1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二年二月二十二日（火曜日）
午前十時十四分開議
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議事日程 第十四號 昭和二年二月二十二日
午前十時開議
第一 請願委員長報告
第二 王公族より内地の家に入りたる者及内地の家を去り王公家に入りたる者の戸籍等に關する法律案（政府提出） 第一讀會
第三 不動産登記法中改正法律案（政府提出） 第一讀會
第四 河川法中改正法律案（政府提出衆議院送付） 第一讀會
第五 保險業法中改正法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第六 初山別村に漁港修築の請願 會議
第七 岡崎、多治見間鐵道敷設の請願 會議
第八 明治節制定の請願 會議
第九 滋賀縣東黒田郵便局に集配事務開始の請願 會議
第十 茂生漁港築設の請願 會議
第十一 新宮川治水工事に關する請願 會議
第十二 樣似漁港修築の請願 會議
第十三 頓別川河口改修の請願 會議
第十四 伊達紋別、京極間鐵道敷設の請願 會議
第十五 財團法人私立中等學校協會國庫補助の請願 會議
第十六 瀬棚港修築の請願 會議
━━━━━━━━━━━━━発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=0
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001・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ諸般ノ報〓ヲ致サセマス
〔山本書記官朗讀」
去ル十六日保險業法中改正法律案特別委員會ニ於テ當選シタル正副委員長
ノ氏名左ノ如シ
委員長伯爵樺山愛輔君
副委員長松本烝治君
同日請願委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
請願文書表第五囘報告書
去ル十七日土地收用法中改正法律案特別委員會ニ於テ當選シタル正副委員
長ノ氏名左ノ如シ
委員長伯爵松浦厚君
副委員長服部三君
同日政府ヨリ左ノ議案ヲ提出セリ
王公族ヨリ內地ノ家ニ入リタル者及內地ノ家ヲ去リ王公家ニ入リタル者
ノ戶籍等ニ關スル法律案
不動產登記法中改正法律案
去ル十八日第九部ニ於テ豫算委員杉田定一君ノ補闕選擧ヲ行ヒシニ其ノ結
果高橋琢也君當選セリ
同日豫算委員長ヨリ高橋琢也君ヲ第二分科擔當委員、第五分科兼務委員ニ
選定シタル旨ノ報告書ヲ提出セリ
同日請願委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
請願委員會特別報告第一號
同日政府ヨリ左ノ決算及同檢査報告ヲ提出セリ
大正十四年度歲入歳出總決算
大正十四年度各特別會計歲入歳出決算
大正十四年度歲入歲出決算檢査報告
臨時軍事費歲入歲出決算
臨時軍事費歲入歳出決算檢査報告
同日內閣總理大臣ヨリ左ノ通政府委員仰付ケラレタル旨ノ通牒ヲ受領セリ
内務省所管事務政府委員
內務省土木局長次田大三郞君
司法省所管事務政府委員
司法省民事局長池田寅二郞君
去ル十九日特別委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
保險業法中改正法律案修正報告書
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
河川法中改正法律案
同日衆議院ヨリ本院ノ送付ニ係ル左ノ政府提出案ハ同院ニ於テ之ヲ可決シ
奏上セル旨ノ通牒ヲ受領セリ
大正十二年法律第三十五號中改正法律案
外國官廳ノ用地トシテ貸付スル國有財產ニ關スル法律案
昨二十一日特別委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
土地收用法中改正法律案可決報告書
山本市発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=1
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002・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ會議ヲ開キマス、久我侯爵病氣ニ付キ會期
