1. 会議録本文
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000・会議録情報
大正十五年二月二十七日(土曜日)午後一時十九分開議
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議事日程 第二十一號
大正十五年二月二十七日
午後一時開議
第一 府縣制中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二 市制中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第三 町村制中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第四 北海道會法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第五 北海道地方費法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第六 水利組合法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第七 徴發令中郡及郡長に關する規定の適用に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第八 右各議案の審査を付託すへき委員の選擧
第九 日本興業銀行外二銀行の對支借款關係債務の整理に關する法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十 造幣局工場其の他改築費に關する法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十一 京都高等工藝學校移轉改築費に關する法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十二 大正十四年法律第四十七號衆議院議員選擧法中改正法律案(鳩山一郎君外八名提出) 第一讀會
第十三 漁業法中改正法律案(谷原公君外二名提出) 第一讀會
第十四 民事訴訟法中改正法律案(谷原公君外一名提出) 第一讀會
第十五 大正十四年法律第四十七號衆議院議員選擧法中改正法律案(望月圭介君外二十二名提出) 第一讀會
第十六 治安警察法中改正法律案(清瀬一郎君外一名提出) 第一讀會
第十七 漁業財團抵當法中改正法律案(中村嘉壽君提出) 第一讀會
第十八 治安警察法中改正法律案(安藤正純君外三名提出) 第一讀會
第十九 寺院現境内地無償下戻に關する法律案(安藤正純君外四名提出) 第一讀會
第二十 寺院現境内地無償下戻に關する法律案(福井甚三君外四名提出) 第一讀會
第二十一 古社寺保存法中改正法律案(田中萬逸君外四名提出) 第一讀會
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=0
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001・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 諸般ノ報告ヲ致サセ
マス
〔書記官朗讀〕
一政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
府縣制中改正法律案
市制中改正法律案
町村制中改正法律案
北海道會法中改正法律案
北海道地方費法中改正法律案
水利組合法中改正法律案
徴發令中郡及郡長ニ關スル規定ノ適用ニ
關スル法律案(以上二月二十五日提出)
一昨二十六日貴族院ヨリ受領シタル政府提
出案左ノ如シ
一大正十二年勅令第四百五號廢止法律案
(暴利取締令廢止ノ件)
一議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
借家法中改正法律案
提出者
橫山勝太郞君作間耕逸君
北海道農地特別處理法案
提出者
丸山浪彌君奥野小四郞君
栗林五朔君東武君
松實喜代太君黑住成章君
岡田伊太郞君
沖繩縣救濟ニ關スル建議案
提出者
宜保成晴君麓純義君
岸本賀昌君神村吉郞君
大城幸之一君松浦五兵衛君
田中隆三君三輪市太郞君
加藤鯛一君中野正剛君
神田正雄君井本常作君
戶澤民十郞君小久保喜七君
秦豐助君岩崎動君
土屋〓三郞君
雨龍原野土地改良ニ關スル建議案
提出者
神部爲藏君一柳仲次郞君
小池仁郞君手代木隆吉君
澤田利吉君山本厚三君
淺川浩君
勇拂原野開發竝河口修築速進ニ關スル建
議案
提出者
手代木隆吉君神部爲藏君
一柳仲次郞君小池仁郞君
淺川浩君澤田科吉君
山本厚三君
定山溪喜及別間鐡道敷設ニ關スル建議
案
提出者
山本厚三君一柳仲次郞君
小池仁郞君神部爲藏君
淺川浩君澤田利吉君
手代木隆吉君
深川下蘆別間鐵道敷設速成ニ關スル建議
案
提出者
神部爲藏君淺川浩君
一柳仲次郞君手代木隆吉君
小池仁郞君澤田利吉君
山本厚三君
樣似漁港修築速成二關スル建議案
提出者
手代木隆吉君山本厚三君
一柳仲次郞君澤田利吉君
小池仁郞君淺川浩君
神部爲強君
羽幌下沙流別間鐵進敷設速成ニ關スル建
議案
提出者
淺川浩君神部爲藏君
一柳仲次郞君手代木隆吉君
小池仁郞君澤田利吉君
山本厚三君
壽郡漁港修築速成ニ關スル建議案
提出着
澤田利吉君山本厚三君
一柳仲次郞君神部爲藏君
小池仁郞君淺川浩君
手代木隆吉君
船泊村ニ避難港築設ニ關スル建議案
提出者
淺川浩君神部爲藏君
一柳仲次郞君澤田利吉君
小池仁郞君手代木隆吉君
山本厚三君
金市余別間鐵道敷設ニ關スル建議案
提出者
澤田利吉君一柳仲次郞君
山本厚三君手代木隆吉君
小池仁郞君神部爲藏君
淺川浩君
名寄羽幌間鐵道敷設速成ニ關スル建議
案
提出者
淺川浩君手代木隆吉君
一柳仲次郞君神部爲藏君
小池仁郞君澤田利吉君
山本厚三君
福島縣松川浦ニ避難港修築ニ關スル建
議案
提出者
大島要三君紺野九右衞門君
菅村太事君金澤安之助君
中野寅吉君佐藤富十郞君
比佐昌平君
京濱運河速成ニ關スル建議案
提出者
戶井嘉作君平沼亮三君
蠶絲局設置ニ關スル建議案
提出者
樋口秀雄君村上國吉君
淺川浩君信太儀右衞門君
菅村太事君生方大吉君
神谷彌平君山本勝次君
下元鹿之助君加藤鯛一君
奥村千藏君建部遯吾君
藤井-敬慎君谷口宇右衛門君
谷口源十郞君栗延敬太郞君
山口嘉七君
不要存置國有林野整理處分ニ關スル建議
案
提出者
大島要三君紺野九右衞門君
菅村太事君中野寅吉君
金澤安之助君比佐昌平君
佐藤富十郞君
通信機關普及ニ關スル建議案
提出者
箕浦勝人君田中善立君
小池仁郞君樋口秀雄君
橫山金太郞君紫安新九郞君
河波荒次郞君町田忠治君
原脩次郞君森田茂君
富田幸次郞君齋藤隆夫君
西英太郞君一柳仲次郞君
藤澤幾之輔君加藤政之助君
大津淳一郞君望月小太郞君
小寺謙吉君橫山勝太郞君
恩給其ノ他ノ恩典ニ雇員左職年數通算ニ
關スル建議案
提出者靑木精一君
福井市ニ遞信局設置ニ關スル建議案
提出者
谷口宇右衞門君土生彰君
山口嘉七君熊谷五右衞門君
米原今庄間鐵道電化速成ニ關スル建議案
提出者
谷口宇右衞門君土生彰君
山口嘉七君熊谷五右衞門君
(以上二月二十四日提出)
京濱運河速成ニ關スル建議案
提出者
若尾幾太郞君川口義久君
(以上二月二十五日提出)
一昨二十六日貴族院ニ於テ本院ノ送付ニ係
ル左ノ議案ニ對シ承諾スルコトヲ議決シ
タル旨同院ヨリ通牒ヲ受領セリ
大正十四年勅令第一百四十五號(承諾ヲ
求ムル件)
〔左ノ報告ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲
玆ニ揭載ス〕
一本月二十四日衆議院規則第十五條但書ニ
依リ議長ニ於テ議席ヲ左ノ如ク變更セリ
四四梅田寛一君
一六五瀨沼伊兵衞君
四一九廣瀬德藏君
四四三丹下茂十郞君
四四四兼田秀雄君
四四五田口文次君
四四六宮島幹之助君
一昨二十六日衆議院規則第十五條但書ニ依
リ議長ニ於テ議席ヲ左ノ如ク變更セリ
七六樋口秀如君
二六八河野曉若
二六九由谷義治君
二七〇河波荒次郞君
二七一小池仁郞君
二七二紫安新九郞君
一本月二十四日議長ニ於テ辭任ヲ許可シタ
ル常任委員左ノ如シ
第二部選出懲罰委員高見之通君
一本月二十四日常任委員補闕選擧ノ結果左
ノ如シ
第二部選出
豫算委員千葉宮次郞君(前田房之助
君補闕)
第三部選出
豫算委員砂田重政君(土井權大君
補闕)
第三部選出
懲罰委員武富濟君(小島七郞君
補闕)
第七部選出
豫算委員丹下茂十郞君(浦野謙朗君
補關)
一本月二十五日常任委員補闘選擧ノ結果左
ノ如シ
第二部選出
懲罰委員千葉宮次郎君(高見之通君
補闕)
第八部選出
懲罰委員西方利馬君(坂井大輔君
補闕)
一本月二十四日理事補關選擧ノ結果左ノ如
シ
議院法中改正法律案(政府提出)外一件委
員
理事高鳥順作君(理事上原好雄君昨
三十三日辭任ニ付其ノ補
關
一本月二十五日常任委員理事補關選擧ノ結
果左ノ如シ
懲罰委員
理事武富濟君(理事松井郡治君
本月二十一日辭任ニ付其ノ補
蘭
一本月二十四日〓育改善及農村振興基金特
別會計法中改正法律案委員小橋藻三衞君
辭任ニ付其ノ補闕トシテ高草美代藏君
ヲ、輸出生絲檢査法案委員靑木知四郞君
辭任ニ付其ノ補闕トシテ横山勝太郞君ヲ
孰レモ議長ニ於テ選定セリ
一本月二十五日關稅定率法中改正法律案委
員森恪君三好榮次郞君堤康次郞君辭任ニ
付其ノ補闘トシテ山内範造君佐藤富十郎
君斯波貞吉君ヲ、輸出生絲檢査法案委員
戶井嘉作君辭任ニ付其ノ補閥トシテ加藤
十四郞君ヲ、議院法中改正法律案外一件
委員岩崎幸治郞君辭任ニ付其ノ補闕トシ
テ志賀和多利君ヲ、芳働争議調停法案外
一件委員大里廣次郞君谷原公君辭任ニ付
其ノ補關トシテ加藤鯛一君原夫次郞君孰
レモ議長ニ於テ選定セリ
一昨二十六日輸出生絲檢査法案委員武藤金
吉君辭任ニ付其ノ補關トシテ靑木精一君
ヲ議長ニ於テ選定セリ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=1
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002・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、御諮リヲ致シマス、第二部選出豫算委
員井出繁三郞君、第九部選出決算委員山口
義一君、右兩君ヨリ常任委員辭任ノ申出ガ
アリマシタ、之ヲ許可スルニ御異議アリマ
セヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=2
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003・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、許可致シマス、其部ノ諸君ハ速ニ補關
選擧ヲ行ヒ屆出アランコトヲ望ミマス、尙
ホ小池仁郞君病氣ニ付、二月二十四日ヨリ
三月五日マデ、高橋光威君病氣ニ付、二月
二十五日ヨリ三月十日マデ、右請暇ノ申出
ガアリマシタ、許可スルニ御異議ハアリマ
セヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=3
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004・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ許可致シマス、只今關直彥君ヨリ
此際日程ヲ變更シテ、議員梅田寛一君ノ行
動ニ關シ調査委員ヲ設クヘシトノ緊急動
議ヲ提出サレマシタ、此動議ニ御異議ハア
リマセヌカ
〔「異議ナシ」呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=4
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005・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス-政府モ此日程變更ニ同意ヲセラレマ
シタ、仍テ提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス、
關直彥君
〔關直彥君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=5
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006・關直彦
○關直彥君 諸君、本員ハ誠ニ悲ムベキ問
題ニ付キマシテ提案ヲ致シタイト存ズルノデ
アリマス、其題目ハ議員梅田寛一君ニ關ス
ル事實調査ヲ爲ス爲メ調査委員ヲ設置スル
ノ件、斯樣デアリマス、新聞紙ノ傳フル所
ニ依リマスト云フト、過日政友本黨ニ於キ
マシテ黨員、議員梅田寛一君ノ除名サレマ
シタト云フコトガ傳ヘラレテ居リマシテ、
是ガ又事實デアルト承知致シテ居リマス、
其理由トスル所ハ、同君ハ或ル樞要ノ地位
ヲ占メラレマス所ノ某陸軍大將ノ手ニ依)
テ黃白ヲ提供シテ、脫黨ヲ勸誘サレタト云
フコトニ付キマシテ、黨紀ヲ紊スト云フ件
ニ於テ除名ヲサレタト云フコトデアリマ
ス、果シテ其事ガ事實ト致シマスレバ實ニ
議院ノ體面ヲ瀆シ、綱紀ノ紊亂ヲ醸スモノ
デアルト信ズルノデアリマス(拍手)政界革
正ノ爲ニハ此事實ヲ明瞭ニ致サナケレバナ
ラヌト存ズルノデアリマス(拍手)而シテ若
シ其事實ガ果シテ事實デナイト致シマシタナ
ラバ、梅田君ニ關スル疑惑ハ實ニ梅田君ノ
名譽ノ爲ニ甚ダ御氣ノ毒ナコトデアリマス
ルシ、又果シテ黃白ヲ以テ議員ヲ誘惑シタ
コトガ無イト云フコトデアリマシタナラ
バ某大將ノ名譽モ是ガ爲ニ囘復サレルデ
アラウト思ヒマス、何レニ致シマシテモ斯
ル事ハ公ニ且ツ明白ニ致シマセヌケレバ
議會ノ體面ヲ保ツコトハ絕對ニ出來ナイト
信ズルノデアリマス(拍手)斯ル事ノ先例ニ
付キマシテハ去ル二十議會ニ於テ、當時ノ
議員秋山定輔君ニ對スル小河原一君ノ動議
ニ依リマシデ成立致シマシタ先例ガアリマ
ス、而シテ或ハ院外ニ於テ發生シタ事實デ
アルカラ、院內ノ關係デハナイト云フ又議
論モゴザイマスルケレドモ、當時ノ實例ニ
於キマシテハ或黨ノ院外團ノ文書ニ依ッテ
此事ガ公ニナリマシテ、此問題ガ議會ニ於
テ決定ヲサレタ實例ガアリマスルカラ、其
實例ニ依リマシテ政界ノ革正ノ爲メ、若ク
ハ議員梅田君ノ名譽ノ爲メ、又某大將ノ名
譽ノ爲ニ此事實ヲ明白ニ致シマスル爲ニ、
調査委員ノ設定ヲ提案致シマシタ譯デアリ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=6
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007・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 關君ニ御尋致シマス
ガ、調査委員ノ數ハ、若シ之ヲ設クルトシ
タラ何名ヲ御設ケニナルノデアリマスカ
〔關直彥君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=7
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008・關直彦
○關直彥君 調査委員ノ數ハ十八名ト致シ
マシテ、議長ノ指名ニ御委セ致シマス拍
き)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=8
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009・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御諮リヲ致シマス、
只今關君ニ依ッテ述ベラレマシタル動議ニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=9
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010・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ動議ノ如ク決シマシタ
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=10
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011・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 委員ハ追テ議長ヨリ
指名致シマス、只今柏田忠一君ヨリ成規ノ
賛成ヲ得テ、膠済鐵道貨車不法引揚ニ關ス
ル緊急質問ガ提出サレマシタ、日程ヲ變更
シテ之ヲ許スニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=11
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012・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス-政府モ日程變更ニ同意サレマシタ、
仍テ提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス、
膠濟鐵道貨車不法引揚ニ關スル緊急質
問(柏田忠一君提出)
〔柏出忠一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=12
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013・柏田忠一
○柏田忠一君 私ノ質問致シマスルノハ膠
濟鐵道デアリマス、山東鐵道ハ只今支那ノ督
辦張宗昌ノ手ニ依リマシテ、其全線ニ亙リ
貨車約一万餘輛竝ニ機關車ノ大部分ガ、沒
收ト申セバ語弊ガアリマスルガ、暴力ヲ以
テ殆ド引揚ゲラレテシマッタノデアリマス、
而シテ是ガ爲ニ直接多大ノ影響ヲ被ルノ
ハ此沿線ニ在留致シテ店リマスル我ガ二
万ノ同胞デアリマス、山東ハ御水知ノ如ク
去ル日獨戰爭ニ於テ、帝國ハ東洋ノ平和ノ
爲ト、支那ニ於ケル我國ノ權利利益確保ノ
爲ニ劒ヲ執ッテ起ノタノデアリマシテ、其結
果遂ニ此山東ニ於ケル獨逸ノ權利利益ハ、
我ガ帝國ニ繼承スルコトヽナッタノデアリ
マスソレガ近時華盛頓會議ニ於テ、或
山東交渉ニ於テ、是等ノ到ル處ノ権利利益
悉ク之ヲ支那ニ返還シタノデアリマシ
テ、山東鐵道モ實ニ其一ツデアルノデアリ
マス、併ナガラ此山東鐵道ニ對シテハ、日
本ノ利益ガ非常ニ包含サレテアリマスガ、
故ニ、帝國ハ特ニ細目協定ニ於テ、是ガ監督
官トシテ日本臣民二名ヲ八レルコトニナツ
テ居ルノデアリマス、現ニ運輸ノ主任竝ニ
會計ノ主任ハ、日本カラシテ任命サレテ參,
テ居ルヤウナ次第デアリマス、加之帝國ハ
此鐵道ヲ支那ニ返還スル代償ト致シマシテ、
支那ノ國庫債券デ四千万圓ヲ日本ノ手ニ收
メテ居ル、其利益ヲ保障スル意味ニ於テ、
或ハ其四千万圓ノ債券ヲ保障スル意味ニ於
テ、帝國ハ相當ノ監督權ヲ行使シテ居ルノ
デアリマスガ、斯ノ如ク密接ノ關係ノアリ
マス山東鐵道ハ去年ノ秋支那ニ動亂ガ起
リマシタノヲ機會ト致シマシテ、督辦ノ張
宗昌ハ暴力ヲ以テ、其全線ニ亙リ貨車ヲ押
牧シテシマッタノデアリマス、現ニ全線ニ
互ッテ使用サレテ居リマス貨車ハ僅ニ二十
餘輛、機關車ハ百七輛ノ中僅ニ五十臺シカ
殘ッテ居リマセヌ、而モ此大部分ト云フモノ
ハ破損致シマシテ、水垢ハ一寸モ溜ッテ居ル
ト云フヤウナ狀況デ、迚モ使用ニ堪ヘナイ
ト云フ有樣デアルノデアリマス、而シテ列
車ノ回數ハ、今ドノ位廻シテ居ルカト申セ
バ日本ノ軍政時代ニ於テモ、一日ニ七十
何回ノモノガ、支那ニ返還シテカラハ僅ニ
五十回ニ減リ、今日デハ一日ニ僅ニ九回デ
アリマス、其九囘モ悉ク軍用ニ供サレテ居
ルト云フノデアリマスカラ、靑島ニ於ケル
我ガ紡績事業家ハ、約二十三万錘ノ紡績ヲ
營ンデ居リマスルガ、其二十三万錘ノ紡績
事業家ガ消化スル所ノ原料ノ綿ヲ供給スル
コトモ出來ズ、製品ヲ啻捌クコトモ出來ナ
イ、石炭ヲ買フコトモ出來ナイ、而シフソ
レガ爲ニ靑島ニ於ケル一万五千ノ同胞ハ、
生活ノ資料ヲ得ルコトガ出來ナイ、商賣ヲ
スルコトガ出來ナイト云フノデ、今日デハ
マルデ危急存亡ノ狀況ニ立至ッテ居ルノデ
アリマス、帝國ハ此鐵道ヲ支那へ還シタル
趣旨ハ、平和ヲ第一ト致シマシテ、而シテ
此鐵道ヲ平和的ニ使用セントスルノニ在ッ
タノデアリマス、然ルニ督辦ハ暴力ニ依ッテ
之ヲ引揚ゲテ軍用ニ使用シテ居ルノヲ、政
府ハ默ッテ見テ居ルト云フコトニナレバ、是
ハ第一山東條約ノ趣旨ニ反スルノデアリマ
ス山東條約ノ趣旨ニ反シテ居ルノヲ目前
ニ見テ、政府ガ是ガ適當ノ施設ヲセヌト云
フコトハ實ニ私ハ政府ノ怠慢デアルト思
フノデアリマス(拍手)今議會ニ於テ吾々ハ
欣快トスル所ノ一ハ對支問題ガ非常ニ高
調サレタコトデアリマス、併ナガラ其對支
問題ハ悉ク全部ガ滿蒙ニ限ラレテ居ル、郭
松齡ノ戰爭ヲ中心ト致シマシテ、議會ニ於
テ質問應答サレマシタ其問題ハ、悉ク是ハ
滿家ニ限ラレテ居ルノデアリマス、而シテ
日本ト支那トノ貿易ノ關係、其他重要ナル
關係ヲ持ノテ居ル所ノ長江沿岸、或ハ山東鐵
道ノ沿線ト云フモノハ、一顧ダモサレテ居
ラナイト云フコトハ、私ハ實ニ遺憾ニ堪へ
ナイノデアリマス(拍手)斯ウ云フ意味合ニ
於キマシテ、政府ニ適當ナ處置ヲ求メタノ
デアリマシテ、去ル二月十四日ノ豫算總會
ニ於テ、此點ヲ外務大臣ニ質問致シマシタ
所.外務大臣ハ只今支那カラ電報ガ參ッテ
居ル、支那ノ領事カラモ電報カ參ッテ居ル
ガ、支那ノ督辦ハ約三百輛ノ貨車ヲ還スコ
トニ相成シテ居ル、斯ウ云フ御答辯ガアッタ
ノデアリマス、仍テ私ハ直ニ山束ニ打電ヲ
致シマシテ、其答辯ヲ求メタル所、斯ウ云
フ電報ガ來タ、二月二十日付デアリマス「電
見タ、貴電ノ件ハ督辦ノ聲明ノミ、絕エテ實
行ナシ、本月初メ本線ニ依ル貨車ヲ更ニ津
浦線ニ廻シ、十七日ノ現在營業貨車數ハ僅
ニ二十餘輛ニ過ギズ、全權ヲ連輸主任ニ委
スコト絕對ニナシ」斯ウ云フ返電ガ參シテ
居ルノデアリマス、サウスルト外務大臣ノ
答辯ト此電報トヲ引合セテ見ルト、全ク事
實齟齬シテ居ル、ソレカラ又驚クベキ事實
ト致シマシテ、只今報告ガ參シテ居リマス
カ、其山東カラ參クタ報告ニ依リマスルト、
勞兵費ト云フモノヲ强要シテ居ル、勞兵費
トハ兵ヲ犒フ所ノ費用デアリマス、是ハ山
東督辦ガ十五噸ノ貨車一輛ニ付テ百元ノ金
ヲ取ルコトニナッテ居ルノデアリマシテ、之
ニ對シテハ日本ノ商業會議所ハ全會一致
ヲ以テ反對シテ居ルニ拘ラズ、督辦ハ此吾
吾ノ使ッテ居ル所ノ貨車十五噸一車ニ對シ
テ百元ノ金ヲ强要シテ居ルト云フコトハ
是ハ明ニ條約違反デアル、斯ウ云フ事實ヲ
目前ニ控ヘテ外務當局ハドウ云フ御處置ヲ
執ラレルノデアルカ、ソレカラ山東鐵道引
渡ノ際ニ於ケル細目條項ニ付テ、明ニ督辦
ガ違反シテ居ルガ、之ヲ如何ニ爲サル御積
リデアリマスカ、今日ノ儘ニ之ヲ放任シテ
置キマスルナラバ、山東沿線約二万ノ同胞ハ
殆ド飢餓ニ瀕スルノデアリマスガ、應急手
段トシテ政府ハ如何ナル事ヲ爲サル積リデ
アルカ、而シテ是ハ條約ノ命ズル所デアリ、
我ガ帝國ノ聲明書ニ明ニ宣言シテ居ル所デ
アリマスカラ、是ハ正當ノ要求デナケレバ
ナラヌ、其正當ノ要求ヲ當局ガセヌト云フ
コトニナルナラバ、是ハ正義ノ前ニ勇氣ガ
無イト言ハナケレバナラナイノデアリマス、
斯ウ云フ意味合ニ於キマシテ、私ハ政府當
局ニ此場合緊急ナル御處置ヲ冀ハナケレバナ
ラナイノデアル、而シテソレハ一日モ忽ニ
スベカラザル狀況デアルト云フ、是ダケノ
事實ヲ申上ゲテ、之ニ對スル政府ノ御處置
ヲ御伺スルノデアリマス(拍手)
〔政府委員男爵矢吹省三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=13
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014・矢吹省三
○政府委員(男爵矢吹省三君) 只今柏田君
ノ御質問ニ對シテ、外務大臣ヨリ御各辯申
上ゲルノガ本來デアラウカト思ヒマスガ、
貴族院ノ本會議ニ出席シテ居ラレマスガ爲
ニ、私ガ代ヲテ御答辯申上ゲマス、只今柏
田君ヨリ御質問ノ要點ハ一々御尤ノ事ト
拜聽致シマシタ、山東鐵道ノ貨車ガ他ノ線
ニ廻ッテ居シテ、非常ニ不足シテ居ルガ爲ニ、
輸送ガ十分ニ出來ナイト云フ現狀ハ、全ク
柏田君ノ仰セノ如クデアリマシテ、政府ニ
於テモ洵ニ困ノタ事柄トシテ大ニ憂慮シテ
居ルノデアリマス、之ニ就キマシテハ從來
カラ、濟南或ハ靑島ニ於ケル我ガ領事ヨリ
嚴重ナ交渉ヲ繰返シテ居ルノデアリマシテ、
或ル時期ニ於キマシテハ貨車ガ又元へ反ッ
テ來タヤウナコトガアルノデアリマスガ、
又軍隊輸送ノ爲ニソレヲ引出サレテ、他ノ
線ニ持ノテ行クト云フヤウナ風ニ、何時モ
不足勝デアルノデアリマス、此事ハ只今仰
セノ如ク、山東ニ關スル條約違反デアルト
云フコトハ勿論デアリマス、當局ト致シマ
シテモ、此點ニ付テ强硬ナル交渉ヲ致シテ居
ルノデアリマス、併ナガラ何分ニモ御承知ノ
ヤウナ支那ノ現狀デアリマシテ、各督軍ガ
爭ッテ居ル、殊ニ山東地方ハ今尙ホ國民軍
ト相爭ウテ居ルト云フヤウナ始末デアリマ
スガ爲ニ、先方カラ申シマスト云フト、緊
急已ムヲ得ナイ狀態デアルト云フヤウナコ
トデ、日本カラ申シマスコトニ付テハ尤
トハ申シナガラ、其實行ガ十分運バレナイ
ノデアリマス、此點ハ洵ニ遺憾千萬ナ事ト
思ッテ居リマス、併ナガラ此儘默視スルコト
ノ出來ナイ事柄デアリマスガ爲ニ、政府ニ
於キマシテハ十分今日マデノ努力ヲ繰返ス
ト共ニ、新ナル何等カノ處置ヲ執ラウカト
實ハ考ヘテ居ルノデアリマス、マダ具體的
ニドウ云フ事ヲ以テ支那ニ交涉スルカト云
フコトヲ、只今申上兼ルノデアリマスケレ
ドモ、柏田君ノ御心配ノ如ク、政府ニ於テ
モ心配致シテ居リマシテ、出來得ルダケ膠
濟鐵道ノ狀態ヲ原狀ニ復シ、十分我ガ帝國
ノ權利ヲ保全シ、而シテ山東鐵道ノ營業ヲ
十分ナラシメルヤウニ努メタイト考ヘテ
居ルノデアリマス、唯、現在ニ於テ遺憾ナ
事ハ全ク柏田君ト御同感デアリマシテ、出
來ルダケノ事ヲ將來ニ於テモ盡ス考デ居リ
マスカラ、之ヲ以テ御諒水願ヒタイト思ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=14
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015・柏田忠一
○柏田忠一君 更ニ此席ヨリ簡單ニ御伺シ
タイト思ヒマス、御許シヲ願ヒマス、今政
務次官ハ明ニ支那ノ當局ハ山東條約ニ違反
シテ居ルト云フコトヲ明言サレタノデアリ
マイ、條約違反ノ行爲ヲ御認メニナッテ居
リナガラ、而シテ之ニ對シテ適當ノ御處置
ヲ執ラナイト云フコトニ相成ルナラバ、私
ハ今後ノ支那ノ交涉ト云フモノハ容易ナ
ラヌ難局ニ立至リハセヌカト思フノデアリ
やっ、此意味ニ於テ何等カノ具體的處置ヲ
執ラウカト云フ御話デアリマシタガ、カト
思フト云フ其具體的ノ御處置ト云フモノハ
何デアリマスカ、ソレヲ御伺致シタイト思
ヒマス、ソレカラ十五噸貨車一輛ニ對シテ
日本人カラ百元宛ヲ沒收シテ居ル、是等ノ
事實ニ對シテハドウ爲サル御積リデアルカ、
是ハ不法ニ金ヲ取ッテ居ルノデ、明ニ條約
違反デアル、之ニ對シテハ御答辯ガナカッ
タノデアリマス、而シテ一月ノ二十八日ニ
山束ノ居留民大會ノ委員ガ、靑島ノ提督館
ニ於キマシテ張督辦ト會見ヲ致シテ、此鐵
道ノ運輸其他ノ事ニ付テ問答ヲシタル際ニ、
督辦ハ斯ウ云フコトヲ言シテ居ル、機關車
ノ運轉ニ關スル全權ハ是ハ張局長竝ニ兒
玉事務所長ガ一任シタト、明ニ明言シテ居
ルノデアリマスガ、日本ノ兒玉事務所長竝
ニ張局長ニ是ダケノ事ヲ一任シタト言明シ、
而シテ條約違反ノ行爲ヲ敢テシテ居ル、是
ダケノ事實ヲ御認メニナッテ居ノテ、外務御
當局ハ何等カノ御處置ヲ執ラウカト思フナ
ント云フ緩慢ナコトデハ私ハ到底山東在
留二万ノ同胞ガ、枕ヲ高ウシテ眠ルコトハ
出來ナイト思ヒマス、之ニ對シテ更ニ的確
ナル御答辯ヲ請フノデアリマス
〔政府委員男爵矢吹省三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=15
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016・矢吹省三
○政府委員(男爵矢吹省三君) 只今御答辯
申上ゲマシタ私ノ言葉ニ對シテ、十分御滿
足ヲ得ナイ言葉遣ヒガアッタヤウニ御聽取
リ遊バサレタ結果、重ネテノ御質問デアリ
マシタガ、何等カノ處置ヲ執ラウカト思ッ
テ居ルト云フコトハ決シテ執ラナイカモ
知レヌト云フ意味ヲ含メテハ無イノデアリ
やく、現在マダ其案ガ確定シテ居リマセヌ
ガ爲ニ、茲デハッキリト申上ゲ兼ルノデア
リマスガ、現狀ノ儘デ居レバ是非執ラナケ
レバナラヌモノト思テ居リマス、而シテ
一貨車ニ付テ百兩デゴザイマシタカ、百弗
デゴザイマシタカ、稅ヲ課シテ居ルト云フ
コトハ、是ハ日本ノ官憲カラ嚴重ニ交涉致
シマシテ、遂ニ其事ヲ實行スルコトハ止メ
夕筈ト私ハ心得テ居リマス、而シテ如何ナ
ル案ヲ取ルカト云フコトハ、實ハ今明言シ
兼ルノデアリマシテ、之ヲ申上ゲレバ或ハ
御滿足ヲ得ルカモ知レヌト存ジマスガ、之
ヲ只今申上兼ルノヲ遣憾ト思ヒマス、而シ
テ條約違反デアルコトヲ認メナガラ、斯ク
シテ居ルコトハ緩慢デハナイカト云フ御叱
責ハ一應御尤ト思ヒマスルガ、實ハ支那
ニ於テ條約違反ノ如キ事柄ハ、柏田君モ御
承知ノ如ク從來多々起タノデアリマシテ、
是ハ單リ日本ニ對シテノミナラズ、各國ニ
對シテ屢〓左樣ナ事ガアルノデゴザイマシ
テ、其都度嚴重ニ、何レモ各國トモ交涉シ
テ居ルニモ拘ラズ、何分ニモ支那ノ現狀斯
ノ如キ始末デアリマスガ爲ニ、其目的ヲ十
分達シ難イノデアリマス、併ナガラ勿論其
權利主張ノ上ニ於テハ、支那ノ現狀ガ斯樣
デアルト云フコトヲ以テ、決シテ忽ニスベ
キデハナイノデアリマシテ、嚴重ノ上ニモ
更ニ嚴重ヲ重ネテ交涉致ス積リデ今日ハ居
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=16
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017・柏田忠一
○柏田忠一君 モウ一言御許シヲ願ヒマ
スー矢吹政務次官カラ御答辯ガアリマシ
タガ、或ハ御言ヒ惡イコトモアルカモ知レ
マセヌシスルノデアリマスカラシテ、此點
ニ關スル私ノ質問ニ對シテハ、改メテ外務
大臣ヨリ書面デモ宜シウゴザイマス、御答
辯ヲ願フト云フコトヲ保留シテ、此質問ヲ
打切リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=17
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018・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 是ヨリ日程ニ入リマ
ス日程第一乃至第七、同種又ハ關聯セル
議案デアリマスカラ、一括議題トスルニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=18
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019・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第一府縣制中改正法律案外
六案ノ第一讀會ヲ開キマス
第府縣制中改正法律案(政府提出)
第一讀會
府縣制中改正法律案
府縣制中左ノ通改正ス
第一條中「郡市」ヲ「市町村」ニ改ム
第三條第二項中「郡」ヲ削リ同條第三項中
「府縣郡市參事會及町村會」ヲ「府縣參事
會及市町村會」ニ改ム
第四條第二項中「郡市ノ區域」ヲ「市ノ區
域又ハ從前郡長若ハ島司ノ管轄シタル區
域」ニ改メ同條第三項及第四項ヲ削ル
第六條府縣內ノ市町村公民ハ府縣會議
員ノ選擧權及被選擧權ヲ有ス
陸海軍軍人ニシテ現役中ノ者(未タ入
營セサル者及歸休下士官兵ヲ除ク)及
戰時若ハ事變ニ際シ召集中ノ者ハ選擧
權及被選擧權ヲ有セス兵籍ニ編入セラ
レタル學生生徒(勅令ヲ以テ定ムル者
ヲ除ク)及志願ニ依リ國民軍ニ編入セ
ラレタル者亦同シ
市町村公民權停止中ノ者ハ選擧權及被
選舉權ヲ有セス
在職ノ檢事、警察官吏及收稅官吏ハ被
選擧權ヲ有セス
選舉事務ニ關係アル官吏及吏員ハ其ノ
關係區域内ニ於テ被選擧權ヲ有セス
府縣ニ對シ請負ヲ爲シ又ハ府縣ニ於テ
費用ヲ負擔スル事業ニ付府縣知事若ハ
其ノ委任ヲ受ケタル者ニ對シ請負ヲ爲
ス者及其ノ支配人又ハ主トシテ同一ノ
行爲ヲ爲ス法人ノ無限責任社員、取締
役監査役若ハ之ニ準スヘキ者、〓算人
及支配人ハ其ノ府縣ニ於テ被選擧權ヲ
有セス
府縣ノ官吏及有給ノ吏員其ノ他ノ職員
ニシテ在職中ノ者ハ其ノ府縣ノ府縣會
議員ト相兼ヌルコトヲ得ス
衆議院議員ハ府縣會議員ト相兼ヌルコ
トヲ得ス
第八條第一項及第二項ヲ左ノ如ク改ム
府縣會議員中闕員ヲ生シタルトキハ三
箇月以内ニ補闕選擧ヲ行フヘシ但シ其
ノ閥員ト爲リタル議員カ第三十一條第
二項、第三項若ハ第六項ノ規定ニ依ル
期限前ニ於テ闕員ト爲リタル者ナル場
合ニ於テ第二十九條第一項但書ノ得票
者ニシテ當選者ト爲ヲササシ者アルト
キ又ハ其ノ期限經過後ニ於テ關員ト爲
リタル者ナル場合ニ於テ第二十九條第
二項ノ規定ノ適用ヲ受ケタル得票者ニ
シテ當選者ト爲ラサリシ者アルトキハ
直ニ選擧會ヲ開キ其ノ者ノ中ニ就キ當
選者ヲ定ムヘシ此ノ場合ニ於テハ第三
十二條第三項ノ規定ヲ準用ス
第三十二條第四項及第五項ノ規定ハ補
闕選舉ニ之ヲ準用ス
第九條府縣會議員ノ選舉ハ其ノ府縣内
ニ於ケル市町村會議員選舉人名簿ニ依
リ之ヲ行フ
町村制第三十八條ノ町村ニ於テハ同法
第十八條乃至第十八條ノ五ノ規定ニ準
シ選擧人名簿ヲ調製スヘシ
前項ノ選舉人名簿ハ之ヲ町村會議員選
擧人名簿ト看做シ第一項ノ規定ヲ適用
ス
第十條削除
第十一條削除
第十二條削除
第十三條第一項中「選擧ノ日ヨリ少クト
モ二十日前」ヲ「選舉ノ期日前二十日目マ
テ」ニ、同條第二項中「少クトモ七日前」
ヲ「投票ノ期日前七日目マテ」ニ改ム
第十三條ノ二議員候補者タラムトスル
者ハ選舉ノ期日ノ告示アリタル曰ヨリ
選擧ノ期日前七日目マテニ其ノ旨ヲ選
擧長ニ屆出ツヘシ
選擧人名簿ニ登錄セラレタル者他人ヲ
議員候補者ト爲サムトスルトキハ前項
ノ期間內ニ其ノ推薦ノ屆出ヲ爲スコト
ヲ得
前二項ノ期間內ニ屆出アリタル議員候
補者其ノ選擧ニ於ケル議員ノ定數ヲ超
ユル場合ニ於テ其ノ期間ヲ經過シタル
後議員候補者死亡シ又ハ議員候補者夕
ルコトヲ辭シタルトキハ前二項ノ例ニ
依リ選擧ノ期日ノ前日マテ議員候補者
ノ屆出又ハ推薦屆出ヲ爲スコトヲ得
議員候補者ハ選擧長ニ屆出ヲ爲スニ非
サレハ議員候補者タルコトヲ辭スルコ
トヲ得ス
前四項ノ屆出アリタルトキ又ハ議員候
補者ノ死亡シタルコトヲ知リタルトキ
ハ選擧長ハ直ニ其ノ旨ヲ告示スヘシ
第十三條ノ三議員候補者ノ屆出又ハ推
薦屆出ヲ爲サムトスル者ハ議員候補者
一人ニ付二百圓又ハ之ニ相當スル額面
ノ國債證書ヲ供託スルコトヲ要ス
議員候補者ノ得票數其ノ選擧區ノ配當
議員數ヲ以テ有效投票ノ總數ヲ除シテ
得タル數ノ十分ノ一ニ達セサルトキハ
前項ノ供託物ハ府縣ニ歸屬ス
議員候補者選舉ノ期日前十日以內ニ議
員候補者タルコトヲ辭シタルトキハ前
項ノ規定ヲ準用ス但シ被選擧權ヲ有セ
サルニ至リタル爲議員候補者タルコト
ヲ辭シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第十四條市町村長ハ投票管理者ト爲リ
投票ニ關スル事務ヲ擔任ス
第十五條投票區ハ市町村ノ區域ニ依ル
投票所ハ市役所、町村役場又ハ投票
管理者ノ指定シタル場所ニ之ヲ設ク
投票管理者ハ選擧ノ期日前五日目マテ
ニ投票所ヲ告示スヘシ
府縣知事特別ノ事情アリト認ムルトキ
ハ市町村ノ區域ヲ分チテ數投票區ヲ設
ケ又ハ數町村ノ區域ヲ合セテ一投票區
ヲ設クルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ投票區ヲ設クル場合
ニ於テ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ
定ム
第十六條議員候補者ハ各投票區ニ於ケ
ル選擧人名簿ニ登錄セラレタル者ノ中
ヨリ本人ノ永諾ヲ得テ投票立會人一人
ヲ定メ選擧ノ期日ノ前日マテニ投票管
理者ニ届出ツルコトヲ得但シ議員候補
者死亡シ又ハ議員候補者タルコトヲ辭
シタルトキハ其ノ屆出テタル投票立會
人ハ其ノ職ヲ失フ
前項ノ規定ニ依ル投票立會人三人ニ達
セサルトキ若ハ三名ニ達セサルニ至リ
タルトキ又ハ投票立會人ニ參會スル者
投票所ヲ開クヘキ時刻ニ至リ三人ニ逹
セサルトキ若ハ其ノ後三人ニ達セサル
ニ至リタルトキハ投票管理者ハ其ノ投
票區ニ於ケル選擧人名簿ニ登錄セラレ
タル者ノ中ヨリ三人ニ達スルマテノ投
票立會人ヲ選任シ直ニ之ヲ本人ニ通知
シ投票ニ立會ハシムヘシ
投票立會人ハ名譽職トス
投票立會人ハ正當ノ事故ナクシテ其ノ
職ヲ辭スルコトヲ得ス
第十八條中「被選擧人」ヲ「議員候補者」ニ
改メ同條第六項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
投票ニ關スル記載ニ付テハ勅令ヲ以テ
定ムル點字ハ之ヲ文字ト看做ス
第十八條ノ二確定名簿ニ登錄セラレサ
ル者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ス但シ選擧
人名簿ニ登錄セラルヘキ確定裁決書又
ハ判決書ヲ所持シ選擧ノ當日投票所ニ
到ル者ハ此ノ限ニ在ラス
確定名簿ニ登錄セラレタル者選擧人名
簿ニ登錄セラルルコトヲ得サル者ナル
トキハ投票ヲ爲スコトヲ得ス選擧ノ當
日選擧權ヲ有セサル者ナルトキ亦同
同府縣內ニ於ケル二以上ノ市町村ニ於
テ公民權ヲ有スル者ハ住所地市町村ニ
於テノミ投票ヲ爲スコトヲ得
第十九條投票ノ拒否ハ投票立會人ノ意
見ヲ聽キ投票管理者之ヲ決定スヘシ
前項ノ決定ヲ受ケタル選擧人不服アル
トキハ投票管理者ハ假ニ投票ヲ爲サシ
ムヘシ
前項ノ投票ハ選舉人ヲシテ之ヲ封筒ニ
入レ封緘シ表面ニ自ラ其氏名ヲ記載シ
投函セシムヘシ
投票立會人ニ於テ異議アル選擧人ニ對
シテモ亦前二項ニ同シ
第二十條投票管理者ハ投票錄ヲ作リ投
票ニ關スル〓末ヲ記載シ二人以上ノ投
票立會人ト共ニ之ニ署名スヘシ
第二十一條投票管理者ハ其ノ指定シタ
ル投票立會人ト共ニ町村ノ投票區ニ於
テハ投票ノ翌日マテニ、市ノ投票區ニ
於テハ投票ノ當日投西示函、投票錄及選
擧人名簿ヲ選擧長ニ送致スヘシ
第二十二條中「投票函」ヲ「投票函、投票
錄及選舉人名薄」ニ改ム
第二十三條選擧長ハ市長又ハ府縣知事
ノ指定シタル官吏ヲ以テ之ニ充ツ
選擧長ハ選舉會ニ關スル事務ヲ擔任ス
選擧會ハ市役所又ハ選擧長ノ指定シタ
ル場所ニ之ヲ開ク
選擧長ハ豫メ選舉會ノ場所及日時ヲ告
示スヘシ
第二十三條ノ二府縣知事特別ノ事情ア
リト認ムルトキハ區劃ヲ定メテ開票區
ヲ設クルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ開票區ヲ設クル場合
ニ於テ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ
定ム
第二十四條第十六條ノ規定ハ選擧立會
人ニ之ヲ準用ス
第二十五條選擧長ハ總テノ投票函ノ送
致ヲ受ケタル日ノ翌日選舉會ヲ開キ選
擧立會人立會ノ上投西示函ヲ開キ投票ノ
總數ト投票人ノ總數トヲ計算スヘシ但
シ場合ニ依リ投票函ノ送致ヲ受ケタル
日選擧會ヲ開クコトヲ得
前項ノ計算終リタルトキハ選擧長ハ先
ツ第十九條第二項及第四項ノ投票ヲ調
査シ選擧立會人ノ意見ヲ聽キ其ノ受埋
如何ヲ決定スヘシ
選擧長ハ選舉立會人ト共ニ投票區每ニ
投票ヲ點檢スヘシ
天災事變等ノ爲選擧會ヲ開クコトヲ得
サルトキハ選擧長ハ更ニ其ノ期日ヲ定
ムヘシ
第二十六條ノ二選擧會場ノ取締ニ付テ
ハ第十七條第一項及第二項ノ規定ヲ準
用ス
第二十七條左ノ投票ハ之ヲ無效トス
成規ノ用紙ヲ用ヰサルモノ
二議員候補者ニ非サル者ノ氏名ヲ記
載シタルモノ
三一投票中二人以上ノ議員候補者ノ
氏名ヲ記載シタルモノ
四被選擧權ナキ議員候補者ノ氏名ヲ
記載シタルモノ
五議員候補者ノ氏名ノ外他事ヲ記載
シタルモノ但シ爵位、職業、身分、
住所又ハ敬稱ノ類ヲ記入シタルモノ
ハ此ノ限ニ在ラス
六議員候補者ノ氏名ヲ自書セサルモ
七議員候補者ノ何人ヲ記載シタルカ
ヲ確認シ難キモノ
八府縣會議員ノ職ニ在ル者ノ氏名ヲ
記載シタルモノ
前項第八號ノ規定ハ第八條、第三十二條
又ハ第三十六條ノ規定ニ依ル選舉ノ場
合ニ限リ之ヲ適用ス
第二十八條投票ノ效力ハ選擧立會人ノ
意見ヲ聽キ選擧長之ヲ決定スヘシ
第二十九條第一項但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ其ノ選舉區ノ配當議員數ヲ以テ有
效投票ノ總數ヲ除シテ得タル數ノ五分
ノ一以上ノ得票アルコトヲ要ス
第二十九條ノ二當選者選擧ノ期日後ニ
於テ被選擧權ヲ有セサルニ至リタルト
キハ當選ヲ失フ此ノ場合ニ於テハ第三
十七條第二項ノ規定ヲ準用ス
第二十九條ノ三第十三條ノ二第一項乃
至第三項ノ規定ニ依ル屆出アリタル議
員候補者其ノ選擧ニ於ケル議員ノ定數
ヲ超エサルトキハ其ノ選舉區ニ於テハ
投票ヲ行ハス
前項ノ規定ニ依リ投票ヲ行フコトヲ要
セサルトキハ選擧長ハ直ニ其ノ旨ヲ投
票管理者ニ通知シ併セテ之ヲ告示シ且
府縣知事ニ報告スヘシ
投票管理者前項ノ通知ヲ受ケタルトキ
ハ直ニ其ノ旨ヲ告示スヘシ
第一項ノ場合ニ於テハ選擧長ハ選擧ノ
期日ヨリ五日以内ニ選擧會ヲ開キ議員
候補者ヲ以テ當選者ト定ムヘシ
前項ノ場合ニ於テ議員候補者ノ被選擧
權ノ有無ハ選擧立會人ノ意見ヲ聽キ選
舉長之ヲ決定スヘシ
第三十條選擧長ハ選擧錄ヲ作リ選擧會
ニ關スル〓末ヲ記載シ之ヲ朗讀シ二人
以上ノ選擧立會人ト共ニ之ニ署名スヘ
シ
選擧錄、投票錄、投票其ノ他ノ關係書
類ハ選擧長(府縣知事ノ指定シタル官吏
選擧長タル場合ニ於テハ府縣知事)ニ
於テ、府縣會議員選舉ニ用ヰタル選擧
人名簿ハ市町村長ニ於テ議員ノ任期間
之ヲ保存スヘシ
第三十一條第一項ヲ左ノ如ク改ム
當選者定マリタルトキハ選擧長ハ直ニ
當選者ニ當選ノ旨ヲ告知シ同時ニ當選
者ノ住所氏名ヲ告示シ且選擧錄及投票
錄ノ寫ヲ添へ之ヲ府縣知事ニ報告スヘ
シ當選者ナキトキハ直ニ其ノ旨ヲ告示
シ且選擧錄及投票錄ノ寫ヲ添へ之ヲ府
縣知事ニ報告スヘシ
同條第四項ノ次ニ左ノ一項ヲ加へ第五項
中「第六條第九項」ヲ「前項」ニ改ム
第六條第七項ニ揭クル在職ノ官吏以外
ノ官吏ニシテ當選シタル者ハ所屬長官
ノ許可ヲ受クルニ非サレハ之ニ應スル
コトヲ得ス
第三十一條ノ二選擧長ハ前條第一項ノ
報告ヲ爲シタルトキハ直ニ選擧人名簿
ヲ町村長ニ返付スヘシ
第三十二條當選者左ニ揭クル事由ノ一
ニ該當スルトキハ三箇月以內ニ更ニ選
舉ヲ行フヘシ但シ第二項ノ規定ニ依リ
