1. 会議録本文
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000・会議録情報
大正十五年三月二十四日(水曜日)午後一時三十五分開議
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議事日程 第三十五號
大正十五年三月二十四日
午後一時開議
第一 大正十二年度歳入歳出總決算
第一 大正十二年度各特別會計歳入歳出決算
第二 大正十二年度國有財産増減總計算書
第三 大正十三年度歳入歳出總決算
第三 大正十三年度各特別會計歳入歳出決算
第四 大正十三年度國有財産増減總計算書
第五 獸醫師法案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會(前會の續)
第六 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第七 民事訴訟費用法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第八 民事訴訟用印紙法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第九 商事非訟事件印紙法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十 非訟事件手續法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十一 人事訴訟手續法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十二 競賣法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十三 民法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十四 破産法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十五 明治三十二年法律第五十號中改正法律案(外國人の署名捺印及無資力證明に關する件)(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十六 刑事訴訟法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十七 右各案の審査を付託すへき委員の選擧
第十八 産業組合法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十九 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第二十 特別都市計畫法、第五條の土地區劃整理に伴ふ清算金及補償金に關する法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十一 移住組合法案(樋口秀雄君外七名提出) 第一讀會
第二十二 漁業法中改正法律案(谷原公君外二名提出) 第一讀會
第二十三 漁業財團抵當法中改正法律案(中村嘉壽君提出) 第一讀會
第二十四 民事訴訟法中改正法律案(谷原公君外一名提出) 第一讀會
第二十五 大正十四年法律第四十七號衆議院議員選擧法中改正法律案(望月圭介君外二十二名提出) 第一讀會
第二十六 大正十四年法律第四十七號衆議院議員選擧法中改正法律案(林田龜太郎君外一名提出) 第一讀會
第二十七 大正十四年法律第四十七號衆議院議員選擧法中改正法律案(東武君外二名提出) 第一讀會
第二十八 大正十四年法律第四十七號衆議院議員選擧法中改正法律案(廣瀬徳藏君外二名提出) 第一讀會
第二十九 治安警察法中改正法律案(清瀬一郎君外一名提出) 第一讀會
第三十 治安警察法中改正法律案(安藤正純君外三名提出) 第一讀會
第三十一 治安警察法中改正法律案(田中善立君外二名提出) 第一讀會
第三十二 大阪市に關する法律案(廣瀬徳藏君外十一名提出) 第一讀會
第三十三 神戸市に關する法律案(砂田重政君外三名提出) 第一讀會
第三十四 名古屋市に關する法律案(田中善立君外二名提出) 第一讀會
第三十五 京都市に關する法律案(森田茂君外六名提出) 第一讀會
第三十六 横濱市に關する法律案(平沼亮三君外二名提出) 第一讀會
第三十七 寺院現境内地無償下戻に關する法律案(安藤正純君外四名提出) 第一讀會
第三十八 寺院現境内地無償下戻に關する法律案(福井甚三君外四名提出) 第一讀會
第三十九 古社寺保存法中改正法律案(田中萬逸君外四名提出) 第一讀會
第四十 會計檢査院法中改正法律案(武藤山治君外一名提出) 第一讀會
第四十一 牧野法案(八田宗吉君提出) 第一讀會
第四十二 造林助成法案(東武君外十名提出) 第一讀會
第四十三 違警罪即决例中改正法律案(横山勝太郎君提出) 第一讀會
第四十四 違警罪即决例廢止法律案(原夫次郎君外三名提出) 第一讀會
第四十五 家祿引直處分法案(隅田豐吉君外五名提出) 第一讀會
第四十六 家祿賞典祿給與未濟に關する法律案(福田五郎君外七名提出) 第一讀會
第四十七 北海道拓殖銀行法中改正法律案(小池仁郎君外四名提出) 第一讀會
第四十八 日本勸業銀行法中改正法律案(小池仁郎君外四名提出) 第一讀會
第四十九 農工銀行法中改正法律案(小池仁郎君外四名提出) 第一讀會
第五十 煙草專賣法中改正法律案(森恪君外九名提出) 第一讀會
第五十一 著作權法中改正法律案(内ヶ崎作三郎君外三名提出) 第一讀會
第五十二 特別都市計畫法中改正法律案(關直彦君外八名提出) 第一讀會
第五十三 借家法中改正法律案(横山勝太郎君外一名提出) 第一讀會
第五十四 北海道農地特別處理法案(丸山浪彌君外六名提出) 第一讀會
第五十五 産業組合中央金庫法中改正法律案(由谷義治君外五名提出) 第一讀會
第五十六 果物罐詰原料砂糖戻税法案(中村嘉壽君外十一名提出) 第一讀會
第五十七 大正十二年法律第三十三號中改正法律案(工場法中改正の件)(清瀬一郎君提出) 第一讀會
第五十八 刑事訴訟法中改正法律案(原夫次郎君外二名提出) 第一讀會
第五十九 未成年者飮酒禁止法中改正法律案(山口政二君外十二名提出) 第一讀會
第六十 恩給法中改正法律案(丸山浪彌君外二名提出) 第一讀會
第六十一 恩給法中改正法律案(松實喜代太君外三名提出) 第一讀會
第六十二 恩給法中改正法律案(山口政二君外三名提出) 第一讀會
第六十三 大正十三年法律第二十四號中改正法律案(贅澤品等の輸入税に關する件)(高橋熊次郎君外二名提出) 第一讀會
第六十四 北海道御料拂下地の地租免除に關する法律案(一柳仲次郎君外九名提出) 第一讀會
第六十五 北海道御料拂下地免租年期に關する法律案(東武君外三名提出) 第一讀會
第六十六 土地收用法中改正法律案(廣瀬徳藏君外三名提出) 第一讀會
第六十七 金鵄勳章年金に關する法律案(佐藤實君外二名提出) 第一讀會
第六十八 金鵄勳章年金に關する法律案(古川清君外二名提出) 第一讀會
第六十九 蠶種業法案(二木洵君提出) 第一讀會
第七十 社交舞踏取締法案(柏田忠一君外一名提出) 第一讀會
第七十一 輸出羽二重精練業法中改正法律案(森田金藏君提出) 第一讀會
第七十二 議院法中改正法律案(中林友信君外二名提出) 第一讀會
第七十三 發行權法案(増田義一君外六名提出) 第一讀會
第七十四 政治運動の爲金品供與の制限に關する法律案(尾崎行雄君外九名提出) 第一讀會
第七十五 政治結社加入勸誘方法の制限に關する法律案(關直彦君外九名提出) 第一讀會
第七十六 議員の職務に關する法律案(増田義一君外九名提出) 第一讀會
第七十七 帝國在郷軍人會國庫補助に關する建議案(佐々木春作君外四名提出)
第七十八 蠶絲局設置に關する建議案(武藤金吉君外四名提出)
第七十九 高等師範學校設置に關する建議案(佐々木春作君外五名提出)
第八十 臼井鳥栖間鐵道敷設に關する建議案(赤間嘉之吉君外三名提出)
第八十一 肥前山口諫早間鐵道速成に關する建議案(則元由庸君外六名提出)
第八十二 八戸久慈間鐵道速成に關する建議案(柏田忠一君提出)
第八十三 警察官の待遇改善に關する建議案(本田義成君提出)
第八十四 左澤荒砥間鐵道速成に關する建議案(西方利馬君外五名提出)
第八十五 國有林野所在府縣市に町村に對し交付金下付に關する建議案(八田宗吉君外二名提出)
第八十六 馬政振作に關する建議案(八田宗吉君提出)
第八十七 京都市に國立音樂學校設置に關する建議案(森田茂君提出)
第八十八 越美線速成に關する建議案(猪野毛利榮君外一名提出)
第八十九 帝國在郷軍人會國庫補助に關する建議案(蟻川五郎作君外二名提出)
第九十 二見港三田間鐵道敷設に關する建議案(多木久米次郎君提出)
第九十一 帝國軍人後援會國庫補助に關する建議案(加藤政之助君外三名提出)
第九十二 帝國在郷軍人會國庫補助に關する建議案(中林友信君外五名提出)
第九十三 金鵄勳章竝旭日章年金改正即行に關する建議案(中林友信君外九名提出)
第九十四 養蠶組合法制定に關する建議案(山田道兄君提出)
第九十五 猿投神社昇格に關する建議案(岡本實太郎君提出)
第九十六 高等蠶絲學校建設に關する建議案(岡本實太郎君外二名提出)
第九十七 若松市に高等師範學校設置に關する建議案(町野武馬君外一名提出)
第九十八 自營林業奬勵に關する建議案(村山喜一郎君提出)
第九十九 廣濱鐵道速成に關する建議案(河野曉君外二名提出)
第百 澁川長野原間鐵道速成に關する建議案(木檜三四郎君提出)
第百一 帝國在郷軍人會國庫補助に關する建議案(長田桃藏君外四名提出)
第百二 福井縣三國港築港竝竹田川改修に關する建議案(熊谷五右衞門君提出)
第百三 養蠶組合法制定に關する建議案(加藤知正君外三名提出)
第百四 興部濱頓別間鐵道速成に關する建議案(淺川浩君外六名提出)
第百五 北海道に高等學校設置に關する建議案(一柳仲次郎君外六名提出)
第百六 留萌羽幌間鐵道速成に關する建議案(淺川浩君外六名提出)
第百七 高等工業學校設置に關する建議案(一柳仲次郎君外六名提出)
第百八 小頓別枝幸港間鐵道速成に關する建議案(淺川浩君外六名提出)
第百九 宗谷線恩根内咲來間に停車場設置に關する建議案(淺川浩君外六名提出)
第百十 根北鐵道速成に關する建議案(小池仁郎君外六名提出)
第百十一 北海道甜菜糖業補助法制定に關する建議案(小池仁郎君外七名提出)
第百十二 有珠岳洞爺湖及登別温泉を中心とする國立公園設定に關する建議案(手代木隆吉君外六名提出)
第百十三 余市漁港修築に關する建議案(澤田利吉君外六名提出)
第百十四 鴛泊港修築に關する建議案(淺川浩君外六名提出)
第百十五 廣尾港修築速成に關する建議案(小池仁郎君外六名提出)
第百十六 釧路港海陸連絡に關する建議案(小池仁郎君外六名提出)
第百十七 室蘭港海陸連絡施設速成に關する建議案(手代木隆吉君外六名提出)
第百十八 根室港修築工事に關する建議案(小池仁郎君外六名提出)
第百十九 鐵道敷設法中改正に關する建議案(小池仁郎君外六名提出)
第百二十 苫小牧廣尾間鐵道速成に關する建議案(手代木隆吉君外六名提出)
第百二十一 釧路網走間鐵道速成に關する建議案(小池仁郎君外六名提出)
第百二十二 京極紋鼈間及京極壯瞥間鐵道速成に關する建議案(手代木隆吉君外六名提出)
第百二十三 高等師範學校設置に關する建議案(一柳仲次郎君外六名提出)
第百二十四 小樽港及函館港に港務部設置に關する建議案(山本厚三君外六名提出)
第百二十五 野岩羽鐵道速成に關する建議案(八田宗吉君外二名提出)
第百二十六 柳津小出間及只見古町間鐵道速成に關する建議案(八田宗吉君提出)
第百二十七 湖南鐵道建設に關する建議案(八田宗吉君提出)
第百二十八 林業金融に關する建議案(東武君外十名提出)
第百二十九 國立公園調査機關設置に關する建議案(東武君外十名提出)
第百三十 立木に關する法律改正に關する建議案(東武君外十名提出)
第百三十一 金鵄勳章旭日章年金改正に關する建議案(古川清君外二名提出)
第百三十二 高田市に高等農林學校設置に關する建議案(富永孝太郎君外三名提出)
第百三十三 磐梯山猪苗代湖を中心とする國立公園設定に關する建議案(八田宗吉君外一名提出)
第百三十四 國有林野法中改正に關する建議案(八田宗吉君提出)
第百三十五 川俣浪江間鐵道建設速成に關する建議案(大島要三君外六名提出)
第百三十六 國有林野不要存置林處分に關する建議案(大島要三君外六名提出)
第百三十七 福島市に國立倉庫設立に關する建議案(大島要三君外六名提出)
第百三十八 泉崎岩沼間改良工事速成竝宇都宮福島間複線工事速成に關する建議案(大島要三君外六名提出)
第百三十九 福相鐵道速成に關する建議案(大島要三君外六名提出)
第百四十 婦人參政に關する建議案(坂東幸太郎君外三名提出)
第百四十一 鳥栖臼井間鐵道敷設に關する建議案(大里廣次郎君外二名提出)
第百四十二 東京帝國大學農學部附屬農業教員養成所獨立に關する建議案(山本愼平君外一名提出)
第百四十三 北海道河川治水工事速進に關する建議案(神部爲藏君外六名提出)
第百四十四 岩内築港速成に關する建議案(澤田利吉君外六名提出)
第百四十五 無線電信の裝置に關する建議案(小池仁郎君外六名提出)
第百四十六 京濱運河速成に關する建議案(湯淺凡平君提出)
第百四十七 實業補習教育振興に關する建議案(高橋熊次郎君外四名提出)
第百四十八 越美線速成に關する建議案(谷口宇右衞門君外二名提出)
第百四十九 受驗資格撤廢に關する建議案(山下谷次君提出)
第百五十 瀬戸内海を中心とする國立公園設定に關する建議案(山下谷次君外一名提出)
第百五十一 野岩羽鐵道速成に關する建議案(高橋元四郎君外二名提出)
第百五十二 日足鐵道速成に關する建議案(高橋元四郎君外一名提出)
第百五十三 日光國立公園設定に關する建議案(高橋元四郎君外一名提出)
第百五十四 沖繩縣救濟に關する建議案(宜保成晴君外十六名提出)
第百五十五 樣似漁港修築に關する建議案(手代木隆吉君外六名提出)
第百五十六 羽幌下沙流別間鐵道敷設速成に關する建議案(淺川浩君外六名提出)
第百五十七 壽都漁港修築速成に關する建議案(澤田利吉君外六名提出)
第百五十八 船舶村に避難港築設に關する建議案(淺川浩君外六名提出)
第百五十九 名寄羽幌間鐵道敷設速成に關する建議案(淺川浩君外六名提出)
第百六十 京濱運河速成に關する建議案(戸井嘉作君外一名提出)
第百六十一 蠶絲局設置に關する建議案(樋口秀雄君外十六名提出)
第百六十二 京濱運河速成に關する建議案(若尾幾太郎君外一名提出)
第百六十三 新町小海間鐵道建設に關する建議案(井本常作君外四名提出)
第百六十四 下仁田三反田間鐵道建設に關する建議案(井本常作君外四名提出)
第百六十五 金澤市に鐵道局設置に關する建議案(佐藤實君外四名提出)
第百六十六 出雲大社宍道湖及中海を中心とする國立公園設定に關する建議案(原夫次郎君外二名提出)
第百六十七 福島縣松川浦に避難港兼漁港築設に關する建議案(佐藤富十郎君外三名提出)
第百六十八 金澤市に高等師範學校設置に關する建議案(佐藤實君提出)
第百六十九 遠信鐵道速成に關する建議案(山本勝次君外一名提出)
第百七十 越中島線敷設速成に關する建議案(太田信治郎君外二名提出)
第百七十一 拓殖省設置に關する建議案(清水留三郎君外二名提出)
第百七十二 民間航空事業促進の爲政府の施設に關する建議案(安藤正純君提出)
第百七十三 温泉法規制定に關する建議案(平川松太郎君外三名提出)
第百七十四 帝國在郷軍人會國庫補助に關する建議案(作間耕逸君外二名提出)
第百七十五 鶴岡、羽前高松間鐵道敷設に關する建議案(石川長右衞門君外七名提出)
第百七十六 酒田眞室川間鐵道敷設に關する建議案(齋藤金吾君外一名提出)
第百七十七 鶴岡市に高等師範學校新設に關する建議案(齋藤金吾君外一名提出)
第百七十八 荒砥左澤間鐵道速成に關する建議案(石川長右衞門君外八名提出)
第百七十九 庄原區裁判所管轄區域變更に關する建議案(渡邊伍君外二名提出)
第百八十 貴生川加茂間鐵道速成に關する建議案(高井商二君外三名提出)
第百八十一 淡水魚族増殖施設に關する建議案(藤澤萬九郎君提出)
第百八十二 關ケ原木ノ本間鐵道速成に關する建議案(藤澤萬九郎君外二名提出)
第百八十三 北海道治水に關する建議案(岡田伊太郎君外三名提出)
第百八十四 東京都制急施に關する建議案(作間耕逸君外二十三名提出)
第百八十五 北海道甜菜糖業補助に關する建議案(松實喜代太君外三名提出)
第百八十六 帝國在郷軍人會國庫補助に關する建議案(松岡俊三君提出)
第百八十七 帝國在郷軍人會國庫補助に關する建議案(池田泰親君提出)
第百八十八 衞生組合法制定に關する建議案(大里廣次郎君外三名提出)
第百八十九 京都高等蠶業學校に製絲科設置に關する建議案(川崎安之助君外一名提出)
第百九十 拓殖省設置に關する建議案(牧山耕藏君外八名提出)
第百九十一 能代港に臨時線敷設に關する建議案(信太儀右衞門君外八名提出)
第百九十二 奧羽線神島米澤間電化速成に關する建議案(西方利馬君外四名提出)
第百九十三 上山田、後藤寺間鐵道敷設に關する建議案(坂井大輔君外一名提出)
第百九十四 伊佐鐵道速成に關する建議案(森肇君外五名提出)
第百九十五 篠栗長尾間鐵道速成に關する建議案(赤間嘉之吉君外一名提出)
第百九十六 關門海底鐵道速成に關する建議案(則元由庸君外六名提出)
第百九十七 諫早長崎間鐵道改良に關する建議案(則元由庸君外四名提出)
第百九十八 一戸荒屋間鐵道速成に關する建議案(柏田忠一君提出)
第百九十九 中央線電化に關する建議案(藤田胸太郎君外四名提出)
第二百 倉吉勝山間鐵道速成に關する建議案(山谷徳治郎君外一名提出)
第二百一 佐賀神崎兩驛中間に停車場設置に關する建議案(加藤十四郎君外一名提出)
第二百二 小海小淵澤間鐵道速成に關する建議案(篠原和市君外四名提出)
第二百三 裏九戸鐵道建設に關する建議案(柏田忠一君提出)
第二百四 田名部大間間鐵道速成に關する建議案(工藤鐵男君提出)
第二百五 京若鐵道速成に關する建議案(山口嘉七君外二名提出)
第二百六 今坂鐵道速成に關する建議案(高橋光威君外一名提出)
第二百七 兩國萬世橋驛間鐵道速成に關する建議案(鈴木隆君外六名提出)
第二百八 伊野宇佐間鐵道速成に關する建議案(大石大君提出)
第二百九 山田蕨野間鐵道速成に關する建議案(大石大君提出)
第二百十 阿波池田、山田間鐵道工事速成に關する建議案(大石大君外二名提出)
第二百十一 崎山江川崎間鐵道速成に關する建議案(大石大君提出)
第二百十二 佐川松山間鐵道速成に關する建議案(大石大君提出)
第二百十三 阿波池田、川之江間鐵道速成に關する建議案(小野寅吉君外三名提出)
第二百十四 四國循環鐵道阿土南海岸線敷設に關する建議案(谷原公君外二名提出)
第二百十五 上田松本間鐵道敷設に關する建議案(篠原和市君外九名提出)
第二百十六 中込高崎間鐵道速成に關する建議案(篠原和市君外九名提出)
第二百十七 奧羽線福島米澤間電化速成に關する建議案(大島要三君外六名提出)
第二百十八 長尾篠栗間鐵道速成に關する建議案(大里廣次郎君外一名提出)
第二百十九 敦賀京都間鐵道速成に關する建議案(平井光三郎君提出)
第二百二十 後藤寺、上山田間鐵道敷設に關する建議案(大里廣次郎君外一名提出)
第二百二十一 米澤、日中間鐵道速成に關する建議案(西方利馬君外五名提出)
第二百二十二 熱海大仁間鐵道速成に關する建議案(黒田重兵衞君外五名提出)
第二百二十三 定山溪喜茂別間鐵道敷設速成に關する建議案(山本厚三君外六名提出)
第二百二十四 深川下蘆別間鐵道敷設速成に關する建議案(神部爲藏君外六名提出)
第二百二十五 余市余別間鐵道敷設に關する建議案(澤田利吉君外六名提出)
第二百二十六 米原今庄間鐵道電化速成に關する建議案(谷口宇右衞門君外三名提出)
第二百二十七 江差上磯間鐵道速成に關する建議案(一柳仲次郎君外六名提出)
第二百二十八 美倉橋驛設置に關する建議案(作間耕逸君提出)
第二百二十九 金津大野間鐵道敷設に關する建議案(熊谷五右衞門君外一名提出)
第二百三十 山陰鐵道本線電化速成に關する建議案(原夫次郎君外二名提出)
第二百三十一 島根縣に鐵道局設置に關する建議案(原夫次郎君外二名提出)
第二百三十二 南隅鐵道速成に關する建議案(津崎尚武君外一名提出)
第二百三十三 小郡萩間鐵道敷設速成に關する建議案(渡邊祐策君外三名提出)
第二百三十四 福山、出雲今市間及來島、木次間鐵道速成に關する建議案(嶋居哲君外三名提出)
第二百三十五 延宇鐵道建設に關する建議案(中山貞雄君外二名提出)
第二百三十六 福山、出雲今市間及來島木次間鐵道速成に關する建議案(栗延敬太郎君外二名提出)
第二百三十七 千種武節間鐵道速成に關する建議案(岡本實太郎君外一名提出)
第二百三十八 富山市に鐵道局設置に關する建議案(高見之通君外三名提出)
第二百三十九 佐原松岸間鐵道速成に關する建議案(今井健彦君外三名提出)
第二百四十 米澤日中間鐵道速成に關する建議案(齋藤金吾君外六名提出)
第二百四十一 大町糸魚川間鐵道速成に關する建議案(植原悦二郎君外二名提出)
第二百四十二 北海道拓殖鐵道補助期限延長に關する建議案(丸山浪彌君外四名提出)
第二百四十三 朝鮮に於ける鐵道の普及に關する建議案(牧山耕藏君外十四名提出)
第二百四十四 北海道鐵道敷設速成に關する建議案(松實喜代太君外三名提出)
第二百四十五 仙山鐵道の起工に關する建議案(石川長右衞門君外一名提出)
第二百四十六 佐賀住の江間臨港線敷設に關する建議案(福田五郎君外三名提出)
第二百四十七 東京驛東部乘降場設置速成に關する建議案(井本常作君提出)
第二百四十八 板谷峠の防雪設備に關する建議案(齋藤金吾君外一名提出)
第二百四十九 訪歐飛行の成功者たる安邊大尉外三名に對する賞與金下附に關する建議案(三善清之君外一名提出)
第二百五十 訪歐飛行賞金下附に關する建議案(長岡外史君提出)
第二百五十一 航空竝國防に關する建議案(長岡外史君提出)
第二百五十二 長崎五島佐世保間電話開設に關する建議案(牧山耕藏君外六名提出)
第二百五十三 福岡壹岐長崎間電話開設に關する建議案(牧山耕藏君外六名提出)
第二百五十四 堺郵便局昇格に關する建議案(山口義一君外四名提出)
第二百五十五 通信機關普及に關する建議案(箕浦勝人君外十九名提出)
第二百五十六 福井市に遞信局設置に關する建議案(谷口宇右衞門君外三名提出)
第二百五十七 金澤陸軍無線電信所移管に關する建議案(青山憲三君外二名提出)
第二百五十八 海洋調査機關設置に關する建議案(中村嘉壽君外七名提出)
第二百五十九 室蘭港に海事部出張所設置に關する建議案(手代木隆吉君外六名提出)
第二百六十 清酒及專賣麥酒に關する建議案(湯淺凡平君提出)
第二百六十一 農業銀行設置に關する建議案(田中萬逸君外一名提出)
第二百六十二 勞働銀行法制定に關する建議案(井本常作君提出)
第二百六十三 印紙税法改正に關する建議案(森田金藏君外一名提出)
第二百六十四 國税徴收交付金増額に關する建議案(八田宗吉君提出)
第二百六十五 大藏省令第二十八號を廢止し之に代るへき法律制定に關する建議案(武藤山治君外二名提出)
第二百六十六 徴兵制度の改革竝現役下士兵卒待遇改良に關する建議案(三善清之君外一名提出)
第二百六十七 戰病死者遺族竝癈兵の子弟に對し官公立學校授業料減免に關する建議案(松井郡治君外八名提出)
第二百六十八 軍人傷痍記章令中改正に關する建議案(山下谷次君提出)
第二百六十九 文制改革に關する建議案(篠原和市君外三名提出)
第二百七十 脚氣病研究に關する建議案(中原徳太郎君外三名提出)
第二百七十一 水戸市に文科大學設置に關する建議案(菊池謙二郎君提出)
第二百七十二 民族博物館設立に關する建議案(山枡儀重君提出)
第二百七十三 國立蠶絲大學設置に關する建議案(篠原和市君外五名提出)
第二百七十四 盛岡市に高等師範學校設置に關する建議案(柏田忠一君提出)
第二百七十五 福島市に高等蠶絲學校設置に關する建議案(大島要三君外六名提出)
第二百七十六 福岡市に高等師範學校設置に關する建議案(大里廣次郎君外一名提出)
第二百七十七 政治教育普及に關する建議案(古林喜代太君外一名提出)
第二百七十八 國民教育改善に關する建議案(荒川五郎君提出)
第二百七十九 郡山市に高等工業學校設置に關する建議案(粟山博君外四名提出)
第二百八十 郡山に高等師範學校設置に關する建議案(粟山博君外三名提出)
第二百八十一 八鹿町に高等蠶絲學校建設に關する建議案(齋藤隆夫君外三名提出)
第二百八十二 圖書館普及竝圖書館敷地免税に關する建議案(河上哲太君外二名提出)
第二百八十三 福井縣に高等水産學校設置に關する建議案(山口嘉七君外二名提出)
第二百八十四 福井市に高等師範學校設置に關する建議案(谷口宇右衞門君外二名提出)
第二百八十五 金澤市に綜合大學設置に關する建議案(佐藤實君外四名提出)
第二百八十六 北海道綜合大學の完成竝高等教育機關設置に關する建議案(東武君外三名提出)
第二百八十七 書道振興に關する建議案(竹原樸一君外四名提出)
第二百八十八 體育奬勵に關する建議案(杉浦武雄君外四名提出)
第二百八十九 加古川改修工事完成に關する建議案(多木久米次郎君提出)
第二百九十 高砂港修築に關する建議案(多木久米次郎君提出)
第二百九十一 室蘭港海陸連絡工事促進に關する建議案(栗林五朔君外二名提出)
第二百九十二 河川使用許可に關する建議案(東武君外十名提出)
第二百九十三 青森港第二期修築に關する建議案(工藤鐵男君提出)
第二百九十四 稚内築港速成に關する建議案(淺川浩君外六名提出)
第二百九十五 留萌港速成に關する建議案(淺川浩君外六名提出)
第二百九十六 勇拂原野開發竝河口修築速進に關する建議案(手代木隆吉君外六名提出)
第二百九十七 横濱港防波堤築造に關する建議案(戸井嘉作君外五名提出)
第二百九十八 鶴見川改修速進に關する建議案(戸井嘉作君外三名提出)
第二百九十九 大淀川改修に關する建議案(長峰與一君外四名提出)
第三百 肝屬川改修速成に關する建議案(津崎尚武君提出)
第三百一 筑後川改修工事に伴ふ犧牲的地域善後策に關する建議案(加藤十四郎君提出)
第三百二 岸和田港修築費國庫補助に關する建議案(井阪豐光君外六名提出)
第三百三 那賀川改修に關する建議案(谷原公君外一名提出)
第三百四 木津川改修速成に關する建議案(長田桃藏君外一名提出)
第三百五 煙毒防止水源涵養に關する建議案(武藤金吉君外五名提出)
第三百六 雄物川改修工事竣功年度繰上竝河口修築規模擴張に關する建議案(村山喜一郎君外一名提出)
第三百七 由良川改修の調査速行に關する建議案(村上國吉君提出)
第三百八 最上川治水工事速成に關する建議案(石川長右衞門君外一名提出)
第三百九 渡良瀬川改修工事速進に關する建議案(阿由葉勝作君外二名提出)
第三百十 北海道港灣修築に關する建議案(黒住成章君外三名提出)
第三百十一 北海道漁港竝船入澗築設に關する建議案(黒住成章君外三名提出)
第三百十二 寺泊港修築に關する建議案(中村貞吉君外二名提出)
第三百十三 敦賀港修築に關する建議案(山口嘉七君外三名提出)
第三百十四 大淀川架橋に關する建議案(長峰與一君外三名提出)
第三百十五 岸和田港修築補助に關する建議案(山口義一君外二名提出)
第三百十六 古物商取締法改正に關する建議案(藏園三四郎君提出)
第三百十七 村落に關する制度の調査及整備に關する建議案(野原種次郎君外二名提出)
第三百十八 部落問題の國策樹立に關する建議案(有馬頼寧君外十二名提出)
第三百十九 尾張戸神社昇格に關する建議案(丹下茂十郎君提出)
第三百二十 鵜戸神社昇格に關する建議案(津崎尚武君提出)
第三百二十一 社會政策の遂行に關する調査機關設置の建議案(丸山浪彌君外四名提出)
第三百二十二 人體寄生蟲の豫防奬勵に關する建議案(宮島幹之助君外六名提出)
第三百二十三 花柳病豫防法制定に關する建議案(宮島幹之助君外六名提出)
第三百二十四 國立癩療養所設置に關する建議案(中林友信君外四名提出)
第三百二十五 國立精神病院設置に關する建議案(中原徳太郎君提出)
第三百二十六 潮來十六島を中心とする水郷國立公園設定に關する建議案(今井健彦君外一名提出)
第三百二十七 淺間山國立公園設定に關する建議案(篠原和市君外七名提出)
第三百二十八 吉崎及東尋坊を中心とする國立公園設定に關する建議案(熊谷五右衞門君提出)
第三百二十九 高野山國立公園設定に關する建議案(松山常次郎君提出)
第三百三十 新聞記者待遇に關する建議案(篠原和市君外八名提出)
第三百三十一 市町村吏員優遇に關する建議案(八田宗吉君提出)
第三百三十二 市町村の整理改善に關する建議案(荒川五郎君外一名提出)
第三百三十三 雨龍原野土地改良に關する建議案(神部爲藏君外六名提出)
第三百三十四 北海道土地改良に關する建議案(岡田伊太郎君外三名提出)
第三百三十五 北海道土功組合事業助成に關する建議案(松實喜代太君外三名提出)
第三百三十六 報徳社普及奬勵に關する建議案(山宮藤吉君外一名提出)
第三百三十七 鹿兒島縣大島郡救濟に關する建議案(祷苗代君提出)
第三百三十八 社交舞踏取締に關する建議案(加藤知正君外三名提出)
第三百三十九 移動警察制度新設に關する建議案(原夫次郎君外一名提出)
第三百四十 北海道舊土人保護に關する建議案(手代木隆吉君外六名提出)
第三百四十一 重要府縣道改良に關する建議案(生方大吉君外二名提出)
第三百四十二 大日本聯合青年團國庫補助に關する建議案(東郷實君外三名提出)
第三百四十三 兵庫縣警察費國庫下渡金増額に關する建議案(砂田重政君外十名提出)
第三百四十四 警察費國庫下渡金増額に關する建議案(戸井嘉作君外八名提出)
第三百四十五 水道費國庫補助金増額に關する建議案(松浦五兵衞君外十一名提出)
第三百四十六 消防組經費國庫補助竝消防組員優遇に關する建議案(倉元要一君外十三名提出)
第三百四十七 婦人兒童の賣買禁止に關する國際條約に對し帝國政府の留保條件撤廢竝娼妓取締規則改正に關する建議案(星島二郎君外一名提出)
第三百四十八 肥料政策確立に關する建議案(齋藤藤四郎君外五名提出)
第三百四十九 黄色光線應用國立蠶業試驗場設置に關する建議案(篠原和市君外三名提出)
第三百五十 五島珊瑚採取業奬勵に關する建議案(牧山耕藏君外九名提出)
第三百五十一 全國蠶絲業者に對し補成資金融通に關する建議案(佐藤富十郎君提出)
第三百五十二 農漁村の金融に關する建議案(床次竹二郎君外十二名提出)
第三百五十三 國有林の文化的施設に關する建議案(村山喜一郎君提出)
第三百五十四 森林法中改正に關する建議案(東武君外十名提出)
第三百五十五 國有林野所在市町村に對し交付金下付に關する建議案(東武君外十名提出)
第三百五十六 林野基本調査の速行に關する建議案(東武君外十名提出)
第三百五十七 森林火災保險に關する建議案(東武君外十名提出)
第三百五十八 公有林野官行造林事業促進に關する建議案(東武君外十名提出)
第三百五十九 民林局設置に關する建議案(村山喜一郎君提出)
第三百六十 不要存置國有林野整理處分に關する建議案(大島要三君外六名提出)
第三百六十一 森林政策の根本方針確立に關する建議案(太田信治郎君外二名提出)
第三百六十二 小作農保護に關する建議案(床次竹二郎君外十二名提出)
第三百六十三 乳製品國産奬勵に關する建議案(一柳仲次郎君外六名提出)
第三百六十四 株式取引所に於ける二重上場廢止に關する建議案(中山貞雄君提出)
第三百六十五 正米市場法制定促進に關する建議案(作間耕逸君外二名提出)
第三百六十六 正米市場設置に關する建議案(福井甚三君外二名提出)
第三百六十七 勞働會議所設立に關する建議案(松本君平君提出)
第三百六十八 商業會議所法中改正に關する建議案(兒玉實良君外三名提出)
第三百六十九 我か國國號の統一顯正に關する建議案(由谷義治君提出)
第三百七十 陸海軍大臣文官制採用に關する建議案(清瀬一郎君提出)
第三百七十一 恩給其の他の恩典に雇員在職年數通算に關する建議案(青木精一君提出)
第三百七十二 一時賜金癈兵に對する恩給支給法制定に關する建議案(山下谷次君提出)
第三百七十三 朝鮮人訴訟代理業者に辯護士資格付與に關する建議案(田中萬逸君外一名提出)
第三百七十四 朝鮮及臺灣施政調査機關設置に關する建議案(神田正雄君外三名提出)
第三百七十五 帶廣區裁判所に地方裁判所支部設置に關する建議案(小池仁郎君外六名提出)
第三百七十六 室蘭區裁判所に地方裁判所支部設置に關する建議案(手代木隆吉君外六名提出)
第三百七十七 野付牛町に區裁判所設置に關する建議案(小池仁郎君外六名提出)
第三百七十八 呉區裁判所管轄區域變更に關する建議案(渡邊伍君外二名提出)
第三百七十九 倶知安町に區裁判所設置に關する建議案(小池仁郎君外六名提出)
第三百八十 北海道に區裁判所竝地方裁判所支部設置に關する建議案(東武君外三名提出)
第三百八十一 家産制度制定に關する建議案(浦野謙朗君提出)
第三百八十二 刑餘者に對する法令差別待遇撤廢竝之か救治に關する建議案(原夫次郎君外二名提出)
第三百八十三 決議案(議員事務室の設立及圖書館擴張の件)(山口政二君外四名提出)
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001・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 諸般ノ報告ヲセ
シメマス
〔書記官朗讀〕
-議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
琵琶湖ヲ中心トスル國立公園設定ニ關ス
ル建議案
提出者
兼松寅太郞君藤澤萬九郞君
高井商二君
市町村及水利組合ノ用排水施設ニ對シ補
助金下付及低利資金貸付ニ關スル建議案
提出者
大石大君星廉平君
丸龜港改築國庫補助ニ關スル建議案
提出者三善〓之君
田畑地租全免ニ關スル建議案
提出者多木久米次郞君
千葉縣立高等園藝學校移管ニ關スル建議
案
提出者
今井健彥君濱口吉兵衞君
吉植庄一郞君野田俊作君
木村政次郞君森矗昶君
鈴木隆君
(以上三月二十三日提出)
議員ヨリ提出シタル質問主意書左ノ如シ
水産及海運業保護獎勵ノ爲特殊銀行設置
ニ關スル質問主意書
提出者秋田寅之介君
學校〓育ノ方針及水產學校設置ニ關スル
質問主意書
提出者秋田寅之介君
國務大臣彈劾制度樹立ニ關スル質問主意
書
提出者黑住成章君
(以上三月二十三日提出)
一政府ヨリ受領シタル答辯書左ノ如シ
衆議院議員嶋居哲君提出尾道開港場設
置ニ關スル質問ニ對スル答辯書
(以上三月二十三日受領)
尾道開港場設置ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正十五年三月十七日
提出者嶋居哲
尾道開港場設置ニ關スル質問主意書
尾道開港場指定ニ關スル建議案ハ第四十
九囘議會ニ於テ滿場一致ヲ以テ可決通過
シタルハ政府ニ於テモ既ニ認メタルノミ
ナラス當局ハ屢官吏ヲ派遣シ實地調査ヲ
爲シ其ノ必要ナルヲ認メラレタリト信ス
ルカ故ニ吾人ハ其ノ實施許可ノ一日モ速
ナラムコトヲ鶴首セリ然ルニ尙今日ニ至
ルモ許可ノ運ニ至ラサルハ誠ニ遺憾トス
ル所ナリ依テ此ノ際速ニ開港場ニ指定セ
ラレムコトヲ望ムモノナレトモ之ニ對シ
政府ハ如何ニ考慮セラルルヤ詳細ナル答
辯アラムコトヲ望ム
右及質問候也
大正十五年三月二十三日
內閣總理大臣若槻禮次郞
衆議院議長粕谷義三殿
衆議院議員嶋居哲君提出尾道開港場設置
ニ關スル質問ニ對シ別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員嶋居哲君提出尾道開港場設
置ニ關スル質問ニ對スル答辯書
尾道港ハ中國、四國及九州ノ一部ヲ背後
地トスル肥料及雜穀等ノ市場トシテ知ラ
レ現在此等貨物ノ輸入額カ相當多額ニ上
レル事實ニ鑑ミ政府ニ於テモ之カ開港指
定ニ關シテハ相當考慮ヲ爲シツツアルモ
一面隣接糸崎港トノ關係竝尾道港ト同樣
ノ狀況ニ在ル他ノ港トノ權衡モアリテ今
直ニ之ヲ實現セシメ難キ事情アリ依テ將
來豫算等ノ關係ヲモ考慮シ適當ノ時期ニ
於テ開港ノ實ヲ擧ケシメタキ意嚮ナリ
右及答辯候也
大正十五年三月二十二日
大藏大臣濱口雄幸
一去二十日議員ヨリ撤囘セラレタル議案左
ノ如シ
樺太ニ衆議院議員選擧法施行ニ關スル建
議案
提出者
一柳仲次郞君淺川浩君
小池仁郞君澤田利吉君
山本厚三君手代木隆吉君
神部爲藏君
一昨二十三日貴族院ニ於テ本院ノ送付ニ係
ル左ノ議案ヲ可決シタル旨同院ヨリ通牒
ヲ受領セリ
所得稅法中改正法律案(政府提出)
大正九年法律第十二號中改正法律案政
府提出)
地租條例中改正法律案(政府提出)
明治三十七年法律第十二號中改正法律案
(政府提出)
營業稅法廢止法律案(政府提出)
營業收益稅法案(政府提出)
資本利子稅法案(政府提出)
相續稅法中改正法律案(政府提出)
通行稅法廢止法律案(政府提出)
酒造稅法中改正法律案(政府提出)
酒精及酒精含有飲料稅法中改正法律案
(政府提出)
麥酒稅法中改正法律案(政府提出)
醬油稅則廢止法律案(政府提出)
自家用醬油稅法廢止法律案(政府提出)
織物消費稅法中改正法律案(政府提出)
賣藥稅法廢止法律案(政府提出)
骨牌稅法中改正法律案(政府提出)
〓涼飮料稅法案(政府提出)
大正九年法律第五十一號中改正法律案
(政府提出)
地方稅ニ關スル法律案(政府提出)
明治四十一年法律第三十七號中改正法律
案(政府提出)
〓育改善及農村振興基金特別會計法中改
正法律案(政府提出)
農業倉庫業法中改正法律案(政府提出)
市町村義務〓育費國庫負擔法中改正法律
案(本院提出)
〔左ノ報告ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲茲ニ
掲載ス〕
一昨二十三日常任委員補關選舉ノ結果左ノ
如シ
第二部選出
懲罰委員秋田〓君(濱田國松君
補闕)
第八部選出
懲罰委員砂田重政君(西方利馬君
補閱)
一昨二十三日委員長及理事互選ノ結果左ノ
如シ
大正十三年法律第十號中改正法律案〓〓
等諸學校震災復舊諸費ニ屬スル豫算ノ施
行ニ關スル件)(政府提出)委員
委員長上原好雄君
理事
山枡儀重君中島守利君
大正十三年度第一豫備金支出ノ件外七件
(承諾ヲ求ムル件)委員
委員長阿由葉勝作君
理事
寺島權藏君石坂豐一君
津崎尙武君
一昨二十三日大正十三年度第一豫備金支出
ノ件外七件(承諾ヲ求ムル件)委員田崎信
藏君辭任ニ付其ノ補闘トシテ〓瀨一郞君
ヲ、大正十三年法律第十號中改正法律案
委員志村〓右衞門君土生彰君辭任ニ付其
ノ補闕トシテ宮島幹之助君中野猪之助君
ヲ、都市計畫法中改正法律案委員中島守
利君橫山一格君田崎信藏君辭任ニ付其ノ
補關トシテ宮崎三之助君杉浦武雄君土屋
〓三郞君ヲ孰レモ議長ニ於テ選定セリ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=1
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002・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 是ヨリ會議ヲ開
キマス、議事進行ニ關スル發言ノ通告ガア
リマス-田淵豐吉君
〔田淵豐吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=2
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003・田淵豐吉
○田淵豊吉君 諸君、私ハ議事進行ニ付テ
諸君ニ暫クノ間御〓聽ヲ願ヒタイ、ソレハ
色ニナ關係ヲ持ッテ居リマス、大臣ノ職責カ
ラ、議長ノ職責、議員ノ職責、議院法ヲ如
何ニ規定シ如何ニ解釋スベキカト云フ所ノ
問題、及歲費增加案其モノニ付テ暫ク
述ベテ見タイト思フノデアリマ、スドウカ
暫ク御〓聽ヲ願ヒタイ、私ハ神聖ナル議會
及神聖ナル日本ノ議院ノ事務局ガ、其責任
タル所ノ議長ガ色ミノ術策ヲ講ジ、大臣ガ
非常ナル術策ヲ講ジテ、サウシテ神聖ナル
議員ノ提案ヲ阻止セントシ、非常ナル所ノ
惡戰苦鬪ノ結果妙ナ所ノ亂闘ヲシ、或ハ幹部
ノ辭職トナリ、或ハ議員ノ辭職トナッテ、
非常ナル混亂ヲ來シタ所ノ原因ニ付テ、諸
君ハ十分ナル所ノ〓究ト、相當ナル所ノ改
造ヲ此議會ニ加ヘナケレバナラヌト云フ爲
ニ、議事ノ進行ニ立ッタノデアリマス、ソ
レハ何カラ起ッタカト云フト、歲費增額案
ニ付テ私ハ考ヘタノデアリマス、暫ク御〓
聽ヲ願ヒタイ、私ハ今總理大臣若槻君、竝ニ
遞信大臣安達君ノ出席ヲ求メタノデゴザイ
マスガ、貴族院ニ行シテ居ルト云フコトデ
御出席ガナイヤウデゴザイマス、少シク前
後ノ關係モ述ベテ見タイト思ヒマス、是ハ
月程前カラ話ニナッテ居タノダガ、非常
ニ幹部ガ壓迫シタラシイノデゴザイマシ
テ、一箇月モ前ニ出ルベキモノガ、非常ニ
遲レテ、漸ク一週間程前ニ之ヲ出シタヤウ
ナ狀態ニナッタト私ハ思ヒマス、是ハ各黨
カラ出シテ居ル所ノ案デアリマスガ、各黨
ト云フ黨ノ機關ニ掛ケナイデ、任意ニヤッ
タト云フコトニナッテ居ルノデゴザイマス、
所ガ幹部ガ之ニ對シテ阻止セントシ、內閣
ガ憲政會ノ幹部ニ賴ンデ、幹部ヲシテ極力
之ヲ鎭壓スル爲ニヤッタラシイ、又政友會、
本黨及憲政會幹部等ガ互ニ相談シテ、之ヲ
壓迫シヤウヂヤナイカト言"テヤッタト云フ
形跡ガアルヤウニ思ハレルノデゴザイマ
ス、而シテ議員ノ提案ヲ阻止セントスルト
云フコトハ、如何ニモ心得ヌコトデアルト
私ハ思フ、今日ノ內閣、今日ノ幹部ハ陣
笠ダト思シテ非常ニ壓迫シテ、虱潰シデア
ルト云フヤウナ言ヲ吐イタトカ、吐カヌト
カ言ウテ居ルト云フコトハ如何ニモ幹部
專制ノ餘弊ガ起シテ、其爲ニ幹部彈劾ノ聲ガ
方々ニ起ノテ居ルト云フコトヲ聞イテ居ル
ノデゴザイマス、ノミナラズ神聖ナル所ノ
議長-此小泉副議長ガ過日ノ議會ニ緊急
上程ヲスルコトニナッテ居ッテ、緊急動議ヲ
提出シタニ拘ラズ、七時何分カニ急〓散會
トカ延會トカ言ウテ逃ゲテシマッタト云フ
コトデゴザイマス、小泉君ハ情ノ人デ、決
シテ腹デ惡イ事ヲシヤウト思フ人デモゴザ
イマスマイケレドモ、是ハ憲政會ノ幹部ト
結託シタ結果、議長ガ此神聖ナル議場ヲ汚
シタノデハナイカト私ハ思フノデゴザイマ
ス、之ニ對シテ小泉君ニ、何故アヽ云フコ
トヲシタカト聞キマシタラ、ソレハ餘リ善
イトモ思ハナカッタガ、ドウモ仕方ガナイ
カラ、彼處デ責任ヲ持ッテヤッタト言ハレタ、
其貴任ハ如何ニ御執リニナルカト云フコト
ヲ私ハ聞キタイノデアリマス、同時ニ議院
ノ事務局ガ此間私ガ行キマシタ時ニ、之ヲ
受理シナガラ-是ハ私ハ書記官長ニ聞キ
タイ-書記官長ニ聞イタ所ガ、ソレハ既
ニ議事課ニ廻シテ居ルト云フコトデ、議事
課ニ行シテ吳レト言フ、議事課ニ行ッタ所ガ、
議事課ニハ來テ居ナイ、祕書課ニ行ケト行
フノデ祕書課ニ行ッタ、祕書課デハソンナ
モノヲ受取シタ事ハ知リマセヌト云フコト
デ、ソレハ分ラヌト云フ、サウシテ二十分
モ祕書課ノ人ガ調ベテ見マスト云フテ見エ
ナクナッタ、ソレデ又議事課ニ行シテ見タラ、
議事課ニハ來テ居ナイト云フ、サウシテ井
上君ニ會シテ話ヲシタ所ガ、實ハサウ云フ
事モアルノデセウケレドモ、新聞記者ガ折
折貸シテ吳レト言フテ持ッテ行クコトモア
ルカラ、取調ベテ見ルカラ待シテ吳レト言
フ、而シテ他ニ行シテ調ベタ所ガアッタト云
フコトデ、初メテ正式ニ議事課ニ受理シタ
コトヽナッタ何故カ、此神聖ナル議院ノ事
務局ガサウ云フコトヲシテ、吾々ノ提出シ
タモノヲバ直グ印刷ニ廻ハストカ、エルン
帳面ニ附ケテ受理シタト云フコトヲ明ニシ
ナイノデアリマス、斯ノ如キ事ハ唯〓單ニ
歳費ノ小ナル問題デハナイ、如何ニ此議院
ガ腐敗墮落シテ居ルカト云フコトノ立證デ
アルト思フノデゴザイマス、ノミナラズ小
泉副議長ハ黨ノ幹部ト結託ヲシテ、此問題
ヲ阻止シテヤラウト、チヤント腹ヲ決メテ
居ルノデアラウト云フコトハ、私ハ斷言シ
テモ差支ナカラウト思フノデアル、サウシ
テ責任ヲ執ルト云フガ、如何ナル責任ヲ御
執リニナル積リカト云フコトヲ私ハ聞キタ
ィ、第二ニ私ハ聞キタイコトハ、安達謙藏
氏ハ過日此議場ニ於テ、永田君ノ知ッタ事
デハナイ、彼ノ言フコトハ聽クナト言ッテ
橫山金太郎君ニ命令シテ居ルコトヲ私ハ聞
イタ、ノミナラズ彼ハ憲政會ノ選擧ノ時ナ
ドニ金ノ出納ニ當クテ居ル人デアラウト私
ハ思フ、サウ云フ人カラ壓迫ヲ受ケテ居ル
ヤウニ吾々ハ感ゼラレル、事實ハ分ラヌケ
レドモ而シテ安達謙藏氏ハ色〓ノ黨
員ニ就テ壓迫ヲシタ所ノ事實ガアルト云フ
コトヲ私ハ聞イテ居ル、ノミナラズ昨日ノ
代議士會、一昨日ノ代議士會ニハ此議論ガ
有耶無耶ニ濟ンデ、ソコデ議會ニ掛ケレバ
通ルニ違ヒナイ、危ナイカラト言ッテ、副議
長ガ專斷デ逃ゲテシマッタト云フコトデア
ル、サウシテ翌日何ヲスルカト云フト、晩
カラ電報ヲ打シタト云フコトヲ聞イテ居ル、
サウシテ安達謙藏氏ガ昨日ノ代議士會デ、
聞ク所ニ依リマスト是ハ憲政會代議士
ノ永田善三郞君ノ言明デ私ハ昨日聞イタ、
其時列席シタ人ハ十名位アッタ、此時何ト
言ハレタカト云フト、戶田君ト永田君ガ、
僕ハ承諾シナイモノヲ安達君ガ承諾シタト
云フコトヲ代議士會ニ報告シテ、彼等ハ
モウ宜イ、納得サシテ居ルカラト云フコト
ヲ代議士會ニ承認ヲ求メテ、サウシテ個人
ノ切崩シガイケナイト見タモノデアルカ
ラ、壓迫的ニ幹部ガ黨議デコイツヲ潰シテ
シマノテ、サウシテ處僞ノ報告ヲシテ代議
士會デ決定シタト云フノデアル、憲政會
ニ若シ〓骨ノ男子ガアルナラバ、斯ノ如キ
虛僞ノ黨議ハ斷ジテ受ケヌト云フベキデア
ルノニ、憲政會ノ連中等ニハ一人モ〓骨男
子ガナイト云フコトヲ私ハ斷言シテ憚ラヌノ
デアル(「ソンナ鯁骨男子ハナイ」ト呼フ者ア
リ)而シテ永田君、戶田君ハ、ソレハ後カラ自
分ハ承諾シマシタ、實ハ總理大臣ノ官邸ニ行
ッテ居ノタリ、其他ノ事デ忙シカッタカラ外ニ
出テ居シタ留守ノ間ニサウ云フコトニナッ
タ仕方ガナイ、內閣ノ瓦解ヲ來シテモ惡
イシ、紛擾モ起シテモ惡イカラ、責任ヲ帶
ビテ仕事ガナイカラ承諾ヲシタト言ハレテ
居ル、諸君是ハ何タル事デアルカ、遞信大
臣ノ現職ニアル所ノ人ガ、色〓ノ利益關係
ヲ持シテ居ル人ニ違ヒナイト思フ、又黨派
ノ關係ニ於テ金ノ出入ヲスル人カラ、選擧
費ヲ貰シタトカ貰ハヌトカ、餘計出シテヤ
ルトカ云フコトデソレヲ勸誘シタト云フヤ
ウナ事ガ若シ有リトスルナラバ、憲政上由々
敷キ大問題デハナイカト私ハ思フノデゴ
ザイマス(「ヒヤ〓〓」)故ニ私ハ安達謙藏氏
ノ出席ヲ求メテ此眞相ヲ明ニシタイト思フ
ノデゴザイマスガ、出席ガ出來ナイト云フ
ナラバ、是ハ後カラ私ハ願ヒタイノデゴザ
イマス、ソレカラ第三ニハ私ハ現總理大臣
ノ若槻禮次郞氏ニ聞キタイノデス、總理大
臣ハ苟モ一國ノ國政ノ根本ヲ今日ニ於テハ
託サレテ荷ッテ居ル人デアルト吾々ハ思フ、
此人ガ永田善三郞君、戶田由美君其他七
八名ノ人ヲ呼寄セテドウ力止メテ吳レ、貴
族院ニ於テ緊縮方針ノ今日、政府ハヤルカ
ヤラナイカト云フ時ニ、私ハヤラヌト答ヘ
テ居ル、ソレヲ此方ノ黨員ガヤッテハ大變困
ルサウシテ政友會アタリカラ-貴族院
カラ、ソレデ政黨内閣ガ勤マルカト言ハレ
夕時ニ困ルカラト云フノデ、平身低頭シテ
之ニ賴ンダト云フコトヲ聞イテ居ル新聞
ノ報ズル所ニ依ルト、內閣ヲ瓦解シテモオ
前ハヤル積リカト云フ一喝ヲ喰ハシタト云
フコトヲ、嘘カホンマカ知ラヌケレドモ言
フテ居ル、相當强ク强要シタモノデアラウ
ト私ハ思フ、若シモ諸君、假ニ司法大臣-
色ミノ取調ノ權能ヲ持テテルル人ガ議員ヲ
官邸ニ呼ンデ、オ前ハドウシテ吳レルカト
云フコトヲ諧ヲキツクシテ言ウタ時ニハ
大抵ノ代議士ハソレデハ應ジマセウト云フ
コトニナラヌトモ限ラヌノデゴザイマス、
一國ノ司法大臣ガ-今日ハサウ云フ事ハ
ナカッタケレドモ、若シサウ云フコトヲシ
タナラバ、立憲政治ト云フモノハ何ニ依ッテ
國民ノ負託ニ副フコトガ出來マスカ、諸君、
緊縮方針ト雖モ二千万圓ノ金ヲバ唯〓造船
所トノ契約ニ基イテト云フダケデサヘモ出
サウトシテ居ルヤウナ事ヲヤッテ居ル、頓
珍漢ノ事ヲシテ居ルノニ、唯名ヲ緊縮方
針ニ藉リテ幹部ガ之ヲ壓迫シ、或ハ首相官
邸ニ呼付ケ、或ハ安達君ガ之ヲ强要シテ、
サウシテ代議士會ニ虛僞ノ報告シテ黨議デ
ヤルト云フヤウナコトハ、如何ニモ立憲政
治ノ腐敗墮落ヲ現實ニ現ハシテ居ルモノト
私ハ固ク信ズルモノデアリマス、ノミナラ
ズ小泉副議長ガ憲政會ニ居ッタト云フコト
ヲ以テ、御人好シト言ハレルヤウニ、憲政
會ノ言フ事ニ唯々諾々トシテ、此神聖ナル
議場ヲ蹂躪シタト云フコトハ、吾々ハ斷ジ
テ許サナイト思フノデゴザイマス、諸君ノ
御考ハ如何ニト私ハ聞キタイ、サウシテ其
所ニ列席サレテ居ル所ノ三木武吉君ハ極力
反對シタノデアル、而シテ政務次官ノ月給
ハドウスルカト云フカラ、政務官ハ何方デ
モ取ルガ宜イ、政務官ハ五千二百圓デ、六
千圓トスルト八百圓少クナル、餘計働イテ
八百圓少クハ困ルト云フヤウナコトヲ洩ラ
サレタ、ソレデハ不公平デアルカラト云フノ
デ、吾々ハソレニ對シテハ現在ノ規定ヲ
削テ、何方デモ取レルト云フヤウニスレ
バ俸給ガ多クナレバ俸給ノ方モ取レルヂ
ヤナイカト云フコトニシタ、併ナガラ參與
官ノ諸君ハ是デハ不服デアル全部ヲ削ラ
ナケレバイカヌ、詰リ歲費モ貰ヒタイ、而
シテ官吏ノ俸給モ貰ヒタイト云フコトヲ他
ノ參與官ハ洩ラシタ、現ニ三木君ハ其點ニ
付テハツレガ先決問題ダナント云フコトヲ
言ッテ居ル、是一三木君ノ惡事ヲ云フノデ
ハナイ、三木君ハ大藏大臣ノ緊縮方針ノ下
ノ下僚デアル、故ニ是ハドウシテモ立テナ
ケレバナラヌト云フコトヲ思フタノデハナイ
カ、併ナガラ昨年三木君ハ私ガ大藏省デ會ノ
夕時ニ、自分ハ蔵費增額ニ反對デアルト云
フコトヲ言明シタコトハ事實デアリマス、
併ナガラ脫黨ヲ賭シテマデモ反對ヲスルト
云ッテ堂員ヲ强要シタコトハ吾々ハ見遁ス
コトハ出來ナイト思フノデアリマス、ソレ
ハ君ノ勝手デアルケレドモ-サウ云フヤ
ウナ工合ニ受付ニ於テモ、議事課ニ於テモ、
或ハ小泉副議長ノ遣方ニ於テモ、或ハ又遞
信大臣ト云ヒ、若槻禮次郞君ト云ヒ、實ニ
今日ハ政黨内閣デアル、政黨内閣デアルカ
ラ良イ事モゴザイマセウケレド七、政黨内
閣ニハ斯ノ如キ腐敗隨落ガ伴フト云フコト
ヲ諸君ハ知ラナケレバイカヌ、實ニ此結果
ト云フモノハ議員ヲ强契シテ、或意味ニ於
テ或ハ金ヲヤリ、權利ヲヤル、斯ウ云フコ
トヲシタラ、ドウ云フ請託デモ僅カ一分間
經タヌ中ニ相通スルカモ知レナイ、斯ノ如
キ問題ヲ生ズルト云フコトハ、吾々ハ現代
ニ於テ强イ監視ノ眼ヲ睜ラナケレバナラヌ
ト思フノデアリマス、故ニ此意味ニ於テ私
ハ小泉副議長竝若槻禮次郞氏ニ對シテ、又
安達謙藏氏ガ虛僞ノ報告ヲシタト云フコト
ヲ永田君ヤ戶田君カラ聞イタ、而シテ此義
員ニ强要的ノ事ヲヤッタト云フコトハ如何
ナル關係デアルカト云フコトヲ吾々ハ聞カ
ナケレバ、到底此神聖ナル議會、及立憲政
治ガ行ハレルモノデナイト云フコトヲ
私ハ國民ノ前ニ明ニ言ヒ放チタイト思フノ
デゴザイマス、ソレカラ私ハ此議案ノ事ニ
付テ言ヒタイ、ソレハ最初二百六十名ノ反
對者ガ出來マシテ、サウシテ五十名程取ラ
レテシマッテ、二百六名ノ賛成者ガ殘ッタト
云フコトデアル、所ガ又憲政會ガ裏切シテ
來タト云フノデ、本黨及政友會ノ人ハ之ヲ
取消サウト云フヤウナコトハ如何ナル關係
デアルカ、苟モ立憲政治ニ於テ署名シテ堂
堂ヤル以上ハ、他黨ガ如何ナルモノデアラ
ウト、政友會、本黨ノ人ガ何故ニ取消ヲシ
ヤウトスルノデアリマスカ、此次ニ立ツ者
ハ誰ガヤルカハ知ラヌガ、此辯明ヲ聽イテ
モ、併シ私ハ反對デアル、今日マデ同ジ行
動ヲ取シテ來マシタガ、サウ云フヤウナ變
節的行動ヲ爲サレテモ提出者ノ一人タル私
ハ責任上撤回スルコトハ吾々ハ政治道德上
參ラナイ、故ニ此案ヲ撤回スルコトハ出來
ナイト思ヒマス、政友會ヤ憲政會ヤ、本黨
ハ何ガ故ニ之ヲ取消サウトスルノデアル
カ、取消シテアルカナイカ知リマセヌガ、
憲政會ガ惡イ、背信行爲ヲシタト言フテ、
他人ガ惡イ事ヲシタカラ、我モ惡イ事ヲス
ルト云フコトハイカヌト思フノデゴザイマ
ス、斯ノ如ク多數ノ署名ガアリ、一面ニハ大
變堂々ト名ヲ連ネラレテ居リマスケレドモ、
一面カラ言ヘバ一人ヤルノハ怖イカラ、大
勢伴連レニナッテ行カウト云フノデハナイ
カト云フコトヲ吾々ハ恐レタノデアリマス、
諸君、歳費ガ必要デアルナラバ二十人デモ
三十人デモ斷乎トシテ進メバ宜イノデア
ル、必ズシモ多ク二百名モ名ヲ連ネルト云
フコトノ必要ハナイト云フコトヲ言ッタノ
デアリマス、斯ノ如ク名ヲ連ネラレテ居ル
者ガ、續々署名ヲ取消スト云フコトハ、帝
國議會ヲ弄ンデ居ルモノデハナイカト思
フ、諸君ハ隠密ノ間ニヤラウトシテモ、天
下國民ハ眼ヲ睜シテ居ル、斯ノ如ク帝國議
會ヲ愚弄スル所ノ諸君ハ、悉ク相當ノ懲罰
ニ値スベキコトヽ私ハ信ズル、諸君、此歲
費ノ增額タルヤ是ハ犯罪行爲デハナイ、正
正堂々吾々ハ國民ニ向,テ主張シテ居ルノ
デアル、英國ニ於テハ上院議員ハ少シモ金
ヲヤッテナイ、下院議員ニハ十年程前ニ勞
仁諦員ガ出テ、歳費ヲ附與シタト云フコト
デアリマス、而シテ近年ハ汽車賃モ或程度
マデ拂ウト云フヤウニ、段々世界ノ大勢ガ
議院ヲ重ク見ルト云フ事ニナッテ、費用ガ
掛ルト云フコトニナッテ來テ居ル、諸君、
議員ト云フモノハ、唯〓單ニ暮シト云フコ
トデハナイ、暮シト云フコトノ一ツノ保證
ヲスルト云フコトモアリマセウケレドモ、
同時ニ議員ノ任務ト云フコトニ向ッテ、其
費用ヲ辨ズル爲ニ國家ガ出シテ居ルト私ハ
思フノデゴザイマス、明治二十三年八百圓
制定ノ當時ハ、伊藤公ガ頭ヲ惱マサレテ、
俸給トモ何トモ付ケナイ、歲費ト云フ別ノ
名ヲ書イテ居ル、其理由書ハ今尙ホ殘シテ
居ルカ分ラヌガ、井上匡四郞氏ノ宅ニアルカ
ト云フコトデアル、其後星亨氏竝橫田千之
助氏ノ提案ニ依ッテ二回ノ變革ヲ經テ居
ル而シテ此前ノ八百圓カラ二千圓ニ、
二千圓カラ三千圓ニ增シテ居ルト云
フヤウナ狀態デアル、其時ニハ二倍ニ
選擧權ガ擴張サレタ時デアッテ、今度四倍
ニ之ヲ擴張サレタト云フヤウナ時ニ際シテ
立憲政治ヲ益、議院ヲ通ジテヤルト云フャ
ウナ時ニ、大ニ此問題ハ重要ナル問題デア
ルト云フコトハ、內閣諸公及總テノ人ガ知
ラナケレバナラヌ、下級官吏ガ何カドウス
ルト云フ問題デハナイ、モット痛切ナ問題
デアル、最初一人ノ有權者ガ衆議院ヲ支ヘ
ル爲ニハ六十錢位デアッタ、三十二年ニモ
矢張六十錢位デアル、此前ノ大正九年ノ改
正ニ於キマシテハ四十五錢位ニナッテ居ル、
今度ノ此有權者ガ千四百万トスレバ一人ハ十
錢シカ掛ラヌ、衆議院ニ持ッテ行ク費用ヲ
之ヲ六千圓ニ增シテモ一一十錢シカ掛ラヌコ
トニナルノデアリマス、尙又貴衆兩院合セ
レバ四十錢位デ國會ヲ支ヘル爲ニハ五十錢
以內デヤルコトガ出來ル、而シテ陸海軍ノ
費用ハ四五億デアル、有權者千四百万人ト
スレバ、一人ニ付キ卽チ大體ニ一家族ニ割
當テマスレバ、約三十圓位ト云フモノガ
軍事費ニ掛シテ居ルノデアル、我帝國議會
ヲ支ヘルノニ四十錢カ五十錢デ高イト云フ
コトハナイ、一方ニハ二、三十圓ノ金ヲ掛
ケテ居ルノハ一朝國難ニ際シテ要スル所ノ
モノデアルガ、每日斯ウシテ居ル所ノ議員
ヲ輕視シテ居ルト云フコトハ、國民ハ非常
ニ馬鹿ナモノデアルト云フコトヲ斷言スル
コトヲ憚カラヌト思フノデアリマス、堂々
タル新聞ガ何等社會ノ〓貝情ニ通ジナイ、唯、
批評ヲシテ每日ボロ新聞ヲ拵ヘル、サウ
シテ惡罵ヲシテ神聖ナル議會ヲ汚サウト云
フコトハ是レ懲罰ニ値スル問題デアルト
私ハ信ズル者デゴザイマス、堂々タル新聞
ノ其論調ヲ見テ、內閣諸公ヤ憲政會ノ諸公
ハ恐レルカモ知レナイガ、新聞ナルモノハ
恐ロシイモノデハナイ、吾々議政壇上ニ立ツ
以上ハ天下ニ惡イト云フコトデナイナラバ、
決シテ斯ンナコトヲ取消ス必要ハナイト云
フコトヲ確ク信ズル者デゴザイマス、後來
ハ必ズ歲費ノ增額ト云フコトハ起リ、玆
二年ノ間ニ六千圓ニナリ、六千圓ガ必ズ七
八年後ニハ一万圓ニモナルト云フコトヲ吾
々ハ茲ニ斷言シテ憚ラザル所以デゴザイマ
ス、新聞記者諸君ヨ、實ニ低級ナル卑劣ナ
ル考ヲ以テ吾々ヲ攻擊シヤウトシテモ、眞
實ノ前ニハ彼等新聞ノ如キハ殆ド何デモナ
イ、斯ウ云フヤウナ碌デモナイ劣等ナル新
聞紙ニ恐レテ、內閣ノ諸公及議員ガ變說改
論スルト云フコトハ、何タルコトデアル、此
神聖ナル議會ハ眞面目ノモノト私ハ思フノ
デゴザイマス、詰リ今日此案ヲ恐レテ居ル
ノハ、與黨內閣ヲ持シテ行ク所ノ人ト、ソレ等
幹部ト、他黨ノ幹部ト、相當ニ金ノ入ル人