中、高倉子爵病氣ニ付キ十四日間、小池靖一君病氣ニ付キ會期中ノ請暇ノ申
出ガゴザイマシタ、何レモ許可スルコトニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=2
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003・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス
善南京発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=3
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004・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 去ル十六日第六部選出豫算委員鮫島武之助君、去
ル十七日同ジク請願委員安樂兼道君、去ル十八日同ジク決算委員久我候爵、
昨二十一日、第二部選出請願委員小池靖一君、何レモ病氣ニ付キ委員ノ辭
任ノ申出ガゴザイマシタ、何レモ辭任ヲ許可スルコトニ御異存ゴザイマセヌ
カ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=4
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005・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス、各選出部ニ於テ、速ニ補
闕選擧ヲ行ハレムコトヲ望ミマス
w北京市発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=5
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006・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第一、請願委員長報告、請願委員長酒井伯爵
ノ登壇ヲ望ミマス
〔伯爵酒井忠克君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=6
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007・酒井忠克
○伯爵酒井忠克君 第一囘請願委員長報告ヲ申上ゲマス、請願委員會ハ去ル
一月十八日開會イタシマシテ、正副委員長ノ選擧ヲ行ヒ、續イテ分科ノ決定、
分科擔當委員ノ選定、委員會竝ニ分科會ノ開會ノ定日ヲ定メマシタ、分科ノ
決定ハ第一分科、大藏省、農林省、商工省、第二分科、外務省、內務省、文
部省、第三分科、內閣、司法省、遞信省、第四分科、陸軍省、海軍省、鐵道
省ト定メマシタ、委員會ノ開會定日ハ每週金曜日ト致シマシタ、分科會開會
ノ定日ハ、第一分科ト第三分科ガ毎週月曜日、第二分科ト第四分科ハ每週火
曜日ニ開會イタシマスコトニ定メマシタ、各分科ノ正副主査ノ選擧ハ、第二、
第四分科ハ一月二十四日ニ、御三分科ハ一月二十五日ニ、第一分科ハ一月二
十八日ニ行ヒマシタ、委員會ハ今日迄ニ二囘開會イタシマシタ、分科會ハ總
テデ九囘開會イタシマシタ、第一分科ハ二囘、第二分科ガ二囘、第三分科ガ
三囘、第四分科ガ二囘デアリマス、請願文書表報告ハ一月十九日ニ第一囘、
一月二十六日ニ第二囘、二月二日ニ第三囘、二月九日ニ第四囘、二月十六日
ニ第五囘ヲ提出イタシマシタ、請願委員特別報告ハ二月十八日ニ提出イタシ
マシタ、二月二十一日午後四時締切ニ於キマシテ、請願受領件數百五十四件、
二百二十七通、連署人名數一万九千二百二名ニ達シテ居リマス、請願文書表
揭載件數百十三件、百八十六通デアリマス、審査ノ結果院議ニ付スベシト議
決シタルモノ十一件、十一通、院議ニ付スルヲ要セズト議決シタルモノ三件
三通デアリマス、審査未了ニ屬スルモノ九十九件百七十二通アリマス、尙ホ
請願文書表未揭載件數ハ四十一件四十一通ゴザイマス
山発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=7
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008・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第二、王公族ヨリ內地ノ家ニ入リタル者及內
