更ニ朝鮮ノ耕地
ノ大擴張ヲ企テラレルト云フコトニナ
リマシタナラバ、期年ナラズシテ一千
萬石以上ノモノガ移入サレルト云フコ
トハ、是ハ睹易キ道理デ、想像デナクシ
テ私ハ事實デアルト思ヒマス、日本內
地ガ平年作五千七百萬石位取レタ所
デ、此所ニ一千萬石流レ來レバ六千七
百萬石ノ米ニナッテ、平年作ヲ想像シテ
モ殆ド米ハダブツクヤウナ氣分ガ致シ
マス、此場合ニ市價ニ影響スルト云フ
コトハ當然デアッテ、所謂朝鮮ナリ或ハ
北海道-北海道ハ勿論デアリマス
ガ臺灣ナリ朝鮮ナリノ耕地面積ガ殖
エテ參リ、種子ノ改良等ノ行ハレルコ
トニ依テ、食糧政策ノ解決ト云フコト
ハ此所數十年ノ間大丈夫ナコトニナリ
マスケレドモ、內地米ノ市價ガ之ニ依
テ脅カサレルト云フコトハ當然ノ私
ハ心配ダト思ッテ居リマス、殊ニ一千萬
石程流レ來ルト想像スル其基礎觀念ニ
ハ、御承知ノ如ク朝鮮ノ植民地ノ方〓
-朝鮮ノ內地ノ方〓ハ日本內地ノ方
方ヨリハ所謂食糧ガ原始的ノ食糧デ甘
ンジテ居ラレル方ミデアリマスカラ、
安キ外米ヲ入レテ自己ノ日用生活ヲ支
ヘテ朝鮮米デ內地米ト少シモ變ラヌモ
ノヲ產出シタノハ、ドン/\內地へ移出
シヤウト云フ觀念ノ起ルノハ當然ノコ
トデアラウト思ヒマスサウ致シマス
ルト、ドウシテモ朝鮮ノ內地ノ方〓ガ
日用品トシテ取ラルル所ノ外米ヲ、サ
ウ安クシテ置ケバ-關稅ヲ安クシテ
置ケバ、滔々ト流入ルニ相違ナイカラ、
之ヲ防ガナケレバナラナイ狀態ニ立至
ルノデアル、ソレデ米穀法ハ朝鮮ニハ
行ハレヌト云フコトニナリマスレバ、
ドウシテモ此關稅ノ定率ヲ引上ゲテ置
イテ、朝鮮ノ方ヘモ其稅關率ニ依テ輸
入ガ緩和セラレ、外國米ノ朝鮮ニ這入
ルコトヲ緩和スルコトノ出來ルヤウ
ニ、關稅率ヲ引上ゲテ置ク必要ガアル
ト農村民ハ考ヘテ居ルノデアリマス、
此點ニ對シテ政府ハソコマデ內地米ヲ
保護スル必要ナシト御斷言ニナルノデ
アリマセウカ、此點ヲ伺ッテ置キタイト
思フノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=67
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068・小山松壽
○小山政府委員 只今御尋ノ點ハ曩ニ
一般御質疑ノ場合ニモ申上ゲ、大體御
諒解ヲ得タコトト考ヘテ居リマス、第
一ニ御尋ノアリマシタ此米穀法ノ運用
ノコトデアリマスガ、是ハ米穀法第二
條、之ヲ御引合ニナリマシタガ、全ク前
段御述ニナリマシタヤウナ御趣旨デア
リマシテ、此米穀法運用ニ依テ、此法律
ハアリマスルケレドモ、其立法ノ意義
ヲ完ウシタイト斯ウ考ヘテ居リマス、
第二ノ朝鮮米ノ增殖ニ關スル內地生產
ノ對策如何ト、斯ウ云フ御話ノヤウデ
アリマス、先日モ申上ゲマシタヤウニ、
朝鮮米ノ增殖計畫ハ大正九年以來ノ計
畫デアリマシテ、續イテ十五年度豫算
ニ於テ更ニ其增殖計畫ヲ立テルト云フ
コトニナッテ居リマス、其事ニ付テモ先
日申上ゲテ置キマシタガ、成程朝鮮ニ
於テ外國米ヲ入レテ、朝鮮產米ノモノ
ヲ內地へ仕向ケテ來ルト云フコトニナ
レバ、內地ノ產米ヲ多大ニ脅威スルデ
アラウト云フ、斯ウ云フ御話デアリマ
シタ、又實際ノ實狀ニ付キマシテモ、先
日モ申上ゲマシタガ、大阪ヲ中心トシ
タ關西方面ハ朝鮮米ヲ嗜好致シマスノ
デ、相當ナ數量ガ消費サレテ居リマス、
併ナガラ東京ヲ中心トシテ此關東一圓
カラ東北ノ方面ニハ、朝鮮米ノ嗜好ガ
マダ起ッテ居リマセヌノデ、是ハ主トシ
テ東北米ヲ嗜好致スト云フヤウナ狀態
デアリマス、併シ大局カラ見テ朝鮮ノ
產米ガ內地へ這入ッテ參レバ、內地產米
ノ脅威ヲ致シハシマイカト云フ御懸念
ハ一應御尤ト存ジマス、サリナガラ今
日マデ我國人口ノ增加ト米ノ消費數
量、此推算ヲ將來ニ致シマスレバ、人口
增加ノ割合、朝鮮ニ於ケル產米計畫、之
ニ依テノ增石ト云フモノニ依テ、私ハ
更ニ此農村產米ノ上ニ脅威アルトハ考
ヘマセヌ、而シテ更ニ次ノ御尋ノ假ニ
其威脅アルモノトシタトキニ、朝鮮ニ於
ケル米穀ノ關稅ニ對シテノ對策ハ何カ
考ヘテ居ルカト云フ御尋デアリマス
ガ、是ハ朝鮮總督ガ凶作其他已ムヲ得
ザル事由ノアルトキハ、期間ヲ指定シ
テ朝鮮ニ關稅ノ低減若クハ免除ヲス
ルコトガ出來ルト云フ法律ガアリマス
ノデ、殊ニ先日長田君カラノ御尋モア
リマシタガ、此度改正ノ御審議ヲ願ッテ
居リマス關稅定率法第六條、是等ノ關
係ヲ彼此レ考ヘテ見マシテ、朝鮮ニ於
ケル關稅ノ問題ニ付キマシテハ、現在
ニ於テ此運用ヲ致シマスルナラバ、今
ノ御懸念ノヤウナコトハ無イト考ヘテ
居ル譯デアリマス、大體ハ左樣ニ考ヘ
テ居リマスガ、尙ホ御尋ニ副ハヌ所ガ
アリマスレバ、重テ御質問ガアレバ御
答致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=68
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069・長田桃藏
○長田委員 只今ノ御答ニ依リマスル
ト、朝鮮ダケハ朝鮮總督府ニ於テ自由
ニ關稅ヲ增減スルコトガ出來ルト云
フ、何カ立法ノヤウナモノガアルノデ
アリマスカ、朝鮮總督ノ權限デサウ云
フコトノ出來ルヤウニナッテ居リマス
カ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=69
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070・小山松壽
○小山政府委員 只今申上ゲマシタ大
正九年八月七日法律第五十三號關稅定
率法保稅倉庫法、及假置場法等ノ朝鮮
ニ於ケル特例ニ關スル法律ガアリマ
ス、其事ヲ只今申上ゲマシタ譯デアリ
マス、若シ條文ガ御必要ナラバ手許ニ
アリマスカラ申シテ宜シイノデアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=70
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071・長田桃藏
○長田委員 ソレデ結構デアリマスー
-更ニ過日ノ質問ニ對シテ次官ノ御手
許カラ、鷄卵ノ自給計畫ノ御意見ノ在
ル所ヲ書イタ物ヲ頂戴シタノデアリマ
スガ、之ヲ拜誦致シマシテ、六年計畫デ
鷄卵ノ輸入ヲ防ギ得テ、內地ノ需要ハ
內地ノ鷄卵ヲ以テ之ニ充テルト云フ計
畫デアルコトヲ見マシテ、大變ニ心ヲ
强ウシテ居ルノデアリマス、斯ク鷄卵
ニ對スル自給計畫ノ有力ナルモノヲ御
持合セニナッテ居ルノデアリマスカラ、
更ニ一步進ンデ小麥ノ內地需要ヲモ自
給自足スルト云フ、鷄卵ノ六年計畫ニ
均シキモノガ、オアリニナルト考ヘル
ノデアリマス、米ト麥ニ付テハ大問題
デアリマスカラ措キマシテ、小麥ノ方
ハ必ズ是ハ出來得ルト思フノデアリマ
スカラ、若シサウ云フ計畫ガオアリニ
ナリマスナラバ、其御發表ヲ願ヒタイ
ノデアリマス、更ニ大豆ハ北海道及東
北地方ノ產業ヲ保護スル上ニ於テ必要
デアリマスガ、之ニ對シテモ相當農林
省ノ御計畫御指導ノ下ニ自足自給シ得
ル政策ガアルコトト存ジマスガ、是モ
農林省ニ御計畫ガゴザイマスレバ、此
際御發表ヲ願ヘレバ結構ト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=71
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072・小山松壽
○小山政府委員 麥ノ過去ノ作付段別
及其收穫等カラ見マシテ、ンレ〓〓〓
究ハ致シテ居リマスガ、先日申上ゲマ
シタ鳥卵ノ中ノ鷄卵ニ付テ、六年間ノ
自給自足ノ計畫ト云フガ如ク、自信ヲ
以テ御示シノ出來ル程度ニマデ只今麥
ニ付テハマダ其域ニ達シテ居リマセ
ヌ、而シテ麥ノ中、大麥、裸麥ノコトハ
モウ旣ニ御了承ノコトデアリマスカ
ラ、小麥ノコトニ止マルト思ヒマスガ、
小麥ノ將來ニ付キマシテハ尙ホ栽培ノ
面積モ相當ニ增加スルコトガ出來、作
付ニ於テモ相當ニ其收穫ヲ擧ゲルコト
ガ出來ルト思ヒマスガ、何分此事ハ〓
糧政策ノ解決ノ前提トシテ、當然施設
致サナケレバナラヌ所ノ耕地政策ニ
伴ッテ來ルコトデアリマス、長田君ニ於
テ旣モニ御承知ノコトデアリマスガ、
此耕地政策ニ付キマシテハ當局ニ於テ
度〓〓究致シテ居リマス、開墾助成ノ
立法ノ精神モ鑑ミ又御協賛ヲ得テ居リ
マス、用排水幹線ノ過去及將來ノコト
三枚方 へ全國諸所ニ認メマス所ノ此用
水排水ノ事業等ノコトモ調査致シテ、
ソレ〓〓開墾干拓等、耕地政策ノコト
ニ付テ研究ハ致シテ居リマスガ、此食
糧政策ノ中、只今御尋ノ麥ノ將來ノコ
トニ付テ折角今調査ヲ進メテ居リマ
ス、併ナガラ何分ニモ麥ハ先日モ申上
ゲマシタ通リ世界共通ノ食糧品デアリ
マシテ、其價格ノ變動如何ニ依テ其作
付段別ノ增減スルト云フコトハ免レヌ
狀態ニ置カレテ居リマス、サリナガラ
