1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
大正十五年二月二十一日(日曜日)午後一時十六分開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程 第十八號
大正十五年二月二十一日
午後一時開議
第一 所得税法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(前會の續)
第二 大正九年法律第十二號中改正法律案(所得税法の施行に關する件)(政府提出) 第一讀會の續(前會の續)
第三 地租條例中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(前會の續)
第四 明治三十七年法律第十二號中改正法律案(地租徴收に關する件)(政府提出) 第一讀會の續(前會の續)
第五 營業税法廢止法律案(政府提出) 第一讀會の續(前會の續)
第六 營業收益税法案(政府提出) 第一讀會の續(前會の續)
第七 資本利子税法案(政府提出) 第一讀會の續(前會の續)
第八 相續税法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(前會の續)
第九 通行税法廢止法律案(政府提出) 第一讀會の續(前會の續)
第十 酒造税法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(前會の續)
第十一 酒精及酒精含有飮料税法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(前會の續)
第十二 麥酒税法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(前會の續)
第十三 醤油税則廢止法律案(政府提出) 第一讀會の續(前會の續)
第十四 自家用醤油税法廢止法律案(政府提出) 第一讀會の續(前會の續)
第十五 織物消費税法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(前會の續)
第十六 賣藥税法廢止法律案(政府提出) 第一讀會の續(前會の續)
第十七 骨牌税法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(前會の續)
第十八 清凉飮料税法案(政府提出) 第一讀會の續(前會の續)
第十九 大正九年法律第五十一號中改正法律案(朝鮮に移出する物品の内國税免除に關する件)(政府提出) 第一讀會の續(前會の續)
第二十 地方税に關する法律案(政府提出) 第一讀會の續(前會の續)
第二十一 明治四十一年法律第三十七號中改正法律案(地方税制限に關する件)(政府提出) 第一讀會の續(前會の續)
第二十二 市町村税地租法案(山本悌二郎君外十三名提出) 第一讀會の續(前會の續)
第二十三 市町村税地租法の施行に關する法律案(山本悌二郎君外十三名提出) 第一讀會の續(前會の續)
第二十四 市町村義務教育費國庫負擔法中改正法律案(床次竹二郎君外二十三名提出) 第一讀會の續(前會の續)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=0
-
001・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 諸般ノ報告ヲ致サセ
マス
〔書記官朗讀〕
-議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
特別都市計畫法中改正法律案
提出者
關直彥君横山勝太郞君
田崎信藏君高木正年君
高木益太郞君作間耕逸君
佐々木安五郞君林田龜太郞君
土屋〓三郞君
京都市ニ關スル法律案
提出者
森田茂君鷲野米太郞君
田崎信藏君川崎安之助君
長田桃藏君村上國吉君
木戶豐吉君
舊慣ニ依リ永小作權者カ地租額負擔ヲ約
シタル田畑ノ地租免除ニ關スル法律案
提出者大石大君
(以上二月二十日提出)
戰病者遺族竝癈兵ノ子弟ニ對シ官公立學
校授業料減免ニ關スル建議案
提出者
松井郡治君山田助作君
吉原義雄君中村貞吉君
關矢孫一君山田又司君
石塚三郞君石黑大次郞君
建部遯吾君
越美線速成ニ關スル建議案
提出者
谷口宇右衞門君土生彰君
山口嘉七君
報德社普及奬勵ニ關スル建議案
提出者
山宮藤吉君平野光雄君
鹿兒島縣大島郡救済ニ關スル建議案
提出者禱苗代君
(以上二月二十日提出)
花柳病豫防法制定ニ關スル建議案
提出者
宮島幹之助君山谷德治郞君
八木逸郞君富田愿之助君
加藤鐐五郞君宜保成晴君
大城幸之一君
(以上二月二十一日提出)
一議員ヨリ提出セラレタル質問主意書左ノ
如シ
店舗飾窻損壞行爲制裁的立法ニ關スル質
問主意書
提出者加藤十四郞君
(以上二月二十日提出)
〔左ノ報告ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲
玆ニ揭載ス〕
一昨二十日衆議院規則第十五條但書ニ依リ
議長ニ於テ議席ヲ左ノ如ク變更セリ
三九高橋光威君
二〇六矢野鉉吉君
二一八八並武治君
二一九高田耘平君
二二〇降旗元太郞君
一二一一本田恒之君
二二二片岡直溫君
三〇〇工藤鐵男君
三六四小野寅吉君
三六五折原巳一郞君
三六六〓水市太郞君
三六七八木逸郞君
四一八山本勝次君
四一九宮島幹之助君
一昨二十日鐵道敷設法中改正法律案委員佐
藤重遠君高見之通君辭任ニ付其ノ補關ト
シテ長峰與一君丸山浪彌君ヲ、輸出生絲
檢査法案委員岡本實太郞君辭任ニ付其ノ
補關トシテ加藤六藏君ヲ、關稅定率法中
改正法律案委員高橋光威君辭任ニ付其ノ
補闕トシテ田中隆三君ヲ、勞働爭議調停
法案外一件委員松井郡治君辭任ニ付其ノ
補關トシテ山田又司君ヲ、〓育改善及農
村振興基金特別會計法中改正法律案委員
村松龜一郞君山田助作君辭任ニ付其ノ補
闕トシテ藤井敬愼君石黑大次郞君ヲ孰レ
モ議長ニ於テ選定セリ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=1
-
002・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、茲ニ御報道申上ゲテ置キタイ事ガアリ
マス、秩父宮殿下御不例ノ趣承リマシタニ
依リマシテ、議長ハ取敢ヘズ宮殿下御殿ニ
參上致シマシテ、御見舞ヲ申上ゲマシタ、
尙本院ヲ代表致シマシテ林男爵宛ニ
秩父宮殿下御不例ノ趣拜承心痛ノ至ニ
堪ヘス速ニ御快癒ヲ祈リ奉ル
斯ウ云フ電報ヲ差上ゲマシタ所、同男爵ヨ
リ左ノ返電ニ接シマシタ
貴電ノ趣言上御滿足ニ思召サル
斯樣ナ御電報ヲ戴キマシタ、此段御報告申
上ゲマス(拍手)御諮リヲ致スコトガアリマ
ス、第一部選出懲罰委員松井郡治君、第二
部選出豫算委員山谷德治郞君、第三部選出
豫算委員加藤鐐五郞君、第四部選出豫算委
員中村嘉壽君、右諸君ヨリ常任委員辭任ノ
申出ガアリマシタ、許可スルニ御異議アリ
マセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=2
-
003・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ許可致シマス、其部ノ諸君ハ速ニ
補闕選擧ヲ行ヒ屆出アランコトヲ希望致シ
やっ、尙ホ昨日砂田重政君ノ議事進行ニ關
スル發言ニ對シマシテ、其後議長ニ於テ取
調ヲ致シマシタ所、本日平井君ハ議長ノ許
ニ參ラマレシテ、昨日不作法ノ行爲ヲ爲シ
タト云フコトデ、議長ニ御挨拶ガゴザイマ
シタ、其事ニ付キマシテ同君ヨリ發言ヲ求
メラレテ居リマス、之ヲ許シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=3
-
004・平井光三郎
○平井光三郞君 昨日當議場ニ於キマシテ
不謹愼ノ行爲ヲ爲シタルコトハ誠ニ慚愧ニ
堪ヘマセヌ(「登壇」ト呼フ者アリ議場騒然)
玆ニ謹ンデ陳謝ノ意ヲ表シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=4
-
005・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 靜肅ニ願ヒマス-
議事進行ニ關シテ發言ヲ求メラレテ居リマ
ス、之ヲ許シマス-增田義一君
〔曾田義一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=5
-
006・増田義一
○增田義一君 今期議會ノ大問題デアル稅
制整理案ノ討論セラルヽニ當リマシテ、私
ハ昨日ノ議場ノ光景ニ鑑ミマシテ、簡單ニ
本日ノ議事ノ進行ニ付テ一言致シタイト思
ヒマス、新ニ一稅ヲ起シ、或ハ一稅ヲ改廢
スルコトデサヘモ、國民ノ負擔ニ關係ガア
リマスルカラシテ、勿論愼重審議ヲシナケ
レバナラヌノハ言フマデモアリマセヌ、況
ヤ今回ハ幾多ノ租稅ヲ改廢シ、或ハ新ニ起
シ、而モ其負擔ガ國民全般ニ及フ所ノ所謂
稅制ノ大整理ノ問題デアル、法律案件ガ二十
四件ノ多キニ上ッテ居ル、之ヲ一括シテ議
場ニ諮ルト云フノデ、斯ル重大ナ事ハ未ダ
曾テ此議會ニ無イノデアリマス、故ニ斯ル
問題ヲ議スルニ當ノテハ御互ニ冷靜ニ、
公平ニ、嚴肅ニ、極メテ眞劍ニ、眞面目ニ
討議シナケレバナラヌト思フノデアリマス
(ヒヤ〓〓)斯クシテコノ所謂國民ノ代表者
デアリ、選良デアル責任ヲ盡シ、以テ議會
政治ノ神聖ヲ保ツ譯デアリマス(ヒヤ〓〓)
所ガ近年衆議院ニ於ケル狀態ハ甚ダ遺憾
ニ堪ヘナイコトガアリマスル、隨テ頗ル世
間ニ非難ノ聲ガ多イノデアリマス、第五十
議會ニ於テ(發言スル者多シ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=6
-
007・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=7
-
008・増田義一
○增田義一君(續) 義務〓育國庫負擔增加
案ノ議事ニ上ッタ昨年二月三日トソレカラ
普選案ノ議事ニ上ッタ三月二日ト大紛擾ヲ
來シ、今迄ニナイ失態ヲ起シテ、血ヲ見ル
ヤウナ事ガアッタノデアリマス、是ガ』爲ニ
御互ニ反省シテ、且ツ議事ノ公平ヲ保ツ爲
ニ、議長副議長ガ黨籍ヲ離脫シテ、無所屬
ニ入ラレタノデアリマス、ノミナラズ五十
議會ノ中デ、昨年三月十四日ニ箕浦勝人君
外四名ヨリ提出サレタル、議院ノ規律節制
ニ關スル決議案ヲ滿場一致ヲ以テ可決シタ
ノデアリマス、其案ハ「世情人心安定ヲ缺
キ動モスレハ常規ヲ逸スルノ時ニ方リ議會
ハ宜シク嚴肅公正範ヲ中外ニ示サヽルヘカ
ラス、玆ニ衆議院ハ院內近時ノ狀態ニ鑑ミ、
各自相戒メ秩序ヲ重ムシ典例ヲ守リ以テ
議會ノ神聖ヲ保維セムコトヲ期ス、右決
議ス」是ガ滿場一致デ可決ヲサレタノデア
リマス、昨日ノ議場ニ於ケル光景ハ如何デ
アッタラウカ、町田忠治君ノ演說中ニ大分
彌次ガ出テ、其演說ヲ聽クニ困難ヲ感ジタ
程デアル、又大口喜六君ノ演說中ニ、與黨
ノ中カラ紛擾ガ起ッテ、サウシテ只今陳謝
サレタコトデ能ク分リマスルガ、斯樣ナ事
ガ果シテ所謂嚴肅公正、範ヲ示スモノデア
リマセウカ、又各自相戒メ、秩序ヲ重ンジ
タトハ申サレマセウカ、此議會ノ神聖ヲ保
維サレタト申サレマセウカ、私ハ本日ハ再
ビ昨日ノヤウナ事ヲ繰返シタクナイト云フ
コトヲ、玆ニ言ヒタイノデアリマス、御互
ニ立憲政治ヲ圓滿ニ行ヒタイト云フ爲ニ言
フノデアル、立憲政治ガ圓滿ニ行ハレテ居
ル所ハ英國デアル、其英國ノ
〔此時發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=8
-
009・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=9
-
010・増田義一
○增田義一君(續) 英國ノ模樣ヲ御互ニ一
ツ繰返シテ見タイ、私ハ大正三年ニ英國ノ
議會ヲ傍聽シタ時ニ、丁度愛蘭自治案ガ議
ニ上ッテ居ッタノデアリマス、是ハ謂フマデ
モナク英國ノ大問題デアッテ「グラッドス
トーン」內閣以來ノ懸案デアリ、而モ當時
是ガ若シ下院ニ於テ何等修正セズニ通過ス
ルコトニナッタナラバ、同ジク愛蘭ノ中デ
アッテモ、「ウルスター」ハ宗〓ノ關係カラ
反對シテ居ッタ爲ニ、若シ無修正デ上下兩
院通過セバ、內亂ガ起ルト云フヤウナ問題
デアッタ、其時ノ光景ハ時ノ總理大臣「アス
キス」氏ガ立ッテ、熱心ニ其通過ヲ說キ、反
對黨ノ首領「ポナーロー」氏ハ猛烈ニ反對演
說ヲシタノデアル、而モ議場ハ水ヲ打シタ
ル如クニ靜肅ニ謹聽シタノデアル、又「ロ
イドジヨーヂ」氏ガ初メテ大藏大臣トナッ
テ、其方針ヲ演說サレタ時ニドウデアッタ
ラウカ、今ヨリ二十七年前、西曆千九百九
年ニ「ロイドジヨーヂ」氏ガ社會政策ヲ加味
シタル所ノ財政計畫ヲ樹テヽ、初テ下院ニ臨
ンデ、其方針ヲ演說サレタ時ニ、其議場ノ
光景ハ如何デアッタラウカ、丁度今日濱口
大藏大臣ガ、社會政策ヲ加味シテ稅制整理
ノ大問題ヲ提ゲテ、此議場ニ臨マレタト同
ジ譯デアル、ソレデ「ロイドジヨーヂ」氏
ガ、自己ノ財政方針ヲ三時間ノ長キニ亙シテ
大演說サレタガ、頗ル疲勞ノ樣子ガ見エタ
ノデ、反對黨ノ首領ノ「バルフオワー」ガ
立ッテ、議長ト一聲叫ンデ、大臣ノ演說ハ尙
ホ續クヤウニ思フカラシテ、暫時休憩シテ
ハ如何デアラウカト發議シタノデアル、謂
フマデモナク敵ノ大藏大臣ニ向シテ休マシ
テヤラウト云フノデアル、忽チ滿場一致休
憩トナリ、「ロイドジヨーヂ」大藏大臣ハ暫
ク休養シテ再ビ開會シ、更ニ一時間演說シ
タノデアル、前後四時間ニ亙ル大演說ヲ、
滿場水ヲ打ッタル如ク靜肅ニ謹聽シタノデ
アル、「パルフオーア」ガ敵ノ大藏大臣ヲ休
マシテヤッタト云フ雅量ヲ、今日ハ御互ノ
黨派ニ於テモ持ノテ貫ヒタイノデアル、ソ
コデ私ハ議長ニ望ムコトハ、何卒今日ノ議事
ニ對シテ、若シ妨害ス。zル者ガアンタラバ
議長ヨリ特ニ注意セラレ、又ソレニ對シテ
ハ其黨派ノ方ガ成ベク自省サレテ、本日ノ
如キ重大法案討議ノ議場デハ、此三月十四
日ノ議院ノ規律節制ニ關スル決議ノ趣旨ヲ
徹底サレンコトヲ切ニ希望スルノデアリマ
ス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=10
-
011・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 是ヨリ日程ニ入リマ
ス日程第一乃至第二十四ノ各案ノ前會ノ
續ヲ開キマス、討論ヲ繼續致シマス、通告
順ニ依シテ發言ヲ許シマス-湯淺凡平君
第所得稅法中改正法律案(政府提
出第一讀會ノ續(前會ノ續)
第二大正九年法律第十二號中改正法
律案(所得稅法ノ施行ニ關スル件)
(政府提出)第一讀會ノ續(前會ノ續)
第三地租條例中改正法律案(政府提
出第一讀會ノ續(前會ノ續)
第四明治三十七年法律第十二號中改
正法律案(地租徵收ニ關スル件)(政
府提出)第一讀會ノ續(前會ノ續)
第五營業稅法廢止法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(前會ノ續)
第六營業收益稅法案(政府提出)
第一讀會ノ續(前會ノ續)
第七資本利子稅法案(政府提出)
第一讀會ノ續(前會ノ續)
第八相續稅法中改正法律案(政府提
出第一讀會ノ續(前會ノ續)
第九通行稅法廢止法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(前會ノ續)
第十酒造稅法中改正法律案(政府提
也第一讀會ノ續(前會ノ續)
第十一酒精及酒精含有飲料稅法中改
正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(前會ノ續)
第十二麥酒稅法中改正法律案(政府
提出)第一讀會ノ續(前曾ノ續)
第十三醬油稅則廢止法律案(政府提
出第一讀會ノ續(前會ノ續)
第十四自家用醤油稅法廢止法律案
(政府提出)第一讀會ノ續(前會ノ續)
第十五織物消費稅法中改正法律案
(政府提出)第一讀會ノ續(前會ノ續)
第十六賣藥稅法廢止法律案(政府提
出)第一讀會ノ續(前會ノ續)
第十七骨牌稅法中改正法律案(政府
提出)第一讀會ノ續(前會ノ續)
第十八〓涼飮料稅法案(政府提出)
第一讀會ノ續(前會ノ續)
第十九大正九年法律第五十一號中改
正法律案(朝鮮ニ移出スル物品ノ內
國稅免除ニ關スル件)(政府提出)
第一讀會ノ續(前會ノ續)
第二十地方稅ニ關スル法律案(政府
提出)第一讀會ノ續(前會ノ續)
第二十一明治四十一年法律第三十七
號中改正法律案(地方稅制限ニ關スル
件)(政府提出)
第一讀會ノ續(前會ノ續)
第二十二市町村稅地租法案(山本悌
二郞君外十三名提出)
第一讀會ノ續(前會ノ續)
第二十三市町村稅地租法ノ施行ニ關
スル法律案(山本俤二郞君外十三名
提出)第一讀會ノ續(前會ノ續)
第二十四市町村義務〓育費國庫負擔
法中改正法律案(床次竹二郞君外二
十三名提出)第一讀會ノ續(前會ノ續)
〔湯淺凡平君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=11
-
012・湯淺凡平
○湯淺凡平君 諸君、私ハ近時議院ニ於ケ
ル言論ノ傾向ハ、動モスレバ一局部ニ偏シ
テ大局ヲ顧ミズ、枝葉末節ニ囚ハレテ根本
ヲ忘ルヽノ憾アルコトヲ甚ダ遺憾トスル者
デアリマス(「同感」「同威」ト呼フ者アリ)昨
日政友會諸君ノ御演說ヲ承リマシテ、私
一層其感ヲ深ウセザルヲ得ナカッタノデア
リマス(「論旨ハ凡平ナリ」ト呼フ者アリ笑聲
起ル)政友會諸君ノ御議論ヲ承リマスノニ、
此議題トナッテ居ル所ノ稅制整理案ノ内容
ニ付テ、箇々ノ問題ニ亙リ、或ハ法文ノ末
節ニ付テ、種々ナル御意見ヲ承シタノデアリ
マスケレドモ、其根本ニ對シテノ御所論ニ
至ッテハ、果シテ要旨何レニ在リヤヲ知ルニ
苦ンダノデアリマス、諸君、或ハ此內閣ハ
何故ニ國民負擔ノ輕減ヲ爲サミルヤト云フ
コトノ御議論デアリマス、吾々モ此國民負
擔ノ輕減ニ觸レザル點ニ於キマシテハ議論
ガアリマス、是ハ後ニ述ベルコトヽ致シマ
スルガ、免ニ角政友會諸君ノ口ヨリ此議論
ヲ承ルト云フコトハ、吾々甚ダ意外ニ感ズ
ル者デアリマス(拍手)今日ノ國民ノ負擔ノ
過重ナルコトハ論ズルマデモナイノデアリ
マス、併ナガラ此過重ナル所以ノ原因ハ抑〓
何レニ在ルノデアリマセウカ、諸君、政
友會內閣ハ我國財政ノ最モ好調ナル時代ニ
於キマシテ、五箇年ノ間政權ヲ執テ居ラ
レタノデアリマス、其時ニ於ケル所ノ財政
狀態ハ、當時ノ高橋藏相ノ··(此時發言
スル者多シ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=12
-
013・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 靜〓ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=13
-
014・湯淺凡平
○湯淺凡平君(續) 言葉ヲ藉リテ申シマス
レバ政府ハ金ガ餘ッテ豫算ノ無キニ苦ン
デ居ルトマデ放言ヲサレタノデアリマス、
此時代ニ於テ何故ニ國民負擔ノ輕減ヲ行ハ
レナカッタノデアリマセウカ(拍手)殊ニ先
日來、本案委員會ノ質問ノ中ニ於キマシテ
モ、三土君ハ今日ノ我國ノ財政及經濟ノ上
ニ於キマシテ、減稅ヲ爲スノ餘地ハ無キモ
ノデアル、然ルニ拘ラズ濱口大藏大臣ハ在
野時代ニ於テ國民負擔ノ輕減ヲ要求サレ
テ、ソレガ今日果シテ如何デアルカ、負擔
輕減ノ餘地ナキコトヲ今日初メテ認メラ
レタデアラウト云フコトヲ述ベラレテ居ル
ノデアリマス、併ナガラ斯ノ如ク三土君
ノ述ベラルヽ反對ニ於テ、大口君ノ御議論
ヲ承リマスレバ、今日ノ我國國民負擔ノ增
額致シタル所以ノモノハ、多ク各省割據ノ
弊ニ歸スルモノデアル、卽チ豫算ノ分捕ヲ
行フト云フガ如キ事實ニ依ッテ、此國民ノ負
擔ガ過重サレタノデアルト云フ御意味ノ意
見ヲ承ッタノデアリマス、是ニ於テ乎私ハ
三土君ノ減稅ノ餘地ナシト言ハルヽコトガ
是ナルノデアルカ、大口君ノ今日ノ國費ノ
中ニハ大ニ節減スベキ餘地アリト云フ意味
ヲ述ベラレタノガ非デアルカヲ疑ハザルヲ
得ナイノデアリマス、私ハ大口君トハ永年
ノ間同ジ黨派ニ屬シテ、此政友會ガ全盛時
代ニ於キマシテ、金ガ餘ノテ豫算ノ無イト
云フ其時代ニ於キマシテ、屢〓此負擔ノ輕減
ヲ行ハネバナラヌト云フコトヲ切論ヲ致
シ、此問題ニ依シテ當時ノ内閣ヲ彈劾ヲ致
シタコトモアルノデアリマス、然ルニ此今
日ノ政友會ニ於テー此政友會內閣ノ末ヲ
承ケタル今日ノ在野黨ノ政友會ガ、今ノ內
閣ニ向シテ減稅ヲ要求サレルト云フコトハ、
朝野位置ヲ異ニストハ申シナガラ、其餘リ
ニ現金ナルニ驚カザルヲ得ヌノデアリマス
(拍手)併ナガラ今日ノ國民負擔ノ輕減ヲ要
求スルコトハ、決シテ不可ナル事デハナイ
ノデアル、人ニ依シテ私ハ言ヲ棄テル者デ
ハアリマセヌケレドモ、政治家ノ言責ヲ問
ハレル、卽チ濱口藏相ガ在野時代ニ於キマ
シテ減稅ヲ主張サレタコトガ、朝ニ立ッテ之
ヲ實行スルコトガ出來ナイト非難サルヽナ
ラバ、然ラバ政治家ノ責任ハ決シテ野ニ在
ル者ガ朝ニ立シタ時ニ於テ重ンズル必要ガ
アルバカリデナイ、朝ニ立ッテ居ル所ノ政治
家ガ野ニ下シタ時ニ於テモ、其言論ニ責任
ノアルコトハ同一デアラウト思フノデアル
(拍手)色とト承シタノデアリマス-色〓
ト永ッタノデアリマスケレドモ、要スルニ政
友會諸君ノ委員會ニ於テ、又本會議ニ於テ
剔扶サレタ所ノ政府案、或ハ修正案ノ點ハ
其一部分ハ吾々モ認メルモノデアル、認メ
ルガ故ニ所謂修正案ニ於テ之ヲ修正ヲ致シ
テ居ル、他ノ多クノ箇條ハ所謂法文ノ枝葉
末節ニ過ギザレバ、此法律ヲ實行スル上ニ
於テハ困難ガアルデアラウト云フ御心配ニ
過ギナイ、政府ガ色〓此法案ヲ實行スル上
ニ於テ困難ガアラウ、之ニ對スル所ノ好意
ノ同情アル御忠告トハ承ッテ置クコトガ出
來マス、ケレドモ此案ニ付キマシテノ根本
的ノ反對理由トスルコトハ出來ヌノデアリ
マツ、要スルニ政友會諸君ノ此案ニ對スル
御議論ノ根本ハ地租委讓ナリ、地租委譲ヲ
基調トスル所ノ稅制整理案ヲ作ルガ爲ニ、
一先ヅ此稅制整理案ヲ返上スルト云フコト
ニ歸著スルモノト私ハ思フノデアリマス、
併ナガラ諸君、此稅制案ノ返上論ハ、嘗テ
吾々ガ屢、政友會内閣ニ向ッテ求メ、而シテ
政友會諸君ガ此問題ニ對シテ熱烈ナル反對
ヲ爲サレタ、其同ジ軌道ヲ辿ルモノデアル
ト思ハネバナラヌノデアリマス、當時吾々
少數黨デアルガ爲ニ、此豫算ニ關スル所ノ
立法ヲ爲シ、或ハ豫算ニ關スル所ノ組立ヲ
爲スガ如キ事ハ吾々ノ得テ爲シ能ハザル
モノデアルガ故ニ、已ムヲ得ズ一先ヅ豫算
ヲ返上スベシト云フノ議論ヲ爲シタノデア
ル、併ナガラ今日ノ政友會ハ屢〓内閣ヲ組織
シ、多士濟々タル所ノ大多數黨、而モ近日
此內閣ヲ倒シテ己レ取シテ代ラント種々ノ
計畫ヲ運ラシテオキデニナル所ノ政友會
ガ、今日ニ至ッテ嘗テ反對爲サレタ所ノ豫
算返上論ト殆ド軌ヲ同ジウスル所ノ稅制整
理案返上論ヲ爲サルト云フコトハ吾々ノ
甚ダ解スルニ苦ム所デアリマス(拍手)諸
君、又政友會諸君ハ租稅ノ體系ニ付テ御論
ジニナッテ居リマス、現内閣ノ立テタ所ノ租
稅體系ハ或ハ議論ノ餘地ガアリマセウ、議
論ノ餘地ハアリマセウガ、恐ラクハ今日マ
デ更ニ稅制ノ體系トシテ認ムベキモノ無カ
リシ我國ノ稅制ニ於テ、免ニモ角ニモ一貫
シタル所ノ體系ヲ定メタコトハ、吾々之ヲ
認メナケレバナラナイノデアリマス(拍手)
全體我國ノ稅制ハ體系ニ基イテ租稅ノ制度
ノ立テラレタモノデハナイ、所謂國家ノ必要
ニ應ジテ國民ニ負擔ヲ課シタノデアリマ
ス、ソレ故ニ現行ノ稅制ニ於キマシテハ
極メテ不合理ナモノガアルト同時ニ、國民
ノ負擔ニ於テ不均衡ナルモノ、過重ナルモ
ノアルコトハ申ス迄モナイノデアル、之ニ
向ッテ一貫シタル所ノ體系ヲ定メルト云フ
コトハ最モ必要ナコトデアルノデアリマ