ト、サウシテ金持議員ガ反對スルト云フコ
トハ明カナル事實デアル、貧乏ノ者、吾々
ノ如キ素手デ以テ行シテ、殊ニ家產ヲ殆ド蕩
盡シヤウトシテ居ル所ノ者ハ得ル所ト失
フ所ト何レカハッキリ分ッテ、而シテ吾々ノ
進ム所ハ〓廉デアッテ、亠〓憲政體ノ基礎ヲ確
定スルノデアルト云フコトハ決シテ斷言
シテ憚ラヌノデゴザイマス、故ニ吾々ハ立
法府ノ費用ヲ二三千万圓ニ增シテ、相當ノ
設備ヲシナケレバナラヌ、議院ノ建築ハ明
治二十年代ニハ二十五万圓デアル、今日建
テタモノハ約三十年前ニハ二十五万圓ノモ
ノガ、今日ハ二百万圓ニナッテ八倍ニナッヲ
居ル、而シテ建築物ガ惡クナッテ居ルノデア
ル、而シテ選擧氏モ五六十万人ノモノガ千
四百万人デアル、今日ハ普通選擧ガ來ラン
トシテ居ルノデアル、勞働者ガ出テ來ナケ
レバナラヌト云フ際ニ、富豪諸君、幹部諸
君ガ是等ノ人ヲ壓迫シヤウトシテモ、歳費ノ
增額ニ反對シヤウト云フモノハ、日本ノ民
權思想ヲ毒スルモノデアルト斷言シテ憚ラ
ヌノデゴザイマス、現代ノ新聞紙悉ク然リ、
彼ハ現代ノ輿論ノ痛烈ナル要求ニ耳ヲ藉ス
コトガ出來ナイデ、唯〓新聞ヲ多ク賣ラウ
ト云フコトニ沒頭シテ居ルト云フコトハ
如何ニ腐敗墮落シタ新間紙デアルト云フコ
トヲ、諸君ニ警告シタイト思フノデゴザイ
ママ、議員ハ唯單ニ食フダケデハナイ、自
動車ヲ買フニハ五千圓ノ金ヲ要スル、然ラ
バ少クトモ一箇年三千圓ノモノハ運轉手或
ハ「タイヤ」或ハ油ガ要ルノデゴザイマス
少クトモ四年間無解散デアッテモ日本全體
デ總選舉ニハ四千万圓ノ金ガ掛ルノデア。
ル、故ニ之ヲ五百人ノ議員數トスレバ議
員一人ニ付キ八万圓掛ルノデアル、然ラバ年
ニ運轉費用トシテ三割ノモノヲ掛ケテモ矢
張二万四千圓ハ必要デアル、議員ハ掛軸デ
ハナイ、庭園デハナイ、之ヲ動カス所ニ於
テ、始メテ大ナル國家ノ事件ガ成立ツモノ
デアリマス、僅々三千圓ノ歳費ヲ得テ居ル
貧乏ナ者ガ集ノテ居ルカラ、玆ニ査問會ガ開
カレナケレバナラヌコトニナルノデアル、
或ハ鐵道問題、或ハ造船所ノ問題、殊ニ今
度ノ補償ニ二千万圓ノ金ヲヤラウト云ッテ
而シテ恬トシテ恥ヂナイモノガ、緊縮方針
ヲヤッテ居ルナドト云フコトハ何タルコ
トデアルカト私ハ思フ、斯ノ如キ狀態デ、
議會ハ悉ク腐敗墮落シ、新聞紙ガ墮落シタ
山崎、之ヲ恐レテ默スルナラバ、何人ガ立ッ
テ此議政ヲ談ズルコトガ出來ルカ、故ニ私
ハ此議員ノ歳費ヲ曾サナイト云フコトハ
貧民ノ階級ヲ議會ニ出サナイト云フコトノ
一ツノ精神ニナッテ居ルノデアッテ、國民ハ
決シテ心カラ之ニ賛同スルモノデナイト云
フコトヲ断言シテ憚ラヌ、斯ウ云フコトニ
付テ、何ガ故ニ內閣諸公ガ俗論ヲ恐レ-
間違ノタル俗論ヲ恐レ、新聞紙ヲ恐レルノデ
アルカ、若シ自己ノ名譽ヲ全ウスル爲ニ反
對シ、此案ヲ阻止セントスルナラバ、正々堂
堂ト此議會ニ於テ、其非ナル理由ヲ述ベナ
イノデアルカ、何ガ故ニ此議政壇上ヲ通シ
テ言ハズシテ、彼等ヲ隱密ニ官邸ニ招致シ、
或ハ虚偽ノ報告ヲ致シテ、而シテ代議士會
ニ臨ミ、而シテ彼等ヲ强要スルト云フコト
ハ、是レ憲政ノ敵デアルト斷言シテ憚ラヌ、
官吏ニ非ザル所ノ小泉副議長ハ、議長席ニ
若イテ幹部ト結托シテ、面シテ此議會ノ散
會ヲ宣告シ、此案ヲ通サヌヤウニシタト云
フコトハ是レ卽チ議會ノ神聖ヲ汚シタモ
ノデアルト斷言シテ憚ラヌ、斯ノ如キ事情
ニ於テハ、吾々ハ到底忍ブコトガ出來ナイ、
吾々ハ敢然起テ憲政ノ爲ニ鬪ハナケレバナ
ラヌ、此議事規則ニ於キマシテハ「議員ノ
發議ニ係ル議案及動議ノ撤囘ハ發議者全部
ヨリ之ヲ請求スヘシ」ト云フコトガアル、故
ニ池ノ賛成者ガ皆取消シテモ、發議者デア
リ、提出者デアル私ガ一人デモ取消サナイ
以上、此衆議院規則ヲ蹂躪セスシテハ決シ
テ是ハ取消又ハ撤囘スルコトハ出來ナイ、
祕書課ニ於テ聽ク所ニ依リマスト、此案ハ
撤回ハ出來ナイケレドモ、自然消滅ニ成ル
カモ知レヌト云フ、若シ賛成者ガ二十名以
下ニ減ルナラバ、自然消滅ニナルカモ知レ
ヌト云フコトヲ言ハレテ居ル、而シテ諸君、
議院法ノ第二十九條ニハ「凡テ議案ヲ發議
シ及議院ノ會議ニ於テ議案ニ對シテ修正ノ
動議ヲ發スルモノハ一一十人以上ノ賛成アル
ニ非サレハ議題ト爲スコトヲ得ス」トナッテ
居ル、ソコデ林田龜太郞君ニ聞ケバ、此議
題ト爲スト云フコトハ、ソコニ受理シタト
キカラ始ッテ居ッテ、議長ガ開クト言ハレナ
クテモ、ソコニ議題ト成ルベキモノガアル
ト云フコトヲ言ハレテ店ル、是レ重大問題
デアリマス、玆ニ「コントラヂクト」····矛
盾ヲ只今ノ解釋ニスレバ爲シテ居ル、撤回
スルコトガ出來ナイ、發案者ガ四人アッテ、
一人デモ反對ガアレバ撤囘スルコトハ出來
ナイ、二十人ノ中デ一名デモ缺ケタラ、是
ハ自然敬囘、卽チ消滅ニナルト云フ、若シ
諸君ガ考ヘルヤウデアレバ、此議院法及議
事規則ノ「コントラヂクシヨン」卽チ矛盾ヲ
如何ニスルカト云フ問題デアッテ、之ニ就
テハ小泉副議長ニ問ヒタイ····議長ニ問ヒ
タイ、然ラザレバ非常ナ惡弊ガ起ル、例へ
バ茲マデ既ニ提出シテ居ルノニ、其間ニ議
事課ニ於テ彼方ヘ行,タリ、此方ヘ行シタリ
シテ居ル、又外ノ人ガ來テ其間ニ搔廻シテ
行クコトハ非常ニ立憲政治ニ惡イ弊害ガ
起ルト思フ、斯ウ云フ事ガ是マデ澤山アッタ
ケレドモ、諸君ガ言ハナカッタコトヽ思フ、
發議者ガ取消サナクテモ撤回ノ出來ルモノ
ナラバ、發案人ノ保證人トモ云ハウカ、附
添人ニナッテ居ル所ノ賛成者其人ガ二十名
賛成シテ居シテ、一分前或ハ五分前ニ私ハ反
對デゴザイマスト申セバ玆デ發議スルコ
トハ出來ナイト云フコトニナッテ、賛成者ガ
如何ナル非常ナ暴威ヲ振ハヌトモ限ラヌ、
故ニ二十名デ宜イノデアリマスガ五十名拵
ヘテ居ル、二十名カ二十五名ト云フコトニ
ナレバ、四五名逃ゲラレルトンレガ出來ナ
イデ、會期ノ切迫ノ時ハ到頭止メラレテシ
マっ、實ニ危イコトデアル、故ニ林田龜太
郞君ノ解釋ニ從ヘバ、モウ既ニ提案シタト
キニハ議題ト爲スコトニナッテ居ルカラ、
誰モ動カスコトガ出來ナイ、發案者ガ全部
賛成シナケレバ動カスコトハ出來ナイ、若
シ其案ニ反對ノ意見ガアルナラバ、其人ハ
堂々ト輸〓ヲ爭フコトガ出來ル、諸君ハ議
場ニ於テ公明正大ニ之ニ反對スルナリ、賛
成スルナリ出來ルノデアル、諸君ハ賛成デ
アリナガラ-可哀相ニ諸君ハ贊成デアリ
ナガラ、大臣ガ之ニ反對スルト云フノデ、
此案ガ上程サレズニ潰レルト云フコトデ、
諸君ノ面目ヲ如何ニスルノデアルカ、諸君
ハ歳費ヲ取ラウト云フノデ、等シク賛成シ
タノデハナイカ、玆ニ之ヲ讀上ゲテ見マセ
ウ、提出者中林友信、兒玉右二、永田善三
郞田淵豐吉、賛成者工藤鐵男、加藤鯛一
平野光雄、服部英明、杉浦武雄、土生彰、
谷口字右衞門、齋藤金吾、信太儀右衞門、
鹽田〓平、山宮藤吉、村上紋四郞、淺川浩、
山枡儀重、谷口源十郞、加藤十四郞、戶澤
民十郞、菅原英伍、中馬興丸、奥村千藏、
中村貞吉、手代木隆吉、中野寅吉、近藤重
三郞、栗延敬太郎、室木彌次郎、山口嘉七、
紺野九右衛門、中野猪之助、大里廣次郞、
吉原義雄、下元鹿之助、寺島權藏、戶田由
美、作間耕逸、關矢孫一生方大吉、金澤
安之助、澤田利吉、吉田磯吉、石塚三郞、
高僑元四郞、黑田重兵衞、山本勝久、神谷
彌平、横山一格、齋藤仁太郞、蟻川五郞作、
栗山博、骨村太事、藤井敬慎宮崎松次郞、
加藤六藏、斯波貞吉、松井郡治、比佐昌
平、神部爲藏、三橋四郞次、神田正雄、〓
水留三郞、羽田彥四郞、小島證作、大島要
三、堤康次郞、中野實、佐藤實、井本常作、
飯塚春太郞、村上國吉、齋藤太兵衞、佐藤
球三郞、山田助作、靑木知四郞、松田三德、
山田又司、河野正義、河野曉、內ケ崎作三郞、
井上利八、石黑大次郞、重松重治、橋本喜
造倉元要一、土井權大、平山爲之助、原
惣兵衞、高橋熊次郞、兼松寅太郞、志賀和
多利、山本愼平、藤田包助、佐々木春作、
井口延次郞、植原悅二郎、牧野良三、杉宜
陳靑木精一、高井商二、今井健彥、篠原
和市、松實喜代太、川口義久、榊原經武、
石坂豊一、來栖七郞、竹內友治郞、藤川〓
助海原〓平、飯村五郞、井上虎治、吉木
陽松本君平、古林新治、工藤十三雄、井
上孝哉、藤田胸太郞、今里準太郞、三善〓
之、安保庸三、土屋興、猪野毛利榮、濱口
吉兵衛、二木洵、吉村伊助、松山常次郞、
浦山助太郞、廣瀨爲久、熊谷巖、加藤久米
四郞、星島二郞、長田桃藏、森〓昶、磯部
保次、鈴木隆、森田政義、志村〓右衞門、
加藤錄五郞、小島善作、谷原公、平田民之
助中村嘉壽、藏園三四郞、佐藤重遠、森
肇東〓實、志波安一郞、大城幸之一、柏
田忠一、大麻唯男、禱苗代、高烏順作、神
村吉郞、小野寅吉、宜保成晴、津崎尙武、
兒玉實良、浦野謙朗、寺田市正、麓純義、
野村治三郞、前田房之助、井坂豊光、沼田
嘉一郞、宮島幹之助、兼田秀雄、丹下茂十
郞〓水長〓、上原好雄、山谷德治郞、陣
軍吉、前田兼實、奧野小四郞、大園榮三郞、
星廉平、千葉宮次郞、原夫次郞、池田龜治、
吉松忠〓、富田愿之助、小川〓太郞、岩切
重雄、原田藤次郞、中山貞雄、牧山耕藏、
長峰與一、永井作次、堀喜幸、岸本賀昌、
永田新之允、山口政二、湯淺凡不、土屋〓
三郞、成田榮信、議院法中左ノ通改正ス、
第十九條中「七千五百圓」ヲ「一万圓」ニ、「四
千五百圓」ヲ「八千圓」ニ、「三千圓」ヲ「六千
圓ニ改メ、第三項ヲ左ノ如ク改ム、官吏
ニシテ議員タル者ハ俸給又ハ歳費ノ孰レカ
一ヲ受クルコトヲ得、附則、本法ハ大正
十五年七月一日ヨリ之ヲ施行ス、議院法中
改正法律案理由書、國運ノ進展ニ從ヒ議員
ノ任務重且大ヲ加フ依テ歲費增額ノ必要
アリト認ム是レ本案ヲ提出スル所以ナリ」
ト云フノガ全文デアリマス、此中ノ是等ノ
人ガ-一部ヲ讀出シマシタカラ、アト讀
マヌト惡イト思シテ速記ニ托シタノデアリ
さっ、其通リデ取消ヲシタ人ガ大分有ルラ
シイ、十分ニ明カデハアリマセヌケレドモ、
是等ノ者ガ今日配付サレタモノデアリマス
ト云フコトダケ御報告シタ譯デアリマス、
サウ云フヤウナ次第デ、今日此議案ト云フ
モノハ斯ノ如キ多數ノ人カラ的確ニ、モウ
一週間モ前ニ提出サレタ、話ハ一月モ前カ
ラアッタ、決シテコン〓〓ヤッタノデハナイ
唯、幹部ガ壓迫シヤウト思シテ、其壓迫ヲ免
レタ歴史ハアルカモ知レマセヌガ、斯ノ如
キ議案ガ二十名ノ署名ガ危ナイト云フヤウ
ナ現狀ニ立至ルト云フコトハ實ニ憲政ノ腐
敗墮落ヲ證明シタモノデハナイカト思フ、苟
モ議會ニ出シタ案ヲ故無ク取消ス理由ヲ、
公明正大ニ私述ベナケレバイケナイト思フ
ノデゴザイマス、吾々ハ決シテ暮夜門ヲ浩
テ而シテ汚ナイ所ノ金ニ手ヲ著ケヌ爲デハ
ナイ、憲政ノ發達ノ爲ニ吾々議員ノ活動ノ
爲ニ要求シ、又來ルベキ普通選擧ニ備ヘテ、
是等ノ人ガ出テ來ルカラ之ヲヤッテ置ク必
要ガ有ルト確信ヲシテ居ル、此案ヲ葬リ去
ルト云フノハ何タル事デアルカ、實ニ之ヲモ
不問ニ付スルトスレバ厚顏無恥ト云フコト
ハ何レニ向ッテ發スル言葉デアルカト云フ
コトヲ知ラナイ、諸君ヨ、此案ガ斯ノ如ク
長イ間議場ニアルノニ、昨日僅ニ一大臣ガ
策動シテ此案ヲ葬リ去ッタト云フコトハ、此
案自體ヨリモ憲政ノ賊デアルト私ハ斷言シ
テ憚ラヌノデアリマス、故ニ吾々ハ國務大
臣ガ如何ナル答辯ヲ此議場ノ諸君ノ前ニ、
國民ノ前ニ致スカト云フコトヲ聽キタイ、
又副議長小泉又次郞氏ハ何ガ故ニ延會シタ
ト云フ理由ヲ明白ニシナケレバイケナイ、
又憲政會ノ幹部ハ何ガ故ニ黨議ニ名ヲ藉リ
テ、而シテ此議會ノ神聖ヲ汚サントスルカ
ト云フコトヲ聽キタイ、又何ガ故ニ政友本
黨政友會ノ諸君ガ之ヲ取消シタカ、憲政會
ガスルナラ宜イガ、俺一人デハ〓イカラ取
消スト云フノハ、眞ノ取消ノ理由ニナラヌ
ト私ハ斷言セヌケレバナラヌノデアリマス、
又諸君ハ如何ナル態度ヲ以テ斯ノ如キ案ヲ
葬リ去ラントスルカト云フコトヲ聽キタ
イ、私ハ議會ノ神聖ヲ保チ、立憲政治ノ發
達ヲ期スル爲ニ諸君ニ問フタノデアリマスヽ
長ク私ハ此壇上ニ起チマシタノデゴザイマ
ス、其點ハ御諒水ヲ願ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=3
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004・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 三木參與官ヨリ
一身上ノ辯明ノ爲メ發言ノ通告ガアリマ
ス、之ヲ許シマス-三木參與官
〔政府委員三木武吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=4
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005・三木武吉
○政府委員(三木武吉君) 只今田淵君ノ御
演說ノ中ニ、私ガ歳費ノ增額ニ反對ヲシテ
居ノタト云フ御話ガゴザイマシタガ、ソレ
ハ私個人トシテ致シテ居ッタコトハ事實デ
ゴザイマスガ、官吏ノ俸給ト歳費ノ關係ニ
付テ、何カ私ガ田淵君ニ申上ゲタコトヲ、
如何ニモ尤ラシク諸君ニ御担告ニナッテ居
リマシタ、本會議ノ席上デ正式ニ田淵君ガ
御報告ニナッタ以上ハ、私ハンレヲ出沼君
ニ對シテ御取消ヲ願ハナイマデモ、私が皆
樣ニ一言辯明致シテ置カナケレバナラヌコ
トハ、數日前デゴザイマシタカ-十日位
前デゴザイマシタカ、本黨ノ控室デ、本黨
ノ代議士諸君ト茶呑話デ、冗談交リニ官吏
ノ体給ノコトヤ、歳費ノコトヲ申シテ居ッ
タノデアリマス、眞逆田淵君ガ眞面目ニ御
聽取ニナッテ、此議場デ報告スルトハ存ジ
テ居リマセヌ、隨テ若シ眞面目ニ御聽取ニ
ナッテ、正式ニ議場デ御報告ニナッタト云フ形
デアッタナラバ、ソレハ冗談デアッタト云フ
コトヲ、田淵君ニ申上ゲテ置キタイシ、又
議場ノ皆樣ニモ申上ゲタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=5
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006・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 田淵君ヨリ議長
ニ對シテノ御問デゴザイマスガ、其點ニ關
シテ私ヨリ御答致シマス、一昨日ノ議會ハ
定刻ヲ過ギマシタニ依ッテ、延會ヲ宣告致
シマシタノデアリマス、其延會ヲ致シタノ
ハ副議長ト或ル政黨ノ幹部ト結託ヲシ、
或ハ幹部ヨリ壓迫ヲ受ケテ不法ナル延會ヲ
シテ、而モ議場ノ神聖ヲ汚シタ、其責任ヲ
如何ニスルヤトノ御問ノヤウニ聽取シタノ
デアリマス、私ハ或ル政黨ノ幹部ヨリ壓迫
ヲ受ケタルコトハ斷ジテアリマセヌ、隨テ
何カ議事上ノコトニ付テ結託ヲ致シタト云
フコトモ毛頭ナイノデアリマス、責任ヲ執
ルト申シマシタノハ、私ノ執リマシタ處置
ニ付テ萬一ニモ先例ニ悖リ、法規ニ違背致
シタ時ニ於テハ責任ヲ執ル、斯樣ナ意味デ
責任ヲ執ルト申シタノデアリマス、私ノ一
昨日執リマシタル措置ニ付テハ、何等法規
ニ違反セヌノミナラズ、先例ニモ背イテ居
リマセヌ、確ニ法規ノ命ズル所ニ依ッテ、
議會ノ神聖ヲ保ツ上ニ於テ、私ハ延會ヲ宣
告致シタノデアリマスカラ、此事ダケ御答
致シテ置キマス、又事務局ハ何等カ故意ニ
(此時發言スル者多シ)暫ク御聽キ下サイ、
事務局ノ執リマシタ措置ニ付キマシテ、何
カ故意ニ此議案ヲ遷延シテ居ルガ如キノ御
問デアリマシタケレドモ、事務局ニ於テモ、
何等違法ノ點モアリマセズ、落度モ更ニナ
イト云フコトヲ私ハ斷言シテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=6
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007・田淵豐吉
○田淵豊 喜今ノ議長ノ各〓ニ付テ今一
言御許シヲ願ヒマス-私ハ此席カラ願ヒ
タイソレハ議長ハ法規ガ許シタト言フガ、
法規ニ疑ガアルト私ハ思フ、政治迫德ノ問
題デアリマスカラ、査問會ニ掛ケナケレバ
ナラヌモノデアルケレドモ、サウ云フコト
ハシマセヌ、故ニハッキリ聽キタイノデア
ル第一ニ何ヲ聽クヤト云フト、其時ニ今
里準太郎君ガ證人デアル、今里準太郞君ガ
緊急動議ヲ出シタ、議事日程ヲ變更センガ
爲ニ····其事ヲ惡イトモ善イトモ議場ニ何
モ聽カナイデ、サウ云フコトヲ豫メ知ッテ
居シタト思ハレル、既ニ言明シテ、サット旨
クソレヲ切拔ケタト云フコトヲ言ッタ、若
シ間違デアリマシタナラバ今里準太郞君ノ
言ニ徴シテ貰ヒタイ、私ハ間違ナイト思ヒ
アド、現ニ其時ニハ私ハ居ナカダ故ニ
立證スルカハナイガ、皆サウ言ノテ居ル、
議長モ亦、相濟マヌト云フヤウナコトヲ言ッ
タデハナイカ、然ラバ議長ハ其責任ニ任ズ
ルト言フガ、確ニ議長ノコトハ失當デアツ
タ、併ナガラ議場ノ混亂ヤ、內閣ガ動搖ヲ
シテハイカヌト云フヤウナ意味カラ、此措
置ヲ執ラレタモノト思ヒマス、此議長ノ衷
情ニハ同情致シマスケレドモ、斯ノ如キコ
トヲヤラレルト、議會ト云フモノハ一〓〓
一派ノ爲ニ、內閣ノ爲ニ覆ヘサレル、非常
ニ惡例ヲ生ズルト云フコトヲ知ッテヤッタラ
ウト思フ、知ッテヤッタナラバ、知ッテヤッタ
ト云フコトヲ明ニ答ヘルノガ、議長ノ責任
デハナイカト思ヒマス、故ニ政治道德ノ問
題カラ、明確ナル、良心ヲ欺カヌ所ノ答辯
ヲ聽キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=7
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008・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 田淵君ノ議院法
ニ違背ヲシテ居ルト云フ御尋デアリマスガ、
何等違肯ヲシテ居ル點ハ無イト思ヒマス、
又延會ヲ致シマシタノハ單リ議院法ノ改
正案ガ殘シテ居ルバカリデハアリマセヌ、
其他多數ノ議案ガ山ノ如ク殘ンテ居ッタノ
デアリマスルカラ、定刻ヲ過ギマシタニ
依シテ延會ヲ告ゲタノデアリマス、其他何等
ノ故意ガアッタ譯デハアリマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=8
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009・田淵豐吉
○田淵豊吉君 簡單ニ今一言願ヒタイ(「止
七止セ」ト呼フ者アリ)斯ノ如ク議案ガ堆積
シテ、八時マデモ九時マデモヤラナケレバ
ナラヌ時ニ、何故ニ延會シタカト云フト、歲
費增加ノ議案ヲ出サレタラ可決七ラレル、
可決セラレタラ内閣ニ罅ガ入ルト云フコト
ヲ幹部ニ言ハレタガ爲ニ、斯ノ如キ重大ナル
議會デアルケレドモ之ヲ切ッタノデハナイ
カト私ハ思フ、況ヤ前ニ今里準太郞君ガ何
故ニ緊急上程ヲ賴ンダ時ニ、耳ヲ藉サズニ
退場シタノハドウ云フ譯デアルカ、貴方自身
十分知ッテ居ルノデハナイカト私ハ思ハレ
ルノデアリマス、今里準太郞君ノ發言ニ對
シテ、何故ニ耳ヲ藉サナカッタト云フコト
ニ對スル先キノ辯明ガ、意味ヲ成サナイト云
フコトヲ私ハ言フノデゴザイマス、其御各
辯ヲ願ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=9
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010・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 御答致シマス、
何遍御答ヲ致シマシテモ、二囘ニ涉ッテ御
答ヲ致シタ以外ニ御答スルコトハナイト思
ヒマス、此場合一言申上ゲテ置キマス、只
今私ノ田淵君ニ對シテノ御各辯中、議會ノ
神聖ヲ保ツト云フ意味ハ、議會ノ神聖ヲ蹂躪
シテ居ルト云フノ御問デアリマシタカラ、
決シテ左樣ナ意味デハナイト云フノ趣旨デ
アリマスカラ、左樣御諒永ヲ願ヒタイノデ
アリマス、-是ヨリ日程ニ入リマス、日
程第一乃至第四ハ同一委員ニ付託シタル
議案デアリマスカラ、一括議題ト爲スニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=10
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011・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 御異議ナイト認
メマス、仍テ日程第一、大正十二年度歳入
歲出總決算、大正十二年度各特別會計歲人
歳出決算、日程第二、大正十二年度國有財
產增減總計算書、日程第三、大正十三年度
歲入歲出總決算、大正十三年度各特別會計
歲入歳出決算、日程第四、大正十三年度國
有財產增減總計算書ノ各案ヲ一括シテ議題
ト致シ、委員長ノ報告ヲ求メマス-決算
委員長河上哲太君
第一大正十二年度歳入歲出總決算、
大正十二年度各特別會計歲入歲
出決算
報告書
一大正十二年度歳入蔵出總決算
一大正十二年度各特別會計歲入歳出決算
右ハ本院ニ於テ別紙ノ通議決スヘキモノ
ト議決致候此段及報告候也
大正十五年三月十九日
決算委員長河上哲太
衆議院議長粕谷義三殿
〔別紙〕
不法又ハ不當ナルモノ
大正十二年度歳入歳出總決算中
歳入ニ於テ
不當ナルモノ二十四件
歲出ニ於テ
不法ナルモノ三件
不當ナルモノ二件
大正十二年度各特別會計歲入歲出決算中
歳人ニ於テ
大藏省所管朝鮮總督府
不當ナルモノ二件
大藏省所管臺灣總督府
不當ナルモノ二件
大藏省所管樺太廳
不當ナルモノ一作
鐵道省所管帝國鐵道
不當ナルモノ作
歲出ニ於テ
大藏省所管朝鮮總督府
不當ナルモノ二件
大藏省所管臺灣總督府
不當ナルモノ二件
大藏省所管樺太廳
不當ナルモノ件
文部省所管東京帝國大學
不法ナルモノ二件
不當ナルモノ二十九件
鐵道省所管帝國鐵道
不當ナルモノ二件
總計七十四件
既往年度(大正九年度、大正十年度及大
正十一年度)
一般會計
歲入ニ於テ
不當ナルモノ十一件
大正十二年度歲入歳出總決算及同各特別
會計歲入歲出決算中不法又ハ不當ナリト
議決シタル事項左ノ如シ
不當ナルモノ
一般會計歲入ニ於テ
課稅標準ノ決定其ノ宜シキヲ得サルモ
ノ三件
租稅ノ徵收不足ニ屬スルモノ九件
租稅ノ徵收過ニ屬スルモノ十一件
監督其ノ宜シキヲ得ス歲入金ヲ横領費
消セラレタルモノ祥
合計二十四件
同歳出ニ於テ
虚構ノ事實ニ對シ支拂ヲ爲シタルモ
件
土地ノ買收ニ當リ其ノ措置宜シキヲ得
ス國庫ニ不利ヲ及ホシタルモノ一件
合計二件
特別會計歲入ニ於テ
租稅ノ徵收不足ニ屬スルモノ三件
監督其ノ宜シキヲ得ス國庫ニ損失ヲ及
ホシタルモノ二件
未開地特別處分ニ當リ其ノ措置宜シキ
ヲ得サリシモノ一件
國有地ノ賣拂價格低廉ニ失シタルモ
ノ作
合計七件
同歲出ニ於テ
監督其ノ宜シキヲ得ス國庫ニ損失ヲ及
ホシタルモノ一件
處構ノ事實ニ對シ支拂ヲ爲シタルモ
ノ四件
規定ニ違背シ且必要以上ノ前渡資金ヲ
交付シタルモノ二十六件
監督其ノ宜シキヲ得ス數箇年ニ亙リ事
實ニ反スル支拂ヲ爲シタルモノ三件
豫算ノ使用其ノ宜シキヲ得サルモノ
一件
合計三十六件
不法ナルモノ
一般會計歲出ニ於テ
豫算目的外ノ支出ヲ爲シタルモノ二
件
競爭入札ニ付スヘキ物品ヲ隨意契約ニ
依リ購入シタルモノ一件
合計三件
特別會計歲出ニ於テ
物品ノ購入ニ當リ年度區分ヲ紊リタル
モノ二件
總計七十四件
既往年度(大正九年度、大正十年度及大
正十一年度)未確定金額ノ檢査確定セル
モノノ內不當ナリト議決シタル事項左ノ
如シ
不當ナルモノ
一般會計歲入ニ於テ
課稅標準ノ決定其ノ宜シキヲ得サルモ
ノ三件
租稅ノ徵收不足ニ屬スルモノ四件
租稅ノ徵收過ニ屬スルモノ件
監督其ノ宜シキヲ得ス國庫ニ損失ヲ及
ホシタルモノ三件
合計十一件
(以下之ヲ略ス)
警告
大正十二年度
一般會計
遞信省所管
歲出臨時部
第五款電話交換擴張費
第二項事業費
大阪遞信局ノ支出ニ係ル(會計檢査院
報告四)二一三、二三五·〇〇〇
理由大正十二年八月本庄某ヲシテ大阪
林業製材株式會社外五名ノ土地ヲ買纏
ノシメタル後之ヲ電話分局用地トシテ
買收シタル土地ノ代價ナリ本庄某ハ大
正十二年二月中地上物件ヲ併テ二十一
萬圓餘ニテ買纏メタルモノナレハ利子
雜費手數料ヲ見込ムモ當局買收價格餘
リ高價ニ失ス仲介者タル本庄某ハ大正
十一年度決算ニテモ大阪遞信局神戶電
話分局用地買收ニ關シ不當ノ利得ヲナ
シタルモノナル事ヲ檢査院報告ニ詳記
シアリ依テ將來ノ注意ヲ促シ再ヒ此ノ
如キ事ナキ事ヲ政府ニ警告ス
注意事項
大正十二年度
一般會計
海軍省所管
歲出經常部
第二款軍事費
第五項造船造兵及修理費
海軍省經理局ノ支出ニ係ル(會計檢査院
報告一)二八六、〇二一·三三一
右ハ各海軍工廠ニ設備スヘキ鍛鍊起重
機梁上起重機等ノ購入代價及其他ノ代
金ナリ本件ハ豫算ノ目的外ニ屬スル支
出トシテ注意ヲ促ス
文部省所管
歲出臨時部
第十五款學校創立費
第三項第十四高等學校創立費
文部省ノ支出ニ係ル(會計檢査院報告三)
二三、六二二一八〇
右ハ山形高等學校校長〓授官舍ノ建築
工事費ナリ右ハ豫算ニ明記シテ要求ス
ヘキモノヲ積算計上セサリシモノニシ
テ注意ヲ促スヘキモノトス
特別會計
大藏省所管樺太廳
歳入經常部
第一款樺太歲入
第二項官業及官有財產牧入
樺本廳鐵道事務所ノ徵收ニ係ル(會計檢
査院報告一)九九、六五七·四四〇
右ハ三井鑛山株式會社採掘石炭ニ對シ
規定運賃ノ三割引ヲ以テ運送シタル賃
金ナリ右ハ歲入歳出ヲ混同シタルモノ
ニシテ且內約ノ如キハ適當ノ措置ニア
ラス依テ將來ノ爲注意ヲ促ス
文部省所管京都帝國大學
歲出臨時部
第一款營繕費
第二項特別講義室新營費
本項ニ於テ京都帝國大學ノ支出ニ係ル
(會計檢査院報告一)
五二、三四〇·九五〇
第四項工學部擴張費ニ於テ同大學ノ支出
ニ係ル(同上)四二、九三一·四四〇
右ハ同大學本部所屬建築工事及其他ノ
新營增築竝附帶工事費ノ內ナリ本件ハ
工事施行上之カ經費ノ豐裕ナルニ乘シ
豫算ニ積算ナキ新規ノ施設ヲ爲シタル
モノニシテ注意ヲ促スヘキモノトス
鐵道省所管帝國鐵道
資本勘定
歲出
第一款鐵道建設及改良費
第二項改良費
鐵道省ノ支出ニ係ル(會計檢査院報告五)
九三、八四〇·四八〇
右ハ小樽第二期埋築第一區埋立地岸壁
新設工事費ノ內ナリ本件ハ工事ノ設計
上適當ノ注意ヲ缺キ國庫ニ損失ヲ及ホ
シタルモノニシテ將來ノ爲注意ヲ促ス
第二大正十二年度國有財產增減總計
算書
報告書
一大正十二年度國有財產增減總計算書
右ハ本院ニ於テ是認スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
大正十五年三月十九日
決算委員長河上哲太
衆議院議長粕谷義三殿
第三大正十三年度歲入歳出總決算、
大正十三年度各特別會計歳入歳出
決算
報告書
一大正十三年度歲入歳出總決算
一大正十三年度各特別會計歳入歳出決算
右ハ本院ニ於テ別紙ノ通議決スヘキモノ
ト議決致候此段及報告候也
大正十五年三月十九日
決算委員長河上哲太
衆議院議長粕谷義三殿
〔別紙〕
不法又ハ不當ナルモノ
大正十三年度歳入歳出總決算中
歲入ニ於テ
不當ナルモノ十八件
歳出ニ於テ
不法ナルモノ三件
不當ナルモノ七件
大正十三年度各特別會計歲人歲出決算中
歲入ニ於テ
大藏省所管樺太廳
不當ナルモノ二件
鐵道省所管帝國鐵道
不當ナルモノ三件
歲出ニ於テ
太藏省所管朝鮮總督府
不當ナルモノ件
文部省所管東京帝國大學
不當ナルモノ付
鐵道省所管帝國鐵道
不當ナルモノ四件
官有物(大藏省所管樺太廳)
不當ナルモノ一件
總計四十件
既往年度(大正九年度及大正十年度)
一般會計
歳入ニ於テ
不當ナルモノ一件
大正十三年度歳入歳出總決算及同特別會
計歳入歲出決算中不法又ハ不當ナリト議
決シタル事項左ノ如シ
不當ナルモノ
一般會計歲入ニ於テ
課稅標準ノ決定其ノ宜シキヲ得サルモ
ノ作
租稅ノ徵收不足ニ屬スルモノ十二件
租稅ノ徵收過ニ屬スルモノ五件
合計十八件
同歲出ニ於テ
監督其ノ宜シキヲ得ス國庫ニ損失ヲ及
ホシタルモノ四件
處構ノ事實ニ對シ支拂ヲ爲シタルモノ
件
豫算目的外ノ支出ヲ爲シタルモノ
件
物品完納前代價ノ支拂ヲ爲シタルモノ
件
合計七件
特別會計歲入ニ於テ
官行斫伐材ノ賣拂ニ關シ措置其ノ宜シ
キヲ得サルモノ二件
監督其ノ宜シキヲ得ス國庫ニ損失ヲ及
ホシタルモノ三件
合計五件
同歳出ニ於テ
虛構ノ事實ニ對シ支拂ヲ爲シタルモノ
四件
豫算目的外ノ支出ヲ爲シタルモノ
件
豫算ノ使用其ノ宜シキヲ得サルモノ
一件
合計六件
不法ナルモノ
一般會計歲出ニ於テ
豫算目的外ノ支出ヲ爲シタルモノ三
件
官有物ニ於テ
不當ナルモノ
國有未開地ノ貸付及立木ノ交付ニ當リ
措置其ノ宜シキヲ得サルモノ件
總計四十件
既往年度(大正九年度及大正十年度)未確
定金額ノ檢査確定セルモノノ內不當ナリ
ト議決シタル事項左ノ如シ
不當ナルモノ
一般會計歲入ニ於テ
監督其ノ宜シキヲ得ス國庫ニ損失ヲ及
ホシタルモノ件
(以下之ヲ略ス)
警告
大正十三年度
一般會計
內務省所管
(元大藏省所管)
歲出臨時部
第十八款帝都復興事業費
第一項東京復興費
復興局支出ニ係ル(會計檢査院報告一)
、五三九、三四三·九二〇
理由區劃整理實施上宅地ノ減步率ヲ緩
和スル必要上已ムヲ得ストスルモ仲介
業者ノ手ヲ經テ隨所ニ購入セシモノア
ルカ如キ又高價ニ失シタルモノアルカ
如シ要スルニ周到ノ注意ヲ缺キタルモ
ノトシテ將來ノ注意ヲ警告ス
官金
大藏省預金部資金運用其ノ宜シキヲ得サ
ルモノ(會計檢査院報告一)
理由大正十三年四月以降朝鮮銀行ニ對
シ整理救濟ノ目的ヲ以テ利率五分ヲ以
テ五千萬圓ヲ貸付ケ又大正十二年四月
中同樣ノ目的ヲ以テ臺灣銀行ニ對シ利
率五分ヲ以テ全五千萬圓ヲ貸付タリ
當時兩銀行共營業情態甚不良ニシテ是
等ノ貸付金ハ一時ノ金繰ヲ便ニシタル
ニ止マリ其ノ後益々營業困難トナリ遂
ニ大正十四年ニ至リ大整理ノ斷行スル
ノ止ムナキニ至レリ是ヲ要スルニ徹底
的大整理ヲセス漫然多額ノ貸付ヲナシ
タルハ注意ヲ缺キタル放漫ノ處置トシ
テ將來ヲ警告ス
注意事項
大正十三年度
特別會計
大藏省所管國債整理基金
歲出
第一款國債整理基金支出
第一項國債整理基金支出
大藏省ノ支出ニ係ル(會計儉査院報告一)
一〇二、四〇三·五〇〇
右ハ慰勞金トシテ大藏省外務省遞信省
横濱正全銀行等ニ支給シタル金額ナリ
當初豫算見積リ過少ナリトシテ隨意ニ
慰勞金ヲ增加シタル如キハ豫算ノ使用
宜シキヲ得タルモノト認メ難ク將來ノ
爲注意ヲ促ス
鐵道省所管帝國鐵道
資本勘定
歲出
第一款鐵道建設及改良費
第二項改良費
鐵道省ノ支出ニ係ル(會計檢査院報告五)
■
三八〇、一五一·四九〇
右ハ小樽第二期理築第一區埋立地岸壁
新設工事費ノ內ナリ工事設計上適當ノ
注意ヲ缺キ國庫ニ損失ヲ及ホシタルモ
ノニシテ將來ノ爲注意ヲ促ス
第四大正十三年度國有財產增減總計
算書
報告書
一大正十三年度國有財產增減總計算書
右ハ本院ニ於テ是認スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
大正十五年三月十九日
決算委員長河上哲太
衆議院議長的谷我三殿
〔河上哲人君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=11
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012・河上哲太
○河上哲太君 只今議題トナッテ居リマス
ル十二年度、十三年度ノ決算及國有財產ニ
關係シマスル決算委員會ノ經過竝ニ結果ヲ
御報告申上ゲマス、會期ガ既ニ切迫致シテ
居リマスケレドモ、諸君ノ御審査ヲ待ッテ
居ル議案ハ非常ニ多イノデアリマス故ニ
私ハ出來得ル限リ簡單ニ御報告ヲ致シタイト
思ヒマス、尙ホ私共ノ委員會ハ會計規定ノ
改正ニ依リマシテ、二ツノ議會デヤルベキ
コトヲ一ツノ議會デ致シタノデアリマス、
卽ヲ普通ノ決算委員會ノ倍ノ仕事ヲ致シタ
ノデアリマシタガ、委員諸君ノ御精勵ニ依
リマシテ慎重ニ審議シ、而モ最モ圓滿ニ、
圓滑ニ、全會一致ノ成案ヲ得マシタコトハ、
委員諸君和衷協同、協賛ノ任ヲ竭サレタル
結果デアリマシテ、是ハ私ノ愉快ナル義務
ト致シマシテ第一ニ御報告致シマス、先ヅ
兩年度ノ決算ノ大要ニ付テ申上ゲマス、十
二年度ノ歲入ハ經常部ガ十三億三百餘万
圓、臨時部ガ七億四千百餘万圓、合計二十
億四千五百餘万圓、歲出ガ經常部ガ九億六
千餘万圓、臨時部ガ五億六千餘万圓、合計
十五億二千百餘万圓デアリマス、差引五億
二千四百餘万圓ノ餘リガ出來夕譯デアリマ
ス、其中デ十三年度ノ財源ニ繰越シマシタ
モノガ六千百餘万圓、隨テ生ジタル所ノ純
剩餘金ガ四億六千三百餘万圓ニナルノデア
リマス、之ヲ豫算ト比較〓シテ見マスト、
歳入ニ於テ經常部ガ五千九十餘万圓、臨時
部ガ六億五百餘万圓、合計六億五千五百餘
万圓ノ增加ヲ致シテ居リマス、歲出ニ於キ
マシテハ經常部ガ三千九十餘万圓減、臨
時部ガ一億六千二百餘万圓增、差引一億三
千百餘万圓ノ增額ヲ致シテ居リマス、其中
不用額ハ八千四百万圓餘リアリマス、十三
年度ノ豫算ニ編入致シマシタモノガ一億二
千三百万圓デアリマス豫備金第一、第二
合計千四百万圓ヲ全部支出致シマシテ、是
ハ既ニ皆樣ノ御承認ヲ得テ居リマス、剩餘
金ヲ以テ支拂ヒマシタ所ノ豫備金外ノ支
出是ガ一億四千二百餘万圓デアリマス、
公債ヲ以テ豫算外ニ支出致シマシタモノガ
二千四百餘万圓、歳人ヲ以テ支出致シマシ
タモノガ四千八百餘万圓デアリマス、次ニ
十三年度ノ歳入デアリマスベ、經常部ガ十
四億三千八百餘万圓デ、臨時部ガ六億
八千八百餘万圓、合計二十一億二千七百
餘万圓デアリマス、歲出ガ經常部ニ於キマ
シテ、十億五千百餘万圓、臨時部ニ於キマ
シテ、五億七千四百餘万圓、合計十六億二
千五百万圓デアリマシテ、差引五億二百餘
万圓ノ剰餘ヲ來ス結果ニナッテ居リマス、其
中デ十四年度ノ歳出ニ繰越シマシタモノガ
三千四十餘万圓デアリマス、純剩餘金ガ四
億七千百餘万圓ニナッテ居リマス、御承知
ノ通リ十三年度ハ議會解散ニ依リマシテ、
豫算ガ成立致シマセヌ爲ニ、前年度ノ豫算
ニ追加豫算其他ヲ加ヘマシテ施行豫算ヲ作
リマシテ、ソレヲ見マスト云フト、經常部
ガ一億二千七百餘万圓、臨時部ガ二億五百
餘万圓ニナッテ、合計三億三千三百餘万圓ノ
增加デアリマス、歲出ニ於キマシテ經常部
ガ四千百餘万圓、臨時部ガ一億千八百餘万
圓、合計一億六千餘萬圓減少ヲ致シテ居リ
マス、更ニ政府ノ說明ニ依リマスルト實行
豫算、卽チ施行豫算ヲ土臺ト致シマシテ、
實行スル爲ニ作リマシタル實行豫算トノ比
較ヲ見マスト云フト、歳入ノ經常部ガ一億
七千二百餘万圓、臨時部ガ二億九千四百餘
万圓、合計四億六千七百餘万圓ノ增加ニナッ
テ居リマス、歳出ニ於キマシテハ經常部ガ
三千五百餘万圓、臨時部ガ九十餘万圓、合
計三千五百餘万圓ノ減少ヲ來シテ居リマ
ス、ンレデ施行豫算ト比較ヲ致シマスト、
歲出ノ不用額ガ二億四千八百餘万圓、實行
豫算ニ於キマシテハ一億二千三百餘万圓、
翌年度ニ繰越シマシタモノガ一億二千六百
餘万圓、之ヲ豫備金ガ豫算ニ於キマシテ千
七百万圓アリマシタケレドモ、實際上支出
致シマシタモノガ一千六百四十万圓、差引
五十万圓餘殘シテ居リマス剰餘金ニ依リマ
ス所ノ豫算外支出ガ九千百餘万圓ニナルノ
デアリマス、吾々ハ大體此說明ヲ政府カラ
聞キマシテ、更ニ兩年度ニ關係致シマス所
ノ國有財產ノ收支計算、是モ政府カラ說明
ヲ間イタノデアリマシテ、數字ハ此處ニ持ソ
テ居リマスガ、諸君モ既ニ御永知デアリマ
セウガラ、是ハ議長ノ御許シヲ得マシテ、
寧ロ細カイ數字ヲ度〓申上ゲルヨリカモ、
速記ニ留メタイト思ヒマス、此總豫算及國有
財產ニ關係致致マスル決算書ニ付キマシ
テ、私共ノ審査致シマシタ範圍ハ、兩年度
ニ於キマス所ノ歲入歲出ノ未定額ヲ除イタ
モノ、及ビ既往年度ニ於テ未定額ノ內、兩
年度ノ中ニ決定致シマシタル分、之ニ就テ
審査ヲ致シタノデアリマス、其數字モ中上
ゲタイノデアリマスガ、時間ヲ節約スル爲
ニ是モ速記ニ殘シタイト思フ、斯ク致シマ
シテ、是等ノ案ヲ審査スル爲ニ、總會ヲ開
クコトガ六回、委員會及國有財產ニ關係シ
マス所ノ小特別委員會ヲ十八回、合計二十
四回ノ會議ヲ開イタノデアリマス、其間ニ
於ケル所ノ質問應答ニ付キマシテハ旣ニ
數日前速記錄ガ諸君ノ御手許ニ參ノテ居ル
カラ、旣ニ御承知ノ事ト思ヒマシテ、極ク
簡單ニ二、三ヲ諸君ガ特ニ興味ヲ持タレル
モノニ付キ申上ゲテ見タイト思フ、第一ハ
復興局ニ關係シマス復興事業ニ關スルモノ
デアリマス、卽チ現ニ刑事問題其他ヲ起シ
テ、世ノ中ノ耳目ヲ聳動シテ居リマス所ノ
品川ノ埋立、及ビ高等工業ト云フヤウナ風ノ
問題デアリマス、政府ノ說明ニ依リマスト
云フト、品川ノ埋立地ハ、元來好景氣ノ時
ニ品川町ノ住宅ヲ建設スル意味ヲ以チマシ
テ認可ヲ得テ、町デ工事ニ從事シテ居ルノ
デアリマシテ、當時東京府カラ認可ヲ得マ
ス所ノ命令ニ依リマスナラバ、全部完成ノ
上、既定ノ檢査其他ノ手續ヲ經テ、品川町
ガ權利ヲ得ルノデアリマス、然ルニマダ權
利ヲ得テナイモノヲ、此埋立工事ヲ請負ウ
タル關係者ト、復興局トノ間ニ既ニ權利ガ
アルモノトシテ、卽チ或ル意味ニ於テハ復
興局ノ中心方面ヲ騙シタト云フヤウナ形ニ
於テ、是ガ權利ノ賣買ヲ致シテ居ルノデア
リマシテ、之ニ就キマシテハ、復興局ニ於
テ、其關係會社ニ契約ノ破棄ヲスル、解除
ヲスル時ニ於テハ賠償ヲサス契約ガアル
サウデハアリマスケレドモ、果シテ此損失
ヲ借ヒ得ルヤ否ヤハ、今ノ會社ノ狀態デハ
疑問テアル、併ナガラ尙ホ出來得ル限リ國
家ノ損失ヲ少クシ、且ツ惡意デハナカダ
ケレドモ、當時ノ關係者ノ不注意ノ點ニ付
テハ復興局ニ於テ十分調査ヲ致シテ、ソ
レゾレ處分ヲ致シタイト云フコトデ、天ノ
恐縮致シテ居ノタ模樣デアリマス、藏前ノ高
等工業ノ問題、是モ聞キマスレバ刑事問題
ガ起ッテ居ルサウデアリマスガ、是ハ大岡
山ノ田園土地ノ會社ト、土地ト土地トノ交
換ト云フヤウナ意味デ、卽チ一ニ對スル七
半ト云フヤウナ意味デ交換致シタノデアル
サウデアリマス、其當時ノ評價ガ約坪百五
十圓、ソレガ二、三箇月ノ後ニ百九十圓、
卽チ約二百圓ニ近イ價ヲ以テ復興局ニ復タ
買戻サレテ居ルノデアリマシテ、之ニ就キ
マシテハ復興局ノ當局者ハ、其當時ノ評價
ニ付テハ出來得ル限リノ手續ヲ執ッタノデ
アデハ必シモ不當トハ思ハナイト云フ說
明デアリマシタケレドモ、是モ刑事問題等
ガ起ッテ居ンテ、十分釋明ヲ致スノハ困難デ
アルト云フヤウニ、可ナリ恐縮ヲ致シテ居
ルヤウナ有樣デアリマス、銀座方面ニ於キ
マシテ不用ノ土地ヲ買過ギテ居ッタデハナ
イカト云フコトガ問題ニナッテ居リマスガ、
是ハ諸君ハ既ニ書類ニ依テ御承知ノコト
ト思ヒマスガ、是ハ銀座方面ト木挽町方面
トガ一ツノ區割ニナッテ居リマシタモノガ、
其後ノ計畫ノ變更上、二ツニ致シタ爲ニ、
銀座方面ニ於キマシテ恰モ不用ノ土地ヲ澤
山買ノタヤウナ形ニナッテ居ルケレドモ、是
ハ必シモ初メカラ惡意デシタノデハナクシ
テ、此土地ノ爲ニ此方面ニ於テ國家ニ損失
ヲ與ヘルコトハ少イト云フヤウナ說明デア
リマシタ、ソレカラモウ二、三申上ゲテ見
タイト思ヒマスガ、信濃川ノ水力問題ニ付
キマシテハ、是ハ極ク簡單ニ申上ゲマスル
ナラバ、初メ政府ガ此方面ニ於キマシテ、
水力ヲ得テ發電致ス考デアリマシタ所ガ、
其水利權ヲ得ル期日モ及工事著手ニ關スル
所ノ認可モ、私設會社信越電力ノ後カラ
得タノデアッテ、殊ニ自ラ調節池ヲ設ケテ
計畫ヲ進行セントシ夕所ガ、私設會社ノ方
ニ於テ此設備ガアッテ、却テ初メノ計畫ガ出
來ナイ爲ニ斯ル結果ヲ來シタノデアッテ、
初メノ豫算以上ニ非常ニ多額ノ豫算ヲ要ス
ルト云フヤウナ說明ヲ致シテ居リマス、ソ
レカラ最後ニ此委員會ニ於キマシテ問題ノ
起リマシタ所ノ、永代橋稅務署ノ通牒ニ關
スル問題デアリマス、之ニ就キマシテハ磯
部君、若宮君、吉植君ナドカラ質問ガアリ
マシテ、大藏大臣及主稅局長トノ問ニ應答
ガアリマシタ、委細ハ既ニ御承知ノコトヽ
思ヒマスガ、極ク全體ヲ掻摘ンデ申上ゲテ
見タイト思ヒマス、質問者ノ要領ヲ申上ゲ
マスルナラバ、苟モ勅任官デアル所ノ監
督局長ガ移牒若クハ通牒ト云フ言葉ヲ
使フコトニ付キマシテハ、可ナリノ責
任ヲ感ジ、慣例上重イ意味デナケレバナ
ラヌ、又本人自身ガ何等自ラノ權限若ク
ハ理由ナキニモ拘ラズ、斯ノ如キ事ヲ
スル必要ハナイト思フノニ、斯ノ如キ
事ヲ致シタノハ、現大藏大臣濱口氏ノ年
來ノ消極的財政上ノ主張ヲ助ケル意味ニ於
テカ、然ラズンバ豫算編成上大臣ノ主張ニ
便宜ヲ與ヘル意味デ、斯ノ如キコトヲ或
ハ言ハレテ、命令ヲ受ケテヤッタカ、然ラ
ズンバ之ヲ忖度致シテヤルヨリ外ニナイノ
デハナイカ、此爲ニ一方ニ於テハ非常ニ巨
額ノ稅ヲ延納致シタ爲ニ、納稅者ニ利益ヲ
與へ、而モ稅金ニ於テ少額ト雖モ延納スル
場合ニハ、嚴格ニ之ヲ强制徵收其他ノ事ヲ
致シテ居ルニモ拘ラズ、斯ル巨額ノモノヲ
徒ニ延納ヲ許スト云フコトハ、社會思想ノ
上ニ於テモ決シテ喜ブベキ事デナクシテ、
非常ナ惡影響ヲ來スト思フ、是等ノ事ヲ考
ヘマスルト云フト、或ハ背任罪ト云フヤウ
ナ事ヲ起ス結果ニモナリハシナイカト云フ
ヤウナ御趣旨デアリマシタ、ソレニ付キマ
シテ大藏大臣ハ其通牒ノ出タコトニ付テ
ノ事實ハ之ヲ認メテ居ラレルヤウデアリマ
ス、サウシテ之ヲ調ベマシタノハ當時ノ稅
務監督局長デアリマシテ、今日ノ北海道拓
殖銀行ノ理事デアリマス加藤君ヲ呼ビマシ
テ、加藤君ノ過去ニ於ケル記憶ヲ喚起シタ
ル結果ニ於ケル話ヲ中心ニシタ御答辯デ
アッタノデアリマス、モウ一人ノ關係者、
卽チ當時ノ大藏省主稅局經理課長間宮君、
現在ノ北海道拓殖銀行ノ常任監事デアリマ
ス所ノ間宮君、此人ハ病氣中デアリマスカ
ラシテ、其人ニ直接聞クコトノ出來ナカツ
タノハ遺憾トスル、併ナガラ他日其人ノ病
氣囘復後、本日答辯スル以上ノ新シキ事實
ガアレバ改メテ答辯スルガ、ソレガナイ時
ニハ答辯ハ今日ヲ以テ終リトスルト云フ趣
意デアッタノデアリマス、ソレカラ其御答
辯ノ内容ヲ見マスルト云フト、此加藤君ノ
話ニ依シテ聞ケバ、十二年度ハ震災其他ニ
因ッテ第一種所得ノ收入ノ決定ガ遲レタ、
卽チ翌年度ニ決定ガ繰越サレタノガ非常ニ
多イ、隨テ十三年度ニ於テハ十二年度ノ巨
額ノ收人、十三年度ノ收入ガ相重ッテ這入
ルノデアリマス、卽チ一時ニ非常ニ巨額ノ
收入ガ這入ルノデアルカラシテ、本省ニ來
テ間宮、卽チ當時ノ經理課長ト監督局長デ
アル加藤ガ色と話シテ居ル間ニ、成ベク徵稅
事務ノ便宜ノ爲メ、各年度ノ收入ヲ平均按
配スル爲ニ、斯クシタ方ガ便宜デアルト云
フヤウナ、課長ト局長ノ話合カラ之ヲ出シ
タモノデアッテ、本省ノ幹部、卽チ局長以
上自分等ハ一ツモ知ラヌコトデアル、堕シ
此通牒ガ本省ノ內意ト云ウテ居ルケレド
モ、吾々ハ局長モ知ラヌ、自分モ知ラヌノ
ミナラズ、其動機ニ於テモ監督局長ノ徵稅
事務ニ於ケル便宜カラ、自分ノ責任ヲ以テ
ヤッタモノデアッテ、自分ノ財政上ノ主張ヲ
助ケル、或ハ納稅者ノ請託ニ依シテ特別ノ
利益ヲ與ヘルト云フ、左樣ナコトハ毛頭ナ
イト思フ、故ニ背任罪ハ起ラヌノミナラズ、
自分トシテモ此問題ニ對シテ是レ以上貴任
ヲ執ルコトハ感ジナイ、尙ホ巨額ノ稅云々
トアルケレドモ、中ニハ百圓臺ノモノモア
リ、僅ニ五万圓位ノモノモアル、一番大キ
イト云ヘバ日本銀行ノ四百何万圓デアル、
其日本銀行ノ納稅ガ遲レタト云フノハ日
本銀行カラ申告シテ來タコトニ對シテ、稅
務署ガ之ニ對スル査定ニ意見ヲ爲シタ、是
ガ交涉ノ上決定シナイ、ソレカラ監督局ハ
本省へ意見ヲ聞キニ來夕、御互ノ上ニ〓究
交涉致シタ結果遲レタノデアッテ、此通牒
ノ爲ニ特ニ遲レタノデナイ、斯ル例ハ必シ
モ是ノミデナクシテ、外ニモアルノデアル、
萬一此通牒ノ爲ニ特ニ遲レタ納稅額ガアリ
トスレバ、其額ハ約百万圓デアル、併ナガ
ラ是等モ特ニソレ等ノ人ノ利益ニ與ヘル爲
ニ出シタモノトハ信ジナイト云フヤウナ質
問應答デアッタノデアリマス、此點ニ關シ
マシテハ當時大藏大臣ガ貴族院ノ委員會、
其他ノ說明ニ出ラレテ非常ニ多忙デアリマ
シタカラシテ、委員長ハ他ノ場合ニ於キマ
シテ、委員諸君其他カラ御質問ガアルコト
ヲ保留致シテ、其儘其質問ヲ打切ッタ次第
デアリマス、マダ幾ツモアリマスガ、是ハ
既ニ數日前カラ速記錄ニ付テ御水知デアリ
マセウカラ略シマス、斯ノ如キ質問應答ヲ
重ネ、サウシテ先程申上ゲマシタ通リ、二
十四回ノ委員會ヲ開キ、最後ニ得マシタノ
ガ皆サンノ御手許ニ配付致シテアリマス決
算ノ結果デアリマス、此給果ニ付キマシテ
モ、一々申シマスコトハ却テ煩雜デアリマ
スカラ、又諸君ハ御承知デアリマスカラ、
一般ノ人ニ知ラス意味ヲ以テ、私ハ議長ノ
御許シヲ得マシテ、之ヲ速記ニ移シタイト
思ヒマス、尙ホ此委員會ハ先程申上ゲマシ
夕通リニ、非常ニ澤山ノ件數ガアリマシタ
ケレドモ、委員諸君ノ御精勵ニ依リ、決算
通デアリマスル所ノ太田君ノ御發議ニ依リ
マシテ、全會一致二年分ノ仕事ヲ最モ圓滿
ニ完結致シマシタ次第デアリマス、委細申
上ゲタヤウデアリマスルガ、吾々ガ特
ニ-政府、檢査院以外ニ於キマシテ意見ヲ
附シタ等ノ事モゴザイマスケレドモ、是ハ
私ハ速記ニ移ス方ガ宜イト思ヒマスカラ是
ハ省略致シマス、其他國有財產ニ付キマシ
テモ小委員會ニ於キマシテ、諸君カラ熱心
ナル御質問ガアリマシタ、政府亦之ニ答辯
致シマシタノデ、其結果ヲ總會ニ移シマシ
テ、兩年度ニ對シマシテハ將來國有財產ノ
整理方法ニ付キマシテ、特ニ注意スベキ事
ヲ六項吾々カラ注意事項ト致シマシテ、之
ヲ決定致シタノデアリマス、是ハ恐ラク皆
サンノ御手許ニアリマス所ノ報告書ノ中ニ
ナイコトヽ思ヒマスカラ、是ダケヲ讀ミマ
シテ他ハ速記ニ讓ルコトニ御許シヲ願ヒタ
イ、第一、官有財產ノ中デ主管各省ニ於キ
マシテ現在不用トスル所ノ所管省以外ニ於
テ必要ヲ感ジテ居ルモノモアル、又現在不
用ニシテモ亦他日必要ヲ生ズル見込ノモノ
モアルデアラウ、故ニ是ガ整理ニ付テハ最
モ愼重ナル注意ヲ以テヤッテ貰ヒタイ、次
ニ東京市内官有地ノ中デ不用トスルモノハ
區劃整理換地、又ハ減歩率補償ニ利用スル
事ヲ得ルモノハ、復興局ト協議ノ上適をツノ
處理ヲシテ貰ヒタイ、此他第三項ハ、北海
道及樺太ノ國有未開地ニ付キマシテハ拂下
ゲテ、サウシテ其儘ニ抛棄致シテ置クヤウ
ナコトハ改メタイト云フコト、次ハ北海道
樺太方面ニ於ケル山林ノ拂下問題、次ニ國
有財產ノ評價ガ五年目五年目ト云フコトニ
ナッテ居リマシテ、今度ノ決算ニ於キマシ
テモ議論ガ起リマシタコトハ、此評價ガ適
切デナイト云フコトデアリマス、故ニ之ヲ
改メルコト、最後ニ越中島ノ國有地貸付ノ
如キ、之ヲ十分ニ調査ヲ致シテ整理ヲシナ
ケレバ、國家ニ對スル損失ヲ與ヘル、
斯ル六項ニ關シマシテノ注意ヲ決定致
シタ次第デアリマス、私ハ私共ノ勞苦ニ對
シテ本會議ニ於キマシテモ、全會一致御承
認アランコトヲ切ニ希望スル次第デアリマ
ス、之ヲ以テ委員長ノ報告ヲ終リマス
〔參照〕
國有財產增減總計算書
經過
審査
大正十二年度分
大正十二年度ニ於テ增加セル國有財
產ノ總額ハ
一般會計所屬
圖
三一六、六三四、二八一·一二一
特別會計所屬
三一七、九一五、二五六·四五五
合計
六三四、五四九、五三七·五七六
大正十二年度ニ於テ減少セル國有財
產ノ總額ハ
一般會計所屬
二六〇、三四八、九三五·九二二
特別會計所屬
一一一、四八八、六九〇·五五七
合計
三七一、八三七、六二六·四七九
差引增加額
二六二、七一一、九一一·〇九七
大正十三年度分
大正十三年度ニ於テ增加セル國有財
產ノ總額ハ
一般會計所屬
四八二、九一四、四三九·一一一
特別會計所屬
三四六、二九〇、九五八·三九五
合計
八二九、二〇五、三九七·六〇六
大正十三年度ニ於テ滅少セル國有財
產ノ總額ハ
一般會計所屬
四五一、七〇二、四一一·九五二
特別會計所屬
一六五、八八〇、二二三·二四〇
合計
六一七、五八二、六三五·一九二
差引增加額
二一一、六二二、七六二·四一四
審査ノ範圍
大正十二年度
一般會計歳入
二、〇四五、二九八、二六六·六九九
中未確定金額
二、三〇二、〇四三·八一五
一般會計歳出
一、五二一、〇五〇、三〇五·〇〇五
中未確定金額
九一三、四八三·八〇九
特別會計歳入
三、四七八、六六四、九一五·〇五九
中未確定金額
四四三、六二五·九五〇
特別會計歳出
二、六五三、一八一、四六九·四四八
中未確定金額
三一七、二一四·五九六
ヲ除クノ外審査ヲ爲シ
既往年度未確定金額
一般會計歲入
四、四五五、八九七·八〇〇
中爾後確定額
三、五〇三、四六九·五一〇
一般會計歳出
、〇八〇、八三三·三〇五
中爾後確定額
、〇二九、五七五·七〇五
特別會計歳入
三〇、八〇九·〇五〇
中爾後確定額
三〇、三八七·三四〇
特別會計歲出
四、七八〇、〇七五·七七二
中爾後確定額
四、七三七、〇七五·七七二
ニ付審査ヲ爲シタリ
次ニ
大正十三年度
一般會計歳入決算額
二、一二七、三九一、三二三·五三三
中未確定金額
一六、六八三、九二〇·〇四一
一般會計歲出決算額
一、六二五、〇二四、〇七三·二五〇
中未確定金額
六、五八六、一九七·八七六
特別會計歲入決算額
三、九六二、四三三、三二一六·六三三
中未確定金額
、六三八、二六一·九〇〇
特別會計歳出決算額
三、〇四二、二九一、八六六·八六三
中未確定金額
一、五二九、四四八·一四六
ヲ除クノ外審査ヲ爲シ
既往年度未確定金額
一般會計歲出
九六四、七四一·四〇九
中爾後確定額
一一六、六〇七·〇四〇
ニ付審査ヲ爲シタリ
審査ノ結果
會計檢査院ノ檢査報告中
大正十二度分ニ於テ
非難件數總計二百五十三件中
政府カ會計檢査院ノ報告ヲ是認
セルモノ八十件
決算委員會ニ於テ不當ト決定セ
ルモノ五件
政府ニ警告ヲ爲スヘキモノト決
定セルモノ件
政府ニ注意ヲ與フヘキモノト決
定セルモノ六件
政府ノ辯明ヲ承認シタルモノ
百六十一件
大正十三年度分ニ於テ
非難件數總計百一件中
政府カ會計檢査院ノ報告ヲ是認
セルモノ三十五件
決算委員會ニ於テ不當ト決定シ
タルモノ六件
政府ニ警告ヲ爲スヘキモノト決
定シタルモノ件
政府ニ注意ヲ與フヘキモノト決
定シタルモノ六件
政府ノ辯明ヲ承認シタルモノ
百六十一件
委員會ニ於ケル質疑ノ重ナルモノ
國有財產調査及整理ニ關シ決算委員會
ニ於テ政府ニ希望ヲ述ル事左ノ如シ
-官有財產中主管各省ニ於テ現在不用
トスルモノ所管省以外ニ於テ必要ヲ感
ジ居ルモノモアルベシ又現在不用ニ
シテモ他日必要ヲ生ズル見込ノモノモ
アルベシ故ニ之ガ整理ニ付キテハ最モ
愼重ナル注意ヲ要ス
二東京市内官有地ノ內不用トスルモノ
ハ區劃整理換地又ハ減步率補償ニ利用
スル事ヲ得ルモノハ復興局ト協議ノ上
適當ノ處理ヲスル事
三北海道及樺太國有未開地ノ處分ハ方
法ヲ改良シ事業確實ニ達成ノ見込アル
モノノ外ハ大地域ヲ無資產ニシテ事業
ニ經驗ナク轉賣シテ利益ヲ牧メン事ヲ
目的トスルモノニ特賣セザル事トシテ
成ベク小區劃ニ分割シテ自作農移住者
ヲ奬勵シテ之ヲ特賣シテ助成開墾セシ
メル事
四北海道樺太國有林經營方法ヲ改善シ
テ統一シタル管理ノ下ニ森林行政方針
確立シテ濫伐ノ弊害ヲ除キ施行案ヲ定
メ伐採ト植林ト併テ遂行スル計畫ニ基
キ立木ヲ拂下ケル事トシテ無立木地ヲ
整理シテ殖林事業ノ實績ヲ擧ケルニ務
ムル事
五國有財產評價ハ今後調査ノ時ハ成ベ
ク實價額ニ依リ積算スル事
六震災直後國有地ヲ貸下タル分ニ對シ
テハ之ガ整理ニ關シ將來ノ注意ヲ促ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=12
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013・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 本案ニ對シテ質
疑ノ通告ガアリマス-佐藤富十郞君
〔佐藤富十郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=13
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014・佐藤富十郎
○佐藤富十郞君 諸君只今日程ニ上リマシ
タ所ノ大正十二年度、大正十三年度ノ決算
ニ付テヾアリマス、只今河上委委員長ヨリ
述ベラレタル所ノ報告ノ其一デアリマス、
此中ニ在リマシテ樺太廳ニ於ケル歲入臨時
部ノ中、第二款官行斫伐賣拂代金ノ問題デ
アリマス、是ハ會計檢査院長ヨリモ報告ニ
ナッテ居リマスルガ、樺太林業株式會社ト云
フモノニ對シマシテ一口、ソレカラ松昌洋
行ト云フ株式會社ニ對シテ一口、ソレカラ
遠藤某トアリマスルガ、是ハ個人デアリマ
シテ、某トアリマスカラ名前ハ分リマセヌ
ガ、遠藤某トナッテ居リマス、此三口ノ賣拂
代金ノ中-賣拂代金ノ中デス、三百七十
七万三千圓ト云フ國庫ニ損害ヲ與ヘテ居ル間
大問題デアリマス、諸君、官行斫伐ハ昨年
ヨリモ私ハ熱心ニ此不可ナルコトヲ辯ジテ
居リマスルガ、端ナクモ決算ニ當リマシテ、
樺太廳ニ於ケル約四百万圓ト云フ缺損ヲ生
ジテ居ルコトヲ見マシタ時ニ、如何ニ官行
斫伐ト稱スル、俗ニ言ヘバ政府ノ材本屋ヲ
シテ居ルト云フコトガ、白體其事ガ誤クテ
居ルト云フコトヲ警告ヲシテ居ルノデアリ
せっ、然ルニ此貸付方ヲ見マシテモデス、
樺太林業株式會社ハ此官行斫伐材ヲ拂下ゲ
ル爲ニ、二百万圓ノ會社ヲ造。タト云フコ
トデアル、此拂込ガ五十万圓デアッテ、之
ニ對シテ三百万以上ノ金ヲ貸スト云フコト
ハ-無擔保デ貸スト云フコトハ、實ニ間
違シテ居ルコトモ甚シイコトデハアリマス
マイカ、例ヘバ其株式全體ニ對シテ貸渡ス
モノト致シマシテモ、二百万圓ニ對シテ二
百万圓ハマダ宣カラウト致シマシテモ、二
百万圓ノ會社ニ對シテ三百七十万圓ヲ貸ス
ト云フコトハ、諸君如何デゴザイマセウカ、
是ガ尋常ナルモノデアル、相當ノモノデア
ルト諸君ハ御認メニナルノデゴザイマセウ
カ、私ハ之ヲ相當ナルモノト見ルコトガ出
來ナイノデアル、諸君、此財政經濟ノ有樣
ヲ見マシタ時ニ於キマシテモ、何レノ方面
カラ見マシタ所ガ、官自ラ斯ノ如キ所ノ大
失態ヲ來シテ居ルト云フコトハ之ヲ如何
ニ諸君ハ考ヘルノデゴザイマセウカ、(笑聲
起ル)諸君ハ大變オカシイヤウデアリマス
ルガ、國庫ノ損失ハ國民ノ損失デアリマス
%此國民ノ損失ヲ見テ笑フガ如キハ、實
ニ笑ハザルヲ得ナイト私ハ思フ、諸君ハ何
カ笑ノタリ致シマスト、此事ニ付テ關係ア
ル者ノ如ク思ハレハシマセヌカ、私ハ他黨
ヲ攻撃スル爲メデナク、政府ヲ監督スル爲
ノ演說デアリマス、笑フトモ少シ氣ヲ付ケ
テ笑ハヌト云フト、自分ノ方ノ汚ナイ所ガ現
レテ來ルヤウナ狀態ニナリハシナイカ、何
ガオカシイノダ、諸君達バカリ演壇ニ立マテ
踊ヲ踊ルノデハナイ、(此時發言スル者多シ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=14
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015・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 靜肅ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=15
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016・佐藤富十郎
○佐藤富十郞君(續) 偖斯ノ如キノ貸付方
ヲ致シマシラ、其失敗ガ三百七十万圓以上
ニナッタト云フコトニ對シテ、私ハ樺太長
官ニ伺ヒタイノデアリマス、如何ナル考カ
ラシテ斯ウ云フ取レナイ會社ヲ見テ、洵、
明ニ取レナイト云フコトハ分シテ居ルノニ
對シテ貸スト云フコトハ、ドウシテ貸シタ
ノデアルカ、之ヲ巨細ニ中上ゲレバ容易ナ
ラヌ大問題デアリマスカラ、私ハ要點ダケ
聽クコトニ致ス、是程書イタモノガアリマ
スケレドモ、都合モアリマスカラ餘リマア
中上ゲマスマイ、耳ノ痛イ人モアルヤウダ、
先ヅ樺太長官ニ伺ヒタイノハ、此拂下ヲ爲
ス時ニ木材ハ樺太ノドウ云フ所デ相渡シタ
カ、又其石數ハ何程デアッタカ、ソレカラ
其代金ハ何程デアッタカ、此事ヲ伺ヒタイ、
尙ホソレニ附加ヘマシテ、官行斫伐ハ其伐
賃及其運搬貸ガ幾ラデアッタカ、斯ウ云フ
ノデアル、此事ヲ拜聽致シマシテカラ、尙
ホ演壇ニ登ツテ申上ゲルコトニ致ス積リデ
アル先ヅ第一ハ權太ニ株式會社ニ貸シタ
モノト、松昌洋行ニ貸シタモノト、ソレト
今一口ノ遠藤某ト云フコトハ怪シイカラ、
遠藤某ハ何處ノ者デアルカ、之ニ對シテ貸
シタモノハ、其石數及尺締、其品物、其材
積其石當リ幾ラ、ソレカラソレニ對シテ
木材ノ運搬、伎採費、之ヲ伺シテ尙ホ今一
應聞イテ見タイト思フ、免ニ角總理大臣ハ
御出ニナラヌシ、仕方ガナイカラ先ヅ樺太
長官ニ聞イテソレカラニシマス、トウゾ早
達也発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=16
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017・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 昌谷政府委員
