1. 会議録本文
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000・会議録情報
會議
大正十五年二月十三日(土曜日)午前十時二十九分開議
出席委員左の如し
委員長 加藤政之助君
理事 永田善三郎君
理事 吉津度君
理事 岩切重雄君
橋本喜造君 飯塚春太郎君
神部爲藏君 太田信治郎君
工藤鐵男君 奥村千藏君
三好榮次郎君 森矗昶君
堀切善兵衞君 山本条太郎君
佐々木文一君 長田桃藏君
山内範造君 本多貞次郎君
沼田嘉一郎君 清水長郷君
佐々木平次郎君 岡田温君
倉元要一君
今十三日委員中島守利君辭任に付其の補闕として森矗昶君を議長に於て選定せり
出席政府委員左の如し
大藏省主税局長 黒田英雄君
大藏技師 矢部規矩治君
農林政務次官 小山松壽君
農林參與官 高田耘平君
商工參與官 野村嘉六君
委員長の許可を得て出席したる者左の如し
農林省畜産局畜産課長 石崎芳吉君
農林省農務局農林技師 藤巻雪生君
農林省水産局水産課長 三宅發士郎君
本日の會議に上りたる議案左の如し
關税定率法中改正法律案(政府提出)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=0
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001・加藤政之助
○加藤委員長 ソレデハ是カラ關稅定
率法中改正法律案ノ前會ノ續キヲ開キ
マス、ソレデ佐々木平次郞君カラ昨日
濟ンダ第二類ニ付テ聽キ洩ラシタカ
ラ、此際極ク簡單ニ聽キタイト云フコ
トデアリマス、御異存アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=1
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002・佐々木文一
○佐々木委員 昨日御濟ミニナリマシ
タ第二類ノ「オート」ニ付テ一寸御尋シ
テ置キタイト思ヒマス、此「オート」ト
申シマスルノハ燕麥ノ事デアラウト思
ヒマスガ、燕麥デアリマシタナラバ大
部分ハ馬糧ニ供サレルモノデハナカラ
ウカト思フノデアリマスガ、若シ果シ
テ左樣デアルト致シマシタナラバ、此
改正法案ノ六百四十三、六百四十四、六
百四十五、此所ニ於キマシテ家畜ノ飼
料トナルモノハ總テ今度ノ改正法ニ依
テ免稅トナッテ居ルヤウニ思ヒマス、現
行法ニハ枯草百斤ニ付テ十八錢、其他
ハ總テ名目ノナイモノニ對シテハ從價
五分トナッテ居ッタヤウデアリマスガ、
今囘ハ全部免稅トナッテ居リマス、果シ
テサウデアルト致シマスレバ、燕麥ハ
馬ガ食フ卽チ馬糧デアラウト思ヒマス
ガ、何故ニ是ダケガ現行法ノ儘ニシテ
アリマスカ、此點ニ付テ御伺シタイト
思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=2
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003・黒田英雄
○黑田政府委員 御尋ノ通リ家畜ノ飼
料ハ今囘其範圍ヲ廣メテ免稅ニ致シタ
イノデアリマスガ、併シアレハ飼料ニ
ノミ使フモノヲ指シテ居ルノデアリマ
ス、飼料以外ニ使ハレルヤウナモノト
云フモノハ、是ハ免稅ニナッテ居リマセ
ヌ、「オート」ニ付キマシテモ「オート」
モ成程馬糧ニハ使ハレルコトガ多イト
考ヘマスガ、又一方ニハ矢張食料ニモ
用ヒラレマスデアリマシテ、「オートミ
ール」ノ原料ニモナルノデアリマス、其
他〓用ニモ用ヒラルルノデアリマシ
テ、全然之ヲ以テ飼料ノミニ用ヰラル
ルト云フコトハ言ヘナイノデアリマ
ス、ソレト一方ニハ地方的ニ隨分作リ
得ルノデアリマシテ、北海道等ニ於テ
モ近來作ラレテ居ルヤウニ承知致シテ
居ルソレ等ノ點モ考ヘマシテ現行ノ
儘据置ト云フコトニ致シタノデアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=3
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004・佐々木平次郎
○佐々木(平)委員 食料ニ對シマシテ
ハ、食料ニ使用スル場合ヲ考慮爲サレ
テ、サウシテ現行法ヲ据置カレタト云
フコトハ相當デアルト思ヒマスガ、併
シ一面ニ於テ家畜ノ飼料ハ全部無稅ニ
スル、若シ此燕麥ガ全ク家畜ノ飼料ニ
供スルモノデアリマシテ、人間ノ食料
ニスベキモノデナイト云フ確乎タル何
カ證明ノアリマシタ場合ニ於テハ、之
ヲ免稅トカ戾稅トカセラルル御考ハア
リマセヌカ、其點ヲ伺ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=4
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005・黒田英雄
○黑田政府委員 是ハ先日モ御答申上
ゲマスヤウニ、目下北海道ニ於キマシ
テ二百萬石位ノ生產ガアルノデアリマ
シテ、其生產ヲ奬勵シテ居ルト云フ風
ナ狀況ニアルノデアリマスガ、ソレ等
ノ點モ考慮致シマシテ据置イタノデア
リマスルカラシテ、之ヲ免稅スルト云
フコトニナリマスルト、矢張生產ノ方
ニ影響ヲ及ボスコトト考ヘルノデアリ
マスカラ、是ハ免稅ヲ致ス考ハ持ッテ居
リマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=5
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006・佐々木平次郎
○佐々木(平)委員 今度ハ第三類ニ付
キマシテ御尋シタイト思ヒマスガ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=6
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007・加藤政之助
○加藤委員長 是ヨリ第三類ニ入リマ
ス-佐々木君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=7
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008・佐々木平次郎
○佐々木(平)委員 三類、五十二ノ二
ノ魚介類ハ現行法ハ生鮮ナルモノニ付
キマシテハ從價三割ノ稅率ヲ制定シテ
居リマス、ソレカラ鹽乾魚等ニ付キマ
シテハ百斤三割、若クハ百斤ニ付テ二
圓、其他ノモノニ付キマシテハ從價三
割トナッテ居リマスルガ、今囘改正稅率
表ニ依テ見マスルト、現行法ノ三分ノ
一ノ一割ニ減額ヲシテ居リマス、唯乙
其ノ他ト云フモノニ付テハ從價二割ニ
ナッテ居リマス、ソレカラ甲、鹹魚及乾
魚ニ付テハ乙其ノ他ト云フ所デ一割五
分ニナッテ居リマス、大體ニ於テ三分ノ
一ニ低額セラレテ居リマス、今度此改
正法ヲ制定セラレタ時ノ御趣旨ヲ御伺
シテ見マスルト、其御趣旨ノ中ニ社會
政策ノ意味ヲ含メラレテ居ル、隨テ此
魚介類ハ〓料品デアリマスル爲ニ、相
成ルベク安イモノヲ食ハセル方ガ宜カ
ラウト云フ御趣旨ニ依テ、斯樣ニ企テ
ラレタモノデアラウト察スルノデアリ
マス、併シ魚ト等シク日常生活ノ重要
品タル肉デアルトカ、卵デアルトカ、色
色ナ食料品ノ改正セラレマシタ種目ヲ
見マスルト、魚介類ノ如ク多額ノ減額
ヲシタモノハ他ニ見受ケナイヤウデア
リマス、何故ニ此魚介類ダケ三分ノ一
ト云フ非常ナ減額ヲ爲サレタノデアリ
マスカ當時此改正案ヲ制定致シマス
ル際ニ御審議ナサレマシタ理由ヲ、先
ヅ以テ御尋シタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=8
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009・黒田英雄
○黑田政府委員 魚介類ニ付キマシテ
ハ御尋ノ通リ、生鮮ナルモノニ付キマ
シテハ現行從價三割デアリマスガ是
ハ從價一割ニナッテ居ルノデアリマス、
乾魚類モ一割ニナッテ居リマス、是ニ付
テドウ云フ考デ斯ノ如ク稅率ヲ減ジタ
カト云フ御尋デアリマスガ、申上ゲル
マデモナク魚介類ハ生活ノ必需品デア
リマスシ、又一方カラ見マスト我國ハ
四面海デアリマスカラ、魚介類モ十分
ニ產出サレテ居ルノデアリマス、又沿
海ニ參ッテ出漁船ニ依テ持ッテ參リマス
ナラバ是ハ、無稅ト云フコトニモナッテ
居リマス、ソレデ是ハ三割ト云フ如キ
稅率ヲ以テ保護スルマデノ必要ハナ
1、隨テ是等ハ一般ノ食料品デアルト
云フ關係カラ低イ稅ヲ掛ケル、今日ニ
於テ三割ト云フヤウナ稅率ヲ以テ保護
スル必要ハナカラウト云フ考デ、一割ノ
稅率ヲ適用シタ譯デアリマス、鹽魚ニ
付キマシテモ矢張外國ノ鹽鮭、鹽鱒ト
云フヤウナモノノ關係モ考慮致シタノ
デアリマスガ、大體沿海ニ於キマシテ
ハ出漁船ニ依テ漁獲シテ參ルノデ、相
當ノ生產ヲ見テ居リマスシ、又輸出モ
致シテ居ルヤウナ狀態デアリマスカ
ラ特ニ是モ現行ノ率ヲ以テ保護スル
マデノ必要ハナカラウト云フコトデ、
大體是等ノ現況ヲ見テ一割ト云フコト
ニ致シタ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=9
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010・佐々木平次郎
○佐々木(平)委員 只今ノ御答辯デ能
ク御趣旨ハ分リマシタガ、此改正案ヲ
制定致シマスル時ニ、現在ノ水產業ノ
狀態カラ見テ此上保護スル必要ハナイ
ト云フヤウナ御意思ハ、農林省ニ於テ
モ等シク之ニ御同意デアリマセウカ、
承ル所ニ依レバ當時此關稅々率ヲ改正
致ス際ハ農林省カラモドナタカ御出席
ニナッタヤウデアリマスガ、只今申サレ
タヤウナ御意思デアッタノデアリマセ
ウカ、此事ヲ一ツ伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=10
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011・小山松壽
○小山政府委員 水產ノ事ニ付キマシ
テハ〓糧ノ關係モ伴ヒマスノデ、農林
省トシテハ此方面ニモ相當奬勵助成ノ
方針ヲ執ッテ居リマス、沿岸漁業等ノ繁
殖ノコトモ考へ、更ニ遠洋漁業ハ御承
知ノ如ク十四年度ヨリ相當ニ力ヲ致シ
テ居ル、是ハ要スルニ食糧問題ニ伴ヒ、
又一方ハ資源ノ事情カラ考ヘマシテ
玉、之ヲ益奬勵シテ以テ我ガ水產業ノ
發達ニ資シタイト云フノデ、大體ハ其
方針デヤッテ居リマス、御尋ノ點ハ近頃
日露漁業ガ段々盛ニナッテ參リマシテ、
此方面ニハ殊ニ近頃見ルベキ發達ヲ遂
グ、將來モ益有望ト思ッテ居リマス、蟹
工船ノ如キモ其一ツデアリマス、而シ
テ只今主稅局長カラモ御答致シマシタ
ヤウニ、日露漁業ノ關係ハ日露漁業互
惠條約ニ依リマシテ其出漁致シテ居ル
モノハ無稅ニナッテ居ル、唯玆ニ佐々木
君ノ御尋ノ中デ御尤ト思ハレマスノ
ハ亞米利加ニ於ケル鹽鮭ノコトデア
リマスガ、是ハ氣候ノ關係等デ、亞米利
加ニ於ケル鹽鮭ト露領ニ於ケル出漁ノ
鹽鮭トハ、其鹽ヲ使ヒマス程度ニ付テ
モ大分差ガアリマスノデ、是等ノ點モ
研究調査致シマシタガ、大體ニ於テ只
今御審議ヲ願ッテ居リマス程度デ、更ニ
一段營業者ガ努力セラルルナラバ相當
ノモノデハナカラウカト考ヘマシタ、
種々〓究ハ致シマシタガ、先ヅ此程度
デ妥當デアラウト考ヘマシタ次第デア
リマス、唯農林當局ト致シマシテハ近
時水產方面ノコトニハ、相當ノ力ヲ致
ス積リデ居リマス、又今後其力ヲ致ス
爲ニ經費等ニ付テモ種々御協賛ヲ願
フベキモノモアラウト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=11
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012・佐々木平次郎
○佐々木(平)委員 只今ノ御答辯ニ依
リマスト、農林省ニ於キマシテハ、水
產ニ對シテ奬勵助成ニ御力ヲ盡シテ居
ナサル、其事ハ私モ承知シテ居リマス、
唯ソレト相反スルヤウナコトヲ爲サレ
ル爲ニ、私ハ甚ダ疑ヲ持ッテ御尋ヲシタ
ノデアリマス、成程稅率ヲ低クスルト
云フコトハ、軈テ食料品ガソレダケ安
ク供給セラルルト云フコトハ、或ハ其
通リデアリマセウ、併シ此間カラノ御
說明ヲ伺ヒマスト、物價ハ關稅ヲ低ク
シタカラト云ッテ、必ズシモ下ルモノデ
ハナイ、斯樣ナ御答ヲ度〓御何シタノ
デアリマス、今此鮮魚ノ日本ニ輸入ニ
ナッテ居ル金額ハ、總額ニ於テ僅ニ、二
十三萬八千圓デアル、而モソレガ十四
箇國カラ這入ッテ來テ居ル、其中カラ鰮
ノ油漬ヲ除クト僅ニ二十二萬二千圓、
之ヲ一割ニシヤウガ三割ニシヤウガ、
社會政策ノ上ニ何程ノ違ヒガアリマセ
ウカ、又鹽乾魚ニ致シマシテモ、十三年
度ノ表ヲ見マスルト、總額二百七十五
萬五千五百圓餘リデアル、是ト反對ニ
我國ヨリ諸外國ニ輸出シテ居ル水產物
ノ額ハ、稅關ノ手ヲ經マシタモノデモ、
二千五百萬圓デアル、ソレカラ更ニ露
領方面ニ於キマシテ、邦人ガ彼方ニ出
漁シテ日本ニ持ッテ來ナイデ亞米利加、
英吉利或ハ支那ノ方面ニ出シマスルモ
ノ、卽チ關稅ヲ經ナイモノダケデモ、私
ノ〓算デハ千五百萬圓ヲ下ルコトハナ
イト思ヒマス、之ヲ合セマスト四千萬
圓以上ニナル、四千萬圓以上ノ輸出ハ
我國ニ於ケル生絲或ハ絹織物、是等ノ
次ニ位シテ居リマス、全體カラ見ルト
四億萬圓以上ノ產額ヲ擧ゲテ居ル中カ
ラ、生魚二十三四萬圓、之ヲ無稅ニシテ
モ何程ノ差ガアリマセウカ、私ハ生魚、
鹽乾魚合セテ三百萬圓位、斯カル少額
ナルモノノ稅額ヲ減ズルトカ增ストカ
云フ問題ニ付テ私ハ御尋スルノデハア
リマセヌ、今現行法ノ三割ノモノヲ一
割ニナサルト云フコトハ、極メテ單純
ニ考ヘテ居ルヤウナ御答辯デアリマシ
タガ、私ノ見ル所ヲ以テスルト是ハ重
大問題デアル、何ガ重大問題カト言フ
ト折角政府ニ於キマシテ、此漁業ノ奬勵
助成ヲ爲サレテ居リマスガ、其魚ヲ獲
ル場所ハ何處カ、日本ノ領土デハナイ。
露領沿岸ノコトハ申スマデモナク、日露
漁業協約-今日ハ更ニ「莫斯科」デ條
約ノ改訂ヲ交涉サレテ居リマスガ、此
條約ニ依テ全然無稅デアルガ、日本ノ
人ガ今日四億萬圓以上ノ水產ヲ擧ゲテ
居ル其大部分ハ何處デアルカト云ヒマ
スト、殆ド沖合若クハ遠洋デアル、蟹工
船「トロール」機械手繰、又鮪、鰹ノ如
ギ、今日ハ沿岸ヨリ沖合、沖合ヨリ遠洋
デアル、ソレヲ盛ニ御奬勵ナサレテ居
ル、其場所ハ何處カト云フト、公海デア
ル、支那ノ漁船デモ、英國ノ漁船デモ、
露西亞ノ漁船デモ、其國ノ國旗ヲ立テ、
其場所ニ來テ幾ラデモ獲レル、今御奬
勵ナサッテ居ルノハ、日本ノ行政處分ニ
依テ許可或ハ免許シテ居リマスガ
度三浬ヲ離レタ公海ニ出マシテハ何レ
ノ國ノ漁業家モ自由ニ獲レルノデアリ
マス、何故之ヲ獲ッテモ、持ッテ來ナイカ
ト云フト三割ト云フ防波堤-垣ガ設
ケラレテアル、三割ノ關稅ヲ拂ヒマシ
テハ、幾ラ公海デ自由ニ魚ヲ獲リマシテ
モ、日本ニ持ッテ來マシテハ引合ヒマセ
ヌ、併シ一割ニナルト下ノ關、橫濱、東
京等ノ沿岸ヲ去ル三浬ノ沖合ニ於キマ
シテ、魚ヲ獲ル、支那ノ船ガ支那ノ國旗
ヲ立テテ、ドン〓〓日本ノ漁業家ヲ壓
シテ、魚ヲ獲ッテ持ッテ來マシテモ、一割
ヲ拂ヘバ文句ヲ言フコトガ出來ナイ、
斯ウ云フヤウナ危險ガアルノデアリマ
ス、其事ヲ農林省トシテ御考慮ナサレ
タカ、若シ何モ御考ヘナサレナカッタト
致スト、折角一而ニ於テ助成獎勵ナサ
レテモ、實際ニ於テハ日本ノ漁業家ヲ
壓迫シ、又現在十分海外ニ輸出ノ出來
ル力ヲ持ッテ居ルモノヲ阻止スルガ如
キコトヲナサルノハ、洵ニ不思議デナ
ラヌ、隨テ私ノ考デハ、此稅率ヲ現行法
ノ儘ニ据置イタ方ガ、輸入シテ來ル魚
ノ上ニモ障リガナイコトニナル、又一面
益水產物ノ御奬勵ノ趣旨相俟テ漁業
ノ發達ニ資スルコトガ出來ルト思ヒ
マス、此意味ニ於テ、現行法ノ儘ニ据
置ク御考ハナイカドウカ御伺ヒ致シマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=12
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013・小山松壽
○小山政府委員 私ハ御答致スト同時
ニ、此際農林省ガ水產事業ニ對シテ大
體ドウ云フ考ヲ持ッテ居ルカト云フコ
トヲ申上ゲマスレバ、隨テ佐々木君ノ
色〓御質疑ニナリマシタ所ノ御答辯ニ
ナルカトモ思ヒマス、只今御話ノ通リ
我國ノ水產業ハ近時段々發逹致シテ參
リマシテ、食糧政策ノ解決ニ資スルト
同時ニ、輸出品トシテ相當ノ數量ヲ增
シテ行キマスカラ、是迄ハ一方ニ於テ農
產物ニ付キ種々ナル御議論モアリマシ
テ、御意見ヲ承ッタノデアリマスガ、私
ハ水產方面ニ付テハ、農政方面ヨリモ
其聲ガ餘リ大キクナイ、私ハ農政方面
ニ於テ種々御〓究ニナルト同樣ニ、我
國ノ現狀カラ見テ今後水產方面へ一段
ノ力ヲ互ニ致シテ、サウシテ調査〓究
ヲシテ、此方面ノ發達センコトヲ希望
スルノデアリマス、今迄ハ相當ニ出漁
方面、或ハ其漁獲物ノ調査等モ致シテ
居リマスケレドモ、尙ホ私共カラ見テ
農政方面ニ〓究セラルヨリモ、水產方
面ノ〓究ガドウモ其聲ガ低イ、是ハ洵
ニ遺憾ナ事デアル、ドウゾ諸君ト協力
シテ此方面ニ一段私共努力ヲ致シタ
イ、佐々木君カラ縷々御述ニナッタ通
リ、我國ノ水產事業カラ申シテモ前途
有望デアリマシテ、而シテ我國ガ近時
此水產方面ニ付テノ〓究ガ段々發達シ
テ參リマシタ、隨テ外國ノモノト競爭
シテ、私共耐エ得ルト考ヘテ居ル、之ガ
爲ニ遠洋漁業ヲ奬勵シテ「トロール」ノ
如キハ佐々木君モ能ク御承知ノヤウニ
活動シテ居ル、而シテ我國ノ漁業ガ年
年盛ニナッテ參リマス爲ニ、一面ニ於テ
ハ支那海方面ニモ活動シテ居ル、是ガ爲
ニ國際關係モ生ジ、露領ノ如キハ日露
漁業協約デ我國ハ活動ニ有利ノ立場ニ
在ル、唯今日多少吾ミガ見テ當局者ノ
立場カラ考慮ヲ致シ、相當ノ〓究ヲ致
サナケレバナラヌト云フノハ、先刻モ
申上ゲタヤウニ薄鹽鮭デス、之ニ付テ
ハ露領方面ニ於テ相當ノ活動ガ出來ル
モノト思ッテ居ルデアリマスカラ今後
當局ハ大ニ此點ニ付キ指導奬勵致シ、
而シテ一面ニ於テハ內地ニ於ケル冷藏
庫ノ普及ト云フヤウナモノカラ段々數
設ヲシテ參リマスレバ、面目ガ段々改
ツテ來ル譯デアリマスカラ、將來輸入
防遏ニ付テモ私共ハ相當自信ヲ有ッテ
向フコトガ出來ルト思フ、唯此問題ハ
一方食糧問題ト相伴フ事デアリマスカ
ラ、十分ニ此點モ考慮シナ、ケレバナラ
ヌ事デアルソレカラ生鮮魚ニ付テ御
意見ガアッタヤウデアリマスガ、是ハ殆
ド輸入ハマリマセヌ、鰯ノ油漬鑵詰、是
ガ二萬圓前後ノ輸入デアリマス、其他
ノモノハ二十萬圓前後ト云フヤウナモ
ノデ、佐々木君ノ段々御擧ゲニナッタ數
字ト、當局ノ見ル所ト少シ變ッテ居リマ
スガ、要スルニ餘リ大シタモノデハア
リマセヌ、而シテ近時漁業法ノ進步ト
生產費關係カラ見テ、外國人ハ生產費
ノ關係ト漁業ノ方法、施設等ニ對シテ
我國ガ進步シテ居ルカラ、我國ト競爭
シテ行クト云フコトハ出來マイト思
フ、當局ニ於テモ此方面ニ付テハ私ハ
農產方面ヨリモ水產方面ニ付テモウ少
シ力ヲ入レタイ、斯ウ云フ考カラ大體
ノ趣旨ニ於テハ私共佐々木君ノ御心配
ニナルヤウナ點モ相當考ヘマシタケレ
ドモ、日本ノ漁業政策カラ見テ、只今申
上ゲタヤウナ方針ニ付テ進ンデ居ル譯
デアル、隨テ稅率ノ點モ今囘提出シタ
モノニ付テハ相當愼重ニ審議致シマシ
テ、適當ト認メテ御審議ヲ願ッテ居ル次
第デアリマス、ドウゾ當局ノ水產方面
ニ於ケル大體ノ趣旨ヲ御諒承願ヒタイ
ト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=13
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014・佐々木平次郎
○佐々木(平)委員 只今ノ御答辯ニ依
リマスト、水產ニ對シテ力ヲ盡シテ居
ルト云フ趣旨ハ能ク承知致シマシタ、
唯私ノ御尋シタ意思ニ對シテ御答ガ甚
ダ不徹底デアルコトヲ感ジマス、次官
ノ御答ニ依リマスト、日本人ノ技術其
他漁業ニ對シテ決シテ外國人ニ劣ルモ
ノデハナイト云フ事ヲ仰シヤリマシタ
ケレドモ、成程今日ハ生魚ナンカハ何
モ入ッテ來ナイデアリマセウ、來ナイノ
ハソレハ玆ニ三割ト云フ現行法ガアル
爲デアラウト私ハ思フ、ソレヲ一割ニ
致シマスト云フト、三分ノ二ノ相違ガ
アル、今次官ガ御述ニナッタヤウニ折
角御奬勵ナサレテ居ルモノヲ獲ル所ハ
何處カト云フト、日本ノ領土デナイ、公
海デアリマス、是ハ世界ノ何レノ國ノ
人デモ自由ニ捕リ得ラレルノデアル、
今御述ニナリマシタ所ノ「トロール」或
ハ工船、蟹漁業ハ日本政府デ許シテ居
リマスケレドモ、是ハ亞米利加ノ政府
デモ、又近クハ露西亞ノ政府デモ、支那
ノ政府デモ、公海デ魚ヲ捕ルコトハ許
シテ居ルノデアル、ソレヲ何故ニヤラ
ヌノカト云ヒマスト、日本ノヤウナ多
ク魚肉ヲ食ベル國ニ何故ニ海外ヨリ魚
類ガ輸入サレナイカト云フト、茲ニ關
稅現行法ノ下ニ於ケル稅率ノ關稅ガア
ルカラデアリマス、然ルニ此現在這入ツ
テ來ナイモノヲバ、社會政策トシテ之ヲ
態〓一割ト云フ低減サレタル稅率トス
ルト云フコトニナッテ、今マデアッタ三
割ト云フ高イ防波堤ヲ破ルト云フト、
是カラ盛ニ輸入ヲ奬勵シ、之ヲ導クト
云フコトニモナルノデアリマシテ、ソ
レデハ切角生產ヲ奬勵セラレテモ、其
趣旨ト結果ニ於テ違ヒハシナイカト思
フノデアリマスガ、是ハ議論ニナリマ
スカラ避ケマスガ、日本ノ漁業ノ技術
ニ對シテ、外國ノ漁業家ガ對抗スルコ
トガ出來ヌト云フコトデアリマシタ
ガ、外國ノ漁業船ニ對シテ日本人ガ乘
込ンデ、サウシテ漁業ニ從事スルト云
フコトハ止メテナイノデアリマス、唯
船籍ガ外國ノ船デアル、從業家ハ日本
人ト云フコトニナルノデアッテ、今現ニ
御述ニナリマシタ工船蟹漁業ニシマシ
テモ、又「トロール」ニシマシテモ、之ヲ
奬勵ナサレテ居ル半面ニ於テ、此漁船
ノ隻數ヲ制限シタ、切角獲ルコトヲ奬
勵シテ居リナガラ、此生產ヲ制限シテ
居ルノハ何デアルカト申セバ、獲ルニ
從ッテ餘リニ多ク市場ニ供給スルト、市
場ノ價格ガ暴落スル、ソレデハ生產家
ガ倒レルノデ、玆ニ消費者ト生產者ト
ノ調和ヲ圖ッテセラレタコトデアラウ
ト思フ、所ガ今御答ニ依リマスト、盛ニ
今日ニ於テモ奬勵シ、尙ホ今後ニ於テ
モ奬勵シナケレバナラヌト云ッテ居リ
ナガラ、外國ノ漁船ガ日本ノ沿岸、卽チ
三海里ノ沖合ニ來テ、サウシテ漁業ヲ
シテ、ソレヲ日本ニ輸入スルコトモ出來
ルト云フコトニナレバ、隻數ヲ制限シ
タコトト矛盾スル、政府委員デハアリ
マスマイガ、失禮デアリマスガ其處ニ
水產局ノ水產課長モオ居デデゴザイマ
スシ、水產課ノ技師ノ方モ居ラレルコ
トト思ヒマスルガ、矢張サウ云フ考ヲ
御持チニナルカ、ドウモ次官ノ御答辯
ト、私共ガ實際考ヘテ居リマスル所ト、
其憂フル所ニ於テハ同ジデアリマセウ
ケレドモ、其政策ニ對シマシテハ非常
ナ相違ガアルト思ヒマス、是ハ私ハ決
シテ惡イ考デ申スノデハアリマセヌノ
デ、是ハ水產事業ニ尠カラザル惡影響
ヲ及ボスコトト思ヒマスカラ申上ゲル
ノデアリマス、ソレデ此現行法ヲ變ヘ
ルヨリハ其儘ニスルコトガ宜シイ、之
ニ依テ決シテ消費者ノ負擔ヲ增加スル
ガ如キコトハナイト申シマスノハ、現
在ノ如ク外國カラ這入ッテ來ナイヤウ
ニシテ、サウシテ一面ニ於テ盛ニ生產
ヲ增加セシメタ方ガ政府ノ御考ニナル
社會政策的趣旨ニモ副フコトト思フノ
デアリマス、ドウカ之ニ對シテハ此委
員會ノ終了ニナリマス以前ニ於テ、其
餘地モマダアリマスカラ、十分御考置
キヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=14
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015・小山松壽
○小山政府委員 尙ホ一言申上ゲテ置
キマス、水產ノ對策ニ付テハ先刻申上
ゲタコトデ御諒承ヲ得タコトト思ヒマ
スガ、日本ノ近海、若クハ日本ノ漁業者
ガ出漁シテ居リマスル達洋漁業方而ニ
於キマシテハ、外國ノ漁業者ト我國ノ
漁業者トノ間ガドウ云フ風ナ關係ニ
ナッテ居ルヤト云フコトハ、全ク御承知
ノコトト思ヒマスガ、日本ノ漁業者ハ
到ル處ニ活躍致シテ居リマシテ、行ク
トシテ可ナラザルナシト云フ狀態デア
リマス、外國ノ漁業者等ガ到底我國ノ
漁業者ニ對抗スルモノデハナイ、而シ
テ日本ガ今申ゲルマウナ水產方面ニ於
テノ優秀ナ位置ニ居ル、政府ハ之ニ對
シテ、輸出奬勵ニ努メテ居ル、而モ其努
メテ居ル我國ガ餘リ必要モナイ物ニ高
率ナル關稅ヲ課シテ居ルト云フヤフナ
コトカラ考ヘマシテ、其對策上ドンナ
モノデアラウカ、勿論先日來モ屢申上
ゲマシタガ、關稅ヲ以テ內地產業ヲ保
護スルト云フ必要ガアルナラバ、一時
ノ犧牲ハ已ムヲ得マセヌカラ、其將來
ノ對策ヲ致サナケレバナリマセヌケレ
ドモ、此水產漁業方面ノ事ハ只今申上
ゲタヤウナ次第デアリマスカラ、私ハ
玆ニ多少ノ率ヲ低下シタカラト申シ
テ、決シテ我國ノ水產業ノ漁業政策ト
シテ將來其消長ニ至大ノ關係アルモノ
トハ思ヒマセヌ、特ニ技術ノ方面ニ於
テ、日本人トシテ特性ヲ有シテ居リマ
ス所ノ遠洋漁業等ニ對シテハ相當ニ
活躍ヲ致シテ居ルノデアリマス、私ハ
先刻來申上ゲマスヤウナ趣旨ニ於テ、
當局トシテ今後努力致シマスレバ、此
關稅ノ程度ヲ以テ相當ナル成績ヲ擧ゲ
得ルコトト考ヘテ居ル譯デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=15
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016・長田桃藏
○長田委員 農產品ニ關スル四五點ヲ
伺ヒタイノデアリマスガ、伺フ前ニ私
共ノ解シテ居リマセヌ點ヲ承リタイノ
デアリマス、ソレハ政府案ノ四十三ノ
此麥芽糖ト云フ物ハ如何ナル所ニ使用
スルノデアリマスカ、ソレカラ五十三
ニ「バター」、人造「バター」及「ギー」ト
アリマスガ、是等ノ解說ヲ承リタイ、ソ
レカラ其備考ノ所ニ天然「バター」ト云
フコトガアリマスガ、是モ承リタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=16
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017・矢部規矩治
○矢部政府委員 御答致シマス.、四十
三號ノ麥芽糖、是ハ西洋ノ所謂「マルト
ース」デ、日本カラ見マスト略飴ノ中
ニ屬シテ居ルモノデアリマス、飴ノ類
ト御承知ヲ願ヒマス、ソレカラ五十三
號ノ「バター」ト申スノハ卽チ天然「バタ
ー」ノ意味デアリマス、牛乳ノ脂肪ヲ分
離シテ製造シタモノデアリマス、人造
「バター」ト申スノハ豚脂ノ如キモノヲ
細工ヲシテ造ッタノデアリマス、ソレカ
ラ是ハ色〓アルヤウデアリマス、普通
ノ脂ヲ水素瓦斯デ瀘過シテ硬化サレタ
モノモアリ、種々ナル方法ガアリマス
ガ、牛乳以外ノ脂其他ヲ調合シテ人造
的ニ拵ヘルモノデアリマスソレカラ
「ギー」ト云フノハ印度ノ水牛ノ乳カラ
造リマシタモノデ、天然「バター」ト異ッ
タ所ハナイノデアリマヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=17
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018・長田桃藏
○長田委員 次ニ御尋シタイノハ四十
四號ノ蜂蜜、是ハ輸入ガ六千五百六十
五斤、金額ニシテ三千九百八十圓デア
リマスガ、關稅定率ハ据置ニナッテ居リ
マスガ、今一段ノ關稅率ヲ御引上ゲニ
ナッタナラバ、農家副業トシテ輸入防遏
ガ出來ルダラウト思ヒマスガ、サウ云
フ御考ハアリマセヌカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=18
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019・小山松壽
○小山政府委員 此峰蜜ノコトハ昨日
カ御尋ガアリマシタノデ御答申上ゲテ
置キマシタガ、如何ニモ農家ノ副業ト
シテ是ハ適當ナモノデアリマス、農林
省ニ於テモ是ハ奬勵致シテ居リマス、
試驗場ニ於テモ蜜蜂ノ〓究ヲ致シテ居
リマスガ、多々益其方面ノ奬勵ヲ致
シタイト考ヘマシテ、專門ノ技師ヲシ
テ其〓究ヲセシメ、優良品ヲ取入レル
ト云フヤウナ政策ヲ執ッテ居リマス、併
シ此稅率ノコトハ、是ハ十三年ノ贅澤
品ニ關スルモノデアリマシテ、旣ニ議
會ノ御決議ヲ經テ居ル稅目ニナッテ居
ルノデ、斯樣ニ致シテアル譯デアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=19
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020・長田桃藏
○長田委員 蜜蜂ヲ副業トシテ農家
ニ飼ハシテ見マスケレドモ、ドウモ旨
ク成績ガ行カナイノデアリマスカラ、
農村ノ副業トシテ、又農林省ノ御〓ヲ
受ケニ出ルコトガアルカト思ヒマス、
五十二ノ鳥獸肉類ノ中、甲牛肉、丙豚肉
ニ付テ伺ヒタイノデアリマスガ、此牛
肉ニ付テハ稅率ヲオ下ゲニナッテ居リ、
豚肉モ亦從價三割ガ二割ニ下ッテ居リ
マス、價格デ分リマセヌガ、兎ニ角四圓
ト云フモノニナッテ居ルノデアリマス
ガ、何レモ關稅ノ今一段ノ寧ロ引上ゲ
ヲシテ戴キタイト云フコトヲ農村ノ者
ハ考ヘテ居ルノデアリマス、稅率ヲオ
下ゲニナッタト云フコトニハ非常ニ苦
ンデ居ルノデアリマス、御承知ノ如ク
現在農商務省ノ御指導ノ下ニ農家畜牛
ヲ御奬勵ニナッテ居リ、吾〓モ亦非常ニ
奬勵ヲシ、又畜產品評會ナドモ致シテ
本省カラノ御出張ノ下ニ相當奬勵致シ
テ居ルノデアリマスガ、其結果デアリ
マセウカ、近時大分畜牛熱モ盛ニナッテ
參リマシテ、食牛ノ如キモ大分成績ノ
好イモノヲ出シテ居ルヤウニ存ジテ居
リマスガ、是ハ吾〓ノ京都府方面デヤッ
テ居ルコトハ他處デモヤッテ居ルト存
ジマスガ、食牛ト雖モ矢張役牛トシテ
使ヒマシテ、大〓六歲以上ニナリマシ
テ之ヲ急激ニ飼育ヲシテ食牛ニシツツ
アルヤウナ狀態デアリマス、之ヲ御保
護下サッテ御奬勵ヲ願ヒマスガ、斯樣ニ
外カラ參リマス牛肉ニ對シテノ關稅ヲオ
下ゲニナッテ、消費者階級ノ要求ヲ充ス
ト云フ點ヲ考ヘテ見ルト、ドウモ畜牛奬
勵ノ上ニ大ナル影響モアルヤウニ私ハ
考ヘルノデアリマスガ、此點ニ對シテ
ドウ云フ御考ガオ有リニナルダラウ
カ、殊ニ農林省デハ米麥ノ農耕ノ改良
ニ對シテ非常ニ力ヲ盡シテ行クト云フ
コトニナレバ、今日マデヤッテ居ルヤウ
ナ金肥ノミノ施肥デハ到底生產費ヲ下
ゲル譯ニ行カナイノデアリマス、ドウ
シテモ畜牛ノ下ニ堆肥厩肥ヲ使フト云
フヤウナ方法ニ依テ地力ヲ肥スト云フ
ノデナケレバ、其目的ヲ達スルコトハ
出來ナイト云フコトデアリマスガ、此畜
牛問題ハ所謂農事ノ改良ノ上ニ大切ナ
コトデアルヤウニ思ヒマスガ、其結果
トシテ生ズル所謂六歲以上ニナッタモ
ノヲ一時飼育ヲシテ、之ヲ食牛トシテ
賣出スト云フノハ、相當御保護下サル
ノガ當然デアルト思ッテ居リマス、所ガ
現在ヨリ下ゲラレルト云フノハ甚ダ遺
憾デアリマスガ、之ニ對スル御所見ヲ
伺ッテ置キタイト思ヒマス、豚肉モ亦同
一デアリマシテ、近時漸ク豚肉隆盛ノ
府縣ガ大分アルヤウデアリマス、之ニ
對シテモ一段ノ御保護ヲ下サッテ、之ヲ
奬勵シテ行クト云フコトヲ希望シテ居
ルノデアリマスガ、ドウ云フ御考デア
リマスカ、是モ伺ッテ置キタウゴザイマ
ス、先ヅ此二點ヲ伺ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=20
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021・小山松壽
○小山政府委員 家畜ノ大體ニ付テノ
長田君ノ御意見ハ洵ニ御尤デ、私共御同
感デアリマス、農林省トシテハ家畜保
護ニ付テハ御承知ノ如ク相當ノ施設ヲ
致シテ、其奬勵ノ方法ヲ講ジテ居ルノデ
アリマス、殊ニ農家ニ於キマシテ家畜
ノ飼育ハ肥料關係デ最モ大切ナルコト
ニナッテ居リマス、就中麥ノ栽培ニ付テ
ハ家畜ノ肥料ガ最モ有效適切ナルモノデ
アルト云フコトハ當局モ之ヲ認メテ居
ルノデアリマス、隨テ只今御尋ノ牛ノ如
キモ相當之ヲ奬勵スル途ヲ執ッテ居リ
マスケレドモ、現在我國ノ牛ハ內地ニ
於テ百四十萬頭一寸超ヘテ居リマセ
ウ、相當ナ頭數ニナッテ參ッテ居リマス、
併シ一方カラ見マスルト生活ノ狀態ガ
段々變ッテ參リマシテ、肉食ヲ致ス量ガ
相當ニ年々增加シテ參ッテ居リマス、而
シテ主食物タル米、之ニ次グ所ノ麥ト
云フヤウナ物ノ、是等ノ關係ト、一面ニ
於テ肉食ヲ致スコトガ國民生活ノ改善
ト云フカ向上ト云フカ、兎ニ角變ヲテ來
テ居ル而シテ今日デハ牛肉ハ生活ノ
上ニ於テ必需品デアリマシテ、此方面
ノ消費ヲ輕〓ニ看過スル譯ニ參リマセ
ヌ一例ヲ申シマスルト旣ニ政府トシ
テハ提案ヲ致シテ、御審議ヲ煩ハシテ
居リマス所ノ牛ノ肺炎等ノ場合ニ、政
府委員ヨリ御說明申上ゲタト存ジマス
ガ、朝鮮ヨリ入リマス牛ニ付テ、牛疫上
ノ關係カラ制限ヲ致シマスレバ忽チ市
場ノ價額ヲ引上ゲマシテ、牛肉ヲ專門
トシテ居ル所ノ店アタリハ一大恐慌ヲ
來スト云フ風デ、僅ナ牛ノ移入ノ頭數
ニ牛疫ノ關係上、公安ノ關係上、政府ガ
其處置ヲ致シマスレバ、忽チ市場ニ大
恐慌ヲ來ス、牛肉一斤ニ付テ若干ノ値
ガ上ル、是ニ依テ消費者ニ恐慌ヲ來シ、
不安ヲ感ズルト云フコトガアリマスノ
デ、一面ニ於テハ前段申上ゲマシタヤ
ウニ、農家ノ裏庭カラ出ル所ノ家畜ノ
肥料ハ、就中麥ノ栽培等ニ於テ最モ必
要ナモノデアル、隨テ家畜ニ付テハ奬
勵ヲシテ、將來ノ土壤ノ關係等モ考慮
シナケレバナラヌト共ニ、一面ニ於テ
ハ只今申上ゲマスヤウニ朝鮮カラ入。ツ
テ參リマス牛ニ付テ頭數ノ消長ガ、市
場ノ牛肉一斤當リニ付テ幾ラト若干ノ
値ノ上リ下リガ起ルト云フノデ、消費
者ノ方面ニ付テ、是ハ過去ニ於テモサウ
デアリマスガ、今後モ益此事ニ付テハ
考慮ヲ致サナケレバナラヌ、隨テ兩方
ノ事ヲ考ヘ、將來ノ生活上ノ變遷ヲ考
へ玆ニ此稅率ヲ以テ御審議ヲ願ッテ居
ル次第デアリマス、ドウカ左様御承知
ヲ願ヒマス、豚ニ付テハ近來段々飼育
ニ付テノ〓究モ重ネ、又數モ大部殖エ
テ來テ居リマス、今日豚ノ消費モ牛肉
ノ消費ト其率ヲ考ヘテ見マスルト、豚
ノ消費ノ率ハ牛肉ヨリハ少シ多イヤウ
ニ私ハ記憶致シテ居リマス、段々豚
料理豚ヲ擴メルト云フヤウナ譯デ、此
方面ノ當業者モ段々努力ヲ致シマスル
シ、又豚ハ申ス迄モナク生產率ガ優良
種ニナルト相當ノ能率ヲ有ッテ居リマ
ス、是ハ農家ノ家畜ノ中デモ相當採算
ノ取レルモノニナッテ居リマスガ、而モ
只今申上ゲタヤウニ今後豚ニ付テノ農
林省トシテノ施設モ、益其方面ニ努力
ヲシタイト考ヘテ居ルノデアリマス
ガ、併シ是モ只今申上ゲルヤウニ牛肉
ト同樣ニ、一方ニ於テ豚肉ノ需用ト云フ
モノガ段々殖エテ參リマス、隨テ矢張
消費者ノ立場カラモ考ヘマシテ、彼此
レ此程度ヲ以テ然ルベキモノト認メマ
シタノデ、此稅率ノ御審議ヲ願ッテ居ル
次第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=21
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022・長田桃藏
○長田委員 只今牛肉ニ關スル次官ノ
御說明ヲ承リマスト牛疫其他デ輸入ガ杜
絕スルト俄ニ其市價ガ暴騰スル、大恐
慌ヲ來スト云フコトヲ力說サレマシタ
ガ、其御說ハ御尤デアリマス、併シ其問
題ハ直ニ關稅ノ問題トハ關係ガナイヤ
ウニ考ヘマスガ、此關稅ヲ現在ヨリハ
引下ゲテ迄牛肉ノ食用ヲ奬勵スル程、
內地ノ牛肉ガ拂底デアラウカト云フコ
トヲ私ハ疑問トスルノデアリマス、十
三年度ノ統計ヲ見ルト二十七萬四千八
百六十七頭、金額約八百萬圓ノ輸入ニ
ナッテ居リマス、現在私共ノ居リマス附
近ノ狀態ヲ見マスルト、小作人ガ五人
デ一頭、七人デ一頭ト云フヤウナ割合
デ共同飼育ヲ致シテ居リマス、共同飼
養ヲ致シテ居ルト云フ狀態デアリマシ
テ、農事ノ改良、農作ノ改良ノ側カラ成
ベク厩肥堆肥ヲ多ク使用セシメルヤウナ
コトニスレバ三軒デ一人買ハセルト云
フヤウニナレバ肥料ノ上ニ於テモ非常
ニ豐富ニナル、又豐家ガサウ苦マズニ
牛ヲ飼ヒ得ル力ガアルヤウニ思ヒマ
ス、無論是等徹底的ノ方針ニ基イテ御
指導御保護アルコトハ當然デアリマス
ガ、是ト併セテ矢張老牛ト云ッテハ甚
ダ語弊ガアリマスガ、相當年齡ニ達シ
テ食牛ニ廻ハス、關稅ノ引上ゲテ非常
ニ年ヲ取ッテカラデモ矢張相當三月 7
ルト云フ觀念ヲ持タシメテ、此畜牛ノ
觀念ノ上ニ大ナル效果ガアリハセヌカ
ト云フコトヲ考ヘテ居リマス、次官ノ
御說明ニ依ルト牛肉ガ拂底ダカラ三十
萬頭、五十萬頭輸入スルト云フヤウニ
聽ヘマシタガ、今少シク其點ノ御說明
ヲ願ッテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=22
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023・小山松壽
○小山政府委員 最後ニ御述ニナリマ
シタノハ私ノ申上ゲタ趣旨ト少シ違ッ
テ居ルヤウデアリマス、此牛ガ御承知
ノ通リ朝鮮カラ入ッテ來ルノハ相當ノ
數デアリマス、是ハ牛疫等ノ事モアリ
マスカラ、當局ハ細心ノ注意ヲシテ、之
ニ對スル處理ヲシテ參ラナケレバナラ
ヌノデアリマスガ、是ガ近來內地ニ入
リマシテ、內地ニ入ッタモノガ直ニ屠殺
サレルノデナクテ、各方面ノ農家ノ小
作用所謂勞役ニ服シマシテ、ソレガ二
年、三年、四年ト經チマシテ、而シテ屠
殺セラレルト云フ狀態デ、最初ハ關西
方面ニ多クアリマシタガ、近年ハ關東
方面カラ東北ニ大分朝鮮牛ガ入リマシ
テ、ソレガ只今申上ゲルヤウニ數年勞
役セシメマシテ、而シテ屠殺スルト云
フ狀態デ、朝鮮カラ入リマス牛ハ十三
年ニ六萬七百四十七頭、十二年ハ四萬
七千頭、十一年ハ四萬一千頭ト云フヤウ
ニ段々澤山入ッテ來テ居リマス、是ハ只
今申上ゲタヤウニ耕作用トシテ使役致
シマシテ、數年後ニ屠殺スル譯デ而モ
朝鮮牛ハ價格ニ於テ內地ノ牛トハ大分
差ガアリマス、一方ニ於テ內地ノ牛ノ
數ハ先刻申上ゲマシタヤウナ數ヲ持ツ
テ居ル而モ一面ニ於テハ近時段々肉
食ガ殖エテ、國民ノ生活上ニモ今日ハ
必需品ト云フヤウニナッテ參ッタモノデ
アリマスカラ、朝鮮カラ入ル牛ノ關係及
内地ニ於ケル畜牛ノ關係、一方ハ國民
生活ノ必需品デアルト云フ關係、是等
ノ點ヲ考慮致シマシテ、前段申上ゲマ
シタ率ヲ妥當ト認メタ次第デアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=23
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024・長田桃藏
○長田委員 是ハ方面違ヒカモ存ジマ
セヌガ、農林省カラ御答ヲ願ヘレバ結
構デアリマスガ、豚肉モ矢張牛肉ト等シ
ク屠殺場ト云フ一定ノ場所デ屠殺シナ
ケレバナラナイト云フノデ、農村ノモ
ノガ豚一頭屠ッテ村ノ祭リニ全體デ分
ケテ食ベヤウト云フヤウナ場合デモ
唯其制限サレタル免許ノ屠殺場へ持ッ
テ行ッテ屠殺サレタモノヲ持ッテ歸ラナ
ケレバナラヌト云フノデ、豚肉獎勵ノ
上カラ非常ニ迷惑ヲ感ジテ居ル事實ガ
アル、現ニ岐阜縣ニ於テ先般同農會ニ
會合致シマシタ場合デモ、岐阜縣ノ發
案デサウ云フ困難ガ愬ヘラレテ居ルノ
デアリマス、是ハ內務省ノ管內デアル
カモ知レマセヌケレドモ、アノ乳牛ノ
如キモノデモ農家デ實ハ乳牛ヲ奬勵シ
テ牛乳ヲ搾ル、其牛乳ガ生乳デ村ノ要
求ニ應ゼラレナイ、一應免許ヲ得テ居
ル-牛乳ヲ火力デ殺菌致ス場所ヘ
持ッテ行ッテ再ビ持ッテ歸リ、村ノ人ノ需
要ニ應ズルヤウニシナケレバナラヌト
云フノデ、其點ニ非常ナ苦痛ヲ感ジテ
居ルノデアリマスガ、是等ハ何トカ今
少シク手輕ナ方法デ許可ヲ與ヘルコト
ハ出來ナイモノデセウカ、適當ナル政
府委員ガオ出ニナルナラバ此場合伺ツ
テ置キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=24
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025・石崎芳吉
○石崎畜產課長 私ヨリ便宜御答ヲ致
シマス、御尋ノコトハ內務省ノ所管ニ
屬スルコトデアリマスガ、農林省ト致
シマシテモ之ニ付テハ始終研究致シ
テ、專ラ内務省トモ相談シテ居ル次第
デアリマス、豚ノ簡易屠殺ノ御尋デア
リマスガ、是ハ特別ニサウ云フ方法ガ
出來タラト相談シテ居ルノデアリマス
ガ是ハ今デモ屠場法ト云フ法條ノ中
ニ簡易屠殺ガ出來ルヤウニナッテ居リ
マスガ、實際ハ地方長官ガ適當斟酌シ
テ居ルヤウデアリマス、是ハ其中一樣
ニ何處デモ出來ルヤウニト相談シテ居
リマス、ソレカラ牛乳ノ農村ニ於ケル
利用ニ付キマシテハ、是モ共同搾取所
ヲ造リマシテ、搾取所デ搾ッタ乳ナラ
バ、原料乳トシテ「バター」ノ原料ナド
ニ使フコトハ差支ナイト云フヤウニ
ナッテ居リマスガ、他ノ方面ニ方テハ乳
牛取締規則ト云フ內務省ノ省令デ取締
ルコトニナッテ居ル、此省令ヲ旨ク改正
スルコトニ付テ專ラ內務省デ審議中デ
アリマス、農林省ト致シマシテモ出來
ルダケ此點ヲ考慮シ、農村ノ使用ヲ十
分ニシヤウト云フコトニ付テ研究中デ
アリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=25
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026・長田桃藏
○長田委員 農林次官ニ願ッテ置キマ
スガ、來ルベキ地方官會議ノ節ニハ、是
等ノ點ヲ特ニ御含ノ上成ベク簡易ノ方
法ニ出デラレルヤウニ願ヒタイノデア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=26
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027・小山松壽
○小山政府委員 委細諒承致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=27
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028・長田桃藏
○長田委員 次ニ五十三ノ「バター」、
五十五ノ「コンデンスミルク」ニ付テ御
伺ヒ致シマスガ、「バター」ハ据置ニサ
レマシテ、五十五ノ「コンデンスミル
ク」ハ値ヲ上ゲテ居ラレルノデアリマ
ス、併シ是ハ農村ノ關係ヲ少シク離レ
テ、實ハ「コンデンスミルク」ノ方ハ練
乳裝置ヲ持ッテ居ル森永工場トカ、其他
ノ工場トカ云フモノノ利益ヲ保持スル
ヤウニハ見ヘマスケレドモ、間接ニハ
矢張此問題ハ酪農ノ事業ヲ奬勵シテ居
リマス、吾〓ノ關係カラ見テ、矢張乳牛
ノ奬勵ト云フコトニ結局ナルノデアリ
マス、乳牛ノヲ奬勵致シテ居リマス所謂
酪農事業ノ奬勵ノ側カラ見マスト、每
日集メタ牛乳ヲ都會ノ地ヘ運ブコトガ
出來マスナラバ、生乳トシテ賣ルコト
ガ出來マスケレドモ、交通機關ガ完全デ
アリマセヌト云フ場合ニハ、己ムナク附
近ノ煉乳工場ノ方へ安クテモ持ッテ行カ
ナケレバナラヌト云フ狀態ニナッテ居リマ
ス、當事者ノ方カラハ此「コンデンスミルク」
ニ對スル十三圓四十錢ノ改正稅率ヲ、
今一段値上ヲシテ貰ヒタイト云フ要求
ヲシテ參ッテ居リマス、サウシテ外來ノ
「コンデンスミルク」ニ對抗シテ內地品
デ十分補フヤウニシタイ、是ハ價格ノ
上バカリデナク、現在ノ多數ノ國民ハ今
尙ホ舶來品ハ必シモ優良ナリトノ觀念
ガアリマスガ、實際ヲ調ベテ見ルト外來
品ハ多クノ歳月ヲ經テ居ル點カラ見テ
モ、內地品ノ方ガ優良ナ譯デアルノデス
ガ、併シ現實ノ事實ニハ如何トモシヤウ
ガナイノデアルカラシテ、今一段關稅
ヲ上ゲテ之ヲ保護シテ貰フノガ、國民保
健ノ上カラモ必要デアラウト云フ要求
ヲシテ居ルノデアリマス、此點ノ御考
ヲ伺ッテ置キタイ、「バター」デモ矢張同
ジ關係ニ於テ、吾ミハ內地產ヲ以テ內
地ノ消費ヲ充シ得ルモノト信ジテ居ル
ノデアリマスガ、此力ヲ持ッテ居リナガ
ラ矢張舶來品ヲ尊敬シ、舶來品ヲ使用
スル向ガ多イヤウデアリマスカラ、是
等ハ關稅ヲモット引上ゲテ、矢張「コン
デンスミルク」ト同ジヤウナ觀念ノ下
ニ之ヲ保護スル必要ガアルト考ヘマス
ガ、政府ノ御所見ハ如何デアリマスカ、
伺ッテ置キタイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=28
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029・小山松壽
○小山政府委員 先日一般質問ノ場合
ニ一例トシテ「コンデンスミルク」ノ事
ヲ申上ゲテ置キマシタ、其際ニ申上ゲ
マシタ大體ノ趣旨デ御諒承下サルコト
ト存ジテ居リマスガ、是ハ先刻モ申シ
マシタ農家ノ家畜奬勵副業助成ト云フ、
此點ニ考慮シテ此關稅ハ只今御述ベノ
通リノ率ニ致シタノデアリマス、之ニ
付テ大分色ミト議論モアリマシタ、相
當ニ〓究ヲ致シタノデアリマス、一方
カラ申セバ生活ノ必需品デアル、殊ニ
中產階級、富產階級アタリニ於テノ最
モ必要ナルモノデアル、ソレデ關稅ノ
率ヲ此程度ニスルト云フコトニ付テ
ハ、サウ云フ意味カラ云ッテ洵ニ是ハ肝
腎ナコトデアルト云フヤウナ御議論モ
中ミアリマシタ、併シ先日モ申シマス
ヤウニ、近來舶來品ガ段々這入ッテ參リ
マシテ、而モ其品質ハドウ云フモノデ
アルカト申セバ、ソレハ日本ノ物ノ品
質ト比較致シマシテ、寧ロ我日本ノ品
質ノ方ガ優レテ居ル、ソレニモ拘ラズ
日本ノ內地デ出來マスルモノガ、市場
ノ聲價ヲ高メルコトノ出來ナイト云フ
ノハ何故カト云フト、外國カラ這入リ
マス此種ノ物ハ非常ナ大資本ヲ以テ之
ニ對シテ各種ノ大宣傳ヲシテ、其宣傳
ニ依テ品物ヲ賣ッテ居ルト云フヤウナ
傾ガアル、而モ一方ニ於テ甚ダ遺憾ナ
コトハ舶來品デアレバ、何デモ宜イト
云フヤウナ、舶來品崇拜ト云フヤウナ
舊來ノ弊風ニ囚ハレテ、サウシテ內地
デ出來ル品質優良ナ物ヲ何トナク輕ク
見ルト云フヤウナコトデ、洵ニ遺憾至
極デアリマス、先日モ申上ゲマシタヤ
ウニ、此事ハ將來長キ年月ヲ費シマセ
ヌデモ、自給自足ノ出來ルマデニ行ケル
モノデアル、斯ウ考ヘテ居ルノデアリマ
ス、當業者カラモ斯ウ云フ請書ヲ取ッテ
居リマス、此關稅ノ稅目ヲ改ムル場合
ニ將來此品目ノ値ヲ上ゲルト云フヤウ
ナコトガアッテハナラヌ、一方ノ關稅率
ニ對シテ反對ノアル方面ノ意見ニ對シ
テ、洵ニ其點モ考慮シナケレバナラヌ
コトデアルカラ、此點ハ篤ト〓究シテ
貰ヒタイト云フコトヲ申シマシタ、其
請書ハ關稅ヲ引上ゲラレテモ將來品物
ニ對スル値ヲ上ゲルヤウナコトハ致サ
ナイ、斯ウ云フ聲明ヲ致サセテ居ルヤ
ウナ譯デアリマス、ソレカラ是ト相俟
テ畜產共同ノ施設奬勵、ソレカラ乳牛
ノ取扱施設ト云フコトニ付キマシテハ、
十五年度豫算ニ於テ前ニ申上ゲタ農村
振興費ノ七十二萬圓ノ中デ此施設ヲシ
テ、以テ酪農ノ方面ノ助成ヲ致サウト
云フ方針ヲ持ッテ居リマスヤウナ譯デ
ゴザイマス、一方ニ尙ホ當業者カラハ
モウ少シ關稅ヲ引上ゲテ貰ヒタイト云