ス、然ルニ此體系論ニ對シテ御非難ハ爲サ
ルケレドモ、然ラバ政友會ハ果シテ如何ナ
ル體系ヲ立テル積リデアルカト云フコトノ
御議論ハ承ラナイノデアリマス(拍手)地租
ヲ委讓スベシ、吾々モ此地租委譲論ニハ贊
成デアリマス-地租委讓論ハ賛成デアリ
マス、此地租委譲論ハ政友會諸君ニ依ッテ
吾々ハ初テ承ルモノデハナイ、政友會ヨリ
以前ニ、吾々國民黨ハ十數年ノ昔ヨリ此地
租委譲論ヲ唱ヘタノデアル、而モ吾々ノ先
輩タル所ノ犬養先生ガ山本內閣ニ列セラレ
テ、續イテ政友會諸君ト聯立ノ內閣ヲ組織
セラレタル時ニ於キマシテ、吾々ハ所謂多年
ノ言責上、責任ノ地位ニ立タレタル所ノ犬
養先生ハ、其內閣ニ於テ地租委譲ノ問題ハ、
必ズ實行ヲ爲サレナケレバナラヌ責任ガア
ルト心得テ、屢〓犬養先生ニ此事ヲ御諮リ
致シタルトキモ、大養先生ハ吾々ニ〓ヘテ
曰ク、地租委譲、營業稅ノ地方委譲ハ爲ス
ベキモノデハアルケレドモ、震災ノ結果、
今日ノ財政ニ思ハザル所ノ非常ナル變化ヲ
生ジタル此場合ニ於ケル、地租委譲論ヤ、
營業稅ノ地方委讓ハ出來ルモノデハナイ
ト、斯樣ニ述ベラレタ、此事ハ吾々同僚悉
ク之ヲ諒ト致シテ、震災善後ノ始末ノ付ク
マデハ先ヅ地租委譲ハ延期スベキモノデ
アルト云フ確信ヲ得タノデアリマス(拍手)
然ルニ事ハ昨年ノ三月ノ問題デアル越エ
テ僅カ五月ニ至リマシテ、突然トシテ吾々
ノ同僚諸君ノ參加サレタル政友會諸君ノ間
カラ、地租委譲ノ卽行論ノ出ルト云フコト
ハ私共亦之ヲ甚ダ遺憾ト致シタノデアリ
マス(拍手)私ハ政友會諸君ノ所謂其稅制返
上論ニ對スル所ノ一ツノ條件、卽チ地租ヲ
地方ニ委讓スベシト云フ御議論ノ根據ハ、
要スルニ今ノ政府ハ唯〓國稅ノ整理ヲ爲ス
ニ急ニシテ、地方稅ノ整理ヲ閣却致シテ居
ルト云フノ御議論デアルト思フ、併ナガラ今
日ノ稅制ノ整理ヲ爲スコトハ、單リ地方稅
ノミヲ整理スルコトヲ以テ目的トスルモノ
ニアラズ、吾々ハ無論國稅ノ整理ヲ爲スト
同時ニ、地方稅ノ整理ヲモ行ハナケレバナ
ラヌト思フノデアリマス、然ルニ靜ニ今日
ノ問題トナッテ居ル所ノ政府ノ稅制案ヲ見
マスレバ、或ハ中央ニ偏シテ地方ヲ閑却シ
タル所ノ憾モアルノデアリマス、是ト同時
ニ政友會ノ地租委譲論ナルモノハ、餘リニ
地方稅ノ整理ニ急ニシテ、國稅ヲ全ク閑却
シテ居ルモノト謂ハナケレバナラヌ次第デ
アリマス(拍手)昨日ノ御演說デ見マスト
政友會ハ國稅ト地方稅トヲ合セテ整理スベ
シト云フコトヲ御要求ニナッテ居ルガ、若
シ政友會ノ今日マデ御述ニナリマシタ所ノ
御論旨カラ申シマスレバ、斯ノ如キコトハ
望ムモ實行不可能ノ問題デアリマス(拍手)
僅ニ七千四百万圓ノ地租ヲ地方ニ委譲シ、
之ニ依シテ其半額ダケノ國民負擔ノ地方稅
ニ於ケル輕減ヲ圖ラントスル爲ニ、其財源
ヲ果シテ何所ニ御求メニナルノデアルカ、
關稅ノ引上ニ於テ四千万圓、公債ノ增發ニ
依ッテ三千万圓、等シク是レ增稅デハナイ
カ關稅ノ增收ハ種々ノ議論ハアリマスケ
レドモ、免ニ角增加スル所ノ關稅ノ金額ガ、
國民ノ負擔トナルコトハ勿論ノコトデアリマ
ス更ニ又公債ヲ增發スルコトヲ何トモ御
考ニナッテ居ラヌヤウデアル、公債ト雖モ是
亦一種ノ任意的租稅デアルコトハ申スマデ
モナイノデアリマス、殊ニ又此政府ガ折角
立テタル-私ハ此政府トハ申サナイ、卽
チ聯立內閣ガ確立致シマシタ所ノ公債政
策、之ヲ根本ヨリ破壞ヲ致シ、而シテ之ヲ
財源ノ一部ニ充テナケレバ、地租ダケノ地
方委讓モ出來ナイ、卽チ地方稅ノ整理モ斯
ノ如ク爲サザレバ行ハレナイト云フ程、諸
君ガ財源ニ窮シテ居ラレル今日ニ於テ、更
ニ國稅ノ大整理ヲ行ハントスルモ、其財源
ヲ果シテ何所ニ求メントスルノデアリマス
カ(拍手)私共ハ自ラ信ズル所ガアリマス、
國稅モ地方稅モ同時ニ整理シ、且ツ國民負
擔ノ輕減ヲ爲スニ付テハ、財源ノ餘裕ハ綽々
タルモノガアルコトヲ信ジテ居リマス、
政友會諸君ノ如キ立論ノ下ニ於テハ、決シ
テ行ハレルモノデハナイ、若シ政友會諸君
ニシテ、政府ノ爲ス所ヲ以テ一種ノ增稅ヲ圖
ルモノナリト御非難ナサルナラバ、政友會諸
君モ亦增稅ニ依ッテ地方稅ノ整理ヲ行ハン
トスルモノデアルト云フ結論ニ到著シナケ
レバナラヌノデアリマス(拍手)惟フニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=14
-
015・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 湯淺君一寸御待下サ
イ-此場合一言致シマス、只今上程サレ
テ居リマス議案ハ申スマデモナク實ニ重
大ナル議案デアリマスカラ、賛否共ニ十分
ニ其論議ヲ御盡シニナリタイト思ヒマス、
是ガ爲ニハドウゾ雙方共、互ニ静粛ニ演說
ヲ御聽取アランコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=15
-
016・湯淺凡平
○湯淺凡平君(續) 惟フニ只今ノ政府ト云
ヒ、將タ政友會ト云ヒ、稅制整理ニ關スル
所ノ根本的ノ缺陷ニ陷。ッテ居ラレルノデア
ル、其缺陷トハ何デアルカ、卽チ昨年ノ議
會ノ後ニ於テ、稅制整理ノ計畫ヲ立テラレ
ル、其方針ニ於テ一ツノ誤ガアルノデア
ル、此方針ハ決シテ現内閣ノミノ責任ニア
ラズ、所謂三派聯立內閣ノ連帶責任デア
ル、其連帯責任ノ缺陷トハ、稅制整理ヲ行
フニ付テ國民ノ負擔ヲ輕減スルコトヲ忘レ
テ、整理ノ結果ハ國家ノ歲入ニ對シテ著
シキ減少ナカラシムルトー云フ此方針ガ、卽チ
今日ノ如キ矛盾極マル所ノ整理ノ結果ヲ見
ルニ至ッタノデアリマス、勿論斯ノ如キ結
果ヲ見ルコトハ當然ノ次第デアリマス、此
方針ニ付テノ連帶責任ヲ有セラルヽ以上ハ、
新ニ財源ヲ求メテ地方稅ハ勿論ノコト國
稅ヲモ整理スルト云フ餘地ハ無イノデアリ
やっ、是ニ於テカ私ハ問題ハ極メテ簡單デ
アルト思フ、卽チ國家ノ歲入ニ著シキ減少
ヲ生ゼシメズシテ、稅制ノ整理ヲ行ハント
欲セバ、國稅ノ整理ヲ爲スカ、然ラザレ
バ地方稅ノ整理ヲ爲スカ、二者其一ヲ擇ブ
ヨリ外ニ方法ハ無イノデアル、而シテ政府
ハ卽チ國稅ノ整理ヲ行ハント欲シ、政友會
ハ地方稅ノ整理ヲ行ハントスルニ過ギナ
イ、爭ハ此點ニ限ラレテ居ルノデアリマ
ス、吾々國民ノ一員トシテ見ルトキハ、國
稅ガ前ニ整理セラレマシテモ、地方稅ガ前
ニ整理セラレマシテモ、吾々國民生活ノ全
體ノ上カラ考ヘマスレバ、何ノ徑庭ハナイ
ノデアル、諸君、政府ノ豫期サレル所ノ國
稅ノ整理ハ、私ガ申スマデモナク、種々ナル
惡稅、或ハ非社會政策的ノ今日ノ租稅ヲ改
廢シ、之ニ依ッテハ八千万圓ノ減稅ヲ行フ
ト云フコトニ在ルノデアリマス、政友會ノ案
ハ七千四百万圓ノ地相ヲ地方ニ委譲シテ、
地方ノ稅制ヲ整理スルノ財源ト爲サント欲
スルノデアリマス、政友本當諸君ハ稅制
ノ根本的整理ヲ後年ニ讓リ、當面ノ問題ト
致シテ自作農ヲ保護シ、義務〓育費ノ國庫
負擔額ヲ增額センガ爲ニ、約五千五百万圓
ノ程度ニ於テ、國民負擔ノ輕減ヲ爲サント
スルノデアリマス、是等ノ問題ハ、之ヲ國
民負擔ノ大體カラ考ヘテ見マスルナラバ、
吾々ハ殆ド論ズルニ足ラザル所ノ金額デア
ルト思フノデアリマス、御承知ノ通リ今日
ノ國民ハ國稅ニ於テ約二十六億万圓
特別一般ノ兩會計ヲ通ジテ約二十六億万
圓之ニ地方費、十四億万圓ヲ加ヘマシタ
ナラバ、實ニ四十億万圓ノ巨額ニ達シテ居
ルノデアリマス(發言スル者多シ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=16
-
017・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 更ニ諸君ニ靜肅ニ御
聽アランコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=17
-
018・湯淺凡平
○湯淺凡平君(續) 此四十億万圓ノ負擔カ
ラ考ヘテ見マスレバ、最高額ノ政府案ト
雖モ、僅ニ其五十分ノ一ニ過ギナイ、政友
會ノ案ニ至ッテハ五十二分ノ一ソコ〓〓デ
アル本黨案ニ至テハ、又七十分ノ一ニシ
カ當ラナイノデアリマス、果シテ國民ガ今
日ノ稅制ニ期待スル所ノモノハ斯ノ如ク
五十分ノ一ヤ或ハ七十分ノ一ノ負擔ヲ輕減
サレルト云フコトデ滿足ヲスル者デアリマ
セウカ、私ハ政府ノ國稅中ニ於ケル所ノ惡
稅ノ改廢ヲ行ハントスルコトハ、最モ贊成
スル所デアリマスト同時ニ、政友會ノ地租
ヲ地方ニ委讓シテ、之ニ依シテ地方ノ惡稅
ヲ改廢セントスルコトニモ固ヨリ反對デハ
ナイ、況ヤ義務〓育費ヲ國庫ノ負擔トシテ
層加スルト云フコトハ最モ吾々ノ賛成スル
所デアリマス、併ナガラ此三ノモノヲ一ノ
綜合シタル所ノ問題ト爲サズシテ、別々ニ
其一部分ダケヲ解決スルト云フコトハ、吾々
ノ甚ダ不滿トスル所デアリマス、此三ツ
ノ金額ヲ合計致シマスレバ、恐ラクハ二億
圓ニ達スルデアリマセウ、此二億圓程度ノ
減稅ガ行ハレテ居ルモノデアルトスルナラ
バ稍、吾々ノ理想トスル所ノ稅制整理案
ニ近イモノデアリマス、斯ク吾々ガ申セバ、
左樣ナ財源ハ果シテ何所ニ在ルカト問ハレ
ルデアリマセウ、之ニ答ユルコトハ極メテ
簡單明瞭デアリマス、卽チ行政財政ノ整理
ヲ更ニ徹底的ニ行ヒマスルナラバ、吾々ハ
二億圓ノ財源ヲ得ルコトハ決シテ難カラザ
ルモノデアルト思フノデアリマス、此財源
ヲ調達スル上ニ於テハ、積極的ニハ私ノ主
張スル所ノ酒ノ專賣モアルデアリマセウ、
係ナガラ此問題ハ他日ノ問題トシテソレヲ
除キマシテモ、消極的ニハ行政ノ整理ヲ更
ニ徹底的ニ行フナラバ、決シテ財源ノ無キ
ニ苦ムコトハナイノデアリマス、諸君、昨
年三派內閣ハ所謂行政整理ヲ政綱ノ一ニ加
へ著々トシテ其步ヲ進メラレマシタケレ
ドモ、由テ得ル所ノ金額ハ僅ニ一億五千萬
圓、而モ其半額ハ事業ノ繰延ヲ爲シ、中止
ヲ爲シタニ過ギナイ、眞ニ政費ノ節減ヲ爲
シタル所ハ僅ニ六千八百万圓ニ過ギナカツ
タコトハ諸君ノ御承知ノ通リデアリマス、
所謂泰山鳴動シテ鼠一匹ノ憾アッタコトヲ
免レナイノデアリマス、ケレドモ此金額ニ
對シテ三土君ハ又曰ク、「此金額ハ實ハ無
理ヲシテ出シタ所ノ金額デアル、今日ノ我國
ノ行政ノ上ニ於テハ決シテ冗費ノ節約スベ
キモノハ無イノデアルカラ、減稅ヲ爲スコ
トナドハ思ヒモ寄ラナイト述ベラレタノデ
ゴザイマス、諸君、今日ノ我國ノ行政事務
ノ上ニ於キマシテ、其取扱ニ大整理ヲ加ヘ
ル餘地アルコトハ、天下何人ト雖モ疑フ者
ハ無イノデアリマス、事務ノ簡㨗ヲ圖リ、
能率ヲ擧ゲル上ニ於キマシテハ、私ハ今日
ノ政府ノ義務ニ屬シ、或ハ法律ノ結果ニ屬
セザル所ノモノヽ範圍ニ於テ、其三分ノ一
ヲ減ジ、若クハ半額ヲ減ズルコトハ決シテ
難クナイコトヲ確信シテ疑ハザル者デアリ
マス(ヒヤ〓〓)既ニ斯樣ナ餘地アリトスル
ナラバ、行政整理ヲ徹底的ニ行,テ財源ヲ
求メテ、國稅ト地方稅ト雙方ノ整理ヲ爲ス
コトハ決シテ難イ事デハナイノデアリマ
ス、併ナガラ私ハ今日ノ如キ現狀ノ下ニ於
ケル、此議會ニ向ッテ斯ノ如キ大英斷ヲ求
メルト云フコトハ求メテモ得ベカラザル
所ノ事實デアルト思フ、吾々ノ理想ハ普通
選擧ヲ行ヒ、吾々ノ要求スル所ノ政黨ガ生
レ、吾々ノ要求スル所ノ政府ガ出來タ時デ
ナケレバ實現ヲ致サヌ、吾々ハ昨年ノ八月、
吾々ノ革新倶樂部ノ事務對策トシテ天下ニ
公表シタ所ノモノガアル、卽チ吾々ノ總テ
ノ國政ニ對スル所ノ理想ハ、期スル所種々
アリト雖モ、是ハ畢竟普通選擧實現ノ曉ニ
アラザレバ目的ヲ達スルコトガ出來ナイノ
デアリマス、サリトテ吾々ハ今日國民ノ倚
託ヲ受ケテ此議會ニ列シテ居ル以上ハ、今
日當面ノ事、現實ノ問題ニ對シテ之ヲ如何
ニ處理スルカト云フコトニ付テハつ又別ニ
考ヘナケレバナラヌ、卽チ當面ノ問題ニナッ
テ居ル所ノ地租ノ問題デアルトカ、或ハ法
律ノ問題デアルトカ、各種ノ問題ニ付テノ
所謂事務對策ナルモノヲ確立シナケレバナ
ラヌ、此事務對策ノ根本方針ト致シマシテ、
地租ニ於テハ相當ノ免稅點ヲ設ケ、義務〓
育費ニ於キマシテハ益之ヲ增加スル又
行政ノ整理ヲ爲スト云フガ如キモ吾々ノ方
針ト致シテ居ル、而シテ此度此議會ヲ迎へ
テ、吾々ノ事務對策デアル所ノ稅制整理ノ
問題ニ付テ、吾々ノ意見ヲ定メナケレバナ
ラヌノデアル、然ラバ吾々ノ理想ヲ離レ、
吾々ノ期待ヲ離レテ、徐口ニ今日ノ問題ニ
卽シテ、吾々ガ態度ヲ決スル上ニ於キマシテ
ハ其自ラノ結論ト致シマシテ、委員長報
告ノ修正案ニ賛成ヲスルト云フコトハ、巳
ムヲ得ザルコトデアルノデアリマス(拍手)
諸君政府ガ所謂惡稅ト呼バレタル所ノ、非
社會政策的ノ租稅、或ハ綿織物稅テアルト
カ、或ハ交通稅デアルトカ、善油稅デ
アルトカ、賣樂稅デアルトカ云フガ如キ惡
稅ヲ撤廢シ、更ニ天下非難ノ的トナッテ居ツ
タル營業稅ヲ撤廢シ、加フルニ地租、所得
稅ニ於テ免稅點ヲ引上ゲ、或ハ增加スルガ
如キコニトニ向シテハ、決シテ反對スベキ理
由ハ少シモ無イト思フ(拍手)之ヲ社會政策
的ト謂ハズシテ將夕何レニ社會政策ガ在ル
デアリマセウカ、尤モ或ル一部ノ論者ノ如
ク酒ハ〓油ヨリモ生活必需品ナリト云フ
ガ如キ暴論ヲ爲サルヽナラ格別デアリマス
ケレドモ、私共ハ決シテ酒ヲ以テ醤油ヨリ
モ必要ナル生活品トハ思ハナイ、煙草ヲ以
テ綿織物ヨリモ生活必女品ナリトハ思ハナ
ト、吾々ハ酒ノ價ノ騰貢スルコト、煙草ノ
價ノ騰貴スルコトヲ好ム者デハナイケレド
モ、併ナガラ酒ノ値ヲ騰貴セシメ、煙草ノ
値ヲ引上ゲテモ、是ガ爲ニ眞ノ國民ノ生活
ニ必要ナル所ノ綿織物ヤ、或ハ醬油稅ガ低
減ヲサレ、撤廢ヲサレルト云フコトデアル
ナラバ爾ク致シテ吾々ハ比較シテ、其ヨ
リ善キモノヲ採ラナケレバナラヌノデアリ
マス(拍手)諸君、若シ綿織物ガ生活ノ必需
品デナイト云フナラバ或ハ裸體デ酒ヲ飮
ンデ居ノテモ宜シイカ、或ハ又醤油ヲ-
是ハ必要品デナイ、或ハ鹽ヲ用ヒテモ宜シ
イト云フ議論カモ知ラナイガ、原始的ノ國
民ナラバ率知ラズ、生蕃人ノ生活ナラバ率
知ラズ、今日ノ國民生活ノ現狀ニ於テ、醤
油ニ代ユルニ鹽ヲ以テスレバ足レリト云フ
ガ如キ議論ニ吾々ハ與スルコトハ出來ナイ
ノデアリマス(拍手)斯ク考ヘテ見マスレ
バ政府ノ今回撤廢スル所ノ諸稅ハ、全ク
社會政策的ノ見地ニ立ツモノトシテ、吾々
ガ賛成スルコトハ何ノ不可ハナイノデアリ
マス、唯〓問題ハ此諸稅ノ撤廢ヲ行フニ付テ、
其財源ヲ酒ヤ煙草ニ求メタト云フコトガ吾々
ノ反對スル所ノ一ツデアル、若シ之ヲ行
政或ハ財政ノ整理ニ依テ政費ノ節減ヲス
ルト云フコトニ求メルノデアレバ
〔此時發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=18
-
019・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=19
-
020・湯淺凡平
○湯淺凡平君(續) 勿論吾々ハ大ニ贊成ヲ
スルノデアリマス、唯玆ニ論據ガ違テテ居
ルダケノ問題デアリマスルガ、是トテモ吾々
ハ前刻モ述ベタルガ如ク、斯ノ如ク爲サ
ズ、行政財政ノ徹底的斷行ガ出來ルナラバ
問題ハ無イ、是ハ今日ノ議會ノ諸君ヤ政府
ニ求メテ出來ナイ以上ハ、吾々ハ已ムヲ得
ズ次善ヲ取ッテ、比較的是等ノ惡稅ヲ敬廢
サレルコトニ賛成セザルヲ得ナイノデアリ
マス(拍手)更ニ賣藥稅ニ付テ或ハ之ヲ撤廢
スルト雖モ、製造者、販賣業者ヲ利スルノ
ミニシテ、之ヲ利用スル所ノ細民ニ及フモ
ノデナイト云フガ如キ議論ヲ承リマス、實
ニ自由競爭、商賣ノ機密ニ通ゼザルモ亦甚
シト謂ハザルヲ得ナイノデアリマス(拍手)
要スルニ商業ノ祕訣ハ良貨ヲ廉賣スルニア
ル、然ルニ原賣スルニ付テ玆ニ租稅ト云フ
如何ニシテモ減ズルコトノ出來ナイ所ノ負
擔ガアリマシタナラバ、廉賣ヲ爲スコトハ
出來ナイノデアリマス、此廉賣ヲ爲ス上ニ
於テ、細民ノ苦痛ヲ增加スルガ如キ賣藥稅
ノ撤廢ハ、固ヨリ當然ナ次第デアリマス、
(拍手)色ミノ御議論ヲ承リマスケレドモ、
常識ヲ以テ判斷ヲ致シマスナラバ、賣藥稅
ハ卽チ細民ノ負擔デアルト云フコトハ言フ
マデモナイノデアリマス(拍手)若シ醫者ニ
掛カレル程ノ餘裕ガアルナラバ、何ヲ苦ン
デ賣藥ヲ買ヒマセウ、賣藥ヲ買フ者ハ醫者
ニ掛カルコトガ出來ナイカラ、已ムヲ得ズ
賣藥ヲ以テ滿足ヲ致シテ居ルノデアル、何
レノ點カラ論ジマシテモ、賣藥稅ノ撤廢ハ
社會政策的デアル、細民ノ爲ニ爲スモノデアル
ト云フコトハ論ヲ要シナイノデアリマス、
斯ク考ヘテ見マスレバ、政府ノ撤廢セント
欲スル所ノ惡稅ハ、當然吾々ノ賛成ヲセナ
ケレバナラヌ筈ノモノト思フ、殊ニ是等ノ
諸稅中ニ於キマシテ、吾々ガ困却スルコト
ノ出來ナイノハ戰時稅デアリマス、全體我
國ノ國民負擔ハ總テ戰時ノ場合ニ於キマ
シテ、急激ナル所ノ負擔增加ヲ致シテ居ル
ノデアル、固ヨリ國運ヲ賭シテ乾坤一擲ノ
戰ヲ爲ス場合ニ於キマシテハ、其負擔ガ不
合理的デアルト、其負擔ガ過重デアルト、
之ヲ顧ミル遑ハ無イノデアリマス、然ルニ
若シ此戰爭ノ目的ヲ達シテ最早其負擔ノ整
理ヲ爲スベキ時代、卽チ戰後經營ノ時代ニ
於キマシテハ、何ハ偖措イテモ、此戰時總
テノ關係ヲ顧ミル遑ナクシテ課セラレタル
所ノ稅金ノ整理ヲ爲スト云フコトハ、政治
道德ノ上カラ中シマシテモ當然ノ次第デア
ルト思フノデアリマス(拍手)而モ政府ノ今
囘廢減セント欲スル所ノ稅金ノ中ニハ斯
ノ如キ戰時稅ガアリマス、此戰時稅ヲ戰後
ニ於テ撤廢セズシテ、其儘平時稅ト爲シ、
而シテ我國ノ財政ヲ戰時其儘踏襲ヲ致シタ
ト云フ其価ヲ作ッタル者ハ是皆政友會ト謂
ハザルヲ得ナイノデアリマス(拍手)全體
戰時稅ヲ其儘ニ致シマシテ、果シテ國民ノ
負擔ガ輕減出來マスカ、國民生活ノ安定ガ
圖ラレマスカ、歐米諸國ノ例ヲ見マシテモ、
戰時ノ諸稅ヲ戰後ニ於テ或ハ之ヲ半額ニ減
ジ三分ノ一ニ減ジタルコトハ吾々ノ明ニ
認ムル所デアリマセヌカ、然ルニ日本ノ財
政ニ限シテ戰時其儘、却テ年々歲々其膨脹ノ
度ヲ增スト云フガ如キハ斯ノ如クニシテ
果シテ吾國ノ經濟ノ恢復ガ求メラレマスカ、
斯ノ如クニシテ吾々國民生活ノ安定ヲ求メ
ラレマスガ、此點ニ關シテ私ハ特ニ諸君ノ
考慮ヲ願ハナケレバナラヌノデアリマス、
斯樣ナ次第デアリマシチ、私ハ今日ノ稅制
整理ノ中ニ於キマシテ、先ヅ政府ガ國稅ヨ
リ手始トシテ之ヲ整理スルト云フコトハ、
誠ニ緊急ニシテ已ムベカラザル所ノモノデア
ルト贊成ヲスルト同時ニ、若シ政友會諸君
ガ更ニ進ンデ地租ノ委譲ヲ爲シ、而シテ地
方稅ノ整理ヲ行ハント欲スルナラバ、吾々ト
同ジ樣ニ今日ノ財政ノ上ニ於テ、厘毛節減ノ
餘地ナシト云フガ如キ愚論ヲ御廢シニナツ
テ、更ニ進ンデ大ニ國民ノ負擔ヲ輕減スル
ト云フ見地カラ、積極的ト云フガ如キ空名
ニ囚ハレズ、眞ニ今日ノ財政ノ現狀ニ立脚致
シマシテ、大ニ整理緊縮ヲ行ヒ、而シテ其
安定ヲ待ッテ後ニ初テ積極的ノ仕事ヲス
ルト云フコトニ順序ヲ御變へニナルコトヲ
切望セザルヲ得ナイノデアリマス(拍手)斯
ノ如キ理由ノ下ニ吾々ハ洵ニ遺憾千萬ナ次
第デアリマスルケレドモ、今日ノ現狀已ム
ヲ得ズ、今日ノ程度ニ於キマシテハ此修正案
ヲ以テ吾々ハ最モ適當ナルモノト信ジテ贊
成ヲスルノデアリマス、併ナガラ唯ミ茲ニ
私共ハ一ツノ希望ヲ述ベテ置カナケレバナ
ラヌコトハ、社會政策ヲ行フ-私ハ此社
會政策ト云フコトニ付テハ、政府ノ說明ニ
依リマシテモ、或ハ政友會ノ下サレタル定
義ニ關シマシテモ、甚ダ滿足ヲ表セザル者デ
アリマス、ケレドモ今日社會政策論ノ定義
ニ付テ議論ヲスル場合デハアリマセヌ、若
シ社會政策ガ必要デアリ、現內閣ノ社會政
策ノ不徹底ヲ攻擊サレルナラバ、私ハ政友
會自身ハ·發言スル者アリ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=20
-
021・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 静〓ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=21
-
022・湯淺凡平
○湯淺凡平君(續) 政友會ガ內閣ヲ組織シ
夕場合ニ於テ、如何ナル社會政策ヲ御立テ
ニナッタカト云フコトヲ、先ヅ御反省ヲ願ハ
ナケレバナラヌノデアリマス、今日普通選
擧ガ近日ニ行ハレルカラト云ッテ、周章狼狽
致シテ、無產者ノ機嫌ヲ買ハンガ爲ニ一夜
造リノ社會政策呼ハリヲ爲サレルト云フコ
トハ、果シテ其眞意ヲ疑ハザルヲ得ナイノ
デアリマス、唯〓此社會政策ノ見地カラ申
シマスレバ、私ハ此修正案ニ對シテ尙ホ一
段ノ希望ガアル、卽チ私共ガ委員會ニ於キ
マシテ修正ヲ出シマシタ所ノ營業收益稅法
ノ中ニ於キマシテ、穀物、靑物、魚類、石油、
薪炭、斯ノ如キ國民ノ生活ニ卽スル、最モ
必須ノ物件ノ販賣ヲ爲シマス營業ニ對シテ
ハ無論、法人ハ除イテ、個人ノ小賣業ニ
對シテハ相當ノ減率ヲ行フト云フコトガ、
最モ必要デアルト思フノデアリマス、更ニ
又此營業收益稅ヲ實行スル中ニ於キマシテ
モ、稅務官吏ガ帳簿ノ檢査ヲ爲スト云フガ
如キ、其事ノ爲ニ今日マデニ國民ガ如何ナ
ル迷惑ヲ蒙ッタカト云フコトヲ考ヘテ見マ
スレバ、其點カラ見マシテモ、帳簿ノ檢查
ト云フノ規定ヲ除クコトハ、最モ必要ナ事
デハナイカト思フノデアリマス、更ニ出版業
ヲ營業稅ノ課稅物件トスルコトモ、私ハ國
民ノ文化、知識啓發ノ上カラ申シマシテモ、
大ニ考慮ヲ要スルコトデアルト思フノデア
リマス、更ニ又〓涼飮料稅ノ中ニ於キマシ
テ、玉「ラムネ」ニマデ課稅ヲスルト云フコ
トハ細民ヲ苦ムル所ノ結果ニ陷リ、社會
政策ノ趣旨ニ最モ反スルモノデアルト思フ
ノデアリマス、(拍手)斯樣ナ次第デアリマ
シテ、私共ハ是等ノ點ニ對スル所ノ修正意
見ヲ述ベタケレドモ、遂ニ少數ニ依シテ否
決サレタルコトハ甚ダ之ヲ殘念トスル者デア
リマス、併ナガラ吾々ハ少數ニ於テ此度敗
レテモ、恐クハ普通選擧ノ行ハレマスル先
ニ、最早國論ハ吾々ニ後援ヲ致シテ、近日
是等ノ問題ハ必ズヤ解決スルモノデアルト
信ジテ疑ハザル者デアリマス、吾々ハ結論
ニ於テ委員長報告中ノ修正案ニ贊成ヲシ、
而シテ政友會ノ稅制返上論ニ對シテハ、斷
乎トシテ反對スル者デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=22
-
023・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 砂田重政君
〔砂田重政君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=23
-
024・砂田重政
○砂田重政君 諸君、私ハ只今議題ニ相
成シテ居リマスル稅制ニ對シテ、政府案竝ニ
委員長ノ報告ニ反對ヲ致シ、政友會ノ地租
委讓論ヲ支持スル者デゴザイマス、而シテ
更ニ政友本黨ノ提案ニ係リマスル〓育費國
庫支辨ニ關スル法律案ノ委員長ノ報告ニ
賛成ヲスル者デアリマス、昨日來此〓育費
ニ對シテ吾々ガ賛成ヲスルコトガ恰モ矛盾
ノ如ク、恰モ吾々ノ主張ヲ抛棄スルガ如キ
口調ヲ以テ、小川君ヲ始メ此壇上ニ於テ御
議論ヲ爲サレタノデゴザイマスガ、其要點
ハ旣ニ大口君ニ依ッテ一端ヲ反駁サレマシ
タガ、小川君ノ政友會ガ之ニ賛成スルコト
ニ對シテ疑ヲ持タレタ點ハ小學校〓育費
ノ〓員俸給ノ中ニハ義務〓育ニ屬スルモ
ノト、高等小學校〓員給ニ屬スルモノトガ
アル、(詭辯々々ト呼フ者アリ)詭辯デハナ
イ、小川君ガ言ッテ居ル事ヲ其ノ通リ言ウテ
居ル、斯樣ニ二ツニナッテ居ルカラ(發言ス
ル者多シ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=24
-
025・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=25
-
026・砂田重政
○砂田重政君(續) 義務〓育費ダケヲ計算
ヲスルナレバ、七千圓ト云フ金ハ半額以
上ニ上ルデハナイカト一云フコトガ小川君ノ
御議論デアリマス、然ルニ是ハ大正六年ニ
臨時〓育會議ガ出來マシテ以來、義務〓育
ト高等小學校〓員トノ間ノ區別ヲ明瞭ニス
ルコトガ出來ナイ故ニ、臨時〓育會議ニ於
テハ〓育給ノ半額主義ト云フコトハ、小學