〔政府委員昌谷彰君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=17
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018・昌谷彰
○政府委員(昌谷彰君) 只今佐藤君ノ御尋
デゴザイマシタガ、實ハ細カイ數字ニ付テ
ノ御尋デ、此所ニ材料ヲ持合セマセヌデゴ
ザイマシタカラ、ドウカ今少シ後ニ取調べ
タ上デ御返事スルコトニ御永知ヲ願ヒタイ
ト存ジマスルガ、併シ大體カラ申シマスト、
此官行斫伐ノ總テノ費用ヲ籠メマシテ、此
賣買ノ價格デ相當ナ利益ヲ得ル勘定ニハ
ナッテ居ッタンデアリマス、ソレカラ單價ハ
〓シテ此十三年度ニハ一一百七八十圓見當デ
露テ居リマス、遠藤某ニ對シテモ亦同
樣デゴザイマス、眞ニ御話ノゴザイマシタ
伐木ノ代償ガドレ程デアリ、或ハ運搬賃ガ
ドレ程デアッテ、總計幾ラニナッテ、ソレガ
收支ハドウナルト云フ御答ハ、ドウカ取調
ベタ上ニ御承知ヲ願ヒタウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=18
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019・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 佐藤富十郞君
〔佐藤富十郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=19
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020・佐藤富十郎
○佐藤富十郞君 只今御深切ナル御答ガア
リマシタケレドモ、一向要領ニ觸レテ居リマ
セヌ、私ノ聞キタイノハ先刻モ申上ゲタヤ
ウニ、立木ノ代金ヲ幾ラト見積ッテ置イテ、
ソレヲ伐採シタ伐採賃、ソレニ運搬ヲシタ
ノガ幾ラデアッテ、其經費ガ總掛リ幾ラ掛フ
タ、其掛リヲ聞イタトキニ、初メテ此官行
斫伐ト云フモノハ利益ノアルモノデアル
カ、無イモノカヾ分ル、之ヲ國民ニ知ラス
必要ガアルトシテ間イタノデアリマス、デ
アリマスカラ今ノ御答ハ、遺憾ナガラ私ノ
問ニハ少シモ觸レテ居リマセヌ、仍テ思フ
ニ此貸付方ガ內地ニ在リマシテハ、有價證
劵ヲ擔保ニ致シテ二年間ノ延納ヲ許スト云
フコトハアリマスルケレドモ、此貸付方ハ無
擔保デ以テ貸シテモ宜イト云フ規定ガ出來
テ居ルト云フコトデアルガ、其規定ナルモ
ノニ矢張障ラレテ、遂ニ斯ウ云フ大失態ヲ
シタモノトモ考ヘラレマス、サウ役人ノ事
ヲ餘リ惡クハ言ハナイコトヽ致シマスレバ
サウナルノデアル、然ラバ其規定ト云フモ
ノハ非常ニ惡イモノデアル、勅令カドウカ
分リマセヌガ、規定-圓イタカラ規定ト申
上ゲマス、其規定ナルモノヲ今後存置シテ
置ク積リデアルカ、或ハ惡イモノトシテ之
ヲ取消スト云フ御考ガアルノカト云フコト
ヲ、私ハ總理大臣ニ聞キタイノデス、ソレ
カラ斯ノ如ク四百万國ニモ近イ所ノ國庫ニ
損害ヲ與ヘタト云フ事ニ於テ、此役人ノ處
置ヲ如何ニ致シタカ、ドウ云フ處置ヲ致シ
タノデアルカ、善イ事ヲシタカラト云ッテ
又非常ニ之ヲ立派ナ官員ニシテ置クノカ、
或ハ惡イト言ッテ之ヲ罷メタノカ、(「簡單
簡單」ト呼フ者アリ)何ガ簡單ダ、此位大切
ナ事ヲ申上ゲルニ簡單ハ少シ無理デアリマ
セウ(笑聲起ル)之ヲ私ハ拜聽致シタイノデ
アリマスケレドモ、本席ヲ見マスレバ總理
大臣モ御出ニナラナイ、內務大臣モ居ナイ、
何共此ニ於テ進退谷マルト云フ姿(笑聲起
ル)ソレカラ同ジ問題デアリマスカラ、內
地ニ於ケル所ノ官行斫伐ニ付テ此損害ヲ來
シテ居ルコトヲ申上ゲマス、是ハ過日來農
商務省ヨリ調ベタ所ヲ拜見致シマスレバ、
全國百三十九箇所ニ於テ官行斫伐ノ伐採事
業ヲシテ居ル、其用材ハト聞ケバ、三百六
十万石伐ッテ居ル、其利益ハト尋ネテ見ル
ト、千三百万圓ノ利益ガアルト云フコトデ
アリマス、然ルニソレナラバ何所デドレダ
ケノモノヲ伐ケテ居ルカト云フコトヲ聞イ
タトキニ、秋田ノ杉ガ一千四百八十万石伐,
テ居ルト斯ウ言フ、私ハサウナルト直グ分
ル、秋田ノ杉ハアノヤウナ立派十杉ナルガ
爲ニ、立本ノ儘十圓ノ價値ハアル(ノウノ
ウ)然ラバ之ヲ立木ノ儘デ賣リマシテモ、
一千四百八十万圓ト云フ國庫ノ收入ガナケ
レバナラヌ筈ト思フ、百四十八万石ト云フ
モノヲ三百六十八万石カラ差引キマスルト、
約二百二十万石ト云フモノガ殘ル、其二百
二十万石ト云フ殘リノ代金ハ雲散霧消ニ消
エタ譯ニナル、是レ卽チ國庫ノ損害デアリ
マセウ、此國庫ノ損害ヲ三十年以上モ續ケ
テ來タトキヲ考ヘテ見マスト、如何ナル大
ナル損〓ヲ來シテ居ッタカト云フコトハ明
ニナッテ居ルデハアリマセヌカ、此明ニナク
テ居ルノヲ見テモ、以前ヨリ官行斫伐ヲ續
ケテ行クノハ更新ノ途ニ於テ植立ヲ爲ス
ガ爲ニ、官デ伐採シナケレバナラヌト云フ
コトヲ言ンテ居ルケレドモ、植林ヲスルノ
ニ其山ヲ自ラ政府ガ伐ラナケレバナラヌト
云フ理由ガ何處ニ在リマセウカ、何處ニ存
在シテ居ルデアリマスカ、多數ノ官吏ヲ養
フガ爲ニ、ソレガ爲ニ國庫ニ損害ヲ來シテ
置クト云フコトハ此整理緊縮ヲ爲ス所ノ
內閣ト致シマシテハ第一ニ之ヲ行政ノ整
理ヲシナケレバナラヌ任ニ當ッテ居ルデハ
ナイカ、ソレヲセスシテ何ガ行政整理デア
ルカ、是ダケノ大問題ヲ控ヘテ居ッテ、ソ
レヲ知ラヌ顏ヲシテ居ル、歴代ノ内閣ノヤ
ル仕事デアッタカラ宜シイト云フノナラバ、
何處ニ整理ガ存在シテ居ルノデアルカ、斯
ウ云フ考デアリマスルガ、幸ヒ政府委員ガ
見エラレテ居リマスルカラ、斯ノ如ク損害
ガ明ニナッテ居ッテモ、尙ホ之ヲ續行シナケ
レバナラヌト云フ理由ハ何處ニ在ルカト云
フコトヲ、國民ノ前ニ私ハ明瞭ナル御答辯
ヲ願ヒタイト思フ、ドウモ今ノ政府委員デ
ハ出來サウモナイカラ、出來ルダケ一ツ承
リタイ、ソレカラモウ一遍登壇スル積リデ
ス
〔政府委員高田耘平君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=20
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021・高田耘平
○政府委員(高田耘平君) 只今佐藤君ノ質
問ニ御答致シマス、佐藤君ハ此議會開會以
來、始終此點ニ付テ御熱心ニ御〓究ニナッ
タ勞ニ對シテハ、私甚ダ失禮デゴザイマスル
ケレドモ、此席ヨリ御禮ヲ申上ゲテモ宜シ
イ程ニ、眞ニ〓究シテ下スッタト思フノデ
アリマス、而シテ實ハ此斫伐ノ利害問題ニ
付テハ、決算委員會ニ於テ詳細ニ御調査ニ
ナッタコトヽ思ッテ居リマシタ所ガ、只今此
席ニ於テ御質問ノアルコトハ、甚ダ私ノ意
外トスル所デゴザイマス、併ナガラ事柄ハ
斫伐事業ヲ行フコトガ、林野ノ經營上是ナ
リヤ非ナリヤト云フ頗ル重大ナル關係ノア
ル問題ト思ヒマス故ニ、御答スル必要ガア
ルノデゴザイマス、第一官行斫伐ヲ行フト
云フ事柄ハ單純ニ立木ノ斫伐ニ依ッテ國
家ガ利益ヲ得ムトスル目的バカリデハアリ
マセヌ、國有林野ノ經營上、ドウシテモ場
所ニ依ッテハ、國家ガ直接ニ斫伐スル方ガ
利益デアル場所ガアルノデゴザイマスルカ
ラシテ、而シテ斫伐事業ニ依ッテ詰リ山林
ノ更新ヲスルト云フ目的ガ達シ得ルト思ヒ
マスルカラ、斫伐事業ヲ營ムノデアッテ、
決シテ利益保護デナイト云フコトヲ前以テ
御諒承ヲ願ヒタイノデアリマス、只今御質
問ノ中ニゴザイマシタ、秋田ノ杉ノ利益ガ
尺締一石ニ付テ十圓デアル、秋田ニ於テハ
秋田ノ杉ナラバ立木デモ一石十圓ニ賣レル
デハナイカ、斯ウ云フ御話デゴザイマスル
ガ、ソレハ間違ッテ居ルノデゴザイマス、
大正十三年ニ於テ政府ガ販賣致シマシタル
秋田ノ杉ノ立木ノ一石ノ相場ハ、單價ガ一
石四圓七十六錢一厘デゴザイマス、決シテ
立木ノ儘デ十圓ニハ賣レマセヌ、是ガ大正
七八年ノ頃デアッタラ、或ハ佐藤君ノ御意
見ノ通リ賣レタカモ知レマセヌガ、大正十
三年ノ實績ハ只今申シマシタ通リ四圓七十
六錢一厘デアリマス、而シテ官行斫伐ヲ行
ヒマシタル總石數ガ百十七万二千六百三十
六石デ、之ニ資材價格一石ニ付テ約六圓
バカリヲ見込ミ、官行斫伐ノ經費二百
万圓バカリヲ見込ンデ、ソレ等支出ト收入
ト差引キマシテ、一石ニ付テ十三圓バカリ
ニナルノデゴザイマスルカラシテ、詰リ立
木ノ儘處分スレバ約五圓、斫伐事業ニ依ッテ
之ヲ經營シテ居ッタ結果ハ約十三圓ト相成
ルノデアリマスカラ、差引八圓許リノ純益
ガアル、斫伐事業ノ方ガ立木ニ依シテ賣拂
フヨリモ、ソレダケ利益デアルト云フ計算
ガ出テ居ルト云フコトヲ御諒承願ヒタイノ
デゴザイマス、更ニ之ヲ全國的ニ申上ゲマ
スト云フト、大正十三年度ニ是ハ針葉樹、
濶葉樹ヲ併セテノ斫伐ノ數量ハ三百五十七
万六千七百五十五石デゴザイマス、之ニ資
材ノ價格ヲ相當ニ見込ミ、尙ホ官行斫伐ニ
關スル所ノ經費ヲ相當ニ見込ミマシテ、而
シテ其收入-總收入ガ四千五百五十八万
八千三百三十八圓トナッテ、資材價格ヲ相
當ニ見込ミマシタモノ及官行斫伐ニ要スル
經費ヲ總テ併セテ、ソレガ二千三十八万圓ニ
ナリマスカラシテ、差引二千五百万圓許リ
ノ利益ニナッテ居ルノデゴザイマス、但シ
御承知ノ通リ決算ト多少ノ差ガアリマスノ
ハ代金ノ延納ヲ許シテアリマスト同時
ニ、大正十三年度ニ於テ斫伐ハ致シマシタ
ガ、處分未濟ノ數量ガ多々アルノデゴザイ
マス、故ニ決算ノ上ニハ二千五百万圓ノ利
益ハ現レマセヌガ、若シ未處分ノモノガ、
スッカリ處分サレ、而シテ延納代金ガ納マ
リマスレバ、斫伐事業ニ依ル所ノ利益ハ二
千五百何十万ト云フコトニ相成ルノデゴザ
イマス、恐ラクハ佐藤君ノ一千三百万圓ト
云フ御調査ハ、或ハ農林省森林總收入額カ
ラ植栽費モ見込ミ、詰リ伐採ノ費用バカリ
デナク、苗木ヲ植エル費用、或ハ下刈ノ費
用、是等ノモノヲ全部御引キニナッタ結果デ
ハナイカト思フノデゴザイマス、是ハ私ノ
疑問デゴザイマスケレドモ、免ニ角斫伐事
業ニ依テテ千千五百万圓ノ利益ガアルト云
フコトハ、御了承ヲ願ヒタイト田心フノデゴ
ザイマス(拍手)
〔髙木益太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=21
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022・高木益太郎
○高木益太郞君 內閣總理大臣兼内務大臣
ニ御尋ヲシタイノデアリマス、大正十二年
度大正十三年度ニ亙ル決算ノ報告ニ付キマ
シテハ、決算委員諸君ノ御努力ニ依リマシ
テ、洵ニ詳密ナル報告ニ接シテ甚ダ滿足ニ
思ヒマス、其決算ノ結果ト私ガ關係致シマ
シタ本年度ノ内務省ノ豫算ノ結果トヲ綜合
シテ見マスルト、先刻河上委員長ノ御報告
ニ係ル復興局ノ問題ニ付キマシテ、總額六
千二百万圓ノ不動產ノ買入ヲシテ居ルノデ
ゴザイマス、本會ニ於テハ一千万圓ノ〓育
費國庫支辨、或ハ八哩ノ鹽尻ノ鐵道ノ問題
ニ付キマシテハ、全院ノ諸君ガ擧ゲテ御苦
心ニナッタト云フコトハ今喋々ヲ要セナイ、
然ルニ僅カ内務省ノ一局デアル所ノ復興局
ニ於テ、只今ノ決算報告ト私等ノ豫算ノ取
調ノ結果ヲ綜合シマスルト、六千二百万圓
ノ金ト云フモノヲ使ウテ、東京ノ潰地其他
ノモノヲ買入レテ居ル其結果ニ就テ調ベテ
見マスルト云フト、現ニ近ク委員會開會中、
本員ノ質問中ニ太田圓三君ノ自殺問題ガア
リ、又此問題ハ玆ニ御列席遊バサレマス村
上國吉君ノ、昨年ノ豫算會議ニ於テモ復興、
局ニ確ニ瀆職ノ事實ガアル、速ニ之ヲ改善
シナケレバナラヌト云フコトヲ痛論セラレ、
本員モ亦之ニ共鳴ヲシテ、政府ニ向ッテハ
苦言ヲ呈シタノデアリマス、ソレハ確實ナ
ル所ノ證據ニ基イテ、村上君及本員等ハ政府
ニ注意ヲ望ンダノデアリマス、勿論事ハ四
代前ノ内閣ノ時代ノコトデアリマス、〓浦
内閣ノ大正十二年ノ十二月カラ不都合ナ行
爲ガアル、卽チ田園都市會社ノ二百四十万
圓ノ問題、是ハ聞ク所ニ依ルト云フト贈賄
ノ額ガ約二十万圓、又品川ノ詐欺事件、是
ハ瀆職デハナクシテ詐欺ダ、マルデ無イモ
ノヲ賣買シテ居ル、故ニ東京地方裁判所ニ
於テハ之ヲ詐欺取財事件トシテ取扱クテ居
ル、又最近ニハ直グ此前ニアル鍋島家、而
モ會計檢査院長が鍋島家ノ顧問デアル、此
鍋島家カラ二万圓ノ賄賂ヲ取ッテ居ル、何
タル大膽不敵ノ事デアリマスカ、左樣ナ事
實ヲ舉ゲテ來ルト六千二百万圓ノ復興局カ
ラ出シタ金ガ、土地ノ賣主ノ手ニハ實際幾
ラ入ッテ居ルカ殆ド分ラヌ、例ヘバ七万圓
ノ請取ヲ取ッテ、其實ハ五万圓ノ金シカ渡
シテナイカモ知レヌ、實ニドウモ怪シカラ
ヌ不都合極マッタ事デアル、近年ノ海軍省
ノ金剛艦ノ問題ト雖モ、國家ニ斯ウ云フヤ
ウナ大ナル損害ヲ與ヘタモノデナイ、皆金
高ガ小サイ、彼等ガ此百分ノ五ヲ不正ニ使
用シタトシマシテモ、千七百万圓ト云フモ
ノハ彼等ガ國家ニ損害ヲ與ヘタコトニナル、
固ヨリ司法處分ノ內容ニ付テ、豫審審査ノ
內容ニ付テ、或ハ犯罪捜查ノ範圍ニ付テ吾々
ハ政府ニ聞クノデハナイガ、政府ノ行政
ノ取締ノ上ニ於キマシテ、卽チ豫審ノ秘密
ニ涉ラサル範圍內ニ於テ、政府ノ行政上ノ
責任問題トシテ、ドノ位國家ニ損害ヲ與へ
タモノデアルカ、此金高ヲ一ツ伺ヒタイ
(「ノウ〓〓」「ヒヤ〓〓」)ソレカラ此金ト云
フモノハ、眞ニ東京市民、罹災民ノ血ノ出
ルヤウナ負擔ニナル、卽チ大正十八年度カ
ラシテ三十箇年ニ復興事業費ト云フモノハ
償還シナケレバナラヌ義務ヲ持クテ居ル、全
部只頂戴ノ出來ルモノデハナイ、三十箇年賦
デ每年之ヲ償還シナケレバナラヌ義務ヲ
持ッテ居ル、サウスレバ若シ國家ノ監督ヲシ
ナケレバナラヌ國家機關ノ官吏ガ、其金ノ中
何百万圓ト云フモノヲ不正ニ使用シタト云
フコトデアレバ、之ヲ東京市民ノ負擔ニス
ルト云フコトハ實ニ忍ビナイ、國家自ラ監
督スベキモノヲ、監督不注意ノ結果斯ノ如キ
問題ガ起ッタノデアリマスカラ、此分ニ付テ
ハ政府ハ一體ドウ云フ考ヲ持ツカ、又政府ハ
此際斷乎タル大刷新、大英斷ヲシテ、此復
興局ノ改善ニ當ル御考ガアルカドウカ、今
日東京市民ハ復興局ト言ハズシテ、誰モ不
都合局不都合局ト言ウテ居ルノデアリマス、
立憲政治ハ信任政治デアル、復興局ノ從來
ノ幹部ハ四人アッタノデアリマスガ、所謂
四人柱ノ中一人建築部長ヲ除クノ外ハ、
皆問題ニ屬スル人ニナッテ居ル、或ハ整地部
長、或ハ經理部長、或ハ土木部長、全滅ト
ハ言ハナイ、全滅トハ言ハナイケレドモ少
クトモ幹部ニ居フテ決裁スル人ミハ皆問題ノ
人デアル、此復興局ニ對シテ政府ハドウ云
フ改善ヲ加ヘル考デアルカ、昨日モ政府ニ
聞イテ見ルト、五千人ノ人ヲ使用シテ居ル、
其中ニハ前ニ不都合ヲ爲シタル、監督不行
屆デアル前ノ復興局長官ヲ尙ホ顧問囑託トシ
テ居ル、或ハ後藤系ノ鈴木組ノ人ヲ囑託ニ
シテ居ル、サウ云フヤウナコトデ、御用商
人ヲ使シテ居ル、斯ンナ事デ、復興ノ事實ガ
果シテ擧ガルト云ヘルカドウカ、又復興局
ハ商業會議所會頭ノ藤山委員ノ質問ニ對シ
テ、總テノ區割整理事業ノ終ルノハ何時デ
モアリマスカト云フ問ニ對シテ、稻葉土地
整理局長ハ、總テノモノハ大正十三年、十
四年、十五年ノ三年デ完了シタイト思ウテ
居リマス、燒失ノ區域全部ニ對シテ大正十
三年ノ五月、六月、七月ノ三箇月間ニ假處
分ヲシテ、八月一箇月ダケ猶豫ヲ見テ、九
月カラ本建築ニ掛ルヤウニシタイノデアリ
やく、斯ウ云フコトヲ言ッタト云フコトハ
速記錄ニ依ッテ明白デアリマス、然ルニ仕
事ハドウデアリマスカ、大正十二年ヲ過ギ、
大正十三年ヲ過ギ、十四年ヲ過ギ、茲ニ十
五年經費ノ十分ノ八ハモウ使ッテシマッテ居
ル、況ヤ此議會ガマルデ知ラナイ、勿論行
政科目デ、立法科目デハアリマセヌケレド
モ、十分ノ八マデ費用ハ使シテ、仕事ハド
ノ位出來テ居ルカト云フト、百分ノ九弱、
マダ一割ニ達セヌデハナイカ、サウスレバ
從來ノ彼等ガ公ニ宣言シタル事柄ガ行ハレ
ヌノミナラズ、豫算ガ無イコトニナル、ソ
コデ政府ハドウ云フ一體御計畫ヲ御持チニ
ナルカ、從來ノ計畫ハマルデ世ノ中ヲ欺イ
タモノデアル、今ノ四代前ノ内閣ノコトデ
アルケレドモ、免ニ角速記錄ニ依ルト十三
年ノ九月カラ本建築ニ取掛カル、何處ニ本
建築ニ取掛ッテ居ルカ、而シテ此問題ハ國
家問題トシテモ大切デアル帝都ノ問題デア
ルガ、直接ニハ四十一万戶ノ震災ノ利害關
係人ガ居リ、一万五千人ノ地主、十二万人
ノ借地人ニ關係スル問題デアル、政府ハド
ウ云フ方針ヲ以テ之ヲ御進行ニナルト云フ
御考デアルカ、本員等ノ見ル所ニ依ルト、
最初カラ豫算ガ三分ノ一シカナカッタノデ
アル、三分ノ一シカナイノニ、仕事ヲ無暗
ニヤリ掛ケテヤレナイ、經費ハ十分ノ八
使ッテシマッテ、一割モマダ仕事ガ出來ナイ、
動モスレバ駿河臺ガ出來タト云フガ、駿河
臺ノ住民ト云フ者ハマダ一錢一厘モ〓算金
ヲ貰ッテ居ラヌ、何タル憫レナ狀態デアリ
マセウカ、而シテ今後如何ニ政府ハヤル考
デアルカ、昨年來政府ハ共同建築法ヲ實行
スルト云フ、共同建築法ヲ實行シナケレバ
細カイ家ニ付テハ區割整理ヲシテ、都市ノ
美觀改善ヲスルコトハ出來ヌト云フコトヲ
言ハレテ法案ハ出來テ居ル、此共同建築法
ヲ實行シナケレバ十分ノ五、半分ノ區劃整
理ハ出來ナイ、然ルニ其法案ト云フモノハ
此議會ニマダ提出ガナイ、然ルニ此進行ガ
出來ルカ出來ヌカト云フコトハ、百万人以
上ノ罹災民ト云フ者ハ日夜忘レルコトガ出
來ナイ、戰々兢々トシテ何時自分ノ所ニ移
轉命令ガ來ルカト言ッテ心配シテ居ル、何
故政府ハ年月ト順序ヲ立ッテ、速ニ政府ノ
確實ナル計畫ヲ發表シナイノデアルカ(ヒ
ヤヒヤ)動モスレバ何カ民間ノ者ニ怠リガ
アルヤウニ考ヘテ居ルガ、先ヅ區劃整理ヲ
スルト云フコトデアレバ、丸ノ内第三區、
內務省、大藏省、會計檢査院ト云フモノガ
率先シテ區劃整理ニ應ジナケレバナラヌデ
ハナイカ、政府自ラ市民ニ向ッテ範ヲ示サ
ナケレバナラヌデハナイカ、然ルニ會計檢
査院ト云ヒ內務省ト云ヒ大藏省ト云ヒ、吾
吾ノ個人ノ營業ヤ居住シテ居ル者トハ違ク
夕多少ノ裕リガアッテ-餘裕ガアルニモ
拘フズ、今日マデ何等區割整理ニ著手シテ
居ラナイ、政府自ラ範ヲ示サズシテ、ドウ
シテ市民ニ向シテ之ヲ促スコトガ出來ルノ
デアリマスカ(ヒヤ〓〓)又近頃是等ノ役所
ヲバ集合シテ、サウシテ櫻田門外ニ國有財產
ノ中カラシテ一億圓許リノ金ガ餘シタカラ、
建築ヲ爲サルト云フコト、是ハ洵ニ立場ノ
上カラ云ヘバ結構デアリマセウケレドモ、
私等國民ト致シマシテハ、國有財產ニ關ス
ル法律ハ何ノ爲ニ出來タカ、國有財產調査
委員ハ何ノ爲ニ選定ニナッタカト云ヘバ
是ハ亡クナラレタル所ノ澤來太郞君ノ建議
ニ基クモノデアリマス、澤來太郞君ハ不要
ナ國有財產ヲ整理シテ民力ノ涵養ヲ圖リタ
イト云フ考カラ、國有財產委員設置ノ考ヲ
持タノデアリマス、故ニ此一億圓カラノ金
ガ出來タ、國有財產調査委員ノ努力ニ依ッテ
一億カラノ金ガ出來タト云フコトデアレバ、
先ヅ以テ役所ノ方ハ、敢テ仁德天皇ノ故事
ヲ言フデハアリマセヌガ第二ニシテ、先ヅ
第一ニ廢減稅ノ方面、民力休養ノ方面ニ此
不要ノ財產ヲ使用シナケレバナラヌデハナ
イカ、全部デナクテモ半額ハ廢減稅ニ向ケ、
半額ヲバ國力ノ發展ノ事ニ注ガナケレバナ
ラヌ順序デアルノニ-罹災民ハ今ヤ區劃
整理ニ日夜心配シテ居ルノニ、役所ダケハ
先キニ建ツ、役所ハ十年計畫-前ノ豫算
ノ審議ノ際ニハ十年計畫デアリマシタ、役
所ガ先ヅ先キニ建ッテ、東京ノ震災地ハ後
ニナルト云フコトハ、緩急其順序ヲ誤シタ
次第デハナイカ、此點ニ付テモ私ハ政府ノ
御考ヲ伺ヒタイ、況ヤ政府ノ豫算ト云フモ
ノハ營業休止ト云フモノヲマルデ見込マズ
借地人、借家人ノ關係ヲ見積ラナカッタ、
豫算ガ根本カラ足ラヌト云フコトハ明白デ
アル、然ルニ政府ハ此計畫ヲ縮小シテ眞面
目ナル案ニ縮小スル、其縮小スルト云フコ
トハ本員等一己ノ考デハナイ、政友會ノ總
栽ノ高橋サン、憲政會ノ總裁ノ加藤サン、
ソレカラ當時ノ復興審議會ノ特別委員長
デアル伊東巳代治サン、大石正巳サン、是
等ノ方ミガ協議シテ、サウシテ復興ノ厖大
ナル後藤サンノ計畫ヲ止メテ、眞面目ニ出
來ル百万坪内外位デアルト云フ計畫ガ立ッ
テ居ッタ、ソレヲ此稻葉健之助トカ何トカ
云フ今監獄ニ這入ッテ居ル連中ガ、千四十
八万坪ノ全體ニ向ッテ區割整理ヲヤラウナ
ドヽ云フ、日本ニモ外國ニモ無イ馬鹿氣タ
事ヲヤリ出シタ、ソレ故ニ其後-院議ハ
ドウスルカト云フト、御承知ノ通リ十二間
以上ハ國家ガヤル、道路ノ十二間以下ノモ
ノハ自治團體ノ自由ニ任スト云フコトニ
ナッテ居ル、其院議ト云フモノヲ復興局ノ屬
僚ガ勝手ニ變更シテ、何等議會ニ語ラナイ
デヤッテ居ルモノデアルカラ、非常ナル計
畫ノ上ニ於テ齟齬ヲ來シテ居ルノデアリマ
スガ、是等ノ點ニ於テ政府ハ-決シテ御
多忙ノ場合、今直グ、御卽答ヲ望マウト云
フ譯デハナイガ大問題デス、百万人以上ノ
利害ニ關スル問題デアリマスカラ、能ク一
ツ總理大臣ト復興局長官ハ御協議ニナッテ、
サウシテ部下ノ中ニ色〓ト黴菌ガ居ルノデ
アリマス、吾々ノ認ムル所ニ依ルトマダ
大分居ルヤウデアリマス、故ニ斷乎タル決
心ヲ以テ、情實ヲ挾マナイデ刷新ナサル御
考ガアルカドウデアルカ、餘リ愚圖々々シ
テ居ルト、復興局ノ信用ト云フモノハ全ク
地ヲ拂ッテシマフノデアリマスカラ、此點
ニ於ケル所ノ御決心ヲ伺ヒタイノデアリマ
ス(拍手)
〔政府委員〓野長太郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=22
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023・清野長太郎
○政府委員(〓野長太郞君) 高木君ノ御質
問ニ對シテ、私ヨリ答辯ノ出來マスル事ノ
ミヲ御答辯ヲ申上ゲマスガ、過日來高木君
ヨリ極ク御熱心ナル御注意モ承リ、屢、剴切
ナル御意見ヲ承シテ居リマスノデ、深ク傾
聽ヲ致シテ居リマス、只今ノ御尋ノ問題ハ
一昨日以來高木君ヨリ、又作間君其他ノ諸
君ヨリ御質問ノアリマシタ事柄デ、大部分
ハ其時ニ私ヨリ御答ノ出來マスル限リ申上
ゲテアリマスノデ、只今此席デ一々ソレヲ
申上ゲマスルコトハ、此際御許シヲ願ヒタ
イト存ジマス、但シ第一ハ收賄ノ額ト云フ
モノガ、ドウ云フコトニナッテ居ルカト云
フヤウナコトヲ先般モ御尋ガアリマシタ
ガ、是ハ固ヨリ申スマデモナク內務大臣ニ
於カレテ、此刑事被告人ノ出マシタコトハ
深ク遺憾ニ存ジラレテ居リマスルガ、只今
豫審中ノ事柄デ、此席デ高木君ノ御述ニナ
リマシタヤウナ金額デアルカ否ヤト云フコ
トハ、私自身モ絕對ニ承知ヲ致シマセヌノ
デ、其點ニ付テノ御答ハ致シ兼ネマス、是
ハモウ申スマデモナイコトヽ存ジマス、殊
ニ又復興局デ六千万圓ノ土地ヲ買ヒマシタ
ノハ是ハ過去ニ於テ前長官ノ時代ノ事實
デアリマスルガ、此土地全體ニ付テ不正ノ事
實ガアルヤウナ御訪デアリマスケレドモ、
是ハ餘程事實ニ付テ酷デモアリ、又事實相
違ト存ジマス、既ニ只今御引用ニナリマシ
タ大正十二年度、十三年度ノ會計儉査虎ノ
檢査報告ヲセラレテ居ル中ニ擧ッテ居リマ
ス事件ハ數伴デアリマス、依査院ハ檢査官
ガ會地ニ義キ詳細ナル調査ヲセラレマシタ
結果ガ、吉院ニ提出セラレテ、先刻委員長
ヨリ御報告ニナリマシタヤウナ次第デアリ
マスノデ、高木君ノ六千万圓ノ此買收ノ金
額全體ニ付テ、其儉査院ノ報告以外ニ不正ナ
事實ガアルト云フヤウナ御話ハ是ハ事實
ガ違ッテ居リハシナイカト存ジマス、尙ホ
此際私一言ダケ申上ゲテ置キタイノハ
昨日不幸ニ致シテ死去致シマシタ、私共僅
カノ間デハゴザイマスケレドモ、復興院時
代ヨリ日夜心勞ヲ致シ努力ヲ致シマシタル
太出圓三君ニ對シテ、恰モ刑事被告人ニナッ
テ居リマスル者ト同樣ニ御名前ヲ列セラレ
ルト云フ事柄ハ、洵ニ高木君ハ紳士トシテ
ノ御言葉トシテハ甚ダ私ハ遺憾ニ存ジマ
スルト云フコトヲ申上ゲテ置キマス、尙ホ
直木前長官ノ事ニ付テ、斯ノ如キ不都合ナ
ル前長官ヲ何故ニ顧問ニシテ居ルカト云フ
御話デアリマスガ、是ハ技術上ノ顧問デア
リマシテ、行政上ハ及バズナガラ昨年九月
以來私一人デ擔任ヲ致シテ居ル次第デアリ
やく、ンレカラ復興局ノ費用ハ十分ノ八既
ニ使シテシマッテ、仕事ハ百分ノ何ガシト云
フコトヲ仰セラレマシタガ、是ハ昨日モ申
上ゲマシタ通リ、十分ノ八ト云フ數字ハ全
然違ヲテ居リマス、三割使シテ居リマスノデ、
卽チ十三億四千幾ラト云フ金額ニ對シマシ
テ、約一億使シテ居リマスノデ、十分ノ八ト
只今私ハ伺ヒマシタガ、是ハ事實ガ違シテ
居ルコトヲ申上ゲテ置キマスソレカラ共
同建築ノ事ニ付テ、何故ニ共同建築ノ法律
案ヲ提出ヲセヌカト云フ、是ハ實ニ御尤ナ
ル御尋ト存ジマス、此事ニ付キマシテハ就
任以來此法案起草ニハ內務省其他ノ〓究
ヲ遂ゲテ居リマスガ、常ニ高木君ナドノ御
心配ニナリマスル-簡單ニ共同建築ト云
ヒマスレバ、如何ニモ誰シモ皆恩西心ニ浴ス
ルヤウデアリマスガ、共同建築法ヲ法律ト
シテ拵ヘマスル以上ハ、所有權ト借地人ト
ノ關係ヲ如何ニスルカト云フ事ガ先ヅ第
-第二ニハ共同建築ヲ或點マデ强制ヲ
以テ實行ヲスルト云フコトニナリマスレバ、
常ニ高木君ノ御心配ニナリマスル此借家人
ヲ、一口ニ言ヘバ追拂フト云フコトヲ致サ
ンケレバナラヌノデアリマス、是ハ今日ノ
區劃整理モ、御承知ノ通リ私共モ甚ダ進行
ガ思フヤウニ參ラヌノデ、恐縮ヲ致シテ居
リマスルシ、又今日ノ一般ノ事情カラ一時
ニ數万人、或ハ數十万人ト申シテモ過言デ
ナイカト思フ、其借家人ヲ之ヲ何箇月前ノ
豫告ヲ以テ解約ヲスルト云フコトニナリマ
スルコトハ高木君ノ常ニ御心配ニナル點
ニ付テ、政府ノ方デハ種々調查ヲ致シ議論
ガアリマスノデ、此次囘ノ議會ニハ或
ハ-只今其法案ノ草案ガ出來テ審議中デ
アリマスノデ、唯、此議會ニ提出ヲ致スコ
トガ出來マセナンダ點ハ甚ダ私自分ノ微
力ヲ深ク御断リヲ申上ゲル外ハナイノデア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=23
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024・高木益太郎
○高木益太郞君 此席カラ一言ダケ尙ホ再
質問ヲ御許シヲ願ヒマス、只今復興局長官
ハ共同建築法案ハ昨年來審議ヲシテ居ル
ガマダ出來上ラナイ、其結果ハ數十万ノ借
家人ニモ影響スル、此次ノ議會ニハ出ス、
斯ウ云フ仰セデアリマス、果シテ然ラバ其
部分ニ涉ルモノハ、移轉命令ヲ御發シニナ
ラヌカドウデアルカ、其部分ニモ移轉命令
ヲ發シテ仕事ヲシテ、ソレカラ共同建築法
デ又壊スト云フコトハ甚ダ迷惑デアリマ
ス、此共同建築法ヲ實行スルカ實行セヌカ
ハ十分ノ五ニ渉ル、殆ド區劃整理ノ事業ノ
半分ニ渉ルノデアル、其部分ニ付テハドウ
スルノデアルカ、何時マデモ考ヘテ居ル、
考ヘテ居ルト云ッテ、大正十二年、十三年、
十四年、十五年、-四年目ヂヤアリマセ
又カ、サウ考ヘテバカリ長ク居ラレタ日ニ
ハ耐ッタモノデハナイノデアリマス、是ハ此
次ノ議會ニ出スト仰セニナル以上ハ、ソレ
迄ハ其者ニ對スル移轉命令ハ御出シニナラ
ヌノデアルカ、移轉命令デ追拂シテ、ソレカ
ラ又オヤリニナラウト云フ考デアルカラ、
ンコヲ一ツ伺ッテ置キタイ、ソレカラ太田某
氏ノ事ニ付テハ本員モ實ニ氣ノ毒ニ思フ、
一度都市計畫ノ問題ニ付テ審議中ニ、斯ル
不幸ガアルト云フコトハ氣ノ毒ニ思フ、併
ナガラ自分ハ又公益ヲ代表スル一員トシテ
ハ國家ニ不當ノ損害ヲ被ッタト云フ事實
ガアル以上ハ、行政監督ノ職責上之ヲ默ッ
テ置ク譯ニイカヌノデアリマス、人情ト公
ノ職務トハ區別シテ見ナケレバナラヌノデ
アリマス、此點ニ付テハ政府ハ豫審ヤ裁判
ノ落著ヲ待ヲタ日ニハ大變デアリマス、豫審
判事儉事ノ見ル所ト復與局長官ノ見ル所
ト、國庫ノ損害ハドノ位デアルカト云フコ
トハ行政監督ノ上ニ必要ナ事デアル、裁判
事件ノ落著スル迄ハ分ラヌト云フヤウナ事
ノアルベキモノデハナイ、懲戒處分スベキ
ハ懲戒處分スル、免官スベキモノハ免官ス
ルト云フ途ニ出デナケレバナラヌ、本來此
質問ト云フモノハ總理大臣、内務大臣ニシ
タイ、私ハ此前ノ豫算ノ會議ニ於テ前ノ直
木長官ニ隱退ヲ迫ノタ、然ルニ現内閣ハ綱紀
粛正ノ內閣デアルカラ吾々ノ說ヲ容レ
テ-是ハ賴母木君ナドガ非常ニ盡力セラ
レタサウデアリマス、是ハ東京市民トシテ
厚ク感謝スル次第デアリマスガ、卽チ現長
官ガ來ラレタノデアルカラ、現長官ハ人格
ト云ヒ、年-革ト云ヒ申分ノナイ長官デアリ
マスカラ(笑聲起ル)ドウゾ一ツ斷乎タル處
分ヲシテ貰ヒタイ、國民ニ疑ヲ懷カシメル
ト云フヤウナ、斯ンナ事ハナイノデアリマ
スカラ、ワレハ長官一人デアルト言ッテハ
遣リ惡イカモ知レヌガ、衆議院要求デノアル
(ヒヤ〓〓)斯ウ云フ名ノ下ニ私ハ斷乎タル
刷新アランコトヲ悃願スル次第デアリマス
(拍手)
〔政府委員〓野長太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=24
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025・清野長太郎
○政府委員(清野長太郞君) 唯一-點ダケ
御答ヲ申上ゲテ置キマスガ、此共同建築ヲ
建ブマスルノハ申スマデモナク所謂耐火家
屋ヲ要シマスル所ノ其一部分デ、先刻高木
君ノ仰セノ通リ區劃整理ハ千万坪デ、防火
地區ニナッテ居ル所ハ百五十万坪内外デア
リマス故、半分マデニハ達シテ居リマセヌ
ソレカラ共同建築ノ法律案ヲ提出スル前
ニ、移轉命令ヲ出スカ出サヌカト云フコト
デアリマスガ、移轉命令ハ所謂移轉命令デ
其處ニ居リマスル家、其家ヲ動カシテモ換
地ヲ遣リマスノデ、先刻私ノ申上ゲマシタノ
ハ共同建築ヲ實行シマスルト、借家人ノ
詰リ土地ノ收用ノ場合ト同ジク、移轉先ヲ
決メズニ、サウシテ所謂解約ヲスルト云フ
違ヒガ起リマスノデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=25
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026・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 質疑ハ終了致シ
マシタ、是ヨリ採決ヲ致シマス、大正十二
年度決算及大正十二年度國有財產增減總計
算、大正十三年度決算及大正十三年度國有
財產層減總計算ハ何レモ委員長報告通リ
是認スルニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=26
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027・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 起立多數デアリ
マス、仍テ大正十二年度及大正十三年度決
算、大正十二度年及大正十三年度國有財產
增減總計算ハ、何レモ委員長報告ヲ是認スル
コトニ決シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=27
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028・井本常作
○井本常作君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ政府提出海軍軍備制限
ニ關スル條約ノ實施ニ伴フ損害ノ補償ニ關
スル法律案ヲ特ニ上程シ、委員長ノ報告ヲ
求メ、其審議ヲ進メラレンコトヲ求メマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=28
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029・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 井本君ノ動議ニ
御異議ナイト認メマス、仍テ動議ノ如ク決
シマス、海軍軍備制限ニ關スル條約ノ實施
ニ伴フ損害ノ補償ニ關スル法律案ノ第一讀
會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報告ヲ求メマ
スー委員長川原茂輔君
海軍軍備制限ニ關スル條約ノ實施ニ伴フ
損害ノ補償ニ關スル法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一海軍軍備制限ニ關スル條約ノ實施ニ伴
フ損害ノ補償ニ關スル法律案(政府提出)
右ハ木院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノ
ト議決致候此段及報告候也
大正十五年三月二十四日
海軍軍備制限ニ關スル
條約ノ實施ニ伴ノ損害
ノ補償ニ關スル法律案
委員長川原茂輔
衆議院議長粕谷義三殿
〔別紙〕
海軍軍備制限ニ關スル條約ノ實施ニ伴フ損
害ノ補償ニ關スル法律案中左ノ通修正ス
第二條中「二千二百万圓」ヲ「二千万圓」ニ
改ム
附帶條件
各會社神償金額ハ本法ノ主旨ニ依リ其ノ
特設施設ノ損害高ヲ基準トシ補償審査會
ニ於テ決定スヘキモノトス
〔川原茂輔君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=29
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030・川原茂輔
○川原茂輔君 本問題ノ委員會ノ結果ヲ御
報告致シマス、本問題ニ對シマシテハ數
回ニ涉ッテ委員會ヲ開キマシテ、政府ノ計
算ノ基礎タル參考書類ヲ徴スルコトモ亦屢、て
ニ亙リマシテ種々ニ論議ヲ重ネ、委員會
ニ於テ決定致シマシタコトハ第二條
〔小泉副議長議長席ヲ退キ粕谷議長復
席
「前條ニ規定スル補償金ノ總額ハ二千二百
万圓以内トス」斯ウアリマスノヲ「二千万圓
以内トス」ト修正ヲシタノデアリマス、ソレ
ト同時ニ附帶條件トシマシテ「各會社補償
金額ハ本法ノ主旨ニ依リ其ノ特設施設ノ損
害高ヲ基準トシ補償審査會ニ於テ決定スヘ
キモノトス」此附帶條件ヲ附ケタノデアリ
マリ、而シテ第三條ノ「補償金ハ主務大臣
補償審査會ノ審査ヲ經テ之ヲ決定シ」云々ト
云フ此補償密資會ノ中ニハ當該官吏ハ勿
論ノコト、貴衆兩院ノ中ヨリ此問題ニ精通
セシ者ヲ委員ニ加ヘルト云フコトノ言明
モ、當局者ヨリアッタノデアリマス、是ハ本
案提出ノ時、當該大臣ヨリ說明ノアリマシ
タ通リ、八々艦隊ノ編制ニ對シ、ンレ〓〓
各會社ニ勸告ヲ致シマシタ其後華盛頓會
議ニ於テ軍備縮小トナッテ、其結果此事業
ノ施設ノ中止ヲシタ損害ヲ補償スルト云フ
意味デアリマス、決定スルニ付テ、計算ノ
基礎ニ付テ色と議論モアリマシタガ、此附
帶條件ニアリマス通リ、特設施設ヲ基準ト
シテ計算ヲ致シ、審査會ニ於テ適當ニ按排
スルコトヽ云フ意味ニ外ナラヌノデアリマ
ス、各委員會ハ滿場一致ヲ以テ此決定ヲ致
シ、政府モ亦此委員會ノ決定ニ同意ヲ表セ
リトノ意思ノ表示ヲセラレタノデアリマ
ス、御說明ヲ申上グレバ甚ダ長クナリマス
ケレドモ、卽チ會期切迫ノ時デアリマスレ
バ、本會モ滿場一致ヲ以テ本案ノ御協賛ヲ
與ヘラレンコトヲ希望シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=30
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031・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 質疑ノ通告ガアリマ
ス、之ヲ許シマス-千葉三郞君
〔千葉三郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=31
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032・千葉三郎
○千葉三郞君 極ク簡單ニ海軍大臣ニ御說
明ヲ願ヒタイト思ヒマス、只今委員長ノ御
報告ニ基キマスル賠償金ハ、解職サレマシ
タル所ノ職工ニ遣ルノデアリマスルカ、
或ハ其造船會社ニ遣ルノデアリマスルカ、
ソレヲ明ニシテ戴キタイト思ヒマス、第二
ニ御伺シタイコトハ、先年三井物產ガ亞米
利加政府ト飛行機ノ製造ニ付テ契約シタノ
デアリマスルガ、其立派ナ契約面ガアルニ
モ拘ラズ、戰爭終了後之ヲ實行シナカフタ
ノデアリマスルガ、諸外國ニ於キマシテ斯
ノ如キ例ガアルカドウカ、卽チ此賠償ノ法
案ニ現ハレタルヤウナ例ガアルカドウカ、
此二點ニ付テ御說明ヲ願ヒタイト思ヒマス
〔國務大臣財部彪君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=32
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033・財部彪
○國務大臣(財部彪君) 御谷申上ゲマス、
第一ノ御問ハ職工ニ對シテ與ヘルノデハゴ
ザイマセヌ、造船會社又ハ其他ノ製造會社
ニ補償ヲ與ヘルノデゴザイマス、第二ノ御
問ニ對シマシテハ、此所謂華盛頓會議ノ結果
ト致シマシテ、契約ヲ被棄シテ、サウシテ
中止ニナリマシタモノニ對シマシテハ、色ニ
ナ形式ニ依シテ、外國ニ於テモ〓算或ハ賠
償ノ如キ意味ニ於テ取扱ハレタ前例ガゴザ
イマス、併ナガラ我國ハ英米ノ如キ諸先進
國トハ事情ガ大ニ異シテ居リマスル爲ニ、
此度ノ此法案ニ依クテ補償ヲ致サントスル
所ノ、其内容トハ大部分種類ヲ異ニ致シテ
居ルノガ多ウゴザイマス、此段御答致シマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=33
-
034・千葉三郎
○千葉三郞君 簡單デアリマスカラ此席ヨ
リ-只今海軍大臣ノ御說明ニ依リマス
ト、賠償サレタル金額ハ、勿論會社ニ遣ル
ト說明サレタノデアリマスルガ、會社ヲ通
ジテ職工ニ交付スルノデアリマスカドウ
カ、其點ヲ明ニ承ハリタイノデアリマス、
卽チ會社ガ此金ヲ取ッテシマフノデアルカ、
或ハ職工ニソレヲ交付スルノデアルカドウ
カト云フ點ヲ、明ニ承ハリタイノデアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=34
-
035・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 財部海軍大臣
〔國務大臣財部彪君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=35
-
036・財部彪
○國務大臣(財部彪君) 御答致シマス、解
備致シマシタ職工ヘハ、會社カラ既ニ相當
ノ手當金ガ與ヘテアルコトヽ信ジマス、故
ニ多分會社ニ與ヘマシタ所ノ補償金ハ、更
ニ職工ニ與フルコトハナイダラウト考ヘマ
スガ、ソレハ會社ノ意思ニ在ルコトデアリ
マスカラ、今私カラ確實ニ申上ゲルコトハ
出來マセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=36
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037・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 千葉三郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=37
-
038・千葉三郎
○千葉三郞君 尙ホ〓一應御伺致シマス、
若モ會社ガ職工ニ遣ラナイト致シマシタナ
ラバ海軍大臣ハ更ニ會社ニ勧告シテ、職
工ニ手當ヲ遣ルヤウニスル御意思ガアルカ
ドウカ、此點ヲ御伺ヒシテ置キタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=38
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039・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 別ニ答辯ハアリマセ
ヌヤウデス-是ヨリ對論ニ入リマス、通
告順ニ依シテ發言ヲ許シマス-猪野毛利
榮君
〔猪野毛利榮君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=39
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040・猪野毛利榮
○猪野毛利榮君 只今委員長ノ報告ナサレ
マシタル海軍軍備制限ニ關スル條約ノ實施
ニ伴フ損害ノ補償ニ關スル法律案ノ一件デ
アル、此問額ハ議會デハ實ニ簡單ニ取扱ハ
レマシタケレドモ、社會デハ中ニ簡單ニ見
テ居ナイノデアル、私共モ今少シク深刻ナ
ル討論、質問ノ如キモノガ、先日ノ本案ヲ
海軍大臣ガ出サレタ時、及ビ委員會ニ於テ
モアルモノト云フコトヲ期待致シテ居タ
ノデアリマスガ、吾々ノ期待ニ反シテ實ニ
只今委員長ノ報告ニナッタ如ク、僅カナル
修正ヲ以テ之ヲ通過セシメントスルコトヲ
深ク遺憾ニ感ジテ居ルノデアル、第一政府
ガ苟モ國民カラ預ッテ居ル金ヲ支出スルニ
付テハ、餘程法理上ニ於テ的確ナル根據ガ
ナクテハナラヌノデアル、先日來ノ海軍大
臣ガ爲サレタル說明ヲ見テ御覽ナサイ、何
處ニ法理上ノ根據ガアルカ、憲法政治ニ於
テ政府ガ金ヲ支出スルト云フコトニ付テハ、
憲法上、法理上、シッカリシタ所ノ根據ガ
ナクテハナラヌノデアル、情實上トカ德義
上トカ體面上ト云フヤウナコトハ從タル問
題デアル、主タル點ニ於テ法理上ノ强キ根
據ガナクテハナラヌノデアル此根據ガナ
イコトヲ先日海軍大臣自身ガ說明ノトキニ
告白シテ居ルノデアル、私ハ斯ウ云フ法理
ヲ無視シタル大臣ノ說明ヲ聽イタコトハ今
迄ニナイ、參考ノ爲ニモウ一度諸君ニ聞イテ貰
ヒタイ、卽チ斯ウ云フコトヲ言ッテ居ル「政
府ハ當時ノ海軍當局者ガ其會社ニ對シテ致
シマシタル勸告慫慂ガ、豫約ト云フ如キ私
法上ノ關係ヲ生ゼシメタルモノトハ認メマ
セヌ、随テ此損害ニ對シマシテ政府ニ當然
賠償ノ義務ガアルモノトハ考ヘマセヌ」ト
斯ウ云フコトヲハッキリ言ッテ居ルノデアル
「隨テ此損害ニ對シマシテハ政府ニ當然ノ
賠償ノ義務ガアルモノトハ考ヘマセヌ」ト
ハッキリ言ッテアリマスデセウ、「サリナガ
ラ政府ノ勸告ニ基キマシテ或ハ設備ヲ擴張
致シ、或ハ會社ヲ新設致シ、而モ是ガ國際
條約ノ實施ノ爲ニ莫大ノ損害ヲ被ッタモノ
ニ對シマシテ、何等補償ノ途ヲ講ジナイト
云フコトハ德義上甚ダ失當ノ議ヲ免レナイ
モノト考ヘルノデアリマス、之ニ加フルニ
是等ノ損害ニ對シマシテ相當ノ補償ヲ與ヘ
マスコトハ帝國政府ノ信用ヲ保持スル上
ニ於キマシテ、已ムヲ得ザル處置ナリト
信ズル次第デゴザイマス」ト斯ウ云フ御話
デアル、斯ノ如キ薄弱ナル根據ノ爲ニ、少
タトモ二千二百万圓ト云フ金額ヲ法律ヲ以
テ今日突如-今日マデ二週間、漸ク是ダ
ケノ間ニ、不用意ノ間ニ議員ニ向ッテ之ヲ
賛成サセヤウト云フコトハ如何ニ御用黨ガ
多數トハ云ヘ、政黨ガ腐シタトハ云ヘ、實
ニ私共ハ此點ニ深イ遺憾ノ考ヲ持ッテ居ル
者デアリマスル、私共ハ政府ガ支出スル所
ノ金、又斯ノ如キ場合ニ於テハ、或ハシッ
カリシタ所ノ契約ヲシタトカ、或ハ又海軍
大臣ガ命令ヲシタトカ、又ハ註文ヲシタト
カ云フ所ノ是等ノ內容ガナクテハナラヌト
思フノデアル、然ルニ此三ツノ中、ドレ
モヤッテ居ナイノデアル、勸告シタト云フ、
斯ウ々々云フ事ヲヤラウト思フガ、オ前等
ヤッテハドウカ、オ前ノ會社デハヤレルカ
ドウカ、ヤレルナラバヤッテ見タラドウカ
ト、斯ウ云フコトヲ官邸ヘ喚ンデ言ッタカ
ラ、後カラ是ダケノ金ヲ遣ラナクチヤナラ
ヌ、斯ウ云フ內容デアル、私共ハ飽迄國家
ノ金ト云フモノハ法理ノ上ニ確然タル根
據ガナクテハイカヌト云フコトヲ深ク信ジ
テ居ルノデアリマス、成程政府ニ於キマシ
テモ或ハ德義デアルトカ、或ハ信用ト云フ
コトハ重ンジナケレパナラヌケレドモ、併
ナガラ是ハ從タル理由ニシナケレバナラヌ
ノデアル、政府ガ此主タル理由ト從タル理
由ヲ〓倒致シテ居ルノデアル、若シ此政府
ノ爲ス所ノ仕事ガ慈善事業ノ如キモノデ
アッタナラバ、財部海相ノ申サレルコトガ主
タル根據ニナリマセウケレドモ、政治ト慈
善事業トハ違フ、政治ヲ慈善事業ト同一ニ
考ヘテハイカヌト思フノデアル又信用ニ
於テモサウデアル、海軍大臣ノ官邸へ實業
家ヲ喚ンデ、今迄申シタヤウナコトヲ言ウ
テ、サウシテ會社ガ儲カラナカッタカラ之
ヲ抛ゲテ置イテハ、成程海軍大臣ノ信用ヲ
害スルカモ知ラヌ、是ハ信用ト云フヨリハ
私ハ海軍大臣ノ體面ガ惡クナル問題ヂヤラ
ウト思フ、斯ウ云フコトデ、信用云々ノ文
字ヲ使フベキモノデアルカ、正シイ事ヲ爲
スベキ場合ニ爲サナカヲタ時ニ於テ信用ガ
落チルノデアル、是ハ强慾ナル從來ノ實業
家ヤ御用商人會社ナドガ、何デモ政府ニ喰
付イテ居レバ莫大ナル利益ヲ得ラレルト云
フ所ノ依賴心カラ、政府ニ倚リ掛ッタモノ
デアル、餘リ政府ニ依賴シ過ギタカラ多少
ノ損害ハアッタラウト私ハ考ヘルノデアル、
成程會社トシテハ多少ノ損害モアリ、海軍
省トシテハ體裁モ惡イデアラウケレドモ、
海軍大臣ノ信用、體裁、會社ノ損害ト云フコ
トヨリハ、斯ル金ヲ出スコトハ私ハ國家ガ
非常ナル損害ヲ受ケ、又海軍省ガ斯ノ如キ
金額ヲ御用造船會社、御用商人ニ出スト云
フコトハ國民カラ云ヘバ非常ナル不信用
ヲ招ク不體裁ナ事ト考ヘテ居ルノデアル
相手ヲ會社ノミニ置カズシテ國民全體ニ置
キ、又正理ノ上ニ置クト云フコトヲ私ハ考へ
テ戴キタイト主張スルノデアル、苟モ此法律
及豫算ヲ論ズル時ニ於テハ情實論ト云フ
モノハ將來廢サナケレバイカヌ、飽迄モ正
義ト法理ノ上ニ根據ヲ置カナクテハナラヌ、
今日ノ政治ノ腐敗ト云フモノハ法理ト正
義ノ上ニ根據ヲ置カヌカラデアル、情實ノ
上ニ根據ヲ置クカラデアルト思フ、從來ノ
日本ノ陸軍デモ、海軍デモ其通リデアル、
最モ今日ノ實業家ト深イ關係ノアルモノハ
陸海軍デアル、ダカラ陸海軍ノ大臣ト云フ
モノハ强イ、內閣ヲ倒ス、倒サヌニ付テモ、
中こ陸海軍ハ强イカヲ持ッテ居ル、他ニモ
色〓理由モアリマセウガ、先刻來議場ニ起ッ
タ如キ色こ實業家ト接近ヲシタ、諸會社ノ
重役等トノ關係ガ現ハレテ居ル、斯ウ云フ
所カラ情實政治ガ起ッテ來ルト思フノデア
ル、綱紀肅正ヲ標榜スル此內閣ニ於テ、斯
ウ云フ點ハ餘程明確ニヤラナクテハ嚴正
ニヤラナクテハイカヌト考ヘルノデアリマ
ス、且ツ今迄ノ日本ノ實業家ノ如ク獨立心
ヲ缺イテ、何デモ政府ニ依賴スル、政府ニ
賴ッテ利益ヲ得ヤウトスル所ノ此根本精神
ヲ今日カラ改メサセテヤルノニハ斯ウ云
フ時ガ非常ナル宜イ機會デアルト考ヘルノ
デアル、政府ト組ンデ商賣ヲスル者ハ如何
ナル時デモ損ヲシナイ、如何ナル場合デモ
必ズ利益ガアルト云フ此考ヘハ私共ハ非
常ニ惡イト思フノデアル、第二番目ニ私共
ハ反對ヲセネバナラヌト云フコトハ體
此議場ニ於テモ、サウデアリマシタガ、委
員會ニ於テ說明ヲサレタコトヲ、他カラ聞
キマシテモシッカリシタ所ノ計數ガ現ハレ
テ居ナイ、卽チ會社ガドレ程ノ本當ニ損ヲシ
タモノデアルヤ、又政府ノ方ニ於テハ、何
所マデノ損害ノ調査ヲシタモノデアルカ、
又前渡金ノヤウナモノヲ遣ッテアルノデア
ルカ、ナイノデアルカ、今モ職工解雇ノ話
ガアリマシタガ、何千人ノ職工ヲ解雇シタ
ト言ハレルケレドモ、ソレハ不景氣ノ爲ニ
解雇シタカモ知レナイ、此問題ニ結ビ附ケ
テ計算シタノカモ知レナイ、此邊ニ付テハ
政府ニシッカリシタル調査ガ出來テ居ナイ、
今モ職工ニ對スル解雇金ニ付テモ、會社ガ
之ヲ立替ヘテヤッタヤウナ答辯デスガ、此
點モ私ハ非常ニ疑惑ガアルト思フノデアリ
又、又會社ガ私ノ會社ハ是ダケノ損ヲシ
タノデアルカラ、是位下サイト云フヤウナ
コトハハッキリシテ居ナイノデアル、オ前
ノ要求ハ十分デアルケレドモ、ソレナラバ
三分ダケヲヤルトカ、七分ガ相當デアルト
カ言ッテ折衝ヲシタカ、是等ノ點ニ付テモ
實ニ私ハ不明瞭ニナッテ居ルコトヲ遺憾ト
致ス者デアリマス、第三番目ニ私ハ反對シ
ナケレバナラヌコトハ一體斯ウ云フヤウ
十問題ガ起キタ時ニ於テ、政府ノ答辯ニ依
ルト、二箇年モ調査ヲシタト云フコトデア
リマスガ、實ニ是ハ手緩イ話デアルト思フ、
二年以前ニ斯ウ云フ問題ガ起キタナラバ、
直ニ是ハ算盤ガ出來ルト思ヒマス、或說ニ
依ルト或ル會社ノ如キモノハ斯ウ云フ事ヲ
前ニハ考ヘテ居ナカッタ、斯ウ云フ賠償金
ヲ貰ヘルト云フコトヲ-ソレヲ今日ニ
至ッテ貰フ考ヲ起シタノダトカ、或ハ斯ウ云
フ說ヲ爲ス者ガアル、是ハ一體會社ガ要求
シタモノデアルガ、會社ト政府トノ間ニ、
政黨員トカ其他色ミナ人間ガ人ッテ仲立ヲ
シタモノデアルトカ、色〓ナ事ヲ今日言ウ
テ居ルノデアル、今日世間デハ非常ニ大ナ
ル疑惑ヲ持ノテ居ルノデアリマス只今二
千二百万圓以内ト云フノヲ二千万圓ト云フ
コトデ折レタト云フコトデアリマシタガ、
委員會ハ實ニ斯ウ云フ二百万圓位ノ差ヲ以
テ折レル性質ノモノデハナイト思フ、初メ
委員會デハ五百万圓減云々ト云フヤウナ
コトガアリマシタガ、結局二千万圓ト云フ
コトニナッタト云フコトデアル、尙又調査
委員ノ中へ政黨ヲ加ヘルトカ、民間カラド
ウノ斯ウノト云フコトヲ今言ハレマシタガ、
斯ウスルト益〓此點ニ於テ國民ハ疑惑ヲ懷
クト思フノデアリマス、私共ハ是等ノ三菱
造船所、川崎、其他合セテ十三ノ會社ノ中
ニ於テハ例ヘバ室蘭製鋼所ノ如ク眞面目
ニ損害ヲ被ッタモノアルコトハ認メテ居ル
ケレドモ、此一二ノ會社ヲ除イ夕後ノモノ
ハ全ク何ガ何ダカ分ラヌノデアル、ソレニ
對スル所ノ金額ガ二千万圓ト云フヤウナコ
トハ實ニ私ハ多額デアルト思ハレマス、
政府ガ二箇年間調ペテ尙且ツ何千何百万ト
云フハッキリシタ所ノ金額サヘ出シ得ナイ
ノデアル、其調査ガ杜撰デー金額ノ調査
ガ出來タナラバハッキリ何千何百万圓、
此會社ニハ何万圓、此會社ニハ何千万圓ト
云フシッカリシタ計數ヲ出サナケレバナラ
ヌト思フ、ソレヲ二千二百万圓以內ト云フ
斯ウ云フ杜撰ナモノヲ出シテ居ルノデアル、
曖昧模糊タルモノデアル、又委員長ノ報告
サレマシタル二千万圓以內ト云フヤウナコ
トモ、實ニ私ハ其間不明瞭ナ點ガ多イト考
ヘルノデアリマス、希クパ是ダケノ金額ノ
問題デアリマスルシ、是ダケノ疑惑ヲ聞イ
テ居ル所ノ問題デアリマス故ニ、今日突如
トシテ明日議會ガ終ラウトスル矢先ニ、大
急ギデ斯ウ云フ時ニ出ス必要ハナイ、來年
デモ構ハヌト思フ、私ハ國民ノ疑惑ヲ解イ
テ、此間何等ノ弊害ヲ見出スヤウナ事ハ無
イト云フコトヲ國民ニ知ラセテ、然ル後來
年ニ之ヲ出シテヤッテモ宜シイ、其利子位ハ
來年ニ增シテヤッテモ、私共ハ此疑惑サヘ
取レヽバ構ハヌ、又出シテヤルベキ性質ノモ
ノデアルナラバ、何モ二千二百万圓ヲ二千万
圓ニ減額スル必要ハナイ、出スベキ性質ノ
モノナラバ二千万圓デモ五千万圓デモ、
一億万圓デモ吾々ハ吝ム次第デハナイノデ
アル、出スベキ性質ガ違フト思フカラ、吾々
ガ此疑問ヲ以テ諸君ノ言フコトニ反對ヲ
致スノデアル、今日軍閥ハ非常ナ疑惑ヲ受
ケテ属ル時デアリマスカラ、切ニ私ハ高潔
ナル評判ノ海軍大臣ノ再考ヲ煩シタイト思
フ、又各派ノ諸君ニ於カセラレテモ、此問
題ト政黨トハ怪シイデハナイカト云フコト
ヲ諸方デ言ッテ居ルカラ、此點ニ付テモ諸
君ハ大ニ考ヘテ戴キタイ、先達テ政府ガ西
原借款一億圓ノ金ヲ三銀行ノ爲ニ跡始末ヲ
シタト云フコトハ今日餘程世間デハ疑問
ヲ懷イテ居ルノデアル、其疑問ニモウ一ツ今
度ハ此疑問ヲ增サセルノデアリマス、私共
ハ政府ガ-濱口君ガ募債主義ヲ排スルト
云フコトヲ議會ニ於テ明言シナガラ、時々
斯ウ云フ世間ノ疑感ノ掛カル如キ問題ニ付
テ、政府ノ主義デアル公債ヲ募集セヌ、此主
義ヲ抛ッテ、斯ノ如キ募債主義ニ出タト云
フコトヲ深ク遺憾ニ感ジテ居ル次第デアリ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=40
-
041・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 內田信也君
〔内田信也君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=41
-
042・内田信也
○內田信也君 只今猪野毛君ハ、只今上程
サレテ居リマス所ノ、海軍軍備制限ニ關ス
ル條約ノ實施ニ伴フ損害ノ補償ニ關スル法
律案ニ對シテ、御反對ノ意見デゴザイマシ
タ、而シテ其反對ノ意見ノ骨子ハ先ヅ政
治ハ主トシテ法理ニ依ルモノデアルト云フ
御話デアリマス、固ヨリ立憲國ニ於キマシ
テハ、法理ヲ以テ主トスルコトハ明カデア
リマス、併ナガヲ道德亦決シテ輕視スルコ
トガ出來ナイノデアリマス、而シテ當時ノ
實際ニ鑑ミマシテ、我國ハ八八艦隊ノ充實
ヲ圖リマシテ、主ナル造船會社、其他ヲ大正
九年九月決定豫算ノ確定ト共ニ、大臣官邸ニ
召集サレテ、是レ々々ノ計畫ダカラシテ、造
船會社若クハ室蘭製鋼所等ハ是レ々々ノ註
文ヲ何年間ニ引受ケル豫定ヲ以テ、是レ々々
ノ施設ヲシロト云フコトヲ政府當局ガ當業
者ニ勸告サレタ以上ハ、其勸告ニ基イテ爲
シタル施設ガ、注文取消ニ依シテ被ッタ損害
ニ對シマシテハ、國家ハ涙金ヲ支拂フ位ノコ
トハ、私ハ當然過ギル程ノ當然ト信ズルノ
デアリマス、固ヨリ損害額ノ大部分ヲ此疲
弊セル財政ノ下ニ負擔スルコトノ出來ナイ
ノハ、又自明ノ理デアリマス、故ニ相當ノ
淚金ヲ拂フト云フコトハ、是ハ道德上又今
後各實業家ト協力シテ政治ヲ行フ點ニ於テ、
信用ヲ增ス點ニ於テ、又國家ノ威信ノ上カ
ラシテ必要ト信ズルノデアリマス、猪野毛
君ハ實業家ハ往々ニシテ政府ト結託スルト
言ハレマシタ、固ヨリ政府ト結託スコト
ハ斷乎トシテ之ヲ排斥シナケレバナラナ
イノデアリマス、併ナガラ國家ノコトハ官
民協力シテ初メテ遂行スルト云フコトヲ御
諒承相成リタイノデアリマス(拍手)殊ニ
海軍ノ如キニ至リマシテハ、固ヨリ其主ダ
ルカハ造艦能力デアリマス、卽チ單ニ軍艦
ヲ海上ニ浮ベテ居ル所ノ數ノミニ依ッテ
海軍力、卽チ戰鬪力ヲ計算スルコトハ出來
ナイ、造艦能力ヲ充實スルコトニ依ッテ國
家ノ國防ハワレダケ充實サレル、故ニ玆ニ
幾分カノ淚金ヲ支拂ヒマシデモ、其勸告ニ
依ッテ、我國ニ造艦能力ガ充實シタナラバ、
ソレダケ國防ハ充實ヲ致シタノデアリマス
カラシテ、此幾分ノ淚金ト云フモノハ決シ
テ無駄ニ捨テタル淚金ニ非ズシテ、國防ノ
一部ヲ充實スルモノト私ハ言ウテ可ナリト
思フノデアリマス(拍手)又斯ノ如キ趣意ニ
依リマシテ、私ハ此賠償案ト云フモノハ相
當理由ガアルモノトシテ、其趣旨ニ於テ贊
成スルノデアリマス、唯〓政府ハ其計算ニ
於キマシテ、委員會ニ於ケル說明ニ依リマ
スルト、室蘭製鋼所等一部ノ會社、否、十
三會社ノ中デ三ツノ會社ハ政府ノ勸告ニ基
イテ爲シタル施設ガ被ッタル損書高ヲ基礎
トシテ、千一百万圓ト算定致シテアリマス
他ノ十會社、主トシテ造船會社ニ於キマシ
テハ、其施設ノ被ッタ所ノ損害ニ基礎ヲ置
キマセヌデ、契約高ノ二分五厘ト云フモノ
ヲ補償額ト致シタノデアリマス、之ニ就キマ
シテハ私ハ同意致シ兼ネルノデアリマス、
卽チ賠償案ノ趣旨ハ政府ガ勸告シテ、其勸
告ニ基イテ諸會社ガ特ニ施設ヲシタ、然ル
ニ軍備締小條約ニ依ッテ註文ヲ取消サレタ
カラ、此設備ガ無駄ニナッタ、故ニ此設備
ノ無駄ニナッタ其損害ノ一部ヲ淚金トシテ
負擔スルト云フコトガ趣意デアルニ拘ラ
1、契約取消トシテ註文取消額ノ二分五厘
ヲ一樣ニ各會社ニ與フルニ於キマシテハ、
卽チ三菱造船所トガ、川崎造船所トカ云フ
大會社ハ常と造艦ノ施設ヲシタ故ニ、特
ニ政府ノ勸告ニ基イテ爲シタル施設ガ多ク
ナイ、而シテ戰鬪艦若クハ巡洋戰艦ノ金額
ガ多額ニ上ル注文ヲ受ケテ之ヲ取消サレタ
故ニ、其注文高ニ依リマシテ計算スルト
斯ノ如キ大會社ハ非常ニ餘計補償金ヲ貰ヘ
ルノデアル、而シテ設備ガチットモ無駄ニ
ナラナイ、其施設ト云フモノハ勸告前ニ爲
シタル施設デ、卽チ各造船所ガ己レノ思惑
デ爲シタル施設デアリマスルカラシテ、何
レ八八艦隊案ガ議會ヲ通過スルダラウ、サ
ウスレバ自分ノ會社へ註文ヲ貰ハウト言ッ
テ己ノ思惑デ施設ヲ爲シタモノガ、是ガ無
駄ニナッタト云ッテ、政府ハ一滴ノ之ニ淚金
ヲ與ヘル必要ハナイト信ズルノデアリマ
ス、故ニ一律一體ニ取消註文高ノ二分五厘
ヲ支拂フト云フコトハ、全ク大會社ノ保護
ニ失シテ、小會社ヲ苦メルモノト私ハ信ズ
ルノデアリマス、故ニ私ハ此條件ト致シマ
シテ、特別施設ノ損害高ヲ基準トシテ計算
スルト云フコトガ、全ク必要ト信ズルノデ
アリマス、ソレカラ職工數ガ是ガ十一年ノ
二月ト、十一年ノ十一月トノ此在籍職工ノ
差額ガ、卽チ軍縮ニ依ッテ馘ラレタル所ノ
職工數トシテ計算シテアッタノデアリマス、
是ハ諸君御承知ノ通リ造船所等ニ於キマシ
テハ職工ハ多ク動キ易イ、卽チ一箇年ニ
一割乃至二割ト云フモノハ自然ニ減少スル
モノデアル、故ニ在籍職工數ノ差額ト云フ
モノヽ數字ハ、卽チ自然減ノ職工數ノ中ニ
包含サレテ居ルノデアル、故ニ各會社カラ
提出シタ所ノ此職工ノ減少數ニ對シテ、-