フコトヲ申シテ居ルカ知レマセヌガ、
此點ハ消費方面ノ事モ考ヘナケレバナ
リマセヌ、農林省トシテハ、將來自給自
足ノ出來ルト云フコトニ關スル當業者
ノ確信ト、種々調査ヲ致シマシタ基礎
ニ依テ此稅ヲ定メタ譯デアリマシテ、
愼重ニ審議ヲ致シタ結果デゴザイマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=29
-
030・長田桃藏
○長田委員 モウ一點デ終ラウト思ヒ
マス、五十九ノ鳥卵デアリマス、鳥卵ハ
只今ノ六圓ノ關稅ヲ四圓五十錢ニ値下
スルコトニナッテ居リマシテ、之ニ對ス
ル農林當局ノ自足自給ノ御計畫ハ六年
計畫トシテ發表サレタノデアリマス、
私共モ此六年計畫ハ實行シ得ラレルヤ
ウニ先日農林次官ノ御話ノ通リニ、農
家ノ者ト力ヲ協セテ是非此計畫ヲ滿足
ニ出來ルヤウニ努力シタイト考ヘテ居
ルノデアリマス、此鷄卵自給計畫ノ中
デ左記事項ノ追加ヲ必要トスルト云フ
中ニ四點ゴザイマスガ、其四點ノ終ニ
於テ鷄卵ノ輸入ニ對シ相當ノ關稅ヲ課
シ、外國卵ノ壓迫ニ對シ本邦養鷄ノ健全
ナル發達ヲ擁護スルコトトアル、此項
目ハ私共ハ此第五十九番ヲ審議スル上
ニ於テ考ヘテ居ルコトノ殆ド全部ナノ
デアリマス、此自足自給ノ目的ヲ達成
スルト申シテモ、一六年ノ終リニ於テ一
度ニ達成スルノデハナクテ、一年、二
年、三年、四年ト段々其自足自給ノ度ヲ
接近シテ行ッテ、遂ニ六年ノ終リニ於テ
其自給ノ目的ヲ達成スルコトニナルノ
デアリマスカラ、其間ハ矢張積極的ニ
農林省ノ御計畫ノ通リノ保護ガアリマ
スト同時ニ、消極的ニハ矢張關稅ヲ相
當ニ課シテ、之ニ依テ外卵ノ壓迫ヲ防
グト云フコトハ極メテ大切ナル關稅政
策、極メテ大切ナル保護政策デアラウ
ト私ハ思フノデアリマス、農林省ガ公
ニセラレタ所ノ此觀念ガ、私共ガ先日
來申シマシタ米麥、或ハ大豆、其他ノ農
產物ノ關稅ニ對シテ懷イテ居ル觀念ト
同一ナノデゴザイマス、農林省ハ唯此
養鷄ノ觀念ニ於テノミ相當ノ關稅ヲ課
シテ、外國卵ノ壓迫ヲ防グト云フコト
ヲ仰セラレテ居ルノデアリマスガ、何
故鷄卵ノミニ付テサウ云フ觀念ヲ御懷
キ下スッテ、一步進ンデ本省ノ管轄セラ
レル農產物全部ニ此觀念ヲ御擴ゲニナ
ラナカッタノデアリマスカ、又ソレト同
時ニ相當ノ關稅ヲ課スルト云フコトハ
言フマデモナク、外國卵ノ壓迫ニ對シ
テ對抗シ得ラレル所ノモノデナケレバ
ナラナイ、之ヲ殆ド理屈責メニスレバ
日本ノ鷄卵、ソレノ生產費ト外國卵ノ
生產費ニ、ソレニ運賃ヲ加ヘタ沖値段
ニ對比シテ、其生產費ノ差額ダケノモノ
ヲ此關稅ニ依テ徵收スルト云フコトニ
スレバ、保護ノ目的ヲ完全ニ達シ得ラ
レルト考ヘマス、之ヲ基準トシテ考ヘ
ルト、相當關稅ト云フ所謂數字モ相當
ニ釋明スルコトガ出來ルト考ヘマス、
政府ハ果シテ現在ノ百斤六圓ヲ四圓五
十錢ニ値下スルノガ相當保護ヲ與ヘル
ト云フコトニナリマスカ、之ニ依テ外
卵ノ壓迫ヲ防グコトガ出來ルト御考ニ
ナリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=30
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031・小山松壽
○小山政府委員 鳥卵ハ生活ノ必需品
デアルト云フ見地カラ、大正八年十一月
二十八日ヨリ大正十三年三月十一日迄
免稅サレテアッタノデアリマス、關稅ハ
一厘モ掛ッテ居ラナカッタノデアリマ
ス、此間ニ於テ然ラバ農家養鷄業ノ消
長ハドウ云フ風デアッタカト云フコト
ヲ數字ヲ以テ調ベテ見マスト、關稅ノ
ミノ保護ニ依テ居ルモノデアリマスル
ナラバ、此大正八年カラ十三年ニ至ル
數年間ニ於テ、著シク內地養鷄業ニ脅
威ヲ及シタ事ガ、數字ノ上ニ現ハレテ
來ナケレバナラヌノデアリマスケレド
モ、實際ニ於キマシテハ此關稅ヲ免稅
セラレテ居リマシタ數年ニ亙テ、內地
養鷄業ガソレ程不振ニナッテ居リマセ
ヌ、數字ハ相當ニ其事實ヲ現ハシテ居
リマス若シ數字ノ事ガ必要デアリマ
スレバ、他ノ政府委員ヨリ詳シク御說
明ヲ申上ゲマスガ、是等ノ事情カラ見
マシテ、此關稅ガ復活セラレマシタノ
ハ大正十三年四月一日カラデアリマ
ス、過去ノ事實ト關稅復活後ノ事實ト
相對照シテ見マシテ、現在四圓五十錢
ノ稅率デアリマスルナラバ、私共ハ先
程申上ゲマシタヤウニ我國農家副業ノ
最モ大切ナルモノノ一トシテ見テ居リ
マス所ノ養鷄業ノ飼育ノ方法、及產卵
能率ヲ擧ゲマス所ノ人工的〓究、是等
ノ關係カラ種々考ヘテ見マシテ、現在
ノ御審議ヲ願ッテ居リマス稅率ヲ以テ、
農家ノ養鷄業者ト當局ト協力シテ之
ニ努力致シマスルナラバ、鷄卵ノ自給
ヲスルト云フコトガ餘リ遠キ將來ヲ出
デズシテ、此豫定ガ運ブヤウニナリマ
スナラバ六年ヲ以テ今一千數百萬圓
ノ輸入ニモナラウト云フ此一大事業ヲ
完成スルコトガ出來ルデアラウ、斯ウ
考ヘマシタヤウナ譯デアリマス、只今
申シ上ゲマシタヤウニ免稅セラレテ居
リマシタ數年ト、其事業ノ消長ト、ソレ
カラ復活シテカラノ其事業ノ關係ヲ相
對照シテ見マシテ、私共ハ左樣ニ考ヘ
テ居ル譯デゴザイマス、事實ガ數字ノ
上ニ現ハレタコトヲ基礎ト致シタ譯デ
ゴザリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=31
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032・長田桃藏
○長田委員 一寸伺ヒマス、免稅ハ八
年カラ十三年迄デアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=32
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033・小山松壽
○小山政府委員 大正八年十一月二十
八日カラ大正十三年三月三十一日迄免
稅サレテアッタノデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=33
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034・加藤政之助
○加藤委員長 長田君マダ長クアリマ
スカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=34
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035・長田桃藏
○長田委員 マダ相當アリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=35
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036・加藤政之助
○加藤委員長 ソレデハ午後ニ致シマ
ス、午前ハ是デ休憩致シマス
午後零時六分休憩
午後一時二十九分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=36
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037・加藤政之助
○加藤委員長 是ヨリ關稅定率法中改
正法律案ノ質疑ヲ續ケマス-工藤鐵
男君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=37
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038・工藤鐵男
○工藤委員 私ハ後デ宜シウゴザイマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=38
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039・加藤政之助
○加藤委員長 工藤君後ニシマスカ、
神部爲藏君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=39
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040・神部爲藏
○神部委員 五十三、五十五ニ付テ政
府委員ニ御尋ネ致シタイト思フノデア
リマス、卽チ乳製品ノコトデアリマス、
乳製品、卽チ「バタ」ニ於キマシテモ、練
乳、粉乳ニ於キマシテモ、今日ノ所デハ
最早國產品ヲ以テ十分自給自足ガ出來
ルト思フノデアリマス、ソレニ現今ハ
日本品モ非常ニ品質モ優良デアリマシ
テ、且ツ價格モ廉イノニ拘ラズ、外國輸
入品ガ國產品ヲ壓倒シテ居ル原因ハ
一ツハ先刻長田君ノ質問中ニモアリマ
シタガ、一般需要者ガ舶來品崇拜ノ傳
統的迷信ニモ依ルデアラウト思ヒマス
ケレドモ、一ツニハ又商人ノ利益ガ日
本品ノ方ガ舶來品ヨリ非常ニ利益ガ少
ナイノデアリマス、日本品ハ御承知ノ
通リ四十八入リ一凾、是デ僅カ商人ノ
利益ト云フモノハ二圓位シカナイ、舶
來品ハ其二倍半、殆ド五圓位アルサウ
ニ私共調査致シテ居リマス、是ガ爲ニ
乳製事業ハ非常ナ不振ニ陷ッテ居リマ
シテ、隨テ折角發達致シマシタ畜產モ
頗ル窮境ニ陷ッテ居ルノデアリマス、其
一例ヲ擧ゲテ見マスレバ米國ノ、現在ノ
牛乳ノ價ハ一升ガ十九錢乃至二十錢デ
農民カラ供給致シテ居ルニ拘ラズ、我
國ノ農業ハ、其根本ノ農業組織ガ異ッテ
居ルニモ拘ハリマセズ、米國ノ牛乳ヨ
リモ廉イノデアリマス、其一升ノ價ハ
十五錢乃至十七錢デ供給ヲ致シテ居ル
次第デアリマス、如何ニ我國ノ畜產農
家ガ困ッテ居ルカハ此一事デモ分ルコ
トデアリマス、敢テ之ニ付テハ多言ヲ
要シナイノデゴザイマス、偖事茲ニ至
リマス禍根タル一般消費者ノ舶來品崇
拜ノ迷信ヲ解キマスニモ色〓アリマセ
ウ、〓育ノ普及トカ、或ハ宣傳トカ種
種ノ方法モアルデアリマセウケレド
モ、之ニハ相當ノ歲月ヲ要スルノデア
リマシテ、急ノ間ニハ合ハヌノデゴザ
イマス、寧ロ此際思切ッテ高率ノ關稅ヲ
課シテ、輸入品ヲ妨遏シ、品ノ良イ價ノ
廉イ國產品ヲ消貿者ニ薦メタナラバ、
社會政策上ノ實行トモナリマスシ、又
產業保護ノ政策上ニモナルノデアリマ
ス、實ニ是ハ一擧兩得デアルヤウニ思
フノデアリマスガ、政府ハ之ニ付テノ
御考ハ如何ノ御考ヲ持ッテ居ラレルカ、
之ヲ承リタイ、次ニハ明治四十三年關
稅率制定ノ際ニハ「バタ」ニ於テハ從價
四割デアル、又乳ニ於テハ從價二割
デアッタノデアリマシタガ、爾來物價ハ
非常ニ騰貴ヲ爲シテ居ル結果、今囘ノ
改正率ハ從價ニ依テ見マスレバ、政府
ノ示サレタ此原案ノ如ク「バタ」ハ二割
五分デアル、練乳ハ一割五分デアリマ
スカ、率ニ於テハアベコベニ下ッテ居
ル、四十三年ノ當時ニ四割乃至二割ノ
關稅保護ヲ必要トスルニ對シテ、今日
其率ヲ二割五分乃至一割五分ニ下ゲラ
レタ根據ハ何レノ所ニアルカ、其御考
モ承リタイ、第三ハ「バタ」ノ關稅ニ付
テ伺ヒタイノデアリマスガ、練乳、粉乳
關稅ハ從量稅トシテ從來ヨリ少シ上ッ
テ居ルノデアリマスガ、「バタ」ハ据置
デアルノデアリマシテ、之ヲ從價ニ致
シマスルト、非常ナル低率ニナッテ居ル
ノデアリマス、偖其國產「バタ」ノ生產
原價ハ百二十目一斤ト致シマシテ、一
圓二十錢デアリマス、現在外國品ハ關
稅ヲ加ヘマシテモ一斤、日本へ着シマ
シテ後、其價格ハ一圓二十錢デアルノ
デアリマス、只今ノ所デハ多クハ濠洲
加奈陀方面ヨリ輸入サレテ居ルヤウデ
アリマスガ、是ハ爲替相場ノ復活ト共
ニ外國品ハ漸次廉クナル勘定デアリマ
スカラ、日本生產ノ原價以下ニナルト
思フノデアリマス、殊ニ統計ニハ別段
現ハレテ居リマセヌガ、最近西伯利方
面ヨリ關稅ヲ加ヘマシテモ一圓以下ノ
「パタ」ガポツポツ日本ニモ輸入サルル
ヤウデアリマスガ、斯ウナリマスト、國
產品ノ非常ナル脅威デアル、今ヤ倫敦、
紐育市場デモ此西伯利「バタ」ノ爲ニ一
大脅威ヲ來シテ、歐米各國共ニ自國產
業保護ノ爲ニ種々ノ方法ヲ講ジツツア
ルトノコトデアリマスガ、政府當局ハ
此「バタ」關稅ヲ其儘ニシテ、我國ノ畜
產農業ヲ保護シ得ルト云フ御自信ガア
ルノデアリマセウカ、是等ニ付テノ御
所見ヲ承リタイ、特ニ一言致シタイノ
ハ「バタ」ノ需要デアリマス、此需要ハ
申上ゲルマデモナク、需要者ハ中流以
上ノ階級デアルノデアリマス之ニ反
シマシテ、「バタ」ノ生產業者ハ卽チ小
農デアルノミナラズ、農業振興上最モ
意義アル此地力ヲ肥シテ多量生產ヲ爲
ス農業ノ基礎ヲ作ル遊畜農業者デアル
ノデゴザイマス、故ニ農業政策上ノミ
ナラズ、社會政策ノ見地ヨリ致シマシ
テモ、此「バタ」關稅ノ引上ゲハ當然ナ
リト私共考ヘテ居ルノデアリマス、政
府ハ此點ニ付テ如何ナル御考デアリマ
スカ、以上ノ三點ニ付テ御伺致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=40
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041・小山松壽
○小山政府委員 只今御尋ノ第一ハ
「バター」ノコトデアリマスガ、是ハ我國
デハ明治初年カラ「パター」製造等ガ行
ハレテ居リマス、段々生活ノ關係デ其
需要ヲ增シテ參リマシタガ、歐洲戰爭
等ノ關係上、其消長ハ御承知ノ如ク著
シキモノガアリマスケレドモ、戰後又
其輸入ヲ增シテ參ルト云フヤウナ事デ
アリマシタガ、併ナガラ內地ニ於キマ
シテモ、此供給ハ漸次進ンデ參リマシ
テ、我ガ內地ニ於テハ北海道、東京、千
葉縣、靜岡縣等ガ主ナルモノデアリマ
シテ、外國品ハ大部分加奈陀、濠洲、北
合米衆國等カラ輸入セラレテ居ッタノ
デアリマスガ、近來農林省トシテモ家
畜事業奬勵ヲ致シマシタ結果トシテ、
又一方農家ノ副業或ハ肥料關係ト云フ
ヤウナコトカラ段々助成政策ガ實現ヲ
見ルヤウナ狀態ニナッテ參ッタノデアリ
マス、酪農組合等ニ於テモ產乳利用法
等ニ付テモ段々〓究ガアリマス、北海
道ニ於キマシテハ將來五十萬頭計畫ヲ
樹テテ、其計畫ノ下ニ今進ンデ居ル譯
デアリマス、今御話ノ通リ、此「バター
ノ舶來品ニ對スル所ノ迷信ト申シマス
カ、舶來崇拜ト申シマスカ、洵ニ我國ノ
品質カラ申シマシテモ、相當其聲價ヲ
高メテ居ルニ拘ラズ、御說ノヤウナ狀
態ニアルト云フコトハ、私共甚ダ遺憾
ト思ッテ居ルノデアリマス、本業ニ付キ
マシテハ、農林省ノ試驗場ニ於キマシ
テモ、ソレ〓〓試驗ヲ經マシテ、今日デ
ハ實ニ優良ナルモノガ出來ルヤウニ
ナッテ參ッタ譯デアリマス、併シ一方舶
來品ノ輸入ト、本邦內地ニ於ケル本業
ノ發達ト、兩樣〓究致シテ見マシタ結
果ガ、現關稅ヲ以テ妥當ノモノト認メ
マシテ、之ニ依テ從來助長致シテ參リ
マシタ家畜政策ニ對シテ、非常ナル脅
威ヲ受ケルトハ感ジテ居リマセヌ、今
後尙ホ午前ニ御說明ヲ申上ゲマシタ十
五年度豫算ニ於テ御協賛ヲ願ヒマス所
ノ農村振興費中ノ施設等ニ對シテ御
協力ヲ願ヒマスレバ、相當ノ効果ヲ擧
ゲテ行ケルト思ッテ居ル所デゴザイマ
ス、ソレカラ練乳ノ御尋デアリマシタ
ガ、是ハ私繰返シテ申上ゲマシタヤウ
ナ事情デアリマシテ、一方ニ於テハ强
ク之ニ對シテノ消費者方面ノ主張モア
リマス、併シ先ニモ申シマシタヤウニ
本業ニ對シテノ內地品ガ相當ニ優良ノ
モノデアリマシテ、唯舶來品ノ宣傳等
ノ爲ニ內地品ガ多少壓迫ヲ受ケテ居ル
ト云フヤウナ點ヲ考慮致シマシテ、前
私ガ申上ゲマシタヤウナ次第ヲ以テ、
此程度ヲ以テ妥當ナリト考ヘテ居ルヤ
ウナ次第デアリマス、ドウゾ左樣御承
知ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=41
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042・飯塚春太郎
○飯塚委員 只今御說ヲ聽キマシタ
ガ、例ヘバ同業者ノ言フ所ニシマスト
云フト、日本ノ牛乳ト舶來ノモノデハ
品質ガ劣ラナイ、而シテ實際ニ於テハ
今囘ノ八圓幾ラ上ゲテモマダ足リナイ
ト云フヤウナコトヲ頻ニ言ウテ居リマ
ス、サウシテ舶來品ト云フモノハ現ニ
値ガ高ク商ハレル、例へバ舶來ノモノ
ハ五十錢デアル、日本ノモノハ四十錢
デアル、ソレデモ尙ホ舶來ガ賣レルノ
デアルト云フコトハ事實デアリマシ
テ、サウシテ今申サレル通リ舶來品ト
云フモノヲ國民ガ高クテモ使フト云フ
コトハ、少シ迷信ニ屬シテ居ルト云フ
ヤウナコトヲ言ヒマスガ、如何ニ迷信
デモ何デモ此品ハ高クテモ賣レル物
ガ高クテモ仕方ナイト云フコトニ委シ
テ置クト云フトハ、其產業ト云フモノ
ハドウシテモ私ハ保護ハ出來ナイト思
フ、故ニ其果シテ迷信ダカ迷信デナイ
カト云フコトハ非常ニ疑問ダト思フ、
迷信ナラバ是ハ仕方アリマセヌガ、私
ハ迷信デナイト思フ、ソレデ實ハ初ノ
時ニ此價格ノ保護稅ヲ盛ル時ニ、所謂
或品物ヲ保護スル時ニハ、例ヘバ沖着
値段ト云フモノヲ標準トシテ、二割五
分ヲ掛ケレバ、其產業ガ保護出來ルカ、
或ハ三割五分掛ケレバ保護出來ルカ、
所謂保護出來ルカ出來ナイカト云フコ
トハ外國ノ品ト日本ノ品物ガ、或市場
ニ於テ正當ノ競爭ニ堪エ得ルダケノ保
護ヲシナケレバナラヌ、其保護稅ト云
フモノヲ盛ル基礎ハ沖着値段デモ宜イ
ケレドモ、二割五分ニスルカ、三割五分
ニスルカト云フ所ハ、所謂市場ニ於テ
日本ノ品ト外國品ト正當ニ競爭出來ル
マデ盛ラナケレバ、本當ノ保護ハ出來
ナイ筈デアル、若シ正當ニ保護出來得
ルト云フマデ盛ッテ保護シヤウト云フ
考デアルナラバ、其點ト云フモノハ、小
賣相場ト云フ所ニ置イテ、向フノ品ト
日本ノ品ト競爭出來ルマデ保護シナケ
レバ、保護ノ目的ハ達セラレナイ、然ル
ニドウモ此保護ヲ盛ル所ハ、ドウシテ
モ前ニ言フ通リ、沖着値段ト日本ノ品
ノ工場ヲ出ル其間ニ於テ、其等差ノ點
ダケヲ保護金トシテ盛ッタト云フコト
ガ今日迄ノ保護ノ盛リ方ダト云フコト
ヲ大藏大臣カラモ亦當局カラモ御說
明デアリマスケレドモ、私ハサウヂヤ
ナイ、ドウシテモ小賣相場ノ點ニ於テ、
ソコデ盛ラナケレバナラヌ、斯ウ云フ
私ハ主張デアリマスガ、此牛乳ノ如キ
ハ一例デアリマス、現ニ沖着値段カラ
シマスルト云フト、恐ラク外國ノ沖着
値段ト、ソレカラ日本ノ牛乳製造者ノ
間ノ其等差ト云フモノガ、百斤ニ付テ
八圓幾ラト云フモノヲ盛ラシタ、其等
差ト云フモノガ丁度平均シテ保護出來
ルト必ズ當局ノ方ハ思ッテ、八圓幾ラト
サシタニ相違アルマイ、ソレデ略十分
ナリト認メラレタノデアラウト思フ、
然ルニ實際ニナルト賣値ガ賣所へ行ク
ト日本ノ品物ハ小賣ヘ行クト二圓ニナ
ルガ、彼ハ五圓ニナル、斯ウ云フ販賣値
段ニ於テ大變等差ガアリマス、日本ノ
品物ヲ賣ルト販賣費ガ二圓デス、外國
ノ品ハ五圓デ賣レル、斯ウ云フ等差ガ
アリマスカラ、商人ハドウ云フコトヲ
言フカト云フト、品物ハドウデモ儲カ
ルモノヲ賣レバ宜イト言フ、片方ハ二
圓ダカラ二圓ノ廣〓費ヲ使ッテモマダ
一圓儲カル、斯ウ云フコトデアリマス、
噓デモ何デモ外國ノ品ガ滋養ガアルト
カ何トカ色ンナコトヲ言ッテ宣傳シテ
居ルノデアリマス、日本人ハ迷信デハ
ナイ、消費者ハ知識ガ少イカラ、唯此品
ガ能ク利クト云ヘバ其品物ガ良イト
思ッテ、外國品ダカラ良イノデハナクシ
テ、宣傳ニ乘ッテ斯ウ思フノデアル、故ニ
宣傳費ヲ澤山使フト云フヤウナコト
ハ、結局其品物ガ澤山儲カルカラ、其儲
カルカラ賣レルコトニナル、其故ニ沖
着値段ト工場ヲ出ル所ニ於テハ平等ニ
競爭ノ出來ル、詰リ八圓幾ラト云フモ
ノデ競爭ガ出來ルモノデモ、日本ノ牛
乳ト云フモノガ販賣費ト云フモノヲ二
圓シカ使ヘナイ、外國ノモノハ五圓使
ヘルト云フコトデアルナラバ、ソコデ
三圓ノ差ガアリマス、其宣傳費ニ依テ
常ニ日本ノ品物ガ賣レナクテ、外國ノ
品物ガ賣レルト云フナラバ、政府當局
者ガ日本ノ畜產業ヲ保護スル爲ニ八圓
デ保護十分ナリト認メテモ、事實ニ於
テハ外國品ガドン〓〓賣レテ、日本ノ
牛乳ガ賣レナケレバ保護ノ目的ハ達セ
ラレナイト云スコトニナル、是ハ事實
デ多クノ舶來品ト云フモノハサウ云フ
風デアリマス、是ハドウ云フ事ダト云フ
ト、全ク日本ノ畜產業ト外國ノ-亞米
利加ノ鷲甲ノ牛乳ト云フモノノ比較ガ
ソレダケ向フノ方ガ進步シテ居ル、今
マデ大藏省デハ生產費バカリニ付テ產
業ノ何レガ進步シテ居ルカヲ比較シマ
スケレドモ、今日ノ產業ト云フモノハ
生產費ト販賣費ト、ソレカラ儲ケ、是ダ
ケノモノニ依リマストシマスト、ドウ
シテモ生產費ト云フモノハ段々ト減リ
マスケレドモ、販賣費ト云フモノハ殖
エテ行クヤウナ傾ニナッテ居リマスカ
ラ、其產業ガ何レガ進步シテ居ルカト
云ヘバ、其販賣費ト云フモノヲ澤山使
フコトガ出來レバ、詰リ其產業ハ進步
シテ居ル產業デアル販賣費ノ方ニ五圓
使ヘルダケノ產業ト、販賣費ノ方ニ二
圓シカ使フコトノ出來ナイ產業ヲ比較
シタラ、矢張販賣費ニ五圓使フ所ノ產
業ガ進步シテ居ル產業デアル、此產業
ト對抗スルノニハ、矢張生產費ノ差額
ヲ見ルト同時ニ、販賣費ノ差額ヲ見テ、
向フデハ五圓使ヒ、此方デハ二圓使フ
ト云フナラバ-二圓二圓ノ差ガアル
ナラバ、販賣費ノ三圓ト云フモノモ矢
張競爭費ト見テ日本ノ產業ガソレダ
ケ劣ッテ居ルモノト見テ、是ダケ關稅ヲ
掛ケナケレバ、共産業ト云フモノガ正
當ナル競爭ガ出來ナイ理窟ニナル、デ
牛乳ノ如キハ其例ダト私ハ思フ、大藏
省ハ從來關稅ノ保護金ヲ盛ル標準ガ、
此生產費ト云フモノノ差額ダケヲ保護
スレバ十分ナリト見タケレドモ、今日
ハ生產費バカリデハナイ、販賣費ニ於
テモ、今日彼方ガ非常ニ進步シテ餘計
販賣費ヲ用フルコトガ出來ルナラバ、
我國ノ販賣費ト向フノ販賣費ノ差ダケ
ハ保護金ニ入レナケレバ十分ノ保護ト
云フモノハ出來ナイト云フノガ、此牛乳
ニ於テ明ニ分ル事デアル、何トナレバ、
此亞米利加ノ鷲印ノヤウナモノハ、大
藏省ノ見積リ、農林省ノ見積リデハ八
圓何十錢ト云フ保護金デ十分ノ保護ガ
出來ル、競爭ガ出來ルト見タケレドモ、
事實ニ於テ販賣費ト云フモノハ向フデ
ハ五圓出セルカラ、市中ニ於テ日本ノ
モノヨリカ販賣費ニ於テ勝ツカラ、常ニ
高クモ賣レルト云フコトニナラウト思
フ、デ今言フ通リ高クモ賣レルト云フ
コトハドウ云フコトダト言フト、決シ
テ迷信デハアリマセヌ、舶來品ヲ皆希
望スルト云フコトハ、日本國民ノ迷信
デハアリマセヌ、此販賣費ヲ澤山使フ、
其宣傳ガ上手デアル、宣傳ガ上手デア
ルカラシテ宣傅ニ乘ルカラ、日本國民
ガ舶來品ヲ使フノデアル、其宣傳費ト
云フモノヲ能ク考ヘテ、一ツノ進步シ
タ產業ナラバ宣傳費ヲ使ヘルカラ、ソ
レモ尙ホ競爭費ト見テ考慮シテ、其生
產費ノ差ト販賣費ノ差トヲ見テ保護關
稅ヲ盛ラナイト、何時モ斯ウ云フ例ガ
出ルト私ハ思フ、此「コンデンス、ミル
ク」ノ如キハ事實外國ノ品ハ一罐五十
錢、日本ノ品ハ一罐四十錢デモ賣レヌ
ト云フコトデハ、是ハ八圓三十錢ニシ
テモ尙ホサウ云フ差ハ出ルト私ハ思フ
ノデス、是ハ迷信デハナクシテ、確ニ八
圓三十錢デハ日本ノ牛乳ト外國牛乳ト
ノ正當ノ競爭ハ出來ナイト私ハ考ヘ
ル、デスカラ今度ノ八圓三十錢ト云フ
モノヲ積ッタノデ、果シテ日本ノ事情ニ
於テ日本ノ牛乳ト外國ノ牛乳ト競爭ニ
堪ヘルト云フ計算ヲ一ツ示シテ戴キタ
イト思フ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=42
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043・小山松壽
○小山政府委員 段々御說ヲ承リマシ
タガ、是ハ一方國民保健ノ上カラ見、餘
程是ハ重要ノ事デアリマシタカラ、始
終〓究致シマシタ、而シテ農家ニ於テ
ハ其事業ノ關係上、其組合等ノ希望モ
アリマス、種々〓究致シタ譯デアリマ
スガ、工場ハ今日ハ北海道ニ四ツ、千葉
縣ニ五ツ、東京ニ一ツ、靜岡縣ニ五ツ、
兵庫縣ニ二ツ、岡山縣ニ二ツ、石川、佐