校〓員ヲ通ジタル計算ト相成ノテ居ルノデ
アリマス(拍手)是ハ諸君ガ、憲政會ノ諸君モ
本黨ノ諸君モ御承知ノ如ク、初メノ問ハ義務
〓育費國費負擔ノ增額ト云フコトガ論議サ
レ、其後ニ小學校〓員給ト云フコトニ一切
ノ見出シマデガ改正サレタ事ニ依ッテモ、
明瞭ニ分ルノデゴザイマス(拍手)願クハ
小川君ガ此壇上ニ於テ論議サレル場合ニ於
テハ常ニ今少シク眞面目ニ御〓究ニナッ
テ御議論ヲ願ヒタイト思ヒマス(拍手)此
壇上ニ於ケル演說ハ忽チ全天下ニ響キ、國
民ニ響クノデアリマス、好イ加減ナ出〓目
ナコトヲ壇上デ言フコトハ御控ヘヲ願ヒタ
イノデアリマス、而シテ此問題ニ付テ昨
日小川君ノ舉ゲラレタル小學校〓員俸給ノ
十三億八千万圓ト云フノハ、是ハ(「桁違ヒ
ダ」ト呼ヒ其他發言スル者多シ)一億三千
万圓-取消シマス
〔此時發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=26
-
027・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 静肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=27
-
028・砂田重政
○砂田重政君(續) 數字ノ間違ヒノアッタ
ト云フコトヲ訂正スルコトニ何ノ恥ヅル所
ガアル、一億三千八百万圓ト言ハレタ、此
一億三千八百万圓ト言ハレタ數字ハ、大正十
三年度ノ豫算デゴザイマス、而シテ〓員俸
給ハ每年六百万圓乃至七百万圓宛ハ年々ニ
增加シテ居ル事實ハ爭ノナイ事實デアル、
サウスレバ大正十四年度ノ豫算ニ於テ、小
學校〓員給ノ總高ハ一億四千万圓ヲ突破シ
テ居ルコトハ明瞭ナ事〓貝デアリマス(拍手)
更ニ十五年度ニ於テハ之ニ六七百万圓ノ增
加ヲ見ル譯デゴザイマスカラ、一億五千万
圓ニ近イ數字ニ相成ッテ居ル筈デアル、而
シテ今日七千万圓ニ改正サレルコトニ吾々
ガ賛成スルコトニ何ノ不思議ガアルノデア
ル、更ニ小川君ハ來年ニナッタナレバ、政
府ハ緊急必要ナル經費ト共ニ篤ト考慮ヲス
ルト言ウタノデアルカラ、來年度ニナッタ
ナレバ更ニ一千万圓ヲ殖スニ相違ナイト
仰セラレテ居ルノデゴザイマスガ、ソレダ
ケ間違ノナイ事實ナラバ、大藏大臣ガ此處
ニ居ラルヽノダカラ此壇上デ明言ヲサセレ
バ宜イノデアル、大藏大臣ニ明言ヲサスコ
ト能ハズシテ、篤ト考慮スルト云フコトヲ
以テ確實ニ是ガ增加サレルト云フ御議論
ハ吾々ニハ分ラナイ、併ナガラ政府ガ篤
ト考慮シテ之ヲ提案サレルト云フコトニナ
ルナラバ、吾々モ篤ト考慮シテ賛否ヲ決シタ
イト思フノデアル(拍手)併シ吾々ノ小學校
〓員給ヲ增額スルー云フコトハ固ヨリ必要
デアルガ、是ハ稅制ノ問題トハ全ク別箇ノ
問題デアル、是カラ稅制ニ對スル問題ノ吾
吾ノ主張、政府ノ主張又妥協ニ依リテ出來
上リマシタ修正案ノ主張ヲ對比シテ、而シテ
吾々ハ眞面目ニ之ヲ論議シテ見タイト思フノ
デアリマス(拍手)先刻來元ト多年手ヲ携ヘテ
居リマシタ湯淺君ガ、此壇上ニ於テノ御議
論ヲ吾々ハ謹ンデ拜聽ヲ致シタノデゴザイ
マスガ、此湯淺君ノ御議論ハ私共ハ多クノ
反駁ヲ加ヘルコトハ必要ハ無イト思フ、卽
チ湯淺君ノ御議論ハ政友會ノ案モ不徹底
デアル、又政府ノ案モ不徹底デアル、何方
モ不徹底デアルガ、政府ノ方ガ善ササウデ
アルカラ已ムヲ得ズ之ニ賛成ヲスルト云フ
ノデアル吾々ガ革新倶樂部ニ居タ時代ニ
於テハ、斯樣ナ已ムヲ得ズ贊成ヲスルト云
フヤウナコトヲ言ウタコトハ無イノデゴザ
イマス(拍手)必ズ自己ノ主張ヲ此壇上デ明
瞭ニシテ去就ヲ決シタノデアル(拍手)殊ニ
中正倶樂部ノ諸君、革新倶樂部ノ諸君ガ吾々
ト共ニ多年地租、營業稅ノ地方委譲ヲ唱
ヘタ所以ノモノハ、其財源ハ常ニ行政ノ整
理ニ依シテ得ルト云フコトヲ長イ間唱へ來ツ
タノデアル(拍手)而シテ其行政整理ノ一部
ヲ以テ、地租委譲ノ財源ニ與ヘルト云フコ
トニ今日反對ヲサレルト云フコトハ、如何
ニ考ヘテモ吾々ハ了解ガ出來ナイノデゴザ
イマス(拍手)又昨年ノ一月議會ノ施政方〓
ノ演說ノ當時ニ於テ、加藤總理大臣カラ來
ル十五年度ニ於テハ稅制ノ根本整理ヲスル
ト云フ言明ヲ得タ當時ニ、吾々ハ湯淺君ト
手ヲ握クテ玆ニ年來ノ主張デアル-吾々
ノ主張シ來"夕地租營業稅ノ委譲ノ實現ス
ル機會ノ來ッタコトヲ喜ビ合ッタ仲デアリマ
ス、今日俄ニ政府ノ案ニ贊成ヲスルト云フ
ガ如キ考ハ、當時ノ湯淺君ニ於テモ無カッタ
ト思フノデゴザイマス(拍手)又殊ニ稅制ノ
改正ノ問題タルヤ、我ガ國民ノ生活上ニ最
モ重大ナル關係ヲ持ツノデゴザイマス、徒
ニ朝令暮改、度と幾度モ變ヘルコトノ出來
ナイ、此案ノ通過スルトセザルト、此案ノ
改廢如何ト云フコトハ長ク我ガ國民ノ負擔
ノ上ニ大影響ヲ持ツ問題デアリマス、好イ
加減ナモノデアルガ仕方ガナイカラ賛成ヲ
スルト云フ如キコトニ依テ、此問題ヲ輕々
ニ付シ去ルベキ問題デハナイト思フノデ
アル(拍手)而シテ稅制ノ問題ヲ論議致シマ
スル上ニ於テ、固ヨリ第一ハ其體系デゴザ
イマス、第二ニハ其負擔ノ均衡ノ問題デア
リマス、第三ニハ社會政策的ノ施設デアリ
マス、第四ニハ更ニ其內容ニ亙ッテノ論議
デナケレバナラヌノデアリマスガ、吾々ノ
地租ヲ地方ニ委讓スルト云フ議論ノ出發點
ハ又第一ニ此體系ノ上ニ歸著スルノデゴ
ザイマス、政府ノ主張ハ國稅ハ國稅トシテ
體系ヲ整理スル、而シテ地方稅ト國稅トハ
別箇ノモノトシテ體系ヲ考ヘルコトガ適當
ナリト信ジタト云フノガ、濱口大藏大臣ノ
主張デアリマス、吾々ノ地租委譲ハ續イテ
財源ヲ得テ、營業稅ヲ委譲シテ之ヲ府縣ニ
委讓シ、地租ヲ地方ノ町村ニ委讓スルコト
ニ依シテ府縣、市町村、國家相合シタル體系
ヲ具ヘルト云フノガ吾々ノ主張デアリマス
(拍手)此體系ヲ具ヘルニ非ザレバ、如何ニ
國稅ノ上ノ體系ヲ具ヘテモ、地方稅ノ體系
相合セザル場合ニ於テ、國民ノ懐中ニ持ツ金
ハ國稅ト町村稅トノ間ニ差別ハ無イノデア
ル、之ヲ公平ニスル上ニ於テハ連絡脈絡
ヲ取リタル租稅體系ヲ具ヘナケレバナラヌ
ト思フノデアリマス、此意味ニ於テ今政府
ノ提案セラレマシタ此案ニ依ッテ、果シテ
眞ニ體系ガ具ノテ居ルヤ否ヤト云フコトハ
昨日大口君ノ此壇上ノ演說ニ依ッテ、體系
ノ紊レテ居ルコトハ明瞭ニ相成ッタノデア
リマス(「二重ニナルヨ」ト呼フ者アリ)二重
ニナル點ハ成ベク之ヲ省キマス-省キマ
スガ、併ナガラ吾々ガ此政府ノ國稅ダケノ
體系ヲ具ヘタコトガ、地方稅ノ上ニ如何
ニ體系ヲ紊ル結果ニナルカト云フコトダケ
ハ、此機會ニ申上ゲテ置カナケレバナラヌ、
卽チ今回ノ改正ニ依ッテ、國稅ノ上ニ於テ
ハ所得稅ヲ根幹トシテ營業收益稅ト云フ特
別稅、所謂特別稅ニ屬スベキ純益ニ課スル
稅金、土地ヲ土臺トシテ是ノ賃貸價格、卽
チ推定收益ニ對スル課稅、之ヲ設ケテ之ヲ
國稅ノ上ニ體系ト爲シ、更ニ地方稅ノ上ニ
於テハ家屋稅ヲ取ルト云フコトニナッテ居
ルノデアリマス、其地方稅ト國稅トノ上ニ
如何ナル矛盾ヲ生ジ、如何ナル重複ヲ生ズ
ルカト云フコトハ、今度ノ國稅ノ改正ノ上
ニ於テハ營業收益ノ中カラハ土地ニ對ス
ル收益ヲ除クコトニナッテ居リマスルガ、
此家屋稅ニ於テハ全然之ヲ引去ルコトニ
ナッテ居ナイ、其結果ハ例ヘバ玆ニ家屋ヲ
土臺トシタル營業ガアル例ヘバ倉庫業ノ
如キ、若クハ旅館業ノ如キ、家ヲ離レテ絕
體ニ營業ノ出來ナイモノガアル、此營業家
屋ト云フコトニ對シテ、收益稅ハ之ヲ基調
トシタル利益ノ全部ニ課稅サレルノデアル、
而シテ家屋稅モ其賃貸價格ヲ土臺トシテ此
收益ニ課稅サレルノデアル、隨ッテ一ツノ
家屋ヲ持シテ營業ヲスル者ハ、例ヘバ五十
圓ノ家屋稅ヲ納メル者ガ、更ニ其上ニ營業
收益稅百圓ヲ納メル場合ニ於テハ、百五十
圓ノ課稅ヲ營業者ハ負擔スルノデアル、若
シ營業ヲシナイ者ハ唯、五十圓ノ家屋稅ダ
ケニ止マルト云フ結果ヨリ之ヲ見マスレバ、
營業稅ト家屋稅ノ間ニハ明瞭ニ重複ヲ免レ
ナイト云フコトハ、如何ニ大藏大臣ト雖モ
認メラレナケレバナラヌノデアル(拍手)是
ハ全國二百万ノ營業者ハ悉ク家屋ヲ持ノテ
經營ヲシテ居ル、其二百万ノ家屋ヲ有スル營
業者ニ、家屋稅ト收益營業稅ガ重複ノ結果
ニナルト云フコトハ明ニ國稅ト地方稅ノ
體系ヲ別々ニスルコトノ結果ガ此所ニ至ル
ト云フコトハ明瞭ナ事實デアル(拍手)斯ノ
如キ誤レル體系ヲ以テ此稅制ノ改正ヲシヤ
ウト云フコトハ、斷ジテ吾々ノ反對ヲシナケ
レバナラヌ點デアリマス(拍手)而シテ更ニ
進ンデ今囘ノ此稅制ノ整理ガ、果シテ租稅
ノ上ニ於テ均衡ヲ得テ居ルカドウカト云フ
問題デアリマス、卽チ〓囘妥協ニ依クテ修
正ヲサレマシタ點ハ、地租ノ一分減ヲ撤廢
スルト云フコトデアル、地租ノ一分減ヲ行
フト云フコトノ出發點ハ何所ニ在ッタカ、
大藏大臣ハ此壇上ニ於テ演說ヲサレテ、ド
ウ言ハレテ居ル、地租ノ一分減ヲ行フト
云フコトハ、大正十二年營業稅ノ減稅ヲ行
ウタ爲ニ、土地ノ所有者ニ對シテハ負擔ガ
不公平ニナッテ、重クナッテ居ルカラ、此十
二年ニ減稅ヲシタル營業稅トノ均衡ヲ保ツ
爲ニ、土地ノ稅金ニ一分減ヲ行フノデアル
ト云フ、是ガ此一分減改正ノ理由デアッタ、
然ルニ今囘ノ修正ニ依ルト、此一分減ヲ行
フト云フ、此政府ノ租稅ノ均衡ヲ保ツト云
フ計畫ヲ打破シテ、〓育費ヲ以テ千万圓與
ヘルコトニシテ、負擔ハ不均衡ナ儘デ置ク
ト云フコトガ、稅制整理ノ如何ナル意味ヲ
爲スノデアル(拍手)大藏大臣ガ今囘ノ稅制
整理ノ中ニ於テ、負擔ノ均衡ガ最モ重大ナ
ル問題ナリト唱ヘラレタル負擔ハ元ノ通リ
ノ不均衡ノ儘ニ置クト云フコトハ、是デ果
シテ稅制ノ整理ヲスルト天下ニ呼號シタル
大藏大臣ノ御議論ハ、何所ニ在ルカヲ疑ハ
ザルヲ得ナイ(拍手)或ハ是ハ〓育費ノ方
面ニ移スナレバ、隨テ是ハ農村ニ多額ニ行
〃卽チ市町村ニハ一割、殘リノ九割マ
デハ農村ニ行クノデアルカラ是デ緩和ガ出
來ルト言ハレルガ、是ハ負擔ノ問題、租稅
ノ問題デハナイ、數字ノ問題ニ止マッテ、稅
制ノ改革ト云フコトヲ沒却シテシマハナケ
レバ左樣ナコトハ言ハレナイノデアル、又
其次ニハ地租ノ二百圓以下ノ免稅點ノ問題
デアル、二百圓以下ノ免稅ト云フコトヽ、收
益營業稅ノ四百圓ヲ免稅スルト云フコトヽ
ノ間ニ二百圓ノ差ガアル、是ハドウ云フ譯
デアルカト云フコトヲ此壇上ニ於テモ、又
委員會ニ於テモ屢、質問應答ヲ重ネタ點デゴ
ザイマス、其當時大藏大臣ハ之ニ對シテド
ウ答辯ヲサレタカ、是ハ營業稅ト地租ノ間
ニ斯樣ナ差別ヲ設ケタ所以ノモノハ、土地
ハ卽チ純然タル資產デアル、其資產ニ課ス
ル租稅、營業稅ハ資產ト勤勞トノ共同作用
ニ依ッテ得ルモノデアル、隨テ勤勞ト資產
ヲ併セタルモノニ對シテハ、四百圓ヲ限度
ト爲シ、資產ノミヲ基調トシタル地租ニ付
テハ二百圓以下ヲ免稅スルコトデ、初メテ
均衡ヲ保ツコトガ出來ルノデアルト云フノ
ガ、此差別ヲ設ケタ理由デアッタノデアリ
マリ、然ルニ今囘ノ修正案ニ依ルト、此地
租ノ免稅ト云フモノハ悉ク自作ト云フ勤勞
ガ附加ッタモノニ改正サレタノデアリマス、
卽チ土地ヲ有スル外ニ、此土地ヲ自ラ枡ス
ト云フ、勤労ト二ツヲ併シタルモノニ對シ
テノ免稅點デアリマス、營業稅ハ資本卜之
ニ對シテ勤勞ノ加ハッタル租稅デアルト云
フコトニナレバ、營業者ト農村ノ間ニ何モ
ノヽ區別モナイ筈ニ相成シタノデアル、斯
樣ニ修正サレタノデ、商工業者ト農民ノ間
ニ區別ヲ付ケタル理由ハ、根柢ヨリ破壞サ
レテシマッタノデアリマス(拍手)斯樣ニ租
稅ノ均衡ハ根柢ヨリ打崩サレテシマッテ、大
藏大臣ノ言ハレタル租稅ノ均衡ヲ保ツ爲ニ
改正シタト云フ言葉ハ此稅制ノ中カラ悉
ク取拂ッテシマハナケレバナラヌ(拍手)吾々
ハ年來尊敬致シテ居シタ濱口大藏大臣健
在ナリヤト疑ハナケレバナラヌノデゴザイ
マス(拍手「ソレハ詭〓ダ」ト呼フ者アリ)若
シ吾々ノ此主張ガ詭辯ナリト云フナラバ、
此壇上ニ於テ堂々ト反駁ヲシタラ宜イノダ、
斯樣ニ見テ參リマスナラバ、此今回ノ改正
ハ商工業者ト農民トノ間ニ極端ナル差別ヲ
設ケテ、農民ハ悉ク之ヲ虐ゲルト云フコト
ガ此改正ノ骨子ヲ成スモノデアル是ガ憲
政會ノ諸君、政友本黨ノ主張トハ吾々ハ考
ヘラレナイノデアル、併ナガラ其結果ヨリ
見レバ、明ニ農村ニ對スル虐ゲト相成ルノ
デゴザイマス、更ニ進ンデ政府ノ稅制ノ改
正案ガ、社會政策的ニ如何ナル意味ヲ持ッタ
カト云フコトニ付テハ、私ハ大藏大臣ガ此
壇上ニ於テ演說サレマシタ此稅制ノ根本整
理ト云フモノヽ趣旨ハ何所デ社會政策的
ニナルカト云フコトニ付テ、第一ニ數字ノ
上デ明瞭デハナイカト云フコトヲ言ハレテ
居ル、卽チ直接稅タルト間接稅タルトヲ問
ハく、主トシテ中產階級以下多數國民ノ負
擔ヲ輕減センガ爲ニ、實ニ七千百七十万圓
ノ減稅ヲ行ヒタルニ拘ラス、間接稅ノ增額
ハ嗜好品タル酒類、〓涼飲料及煙草等ニ對ス
ル負擔ニ於テ六千百餘万圓ニ過ギナイ、随
テ此數字ノ上ニ於テ社會政策的效果ノ菌著ナ
ルコト疑ヲ容レザルナリト演說ヲサレタノ
デアル、而シテ此七千百七十万圓ノ中カラ
地租ノ一千万圓ヲ差引キマスルト、差引數字
ノ上ニ於テ社會政策的ノ意味ハ一モ實行
シテ居ナイト云フ結果ニナッテ居ルノデハ
ナイカ(拍手)是ハ明瞭ナル事實デアル、更
ニ之ヲ內容ニ這人ンテ、箇々ノ租稅ニ付テド
ウ云フ結果ニナルカト云フコトヲ〓究致シ
テ參リマスト、極メテ明瞭ニナルノデアル、
卽チ今囘ノ租稅ノ中ニ於テ、中產階級ト、
中產階級以下ニ對スルモノト、之ヲ二ツニ
分割シテ考ヘナケレバナラヌ、卽チ今回ノ
社會政策的ノ意味ニ於テ、中產階級ノ中ノ
最モ低イ人〓ニ對シテ減稅ヲ行フト云フ社
會政策ト見エルモノハ所得稅ノ改廢デアリ
やっ、營業收益稅ノ免稅點ノ引上デアリマ
ス、是ハ併ナガラ事實ハサウハナラヌガ、
後ニ是ハ論ジマスガ、是ト更ニ地租ノ免稅
點ヲ設ケタトノ三ツデアリマス、此三ツニ
對シテ資本利子稅ト今一ツハ相繼稅ノ改正
ノ二ツデアリマス、是等ノモノハ此改廢增
滅ニ依ノテ、中產階級ノ最下級ノ人ミヲ助ケ
ルト云フノデアルガ、其助ケタ結果ガ、大
多數ノ是等ノ程度ニ及バザル一千万以上ノ
大多數ノ細民ニ如何ニ響イテ來ルカト云フ
問題デアル、此點ニ對シテ大藏大臣ハ過日
本員ノ此壇上ノ質問ニ對シ、此點ハ重要ナ
ル點デアッテ、絕對ニ多數ノ無產階級ニ增稅
ニナルト云フヤウナコトハ之ヲ認メマセヌ
ト明瞭ニ御答ニナッタ、隨テ私共ハ委員會ニ
於テ、大藏省ガ是ダケノ確信ヲ有セラルヽ
ナレバ、其明瞭ナル統計ヲ元サレタト云フ
コトヲ要求シタガ、遂ニ其統計ハ吾々ハ之
ヲ見ルコトガ出來ナカッタ、今日ニ至ルマデ
御提出ニ相成ラヌ、ソコデ吾々ハ更ニ進ン
デ之ヲ政府ノ統計ニ依ッテ〓究ヲシタノデ
アル、卽チソレハ內閣統計局ニ於テ出來マ
スル家計調査參考資料、職工生計狀態調書、
此二ツハ内務省ノ社會局ト內閣ノ統計局ニ
於テ、職工ガ日々ノ生活ノ狀態ヲ調査シテ、
被服費ニハ幾ラ要ル、通行稅ニハ幾ラ要
ル、若クハ嗜好品ト云フ或ハ酒ニハ幾ラヲ
拂フ煙草ニハ幾ラヲ拂フト云フコトガ明瞭
ニ記載サレタル統計表ガアルノデアル、又
小作人ニ對シテハ更ニ大正十四年ノ六月農
務局ニ於テ調製シタル、大正十一年度ノ農
家經濟調査書ト云フモノガ出來テ店ル、此
統計書ニ依シテ被服費ニ幾ラ要リ、通行費ハ
幾ラ要リ、又嗜好品デアル酒トカ煙草トカ
云フモノニ幾ラノ金ガ要ルト云フコトガ明
瞭ニ調査サレテ居ルノデアル、而モ更ニ本
年度ノ豫算ノ中ニハ、健康保險ニ對スル歲
入豫定表ガ出テ居ルノデアル、此歲入豫定
ハ健康保險法ニ依ッテ明瞭ニ收入ノ百分ノ
三以上ニ上ルコトヲ許サレテナイコトニ
ナッテ居ルカラ、此保險料ヲ基礎トシテ我ガ
政府ガ日本ノ勞働者ノ一箇年ノ歳人、一箇
月ノ收入ヲ幾ラニ見テ居ルト云フコトヲ算
出シテ來ルト、其總高ハ實ニ政府ノ見ル所
ノ一箇月五十二圓乃至五十四圓ト云フノハ、
日本ノ勞働者ノ收入ノ平均點デアルト云フ
コトガ明瞭ニナルノデアルソコデ此五十
二圓乃至四圓ト云フ生活ヲ營ム者ヲ、此職
工生計狀態表ト內閣ノ家計調査參考資料ト
ヲ基調トシテ數字ヲ割出シテ被服費ニ幾ラ
要ル、交通費ニ幾ラ要ル、保健衛生ノ爲ニ
ハ幾ラノ金ガ掛カルト云フ、之ニ對スル稅
金ノ總高ト、嗜好品デアル酒ガ幾ラ要ル、
煙草ガ幾ラ要ルト云フコトノ數字ヲ割出シ
テ參リマスルト、少クトモ五人一家族ノ、
而モ一箇月五十一圓ヲ基調トシテ生活ヲス
ル、一人當リ十圓ニ足ラザル生活ヲ營ム勞
働者ニ對シテハ、差引是等ノ者ニ對シテ六
圓七十錢ノ增稅トナルノデアリマス(「何ダ
何ダ」「何ダカ分ラヌ」ト呼フ者アリ)分ラナ
ケレバ細カイコトヲ悉ク言ヒマスガ、委員
會ニ於テ一切吾々ハ政府ニ提出シテ居リマ
スカラ是ハ略シマスガ、要スルニ一家五人
ノ生計ヲ營ミ一箇月五十一圓ノ生活ヲ營
ム細民ノ家庭ニ於テ、其被服費、保健衞生
費ノ中ノ風呂錢デアルトカ、床屋ニ行ク費
用トカ云フモノヲ引イテ、一部分ノ醫療費
ヲ除イタ賣藥-賣藥ヲ買フ費用、交通通
信費ノ中ノ交通費ニ對スル費用、是等ノモ
ノト嗜好品デアル酒ガ幾ラ要ルカ煙草ガ後
ラ要ルカト云フコトガ悉ク此表ニ載ッテ居
ルノデアル之ヲ基調トシテ計算ヲシテ、
今囘ノ稅制ト消費稅ニ對スル減稅ヲ對照ス
ルト、此細民階級ニ對シテハ六圓七十錢ノ
增稅ニナルト云フコトハ明瞭ナ事實デアル
(拍手)(「違フ々々、違ッタコトヲ言フナ」ト
呼ア者アリ)是ハ吾々ガ言フノデハナイ、現
政府ガ調ベタル統計書ニ依ノテ言ウテ居ル
ノデアル(拍手)而モ大正十四年六月農家經
濟調査書ト云フ農商務省ノ農務局ニ於テ調
査シタル統計書ニ依ノテ之ヲ見ルト、一箇
月六十圓四十七錢ノ生活ヲスル小作人ニ對
シ、少クトモ八圓六十錢四厘ノ增稅ニナル
ト云フコトハ此表デ明瞭ナノデアル柏白
手「ソレガ違フノダ」ト呼フ者アリ)是ガ若
シ違フナラバ、吾々ハ此統計表ヲ示シテ委
員會ニ於テ政府ニ質問ヲシタノデアルガ、
政府ハ之ニ對シテ明瞭ナ答辯ヲ今日マデシ
ナイノデアル(「ソンナコトヲシナクテモ宜
イ」「出來ナイノダラウ」ト呼フ者アリ)若シ此
私ノ主張ガ誤ガアルト云フナラバ(「アル」
ト呼フ者アリ)政府自ラ發行ヲシタル統計
書ノ誤レルコトヲ天下ニ現内閣ハ謝罪ヲシ
ナケレバナラヌト思フノデアル(拍手)「見
樣ガ間違テ居ルノダ」ト呼フ者アリ)吾々
ハ固ヨリ租稅ノ改廢ト云フ上ニ於テ、中產
階級ノ最モ中堅ヲ成スベキ人とニ對シテ、
社會政策的施設ヲ行フコトニ反對スル者デ
ハアリマセヌガ、是ト同時ニ是等ノ人ニヲ
助クル爲ニ、大多數ノ細民階級ニ增稅ヲ强
ヒ、是等ノ者ヲシテ更ニ一層塗炭ノ苦ミニ
陷レシムルガ如キハ斷ジテ之ヲ許サナイノ
デアル(拍手)殊ニ諸君、先程來湯淺君モ
御述ニナッタ一點デアリマスガ、吾々ノ考へ
テ居ル今囘ノ稅制ノ改正ノ中ニ於テ、幾多
政府案ノ適當ト認ムルモノモアリマス、湯
淺君ハ先程來、通行稅ノ廢止ガ何所ガ惡
イ、或ハ賣藥稅ノ廢止ガ何所ガ惡イ、織物
消費稅ノ廢止ガ何所ガ惡イト云フコトヲ御
述立テニナリマシタガ、此廢稅ノ背後ニハ
之ニ代ルベキ大增稅ノ附イテ居ルト云フコ
トヲ忘レテハナラヌノデアル(「ヒヤ〓〓」
拍手)廢メルモノハ成程結構デアルガ、廢
メル代リニ曾稅ガ附イテ居ル、此新ニ作リ、
若クハ稅額ヲ上ゲル爲ニ、如何ナル結果
ヲ及ポスカト云フコトヲ相突合セテ
見タ上デナケレバ、賛否ヲ決スルコ
トハ出來ナイノデアル(拍手)ソコデ
綿織物消費稅ヲ廢止スルト云フコト、又更
ニ通行稅ヲ廢止スル、又賣藥印紙稅ヲ廢止
スル、醤油稅ヲ廢止スル、斯樣ニ生活必需
品ニ對シテ絕對的ノ社會政策ヲ行フノデア
ルカラ、煙草ト酒ニ對シデ增稅スルコトモ
已ムヲ得ナイト云フコトガ、大藏大臣ノ主
張デアリマスルガ、私ハ此壇上ニ於ケル質
問竝ニ多數ノ同僚ヨリ、委員會ニ於テ質
問シタル結果ニ依レバ通行稅ニ付テハ其
減稅ヲ國民ニ徹底セシムルコトニ付テハ
大藏大臣ハ極力其監督權ヲ利用シテヤル
ガ、其他ノモノニ對シテハ消費者自ラノ威
力ニ依リ、若クハ消費者ノ宣傳ニ依リ、或
ハ又自然ノ自由競争ノ結果ニ依ッテ、或ル時
期ニ於テハ徹底スルコトガ出來ルデアラウ
ト云フコトヲ言ハレテ居ルノデアル言葉
ヲ換ヘテ言フナラバ、大藏大臣ハ、是等ノ
消費稅ノ廢止ハ或ル期間ハ直ニ徹底的ニ減
稅ガ、其消費者ニ及バザルコトヲ明瞭ニ認
メラレテ居ルノデアル(拍手)而シテ減稅ハ
直ニ國民ニ徹底セズ、增稅ハ既ニ、煙草ハ
昨年ノ十一月ヨリ徹底的ニ行ハレ(拍手)酒
ハ來ル四月一日ヨリ徹底的ニ行ハレル、減
稅ハ國民ニ及バズシテ、增稅ハ悉ク直ニ行
ハレルト云フ結果ニナルノデアル(拍手)斯
樣ニ論議シテ來ルト、大藏大臣ハ二言目ニ
ハサウ云フコトヲ言ウテ居レバ生活必需
品ノ廢稅ヲスル時期ハ無イデハナイカト御
議論ニナル、吾々ハ斯樣ナモノニ對シテ
是ガ徹底的ニ民衆ニ及ポス計畫ヲ取ル
カ、然ラザレバ層稅ニ依ラザル方法ニ依ン
テ、自然ニ此波稅ガ徵底スル時期ヲ待ツ政
策ヲ執ルト云フコトガ、政府當局ノ責任デ
ナケレバナラヌト信ズルノデアル(拍手)然
ルニ此點ニ對シテ、唯〓消費者ノ威力ニ俟
ツ消費者ノ宣傳ニ俟ツト云フコトヲ言ハ
レルガ、御覽ナサイ、此間中カラ織物業者
ハ大擧シテ大藏省ニ出掛ケテ行タテ居ルデ
ハナイカ、ソレハ減稅ヲ行フト云フコトガ
噂ニ上ルト同時ニ、段々價格ガ下ッテ來ル、
之ヲドウシテ吳レル、戾稅ヲ吳レルカト
云フコトヲ談判ニ行タ夕、大藏省ノ或ル
有力ナル人〓ハドウ云フコトヲ以テ之ニ答
ヘタカ、宜シク機休ミヲシテ値上ヲシタラ
宜カラウト云フコトヲ明瞭ニ言ウテ居ルデ
ハナイカ(拍手)卽チ此消費稅ガ國民ニ徹底
セザルコトヲ、大藏省當局ハ明瞭ニ認メテ
居ルコトハ、此一事ニ依ノテ明カデアル(拍
手)此結果ハ今日旣ニ靜岡縣ニ於テハ機体
ミノ決議ヲシテ居ルデハアリマセカ、又吾々
ハ賣藥稅ヲ廢止スルト云フコトニ反對デ
ハナイ、反對デハナイガ、現在ノ狀態ヲ其
儘ニ廢止スレバ、是ハ中間ノ樂屋ノ利益ニ
ナッテ、國民ノ頭ノ上ニ何等ノ利益ノ無イ
ト云フコトハ、昨日平井君ト淺賀君ガ喧嘩ヲ
爲サッタノモ此爲デアル(拍手「ドウダドウ
ダ」ト呼フ者アリ)國民ニハ徹底シナイト言
フ、大藏大臣ガ馬鹿ダト言ハレタノデ喧嘩
ニナッタノデハナイカ(拍手「餘計ナコトヲ
言フナ」「眞面目ニヤレ」ト呼フ者アリ)與黨
ノ中ニ於テスラ此通リデアル、況ヤ今日賣
藥印紙稅ノ廢止ヲ要求シ居ルノハ、全國ノ
藥屋ガ要求ヲシテ居ルノデアル
〔此時発言スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=28
-
029・粕谷義三
○議長(約谷義三君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=29
-
030・砂田重政
○砂田重政君(續) 而シテ是等ノモノニ對
シテ、中間ノ經營者ハ悉ク〓體ヲ作ヲテ居
ルカラ、此團體ノ威力ニ依フテ、如何ナル
運動ヲスルコトモ出來マス、併ナガラ個々
ノ消費者ニ對シテ、是ノ示威運動ニ俟ツ、
或ハ宣傳ノ力ニ依シテ、此稅ノ徹底ヲ期スル
ト云フガ如キハ、大藏省ノ机ノ上デノ議論
ハ出來ルガ、民衆ニ直面シタル上ニ於テハ
斷ジテ出來ル議論デハナイ(拍手)斯ノ如キ
明瞭ナル一事ニ依ッテ見テモ、今回ノ案ニ
於テ社會政策的ノ意味ハ、全然其跡ヲ留メ
ザルコトハ明瞭ニナルト思フノデアル九
き)加之昨日小川君ガ此壇上ニ於テ述ベラ
レタ如ク、今回ノ稅制ノ結果、酒ノ增稅ノ
高ハ、政府ノ見積ルガ如キ少額ナルモノデ
ナイト云フコトハ與黨ニ等シキ本黨ノ小
川君デスラ、此壇上ニ述べラレテ居ルノデ
アル(拍手)煙草ノ値上ハ政府ハ二千二百萬
圓ト唱ヘラレテ居ルガ、是ハ過日此壇上デ
私ノ質問ニ對シテ、大藏大臣ハ何ト答ヘラ
レタカ、煙草ハ値上ノ結果自然ニ消費ガ減
少ヲ生ズルノデアル、隨テ其減少シタルモ
ノニ對シテ、値上ヲシタ數ヲ乘ケタモノガ
國民ノ負擔ノ增加デアルト云フコトヲ明瞭
ニ言ハレタ、是ニ於テ私ハ大藏省ニ向クテ、
平年-是カラ先キ大正千七年迄ノ間ニ於
テ、漸次恢復ヲシテ來タ結果、十七年度迄
ニ於テ幾ラノ煙草ガ賣レル豫定デアリ、ソ
レニ對シテ今回ノ値上シタ金高ヲ乘ケタ數
字ハ幾ラニナルカト云フ事ヲ要求シタノデ
アル之ニ對スル大藏省ノ答辯ニ依レバ、
平年度ニ於テ四千九百七十三万六千圓ノ增
加ニナルト云フコトハ明暸ニ分ッテ居ル