人百五十圓ノ解傭手當金ヲ國家ガ負擔スル
ト云フコトハ會社ノ負擔スベキモノヲ國
家ニ轉嫁スルモノデアッテ、私ハ不當ト信
ズルノデアル、此點ヲ考慮致シマシテ、卽
チ職工解備手當金額ガ三百万圓ト云フ數ニ
上ッテ居リマスルカラシテ、此點等ヲ考慮
シテ先ヅ大所高所ヨリ見テ、二百万圓ヲ減
ジテ二千万圓トスルト云フコトハ是ハ當然
デアリマス、殊ニ二千万圓以内トスルトア
ル以上ハ、審査會ニ於テ十分審議ヲ盡シテ、
出來ルダケ之ヲ少額ニ止メルト云フ此修正
ハ最モ適宜ナル修正ト信ズルノデアリマ
ス、終リニ政府ハ或ハ此施設ヲ標準トシテ
ノ損害ノ計算ハ無理ダト云フ御話ガアルカ
モ知レマセヌガ、艦政本部ニ於キマシテハ
當時ドノ會社ハドノ位施設ガアル、仍テド
ノ位施設ヲ施シタナラバ、戰艦ナリ准戰艦
ナリノ註文ヲ與ヘルコトガ出來ルト云ッテ、
立派ナ表ガアルサウデアリマスカラシテ、
此表ニ依シテ計算シテ行ッテ見タナラバ、各
會社ガ政府ノ勸告ニ依ッテ特ニ爲シタル施
設ノ額ト云フモノハ、自ラ明ニナルノデア
リマス、故ニ私ハ政府ノ言フ如ク二分五厘
ヲ全部註文取消額ニ掛ケナイト云フコト
ハ、決シテ行ハレ難クナイ、容ク行ハレ
得ル方法ト信ズルノデアリマス、而シテ此
條件ト云フコトデアリマスルガ、從來法律
案ノ條件ト申スト意味ガ徹底シナイ、若ク
ハ運用ヲ巧妙ニシテ貰ハウトカ云フヤウナ
意味ニ於テ、卽チ法文ノ上ニ明カデアルコ
トヲ特ニ附帶條件トスルモノデアリマスル
ガ、此附帶條件ハ法文ノ通リヲ施行シロ、
卽チ法文ノ本旨ニ則ッテ損害ヲ基準トシテ
ヤラウト云フ條件ハ、委員會ニ御出席ノナ
イ方ハ如何ニモ餘リ蛇足デハナイカト云フ
御咎メモアルカモ知レマセヌガ、先刻モ申
ス通リ、政府當局ガ此法律案ノ面ニ現ハレ
タル所ノ第一條ノ趣意ヲ沒却シテ、各會社
ニ一樣ニ與ヘル其代リニ、各會社ノ中デ或
ハ豫定利益ノ一部ヲ貰フヤウナ會社ガ出來
ルコトヲ恐レテ、卽チ看板ニ僞リノナイ所
ノ計算法ヲシテ貰ウト云フノガ私ノ趣意デ
アリマス、卽チ委員會ニ於ケル政府ノ初メ
ノ答辯ハ、看板ニ僞リノアル計算法デアツ
タノデアリマス、卽チ表ハ損害賠償デア>
テ、裏面ハ契約ニ依ッテ大會社ヲ保護スル
ト云フ嫌ガアッタノデアリマス、卽チ此法
律案ハ表ニ揭ゲタ所ノ看板ト、裏ノ實行
方法トガ違シテ居ル、ソコデ以テ私ハ此看
板ニ僞リノナイ、卽イ虛偽ノ政治ヲ廢シテ
實際ノ政治ヲ行ッテ貰ヒタイ、甚ダ與黨諸
君ニハ御耳障リニナルカモ知レマセヌガ
先般現內閣ノ提出サレテ又可決セラレタ所
ノ稅制案ニ付テモ、此常ニ唱フル所ノ其看
板タル社會政策ハ沒却シテ、富豪ヲ擁護ス
ルヤウナ嘘ノ政治ヲ行ッタンデアル要ス
ルニ表看板ト實際トガ違ヲテ居ッタンデア
ル、仍テ私ハ此條件タル所ノ此法文ノ趣旨
ニ則ッタ政治ヲ行ハレルト云フコトハ單
ニ此法律案ニ對スル所ノ條件ノミナラズ、
當ニ現内閣ニ與ヘル所ノ、公明ナル政治ヲ
施セ、虛僞ノ政治ヲ廢セヨト云フ警告的意
味ノ有ルコトヲ申上ゲテ、玆ニ賛成ノ意ヲ
表シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=42
-
043・井本常作
○井本常作君 本案ニ對スル計論ハ、此程
度ニ於テ終局セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=43
-
044・粕谷義三
○議長(粕谷義二君) 井本君ノ討論終局ノ
動議ニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=44
-
045・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナイト認メマ
ス、仍テ討論ハ終局致シマシタ-採決致
シマス、本案ノ第二讀會ヲ開クニ御異議ア
リマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=45
-
046・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナイト認メマ
ス、仍テ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=46
-
047・井本常作
○井本常作君 直ニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、三讀會ヲ省略シテ委員長報告通り可決
セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=47
-
048・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 井本君ノ動議ニハ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=48
-
049・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナイト認メマ
ス、仍テ直ニ第二讀會ヲ開キ、議案全部ヲ
議題ニ供シマス
海軍軍備制限ニ關スル條約ノ實施ニ
件フ損害ノ補償ニ關スル法律案
第二讀會(確定議)
〔「異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=49
-
050・粕谷義三
○議長(柏谷義三君) 御異議ナイト認メマ
ス、仍テ第三讀會ヲ省略シテ委員長報告通
リ可決セラレマシタ(拍手)-次ニ日程第
五、獸醫師法案ノ第一讀會、前會ノ續ヲ開
キマス高橋熊次郎君
第五獸醫師法案(政府提出、族院送
付)第一讀會(前會ノ繪)
〔高橋熊次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=50
-
051・高橋熊次郎
○高橋熊次郞君 本案ニ對シテ昨日質疑ノ
演說中ニ、不幸ニ致シテ本議場ニ於テ議員
出席ノ定足數ヲ缺キマシタガ爲ニ、延會ノ
已ムヲ得ザルニ出デタノデアリマス、洵ニ
私ハ之ヲ遺憾トスル者デアリマス、而シテ
昨日ハ本案ニ對シテ、先ヅ審議ヲ進ムル上
ニ置キマシテ、第一疑問ト致シマシタノハ
家畜ノ意義如何、又此法案ニ包含セラレタ
ル所ノ範圍ハ如何ナルモノデアルカト云フ
質問ヲ致シタノデアリマス、而シテ私ハ更
ニ進ンデ、此法案ニ於テ獸醫師ハドレ程保
護サレルノデアルカト云フコトヲ伺ヒタイ
ト思フタノデアリマス、而シテ獸醫師ハ頗
ル社會ヨリ受クル所ハ薄イノデアル左樣
デアリマスルガ故ニ、獸醫師ノ生活ノ保障
ヲ將來ニ求メナケレバナラス、政府ハ之ニ
對シテ如何ナル所見ヲ持タルヽカト云フコ
トヲ詳細ニ承リタイト思シテ店ルノデアリ
マス併ナガラ私ハ議場ノ模樣竝ニ會期モ僅
カ餘ス所ハ二日デアル、政府ノ提出案竝ニ
議員ノ提出諸案ガ山橫ヲ致シテ居ル狀況ヲ
見マシテ、又更ニ重要ナル緊急上程ノ案件
モアルト云フコトヲ永ッテ居ルノデアリマ
ス、左樣デアリマスルカラシテ、私ハ家畜ノ
意義其他ニ對スル昨日ノ此ノ壇上ニ於テ陳
述致シタル疑問ノ點ヲ、政府ノ御答辯ヲ求
ムルニ止メマシテ、自餘ノ數點卽チ私ノ伺
ハントスル其他ノ疑義ノ重要ナル二三ノ點
ニ對シマシテハ、委員會ニ於テ其詳細ヲ陳
述致シテ政府ノ所見ヲ求ムルコトニ致シマ
シテ、本會ニ於ケル陳述ハ大ニ讓歩ヲ致シ
マシテ、此程度ニ止メタイト思フ次第デア
リマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=51
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052・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 尙ホ質疑ノ通告ガア
リマス、土屋〓三郞君-只今ノ土屋君ノ
發言許可ハ取消シマス
〔政府委員高田耘平君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=52
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053・高田耘平
○政府委員(高田耘平君) 昨日カラノ高橋
君ノ御質問ニ各辯シマス、第一ハ、第十三
條ノ罰金ガ醫師法其他ニ比シテ非常ニ重イ
デハナイカ、斯ウ云フ御疑問ト拜水致シマ
シタ、成程、獸醫師法ト單純ナ醫師法ト比
較スレバ、重イノデゴザイマス、併シ是ハ
經濟狀態ノ變化ニ依リマシテ、罰金ノ刑ヲ
重クスルト云フコトモ已ムヲ得ナイト思フ
ノデゴザイマス、醫師法ニ於テハ輕イノデ
ゴザイマスガ、最近制定致シマシタル所ノ
藥劑師法ニ於キマシテハ卽チ五十議會ニ
於テ制定セラレタル所ノ藥劑師法ニ於キマ
シテハ其第十八條ニ於テ、丁度此獸醫師
法ニ在ル、正當ノ事由ナクシテ治療ヲ拒ム
コトヲ得スト同樣ノ意味ニ於テ、正當ナ事
由ナクシテ調劑ヲ拒ンダ場合ノ規定ガアル
ノデゴザイマス、此規定ハ二百圓以下ノ罰
全ニナッテ居ルノデゴザイマス、卽チ醫師
法ト比較致シマスレバ、成程罰金ハ重イノ
デゴザイマスケレドモ、醫師法ノ此罰金ノ
制定ハズット古イコトデゴザイマスカラ、
經濟狀態ノ變化ニ依クテ、所謂罰金ノ效力ヲ
アラシムル爲ニハ相當ノ程度ニ引上ゲルコ
トガ必要デアル、斯ウ云フ理由デゴゲイマ
ス、卽ヲ昨年制定シタル藥劑師法ハ二百圓
以下デゴザイマスケレドモ、其半額ニ致シ
タ次第デゴザイマス、次ニ獸醫師ノ定義ノ
問題、是ハ昨日高橋君ガ貴族院ノ議事錄ヲ
御引用ニナリマシタガ、此獸略師ノ定義ヲ
定ムルト云フコトハ極メテ困難デゴザイ
マシテ、實ハ本案案立案スル當時ニ於キマ
シテモ、又貴族院ノ委員會ニ於キマシテモ
何トカ獸醫師ノ定義ヲ決メル方ガ宜シイデ
ハナイカト云フ意見モアリマシタガ、ドウ
モ、ドウ〓究〓シマシテモ、定義ヲ決メル
ト云フコトハ容易デナイノデゴザイマシ
テ隨テ諸外國ニ於キマシテモ、獸醫師ト
云フモノニ付テノ一定ノ定義ガゴザイマセ
ヌヤウデゴザイマス、併ナガラ何等カ定義
ラシイモノヲ決メナケレバナラヌ、シコデ
政府ノ意見トシテハ、獸醫師ハ家畜ノ疾病
ニ關スル診察、治療ヲ施ス者ヲ謂フ、但シ
疾病ノ豫防及健康モ司ル者デアル、大體斯
ウ解釋致スノデゴザイマス、然ラバ家畜ト
ハ如何、家畜トハ人ノ飼養ノ下ニ馴致シ、
通常-通常デゴザイマス、通常蕃殖シ得
ル鳥獸ヲ謂フ、斯ウ云フ解釋ヲ採ノテ居ル
ノデゴザイマス、故ニ昨日一寸御話致シマ
シタ狐ノ問題デゴザイマス、狐ガモウ少シ
進步シテ參シテ、アレヲ飼養スル程度ガ進步
シテ參ルト云フト、或ハ狐ガ家畜ニ進ム時
代ガアルカモ知レマセヌ、又「ライオン」モ
熊モ或ハサウナル時代ガアルカモ知レマセ
ヌガ、當分ハ政府ノ解釋デハ、是ハ家畜ト
見ナイノデゴザイマス、猛獸ノ中ニ入レテ
居ルノデゴザイマス、左樣御諒水ヲ願ヒマ
ス尙ホ詳細ハ高橋君ノ御意兄モアリマシ
タ委員會ニ於キマシテ申上ゲルコトニ致
シタイト留ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=53
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054・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 土屋〓三郞君
〔土屋〓三郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=54
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055・土屋清三郎
○土屋〓三郞君 私ハ農林及文部當局者ニ
極メテ簡單ニ質問ヲ〓シマス、只今農林當局
者ハ高橋君ノ獸トハ何ンヤト云フコトノ質
間ニ對シマシテ、人ノ飼養ノ下ニ馴〓シ且
ツ蕃殖スルモノヲ謂ント云フコトヲ申サレ
マシタガ、此問題ハ貴族院ニ於テモ澤山質
問ガアリマシタ通リ、獸醫師ニ取リマシテ
ハ其權利義務ニ重大ナル關係ヲ持シテ店ル
ノデアリマシテ、若シ果シテ只今農林常局
者ノ御說明ノ如ク、人ノ飼養ノ下ニ馴效シ
且ツ蕃殖スルモノヲ謂フト云フコトデアリ
マスレバ、貴族院ニ於ケル御說明ノ如ク均
シク人ノ飼養ノ下ニ馴〓シ且ツ蕃殖スルモ
ノデアリマシテモ、密蜂及蠶ハ除クト云フ
御答辯デアッタ、左樣〓シマスルト云フト
二十日鼠モ小鳥モ亦此家畜ノ中ニ人ルコト
ニナルノデアリマス、果シテ左樣ナ事ニナ
リマスレバ、是等ノ小鳥ヤ鼠ノ病氣E亦此
法案ニ依シテ獸醫ヲ拘束シテ、卽チ二百圓以
下或ハ三百圓以下ノ罰金ニ處セラレ若ク
ハ期間ヲ定メテ業務ヲ停止シ、或ハ免許取
消等ノ行政處分ヲ受クルノデアリマシテ、
獸醫ニ取リマシテハ洵ニ重大ナル問題デア
ルノデアリマス、立法者トシテハ斯ル漠然
タル定義ヲ以テ、此法律ヲ施行サレルト云
フコトハ甚ダ深切ヲ缺イテ居リハシナイカ
ト思フノデアリマス、故ニ家畜ノ範圍ヲ此
法律又ハ之ヲ施行スル所ノ命令ニ列記セラ
レマシテ、ソレ以外ノ動物ハ自由ニセラレ
ルト云フコトガ保切ナル所以デハナイカト
考ヘルノデアリマスガ、此點ニ付テハドウ
御考ニナッテ居ルノデアリマスカ、第二ハ
獸醫師ノ〓育ト產業政策トノ關係デアリ
マス、御永知ノ如ク產業振與ノ基礎ガ科學ノ
應用ニ俟ツコトハ申スマデモナイコトデアリ
マス、而シテ獸醫學ハ家畜產業ノ基礎科學デ
アリマシテ、成ルベク之ヲ廣ク應用シテ畜
產ノ發達ヲ圖ルト云フコトガ、蓋シ賢明ナ
ル爲政者ノ執ルベキ熊度デアリマセウ、又
現ニ獨逸ニ於テハ密蜂モ亦獸醫ノ範圍ニ算
へ、伊太利ニ於テハ蠶モ亦獸醫ノ範圍ニ算
ヘテ居ルト云フコトデアリマス、然ルニ我國今
日ノ獸醫學ノ〓育狀態ヲ見マスルト云フト、
常ニ牛馬羊豚若クハ家禽ノ範圍ニ限ラレテ
居ルヤウデアリマスガ、將來廣ク此獸醫〓
育ノ範圍ヲ擴張致シマシテ、產業的動物ノ
全部ニ及ボシテ、之ヲ產業發展ニ資スルノ
御考ガナイカドウカ、是ガ第二點デアリマ
ス、第三ハ學位、稱號ニ關スルコトデアリ
やく、本法案ニハ「獸醫師ハ何等ノ方法ヲ
以テスルヲ問ハス業務上學位稱號及專門科
名ヲ除クノ外其ノ技能、療法又ハ經歷ニ關
スル廣告ヲ爲スコトヲ得ス」ト云フ規定ガ
アリマス、立案ノ趣旨ハ恐ラク廣告ニ因ル
所ノ業務上ノ不正ノ競争ヲ避ケルト云フコ
トデアリマセウガ、學位モ稱號モ亦經歷ノ
一ツデアリマス、恐ラク是ハ醫師法ノ規定
ヲ其儘御採用ニナッタト思フノデアリマス
ルケレドモ、今日此學位、稱號ノ廣告ニ付
テハ醫師會ニ於テハ既ニ其弊ニ堪ヘナイ
ノデアリマス、社會モ亦同樣デアル、現ニ
昨年來此議會ニハ本會議ニ於キマシテモ、
委員會ニ於キマシテモ、醫學博士ナルモノ、
取締ニ付テ屢、意見ガ出テ居ルノデアリマ
ス、然ルニ獸醫師法ヲ制定スルニ當リマシ
テ、漫然之ヲ御採用ニナッタト云フコトハ
如何ナル次第デアリマスルカ、元來稱號ト
云フモノハ學校卒業者ノ一ツノ標デアル、
醫師若クハ獸醫タル資格或ハ業務ニハ何等
ノ關係ガ無イノデアリマス、又學位ハ大學
院卒業程度ノ者ニ與へラルヽモノデアリマ
シテ、〓授ノ指導ナクシテ謂ハヾ獨リ步ミ
デ〓究ノ出来ルト云フコトヲ認メラレタモ
ノニ過ギナイノデアリマス、醫師歐醫ノ資
格、醫術ノ巧拙又ハ業務ト何等ノ關係ガア
リマセヌ、況ヤ學術上ノ〓究功績ニ對シマ
シテハ現ニ學士院賞ノ規定ガアルノデア
リマシテ、何等ノ不都合ヲ感ジナイノデア
リマス、普通選擧ヲ前ニ致シマシテ、高等
專門ノ學校ニ這入リ得ル膏樂ノ子弟ノミノ
爲ニ與ヘラレル所ノ稱號、若クハ何等職業
上ノ資格、技能、業務ト關係無クシテ、而
モ百弊有,テ一利ノ無キ所ノ學位、是等ノ
學位、稱號ハ文部當局ニ於テ斷然之ヲ廢止
スル所ノ意思ガ無イカドウカ、此三ツノ點
ニ付テ御說明ヲ願ヒタイノデアリマス
〔政府姿員高田転平君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=55
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056・高田耘平
○政府委員(高田耘平君) 只今ノ御質問ノ
第一點ニ御各シマス、定義ヲ決メテ置カナ
ケレバ獸醫師法ニ於テ色〓制裁ヲ設ケタカ
ラ困ルデハナイカト云フ、斯ウ云フ御意見
デゴザイマス、併ナガラ此獸醫師法ト云フ
名前ハ今度付クノデゴザイマスケレドモ、
明治二十三年ノ當時ヨリ法律トシテ獸醫師取
締規則ガアルノデゴザイマス、故ニ數十年
ノ間獸醫師ト云フモノハ社會ヨリ見マス
ト、ドウ云フ仕事ヲスルモノデアルカト云
フコトハ、大體ニ於テ社會一般ニ於テ了解
サレテ居ルモノト思フノデゴザイマス、但
シ獸醫師ト云フ定義シ定ムルコトガ是ガ非
常ニ容易ナ事デアレバ、定メルコトハ結構
ト思ヒマスケレドモ、中〓容易ナ事デナイ
ノデゴザイマスカラ、政府ハ既ニ數十年來
獸醫師ト云フモノガアリマシタノダカラ、
而シテ法律ノ上ニ其言葉ガアッタノデアリ
マスカラ、是ガ社會一般ニ通用サレテ居リ
マシテ、却テ誤解ヲ受クルコトナクシテ、
獸醫師ト云フモノヽ自然ニ定義ガ定マッテ
居ルヤウニ思ヒマス、故ニ現在ノ狀態ヨリ
致シマシテ、決シテ獸醫師ノ定義ヲ別ニ定
メズトモ、何等獸醫師業者ガ其仕事ヲ行フ
ニ付キマシテ憂慮ノ點ハナイヤウニ思ヒマ
スカラシテ、政府ハ原案ヲ以テ當然ト信ジテ
居ル次第デアリマス
〔政府委員鈴置倉次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=56
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057・鈴置倉次郎
○政府委員(鈴置倉次郞君) 只今土屋君ヨ
リ獸醫〓育ノ範圍ヲ擴張シテハ如何、擴張
スルノ意思ナキヤト云フ御質問デアリマ
ス、成程農林省デ中ス此獸醫ト、只今文部
省ニ於テ〓育シテ居リマスル範圍ハ幾ラ
カ學校ノ方ガ狹クナッテ居リマス、例へバ
大學等ニ於キマシテ、鷄家鴨ト云フモノ
ハ學科ノ中ニ這人ッテ居リマスガ、其以外
ノ鵞鳥トカ若クハ七面鳥ト云フモノハ這
入ッテ居リマセヌケレドモ、私ハ能ク經驗家
デナイノデアリマスカラ存ジマセヌガ、鷄
ヲ診察スル力ガアレバ、或ハ鵞鳥モ之ニ附
隨シテ診察シ得ルモノカト思ヒマス、サリ
ナガラ此獸醫師法ガ實行サレマスレバ、此
猶豫期間、卽チ八年間ニハ只今ノ中等學校
ハ總テ專門學校ニ昇格スルデアラウト思ヒ
マスカラ、其昇格スル際ニ於テ、只今土屋
君ノ御質問ノ如キ意味ヲ考慮致シマシテ、
範圍ヲ十分擴張スルコトニ致シタイト考へ
テ居リマス、ソレカラ學位ヲ廢スル意思ナ
キヤト云フ御話デアリマシタガ、是ハ單リ
獸醫學ノ事バカリデハアリマセヌ、全體ノ
事デアラウト存ジマス、此問題ニ付キマシ
テハ特ニ醫學博士濫造トカ、若クハ醫學博
士ガ一般ノ病人ヲ瞞著スルト云フヤウナ質
問ガ、今期ノ議會ニモ出マシテ答辯ヲ致シ
テ置キマシタガ、今之ヲ廢スル意思ハアリ
マセヌ、世間一般ガ博士トカ若クハ學士ト
カ云フモノヽ見解ヲ誤シテ居リマス、是ハ
學問ニ對スル敬稱デアリマシテ、決シテ學
者ガ必シモ實際家ト云フ譯デハナイノデア
リマシテ、經濟學ノ本ヲ讀了シテ居ッテモ、
必ズ相場ニ勝ツト云フ辞デハアリマセヌ、
多ク負ケルコトニ決マフテ居リマスカラ、學
者必シモ實際ト一致シナイモノデアリマス、
勿論此醫學博士ト云フ者ハ、醫學博士ト
云フ稱號ニ依ノテ開業シテ居ルモノデハア
リマセヌ、他ノ資格ニ依シテ開業シテ居ル
ノデアリマスカラ、此醫學博士ガ必シモ臨
床上ニ特別ノ手腕家ト云フ意味デハアリマ
セヌ、隨分基礎醫學ニ於テ博士號ヲ得テ居
ル人ガ多イノデアリマスカラ、斯ノ如キ誤
解ガアリマス爲ニ、此博士號廢止ト云フヤ
ウナ議論モ出テ參リマスガ、現ニ近頃ハ大
分博士ニ對スル見解ガ能ク一般ニ分シテ參
リマシテ、或ル醫學博士ハ「博士ニ相成候共
診察料ハ從前ノ通リ」ト云フコトヲ言ノテ居ル
位デアリマスカラ、自然此事ガ分ッテ參リ
マスレバ、博士號ハ學者ニ對スル敬稱デア
ル診察料ハ禮デアル、只今ノ御質問モ其
意ヲ宣傳スルコトニナリマスカラ、漸次其
諒解ヲ得マシタナラバ、今日ノ如キ弊害ハ
段々消滅スルコトニナルト思ヒマス、今此
博士號ヲ廢止スルト云フヤウナ考ハ毫末モ
ナイノデアリマス、左樣御永知ヲ願ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=57
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058・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 之ニテ質疑ハ終了致
シマシタ-日程第六右議案ノ審査ヲ付託
スベキ委員ノ選擧ヲ議題ト致シマス
第六右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員
ノ選擧発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=58
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059・井本常作
○井本常作君 本案ハ議長指名九名ノ委員
ニ付託セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=59
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060・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 只今ノ井本君ノ動議
ニハ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=60
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061・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナイト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=61
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062・井本常作
○井本常作君 議事日程變更ノ緊急動議
ヲ.発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=62
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063・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 一寸御待ヲ願ヒマ
ス-只今委員付託ニナリマシタ獸醫師法案
ノ委任ハ會期接迫ノ場合デアリマスカラ
直ニ指名致シマス、信太儀右衛門君、服部
英明君、丸山五郞君、佐々木春作君、八田
宗吉君、高橋熊次郞君、高木第四郞君、宮島
幹之助君、土屋〓三郞君-只今指名致シ
マシタ委員諸君ハ直ニ第一委員室ニ參集
セラレ、委員長理事互選ノ後、引續キ審議
ヲ進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=63
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064・井本常作
○井本常作君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ政府提出特別都市計畫
法第五條ノ上地區割整理ニ伴フ〓算金及補
償金ニ關スル法律案ヲ繰上ゲ上程、委員長
ノ報告ヲ求メ、其審議ヲ進メラレンコトヲ
望ミマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=64
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065・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 井本君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=65
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066・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第二十、特別都市計畫法第五條
ノ土地區劃整理ニ伴フ〓算金及補償金ニ關
スル法律案ノ第一讀會ノ續ヲ開キマス-
委員長太田信治郎君
第二十特別都市計畫法第五條ノ土地
區劃整理ニ伴フ〓算金及補償金ニ關
スル法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一特別都市計畫法第五條ノ土地區割整理
ニ伴フ〓算金及補償金ニ關スル法律案
(政府提出)
右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノ
ト議決致候此段及報告候也
大正十五年三月二十三日
特別都市計畫法第五〓ノ
土地區割整理ニ伴フ清算
〓及捕償金ニ關スル法律
業委員長
太田信治郞
衆議院議長粕谷義三殿
(小字及-ハ委員會修正)
第一條本法ニ於テ〓算金ト稱スルハ特
別都市計畫法第五條ノ土地區劃整理ヲ
施行スル場合ニ於テ耕地整理法第三十
條ノ規定ニ依リ徵收シ又ハ交付スヘキ
金錢ヲ謂フ
第二條〓算金ヲ納付スヘキ義務アル者
ニ對シ同一土地區割整理施行地區內ニ
於ケル土地ニ關スル權利ニ付特別都市
計書法第八條ノ補償金ヲ交付スヘキ場
合ニ於テハ整理施行者ハ徴收スヘキ〓
算金ニ之ヲ充ツルコトヲ得但シ其ノ補
債金カ耕地整理法第二十五條ノ規定ニ
依リ供託スヘキモノナルトキハ其ノ補
償金ヲ交付スヘキ土地ニ關スル權利ニ
付徵收スヘキ〓算金ニノミ之ヲ充ツル
コトヲ得
二
南部整理施行者ハ主務大臣ノ定ムル
所ニ依リ徵收スヘキ〓算金ニ付利子ヲ
五
附シ三年ヲ超エサル期間ニ於テ分納ス
ルコトヲ認ムルコトヲ得
前項ノ利子ハ之ヲ〓算金ト看做ス
三
藤原整理施行者ハ〓算金交付ノ爲必
要アルトキハ耕地整理法第三十條ノ規
定ニ拘ラス他ノ土地區割整理施行地區
ニ於テ徴收シタル〓算金ヲ以テ繰替支
辨シ又整理施行者カ行政官廳ナルトキ
八頭、公共〓體ヲ統轄スル行政廳又ハ
公共團體ナルトキハ其ノ公共團體ノ立
替金ヲ以テ支辨スルコトヲ得
整理施行者前項ノ規定ニ依リ繰替又ハ
立替支辨シタルトキハ徵收シタル〓算
金ヲ戾人シ又ハ返還スヘシ
四第二條第二項ノ利子
第五條〓算金ニ剩餘ヲ生シタルトキハ
其ノ剥餘金ハ整理施行者カ行政官廳ナ
ルトキハ國、公共團體ヲ統轄スル行政
廳又ハ公共團體ナルトキハ其ノ公共團
體ニ歸屬ス
五
第六條土地ニ關スル權利ニ付〓算金ヲ
徵收セラレ又ハ交付セラルヘキ場合ニ
於テ其ノ權利ヲ譲渡シタルトキハ當事
者雙方連署ヲ以テ遲滯ナク整理施行者
ニ其ノ旨ヲ屆出ツヘシ
前項ノ屆出ヲ爲ササル場合ニ於テハ〓
算金ノ徵收又ハ交付ニ關シテハ其ノ讓
渡ハ之ヲ以テ整理施行者ニ對抗スルコ
トヲ得ス
土地ニ關スル權利ニ付〓算金ヲ徴收セ
ラレ又ハ交付セラルヘキ場合ニ於テ其
ノ權利ノ分割譲渡ニ付第一項ノ屆出ア
リタルトキハ整理施行者ハ遲滯ナク各
當事者ヨリ徴收スヘキ〓算金額又ハ各
當事者ニ交付スヘキ〓算金額ヲ通知ス
ヘシ
六
第比條前條ノ規定ハ土地ニ關スル權利
ニ付〓算金ヲ徵收セラレ又ハ交付セラ
ルヘキ場合ニ於テ其ノ權利ノ消滅シタ
ル場合ニ之ヲ準用ス
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔太田信治郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=66
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067・太田信治郎
○太田信治郞君 委員會ハ連日ニ涉リマシ
テ非常ニ熱心ニ愼重ニ質問應答ヲ重ネマシ
タノデアリマス、而シテ高木君、作間君、
近藤君、矢野君、沼田君、其地ノ諸君ガ何
レモ大雄辯ヲ揮シテ審議セラレマシタノデ
アリマス、私ノ如キ訥辯ノ者ガ會期切迫ノ
際到底審ニ之ヲ御紹介致スコトハ不可能デ
アリマスカラ、委細ハ速記錄ヲ以テ御承知
ヲ願フコトニ致シマシテ、唯〓討論ノ結果
修正案ガ提出セラレマシタカラ、其事柄ニ
付テ簡單ニ御報告ヲ申上ゲマス、本案ハ頗
ル重大ナル案件デアリマスノデ、十分愼重
審議ヲ盡シタイノデアリマシタガ、何ニ致
シマシテモ會期切迫ノ折柄、是非共今日上
程ヲ致シマセヌケレバ、復興事業上非常ナ
ル影響ヲ及ボシニマスコトデゴザイマスカ
ラ、委員長ハ懇談會ヲ開キマシテ、一時休
憩ヲ致シ其間懇談ヲ十分ニ致シマシタ、其
際高木君、作間君カラ修正案ニ付テ御熟議
ガアリマシタ、各派ハ又各派ニ於テ評議ヲ
重ネマシタガ、遂ニ一致ヲスルコトガ出來
マセヌデ、政友會ノ近藤達兒君ノ修正案ガ
提出サレマシタ、其修正案ハ本案ノ第二條
ヲ削除スルコト、ソレカラ第三條ノ「〓算
金ニ付利子ヲ附シ三年ヲ超エサル期間ニ於
テ分納スルコトヲ認ムルコトヲ得」トア
リマス、規定中ノ「三年」ヲ「五年」ト修正セ
ラレマシタ、ソレカラ第五條ノ「〓算金ニ
剩餘ヲ生シタルトキハ其ノ剩餘金ハ」トア
ルノヲ削除シテ「第二條第二項ノ利子」ト
云フコトニ修正ニナリマシタノデアリマ
ス、之ニ就キマシテ高木君、作間君、安藤
君、土屋君、近藤君カラ修正案ニ御賛成ノ御
意見ノ陳述ガアリマシタ、其理由ヲ簡單ニ
申上ゲマス、修正ノ理由ハ區劃整理ノ爲ニ
此災害地ノ市民ハ一割土地ヲ減步サレル爲
ニ、約三億五千万圓ノ土地ヲ無償ヲ以テ提
供致スコトニナリマシテ、尙ホ此區劃整理
換地ノ爲ニ家屋ヲ移轉致シ、其外各種ノ施設
ヲ要スル爲ニ多大ノ資金ヲ必要ト致ス場合
デアリマス、故ニ此政府ヨリ交付セラル
所ノ補償金ニ依ッテ之ヲ支辨致サント致シ
テ居ル所デアリマス、然ルニ未ダ區劃整理
ノ完成セザル整理後ノ〓算勘定ニ依ル所ノ
〓算金ノ徵收ヲ充當致シテ相殺サレルコト
ニナリマス、左樣致シマスルト現在ノ區劃
整理地區內ノ住民ハ、震火災以來酷ク困難
ヲ致シテ居ル所ニ、尙ホ此相殺勘定ニ依シテ
到底現在困難ヲ致シテ居ル所ノ經濟狀態ヲ
以テ致シマシテハ、假令移轉命令ヲ受ケマ
シタ所ガ到底移轉致スコトデ出來マセヌ、
左スレバ折角換地處分マデ決定ヲ致シマシ
テモ移轉ガ出來マセヌケレバ、要スルニ机
上ノ區劃整理ガ出來マシテモ、實行ノ區劃
整理ガ出來ナイコトハ明カデアリマス、故
ニ此際徴收金ト交付金ト相殺シテ、一時區
割整理施行者ニ於テ繰替ヲスルコトニ致シ
マシタノガ此第二條ヲ削除致シマシタ理由
デアリマス、尙ホ此徵收金ノ延納ヲ二箇年
延期ヲ致シマシテ五箇年ト致シマシタコト
ハ、是亦徴收金ノ延期ヲ致シタ次第デアリマ
ス、而シテ徵收交付ガ相濟ミマスレバ、互
ニ〓算金ノ剰餘ハナイコトデアリマス、然
ルニ第五條ニ於テ〓算金ニ於テ剩餘ヲ生ジ
タリト云フ理由ヲ尋ネマシタ所ガ、ソレハ
其間繰替金ニ要スル--政府ニ延期ヲシテ
繰替ヲシテ貰ヒマシタ所ノ附帶スル利子デ
アリマス、其利子ガ第五條ノ剥餘金ニ當ル
コトヽナリマス、デアリマスカラ其第五條ヲ
明ニ「第二條第二項ノ利子ハ」ト云フコトニ修
正ヲ致シタ次第デアリマス、政府ハ之ニ對シ
マシテ財政上又區割整理施行上ニ付キマシ
テ、勿論羅災民ニ對シテハ相當ノ利益ヲ與
ヘタイ、是ハ大ニ同情ヲ致シテ居ル次第デ
アリマス、併ナガラ此補債金ヲ充當スルト云
フコトハ、是ハ都市計畫法ノ第八條ノ補償金
ノ場合ニ於キマシテ、モウ〓算金ニ充當ス
ルコトガ決定ヲセラレテ居ル次第デアリマ
シテ、當然ノ歸結トシテ相殺ヲ受クベキモ
ノデアル、隨テ若シ第二條ヲ削除致シマス
ル結果ト致シマシテハ國ニ於テハ約一千
万圓、市ニ於テハ約二千七百万圓、橫濱ニ
於テハ百五十万圓、合セテ約三千八百万圓餘
ノ繰替ガ增加スルコトヽナリマス、左樣致
シマスレバ斯ノ如キ繰替金ガ、此際餘裕ノ
アルコトデアリマセヌカラ頰ル困難ノコト
ニナリマス、故ニ之ニ同意スルコトガ出來
ナイト云フコトデアリマシタ、又第三條ノ
延納ニ付キマシテモ同樣ナ結果ヲ來スノデ
アリマス、之ニ對シテ高木益太郞君ハ、區
割整理ハ都市計畫法第五條ニ依リマスト
「都市計畫事業ノ一部ヲ施行スルコトヲ得」
ト云フ條文ガアルノデアリマスカラ、政府
ハ豫算ノ範圍內ニ於テ事業ヲ施行スルト
スレバ別段財政ニ支障ヲ來スコトモナイ
ト云フ御意見デアリマシタ、併ナガラ何レ
ニ致シマシテモ此區劃整理ヲ國家ガ施行ス
ルニ當リマシテ、居住民ノ利害ヲ考察シ其
困難ヲ無視スルト云フコトハ出來マヒヌ、
故ニ居住民ノ經濟上困難スル所ヲ救濟シ之
ヲ助成シテ、而シテ帝都復興ノ大事業ヲ促
進セシメルコトガ必要デアル、此意味ニ於
キマシテ此繰替金ヲ致スコトモ已ムヲ得ナ
イ事ト信ジマシタノデアリマス、而シテ討
論ノ結果沼田嘉一郎君カラ御意見ガ出マシ
タガ、結局第三條ノ修正案ガ可決ニ相成リ
マシタ、沼田君ノ御意見ハ此三箇年ヲ五百
年トスルコトニ止メテ、其他ハ全部政府案
ヲ賛成スルト云フ御意見デアリマシタガ、
其御意見ハ少數デアリマシタ、此少數ノ意
兒ニ付キマシテハ少數意見ガ追テ御報告ニ
相成ル次第デゴザイマス、以上委員會ノ經
過ノ大要デゴザイマシチ、詳シイ所ハ委員
會ノ速記錄ニ依ヶテ御永知ヲ顯フコトヽ致
シタイ次第デゴザイマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=67
-
068・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 本案ニ對シテハ少數
意見ガアリマスガ、是ハ修正デアリマスカ
ヲ第二讀會ニ於テ其報告ヲ許シマス、直ニ
採決ヲ致シマス、本案ノ第二讀會ヲ固クニ
御リスマアママスタ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=68
-
069・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ハ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ、井本常作君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=69
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070・井本常作
○井本常作君 直ニ本案ノ第二讀會ヲ開カ
レンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=70
-
071・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 井本君ノ動議ニ御異
議ナシト認メマス、仍テ直ニ第二讀會ヲ開
キ議案全部ヲ議題ト致シマス
特別都市計畫法第五條ノ土地區劃整理ニ
伴フ〓算金及補償金ニ關スル法律案
第二讀會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=71
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072・粕谷義三
○議長(粕谷議三君) 此際少數意見ノ報告
ヲ求メマス、吉川吉郞兵衞君
少數者意見書
一特別都市計畫法第五條ノ土地區割整理
ニ伴フ〓算金及袖償金ニ關スル法律
案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノ
ト認ムルニ依リ少數者意兒書及提出候也
大正十五年三月二十三日
委員少數意見者
吉川吉郞兵衞
外六名
衆議院議長粕谷義三殿
〔別紙〕
特別都市計畫法第五條ノ土地區割整理ニ
伴フ〓算金及補償金ニ關スル法律案中左
ノ通修正ス
第三條第一項中「三年」ヲ「五年」ニ改ム
〔吉川吉郞兵衞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=72
-
073・吉川吉郎兵衞
○吉川吉郞兵衞君 只今、委員長カラ詳細
ニ御報告ニナリマシタノデ、私ハ委員會ノ
少數意見ヲ極ク簡單ニ申上ゲテ皆サンノ御
賛成ヲ得タイト存ジマス、只今委員長ノ報
告ガアリマシタ通リ、政府當局ガ修正案ニ
反對シ、原案ヲ支持致シマシタ事ニ付キマ
シテハ、尤モナル道理ガアリマスノデ吾々
ハ此支持理由ヲ誠ニ尤モナルコトヽ考ヘマ
シテ、之ニ贊成ヲ致シテ居ルノデアリマス、
修正案ハ罹災民ヲ思フノ餘リ非常ニ罹災民
ヲ思ヒ過ギタ所ガアル、吾々ニ於キマシテ
モ罹災民ヲ思フコトハ最モ深イノデアリマ
スガ、思ヒ過ギルコトハ隴ヲ得テ蜀ヲ望ム
ノ非難ニ陷ルコトガアルノデアリマスガ、
是ハ甚ダソレニ近イモノト考ヘルノデアリ
マス、吾々ハ罹災民ヲ思フト共ニ、亦同時
ニ國家ノ爲ニモ大ニ考ヘナケレバナラヌノ
デアリマス、ソレデ吾々ノ立場ヨリ致シマ
シテ大處高處ヨリ考ヘマシテ、公平ニ妥當
ナル玆ニ決議ヲシナケレバナラヌト存ズル
次第デアリマス、由來原案ハ政府ヨリ交付
スベキ補償金、或場合ニ於テ同一人ノ〓算
金ヲ徴收スル場合ニ於テ、〓算金ガ有ルト
キハ之ヲ相殺スル、今ノ修正意見ハ補償
金ハ貰フガ〓算金トシテ出スベキモノハ出
サナイ、先ヅソレハ後ニシテ長年ノ年賦ニ
シテ、ソレヲ取ッテ貰ヒタイト云フ御意見
デアリマス、是ハ吾々ハ誠ニ不合理ナ事デ
アルト考ヘルノデアリマス、遣ルモノハ遣
ル、多キニ失スルダケノモノハ〓算金トシ
テソレヲ取ッテ、足ラナイ者ニ遣ル、之ヲ一
時ニ遣ルト云フコトガ誠ニ合理的デアルト
吾々ハ考ヘルガ、是又當然ナ事デアル、勿
論是ハ罹災民ノ爲ニ特ニ徴收スベキ〓算金
ニ就テ分納ヲ認メテ居ルノデアリマス、其
分納ハ三箇年ヲ五箇年ト云フコトニ玆ニ修
正ニモナッテ居リマスガ、此分納ヲ認メテ罹
災民ノ爲ニ經濟ヲ十分ニ考慮シタ點ガ此ニ
アルノデアリマス、然ルニ修正案ノ如クス
ルトキハ、相殺ニ便宜ニシテ適切ナル處置
ヲ失ハシムルノミナラズ、政府ノ財政ニ於
テ約一千万圓以上ノ豫算ヲ立替金トシテ增
加セナケレバナラヌノデアリマス、斯ノ如
キコトハ現在國家ノ財政ノ現狀ニ照シマ
シテ甚シク當ヲ缺クモノト思フノデアリマ
ス、政府原案ハ罹災民ヲ思フト共ニ、國民
ノ爲ニ國家ノ財政ヲ考慮シテ、至極公平
ナル原案デアルト私等ハ考ヘルノデアリマ
ス、以上ノ議論ハ東京及橫濱兩市ニ付テ申
シマシテモ、修正案ニ依ルトキハ東京市ハ
約二千七百万圓、横濱市ハ約百五十万圓ノ
立替豫算ヲ增加セネバナラヌノデアリマス、
是又兩市財政ノ堪ヘル所デハナイト吾々ハ
考ヘルガ故ニ、第二條及第五條ニ關スル修
正ハ適當デナイ、故ニ第一一條ノ修正ノ削除、
第五條ノ修正、之ニハ反對ヲ致シマシテ、
第三條ノ〓算金ノ分納金ヲ納メル、此期限
ヲ三箇年トアルヲ五年ト云フコトニ之ヲ修
正致シマシテ、其他ハ全部原案ニ賛成ヲ致
スモノデアリマス、何卒諸君ニ於カレマシ
テモ能ク御判斷ノ上、是非此少數意見ニ御
賛成アランコトヲ切ニ希望スル次第デアリ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=73
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074・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 只今吉川君ニ依ッテ
述べラレマシタ少數意目九二贊成ガアリマス
カ
〔「賛成」「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=74
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075・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 少數意見ニハ成規ノ
賛成アリト認メマス、仍テ少數意見ハ修正
案トシテ成立致シマシタ、是ヨリ討論ニ入
リマス、通告順ニ依シテ其發言ヲ許シマス、
作間耕逸君
〔作間耕逸君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=75
-
076・作間耕逸
○作間耕逸君 木員ハ本案ニ付テ委員長ノ
修正報告ニ賛成シ、少數意見ニ反對スル者デ
アリマス(「ヒヤ〓〓」拍手)與黨ノ一人デア
リマスル本員ガ、政府ノ意見ニ反イテ、平
素政見ト立場ヲ異ニ致シマスル政友會革新
倶樂部ノ諸君ト共ニ本案ノ第二條第三條及
第五條ニ對シ、敢テ同一ノ修正意見ヲ唱ヘ
マスルノハ、實ニ心苦シイ次第デハアリマ
スケレドモ、ソレダケ本員等ハ區割整理事
業ノ過去ヲ顧ミ、又其將來ヲ思ヒ、一ハ政
府ノ爲メ、一ハ市民ノ爲ニ、道理ト實際ノ
上ヨリ確乎タル信念ヲ有スルモノデアリマ
ス(拍手)本案ノ修正ニ賛成ノ理由ヲ述ブル
ニ當リマシテハ一應區劃整理事業ノ工程
ヲ檢セナケレバナラヌノデアリマス、此點
ニ付キマシテハ高木代議士ガ先刻決算案ノ
質問ニ於テ、政府ニ對スル峻烈ナル御陳述
ガアリマシタカラ、私ハ大部分省略致シマ
スガ、元來區副整理事業ト云フモノハ、東
京横濱兩市復興ノ前提トシテ、其性質上他
ノ復興事業ヨリモ一步先ンジテ進ンテ居ラ
ナケレバナラヌモノデアリマス、然ルニ洵ニ遺
憾ナコトニハ、其實際ヲ見マスルト云フト、大正
十三年三月內務省ノル口市ノ第百三十二號ニ
依リマスレバ、大正十四年度中ニハ區劃整
理全事業ノ七割八分九厘ヲ完成シテ居ナケ
レバナテヌ豫定トナッテ居ルノデアリマス、
所ガ大正十四年度モ既ニ最早一週間ヲ以テ
盡キマスル今日ニ於テ、而モ其事業ハ只今
高木代議士モ申述ベラレタ如ケ、僅ニ十分
ノ一シカ終フテ居ナイノデアリマス、卽チ
東京全市六十六地區ノ中デ、移轉命令ヲ終
了致シタモノハ、國ノ執行ガ十五地區ノ中、
僅カ三地區アリマスルモ、市ノ執行ニ係ル
モノ五十一地區ノ中、未ダ一地區モアリマ
セヌ、而モ實際ニ於テ家屋ノ移動ヲ終リマ
シタルモノハ土木工事ヲ加ヘマシテ、
年有半ヲ費シテ僅ニ駿河臺方面ノ第六地區
ノ一地區アルバカリデアリマス、而シテ又
日本橋區濱町方面ノ第十一一地區ノ一部分ガ
アルダケデアリマス、而モ此地區モ後日ニ
至リ最モ解決ノ困難ヲ豫想セラレマス所ノ
〓算金ト補償金トノ問題ニハ全然手ガ染
マッテ居リマセヌ、斯樣ナ有樣デアリマスル
ガ、復興當局ノ宣傳ニ依リマスレバ單ニ
換地決定ノ決議ヲ經タモノガ五十四地區ア
ル、或ハ移轉命令ヲ發シタルモノガ二十四
區アルト云フコトデアリマスケレドモ、是
等ハ唯、机上ノ事務ニ屬スル、地圖ヲ引ヲ張ヶ
テ命令文書ヲ郵送シタダケノコトデアリマ
ス、又實際今マデヤリマシク所ノ第六區或ハ
第十二地區ノ如キハ、比較的手數ト經費トヲ
要セザル方面デアリマシテ、眞ノ困難多キ事
業ノ主ナル方面ハ是ヨリ以後ニ進ンデ行カ
ナタレバナラマ、著手シナケレバナラヌ所
ガ多ク殘テ居ルト云フコトニ御注意ヲ願
ヒタイノデアリマス、更ニ之ヲ建物ノ移轉
數ト經費ノ支拂トノ統計カラ見マシテモ、
現在ニ於テ復興當局ハ東京燒跡全域ニ涉ク
テ建物ヲ十六万株勤カサナケレバナラヌト
云フコトニ相成シテ居ルノデアリマス、此十
六万棟ハ固ヨリ〓數デアリマシテ、之ヲ政
府デヤル所ノ復興局、而シテ又自治圏體デ
アル所ノ東京市、此兩方デ受持ツノデアリ
マスガ、其中自治圏體デ受持ヲマスル方ハ
八万八千六百棟、政府デ受持テマスル方ハ
七万一千六百棟、然ルニ現在マデ政府ハ袋
ラ移轉命令ヲ出シタカト申シマスルニ、七
千五百六十二棟デアリマス、即チ一割ト少
シ上ッテ居リマスルケレドモ、一群三分ニモ
當ラナイノデアリマス、之ニ要スル所ノ經
費ヲ幾ラ爰テ支拂フコトニチッテ居ルカト
申シマスレバ、其經費ハ六百十四万三千五
百四十一圓ヲ支拂フコトニナッテ居ルノデ
アル然ルニ六百十四万三千五百四十一團
ト云フ數字ハ復興豫算ニ於キマシテ東京
市ニ對スル國ノ區割整理費合計ハ百七十五
万圓ニ對シマスルト、既ニ其八割ヲ超過致
シテ居ルノデアリマス、卽チ家ヲ動カス棟
數ガ一割二三分シカ動カサナイノニ、之ニ
要スル所ノ經費ハ既ニ全體ノ八割バカリヲ
支拂ハナケレバナラヌト云フコトニナッチ
居ルノデアリマスカテ、後ノ家ヲ動カスノ
ガ全體ノ八割七八分殘ッテ居ル、之ニ對ス
ル經費ト云フモノハ僅ニ一割七八分ヨリシ
カ殘ッテ居ラヌト云フコトニ相成ルノデア
リマス、而モ此八百七十五万圓ト申シマス
ノハ是ハ土地區割整理費ノ全體デアリマ
スルケレドモ、其中ニハ雜工事費、卽チ工
事ノ費用ヲモ含ンデ居ルノデアル、其正味
ト云フモノハ僅ニ八百万圓ニ過ギナイノデ
アル、八百万圓ニ過ギナイ、其大部分ガ既
ニ支拂ハレ掛ケテ居ルノデアリマスカラ、
如何ニ此經費ト、後ニ殘サレテ居ル所ノ移
轉ヲ要スベキ建物ノ數トヲ比較シテ見マス
ルト云フト、所謂日暮レテ道遠シ、政府ガ
近キ將來ニ於テ必ズ此事業ノ前途ニ私ハ進
退是レ窮セラレル立場ニ陷ル虞アリト感ズ
ル者デアリマス(拍手)而シテ他ノ復興事業
卽チ橋梁、道路等ノ工事ハ比較的進捗致シテ
居リマスノニ、單リ區劃整理事業ガ最モ遲
レテ居リマスノハ是ハ一體ドウ云フ譯デ
アル、是ハ山本内閣、〓〓內閣當時ノ彼ノ
大震大火ノ應急善後策ト致シマシテ、勿忙
ノ間ニ色マノ混雑ト變化トヲ以テ取扱ハレ
テ來リマシタ計畫ガ柱撰デアルガ爲デアリ
マス、粗笨デアルガ爲デアリマス、固ヨリ其計
畫ヲ其儘踏襲シタニ過ギナイ所ノ我黨内閣
ノ責任デナイト云フコトダケハ、玆ニ明ニ申
上ゲテ置キマス、又現後興當局ノ罪バカリ
デモアリマセヌ、一番惡イ原因ハ實ニ區劃
整理ノ現行制度其モノニ不備缺陷ガ多イカ
ラデアリマス、本員等ハ其制度ノ改善ニ努メ
テ來テ居ル者デアリマスルガ、茲ニ提案サレ
マシタ政府ノ本案ノ如キハ實ニ現行ノ區
割整制理制度ヲ一層更ニ改惡セントスルモ
ノデアルト云フコトニ、御注意ヲ願ヒタイ
ノデアリマス(拍手)恐ラク事業ノ前途ハ本
案ノ通過ニ依テテ、一層ノ難渡ト市民ノ迷惑
トヲ增スモノデアラウト考ヘル尤モ本案
ノ中デモ〓算金ノ分納制等ハ事業ノ進行ノ
爲ニモ、又市民ノ權利ノ爲ニモ本員等ハ之
ヲ歡迎シ、其通邊ヲ希望スル者デアリマス
ルケレドモ、第二條、第五條ノ如キハ補
償金〓算金ノ性質ヲ全ク無視シテ、事業ノ
進行ト市民ノ迷惑ヲ思ハザル事甚シキモノ
デアルト謂ハナケレバナリマセヌ、元來補
償金ト云フモノハ、御承知ノ通リ政府又ハ
市ガ市民カラ必要ナル地所ヲ提供セシムル、
其中一割ハ無償提供、只ノ沒收デアル、
割ヲ超ユル所ノ五分ナリ、八分ナリ、或
一割ナリガ、卽チ補償金ニ依テテー-補償
金ヲ支拂ッテ市民カテ提供セシムルノデア
リマスガ、市民ハ此補償金ヲ當ニシテ之ヲ
負わ、セメテ一割無償提供ノ幾分ノ埋合セ
ニ爲シ、又ソレヲ融通利用シテ、以テ自
己ノ復舊、復興ノ資金二當テヤウト致シテ
居ルノデアル、之ヲ待ツコト實ニ早天ノ雲霓
モ啻ナラザル境遇ニ在ルノデアリマス、然ル
ニ政府ハ此補償金ヲ與フベキモノヲ與ヘズ
ニ押ヘテ置イテ、是ハ區割整理施行ト同時
ニ著々トシテ與ヘナケレバナラヌ金デアリ
マスニ拘ラズ、是ハ支拂ハズニ押ヘテ置イテ、
サウシテソレト全ク別ノ關係ニ在ル、單ニ
人民同志ノ遣取ヲスベキ〓算金ト、此補償
金トヲ相殺的ニ充當シヤウトスルノガ、此
第二條ノ趣旨デアリマス、而シテ一方ノ〓
算金ト云フモノハ區劃整理ガ出來上ッテ初
メテ生ズル所ノ利益デアリマシテ、ゾレモ
果シテ利益ヲ生ズルカ否ヤト云フコトハ
區割整理ガ出來テカラ數年、十數年又ハ數
十年ヲ經ナケレバ分ラナイノデアリマス
單ニ此ニ區劃整理ガ行ハルレバ、土地ノ値
段ガ出ルデアラウト云フコトハソレハ復
興局ガ机上ノ論謀、若タハ空想デアリマシ
テ、實際ノレ程ノ價値ガ出ルカ、利益ヲ受
クルカト云フコトハ未來ノ事デ、全ク確定
シナイ所ノ一ヅノ想像的相場ニ過ギナイト
云フコトニナルノデアリマス(拍手)此想像
的相場ニ依フテ算定セラレタル金錢而モ
其金錢ハ市民ノ甲カラ乙へ與へ或ハ丙カ
ラ乙ヘ與ヘルダケデ、政府ナリ市ナリガ、
而モ其金ニ直接關係スルコトノ出來ナイ、
卽チ自己ノ所有、自己ノ權利ニ歸屬セシム
ルコトノ出來ナイ此全ヲ以テ-此金ノ補
償金ヲ以テ市民同志ガ遺取リスルニ過ギザ
ル所ノ〓算金ト差引勘定ヲスルガ爲ニ、其
支拂ニ充當セシメヤウトスル原案ノ第二條
ガ、如何ニ私ハ不法暴戾的ノモノデアルガ
ト云フコトヲ諸君ノ御判斷ニ戀ヘタイ所デ
アリマス、卽チ當事者ノ關係ガ違フ、補償
金ハ單ニ政府又ハ市ガ市民ニ對シテ支拂
フベキ金、市民ハ特定ノ土地ヲ提供シテ、
其代金的ノ受取ルベキ金、其金ヲ以テ市民
同志ノ單ニ未來ノ計畫ニ依ッテ定マリタル
所ノ空想的相場ニ依ッテ受渡ヲスル、此金
トヲ差引カウトシマスルノハ、何ノ事ハナ
イ政府ガ今支拂フベキ現金ト、市民ガ將
來利益ヲ受ケル、先キデ果シテ幾ラノ利益
ヲ受ケルカワレモ分ラナイ、其前途未確定
ノ金額トヲ强ヒテ差引イテ決算セシメヤウ
ト云フ趣旨ニ基ク原案第二條ト私ハ考ヘマ
スルカテ、如何ニシテモ其案ニ同意スルコ
トハ出來ナイノデアリマス、又支拂ノ時期
ニ付キマシテハ、只今モ申上ゲマスル通リ、
補償金ハ區割整理ニ著手スルト同時ニ支拂
ハルベキ金、〓算金ハ區割整理ノ施行ガ終ク
テ定マルベキ金額、是ト是トヲ差引クト云
フコトハ政府ハ補償金ヲ支拂フ時期ニ
シテ居ッテ、市民ガ一日モ早クソレヲ貰ヒ
タイ、ソレヲ受取ラナケレバ移動ハ出來ナ
イト云フ、此切ナイ金ヲ押ヘテ置イテ、サ
ウシテ區劃整理ガ出來上タ金高ト差引決
算ヲシヤウト云フコトデアリマスカラ、政
府ハ手許ニ於テ補償金ヲ押ヘテ置イテ、サ
ウシテ區割整理ガ出來上ルマデ勘定ヲ市民
ヲ待タサウト致スノデアリマスガ、現在ノ
ヤウナ遲々タル狀態ニ於テ區劃整理ヲ施行
シテ居リマスル問、市民ハ空シク其勘定ヲ
待ノテ居ルト云フコトハ、如何ニモ堪ヘ難へ苦
痛ト損害デアルト云フコトヲ玆ニ申上ゲテ
百ク次第デアリマス(拍手)又第五條ノ剩餘
金ガ生ズルト云フヤウニ、原案ノ趣旨ニハ
ナッテ居リマスケレドモ、〓算金ニ剩餘金
ト云フモノガアルベキ筈ハナイ、何トナレ
バ〓算勘定ト云フモノハ、一方ノ善イ所ヘ
移ッタ人民カラ取ッテーソレモ果シテ事實
善イカ惡イカ分ラヌガ、善イ所デアラウト
云フ所ニ移ッタ人民カラ、惡クナッタデアラ
ウト云フ所へ移ッタ人民ニ、一方カラ取ッテ
一方へ渡ス金デアリマスルカラ、政府又ハ
市ハ單ニ其金ノ取次ヲスルニ過ギナイノ
デアル決シテ自分ノ權利ニ歸屬スベキ性
質ノモノデハナイ、隨テ此金ハ剰餘ヲ生ズ
ル筈ハナイノデアル、卽チ地域ニ於テ善イ
所へ變ッタ人ミカラ皆取上ゲテ、ソレヲ其
全體ノ合計額ヲ惡イ所ノ方面ニ移ッタ人ニ、
全體ニ分ケテヤレバ、ソレデ〓算金ノ分配
ト云フモノハ終ルベキ筈デアリマシテ、其
間ニ政府ノ手許ニ〓算金ガ餘ッタ、殘ッタト
云フコトハ道理上モ實際上モアルペカラ
ザルコトデアリマス、然ルニ原案第五錄ハ
此〓算金ニ剩餘ヲ生ジタ場合ニハ之ヲ政
府或ハ市ノ權利ニ歸屬セシメテ、其輪取ッ
テシマフト云フコトニナクテ居ルノデアリ
マツ、是ハ〓算金ノ性質カラ考ヘヲ、左樣
ノ事ノ出來ベキ筈ハナイ、政府ニ此點ヲ質
シマスト云フト、政府ハシレハ利子デアル
元金デハナイ、〓算金ヲ使ッテ居ル間ニ自
然利子ガ生ズル其利子ダケハ、市又ハ政
府ガ取ッテ居ルノデアルト云フ、利子ダケ
ナラバ結構デアル、利子ダケナラバ、何故
第五條ニ明ニ利子ダケハ政府又ハ市ノ歸屬
トスルト云フコトヲ規定致サナイノカ、原案
ノ第五條ヲ見マスト利子ヤ元金ノ區別ハナ
イ、〓算金ガ殘リサヘスレバ、何デモソレ
ヲ市又ハ政府ニ於テ取上ゲルコトガ出來ル
ヤウニナッテ居リマスカラ、其誤解ヲ避ケ
テ利子ダケニ止メルト云フコトヲ明ニスル意
味ニ於テ、私共ハ第五條ヲモ改正ヲシナケ
レバナラヌト考ヘテ居ルノデアリマス、第
二條ヲ削除シナケレバナラヌト云フコトハ、
只今申上ゲマシタ通リデアリマス、尙ホ第
三條ノ〓算金ヲ人民カラ分納セシムル義務
ニ付キマシテ、原案ノ三條ニハ三年間ト
ナッテ居ルノデアルガ、此三年ハ實ニ短イ、
御永知ノ通リ下水事業デモ、道路事業デ
モ、總テ斯ウ云フヤウナ場合ニハ、大抵十
箇年ヲ以テ分納期間ト定メテ居ルノデアリ
マス、政府ノ方デ無條件デヤッテ吳レ、或
ハ市ノ方デ無條件デヤッテ吳レタ、下水道
路ノ受益負擔金デサヘモ、市民ハ十年間ニ
之ヲ分納スレバ宜シイト云フコトニ相成ッ
テ居リマスルニ拘ラズ、區割整理ハ決シテ
無條件デヤッテ貰ッタノデハナイ、市民ハ多
大ノ犠牲ヲ拂ヒ、多大ノ苦痛ト損害ヲ忍ン
デヤッテ貰シテ、此〓算金ガ只今ノ下水、道
路ノ負擔金ヨリモ短イモ短イ、三箇年間ニ
之ヲ止メヤウトスルコトハ、全ク私ハ名ハ
分納デアルケレドモ、其實ハ一時ニ徵牧セ
ラルヽヨリモ苦痛デアッテ、別ニ變リハナ
イ、何ノ猶豫モ恩患モナイモノト申シテ宜
シイ位ト存ジマスルカラ、此第三條ニ村キ
マシテモ三箇年トアルモノヲ、是ハ五箇
年ト改メタイノデアル、私共ノ希望ハ五箇
年デハ滿足ヲ致サナイ、七年或ハ十年マデ
モト云フ希望ヲ持シテ居リマスケレドモ、
ソレデハ餘リ長過ギル、餘リ勝手ナコトヲ
申シマシテモ、又本黨諸君等ノ御反對ヲ受
タレバ、案ノ通過モムヅカシイノデアリマ
スルカラ、是ハ五年ノ修正ニ讓步致シテ置
キマシタガ、其他第二ノ修正、竝ニ第五條
ノ修正ハ、以上申上ゲマシタ理由ニ依シテ、
絕對二原案ニ贊成ガ出來ナイノデアリマス
カラ、修正案ニ同意ヲ表スル次第デアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=76
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077・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 折原巳一郞君
〔折原巳一郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=77
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078・折原巳一郎
○折原巳一郞君 諸君、自分ハ口今今題ニナッ
テ居リマス法案ニ對シ、少數者ノ意見ニ
賛意ヲ表スルアデアリマス、極メテ簡單ニ
賛成ノ理由ヲ申述ベタイト存ジマス本案
ニ對シマスル政府ノ說明ヲ承リマスレバ、
同一時ニ交付致スベキ〓算金ト、徴收スベ
キ補償金トガ相合スル場合ニハ、其金額ノ
範圍ニ於テ相殺ヲスル、斯ウ云フ說明デア
ルノデアリマシテ、只今作間君ガ縷々御陳
述ニナリマシタ所トハ、私共ハ多少違ッタヤ
ウニ承ッテ居ルノデアリマス、其結果ト致シ
マシテ、若シ此相殺方法ヲ取リマセヌコト
ニ相成リマスト、國家ニ於テハ約千万圓、
東京市ニ於テハ二千七百餘万圓、横濱市ニ
於テハ百五十万圓ノ市費ノ負擔ガ增加スル
ト云フ結果ニ相成ルノダサウデアリマス、
(「違ヒマス」「違ヒハセヌ」ト呼フ者アリ)如
何ニモ此市民ガ災害ニ遭ウテ、迷惑ナ狀態
ニ在ルコトニ向ッテハ、吾々モ滿腔ノ同情ヲ
表スルノデアリマスガ、此〓算金ト補償金
トノ相殺ハ決シテ無理ナル行爲ヲ爲スノ
デハナイ、右ノ手カラ拂フベキモノト、左
ノ手ヘ取ルベキモノトガ、同時ニ相合シタ
場合ニ、其分ダケヲ相殺スルト云フノデア
リマシテ、是ハ若シ〓算金ノ交付ト云フモ
ノヲ更ニ數年遲ラセマシタナラバ、ヨリ多
ク利益デハアリマセウケレドモ、ソレデハ
今申述べマス通リ、市及國ノ負擔ガ極メチ
多大ニ上ルノデアリマス(ヒヤ〓〓)或ル部
類ノ人〓ノ利益ノ爲ニ、全般ノ國費或ハ市
費ヲ以テ之ヲ負擔スルコトノ穩當デナイト
云フ事柄ハ、他ノ方面ニ於テモ幾多ノ實例
ガアルノデアリマス、吾々ハ此見地カラ致
シマシチ、此〓算金ト補償金トノ相殺ト云
フコトハ、適當ナル法案デアルト云フコト
ヲ認メマシテ、原案ニ賛成致シタ次第デア
リマス尙ホ第三條ノ點ニ付キマシテハ
是ハ先刻作間君ノ御述ニナリマシタト同樣
ナ理由ヲ以テ、私共三年トアルノヲ五年ニ
修正致シタ次第デアリマス、ドウゾ御賛成
ヲ願ヒマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=78
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079・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 安藤正純君
〔安藤正純君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=79
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080・安藤正純
○安藤正純君 本問題ハ範圍カラ見レバ一
地方ノ問題デハアリマスルケレドモ、之ヲ
國民經濟ノ上カラ考へ、又是ガ國民思想ニ
影響スル上カラ考ヘマスルト、其利害ハ必
シモ一地方ノ問題トバカリハ言フコトハ出
來ナイト思フノデアリマス(拍手)而シテ此
〓算ト補償トノ問題ニ付キマシテハ雪ロ.