裏作デアリマシテ、此農家經濟ノ上カ
ラ考ヘマシテモ、相當ニ之ニ對シテハ
考慮ヲ致ス必要ガアルト思ヒマシテ、
麥ノ將來ノコトニ付テハ折角今調査ヲ
致シテ居リマス、栽培面積ヲ尙ホ多ク
增加スルコトガ出來ルト云フコトニ付
テ大體ノ方針ハ持ッテ居リマスガ、併
ナガラ計算ノ場合ニ於テ當局者ノ斷案
ヲ申スマデノ程度ノ調査ハ只今ハ持ツ
テ居リマセヌ、併シ二十年、三十年ノ將
來ノ麥ノ自給自足ガ出來ルカドウカト
云フコトニ付キマシテハ是ハ今出來
ルトモ出來ナイトモ申上ゲ兼ネマス
ガ、併シ大體世界全體ガ麥ノ問題ニ付
テハ、年ヲ重ネテ一ツノ惱ミヲ持ッテ居
リマス、所謂麵麹ヲ常食ト致ス所ノ白
人種アタリガ生活ノ脅威ヲ年々受ケル
ヤウナ狀態デアリマシテ、先刻來一寸
申上ゲマシタガ、元麥ノ產地デアリ
マシタ亞米利加ニ致セ、露西亞ニ致セ
露西亞ハ昨今御承知ノヤウニ段々
減ッテ居リマス、又亞米利加モ將來食糧
政策ノ對策トシテハ、餘程心配ヲ致シ
テ來テ居ルヤウデアリマス、殘ス所ハ
加奈陀、濠洲等ガ麥ノ產地トシテ有望
ト見ラレテ居ルヤウナ譯デ、歐羅巴各
國ハ何レモ輸入國デアリマス、是等ノ
關係カラ見マシテ是ハ至難ナ問題デア
ラウト思ヒマスガ、麵麭ヲ常食ト致シ
テ居リマス國ノ人口ノ增加ハ過去二
十五年ノ增加ノ割合等ヲ調ベテ見マス
ト、二十五年ニ一倍半ノ麥ノ生產ヲ要
求シテ居ルト云フヤウナコトデ、我ガ
日本ニ於テモ只今申上ゲル通リ耕地政
策-食糧政策ノ先決問題トシテノ耕
地政策、續イテ食糧政策ノ解決トシテ、
米ト相對シテ麥ノ調査ニ付テハ折角調
査致シテ居リマスケレドモ、繰返シテ
申上ゲマスガ、此頃申上ゲマシタヤウ
ニ鷄卵ノ自給自足ニ付テノ一ノ斷案ヲ
持ッテ居ルガ如クニ、麥ノ將來ニ付テ斷
案ヲ申上ゲルト云フコトハ、少シク今
其材料ニ乏シイ譯デアリマス、折角今
調査中デアリマス-大豆ノコトハ是
ハ麥ト趣ヲ異ニ致シマシテ、新開地開
墾等ノ助成ノ上カラ見マシテモ、是ノ
栽培ニ付テハ全ク別方面カラ研究ヲ致
スベキ必要ガアルト思フノデアリマ
ス、何レノ農作物ニ於キマシテモ、殊ニ
屢御引合ニナリマス所ノ麥ノ如キニ於
キマシテモ、窒素ノ〓究ハ品種ノ改良
或ハ其同一面積ニ於テ其數量ヲ增シテ
行クト云フコトニ付テモ必要デアリマ
スガ、大豆ノ場合ニ於キマシテハ、是ハ
大豆其物ガ土中ニ固定致シマシテ、土
壞ヲ肥ヤスト云フ作用ヲ持ッテ居ルノ
デアリマス、デアリマスカラ開墾新開
地等ニ於テ大豆ノ栽培ト云フコトハ、
其土壞ヲ肥ヤシテ參ルト云フコトニ於
テ缺クベカラザル一ツノ農作物デアリ
マスケレドモ、何分ニモ一方ニ大豆ノ
供給ハ我ガ日本內地ト比較致シマシテ
非常ナル供給力ヲ持ッテ居ル所ガアリ、
北海道等ニ於テ大豆ノ栽培ヲ致シマシ
テモ、需要ノ關係ト生產供給ノ關係ト
ガ洵ニ我國農作物ノ中デモ至難ナモノ
デアリマス、當局ニ於キマシテハ大豆
ノ將來ニ付テ先刻申シマシタヤウナ、
土壤ヲ改良シ將來ノ增殖ト云フコトニ
付テモ、相當ニ〓究致サナケレバナラ
ヌモノト考ヘテ居リマスガ、大豆其物
ニ付テノ對策ト致シマシテハ遣憾ナ
ガラ之ニ就テ自給自足ヲ致スト云フヤ
ウナ域ニ達スルコトハ、先ヅ望ミ餘リ
多カラザルコトト思ッテ居ルヤウナ譯
デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=72
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073・長田桃藏
○長田委員 モウ一點伺ッテ置キマス
ガ昨年來這入ッテ參リマス「ミイドン」
米ノ、將來內地米ヲ脅スト云フモノハ
非常ニ强イモノト思ヒマスガ、ソレニ
對スル御考ハドウデゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=73
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074・小山松壽
○小山政府委員 是ハ說明委員カラ御
說明申上ゲサスコトニ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=74
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075・井野碩哉
○井野農林書記官 「ミイドン」米ニ付
キマシテ簡單ニ申上ゲマスガ、「ミイド
ン」米ハ今生產地ニ於キマシテハ相當
ノ產額ガアルノデアリマスガ、玄米ト
シテ內地へ持ッテ來ル輸送ノ關係ニ於
テ、マダ十分〓究ガ濟ンデ居リマセヌ
ノデ、此方ヘ持ッテ參リマスト品質上蒸
レトカ、フケトカガ出來マシテ、完全ナ
ル米トシテ內地米ヲ脅ス程度ニ至ッテ
居リマセヌ、差當リハ大シテ內地米ヲ
壓迫スル程度ノモノデハナイト大體考
ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=75
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076・長田桃藏
○長田委員 終リニ臨ンデ私一言致シ
テ置キマスガ、先刻飯塚君ノ御質問ニ
モゴザイマシタ通リニ、消費者階級ノ
側ト、生產者側トノ間ノ利害ガ不一致デ
アルトカ云フコトハ免レナイ狀態デア
リマスケレドモ、併シ飯塜君ノ言ハレ
マシタ通リニ、其年限ヲ限ッテ或ル一定
ノ食糧ノ消費者ニ對スル負擔ヲ多クス
ル併ナガラ或年度ガ來タナラバ必ズ
自足自給ヲ爲シ得ル、更ニ詳ニ言ハバ
每年食糧ニ對シテ三億萬程度ノ輸入ガ
アル、此三億萬程度ノ輸入ガ或ル一定
ノ年限ヲ經過スルナラバ、サウシテ極
ク輕微ナ負擔ヲ消費者階緩ガ甘ンズル
ナラバ自足自給ガ爲シ得ル、サウシテ
輸入ガ消滅スル、斯ウ云フコトニナリマ
スルナラバ日本國民ノ特性トシテ、私
ハ消費者階級モ喜ンデ其負擔ヲ甘ンズ
ルデアラウト信ズルノデアリマス、故
ニ農林省否ナ政府ノ施設方法ハ、此食
糧政策ニ對シテココ數年ノ間ニ自足自
給ヲ爲シ得ルト云フコトノ根本的ノ御
取調ヲ願ッテ、吾〓ニ御示シ下サラムコ
トヲ得ルナラバ、消費者階級ノ氣分ヲ
少シモ唆ラズニ、滑カニ消費、生產、相
通ジテ此問題ヲ解決スルコトガ出來ル
ト思フノデアリマス、甚ダ難キヲ强ユ
ルヤウデアリマスケレドモ、私ハ旣ニ
鷄卵ニ對シテ此案ヲ立テタ以上ニハ
大豆及小麥ニ對シテモ立テナケレバナ
ラヌト思ヒマス、ドウカ一段ノ御鞭韃
ヲ願ッテ、此點ニ對スル明確ナル政策ヲ
御立テ下サルコトヲ切望シ、其數字及
ビ年限等ヲ御示シ下サルコトノ出來ル
コトノ早カランコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=76
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077・堀切善兵衞
○堀切委員 一寸關聯シテ······私ハ烏
卵ノ今ノ六年計畫デ自給自足ガ出來ル
ト云フコトハ、洵ニ結構ナ案ガ出來タ
ト思ヒマス、併シ之ニハ大ナル疑ヲ私
モ矢張持ッテ居ルノデアリマスガ、其今
ノ計畫ノ統計ヲ私共頂戴致シタイト思
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=77
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078・小山松壽
○小山政府委員 ソレハ鷄卵ダケデス
カ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=78
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079・堀切善兵衞
○堀切委員 只今ノ所ハソレダケデ宜
イノデス、併シ他ニ出來タ良イモノガ
アレバ、御一〓ニ貫ヒタイト思ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=79
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080・小山松壽
○小山政府委員 鷄卵ノ自給自足、是ハ
先日一般御質問ノ場合ニ偶私ハ申上
ゲタ、是ハ簡單ナモノデアリマスガ、出
來テ居リマスレバ皆樣ニ差上ゲマス、
唯此場合ニ私ハ附加ヘテ置キタイノ
ハ、政府當局ト致シマシテハ、此計畫ヲ
立テテ之ノ出來ルヤウニ非常ナ努力ヲ
致シテ居ル譯デアリマス、ドウゾ農家
ノ副業トシテ、現在大分發達シテ來テ
居リマス此鷄卵增殖ノ事ニ付キマシテ
モ其能率ヲ上ゲルヤウニ私ハ一般養
鷄業者ニ望ンデ置キタイト思フ、政府
ダケ獨リ先へ進ミマシテモ、當業者協
力シテ此施設ト相俟テ參リマセヌケ
レバ、自給自足計畫モ六年ガ十年ニナ
ルト云フコトデアリマス、此點ハ改メ
テ私ハ申上ゲテ置キマス、尙ホ此材料
ハ出來テ居リマスレバ早速差上ゲマ