然ルニ之ヲ大藏大臣ハ何ト胡麻化サウトシ
タカ(拍手)委員會ニ於テソレモ此儘ニ放ッ
テ置イタナラバ三億圓モ四億圓モ十七年
ニ煙草ガ賣レルノダ、其賣レルモノガ政府
ガ値上ヲシテヤッタカラ賣レナクナッタ、其
差額ヲ差引イタモノガ國民ノ負擔デアルト
云フ(拍手)此議論ヲ徹底セシムルナラバ、
增稅ノ結果若シ今迄ヨリ收入ガ減ッタ場合
ニハ大藏大臣ハ國民ニ向ッテ、吾々ハ煙
草ノ値上ヲシテ減稅ヲ行ウテヤッタト言ハ
ナケレバ理窟ガ合ハヌ、左樣ナ不合理ナ胡
麻化シヲ以テ國氏負擔ノ根本ノ問題ヲ言括
メルガ如キハ、吾々國民ノ爲ニ斷ジテ許サ
ヌノデアル(「三百」ト呼フ者アリ)三百デハ
ナイ、殊ニ-殊ニ過日此壇上ニ於テ煙草
ノコトニ付テ、刻ミニ付テハ徹底的ニ社會
政策ヲ考慮シテ、其大キサニ依ッテ、色と
考慮ヲ致シマシタト此壇上デ演說ヲサレ
タ、其後デ大藏省カラ貰シタ此統計書ニ依
ルト、刻煙草ハ悉ク一貫匁ヲ土臺トシテ單
價ヲ定メタノデアル、個々ノモノニ付テハ
絕對ニ考ヘタコトガナイト此所ニ書イテア
ルデハナイカ、吾々ハ餘リニ無責任、餘リ
ニ出鱈目ヲ以テ吾々議員ヲ欺キ、天下國民
ヲ欺カントスル大藏省ヲ責メナケレバナラ
ヌノデアル(拍手)更ニ〓涼飮料稅-〓涼
飮料稅ヲ新設シタコトハ、是ハ全ク麥酒ノ
稅源ヲ涵養スル爲ニ、斯ウ云フモノヲ飮マ
サナイヤウニシテ、麥酒ヲ飮マス爲ニ此〓
涼飮料稅ヲ設ケタト云フノデアル、是ガ大
藏大臣ノ答辯デアル(「ソンナコトハナ
イ」ト呼フ者アリ)大藏大臣ノ各辯デ
アルカラ疑ガナイ、諸君、酒所謂「アル
コール」性ノモノヲ成ベク飮マサナイヤウ
ニシテ、保健衛生ノ飮料ヲ勸メルト云フコト
ナレバ吾々此理窟ガ分ル然ルニ成ベク酒
ヲ飮マシテ、保健衞生ノ材料ヲ飮マサナイ
ヤウニスルト云フコトガ、此政府ノ政策デ
アルト云フコトニ至ッテハ、驚入ッタル議論
ト言ハナケレバナラヌノデアル(拍手)而モ
此點ニ對シテハ大藏大臣ハ臨時財政經濟
調査會ノ委員トシテ何ト言ハレタカ、當時
ノ諮問案ノ中ニ、此〓涼飮料稅ヲ新設スル
ト云フコトガ出テ居ッタ案ニ對シテ、大正
十年十二月二十二日ニ、大藏大臣ハ斯樣ナ
些末ナルモノニ課稅ヲスルト云フコトハ斷
ジテ反對ヲシナケレバナラヌ、若シ政府ガ
斯ノ如キ諮問ヲシタモノトスルナラバ宜
シク此委員會ハ建議案ヲ出シテ之ヲ止メサ
スガ宜イト云フ演說ヲ爲サッテ居ルデハナ
イカ(拍手)如何ニ日本ノ經濟界ノ實狀ニ變
化ガ出來、又如何ニ震災ガ起ッテモ、清涼飮
料稅ガ大正十年ニハ絕對反對ノモノガ、今
日俄ニ震災デ賛成ヲサレルト云フコトモ言
ハレマスマイ(拍手)吾々ハ大藏大臣ノ誠意
ハ何所ニ在ルカト云フコトガ全ク分ラナク
ナッテシマウデハナイカ(「ヒヤ〓〓」拍手)更
ニ個々ノ營業稅ニ付テハ、過日三土君ガ此
處ニ述ベラレマシタ通リデアリマスガ、束
京商業會議所ノ營業收益稅ノ負擔增加ニ關
スル調査-六大都市ニ於ケル法人ダケノ
調査ニ依リマシテモ、其增加ノ割合ハ六大
都市ニ於テ五割七分七煙ノ增加ニナルノデ
アル、更ニ之ニ對シテ個々ノ商人ニ對スル今
回ノ收益稅ノ率ヲ上ゲ夕結果ハ少クトモ
平均ヲシテ五割ノ增稅ニナルト云フコトハ
明瞭ナル事宮デアル(拍手)況ヤ此數字ノ上
ニ、先程湯淺凡平君ガ述ベラレタ如ク、箇々
ノ營業ノ中ニ於テ生活必需品ヲ商ヒ、若ク
ハ非常ナル勤勞ニ依シテ始メテ收入ヲ得ル
者ト、其他ノ者トノ間ニ何等ノ差別ヲ設ケ
ズシテ、悉ク增稅ヲスル結果ハ、今日ノ營
業稅ノ六千万圓ガ次ニハ九千万圓トナリ、
遠カラズ一億圓ヲ突破スル時代ガ吾々ハ來
ルト思フノデアル、(拍手)私ハ長クナリマ
スルカラ是ハ議長ノ許可ヲ得テ、六大都市
ニ於ケル增稅ノ結果ガ如何ニナルカト云フ
コトハ、此表ヲ速記錄ニ載セテ貰フコトニ
致シマシテ演說ヲ省キマスルガ、斯樣ナ實
狀ニナッテ居ル、殊ニ此營業稅ノ改正ト云フ
コトニ付テハ、大藏大臣ガ幾度カ論議サレ
夕如ク、唯、今日マデノ營業稅ハ其標準ガ
惡イダケデハナイ、標準ガ惡イ上ニ以フテ行ク
テ、之ヲ徵稅ヲスル稅務官吏ノ横暴専斷ト
云フコトガ、此增稅ヲシテ一層惡稅ノ聲ヲ
放タシムルニ至ッタモノデアル(拍手)然ル
ニ今囘ノ營業收益稅ニ於テ、其點ニハ一點
一語ノ改正モ加ヘズシテ、却テ牧稅官吏ノ
權能ヲ增大セシメテ、之ニ對スル罰則トシ
テハ百圓以下ノ罰金ヲ取ルト云フガ如キ、
未ダ曾テ今日マデノ地租ノ上ニ見ザル大キ
ナ刑罰ヲ附ケタ改正案ニナッテ居ルノデア
ル(拍手)此問題ハ四十六議會ニ加藤友三郞
サンノ内閣ノ時代ニ於テ營業ノ改正案ノ出
タ時ニ、此罰則ガ斯樣ニ改正サレル案ガ出
ク、其當時ニハ憲政會ノ諸君番ク立上ッテ
之ニ反對ヲサレテ、遂ニ舊ノ一圓以上一圓
九十五錢以下ノ科料ニ處スト云フコトニ修
正ヲサレタデハナイカ(拍手)此修正ヲ四十
六議會、卽チ大正十二年ノ議會ニ於テ此議
論ヲ徹底的ニ吾々モ一緒ニ唱ヘテ、吾々ノ
主張ニ贊成ヲシテ、諸君悉クガ之ヲ實行シ
テ置キナガラ、今度ノ案ニハ知ラヌ顏ヲシ
テ、之ト同ジヤウナ罰則ヲ附ケタ案ガ多數
ニアッテ、總テノモノニ目ガ屆カヌト云フコ
トヲ利用シテ、官僚政治ヲ行ハントスルノ
ガ今度ノ改正案ノ骨子デアルト思フノデ
アル(拍手)斯樣ニ不合理、不條理ナル結果
ハ、此營業稅ニ於ケル增稅ノ結果、之ヲ雙
方對照シテ今囘ノ減稅ナルモノト、先刻來
吾々ガ唱へ來ッタ增稅ナルモノト對照スルナ
レバ、昨日三土君ノ言ハレタ通リ七千万圓
以上ノ增稅ノ結果エナルノデアル(拍手)隨
テ吾々ガ此中ニ賛成スベキモノガアッテモ、
此曾稅ニナル分ト相俟。テヽナケレバ議論
ガ出來ナイト云フノデアル、此增稅ヲ棄テヽ
減稅ダケニ賛成シテ、增稅ニ反對スルガ
如キ無責任ナルコトノ出來ナイノハ當然デ
アル、隨テ吾々ハ此大增稅ヲ行フモノト、
減稅ヲ行フモノト、之ヲ一遍全部ヤリ直シ
テ、地租委譲ヲ根據トシテ全國ノ國ト、府
縣ト、市町村トノ間ニ眞ニ徹底シタル租稅
ノ體系ヲ具ヘタル租稅ノ立テ方ニ組替ヲシ
テ出スノガ、今ノ政府ノ當然ノ責任ナリト
叫プノデアル(拍手)吾々ハ斯樣ナ意味ニ於
テ此政府ノ案ニ反對ヲスルノデアル、其間
ニ何ノ不條理ガアルカ、然ルニ過日來是ダ
ケノ討論ガアルノデアルカラ、地租委譲ノ
何所ガ惡イト云フコトヲ明瞭ニ、ドナタカ
一人位ハ御論議ニナルモノト心得テ居ッタ、
然ルニ過日來登シテ見エル方ガ地租委讓ノ
何所ガ惡イト云フ御議論ガアッタカ、一ツモ
無イデハナイカ、之ヲ無理ニアッタト言へ
バ、過日大藏大臣ガ委員會ノ席上ニ於テ御
述ニナッタ議論ヲ其儘此處デ蒸返シタニ過
ギナイノデアル、卽チ此案ニ對シテ反對ヲ
セラレル要點、第一ハ感情ノ問題デアル、
長イ問ノ歴史ヲ持ッテ居ルカラ之ヲ廢スルコ
トガイケナイト云フ感情論デアル、其次ニ
ハ地價ヲ定ムルコトカ不公平ニナルト云フ
議論デアル、其次ニハ財源ノ問題デアル、
是ヨリ外ニハナイ、吾々ノ地租委讓ニ對シ、
此中ニ於テ此總テノ諸君ノ攻擊ニ對シテハ
三土君ガ徹底的ニ言ハレテ居ル、併ナガラ
更ニ之ヲ徹底セシメヤウト云フナラバ、吾々
ハ之ヲ明瞭ニシテ置キタイト思フ、吾々ノ
地租委譲ハ中央集權ノ制ヲ矯メテ、地方分
權ノ制ニスルト云フコト之ニ依ッテ地
方國民ノ負擔ノ輕減ヲ圖ルト云フコトデア
ル、而シテ之ニ對スル財源ハ關稅ノ改正ニ
依ル自然ノ增牧、而シテ更ニ之ニ附加へ
ル····(發言スル者多シ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=30
-
031・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 静肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=31
-
032・砂田重政
○砂田重政君(續) 行政整理ニ依シテ得タ
ル六千八百万圓デアル、是等ノ事實ガ明ニ
ナレバ、之ヲ更ニ進ンデドウスルカト云フ
コトハ眞面目ニ考ヘル者ナラバ直ニ分ル、
何ニモ考ヘナイデ、唯、勝手氣儘ニ攻撃ダ
ケヲシテ、政府ノ案ハ善カレ惡カレ鵜呑ミ
ニスルト云フ人ニハ分ラナイカモ知レナイ
(拍手)願クバ此點ハ眞面目ニ諸君ガ此結果
ヲ考ヘテ戴ケバ分ルト思フノデアリマス、
以上ノ理由ニ依シテ吾々ハ此政府案ニ反對
ヲ致スト共ニ、吾々ノ案ヲ何所マデモ之ヲ
徹底セシメ、而シテ政府ハ速ニ徹底的ニ稅
制ノ改革ヲ行フト云フ爲ニ此案ヲ撤回シ、
否決スルト云フコトガ當然ノ責任デアル、
諸君ガ國民ニ對シテ忠良ナル所以ナリト信
ズルノデゴザイマス(拍手)
〔參照〕後日ノ速記錄ニ掲載ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=32
-
033・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 山田道兄君
〔山田道兄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=33
-
034・山田道兄
○山田道兄君 私ハ只今討論ノ議題ニ供サ
レテ居リマスル所ノ稅制整理諸案ニ對シ、
政府ノ提出ニ係ル所ノ主ナル部分、其他ハ
委員會ニ於テ修正ヲ致サレマシタル部分ニ
賛成ノ意ヲ表スルト共ニ、之ニ對スル反對
黨諸君ノ駁擊ニ對シ、聊カ所信ヲ披瀝致シ
マシテ、諸君ノ御批判ニ愬フルト共ニ、最
後ニ地租委譲ニ關スル批評ヲ試ミマシテ、
責任ヲ全ウセント欲スル者デアリマス(拍
手)今囘提案ヲ致サレマシタル所ノ國稅、
地方稅竝ニ市町村稅ノ全般ニ亙ル所ノ整理
案ナルモノハ、政府ノ說明ヲ致シマシタル
ガ如クニ、其一ノ目的ハ租稅ノ體系ヲ整フル
ト共ニ、負擔ノ公平ヲ期シ、產業政策ニ重
キヲ置クト共ニ、專ラ社會政策ノ見地ヨリ
改廢整理ヲ行フタルモノデアルノデゴザイ
ママ、稅制ノ整理ハ我國ニ於キマシテ實ニ
多年ノ宿題デアリマシタルコトハ諸君ノ知
ラルヽガ如クデアッテ、原內閣ノ時ニ於キ
マシテモ、加藤友三郞氏ノ内閣ノ時ニ於キ
マシテモ、是ガ調査ニ從事ヲ致シ、〓究ヲ
致シタニ拘ラズ、今囘提案ヲ致サレタルガ
如キ全般ニ互ル所ノ大ナル根本的ノ整理ニ
至リマシテハ、歷代ノ內閣如何ナル內閣ト
雖モ之ヲ爲シ能ハザリシ所ノ一大事業デア
ルノデゴザイマス(拍手)國稅租稅ノ體系ニ
關シマシテハ、先刻湯淺君ヨリ申述ベラレ
マシタルガ如クニ、殆ド今日マデ體系ノ整
ハザリシモノニ向ッテ相當ナル體系ヲ具備
セシムルニ至ッタノデゴザイマスガ、之一
對シテ反對黨ノ諸君ニハ幾多ノ御非難ガア
ラセラルヽヤウデゴザイマス、體系論ニ付
キマシテ政友會ノ御議論ヲ伺ヒマスト、地
租委讓ヲ論ゼラレル時ニ於キマシテハ、體
系論ノ如キハ左程重キヲ置クニ足ラヌト云
フガ如キ御議論デアル、然ルニ政府案ヲ御
審議爲サルヽ時ニ於テハ體系論ニ向ンテ
種々ナル御議論ガアルノデゴザイマス、私
ハ其御議論ノ點ニ向ッテ暫ク反駁ヲ試ミテ
見タイト存ジマス、政友會ノ體系論中ニ於
ケル御議論ノ一ツハ、土地ハ將來賃貸價格
ニ依シテ稅ヲ取ルノデアルニ拘ラズ、營業
稅ハ收益ニ課稅ヲスルノデアルガ、此間ニ
矛盾ガアルデハナイカト云フ御議論ガ其一
ツデアルノデアリマス、之ニ對シマシテ委
員會ニ於キマシテノ御質問ガアリ、委員長
ノ御報告中ニモ政府ノ答辯ハ明カデナカツ
タガ如キ御報告ガアッタト記憶ヲ致シマス
ルガ、私共ハ少クトモ政府ノ答辯ニ依ッテ、
其要領ヲ明ニシ得テ居ルノデゴザイマス、
(拍手)何故ニ土地ニ賃貸價格ヲ課シ、何故
ニ營業稅ノミハ收益稅デアルカ、一方ハ-
收益稅ノ方ハ特別所得稅ノ如キ意味ヲ爲シ
テ居ルモノデアルト云フ御非難デアリマス、
政府ハ之ニ對シマシテ、然ラバ土地ニ賃貸
價格ヲ課スガ如クニ、營業稅ニ賃貸價格ヲ
課シ得ルモノデハナイデナイカト云フ御議
論デアルト共ニ、然ラバ營業稅ノ収益本位
ノ課稅ニスルガ如クニ、土地ニ對シテモ收
益ノ課稅ヲ爲シ得ルカト云フニ、之ヲ爲ス
ニハ非常ナル困難ガ件フノデアルカラ、收
益ト相距ルコト遠カラザル賃貸價格ヲ以テ、
課稅ノ標準ト致シタト云フ明瞭ナル御答辯
ニ接シテ居ルノデゴザイマス(拍手)モウ一
ツノ御非難ハ、幾多ノ政友會ノ諸君ヨリ繰返
サレタル所ノ御非難デゴザイマスガ、家屋
稅ガ營業收益稅ノ中ニダブルデナイカト
云フ御議論デアリマス、成程私共ハ地方ニ
於ケル家屋稅ガ、營業收益稅ノ中ニモ取立
テラレテ居ッテ重複ヲ致スト云フコトハ
是ハ確ニ認ムル者デゴザイマスルガ、之ニ何
ノ不思議ガアルカ、聲ヲ大ニシテ議論ヲス
ル價値ノナイモノデアルト思フ(拍手)何故
ナラバ、家屋稅ハ所得稅補完ノ一ツトシテ、
地方ニ設定ヲ致シタノデアリマス、補完稅
ノ中ニ於ケル地租ハ如何デアル、政友會ノ
如クニ、地租ヲ委譲サルヽト云フコトデア
レバ別デゴザイマスガ、苟モ中央ニ地租ヲ
殘ス間ハ、地租ハ中央ニ於テモ府縣ニ於テ
モ、市町村ニ於テモ、同樣ニ課稅ヲサレル
ノデアリマス、所得稅亦然リ、補完稅中ニ
於テ地方ニ課稅ヲサレザルモノハ、唯
ツノ資本利子稅アルノミデアリマス、家屋
稅ハ補完稅トシテ取立テラレマスル以上
ハ地方稅トシテ府縣ニ取立テラレルト同
時ニ、市町村ニ附加稅ガ取立テラレル、國
稅トシテ營業收益稅ノ中ニ於テ、幾分カノ
課稅ヲ家屋ノ上ニ課スルト云フコトハ、何
等ノ不思議ノナイコトデゴザイマシテ、是
ガ重複スルト云フコトヲ非難スルハ、全ク
道理ナキコトデアルト私ハ存ジマス(拍手)
私ハ次ニ政府ガ產業政策ノ意味ニ於テ爲シ
タリト說明ヲ致シテ居リマスル所ノ營業稅
ニ對スル、政友會諸君ノ非難ニ對シテ一言
ヲ費シテ見タイト思フノデアリマス、政友
會ノ諸君ガ、營業稅ニ對スル御非難ハ其
政府ノ計算ニ依ルヨリモ、ヨリ多クノ曾稅
ヲ見ルト云フコトガ其一ツノ御非難デアリ
マス、第二ノ政友會ノ營業稅ニ對スル所ノ
御非難ハ、昨日大口君ノ御議論ノ中ニアリ
マシタ所ノ事柄デゴザイマシテ、現行二千
圓ノ賣上高ヲ以テ最低ノ標準ト致シテ居ル
モノハ、十圓ノ稅金ヲ取ラレルニ拘ラズ、
今囘ノ最低標準デアル所ノ、四百圓ノ純益
ヲ得ル所ノモノハ之ニ一一八ノ課稅率ヲ掛ケ
ルトキハ、十一圓三十錢ニナルノデハナイ
カ、卽チ增稅デアルト云フ御議論デアルノ
デゴザイマス、洵ニ二ツナガラ殆ド理窟ヲ
盡サヽル所ノ、是コン子供驕シノ御議論ト
云フヨリ外ニ、評シ方ガナイノデアリマス
(拍手)三土君ハ盛ニ物品販賣業者ノ業體ニ
付キマシテ、是レ々々ノモノハ曾稅デアリ、
是レ々々ノモノハ減稅ニナル、結局僧稅ニナ
ル方ガ多イト云フ御議論デアッタノデゴザ
イマスルガ、如何ナル根據ニ依シテ斯樣ナ
事ヲ仰シヤルノデアルカ、私ハ極メテ斷片
的ナル根據ヲ以テ、斯樣ナル御斷定ヲ爲サ
ルコトハ三土君ノ爲ニ惜ム所デアルノデ
アリマス(拍手)政府ノ調査ハ全國三百數
十ノ稅務署ニ對シテ、嚴密ナル調査ヲ命ジ
テ、營業稅ノ今囘ノ廢止ニ伴フ收益稅ノ新
設ガ、斷ジテ增稅ニナラザルコトヲ、三百
數十ノ稅務署ノ實務ノ上ニ照シテ、其計算
ノ基礎ノ上ニ算出ヲ致シテ居ルノデアリマ
ス(拍手)三土君ノ御議論ニ依リマスト、
政府ハ動モスレバ新稅增稅ニ對シテ、其額
ノ少カランコトヲ希望ヲシテ發表ヲシテ居
ル、成ベク少ナク發表ヲシテ居ルヤウニ思
フト云フガ如キ、御想像デノ御議論デアツ
タノデアリマス(「ヒヤ〓〓」「其通リ」ト呼
フ者アリ)酒煙草ノ値上ニ對スル增收ニ
付テモ亦同樣ノ御議論ヲ繰返シ々々々委員
會本會其他ニ於テ、政友會諸君ノ方ヨリ
伺ッタノデアリマスガ、私ハ申上ゲマス、
謎デ政治ハ出來ナカッタ筈デアル、想像上
ノ數字ヲ以テ財政ノ切盛ハ斷ジテ出來ナイ
ノデアリマス(「其通リ」「ヒヤ〓〓」ト呼フ
者アリ)大口君ノ昨日ノ御議論ハ何故ニ
私ハ誤ッテ居ルノカト申シマスルニ、大口
君ノ御議論ニ依リマスレバ、從來營業ハ其
最低課稅額、賣上金二千圓ハ必ズ二割ノ利
益ヲ擧ゲルモノナリト云フ前提ノ下デナ
クッテハ、此御議論ハ出來ナイノデアリマ
ス(拍手)若シ諸君四百圓ヲ還元致シテ御覽
ナサイ、今日ノ免稅點ハ四百圓デゴザイマ
スルガ、四百圓ヲ賣上高ニ還兀ヲ致シ、
割ノ利益ト致スナラバ、四千圓ノ賣上高ノ
モノマデガ今回ノ法律ニ依ッテ免稅ヲサレ
ルト云フコトニナルノデアリマス(拍手)東
京ノ白米小賣商ノ利益ガ··
〔此時發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=34
-
035・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=35
-
036・山田道兄
○山田道兄君(繪) 平均五分デアリマス、
若シ此白米小賣商ノ利益ヲ以テ換算ヲ致シ
マスルナラバ、四百圓ノ利益ハ實ニ八千
圓ノ賣上高ニ相當スルモノデアリマス、此
御議論ハ徒ニ私ノ議論ノ內容ヲ聽カズシテ
論評ヲ爲サル御方ニハ別デアリマスケレド
モ、冷靜ナル大口君ニハ能ク御分リノコト
ト私ハ信ジマス、今回私共ガ此整理案ノ骨
子ト致シマスル所ノ社會政策ニ付キマシ
テ、政府ハ本會議ニ於キマシテモ、委員會
ニ於キマシテモ、力ヲ極メテ之ヲ力說致シ
タノデゴザイマスルガ、此社會政策的見地
ニ立テル今囘ノ稅制整理タルヤ、實ニ我黨
ガ多年唱道ヲ致シテ居リマスル所ノ民本政
治ノ-三土君ノ口ヲ藉リテ言ヘバ深遠
ナル哲學ニ基イテ居ル所ノモノデアリマ
ス、此考ガ一度觸レテ國民ノ權利ノ問題ニ
ナリマスルト、私共多年ノ普通選舉ノ唱道
トナリ、普通選擧ノ實現トナッタノデアリ
マイ、私共ノ民本政治ノ此哲學ガ、一度國
民ノ負擔問題ニ觸レマシタ時ニ、實ニ今囘
ノ社會政策的ノ稅制整理案ヲ生ミ出シタノ
デアリマス(拍手)私ハ此社會政策的稅制整
理案ヲ支持シ、賛成ヲ致ス一人ト致シマシ
テ、政府ノ說明ヲ補足シ、今囘ノ整理ガ如
何程マデニ社會政策的價値ヲ廣汎ニ持ツカ
ト云フコトニ付テ、一言ヲ添ヘナケレバナ
ラヌ所ノ義務ヲ有スルノデアリマス、諸君、
今回ノ社會政策的稅制整理ニハ七ツノ要點
ガアッタノデアリマス、其一ハ所得稅ノ免稅
點ノ引上デアルノデアリマス、又少額所得
者ノ家族ノ扶養料ノ控除ノ引上デアルノデ
アリマス、免稅點ノ引上ニ依リマシテ政府
ハ財政ニ於テ六百万圓ノ輕減ヲ致スト共
ニ、全國百八十万人ノ所得稅納稅者ノ中、
其四割ノ八十六万人ト云フ免稅者ヲ見ルト
云フコトガ、今囘所得稅ノ改正ニ依ッテ、
如何ニ社會的政策上ノ價値ガ發揮サレタカ
ト申シマスルコトノ一ノ例デアルノデアリ
マス、相續稅ノ免稅點ノ引上、累進率ノ引
上ニ付キマシテハ、政友會ノ中ニハ御反對
ガアルコトハ明カデアリマス、委員會ニ於
キマシテハ、一委員ハ盛ニ此社會政策的施
設ニ向ッテ、御反對ノ聲ヲ放タレタノデアリマ
スガ、此免稅點ノ引上、累進率ノ引上ニ依
リマシテ、政府ハ六百万圓ノ增收ヲ致ス
(「增收カ」ト呼フ者アリ)增收デアル、免稅
點ノ引上ニ依シテ相續稅ノ增收ヲ圖シテ居ル
コトガ、卽チ社會政策的租稅立法ノ第二デ
アルノデアリマス、地租ノ免稅點ノ引上ニ
於キマシテモ、今回ハ委員會ノ修正ニ於テ
多少ノ相違ハアリマシタケレドモ、其內容
精神ニ於テハ何等異シタル所ハゴザイマセ
ヌト共ニ、全國一千一百万ノ農民ノ中ニ於
テ、其半バ以上、六百万餘人ノ小農ハ之ニ
依シテ免稅ノ恩典ヲ得ル結果ニ相成ルノデ
ゴザイマス(拍手)又通行稅ニ付キマシテ
モ、近年ノ統計ニ依リマスレバ、乘客一年
ノ延人員ハ十一億六千三百万人ヲ數ヘルノ
デアリマスガ、此中ニ於テ汽車三等客竝ニ電
車ノ乘客ノ延人員ハ驚クベシ、其九割ヨリ餘
ル所ノ數デアリマシテ、實ニ十一億四千五百万
人ト云フ多數ノ中流階級以上ノ乘客ガ、此
免稅ニ依シテ稅金ヨリ免レルト云フ大恩典
ヲ蒙ルノデアルノデアリマス、又書油稅ノ
額ハ僅ニ七百万圓デゴザイマスケレドモ、
是ハ生活ノ必需品デアリマスコトハ政友
會ノ諸君モ齊シク御認メノ通リデアリマ
ス、全國自家用ノ醤油ヲ造シテ居リマス者ノ
數ノミヲ計算致シマシテモ、實ニ百五十万
ト云フ多數ノ自家用醤油釀造ヲ致シテ居ル
者ガアリマシテ、之ニ依シテ見テモ如何ニ
醬油ガ生活ノ必需品デアルカト云フコトヲ
明ニ立證致スノデゴザイマスガ、今回ハ此
必需品ニ向ッテ全然免稅ヲ致スノデアルノ
デアリマス(拍手)次ニ賣藥稅ニ付テ、賣藥
稅ノ免稅ノ總額ハ實ニ一千万圓ノ多キニ上
ルノデアリマスガ、此一千万ノ賣藥稅タル、
實ニ中產階級以下ノ醫療品デアルト云フコ
トハ繰返シ政府ノ說明ヲ致サレタ所デア
ルノデアリマス、最後ニ綿織物ノ廢稅ニ依
リマシテ、歲入ニ二千五百万圓ト云フ大ナ
ル減收ヲ見ルニ拘ラズ、敢テ之ヲ斷行致シ
マシタルハ、是レ全ク社會政策的見地ヨリ
出タモノニ外ナラヌノデゴザイマス、政友
會ノ諸君ノ中ニハ、或ハ賣藥ノ中ニ於テモ
仁丹ノ如キモノ、或ハ綿織物ノ中ニ於テモ
某ノ品物ハ決シテ日用品ニアラズト云フ御
議論ノ下ニ、之ニ反對ヲ爲サラントスル如
キ御口吻ガアルノデアリマスケレドモ、如
何ナルモノニモ例外ノ無イ原則ハナイノデ
アリマス、斯ノ如キ一二ノ例外ヲ以テ常ニ
一般原則ヲ否認セントスルガ如キ御議論ヲ川
爲サルコトハ、洵ニ政友會諸君ノ爲ニ惜ミ
テモ餘リアルコトヽ私ハ存ジマス(拍手)斯
ノ如クニ致シマシテ、社會政策的ノ減稅總
額ハ七千百七十万圓ノ巨額ニ達シテ居ルノ
デアリマスガ、之ヲ補塡スルニハ、何等カ
ノ途ヲ講ゼナケレバナラヌコトハ申上ゲル
マデモゴザイマセヌ、多年所謂積極的政策
ノ餘弊ヲ承ケマシテ、緊縮整理ヲ致シタト
ハ云ヒナガラ、大正十二年大震火災ノ餘殃
ハ尚ホ今後数年ニ亙リマシテ、年々二億万
圓以上ノ負擔ヲ長ク國庫ニ頰ハシテ居ルノ
デアリマスルカラ、此減稅ニ對シテ、補塡
ノ途ヲ講ジナケレバナラヌコトハ當然ノ事
デアリマス、然ラバ其補塡ヲ何所ニ求メル
カト申セバ、先般來政友會諸君ノ口ヨリ盛
ニ說明ヲ御要求ニナッテ居リマスル所ノ酒
ノ層稅ト煙草ノ値上ニ依クテ是ガ補塡ヲ
試ミタノデアルコトハ、是ハ諸君ノ御水知
ノ通リデアリマス、政友會ノ諸君ノ御議論
ハ動モスレバ煙草ガ嗜好品デアル、酒
ガ嗜好品デアルト云フコトヲ全ク忘却ヲ致
サレタルガ如キ御議論ヲ爲サル、是ハ私ノ
淘ニ遺憾トスル所デアリマス(拍手)今囘政
府ハ必要缺クベカラザル所ノ必需品ノ免稅
ヲ致スト共ニ、必シモ是ガ無クトモ生活ニ
効ゲザル嗜好品デアル所ノ酒若クハ煙草ノ
値上ヲシ、或ハ〓凉飮料水ニ課稅ヲ致シ
テ.其補塡ヲ致シタノデアルノデアリマス
ルガ、之ニ關スル政友會諸君ノ御非難ハ斯
樣テアルノデゴザイマス、其御非難ノ第一
ハ、唯、今回ノ整理ニ依ル所ノ酒、煙草ノ値
上ノ一部分ダケヲ指シテ、政府ハ社會政策的
ノ廢滅稅デアル、稅制整理デアルト唱フル
ニ拘ラズ、之ヲ見ヨ、酒ノ値上、煙草ノ値
上ハ、非社會政策デハナイカ、是アルガ故
ニ今回ノ稅制整理ハ社會政策的ニアラズト
云フ御論断デアルノデアリマス、斯ノ如キ
ハ、本會議ニ於テモ、委員會ニ於テモ、幾
度モ諸君ガ繰返サレタル所ノ議論デアル、
速記錄ヲ通ジテ天下ニ明ニナッテ居ル所ノ
議論デアリマス(拍手)諸君、此議論ハ之ヲ
譬フルニ、一幅ノ山水ノ名畫ヲ批評シ、賞
翫ヲスルニ當リマシテ、山水ノ中ニ點ゼラ
レテアル一ツ二ツノ人物ヲ指シテ、是ハ山
水ノ書デハナイ、人物畫デアルト批評スル
盲滅法ノ御批評デアリマス、第二ノ政友會
諸君ノ御非難ハ、酒ト煙草ノ增稅ハ政府ノ
說明ヲスル所ニ依レバ、煙草ニ於テ二千二
百万圓、酒ニ於テ三千三百万圓、更ニ〓凉
飮料水ニ於テ四百万圓、詰リ六千万圓デア
ル、併シ政友會ハ之ニ對シマシテ、此數字
ガ間違ッテ居ルノデアルト云フ御想像デア
リマス、何ノ基礎ニ依ッテ之ヲ御判斷ナサフ
タノデアルカ、其收入ガ多イト云フ御判定
ニ付テハ、私共未ダ曾テ正確ナル基礎調査
材料ヲ戴イタコトハナイノデアリマス拍
手)吾々ハ空々タル一片ノ想像論ヲ基礎ニ
シテ、稅制整理ヲ議論スルコトハ眞平御免
ヲ蒙リタイト思ヒマス(拍手)更ニ又政友會
ノ諸君ハ今囘ノ稅制整理案ガ社會政策的ニ
アラズト云フコトヲバ、如何ニモシテ高調
シ、力說シ、强辯セントシテ居ル結果、過
日モ三土君ヨリ御發表ニナリマシタ如ク、
直接稅ト間接稅ノ比較ヲ爲シテ、是ハ社會
政策的ニアラズト云フ御議論ヲ爲サレテ居
ルノデアリマス、此御議論モ茲ニ諸君ガ若
シ今日ノ冷靜ニアラザル所ノ立場ヨリ去。
テ、靜ニ御〓究ヲ爲サルナラバ、政友會ノ御