ント欲スル所ハ多イガ、既ニ作間君等ガ述
ベラレマシタシ、且ツ今ヤ會期明日ニ迫リ
極メテ時間ヲ貴重トスル場合デアリマスル
カラ、私ハ唯ニ極メテ簡單ニ此修正案ヲ支
持スル所ノ意見ヲ述ベル積リデアリマス、
卽チ本案ニ對スル第二條、第三條及第五條
ノ修正ハ、我ガ政友會提出ノ修正デゴザイ
マシテ、憲政會ノ委員ノ二三氏ガ之ニ贊成
ヲセラレタ結果、我黨ノ修正案ガ通過致シ
タノデアリマス、〓算金ト補償金トハ元來
性質ガ別デアル、補償金ト云フモノハ換地
ノ決定セラレタモノニ對シテ支拂フベキモ
ノデアッテ、〓算金ハ區割整理以後ニ於テ
之ヲ〓算スベキモノデアル、然ルニ、補償
金ヲ〓算金ニ充當シテ相殺スルト云フコト
ハ理論カラ言ッテモ間違テ居ルノデアリ
せっ、成程斯ノ如ク致シマスレバ政府ハ至
極便利ニ違ヒナイ、又東京市ヤ横濱市ハ至
極都合ガ好イニ違ヒナイ、併ナガラ其政府
ヤ市ニ都合ノ好イト云フコトハ、卽チ東京
市、横濱市ニ於キマシテ大災厄ヲ受ケタ所
ノ大部分ノ住民ガ非常ナル不便ヲ被ルト云
フコトヲ考ヘナケレバナラヌト思フノデア
ル、(拍手)殊ニ災後復舊ハ表面カラ見マス
ト横濱ト云上、東京ト云ヒ外觀ダケハ稍、ミ
整ッタヤウデアリマスケレドモ、其内實ヲ
能ク調ベテ見マスルト實ニ苦心慘澹、日夜
ニ如何ニシテ復舊シ復興センカト云フコト
ニ、血ノ出ルヤウナ思ヒデ懊惱頰問シテ居
ルノデゴザイマス、而シテ此區劃整理ノ事
業ハ勿論是ハ百年ノ大計デアッテ、必要ナコ
トデアル必要ナコトデハアルガ、政府ハ
之ニ對シテ殆ド準備ガ無クテ著手シタ又
徒ニ机ノ上デ計畫シテ、罹災民ノ賓狀ヲ顯
慮スルニ迂濶デ、且ツ不親切デアリマス
ダカラ事每ニ色スナ失敗ガ出テ、一々突キ
當ッテ其爲ニ事業ガ進マヌノデアル、又今
日デハ此區割整理ノ事業ニ甚シク權威ヲ失
堅シタノデアリマス、申ス迄モナク此ノ事
業ノ中央官衙タル復興局カラ數人ノ中樞幹
部ノ驚クベキ犯罪者ヲ出シマシテ、〓
復興局ハ國民疑團ノ中心トナッテ居リマス、
市民ガ熱心ニ一日モ早ク帝都ヲ復興シ、又
經濟ヲ復活シヤウト思テテル、此悲痛ノ眞
最中ニ當ッテ、區劃整理ノ事業ヲ行ヒ、特別
都市計畫ヲ行フ所ノ其中心當局タル復興局
ガ、斯ル魑魅妖怪ノ府トナンテ居ルニ至シテ
ハ、此區割整理事業ナルモノ、特別都市計劃
事業ナルモノニ權威ガナクナッテ、市民ガ
容易ニ之ヲ信ゼヌト云フコトハ、當然デハ
ナイカト思フノデアリマス(拍手)サレバ今
此案モ我修正ニ從フノガ市民ト幾分信用ヲ
恢復スル譯デアル、成程吾々ノ修正案ノヤ
ウニ補償ト〓算トヲ別々ニ致シマスルト、
國ニ於テハ一千万圓、東京市ニ於テハ二千
七百万圓、横濱市ニ於テハ百五十万圓、是
ダケノ一時立替ヲシナケレバナラナイカ
ラ、一時腹ガ痛ムト云フコトニナル、併シ
是ハ出シ放シデハナイ、結局ハ還ノテ來ル、
一時ノ立替ニ過ギナイノデアリマス、少數
意見者ハソレデハ國庫ガ堪ヘラレナイ、國
家ノ財政ガ洵ニ困ルト云フコトヲ頻ニ言フ
ガ、抑〓國民有シテノ國デハナイカ、市民
アッテノ市デハナイカ、其國民、其市民ガ
今ヤ塗炭ノ苦ミヲ受ケツヽアルト云フコト
ガ能ク分ッタナラバ、私ハ此際國ガソレダケ
立替テモ、市ガソレダケ方替テモ、ソレハ
寧ロ當然デハナカラウカト思フノデアリマ
ス(拍手)故ニ補償金ハ補償金ト致シテ別ニ
支拂ヒ、〓算金ハ三年ヲ改メテ五年ノ間ニ
分納サセルト云フ所ノ、我ガ政友會ノ修正
ガ最モ適當デアラウト思フノデアリマス
(拍手)、殊ニ多數國民ノ利福增進ヲ旨トシ、
國民政治ヲ行ハウト一云フコトハ、現政府ガ
常ニ口癖ノヤウニ言ッテ居ル所デハナイカ、
又社會政策ノ實行ト云フコトヲ二言目ニハ
言,テ居ル所ノ現政府デハナイカ、然ルニ政
府ガ此修正案ニ反對ノ意ヲ表明サレタコト
ハ驚クベキコトデアル、憲政會ノ中カラ
高木、作間ノ兩君ガ與黨ト致シマシテ此修
正案ニ對シテ賛成ヲスルト云フ、勇敢ナル
態度ヲ取ラレタト云フコトハ、迫ニ黨派ニ
忠實ナル兩君デモ、市民塗炭ノ苦ミニハ代
ヘラレナイト云フ立場カラ、我ガ案ニ賛成
ヲセラレタノデアラウト思フ(拍手)願クハ
此案ハ決シテ黨派問題デハアリマセヌカ
ラ、憲政會ノ諸君モ政友本黨ノ諸君モ、其
他ノ諸君モ、目下ノ都民ノ苦ミト云フコト
ヲ能ク御察シ下サイマシテ、我黨ノ修正案
ニ贊成ヲセラレンコトヲ熱望スル次第デゴ
ザイマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=80
-
081・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 之ニテ討論ハ終局致
シマシタ、是ヨリ採決ニ入リマス、只今成
立致シマシタ修正案ハ委員長ノ報告ト共通
ノ點ガアリマス仍テ先ヅ此委員長報告ト
修正案ト共通ノ點、卽チ第三條ノ中ノ三年
ヲ五年ト修正スル點、此點ヲ採決ヲ致シマ
ス、之ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=81
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082・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 起立多數デアリマ
ス、仍テ共通ノ點ハ可決サレマシタ、次ニ
ハ共通ノ點ヲ除キマシタル委員長ノ報告ニ
付テ採決ヲ致シマス、此採決ニ付キマシテ
ハ砂田重政君外三十名ヨリ記名投票ヲ以テ
採決ヲシテ貰ヒタイト云フ要求ガゴザイマ
ス、仍テ是ヨリ記名投票ヲ行ヒマス、委員
長ノ報告ノ修正、卽チ共通ノ點ヲ除キマシ
タル分デアリマス、此委員長ノ報告ニ賛成
ノ諸君ハ白票デアリマス、反對ノ諸君ハ靑票
デアリマス-閉鎖-氏名點呼ヲ命ジマス
〔書記官氏名ヲ點呼ス〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=82
-
083・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 投票漏ハアリマセヌ
カ-投票漏ナシト認メマス、投票函閉鎖
-開匣-開鎖
〔書記官投票ノ數ヲ計算ス〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=83
-
084・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 投票ノ結果ヲ書記官
ヨリ御報告致シマス
〔田口書記官朗讀〕
投票總數二百九十二
可トスル者白票百十九
否トスル者靑票百七十三発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=84
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085・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 只今ノ結果ニ依リマ
シテ、共通ノ點ヲ除キマシタル委員長報告
ノ修正ハ否決サレマシタ
〔參照〕
委員長報告修正中修正案ト共通部分ヲ除
キタル部分
可トスル議員ノ氏名左ノ如シ
太田信治郞君高木益太郞君
作間耕逸君磯部尙君
磯部保次君板野友造君
今井健彥君石井三郞君
石坂豐一君飯村五郞君
井上敬之助君井上孝哉君
井上虎治君井口延次郞君
伊坂秀五郞君秦豊助君
濱口吉兵衞君濱田精藏君
鳩山一郞君西方利馬君
本田義成君堀切善兵衞君
星島二郞君土井權大君
長田桃藏君大口喜六君
小川平吉君若宮貞夫君
渡邊伍君渡邊祐策君
加藤久米四郞君兼松寅太郞君
笠原忠造君川口義久君
吉木陽君高井商二君
高木音藏君高草美代藏君
中島守利君中村宛君
中村〓造君向井倭雄君
內田信也君內野辰次郞君
上埜安太郞君野田俊作君
來栖七郞君熊谷巖君
熊谷直太君黑住成章君
倉元要一君工藤十三雄君
矢野鉉吉君山本芳治君
山本悌二郞君山口義一君
山口恒太郞君山下谷次君
山內範造君松本君平君
松實喜代太君藤井忠兵衞君
藤田胸太郞君藤田包助君
藤川〓助君二木洵君
古川〓君小久保喜七君
小橋藻三衞君神崎動君
近藤達兒君安藤正純君
靑木精一君靑山憲三君
靑柳郁次郎君秋田寅之介君
赤間嘉之吉君有馬賴寧君
東武君齋藤珪次君
齋藤藤四郞君榊原經武君
佐々木文一君佐々木長治君
坂井大輔君坂梨哲君
木戶豐吉君宮崎三之助君
宮本逸三君三善〓之君
三土忠造君篠原和市君
志賀和多利君嶋居哲君
廣瀨爲久君廣岡宇一郞君
平山爲之助君森〓昶君
森恪君瀨沼伊兵衞君
砂田重政君鈴木隆君
菅原傳君隅田豐吉君
杉宜陳君坂東幸太郞君
富永孝太郞君田崎信藏君
堤〓六君山口左一君
山口政二君松山兼三郞君
佐々木安五郞君佐々木平次郞君
佐藤潤象君湯淺凡平君
關直彥君多木久米次郞君
高島兵吉君
否トスル議員ノ氏名左ノ如シ
石黑大次郞君飯塚春太郞君
井本常作君井上利八君
原脩次郞君土生彰君
羽田彥四郞君西英太郞君
本田恒之君戶井嘉作君
戶澤民十郞君富田幸次郞君
大津淳一郞君大島要三君
大里廣次郞君小野重行君
岡本實太郞君川崎安之助君
神谷彌平君神部爲藏君
加藤政之助君加藤鯛一君
加藤六發君加藤十四郞君
河野正義君河野曉君
河波荒次郞君金田平兵衞君
横山勝太郞君横山金太郞君
吉川吉郞兵衞君吉原義雄君
吉田磯吉君高橋元四郞君
高田耘平君賴母木桂吉君
武內作平君武宮濟君
田中万逸君田中武雄君
田中善立君建部遯吾君
谷口源十郞君俵孫一君
中原德太郞君中野寅吉君
中野猪之助君村上國吉君
村上紋四郞君村山喜一郞君
村松龜一郞君紫安新九郞君
室木彌次郞君生方大吉君
內ヶ崎作三郞君黑田重兵衞君
工藤鐵男君栗延敬太郞君
山宮藤吉君山田又司君
山田助作君山田道兄君
山口嘉七君山本勝次君
山本厚三君山枡儀重君
山道襄一君松井郡治君
町田忠治君古屋慶隆君
深井功君降旗元太郞君
藤澤幾之輔君藤井敬慎君
福田五郞君小島證作君
小寺謙吉君小池仁郞君
木檜三四郞君近藤重三郞君
紺野九右衞門君寺島權藏君
手代木隆吉君淺賀長兵衞君
淺川浩君阿由葉勝作君
靑木知四郞君蟻川五郞作君
荒井建三君佐竹庄七君
佐藤富十郞君佐藤實君
佐藤球三郞君齋藤隆夫君
齋藤太兵衞君齋藤仁太郞君
棚瀨軍之佐君澤田利吉君
由谷義治君三木武吉君
三橋四郞次君宮崎松次郞君
箕浦勝人君斯波貞吉君
鹽田團平君下元鹿之助君
廣瀨德藏君平川松太郞君
平井光三郞君樋口秀雄君
比佐昌平君森田茂君
粟山博君關矢孫一君
關俊吉君鈴置倉次郞君
鈴木富士彌君杉浦武雄君
菅原英伍君菅村太事君
井坂豐光君池田泰親君
岩切重雄君原田佐之治君
本多貞次郞君星廉平君
陣軍吉君沼田嘉一郞君
折原巳一郞君小川〓太郞君
大園榮三郞君大城幸之一君
奥野小四郞君加藤鐐五郞君
兼田秀雄君神村吉郞君
高鳥順作君丹下茂十郞君
田中隆三君谷原公君
津崎尙武君中林友信君
中村四郞兵衞君中村嘉壽君
中山貞雄君植場平君
上原好雄君浦野謙朗君
熊谷五右衞門君藏園三四郞君
栗林五朝君八木逸郞君
前田房之助君前田兼實君
牧山耕藏君松田源治君
丸山浪彌君福井甚三君
麓純義君兒玉實良君
寺田市正君櫻内幸雄君
佐藤重遠君岸本賀昌君
宜保成晴君宮崎友太郞君
志波安一郞君〓水市太郞君
〓水長〓君森肇君
武藤嘉門君小林彌七君
古林喜代太君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=85
-
086・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 就テハ共通ノ點以外
ハ原案ノ通リ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=86
-
087・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ其通リ決シマシタ、之ニテ第二讀
會ハ終了致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=87
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088・井本常作
○井本常作君 直ニ第三讀會ヲ開カレンコ
トヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=88
-
089・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 井本君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=89
-
090・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ直ニ第三讀會ヲ開キ議案全部ヲ議
題ト致シマス
特別都市計畫法第五條ノ區劃整理ニ伴
フ〓算金及補償金ニ關スル法律案
第三讀會
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=90
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091・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ハ第二請會可決ノ通リ可決確
定致シマシタ-次ハ日程第七乃至第十
六ハ同種ノ議案デアリマスカラ、一括議題
ト爲スニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=91
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092・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第七、民事訴訟費用法中改正
法律案外九案ノ第一讀會ヲ開キマス、本田
政府委員
第七民事訴訟費用法中改正法律案
(政府提出、貴族院送付)第一讀會
民事訴訟費用法中改正法律案
民事訴訟費用法中左ノ通改正ス
第一條中「訴訟費用ハ」ヲ「訴訟費用ハ權
利ノ伸張又ハ防禦ニ必要ナル限度ノ費用
トシ」ニ改ム
第八條中「第百二十七條」ヲ「第百三十五
條」ニ、「附添ヲ命シタルトキハ」ヲ「附添
ヲ命シタルトキ又ハ同法第二百六十二條
若クハ第三百十條第一項ノ規定ニ從ヒ囑
託ヲ爲シタルトキハ」ニ改ム
第十一條乃至第十三條中「及ヒ通事」ヲ
マ通事及ヒ民事訴訟法第三百十條第二
項ニ規定スル說明者」ニ改ム
第十七條證人、鑑定人、通事及ヒ民事
訴訟法第三百十條第二項ニ規定スル說
明者ノ日當、旅費、止宿料其他ノ費用
ハ請求ニ因リ裁判所之ヲ支拂フ民事訴
訟法第二百六十二條及ヒ第三百十條第
一項ノ規定ニ依ル囑託ヲ受ケタル者ニ
對スル報酬亦同シ
第十八條當事者ノ豫納ニ係ラサル費用
ハ裁判ニ因リテ其費用ヲ負擔スヘキ者
ヨリ裁判所之ヲ取立ツルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル費用ノ取立ハ第一審
ノ受訴裁判所ノ決定ニ依リ民事訴訟法
第六編ノ規定ニ從ヒ之ヲ執行ス其決定
ハ執行力アル債務名義ト同一ノ效力ヲ
有ス
前項ノ規定ハ民事訴訟法第百二十三條
ノ規定ニ從ヒ訴訟上ノ救助ヲ受ケタル
者ノ相手方ヨリ裁判費用ノ取立ヲ爲ス
場合ニ之ヲ準用ス
第十九條民事訴訟法第百二十一條及ヒ
第百二十二條ノ規定ニ依ル費用ノ取立
ノ決定ハ民事訴訟法第六編ノ規定ニ從
ヒ之ヲ執行ス其決定ハ執行力アル債務
名義ト同一ノ效力ヲ有ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第八民事訴訟用印紙法中改正法律案
(政府提出、貴族院送付)第一讀會
民事訴訟用印紙法中改正法律案
(小字及-ハ貴族院修正)
民事訴訟用印紙法中左ノ通改正ス
第二條中「第三條乃至第六條」ヲ「第二十
二條第一項及ヒ第二十三條」ニ改ム
第五條ノ二民事訴訟法第七十一條又ハ
第七十五條ノ規定ニ依ル參加ノ申出書
ニハ第二條、第三條及ヒ前條ノ規定ニ
準シ印紙ヲ貼用ス可シ
第六條中「支拂命令ノ申請」ヲ「支拂命令
ノ申立」ニ改ム
第六條ノ二中「左ニ揭クル申立」ヲ一七五
掲クル申立、申出」ニ改メ同條第一號乃
至第十三號ヲ左ノ如ク改ム
期日指定ノ申立
二中斷又ハ中止シタル訴訟手續ノ受
繼ノ申立
三民事訴訟法第六十四條ノ參加ノ申
出
四除斥又ハ忌避ノ申立
五和解ノ申立
費用額確定ノ申立
|七八七六假執行ニ關スル中立
强制執行ノ停止若クハ續行又ハ執
行處分ノ取消ノ申立
十|八九配當要求
九强制競賣又ハ强制管理ノ申立
+-債權又ハ他ノ財產權差押ノ申請
二
十一民事訴訟法第七百三十一一條乃至
第七百三十四條ノ申立
第六條ノ三中「左ニ揭クル申竝」ヲ二五六
揭クル申立、申出」ニ、「證據調ノ申立」
ヲ「證據ノ申出」ニ改ム
第七條和解及ヒ督促手續ニ付キ民事訴
訟法第三百五十六條第三項又ハ第四百
四十二條ノ規定ニ依リ訴訟カ繋屬スル
トキハ第二條及ヒ第三條ノ規定ニ從ヒ
印紙ヲ貼用ス可シ但第六條又ハ第十條
ノ規定ニ依リ貼用シタル印紙ノ額ヲ通
算ス
第九條削除
第十條中「申立」ヲ「申立、申出」ニ改ム
第十一條中「第九十七條」ヲ「第百二十條」
二段六
第十二條乃至第十五條削除
第十六條中「及ヒ第十二條」ヲ削ル
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第九商事非訟事件印紙法中改正法
律案(政府提出、貴族院送付)第一讀會
商事非訟事件印紙法中改正法律案
商事非訟事件印紙法中左ノ通改正ス
第一條中「民事訴訟用」ヲ削ル
第二條第三號ヲ削ル
第六條中「協諸契約」ヲ「强制和議」ニ
改ム
第八條中「第二章第五節」ヲ「第三章第
節」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十非訟事件手續法中改正法律案
(政府提出、貴族院送付)第一讀會
非訟事件手續法中改正法律案
非訟事件手續法中左ノ通改正ス
第四條第二項ヲ左ノ如ク改ム
管轄裁判所ノ指定ハ關係アル裁判
所ニ共通スル直近上級殺判所申五
ニ因リ決定ヲ以テ之ヲ爲ス此決定
ニ對シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス
第七條中「第六十四條」ヲ「第八十條」ニ改
メ同條但書ヲ左ノ如ク改ム
但私文書ニ認證ヲ受クヘキ旨ノ命令ニ
對シテハ不服ア申立ツルコトヲ尋ス
第八條民事訴訟法第百五十條ノ規定ハ
申立及ヒ陳述ニ之ヲ準用ス
第二十二條當事者カ其貴ニ歸スヘカラ
サル事由ニ因リ卽時抗告ノ期間ヲ遵守
スルコー能ハサル場合ニ於テハ其事由
ノ止ミタル後一週間内ニ限リ懈怠シタ
ル行爲ノ追完ヲ爲スコトヲ得
第二十四條削除
第二十五條中「前五條ニ」ヲ「特二」ニ改ム
第二十九條中「第八十條第一項」ヲ「第九
十三條」ニ改ム
第三十條第一項ニ左ノ但書ヲ加ヘ同條第
二項ヲ創ル
但獨立シテ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス
第七十八條中「第七十二條第一項」ヲ「第
八十九保」ニ改ム
第百二十六條中「、第百九十八條及ヒ商法
施行法第九十五條第二項、第百二條第二
項第百十條第二項」ヲ「及ヒ第百九十八
條」ニ改ム
第百三十四條中「、第四十八條及ヒ商法施
行法第百二條第二項」ヲ「及ヒ第四十八
條」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十一人事訴訟手續法中改正法律案
(政府提出、貴族院送付)第一讀會
人事訴訟手續法中改正法律案
人事訴訟手續法中左ノ通改正ス
第十條中「第百十一條第一一項、第三項及ヒ
第三百三十五條乃至第三百四十一條」ヲ
「第百三十九條、第百四十條第一項、第二
百五十五條、第三百十六條及ヒ第三百十
七條」ニ、「第二百二十九條」ヲ「第二百三
條」ニ改メ第三項ヲ削ル
第十一條第二項ヲ削リ同條第三項中「前
二項」ヲ「前項」ニ改ム
第四十六條中「第六節及ヒ第七節」ヲ「第
三節第二款及ヒ第三款」ニ改ム
第七十九條中「第五十條」ヲ「第六十二條
及ヒ第六十三條」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十二競賣法中改正法律案(政府提
出貴族院送付)第一讀會
競賣法中改正法律案
競賣法中左ノ通改正ス
第二十五條第三項ヲ削ル
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十三民法中改正法律案(政府提出、
貴族院送付)第一讀會
民法中改正法律案
民法中左ノ通改正ス
第百五十條支拂命令ハ債權者カ法定ノ
期間内ニ假執行ノ申立ヲ爲ササルニ因
リ其效力ヲ失フトキハ時效中斷ノ效力
ヲ生セス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十四破產法中改正法律案(政府提
出貴族院送付)第一讀會
破產法中改正法律案
破產法中左ノ通改正ス
第二百八十八條第一項ヲ左ノ如ク改メ同
條第四項ヲ削ル
破產者カ其ノ責ニ歸スヘカラサル專由
ニ因リ債權調査ノ期日ニ出頭スルコト
能ハサリシトキハ其ノ事由ノ止ミタル
日ヨリ一週間內ニ限リ異議ヲ追完スル
爲破產〓判所ニ原狀回復ノ申立ヲ爲ス
コトヲ得
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十五明治三十二年法律第五十號中
改正法律案(外國人ノ署名捺印及無
資力證明ニ關スル件)(政府提出、貴
族院送付)第一讀會
明治三十二年法律第五十號中改正法律
案
明治三十二年法律第五十號中左ノ通改正
ス
第二條削除
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十六刑事訴訟法中改正法律案政
府提出、貴族院送付)第一讀會
刑事訴訟法中改正法律案
刑事訴訟法中左ノ通改正ス
第五百七十條但書ヲ削ル
第五百七十二條中「保證」ヲ「擔保」ニ、「請
求ノ抛棄ニ基キテ爲ス判決」ヲ「請求ノ抛
棄」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔政府委員本出恒之君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=92
-
093・本田恒之
○政府委員(本田恒之君) 民事訴訟費用法
外九件ノ提案ノ趣旨ヲ申上ゲマスガ、此十
件ノ法律ノ改正ハ主トシテ民事訴訟法改
正ニ伴ヒマシタル所ノ結果デアリマス、民
事訴訟費用法中ニ訴訟費用算定ノ原則ヲ明
ニスル規定ヲ設ケマシタコト、又訴訟上ノ
救助ヲ爲シタル場合ニ於ケル費用ノ取立テ
ニ關スル規定ヲ新設致シマシタコトハ、改
正ノ主眼ニナッテ居リマス、其他ノコトハ
總テ民事訴訟等ノ改正ニ伴ヒマス所ノ整理
的ノ改正デゴザイマスル、民事訴訟費用法
中ニ貴族院ニ於テ一箇所修正ニナッテ居リ
マスガ、是ハ民事訴訟法ヲ修正サレタ結果
デ、自然修正ニナッタ次第デアリマスカラ、
政府モ之ニ同意致シマシタ次第デアリマス、
何卒御審議ノ上御協賛アランコトヲ希望致
シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=93
-
094・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 日程第十七、右各案
ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選擧ヲ議題ト致
シマス
第十七右各案ノ審査ヲ付託スヘキ委
員ヲ選擧発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=94
-
095・井本常作
○井本常作君 各案ヲ一括シテ議長指名九
名ノ委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス、
尙ホ詠長ニ於テ直ニ委員ヲ指名セラレンコ
トヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=95
-
096・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 井本君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=96
-
097・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、只今委員付託ニナリマシタ民事訴訟費
用法中改正法律案外九件ノ委員ヲ直ニ指名
致シマス、平川松太郞君、菅原英伍君、廣瀨
德藏君、岡本實太郎君、磯部尙君、熊谷直
太君、黑住成章君、井坂豐光君、兒玉實良
君、右各委員諸君ハ直ニ第四委員室ニ御參
集ノ上委員長及理事ヲ互選セラレ、引續キ
會議ヲ開カレ、審議ヲ進メラレンコトヲ望
ミマス-日程第十八產業組合法中改正法
律案ノ第一讀會ヲ開キマス-高田政府
委員
第十八產業組合法中改正法律案政
府提出、貴族院送付)第一讀會
產業組合法中改正法律家
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ依
テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
大正十五年三月十五日
貴族院議長公爵德川家達
衆議院議長粕谷義三殿
產業組合心中改正法律案
(-ハ貴族院修正ノ符號)
產業組合法中左ノ通改正ス
第一條第六項ノ次ニ左ノ二項ヲ加フ
利用組合ノ設備ハ組合員ノ利用ニ支障
ナキ場合ニ限リ組合員タルコトヲ得サ
ル者ヲシテ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ
利用セシムルコトヲ得
前項ノ設備ハ勅令ヲ以テ之ヲ指定ス
第六條中「所得稅」ノ下ニ「、營業牧益稅」
ヲ加フ
第六條ノ二命令ノ定ムル所ニ依ル產業
組合ノ住宅ノ建設、購入若ハ住宅用地ノ
取得又ハ組合ト組合員トノ間ニ於ケル
住宅若ハ其ノ用地ノ所有權移轉ニ關シ
テハ地万稅ヲ課スルコトヲ得ス
第四十三條第一項ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ取扱ヒタル物ノ數量價額其ノ他
事業ノ分量ニ對シテ配當スヘキ剩餘金
ニ付テハ此ノ限ニ在テス
同條第二項ヲ左ノ如ク改ム
組合員ニ配當スヘキ剩餘金又ハ持分ノ
計算ニ付テハ計算ノ基礎ト爲ルヘキ金
額ニシテ計算上不便ナル端數金額ハ之
ヲ切捨ツルコトヲ得
第五十九條中「郡長」ヲ「北海直廳支廳長」
ニ改ム
第百六條ヲ削ル
附則
本法施行ノ期日ハ勅令以テ之ヲ定ム
但シ第五十九條及第百六條ニ關スル規定
ハ郡長及島司廢止ノ日ヨリ之ヲ施ラス
〔政府委員高田耘平君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=97
-
098・高田耘平
○政府委員(高田耘平君) 極メテ簡單ニ說
明ヲ致シマス、產業組合ノ普及發逹ハ最近
極メテ著シキモノガゴザイマスルガ、其内
容實質ニ至シテハ、尙ホ整理改善ヲ要スル
モノガ多々アルノデゴザイマス、今後一層
產業組合精神ノ普及徹底ト、組合事業ノ振
興發展トヲ期待セネバナラヌノデゴザイマ
ス、是ニ於キマシテ今囘產業組合ノ普及發
達ヲ圖ルニ差當ノテ必要ナル、二三ノ事項
ヲ改正シタイト思フノデアリマス、卽チ其
第一ハ、利用組合ノ設備デ勅令ヲ以テ指定
シタルモノハ組合員ノ利用ニ差支ナイ場
合ニ限ッテ、組合員タルノ資力ナキモノ、
其他組合員ケルコトヲ得ザルモノヲシテ、
實費ヲ以テ之ヲ利用セシムルコトヲ認ムル
ノデゴザイマス、卽チ电氣水道、乾繭機等ノ
利用ノ如キ、公共的ニシテ而シテ獨占的性
質ノアル所ノ產業組合ニ依ル事業ノ經營ヲ
適切ナラシムルコトデゴザイマス、第二ハ
利用組合又ハ購買組合等ニ依テ行ハレル所
ノ住宅ノ供給事業ニ對シマシテ、地方稅ヲ
免除致シテ、中小產者ニ對スル住宅ノ供給
改善ノ事業ヲ保護獎勵スルコトデゴザイマ
ス、更ニ改正ノ第三點ハ從來產業組合員
ガ其出資ノ拂込ヲ終ルマデハ組合員ニ配當
スベキ剩餘金ハ、之ヲ出資ノ拂込ニ充當ス
ル原則ニ對シマシテ、所謂特別配當、卽チ
組合員ガ利用シタル組合事業ノ分量ニ對ス
ル配當金ハ、之ヲ未拂込出資ノ拂込ニ充當
セザルヲ得ルノ例外ヲ認メマシテ、之ヲ組
合員ニ交付シ得ルコトニ改メ、以テ產業組
合及中央金庫ト、之ヲ組織スル者トノ間ニ
於テ、計算關係ヲ極メテ簡明テラシメテ事務
上ノ手數ヲ省キ、同時ニ其購買金融等ノ事
業ノ利用關係ヲ一層密接ニシテ、其事業ノ
發達ニカヅケント欲スルノデアリマス、其
他稅制ノ整理、郡役所ノ廢止ニ依リマシテ
必要ナル二三ノ點ヲ改正セントシタノデア
リマス、貴族院ハ此點ニ於キマシテ審議ノ
當時ハ、是等ニ關スル根本問題ガ未ダ解決
セザルノ理由ヲ以テ、其關係條文ダケ削除
ヲ決議シタノデゴザイマス、併シ其削除
ハ本案ノ實體ヲ別段害スルモノデハアリマ
セヌ、何卒愼重御審議ノ上、一刻モ早ク御
協賛ヲ與ヘラレンコトヲ望ミマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=98
-
099・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 日程第十九、右議案
ノ審査ヲ付託スベキ委員選擧ヲ議題ト致シ
マス
第十九右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委
員ノ選擧発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=99
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100・井本常作
○井本常作君 本案ハ議長指名九名ノ委員
ニ付託セラレンコトヲ望ベマス、尙ホ議長
ニ於テ直ニ其委員ヲ指名セラレンコトヲ望
ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=100
-
101・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 井本君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=101
-
102・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、只今委員ニ付託ニナリマシタ產業組合
法中改正法律案ノ委員ヲ直ニ指名ヲ致シマ
ス、荒川五郞君、由谷義治君、下元鹿之助
君、二木洵君、伊坂秀五郎君、高草美代藏
君、東〓實君、丹下茂十郞君、松山兼三郞
君、右委員諸君ハ直ニ第二委員室ニ御參集
ノ上、委員長及理事ヲ互選セラレ、引續キ
審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=102
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103・井本常作
○井本常作君 重ネテ議事日程變更ノ緊急
動詠ヲ提出致シマス、卽チ日程第七十ヨリ
第百九十ニ至ル百十四件ノ建議案ハ何レ
モ前議會ニ於テ可決セラレタルモノト同一
又ハ同種ノモノデアリマス、會期モ切迫シ
テ居リマスカラ、此際右議案ヲ一括シテ議
題ト爲シ、提出者ノ趣旨辯明ハ之ヲ略シ、
希望ニ依ノテ議長ノ適當ト認メタル程度ノ
簡明ナル理由書ハ之ヲ速記錄ニ揭載スルコ
トヽシ卽決可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=103
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104・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 只今ノ井本君ノ動議
ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=104
-
105・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第七十七、帝國在〓軍人會國
庫補助ニ關スル建議案外百十三件ヲ一括シ
テ議題ト致シマス
第七十七帝國在〓軍人會國庫補助
ニ關スル建議案(佐々木春作君外四
名提出)
帝國在〓軍人會國庫補助ニ關スル建議
案
帝國在郷軍人會國庫補助ニ關スル建
議
政府ハ帝國軍人ノ大部分ヲ占ムル在〓軍
人ノ團體タル帝國在〓軍人會ニ對シ每年
相當ノ補助金ヲ交付シ以テ國防ノ根本義
ニ基キ良兵良民主義ノ徹底ヲ理想トスル
同團體ノ健全ナル發達ヲ促進セラレムコ
トヲ望ム
右建議ス
第七十八蠶絲局設置ニ關スル建議案
(武藤金吉君外四名提出)
蠶絲局設置ニ關スル建議案
蠶絲局設置ニ關スル建議
蠶絲ハ本邦輸出品中ノ大宗ニシテ斯業ノ
消長カ直ニ以テ國家經濟ニ至大ノ影響ア
ルコトハ今敢テ呶々ヲ要セサル所ナリ然
ルニ外支那蠶絲業ノ勅敵アリテ頃者米國
養蠶業ノ擡頭頗ル注目ニ値ヘスルモノア
リ而シテ人造絹絲ノ進步亦侮ルヘカラサ
ルモノアルヲ以テ一日モ速ニ斯業行政機
關ノ統一ヲ圖リテ百年ノ長計ニ資スル所
ナカルヘカラス之レ蠶絲局設置ヲ焦眉ノ
急トスル所以ナリ
右建議ス
第七十九高等師範學校設置ニ關スル
建議案(佐々木春作君外五名提出)
高等師範學校設置ニ關スル建議案
高等師範學校設置ニ關スル建議
山形縣山形市ニ高等師範學校ヲ設置シ優
良ナル中等學校〓員ヲ養成セラレムコト
ヲ望ム
右建議ス
第八十臼井鳥栖間鐵道敷設ニ關スル
建議案(赤間嘉之吉君外三名提出)
臼井鳥栖間鐵道敷設ニ關スル建議案
臼井鳥栖間鐵道敷設ニ關スル建議
政府ハ筑豐線臼井驛ヨリ秋月甘木ヲ經テ
九州線鳥栖驛ニ至ル鐵道敷設計劃ヲ立テ
速ニ之ヲ建設セラレムコトヲ望ム
右建議ス
〔補足〕
白井驛ハ筑豐線ノ終點ニ近カキ筑豐炭鑛
地方ノ中心地方ノ一驛デアリマシテ鳥栖
驛ハ九州線ノ鹿兒嶋線及長崎線ノ分岐點
デ九州ニ於ケル主要驛デアリマス此兩地
方ノ間ニハ石炭及炭鑛地方ニ需要アル米
穀、木材、坑木其他ノ物資ノ運搬及炭坑
勞働者等ノ交通頗ル頻繁デアリマシテ現
在ニ於ケル兩地間ノ交通運輸ハ遠ク飯
塚直方、折尾等ヲ迂回シマシテ數十哩
ニ及ビマスルガ本線敷設ノ場合ニハ僅々
十數哩ニテ兩地間ヲ結ヒ付ケ獨リ一地方
ノ便益ノミナラス此影響ノ及フ所ハ殆ン
ト全國的デアリマス本建議案ハ昨年モ本
院ニ提出致シマシテ可決致シテ居ル線路
デアリマスカラ今回ハ簡單ニ其ノ梗〓ヲ
述べ御贊成ヲ請フ次第デアリマス何卒滿
場一致可決セラレンコトヲ望ミマス
第八十一肥前山口諫早間鐵道速成ニ
關スル建議案(則元由庸君外六名提
出)
肥前山口諫早間鐵道速成ニ關スル建議
案
肥前山口諫早間鐵道速成ニ關スル建
議
肥前山口諫早間ノ鐵道ハ中華民國上海ニ
達スル國際的幹線ニシテ日支兩國間ノ經
濟關係ヨリスルモ一日ヲ緩フスヘキモノ
ニ非ス政府ハ宜シク既定ノ完成期ヲ繰上
ケ之カ達成ニ努ムヘシ
右建議ス
第八十二八戶久慈間鐵道速成ニ關ス
ル建議案(柏田忠一君提出)
八戶久慈間鐵道速成ニ關スル建議案
八戶久慈間鐵道速成ニ關スル建議
靑森縣八戶岩手縣久慈間ノ鐵道ハ岩手靑
森兩縣ノ產業文化開發ノ爲ナルハ勿論東
北振興及國防上一日モ緩フスヘキモノニ
非ス政府ハ宜シク既定ノ完成期ヲ繰上ケ
之カ達成ニ努ムヘシ
右建議ス
第八十三警察官ノ待遇改善ニ關スル
建議案(本田義成君提出)
警察官ノ待遇改善ニ關スル建議案
警察官ノ待遇改善ニ關スル建議
時代ノ進運ニ伴ヒ生活ノ向上ヲ來スハ自
然ノ趨勢ナリ而シテ生活ノ安定ハ勤務能
率ヲ增進スルノ根基ヲ爲ス然ルニ現在警
察官ノ待遇ヲ見ルニ全國ヲ通シテ平均月
俸巡査四十八圓警部七十圓警視百十圓内
外ニ過キス物價騰貴ノ今日其ノ地位體面
ヲ保ツノ生活ヲ營ムコト頗ル困難ノ實狀
ニアリ特ニ巡查ノ如キハ下級判任待遇ニ
シテ動モスレハ社會ヨリ輕侮セラルルノ
傾向アリ且其ノ服裝帶劒等ニ就テモ改善
ヲ要スヘキ點少カラス斯ノ如キハ國民ノ
安寧秩序ヲ保持シ幸福增進ノ重責ニ服ス
ル者ニ對シテ甚夕當ヲ得サルモノト認ム
政府ハ速ニ警察官ノ待遇改善地位ノ向上
服装ノ改良ヲ計ラレムコトヲ望ム
右建議ス
〔補足〕
思想ノ變遷ハ警察負擔ノ增加ヲ來シ
警察官ノ勞苦ハ昔日ノ比ニアラス而カ
モ國權國威ヲ經祝シ動モスレハ暴力的
行動ヲ敢テシ一部極メテ過激ノ言論ヲ
爲スモノ等漸ク多カラムトシ治安ノ確
保ヲヨリ以上ニ期待セムトスル秋ニ當リ警
察官ヲ遇スルノ途甚ダ薄ク就中物質的
方面ニ於テ特ニ著シキヲ見ル眞個同情
ノ念禁スル能ハス之レ警察官ノ待遇改
善案ヲ建議セル理由ノ一ナリ
警察官ハ不眠不休以テ社會公共ノ治
安維持ヲ任務トス其ノ職責ノ重ニシテ
且ツ大ナルコト到底他ノ官吏ニ比スヘ
クモアラス然ルニ之レカ待遇ノ現狀ヲ
見ルニ巡査ノ平均月俸僅ニ四十八圓內
外警部ニ於テ七十圓警視ニ於テ百十圓
內外ニ過キス國民ノ生活ハ一般ニ向上
シ物價ノ昂騰セル今日如斯ハ警察官ヲ
遇スルノ途ニアラス之レ待遇ノ改善ヲ
希ム理由ノ二ナリ
社會文化ノ發達ト警察官ノ素質向上
トハ極メテ重要ナル關係ヲ有ス近時警
察官ノ素質低下ノ聲ヲ聞ク又優良ナル
素質ヲ有スル者ノ警察官ニ志願スルモ
ノ少キヲ聞ク如斯ハ畢竟其ノ根本問題
トシテ待遇ノ改善ヲ圖ルニアラサレハ
解決シ難キモノナリ之レ理由ノ三ナリ
警察能率ノ增進ハ素ヨリ警察官ノ職
責ノ自覺ニ俟タサルへカラサルモノナ
ルヘシト雖モ待遇ノ改善ヲ根基ト爲ス
ニアラサレハ不可能ノコトナリ之レ其
ノ理由ノ四ナリ
警察官ハ平素民衆ニ直接シテ國權行
使ノ重責ヲ負フ從テ取締又ハ執行ノ徹
底ヲ期スルニハ警察官トシテ相當ノ威
令行ハレサルヘカラス威令ノ行否ハ警
察官ノ素質如何ニ至大ノ關係アリト雖
モ一面警察官ノ待遇ヲ改善シ地位ノ向
上ヲ圖ルニアラサレハ其ノ完キヲ望ミ
カタシ之レ理由ノ五ナリ
警察官ハ平素寒冷ヲ冒シ水火ト戰ヒ
兇刀ノ下ヲ潜ル等職務ノ性質ハ動モス
レハ健康ヲ害シ常ニ其ノ身ニ危險ヲ負
擔ス之カ爲退職後僅ニ一一箇年內外恩給
ヲ受クルノミニテ死亡スト如何ニ職務
カ健康ニ及ホスカヲ知ルニ足ルヘシ之
レニ依ッテ見テモ警察官ヲ精神的ニモ
物質的ニモ相當優遇セサルヘカラサル
カヲ之レ理由ノ六ナリ
近時ノ警察ハ漸次國內的ヨリ國際的
トナリ其ノ職務範圍モ自ラ領域ニ變化
ヲ來セリ從テ諸外國ニ對スル關係上ヨ
リ見ルモ我國警察官ノ地位ヲ向上セシ
メ待遇及服裝等ノ改善ヲ期スルハ急務
ナリ之レ理由ノ七ナリ
軍人ト警察官トハ其ノ職務ノ性質何
レモ一致シ一ハ戰時ニ於ケル對外關係
ヲ司リ一ハ平時ニ於テ對内關係ヲ司ル
共ニ等シク國家樞要ノ機關ナリ然ルニ
精神、物色兩面トモ其ノ待遇ニ著シキ
差異アリ之レ理由ノ八ナリ
以上ノ外
ィ、一般官吏ニ比シ居住ノ制限アリ
口、警察官ナルカ故ニ特ニ嚴重ナル職
務的制裁アリ
ハ巡査ノ俸給ハ勅令ニ於テ何圓以上
何圓以下ト規定シアルモ各府縣ハ經
濟上ノ見地ヨリ平均額ニ著シキ差等
アリ一般ニ平均額少キニ過ギ勅令ノ
要求スル俸給ヲ受クルモノ殆ドナシ
ニ、巡查ニハ被服料アルモ警部以上ニハ
被服料ナシ陸海軍鐵道省宮內省其ノ
他〓ネ制服ノ著用ヲ法規ニ於テ强制
スル所ニ於テハ現品ヲ貸與シ又ハ任
官手當トシテ相當ノ支度料ヲ給スル
如シ警察官ハ職務ノ性質上相當ノ威
信ヲ保持セサルヘカラス從シテ服裝
ノ如キモ常ニ端正嚴肅ナルヲ尙フト
共ニ一面制服ヲ著用職務ノ執行ニ當
ラサルヘカラサルヲ以テ時ニハ水火
ヲモ辭セス敢然トシテ執行ノ完キヲ
期スルノ任ニアリ現在ノ俸給ニテ斯
ル危險ヲ冒シ服装ノ端正ヲ望ムハ到
底期シ得ラレサル所ナリ
ホ警察官ノ家族就中其ノ子弟ノ〓養
ハ威信ト重大ナル關係ヨリ現在ノ俸
給ニテ果シテ子弟ノ〓育ニマテ及ハ
シ得ルヤ望ミカタキコトナリ
義務〓育費國庫負擔額ノ增加ハ國
民〓百義務〓育ノ完全ヲ期スルニ在
リテ甚夕良シ然シ〓育ハ積極的思想
ノ善導ナリ旅音ハ消極的思想ノ善導
ナリ從シテ兩者ノ關係ヲ無視シテ思
想ノ善導ハ望ミカタシ
ト、小學校〓員ハ學校内ニ於テノミ子
弟ノ〓育ニ當ル警察官ハ一般社會ニ
於テ常ニ子弟ノ〓育ニ當ル決シテ學
齡兒童ノミニアラサルナリ此ノ點ヨ
リ見ルモ警察官ノ待遇改善ハ急務ナ
リ
チ、警察官カ確固不拔ノ信念ノ下ニ全
國一齊ニ危險思想ノ取締ヲ實行セン
カ其ノ成績ハ期シテ待ツモノ多シ支
那ノ國情常ニ定マラス露西亞ノ國情
一朝ニシテ變化セル裏面ニハ警察官
ノ信念ニ缺クル所アリタルコト決シ
テ否ムコトノ能ハサル事實ナリ
リ、獻身報國ト云ヒ犧牲的精神ト云フ
モ畢竟スル所ハ其ノ素質ノ如何待遇
ノ如何、社會的ニ警察官ヲ遇スル途
ノ厚薄ニ重大ナル關係アルコト勿論
ナリ
ヌ、社會ハ常ニ進化ス進化ニ伴ヒ生活
ノ樣式服装等之ニ適應スル樣改善セ
ラルヽコトハ之ヲ流行ヲ逐フノ一時
ニ見テモ明カナリ警察官ノ服裝ハ必
スシモ流行ニ從フヘキモノニハアラ
サルモ少クトモ時代ニ順應シタル
服裝ニ改善スルコトハ必要ナリ現在
ノ服裝ハ明治四十一二年頃ノ制定ニ
シテ時代ニ添ハス改善ノ要アリ
第八十四左澤荒砥間鐵道速成ニ關ス
ル建議案(西方利馬君外五名提出)
アテラサワ
左澤荒砥間鐵道速成ニ關スル建議案
左澤荒砥間鐵道速成ニ關スル建議
政府ハ山形縣左澤ヨリ東五百川ヲ經テ荒
碼ニ至ル間ノ鐵道ヲ速成シ以テ運輸交通
ノ發達ヲ促進セムコトヲ望ム
右建議ス
第八十五國有林野所在府縣市ニ町村
ニ對シ交付金下付ニ關スル建議案
(八田宗吉君外二名提出)
國有林野所在府縣市町村ニ對シ交付金
下付ニ關スル建議案
國有林野所在府縣市町村ニ對シ交付
金下付ニ關スル建議
地方財政ノ窮之至ラサルナキ現狀ニ於テ
國有林野ノ面積四百三十七萬町步ニ對シ
地方公共〓體カ此ノ地籍ニ何等歲入ヲ計
ルノ途ナキハ地方振興策ノ上ニ於テ誠ニ
遺憾トスル所ナリ而シテ本問題ハ近年每
議會政府ニ於テ同意ヲ表シ年年一定ノ金
額ヲ國庫ヨリ交付スヘク屢聲明セラレタ
ル所ナリ故ニ政府ハ速ニ之ヲ斷行シ地方
振興ニ資セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第八十六馬政振作ニ關スル建議案
(八田宗吉君提出)
馬政振作ニ關スル建議案
馬政振作ニ關スル建議
國防上竝產業上至大ノ關係ヲ有スル馬政
ノ現狀ハ甚タ不振ノ傾向アリ依テ政府ハ
左ノ施設ヲ爲スヘシ
馬政委員會ハ勅令ヲ以テ之ヲ定メ常
設ノ機關トスルコト
二馬匹ノ民間利用ノ方法ヲ擴張シ軍事
上及農事上遺憾ナキヲ期セシムルコト
右建議ス
第八十七京都市ニ國立音樂學校設置
ニ關スル建議案(森田茂君提出)
京都市ニ國立音樂學校設置ニ關スル建
議案
京都市ニ國立音樂學校設置ニ關スル
建議
國民ノ情操〓養ノ爲音樂ノ普及ヲ圖ルノ
必要アルコトハ敢テ絮說スルノ必要ヲ認
メス然ルニ之カ〓育機關ノ完備セサルハ
頗ル遺憾トスル所ナリ今玆ニ關西文化ノ
淵叢地タル京都市ニ少クトモ東京音樂學
校ト對比シテ遜色ナキ國立音樂學校ヲ設
置シ其ノ缺陷ヲ匡救スルハ刻下ノ急務ナ
リト信ス
如上ノ趣旨ニ依リ第五十回議會ニ於テ衆
議院ハ本建議案ヲ滿場一致ヲ以テ可決セ
リ政府ハ速ニ追加豫算ヲ計上シ其ノ實現
ヲ期セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第八十八越美線速成ニ關スル建議案
(猪野毛利榮君外一名提出)
越美線速成ニ關スル建議案
越美線速成ニ關スル建議
福井市ヨリ美濃太田町ニ通スル越美線ハ
岐阜縣方面ヨリノ工事進捗シテ其ノ一部
ハ既ニ開通セルモ福井縣方面ヨリハ未タ
工事ニ著手ナシ故ニ政府ハ宜シク該方面
ヨリモ起工シテ全線開通ノ速成ニ出テラ
レムコトヲ望ム
右建議ス
第八十九帝國在〓軍人會國庫補助ニ
關スル建議案(蟻川五郞作君外二名
提出)
帝國在〓軍人會國庫補助ニ關スル建議
案
帝國在〓軍人會國庫補助ニ關スル建
議
政府ハ國防上ニ至大ナル關係ヲ有スル帝
國在〓軍人會ニ每年若干ノ補助金ヲ交付
シ同會ノ健全ナル發達ヲ促進セラレムコ
トヲ望ム
右建議ス
第九十二見港三田間鐵道敷設ニ關ス
ル建議案(多木久米次郞君提出)
二見港三田間鐵し敷設ニ關スル建議案
二見港三田間鐵道敷設ニ關スル建議
兵庫縣二見港ヨリ山陽線土山驛及三木町
ヲ經テ福知山線三田驛ニ至ル鐵道ノ敷設
ハ神戶以西ト山陰北陸方面トヲ連絡スル
捷徑ナルノミナラス從來交通機關不備ナ
ル播州東部ノ沃野ヲ縱走スルコトニ依リ
テ產業經濟上ノ一大發達ヲ期シ得ヘシ依
テ政府ハ速ニ之カ建設ノ計畫ヲ立テラレ
ムコトヲ望ム
右建議ス
第九十一帝國軍人後援會國庫補助ニ
關スル建議案(加藤政之助君外三名
提出)
帝國軍人後援會國庫植助ニ關スル建
議案
帝國軍人後援會國庫植助ニ關スル建
議
軍人ヲシテ後顯ノ憂アラシメムカ國民皆
兵主義ノ精神ヲ銷磨シ思想ノ惡化ヲ助成
ス況ヤ思ヲ世界ノ大勢ニ潜ムル時帝國ノ
現況實ニ深憂ニ堪ヘサルモノアルニ於テ
オヤ國家法アリト雖萬能ニ非ス國帑給ス
ルト雖之ヲ普クスルコトヲ得ス故ニ世界
列强ハ官民相待ヲ以テ之カ匡救ニ努メ施
設ノ抵ラサルナシ帝國軍人後援會爰ニ見
ルアリ現役軍人ノ家族在〓軍人癈兵竝其
等遺族ノ救護慰藉ニ勉メ思想ノ善導ニ盡
シ尙靑少年ニ對シ軍事思想ヲ普及シ且資
財ヲ蓄積シテ國家總動員ノ急ニ應スル準
備ヲ爲スコト三十年事聖鑑ニ副ヒ曩ニ
恩賜ヲ拜セシノミナラス又皇族ヲ總裁ニ奉
戴スルコト十四年天恩優渥益使命ノ重ヲ
感ス今ヤ奮テ時勢ノ惡湖ト鬪ヒ大ニ國防
ノ眞義ヲ闡明シ斯業ノ發展ヲ圖ルモ資力
微ニシテ理想ノ萬一ヲ行フ能ハス依テ國
庫ノ補助ヲ得テ報效ノ誠ヲ致サムコトヲ
期ス
右建議ス
第九十二帝國在〓軍人會國庫補助ニ
關スル建議案(中林友信君外五名提
也
帝國在〓軍人會國庫補助ニ關スル建議
案
帝國在〓軍人會國庫補助ニ關スル建
議
政府ハ帝國在〓軍人會ニ對シ每年相當ノ
補助金ヲ交付シ以テ良兵良民主義ヲ徹底
セシメ同團體ノ健全ナル發達ヲ促進セラ
レムコトヲ望ム
右建議ス
第九十三金鵄勳章竝旭日章年金改正
卽行ニ關スル建議案(中林友信君外
九名提出)
金鵄勳章竝旭日章年金改正部行ニ關ス
ル建議案
金鵄勳章竝旭日章年金改正卽行ニ關
スル建議
今ヤ物價ハ〓貴シ生活ハ不安ノ狀態ニ在
リ金鵄勳章竝旭日章年金ノ如キハ零碎ナ
ル賜金ニ浴スル感ナシトセス斯ノ如キハ
忠勇ナル軍人ヲ遇スル所以ニ非ス仍テ政
府ハ速ニ該年金增加ノ道ヲ講シ以テ直ニ
實行セラルヘシ
右建議ス
第九十四養蠶組合法制定ニ關スル建
議案(山田道兄君提出)
養蠶組合法制定ニ關スル建議案
養蠶組合法制定ニ關スル建議
政府ハ速ニ養蠶組合法ヲ制定セラレムコ
トヲ望ム
右建議ス
第九十五猿投神社昇格ニ關スル建議
案(岡本實太郞君提出)
土七
猿投神社昇格ニ關スル建議案
猿投神社昇格ニ關スル建議
政府ハ愛知縣縣社猿投神社ヲ官幣社ニ昇
格セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第九十六高等蠶絲學校建設ニ關スル
建議案(岡本實太郞君外二名提出)
高等蠶絲學校建設ニ關スル建議案
高等蠶絲學校建設ニ關スル建議
政府ハ高等蠶絲學校ヲ愛知縣下ニ建設セ
ラレムコトヲ望ム
右建議ス
第九十七若松市ニ高等師範學校設置
ニ關スル建議案(町野武馬君外一名
提出)·
若松市ニ高等師範學校設置ニ關スル建
議案
若松市ニ高等師範學校設置ニ關スル
建議
福島縣若松市ニ高等師範學校ヲ設置シ優
良ナル中等學校〓員ヲ養成セラレムコト
ヲ望ム
右建議ス
第九十八自營林業奬勵ニ關スル建議
案(村山喜一郞君提出)
自營林業奬勵ニ關スル建議案
自營林業奬勵ニ關スル建議
政府ハ農村生活ノ安定向上ヲ圖リ且部落
有林野ノ荒廢ヲ防止スル目的ヲ以テ部落
有林野ヲ分割シ各農民ヲシテ八十年間ノ
地上權ヲ取得セシムルノ施設ヲ爲シ以テ
其ノ植林ヲ奬勵セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第九十九廣濱鐵道速成ニ關スル建議
案(河野曉君外二名提出)
廣濱鐵道速成ニ關スル建議案
廣濱鐵道速成ニ關スル建議
山陽線橫川ヨリ加計ヲ經テ山陰線濱田ニ通
スル線路ハ地域廣キニ亙リ木材薪炭等ノ
林產物ノミナラス米麥其ノ他諸種ノ所產
多ク一般ノ資源豐富ニシテ國利民益ノ發
展上鐵道ヲ敷設スルノ必要極メテ切要ナ
ルノミナラス殊ニ北韓地方トノ海上交通
ヲ便ニシテ之ヲ本土幹線ニ連絡スルトキ
ハ因テ以テ多大ノ日子ト費用トヲ節約シ
テ彼我ノ利益ヲ僧大スルコト尠カラス況
ヤ日本海方面ト太平洋方面トヲ連絡スルコ
トハ啻ニ經濟上ニ於ケルノミナラス國防
上ニ於テモ國策上極メテ必要大切ノコト
タルハ今玆ニ多言ヲ要セサルナリ
本線ハ斯ル必要有益ノ線路ニシテ政府二
囘ノ踏査ヲ行ハレタルモ未タ起工著手セ
ラルルニ至ラス國運發展上實ニ遺抵ノ至
ト謂フヘシ抜ニ政府ハ急速ニ之カ計畫ヲ
立テ數設ニ著手セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百澁川長野原間鐵道速成ニ關スル
建議案(本檜三四郞君提出)
澁川長野原間鐵道速成ニ關スル建議
案
澁川長野原間鐵道速成ニ關スル建議
本線ハ上越線中澁川停車場ヨリ分岐シテ
群馬縣吾妻郡中之條、原ヲ經テ長野原ニ
達スル線ニシテ沿線ニハ世界的ニ有名ナ
ル草津溫泉及近時急速ノ發展ヲ爲セル四
万溫泉川原湯溫泉等アリテ外來浴客ノ出
入頗ル頻繁ナリ加フルニ林產物ノ搬出豐
富ナルモノアリ故ニ鐵道計營トシテ速ニ
建設セサルヘカラス殊ニ本線ハ進ムテ信
州上田へ連絡セシムルモノニシテ以テ輕
井澤線ノ輸送力不足ヲ償アニ足ル重要線
路ナリ依テ速ニ本線ノ建設豫算計上ヲ望
ム
右建議ス
第百一帝國在〓軍入會國庫補助ニ關
スル建議案(長田桃藏君外四名提出)
帝國在〓軍人會國庫補助ニ關スル建議
案
帝國在〓軍人會國庫補助ニ關スル建
議
國防上重大ノ關係ヲ有スル帝國在〓軍入
會ニ對シテ每年徂當ノ國庫補助金ヲ交付
シ其ノ健全ナル發達ヲ企圖セラレムコト
ヲ望ム
右建議ス
第百二福井縣三國港築港竝竹田川改
修ニ關スル建議案(熊谷五右衞門君
提出)
福井縣三國港築港竝竹田川改修ニ關
スル建議案
福井縣三國港築港竝竹田川改修ニ關
スル建議
曩ニ第四十回乃至第四十二回議會及第五
十回議會ニ及リ四度本院ヨリ建議シタル
福井縣三國港ノ築港竝之ト關聯シテ縣下
ノ一大河川タル竹田川及其ノ支流兵庫川
ノ改修ハ農村ノ困〓慘狀ヲ救濟シ產業發
展ノ上ニ於テ緊切急要ナルヲ認ム依テ政
府ハ速ニ調査ヲ遂ケ之カ築港竝改修ノ工
ヲ遂行セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百三養蠶組合法制定ニ關スル建議
案(加藤知正君外三名提出)
養蠶組合法制定ニ關スル建議案
養蠶組合法制定ニ關スル建議
現下我カ邦ノ養蠶ハ極メテ重要ナル生產
業ニシテ國家經濟ノ支柱石ヲ爲スモノナ
リ面シテ養蠶業カ組織スル中合ノ養蠶組合
ハ其ノ數實ニ二萬有餘ニ達セリト雖其ノ
組織上ニ適當ナル法令ノ據ルヘキモノナ
キヲ以テ未タ斯業ノ健全ナル進步發達ヲ
觀ル能ハサルハ頗ル遺憾トスル所ナリ故
ヲ以テ之ヲ保護助長スル爲此ノ際速ニ單
行ノ養蠶組合法ヲ制定發布セラレムコト
ヲ望ム
右建議ス
第百四興部濱頓別間鐵道速成ニ關ス
ル建議案(淺川浩君外六名提出)
ヲコツペハマトンベツ
興部濱頓別間鐵道速成ニ關スル建議案
興部濱頓別間鐵道速成ニ關スル建議
政府ハ北見國典部ヨリ幌別枝幸ヲ經テ濱
頓別ニ至ル鐵道ヲ速成シ同地方開發速進
ニ資セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百五北海道ニ高等學校設置ニ關ス
ル建議案(一柳仲次郎君外六名提出)
北海道ニ高等學校設置ニ關スル建議案
北海道ニ高等學校設置ニ關スル建議
北海道ニ高等學校ヲ設置セラレムコトヲ
望ム
右建議ス
第百六留萌羽幌間鐵道速成ニ關スル
建議案(淺用浩君外六名提出)
ルモエハヒロ
留萌羽幌間鐵道遠成ニ關スル建議案
留萌羽幌間鐵道速成ニ關スル建議
政府ハ天願國留萌ヨリ羽幌ニ至ル鐵道ヲ
速成シ同地方開發速進ニ資セラレムコト
ヲ望ム
右建議ス
第百七高等工業學校設置ニ關スル建
議案(一柳仲次郎君外六名提出)
高等工業學校設置ニ關スル建議案
高等工業學校設置ニ關スル建議
北海道ニ高等工業學校ヲ設置セラレムコ
トヲ望ム
右建議ス
第百八小頓別枝幸港間鐵道速成ニ關
スル建議案(淺用浩君外六名提出)
セウトンベツエサシ
小額別枝幸港間鐵道速成ニ關スル建議
案
小頓別枝幸港間鐵道速成ニ關スル建
議
政府ハ北見國小頓別ヨリ枝幸港ニ至ル鐵
道ヲ速成シ同地方開發速進ニ資セラレム
コトヲ望ム
右建議ス
第百九宗谷線恩根内咲來間ニ停車場
設置ニ關スル建議案(淺川浩君外六
名提出)
ヲンネナイサツタル
宗谷線恩根内咲來間ニ停車場證置ニ關
スル建議案
宗谷線恩根内咲來間ニ停車場設置ニ
關スル建議
政府ハ宗谷線恩根内咲來間ニ停車場ヲ設
置セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百十根北鐵道速成ニ關スル建議案
(小池仁郞君外六名提出)
根北鐵道速成ニ關スル建議案
根北鐵道速成ニ關スル建議
根室線厚床驛ヨリ標津ヲ經北見國斜里ニ
至ル鐵道ヲ速成セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百十一北海道甜菜糖業補助法制定
ニ關スル建議案(小池仁郎君外七名
提出)
北海道甜菜糖業補助法、制定ニ關スル建
議案
北海道甜菜糖業補助法制定ニ關スル
建議
北海道ニ於ケル甜某糖業ハ國家有望ノ大
産業ナルノミナラス之カ發展ハ農村ヲ振
興スルニ於テ最多大ノ效果アリ然ルニ今
尙創草ニ屬スルヲ以テ農工孰レモ困態ノ
狀態ニアルヲ觀ル政府ハ斯業ノ現狀ニ鑑
ミ速ニ北海道甜菜穂業補助法ヲ制定シ當
面ノ難境ヲ救濟スルト同時ニ進ムテ將來
ノ發展ヲ策シ拓殖ノ進捗ト國產ノ安定ヲ
期セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百十二有珠岳洞爺湖及登別溫泉ヲ
中心トスル國立公園設定ニ關スル建
議案(手代木隆吉君外六名提出)
ウスダケトウヤコ
有珠岳洞爺湖及登別溫泉ヲ中心トスル
國立公園設定ニ關スル建議案
有珠岳洞爺湖及登別溫泉ヲ中心トス
ル國立公園設定ニ關スル建議
政府ハ風光明媚世界的風致ヲ以テ其ノ名
高キ有珠岳洞爺湖及登別溫泉ヲ中心トシ
支笏湖定山渓及羊蹄山ヲ抱擁スル國立公
園ヲ設定シ此ノ勝景ヲ發揮セシメ內外人
ノ一大遊園地タラシムヘシ
右建議ス
第百十三余市漁港修築ニ關スル建議
案(澤田利吉君外六名提出)
全市漁港修築ニ關スル建議案
余市漁港修築ニ關スル建議
政府ハ北海道後志國余市郡金市漁港修築
工事ヲ急速ニ實施セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百十四鴛泊港修築ニ關スル建議案
(淺川浩君外六名提出)
鴛泊港修築ニ關スル建議案
鴛泊漁港修築ニ關スル建議
政府ハ北海道利尻郡鴛泊漁港修築工事ヲ
急速ニ實施セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百十五廣尾港修築速成ニ關スル建
議案(小池仁郞君外六名提出)
廣尾港修築速成ニ關スル建議案
廣尾港修築速成ニ關スル建議
十勝國廣尾港ヲ速ニ修築セラレムコトヲ
望ム
右建議ス
第百十六釧路港海陸達絡ニ關スル建
議案(小池仁郞君外六名提出)
釧路港海陸連絡ヲ圍スル建議案
釧路港海陸連絡ニ關スル建議
釧路港海陸ノ連絡設備ヲ速ニ完成セラレ
ムコトヲ望ム
右建議ス
第百十七室蘭港海陸連絡施設速成ニ
關スル建議案(手代木隆吉君外六名
提出)
室蘭港海陸連絡施設速成ニ關スル建議
案
室蘭港海陸連絡施設速成ニ關スル建
議
室蘭港海陸ノ連絡施設ヲ速ニ完成セラレ
ムコトヲ望ム
右建議ス
第百十八根室港修築工事ニ關スル建
議案(小池仁郞君外六名提出)
根室港修築工事ニ關スル建議案
根室港修築工事ニ關スル建議
根室港修築工事第二期ノ設計ヲ定メ速ニ
之カ完成ヲ期セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百十九鐵道敷設法中改正ニ關スル
建議案(小池仁郞君外六名提出)
鐵道敷設法中改正ニ關スル建議案
鐵道敷設法中改正ニ關スル建議
鐵道敷設法第一條別表中北海道ノ部第百
三十九ノ次ニ左ノ通追加セラレムコトヲ
望ム
石狩國江別ヨリ當別ヲ經テ石狩ニ至ル
鐵迫
石狩國岩見澤ヨリ北村月形ヲ經テ厚田
ニ至ル鐵道
石待國瀧川ヨリ新十津川ヲ經テ濱益ニ
至ル鐵道
右建議ス
第百二十苫小牧庸尾間鐵道速成ニ關
スル建議案(手代木隆吉君外六名提
〓
苫小牧廣尾間鐵道速成ニ關スル建議案
苫小牧廣尾間鐵道速成ニ團スル建議
膽振國苫小牧ヨリ鵡川日高國浦河ヲ經テ
十勝廣尾ニ至ル間ノ鐵道ヲ速成シ以テ運輸
交通ノ發達ヲ促進セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百二十一釧路網走間鐵道速成ニ關
スル建議案(小池仁郞君外六名提出)
釧路網走問鐡道速成ニ關スル建議案
釧路網走間鐵道速成ニ關スル建議
釧路ヨリ斜里ヲ經テ網走ニ至ル鐵道ノ完
成年度ヲ大正十八年度ニ繰上ケ完成セラ
レムコトヲ望ム
右建議ス
第百二十二京極紋醫間及京極壯瞥間
鐵道速成ニ關スル建議案(手代木隆
吉君外六名提出)
京極紋鼈間及京極壯瞥間鐵道速成ニ關
スル建議案
京極紋證間及京極壯瞥間鐵道速成ニ
關スル建議
膽振國京極ヨリ喜茂別壯瞥ヲ經テ紋鼈ニ
至ル問及京極ヨリ留壽都ヲ經テ壯警ニ至
ル間ノ鐵道ヲ速成シ以テ運転交通ノ發達
ヲ促進セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百二十三高等師範學校設置ニ關ス
ル建議案(一柳仲次郎君外六名提出)
高等師範學校設置ニ關スル建議案
高等師範學校設置ニ關スル建議
北海道札幌市ニ高等師範學校ヲ設置セラ
レムコトヲ望ム
右建議ス
第百二十四小樽港及兩館港ニ港務部
設置ニ關スル建議案(山本厚三君外
六名提出)
小樽港及函館港ニ港務部設置ニ關スル
建議案
小樽港及函館港ニ港務部設置ニ關ス
ル建議
小樽及函館港ハ其ノ發達近時著シキモノ
アリ之カ港灣取締ノ爲速ニ港務部ヲ設置
シ開港港則ヲ實施セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百二十五野岩羽鐵道速成ニ關スル
建議案(八田宗吉君外二名提出)
野岩羽鐵道速成ニ關スル建議案
野岩羽鐵道速成ニ關スル建議
政府ハ山形縣来澤ヨリ日中ヲ經福島縣喜
多方ニ至ル鐵道會津若松ヨリ田島ヲ經栃
木縣今市ニ至ル鐵道及栃木縣鹿沼ヨリ栃
木ヲ經茨城縣古河ニ至ル鐵道ヲ速成シ以
テ運輸交通ノ發達ヲ促進セラレムコトヲ
望ム
右建議ス
第百二十六柳津小出間及只見古町間
鐵道速成ニ關スル建議案(八田宗吉
君提出)
柳津小出間及只見古町間鐵道速成ニ關
スル建議案
柳津小出間及只見古町間鐵道速成ニ
關スル建議
政府ハ福島縣柳津ヨリ只見ヲ經テ新潟縣
小出ニ至ル間及前記只見ヨリ古町ニ至ル
間ノ鐵道ヲ速成シ以テ運輸交通ノ發達ヲ
促進セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百二十七湖南鐵道建設ニ關スル建
議案(八田宗吉君提出)
湖南鐵道建設ニ關スル建議案
湖南鐵道建設ニ關スル建議
政府ハ速ニ磐越西線廣田驛ヲ起點トシテ
猪苗代湖ノ南岸福良ヲ經東北本線白河驛
ニ至ル問ノ鐵道ヲ建設シ以テ運輸交通ノ
發達ヲ促進セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百二十八林業金融ニ關スル建議案
(東武君外十名提出)
林業全融ニ關スル建議案
林業金融ニ關スル建議
日本勸業銀行法及預金部資金運用規則等
ニ於テハ田畑山林等ニ對シ均シク貸付ヲ
爲スヘキ規定ナルモ日本勘業銀行ノ實際
ノ運用ヲ考フルニ田畑ヲ擔保トスル場合
ト山林ヲ擔保トスル塲合トハ大ニ其
ノ趣ヲ異ニシ山林ニ對シテハ故ラ
ニ貸出シヲ好マサルモノノ如シ是レ畢竟
實際ノ森林調査カ甚夕困難ナル事情アル
ニ職由スヘシト雖廣ク林業金融ノ途ヲ開
クハ林業奬勵上刻下ノ急務タリ政府ハ法
規ノ運用上偏輕偏重ノ取扱ナキ樣注意
スヘシ
右建議ス
〔補足〕
殖林其ノ他林業經營上低利ナル金融ノ必
要テアルコトハ少シク農村ノ事情ニ通ス
ル人ノ普ネク知悉シテ居ルコトテアリマ
ス然ルニ日本勸業銀行法及預金部資金運
用ノ規則等ヲ見マスレハ山林ニ對シテハ
田畑等ト同樣ニ貸付ヲ爲スヘキ規定ガア
リマスケレドモ實際ノ運用ノ振合ヲ見マ
スレハ大ニ事情ヲ異ニスルモノヽアルコ
ト窺ヒ知ルコトガ出來マス從ッテ林業
ニ對スル金融ノ途ヲ開クコトハ刻下ノ急
務テアリマス而シテ本案ハ全國山林會聯
合會一致ノ決議テアリマシテ衆議院ニ於
ケル各派一致ノ提案テアリマスルカ故ニ
滿場一致御賛成アランコトヲ希望致シマ
ス
第百二十九國立公園調査機關設置ニ
關スル建議案(東武君外十名提出)
國立公園調査機關設置ニ關スル建議案
國立公園調査機關設置ニ關スル建議
國民ノ保健及〓化上國立公園ノ必要ナル
ト近年各地方ヨリ國立公園設置ノ建議續
出スルトニ鑑ミ政府ハ速ニ國立公園調査機
關ヲ設ケ以テ國立公園ニ關スル政策ヲ樹立
シ適當ナル候補地ヲ選定シ之カ根本計畫ヲ
設定シ官民ヲシテ據ル所アラシムヘシ
右建議ス
〔補足〕
國立公園設置ノ問題ハ近年每議會ニ建議
案其ノ他ノ提案ヲ見ル位デ其ノ必要ナル
コトハ玆ニ說明ヲ要セサルモノト存シテ
居リマス而シテ其ノ候補地ト目スヘキ地
ハ多クハ山木動植物等ノ自然ヲ目標トス
ルモノテアリマシテ此ノ儘之ヲ放置致シ
マスレハ樹木ノ伐採其ノ他ノ爲今日ニ於ケ
ル適地ヲ他日之ヲ囘復スヘカラサルニ至
ル等ノ虞レモアリマスカラ政府ヲシテ速
ニ其ノ調査機關ヲ設ケシムルコトハ刻下
ノ急務テアルト存シマス此故ニ全國山林
會聯合會一致ノ決議ニ基キ各派聯合ヲ以
テ本案ヲ提出シタル次第テアリマスカラ
何卒滿場一致可決セラレンコトヲ望ミマ
ス
第百三十立木ニ關スル法律改正ニ關
スル建議案(東武君外十名提出)
立木ニ關スル法律改正ニ關スル建議案
立木ニ關スル法律改正ニ關スル建議
明治四十二年法律第二十二號立木ニ關ス
ル法律ハ植栽ニ依リ生立セル樹木ニノミ
適用サルルモ植栽ニ依ラスシテ生立セル
樹木ニハ適用ナシ斯ノ如クムハ我カ國森
林ノ大部分ヲ占ムル天然林ノ樹木ヲ賣買
抵當ニ付スルニ不便尠カラス政府ハ宜シ
ク右法律ヲ改正シ植栽ニ依ラスシテ生立
セル樹木ニモ適用スルコトトスルヲ要ス
右建議ス
〔補足〕
立木ニ關スル法律ハ植栽致シタル樹木ニ
ノミ適用スルコトニナツテ居リマスケレ
トモ樹木ハ植エマセスシテ自然ニ生エマ
スル樹木ニハ之ヲ適用セナイコトニナツ
テ居リマスケレトモ此法律ハ此兩者ニ適
用スルコトニ致サナケレハ樹木ノ賣買又
ハ抵當トスル場合ニ於ケル不便カ甚夕尠
ナクアリマセヌ本案モ此理由ニヨリマシ
テ全國山林會聯合會ノ決議ニ基キ各派聯
合提出ニ係ルモノテアリマスカラ何卒可
決セラレンコトヲ望ミマス
第百三十一金鵄動章旭日章年金改正
ニ關スル建議案(古川〓君外二名提出)
金鵄勳章旭日章年金改正ニ關スル建議
案
金鵄勳章旭日章年金改正ニ關スル建
動章ノ制定ナキ時代ニ於テハ武功ノ表彰
ハ其ノ優劣ニ應シ祿高ヲ給賜シタリ現在
金鵄竝旭日章ノ年金ハ武功ノ拔群者ニ對
シ名譽ノ勳章ト相俟テ加賜セラレタルモ
ノニシテ名實相伴ヒ誠ニ深遠ナル御思召
ニ依ル恩賞方法ナリ然ルニ之カ制定後三
十年ニ垂ムトスル今日加賜金額ノ改正ヲ
見サルハ時代ニ順應セサル優遇方法ト謂
フヘシ旣ニ本院ニ於テハ金鵄勳章年金增
額ノ請願ハ每會期採擇トナリ殊ニ第四十
九囘議會及第五十回議會ニ於テハ政府ニ
對シ年金令改正卽行ニ關スル建議ヲ爲シ
タリ然ルニ未タ實施ヲ見スシテ今日ニ至レ
リ方今ノ時局ニ鑑ミルモ物價ノ變動ニ因
ル年金額ノ不平均ヲ時世ニ適應セシムル
ハ最緊要ノ事柄ナリ旭日章年金モ之レト
同一ノ意味ニ於テ速ニ其ノ年金額ヲ改正
增額セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百三十二高田市ニ高等農林學校設
置ニ關スル建議案(富永孝太郞君外
三提出)
高田市ニ高等農林學校設置ニ關スル建
議案
高田市ニ高等農林學校設置ニ關スル