更ニ選擧ヲ行フコトナクシテ當選者ヲ
定メ得ル場合ハ此ノ限ニ在ラス
-當選ヲ辭シタルトキ
二數選舉區ニ於テ選舉ニ當リタル場
合ニ於テ前條第三項ノ規定ニ依リ一
ノ選擧區ノ選舉ニ應シタル爲他ノ選
擧區ニ於テ當選者タラサルニ至リタ
ルトキ
三第二十九條ノ二ノ規定ニ依リ當選
ヲ失ヒタルトキ
四死亡者ナルトキ
五選擧ニ關スル犯罪ニ依リ刑ニ處セ
ラレ當選無效ト爲リタルトキ但シ同
一人ニ關シ前各號ノ事由ニ依ル選舉
又ハ補關選擧ノ告示ヲ爲シタル場合
ハ此ノ限ニ在ラス
六第三十四條ノ二ノ規定ニ依ル訴訟
ノ結果當選無效ト爲リタルトキ
前項ノ事由第三十一條第二項、第三項
若ハ第六項ノ規定ニ依ル期限前ニ生シ
タル場合ニ於テ第二十九條第一項但書ノ
得票者ニシテ當選者ト爲ラサリシ者ア
ルトキ又ハ其ノ期限經過後ニ生シタル
場合ニ於テ第二十九條第二項ノ規定ノ
適用ヲ受ケタル得票者ニシテ當選者ト
爲ラサリシ者アルトキハ直ニ選擧會ヲ
開キ其ノ者ノ中ニ就キ當選者ヲ定ムヘ
シ
前項ノ場合ニ於テ第二十九條第一項但
書ノ得票者ニシテ當選者ト爲ラサリシ
者選擧ノ期日後ニ於テ被選擧權ヲ有セ
サルニ至リタルトキハ之ヲ當選者ト定
ムルコトヲ得ス此ノ場合ニ於テハ第三
十七條第二項ノ規定ヲ準用ス
第一項ノ期間ハ第三十四條第七項ノ規
定ノ適用アル場合ニ於テハ選擧ヲ行フ
コトヲ得サル事由已ミタル日ノ翌日ヨ
リ之ヲ起算ス
第一項ノ事由議員ノ任期滿了前六箇月
以内ニ生シタルトキハ第一項ノ選擧ハ
之ヲ行ハス但シ議員ノ數其ノ定員ノ三
分ノ二ニ滿チサルニ至リタルトキハ此
ノ限ニ在ラス
第三十三條ニ左ノ一項ヲ加フ
當選者ナキニ至リタルトキ又ハ當選者
ノ選舉ニ於ケル議員ノ定數ニ達セサル
ニ至リタルトキハ府縣知事ハ直ニ其ノ
旨ヲ告示スヘシ
第三十四條第一項中「選擧人選舉若ハ當
選」ヲ「選擧人又ハ議員候補者選擧又ハ
當選」ニ、「前條告示ノ日」「第三十一條
第一項又ハ前條第二項ノ告示ノ日」ニ、
同條第二項及第三項ヲ左ノ如ク、第六
項中「郡市長」ヲ「又ハ選擧長」ニ、同
條第七項中「第三十六條第二項」ヲ「第
三十六條第一項若ハ第三項」ニ改ム
前項ノ異議申立アリタルトキハ府縣知
事ハ七日以內ニ之ヲ府縣參事會ノ決定
ニ付スヘシ
府縣知事選舉又ハ當選ノ效力ニ關シ異
議アルトキハ第一項申立ノ有無ニ拘ラ
ス第三十一條第一項ノ報告ヲ受ケタル
日ヨリ三十日以内ニ府縣參事會ノ決定
ニ付スルコトヲ得
第三十四條ノ二衆議院議員選舉法第百
十條ノ規定ノ準用ニ依リ當選ヲ無效ナ
リト認ムルトキハ選舉人又ハ議員候補
者ハ當選者ヲ被告トシ第三十一條第一
項告〓ノ日ヨリ三十日以内ニ控訴院ニ
出訴スルコトヲ得
衆議院議員選擧法第百三十六條ノ規定
ノ準用ニ依リ選擧事務長カ同法第百十
二條又ハ第百十三條ノ規定ノ準用ニ依
ル罪ヲ犯シ刑ニ處セラレタルニ因リ當
選ヲ無效ナリト認ムルトキハ選擧人又
ハ議員候補者ハ當選者ヲ被告トシ其ノ
裁判確定ノ日ヨリ三十日以內ニ控訴院
ニ出訴スルコトヲ得
前二項控訴院ノ判決ニ不服アル者ハ大
審院ニ上告スルコトヲ得
衆議院議員選擧法第八十五條、第八十
七條及第百四十一條ノ規定ハ前三項ノ
規定ニ依ル訴訟ニ之ヲ準用ス
第三十五條第一項ニ左ノ但書ヲ加へ第二
項ヲ削ル
但シ當選ニ異動ヲ生スルノ虞ナキ者ヲ
區分シ得ルトキハ其ノ者ニ限リ當選ヲ
失フコトナシ
第三十六條選擧無效ト確定シタルトキ
ハ三箇月以内ニ更ニ選舉ヲ行フヘシ
當選無效ト確定シタルトキハ直ニ選擧
會ヲ開キ更ニ當選者ヲ定ムヘシ此ノ場
合ニ於テハ第三十二條第三項ノ規定ヲ
準用ス
當選者ナキトキ、當選者ナキニ至リタ
ルトキ又ハ當選者其ノ選擧ニ於ケル議
員ノ定數ニ達セサルトキ若ハ定數ニ達
セサルニ至リタルトキハ三箇月以內ニ
更ニ選舉ヲ行フヘシ
第三十二條第四項及第五項ノ規定ハ第
一項及前項ノ選擧ニ之ヲ準用ス
第三十七條第一項中左ノ如ク改ム
二破產者ト爲リタルトキ
同條同項ノ次ニ左ノ一項ヲ、第三項中「通
知ヲ受ケタルトキハ」ノ下ニ「七日以內
ニ」ヲ加フ
府縣會議員ハ住所ヲ移シタル爲被選舉
權ヲ失フコトアルモ其ノ住所同府縣內
ニ在ルトキハ之カ爲其ノ職ヲ失フコト
ナシ但シ同府縣内ニ於テ住所ヲ移シタ
ル後被選舉權ヲ失フヘキ其ノ他ノ事由
ニ該當スルニ至リタルトキハ此ノ限ニ
在ラス
第三十九條府縣會議員ノ選舉ニ付テハ
衆議院議員選舉法第十章及第十一章竝
第百四十條第二項及第百四十二條ノ規
定ヲ準用ス但シ議員候補者一人ニ付定
ムヘキ選擧事務所ノ數、選擧委員及選
舉事務員ノ數竝選舉運動ノ費用ノ額ニ關
シテハ勅令ノ定ムル所ニ依ル
第五十一條第二項中「開會ノ日ヨリ少ク
トモ十四日前」ヲ「開會ノ日前十四日目マ
テ」ニ改ム
第五十三條ニ左ノ一項ヲ加フ
議長ハ其ノ職務ヲ行フ場合ニ於テモ之
カ爲議員トシテ議決ニ加ハルノ權ヲ失
ハス
第六十四條第二項ヲ削ル
第六十六條第五項中「毎年」ヲ「隔年」ニ、
同條第六項中「後任者就任ノ前日マテ」ヲ
後任者ノ就任スルニ至ルマテ」ニ改メ同
條ニ左ノ一項ヲ加フ
名譽職參事會員ハ其ノ選舉ニ關スル第
八十二條第一項ノ處分確定シ又ハ判決
アルマテハ會議ニ參與スルノ權ヲ失ハ
ス
第六十八條中左ノ如ク改ム
削除
第七十三條第三項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ」
議長ハ其ノ職務ヲ行フ場合ニ於テモ之
カ爲參事會員トシテ議決ニ加ハルノ權
ヲ失ハス
第七十九條削除
第八十條第一項中「郡島ノ官吏吏員又ハ」
ヲ削ル
第九十六條第二項中「前項ノ異議ハ」ヲ
「前項ノ異議ノ申立アリタルトキハ府縣
知事ハ七日以內ニ」ニ改ム
第百條第一項中「其ノ細則ニハ過料五圓
以下ノ罰則ヲ設クルコトヲ得」ヲ及同條
第二項ヲ削ル
第百十條左ノ一項ヲ加フ
府縣ハ公益上其ノ他ノ事由ニ因リ課稅
ヲ不適當トスル場合ニ於テハ命令ノ定
ムル所ニ依リ府縣稅ヲ課セサルコトヲ
得
第百十一條府縣ノ一部ニ對シ特ニ利益
アル事件ニ關シテハ府縣ハ不均一ノ賦
課ヲ爲シ又ハ府縣ノ一部ニ對シ賦課ヲ
爲スコトヲ得
第百十四條詐僞其ノ他ノ不正ノ行爲ニ
依リ使用料ノ徴收ヲ免レ又ハ府縣稅ヲ
通脫シタル者ニ付テハ府縣知事ハ府縣
會ノ議決ヲ經テ其ノ徵收ヲ免レ又ハ通
脫シタル金額ノ三倍ニ相當スル金額
(其ノ金額五圓未滿ナルトキハ五圓)以
下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クルコトヲ得
前項ニ定ムルモノヲ除ク外使用料、手
數料及府縣稅ノ賦課徵收ニ關シテハ府
縣知事ハ府縣會ノ議決ヲ經テ五圓以下
ノ過科ヲ科スル規定ヲ設クルコトヲ得
財產又ハ營造物ノ使用ニ關シ亦同シ
過料ヲ科シ及之ヲ徵收スルハ府縣知事
之ヲ掌ル其ノ處分ニ不服アル者ハ行政
裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百十五條第三項中「前二項ノ異議ハ」
ヲ「前二項ノ異議ノ申立アリタルトキハ
府縣知事ハ七日以內ニ」ニ、同條第五項
中「郡島ノ官吏吏員」ヲ、「、其ノ委任ヲ受
ケタル官吏吏員又ハ」ニ改ム
第百二十四條第二項及第三項ヲ削ル
第百二十六條ノ四中「其ノ財產處分ニ付
亦同シ」ヲ「關係府縣ノ協議ニ依リ之ヲ定
ム」ニ改ム
第百二十八條ノ二異議ノ決定ハ本法中
別ニ期間ヲ定メタルモノヲ除ク外其ノ
決定ニ付セラレタル日ヨリ三箇月以内
ニ之ヲ爲スヘシ
府縣參事會訴願ヲ受理シタルトキハ其
ノ日ヨリ三箇月以内ニ之ヲ栽決スヘシ
第百三十三條中左ノ如ク改ム
-削除
四第百十一條ノ規定ニ依リ不均一ノ
賦課ヲ爲シ又ハ府縣ノ一部ニ對シ賦
課ヲ爲スコト
第百三十九條第一項ヲ削ル
第百四十二條本法中官吏ニ關スル規定
ハ待遇官吏ニ之ヲ適用ス
第百四十三條第四條第二項但書ノ市ニ
於テハ第二章第一款中市ニ關スル規定
ハ區ニ、市長ニ關スル規定ハ區長ニ、市
役所ニ關スル規定ハ區役所ニ之ヲ適用
ス
第百四十四條町村組合ニシテ町村ノ事
務ノ全部又ハ役場事務ヲ共同處理スル
モノハ本法ノ適用ニ付テハ之ヲ一町
村其ノ組合管理者ハ之ヲ町村長、其
ノ組合吏員ハ之ヲ町村吏員、其ノ組合
役場ハ之ヲ町村役場ト看做ス
第百四十五條從前郡長又ハ島司ノ管轄
シタル區域内ニ於テ市ノ設置アルタルト
キ又ハ其ノ區域ノ境界ニ涉リテ市町村
ノ境界ノ變更アリタルトキハ其ノ區域モ
亦自ラ變更シタルモノト看做ス
從前郡長又ハ島司ノ管轄シタル區域ノ境
界ニ渉リテ町村ノ設置アタリル場合ニ於
テ本法ノ適用ニ付其ノ町村ノ屬スヘキ區
域ハ內務大臣之ヲ定ム
附則
本法中議員選擧ニ關スル規定ハ次ノ總選
舉ヨリ之ヲ施行シ其ノ他ノ規定ノ施行ノ
期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
次ノ總選擧ニ至ルマデノ間從前ノ第九
條第十二條、第十四條、第二十一條、第
二十三條乃至第二十五條、第三十條及三
十四條ノ規定ニ依リ難キ事項ニ付テハ勅
令ヲ以テ特別ノ規定ヲ設クルコトヲ得
大正十五年市制中改正法律又ハ町村制中
改正法律中公民權ニ關スル規定ハ之ヲ施
行セサル市町村ニ於テハ府縣制中市町村
公民ニ關スル規定ノ適用ニ付之ヲ施行シ
タルモノト看做ス此ノ場合ニ於テ議員ノ
選擧ニ必要ナル選舉人名簿ニ關シテハ命
令ヲ以テ特別ノ規定ヲ設クルコトヲ得
大正十五年市制中改正法律又ハ町村制中
改正法律中公民權ニ關スル規定ハ之ヲ施
行シタル市町村ニ於テハ府縣制中市町村
公民ニ關スル規定ノ適用ニ付次ノ總選擧
ニ至ルマテノ間未タ之ヲ施行セサルモノ
ト看做ス
本法施行ノ際大正十四年法律第四十七號
衆議院議員選擧法未タ施行セラレサル場
合ニ於テハ本法ノ適用ニ付テハ同法ハ旣
ニ施行セラレタルモノト看做ス
本法施行ノ際必要ナル規定ハ命令ヲ以テ
之ヲ定ム
第二市制中改正法律案(政府提出〕
第一讀會
市制中改正法律案
市制中左ノ通改正ス
第三條第二項中「內務大臣ノ許可ヲ得」ヲ
削ル
第四條第二項中「前項ノ例」ヲ「前修第二
項ノ例」ニ改ム
第七條第二項及第三項ヲ削ル
第九條帝國臣民タル年齡二十五年以上
ノ男子ニシテ二年以來市住民タル者ハ其
ノ市公民トス但シ左ノ各號ノ一ニ該當
スル者ハ此ノ限ニ在ラス
-禁治產者及牟禁治產者
二破產者ニシテ復權ヲ得サル者
三貧困ニ因リ生活ノ爲公私ノ救助ヲ
受ケ又ハ扶助ヲ受クル者
四一定ノ住居ヲ有セサル者
五六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處
セラレタル者
六刑法第二編第一章、第三章、第九
章、第十六章乃至第二十一章、第二
十五章又ハ第三十六章乃至第三十九
章ニ揭クル罪ヲ犯シ六年未滿ノ懲役
ノ刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ
執行ヲ受クルコトナキニ至リタル後
其ノ刑期ノ二倍ニ相當スル期間ヲ經
過スルニ至ル迄ノ者但シ其ノ期間五
年ヨリ短キトキハ五年トス
七六年未滿ノ禁錮ノ刑ニ處セラレ又
ハ前號ニ掲クル罪以外ノ罪ヲ犯シ六
年未滿ノ懲役ノ刑ニ處セラレ其ノ執
行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキ
ニ至ル迄ノ者
市ハ前項二年ノ制限ヲ特免マルコトヲ得
第一項二年ノ期間ハ市町村ノ廢置分合
又ハ境界變更ノ爲中斷セラルルコトナ
シ
第十條第二項中「市ハ一年以上四年以下
其ノ市公民權ヲ停止シ場合ニ依リ其ノ停
止期間以內其ノ者ノ負擔スヘキ市稅ノ十
分ノ一以上四分ノ一以下ヲ增課スルコト
ヲ得」ヲ「市ハ一年以上四年以下其ノ市
公民權ヲ停止スルコトヲ得」ニ改ム
第十一條陸海軍軍人ニシテ現役中ノ者
(未タ入營セサル者及歸休下士官兵ヲ
除ク)及戰時若ハ事變ニ際シ召集中ノ
者ハ市ノ公務ニ參與スルコトヲ得ス兵
籍ニ編人セラレタル學生生徒(勅令ヲ
以テ定ムル者ヲ除ク)及志願ニ依リ國
民軍ニ編入セラレタル者亦同シ
第十四條中「第十一條第三項ノ場合ニ當
ル者」ヲ「第十一條ノ規定ニ該當スル者」
ニ改ム
第十五條削除
第十六條第一項中「二級選擧ノ爲ノミニ
付亦同シ」及同條第五項ヲ削ル
第十七條特別ノ事情アルトキハ市ハ區
劃ヲ定メテ投票分會ヲ設クルコトヲ得
第十八條選擧權ヲ有スル市公民ハ被選
舉權ヲ有ス
在職ノ檢事、警察官吏及收稅官吏ハ被
選擧權ヲ有セス
選擧事務ニ關係アル官吏及市ノ有給吏
員ハ其ノ關係區域内ニ於テ被選擧權ヲ
有セス
市ニ對シ請負ヲ爲シ又ハ市ニ於テ費用
ヲ負擔スル事業ニ付市長若ハ其ノ委任
ヲ受ケタル者ニ對シ請負ヲ爲ス者及其
ノ支配人又ハ主トシテ同一ノ行爲ヲ爲
ス法人ノ無限責任社員、取締役監査役
若ハ之ニ準スヘキ者、〓算人及支配人
八其ノ市ニ於テ被選擧權ヲ有セス
市ノ有給ノ吏員〓員其ノ他ノ職員ニシ
テ在職中ノ者ハ其ノ市ノ市會議員ト相
兼ヌルコトヲ得ス
第十九條第二項中「總選擧ノ第一日」ヲ
「總選擧ノ日」ニ、同條第三項ヲ左ノ如ク
改ム
議員ノ定數ニ異動ヲ生シタル爲解任ヲ
要スル者アルトキハ市長抽籤シテ之ヲ
定ム但シ關員アルトキハ其ノ關員ヲ以
テ之ニ充ツヘシ
前項但書ノ場合ニ於テ關員ノ數解任ヲ
要スル者ノ數ニ滿チサルトキハ其ノ不
足ノ員數ニ付市長抽籤シテ解任スヘキ
者ヲ定メ關員ノ數解任ヲ要スル者ノ數
ヲ超ユルトキハ解任ヲ要スル者ニ充ツ
ヘキ闘員ハ最モ先ニ關員ト爲リタル者
ヨリ順次之ニ充テ關員ト爲リタル時同
シキトキハ市長抽籤シテ之ヲ定ム
議員ノ定數ニ異動ヲ生シタル爲解任ヲ
要スル者アル場合ニ於テ選擧區アルト
キハ第十六條ノ市條同中ニ其ノ解任ヲ
要スル者ノ選擧區ヲ規定シ市長抽籤シ
テ之ヲ定ム但シ解任ヲ要スル者ノ選擧
區ニ關員アリタルトキハ其ノ關員ヲ以
テ之ニ充ツヘシ此ノ場合ニ於テハ前項
ノ例ニ依ル
第二十條市會議員中關員ヲ生シタルト
キハ三月以内ニ補關選舉ヲ行フヘシ但
シ第三十條第二項ノ規定ノ適用ヲ受ケ
タル得票者ニシテ當選者ト爲ラサリシ
者アルトキハ直ニ選舉會ヲ開キ其ノ者
ノ中ニ就キ當選者ヲ定ムヘシ此ノ場合
ニ於テハ第三十三條第三項及第四項ノ
規定ヲ準用ス
第三十三條第五項及第六項ノ規定ハ補
關選舉ニ之ヲ準用ス
補闕議員ハ其ノ前任者ノ殘任期間在任
ス
選擧區アル場合ニ於テハ補闕議員ハ前
任者ノ選擧セラレタル選擧區ニ於テ之
ヲ選擧スヘシ
第二十一條市長ハ每年九月十五日ノ現
在ニ依リ選舉人名薄ヲ調製スヘシ但シ
選擧區アルトキハ選擧區每ニ之ヲ調製
スヘシ
第六條ノ市ニ於テハ市長ハ區長ヲシテ
前項ノ例ニ依リ選擧人名薄ヲ調製セシ
ムヘシ
選擧人名薄ニハ選舉人ノ氏名、住所及
生年月日等ヲ記載スヘシ
第二十一條ノ二市長ハ十一月五日ヨ
リ十五日間市役所(第六條ノ市ニ於テ
ハ區役所)又ハ其ノ指定シタル場所ニ
於テ選舉人名薄ヲ關係者ノ縱覽ニ供ス
ヘシ
市長ハ縱覽開始ノ日前三日目迄ニ縱覽
ノ場所ヲ告示スヘシ
第二十一條ノ三選舉人名簿ニ關シ關係
者ニ於テ異議アルトキハ縱覽期間內ニ
之ヲ市長(第六條ノ市ニ於テハ區長ヲ
經テ)ニ申立ツルコトヲ得此ノ場合ニ
於テハ市長ハ縱覽期間滿了後三日以内
ニ之ヲ市會ノ決定ニ付スヘシ市會ハ其
ノ送付ヲ受ケタル日ヨリ十日以内ニ之
ヲ決定スヘシ
前項ノ決定ニ不服アル者ハ府縣參事會
ニ訴願シ其ノ栽決又ハ第三項ノ栽決ニ
不服アル者ハ行政栽判所ニ出訴スルコ
トヲ得
第一項ノ決定及前項ノ裁決ニ付テハ市
長ヨリモ訴願又ハ訴訟ヲ提起スルコト
ヲ得
前二項ノ栽決ニ付テハ府縣知事ヨリモ
訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第二十一條ノ四選擧人名簿ハ十二月二
十五日ヲ以テ確定ス
選擧人名簿ハ次年ノ十二月二十四日迄
之ヲ据置クヘシ
前條ノ場合ニ於テ決定若ハ裁決確定シ
又ハ判決アリタルニ依リ名簿ノ修正ヲ
要スルトキハ市長ハ直ニ之ヲ修正シ第
六條ノ市ニ於テハ區長ヲシテ之ヲ修正
セシムヘシ
選舉人名簿ヲ修正シタルトキハ市長ハ
直ニ其ノ要領ヲ告示シ第六條ノ市ニ於
テハ區長ヲシテ之ヲ告用セシムヘシ
投票分會ヲ設クルトキハ市長ハ確定名
薄ニ依リ分會ノ區劃每ニ名薄ノ抄本ヲ
調製スヘシ第六條ノ市ニ於テハ區長ヲ
シテ之ヲ調製セシムヘシ
第二十一條ノ五第二十一條ノ三ノ場合
ニ於テ決定若ハ裁決確定シ又ハ判決ア
リタルニ依リ選舉人名薄無效ト爲リタ
ルトキハ更ニ名簿ヲ調製スヘシ
天災事變等ノ爲必要アルトキハ更ニ名
簿ヲ調製スヘシ
前二項ノ規定ニ依ル名薄ノ調製、縱覽、
確定及異議申立ニ對スル市會ノ決定
ニ關スル期日及期間ハ府縣知事ノ定ム
ル所ニ依ル
市ノ廢置分合又ハ境界變更アリタル場
合ニ於テ名簿ニ關シ其ノ分合其ノ他必
要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十二條市長ハ選擧ノ期日前七日目
(第三十九條ノ二ノ市ニ於テハ二十日目)
迄ニ選擧會場(投票分會場ヲ含ム以下
之ニ同シ)、投票ノ日時及選擧スヘキ議
員數(選擧區アル場合ニ於テハ各選舉
區ニ於テ選擧スヘキ議員數)ヲ告元ス
ヘシ投票分會ヲ設クル場合ニ於テハ併
セテ其ノ區劃ヲ告示スヘシ
總選擧ニ於ケル各選舉區ノ投票ハ同日
時ニ之ヲ行フ
投票分會ノ投票ハ選擧會ト同日時ニ之
ヲ行フ
天災事變等ノ爲投票ヲ行フコト能ハサ
ルトキ又ハ更ニ投票ヲ行フノ必要アル
トキハ市長ハ其ノ投票ヲ行フヘキ選擧
會又ハ投票分會ノミニ付更ニ期日ヲ定
メ投票ヲ行ハシムヘシ此ノ場合ニ於テ
選擧會場及投票ノ日時ハ選擧ノ期日前
五日目迄ニ之ヲ告〓スヘシ
第二十三條第三項乃至第五項ヲ左ノ如ク
改ム
市長(第六條ノ市ニ於テハ區長)ハ選擧
人名簿ニ登錄セラレタル者ノ中ヨリ二
人乃至四人ノ選舉立會人ヲ選任スヘシ
但シ選擧區アルトキハ各別ニ選擧立會
人ヲ設クヘシ
投票分會ハ市長ノ指名シタル吏員投票
分會長ト爲リ之ヲ開閉シ其ノ取締ニ任
ス
市長(第六條ノ市ニ於テハ區長)ハ分會
ノ區劃内ニ於ケル選舉人名簿ニ登錄セ
ラレタル者ノ中ヨリ二人乃至四人ノ投
票立會人ヲ選任スヘシ
選擧立會人及投票立會人ハ名譽職トス
第二十四條中「分會長」ヲ「投票分會長」ニ
改ム
第二十五條第五項ノ次ニ左ノ一項ヲ加ヘ
同項但書ヲ削ル
投票ニ關スル記載ニ付テハ勅令ヲ以テ·
定ムル點字ハ之ヲ文字ト看做ス
同條第九項ヲ左ノ如ク改ム
投票分會ニ於テ爲シタル投票ハ投票分
會長少クトモ一人ノ投立立會人ト共ニ
投票函ノ儘之ヲ選擧長ニ送致スヘシ
第二十五條ノ二確定名簿ニ登錄セラレ
サル者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ス但シ選
擧人名簿ニ登錄セラルヘキ確定栽決書
又ハ判決書ヲ所持シ選擧ノ當日選擧會
場ニ到ル者ハ此ノ限ニ在ラス
確定名簿ニ登錄セラレタル者選舉人名
簿ニ登錄セラルルコトヲ得サル者ナル
トキハ投票ヲ爲スコトヲ得ス選擧ノ當
日選舉權ヲ有セサル者ナルトキ亦同シ
第二十五條ノ三投票ノ拒否ハ選舉立會
人又ハ投票立會人之ヲ決定ス可否同數
ナルトキハ選擧長又ハ投票分會長之ヲ
決スヘシ
投票分會ニ於テ投票拒否ノ決定ヲ受ケ
タル選擧人不服アルトキハ投票分會長
ハ假ニ投票ヲ爲サシムヘシ
前項ノ投票ハ選擧人ヲシテ之ヲ封筒ニ
入レ封緘シ表面ニ自ラ其ノ氏名ヲ記載
シ投函セシムヘシ
投票分會長又ハ投票立會人ニ於テ異議
アル選擧人ニ對シテモ亦前二項ニ同シ
第二十七條市長ハ豫メ開票ノ日時ヲ告
示スヘシ
第二十七條ノ二選擧長ハ投票ノ日又ハ
其ノ翌日(投票分會ヲ設ケタルトキハ
總テノ投票函ノ送致ヲ受ケタル日又ハ
其ノ翌日)選擧立會人立會ノ上投票函
ヲ開キ投票ノ總數ト投票人ノ總數トヲ
計算スヘシ
前項ノ計算終リタルトキハ選擧長ハ先
ツ第二十五條ノ三第二項及第四項ノ投
票ヲ調査スヘシ其ノ投票ノ受理如何ハ
選擧立會人之ヲ決定ス可否同數ナルト
キハ選擧長之ヲ決スヘシ
選擧長ハ選舉立會人ト共ニ投票ヲ點檢
スヘシ
天災事變等ノ爲開票ヲ行フコト能ハサ
ルトキハ市長ハ更ニ開票ノ期日ヲ定ム
ヘシ此ノ場合ニ於テ選舉會場ノ變更ヲ
要スルトキハ豫メ更ニ其ノ場所ヲ告示
スヘシ
第二十七條ノ三選擧人ハ其ノ選擧會ノ
參觀ヲ求ムルコトヲ得但シ開票開始前
ハ此ノ限ニ在ラス
第二十七條ノ四特別ノ事情アルトキハ
市ハ府縣知事ノ許可ヲ得區劃ヲ定メテ
開票分會ヲ設クルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ開票分會ヲ設クル場
合ニ於テ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之
ヲ定ム
第二十八條第二項ヲ削ル
第二十九條第一項中「投票ノ拒否及效力」
ヲ「投票ノ效力」ニ改メ同條第二項ヲ削
ル
第三十條第一項但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ議員ノ定數(選舉區アル場合ニ於
テハ其ノ選擧區ノ配當議員數)ヲ以テ
有效投票ノ總數ヲ除シテ得タル數ノ六
分ノ一以上ノ得票アルコトヲ要ス
第三十條ノ二當選者選舉ノ期日後ニ於
テ被選擧權ヲ有セサルニ至リタルトキ
ハ當選ヲ失フ
第三十一條選擧長ハ選舉錄ヲ作リ選舉
會ニ關スル〓末ヲ記載シ之ヲ朗讀シ二
人以上ノ選擧立會人ト共ニ之ニ署名ス
ヘシ
各選擧區ノ選擧長ハ選舉錄(第六條ノ
市ニ於テハ其ノ寫)ヲ添へ當選者ノ住
所氏名ヲ市長ニ報告スヘシ
投票分會長ハ投票錄ヲ作リ投票ニ關ス
ル〓末ヲ記載シ之ヲ間讀シ二人以上ノ
投票立會人ト共ニ之ニ署名スヘシ
投票分會長ハ投票函ト同時ニ投票錄ヲ
選擧長ニ送致スヘシ
選擧錄及投票錄ハ投票、選擧人名簿其
ノ他ノ關係書類ト共ニ議員ノ任期間市長
(第六條ノ市ニ於テハ區長)ニ於テ之ヲ
保存スヘシ
第三十二條第一項ヲ左ノ如ク改メ第三項
中「數級又ハ」ヲ削リ同條第四項中「第十
八條第二項ニ揭ケサル官吏」ヲ「官吏」ニ
改ム
當選者定マリタルトキハ市長ハ直ニ當
選者ニ當選ノ旨ヲ告知シ(第六條ノ市
ニ於テハ區長ヲシテ之ヲ告知セシメ)
同時ニ當選者ノ住所氏名ヲ告〓シ且選
舉錄ノ寫(投票錄アルトキハ併セテ投
票錄ノ寫)ヲ添ヘ之ヲ府縣知事ニ報告
スヘシ當選者ナキトキハ直ニ其ノ旨ヲ
告〓シ且選擧錄ノ寫(投票錄アルトキ
ハ併セテ投票錄ノ寫)ヲ添へ之ヲ府縣
知事ニ報告スヘシ
第三十三條當選者左ニ掲クル事由ノ一
ニ該當スルトキハ三月以內ニ更ニ選擧
ヲ行フヘシ但シ第二項ノ規定ニ依リ更
ニ選擧ヲ行フコトナクシテ當選者ヲ定
メ得ル場合ハ此ノ限ニ在ラス
-當選ヲ辭シタルトキ
二數選舉區ニ於テ當選シタル場合ニ
於テ前條第三項ノ規定ニ依リ一ノ選
擧區ノ當選ニ應シ又ハ抽籤ニ依リ一
ノ選舉區ノ當選者ト定マリタル爲他
ノ選舉區ニ於テ當選者タラサルニ至
リタルトキ
三第三十條ノ二ノ規定ニ依リ當選ヲ
失ヒタルトキ
四死亡者ナルトキ
五選擧ニ關スル犯罪ニ依リ刑ニ處セ
ラレ其ノ當選無效ト爲リタルトキ但シ
同一人ニ關シ前各號ノ事由ニ依ル選擧
又ハ補關選擧ノ告示ヲ爲シタル場合
ハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ事由前條第二項第三項、若ハ
第五項ノ規定ニ依ル期限前ニ生シタル
場合ニ於テ第三十條第一項但書ノ得票
者ニシテ當選者ト爲ラサリシ者アルト
キ又ハ其ノ期限經過後ニ生シタル場合
ニ於テ第三十條第二項ノ規定ノ適用ヲ
受ケタル得票者ニシテ當選者ト爲ラサ
リシ者アルトキハ直ニ選擧會ヲ開キ其
ノ者ノ中ニ就キ當選者ヲ定ムヘシ
前項ノ場合ニ於テ第三十條第一項但書
ノ得票者ニシテ當選者ト爲ラサリシ者
選舉ノ期日後ニ於テ被選擧權ヲ有セサ
ルニ至リタルトキハ之ヲ當選者ト定ム
ルコトヲ得ス
第二項ノ場合ニ於テハ市長ハ豫メ選擧
會ノ場所及日時ヲ告而スヘシ
第一項ノ期間ハ第三十六條第八項ノ規
定ノ適用アル場合ニ於テハ選擧ヲ行フ
コトヲ得サル事由已ミタル日ノ翌日ヨ
リ之ヲ起算ス
第一項ノ事由議員ノ任期滿了前六月以
內ニ生シタルトキハ第一項ノ選舉ハ之
ヲ行ハス但シ議員ノ數其ノ定數ノ三分
ノ二ニ滿チサルニ至リタルトキハ此ノ
限ニ在ラス
第三十四條第一項ヲ削リ同條ニ左ノ一項
ヲ加フ
常選者ナキニ至リタルトキ又ハ當選者
其ノ選擧ニ於ケル議員ノ定數ニ達セサ
ルニ至リタルトキハ市長ハ直ニ其ノ旨
ヲ告示シ併セテ之ヲ府縣知事ニ報告ス
ヘシ
第三十五條ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ當選ニ異動ヲ生スルノ虞ナキ者ヲ
區分シ得ルトキハ其ノ者ニ限リ當選ヲ
失フコトナシ
第三十六條第一項中「第三十四條第二項」
ヲ「第三十二條第一項又ハ第三十四條第
二項」ニ、同條第三項中「第三十四條第一
項」ヲ「第三十二條第一項」ニ、「同條第二
項」ヲ「第三十二條第一項又ハ第三十四條
第二項」ニ、同條第八項中「第三十七條第
三項」ヲ「第三十七條第一項若ハ第三項」
二段一、
第三十七條選舉無效ト確定シタルトキ
ハ三月以内ニ更ニ選擧ヲ行フヘシ
當選無效ト確定シタルトキハ直ニ選擧
會ヲ開キ更ニ當選者ヲ定ムヘシ此ノ場
合ニ於テハ第三十三條第三項及第四項
ノ規定ヲ準用ス
當選者ナキトキ、當選者ナキニ至リタ
ルトキ又ハ當選者其ノ選擧ニ於ケル議
員ノ定數ニ達セサルトキ若ハ定數ニ達
セサルニ至リタルトキハ三月以内ニ更
ニ選擧ヲ行フヘシ
第三十三條第五項及第六項ノ規定ハ第
一項及前項ノ選擧ニ之ヲ準用ス
第三十八條第一項中左ノ如ク改ム
一一破產者ト爲リタルトキ
第三十九條中「第二十一條」ヲ「第二十一
條ノ三」ニ改ム
第三十九條ノ二勅令ヲ以テ指定スル市
(第六條ノ市ノ區ヲ含ム)ノ市會議員
(又ハ區會議員)ノ選擧ニ付テハ府縣制
第十三條ノ二、第十三條ノ三、第二十
九條ノ三及第三十四條ノ二ノ規定ヲ準
用ス此ノ場合ニ於テハ第二十三條第三
項及第五項、第二十五條第五項及第七
項、第二十五條ノ三、第二十八條、第
二十九條、第三十三條第一項竝第三十
六條第一項ノ規定ニ拘ラス勅令ヲ以テ
特別ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第三十九條ノ三前條ノ規定ニ依ル選擧ニ
付テハ衆議院議員選擧法第十章及第十
一章竝第百四十條第二項及第百四十二
條ノ規定ヲ準用ス但シ議員候補者一人
ニ付定ムヘキ選擧事務所ノ數、選擧委
員及選擧事務員ノ數竝選擧運動ノ費用
ノ額ニ關シテハ勅令ノ定ムル所ニ依ル
前條ノ規定ニ依ル選擧ヲ除クノ外市會
議員(又ハ第六條ノ市ノ區ノ區會議員)ノ
選舉ニ付テハ衆議院議員選舉法第九十
一條、第九十二條、第九十八條、第九十
九條第二項、第百條及第百四十二條ノ
規定ヲ準用ス
第四十九條中「年長ノ議員議長ノ職務ヲ
代埋ス年齡同シキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ
定ム」ヲ「臨時ニ議員中ヨリ假議長ヲ選擧
スヘシ」ニ改メ同條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項假議長ノ選舉ニ付テハ年長ノ議員
議長ノ職務ヲ代理ス年齡同シキトキハ
抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
第五十一條第三項中「開會ノ日ヨリ少ク
トモ三日前」ヲ「開會ノ日前三日目迄」ニ、
同條第四項中「三日前迄」ヲ「會議ニ付ス
ル日前三日目迄」ニ改ム
第五十三條ニ左ノ一項ヲ加フ
議長ハ其ノ職務ヲ行フ場合ニ於テモ之カ
爲議員トシテ議決ニ加ハルノ權ヲ失ハス
第五十五條ニ左ノ二項ヲ加フ
連名投票ノ法ヲ用ウル場合ニ於テ其ノ
投票ニシテ第二十八條第一號、第六號
及第七號ニ該當スルモノ竝其ノ記載ノ
人員選擧スヘキ定數ニ過キタルモノハ
之ヲ無效トシ同條第二號、第四號及第
五號ニ該當スルモノハ其ノ部分ノミヲ
無效トス
連名投票ノ法ヲ用ウル場合ニ於テ過半
數ノ投票ヲ得タル者選擧スヘキ定數ヲ
超ユルトキハ最多數ヲ得タル者ヨリ順
次選擧スヘキ定數ニ至ル迄ノ者ヲ以テ
當選者トシ同數者アルトキハ年長者ヲ
取リ年齢同シキトキハ議長抽籤シテ之
ヲ定ム
第六十三條第二項中「三日以內出席ヲ停
止シ又ハ二圓以下ノ過怠金ヲ科スル規定
ヲ設クルコトヲ得」ヲ「五日以內出席ヲ停
止スル規定ヲ設クルコトヲ得」ニ改ム
第六十五條第四項ヲ左ノ如ク改ム
名譽職參事會員ハ隔年之ヲ選擧スヘシ
名譽職參事會員ハ後任者ノ就任スルニ
至ル迄在任ス市會議員ノ任期滿了シタ
ルトキ亦同シ
同條ニ左ノ一項ヲ加フ
名譽職參事會員ハ其ノ選擧ニ關シ第九
十條ノ處分確定シ又ハ判決アル迄ハ會
議ニ列席シ議事ニ參與スルノ權ヲ失ハ
ス
第六十七條中左ノ如ク改ム
二削除
第七十四條第二項ヲ左ノ如ク改ム
市參與ハ市長ノ推薦ニ依リ市會之ヲ定
第七十五條第二項中「選擧シ府縣知事ノ
認可ヲ受クヘシ」ヲ「選擧ス」ニ改メ同條
第三項ヲ削リ第四項ヲ左ノ如ク改ム
助役ハ其ノ退職セムトスル日前三十日
目迄ニ申立ツルニ非サレハ任期中退職
スルコトヲ得ス但シ市會ノ承認ヲ得タ
ルトキハ此ノ限ニ在ラス
第七十七條市長市參與及助役ハ第十八
條第二項又ハ第五項ニ揭ケタル職ト兼ヌ
ルコトヲ得ス又其ノ市ニ對シ請負ヲ爲
シ又ハ其ノ市ニ於テ費用ヲ負擔スル事
業ニ付市長若ハ其ノ委任ヲ受ケタル者
ニ對シ請負ヲ爲ス者及其ノ支配人又ハ
主トシテ同一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ無限
責任社員、取締役監査役若ハ之ニ準スヘ
キ者、〓算人及支配人タルコトヲ得ス
第七十八條第一項中「有給市參與及助役」
乙部
第七十九條第二項ヲ左ノ如ク改ム
第七十五條第一項及第一一項、第七十六
條第七十七條竝前條第二項ノ規定ハ
收入役及副收入役ニ之ヲ準用ス
第八十條第二項中「第七十八條」ヲ「第七
十八條第二項」ニ改ム
第八十二條第二項ヲ左ノ如ク改ム
前項ノ區長及其ノ代理者ハ名譽職トス
市公民中選擧權ヲ有スル者ヨリ市長ノ
推薦ニ依リ市會之ヲ定ム
第八十三條第二項中「市會ニ於テ市會議
員、名譽職參事會員又ハ市公民中選擧權
ヲ有スル者ヨリ之ヲ選舉ス」ヲ「市會議員、
名譽職參事會員又ハ市公民中選擧權ヲ有
スル者ヨリ市長ノ推薦ニ依リ
市會之ヲ定ム」ニ改メ同條第三項中「常
設」ヲ削ル
第八十四條第一項ヲ左ノ如ク改ム
市公民ニ限リテ擔任スヘキ職務ニ在ル
吏員又ハ職ニ就キタルカ爲市公民タル
者選擧權ヲ有セサルニ至リタルトキハ
其ノ職ヲ失フ
第八十八條削除
第九十二條ノ二市參事會ノ權限ニ屬ス
ル事項ノ一部ハ其ノ議決ニ依リ市長ニ
於テ專決處分スルコトヲ得
第九十四條第一項中「府縣知事ノ許可ヲ
得テ」ヲ削ル
第九十七條第三項中「府縣知事ノ許可ヲ
得テ」ヲ削リ同條第五項ヲ左ノ如ク
改ム
副收入役ヲ置カサル場合ニ於テハ市會
ハ市長ノ推薦ニ依リ收入役故障アルト
キ之ヲ代理スヘキ吏員ヲ定ムヘシ
第百七條第二項中「前項ノ異議ハ」ヲ爾
項ノ異議ノ申立アリタルトキハ市長ハ七
日以內ニ」ニ改ム
第百二十一條ノ二市ハ公益上其ノ他ノ
事由ニ因リ課稅ヲ不適當トスル場合ニ
於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ市稅ヲ課
セサルコトヲ得
第百二十九條第一項中「其ノ條例中ニハ
五圓以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クルコ
トヲ得」ヲ削リ同條第二項ヲ左ノ如
ク改ム
詐僞其ノ他ノ不正ノ行爲ニ依リ使用料
ノ徵收ヲ免レ又ハ市稅ヲ連脫シタル者
ニ付テハ市條例ヲ以テ其ノ徵收ヲ免レ
又ハ通脫シタル金額ノ三倍ニ相當スル
金額(其ノ金額カ圖未滿ナルトキハ五
圓)以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クル
コトヲ得
前項ニ定ムルモノヲ除クノ外使用料、
手數料及市稅ノ賦課徴收ニ關シテハ市
條例ヲ以テ五圓以下ノ過料ヲ科スル規
定ヲ設クルコトヲ得財產又ハ營造物ノ
使用ニ關シ亦同シ
第百三十條第三項中「前二項ノ異議ハ」ヲ
「前二項ノ異議ノ申立アリタルトキハ
市長ハ七日以内ニ」ニ改ム
第百三十一條第六項中「前三項ノ處分ヲ
受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキ
ハ」ヲ「前三項ノ處分ニ不服アル者ハ」
ニ改ム
第百四十二條第一項中「六月三十日」ヲ
「五月三十一日」ニ改メ同條第四項ヲ削
ル
第百四十六條第三項ヲ削ル
第百四十九條第二項、第百五十條第二項、
第百五十一條第二項及第百五十三條第
二項中「内務大臣ノ許可ヲ得」ヲ削ル
第百五十四條第一項中「府縣知事ノ許可
ヲ受クヘシ」ヲ「之ヲ定ム」ニ改メ同條第
二項中「內務大臣ノ許可ヲ得」ヲ削ル
第百五十五條第一項中「前條第一項」ヲ
「前條第二項」ニ、同條第三項中「前項
ノ異議ハ」ヲ「前項ノ異議ノ申立アリタ
ルトキハ組合ノ管理者ハ七日以内ニ」
三六人
第百六十條第二項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
決定書又ハ栽決書ノ交付ヲ受ケサル者
ニ關シテハ前二項ノ期間ハ告示ノ日ヨ
リ之ヲ起算ス
第百六十條ノ二異議ノ決定ハ本法中別
ニ期間ヲ定メタルモノヲ除クノ外其ノ
決定ニ付セラレタル日ヨリ三月以内ニ
之ヲ爲スヘシ
府縣參事會訴願ヲ受理シタルトキハ其
ノ日ヨリ三月以内ニ之ヲ裁決スヘシ
第百六十五條市條例ヲ設ケ又ハ改正セ
ムトスルトキハ內務大臣ノ許可ヲ受ク
ヘシ
第百六十六條第四號中「手數料及加入金」
ヲ削ル
第百六十七條中左ノ如ク改ム
-市條例ヲ廢止スル事
二基本財產及特別基本財產ノ處分ニ
關スル事
五手數料及加入金ヲ新設シ增額シ又
ハ變更スル事
第百七十七條ノ二本法中官吏ニ關スル
規定ハ待遇官吏ニ之ヲ適用ス
附則
本法中公民權及議員選舉ニ關スル規定ハ
次ノ總選擧ヨリ之ヲ施行シ其ノ他ノ規定
ノ施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ニ依リ初テ議員ヲ選舉スル場合ニ於
テ必要ナル選擧人名簿ニ關シ第二十一條
乃至第二十一條ノ五ニ規定スル期日又ハ
期間ニ依リ難キトキハ命令ヲ以テ別ニ其ノ
期日又ハ期間ヲ定ム但シ其ノ選舉人名簿
ハ次ノ選擧人名簿確定迄其ノ效力ヲ有ス
本法施行ノ際大正十四年法律第四十七號
衆議院議員選擧法又ハ大正十五年府縣制
中改正法律未タ施行セラレサル場合ニ於
テハ本法ノ適用ニ付テハ同法ハ既ニ施行
セラレタルモノト看做ス
本法施行ノ際必要ナル規定ハ命令ヲ以テ
之ヲ定ム
第三町村制中改正法律案(政府提出)
第一讀會
町村制中改正法律案
町村制中左ノ通改正ス
第三條第二項ヲ左ノ如ク改ム
前項ノ場合ニ於テ財產アルトキハ其ノ
處分ハ關係アル市町村會ノ意見ヲ徵シ
府縣參事會ノ議決ヲ經テ府縣知事之ヲ
定ム
第五條町村ノ名稱ヲ變更セムトスルト
キ、村ヲ町ト爲シ若ハ町ヲ村ト爲サム
トスルトキ又ハ町村役場ノ位置ヲ定メ
若ハ之ヲ變史セムトスルトキハ町村ハ
府縣知事ノ許可ヲ受クヘシ
第七條帝國臣民タル年齡二十五年以上
ノ男子ニシテ二年以來町村住民タル者
ハ其ノ町村公民トス但シ左ノ各號ノ一
ニ該當スル者ハ此ノ限ニ在ラス
一禁治產者及準禁治產者
二破產者ニシテ復權ヲ得サル者
三貧困ニ因リ生活ノ爲公私ノ救助ヲ
受ケ又ハ扶助ヲ受クル者
四一定ノ住居ヲ有セサル者
五六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處
セラレタル者
六刑法第二編第一章、第三章、第九
章、第十六章乃至第二十一章、第
二十五章又ハ第三十六章乃至第三
十九章ニ揭クル罪ヲ犯シ六年未滿ノ
懲役ノ刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ
又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至リタ
ル後其ノ刑期ノ二倍ニ相當スル期間
ヲ經過スルニ至ル迄ノ者但シ其ノ期
間五年ヨリ短キトキハ五年トス
七六年未滿ノ禁錮ノ刑ニ處セラレ又
ハ前號ニ揭クル罪以外ノ罪ヲ犯シ
六年未滿ノ懲役ノ刑ニ處セラレ其ノ
執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナ
キニ至ル迄ノ者
町村ハ前項二年ノ制限ヲ特免スルコト
ヲ得
第一項二年ノ期間ハ市町村ノ廢置分合
又ハ境界變更ノ爲中斷セラルルコトナ
シ
第八條第二項中「町村ハ一年以上四年以
下其ノ町村公民權ヲ停止シ場合ニ依リ其
ノ停止期間以內其ノ者ノ負擔スヘキ町村
稅ノ十分ノ一以上四分ノ一以下ヲ增課ス
ルコトヲ得」ヲ「町村ハ一年以上四年以下
其ノ町村公民權ヲ停止スルコトヲ得」二
改ム
第九條陸海軍軍人ニシテ現役中ノ者
(未タ人營セサル者及歸休下士官兵ヲ
除ク)及戰時若ハ事變ニ際シ召集中ノ者
ハ町村ノ公務ニ參與スルコトヲ得ス兵
箱ニ編人セラレタル學生生徒(勅令ヲ
以テ定ムル者ヲ除ク)及志願ニ依リ國
民軍ニ編入セラレタル者亦同シ
第十一條第四項中「内務大臣」ヲ「府縣知
事」ニ改ム
第十二條中「第九條第三項ノ場合ニ當ル
者」ヲ「第九條ノ規定ニ該當スル者」ニ改
ム
第十三條削除
第十四條特別ノ事情アルトキハ町村ハ
區劃ヲ定メテ投票分會ヲ設クルコトヲ
得
第十五條選擧權ヲ有スル町村公民ハ被
選擧權ヲ有ス
在職ノ檢事、警察官吏及收稅官吏ハ被
選擧權ヲ有セス
選擧事務ニ關係アル官吏及町村ノ有給
吏員ハ其ノ關係區域内ニ於テ被選擧權
ヲ有セス
町村ニ對シ請負ヲ爲シ又ハ町村ニ於テ
費用ヲ負擔スル事業ニ付町村長若ハ其ノ
委任ヲ受ケタル者ニ對シ請負ヲ爲ス者
及其ノ支配人又ハ主トシテ同一ノ行爲
ヲ爲ス法人ノ無限責任社員、取締役監
査役若ハ之ニ準スヘキ者、〓算人及支配
人ハ其ノ町村ニ於テ被選擧權ヲ有セス
町村ノ有給ノ吏員〓員其ノ他ノ職員ニ
シテ在職中ノ者ハ其ノ町村ノ町村會議
員ト相兼ヌルコトヲ得ス
第十六條第三項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
前項但書ノ場合ニ於テ關員ノ數解任ヲ
要スル者ノ數ニ滿チサルトキハ其ノ不
足ノ員數ニ付町村長抽籤シテ解任スヘ
キ者ヲ定メ關員ノ數解任ヲ要スル者ノ
數ヲ超ユルトキハ解任ヲ要スル者ニ充
ツヘキ闕員ハ最モ先ニ闘員ト爲リタル
者ヨリ順次之ニ充テ闕員ト爲リタル時
同シキトキハ町村長抽籤シテ之ヲ定ム
第十七條町村會議員中闕員ヲ生シタル
トキハ三月以内ニ補關選擧ヲ行フヘシ
但シ第二十七條第二項ノ規定ノ適用ヲ
受ケタル得票者ニシテ當選者ト爲ラサ
リシ者アルトキハ直ニ選擧會ヲ開キ其
ノ者ノ中ニ就キ當選者ヲ定ムヘシ此ノ
場合ニ於テハ第三十條第三項及第四項
ノ規定ヲ準用ス
第三十條第五項及第六項ノ規定ハ補闘
選擧ニ之ヲ準用ス
補闕議員ハ其ノ前任者ノ殘任期間在任
ス
第十八條町村長ハ每年九月十五日ノ現
在ニ依リ選舉人名簿ヲ調製スヘシ
選擧人名簿ニハ選舉人ノ氏名、住所及
生年月日等ヲ記載スヘシ
第十八條ノ二町村長ハ十一月五日ヨリ
十五日間町村役場又ハ其ノ指定シタル
場所ニ於テ選舉人名簿ヲ關係者ノ縱覽
ニ供スヘシ
町村長ハ縱覽開始ノ日前三日目迄ニ縱
覽ノ場所ヲ告示スヘシ
第十八條ノ三選擧人名簿ニ關シ關係者
ニ於テ異議アルトキハ縱覽期間內ニ之
ヲ町村長ニ申立ツルコトヲ得此ノ場合
ニ於テハ町村長ハ縱覽期間滿了後三日
以内ニ之ヲ町村會ノ決定ニ付スヘシ
町村會ハ其ノ送付ヲ受ケタル日ヨリ十
日以內ニ之ヲ決定スヘシ
前項ノ決定ニ不服アル者ハ府縣參事會
ニ訴願シ其ノ栽決又ハ第三項ノ裁決ニ
不服アル者ハ行政救判所ニ出訴スルコ
トヲ得
第一項ノ決定及前項ノ裁決ニ付テハ町
村長ヨリモ訴願又ハ訴訟ヲ提起スルコ
トヲ得
前二項ノ栽決ニ付テハ府縣知事ヨリモ
訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第十八條ノ四選舉人名簿ハ十二月二十
五日ヲ以テ確定ス
選擧人名簿ハ次年ノ十二月二十四日迄
之ヲ据置クヘシ
前條ノ場合ニ於テ決定若ハ裁決確定シ
又ハ判決アリタルニ依リ名簿ノ修正ヲ
要スルトキハ町村長ハ直ニ之ヲ修正ス
ヘシ
選擧人名簿ヲ修正シタルトキハ町村長
ハ直ニ其ノ要領ヲ告而スヘシ
投票分會ヲ設クルトキハ町村長ハ確定
名簿ニ依リ分會ノ區劃毎ニ名薄ノ抄本
ヲ調製スヘシ
第十八條ノ五第十八條ノ三ノ場合ニ於
テ決定若ハ裁決確定シ又ハ判決アリタ
ルニ依リ選擧人名薄無效ト爲リタルト
キハ更ニ名薄ヲ調製スヘシ
天災事變等ノ爲必要アルトキハ更ニ名
薄ヲ調製スヘシ
前二項ノ規定ニ依ル名簿ノ調製、縱覽、
確定及異議申立ニ對スル町村會ノ決定
ニ關スル期日及期間ハ府縣知事ノ定ム
ル所ニ依ル
町村ノ廢置分合又ハ境界變更アリタル
場合ニ於テ名薄ニ關シ其ノ分合其ノ他
必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十九條町村長ハ選擧ノ期日前七日目
迄ニ選擧會場(投票分會場ヲ含ム以下
之ニ同シ)、投票ノ日時及選擧スヘキ
議員數ヲ告示スヘシ投票分會ヲ設クル
場合ニ於テハ併セテ其ノ區割ヲ告示ス
ヘシ
投票分會ノ投票ハ選舉會ト同日時ニ之
ヲ行フ
天災事變等ノ爲投票ヲ行フコト能ハサ
ルトキ又ハ更ニ投票ヲ行フノ必要アル
トキハ町村長ハ其ノ投票ヲ行フヘキ選
舉會又ハ投票分會ノミニ付更ニ期日ヲ
定メ投票ヲ行ハシムヘシ此ノ場合ニ於
テ選舉會場及投票ノ日時ハ選擧ノ期日
前五日目迄ニ之ヲ告示スヘシ
第二十條第二項乃至第四項ヲ左ノ如ク改
ム
町村長ハ選擧人名簿ニ登錄セラレタル
者ノ中ヨリ二人乃至四人ノ選舉立會人
ヲ選任スヘシ
投票分會ハ町村長ノ指名シタル吏員投
票分會長ト爲リ之ヲ開閉シ其ノ取締ニ
任ス
町村長ハ分會ノ區割內ニ於ケル選舉人
名簿ニ登錄セラレタル者ノ中ヨリ二人
乃至四人ノ投票立會人ヲ選任スヘシ
選擧立會人及投票立會人ハ名譽職トス
第二十一條中「分會長」ヲ「投票分會長」ニ
改ム
第二十二條第五項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ」
投票ニ關スル記載ニ付テハ勅令ヲ以テ
定ムル點字ハ之ヲ文字ト看做ス
同條第八項ヲ左ノ如ク改ム
投票分曾ニ於テ爲シタル投票ハ投票分
會長少クトモ一人一ノ投票立會人ト共
ニ投票函ノ儘之ヲ選擧長ニ送致スヘ
シ
第二十二條ノ二確定名簿ニ登錄セラレ
サル者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ス但シ選擧
人名簿ニ登錄セラルヘキ確定裁決書又
ハ判決書ヲ所持シ選擧ノ當日選擧會場
ニ到ル者ハ此ノ限ニ在ラス
確定名簿ニ登錄セラレタル者選擧人名
薄ニ登錄セラルルコトヲ得サル者ナル
トキハ投票ヲ爲スコトヲ得ス選擧ノ當
日選擧權ヲ有セサル者ナルトキ亦同シ
第二十二條ノ三投票ノ拒否ハ選擧立會
人又ハ投票立會人之ヲ決定ス可否同數
ナルトキハ選擧長又ハ投票分會長之ヲ
決スヘシ
投票分會ニ於テ投票拒否ノ決定ヲ受ケ
タル選擧人不服アルトキハ投票分會長
ハ假ニ投票ヲ爲サシムヘシ
前項ノ投票ハ選擧人ヲシテ之ヲ封筒ニ
入レ封絨シ表面ニ自ラ其ノ氏名ヲ記載
シ投函セシムヘシ
投票分會長又ハ投票立會人ニ於テ異議
アル選擧人ニ對シテモ亦前二項ニ同シ
第二十四條町村長ハ豫メ開票ノ日時ヲ
告示スヘシ
第二十四條ノ二選擧長ハ投票ノ日又ハ
其ノ翌日(投票分會ヲ設ケタルトキハ
總テノ投票函ノ送致ヲ受ケタル日又ハ
其ノ翌日)選擧立會人立會ノ上投票函
ヲ開キ投票ノ總數ト投票人ノ總數トヲ
計算スヘシ
前項ノ計算終リタルトキハ選擧長ハ先ツ
第二十二條ノ三第二項及第四項ノ投
票ヲ調査スヘシ其ノ投票ノ受理如何ハ
選擧立會人之ヲ決定ス可否同數ナルト
キハ選擧長之ヲ決スヘシ
選舉長ハ選擧立會人ト共ニ投票ヲ點儉
スヘシ
天災事變等ノ爲開票ヲ行フコト能ハサ
ルトキハ町村長ハ更ニ開票ノ期日ヲ定
ムヘシ此ノ場合ニ於テ選擧會場ノ變更
ヲ要スルトキハ豫メ更ニ其ノ場所ヲ告