地ノ家ヲ去リ王公家ニ入リタル者ノ戶籍等ニ關スル法律案、第三、不動產登
記法中改正法律案、政府提出、第一讀會、司法大臣江木翼君
王公族ヨリ內地ノ家ニ入リタル者及內地ノ家ヲ去リ王公家ニ入リタル者
ノ戶籍等ニ關スル法律案
右
勅旨ヲ奉シ帝國議會ニ提出ス
昭和二年二月十七日
內閣總理大臣若槻禮次郞
司法大臣江木翼
王公族ヨリ內地ノ家ニ入リタル者及內地ノ家ヲ去リ王公家ニ入リタ
ル者ノ戶籍等ニ關スル法律案
第一條養子緣組又ハ婚嫁ニ因リ內地ノ家ニ入リタル王公族離緣又ハ離婚
ノ場合ニ於テハ其ノ直系尊屬ガ王公家軌範ニ依リ一般臣民トナリタル
爲創立シタル家アルトキハ其ノ家ニ入リ其ノ家ナキトキハ一家ヲ創立
ス
第二條王公家軌範第六十八條又ハ第百二十六條ノ規定ニ依リ實家ニ復籍
シタル者ハ一月內ニ左ノ事項ヲ具シ復籍ノ原因ヲ證スル書面ヲ添付シ其
ノ旨市町村長ニ屆出ヅルコトヲ要ス
復籍シタル者ノ父母及其ノ者ト父母トノ續柄
二復籍ノ原因及年月日
第三條王公家軌範第百二十六條ノ規定ニ依リ一家ヲ創立シタル者ハ一月
內ニ左ノ事項ヲ具シ一家創立ノ原因ヲ證スル書面ヲ添附シ其ノ旨市町村
長ニ屆出ヅルコトヲ要ス
一家ヲ創立シタル者ノ父母及其ノ者ト父母トノ續柄
二一家創立ノ原因及年月日
三一家創立ノ場所
第四條王公家軌範第百二十六條ノ規定ニ依リ實家ヲ再興セント欲スル者
ハ一月內ニ左ノ事項ヲ具シ其ノ旨市町村長ニ屆出ヅルコトヲ要ス
ー廢絕シタル實家ノ戶主ノ氏名及本籍
二廢絕ノ年月日
三再興ノ場所
第五條養子緣組若ハ婚嫁ニ因リ内地ノ家ニ入リタル王公族又ハ婚嫁ニ因
リ內地ノ家ヲ去リ王公家ニ入リタル者アル場合ニ於テハ其ノ入リ又ハ去
リタル內地ノ家ノ戶主ハ一月內ニ其ノ者ノ氏名、出生ノ年月日、本籍又
ハ原籍、父母及其ノ者ト父母トノ續柄竝入籍又ハ除籍ノ原因及年月日ヲ
具シ其ノ旨市町村長ニ屆出ヅルコトヲ要ス
第六條前條ニ揭グル場合ヲ除クノ外王公家軌範ニ依リ內地ノ家ヲ去リ王
公家ニ入リタル者アルトキハ宮内大臣ハ左ノ事項ヲ具シ其ノ旨市町村長
ニ通知スベシ
-王公家ニ入リタル者ノ氏名、出生ノ年月日及原籍竝戶主トノ續柄
二除籍ノ原因及年月日
前項ノ場合ニ於テ戶主ガ王公家ニ入リタルトキハ家督相續ハ之ニ因リ開
始ス
第七條市町村長第二條乃至第五條ノ屆出ヲ受理シ又ハ前條ノ通知ヲ受ケ
タルトキハ之ニ依リ戶籍記載ノ手續ヲ爲スベシ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
不動產登記法中改正法律案
右
勅旨ヲ奉シ帝國議會ニ提出ス
昭和二年二月十七日
內閣總理大臣若槻禮次郞
司法大臣江木翼
不動產登記法中改正法律案
不動產登記法中左ノ通リ改正ス
第百三條ノ四前條ノ規定ハ王公家軌範ニ依ル世襲財產ノ設定又ハ增加ノ
勅許アリタル場合ニ之ヲ準用ス
第百四十二條ノ三前條ノ規定ハ王公家軌範ニ依ル世襲財產ノ解除ノ勅許
アリタル場合及ヒ世襲財產ノ失效アリタル場合ニ之ヲ準用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣江木翼君君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=8
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009・江木翼
○國務大臣(江木翼君) 議題トナリマシタル二法律案ニ付キマシテ提出理由
ヲ御說明申上ゲマス、大正十五年法律第八十三號ヲ以チマシテ王公族ノ權義
ニ關スル法律ガ發布イタサレマシタ、此法律ニ基キマシテ、王公族ノ身位、
財產、親族其他ニ關シ、曩ニ皇室令ヲ以チマシテ王公家軌範ガ制定セラレタ
ノデゴザイマス、而シテ此王公家軌範ハ大正十五年十二月二十一日ヨリ施行
セラレマシタニ依リマシテ、玆ニ一般臣民トノ間ニ身分上ノ交涉ヲ生ズルコ
トトナッタノデゴザイマス、從テ王公家ヲ去リテ內地ノ家ニ入ラレ、又內地
ノ家ヲ去リテ王公家ニ入ルベキ場合ニ關シマシテ、其入籍、除籍、復籍、
家創立、實家再興其他ニ關シマスル戶籍手續ニ關シマシテ、適當ノ規定ヲ設
クルノ必要ヲ生ジタノデゴザイコス、現ニ皇族ト一般臣民トノ關係ニ付キマ
シテハ、明治四十三年法律第三十九號ヲ以チマシテ、皇室典範、皇族身位令
又ハ皇族親族令ニ依リテ生ジマシタル身分變更ニ依ル戶籍手續ヲ制定イタシ
テ居リマスノデ、本案ハ大體之ニ傚ヒマシテ、入籍、除籍、復籍其他ニ關シ