ス、若シ出來テ居リマセヌケレバ成ベ
ク急ニ拵ヘテ御手許ニ差上ゲヤウト思
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=80
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081・加藤政之助
○加藤委員長 マダ此處ニナイノデス
カ、アルナラ配付シテ貰ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=81
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082・小山松壽
○小山政府委員 アリマスサウデスカ
ラ差上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=82
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083・加藤政之助
○加藤委員長 ソレデハ直グ配付シテ
貰ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=83
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084・山内範造
○山內委員 私ハ別表ノ十七ニ「オー
ト」ト云フノガアリマスガ、ソレニ付テ
伺ヒタイ、是ハ農產品トシテ年額百十
四五萬圓ノ輸入ガアルヤウデスガ、斯
ウ云フモノハ何等カノ方法ニ依テ自給
自足ノ途ガ立タヌノデアリマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=84
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085・間部彰
○間部農林技師 「オート」ハ御承知ノ
通リ北海道ニ於テ、或ハ內地デモ秋田
縣ニ栽培致シテ居リマスガ、北海道ガ
主ナ生產地テアリマス、是ハ大ニ將來
生產ノ餘地ガアルダラウト思ヒマス、
現在ニ於キマシテモ年々生產ハ多少殖
エテ居リマス、是ハ相常將來ノアル農
產物ダト考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=85
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086・山内範造
○山內委員 只今ノ御說明ニ依テ承
知致シマシタガ、總テ工業ニ關スル保
護政策ノ上ニ於カレマシテハ、僅カ內
地ノ需要ノ一割ニモ足ラヌヤウナ日本
ノ生產品ニ重稅ヲ課シテ、其事業ノ發
達スルコトヲ掩護セラレテ居ル傾ガア
ル、斯ノ如キ「オート」ノ如キモノモ今
御說明ノヤウデアレバ、何等カ保護セ
ラレタナラバ、是シキノコトハ自給自
足ガ出來ルモノデハアルマイカト思ハ
レルノデアリマスガ、今現行率ノ儘ニ
置イテ居ッテモ、將來發達ノ見込ガアル
ト云フ御見込デアリマセウカ、其點ヲ
御伺致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=86
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087・間部彰
○間部農林技師 現在ノ生產ノ年々多
少ヅツ增加シツツアル狀況カラ考ヘマ
スト云フト、大體現行ノ稅率ヲ以テシ
テマア〓〓生產ハ相當ニ增加スルモノ
ト云フ見込デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=87
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088・岡田温
○岡田委員 私モ一二御尋致シマス、
第一ニ矢張十二ノ米及籾ニ付テデアリ
マスガ、是ハ朝鮮臺灣ノ產米計畫ノ大
要ヲ承リマス必要ガアルノデアリマス
ガ、アノ朝鮮ノ產米增殖計畫ト云フモ
ノハ、大正九年ニ樹テタ一ツノ計畫ガ
アリマスガ、今度ヤッテ居ルノハアレノ
內容デアリマスカ、大正九年ニ樹テタ
以外ニモウ一ツ大計畫ヲ樹テヨルノデ
アリマスカ、一寸ソレヲ伺ヒタイト思
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=88
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089・小山松壽
○小山政府委員 御尋ノ朝鮮ノ產米計
畫ハ、大正九年ノ時ニ樹テマシタモノ
ニ今囘少シ補足ヲ致シテ、此計畫ヲ樹
テテ居ルヤウデアリマス、併ナガラ此
產米計畫ノ內容ノ細カイコトニナリマ
スレバ、是ハ所管外ノコトデアリマス
ルカラ、若シ御必要デアリマスレバ、朝
鮮總督府ノ政府委員ヲ委員長ノ請求ニ
依テ御呼ヲ願ヒマス、サウシテ御說明
ヲ願フ方ガ捷徑デアルト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=89
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090・岡田温
○岡田委員 ソレハ必要ガアリマシタ
ラ別ニ願フコトニ致シマシテ、少シ機
微ニ觸レテ見マセウ、アノ大正九年ノ
ニ依リマスト、十五箇年ニ四十萬町步
ノ土地ノ改良ニ依テ九百萬石ノ米ヲ增
スト云フ計畫デアルノデアリマス、昨
今伺ッテ見マスルト、大體其內容デアラ
ウカト思ヒマスガ、併シ又ソレニ補足
シテト云フノデアリマスカラ、是レ以
上完全ナモノト思ヒマス、吾〓ハ朝鮮
ノ產業ノ開發カラ云ヒマシテモ、內地
ノ食糧生產カラ云ヒマシテモ、斯樣ナ
コトハ最モ必要デモアリ賛成スルノデ
アリマスガ、唯常ニ私共ガ言ッテ居リマ
スヤウニ、今日ノ經濟界ニ於キマシテ
ハ物ノ總量ガ何處カニ出來サヘスレバ
宜シイト云フ譯デハナクシテ、其生產
ナリ分配ナリガドウナッテ居ルカト云
フコトニ付テノ歸着點ト云フコトガ非
常ニ重要デアリマスルカラ、國策ノ大
體ニ向ッテ吾〓意見ヲ述ベルノデハア
リマセヌガ、斯ウ云フヤウナ大計畫ノ
結果ガ、豫期ノ目的ノ如ク全國民ノ幸
福ニナルヤウニ都合好ク行クカ、行カ
ヌカト云フコトニ對シテノ疑義ヲ持ツ
テ居リマスカラ、御尋スルヤウナ次第
デアリマス、ト言ヒマスルノハ朝鮮ト內
地トハ第一同ジモノヲ作ッテ居ルモノ
ノ、生活程度ガ違ヒマスルシ、重要生產
費タル所ノ土地ノ公課ナリ、其他義務
ガ大變違フノデアリマス、ソレデモ出
來テ來ルモノノ質デモ大變違フナラ
バ又玆ニ自然ノ緩和ガ起リマスガ、其
產米ノ品質ハ今日ハ京阪市場ニ於キマ
シテモ、內地米ノ價格ヲ支配シテ居ル
ヤウナモノデアリマスカラ、一面ニハ
生產費ガ非常ニ安イ狀態ニ置カレテ居
ルモノト非常ニ高イ狀態ニ置カレテ居
ルモノ、卽チ土地ノ公課ナドデモ內地
ノ穀作地ノ如ク土地ニ大ナル負擔ヲ
持ッテ居ルノハ恐ラク世界ノ文明國ニ
ハナイト思ヒマスルガ、ソレ等トガ同
ジヤウニナッテ總計サヘ行ケバト云フ
ヤウナ簡單ニハ行クマイト思ヒマス、
故ニ成ベクダケ此目的ヲ達成スル曉ニ
於テモ、分配上ヤ其他負擔ノ輕重ニ依
テ不都合ノ起ラナイヤウニ御注意ヲ願
ヒタイト云フノガ根本ノ意見デアリマ
ス、所ガ米穀法ト云フモノニ依テ、內地
ノ產米ニ對シテハ量モ價格モ適當ニ調
節セラルル精神ニナッテ居リマスガ、是
モ吾ミノ立場カラ言ヒマスト云フト、
多大ノ疑義モアリマスルシ、又改正ヲ
要スル點モアリマスルガ、ソレハソレ
トシテ置キマシテ、是ガ朝鮮ニ適用セ
ラレナイ結果トシマシテ、彼ノ關稅定
率法ノ六條ノ規定ト云フモノハ、朝鮮
ナドニノミアレガ用ヲ爲スヤウニナツ
テ來テ居ル、ソコデ先刻長田君ノ質問
サレタヤウナ事ガ起ッテ來マシテ、安ク
外來ガ朝鮮ニ這入ッテ、サウシテ內地米
ト同ジヤウナモノガ入替ッテ來ルト云
フコトニナルノデアリマスカラ、其間
ニ付テノ關係ハ相當考慮シテ、是ガ果
シテ不都合ノナイ、同ジ日本ノ國民デ
アリナガラ、朝鮮ノ米ノ增スコトヲ內
地ノ農民ガ怨ムノ何ダノト云フヤウナ
コトガアッテハナラヌト思ヒマスガ、マ
ヅイコトヲシマスト、サウ云フ事モ起
ル、背ニ腹ハ代ヘラレヌト云フコトニ
ナレバ、朝鮮米ガ餘リ澤山來ル爲ニ安
クナッテ仕方ガナイト云フコトニナレ
バ、國家ノ大計畫ニ對シテモ何ダカ叱
言ヲ言ッテ怨ミヲ言ッテ來ネバナラヌヤ
ウナ立場ニ已ムヲ得ズナルノデアリマ
ス、所ガ其關係ニ對シテ曩ニ次官ハソ
レヲ脅威スルヤウナコトハナイト云フ
殆ド確信出來ルヤウナ言葉ヲ以テ御答
ニナリマシタガ、サウデアレバ仕合セ
ト思ヒマスガ、其無イト云フコトニ付
テ何カ斯々ノ計畫ナルガ故ニサウ云フ
コトハナイト云フヤウナ、多少根據ガ
アリマセウカ、或ハ又個々ノ意見トシ
テ無イト思フト云フノデアリマセウ