元スヘシ
第二十四條ノ三選擧人ハ其ノ選擧會ノ
參觀ヲ求ムルコトヲ得但シ開票開始前
ハ此ノ限ニ在ラス
第二十四條ノ四特別ノ事情アルトキハ
町村ハ府縣知事ノ許可ヲ得區劃ヲ定メ
テ開票分會ヲ設クルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ開票分會ヲ設クル場
合ニ於テ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之
ヲ定ム
第二十六條第一項中「投票ノ拒否及效力」
ヲ「投票ノ效力」ニ改メ同條第二項ヲ削ル
第二十七條第一項但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ議員ノ定數ヲ以テ有效投票ノ總數
ヲ除シテ得タル數ノ六分ノ一以上ノ得
票アルコトヲ要ス
第二十七條ノ二當選者選擧ノ期日後ニ
於テ被選選権ヲ有セサルニ至リタルト
キハ當選ヲ失フ
第二十八條選擧長ハ選擧錄ヲ作リ選擧
會ニ關スル〓末ヲ記載シ之ヲ朗讀シ二
人以上ノ選擧立會人ト共ニ之ニ署名ス
ヘシ
投票分會長ハ投票錄ヲ作リ投票ニ關ス
ル〓末ヲ記載シ之ヲ朗讀シ二人以上ノ
投票立會人ト共ニ之ニ署名スヘシ
投票分會長ハ投票函ト同時ニ投票錄ヲ
選擧長ニ送致スヘシ
選擧錄及投票錄ハ投票、選舉人名薄其
ノ他ノ關係書類ト共ニ議員ノ任期間町
村長ニ於テ之ヲ保存スヘシ
第二十九條第一項ヲ左ノ如ク、第三項中
「第十五條第二項ニ掲ケサル官吏」ヲヨ
吏」ニ改ム
當選者定マリタルトキハ町村長ハ直ニ
當選者ニ當選ノ旨ヲ告知シ同時ニ當選
者ノ住所氏名ヲ告〓シ且選擧錄ノ寫
(投票錄アルトキハ併セテ投票録ノ寫)
ヲ添へ之ヲ府縣知事ニ報告スヘシ當選
者ナキトキハ直ニ其ノ旨ヲ告示シ且選
擧錄ノ寫(投票錄アルトキハ併セテ投
票錄ノ寫)ヲ添へ之ヲ府縣知事ニ報告
スヘシ
第三十條當選者左ニ掲クル事由ノ一ニ
該當スルトキハ三月以內ニ更ニ選舉ヲ
行フヘシ但シ第二項ノ規定ニ依リ更ニ
選舉ヲ行フコトナクシテ當選者ヲ定メ
得ル場合ハ此ノ限ニ在ラス
-當選ヲ辭シタルトキ
二第二十七條ノ二ノ規定ニ依リ當選
ヲ失ヒタルトキ
三死亡者ナルトキ
四選擧ニ關スル犯罪ニ依リ刑ニ處セ
ラレ其ノ當選無效ト爲リタルトキ但
シ同一人ニ關シ前各號ノ事由ニ依ル
選擧又ハ補關選擧ノ告示ヲ爲シタル
場合ハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ事由前條第二項若ハ第四項ノ規
定ニ依ル期限前ニ生シタル場合ニ於テ
第二十七條第一項但書ノ得票者ニシテ
當選者ト爲ラサリシ者アルトキ又ハ其
ノ期限經過後ニ生シタル場合ニ於テ第
二十七條第二項ノ規定ノ適用ヲ受ケタ
ル得票者ニシテ當選者ト爲ラサリシ者
アルトキハ直ニ選擧會ヲ開キ其ノ者ノ
中ニ就キ當選者ヲ定ムヘシ
前項ノ場合ニ於テ第二十七條第一項但
書ノ得票者ニシテ當選者ト爲ラサリシ
者選擧ノ期日後ニ於テ被選擧權ヲ有セ
サルニ至リタルトキハ之ヲ當選者ト定
ムルコトヲ得ス
第二項ノ場合ニ於テハ町村長ハ豫メ選
舉會ノ場所及日時ヲ告示スヘシ
第一項ノ期間ハ第三十三條第八項ノ規
定ノ適用アル場合ニ於テハ選擧ヲ行フ
コトヲ得サル事由己ミタル日ノ翌日ヨ
リ之ヲ起算ス
第一項ノ事由議員ノ任期滿了前六月以
內ニ生シタルトキハ第一項ノ選舉ハ之
ヲ行ハス但シ議員ノ數其ノ定數ノ三分
ノ二ニ滿チサルニ至リタルトキハ此ノ
限ニ在ラス
第三十一條第一項ヲ削リ第二項中「郡長」
ヲ「府縣知事」ニ改メ同條ニ左ノ一項ヲ加
フ
當選者ナキニ至リタルトキ又ハ當選者
其ノ選擧ニ於ケル議員ノ定數ニ達セサ
ルニ至リタルトキハ町村長ハ直ニ其ノ
旨ヲ告示シ併セテ之ヲ府懸知事ニ報告
スヘシ
第三十二條ニ左ノ但書ヲ加ン
但シ當選ニ異動ヲ生スルノ虞ナキ者ヲ
區分シ得ルトキハ其ノ者ニ限リ當選ヲ
失フコトナシ
第三十三條第一項中「第三十一條第二項」
ヲ「第二十九條第一項又ハ第三十一條第
二項」ニ、同條第三項ヲ左ノ如ク改ム
府縣知事ハ選擧又ハ當選ノ效力ニ關シ
異議アルトキハ選舉ニ關シテハ第二十
九條第一項ノ報告ヲ受ケタル日ヨリ、
當選ニ關シテハ第二十九條第一項又ハ
第三十一條第二項ノ報告ヲ受ケタル日
ヨリ二十日以內ニ之ヲ府縣參事會ノ決
定ニ付スルコトヲ得
同條第四項中「處分」ヲ「決定」ニ、同條第
五項乃至第七項ヲ左ノ如ク、第八項中「第
三十四條第三項」ヲ「第三十四條第一項若
ハ第三項」ニ改メ同條第九項中「處分、」ヲ
削ル
第二項若ハ第六項ノ栽決又ハ第三項ノ
決定ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴
スルコトヲ得
第一項ノ決定ニ付テハ町村長ヨリモ訴
願ヲ提起スルコトヲ得
第二項若ハ前項ノ裁決又ハ第三項ノ決
定ニ付テハ府縣知事又ハ町村長ヨリモ
訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第三十四條選擧無效ト確定シタルトキ
ハ三月以内ニ更ニ選舉ヲ行フヘシ
當選無效ト確定シタルトキハ直ニ選擧
會ヲ開キ更ニ當選者ヲ定ムヘシ此ノ場
合ニ於テハ第三十條第三項及第四項ノ
規定ヲ準用ス
當選者ナキトキ、當選者ナキニ至リタ
ルトキ又ハ當選者其ノ選舉ニ於ケル議
員ノ定數ニ達セサルトキ若ハ定數ニ達
セサルニ至リタルトキハ三月以内ニ更
ニ選擧ヲ行フヘシ
第三十條第五項及第六項ノ規定ハ第一
項及前項ノ選舉ニ之ヲ準用ス
第三十五條第一項中左ノ如ク改ム
二破產者ト爲リタルトキ
第三十六條中「第十八條」ヲ「第十八條ノ
三」ニ改メ「郡長ノ處分ハ郡長、」ヲ削ル
第三十六條ノ二町村會議員ノ選舉ニ付
テハ衆議院議員選擧法第九十一條、第
九十二條、第九十八條、第九十九條第
二項、第百條及第百四十二條ノ規定ヲ
準用ス
第三十八條第一項中「郡長ハ府縣知事ノ
許可ヲ得テ」ヲ「府縣知事ハ」ニ改ム
第四十五條中「年長ノ議員議長ノ職務ヲ
代理ス年齡同シキトキハ抽籖ヲ以テ之ヲ
定ム」ヲ「臨時ニ議員中ヨリ假議長ヲ選舉ス
ヘシ」ニ改メ同條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項假議長ノ選擧ニ付テハ年長ノ議員
議長ノ職務ヲ代理ス年齢同シキトキハ
抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
第四十七條第三項中「開會ノ日ヨリ少ク
トモ三日前」ヲ「開會ノ日前三日目迄」ニ、
同條第四項中「三日前迄」ヲ「會議ニ付ス
ル日前三日目迄」ニ改ム
第四十九條ニ左ノ一項ヲ加フ
議長ハ其ノ職務ヲ行フ場合ニ於テモ之
カ爲議員トシテ議決ニ加ハルノ權ヲ失
ハス
第五十一條ニ左ノ一項ヲ加フ
連名投票ノ法ヲ用ウル場合ニ於テ過半
數ノ投票ヲ得タル者選擧スヘキ定數ヲ
超ユルトキハ最多數ヲ得タル者ヨリ順次
選擧スヘキ定數ニ至ル迄ノ者ヲ以テ當
選者トシ同數者アルトキハ年長者ヲ取
リ年齢同シキトキハ議長抽籤シテ之ヲ
定ム
第五十九條第二項中「三日以内出席ヲ停
止シ又ハ二圓以下ノ過怠金ヲ科スル規定
ヲ設クルコトヲ得」ヲ「五日以內出席ヲ停
止スル規定ヲ設クルコトヲ得」ニ改ム
第六十四條第一項中「又ハ助役ヲ定メ若
ハ選舉シ」ヲ、同條第二項中「町村長又
ハ」ヲ削リ同條第二項ヲ左ノ如ク改ム
有給町村長及有給助役ハ其ノ退職セム
トスル日前三十日目迄ニ申立ツルニ非サ
レハ任期中退職スルコトヲ得ス但シ町
村會ノ承認ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在
ラス
第六十五條町村長及助役ハ第十五條第
二項又ハ第五項ニ揭ケタル職ト兼ヌル
コトヲ得ス又其ノ町村ニ對シ請負ヲ爲
シ又ハ其ノ町村ニ於テ費用ヲ負擔スル
事業ニ付町村長若ハ其ノ委任ヲ受ケタ
ル者ニ對シ請負ヲ爲ス者及其ノ支配人
又ハ主トシテ同一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ
無限責任社員、取締役監査役若ハ之ニ
準スヘキ者、〓算人及支配人タルコト
ヲ得ス
第六十六條第一項中「及有給助役」ヲ削リ
「郡長」ヲ「府縣知事」ニ改ム
第六十七條第三項及第四項ヲ削リ第五項
ヲ左ノ如ク、第七項中「郡長」ヲ「府縣知
事」ニ改ム
第六十三條第二項及第四項、第六十五
條竝前條第二項ノ規定ハ收入役及副收
入役ニ之ヲ準用ス
第六十八條第二項ヲ左ノ如ク改ム
區長及其ノ代理者ハ名譽職トス町村公
民中選擧權ヲ有スル者ヨリ町村長ノ推
薦ニ依リ町村會之ヲ定ム
第六十九條第二項中「町村會ニ於テ町村
會議員又ハ町村公氏中選擧權ヲ有スル者
ヨリ之ヲ選擧ス」ヲ「町村會議員又ハ町村
公民中選擧權ヲ有スル者ヨリ町村長ノ推
薦ニ依リ町村會之ヲ定ム」ニ改メ同條第
三項中「常設」ヲ削ル
第七十條第一項ヲ左ノ如ク改ム
町村公民ニ限リテ擔任スヘキ職務ニ在
ル吏員又ハ職ニ就キタルカ爲町村公民
タル者選擧權ヲ有セサルニ至リタルト
キハ其ノ職ヲ失フ
第七十四條第四項ヲ左ノ如ク、第六項中
「郡長」ヲ「府縣知事」ニ改メ同條第七項中
「府縣參事會ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服ア
ルトキハ」ヲ、同條第八項ヲ及第九項中
「及第四項」ヲ削ル
第二項ノ裁決又ハ前項ノ處分ニ不服ア
ル町村長又ハ町村會ハ行政栽判所ニ出
訴スルコトヲ得
第七十五條第一項中「郡長」ヲ「府縣知事」
二四人
第七十八條第一項中「郡長ノ許可ヲ得テ」
ヲ削ル
第八十條第二項中「町村ハ收入役故障ア
ルトキ之ヲ代理スヘキ吏員ヲ定メ郡長ノ
認可ヲ受クヘシ」ヲ「町村會ハ町村長ノ推
薦ニ依リ收入役故障アルトキ之ヲ代理ス
ヘキ吏員ヲ定ムヘシ」ニ改メ同條第四項
中「郡長ノ許可ヲ得テ」ヲ削ル
第八十七條第二項中「前項ノ異議ハ」ヲ
「前項ノ異議ノ申立アリタルトキハ町村
長ハ七日以内ニ」ニ改ム
第百一條ノ二町村ハ公益上其ノ他ノ事
由ニ因リ課稅ヲ不適當トスル場合ニ於
テハ命令ノ定ムル所ニ依リ町村稅ヲ課
セサルコトヲ得
第百六條第五項中「郡長ニ訴願シ其ノ栽
決ニ不服アルトキハ」ヲ削ル
第百九條第一項中「其ノ條例中ニハ五圓
以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クルコトヲ
得」ヲ削リ同條第二項ヲ左ノ如ク改ム
詐僞其ノ他ノ不正ノ行爲ニ依リ使用料
ノ徴收ヲ免レ又ハ町村稅ヲ通脫シタル
者ニ付テハ町村條例ヲ以テ其ノ徵收ヲ
免レ又ハ通脫シタル金額ノ三倍ニ相當
スル金額(其ノ金額五圓未滿ナルトキ
ハ五圓)以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設
クルコトヲ得
前項ニ定ムルモノヲ除クノ外使用料、手
數料及町村稅ノ賦課徵收ニ關シテハ町
村條例ヲ以テ五圓以下ノ過料ヲ科スル
規定ヲ設クルコトヲ得財產又ハ營造物
ノ使用ニ關シ亦同シ
第百十條第三項中「前二項ノ異議ハ」ヲ
「前二項ノ異議ノ申立アリタルトキハ町
村長ハ七日以內ニ」ニ改ム
第百十一條第六項中「前三項ノ處分ヲ受
ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ」ヲ
「前三項ノ處分ニ不服アル者ハ」ニ改ム
第百十七條中「郡長」ヲ「府縣知事」ニ改ム
第百二十二條第一項中「六月三十日」ヲ
「五月三十一日」ニ、同條第三項中「第八
項」ヲ「第五項」ニ、同條第四項中「郡長」
ヲ「府縣知事」ニ改ム
第百二十五條中「郡長」ヲ「府縣知事」ニ改
ム
第百二十七條中「郡長」ヲ「府縣知事」ニ、
「府縣知事」ヲ「內務大臣」ニ改ム
第百二十九條第三項、第百三十條第三
項第百三十一條第三項及第百三十三條
第二項中「内務大臣ノ許可ヲ得」ヲ削ル
第百三十四條第一項中「府縣知事ノ許可
ヲ受クヘシ」ヲ「之ヲ定ム」ニ改メ同條第
二項中「内務大臣ノ許可ヲ得」ヲ削ル
第百三十五條第一項中「前條第一項」ヲ
「前條第二項」ニ、同條第三項中「前項ノ
異議ハ」ヲ「前項ノ異議ノ申立アリタルト
キハ組合ノ管理者ハ七日以内ニ」ニ改ム
第百三十七條町村ハ第一次ニ於テ府縣
知事之ヲ監督シ第二次ニ於テ內務大臣
之ヲ監督ス
第百三十八條中「郡長」ヲ「府縣知事」ニ改
メ「府縣知事ニ訴願シ其ノ栽決ニ不服ア
ルトキハ」ヲ削ル
第百四十條第二項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ」
決定書又ハ裁決書ノ交付ヲ受ケサル者
ニ關シテハ前二項ノ期間ハ告〓ノ日ヨ
リ之ヲ起算ス
第百四十條ノ二異議ノ決定ハ本法中別
ニ期間ヲ定メタルモノヲ除クノ外其ノ
決定ニ付セラレタル日ヨリ三月以內ニ
之ヲ爲スヘシ
府縣參事會訴願ヲ受理シタルトキハ其
ノ日ヨリ三月以内ニ之ヲ裁決スヘシ
第百四十三條第一項及第二項中「郡長」ヲ
「府縣知事」ニ改メ同條第三項中「府縣知
事ニ訴願シ其ノ栽決ニ不服アルトキハ」
ヲ削ル
第百四十五條町村條例ヲ設ケ又ハ改正
セムトスルトキハ内務大臣ノ許可ヲ受
クヘシ
第百四十六條第四號中「手數料及加入金」
ヲ削ル
第百四十七條中「郡長」ヲ「府縣知事」ニ、
同條中左ノ如ク改ム
-町村條例ヲ廢止スル事
二基本財產及特別基本財產竝林野ノ
處分ニ關スル事
五手數料及加入金ヲ新設シ增額シ又
ハ變更スル事
第四百五十條第一項中「又ハ郡長」ヲ、同
條第四項中「郡長ノ處分ニ付テハ府縣知
事ニ訴願シ其ノ栽決ニ不服アルトキ又ハ
府縣知事ノ處分ニ付テハ」ヲ創ル
第百五十二條削除
第百五十三條ノ二ヲ削ル
第百五十六條ノ二本法中官吏ニ關スル
規定ハ待遇官吏ニ之ヲ適用ス
附則
本法中公民權及議員選舉ニ關スル規定ハ
次ノ總選擧ヨリ之ヲ施行シ其ノ他ノ規定
ノ施行ノ期日ハ勅令以テ之ヲ定ム
第三十八條ノ規定ニ依リ町村會ヲ設ケサ
ル町村ニ付テハ本法ノ施行ノ期日ハ勅令
ヲ以テ之ヲ定ム
次ノ總選舉ニ至ル迄ノ間從前ノ第十四
候第十七條、第十八條、第三十一條、
第三十三條及第三十六條ノ規定ニ依リ難
キ事項ニ付テハ勅令ヲ以テ特別ノ規定ヲ
設クルコトヲ得
本法ニ依リ初テ議員ヲ選擧スル場合ニ於
テ必要ナル選擧人名薄ニ關シ第十八條乃
至第十八條ノ五ニ規定スル期日又ハ期間
ニ依リ難キトキハ命令ヲ以テ別ニ其ノ期
日又ハ期間ヲ定ム但シ其ノ選擧人名簿ハ
次ノ選擧人名簿確定迄其ノ效力ヲ有ス
本法施行ノ際大正十四年法律第四十七號
衆議院議員選擧法未タ施行セラレサル場
合ニ於テハ本法ノ適用ニ付テハ同法ハ既
ニ施行セラレタルモノト看做ス
本法施行ノ際必要ナル規定ハ命令ヲ以テ
之ヲ定ム
第四北海道會法中改正法律案(政府
提出)第一讀會
北海道會法中改正法律案
北海道會法中左ノ通改正ス
第一條第三項及第四項ヲ削ル
第三條帝國臣民タル年齡二十五年以上
ノ男子ニシテ二年以來北海道内ノ同一
市町村内ニ住所ヲ有スル者ハ北海道會
議員ノ選擧權及被選擧權ヲ有ス但シ左
ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ此ノ限ニ在
ラス
-禁治產者及準禁治產者
二破產者ニシテ復權ヲ得サル者
三貧困ニ因リ生活ノ爲公私ノ救助ヲ
受ケ又ハ扶助ヲ受クル者
四一定ノ住居ヲ有セサル者
五六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處
セラレタル者
六刑法第一一編第一章、第三章、第九
章、第十六章乃至第二十一章、第二十
五章又ハ第三十六章乃至第三十九章
ニ掲クル罪ヲ犯シ六年未滿ノ懲役ノ
刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執
行ヲ受クルコトナキニ至リタル後其ノ
刑期ノ二倍ニ相當スル期間ヲ經過ス
ルニ至ル迄ノ者但シ其ノ期間五年ヨ
リ短キトキハ五年トス
七六年未滿ノ禁錮ノ刑ニ處セラレ又
ハ前號ニ揭クル罪以外ノ罪ヲ犯シ六
年未滿ノ懲役ノ刑ニ處セラレ其ノ執
行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキ
ニ至ル迄ノ者
前項二年ノ期間ハ市町村ノ廢置分合又
ハ境界變更ノ爲中斷セラルルコトナシ
第四條陸海軍軍人ニシテ現役中ノ者
(未タ入營セサル者及歸休下士官兵ヲ
除ク)及戰時若ハ事變ニ際シ召集中ノ
者ハ選擧權及被選擧權ヲ有セス兵籍ニ
編入セラレタル學生生徒(勅令ヲ以テ
定ムル者ヲ除ク)及志願ニ依リ國民軍
ニ編人セラレタル者亦同シ
第五條在職ノ檢事、警察官吏及收稅官
吏ハ被選擧權ヲ有セス
選舉事務ニ關係アル官吏及吏員ハ其ノ
關係區域內ニ於テ被選舉權ヲ有セス
北海道廳長官若ハ北海道地方費ニ對シ
請負ヲ爲シ又ハ北海道地方費ニ於テ費
用ヲ負擔スル事業ニ付北海道廳長官若
ハ其ノ委任ヲ受ケタル者ニ對シ請負ヲ
爲ス者及其ノ支配人又ハ主トシテ同一
ノ行爲ヲ爲ス法人ノ無限責任社員、取
締役監査役若ハ之ニ準スヘキ者、〓算
人及支配人ハ被選擧權ヲ有セス
北海道廳ノ官吏及北海道地方費ノ有給
ノ吏員其ノ他ノ職員ニシテ在職中ノ者
ハ北海道會議員ト相兼ヌルコトヲ得ス
衆議院議員ハ北海道會議員ト相兼ヌル
コトヲ得ス
第六條北海道會議員ノ選擧ハ市ニ在リ
テハ市會議員選擧人名簿ニ依リ、町村
ニ在リテハ每年九月十五日ノ現在ニ依
リ町村長ノ調製スル選舉人名簿ニ依リ
之ヲ行フ
町村制第十八條第二項、第十八條ノ二
乃至第十八條ノ五ノ規定ハ前項町村ニ
於ケル選擧人名簿ニ之ヲ準用ス
第七條選擧長ハ北海道廳支廳長又ハ市
長ヲ以テ之ニ充ツ
選擧長ハ選舉會ニ關スル事務ヲ擔任ス
選擧會ハ北海道廳支廳、市役所又ハ選
擧長ノ指定シタル場所ニ之ヲ開ク
選擧長ハ豫メ選擧會ノ場所及日時ヲ告
示スヘシ
第十條中左ノ如ク改ム
三削除
第十四條府縣制第五條、第八條、第十
三條乃至第二十二條、第二十三條ノ
二乃至第四十條、第四十二條乃至第六
十四條、第六十六條、第六十七條、第
六十九條乃至第七十四條、第八十二條
乃至第八十七條、第百二十七條乃至第
百二十九條、第百三十一條、第百三十
五條、第百三十六條、第百四十二條及
第百四十四條ノ規定ハ之ヲ準用ス但シ
其ノ第七十三條中第六十八條第二トア
ルハ本法第十條第二號トス
第十五條削除
附則
本法中選擧ニ關スル規定ハ次ノ總選舉ヨ
リ之ヲ施行シ其ノ他ノ規定ノ施行ノ期日
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ニ依リ議員ヲ選擧スル場合ニ於テ必
要ナル選擧人名簿ニ關シ第六條ノ規定ニ
依リ難キトキハ命令ヲ以テ特別ノ規定ヲ
設クルコトヲ得
本法施行ノ際大正十四年法律第四十七號
衆議院議員選擧法又ハ大正十五年府縣制
中改正法律、市制中改正法律若ハ町村制
中改正法律未夕施行セラレサル場合ニ於
テハ本法ノ適用ニ付テハ同法ハ既ニ施行
セラレタルモノト看做ス
本法施行ノ際必要ナル規定ハ命令ヲ以テ
之ヲ定ム
第五北海道地方費法中改正法律案
(政府提出)第一讀會
北海道地方費法中改正法律案
北海道地方費法中左ノ通改正ス
第六條削除
第八條第一項中「一戶長役場費及戶長以
下給料旅費及諸給與」ヲ削リ同條第二項
ヲ左ノ如ク改ム
前項ノ外公共事務ノ爲費目ノ增加ヲ要ス
ルトキハ北海道會ノ議決ヲ經テ北海道廳
長官之ヲ定ム
第八條ノ三中「第百十二條、」ノ下ニ「第百
十四條、」ヲ加ヘ「及第百三十二條乃至第
百三十六條」ヲ「、第百三十二條乃至第百
三十六條、第百四十二條及第百四十四條」
ニ改ム
第八條ノ四ヲ削ル
附則
本法施行ノ期日ハ各條ニ付勅令ヲ以テ之
ヨルハ
第六水利組合法中改正法律案(政府
提出)第一讀會
水利組合法中改正法律案
水利組合法中左ノ通改正ス
第十條第一項中「郡長」及「郡長又ハ」ヲ削
ル
第二十條第五項中「府縣知事ニ訴願シ其
ノ裁決ニ不服アル者ハ」ヲ及同條同項但
書ヲ削ル
第二十一條第三項中「府縣知事ニ訴願シ
其ノ裁決ニ不服アル者ハ」ヲ及同條同項
但書ヲ削ル
第三十三條中「郡長又ハ」ヲ削リ同條第一
項ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ府縣知事必要アリト認ムルトキハ
官吏ヲ指定シ組合ノ事務ヲ管理セシム
ルコトヲ得
第三十四條第一項中「郡長管理者タル場
合ハ郡長ノ指定シタル郡書記」ヲ「官吏管
理者タル場合ハ府縣知事ノ指定シタル官
吏又ハ府縣吏員」ニ改ム
第三十九條第三項中「前二項郡長ノ處分
ニ不服アル組合會ハ府縣知事ニ訴願シ其
ノ裁決又ハ」ヲ、同條第五項中「府縣知事
ニ訴願シ其ノ栽決ニ不服アルトキハ」ヲ
及同條同項但書ヲ削ル
第四十四條第一項中「郡長」ヲ「官吏」ニ、
「郡書記」ヲ「官吏、府縣吏員」ニ改ム
第五十條第四項中「府縣知事ニ訴願シ其
ノ栽決ニ不服アル者ハ」ヲ及同條同項但
書ヲ削ル
第五十五條第二項中「府縣知事ニ訴願シ
其ノ栽決ニ不服アルトキハ」ヲ及同條同
項但書ヲ削ル
第五十九條中「府縣知事ニ訴願シ其ノ栽
決ニ不服アル者ハ」ヲ竝同條第三項但書
及第四項但書ヲ削ル
第七十二條第一項ヲ左ノ如ク改ム
組合ハ第一次ニ於テ府縣知事之ヲ監督
シ第二次ニ於テ內務大臣之ヲ監督ス
第七十六條第三項中「府縣知事ニ訴願シ
其ノ栽決ニ不服アルトキハ」ヲ及同條同
項但書ヲ削ル
第八十一條第一項中「郡長」ヲ、同條第二
項中「郡長ノ行ヒタル解職ニ不服アル者
ハ府縣知事ニ訴願シ其ノ裁決又ハ」ヲ削
ル
附則
本法ハ郡長廢止ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行ノ際必要ナル規定ハ命令ヲ以テ
之ヲ定ム
第七徵發令中郡及郡長ニ關スル規定
ノ適用ニ關スル法律案(政府提出)
第一讀會
徵發令中郡及郡長ニ關スル規定ノ適用
ニ關スル法律案
徵發令中郡ニ關スル規定ハ町村ニ、郡長
ニ關スル規定ハ町村長ニ之ヲ適用ス
附則
本法ハ郡長廢止ノ日ヨリ之ヲ施行ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=19
-
020・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 若槻内閣總理大臣
〔國務大臣若槻禮次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=20
-
021・若槻禮次郎
○國務大臣(若槻禮次郞君) 諸君、時勢ノ
進運ニ伴ヒマシテ、國民ノ政治思想モ亦著
シク發達ヲ致シ、殊ニ地方行政ニ於キマシ
テモ、自治制施行以來數十年ノ訓練ト經驗
トヲ積ミマシテ、其發達洵ニ顯著ナルモノ
ガアルノデアリマス、仍テ政府ハ此際市制、町
村制、府縣制等ノ地方制度ニ關スル諸法律
ヲ改正致シマシテ、益、公民自治ノ途ヲ宏
人又地方自治權ノ擴張ヲ圓ル等、以テ制
度ノ整備ヲ期セント考へテ居ル次第デアリ
マス、而シテ今囘提出致シマシタル地方制
度ニ關スル各種改正法律案ノ內容ニ付キ
マシテ、其主ナルモノヲ要約シテ申上ゲテ
見マスレバ、第一ハ地方議會ノ選擧權及被
選擧權ノ擴張デアリマス、第二ハ選舉方法
ノ改善デアリマス、第三ハ自治機關ノ整齊
デアリマス、第四ハ地方自治權ノ擴張等デア
リマシテ、大體ハ此四ツノモノニ歸著スル
ト申上ゲテ差支ナカラウト思ヒマス、仍テ
第一ヨリ第四ニ至リマスル箇條ノ要項ヲ簡
單ニ說明ヲ申上ゲタイト思ヒマス、第一ハ
選擧權及被選擧權ノ擴張デアリマス、選擧
權ハ市町村ニ於キマシテハ、市町村公民ノ
享有スル所デアリマス故ニ、改正案ハ公民
權タルベキ要件ノ中カラ、獨立ノ生計ト云
フ事ト、納稅資格ト云フ此二ツノ要件ヲ撤
廢〓スコトニ致シタノデアリマス、又府縣
ニ於キマシテハ府縣會議員選擧權ノ要件中
カラ、直接國稅納稅資格ト云フモノヲ、撤
廢致サウトスルノデアリマス、惟フニ既ニ
改正衆議院議員選擧法ガ、普通選舉制ニ依
リマシタルニモ拘ラズ、地方制度ニ於テ尚
ホ獨リ特定ノ納稅要件、又ハ經濟要件ヲ以
テ選擧資格ヲ制限シテ置キマスコトハ、決
シテ適當ノ事デナイト思ハレルノデアリマ
ス、殊ニ公民自治ノ理想ハ自治體ヲ構成ス
ル成ベク多數ノ者ニ對シテ、其事務ニ參與
スルノ機會ヲ與ヘマシテ、相倚リ相扶ケテ
自治ノ進展ヲ期セシムルニ存スル次第デア
リマスガ故ニ、改正案ハ改正衆議院議員選
擧法ニ準ジマシテ、特定ノ〓格條項ニ該ル
者ヲ除キマス外、市町村ニ在リマシテハ帝
國臣民タル年齡二十五年以上ノ男子ニシテ、
二年以來市町村内ニ住所ヲ持ッテ居リマス
者ハ、總テ其市町村公民タル者ニ致シタノ
デアリマス、又府縣ニ於キマシテハ、市町
村公民タル者ニ對シテ、總テ府縣會議員選
擧權ヲ付與スルコトニ致シンタ一ノデアリマ
ス斯ノ如クシテ改正案ニ依ッテ勘定ヲ致
シマスト云フト、市町村ノ公民ノ數ハ約千
二百五十二万餘人ニナルノデアリマス現
行法ニ於テ市町村公民ノ數ハ、約七百八十
二万人デアリマスカラシテ、之ニ比較ヲシ
テ見マスト、約六割ノ增加ヲ呈スルノデア
リマス、府縣會議員選舉有權者ハ、現行法
ニ依リマスト、有權者ガ約五百二十九万餘
人デアリマシテ、此度ハ是ガ千二百五十二
万餘人ニナリマス故ニ、約十三割餘ヲ增加
スルコトニナル次第デアリマス、被選擧權
ニ付キ】マシテハ市町村及府縣ヲ通ジマシ
テ、衆議院議員選舉法改正ノ趣旨ニ鑑ミマ
シテ、神宮、神職、僧侶、其他諸宗ノ〓師、
及小學校〓員ニ對スル被選擧權ノ制限ヲ撤
廢スルコトニ致シマシタ、且ツ市町村ニ在
リマシテハッ其所屬府縣ノ官吏及有給吏員、
竝ニ其市町村ノ有給吏員ニ對シマシテ、又
府縣ニ在リマシテハ其府縣ノ官吏及有給吏
員ニ對シマシテ、共ニ被選擧權ノ制限ヲ撤
廢シテ、被選舉資格ノ自由ヲ擴張致シマス
ト共ニ、一面ニ於テハ選擧事務ニ關係ノア
ル官吏、吏員ハ其關係區域內ニ於テハ被選
擧權ヲ持タナイコトニ致シテ、以テ選擧執
行ノ公正ヲ期シタノデアリマス、尙ホ其上
ニ當該市町村又ハ府縣ト密接ナル關係ヲ持ノ
テ居ル所ノ特定ノ官吏、吏員ニ對シマシテ
ハ議員トノ兼職ヲ禁止致シマシテ、以テ
地方議會ニ於ケル議事ノ公正ヲ期スルコ
トヽ致シタノデアリマス、第二ハ選擧方法
ノ改善デアリマス、選擧方法ニ關シマシテ
ハ選擧ノ公正ト的確トヲ期スルガ爲ニ、種
種ノ點ニ於テ必要ナル改正ヲ行ハントシテ
居ルノデアリマス、其第一ハ市町村ニ於ケ
ル等級選擧ノ制ヲ撤廢シタコトニ存シテ居
ルノデアリマス、蓋シ納稅額ノ多寡ニ依リ
マシテ、選舉權ノ效力ニ差等ヲ設クルガ如
キコトハ決シテ適當ナルモノト認メルコ
トハ出來ヌノデアリマス、加之從來ノ實績
ニ徵シテ見マシテモ、等級選舉制ヲ存續ス
ルコトハ、決シテ其必要ヲ認メヌノデアリ
マス、殊ニ本改正案ニ於キマシテハ選擧
資格中カラ納稅要件ヲ撤廢シタノデアリマ
スガ故ニ、等級選擧ヲ認メタクテモ其基礎
トナルベキモノガ消滅シタ次第デアリマス
カラ、旁、此際等級選舉制モ全ク之ヲ撤廢
スルコトニ致シタノデアリマス、其次ニハ
改正案ハ府縣會議員選舉ニ關シマシテ、選
擧區ヲ分ッテ更ニ數選舉區ヲ設ケ得ル所ノ
選舉分區制度ト云フモノヲ、廢止スルコト
ニ致シタノデアリマス、蓋シ府縣會議員ノ
選擧ニ在リマシテモ、選舉區ガ餘リニ狹小
ニナリマスコトハ、選擧ノ實際ニ鑑ミマシ
テ適當ト認メ難キ次第デアリマスルガ故ニ、
之ヲ郡市ノ區域ニ依ラシムルノガ相當デア
ルト認メタイノデアリマス、選擧人名簿ニ
關シマシテハ市町村會議員選舉人名簿ノ
隨時名簿主義ヲ改メマシテ、之ヲ定時名薄
トスルコトニ致シマスト共ニ、府縣會議員
ノ選擧ニ關シマシテハ別ニ名簿ヲ調製致シ
マセヌデ、市町村會議員選擧人名薄ニ依ク
テ之ヲ行フコトヽシタノデアリマス、惟フ
ニ市町村會議員選擧人名簿ヲ定時名薄ト致
シマシタル理由ハ選擧人ノ增加ニ伴ヒマ
シテ正確ナル名簿ヲ調製スルノ必要ガアル
ノデアリマス、且ツ補關選擧ノ主義ヲ改メ
マシタ結果ニ對應スルモノデアルコト固ヨ
リデアリマスルケレドモ、尙ホ一面ニ於テ
ハ府縣制ノ改正ニ依ッテ、市町村公民ニハ總
テ府縣會議員ノ選舉權ヲ付與スルコトニ致
シマシタ故ニ、各市町村ニ於ケル名薄調製
期日ヲ一致致サシメマス以上ハ、從來ノ如
ク府縣ニ於テ更ニ名簿ヲ調製スル必要ガ無
クナッタノデアリマスルノデ、一ノ名簿ヲ以
テ二種ノ議員選舉ヲ執行スルコトガ出來ル
ノデアリマス、仍テ手續ノ重複ヲ避ケ得ル
ノミナラズ、改正衆議院議員選擧法ニ依ル選
擧權ト、本改正案ニ依ル市町村公民權トハ、
僅ニ住所ノ制限ヲ異ニスルニ過ギナイ次第
デアリマスルガ故ニ、名簿調製期日ヲ一定
致スト云フト、更ニ手續ヲ省略シ得ルコトガ
少クナイノデアリマス、斯クシテ名簿調製
上ニ、事務ノ簡㨗ヲ圖リ得ルコトガ又鮮少
ナラザルモノデアルト信ジテ居ルノデアリ
やで、府縣會議員選舉竝ニ勅令ヲ以テ指定
シマス所ノ市及區ノ議員選舉ニ關シマシテ
ハ改正衆議院議員選擧法ニ做ヒマシテ、
議員候補者制度ヲ設ケ、且ツ選擧運動及選
擧運動ノ費用ニ關スル規定、及ビ公立學校
其他公共營造物使用ニ關スル規定ヲ設クル
コトニ致シタイノデアリマス、蓋シ是等ノ
議員選擧ニ在リマシテハ、其選擧競爭ガ相
當激甚デアラウト思ハレマス故ニ、選擧ノ
眞摯ヲ期スルガ爲ニハ、議員候補者制度ヲ設
クル必要ガアルノミナラズ、選擧運動ノ取
締及選擧運動ノ費用ヲ制限致ス等ニ依リマ
シテ、選擧ノ公正ヲ期スルノ要ガアルト認
メタノデアリマス、而シテ一般ノ市町村ニ
付キマシテモ、亦選擧運動ヲ全然放任致ス
ト云フコトハ適當デアリマセヌ故ニ、戶別
訪問其他特ニ必要ナル制限ヲ加フルコトヽ
致シタノデアリマス、其他市町村ニ付キマ
シテハ、補關選擧ニ關スル從來ノ制度ヲ改
メマシテ、議員ガ闘員トナリタル時ヨリ三
月以內ニ補闕選舉ヲ行フノ原則ヲ立テマス
ルト共ニ、一面ニ於テハ市町村府縣ヲ通ジ
テ補闕選舉、又ハ再選擧ヲ行フベキ事由、
議員ノ任期滿了前六月以内ニ生ジタル時
ハ特別ノ法定事由アル場合ヲ除クノ外、
選擧ヲ行フコトヲ要セナイト云フ便法ヲ認
メントシテアルノデアリマス、蓋シ斯ル場
合ニ於キマシテハ特ニ支障ナキ限リ選擧
ヲ行ヒマセヌデモ、自治體ノ意思決定ニ大
ナル支障ガナカラウト存ズルカラデアリマ
ス、更ニ改正案ハ假投票、點字投票ノ方法
ヲ設ケマシタ外、諸規定ノ改正ヲ行ヒマシ
テ、以テ選舉權ノ行使、及ビ選擧ノ執行ニ
遺憾ナカラシメンコトヲ期シタノデアリマ
ス、第三ハ自治機關ノ整齊デアリマス、現
行制度ニ於キマシテハ名參脚、市參事會員
ハ議員ノ任期ヲ以テ其任期トシテアリマ
ス、又名譽職府縣參事會員ハ、每年之ヲ選
擧スベキモノトシテアルノデアリマス、前
者ニ付キマシテハ、任期ヲモット短縮スル
ノガ宜シイト云フコトヲ希望シテ居ル者モ
尠カラナイト同時ニ、後者ニ付キマシテハ
モウ少シ相當任期ヲ延長スルノガ必要デア
ラウト認メラレルノデアリマス、仍テ改正
案ハ兩者ノ中庸ヲ採リマシテ、名譽職參事
會員ハ市及府縣トモ隔年之ヲ選擧スルコ
トヽ致シタノデアリマス、又參事會ノ職務
權限中、府縣會又ハ市會ニ提出スル議案ノ
審査權ハ、實際上ノ效果ガ乏シキノミデア
リマセズ、却テ事務澁滯ノ原因タルコトガ
少クナイノデアリマス、故ニ參事會ノ議案
審査權ハ之ヲ廢止スルコトヽ致シタノデア
リマス、次ニ市町村ニ於キマシテハ市參與、
名譽職、區長、委員等ハ之ヲ市町村會ニ於
テ選擧スルノ制度デアリマスケレドモ、是
等ノ機關ハ何レモ市町村長ノ補助機關デア
リマスガ故ニ、改正案ニ於キマシテハ市町
村長ノ推薦ニ依シテ、市町村會ガ之ヲ定ムベ
キモノト改メタノデアリマス、第四ハ地方
自治權ノ擴張デアリマス、地方自治權殊ニ
市町村自治權ノ擴張ハ、今回ノ地方制度ニ
關スル改正法律案ニ於ケル改正事項中、最
モ重要ナル意義ヲ有シテ居ルモノヽ一ツデ
アルノデアリマス、惟フニ地方團體ノ自治
權ハ、國民ノ自治ニ關スル練達、習熟ノ進
度ニ伴ヒマシテ、こ益〓之ヲ擴張スルノガ相
當デアラウト思ハレマス、殊ニ自治監督ニ
於キマシテ制度創設ノ際ニ當リマシテハ
官ノ補導監督モ亦相當嚴密且ツ零細ニ渉ル
コトヲ要シタノデアリマセウケレドモ、既
ニ數十年ノ訓練ヲ經マシタノニ、尙且ツ舊制
ノ如ク監督ニ煩瑣ノ手數ヲ加ヘルト申スコ
トハ却テ白治體ノ自立獨行ノ意氣ヲ阻害
シテ、直正ナル自治ノ發達ヲ期スル所以デ
ナイト思ハレマス、政府ハ從來ニ於ケル地
方自治ノ實績ニ徵シマシテ、郡長ヲ廢止シ
テ、町村監督事務ノ簡捷ヲ圖リマスト共ニ、
地方制度改正法律ニ於キマシテモ、諸般ノ
許可、認可等二十數項ヲ整理致シマシテ、
以テ地方自治權ヲ擴張シ、且ツ事務簡㨗ヲ圖
ラントシテ居ル次第デアリマス、以上ハ市
制町村制及府縣制中改正法律案ノ要項デ
アリマスガ、北海道會法及北海道地方費法
ニ關シマシテハ、北海道會議員選擧權及被
選擧權ヲ府縣會議員選擧權及被選舉權ニ準
ジテ擴張致シ、北海道地方費ニ於ケル公共
事務ノ費目增加ニ關スル許可ヲ廢シマスル
コトノ外、〓ネ府縣制改正ニ伴ヒマシテ
各法條ノ改正ヲ行ッタノデアリマス、以上各
種ノ改正法律案ハ最モ時運ノ趨勢ニ適合
シ、之ニ依リ益〓地方自治ノ發達ニ資スル
所アランコトヲ期シタノデアリマス、最後
ニ水利組合法ヲ改正致シマスルノハ、郡長
廢止ニ伴フ結果デアリマシテ、就中組合ノ
管理者ニハ府縣知事ニ於テ關係地ノ市町村
長ノ一人ヲ指定スルコトヲ以テ原則ト致シ
テ、特ニ必要アル場合ニ於キマシテハ官
吏ヲ指定シ組合事務ヲ管理セシムルノ途ヲ
開キマシタル外、同法中郡長ノ行ヒマス監
督規定其他郡長ニ關スル規定ヲ改正シタ
ノデアリマス、尙ホ徴發令中郡及郡長ニ關
スル規定ノ適用ニ關スル法律案モ、亦郡役
所ヲ廢止シマス當然ノ結果デアリマシテ、
是モ亦地方制度其モノデハアリマセヌケレ
ドモ、地方制度整備ノ爲ニ郡役所ヲ廢止ス
ルコトカラ生ジタ當然ノ結果デアルノデア
リマス、諸案トモ只今御說明申上ゲタ趣旨
ニ於テ立案シタノデアリマスカラ、御審議ノ
上ニ御協賛ヲ與ヘラレンコトヲ切ニ希望シ
テ已マナイ次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=21
-
022・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 質疑ノ通告ガ數名ア
リマス順次之ヲ許シマス-石坂豊一君
〔石坂豊一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=22
-
023・石坂豐一
○石坂豊一君 本員ハ只今上程サレマシタ
府縣制中改正法律案外六件ノ法律案ニ對シ
マシテ、五點バカリ内務大臣ニ伺シテ見タイト
思フノデアリマス、政府ガ今回我國自治ノ
根幹ヲ成ス所ノ、地方自治制度ニ改正ヲ加
ヘラレマシタルコトハ、開會ノ初ニ當リマ
シテ、加藤總理大臣ヨリ衆議院議員選舉法
改正ニ伴ヒ、地方議會選舉權モ之ヲ擴張シ
テ、サウシテ國民ノ政治生活ノ安定ヲ圖ル
コトニシタイト云フ御聲明ニ基カレタモノ
ト信ズルノデアリマス、內務大臣ノ御說明
ニ依リマシテモ、其點ハ極メテ明瞭ニ拜察ス
ルコトガ出來ルノデアリマシテ、此點ニ關
シテハ何人モ異論ノナイ事デ、吾々ハ本案
ノ提出ヲ極メテ歡迎スル者デアリマス、併
ナガラ民意ノ暢達ノ爲ニ選擧權ヲ擴張セラル
ルト云フコトハ單ニ多數ノ者ニ選舉權ヲ
付與シタト云フコトバカリデハ、其目的ヲ
達成スルコトヲ得ナイト信ズルノデアリマ
ス其選擧ニ依ッテ、送ッタ所ノ議員ノ權限
ヲ擴張致シマシテ、サウシテ總テ議政機
關ノ能率ヲ擧ゲルト云フコトニ、其最終ノ
目的ガアルトモ存ズルノデアリマス、此點ヨ
リ見マスルト云フト、今囘ノ改正ニ於テ少
シク疑ヲ容レマスルコトハ府縣制ノ中デ
府縣參事會ノ權限、及市制ノ中デ市參事會ノ
權限ヲ縮小セラレタコトデアリマス、只今
內務大臣ハ御說明ニナリマシテ、事務簡捷
及從來事務ニ澁滯ヲ見ル心配ガアッタカラ、
參事會ノ權限ヲ縮小シタト云フコトヲ仰セ
ラレマシタ、今囘削除セラレマシタ所ノ權
限ハ、府縣參事會ニ於キマシテハ知事ノ縣
會ニ發案スル所ノ議案ニ對スル審査、及決
算ノ審査ヲ府縣參事會ノ權限ヨリ廢止ニ
ナッタノデアリマス、又市參事會ニ於キマシ
テハ、市長ガ議案ヲ市會ニ提出スル前ニ、
其議案ニ對スル審査ヲ行ハセテアリマシタ
ノヲ、是モ御廢止ニナッタノデアリマス、府
縣參事會ノ職務權限ト致シマシテハ數多ゴ
ザイマスガ、其中デ從來最モ重ク取扱ハレ
テ居ッタノハ此議案審査ノ件デアルノデア
リマス、又府縣ノ決算モ、審査ト申シマス
ルモノハ無論府縣會ノ權限ニ屬シマスル
ガ、其府縣會ノ審査前ニ當リマシテ、施
參事會ガソレニ十分ノ審査ヲ加ヘテ、サウ
シテ其決算ノ認定ニ際シテ、縣民ヲシテ安
心セシムルト云フ方法ニ出テ店ッタノデア
リマス、然ルニ今回如何ナル御都合デアッタ
カ、事務澁滯ト云フ理由ノ下ニ之ヲ削除サ
レテ居ルノデアリマスガ、或ハ此審査權ニ
依リマシテ、從來多少澁滯シタ事實ハアル
カモ知レマセヌガ、總テ物ハ利弊、相伴フ
モノデアリマスカラ、一面此審査ニ依リマ
シテ、市長又ハ知事ガ自分ノ提出シタ所ノ
議案ガ捗ラヌト云フコトヲ憂ヘタ事實ハア
ルカモ存ジマセヌ、併ナガラ市制實施以來
三十九年、府縣制實施以來三十年ノ歲月ヲ
經テ居ルノデ、此制度ハ此長キ間繼續サレ
テ居ッタノデアリマス、サウシテ又一面理事
者ト議政機關トノ中間ニ介在致シマシテ、
其調和ヲ圖シテ居ッタ實際ノ效果モ極メテ著
シイコトヲ、吾々ハ事實ニ於テ認メテ居ル
ノデアリマス、今囘ノ改正ニ付キマシテ
ハ或ハ主トシテ府縣知事等ノ意見ヲ容レ
ラレタコトデアラウト思ヒマスガ、府縣知
事ニ於キマシテハ斯樣ナ中間機關ニ依リ
マシテ自己ノ提案ヲ審査サレルコトヲ喜ブ
筈ハナイノデアリマス、併ナガラ縣民ト致
シマシテハ、提案サレテ居ル所ノ議案ハ極
メテ縣民ノ利害休戚ニ適フモノデアリヤ否
ヤト云フコトヲ、適當ニ事實ヲ調ベテ貰フ
ト云フコトガ最モ必要ナ事ト考ヘルノデア
リマス、御存知ノ通リ縣會ハ一年ニ通常縣
會其他緊急ノ場合ニハ臨時縣會ガアルバ
カリデアリマシテ、其期間モ極メテ短イノ
デアリマス、デアリマスカラ提案ニ際シテ
ハ豫メ參事會ナルモノヽ手ヲ經テ、是等ノ
議案ノ調査ヲ命ズルト云フコトハ、府縣ノ
民意ヲ暢達スル所ノ一種ノ方法デアリハシ
ナイカ、然ルニ今囘民衆ニ基調ヲ置カレル
所ノ現內閣ハ偶〓地方制度ノ改正ヲ企テ
ラレルニ當リマシテ、此長イ歷史ヲ有シテ
居ル所ノ市參事會、或ハ府縣參事會ノ權限
縮小ヲ試ミラレタト云フコトハ只今内務
大臣ノ事務澁滯ト云フ一言ノ理由デハ、吾
吾ノ了解ニ苦ム所デアリマス、仍テ此事柄
ニ關シマシテドウ云フ弊害ガ起ッテ居ッタノ
カ、其點ヲ十分ニ御說明ヲ仰ギタイノデア
リマス、ンレカラ選擧權ヲ擴張セラレマシ
テ、成ベク多數ノ者ニ權限ヲ付與セラレル
コトハ至極結構デアルガ、選擧ハ四年ニ一
度シカ行ハナイモノデアル、然ルニ此日常
行フ所ノ自治事務ニ對シマシテ、事務ノ簡
捷ヲ期セラレタト云フ點ニ付テハ、只今內
務大臣ハ許可事項ノ擴張ト云フコトヲ仰セ
ラレマシタガ、ソレダケデハ滿足ハ出來ナ
イト思フノデアリマス、彼ノ大ナル府縣ニ
於テ行ハレテ居リマスル市部會、郡部會、
其他郡市聯帶ノ經濟ヲ立テヽ居ルガ如キ、
所謂三部制度ノ如キモノヲ撤廢ヲ致シマシ
テ、事務ノ簡捷ヲ根本的ニ企圖セラレルコ
トハ或ハ必要デアリハシナイカ、此點ニ
對シテ内務大臣ハ如何ナル御處置ヲ今回ノ
改正ニ對シテ御執ニナッテ居ルノデアルカ、
此點モ承ッテ見タイノデアリマス、第三ハ地
方議會ノ權限擴張ト致シマシテ、町村會ニ
於テ從來行ハレテ居ル所ノ缺點ヲ改正セラ
レタコトニ付テ、少シク私共カラ申上ゲテ
見タイコトガアルノデアリマス、ソレハ現
行町村制ニ於キマシテハ、町村長ガ町村會
ノ議長ヲ致シテ居ルノデアリマス、今回ノ
改正ニ於キマシテハ、此點ニ何等ノ改正ガ
加ヘラレテ居ラヌノデアリマス、無論極メ
テ人口稀薄ナル千五百未滿デアリマスルト
カ、或ハモツト少クシテ六百トカ七百ト云
フ村モアリマスルガ、斯樣ナ町村ニ於テ町
村長及議長ト云フモノヲ幾通リモ設ケルト
云フコトハ、不得策カモ存ジマセヌケレド
モ、大ナル町村モ亦天下ニ數多イノデアリ
マス、現ニ吾々ノ居住シテ居リマス澁谷町
ノ如キ人口十六万以上モアリマシテ、六大
都市ニ次グ位ナ大ナル町村デアル、是等ノ
町村モ總テ町村會議長トナリマスルト云フ
コト、村長ガ之ヲ兼テ居ルノデアリマス、
斯樣ナ事柄ハ追〓自治權ノ擴張ニ伴ヒマシ
テ、理事者ト議政機關トノ間ニ截然タル區
分ヲ致シマシテ、各〓其機能ヲ發揮スルト
云フコトノ必要上、吾々ハ特別ニ町村會議
長ト云フモノヲ設置シ夕方ガ宜シイヤウニ
考ヘルノデアリマス、此點ニ對シマシテ內
務省ニ於テ調査ニナッタノデアリマセウカ、
此點モ伺ノテ見タイノデアリマス、ソレカラ
第四ト致シマシテハ、町村會議員ノ員數デ
アリマス、町村會議員ノ定數ニ付キマシテ
ハ、人口ヲ多數持ノテ居リマス所ノ市ト比
ベマスト云フト、町村會議員ノ定數ガ比較
上數多イノデアリマス、數多イケレドモ、
之ヲ實際ノ員數カラ見マスルト云フト、或
ハ八人トカ又ハ十人トカ、十八人トカ、-
万以上二万ニナレバ漸ク二十四人、ソレカ
ラ二万以上ハ三十人ト斯ウナッテル居ルノデ
アリマス、苟モ〓體ヲ成ス以上ハ、其團體ノ
議政機關ヲ組織スル所ノ員數ハ、如何ニ縮小
致シマシテモ、人口許リニ依ル譯ニハ行カ
ヌノデアリマス、故ニ現在ニ於キマシテ
モ、全國ノ市町村ヨリ議員ノ定數增加ノ條例
ヲ設ケテ居ルノハ、數多イコトヽ察シテ居
ルノデアリマス、之ニ就キマシテハ町村會議
員ノ定數ヲ增加スルコトニ付テ、何カ御調
查ニナッタノデアリマセウカ、今囘ノ御改正
ニハ其點ニ付テハ、何等ノ御注意ノアッタヤ
ウニハ考ヘラレヌノデアリマス、此點ニ付
テモ御說明ガ願ヒタイノデアリマス、ソレ
カラ第五ト致シマシテ、公民權ノ缺格條項
ニ、衆議院議員選擧法ニ用ヒラレタ所ノ「貧
困ニ因リ生活ノ爲公私ノ救助ヲ受ケ又ハ扶
助ヲ受クル者」ト云フ條項ガアルノデアリ
マト、此條項ハ政府ノ提案ニ在ッタノデハ
ナクシテ、兩院協議會ノ際ニ極メテ咄嗟ノ
問ニ決メラレタ條項デアリマス、故ニ今日
全國ノ町村長ガ實地ニ之ヲ運用スルニ方リ
マシテ、頗ル解釋ニ苦ンデ居ルノデアリマ
ス、承ル所ニ依リマスルト、當時新聞紙上
等ニ依ッテ私ノ記憶ニ存シマスルノデアリ
マスルガ、樞密院ノ諮詢等ニ對シテ、政府
モ此解釋ニ餘程〓躊セラレタト云フコトデ
アル、政府自ラモ其解釋ニ苦ンデ居ラルヽ
所ノ條項ヲ、更ニ之ヲ市制及町村制ニ其儘
用ヒラレタト云フコトハ、洵ニ今後ノ公民
權調査ノ爲ニ大ナル故障ヲ生ズルモノデハ
アルマイカ、サリナガラ政府ハ最早今日デ
ハ左樣ナ心配ガナイ、十分調査スルコトノ
成案ガアルト云フ御考ナラバ、其御意見ヲ
拜承致シタイノデアリマス、其他尙ホ選擧權
其他ニ付テ伺ヒタイ事ガアリマスルケレド
モ、別ニ同僚諸君ヨリノ御質問モアルコト
デアリマセウカラ、本員ノ質問ハ以上ニ止
メテ置ク次第デアリマス、何卒御說明ヲ仰
ギタイノデアリマス(拍手)
〔國務大臣若槻禮大郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=23
-
024・若槻禮次郎
○國務大臣(若槻禮次郞君) 只今石坂君カ
ラ御質問ガアリマシタ、御質問ノ箇條ハ自
治行政ニ關シテ多クノ經驗ヲ持タレル人ノ
發セラルヽ御質問ト伺ヒマシテ、洵ニ適切
ナル御質問デアリマスガ同時ニ事務ニ密接
ノ關係ノアル事柄デアリマス故ニ、私簡單
ニ一應自分ノ所見ヲ述ベマスガ、其以上ノ
細目ハ政府委員ノ方カラ御答辯ヲスルコト
ニ致シタイト思ヒマスカラ、豫メ御諒承ヲ
願ヒマス、參事會員ノ審査權ヲ此度廢スル
コトニシタ、今迄折角アッタモノデ多年實
行シテ居ッタモノヲ、之ヲ廢止スルニハ及
バヌデハナイカ、自治權ノ擴張ヲスルト云
フナラバ、折角是迄選擧ニ依ッテ出夕人ノ
持ノテ居ッタ權限ハ擴張シテコソ宜シカルベ
キデアルノニ之ヲ縮小スルト云フノハ面白