主張ハ半文ノ價値ナキ所ノ御主張デアリマ
ス、政友會ノ御議論ニハ今囘ノ廢減稅ノ中
ニ於テ直接稅ニ關スルモノニ付キ其廢減ノ
跡ヲ見ヨ、所得稅、地租、營業稅ニ依ッテ
減ゼラレタル所ノ高ト、同ジ直接稅デアリ
マス所ノ相續稅ニ依フテ增稅ニナリマシタ
ル所ノモノ、及ビ新シク設定ヲ致サレタル
所ノ資本利子稅ノ二ツヲ加ヘテ差引勘定ヲ
致シテ見ルトキニハ、實ニ一千四百七十万
圓ト云フ玆ニ減稅ヲ見テ居ルノデハナイカ
ト云フ御議論デアリマス、此減稅ハ-
直接稅ハ資產階級ノ拂ノテ居ル所ノ稅デア
ルカラ-此減稅ハ資產階級ニ對スル減稅
デアルト云フ御議論デアル、洵ニ一ヲ知ッテ
二ヲ知ラヌ、表面ヲ見テ裏面ヲ論ゼザル所
ノ胡麻化シ論デアリマス、今囘直接稅ニ依っ
テ減稅セラレタル所ノモノヲ見テ御覽ナサ
イ、資產階級中ノ富豪ノ稅ヲ減ジタモノガ
何所ニアル、悉ク其減ゼラレタルモノハ小
所得者デアリマス、小資產家デアリマス、
小地主デアル、小營業者デアルッ是等ノ人〓
ニ掛カル所ノ直接稅ガ千四百万圓差引
計算ノ上減ゼラレタコレガ不都合デアル、
非社會的政策デアルト云フナラバ、諸君ハ
遺憾ナガラ小所得者、小地主、小營業者ノ
敵デアラネバナラヌ、斯ノ如キ議論ガ何レ
ニ在リマセウカ、諸君ハ動モスレバ社會政
策ト云フコトヲ踏違ヘテゴザル、社會政策
トハ酒カ煙草ノ値デモ下ゲレバ社會政策ニ
適フ如キ御考ヲ持フテゴザイマスガ、小地
主ニ免稅スルコトガ、何故社會政策ニ反ス
ルカ、小所得者ニ免稅スルコトガ何故社
會政策ニ反スルカ、小サナ營業者ヲ免稅ス
ルコトガ何ガ故ニ社會政策ニ反スルノデア
ルカ、洵ニ一知半解、何等ノ辨ヘナキ愚論
デアルト申スヨリ外ナイ(拍手)更ニ間接稅
ニ付テノ御議論ヲ伺ヲテ見マスト、間接稅中
ニ於テ減稅ヲ爲シタル所ノモノハ醬油稅デ
アル、通行稅デアル、賣藥稅デアル、綿織
物稅デアルガ、是ト今回層稅ヲ致シタル所
(博)煙草竝ニ〓凉飮料水ノ增加等ノ比較
ヲシテ見ルト、六百万圓ダケノ增收ニナッテ
居ルノデアル、故ニ間接稅ニ於テ六百万圓
ノ增收ハ、是ハ細民ニ對スル增稅デアルト
云フ、斯樣ナル論理ハ一皮徹サヾル所ノ不
徹底ナル御議論デアルノデアリマス、諸君、
諸君ノ此御考ニ依ルト、此議論ヲ徹底セシ
メンガ爲ニハ酒ト煙草ト〓涼飮料水、卽チ
增稅新設ニナッタル是等ノ品物ハ、悉ク細
民ガ飮ム物デアルト云フ前提ガナクテハ此
議論ハ立タナイノデアリマス、酒モ煙草
モ、細民モ飮メバ中產階級モ飮メバ、上流
階級モ飮ミマス、加之其必要ノ程度ヨリ申
シマスレバ如何デアルカ、之ヲ醤油ト比較
スルコトガ出來ルカ、之ヲ綿織物ト比較ス
ルコトガ出來ルカ、之ヲ通行稅、賣藥ト比
較スルコトガ出來ルノデアルカ、眼ヲ轉ジ
テ歐米先進國ニ於ケル事情ヲ御覽ナサイ、
或ハ憲法ヲ改正シ、或ハ法律ヲ制定シテマ
デ、酒ノ如キハ生活ノ有害品トシテ之ヲ禁
止ヲ致サントシテ居ルデハアリマセヌカ、
私ハ禁止令ヲ發布セヨト申スノデハアリマ
セヌガ、生活ノ必需品ノ減稅ニ代ヘテ、嗜
好品若クハ贅澤品トモ稱スベキ所ノ高價ナ
ル酒ナドニ稅ヲ課シテ、此收入ノ埋合ハセ
ヲスルト云フコトヲ以テ、非社會政策的ナ
ドト云フガ如キハ、洵ニ三尺ノ童子ト雖モ
舌ヲ出シテ笑フ所ノ議論デアル(拍手)次ニ
砂田君ハ稅制整理ノ委員會ニ於カレマシテ
モ、又當議場ニ於カレマシテモ、五十圓乃
至六十圓ト云フガ如キ、洵ニ小ナル生活ヲ
シテ居ル人〓ノ家計豫算ヲ作ッテ、其五十
圓乃至六十圓ノ家計豫算ノ中ニ、今回
減稅ニナリマス所ノ綿織物、賣藥竝ニ通
行稅、其他ニ依シテ負擔ノ輕減スル所ノモ
ノヲ算定シ、更ニ是等ノ家庭ニ於テ一日
一個ノ朝日ヲ喫ミ、一夕一合ノ酒ヲ飮ムト
云フ場合ニ於テハ、酒及朝日煙草ニ依ッテ負
擔ヲ重ネル方ガ差引勘定多イノデアルカ
ラ、今回ノ稅制整理ハ細民ニ對シテハ斷ジ
テ增稅デアルト云フ〓斷ヲ致シテ店ラル
併ナガラ諸君、我ガ國民ハ米價ノ騰貴ヲ
致シ、米ガ高クナッタ時ニ於テサヘモ、此米
ト云フ必需品ニ對シテサヘモ、米價ガ高ク
ナレバ其消費ヲ控ヘルト云フコトハ諸君ノ
御永知ノ通リデアリマス、酒ガ高クナリ、
煙草ガ高クナッタル後ニ於テ、假ニ其細民グ
必ズ一日一箇ノ朝日ヲ喫ミ、一夕一合ノ酒
ヲ飮ムト假定致シマシテモ、其消費ハ必ズ自
發的ニ之ヲ減少致スハ當然デアリマスル
ガ、況ンヤ我ガ細民ハ斯ノ如キ假定ノ下ニ
論ゼラルヽ政友會ノ討論ノ御便宜ノ爲ニ、
一日一箇ノ朝日ト、一夕一合ノ酒ヲバ用ヒ
ル所ノ義務ヲ負フモノデハナイノデアリマ
ス(拍手)吾々ニハ生活必需品ヲ減稅致ス爲
ニ、是ナクトモ必シモ生活ヲ妨ケザル所ノ嗜
好品ノ値上ニ依シテ、其財源ヲ補填スルト云
フノデアリマシテ、是ガ爲ニ今囘ノ稅制整
理ガ社會政策ノ精神ニ反スルナドト云フコ
トハ以テノ外ノ御議論デアルト云フコトヲ
玆ニ斷定ヲ致シマス(拍手)若シ强テ諸君ガ
非社會的ノ稅制整理ト言ハルヽナラバ、黄
金ヲ目シテ銅ト言フ者デアル「ダイヤモン
ド」ヲ硝子ナリト云フ者デアリマシテ、斯
樣ナ曲辯ヲ爲ス者ト長ク此レ以上議論ヲ鬪
ハス必要ヲ認メナイノデアリマス(拍手)次
ニ地方ノ稅制ニ付テ私ハ所見ヲ申上ゲテ見
タイト存ジマス、地方稅制ハ府縣ニ於キマ
シテハ、維種稅其他附加稅ノ膨脹ニ依リマ
シテ、誠ニ非難ノ聲ガ高カッタノデゴザイマ
ス、市町村ニ於ケル財政ノ膨脹モ又其如
クデアル、併ナガラ其原因何所ニ在ルヤト
考テ見マスルナラバ、固ヨリ文化自然ノ
發達ニ依リマシテ、財政ノ膨脹トナリ、租稅
負擔ノ膨脹トナッタノデゴザイマスガ、今日
府縣及市町村ガ此稅ノ膨脹ニ依ッテ苦ム所
ノ最大ノ原因ハ、多年ノ間政友會ガ政權ヲ
執ノテ、放漫限リナキ所ノ積極的政策ヲ
爲シタ結果デアルノデアル(拍手)今日ハ此
結果ニ依リマンテ亂雜ニ陷ッタル所ノ地方ノ
財政ノ大整理ヲ致サント致シテ居ルノデア
ル府縣稅ニ於キマスル整理ノ綱要ハ、其
枝葉ニ亙リマシテハ、種々ゴザイマスルケレ
ドモ,第一ニ最モ苦情ノ多カリシ所ノ府縣營
業稅、竝ニ雜種稅ノ改廢ヲ致シタト云フコト
デアリマス、雜種稅中ニ於テ府縣營業稅中
ニ移シマシタルモノハ十四種デアリマスル
ト共ニ、全ク廢棄ヲ致シマシタル數ハ
實ニ二十七種デアリマス、府縣營業稅中ニ
於キマシテモ二十八種ト云フ數多キ稅ヲ
バ、廢止ヲ致スト共ニ、之ニ依フテ細氏稅六
百万圓ノ輕減ヲ致シタノデアリマス、之ヲ
目シテ非社會政策的ナリト云フナラバ、是
ハ全ク政府ヲ誣ヒントスル所ノ曲辯デアリ
やく、斯ノ如クニ府縣營業稅、竝ニ雜種稅
ニ於テ六百万圓ノ整理輕減ヲ致スト共ニ、
戶數割五千三百万圓ヲバ、之ヲ廢シテ市町
村ニ移スト云フコトデアリマス、之ニ對シ
マシテ代ルベキ財源トシテ補完稅ノ一ツデ
アル所ノ家屋稅ヲバ府縣ニ設ケ、家屋ノ本
稅三千万圓竝ニ從來市町村ニ於テ取立テマ
シタル所ノ所得稅附加稅二千万圓ヲ、市町
村ヨリ持フテ參リマシテ、五千万圓トシテ、
是ガ補塡ヲスルト云フコトガ、大體ノ骨子
ノ計畫デアリマス、其結果府縣ニ於キマシ
テハ、實ニ五百四五十万圓ノ減稅ヲ見ルニ
至ルノデアリマス、家屋稅ニ付テハ政友會
ノ御方ガ御非難ヲ致サレ、本稅ニ於テモ三
千万圓、附加稅ニ於テ三千万圓ノ家屋稅ヲ
徴スルコトハ、是ハ貧民ニ重キ所ノ稅デア
ルト言ハレマスルガ、爲ゾ知ラン、今日マ
デ家屋稅本稅、竝ニ戶數割ノ中ニ於ケル家
屋ノ井數ニ課スル所ノ家屋稅、及縣稅雜種
稅中ニ於ケル建物、家屋ノ稅ヲ合算ヲ致シ
テ見マスル時ニハ全ク六千万圓ニ近イ五
千六百五十万圓ト云フ額ハ、今日マデモ家
屋ニ課稅ヲ致サレテ居ッタノデアリマス、而
シテ府縣ニ於キマシテハ、今迄五千三百万
圓ノ戶數割ニ代ヘテ三千万圓ノ家屋稅ヲ起
シ、更ニ中產以上ノ負擔ニ屬スル所ノ所得
稅ノ附加稅ヲ以テ之ヲ補ヒマシタルコト
ハ、全ク社會政策的ノ意義ヲ具體化センガ
爲ノ、今回ノ向縣稅ノ改廢デアルト云フコ
トデアルノデアリマス、市町村稅ニ付キマ
シテ一言ヲ致シタイト存ジマス、市町村稅
ハ政友會諸君ノ最モ力ヲ入レテ居ラルヽ所
デゴザイマシテ、是ガ爲ニハ大切ナル國稅
ノ體系ヲ紊シテモ向且ツ地租委護ヲセント
マデカ說ヲ致シテ居ラレル所ノ市町村稅デ
アリマス、而シテ今回市町村ノ稅制整理ノ
〓要ハ如何ナル事柄デアルカト申シマス
ト、從来ノ戶數割附加稅トシテ取ラレテ居ッ
タル一億七千万圓ヲ全廢致シマシテ、更ニ
二千万圓ノ所得稅附加稅ヲ縣ニ移シ、之
ニ代ユルニ戶數割ヲ獨立財源トシテ市町村
ニ設ケ、之ニ依,テ一億四千万圓ノ財源ヲ
得更ニ之ニ加フルニ縣ニ於ケル家屋稅ノ
附加稅四千五百万圓ヲ起シマシテ、而シテ
其袖塡ヲ爲スノデアリマスガ、此結果ハ實
ニ六百万圓ノ減稅ト相成クテ居リマス、併
シ是ハ表面六百万圓ノ減稅デアリマスケレ
ドモ、今回此議場ニ於テ問題トナッテ居リ
マスル所ノ〓育費ノ增額ヲ併セ考ヘマスナ
ラバ、〓育費ハ免ニモ角ニモ此議會ニ於キ
マシテ、三千万圓ノ增額ト相成ルノデゴザ
イマスカラ、六百有餘万圓ノ市町村ノ減稅
ト合セテ一戶當リ丁度ニ圓ノ減稅ト相成ル
ノデゴザイマス(拍手)斯ノ如キモノガ實ニ
國稅竝ニ府縣稅、市町村稅ヲ通ジテノ整理
デゴザイマシテ、歷代ノ内閣カ企テ、爲サ
ント欲シテ爲ス能ハザリシ所ノ大業ヲ遂ダ
ルモノデアリマス、租稅系體ノ整備〓アシ、
負擔ノ衡平、產業政策ノ助長、特ニ我黨
ノ多年ノ主張デアリ、根本精神デアル所ノ、
民本政治ノ深遠ナル哲學ニ基ク社會政策的
ノ稅制整理ヲ具體化シ、實現ヲ致シタル所
ノモノデアリマス、政友會諸君ハ此稅制整理
案ニ反對ナサレル、私ハ政友會諸君ニ此場合
一言申上ゲテ見タイト思フ、吾々ノ此氏本
政治ノ主張ニ基イテ提案ヲ致シタル普通選
擧ニ向ヲテ、國家ノ害ノアルモノナリトシテ
反對ヲ致サレタル政友會ハ、其後深ク顧ミ
ル所アッテ、吾々ト共ニ此普通選擧ノ成立ニ
寄與致サレタノデアリマスガ、今回此社會
政策的租稅ノ立法ニ反對サレル所ノ政友會
ハ、數年ナラズシテ再ビ普通選擧ニ反對シタ
ルト同ジヤウナ悔ヲバ貽サレザランコトヲ
茲ニ御忠告申ス次第デアリマス(拍手)私ハ
終リニ一言政友會ノ地租安讓ニ對シテ論評
ヲ試ミント欲スル者デアリマス、政友會ノ
地相委譲、之ニ對スル所ノ根本的御精神ハ、
本日議ニ於キマスル所ノ三土君ノ御說明、
竝ニ委員會ニ於ケル質問應答ニ依シテ明カ
デアリマス、地租委譲ハ其思想ノ源ヲバ明
ニ地力分催ニ發シテ居ラレルノデアリマ
ス、私共ハ諸君ノ總裁ガ諸君ニ依ッテ吹カレ
ル所ノ笛ニ踊ッテ、地分方權ヲ高唱サレルヲ
聞イテ、其如何ナル意味デアルカト云フコト
ヲ解スルニ苦シンダノデゴザイマスガ、今
回御提案ノ機會ニ於テ、政友會諸君ノ所謂
地方分權ナルモノヽ眞意ヲ明ニ致シタルコ
トハ、洵ニ一ツノ幸ト心得マス、而シテ其
地万ノ分權ナルモノニ付テ三土君ノ御說明
ハ、地方分權ニ依クテハ地方ニハ何等仕
ガ殖エルモノデハナイ、又是ガ爲ニ中央ニ
於ケル仕事ガ何等減ズルモノデモナイト云
フコトヲ答辯セラレテ居リマス、果シテ然
ラバ如何ナル事ヲ地方分權ト申サルヽカト
云ヘバ、郡役所ノ廢止ナリ其他ニ於キマシ
テ、今迄郡衙其他ノ上級官廳ノ監督ノ下ニ
爲シタル事務ヲバ市町村長ニ委ネルト云フ、
市町村長獨立デ以テ其處決ヲ爲シ得ル權利
ヲ與ヘヤウト爲サレルヤウデアリマス、私
共ハ此點ニ向シテ反對ヲ致ス者デハアリマ
セヌケレドモ、其内容ヲ窺ヒマスルト、如
何ニモ言ノ壯ナルニ似ズ內容ノ貧弱ナルニ
驚イタノデアリマス(拍手)內容ノ貧弱ナルハ
姑ク之ヲ許スベシトスルモ、之ヲ前提ニ致
シテ地租委譲トハ抑、何事デアル、地方
分權ヲ致シ、事務ノ簡㨗ヲ爲シ、而シテ地
方ニ於テ是ガ爲ニ事務ハ殖エナイト云フコ
トデアレバ、寧口市町村ノ事務ハ之ニ依ッ
テ、或ハ上官廳ニ伺フ所ノ往復文書、交通
ニ對スル所ノ旅費等ヲバ省クノデアリマス
カラ、市町村ノ經費、節減ノ原因トコンナ
レ、市町村ノ財政ニ對シテ獨立ノ財源ヲ無
理强ヒニ强ヒテ與ヘナケレバナラヌト云フ
原因ニハ斷ジテ相成ラヌノデゴザイマス(拍
手)地租委譲ノ前提ナルモノガ旣ニ斯ノ如ク
ニ內容ノ空虛ナルモノデアリト致シマスル
ナラバ、私ハ他ノ事柄ニ付テ多ク論駁ヲ試
ミル必要ハナイト存ジマスケレドモ、政友
會ノ御主張デアリマスルカラ、一二玆ニ御
相手ヲ試ミル必要ガアルト存ジマス、政友
會ハ地租ノ委讓ニ依ッテ國民ノ負擔ヲ輕減
ヲ致スト言ハレマスルガ、是コソ地方ノ農
民騙シノ議論デアル、國民負擔ノ輕減ト云
フコトハ斷ジテ經費ノ節減ヲ除イテ外ニ
途ハ無イノデアリマス、財源ノ移動ノ爲ニ、
財源ヲ中央ヨリ地方へ移スガ爲ニ、國民ノ
負擔ガ輕減スルト云フコトハ人類ノ「ロジツ
ク」ニハ、人間ノ「ロジック」ニハ無イ「ロジツ
ク」デアリマス、卽チ地租委譲ハ國民ノ負
擔ノ衡平ヲ期スルモノナリト言ハレルノデ
ゴザイマスルガ、今日ノ市町村ニ於キマス
ル所ノ地租附加稅サヘモ、各町村ニ於テ區々
ニ取ルガ爲ニ、不公平ノ聲ノアルコトハ
諸君ノ能ク御承知ノ通リデアリマス、然ル
ニ本稅マデモ市町村ニ委讓スルト云フコト
デアレバ、地租委譲ガ負擔ノ公平ヲ圖ルド
コロデハナイ、負擔ノ不公平ヲ愈、益〓助
長ヲスル所ノ原因ニナルノデアリマス拍
手)昨日大口君ハ地租委譲ハ先進國ノ例ニ
アルト云フコトヲ此處デ申サレマシタ、又
政友會ノ總務ノ重職ニ居ラルヽ八田宗吉君
ハ委員會ニ於テ、全世界何レノ國ト雖モ
地租委譲ヲセザル國ナシト云フコトヲバ、
何ノ材料ニ依シテ御調査ニナッタノデアルカ、
國別ニシテ御說明ニナッタノデアリマス、之
ニ對シテ私ガ質問致シマスルト、是ハ政友
會總務八田宗吉君個人ノ調査デアリ、意見
デアルト云フコトデアリマシテ、三土君ハ
私ニ答ヘテ、若シ其例ヲ求メラルヽナラバ、
「プロイセン」ト英吉利デアルト云フ御答辯
デアッタノデアリマス、私ハ奇怪至極ナル
御調査ノ材料デアルト申サナケレバナラヌ、
世界國ヲ成スモノ多シト雖モ、何レノ處ニカ
地租ヲ地方ニ委讓ヲシテ居ル國ガアルデア
リマセウカ、試ニ三土君ノ御材料ニ付テ申上
ゲマス、英國ニ於キマシテハ中央ニ地租ガ無
イト云フコトヲ申シテ居リマス、是ハ政友會
ノ地租委譲トハ全ク別デアリマス、中央ニ
地租ガ無イノヲ見テ、之ヲ委譲シタノデア
ラウト云フ御想像デハ證據ニ相成ラヌ、會
テ英國ニ於キマシテハ英佛戰爭ノ軍費ト致
シマシテ、時ノ宰相「ピツト」ノ手ニ依ッテ、
大地主ヨリ永久ニ互ル所ノ地稅ヲ軍費ニ取
上ゲテシマッテ居ルノデアリマスカラ、中
央ニ於テハ地租ガ課セラレナイト云フ原因
ガアルノデアリマス、「プロイセン」ハ如何
デアルカ、「プロイセン」ノ例ヲ以テ金科玉
條ノ如クサレテ居リマスガ、「ブロイセン」
ハ地租ヲパ千八百九十三年ニ地方ニ委譲シ
タト申サレマシタガ、豈圖ランヤソレハ昔
ノ話、三土君ノ御若イ時ノ話デアル、千九
百十八年ニ於キマシテハ立派ニ委讓ヲ致シ
タル地租ヲバ、再ビ中央ニ還元ヲ致シテ居
ルノデアリマス、假ニ左樣ナ議論ハ別ト致
シマシテ、千八百九十三年ノ地租委讓ノ實
際ヲ衝覽ナサイ、「プロイセン」ニ於キマシ
テハ中央ニ於テ所得稅ト、ソレニ對スル補
完稅ト致シマシテ、立派ニ財產稅ト云フモ
ノヲ設ケテ、中央デモ地租ニモ自ラ課稅ス
ルノ途ヲ開キ、而シテ之ヲバ地方ニ委讓シ
タノデアッテ、政友會ノ如クニ中央ニ於ケ
ル補完稅ノコトモ、稅ノ體系ノコトモ、何
等ノ御構ヒナク無暗矢鱈ニ地方ニ割イテ行
クト云フガ如キ、亂暴至極ナル地租委譲ヲ
ヤッタ所ハ、世界何レノ國ニ於テモ無イノ
デアリマス、佛蘭西ニ於キマシテモ地租ト
シテハ取ッテ居リマセヌケレドモ、地租ノ
形ヲ變ヘテ農業所得稅ト云フノヲ取ッテ居
ル、伊太利ニ於テモ現在地租ヲ持ッテ居ル、
墺地利ニ於テモ其通リ、唯.一ツ亞米利加
デアリマス、亞米利加ハ「ステート」ニ於テ
地租ヲ取ッテ、合衆國ニ於テ地租ヲ取ッテ居
ラヌデハナイカト云フカモ知レヌガ、是ハ
國ノ成立ガ違ヒマス、亞米利加ハ憲法ニ於
テ直接國稅ハ人頭稅以外ニハ取レナカッタ、
千九百十年ニ於テ憲法マデ改正致シテ、僅
ニ所得稅ヲ直接國稅トシテ取リ得ルト云フ
コトニ致シタノデアッテ、亞米利加ガ各「ス
テート」ニ於テ地租ヲ持ノテ居ルト云フコト
ハ聯邦國デアリマスカラ、恰モ日本ニ於テ
國稅トシデ地方稅ヲ取ッテ居ルノト少シモ
精神ハ變ラナイノデアリマス、斯ノ如キデ
アルニ拘ラズ、堂々タル大口君ガ此壇上ニ
於テ、世界何レノ國カ地租ヲ委讓セザルモ
ノアリヤト言ハルヽガ、平素洵ニ尊敬ヲ致
シテ居リマスル大口君ノ御調査ニ對シテハ、
今日ダケハ遺憾ナガラ尊敬ノ意ヲ拂フ譯ニ
ハ參リマセヌ、私ハ委員會ニ於キマシテ政
友會ノ所謂地租委讓ナルモノハ、全ク輿論
ト逆行ヲ致シテ居ルモノデアルト云フコト
ヲ申上ゲタ(拍手)其故如何トナレバ、數年
前政友會ノ諸君ハ地租委讓ヲ提唱サレタ時
ハ實ニ院內ニ於テ二百八十ノ多數ヲ制シ
テ居ラレタノデアル、與黨ト致シマシテハ
革新倶樂部ガアッテ、三十名前後ノ黨員ヲ
率イテ、又地租委譲ノ說ニ同意ヲ致サレテ
居シタノデアリマス、曾テハ二派提携、院
内三百有餘名ノ地租委譲論ハ今日ハ如何ナ
ル姿デアルカ、尾羽打枯シテ、一派單獨百
六十名ノ主張デハナイカ(拍手)恰モ春ノ日
陰ニ置カレタル雪達磨ガ、太陽ノ光デ融ケ
ルガ如キ所ノ地租委譲論デアリマス、斯樣
ニ評シマシタ所、三土君曰ク、私ハサウハ
思ハヌ、地租委譲論ハ春萠エ出ヅル所ノ草
木ノ芽ノヤウナモノデアッテ、是カラ生立
ツノデアルト云フコトヲ申サレマシタガ、地
租委譲論ガ果シテ草木ノ芽ノ如ク將來生
立ツモノデアルトスルナラバ、是ハ田畑山
林ヲ荒ス毒草雜木デアリマスカラ、速ニ今
日嫩葉ニ於テ刈取ラナケレバナラヌ所ノモ
ノデアラウト存ジマス(拍手)政友會諸君ハ近
年極メテ進歩改善ノ跡アルコトヲ見テ、私
ハ頻リニ敬服ヲ致シテ居ル、單リ地租委讓ニ於
テノミ舊套ヲ墨守シテ居ラルヽハ是レ如何
ニ、何ヲカ政友會ノ進步ト云フカ、曾テハ
放漫濫恣至ラザルナカリシ所ノ財政策ヲ一
擲シテ、我黨ト共ニ行政財政ノ整理ヲ參畫致
サレタルハ其一デアリマス、國家ニ害アリ、
社會ニ害アルモノトシテ反對ヲ致サレ、解
散ノ具ニ使ッタル普通選擧ニ對シテ、最近
是ガ成立ノ爲ニ力ヲ貸サレタルコトハ其一
デアリマス、三派協調内閣破レテ後ニ於テ、
政友會ハ昨年十一月十四日中ノ島ノ公會堂
ニ於テ大會ヲ開イテ、新米-政友會トシ
テハ新參ノ一議員犬養毅ヲシテ、政友會中
興ノ祖デアル所ノ原敬君ノ遺訓ヲバ彈効セ
シメテ曰ク、從來ノ政黨ガ-犬養君曰
〃、從來ノ政黨ガ政治ハ力ナリト云ヘル如
キ誤レル思想ニ依シテ導カレタルコトハ、
政黨腐敗墮落ノ原因ヲ成シテ居ルト思ヒ、マ
スト、洵ニ中興ノ祖タル原君ニ對スル彈効
デアリマスケレドモ、政黨ノ君神ト致シマ
シテハ、進步改善ノ跡ヲ認メテ、私ハ敬服
ヲ致シテ居ル、單リ此地租委譲ノミニ於テ
相變ラズ舊套ヲ墨守シテ居ラルヽコトハ、
政友會ノ爲ノミナラズ、國家ノ爲ニ洵ニ遺
憾至極ノ事デアリマス、願クハ政友會ノ諸
君ハ速ニ地租委譲論ヲ抛棄サレ、又只今議
題トナッテ居』リマスル所ノ政府案ヲ中心ト
セル修正案ニ贊成セラレ、滿場諸君全部擧ッ
テ御賛成投票アランコトヲ希望ヲ致ス次第
デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=36
-
037・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 嶋居哲君
〔嶋居哲君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=37
-
038・嶋居哲
○嶋居哲君 私ハ委員長報告ノ政府提出法
律案ヲ一括シテ之ニ反對スル者デアリマ
ス、而シテ我ガ政友會提案ノ地租委譲ニ對
シテ贊成ヲスル者デアリマス(拍手)而シテ
義務〓育費國庫負擔額ニ付キマシテハ、是
ハ特別委員會ノ修正案ニ對シテ贊成ノ意ヲ
表スル者デアリマス、此度政友本黨ノ御提
案ニ依リマシテ、憲政會ガ二千万圓ヲ要求
サレテ居リマシタガ、之ニ對シテ三千万圓
ヲ增額、而モ是ハ八千万圓ト云フモノヲ前
提トシタル增額ヲ妥協シタノデアリマス、
義務〓育費ノ增額ハ大正十三年ノ十二月二
十日ノ豫算內示會ニ於ケル其質疑應答ニ於
テ、加藤總理大臣及大藏大臣
〔此時發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=38
-
039・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=39
-
040・嶋居哲
○嶋居哲君(續) 此兩大臣ハ、我黨總務デ
アル岡崎及小川ノ兩總務カラ、義務〓育費ニ
對スル此二千万圓ト云フ額ニ對シテ非常
ナル懇請ヲシタ結果、遂ニ此二千万圓ト云
フノニ應ジタノデアリマスルガ、其當時ニ
此總理大臣及大藏大臣ハ、大正十四年度及
十五年度ノ二箇年間ハ絕對ニ是ハ增加スル
コトハ出來ナイ、卽チ是ハ不可能デアルト
云フコトヲ言明サレタノデアリマス(拍手)
併ナガラ我黨總務ノ熱誠ナル勸告ニ從ハレ
テ、遂ニ此二千万圓ハ出スコトガ出來タノ
デアリマス(拍手)濱口藏相ハ動モスレバ豫
算ヲ切詰メテ、一錢一厘ト云フモノモ出ナ
イヤウナコトヲ始終仰セラレルノデアル、
實ニ濱口藏相ハ自ラ正直ヲ以テ任ジテ居ラ
レルカドウカハ存ジマセヌガ、世間或ル部
分ノ人ハ、非常ニ正直ナ方ダト思ウテ居ル
ノデアリマスガ、豈圖ランヤ此濱口藏相ハ
義務〓育費ノ增額ハ遂ニ飴細工ノ如ク、幾
ラデモ引延バシ出スコトガ出來ルト云フ、
今度ノ妥協案ガ成立シタノデアリマスルガ、
斯ルコトハ一國ノ大藏大臣トシテ洵ニ其定
見ニ於テ、其豫算ニ對スル確固タル主義ノ
ナイト云フコトガ、此所ニ暴露サレタモノ
デアルト云フコトヲ、私ハ斷言シテ憚ラザ
ル者デアリマス(拍手)私ハ此稅制整理案ニ
付テ、我ガ同志諸君ヨリ懇切丁寧ニ論議サ
レテアリマスルカラ、少シク御考ノアル人
ハ最早十分ニ御分リニナッテ居ルコトデア
ラウト思フ、今此處ニ登ラレタル山田君ハ
我黨ノ說明ニ對シテ甚ダ荒唐無稽ノ說ナル
如ク仰セラレタノデアリマス、併ナガラ山
田君ノ前ニ出夕砂田君ハ、非常ニ精密ナル
統計ニ依リ、非常ニ精密ナル數字ニ依リ、
而モ此速記錄ニ是等ノコトヲ別ニ提供シテ
正確ナル統計ニ立論ヲ置カレテ居ル、其砂
田君ノ說ガ荒唐無稽ナル說デアッテ、山田
君ガ哲學ダトカ、或ハ世界ガドウシタトカ、
斯樣ナルコトデ何等數字的根據ヲ持タザル
議論ヲ以テ、他ノ議論ヲ空漠ナリト云フガ
如キニ至ノテハ(拍手)洵ニ私ハ笑止千万ナ
ル次第デアルト思フ(拍手)私ハ斯樣ナル議
論ニ對シテ一々反駁スルノ勇氣ヲ持タナイ
ノデアリマス、之ヲ要スルニ內閣殊ニ濱口
大藏大臣ノ主張セラルヽ稅制整理案ヲ維持
スル一ツノ辯護論タルニ過ギナイノデアリ
マスルカラ、私ハ現内閣ノ稅制整理ニ對シ
テ私ガ批評ヲスレバ十分デアルノデアリマ
ス(拍手)私ハ簡單ニ時間ノ節約上、又先日
カラ今日マデ論ジラレ、旣ニ十五日間ト云
フ永イ經過ヲ以チ、委員會デ調査〓究シテ
居ルコトデアリマスカラ、玆ニ私ガ悉クノ
議論ヲ繰返スト云フコトノ煩ヲ避ケタイト
存ジマス、先ヅ此稅制整理案ニ對シテ問題
ノ中心トナリマシタルモノハ、四ツノ點カ
ラ吾々ハ考ヘ得ルノデアリマス、第一ハ體
系論デアリマス、第二ハ立法竝ニ行政ノ問
題卽チ此稅ノ立テ方ト、サウシテ稅務行
政ニ對スル問題デアッタノデアリマス、其次
ハ此社會政策的見地カラ是ガ論ジラレタノ
デアル、第四ニハ此稅制整理案ガ果シテ增
稅ナリヤ、減稅ナリヤト云フ點ニ付テノ論
議デアリマスルカラ、此四ツノ點ニ對シテ、
此稅制整理案ノ論點ハ盡サレテ居ルモノデ
アラウト私ハ信ズルノデアリマス(拍手)體
系論ニ付テハ旣ニ小川、大口諸氏カラ繰返
サレテ居リマスカラ、私ハ此體系論ガ是等
ノ人ニ依シテ述ベラレナカッタ他ノ方法ニ依シ
テ之ヲ申述ベテ見タイ、卽チ繰返スマデモ
ナク、我國ノ租稅體系ト云フモノハ、所得
稅ヲ中樞トシテ之ニ地租營業稅ト云フモノ
ヲ配シテ居ルノデ、此體系ノ下ニ我ガ租稅
ト云フモノハ出來テ居ルノデアリマスカ
ラ、此大體ノ從來ノ體系ヲ、此度ノ政府モ
是認シテ、之ニ少シノ變革ヲ爲シタノデア
リマスカラ、今度ノ稅制整理ニ於テ變ヘラ
レタル體系、卽チ此變化ヲ及ボシタルモノ
ガ果シテ適當ナリヤ否ヤト云フコトヲ考へ
テ見レバ宜シイノデアリマス、此度地租ヲ