賀、富山、愛知、總テデ工場ハ二十三ア
リマス、而シテ此主ナ會社ハ十一バカ
リアリマスガ、只今段々ノ御說デアリ
マシタケレドモ、此舶來品崇拜ノ弊風
ト云フコトデアリマシタガ、元來申ス
ト、只今練乳ノコトヲ御引キニナリマ
シタガ、內地ノ當業者ガ不心得デアル、
ドウ云フ譯デアルカト云フト、其一例
ヲ申スト商標ヲ澤山持ッテ居リマス、卽
チ「マーク」ヲ澤山持ッテ居リマス、サウ
シテ一ツノ會社デ甲ノ「マーク」ヲ貼
リ、乙ノ「マーク」ヲ貼リ、丙ノ「マーク」
ヲ貼リ、サウシテ市場ヘ出シテ自ラ自
分ノ仕事ヲ輕ンズルヤウナ實跡ガアル
ノデアリマス、ソレデ品質ハ外國品ヨ
リモ遙ニ優良デアッテ、確ニ國民衞生保
健ノ上カラ見テモ、滋養分モ多クシテ、
何ガ爲ニ外國品ノ脅威ヲ受ケルカト云
フト、自分ノ遣方ニ於テ顧ミル所ガナ
ケレバナラヌト私ハ考ヘル、此事ニ付
テハ當業者ニ對シテ深ク其自省ヲ農林
省ハ促シテ居ル譯デアル、外國カラ來ル
品物ハ御承知ノ如ク一定ノ商標ニ依テ、
サウシテ統一アル販賣政策ヲ執ッテ、ソレニ
多額ノ宣傳費ヲ使ッテ、サウシテ我國ノ弊
風デアル舶來品嵩拜ト云フヤウナ點ニ
付ケ込ンデ、自分ノ品物ヲ賣ラウト
致シテ居ル、元來申スト我國ノ販賣組
織ノ上カラ申スト、大局ニ眼ヲ着ケル
コトナクシテ、唯目前ノ利ニ追ハレル
ト云フコトハ私共モサウ云フコトハ所
所ニ見聞シテ居ル、モウ少シ國家產業
ノ大局カラ見テ、サウシテ此國家產業
ノ將來ノ見地カラモ考くら、當業者ガ
自醒シテ、自覺シテ、以テ共同シ、協力
シテヤルト云フコトニナラナケレバナ
ラヌ、今日是ダケノ關稅ノ率ヲ盛リマ
シテ、サウシテ一方ニハ相當ニ强キ反
對ノ主張アルニ拘ラズ吾〓ガ此事業ノ
發達ヲ將來ノ爲ニ-自給自足ノ出來
ルト云フ將來ノ爲ニ此產業ノ保護ヲシ
ヤウト云フノデアル、之ニ對シテハ段
段ノ御說ガアリマシタケレドモ、此事
ニ對シテハ確ニ當業者ニ私ハ一段ノ自
覺ヲ促サナケレバナラヌト思フ、多數
ノ商標ヲ以テ-十一ノ會社ガ數十ニ
餘ル商標ヲ以テ彼方ヘ行ッタリ此方ヘ
行ッタリ、非常ニ右視左眄シテドノ商標
デ賣ラウカト云フヤウナコトデハイカ
ヌト思フ、此事ニ付テハ御協賛ヲ得マ
シテハ此法律ガ發布スルコトニナリマ
ス以上ハ、農林當局ト致シマシテハ當
業者ヲ集メテ深ク其自醒ヲ促シ、國家
產業ノ爲ニ一段協力シテヤルヤウニト
云フ覺醒ヲ促ス決心デ居ルノデアリマ
ス、ドウゾ其意ノアル所ヲ御諒承ヲ願
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=43
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044・飯塚春太郎
○飯塚委員 只今農林省ノ意見ノアル
所ヲ聽キマシテ非常ニ安心致シマス、
當業者ハ何時ニナッテモ足ラナイ足ラ
ナイト言ッテ居リマス、又當局ノ言ヒマ
ス所ハ是デ十分ナリト唱ヘテ居ル、是
ハドッチモ間違ッテ居ルト私ハ考ヘテ居
リマス、甲ノ產業ト乙ノ產業ガ-外
國ノ產業ト日本ノ產業ガドッチガ進ン
デ居ルカト云フコトヲ見ルノニハ-
其生產費ヲ成ベク少クスル、生產費ヲ成
ベク少ナクスル方ガ產業ガ進ンデ居
ル、卽チ外國ノ產業ガ進ンデ居リマシ
テ、日本ノ產業ハ遲レテ居リマス、其差
額ダケハ保護關稅デ以テ日本ノ產業ヲ
保護シヤウト云フコトヨリ仕方ガナ
イ、彼等ハ如何ナル方法ニ依テモー
販賣費ヲ五圓使ッテモ、尙ホ利益アルダ
ケニ產業ガ進步シテ居ル、日本ハ今言
フ通リ二圓シカ使ヘナイト云フコトハ
ドウ云フコトカト云フト結局同士討
ト云フヤウナコトヲヤッテ居ルカラ、產
業ガ實際ニ進ンデ居ラヌ、其進マナイ
日本ノ產業ニ於テハ、生產費ニ於テモ
尙ホ八圓ダケノモノヲ保護セラレナケ
レバ外國ト競爭ガ出來ナイ、販賣費ニ
於テモ向フハ五圓使フ、此方ハ二圓シ
カ使ヘナイト云フト、產業ハソレダケ
進步シテ居ナイコトニナル、產業ガ進
步スル迄ハ保護ト云フモノハ無論ヤラ
ナケレバナラヌ、產業ガ進步シテ居ナ
イカラ其進步シナイ所ノモノニ保護ス
ルト云フコトニナレバ、生產費ノ彼ニ
及バナイ所ヲ保護シ、販賣ニ於テ及バザ
ル所ヲ保護シテヤウナケレバナラヌコ
トハ極ッテ居ル、併ナガラ今農林省ノ當
局ノ言ハレル通リ、生產費ニ於テハ八
圓幾ラト云フ保護ハ十分デアル破
五圓ノ販賣費ヲ使ヒ、日本ハ二圓シカ
使ヘナイト云フナラバ、向フノ方ガ多
ク賣レルト云フコトニナル、之ヲ十分
ニ保護シヤウトスルナラバ、消費者ノ
點カラ云ッテモ是デハ產業ハ十分ニ保
護出來ナイ、ドウシテモ將來十分ニ保
護シテヤラナケレバナラヌマダ足ラ
ナイ足ラナイト言フテ居ルナラバ、產
業ノ進步ト云フモノハシナイノデアル
カラ、只今農林省當局ノ言ハレル通リ、
此點ニ於テ尙ホ一段當業者ニ向ッテ保
護ヲ加ヘテ、其販賣ノ組織ノ改善ヲ爲
シ、而シテ彼ガ五圓販賣費ニ金ヲ使ッテ
居レバ、日本モ尙ホ五圓、六圓ノ販賣費
ヲ使ッテ、サウシテ外國ト競爭スルダケ
ニ協力一致シテヤレト云フコトヲ當業
者ニ向ッテ勸說スルト同時ニ、之ヲ勸〓
スル積リデアルト云フコトニ付テハ、
私ハ大ニ意ヲ强フ致シマス、併シ獨リ
牛乳バカリデナク、總テノ製造工業ト
云フモノハ販賣ノ組織、生產ノ組織方
法ガ非常ニ不備デアル、言ヒ換ヘテ見
レバ協同一致シナイ、皆同士討ヲシテ
居ルヤウナ狀態デアリマシテ、之ヲ保
護スルコトニ對シテ、方法ガイケナイ
ト云フト、消費者ニモ影響スルノデア
ルカラ、或ル程度迄保護ガ出來タナラ
バ販賣ノ統一、販賣ノ改良ノコトニ付
テ、總テノ生產業ニ付テ一ツ御努力ア
ランコトヲ希服致シテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=44
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045・黒田英雄
○黑田政府委員 只今ノ御話ニ付テ一
寸申上ゲテ置キマス、生產費ト關稅トノ
關係ニ付キマシテ色〓御述べニナリマ
シタガ、御說洵ニ御尤ト考ヘルノデア
リマスガ、唯生產費ト申シテ居リマス
モノニ付テ吾ミガ考ヘテ居リマスル所
モ、多少同ジヤウナ趣旨ニアルノデア
リマスガ、其點ハ若シ誤解ガアリマシ
テハイケマセヌノデ、一應申上ゲタイ
ト思ヒマス、過日大藏大臣ガ說明致シ
マシタ際ニモ、沖着ノ價格ト工場ヲ出
ル價額トヲ比較シテ御說明ニナッタノ
デアリマス、工場ヲ出ル價格ト云フコ
トヲ申シマスノト、普通ノ生產費ト申
シテ居リマスノトハ、多少其間ニ嚴格
ニ申シマスト云フト區別ガアラウト
思フ、或ル品物ヲ拵ヘマスノニ原料ガ
幾ラ、加工費ガ幾ラ、ソレニ對シテ製造
ノ利益ガ幾ラ、ソレヲ以テ生產費ト云
フコトニ致シマスト云フト、工場ヲ出
ル價格ト云フモノハ必シモ其價格トハ
同ジデナカラウト思フ、市場ニ於キマ
シテ相當ナル競爭ヲ致シマス上ニ於テ
ハ、或ル飯塜サンノ御話ノヤウニ販賣
費ノ要ルコトモアリ廣〓費ノ要ルコト
モアリマセウ相當ナ費用トシテ色〓必
要ナ費用ガアラウト思フ、小賣ニ對シ
マスル儲ケトカト云フ風ナモノモ勿論
アルノデアリマスカラ、市場ニ於テ相
當ナ競爭ヲ爲シ得ルヤウニ、工場カラ
相當ナ價格デ出シテヤリマセヌケレ
バ、外國品トノ競爭ト云フモノハ對等
ニ出來ナイノデアリマス、ソコデ若シ
販賣費ガ陸揚カラ五圓掛ルト云フコト
ガ假ニ相當ナル經費ト致シマスレバ、
サウスルト云フト內地ノ品物ヲ出シマ
スニシテモ、矢張其レ相當ナル五圓ト
云フ價格ヲ販賣者ニ利用サセナケレ
バ、外國トノ競爭ハ出來ナイト云フコ
トハ勿論デアラウト思ヒマスカラ、ソ
レガ出來ルヤウニ工場ヲ出ル時ニ價格
ヲ安ク賣ラナケレバナラヌ、何故カト
云フト外國ノ生產費ト云フモノガ假ニ
百圓掛ッタ、併シ百圓デ賣ッテハ市場ニ
於テ販賣シマス上ニ於テ儲ケガ販賣者
ニ無イト云フコトニナルガ故ニ、百圓
掛ッタモノデモ或ハ九十五圓ナリ、或ハ
九十七圓デ元デ買ッテ賣ラナケレバ賣
レナイト云フコトニナル、サウナッテ來
レバ其工場カラ出マス價格ガ九十五圓
デ出ナケレバ外國品トノ競爭ガ出來ナ
イ、ト云フコトニナリマスカラ、其九十
五圓ト云フモノハ工場カラ出ル價格ト
シテ吾〓ハ見ルノデアリマス、デ言ヒ
換ヘマスレバ飯塜サンガ先程色〓御述
ニナリマシタヤウニ、販賣費ト云フモ
ノガソコニ見ラレナクテハナラヌト云
フコトモ言ヒ得ルト考ヘルノデアリマ
ス、卽チ工場ヲ出ル價格トモノトハ所
謂生產費-狹イ意味ノ生產費トハ必
シモ一致シテ居ラヌト考ヘテ居リマス
カラ、左樣御承知ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=45
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046・長田桃藏
○長田委員 午前ノ續ヲモウ一度願ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=46
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047・加藤政之助
○加藤委員長 宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=47
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048・長田桃藏
○長田委員 第五十九條ノ鳥卵ノ問題
デアリマス、大正八年十一月カラ十三
年三月マデ鳥卵ガ無稅デアッタ、鷄卵ガ
無稅デアッタト云フ御說明ヲ伺ヒマ
シタガ、サウシマスト、大正十四年度
ノ鷄卵ノ輸入狀況ハドウデアッタカト
云フコトヲ參考ニ伺ッテ置キタイト思
ヒマス、更ニ進ンデ六圓ト云フ從來ノ
稅率ヲ四圓五十錢ニ短縮サレタ、卽チ
一圓五十錢減額サレタ其其準トナル點
ヲ御示シヲ願ヒタイノデス、鷄卵ノ問
題ハ私共ヨリ愛知縣ニ選擧區ヲ有セラ
ルル、小山次官ニ在ラセラレテハ、特ニ
本問題ニハ通曉シテ御居ノ事デアリマ
ス、如何ナルガ故ニ他ノ府縣ノソレヨ
リモ愛知縣ガ鷄卵ノ產出ニ秀デテ居ル
カト云フコトハソレハ私ガ申スマデ
モナク、經濟飼料ガ此縣ニハ富ンデ居
ル結果ニ外ナラヌト思フノデアリマ
ス、丁度自給計畫ノ第二ノ中ニ養鷄飼
育ノ普及及向上、經濟飼料ノ〓究及利
用、飼養法、其他養鷄技術ノ〓究トアリ
マスガ、逐一御尤ト考ヘマス、此中デ特
ニ鷄卵ノ生產費ニ重大ナル部分ヲ占メ
テ居ルノハ所謂經濟飼料ノ點デアリマ
ス、其點ヲ十分ニ講究シテ、各府縣ガ普
遍的ニ得ラルル最モ經濟上廉價ナル飼
料ガ得ラルルナラバ、最早其以上ハ町
村農會ノ技術員ニ任シテ置イテモ、其
地力ニ適當セル種類ノ養鷄ヲシテ、只
今農林省ノ御希望ニ副フ働ヲ現ハスコ
トハ容易ナ事ト考ヘルノデアリマス、
唯農村ノ副業トシテ殆ド他ノ製造工業
家ガ侵スコトノ出來ナイ唯一ノ副業ト
シテノ養鷄業ガ、ドウ云フ風ニシテ普
遍的ノ最モ廉價ナル養鷄飼料ヲ得ルコ
トガ出來ルカト云フコトガ、所謂農村
副業トシテ困難ナ點デアリマス、此飼
料ガ普遍的ナ農家カラ集マル鷄卵ハ殆
ド生產費ガ同一、ナルト思フノデアリマ
ス、私共モ亦力メテ農村ニ養鷄ヲ勸メ
テ居ル者デアリマスガ、何時デモ飼料
ニ困難ヲ感ジテ居ルノデアリマス、其
點ハ農林省ニ於カレマシテモ御〓究ノ
一端ヲ御漏ラシ下サルコトガ出來ルダ
ラウト思ヒマス、此經濟飼料ガドウ云
フ程度ノ御〓究ガアルカ、露骨ニ申セ
バ其縣附近ヨリ集ル所ノアノ蛙、アレ
ヲ飼料トシテ飼フテ行ク、非常ニ蛙ノ發
達ノ盛ナ所デアリマスレバ、アノ廉イ
飼料ノ下ニハ非常ニ滋養分ニ富ンダ鷄
卵ヲ產出スルコトガ出來ルノデアリマ
スカ、山奧ニ參リマスト左樣ニ旨クハ
參ラナイト云フノデアリマス、此點ニ
對シテ所謂養鷄上最モ經濟的ナル點ト
シテノ經濟飼料ト云フモノノ〓究ヲ御
發表下サルコトガ出來レバ最モ仕合
セト思ヒマス、ソレカラ今一ツハ支那
卵、殊ニ多クノ場合ニ上海卵ガ引用サレ
マスガ、是ハ生活必需品デアルト云フ御
考ガアルノデハナイカト思フノデアリ
マス、此點ハ御示シニナリマシタ「輸入
卵消費狀況」ト云フモノノ中ニ明示サ
レテ居リマス通リ、上海卵ハ其形狀大
ナルモノデアッテ、中ニハ一見內地產ト
大差ナキモノニシテ、內地產ト混同サ
レルモノガアル、近時天津物、靑島物ニ
至リテハ茹玉子ノ如キ單ニ廉價ナルヲ
以テ需要サレルト云フ狀況デアルト、
此御示シニナッタヤウニ卵ノ消費ノ狀
況カラ見マシテモ、私ハ之ヲ以テ生活
ノ必需品トハ認メルコトガ出來ナイト
思フノデアリマス、街頭ノ茹玉子ヲ今
日日本人ノ生活必需品ト解釋スルコト
ハ、私ハ不穩當デアルト考ヘル、ノミナ
ラズ御示シニナッテ居リマスヤウニ、實
際上海卵ノ多クノ部分ガ消費サレルノ
ハ菓子デアリマス、菓子モ私共ハ今日
日本人ノ生活必一需品トハ思ッテ居リマ
セヌ、最モ此上海卵ガ多ク使用サレル
ノハ「カステーラ」デハアリマセヌカ、
其他「スポンヂケーキ」等ニ類シタ菓子
ガサウデアッテ、成程上流階級ノ子供ナ
ドハ〓ベテ居リマスケレドモ、多クハ
舌皷ヲ鳴ラシテ上海卵ノ腐敗シタノヲ
頂戴シテ居リマス、斯樣ナ卵ヲ吾ミガ
攝取スルコトハ衞生上不穩當デアル、
斯樣ナモノハ私共ハ輸入スルコトヲ罰
スルノガ適切デアルカノ如クニマデ考
ヘル、甚シキハ、或商人ガ申スニハ所
謂毀レ卵ト稱スルモノヲ「ブリキ」ノ罐
ニ入レテ參リマシテ、内地ニ到着シテ
蓋ヲ開ケルト一種ノ臭氣ガ發シテ居ル
ト云フデハアリマセヌカ、是ガ卷燒ノ
中ニ這入ッタリ、或ハ饂飩屋ノ玉子トジ
ノ一部分ニ混ッテ居ル、サウシテソレニ
舌皷ヲ打ッテ居ルト云フ、驚クデハアリ
マセヌカ、斯樣ナモノハ害物ノ輸入ト
シテ取締ル必要ガアルカモ知レヌ、ソ
レヲ如何ニモ生活必需品デアルカノ如
ク待遇シテ、輸入ヲ盛ニスルト云フ方
針ハ、私ハ國民衛生上カラ見テモ前後
矛盾デハナイカト思フノデアリマス、
況ヤソレガ農村ノ副業トシテノ內地ノ
鷄卵ト代價ヲ市中ニ爭フニ至ッテハ、洵
ニ許スベカラザル次第デアルト思ヒマ
ス、各農村ニ於テ奬勵シテ居リマス所
ノ卵ハ、大〓其村デ相當品種ヲ改良ス
ル、一年乃至一年半掛ッテ一定ノ品種ニ
改良シテ、毎朝其卵ヲ集メマシテ之ヲ
箱詰トシテ、其販賣組合ヲ造ッテ居リマ
スル所ノ組合カラ、京都市中大阪市中
ト云フヤウナ市場ニ出スサウデアリマ
スガ、其市場ニ出サレタ時ニ、十トカ二
十トカ云ッテ小口デ賣レルモノハ、地玉
トシテ最モ曾敬サレテ販賣サレマスケ
レドモ、纒メタモノハ矢張斤賣デアリ
マシテ、ソレガ問屋へ出ストキニハ上
海卵モ天津靑島ノ卵モ同ジニ取扱ハレ
テ、内地ノ卵ハ相場ガ叩カレルノデア
リマス、詰リ輸入サレル卵ガ內地ノ卵
ヲ壓迫スルト云フコトガ生ジテ來ルノ
デアリマス、若シ是ガ共同販賣ノ狀況
ガ發達シテ參ッテ、內地ノ卵ガ全然輸入
卵ト性質ヲ異ニシテ、全部地卵トシテ
特別ノ販賣狀態ノ方ニ廻ルコトノ出來
ル組織ニナリマシタナラバ、今日ノ不
都合ヲ防グコトガ出來得ルト考ヘマス
ケレドモ、ドウシテモ販賣ノ幹旋ノ狀
態ガ今日ハ理想的ニ出來テ居リマセヌ
カラ、問屋ノ方ニ廻シテ參ルト其場合
ハドウシテモ輸入卵ノ爲ニ壓迫セラレ
ルノデアリマス、故ニ今日六年計畫デ
御示シニナリマシタモノヲ拜見致シマ
シテモ、ドウシテモ御示シノ如ク關稅
ノ力ニ依テ外卵ノ輸入壓迫ニ對シテ是
ガ防禦ノ方法ヲ講ズルト云フコトハ
極メテ適當ナルコトデアルト私ハ信ジテ
居ルノデゴザイマス、斯樣ナ狀態ニナ
ツテ居リマスノデ、最モ見易クテ他ニ
奪フコトノ出來ナイ副業ノ奬勵ニモ相
成ルノデアリマスカラシテ、切メテハ
從前通リ六圓ニ据置ヲサルル云フコト
ガ、適當デハナカラウカト云フヤウナ
感想ガ必然ニ浮ンデ參ルノデアリマス
ガ、何ガ故ニ政府ハ六圓ノ据置ヲ四圓
五十錢ニマデ引下ゲテ、前來申上ゲマ
スヤウナ不都合ナ外卵ノ輸入ヲ御奬勵
ニナルノデアリマスカ、此點ニ關スル
御說明ヲ伺ッテ置キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=48
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049・小山松壽
○小山政府委員 第一ノ御尋ハ農家ノ
副業トシテ養鷄業ニ對スル種々ノ施設
ニ付テドウ云フコトヲシテ居ルカト云
フ御尋ノヤウデアリマス、是ハ農林省
ノ千葉縣試驗場ニ於テ卵鳥、肉鳥若ク
ハ卵肉兩用ノ各種ノ各外國ノ鷄ヲ集メ
マシテ、サウシテ此試驗ヲ致シテ居ル
譯デアリマス、一例トシテ御引キニナ
リマシタ、愛知縣ノ鷄ノ如キモ矢張其
試驗鷄ノ一種デアリマシテ、俗ニ名古
屋「コーチン」ト申スノガソレデアリマ
ス、又其飼料ニ付テ所謂經濟的飼料ニ
付キマシテモ色ミナ方面カラ〓究ヲ致
シテ居リマス、若シ御必要ガアリマス
レバ其方ノ技師カラ特ニ御說明申上ゲ
ルヤウニ致シテモ宜シウゴザイマス
ガ、大體ハ今申上ゲマスルヤウナ試驗
ヲシテ居ル譯デアリマス、而モ此生卵
ノ能力ヲ上ゲルニ付キマシテハ、色〓
ナ試驗ヲ致シテ居リマスガ、先日平均
百一個ト申上ゲマシタ、其百一個ニ更
ニ數個ヲ加ヘレバ斯樣〓〓ナルト云フ
數字ノ基礎モ申上ゲタノデアリマス
ガ、近來生卵能率ヲ上ゲルニ付キマシ
テ電氣ヲ利用致シテ、サウシテ其能率
ヲ上ゲルト云フヤウナ方法モ〓究シテ
居リマス、而モ其〓究ノ結果ハ相當ナ
成績ヲ擧ゲテ居ルノデアリマス、要ス
ルニ愛知縣ニ於ケル養鷄業ノ盛ニナッ
テ參ルト云フコトモ、是ハ一面ニ於テ
ハ人工孵化等ノ技術モ進步シ、二一五、
於テハ卵カラ生レマシタ雛ノ雌雄ノ〓
究ト云フヤウナモノモ、此頃ハ殆ド百
發百中スルト云フヤウナ〓究モ出來テ
來、尙ホ牝鷄ト牡鶏トノ其關係、ソレカ
ラ飼育ニ對スル所要ノ面積一坪ニ付テ
何羽ト云フヤウナ〓究等ヲ始終致シテ
居ルヤウデアリマスガ、期スル所ハ從來
區々デアリマシタ農家ノ副業トシテ取
扱ッテ居リマス所ノ卵ヲ、之ヲ集メマシ
テサウシテ消費地へ送リ出ス、其間ノ共
同販賣斡旋ト云フヤウナコトガ甚ダ區
區不統一デアリマシタモノガ、漸次農
林省當局ノ指導ニ依リマシテ其統一ガ
付テ參リ、更ニ是ハデス、丁度陶器ノ荷
造リト同樣ニ關係デ隨分荷造ニ付テ
モソレゾレ非常ナ〓究ヲ致シテ居ルヤ
ウデアリマシテ、卵ヲ縱ニ入レタ場合
ニドレダケノ損ガ出ル、橫ニ入レタ場
合ニドレダケノ損ガ出ル、碎ヶ卵-
サウ云フヤウナ、其輸送ノ途中ニ於テ
全ク失ハレテシマヒマス所ノ損ヲ、成
ベク其率ヲ少クスルト云フヤウナ〓究
モ、此市中ニ出マスル時ノ時價ニ關係
ガアリマスヤウナ譯デアリマシテ、此
事ニ付テハ十四年度豫算デ御協賛ヲ得
マシタ農村振興費ノ中ニ、施設奬勵補
助ヲ致ス所ノ費用ノ御協賛モ得テ居リ
マスノデ、ソレ等ノ趣旨デ農林省當局
ハ折角此指導奬勵ヲ致シテ居リ、續イ
テ今年度ノ豫算ニモ亦御協賛ヲ得テ居
ルヤウナ譯デアリマス、斯樣ナ次第デ
アリマスカラ其養鷄業ヲドウ云フ風ニ
シテ行クカ、產卵ノ能率ヲドウ云フ風
ニ擧ゲテ行クカ、或ハ其荷造ヲドウス
ルカト云フヤウナコトニ付テハ、ソレ
ゾレ專門ノ當局カラ必要ガアレバ御說
明ヲ申上ゲマスガ、大體ハ今申上ゲタ
ヤウナ譯デアリマス、ソレカラ第二ノ御
尋ハ生活必需品ヲ見ルニ付テノ御見解
ガアッタヤウデアリマスガ、是ハ財政經
濟調査會ニ於テモ曩ニ申上ゲマシタヤ
ウニ、生活必需品原料品ト云フヤウナモ
ノニ對シテハ出來ルダケ据置若クハ減
稅無稅ニスルト云フ方針ニナッテ居ル
ノデ、此事ハ大正八年十一月二十八日
カラ大正十三年三月三十一日迄六年間
ニ亙テ此輸入鳥卵ノ免稅ヲ致シテ居ツ
タノデアリマス、卽チ當時長田君等モ
此事ニ付テハ矢張議會デ御協賛ニナツ
タノデ、是ハ勅令ヲ以テ數年ニ亙テ免
稅ヲ致シテ居ッタ、ソレハ何ノ爲ニサウ
致シタカト申セバ、此免稅ヲ致シテ參
ツタト云フコトノ趣旨ガ、生活ニ直接
ノ關係ノアルモノデアルト云フ、此見
地カラ數年免稅ヲサレテ來テ居ッタ譯
ノモノデアリマス、昨年ノ四月一日ヨ
リ初メテ此鳥卵ノ關稅ヲ復活致シタノ
デアル、其數年ニ亙テ全ク免稅致シテ
居ッタ其免稅サレタ理由ハドウ云フ譯
デアルカト云フト、只今申上ゲマシタ
ヤウニ生活ニ關係ノアルモノデアルト
云フコトデ、丁度大正八年原內閣以來
ズット十三年ノ春迄免稅サレテ居ッタト
云フ譯デアリマス、然ラバ其間ニ於テ
ドウ云フヤウナ數字ガ現レテ居ルカト
云フコトガ、次ノ御尋ニ對シテ御答申
上ゲル有力ナルモノト思ヒマスガ、其
數字ハ大藏當局ノ方カラ正確ノモノヲ
申上ゲマス、私ハ數字ハ茲ニ其方ニ讓
ツテ申上ゲマセヌガ、此數字カラ見マ
シテモ數年間ニ亙テ免稅サレヲ居ッタ
ナラバ、非常ニ內地ノ養鷄業ガ打擊ヲ
受ケナケレバナラヌニ拘ラズ、數字ニ
ハ相當ナモノガ現レテ參ッテ居リマス、
而モ其免稅ハ一時デハナイ、足掛ケ六
年間免稅シテ居ル、ソレデモ內地ノ養
鷄業ハ相當ノ成績ヲ擧ゲテ居ル、斯ウ
云フコトデアリマスルト、只今御質問
ニアリマシタ此稅率デ果シテ養鷄業ノ
將來如何ト云フコトノ御尋ニ對シテ
ハ、數年間免稅シテサヘモソレダケノ
數字ヲ擧ゲテ居ル以上ハ、此保護政策
ヲ執リマスレバ、相當ナ成績ヲ擧ゲ得
ル、斯ウ考ヘテ居ルノデアリマス、要ハ
先刻飯塚君ノ酪農ノコトニ付テノ御尋
ニ對シテモ申上ゲマシタガ、農村ノ方
方ノ卵ヲ集メテ、是ガ共同販賣、斡旋、
荷造、市中ニ出テノ販賣方法等ノコト
ニ付テ相當ニ考慮致シマスレバ、私ハ
唯一斤僅ニ一圓乃至一圓五十錢ト云フ
關稅ニ依テ此業務ニ至大ナル消長アリ
トモ考ヘマセヌ、斯樣ノ次第デアリマ
スカラ、私共ハ養鷄業ノ現狀カラ見テ、
此稅率ヲ以テ相當ノ助成ヲ爲シ、斯業
ノ發達ヲ爲シテ行クコトガ出來ルデア
ラウト考ヘテ居ル譯デアリマス、數字
ノコトハ大藏當局ヨリ大正八年カラ十
四年マデノ數字ヲ申上ゲルヤウニ致シ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=49
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050・長田桃藏
○長田委員 序ニ十四年度ノ輸入ノ高
ガ分リマスナラバモウ一遍御願シマ
ス、鳥卵ノコトハ外ノ御方ニ讓ッテ申上
ゲマセヌガ、委員長ニ御願致シタイノ
デアリマスガ、昨日問題ニナッテ居リマ
シタ第二ノ中ノ二十二ノ四ノ「タピオ
カ、マニオカ」及「セイゴ」ト云フモノニ
對シテ、私ガ質問致シマシタガ、甲ノ
「粉狀ノモノ」ト云フ方ガ工業用ニ使用
スルモノデアッテ、食用ニ使用スルモノ
ハ乙ノ「其ノ他」ニ這入ッテ保護サレテ
居ル、斯ウ云フ御答辯ガアリマシタヤ
ウニ私ハ記憶シテ居リマスガ、本日更
ニ當業者ガ參リマシテ申シマスノニ
ハ、此「タピオカ、マニオカ」及「セイゴ」
ト云フモノモ多ク皆內地ニ參リマスト
飴ノ原料ニ使用シテ、殆ド其全部ガ食
用ニ供サレテ居ルサウデアリマス、帶
封ノ糊ニ使ハレテ居ルト云フヤウナコ
トハ全ク見解違ヒデ、實際全部ト云フ
モノガ飴ノ原料ダト申シテ居ルノデア
リマス、此邊ノ御調査ハドウナッテ居リ
マスカ、アノ位ノ御答辯デハ國民ガ滿
足ヲシナイト思ヒマスカラ、今一應伺
ツテ置キタウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=50
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051・矢部規矩治
○矢部大藏技師 鳥卵ノ大正十四年度
ニ於ケル輸入額ヲ申上ゲマス、三千七
百九十九萬六千百斤、價ガ千二百五十
九萬二千百十圓デアリマス「タピオカ、
マニオカ」竝ニ「セイゴ」ノ用途ニ付キ
マシテ、昨日黑田主稅局長カラ說明致
シタノデコザイマスガ、ソレニ付キマ
シテ、只今黑田主稅局長ハ稅制整理ノ
方ヘ行カレテ居リマスノデ、私ガ代ッテ
御答ヲ致シマス、御承知ノ如ク現行法
ハ「タピオカ、マニオカ」ナルモノハ二
割ノ一圓五錢ト云フ稅率ニナッテ居リ