マシテ、規定ヲ設ケタノデゴザイマス、次ニ不動產登記法中改正法律案ハ、
王公家軌範ニ基キマシテ、王公ノ世襲財產ガ設定セラレルコトニナリマシタ
ノデ、之ガ登記手續ニ關シテ不動產登記法ノ規定ヲ補充スルノ必要ヲ生ジマ
シテ、本改正法律案ヲ提出イタシタ次第デアリマス、何卒御審議ノ上御協賛
アラムコトヲ希望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=9
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010・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 別ニ御質疑モナイト認メマスカラ、二案ノ特別委
員ノ氏名ヲ、書記官ヲシテ朗讀イタサセマス
〔小林書記官朗讀〕
王公族ヨリ內地ノ家ニ入リタル者及內地ノ家ヲ去リ王公家ニ入リタル者ノ
戶籍等ニ關スル法律案外一件特別委員
伯爵寺島誠一郞君子爵藪篤麿君子爵板倉勝憲君
石原健三君鈴木喜三郞君河村讓三郞君
石塚英藏君男爵船越光之丞君磯貝浩君
立华南発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=10
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011・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第四、河川法中改正法律案、政府提出、衆議
院送付、第一讀會、內務大臣臨時代理安達謙藏君
河川法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和二年二月十九日
衆議院議長粕谷義三
貴族院議長公爵德川家達殿
河川法中改正法律案
河川法中左ノ通改正ス
第六條中「但シ」ノ下ニ「主務大臣カ自ラ河川ニ關スル工事ヲ施行シタルモ
ノニ付必要ト認ムルトキ又ハ」ヲ加フ
第五十八條中「二百圓以內ノ罰金若ハ一年以下ノ禁錮」ヲ「一年以下ノ懲役
若ハ禁錮又ハ二百圓以下ノ罰金」三段八、
第六十六條ヲ削ル
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣安達謙藏君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=11
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012・安達謙藏
○國務大臣(安達謙藏君) 現行ノ河川法ニ於キマシテハ、主務大臣ガ地方行
政廳ニ代リマシテ河川ノ管理又ハ維持修繕ヲ爲シ得マスル所ハ、他府縣ノ利
益ヲ保全スル爲メ必要ト認メラレル場合ニ限ラレテ居リマス、然ルニ主務大
臣ガ直轄施行イタシマシタル河川工事ノ完成後ニ於キマシテモ、尙ホ其工事
ノ效果ヲ全ウ致シマスル爲ニ、二府縣ニ亙ラザル河川ト雖モ、主務大臣ニ於
テ引續キ其管理又ハ維持修繕ヲ爲スヲ必要トスルモノガアリマス、是ガ本改
正案ヲ提出スル所以デゴザイマス、極ク簡單ナ改正案デゴザイマスカラ、何
卒速ニ御協賛アラムコトヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=12
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013・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ通〓ニ依リマシテ、高橋琢也君ニ質疑ノ發
言ヲ許シマス
〔高橋琢也君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=13
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014・高橋琢也
○高橋琢也君 只今日程ニ上ッテ居リマスル河川法ノ改正ニ付キマシテ、極
ク簡單ニ質問ヲ致シタイト思ヒマス、河川法ト砂防法、森林法、此三法律ハ
姉妹關係ト申シテ宜シイデゴザイマセウカ、其中デ砂防工事ニ關係シマスル
コトハ、森林ト河川ト是ハ直接ノ關係ヲ持ッテ居リマシテ、同ジヤウナ仕事
ヲスルコトニナッテ居リマスル、ソレ故ニ此三法律ニハ、其仕事ヲ命令シマ
スル者ハ皆主務大臣トナッテ居リマスガ、其主務大臣ハ砂防法ニ依リマシタ