從來ノ如ク致サナイデ、近キ將來ニ於テハ
是ガ課稅標準ヲ賃貸價格ニ求メルト云フノ
デアリマスカラシテ、是ハ卽チ今迄ノ地租
ノ狀態ト變リマシテ、一種ノ財產稅ノ形ヲ
取ノタモノデアリマス、營業稅ヲ變ヘテ營
業收益稅ト變革シタノデアリマス、其課稅
標準ト云フモノハ、純益ト云フモノヲ標準
トシタノデアリマスカラ、是ハ卽チ特別所
得稅ノ形式ヲ持ッテ來ルノデアル、サウシ
テ新ニ設定セラレタル、此資本利子稅ト云
フモノハ卽チ所謂收益稅デアリマス、デア
リマスルカラ此度改正サレタル所ノ此地租
ガ一種ノ財產稅デアリ、營業收益稅ガ特別
所得稅デアル、サウシテ此資本利子稅ト云
フモノガ所謂收益稅デアリマスルカラシ
テ、是等ノ三ツノ補完稅ト云フモノハ、各、と
其性質ヲ異ニシタモノデアリマシテ、其
間何等ノ連絡ナク、唯、是ガ補完稅ナリト
云フ〓括的觀念ノ下ニ羅列サレタノニ過ギ
ナイノデアリマス(拍手)デアリマスルカラ
斯樣ナル租稅體系ヲ變更スルコトニ依クテ、
而カモ現政府ガ其租稅體系ヲ整へ得タリト
稱スルニ至ッテハ、洵ニ驚入ッタル次第デア
ルノデアリマス(拍手)斯ル變態的ナ租稅體
系ハ文明國ハ愚カ野蠻國ニモ如何ナル外
國ニモ、我ガ日本ノ此度ノ改正セラレタル
ヤウナ、變態的體系ヲ有スル國ハ一國モ無
イト云フコトヲ、私ハ此壇上ヨリ言明シテ
憚ラナイ者デアリマス(拍手)デアリマスカ
ラ、之ニ依ッテ當然生ズル所ノ負擔均衡論ノ
如キハ、到底出來得ナイコトデアリマスル
カラ、此一點ニ於テ、私ハ既ニ今囘ノ稅制
整理案ト云フモノガ、賛成スベカラザルモ
ノデアルト云フコトヲ、言明シテ憚ラザル者
デアリマス(拍手)次ニハ立法技術ト申シマ
スルカ、或ハ稅務行政ト申シマスカ、其方
面カラノ論點ヲ論ジラレタノデアリマス、
此問題モ有ユル問題ニ觸レタノデアリマス
ルガ、旣ニ多クノ前ノ方ミカラ申述ベラレ
テアリマスカラ、是等ノ人ガ申述ベラレナ
カッタ點ニ於テ、一二私ハ申述ベタイト思
ヒマス(拍手)今囘設ケラレマシタル所ノ營
業收益稅ト云フモノ、此營業收益稅ト云フモ
ノハ今迄ノ營業稅ヲ營業收益稅ニ變ヘタ
ノデアリマスルカラ、其營業收益稅ニ變ヲタ
ト云フモノハ、前ノハ營業額ニ課稅サレテ
居ッタノデアリマスルガ、今度ハ總收入ヨ
リ必要ナル經費ヲ差引イタル純益ニ課稅ス
ルト云フノデアリマスルカラ、今度ノ政府
ノ改正ガ如何ニモ机上論トシテハ立派ニ聞
エルノデアリマス、此點ニ付テハ此實際ノ
問題ガ出來得ルナラ、吾々ハ勿論雙手ヲ舉ゲ
テ贊成スルノデアリマス、吾々ハ元來、憲
政會ノ諸氏ハ永ク營業稅ヲ廢止スルコト
ヲ唱ヘラレテ居ッタノデアリマスルカラ、
朝ニ在レバ必ズ此事ハ廢稅サレルモノト信
ジテ居ッタノデアリマス、併ナガラソレヲ爲
サズシテ、實ニ机上論トシテハ其名前美ニ
シテ、實ニ於テハ寧口營業稅ヨリ惡クナッタ
ト云フヤウナ實情ヲロ壬シテ居ルノデアリマ
シテ、此營業收益稅ニ對シテ、先ヅ如何ナ
ル點ニ於テ其所得標準ヲ決メルカト云フコ
トニ付テ、之ヲ我ガ當局ニ尋ネテ見マシタ
所ガ、卽チソレニ對シテノ答辯ハ出來ナイ
ノデアリマス、卽チ是ハ所得稅調査委員會
ニ付スルノダト云フ、此所得稅調査委員會
ニ付スル、其付スベキ前提ハ何ニ依ルカト
云ヘバ、稅務署長ノ調査ニ依ッタル其調査
書ヲ基準トシテ、此調査書ヲ卽チ所得稅調
査委員會ニ廻シテ、サウシテ此調査委員會
ノ決ヲ經テ、之ニ課稅スルノデアルカラシ
テ、然ラバ稅務署長、ソレ等ノ稅務官吏ガ
果シテ如何ナル課稅標準、卽チ所得ノ課稅
標準ヲ如何ナル標準ニ於テ爲スカト云フ點
ニ至ッテハ、大藏當局ハ-私ハ其節ハ
口頭デ答辯ガ出來ナケレバ、書面デ答辯シ
テ吳レテモ宜イト云ウタノデアリマス、併
ナガラ此點ハ遂ニ答辯ハサレマセナンダ、
私ハ收益課稅ト云フコトハ、名前ハ美ニシ
テ實ハ到底出來ナイコトデアラウト信ズル
ノデアル、卽チ此課稅標準ト云フモノハ、
結局各地方々々ノ狀況ニ從クテ、卽チ推定
的ノモノニナリマスルカラシテ、實際ノ利
益ヨリハ遠ザカル或ル一ツノ推定標準ニ
從ッテ課稅ヲ定メラレルモノデアル、例
バ販賣業者ノ收入ヲ實際ニ幾ラアルカト云
フコトヲ調ベテ見ル折ニハ、卽チ其販賣業者
ノ持テル商品在高、ソレニ對スル價格ノ調
査及全體ノ販賣及仕入、諸雜費ヲ差引ク
等、悉クノモノヲ調査シナケレバ、實際ノ
純益ト云フモノハ現レテ來ナイノデアリマ
ス、併ナガラ斯ル事ヲ調ペルト云フコト
ガ、稅務官吏ニ果シテ出來ルデアリマセウ
カ、ドウデアリマセウカ、斯樣ナル事ハ迚
モ稅務官吏ニ於テハ出來得ナイコトデアル
カラシテ、名前美ニシテ其實之ニ伴ハズト
云フ結果ヲ生ズルノデアリマス(拍手)而
モ此度此營業收益稅ノ免稅點ヲ四百圓ニ
シタト云フコトハ、先刻山田君ガ二千
圓ヨリ是ハ免稅點ヲ上ゲテアルト言フ、
二千圓ハ卽チ一割儲ケレバ二百圓テアル
ガ、今度ハ四百圓純益ヲ見タノデアルカラ
ト云フヤウナ議論ガアリマシタガ、是ハ議
論ニナラヌ、二千圓ノ額ニ對シテ一割課稅、
年ニ二百圓ヲ儲ケテ、是デ國民ガ食テ行
ケマスカドウデアリマスカ、左樣ナ事ヲ議
論スル餘地ハ無イト私ハ考ヘルノデアリマス
(「ヒヤ〓〓」)私ハソレヨリ外ノ方面カラ御
互ニ攻究シテ見タイ、卽チ此四百圓ト云フ
免稅點ヲ設ケテアリマスカラシテ、是ハ四
百圓以上千二百圓マデハ、此販賣業ヲスル
營業者ハ課稅ヲ受ケルノデアリマス、而モ
所得稅ヲ納ムル者ハ、卽チ千二百圓以下ハ
免稅サレル結果トナルノデアリマスルカラ、
卽チ國民ノ生活限度ハ千二百圓デアリマシ
テ、千二百圓以下ノ販賣業者、小賣人、小
商人ト云ッタ風ナ者ハ、特ニ課稅ヲ受ケル結
果トナルノデアリマス、當局ハ是ハ間接稅
ヲ布イテアルカラダト言ハレルノデアル、
各〓其所得稅トサウシテ此營業收益課稅ト
ハソレハ違フコトハ明カデアリマス、是
ハ間接稅デアルノデアリマスルカラ、ツレハ
違フコトハ明カデアリマスケレドモ、其實
際ニ於テハ、私ハ此補完ハ惡イ意味ニ使用
サレタル補完作用デアッテ、斯ノ如ク惡用サ
レタル補完作用ハ、斷乎トシテ吾々ハ此他
ノ方法ヲ執ラナケレバナラヌノデアル、尙
ホ此度本黨ト憲政會トハ、非常ニ親シク妥
協サレタヤウデアリマスガ、其妥協ノ中カ
ラ生レテ出テ來タ其中ニ、市町村ノ卽チ地
租二百圓以下ノ免稅點ヲ設ケラレテ居リマ
ス、是ハ今度ハ活カスコトニナッテ居ルノデア
リマスルカラシテ、此二百圓以下ト云フモ
ノヲ定ムルコトモ、相當調査ヲ要シテ之ヲ
調査スルト云フコトモ、中〓是ハ面倒ナ事
デアルガ、隣村市町村ヲモ是ハ包括スルト云
フコトニナルノデアリマフルカラ、其爲ニ
二百圓以下ノ其免稅點ノモノヲ定ムルト云
フコトハ是ハ洵ニ其帳薄ヲ作製スル上ニ
付テ、實際ニ於テ非常ニ私ハ困難ヲ生ズル
コトデアラウト思フノデアリマス(拍手)又
自作農ト小作人トノ其違ヒニ於テモ、是八、
小作人デアル、是ハ自作農デアルト云フコ
トヲ定メル場合ニ於テ、是ガ認定ト云フモ
ノハ一々其一筆一地ニ當シテ行カナケレ
バナラヌノデアリマスルカラ、是等ノ面倒
ヲ生ズル、實際ノ稅務行政ノ上カラ甚ダ煩
雜ナル結果ヲ來シテ、爲ニ私ハ市町村ノ財
政ト云フモノガ非常ニ大キクナッテ、此今
度ノ改正ノ爲ニ私ハ數百万圓ノ膨脹ヲ來ス
モノナリト云フコトヲ、玆ニ壇上ヨリ申上
ゲル次第デアリマス(拍手)此點カラ言ウテ
モ、今度其立法及行政ノ問題ニ付テモ、多
クノ缺點ヲ有シテ居リマスルカラシテ、私
ハ此稅制整理案ニハ賛成出來ナイノデアリ
マス、次ニ行政整理ノ社會政策ノ見地カラ、
私ハ此事ヲ取扱ッテ見タイト思フ、此事ハ
色と諸君ガ論議サレテ盡シテ居リマスカ
ラ、私ハ此事モ出來得ル限リ簡單ニ申上
ゲマス、今ノ大藏大臣竝ニ政府當局、先
刻山田君ノ說モサウデアリマシタガ、今度
廢止サレタル醬油稅、或ハ其他ノ賣藥印紙
稅トカ、通行稅トカ、織物消費稅ダトカ、
是等ノモノヲ一々捉ヘテ、是ガ即チ社會政
策デアル、通行稅ヲ廢サレル是ガ社會政策
デアル、醤油稅ヲ廢サレル是ガ社會政策デ
アルト云ッテ、寧口是ガ總テ社會政策的見地
ヨリ來ッテ居ルモノデアルト云フノデアリ
てく、併シ私ハ或ル盲人ガ象ヲ評シタ言葉
ヲ聞イテ居リマス、盲人ガ象ヲ評スルノニ
足ヲ握タタハ大キナ柱ナリト言ヒ、耳ニ
觸タ夕者ハ大キナ風呂敷ダト言ッタヤウニ、
此政府ノ社會政策ノ論據ハ、恰モ盲人ガ象
ヲ評スルガ如キモノデアリマス(拍手)苟モ
一國ノ内閣ニ在ッテ社會政策ヲ論ズル以上
ハ稅制整理ノ總體、卽チ全體ノ見地カラ
見テ、果シテ是ガ國民中產階級以下ノ負擔
ヲ輕減セルモノナリヤ否ヤノ見地ニ立ッテ、
此社會政策ヲ論ジナカッタナラバ、個々別々
ノモノニ對シテ、是レ社會政策ナリト言
フニ至ッテハ私ハ實ニ政府當局ノ其見方ニ
對シテ、甚ダドウモ不思議ナル觀念ヲ懷ク
ノデアル(拍手)大體ニ於テ今度廢止サレタ
ル稅ニ對シテ、通則的ニ大藏大臣モ認メラ
V、吾々モ認メテ居ルコトガアル、此醤油
稅ニシテモ、賣藥稅ニシテモ、通行稅ニシ
テモ、又織物消費稅ニ致シマシテモ、國民
ハ此稅ノ爲ニ其負擔ヲスル力ガ無イ程ニ國
民ガ衰へテ居ナイト云フ點デアリマス、卽
チ是等ノ點ニ付テハ、現ニ大藏大臣ハ委員
會ニ於キマシテ、負擔ニ堪ヘナイ稅デナイ
ト云フコトヲ言明サレテ居ルノデアリマス
カラ、此點ニ於テハ大藏大臣モ同感デアル
ノデアリマス、是ハ特別委員會ニ於ケル速
記錄ヲ御覽下サレバ、賣藥稅ニ付テ宮島
君ト應答サレタル折ニ、賣藥印紙稅廢止ニ
付テ、濱口大藏犬臣ハ答辯シテ居ル、明ニ
其事ハ申述ベラレテ居リマス(拍手)是ハ速
記錄ヲ御覧ニナレバ明カデアリマス、斯樣
ナル稅ガ一律ニ國民負擔ガ之ニ堪ヘラレナ
イト云フ狀態デナイト云フコトガ明カデア
リマス、而モ其額タルヤ醤油稅ハ七百万
圓賣藥稅ハ一千万圓、斯ウ云フコトニナ
ルノデアリマシテ、是等ノ稅ガ大體ニ於テ
國民ノ負擔ガ堪へ得ナイト云フノミナラ
ド、醤油稅ノ如キハ、醤油同業組合カラ私
ノ所へ醬油稅存置ノ請願ト云フモノガ參ッ
テ居ルノデアリマス、此醤油稅ヲ廢メテ吳
レテハ困ルト云フコトヲ、醤油同業組合カ
ラ言ウテ來テ居リマス、サウシテ其一節ヲ
讀ンデ見マスレバ「從來ノ醤油ハ一石ニ付
テ一圓七十五錢ナレハ、一人當リ頗ル輕微
ニシテ使用者ノ苦痛トスル程度ニアラズ
實ニ況ヤ此稅アルカ爲ニ、能ク粗製濫造ノ
弊ヲ防グト共ニ品質改善向上ヲ企圖スル
ノ便アリ其ノ冥々ノ裡ニ國民保健ヲ維持シ
加フルニ毫モ生活ノ安定ヲ脅威スルモノニ
アラス」ト云フコトガ其一項ニ在ルコトハ、
吾々ト考ヲ同ジウスルモノデアリマス(拍
手)賣藥稅ノ如キニ至ッテハ、私ハ内務衞生
局長ニ、特別委員會ノ席上ニ來テ貰シテ、果
シテ此賣藥印紙稅ヲ廢止スルコトニ依シテ、
國民保健ノ上ニ如何ナル施設ト、如何ナル
手續ヲ執ンテ居ルカト云フコトヲ聽イタノ
デアリマス、是ハ詳シク說明スレバ明ニナ
リマスガ、憲政會ニ於テハ中原君ノ如キ、
又宮島君ノ如キ、其道ニ掛ケテノ精シキ方
ガアリマスルカラ、私ハ此點ハ說明シナク
テモ分ルデアラウト思ヒマス、卽チ此印紙
稅ヲ廢スルコトニ依ッテ、非常ニ國民ノ保健
ニ害ヲ及ボスト云フ結果ヲ生ズルノデアリ
マスカラ、政府當局ハ此廢稅ヲ行フト共ニ、
相當ナル國民保健上ノ施設ヲ爲サナケレバ
ナラヌ、卽チ取締規則、其他ノモノヲ設ケナ
ケレバナラヌノデアリマス、デアリマスカ
ラ此廢稅スルニ付テハ、豫メ大藏省ト內務省
トノ間ニハ、一定ノンコニ連絡ト提携ガナケ
レバナラヌノデアリマス、ソコニ於テ、大藏省
ト内務省トハ何等提携連絡ガ無クテー憲
政會ト本黨ハ連絡ガアッテモ、大藏省ト內務
省ハ無イノデアリマス(拍手)私ハ斯ル事ヲ
シテ-斯ル事ヲシテ、果シテ國民ガ安心
シテ此印紙稅ヲ撤廢シテ貰フコトガ出來ル
カドウカト云フコトニ付テ、洵ニ私ハ危險
ナル狀態ニ置カレテ在ルモノデアルト思フ
ノデアリマス、通行稅ニ於テモ亦同ジ議論
ガ生ズルノデアリマス、卽チ通行稅ノ中ノ
大部分ハ何デアルカト云ヘバ、卽チ電車ヨ
リ上ッテ來ル所ノ金デアリマシテ、是ガ六百
七十万圓ノ金デアリマス、而モ汽車カラ上ッ
テ來ル金ハ、四百万圓ニ過ギナイモノデアツ
テ、汽船其他カラ上ッテ來】ル金ハ、洵ニ微々
タルモノデアリマスカラ、此通行稅ヲ廢
止スルト云フコトハ、都會ニハ洵ニ宜イコ
トデアル、卽チ文化ノ餘澤ニ浴シテ、此都
ニ住メル人々ノ爲ニハ、洵ニ好都合ナル廢
稅デアリマス、此事ニ付テハ私モ同ジ意見
デアリマス、併ナガラ一度農村ニ足ヲ向ケ
レバ、卽チ此通行稅ニ依シテ恩惠ヲ受クル
コトハ甚ダ少ナイ、殆ド無イト斷言シテ宜
イノデアリマス(拍手)此點ニ付テハ、大藏
大臣ニ私ガ此事ヲ問フタ折ニ-卽チ是モ
速記錄ヲ御覽ニナレバ明ニナルノデアリマ
スガ、成程都會ニハ此通行稅ト云フモノハ、
明ニ都會ニノミ輕減サレルモノデアル、其
代リニ政府ノ方デハ地租ニ於テ田畑地租ノ一
分減ヲ行シテ、ソレデ以テ平均ヲ取ッテ行
ク、卽チ負擔ノ均衡ヲ取ッテ行クンダト言ウ
テ居ルノデアル、所ガ其地方ノ地租一分減
ト云フモノハ、卽チ妥協ノ產ム所トナッテ
消エテ無クナッタノデアリマシテ、此言明ニ
對シテ大藏大臣ハ何ト御答ガ出來ルデアリ
マセウカ(拍手)私ハ洵ニ大藏大臣ノ其言明
ノ無責任ニシテ、既ニ數日前此特別委員會
ニ於テ述ベラレタ言明ガ、妥協ニ依シテ裏
切ラレテ居ルノデアリマス(拍手)而モ今度ノ
問題ハ、斯樣ナ社會政策ト稱スルモノモ、
其悉クニ當ッテ見レバ、一ツモ滿足ナモノハ無
イノデアッテ、其背後ニハ增稅ト云フコトヲ
行シテ居ルノデアリマス、卽チ〓涼飮料稅ヲ
課シテ、サウシテ峠ノ茶屋ニモ、或ハ其處
ノ車屋ノ前ニモ「ラムネ」ヲ一杯飮ムト云フ
コトニ依シテ、此課稅ガ行ハレルノデアリマ
スカラ、實ニ馬車挽ナドガ夏汙水ヲ垂ラ
シテ峠ニ掛ッテ、一杯ノ「ラムネ」ヲ飮ムト云
フ其人達ニモ、政府ガ此度新稅ヲ掛ケテ
來タノデアリマス、而モ此新稅ヲ設定シタ
其蔭ニハ、如何ナル理由ガ潜ンデ居ルカト
云ヘバ、麥酒ノ稅源涵養デアルト云フコト
ヲ說明サレテ居ルノデアリマスカラ、是一
明カナルコトデアル(拍手)然ラバ麥酒ノ稅
源ヲ涵養スルト云フコトハ、國民ニ酒ヲ飮
メト言ッテ國民ニ勸メテ居ルノデアリマス、
サウシテ國民ニ對シテ酒ヲ勸メテ其酒ニウ
ント稅ヲ掛ケタノデアルカラ、此掛ケラレ
夕國民ト云フモノハ、實ニ洵ニ迷惑千萬ナ
話デアル、而モ是ハ所謂一定ノ基礎トカ、或
ハ主義ノ下ニ酒煙草ニ課稅セラレテ居ルノ
デナクシテ、是等ノモノヲ一面獎勵シ、一面
增稅ヲ行フト云フノデアリマスカラ、政府
ノ遣方ハ何處ヲ叩イテ社會政策ナリト云フ
ノデアリマセウカ(拍手)殊ニ營業收益稅ニ於
テ四百万圓程ノ減稅ガ行ハレルト稱シナガ
ラ、全國商業會議所ガ舉ッテ之ニ反對スル
理由ヲ證明シ、其材料ヲ提供シテ居ル所ニ
依レバ、却テ三千万圓ノ增稅トナル結果ト
ナルノデアリマシテ、殆ド政府ノ減稅ノ四
百万圓ト稱スルモノニ對シテ、實ニ三千万
圓ノ增稅デアルト云フ、玆ニ大ナル喰違ヒ
ガ來テ居ルノデアリマス、此他資本利子稅
ニ付テ見テモ、千四百万圓。ノ增稅トナッテ
居リ、相續稅ニ付テハ六百万圓ノ層稅トナッ
テ居ルノデアリマス、是等ノ增稅ヲ見マス
ルトキニハ卽チ政府ニ於テハ酒ニ付テハ
麥酒ヲ合セテ三千三百万圓ト稱シテ居リマ
ス、ケレドモ吾々ノ調査スル所デハ、明ニ是
ハ四千七百万圓ヲ超ユル收入ガアルノデア。ツ
テ、煙草ノ如キハ二千三百万圓ト稱スルケ
レドモ、其實四千八百万圓以上ノ收入ガア
ルト云フコトハ、是ハ吾々ノ統計ニ依ル計
算ニ徴シテ明カデアリマスカラ、此計算ニ
依ッテ見ルト、今囘增稅セラルル金額ハ一億
五千万圓ニ達スルノデアリマス、而モ是等
ノ免稅點ガ二ツ、廢稅サレタモノガ四ツ、
是等ノモノヽ全體ノ廢稅總額ヲ合計シテ見
マスレバ、七千四百万圓トナルノデアリマ
スカラ、其差異七千六百万圓ト云フモノハ
國民ガ增稅ヲ受ケタル結果トナルノデアリ
マス(拍手)是ハ先程三土先輩モ其他ノ我ガ
同志カラ述ベラレタヤウニ、洵ニ上流階級
ニ薄クシテ、中流及ビ其以下ノ、國民ノ大
多數ヲ占ムル下層階級ニ增稅ヲ爲シタルト
同ジ結果ト相成ルノデアリマス(拍手)諸君
ガ若シ此事實ニ對シテ然ラズト言ハレルナ
ラバ、煙草ノ賣上價額ハ大藏省ニ依ッテ明
ニナルノデアリマス、煙草ハ外國人ガ買フ
ノデハナイ、日本國民ガ買フ煙草ノ代デア
ルノデアリマスカラ、此事ハ國民ノ大多數
ニ向ッテ增稅ノ結果ヲ生ズルト云フコトヲ、
如何ナル點ニ於テモ私ハ否定スルコトガ出
來ナイト信ズル者デアリマス、而モ其點ハ
詳細ナル統計ニ依ッテー農林省ノ統計ニ依ッ
テ又社會局、内務省ノ統計ニ依リ、又此總テノ
點ノ材料ヲ集メテ之ヲ見出シタル、詳細ナル
計算ノ上ニ立ッテノ議論デアリマスカラシテ、
吾々ハ今回行ハレタル稅制整理案ニ對シテハ、
徹頭微尾反對スルモノデアッテ、我ガ政友會ノ
地租委譲ニ依ッテ將來我國ヲ改造スルニ非ズ
ンバ、眞ニ我ガ日本國民ヲ安全ニスルコト
ガ出來ナイト云フコトヲ申上ゲマシテ、私
ハ此壇ヲ降ル者デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=40
-
041・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 三輪市太郞君
〔三輪市太郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=41
-
042・三輪市太郎
○三輪市太郞君 私ハ委員長ノ報告ヲサレ
マシタル委員會ノ結果ニ賛成スル者デアリ
マス(「憲政會ヲ餘リ攻擊シナイデ下サイ」
ト呼フ者アリ)議題ノ件數ハ多數ニ上ッテ居
リマスルガ、其中重キヲ爲シタル我黨ノ主
張ノ二大法案ニ對シテ、贊成ノ意見ヲ述べ
ヤウト思フノデゴザイマス、而シテ其重要
案ニ對シマシテハ、既ニ本會若クハ委員會
ニ於テ十分論議サレテ居ル問題デアリマシ
テ、最早意見ヲ述ルノ必要ナキ感ヲ持ノテ
居ル者デゴザイマスルガ、委員長報告ノ政
府案修正說ニ反對ヲサレタル所ノ人ミノ唱
ヘラレル本黨案ノ義務〓育費ノ點ニ誤リア
ルコトヲ、私ハ見出シテ居ルノデアルカラ
シテ、先ヅ此點ニ向ッテ國民ノ誤解ナキヲ
望ム爲ニ、正サントスル者デゴザイマス
〔此時私語スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=42
-
043・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) ドウゾ私語ヲ少シク
御慎ミヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=43
-
044・三輪市太郎
○三輪市太郞君(續) 議員諸君ニ向ッテハ固
ヨリ茲ニ申述、フル迄モナク御水知ノコトデ
アラウト思ヒマスルガ、先刻砂田君ヨリ述
ベラレタル事柄ニ付テ、若シモ傍聽諸君ガ
演說ノ巧妙ナル言論ニ釣ラレテ、遂ニ誤リ
タル議論ヲ信ジラレルトイケナイノミナラ
ズ、國民ニ能ク徹底スルヤウ、玆ニ私ハ現行
法ニ基イテ之ヲ正シテ置カウト思フノデゴ
ザイマス(ヒヤ〓〓、拍手)市町村義務〓
育費國庫負擔法ナルモノヽ第一條ニハ「市
町村立尋常小學校ノ〓員ノ俸給ニ要スル經
費ノ一部ハ國庫之ヲ負擔ス」トアル、第二
條ニハ「前條ノ規定ニ依リ國庫ノ負擔トシ
テ支出スヘキ金額ハ每年度四千万圓ヲ下ラ
サルモノトス」是ガ現行法デアリマス、然
ルニ玆ニ大正十三年度ノ決算ニ依レバ、小
學校ノ〓員俸給費ノ總額ナルモノハ一億八
千三百万圓デアリマスルガ、是ハ高等小學
校及尋常小學校、卽チ義務〓育ノ部分モ加
ヘタ合計高デゴザイマス、而シテ之ヲ內譯シ
テ一億二千五百万圓ナルモノハ尋常小學校
ニ、高等小學校ヲ併置シタル部分ノ〓員俸
給ヲ加ヘマシテモ、尙ホ未ダ一億二千五
百万圓ヨリ上ラナイノデゴザイマス、若シ
之ヲ詳細調ベテ此併置シタル分ヲ除イテ、
眞ノ義務〓育ト名ヅケベキモノダケノ俸給
ヲ計算致シマシタナラバ一億二千万圓以
下デアルコトモ、是亦明カナル事實デゴザ
イマス、(拍手)尙ホ又大正十四年度ハ、未
ダ年度半バデアリマスカラシテ、正確ナル
數字ハ分リマセヌガ、砂田君ノ言ハレル如
ク年々五六百万圓ノ增加ヲナスト、假定シ
テモ、大正十四年度ハ一億三千万圓餘、大
正十五年度ハ一億三千五百万圓餘ニ過ギナ
イノデゴザイマシテ、政友會ガ半額ト云フコ
トヲ基準トシテ賛成ヲ表シタト云フコトハ、
此數字ニ依ッテ明ニ意味ヲ爲サナイト云フ
コトガ評シ得ラレルデアラウト思フノデゴ
ザイマス、面シテ私ハ、政友會ノ諸君ハ舊
友ノ關係デ、諸君ト論戰スルコトハ好マナ
イノデアルガ、斯カル間違ハ是ハ正シテ置
カンケレバナラヌノデゴザイマス(拍手)尙
又政友會諸君ガ、吾々ノ主張、卽チ大正十
五年度ニ於テ七千万圓ニ增加スル、此問題
ニ對シテ昨日委員會ニ於テ贊成サレ、又今
日此處ニ於テ其點ニ御同意下サレタノハ今申
述ベタ數字ニ依ッテ、明瞭デ、賢明ナル政友
會諸君ノ御存知ナキ筈ハナイガ、是ハ全ク
吾々ノ主張ヲ相當ナリ國是ナリト感ジテ、
前說ヲ飜シテ共鳴サレタル其襟度ニハ私
ハ國家ノ爲ニ慶賀スルノデゴザイマスナレ
ドモ玆ニ今一ツ正シテ置カンケレバナラヌ
問題ハ、今尙ホ地租委譲論ヲ唱ヘラレルコ
トデアル、此地租委譲論ニ對シテハ、私
可否ヲ言フコトハ好ミマセヌ、否寧ロ私ハ
前ノ持論トシテハ、府縣ニ委讓スルコトハ
反對デアルガ、市町村ニ委讓スルコトハ最
モ熱心ニ唱ヘタル一人デゴザイマス、其後
財源等ノ關係ニ依リ、或ハ震災等ノ爲ニ、
財源ニ於テ未ダ確信ガナイノト、又一面ニ
於テハ政府ガ聲明サレマシタ地價ノ不公平
ヲ改ムル爲ニ、賃貸價格ニ改正スルト云フ
コトヲ唱ヘラレテ居ルノデアリマスガ、此
點ニ對シテモ、未ダ具體案ノナイ今日トシ
テハ、私ハ可否ヲ唱ヘルノ勇氣ハナイノデ
アル、何レニ致シマシテモ政友會諸君ガ、
地租ヲ地方へ委譲スルト云フ議論ヲ抛タズ
維持サレテ居リ、而シテ一面ニ於テ吾々ノ
主張スル義務〓育費國庫負擔增加ニ贊成サ
レルト云フニ於テハ、政友會諸君ハ此財源
ハ何レニ求メラレルノデアルカ、是ハ私ノ
不可解ニ感ズル所デゴザイアス、或ハ自ラ
提案ヲ致シテモ、必ズ否決サレルベキモノ
トノ御考ヲ以テ(ノウノ~)吾々ノ主張ニ共
鳴サレルコトナラバ、此上追窮スルニ及バ
又、然ラバ今ニ至ッテ地租ヲ地方へ、委譲ス
ルト云フ論ハ寧口唱へラレナイ方ガ男ラシ
クアルマイカト思フノデゴザイマス、殊ニ
三土君ハ、政府ガ十六年度以後ニ於テ他ノ
緊急支出ト共ニ一千万圓增加ヲ考慮スルト
言ハレタ、其言葉ヲ文字通リ解釋サレマシ
テ、不安ノ念ニ驅ラレテ見ラレルガ如キヤ
ウデゴザイマスガ、是ハ私共ハ眞ニ安心致
シテ居ル、決シテ間違ヒナイト云フコトヲ
信ジテ居ルノデゴザイマス、唯〓玆ニ信ズ
ルト云フノミデハ御會得ガ出來ヌカモ知レ
マセヌカラ、是ガ信ズベキ論據ヲ一言申述
ベテ見タイト思フノデゴザイマス、諸君前
ノ第五十議會ノ當時ハ、憲政會、政友會、
革新倶樂部ノ三派協調內閣デアリマシテ、
其五十議會ノ開會前ニ、慣例ニ依ッテ豫算
內示會ヲ開カレタノデゴザイマス、是ハ私
ガ今申スマデモナク諸君モ御承知、其五十
議會ノ内示會ニ御列席「ニナッタ諸君モ多數
見受ケルヤウデアリマス、私モ其一人デアツ
タノデゴザイマス、然ルニ大正十四年度ノ
豫算面ニ、義務〓育費國庫負擔金增額ノ數
字ガ計上サレテアリマセヌ爲ニ、吾々同僚ヨ
リ濱口藏相ニ向ッテ之ヲ質問致シタ所ガ、財
源ニ餘裕ナキガ爲ニ大正十四年度ニハ之ヲ
計上スルニ至ラナカッタト答ヘラレタノデ
ゴザイマス、續イテ然ラバ大正十五年度ハ
ドウスルカト云フコトヲ重ネテ問ヒマシタ
ル所、藏相ハ大正十五年度ニ於テモ財源ノ餘
裕ハ見出サナイ、計上スル考ハナイト云フ、
御答デアッタノデゴザイマス、所ガ愈。
議會ノ開カレマスルニ當リマシテ、此義
務〓育費增加問題ハ、憲政會ノ諸君ガ野黨
ニナリマシタル當時ニ絕叫サレタル問題デ
アルカラシテ、吾々ハ之ヲ期待致シテ居リ
マシタル所ガ今申ス如ク遂ニ此計上ヲサ
レナカッタ、爲ニ政友本黨ハ議會ニ於テ、
此義務〓育費國庫負擔增加ノ提案ヲ致シ
タノデゴザイマス(拍手)之ト同時ニ、全
國津こ浦ミニ至ルマデ、憲政會ノ野黨時
代ニ於テ叫バレタル事ヲ信ジ期待致シテ