マス、「セイゴ」ト云フモノハ三割ノ輸
入稅ノミニナッテ居リマス、之ニ付キマ
シテ「セイゴ」ト「タピオカ、マニオカ」
ト權衡ヲ得ナイ、「セイゴ」ナルモノハ
〓用ニ供セラレル、併シ昨今ノ用途ト
云フモノハ織物其他ノ工業用ニ供セラ
レルノガ多イノデアッテ權衡ヲ得ナイ
ト云フノガ多年當業者カラ愬ヘテ來タ
問題デアリマシテ、現ニ請願書ノ如キ
モノモ出テ居リマス、ソレデ今囘ノ改
正ニ當リマシテ、粉狀デアルトカ、粒狀
デアルトカ主ニ西洋料理ノ「プッデイン
グ」或ハ菓子等ニ使ハレルモノ、卽チ乙
ニ使ハレルモノハ、從價三割ニ致シマ
シテ、粉狀ノ「セイゴ」ヲ「タピオカ、マ
ニオカ」ト殆ド同樣ノ取扱ヲスルコト
ニ致シマシタ、ソレデ此「セイゴ」ハ御
承知ノ如ク椰子ノ幹カラ出來ル所ノ澱
粉デアッテ、現ニ日本人ノ向フニ資本ヲ
下シテヤッテ居ル者モアリマス、此方ニ
持ッテ參リマシテ「アルコール」ノ原料
ニスルトカ、或ハ織物ノ原料ニスル、或
ハ蒲鉾ニ入レルト云フヤウナコトモ承
知シテ居リマスケレドモ、ソレハ一部
デアリマス、ソレノ限界ヲ附ケルコト
ハ出來ナイト思ヒマスカラシテ、大體
カラ見マシテ、此改正案ノ如ク分類ス
ルノガ適當デアルト認メマシタノデゴ
ザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=51
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052・加藤政之助
○加藤委員長 長田サン宜シウゴザイ
マスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=52
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053・長田桃藏
○長田委員 ドウモ私共御說明デ滿足
ガ出來ナイノデゴザイマスガ、此「タピ
オカ、マニオカ」ト云フモノガ工業用ニ
使ハレテ「コーンスターチ」モ工業用ニ
使ハレルナラバ、此稅率モ同一ニサレ
ルモノト思ヒマスガ、是ハ區別スル必
要ガアリマスカ、其點ノ御說明ヲ伺ッテ
置キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=53
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054・藤巻雪生
○藤卷農林技師 昨日「コーンスター
チ」ノ用途ノコトニ付キマシテ御尋ガ
ゴザイマシタ、政府ガ玆ニ原案ト致シ
マシテ御協賛ヲ願ヒツツアルノニ付キ
マシテハ、相當ノ調査ヲ經テ出シタノ
デゴザイマスルガ、更ニ御要求ノ次第
モアリマシタカラ、ソレハ本日別ノ者
ヲシテ調査セシメツツアルノデゴザイ
マス、其結果ハマダ申上ゲルマデニ至ツ
テ居リマセヌ、是ハ纏マリ次第御話申
上ゲル積リデゴザイマス、尙ホ「タビオ
カ、マニオカ」及「セイゴ」ノ粉狀ノモノ
ガ工業ニ使ハレル、「コーンスターチ」
ト同ジヤウニ工業ニ使ハレニモ拘ラ
ズ、稅ノ盛方ガ非常ニ「バランス」ヲ得
テ居ラナイデハナイカト云フ御疑念ノ
ヤウデアリマスガ、「タピオカ、マニオ
カ」及「セイゴ」ノ澱粉ノ工業ニ使ハレ
マスルノト、「コーンスターチ」ノ工業
ニ使ハレマスルモノトハ、大體ニ於キ
マシテ同ジ澱粉デハゴザイマスルガ、
品質ガ非常ノ懸隔ヲ有ッテ居リマシテ、
又懸隔ヲ有ッテ居ルバカリデナク「コー
ンスターチ」ノ方ハ昨日此方カラ說明
ヲ申上ゲタ通リ、工業ニ使ハレル分ト
シテハ大シテ大キナモノデナイ、是ガ
爲ニ其工業ニ及ボス影響タルヤ極メテ
少イモノデハナカラウカト云フ考ヲ以
チマシテ、「タピオカ、マニオカ」及「セ
イゴ」ノ粉狀ノモノト云フモノト境ヲ
附ケタ譯デゴザイマス、成程只今御話
ノ如ク、飴ノ原料ニモ「タピオカ、マニ
オカ」及「セイゴ」ノ澱粉ハナルノデゴ
ザイマスガ、併ナガラ是モ其割合ガド
ノ位デアルカト云フコトハハッキリ致
シマセヌガ、元々此「タピオカ、マニオ
カ」「セイゴ」ノ輸入ハ非常ニ少イノデ
ゴザイマス、澱粉トシテ外國カラ入ッテ
來ルモノハ此表ニアリマス「六「ノ方ノ
之ニ屬スル外カ主モデアリマス、同ジ
ク工場ニハ使ハレマスガ、「パピオカ
マニオカ」及「セーゴ」ト云フモノハ品
質カラ申シテ割合ニ低級ナモノニ使ハ
レ又「コーンスターチ」ノ方ハ上等ノ物
ニ使ハレルヤウニ考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=54
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055・長田桃藏
○長田委員 「コーンスターチ」ノ問題
ハ何所ニ使用セラレルト云フ問題ニ對
シテ御調査ガ出來マシタラ、書類デ戴
キタイ、ソレカラ私共ノ御尋スル趣旨
ハ、所謂葛トカ片栗ト云フ農家ノ副業
ナニッテ居ル物ガ、關稅引下ノ爲ニ脅カ
サレルト云フノガ私共ノ主タル觀念デ
ゴザイマス、ソコデ此「パピオカ、マニ
オカ」及「セーゴ」ト云フ物ガ工場用ニ
使ハレ、食料ニ使ハレルノハ其他ノ乙
ニ屬スルモノデ、從價三割ノ稅金デ、內
地ノ葛モ片栗モ保護サレテ居ルト云フ
御說明ト了解致シマシタ、所ガ本日當
業者ガ來テ、ソレデハ滿足ガ出來ヌ、
「パピオカ、マニオカ」及「セーゴ」モ飴
ノ原料ヲ使ハレテ居ルカラ矢張食料ダ
斯ウ云テ參ッタ、サウスルト曩ノ御說明
ガ矛盾スルヤウニ思ヒマスノデ再ビ御
質問スル次第デアリマス、其點ヲ御了
解下スッテ明白ニシテ下サレバ結構デ
アリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=55
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056・藤巻雪生
○藤卷農林技師 只今御尋ノ「パピオ
カ、マニオカ」及「セーゴ」ノ輸入ト先程
申上ゲマシタ如ク其金額ハ僅デアリマ
ス、寧ロ輸入澱粉トシテハ「六」ノ方ニ
當リマスモノ、是ガ大キイノデアリマ
シテ、現ニ大正十二年ニ「六」ノ「其ノ
他」ニ屬スルモノガ數量ニ於テ十五萬
擔、値段ニ於テ百六十二萬圓入ッテ居リ
やく、是ハ勿論澱粉ノミナラズ其他ノ
穀粉モ多少混ッテ居リマスガ、大部分ハ
澱粉デアリマス、主トシテ和蘭ノ生產
ニ係ル馬鈴薯、澱粉デアリマス、ソレニ
比スレバ「パピオカ、マニオカ」及「セー
ゴ」ノ輸入ハ僅少デアリマシテ、隨ッテ內
地ノ澱粉ニ影響スルモノハ主トシテ第
六ノ「其他」ニ屬スルモノデアリマシ
テ、全ク影響ガ無イトハ云ヘマセヌガ、
「其他」ノ方ニ比ベレバ極メテ僅デアル
ト考ヘマシテ、主タル競爭品タル「六」
ノ「其他」ノ關稅ヲ引上ゲタナラバ宜シ
イト思ッタノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=56
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057・長田桃藏
○長田委員 只今ノ御說明ト十三年度
ノ輸入額表ト矛盾ガアリマス、此表ニ
依リマスト「パピオカ、マニオカ」ガ二
十九萬三千六百五十九圓トナッテ居ル、
「セーゴ」ハ六十六萬七千四百三十四
圓、只今ノ御說明デハ「パピオカマニ
オカ」ノ方ガ多イヤウニ見エマス、御說
明ガ矛盾ガアルヤウニ考ヘマス、ソレ
カラ今一ツ此「六」ノ「其ノ他」ノ中ニハ
馬鈴薯澱粉ガ入ッテ居ルト云フ御說明
デ、其點ハ明瞭致シマシタガ、此「第四」
ノ「乙」ノ「其ノ他」ノ中ニハ甘藷ノ澱粉
ガ入ッテ居リマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=57
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058・藤巻雪生
○藤卷農林技師 先刻申シタノハ十二
年度ノ統計デアリマシテ、十三年度デ
ハアリマセヌ、年度ガ違ヒマス、十三年
度デハ「パピオカ、マニオカ」ト「セー
ゴ」ヲ合セテ九十萬バカリニナリマス、
ソレニ對シテ「六」ニ當ル方ガ八十萬圓
ニナッテ居リマス、ソコデ前ノ九十餘萬
圓ノ中ニハ粉狀モ粒狀モアルノデアリ
マシテ、「六」ノ「其ノ他」ノ方ノ澱粉ハ
大部分粉狀ト思ヒマス、隨ッテ用途カラ
考ヘテ直ニ此輸入數量ヲ以テ論ズルコ
トハ出來ナイカト云フ感モゴザイマ
ス、ソレカラ尙ホ「六」ノ「其ノ他」ノ中
ニハ葛トカ片栗ガ入ッテ居ルノデアリ
マシテ、內地ノ有スル澱粉ノ競爭ニ此
「六」ノ方ガ主トシテナルト思ッテ居リ
四×発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=58
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059・太田信治郎
○太田委員 此蔬菜ノ罐詰ノ稅率ガ、
率ハ少シ多クナッテ居ルヤウデアリマス
ガ、其中デ「三十二」ノ「甲」ハ「其ノ他」ガ
從價三割、他ハ百斤七圓九十錢乃至七
圓六十錢、一圓九十五錢ト斯樣ニナッテ居
リマス、其「乙」ノ「其他」ト云フモノモ
矢張從量稅ニナッテ居リマスガ、是ハ從
價ニ加算致シマスルト、一體ドノ位ノ
割ニナルモノデセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=59
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060・矢部規矩治
○矢部政府委員 御答致シマス、一寸
聞キ洩シマシタガ、三十一ノ乙デスカ
(太田委員「乙モ甲モ從量ノモノヲ從價
ニシタラ凡ソ何割位ニナルカ」ト呼フ)
是ハ現行稅制定當時從價四割ヲ以テ割
出シマシタノデアリマスケレドモ現
在ハ此率ガ働イテ居リマセヌノデ、總テ
贅澤稅ニ掛ッテ居リマスカラシテ、十割
ヲ掛ケマシテ居リマス、唯果物、蔬菜ノ
鑵話ノ伊太利協定ガ六割ト云フモノガ
アリマス、是ガ實際ニ働イテ居リマシ
テ、其他ハ贅澤稅ノ十割ヲ掛ケラレテ
居リマス、ソレガ爲ニ是ハ少シモ手ヲ
着ケズニ現行ノ儘、其儘出シテ置キマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=60
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061・太田信治郎
○太田委員 此鳥獸肉ノ中ノ牛肉ノ此
稅率ヲ從量稅ニ、肉類ノ總テヲ牛肉ト
カ、豚肉トカ、羊肉トカ、云フヤウナモ
ノヲ從價ニナサラナイデ之ヲ從量ニナ
サッタノハドウ云フノカ、何カソコニ御
考ガアルノデアリマスカ、大體ハ從價稅
ガ最モ課稅トシテハ均衡ヲ得ルモノト
私共ハ信ズルノデアリマスガ、課稅ノ
徵稅方法トシテ從量ノ方ガ便利デア
リ、又其品物ガ違ッテ居ッタリ、或ハ價額
ニ非常ナ相違ガアッタ場合ニハ宜イト
云フコトニナルガ、大體ニ於テ牛肉ノ
ヤウナモノハ單一ナモノデアリマスカ
ラ、之ヲ從量ニナサラナイデ、從價ニナ
サッタ方ガ宜カラウト思ヒマスガ、特ニ
此肉類ヲ從量ニシタノハドウ云フ御考
デアルカ、モウ一ツ其中ノ鷄肉ト云フ
モノヲ特ニ是ダケヲ從價ニナサッテ、而
モソレヲ半額ニ御訂正ニナリマシテ、
引下ゲニナリマシタコトハ、是ハドウ
云フ御趣旨ノ下ニ出來上ッタノデアリ
マスカ、ソレヲ伺ッテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=61
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062・矢部規矩治
○矢部政府委員 只今肉類ヲ從量稅ニ
直シタノハドウ云フ理由ニ依ルカ此御
尋ニ對シマシテハ一般ニ從價ト從量ノ
議論デアリマシテ、旣ニ黑田政府委員
カラモ申上ゲテアルノデアリマスガ、
重ネテ申シマスレバ、總テ取引ハ從價
稅ヨリ從量稅ガ便利デアリマス、當業
者モ從價稅デアリマスルト稅關ニ於ケ
ル價格ガ幾ラニ鑑定サレルカ、之ニ依
テ稅ガ定マルノデアルガ、豫メ其價格
ガ分ラナイ爲ニ取引上非常ニ不便ヲ感
ズル、ソレガ爲ニ稅關ハオ前ノ方デ持
ツ方ガ宜イ、或ハ私ノ方デ持ツ方ガ宜
イト云フヤウナ特別ノ約束ヲシ、取引
ヲスルヤウナ工合デアリマスカラ、當
業者モ成ベク從量稅デアルト云フコト
ヲ希望致シテ居リマス、政府ニ於キマ
シテモ稅關ノ役人ニハ此價格ニ通ジテ
居ル者ヲ置クト云フコトハ困難デアリ
マス、目方ヲ計レバ稅金ガ出ルト云フ
風ニスルノガ大變便利デアルト致シテ
居リマス、ソレガ爲ニ現在デハ成ベク
從量稅ニ改メルト云フコトノ方針ヲ
持ッテ居ルノデゴザイマス、御話ノ如ク
從價稅ニ致シマスレバ公平デ高イ物
ハ高イ稅ガ取レルト云フノデ、割合ニ
公平デアリマスケレドモ、又一步誤ル
ト云フト非常ナコトニナル、弊害モ起
リ易イカラ成ベク從量稅ニシタイ考デ
アリマス、所デ御話ノ如ク鷄肉、羊肉、
豚肉等ニ付テハ是ハ他ノ贅澤物ナドト
異ナリマシテ、品質ガ割合ニ一定シテ
居リマスカラ、一定量ニ對スル價格ト
云フモノガ相場デ上リ下リハアリマス
ルガ、或ル年ニ於キマシテハ左程品質
ニ依ル所ノ差等ト云フモノガナイノデ
アリマシテ、ソレ故ニ是等ハ從量稅ニ
改メタノデアリマス、ソレカラ鷄肉ニ
付キマシテハ從來輸入ガ甚ダ少イノデ
アリマス、將來モドウカト思ヒマスガ、
從量稅ヲ割出ス所ノ材料モゴザイマセ
ヌガ、戊ノ其他ノ一割ト云フコトニ致
シマシタ、ソレデ一見致シマスト此丙
ノ其他ノ三割ト云フノガ、一割ニ下ゲ
ラレタ觀ガアリマスガ、三割ナルモノ
ハ鷄肉ニ對スル稅率デハナイ、鷄肉ノ
稅率ハナイカラ已ムヲ得ナイデ、輸入
ガアレバ三割ヲ適用スルコトニナッテ
居リマス、ソレデ今度ノ改正案ニ於キ
マシテモ、輸入ガアリマスレバ戊ノ一
割ヲ適用スルト云フコトニナリマス
此一割ナルモノハ牛肉、羊肉等ノ稅率
ニ比較シマシテ、相當權衡ヲ得タモノ
ト考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=62
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063・太田信治郎
○太田委員 鷄肉ノ事ハ今魚具類ノ時
ニ一緒ニ申上ゲマスガ、肉ノ鑵詰類ガ
矢張從價デ引下ゲラレテアリマスガ、
是等ノ物ハ同ジ食料品デアリマシテ
モ農產物ノ小麥ヤ何カトハ又大變趣
キヲ異ニ致スト思ヒマスガ、何方カト
申セバ之ヲ需要スル者ハ或一部ノ人ニ
限ッテ居ッテ、寧ロ多數ニ關係ヲ持ッテ居
ル物ハ少イト思ヒマス、併ナガラ此牛
肉ノ價格ガ非常ニ輸人稅ガ引下ゲラレ
タ結果、之ニ及ボシテ引下ゲラレタモ
ノト思ヒマスガ、一面ニ牛肉其他ノ肉
ヲ入レテ、內地デ鑵詰ヲ拵ヘル方ガ國
內ノ產業ヲ發展スル上ニ於テ私ハ宜ク
ハナイカト思ヒマス、併ナガラ此鑵詰
ノ價格ヲ引ゲラレタト云フコトニ付
テハ、何等カ其邊ニ御考ガアッタノデア
リマセウカ、其點ヲ伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=63
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064・矢部規矩治
○矢部政府委員 此稅率ニ付キマシテ
ハ一般ノ權衡ヲ御覽ヲ願ヒタイト思ヒ
マー、現在從價稅ノモノハ此高イ物價
ニ對シテ確實ニ何割ト云フモノガ極メ
テアリマス、ソレカラ從量稅ノ物ハ屢
黑田政府委員カラモ御話シタ如ク、三
割乃至二割餘リデ盛出シタ所ノ從量稅
ハ、稅番ガ上ッタ結果ト致シマシテ割合
ハ非常ニ減ジテ居リマス、是等ノ權衡
ヲ直スノガ改正ノ趣旨ノ一ツデアリマ
シテ、ソレ故ニ贅澤稅ノ掛カル高イ物
ヲ除キマスルト云フト、大體ニ於テ一
割ナルモノガ高イ稅率ニナッテ居リマ
スガ、ソレ等ハ總テ五分位宛減ジテ居リ
やす、〓此鑵詰ニ致シマシテモ相當ノ工
程ヲ經タモノデアリマスカラ、サウ安
ク致ス譯ニ行キマセヌノデアリマス
ガ、三割五分ト云フノハドウモ如何ニ
見テモ高過ギル詰リ製品トシテノ稅
率ト云フモノガ何レノ所カラ見テモ、
最上普通ノ物ハ三割五分、然ルニ生活
上相當必要ニ見ラレテ居ルモノガ三割
五分デモ高過ギルト云フ所カラシテ、
一割ヲ減ラシマシテ、二割五分ニ致シ
マシタヤウナ譯デァリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=64
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065・太田信治郎
○太田委員 私ハ此魚貝類及鯨肉トカ
云フ水產ニ關係シマシタ事ニ付テ、特
ニ農林省ニ御伺ヒ致シタイト思フノデ
アリマス、是ハ先刻ドナタカヨリノ御
質問ガアッタヤウデアリマスガ、要スル
ニ日本ノ產業トシテ最モ將來見込ノア
リ、又發展ガ出來、且ツ其業ニ特別ナル
技倆ヲ持ッテ居ルト云フノガ漁業デア
リマス、此漁業ガ將來益發展シテ行キ、
又之ヲ助長スルト云フコトハ農務當局
トシテモ既ニ御辯明ニナッテ居リマス
ケレドモ、此輸入額ガ僅少ナル爲ニ一
般食料ノ關係ヲ以テ此關稅ヲ引下ゲ
ル、又罐詰ノ如キモ國內ニ於テ〓料ヲ
安ク提供スル意味ニ於テ關稅ヲ引下ゲ
タト云フ御說ヲ伺ッタノデアリマスル
ガ、私共ハ是トハ大變ニ考ガ違フノデ
アリマシテ、寧ロ我國ニ於テ生產ガ多
數アッテ、需要供給ガ全ク合フモノデア
ルト致シマスレバ、尙更海外カラ入レ
ル必要ハナイノデアルカラ、之ニ付テ
ハ相當ナル關稅ヲスル、輸入ニ對スル
堤防ヲ築イテ、輸入ヲ防グト云フコト
ニシテ、國民ノ需要ニ差支ナイヤウニ
スルコトガ必要デアラウト思フノデア
リマス、殊ニ鯨肉ノ如キハ牛肉又ハ其
ノ他ノ肉ニ代ルベキモノデ相當脂肪分
ヲ含ンデ居リマス、國內ニ於テモ捕鯨
業ハ相當ノモノデアッテ、將來ニ於テモ
其發達ノ見込ガアルノデ、玆ニ之ヲ海
外ヨリ輸入シナケレバナラヌト云フコ
トハ少シモナイト思ヒマス、故ニ是等
ニ對シテハ關稅ハ寧ロ高率ニ引上ゲヲ
保護セラレルノガ國策トシテ宜シイト
思フ、罐詰業ニ於テモ同様デアリマス、
稅番ノ比例的價格、サウ云フ事務的觀
念カラ申セバ引下ゲラレタノガ御尤デ
アリマスケレドモ、我國ヨリ海外ニ輸
出スル海產物ハ全ク我國ニ於テ生產シ
タ物デアルト申シテ差支ナイ、ソレデ
アリマスカラ鯨肉、罐詰ニ致シマシテ
モ海外カラ輸入シナケレバ差支ヘルト
云フヤウナコトハナイノデアリマス、タ
マサカ輸入ヲ試ミラレルモノハ嗜好品
トシテ極ク少數ノ人ガ舶來ヲ好ムノデ
アリマス、多數ノ國民ハ全ク之ニ沒交
涉デアラウト考ヘルノデアリマスル
カラ、是等ニ向ッテハ寧ロ高率ヲ課セラ
レル方ガ私ハ至當デハナイカト思フノ
デアリマス、殊ニ鳥獸肉ノ關稅ニ付キ
マシテモ、今日ノ農村ニ副業ヲ奬勵シ
テ、以テ其收入ヲ增サセルト云フコト
ガ農村振興ノ上ニ於テ必要デアルト思
フノデアリマス、ソレニハドウシテモ
此畜產業ヲ農家ノ副業トシテ奬勵スル
コトガ肝要デアッテ、而モ養豚ノ如キハ
益農村ニ奬メテ之ヲ盛ニスル餘地ガア
ルノデ、而モ是ハ餘リ手數モ要シナイ、
併ナガラ一年ニ於テ多數ヲ飼育スルコ
トハ出來ナイノデアリマスカラ、是等
ニ對シテハ矢張相當ノ時期ニ至ルマデ
ハ關稅ヲ引上ゲテ置イテ、農村ヲ保護
スルト云フヤウニシタ方ガ宜シイト思
フノデアリマス、況ヤ此水產物ニ於テ
ハ干魚ノ如キ、鹽魚ノ如キハ四面海ヲ
廻シテ居ル我國ニ於テハ、十分ニ自給
自足ガ出來ルト思フ、サレバ特ニ是等
ニ付テ海外ノ物輸入スルガ如キコトハ
スル必要ガナイト思ヒマスガ、此邊ニ
對シテ當局ノ御考ヲ伺ヒタイ、農村ニ
於テモ男子ガ漁業ニ從事スレバ女子ガ
農業ニ從事スルト云フコトニナッテ、農
村ガ非常ニ賑フコトデアリマス、サレ
バ是等ノモノハ農村振興若クハ漁業奬
勵ト云フ上ニ於テ、從前ノ如キ關稅ニ
御置キニナッテモ決シテ差支ナイト思
フノデアリマス、若シ之ヲ更ニ引下ゲ
テ需要者ニ安キ食料ヲ提供スルト云フ
方針デアッテ、漁業奬勵等ニ付テ關稅ヲ
引下ゲテモ益之ヲ振興セシメ得ル方法
ヲ他ニ御持チニナッテ、安價ナル品物ヲ
市場ニ入レテ、外國品ト競爭セシメテ
價格ヲ引下ゲヤウト云フヤウナ御趣旨
デアリマスレバ、大ニ考慮致サナケレ
バナラヌ、又肉類ニ於テモ其通リデア
リマス、金高ニ於テハ八百萬圓內外ノ
輸入ガアリマスガ、我國ノ畜產ガ發達
シテ參リマスレバソレニ伴ッテ農村ヲ
賑ハスノデアリマス、サレバ關稅ヲ引
下ゲル代リニ之ニ代ルベキ他ノ方法ニ
依テ畜產ノ發展ヲ圖ルト云フ具體案ヲ
御持チニナッテ居ルコトト思ヒマスガ、
此點ニ付テ御伺ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=65
-
066・小山松壽
○小山政府委員 段々御質疑ガアリマ
シタガ、是ハ佐々木君ノ御尋ノ際ニ
應御答辯致シテ置キマシタコトト殆ド
同樣ト思ヒマスノデ、餘リ同ジ事ヲ時
間ノ無イノニ繰返スノハ甚ダ恐縮ト致
シマスカラ、ドウゾ午前申上ゲタ趣旨
ヲ速記錄ニ依テ御諒承ヲ願ッタ方ガ便
ト思ヒマスガ、唯大要ヲ捉ヘテ申上ゲ
〒マリ。水產ノ事ニ付テハ內地ニ於テ臨
海漁業或ハ遠洋漁業等ヲ奬勵ヲシテ居
ルノニ、何モ關稅ノ是等ノ事ヲシナク
テモ宜イデハナイカト云フ御話デアリ
マシタ、大體ハ先刻モ申上ゲマス通リ、
我國ノ漁業方法ハ近時非常ナ進步發達
致シマシテ遠ク遠洋漁業ヲ奬勵シテ居
ル、其結果デモアリマスケレドモ、當業
者モ種々〓究ヲ致シテ居ル、例ヘバ「ト
ロール」ノ如キハ非常ナ進步デアリマ
ス又此生產費カラ參リマシテモ、相當
ニ低廉デアリマスカラ、外國人ガ我ガ
漁業ノ活躍ヲシテ居ル範圍內ニ於テハ
競爭スルト云フコトハ堪エタノデアリ
マス、競爭ニハ堪エラレナイ、今ノ所デ
ハ競爭者ハナイノデアリマス、而モ生
新ノ物ナドト云フモノハ、殆ド輸入ガ
ナイ、更ニ輸入ガナイ、鰯ノ油漬ト言ッ
テ見タ所デ二萬圓前後、其他ノ物モ二
十萬圓前後デ、唯相當ノ金額ト認メラ
レマスモノハ、先刻モ申上ゲマシタヤ
ウニ、鮭ノ淡鹽ノモノガ二百萬圓バカ
リアリマス、其他ノ物ニ付テハ目星イ
物ハアリマセヌ、ソレカラ鯨肉ノ事ヲ
御尋ニナッタ、鯨ハ是ハ農林省ノ方針
トシテ終始一貫致シテ居リマスノハ、
鯨族繁殖ノ上カラ考ヘマシテモ、捕鯨
船ニハ制限ガアリマス、其船隻ハ三十
隻ヲ限度トシテ居リマスガ而モ捕鯨
ノ技術ノ進步等カラ見マシテ、若シ其
一隻ナリ二隻ナリガ減ズレバ、其減ジ
タダケノ率ハ技術ノ進步等ニ依テ進ン
デ參リマスル率等ヲ考ヘマシテ、捕鯨
船ハ減ジタモノハ減ジタ儘ノ方針デ
行ッテ居ル譯デアリマス、抹香鯨トカ、
其他鯨ニハ色〓ノ種類ガアルヤウデア
リマス、大體捕鯨事業ニ付テハ、サウ云
フ方針ヲ執ッテ居ルノデアリマス、往年
捕鯨事業ガ盛ニ起リマシタ時分ニ共倒
レノヤウナ形ニナリ、一方ニ於テハ濫
獲ノ弊ニ陷リマシタ、是ハ水產業ノ上
カラ見テ深ク考ヘナケレバナラヌノ
デ、サウ云フ方針ヲ執ッテ居リマスソ
レカラ鯨肉ノ御話ガアリマシタガ、是
ハ牛肉ト相對シテ段々其需要モ增シテ
參ッテ居リマス、併ナガラ是ハ太田君モ
御承知ノ通リ主トシテ關西、大阪ヲ中
心トスル嗜好品デアリマシテ、關東ノ
人ハ餘リ鯨肉ハ食ヒマセヌ、後ニ至ッテ
ハドウカ知リマセヌガ、現在デハサウ
デアリマス、ソレカラ近頃諾威ノ捕鯨
船ガ露領ノ方面ニ出漁致シテ居ルヤウ
デアリマスガ、是ハ肉ノ目的デハアリ
マセヌ、總テ油ヲ目的トシテ居リマス、
此事ニ付テハ我國ノ捕鯨業ノ將來カラ
考ハテ農林當局ニ於テモ相當ニ考慮シ
ナケレバナラヌ事ト今考ヘテ居リマ
ス、左樣ナ次第デアリマシテ、水產業ニ
對シテハ午前中ニ繰返シテ申上ゲマシ
タガ、一方ニ於テ農產物ニ對シテ種々
ノ御議論ガアリマスガ、一方水產業ニ
致シテハモウ一段ノ〓究ヲシテ見タ
1、食糧政策ノ上カラ考ヘテモ我國ノ
非常ナル輸出ノ數量ノ上カラ考ヘマシ
テモ、御互ニ〓究シテ見タイ、サウシテ