クナイト云フ御意見ノヤウデアリマス、必
要ノナイ限リハ既ニ選擧ニ依ッテ出テ居ル
入ノ持ノテ居ル權限ハ縮小致シタクハナイ
ノデアリマス、併シ事實ニ於テハ、府縣參
事會員或ハ市參事會員ノ議案審査ノ權能ナ
ルモノハ、ドウセ其議案ハ府縣會ナリ市會
デ十分審議セラルベキモノデアッテ、此選擧
ニ依ッテ審査ノ權限ヲ持ッテ居ル府縣會若ク
ハ市會ガ十分審査スル議案デアリマス故ニ
豫メ參事會員ヲシテ一應之ヲ審查セシメテ
置カヌト、都合ガ惡イト云フ程ノ事ノナイ
モノデアリマス、而シテ其間ニ參事會員ノ
審查ヲ置キマスト云フト、ソレダケ手數ヲ
餘計ニ掛ケルト云フコトニナリマスカラ、
矢張リ事務ノ簡㨗ヲ効ゲルコトニナルノデ
アリマス、今日ハ府縣會ナリ市會ナリニ議
案ガ提出致サレマスト、又其府縣會デ委員
ヲ設ケ、市會デ委員ヲ設ケテ審議ヲシテ居
ルノデアリマス、尤モ悉クデハアリマセヌ、
全國各府縣ノ中デ大部分ハ委員ヲ選ンデ審
査ヲシテ居リマスガ、十二バカリハ委員ヲ
選フコトヲシテハ居リマセヌ、又全國ノ澤
山ノ市ノ中デ殆ド大部分ハ委員ヲ選ンデ調
ベテ居リマスガ、僅ニ六ケ所ダケ委員ヲ選
バヌト云フコトニナッテ居ルガ、大體ハ議
案ガ市會ナリ府縣會ナリニ出マスト、其會
デ委員ヲ選ンデ調査セシメテ居ルノデアリ
やっ、ソレナラバ其前ニモウ一遍市參事
會員ナリ縣參事會員ニ審査セシメル、其處
マデ致サセテ、サウシテソレガ爲ニ事務ヲ
澁滯サセルト云フコトノ必要ガナイト斯ウ
認メマシタカラ、今回ハ審査權ヲ-參事
會員ノ審査ト云フコトヲ撤廢スルコトニ致
シタノデアリマス、三部制ノ事ハ御尤デア
リマス、隨分三部制ヲ撤廢シテ貰ヒタイト
云フ希望ハ私ハ內務行政ニハ經驗ガ短イ
ノデアリマスガ、其短イ經驗ノ中デモ屢、
其希望ヲ受ケテ居ルノデアリマス、ソレデ
アリマスカラ、三部制ヲ廢スルト云フコト
ニハ相當ノ理窟ガアリマス、併シ之ヲ廢シ
マスト、負擔ノ關係ガ直ニ變テ來ルノデ
アリマス、市部、郡部、竝ニ市郡共通ノ費
用ノ上ニ於テ負擔ノ關係ガ變ル、其關係ノ
變ルノガ宜イカラ、三部制ヲ廢セヨト云フ
一方ニハ議論ガアル、併シ一方ニハ今迄シ
テ居ッタ此負擔ガ俄ニ變ベッタノデハ、非常ニ
迷惑ヲスルト云フノデ、三部制廢止ニ反對
ヲシテ居ル者ガアルノデアリマス、之ニハ
利害利弊共ニ伴ノテ居ルト考ヘマスノデ、
餘程〓究調査ヲ要シナケレバナラヌ、今回
ハ此問題ダケニハ手ヲ著ケナカッタノデア
リマス、是ハ不必要デアルカラ之ニ手ヲ著
ケナイト云フノデハアリマセヌ、之ニハ今
少シ調査〓究ヲシマセヌト、今日直ニ三部
制ヲ廢スルト云フノガ宜シイカ否ヤト云フ
コトニ付テ、マダ私共十分ナル決意ヲスル
コトハ出來マセヌカラ、今回ノ改正ニ於テ
ハ之ニ手ヲ著ケナカンタト云フダケデア
リマス、尙ホ此以上ニ十分調査〓究ヲスル
考デアリマス、町村長ト町村會議長トガ同
一ノ人間デアル、是ハ面白クナイノデハナ
イカ、如何サマ町村ノ中ニハ、今日ノ市制
ヲ施行シテ居ル所ト劣ラヌ所ノ大キナ町モ
アリマス、市制施行地ニ於テハ市長ト市
會議長トハ別ニナッテ居ル、町村ダケガ町
村長ト町村會議長トヲ同一ノ人ガヤッテ居
ル、其間ノ權衡ガ取レナイノデアル、是ハ
一方ニ於テハ御尤デアリマス、併シ町村ハ
多クノモノトシテハ、サウ云フ大キナモノ
デナクテ、洵ニ小サイモノデアル、サウシ
テサウ云フ所デハ萬事協議的ニ、此自治ノ
事ヲ進メテ行クト云フコトガ宜シカラウト
思ヒマシテ、今日マデ、町村長ト町村會議
長トガ同一ノ人ガ兼テヤッテ居ルコトガ、
最モ其間調和的ニ行キ得テ居ルト考ヘマシ
タノデ、ソレ故ニ其規定ハ今囘ハ改正セナ
ンダノデアリマス、町村會議員ノ定數ガ處
ニ依ルト少イデハナイカト云フ御考ノヤウ
デアリマス、是ハ石坂君ノ御本知ノ通リ、
法律デ一通リノ標準ハ定メテアリマスケレ
ドモ、其町村ニ於テ、其定數以外ノ定數ヲ
定メタケレバ、條例ヲ以テ之ヲ規定シテ、
認可ヲ受ケレバ實行ノ出來ルコトデアリマ
ス、其途ガ開イテアルノデアルカラ、原則
トシテハ、只今此現行法ニ定メテアル通リ
デ、今日改正セヌデモ宜カラウ、斯ウ云フ
考ヲ以テ改正セナンダノデアリマス、公民
權ノ缺格條項ノ中ノ衆議院議員選舉法第六
條第三項ト同ジ規定ヲ今囘設ケタ、此衆議
院議員選擧法第六條第二一項ノ規定ハ解釋ガ
困難デアッテ、政府モ餘程此解釋ニ困シテ
居ルト、斯ウ御覽ニナッテ居ルヤウデアリ
やっ、私共ハ此解釋ニ付テハ、何等ノ困難
ヲ感ジテ居ナイノデアリマス、是ハ石坂君
ノ御述ニナリマシタ通リ、政府ノ原案ヲ議
院ニ於テ修正ヲ加ヘラレタノデアリマス、
併ナガラ、其修正ヲ加ヘラルヽニ付テ、政
府ノ原案トシタル所ヲ、甚シク傷ツケラル
ルナラバ、私共ハ決シテ之ニ同意シナイ
考デアッタ、議會ニ於テ審議セラルヽ間ニ
ハ種々ナル意見ガ出タノデアリマス、現
行ニ決ッタ通リデハアリマセヌ、衆議院ノ
意見モ一ツアリマシタ、貴族院ノ意見モ亦
アッタノデアリマス、サウシテ兩院協議會
ノ成案ガ今日ノヤウニナッタ、其協議ノ經
過ニ於テ、私共ハ所謂普通選舉ノ制度ヲ
傷ツクルコトノナイヤウニト云フコトヲ終
始注視ヲシテ居リマシテ、結局雨院協議會
ノ成案ナルモノハ、吾々ノ考ヘテ居ル所ノ
普通選舉制度ヲ傷ツクルモノニアラズト云
フ解釋ガ付クコトヲ確メマシタカラ、之ニ
同意ヲシタ次第デアリマシテ、解釋ニ付テ
ハ少シモ私共ハ疑ヲ懷イテ居ラナイノデア
リマス、而シテ之ニ就テハ、政府ノ當初ノ
原案トハ違ッテ居リマス、併シ兩院ニ於テ
十分ニ審議ヲセラレテ、結局斯樣ニ定メラ
レマシタ以上ハ、衆議院議員ノ缺格條項中
ニ、斯ノ如ク規定セラレタ以上ハ府縣ノ
議員ナリ、或ハ市町村議員ニ付テモ、是ト
異ニスベキ道理ガドウシテモナイト思フノ
デアリマス、或ハ政府ノ原案ノ如クスルノ
ガ宜イト云フ意見ガアルカモ知レマセヌ、
併シ兩院デ審議セラレテ、缺格條項トシテ
ハ第六條ノ第三項ノ如キコトニスルノガ
相當ダトセラレタ以上ハ、府縣會ノ議員ナ
リ、市町村會ノ議員ニ於テモ、其精神ヲ尊
重シテ、同樣ナル缺格條項ヲ設クルノガ相
當デアラウ、是ガ今囘只今御質問ニナッタ
ヤウナ條項ヲ設ケタ所以デアリマシテ、解
釋ニ付テハ政府ハ少シモ疑モ持チマセヌケ
レバ、困難モ感ジテ居ナイ次第デアリマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=24
-
025・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 高橋熊次郞君
〔高橋熊次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=25
-
026・高橋熊次郎
○高橋熊次郞君 玆ニ地方制度ノ改正案ガ
提山サレマシテ、私ハマダ法案ニ付テ十分
熟讀スル時間ヲ持タナイノデアリマスルケ
レドモ、瞥見致シマシタル所ニ依リマスル
ト云フト、洵ニ會心ノ事項モ多イノデアリ
さっ、併ナガラ又吾々ノ疑問ヲ懷ク點モ少
クナイノデアリマス、私ハ二三ノ點ニ付テ
此機會ニ於テ內務大臣ニ御伺ヲ致シテ見タ
イト思フノデアリマス、輸出生絲法案ノ特
別委員會へ出テ居リマシテ、全部御說明ヲ
伺フ機會ヲ失シマシタカラシテ、或ハ御說
明ガアッタノカモ知レマセヌガ、サウ云フ場
合ニハ、何卒簡單デ宜シウゴザイマスカ
ラ、重複シタ點モモウ一應御說明ニ預リタ
イト斯樣ニ考ヘテ居リマス、私ハ主ニ市町
村制ノ方面デアリマスルガ、此選擧權又被
選擧權、其方面ニ於テ公民權ノ問題ニモナ
リマスルガ、從來刑餘者ヲ省クト云フコト
ニ付テハ衆議院ノ選擧法ニ於キマシテ
モ、大分之ヲ刑事政策ノ上カラ、又社會政
策ノ上カラ問題ガ喧シイト云フコトハ內
務大臣モ御承知置キノ通リデアルノデアリ
マス、而シテ是等ノ事ハ目下本院ニ於テモ
ソレ〓〓ノ機會ニ於テ審議中デアリマスル
カラシテ、衆議院議員選擧法ノ方面ニ於ケ
ル論議ハ差措キマスルガ、與論ハ大體決定
シテ居ル、故ニ本法案等ノ改正ノ場合ニ於
キマシテ、是等ノ事ハ十分ニ御考慮ニナル
ベキ筈ト思フノデアリマス、殊ニ刑餘者ハ
缺格事項ノ中ニ入ルト云フヤウナコトニ相
成リマスレバ、町村ノ自治體ニ於テハ尙
更、刑事政策上、社會政策上ニ於ケル缺陷
ガ大ナルモノガアルト思フノデアリマス、
是等ニ付テ考慮ヲ拂ハレナカッタト云フコ
トハ吾々大ニ悲ム所デアリマスルガ、是
等ニ付テハ相常ナル理由ノアルコトヽ考ヘ
マスルガ、是等ニ付テ御所見ヲ承リタイト
考ヘテ居リマス次第デアリマス、又從來
モ選擧法ニ於キマシテ-殊ニ昨年普通
選擧法案審議ノ場合等ニ於キマシテ、選擧
區域卽チ選擧區制ノ問題ハ同法案ノ一重點
トナッテ居ル次第デアリマスルガ、此選擧區
制ノ問題デアリマシテ、大選擧區、或ハ中
選擧區、或ハ小選擧區ト云フヤウナモノガ
問題ニナッテ居ルノデアリマス、而シテ該
議會ニ於キマシテハ、中選舉區ヲ採用スル
コトニ相成ッタノデアリマス、併ナガラ之
ニ對シテモ、大選擧區可ナリトスル論者モア
リ、小選舉區可ナリトスル論者モアリマス
ルガ、議會ハ先ヅ中選舉區可ナリトシテ之
ヲ通過セシメタ、然ルニ今囘ノ地方制度諸
法案改正ノ跡ヲ見マスルト云フト、是等ノ
事項ニ付テハ何等考慮ヲ費サレナイヤウニ
思フノデアリマス、有權者ガ頗ル膨脹シタ
ニモ拘ラズ、選擧法ニ於テハ從來ノ方法ヲ採
ラレテ、卽チ市町村ニ於キマシテハ非常ナ
ル大キナ選擧區ト同一ノ狀態ト相成ルノデ
アリマス-恰モ非常ナル大キナ選擧區ト
相成ル、卽チ町村ニ於キマシテハ八名ヨリ
三十名ト云フヤウナ多數ノ候補者ヲ、選
擧區ニ有スルコトニ相成ルノデアリマス、
市ノ方ニ於キマシテハ矢張是ト同ジク、三
十名ヨリ四十八名、或ハ其市ニ依ノテハ四名
ヅツヲ、-十万ノ人口超過ノ場合ニハ四
人ヲ增ストカ、或ハ人口五十万以上ノ都市
ニ於テハ、人口二十万ヲ超過スル每ニ四名
ヲ增ストカ云フノデ、非常ナル數ニ上ルノ
デアリマス、斯樣ナル場合ニ於テ大ナル都
市ニハ區制モ布カレテ居リマスカラ、其區
ニ於キマシテハ多少ノ人數ガ減ルノデアリ
マスケレドモ、小都市ニ於キマシテハ可ナ
リ多數ノ人數ガ一選擧區トシテ選擧ヲ行フ
コトニ相成ルノデアリマス、左樣デアリマ
スルカラ、是ハ要スルニ從來衆議院議員ノ
選擧法ニ於キマシテ、中選舉區ヲ採ッタト言フ
コトガ正シイトスルナラバ、何ガ故ニ此改
正ニ當ノテ是等ノ方面ヲ御考慮ニナラナ
カッタノデアルカ、殊ニ江木司法大臣ノ如
キハ比例代表ト云フモノハ理想的ノ選擧
法ナリトシテ、ソレ〓〓意見ヲ加ヘラレ、又
泰西ニ實施サルヽ方法等モ譯出サレテ、「パ
ンフレット」トシテ我國ノ有識階級ノ人ミニ
之ヲ送ラレタト云フヤウナ、非常ニ御熱心
ノ宣傳ヲサレテ居ルノデアリマス、斯ル閣
僚ヲ有スル此政府ニ於テ、何ガ故ニ此地方
自治制ノ改正案ヲ作成サルヽニ當シテ、江木
法相等ノ意見ヲ採用サレテ、先ヅ此地方自
治制ヨリ理想的ナル比例代表ノ制度ヲ御採
リニナラナカッタカト一云フコトニ付テ、私ハ
江木司法大臣ハ只今御留守デアリマスル
ガ、後ヨリデモ宜シウゴザイマスルカラ、
江木司法大臣竝ニ內務當局ノ御意見ヲ承リ
タイト斯樣ニ考ヘテ居ルノデアリマス、殊
ニ質問ノ通告ノ數モ多イト云フコトデアリ
マスカラ、時間ノ節約上私ハ最後ニモウ一
ツ丈ケ質問ヲ致シ、私ノ質問ヲ打切リタイ
ト思フノデアリマス、ソレハ公民權ノ中ニ
非常ナル大擴張ヲ爲サレタト云フ中ニ、何
故ニ從來ノ問題トナリ、又衆議院ニ於テハ
院議ヲ以テ決定ヲサレタル女子ト云フモノ
ヲ此間ニ加ヘラレナカ。タカト云フコトニ
付テ、私ハ內務大臣ノ各辯ヲ求メタイト思
フノデアリマス、既ニ女子參政權ノ問題ハ
度〓此議會ノ問題ニナッテ居ル、而シテ其中
ニ於テ地方自治體ニ於ケル公民權ヲ與ヘル
ト云フコトニ付テハ、是.ハ本院ノ一致ノ意
見デアリマシテ、是ハ本院ニ於テハ院議ヲ
以テ確定ヲ致シテ、政府當局者ニ向ッテ建議
ヲ致シタト云フコトハ御忘レモナイコトダ
ラウト考ヘルノデアリマス、而シテ此婦人
ニ公民權ヲ與ヘルト云フ問題ノ論議中ニ
ハ、熱心ニ各黨派ノ方ミガ之ニ參與サレタ
ノデアリマスッ殊ニ憲政會ニ於ケル吾々ノ先
輩デアル高木正年君ノ如キハ、縷々數十萬言
ヲ費サレテ、此問題ニ付テ贊成ノ御討論ガ
ナッタノデアリマス、之ニ對シテ熱心ナル政
府委員ノ御各辯モ承ックノデアリマス、始メ
ハ本黨ノ諸君ナドモ他ノ婦人問題ニ對シテ
ハ色ミノ質問モアリマシタヤウデアリマス
シ、多少不眞面目ト認メラルヽヤウナ論議
モサレタヤウデアリマシタガ、此問題ニ對
シテハ洵ニ熱心ニ、殊ニ原夫次郞君ノ如キ
ハ眞ニ熱心ニ御主張ニ相成リ、滿場一致ヲ
以テ委員會モ本會モ通過シタト云フコトハ
周知ノ事實デアルノデアリマス、然ルニ今
回是等ノ問題ガ、此改正案ニ當ノテ考慮サ
レナカッタト云フコトハ吾々ハ寧ロ怪訝
ノ念ニ堪ヘナイ、一驚ヲ喫シタノデアリマ
ス、而シテ女子ニ公民權ヲ與ヘルト云フ問
題ハ、院議ニ依ヶテ確定シタノデアリマス
ルカラ、今更之ヲ繰返ス必要モナイ、併ナ
ガラ是等ノ問題ガ本案ノ改正ニ當ッテ何等
提案ガナイト云フコトニ付テハ、多少ノ意
見モ開陳スル必要ガアルダラウト吾々ハ考
ヘテ居ルノデアリマス、勿論輿論ト申ス
モノハ、是ハ立憲治下ニ於キマシテハ
議員ノ代表ニ依ッテ之ヲ爲サナケレバナラ
ヌト云フコトハ申スマデモナイ、然ルニ議
員ト云フ-詰リ市町村ニ於テ議員タルベ
キ資格ヲ持ッテ居ルト云フモノハ、男子ニ
ノミ限ラレテ、全然女子ヲ認メナイト云フ
コトニ相成ル、卽チ女子ト云フモノニ付テ
ハ輿論ト云フモノカラシテ、「シヤツト、ア
ウト」サレテ居リマシテ、全然輿論ト云フ機
關カラシテ排斥サレテ居ルト云フ形ニナツ
テ居ルノデアリマス、而シテ從來ノ女子ヲ
排斥スル理由ノ中ニハ、女子ハ餘リニ感情
的デアルトカ、或ハ能力、技能ガ男子ニ及
バナイトカ、或ハ生活狀態ト云フヤウナモ
ノガ、男子ト相伍シテ、而シテ政治ニ携ハ
ル所ノ事情ガ許サヌノデアルト云フヤウナ
コトニ相成シテ居ルノデアリマス、ケレド
モ、此前ニ私ハ此壇上ニ於テ申述ベタル如
クニ、今ヤ女子ハ農村ニ於キマシテハ農政
ニ參與スル權利、卽チ農會議員タルベキ資
格、或ハ農會議員ヲ選擧スル資格ニ於キマ
シテハ何等男子ト異ナル所ガナイ、從來
ニ於テモ所得稅デアルトカ、或ハ營業稅デ
アルトカ云フヤウナ方面ニ於テ、是等ノ調
査會ヲ構成スル調査委員ヲ選擧スル資格
ハ無論是ハ具有シテ居ルノデアリマス、
又商業會議所ノ議員ヲ選擧スルト云フ選舉
資格モ之ヲ持ッテ居ルノデアリマス、多少ソ
レヲ行使スルニ不便ナ事ガアリマセウケレ
ドモ、免モ角、此權利ヲ保有シテ居ルノデ
アリマス、以前ニハ多少財產ト云フヤウ
+、代表ノ方面ノ意味モアリマシタラウ
ガ、市町村會議員ノ選擧ニ於テハ、絕對ニ
婦人ヲ認メナイト云フコトデハナカッタノ
デアリマス、然ルニ今日ニ於キマシテ、未
ダニ此婦人ニ向ッテ是等ノ門戶ヲ解放シナ
イト云フコトハ是ハ當今ノ如ク既ニ政治
ノ進ンダル、政治意識ノ發達シタル今日ニ
於テ、決シテ認メ得ベキコトデナカラウト
考ヘルノデアリマス(拍手)依然トシテ政治
ト云フモノハ男子ノミデ占領ヲ致シテ、婦
人ニ解放スベキモノデナイト云フヤウナル
說ヲ吐ク人ガアリマスケレドモ、私ハ之ヲ
固陋頑冥ノ說ナリト考ヘテ居ルノデアリマ
ス、從來モ勞働階級ノ利害ト云フヤウナモ
ノハ、是ハ勞働者ニ代表セシメズシテ、庶
民階級ノ利害關係ト云フモノヲ庶民階級ニ
代表セシメズシテ、之ヲ資產階級或ハ中產
階級ヲ以テ獨占ヲシテ居ッタト云フ事實ト、
何等異ラナイト思フノデアリマス(拍手)
若モ政治的技能ト云フモノガ、資產階級或
ハ中產階級ノミニ存シテ居ッテ、勞働階級
其他ノ庶民階級ガ之ヲ有シナイト云フコト
ヲ今日之ヲ叫ンダナラバ、誰ガ之ヲ眞理ナ
リト言ッテ贊成スル人ガアリマセウカ(拍
き)ソレト今日婦人ガ市町村ノ自治體ニ於
テ、何等之ニ參與スル能力ト云フモノガナ
イト云フヤウナコトヲ論ジタナラバ、私ハ
恐ラク之ニ賛成スル者ナドハ、今日ニ於テ
アルマイト斯樣ニ考ヘテ居ルノデアリマス
(拍手)而シテ婦人ハ今日ニ於テハ事實ノ、
上ニ於テソレ〓〓ノ職業ニ從ヒ、或ハ官吏
トシテモ高等官ニモ列セラルヽ、無論官吏
ノ文官任用令等ニ於テハ女子ヲ排斥シテ居
ル條項ヲ認メナイ、總テノ機會ニ於キマシ
テ唯。辯護士タルニ不便ダト云フ規定ガア
リマセウケレドモ、其以外ニ於キマシテ女
子ヲ排斥スル、法規ヲ私ハ見出スコトガ出
來ヌノデアリマス、殊ニ市町村會、自治
體ノ議員タルベキ資格ト云フヤウナ
モノ、其議員タル資格ノ存シマスノ
ハ-選擧權ナドハンレ以上デアル-
議員タル其資格ト云フヤウナモノニ
付テハ、ソレ程ノ技能トフモノハ法律ノ上
デ認メテ居ナイ、特別ナル、特殊ナル知識
デアルトカ、或ハ技術トカ、或ハ經驗トカ
云フモノハ、市町村制ノ上ニ於テハ要求ヲ
シテ居ラヌ、何トナレバ、此人〓ト云フモ
ノハ一旦選擧ヲサレルト云フト、公職ヲ辭
スルト云フ-議員バカリデナク公職ヲ辭
スルト云フコトハ特別ナル事情ガナケレ
バ許サヌノデアリマス、卽チ特別ナル事情
ガナケレバ、之ヲ辭スルコトガ出來ナイト
云フヤウナ强制的ナ法規ガアルノハ卽チ
普通ノ常識サヘ備ヘテ居ルナラバ、人ガ認
メテ勤リサウダト云フ常識サヘ單ニ備ヘテ
居ルナラバ、完全ニ公職ハ務マルト云フ保
證デナケレバナラヌノデアリマス(拍手)斯
ル所ノ者ニ女子ヲ今日ニ於テ除外スルト云
フコトハ、毫モ理窟ガ無カルベキコトダラ
ウト思フノデアリマス、是等ノコトハ既ニ
先程申上ゲマスル如ク、院議ガ之ヲ認メテ
居ルノデアリマスカラ、多言ヲ費スコトノ
必要ハ無カラウト思フノデアリマス、之ニ
對シテ内務當局ハ如何ナル御考ヲ御持チニ
ナッテ、今囘ノ改正ニ當ッテ女子ノ機會ヲ得
タルニモ拘ラズ、相變ラズ女子ハ排斥スル
ト云フコトハ、今日ノ政治意識ノ上ニ於テ
怪訝ニ堪ヘナイ、殊ニ是等ノ點ニ於テハ
憲政會ニ於テハ熱心ニ在野時代カラシテ
-昨年邊リモ唱道サレテ居ルノデアリマ
シテ、殊ニ老政治家高木正年君ノ熱心ナル
御主張ヲ抛タルヽト云フコトニナルノデ、私
ハ洵ニ甚ダ不思議中ノ不思議トシテ、此問
題ヲ内務當局ノ卒直ナル御辯明ニ預リタイ、
斯樣ニ考ヘテ質問致ス次第デアリマス(拍
手)
〔政府委員俵孫一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=26
-
027・俵孫一
○政府委員(俵孫一君) 高橋君ノ御質問ニ
御答致シマスルガ、只今內務大臣ハ貴族院
ニ於ケル豫算ノ審議ノ應答ノ爲ニ出席シテ
居リマスカラ、私ガ代ッテ御答スルコトニ
致シマス、先ヅ第一ノ所謂刑餘者ニ何故ニ
公民權ヲ與ヘヌカト云フ問題デアリマス
ガ、之ニ就テハ既ニ本會議ニ於キマシテモ、
此衆議院議員選擧法ニ付テ、刑餘者ニ選擧
權及被選擧權ヲ與ヘルトイフコトニ對スル
質問モ旣ニ出テ居ルノデアリマス、是ハ議
員ノ御質問ニ對シテ内務大臣モ答辯シテ居
リマスシ、更ニ又別ニ文書ノ質疑モ出テ居
ルヤウニ記憶シテ居ルノデアリマスガ、此
衆議院議員ノ選擧法ノ表ニ於テ、所謂刑餘
者ニ選擧權被選擧權ヲ與ヘルト云フコトニ
付キマシテノ內務大臣ノ答辯ハ、既ニ御承
知ノ如ク、衆議院議員ノ選擧權トカ被選擧
權ト云ッタ如キ、最モ國民ノ尊崇スベキ其權
利ハ、所謂刑餘者ナルモノニ對シテハマ
ダ與ヘル譯ニ行カナイ、詰リ國民ノ尊崇ノ
中心ニナルベキ衆議院議員選舉權ノ如キモ
ノハ是ハ所謂刑餘者ニマダ與ヘルト云フ
コトハ出來ナイト云フ、之ニ對シテ贊同ガ
仕惡イト云フコトノ理由デアルノデアリマ
ス、ンコデ公民權ニ付キマシテモ矢張、衆議
院議員ノ選擧權被選擧權ヲ與ヘザルト同樣
ノ意味デアリマス、是ハ衆議院議員ノ選舉
權被選擧權ハ與ヘラレヌガ、公民權ハ與ヘ
テモ宜カラウト云フコトニハ政府ハ贊
成致サナイノデアリマス、卽チ言換ヘマス
レバ、衆議院議員選舉權、被選擧權ヲ與ヘ
ザル如ク、公民權ニ於キマシテモ矢張同樣デ
アルト御水知置キヲ願ヒタイノデアリマ
ス、第二ノ選擧區ノ問題デアリマスガ、是
ハ御案内ノ通リニ府縣制ニ於キマシテハ、
一郡市ノ選擧分區ノ制度ヲ認メテ居ッタノ
デアリマス、併シ今回ニ於テハ此制度ヲ創
除致シタノデアリマス、此點ニ付キマシテ
ハ高橋君ノ丁度御說モアリマシタ如ク、
衆議院議員選擧法ニ於キマシテハ、以前ハ
小選舉區制ナルモノヲ取ッテ居リマシタガ、
今囘ノ改正ニ依シテ所謂中選舉區制ヲ取ッタ
ノデアリマス、ソコデ今回ノ府縣制改正ノ
機會ニ於キマシテハ從來ノ小選舉區制ヲ
取ッテ、時代ニ適シタ所ノ府縣制ノ郡市ノ
分區制度ヲ取ヶテ居ッタモノヲ廢シテ、今回
ハ矢張小選擧區制ヲ撤廢シテ、中選舉區制
ニシタト同一ノ精神ヲ以テ、府縣會議員ノ
選擧ニ於キマシテハ、其郡市ノ分區ノ制度ヲ
撤廢致シタノデアリマス、是ハ理由ヲ多ク
申述ベマセヌデモ、既ニ御承知デアリマセ
ウケレドモガ、矢張此分區ヲ置キマシテ、
所謂小選擧區ニ致シマスト云フト、少數代
表ト云フモノヲ出ス譯ニイカナイ、ソレ故
ニ其分區ノ制度ヲ撤廢シテ、所謂小選擧區
制ヲ廢シテ、郡市ノ區域ニ依ル所ノ選擧區
デ選擧ヲセシメルコトニ致シマシタ譯デア
ルノデアリマス、是ハ今中シマスガ如ク、衆
議院議員選擧法ニ於テ小選擧區制ヲ廢シテ
中選舉區制ニシタト同一ノ理由デアルト御
承知置キヲ願ヒタイノデアリマス、而シテ
市ニ於テハドウデアルカ、市ニ於キマシテ
ハ御承知ノ通リニ、市ニ區ヲ設ケタル所ニ
於キマシテハ區ノ區域ニ依シテ居ルノデ
アリマス、區ヲ設ケマセヌ所ハ、御承知ノ通
リニ是ハ一市區域ガ卽チ選擧區ニナッテ居
ルノデアリマス此點ハ從來モ今度ノ改正
モ少シモ變リマセヌ、成程或ハ多數ノ議員
ヲ選ムニ付テ、其選擧區ガ大キイト云フト
混亂ヲスルト云フ如キ虞ガナイデハアリマ
セヌ、御說ノ通リニ-デゴザイマスケレ
ドモガ、是ハ所謂小選舉區制ヲ主張致シマ
シタ時代ニ於キマシテモ、矢張現在ノ如キ
一市町村區域ガ卽チ其選擧區域デアッタノ
デアリマスカラ、之ヲ改正スル必要ヲ認メ
ヌト云フノデアリマス、第三ノ御尋ノ比例
代表ノ事デアリマスガ、此比例代表制度ヲ
用ヒルカ用ヒヌカト云フコトニ付キマシテ
ハ是ハ衆議院議員選擧法ノ問題デアルノ
デアリマス、衆議院議員選擧法ニ於キマシ
テモ、比例代表ヲ今日用ヒルト云フコトハ
マダ少シ〓究ノ餘地ガ前途ニアル、モウ少
シ〓究ヲシテ行カナケレバナラヌ、所謂其
方法ニ付テハ尙ホ〓究ノ餘地ガアリマス、
ソレ故ニ昨年ノ衆議院議員選舉法ニ於キマ
シテモ、未ダ比例代表ノ方法ヲ採用シナカツ
タノデアリマス、市町村若クハ府縣ノ選擧
ニ於キマシテモ、此比例代表ノ制度ヲ用ヒ
ルカドウカト云フコトニ付キマシテハ、尙ホ
更ニ大ナル〓究ノ餘地ガマダアルト思フノ
デアリマス、何トナレバ是等地方自治〓體
ニ於キマシテハ、斯ウ云フ煩項ナル手續ニ
依リマセヌデモ、其代表者ヲ選ムト云フコ
トニ付テハ困難デハアリマセヌ、況ヤ又市
町村ニ於キマシテハ、斯ウ云フ煩ハシイ手
數ノ掛ル方法ニ依ッテ、比例代表ノ制度ヲ
用ヒルト云フコトニシナクテモ差支ナイカ
ト思ハレルノデアリマス、之ニ就キマシテ
ハ國ノ場合ニ於ケルヨリモ、モウ一層尙ホ
市町村或ハ府縣ノ議員ノ選擧ニ、比例代表
ノ制度ヲ用ヒルカドウカト云フ點ニ付キマ
シテハ前途ニ尙ホ〓究ノ餘地ガアルト思
フノデアリマス、ソレカラ第四ノ公民權ヲ
婦人ニ與ヘルコトニ何故改正シナカッタカ
ト云フ御問デアリマスガ、此點ハ所謂國ノ
參政權-衆議院議員ノ選擧權ヲ何故ニ婦
人ニ與ヘヌカト云フ問題ニ付キマシテハ
只今丁度御述ノ如ク、是ハ從來カラノ極メ
テ重大ナル問題ニナッテ居ルノデアリマス
シ、且又幾多當議場ニ於キマシテモ論議ガ
重ネラレテ居ルノデゴザイマス、國ノ參政
權卽チ衆議院議員選擧權、被選擧權ヲ與ヘ
ルコトノ問題ニ付キマシテ、當局ハ是モ大
臣ガ說明ヲシテ-谷辯ヲシテ居リマスヤ
ウニモ記憶シテ居リマスガ、大體ノ主義ニ
於テハ毫モ異存ハアリマセヌ、主義ニ於テ
ハ大體決シテ異存ハ申述ベル譯デハアリマ
セヌガ、尙ホ是ハ現時ノ婦人ノ程度、現時
ノ程度ニ於テハ未ダ直ニ之ヲ施行スルト云
フ時機ニ達シテ居ラヌ、斯ク當局ハ考ヘテ
居ルノデアリマス、地方自治體ノ公民權ニ
付キマシテモ、亦是ト同樣ノ考ヲ持テ居
ルノデアリマス、卽チ決シテ主義ニ於テハ
大體ノ御趣意ニ於テ毫モ反對ノ意見ヲ持シ
テ居リマセヌ、併ナガラ今日ニ於テ直ニ婦
人ニ公民權ヲ與ヘルト云フコトニ付キマシ
テハ、尙ホ時期ニ於テ十分考慮スルノ餘地
ガアルト斯ウ考ヘルノデアリマス、右ニテ
御諒水ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=27
-
028・高橋熊次郎
○高橋熊次郞君 簡單デアリマスカラ此席
デ一言御許シヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=28
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029・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=29
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030・高橋熊次郎
○高橋熊次郞君 只今政府委員ノ御答辯ガ
アリマシタガ、婦人ノ公民權ノ問題ニ付キ
マシテハ、他ノ參政權トハ大ニ趣ヲ異ニ致
シテ居ルノデアリマス、是ハ第五十議會ニ
於テ本議場ニ於ケル論議ニ於テモ、委員會
ニ於ケル論議ニ於テモ、議員諸君ニ於カレ
マシテハ十分徹底的ニ此方面ニ付テハ論議
サレタノデアリマス、殊ニ憲政會ノ高木君
ノ如キ詳細ヲ極メテ、一般ニ婦人參政權ト、
地方自治體ニ於ケル婦人公民權ノ問題ト云
フモノハ、是ハ區別シテ考ヘナケレバナラ
ヌモノデアルト、同氏ニ於カレマシテハ既
ニ十數年前ヨリ之ヲ論議セラレテ居リマシ
テ、當議場ニモ度〓諮ラレタコトヲ耳ニ致シ
テ居ル、洵ニ其通リデアルト吾々敬意ヲ表
シテ居ッタノデアリマス、而シテ是等ノ問題
ニ付キマシテ、現在婦人ハ地方自治體ニ於
テ、選擧ニ依シテ直接公務ニハ關係ヲ致シ
テ居リマスマイガ、又公務ノ一部分ヲ代表
スルト云フ意味ニ非ズシテ、今ヤ其事務ニ
與ッテ居ル後多ノ婦人ガアルノデアル、殊ニ
東京市ノ電車ノ車掌ノ如キ、自動車ノ車掌
ノ如キ、又ハ市役所邊リノ書記會計事務ナ
ドハ婦人ノ方ガ間違ガナイ、給料ノ持遁
ゲモ現ハレナイト云フ現狀デアリマス、又電
話交換ノ事業ノ如キ、男子ハ到底許サヌノ
デアリマシテ、女子ニ依ッテ完全ニ行ハレ得
ルノデアリマス、斯ノ如ク公ノ機關ガ婦人
ニ依シテ運轉サレテ居ルニ拘ラズ、代表ノ意
味ニ於テ婦人ヲ參加セシムルコトハイカヌ
ト云フ理窟ハ何處ニ在ルノデアルカ、吾々
ハ疑ナキヲ得ナイノデアリマス、斯樣ナ次
第デアリマスガ故ニ、市町村ノ事務ニ於キ
マシテ、殊ニ町村ノ事務ニ於キマシテハ
御承知ノ通リ衞生ノ問題、或ハ道路ノ問
題小學校ノ問題ト云フヤウナモノハ甚ダ
重要ナル問題デアル、而モ是等ノ關係ニ付
キマシテハ、寧口是ハ婦人ガ携ハッテ居ル
ト云シテモ宜カラウト思フノデアリマス、
今日小學校ニ於ケル吾々ノ子弟ノ〓養ト云
フモノハ、男子ハ多クハ關與致シテ居リマ
セヌ父兄懇和會ノ如キ、內務次官ナドハ御
覗キニナッタカドウカ分リマセヌガ、集ルモ
ノハ九分九厘マデハ婦人デハアリマセヌ
カ、學校ニ於テー〓育ヲスル機關ニ於テ
ハ婦人ニ任シテ居ル、小學校ノ先生ニモ多
クノ婦人ガ居ル、然ルニ公ノ機關ニ携ハル
者ハ男子ノミデアルト云フコトハ、矛盾モ
甚シキモノデアル、公道ノ如キ-道路ノ
如キドウデアル、吾々ハ箒ヲ手ニシテ往來
ヲ掃除ヲスルトカ、道路ノ〓潔ヲ保ツトカ
云フコトハ致シマセヌ、多クハ丁稚小僧カ
婦人ノ手デヤッテ居ル、左樣デアリマスカ
ラ道路ヲ如何ニスルカト云フコトニ付テ
モ、之ヲ婦人ニ任カシテ置ケバモット立派
ニ-「セメント」ヤ砂利ヲ嚙ルヤウナコト
ヲセズニ、立派ニ出來ルト思フ、衞生ノ如
キモ男子ニ於テハ看護ニ誰ガ之ニ關係スル
者ガアルカ、多クハ皆婦人ノ手デ以テヤル
ノデアル病人ニ看設ハ第一デアル、看護
ハ衞生ノ要諦デアル、是等ハ總テ婦人デア
ル左樣デアリマス故ニ、婦人ガ若シ自治
體ニ於ケル衞生事務ニ參與ヲ致シタナラ
バモット完全ニ自治體ニ於ケル衞生ノ事
績ガ擧リ得ルコトヽ吾々ハ考ヘテ居ルノデ
アリマス、モウ旣ニ斯ル時期ニ達シテ居ル、
吾々ハ寧ロ其晩キヲ憾ムノデアリマス、何
ガ故ニ時期ガマダソコニ到達シテ居ラナイ
トカ、考慮ノ餘地アリト政府ニ於テハ考ヘ
ラルヽノデアルカ、吾々ハ不思議ニ堪ヘナ
イ次第デアルノデアリマス、モウ既ニ婦人
モ男子モ同一ノ〓育ヲ受ケテ居ル、昔コソ
財產ヲ持タナイ者ハ〓育ヲ受ケル程度ガ低
カッタ、或ハ〓育ヲ受ケル機會が無カッタ、
ンレデアリマスガ故ニ、多クノ知識階級ハ
資產家階級デアル、中產階級ノミデアルト
云フヤウナ所カラ、ソレ〓〓ノ政治能力ハ
或ル方面ニ於テノミ獨占サレタヤウナ形ニ
ナッテ居リマスケレドモ、ソレガ故ニ政治
機關ガサウ云フ方面ニ偏タ形ニナッテ居
ル併ナガラ今日ニ於テハ、男子モ女子モ
普通〓育ニ於テハ何等逕庭ガナイノデアリ
マス、左樣デアリマスルカラシテ、是等ニ
付テハ何等時期尙早ト云フヤウナコトハ
御論ジニナル機會デハ私ハナカラウト思フ
ノデアリマス、國政ニ携ハル所ノ參政權ト
云フモノハ、是ハ別箇ノ問題デアリマス、
是ハ婦人ガ今日ノ如キ覊束ヲ受ケテ居ル場
合ニ當リマシテ、マダ民法上ニ於テモ自由
ハ認メラレナイ場合ニ於テ、單リ此國政ニ
參與スル自由ト云フコトニ付テ、此權利ヲ
施行スルニ或ハ不便ガアリマセウ、併ナガ
ラ地方自治體ニ於ケル公民トシテ立ツノ
ニ、何等私ハ不都合ハ無カラウ、斯樣ニ信
ジテ居ルノデアリマス、左樣デゴザイマス
ルガ故ニ、時期尙早デアルト云フヤウナ御
論ニハ吾々ハ承服スルコトハ出來ヌノデ
アリマス、併ナガラ是ハ意見ノ相違ナリト
スレバ、敢テ追究ヲシナイノデアリマス、
時代後レモ亦甚シイモノデアルト感ジタヾ
ケニ止メマスケレドモ、恐ラク私ハ答辯ノ
餘地アリト考ヘマスニ依シテ、再ビ質問ヲ繰
返ス次第デアリマス、面シテ又其他ノ質問
ニ對シマシテモ、是ハ他ノ機會ニ譲リマス
ガ、唯〓市町村ニ於テハ從來ト今日モ、政
府ハ議員ノ數ニ於テハ變リハナカッタノデ
アルト云フヤウナ御話ガアリマシタケレド
モ、選舉ノ方法ガ異シテ居ル、取締ノ方法
モ異ッテ居ルノデアリマス、衆議院議員選
擧法ガ準用サレマシテ、從來ノ如キ戶別訪
問ヲ廢セラレタ今日ニ於テハ、如何ニシテ
適者ヲ選出スルカト云フコトニ付テハ選
舉民ハ非常ニ迷フダラウト思フノデアリマ
ス、少數代表ト云フヤウナコトハ、私ハ市
町村ニ於テハ害アッテ益ナキモノト考ヘテ
居ル、ソレデナクシテモ町村ト云フモノハ
徒ニ細節ニ拘泥ヲ致シテ、爭議ガ絕エナイ
ト云フ今日ニ當ッテ、輿論ト云フヤウナモ
ノハ餘リ少數デ代表スルト云フコトハ危險
デアラウトモ考ヘラレル、是等ハ意見デア
リマスカラシテ、適當ノ機會ニ於テ開陳ヲ
致シタイト思ヒマスルガ、免モ角モ私ハ衆
議院ニ於テハ僅カ五人ト云フモノヲ一區デ
求メル、五人以上ニハ亙ルコトヲ許サヌト
云フヤウナ少數デ以テ別表ガ定メラレル、
然ルニ拘ラズ、府縣會、特ニ市町村ニ於テ
ハ斯ノ如キ〓大ナル人々、議員ノ數ノ數倍
或ハ十數倍ノ人數ガ候補者トシテ現ハレル
ニ於キマシテハ、所定ノ制限ニ達スル票數
ヲ羸チ得ルヤ否ヤト云フコトハ、隨分疑問
デアルト吾々ハ考へテ居ル、是ニ於テカ吾
吾ハ他ノ方法、殊ニ政府ノ閣員ノ一人デア
ラルヽ所ノ江木法相ノ如キモ、多年唱ヘツ
ツアル比例代表ノ如キ、何故此際實行シナ
イノデアルカト云フコトヲ吾々ガ考ヘテ居
ルノハ當リ前ヂヤナイカト思フ、是等ニ對
シテ只今司法大臣ガ此席ニ在ラレマセヌカ
ラ、内務當局ニ此點ヲ御尋スルノハ無理カ
モ知レマセヌカラ、是等ノ點ニ付テハ後デ
司法大臣ノ出席サレルマデ保留シテモ宜シ
ウゴザイマスガ、内務當局ノ說明ヲナサレ
得ル範圍ニ於テ、モウ少シ明快ナル御答辯
ヲ煩シタイ、斯樣ニ考ヘルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=30
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031・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 俵政府委員
〔政府委員俵孫一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=31
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032・俵孫一
○政府委員(俵孫一君) 婦人公氏權ノ問題
ニ付キマシテハ先刻モ申上ゲマシタ通リ
ニ、婦人ノ政治能力如何ト云フコトニ付キ
マシテハ、勿論昨今ハ婦人ノ〓育ガ盛ニナ
リマスルシ、政治上ニ對スル理解者モ大變
殖エマスルシ、今日ニ於テ私ハ特ニ婦人ノ
政治能力ガ乏イトハ申上ゲマセヌノデ、勿
論婦人ノ政治能力ニ付テハ或ル意味ニ於テ
ハ男子ヨリハモウ少シ、ヨリ多ク理解ノア
ル人ハ決シテ尠カラヌト思フ、是ハ決シテ
〓括的ニ論ズル譯ニ行カナイ、私ガ先刻申
上ゲマシタ問題ハ、婦人一般ニ付テ〓括的
ニ論ジタル問題デ婦人ノ今日ノ政治能力
ガマダ公民權ヲ與ヘル程度ニ至ラヌ、斯ウ
云フコトヲ申シタノデアリマス、ソレカラ
シテ比例代表ニ付キマシテハ先刻中上ゲタ
通リデアリマス、併シ司法大臣ノ個人ノ曾
テ比例代表ヲ主張シタ、其主張ノ點ヨリシ
テ、今日ドウ考ヘルカト云フコトニ付キマ
シテハ、是ハ江木司法大臣個人ヨリ御答ス
ルヨリ外ナイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=32
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033・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 原夫次郞君
〔原夫次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=33
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034・原夫次郎
○原夫次郞君 私ハ後ニ議題ト相成ルベキ
衆議院議員選擧法中改正法律案ノ時ニ御尋
ヲシタイト思ウタノデアリマスケレド、
先程俵政務次官ノ御答辯ヲ聽キマシテ、玆
ニ此演壇ニ立ツコトヽ相成ッタノデアリマ
ス、卽チ質問ノ要點ハ三箇アルノデアリ
マス、只今上程セラレテ居ル所ノ此議案ノ第
九條ノ所謂缺格條項ニ關スル此規定ハ、吾
吾ガ昨年衆議院議員選擧法ニ協賛ヲ與ヘタ
ル此條文ト全然同一デアリマス、此法律ノ
淵源ニ至リマシテハ、大體ニ於テ私共ハ俵
政務次官ノ述ベラレタ事ト了承致シテ居ル
ノデアリマスガ、併ナガラ之ニハ非常ナル
矛盾缺陷ガアルト云フコトヲ昨年來吾々ガ
常ニ耳ニスル所デアリマス、先ヅ缺格條項
ニ付テハ只今上程セラレテ居ル第九條ニ於
キマシテモ、主トシテ刑法ノ處罰事項ヲ揭
ゲ來リ、刑法ニ規定シテアル所ノ犯罪ヲ犯
シタル者ニ付テソレノ〓缺格條項ト相成シ
テ居ルノデアリマスルガ、私ハ之ニ對シテ
先ヅ第一ニ同ジク罰セラレル所ノ我ガ國民
ニシテ、朝鮮、臺灣、關東州、南洋群島ニ
施行セラルヽ所ノ彼ノ刑事法令ニ依リテ處罰
セラレタル者ヲ、何故ニ此缺格條項ニ包含
セシメナイノデアルカ、是ガ第一ノ質問デ
アリマス、吾々國民ハ法律ハ極メテ公平無
私ナモノデナケレバナラヌト云フコトハ
是ハ言フマデモナイ、內地ノ刑法ニ於テ處
罰セラレタル者ガ選擧權ヲ有シナイト云フ
コトデアルナラバ、何故ニ是等朝鮮、臺灣、
南洋群島ノ管理地、或ハ關東州デ犯罪ヲ犯
シ、是等ノ刑事法規ニ依ノテ處罰セラレタ
ナラバ、俵次官ノ先程言ハルヽヤウナ此缺
格條項ハ卽チ選擧權ヲ尊重スル所以デア
ル、尊重シテ居ルナラバ、刑餘者ノ如キ者
ニ對シテ選舉權ヲ與へルト云フコトハ、洵
ニ選擧權ヲ蔑視スルモノデアルカラ、之ハ
與ヘナイト云フコトデアルナラバ、今申上
ゲタル植民地ニ於テ處割ヲ受ケタル者ガ內
地ニ歸ッタル場合ニ於テ、此者ニ對シテダケ
缺格條項ヲ認メナイト云フコトハ、此矛盾ヲ
如何ニスルト云フ考デアルカ、只今議題トナッ
テ居ル此第九條ノ公民權ニ於テモ、衆議院
議員選擧法ト同一ナル疑問ヲ生ズルノデア
リマス、又第二點ト致シテ、矢張此第九條
ノ缺格條項中ニハ刑法ノ處罰規定ダケヲ設
ケテ、而シテ、特別法デアル-刑法ノ特別
法デアル所ノ陸軍刑法、海軍刑法、是等ノ刑
法ニ依シテ同一種類ノ犯罪ヲ犯シタル者ガ、
軍籍ヲ離レルトカ、或ハ退營ヲ致シテ、而
シテ所謂在〓軍人トシテ此選擧權ヲ行フ場
合ニ當リテ、單リ刑法デ處罰セラレタル所
ノ者ニハ、選擧權ナシ、同一種類ノ陸軍海
軍刑法等デ處罰セラレタル者ガ選擧權アリ
トスルナラバ、何ト云フ矛盾ノ結果ヲ生ズ
ルデアリマセウカ、今日在郷軍人ノ數ハ年
一年ニ曾加致スノデアリマス、試ニ此同
一種類ノモノヲ見ルナラバ、只今第九條ノ
第六號デアリマスガ、第六號中ニ揭ゲテア
ル所デ見マスルナラバ、所謂皇室ニ對スル
罪、外患ニ關スル罪、放火及失火、通貨ノ
偽造、文書僞造、有價證券僞造、印章僞造、
偽非認告罪、瀆職罪、竊盜及強盗、詐
欺及恐喝、橫領、臟物ニ關スル罪ト云フ十
四種類アルノデアリマス、所ガ一面ニ於テ
陸車刑法ニ於キマシテモ、海軍刑法ニ於テ
モ、此種類ハ甚ダ類似ヲ致シテ居ルノデア
リマス、例ヘバ反亂ノ罪デアル、反亂罪ヲ
犯シテ我ガ國家ヲ敵國ニ賣ルガ如キ大外レ
夕犯罪ガアル、是等ノ犯罪ト云フモノハド
ウシテモ此選擧法トハ-選擧權ヲ與ヘル
ト云フ觀念トハ大ナル矛盾ヲ致スベキ性質
ノモノデアル、是等ノ犯罪ヲ犯シタ者ニ對
シテ尙ホ公民權ヲ行使セシムルト云フヤウ
ナコトハ法律ノ根本觀念ニ是ハ觸レル問
題デアラネバナラヌト思フノデアリマス、
又陸海軍刑法等ノ所謂破廉恥罪ニ關スル規
定、卽チ掠奪ニ關スル規定ノ如キ、此
掠奪ヲ爲シ、强盜ヲ爲スト云フヤウナ
犯罪デ處罰セラレテモ、其人ガ在〓軍
人ニナッタナラバ、内地デ竊盜ヲ犯シテ罰セ
ラレタナラバ選擧權ハナイガ、陸海軍ノ刑
法デ罰セラレタ場合ニ於テハ選擧權ガアル
ト云フヤウナ矛盾ヲ來スコトヲ明ニ示スモ
ノデアリマス、是ハ何ト云フ理由デアルカ、
之ヲ第二點トシテ御伺致スノデアル、最後
ノ第三點ト致シマシテ、一體第九條ノ第五
號ノ如キ「六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ
處セラレタル者」ハ終身ノ失格者ト法律ノ
立方ガナッテ居ル、併ナガラ選擧權ナルモノ
ハ假令犯罪ヲ犯シタ者デアッテモ、矢張同ジ
ク陛下ノ赤子デアル、然ラバ之ヲ未來永劫
終身選擧權ヲ剝奪スルト云フ法律ノ立方
ハ餘リニ是ハ酷ナル規定ノ仕方デアッテ、
刑事政策ノ上カラ云ウテモ、社會政策ノ上
カラ云ウテモ、決シテ是ハ善良ナル法律規
定ト云フコトハ言ヘナイト私共ハ考ヘルノ
デアリマス、例ヘバ佛蘭西ノ制度ノ如ク、
一度大外レタ犯罪ヲ犯シテモ、現在佛蘭西
ニ於テハ復權ノ制度ニ加フルニ犯罪票ナル
制度ガ設ケラレテアッテ、年々歳々年ヲ經ル
ニ從ノテ其犯罪ノ影ハ薄クナッテ、サウシテ
終ニ選舉権モ公民權モ總テ之ヲ行フコトガ
出來ルト云フ制度ヲ設ケテ店ル、然ルニ日
本ニ於キマシテハ一面ニ複權ノ制度ハア
ルト雖モ、此制度ノ極メテ複雑ナル、煩雜ナ
ル-併ナガラ是ハ固ヨリ當然デアッテ、
陛下ノ大権ノ發動ニ基ク所謂複權デアリマ
スカラ、是ハ此儘存シテ置イテモ、司法當局
若クハ內務當局ニ於テ矢張此佛蘭西ノ制度
ノ如ク一面ニ於テ罰スレバー-惡イ事ヲ
シタ奴ハ罰セナケレバナラヌケレドモ、併
ナガラ惡イ事ヲシタナラバ、ドウシテモ未
來永劫其儘放置シテ置クト云フ制度ハ、何
レノ方面カラ見テモ甚ダ宜シクナイコトデ
アルト思フ、恰モ司法省ハ人ヲ罰スル所ノ
如ク考ヘテ居ルノデアリマスケレドモ、
面ニ於テ人ヲ罰スルト共ニ、一面ニ於テハ
其罰セラレタ者ヲ如何ニ救濟スルカト云フ
コトヲ大ニ考究シナケレバナラヌト私ハ思
フ、ソコデ私ハ昨年此幾十万刑餘者ニ對ス
ル差別待遇撤廢ニ關スル建議案ヲ提出シテ
居ルノデアリマスケレドモ、司法省ハ其後
之ニ就テ手ヲ觸レナイヤウデアルガ、是ハ
選擧權、公民權ノ問題ニ付テモ牽聯シタ問
題デアリマス、是ニ於テカ第三點トシテ司
法當局ニ對シ、司法省ハ果シテ私ガ昨年建
議ヲ出シタ其問題ニ付テ如何ナル考慮ヲ運
ラシテ居ルノデアルカ、以上三點ノ質問ヲ
提出シテ置ク次第デアリマス
〔政府委員俵孫一君登陸〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=34
-
035・俵孫一
○政府委員(俵孫一君) 只今原君ノ御質問
ニ對シテ御答致シマスルガ、此答ハ寧ロ私
ハ司法省カラ御答シタ方ガ最モ適當デハナ
イカト思ヒマスガ、一應私カラ御答致シマ
シテ、其他ノ問題ニ付キマシテハ委員會ニ
於テ十分ニ御質問アランコトヲ希望致シテ
置キマス、第一ノ御質問ノ植民地ニ於ケル
犯罪ニ對シテ公民權ヲ失フト云フガ如キ規
定ガナイノデアルカドウカト云フ如キコ
トノ意味デゴザイマスガ、是ハ政府ノ解釋
ハ植民地刑法ニ依ル犯罪ニハ矢張適用ガア
ル、解釋上是ガ及プ、斯ウ云フ解釋ヲ執ッ
テ居ルノデアリマス、ソレカラ第二ノ陸海
軍刑法ノ犯罪ニ對シマシテハ、是ハ解釋上
適用致サレマセヌ、此點ニ付キマシテハ陸
海軍刑法ノ如キ特別チ性質ノ犯罪デアリマ
スカラ、之ニ對シテ之ヲ適用スルト云フコ
トニ致シテ居リマセヌノデアリマス、併シ
適用シナケレバナラヌト云シタ原君ノ御意
見ハ、是ハ拜聽致シマシタノデアリマスガ、
之ニ對シテノ應答ハ願クハ委員會ニ於テ十
分ニ繼續致シタイト思フノデアリマス、ソ
レカラ第三ノ重罪犯ノ者ニ對シテノ公民權
問題デアリマスガ、是ハ原君ノ御議論ハ寧
ロ刑事政策ノ上ニ於テ刑法上サウ云フ重罪
者ニ對シテハ、所謂恩赦令ニ基ク所ノ復權
ノ手續ニ依ラズシテ、自然ニ復權ガアルヤ
ウニシタラドウカト云フコトノ御意見ニ基
ク所ノ御見解ノ公民權ノ問題デアルヤウニ
伺ハレルノデアリマス、此點ニ付キマシテ
モ矢張本問題ノ刑事政策ノ上カラ、斯ウ云
フ重罪犯罪人ニ對シテハ、如何ニスルカト
云フ司法當局ノ御意見ニ依シテ、是ハ更ニ
十分ニ御答シタ方ガ宜カラウト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=35
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036・原夫次郎
○原夫次郞君 私ハ聲ガ小サイノデアリマ
スカラ、徹底シナイト遺憾デスカラ、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=36
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037・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 登壇ヲ許シマス
〔原夫次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=37
-
038・原夫次郎
○原夫次郞君 只今俵次官ノ御答辯ヲ承ッ
テ驚入シタノデアリマス、卽チ陸海軍刑法
ノ點ニ關スル私ノ質疑ハ、私ノ質疑ノ如ク
是ハ此缺格條項カラ除外セラルヽモノデア
ルト云フ御意見ハ、蓋シ是ハ私モ正シイ御答
辯デアンテ、結局斯ノ如ク私ノ議論ヲ肯定
サレタノデアルガ、其矛盾ヲ如何ニスルカ
ト云フ問ノ趣旨デアンタノデアリマス、併
シ是ハ次官ノ言ハレル如ク、委員會ノ質問
一つゆうテモ宜イノデアリマス、其點ハ政府