居ノタ爲ニ、議會ノ模樣ガ知レルト共ニ、
期セズシテ各方面ノ知識階級ノ人ミガ
集ッテ、一大運動ヲ試ミテ、吾々ハ議會
ニ於テ正門カラ之ヲ責メル、國民ノ輿
論ハ裏門カラ之ヲ攻擊シテ、遂ニ豫算內元
會ト議會ノ開カレルマデノ間ハ、僅ニ十數
日ノ短キ其間ニモ拘ラズ、政府ハ大ニ之ヲ
反省サレマシテ、ソレデ加藤首相及濱口藏
相ハ、此演壇ニ於テ義務〓育費增額二千万
圓ハ、十五年度ニ於テ考慮スルト云フ言葉
ヲ述ベラレタノデゴザイマス、吾々ハ(「吾
吾ガヤッタカラダ」ト呼フ者アリ)君ハマダ
御存知ハナイ、其當時ノ事ハ高橋君ハ御存
知ナイノデアル、君等ノ知ル所デナイ拍
手)其當時政友會ハ內閣ノ中ニ加ハッテ居
ラレタノデアル、卽チ責任者ノ中ニ加ハッテ
居ラレタノデアル、所デ、其當時濱口藏相
ガ聲明サレル言葉ニ於テハ、考慮スルト云
フダケデアッタ、加藤首相モ考慮スルト云
フノデアッタ、私ハ當時全ク今日ノ三土君
ト同樣ニ不安ヲ感ジタノデアル、考慮ハ讀
ンデ字ノ如ク、考慮スルマデノコトデ、考
慮ノ結果計上サレヌトキハ之ヲ如何ニスル
カト云フコトノ不安ノ念ニ驅ラレタノデゴ
ザリマスルガ、流石ニ濱口藏相ハ唯考慮ト
言ハレタナレドモ、十五年度ニ其考慮ノ言
葉ニ基イテ、責任觀念ヲ重ンゼラレテ、現
ニ二千万圓計上サレタノデアル(拍手)所ガ
今回ハソレト是トハ趣ガ大ニ異ッテ居ルノ
デアル、今年ハ既ニ先刻來同僚ヨリモ述ベ
タル如ク、藏相ハ先ヅ前段ニ於テ、義務〓
育費國庫負擔ノ八千万圓ハ同意スルト云フ
コトヲ聲明シテ居ラレルノデアル、而シテ
十五年度ニ於テハ七千万圓ヲ認メルガ、不
足ノ一千万圓ハ未ダ財源ガ此十五年度ニハ
無イカラシテ、十六年度以後ニ考慮スルト
言ハレ、ノミナラズ其考慮ノ中ニ緊急事業
ト共ニト言ハレルノデ、是ハ懇談會ニ於テ
モ、此一千万圓ハ次ニ剰餘ヲ生ジタ當時ノ
優先權、卽チ何事ヲ拾置テモ、先ヅ一千万
圓ヲ計上スベシト云フコトヲ極力主張シタ
ノデアル(拍手)然レドモ、國家ノ大局ヨリ
觀レバ、一方ニ國防上ノ問題モアッテ、旣
ニ諸君ガ論難シテ居ラレルガ如ク、海軍ノ
關係モアルガ故ニ、ソレモ是モ優劣ハナ
1、矢張此一千万圓モ、海軍ノ國防等ノ重
要問題ト同樣ニ認メテ、玆ニ聲明ヲサレタ
ノデアッテ、堅イ約束手形ヨリモ何ヨリモ、
是位堅イモノハナイノデアル(拍手)之ヲ以
テ吾々ハ無遠慮ニ申セバ、卽チ政友本黨ハ
僅ニ九十名內外ノ代議士ナリト雖モ、天下
國民ノ望ム所ノ此義務〓育費國庫負擔增額
ヲ四千万圓增シタ功績ハ、全ク我黨ニ在ル
モノト斷言スルヲ憚ラナイノデゴザイマス
(拍手)次ニ述ベントスル事ハ、地租條例中
改正法案ニ付テデアリマス、此地租條例改
正ノ政府案ハ、諸君ノ御水知ノ如ク、居住
ノ町村ニ所有スル土地ニ對シ、法定地價二
百圓以下ノモノヲ免稅スルト云フコトデゴ
ザイマシタ、一方ニ吾々ガ提案致シマシタ
ル自作農地租全免トハ、趣旨ニ於テ稍〓近
付イテ居ルヤウデモ、餘程マダ隔リガアッタ
ノデゴザリマス、政府案ニ依リマスレバ、
委員會ノ速記錄デ諸君御永知ノ通リ、全ク
缺點ガ多イノデゴザリマシテ、自己ノ住居
シテ居ル其宅地ニ程遠カラヌ所ニ土地ヲ所
有シテ、而シテ其土地ヲ自ラ耕ス者ト雖
モ、行政區畫ガ他町村ナルガ故ニ、此免稅
恩惠ヲ蒙ラヌト云フ所ノ不備ノ點ガアツタ
ノデゴザイマス、ノミナラズ、又各地到ル處
ノ都市ノ附近ト云フモノハ、土地ガ暴騰致
シテ居ルノデアッテ、農業ニ從事セザル者ト
雖モ、一方ニ商工業ヲ本業ト致シテ居ル者
デ多少財政ニ餘裕アレバ耕地ヲ持ッテ居ル
例ハ澤山アルノデゴザリマスガ、政府案ニ
依レバ、サウ云フ富ノ程度ノ比較的高イ、
而モ農業ニ從事セザル者ノ持ノテ居ル土地
ト雖モ、免稅ノ恩典ニ浴スルト云フヤウナ
法案デアリマシテ又田舍ニ至リマシテハ
一方ニ商工業ヲ營ンデ、大資本ヲ有スル者
ト雖モ、地價二百圓以下ナルトキハ此恩典
ニ浴スル
〔粕谷議長議席ヲ退キ、小泉副議長代
リ着席〕
ト云フノ法案デ、今申ス如ク、己ノ所有地
ガ隣接村ニ在ッテモ其息惠ヲ蒙ラヌト云フ
不當ナル案デアッタカラシテ、吾々ハ之ニ
對シテ、極力我黨ノ自作農免稅法案ノ農業
奬勵若クハ社會政策ニ適フベキ點ヲ極論致
シタノデゴザリマスルガ、政府モ之ニ顯ミ
ル所アッテ、遂ニ共鳴ヲサレマシテ玆ニ政府
案ニ基イテ修正ヲ致シタノガ、卽チ委員長ノ
ノ報告修正案デゴザリマス(拍手)吾々此修正
案ヲ以テ滿足スルモノデハナイ、ナレドモ爲
サヾルヨリハ宜イ、强ヒテ吾々ノ主張ノ通
リ貫徹ナサント努力致シタノデアルガ、又
一面カラ見レバ政府ノ唱フル所ニモ多少考
フベキ點ガアッタノデゴザイマス、其考フベ
キ點タルヤ何事デアルカト言ヘバ、全ク吾々
ノ主張通リニ之ヲ貫徹セントスレバ、玆
ニ歳出ハ尙ホ數百万圓ヲ增加スルノデア
ル、政府ノ計算ニ依レバ二千万圓餘ニ當ル
ノデアルガ、是ハ政府ノ計算ノ誤レルコト
ハ、私ハ玆ニ指摘スルコトハ難シトセヌノ
デアルガ、餘リ時間ガ長クナルカラシテ、
最早修正案ニ同意シタ以上ハ其點ハ除キマ
ス、然レドモ一言殘シテ置クベキコトハ、
自作農ノ奬勵ヨリ視ルトキハ卽チ地價二百
圓以上ヲ聊カタリトモ超過シタ場合ニハ免
稅トナラズ、却テ是ガ爲メ自作農獎勵ヲ阻
止スル結果ニナルト云フ缺點ハアルノデゴ
ザイマス、尙ホ不公平ナル法定地價ノ一方
ニノミ依ルノ不當、是モ政府ハ認メテ居ル
ノデアルガ、之ヲ認メナガラ應ジラレナイ
ト云フ理由ハ、立法技術ノ上ニ於テ至難デ
アルト云フコトデゴザイマスルガ、是等ノ
事ハ私ハ其答辯デハ首肯スルコトハ出來ナ
ィ、法律ハ常識ノ結晶デアッテ、吾々ガ常識
上之ヲ爲シ得ルト思フニ、大藏省デハ俊才ガ
集ッテ居ッテ、斯ル法案ノ制定ガ出來ナイト
云フコトハ、不可解デアルガ、濱口藏相ハ
尙ホ引續イテ〓究ヲ致シテ、幸ニ其法案ノ
制定ノ途ヲ見出ス場合ニハ改正スルモ厭ハ
ヌ、吝カナラヌト云フノ御趣意デゴザイマシ
タ爲ニ、大局ヨリ眺メテ、而モ吾々ノ主張
ノ自作農免稅ノ趣旨ニ於テハ、大體ニ於テ
徹シテ居ルノデアッテ、僅ニ數字ノ點ニ於テ
聊カ不滿足デアルガ之ニ吾々モ同意ヲ表シ
タノデゴザイマス、吾々ノ主張ノ二大政策ニ
付テハ此程度ニ止メマス、又序ナガラ申シ
テ置キマスガ、地租一分減ニ對シテノ問題
デゴザイマスルガ、是ハ憲政會多年ノ御主張
ニ囚ハレテ、其責任觀念ノ上ヨリ一分減ノ
提案ヲサレタモノデアラウト思ヒマスル
ガ、固ヨリ吾々ト雖モ廢減稅ニ反對スルモ
ノデハナイガ、此一分減ナルモノヲ實行ヲ
爲ス上ニ於テハ、財源ニ缺陷ヲ生ズルト云
フノデアッテ、又實際問題トシテハ今囘ノ此
免稅點ニ於テ、小農ハ旣ニ恩惠ヲ蒙リ、之
ヲ除イテハ地租一分減ノ恩典ヲ蒙ル者ハ、
比較的中產階級以上ノ者デアル、假ニ之ヲ
實行致シタナラバ、茲ニ憂フベキ點ハ地主
ト小作トノ關係デアル、各地ニ小作爭議ガ
起ルノデゴザイマシテ、地租ノ一分減ヲ爲
シタルコトヲ動機トシテ、一層小作爭議ノ
滋カランコトヲ憂フルノデ其減稅ヲ蒙ル地
主モ、其點ニ依シテ寧ロ喜バナイ事デアラ
ウト思フ、尙ホ現政府ハ何時マデ續クカ固
ヨリ未知數ノ事デアルガ、現政府ノ唱ヘル
如ク、十七年度ニハ旣ニ此不當ノ法定地價
ヲ修正スル爲ニ
〔小泉副議長議長席ヲ退キ粕谷議長復
席
賃貸價格ニ改メルト云フコトヲ聲明シテ居
ル以上ハ、此間僅ニ二年デアル、二年間ノ
事ノ爲ニ臺帳等ヲ訂正シ、之ニ伴フ經費等
ヲ考ヘレバ、之ヲ行フノモ如何デアラウカ
ト思フ、此一分ヲ減ジタル金ガ何レニ用ユ
ルカト云ヘバ、卽チ今中ス比較的小農ノ者
ガ恩惠ヲ蒙ル方面ニ充當サレルト云フコト
ニナッテ見レバ、農業奬勵及社會政策ノ上ニ
於テ、是ハ廢案ニナルモ敢テ差支ナイカト
考ヘタノデゴザイマス(拍手)終リニ臨ミマ
シテ、今一點申述ブベキ事ハ、此壇上ニ於
テモ、若クハ操觚界ニ於テモ、妥協々々ト
云フ聲ガ屢。繰返サレルノデアル(「其通
リ」ト呼フ者アリ)妥協ト云フ事ハ一體今日
ノ此政局ヲ解決スル、而モ此頃中ノ言動ニ
照シテハ私ハ當嵌マラヌ言葉デアルト思フ
ガ、免角耳障リノアルヤウニ、社會ニ宣傳
スル爲ニ妥協ト云フ言葉ヲ用キラレマシタ
ガ、假ニ妥協トシテモ何等私ハ差支ナイト
思フ(「妥協ダ」「ヒヤし〓」ト呼フ者アリ)妥
協トシテ何ガ差支へマスカ、互ニ誠意ヲ披
瀝シテ其結果一致點ヲ見出シタモノデアリ
マシテ、今日此議員ナルモノハ四百六十四
名アリマス、是ガ各派ニ別シテ居ルノデゴ
ザリマスルガ、一黨內ノ意見ヲ纏メル上ニ
於テモ、ソレ〓〓問題每ニ各自ノ意見ノア
ルモノデアル、是ハ何レモ結局ハ互讓ノ態
度ヲ以テ纏メルノデハアリマセヌカ、況ヤ
今日ハ何レノ黨派ト雖モ絕對多數ノ黨派ハ
ナイノデアル、玆ニ絕對多數ノ黨派ガアッ
テ、二大政黨デモ對立シテ居ル場合ニハ、若
シ其意見一致セザルトキニハ、是ハ衝突モ
已ムヲ得ヌガ、何レノ黨派ト雖モ一黨ニシ
テ自黨ノ政策ヲ行フ實力ガナイ以上ハ、何
レカノ黨派ト一致點ヲ見出サナケレバ政策
ヲ行フコトハ出來ヌノデハアリマセヌカ(拍
手)加之(此時發言スル者多シ)騒ガズニ能
ク御聽キナサイ、加之今ヤ普選ト云フモノ
ガ實行サレテ、此處ニ議員數別表ハ一選擧
區ニ於テ三名ノ單位ヲ標準トシテ改正ヲサ
レタルモノデ、今後ノ選擧ニ於テ如何ナル
有力ナル黨派ト雖モ、絕體過半數ヲ握ルコ
トハ思ヒモ依ラヌノデアル、然ラバ今後ノ
政治ヲ行フ上ニ於テ、何レ小黨分立ノ結果
ハ何レカ政策、意見ノ一致致シタルモノ
ガ協調ヲ保ツト云フコトハ當然ノ歸結デア
ル、(拍手)況ンヤ此協調ナルモノハ公明正大
デアッテ、何ノ恥ル所モナイ、殊ニ現在ノ此
議院法ハ如何デアルカ、此立法部ハ我國ノ
憲法ニ二院制度ニサレテ居ッテ、衆議院ト貴
族院ト意見相反スル時ニハ、玆ニ兩院協議
會ヲ開クベキ途ヲモ設ケラレテアルデハア
リマセヌカ(拍手)、此論理ヨリ推シテ、協調
或ハ妥協ヲスルト云フコトガ、何故惡イノ
カ、如何ニ諸君ガ妥協非ナリト云フモ、
實際ノ政治ヲ行フ上ニ於テ何ノ妨ゲル所ガ
アルカ(拍手)唯〓高橋君ガ解散避ケトニムフ
コトヲ以テ頻リニ野次ラレルガ、吾輩序ナ
ガラ一言致シテ置ク、高橋君ノ如キト、不肖
市太郞ノ如キハ少シク違フ(拍手)君ノ如キ
ハ口ニ强硬ヲ唱ヘルト雖モ、其内心ハ解散
ニ戰々兢々タルモノデアル、實ニ戰々競々
タルモノデアル不肖三輪ノ如キハ却テ國家
本位ニ基イテ、獨リ私ニ限ラズ、政友本黨
ノ者ハ眞ニ國家本位ニ基キ、政策本位ニ基
イテ勇往邁進シテ居ルノデアル、口ニ强キ
ヲ唱ヘテ、內心戰々競々タル者トハ大ニ異ッ
テ居ルノデアル(拍手)全ク今日ノ此國民ノ
狀態ヲ詳ニ觀察致シタナラバ、平地ニ波瀾
ヲ起スガ如キ事ハ國民ノ多數ハ望マナイノ
デアル、多クハ口ニ唱ヘルコトヽ、心ト
大變矛盾ヲ致シテ居ルノデアル、固ヨリ政
策ノ爲ニハ吾々モ解散ヲ回避スル者デハナ
イ、ナレドモ好ンデ解散ニ導クモノデハナ
イ、眞ニ國家本位、政策本位デ進ムノデアソ
テ、公明正大デアル、何カ豫メ政府ト諒解
ガアッテ此擧ニ出タモノト云フノ疑ヲ招クヨ
ウニ宣傳セラルヽノミナラズ、諸君ニ其通
リト言ハレルカラ私ハ言フベカラザルコト
ト思ヒマシタガ、序ナガラ一言ヲ致シテ置
キマスガ、小委員會ニ於ケル懇談會ノ場合
等ニ於キマシテモ、實ニ元田委員長ノ如キ
ハ、濱口藏相ガ吾々ノ主張ノ道理アルヲ認
メラレナガラ、斷乎トシテ同意ヲサレヌ爲
ニ、隨分思切ンタ、、藏相ハ頑迷不靈デアルト
マデ罵ラレタノデアル(拍手起ル)或ハ私共
モ大體先刻申シタ通リニ、政府ガ吾々ノ唱ヘ
ルコトニ道理アリト認メラレタ以上ハ、之
ニ對シテ誠意アレバ此法律ノ制定ガ出來ナ
イ筈ハナイ、面モ大藏省ハ秀才ノ集ッテ居
ル所デ、決シテサウ云フ道理ハナイ、是ハ
立法ノ技術ト云フコトノ楯ニ隱レテ、吾々
ノ主張ヲ容レラレヌノデアル、財源等モ斯
ノ通リデアルト云フコトヲ指摘シテ極論
シ、將ニ交渉ガ破レントスルノ危機一發ニ
際シタコトハ二、三囘モアッタノデアル、眞
ニ吾々ハ誠意ト熱心ヲ以テ努力致シタノデ
アルガ、之ヲ傷ケンガ爲ニ豫メ妥協ガアリ
シトカ、云フ中傷ヲ試ミラレルノハ女々シイ
態度デアル、舊友ノ諸君ハ今少シク政策本
位ニ基イテ、正々堂々ト鬪ハレンコトヲ此
機會ニ切ニ希望シテ此壇ヲ降ルモノデゴザ
イマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=44
-
045・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 一身上ノ辯明ニ關シ
テ發言ヲ求メラレマシタ、之ヲ許シマス、
高橋熊次郞君
〔高橋熊次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=45
-
046・高橋熊次郎
○高橋熊次郞君 只今本黨ノ三輪市太郞君
ノ御發言中ニ、私ノ議席ヲ指サレ、而シテ
私ノ名ヲ呼ンデ、高橋ノ如キ解散ヲ恐レテ
居ルヤウナ者デナイノデアルト云フヤウナ
コトヲ言ンテ居ル
〔此時發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=46
-
047・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=47
-
048・高橋熊次郎
○高橋熊次郞君(續) 斯ノ如キ侮辱サレタ
ル言葉ヲ使シテハ、私ハ默視シテ居ルコト
ハ出來ヌノデアリマス、本黨ノ人〓ハ解散
ヲ避ケルナドト云フコトハ何デモナイト
思ッテ仰シヤル、併ナガラ吾々議席ニ列
シ、而シテ立憲政治家ヲ以テ任ジテ店ル者
ハ解散ガ怖クテドウナル、解散ガ怖イナ
ドト言フ者ハ恐ラク憲政會ヤ本黨、或ハ其
邊ニ二三アルカモ知レナイケレドモ、眞中
アタリニハ一人モ居ラスノデアリマス、昨
年マデハ諸君ハ敵トシテ鬪ッタ憲政會デハ
ナイカ、憲政會ノ人ミモサウデアル
〔發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=48
-
049・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 靜甫ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=49
-
050・高橋熊次郎
○高橋熊次郞君(續) 護憲三派トシテ本黨
ノ人ミノ行動ヲ非立憲ナリ、足輕黨ナリト
シテ罵倒シテ居ッタデハナイカ、其人ニノ
言フコトヽ妥協苟合シテ居ル、何ノ憲政ノ
妙道ナドハ何處ニアルカ(拍手)卽チ諸君ハ
解散ガ恐シイカラ玆ニ出デタト云フコト
ハ、私ノ言ヲ俟タズシテ分ルコトデナイ
カ、三輪君ノ如キ自分ハ代議士會ニ於テ自
分達ノ論議ガドウナルカト云フヤウナコト
デ色ニト論議シタトキニ、淚ヲ流シテ解散
サレタラドウダト、卓ヲ叩イテ論ゼラレタ
ト云フコトハ世間ニ漏レテ居ルデハナイカ
(拍手)斯ノ如キ事ヲ致シテ、自分達ガ恥カシ
イトハ思ハナイノカ(議場騒然)恐ロシイト
モ思シテ居ラナイ人こヲ指シテ、解散ガ怖
カラウナドヽ云フノハ、マルデ病犬ガ强イ
犬ヲ遠クノ方カラ吼エテ居ルノト何等違フ
所ハナカラウト、斯樣ニ考ヘテ居ルノデア
リマス(拍手、發言スルモノ多ク議場騷然)
本黨ニモ主張ガアルダラウ、憲政會ニモ大
ナル主張ガアルダラウケレドモ、多年ノ主
張ヲ弊履ノ如ク打拾テヽ、本黨ニ降參ヲスル
ナドト云フコトハ、是ハ憲政ノ常道デモ何
デモナイ、憲政史上ニ於テ悲シムベキコト
デハナイカ(拍手)是ガ五年十年ノ昔ナラ率
ザ知ラズ、今日普通選擧モ斷行サレヤウト
云フ今日ニ、斯ル珍現象ガ此議會ニ現ハレ
ルト云フコトハ、是ハ世間ノ物嗤ヒデアル
ト云フコトハ諸君ハ知ラナイコトハナカラ
ウ(拍手)(「何ガ物嗤ヒダ」ト呼フ者アリ議
場騒然)、少數政黨ガ分立シテ居ルト云フコ
トハ憲政常道デモ何デモナイ、憲政會ハ速
ニ議會ヲ解散シテ國民ノ輿論ニ問フテ、自
分ノ主義主張ニ忠實ナラバ、民衆ニ愬ヘテ
大多數ヲ得タラ宜イデハナイカ、玆ニ出ヅ
ルコトガ出來ナイデ、徒ニ好意ヲ右ニ求メ
ナガラ、チヨイ〓〓左ノ手デ解散ヲスルト
云フオ禁厭ヲ以テ脅カシ〓〓ヤッタナラ
バ、ドウニカ此議會ガ滿足ニ通セルダラウ
ト云フヤウナ考カラ、此間マデ色々ノ事ヲ
遣リ、大體幹部デ決メタコトヲ小委員會ト
云フヤウナ密會所ヲ拵ヘテ、其所デ乳繰リ
合ッタノヂヤナイカ、ソンナ密會所ニ政友
會ノ歷々ニ顏ヲ出シテ吳レナドト云フテ
モ、ソンナ汚ラハシイコトヲ誰ガヤルモノ
デナイ·
〔議場騒然〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=50
-
051・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 高橋君、高橋君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=51
-
052・高橋熊次郎
○高橋熊次郎君 ソレデ恥カシイトモ思ハ
ナイデ(議場騒然)大和魂ヲ持ノテ居ル、此
高橋熊次郎ハ解散ガ恐ロシイナドト云フコ
トハ少シモ思ッテ居ラヌ、少シ顏デモ洗シテ
再ビ出直シタラ宜カラウト云フコトヲ諸君
ニ忠告ヲスル、苟モ(議場騒然「議長注
意シタマヘ」ト呼フ者アリ)此高橋ノ鼻糞デ
モ煎ジテ飮ンダラ、國家ニ忠實ナ民心ヲ基
礎トスル立派ナ政治家ニナレルト云フ
コトヲ言ヒ殘シテ此壇ヲ降ルノデアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=52
-
053・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 作間耕逸君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=53
-
054・作間耕逸
○作間耕逸君 原案ヲ一括シテ玆ニ討論ヲ
終結スベキコトノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=54
-
055・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 只今作間君ヨリ討論
終結ノ動議ヲ提出セラレマシタ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=55
-
056・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 同時ニ濱口大藏大臣
ヨリ發言ヲ求メラレテ居リマス、作間君ノ
動議ヲ保留シテ、大藏大臣ノ發言ヲ許シマ
ス、濱口大藏大臣
〔國務大臣濱口雄幸君登壇〕議場騷然発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=56
-
057・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 静肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=57
-
058・濱口雄幸
○國務大臣(濱口雄幸君) 諸君、討論當ニ
終局セントスルニ當リマシテ私ハ玆ニ一言
ヲ致シタイト思ヒマス(「大ニヤルベシ」ト
呼フ者アリ)稅制ノ諸案ニ對スル政府ノ所信
ハ提案ノ際ニ於テ十分ニ述べテアリマス、而シ
テ委員會ニ於ケル所ノ修正案ニ對スル政府
ノ態度ニ付キマシテハ、昨日元田委員長ヨ
リ報告ヲサレタ通リテアリマス(「醜態百出」
「默レ」ト呼フ者アリ)随テ此場合ニ於テ多
クヲ申述ベル必要ハナイト思ヒマスルガ、昨
日來反對黨諸君ノ御議論ノ中(「反對黨トハ
何ダ」ト呼フ者アリ)聊カ誤解ニ基クト思フ
點ニ付キマシテ(議場騒然)其誤解ヲ正スコ
トヲ主ト致シマシテ、極メテ簡單ニ一言ヲ
致シタイト思ヒマス、其第一點ハ三土君ノ
御議論デアッタト思ヒマスルガ、此度ノ稅
制ノ整理ニ依ル所ノ政府ノ歳入ノ見積ハ少
キニ過ギテ居ル、之ヲ正確ニ見積ルナラバ
數千万圓ノ增稅ニナルト云フ御說デアリマ
ス(「其通リ」ト呼フ者アリ)政府ハ責任ヲ以
テ此豫算ヲ提案ヲ致シ、其歲入ノ見積ニ付
キマシテハ、正確ナル材料ニ依ッテ的確ニ
之ヲ計上致シテアリマス、此材料ノ正確ト
云フコトニ對シテハ、政府ハ責任ヲ以テ其
誤リガナイト云フコトヲ確信スル者デアリ
マス(拍手「責任ヲ持,テ居ナイジヤナイカ」
ト呼フ者アリ)政友會ノ諸君ハ如何ナル材
料ニ依シテ數千万ノ增稅デアルト云フコト
ヲ斷定セラレタカハ知リマセヌガ、其材料
ノ根據竝ニ計算ノ基ク所ニ付キマシテハ、
私不幸ニ致シマシテ之ヲ知ルコトガ出來マ
セヌ(拍手)甚ダ失禮ナル申分カモ知レマセ
ヌガ、勝手ナル所ノ數字ニ依リ、勝手ナル
所ノ計算ヲ以テシテ(「其通リ」「ノウ〓〓」
ト呼フ者アリ)政府ノ計算ヲ中傷セントス
ルガ如キハ吾々ノ斷ジテ承服シ能ハザル
所デアリマス、殊ニ政友會ノ諸君ハ煙草
ノ値上ニ依ル所ノ增收ノ見込ヲ擧ゲラレ、
或ハ酒稅ノ增率ニ依ル所ノ增收ノ見込ヲ擧
ゲラレ、營業收益稅ノ增稅ナリト云フ事柄
ヲ指摘サレマシタケレドモ、其計算ノ根據
ニ至ッテハ漠然トシテ之ヲ知ルコトガ出來
ナイノデアリマス(拍手)惟フニ政友會ノ諸
君ハ酒ノ增率ヲ行シテモ酒ノ消費ハ少シモ
減ジナイ、煙草ノ値上ヲ行シテモ煙草ノ消
費ハ少シモ減ジナイト云フ、誤ンタル根據
ニ基イテ計算ヲサレタモノデアリマス拍
手)誤解ノ第二點ハ是又三土君ヨリノ御議
論デアリマシタガ、此度ノ政府ノ稅制整理
ハ社會政策ヲ標榜シテ居ルケレドモ、社會
政策ノ趣旨ニ反シテ居ルト云フ御說デアリ
マス(「其通リ」ト呼フ者アリ)而シテ其理由
ト致シマシテ直接稅ニ於キマシテハ增減ノ
差引千四百万ノ減收デアルガ、間接稅ニ於
テハ增減ノ差引、六百六十万圓ノ曾收ニナッ
テ居ル、是レ卽チ社會政策ニ反スル所以デ
アルト云フ御議論ヲ承ッタノデアリマス、
此場合ニ於テ私ハ明ニ申シテ置キマスル
ガ、社會政策ト云フコトハ必ズシモ間接稅
ニハ限ラナイノデアリマス
〔發言スル者アリ議場騒然〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=58
-
059・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 静出ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=59
-
060・濱口雄幸
○國務大臣(濱口雄幸君)(續) 直接國稅ノ
減免ニ致シマシテモ、社會政策ヲ實行スル
コトハ出來ルト思フノデアリマス、例ヘバ
地租ニ新ニ免稅點ヲ設ケ千二百万圓ノ減牧
ヲ生ジタルガ如キハ是レ卽チ農村ニ於ク
ル社會政策デアリマス(拍手)更ニ所得稅ノ
免稅點ヲ千二百圓ニ引上ゲ之ニ依シテ數百
万圓ノ減收ヲ來シタト云フコトハ、是亦社
會政策デハアリマセヌカ(拍手)其他相續稅
ノ免稅點ヲ引上ゲマシタコトモ、是亦直接
稅デハアリマセヌケレドモ、其社會政策タ
ル點ニ至ッテハ同樣デアリマス(拍手)政友
會ノ諸君ハ徒ニ直接稅ト間接稅トノ形式的
ノ區分ニ拘泥致シ、間接稅ヲ免稅センケレ
バ社會政策デナイト云フコトヲ主張セラ
レテ居ルト云フコトハ、洵ニ驚入ッタル議
論デアリマス(拍手)第三點ハ是ハ又三土君
ノ御話デアリマシタガ、私ガ在野當時、卽
チ大正十二年ニ於テ減稅論ヲ唱ヘタニ拘ラ
ズ、此度ノ稅制ノ整理ニ於テハ、減稅的ノ
整理ヲシテ居ナイト云フコトハ是レ卽チ在
野當時ノ言責ニ背クデハナイカト云フ御議
論デアッタヤウデアリマス、此點ニ付キマ
シテハ明瞭ニ私ハ申上ゲテ置キタイト思フ
ノデアリマス
〔議場騒然〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=60
-
061・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 靜〓ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=61
-
062・濱口雄幸
○國務大臣(濱口雄幸君)(續) 是ハ極メテ
簡單ニ申上ゲマスミ、大正十二年ニ於テ、吾々