カ、チヨット其邊ヲ御伺ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=90
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091・小山松壽
○小山政府委員 申上ゲマス迄モナ
ク、我國ノ過去ノ人口ノ增加率ト、常食
ト致シテ居リマスル米ノ供給ト、其兩
者ヲ對照シテ御調ベヲ願ヒマスレバ
今後十年二十年ノ將來ニ、其需給關係
ハ如何ナル推算ヲシ得ルカト云フコト
ハ、自ラ出テ參ラウト思ヒマスガ、曩ニ
行ハレマシタ國勢調査ニ依ル我國人口
ノ增加ノ割合ト、此頃行ハレマシタモ
ノトノ人口增加ノ割合トヲ見マシテ
モ、其增加率ハ此頃ノ方ガ率ガ多クナツ
テ居リマス、此勢ヲ以テ將來人口ガ增
加シテ參リマスレバ、朝鮮ノ產米計畫
ニ依テ所期ノ目的ヲ擧ゲ得タル-卽
チ約八百萬石ノ生產ノ成績ヲ擧ゲ得タ
リト致シマシテモ、私ハ此自給推算ノ
基礎ノ調査ノ上ニ基イテ、內地ニ於ケ
ル今後ノ生產ノ上ニ大脅威ガ來ルデア
ラウト云フヤウナコトハ考ヘマセヌ、
是ハ何カ根據ガアルカト云フコトデア
リマスガ、根據ハ過去ノ數字ト、此數字
ニ基イタル推算トヲ基礎ト致シマシ
テ、斯樣ニ申上ゲタ譯デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=91
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092・岡田温
○岡田委員 ソレデハ斯ウ云フ意味ニ
解シテ宜シウゴザイマスカ、脅威ト云
ヒマシテモ、必要ダケ增ス方ナラ大シ
タ脅威ハナイト思ヒマス、唯浮動米ト
見ルベキモノガ生產サレルトキニ於テ
ハ、ソレハ外米ノ輸入位デハナイ、少々
ノモノガ非常ニ脅威スルノデアリマ
ス、御承知ノ通リニ米價ノ變動ト云フ
モノハ數量ガ一割增減ガアレバ、價格
ハ一割八分カ二割カ二割四五分位變
動スル常ニ量ノ增減率ヨリ價格ノ騰
落率ノ方ガ大ナノデアリマスカラ、ソ
レデ生產者ノ立場カラ云ヒマスト、俵
數ヲ取ッテ樂シムト云フ時ハ過去ッテ居
リマシテ、計算上常ニ其收益ノ多イト
云フコトヲ今日基礎トシテ考ヘルヤウ
ニナッタノデアリマスカラ、サウ云フ時
ヲ憂ヘルノデアリマスガ、今ノ御計畫
ニ依ルト云フト、需要ノ增ス以上ニ增
スヤウナコトハナイ、斯ウ云フ御見込
デアルト見テ宜シイノデアルカ、ドウ
デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=92
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093・小山松壽
○小山政府委員 御尋ノ通リデアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=93
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094・岡田温
○岡田委員 サウナリマスト、產米增
殖計畫ノ方法ハ色〓アラウト思ヒマス
カラ、ソレハ又別ノ機會ニ致シマセウ、
私ハ米ノ質問ハ是位ニシテ置キマシ
テ、次ニハ段々御尋モアリマシタガ、十
六ノ小麥ニ付テ少シ御尋シテ見タイト
思フノデアリマス、元來私共ノ觀察ニ
依リマスト、現政府トハ申シマセヌ、歷
代ノ政府カモ知レマセヌガ、我國ノ食
糧政策ガ米ニ偏シテ居ルヤウニ思ハレ
ルノデアリマス、御承知ノ通リ我國ノ
特作的食糧政策ト云フモノハ古來五
穀ト云フモノデアッテ、米ノミデハナカ
ツタ、夏ノ氣候ジモ冬ノ氣候デモ、暖地
デモ寒地デモ、濕潤地デモ乾燥地デモ、
出來ル所ノ物ガ擇ビ出サレテ、一ツノ
五穀トシテ食糧政策ノ根本ニ舉ゲラレ
テ居リマシタガ、今日ハ其中ノ粟ダノ
黍ダノ稗ダノト云フモノハ農業經營
ノ變遷ニ依リマシテ、是ハ殆ド無クナ
リマシタガ、唯玆ニ是等ヲ代表スルモ
ノガ殘ッテ居ッテ、永久ニ消滅スルコト
ノナイ所ノ麥類ガアルノデアリマス、
是ハ實情カラ申シマシテモ、農業經營
ノ方カラ云ヒマシテモ、食糧カラ云ヒ
マシテモ、非常ニ是ハ重要ナノデアリ
マシテ、假ニ食量政策ノ方カラ云ヒマ
シテモ、私ハ我國ノ如キハドウシテモ
米ト麥類ト、所謂兩本位デナケレバイ
ケナイノデハナイカト思フノデアリマ
ス、所ガ此間カラノ毎囘ニ於ケル質問
ニ對シテノ御答デハ、麥モ重要視シテ
居ルト云フ風ニ伺ハレマスガ、何所ヲ
調ベマシテモ、實ハサウ云フ實際ノ政
策ガ見エナイ、御說明ニ依レバ大事デ
アルト云フヤウナ意味ハ伺ハレマス
ガ、ソレダケデハ何ニモナラヌノデアツ
テ、大事デアルカラ斯々ノ事ガシテア
ル、米ニ對シテハ斯樣ナ計畫デ、一億圓
掛カラウガ、三億圓掛カラウガ、朝鮮、
臺灣其他ニ金ヲ掛ケテヤラウ、併ナガ
ラ麥類ニ對シテハドウ斯ウ云フコトガ
一向見エナイヤウデアリマス、是ニ於
テ私共ハ矢張根本ニ疑義ヲ持ッテ居ッテ
米一ツバカリデ行カレルノデアルカ
麥ト米ト相對シテ所謂兩本位主義デ行
カレルノカト云フ根本方針ガ、實ハ分
ツテ居ルヤウナ問題デハアリマスガ、
モウ一度念ノ爲ニ、次ノ質問ノ都合上
御伺シタイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=94
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095・小山松壽
○小山政府委員 只今御尋ノ中デ、麥
ニ對シテハ何等施設スベキ跡ヲ認メナ
イ、甚ダ輕ンジテ居ルデハナイカト云
フ風ナ御意見ノヤウデアリマス、是ハ
私共頗ル遺憾ト致シマス、過日モ屢申
上ゲマシタガ、吾〓農務行政ニ携ハル
者ハ、最善ヲ盡シテ其意ノ在ル所ヲ完
ウシタイ、是ガ爲ニ大正十五年度豫算
ニ於テモ、現內閣ハ緊縮政策ヲ執ッテ居
ルニモ拘ラズ、農林省ヲ獨立セシメマ
シタ其使命ノ點ニモ考ヘマシテ、農村
振興ノ方面ニ一段ノ努力ヲシテ、而シ
テ現內閣ガ斯樣ニ緊縮政策ヲ執ッテ居
ルニモ拘ラズ、農村振興ノ上ニ、我ガ國
產政策ノ上ニ斯々ノ努力ヲ拂シテ居ル
ト云フ實ヲ示ス爲ニ、農村振興ニ關シ
マスル特別基金法ノ上ニモ、十四年度
ニ於テ御協贅ヲ經マシタ二百五十萬
圓、此上ニ更ニ十五年度ニ於テハ貨幣
鑄造益金ニ依ル所ノ七十二萬圓ヲ更ニ
之ニ加ヘテ、而シテ〓育改善ト農村振
興ト、此兩方ニ何レモ偏重偏輕ノナイ
ヤウニ、〓育改善ノ方ノ數字ニ稍匹敵
スベキヤウナ點ニマデ私共ハ努力致シ
タ、此事ニ付テハ詳シクハ又豫算ノ御
審議ノ場合ニ私ハ繰返シテ申上ゲマ
ス、此七十二萬圓ノ金ハ積極的ニ農村
振興ニ付テ、今後每年--是ハ基金ノ
益金デアリマスカラ、議會ニ於テ御變
更ニナラザル限リハ、此積極的ノ支出
ガ續クノデアリマス、私共ハ相當ニ諸
君カラ多少其勞ヲ多トスルト云フヤウ
ナ御言葉デモ聽キ得ルコトデアラウト
マデ、私ハ確信ヲ持チ自信ヲ持ッテ努力
致シテ來テ居ル、其中ニ麥ノ問題ニ付
テハ甚ダ輕少デハアリマスケレドモ、
何等施設ノ見ルベキモノガナイト云フ
御言葉デアルナラバ、之ヲ揭ゲナケレ
バナラヌノハ、十五年度ニ於テ麥ノ栽
培ニ關シテ十萬圓ノ費用ヲ取ッテ居リ
マス、卽チ七十二萬圓ノ中十萬圓、農村
ハ麥ノ事ニ止マラズ、農務行政ニ於テ
モ、山林ニ於テモ畜產ニ於テモ、水產
ニ於テモ致サナケレバナラヌ中ニ、漸
クニシテ非常ナル努力ヲ以テ取リマシ
タ七十二萬圓ノ中カラ、麥ノ栽培ト云
フコトダケニ十萬圓モ之ニ取ッテ居ル、
是ハ何ガ故デアルカト云ヘバ、麥ハ裏
作デアッテ、農家經濟ニ注意ヲ要スル所
ノ農產物デアッテ、而シテ我國ノ製粉業
ノ現狀ト將來カラ考ヘテ、深ク此點ニ
留意ヲシナケレバナラナイ、食糧政策
ノ上カラ見テモ勿論デアリマス、是ガ
爲ニ只今申上ゲマスヤウニ、各方面ノ
施設ヲ致サナケレバナラヌ中ニ、當局ト
致シマシテハ苦心ヲ致シテ玆ニ十萬圓
ト云フ、謂ハバ虎ノ子ノヤウナ十萬圓
ヲ麥ノ方ニ充テ施設致シテ居ル一四八一
十六年度ニ於テハ此七十二萬圓ハ當然
七十五萬圓ニ貨幣鑄造益金ニ依テナツ
テ參リマスカラ-是ハ豫算編成ニ事
實上ナッテ參リマスカラ其場合ニ於テ
ハ此度ハ栽培ニ一段ノ努力ヲシテ、而
シテ今度ハ粒ノ改良ヲスル、卽チ麥ノ
粒ノ改良ハ是モ當局ノ考ハ旣ニ成ッテ
居リマス、唯豫算ノ餘裕ガアリマセヌ
カラ、十六年度ニ於テスルト云フコト
ニナッテ居リマス、岡田君ハ其方面ニ於
テハ十分御〓究ノ方デアリマシテ、先
刻モ申上ゲマシタガ、埼玉縣ノ麥ノ粒
ノ改良ノ如キハ、外國カラ這入ッテ來マ
スモノト、埼玉縣ノ品種ノ改良ヲシタ
モノトハ殆ド一致シテ來テ居リマス、
麥ノ步止リト云フコトモ外國品ニ劣ラ
ヌヤウニナッテ居リマス、是等ヲ模範ト
シテ、而シテ將來更ニ一段ノ努力ヲ致
ス、斯ウ考ヘテ居リマス、何等見ルベキ
モノガ無イト仰セニナルト、ドウモ手
前味噌ノヤウデアリマスガ、一言御參
考ニ申上ゲタイヤウナ氣ガ致シマスノ
デ、ドウゾ其點ハ豫算ノ上デ御認ヲ願
ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=95
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096・岡田温
○岡田委員 御精神ヲ承ハリマシテ、
我國ノ食糧政策、農業政策ノ上ニ誠ニ
結構ト思ヒマス、其內容ノ多少ハ別ト
致シマシテ、サウ云フ御計畫デ御進ミ
下サレバ、麥ニ關シテハ餘程將來ハ變ッ
タ影響ヲ受ケルダラウ、此點ハ感謝申
上ゲテ置キマス、所デ現實ノ問題トシ
テ御尋致シタイノハ、吾〓ガ此問題ニ
付テ、現在ノ關稅ノアノ率デハ到底外
國品ト競爭ニ堪ヘナイ、生產費ノ關係
上堪ヘナイ、幾ラ需要ガアッテモ增スコ
トガ出來ナイノデ困ルカラト云フヤウ
ナ趣意デ御質問シタ場合ニ、農林大臣
其他ノ方〓ノ御答デハ關稅バカリデ
ハイケナイ、關稅ノ方ハ一面消費者ノ
關係モアルカラ成ベク低クシテ置イ
テ、引合ハナケレバ他ノ方法デ是ハ相
當ニ引合フヤウニ、麥作ノ維持ナリ、農
村ノ振興ナリヲ圖ルヤウナ御言明デ
アッタノデアリマス、從來ハ大抵サウ云
フヤウナ御答辯デ濟ンデ居ッタデアラ
ウト私ハ想像シマス、ソレデ私ノ御尋
シタイノハ關稅ハ現實ノ問題デアリ
マシテ、施行スルヤ否ヤ二圓ナリ三圓
ナリ響ク、價額ニ影響スルシ、サウシテ
ソレガ又生產增殖ニ影響スルノデアリ
マス、農業者ノ心理ハ御承知ノ通リ植
付ケタ後ニ値ガ出ルト云フト、翌日カ
ラ變更シテ植付ヲ增シタリスルノガ一
般農業者ノ心理デアリマスカラ、價額
ガ常ニ量ヲ支配スルコトニナル根本デ
アリマス、ケレドモ農業者ト雖モ價額
ハ總量ヲ言ヒマス、必ズ單位ノミデナ
1、一石幾ラト云フノハ便宜ノ爲ニ言
フノデアリマスガ、總締上高ニ於テ相
當ノ收入ガアレバ何トモ言ヒマセヌ、
故ニ何モ關稅デナクテモ、他ニ栽培ノ
技術ノ上ニ於テ直ニヤッタナラバ利益
ヲ擧ゲラレルヤウナ方法ガアレバ誠
ニ結構デアリマスカラ、農業者ハソレ
ヲ採ッテ行ヒマス、所ガ不幸ニシテ今日
ハドウモ大抵技術者ナリ學者ガ〓究シ
テ居ッテ、マダ利害ガ分ラナイモノハ兎
ニ角モデアリマスガ、斯クスレバ利益
ニナルト分ッテ居ル方法ハ皆農業者ガ
行ッテ居ルト思ヒマス、私共ハ年中ソレ
ニ掛ッテ居ルノデアルカラ、大抵サウ云
フコトハ漏ナク見テ居ル積リデアリマ
ス、何所デ何カ一寸事ガアレバ、ソレヲ
何所マデモ傳ヘテ行ハシテ居リマス
ガ、ソレ等ヲ現在ノ所ヤッテ-有効ナ
リト思フコトハヤッテ、ソレ等ヲ勘定ニ
入レテ、其上デ尙ホ引合ハナイト云フ
ヤウナ現狀デアリマスガ、併ナガラ一
般ノ農事試驗場ニモマダ此方法ガア
ル、之ヲヤレバ何モ關稅ヲ上ゲヌデモ
宜イト云フコトガアレバ、ソレヲ伺ヒ
タイ、ソレハ極メテ大切デアリマス、所
ガ其問題ハ是カラ〓究シナケレバナラ
ヌ、今ハ兎ニ角何レノ時カ引合ガ取レ
ルヤウナ改良法ガ發見サレルデアラウ
カラ、ソレ迄ハ少々損ヲシテモ我慢シ
テ居レ、食込ミガ行ケバ自作地ヲ賣ッテ
小作者ニナッテ居テ我慢シロ、小作者ニ
ナッテモ自作農創設ガアルカラ其中ニ
ソレニ依テモ宜イデナイカト云フ意味
ノ良法ト云フナラ、ソレハ問題ニナラ
ヌ、關稅ト交換ニ此レデヤルカラ此レ
ト云フノデナイ、將來ニアルデアラウ
ト云フ想像ノモノヲ持ッテ來テ、現在直
ニ利益ノ多少ト云フコトヲ支配スル問
題ト變ヘテヤルダノト云フコトヲシテ
居リマスレバ吾ミガ常ニ言ッテ居ル生
產者ハ常ニ犧牲ニナル、ソコデ私共能
ク聽キマスガ、吾ミガ斯樣ナコトヲ述
ベルノハ農村振興ノ爲デナイ、世間デ
ハ農村振興ノ爲メドウトカ斯ウトカ言
ヒマスガ、サウデナイ、强ヒテ振興ト云
フ語ヲ附ケレバ、國家ノ振興ト云フ積
リデアリマス、農業者ヲ犧牲ニスルト
云フコトガ國家ノ爲ニ宜クナイト云フ
立場カラ行クノデアリマスカラ、何モ
農村振興ダノト云フ一般ノ小サイ意見
デハナイ、國家ノ圓滿ナル發達ノ下ニ
於テ、圓滿ナル振興ニハ斯クナケレバ
ナラヌト云フ見地カラ言ッテ居ルノデ
アリマスカラ、ソレガ今ハ無イガ、是カ
ラ〓究シタラ何カアルデアラウト云フ
ノデアリマシテハ、今關稅ニ於テソレ
ト交換スルコトハドウモ出來ヌ、デア
リマスカラ今ノ所ハ引合ハナイト云フ
コトモ御認ガアルナラバ、サウシテ又
先刻カラ御話ノヤウニ根本方針ガ、麥
モ十分生產シテヤルト云フ御意見ナラ
バ、生產ヲ增加シ得ベキ現實ノ方法ガ
ナケレバナラヌ、明治四十三年ニ此關
稅定率法ガ定メラレタ時ト今日トヲ比
較シテ見マスルト、產額ハ百ニ對シテ
百十四デアリマスガ、消費ハ百ニ對シ
テ百九十一、輸入ガ百ニ對シテ八百六
トナッテ居ル、サウ云フヤウニ消費ガ增
シテ輸入ガ增スノハ足許ニアル生產ガ
增サヌト云フコトハ、ソレハ價格ノ關
係デナイ、栽培法ガドウトカ、品種ガド
ウト云フコトダケデ御覽ニナルト、ソ
レデハ農業政策ガ立タナイト思ヒマ
ス、故ニ吾ミハ無理ヤリニ關稅ヲ上ゲ
テ貰ハナケレバナラヌト云フノデモナ
イ、國家ノ爲ニ、國家ノ圓滿ナル振興ノ
爲ニ農業者ニ苦痛ヲ與ヘルコトハ宜ク
ナイ、現在ノ色ミナ關係カラ、今日ハド
ウシテモイカナイカラ、先ヅ關稅ト云
ウテ居リマスガソレデナクテモ此レ
ガアルト云フコトナラソレデモ宜イ
ガ、具體的ノ事ガアレバソレヲ伺ヒタ
イト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=96
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097・小山松壽
○小山政府委員 屢〓申上グタト同一
ノ事ヲ繰返スヤウデ、甚ダ御滿足ニナラ
ヌカ知レマセヌガ、私ハ今御質問ノヤウ
ナコトヲ、關稅政策ノミヲ以テ其生產ノ
保護ヲスルト云フコトニナリマスレバ、
例ヘバ麥ニ致シマシテモ小麥ニ致シマ
シテモ、吾〓ハ之ヲ何倍ノ關稅ニシナケ
ドン其所期ノ目的ヲ達スルコトガ出
來ナイト云フヤウナコトニナラウト思
ヒマス、而シテ麥ノ栽培ヲシテ居ル方
ダケハ、或ハソレデ御滿足ニナルカモ
知レマセヌケレドモ、麥ハ御承知ノ如
ク輸入致シテ居ルモノモ、相當ノ數量
ニナッテ來テ居ル、而シテ一方ニハ先刻
飯塚君ノヤウナ御意見モアル譯デアル、
ソコデ今ノ御說ノヤウナ政策ヲ執リマ
スレバ、今度ハ消費者階級ノ生活ニ多
大ノ不安ヲ與ヘルコトニナリマス、ソ
ンナ不安ハ與ヘテモチットモ差支ナイ、
生產者ノ保護サヘスレバ宜イト云フ御
意見デアリマスレバソレハ御意見ト
シテ承リマスガ、政府當局ト致シマシ
テハ、生產者ノ方面ノコトモ考慮シ、之
ヲ保護シ、而シテ消費者ノ方ノ生活ノ
安定ト云フコトニ對シテモ其不安ヲ來
サヌヤウニ、兩々相俟テ以テ、社會ノ彼
ノ生存上ノ何レノ脅威ヲモ除クト云フ
コトニ致シ、國家產業ノ將來ノコトモ
考ヘテ行キタイ、斯ウ云フ譯デ、先日來
モ屢申上ゲマシタヤウナ譯デアリマ
ス、而シテ私ハ唯關稅ノミノ保護ト云
フガ如キ消極的ノコトデナク、更ニ一
步進ンデ、積極的ニ大ニ國民協力シテ
其施設ヲ致スト云フコトガ、將來食糧
政策ノ解決ノ上ニモ資スベキコトデハ
ナイカ、是ガ爲ニハ先刻モ思上ゲマシ
タヤウニ、積極的施設モ宜イノデアル
斯ウ申上ゲタ譯デアリマスカラ、要ハ
生產、消費ノ兩方面カラ愼重ニ考慮致
シマシテ、以テ原案ノ御審議ヲ得ルヤウ
ナ次第デアリマス、何卒左樣御諒承ヲ
願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=97
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098・岡田温
○岡田委員 ドウモ私共腑ニ落チマセ
ヌガ、サウスルト政府ノ御見込デハ、現
在ハ農業者ハ別ニ生活ノ脅威ヲ受ケテ
居ナイ、マア是ナラドウカ斯ウカヤレ
ルノダ、ソレニ其上關稅ヲ增シテ行ク
ト云フコトニナルト、農家ハ宜イカモ
知レヌガ、消費者ガ困ルト云フ御意見
デアリマス、ソレハサウ出フ御議論モ
立チマセウ、私共ハ現在ノ狀態デハ農
家ガ脅威ヲ受ケテ居ルノダ、此間モ申
上ゲタヤウニ買フ方カラ云ヘバ支出ガ
多イガ、又賣方ノ側カラ云ヘバ損ヲシ
テハ困ル、只今モ兩方ノ中間ヲ計ッテト
云フ御言葉ガアリマスガ、ソレガ實際
ト一致シナイヤウニ思ヒマス、ソレデ
アリマスカラ現在ノ小麥其物ハ此程度
デ宜シイト云フ御考デアリマスレバ、
是ハ全然農業經營ニ對スル見解ノ差異
ニナルノデアリマスカラ仕方ガアリマ
セヌガ、要スルニ私ノ質問ヲ申上ゲタ
ノハ、ソレガ積極的計畫デモ何デモ、農
業者ガ安心ヲシテ、サウシテ果シテ利
益ヲ得ラレルヤウナコトガ、アルナラ
宜イノデアルガ、ソレガ有ルヤラ無イ
ヤラ分ラヌノダ、斯ウ云ウヤウナ懸念
ヲ持ッテ居リマス、故ニ今マデ上ゲテ置
イテアッタカラ下ゲルト云フコトナラ、
是ハ結構デアリマス、ケレドモ是カラ
研究スルノデアルカラーーソレヲ賣ル
者ニハ安クテ引合ハヌデモ、ヤラウト