ハ答辯スルノニ甚ダ御苦ミデアルト思ヒマ
スカラ、私ハ委員會ニ譲シテモ宜イノデア
リマス、併ナガラ第一ノ質問條項デアル、
植民地各地ニ於テ發セラレル法條、卽チ臺
灣ニ於テハ律令、朝鮮ニ於テハ制令、其他
ノモノハ總テ勅令ニ依シテ罰則規定ヲ設ク
ルノデアリマスガ、是ハ卽チ玆ニ刑法ト云
フ中ニ廣キ意味ノ中ニ是ハ包含セラレルモノ
デアルト云フ御谷辯ハ是ハ洵ニ私ハ俵
次官ノ爲ニ惜ム所デアリマス、ドウカ是ハ
卽答ヲ爲サラナイデ、更ニ御〓究ノ結果、
一ツ御發表ニナッテハ如何ナモノデアリマ
セウカ、卽チ昨年ノ議會ニ於テ彼ノ新選擧
法ノ討識ノ場合-新選擧法ノ委員會等ニ
於テモ吾々ノ拜聽セシ所ニ依ルト云フト、
ソレハ矢張此刑法中ニ包含シナイモノデア
ルケレドモ、併ナガラ選擧名簿ヲ作ル場合
ニ於テ、斯ノ如キモノマデモ此中ニ包含セ
シメタナラバ、事ガ甚ダ煩瑣ニ亙シテ、市
町村長ガ容易ニ此缺格條項ヲ認ムルト云フ
コトガ出來ナイノデアルカラ、是ハ日本刑
法ダケニ打切ッタノデアルト云フヤウナ趣
意デ、又政府カラ吾々ニ配付致シタ所ノ選
擧法ノ理由中ニモ、明ニ其事ハ書イテアル
ノデアリマス、デアリマスカラ是モ或ハ委員
會ニ讓シテモ宜イノデアルケレドモ併ナガ
ラ斯ノ如キ矛盾シタル御答辯ヲ、此本會議
デ臆面モナク御答辯ニ相成ルト云フコトハ、
是ハ如何ナモノデアリマセウカ、此點ニ付
テ更ニ確メテ置イテ、詳細ハ委員會デ御尋
スルコトニ致スノデアリマス、尙ホ附加へ
テ中スノデアリマスガ、此朝鮮其他植民地
ノ所謂律令ナルモノハ、是ハ陸軍刑法トカ
海車刑法トカト云フヨリカ、ヨリ以上ニ刑
法ノ特別法デアルノデアリマス、其ヨリ以
上ノ特別法ガ玆ニ規定シテアル所ノ刑法ニ
包含セラレルト云フ議論ハ如何ナル所カ
ラ仰シヤルノデアリマスカ、更ニ其點ヲ御
確メ致シテ置キマス
〔政府委員俵孫一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=38
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039・俵孫一
○政府委員(俵孫一君) 植民地刑法ニ依ル
犯罪ニ適用ガアルト申上ゲタニ付キマシテ、
重ネテノ御質問デゴザイマスガ、是ハ只今
申上ゲマシタ通リニ、政府ハ此解釋上植民
地ノ刑法ニ依ル犯罪ニハ適用スル、是ハ共
通法ノ關係ニ依ッテサウ解釋致スノデアリ
ママ、陸海軍刑法ハ是ハ又前ニ申上ゲマシ
夕通リデアリマス、其解釋上サウナル、斯
ウ云フコトヲ政府ハ申上ゲルノデアリマス、
之ニ對スル所ノ理由、其他ノ應答ニ付キマ
シテハ、是ハ委員會ニ於テ十分一ツ申上ゲ
タイト思フノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=39
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040・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 坂東幸太郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=40
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041・原夫次郎
○原夫次郞君 議長発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=41
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042・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 原君マダアルノデス
カ-坂東君一寸御待チ下サイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=42
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043・原夫次郎
○原夫次郞君 共通法ノ議論ガアッタノデ
アリマスガ、私ナドノ解釋致シマス共通法デ
ハ、アレハ訴訟手續ニ關スルコトダケノ共
通法デアッテ、實體法デアル刑法ノ共通法
ト云フヤウナコトハ未ダ頭ニ無イノデア
リマスケレドモ、併シ是等ノ詳細ナコトハ
委員會ニ讓ルコトヽ致シマシテ是デ打切リ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=43
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044・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 坂東幸太郞君
〔坂東幸太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=44
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045・坂東幸太郎
○坂東幸太郞君 簡單ニ政府ニ御尋ヲ致シ
やっ、私ガ申シマスノハ府縣制、市制、
町村制ニ共通ノ點デアリマスガ、便宜上市
制ヲ中心ニシテ御尋ヲ致シマス、第五十三
條ノ改正ニ依リマスト、五十三條ノ本文ハ
市會ノ議事ハ過半數ヲ以テ決ス、可否同
數ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル」トア
リマシテ、改正案ニハ「議長ハ其ノ職務ヲ
行フ場合ニ於テモ之ガ爲議員トシテ議決ニ
加ハルノ權ヲ失ハス」トアリマスガ、是ガ
私ハ多少疑問デアル詰リ議長トシテ職務
ヲ行シテ居ルガ、議員トシテ議決ニ加ハル
ノ權ヲ失ハナイト云フコトハソレハ議事
ノ採決ノ場合ニ、可否同數ノ場合ニハ議長
ガ決メルガ、此改正ノ規定ニ依ッテ起立ノ
採決デハナクシテ、投票ノ採決ヲ行ハナケ
レバ此規定ハ生キテ來ナイ、隨テ政府ハ改
正ノ規定ト云フモノハ議長ガ投票ニ依ツ
テ採決ヲスルト云フ所ノ權限ヲ絕體的ニ有
スルモノデアルト云フ意味ノ規定デアルカ
ト云フコトヲ御伺致シマス、次ニ御伺致シ
タイノハ市會ニ於ケル議長其他ノ投票ニ
關スル規定デゴザイマス之ニモ多少ノ改
正ガアリマスガ、玆ニ一ツノ疑問ガアルノ
ハ確カ一昨年靑森ノ市會デアッタ事件デ
アル、ソレハ諸君ノ御永知ノ通リ投票ノ數
ガ同數デアリマシタモノヲ、假議長ガ一方ノ
方ニ決定ヲシタノデアリマス随テソレガ
行政訴訟トナリマシテ、此議長ノ選擧ト云
フモノハ無效ニ終ッタノデアリマス、所ガ
當時内務當局ノ意見トシテ現ハレタ所ニ依
リマスルト內務當局ハ其當時執ッタ假議
長ノ處置ハ正當デアル、斯ウ云フ事ガ公表
セラレテ居ッタノデアリマス、然ルニ行政
栽判所デハ此投票ノ場合ニ數ガ同數ノ場
合ニ議長ガ決メルト云フコトハ問違シテ居
ル、サウ云フ判決ヲ下シマシテ終ニ議長
ノ選擧ハヤリ直シニナッタヤウニ記憶シテ
居リマスルガ、斯カル事柄ハ單リ靑森市會
バカリデハナク、今後度々起ルモノト思フ
ノデアリマスカラ、此點ニ付テ何等カ改
正ガナケレバナラヌト思フ、卽チ議長以下
ノ選擧ノ場合ニハ、行政裁判所ニ出訴スル
所ノ權利ヲ與ヘナイトカ何等カノ規定ヲ
設ケテ之ヲ未然ニ防グ必要ガアラウト思ヒ
マスガ、之ニ對スル政府ノ御意見ヲ御伺シタ
イノデアリマス、次ニハ市制ノ第四十五條
ニ關シテ御伺致シタイ、市制ノ第四十五條
ニ依リマスルト「市會ハ市ノ事務ニ關スル
書類及計算書ヲ檢閲シ、市長ノ報告ヲ請求
シテ事務ノ管理、議決ノ執行及出納ヲ檢査
スルコトヲ得」ト云フ規定ガゴザイマス
此規定ニ基イテ東京市ナドデハ此檢查ノ委
員ガ出來テ居ルヤウニ思ヒマス、然ルニ各
地方ニ於キマシテハ、此場合ニ委員ヲ設ケ
テ之ヲ審查スルコトハ理事者ニ對スル所
ノ不信任案デアル、斯ウ云フ意味カラ之ヲ
設ケナイノデアリマス、随テ斯ウ云フ場合
ニハ何等カ他ニ途ガナケレバナラヌト思フ、
勿論市會ハ自ラ調べ、或ハ委員ヲ選擧シテ
調ベサスコトハ出來マスガ、私ガ考ヘマス
ルニハ此場合ニ議長ニ矢張其權限ヲ與ヘ
テ、市會ハ議長ヲシテ斯ル場合ニ之ヲ審査
セシムル所ノ規定ヲ設ケタナラバ、卽チ此
不便ヲ除クコトガ出來ルヤウニ思ヒマスガ、
之ニ對シテノ御意見ヲ御伺ヒシタイノデア
リマス、次ニハ市制ノ第六十九條ニ依リマ
スルト、市參事會ノ會議ハ傍聽ハ許シマセ
ヌガ、吾々ノ見ル所デハ議長トカ、或ハ副
議長ト云フ者ハ市政ノ大體ニ通ジテ居ラナ
ケレバナラヌ、故ニ市參事會ノ傍聽ノ如キ
モ、若シモ參事會デ之ヲ承諾スルナラバ
議長或ハ副議長ハ之ヲ傍聽スルコトヲ得ル
ヤウナ規定ヲ設ケル必要ガアルヤウニ思フ
ノデアリマス、之ニ就テモ政府當局ノ御意
見ヲ御伺致シマス、ソレカラ今一ツ御伺致
シタイノハ都市ノ膨脹ニ伴レマシテ、常
ニ隣接町村ノ全部或ハ一部ノ併合問題ガ起
リマス、所ガ是ハ今日ノ市制ニ於テハド
ウシテモ町村ノ承諾ヲ受ケナケレバ出來ナ
イ、所ガ實際ヲ見マスルト云フト、其希望ス
ル所ノ住民ノ希望ニ從ンテ之ヲ市ニ編入ス
ルコトガ都市計畫上ノ利益デモアリ、又其
住民ノ利益デアル然ルニ其町村ハ自分ノ
町村ノ住民ガ少クナル、サウ云フ立場カラ
常ニ反對ヲシテ居ル、是ガ爲ニ國家全局ノ
利益デアルニモ拘ラズ、是ガ實行サレテ居
ラヌ、勿論都市計畫法ニ依ル都市ハ別デア
リマスルガ、其他ハ到ル所此不便ガアルノ
デアリマスカラ、今回ノ改正ヲ機會トシテ
何等カノ便法ヲ設クル必要ガアルヤウニ思
ヒマスガ、之ニ對シテモ政府當局ノ御意見
ヲ御伺致シマス、其次ニ今一ツ簡單ニ御伺
致シマス、ンレハ住居ノ制限ニ關スル事デ
アリマス、是ハ二箇年トナッテ居リマスガ、
是ハ私ノ思フ所デハ旣ニ衆議院議員選舉
法デ一箇年トシテアル以上ハ必シモ市町
村ニ於テ二箇年トセネバナラナイ事モナイ
ヤウニ考ヘルソレハ市町村ニ付テハ定著
性或ハ隣保團結、サウ云フヤウナ意味モア
リマセウケレドモ、之ヲ國家ノ全局カラ見
マシタナラハ、必シモ一箇年ニシテモ不便
ハナイヤウニ考ヘマスガ、之ニ對スル御意
見ヲ御伺致シマス、以上簡單ニ御伺致シマ
ス(拍手)
〔政府委員潮惡之輔君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=45
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046・潮惠之輔
○政府委員(潮惠之輔君) 只今坂東君ノ御
質問ニ御答ヲ致シマスガ、今回議長ノ權限
ニ付テ改正ヲ加ヘマシタルニ付キマシテ
投票ノ事ニハ是ガ如何ニ適用ニナルカト云
フ第一ノ御質問デゴザイマス市制ニ於テ
議長ガ可否同數ノ意見ガアッタ場合ニ採決
致シマスノハ議事ニ關シテノミデゴザイ
マス、投票ニ關シテハ是ト同樣ナル採決
權ハ與ヘテ居リマセヌ、改正法ニ於キマシ
テモ其點ハ同樣デゴザイマス、尙ホ靑森ノ
實例ニ付テ御尋デアリマシタケレドモ、少
シク時ヲ隔テヽ居リマスカラ精密ニ記憶
致シテ居リマセヌガ、先程御述ノ通リデア
リマスルト、今私ガ說明致シタヤウニ、投
票同數ノ時ニ議長ガ如何ニシタカト云フコ
トハ餘程疑問ト思ヒマス、斯ウ云フコトハ
有リ得ベカラザルコトデハナイカト思ヒマ
スガ、尙ホ精細ニ調ベマシタ上デ、此具體
ノ事實ニ付テハ委員會等デ御答ヲ申上ゲタ
イト存ジマス、ソレカラ第三ノ質問ハ委
員ヲ設ケテ市ノ事務ヲ監督スル往々ニシ
テ理事者側カラ申セバ委員ノ設置ト云フ
コトハ理事者不信任ノヤウナ意味ヲ以テ
好マナイ所モアルソレガ爲ニ往々ニシテ
委員設置ト云フコトガ行ハレヌカラ、寧ロ
斯ノ如キ際ニ於テハ議長ヲシテ委員ヲ設
置セシメルヤウニシタラドウカ、斯ウ云フ
御趣意ノ御尋ト思ヒマシタガ、是ハ現行ノ
市制通リ矢張市會ヲシテ判斷セシメマス
方ガ、議長一人ニ判斷セシメマスヨリモ、ヨリ
適當デアラウト存ジマシテ改正ヲ加ヘマセ
ヌ、次ニハ參事會ニ傍聽ヲ許スコトハ如何
カト云フ御尋ノヤウデアリマシタ、是ハ府
縣會ナリ市儈ナリハ固ヨリ公開シ、多衆ノ前ニ
於テ論議ヲ盡スノデアリマスケレドモ、元
來參事會ハ少數ノ人デ膝ヲ交ヘテ相談ヲスル
ト云フ立前ニナ,テ居リマス、傍聽ヲ許サ
ヌト云フ方ガ、議事ノ進行上ハ寧ロ適當ト
存ジテ居リマスソレカラ又更ニ近來都市
附近ノ町村併合ニ付テノ御尋デアリマス、
御述ノ通リ場所ニ依リマシテハ合併ヲ致
シタ方ガ或ハ將來ノ利益ニナルト云フ點モ
認メマスケレドモ、而モ其場合ニガキマシ
テ、町村會ナリ町村民ガ反對ヲ致シ、合併
ニ對シテ心カラ承諾ノ意ノ無イ所ヲ、他
力ヲ以テ之ヲ併セマスコトハ形ハ併サリ
マシテモ、將來ニ禍根ヲ貽シマスノデ、矢張
是ハ現在ノ通リ、市ト云ヒ、町村ト云ヒ、
各〓相當ノ機關ガ承諾ヲ致シテ同意ノ上デ
合併スルコトガ、結局ハ自治ノ安定ヲ期ス
ル所以ト存ジテ居リマス、ソレカラ最後ニ
ハ住居、住所ノ二年ノ制限ヲ、衆議院議員
選擧法ト同樣ニ一年ニシナカッタノハ何
故カト云フ御尋デアリマス、是ハ御尤ノ御尋
ト存ジマスルケレドモ、政府ノ見ル所ハ斯
ノ如キ點ガ國ノ制度ト地方ノ制度ト相異ナ
ルベキ所、又異ナッテ然ルベキ所ト存ジテ
居ルノデアリマス、中上ゲルマデモナク、
市町村自治ハ申サバ墳墓ノ地ヲ基礎ニシテ
成立ツノデアリマス、定著スルト云フコト
ハ國ノ選擧ニ於ケルヨリモ尙ホ一層地方
制度ニ必要デアリマスノデ、國ノ選舉ハ
年以上住居ヲ持ヲテ居レバ、選擧人名簿ニ
登錄ヲ致サレマスケレドモ、地方制度ニ於
テハ尙ホ一年、卽チ二年定着シテ居ル者ニ
アラズンバ公民トシテ選擧ニ參與シ、或八
公職ヲ擔當スルノ義務ヲ負ハセルコトハ適
當デナイト云フ意味ヲ以チマシテ、特ニ是
ハ二年ト致シテ居ルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=46
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047・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 田淵豊吉君-田淵
君、貴方ノ質問ノ通告ニナッテ居リマ
ス-質疑ノ通告ニナッテ居リマスガ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=47
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048・田淵豐吉
○田淵豐吉君 私デゴザイマスカー一寸
待ッテ下サイ
〔田淵豐吉君登壇〕
〔「簡單ニ願ヒマス」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=48
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049・田淵豐吉
○田淵豐吉君 簡單ニヤリマス大臣ハ御
出ニナラヌガ(「要領能ク早クヤリ給へ」ト
呼フ者アリ)一寸十分カ十五分デス、少シ
遡リマスガ、行政事務デモ徹底的ニ考ヘナ
イデ、非常ニ部分的ニ考ヘテ居リマスカ
ラ一ツ違フト非常ニ間違ヲ來シテ、又後
デ直シテ又ヤルト云フヤウナ狀態デ、工合
ガ惡イノデナイカ知ラヌガ、私ハ少シ遡リ
マスガ一言シタイ、政府ノ御意見ヲ聽キタ
イ、ソレハ郡制ノ廢止ト云フコトガ果シテ
善イカ惡イカト云フ點デアリマス、是ハ殆
ド皆疑ハヌヤウニナッテ居ル、所ガ憲政會ハ
反對デ政友會內閣ノ時ニ拵へタラシイ、ソ
レカラ聯立内閣ノ時ニ、政友會ニ引摺ラレ
タト云フ新聞記者モアリマシタガ、郡役所
ヲ或ル地點ニ置クト云フコトハ間違クテ、ド
ウシヤウカ斯ウシヤウカト云フ問題ヲ聽イ
テ居ル、數ケ月前カ一年前カサウ云フ話ガ
アッタノニ、今度郡役所ヲ置カヌト云フノハ
ドウ云フ譯デアルカオカシイ、憲政會ハ先
ニ此案ニ反對ヲシテ置イテ、ソレカラ又郡
役所ヲ或ル程度マデ置クト云フコトニナツ
テ、今ハ又之ヲ置カヌト云フコトニナッタ、
故ニ吾々ハ政友會ニ引摺ラレテ、サウシテ
厭ヤ〓〓ナガラ之ヲヤッテ居ルノデアルカ
ドウカ、先ノ方ガ惡イケレドモ仕方ガテイカ
ラ、サウ云フ結果ニ到着シタト云ウテ之ヲ
ヤッテ居ルト云フノカ、自己ノ意思カラ是ガ
善イト云フコトノ意味カラヤッテ居ルノカ
ドウカ、サウデナイト又後カラ直サナケレ
バナラヌ、非常ナ責任論ガ起ルト思ヒマス
カラ、内閣ハシッカリシナケレハナラヌ、此
點ニ於テ如何ナル考ヲ持ッテ居ルカ、郡制廢
止ハ宜イコトデアル、吾々ハ間違デ政友會
ノ言ウタコトガ宜イト、ハッキリ思ウテヤッテ
居ルカドウカ、サウシテ今日ハ郡制廢止ガ
宜イト思ッテヤッテ居ルカドウカ、ソレカラ
出張所ト云フモノハ殆ド取ッテシマフト云
フコトガ宜イト言フノカドウカ、ソレカラ
又郡制廢止ノ結果其實施サレタ以後ニ於
ケル所ノ成績ハドウ云フ狀態ニナッテ居ル
カ、後來ドウ云フ傾向ヲ取ルカト云フ所ノ
實際上ノ點ニ付テ少シク聽キタイ、是ガ第
一ノ點デアリマス、第二ノ點ハ府縣ノ廢
合ト云フコト、聞ク所ニ依レバ、三十年前
ニ、愛媛縣ヨリ香川縣ヲ分離シテ二縣ニシ、
大阪府カラ奈良縣ヲ分離シテ二縣ニシタト
云フ以外ニ何等ナイ、〓瀨君ノ如キハ府縣
ヲ大キクシナケレバナラヌト言ウテ居ル、
此點ニ付テ如何ナル考ヲ政府ハ持ッテ居ル
カ、ソレカラ府縣ヲ或ハ十五トカ二十ニシテ、
縣ヲモウ少シ大キクシテ、サウ云フ譯ニ行
カヌカ知レマセヌガ、三ツトカ四ツ寄セル
ト云フコトニシテ、三百五十デアリマスカ、
私ハ能ク存ジマセヌガ、ソレヲバ百位
ニシテ、一万以上ニ固メテ其市町村ヲ大キ
クシテ、四ツカ、五ツカ、十位ニシテ、
サウシテ廢合シテ、ソレデ始メテ話ガ分ル
ノデ、ソレガ分ラナケレバ困ルノデナイカ
ト私ハ思フ、其點ヲ如何ニ政府ハ考ヘテ居
ルや、府縣ノ廢合、或ハ町村ノ合併ト云フ
コトニ付テ、如何ナル考ト成算ヲ持ッテ居
ルノカト云フコトヲ聽キタイ、段々日本ハ御
承知ノ通リ特殊利益ノ代表ガ起ッテ、サウシ
テ地理的代表ガ少クナッテ來チ居リマス、ン
レハ政黨內閣其他ゴザイマスガ、矢張世界
ニ於テハ一ツノ選舉區ト云フモノガ出來ナ
イデ、幾ツノ何百ト云フ選舉區ガ起ヲテ居
ルサウシテ地理的ノ代表ガ名ガ殘ッテ居
ルト云フノガ問題デアリマス、國ノ選擧ニ
於テモ市町村ト云フモノヲ取ッテシマフノ
ハドウ云フ譯デアルカ、地理的ノ一ツノ聯
合關係ガ、人間ノ生活ニ影響スルガ爲ニ置
イテ居ルト云フ、然ラバ縣ヲ如何ニスルカ、
縣ヲドウスルカト云フト、世界ニ於テ疑フ
ベカラザル必要ナモノトシテ今日置イテ居
ル斯ウ云フモノヲ如何ニスルカト云フコ
トガ私ハ問題デナイカ知ラヌト思ヒマス、
サウシテ或人ノ如キハ、郡制廢止ト云フノハ
政友會アタリガ唯〓東京大阪邊リノ-大
阪ノ附近ヲ見テ、サウシテ拵ヘタ所ノ案ア
アッテ、眞ニ此日本全國ヲ見渡シタノデナ
イ問違ッテ居ルカラ、郡ヲ大キクシテ、郡
制ヲ布カナケレバナラヌト絕叫シテ居ル人
モアル、故ニ吾々ハ此點ニ付テモ大ナル考
慮ヲ致サナケレバナラヌト思ヒマス、政府
ハ是等ノ點ニ付テ如何ナル考ヲ持ノテ居ル
カト云フコトガ第二問デアリマス、私ハ第
三ノ質問ヲ發シタイ、ソレハ郡役所ノー
郡役所ト云フノハ私ハ尙ホ、ハッキリ分リ
マセヌガ、ドウ云フ意味デアリマス、郡役
所ハ廢止シ、卽チ縣廳ノ出張所ヲ置クカド
ウカト云フノデアリマス、例ヘバ今ノ郡制
廢止ノ結果、郡制ヲ取シテ居ル事實カラ仕方
ガナイトシマシテモ、一步ヲ讓リマシテモ
此郡役所ニ代ルニ縣廳ノ出張所ガ必要デア
ルト云フコトハ田舍ノ知事サンアタリモ
矢張必要デアルト云フコトヲ言ッテ居ル、聞
クガ如クンバ矢張縣廳カラ出張スル所ノ
人ガ五割ダケ必要デアルト云フ、其負擔ハ
旅費ニ於テ大分掛カル或ハ陳情等ニ於テ
不便ノ地カラ縣廳ニ行クニ非常ニ困ルト云
フ狀態デアリマス、或ハ市町村ニ其費用ガ
掛ッテ來ルト云フ色ミノ點カラ、決シテ經費
ノ節減ニナルカナラナイカ分ラナイ、經濟
上ノ大問題ガ懸ッテ其中ニ在ルト云フコト
ヲ私ハ思フノデアリマス、故ニ私ハ日本ノ
中ニ出張所ヲ各縣ニ置ク所ノ必要ガアルノ
デハナイカト思ヒマス、政府ハ果シテドウ
デアルカト云フコトヲ第一問ニ聞キタイ、
其理由ニ付キマシテハ私ハ一ツ理由ガア
ルソレハ國トシテハ、總テノ司法事務ハ
裁判所及區裁判所ト云フ所デヤッテ居ルガ、
其區裁判所ノ廢合ニ依シテ困ッタ歴史ガアル
ト云フコトヲ聞イテ居ル、ソレカラ又收稅
官吏ガ徵稅ノ爲ニ收稅署ト云フモノヲ置イ
テ居ル監獄モ置イテ居ルト云フ狀態デア
リマス、然ラバ縣トシテノ事情ハドウカト云
フト、縣ニハ土木ト云フ出張所ヲ置イテ居
ル或ル警察著ト云フモノヲ置イテー色
色ノ警察署ヲ置イテ、其處ニ出張所ヲ置イテ、
之ヲ監督スルニ土木及警察ノ必要デアルト
云フコトハ諸君ハ認メテ居ル之ヲ認メ
ヌカドウカト云フコトヲ聞キタイ、若シ認
メテ居ル以上ハ-殘。テ居ルノハ何カト
云フト、勸業-勸業ノコトハ能ク存ジマ
セヌガ、勸業トカ、衞生トカ徴稅トカ、或
ハ府縣ノ爭議ニ關スル干涉權トカ、色ニナ
モノガ尙ホ五割トカ六割殘ッテ居ル、其殘シ
テ居ルモノヲ之ヲ全部縣廳ノ所在地ニ移ス
カドウカト云フコトヲ聞キタイ、是ハ問題
ハ小サイガ的確ナル頭ヲ持ツ者ハ必ズ考へ
ナケレバナラヌ、特殊的ノ狀態カラ置カナ
ケレバナラヌ、或ル名目ヲ附ケテ置カナケレ
バナラヌデハナイカト云フコトヲ思フ、政
府ハ如何ニ此事ニ付テ考ヘテ居ルカ、必ズ
サウ云フモノヲ置カナケレバナラヌ、故ニ
最初皆郡役所ニ纏メテシマッテ、警察モ郡役
所ノ中ニ在リ、或ハ土木モ郡役所ノ中ニ在
ルヤツニスル、若シ是等ヲ分ツナラバ、勸業
トカ外ノモノニ付テ、又分ケタモノヲ分ケ
ル、分離主義ガ起ラナケレバナラヌ、是一
ドウスルカ、是ガ問題デアル、其次ニ於キ
マシテハ私ハ島嶼全部ニ置イタ方ガ宜イノデ
ハナイカト云フコトヲ思ヒマスルケレドモ、
若モ政府ガソレヲ置ケナイト云フナラバ、
現在置イテアル島嶼ニ置カナケレバナラ
又、私ハ島嶼ハ小笠原、或ハ郡部ヘ行クテ
モ、金ガ掛カルト思フ、衞生ノ上カラ、或
ハ〓料品ノ上カラ云ッテモ、其他色ミノ點カ
ラ云ッテモ、一ツノ國ノ頭ヲ其所ニ置イテ置
カヌト非常ニ困ルト云フコトガ、私ノ痛切
ナル一ツノ願デアル、所ガコヽヘ來ルト八
ツトカ九ツトカ置クト云フ狀態デ、幾ラカ
安心ヲシタノデアルガ、是ハドウシテモ、
其所マデ來ナケレバナラヌ、ノミナラズ私
ノ生レタ紀州ノ-私ハ南ノ方デスガ、日
高郡西牟要郡、東牟婁郡-東牟婁ノ如キ
ハ新宮ノ地デアル、サウシテ南牟婁郡、北牟
婁郡ノ如キハ、俵次官ハ知事ヲ爲サッテ居ッタ
カラ知フテ居ラレルカ知ラヌガ、非常ナ不便
ナ地デアル、斯ウ云フ土地ハ海ガ荒クテ、鐵
道ガマダ十五年モ掛ラナケレバ敷カレヌ狀
態デ、サウ云フ所カラ一々請願ニ行フタリ
向フカラ來ル、和歌山ノ者ガ受ケル不便ハ
非常ナモノデアル、是ハ單ニ和歌山縣ダケ
デハナイ、全國多々アルト信ズルノデアリ
マス之ヲ如何ニ富際上カラスルノカト云
フノデゴザイマス一方カラ云ヘバ行政
ノ區劃ハ成ベク明カナル所ノモノガ宜シウ
ゴザイマスケレドモ、是ハドウシテモ私ハ
人間生活ノ爲ノ行政デゴザイマスカラ、假
令シレヲ許シタ所ガ、或ル一ツノ「アカンド
メント」卽チ此習性ト云フモノガナケレバ
人間ノ生活ニ於テ困ルノデハナイカト云フ
コトヲ信ズルノデゴザイマス、而シテ半島
國ノ如キ、丁度島嶼、ト能ク似タ所ノモノガ
アル故ニ假令是ガ置ケナイト致シマシテ
モ、或ル地方ニ於テハ置カナケレバ、人民
ノ上ニ非常ナル不便ヲ來スノデハナイカ
政府ハ割一主義ノ名ノ下ニ、唯〓法令ノ名
ノ下ニ因ハレテハイカヌト云フ點ニ付テ述
ベタイ、假令私ハ、出張所ハ日本全體ニ置
クコトガ出來ナイナラバセメテハ島嶼竝
ニ山間僻地ノ運輸、交通、通信ノ便ガ開ケ
ナイ土地ニ出張所ヲ設クルコトガ、大變必
要デアルト信ズルガ爲ニ、此質問ヲ發スル
次第デアリマス
〔政府委員俵孫一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=49
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050・俵孫一
○政府委員(俵孫一君) 第一問ノ郡役所廢
止ニ關スル事デアリマスガ、此點ハ私ハ田
淵君ノ御質問ヲ十分ニ了解シ能ハナカッタ
ノデスガ、田淵君ハ郡制廢止ト、郡役所廢
止トヲ或ハ混淆サレテ居リハセヌカト思フ
(田淵豐吉君「ノウ〓〓」ト呼フ)郡制廢止ハ
嘗テ玖友會內閣ノ時代ニ郡制ヲ廢止セラレ
タ、ソレハ大正十年ヨリ廢止サレテ居ルノ
デアリマス、郡役所廢止ノ問題ハ勿論議
論ト致シマシテハ從來モコザイマシタガ
是ハ政友會內閣ノ時代ニモ、郡役所ヲ廢止
スルト云フコトハ、餘リ問題ニナッテ居マセ
ナンダ譯デアリマス、此郡役所廢止ノ問題
ハ近年ニ於テ世上ノ問題トナリ御承知
ノ通リニ全國町村會ニ於テモ、最早今日ニ
於キマシテハ郡役所ヲ廢止シテ宜シクハ
ナイカト云フコトノ見地ヨリ、昨年モ本年
モ、又一昨年モ、全國町村長會議ニ郡役所
全廢ノ決議ヲ致シテ居ルノデアリマス、此
郡制廢止ノ事ニ付テハ、御質問ガナイト仰
セラレルナラバ別ニ申述ベマセヌガ、今囘
郡制廢止ノ結果ト致シマシテハ、大正十年
以來郡制ヲ廢止シマシ夕結果、今日ニ於キマ
シテ毫モ其不都合ヲ感ジマセヌノデアリマ
ス、御承知ノ通リニ、郡制ハ郡ト云フ自治
〓體ガ法人トシテ自已ニ事業ヲ爲シ、自
己ニ事務ヲ執ッテ居ルノデアリマスガ、之ヲ
廢止シマシテ、所謂地方〓體トスルナラ
府縣ノ團體ト市町村ノ團體ト二ツノ團
體ガ、是ガ地方公共團體トシテ事務ヲ擧ゲ
テ居ルノデアリマシテ、郡制ヲ廢止シマシ
テ、郡ト云フ中間團體、郡ト云フ中間ノ自
治團體ヲ廢止シマシテモ、地方ノ自治事務
ニ今日格別ノ不都合ヲ感ズルコトハアリマ
セヌノデアリマス、又今囘郡役所ヲ廢止ス
ルコトニ致シマシタノモ、今日自治事務ガ
段々進ンデ來マシテ、最早今日ノ市町村ノ
自治ノ發達ノ結果ニ鑑ミマスト、是ガ監督
機關ヲ郡役所及府縣廳及內務省ト云タ
如キ、三段階級ヲ要シナイ、最早一階級ヲ
拔イタ二階級ノ監督デ以テ十分デアルト云
フコトヲ信ジマシタガ爲デアリマス、之ニ
就キマシテハ豫算ノ機會ニ於キマシテモ
十分ナ論議ヲ致シテ居リマスルカラ、詳細
ハ私申述ベマセヌ、次ニ府縣廢合、又ハ
市町村ノ廢合、是等ノ廢合ニ關シテノ意見
ハドウカト云フ御質問デゴザイマスガ、今
日府縣ノ廢合ト云フコトハ、是ハ中〓サウ
簡單ニ參リマセヌ、只今田淵君モ御擧ゲニ
ナリマシタ通リ、現ニ縣ノ廢合デ申シマス
ト、嘗テハ四國ノ香川縣ト愛媛縣ヲ合併シ
テ、之ヲ愛媛縣トシテ居ッタ時代ガアッタノ
デアリマス、又山陰道ニ於テハ鳥取縣、島
根縣ヲ合併シテ之ヲ島根縣ト稱シテ居ッタ
時代ガアッタノデアリス、併シ斯ウ云フ
大キナ區域ヲ一縣ニ致シマシテ、是ガ自治
事務ヲ擧ゲ、地方ノ自治事務ヲ論議スルニ
付テハ是ハ地域ノ關係ヲ以テ中〓簡單ニ
ハ論議ノ解決ガ著キマセヌノデアリマス
例ヘバ道路問題ニ致シマシテモ、學校問題
ニ致シマシテモ、各地ノ權衡論ガ中ミ盛ニ
起ッテ容易ニ統一ガ出來ナイノデアリマ
シテ、遂ニ以上擧ゲマシタ所ノ二ツノ縣モ
亦舊ノ如ク、鳥取縣、島根縣ニ分割セラ
レ又香川縣、愛媛縣ニ分縣セラレタト云
フ如キ歷史ヲ持ノテ居ルノデアリマス、府縣
ノ廢合ハ中〓簡單ニ行キマセヌ、ソレ故ニ
今日ニ於テ府縣ノ廢合ハ考ヘテ居リマセ
又、ノミナラズ將來ニ於テモ此問題ハ中〓
容易デナイト政府ハ考ヘテ居リマス、次ニ
郡ノ廢合ニ付キマシテハ今日郡制ヲ廢止
致シマスシ、又郡役所ヲ廢止シマス以上
ハ此郡ノ區域ト云フモノハ唯〓單ニ行
こ政ノ唯、戶籍面トカ、行政ノ區域ニ止マル
ノデアリマスカラ、今日ニ於テ郡ノ廢合ト
云フ如キ事ハ行政ノ實際ニ於テ餘リ必要
ハアリマセヌ、次ニ市町村ノ廢合ニ付テ
ハ是ハ政府ハ出來ルダケ市町村ノ廢合ヲ
スルコトヲ希望致シマス、希望致シマスガ、
是亦中〓地方ノ事情ガアリマス爲ニ、俄ニ
此廢合ヲ實現スル譯ニ行キマセヌノデアリ
ママ、併シ現在ニ於キマシテハ之ガ廢合
ヲスベキ傾向ニハナッテ居リマス、或ハ大阪
市ノ如キ、或ハ名古屋市ノ如キ、又ハ熊本
市ノ如キ、段々市ガ大キクナルトカ其他
ノ點ニ付キマシテモ、町村ノ併合ヲ致ス傾
向ニハナッテ居リマスガ、是ハ無理ニハ參
リマセヌ、第三第四ノ問題ノ御質問ニ付キ
マシテハ是ハ出張所及島廳ノ問題デアリ
マスルカラ、併セテ御答シテ置ク方ガ便宜
デアラウト思ヒマス、政府ハ現在ニ於キマ
シテハ縣廳ノ出張所ヲ、陸續キニ於キマ
シテハ置クト云フ意思ハアリマセヌ、唯〓
島嶼ニ付キマシテハ從來島司島廳ヲ置イテ
居リマスガ、ンコニハ府縣廳ノ出張所ヲ置
ク積リデアリマスソレ故ニ從來島司ハ十
一デアルト記憶シテ居リマスガ、是ハ更ニ
從來郡役所ヲ置イタ所モ島地デアリマス以
上ハ、之ニ對シテ矢張府縣廳ノ出張所ヲ置
ク積リデアリマスカラ、其數ハ合計十三ニ
相成リマス、此出張所ノ名稱ヲ如何ニスル
カ或ハ出張所トスルカ、如何ニスルカト
云フコトニ付テハマダ決リマセヌガ、何レ
ニシテモ島地ニ於キマシテハ府縣廳ノ出張
所ヲ置キマシテ、其不便ヲ十分ニ救濟スル
積リデアリマス、唯と遺憾ナ事ニハ只今
田淵君ノ御話ノ通リ、或ハ紀州ノ如キ、餘
程不便ナ處ガアリマスガ、之ニハ出張所ヲ
置クト云フコトハ考ヘテ居リマセヌ、唯こ
茲デ最後ニ御答スルコトハ是等陸續キノ
地ニ於キマシテハ政テ出張所ヲ置キマセ
ヌデモ、從來ノ如ク市町村ノ事務ガ澤山ア
リマシチ、府縣ノ許可ヲ受ケルトカ、郡役
所ノ許可ヲ受ケルトカ、許可認可ノ手續ハ
委任ヲ致シマス、多クノ事項ニ付テ-隨
テ府縣廳ノ許可ヲ受ケル事項ハ少クナリマ
ス市町村其モノガ自己ノ權限ヲ以テ處分
スルコトニナリマスカラ、實際ニ於テハ不
便ハナカラウト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=50
-
051・田淵豐吉
○田淵豐吉君 先キニ土木、警察ト云フヤ
ウナモノヲ出張所ガ片方ニ置イテアルガ、片
方ノ郡役所ノ事務ヲ取テシマフト云フ
ト、權衡ガ取レナイヤウナコトニナッテ困ル
ト云フコトヲ問ヒマシタガ、其點ニ付テハ
御答ガアリマセヌカラ、十分ナル御辯明ヲ
與ヘラレタイ、問題ハ小サイヤウデアリマ
スケレドモ、必ズ後デ問題ガ起ルト確信ヲ
シマスカラ、的確ナル御答ヲ望ミマス
〔政府委員俵孫一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=51
-
052・俵孫一
○政府委員(俵孫一君) 其點ニ付テハ御答
漏レヲ致シマシタガ、此府縣ノ事務ヲ擧ゲ
ルニ付テ、或ハ土木出張所ヲ置クト云フヤ
ウナコトニ付キマシテハ、是ハ事務ノ性質
ガ違ヒマス、土太出張所ハ府縣ノ仕事ヲ自
分自身デヤル直接事務デアリマス、郡役所
ハ監督事務デアリマス、監督事務ハ此際省
略シテ宜カラウ、直接ニ行フ土木事務ノ如
キモノハ、是ハ將來ニ於テモ矢張府縣ノ區域
ノ廣イ處ハ出張所ヲ置カナケレバナラヌ、
警察事務ハ無論ノコトデアリマス、是ハ直
接ニ自分ガ保安、衞生ノコトニ付キマシテ
ハ矢張依然トシテ警察署ヲ置カナケレバ
ナラヌ、是ハ事務ノ性質ガ違フト云フコト
ヲ御承知ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=52
-
053・田淵豐吉
○田淵豊吉君 其點ニ付テ段々國家社會主
義的傾向ガ强クナッテ來テ、サウシテ國ナリ
縣ナリガ、自己ノ經營ノ出張所ト云フヤウ
ナモノヲ澤山置クヤウニナッテ來ル、サウ云
フヤウナ處ニ於キマシテハ矢張土木、警
察ト云フヤウナモノト性質ガ相似タモノガ
澤山起ルデアラウト確信スルノデアリマ
ス故ニサウ云フヤウナトキ、或ハ監督ノ
點ニ於キマシテモ、サウ云フヤウナモノヲ
置カナケレバナラヌト云フコトヲ固ク信ジ
マト、ソレニ付テ的確ナル御答辯ヲ戴キタ
イノデアリマス
〔政府委員俵孫一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=53
-
054・俵孫一
○政府委員(俵孫一君) 成程或ハ勸業トカ
其他ノ監督事務ニ付キマシテ、田淵君ハ
矢張依然地方ノ出張所ヲ置ク必要ガアルト
仰シヤル、併シ政府ハ其必要ナシト考ヘル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=54
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055・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 是ニテ質疑ヲ終リマ
シタ、日程第八、右各議案ノ審査ヲ付託ス
ヘキ委員ノ選擧ヲ議題ト致シマス
第八右各議案ノ審査ヲ付託スヘキ委
員ノ選擧発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=55
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056・作間耕逸
○作間耕逸君 各案ヲ一括シテ、議長指名
特ニ二十七名ノ委員ニ付託セラレンコトヲ
望ミマス
〔「賛成」「賛成」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=56
-
057・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 作間君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=57
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058・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ動議ノ如ク決シマシタ、梅田寛一
君ヨリ一身上ノ辯明ニ付テ發言ヲ求メラレ
テ居リマス、此際之ヲ許シマス
〔梅田寛一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=58
-
059・梅田寛一
○梅田寬一君 丁度私ハ少シ遲刻致シマシ
テ居リマセナンダケレドモ、參リマシテ間
ク所ニ依レバ先日新聞ニ揭ゲラレテ居ル
私ノ除名問題ニ付テ、玆ニ審査會ガ設ケラ
レタト云フノデアリマス、之ニ就テ私ハ少
シ時間ヲ拜借致シマシテ辯明ヲ致シ、其事
情ヲ聊カ申上ゲタイト思フノデアリマス、
此問題ハ私ノ除名ト同時ニ、新間ニ之ヲ漏
サレテ記載サレテアルノデアリマスガ、ア
ノ事實ハ全ク無イ事デアリマス、併ナガラ、
苟モ此神聖ナル衆議院ノ議席ヲ占メテ居ラ
レル諸君ニ對シテモ、洵ニ面目ヲ失スルコ
トデアルシ、我ガ帝國議會ノ面目ニモ關ス
ルコトデアリマスカラ、少シ立入ッテ經過カ
ラ申上ゲタイト思フノデアリマス、全體其
當時、私ヲ除名サレタ當時ハ私ハ〓里ノ
方面ニ歸ッテ居ッタノデアル、去ル二十二日
ニ脫黨屆ヲ出シマシテ、決心致シテ、サウ
シテ〓里ノ方面ニ歸リマシテ二十五日ニ
歸ノテ來タノデアリマス、丁度政友本黨ノ前
田代議士モ途中マデ同行シタヤウナ次第デ
アリマス、歸リマシテ始メテ知ッタ次第デア
リマスガ、斯ノ如キ事實ノ無イ事ヲ、片言
隻語ヲ聞イテ風聞ニ依ッテ人ノ名譽ニモ係
ルコトヲサレルト云フコトハ、洵ニ私ハ遺
憾千萬ナノデアリマス、實ハ豫テ政黨ノ離
合ノ行ハレルトキハ、常ニ斯ノ如キ問題ガ
蟠ルノデアリマスガ、併ナガラ私ハ世ニ傳
ヘラレル風聞ニ····(此時發言スル者多シ)
併ナガラ私ハ政黨政派ノ何タルヲ問ハズ
左樣ナルコトハ斷ジテ無イモノデアル、又
ベカラザルモデアルト信ジテ居ルノデ
アル唯私ハ政友本黨ノ空氣ガ義務〓育
費ノ四千万圓ト、自作農全免ノ二大案ヲ根
抵カラ復ヘサレテ、黨内ノ思想ガ變シテ來テ、
妥協ノ空氣ガ盛ニナル際ニ於テ、私ヲ唯〓
一人犧牲ニシテ、之ニ依ッテ惡名ヲ著セテ
脫退者ヲ御防ギニナルト云フヤウナ策ニシ
カ見エナイノデアル(拍手)併ナガラ實ハ片
言隻語ヲ聞キ、私ニ何等ノ交涉無クシテ
唯、風聞ヲ聞イテ、斯クアルモノト信ジテ
爲サルコトハ甚ダ無責任ナル造方デアル
ト私ハ思フ、斯樣ナル片言隻語ヲ聞イテ、
人ノ名譽ニ係ルヤウナコトヲ斷ゼラレルト
云フナラバ、私ハ常ニ人格ヲ信ジ敬服シテ
瓦ルノデアルガ、床次總裁ノ如キハ昨年十
二月以來憲本提携ガ傳ヘラレルト同時ニ、
政友木黨ノ全部ヲ憲政會ニ賣ッタト云フ如キ
風聞ハ確ニ傳ヘラレタノデアル、尙ホ之ニ
對シテモ、色〓ナ事ガアッタノデアルガ、私
ハ左樣十事ハ信ジテ居ナイノデアル、人格
高潔ニシテ穩健著實ナル床次總裁ニシテ、
左樣ノ事ノアルベキコトデナイト私ハ信ジ
テ名リマス、故ニ左樣ノ事ハ一笑ニ付シテ
今日マデ來テ居ルノデアリマス、代議士ト
シテ若モ是カ新聞ニ傳ヘタル如ク、金ヲ預ッ
タト云フヤウナコトデアルナラバ、何故ニ
ソレヲ預カルノデアルカ、自己ノ人格ヲ自
ラ否認スルコトニナルノデアッテ、苟モ代議
士タル名譽ノ位置ニ在ル人ガ、左樣ナル常
識ヲ缺イタコトヲ言ハレル筈モナイ、又預ン
タモノヲ床次總裁ニ相談シテ返シタト云フ
コトモ、預ルベキモノデアルカナイカト云
フコトハ常識ノ上ニ苟モ名譽ノ地位ニ在
ル者ノ旣ニ其際ニ於テ判然トシテ分ル筈ノ
モノデアルト信ズル斯樣ナ非常識ノコト
ヲ以テ之ヲ信ゼラレルト云フコトハ風聞
デアルケレドモガ、洵ニ私ハ遺憾千萬、殊
ニ山梨大將ノ如キ人格高潔ニシテ令名赫々
タル人ニ對シテ、何等關係ノ無キ人〓マデ
モ此累ヲ及ボスガ如キ記事ヲ、新聞ニ載
セラレルト云フコトニ至ッテハ私共實ニ政
界ノ爲メ、其下劣ナル手段方法ガ憤慨ニ堪
ヘナイノデアリマス(發言スル者アリ議場
騒然)今囘政友本黨ノ内部ニ於テ、實ハ此
脫黨論ノ空氣ガ非常ニ濃厚ニナッテ來タ、現
ニ昨年ノ十二月末ニハ同交會ノ同志ノ諸君
ガ脫黨セラレ二十數名ガ脫黨ヲセラレ、
次テ今回ノ事ニナタト云フコトニ付
テ····(議場騒然聽取スル能ハス)卽チ此議
場ニ於テ、又委員會ニ於テモヤカマシク論
議サレタ彼ノ政友本黨ノ二大政策ト稱シ
力說セラレタル所ノ〓育費國庫負擔ノ此經
過ヲ言ハナケレバナラヌ、金錢ヤ物質的デ
吾々ヲ左右スベキモノデアラザルガ故ニ、此
政治上ノ主張經過ヲ言ハナケレバ是ガ主張
ハ出來ナイノデアル(發言スル者アリ議場
騒然)何トヤカマシク言ハレテモ、言ハナ
ケレバ是ハ分ラヌ、此義務〓育ノ四千万圓
ハ(發言スル者多シ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=59
-
060・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=60
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061・梅田寛一
○梅田寛一君(續) 其他自作農、地租全免
問題ハ非常ニ政友本黨ノ生命トシテカ說セ
ラレタモノデアルガ(「止メロ々々々」ト呼フ
者アリ)併ナガラ此二大案ガ昨年ノ十一月
ヨリ既ニ憲本提携、野合ヲ唱ヘラレテ、ソ
レト共ニ忌ハシキ種々ナル風聞ガ傳ヘラレテ
居ルノデアル、是ハ延イテ議會開會ノ時ニ
於テ、委員長ノ問題ガ起キテ、シレガ爲ニ
此憲本提携、野合成レリトシテ二十數名ノ
人ハ脫黨セラレタノデアル、併シ私等ハ自
分ガ左樣ナル風說ヲ以テ脫黨スベキモノニ非
ズ、政策ノ結果ヲ見テ吾々ハ態度ヲ決スベ
キモノナリト信ジテ今曰マデ來テ居ッタノ
デアリマス、所ガ此二大政策ハ實ハ大屈從
ニ終タノデアリマス(議場騒然)抑〓此政
策ナルモノハ不可分的ノモノデアリマス-
政策ハ不分可的ノモノデアリマス、妥協
ヤ、野合ヤ、苟合ニ依シテ好イ加減ニスベキ
モノデハナイノデアリマス、絕對的ノモノ
デアリマス、此意味ニ於テ此政黨政派ノ妥
協野合ト云フコトハ(發言スル者アリ議
場騒然)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=61
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062・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=62
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063・梅田寛一
○梅田寛一君(續) 國民ヲ害スルモノヽミ
ニシテ一利ナイノデアル、果セル哉、此案
ハ一方ニ於テ地租一分減ノ原案ヲ止メテ
サウシテ僅カニ此二千万圓ノ提案タル、義
務〓育費負擔增額三千万圓ニシテ、自作農
地租ノ全免ハ憲政會ノ原案タル政府提出ノ
原案ヲ-地價二百圓以下ヲ以テ無稅ニス
ルト云フコトハヨリ以上ニ狹メラレテ、
此自作農地ニ限ッテ二百圓以下ヲ免ズルノ
ミナラズ、隣接地マデモ人レテ此計算ノ中
ニ加ヘラレ、實ニ本黨ノ力說シタル此自作
農地全免案ハ根柢ヨリ崩レテ居ルノデアリ
マス、政友本黨ノ力說スル所ハ農村振興ニ
在ルノデアリマス、此農村振興ノ爲ニ此稅
制整理ノ好機ヲ逸シテハ再ビ時機ガ無イ
ト云フノデ此點ハ非常ニ力說セラレタノデ
アル、實ハ私床次總裁ノ御供ヲシテ、茨城
縣ノ水戶市ノ支部大會ニ臨ンダ際デモ、床
次總裁ハ此二大案ハ本黨ノ生命トスル所デ
アルカラ、何所マデモ力說シテ此貫徹ヲ期
シ、一步モ讓ラナイノデアル若シ之ニ瑕
デモ附クナラバ解散ヲ賭シテモ敢テ辭セナ
イノデアルト云ウテ力說セラレタノデア
ル其後議會開會セラレテ、一月二十一日
ニ政友本黨ノ本部ニ於テ黨員大會ヲ開キ、
續イテ芝三緣亭ニ於テ全國代議員ノ然親會
ヲ開キマシタ、其二ツノ席上ニ於テモ、床
次總裁ハ聲淚共ニ下ルノ〓ヲ以テ、此二大案
ヲ力說セラレタノデアル、政友本黨ハ憲本
提塲妥協ヲ世ニ傳ヘラレテ居ルケレドモ
ガ、勇往邁進シテ一步モ讓ラナイノデア
ル斯ウ云フ說明ヲシタノデアル、黨員ハ
之ヲ信ジテ團結シテ來タノデアル、私共ハ
斯ノ如キコトヲ信ジテ今日マデ來タノデア
ルソレデ床次總裁ガ左樣ニ力說セラレル
筈デアル、政策ハ不可分ニシテ絕對的ノモ
ノデアリマスルカラシテ、一步モ讓ルベカ
ラザルモノデアルコトハ當然デアル、其方
針ニ向ッテ、政策本位ニ於テ勇往返進セラレ
ルト云フノデアルカラ、私ハ國民ニ向ッテ必
ズヤ是ガ贊成セラレルモノデアル、殊ニ政
友本黨ハ此見地ニ於テ「キヤスチングボー
ト」ヲ握ッテ居ル、政友本黨ノ力ニ依ッテ如
何樣ニモ是ガ爲シ得ルト云フコトデアッタ
ノデアル、然ルニモ拘ラズ床欠總裁ヲ始メ
トシテ憲本妥協、苟合ノ說ガ漸ク盛ニナシテ
來タノデアルガ、黨內ニ於テハ飽ク迄之ヲ
力說シテ讓步スベカラザル旨ヲ說イタノデア
ル、必ズ國民ノ期待ヲ裏切ッテハイケナイ、
我ガ同僚ノ代議士諸氏ヲ裏切ッテハイケナ
イ二大案ハ是非共此好機ヲ以テ通過サス
ベキモノデアル、是ガ通過ニ努力シナケレ
バナラヌト云ウタノデアル、併ナガラ遂ニ
此事ノ期待ハ全ク裏切ラレ、何トモ彼トモ
知レナイヤウナ工合ニナッテ政策モ抛タレ、
葬ムラレテ居ルノデアル、卽チ憲政會ニ於
テモ、此政友本黨ノ二大案ヲ全ク全滅サセ
タト云フコトノ結果モヽ一方ニ於テハ酒ノ增
稅トナリ、煙草ノ增稅トナリ、關稅ノ增稅
トナッテ、國民ニ增稅ヲ强イテ居ル結果デア
ル、ノミナラズ左樣ナ事トヲ以テ此案ハ憲
政會モ大層御自慢ヲ爲サル程ノコトニモ
ナッテ居ナイノデアル(「出鱈目ヲ言フナ」
「降レ降レ」ト呼フ者アリ議場騒然)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=63
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064・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=64