リ、河川法ニ依リマスル時ニハ內務大臣デゴザイマシテ、森林法ハ御承知ノ
如ク農商務大臣ノ方デゴザイマスル、然ルニ砂防工事ヲ致シマスル場合、十
中ノ八九ト申シタイガ、殆ド十中ノ十、皆造林ガ之ニ附纒ヒマスル、寧ロ造
林ガ主デアル、造林ヲスルガ爲ニ砂止ヲ致スト云フヤウナ有樣デゴザイマス
ル、然ルニ此三法律ニハ同ジク主務大臣ガ命ジタ場合ニ、農商務大臣ガ
今ハ農林大臣ニナッテ居リマスガ、森林法デ農商務大臣トナッテ居ル、此農林
大臣ノ命ジマスルコト、ソレカラ内務大臣ノ命ジマスルコト、此仕事ノ上ニ
於テ、法律ガ實ハ、三法律共ニ其圈域ヲ判然ト極メテ居リマセヌ爲ニ、イツ
デモ多少ノ疑問ヲ生ジマスル、之ニ依リマシテ實際ノ仕事ガ、一面ハ土木ノ
方ノ仕事ニナリ、一面ハ林業ノ方ノ仕事ニナル、之ヲ實地ニ行ヒマスル所ノ
府縣ノ林業技師、土木技師、是ガ別々ニ仕事ヲシテ居リマス、甚シケレバ同
ジ縣內デ、一縣ノ官吏ガ別々ニ主管ガ別レテ居ル爲ニ、豫算ガ大變ニ相違ヲ
シテ居リマスルコトヲ私ハ知ッテ居リマスル、各府縣恐ラクハ是ガ皆違ッテ居
ルダラウト思ヒマスル、故ニ是ハドウカ統一シマセヌト、大變ナ不利益ニナ
ラウト思ヒマス、現ニ土木デヤリマスコトト、林業課デヤリマスルコトト、
金高ガ大變違ッテ居リマスル、仕事ハドウカト云フト、林業技師ノ方ガ造林ノ
コトハ能ク知ッテ居リマスル、ソレ故良ク出來ル方ハ金ガ安クッテ濟ム、金ノ
高ク掛ッタ方ハ或ハ結果ガ不十分デアルト云フコトヲ聞イテ居リマス、ソレ
デ政府ニ於キマシテモ是ハオ氣付ニナッテ居リマセウ、第五十議會デ一言私
ハ申シテ置キマシタ、此法律モ或ル機會ニ改正セラレルコトニナリタイモノ
デアルト云フ希望ヲ述べテ置イタト思ヒマス、未ダ其改正ハナイヤウニ存ジ
マスルガ、仕事ノ上ニ於キマシテハ、少クトモ是ガ統一ノ出來ルヤウニ致シ
タイト思ヒマスルシ、旣ニ此希望ハ曩ニ述べマシタ位デスカラ、當局ニ於テ
ハ相當御考慮ニナッテアルコトデアラウト存ジマスルガ、是モドウナッテ居リ
マスルカ、之ヲ當局ノ御方ニ承リタイ、ソレハ內務大臣、農商務大臣カラ、
各、御主管ニ付テ御意見ヲ承リタイト存ジマス、曩ニ昨年ノ七八月ノ頃デゴ
ザイマシタラウ、廣島縣ニ大水害ガゴザイマシテ、尤モ大正八年ノ大水害ニ
較ベマシテハ、餘程小サウゴザイマシタガ、兎ニ角近年ニハチヨット稀ナ水
害デゴザイマシタ、其場合ニ水害ノ跡ヲ少シ調査シタラ宜カラウト云フノデ、
廣島縣廳ガ森林技師ヲ派遣シマシタ、水源地調査ヲ致シマシタ所ガ、丁度土
砂ノ崩壞シマシタ箇所ガ六百六十三ヶ所アリマシタ、然ルニ其中デ多少立木
ノアル所ハタッタ三ヶ所ニ過キマセヌデ、六百六十ヶ所ハ悉ク無立木地デア
ル、森林ヲ濫伐シタ其跡デゴザイマスル、是ガ爲ニ土砂ノ崩壞シマシテ、是
ガ廣島ノ太田川ニ流レ出マシタコトハ非常ナモノデアリマス、年々歲々多少
出水ニ土砂ガ始終崩壞ヲシテ行キマスル爲ニ、太田川ナゾノ埋リマシタコト
ハ實ニ何トモ言ヒヤウノナイ、所謂名狀スベカラザルモノデアル、滿潮ノ
時デナケレバ小サナ舟モ出入ガ出來ヌト云フ有樣ニナッテ來タ、私ノ子供ノ時
代ニハ、滿潮ドコロヂヤゴザイマセヌ、何時デモ舟ハ自由ニ出入リヲシタモ
ノデアル、尤モ私ノ子供ト云フト、今ヨリ七十年程前ノコトデアリマス、ソ
レハ大分違ヒハ致シマスルガ、エライ違ヒデゴザイマス、御承知ノ如ク年々
水害ニ費シマスル所ノ金ハ、國家ガ非常ナ犠牲ヲ拂ッテ居ルニモ拘ラズ、益
此被害ガ大キクナッテ參リマシタ、獨リ林業ガ衰頽イタシマスル許リヂャゴ
ザイマセヌ、河川ノ改修ノ上ニ非常ナル困難ヲ生ジテ居ル、小サイ問題ノヤ
ウデゴザイマスガ、中〓是ハ小サイ問題デハナイ、然ルニ曩ニ行政整理ノ時
ニ、森林ト土木ト云フモノハ、一面國家ノ安寧ヲ保護スル上ニ於テハ一致ノ行
動ヲ取ラナケレバナラヌカラ、是ハ一ツノ部局ヲ置イテ此方デ統一シタラ宜
カラウ、是ハ尤モ古イ話デアリマシテ以前カラ此論ハアル、然ルニ是ガ遂ニ
曩ノ行政整理デモ行ハレマセナンダコトハ、誠ニ遺憾ニ思フ、何レノ國デモ
國家ノ安寧ヲ保護スル方面、サウシテ純然タル產業政策ヲ取ル所ト、是ハ別
ニナッテ居ル、假令國有林ガ大キナモノデアッテモ、此國有林ノ國家ノ私營ニ
屬スル所謂民業的事業ヲスルノト、サウシテ國家ノ所謂公的事業ヲスル、國
家ヲ保安スル爲ニ行フト云フコトト、既ニ此事ハ内務省ト農商務省ト所管ガ
別ニナッテアル點カラ見テモ明カナコトデアル、故ニ一方ハ森林ト水利トノ
關係、之ニ付テ國家ノ事業タリ經營タル國有林ノ事業ヲナスノデ、サウシテ