云フナラバ、私ハドウシテモソレニ御
同意スルコトガ出來ヌノデアリマスカ
ラ、之ニ就テノ御意見ヲ伺ヒタイ、モウ
一應念ノ爲ニ御伺シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=98
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099・小山松壽
○小山政府委員 先刻申上ゲマシタ所
デ、大〓御諒承ノコトト考ヘテ居ッタノ
デアリマスガ、尙ホ重テノ御尋デアリ
マス、要スルニ政府ト致シマシテハ關
稅ノ保護政策ノミヲ以テ、國民生活ニ
直接ノ關係アル食粉品ト云フモノヲ解
決シヤウト云フコトハ、餘程是ハ考ヘ
ナケレバナラヌコトデアル、先刻モ申
上ゲマシタヤウニ財政經濟調査會ニ於
テハ、原料品、食糧品ト云フモノハ無稅
若クハ低減スルト云フコトノ方針ヲ曩
ニ定メラレタヤウナ譯デアリマスカ
ラ、一方農業ノ生產ノ方ノ事モ考へ、而
シテ更ニ生活必需品ノ方ノ關係、所謂
消費者階級其方ノ立場ノ事モ考ヘ兩
兩相俟テ其所ニ調和ヲ取ッテ行カウ、
是ガ卽チ原案ヲ御審議ヲ願フ所ノ二大
方針デアッタノデアル、大藏大臣モ過日
申サレタ如ク、私共モ左樣ニ考ヘテ居
ルノデアリマス、何卒右ノ精神ニ依テ
御諒承ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=99
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100・岡田温
○岡田委員 ドウモ是ハ根本ノ見解ガ
差異ガアルヤウデアリマスカラ、是ハ
此レデ止メテ置キマシテ、次ニ御尋致
シマス事ハ、色〓吾〓ト見解ノ違フ事
柄ガ例ニ出サレテ、今日ナド大分御意
見ヲ聽キマシタガ、例へバ農業者ノ中
デモ小麥ノ大部分ヲ需要スル、其數等
ハ聯合會カラ來タ「パンフレット」ヲ見
マシタガ、何處デ御調デアルカ知リマ
セヌガ、吾〓ハアア云フ誤傳ヲ信スル
ト云フコトハ輕卒デアラウト存ジマ
ス、少クトモ七割マデ需要スルト云フ
如キ筈ガナイ、併ナガラ其中農業者ガ
大ナル需要者デアッテモ、其事柄ガ此關
稅ヲ上ゲル下ゲルト云フ根本ノ斯樣ナ
材料ニハナラヌノデアリマス、關稅政
策ハソレヲ生產スル者ヲ保護スルノデ
アリマスルカラ、消費者側ニ在ル例へ
バ商業者、工業者ハ餘程困難デアラウ、
ソレハ必ズ不利益ナ位置ノ人ガアリマ
セウ、ソレハ仕方ガナイ、今日ノ農業者
ノ方ヲ御覽ナサイ、皆同ジ事ヲシテ居
ルデハアリマセヌカ、故ニ桑ヲ作ッテ米
ヲ買フ-是ハ實際問題ト思ヒマス、
米ヲ買ッテ食ッテ、外ニ農業經營ヲヤッテ
居ル、ソレデモ米ガ安イト思ヒマス、消
費者側ノ意見ヲ聞イテ見レバ米ガ高イ
ト云フ、ソレト是トヲ混同シテ此關稅
政策等ハ固ヨリ論ズベキモノデハナイ
ト思ヒマス、是ハ農ナラ農ノ廣イ大部
分ノ上カラ云ッテモ、其間ニ消費者側ガ
アル、工業者ナドハ不幸ダト云フ理論
ハ立タナイコトニナルノデアリマスル
カラ、アア云フコトヲ以テ一言ニ農業
者ノ利益ニ反スル、農村振與ニ反スル
ト云フノハ頗ル可笑シイコトト思ヒマ
ス、農村振興、農業改良ト云フモノハサ
ウ云ウモノデアリマセヌ、ソレカラ更
ニ又當局者ニ申上ゲテ置キタイノハ
實ハ先日農林大臣モ幾ラカサウ云フヤ
ウナ御答辯ヲ爲サッタヤウデアリマス
ガ、農林省ハ果シテサウ云フヤウナ御
意見ヲ持ッテ居ラレルノカ、第一ニソレ
ヲ御伺シタイ、ソレカラ更ニ小麥ノ關
稅ヲ增スト云フコトハ、世界ノ大勢ニ
反スルト云フ御議論モアリマスガ私
共ハサウハ思ハナイ、世界ノ大勢ト云
ヘル-世界各國ニ於ケル最近ノ小麥
ノ關稅率ヲ見ルト、日本ノヤウニ安イ
所ハナイ、加奈陀ニ於テハ一割三分四
厘、佛蘭西ニ於テハ一割九分四厘、獨逸
ハ二割二分三厘、西班牙ハ三割二分三
厘、伊太利ハ三割九分三厘、而シテ日本
ハ一割二分デアリマス、ソレカラ亞米
利加ノヤウナ農業經營ニ有利ナ條件國
ニ於テモ、時ニハ「アルゼンチン」、加奈
陀邊カラ這入ッテ脅カサレルカラ、一石
三圓十七錢ト云フ輸入稅ヲ課シテ居
ル、是ガ世界ノ大勢ト思ヒマス、無條件
デ〓糧ハ何處カラデモ安ク買ッテ宜イ
ト云フコトハ、舊イ時代ニサウ云フコ
トガアッタカモ知レマセヌケレドモ、〓
日デハ出來ル限リ土地ヲ利用シナケ
レバナラヌト云フノガ、世界ノ大勢デ
アルト思ヒマス、私ハ各國デ執ッテ居ル
政策ノ上カラ、斯ウ云フ風ニ推量スル
ノデアリマス、要スルニ小麥ニ付テハ
色〓反對論モアリマスガ、私ノ政府當
局ニ御聞シタイノハ、關稅ヲ增シタコ
トニ依テ生產ガ增スカドウカト云フ問
題ニ對スル政府當局ノ所信デアリマ
ス、曩ニ何方デアッタカ御質問ノアッタ
時ニ、政府ノ御方カラ或ル程度ノ御答
ガアッタヤウデアリマスガ、是ニハ十分
御自信ガナケレバナラヌト思ヒマス、
私ハ小麥ニ對スル生產ヲ增加スルコト
位農業ノ經營カラ見テ自信ヲ持チ得
ルモノハナイト思フノデアリマス、小
麥ノ生產費ノ計算ヲ私共色〓取ッテ
居リマスガ、少シク關稅サヘ增加スレ
ハ、農家ハ全馬力ヲ掛ケテ增殖ニ努メ
ルコトガ出來ルノデアリマス、御承知
ノ通リ關西ナドデ、麥作ニ利用シテ居ツ
タ二毛作ノ一部分ハ、麥作ガ引合ハヌ
カラ紫雲英ヲ作ッテ居ルノデアルガ、麥
作ガ稍引合フモノニナッテ小麥ニ返シ、
而シテ現在ノ小麥作ノ一石一斗强ノ收
穫ヲ二割增トシテ、四百八十萬石位ヲ
增シマスガ、此位ノコトハ何所デモ出
來ルノデアリマス、ソレガ農家ノ心理
狀態ガ、少シ値ガ高クナルト急ニ肥料
ヲ增シタリ、値ガ少シ下ルト肥料ヲ控
ヘタリスル狀況デアルカラ、國策ノ
根本ガ極ラナケレバ落付イテヤラ
ヌ、此事ガ國民間ニ諒解サレ、ソレ程マ
デニ增殖ノ途ノアルモノナラバ、少シ
ノ値上ハ忍ベト云フコトデヤッテ行ケ
バ、必ズ生產ハ增殖スルヤウニナリマ
ス二三年間ニハ出來ナイカモ知レナ
イケレドモ、有利ナ條件ヲ備ヘテ奬勵
スレバ實行ハ容易デアリマス是ハ鷄
卵ノ御計畫ヨリハ一層容易デアルト思
ヒマス、小麥ニ於テハ關西ノ二毛作地
ダケデモ相當增收ノ計畫ハ立ツノデア
リマス、之ニ關東ノ小麥ノ作ヲ加ヘテ
計畫スルナラバ、豫定ノ目的ヲ達シ得
ルノデアルカラ、相常自信ヲ以テ御進
ミニナッテ宜カラウト思ヒマス、是等ハ
アノ「パンフレット」デ見タヤウナ數字
トハ異ナッテ、相當根據ノアルコトデア
リマスガ、之ニ就テドウ云フ御見込デ
アリマスカ、此點ヲ御聞キ致シタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=100
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101・小山松壽
○小山政府委員 段々御意見ヲ承リマ
シタガ、小麥ノコトニ付キマシテハ、曩
ニ申上ゲマシタガ、是ハ世界的ノ食糧
デアリマシテ、其價格ニ付テハ數字ヲ
以テ御話ヲ申上ゲヌデモ、御覽ニナッテ
オヰデノヤウデアリマスガ、價格ノ上
ニ非常ニ變動ガ多イノデアリマス、何
故カト申シマスト、是ハ其時ノ要求ニ
依ルコトデアッテ、先日モ一寸申シマシ
タガ亞米利加ナドニ於ケル麥作ノ關
係上、ソレ等ノ事カラ、其間ニ騰落ガア
リマス、ソレガ爲ニ我國ニ這入ル麥ニ
於テモ其影響ヲ受ケテ、我國ノ作付段
別、又ハ麥ノ價格ガ始終變動スルノデ
アリマス、少シ麥ノ價格ガ上リマスレ
バ、作付段別ガ殖エ、少シ下落スルト減
ル、此點ニ於テ甚ダ安定ヲ缺クノデ、是
ハ何トカシテ、モウ少シ麥ヲ作ル農家
ノ利害ヲドウカシテ見タイト思ウテ居
リマス、併シ引合ハヌカラ作ラヌト言
ヘバ致方アリマセヌケレドモ、要スル
ニ裏作デアルカラ、ソコニ意ヲ用ユル
必要ガアルト思ヒマス、併シ要ハ世界
ノ大勢ノ支配ヲ受ケルノデアルカラ、
日本ガ獨リ麥ノ價格ノ安定ヲ計ラウト
シテモ出來ヌ、ソコデ救濟策ハドウス
ルカト云フト、是ハ一般ノ御質問ノ時
ニモ申シマシタガ、大麥ノ輸入ト「ビー
ル」會社ノ關係、之ヲ一例トシテ申上ゲ
マシタガ、製粉會社ト麥ノ栽培ヲスル
所ノ農家トノ年々ノ見込、協定ニ依テ
栽培スルヤウナコトガ將來行ハレマス
レバ製粉會社ソレ自身モ、其營業上カ
ラ安心ヲ爲シ、麥ノ栽培者ソレ自身モ世
界ノ價格ノ支配ヲ受ケルコトナク、安
心シテヤッテ行ケルコトト思ヒマス、斯
ウ云フ風ニシタイノデアリマスガ、サ
ウスルニハ製粉ニシタ時ノ步止リノ關
係ガサウ云フ風ニ行カヌノデアリマス、
此步止リノ關係ニ付テハ先刻來申シマ
シタガ、品種ヲ改良シテ埼玉縣ニ於ケル
品種ノヤウニナリマスレバ、製粉會社
ハ何ヲ苦ンデ外國ノ麥ヲ買ヒマセウ、
斯樣ナ次第デアリマスカラ、生產能力
ニ對シテ日本ノ麥ノ段別ヲ割當テテ將
來ノ計畫ヲ立テルヤウニシタイト、斯
ウ申上ゲテ居ッタ譯デアリマスガ、價格
ガ今申シタ通リ、或時ハ高値ニナリ、或
時ハ下落スルコトニナルト、ドウシテ
モ世界ノ大勢ニ動カサレル譯デアリマ
スカラ、只今申上ゲタヤウナ對策モ一