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065・梅田寛一
○梅田寛一君(續) 斯樣チ國民ヲ裏切ルヤ
ウナ案ガ通過シテ、卽チ政黨ノ苟合妥協
野合ノ弊害ハ全ク政治ヲ暗黑ニ導クモノナ
リト私ハ言フノデアル、私ハ常ニ敬虔ノ念
ヲ以テ床次總裁ヲ信ジテ來タノデアリマス、
併ナガラ人ノ片言隻語ヲ以テ、風聞ヲ以テ
人ニ大ナル汚名ヲ著セラレルト云フヤウナ
コトガアルナラバ、床次總裁ノ此妥協ヲ傳
ヘラレテ以來ノ金錢問題ニ對スル風間ハ山
程アルノデアリマス而モ其內情ニ付テ政
友本黨ノ樞要ノ地位ニ在ル代議士及總務、
顧問等ノ代議士等カラ事情ヲ詳シク吾々ニ
述ベラレテ、サウシテ之ヲ力說セラレタ爲ニ
此問題ハ政友本黨内ニ於テ紛擾ヲ來シ、遂
ニ同交會ノ脫退トナシテ居ルノデアリマス
私ハ若モ政友本黨ノ諸君ノ如ク片言隻語、
風間ヲ以テ人ニ汚名ヲ若セラレルト云フヤ
ウナ下劣ナル心事ヲ以テ論ズルナラバ、私
自身ガ政友本黨ノ不信任ヲ出サナケレバナ
ラヌ、サウ云フヤウィ次第デアッテ、實
政友本黨ノ主張ガ根柢カラ崩レルト云フコ
トヲ私ハ憂ヘテ、總裁ヲ始メ顧問及總務ノ
先輩諸氏ニ力說シテ、種々ニ私ハ苦心慘憺
シタノデアル、旣ニ政友本黨ノ内部ニ於テ
モ、私ト意兄ヲ同ジウスル人モ澤山アルノ
デアル、信ズベカラザル政友本黨ナリト信
ズルガ故ニ、私ガ二三日前カラ其同志ヲ謀ッ
ア、玆ニ一ツノ勢力ヲ造リタイト云フ積リ
テ亙ニ諒解ヲ求メツヽアルト云フコトハ
政治家ノ爲スベキ義務デアリマス、吾々同
志ノ人ガ澤山アル以上ハ、若シ政友本黨恃
ムニ足ラズ、政友本黨ノ政策ニ慊ラヌノ
デアルトスルナラバソレ等ノ中ニアル政
友本黨ノ同志ノ堅キ精神ヲ持シテ居ル人々
ト共ニ謀ノテ、國家ニ酬ユル方法ヲ考ヘル
ト云フコトハ吾々政治家ノ當然ナル手段
デアリマス、當然ノ態度デアリマス、斯ウ
云フヤウナ次第ニ依ッテ私ハ脫當屆ヲ出シ
タノデアリマスルケレドモガ、其二十二日
ノ日附デ出シタ脫黨屆ハ用ヒラレズシテ、
二十五日ニ私ヲ除名ト斯ウ云フ風ナ態度ヲ
執ラレタノデアル、故ニ斯ノ如キ政治上重大
ナル意思ヲ人々ト相語ラウテ居ルノデアン
テ、決シテ金錢等ヲ以テ其大ヲ買收シ其
友達ヲ左右スルガ如キ陋劣ナルコトハ出来
ルモノデモナク、又友人ニ對シテ私ハ左樣
ニ不敬ナコトハシマセヌ、又是ハ左樣ナコ
トハ決シテ無イモノト私ハ信ズル者デアリ
マスルガ故ニ、一言玆ニ辯明致シテ置キマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=65
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066・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 日程第九、日本興業
銀行外二銀行ノ對支借款關係債務ノ整理ニ
關スル法律案ノ第一讀會ノ續ヲ開キマス、
委員長中村啓次郎君
第九日本興業銀行外二銀行ノ對支借
款關係債務ノ整理ニ關スル法律案
(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一日本興業銀行外二銀行ノ對支借款關
係債務ノ整理ニ關スル法律案(政府
提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
大正十五年二月二十三日
日本興業銀行外二銀行ノ
對支借款關係債務ノ整理
ニ關スル法律案委員長
中村啓次郞
衆議院議員粕谷義三殿
希望
政府ハ日支共存共榮ノ本義ニ則リ本借款
ノ目的遂行ニ愼重ノ考慮ヲ拂ヒ且今囘開
催中ノ支那關稅特別會議ニ於テ銳意之カ
支拂ヲ確保シ以テ速ニ帝國國民ノ負擔ヲ
免レシムヘシ
〔中村啓次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=66
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067・中村啓次郎
○中村啓次郞君 只今議題ニ上リマシタル
法律案ニ付キマシテ、委員會ノ經過竝ニ結
果ノ報告ヲ致スノデアリマス此法律案ハ
一億四千四百万圓ト云フ大キナ金額ニ上リ
マスル支拂ノ「リスク」ヲ、假令何時カハ囘
收セラレルモノデハアリマスケレドモ、-
旦其負擔ヲ國民ニ歸スルノデアリマスルカ
ラ、非常ナル熱心ヲ以チマシテ委員諸君モ
愼重ニ審議ヲ致サレマシタノデアリマス
會ヲ開キマスルコトガ五回、質問應答ヲ重
ネラレマスルコトガ殆ド百囘以上ニ上ッテ
居ルノデアリマス、斯樣ニ致シマシテ、公
開或ハ祕密會、眞ニ慎重ニ審議ヲ致サレタ
ノデアリマシテ、旣ニ其速記錄ハ皆サンノ
御手許ニ廻ッテ居ルノデアリマスカラ、私
ガ玆ニ其經過ノ詳細ヲ申上ゲルコトハ省キ
タイト思フノデアリマス、併シ大體御紹介
申シテ置イテ宜シイト思ヒマスルコトハ
委員ノ中カラ此法律案ニアリマスル、他日
中華民國政府又ハ.中華匯業銀行カラシテ金
ヲ受取リマシタル場合ニ、之ヲ政府ニ渡ス、
其中華民國政府若クハ匯業銀行カラ受取リ
マスル時ト云フモノハ一體何時デアラウ
カ、第一ハ此所謂西原借款ト云フ、此借款
ノ事業ヲ遂行スルニ依ッテ受取リマスル時
デアラウカ、或ハ今回ノ此關稅會議ニ於キ
マシテ之ヲ受取リマシテ、政府ニ渡スベキ
時デアラウカ、或ハ將來支那ガ裕福ニナリ
マシタル時分ガ受取ルベキ時デアラウカ、
此三ツノ時ヨリ其時ハ無イノデアルガ、政
府ハドウ云フ按排ニシテ此三銀行ガ支那カ
ラ受取ッテ來ル時ト云フモノヲ待ツノデア
ルカト云フ質問ガアッタノデアリマス之
ニ對シマシテハ現政府ニ於テハ此西原借
款ト云フモノヽ目的ヲ遂行スル意思ハ無イ、
サウ云フ考ハ斷然持ッテ居ラナイ、故ニ主
トシテ今囘ノ此關稅會議ヲ好機會ト致シテ
之ヲ不確實借款ト致シテ、此關稅會議ニ於テ
之ヲ償還ヲ受ケル積リデアル、斯樣ニ申サ
レテアルノデアリマス、ソレカラソレハ只
今申シマシタノハ多クハ外務大臣ノ答デア
リマス、委員ノ一人カラシテ、元來興業銀
行、臺灣銀行、朝鮮銀行ト云フヤウナ特殊
銀行ノ重役ガ、政府カラ任命サレル爲ニ
時ノ政府ガ或ル國策ヲ行ハフト云フヤウナ
時分ニハ其銀行ノ理事者ノ意思ニ背イ
テマデモ、其理事者ガソレニ追從シテ參ラ
ナケレバナラヌト云フ爲ニ、今日斯ノ如キ
國民ニ一旦危險ヲ負ハサナケレバナラヌト
云フヤウナコトヲ仕出來シタノデアルカラ、
是カラ以後此特殊銀行ノ理事者ヲ政府デ任
命シナイデ其銀行ノ機關ヨリ選擧セラル
ルト云フヤウニ致シタラドウデアルカト云
フ質問ガアッタノデアリマス、之ニ對シマ
シテハ政府ハ洵ニ左樣ナ嫌モアルヤウデ
アルケレドモ、只今ノ所左樣ニ致スト云フ
考ヲ持ッテ居ラナイト云フ答辯デアリマス、
ソレカラ委員ノ一人カラ、今回政府カラ三
銀行ガ總テ救濟サレルト云フ立場ニ立ツノ
デアルカラ、三銀行ガ興業債劵ノ發行ニ依。ツ
テ支拂フ所ノ利子ト、又三銀行ガ支那側カ
ラ受取ル所ノ利子ト、此利鞘ト云フモノヲ
利得シテ居ルト云フコトデアッテハ餘リ
ニ三銀行ノ爲ニ都合ガ好過ギルト云フ意味
ノ質問ニ對シテハ、今囘ノ法律案ハ左樣ナ
利益ハ一厘モ儲ケサセナイト云フコトニ
ナッテ居ルト云フ答辯デアッタノデアリマス、
ソレカラ委員ノ一人カラ斯樣ナ質問ガアリ
マシタ、今回政府ハ此三銀行ニ對シテ七千
四百六十万圓ト云フ大キナ公債ヲ交付スル
ノデアルカラ、政府ハ一億五千万圓見當ヲ
以テ只今公債政策ト致シテ居ルノニ、之三
七千四百六十万圓ト云フヤウナ公債ヲ渡ス
ト云フコトニナレバ此公債ハ自ラ市場ニ
出テ來ルコトニナッテ、政府ノ今持ノテ居ル
公債政策ニ矛盾スルデハナイカト云フ質問
ガアリマシダ、之ニ對シテハ、元來此三銀
行ニ對シテ-三銀行ガ利子ノ支拂ヲ苦ン
デ居ルノデアリマスカラ唯、單ニ利子ノ
支拂ノ點ヲ緩和サレルノデアッテ、公債ハ市
場ニ出テ來ルト云フ惧レハナイト明言セラ
レタノデアリマス、ソレカラ先程申シマシ
タヤウニ外務省ノ方面ニ於キマシテハ絕
對ニ借款ノ目的遂行ノ意思ナシト申シテ居
ルニモ拘リマセズ、大藏省當局ニ於キマシ
テハ多少ノ惜ミヲ之ニ附ケマシテ、若モ
此關稅會議ニ於キマシテ、萬一是ガ受取ル
コトガ出來ナカッタ場合ヲ考慮サレタモノ
デアラウト思ヒマス、左樣ナ場合ニ於キマ
シテハ或ハ此二千万圓ノ有線電信ノ借款
ノ如キモノハ相當ノ擔保ガアルノデアリ
マス卽チ三万七千哩ト云フ大キナ電信線
ヲ持ッテ居ルノデアル、又鐵道借款ノ如キ
ハ是ハ四國借款團等ニ對シテ、他日四國
借款團ガ之ヲ引受ケテヤルト云フコトデアレ
バ其時分ニ必シモ受取ルコトガ出來ナイ
ト云フヤウナ性質ノモノデハナイノデアリ
マスカラ、多少ノ惜ミヲ之ニ附ケ加ヘテア
ルノデアリマス、私ノ申スヤウナ言葉デハ
アリマセヌガ左樣ナ意味ノ答辯ヲセラレテ
居ルノデアリマスソコデ此經過ハ右樣ノ經
過デアリマシタガ愈、之ヲ採決スルト云フ
場合ニナリマシテ、政友會ノ諸君、杉君カ
ラシテ修正ノ意見ガ出タノデアリマス此
修正意見ハ少數デ否決サレマシテ、少數意
見ヲ提出スルト云フ豫告ヲサレマシテ是
ハ否決ニナッタノデアリマス、而シテ多數
ハ希望決議ヲ附ケマシテ、原案ヲ贊成シタ
ノデアリマス其希望尺議ハ「政府ハ日支
共存共榮ノ本義ニ則リ本信款ノ目的遂行ニ
愼重ノ考慮ヲ拂ヒ且ツ今回開催中ノ支那關
稅特別會議ニ於テ銳意是ガ支拂ヲ確保シ以
テ速ニ帝國國民ノ負擔ヲ免レシムヘシ」右
樣ナ希望決議ヲ附シテ原案ハ議決セラレタ
ノデアリマス、以上報告致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=67
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068・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 質疑ノ通告ガアリマ
ス、之ヲ許シマス成田榮信君
〔成田榮信君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=68
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069・成田榮信
○成田榮信君 只今上程ニナッテ居リマス
ル本案ハ事頗ル重大ナ案ト私ハ信ズルノ
デゴザイマス、整理トハ云ヒナガラ言葉ヲ換
ヘテ申シマスレバ、是ハ一種ノ曾稅案ニナン
テ居ルノデゴザイマス、コヽ十箇年ト云フ
モノハ此案ガ成立スレバ九百万圓、一千万
圓程ノ年々國庫負擔ト云フモノハ增加致シ
テ居ルノデゴザイマス、此意味カラ云ヒマ
スト一種ノ增稅ニナッテ居リマシテ、本
議會ニ於キマシテハ此位ナ重大十問題ハ無
イト私ハ信ズルノデゴザイマス、大藏大臣
ガ本案ヲ提出ノ說明ノ一節ニ、此案ノ内容
ノ經過ヲ總テノ事ハ言ヒタクナイ、言フコ
トヲ欲シナイト云フコトヲ言ハレテ居リマ
スガ、是ハ大藏大臣トシテ、其當時ノ責任
者ノ事ヲ發ク意味ニナリマスカラ、政治家
ノ德義上洵ニ御尤ナ言葉トハ思フノデゴザ
イマス、併ナガラ事濱口一個ノ是ハ私案デ
ハナイノデアリマス一國ノ國務大臣ガ此
樣ナル增稅案ヲ提ゲテ說明ヲ爲サレル上ニ
於キマシテハ吾々ハ此位ナ内容ノ說明デ
ハ受取ルコトガ出來ナイノデアリマス又
國民モ之ニハ滿足ヲ致サナイノデゴザイマ
ス濱口藏相ハ正直高潔ナル國士デアル
吾々ハ常ニ尊敬シテ居ル、又人格ノ上ニ於
キマシテモ左樣ナル譲讓ノ德ガアルノデア
リマスカラ、御尤デハアリマスガ、少クト
モ此重大ナル本案ヲ提ゲタ以上ハ-說明
ナサレル以上ハ悉ク隈ナク之ニ就テ詳細
ナル御說明ヲ宛行ハレナケレバ吾々ハ國
民ニ對シテ相濟マヌ、故ニ私ハ玆ニ數箇條
ヲ擧ゲテ、政府ノ明快ナル答辯ヲ求メタイ
積リデゴザイマス、今日ハ御承知ノ如ク財
政緊縮一點張、積極政策ヲ行ハントシテモ財
政ガ行詰ッテ居ッテ之ヲ行フコトガ出來ナ
イ、甚ダ吾々モ遺憾千萬デアル又國家ノ
施設ガ十分ナル此促進ヲ促シテ居ルニ拘ラ
ズ、之ヲ施設スル金ガ無イ此點ニ付テハ濱
口藏相モ遺憾千萬デアラウト思ブノデアリ
マス國民ハ重稅ノ負擔ニ苦ンデ、所謂塗
炭ノ思ヲ爲シテ居ル此樣ナル不感ナ無計
畫ナ、無責任ナル此當時ノ計畫者ト云フモ
ノニ付キマシテハ私ナドハ驚入ラザルヲ
得ヌノデゴザイマス此案ニ付キマシテ十
分ナル政府當局ノ答辯ヲ願ヒタイ積リデゴ
ザイマス、第一ニ伺ヒタイノハ此借款ハ
支那政府カラ全ク囘收シテ、當時ノ契約目
的ノ遂行ガ出來ルカ出來ヌカト云フコトガ
一箇條デゴザイマス、此囘收ハ惟フニ吾々
ノ見ル所ニ依リマスト當分是ハ回收シ得
ラレナイモノト思フノデアリマス、得ラナ
イナラバ、又此上ニ金ヲ貸シテヾモ此當時ノ
目的ガ遂行セラレルヤ否ヤト云フコトヲ、
十分ニ御說明願ヒタイ積リデゴザイマス、
第二番ニハ當初ノ計畫ヲ明ニシテ戴キタイ
ノデゴザイマス、此一億万圓ノ貸シタ金ハ
所謂先貸デ、前借同樣ノ一種ノ手附同樣ノ
モノデアル此仕事ヲ遂行スルニ付テハ
幾多ノ金ヲ要スルノ計畫ガアッタラウト思
フノデゴザイマス、是ハドウ云フ計畫ノ下
ニ第一ニ遂行セラレタカト云フコトヲ、十
分ニ御說明願ヒタイノデゴザイマス、只今
ノ外務大臣ハ當時ノ次官ヲ爲サレテ、樞要
ノ所ニ居ラレタノデゴザイマス、故ニ是等
ノコトハ十分ニ御承知デアル筈デアラウト
思フノデゴザイマス、其當時ノ外務大臣本
野子ハ死亡セラレ、寺內伯モ亡クナラレマ
シタケレドモ、外務大臣ハ
〔粕谷議長議長席ヲ退キ小泉副議長代
リ著席〕
當時ノ外務次官デアッタノデゴザイマスカ
ラ、十分ニ此邊ハ御水知デアッタラウト思
フノデアリマス、唯〓是モ知ラヌ存ゼヌト
云フコトデハ吾々受入レルコトガ出來ナ
ィ、ノミナラズ甚シキハ此借款ニ付テハ
當時ノ支那公使ヲ經ズシテ、所謂一個人ノ
西原某ト云フ者ヲ通ジテ悉クヤッテ居ルト
云フヤウナルコトハ甚ダ國家ノ威信ノ上
ニ於キマシテモ、此手續行爲ノ上ニ於キマシ
テモ甚ダ吾々ハ不可思議千萬ニ存ズルノ
デゴザイマス、是ハ何故其樣ナ方法ヲ執ツ
タノデアルカ、第三ニハ典業銀行ヲ除クノ
外ハ朝鮮、臺灣銀行ハ此救濟ヲヤッタ所デ、
尙ホ且ツ不良ノ貸付ガアリハシナイカト云
フコトヲ伺ヒタイ、破產ノ運命ニ達スルノ
デアッテ、經濟界ニ由々敷影響ヲ及ポスト
云フコトニ付キマシテノコトハ同感デアリ
マス至極同感デアリマスガ此救済ヲ致
シマシテモ、尙ホ他ニ不良ナ貸付ガアッテ
破產ヲスルト云フ境遇ニ遭遇スルト云フコ
トカ無イカ否ヤト云フコトヲ、十分ニ突止
メテ置キタイノデゴザイマス、第四ニハ只
今委員長ノ報告ニ依リマスル通リ希望條
件ガ出テ居リマス、政府ハ日支共存共榮ノ
本義ニ則リ、本借款ノ目的ノ遂行ニ慎重ノ
考慮ヲ拂ヒ、且ツ今囘開催中ノ支那關稅特
別會議ニ於テ銳意是ガ支拂ヲ確保シ以テ
速ニ帝國國民ノ負擔ヲ免レシムベシト云フ
此希望條件ハ果シテ政府ハ同意セラレテ、
尙且ツ之ヲ遂行スルノ覺悟決心ガアルカ否
カト云フコトヲ聞イテ置キタイノデゴザイ
マス第五番ニハ三銀行ニ對シテ、殊ニ興
銀ハ除外シテ置キマスガ、臺灣及朝鮮銀行
ニ對シテ五千万圓ヅヽノ枚濟ヲシテ居ル
是ハ如何ナル意味ニ於テ救濟セラレタノデ
アルカ此借款ノ理由ト、救濟セラレタノ
ハドノヤウナ他ノ意味ヲ以テ救濟セラレタ
ノデアルカト云フ意味ヲ、政府ニ質シテ置
キタイト思フノデゴザイマス尙且ツ〓浦
内閣ノ末路ニ際シテ、最早辭職ヲスルト云
フ時ニ閣議一決シタ際ニ向シテ時ノ大藏
大臣勝田君ハ鮮銀へ對シテ五千万圓ト云フ
金ヲ貸付ケタト云フコトヲ聞キマスガ、是
ガ、果シテ左樣ナ事ガアタノカドウデアル
カ、而シテ此貸付ヲシタトスレバ、是等ノ
效果ハ十分ニ有ッタノデアルカ、無イノデ
アルカ、無イモノニ貸シモシマスマイガ、
之ヲ尙且ツ貸シテ、又再ビ政府ハ何時モ此
借款ノアル度ニ引摺ラレルト云フヤウニ
ナッテハ、何等ノ效モ無イ、此點ハ明ニ致
シテ置キタイ積リデゴザイマス斯樣ニ考
ヘテ見マスレバ、此問題ハ洵ニ容易ナラヌ
問題テゴザイマシテ、恐ラク明治大正ヲ通
ジテ、斯ノ如キ大失態ヲシタモノハアルマ
イト思ヒマス、是ハ誰ガシタカト云ヘバ
時ノ內閣デモ色ミナ議論ガアッタト云フコ
トヲ吾々ハ聞及ブノデゴザイマス、殊二大
正七年原内閣ガ組織セラレタ時ニハ支那
内政不干涉ノ意味ニ於キマシテ、此公債政
策モ打切ッテシマッタノデアル、時ノ原内閣
モ之ニハ打切ヲ聲明シタノデゴザイマス
當時ノ寺內內閣ハ外務大臣ナドモ十分ニ御
承知デアラウト思フ極力反對ヲ爲サレタ
ノデゴザイマス申サバ寺內及時ノ大藏大
臣勝田君ノ仕事デアッタト云フコトヲ吾々
ハ聞クノデコザイマス(拍手)甚ダシク國家
國民ニ此樣ナル迷感ヲ掛ケタモノデゴザイマ
ス斯ノ如キ政治家ガ今尙且ツ存在シテ世
ノ中ニ公々然トシテ居ルト云フコトハ
甚ダ私ハ政治道德ノ上ニ於テ取ラヌ話
デゴザイマス最早政治迫德カラ申シマスレ
バ前科者デアル前科者デアリ面モ血統ノ
正シクナイ人間デアル、此樣ナル種類ノ人
間ヲ買込ム人モ亦甚ダ心ガ知レナイノデア
ル(拍手)ガ何故左樣ナ人物ガ未ダニ公々然
トシテ我ハ政黨ノ最高幹部デアルト云フヤ
ウナコトハ社會風〓ノ上カラ云ウテモ
吾々ハ許セナイノデアリマス、左樣ナル政
治家ニ對シテハ吾々ハ此法案ヲ成立サス
ト同時ニ、今日吾々ハ告別式ニ行シテ居ル
ヤウナ感ジガスルノデアル左樣ナ者ハ葬
ラナケレバ、國家國民ニ對シテ相濟マヌト云
フ感ジヲ持ツノデアリマス、政府ハ十分ニ此
點ニ付テ、所謂此道德心ハ要ラナイノデア
ルカ、之ヲ十分ニ說明爲サラヌト云フト
却テ國家國民ヲ迷ハスヤウニナリ、尙且ツ
私ハ最後ニ伺ヒタイノハ此三銀行ニ對シ
テ時ノ大藏大臣勝田君ガ、此迷惑ヲ掛ケヌト
云フ所ノ祕密覺書ヲ發シタト云フコトヲ
承ッテ居ルノデアリマス、之ヲ此席ニ於キ
マシテ、若シ此公開ノ席デイケマセヌナラ
是ハ祕密會ニ致シテ十分ニ玆ニ御說明
爲サルヽト云フコトガ、大藏大臣個人ノ爲
メ、國家ノ爲メ、國民ノ爲メト思ヒマスカラ、
之ヲ十分ニ御說明爲サレテ、若シ公開ノ席
ニイケナイト云フコトナラ、祕密會ヲ請求
セラレテ、十分ニ御說明アランコトヲ希望
致シマス
〔國務大臣男爵幣原喜十郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=69
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070・幣原喜重郎
○國務大臣(男爵幣原喜十郞君) 只今成田
君ノ御質問ノ中デ、私ノ關係シテ居ル部分
ダケヲ御答辯申上ゲマス先ヅ只今開會致
シテ居リマスル支那特別國稅會議ニ於キマ
シテ、此三銀行ノ借款ノ元利ノ償還ヲ確保
スペキ方法ヲ講ズルコトニ付キマシテハ
吾々ハ及プ限リ努力致ス積リデ居リマス、
併ナガラ是ト同時ニ、借款其ノモノヽ目的
ヲ遂行スルコトヲ得マスルカドウカ、是
ハ極メテ保シ難イノデアリマス、申スマデ
モナク今回ノ關稅會議ニ於キマシテハ各
國共多少ノ犠牲ヲ供シ、卽チ關稅率ノ引上
ニ同意ヲ致シマシテ、ソレデ以テ其資金ヲ
以テ其一部分ヲ、斯ウ云フ風ナ不確實債務ノ
整理ニ充テヤウト云フノデアリマス其場
合ニ於キマシテ、他ノ一方ニ於テ此借款ノ
元利ヲ確保スルコトノ方法ヲ執リナガラ、
他ノ一方ニ於テ此借款其モノヽ目的ヲモ遂
行スルコトヲ得ルト云フコトハ極メテ困
歎ナ事デアラウト考ヘマス、ソレカナ第二
ニ此借款當時ノ計畫ニ付キマシテ私ガ何
カ知ツテ居ル事ガナイカト云フ御質問デア
リマシタ、御話ノ通リ、私ガ其當時外務次
官ヲ致シテ居シタノハ事實デアリマス、併ナ
ガラ私ハ外務次官ト致シマシテ、一ツノ事
務官ト致シテ、此借款ノ成立、計畫ト云フ
モノニ付テ、何等ノ協議ニ與ラナカッタノデ
アリマス、事實ニ於キマシテ此借款ガ成立
致シテカラ後ニ、外務省ト致シテ此借款ノ
內容、條件等ニ付キマシテ大藏省ニ報道ヲ
求メタト云フ事實サヘアルノデアリマス、
隨テ私カラシテ其當時ノ計畫ノ全體、事情
ト云フヤウナコトヲ申上ゲル何等ノモノモ
持ノテ居リマセヌ、是ダケヲ御答辯申上ゲテ
置キマス(拍手)
〔國務大臣濱口雄幸君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=70
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071・濱口雄幸
○國務大臣(濱口雄幸君) 成田君ニ御答致
シマスルガ、御質問ノ第三點、卽チ朝鮮銀
行竝ニ臺灣銀行ハ此對支借款ノ整理が出
來サヘスレバソレニ依テテ銀銀行ハ完全ニ
整理サルヽノデアルカ、他ニ不良ナル貸付ガ
アッテ、ソレガ爲ニ此借款ノ整理ガ出來テモ
整理ガ行ハレヌト云フ結果ニナリハセヌカ
ト云フ御質問デアッタヤウデアリマス、兩銀
行ノ營業狀態ハ大體ニ於テ良好デアリマセ
ヌ、相當ニ不良ナル所ノ貸付モアッタノデア
リマス、此點ニ對シマシテハ大藏省ニ於テ
銀行ト相談ヲ致シマシテ、相當ナル整理計
畫ヲ立テマシタ、其整理計畫ノ遂行ハ著々
進行ヲ致シテ居リマスルガ此借款ノ整理
ガ完全ニ出來マスレバ兩銀行ノ整理ハ出
來ルモノデアルト私ハ信ジテ店リマス第
四點ハ中村委員長カラ報告ニナリマシタ委
員會ノ希望ニ對シテ、政府ハ同意スルヤ否
ヤト云フコトデヲリマシタ、此點ニ付テハ只
今外務大臣カラ御答ニナリマシタカラ、私
ハ省略ヲ致シマス、第五點ハ臺灣銀行、朝
鮮銀行等ニ對シテ數千万圓ノ融通ヲ致シテ
居ルガ、此借款ノ爲ニ兩銀行ガ非常ス苦ン
デ居ル又其借款ノ關係カラ融通ヲシタモ
ノデアルカト云フ御質問デアッタノデアリ
やっ、兩銀行ニ對シテ融通ヲ致シテ居ルコ
トハ正ニ事實デアリマス、併ナガラソレハ
兩銀行ノ營業狀態ヲ全體トシテ整理スルガ
爲ニ、改善スルガ爲ニ融通ヲセラレタモノ
ト認メテ居リマス必シモ此借款ノミノ關
係デハナイヤウデアリマス營業全體-
無論借款ノ關係モ包含ヲ致シマスガ營業
全體ノ整理ノ爲ニ融通ヲ致シタモノト思ヒ
マス、第六點ハ朝鮮銀行ニ對シテ〓浦内閣
ノ辭職ヲ致シマス直前ニ於テ、五千万圓ノ
貸付ヲシテ居ルト云フ事實ガアルカ、又其
事實ガアルトスルナラバ其貸付ケタル所
ノ效果ハドウデアッタカト云フ御質問デアソ
タノデアリマス朝鮮銀行ニ對シテ時ノ大
藏大臣ガ五千万圓ノ金ヲ二回ニ分チマシテ、
二千万圓ト三千万圓トヲ預金部カラ融通ヲ
致シタコトハ是ハ事實デアリマス其月日
ハ只今記憶ヲ致シマセヌガ、正ニ融通ヲ致
シテ居リマス其效果如何ト云フコトデア
リマスガ、融通ヲ致シタ時ノ其當局大臣ノ
見込デハ、之ニ依シテ朝鮮銀行ガ整理セラ
ルヽト考ヘタノデアリマセウ、然ラズンバ
融通ヲスル理由ハ無イノデアリマス、其當
時ハ左樣ナル見込ヲ以テ融通ヲサレタノデ
アリマセウガ、偖今日カラ考ヘテ見テ其效
果ハ如何、果シテンレダケノ融迪ニ依ノテ
朝鮮銀行ガ整理サレタカト中シマスト、不
幸ニ致シマシテサウデハアリマセヌ、其效
果ハ極メテ微弱デアンタノデアリマス、微弱
デアッタルガ故ニ、此度兩銀行ノ整理ヲ非
常ナル努力ヲ以テ致シテ居ルノデアリマス、
此五千出圓ノ融通ニ依ッテ朝鮮銀行ノ營業
狀態ガ大ニ改善ヲサレ、整理ガ出來タトハ
私ハ考ヘマセヌ、最後ノ御質問デアリマス
ルガ、時ノ當局者ト三銀行トノ間ニ祕密ノ覺
書ガアルト云フコトデアルガ、ソレヲ說明ス
ルヤウニト云フ御要求デアリマス、時ノ主
務大臣ト三銀行ノ首腦者トノ間ニ於キマシ
テ、此借款ニ三銀行ガ應ズル爲ニ、三銀行ニ
不利益ヲ與ヘナイヤウニスルト云フ了解ノ
アタコトハ私ハ之ヲ確ニ認メマス、然ラバ
其了解ノ形式如何、其兌書ノ內容如何ト云
フコトニナリマスト云フト成田君ノ御希
望ニハ反スルカモ知レマセヌガ、私ハ此席
上ニ於テ、假令祕密會デアリマシテモ衆
議院ノ壇上ニ於テ左樣ナル事ハ申シタクナ
イノデアリマス、又サウ云フコトヲ申スト
云フコトガ如何ナル利益ガアリマスカ、其
利益ハ無イト私ハ考ヘマス、唯不都合ヲ
生ゼシメナイト云フ了解ガアッタト認メル
ト云フコトニ依ッテ御諒水ヲ願ヒタイト思
ヒマス、此以上ノ答辯ハ避ケマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=71
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072・成田榮信
○成田榮仁君 只今ノ覺書ハ確ニアルト云
フコトダクハ御認メニナルカ、其點ヲ十分
確メテ置キマス
〔國務大臣濱口雄幸君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=72
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073・濱口雄幸
○國務大臣(濱口雄幸君) 或形ニ於テ其了
解ヲ與ヘタルモノハアリマスアリマスガ
其内にダケハ私ハ中上ゲカイ方グ宜クラウ
ト思ヒマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=73
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074・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 千葉三郞君
〔千葉三郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=74
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075・千葉三郎
○千葉三郞君 本案ニ付キマシテ、私ハ大
藏大臣ニ御說明ヲ煩シタイト考ヘマス第
一ニ斯ノ如キ莫大ナル滯リ貸シヲ生ジタ
其貴任ハ決シテ現閣ニアリマセヌコトハ申
スマデモアリマセヌ、否、寧口此不始末ヲ
整理スルト云フ運命二立至ノ夕現內閣ニ對
シ私ハ同情スル者デアリマス、併ナガラ
最モ迷惑ヲ感ズルノハ吾々國民デアラウト
考ヘマス、何トナレバ政府ハ此法案ニ依リ
マシテ一億四千四百万圓ノ公債ヲ募集シ、
ニ銀行ノ肩代リヲスルノデアリマス、支那
ノ國情カラ樹察致シマスレバ、是ガ元利ノ
償却ト云フコトハ殆ド不可能デアラウト考
ヘルノデアリマス隨テ此一億數千万圓ノ
公債ハ全ク我ガ國民ノ損害デアルト申シ
テ差支ナイト思フノデアリマス、故ニ此法
案ハ只今成田氏ノ言ハレルガ如ク、吾々
議員ハ慎重ニ審議シナケレバナラヌト考へ
ルノデアリマス、其審議ニ當ノテハ、大藏大臣
ハ今一層詳細ニ、當時ノ眞相ニ付テ此議場
ニ御述べ下サランコトヲ希望シタイノデア
リマス、只今外務大臣ノ御說明ニ依リマシ
テモ、當時外務次官デアリマシタ所ノ幣原
氏ガ、此問題ニ付テ全然知ラナカタ況
ヤ吾々國民ハ現在ニ於キマシテモ其旦相ヲ
知ルニ由ナク全ク疑惑ノ眼ヲ以テ見ラレ
テ居ルノデアリマス、故ニ此法案-最モ
國民ニ對シ缺損ヲ與へル重大ナル此法案ヲ
審議スルニ當リマシテハ十分其當時ノ事
ヲ出來得ル限リ大藏大臣ノ御說明ヲ煩シタ
イト考ヘマス、第二ニ委員會ニ於キマシテ
武内次官ハ又大藏大臣ハ、只今此處ニ於キ
マシテ其覺書ノアルト云フコトヲ言明サレ
マシタ、當時ノ大藏當局ノ致方ト云フモノ
ハ寳ニ吾々カラ見ルト國民ヲ馬鹿ニシタ
モノデアリマス、併ナガラ私ハ此貴任ハ決
シテ當時ノ内閣當時ノ大藏當局ノミニ
アラズシテ、三銀行ノ組織竝ニ三銀行ノ重
役ノ方こニモアルヤウニ思フノデアリマス
ガ之ニ對スル大藏大臣ノ御考ヲ承リタイ
ノデアリマス、又只今ノ三銀行ノ組織ヲ以テ
致シマシタナラバ將來斯ノ如キ事ガ起ルカ
知レナイ、之ニ對シテ大藏大臣ハ改正スル
ノ意思ガナキヤ否ヤヲ承リタイノデアリマ
ス第三ニ若モ此三銀行ガ果シテ責任ソ分
勝ヲヘベキモノガアルト致ンマシタナラ
斯ノ如キ滯リヲ生ジ、隨テ國民ニ對シ
非常ナル迷惑ヲ蒙ラシテ居ル所ノ三銀行
ガ縱令此半期ニ於キマシテ、配當認可ヲ
大藏大臣ニ請ヒマスルニ當ノテハ斷然大
藏大臣ハ六千万國民ノ名ニ於テ之ヲ拒絕ス
ルノガ當然ト思フノデアリマス、是レ國民
ニ對スルノ深切デアラウト思ヒマスガ、右
ニ對スル大藏大臣ノ御所見ヲ承リタイノデ
アリマス、最後ニ私ハ承リタイコトハ、大
藏大臣ハ常ニ特殊銀行ノ救濟ハ--濟濟ヲ
爲スニ當リマシテ、其貴任ハ既往ノ內閣ノ
責任デアルト云フコトヲ言ッテ居ルノデア
リマス、是ハ全クデアリマス、併ナガラ私
カラ見マシタナラバ、大藏大臣ハ何ガ故ニ
今一步進メテ、將來斯ル不良政治家ガ出現
シ、サウシテ國民ニ大ナル損害ヲ與ヘルヤ
ウナコトガアルカモ知レナイ、之ヲ防グガ爲
ニ何等カノ制度、何等カノ方法ヲ此識會ニ
御提案ニナル意思ハナキカドウカ既往內
閣ノ不始末ヲ尻拭ヒヲスル此法案ヲ提出ス
ル以上ハ是ト同時ニ將來其〓根ヲ一掃ス
ル所ノ法案ヲ此議場ニ提出ニナルノガ大藏
大臣-立憲政治家トシテ大藏大臣ノ執ル
ベキ相當ナル態度デアラウト考ヘルノデア
リマスガ、之ニ對スル大藏大臣ノ答辯ヲ承
リタイノデアリマス、以上ノ四項目ニ付キ
マシテ、幸ニ御答辯ヲ得マシタナラバ仕合
ト存ジマス(拍手)
〔國務〓〓濱口雄幸君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=75
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076・濱口雄幸
○國務大臣(濱口雄幸君) 第一ニ借款ヲ致
シマシタ當時ノ事情ヲ說明スルヤウニト云
フ御要求デアリマス、借款成立ノ時ノ事情
ハ詳細ニ今日カラ遡シテ之ヲ調査スルコ
トハ當局者モ更迭ヲ致シテ居リマスル今
日、稍〓困難ニ感ジマスルガ、大體ニ於キ
マシテ時ノ内閣ノ對支經濟政策ノ遂行ノ爲
デアッタト思ヒマスルガ、三銀行ニ對シマ
シテ支那ニ對シテ借款ヲ致スコトヲ慫慂〓
シタ、之ヲ慫慂スル際ニ於テ先刻成田君ノ
御質問ニ對シテ御答ヲ致シマシタ通リ、將
來此借款ノ爲ニ銀行ノ不利益ヲ來サシメナ
イト云フ了解ヲ致シタノデアリマス、惟フ
ニ三銀行ハ時ノ內閣ノ主務大臣ノ慫慂ト
其不利益ヲ來サシメナイト云フ了解トニ基
イテ敢テ此借款ヲ致シタヒノデアルト思
ヒマス、而シテ其借款ニ充當致シマスル所
ノ資源トシテ、興業銀行ガ債劵ヲ發行スル
ニ當リマシテ、先曰モ申上ゲマシタ通リ政
府ガ元利拂ノ保證ヲ致ジテ、興業債劵ヲ發
行〓シテ居ルノデアリマス、其興業債劵ノ
期限ガ到來スル度每ニ借換ヲ致シ、其借換
ヲスル時ニ當リマシテモ、又同ジク元利拂
ノ保證ヲ致シテ居ルノデアリマス、之ニ依ッ
テ見マスレバ此借款ノ成立ニ關シマシテ
ハ其當時ノ內閣ハ餘程之ヲ援助致シ、慫
慂ト云フ程度ヲ大分强ク行ヒマシテ、全幅
ノ力ヲ擧ゲテ之ヲ助ケタモノト斯樣ニ考ヘ
マス借款ノ責任ハ政府ノ當局ニノミ止ラ
ズシテ、銀行ノ當事者ニモアルデハナイカ
ト云フ御質問デアリマス、私モ左樣ニ考へ
マス其時ノ三銀行ノ首腦者ハ非常ナ是
ハ責任ヲ帶ビタモノデアルト思ヒマス、當
時ノ三銀行ノ總裁頭取ハ其後全部更迭ヲ致
シマシテ、今日ハ具地位ニアリマセヌ、免
ニモ角ニモ三銀行ト致シマシテハ重大ナル
責任ガアルト私モ感ジテ居リマス、此借款
ノ整理ヲ行シテ三銀行ノ救濟ヲ行ヒ、併セ
テ財界ノ整理ノ障害ヲ除クコトニ致シタ以
上ハ將來三銀行カラ配當認可ノ申請ガ
アッタ場合ニ於テ、大藏省ハ斷乎トシテ之ヲ
排斥スルト云フ考デアルカ、斯ウ云フ御質
問デアリマス、如何ニモ此對支借款ノ整理
ト云フコトハ、國民ニ向ッテ重大ナル所ノ負
擔ヲ與ヘルモノデアリマス、政府ト致シマ
シテハ斯ノ如キ事柄ニ依ッテ國民ニ負擔
ヲ與ヘルト云フヤウナ、此案ヲ出スコトニ
ハ忍ビナカッタノデアリマスケレドモ、屢、
申シマスル通リニ、三銀行ノ目下非常ニ窮
狀ニ陷ノテ居リマス所ノ其現狀ニ鑑ミ、又先
刻申上ゲマシタ通リ借款ノ成立當時ノ事情
ニ照ラシ、併セテ此三銀行ノ破綻、若シ破
綻ト云フコトガアルナラバ此經濟界ニ向シ
テ非常ニ重大ナル所ノ衝動ヲ及ボシ、ソレ
ガ爲ニ財界ノ整理ヲ妨ゲルコトガ非常ニ重
大デアルト云フ其點ニ鑑ミマシテ、此整理
案ノ提出ヲ致シタ次第デアリマス、勿論銀
行ノ責任モアリハ致シマスルケレドモ、其
當時ノ責任者ハ何レモ居ナイ、隨テ此借款
ノ整理ガ出來マシテモ、將來一切配當ハナ
ラヌト云フコトヲ致シマスルト云フト、此
銀行ノ整理ハ甚ダ困難デアラウト思ヒマ
ス申スマデモナク朝鮮銀行ニ致シマシテ
モ、臺灣銀行ニ致シマシテモ、興業銀行ニ
致シマシテモ、何レモ特殊ノ使命ヲ持ッタ
所ノ特殊銀行デアリマス其特殊ノ使命ヲ
持,タ所ノ銀行ガ仕事ヲ致シマスルニハ
相當ナル所ノ資金ヲ要シマス、其資金ヲ集
メル上ニ於キマシテ、全然將來無配當ト云
フコトデハ、到底是ハ活動ガ出來ナイコトヽ
ナル、其活動ガ出來ナケレパ整理ガ出來
マセヌ、隨テ無論過分ナル所ノ配當ノ要求
ニハ應ジマセヌケレドモ、相當ナル所ノ配
當ノ要求ハ是ハ認メナケレバナルマイト思
ヒマス、其程度ニ付キマシテハ是ハ其時
ノ事情ニ依リマシテ政府ニ於テ適當ニ之ヲ
決メタイト思ッテ居リマス、最後ノ御質問ハ
御說明ガ簡單デアリマシタ爲ニ、十分ニ私
ニハ其御趣意ガ了解出來兼ネマシタケレド
モ、將來若シ不謹愼ナル所ノ政治家ガ現ハ
レテ復タ斯ノ如キ事ヲヤルト云フコトガ
アッテハ相成ラヌニ依テ、ソレヲ豫防スル
爲ニ、何カ制度上ノ缺陷ヲ補充致スト云フ
如キ考ハ持ノテ居ナイカ、此議會ニデモ提案
ヲスルト云フ考ハナイカ、斯ウ云フ御趣意
デアッタヤウニ私ハ思ヒマス、此問題ニ限
リマセズ、總テ特殊銀行竝ニ一般銀行、廣
ク申シマスレバ金融機關ノ制度竝ニ組織ノ
問題ニ付キマシテハ、大藏當局ニ於テ頻ニ
考慮致シテ居ル所デアリマス、此問題ハ金
融ノ上ニ於テモ、總テノ點ニ於テ非常ナル
重大ナル關係ヲ持ツモノデアリマスルカ
ラ之ヲ輕ミニ改正ヲ致ス譯ニハ參リマセ
ヌガ、此議會ガ終了致シマスレバ政府ノ
仕事ノ一ツト致シマシテ、銀行制度ノ改善
ノ爲ニ、十分ナル調査〓究ヲ行ヒタイト云
フコトヲ豫〓考ヘテ居リマスカラ、其時ニ
併セテ只今御質問ノ趣意ヲモ能ク參酌致シ
マシテ、相當ナル考慮ヲ致シタイト考ヘマ
ス、大體御答致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=76
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077・猪野毛利榮
○猪野毛利榮君 只今ノ大藏大臣ノ御演說
ニ對シテ質問ガアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=77
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078・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 通告順ガアリマ
スカラ、其通告順ノ終ノテカラニシテ下サ
イ-星島二郞君
〔星島二郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=78
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079・星島二郎
○星島二郞君 私ノ質問ハ極メテ簡單デア
リマス唯。過日本員ガ日本銀行竝ニ各種
特殊銀行ノ制度ヲ改正スベシト云フノ建議
案ヲ、出シテ置イタノデアリマスガ、丁度
此樣ニ大整理ヲ爲サルトキニ、其制度ヲモ
改正サルヽニハ最モ好イ機會デアル故ニ、
私ハ簡單ニ此機會ニ於キマシテ政府ニ御尋
シテ見タイノデアル、只今千葉君モ第三點
ニ於キマシテ之ニ觸レラレテ居ルノデアリ
マスガ、又委員會ニ於テモ多少ノ質疑應答
ハアッタノデアリマスガ、政府ハ是等ノ特殊
銀行ヲ根本的ニ改正スルガ爲ニ、近キ將來
ニ其制度ヲ變ヘルノ意思ナキヤ、例ヘバ銀
行ノ總裁役員ハ殊ニ總裁、副總裁ハ官選
ニアラズシテ民選ニスル必要ナキヤ、卽チ
株主總會ノ選擧ニ依ルコトガ宜イノデハナ
イカ、假リニ株主總會ノ選擧ニ致シテモ、
大半ノ株ヲ政府ガ持チ、或ハ事實上色ミナ
勢力ニ於キマシテ、其總會ヲ政府ノ手ニ依ク
テ整理ヲスルナラバ、其目的ヲ達シマセヌカ
ラ、丁度千九百二十年ノ南阿準備銀行法ニ
アリマスヤウニ、此種ノヤウナ銀行ノ總裁、
副總裁ノ如キ重要ナル役員ハ尠クトモ十
年以上銀行業ニ在ッタ者トカ云フヤウナ條
件ヲ附ケルコトガ最モ宜イデハナイカ、斯
ウ云フ御意思ハアリマセヌカ、第二ハ特殊
銀行ニ上下兩議員ハ役員タルコトヲ得ズト
云フヤウナ覊束ヲスル必要ハナイデハナイ
カ、現ニ各國ノ植民地銀行ハ明ニ其規定ガ
アルノデアリマス、或ハ中央準備銀行ニ於
キマシテモ、其樣ナ現定ガアルノデアリマ
スガ、我ガ日本ニ於キマシテハ極、ツタヤウ
ニ特殊銀行ノ重役ニー族員ノ〓體ノ方ガ
揃ッテ居ルト云フヤウナコトハ銀行ノ發達
ノ爲ニ、サウシテ又整理ヲ盡母スル爲ニ弊
害デハナイカ、政府ハ此邊ニ於キマシテ將
來之ヲ改正スルノ意思ナキヤ、是等ノ點ニ
付キマシテ、此機會ニ於テ御答〓ヲ得タイ
ト思フノデアリマス(拍手)
〔國務大臣濱口雄幸君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=79
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080・濱口雄幸
○國務大臣(濱口雄幸君) 銀行ノ制度殊ニ
特殊銀行ノ制度ニ付キマシテハ議會ガ終
リマスレバ相當ノ期間ニ於テ十分其利害
得失ヲ調査〓究ヲ致シマシテ、然ル後ニ
適當ナル所ノ處置ヲ執リタイト云フコト
ハ只今申上ゲタ通リデアリマス、隨テ未
ダ其調査〓究ヲ十分ニ始メマセヌ前ニ於
テ、豫メ是ハ斯ウ云フコトニ改メル是ハ
斯ウスルト云フコトヲ申上ゲルコトハ甚ダ
時期尙早デアリマス、只今御說明ノ如キ事
柄ハ政府ト致シマシテモ能ク承ノテ置キ
マシテ調査上ノ有力ナル參考ニ致シタイ
ト思ヒマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=80
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081・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 猪野毛利榮君
〔猪野毛利榮君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=81
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082・猪野毛利榮
○猪野毛利榮君 極ク簡單デアリマスル
ガ只今大藏大臣ノ申サレタコトニ一寸腑
ニ落チヌ點ガアルカラ御尊致スノデアリマ
ス濱口サンノ言ニ依レバ其當時ノ政府ト
三銀行ノ重役トノ、密約ト言ッテハ語弊ガ
アルカ知レマセヌガ、免モ角裏面ニ於ケル
約束ノ内容ハ大體知ッテ居ルケレドモ、之ヲ
此席上ニ於テ言フコトモ出來ナイシ又祕
密會ニ於テモ之ヲ言フコトハ好マヌト云フ
コトデアリマスカラ、要スルニ是ハ自分ハ
知ッテ居ルケレドモ、議員及國民ニ之ヲ知ラ
セルコトハ出來ヌト云フ意味ニ私ハ解釋シ
タイト思フノデアリマス、苟モ一億万圓カ
ラノ金額ト云フモノハ、今日ノ日本ノ財政
狀態カラシテ決シテ小額ナリト言フコトハ
出來ヌノデアリマス、僅カ一千万圓カンコ
等ノ〓育費ノコトデ本黨卜憲政會ノ折合ガ附
カヌトキハ、議會ヲ解散スルカドウカト云
フコトマデニ急迫ヲ來シタ程デアル、然ル
ニ一億万圓ト云フ大金ヲ今日吾々增稅トシ
テ、成田君ノ言葉ヲ藉リテ言ヘバ引受ケ
ナケレバナラヌ之ニ就テハ少シデモ國民
ニ疑惑ヲ抱カセ置イテハイカヌト思フハソ
キリ之ヲ洗出シテ、サウシテ成程ト云ッテ
議員及國民ガ腑ニ落チナクチヤナラヌ、然
ルニ只今ノ大藏大臣ノ言葉ニ依ルト、自分
ハ分シテ居ルケレドモ、議員ニモ言フコトハ
出來ヌ、祕密會デモ言フコトガ出來ヌト云
フコトハ立憲國政黨內閣ノ大藏大臣ノ言
トシテハ受取レヌノデアル、コンナ事柄位
ノモノデハナイ、或ハモント重大ナル國防
ノ事、或ハ外交上ノ事、其他皇室ニ關スル
事ニ於テミモ祕密會ヲ開イテ六千万國
民ノ代表者ニ其了解ヲ求メルコトハ議會ノ
先例ニナッテ居リマス然ルニモ拘ラズ、
億万圓ト銀行ト當時ノ政府トノ關係ノ此內
容ヲ貴方御一人ダケノ肚ニ人レテ居ツテ
之ヲ祕密會デモ說明スルコトガ出來ヌト云
フコトハ如何ニモ私ハ不深切極マルコト
ト考ヘルノデアリマス、斯樣ニ申シ上ゲテ
モ、尙且ツ大藏大臣ハ當時ノ内閣ヘ對シテ
都合ガ惡イトカ、其他ノ意味ニ於テ、此事
ハ話スコトガ出來ヌト仰シヤルノデアリマ
スカ、今一ツ御專致シタイコトハ先程ノ
御答辯デハ何ガ故ニ此一億万圓ノ大金ヲ
國家ガ負擔シナクテハナラヌカト云フ、法
理上竝ニ政治上ノ理由ガハンキリ致シテ居
ナイノデアル、其所ニ於テ私ハ之ヲハッキリ
答ヘテ貰ヒタイト思フ卽チ此一億万圓ノ
大金ヲ國家ガ負擔スルト云フコトハ前ノ
內閣ノヤッタ事デアルカラ、此引繼ヲ政府ト
シテシナケレバナラヌト云フ其責任上、厭
ヤ厭ヤナガラデモ是ハヤルノデアルト、斯
ウ云フ意味デアリマスカ、若クハ若シ此一
億万圓ノ大金ヲ始末ヲシテヤラナケレバ三
銀行ガ破產ヲスル、非常ニ困ルカラト云フ
此意味カラデアルカ、前者デアルカ、後者
デアルカ、之ヲハッキリ私共ハ承リタイノデア
リマス、何方ニシテモ私共ハ宜シイノデア
ル唯後者ノ爲トスルナラバ三銀行ガ
破產ヲスルトカ困ルカラトカ、又財界ニ
影響ヲ及ポスカラトカ云フ意味ニ於テ、此一
億万圓ノ金ヲ政府ガ責任ヲ負ッテヤルト云
フナラバ何ガ故ニ此三銀行ニ限ッテ、億
万圓ト云フ所ノ大金ヲ政府ガ始末スル心ニ
ナッタカ此三銀行バカリデハナイ、他ノ大
銀行其他小銀行ニ於テヾモ、政府ガ是程ノ
大負擔ヲ成サズトモ宜イ所ノ、大銀行及其
他ノ小銀行ニシテデモ、尙且ツ政府ハ見テ
ヤラナケレバナラヌモノガアルト思フ、ソ
レニ對シマシテハ中ミ冷淡ナルモノガア
ル、例ヘバ昨年デアリマシタカ、破產ヲ致
シマシタル高田商會ノ如キガ、矢張銀行ヲ
持ノテ居ル、若シ政府ガ公平ナル救済ノ眼ヲ
以テスルナラバ彼ノ高田商會及高出商會
ノ經營シテ居ル所ノ永樂銀行、是等モ見テ
ヤラナケレバナラヌト思フノデアル、其他
斯ノ如キ例ハ全國ニ澤山ニアルノデアリ
マス然ルニモ拘ラズ何ガ故ニ此三銀行ノ
ミヲ政府ガ救濟スルノデアルカ又各派ニ
於テモ斯ウ云フ點ニ付テハ深刻ナル質問
ヲ大藏大臣ニ發シ得ヌノハ何故デアルカ
國民ハ大ニ此點ニ疑ヲ持ッテ居リマス、何ト
云フテモ是ハ一億万圓大增稅ヲ國民ニ强フ
ル者デアルカラ、斷乎トシテ有耶無耶ノ間
ニ葬ラスコトハ出來ヌ、切ニ大藏大臣ノ明
確ナル御答辯ヲ承リタイト存ジマス
(國務大臣濱口雄幸君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=82
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083・濱口雄幸
○國務大臣(濱口雄幸君) 猪野毛君ノ御質
問ニ御答致シマスガ、此整理案ヲ提案致シ
マシタ理由ニ付キマシテハ曩ニ議題ニ上
リマシタ時ニ可ナリ詳細ニ說明致シテ置
イタト思ヒマス其大體ノ趣旨ハ此借款
ノ整理サレズニアル間ハ特殊銀行トシテ
重大ナル所ノ任務ヲ、我國ノ經濟上ニ持シテ
居ル、此三銀行ノ整理ガ出來ナイ、ノミナ
ラズ恐ラクハ遠カラズシテ此銀行ハ破綻ノ
悲境ニ陷ルデアラウ、若シ財界ガ平靜ナ
ル場合ニ於キマシテハ少々ノ波動ガアリ
マシテモ大局ニハ餘リ影響ハ無イカモ知
レマセヌガ御承知ノ通り今日ノ財界ハ頗
ル微妙ナル所ノ時機デアリマス、卽チ大
正九年三月ノ大波動ノ後ヲ承ケ、又大正