國家ノ安寧ヲ保チ保護スル水利上ノ仕事ヲスルノデ、是ハ必ズ別ニナラナキ
ャナラヌモノト思フ、然ルニアノ砂防工事、河川改修、森林ノ······保安林ノ
造林、斯ウ云フコトガ同ジヤウナ仕事ヲ別々ノ名ノ下ニシテ居ルト云フコト
ハ、非常ナ不利益ニナリ、又統一ヲ缺イテ居ル、是ハ森林行政モ未ダ統一ガ
出來ヌ時デゴザリマスルカラ、政府ガ十分茲ニ御力ヲ御入レニナッテ居ラヌ
ノカモ存ジマセヌガ、今ハドウナッテ居リマスカ、私ハ此點ヲ伺ヒタイ、內
務大臣竝ニ農商務大臣ノ御所見ハドウアルカ、簡單ナコトデゴザイマス、是
ダケノコトヲ伺ッテ見タイト存ジマス
〔國務大臣安達謙藏君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=14
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015・安達謙藏
○國務大臣(安達謙藏君) 只今高橋君ノ御問ハ、大體論ト致シマシテハ御尤
ト考ヘマス、其森林ト河川ト砂防、三ツノモノヲ能ク聯絡ヲ取ラナケレバナ
ラヌト云フコトハ感ジテ居リマス、現在ニ於キマシテハ、內務省所管ノ河川
砂防ト、農林省所管ノ森林ノ荒廢ヲ防グ砂防ノ事ト、竝ビ行ハレテ相悖ッテ居
ラヌヤウニゴザイマス、只今高橋君ハ砂防工事ダッタラ必ズソレニハ森林ト
云フモノガ伴ハヌナラヌト云フ御話ノヤウデアリマシタガ、是ハ森林ヲ主ト
シテノ御話デアッテ、私ノ知リ得ル所デハ、砂防工事ハ、森林ノ荒廢ヲ防グ砂
防以外ニ於キマシテ、河川ノ荒廢シテ居ル所ノ其工事、單ニ河川ダケノ工事
ニ主力ヲ注イデ居ル所モ往々アルヤウデゴザイマス、昨年五十一議會ヲ通過
イタシテ居リマスル、アノ富山縣ノ常願寺川ノ如キモ、私ハ其一部ヲ瞥見シ
タ經驗ガゴザイマスガ、御承知ノ通リアレハ安政何年ノ頃デスカ、アノ水源
地ガ大地震ノ爲ニ崩壞イタシテ居リマス、ソレガ爲ニ土砂ガ流レテ、洪水ノ
時非常ニ被害ガアッタ、ソコデ之ヲ此砂防工事ハドウカト申シマスルト、矢張
リ主トシテ堰堤、澤山ナ堰堤ヲ上流ニ築キマシテ、砂防ノ設計ガ出來ルト云
フコトヲ承ッテ居ル、ソコデ內務省デヤリマス事ハ、主ニ河流ニ關シテヤル、
堰堤、其副トシテ若干ノ森林ノ關係モアリマスケレドモ、主ニサウ云フ方面
デゴザイマス、ソレカラ農林省ノコトハ何レ農林大臣ガ御答ヲ致スダラウト
思ヒマスガ、是ハ山林ノ荒廢ノ方カラノ砂防ト思ヒマス、尤モ其間ニ雙方協
議ヲ要スルヤウナ場合ガアリマシタトキハ、必ズ兩省ノ間ニ協議ヲ致シマシ
テ、極ク圓滿ニ意思ノ疏通ヲ缺カナイヤウニ、又不經濟ナコトノ無イヤウニ
取計ラッテ居リマス、今年ノ議案ニ上ッテ居リマス揖斐川方面ノ砂防工事モ、
私ハ內容ヲ能ク存ジマセヌケレドモ、是モ矢張リ先年ノ大地震デ其上流ガ崩
壞イタシマシタ爲ニ、砂防工事ヲ行フノデアリマス、矢張リ堰堤其他ノコト
ダラウト考ヘマス、此間ニ、内務、農林ノ間ニ何等聯絡ガナクシテ、非常ニ國
家行政ノ上ニ於テ其組織方法ガ宜シキヲ得テ居ナイト云フ御問ノヤウデアリ
マスガ、左程ニハ感ジテ居リマセヌ、併ナガラ御問ノ御趣旨ニ於テハ同感デ
ゴザイマスカラ、若シサウ云フ弊害ガアルヤウナコトニ付キマシテハ、出來
得ルダケ其弊害ヲ除去スルコトニ注意努力ヲシタイト考ヘマス
〔國務大臣町田忠治君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=15
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016・町田忠治
○國務大臣(町田忠治君) 私ハ衆議院ノ委員會ノ方ニ伺ッテ居リマシテ、高橋
君ノ御尋ヲ中途ヨリ承ッタノデ、或ハ御答ガ御問ニ對シテ十分御了解ヲ得ル
迄ニ參ラヌカモ知レマセヌ、其節ハ改メテ御尋ヲ願フコトトシマシテ、大體
只今內務大臣ヨリ御答イタシマシタ通リ、農林省ガ主トシテ治水ニ關係シテ
居ルコトハ、高橋君ガ長イ山林行政ニ御關係アッタ御經驗上御承知ノ通リデ
アリマス、申ス迄モナク、水ヲ治ムルニハ山ヲ治ムルコトヲ主トセヨト云フ
昔カラノ格言ノ如ク、農林省トシテハ治水事業ノ根本ハ矢張リ山ニ在ルト云
フ考ヲ以テ盡力イタシテ居リマス、唯〓農林省所管ニ屬シマスル治水事業ハ、
御承知ノ通リ四十四年カラ繼續事業トシテ始マリマシテ、主ニ公私有林ノ荒
廢地ノ復舊ヲ主ト致シマスノデ、其間或ハ內務省所管タル治水事業ト、農林
省ガ主トシテ致シテ居リマスル荒廢地ニ植林其他砂防ノ爲ニ植林ヲ致シマス