方ニ於テ行ハレルト致シマスナラバ、
此麥ノ栽培ニ付テモ裏作トシテハ相當
ナル成績ガ擧ガルデアラウト考ヘテ居
ルノデアリマス、ドウゾ左樣御承知ヲ
願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=101
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102・岡田温
○岡田委員 ドウモ是ハ結局見解ノ差
異ノヤウデアリマスガ、私共モ決シテ
此關稅ノミトハ考ヘテ居リマセヌ、外
ノ方法デ無論ヤラヌケレバナラヌト思
ヒマス、其點ニナルト云フト餘程見解
ガ違フヤウデアリマス、又世界的ノモ
ノデアルナラ、世界ノ大勢ニ動カサレ
ルモノハ仕方アリマセヌガ、幾分デモ
關稅ノ保障ノアルモノハソレダケ少ク
動クノデアリマス、併シ釘付ニハナラ
ナイ、是ハ要スルニ根本ノ意見ノ相違
デアリマスカラ、モウ此程度デ質問ヲ
打切リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=102
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103・沼田嘉一郎
○沼田委員 一寸此場合御聞キ致シタ
イ、私ハ岡田サントハ見解ガ違ヒマシ
テ、太田サン竝ニ飯塚サント同ジ見解
ヲ持"者デアリマス、大體ニ於キマシテ
飯塚サン竝ニ太田サンカラ質問サレ、
小山政務次官カラ御答ニナッテ居リマ
スガ、要スルニ消費者ト而シテ生產者
トノ調節ヲ取ッテ此案ヲ出サレタト承ッ
テ居ルノデアリマス、然ルニ此頃ノ都
下ノ新聞ヲ見マスルト、早速農林大臣
ハ小麥ニ對シマシテ、此七十七錢ヲバ
一圓五十錢ニ上ゲルト云フコトニ同意
ヲ表セラレタ、或ハ此計畫ヲ持ッテ居ラ
レル以上、政府ハ何所マデモ此原案ヲ
支持ナサレルカ、政府許リデアリマセ
ヌ、今ノ政府ハ憲政會デアル、憲政會ト
シテ何所マデモ此案ヲ支持ナサルト云
フ勇氣ト決心トヲ持ッテ居ラッシヤル
カ、此事ヲ承リタイ、申スマデモナク小
麥粉ハ世界的食糧品デアルコトハ言フ
マデモナイ、我國ニ於キマシテモ食糧
品トシテハ必須ナモノデアリマス、米
麥ト申シマスレバ、總テ國民ニナクテ
ハナラヌモノデアリマス、之ヲ騰貴ス
ルト下落セシムルトハ直ニ生活ニ影響
ヲ與ヘル、生活ニ影響ヲ及ボスコトハ
延イテ勞働者ノ生活ニモ及ボシテ來
ル、斯クシテ有ユルモノニ大ナル打擊
ヲ與ヘルト云フコトハ、私ガ申スマデ
モナイコトデアリマス、關稅ノ改正ハ
何ヲ基トシテ居ルカト云ヘバ、卽チ國
內ノ產業ヲ奬勵スルノヲ目的トシテ居
ルモノデアリマス、產業ヲ目的トシテ
居ル所ノ此關稅定率法ガ、產業ヲ障碍
スルモノガアルト云フヤウナコトガア
リマスレバ、矛盾是ヨリ甚シキハナイ
ト思ヒマス、申スマデモナク小麥粉ト
云フモノノ殆ド七割ハ農家ノ需要ニ
ナッテ居ルモノデアリマス、今岡田サン
ノ御議論ノヤウニ、此上、小麥粉一石ニ
付テ二圓ヲ引上ルト致シマシテモ、農
家ガ一世帶ニ付テ五段步ノ小麥ヲ作リ
マスト、一段步ノ收穫ガ一石一斗五升
デアリマス、一石二圓ニ致シマシテモ
其收穫ノ增加ハ僅ニ十一圓二十錢ニシ
カナラヌノデアリマス、而シテ十一圓
二十錢ヲ得ル爲ニ、其生活必需品デア
ル所ノ小麥ト云フモノガ、延イテ幾多
ノ物價ニ影響ヲ與ヘテ來ルノデアリマ
ス、左樣致シマスルト、却テ農家ヲ救フ
ニアラズ、却テ農家ヲ苦メルト云フ反
對ノ現象ヲ呈スルモノデハナイカト思
ヒマス、此點ニ對シテ先ニ政府ニ御尋
致シマシタ通リ、原案ヲ支持スル勇氣
ト決心トヲ持ッテ居ラレルカト云フ、此
點ニ對シテ政府ノ御辯明ヲ得タイト思
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=103
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104・小山松壽
○小山政府委員 第一ノ御尋ノ農林大
臣ガ小麥ノ關稅ニ對シテ何カ意見ヲ申
述ベタトノコトデアリマスガ、政府ト
シテ本案ヲ妥當ト認メテ御審議ヲ願ッ
テ居ル際ニ、其主務大臣ガ之ニ就テ彼
此レノ意見ヲ申スト云フヤウナコトハ
斷ジテアリマセヌ、ドウゾ其邊ノ事ハ
私ハ玆ニ辯明致シマスカラ、御諒承ヲ
願ヒマス、第二ハ曩ニ大藏大臣ノ言明
モアリ又農林大臣カラモ申上ゲマシタ
通リ、生產保護、生活安定、此二ツノ方
針ノ下ニ其調和ヲ取ッテ、以テ之ヲ妥當
トシテ御審議ヲ願ッテ居ル譯デアリマ
ス、ドウゾ其精神ニ於テ宜シク御審議
ヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=104
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105・沼田嘉一郎
○沼田委員 只今ノ小山政務次官ノ御
答辯ハ、先ニ飯塜サンニ御答ニナッタノ
ト同ジコトデアリマス、甚ダ要領ヲ得
テ居ルヤウデ、要領ヲ得テ居リマセヌ、
政府ハ何所マデモ原案ヲ支持スル御決
心ト勇氣トヲ持ッテ居ラレルカト云フ
コトヲ伺ヒタイノデアリマス、只今仰
セラレルコトハ私共モ承知シテ居リマ
ス、併ナガラ如何ナルモノニ對シテモ
政府ハ何所マデモ此案ヲ支持スル爲ニ
努力スルカ、所謂決心ト勇氣トヲ持ッテ
居ルカト云フコトヲ御尋スルノデアリ
マス、固ヨリ此問題ハ私共ガ申上ゲル
マデモナク、農村ノ重大ナル問題ノア
ルモノデアリマス、此點ニ對シテハ政
務次官ノ御說明ト私共ト同感デアリマ
ス、唯此關稅ヲ以テ農村ノ振興ヲ圖ル
ト云フコトハ間違ッテ居ルト思ヒマス
僅ニ一石十一錢ヤ十二錢下ゲテ、其金
デ以テ農村ノ振興ニ資スルヤ否ヤト云
フコトハ問題テアル寧ロソレヨリモ
國ノ方針カラ行キマシテ、食糧ノ自給
自足ト云フ根本方針カラ考ヘテモ、左
樣ナ姑息ナ手段ニ依テ食糧ノ自給自足
ガ出來ルト云フコトハ考ヘラレナイ、
私ハ政府ノ御方針サヘ確立シテ居ッタ
ナラバ、農村振興トカ、或ハ農產物ノ保
護ト云フコトハ、當然消滅スル問題デ
アラウト思ヒマスガ、此點ニ對シマシ
テ、ドウカ先ニ飯塜君ニ御答ニナッタヤ
ウナ御言葉ヲ繰返サレズ、明ニ御辯明
ヲ私ハ願ヒタイト思フノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=105
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106・小山松壽
○小山政府委員 政府案トシテ議會ニ
提出シテ御協賛ヲ求メテ居リマス、之
ニ就テハ先日モ申上ゲマシタガ、相當
ニ調査〓究ヲ致シマシタ、而シテ各種
ノ確的材料ニ依リ審議ヲ致シテ見マシ
タ提案デアリマス、之ヲ以テ政府ハ妥
當ノモノナリト斯ウ考へテ提出致シテ
居ルノデアリマス、先刻來申上ゲマシ
タ所ノ趣旨ハ何遍繰返シテ申シマシ
テモ同樣デアリマス、妥當デアルト斯
ウ考ヘテ出シタノデアリマスカラ、宜
シク御審議ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=106
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107・岩切重雄
○岩切委員 一寸質問致シタイ、先程
一寸席ヲ外シテ居リマシタカラ其間ニ
質問ガアッタサウデアリマス、重複ニナ
レバ申譯アリマセヌガ、一寸御尋致シ
タイ、是ハ油粕ノ問題デアリマスルガ、
九州ノ南ノ地方ナドニハ非常ニ影響ノ
アル問題デアリマス、煙草ノ施肥ト致
シマシテモ、ドウシテモ油粕ヲ-菜
種ノ油粕デナケレバ施肥ハ思フヤウニ
行カヌ、ソコデ菜種ノ油粕ト云フモノ
ガ-菜種ノ上ニ稅ガ引上ガッテ來ル
ト云フコトハ非常ニ重大ナ問題デアリ
マス、所ガ大豆ノ油ガ無稅デ戾稅ガア
リマスル爲ニ、菜種ノ油ガ從來打撃ヲ
受ケタ、今度改正ノ此第九條ノ第二項
ニ「命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ輸入稅
ノ全部又ハ一部ノ免除又ハ拂戾ヲ爲ス
コトヲ得」ト云フ規定ガアリマスルガ、
是ハ大豆ト同ジ程度ニ爲サルノデアリ
マスルカ、之ヲ一ツ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=107
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108・矢部規矩治
○矢部政府委員 此問題ハ先刻主稅局
長カラ御答シマシタ問題デアリマスル
ガ、只今私ガ代リマシテ重テ申上ゲマ
ス、御承知ノ如ク大豆ハ食糧ニモナリ
一方油ニモ搾ラレル、而シテ油ニ搾ラ
レルモノハ主トシテ滿洲カラ參リマス
所ノ大豆デアリマス、ソレデ〓糧ノ方
ニ於キマシテハ滿洲大豆ト日本大豆ガ
競爭ノ地位ニ立ッテ居ルノデアリマス