建議
新潟縣高田市ニ高等農林學校ヲ設置セラ
レムコトヲ望ム
右建議ス
第百三十三磐梯山猪苗代湖ヲ中心ト
スル國立公園設定ニ關スル建議案(八
田宗吉君外一名提出)
磐梯山猪苗代湖ヲ中心トスル國立公園
設定ニ關スル建議案
磐梯山猪苗代湖ヲ中心トスル國立公
園設定ニ關スル建議
政府ハ風光明媚世界的風致ヲ以テ其ノ名
高キ磐梯山猪苗代湖ヲ中心トスル國立公
園ヲ設定シ以テ此ノ勝景ヲ發揮セシメ内
外人ノ一大遊園地タラシムヘシ
右建議ス
第百三十四國有林野法中改正ニ關ス
ル建議案(八田宗吉君提出)
國有林野法中改正ニ關スル建議案
國有林野法中改正ニ關スル建議
國有林野法第十八條第一項及第二項ヲ左
ノ如ク改正セラレムコトヲ望ム
國有林野ニシテ保護上必要ナル場合又
ハ町村若ハ其ノ一部ノ產業上必要ナル
場合ニ於テハ町村又ハ其ノ一部ニ保護
ヲ委託スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ其ノ受託者ニ林野
產物ヲ譲與シ又ハ其ノ主產物賣拂代金
ノ十分ノ三ヲ讓與スルコトヲ得
右建議ス
第百三十五川俣浪江間鐵道建設速成
ニ關スル建議案(大島要三君外六名
提出)
川俣浪江間鐵道建設速成ニ關スル建議
案
川俣浪江間鐵道建設速成ニ關スル建
議
政府ハ東北本線福島縣松川驛ヨリ分岐シ
川俣ヲ經テ常磐線浪江驛ニ至ル鐵道ノ建
設ヲ速成セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百三十六國有林野不要存置林處分
ニ關スル建議案(大島要三君外六名
提出)
國有林野不要存置林處分ニ關スル建議
案
國有林野不要存置林處分ニ關スル建
議
政府カ現在國有林野ヲ處分シツツアル實
績ヲ微證スルニ要存置林野ハ是ヲ別トシ
不要存置林野ヲ賣拂フニ當リ特賣ニ係ル
林野ニシテ其ノ價格ノ不同ナルノミナラ
ス段金高價ニ過キ此ノ處分ニ應スル地元
人民ノ苦痛甚シキヲ認ム斯テハ政府ノ對
策タル農村振興ニ至大ナル關係アルヲ以
テ特賣方法ニ根本改善ヲ加へ價格ノ統一
低廉ヲ圖リ穩便ナル處置ニ出テラレムコ
トヲ望ム
右建議ス
第百三十七福島市ニ國立倉庫設立ニ
關スル建議案(大島要三君外六名提
出
福島市ニ國立倉庫設立ニ關スル建議案
福島市ニ國立倉庫設立ニ關スル建
議
政府ハ福島市ニ國立倉庫一箇所ヲ設立セ
ラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百三十八泉崎岩沼間改良工事速成
竝宇都宮福島間複線工事速成ニ關ス
ル建議案(大島要三君外六名提出)
泉崎岩名間改良工事速成竝宇都宮福島
間複線工事速成ニ關スル建議案
泉崎岩沼間改良工事速成竝宇都宮福
島間複線工事速成ニ關スル建議
政府ハ東北本線泉崎驛ヨリ岩沼驛ニ至ル
線路ノ改良ヲ速成シ竝宇都宮驛ヨ、リ福島
驛ニ至ル複線工事ヲ速ニ達成セラレムコ
トヲ望ム
右建議ス
第百三十九福相鐵道速成ニ關スル建
議案(大島要三君外六名提出)
福相鐵道速成ニ關スル建議案
福相鐵道速成ニ關スル建議
本鐵道ハ福島縣福島ヲ起點トシ保原梁用
及宮城縣九森金山ヲ經テ福島縣中村ニ達
シ東北本線及奧羽線ト常磐線トヲ聯絡セ
シムルモノニシテ產業ノ開發竝文化國防
上極メテ必要ナル線路ナリ依テ政府ハ速
ニ其ノ敷設ニ著手セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百四十婦人參政ニ關スル建議案
(坂東幸太郞君外三名提出)
婦人參政ニ關スル建議案
婦人參政ニ關スル建議
婦人ニ衆議院參政權ヲ付與スヘシトノ建
議ハ第四十五回及第五十囘議會ニ政府ヘ
提出セラレタリ而モ今尙實施ヲ見サルハ
頗ル遺憾トスル所ナリ今ヤ普通選擧法モ
施行セラレ萬民齊シク政治ニ參與スルノ
原則確立セルトキニ於テ國民雙翼ノ一半
タル婦人ニ之ヲ認メサルハ不條理ニ非ス
ヤ況ヤ選擧權付與ノ基礎タルヘキ國民〓
育ノ普及カ男女其ノ率ヲ異ニセサル今日
ニ於テオヤ想フニ宇內列强ノ競爭ハ日ニ
月ニ激甚ヲ加へ男女ノ協心戮力ヲ要スル
モノ亦昔日ノ比ニ非サルナリ而シテ列强
皆婦人ニ均等ノ機會ヲ與ヘ雙翼相倚リ兩
輪相伴フノ合理制ヲ布キ善謀大策既ニ成
レルニ對シ我カ國單リ依然トシテ舊體ヲ
釐革セサルハ決シテ世界大勢ニ順應スル
所以ニ非スト信ス故ニ政府ハ速ニ婦人ニ
參政權ヲ付與スルノ制度ヲ定メ以テ婦人
能力ノ向上發展ノ途ヲ開キ國政運用ノ妙
諦ヲ發揮セラレムコトヲ望ム
右建議ス
〔補足〕
本建議案ハ第五十囘ノ本院ニ於テ同僚松
本君平君等ヨリ提案シ滿場一致ヲ以テ通
過シタノテアリマス、而モ本議會ニ更ニ
提案シタル所以ノモノハ其實行ノ一日モ
速カナラムコトヲ熱望スルカラテアリマ
ス、卽チ順序トシテ本文ヲ申上ケマス
「婦人ニ衆議院參政權ヲ付與スヘシトノ
建議ハ第四十五回及第五十囘議會ニ政府
ヘ提出セラレタリ、而モ今尙實施ヲ見サ
ルハ頗ル遺憾トスル所ナリ、今ヤ普通選
擧法モ施行セラレ萬民齊シク政治ニ參與
スルノ原則確立セルトキニ於テ國民雙翼
ノ一半タル婦人ニ之ヲ認メサルハ不條理
ニ非スヤ、況ヤ選擧權付與ノ基礎タルヘ
キ國民〓育ノ普及カ男女其ノ率ヲ異ニセ
サル今日ニ於テオヤ、想フニ宇內列强ノ
競爭ハ日ニ月ニ激甚ヲ加ヘ、男女ノ協心
戮力ヲ要スルモノ亦昔日ノ比ニ非サルナ
リ、而シテ列强皆婦人ニ均等ノ機會ヲ與
へ、雙翼相倚リ兩輪相伴フノ合理制ヲ布
キ、善謀大策既ニ成レルニ對シ、我カ國
單リ依然トシテ舊體ヲ釐革セサルハ決シ
テ世界大勢ニ順應スル所以ニ非スト信
ス、故ニ政府ハ速ニ婦人ニ參政權ヲ付與
スルノ制度ヲ定メ、以テ婦人能力ノ向上
發展ノ途ヲ開キ、國政運用ノ妙諦ヲ發揮
セラレムコトヲ望ム」以上本文ニ申上ケ
マス如ク、今ヤ普選ハ實施セラレマシタ
カ故ニ昨年ト本年トハ時日ハ一年ニ過キ
マセヌケレトモ普選ノ實施ト云フ事實ハ
政治的ニハ時代カ割セラレタモノト云ヒ
得ルト思ヒマス、換言スレハ婦人ニ參政
權ヲ付與スル時期カ一躍接近シタモノト
論斷シ得ラレルノテアル而モ現時尙ホ政
府當局ノ中ニモ亦國民ノ一部ニモ唯漠然
ト、時期尙早ヲ唱ヘテ居ラルヽ方ノアル
ノハ國家ノ爲メ頗ル遺憾ヲ禁スルコトカ
出來マセヌ、元來婦人參政權付與ノ問題
ハ婦人ニ同情シテト云フ立場ニ置クヘ
キモノテナイト思フ、須ラク國家ノ大局
高所カラ達觀シテ論スヘキモノテアル
國家ノ全局カラ觀シテ婦人ニ參政權ヲ付
與スルコトカ國利民福ヲ增進スルニ必要
ナリトシタナラハ假令婦人ノ一部ニ之
ヲ理解スルモノカナイニシテモ之ヲ付與
スヘキモノト云ハネハナラヌ、然ルニ普
選實施ノ今日ニ於テ、此問題ヲ單ニ婦人
問題トシテ取扱ヒ、國政問題トシテ觀察
スルコトヲ輕々ニ看過スルノ傾向ノアル
ノハ實ニ悲シムヘキ現象ト云ハサルヲ得
ナイノテアリマス、茲ニ於テ私ハ本議會
ヲ通シテ之等ノ所論ニ批評ヲ加ヘ其ノ誤
解ヲ解キタイト思ヒマス、第一ハ前述ノ
時期尙早論テアリマス、乍然元來普選ト
ハ性ヲ區別スヘキモノテハナイ、男女共
ニ參政權ヲ付與スルノカ普選テアラネハ
ナラヌ、然ルニ既ニ大正十四年五月五日
ヲ以テ男子ニノミ普選ヲ施行シテ女子ヲ度
外視シタノハ大局カラ見ルト片手落ノ普
選ト云ハネハナラヌ、況ヤ時期ト云フコト
ハ結局、當局者及ヒ議員カ其ノ必要ナ
ルコトヲ自覺スルトキカ卽チ時期テアル
ト思ヒマス、假令ハ王政維新ニシテモ然
リテアル、然シ一昨年マテ政府ニモ議會
ニモ或ハ半數以上ノ反對者カアツタカ第
五十議會テ政府モ議會モ其ノ必要ヲ飜然
自覺スルヤ一擧ニシテ之ヲ實施シタテハ
アリマセヌカ、婦人參政權モ然リテアル、
世界ノ大勢カラ見テ之カ必要ナリト自覺
シタナラハ其ノ瞬間ニ本問題ハ解決スル
ノテアリマス、第二ニハ婦人ハ政治訓練
カ足リナイカラト云フ論モアリマスカ、
是レモ冷靜ニ考ヘルトキハ、然ラステア
ル、若シ政治訓練カ選舉權ノ條件テアル
トシタナラハ今日ノ男子モ全部訓練カ足シ
テ居ルトモ言ヒ得マセヌ、第三ハ婦人
ハ學問カ足リナイカラト云フ議論モアリ
マスカ、學問ハ參政権ノ條件テハナイト
思フ、國民〓育タケハ條件ト云ヘハ云ヘ
ナイコトハナイ、然ルニ今日ノ男女就學
兒童ノ步合ニ男子千分ノ九百九十四、女
子九百九十二テアルカラ殆ト區別ハナイ
ノテアル元來姑人參政權ト云フモノヲ
餘リニ深ク考へ過キル傾キカアルノハ
古來男尊女卑ノ舊慣力尙ホ惰力ヲ爲シテ
居ル爲メテアル、參政權ハ結局選舉ノ場
合ニ候補者中ノ一人ヲ選擇シテ之ニ投票
スルト云フ事柄テアル、政治訓練トカ學
問トカソンナニ深ク重ク考フヘキテモナ
イト思ヒマス、第四ハ婦人ハ本來智識カ
足リナイカラ候補者ノ選擇ヲ誤ル虞レカ
アルト云フ議論モアリマス、乍然普選法
第六十七條第六十八條ニ於テ既ニ議員候
補者タルモノハ屆出ヲ要シ、又二千圓ノ
供託金ヲ必要トシテ居ル、卽チ此條件ヲ
具備セナケレハ候補者タルノ資格カナ
イ、從ヶテ有権者ハ國家カ此規定ニ依。ツ
テ公認シタ者以外ニ投票シテモ無效テア
ル、故ニ婦人カ選擧權ヲ亨有シテモ公認
候補者以外ニ投票スルコトハ絕對ニナイ
ノテアル、第五ニ日本ノ婦人ハ活動カ足
リナイ云々ト云フ議論モアリマス、然シ
是レハ事實カ違フ、本員ハ之ト正反對ノ
意見ヲ持クテ居ル、卽チ大正十四年ノ我
國ノ輸出ハ二十三億五百五十八万七千圓
テアルカ、其中テ生絲ノ八億八千七十四
万圓、絹織物ノ一億一千六百九十八万四
千圓、綿織物ノ四億三千二百八十六万四
千圓其他ヲ合セテ十六億三千九百四万六
千圓卽チ其ノ七割ヲ婦人ノカ弱キ手ニ依
ツテ作ラレタノデアル其ノ他農商工何
レノ家庭ヲ見ナモ婦人カ殆ト決死的態度
ヲ以テ家庭ヲ維持シテ居ルノハ爭フ可ラ
サル事實テアルト思ヒマス、況ヤ現在全
國二十万人ノ小學校〓員中七万ハ女〓員
テアル、中學校ノ在學生ノ二十二万人ニ
對シ女學校ノ在學者ハ二十万人テアル、
斯ノ如ク經濟界、〓育界及ヒ家庭ニ於テ日
本ノ婦人ハ西洋ノ婦人以上ノ努力ヲシテ
以テ國家社會ノ基礎ヲナシテ居ルノテア
リマスカラ之ニ參政権ヲ付與スルコトハ
當然テアルト思ヒマス、之ヲ付與シテ國
政ヲ配慮セシムルコトハ國家ノ大局カラ
見テ一害ナキハ勿論、國利民福ヲ增進ス
ル上ニ於テ極メテ必要ナル國家問題ナリ
ト信シマス、冀クハ御容議ノ上滿場一致
御賛成アラムコトヲ切ニ御願致シマス
第百四十一鳥栖日井間鐵道敷設ニ關
スル建議案(大里廣次郞君外二名提
也
鳥栖臼井間鐵道數設ニ關スル建議案
鳥栖日井間鐵道敷設ニ關スル建議
政府ハ鹿兒島本線鳥柄驛ヨリ太刀洗陸軍
飛行場甘木秋月ヲ經テ筑豐線臼井驛ニ至
ル鐵道敷設計畫ヲ立テ速ニ之ヲ建設セラ
レムコトヲ望ム
右建議ス
第百四十二東京帝國大學農學部附屬
農業〓員養成所獨立ニ關スル建議案
(山本慎平君外一名提出)
東京帝國大學農學部附屬農業〓員養成
所獨立ニ關スル建議案
東京帝國大學農學部附屬農業〓員養
成所獨立ニ關スル建議
農業〓育ノ普及徹底ヲ圖ルハ我カ國內外
ノ情勢ニ鑑ミ最喫緊ノコトニ屬シ之カ爲
ニハ優良ナル〓員ノ養成ヲ以テ其ノ根本
ト爲ス仍テ政府ハ速ニ東京帝國大學農學
部附屬農業〓員養成所ヲ獨立セシメ其ノ
充實ヲ圖リ以テ第五十囘帝國議會ニ於ケ
ル本院滿場一致ノ要望ヲ實現スヘシ
右建議ス
第百四十三北海九河川治水工事速進
ニ關スル建議案(神部爲藏君外六名
提出)
北海道河川治水工事速進ニ關スル建議
案
北海道河川治水工事速進ニ關スル建
議
政府ハ北海道ノ左記河川ニ對シ速ニ治水
工事ヲ速進シ之カ遂行ヲ期セラレムコト
ヲ望ム
石狩川豐平川江別川
夕張川千歳川雨龍川
空知川忠別川美瑛川
十勝川利別川(十勝)札內川
音更川天鹽川名寄川
釧路川湧別川綱走川
猪〓川沙流川鵡川
後志川利別川(後志)留萌川
常呂川阿寒川
其ノ他主ナル河川
右建議ス
第百四十四岩内築港速成ニ關スル建
議案(澤田利吉君外六名提出)
岩内築港速成ニ關スル建議案
岩内築港速成ニ關スル建議
政府ハ北海道岩内郡岩内築港ヲ速成セラ
レムコトヲ望ム
右建議ス
第百四十五無線電信ノ装置ニ關スル
建議案(小池仁郞君外六名提出)
無線電信ノ装置ニ關スル建議案
無線電信ノ裝置ニ關スル建議
根室國花咲郡水晶、勇留、志發、多樂及
千島國擇捉、國後、色丹ノ各島ニ無線電信
ノ装置ヲ速ニ完成セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百四十六京濱運河速成ニ關スル建
議案(湯淺凡平君提出)
京濱、連河速成ニ關スル建議案
京濱運河速成ニ關スル建議
政府ハ速ニ東京横濱間ヲ連絡スル運河開
鑿ノ計畫ヲ確立スヘシ
右建議ス
第百四十七實業補習〓育振興ニ關ス
ル建議案(高橋熊次郞君外四名提出)
實業補習〓育振興ニ關スル建議案
實業補習〓育振興ニ關スル建議
實業補習〓育ノ振興ヲ圖リ國民一般ノ文
化ヲ增進スルハ刻下ノ要務ナリ殊ニ產業
ノ進展民風ノ作興選舉權擴張竝陪審法實
施ニ伴フ公民〓育ノ普及等益斯〓育ノ徹
底ヲ迫テ已マサルモノアリ仍テ政府ハ實
業補習〓育ノ制度及施設ニ關シ速ニ根本
的ノ方策ヲ樹立シ以テ其ノ改善振興ヲ期
スヘシ
右建議ス
〔補足〕
實業、植習〓育振興ニ關スル建議ニ就テ
〓育ノ制度施設ニ就テハ改善刷新ヲ要ス
ルモノカ多々アリマスカ、就中其ノ聲ノ
ミカ徒ニ高クテ實質內容ノ夫レニ伴ハナ
イノハ實業補習〓育テアリマス、近時地
方ノ實際ヲ見マスルト、都市ニモ農村ニ
モ憂フヘキ各種ノ問題カアリマシテ、政
府ハ之ニ對シ種々ノ方策施設ヲ講シテ居
ラレマスカ、如何ナル方策施設モ其ノ對
象デアリ、實行者テアル、一般民衆ノ智
德ガ向上シナケレハ根本カラ之ヲ解決ス
ルコトカ出來ナイノテアツテ、結局ハ國
民全部ノ智德ノ水平線カ高マルコトカ總
テノ解決ノ基礎ヲ爲スモノト思フノデア
リマス、而シテ民衆一般ノ向上ヲ期スル
唯一無二ノ方法トモ謂フヘキハ實業補習
〓育者ノ普及徹底テアルト確信スルノテア
リマス、ソレ故先年政府ニ於テ實業補習
〓育ノ刷新改善ヲ圖ルタメ實業學校令、
實業補習學校規程等制度ノ全般ニ改正ヲ
加ヘラレルト共ニ、或ハ〓員ノ資格待遇
ヲ向上シ、或ハ〓員養成ノ方法ヲ講シ
又優良ナル〓員ヲ招致スルタメ年額三十
万圓ヲ支出シテ〓員俸給ニ對シ補助金ヲ
交付スルコトトサレタノテアルト信シマ
ス、爾來實業補習學校ノ專任〓員ハ逐年
增加シタルケレトモ之ヲ一万五千三百有
餘ノ學校ニ割當テマスルト僅ニ二校ニ付
一人ノ割合ニ過キナクテ大半ノ學校ハ猶
未タ一人ノ専任〓員モナイ狀態テアリ、
且ツ其ノ〓員ノ待遇ノ菲薄ナコトモ亦罵
クハカリテ、小學校本科正〓員ノ平均月
体ガ六十二三圓テアルノニ實業補習學校
ノ專任〓員ハ平均月額五十一圓餘、兼任
〓員ハ平均月額三圓八十錢トイフ少額極
マルモノデアリマス、〓員ノ配置待遇ガ
斯樣ナ情態デアツテ、ソレテ補習〓育ノ
實績ヲ擧ケヨウトシテモ夫レハ望ム方カ
無理ト謂ハナケレハナリマセヌ、元來政
府カ當初〓員俸給ノ補助トシテ年額三十
万圓ヲ計上シタノハ專任〓員俸給ノ三分
ノ一ハ國庫ヨリ、三分ノ一ハ府縣ヨリ支
出シ兩者ヲ合シテ〓員給ノ三分ノ二ヲ補
助スル精神テアツタノテアツテ、當時專
任〓員俸給總額カ八十五万餘圓テアツタ
カラ其ノ三分ノ一ニ當ル三十万圓、卽チ
俸給總額ノ三割五分ヲ支出シタノテアル
ト間イテ居リマス、ソコテ地方ニ於テハ
專任〓員ノ必要ナルコトヲ切實ニ認メテ
居ツタ所ヘ三分ノ二ノ補助カアルトイフ
ノテ競ウテ専任〓員ヲ置キ、大正十四年
度ノ人員ハ九千二百餘人、之ニ對シテ五
百七十五万圓ノ俸給ヲ支出スルマテニナ
ツタノテアリマス、然ルニ政府ニ於テハ
當初ノ聲明ヲ裏切リ一向ニ補助額ヲ增加
シヨウトモセス依然トシテ三十万圓ニ止
メテ居ルタメ、市町村ニ交付サレル補助
金ノ率ハ急激ニ低下シテ、大正九年度ニ
三割五分テアツタモノカ大正十四年度ニ
ハ僅ニ五分ニ過キナイ些細ナ額ニナリ、
當初四百圓ノ交付ヲ受ケ夕市町村ハ漸次
減額サレテ只今ハ五六十圓ノ少額ヲ交付
サレテ居ルヤウナ次第テアリマス、地方
ニ於テ專任〓員ヲ置イタノハ斯ノ〓育ノ
必要ヲ痛感シタ爲テアルトハイヘ、大部
分ノ市町村ハ國庫ノ補助ヲ土臺トシテ之
ヲ置イタノテアルノニ、政府ハ殆ド相關
セサルモノノ如ク放任シテシマツテ、專
任〓員カ多クナリ俸給ガ增加シテモ更ニ
補助金ヲ增サナイカラ、市町村ニ於テハ
財政ニ脅迫ヲ來シ四苦八苦ノ體テ、今後
ノ〓員增置ハ殆ト絕望ニナツテ來タハカ
リテナク、現ニ就職シテ居ル〓員ノ存續
スラ困難ニナリ、折角置イタ専任〓員ヲ
廢スルヤウナ町村モ決シテ稀テナイ實情
テアリマス
更ニ〓員養成ノ問題ニ付テハ實業補習學
校〓員養成所令カ制定セラレ、道府縣ニ
於テ免モ角モ四十箇所ハカリノ〓員養成
所ヲ設立シマシタケレトモ、現内閣ハ之
ニ對シテ座視傍觀ノ體テ、何等積極的ノ
方法ヲ講シナイカラ、養成所ノ設備ハ〓
シテ不完全極マルモノテアリ、甚タシキ
ハ一名ノ專任〓員ヲモ置イテ居ナイ養成
所カアル位テアリマス、加之尙未タ男〓
員養成所スラ設置シナイ府縣カアリ、女
子〓員ノ養成機關ニ至ツテハ僅ニ三縣ニ
於テ之カ施設ヲ爲スニ過キナイノテアリ
やっと、岡田文相ハ小學〓育改善ノ前提ト
シテ師範〓有ノ改善ヲ企畫シナカラ、實
業補習學校〓員ノ養成ニ就テハ何等ノ方
法ヲモ講シテ居ラレナイノハ洵ニ心外ノ
至リテ非常ニ遺憾ニ思フノテアリマス、
勿論實業補習〓育ヲ根本的ニ考ヘマスト、
國民一般ノ素養ヲ向上スルヲ以テ目的ト
スルノテアルカラ、是非トモ全部ノ靑年
子女ヲ實業補習學校ニ收容スルノ方法ヲ
講シナケレハナリマセヌ、然ルニ現在ノ
情況ヲ見マスルト、年々小學校修了者百
二十万人中、上級學校入學者ヲ控除シ實
業補習學校ニ入學スへキモノハ百万人ニ
近イノニ、實際ノ入學者ハ約四十万人テ、
殘リノ大多數卽チ約六十万人ハ小學〓育
ノミテ、其ノ外ニ學校〓育ヲ受ケス直チ
ニ實生活ニ入ツテシマフ情況テアリマス
カ、此ノ六十万人ノ子女ニ職業上ノ〓養
ヲ得サセ公民タルノ訓練ヲ施サナケレハ
民衆一般ノ智德ヲ向上スルコトハ出來ナ
イノテアルカラ、此ノ最大多數者ヲ何
等カノ方法ヲ以テ實業補習學校ニ導クヤ
ウニシナケレハナリマセス、サウスルニハ
結局歐米諸國ニ於ケルト同樣ニ之ヲ義務
〓育トスルコトカ其ノ根本トナルカ此ノ
義務制ノ問題ハ年來論議セラレタ所テア
ツテ、カノ臨時〓育會議ニ於テ「實業補
習〓育ハ益其ノ普及發達ヲ奬勵シ成ルヘ
ク速ニ之ヲ全部又ハ一部ノ義務〓育ト爲
シ得ルニ至ラシムルコト」ト決議セラレ
テカラモ已ニ八九年ヲ經過シ、今日ニ於
テハ最早論議ノ時期ガ過キ去リ之ニ對ス
ル國論ハ既ニ業ニ一。定シテ居ルノテアリ
マス、小學〓育ヲ延長スルニハ地方財政
ノ膨脹等種々ノ支障カアリマセウケレト
モ實業補習〓育ハ地方ノ財政ヲ脅カサス
僅少ナル經費ヲ以テ義務制ト爲スコトカ
出來ルノテアツテ、之ヲ實施スルニモ强
チ割一的ニ全國ノ市町村ニ同時ニ同樣ニ
行ハス町村ナリ府縣ナリノ任意ニシ、或
ル府縣、或ル市町村ニ於テ之ヲ義務トス
ルヤウナ仕方モアリマスカラ、適當ノ方
法ヲ以テ一刻モ速ニ之ヲ義務制トセラレ
タイノテアリマス
尤モ實業補習〓育ノ振興ニ就テハ已ニ第
五十議會ニ於テ三派一致シテ建議シタノ
テアルカ、其ノ際當局ハ「來年度卽チ大
正十五年度ニハ必ス努力シテ之カ實現ヲ
期スル」ト言明シ、貴族院豫算總會ニ於テ
モ岡田文相ハ「實業補習〓育ハ成ルヘク速
ニ全體ニ普及スルノ方法ヲ執ラウ、實業補
習〓育ノ義務制ハ義務〓育年限延長ニ比
較スレハ極メテ實行シ易イ事テアルカラ出
來ルタケ速ニ相當ノ施設ヲスル」ト陳ヘ
ラレ、又昨年ノ地方長官會議ニ於テモ「實
業補習學校ニハ出來得ル限リ適良ナル專
任〓員ヲ置キ又〓員養成機關ヲ完備シテ
之カ改良刷新ヲ圖ルコトヲ急務トスルカ
ラ政府ニ於テハ國庫補助ノ增額、〓
員養成所ノ充實等ニ付特ニ力ヲ致ス考テ
アル、故ニ地方長官モ一層斯〓育ノ振興
ヲ圖リ國民〓育ノ完成上遺憾ナキヲ期セ
ラレタイ」ト訓元セラレテ居ル、斯樣ニ
支相ハ補習〓育ノ振興ニ就キ機會アル每
ニ國民ニ言明シ約束シテ居ラレタノテア
ルカラハ、今議會ニハ之カ實行ニ關スル豫
算モ表ハレルコトヽ信シテ居夕所カ豫算案
ニハ一ツモ夫レラシイモノカ計上サレテ
居ナイノテアル、ツマリ岡田文相ハ自ラ
進ンテ言明シ公約シタコトヲ掌ヲ反ス如
ク勝キニ抛擲シタノテアツテ、其ノ亂暴
ナル態度ニハ驚クノ外ハナイ、尤モ新聞
紙ニハ、文相ハ補習〓育ニ對スル豫算ヲ
要求シタニ拘ラス、大藏省ニ於ケル査定
ノ折財源ナキ故ヲ以テ削除セラレタヤウ
ニ傳ヘラレタカ、義務〓育費國庫負擔金
ノ如キ、二千万圓カ一夜ニ三千万圓ニ增
額サレタ位テアルカラ、二三百万圓ノ金
額ハ如何樣ニモナル筈テ、ソレカ財政ノ
都合テ削ラレタモノトハ何ウシテモ考ヘ
ルコトカ出來ナイ、假リニ左樣テアツタ
トシテモ、又大藏省カ無理解テアツタト
シテモ、苟モ公約シタコトテアルカラ、
誠意カアリ言責ヲ重ンセラレルナレハ極
力之カ實現ヲ期スヘク主張スヘキモノテ
アルト思フ、然ルニ其擧ニ出ナカツタ文
相ノ態度ハ諒解ニ苦シムト共ニ、カヽル
重要ナル要求ヲ創除シタ大藏當局ノ亂暴
サニモ惘レサルヲ得ナイノテアリマス、
今ヤ我カ國内外ノ情勢ハ產業ノ進展トイ
ヒ、國民精神ノ作興トイヒ、普通選擧ニ
伴フ公民〓育ノ普及トイヒ、何レモ實業
補習〓育ニ俟ツヨリ外ハナイノテアツテ、
斯〓育ノ振興ハ眞ニ現下ノ急務テアリ而
モ國家永遠ノ大策テアルト信スルノテア
リマス
本建議案ハ以上ノ理由ニ依テ提出致シマ
シタ次第テアリマシテ、何卒全會一致ヲ
以テ可決セラレンコトヲ希望致シマス
第百四十八越美線速成ニ關スル建議
案(谷口宇右衞門君外二名提出)
越美線速成ニ關スル建議案
越美線速成ニ關スル建議
越美線ハ岐阜縣美濃太田驛ヨリ福井ニ至ル
本國ノ中央部ニ於テ表裏日本ヲ貫通スル最
捷路ノ鐵道ニシテ政府ニ於テモ夙ニ其ノ必
要ノ線路ナルヲ認メ曩ニ岐阜縣美濃太田ヨ
リ起工シ旣ニ美濃太田美濃町間則チ越美
南線ノ一部ハ運轉開始シタリト雖中間夕
ル越美國境ニ山嶽竝列シ工事ノ進捗ヲ遲
延ナラシムル虞アレハ一方福井ヨリモ著
手シ以テ全線ノ速成ヲ期セサレハ地方物
資トシテ最豐富ナル礦物及林產物ノ搬出
ヲ妨ケ國富開發上ヨリスルモ亦軍事上ノ
必要ヨリ見ルモ本線ノ效果ヲ達成スル能
ハス依テ政府ハ速ニ越美北線タル福井ヨ
リモヱ事ニ著手セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百四十九受驗資格撤廢ニ關スル建
議案(山下谷次君提出)
受驗資格撤廢ニ關スル建議案
受驗資格撤廢ニ關スル建議
政府ハ人材登用ノ趣旨ニ於テ高等試驗中
等〓員檢定試驗醫師藥劑師試驗等ノ受驗
資格ヲ撤廢セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百五十瀨戶內海ヲ中心トスル國立
公園設定ニ關スル建議案(山下谷次
君外一名提出)
瀨戶內海ヲ中心トスル國立公園設定ニ
關スル建議案
瀨戶內海ヲ中心トスル國立公園設定
ニ關スル建議
政府ハ日本ハ公園ニシテ瀨戶內海ハ日本
ノ公園ナリト稱セラルル瀨戶內海ヲ中心
トスル國立公園ヲ設定シ以テ内外人ノ一
大樂園タラシムヘシ
右建議ス
第百五十一野岩羽鐵道速成ニ關スル
建議案(高橋元四郞君外二名提出)
野岩羽鐵道速成ニ關スル建議案
野岩羽鐵道速成ニ關スル建議
政府ハ芙城縣古河驛(東北線)ヨリ栃木縣
栃木驛(兩毛線)ヲ經テ鹿沼驛(日光線)ニ
至ル鐵道及栃木縣今市驛(日光線)ヨリ藤
原三依ト福島縣田島トヲ經テ會津若松驛
(磐越線)ニ至ル鐵道又福島縣喜多方驛
(磐越線)ヨリ日中ヲ經テ山形縣米澤驛
(奧羽線)ニ至ル鐵道ヲ速成シ以テ地方ノ
開發ニ供スルト同時ニ國家ノ富源ニ資セ
ラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百五十二日足鐵道速成ニ關スル建
議案(高橋元四郞君外一名提出)
日足鐵道速成ニ關スル建議案
日足鐵道速成ニ關スル建議
栃木縣日光驛(日光線)ヨリ足尾驛(足尾
線ニ達スル十五理ノ連絡線卽チ日足鐵
道ハ政府モ亦疾ク同方面ノ利源開發產業
振興及交通機關ノ完備上其ノ必要ナルヲ
認メ鐵道敷設法別表第三十四號ニ之ヲ編
入セリ加之政府ハ旣ニ日光國立公園設定
ニ關スル調査ヲ完了セリト聞ク從テ該線
路ノ重要ナル意義ヲ加フルコト言ヲ更ム
ルヲ要セス故ニ政府ハ速ニ敷設ノ擧ニ出
テラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百五十三日光國立公園設定ニ關ス
ル建議案(高橋元四郞君外一名提出)
日光國立公園設定ニ關スル建議案
日光國立公園設定ニ關スル建議
栃木縣日光ヲ中心トシ西郡馬縣ニ跨ル一
大寰區ハ山水ノ明媚ニ加フルニ人工ノ極
致ヲ以テシ我カ國民ノ保健及〓化上亦外
客ノ觀光探勝地トシテノ誘致上正ニ世界
的公園トシテノ必要條件タル大風景大趣
味ヲ具備セリト認ム依テ政府ハ速ニ適正
ナル法規ヲ制定シ此ノ日光一帶ノ山岳地
方ヲ國立公園ニ指定シ先ツ官民一般ヲシ
テ其ノ據ル所ヲ知ラシメ一致協力以テ漸
次此ノ事業ノ大成ヲ策セラレムコトヲ望
ム
右建議ス
第百五十四沖繩縣救濟ニ關スル建議
案(宜保成晴君外十六名提出)
沖繩縣救濟ニ關スル建議案
沖繩縣救濟ニ關スル建議
沖繩縣ノ財政經濟ノ狀態ハ疲弊困憊ノ極
ニ達セリ今ニシテ救濟ノ途ヲ講セスムハ
縣民ノ將來ハ實ニ寒心ニ堪ヘサルモノ
アリ政府ハ沖繩縣カ特殊ノ狀態ニアルニ
鑑ミ此ノ際速ニ北海道拓殖計畫ノ如キ根
本的救濟ノ方策ヲ樹テラレムコトヲ望ム
右建議ス
〔補足〕
沖繩縣救済ニ關スル建議案ノ說明ヲ要ヲ
摘ミテ簡單ニ申上ケマス
沖綱縣ハ六十有餘ノ島嶼ヨリ成ル縣デア
リマシテ人口一方里約四千人我カ國一方
里平均二千二百餘人ニ對シ約倍ニ近キ調
密テアリマス
土地狹ク耕地一戶當リ七段五畝歩ニシテ
全國平均ノ六割餘ニシカ當リマセン
天然ノ資源ニ乏シク且ツ旱魃暴風等頗發
シ頗ル惠レサル處デアリマス
元來沖繩縣ハ頗ル貧弱ナル處テアリマス
ルカ爲メニ從來ヨリ或ハ特例ヲ設ケ或ハ
特別ナル補給等ニヨリ國庫ノ援助ノ下ニ
今日ニ及ンテ居リマスルカ
世界大戰後ノ財界ノ恐慌ハ勿論我カ國一
般ニ亙テ居リマスルケレトモ沖繩縣ハ急
速ニ爾モ深刻ニ襲ハレマシテ今日縣民ノ
狀態ハ見ルニ忍ヒサル程テアリマス
今日沖繩ノ現狀ハ迚モ縣民自ラ此不況ヲ
挽回スルコトハ出來マセヌ夫レカ故ニ昨
年五十議會ニ於テハ其救濟建議案カ各派
ヨリ提出ニ相成リ全會一致ヲ以テ本院通
過致シタノテアリマス
議會終了後政府ハ內務大藏農林鐵道等ノ
各省ヨリ人ヲ派遣セラレ親シク視察調査
ヲ遂ケ而シテ十五年度豫算中ニ其救濟資
金トシテ七十餘万圓ヲ計上セラレテアル
ノテアリマス
豫算委員會ニ於テ委員ノ質問ニ對シ農林
大臣ハ百六十二万八千圓ヲ五箇年間ノ救
濟金トシテ支出スル計畫ナリトノ御答辯カ
アルノテアリマスルガ極度ニ疲弊困憊セ
ル沖繩縣ノ狀態ハ如斯小額ヲ以テハ迚モ
救濟スルコトハ出來マセン救濟ノ實ヲ擧
クルコトカ出來ナイコトハ蓋シ政府ト雖
モ御同感テアルト信シマス
沖繩縣ノ現狀ハ此儘ニシテハ置ケナイ速
ニ適當ナル方策ヲ樹テナケレハ縣ノ將來
ハ實ニ寒心ニ堪ヘマセン今沖繩縣ノ狀態
ヲ要ヲ摘ミテ簡單ニ申シ述ヘテ見マスレ
ハ左ノ通リテアリマス卽チ移輸出入ニ於
テ大正八年ヨリ大正十四年ニ至ル七箇年
間ニ移輸入超過額一千八百三十六万九千
餘圓テアツテ一箇年平均額二百六十二万
四千圓トナリマス
國庫關係ニ於テ
大正十三年度國庫ノ收入高ハ租稅及稅外
收入ヲ合スレハ七百二十一万一千四百四
十四圓テアツテ國庫ヨリ支出スルモノヲ
差引キ五百五十餘万圓ノ國庫實收入ト
ナツテ居ルノテアリマス
國庫關係ハ各年大差ハアリマセヌカラ一
箇年ノ例丈ケニ止ムルコトニ致シマス
縣民ノ外國竝ニ縣外移住民ヨリノ送金額
ヲ以テ差引勘定ヲ致シマシテモ一箇年六
百餘万圓ノ通貨ノ流出ヲ見ルコトニ相成
ルノテアリマス
沖繩縣ノ如キ貧弱ナル處ヨリ年々如斯多
額ノ通貨ノ流出ヲ來シマシテハ財的破綻
ノ運命ニ陷ルコトハ火ヲ睹ルヨリ明テア
リマス
現ニ縣民ノ設立セル銀行ハ三行シカアリ
マセヌカ其三銀行全部破綻狀態ニ陷リ昨
年來營業中止ヲ致シ目下整理中テアリマ
ス
國稅地方稅ノ滯納者續出シ年一年增加シ
ツヽアルノテアリマス
國稅調定額大正十二年度五百十万七千
八百七十五圓ニ對シ滯納額三十九万九千
七百四十九圓テアリマシテ調定額ノ約八
分ニ當リ
縣稅調定額大正十三年度八十二万八千
六百六十一圓ニ對シ滯納額十万一千百五
十一圓ニシテ其一割二分强ニ當リ
市町村稅調定額大正十三年度百七十六
万八千三百八十一圓ニ對シ、滯納額二十
四万七千七百六十圓ニシテ其一割四分ニ
當リマス
國稅滯納者大正十年度五千七百九十三
人テアリマシタカ大正十三年度ニハ八千
八百九十四人トナリ
縣稅帶納者大正七年三千二百三十五人
ナリシカ大正十二年度ニハ五万一千百十
四人ニ激增シテ居リマシテ年々如何ニ曾
加シツヽアルカ推知セラルヽコトヽ存シ
マス
大正十二年度ニ於キマシテ農業者ガ銀行
其他金利業者ヨリ融通ヲ受ケタル金額ハ
六百四十七万八千圓ニシテ農家一戶當リ
八十九圓トナリマス若シ個人間ノ貸借關
係ヲ粘査致シタナラハ農家ノ八割ハ正ニ
負債ノ重荷ニ苦シミツツアリト稱セラレ
テ居リマス
縣民ノ多數ヲ占ムル農民ハ耕作シ得タル
甘藷ヲ以テ食糧トシ砂糖ヲ製造シテ金ニ
換ヘマシテ生計ヲ維持シテ居リマスルカ
大正十年以來糖價カ暴落シマシタ爲メ今
ヤ其生產費ヲ償フコトカ出來ヌ狀態ニ陷
リテ居リマス卽チ大正十三年度ノ計算ニ
ヨレハ一反當リノ砂糖收入ハ七十圓二十
錢ニシテ其生產費七十四圓四十三錢テ差
引四圓二十三錢ノ損失ヲ來シテ居ルノテ
アリマス
米麥豆等ノ食糧品及ヒ其他生活必需品ノ
多クハ移入ニ仰クヲ以テ縣民ノ生活狀態
ハ慘憺タルモノテアリマス
山林地積ハ十三万六千五百五十三町步ア
リマスルカ亂伐ノ結果年々六七十万圓ノ
多額ノ建築用材ハ移入ニ俟チ遠カラス日
常ノ薪炭ヲ得ル能ハサルニ至ルテアラウ
ト憂慮サレテ居ルノテアリマス
要スルニ沖繩縣ハ
年々數百万圓ノ多額ノ通貨ハ流出シ
唯一移出換金產物テ沖繩縣經濟ノ生
命トモ稱スヘキ砂糖ハ生產費ヲ償フコ
トカ出來ス
金融機關タル銀行ハ破綻ニ陷リ
國稅、地方稅ハ租稅カ以上ニ負擔セ
サルヘカラサル狀態テアリマス
山林ハ亂伐シテ荒廢ニ期シ
交通機關(鐵道等ノ如キ)〓育機關等
其他國家施設一モアリマセヌノデ其恩
典ニ浴セサルノミナラス
米麥豆等ノ食糧品其他生活必需品ノ
ハ自給自足カ出來マセン多ク移入ニ仰
クヲ以テ米穀法關稅定率法等ニヨリ一
般農產物保護政策ニハ却ツテ脅威ヲ受
クルノデアリマス今回ノ關稅定率法改
正ニヨリテモ少カラサル打擊ヲ受ケテ
居ルノテアリマス
以上申上ケタルカ如ク沖繩縣ハ特殊ノ狀
態ニアルノテアリマス
此度政府カ御樹テニナリマシタル五十二
万餘圓ノ產業助成金及ヒ縣費補給金增額
六万四十圓等テハ迚モ救濟カ出來ナイコ
トト信シマスルカ故ニ此際根本的救濟策
トシテ北海道拓殖計畫ノ例ニ做ヒマシテ
沖繩縣ヨリノ國庫ノ實收人ナルヘク全部
或ハ其大部分ヲ一定期間同縣ヘ與ヘラレ
而シテ徹底的ニ救濟ヲシテ頂キタイト存
シマシテ再ヒ各派ノ御贊同ヲ得テ本案ヲ
提出致シタ次第テアリマス何卒各位ノ御
賛成ヲ願ヒマス
第百五十五樣似漁修築ニ關スル建議
案(手代木隆吉君外六名提出)
シヤマニ
樣似漁港修築速成ニ關スル建議案
樣似漁港修築速成ニ關スル建議
政府ハ北海道日高國樣似村ニ漁港ヲ修築
速成セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百五十六羽幌下沙流別間鐵道敷設
速成ニ關スル建議案(淺川浩君外六
名提出)
羽幌下沙流別間鐵道敷設速成ニ關スル
建議案
羽幌下沙流別間鐵道敷設速成ニ關ス
ル建議
政府ハ天鹽國羽幌ヨリ天鹽ヲ經テ下沙流
別ニ至ル鐵道敷設ヲ速成セラレムコトヲ
望ム
右建議ス
第百五十七壽都漁港修築速成ニ關ス
ル建議案(澤田利吉君外六名提出)
スツツ
奇都漁港修築速成ニ關スル建議案
壽都漁港修築速成ニ關スル建議
政府ハ北海道毒都郡壽都町ニ漁港修築ヲ
速成セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百五十八船泊村ニ避難港築設ニ關
スル建議案(淺川浩君外六名提出)
船治村ニ避難港築設ニ關スル建議案
船泊村ニ避難港築設ニ關スル建識
北海道禮文郡船泊村ニ避難港ヲ築設セラ
レムコトヲ望ム
右建議ス
第百五十九名寄羽幌間鐵道敷設速成
ニ關スル建議案(淺川浩君外六名提
出
名寄羽幌間鐵道敷設速成ニ關スル建議
案
名寄羽幌間鐵道敷設速成ニ關スル建
議
政府ハ天鹽國名寄ヨリ石狩國雨龍ヲ經テ
天鹽國羽幌ニ至ル鐡道ヲ速ニ敷設セラレ
ムコトヲ望ム
右建議ス
第百六十京濱運河速成ニ關スル建議
案(戶井嘉作君外一名提出)
京濱運河速成ニ關スル建議案
京濱運河速成ニ關スル建議
政府ハ速ニ東京横濱兩市ヲ連絡スル運河
開鑿ノ計畫ヲ確立スヘシ
右建議ス
第百六十一蠶絲局設置ニ關スル建議
案(樋口秀雄君外十六名提出)
蠶絲局設置ニ關スル建議案
蠶絲局設置ニ關スル建議
政府ハ本院數次ノ建議ニ基キ速ニ蠶絲局
設置ノ實現ヲ期セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百六十二京濱運河速成ニ關スル建
議案(若尾幾太郎君外一名提出)
京濱運河速成ニ關スル建議案
京濱運河速成ニ關スル建議
政府ハ速ニ東京横濱兩市ヲ連絡スル運河
開鑿ノ計畫ヲ確立スヘシ
右建議ス
第百六十三新町小海間鐵道建設ニ關
スル建議案(井本常作君外四名提出)
新町小海間鐵道建設ニ關スル建議案
新町小海間鐵道建設ニ關スル建議
本線ハ國有鐵道高崎線新町驛ヨリ分岐シ
藤岡鬼石神川上野ノ各町村ヲ經テ長野縣
佐久鐵道小海驛ニ達スル鐵道ナリ政府ハ
速ニ之ヲ鐵道網ニ編入シ且其ノ敷設ノ計
畫ヲ立テラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百六十四下仁田三反田間鐵道建設
ニ關スル建議案(井本常作君外四名
提出)
下仁田三反田間鐵道建設ニ關スル建議
案
下仁田三反田間鐵道建設ニ關スル建
議
政府ハ群馬縣北甘樂郡上信電氣鐵道下仁
田驛ヨリ北甘樂郡靑倉、磐戶、月形、尾
澤ノ各村ヲ經テ長野縣南佐久郡佐久鐵道
三反田驛ニ連絡スル鐵道ヲ速ニ建設シ地
方文化ノ開發ヲ計リ鐵者交通政策ノ實ヲ
擧ケラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百六十五金澤市ニ鐵道局設置ニ關
スル建議案(佐藤實君外四名提出)
金澤市ニ鐵道局設置ニ關スル建議案
金澤市ニ鐵道局設置ニ關スル建議
近時鐡道ノ敷設盛ニシテ哩數ノ延長甚シ
キモノアルニ拘ラス之カ管理ノ任ニ當ル
ヘキ鐵道局ノ設置ハ未タ之ニ伴ハサルモ
ノアルヲ遺憾トス殊ニ北陸地方ニ於テ其
ノ然ルモノアルヲ認ム故ニ同地方ニ鐵
道局ノ新設ヲ必要トスル所以ナリ抑〓
北陸地方ハ裏日本運輸交通ノ要路ニ當
リ而モ金澤市ハ北陸地方ニ於テハ勿論裏
日本ニ於ケル首都ナルノミナラス敦鶴線
ノ開通ニ依リ大阪山陰地方ト北陸地方ト
ノ聯絡ハ便益ヲ來タシ村上線及山陰本線
モ亦開通ヲ見タルヲ以テ茲ニ裏日本貫通
鐵道ノ完成ヲ告ケ其ノ結果北海道竝靑森
方面ト關西竝九州地方トノ交通ハ北陸線
ヲ利用スルニ至レリ加フルニ金澤ヲ起點
トスル七尾線ハ私設能登鐵道ノ開通ニ依
リ愈交通運輸上ニ至便ヲ與ヘ更ニ能登內
浦鐵遠敷設セラレムカ能登半島ノ貨物ハ
金澤ニ集中セラルルニ至ルヘク其ノ他八
尾線竝金名線ノ兩豫定線ヲ有スルニ止マ
ラス金澤市ニハ第九師團ノ設置アリテ軍
事上ヨリスルモ鐵道トハ極メテ重大ナル
關係ヲ有シ且鐵道關係ノ機關トシテハ既
ニ運輸保線兩事務所鐵道郵便局鐵道工場
等ノ設置アルヲ見テモ如何ニ金澤市カ其
ノ管掌聯絡ノ首位地ニアルカヲ知リ得ヘ
ク殊ニ肅潮及北鮮地方トハ海上ニ於ケル
交通貿易上最密接ヲ極メ現ニ同地方ニハ
七尾港ヨリ定期航路ヲ有シツツアリ對露
貿易交通ハ我カ國現在及將來ニ於テ最善
ノ努力ヲ爲スヘキ今日此ノ要港ヲ控ヘル
金澤市ノ重要地タルハ勿論北海道樺太其
ノ他ニモ定期航路ヲ有シ文物ノ發達上竝
經濟ノ中核地タル點ヨリ謂フモ人口ノ多
數ヨリスルモ將又諸機關ノ整備ヨリスル
モ裏日本ニ其ノ比アル都市ヲ見ス特ニ北
陸沿線ハ冬期降雪甚シク恆ニ交通運輸上
ニ支障ヲ來タシ應急施設ノ如キ大ナル不
便ヲ來タシ爲ニ被害頻出ノ實狀ヲ示シツ
ツアリ現狀既ニ斯ノ如ク海陸ノ交通運輸
共ニ統轄的機關ノ必要ヲ痛感スルニ當リ
其ノ鐵道局ヲ設置セラルルニ付最好適地
タル金澤市ニ之ヲ設ケ以テ一切ノ障害ヲ
除キ管理ノ完備ヲ圖ラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百六十六出雲太社宏道湖及中海ヲ
中心トスル國立公園設定ニ關スル建
議案(原夫次郞君外二名提出)
出雲太社宍道湖及中海ヲ中心トスル國
立公園設定ニ關スル建議案
出雲大社去道湖及中海ヲ中心トスル
國立公園設定ニ關スル建議
政府ハ出雲大社所在地方ヨリ大山ニ至ル
ノ問宍道湖中海ヲ中心トスル國立公園設
定ノ計畫ヲ定メ之カ速進ノ措置ヲ執ラレ
ムコトヲ望ム
右建議ス
第百六十七福島縣松川浦ニ避難港兼
漁港築設ニ關スル建議案(佐藤富十
郞君外三名提出)
福島縣松川浦ニ避難港兼漁港築設ニ關
スル建議案
福島縣松川浦ニ避難港兼漁港築設ニ
關スル建議
福島縣相馬郡松川浦原釜ハ太平洋ニ面シ
金華山沖ニ連レル本邦三大漁場ノ一ト稱セ
ラルル漁區ナルヲ以テ宮城茨城千葉ノ各縣
ノ漁民ハ此ノ地ニ集中シ漁船輻輳シ其ノ處
置ニ困難シ居ルノミナラス一朝暴風雨ニ
際シテハ其ノ漁船ノ避難スヘキ設備ヲ有ス
ル良港ナク又燈臺ノ設置ナク其ノ方向サ
へ知ルニ困難ニシテ年年難破溺死スル者
尠カラス是等人命ヲ救助シ一面漁業ノ發
展ヲ圖リ太平洋方面ノ漁業政策ヲ確立セ
ムカ爲政府ハ松川浦原釜ニ避難港兼漁港
ヲ築設セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百六十八金澤市ニ高等師範學校設
置ニ關スル建議案(佐藤實君提出)
金澤市ニ高等師範學校設置ニ關スル建
議案
金澤市ニ高等師範學校設置ニ關スル
建議
近來中等〓育ノ向上發達ニ連レテ之ニ要
スル中等學校〓員ノ需要年ヲ追フテ增加
シツツアルニ鑑ミ政府ハ石川縣金澤市ニ
高等師範學校ヲ設置シ以テ優良ナル中等
〓員ノ養成ニ努メラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百六十九遠信鐵道速成ニ關スル建
議案(山本勝次君外一名提出)
遠信鐵道速成ニ關スル建議案
遠信鐵道速成ニ關スル建議
本鐵道ハ靜岡縣濱松驛ヨリ二俣及長野縣
飯田ヲ經テ辰野驛ニ至ル本州中央ニ於ケル
東海道線ト中央線トヲ連絡スル重要線ニシ
テ政府モ今囘其ノ一部タル二俣佐久間線
ヲ新計畫中ニ加へ大正十七年度ヨリ著手
スルニ至レリト雖尙私設鐵道トノ連結上
ニモ缺クル所アルヲ遺憾トス政府ハ速ニ
之カ完整ヲ期スル計畫ヲ樹立セラレタシ
右建議ス
第百七十越中島線敷設速成ニ關スル
建議案(太田信治郞君外二名提出)
越中島線敷設速成ニ關スル建議案
越中島線敷設遞成ニ關スル建議
東京ニ於ケル荷物輻輳ハ逐年增加シ現在
ノ隅田川秋葉原汐留其ノ他ノ貨物驛ノミ
ニテハ多少ノ擴張改良ヲ爲スモ其ノ運輸
機能ヲ完全スルコトヲ得ス加フルニ帝都
復興ニ要スル貨物ト將來東京灣築港及都
市計畫ニ依ル商工業地帶ノ發展ニ對シ貨
物輸送ノ敏活ト水陸連絡設備ヲ爲シ以テ
配達料ノ輕減ヲ計リ產業ノ振興ト物償講
節ニ資スル爲本鐵道ヲ延長シテ越中島ニ
大停車場ヲ建設シ以テ貨物集散ノ設備ヲ
爲シ運輸交通ノ科便ヲ計ルハ目下ノ急務
ナリ政府ハ速ニ之カ完成ヲ期セラレムコ
トヲ望ム
右建議ス
第百七十一拓殖省設置ニ關スル建議
案(〓水留三郎君外二名提出)
拓殖省設置ニ關スル建議案
拓殖省設置ニ關スル建議
政府ハ拓殖行政ノ振興ヲ圖ル爲速ニ拓殖
省ヲ設置スヘシ
右建議ス
第百七十二民間航空事業促進ノ爲政
府ノ施設ニ關スル建議案(安藤正純
君提出)
民間航空事業促進ノ爲政府ノ施設ニ關
スル建議案
民間航空事業促進ノ爲政府ノ施設ニ
關スル建議
民間航空事業促進ノ爲政府ハ速ニ左ノ諸
施設ニ著手シ其ノ完成ヲ期スルヲ要ス
一國內ノ首要都市間ニ航空路ヲ設置シ
次テ之ヲ隣邦要地ニ延長スルコト
二航空輸送補助法ノ制定
三航空機製造補助法ノ制定
右建議ス
第百七十三溫泉法規制定ニ關スル建
議案(平川松太郞君外三名提出)
溫泉法規制定ニ關スル建議案
溫泉法規制定ニ關スル建議
我カ邦ニ於テ現ニ湧出セル溫泉ヲ土地ト
分離シテ一種ノ財產權ヲ認メ之ヲ處分若
ハ擔保ト爲スノ法規存在セス且溫泉濫掘
ノ弊アルカ故ニ溫泉業者ノ保護發達ヲ阻
害スルモノ實ニ甚シキモノアリ故ニ政府
ハ適當ノ法規ヲ制定セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百七十四帝國在〓軍人會國庫補助
ニ關スル建議案(作間耕逸君外二名
提出)
帝國在〓軍人會國庫補助ニ關スル建議
案
帝國在〓軍人會國庫補助ニ關スル建
議
帝國在〓軍人會ハ創立以來玆ニ十有七年
全國ニ亙リテ一萬三千ノ分會ト三百萬ノ
會員トヲ有シ常ニ聖旨ヲ奉體シテ軍人
精神ヲ鍛練シ軍事能力ヲ曾進シ延テ社會
ノ公益ヲ圓リ風〓ノ振作ニ努力シ其ノ實
蹟顯著ナルモノアリ而シテ其ノ會運ノ盛
衰ハ國防ノ消長ニ關スルノミナラス國民
精神ノ隆替ニ關スルコト極メテ切ナリ今
ヤ政府ハ汎ク靑少年訓練ノ企〓アリト聞
ク果シテ然ラハ靑少年訓練ノ實施ニ當リ
テハ在〓軍人會ノ協力ヲ要望スルコト益
多カラムトス仍テ國家ハ之ニ對シ相當ノ
補助ヲ爲シ之カ發達ヲ助長セシメムコト
ヲ望ム
右建議ス
第百七十五鶴岡、羽前高松間鐵道敷
設ニ關スル建議案(石川長右衞門君
外七名提出)
鶴岡、羽前高松間鐵道敷設ニ關スル建
議案
鶴岡、羽前高松間鐵道敷設ニ關スル
建議
政府ハ鶴岡羽前高松間ノ鐵道ヲ敷設セラ
レムコトヲ望ム
右建議ス
第百七十六酒田眞室川間鐵道敷設ニ
關スル建議案(齊藤金吾君外一名提
也
酒田眞室川間鐵道敷設ニ關スル建議案
酒田眞室川間鐵道數設ニ關スル建議
政府ハ山形縣下酒田ヨリ觀音寺ヲ經奧羽
本線眞室川驛ニ通スル鐵道敷設ノ計畫ヲ
定メ其ノ速成ヲ計ラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百七十七鶴岡市ニ高等師範學校新
設ニ關スル建議案(齋藤金吾君外一
名提出)
鶴岡市ニ高等師範學校新設ニ關スル建
議案
鶴岡市ニ高等師範學校新設ニ關スル
建議
山形縣鶴岡市ニ高等師範學校ヲ新設セラ
レムコトヲ望ム
右建議ス
第百七十八荒砥左澤間鐵道速成ニ關
スル建議案(石川長右衛門君外八名
提出)
アテラザハ
荒砥左澤間鐵道速成ニ關スル建議案
荒砥左澤間鐵戸速成ニ關スル建議
政府ハ山形縣荒砥ヨリ左澤ニ至ル間ノ鐵道
ヲ速成セラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百七十九庄原區裁判所管轄區域變
更ニ關スル建議案(渡邊伍君外二名
提出)
庄原區裁判所管轄區域變更ニ關スル建
議案
庄原區裁判所管轄區域變更ニ關スル
建議
住原區裁判所ノ現在管轄スル土地ノ上ニ
左記町村ヲ變更編入セラレムコトヲ望ム
廣島縣甲奴郡
同縣神石郡ノ内高光村永渡村古
川村
(以上福山區裁判所管轄)
同縣比婆郡ノ内口南村口北村上
高野山村下高野
山村
(以上三次區裁判所管轄)
右建議ス
第百八十貴生川加茂間鐵道速成ニ關
スル建議案(高井商二君外三名提出)
貴生川加茂間鐵道速成ニ關スル建議案
貴生川加茂間鐵道速成ニ關スル建議
政府ハ速ニ草津線貴生川驛ヨリ〓西本線
加茂驛ニ至ル鐵道ノ數設ヲ速成シ以テ交
通運輪ノ便ヲ開キ產業開發ノ實ヲ擧ケラ
レムコトヲ望ム
右建議ス
第百八十一淡水魚族增殖施設ニ關ス
ル建議案(藤澤萬九郎君提出)
淡水魚族增殖施設ニ關スル建議案
淡水魚族猶殖施設ニ關スル建議
政府ハ淡水水產相源開發ノ急務ナルニ鑑
ミ左ノ施設ヲ完備シ以テ地方產業ノ振興
竝食糧生產ノ增加ニ資セラレムコトヲ望
ム
國立淡水魚族試驗〓究機關
一國立種苗場ノ設置
一琵琶湖鱒放流事業ノ國營
右建議ス
第百八十二關ケ原木ノ本間鐵道速成
ニ關スル建議案(藤澤萬九郞君外二
名提出)
關ケ原木ノ本間鐵道速成ニ關スル建議
案
關ヶ原木ノ本間鐵道速成ニ關スル建
議
政府ハ速ニ東海道本線關ケ原ヨリ北陸本
線本ノ本驛ニ至ル鐵通ノ數設ヲ速成シ以
テ交通運輸ノ便ヲ開キ國防ノ用ニ供シ竝
產業開發ノ實ヲ擧ケラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百八十三北海道治水ニ關スル建議
案(岡田伊太郞君外三名提出)
北海道治水ニ關スル建議案
北海迴治水ニ關スル建議
北海道治水ニ對スル既定計畫ノ促進ヲ圖
ルト共ニ左記河川其ノ他樞要ナル河川ニ
シテ未タ治水計畫ノ樹立セサルモノニ對
シテハ根本的計畫ヲ立テ之カ遂行ヲ速成
セラレムコトヲ望ム
一石狩川一豐平川一江別川
夕張州一千歲川一空知川
一雨龍川一忠別川一美瑛川
一十勝川一利別川(十勝)一札内川
一音更川一天鹽川一名寄川
一釧路川一常呂川後志川
湧別川一網走川一沙流川
鵡川一諸滑川一阿寒川
一利別川(後志)一留萌川
一其ノ他樞要ナル河川
右建議ス
第百八十四東京都制糸施ニ關スル建
議案(作間耕逸君外二十三名提出)
東京都制急施ニ關スル建議案
東京都制急施ニ關スル建議
政府ハ既ニ東京都制案提出ノ準備成レリ
ト聞ク此ノ際急速提案シテ其ノ施行ニ努
メラレムコトヲ望ム
右建議ス
第百八十五北海道甜菜糖業補助ニ關
スル建議案(松實喜代太岩外三名提出)
北海道甜菜糖業補助ニ關スル建議案
北海道甜菜糖業補助ニ關スル建議
北海道ニ於ケル甜菜糖業ハ前途頗ル多望
ナリト雖甜菜耕作者ハ未夕其ノ耕作ニ慣
レサルヲ以テ收支相償ハス頗ル困憊ノ狀
態ニアリ政府ハ速ニ北海道甜菜糖業補助
法ヲ制定シ甜某耕作者ニ對シ適當ノ補助
ヲ與へ斯業ノ發展ヲ助成セラレムコトヲ
望ム
右建議ス
第百八十六帝國在郷軍人會國庫補助
ニ關スル建議案(松岡俊三君提出)
帝國在〓軍人會國庫補助ニ關スル建議
案
帝國在〓軍人會國庫補助ニ關スル建
議
帝國在〓軍人會ハ明治天皇ノ御裁可ヲ
仰キ明治四十三年創設セラレ爾來十有七
年ヲ經過シ整然タル一萬四千有餘ノ〓體
ヲ以テ組織セラレ三百萬ノ會員ハ一致協
力聖旨ヲ奉戴シ軍入精神ヲ鍛練シ軍事
能力ヲ增進スルニ努メ更ニ進ムテ社會ノ
公益ヲ圖リ風〓ヲ振作シ恒ニ國家ノ干城
國民ノ中堅タルノ實ヲ擧クルヲ以テ目的
トシ其ノ功績少カラス其ノ發展如何ハ國
防ノ消長ニ關スルノミナラス國民精神ノ
振否ニ關ヌルモノ頗ル大ナリ今ヤ當局ハ靑
少年訓練ノ企圖アリ然ラハ其ク有終ノ美ヲ
爲サムト欲セハ在〓軍人會ノ協力ヲ要望
スルコト益切ナルモノアリ依テ政府ハ在
〓軍人會ニ對シ國庫補助ヲ爲シ以テ其ノ
發展ヲ助長セシメムコトヲ望ム
右建議ス
第百八十七帝國在郷軍人會國庫補助
ニ關スル建議案(池田泰親君提出)
帝國在〓軍入會國庫補助ニ關スル建議
案
帝國在〓軍人會國庫補助ニ關スル建
議
帝國在〓軍人會ハ先帝陛下ノ御栽可ニ
依リ明治年間ノ創設ニ係リ爾來十有七年
間整然トシテ一萬四千有餘ノ圈體ヲ以テ
三百萬ノ會員ヲ有シ一致協同聖旨ヲ奉
戴シ軍人ノ精神ヲ鍛練シ軍事能力ヲ增進
シ更ニ進ムテ社會公共ニ竭シ風〓ヲ振興
シ恒ニ國家ノ干城トナリ又國民ノ中堅タ
ルヲ以テ任シ其ノ功績少カラス則チ本會
ノ發展如何ハ國防ノ消長ニ關スルノミナ
ラス國民精神ノ振否ニ關係大ナリ今ヤ靑
少年訓練ノ企圖アリ我カ在〓軍人會ノ協
力ヲ要望スルコト益切ナリ依テ政府ハ在〓
軍人會ニ對シテ國庫補助金ヲ交付シ其ノ
發展ヲ助長セシムルコトヲ望ム
右建議ス
第百八十八衛生組合法制定ニ關スル
建議案(大里廣次郞君外三名提出)
衞生組合法制定ニ關スル建議案
衞生組合法制定ニ關スル建議
單行法ニ依ル衞生組合法ノ制定ハ帝國ノ
現狀ヨリ觀テ國民衞生ノ普及ヲ圖ル爲一
日モ早カナラムコトヲ要ス卽チ第五十囘
議會ニ於テ滿場一致此ノ建議案ヲ可決セ
リ依テ政府ハ速ニ是カ制定アラムコトヲ
要望ス
右建議ス
第百八十九京都高等蠶業學校ニ製絲
科設置ニ關スル建議案(川崎安之助
君外一名提出)
京都高等蠶業學校ニ製絲科設置ニ關ス
ル建議案
京都高等蠶業學校ニ製絲科設置ニ關
スル建議
我カ國ノ蠶業ハ輓近關西地方ニ於テ特ニ
其ノ隆盛ヲ〓シ產額ハ著ンク增進シテ殆
ト關束ノ壘ヲ靡セムトシ繭絲トモニ其ノ
品質ノ優斯界ニ冠タルハ事實ノ證明スル
所ナリ
京都高等蠶業學校ハ創設以來既ニ二十有
餘年ノ歲月ヲ閱シ幾多有爲ノ人材ヲ養成
シテ我カ蠶業界ニ貢獻スルコト極メテ多
ク前記關西地方最近ノ異數ナル斯業ノ發
達ハ實ニ同校ニ負フ所最大ナリ今ヤ同校
ハ其ノ設備內容次第ニ完成ニ進ミツツア
リト雖獨リ製絲科ノ設置ヲ缺ケルハ頗ル
遺憾ニシテ同校本來ノ使命ヲ完ウスル能
ハサルカ故ニ政府ハ速ニ之ヲ併置シ以テ
蠶業界中樞ノ人材〓養ノ上ニ其ノ完全ヲ
期スルト共ニ製絲ニ關スル高等〓育ノ充
實ヲ圖ラムコトヲ望ム
右建議ス
第白九十拓殖殖設置ニ關スル建議案
(牧山耕藏君外八名提出)
拓殖省設置ニ關スル建議案
拓殖省設置ニ關スル建議
我カ國ハ領土狭隘ニシテ資源豐ナラス列
强近時ノ經濟的發展ト國內ニ於ケル人口
增加ノ趨勢トニ鑑ミ帝國國運ノ盛衰ハ一
ニ繫リテ國民ノ對外發展ニ在リト謂フヘ
シ今ニシテ之カ根本方針ヲ確立シ拓殖事
業ノ保護獎勵移植民ノ指導誘掖ニ努ムル
ニ非サレハ他日噬勝ノ悔アルヘシ若夫レ朝
鮮臺灣關東州樺太及南洋群島ノ開拓發展
如何ハ國力ノ消長ニ影響スル所極メテ重
大ナリ殊ニ是等ノ拓殖地ハ政治上經濟上
又社會上內地卜密接不離ノ關係ニ在リ
拓殖地ヲ輕視シテ帝國ノ國是ヲ樹立シ國
策ヲ遂行シ得ヘキニ非ス然ルニ從來是等
ノ事務ヲ統轄スル中央行政機關ヲ見ルニ
改廢常ナク微微トシテ振ハス拓殖行政ノ
實效ヲ期スルニ遺憾尠カラス依テ政府ハ
速ニ一省ヲ設置シ以テ拓〓〓政政ノ實結ヲ
擧ケムコトヲ望ム
右建議ス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=105
-
106・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 別ニ御異議ナシト認
メマス、仍テ日程第七十七乃至百九十ノ建
議案ハ動議ノ如ク可決致シマシタ-尙ホ
理由書掲載御希望ノ諸君ハ、成ベク早ク御
提出ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=106
-
107・井本常作
○井本常作君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
捍出致シマス、卽チ日程第五十四、九山浪
彌君外六名提出北海迫農地幹別處理法案
ヲ繰上ゲ上程シ、其審議ヲ進メラレンコト
ヲ望ミマス
〔「賛成」「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=107
-
108・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 只今ノ井本君ノ日程
變更ノ動議ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=108
-
109・粕谷義三
○議長(粕谷義 二五)御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更サレマシタ、卽チ茲ニ
日程第五十四、北海道農地特別處理法案ノ
第一讀會ヲ開キマス-丸山浪彌君
第五十四北海道農地特別處理法案
(丸山浪彌君外六名提出)第一讀會
北海迫農地特別處理法案
北海道農地特別處理法
第一條政府ハ北海道払殖ノ爲自作農業
者ヲ扶値シ土地ノ利用ヲ增進スル目的
ヲ以テ勅令ノ定ムル所ニ依リ必要ナル
土地ヲ買入若ハ收用シ又ハ之カ賣拂ヲ
爲スコトヲ得
第二條前條ノ規定ニ依ル買人又ハ收用
ノ場合ニ於テ土地所有者其ノ他關係人
ニ支拂フヘキ對償又ハ補償金ハ勅令ノ
定ムル所ニ依リ國債證劵ヲ以テ之ヲ交
付スルコトヲ得
第三條政府ハ前條ノ規定ニ依リ交付ス
ル爲六千萬圓ヲ限リ公債ヲ發行スルコ
トヲ得
前項ノ規定ニ依ル公債ノ發行價格差減
額ヲ補塡スル爲必要アル場合ニ於テハ
前項ノ制限以外ニ公債ヲ發行スルコト
ヲ得
第四條本法ニ依リ處理スヘキ土地ノ選
定、買人、收用、整理改良又ハ賣拂ニ
關スル事項ハ北海道農地特別處理委員
會ノ議ヲ經テ北海道廳長官之ヲ決定ス
ヘシ
北海道農地特別處理委員會ニ關スル規
程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條第一條ノ規定ニ依ル土地ノ收用
ニ關シテハ土地收用法ヲ適用ス但シ前
條第一項ノ規定ニ依ル決定ヲ以テ土地
牧用法ニ依ル事業ノ認定ト看做ス
第六條本法ニ依リ賣拂ヲ爲ス土地ノ面
積及土地ノ買受人ノ資格ハ命令ヲ以テ
之ヲ定ム
第七條土地ノ買受人ハ土地代金ノ百分
ノ十以上ヲ支拂ヒタルトキハ其ノ所有
權ノ移轉ヲ求ムルコトヲ得但シ殘額支
拂ノ擔保トシテ其ノ土地ニ抵當權ヲ設
定スヘシ
第八條土地ノ買受人ハ土地代金ノ全額
ヲ支拂ヒタル後ニ非サレハ其ノ土地ニ
質權、抵當權、地上權若ハ永小作權ヲ
設定シ又ハ其ノ土地ヲ貸付若ハ譲渡ス
コトヲ得ス但シ北海道廳長官ノ承認ヲ
得タル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第九條土地ノ買受人カ土地代金ノ全額
支拂前ニ前條ノ規定ニ違反シ又ハ買受
條件ニ違反シタルトキハ之ヲシテ直ニ
土地ヲ返還セシメ又ハ土地代金ノ殘額
ヲ一時ニ支拂ハシムルコトヲ得
第十條本法ニ依ル土地ノ買入、〓用又ハ
賣拂ニ關シテハ印紙稅及登錄稅ヲ免除
ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔丸山浪彌君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=109
-
110・丸山浪彌
○九山浪彌君 本案ハ北海道農地特別處理
法トシテアリマスルガ、事ハ北海道ニ關ジ
マシテモ、其實ハ帝國ノ富源開發食糧政策
ニ及プ所ノ現代國策上ノ重大問題デアルト
信ズルノデアリマス、併ナガラ此問題ハ業
ニ已ニ當議會ニ於テモ再三ノ建議ガアリマ
シテ、滿場一致ヲ以テ可決セラレタル所ノ
歴史ヲ持チ、殊ニ先ノ議會ニ於キマシテハ、
三派協調ノ下ニ一億万圓ノ地方債ノ募集ヲ
爲シテ、三十箇年ニ五十万町步ノ土地ヲ處
理スルト云フヤウナ案ガ提出セラレ、本會
ニ於テハ憲政會モ、政友會モ二千万圓ニ修
正ノ上滿場一致ヲ以テ可決セラレタル案、
否、唯〓中正倶樂部一人ノ反對者アルノ
ミニシテ、殆ド絕對多數ヲ以テ可決セラレ
タル所ノ案デアリマスルガ故ニ、私ハ玆ニ
餘リ多クノ理由ヲ述ベマセヌガ、唯〓簡單ニ
昨年提出セラレタル所ノ法律ト異ナル所ノ
一部ヲ述ベテ、諸君ノ御參考ニ供シタイト
思フノデアリマス、昨年ノ提案ハ北海道ノ
地方債ニ依ルモノデアリマスルガ、本年ノ
法案ハ直ニ國債ニ依ルモノデアリマス、唯〓
地方債ニ依ルモ國債ニ依ルモ國庫ノ負
擔補助スル所ノ額ニ相違ハナイノデアリ
マン、而シテ本年ノ此法律案ハ六千万圓ニ
シテ、十五箇年ニ二十五万町步ヲ處理スル
ト云フノ案デアリマス、唯、茲ニ一言申上
ゲタイコトハ此案ガ或ル意味ニ於テ或ル
方面ノ一部ニ疑惑ヲ懷カレテ居ルガ如キコ
トヲ耳ニスルノデアリマスガ、本案ハ諸君
モ知ルガ如ク北海道協會ニ於テ、而モ此協
會ニハ憲政會ノ長老加藤政之助君モ理事デ
アル、現北海道長官中川健藏君モ役員デア
ル是等ノ諸君ガ皆參加ナシタル上ニ於テ
是等ノ案ガ成立致シタルモノデアリマス、
北海道ノ道論トシテハ勿論何人モ反對スル
者デハナイノデアリマスルガ、唯〓此長官
若クハ憲政會ニ居ル立場ノ人ハ、現代ノ政
局ノ關係ノ上ニ於テ、直ニ贊成ヲスルコト
ノ出來ナイト云フ意見ヲ述ベラレタコトヲ
承知シテ居ルノデアリマス、唯〓ソレダケ
ノコトニシテ、全然本案ハ滿場諸君大多數
ノ御贊成ヲ以テ通過セラルヽコトヲ希望致
シマス、簡單ニ理由ヲ述ベテ御賛成ヲ願ヒ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=110
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111・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 質疑ノ通告ガアリマ
ス、之ヲ許シマス-山本厚三君
〔山本厚三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=111
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112・山本厚三
○山本厚三君 本案ニ付キマシテ、只今提
案者ノ一人タル丸山君ヨリ極メテ簡單ナル
御說明ガアリマシタガ、其本案御提出ノ大
體ノ趣意ニ於キマシテハ、吾々モ反對ヲ致
サナイノデアリマスルガ、唯〓此提出ノ時
期ニ於テ如何カト考ヘマス點ガアルノト、
其内容ニ於キマシテモ多少疑義ヲ挾ンデ居
リマスルカラ、極メテ簡明ニ要點ノミヲ致
シマス、第一此提案ノ方ニ御伺シタイノハ
政府ニ於テ第二期拓殖計畫ヲ大正十六年度
ヨリ實施スルト云フコトハ、是ハ殆ド現内閣
トシテ立派ニ御言明ニナッテ居ル而シテ
其調査會ノ如キモ其經費ヲ計上セラレテ、
最近ニ追加豫算案トシテ諸君ガ御協賛ヲ致
シテ居ルヤウナ次第デアリマシテ、政府ガ
十六年度ヨリ之ヲ實施シヤウト云フ御意思
ハ明カデアル、此政府ガ實施シヤウト云フ
第二期拓殖計畫ト、此御提案ニナリマシタ
農地特別處理法ト云フモノハ、全ク離レタ
モノトシテ、卽チ關係ヲ附ケナイデ宜シイ
ノデアルカドウデアルカ、是ガ第一ノ質問
ノ要點デアルノデアリマス、是ハ全體ノ此
拓殖計畫ヲ見マスルト、北海道ニ於ケル各
政黨ト致シマシテハ各派大體ニ於テ意見
ヲ持シテ居リマスルガ、政友會ノ御案ニ致シ
マシテモ、憲政會ノ御案ニ致シマシテモ、
大體ニ於テハ十億ヲ下ラザル金額ヲ要スル
ト致シテ居ルノデアリマス、然ルニ此處理
法ニ對スル所ノ經費ハ、政友會ニ於テモ御
示シニナラズ、又此案ニモ出テ居リマセヌ
ガ、大體二千万圓位ヲ要スルダラウト思フ
ノデアリマスガ、十億圓ノ此大キナ二十箇
年ニ亙ル柘殖ノ計畫ニ於キマシテ、僅ニ二
千万圓ヲ要シナイ此一ツノ方法ヲ切離シ
テ、玆ニ急遠御出シニナル必要ガ何處ニ在
ルカ、尤モ昨年度ニ於テハ只今御而シノ通
リニ、略〓各派一致デ之ヲ賛成ヲ致シマシ
タガ、其時分ニハ今日ノ如ク根本的ニ、此
拓殖計畫ヲ立テルト云フ政府ノ意思ガ表明
シテ居ラナカッタノデアリマス、今日ハ斯ノ
如ク明元サレテ居ルノデアルガ、之ヲ切離
シテ宜シイノデアルカ、又何ノ爲ニ切離シ
テオヤリニナルノデアルカ、其問連絡ガナ
クテモ差支ナイカト云フコトヲ御〓致シタ
イ、第二段ニハ、何故ニ一年延期ガ出來ナ
イカ、之ヲ一年早メテ政府ノ大體ノ方針ト
モ異シテ居ル時期ニ於テ、今提案ヲ爲サラ
ナケレバナラヌト云フ埋由ガ何處ニアル
カ、吾々ガ大體ニ於テ本年之ニ賛成ヲ致サ
ヌノハ提案ニ署名ヲ致サヌノハ政府ニ
於テ大體ノ財政計畫トシテ公債ヲ募集スル
ト云フコトハ殆ド絕對的ニ贊成ヲセヌノ
デアリマス、然ルニ本案ニ於キマシテハ、
六千万圓ノ公債ヲ發行致シテ問題ヲ解決シ
ヤウト致シテ居ルノデアリマスカラ、今日
ノ內閣ノ財政方針トハ悖,テ居ルノデアリ
マス、又前段申シマシタ如クニ第二期拓殖
計畫ヲ實施スルノデアリマスカラ、之ヲ切
離シテヤル必要ハナイ、故ニ少クトモ一年
待ッテ相關聯シテ之ヲヤッタラ宜カラウト云
フノガ、大體私共ガ署名ノ出來ナイ理由デ
アリマスガ、提案者ハドウシテモ今年ヤラ
ナケレバナラヌト云フ御考デアリマスカ、
此一年延期シ能ハザル理由ヲ明確ニ御元シ
ヲ願ヒタイト思ヒマス、又內容ニ付キマシ
テハ、若干御聞キシタイ事ガアリマスルガ、
是ハ會期モ切迫致シ、十分ナル審議ヲスル
時モアリマセヌシ、如何ニナルカ分リマセ
ヌカラ、細カイ事ニ付テハ御尋ヲスルコト
ヲ省略ヲ致シマス、最後ニ政府ニ御伺シタ
イト思ヒマスルガ、政府ノ今日ノ御考デハ、
斯ノ如キ拓殖計畫ノ一部デアルベキモノヲ
切離シテヤルコトニ御賛成ニナルカドウ
カ、政府ノ今日ノ御意見ヲ御伺致シタイト
考ヘマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=112
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113・丸山浪彌
○丸山浪彌君 簡單デアリマスカラ本席ヨ
リ-只今山本君ノ御質問ハ、山本君ノ御
立場ヨリシテハ御尤ナル御議論ト拜承致
シマシタ、併ナガラ此法案ガ、拓殖計畫
ト必ズ共ニ倶ニ兩立シナケレバナラヌ性質
ノモノデナイトハ、私ハ認メマセヌ、此法
案ノ成立ガ一日早ケレバ、國家ノ富源開發
ガ一日速ナルコトヲ信ズル者デアリマス、
而シテ又山本君ハ、現政府ガ拓殖計畫ノ調
査會ヲ拵ヘテ居シテ、一年後ニハ必ズ實行サ
レルデハナイカト云フ御議論デアリマス、
是ハ憲政會ノ山本君トシテハ、御尤デアリ
マスルガ、吾々ノ見ル所デハ、前途ニ於ケ
ル現政府ハ、一年ノ後ニ於テ如何ナル政變
ヲ來スヤト云フコトモ保證スルコトハ出來
ナイ、惟フニ憲政會ノ代議士諸君ト雖モ、
現內閣ガ前途ノ壽命幾何ト云フコトヲ保證
スル者ハ一人モナカラウト思フノデアリマ
ス、此故ニ私ハ一日モ速ニ此法案ノ成立ス
ルコトヲ、國家ノ爲ニ有益ナルモノト固ク
信ジテ疑ハナイノデアリマス、而シテ尙ホ
又現政府ハ非募債主義デアルガ故ニト云
フ御說デアリマスルガ、現政府ハ如何ナル
主義デアラウガ、當議會ハ議會ノ權能トシ
テ、本案ヲ立テルノニ何等ノ支障ガナイモ
ノデアルト云フコトハ山本君モ御承知デ
アラウト思フノデアリマス、尙ホ山本君ヨ
リハ、仔細ノ點ニ付テハ委員會ニ於テト云
フ御言葉デアリマスルカラ、其他ノ點ハ委
員會ニ讓リマス
〔政府委員俵孫一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=113
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114・俵孫一
○政府委員(俵孫一君) 只今山本君ノ御質
問ニ對シテ御答ヲ致シマスルガ、本案ヲ政
府ハ此際認メルカドウカ、又同意スルカド
ウカト云フコトデアッタヤウデアリマスル
ガ、本案ノ趣意ハ、此第一條ニアリマス
ルガ如ク、北海道拓殖促進ノ爲ニ、北海
道ニ於テ自作農ヲ扶植スルト云フコトガ
主眼デアルノデアリマス、而シテ私ハ此法
案ハ成程立テ方ニ依ッテハ北海道拓殖計
畫ト分離致シマシテ、本案ノ如ク特別ニ其
財源ヲ求メテ、自作展ノ扶植ト云フコトヲ
スルコトモ必シモ不合理トハ申サレマセヌ
ガ、政府ト致シマシテ、勿論本案ノ目的ト
スルガ如ク、北海道ニ於テ自作農ヲ創定シ
之ヲ何處マデモ扶植スルト云フコトニ付キ
マシテハ同感デアリマスルガ、其自作農創
定、若クハ扶植ニ付キマシテハ、是ハ本年ニ
於テ計畫ヲ立テマスル所ノ北海道拓殖計畫
ニ於テ、十分ニ考慮ヲ致ス積リデアリマス、
ソレ故ニ此際ニ於キマシテ、斯ウ云フ特別
法ヲ以テ自作農ヲ創定スルコトニハ同意出
來ナイノデアリマス、而シテ又一方財政上
ノ理由カラ云ヒマシテモ、此際六千万圓ノ
公債ヲ發行致シマシテ、此法案ノ目的ヲ達
スルコトニ付キマシテハ之ニ御同意ガ
出來得ナイノデアリマス、政府ノ意思ヲ
玆ニ明ニ申上ゲテ置キタイト思ヒマス
〔坂東幸太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=114
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115・坂東幸太郎
○坂東幸太郞君 只今丸山君カラ昨年同名
稱ノ法案ガ出タ時ニ、中正倶樂部カラ一人
ノ反對ガアッタト申サレマシタガ、ソレハ事
實デハアリマセヌ、反對演說ハ私一人デア
リマスガ、矢張二三十名ノ賛成者ハアッタ
ノデアリマス、丸山君ノ言ハレタ如ク、此
法律案ニ對シテハ疑問ト云フヨリモ寧ロ
大ナル疑惑ガ懸ノテ居ルノデアリマス、故ニ
私ハ其疑惑トスベキ點ヲ玆ニ申上ゲテ御伺
シテ見ルノデアリマス、昨年ハ原案ハ一億
圓ノ北海道債ヲ募集スルト云フコトデアリ
マシタガ、委員會ノ形勢ハ惡化シマシテ、
三囘ノ祕密會ヲ開イタノデアル、其結果二
千万圓ト修正セラレマシタ、サウシテ案ハ
確ニ通過ヲシタニハ相違アリマセヌ、然ル