ガ減稅ノ主張ヲ致シマシタ其當時ト今日
トニ於キマシテハ非常ナル所ノ事情竝ニ
目的ガ大分變フテ居ルノデアリマス、其當
時私ハ憲政會ヲ代表致シ、此壇上ニ立つ
減稅案ノ說明ヲ致シタノデアリマス、其減
稅論ノ據ノテ基ク所ハ、御承知ノ通リ時恰
モ華盛頓會議ノ結果ト致シマシテ、軍備制限
ノ條約ヲ締結ヲ致シ、是ト同時ニ陸軍ニ於テ
ハ數千万圓ノ緊縮的整理ヲ行ヒマシタ、卽
チ陸海軍ノ軍備ヲ縮小制限致シタ結果ト致
シマシテ、玆ニ國庫ノ上ニ尠カラザル所ノ
餘裕ヲ生ズルニ至ッタノデゾリマス(拍手)
是ニ於テ其當時ニ於テ吾々ハ我國ノ增稅ノ
沿革ニ鑽ミ軍備縮小ニ依シテ生ジタル所
ノ財政上ノ餘裕ハ、之ヲ以テ減稅ノ財源ニ
充當スベシト云フ議論ヲ唱ヘタノデアリマ
ス而シテ其當時私ガ申上ゲマシタ事ハ、昨
日三土君ノ御演說中ニ於テ速記錄ヲ御朗讀
ニナリマシタガ、正ニ其通リデアリマス、
唯〓附加ヘテ申上ゲマス事ハ、私ハ其當時ニ
於テ斯樣ニ申シタノデアリマス、今日ハ減
稅ノ絕好ノ機會デアル、若シ此機會ヲ失ッタ
ナラバ恐ラクハ他日減稅ノ時機ヲ捉ヘルコ
トハ出來ナイデアラウ(拍手)ト云フ事ヲ明
ニ甲シタノデアリマスルガ、不幸ニ致シマ
シテ我ガ憲政會ノ減稅ノ諸案ト云フモノ
ハ貴方ガタノ反對ニ依シテ實行不可能ニ
陷ッタノデアリマス(拍手)其事ハ今日ニ於
テモ尙ホ大ニ遺憾ト致シテ居ル所デアリマ
ス(拍手)然ルニ大正十二年ノ九月ニ於テ大
震災ガ起リマシタ結果ト致シマシテ、歲人
ハ非常ニ減少ヲ致シ、歲出ハ非常ニ激層ヲ
致シ、其結果トシテ帝國ノ財政ニ急激ナル
變化ヲ起シタノデアリマス、此ニ於テ御水
知ノ通リ聯合内閣ノ時ニ於テ一億五千二百
万圓ノ整理ヲ行ッタニ拘ラズ、我ガ帝國ノ
財政ノ現狀ハ減稅的チ〓理ヲスルト云フコ
トヲ許サナイ狀況ニ在ルト云フコトハ、御
互ニ最モ遺憾トスル所デアリマス(拍手)此
ニ於テ此度ノ稅制ノ整理ハ屢〓申上ゲマス
ル通リ、國庫ノ歲人ニ於テ著シキ增減ヲ生
セザル範圍内ニ於テ、出來得ル限リ租稅ノ
體系ヲ正シ、負擔ノ均衡ヲ圖ルト云フコト
ヲ目的トスルニ止メタノデアリマス、隨テ
私ガ在野當時ニ於ケル所ノ減稅ノ主張ト、
此度ノ稅制ノ整理トハ、其間ニ於テ少シモ
衝突矛盾ヲスル所ハナイノデアリマス(白日
手)政友會ノ諸君ハ此稅制ノ整理ニ對スル
大體ノ御方針ト致シマシテ、租稅ノ整理ハ
國稅ヨリモ地方稅ニ重キヲ置クベキモノデ
アルト云フ御議論デアリマスガ、政府ノ見
ル所ハ左樣デハアリマセス、地方稅ニモ重
キヲ置キマスルガ、國稅ノ整理ニモ無論重
キヲ置カナケレバナラヌ、國稅ト地方稅ト
ノ間ニ於テ輕重スル所ハナイノデアリマス
(拍手)隨テ政府ハ此見地ニ基イテ、國稅ニ
關スル所ノ整理案ト、地方稅ニ關スル所ノ
整理案ト云フモノヲ併セテ議會ニ提案ヲ致
シ御協賛ヲ求メテ居ル次第デアリマス印
手)然ルニ政友會ノ諸君ハ稅制ノ整理ハ地
方稅ガ主デアッテ、國稅ガ從デアルト唱ヘ、
寧口重キヲ地方稅ニ置カレタ結果ト致シマ
シテ、地租ヲ委譲スルト云フ案ヲ出サレ、
其結果トシテ國稅ノ體系ヲシテ非常ナル所
ノ紊亂ノ狀態ニ陷ラシムルト云フコトヲ顯
ミラレナイノデアリマス(拍手)
〔議場騒然〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=62
-
063・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 靜肅ニ願ヒマス
〔議場騒然〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=63
-
064・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=64
-
065・濱口雄幸
○國務大臣(濱口雄幸君)(續) 私ハ最後ニ
一言申上ゲマス、政友會ノ諸君ハ其提案ニ
係ル所ノ地租委譲ノ法案ト云フモノヲ先決
問題トシテ之ヲ決定ヲ致シテ居ル其地租ノ
委讓ト云フコトヲ中心ニ致シ(拍手)
〔發言者多ク議場騒然〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=65
-
066・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 靜〓ニ願ヒマス-
静肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=66
-
067・濱口雄幸
○國務大臣(濱口雄幸君)(續) 其他ノ國稅
ノ整理案ニ至ッテハ、此地租ノ委讓ト云フ
コトニ順應スル如クニ、政府ハ之ヲ立案ス
ペシト云フ御意見デアッタヤウデアリマス
(發言スル者多ク議場騒然)私ハ政友會ノ諸
君ガ、自ラ國稅ノ整理案ヲ立案サレズシテ、
之ガ立案ヲ政府ニ求メラレタト云フコト
ヲ、甚ダ政友會ノ爲ニ惜ムモノデアリマス
(拍手議場騷然)私ハ此場合、是以上申上ゲ
ル必要ハナイト思ヒマス、願ハクハ諸君ハ
政府ノ意ノ在ル所ヲ諒トセラレ、大局ニ鑑
ミテ態度ヲ決セラレンコトヲ、切ニ希望シ
テ已マヌ次第デアリマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=67
-
068・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 討論終結ノ動議ニ付
テ採決ヲ致ジマス、討論終結ノ動議ニ贊成
ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=68
-
069・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 多數デアリマス
〔拍手、議場騒然〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=69
-
070・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 宣告ヲ致シマス、討
論終結ノ動議ハ多數ニ依ンニ計論終結テ決シ
マシタ(拍手起ル)是ヨリ各案ノ第二語會ヲ開
クヤ否ヤヲ御諮リスルノデアリマスガ、日
程第二十三及第二十四、卽チ山本悌二郞君
外十三名御提出ノ市町村稅地租法案(發言
者多ク議場騒然)静肅ニ願ヒマス(議場騒
然)靜肅ニ願ヒマス(議場騒然)ドウゾ靜肅
ニ願ヒマス、山本悌二郞君外十三君御提出ノ
市町村稅地租法案外一件ハ、他ノ稅制整理
案トハ其根本義ニ於テ異シテ居リマスカラ、
先ヅ此二案ノ第二讀會ヲ開クヤ否ヤヲ御諮
リ致シマス、而シテ後ニ政府案ノ二十一
件、床次君外二十三君提出案一件ト、之ヲ順
次御諮リヲ致シタイト思フノデアリマス、
之ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ老アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=70
-
071・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第二十二及第二十三、卽チ山本
悌二郞君外二十三名御提出ノ市町村稅地租
法案及市町村稅地租法ノ施行ニ關スル法律
案ノ第二讀會ヲ開クヤ否ヤヲ御諮リ致シマ
ス、是ハ記名投票ニ依シテ採決ヲ致シマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=71
-
072・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 卽チ山本悌二郞君外
十三名御提出ノ兩案ノ第二讀會ヲ開クベ
シトスル、之ニ贊成ノ諸君ハ白票デアリマ
ス、反對ノ諸君ハ靑票デアリマス、是ヨリ
氏名點呼ヲ行ヒマス-閉鎖
〔書記官氏名ヲ點呼ス〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=72
-
073・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 投票漏ハアリマセヌ
カ-投票漏ナシト認メマス、投票函閉
鎖-開雨-開鎖
〔書記官投票ノ數ヲ計算ス〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=73
-
074・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 投票ノ結果ヲ書記官
長ヨリ御報告致シマス
〔中村書記官長朗讀〕
投票總數三百七十七
可トスル者白票百二十二
否トスル者靑票二百五十五発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=74
-
075・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 只今ノ投票ノ結果ニ
依リマシテ、兩案共二讀會ヲ開カザルコト
ニ決シマシタ
〔參照〕
第二讀會ヲ開クヘシトスル議員ノ氏名左
ノ如シ
磯部尙君板野友造君
岩崎勳君今里準太郞君
石井三郞君石坂豊一君
石原正太郞君飯村五郞君
井上敬之助君秦豐助君
濱口吉兵衞君濱田國松君
濱田精藏君鳩山一郞君
原惣兵衞君西澤定吉君
西方利馬君本田義成君
堀切善兵衞君星島二郞君
土井權大君長田桃藏君
大竹謙治君大口嘉六君
小川平吉君小野義一君
岡崎邦輔君岡田伊太郞君
若尾幾太郞君若宮貞夫君
渡邊祐策君加藤知正君
加藤久米四郞君兼松寅太郞君
笠原忠造君河上哲太君
川口義久君吉津度君
吉植庄一郞君米原於菟男君
竹原樸一君竹内友治郞君
田中定吉君高井商二君
高木音藏君髙橋熊次郞君
高草美代藏君中島守利君
中村総合中村〓造君
武藤金吉君向井倭雄君
內田信也君植原悅二郞君
上埜安太郞君野田俊作君
熊谷巖君熊谷直太君
黑住成章君倉元要一君
工藤十三雄君矢野鉉吉君
山本芳治君山本条太郞君
山口義一君山口恒太郞君
半谷次君山內範造君
山崎達之輔君前田米藏君
松岡俊三君松山常次郞君
松實喜代太君牧野良三君
藤井忠兵衞君藤田胸太郞君
藤田包助君藤澤萬九郞君
藤川〓助君二木洵君
高〓君木暮武太夫君
小久保喜七君小泉策太郞君
兒玉右二君神崎勳君
近藤達兒君安藤正純君
安保庸三君靑木精一君
靑山憲三君靑柳郁次郞君
秋田寅之介君秋田〓君
赤間嘉之吉君有馬賴寧君
東武君榊原經武君
佐々木文一君佐々木長治君
坂井大輔君坂梨哲君
木戶豐吉君木村政次郞君
木下謙次郎君宮崎三之助君
宮本逸三君三善〓之君
三土忠造君志賀和多利君
嶋居哲君島本信二君
平山爲之助君森矗昶君
森恪君望月圭介君
瀨沼伊兵衞君砂田重政君
鈴木隆君菅原傳君
隅田豐吉君猪野毛利榮君
第二讀會ヲ開クヘカラストスル議員ノ氏
名左ノ如シ
石塚三郞君石黑大次郞君
飯塚春太郞君井本常作君
井上利八君一柳仲次郞君
橋本喜造君原脩次郞君
服部英明君土生彰君
早速整爾君濱口雄幸君
西英太郞君本田恒之君
戶井嘉作君戶田由美君
戶澤民十郞君富田幸次郞君
中馬典丸君大津淳一郞君
大島要三君大里廣次郞君
小野重行君岡本實太郞君
奧村千藏君片岡直溫君
川崎克君神谷彌平君
神田正雄君神部爲藏君
加藤政之助君加藤鯛一君
加藤六藏君加藤十四郞君
河野正義君河野曉君
河波荒次郞君金澤安之助君
金田平兵衞君横山勝太郞君
橫山金太郞君吉原義雄君
吉田磯吉君高木益太郞君
高木正年君高田耘平君
賴母木桂吉君武内作平君
武富濟君田中万逸君
田中善立君建部遯吾君
谷口宇右衞門君谷口源十郞君
俵孫一君中原德太郞君
中野寅吉君中野正剛君
中野實君永田善三郞君
永井柳太郞君村上國吉君
村上紋四郞君村山喜一郞君
村松龜一郞君紫安新九郞君
室木彌次郞君生方大吉君
內ケ崎作三郞君野村嘉六君
黑田重兵衞君工藤鐵男君
栗延敬太郞君八並武治君
山宮藤吉君山田又司君
山田助作君山田道兄君
山口嘉七君山本勝次君
山本厚三君山枡儀重君
松井郡治君松本忠雄君
松田三德君丸山五郞君
町田忠治君古屋慶隆君
深井功君降旗元太郞君
藤澤幾之輔君藤井敬愼君
福田五郞君小島證作君
小寺謙吉君小山松壽君
小池仁郞君木檜三四郞君
近藤重三郞君紺野九右衞門君
寺島權藏君手代木隆吉君
淺賀長兵衞君淺川浩君
靑木知四郞君蟻川五郞作君
荒井建三君安達謙藏君
作間耕逸君佐竹庄七君
佐藤實君佐藤球三郞君
齋藤隆夫君齋藤太兵衞君
齋藤仁太郞君齋藤金吾君
柵瀨、車之佐君澤田利吉君
木村小左衞門君由谷義治君
三木武吉君三橋四郞次君
宮崎松次郞君箕浦勝人君
斯波貞吉君〓水留三郞君
信太儀右衞門君鹽田團平君
下元鹿之助君重松重治君
廣瀨德藏君平沼亮三君
平川松太郞君平野光雄君
平井光三郞君樋口秀雄君
比佐昌平君森田茂君
望月小太郞君粟山博君
關矢孫一君關俊吉君
鈴置倉次郞君鈴木富士彌君
杉浦武雄君菅原英伍君
菅村太事君井出繁三郞君
池田龜治君池田泰親君
禱苗代君原夫次郞君
原田藤次郞君原田佐之治君
原田十衞君本多貞次郞君
星廉平君堀喜幸君
富田愿之助君床次竹二郞君
東〓實君千葉宮次郞君
陣軍吉君沼田嘉一郞君
折原巳一郞君小島善作君
小川〓太郞君小野寅吉君
大園榮三郞君大石大君
大麻唯男君大城幸之一君
奧野小四郞君川原茂輔君
加藤鐐五郞君柏田忠一君
兼田秀雄君金光庸夫君
神村吉郞君吉松忠敬君
高見之通君高木第四郞君
丹下茂十郞君田中隆三君
田口文次君津崎尙武君
中林友信君中村四郞兵衞君
中村啓次郞君中村嘉壽君
中山貞雄君長峰與一君
植場平君上原好雄君
浦野謙朗君則元由庸君
野村治三郞君熊谷五右衞聞君
藏園三四郞君栗林五朔君
八木逸郞君前田房之助君
牧山耕藏君松浦五兵衞君
松田源治君丸山浪彌君
福井甚三君麓純義君
小橋一太君兒玉實良君
寺田市正君榊田〓兵衞君
櫻内幸雄君佐藤重遠君
〓成晴君三輪市太郞君
宮島幹之助君志波安一郞君
志村〓右衞門君〓水市太郞君
〓水長〓君平田民之助君
森田政義君森肇君
元田肇君石川長右衞門君
林田龜太郞君坂東幸太郞君
馬場義興君富永孝太郞君
岡田溫君堤〓六君
長岡外史君永田新之允君
野原種次郞君山口政二君
增田義一君松山兼三郞君
小屋光雄君佐々木安五郞君
佐々木平次郞君佐藤潤象君
〓瀨一郞君湯淺凡平君
關直彦君千葉三郞君
鷲野米太郞君小林彌七君
井上雅二君堀田義次郞君
岡田忠彥君太宰孫九君
高島兵吉君成田榮信君
菊池謙二郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=75
-
076・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 次ニハ日程第一乃至
第二十一ニ付テ採決ヲ致シマス、卽チ政府
提出所得稅法中改正法律案外二十件ノ第
二讀會ヲ開クベシトスル諸君ノ起立ヲ求メ
マス
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=76
-
077・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 起立多數ト認メマ
ス、仍テ所得稅法中改正法律案外二十件
ハ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ、次ニ日程
第二十四、卽チ床次骨二郞君外二十三名提
出、市町村義務〓育費國庫負擔法中改正法
律案ノ第二讀會ヲ開クベシトスルノ諸君ノ
起立ヲ求メマス(拍手)靜肅ニ願ヒマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=77
-
078・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 起立多數デアリマス
〔拍手、發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=78
-
079・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 靜肅ニ願ヒマス-
起立多數デアリマス、仍テ本案ハ第二讀會
ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=79
-
080・作間耕逸
○作間耕逸君 政府提出所得稅法中改正法
律案外二十件、卽チ日程第一乃至第二十一
ノ各議案、及床次竹二郞君外二十三名提出、
市町村義務〓育費國庫負擔法中改正法律
案、卽チ日程第二十四ノ議案ヲ一括シテ、直ニ
其第二讀會ヲ開カレンコトヲ望ミマス
〔「異議ナシ」「賛成」ト呼ヒ拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=80
-
081・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 作間君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=81
-
082・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直ニ政府提出所得稅法中改正法律
案外二十件、及床次竹二郞君外二十三名提
出市町村義務〓育費國庫負擔法中改正法
律案ノ第二讀會ヲ開キ、議案全部ヲ議題ニ
供シマス
所得稅法中改正法律案第二讀會
大正九年法律第十二號中改正法律案所
得稅法ノ施行ニ關スル件第二語會
地租條例中改正法律案第二語會
明治三十七年法律第十一一號中改正法律
案(地相徴收ニ關スル件)第二語會
營業稅法廢止法律案第二讀會
營業收益稅法案第二語會
資本利子稅法案第二語會
相續稅法中改正法律案第二讀會
通行稅法廢止法律案第二語會
酒造稅法中改正法律案第二讀會
酒精及酒精含有飮料稅法中改正法律案
第二讀會
麥酒稅法中改正法律案第二讀會
醤油稅則廢止法律案第二讀會
自家用醤油稅法廢止法律案第二讀會
織物消費稅法中改正法律案第二讀會
賣藥稅法廢止法律案第二讀會
骨牌稅法中改正法律案第二讀會
〓涼飮料稅法案第二讀會
大正九年法律第五十一號中改正法律案
(朝鮮ニ移出スル物品ノ內國稅免除ニ
關スル件)第二讀會
地方稅ニ關スル法律案第二請會
明治四十一年法律第三十七號中改正法
律案(地方稅制限ニ關スル件)第二讀會
市町村義務〓育費國庫負擔法中改正法
律案第二讀會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=82
-
083・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 別ニ討論ノ通告モア
リマセヌカラ、直ニ採決ヲ致シマス、此採
決ノ順序ニ付テ一言致シマス、採決ノ順序
ハ先ヅ政府案ヲ採リマス、次デ床次君外二
十三名提出案ニ付テ採決ヲ致シマス、卽
ヲ政府案中、日程第三ノ地租條例中改正法
律案、及日程第二十一ノ明治四十一年法律
第三十七號中改正法律案、此兩案ニ對シマ
シテハ委員長ノ報告ハ修正デアリマス、他
ハ總テ可決デアリマス、故ニ先ヅ前ノ兩案
ノ修正ヲ一括シテ採決ヲ致シマス、兩案ノ
委員長報告ニ賛成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=83
-
084・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 起立多數デアリマス
(拍手)仍テ兩案ノ其他ノ部分ハ原案ニ御異
議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=84
-
085・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ兩案共委員長ノ報告ノ通リ修正議決
致シマシタ(拍手)其他ノ政府提出ノ各案
ハ、委員長ノ報告ハ可決デアリマス、之ニ
御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=85
-
086・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ其通リニ決シマシタ、是ニテ政府
案ノ二讀會ヲ終リマシタ、次ニ床次竹二郞
君外二十三名提出、市町村義務〓育費國庫
負擔法中改正法律案、委員長ノ報告ハ修正
デアリマス、此委員長ノ報告ニ賛成ノ諸君
ノ起立ヲ求メマス
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=86
-
087・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 起立多數デアリマス
(拍手)仍テ本案ハ委員長報告ノ通リ修正議
決致シマシタ、是ニテ總テ第二讀會ハ修了
致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=87
-
088・作間耕逸
○作間耕逸君 只今第二讀會ヲ通過シタル
各議案ヲ一括シテ、直ニ其第三讀會ヲ開カ
レンコトヲ望ミマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=88
-
089・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 作間君ノ動議ニ御異
議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=89
-
090・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直ニ各案ノ第三讀會ヲ開キ、議案
全部ヲ議題ト致シマス
所得稅法中改正法律案外二十件
第三讀會
市町村義務〓育費國庫負擔法中改正法
律案第三讀會
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=90
-
091・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 別ニ御異議ナシト認
メマス、仍テ採決ヲ致シマス、政府案二十
一件ハ第二讀會議決ノ通リ賛成ノ諸君ノ起
立ヲ求メマス
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=91
-
092・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 起立多數デアリマ
ス(拍手)仍テ政府案二十一件ハ何レモ第二
讀會議決ノ通リ可決確定致シマシタ(拍手)
最後ニ床次竹二郞君外二十三名提出、市町
村義務〓育費國庫負擔法中改正法律案ハ第
二讀會議決ノ通リ、卽チ委員會修正ノ通リ
御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=92
-
093・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ハ第二讀會議決ノ通リ可決確
定致シマシタ(拍手)是ニテ全部議了致シマ
シタ(拍手起リ「萬歲」ト呼フ者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=93
-
094・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 次回ノ議事日程ハ公
報ヲ以テ報告致シマス、本日ハ是ニテ散會
致シマス
午後六時二十五分散會
衆議院議事速記錄第十八號中正誤
頁段行誤正
四六九二三實狀ニ實狀竝ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X01919260221&spkNum=94
-
本文はPDFでご覧ください。
3. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。