其聲ヲ大ニシテ尙ホ漁業ノ進步發達ヲ
圖リタイ、佐々木君ノ場合ニモ申上ゲ
マシタガ、近ク蟹工船ノ如キ、是ハ僅カ
數年間ニ非常ナ發達ヲ致シ、露領堪察
加方面ニ於ケル近年兩三年ノ發達ト云
フモノハ驚クベキモノデアリマス、本
年ハ數百萬圓ニ達シテ居リマス、尙ホ
十五年度ニ於テハ一千萬圓近クニナル
デアリマセウ、而モ是等ハ內地ノ消費
ト云フモノハ僅ナモノデ、殆ド八割以
上ハ海外ノ需要ニ應ズル譯デ、主トシ
テ亞米利加、英吉利等ニ於テ嗜好セラ
レルモノデアリマシテ、是等ハ全ク我
國ノ水產業ノ一ツノ賜デアルト私共ハ
考ヘテ居ル、斯樣ナ次第デアリマスカ
ラ當局ト致シマシテハ此稅率ヲ定メ
ニスル時ニ當ッチモ、只今申シマシタヤ
ウナ方針デ深ク將來ノ我ガ漁業政策ト、
〓糧關係トヲ考ヘマシテ、之ヲ以テ妥
當ノモノトシテ、御審議ヲ願ッテ居ルノ
デアリマス、大體御答致シマス、尙ホ細
カイ事ハ午前中申上ゲテアリマスカ
ラ、ドウゾ速記ヲ御覽ヲ願フヤウニ願
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=66
-
067・太田信治郎
○太田委員 罐詰ノ事ニ付テ御答ガア
リマセヌガ、罐詰ハ海外カラ是ハ輸入
稅ヲ引下ゲテ、安イ罐詰ヲ提供シナケ
レバナラヌト云フ理由ハナイモノト認
メテ居ルノデアリマス、是ハ我國ノ食
料品トシテ輸入スル罐詰類デアリマス
ガ、其罐詰ハ我國デ製造致シマスレバ
我國ニハ罐詰ノ材料ガナイノデアリマ
スカラ、不利ナ立場ニ立ッテ居ル殊珠
高イ鹽ヲ使ハナケレバナラヌ、殊ニ高
イ材料ヲ使ハナケレバナラヌ立場ニ
立ッテ居ル、其物ヲ內地ニ持ッテ來テ賣ル
場合ニ、態〓海外ノモノト競爭シテ賣
ラナケレバナラヌト云フコトハナイ
ト思ヒマス、故ニ內地ノ需要ヲ充ス上
ニ於テハ內地ノモノデ十分デアルトシ
タナラバ、相當ノ保護ヲ加ヘラレタ方
ガ宜シカラウト思フノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=67
-
068・小山松壽
○小山政府委員 罐詰ノ御尋ハ鰯ノ油
漬ノモノガ二萬圓前後、其他ガ二十萬
圓前後デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=68
-
069・太田信治郎
○太田委員 牛鳥肉ノ罐詰デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=69
-
070・小山松壽
○小山政府委員 魚介類ノ罐詰ノ御尋
ト心得マシタカラ只今ノ事ヲ申上ゲタ
ノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=70
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071・矢部規矩治
○矢部政府委員 只今ノ御尋ハ罐詰ノ
ヤウナモノハ內地ニ於テ製造ガアルモ
ノデアルカラ、是ハ保護シタ方ガ宜シ
イ、斯ウ云フ御尋カト思ヒマスガ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=71
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072・太田信治郎
○太田委員 特ニ引下ゲタ理由デス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=72
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073・矢部規矩治
○矢部政府委員 引下ゲタ理由ハ先程
一般的ニ申上ゲタノデアリマシテ、繰
返ス譯ニナリマスガ、尙ホ一應申上ゲ
マハ一般ニ稅表ニ於テ三割五分、四割
ト云フ非常ナ高稅ニ當ッテ居リマス、是
等ノ罐詰ノ如キハ相當ニ保護スルノハ
勿論デアリマスケレドモ、大體カラ見
マシテ三割五分ト云フモノハ普通ノ贅
澤品ヲ除キマシタ殘リノ中デ、相當ノ
高稅ノモノニ當ッテ居リマスノデ、斯樣
ナ食料品ニ高稅ヲ課スルト云フコト
ハ穩デナイ、權衡上一割ヲ下ゲテ二割
五分ニシマシタ、二割五分ト申シマス
ト一割下ゲタノデアリマスガ、是等ノ
稅率ハ肉類ナドニ比較致シマスト、肉
類ノ如キ一割乃至一割五分カラ成立ッ
テ居リマスノデ、ソレニ更ニ工程ヲ加
ヘタノデアリマスカラ、一割ノ餘裕ヲ
見テ二割五分ニ致シタノデ、相當ニ保
護サレテ居ルモノト見テ居ルノデアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=73
-
074・佐々木文一
○佐々木委員 太田サンノ質問ニ關聯
シテ居リマスカラ一寸伺ヒタイ、只今
太田君ノ魚介類ノ稅率ヲ何故ニ引下ゲ
ニナッタカ、其理由ヲ御尋致シマシタノ
ニ對シテ、只今御答スル所ヲ御伺ヒシマ
スト云フト、生魚ニ付テハ殆ド入ッテ來
ナイ入ッテ來ナイカラ之ヲ下ゲテモ差
支ナイ、ソレカラ鹹魚ニ付キマシテハ
亞米利加カラ二百萬圓餘ノモノガ入ツ
テ來テ居ルノデアリマス、ソレカラ此
露領ノ方面ニ於テ日本人ハ盛ニ漁業ヲ
爲シテ居リマスガ、之ニ對シテハ政府
ハ十分奬勵シテ居ル、保讓ヲ加ヘテ居
ルケレドモ、ソレ等ノ方面ノ漁業等ハ
亞米利加方面カラ入ッテ來ル生魚ニ付
テハ何等影響ガナイト云フ如キ御答ガ
アッタヤウニ承知致シマシタ、是ハ先刻
モ一寸申上ゲマシタガ、私ハ要領ヲ得
ズニシマヒマシタガ、是ハ小山次官ニ
於キマシテハ、日本人ガ漁業ヲ爲ス上
ニ於テノ技術ハ到底外國ノ漁業家ハ之
ニ及ブモノデハナイ、故ニ關稅ヲ撤廢
シテモ決シテ、外國ノ漁業家ノ侵入ヲ
恐ルルモノデナイ、斯ウ云フヤウナコ
トヲ度〓仰セラルルヤウデアリマス
ガ、ソコガ少シ御考ガ違ッテハ居リハシ
ナイカト思ヒマスノハ、私ガ先刻御尋
致シマシタノハ、輸入ト申シマスレバ
外國デアリマスガ、私ノ申上ゲマシタ
ノハ公海ニ於テ漁業ヲ爲ス、ソレハ外
國人ニ非ズシテ寧ロ日本人ガ多イ、唯
船藉ガ外國ノ船藉ニアル船ヲ持ッテ來
ル、而シテ之ニ乘込ンデ居ル所ノ船長、
技術家、從業員或ハ之ニ從事スル所ノ職
工總テガ日本人デアル、唯船藉ガ外國
ニ在ル、サウ云フ船ヲ持ッテ公海ニ行キ
マス際ニ日本ノ行政、或ハ日本ノ法律ヲ
以テ之ヲ制スルコトガ出來ナイ、サウ
ナッテ來ルト云フト結局ハ日本ノ水產
業ノ根本ヲ破壞サレル虞ハナイカ、何
トナレバ度〓次官モ仰セラレル蟹工船
ノ如キ、最近非常ナ進步デアリマス、之
ヲ此儘放任シテ置キマスト、餘リニ生
產額ガ增加シマシテ、遂ニハ市場ノ相
場ガ非常ニ下落シテ、海外ニ折角輸出
シマシテモ、現ニ此二、三年ノ所ヲ見マ
スト、漁業其物ハ非常ニ成功シテ居ル
ケレドモ、實際ニ於テ此金ヲ殘シタ者
ハ一人モナイ、漸ク昨十四年ニ於テ之
ニ鑑ミマシテ、當業者ガ或ハ政府ニ陳
情シ、又政府之ヲ諒トシテ其船ノ雙數
ヲ減ジ、事實ニ於テ生產ノ制限ヲシテ
居リマス、ソレカラ又一方外國ニ向ッテ
販賣スル所ノ機關ヲ設ケテ、サウシテ
一ツノ共同販賣ト云フヤウナ機關ヲ設
ケテ、之ニ依テ漸ク曙光ヲ認メテ來テ
居リマス、所ガ又「トロール」モサウデ
アリマス、隨分漁獲モ技術モ進步シテ
來テ居リマス、併ナガラ是モ先年非常
ニ隻數ガ增加シマシタ爲ニ、到頭共潰
レニナリマシテ、非常ナ困難ニ陷ッタ事
實ガアリマス、是亦政府ニ於キマシテ
調節ヲ圖ッテ、漸ク今日隻數ヲ減ジテ居
ル、所ガソレ等ノ漁業船ガ活躍スル所
ハ日本ノ領海デハナイ、公海デアル、世
界中ノ何處ノ人ガ來テ漁業ヲ爲シテモ
宜イ、併ナガラ日本ニ於キマシテハチ
ヤント行政上ノ處分ニ依リマシテ、日
本國內ニ於テ制限シテ居リマスカラ、
日本ノ船ヲ以テ此漁業ニ從事スルコト
ガ出來ヌノデアリマス、ソコデ若シ此
關稅ヲ著シク低減セラレマシテ、卽卽
三割ヲ一割ニ減ズルト云フコトニナリ
マスト、外國ニ藉ヲ置テ居ル、一一五
言テ見マスト外國ノ名ヲ藉リテ日本人
ガ外國ニ藉ガアル船ヲ持ッテ來テ) ン
ニドン〓〓乘込ンデヤリマスト云フ
ト、折角制限シテ大變能ク行ッテ居ルノ
ガ根本カラ破壞サレル虞ガアルト思
フ、私ハ之ヲ憂ルノデアリマス、ソレハ
先刻カラ申上ゲタノデアリマスガ、然
ルニ理由トシテハ極メテ單純ナ、唯入
ツテ來ナイカラ之ヲ安クシテ宜イト云
フ、入ッテ來ナケレバ只デモ宜イ譯デア
リマスガ、一割ニ減ズルト云フコトハ
他ノ比較カラ出タカモ知レマセヌケレ
ドモ、折角水產ヲ保護ナサルト云フ御
方針カラ言ヒマスナラバ、現行法ノ儘
デ据置カレタ方ガ水產ノ發達、卽チ政
府ノ折角御奬勵ニナッテ居ル御趣旨ト
符合スルノデアリマスガ、ソレニ矛盾
シタ政策ヲ御採リニナルコトハ甚ダド
ウモ其理由ヲ發見スルニ苦ムノデアリ
マスカラ、申上ゲテ置ク次第デアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=74
-
075・三宅發士郎
○三宅水產課長 一寸私ガ代ッテ申上
ゲマス、只今此關稅ヲ低下シタ理由ハ
原料ノ安イモノヲ輸入スル必要ガナイ
カラデアルト云フ風ナ御質問モアッタヤ
ウデアリマスガ、御承知ノ通リ材料ハ
或意味ニ於テ有リ餘ッテ居ルノデアリ
マシテ、鰮ニシロ、其他ニシロ、サウ云フ
意味ハナイノデアリマシテ、今矢部政
府委員カラ御答モアリマシタ通リ
ツハ一般ノ比例ト云フ點カラ來タノデ
アリマス、ソレカラ今一ツハ領海外ニ
於テ外國船藉ヲ有スルモノノ活躍ト云
フ點ガゴザイマシタガ、是等モ實ハ實
力本位デアリマシテ、果シテ關稅ガ三
割ニ現行ハナッテ居ルガ爲ニ來ナイノ
デアルカ、日本ノ實力ニ於テ抑ヘテ居
ルノカト云フト、此點ハ寧ロ後者ニア
ルノデハナカラウカト云フヤウナ見地
カラ出テ居ルノデアリマス、ソレデ其
實力デアルト云フコトハ從來遠洋漁業
ノ奬勵ヲシ來ッテ居ル所以デアリマシ
テ、尙ホ其實力ガ薄ラグヤウニナッテハ
イカナイト云フ立前カラ致シマシテ、
來年度ヨリ大形漁船ヲ以テ此實力ヲ維
持セント努メテ居ル次第デアリマス、
沿岸漁業ノ點ニ付キマシテハ先程農林
次官カラ御述べニナリマシタ通リ二百
萬圓、平均百四、五十萬圓、十三年度ハ
多イノデアリマスガ、平均百四、五十萬
圓ノ輸入ガアルノデアリマスガ、是モ
時期ノ關係ノミナラズ、農林省ノ冷藏
ノ奬勵ト相俟チマシテ、品質ノ向上ヲ
圖リ得ルヤウニ努メテ居ルノデアリマ
ス、尤モ此沿岸漁業ニ付キマシテハ露
領漁業トノ關係ニ於キマシテ相當考慮
スベキモノデアラウト思ハレマスガ、
一ツハ冷藏ノ奬勵其他無稅輸入ト云フ
ヤウナ見地カラ、今後露領漁業ガ非常
ナ窮地ニ陷ルト云フヤウナ情報ガアリ
マスレバ、是亦格別デアリマスガ、ソレ
ガナイヤウニ見エテ居リマス今日ニ
於キマシテハ、先ヅ以テ是等ノ二ツノ方
法デヤッテ行ケバ、其位ノ率デ宜カラウ
ト云フ風ニ感ジタノデアリマス、尙ホ
午前中農林次官カラ述ベラレマシタ通
リ、農林省ニ於キマシテハ豊富ナ鰯其他
ノ水族ノ製造ヲ改良致シマシテ輸出ニ
向ケテ、鮪ナンカモ其例デアリマス、サ
ウ云フ關係上大體之ニ向ッテ行キサウ
デアリマスカラ、ソレナラ此際成ベク
必要ナ程度ノ範圍內ニ於テ低減シテ置
クコトガ、輸出ヲ奬勵スル、輸出先キノ
狀況ニ照シマシテ適常デハナカラウカ、
斯樣ナ考カラ外々ノ振合ヲ以テ特別ノ
事情ノ問題ガ起ラナイ限リニ於テハ、
先ヅ是デ相當ノモノト認メタ次第デア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=75
-
076・岡田温
○岡田委員 私ハ成ベク簡單ニ二三質
問ヲ致シマス、第一ニ四十ノ砂糖デア
リマスガ其一ノ和蘭標本色相第十一
號未滿ノモノニ相當スル、是ハ下等ニ
ナラウカト思ヒマスガ、ソレニ相當ス
ルモノガ今日臺灣ニ大分アリマスガド
ウデスカ、チヨット伺ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=76
-
077・小山松壽
○小山政府委員 多クアルカナイカト
云フコトデアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=77
-
078・岡田温
○岡田委員 サウデス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=78
-
079・小山松壽
○小山政府委員 多少アリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=79
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080・岡田温
○岡田委員 大シテアリマセヌカ、少
シデアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=80
-
081・小山松壽
○小山政府委員 僅デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=81
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082・岡田温
○岡田委員 是ハ私ノ御伺シマス精神
ハ沖繩縣ハ全然農業縣デアルノニ極メ
テ不幸ナ縣デアリマシテ、色〓天災ノ
多イ縣デアリマシテ、生產物ノ大宗ガ
砂糖デアッテ、ソレハ下等品デアリマ
ス、所デ若モ此位置ニ相當ナル所ノ稅
率ヲ相當ニ上ゲマスルト云フト、沖繩
縣ノ生產品ノ最モ大宗タル所ノ砂糖ヲ
或ル保護ヲ與ヘンコトニナッテ、沖繩縣
ノ產業ノ奬勵ナリ、場合ニ依リマスト
云フト災害ノ救濟ナリニ最モ宜イノデ
ハナイカト思ハレルノデアリマス、幸
ニモ臺灣糖ニ關係ガ少ナケレバ多少內
地ノ白下等ノ關係ガアリマシテ、ソレ
等ヲ含ンデモ之ニ少イ稅率ヲ課シテ、
サウシテ特ニ沖繩縣デ產出スルヤウナ
下等ノ砂糖ヲ保護シ、若シソレガ消費
者ニ對シテ砂糖ヲ高クスルト云フコト
ガアルナラバ、是ハ消費稅ニ於テ又此
劣等ノ黑糖ニ對シテ減免デモスルト云
フコトニシマヌレバ、餘程都合好ク沖
繩ヲ救フト云フコトガ出來ヤウカト思
ハルルノデアリマスガ、サウ云フヤウ
ナ一部分ノモノニ對シテサウ云フ特殊
ナ政策ヲ執リマスト云フト、全體ノ糖
業政策ニ大分都合ノ惡イコトガ起ルデ
アリマセウカ、一ツ其點ヲ御伺致シマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=82
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083・小山松壽
○小山政府委員 四十ノ砂糖ノコトデ
アリマスガ、大體ノコトヲ私ハ申上ゲ
テ更ニ當局カラ補ヒヲ致スコトニ致シ
マス、此表デモ御覽ノ通リ、和蘭標本色
相第十一號未滿、和蘭標本色相第二十
一號未滿、砂糖ノ色相ノ關係カラ非常
ニ其種類ガ分レテ居リマス、而シテ只
今御尋ノ沖繩縣ノ黑糖ノコトニ付テハ
種々御議論モアリマシテ、一應御尤ト
承ル點モ多イノデアリマス、此砂糖ノ
コトハ消費稅ノコトモ伴ヒマスルノデ、
農林省ト致シマシテハ大藏當局トモ篤
ト協議ヲ致シマシテ、將來消費稅ニ對
シテ考慮ヲ致シマスル場合ニ、適當ナ
ル之ニ對シテノ處置ヲ致シタイ、斯ウ
考ヘテ折角今〓究致シテ居ル譯デアリ
マス、而シテ尙ホ只今ノ沖繩縣ノ產業
上ノ關係カラ黑糖ヲ御擧ゲニナリマシ
タガ、沖繩縣ニ於キマスル所ノ此產業
ノ保護助長ニ關シマシテハ、特ニ意ヲ用
ヒマシテ、豫算上御認メノ通リ、十五年
度ニ於テハ將來相當ナル之ニ助成ノ途
ヲ立テテ居ルヤウナ譯デアリマス、單
ニ砂糖ニ限リマセヌ、其他各般ノ施設
ヲ致スコトニナッテ居リマス、大體御問
ニ對シテハ此稅案御審議ノ場合ニハ右
ダケノコトヲ大要申上ゲテ置キマス、
併シソレカラ以上進ンデ砂糖ノ色相ニ
對シテノ御尋ネ、若クハ砂糖ノ助長ニ
對シテノ御尋デアリマスレバ、當局ヨ
リ御答申上ゲルコトニ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=83
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084・岡田温
○岡田委員 是ハ一ダケノコトニ付テ
御伺シタノデ、モウソレデ宜シウゴサ
イマス、御精神ハ分リマシタ、又別ノ考
ヲ以テ申上ゲルコトニ致シマス、次ニ
五十三ノ「バタ」デアリマスガ、是ハ先
刻カラモボツボツ御尋ガアリマシタ
ガ、一寸伺ヒタイノハ、是ダケハ舶來品
ヨリ品質モ優良ナモノガ出來ルシ、値
段モ廉イシ、サウシテ必要量ヲ供給シ
得ルヤウニナッテ居ルノニ可ナリ輸入
ガアル、要スルニ是ハ外國ノ崇拜病ニ
罹ッテ居ル患者ガ、食フダケノモノラシ
イノデアリマス、サウシテ見マストソ
レ等ノ人ハ知識階級ノ人デモアルシ、
ドッチカト言ヘバ資產階級ノ人デアリ
マセウカラ、禁止稅ト言ッテハ惡イカ
モ知レマセヌケレドモ、奢侈稅ト云フ
位ニシテ、斯ウ云フ利益カラ云ヒマシ
テモ、何カラ言ッテモ輸入ヲ保護シテ居
ルヤウナモノハウント上ゲテ、サウシ
テ內地ノ生產ヲ保護シテモ宜カラウト
云フヤウニ考ヘマスガ、矢張据置ニシ
テ置カレマシタノハドウ云フ譯ナノデ
アリマセウカ、其點ヲ御伺致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=84
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085・矢部規矩治
○矢部大藏技師 只今岡田サンノ御問
ニ對シマシテ御答致シマス、「バタ」ニ付
キマシテハ先程大分間題ニナリマシ
タ、ソレデ明ナルコトト考ヘテ居リマ
シタノデアリマスガ、重ネテ繰返シテ
ノ御尋デアリマス、御承知ノ如ク日本
ノ酪農ハ相當ニ發達ヲ致シマシテ產額
モ多クナリ、品質モ外國品ニ少シモ劣
ラヌ、却テ優ル位ニナッテ居ル、然ル此
ニ消費者ノ觀念ガ外國品ニ重キヲ置キ、
外國品ヲ尊ブト云フ所カラシテ賣行ガ
多クナルト云フコトニナッテ居ル、事業
其モノカラ見マスレバ相常ニ困難ノヤ
ウニ見受ケラレマスガ、兎ニ角現行稅
ノ下ニ發達致シテ來マシタガ、一カノー
ハ是ガ、非常ナル榮養品ニナッテ居リマ
シテ、斯樣ナ物ノ需要ト云フモノヲ進
メルト云フコトハ衞生上非常ニ必要
ナコトデアリマスカラ、之ヲ引上ゲル
ト云フコトハドウカト思ヒマス、ソレ
デ尙ホ考慮シナクテハナラヌコトハ、
先年「バター」ニ付キマシテハ協定ガア
ル、二十九圓六十錢ニ九十一·二「バ、
セント」ヲ乘ジタル二十七圓ヲ適用サ
レルコトニナッテ居リマス、今囘モ二十
七圓ガ適用サレルコトニナッテ居リマ
ス、此方ノ關係モ多少見ナケレバナラヌ、
彼此レ消費者ノ側、生產者ノ側、協定ノ
側、此三方ヲ考ヘマシテ、据置ニ致シタ
譯デアリマス、尙ホ當業者カラ聞キマ
スト、生產地ニ於ケル價格ト、市場ニ於
ケル價格ガ非常ニ懸隔シテ居リマス、
是等ニ付テモ相當改善ヲ要スル點ガア
リマスノデ、當局者ハ勿論當業者ニ於
キマシテモ、自然是等ニ氣附イテ居リ
マスノデ、此販賣ノ方法ヲ改善スル上
ニ於キマシテ、注意ヲ加ヘマシタナラ
バ、更ニ關稅ノ引上ヲ待タズシテ、相當
發達スルデアラウト云フ考モアリマ
ス、ソレデ此二十九圓六十錢ヲ据置ニ
シタノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=85
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086・岡田温
○岡田委員 次ニ五十九ノ二ノ鳥卵デ
アリマス、鳥卵ノ自給計畫ヲ見マスル
ト、六箇年デ出來ルヤウナ計畫ニナッテ
居リマス、斯樣ナ計畫ハ、多少ノ違ヒハア
リマシテモ、一ツノ理想ヲ以テ具體案ヲ
作ッテ御繼續ニナルノハ洵ニ宜イコト
デアリマシテ、賛成スルノデアルガ玆
ニ非常ニ根本的ニ疑義ノ起リマシタノ
ハ、政府ノ御考ニ依ルト、從來ノ養鷄ハ
利益ガアリ過ギル、ソレ故少々輸入稅
ヲ安クシテ、競爭ヲ大ナラシメテ、利益
ガ減ッテモマダ養鷄ハヤレルモノデア
ラウト云フ風ノ御見込ノ下ニ、關稅ヲ
引下ゲラレタノデアラウト考ヘル、自
給計畫ヲ立テテ、之ヲ奬勵スル場合ニ、
安クテモ斯樣ナ式ニスレバ、一般農家
ガ多ク鷄モ飼ヒ、改良モスルト云フコ
トニ向ッテ行クダラウカ、ソコガ分ラナ
1、値段ハ安クスベキ政策デアリナガ
ラ、一面ニ於テ、增サウト云フノハドウ
モソコニ矛盾ガアルノデハナイカト想
像サレルノデアリマス、ドウ云フ根據
ニ依テ、サウ云フ風ニ御認メニナッタカ
御伺シタイ、要スルニ稅率ヲ下ゲルト
云フコトハ、言葉ヲ換へテ言ヘバ、今マ
デノ養鷄業者ハ相當減ルモノデアル、デ
アルカラ、モット安クシテモ尙ホ引合フ
ト云フ御觀察ノ基礎ヲ御伺シタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=86
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087・小山松壽
○小山政府委員 先刻長田君ノ御質問
ノ場合ニ、御答申シマシタコトデ略御
了解ノコトト思ヒマスガ、重ネテ御尋
デアリマスカラ申上ゲマス、自給計畫
ハ、繰返シテ申シマシタヤウニ、大正八
年十一月二十八日カラ、大正十三年三
月三十一日マデ六箇年ニ亙テ、鳥卵ノ
免稅ガサレテ居ッタ、關稅ハ一文モ掛ツ
テ居ラナイ、是ハ十分ニ御記憶ヲ願ヒ
タイ、然ラバ其免稅サレタ時ノ養鷄業
ノ消長ハドウデアッタカト云フト、大正
八年カラ十三年マデノ調査ノ數字ヲ見
マスト、內地ノ養鷄業ハ免稅サレテアッ
タニモ拘ラズ、相當ノ數ヲ以テ增加シ
テ居ル、サウシテ見マスト、單ニ關稅ノ
方面ノミデハナク、生產保護ノ見地ヲ
考ヘナケレバナリマセヌガ、一面ニ於
キマシテハ農林省ノ執ッテ居ル方針ト
シテ、農家ノ重要副業デアル養鷄業ニ
付テハ、產卵能率ヲ上ゲルコト而シテ
共同販賣、斡旋ノ方法、是等ノ點カラ考
ヘテ見マスルト、消費地ニ於キマシテ、
實際小賣ニ依テ、銘々手ニスル鷄卵ノ
價ト農家ガ仲買等ノ手ニ渡シマスル價
格トヲ比較シテ見マスルト、世間ニ大
分開キガアリマス、其開キノアルノハ
ドウ云フ譯カト云フト、販賣方法ガ宜
シクナイ、其間ノ仲買或ハ買集メテ步
ク者ノ間ニ相當ナル利益ガアル、養鷄
業ノ將來ト致シマシテ其點ノ施設ヲシ
テ、之ヲ助長スルナラバソレガ接近シ
テ來ル、サウスレバ、消費者ノ側カラ云
ヘバ、今ヨリモ安イモノガ、手ニ這入ル
コトニナル、生產者ノ方ノ側カラ云ヘ
バ、多少其價額ガ上ッテモ、歸スル所ハ
中間ニ於テ消エルモノガ兩者ノ利得ニ
ナルノデアリマスカラ、此點ハ最モ注
意シテ、十四年度ニ於テモ十五年度ニ
於テモ、其施設ヲ致サウト云フノデ豫
算ノ協賛ヲ求メテ居ルト云フ譯デアリ
マス、何分六年間ニ亙テノ免稅デアル、
ソレガ漸ク大正十三年四月一日カラ復
活シタモノデアル、而モ生產數量ニ於
テハ、數字デ御覽ノ通リソンナニ大ナ
ル消長ハ此間ニナイノデアリマス、此
點カラ考ヘマスレバ此關稅率ヲ以テシ
テ、一面ニ於テ養鷄業ノ生產保護ヲ致
シ、而シテ之ニ對シテ只今申ス施設ヲ
致シマスレバ、相當需給計畫ノ將來ノ
目的ヲ達スルコトニナリハシナイカ
但シ是ハ農林當局トシテハ一ツノ理想
案デアリマスカラ、此理想ニ達セシム
ルコトニ付テハ、農林常局トシテハ指
導助長ノ方法ハ出來ルダケヤリマス
ガ矢張養鷄業者方面ニ於テモ其意ヲ
體セラレ、互ニ協力シテ其實ヲ擧ゲル
ヤウニシテ下サラネバ實行ハ出來ナイ
ト存ジマス、ドウゾ左樣御諒承ヲ願ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=87
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088・岡田温
○岡田委員 同ジ數字ニ依テモ、私共