ルガ、此油ニ付キマシテハ滿洲大豆ノ
方ガ主トシテ用ヒラレル所カラ七十錢
ト云フモノヲ戾シテ居リマス、所デ今
囘菜種竝ニ芥子ノ種ニ付キマシテ稅率
ガ上リマシタ、此菜種ト云フ作物ハ重
要ナル作物デゴザイマス、ソレハ農林
省ノ當局カラ說明ガアルカト思ヒマス
九カ、缺クベカラザル作物ニナッテ居
ル所ガ年々耕作ノ反別ガ減ジテ來ル
ト云フヤウナ次第デアリマシテ、現セ
簡單ニ申上ゲマスト大正二年ニ於キマ
シテ菜種ノ作付段別ハ百三萬町步デア
リマシタ、所ガ現在ニ於キマシテハ百
萬町步ニ減ジテ參リマシタ、之ニ就キ
マシテハ多少ノ考ヲ及ボサナイデハナ
ラヌト云フ所カラ、今囘ノ稅率モソレ
ガ加味サレテ稍引上ゲラレマシタ、是
ハ內地ノ耕作ヲ保護スル上ニ於テ已ム
ヲ得ザル結果デアリマス、是ガ爲メ油
ノ方ノ原料ガ多少負擔ヲ增スト云フコ
トニナリマスガ、御承知ノ如ク菜種ノ
油ト云フモノハ主トシテ食料ニ供セラ
レル、多少近來ハ大豆ノ油ガ混用サレ
ルヤウニナリマシテ影響ガアラウト思
ヒマセヌガ、此種油ト云フモノハ特別
ノ用途ヲ持ッテ居ルノデアリマシテ、左
程ノ影響ハナカラウト考ヘテ居リマ
ス、ノミナラズ今囘稅率ガ變リマスレ
バ、戾稅ノ方モ稅率ガ改正ニナリマス
ノデ、此引上ゲラレタモノガ全部油ニ
課セラレルト云フコトデナク稅率ガ
上ゲラレマスルガ、ソレニ應ジテ戾稅
ノ方モ上リマスノデ、此上ゲラレタダ
ケソレダケ油ニ課スルト云フ譯デハゴ
ザイマセヌ、油ノ方モ考ヘナケレバナ
リマセズ、耕作ノ方モ考ヘナケレバナ
リマセズ、先ズ此位ノ程度ヲ以テ妥當
ト致シタヤウナ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=108
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109・岩切重雄
○岩切委員 蓖麻子油ト云フモノハ近
頃無稅ニナッテ居リマスルガ、是ハ內地
デハ少シモ出來マセヌカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=109
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110・矢部規矩治
○矢部政府委員 是ハ農林省ノ當局ガ
御答スルノガ適當デアリマスルガ私
ガ代ッテ御答致シマス、千葉縣ニ極ク僅
カ在ルサウデゴザイマスガ、微々タル
モノデ統計ヲ取ル程ノモノデナイト云
フコトデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=110
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111・加藤政之助
○加藤委員長 第二類ニ付テ他ニ御質
問アリマセヌカ-奧村千藏君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=111
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112・奥村千藏
○奧村委員 私ハ先程第二類ノ二十二
ノ五ニ對シマシテ、ソレハ工業用ニ八
割五分使ハルルモノデアルト云フコト
ヲ主張シ、ソレ〓〓根據ガアッタンデス
ガ、政府ハ此食料殊ニ菓子、殊ニ嗜好品
ノ中デモ贅澤ニ近イ方ニ主ニ使用サレ
ルヤウニ言ハレテ居ル、政府ハ何ニ依
テソレヲ信ジテ居ラレマスルカ、其材
料ヲ一ツ明日マデニ提供シテ戴キタ
イ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=112
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113・矢部規矩治
○矢部政府委員 農林省ト相談ノ上提
出スルコトニ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=113
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114・加藤政之助
○加藤委員長 他ニアリマセヌカ-
堀切君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=114
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115・堀切善兵衞
○堀切委員 一寸-一ツ御質問申上
ゲテ置キタイノハ、日本ノ農產物ニ於
キマスル農家ハ只今ノ所二ツノ方面カ
ラ競爭ヲ受ケテ居ルンデス、米、卵、其
他ノモノニ付キマシテハ、亞細亞大陸
方面、支那、ソレカラ佛領印度、此方面
カラ競爭ヲ被ル、是ハ詰リ日本ヨリモ
生活程度ノ低イ此土民、此勞力ノ壓迫
ヲ日本ノ農家ガ受ケルノデ、之ヲ打捨
テテ置キマスト云フト、詰リ生活程度
ノ低イ者ガ、競爭ニ勝ツノデアル、經濟
的考慮カラ參リマスト印度、支那ノ方
面、支那ノ土人ノ農家ハ日本ノ農家ヨ
リ遙ニ生活程度ガ低イ、日本ノ生活程
度ノ高イ農民ト對等ノ地位デ競爭サセ
マスト云フト、生活程度ノ安イ、卽チ豚
ノ生活程度ニ近イ者ガ經濟上ノ競爭ニ
於テ勝ツノデアリマス、是ハ私共ハ政
治上ノ問題トシテ考慮シナクテハナラ
ヌト斯樣ニ考ヘテ居リマス、卽チ豚ニ
近イ者ガ生存競爭ニ勝ツト云フコハト
必シモ宜クナイト思フ、進ンダ者ハ勝
タナケレバナラヌ筈デアル、之ニ對シ
マシテ、農林當局ハ矢張之ヲ御認ニナ
リマスカドウカ、之ヲ伺ッテ置キタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=115
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116・小山松壽
○小山政府委員 只今ノ御尋ハ經濟上
ノ見地カラ見テ御尤ナコトト思ヒマス
ルカ、是ガ爲ニ先刻屢申上ゲマシタヤ
ウナ、國民生活ニ必要ナル日用必需品
ノ如キ物ハ、其生活費ヲ低減スルト云
フコトニ一ツノ目安ヲ置イテ、此關稅
率ノ改正ヲ致シマスヤウナ譯デアリマ
スカラ、要ハ物價政策ノ問題ニモナッテ
參リマセウガ、成ベク其生產費ヲ低廉
ニシテ、而シテ之ト競爭スルヤウナ品
物ニ對シテハ、ソレ〓〓施設ヲバ將來
ニ致シタイト考ヘテ居リマス、要スル
ニ國民ノ自覺ニ俟ツ、併ナガラ國民ノ
自覺ノミニ依テ居ル譯ニモ參ラヌカ
ラ、政府ノ百般ノ施設モ其方針ニ進ミ
タイ斯ウ考ヘテ居リマス、先日堀切君
カラ大藏大臣ニ對シテ御質問ノアリマ
シタコトモ私ハ拜聽致シマシタ、私ハ
先日來ノ質疑應答ノ際ニ考ヘテ居リマ
シタ點ヲ申セバ、右ノヤウナ次第デア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=116
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117・堀切善兵衞
○堀切委員 成程政府ノ施設國民ノ自
覺ニ依テ、生產費ヲ減ジテ行クト云フ
方法ハ是ハ決シテ無イ譯ハナイト思
フ、又農務當局ガ今日マデ左樣ナ方針
ニ向ッテ努力シ來ッタコトハ十分私モ認
メテ居リマス、唯奈何セン、農業方面ニ
於テハ大量生產ト云フヤウナコトモ中
中困難デ、卽チ安イ資本ヲ使ッテ生產費
ヲ安クスル、或ハ其他ニ於テ種苗ノ改
良ヲ圖ルト云フヤウナ方面モアルニハ
アリマスガ、工業方面ト違ヒマシテ農
業方面ニ於テハ殊ニ困難デアル、一例
ヲ申上ゲマスレバ、卽チ鳥卵、養鷄ノ如
キモノモ是デアル、結局亞細亞大陸ノ
生活程度ノ低イ農民ニ、日本ノ生活程
度ノ髙イ農民ガ經濟上ノ競爭ニ於テ壓
迫セラルルト云フ傾向ノ明カデアルト
云フ際ニハ、政府トシテ、又是ハ特ニ國
民トシテモ考慮ヲ運ラサナクチヤナラ
ヌノヂヤナイカ、斯樣ニ感ジテ居ルノ
デアリマス、只今ノ小山君ノ御答辯ヲ
聽キマシテ、或ル程度マデ政府ノ意ノ
在ル所ヲ諒ト致シマス、此上ハ尙ホ此
上ニモ考慮スル餘地ガアルノデハナイ
カト云フコトヲ申上ゲテ、政府ノ御參
考ニ供スル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=117
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118・加藤政之助
○加藤委員長 他ニ最早御質問ハアリ
マセヌカ、アリマセヌケレバ、第二類ノ
質問ハ是デ終了致シマス、ソレデハ今
日ハ此程度デ止メマシテ、明日午前十
時カラ時間ヲ属行シマス
午後三時五十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00819260212&spkNum=118
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