十二年九月ノ大震災ノ後ヲ承ケテ、非常ナ
ル悲境ニ沈淪ヲ致シ、辛ウジテ整理ノ絡ニ
就キ、恢復ノ道程ニ上ラントスル、此重大
ナル時機ニ於テ、特殊銀行ノ三ツノモノガ
非常ナル窮境ニ陷ッタ結果、或ハ破綻スルト
云フヤウナコトガアリマシタ時ニ於テハ
我國ノ財界ハ容易ナラザル大混亂ニ陷ルデ
ゴザイマセウ、其混亂ノ禍ハ國民全體ガ之
ヲ負フノデアリマス、其混亂ノ禍ヲ受ケザ
ラシムルガ爲ニ又三銀行ノ窮狀ヲ救ハンガ
爲ニ、何ト致シマシテモ此整理ヲシテヤラ
ナケレバナラヌ、然ラバ他ノ銀行ノ整理ヲ
スルニ及バヌカ、何故ニ此三銀行ニ限ルカ
ト云フ御質問デアリマスガ、此三銀行ノ財
界ニ於ケル特殊ノ位置ハ之ヲ認メナケレバ
ナラヌ、只今或ル銀行ノ名ヲ御擧ゲニナリ
マシテ、ソレト御比較ニナリマシタガ、是
ハ比較ニモ何ニモナラヌ、全ク性質ガ違フ、
程度ガ違フ、サウ云フモノヲ政府ガ救濟ス
ル必要ハ無イト思ヒマス、此三銀行ハ今日
ノ財界ノ狀態ニ鑑ミテ、ドウシテモ救濟シ
ナケレバナラヌトー云フノガ、是ガ第一ノ
理由デアリマス、而シテ政府ガ特ニ此殺濟
ニ重キヲ置キ、借款ノ整理ニ重キヲ置ク理
由如何ト云ヘバソレハ沿革上ノ理由ガア
ルト云フコトヲ附加へテ申上ゲテアリマ
ス其沿革上ノ理由トハ卽チ此借款成立
當時ノ事情デアリマス、其事ハ先刻來屢〃
說明申上ゲタ通リ、此借款成立ノ當時ニ於
ケル政府當局ト三銀行ノ首腦者トノ關係
殊ニ將來此借款ノ爲ニ三銀行ガ不利益ヲ受
ケナイヤウニ御心配ヲ願ヒタイト云フ其
申出ニ對シテ了解ヲ與ヘテアルト云フ其沿
革、竝ニ其資源タル興業債券ニ向フテ元利
拂ノ保證ヲシテヤルト云フ其沿革、其等總
テノ事ヲ綜合致シマシテ、此際ニ於テ是非
共整理ヲ行クテヤラナケレバナラヌ、斯樣ニ
考ヘタノデアリマス、其不利益ヲ來サシメ
ナイト云フ了解ヲ與ヘテアルト云フコト
更ニ深ク立入ッデ其覺書デアルトカ、或ハ
伺指令デアルト云フ如キ書類ノ内容マデ
モ示サナケレバナラヌト云フ御話デアリマ
シタケレドモ、私ハ不利益ヲ與ヘナイヤウ
ニ了解ヲ與ヘテアルト云フ、ソレダケノ說
明デ十分デアルト思ヒマス、ソレダケ御說
明ヲ申上ゲマスレバ、此問題ニ對シテ賛否
ノ態度ヲ御決シニナル上ニ於テ、何等不足
ハナカラウト考ヘマス(拍手)
〔此時發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=83
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084・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=84
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085・猪野毛利榮
○猪野毛利榮君 今ノ御答辯ニ對シ簡單デ
アリマスカラ此席デ申上ゲマス、多數ノ諸
君ガ何ト申サウガ、如何ニ私ノ言論ニ妨害
ヲ加ヘラレテモ、是ハ何ト云ッテモ一億万
圓カラノ大增稅ヲ國民ニ負ハセルノデアリ
マスカラ、私ハ國民ノ腑ニ落チルマデ、吾々
ノ腑ニ落チルマデ政府ニ導ネテ置カナケレ
バナラヌ、決シテ是ハ有耶無耶ニ葬リ去ル
ベキ事デナイ(此時發言スル者多シ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=85
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086・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=86
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087・猪野毛利榮
○猪野毛利榮君(續) 卽チ時ノ内閣ト三銀
行ノ幹部トノ内約ニ付テ、大藏大臣ハ十分御
存知デアルニモ拘ラズ、該内容ヲ發表スル
コトハ祕密會デモ此處デモ好マヌト云フ
コトデアリマス、ソレデハ國民及吾々議員
ニ對シテ甚ダ不忠實デハナイカ、此點ニ付
テハ成程ト吾々ノ腑ニ落チルマデ、之ヲ發
表サレテ何ノ差支ガアルカ、正々堂々ト事
實ヲ發表シテコソ初メテ是ガ眞ノ立憲的
大藏大臣デアル、過去ノ官僚内閣ノ大藏大臣
トハ今日ハ違フ、斯クテモ尙且ツ寺内內閣
及ソレ以後ノ閣僚等トノ關係ヲ考ヘ、サウシ
テ之ヲ發表出來ヌト云フコトハ、是ハ感情
デアルトカ、又私情ノ爲デハアリマセヌカ、
苟モ國民ガ知リタイ、分リタイト云ウテ、
希望シテ居ル所ノ此一億万圓ノ大層稅ノ內
容ヲ有耶無耶ニ分ラセズシテ、單ニ賛成反
對ドチラデモ宜イヂヤナイカト云フヤウナ
コトハ實ニ濱口大藏大臣トシテ怪シカラ
ヌ所ノ御言葉デアリマス、ドウシテモ濱口
大藏大臣ハ自分一人ダケ分。ッテ居ッテ、之
ヲ議員ノ前ニ於テ發表スルコトガ出來ヌト
仰シヤルノデアリマスカ、(此時發言スル
者多シ)默シテ聽イテ居レ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=87
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088・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=88
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089・猪野毛利榮
○猪野毛利榮君(續) 此重大ナル一億万圓
大增稅ノ事件ニ關シテ、腑ニ落チヌ間ハ斷
乎トシテ私ハ賛否ヲ決スルコトハ出來ナイ
(此時發言スル者多シ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=89
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090・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 靜粛ニ願ヒマ
ス-政府ヨリ答辯ガアリマセヌ、是ニテ
質疑ハ終了致シマシタ、本案ノ第二讀會ヲ
開クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=90
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091・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 御異議ナイト認
メマス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クコトニ
決シマシタ-作間君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=91
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092・作間耕逸
○作間耕逸君 直ニ本案ノ第二讀會ヲ開カ
レンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=92
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093・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 作間君ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=93
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094・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 御異議ナイト認
メマス仍テ直ニ第二讀會ヲ開キ、議案全
部ヲ議題ト致シマス
日本興業銀行外二銀行ノ對支借款關係
債務ノ整理ニ關スル法律案第二語會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=94
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095・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 杉宜陳君外三名
ヨリ本案ニ對スル修正案ガ提出サレテ居リ
マス、仍テ其趣旨辯明ヲ許シマス、杉宜陳
君
〔杉宜陳君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=95
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096・杉宜陳
○杉宜陳君 諸君、私ハ只今議題トナッテ
居リマスル法律案ニ對シマシテ、修正案ヲ
提出致ス者デアリマス、便宜ノ爲ニ其修正
案ノ條項ヲ只今朗讀致シマス「日本興業銀
行外二銀行ノ對支借款關係債務ノ整理ニ關
スル法律案中左ノ通リ修正ス、第二條政府
ハ三銀行カ第一條ノ借款前貸及借款ニ關シ
其ノ負擔シタル金額二千七百万二千三百三
十五圓ヲ補塡スル爲ニ必要ナル價額ノ五分
利附國債證券ヲ三銀行ニ對シ其ノ負擔額ニ
應シ交付ス第三條政府ハ三銀行カ第一條ノ
借款前貸及借款ニ關シ大藏省預金部ニ對シ
負擔シタル一千三百万圓及左ノ各號ノ興業
債券ノ利子支拂ニ必要ナル金額ヲ大正十五
年度會計年度ノ終ニ至ルマテ其ノ支拂期ニ
於テ三銀行ニ對シ其ノ負擔額ニ應シ現金ヲ
以テ交付ス、第三囘政府保證興業債券
二千万圓、ニ、第四回政府保證興業債劵三
千万圓、三、第五回政府保證興業債券米貨
二千二百万弗、四第八十一回興業債券四
百六十七万圓、第四條政府ハ本法ニ依リ三
銀行ニ交付スル爲二千七百万二千五百三十
五圓ヲ限度トシ公債ヲ發行スルコトヲ得、前
項ノ規定ニ依ル公債ノ發行額差減額ヲ補塡
スル爲必要アル場合ニ於テハ前項ノ制限以
外ニ公債ヲ發行スルコトヲ得、第五條ヲ削
ル第六條ヲ削ル、第七條ヲ第五條ニ改メ、
同條第一項中「直ニ之ヲ政府ニ納付スヘシ」
ヲ「三銀行ハ本法ニ依リ交付ヲ受ケタル公
債ノ交付價格及現金ニ相當スル金額竝命令
ヲ以テ定ムル利子ニ相當スル金額ヲ直ニ政
府ニ納付スヘシ」ト改メ第二項ヲ削ル
第八條ヲ第六條ニ繰上ク、第九條ヲ第七條ニ
繰上ク」右ノ如キ修正案デアリマス、抑ミ
此法律案ハ對支借款其モノヲ整理スル
ト云フノデハナクシテ、其借款ノ資源トナ,
テ居リマスル所ノ三銀行ノ負擔ヲ整理シヤ
ウ、其負擔ヲ國氏ニ於テ肩代リヲシヤウト
云フ案デアリマスルガ故ニ、支那ニ對スル所
ノ關係、支那ニ對スル所ノ債權債務ノ關係
ニ付テハ、何等ノ變更ガ無イノデアリマス
而シテ此資金ヲ整理スルト云フ所ノ理由ハ
只今大藏大臣ヨリ明快ニ御話ガアリマシタ
如ク卽チ銀行ノ今日ノ難境、玆ニ將來銀
行ガ破綻ニ瀕スルヤウナ事ガアッテハ、財界
ニ重大ナル影響ヲ及ボスト云フコト、玆ニ
借款成立當初ノ事情ト云フコトニ基イテ
此整理案ヲ提出サレタノデアリマスルガ、
私ハ是等ノ理由ハ固ヨリ之ヲ認メル者デア
リマシテ、隨テ此法律案ヲ否決セント欲ス
ル者デハナイノデアリマス、併ナガラ政府
ノ提案ノ如キハ、吾々ハ甚ダ其時期ヲ誤リ
且又其程度ヲ超エテ居ルモノデアルト考ヘ
ルノデアリマス(「ヒヤ〓〓」拍手)ノミナラ
ズ、此政府ノ案ハ〓多ノ缺點ト矛盾トヲ包含
シテ居ルコトヲ玆ニ指摘シナケレバナラヌ
ノデアリマス、先ヅ第一ニ此借款ガ、今日
ノ如キ不始末ニナッテ居ル所ノ其貴任ニ付
キマシテ、所請三銀行/責任ニ付キマシテ、
茲ニ一言シナケレバナラヌト思フノデアリ
マス若シ是ガ全部政府ノ責任デアル終
始政府ノ責任デアルト云フナラバ是ハ政
府ニ於テ全部解決スルコトガ當然デアリマ
セウケレーモ又若シ三銀行ニ於テモ一部
ノ責任ガアルト云フ結果ニナッタナラバ其
一部ハ三銀行ガ責任ヲ負擔スルコトハ當然
デアルト思フノデアリマス、成程是等ノ借
款ガ成立致シマシタル當時ニ於テ、三銀行
ガ自ラ好ンデ之ヲ貸シタノデハナイノデア
リマセウ、當時大正七年ノ時ニ於キマシテ、
所謂歐洲戰爭ノ結果ト致シマシテ、我國ノ
財界ハ非常ナル上調子ニ流レ、既ニ當時二
十億ヲ超ユル所ノ金貨ノ受入勘定ガアタ
ノデアリマス之ヲ其儘ニ放任シテ置キマ
シタナラバ、度々濱口藏相ガ御話セラレタ
如ク、物價勞銀ノ騰貴ヲ來シ、事業ノ濫與
トナリ貿易ノ逆調トナリ、財界ハ收拾ス
ベカラザル所ノ狀態ニナルト云フ事情ニ
在ッタノデアリマシテ、隨テ如何ニシテモ
之ヲ海外ニ投資スルト云フコトガ、國家ノ
內地經濟政策トシテ必要デアッタト云フコ
トガ其一ツノ理由デアッタト思ヒマス
又一面ニ於キマシテハ我帝國ト致シマシ
テ支那トノ間ニ密接ナル經濟的提携ヲ爲
ス卽チ支那ノ資源ヲ開發シ、其交通ヲ完
備セシメ、而シテ產業ヲ起サシメ、以テ日
支ノ經濟提携ト云フモノヲ密接ニスル、彼
ト我ト有無相通ジ、共存共榮ト云フコトニ
依リマシテ、此東亞ノ百年ノ大計ヲ樹ツル
ト云フコトガ、最モ帝國ノ爲ニ必要デアル
ト云フ其政策ニ基キマシテ、此政策ノ爲ニ
三銀行ガ其衝ニ當。ッタト云フノデアリマス、
隨テ固ヨリ自ラ好ンデ斯ノ如キ貸付ヲ爲シ
タノデハナカッタカモ知レマセヌケレドモ、
又政府ノ絕對命令ニ基イテ爲シタノデハナ
イト云フコトハ明カナル事實デアリマス、
既ニ政府ノ絕對命令ニアラザルノデアリマ
スガ故ニ、自ラ其自由意思ニ依ッテ決定致
シテ貸出シタル場合ニ於キマシテハ三銀
行ガ既ニ其當事者トナッタト云フコトニ付
テ、一部ノ責任ガアルモノデアルト云フコト
ヲ、斷定シテ誤リナイモノデアルト信ズル
モノデアリマス尙ホ其借款ガ今日ノ如キ
元利共ニ支拂ガ出來ズニ、不始末ノ狀態ニ
ナッテ居ル卽チ其後ノ經過ニ付テノ責任
ヲ考ヘテ見マスルニ、固ヨリ是ハ支那ニ於
ケル其後ノ財政ノ窮乏、內亂ニ內亂ヲ重ネ
タト云フヤウナ事情ニ基クコトハ明カデア
リマス、又我ガ外務ノ當局ニ於キマシテモ、
是等ノ借款ニ付キマシテハ殆ド相關セズ
ト云フヤウナ態度ヲ以テ、或ル場合ニ於キ
マシテハ寧口其借款ノ條項ガ實行セラレ
ルト云フヤウナコトニ付テハ之ヲ阻ムト
云フヤウナ態度ガアッタ事實ガアルノデア
リマス、併ナガラ一面ニ於キマシテハ三
銀行ガ此借款ノ債務ノ取立若クハ目的タル
事業ノ遂行デアルトカ、或ハ擔保ノ執行デ
アルトカ、其他契約ノ-約款ノ實行上ノ
交涉ニ付キマシテ、甚ダ機宜ノ措置ヲ缺イ
デ居ッタト云フコトハ一般ニ認メラレテ
居ル所デアリマシテ、其點カラ考ヘマシテ
モ、卽チ借款ガ今日ノ如ク元利共ニ不拂デ
アルト云フ狀態ニ對シマシテ、銀行ガ又一
部ノ責任ヲ負ハナケレバナラヌモノデアル
ト考ヘルノデアリマス(拍手「ノウ〓〓」)尙
ホ銀行グ今日非常ナル難境ニ立ッテ居ル、其
難境ヲ救濟シナケレバナラヌト云フコトガ、
本案ノ趣意デアリマスルガ、此難境ニ立ッ
テ居ルト云フコトハ、單ニ此借款關係ノミ
ニ依ッテ、生ジデ居ルノデハナイノデアリ
マシテ、寧ロ其大ナル原因、其大部分ト云
フモノハ、自己固有ノ營業上ノ失敗ニ基ク
モノデアル随テ是等ノ銀行ノ責任ト云フモ
ノヲ考ヘテ見マスルナラバ今日銀行ノ責
任ヲ全然解除シテ、以テ國民ガソレ等ノ資
金ノ全部ヲ負擔シナケレバナラヌト云フコ
トニハ吾々ハ賛同スルコトガ出來ナイト
思フノデアリマス(拍手)更ニ此資金ノ回收
ノ點カラ考ヘテ見マシテモ、先程申シマシ
夕如ク、此法律案ニ依リマシテ、對支ノ關
係ソレ自體ハ、何等ノ影響ヲ受ケナイ、卽チ
三銀行ガ依然トシテ支那ニ對シテ債權者ト
シテ、其取立ニ其目的ノ遂行ニ當ラナケレ
バナラヌノデアリマス隨テ從來三銀
行ガ自己ノ負擔ニ於テ、又自己ノ全貴任ニ
於テ是等ノ衝ニ當ッテ居リマシテモ、尙且
ツ斯ノ如キ今日ノヤウナ狀態ニ在ルノデア
リマス、若シヤ此場合ニ於キマシテ、三銀
銀行ノ責任ヲ全然解除シテ、以テ三銀行ヲ或
ハ第三者ト同樣ナル地位ニ置キマシテ、此債
權ノ取立若クハ目的ノ遂行等ノコトニ當ラ
シメマシテモ、到底是ハ吾々ノ豫期スルガ
如キ結果ヲ得ナイト云フコトハ明カデアル
ト思フノデアリマス尙ホ之ヲ支那ノ方面
カラ考ヘテ見マシテモ、此法律ニ依ッテ、斯
ノ如ク國民ノ肩替リガ出來タノデアルト云
フコトニナリマシタナラバ明ニ支那ノ方
面ニ於キマシテモ、最早其資金ハ片付イテ
居ルノデアルト云フヤウナ觀念カラシテ、
此責任ヲ果スコトニ付テ、念慮ガ薄クナル
ト云フコトハ、又是レ想像スルコトガ難クナ
イト思フノデアリマシテ、此資金ヲ囘收ス
ル卽チ借款ヲ取立テルト云フ上カラ考ヘ
テ見マシテモ、今日矢張此銀行ノ責任ヲ全
然免除スルト云フコトハ甚ダ面白カラザ
ル所ノ結果ヲ惹起スノデハナイカト云フコ
トヲ憂フルモノデアリマス、尙ホ此借款關
係ノ債務ノ整理ノ時期ニ付キマシテ考ヘテ
見マシテモ、私ハ今日此案ニ依シテ、終局的
ニ根本的ニ、之ヲ整理スルト云フコトハ其
時期ヲ失シテ居ルモノデアルト考ヘルノデ
アリマス、蓋シ一面ニ於キマシテハ支那
ニ於ケル所ノ關稅會議、目下開カレテ居ル
所ノ關稅會議ノ其主要ノ眼目ハ卽チ關稅
ノ增徵ニ依シテ支那ノ國債ヲ整理スル、所
謂不確實債務ヲ確保スルト云フコトガ、其
主要眼目デアリマスルナラバ、今日此會議
ガ如何ナル成果ヲ齋ラスカト云フコトハ
遽ニ豫斷スルコトハ出來マセヌデモ、或ル
程度ニ於キマシテ資金ヲ囘收セラレ、又不
確實債務ガ或ル程度ニ於テ確保セラレルト
云フコトハ是ハ明カナル事デアルト思フ
ノデアリマシテ關係列國モ之ヲ認メ又
支那モ之ヲ自認シ、我ガ政府ニ於キマシテ
モ、委員會等ニ於キマシテ、明ニ囘收セラ
レルモノデアルト云フコトヲ辯明サレテ居
ルノデアリマス、尙ホ是ハ從來借款ノ整理
ト云フコトハ歷代ノ內閣ニ於テ非常ニ苦
必慘澹サレタル所ノ問題デアリマシタガ、
何レノ場合ニ於キマシテモ、是等ノ借款ト
云フモノハ支那ノ關稅會議ニ於テ決定セ
ラレ、確保セラレル所ノ問題デアルカラシ
テ、其會議ノ結末マデ、此債務ノ整理ト云
フモノヲ延シテ置カウト云フコトデアッタ
ノデアリマス、然ルニ今日-愈〓此關稅
會議ガ開カレタル今日ニ於キマシテ、最早、
三月モ待テヌ、半年モ待テヌ、速ニ之ヲ國
民ニ於テ肩替リシナケレバナラヌト云フコ
トハ吾々如何ニシテモ其理由ヲ發見スル
ニ苦シムノデアリマス(拍手)又我ガ內地ノ
財界ノ實況ヨリ考ヘテ見マシテモ、今日我
ガ財界ハ、正ニ復活ノ道程ニアルノデアリ
マシテ、近ク是等ノ此恐慌ノ時代ト云フモ
ノハ緩和セラレルモノデアルト考ヘルノ
デアリマス、然ルニ此財界ノ復活ノ道程
ニアル所ノ今日ニ於キマシテ、是等ノ整理
ト云フモノヲ、根本的ニ解決シテシマフト
云フコトハンレ自身亦矛盾デアルト言ハ
ナケレバナラヌト思フノデアリマス、財界
ガ恢復致シマシタナラバ、或ハ興業債劵、
殊ニ政府保證ノ興業債劵ノ如キモノハ其
借換易々タルモノデアルト吾々ハ考ヘルノ
デアリマス、其借換ガ出來ルナラバ敢テ
之ヲ强ヒテ國民ガ塗炭ノ苦ヲ感ジテ居ル所
ノ今日ニ於キマシテ、此大ナル負擔ヲ國民
ニ移サナケレバナラヌト云フコトハ全然
ナカラウト思フノデアリマス、尙ホ第五點
ト致シマシテハ、所謂預金部ノ資金ノ囘收ト
云フコトガ、或ハ此本案ノ目的デアリハセ
ヌカト思ハレルノデアリマスガ、此意味ニ
於キマシテハ全然斯ノ如キ必要ナシト云
フコトヲ吾々ハ斷定シナケレバナラヌト思
フノデアリマス若シ預金部ノ資金ノ關係
カラ致シマシテ、之ヲ囘收スルト云フコト
ガ其一部ノ理由デアルト致シマスルナラバ、
斯ノ如キ國民ニ重大ナル所ノ負擔ヲ掛ケル
方法ニ依シテ、此借款ヲ整理スルト云フコ
トニ依シテ、此預金部ノ資金ヲ囘收スルト云
フコトハ甚ダ當ヲ得テ居ラヌト思フノデ
アリマス(拍手)若シ斯ノ如キ資金ノ回收ガ
必要アリトスルナラバ宜シク此支那ノ債
務ノ問題ノ如キハ之ヲ後廻シニシテ、或
國際汽船デアルトカ、或ハ日本紙器デアル
トカ云フモノニ對スル貸出ヲ先ヅ以テ整理
シナケレバナラヌモノデアルト考ヘル者デ
アリマス、(拍手)又先程政府カラ御話ガア
リマシタ如ク、或ハ朝鮮銀行、或ハ臺灣銀
行ニ對シテ預金部カラ融通シテ居ル所ノ五
千万圓ノ資金、是ハ一般整理資金トシテ貸
與サレタモノデアル、併ナガラ一般救濟ト
云フ中ニハ明ニ借款關係ノ債務ノ整理ト云
フコトモ包含サレテ居ルノデアルト云フ御
辯明デアッタノデアリマスガ、若シ果シテ斯
ノ如ク此五千万圓ト云フモノガ同ジク其一
部ノ目的トシテ、此借款關係ヲモ整理スル
ト云フコトガ目的デアッタナラバ、此朝鮮銀
行及臺灣報行ト云フモノハ、今囘ノ此根本
的ノ整理ニ依リマシテ二重ニ整理ヲ受ケテ
居ル二重ニ救濟ヲサレテ居ル結果ニナル
ト云フコトハ明カデアルノデアリマス、隨
テ若シ此際預金部ノ關係カラシテ是等ヲ根
本的ニ解決セント欲スルナラバ是ハ只今
申シマシタヤウナ二重ノ救濟トナルノデア
リマスカラ、明ニ矛盾撞著ガ此ニアルト云
アコトヲ吾々ハ固ク信ジテ疑ハナイノデア
リマス、以上ノ如キ理由ニ依リマシテ吾々
ハ若シ今日三銀行ノ資金上ノ救濟ヲシテヤ
ラウト云フナラバ、現實ニ三銀行ガ直接ニ
必要トシテ居ル所ノ緊急已ムヲ得ザル所ノ
額ニ止ムルト云フコトガ、最モ妥當ノ措置
デアルト信ズルモノデアリマス(拍手)卽チ
三銀行ガ自己ノ資金ヲ以テ此補足ヲシテ居
ル所ノモノ、卽チ二千七百万圓ヲ限度トシ
テ公債ヲ交付スルト云フコトガ、最モ妥當
デアルト信ズルノデアリマシテ、隨テ興業
債劵、卽チ十六年度竝ニ十八年度ニ償還期
ノ到來スル所ノ興業債劵、又預金部ヨリ融
通シテ居ル所ノ所謂指定預金ノ一千三百万
圓竝ニ預金部ニ於テ引受ケ保有シテ居ル
所ノ興業債券二千万圓、是等ノモノハ政府
ノ法案ヨリ削除スルコトヲ以テ妥當ト考へ
ルノデアリマス、又利子支拂ニ付キマシテ
ハ所謂三銀行ガ當面必要トシテ居ル所ノ
金額、卽チ大正十五年度ニ於キマシテ必要
トスル所ノモノヲ交付シテヤルト云フコト
ヲ以テ足ルト考ヘルノデアリマス以上ノ
當然ノ結果ト致シマシテ、三銀行ガ支那ヨ
リ資金ノ回收ヲ受ケタ場合ニ於キマシテ
ハ其交付ヲ受ケタル所ノ限度ニ於テ、政
府ニ納付スルト云フ義務ヲ負ハスト云フコ
トヽ竝ニ法案ノ第七條第二項ニ規定サレ
テ居ル所ノ元利金ノ納付ニ代ヘテ借款ヲ
政府ニ於テ無償ニテ讓受ケルト云フ所ノ條
項ヲ削除セント欲スルモノデアリマス、過
日本議場ニ於キマシテ之ニ關スル所ノ豫算
ガ討議セラルヽ場合ニ於テ、私ハ憲政會ノ
議員ヨリ若シ此修正案ノ如ク〓シマスルナ
ラバソレハ利廻計算ニ於テ政府ニ却テ損
害ヲ掛ケルモノデアルト云フ議論ヲ拜聽致
シタノデアリマスガ、是ハ明ニ此修正案ノ
內容ヲ攻究セザル所ノ誤解デアルト思フノ
デアリマス、蓋シ此十五年前ノ豫算ニ付キ
マシテハ預金部ニ於テ引受ケテ居リマス
所ノ四千七百万圓ニ付テ此豫算ニ關係ヲ起
シテ來ルノデアリマスガ、之ヲ政府案ノ如
ク公債ヲ交付致シマスルモ、將又之ヲ現狀
ノ儘ニシテ置キマシテ、其金利竝ニ興業債
劵ノ利子ヲ補給スルト云フコトニ致シマシ
テモ、全然國家ノ歲計全般ト致シマシテハ、
厘毫ノ出入ガナイノデアリマス、若シソレ
一般會計ダケニ付キマシテ考ヘテ見マスル
ナラバ或ハ金利ノ關係カラシテ多少失費
ガ多イト云フヤウニ思ハレルカ知レナイノ
デアリマスガ、預金部ノ利息ヲ決メルト云
フコトハ是ハ大藏大臣ノ自己ノ權限ニ於テ
當然爲サルベキコトデアリマシテ、國民ノ
一般ノ負擔ヲ輕減セント思ハレルナラバ、
當然大藏大臣ハ斯ノ如キ所ノ利率ヲ決定ス
レパンレデ宜シイノデアリマシテ、隨テ斯ノ
如ク利廻計算ニ於キマシテ政府ノ損害ニナ
ルト云フコトハ全然誤解ニ基クモノデア
ルト考ヘルノデアリマス(拍手)最後ニ私ハ
此法律案ガ政府ノ最モ重要ナル政綱トシテ
掲ゲラレテ居ル所ノ、所謂公債非公募主義
竝ニ公債一億五千万圓主義ト如何ナル關係
ヲ持ッテ居ルカト云フコトニ付テ一言致シ
タイト思フノデアリマス、元來此法律ニ依ツ
テ交付サレル所ノ公債ハ名ハ交付公債デア
リマス併ナガラ此交付公債ハ彼ノ官吏ノ
退職賜金トシテ給與セラレル所ノ交付公債
ノ如キモノトハ、全然其性質ヲ異ニンテ居ル
ノデアリマシテ所謂三銀行ニ直接ニ交付セ
ラレル所ノモノデアリマス、而シテ三銀行
ハ自己ノ資金ノ缺乏ヲ感ジテ居リマスガ故
ニ之ヲ資金化スルト云フコトハ差當リ必
要デアルノデアリマシテ、隨テ此交付公債
ハ其銀行ノ背後ニ居リマス現物團其他ノ
銀行ノ手ニ渡リマシテ、直ニソレガ市場ニ
現レテ來ル卽チ其結果實際カラ見マスル
ナラバ公債ヲ公募スルト何等異ル所ガナ
イト信ズルノデアリマス(拍手)此點ニ於
キマシテ政府ノ公債非公募主義ト云フモノ
ハ明ニ其根本ガ破レテ居ルノデハナイカ
ト思フノデアリマス(拍手)尙ホ是ガ旣ニ公
債公募ト同ジ性質ヲ持ツト致シマシタナラ
バ一億五千万圓ニ加フルニ此三銀行ノ自
己補足金ニ對スル公債、卽チ二千七百万圓、
是ハ明ニ一億五千万圓ヲ超過致シマスルモ
ノデアリマシテ、此點ニ於キマシテ亦一億
五千万圓ノ主義ト云フモノモ破レテ居ルト
考ヘマス、卽チ政府ノ公債政策ハ是等ノ點
ニ於キマシテ、此法律案ニ依ッテ此根本ガ
支離滅裂ニナッテ居ルト云フコトヲ斷定ス
ルニ憚ラヌモノデアリマス(拍手)以上ハ私
ガ政府ノ原案ニ對シテ修正案ヲ提出致シマ
シタル大體ノ理由デアリマス、諸君ハ國民
ノ代表ト致シマシテ、國民ニ對シテ最モ忠
實ナルベキ筈デアリマス、此國民ノ負擔ヲ
輕減スル所ノ此修正案ニ對シマシテハ憲
政會ノ諸君ト雖モ敢テ反對ハ出來ザル筈デ
アリマス(拍手)ドウゾ國民ノ爲ニ諸君ハ滿
場一致ヲ以テ吾々ノ修正案ニ對シテ御贊成
アランコトヲ切ニ希望スル次第デアリマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=96
-
097・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 是ヨリ通告順ニ
依ッテ討論ニ移リマス-神田正雄君
〔神田正雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=97
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098・神田正雄
○神田正雄君 私ハ只今議題トナッテ居リ
マスル日本興業銀行外二銀行對支借款債務
整理ニ關スル法律案ニ付キマシテ、委員
長ノ報告ニ賛成シ、只今政友會カラ御提案
ニナッタ修正案ニ付テハ絕對ニ反對ヲスル
者デアリマス(拍手)私ハ簡單ニ此理由ヲ說
明シテ諸君ノ反省ト同意トヲ要求スルモノ
デアリマス、吾々ドシマシテモ、斯ノ如キ
財政ノ困難ノ際ニ此樣ナル整理案ヲ出シ
テ、其爲ニ國民ノ負擔ヲ增スト云フコトハ
遺憾千萬ニ感ズル次第デアリマス、併ナガ
ラ此借款ノ由來、事實ヲ考ヘマスレバ先
程成田君カラノ御話モアッタ通リ、是ハ決シ
テ小ナル問題デハナイノデアリマス、而モ猪
野毛君ガ此内容ヲ詳シク知ラナケレバ十分
ニ討論シテ賛否ヲ決スルコトガ出來ナイト
仰シヤッタノデ、其點カラ私ハ自由ニ此成立
ノ當時ノコトヲ申上ゲ、責任ノ何處ニ在ル
カノ判斷ヲ乞ヒタイノデアリマス、私ハ此
問題ハ國民ニ重大ナル關係ヲ有スル問題デ
アリマスカラ、輕〓シク責任ノ所在ヲ韜晦
シテ置ク必要ハナイト思フノデアル、一體
此借款ノ成立シタ其根本ニ至リマシテハ私
ハ敢テ之ヲ咎メル必要ハナイト思フ、併ナ
ガラ誤シタル觀察ノ下ニ爲シタル結果ガ惡
イトスレバ、是ノ責任點ヲ考ヘナケレバナ
ラヌ、如何ニシテ此借款ガ成立シタカ、當
時ノ事情ハ二十四日ノ豫算本會議ニ於テ中
村啓次郞氏ヨリ述べラレタ通リ、此借款ヲ
寺内内閣ガ成立セシムル當時ドウ云フ考デ
アンタカ、寺內內閣ノ大藏大臣勝田主計氏
ハ此借款ガ出來ル前ニ支那ヲ一巡シタノ
デアリマス、其時分ニ支那ノコトハ矢張正
金銀行ガ何事モ知ッテ居ルト思。ンテ、又支那
ニハ正金銀行ハ非常ナ關係ヲ持シテ居ル關
係カラ、正金銀行ノ總裁ニ向。ッテ對支政
策-國策ヲ實行スル上ニ金ヲ貸シタイ
ガ、如何ト言ッタ所ガ、苟モ多少ナリトモ支
那ノ知識ヲ持ッタ者ガ輕ミシク當時ノ政府
ニ金ヲ貸スヤウナコトハシナイノデアリマ
ス其結果カラ井上準之助氏ハ御斷リヲシ
タノデアリマス、ンコデ續イテ興業銀行ニ
此借款ヲ爲サシメンガ爲ニ相談ヲシタ、先
程杉君カラハ非常ニ銀行ニ責任ガアルヤウ
デアルガト述ベラレタガ、其時分ニモ若シ
一片硬骨ノ總裁ヲ在ラシメバ、志立鐵次郞
氏ノ如クチヤント斷シテ居ルノデアリマス、
而シテ時ノ政府ハ銀行家ノ腑拔ノ銀行家許
リヲ集メテ監督官廳ノ威勢ヲ以テ借款ヲ
國策遂行ノ爲デアルカラトシテヤラシメタ
ノデハナイカ之ヲシモ銀行ノ全責任ト云
フニ至ノテハ、私ハ驚カザルヲ得ナイト思フ
ノデアリマス(拍手)而シテ私ハ度〓此壇上
ニ於テ政友會諸君ガ述べラレルコトヲ聞ケ
バ何ヲ言ウテ居ルカト言ヘバ財政ガ膨
脹ヲシ日本ノ財界ハ好景氣デアル物價ガ
騰貴スル、之ヲドウカ海外ニ出サウト云フ
說ヲ現在ノ大藏大臣-時ノ在野黨ノ財政
家デアル現在ノ大藏大臣ガ述ベラレタ、之
ヲ以テ勝田大藏大臣ハ其議論ヲ遂行シタト
仰シヤルガ、是ハ物ノ考ヘヤウデアル、若
シ海外投資ヲ爲ストシテモ、海外投資ヲ爲
ス所ノ國情如何モ顧ミナイデ、實ヲ言ヘバ
或意味ニ於テハ支那ニ乘セラレ、私ハ人ヲ
攻撃スルノデナイガ、當時ニ於ケル支那内
閣ノ有樣ハドウデアッタカ、是ハ今日ニ於テ
一片ノ常識ノアル者ハ支那ノ內閣ニ彼ノ多
數ノ金、一億圓ト云フ多額ノ金ヲ貸シテ、
是ガ將來如何ニ成行クカ位ノコトハ當局トシ
テハ御存ジデナケレバナラヌ筈デアル、(拍
手)然ルニ時ノ内閣ハ段祺瑞氏ノ内閣デア
ル日本ハ寺内氏ノ內閣デアル、此內閣ガ
肝膽相照シテ此借款ガ出來テ、億四千五
百万圓ト云フモノヲ貸出シタトキニ支那ノ
內閣ハ潰レテ居ルノデアル、斯ノ如ク目先
ノ見エナイ遣口ヲシタ政府ガ此責任ヲ負ハ
ズニ居ルト云フコトハ果シテ正當ナ理窟
デアルカト云フコトヲ私ハ言ヒタイノデア
ル(拍手「誰ニ言フノダ」ト呼ヒ其他發言ス
ル者アリ)責任ノ歸著點ヲ明ニスルノデア
リマス、ンコデ諸君ガ斯ノ如ク妨ゲヲ爲サ
ルノハ寧ロ私ハ諸君ノ御爲デナイト思フノ
デアル、此借款成立ノ責任ガ今述ベタ所ヲ
以テ見テモ、銀行家ニアルデナイトハ申サ
レヌガ、根本ニ於テハ時ノ政府ノ不明デアツ
タト云フコトハ否定スルコトノ出來ナイ事
實デアルト思フ、併ナガラ死ンダ子供ノ年
ヲ算ヘルガ如ク餘リ攻擊ハ申サナイト致シ
マシテモ、又三銀行モ如何ニ政府ノ强請ト
ハ言ヒナガラ、銀行本來ノ使命ヲ閑却シ
テ、之ヲ遣ッタト云フコトハ勿論吾々トシ
テモ遺憾トスル所デアル、併ナガラ繰返シ
テ言フト、政府ニ責任ガアルト同時ニ、此
政府ヲ支持シテ此借款ニ協賛シタル黨派ハ
何處デアルカ、言ハズ語ラズ政友會デア
ル是ハ責任ノ一半ヲ分ツベキ根本ノ問題
ノ一ツデアリマス、而モ政友會ノ諸君ハ此
事實ニ向シテ目ヲ塞イデ居ルノミナラズ
此內閣ガ自分ノ負擔ノ非常ナル堪ヘ難キ所
ヲ忍ンデ、斯ル前内閣ノ爲シタ跡ヲ整理セ
ントシテ此案ヲ提出シタルニ對シテハ私
共カラ云ヘバ相當ナル所ノ決心、又財界ノ
前途ヲ思フ熱心カラデアルト思ハナケレバ
ナラヌ、由來憲政會ハ此借款ニ對シテハ反
對ノ立場ニ居ッタモノデアリマス、併シサウ
云フ立場ニ居ラウトモ、旣ニ現在ニ於テ此
借款ノ爲ニ不當ナル貸付ヲ强ヒラレタル所
ノ各銀行ガ窮境ニ陷リ、此事ガ單ニ三銀行
ノ窮境バカリデナイ、延イテ一般財界ニ及
ボスト云フ關係ニ立ッテ居ル以上ハ、何トカ
シテ之ヲ救濟シナケレバナラヌト云フ政府
ノ態度ニ向シテハ憲政會ト雖モ之ニ賛成セ
ザルヲ得ナイノデハナイカ(拍手)否、我黨
ノ憲政會バカリデハナイ、恐ラク一般ノ人
人モ-一般國民モ此實情ヲ知ッタナラバ、
恐ラク私ハ憲政會ノ執タ態度ニ共鳴セラ
ルヽデアラウト深ク信ズルモノデアル柏
手)又現政府ガ利己的ノ政略又ハ黨略本位
デ此借款ヲ整理スルヤウナコトガアルナラ
バ、是ハ勿論考フベキ點デアラウ、此內閣
ニ於テ出ス所ノ案ハ決シテ黨略トカ一時的
ヲ胡麻化ス樣ナコトデナク、此案ヲ以テ根
本的ニ財界ノ整理ヲナシ、而シテ今ヤ正ニ
一般ノ財界ノ好景氣ニ復ラントスルコトヲ助
長シ、而シテ特殊銀行デアル三銀行ノ眞ノ
使命ヲ果サシムル爲ニ之ヲ爲シテ居ルノデ
アル、サウ云フ見地ニ立ッテ居ル、若シ是ガ
或ル黨派ノ如ク之ヲ黨略ニ使ヒ、又ハ黨略
ニ使ハントスル樣ナ方法デヤルナラバ是
コソ私ハ楯ヲ叩イテ反對ヲシナケレバナラ
ヌ、若シ憲政會ガコンナコトヲセズニ、コ
ンナ整理案ヲ出サズニ、此整理案デ得ベキ
所ノ金ヲ以テ他ノ新事業ヲ起シタナラバ
必ズヤ世ノ中ノ協賛ヲ博スルト思フノデア
ル、然ルニサウイフコトヲセズニ、眞ニ國
家ヲ思フ國策ノ關係カラシテ、此事業ヲ救
ハウトシテ出シタ此整理案ノ原案ニ對シテ
ハ飽迄吾々ハ賛成ヲ表サナケレバナラ
ヌ、飜ッテ政友會ノ諸君ハ此對支借款ガ既
ニ失敗ニ陷リ、爲スコトノ出來ナイ事ヲ知
リナガラ、其後政友會ハ當局ニ立ツコト幾
度、又當局ニ立タザル迄モ、間接ニ時ノ政
府ノ擁護者トシテ立ッタニモ拘ラズ、此將
來有ル無シノ借款ニ向ッテ何等ノ整理行動
モ執ラズ、若シ執ッタトスレバ一時ヲ糊塗
シ、項金部ノ金ヲ使ッテ一時的ノ救濟ヲ爲シ
タト云フニ過ギナイ事實ニ至ッテハ、政友會
ノ諸君ニ果シテ政治的ノ良心アリヤ疑ハザ
ルヲ得ナイノデアル(拍手)而モ是ハ繰返シ
テ述ベタコーデアルガ、預金部ノ金ハ所謂
〓民ノ下層社會ノ人ノ金ヲ集メテ之ヲ確實
有利ニ使ッテ、眞ニ貯蓄銀行ノ代理ヲ爲シ
テ居ルヤウナ有樣デアル然ルニ拘ラズ此
預金部ノ金ヲ法律ノ不備ニ乘ジテ三銀行ニ
流通シタ如キニ至ッテハ私ハ何ノ故タルヤ
ヲ知ラヌト同時ニ、甚ダシク對支借款ニ於
テ既ニ失敗ヲシ、更ニ内地ニ於テ金融界ニ
向ッテ罪惡ヲ重ネタト云フヨリ外ハナイト
思フノデアル、以上此政府提出ノ原案ニ贊
成ヲスル理由ノ大體ヲ申述ベタノデアリマ
スガ、更ニ進ンデ修正案ニ對スル反駁ヲ試
ミテ見ヤウト思フノデアル(「謹聽」「簡單」
ト呼フ者アリ)只今杉君ハ(「簡單」ト呼フ
者アリ)騒ガナイデ居レバ簡單ニヤリマス、
此演壇ニ於テ理由ヲ申述ベタノデアリマス
ガ第一ニハゴタ〓〓ニ話サレテアルカ
ラ、順序ヲ追ウテ御答ヲスルノハ餘程困難
テアリマス、杉君自身モ是ハ御認メダラウ
1思フノデアル(「答辯デハナイ、討論ダヨ」
ト呼フ者アリ)討論デアルカラ、今カラ反
駁ヲスルノデアル修正案ノ大體ハ杉君ノ
述ベタノハ今書イテ見マシタラコンナニ
ナリマシタガ、大體今日ハ根本的ニ此三銀
行ノ對支借款、債務ノ整理ヲスル必要ハナ
イ、要スルニ今年ハ其年度ダケノコトヲ始
末ヲ付ケテ行クコトガ國民ノ負擔ヲ輕カラ
シムル所以デアルト云フコトヲ仰セニナリ
マシタ而シテ之ニ付テ私考ヘマスルニ、
此修正ヲナス所以ハ國民ノ負擔ヲ輕カラシ
ムル爲ダト申述ベラレタノデアリマスガ、
實際ノ計算ヲ致シテ見マスルト、是ハ事實
ニ於テ修正案ノ如ク致シマスレバ今日ニ
於テ利息ダケデモ四十万三千八百七十圓ト
云フモノガ負擔ノ過重ニナルノデアリマ
ス之ヲ考ヘテ見マスルト、政友會ノ諸君
ガ負擔ヲ輕減センガ爲ニ爲シタル修正ナル
モノハ負擔ノ輕減ニアラズシテ寧口反對
ノ現象ヲ呈スル所以デアル(拍手「算盤ガ
違フテ居ル」ト呼フ者アリ)違ッテ居ルト云ヘ
バモット細カク數字ヲ擧ゲマスガ、モット細
カク數字ヲ擧ゲマスルガ、ソレハ却テ御困
リダラウト思ヒマスカラ結論ダケヲ申上ゲ
マス(「擧ゲテ見給へ」「ヤレ〓〓」ト呼フ者
アリ)然ラバ申上ゲマス、斯ウ云フ事ニナ
ルノデアリマス、興業債劵及ビ指定ノ利子、
第二囘政府保證興業債劵及ビ第八十回ノ
興業債劵、是ガ三千四百六十七万圓デアリ
マス右一箇年ノ利子ガ年六分ト致シマシ
テ、八万二百圓デアリマス第二預金部指
定ノ預金、是ガ一千三百万圓デアリマス
右一箇年分ノ利子ガ七分五厘デ九十七万五
千圓ニナル、二ツノ利子合計三百五万五千
二百圓ト云フ數ニナルノデアリマス、之ヲ
修正案ニ付テ考ヘタル交付公債利子、第
興業債劵償還ニ對スル公債三千七百五十五
万四百二十五圓、右一箇年分ノ利子ガ百八
十七万七千五百二十一圓二十五錢、右指定
預金償還ニ關スル公債千五百四十七万六千
百七十五圓右一箇年分ノ利子ガ七十七万
二千八百八圓七十五錢、利子合計ガ二百六
十五万一千三百三十圓トナリマス、之ヲ差引勘
定シテ四十三万八百七十圓ト云フ數ニナルノ
デアリマス、之ヲシモ不當トシテ修正案ヲ提
出シテ國民ノ負擔ヲ輕減ズルトハ私ハ政
友會ニハ多士濟々デ居ラレルニモ拘ラズ
甚ダ、其要領ヲ得ナイト思フノデアリマス
(拍手)ソレカラ次ニ關稅會議ヲ當テニシテ
之ヲ解決スル方ガ至當デナイカ、此事ニ付
テハ杉君ノ如キ、又此借款ニハ關係ナカン
タト仰セラレルガ、其後大藏省ニ人ッテ理財
局長タリ銀行局長タリシ小野君ノ如キ人ガ
御在ニナルノデアリマスカラ、私ハ此關
稅會議ガ如何ナルモノデアルカ、支那ノ不
確實債權ハ如何ニシテ整理グレルモノデア
ルカ位ハ御存知デアルト思フ、一々外務大臣
ニ聞イテ、外務大臣ノ言ハレナイ所ダケヲ
突込ンデ唯こ政策上ノ事ヲ言フヨリハ支
那ノ關稅會議ノ内容ヲ考へ、不確實債權ヲ
如何ニ整理スルカト云フ内容位ハ御調べニ
ナッテ御發言ニナッテ居ルト思フ(拍手)然
ルニ二十三日ノ小野君ノ御演說中ニモ又
本日杉君ノ御話ノ中ニモ、頗ル要領ヲ得ザ
ルニ私驚カザルヲ得ナイノデアリマス(拍
手·一體今日支那ノ不確實債權ト唱ヘラレ
ルモノハ幾ラアルト思召ス、是ハ又詳シ
ク申述ベルナラバ表ヲ讀マナケレバナリマ
セヌガ、支那ノ不確實內外債ト云フモノ
ハ-是ハ多少列國人ノ計算ニ依シテ違ヒ
マイ、私ハ信用アル日本人ノ計算ヲ以テ取
リマス、計七億二千九百万元アルノデアリ
さ 、此中外債ニ屬スルモノガ四億二千一
百万元、面モ此外債中日本ニ屬スルモノガ
二億六千百万元、諸外國ニ屬スルモノガ
一億六千万元デアリマス、斯ウ云フ風ニ支
那ノ不確實債權ト云フモノハ出來テ居ル
而モ此西原借款、只今議題トナッテ居ル借
款ハ不確實借款中ノ最モ不確實ナルモノ
デアリマス(拍手)私ハ豫算會議ノ席ニ於テ
東武君ガ苟モ麗々シク此處ニ出テ、アノ借
款ハ確實ナル擔保アリナドト聲明サレルニ
至ッテハ政友會ニ其人アリト云フ總務ニシ
テ、此借款ニ確實ナル擔保アリナドト云フ
ニ至ッテハ驚カザルヲ得ナイ(拍手)斯ウ云
フ工合デハ恐ラク私ハ國民全體ハ此借款ガ
如何ナルモノデアッテ、此借款整理ガ如何ニ
ヤラレルカト云フコトハ疑惑ヲ懷クノガ無
理ガナイト思フ(「ヒヤ〓〓」拍手)此點ニ於
テ少シク詳シク說明ノ必要アル所以デアリ
マス、而シテ關稅會議ハ今日開カレテ居ル、
外務大臣ハ事外交ニ屬スルト云フノデ餘リ
詳シク御答ニナラズ私共モ委員會デ甚ダ
要領ヲ得ナイ答バカリ得テ居ッタノデアリ
マスルガ、要スルニ小野君ノ攻メル如キ事
デハナイノデアル此借款ハ取レルト外務
大臣ハ言ハレル之ヲ取レナイト外務大臣
ガ今日言ヒ得ナイ位ノコトハ小野君デモ
御水知デアル、ソレヲ外務大臣ハ取レルト
言ヒ、此案ハ取レナイノヲ見込ンデ出シタ
案デハナイカト御攻撃ニナッテ居ルガ、支那
關稅會議ガ如何ニ開カレテモ、二分五厘
ノ增稅ハ三千万元ニシカ付カナイ、之ヲ五
分ニ增シタ所ガ六千万元、而シテ支那ノ事
情ハ御永知デモアリマセウガ、支那ガ關稅
ヲ增徵シテ、國際信用ヲ高メルガ爲ニ此全
部ヲ出シテ、內外債ノ整理、少クトモ外債
ノ不確實債権ヲ支拂フナドト云フヤウナ國
柄デアルカナイカト云フコトハ疾ニ御承
知ノ筈デアル、杉君ノ如キハ尙更デアル、
勝田大藏大臣ニクノ付イテ支那ヲ御步キニ
ナリ、又此借款ニ付テハ詳シイ事實ヲ知ッ
テ居ラレルノデアルカラ、ヨモヤコンナ事
ハ御分リニナラナイコトハナイト思フ(拍
手)而シテ支那ノ關稅會議、今ヤ如何ニ成
行クカモ分ラヌデ居ルガ、餘リ二分五厘ヲ
五分ニシ、或ハ七分五厘ニスルナラバ國
債ノ整理ノ方ニハ宜シイカモ知レヌガ、日
本ノ對支貿易ノ上ニハ如何ナル影響ガ及ブ
カト云フコトモ考ヘナケレバナラヌ、此ニ
於テカ此關稅會議ナルモノハ決シテ諸君ノ
考ヘル如キ簡單ナモノデナイ、況ヤ簡單デ
ナイバカリデナク此會議ニ於テ不確實ナ
ル內外債ノ整理ト云フ事ガ果シテイツ實行
出來ルカト云フコトハ考ヘナケレバナラヌ、
サウシテ見レバ此債權ガ取レルノヲ當テ
ニ今ヤ將ニ倒レントスル銀行ノ救濟ヲ爲
サズ、此關稅會議ノ片ガ付イタラパナドト
云フヤウナ、ソンナ時期ニ合ハナイヤウナ
御議論ハ矛盾撞著ダナドト言ッテ修正案
ヲ御出シニナッタ人ノ私ハ意ガ寧ロ分ラヌ
ト思フノデアリマス(拍手)ソレカラ第三
番目ニハ、此修正案ガ大正十五年度ダケノ整
理ハ認メル、其後ノ處置ハ認メズニ放任ス
ル-マサカ放任トモ仰シヤルマイガ、其
都度々々ヤルト云フヤウナ御意見デアンタ、
サウナレバ銀行ガ不安デアッテ、果シテ十分
ナル特殊銀行ノ機能ヲ發揮シ得ルカ否ヤト
云フコトハ考ヘナケレバナラヌノデアル
而シテ此三銀行ノ興廢如何ハ懸ヲテ他ノ財
政ニ影響ヲ及ボシマスルコトハ大藏大臣
カラモ詳シク說明サレタ通リデアル而シ
テ見レバ現内閣ガ一般財界ノ救濟ヲ爲スト
云フ上カラハ此癌トモ見ルベキ所ノ支那
借款ニ向ッテ、十分ナル考ヲ持ッテ整理シナ
ケレバナラヌト云フコトハ當然過ギル程
ノ當然デアルト思フ、ソレカラ杉君ノ御
攻擊ノ中ニ是ハ時期ヲ失シテ居ルト云フ御
話デアリマス、時期ヲ失シテ居ルト云フノ
ハ根本ヲ考ヘタ上ニ御發議ニナラナケレ
バナテヌ、時期ヲ失シテ居ルト言クテ、其理
由トスル所ハ何デアルカ、見當ノ付カナイ
支那ノ關稅會議-百年河〓ヲ待ツ如キ議
論ノ上ニ立脚シテ時期尙早ト云フニ至ンテ
是モ話ニナラヌ話ダト私ハ思フノデア
リマス、斯ク論ジテ參リマスルト、最早細
カシイ點ハ拔ニシテ、此借款ニ對シテハ
若シ政友會ノ諸君ガ、二十三日ノ本會議ニ
於テ小野君ガ述ベラレタ如ク-斯ウ云フ
風ニ小野君ハ述ベラレテ居ル「對支借款ニ
關聯致シマシテ、三銀行ガ窮迫狀態ニ陷ク
テ居ル之ヲ救濟シナケレバ三銀行ハ破綻
ヲ來ス、隨テ財界ノ病根ハ除カレナイカラ、
之ニ對スル救済策ヲ講ズルト云フ、此政府
ノ御趣旨ニ對シマシテハ私共ハ異存ガナイ
ノデアリマス」ト論ジテ居ル、シテ見マス
レバ私ハ政友會ノ諸君ノ代表御意見トシテ、
此根本整理ノ案ニ付テハ主義ニ於テハ御認
ニナッテ居ルモノト解釋シテ差支ナイト思
フ、而シテ既ニ主義ニ於テ御認ニナッテ居
ルトスレバ反對セムガ爲ノ反對ニ非ザル
限リハ此原案ノ根本ヲ覆ヘス如キ修正案
ヲ御出シニナルノハ男ラシカラザルモノ
デ、此案ニ反對ナサルト云フコトハ頗ル其
意ヲ得ナイコトデアルト私ハ信ズルノデア
リマス、更ニ此根本整理案ガ今日之ヲ通過
シナイトシテ、果シテ然ラバ如何ナル方法
ヲ以テ此三銀行ヲ救濟スルカト云フ問題ニ
ナリマスレバ一年カ二年ハ遲レルカモ知
ラヌガ、何時カシラ此根本解決ノ案ヲ出サ
ナケレバナラヌ運命ニナルコトハ當然デア
リマス、又然ラバ將來ニ於テ如何ナル案ヲ
立テタナラバ根本ノ整理ガ出來ルカト云フ
御成案ガ無イノヲ以テ見レ修正案ナル
モノハ一時ヲ胡麻化ス所ノ案トシカ私ハ見
ラレナイト思フノデアリマス(拍手)況ヤ之
ヲ當ノ責任者トシテ爲サレテ、勝田氏ノ下
ニ働イテ居ラレタ所ノ杉君ハ百モ承知二
百モ合點デアリナガラ、黨派關係トハ云ヒ
ナガラ此壇ニ來テ修正意見ヲ白々シク御述
ニナルニ至ッテハ沙汰ノ限リデアルト思フ、
(拍手)私ハ政治的良心アル所ノ杉君ハ此處
ニ來テ當時ノ謝罪文デモ御讀ミニナルノカ
ト私ハ實ハ考ヘタノデアル(拍手)然ルニ
修正案トハ驚入ッタ話デアル(「ヒヤ〓〓」
「何ヲ言ッテ居ルノダ」ト呼フ者アリ)私ハ段々
ニ申セバ要點ヲ盡シテ居ルト私ハ信ジテ
居リマス、斯ク考ヘテ見マスレバ、此今日
ノ場合ニ當ノテハ支那ガアノ狀態デアリ、關
稅會議ノ前途測リ知ルベカラズトスレバ
而シテ一面ニ於テハ三銀行ハ今日救濟スル
ニアラズンバ悲境ニ陷ルト云フ場合ニ
立至ッテ居ル以上ハ、之ヲ私ハ根本ニ解決ス