ノ考ノ違フ所ヲ一應申上ゲマス、私共
モ免稅ノアッタコトハ能ク心得テ居リ
マスガ、其免稅ノアッタ間ニ、斯ウナッタ
ト云フ免稅ニ對スル判斷ガ違ヒマス、
成程次官ノ仰セニナリマシタヤウニ、
其間ハ數字ニ於テハ增シテ居リマス、
併シ其增シテ居ル步合ハ少イ、所ガ其
間ニ於ケル消費ノ增加ハ非常ナモノ
デ、非常ニ輸入增加ノ比率ガ違フノデ
アリマス、ソレカラ今一ツハ價額ノ騰
貴デアリマスガ、是ガズット上ッテ居リ
マス、ソレデアリマスカラ成程輸入稅
ガ免除サレテモ、一面ニ於テ非常ナ勢
ヲ以テ消費ガ增シテ居ル、卽チ需要ガ
增シテ居ルヤウニナッテ居ル、併シソレ
ハ價額ガ增シタノデアリマスカラ大シ
タ影響ヲ受ケズニ濟ンデ來テ居リマ
ス、サウ云フコトガ能クアルノデアリ
マス、何故ナラバ六圓ト云フ關稅ヲ免
除サレテモ、價額ガ八圓ニ上ッテ居レ
バ、免稅サレタト云フコトハ一向ニ響
カナイノデアリマス、所ガ今ノ次官ノ
御話ノヤウニシテ數字ヲ御考ニナリマ
シテ、今後モ今マデノヤウナ風ニ免稅
ヲ行ッタナラバ消費ガ增ス、ソレカラ價
額モ增スノダト云フコトヲ前提トスレ
バ、ソレハ仰セノ通リニナルカモ知レ
マセヌ、ソレデ此免稅ヲ行ッテ居ッタ時
代ニ、其消費ナリ價額ガ違フト云フ考
デ、之カラ先モヤラレルト云フノハ、ド
ウ云フ御考デアリマスカ、ソレヲ伺ヒ
タイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=88
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089・小山松壽
○小山政府委員 御手許ヘ御廻シ致シ
マシタ此一人ノ鷄卵消費ハ現在デハ
三十八個幾ラト云フコトニナリ、自給
計畫デハ五十五個幾ラト云フコトニ
ナッテ居リマス、此數字ハ明カニ一人當
リノ鷄卵ノ消費ガ增シテ居ルノデアリ
マス、而モ價額ノ點ノ御話ガゴザイマ
シタガ、財界ノ事情、市場ノ關係等ヲ見
マスレバ、大正九年ノ春マデハ財界モア
ノヤウナ狀態デアリマス、併シ九年ノ
三月半バ頃カラ漸次財界不況ニナッテ
參リマシテ、九年カラ十年十一年ト云
フ風ニ段々財界ノ不況ヲ招イテ參ッタ
ノデアリマス、然ラバ岡田君ノ御議論
ノヤウデアルト、矢張リ需要ハ減ジテ
行カナケレバナラヌ、然ルニモ拘ラズ
內地鷄卵ノ需要ハ增シテ居リマスチ
ウスルト今後ノ財界ハ是ハ見方ニ依リ
マセウケレドモ、大正九年末カラ十年
十一年ノヤウナ不況ノ財界ガ尙ホ一層
續クカドウカト云フコトハ、是ハ御互
ニ見ル所ニ依リマス、私共ハ左樣ナ財
界ニハナラヌト思フ、而シテ國民ガ鷄
卵ヲ消費致シマス所ノ率ハ、現在ノ三
十八個ヨリ減ルモノデハナイ、增スモ
ノデアル、斯ウ考ヘテ居リマスカラ、隨
テ養鷄業ニ對シテノ當局ノ持ッテ居ル
方針ニ大ナル不都合ハナイト斯ウ考ヘ
テ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=89
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090・岡田温
○岡田委員 所ガ此御計畫ノ通リニ、
全部自給ヲサセヤウト云フ考ハ、サウ
云フ計畫デ行ケバソレハ、出來ナイノ
デアリマス、若モ何カ奬勵ヲ加ヘテ、ソ
レヲ需要增加ト伴ハシタ比率デ以テ進
ンデ行ケバサウ云フコトニモナリマ
スガ、實際ニ於テハ減リハシナイカ、
方ガ增スニ從ッテ其比率ガ必ズ增スト
云フコトハナイ、需要ヲ同一ニ見タナ
ラバ內地ノ物ハ減ジテ居ルト言ヒ得
ル、唯ダ數字ガチットバカリ增シテ居ル
ガ爲メニ、養鷄業ガ其間ニ直接影響ヲ
受ケタ如クニハ見ラレナイヤウニ思ハ
レル、ケレドモ他ノ條件ヲ同ジヤウニ
シテ、其上デ見レバ輸入ノ方ガ增シテ
居レバ、內地ノ生產ハ減少スルト云フ
風ニ見ラレルノデアリマス、ソレデ若
シ斯ウ云ウ自給自足ヲヤレバ、アノ時
代ノ狀態ヲ基礎トシテ、更ニ其後ニ復
活シテ、又一年シテ更ニ幾ラカ稅ヲ減
ズルト云フコトニナリマスト、是ハド
ウシテモ私ハ自給計畫ト云フモノヲ裏
切ッタコトニナル、又殊ニ次官ノ御述ニ
ナッタル他ニ奬勵ノ方法ガアルト云フ
コトデ、ソレヲスレバ無論是ハ出來マ
ス、出來ヌコトハナイト思ヒマスガ、私
ガ每度申シマス通リ、ソレハソレデア
ル他ノ奬勵法ハ奬勵法デ、又別ニ考ヘ
マセヌト、此根本ノ輸入品競爭品ニ對
スル輸入稅ヲ論ズル場合ノ直接ノ對照
トシテハ事實上ドウモ面白クナイト
云フコトガ私共ノ見解デアリマス、斯
ウ云フ點カラ見テ正當ナ理窟ガ含マレ
ナケレバ、御計畫通リニハ行キマスマ
イ、輸入稅ヲ見テモ大正十四年度ハ十
三年度ヨリ少シ減ヲテ居リマスカラ、是
ハ場合ニ依テハ需要ガ前ノ如キ率ヲ以
テ增シテ行カナイ狀態ヲ示シ始メタノ
デハナイカト云フ風ニモ想像サレマ
ス、是ハ一年ノ數字デアリマスカラ何
トモ言ヘマセヌガ、ドウシテモサウ云
フコトヲ彼此レ考ヘマスト、今申上ゲ
タヤウニ此御計畫デハ免稅ヲ以テヤッ
テモ、ソレハ大シタ打擊ハアルマイト
云フ斷定ノ下ニヤラレテハ、折角ノ御
計畫モ遂ニ効ヲ奏シナイ結果ニナリハ
シナイカト云フコトヲ憂フルノデアリ
マス、併シ是ハ何故カト申シマスト、矢
張結局ハ觀察ノ違ヒニナリマスカラ、
私ノ質問ハ是デ打切リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=90
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091・山内範造
○山內委員 私ハ第五十三ノ「バター」
ニ付テ、先刻カラノ質問應答ニ依テ略
分リマシタガ、當業者ノ陳情ニ依リマ
スト、西伯比利カラ非常ニ安イ品物ガ
這入ッテ來ル、其爲ニ非常ニ脅威ヲ受ケ
ルカラ、今少シク關稅ヲ上ゲテ貰ヒタ
イト云フ陳情ガアル、此西伯利カラ廉
價ナ「バター」ノ這入ルト云フコトニ付
テハ、當局ニ於テハ如何ナル考ヲ持ッテ
御出ニナリマスカ、其點ヲ伺ヒシタ
イ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=91
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092・矢部規矩治
○矢部政府委員 只今ノ御質問ニ御答
シマスガ、御手許ニ差上ゲテアリマス
所ノ大正十三年特別輸入額表ヲ御覽ヲ
願ヒタイノデアリマス、之ニ依リマス
ト露領亞細亞カラ輸入サレマスル額ハ
揭ゲテナイノデアリマス、大〓此處ニ
上ゲマシタモノハ輸入額ガ多イモノヲ
シタノデアリマシテ、最低ノ所デ五百
八十八圓マデ揭ゲテアルノデアリマス
カラ、假ニ輸入ガアリマシタモノトス
レバ、五百圓以下ト思ヒマスルノデ、大
シテ恐ルベキモノヂヤナイト考ヘテ居リ
マス、尙ホ聞ク所ニ依レバ、西伯比利ノ
「バター」ヲ販賣スル計畫ガアルサウデ
アリマスガ、左程恐ルベキーモノヂヤナ
イト考ヘテ居リマス-只今六千圓ノ
輸入ガアルコトガ分リマシタカラ訂正
致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=92
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093・山内範造
○山內委員 今政府委員カラ御訂正ナ
リマシテ、六千圓ト云フコトハ分リマ
シタガ、是ハ十三年度デアリママス十
四年度ニ於テハ凡ソドノ位バカリ這入
ルノデアリマスカ、何カ當業者ノ申立
ニ依レバ、今少シ關稅ニ依テ課稅シテ
戴カナケレバ、西伯比利ノ輸入ガ大變多
クナル見込デアル、將來ニ於テハ世界
中ニ亙テ非常ナ脅威ヲ受ケルヤウニナ
ル、斯ウ云フコトヲ言ッテ居ル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=93
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094・矢部規矩治
○矢部政府委員 只今手許ニソレニ關
スル書類ハ持ッテ居リマセヌカラ、特別
輸入額ハ追テ調ベマシタ上デ、差上ゲ
ルコトニ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=94
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095・山内範造
○山內委員 ソレデハ今ノ「バター」ノ
コトハ後廻シニ致シマシテ、私ハ鳥卵
ノコトニ付テ少シク御伺シタイ、今岡
田君カラ詳細ニ御問ニナリマシタカラ
略分リマシガ、我國ニ於テ鳥卵ノ需要
ハ年ト共ニ增シマシテ、大正十二年マ
デハ輸入額ガ千七百萬圓以上ニナッテ
居ル、然ルニ十三年ニ初メテ輸入稅ヲ
賦課サレルヤウニナリマシテ、千五百
萬圓ニナッテ居ル、ソレカラ十四年ニハ
之ガ千二百萬圓ニナッタ、斯樣ニナッテ居
ル、關稅ノ關係ニ於テ輸入ヲ防遏スル
ト云フコトハ大部分影響ヲシテ居ルヤ
ウニ見受ケラレマス、之ヲ假ニ百斤千
三百個ト致シマシテ、從來ノ稅金ハド
レダケデアルカト云フト、六圓デアル
カラ一個四厘六毛ニナリマス、ソレガ
此度引下ニナリマスト三厘四毛ニナリ
マス、斯ウナッテ來マスト、其間ニ一厘
二毛ダケ稅金ガ下ルコトニナル、四厘
六毛ノ稅金ガ課セラレテ、ソレガ爲ニ
輸入ニ於テ殆ド五百萬圓バカリ違ッテ
來タ、ソコデ此度又稅金ガ下ッテ、僅ニ一
厘二毛デゴザイマスガ、所謂政府ノ金
科玉條トシテ居ラレル消費者竝ニ生
產者ノ双方ノ調和ヲ圖ルト云フヤウナ
意味ニ於テ、此程度ナラバ相當養雞事
業ノ奬勵ガ出來ルダラウト云フ御觀察
ノ下ニ稅額ヲ下ゲタノデアリマセウ
ガ、全體ニ於テ私ハ此農產物ニ對シマ
シテハ、生產業者ガ多數アル如クニ、矢
張之ガ消費者モ多數アル、サレバ此兩
者ノ調和云々ト云フコトカラ、假ニ
厘二毛ヅツ安クシテモ、其爲ニ生產者
ガ困ッテ倒レルト云フコトモ、甚ダ申シ
難イ事柄デアッテ、又消費者ガ之ガ爲ニ
脅威ヲ受ケルト云フコトモ、一寸申シ
難イト思フ、ソコデ兩者ノ調和ヲ圖ル
ト云フコトナラバ、總テノ方面ニ於テ
所謂調和ノ名ノ下ニ、農村ガ不利ノ立
場ニ立ツト云フヤウナコトハ、モウ少
シ御考慮アッテ然ルベキモノナリト思
フ、物價ヲ引上ゲルト需要者ヲ困ラセ
ルト云フ政府ノ御說明モ御尤デアリマ
スケレドモ、一箇一厘二毛ノ値上ノ爲
ニ、生產業者ガ非常ナ脅威ヲ受ケテ、其
後ノ生產ガ減ルト云フコトモ申シ惡イ
ノデアリマスガ、成ベク生產費ノ價ガ
向上セヌト云フノガ生產業ヲ振興サセ
ル上ニ於テ唯一ノ策デアル一寸私ノ
方ノ縣邊リデハ、近來養蠶ガ利益ガア
ル、利益ガアルカラ縣ハ近時是ダケノ
桑ヲ植エサセル、サウシテ何年計畫ト
云フヤウナコトデ奬勵セラレマスル
ガ、一朝生絲ガ下ルト云フコトニナレ
バ、中〓其奬勵ハ思ハシクナラヌ、併ナ
ガラ多少デモ利益ガアルト云フコトニ
ナレバ、其結果ハ計畫以上ニ進ンデ來
ルノデアル、サレバ折角政府ガ自給自
足ヲ圖ラレル上ニ於テ、六年計畫ニ依
テソレヲ完全ニスルト云フ御方針デア
ルナラバ、從來ノ鷄卵ノ關稅位ナモノ
ハ、其儘御捨置キニナッテモ、何等消費
者ニ對シテ差支ナイト思フガ、政府ノ
御所見ハ如何デアリマスルカ、以上此
事ヲ伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=95
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096・小山松壽
○小山政府委員 只今山內君カラ御尋
ノ關稅ヲ引下ゲル爲ニ、一厘一毛バカ
リノ差ガアルト云フコトハ、當局モ存
ジテ居リマスノデ、矢張サウ云フ差ガ
アル、但シ先刻來屢申上ゲマシタ此鷄
卵ノ價格ガ生產者ト小賣ノ間ニ大分ノ
開キガアリマス、此開キヲ成ベク接近
サセテ參リマスレバ、生產者モ宜シ、消
費者モ宜シ、斯ウナルノデアリマス、試
ミニ後ニ又同ジ御質問ガアラウト豫想
致シマスカラ、此數字デ申上ゲテ見マ
セウ、大正四年-後ニ最近ノヲ申上
ゲマス、先ヅ大正四年ノ生產者ノ販賣
價格ハ百匁目ニ付テ十三錢七厘デアリ
マス、而シテ東京、大阪ノ小賣價格ヲ平
均致シマシタモノガ、二十一錢二厘デ
アリマス、サウ致シマスト此開キガ七
錢五厘アリマス、而シテ大正十三年ノ
只今申上ゲマシタモノニ對シテノ數字
ヲ申上ゲマスト、生產者ノ販賣價格ガ
百匁目ニ付テ三十六錢一厘デアリマ
ス、之ニ對シテ東京、大阪ノ小賣價格ノ
平均ハ四十七錢デアリマス、其間ニ開
キガ十錢九厘アリマス、斯樣ナ次第デ
アリマシテ、生產者ト消費者トノ間ニ
百匁目ニ付テ十錢カラノ開キガアルノ
デアリマス、是ハ何ガ故デアルカト云
ヘバ、先刻來屢申上ゲマスヤウニ、此販
賣、斡旋等ニ付テノ其施設ガマダ徹底致
シテ居リマセヌノデ、生產者モ詰ラヌ
コトデアルシ、消費者モ無益ナモノヲ
拂ッテ居ル、サウシテ其儲カル者ハ誰カ
ト云フト、唯中間ノ卵ヲ買集メテ步ク
者ガ儲ケテ居ル、洵ニ是ハ一擧兩損、兩
方トモ損ヲシテ居ル、デアリマスカラ
斯ウ云フヤウナコトデハ、單ニ鷄卵ニ
限リマセヌ、我國ノ生產消費ノ間ニハ
サウ云フヤウナ類ガ多々アラウト思ヒ
マス、此事ハ御互ニ協力シテ生產者ト
消費者トノ間ヲ接近セシメルヤウニシ
テ、御互ニ其間ニ無益ナ消エテ行クモ
ノニ對シマシテ按排致シマスルナラ
バ、生產者モ宜シ消費者モ宜イト考ヘテ
居ル譯デアリマス、是ガ私共ガ常〓心
シテ此指導助成ヲ致サナケレバナラヌ
ト心得テ居ル所ノ對策ノ一ニナッテ居
ルノデアリマス、而シテ只今段々御話
ノアリマシタ此數量ノコトデアリマス
ガ、成程海外カラ參リマス輸入卵ノ數
字モ出テ居リマセウ、併シ先刻來申上
ゲルヤウニ、內地ニ於ケル生產ノ鷄卵
ノ數モ相當ニ殖エテ參ッテ居ルノデア
リマスカラ、成程六圓ト四圓五十錢ノ
間デハ一厘强ノ其處ニ差ガアリマセ
ウ、併シ過日來申上ゲマスルヤウニ、矢
張是ハ國民生活ニ關係アルモノデアリ
マスルカラ、消費者ノ方ノコトモ考ヘ、
生產者ノ方ノコトモ考へ、而シテ此調
和ヲ取リ、併セテ只今申上ゲマス所ノ
生產消費ノ間ニ空ニ消エテ行クヤウナ
モノニ付テ、十錢以上ノ開キガアルト
云フコトハ、實ニ御互ニ考ヘナケレバ
ナラヌコトデアル、斯ウ云フヤウナコ
トカラ十錢以上ノ開キガアレバ一厘ヤ
二厘ノコトヂヤアリマセヌ、斯ウ考ヘ
マシテ農林當局トシテハ、十四度ニ於
テモ十五年度ニ於テモ、斯樣ナ缺陷ヲ補
ヒ、サウシテ斯樣ナ不備ヲ正シテ、統一
シテ以テ生產消費御互ニ其間ノ利益ヲ
得ルヤウニ致シタイ、斯ウ努力シテ居
ル譯デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=96
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097・加藤政之助
○加藤委員長 山內君マダアリマス
カ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=97
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098・山内範造
○山內委員 今ノ御說明デ能ク分リマ
シタ、此農村ニ於ケル販賣方法ノ不備
ナル點ハ御尤デアリマス、私モ同一ノ
感想ヲ持ッテ居ル、併シ是ハ養鷄業ニ致
シマシテモ、販賣斡旋組合デモ拵ヘマ
スト一緒ニ集メテ箱詰ナドヲ致シマ
スケレドモ、農家ノ副業ト云フモノハ
五十羽以上デモ置イテ居ル所ハ別物デ
ゴザイマスケレドモ、十羽ヤ二十羽置
イテ居ル所ハソンナコトハ出來ナイ、
之ヲ普及スルト云フコトニ付テ、私ハ
關稅ヲ以テ別段ニ之ヲ援護ヲシテ貰フ
ト云フヤウナコトハ、餘リ深ク感ジテ
ハ居ナイノデアリマスケレドモ、大體
ニ於フ農村ノ副業ヲ奬勵セラルル上ニ
於テ、何ダカ此保護ノ恩典ニ浴スルコ
トガ甚ダ色眼鏡カ知レマセヌガ薄イヤ
ウニ考ヘマス、農產品ニ付テハ、總テノ
方面ニ薄イヤウデアリマス、殊更ニ引
下ゲテ、關稅デモ引下ゲテアルヤウニ
私ニハ色眼鏡デ見テ居ルノカ知レマセ
ヌケレドモ、見エル、如何ニモサウ云フ
販賣方法ノ御指導等ハ地方農會及產業
組合等ニ於テモ、政府ノ意ノ在ル所ヲ
體シテ、ソレ等ノ事ハ奬勵シツツアル
ノデアリマス、併ナガラ、サウ云フヤウ
ナ風ニ斡旋シ、奬勵シツツアル上ニ於
テモ、政府ハ斯ノ如クシテ保護セラレ
居ル、サウ云フヤウナ所謂一ノ氣分ガ
非常ニ此副業ノ奬勵ノ上ニ於テ、非常
ナ精神的刺戟ヲ與ヘル上ニ於テ非常ナ
効力ガアルト思フノデアリマス、サウ
云フヤウナ見地カラ、シチクドク申上
ゲル譯デアリマス、政府ノ趣意ハ略
分リマシタカラ、是デ質問ヲ打切リマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=98
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099・小山松壽
○小山政府委員 私ハ此場合ニ申上ゲ
テ置キタイト思ヒマスルノハ、副業奬
勵ノコトニ付キマシテハ、豫テ其經費
ノ御協賛ヲ得テ、農林省ト致シテハ出
來得ルダケノ努力ヲ致シテ居リマス
ガ、昨年ノ秋上野ニ副業展覽會ヲ開催
致シマシタ、農林當局ニ於テモ只今山
内君ノ御述ニナリマスルヤウナ御趣旨
ニ對シテモ、之ニ副ヒタイト考ヘマシ
テ、副業展覽會ハ相當ナ規模ヲ以テ開
催致シマシタ、洵ニ畏イコトデアリマ
スケレドモ、攝政殿下ニ於カセラレマ
シテモ亦各宮ニ於カセラレマシテモ
旣ニ御承知ノ如ク副業展覽會ニ行啓ガ
アリマシテ、親シク副業展覽會ノ事情
ヲ御覽ニナリ、殊ニ此養鷄業ニ對シテ
ハ、特ニ御目ヲ留ラレマシテ、東京市
中ニ於ケル生產ノ狀態、全國ニ於ケル
養鷄-鷄卵ノ生產狀態及其荷造方
法、外國卵トノ關係等モ篤ト御覽ニナ
リマシタヤウナ譯デアリマス、當局ト
致シマシテハ洵ニ非常ナル光榮ト存ジ
テ居リマスト共ニ、深ク御上ノ思召ノ
在ル所ヲ體シマシテ、益此方面ニ努力
致シタイト努メテ居ルヤウナ譯デアリ
マス、私ハ特ニ此事ヲ此機會ニ申上ゲ
テ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=99
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100・加藤政之助
○加藤委員長 モウ此第三類ニ付テハ
質問ハアリマセヌカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=100
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101・奥村千藏
○奧村委員 只今山內委員カラ御尋ニ
ナリマシタガ、私モ稅番五十九ノ鳥卵
ニ付テ御伺致シタイノデアル、小山政
務次官カラハ色〓政府ノ御計畫ニ付テ
御示ニ相成リ、又印刷物ヲ配付サレタ
ノデアリマスガ、私ノ故〓デアリマス
岐阜縣デ生活ノ安定ヲ得テ居ル人デ
アッテ、此養鷄事業ニ非常ナ興味ヲ持
チ、先覺者トモセラレテ居ル伊藤才次
ト云フ人ガアル、此伊藤君カラ今囘政
府ガ稅率ヲ引下ゲマシタニ付キマシテ
書面ガ參リマシタ、是ハ當業者カラ色
〓陳情ガアリマスケレドモ、私ハ比較
的其要ヲ得タルモノデアルト思ヒマス
カラ、此點ニ付テ政府ニ伺ヒタイト思
フノデアリマス、今山內君カラ御話ニ
ナリマシタノハ農家ノ副業トシテデア
リマスガ故ニ、隨テ收支ノ基本數ト云
フモノハ不明確デアル、所ガ私ノ友人
ノ伊藤君カラノ手紙ニ依リマスト、養
鷄ハ非常ニ困難ナ事業デアル、併ナガ
ラ此頃ハ色〓〓究サレタ結果、病鷄デ
アルトカ、或ハ卵ヲ少ク生ム鷄ヲ排斥
スルトカ、或ハ飼料ノ購入方法ヲ按排
スルトカ、今小山政務次官ガ理想トシ
テ御述ニナッタヤウナ點ヲ實行シテ居
ル、其人ノ收支計算ニ依リマスト-
政府ノ方ハ一箇年ニ一百一個生ミ、六
年ノ內ニ一百六、七個マデ生ム計算ニ
達スルノデアリマスガ、伊藤君ノ計算
ニ依リマスト、只今デ既ニ百五十個ヲ
生マシテ居ル、ソレデ一個五錢ト致シ
マシテ七圓五十錢ト云フ收入ガアル、
之ニ糞其他デ一年ニ八十三錢ノ收入ガ
アル、糞ハ一圓ニ付テ十二貫目デアル
ガ、一年ニ丁度十貫目デアルカラ八十
三錢、ソレカラ支出ノ方ハドウデアル
カト云フト、飼料ニ一日一羽一錢五厘
一箇年ニ五圓四十七錢要ル、其他雜費
ガ一羽ニ付テ一箇年五十錢、サウスル
ト五圓九十七錢、勿論其外ニ雛ヲ育テ
マス所ノ手數ト云フモノガアリマス
ガ、ソレニハ又羽毛其他ノモノガアル
カラ、差引イテ無シト云フコトニナル、
只今申シマシタ所ノ數字ニ依テ、名古
屋「コーチン」ノ如キハ一羽デ二圓三十
六錢ノ利益ガアル、而モ是ハ中立業者
ヲ廢メテ、自分デ勝手ニ賣ッテ、サウシテ
之ヲ多量ニ扱フ所ニ賣ッテ居ル、此人ハ
斯ウ云フ計算ヲシテ居ル、此人ハ地方
デ養鷄組合長ヲシテ居ル人デアリマス
サウシテ生活ノ安定ヲ得テ居ルノデア
リマスカヲ、官廳カラ御賴ミガナクト
モ、各農村ニ行"テ農村振興ノ演說ノ傍
ラ副業ヲ勸メテ居ル、然ルニ今囘ノ引
下ニナリマシタノデ、一般ノ人ニ向ッテ
養鷄ヲ勸メ、又農村ノ比較的知識ノ少
イ人ニ向ッテ之ヲ勸メル上ニ於テ、非常
ニ精神上ニ於テ違ッテ來ル、故ニドウシ
テモ引下ハ困ルト云ウテ居リマスガ、
政府ハ此頃引下ゲマシタ基本數ヲ御說
明ニナリマシタガ、之ヲモウ少シ具體
的ニ御說明ニ預リタイト思フ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=101
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102・小山松壽
○小山政府委員 產卵能率ノコトニ付
テ實際ノ經驗家ノ御話ガゴザイマシタ
ガモウ少シ具體的ノ說明ト云フコト
デアリマスカ先刻來屢此數字ヲ以テ
申上ゲ、施設ノ〓要ヲ御說明申上ゲタ
ノデアリマスガ、ドウモ自分トシテ質
疑ヲ致シタイノハ此點ニ付テ斯ウ云フ
意見ノ相違ガアルガ、ドウデアルカト
云フコトヲ御示シ下サイマスレバ申上
ゲマスガ、或ハ先刻申上ゲタ所デ御諒
承願イマスマイカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=102
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103・奥村千藏
○奧村委員 政府ノ指導方法ニ付テ
ハ、唯大綱ダケノヤウニ思フガ、實際ニ
鷄ヲ養フト云フ場合ニハ如何ナル方法
デアリマスカ、其方法ヲ御示シヲ願ヒ
タイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=103
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104・小山松壽
○小山政府委員 先刻長田君ノ御尋ノ
際ニモ御答申上ゲマシタカ、是ハ千葉
ノ試驗場デ各國ノ卵鳥肉鳥、卵、肉、兩
用ノモノヲ集メテ飼育致シテ居リマ
ス、而シテ其品質ニ依リ飼育ノ方法、飼
料ノ關係等ニ付テ試驗ヲ致シテ居リマ
ス、例ヘバ肉鳥ト致シマシテハ成ルベ
ク太ラセナケレバナリマセヌカラ、ソ
レニハ去勢ヲ致シマシテ太ラセルト云
フヤウナ方法モ致シテ居ル、ソレカラ
先刻申上ゲマシタガ、產卵能率ヲ增サ
セル爲ニ電氣應用ヲ致シマシテ、サウ
シテ鷄ノ寢ル時間ヲ少クシテ產卵ノ能
率ヲ擧ゲシムルト云フ方法、又是ハ餘
程至難ナ事デアリマスケレドモ、此機
會ニ申上ゲテ置イテモ宜シウゴザイマ
スガ、支那ノ卵ハ色ガ總テ赤イノデア
リマス、日本ノ卵ニハ赤イノト、白イノ
トアリマス、而シテ最モ產卵能率ガ多
イ、而シテ肉鳥トシテモ市場ニ聲價ヲ
擧ゲテ居リマス所ノ名古屋「コーチン」
ト云フヤウナモノハ、本來ノ性質上卵
ガ赤イノデアリマス、仍テ支那ノ卵ト
間違ヘラレ易イノデアリマシテ當業