ニ私ガ北海道へ歸リマシタ時ニ、或人ハ斯
ウ云フコトヲ言ウタ、坂東ガ反對シタノハ
アレハ二千万圓事件ヲ知ッテ居ルノデアラウ
カ、斯ウ云フコトヲ言ウタ人ガアリマス、
此二千万圓ハ卽チ一億圓ニ對スル二割ノ金
デ、是ハドウ云フ意味デアルカト云フコトハ
私ハ能ク分リマセヌガ、斯ノ如キ說ガアルト
云フコトガ、如何ニ此法案ノ裏面ニ重大ナ
ル意味ヲ含ンデ居ルカト云フコトヲ察スル
コトガ出來ルノデアル、是ニ於テ私ハ二三
ノ質問ヲシテ見タイノデアリマス、昨年ノ
時事新報ニモアリマシタガ、本年モ二三ノ
新聞ニ在リマシタ、卽チ是等ハ北海道ニ於
ケル大地主、山師地主ノ救濟策デアル、斯
ウ云フ說ガ一般ニ傳ハッテ居ルノデアリマ
ス、北海道へ參リマスレバ多數ノ人ガサウ
云フコトヲ言ウテ居ルノデアル、是ハドウ
云フ爲ニ斯ル說ガ出ルカト云フコトヲ私ハ
申上ゲテ見タイ、卽チ此法律案ノ成立ノ爲
ニ、十數年ノ間努力シテ居ル田中〓輔ト云
フ人ガ、北海道ニ於ケル一番山師地主ト言
ウタラ語弊ガアリマスガ、大地主デアル、
此人ガ傍聽ノ中ニモ居リマセウガ、常ニ此
法律ヲ作ランガ爲ニ多クノ金ヲ費シツヽア
ル、或ハ其金ヲ人ガ出シタノカ知レマセヌガ、
常ニ努力ヲシテ居ルノデアリマス、是ガ卽
チ第一ニ疑惑ノ起ル點デアリマス、然ラバ
此田中〓輔氏ハ北海道ノ土地トドウ云フ關
係ガアルカト云フコトヲ申上ゲマス、田中
君ハ北海道拓殖株式會社ノ重役デ、其中心
人物デアル此拓殖株式會社ハ所謂山師地
主ノ本山ト謂ハレテ居ル會社デアル、資本
金ハ二百万圓、此所ニ營業報告ガアリマス
ガ、必要トアレバ株主ヲ全部申上ゲテモ宜
シイ、此重役ノ中デ田中〓輔君ハ中心ノ人
物デアル、然ラバ幾ラ株ヲ持ッデ居ルカト
申シマスレバ、田中〓輔君ハ二千四百十株
デアル、サウシテ一番ノ株主デ、四千二百
六十株持シテ居ル、田中農事合名會社ハ卽
チ田中君ノ一家ニ依ッテ出來テ居ル所ノ會
社デアル、然ラバ田中〓輔君ハ實二六千六
百七十株ヲ持シデ居ル所ノ大株主デ、大地
主デアリマス、是ニ於テ道民ハ、田中君ガ
此法律ヲ作ルノハ、此會社ガ持シテ居ル所ノ
一万二千町歩ノ其大地積ヲ賣付ケンガ爲デ
アルト言ウテ居ルノデアリマス、是ガ此法
案ニ對スル第一ノ疑感デアリマス、次ニ此
法案ニ付テ、貴族院デハ太田〓藏ト云フ貴
族院議員ガ盛ニ運動ヲシテ居ルノデアリマ
ス、然ラバ此太田君ハ如何ナル人物デアル
カト申シマスレバ、是モ拓殖株式會社ノ相
當ナ株主デアリマス、サウシテ又太田君ハ
北門銀行ノ重役デアル、北門銀行ト北海道
拓殖株式會社トハ、極メテ密接ナル關係ヲ
持ッテ居ルノデアル、言換ヘマスレバ、此
法律ガ出來、サウシテ大地主ノ土地ガ買收
セラルヽ場合ニハ利益ヲ亨有シ得ル所ノ
人デアリマス、是ハ確ニ隠レノナイ事實デ
アル、諸君、然ルニ過日北海道前長官ノ土
岐君ガ、麹町ノ星テ岡茶寮ニ於テ、〓究會
及公正會ノ一部ノ議員ヲ招待シテ居ルノデ
アリマス、サウシテ大シタ御馳走ヲシテ居
ル私ハ之ヲ如何ニモ不審ニ思フ、去年土
岐前長官ハ、新聞記者ニ明言ヲシテ言フノ
ニハアノ法案ハ實ニ北海道ノ地主ニ非常
ニ利益ノアル法律デアル是レ怪シカラヌ
法律デアルト云フコトヲ明言シテ居ル、是
ハ各都下ノ新聞ニ出テ居リマス、然ルニ今
田中〓輔君ト共ニ、此法案ノ制定ノ爲ニ奔
走シテ居ル斯ウ云フコトヲ丸山君其他ノ
諸君ハ御存知カト云フコトヲ御伺致シマ
ス、又太田貴族院議員ハ、築地ノ八百善ニ
於テ交友倶樂部ノ議員ヲ招待シテ居ルノデ
アル非常ニ御馳走ヲシテ居ル、斯ウ云フ
コトモ提案者ハ御存知ガアルカドウカト云
フコトヲ御伺ヒシナケレバナラヌ(「簡單」
ト呼フ者アリ)次ニ二三御伺致シマスガ、
元來自作農創定ト云フコトハ土地ヲ安ク
買シテ、サウシテ小作人ニ相當長イ年限ヲ以
テ、小作人ニ有利ニ賣ノテヤルコトニ依フ
テ、初メテ自作農創定ノ目的ヲ達スルコト
ガ出來ルノデアル、然ルニ此法律案ヲ拜見
シマスト、土地ヲ買フト云フ所ノ規定ヲシ
テアルガ、賣シテヤル方法ハ單ニ勅令ヲ以
テ決メルト云フ簡單ナモノデアル、是ハ自
作農創定ノ精神ニ反スルト思フ、昨年ノ法
案ニ於テハ尙ホ三十箇年ノ年賦ヲ以テ之
ヲ賣ノテヤルト云フコトガ書イテアリマシ
タガ、本年ノ此法案ニハ少シモ書イテナイ、
是ハ單ニ土地ヲ賣ランガ爲ノ法律デアルト
云フコトハ、此一點カラ見テモ窺ヒ知ルコ
トハ出來ルノデアル、之ニ對スル提出者側
ノ御意見ヲ御伺致シマス、又昨年モサウデ
アッタガ、此法案ニハ費用算定ノ途ガ無イ
ノデアル、苟モ國家ガ六千万圓ノ土地ヲ買
收スルナラバ、此事業ヲ完成スルニハ尠ク
トモ二千万圓、三千万圓ノ費用ガナケレバ
ナラヌノデアル、然ルニ此法案ニハ何等費
用ニ關スル所ノ規定ガナイ、是ハ如何ナル
理由デアルカト云フコトヲ御伺致シマス、
元來北海道ノ土地ハ、現在成程荒廢ニ屬ス
ルモノハ二三十万町アリマス、アリマスガ、
ソレ等ノ大部分ハ所謂山師地主連中ガ政府
カラ僅ニ一町三圓カ五圓デ買クタモノヲ開
墾セズシテ放任シテ居ルモノガ多イノデア
ル、然ルニ此法案ニ依ルト、一反歩二三十
圓ヲ以テ買フト云フコトニナッテ居ルノデ
アルカラシテ、世人ガ此ニ疑惑ヲ置カザル
ヲ得ナイノデアリマス、是等ノ點ニ付キマ
シテ、丸山君デナクテ、寧口昨年此法案ヲ
說明シタル東武君カ、若クハ委員會デ說明
セラレタ所ノ松實喜代太君ニ詳細ナル御答
辯ヲ御願致シマス
〔丸山浪彌君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=115
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116・丸山浪彌
○九山浪彌君 會期切迫ノ折柄デアリマ
スカラ、簡單ニ申上ゲマシテ、尙ホ詳細ノ
コトハ委員會ニ讓リマスガ、サリナガラ今
此處デ御質問ニナッタ中ノ二三ノ要點ニ付
テハ、御答シテ置ク必要ガアルト考ヘマス、
私ガ先刻中上ゲマシ夕通リ、世間ノ疑惑
ヲ招イテ居ルト云フコトハ、如何ニモ承知
シテ居ル、而シテ田中〓輔君ガ最モ熱心ニ
運動シテ居ルコトモ私ハ承知シテ居ル、併
ナガラ田中〓輔君ガ熱心ニ運動シテ居ルガ
故ニ、其裏面ニ疑惑ガアルト云フコトハ
私ハ如何ナル理由デアルカ分ラヌ、段々星
ケ岡デ宴會ヲ開イテ、交友倶樂部員ヲ何處
何處デ招ンダコトヲ知ヲテ居ルカト云フ
御質問デアリマスガ、是ハ私ハ答辯スルノ
必要アリトハ認メテ居リマセヌ、サウシテ
此土地收用法ヲ、本案ガ利用スルト云フコ
トニ付テハ坂東君ハ未ダ注意ガナイヤウデ
アル、成程私ハ先刻此點ニ付テ說明シマセ
ヌデシタガ、昨年ノ本案ニ於テハ、單ニ買
收スルノガ其立法ノ根據ニナッテ居ッタノデ
アリマス、今年提出ノ本案ハ、土地ノ賣主
ガ處理委員會ノ價格評價ニ水服セザル時分、
卽チ妥協不可能ノ場合ニハ土地收用法ヲ適
用シテ、强制力ヲ以テ買フト云フコトヲ此
ニ加ヘテアルコトヲ注意シテ御覽下サルコ
トヲ希望致シマス尙ホ費用ガ掛カル、其費
用ハドウスルカ、勿論是ハ當然ナル御質問
デアル、斯ノ如キコトハ委員會ニ於テ御答
シヤウト思ヒマシタガ、御質問デアリマス
ガ故ニ御答致シマスガ、ソレハ矢張此利鞘
ト共ニ公債ヲ募集シテ居ル中ノ一部分ヲ、
此間ニ使ハナケレバナラヌト云フ大體ノ考
ヲ持ノテ居ルコトヲ御永知願ヒタイノデア
リマス、尙ホ其外特ニ松實君、東君ニ御質
問ノ點ハ、或ハ兩君カラ御答ガアルカドウ
カ知リマセヌガ、大體是デ御諒解ニナッタ
コトト考ヘマス
〔松實喜代太君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=116
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117・松實喜代太
○松實喜代太君 只今日程ニ上ッテ居ル所ノ
北海道農地特別處理法案ニ付テハ、坂東君
ノ御尋モアリ、又御尋ガナクテモ、私ハ多
年此事ヲ唱へ來ッタノデアリマスカラ、賛
成ノ演說ヲスル積リデアリマシタガ、併シ會
期切迫ノ折柄デアリマスカラ、此原稿ハ議
長ノ御許シヲ得テ速記ニ載セルコトニ致シ
タイ、而シテ只今坂東君ヨリノ御質問ニ對
シテハ委員會ニ付議サレルコトヽ信ジマ
スカラ、其場合ニ於テ詳細ノ御答ヲ致ス積
リデアリマス
〔「要領ヲ得テ居ル」「旨イ〓〓」ト呼フ
者アリ〕
〔參照〕
諸君、只今議題トナツテ居ル所ノ「北海
道農地特別處理法案」ナルモノハ第五十
議會ニ於テモ吾々同志ガ提出シ本院ハ大
多數ノ賛成ヲ得テ通過シ貴族院ニ送付セ
ラレタノデアルガ-
貴族院ニ於テハ審議ノ期日ナキ爲未了ニ
ナツタノデアリマス斯樣ナ次第デアリマ
スカラ再ビ今期議會ニ提出シ諸君ノ御協
賛ヲ願フノデアル
扨諸君、昨年ノ提案ト只今議題トナツテ
居ル所ノ案トハ大體ニ於テ同樣デアルガ
其ノ內容ハ多少異ナツタル點ガアル然ラ
バ異ナツタル點ハ何デアルカト申セバ第
三
前議會ニ提出シタル案ハ「特別處理ニ要
スル土地ノ買收ハ北海道地方費ガ公債ヲ
發行シテ買收スルト云フコトニナツテ居
ツタノデアルガ
今回ノ提案ハ國庫ガ公債ヲ發行シテ之ヲ
買收スルト云フコトニナシダノデアル
第二ハ第五十議會ニ提出シタル案ハ土地
ヲ買收スルニハ協議上ノ買收ニヨル事ト
シテアツタノデアルガ
今囘ノハ協議上ノ買收方法ニヨルノ外ニ
强制買收卽チ土地收用法ヲ適用シテ買收
スルノ方法ニヨリ此二者ヲ併セ行フコト
ト致シタノデアリマス
斯ノ如ク變更致シマシタル理由ハ何故デ
アルカト申セバ第一ノ點ニ對シ
前囘ノ提案ハ何故ニ地方費デヤルコトニ
シタカト申セバ其ノ當時私共ガ說明セシ
如ク
斯樣ナル事業ハ國ガヤルノガ本則デアル
ケレドモサウスルニハ問題ガ大クナリ實
現ガナカ〓〓六ケ敷殊ニ全國一般的デナ
〃
北海道ニ局限シタ事デアルカラ地方費デ
ヤル事ニシテアツタノデアル
然ルニ政府ニ於テハ本年府縣ニ於テ自作
農創設ノ案ヲ立テ
明年度ヨリ之ガ實施ヲ爲スコトニナツタ
以上、北海道ニ特別農地處理法ヲ施行ス
ルノニモ國家ガヤルノガ當然デアルト信
ジタルガ故ニ國債證劵ヲ以テ買收スルコ
トニ變更シタノデアル
卽チ簡短ニ言ヘバ前囘ノ提案ハ寧口變則
デアッタノヲ今回ハ正則ニ改メタト云フ
ニ過ギナイノデアリマス
第二ノ點ハ昨年ノ提案ノ時ニハ强制買收
ノ方法モ考ヘタノデアツタガ之ニノ多少
ノ反對ガアリハセヌカト云フ事ヲ氣遣ツ
タ爲唯ダ協議上ノ買收ノ方法ノミヲ取ツ
タノデアルガ
政府ノヤル自作農創設ニ要スル土地ノ買
收モ强制買收ノ方法ヲ用ユルト云フ事デ
アリ
又强慾ナル地主カラ土地ヲ買收スルニハ
此方法ヨリ外ニ途ガナイノデアルカラ
今回ノ提案ニハ協議上ノ買收ト强制買收
トノ二ツノ方法ヲ併セ行フコトヽナシタ
ノデアル
以上申述べマシタルガ如ク前囘ノ案ト今囘
ルノ案トハ大體二點ノ相違ガアルノデアル
今回ノ案ハ前囘ノ案ヨリモ大ニ改善セラ
レタル案デアル事ヲ御了承願ヒタイノデ
アリマス
諸君、此ノ農地特別處理卽チ北海道ニ於
ケル自作農創設ト云フコトハ北海道拓殖
上極メテ重要ナル事柄デアツテ
吾々同志ノ多年ノ主張デアルノデアル此
農地特別處理法ト云フ名前デ本院ニアラ
ハレタルハ昨年始メテヾアリマスガ
是ト内容實質ニ於テ等イ所ノ建議案ガ大
正二年東代議士ニ依ツテ北海進拓殖助成
機關創設ニ關スル建議案ト言フ名ニヨツ
テ始メテ提案セラレ爾來
大正十一年ニハ私ガ提案シタル北海道地
代農地設定ニ關スル建議案
大正十二年ニハ其ノ當時ノ代議士木下成
太郞君ニ依ツテ提案サレタル自作農扶殖
ニ關スル建議案ト云フ建議案ハ何レモ
只今議題トナツテ居ル所ノ法案ト同一ノ
主旨デアルノデアル
而モ此三案トモ滿場一致ヲ以テ本院ヲ通
過シテ居リ
而シテ昨年ニハ先刻中上ゲタル如ク法案
ガ大多數ヲ以テ本院ヲ通過シタノデアル
以上申述ベタルガ如ク此問題ガ本院ニア
ラハレマシテカラ既ニ十四年ヲ閱シテ居
ルノデアル
然ルニ今マ尙ホ實現ヲ見ナイト云フコト
ハ實ニ遺憾千萬デアル
處ガ府縣ニハ來年度ヨリ之ガ實施ヲ見ル
事トナツタノデアル
卽チ先ノ雁ガ後ニナリ、後ノ雁ガ先ニナ
ツタノデアル
而モ昨年吾々ガ此法案ヲ提出シタル際ニ
反對シタルハ其ノ當時ノ大藏省政務次官
早速氏デアツタノデアルガ
其ノ早速氏ガ農林大臣トナルヤ此法ヲ府
縣ニ實施スルノ案ヲ立テタノデアル
實ニ運命ノ神ノ惡戯ナルニ驚カザルヲ得
ナイノデアル
否ナ政府ノヤリ方ガ北海道ニ對シテハ如
何ニモ無情デアル事ヲ憤懣ニ堪ヘナイノ
デアル
諸君、吾々ハ何故ニ斯ノ如ク此問題ニ熱
心デアルカト申セバ
現今北海道ノ拓殖ノ狀況ハ未ダ半ニモ達
セズ前途甚ダ遼遠ナルニカヽハラズ
近年ハ移民ガ減退シ來道者ト退道者トヲ
比較スルトキハ寧口退道スル人員ノ方ガ
多クアリ
而シテ休耕地即チ一旦開墾シタル田畑ガ
荒蕪ニ歸シタル土地ガ十万町歩ニ達セン
トスル有樣デアルノデアリマス
加之北海道ニハ國有地、御料地、大學林、
公共團體等ノ名ノ下ニ封鎖セラレ民間ノ
個人ニ私有ヲ許サナイ土地ガ澤山ニアル
ガ
其ノ外ニ現在民有ニ歸シテ居ル土地ニン
テ未墾ノ儘ニ放任セラレテ居ル土地ガ約
百二十万町步ニ達シテ居ル
而シテ此外ニ過大農場又ハ不在農場ト申
シテ經營ガ甚ダ宜シキヲ得ズシテ利用ヲ
缺イテ居ル土地ガ約四十万町步アル
此等ノ土地ガ利用セラレテ居ラナイダケ
ナラバマダ宜シイト致シマシテモ
其ノ土地ガ中間ニ横,テ居ル爲ニ其奧地
ニ良好ナル國有未開地ガアツテモ
既成部落ト奧地トノ運輸交通ノ便ヲ缺ク
爲ニ
假令一旦奥地ニ移民ガ入ツテ來テモ間モ
ナク他ニ轉住スルト云フ譯デ
其ノ土地自身ガ開發サレナイノミナラズ
隣接地ノ開發ヲ妨グルト云フコトニナツテ
居ルノデアル
斯ノ如キ事ハ北海道拓殖ノ爲ニ深甚ノ遺
憾デアリマス
此等ノ行詰マレル現狀ヲ打開シ拓殖ノ促
進ヲ圖ルニハ其方法種々アリマスガ
就中最モ有力ナル方法ハ此本法案ヲ成立
セシメテ自作農創設ヲ爲スコトデアリマ
ス
此ガ吾々ガ本法案ノ成立ヲ希望シテ止マ
ナイ所以デアリマス」本法案ノ目的ハ
此等ノ土地ヲ買收シ、整理分割シテ、自
ラ其土地ニ安住シテ耕作ニ從事スル者ニ
長期年賦償還ノ方法ニヨツテ賣拂ヲ爲シ
一面ニ於テハ其土地ノ利用ヲ全フシ國利
ヲ增進シ」他面ニ於テハ自作農ヲ奬勵シ
質實剛健ノ農民ヲ扶殖スルト云フ目的デ
アルノデアリマス
北海道ニ於テハ土地ガ廣ク其價モ極メテ
安イノデアリマスカラ自作農創設ハ容易
デアル
府縣田一反歩ノ平均時價六百二十圓畑ハ
同ジク三百六十圓モスルノデアルガ
之ニ反シ北海道ノ一反步ノ平均時價田ハ
百二十五圓畑ハ三十八圓未開地ハ十二圓
デアリマス
勿論土地ノ品位ニヨリ價格ハ高下アリト
雖ドモ價格ノ高キモノハ
夫レ丈收容ガ多クアルヲ以テ大體此平均
額ヲ目安トシテ觀察スレバ大過ガナイノ
デアリマス
而シテ北海道ニ於ケル現今田畑ノ小作料
及公課金其他ノ負擔ヲ見ルニ
一反步平均田ノ小作料十四圓二十二錢
(農林省調査)
地租、地方稅、町村費等合セ公課金二圓
十八錢
土功組合費二圓九十六錢
此小作料ヨリ公課金竝土功組合費ヲ差引
キタル殘金ハ九圓八錢トナルノデアル
此金額ヲ以テ年賦金ニ充ツレバ年五朱ノ
利率トシ且田一反歩ノ買受代金ヲ百二十
圓トスルナレバ
二十五箇年ニ元利共完濟シ得ルノデアリ
マス卽チ現今納メツヽアル小作料ヲ以テ
二十五年ノ後ニハ其田地ヲ自己ノ所有ト
ナシ得ルノデアリマス
又畑ノ方ハ小作料二圓八十八錢デアルガ
公課金ガ六十三錢デアル之ヲ差引シタル
殘金ハ二圓二十五錢トナルノデアリマス
此殘金ヲ以テ年賦金ニ充ツルトキハ年五
朱ノ利率トシテ買受代金一反歩ニ付三十
圓トスレバ二十五年間二元利金ノ完濟ヲ
得ルノデアリマス
畑モ田ト同樣ニ現今ノ小作料ヲ以テ二十
五年ノ後ニハ自己ノ所有ト爲スコトガ出
來ルノデアリマス
私ハ只今利率ヲ年五朱ト申シマシタガ私
共ノ希望ヲ申セバ
土地ヲ買收スル對償ノ公債ハ年五朱ト致
シ而シテ自作農ニ賣拂フ利率ハ年四朱ト
致シ此利率ノ差額ハ國庫ヨリ支出ヲ仰ギ
タイノデアリマス
諸君、此法案ニ對シ一部ノ反對ガアルノ
デアルガ其ノ反對ノ理由トスル所ハ種々
アルヨウデアルガ
多クハ問題トスルニ足ラナイノデアル唯
ダ一點多少ノ理由ガアルト見ラルヽモノ
ガアル
其レハ何デアルカト申セバ北海道ノ大地
主卽チ過大農場ノ持主ノ如キハ大面積ノ
土地ヲ得ル爲メニ種々惡竦ナル手段ヲ弄
シテ手ニ八レ
而ンテ立木ヲ賣拂ヒ土地ハ其儘放任シテ
開墾シナイデ置クノデアルカラ
土地ガ荒廢シテ居ルノハ自業自得デアル
カラ何ニモソンナモノヲ救濟スルノ必要
ハナイト云フ反對デアル
此ハ一寸聞ケバ一應御尤モノヨウデアル
卽チ北海道ノ大地主ノ内ニハ左樣ノ者モ
絕無テハナイガ
併シナガラ大地主ノ多クハ古キ時代ニ於
テ開拓上大ナル資本ト大ナル力ノ人ヲ招
致スル必要上
大面積ノ土地ヲ與へ又タ賣拂ツタト云フ
事ノ爲ニ出來タノデアル
一部不都合ノ者ガアルカラト云フテ其ガ
爲ニ全般ヲ推ス譯ニハ行カナイノデアル
而シテ此法案ハ決シテ地主ヲ救濟スル
ノガ目的デハナイ土地ノ開發利用竝ニ自
作農創設ガ目的デアル
併シ其自作農ヲ創設スル爲ニ要スル土地
ハ大地主ノ所有シテ居ル土地デアル
之ヲ買收スルノデアルカラ或ハ間接ニハ
多少地主ヲ利スルコトニモナルノデアロ
ウガ
今回ノ案ニハ强制買收ノ方法ヲ用ユル事
ニナツテ居ルカラ地主ヲ多ク利スルコト
ハナイト信ズル而シテ土地ノ買收賣拂其
他一七ヲ處理スル爲ニ各力而カラ智識經
驗アルモノヲ集メテ委員會ヲ組織シ之レ
ニ依リ處理セシムル事ニシタナラバ
不當ナル價格ヲ支拂ツテ地主ヲ利スルト
云フコトハ絕體ナイ若シ假リニ不當ノ
價格ニヨツテ買收スレバ買受人ガナカラ
フカラ其樣ナ事ガ決シテ行ハルヽ筈ハナ
イノデアル
又多少地主モ利スルコトアリトスルモ夫
ハ止ムヲ得ナイ事ト思フノデアリマス
何故ナレバ大地主ノ土地ヲ無償デ沒收ス
ルコトノ出來ナイノハ勿論デアル
サレバトテ何時迄デモ此大面積ノ土地ヲ
抛擲シタナラバ如何ナル結果ヲ來タスノ
デアロウカヲ考慮セネパナラナイノデア
ル
此處ヲ諸君ニ御考ヲ願ヒタイノデアリマ
ス
地主ハ先程申マシタヨウニ白業·自得デア
ルカラ已ムヲ得ナイト致シマシテモ
第一ニハ土地ノ利用ヲ全フスルコト能ハ
ザルノ結果トシテ所謂天物ヲ暴殄シ國家
ノ不利益ヲ來タスコトヽナルノデア
ル
第二二ハ何時迄經ツテモ自作農ヲ創設ス
ルコトガナイ
隨ツテ農民ヲシテ生活ノ安定ヲ得セシム
ルコトモ出來ナイノデアル
故ニ此法案實施ノ曉ニ於テ地主ガ多少利
スル所ガアツテモ其ハ自然ノ結果デアツ
テ已ヲ得ナイノデアル
次ニハ此法案ノ主旨ニハ贊成デアルガ北
海迫ニハ第二次拓殖計畫ヲ明年度ヨリ實
施スルコトニナルノデアルカラ
其ノ拓殖計畫中ニ於テヤレバヨイデハナ
イカト云フ者モアルノデアルガ
是モ一應ハ御尤デアルガ政府部內ニ於テ
北海道自作農創設ニ反對スルモノガアル
ト云フコトモアリマスカラ
果シテ第二次拓殖計畫中ニ自作農創設ヲ
編ミ入レルカドウカト云フコトハ疑問デ
アリマス
斯樣ナル疑問ヲアテニ晏如トシテ空待チ
ニ待ツト云フ譯ニ參ラナイノデアル
自作農創設ヲ拓殖計畫ニ編ミ入レルニ就
キ特ニ考慮セネバナラヌ事ガアルノデア
ル其ハ自作農創設ヲ第二次拓殖計畫ニ加
ヘル事ニ致シマスルト年限ニ於テ支障ヲ
生ズルノデアリマス
第二次拓殖計畫ノ年限ハ何箇年デアルカ
不明デアルガ
先ニ內務省デ立テタル案ハ二十箇年デア
リマシタカラ
多分此度立テル案モ其樣ニナルノデアラ
ウト思ハルヽ
若シ果シテ然リトセバ次ノ如キ差支ガ生
スルノデアル
其ハ此法案ニハ明記シテナイノデアルガ
公債発行ノ年限ハ大體ニ於テ十五箇年間
ニ發行スルト云フ事ニナラウト思ハルヽ
ノデアル
而シテ償還ハ三箇年据置二十二箇年ノ年
賦ニ償還セシムル位ニシナケレバナラナ
イト信ズルノデアル
サウ致シマスルト最終ニ發行スル公債ハ
大正三十年ニ發行シテ其償還ヲ終ルノハ
大正五十五年デナケレバナラヌノデアル
而シテ一方拓殖計畫ハ大正十六年ヨリ二
箇年ト致シマスレバ大正三十五年デ終ル
ノデアル
拓殖計畫ハ大正三十五年デ終ルガ其ノ拓
殖計畫ニヨツテ發行セラレタル公債ハ大
正五十五年卽チ二十年後デナケレバ償還
ガ終ラヌコトニナルノデアル
此モ特別ノ法令ヲ設ケレバ絕對不都合デ
モアリマスマイガ
併シ斯樣ナル次第デアルカラ此自作農創
設ニ關スル事ハ拓殖計畫ヨリ切放ナシテ
計畫ヲ立夕方ガ適當ナ處置デアルト信ズ
ルノデアリマス
尙ホ左ノ諸項ハ勅令又ハ處理委員會ノ權
限ニ屬スルモノデアルガ提案者ノ希望案
デアルカラ御參考ニ供スル次第デアル
本法ヲ適用スベキ土地
(一)農耕適地(農業經營ニ必要ナル
牧場及植樹地ヲ含ム)ニシテ現ニ利
用セラレザルモノ
(二)一團地ノ農場ニ於ケル小作人ガ
協同シテ自作農地設定ヲ申請シタル
モノ
ニ、本法ヲ適用シ得ヘキ土地面積
(一)民有未墾地八十万町步
但シ民有未墾地百二十町步ナルモ其
內山林、泥炭地、火山灰地其他大改
良ヲ要スベキ見込地四十万町歩ヲ除
キタルモノ
(二)過大農場竝不在農場其他二十万
町步
但シ過大農場竝不在農場其他約四十
万町歩アルモ其半數ヲ除ク
以上合計百万町步ナルモ此ノ內四分ノ
一卽チ二十五万町歩ヲ差當リ處理スヘ
キヲ望ム
三、前項ニ依リ處理スヘキ一一十五万町步
ノ地目等級價格內譯
CI未墾地(未開地)十三万町步
此價格金一千五百六十万圓一反歩
當平均金十二圓
等級面積反當價格計
町歩圓コ
上四〇、〇〇〇一八、〇〇七、二〇〇、〇〇〇
F中五〇、〇〇〇一二、〇〇六、〇〇〇、〇〇〇
下四〇、〇〇〇六、〇〇二、四〇〇、〇〇〇
(二)半開地五万町步
此價額金一千百七十一万圓一反歩
當平均金二十三圓四十錢强
(1)水田七千町步
此價額金八百七十五万圓一反步當
平均百二十五圓
等級面積反當價格計
町步圓圓
上一、四〇〇一九五、〇〇二、七三〇、〇〇〇
中三、〇〇〇一二五、〇〇三、七五〇、〇〇〇
下二、六〇〇八七、三〇弱二、七〇〇、〇〇〇
(八)畑六万三千町步
此價額金二千三百九十四万圓一反
步當平均金三十八圓
等級面積反當價格計
町歩■圓
上一〇、〇〇〇六五、〇〇六、五〇〇、〇〇〇
中三〇、000三八、〇〇一一、四〇〇、〇〇〇
下二三、〇〇〇二六、三〇弱六、〇四〇、〇〇〇
合計反別二十五万町步金額六千万圓
也
四本法ニヨリ交付スル公債ノ利率及價
格竝償還年限
(一)利率五分
(二)價格時價
(三)年限三十箇年以內
五、公債發行ノ年度割
初年百二十万圓
二年百八十万圓
三年三百万圓
年四百万圓
年四百万圓
九八七六五四年五百万圓
年五百万圓
年五百万圓
年五百万圓
十年五百万圓
十一年五百万圓
十二年五百万圓
十三年四百万圓
十四年四百万圓
十五年三百万圓
六、北海道農地特別處理委員會ノ組織
(一)會長北海道廳長官
(二)委員
イ北海道廳高等官三名
(內務、拓殖土木各部長)
ロ北海道帝國大學〓授一名
ハ札幌稅務監督局長名
ニ札幌鐵道局長名
ホ北海道會議員三名
ヘ北海道拓殖銀行頭取名
ト北海道農會長名
チ斯業ノ智識經驗ヲ有スル者五名
七、土地代金ノ徵收年賦金ノ徴收年賦金
ノ方法
(一)卽時徵收賣拂代金ノ百分ノ十
(二)利率四分
(三)据置期間三箇年
(四)年賦期限二十二箇年
八、土地買受人ノ資格
從來農業ノ經驗ヲ有シ又ハ現ニ農業ニ
從事スル者ニシテ自作農ニ適スル相當
ノ勞力又ハ資力ヲ有スル者
九、賣拂地ノ面積制限
(一)水田及水田ニ適スル土地五町步
以內
(二)畑及畑ニ適スル土地七町五反歩
以内
(1)水田又ハ畑ニシテ放牧地若ハ植
樹地ヲ併合シタル土地十五町步以内
以上述ベタルガ如ク本法案ノ成立如何ハ
北海道拓殖ノ進否ニ重大ナル關係·ミス
ルノデアリマスカラ何卒諸君ノ加3負ヲ
願フト同時ニ政府竝貴族院ノ諸公ノ御賛
同ヲ得テ本法案ノ成立セラレンコトヲ望
ンデ止マザル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=117
-
118・井本常作
○井本常作君 本案ハ議長指名丸名ノ(「九
名デナイ十八名ダ」ト呼フ者アリ)-訂正
致シマス、議長指名十八名ノ委員ニ付託セラ
レンコトヲ望ミマス
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=118
-
119・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 井本君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=119
-
120・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ委員付託ニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=120
-
121・砂田重政
○砂田重政君 議長、私ハ日程變更ニ關ス
ル緊急動議ヲ提出〓シマス、此際板野友造
君ノ松島遊廓移轉問題ニ付、政府ノ責任ニ
關スル緊急質問ヲ議題トシ、其趣旨辯明ヲ
許サレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=121
-
122・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 砂田重政君ノ日程變
更ノ動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=122
-
123・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ日程ヲ變更シテ、松島遊廓移轉問
題ニ付、政府ノ責任ニ關スル緊急質問ヲ議
題ト致シ、其趣旨辯明ヲ許シマス····板野
友造君
松島遊廓移轉問題ニ付政府ノ責任ニ關
スル緊急質問(板野友造君提出)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=123
-
124・篠原和市
○篠原和市君 總理大臣ト各大臣ノ出席ヲ
求メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=124
-
125・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 今交涉ヲシテ居リマ
ス
〔板野友造君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=125
-
126・板野友造
○板野友造君 生憎總理大臣ガ貴族院ノ豫
算會議ニ御出席中ダサウデゴザイマシテ、
茲ニ御出席ノナイコトハ極メテ遺憾ニ存ジ
マスガ、ドウカ政府ノ方デ總理大臣ニ答辯
ヲ求メマスル點ハ御傳ヘヲ願ヒマシテ、サ
ウシテ通當ナル機會ニ御答辯ヲ煩シタイト
存ジマス、私ハ簡單ニ此松島遊廓ノ移轉問
題之ニ關スル政府ノ責任ニ付テ質問致シ
タイト存ジマス、松島遊廓移轉問題ハ實ハ
往年ノ日糖事件、或ハ「シーメンス」事件、
是等ノモノヨリハ其醜惡ナル點ニ於テ、其
極メテ惡性ヲ帶ブル點ニ於テ、私共ハ之ニ
劣ルモノデナイト云フコトヲ深ク悲ム、此
際私簡單ニ此事實ヲ申述ベマス、簡單ニ此
點ヲ述べマスルガ、此松島遊廓移轉問題ト申
シマスルノハ、官憲ト政黨ト、ソレカラ資
本家ト、此三ツノ力ガ結合シテ、是ガ結託
ヲ致シテ、サウシテ移轉ヲ試ミ、之ニ依シテ
地價ノ暴騰ヲ圖シテ、玆ニ一大暴利ヲ得ヤ
ウト云フ大思惑ヲヤッタ、是デアル、此遊廓
ノ移轉ニ依シテ一億數千万或ハ二億前後ノ
アフク錢ヲ儲ケヤウト云フ、マア謂ハヾ大
博奕デアル、斯ウ云フ案件デアリマス、デ
之ニ就テ諸種ノ土地會社ガ餘程金ヲ使ッテ
居ルヤウデアリマスルガ、新聞ヲ見マスト
云フト三十万トカ七十万トカ申シテ居リマ
スガ、私共ノ調査スル所ニ依レバ三十万ヤ七
十万ノモノデハナイ、餘程ノ金ガ使ハレテ
居ル、尤モ誰彼レニヤルト言ッテ會社ノ方
ガ出シタ金ガ、全部其到達スベキ人ニ達シ
ナイデ途中デ消エタモノモ相當アリマセ
ウ、アリマセウガ、會社ガ之ニ投ジタ金ハ
驚クベキ多額ニ上シテ居ルト云フコトダケ
ハ玆ニ斷言ヲ致シテ置キマス(拍手)デサウ
致シマシテ此運動ハ餘程巧妙ニ進ンデ、成
功ノ瀨戶際マデ進ンデ居ッタノデアリマス
ルガ、所謂怪文書ノ配布ニ依ッテ司法問題
ガ起リ、檢事局ノ活動トナッテ一頓挫ヲ來
シテ、是ガ實現スルニ至ラナカッタ、斯ウ云フ
コトニ相成シテ居ル、デ私此問題ヲ此處デ
述ベテ政府ノ答辯ヲ求メル所以ノモノハ
之ニ官憲ガ關係ヲ致シテ居ル點ニ於テ、驚
クベキ官紀紊亂ノ事件デアルト私ガ思惟ス
ル(拍手)ソレデアリマスルカラ、此點ニ
付テノ政府ノ責任アル各辯ヲ求メルノガ目
的デアル、デアリマスカラ此中ニハ多少私
ガ此問題ヲ論ズルコトニ付テ、危惧ノ念ヲ
懷カレル方々モアルデアラウト私ハ思フ
(拍手)或ハ各黨ヲ通ジテ之ニ多少ノ關係ヲ
持ツ人ガアルデアラウト信ジマス、信ジマ
スルガ之ヲ玆ニ剔抉シ、之ヲ批評スルコト
ガ目的デナイノデアリマスルカラ、此點ハ私
詳述スルコトヲ避ケタイト存ジマス(「成べ
ク詳細ニヤレ」ト呼フ者アリ)御望ミトアレ
バ相當詳細ニ說キマセウ、松島遊廓ノ移轉
地トシテ從來色ミナ會社ガ之ニ運動致シ
タ、或ハ城東土地デアルトカ、或ハ大東土
地デアルトカ、或ハ木津川尻ノ柴谷新田デ
アルトカ、是等ガ相當運動ヲシ、之ニモ政
黨員等ノ關係モアリマス、アリマスガ、是
等ハ謂ハヾ比較的小サイ方デアル、今日最
モ多額ノ金ヲ使ッテ而シテ猛烈ナル運動ヲ
致シタノハ、今日ノ西淀區ノ御幣島、此御
幣島一帶ヲ遊廓地トシテ玆ニ指定ノ發令ヲ
得ヤウ、此運動ガ一番猛烈ヲ極メ、御承知
ノ豐國土地デアルトカ、萬成信託デアルト
カ云フノハ、此御幣島一帶ヲ遊廓地ニシヤ
ウ、金ガ最モ多ク使ハレタノハ此分ナノデア
ル此土地ノ分ガ一番多ク使ハレ、サウシ
テ前カラヤッテ居リマス城東或ハ大東、或
ハ柴谷新田、是等ガ一緒ニナッテ之ニ力ヲ注
イデ、サウシテ利益ノ均霑ヲシヤウ、斯ウ
云フコトニ相成ッテ居リマスルガ、此關係デ
之ニ活躍シタ人、是モ各黨ニアリマス、私
共洵ニ遺憾ノ至リニ堪ヘマセヌガ、我ガ政
友會ニモ一人ノ關係者ハアリマス、甚ダ遺
憾デアリマスルガ、唯一人ノ「關係者ハア
リマス、アリマスガ此問題ノ起ッタ當時ノ
政情ハ如何デアッタカト申シマスレバ、大正
十三年カラ稍〓運動ガ猛烈ニナリ、十四年ニ
於テ最モ其極ニ達シタノデアル、サウシテ
大正十三年ハ御承知ノ通リ聯立內閣デハア
リマスルガ、マア極ク露骨ニ申シマスレバ
憲政會ガ中心デアッタト云フコトニナリマ
セウ、總理大臣モ憲政會デアリ、問題ノ中
心タル内務大臣モ憲政會出身デアルカラ、
勢ヒ此運動ノ主力ガ憲政會ニ注ガレタノデ
アル(拍手)憲政會ニ注ガレタガ、政友會モ
矢張聯立內閣ノ一勢力デアルカラ、此方ヘ
モ運動スル人ノ手ガ延ビタ、政友本黨ハ當
時ノ反對黨デアルカラ、政友本黨ニ向ヲテ
積極的ノ運動ヲ賴ムヤウナ土地會社ハアリ
マセヌ、アリマセヌガ此唯一ノ反對黨ガ之
ニ騷イデ、或ハ議會デ此事ヲ論ズルトカ、
或ハ彼此レ之ヲ問題ニスルト云フヤウナコ
トガアッテハ、目的ヲ達成スル上ニ極メテ不
便デアルカラ、謂ハミ之ニ邪魔ヲシナイト
云フ消極的ノ援助、斯ウ云フ意味ヲ以テ本
黨ヘハ相當手當ヲ致シテー店ル、斯ウ云フ關
係ニ相成ッテ居ル、ソレデアリマスカテ勢ヒ
憲政會ニ向ッテ最モ多クノ關係者ガアリ、
政友會ニモ一人ノ關係者ハアル、本黨ニモ
多少ノ關係者ガアル、斯樣ナコトニ相成ッテ
居ル(拍手)發表ヲ致シテモ宜イガ、例ヘバ
憲政會デ誰々ガ之ニ關係ヲ爲サッタ位ノ
コトハ相當新聞ニモ出テ居ル、或ハ此中
ニハ俺ハ其當時院外國デアッテ、浪人デアン
テ云々ト云フコトヲ言っテ居ル人モアル、或
ハ御當人カラ遺憾ナガラ多少ノ關係ヲシタ
ト云フ意味ヲ述ベラレテ居ル人モアル吾
吾ハ其人ノ行動ヲ一々玆ニ捉へ來ッテ、之ニ
批判ヲスルコトガ目的デハナイ、斯ノ如キ大
疑獄、大問題ガ起ルコトヲ知ラザル眞似ヲ
致シテ今日ニ及ンダ内閣ニ向フテ肉薄致シ
テ居ルノデアル、ソレデアリマスカラ政黨
員諸君ノ行動ノ批判ハ今日ハ目的外デア
ル斯ウ云フ意味デ成ルベク名前ヲ言ヒタ
クナイ、斯ウ云フ關係ニ立ッテ居ル、ソレデ
此問題ニ付キマシテハ非常ナ目論見ヲ以テ
ヤッタノデアリマスカラ、何シロ坪平均十圓
位デ買受ケタモノガ、遊廓地トシテ指定ヲ
受ケルコトガアレバ直ニ一坪三百圓、若ク
ハ五百圓ニ暴騰シヤウト云フ莫大ナ利益ヲ
目的ニヤッテ居ルノデアリマスカラ、此移轉
ハ可能性ガアル、此移轉ノ指定ハ必ズ實現
スルモノダト云フコトサヘ思ハセレバ、此
運動費ノ如キハ幾ラデモ湧イテ出ル、謂ハ
バ運動費ノ如キハ無盡藏デアルト云フ立場
ニ在ッタ仕事デアル、ソレデアリマスカラ此
局ニ當ル、此運動ヲスル中心タル人ニハ、
如何ニシテ此實現性ヲ信ゼシメルカト云フ
事ニ付テモ苦心ヲ致シ、ソコデ是ガ今日土
地會社ノ手ニ入ッテ、サウシテ之ニ依ヶテ成功
疑ナシト云フコトヲ振廻サレタ所謂六韜
三略ナルモノガアル、此六韜三略ノ出所ニ
付テ私共ハ謹ンデ内閣ノ答辯ヲ頰シタイト
思フ、是ハ何デアルカ、大阪ノ都市計畫圖、
此都市計畫ノ圖面ヲ振廻ハシテ、サウシテ
此都市計畫ノ圖面ニ依ルト云フト、此西成
郡ノ御幣島一帶ガ遊廓地トシテ指定ヲサレ
ル候補地デアルト云フコトガチヤント出來
テ居ル、之ヲ見タカラ關係者ガ、是ハ以然
大阪デ立案シタ圖、サウシテ内務省ニ於テ
認可シタ、刻印ヲ打ッタ圖面デアルカラ、是
ナラバ間違ガナイト云フノデ多クノ人ガ之
ニ手ヲ出ス、斯ウ云フコトデアル、モウ一
ツ-モウ一ツハ何デアルカト申シマスレ
遊廓指定圖ダ、遊廓指定圖ハ是ハ大阪
府ガ作ノタ、サウシテ只今ノ松島ト云フー
或ハ御承知デナイ方ノ方ガ御多數デセウガ
謂ハバ此處ハ大阪ノ中心ニナッテ居ルノデ、
早晚ハ彼處ニ移轉ヲシナケレバナラヌ運命
ニ在ルモノデセウ、ソレダカラ此遊廓ハド
ウシテモ整理シナケレバナラヌ、其整理ヲ
スル-謂ハバ移轉先ハ何處ニスルカト云
フト是ハ御幣島デアル、其御幣島ハ遊廓指
定地トシテ早晩是ハ實現スルガ、其坪數ハ
幾ラデアルカト云フト四万五千坪アル、ソ
レデ〓迄ノ遊廓ノ設備ハ多ク外廓ヲ造ッテ
居ル、多ク外廓ヲ造フテ居リマスガ、アノ外廓
ヲ以テ街路ト遮斷ヲスル遣方ハ、先年ノ大
震火災ノ時ノ慘害ニ鑑ミテ、洵ニ不便デア
ルト云フコトカラ、今度ノ大阪ノ新遊廓ハ
斯樣ナ障壁ヲ置カナイ、置カナイデ解放的
ニスル解放的ニ四万五千坪ノ遊廓地ヲス
ルナラバ、其周圍七十万坪、約七十万坪ヲ
興行地トシテ許ス、此處ニハ見世物モアレ
バ、輕業モアル、丁度吉原ト淺草ヲ一〓ニ
シタヤウナ一大歡樂場ヲ御幣島ニ造ラウ、
此遊廓設計圖ト云フモノヲ公表シテ見セ
タ、ソコデ堪ラヌ、都市計畫圖ト遊廓設計
圖ガアル、サウシテ四万五千坪ト云フ遊廓
ダケデナク周圍七十万坪、此處ヲ興行地ト
シテ指定スル、一大歡樂場ガ實現スルト云フ
コトニナリマシタカラシテ、恐ロシイ勢ヲ
以テ之ニ注意ヲ拂フコトニナッタ、サウシテ
此偵段ヲ申シマスト、是等ノ土地會社其他
ノ關係者ガ初メ此處等ノ土地ヲ買ヒマス時
ハ、初メノ時ハ一圓前後、一圓三四十錢ノ
所モアッタガ、終ニハ相當釣上ゲテ三四十
圓ニモナリマシタデセウカ、此二三ノ土
地會社ガ組合デ約七十万坪ノ土地ヲ買ク
タ、其原價ハ先ヅ十圓ト見テ差支ナイ、
一體是ガ遊廓地トシテ指定ヲ得マスルナ
ラバ、元ノ十圓ノモノハ一躍シテ三百圓若
クハ五百圓、幾ラ偏鄙ナ所ヘ行ッテモ二百
圓ノ値ヲ下ルヤウナ所ハアリマセヌ、ソレ
デアリマスカラシテ假ニ三百圓坪ト致シマ
スルナラバ、是ガ二億一千万圓、二億一千
万圓デアリマスカラ、元値ノ七百万許リ
ヲ引イタ所ガ約二億圓ハ儲カラウト云フ
仕事デアリマスカラ、之ニ二百万圓ヤ三
百万圓ノ運動費ヲ投ズルコトハ、政治家
トカ、或ハ其他ノ方面ニ使フト云フコトハ、
二億前後ノ儲ケガアル大博奕デアリマスカ
ラ、寔ニ易イコトデアル、寔ニ僅少ナ資本
デアルト云フ、斯ウ云フ算盤ガ出來ル、デ
アリマスカラ新聞ハ色ニナ文字ヲ使ッテア
リマスガ、私ハ會社ガ拂ッタ總額ト云フモ
ノハ十万臺デハアリマセヌ、桁ガ違ノテ
居ル、百万臺デアル、百万圓ハ餘程多イ數
ニナッテ居リマセウ、今デハ司法官憲ノ手
ニ在ル筈ト確信致シテ居リマス、司法官憲
ノ手ニ在ル筈デアルカラ、暫クノ間ニ世ニ
發表ニナルコトヽ思ヒマス、サウシテ各政
黨員其他ニ向フテ使シタ金モ、是モ相當大キ
ナモノデセウ、甚ダ私共モ同僚トシテ遺憾
ノ至リニ堪ヘマセヌガ、時〓吾々ノ同僚ガ
之ニ關係シ、而シテ金錢ヲ收受シタリトノ
新聞ノ記載ニ係ル僚友ガアル、同僚ガアル、
其金額ナドモ或ハ新聞ニ出テ居ルヨリハ多
額ノモノデアルカモ知レマセヌ、何ニ致シ
マシテモ是ハ恐ロシイ儲ケニナルモノダト
云フノデ、之ニ飛付イテ掛ノ夕者ガ三百六
七十人バカリ明ニナッテ、大阪府ノ警察部
カラ移ッテ檢事局ガ之ヲ調ベテ居ル、斯ウ
云フ恐ロシイ人氣ノアル仕事デアリマスカ
ラシテ、相當現金ヲ拂クタノミナラズ、是
ガ實現致シマシタナラバ、之ニ對シテ多大
ナル報酬ヲスルト云フコトデ契約書ガ渡,
テ居リマセウ、多イ人ハ一万坪、少イ人ハ
五千坪、相當是カ公平ニ普遍的ニ出來テ居
ル、一万坪ト云ヘバ僅カナヤウデアリマス
カ、今デハ草茫々タル畑デアルカラ一向有
難クナイガ、是ガ遊廓指定地トシテ殷賑ナ
ル町ヲ造ルモノト決定ヲシタ曉ニ於テハ
少クモ坪先ヅ五百圓、少クモ三百圓ハ
下ルコトハナイ、三百圓トシタラ一万坪
貰フトシテ、此一万坪ノ報酬契約ハ其
價三百万圓、三百万圓ハ少イト言ハレ
ナイ、併シ會社ノ方カラ云ヘバ何デモナ
イ、七十万坪先ヅアルカラ寔ニ何デモナイ、
易ミトシテ此契約ガ書イテアル、大阪デ随分
宿屋ニ泊リ込ミ、白晝一日ノ歡樂ヲ盡シテ契
約書ヲ書カシタ人モアル筈デアル、井一杯
デ一日ヲ暮シテ、其間ニ幾万坪ノ報酬契約
ガ出來夕人モアル、私ハ是等ノ人ノ行爲ヲ
彼此レ言フノデハナイ、是等ハ追テ司法問
題ニナリマセウ、今デハ御承知ノ如ク一躍
幾億ノ富ヲ得ヤウトシタ仕事ガ、マルデ水
泡ニ歸シ、畫餅ニ歸シ、サウシテ運動費ノ
使ヒ損ト云フコトニナッタノデアリマシマス
カラ、詐欺罪モ起リマセウ、株主ガ默ッテ居
リマセヌカラ、背任罪ノ告訴ト云フモノモ
起リマセウ、相當裁判所ガ忙シクナルノデ
アリマセウ、其結果トシテ、司法問題トシ
テ裁判所ノ手ニ依シテ容易ニ解決スルト考
ヘマスガ、唯、玆ニ私共特ニ政府ニ聞イテ
見タイコトガアル、ソレデ此問題ヲ以テ特
ニ緊急質問ヲスル所以デアリマス、尙ホ此
際私共申シテ置ク、此際中シテ置ク、名前
ハ成ベク祕シタイト存ジマスルガ、頻二本
黨ノ諸君カラ名前ヲ言へ、詳細ニ語レト云
フ話デアル、唯目的ガ此事實一切ヲ茲ニ
抉出スルノガ目的デナイカラ、成ベク省略
シタイ、シタイガ政友本黨ノ側カラモ受取
モ出テ居リマセウ、又相當深イ關係ガアリ
マセウ、私ハ政府ニ向ッテ質問ヲスルノデ
アルカラ、野黨タル本黨ノコトヲ彼此レ言
ヒタクナイ、ソレダケノ關係デアル、憲政
會ニモアリマセウ(「アリマセヌ」ト呼フ
者アリ)、相當現金ヲ取ッテ居ルデアリマセ
ウ、私憲政會ノ某氏ノ點、而モ關係者ヨ
リ聽ケバ某氏自筆ノ領收書ト云フモノノ寫
ヲ一ツ持ノテ居ル、此領收書ノ寫ニ依ルト、
貴殿等ノ希望地へ移轉スルコトガ決定ヲシ
タ、費用トシテ、幾万圓ヲ領收スルト云フ領
牧書ガ出テ居リマス、是ハ確ニ今日、裁判所
檢事局ノ手ニ在リト確信ヲ致シテ居リマ
ス、私共實ニ驚イタ、今日ト雖モマダ遊廓
ノ移轉ノ指定ハアリマセヌ、アリマセヌノ
ニ昨年中ノ某日之ガ貴殿等ノ希望地へ移轉
スルコトガ決定シタト云フ領收書デアル、
而モ相手ハ中村萬治郞、是ハ萬信託ノ社長
デアル、萬成信託ノ社長ノ希望地ハ五幣島
デアル、決定ヲシタト云フ領收書デアル、
法律上ドウナルカハ存ジマセヌガ、此領收
書アルガ故ニ、此思惑師ガ非常ニ之ヲ信ジ
タト云フ事實ガアル、淘ニ罪ナ話デアルト
私ハ思フ、政府ノ輿黨デアリ、殊ニ重キ地
位アル此人ガ、輿黨ノ此人ガ書ク領收書デ
アルカラ、決定シタト云フ以上ハ斷ジテ間
違ガナイト云フコトデ、一層此熱ヲ高カラ
シメタト、斯ウ云フ關係ニナッテ居ル(拍
手)今日裁判所へ領收書及往復ノ文書ノ押
故サレタルモノハ相當アルデアラウト私共
ハ信ジテ居リマス、ソレカラ政友本黨ノ方
ガ頻ニ大キナ聲ヲ爲サルガ、政友本黨ニモ
不幸ニシテ疑ヲ買フダケノ事實ハアリマ
ス、或ハ書面モアルカモ知レナイト申シテ
置キマセウ(「アレバ言ヘ」ト呼フ者アリ)私
野黨ノ攻撃ヲスルコトガ目的デナイカラ、
此程度ニ致シテ置キマセウ、又過日モ(「議
長」「議長」ト呼フ者アリ)川崎阜吉君-內
務次官川崎卓吉君ノコトニ付テ、私片岡商
工大臣ニ御尋シタ所ガ、左樣ナ事實ハ毛
頭ナイト云フコトデアル、左樣ナ事實ハ毛
頭ナイト云フコトデ、馬鹿ニ大キナ聲ヲシ
テ此處デ御答辯ニナリマシタガ、此事實ハ
私モウ少シ之ヲ補ッテ置キタイト存ジマス、内
務大臣ノ前デ補ッテ置キタイト思フ、ソレ
ハ此松島事件ハ只今マデ申述ベマシタヤウ
ナ關係ヲ以テ、政黨ト官憲ト資本家ガ結託
シテ、サウシテ此一大儲ケヲヤラウ、官紀
モ綱紀モアリマセヌ、儲ケサヘスレバ宣イ
ト云フコトデ掛ッタノデアルカラ、一靑年
ノ詰問ニ會ッテ片岡當時ノ次官如何トモス
ルコトガ出來ナイデ、老練ナル片岡君ガ結
局當時ノ川崎警保局長ヲシテ之ニ金ヲヤッ
テ、サウシテ引取ラシタト云フ事件デアリ
マス(拍手)其金ヲ貰ッタト云フ人ノ告白書
ヲ讀ミマセウ-其告白書ノ一部分ヲ讀ミマ
セウ偖時ノ內務政務次官片岡直溫氏ヲ訪フ
テ前記ノ〓末ヲ語ルヤ、氏ハ懇ニ余ヲ慰撫
シ直ニ卓上ノ「ベル」ヲ押シテ川崎氏ヲ呼
ビ、別室ニ於テ少時密談シタリ、其結果片
國次官ハ余ヲシテ再ビ川崎局長ヲ訪ハシメ
タリ、斯クシテ川崎局長ハ改メテ金二千圓
ヲ余ニ手交シタリ」如何デアル、不正ナ點
ガナク、疚シイコトガナクシテ、一靑年ニ
二千圓ヲヤルト云フコトガ何處カラ出テ來
ル(拍手)殊ニ川崎氏ガ內務次官トナッタコ
トニ付テハ、世間ノ噂ニ依レバ、前內務次
官ノ湯淺氏ハ-廉潔ナル湯淺氏ハ、此遊
廓移轉問題ヲ以テ迫ッテモ斷ジテ應ジナイ、
應ジナイカラ湯淺ガ次官デ居ッテハイケナ
イト云フコトデ、川崎ヲ以テ之ニ代ヘタ、
世間ハ斯樣ニ申シテ居ルノデアル、此內務
次官ノ更迭ハ單純ナル更迭ニアラズシテ、
遊廓移轉問題ノ爲ノ更迭デアルト云フノ
ガ、世間ノ定評デアルノデアル(拍手)先ヅ
斯樣ナ順序ヲ以チマシテ政黨員ト官憲ト
サウシテ財產家トガ結託ヲシテ大儲ニ掛
カッタ、之ニ對シテ最モ深イ〓係ノアル方
面ハ、先ヅ之ヲ役人ニ求メマスレバ、川崎
次官、大阪ノ中川知事、ソレカラ某々等政
務次官、其他ノ政務次官、ソレカラ政黨員
デハ先ヅ今マデ御話ヲシ夕程度以上ニハ進
メナイデ置キマセウ、勿論名前ハ此處デ言
ヒタクアリマセヌ、ンレカラ金ヲ出シタ方
面デハ、大抵新聞デ御水知デアリマセウガ、
豊國土地ノ社長、ソレカラ萬成信託ノ社
長、或ハ川原義六、斯ウ云フ人ガ相當深イ
關係ヲ持クテ居ルト思フ、唯〓怪文書ノ配
付ニ依シテ刑事問題ガ起リ、一大頓挫ヲ來
シテ、今日デハ採消連動モ出來ナケレバ、
之ヲドウスルコトモ出來ナイ、洵ニ苦シイ
立場ニ立ッテ居リマスルガ、私此際政府ニ
向ッテ承リタイト存ジマス、ソレハ政府ニ於
テハ過日來松島遊廓ノコトニ付テハ一 口
ニ申シマスレパ初ヨリ非移轉ノ方針デアッ
タ、斯ウ云フ御答辯デアッタ、言葉ハ違ヒ
マスルガ初ヨリ非移轉論デアッタト云フ
コトニ御答辯ハ歸着ヲ致ス、所ガ只今
マデ私ガ述ベマシタ關係ニ依レバ
政府ハ殆ド移轉論ノ中心トナリ、移
轉論ノ殆ド中心トシテ進ミ來ッタト云
フ事實ガ玆ニ現ハレテ來タノデアリ
マスルガ、ソレデモ尙ホ議會ニ於テ初ヨリ
移轉セザル方針デアッタト云フ御答辯ヲ固
執サレルノデアルカ否カ、承テ置キ
タイ、ンレカラ次ニ若シ政府ガ初メカ
ラ移轉ヲシナイト云フ方針デアッタトスレ
パ、此猛烈ナル移轉運動ノアンタコトハ、無
論御永知ナイコトハナイ、又知ラヌトハ言
ヘナイノミナラズ、過日ノ內務大臣ノ御答
辯ニ依レバ、大阪府知事ガ猛烈ナル移轉運
動ガアッテ困ルト云フヤウナコトヲ言ッテ來
タケレドモ、サウ云フ者ニハ觸ハノテハイ
ケナイト言ッタコトガアル、然ラバ此知事ガ
苦シメラルヽ程ノ熾烈ナル移轉運動ノアル
際政府トシテ移轉セザル方針デアルナラ
何故ニ移轉セザル方針ナルコトヲ明元
シ、之ヲ示シテ此憎ムベキ醜運動ヲ根絕ス
ル方針ニ出デナカッタノデアルカ、隨分不深
切ト言ハナケレバナラヌ、政府トシテ非移
轉方針ヲ確立シテ居ル、非移轉方針ヲ確立
シテ居ナガラ、是ト相容レザル移轉運動ガ
アルノヲ知ラヌ顏ヲシテ、打棄ノテ置クト云
フコトハ、不深切デアリ、少クモ政治家ト
シテハ避ケナケレバナラヌ態度デアル、然
ルニ尙ホ政府ハ依然トシテ消極的態度ヲ執っ
テ、之ヲ明言セザリシハ何故デアルカ承リ
タイ、又斯ノ如クシテ玆ニ數百万ノ損害ト
多大ナル浪費、此費用ト時間ヲ徒費セシメ、
其結果大疑獄ヲ惹起シタト云フコトハ、
ニ政府ガ所謂非移轉主義ヲ明カニシナカツ
ツ
タカラデアル、少クモ態度ヲ明ニシナカ
タ結果、此大疑獄、此大問題ヲ惹起シタノ
デアルカラ、此政治上ノ責任ハドウシテモ
政府ガ負ハナケレバナラナイ(拍手)此點ニ
關スル政府ノ所見ヲ承リタク存ジマス、ソ
レカラ此裁判所ノ問題ノ方ハ是ハ此處デ
申ス必要ハアリマセヌガ、先刻申シマシタ
都市計畫ノ圖面若クハ遊廓ノ設備圖面ト云
フガ如キ、文書ノ性質上役所ノ嚴祕ニスペ
キモノデアル、嚴重ニ之ヲ祕密ニシナケレ
バナラヌ書面ガ、營利會社若クハ是等射利
ヲ目的トスル人等ノ手ニ渡ッテ、之ヲ以テ盛
ニ投機ノ材料ニ使ハレテ居ル、此祕密漏洩、
殊ニイツ遊廓ノ移轉ヲ發令スル、或ハ昨年
十二月ノ二十八日ノ御用仕舞ニヤルトカ、
或ハ一月十五日ニヤルトカ、常ニ此日ヲ斷
言致シテ、或ル政黨員ガ何月何日ニ移轉ス
ルコトニ決定シタ、屹度其日ニ移轉サスト
云フコトヲ、受取ヲ書ク位ニ信ゼシメテ居
ル程デアリマスガ、是等ノ重要ナル祕密書
類ノ漏洩、公表、若クハ運動者ト會見シ、
或ハ是等ノ指定發表ノ日ヲ約シ、若クハ之
ヲ漏スト云フ祕密漏洩ノコトニ對シテ、此
監督ノ責任アル內務大臣トシテ、其責任ヲ
感ゼラルヽヤ否ヤ、承リタク存ジマス、又責
任ヲ感ズルトシマスルナラバ、如何ニシテ
此大疑獄ヲ惹起シタル此態度ニ付テ、如何
ナル方法、如何ナル形式ニ依ッテ其責ヲ負
ハレントスルノデアルカ、明快ナル答辯ヲ
煩シタク存ジマス(拍手)
〔國務大臣若槻禮次郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=126
-
127・若槻禮次郎
○國務大臣(若槻禮次郞君) 所謂松島遊廓
問題ト云フコトニ付テ、過日板野君カラ御
質問ガアリマシテ、當時私ハ御答ヲシテ置
イタノデアリマス、私ノ知ッテ居ルノハ當時
御答ヲシタンレダケデアリマス、モウ一遍
繰返シテ申上ゲマス、松島遊廓ヲ移轉シヤ
ウト云フ運動ガアルト云フコトハ、大阪府
知事カラ私ニ申シマシタ、ソコデ私ハ斯樣
ナ問題ハ大阪市ニ於テ輿論ニナッテ、此處ニ
遊廓ガアッニハ風〓上ニ害ガアル、ソレ故
ニ斯樣ナモノハ玆ニ移サナケレバナラヌト云
フコトガ、大阪市ノ輿論トナッテ、何人モ之
ニナラナケレバナラヌト云フタトキニ初メ
テ決定スベキモノデアル、ソレ故ニ先ヅ以
テ市長ナリ、市會デ決議スルナリ、或ハ都
市計畫委員デ決定スルナリ、總テ公共ノ機
關ガ之ニ非ザレバイカヌト云フコトヲ決メ
タトキニ於テ初メテ判斷スペキモノデアソ
テ、個々ノ運動者ナドガ來ッテ運動シタカ
ラト言ウテ、決シテ之ヲ許シテハナラヌト
云フコトヲ中川知事ニ中シタノデアリマス、
之ノミデアリマス、私ノ承知シテ居ルノ
ハ此以外ニハ何モアリマセヌ、都市計畫ノ
圖面ノ何處ニ遊廓ノ圖ガ出テ居ルノデアル
ガ、只今板野君ノ御指摘ニナリマシタ地名
ノ所ガ、大阪ノ西ニ在ルノカ、束ニ在ルノ
カ、私ハ知リマセヌ、サウ云フコトヲ言ウ
テ來ル前ニ、遊廓問題ナドハ風〓上カラ考
くっ、市長ナリ、市會ナリ、區會ナリ、總
テ大阪市ノ輿論ガ出來テ初メテ決定スベキ
モノデ、個々ノ人間ノ運動ナドデ決定スベ
キモノデナイ、斯ウ言ンテ府知事ニ訓示ヲ
致シマシタ、大阪府知事ハ固ク之ヲ守ッテ、
何人ガ如何ニ言ッテモ許サナカッタ、唯〓
事實ハ是ダケデアリマス、而シテ官邊ニ於
テ之ニ關係シテ居ル者ガアルト言ハレルガ、
是ハ以テノ外ノコトデアリマス、官邊ニ於
テハ決シテ左樣ナ犯罪事實ニ關係シテ居ル
者ハナイノデアリマス、又內務省ニ靑年ガ
飛込ンデ來テ何トカシタト云フコトデアリ
やっ、是ハ片岡商工大臣ニ關スル限リニ於
テハ、片岡君自ラ此處デ明瞭ニ事實ノ無イ
ト云フコトヲ言ハレタノデアリマス、又其
節川崎現内務次官モ關係シテ居ッタト云フ
コトデアリマシタガ、私ハ人ノ事デアルカ
ラ質サヌケレバ分リマセヌ故ニ、曩ニ川崎
次官ニ申シタ所ガ、全然左樣ナ事ハナイ、
只今板野君ノ此處デ御申述ニナッタコトハ、
全ク虛構ノ事實デアルノデアリマス(拍手)
尙ホ都市計畫ノ圖面ガ何處カノ手ニ洩レテ
居ッタト云フコトデアリマスガ、私ハ全然承
知シマセヌ、誰ガドウ云フモノヲ持ッテ居
ルカ、第一其都市計畫ノ圖面ナルモノガ如何
ナルモノデアルカ、私ハ承知セヌノデアリ
さく、ソレ故ニ誰カヾソレヲ洩シタト云フ
コトガ惡イノデ、ソレガ官紀ニ觸レルナラ
バ、事ガ明瞭ニナリマシタナラバ、必ズ匡
シマス、今日ハ私ハ全ク承知ヲ致サヌノデ
アリマス
〔板野友造君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=127
-
128・板野友造
○板野友造君 只今總理大臣兼内務大臣カ
ラ御答辯ヲ承リマシタガ、知事カラ移轉ノコ
トヲ何カ言ッテ來タトキニ聞イタ以外ニハ、
何等此問題ニハ與リ知ラヌ、斯樣ナ答辯テ
アル、議會ニ於テ反對黨夕ル吾々ガ此問題ヲ
以テ内閣ニ質問ヲスルモ、要領ヲ得ル答辯
ヲ望ンデハ居リマセヌ、殊ニ極メテ答辯ニ
巧妙ナル總理大臣トシテハ極メテ巧ミナ
答辯ヲサレルデアラウト云フコトハ豫想ヲ
致シテ居リマシタガ、吾々ガ政府ニ質問ス
ル所以ノモノハ、唯〓自分ノ知ラザル事ニ
付テ〓ヲ受ケルト云フ意味デハアリマセヌ、
政府ニ責ムベキモノヲ難詰スルト云フ意
味ヲ持ノテ居ルノデアルカラ、吾々ハ此質疑
ヲ最モ重ンズルノデアル、一切之ニ關係ノ
無イト云フコトハ極メテ白々シイ答辯デ
アル、極メテ無責任ナル答辯デアルト云フ
コトヲ申上ゲテ置キマス、此天下ニ隱レナ
キ、而シテ是ガ數年前ヨリ-何モ大正十
三年カラ始ッタ問題デハアリマセヌ、餘程
前カラ此問題ニ付テ内務大臣タル若槻君ガ、
大阪府知事カラ聽イタ以外ニ何ンニモ關
知セズト云フガ如キハ世ヲ僞リ己ヲ僞ル
ノ甚シキモノト謂ハナケレバナラヌ(拍手)
卽チ之ニ就テ多少ハ聞イタケレドモ、斯々
ノ所マデハ知リ得ルケレドモ云々ト云フナ
ラバ免モ角、一切之ヲ知ラヌト云フコトデ、
全部否認セントスルハ極メテ此議會ニ於
ケル不深切ナル態度トシテ、私共ハ是以上
御尋致シマセヌ、唯〓幸カ不幸カ此事件、此
問題ニ付キマシテハ目下司直ノ手ニ於テ
根本的ニ此調査ヲ進メテ居ルノデアリマ
ス、或ハ議會ニ於テハ知ラヌ存ゼヌト云フ
コトデ濟ムニシテモ、蓋シ裁判所ノ調べノ
結果、政府ノ答辯ガ僞デアルト云フコトガ
明々白々ニナル日ガ近ク來ルデアラウト信
ジマス(拍手)是デ御別レシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=128
-
129・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 議事進行ニ關シテ發
言ヲ求メラレテ居リマス-中林友信君
〔中林友信君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=129
-
130・中林友信
○中林友信君 議事ノ進行ニ付キマシテ
發言權ヲ得タノデアリマスルガ、私ノ議
事進行ニ付キ申上ゲタイ一條ハ、凡ソ議員
ガ演壇ニ於テ質問ヲスル場合ニ於キマシテ
ハ其質問ハ質實ニシテ、而シテ其質問ノ
答辯ヲ確實ニ得ルコトヲ曰的ト致サナケレ
バナラヌノデアリマス(拍手)然ルニ拘ラズ、
今板野君ノ質問ノ要旨ヲ伺シテ見マスルト、
荒唐無稽ノ事デアルノデアリマス(拍手)若
モ荒唐無稽ノモノデナイトスルナラバ、何
月何日何レノ所ニ於テ某ト某トガ如何ナル
取引ヲ致シタト云フコトヲ明ニ發表シテ戴
キタイノデアリマス(ヒヤ〓〓)私モ大阪府選
出デアリマス、今ノ板野君ノ抽象的質問ヲ
以テ終ルナラバ、大阪ノ選出代議士ガ大阪
ノ問題ナルガ爲ニ怪シイト云フ疑ヲ受ケテ
ハ吾々ノ人格ヲ害スルコトガ最モ甚シイ
ノデアリマス(拍手)又板野君ガ更ニ總理大
臣ニ向ッテノ答辯ガ要領ヲ得ナイ、要領ヲ得
ナイノガ當然デアルト云フナラバ、何ガ故
ニ要領ヲ得タル答辯ヲ欲シイト仰シヤラナ
イノデアリマス(拍手)要領ヲ得ル積リデナ
カッタガ、質問致シタト云フヤウナ無責任
ナル質問ヲナサル御方デアルガ故ニ、其仰シ
ヤルコトガ又全部無責任デアルマイカト云
フコトヲ私ハ憂フルノデアリマス、特ニ又
松島事件ハハヤ査問會ノ問題トナッテ、査
問會ニ於テ査問中ニ屬スルモノトスルナラ
バ其査問會ト此質問トノ關係ガ最モ明カ
デナケレバナラヌト思フ、故ニ査問會ノ參
考ト致シテモ、板野君ガ全然今ノ質問ノ要
旨ハ責任ヲ持ッテゴザルノデアルヤ否ヤト
云フコトヲ私ハ伺ヒタイノデアリマス、若
モ責任ヲ持ッテゴザル方デアレバ、モウ少
シ詳シク各黨派ニ關係ガアルトスレバ、政
友會モ、憲政會モ、政友本黨モ、總テニ依
估屬負ノナイ公平無私ナル確實ナル發表ヲ
得タイト云フコトヲ特ニ私ハ希望シテ、査
問會ニ對スル議事ノ進行ノ上ニ關係ガアラ
ウト思ヒマス故ニ、玆ニ之ヲ再ビ板野君ノ正
確ナル御答辯ヲ得タイト云フコトヲ切ニ希
望シテ、何月何日何レノ所ニ於テ、ドウ云フ
事ガアッタカ、、若モソレガ無ケレバ、板野君
ノ今ノ趣旨ハ何レノ場所ニ於テ何人ニ御聞
キニナッタカト云フコトヲ聽カナケレバ、私
ハ得心ガ出來ナイノデアリマスルガ故ニ、
明瞭ニ名前ヲ發表セラレタイコトヲ切ニ希
望スルノデアリマス(拍手)
〔粕谷議長議長席ヲ退キ小泉副議長代
リ著席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=130
-
131・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 板野友造君
〔板野友造君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=131
-
132・板野友造
○板野友造君 今ノ御意見ト申シマスカ、御
尋デスカ、私之ニ對シテ辯明シマス、今仮
野君ガ言ッタコトニ付テ、責任ヲ帶ビルカト、
斯ウ云フ御言葉デアリマス、私共憲法上ニ
於テ、法律上ニ於テ、院外ニ責ヲ負ハザル
コトハ是ハ申マデモナイ、併ナガラ-併
ナガラ吾々ハ院外ニ對シテ院內ノ言論ニ付
テ責ヲ負ハザレバトテ、此無責任ナル城壁
ニ隱レテ、吾々ガ無責任ナル放言ヲ致ス者
デハ斷ジテアリマセヌ、近時議會ノ光景ヲ
見マスルト、動モスレバ、此憲法上無責任
ノ保障ノ下ニ荒唐無稽ノ言ヲ爲シ、荒唐無
稽ナルコトヲ政府及ビ其黨ノ總裁ガ言フノ
ヲ議場ニ於テ認メルヤウナ無責任ナ人ガア
ルノデアリマス、私共ハ深ク是等ノ人ノ行
爲ヲ陋ナリトシテ斥ケル者デアル身不肖
ナリト雖モ、吾レ不敏ナリト雖モ、吾々ハ
無責任ナ事ヲ申シマセヌ、吾々ハ吾々ノ確
信ガアッテ····確信ガアッテ玆ニ申述ベルノ
デアルコトヲ御承知ヲ願ヒタイ、ソレカラ
吾々ハ此所ニ登ッテ、吾々ガ玆ニ意見ヲ述
ベル際、或問題ニ對シテドノ程度マデ述べ
ルカハ吾々ノ自由デアルト御承知ヲ顯ヒタ
イノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=132
-
133・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 中林友信君
〔中林友信君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=133
-
134・中林友信
○中林友信君 只今ノ板野君ノ御話ヲ私ハ
傾聽致シマシタ、唯〓簡單ニ、他ノ黨派ハ
率ザ知ラズ、政友本黨ノ代議士ガ三万圓ヲ
某所ニ於テ受取ッテ、其受取ガアルト云フ
コトヲ言ハレタノデアリマスガ、其受取ノ
名前ハドナタデアリマスルカト云フコトヲ
明ニ御答ヲ願ヒタイノデアル、私共ハ他黨
ハ知リマセヌガ、我黨ノ-黨紀廓〓ノ爲
メニ板野君ト共ニ黨紀ノ廓〓ト政界ノ廓〓
ヲ致シタイ爲ニ、特ニ板野君ニ御願ヲ致シ
三万圓受取ッタ人ハ何人デアルカト云フコ
トヲ御答ガナケレバ無責任ナル質問ト私ハ
思フノデアリマスルガ故ニ、切ニ之ヲ御願
スル次第デアリマス(拍手)
〔板野友造君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=134
-
135・板野友造
○板野友造君 御答申上ゲマス、三万圓云
云、ドウカト云フコトハ私ハ申シテ居リマ
セヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=135
-
136・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 日程第二十一、
移住組合法案ノ一讀會ヲ開キマス、提出者
ノ趣旨辯明ヲ許シマス、提出者津崎尚武君
第二十一移住組合法案(樋口秀雄君
外七名提出)第一讀會
移住組合法案
移住組合法
第一條本法ニ於テ移住組合トハ組合員
又ハ其ノ家族ノ移住ヲ助成スル爲左ノ
目的ヲ以テ設立スル社團法人ヲ謂フ
組合員又ハ其ノ家族ノ移住ニ必要
ナル資金ヲ組合員ニ貸付スルコト
二組合員又ハ其ノ家族ニ移住ニ必要
ナル資金貯蓄ノ便宜ヲ得セシムルコ
ト
三組合員又ハ其ノ家族ノ移住ニ必要
ナル土地ヲ取得シ又ハ借受ケテ之ヲ
加工シ若ハ加工セスシテ組合員ニ賣
却シ又ハ利用セシムルコト
四組合員又ハ其ノ家族ノ移住ニ必要
ナル建物其ノ他ノ物ヲ購買シ之ニ加
工シ若ハ加工セスシテ又ハ之ヲ生產
シ若ハ造成シテ組合員ニ賣却シ又ハ
利用セシムルコト
前項ノ家族ノ範圍ニ付テハ命令ヲ以テ
之ヲ定ム
移住組合ハ第一項各號ノ目的ノ外定款
ノ定マル所ニ依リ組合員又ハ其ノ家族
ノ移住地渡航ノ周旋ヲ爲スコトヲ得
移住組合ハ其ノ取得シ又ハ借受ケタル
土地ヲ組合員ニ賣却シ又ハ利用セシム
ルニ至ラサル期間臨時其ノ用法ニ從ヒ
其ノ土地ノ經營ヲ爲スコトヲ得
第二條本法ニ於テ移住組合聯合會トハ
左ノ目的ヲ以テ設立シタル社團法人ヲ
言フ
-所屬組合ニ必要ナル移住資金ヲ貸
付シ及移住資金貯蓄ノ便宜ヲ得セシ
ムルコト
二所屬組合カ其ノ組合員ニ賣却シ又
ハ利用セシムヘキ移住地ヲ取得シ若
ハ借受ケテ之ヲ加工シ又ハ加工セス
シテ所屬組合ニ賣却シ若ハ利用セシ
ムルコト
三所屬組合カ其ノ組合員ニ賣却シ又
ハ利用セシムヘキ建物其ノ他ノ物ヲ
購買シテ之ニ加エシ又ハ加工セスシ
テ若ハ之ヲ生產シ又ハ造成シテ所屬
組合ニ賣却シ若ハ利用セシムルコト
移住組合聯合會ハ第一項各號ノ目的ノ
外定款ノ定ムル所ニ依リ所屬組合ノ組
合員又ハ其ノ家族ノ移住地渡航ノ周旋
ヲ爲スコトヲ得
第一條第四項ノ規定ハ移住組合聯合會
ニ之ヲ準用ス
移住組合聯合會ハ移住組合若ハ移住組
合聯合會又ハ移住組合及移住組合聯合
會ヲ以テ之ヲ組織ス
第三條移住組合及移住組合聯合會ハ有
限責任トス
第四條移住組合ノ區域內ニ居住スル組
合員ハ組合員總數ノ五分ノ一以上タル
コトヲ要ス
第五條移住組合ノ組合員ハ定款ニ別段
ノ定アル場合ヲ除クノ外出資ノ全額ヲ
拂込ミタル後ニ非サレハ組合ノ區域外
ニ移仕スルコトヲ得ス
第六條移住組合ノ組合員ハ組合ニ關ス
ル一切ノ行爲ヲ代理スヘキ者ヲ定メタ
ル後ニ非サレハ本法施行區域外ノ土地
ニ移住スルコトヲ得ス
前項ノ代理ヲ爲スヘキ者ハ當該組合ノ
區域內ニ居住スル者夕ルコトヲ要ス
移住組合ノ總會ノ招集又ハ總代ノ選擧
ハ第一項ノ代理人ニ通知スルヲ以テ足
ル第一項ノ代理人ハ移住組合ノ總會又
ハ總代ノ選擧ニ於テ當該組合員ニ代リ
テ其ノ權利ヲ行フコトヲ得但シ總代タ
ルコトヲ得ス
第七條本法ニ別段ノ規定アルモノヲ除
クノ外產業組合法中產業組合ニ關スル
規定ハ移住組合ニ、產業組合聯合會ニ
關スル規定ハ移住組合聯合會ニ之ヲ準
用ス
住宅組合法第十一條乃第十三條ノ規定
ハ移住組合及移住組合聯合會ニ之ヲ準
用ス
第八條本法施行區域外ニ於テ行フ移住
組合及移住組合聯合會ノ事業監督ニ關
スル事項ハ別ニ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以ヲ之ヲ定ム
〔津崎尙武君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=136
-
137・津崎尚武
○津崎尙武君 騒ギノ間デアッタカラ御分
リニナラナカッタカモ知レマセヌガ、私ハ
日程第二十一ニ出テ居ル移住組合法案ノ說
明ヲ致スノデアリマス、此法案ハ各派聯合
提出ノ案デゴザイマス、今期議會ニ於キマ
シテ、食糧問題、人口問題等ガ論議〓サレテ
居リマスケレドモ、此問題ヲ根本的ニ解決
スルニ付キマシテハ、内地ニ於キマシテ、
移住組合法ヲ作リマシテ、其法律ニ依ノテ
内地及海外ノ移住ヲ適當ニ行フ外ナイト信
ズルノデアリマス、此意味カラ致シマシテ、
日本現時ノ法規ニ付テ、內地及海外ノ移住
ヲ爲スニ付テ必要ナル法規ガアルカト見マ
スレバ、何モ依ルベキ法規ガナイノデアリ
やっ、是ニ於テ色〓〓究ノ結果、移住組合
法ヲ作リマシテソレニ依ッテ、相互扶助ノ方
法ニ依シテ、海外及ビ內地移住ノ目的ヲ達
シタイト云フノデアリマス、本案ハ政府ニ
於テ提出セラレンコトヲ交涉シタノデアリ
マスケレドモ、色ミナ都合デ尙ホ其處ニ到
ラナカッタノデアリマス、仍テ吾々ハ本案ノ
衆議院各派一致ノ法案トシテ提出シタ次第
デゴザイマス、會期モ切迫シテ居リマスケ
レドモ、既ニ此問題ハ政府竝ニ各黨派ニ於
テ色ミ〓究セラレタ法案デアリマスカラシ
テ、成ベク早ク通過スル方法ヲ執ノテ戴キ
タイコトヲ切望ニ堪へヌノデゴザイマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=137
-
138・作間耕逸
○作間耕逸君 本案ハ議長指名九名ノ委員
ニ付託セラレンコトヲ望ミマス、而シテ其
委員ハ此場合直ニ議長ヨリ指名セラレタイ
ノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=138
-
139・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郎君) 作間君ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=139
-
140・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 御異議ナイト認
メマス、仍テ動議ノ如ク決シマス、直ニ委
員ヲ指名致シマス、神田正雄君、藤井敬愼
君、吉原義雄君、中村巍君、渡邊伍君、靑
柳郁次郞君、吉木陽君、津崎尙武君、丸山浪
彌君、面シテ只今指名致シマシタル委員諸
君ハ、直ニ第二委員室ニ御參集ノ上、委員
長理事ヲ互選シ、引續キ審議ヲ進メラレン
コトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=140
-
141・作間耕逸
○作間耕逸君 議事日程變更ニ關スル緊急
動議ヲ提出致シマス、卽チ此際政府提出產
業組合法中改正法律案ヲ特ニ上程シテ議題
トナシ、委員長ノ報告ヲ求メ、其第一讀會
ノ續ヲ開カレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=141
-
142・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 作間君ノ動議ニ
御異議ナイト認メマス、仍テ日程ハ變更セ
ラレマシタ、產業組合法中改正法律案ノ第
一讀會ノ續ヲ開キ、委員長ノ報告ヲ求メマ
ス、委員長荒川五郞君
產業組合法中改正法律案(政府提出、貴
族院送付)第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一產業組合法中改正法律案(政府提出、貴
族院送付)
右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノ
ト議決致候此段及報告候也
大正十五年三月二十四日
產業組合法中改
正法律案委員長
荒川五郞
衆議院議長粕谷義三殿