ル事務ノ間ニ、往々所管ヲ異ニスルト申シテハ如何カ知レマセヌガ、主トシ
テ内務省ガ致シタ方ガ宜シイトカ、農林省ノ砂防事業トシテヤッタ方ガ宜イ
ト云フコトノ、意見ノ多少ノ違ヒガ從來アッタコトモアリマス、是等ニ對シテ
ハ兩省能ク協議ヲシテ、今日マデ圓滿ニ參ッテ居リマスルガ、行政調査會ニ於
キマシテモ、政府ノ事務ノ進捗ヲ計ル爲ニ、二三省ニ分レテ居ル行政事務ヲ如
何ニ統一スルカト云フコトハ考究中デアリマシテ、此問題ナドモ現ニ行政調
査會ノ審議ニ今掛ッテ居ルモノデアリマスルカラ、今後此事務ノ統一ヲ計ルヤ
ウナ改良ガ出來ルコトト思ヒマス、廣島縣ノ實例ヲ御述べニナッテ、治水ノ根
本ハ植林其他山ヲ治ムルニ在ルト云フ縷々御意見ニ對シテハ、御同感デアリ
マシテ、只今御協賛ヲ願ッテ居リマスル農林省所管ノ豫算ノ中ニ、從來皆樣
ガ屢、御意見ノアリマシタ、水源涵養ノ六百八十万圓ト云フ繼續費ヲ以テ、
民有林無立木地ヲ主ト致シマシテ、水源涵養ノ爲ニ二十万町ノ植林ヲスルト
云フ案ヲ出シマシテ、折角今御審議ヲ願ッテ居ル次第デアリマス、農林省トシ
テハ公有林ノ官行造林ト相竝ンデ、民有林ノ涵養、水源ノ涵養ニ十分骨ヲ折
ル積リデアリマスカラシテ、更ニ今後其趣意ヲ擴メテハ、遂ニ今無立木竝ニ
林相粗惡デアリマスル······八百五十万ニ亙ル民有林ノ半バハ、無立木若クハ
林相粗惡ト云フコトニナリマシテ、水源涵養ニ重大ナル問題デアリマスルガ
故ニ、此水源涵養費ニ對シテハ十分御審議ヲ願ヒタイ、御答ニナリマスカ知
リマセヌガ、大要內務省トノ關係ハ、行政調査會ニ於キマシテ、其行政事務
ノ統一竝ニ進捗ヲ圖ルコトニ骨ヲ折ル積リデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=16
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017・高橋琢也
○高橋琢也君 私内務大臣代理ノ只今ノ御答辯、水源地ニ於テ砂防工事ヲ施
ス、ソレハ森林ノ爲デハナイ、內務省ノ主管トシテ唯水源地ノ處理ヲスルノ
デアルト云フヤウニモ聞エ、或ハ內務省ノ主管シテ居ル所ノ而モ內務省ガ命
ズル所ノ砂防工事ナルモノハ、多クハ森林ニ關係ハナイ、タマニハ森林關係
ノアルモノモアルガ、關係ハナイ、斯ウ仰シヤル、チヨット私ニ其意味ガ能ク
ハッキリ分リマセヌ、水源地ナルモノニハ森林ハ無イノデスカ、水源地ト云
フモノニ森林ガ無カッタラ殆ド水源ニナルマイト私ナドハ思ッテ居ル、チヨット
私ハ御答ガ妙ニ聞エタ、一應伺ッテ置ク、ソレカラ農林大臣ノ今ノ御答辯、內
務省ト協議ヲスル、是ハ今デハ程ヨク仕事ガ出來テ居ルト申スヤウナ意味ノ
御答ガアッタ、私ハソレヲ御尋ネシタノデハナイ、決シテ內務省ト農商務省ト
ノ間ニ主管爭ヒヲスルト云フヤウナ事柄ヲ私申シタノヂヤナイ、法律ノ上デ
ハ兩大臣ノ職務權限ガ判然トシテ居ラナイ、之ガ爲ニ色〓ナ議論ガ生ズル、
斯ウ云フコトヲ私ハ申上ゲタ積リデアル、又仕事ノ上ハ圓滿ニ行ッテ居リマ
セウガ、其仕事ガ統一ヲ缺イテ居レバ、同ジ造林ヲシテモ、造林ノ仕方ガ違
ヒ、結果ガ善クナッタリ惡クナッタリスル、ノミナラズ餘計ナ經費ヲ使フト云
フコトガ、現ニ私ノ知ッテ居ル縣ニ於テハ、土木費デヤッテ居ル仕事ノ方デハ
大分金ガ餘計掛ッテ居ル、ソレハ小サイ仕事ナラ宜シイガ、年々多額ノ經費ノ
仕事バカリシテ居ル、ソレ故ニ私ハ御尋ネシタ、又今囘ノ多額ナ豫算、公有
林、私有林、卽チ民有林ノ水源涵養等ニ付テ政府ハ大キナ犠牲ヲ拂フト云フ
ヤウニ仰シヤル、誠ニ結構ナ話デアル、併シソレハ何ノ爲デアルカ、矢張リ
治水ノ爲デアルト私ハ考ヘル、抑モ保安林ナルモノハ國家ノ安寧ヲ保護スル
爲ニ出來テ居ルモノデ、其仕事ノ性質カラ言ヘバ、內務省ノ主管ニ屬スルモ
ノデアラウト思ヒマス、保安林ノ仕事ナルモノハ······森林事業ト云フモノハ、
專門ノ人ヲ要スル、内務省ニハ確カ一人ノ森林技師モナカッタト私ハ思ウテ
居ル、森林ノコトヲ知ラヌ人ハ森林ノ經營ハ出來ナイ、ソレナラ農商務省ニ
ハ法學士ガ局長デ居ルデハナイカ、斯ウ云フ議論ガ起ルカ知ラナイガ、是モ
私ハ五十議會デ既ニ申上ゲタ、農商務省モ二重生活······農林省モ二重生活
ヲシテ居ル、一人ノ森林學者ヲ置ケバ、ソレヲ局長ニスレバ森林技師ヲ置ク
必要ガナイ、ノミララズ、ソレガ爲ニ仕事ガ却テ複雜スル、法律學ガ一ノ專門
學デアルト同時ニ、森林學モ一ノ專門學デアル、何レノ國デモ森林學ナルモノ
ハ專門ニヤッテ居ル、總テ有ラユル學科ガ皆專門デアルノハ、普通ノ學問ト違