ル策ヲ執ル以外ニハ他ニ策ハナイ、而モ此
借款ニ關シテハ政友會トシテ今迄ノ因緣淺
カラザルコトハ諸君モヨモヤ今日御忘ノ筈
ハナイト思フ、隨テ支那ノ諺ニ鈴ヲ繋グ者
ハ鈴ヲ解ク者ト云フガ、諸君ハ此借款ニ失
敗シ、而シテ之ヲ今日解決スル場合ニ、恐
ラク私ハ喜ンデ徹底的ナル原案ニ贊成アル
モノト信ズルノデアリマス、(拍手)又私ヲシ
テ言ハシムレバ潔ク此修正案ヲ御撤回ニ
ナッテ、原案ニ男ラシク御賛成ニナルコトヲ
希望スルノデアリマス、若シ尙且ツ詳細ナ
ルコトノ當時ノ國策ノ事ヲ申述ベレバアリ
マスルガ、私トシテハ諸君ノ反對ヲ助長ス
ルノミト、國交上ノ關係ヲ思ウテ、私ハ當
時大藏大臣ガ執ッタ國策ノ内容ニ向。ッテハ
今日申上ゲナイデ壇ヲ降ルノデアリマス
ガ、要スルニ此根本整理案ニ向ッテハドウ
ゾ潔ク御賛成アランコトヲ希望シテ玆ニ壇
ヲ降ル次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=98
-
099・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 小野義一君
〔小野義一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=99
-
100・小野義一
○小野義一君 本問題ハ勿論其起源沿革ニ
遡シテ考ヘマスルト云フト寔ニ政治上重
大ナル事項ヲ含ンデ居ルト云フコトハ成
田君、神田君、其他ノ諸君ノ仰セノ通リデ
アリマス、併シ只今玆ニ議題トナッテ居リ
マスル法律案、原案及ビ修正案、是ハ政治
問題デハアリマセヌ、經濟問題、財政問題
デアルノデアリマス、併シ私ハ此借款ノ成
立セル起源ニ遡シテ其當時ノ內閣ノ諸公ノ
執リタリシ措置、之ヲ辯護スル義務モアリ
マセヌ、責任モアリマセヌ〔「アリ〓〓」ト
呼フ者アリ〕唯〓神田君モ-斷ジテアリ
マセヌ、中野君、アリマセヌ〔發言スル者
アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=100
-
101・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 御靜ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=101
-
102・小野義一
○小野義一君(續) 唯〓神田君モ仰セニナ
リタル如ク、免モ角モ當時ノ內閣ハ國策遂行
ノ大處高處ニ出發セリト云フコトダケハ認
メテヤラナケレバナラヌト思フ、是ハ公平
ナル觀察デアリマス、偖只今神田君ハ借款
ノ由來ヲ說カレ、當時ノ大藏大臣ノ責任、
其他ノ諸君ノ政治上ノ責任ヲ糺彈サレ、頻
リニ過去ニ付テノ御話ガアッタノデアリマ
スルガ、是ハ主トシテ政治問題ト私ハ見マス
ルノデ、私ハ唯〓財政經濟ノ問題ニ限局シ
テ此問題ヲ取扱ヒタイノデアリマスカラ、
是等ノ點ニ於テハ他ノ機會ニ於テ或ハ申述
ブルコトアリト致シテ、今日ハ之ニハ觸レ
マセヌ(「關聯シテ居ル」ト呼フ者アリ)勿論
關聯ハ致シテ居リマスガ、時モ經フテ居マ
スシ、本問題ニ直接デアリマセヌカラ之ヲ
省クト云フノデアリマス、要スルニ財政經
濟ノ問題トシテ冷靜ニ、公平ニ批判致シタ
イト云フノガ私ノ考デアリマス隨テ政黨
政派ノ觀念ヲ離レテ、努メテ地味ニ、冷靜
ニ之ヲ批判シテ見タイト思フノデアリマ
ス、偖財政經濟問題トシテ之ヲ取扱ヒマス
ト云フト、原案ト修正案トノ間ニ八如何ナ
ル點ニ同ジキ所アリヤ又如何ナル點ニ於
テ異ナル所アリヤヲ先決問題トシテ決定シ
ナケレバナラヌ、斯ウ思フノデアリマス
先ヅ同一ナル點ニ付テハ彼此レ論ズルノ必
要ハアリマセヌ、賢明ナル諸君ノ御承知ノ
通リデアリマス、先ヅ同一ナル點ト申スノ
ハ卽チ三銀行ヲ救濟シ、仍テ以テ財界ノ
病根ヲ斷タウト云フ、此趣旨ニ於テハ先程
神田君ノ反駁的ニ御紹分下ザイマシタル通
リ、私ハ政府案ニ全然同感デアルノデアリ
マイ、然ラバ直ニ急轉直下原案ヲ賛成スレ
バ宜イデナイカト云フ其御結論ニ對シテハ、
私ハ直ニ承服スルコトハ出來ナイ、之ヲ是
カラ述ベテ見タイト思フノデアリマス神
田君ハ御降壇ノ問際ニ原案ト修正案ハ根本
ニ違フ、修正案ハ原案ヲ根本的ニ破壞スル
ノデ、小野ハ趣旨ニ於テ同感デアルト云フ
ナラ矛盾デハナイカト云フヤウナ御議論ガ
アッタノデアリマス、其處ガ卽チ甚シク此問
題ヲ餘リニ政治的ニ扱ハウトスル、其頭カ
ラ出發セル結論デアルノデアリマス決シ
テ原案ト修正案トノ間ニハ神田君ノ御想像
ニナルヤウナ根本的ノ差違ハアリマセヌ、
唯〓此趣旨ヲ貫徹スルニ於テノ手段方法ニ
於テ異ナル所ガアルノデアリマス、唯こソ
レニ過ギヌノデアリマス、申上グルマデモ
ナク其異ナル第一點ハ來ルベキ大正十五
年度ニ於テ整理セントスル其額ガ、政府案
ハ十五年ニ於ケル自行調達金-三銀行ノ
自行調達資金ノ外ニ、尙ホ遠ク大正二十七年
ニ債還期限ノ到來スル其預金部ノ引受債劵ヲ
モ整理セント云フノデアリマス、而シテ又
預金部ガ指定預金ヲ爲シテ居ル、之ヲモ併
セテ十五年度ニ整理ヲシタイ、斯ウ云フノデ
アリマスガ、吾々ニハ豫金部關係ハ預金部ノ狀
態ニ於テ窮迫ナルト云フコトガナイ以上ハ差
當ノテ救濟スルコトハ、是ハ必要ガナカラウ、
否救濟デハナイ、償還スルコトハ是ハ必要
ガナカラウ、斯ウ云フノガ第一點ニ於テ違
フノデアリマス、第二點ハ原案ニ依リマス
ト云フト、十六年、十八年、此年度ニ於テ
償還期限ノ到來スルモノヲ整理ヲシヤウ、
且ツ先程申上ゲマシタル預金部會計ノモノハ
否、十六年、十八年ヲ俟タズ、實ニ十五年
度ニ於テ直ニ買入償還ヲシヤウト云フノデ
アリマス、此二點ノ異ナリマシタル結果ト
致シマシテ、原案ニ依リマスルト云フト、
其豫定スル交付公債額ハ總計一億六千九百
六十六万餘圓ノ多キニ相成リ修正案ニ依
リマスト云フト三千二百十四万餘圓ニ止マ
ルニ至ルノデアリマス、サウ致シマスト又
非常ニ根本的ノ差違ガアルデハナイカト云
フヤウナ御議論モ出ルカモ知レナイ、而モ
サウデナイト云フコトハ是ヨリ申スノデア
リマス、以上異ナリタル三點ヲ前提ト致シ
マシテ、是ヨリ雨案ヲ比較論評ヲ致シマセ
ウ、暫ク御〓聽ヲ煩ハシタイト思ヒマス
(「モウ澤山ダ」ト呼フ者アリ)長クアリマセ
ヌ、他ノ機會ニ於テ申述べマシタル如ク、
從來政府ガ提出セル保障承諾案ニ對シマシ
テ、議會ガ協賛ヲ與ヘタル時ノ其代々ノ政
府ノ答辯材料ハ唯一ニ來ルベキ關稅會
議ノ成行ヲ待シテ之ニ依ル關稅增收ガアル
カラ、之ヲ唯一ノ賴ミトシテ協賛ヲ與ヘテ
吳レト云フコトデアッタノデアリマス、而
シテ帝國議會モ常ニ此唯一ノ賴ミ、關稅會
議ナルモノヲ賴ミノ綱トシテ常ニ借換ノ際
ニ債務ノ保障承諾ヲ與ヘタノデアリマス
然ルニ大正十一年ノ春、華盛頓ニ於テ所謂
九箇國條約ガ成立ヲ致シマシタガ、團匪賠
償事件ニ關シ支那ト佛蘭西ノ間ニ金法ノ問
題ガ蟠リマシタガ爲ニ、九國條約ノ批准ガ
佛蘭西ニ於テ行ハレナイ、隨テ關稅會議ハ四箇
年モ延ビニ延ビタノデアリマス、而シテ漸ク
昨年十月二十六日ヨリ始マリ今日ハ其道
程デアルノデアリマス折角賴ミニ賴ンダ
ル所ノ此關稅會議、而シテ之ニ依シテ所謂
不始末ト言ハレテ居ル所ノ對支借款ヲ整理
シヤウト云フコトハ政府ニ於テモ議會ニ
於テモ、沿革的ニ之ヲ承認シテ參ッタノデ
アリマス、此折角成ッタ所ノ關稅會議ガ今
日開カレテ居ル時ニ、此成行ヲ非常ニ悲觀
ヲシテ、玆ニ根本的ノ策ヲ講ズルト云フコ
トハ是ハ從來ノ政府ノ態度カラ見マシテ
モ、亦帝國議會ガ協賛ヲ與ヘタル趣旨カラ
見テモ、餘リニ突飛デナイカト云フノデア
リマス(拍手)顧レバ財界ノ不整理ノ甚ダシ
イコトハ今日ヨリハ寧ロ數年前ニアッタノ
デアリマス、是ハドナタモ御異論ハアリマ
スマイ、政府當局ハ近頃ハ財界ノ整理ガ漸
ク出來掛ツテ居ル財界展開ノ時機ニ際會
シテ居ルト仰シヤッテ居ラレルノデアリマ
ス、然ラバ數年前財界ノ不整理最モ甚シク
隨テ三銀行ノ窮迫ハ最モ激烈デアリマシタ
ル時ニハ此問題ニ付テ根本的ノ對策ヲ出
シタル政府ハアリマセヌ、又現內閣ニ於テ
モ、財政整理ヲ爲サレタル昨年ニ於テモ、
部チ昨第五十議會ニ於キマシテモ、今日ノ
如キ對策ハ御出シニナラナカ多今日關
稅會議ガ目鼻ガ附イテ、ドウナルカ分ラナ
イガ免ニ角開ラカレルニ至ッテ、進行ノ途
中デアル而シテ財界ノ整理ハ前ヨリ良イ
ト政府當局ガ御言明ニナル此際ニ突如トシテ、
恰モ足許カラ鳥ガ立ツヤウナ工合ニ、急遽
トシテ此根本案ヲ出サレルト云フコトハ
餘程私ハ不可解ニ感ズルノデアリマス、併
シ神田君ノ仰シヤルヤウニ中〓思フヤウ
ナル金ガ急ニ澤山這入ルトハ私モ寔聞ナリト
雖モ、又非才ナリト雖モ想像ハ致シテ居リマ
セヌ、併ナガラ免モ角モ多少ハ這入ル見込
ハアルニハ違ヒナイ、神田君ノ仰セニナツ
タ通リニ、委員會ニ於ケル政府當局ノ辯明
時ニハ澁ッタコトモアッタヤウニ承知ヲ
致シテ居ル、現内閣ハ斯ノ如キ巨大ナル負擔
ヲ國民ニ課セシムルト云フ決心ガアルナラ
善後策ニ付テハ果シテ、責任ヲ執ル
決心ガアリヤト云フヤウナ委員ノ質問ノ起
ルトキニハ、流石ニ政府當局ハ責任ノ重大ナ
ルニ鑑ミマシテ、動モスレバ此借款ノ前途
ニ付テ少シク瞹味ナルヤウナ御答〓モ
アッタノデアリマス、(拍手)アッタノデアリ
マスルガ其委員會ノ速記錄ヲ精細ニ熟讀致
シマシテ、私ハ二十三日ノ豫算本會議ニ於
ケル如キ結論ヲ申上ゲタノデアリマス(や)
手)卽チ多少ノ年月ハ要スルガ、結局囘收
サルヽ見込デアル又政府モサウシナケレ
バナラヌト云フ工合ニ、言明サレテ居ルト云
フコトハ之ガ全般ヲ通ジテノ結論デアル
ノデアリマスデ原案ハ永遠ニ亙ル所ノ對
策ヲ決定スルノデアル頗ル徹底的デアル
ト神田君ハ仰セニナッタ所ガ必シモサウ
ハ申セヌ、筋合ガアルノデアリマス、何ト
ナレバ十二箇年ノ先、卽チ大正二十七年ニ
償還期ノ到來スル預金部引受ノ分ハ十五
年度ニ直ニ買人償還ヲスルト云フコトニ
ナッテ居ル、然ルニ十六年、十八年ノモノ
ハ今日買入償還ヲスルノデアリマセヌ、其
償還期ニ於テ償還期ノ到來セルトキニ、初
テ償還ノ資金ヲ與ヘルノデアリマス、事ノ
實行ハ將來ニ在ルノデアリマス、此點或ハ
諸君ノ中ニ誤解アランコトヲ虞ルヽノデ、
私ハ玆ニ申上ゲルノデアリマス(拍手)〓シ
預金部ノ持ノテ居リマスモノハ卽チ債權
者ガ一手デアル、ソレデ今日直ニ買入
償還ヲスルコトガ容易デアルト云フノ
デアリマセウ、併ナガラ十六年、十八年
ノ分ニ付キマシテモ、實行ノ難易ハアリマ
スルケレドモ、苟モ成ベク國庫ガ早ク肩替
リヲシ、之ニ依。ッテ國庫ノ蒙ルベキ損失ヲ
少シデモ減ラサウト云フヤウナ趣旨ニ出ル
モノナラバ此十六年、十八年ノモノヲモ
同ジク直ニ買入償還ヲ爲スノ方法ガ取レヌ
譯デハナイノデアリマス(拍手)且ツ預金部
タル興業銀行ノ債權者ト、然ラザルモノト
ノ間ニ差別待遇ヲ爲スト云フコトハ是、
不權衡デハナカラウカト云フヤウナ非難モ起
ルデアラウト思フノデアリマス、其次ニハ
頗ル大切ナ點デアリマスルガ、先般二十三
日ニモ此壇上ニ於テ私ハ御聽キニ入レタ
ノデアリマス、再ビ玆ニ繰返スノハ(「御免
蒙リタイ」ト呼フ者アリ)大切ナ場合デアリ
マス、永遠ノ對策ヲ原案ノ如クニ決定シテ
置カヌト云フトー今日直ニ決定シテ置カ
ヌト云フト三銀行ハ不安ヲ感ズル財界亦
然リ、隨テ財界ノ病根ヲ除カレナイノデア
ルト云フコトデアリマス、是ハ神田君モサ
ウ云フヤウナ意味ニ於テ仰セニナッタ、併
ナガラ今日三銀行ヲ救濟スルニ吝カナラザ
ル所ノ帝國議會ハ將來關稅會議ノ成行ニ
依ッテ、迚モ支那ヨリ囘收ヲ得ルヤウナ見
込ハ附キサウモナイト云フトキニナリマシ
タナラバ是ハ何モ十七年、十八年ト云フ
神田君ノ仰セニナッタヤウナ先ノ事ヲ言ハ
ナクトモ宜シイノデアリマス關稅會議ハ
恐ラク此十五年年中ニハ必ズ終ルデアリマ
セウ其時ニ初メテ目鼻ガ附クノデアリマ
ス目鼻ノ附イタル其時ニ根本的ノ對策ヲ
講ズル今日三銀行ヲ免モ角モ急場ノ場面
ヲ救フ爲ニ承諾ヲ與ヘタル帝國議會が
閣稅會議ノ終結スル曉ニ於テ根本ノ對策
ヲ講ズルコトニ決シテ吝カデナイト云フコ
トハ是ハ當然ノコトデアリマス、(拍手)
併シ先ノ事ハ當テニナラヌゾト云フコトニ
ナリマスルナラバ是ハ帝國議會ヲ信任セ
ザル不信任ノ聲デアルト言ハナケレバナラ
ヌ(「ヒヤ〓〓」拍手)啻口帝國議會ノミデハ
アリマセヌ、如何ナル政府ト雖モ、此三銀
行ヲ見殺シニスルト云フヤウナ態度ヲ取ル
コトハ斷ジテナイ、故ニ原案ト修正案トノ
間ニハ根本的ナル差違ガナイト云フノデア
リマス、今關稅會議ノ結末迄待ッテハドウ
カ、折角之ヲ沿革的ニ考へ從來政府モ議
會モ之ヲ唯一ノ賴ミトシテ居ッタトスレバ
而シテ之ニ依クテ受クル所ノ金額ハ或ハ少
イニシテモソレダケ這人ルナラバ將來
ニ於ケル交付公債額ヲンレダケ減少セラル
ベキ理由デアルノデアリマス、若シ帝國議
會ノ行動ハ將來當テニナラズト云フナラ
バ今日ニ於テ原案ノ如クニ、十六年ニハ
斯ウスル十八年ニハ斯ウスルト云フ約束
ヲシテ置キマシテモ、其時ノ議會ハ自由ニ
之ヲ變更スルコトガ出來ルノデアリマス
決シテ十六年、十八年ノ問題ヲ今日直ニ
實行シヤウト云フ案デハナイ、ソレデアリ
マスカラ將來ヲ考へレバ先程私ノ申シタ
ル如クニナラヌトモ限ラヌ、サウ心配スル
ト殆ド際限ハナイ、恰モ神經病患者ノ議語
ト云フコトニナルノデアリマス、(「ヒヤヒ
ヤ」拍手)又是ハ神田君モ委員會ニ於テ御述
ニナッテ居ル事ヲ速記錄ニ於テ拜見シマシ
タ卽チ國庫ガ原案ノ如クニ永遠ニ亙ル所
ノ對策ヲ今日決行スルト云フト支那政府
ハ最早三銀行ノ窮境ハ救ハレタリト安心ヲ
致シマシテ、債務履行ノ上ニモ或ハ誠意ヲ
薄クスルコトナキカ(「ノウ〓〓」)或ハ又關稅
會議ノ進行ニモ障害ヲ來スコトナキカ是
ハ神田君、、貴方ト私全ク同感デアリマス
其貴方ノ御心配ハ今日此際モ猶ホ保持シテ
居ラレルコトヽ思フノデアリマス是ハ事
頗ル杞人ノ憂ニ似タルガ如シト雖モ、苟モ經
濟ノ實際ニ通曉スル者ハ決シテ看過スル
コトハ出來ナイト云フコトハ神田君ノ裏
書サレタル通リデアリマス、尙ホ最後ニ
(「ヨセ〓〓」ト呼フ者アリ)モウ直グデアリ
マス、一言致シタイノハ先程委員長報告ノ
中二、興業銀行ハ交付公債ヲ受取ッテモ
之ヲ金ニシナイト云フ政府ノ言明ガアタ〓
カノ如キ御報告ガアッタ、私是ガ甚ダ分ラヌ
ノデアリマス恐ラク預金部トノ關係ニ於
テハ興業銀行ニ於テハ公債其モノヲ預金
部へ返スコトヲ以テ、興業債劵ノ償還ト云
フコトニ振替ヘルコトガ出來ルデアラウ
併ナガラ普通ノ債權者ハ矢張現金デナケレ
バ承知ヲシナイサウナリマスト興業銀行
ハ其公債ヲ日本銀行ヘ提供致シマシテ金
融ヲ受クルコトニナリハシナイカ、サウナ
リマスト現内閣諸公ノ頗ル御心配ナサレ
テ居ル日本銀行ガ公債ヲ背負ヒ込ムト云
フコト、此弊害ヲ助長スルコトニナルノデ
アリマス(「ヒヤ〓〓」拍手)是ハ洵ニ避クベ
キ事デアルト思フ、而シテ隨テ通貨ノ膨脹
ニモナルノデアリマス(「ヒヤ〓〓」拍手)併
シ日本銀行ヘハ提供シナイト云フナラバ
現金ニ化スルノ途ハ卽チ市場ニ賣出スノ外
ハナイ、サウ致シマスト非公募政策ト調和
ヲシナイト云フコトニナルデアラウト思フノ
デアリマス、(拍手)以上大體ノ理由ニ依リ
マシテ常識ニ富メル諸君ハ此財政經濟問
題ヲ黨派心ヲ離レ、而モ過去ノ沿革ヲ鑑ミ
ラレテ、此修正案ニ必ズ御賛成下サルコトヽ
思フ(「反對」拍手)最後ニ外務當局ニ一言
ヲ致シテ置キタイ、外務當局ハ對支借款ノ
問題ニ付テ、支那政府ト御交渉ニナルニ付
キマシテハ、從來免角熱心ヲ缺イテ居ルヤ
ノ噂ガアルノデアリマス(拍手)私ハ眞僞ハ
知リマセヌ、併シ先程外務大臣ノ御答辯ニ
依ッテ、借款ノ目的ヲ遂行スルト云フ事ト、
現金ノ回收ヲ受クルト云フコトヽハ矛盾デア
ル現金ノ囘收ヲ受クルコトニハ努力スル
ガ目的ノ遂行ハ困難デアルト言ハレタ
前ニ委員會ニ於テハ打切ッテ居ルト言ハレ
タガ、今日ハ困難デアルトマデ讀歩サレ
タ併ナガラ其間ニハ物ニ依シテハ矛盾シ
ナイモノガアルノデアリマス、兩者相竝立
シテ日本ノ目的ヲ達スル餘地ガ確ニアルノ
デアリマス、ゾレハ兔モ角トシテ、外務當
局ガ兔角歷史的ニ此問題ニハ冷淡デアティ、
大藏當局ガ苦心焦慮サレテ居ルト云フコト
私自身モ多少ノ體驗ヲ有シテ居ルノ
デ此噂ガ必シモ噂ノミデナイト思フノデ
アリマス(拍手)願クハ外務大臣ハ此世間ノ
噂ニ對シテ深ケ思ヲ致サレテ其御努力ニ
依ッテ、本法律案ノ原案ヲモ修正案ヲモ
無用ニ期セシムルヤウナ結果ヲ得タイモノ
デアルト云フコトヲ申上ゲテ、此壇ヲ降リ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=102
-
103・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 牧山耕藏君
〔牧山耕藏君發壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=103
-
104・牧山耕藏
○牧山耕藏君 極メテ簡單ニ意見ヲ申述べ
タイト思ヒマス私ハ委員長ノ報告、卽チ
希望證件ヲ付シテ政府ノ原案ニ贊成ノ意ヲ
表シ、併セテ政友會御提出ノ修正案ニ反對
ノ意見ヲ表明致スモノデアリマス、此問題
ハ實ニ一億四千四百万圓ト云フ巨額ナ負擔
ヲ、假令一時的トハ申シマシテモ之ヲ國民
ニ肩替リヲ致スノデアリマシテ、尙ホ年々
多額ノ七百万圓乃至一千万圓ノ利子ヲ負擔
セシムル問題デアリマスカラ、此問題ヲ審
議スルニ當ッテハ極メテ愼重ニシナケレバ
ナラヌト思フノデアリマス、政府ノ提案ノ
埋由ハ第一ニ此對支借款ヲ整理シナケレ
バ日本興業銀行、朝鮮銀行、臺灣銀行共
ニ破產ヲ致シテ其影響ノ及プ所ガ極メテ
重大デアル、財界ニ惡影響ヲ及ボスト云フ
コトガ第一點デアリマシテ、第二ハ當時ノ
事情ガ時ノ政府卽チ寺內內閣ガ、對支外交
ノ手段トシテ三銀行ヲ誘ウテ、此借款ニ應
ゼシメタノデアルカラ、政府ガ肩替リヲシ
テヤラナケレバナラヌト、斯ウ云フノデア
リマスカラ、此二點ニ付テハ吾々ハ愼重ニ
審議ヲ致シマシテ、其直相ヲ國民ノ前ニ明
ニスル必要ガアルノデアリマス第一ノ理
由、卽チ寺內內ガ對支外交ノ手段トシテ、
三銀行ヲ誘ウテ此借款ニ應ゼシメタト云フ
コトニ付キマシテ、先刻來政府ト三銀行ノ間
ニ密約ガ存在致シテ居ルト云フコトガ問題
ニナリマシタガ、私ハ幸ニ其所謂密約ノ寫
シナルモノヲ此處ニ所持致シテ居リマスカ
ラ、之ヲ朗讀シテ寺內內閣時代ノ失政ノ一
トモ見ルベキ對支借款ノ眞相ヲ、國民ノ前
ニ明示シタイト思フノデアリマス、此覺書
バ櫻井亭灣銀行總裁、土方興業銀行總裁、
美濃部朝鮮銀行總裁ヨリ、勝田大藏大臣ニ
提出ヲ致シマシテ、勝田藏相ガ花押ヲ致シ
テ居ルノデアリマス其本文ハ「海外投資
殊ニ日支經濟提携ノ緊要ナルニ鑑ミ其資金
ノ調達ニ便スル爲メ興業債劵一億圓ヲ限リ
政府ニ於テ其元利支拂ヲ保證セラルルノ
件本年三月二十八日ヲ以テ公布セラレ爾
來本行等ハ此趣旨ヲ體シ支那側ヨリ申出ノ
有線電信借款、吉會鐵道借款竝ニ吉林里龍
雨省金鑛森林借款ニ應シ興業債劵ヲ發行シ
テ其資金ヲ供給仕候次第ハ曩ニ詳細中上仕
候通ニ有之候支那政府ニ於テ右借款契約ノ
履行ニ忠實ナルベキコトハ勿論本行等ニ於
テ留意督勵スベキ次第ニ御座候得共事外國
政府ニ關シ且ツ資金ハ政府御保證ノ興業債
劵ニ依ル次第ニ御座候間萬一支那政府ニ於
テ其責務實行遊滯等有之候場合ニハ政府ニ
於テ督促ノ交涉御援助被下度且ツ銀行共ノ
營業土不利益ヲ來スコト無之樣相當ノ御考
慮相仰度事以上、大正七年九月二十八日」
「秘第一〇〇號拜啓陳者前刻煩貴慮候別紙
書面大臣ニ供覧願候處御快諾ノ上御花押
頂キ申候就テハ御打合ノ通御手許ニ差出
候間御保管奉願上候、右當用申上候敬具
大正七年九月二十八日
株式會社日本興業銀行總裁
土方久徵
大藏次官市來乙彥殿
是ガ世ニ所謂勝出藏相ト三銀行ノ密約ナル
モノデアリマシテ、此內容ノ誤リナキコト
ハ私此處責任ヲ以テ保證致ス次第デアリ
マス、卽チ此借款ガ銀行自體ノ發意ニ出デ
タルモノニアラズシテ、政府ノ命令ニ依ツ
テ爲サレタモノデアルト云フコト、只今ノ
覺書ニ依シテ明瞭ナルコトデアルト思フ、
先刻杉君ハ、銀行自體ニモ大ニ責任ガアル
ト云フコトヲ御述ヘニナリマシタケレド
モ、杉君ハ當時勝田藏相ノ祕書官トシテ此
事ハ大體御永知ノコトヽ思ヒマスガ、此覺
書ノ上デ見マシテハ決シテ朝鮮銀行、興
業銀行、臺灣銀行ソレ自體ノ責任ニアラザ
ルコトハ明瞭デアルノデアリマス、(「寺內
內閣トノ關係ハドウダ」ト呼フ者アリ)只
今モ寺內內閣ト吾々トノ關係ハドウデアツ
タカト、斯ウ云フ聲ガ議場ノ一角ヨリ聞コ
エマシタガ、私モ當時原敬氏ノ率ユル政友
會所屬代議士ノ一員デアリマシタガ、此問
題ハ先刻來大分御議論ガアリマシタケレド
モ、外務大臣を此席ニ起シテ述ベラレマシ
タ如ク、當時幣原男ハ、外務次官デアリマ
シタガ、一向自分ハ本問題ニ關知致シテ居ラ
ヌト云フコトデアリマシタ位デ、全ク寺内
首相、勝田藏相、西原龜三君ノ策謀ニ出デ
タルモノデアリマシテ當時ノ政友會ト此
對支借款トノ間ニハ何等ノ關係交涉ハナイ
ト私ハ確信スルモノデアリマス(拍手)唯〓
當時此衝ニ當ラレタル所ノ勝田〓相、及
ビ杉君ガ今日攻友會員ノ一員トナッテ居ラ
レル關係デ斯樣ニ言ハレルデアリマスガ
當時ノ政友會テハ何等ノ交涉關係ハ持シ
テ居ラヌノデアリマス此借款ニ付テハ幾
多ノ非難ガアリマシタ、現ニ契約ノ内容ニ
於キマシテモ極メテ杜撰デアル當時此借
款ニ關シテ國民ノ間ニ大ナル疑惑ヲ抱イタ
コトモ已ムヲ得ザルコトヽ思フノデアリマ
スガ現ニ一億圓ヲ受取ノタ支那政府ハ其
目的ニハ向使ハレテ居ラヌノデアリマ
スサウシテ今日支那ノ狀態ヲ見マスルト
何レノ日ニカ是ガ囘牧ノ出來ルカ、殆ド見
當ガ付カヌ狀態ニ在ルノデアリマス第二
ハ三銀行ノ實情ガ、此對支借款ヲ國家ニ於
テ整理スルニアラザレバ破產ノ狀態ニ立
至ルカドウカ、果シテ破產ノ狀態ニ立至ッ
タ場合ニ於テ、一般財界ニ及ボス所ノ影響
ハ之ヲ豫測スルコトガ出來ルノデアリマス
ガ銀行自體ガ左樣ナ狀態ニ立至ッテ居ル
ヤ否ヤト云フコトニ付テ、吾々ハ委員會ニ
於キマシテ詳細ニ之ヲ調査〓究致シタノデ
アリマスガ、借款ニ對シテハ元金ハ勿論
利子ニ付テモ一文モ銀行ハ受取シテ居ラヌ
ノデアリマスガ、先ヅ朝鮮銀行ニ就テ見マ
スルト、朝鮮銀行ハ昨年拂込五千万圓ノ中
二千五百万圓ノ減資ヲ決行シ、尙ホ積立金
一千五圓圓切理資金ニ充テタノ
デアリマシテ、現在ノ拂込資金ハ二千五百
万圓デアリマスガ、此對支借款ヨリ生ズル
所ノ利息ガ大正十七年ノ上半期ニ至リマス
ト、二千五百万圓ニ達スルノデ拂込資本金
ト同額トナリ、破綻ヲ免レヌノデアリマス
又臺灣銀行ノ狀態ハ大正二十年ノ上半期
ニ至ルト、此利息ガ堆積シマシテ三千七、百
万圓トナリ、拂込資本金ハ三千九百万圓デ
アリマスカラ、殆ド資本金全部ヲ喰ッテシ
マウコトニナル又興業銀行、比較的成績
ガ宜シイト稱セラレテ居ル日本興業銀行ノ
狀態ヲ見マシテモ、大正二十二年ノ上半期
ニハ對支借款ノ利息ガ四千八百万圓ニ上
リ、五千万圓ノ資本金ニ殆ド匹敵スルト云
フ狀態ニナルノデアリマシテ、何レモ資本
金ヲ殆ド超過シテ、政府特別ノ保護ノ下ニ
在ル三銀行ガ破產ノ狀態ニ立至ルト云フ
ノデアリマス、是ハ只今數字ノ示シマス如
〃明カナ事實トシテ豫想スルコトガ出來
ルノデアリマス、先刻此問題ニ付テ猪野毛
君デアリマシタカ、大分誤解ガアルヤウデ
アリマスガ、是ハ大正七年第四十議會ニ於
テ對支借款ノ資源タル典業債劵ノ一億圓ニ
對シテハ議會ハ元利支拂保證ノ協賛ヲ與
ヘテ居ルノデアリマシテ、結局是ハ銀行ガ
支拂フ能力ガ無イ場合ニ立至レバ、國家ガ
代テ拂ハナケレバナラメ義務ヲ有シテ居
ルノデアリマス要點ハ銀行ガ破產シタ後
ニ於テ、政府ガ代ッテ此債劵ヲ辨償スルカ
ドウカト云フ問題ニュ五至ルノデアリマスガ、
只今申述ベタ如ク此狀態デ推移スルナラバ、
三銀行ハ二十二年マデニ相次イデ倒産ス
ル結果トナルノデアルガ、三銀行ノ特殊使
命ヨリ見ルモ是ハ到底看過スルコトガ出來
ナイノデアリマス政友會ノ修正ノ御意見
ハ只今小野君ニ依ノテ詳細ニ伺ヒマシタガ
結局是ハ今年一箇年ダケノ救濟策ヲ講ジ
テ、其後ノ事ハ未定ノ儘トシテ放任スル
尙ホ關稅會議ノ結果ヲ見テ徐口ニ救濟策ヲ
樹テル卽チ根本ノ救濟策ト云フモノハ之
ヲ他日ニ讓ルト云フ御意見デアリマスガ、
前段申述ベタ如ク、銀行ハ今將ニ破產ニ瀕
セントスル狀態デアル、是ガ破綻ノ曉ニハ
一般財界ニ大ナル影響ヲ及ボスノデアリ一
スカラ、瀕死ノ病者ニ對シ一時ノ膏藥張リ
ヲシテ、重大ナ使命ヲ帶ビテ居ル特殊銀行
ヲ不安ノ狀態ニ放任スルコトハ帝國經濟
界ノ實情ヨリ考察シテ、ドウシテモ出來ヌ
コトデアラウト思フノデアリマス、又支那
關稅特別會議ノ結果ト雖モ、今日大抵想像
サレルノデアリマスガ、幣原外相ニ於テモ
關稅會議ニ提議シ、是ガ解決ニハ最善ノ努
力ヲ致ス事ヲ言明シテ居ルノデアリマス、
吾々モ此關稅會議ニ於テ此問題ガ首尾好ク
解決スルコトヲ希望シテ已マヌノデアリマ
スルガ、今囘ノ整理法律案ト云フモノハ
政府對三銀行ノミノ關係ノ問題デアリマシ
テ、支那ニ對シテハ依然トシテ三銀行ガ債
權者デアルノデアリマス、此點ヲ混同サレ
テ、大分御議論ニナッテ居タヤウデアリマ
スルガ、三銀行ニシテ支那ヨリ受入レマシ
タ所ノ金ト云フモノハ是ハ國庫ニ收納ス
ルコトニナッテ居ルノデアリマシテ、三銀
行對支那關係ト云フモノハ、今回ノ整理案
トハ自ラ別問題ト相成シテ居ルノデアリマ
ス、私ハ最後ニ政府ニ對シテ一言注意ヲ致
シテ置キタイト思フノデアリマスルガ、興
業銀行、臺灣銀行、朝鮮銀行共ニ從來ノ營
業狀態ニ付テハ甚ダ國民ノ期待ニ副ハザル
點ガ多々アルト思フノデアリマス、例ヘバ
朝鮮銀行ノ狀態ニ付テ見マシテモ、大正十
四年ノ六月末日現在ノ貸出狀態ヲ見ルニ
二億六千餘万圓ノ中ニ、内地ニ於ケル貸出
ガ九千六百万圓デアッテ、朝鮮ニ於ケル貸出
五千五百万圓、滿洲一億七百万圓、海外ガ
八百八十三万圓デアル、卽チ朝鮮銀行ノ使
命ト云フモノハ主トシテ朝鮮ニ活躍シ、
尙ホ滿蒙其他ノ方面ニ活動スルト云フコト
ガ本來ノ使命デアルト考ヘテ居ルノデアリ
マスガ、內地ニ於ケル所ノ貸出ガ、朝鮮ノ
五千五百万圓ニ對シ九千六百万圓ト云フヤ
ウナ數字ヲ示シテ居ルト云フコトハ是、
實ニ銀行自體ガ本來ノ使命ニ悖ッタル所ノ
遣方デアルト思フノデアリマス、臺灣銀行
ノ狀態ニ付テ見マシテモ、臺灣銀行ノ貸出
約五億ノ中ニ、臺灣ノ島內ニ於テハ一億七
千九百万圓デアリマスガ、内地ニ於ケル貸
出ハ實ニ二億七千九百万圓、又海外ニ於ケ
ル貸出ガ三千万圓デアッテ、斯ノ如ク本末
顕倒致シテ居ルト云フコトハ實ニ營業ノ
無定見無方針ヲ示シテ居ルノデアリマス、
是ハ現內閣ノ責任デハアリマスマイ、歷代
ノ政府ガ監督宜シキヲ得ナカッタ結果ト思
フノデアリマス(拍手)ドウゾ此特殊銀行ノ
監督ノ重責ニ在ル所ノ政府當局ハ三銀行
本來ノ使命ヲ遂行セシムル上ニ、一段ノ嚴
重ナル監督ト注意ヲ加ヘラレンコトヲ切望
致ス者デアリマス尙ホ臺灣銀行、朝鮮銀
行共ニ、政府ヨリハ莫大ナル恩惠ヲ受ケテ
居ルノデアリマス、サウシテ尙ホ此整理案
ノ成立致シマシタル結果トシテ國家ハ莫大
ナル犠牲ヲ、年々負擔シナケレバナラヌノ
デアルガ、此他ニ臺灣銀行ニ對シテハ指定
預金ノ形式ニ於テ五千万圓、朝鮮銀行ニ對
シテモ同額五千万圓ヲ融通シテアルノデア
リマシテ、合計一億万圓、而シテ其利子ト云
フモノハ年二分デアル普通ノ貸出ヲ六分
ト致シマスレバ、朝鮮銀行、臺灣銀行ニ對
スル所ノ救濟資金トシテ、國庫ハ正ニ年額
四百万圓ノ犧牲ヲ拂ンテ居ルノデアリマス
今日地方農村等ハ其資金ノ融通ニ困シテ居
ルノデアリマスルガ、此一億圓ト云フ金ヲ
假ニ地方ノ資金ニ廻セバ農村ノ振興、地方
ノ振興ニ重大ナル好影響ヲ及ボスノデアル
斯ノ如ク國家ノ大ナル恩惠ヲ受ケテ居ル
所ノ銀行ニ對シマシテハ政府ハ對支借款
肩代リノ機會ニ於テ十分ニ整理ノ實ヲ擧
ゲ、內容ノ充實ヲ圖リ、重役ヲ鞭韃シ、以
テ特殊銀行本來ノ使命ニ向。ッテ活躍セシメ
ラレンコトヲ切ニ希望スルノデアリマス、
以上ヲ以テ我ガ政友本黨ガ本法律案ニ協賛
ヲ與フル所以ト致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=104
-
105・作間耕逸
○作問材逸君 是ニテ討論終結セラレンコ
トヲ望ミマス
〔「賛成」「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=105
-
106・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 作間君ノ動議ニ
御異議ナシト認メマス、仍テ討論ハ終結致
シマシタ、採決ヲ致シマス、先ヅ杉宜陳君
外三名提出ノ修正案ニ付テ採決ヲ致シマス、
此修正ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=106
-
107・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 起立少數、仍テ
修正案ハ否決セラレマシタ、是ヨリ委員長
ノ報告ニ付テ採決ヲ致シマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=107
-
108・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 委員長ノ報告ニ
贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=108
-
109・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 起立多數デアリ
マス(拍手)仍テ委員長ノ報告通リ決シマシ
タ、是ニテ第二讀會ハ終了致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=109
-
110・作間耕逸
○作間耕逸君 直ニ本案ノ第二讀會ヲ開キ
第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通リ可
決セラレンコトヲ望ミマス
〔「違フ」「違フ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=110
-
111・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 作間君ニ一寸御
尋致シマスガ、直ニ第三讀會ヲ開クノ動議
デハアリマセヌカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=111
-
112・作間耕逸
○作間耕逸君 アヽサウデシタ-直ニ本
案ノ第三讀會ヲ開カレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=112
-
113・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 作間君ノ動議ニ
御御異議ガアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=113
-
114・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 作間君ノ動議ニ
御異議ナシト認メマス仍テ直ニ第三讀會
ヲ開キ、議案全部ヲ議題ト致シマス
日本興業銀行外二銀行ノ對支借款關係
債務ノ整理ニ關スル法律案第三讀會
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=114
-
115・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 別ニ御異議ガナ
イヤウデアリマス仍テ本案ハ第二讀會議
決ノ通リ可決確定致シマシタ(拍手)日程第
十及第十一ハ同一委員ニ付託セラレタル
議案ナルニ依リ、一括議題ト爲スニ御異議ガ
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=115
-
116・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 御異議ガナケレ
バ其通リ致シマス、日程第十、造幣局工場
其ノ他改築費ニ關スル法律案、日程十一
京都高等工藝學校移轉改築費ニ關スル法律
案ヲ一括シテ第一讀會ノ續ヲ開キマス、委
員長ノ報告ヲ求メマス-委員長山宮藤吉
君
第十造幣局工場其ノ他改築費ニ關ス
ル法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長ノ報告)
報告書
一造幣局工場其ノ他改築費ニ關スル法律
案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
大正十五年二月二十五日
造幣局工場其ノ他改築費
ニ關スル法律案委員長
山宮藤吉
衆議院議長粕谷義三殿
第十一京都高等工藝學校移轉〓築費
ニ關スル法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一京都高等工藝學校移轉改築費ニ關スル
法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
大正十五年二月二十五日
京都工藝學校移轉改築費
ニ關スル法律案委員長
山宮藤吉
衆議院議長粕谷義三殿
〔山宮藤吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=116
-
117・山宮藤吉
○山宮藤吉君 此法案ハ極メテ簡單ノモノ
デアリマスカラシテ、報告モ至ノテ簡單デ
アリマス、造幣局工場其ノ他改築費ニ關ス
ル法律案デゴザイマスルガ、此文案ハ造幣
局工場其ノ他附屬設備ニ要スル經費ニ充用
スル爲メ、造幣局資金ノ内百十三万三千八
十八圓ヲ限リ、大正十五年度乃至大正十七年
度ニ亙リ一般會計ニ繰入ルヽコト、斯ウ云フ
ノデアリマスガ、是ハ旣ニ豫算ニモ計上
シテ居リマスルカラ法律上ノ手續ニ過ギマ
セヌ、是ハ別段ニ細カイコトハ申上ゲマセ
ヌガ全會一致デ通過致シマシタ、其次ハ京
都高等工藝學校移轉改築費ニ關スル法律案
デゴザイマスガ、是モ同ジ事デアリマシテ、
改築費ハ一般會計デ支出スベキモノデアリ
マスルガ、特別會計ヲ以テスルト云フコト
デアリマスルカラ、特別會計ヲ一般會計ニ
繰入ルヽト云フ法律案デゴザイマスルカラ
シテ、是モ既ニ豫昇ニ關係ガアリマシテ、
異議ナク委員會ヲ通過致シマシタ、右委員
會ノ結果ヲ御報告致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=117
-
118・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 右兩案ノ第二讀
言ヲ開クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=118
-
119・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 御異議ナイト認
メマス、仍テ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=119
-
120・作間耕逸
○作間耕逸君 本案ヲ一括シテ直ニ第二讀
會ヲ開キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報
告通リ可決セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=120
-
121・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 作間君ノ動議ニ
御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=121
-
122・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 御異議ナイト認
メマス、別ニ御發議ガナイヤウデアリマス
カラ、直ニ兩案ノ第二讀會ヲ開キマス
造幣局工場其ノ他改築費ニ關スル法律
案第二讀會(確定議)
京都高等工藝學校移轉改築費ニ關スル
法律案第一讀會會(確定議)
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=122
-
123・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 別ニ御發議ガナ
イヤウデアリマスカラ、第三讀會ヲ省略シ
テ兩案トモ委員長報告通リ可決確定致シマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=123
-
124・作間耕逸
○作間耕逸君 殘餘ノ日程ニ對シテ延期動
議ヲ提出致シマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=124
-
125・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 作間君ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ)、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=125
-
126・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 御異議ナケレバ
其通リ决シマス、諮問事項ガアリマス、第
一部選出決算委員福井甚三君第一部選出請
願委員佐々木文一君、第二部選出決算委員
高木四郞君、第三部選出決算委員兼松寅太
郞君、第四部選出決算委員土屋興君、第八
部選出決算委員藤川〓助君、右常任委員辭
任ノ申出ガアリマス、許可スルニ御異議ア
リマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=126
-
127・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 御異議ナケレバ
許可致シマス、仍テ其部ノ諸君ハ速ニ補
關選擧ヲ行ヒ屆出アランコトヲ希望致シマ
ス、次會ノ日程ハ公報ヲ以テ御報告〓シマ
ス、本日ハ是ニテ散會シマス
午後七時三十六分散會
本月二十二日衆議院議事速記錄第十九號四九八頁三段十七行砂田重政君演說ノ參照
〔參照
げ
營業收益稅負擔增加ニ關スル調査
六大都市法人營業稅額及營業收益稅額比較表
都別現行營業稅額新法ニ依ル營增稅額稅割合
市調査法人數增
業收益稅額
円円円円
四〇〇五、四九一、五〇〇八、六二八、六六八三、一三七、一六八五割七分一厘
一〇九二、二四二、四一〇三、六九五、八五五一、四五三、四四五六割四分八厘
古五〇四大三、四一七七〇〇、四一七二三七、〇〇〇五割一分一厘
横京神名大東濱都戶屋阪京
三四七八、四八四五九六、九〇九一一八、四二四二割四分八厘
二〇八四、二五九一〇六、五〇七二二、二四八二割六分四厘
六六五五五、四三〇九六六、七四九四一一、三一九七割四分一厘
計八二七九、三一五、五〇〇一四、六九五、一〇五五、三七九、六〇四平均五割七分七厘
六大都市營業稅額及營業收益稅額增減比較表
增稅トナルモノ減稅トナルモノ
都市別調査法人數差引增稅額
法人數增稅額法人數減稅
円円円
東京四〇〇二四〇三、四二九、六四六一七〇二九二、四七八三、一三七、一六ハ
大阪一〇九五三二、二七〇、一〇六五六八一六、六六一一、四五三、四四五
名古五〇三八二六二、五八一三二五、五八一二三七、〇〇〇
戶屋
神一八二モ六二一一、三八〇二六九二、九五六一一八、四二四
京都二〇九二七、八九二=五、六四四二二、二四八
橫濱六六四四五七、六九五二五四六、三七六四一一、三一九
計八二七四三七六、六五九、三〇〇三九〇一、一、七九、六九六五、三七九、六〇四
法人營業收益稅額カ現行營業稅額ニ比シ增稅トナル線額ノ推算
六大都市法人營業收益稅カ現行營業稅額ニ比シ增稅トナル平均割合五割七分七厘
此ノ內法人營業收益稅中ヨリ控除セラルヘキ資本利子稅及地租額ヲ斟酌シテ差引現實增稅平均割
合ヲ「五割」ト推定ス
円
二、大正十三年度營業稅額大一、九四三、四四五
円
此ノ內法人ノ營業稅額三三、〇〇〇、〇〇〇
法人營業稅額ニ增稅平均割合五割ヲ乘スレハ
円
法人增稅額一六、五〇〇、〇〇〇
一〕現行營業稅額及營業收益稅額增減比較參考資料
(
(備考)
一本表ハ大正十三年度末ニ於ケル拂込資本金及諸積立金竝ニ同年度ニ於ケル純益金ヲ調査シ之ニ
對スル現行營業稅額(本稅)ト營業收〓稅額(本稅)トノ增減比較ヲ調査シタルモノナリ
一表中△印ハ減
業別法人數現行營業稅額營業收益稅額差引增減增減割合
円円円厘
物品販賣業三一七三、〇二七二一二、五八七三九、五六〇〇·二二九
物品販賣及製造二四一一〇、九八六二九六、一二三一八五、一三七一·六六八
業
銀行業五〇二、二四五、八〇七二、九八五、一九三七三九、三八六〇·三二九
保險業二七三二〇、九二四五八九、七一九二六八、七九五〇·八三八
金錢貸付業五三、六四六一、五七六△二、〇七〇△〇ヽ九六八
金錢貸付及周旋표一八、九〇二三三、三〇八一四、四〇六〇·七六二
業其他
製造業人二、三〇置、八九西四、〇八五、〇六四一、七八〇、一七〇〇·七七二
印刷出版業二二六、三一八七二、〇一九四五、七〇一一·七三六
送業一〇五〇、四七二犬民、九七一一四、四九九〇·二八九
庫六五二、七三二六七、一八〇一四、四四八〇·二七四
三九九、七八二一一四、二七九一四、四九七〇·一四五
信問請鐵倉運業業業業〇·一四三
七三七、二六六四二、六〇〇五、三三四
託屋負道〇·〇三五
三三一、至三八三二、六四九一、一一一
業四一五、二〇ナ三一、四〇〇一六、一九四一、〇六五
合計■五、四九一、五〇〇八、六二八、六六八三、一三七、一六八〇·五七五
業別法人數增減法人數增減額
円
六八六、八八五
物品販賣業三△*△四七、三二五
一大一九三、五一五
物品販賣及製造業言八八、三七八
ニ四八一九、〇五六
銀行業五〇ニ六七九、六七〇
二八八、九六四
保險業二七二〇、一六九
金錢貸付業五二、〇七〇
九三二五六二六、八
金錢貸付及周旋業五
其他△三、五
五一、八七三、五八九
製造業八五=大九三四一九
一四六、三
印刷出版業三四二〇
一二七、五五一
運送業二〇三一五八二四七一三、〇五二
一〇、七〇八
倉庫業★〓六、二六〇
一四、四九七
鐵道業三
一二〇、二八八
請負業一一四、九五四
△
四、七六七
問屋業三〇一三六六六一三、六五六
七、二二
信託業四
れた〇
四〇〇二円三、四二九、六四六
合計天o
二九二、四七八
衆議院議事速記錄第二十號中正誤
頁段行誤正
五二七四二九改革會議
同同三〇自由權自主權
支那政府ニ
同同三九又日支於テモ又日
支
五二八-八人文科學〓人文科學〓
究究所
同四八百五百町八万五百町
四步
步
五二九一二隣邦燐礦発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X02219260227&spkNum=127
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