(小字ハ委員會修正)
產業組合法中左ノ通改正ス
第一條第六項ノ次ニ左ノ二項ヲ加フ
利用組合ノ設備ハ組合員ノ利用ニ支障
ナキ場合ニ限リ組合員タルコトヲ得サ
ル者ヲシテ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ
利用セシムルコトヲ得
前項ノ設備ハ勅令ヲ以テ之ヲ指定ス
第六條中「所得稅」ノ下ニ「、營業收益稅」ヲ加
フ
第六條ノ二命令ノ定ムル所ニ依ル產業
組合ノ住宅ノ建設、購入若ハ住宅用地
ノ取得又ハ組合ト組合員トノ間ニ於ケ
ル住宅若ハ其ノ用地ノ所有權移轉ニ關
シテハ地方稅ヲ課スルコトヲ得ス
第四十三條第一項ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ取扱ヒタル物ノ數量、價額其ノ他
事業ノ分量ニ對シテ配當スヘキ剩餘金
ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
同條第二項ヲ左ノ如ク改ム
組合員ニ配當スヘキ剩餘金又ハ持分ノ
計算ニ付テハ計算ノ基礎ト爲ルヘキ金
額ニシテ計算上不便ナル端數金額ハ之
ヲ切捨ツルコトヲ得
第五十九條中「郡長」ヲ「北海道廳支廳長」ニ改
ム
第百六條ヲ削ル
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
但シ第五十九條及第百六條ニ關スル規定ハ郡
長及島司廢止ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔荒川五郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=142
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143・荒川五郎
○荒川五郞君 簡單ニ御報告ヲ申シマス、
本日付託ニナリマシタ產業組合法中改正法
律案ハ、貴族院ヨリ修正可決シテ送ラレタ
モノデアリマスガ、併シ利用組合ノ利用ノ
範圍ヲ廣メ、又組合住宅ヲ住宅組合法ト同
ジヤウニ免稅ノ特典ヲ與へ、又出資ノ拂込
ニ充當スベキ剩餘金ノ配當ニ關スル規定ニ
例外ヲ設ケルト云フ、此三箇ガ改正ノ骨子
デアリマス、其點ニ於テハ貴族院ニモ何等
異議ガナイノミナラズ、其必要ヲ認メラレ
タノデアリマスルガ、此案ガ貴族院ニ懸カ
テ居リマスル際ハ、關係ノアル稅制案竝ニ
地方制度案等ハ審議中デアリマシタカラ、
未決定ノ事項ヲ法文ニ揭ゲルノハ妥當デナ
イト云フノデ、第六條、第五十九條、第百
六條ノ改正案竝ニ附則ノ但書ヲ削除シテ修
正シテ、本院ニ送ラレタノデアリマス、併
シ今ヤ既ニ其懸念ハアリマセヌガ故ニ、本委
員會ニ於テハ、全部貴族院ノ修正ヲ改メテ
政府原案ニ復活スベク修正ヲ致シテ、姿員
會ハ滿場一致可決致シマシタ、此段御報告
申シマス(抬手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=143
-
144・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 本案ノ第二讀會
ヲ開クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=144
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145・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 御異議ナイト認
メマス、仍テ第二語會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=145
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146・作間耕逸
○作間耕逸君 直ニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告ノ通リ
可決確定セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=146
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147・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 作間君ノ動議ニ
御異議ナイト認メマス、仍テ第二讀會ヲ開
キ議案全部ヲ議題ト致シマス
產業組合法中改正法律案
第二讀會(確定議)
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=147
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148・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 第三讀會ヲ省略
シテ委員長報告ノ通リ可決確定致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=148
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149・作間耕逸
○作間耕逸君 再ビ議事日程變更ノ堅〓動動
議ヲ提出致シマス、卽チ日程第七十四乃至
第七十六尾崎行雄君外九名提出、政治運動
ノ爲金品供與ノ制限ニ關スル法律案外二案
ヲ特ニ繰上ゲテ、一括議題ト爲シ、各〓提
案者ノ趣旨辯明ヲ求メ、其第一讀會ヲ開カレ
ンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=149
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150・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 作間君ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=150
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151・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 御異議ナイト認
メマス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、
程第七十四政治運動ノ爲金品供與ノ制限ニ
關スル法律案第七十五、政治結社加入勸誘
方法ノ制限ニ開スル法律案、第七十六、議
員ノ職務ニ關スル法律案ヲ一括シテ第一讀
會ヲ開キ、各〓其趣旨辯明ヲ許シマス、尾
崎行雄君
第七十四政治運動ノ爲金品供與ノ制
限ニ關スル法律案(尾崎行雄君外九
名提出)第一讀會
政治運動ノ爲金品供與ノ制限ニ關スル
法律案
第一條左ノ一ニ該當スル會社、組合、
其ノ他ノ團體又ハ個人ハ政治運動ニ關
シ直接タルト間接タルトヲ問ハス金錢
手形物品其ノ他財產上ノ利益ノ供與
ヲ爲シ又ハ供給ノ約束ヲ爲スコトヲ得
ス
-政府ノ特許セル事業ヲ營ムモノ
二政府ヨリ補助金其ノ他財產上ノ保
護補償若ハ保證ヲ受クルモノ
三政府ニ於テ理事又ハ決議機關ノ全
部又ハ一部ヲ任免スルモノ
四政府ヨリ特權ヲ附與セラレタルモ
五政府ノ請負ヲ爲スモノ
第二條前條ニ規定スル會社組合團體ノ
理事取締役其ノ他ノ役員ニシテ個人名
義ヲ以テ前條ノ行爲ヲ爲シタルモノハ該
會社組合團體ノ行爲ナリト推定ス
第三條何人ト雖政治運動ニ關シ第一條
ニ規定スルモノニ對シ直接タルト間接
タルトヲ問ハス金錢手形物品其ノ他財
產上ノ利益供與ノ申込ヲ爲シ又ハ供與
ヲ受クルコトヲ得ス
第四條前三條ニ違反シタル者ハ刑法第
二十五章ノ例ニ從ヒテ處斷ス
會社ノ行爲ニ關シテハ理事取締役其ノ
他ノ役員組合其ノ他ノ團體ノ行爲ニ關
シテハ其ノ供與ノ決議ニ加ハリタル役
員其ノ責ニ任ス
第五條政治運動ニ關シ金錢手形物品其
ノ他財產上ノ利益供與ヲ受ケタル者ハ
其ノ收受ノ日ヨリ七日以内ニ官報ニ公
告スヘシ但シ所定ノ會規會則ニ依ルモ
ノハ一括シテ其ノ總額ヲ公告スヘキモ
ノトス
第六條政治結社ハ每年一回一定ノ時期
ニ其ノ收支計算ヲ官報ニ公告スヘシ
衆議院議員ノ總選擧アリタルトキハ其
ノ終了後一月以内ニ選舉ニ要シタル費
用ノ收支ヲ官報ニ公〓スヘシ
第七條前二條ノ規定ニ違反スル者ハ六
月以下ノ禁錮又ハ二百圓以下ノ罰金ニ
處ス
虛僞ノ公告ヲ爲シタル者亦同シ
第八條政治結社ニシテ本法ニ違反スル
コト三囘以上ニ渉ルトキハ內務大臣ハ
其ノ團體ノ解散ヲ命スルコトヲ得
前項ノ處分ニ不服アル者ハ行政裁判所
ニ出訴スルコトヲ得
第七十五政治結社加入勸誘方法ノ制
限ニ關スル法律案(關直彥君外九名
提出)第一讀會
政治結社加入勸誘方法ノ制限ニ關スル
法律案
第一條鐵道ノ敷設道路港灣橋梁河川ニ
關スル事業、學校、官公署ノ設置移轉
其ノ他公費ヲ以テ施行スル事業又ハ政
府ノ權限ニ屬スル認可許可其ノ他特殊
ノ利害關係ヲ利用シテ政治結社ニ加入
シ又ハ加入セサルコト竝政治結社ヨリ
脫退スヘキコトヲ勸誘シタルモノハ三
年以下ノ禁錮又ハ二千圓以下ノ罰金ニ
處ス
前項ノ勸誘ノ仲介又ハ周旋ヲナシタル
者亦同シ
第二條行政官廳ノ處分カ前條ノ利害關
係ノ利用ニ基クト認ムヘキ理由アルト
キハ關係者ハ其ノ取消ヲ行政裁判所ニ
請求スルコトヲ得
第三條官吏ニシテ情ヲ知リテ第一條ノ
犯罪ヲ構成スルニ至ラシメタルトキハ
五年以下ノ禁錮又ハ三千圓以下ノ罰金
二段八、
第七十六議員ノ職務ニ關スル法律案
(增田義一君外九名提出)第一語會
議員ノ職務ニ關スル法律案
第一條本法ニ於テ議員トハ貴族院議員
竝衆議院議員ヲ謂フ
第二條議員ニシテ辯護士タル者ハ政府
ノ爲其ノ業務ニ從事スルコトヲ得ス
第三條議員ハ政府ニ對スル營利事業ノ
請負人ノ代理人タルコトヲ得ス又政府
ノ事業ヲ請負フヘキ者ヲ政府ニ紹介ス
ルコトヲ得ス
第四條議員ハ何等ノ名義ヲ用ウルヲ問
ハス政治運動ノ爲金品供與ノ制限ニ關
スル法律第一條ニ揭クル會社組合其ノ
他ノ團體ノ役員タルコトヲ得ス
其ノ發起人又ハ賛助者夕ルニ付亦同シ
第五條議員ハ投機ニ從事スルヲ得ス又
何等ノ名義ヲ以テスルニ拘ハラス投機
ニ關係アル會社組合其ノ他ノ團體ノ役
員タルコトヲ得ス
第六條議員ハ金錢物品手形又ハ財產上
ノ利益ノ供與ニ依リ政治團體ニ加入シ
若ハ政治團體ヨリ脫退スルコトヲ得ス
何人ト雖モ前項ノ行爲ノ勸誘ヲ爲スコ
トヲ得ス
第七條本法ニ揭ケタル罪ヲ犯シタル者
ハ刑法第二十五章ノ例ニ依ル
〔尾崎行雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=151
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152・尾崎行雄
○尾崎行雄君 吾々同志カラ提出致シマシ
タ三ツノ議案ハ、内容ニ於キ及ビ目的ニ於
テハ稍〓關聯ヲ致シテ居リマス、卽チ近年
ノ頻々起ル所ノ我ガ衆議院ニ關スル不詳ナ
ル空氣ヲ一掃スルガ爲ニハ、何等カノ處置
ヲ取ラナケレバナラヌト思フ、其處置ノ一
端トシテ、取敢ヘズ此三案ヲ提出シタ譯デ
アリマシテ、三案中私ハ政治運動ノ爲金品
供與ノ制限ニ關スル法律案ト云フダケヲ說
明ヲ致シテ置キマス、此議案ノ說明ハ、私
ガ千萬言ヲ費スヨリモ、近來當誅場及世間
ニ續々現ハルヽ所ノ忌ハシキ風間及事實ガ、
最モ有力ニ說明ヲ致シテ居ルト思ヒマス
(拍手)既ニ此事實、此風聞ガアル以上ハ、
無根ノ惡評ハ之ヲ帝國議會ノ爲、將夕國家
ノ爲ニ拂ハナケレバナラヌ、又根據確實ナ
ルモノハ、振ッテ馬稷ヲ斬ルノ途ニ出デナ
ケレバナラヌ、何レニシテモ旣ニ煙ガ揚ッ
タ以上ハ、火ノ在リヤ否ヤヲ確メテ、火ア
レバ之ヲ消サナケレバナラズ、若シ火ナキ
ニ煙ガ濠々トシテ揚ルナラバ、將來ハ左樣
ナル不思議ノ事ノ無イヤウニ、國家ノ爲ニ
働カナケレバナラヌト思ヒマス、現在立登ッ
テ居ル所ノ煙ハ、或ハ松島遊廓事件ト云ヒ、
或ハ陸軍ノ機密費問題ト云ヒ、其他洵ニ國
家ノ爲ニ忌ハシキ事ガ續々煙トナリ、動
モスレバ火トナッテ現ハレテ居リマス、而
シテ世間ニハ之ヲ隱サント企テル者モアリ
マスルケレドモ、斯ノ如キ風說及事實ガ、
世間ニ漏レナイ間ナラバ、或ハ隱シテ現ハ
サズシテ之ヲ改メルト云フコトガ、國家ノ
利益デアルカモ知レマセヌケレドモ、旣
世上ニ現ハレタ以上ハ、之ヲ隱セバ病毒ハ
益〓蔓延スルコト、恰モ虎列剌其他ノ流行
病ト同ジ事デアル、流行病ヲ隱ス程危險ナ
ルコトハナク、腐敗事件ヲ曖昧ニ付スル程
國家ノ爲ニ危害ヲ與へルモノハアリマセヌ
(拍手)故ニ遺憾ナガラ是非共之ヲ〓メナケ
レバナラヌト思ヒマシテ、種々考ヘタ中ノ
一端ガ此法律案デアリマス、現在世間ニ起ッ
テ居ル所ノ醜聲、稍〓何等カノ形跡ノアリ
サウニモ見エマスルガ、何レ其ノ有ルカ無
イカノ事實ハ、司直ノ手ヲ經テ裁判上ノ事
件トナッテ現ハレルノデアリマセウカラ、
今日私ガ此處デ喋々ノ辯ヲ費スノ必要ハ無
イ、唯〓斯ノ如キ風說ノ起ルト云フ根源ニ
遡シテ見マスルト、政黨ニ何レモ多少ノ關係
ヲ有シテ居ル爲ト信ズベキ根據ガアリマ
ス、風說ニ上ッテ居ル所ノ吾々ノ友人、同
僚個人トシテハ皆尊敬スベキ人デアッテ、
不正ノ金ナドニハ手ヲ觸レサウモナイ方々
デアリマスルケレドモ、奈何ニセン醜聞ノ
間ニ名ヲ揭ゲラレテ居ル、何故デアルカ、
身ヲ政黨ニ置ク爲デアルト先ツ大體ニ斷ゼ
ザルヲ得ナイノデアリマス(拍手)ソレ等ノ
諸君ガ若シ政黨ノ中ニ居ラナカッタナラバ、
松島事件ニ名ヲ連ヌルコトハナカッタデア
ラウ、機密費問題ニ疑ヲ受クルコトハナカツ
タデアリマセウケレドモ、奈何ニセン、玆
ニ内閣組織ノ根柢トモナルベキ、國家ニ取ッ
テハ一大要素デアル所ノ政黨ナルモノガ、
我國ニ於テモ在ル、此政黨ハ平常ニ於テモ
可ナリノ金ガ要リマスガ、總選擧ノ際ナド
ニハ、何百万ヲ以テ數ヘル程ノ費用ガ要リ
や 、而シテ其金ガ何處カラ出テ、如何ニ
使ハレルカト云フコトニ至リマシテハ、近年
ハ非常ナ祕密デアッテ、恐ラクハ政黨員諸君
ト雖モ御承知ハナカラウ、所謂最高幹部ト
云フ人達ト雖モ、其全部ヲ御永知ニハナル
マイト思ヒマス(拍手)私モ政黨ノ關係ハ
四十年程持ッテ居リマスルカラ、各黨各派
ノ内情モ聊カ承知致シテ居リマスルガ、此
祕密ノ鍵ハ、總裁其他僅カノ二三ノ人ガ握ン
テ居ッテ、他ニハ絕對ニ知ラセヌノデアル、
立派ナル黨員ト雖モ、無我夢中デ其金ヲ使
ヒ、其金ヲ分ッテ居ルト云フノガ現狀デア
リマスルガ、祕密ノ在ル所ハ、必ズ不正不
義ノ因シテ生ズル所トナルノデアル、黴菌ハ
太陽ノ光線最モ激シキ所デハ蕃殖ヲ致サヌ
ガ、暗黑ヤ闇室ニ於テハ徵菌ガ發生スルガ
如ク(拍手)政黨政派ガ遺憾ナガラ出所不明
ノ資金ヲ、平生ニ於テモ何十万圓、總選擧
ノ時ノ如キハ何百万圓使フト云フ事實ハ、
明ニ外間ニ漏レテ居リマス、此間ノ總選擧
ニ於テ、憲政會ガ凡ソドノ位ノ金ヲ使シタ
カト云フコトモ、具眼ノ士ハ一通リ見テ居
ル、此前ノ總選擧ニ於テ政友會、又其前ノ
總選擧ニ於テ政友會、其他ノ寺內內閣ヲ援
ケタ者ガ、ドノ位ノ大金ヲ使シタカト云フコ
トモ、是亦其筋ノ中ニ於テハ公然ノ祕密ト
ナッテ居リマスル、而シテ其金ノ出處ガ一切
分ラヌ、是ハ怪シカラヌ事デアッテ、政黨ハ
國家ノ興廢ニ關係シ、內閣組織ノ根本トナ
ルベキ公ノ機關デアルニモ拘ラズ、使フ所
ノ金ハ分ラヌ、何處カラ來テ、ドウ使フノ
カ分ラヌト云フガ如キ不公明ナル世帶ノ執
方、身上ノ持方ヲシテ居ルコトガ、取リモ
直サズ此醜聲惡聞ノ續々トシテ發スル所ノ
最大原因ノ一ツト思ヒマスル、故ニ私ハ此
ニ於テ諸君ト共ニ、ドウカ我國政黨ノ爲ニ
此根本ノ病ヲ〓メタイ、ソレニハ黨費ヲ公
ニ致ス、苟モ寄附ヲ受ケレバ之ヲ公ニスル、
使ヘバ之ヲ公ニスル、サウスレバ斯ノ如キ
不祥ナ問題ノ起ル氣遣ハ無イノデアリマス
ルガ、有ユル不正事件ハ此黨費ノ收支計
算ヲ祕密ニ致スコトカラ起ルニ違ヒナイト
思ヒマシタ故ニ、私ハドノ黨ニモ味方デハ
ナイト同時ニ、ドノ黨派モ敵デハアリマセ
又、唯〓少年時代カラ、ドウカシテ我國ニ
政黨ヲ造リタイ、政黨內閣ヲ確立シタイト
云フコトノ爲ニ、一身ヲ犠牲ニ供シテ今日
マデ來リマシタ故ニ、今日政黨ガ斯ノ如キ
惡評ノ間ニ包マレテ店ルノヲ見テハ、私
實ニ一生ヲ無駄ニ使ノタカノ如ク考ヘテ、遺
憾ニ堪ヘヌノデアリマス(拍手)故ニドウ
カシテ、將來此國ヲ擔當シテ行ク所ノ諸
君-私ノ如キハ左樣ナル野心ハ一切打棄テ
テアリマスルガ故ニ、此政黨ガドウナラウ
トモ、私ニ取シテハ一切關係ノナイ個人的ノ仕
事デアリマスルケレドモ、諸君ノ如ク前途
有望ナル方ミニアッテハ、之ヲ此儘ニ捨テヽ
置イテハ、到底政黨ハ自滅スルヨリ致方ハ
アリマセヌカラ(拍手)ドウカ此黨費ハ公ニ
募ッテ公ニ使フコトニ、滿場一致ノ御賛成
ヲ願しタイ、而シテ公ニ募リマスレバ、歐
米列國ニ於テモ歴々ト其證左ノ舉ルガ如
〃、今日財閥ナドノ寄付金ヲ受クルト較ブ
レバ、餘程身代ノ持方ハ樂ニナルノデアリ
マス、總選擧ノ時ニ百万、二百万、三百万
ノ金ヲ出サスルト云フコトモ、僅カ少數ノ
財閥ニ出サスルカラコン非常ニ困難ガア
ル、之ヲ全國カラ募リマスルナラバ-少
シ氣ノ利イタ寺デモ、或ハ天理〓ノ如キデ
モ、數百万圓ノ金ハ樂ニ集メルノデアリマ
スルカラ、有力ナル諸君ガ陣頭ニ立ッテ、公
明正大ナ而モ零細ナ金ヲ全國ニ集ムルト云
フ事ニナレバ、五百万、一千万ノ金ヲ集ム
ルコトハ、何デモナイノデアリマス、現ニ
英吉利ノ如キ、自由黨議員ハ六百何十人ノ
中ニタッタ四十何人ヨリ議員ヲ持タナイモ
ノデアルケレドモ、今ヤ全國ニ向ッテ一千
万圓ノ資金ヲ募集致シテ居ッテ、ソレガ軈テ
僅ノ間ニ集マリサウデアリマス、英吉利人
ノ爲シ得ル所、我國ニ於テ度ハ違フカモ知
レヌガ、大體爲シ得ヌナドト云フコトハア
リ得ナイ事ト思ヒマスルガ故ニ、ドウカ財
閥ナドノ金ヲ使ハズ、或ハ機密費或ハ松島
事件ト云フガ如キ不祥不吉ノ金ヲ使フト云
フヤウナ誤レル考ヲバ根本ニ棄テヽ戴キタ
イ、サウスレバ諸君ノ如キ名譽アル人とガ、
斯ウ云フ事件ニ名ヲ汚サウナドト云フコト
ハアリ得ヌ譯デアリマス(拍手)皆己レノ爲
デハナイ、黨ノ爲ト思ヘバコン、汚ラハシ
キ所ニモ關係ヲ致スト云フコトノ已ムヲ得
ザルニ至ルノデアリマスルカラ、ドウカサ
ウ致シタイノデアリマス、松島事件ノ事ハ
先ヅ別ニ言フ程ノ値打モアリマセヌケレド
モ、陸軍ノ機密費ニ至ッテハ、將來モ亦モウ
少シ今日ニ於テ其疑ノ雲ヲ晴シテ置キマセ
ヌト、政黨對陸軍ト云フヤウナ疑ガ必ズ起
リマス、陸軍大臣或ハ總理大臣ノ如キ
ハ、國家ノ爲ニ此疑問ヲ掃ハナケレバナ
ラヌ大責任ヲ持ッテ居ルニモ拘ラズ、先日
來當議場ニ於テ、或ハ委員會ニ於テ述、ブ
ル所ヲ聽ケバ、唯、知ラヌ存ゼヌ、左樣
ナ事ハ無イト云フダケデ下女下男デモ言
フガ如キコトヲ申シテ居ルノデアリマス、ア
ノヤウナ辯解ノ仕方ヲスレバスル程疑ハ深
クナルコトハ請合デアリマス(拍手)總理大臣
ガ言ハウト、陸軍大臣ガ言ハウト意味ノナ
イ、値ノナイモノハ匹夫下郎ノ申分ト少シモ
變リハナイノデアリマス(拍手)彼等ハ疑ヲ
晴ラスダケノコトハ言ヒ得ヌノデアリマ
ス、言ヘヌ所ノモノハ愈、ー、疑ヲ深クスル、第
一事實程正確ナモノハナイ、我國ガ機密費ヲ
使ッタ-軍事關係ノ機密費ヲ使シタ例ハ、
日〓戰爭、日露戰爭及西伯利出兵、卽テ大
正三年事件以來デアリマス、其他ニモ臺灣
事件、朝鮮事件多々アリマスルケレドモ、
事皆小デアル、餘程重大十關係ヲ持,テ居
ルモノハ此三大役デアリマスルガ、日〓戰
爭ノ時、陸軍ガ使シタ所ノ機密費、當時ニ
於テハ餘程ノ大戰爭デアリマシタガ、陸軍
ノ機密費ハ僅カ三十六万九千圓デアリマス、
此度ハ陸軍ダケデ二千四百万圓使ッタ、此
二ツノ事實ヲ對照スルトキニ、是ハ疑フベ
カラズト云フ人ガアッタナラバ、此人ハ數
字ノ桁ヲ知ラナイ人デアル(拍手)日〓戰爭
ハ尙ホ事ガ小サイト申スコトガ出來ルカモ
知レヌガ、日露戰爭ニ至ッテハ開闢以來ノ
最大戰爭、我國ノ國運ヲ賭シテ戰シタ所ノ
戰爭デアリマス、斯ウ云フ軍用金ノ如キモ、
前後合スレバ、殆ド二十億圓ニ近キモノヲ
使ッテ居リマスルカラ、大正三年以來ノ事
件僅カ九億圓ニ比ブレバ、二倍以上ノ金ヲ
使シテ居ル、此國運ヲ賭シタ所ノ大戰爭、
敵ハ有名ナル露西亞デアル、戰場ハ中立國
ノ支那デアル、中立ノ地ニ於テ强敵ヲ對手
ニ戰フト云フコトハ、非常ナ事件デアッテ、
斯ノ如キ時コン機密費モ餘程要ラナケレバ
ナラヌ筈デアルガ、其日露戰爭ノ時ニ陸軍
ガ使クタ機密費ガ僅カ三百二十万圓、今日ノ
西伯利-無人ノ地、敵ハ無イノデアリマ
ス、敵ノ無イ西伯利、無人ノ地ニ居ル間ニ、
二千四百万圓使ッタ、之ヲ疑ハズニ居レル
モノデアルカ、考ヘテ見タラ宜カラウ(拍
手)是ハ三大役ノ比較デアリマスルガ、之
ヲ陸軍ト海軍ノ使ヒ方、同ジ軍人-元來
ヲ言ヘバ日本ノ海軍ハ、一時ハ陸軍ヨリカ
餘計紊レテ居ッタノデアリマス、故ニ吾々
ハ議會ニ於テ二十三年以來主トシテ海軍ノ
攻撃ヲ致シタ結果、近來ハ海軍ハ陸軍ヨリ
餘程良クナッテ居リマスル爲ニ、同ジ軍人
ガ戰爭ニ方フテ使フ所ノ機密費デモ、海軍
ト陸軍ノ間ニハ、非常ナ相違ガアル、海軍
ハ-西伯利事件ニ付テハ陸軍ノ二千四百
万圓ニ對シテ、海軍ハ百万圓ヨリ使ッテ居
リマセヌ、又之ヲ從來ノ使ヒ方ニ較ベテ見
マシテモ、陸軍ハ日〓戰爭ノ際十万圓ニ付
テ二十二圓ダケ使ヒマシタ-十万圓ノ機
密費ノ中二十二圓使ッタ、海軍ハ二十九圓
使ッタ、此時代ハ何時モ其性質上海軍ノ機
密費ノ方ガ、ドウシテモ少シ多クナルベキ
根據モアリマスルガ、事實ハ多カッタノデ
アル、日〓戰爭ハ陸軍ガ一万圓-十万圓
ト申シタノハ間違ヒデアリマシタ、一万圓
ニ付テ二十二圓ノ機密費ヲ使フ、海軍ガ一
万圓ニ以テ二十九圓ヲ使クテ居ル、日露戰
爭ニナリマスルト、陸軍ハ一万圓ニ付テ二十
四圓、前ノ二十二圓ニ比ブルト少シ殖エテ
居リマスルガ、是ハ其位ノ殖エ方ハ先ヅ當
然ト思ヒマス、海軍モ同時ニ日露戰役ニハ
一万圓ニ付テ三十六圓使ッテ居ル、矢張前
ノ二十九圓ニ比ベテ聊カ殖エテ居ル、所デ
此度ハ大正三年事件、此事件ニナリマスルト
陸軍ハ一万圓ニ付テ三百八十四圓使ッテ居
リマス、日〓戰爭ノ時ニハ二十二圓、日露
戰爭ノ時ニハ二十四圓、此度敵ノ居ナイ西
伯利デハ三百八十四圓使。テ居ル(拍手)此
事實ニ對シテ疑ヲ起サヌ者ガアッタナラバ、
無能力者ト言ハナケレバナラヌ(拍手)陸軍
大臣ハ此疑ヲ掃フベク努ムルコトガ國家ニ
奉仕スル所ノ閣僚ノ務デアル(拍手)總理大
臣モ無論此疑ヲ晴ラサナケレバ、總理大臣
ト云フ職務ハ勤マラヌノデアリマス、然ラ
バ陸軍ガ一万圓ニ付テ三百八十四圓ヲ使ッ
タニ對シテ、從來ハ陸軍ヨリ割合ヲ多ク使シ
テ居ッタ所ノ海軍ガ、ドレダケ使シタカト云
フト、一万圓ニ付テ四十二圓ヨリ使ッテ居
リマセヌ、海軍ハ日〓、口露、西伯利事件、略、
同ジ割合ニ使ッテ居ルガ、獨リ陸軍ニ至ッテ
ハ敵ノ居ナイ西伯利ニ行ッタトキニ十五六
倍モ餘計ニ使フト云フニ至ッテハ疑ハザル
ヲ得ヌデハナイカ(拍手)吾々ハ此疑ヲ晴ラ
スコトガ帝國議會ノ役目デアリ、御同樣ガ
國家ニ奉仕スル所ノ任務デアルト考ヘル、
私ハ今ノ陸軍大臣ナドヲ攻撃スルノ心ハ少
シモアリマセヌ、唯、彼等ヲシテ聊カ國家
ニ對スル責任ヲ覺ラセタイト云フガ爲ニ此
言ヲ爲スノデアル、彼等ハ唯、と目前ノ事ヲ
何トカシテ胡麻化シテ、一時ヲ糊塗スルニ
努メテ居リマスガ、ソレハ屬僚ノ仕事デアッ
テ、國家ノ重キニ任ズル者ハ、己レノ身體、
己レノ內閣ニ傷ガ付イテモ、國家ヲシテ危
クセヌヤウニ心掛ケナケレバ大臣大將タル
者ノ責任デナイ、彼等ハ己レノ責任ヲ解シ
得ヌカラ、辯ズベキコトモ辯ジ得ヌノデア
ル、此根本ノ不思議ヲ晴サナケレバナラ
又、然ラバ此同ジ臨時軍事費ノ機密費ニ付
テ、歴代ノ内閣ニ於テドウ云フ使ヒ方ヲシ
タカト言ヘバ、是ハ先達委員會ニ於テ大藏
省ガ公表シタモノガ官報紙上ニ載シテ居リ
マスカラ、私ガ說明スル必要ハナイ、3位
角此臨時事件費ニ付テ、靑島ヲ攻略致シ、
印度洋地中海ニマデ兵ヲ出シテ、此一少ナガ
ラ戰サラシキ戰サヲ致シタノハ、大隈内閣
時代ダケデアリマス、大隈内閣ハ小サイケ
レドモ、戰サヲ致シテ論功行賞ハ一通リ濟
マセテ、此臨時事件費ノ結末ヲ付ケ掛ケタ
ノデアリマス、其戰サヲシテ居ッタ大隈二
年半ノ在職中ニ使ッタ機密費ハ、全部ヲ合
セテ十五万圓デアル、十五万圓デアリマ
ス、此後ニ寺内內閣ガ出テ西伯利ニ兵ヲ出
シタ、兵ハ出シタケレドモ宣戰ノ布告ニモ
アル通リ「チエックスローヴアック」ノ兵ヲ
救ヒ援ケルノガ目的デアッテ、之ヲ攻ムル
所ノ敵ハナカッタノデアリマス、而モ日本
バカリデハナイ、英吉利、亞米利加、伊太
利マデモ出シテ、聯合國ノ力ヲ以テ「チエッ
クスローヴアック」ノ救援ニ赴イタノデアリ
マスカラ、殆ド戰サヲスル餘地ハナカッタ、
卽チ戰サヲシナカッタノデアルガ、其寺內
內閣ハ(發言スル者多シ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=152
-
153・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 靜甫ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=153
-
154・尾崎行雄
○尾崎行雄君(續) 寺內內閣ハ在職二年ニ
足ラナイ間ニ、大隈內閣ノ使ッタ十五万圓
ニ對シテ三百四十万圓使ヒマシタ、誠ニ能
ク使ッタモノデス、實ヲ言フト寺內伯ハ金
使ヒハ大分手荒イ方デアル、大隈侯モ可ナ
リ手荒イ方デアッタガ、其手荒サハ多ク私
財ヲ使フトキニ、自分ノ金ヲ使フトキ二手
强クアッタヤウニ思ヒマス、寺內伯ハ必シモ
サウデナイト見エテ、現ニ朝鮮臺灣、兩銀
行ノ手ヲ經テ二億何千万圓ト云フ金ヲ、支
那ノ段祺瑞ト云フ人ニ貸シテヤッタ、サウ
シテ十年經ッテモ一文ノ利息モ元金モ取レ
ナイ程ノ金ヲ貸シタ、誠ニ人ノ金ヲ使フト
キニハ金離レノ宜イ人デアリマス、此位無
鐵砲ニ人ノ金ヲ二億何千万圓モ只貸シテ、
ソレガ爲ニ臺灣、朝鮮、兩銀行ハ非常ナ窮
境ニ陷ッテ、此間モ此處デ救濟ノ爲ニ國民
ニ非常ナ迷惑ヲ掛ケナケレバナラヌト云フ
不始末ヲスル程ニ金離レノ宜イ人デアッタ
ガ、ンレデモマダ機密費トシテハ三百二十
一万圓ヨリ使ヒ得ナカタノデアリマス、
寺內内閣ニ代ッタノハ原內閣、其時ノ陸軍
大臣ハ卽チ田中大將デアッタノデアリマス、
ソコデ局面一變シテ、寺內伯ノ三百万圓ニ
對シテ原內閣ハ二千万圓使ヒマシタ(拍手)
何處ニドウ使タノデアルカ、誰ガ考ヘテモ
寺內內閣ノ三百万圓、原內閣ノ二千万圓、
使ヒ途ノ分ラウ筈ハナイデハナイカ、相手
ハ無イ、敵ハ無イ、西伯利無人ノ地ニ行,
テ居ル間ニ、一ハ三百万圓、一ハ二千万圓使
フ、ドウシタノデアラウト疑フノガ無理カ、
此事實ヲ揭ゲテ疑ハセル彼等ガ無理デアル
カハ、朝野ノ識者ニ委セルヨリ仕方ガナイ
〔發言スル者多シ議場騷然〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=154
-
155・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 静肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=155
-
156・尾崎行雄
○尾崎行雄君(續) 拙者モ機密費ノ···
(發言スル者多シ議場騷然)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=156
-
157・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 靜甫ニ願ヒマス
-靜粛ニ願ヒマス-靜〓ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=157
-
158・尾崎行雄
○尾崎行雄君(續) 若シ言フベキ理窟ヲ
持ノテ居ルナラバ靜ニ言フテ見タラドウデ
スカ、言フベキ理窟ガナイナラバ、唯z怒
號スルモ宜イガ、理窟ガアルナラバ靜ニ此
處ニ立ッテ何故言ハヌカ(拍手發言スル者ア
リ)免ニ角大隈內閣ノ十五万圓ニ對シテ寺
內內閣ノ三百四十万圓、原内閣ノ二千万圓
何レモ無人ノ地デ使シタノデアルカラ、何
處ニドウシテ使シタカト云フコトノ疑ノ起
ルノハ當リ前デアル、陸軍大臣及內閣總理
大臣ハ、國家ノ爲ニ此疑ヲ晴スベク努メナ
ケレバナラズ、諸君モ怒號スル代リニ、此
疑ヲ晴サナケレバナラヌノデアル、唯〓騷
ゲバ騷グ程、世間ハ諸君マデモ疑フ(拍手)
唯〓此點ニ付テ稍〓此內閣ノ爲ニ辯ジテ見
テ宜シイカト思フ事實ハ、寺內内閣ノ時ニ
衆議院ノ解散ガアッタト云フコトハ事實デ
アル、解散ガアレバ前申シタ通リ選擧費ハ
非常ニ餘計要ルト云フコトモ事實デアル、
サウシテ見ルト十五万圓ガ俄ニ三百万圓ニ
增シタニ付テハ、此解散ト云フコトガ何カ
聯絡ガアリハセナイカト云フ想像モ付カヌ
コトハナイ、私ハ決シテ聯絡ガアルトハ言
ハナイケレドモ、此二ツガ同時ニ行ハレタ
以上ハ、是デ何カ此處ニト思フノガ、是亦
人情デアリマス、同時ニ原內閣ノ時ニモ普
通選擧阻止ノ爲ニ議會ヲ解散シタト云フ事
實ハアル、而シテ此時ノ解散後ノ選擧ニハ
軍用金極メテ裕カデアタ、豐富デアッタト
云フコトモ極メテ事實デアル、而シテ茲ニ
二千万圓ノ機密費ガ西伯利無人ノ地ニ使ハ
レタト云フ事實ガアル以上ハ、此處ニモ何
カ一道ノ脈絡ガアリハセヌカト疑フ者ガ
アッテモ、疑フベカラズト云フヨリカ、脈絡
ノナイ事實ヲ示スコトガ諸君ノ爲デアリ、
國家ノ爲デアリマス(拍手)實ヲ申セバ本員
モ····(發言スル者多シ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=158
-
159・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=159
-
160・尾崎行雄
○尾崎行雄君(續) 政界ニ馳驅スルコト五
十年、政界ノ情僞ハ一通リ承知致シテ居ル、
随テ機密費ナドガ如何ニ使ハレテ居ルカト
云フコトハ、恐ラクハ今ノ國務大臣ナドヨ
リハ本員ノ方ガ能ク承知致シテ居ル(拍手)
實ヲ申セバ-實ヲ申セバ我國ノ橋密費ハ
眞ニ機密費トシテハ使ハレテ居ラスノデア
リマス(拍手)唯、機密費ノ名義ニ欺カレテ
之ヲ國家有用ノ爲ニ使ハレルト思フ者ガア
ルナラバ、全ク政界ノ裏面ヲ知ラナイ素人
ト申サナケレバチラヌ(拍手)內務省ノ機密
費內閣ノ機密費、外務省ノ機密費如何
ナル所ニ使ッテ居ルカ、本員ノ眼中ニハ略ミ
分ッテ居リマス(發言スル者多シ)貴方ガ
タハ分ラヌダラウ、故ニ將來眞ニ諸君ガ國
家ノ爲ニ貢獻シヤウトスルナラバ、此機密
費ノ使ヒ方モ改メナケレバナリマセヌ、實
ハ大抵ノ省ニハ機密費ナドヽ云アモノハ與
ヘテ居ッテモ、機密用ニ使フコトハ出來マ
セヌ、極ク惡イモノハ議員買牧費ニ使七、
更ニ輕キモノハ宴會費其他ニ使シテシマフ
ノガ大部分デアル(拍手)斯ノ如キモノヲ與
ヘルコトガ抑〓帝國議會ノ過デアリマスカ
ラ、將來ハ外國關係-外國關係卽チ外務、
時アッテハ陸軍海軍等ニハ多少ノ機密費ヲ
與ヘル必要ガアルガ、其他ノ内國ノ仕事ヲ
スルニ當ッテ機密費ナドヽ云フモノハ少シ
モ人用ハナイノデアリマス、與ヘテ置ケバ
濫費スル、與ヘナクトモ仕事ハ立派ニ捗シ
テ參リマス、機密費ナシニ仕事ノ出來ナイ
ト云フ者ハ取モ直サズ無能力者ニ過ギナイ
ノデアリマス(拍手)「スパイ」政治ヲスル所
ノ下等ナル政治家カ、然ラズンバ無能力者
デナケレバ、國內ノ政治ヲスルニ當ッテ機
密費ナドノ入用ハアリマセヌ、能ク調ベテ
見タナラバ、國內關係ニ於テ眞ニ機密費ヲ
機密費トシテ使シテ居ル役所ト云フモノハ、
殆ド無イコトヲ諸君モ軈。テ發見セラルヽデ
アリマセウ、況ヤ此陸軍ノ機密費ナルモノ
ハ機密費デハナイ-機密費デハナイノデ
アル(拍手)機密費トハ言フ迄モナク帝國議
會ガ機密費トシテ決議シタ所ノ立法科目ニ
對スル術語デアッテ、唯〓陸軍ヤ內閣ガ機
密費ト名ヅケタ所ガンレハ機密費デハナイ
ノデアリマス(拍手)而シテ此陸軍及海軍ノ
臨時事件ニ使シタト云フ一一千五百万圓ノ所
謂機密費ナルモノハ、帝國議會ノ協賛ヲ經
ナイ行政科目デアルコトハ、陸軍大臣明白
ニ答辯ヲ致シテ居ル
〔拍手起リ發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=160
-
161・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 静粛ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=161
-
162・尾崎行雄
○尾崎行雄君(續) 卽チ彼自ラ機密費デハ
ナイト云フコトヲ公然ト自白致シテ居ルノ
デアリマス(拍手)卽チ宇垣陸軍大臣ガ行政
科目デアッテ帝國議會ノ協賛ヲ經テ居ラヌ
ト云フコトハ、此處デモ明言シテ居リ、委
員會デモ明言致シテ居ル(拍手)行政科目ハ
卽チ機密費デハナイ、械密費ナラザルモノ
ヲ機密費板ニスルト云フコトハ、既ニ意法
ノ精神ヲ解セザル所ノ大臣デアッテ、面モ
其職責ニ背キ違法ノ行爲ヲ爲シタモノデア
リマス(拍手)是等ノコトニ付テ辯解スル言葉
ガアルナラバ、先ヅ第一ニ轉解セナケレバ
ナラヌガ、恐ラクハ今ノ大臣等ニ辯解ノ出
來ル人間ガアラウトハ思ハヌ(拍手)出來ル
ナラバ爲シテ見ヨ、行政科目ノ機密費ト云
フモノガ何處ノ世界ニアリ得ルカ、要スル
ニ是等ノ過ノ起ルト云フコトハ、色ミナ原
因ガアルケレドモ、最モ重大ナル原因ハ政
黨ト云フモノガ祕密ノ資金ヲ使フ、殊ニ總選
擧ノ時ニハ餘計ニ金ヲ使フト云フ、此處ニ禍
ノ本ガアルノデアリマスルカラ、國家ノ爲
ニ此陸軍ニ懸カル所ノ汚名ヲ除キ、將來ニ
對シテ國ヲ〓メントスルナラバ、ドウシテモ
諸君ト共ニ此案ヲ成立セシメテ、黨費ヲ公
開スルヨリ外ニ致方ナカラウト、唯〓一念
國家ヲ思フノ心ヨリシテ此說ヲ唱ヘルノデ
アル(拍手起ル)但シ若シ諸君ガ之ニ優ル所
ノ案ヲ持ツナラバ、私ハ承タ夕後ニ或ハ賛成
スルカモ知レマセヌケレドモ、恐ラクハ黨
費ヲ祕密ニ致シテ居リ、政黨カ祕密ノ資金
ヲ使シテ居ル間ハ、斯ノ如キ醜怪ノ事實、
違法ノ行爲ハ、將來ト雖モ續々起ルデアラ
ウト思ヒマスル故ニ、先ヅ其本源ヲ〓メテ
其末流ニ及プト云フ途ヲ取ルヨリ外ニ致方
ガナイト考へ、謹デ茲ニ諸君ノ良心ニ愬へ
ルノデアリマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=162
-
163・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 關直彥君
〔關直彦君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=163
-
164・關直彦
○關直彥君 諸君、私ハ玆ニ政治結社加入
勤誘方法ノ制限ニ關スル法律案ヲ提案致
シタノデアリマス、極タ簡單ニ說明ヲ〓シ
マスルカラ暫ク御〓聽ヲ願ヒマス、其法律
ノ箇條ハ僅ニ三箇條デアリマス、僅ニ三箇
條デアリマスケレドモ、法律ノ意味ヲ嚴守
シテ下サイマシタナラバ、政界ノ廓〓期シ
テ待ツベキコトガアルト信ズルノデアリマ
ス、其第一條ハ「鐵道ノ敷設道路港橋梁河
川ニ關スル事業、學校、官公署ノ設置移轉
其ノ他公費ヲ以テ施行スル事業又ハ政府ノ
權限ニ屬スル認可許可其ノ他特殊ノ利害關
係ヲ利用シテ政治結社ヲ加入シ又ハ加入セ
サルコト竝政治結社ヨリ脫退スヘキコトヲ
勸誘シタルモノハ三年以下ノ禁錮又ハ二千
圓以下ノ罰金ニ處ス、前項ノ勸誘ノ仲介又
ハ周旋ヲナシタル者亦同シ、第二條行政官
廳ノ處分カ前條ノ利害關係ノ利用ニ基クト
認ムヘキ理由アルトキハ關係者ハ其ノ取消
ヲ行政裁判所ニ請求スルコトヲ得」第三條
一官吏ニシテ情ヲ知リテ第一條ノ犯罪ヲ構
成スルニ至ラシメタルトキハ五年以下ノ禁錮
又ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス」是ダケデア
リマス(「分ラヌ」ト呼フ者アリ)只今說明
ヲ申上ゲマス、固ヨリ今日ハ政黨ノ勢力ニ
依リマシテ、政治ヲ左右スルト云フコトハ
固ヨリ當然ノコトデアリマス、又吾々諸君
竝各派ノ諸君ガ、各、其黨勢ヲ擴張シテ
政權ヲ預リ其經綸抱負ヲ行フト云フコト
モ、亦是レ當然ノ次第デアリマス、併
ナガラ其政黨ノ黨勢ヲ擴張スルガ爲
ニ、其手段方法ハ最モ巧妙ナルコトヲ要
セナケレバナラヌト私ハ信ズルノデアリ
マス(拍手)國民全體ニ對スル正當ナル
且ツ有利ナル主義ノ下ニ政策ヲ樹テ、
之ヲ宣傳シ、之ヲ唱導シテ國民多數ノ
共鳴ヲ得テ、而シテ其黨勢ヲ擴張スルト云
フコトハ、吾々ハ之ヲ努メナケレバナラヌ
ノデアリマス(拍手「ヒヤ〓〓」)政黨員ハ
各〓其行ヒヲ慎ミ、政黨ノ首領ハ其德ヲ積
ムニ至レバ、國民ハ必ズ算食壺漿シテ諸君
ヲ迎ヘルニ相違ナイノデアリマス(拍手)政
黨ノ勢力擴張ハ、是ハ是ヨリ他ニ途ガナイ
ト信ジテ居ルノデアリマス、然ルニ從來種
種ナル利益ヲ餌トシ、或ハ地方的ノ利害ヲ
餌トシテ堂員ヲ勸誘スルト云フコトハ、最
モ立憲政治ノ上ニ忌ムベキ方法手段デア
ルト考ヘルノデアリマス(拍手)私ハ其方法ヲ
禁ジタイト思フノデアリマス、絕對ニ禁ジ
タイト思フノデアリマス、其方法ト致シマ
シテハ是迄用ヒラレタル方法ハ、或ハ鐵道
ヲ敷設スルト云フコトヲ以テ其地方ノ黨員
ヲ入黨セシメル、或ハ港灣ノ修築、或ハ道
路ノ修繕、若クハ橋梁ノ修繕、其他學校ノ
移轉、其他利益ノ關係アル事業ヲ以テ地方
ノ黨員ヲ募集シタト云フコトノ事績ハ、歷
歴私ハアルト信ズルノデアリマス(拍手)左
樣ナコトガ行ハレマスト云フト、若シ其政黨
ガ局ニ當リマシタ場合ニ致テ、其公約ヲ履
行セムト致シマスレバ、國家ノ公利公益ハ
是ガ爲ニ全然犠牲ニ供セラレルノデアリマ
ス、互ニ斯ル方法手段ヲ用ヒテ黨勢ヲ擴張
スルニ至リマシテハ、窮極スル所ハ國家ノ
公利公益ト云フモノハ、皆彼等ノ犠牲ニ供
セラレ終ルノヂアリマス(拍手)是ハ私ハ將
來ノ爲メ決シテドノ黨派ヲ攻擊スルノデモ
アリマセヌ、ドノ黨派ニ對シテモ是カラノ
黨勢ノ擴張ハ御互ニ公明正大ナル方法デヤ
ラウデハアリマヌセカト、御相談ヲスルノ
デアリマス、(拍手)餘リ時間モアリマセヌ
カラ多クハ申シマセヌガ、既ニ現行ノ選擧
法ニモ其條項ガアリ、又今回改正サレ
マシタル普選ノ法律ノ條項ニモ、候補者若
クハ候補者ノ運動者ガ、地万的ノ利害ヲ以
テ選擧人ヲ誘導シタル場合ニ於キマシテ
ハ相當ノ罰則ガ設ケラレテアルノデアリ
マス、斯ルコトハ啻ニ選擧ノ當時ニ於テノ
ミナラズ、平生ニ於キマシテモ各黨各派ハ之
ヲ嚴守シナケレバナラヌコトデアルト信ズ
ルノデアリマス(拍手)此意味ニ於キマシテ
私ハ只今讀上ゲマシタル通リノ、三箇條ノ
條節ヲ規定シテ法律ト致シタイノデアリマ
スカラ、冀クハ滿堂ノ諸君御賛成アラムコ
トヲ偏ニ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=164
-
165・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 曾田義一君
〔增田義一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=165
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166・増田義一
○增田義一君 只今上程ニナリマシタ議員
ノ職務ニ關スル法律案提出ノ理由ヲ簡單ニ
述べマス、本案ノ議員ト稱スルノハ貴衆雨
院議員ヲ指スノデゴザイマス、議會ノ神聖
ヲ保ツニハドウシテモ此議員ノ品位ヲ高メ
ルコトノ必要ナルハ申ス迄モアリマセヌ、所
デ其議員ヲシテ職務ヲ公平ニ神聖ニ執行セ
シムルニハ、議員ヲシテ廉潔ナラシムルコト
ガ最モ必要デアリマス、政界ノ腐敗ヲ防止
シ、又議員ノ行動ヲ飽迄立憲的ナラシメ、
政治ヲシテ公明ナラシメルコトハ極メテ大
切ナコトデアリマス(拍手)議員タル地位
ヲ利用シテ利權獲得運動ヲスルト云フコト
ハ、惡イノハ申スマデモアリマセヌ、又政
府ノ土木事業ノ請負者、或ハ又政府へ物資
ヲ供給スル請負業者、御用商人ノ代理人ト
ナッタリ、或ハサウ云フ者ヲ政府ニ紹介ス
ルコトハ、動モスレバ其間ニ忌ハシキ醜聞
ガ起ルノデアリマス、從テ斯樣ナコトハ禁
止スベキデアル、又立法府ハ國民ヲ代表シ
テ行政府ヲ監督スルノ地位ニ立ツベキモノ
デアル、其監督ノ地位ニ立ツベキ所ノ立法
府ノ議員ガ政府ヨリ保護ヲ受ケ、或ハ政府
ヨリ特權ヲ受ケテ居ル營利會社ノ重役ニナ
ルコトハ、斷然禁ジナケレバナラヌ、例へ
バ郵船會社ノ補助金問題ガ議場ニ現ハレタ
時ニ、其郵船會社ノ重役ヲ兼ル議員ガ出席
シテ居タナラバ、果シテ公平神聖ナル意見
ヲ發表スルコトガ出來ルデアリマセウカ
(拍手)近年貴族院議員中ニ政府ノ保護會
社或ハ特權關係ノアル特殊銀行等ノ重役
ヲ勤メテ居ラルヽ者ガアルノハ甚ダ感服
ノ出來ナイコトデアリマス(拍手)斯樣ナ事
ハ是非トモ將來ハ禁止シタイノデアル、又
更二議員トシテ投機ニ關係スルコトハ禁止
シタイノデアル、株式取引所或ハ米穀取引
所等ノ重役ヲシテ居ル人ガ議員ヲ勤メテ居
ルト假定スルナラバ、或ハ又ソレ等ノ人ト
共ニ投機ニ從事スルトスルナラバ、必ズヤ
相場ノ上下ヲ圖ル爲ニ政爭ヲ投機ノ犠牲ニ
供スルコトガアルノデアリマス(拍手)是ガ
爲ニ政界ヲ腐敗セシメ、或ハ混亂セシメル
コトハ尠クナイト思フ、既ニ上海取引所事
件ト云フ忌ハシキ事件ノ出タコトハ、諸君
ノ御承知ノ通リデアル、又議員ハ金錢、物
品手形、其補財產上ノ利益ノ提供ニ依ノテ
政黨ニ加入シ或ハ或政黨ヨリ他ノ政黨へ轉
ズルト云フガ如キハ、法律ニ於テ禁ズベキ
デアルト思フノデアル(拍手)何故ナラバ斯樣
ナコトハ政治家トシテ自己ノ箇操テ蹂躪ス
ルモノデアリ、又自己ノ節義廉恥ヲ泥土ニ
委スルモノデアル、斯樣ナコトデ、政界ノ
革新ハ出來ルモノデナイ、最後ニ私ハ御參
考マデニ一言シタイコトハ、英國ノ庶民院
ノ決議、瀆職ニ關スル所ノ有力ナル決議デア
ル、卽チ千六百九十五年五月二日英國庶民
院ノ決議ニ曰ク、國會ノ審査中ニ屬シ、若
クハ審議ニ付セラレントスル問題ニ付、議
員ニ對シ金錢其他ノ利益ヲ提供スベキコト
ヲ申出ヅル者ハ、重罪ヲ以テ論ズトアル、
此決識ノ精神ニ基イテ、議院又ハ委員會ノ
議事ヲ左右センガ爲ニ、議員ニ對シ贈賄ヲ
申出ヅル者ハ、獨リ其議員ヲ侮辱スルノミ
ナラズ、議院ヲ侮辱スルモノトシ、特權侵
害ヲ以テ論ズト、之ガ卽チ其決議デアル、
英國ニ於テ贈賄者ハ古來國會ノ法律ニ依フ
テ最モ苛酷ナル刑罰ヲ科セラレテ居リマ
ス、又國會ノ法律ハ直接ノ收賄者ヲ處罰ス
ルニ止マラズ、議員ニシテ辯護士タルモノ
ハ一切報酬ヲ受クルコトヲ禁止シテアリマ
ス、一千八百三十二年二月二十六日ノ決議
ニ依リ、議員ニシテ辯護士タルモノハ、金
錢上ノ報酬ヲ受ケテ請願事件ニ關係スルコ
トヲ得ズ、又議員ガ請願事件其他國會ノ議
事ニ付スベキ問題ニ關シ、顧問トシテ相談
ニ與カルハ國會ノ慣例ニ戾ルノミナラズ、
辯護士ノ職業ニ背クモノトナッテ居ル、英
國デハ如何ニ議員ノ瀆職ニ就テ嚴密デアル
カハ分ルデアラウ、本員ハ、我政界近時ノ
情勢ニ鑑ミマシテ、大ニ政界廓〓ノ必要ヲ
認メ、我ガ立憲政治ノ健全ナル發達ヲ〓ル
ガ爲ニ、本案ヲ提出シタ次第デアリマス、
滿場一致熱烈ナル御賛成アランコトヲ希望
致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=166
-
167・作間耕逸
○作間科追君 三案ヲ一括シテ武藤金吉君
外十九名提出、議員法中改正法律案ノ委員
ニ併セテ付託セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=167
-
168・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 作聞君ノ動議ニ
御異議ナイト認メマス、仍テ動議ノ如ク決
シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=168
-
169・作間耕逸
○作間耕逸君 三度議事日程變更ニ關スル
緊急動議ヲ提出致シマス、卽チ此際日程第
六十七及第六十八、卽チ佐藤實君外二名提
出、金鵄勳章年金ニ關スル法律案外一案ヲ
特ニ繰上ゲテ一括議題ト爲シ、其一讀會ヲ
開カレムコトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=169
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170・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 作間君ノ動議ニ
御異議ナイト認メマス、仍テ日程ハ變更サ
レマシタ、日程第六十七、金鵄勳章年金ニ
關スル法律案、日程第六十八、金鵄勳章年
金ニ關スル法律案ノ第一讀會ヲ開キマス、
提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-佐藤實君
第六十七金鵄勳章年金ニ關スル法律
案(佐藤實君外二名提出)第一讀會
金鵄勳章年金ニ關スル法律案
金鵄勳章年金ヲ受クル者ニ對シテハ大正
十七年度ヨリ功五級以下ノ者ニ對シ每年
年額金五十圓ヲ加給ス
第六十八金鵄勳章年金ニ關スル法律
案(古川〓君外二名提出)第一讀會
金鵄勳章年金ニ關スル法律案
金鵄勳章年金ヲ受クル者ニ對シテハ功級
別ニ依リ大正十五年度ヨリ每年左記金額
ノ五分ノ一宛ヲ遮次加給シ大正十九年度
ヨリ其ノ全額ヲ加給ス
功一級五百圓
均 數五百圓
功三級三百圓
功四級二百圓
功五級二百圓
功六級二百圓
功七級二百圓
〔佐藤實君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=170
-
171・佐藤實
○佐藤實君 只今上程ニナリマシタ金鵄勳
章年金改正ニ關スル法律案ニ付キマシテ議
場道德ヲ重ンジ、又各派交涉會ノ決議ニ依
リマシテ、十分間以內ト云フコトデアリマ
スカラ、簡單ニ其理由ヲ說明中上ゲマス、
此提案ノ趣旨ハ諸君ノ手許へ御配付シテ
アリマス如ク、大正十七年度ヨリ功五級以
下七級迄ニ對シテ、其級別ニ應ジテ年度每
ニ金五十圓ヲ加給スルト云フ案デアリマ
ス、是ハ各議會每ニ、就中最近ニ於キマシ
テ、殆ド請願件數ノ半バヲ占メテ居ル有樣
デアリマス、斯樣ニ多數ニ上ノテ居ルニモ拘
ラズ、是ガ委員會ニ於テ滿場一致デ採擇セ
ラレテ居ルノデアリマス、又前後二回ニ亙
リマシテ建議案ガ出夕ノデアリマスガ、此
建議案モ殆ド滿場一致ヲ以テ通過シタノデ
アリマス、併ナガラ斯樣ナ多數ナ民意ヲ無
視シテ之ガ改正增額セラレズシテ今日ニ至
リマシタコトハ、私共ノ甚ダ遺憾トスル所
デアリマス、諸君、抑、此金鵄勳章ハ明治
二十七年ノ制定ニ係ルノデアリマシテ、其
制定ノ當時カラ年ヲ算ヘマスト殆ド三十年
ノ經過ヲ致シテ居ルノデアリマス、此三十
年間ノ今日迄ニ、總テノ物價ノ變動、經濟
界ノ變遷ガアッタニ拘ラズ、少シモ改正增
額セラレズシテ今日迄參リマシタコトハ、
是亦立憲政治ノ本義ニ悖リ、責任政治ノ立
場カラ致シマシテ、私共ハ洵ニ遺憾ニ堪ヘ
ナイノデアリマス、諸君、之ガ改正ガ出來
ナイノハ、立法ノ性質論ヲ說キ、或ハ文章
ノ字句ニ拘泥シテ、恩給トノ關係ヲ論ズル
人ガアルノデアリマス、併ナガラ恩給ハ御
存知ノ如ク明治十七年ニ太政官ノ布告達一
ニ依シテ發セラレ、其當時ハ憲法ハナイノデ
アリマスカラ、憲法ガ制定セラレルマデニ
兩三囘改正ヲセラレテ居ルノデアリマス、
之ガ憲法發布ニナリマシテ、明治二十三年
ノ六月二十一日ニ、之ガ法律トナッテ變ッタ
ノデアリマス、之ガ勅令ナルガ故ニ改正ガ
出來ナイト云フコトハ、此前例ニ徵シテモ
私ハ矛盾シテ居ルヤウニ考ヘルノデアリマ
ス、又恩給ハ其勤續ニ對スル所ノ恩賞デア
リ、或ハ生活ノ一部ヲ援ケルモノデアルガ
故ニ、經濟界ノ變〓一伴ヒ、之ヲ改正增額
スルノガ至當デアルト云フノデアリマスケ
レドモ、私ハ年金ト恩給トハ、何等其性質
ニ於テ變ラヌモノデアルト考ヘテ居ルノデ
アリマス、御制定ノ當時ノ關係者ニ付テ話
ヲ聞キマスト、立案ノ基礎ニ付テハ、其當
時ノ軍人恩給法ニ依ッタノガ其基礎デアリ
マイ、其當時ノ陸軍大將ハ卽チ千五百圓デ
アル、或ハ大尉級ノ人ガ三百圓デアル、又
伍長ナリ、曹長ナリ、准士官ノ級ガ八十圓
カラ百五十圓デア。ッタノデアリマス、故二一
級ハ大將ニ相當セシメ、五級ハ之ヲ大尉級
ニ相當セシメ、或ハ七級ガ准士官ノ中間ヲ
取ッテ之ヲ定メタノデアリマス、又一時賜
金ニ付テモ、日〓戰爭ノ際ハ伍長級ハ五十
圓カラ百圓ニシカ當ラヌノデアリマス、ソ
レガ大正戰役ニ變シテ來マスト、八百圓カラ
千圓マデニ之ガ上ッテ居ルノデアリマス、
年金ハ生活ノ給與ノ性質ヲ有セナイト云フ
說ニ依ッテ、之ガ改正增額ヲ否定シテ居ルノ
デアリマスケレドモ、金錢給與ヲ加味セザ
ル所ノ恩賞ハ、私ハ姑ク措キマシテ、苟モ
物質ヲ加味スル以上ハ、物價ノ變動、經濟
的ノ價値ノ推移ニ依シテ、相當考慮ヲ拂フ
コトガ必要デアルト考ヘテ居ルノデアリマス、
拔群ノ武功ニ依クテ最高ノ名譽ヲ表彰セラレ、
剩へ物質ヲ附加セラレテ居ルト云フコトガ
此動章ガ他ノ動章ニ比シテ最モ深遠ナル思
召ニ依シテ出來タコトデアルト、私共ハ大
ナル敬意ヲ拂ハナケレバナラヌノデアリマ
ス(拍手)之ガ他ノ勳章ニ比シテ一層光輝ア
ル所以デアルト確信スルノデアリマス、又
最近恩給ガ段々增加致シマスガ故ニ、恩給
ノ增加ト共ニ國家ハ其財源ニ苦シムト云フ
說ガアルノデアリマス、是ハ私ハ御尤ナ說
デアッテ、此增加ニハ相當注意セネバナラ
ヌノデアリマスガ、金鵄勳章ノ年金ハ、保
險會社ノ死亡率調査ニ依リマスト云フト、
大正四十年マデ平和ガ續クモノト假定致シ
マスレバ、只ノ一厘モ資金ハ要ラナイノデ
アル、卽チ加速度ヲ以テ減少シ年々增加ス
ル性質ノモノトハ全然違フノデアリマス、
決シテ恩給ト竝ビ之ヲ稱スルコトハ出來ナ
イノデアリマス(「簡單々々」ト呼フ者アリ)
簡單ノ聲ガアリマスカラ大急ギテ進ミマス
ガ、併ナガラ私ハ徒ラニ武斷政治ヲ高唱シ
タリ、軍閥政治ヲ以テ國家ガ立ッテ行クモ
ノトハ思ヒマセヌ、併ナガラ歴代内閣ト云
ヒ、政治家ト云ヒ、實業家ト云ヒ、學者ト
云ヒ國家ノ總テノ階級ノ人ガ、全智能ヲ搾ノ
テ國防ノ充實ニ向ノテ力ヲ注イデ居ルノデ
アリマス、此國防ノ充實ハ恐ラク何人モ
大賛成デアル、其内容ハ所謂新兵器ノ改善
デアルトカ、或ハ靑少年ノ訓練デアルトカ
毒瓦斯ノ〓究デアルトカ、或ハ航空事業
ノ刷振デアルトカ、是等ハ何ヲ以テ運用出
來マスカ、所謂最後ハ人デアル、人デナケ
ネバ私ハ何事モ出來ナイト思フノデアル、
又彼等ハ戰場ニ於テハ一身ヲ國家ニ挺シ、
〓ニ在ッテ公共ノ爲ニ衆ニ率先シ、社會ノ
爲ニ盡力シテ居ルノデアリマス、故ニ是非
共國民思想ノ善導ノ上カラ考ヘテ見マシテ
モ、又軍人ノ精神、士氣ノ涵養ノ上カラ論
ジマシテモ、ドウシテモ今日之ヲ改正增額
致シマシテ、將來國家有事ノ場合ニ今ニシ
テ備ヘテ置クト云フコトハ最モ大切ニシ
テ必要ナル事柄デアラウト私ハ考ヘルノデ
アリマス(拍手)故ニ本案ヲ提出致スノデア
リマスカラ、年來ノ國民多數ノ希望ヲ容レ
ラレテ、何卒滿場一致ヲ以テ御賛成下サ
ランコトヲ遍ニ熱望致スノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=171
-
172・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 古川清君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=172
-
173・古川清
○古川清君 簡單デアリマスカラ此席カラ
御許シヲ願ヒマス-理由ハ只今佐藤君ヨ
リ御述べニナリマシタガ、唯〓内容ガ違ノテ
居リマスカラシテ、委員會ニ於テ說明ヲ致
シマスカラ、ドウカ委員付託ニナランコト
ヲ御願ヒヲ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=173
-
174・作間耕逸
○作間耕逸君 右兩案ヲ一括シテ議長指名
九名ノ委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマ
ス、而シテ議長ハ此場合直ニ委員ヲ指名セ
ラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=174
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175・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 作間君ノ動議ニ
御異議ナイト認メマス、仍テ動議ノ如ク決シ
マシタ、委員ヲ指名致シマス、佐藤實君、
加藤十四郞君、平井光三郎君、古川〓君、山
口義一君、靑木精一君、小野義一君、中林
友信君、宮崎友太郞君、以上発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=175
-
176・作間耕逸
○作間耕逸君 尙ホ重ネテ議事日程變更ノ
緊急動議ヲ提出致シマス、卽チ此際政府提
出獸醫師法案ヲ特ニ上程シテ議題トナシ、
委員長ノ報告ヲ求メ其第一讀會ノ續ヲ開キ、
續イテ日程第三百八十三、山口政二君外四
名提出決議案、議員事務室ノ設立及圖書館
擴張ノ件ヲ特ニ繰上ゲテ議題トナシ、其審
議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=176
-
177・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 作間君ノ動議ニ
御異議ナイト認メマス、仍テ日程ハ變更セラ
レマシタ、獸醫師法案ノ第一讀會ノ續ヲ開
キ、委員長ノ報告ヲ求メマス-委員長服
部英明君
獸醫師法案(政府提出、貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一獸醫師法案(政府提出、貴族院送付)
右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノ
ト議決致候此段及報告候也
大正十五年三月二十四日
獸醫師法案委員長
服部英明
衆議院議長粕谷義三殿
獸醫師法案中左ノ通修正ス
第三條ノ次ニ左ノ一條ヲ加へ第四條ヲ第
五條ニ改メ以下第十一條迄順次繰下ク
第四條獸醫師ニ非サレハ家畜ノ疾病ニ
關スル診察又ハ治療ヲ業務ト爲スコト
ヲ得ス
前項ノ家畜ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十二條ヲ第十三條ニ、同條第一號ヲ左
ノ如ク、第三號中「第四條又ハ第七條」ヲ
「第五條又ハ第八條」ニ改ム
第四條ノ規定ニ違反シタル者
第十三條ヲ第十四條ニ、同條中「第五條
又ハ第六條」ヲ「第六條又ハ第七條」ニ改
ム
〔服部英明君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=177
-
178・服部英明
○服部英明君 諸君、本員ハ獸醫師法案ノ
審査ヲ付託セラレマンタル委員會ニ於キマス
ル經過及結果ノ報告ヲ致シマス、獸醫師法案
ハ御承知ノ通リ貴族院ニ於テ二箇所修正セラ
レマシタ、其一ツハ第四條中「處方箋」ノ三字
及「若ハ治療ヲ爲シ」ト云フ七字ヲ削ッテア
ルノデアリマス、次ニ附則第八項中ノ「八
年」ヲ「十二年」ト改メラレタノデアリマス、
此貴族院ノ修正セラレマシタル獸醫師法案
ニ對シマシテ、私共委員會ハ慎重審議ヲ致
シマシテ、熱心ナ質問ニ對シ、懇切ナル應各
ガアリマシタノデアリマスルガ、其結果、
委員土屋〓三郞君ヨリ修正案ガ出タノデア
リマス、只今ンレヲ朗讀致シマス、原案ノ
第三條ノ次ニ左ノ一條ヲ加へ、第四條ヲ第
五條ニ改メ以下順次繰下ゲルコトニナリマ
シタ、其第四條ハ卽チ「獸醫師ニ非サレハ
家畜ノ疾病ニ關スル診察又ハ治療ヲ業務ト
爲スコトヲ得ス前項ノ家畜ハ勅令ヲ以テ之
ヲ定ム」ト云フ此一條ヲ加ヘタノデアリマ
ス、此一條ヲ加ヘマシタル結果、當然之ニ
伴フ變史ヲ生ジタノデアリマス、卽チ第十
三條第一號ヲ左ノ如ク改ムルコトニナリマ
シタ「第四條ノ規定ニ違反シタル者」ト云フ
コトニ改ムルコトニナリマシタ、次ニ第十
三條第三號中「第四條又ハ第七條」ヲ「第五
條又ハ第八條」ニ第十四條中「第五條又ハ
第六條」ヲ「第六條又ハ第七條」ニ改ムルコ
トニ相成リマシタ、以上ノ修正案ガ土屋君
カラ提案セラレマシテ、委員會ハ滿場一致
ヲ以テ可決ヲ致シマシタ、卽チ本案ニ對ス
ル所ノ委員會ノ結果ハ、斯ノ如ク修正ヲ加
ヘマシテ、滿場一致可決ヲ致シタノデアリ
マス、若シ夫レ詳シイ事ニ至リマシテハ委
員會ノ記錄ヲ御覽ヲ願フコトニ致シタイノ
デアリマス、右委員會ノ經過及結果ヲ御報
告致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=178
-
179・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 本案ノ第二讀會
ヲ開クヤ否ヤヲ御諮リ致シマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=179
-
180・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ第二讀會ヲ開クニ決シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=180
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181・作間耕逸
○作間耕逸君 直ニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、
第三讀會ヲ省略シテ委員長報告ノ通リ可決
確定セラレンコトヲ望ミマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=181
-
182・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 作間君ノ動議ニ
ハ御異議ナイト認メマス仍テ直ニ第二語會
ヲ開キ、議案全部ヲ議題ト致シマス
獸醫師法案(政府提出、貴族院送付)
第二讀會(確定議)
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=182
-
183・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 第三語會ヲ省略
シ、委員長報告通リ可決確定致シマシタ-
日程第三百八十三、決議案ヲ議題ト致シマ
ス、提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-提出
者山口政二君
第三百八十三決議案(議員事務室ノ
設立及圖書館擴張ノ件)(山口政二君
外四名提出)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=183
-
184・山口政二
○山口政二君 簡單デアリマスカラ、此席
カラ御許シヲ願ヒマス、-只今議題トナツ
テ居リマス決議案ノ主文ハ「決議-政府
ハ速ニ各議員專用ノ事務室ヲ設ケ且ツ大ニ
圖書館ノ設備ヲ擴張シ以テ議員ノ調査〓究
ニ資スヘシ-右決議ス」ト云フノ【デアリ
マく、理由ハ特ニ說明致スマデモナク、簡
單明瞭デアリマスガ、理由書ハ議長ノ御許
シヲ得テ、速記錄ニ揭載致スコトニシテ、
此處ニハ省略致シマス、速ニ御協賛アラン
コトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕
〔補足〕
決議案ノ主文ハ、「決議、政府ハ遠ニ各議
員專用ノ事務室ヲ設ケ且大ニ圖書館ノ設
備ヲ擴張シ以テ議員ノ調査〓究ニ資スヘ
シ右決議ス」トイフノテアリマス
決議案ノ理由ト致シマシテハ、時運ノ進
展ニ伴ヒ、立法事項益增加シ、歲計亦年
ト共ニ膨張致シマシテ、之カ協賛ノ任ニ
在ル議員ノ職貴ハ自ラ重キヲ加フルノテ
アリマス、然ルニ現在議院ノ設備ハ、極
メテ空疎テアリマシテ、調査〓究ノ機關
殆ント關如シ、議員ヲシテ其ノ職責ヲ遂
行セシムルニ於テ頗ル遺憾テアリマス議
會會期中ノ議員控室ハ、多數雜沓シテ常
ニ喧囂ヲキハメ、固ヨリ靜思默考ニ適シ
マセヌ、僅ニ圖書館ノ設備ガアリマスル
カ、藏書貧弱テアツテ資料ヲ供スルニ足リ
マセヌ、特ニ地方常住ノ議員ニシテ旅舎
ニ起臥スル者ノ如キハ、調食〓究ニ不便
ヲ感ズルコトガ一層甚シイノデアリマ
ス、此ノ闕漏ヲ補フガ爲メニハ、議院構
內又ハ附近ノ地ニ議員事務室ヲ設ケマシ
テ、一員又ハ數員ニ一室ヲ給シテ諸般ノ
便宜ヲ之ニ與フルコトトシ、更ニ圖書館
ヲ完全ニ致シテ、有用ナル參考書類ヲ充
實セシメマシタナラハ、議員ハ之ニ由ツ
テ靜ニ政務ヲ調査シ、議案ヲ〓究シ、以
テ其ノ職責ヲ完ウスルコトガ出來ルノデ
アリマス、本院ハ第四十六議會中、新議
院構內ニ議員事務室ヲ設置スヘシト政府
ニ建議致シマシタカ、今ヤ時運ノ進展ニ
鑑ミテ、本件設備ノ如キ一日モ緩ウスル
コトノ出來ナイコトヲ痛感シマシテ、此
ニ政府ヲ促シテ、速ニ之カ設備ヲ完ウセ
シメヤウト致ス次第デアリマス、何卒御
審議ノ上御協賛ヲ與へラレムコトヲ望ミ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=184
-
185・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 採決致シマス、
本案ヲ可決スルコトニ御異議ハアリマセヌ
カ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=185
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186・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 御異議アリマセ
ヌカラ、本案ハ可決致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=186
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187・作間耕逸
○作間耕逸君 殘餘ノ日程ハ之ヲ延期シ、
明日ハ特ニ午前十時本會議ヲ開カレンコト
ヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=187
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188・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 作間君ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=188
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189・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 御異議ハナイト
認メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、明
日ハ作間君ノ御發言ノ通リ、午前十時カラ
開會致シマス、今日ハ是ニテ散會致シマス
午後八時三十八分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113242X03619260324&spkNum=189
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