者ノ方デハ赤イ卵ヲ市中ニ出セバ支那
卵ト間違ヘラレルカラ、白イ色〓變ヘ
ヤウト云フヤウニ、今〓究シテ居ルヤ
ウデアリマス、故ニ支那卵ト日本卵ト
ハ市中ニアリマスモノデ白イ卵ヲ御買
求ニナリマスレバ、是ハ皆內地卵デア
リマス、其榮養分ニ於テ間違ナイ、コン
ナヤウナコトモ〓究シテ居ルノデアリ
マスガ、細カイ鳥ノ餌ヲドウ云フ風ニ
ヤルカ、十羽ニ付テ面積ガドウナルカ、
其肉ノ太リ方ガドウカト云フヤウナコ
トニナリマスト、是ハ技術ノ方ニ屬シ
マス、若シ此委員會トシテノ御要求ガ
アリマスレバ、其專門ノ技師ヲ呼ビマ
シテ御說明ヲ申上ゲマシテモ宜シウゴ
ザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=104
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105・加藤政之助
○加藤委員長 尙ホ此第三類ニ付テ御
質問ガアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=105
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106・奥村千藏
○奧村委員 ソレデハ卵ノ問題ハ後日
又委員會ノ皆樣ノ御意嚮ニ依テ、詳シ
イ御說明ヲ承ルコトガ出來マシタナラ
バ結構デアリマスガ、是デ此問題ハ打
切リマス、次ハ「コンデンス、ミルク」ノ
事ニ付テ御尋ヲ致シマス、是ハ先程來
神部君或ハ其他カラ詳シク御尋ニナ
リ、當局モ御答ニナッテ居リマスガ、多
數ノ中ニハ舶來品ヲ慕フトカ何トカ云
フ思想ニ驅ラレテ、一鑵ニ付テ二十錢
モ高イ所ノ練乳ヲ使フ癖ガアルガ、斯
ウ云フコトハ私ハ政府ガ少シ御考ニナ
レバ、其邊ノ誤解ヲ解クコトハ容易イ
ト思フノデアリマス、此頃日本ニ粉乳
ガ入リマスガ、今囘ハ一ト二トニ分ケ
テ居リマス、所デ「ベニヤ」板ナドヲ製
造スルトキニ必ズ使フ塗料トシテ「カ
ゼイン」ト云フノガ濠洲カラ這入ッテ來
マスガ、是ハ最近濠洲ノ方ニ入ラナク
ナッタ、是ハ日本へ塗料トシテ入レルヨ
リモ、粉乳トシテ入レタ方ガ利益ダト
云フノデ、濠洲ノ方デハサウシテ來タ
ト云フヤウナコトヲ、日本ノ當業者ハ
申シテ居リマス、此「カゼイン」ハ牛乳
ノ蛋白質ヲ乾シタモノデアッテ、而モ北
海道デハ「バタ」ヲ取ッタ糟デアッテ、
升目方ハ五百匁位デ三錢カ四錢位デ販
賣サレル、然ルニ日本へ粉乳ガ這入ッテ
來ルガ、其種類ハ幾ラアルカト云フト
十六種類モアルサウデアリマスガ、其
種類ニハ分析表ガ附イテ居リマセヌ、
此粉乳ヲ用ヒル方面ノ人ハ、家庭ノ色
色ノ事情デ手間ノ掛カラヌコトヲ希望
スルノデ、全乳ヨリハ練乳ヲ使ヒ、練乳
ヨリハ携帶ニ便ナル粉乳ヲ使ヒマス
ガ、此粉乳ニ對スル知識ガナイノデ、極
端ナヤウデアリマスガ「バタ」ヲ取ッタ
糟ニ幾ラカ混物ヲシタ物ヲ粉乳トシ
テ一般ガ買ウテ居ル、ソレデアルカラ、
先程來申ス通リ、廣〓、宣傳ノ費用ヲ入
レテモ、尙ホ內地品ト戰ヲテ行ク餘裕ヲ
持ッテ居ルノデアリマス、先程來ノ政府
ノ答辯ニ依ルト、扱フ者ハ利益サヘア
レバ、ドンナ商品デモ扱フカラ、其弊ヲ
矯メルコトガ出來ナイト仰シヤッタガ、
農耕地ニ使フ肥料ニモ分析表ヲ附ケテ
居リマス、最近ハ五段百姓デモ是ハ斯
ウダ、何ハ斯ウダト云フコトヲ見テ居
ルノデ、ソレニ依テ値段ヲ附ケルト云
フヤウニ馴ラサレテ來タノデアリマス
カラ、此粉乳ニ於テモ、「ミルク」ニ於テ
モ此制度ヲ御用ヒニナルナラバ、外來
品ヲ抑壓スルコトハ易々タルコトデア
ルト思ッテ居ル、尙ホ聞ク所ニ依ルト、
當業者ノ陳情ニ依リマスト、粉乳ニ於
キマシテモ或ハ練乳ニ於キマシテモ、
新シイ程所謂發育素トデモ申シマセウ
カ、ソレガ含マレテ居ル、世界的ニ名ヲ
取ッテ居ル鷲印ト內地ノ練乳トヲ、農學
博士鈴木梅太郞氏ガ取ッタ試驗ノ結果
ハ、內地ノ品物ノ方ガ新シイダケ優ッテ
居ル、斯ウ云フ證明ヲ與ヘラレテ居ルノ
デアリマス、又「ミルク」ノ中ニ於キマ
シテモ、練乳ノ方ニ於キマシテモ、日本
ノ方ハ動物カラ取ッタ其儘ノ脂肪分ヲ
含ンデ居ルガ、外國ノハ日ガ經ット腐敗
シ易イ、植物脂肪ヲ混ゼテ居ル、斯ウ云
フ關係デ保健ノ上ニ於テモ重大ナ關係
ヲ持ッテ居ルモノデアルカラ、分析表ヲ
御附ニナルカドウカト云フ御考ヲ承リ
タイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=106
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107・石崎芳吉
○石崎農林省畜產課長 御尋ハ日本ノ
練乳、粉乳ヲ賣ルトキニ、成分表ヲ何故
附ケナイカト云フ御尋デアリマスガ、
外國品デアリマシテモ、內地品デアリ
マシテモ、任意ニ自分デ容器ノ上ニ成
分ノ大體ヲ示シテ居リマス、ソレカラ
之ヲ薄メテ使フ分量ナドモ、練乳ノ如
キハ鑵ニ書イテアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=107
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108・奥村千藏
○奧村委員 粉乳ハドウデスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=108
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109・石崎芳吉
○石崎農林省畜產課長 粉乳ハ外國品
モ日本品モ書イテ居リマセヌ普通ニ
書イテ居リマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=109
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110・奥村千藏
○奧村委員 私ノ御尋スルノハ、發育
素トデモ名付ケマセウカ、サウ云フモ
ノガ外國カラ來ルマデニハ、植物ノ脂
肪カラ取ッタモノヲ入レテ居ルカラ、人
體ノ肥料ニハ一向ナラヌト云フコトヲ
當業者ガ言ウテ居ルガ、ソレ等ヲ貴方
ノ方デ取締ル上ニ於テ、又國產奬勵ノ
上ニ於テヒ必要ナコトデアルカラ、丁
度肥料ヲ各府縣ニ於テ取締ッテ居ルヤ
ウニ、之ヲ試驗ナサル御考ガアルカナ
イカト云フコトヲ伺ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=110
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111・石崎芳吉
○石崎農林省畜產課長 分リマシタ、
詰リ巷間ニ販賣シテ居ル粉乳、練乳ト
云フヤウナ乳製品ニ責任アル成分表ヲ
附ケテ賣ルヤウニシテハドウカト云フ
御尋デアリマスガ、此乳製品ノ品質ニ
付キマシテノ取締ハ、內務省ノ衞生取締
ニナルノデゴザイマスガ、内務省令ニ
牛乳營業取締規則ト云フノガゴザイマ
ス、ソレデ練乳、粉乳ト云フモノヲ取締
ル譯デアリマスガ、其規則ニ粉乳ト云
フコトモ無論書イテアリマス、省令ニ
モ書イテ居リマスガ、實際ノ取締ニ付
キマシテハマダ少シ遺憾ノ點ガアルヤ
ウニ吾ミハ存ジテ居ルノデアリマス
此事ニ付キマシテモ先刻一寸御答シマ
シタヤウニ、牛乳營業取締規則ハ相當
改正ヲシテ時代ノ要求ニ副ウヤウニナ
ラナケレバナラヌト云フノデ、目下內
務當局デ御審議中デアリマス、私共農
林省ノ關係者ト致シマシテモ、出來ル
ダケ乳製品ノ產業ノ見地カラ、適當ニ
御改正ヲ願ヒタイト、今御話ノヤウナ
コトナドモ色〓〓究シテ居ル次第デア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=111
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112・奥村千藏
○奧村委員 尙ホ伺ヒマスガ、是ハ稅
番五十二ノ鳥獸肉類ノ丁ノ鯨肉ニ付キ
マシテ、現行率ハ從價ノ三割トナッテ居
リマスガ、今囘ノ改正表ハ一割五分ト
ナッテ居リマス、是ガ半減サレタ理由ヲ
御尋シタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=112
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113・小山松壽
○小山政府委員 御答致シマス鯨肉
ノコトハ先刻御答申シマシタ、之ハ關
西方面デ嗜好セラレテ居ルモノデ、牛
肉ト相對シテ其需要ガ段々多クナッテ
居ルヤウデアリマス、併ナガラ只今ノ
所デハ鯨肉トシテ我國ニ這入ッテ來ル
モノハ殆ドアリマセヌ、是ハ主トシテ
我國ノ鯨捕業ノ方デ致シテ居ルノデア
リマス、東京方面デハ殆ド鯨肉ヲ嗜好
致シテ居リマセヌ、而シテ先刻モ申シ
マシタヤウニ諾威ガ露領勘察加·····発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=113
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114・奥村千藏
○奧村委員 御說明中デアリマスガ、
一寸御參考ニ申シタイノハ、約十六、七
年前ニ現在ノ率ヲ御制定ニナリマシタ
當時カラ見ルト、只今ノ市價ト云フモ
ノハ三倍半ニナッタモノモアリ、二倍六
分ニナッタモノモアリ、一倍六分ニナツ
タモノモアリ、中ニハ四倍ニナッタモノ
モアル、然ルニ三割ノモノガ一割五分
デハ困ルト云フ當業者ノ陳述デアリマ
ス、ソレデ十三年ノ輸入統計書ニハ現
レテ居リマセヌガ、是ハ全ク無イノデ
アリマセウカ、無イノナラバ又御考モ
アリマセウ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=114
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115・小山松壽
○小山政府委員 只今御答申上ゲマシ
タコトニ續イテ御答ヲ致シマス、ソレ
デ捕鯨ノ方ノモノハ多クハ油ヲ取ル目
的デアリマシテ、肉ヲ食用ニ供スルト
云フヤウナコトハ、日本ノ捕鯨業ガ致
シテ居ルノデアリマス、此稅番ノ上ノ
率ニ於キマシテ、更ニ現狀ノ儘デモ差
支ナカラウ妥當デアルト斯樣ニ考ヘタ
ノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=115
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116・奥村千藏
○奧村委員 ソレデハ尙進ミマシテ五
十二番ノ「イ」ト「ロ」ニ付キマシテ······
「イ」ノ方ノ三圓六十錢ヲ四圓二十錢ニ
ナサレタ、一圓九十錢ヲ二圓二十五錢
ニ爲サレタノト、一割五分ニ爲サレタ
ノトハ矛盾ガアリハセヌカ、是モ亦一
種ノ嗜好品デアリマスシ、又其率モ生
產高モ少イノデアリマス故ニ、當業者
ハ是モ三圓六十錢ノモノヲ十圓ニシテ
貰ヒタイトノ希望ヲ持ッテ居ルノデア
リマスガ、四圓二十錢ニ一ナサレタ理由
ヲ承リタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=116
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117・黒田英雄
○黑田政府委員 只今ノ御尋ハ鹽鯨
ノ肉ニ付テ御尋ノヤウデアリマス、鹽
鯨ニ付キマシテモ今日ハ大體內地デ出
來テ居ルノデアリマシテ、殆ド輸入ガナ
イト云ウテモ宜イ位デアリマス、是等
ノ肉ト云フモノハ大體只今ノ御說ノ中
ニモアリマシタ通リ、嗜好品ニ屬スル
モノデアリマシテ、必要ノ食料品ト云
フモノデモナイヤウデアリマス先ヅ
大體ハ內地デ生產サレテ居ルノデアリ
マスカラシテ、大體一割五分ト云フ程
度ガ適當デアラウ、一割五分ヲ出シマ
スト云フト四圓二十錢位ニ當ルノデ
其從量稅ニ對シマシテ四圓二十錢ニ致
シタ次第デアリマス、一割五分ノ方カ
ラ算出ヲシテ參ッタノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=117
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118・飯塚春太郎
○飯塜委員 私ハ砂糖ノコトニ付テ一
寸御伺ヒシタイノデアリマスガ、此砂
糖ノ稅番ヲ見マスト云フト、元ノ通リ
据置ニナッテ居リマス、是ハ私一寸オカ
シイヤウニ思ヒマスノハ和蘭十一、十
五標ガ揭ゲテアリマスガ、實際砂糖ヲ
輸入シマス爪哇ノ方へ先年旅行シテ、
砂糖製造ノ實況ヲ見マスルト、例ヘバ
表ニアルヤウナ十八、二十一ト云フヤ
ウナ砂糖ガ出來テ居ル、折角出來タ是
等ノ白イ砂糖ニ對シテ、殊更ニ惡イ水
ヲ入レル、サウシテワザト惡イモノニ
スル、何故斯樣ナコトヲスルモノカト
聞キマシタ所ガ、日本へ向ケルノニハ
是デナクテハ向キガ惡イ、日本向トシ
テ殊更ニ色ヲ着ケテ出スノダト云フコ
トヲ當業者ガ申シテ居リマシタガ、斯
ウ云フ譯デ十八號ノ三圓三十五錢、二
十一號ナラ四圓二十五錢ト云フモノヲ
色ヲ着ケテ三圓十錢ノ十五號並ニシテ
送ル斯ウ云フ實狀ヲ私ハ見テ參リマ
シタ、其前ニ輸入表ヲ見マスト、十八、
十五ト云フモノガ四千何百ト這入ッテ
居リマシテ、其他ノモノハ這入ッテ居ラ
ヌ、是ハ如何ナルモノデアリマスカ、稅
金ヲ減ス爲ニ態〓良イ砂糖ヲ惡クシテ
來ルナドト云フコトハ全ク愚ナコト
デアル、日本ニ於テ若シ三圓三十五錢
四圓三十五錢ト云フモノヲ止メテ、三
圓十錢ト云フモノニシテモ差支ヘハナ
カラウト思フ、之ヲ矢張三圓三十五錢
四圓二十五錢ト殘シテ置ク譯ガ私ニハ
分ラヌ、之ヲ改正シナイノハドウ云フ
理由デアリマスカ、之ヲ一ツ御說明願
ヒタイト思フ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=118
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119・黒田英雄
○黑田政府委員 砂糖ノ稅率ハ現行ノ
儘ヲ其儘据置イテ居ルノデアリマス
ガ、是ハ現行ノ通リデ適當デアルト云
フ風ニ必シモ考ヘテハ居リマセヌ、御
話ノ通リ砂糖ノ色相ニ依テ區別致シマ
シテ、第一カラ五マデ分ケテ居リマス
ガ、此十五號未滿ト云フモノガ一番多
ク這入ッテ來テ居ル、然ルニ今日ハ「爪
哇糖ニ於キマシテ、或ハ十八號未滿或
ハ二十一號末滿ノ砂糖ガ出來ルニモ拘
ラズ、ソレヲ着色シテ十五號未滿ノモ
ノニシテ輸入シテ居ルト云フコトデア
ルガ、果シテ是ハドウ云フ譯デアルカ
ト云フ御尋デアリマスガ、御話ノ通リ
サウ云フコトハアルヤウニ考ヘテ居ル
ノデアリマス、以前ニハ大體此製糖ハ
原料ニナリマス砂糖ハ大抵十五號
未滿デアッタ、所謂黃双ト云フモノデ
アッタ、サウシテ十五號未滿ノモノヲ輸
入致シマシテ、之ヲ精製致シテ內地デ
消費スル五種糖ト云フモノヲ拵ヘテ
居ッタノデアリマスガ、今日ハ製造技術
コルラノデ參リマシテ、爪哇糖ニ於キマ
シテモ御話ノヤウニ三號竝ニ四號ニ屬
スルモノヲ使ッテ居リマス、所ガソレヲ
持ッテ參リマスルト稅率ガ高イモノデ
アリマスルカラ、殊更ニソレレニ着色
シテ、所謂中双ト申シマスモノヲ黃双
ニ致シマシテ、安イ三圓十錢ノ稅率デ
入レテ、サウシテソレヲ精製糖ノ原料
ニ使フト云フコトガ利益デアリマヌカ
ラ、サウ云フコトガ行ハレルノデアリ
マス、サウ云フコトハ事實アラウト考
ヘマス、ソレ故ニ其點カラ申シマスル
ト二、三、四ト云フモノハ或ハ之ヲ一ツ
ニ致シマシテ、卽チ原料ニナリマスル
モノト、精製シタモノト分ケテ稅率ヲ
設ケルト云フコトハ、御話ノヤウニ或ハ
適當ナモノデモアラウカト思ヒマス
ガ、左樣致シマスルト稅率ヲ定メマス
上ニ於テ何レヲ採ルカ、一番下ノ三圓
十錢ニナリマスルト、是ハ相當上ノ方
ニ良イモノガ、二十一號未滿トカ、二十
號、十九號ノ所ニナリマスト、砂糖ハ白
イ砂糖デアリマスカラ、相當安クナル、
又五號ノ間ニ權衡ヲ失スルノデアリマ
ス、又關稅率ヲ動カス場合ニハ同時ニ
內地ノ製糖業ト云フモノモ考ヘナケレ
パナラナイノデアリマシテ、申上ゲル
マデモナク臺灣ニ於テハ奬勵ノ結果今
日ニ於テハ大體七億五千萬餘斤ト云フ
モノガ、生產サレテ、之ニ內地ノ一億三
千萬斤ヲ加ヘマスルト云フト、八億八
千萬斤位ニナリマス、大體內地ノ消費
ノ十億ニ對シテ、其大部分ヲ內地デ供
給スル狀況デアリマス、是等ニ對シマ
スル影響ヲ考慮シナケレバナラナイ、
又一方內地ノ砂糖消費量ノ關係モ考慮
致サナケレバナラナイノデアリマス、
砂糖消費稅ガ此二、三、四、五種ト云フ
風ニ色相ニ依テ關稅ト步調ヲ合セマシ
テ。區別ヲ致シテ稅率ヲ決メテ居リマ
ス、此砂糖消費稅ニ付キマシテハ、大藏
大臣モ度〓申シマシタ通リ、第二次ノ
整理ト致シマシテハ砂糖消費稅ニ付テ
モ相當研究致ス考ヲ持ッテ居ルノデア
リマスカラ、ソレ等トノ關係モ考慮シ
ナケレバナラヌト云フヤウナ複雜ナ關
係ガアルノデアリマシテ、單リ關稅ノ
ミヲ此際改正スルト云フコトハ適當デ
ナイト考ヘタノデアリマス、隨テ砂糖
ノ關稅ニ付キマシテハ、砂糖消費稅ト
一〓ニ合セマシテ尙ホ考究致シタイト
云フ考ヲ持チマシテ、差當リ今囘ハ現
行ノ儘据置キマシタ次第デアリマス、
內地ノ消費稅ト相俟チマシテ、更ニ考
究致シタイ考ヲ持ッテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=119
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120・飯塚春太郎
○飯塚委員 サウシマスト此關稅、私
共ハ斯ウ云フ事ハ洵ニ詰ラヌコトデ、
實情ニ合ハヌ、態〓色ヲ着ケテ持ッテ來
テ三圓十錢ニスルト云フヤウナコトナ
ラバ、是ハ少クモ十八號ノ如キハ下ゲ
ナケレバナラヌ必要ガアルト思ヒマ
フ.、色〓ノ關係デ此砂糖ニ關スル關稅
ハ適當ナモノデナイト云フ見込デアル
ガ、唯關係スル所諸般ニ涉ルカラ、不完
全ナモノデアルガ、他ノ關係モアルニ
依テ一時斯ウシテ置イタ、不完全デア
ルト云フコトヲ政府ヲ御認デアリマス
カ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=120
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121・黒田英雄
○黑田政府委員 完全トハ考ヘテ居
リマセヌドウ云フ風ニシタラ宜イカ
ト云フコトノ案ヲ持チマセヌガ、相當
之ヲ改善スル餘地ガアルモノト考ヘテ
居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=121
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122・堀切善兵衞
○堀切委員 每度御手數甚ダ恐縮デア
リマスガ、同志山本君ヨリ最近五年間
ノ輸入統計十萬圓以上ノ-千圓以下
ハ切捨テテ宜イノデアリマスガ、先般
頂戴致シタノハ十三年一年間ダケデア
リマス、其數年間ニ亙テノ統計ヲ頂戴
致シタイ、之ニ依テ輸入ノ趨勢等モ分
リマスシ、今後ノ大勢ヲ察スルコトモ
出來マス、ドウゾ是ハ委員全部ニ御配
リヲ願ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=122
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123・工藤鐵男
○工藤委員 私モ御願ガアリマス、大
體ニ關スル事デスガ、「其ノ他」ト云フ
ノガ非常ニアルヤウデスガ、倉元君ノ
驢馬ハ馬カト云フ問題モ起ルノデアッ
テ、其種屬モ自然取扱上分ッテ居ルト思
ヒマスカラ、此「其ノ他」ト云フモノヲ
明カニシテ貰ヒタイ、ソレハ不可能ナ
事デナカラウト思ヒマス、多分品目ニ
付テハ自然實際ニ取扱ッテ定メシ分ッテ
居ルト思ヒマス、「共ノ他」ノ中ノ主ナ
數量、全部ハ擧ゲラレマセヌガ、取扱上
實際ニ於テ私等モ關稅ノ問題ヲ議スル
ニ當ッテ必要デスカラ、此席デ明カニシ
テ貰ヒタイ、私ノ質問ノ際ハ材料ニシ
タイト思ヒマスカラ、其際デ宜イガ、出
來ルダケ御調ヲ願ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=123
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124・黒田英雄
○黑田政府委員 堀切君ノ御注文ハ五
年間デゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=124
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125・堀切善兵衞
○堀切委員 長イ程宜イノデスカ、先
ヅ五年デ我慢シヤウト云フノデス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=125
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126・黒田英雄
○黑田政府委員 十萬圓以上五箇年デ
スカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=126
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127・堀切善兵衞
○堀切委員 サウデス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=127
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128・黒田英雄
○黑田政府委員 ソレハ一ツ出來ルダ
ケ致シテ見マス、ソレカラ工藤サンノ
「其ノ他」ノ中ニドウ云フモノガアッテ、
大體ドノ位ノ數量デアルカト云フコト
デスガ、是モ出來ルダケ致シテ見マス、
隨分「其ノ他」ノ中ニハ極ク輕微ナモノ
モアリマスガ、「其ノ他」ト云フ意味ハ、
「別號ニ揭ケサル」ト云フヤウナモノモ
デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=128
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129・工藤鐵男
○工藤委員 サウデス、恐ラク全體ヲ
通ジタラ「其ノ他」ハ可ナリ多イ、其主
ナル物ヲ願ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=129
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130・加藤政之助
○工藤委員長 實ハ今日ハ尙ホ第四類
ニ這入リタイト考ヘテ居ッタンデスケ
レドモ、旣ニ七時間以上皆樣ガ御盡力
下スッタンデスカラ、此上繼續スルコト
ハ困難デアリマスノデ、今日ハ是デ休
會スルコトニシマス、ソレデ明日ハ日
曜デアリマスガ、成ベクハ繼續シタイ考
デアリマシタケレドモ、豫算ノ方ガ分
科會ニ這入ル旁々デ、速記ナドノ都合
モアリマスノデ、己ムヲ得ズ明日一日
ハ休ミマシテ、其代リニ明後日ハ皆樣
方ニ尙ホ一層ノ御奮勵ヲ願ヒマス
午後五時二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005110395X00919260213&spkNum=130
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