フカラデアル、其法律學サヘ修メサヘスレバ、所謂法律萬能デ何モ出來ル
ヤウニ考ヘテ居ラレルノガ、根本ノ大キナ間違デアル、法學モ亦然リ、二
重生活ヲシテ居ル、嘗テ古市公威君ガ土木局長デ居ッタ場合ハ、確カ局長一人
デ何モヤッテ居ッタト私ハ思フ、又山林局モ一人デ仕事ヲシタ場合モアル、ソ
レデアルカラ、私ハ是ハ仕事ト云フ上ニ於テハ同樣ニ思ハレル、農商務省、
內務省ノ職權ニ屬スル國家ノ安寧ヲ保護スル點モ兼ネテヤッテ居ルノハ、森
林學者デナケレバ出來得ナイ、斯ウ云フ點カラ、若シ治水ト森林ト一〓ニシ
テ、大キナ治水ヲ行フ保安部トカ云フ名ヲ以テヤルナラバ、其時ニ森林技師
ヲ置イテ、土木ノ技師モアッテ、初メテ是ガ完成スルダラウト思フ、其點ハ今
ノ農林大臣ノ仰シヤルコトガドウモ私甚ダ了解ガ出來ナイ、冀クハモウ少シ
了解ノ出來ル御答辯ガアレバ滿足ヲスル
〔國務大臣安達謙藏君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=17
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018・安達謙藏
○國務大臣(安達謙藏君) 高橋君ハ、私ガ水源地ト申シマシタ爲ニ、水源地
ト云フ言葉ニ付テ色〓御話ガアリマシタガ、水源地ト申シマスノハ、地震ガ
アッテ水源地ノ方ガ壊レタ、言換ヘマスルト川ノ上流ト申シマシタ方ガ宜シ
イ、上流ガ壞レマシテサウシテ土砂ヲ非常ニ流ス、其爲ニ此山ノ兩方ガ年々
歲々壞レテ行ク、ソレデ堰堤ヲ造ル、堰堤ヲ段々造ッテ行キマシテ、土砂ノ
流出スルコトヲ防グ、從テ其兩方ノ山ガ壞レナクナリマスカラ、サウスルト
初メテ是ハ森林ノ植栽モ出來ルコトニナル、内務省ト致シマシテハ、主ニ其
堰堤築造ノコトヲヤッテ居ル、斯ウ云フ意味ニ申上ゲマシタノデ、水源地ニ
山林ノ必要ナルコト、又山林ガ水源涵養ニ大關係アルト云フコトハ、十二分
ニ承知イタシテ居リマスガ、私ノ申シマシタノハ、兎ニ角川ノ上流ト云フ意
味デアリマシテ、上流ニサウ云フ設計ヲシテ土砂ヲ防グ、斯ウ云フコトデア
リマス、ソレカラ保安林ニ關スルヤウナコトハ、是ハ地方廳デ主ニヤッテ居
リマシテ、地方廳ニハソレ〓〓山林專門ノ技師ヲ置イテ、保安林ニ關スル諸
般ノコトヲ掌ッテ居リマス、其他ノコトハ農林大臣カラ御答ヲ致スダラウト
考ヘマスカラ、私ハソレダケ御答イタシテ置キマス
〔國務大臣町田忠治君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=18
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019・町田忠治
○國務大臣(町田忠治君) 高橋君ノ再度ノ御質問ニ對シテ簡單ニ御答ヲ致シ
マスルガ、要スルニ高橋君ノ御尋ノ趣意ハ、結局治山治水ノ行政ヲ統一シテ、
之ヲ一ツノ機關ノ下ニ仕事ヲシタ方ガ宜シイト云フ御意見ニ相成ルヤウニ拜
察イタシタノデアリマス、先刻申シマスル通リ、此行政事務ノ統一竝ニ進捗
ヲ圖ル爲ニ、折角行政調査會デ今審議中デアリマスカラ、御意見ノアル所ハ
委員會デモ相當考慮イタスコトト思ヒマス、其結果或ハ森林法、河川法其他
ニ改正ヲ加ヘルヤウナコトガナイトモ限リマセヌガ、高橋君ノ御尋ハ、私ハ
治山治水ノ行政事務ヲ統一スルガ宜シイト云フ御意見ガ主デアルヤウニ拜察
イタシマシタ、行政調査會等ニ於テモ、御意見ノアル所ヲ十分參考ト致シテ
調査ヲ進メルヤウニ致ス積リデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=19
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020・高橋琢也
○高橋琢也君 只今內務大臣代理ハ、川ノ上流ガ水源地デアルト斯ウ仰シヤッ
タノデスガ、初メテ私ハ伺ッタ、是マデ水源地ナルモノハ必ズ水源林ノアル
林ノアル所カラ初メテ水ガ湧イテ出ル、是ガ水源デアル、然ルニ川ノ上流ガ
水源地デアルト云フコトデアルト、木モ何モナクシテ川ノ上ノ方ノ土ノ中カ
ラ水ガ湧イテ出ルヤウナコトカモ存ジマセヌガ、兎ニ角、是マデ政府デモ民
間デモ、森林家ニハ限ラヌ、一般ノ人、治水ニ關係ノ有ル無シニ拘ラズ、水
源地ハ水源ヲ涵養スベキ森林デアル、森林ノアル所ノ地所デアルト、斯ウ思ッ
テ居マシタガ、其定義ハ今日カラ初メテ川ノ上流デアルト云フコトニナルト、
大變ナ所謂森林界、河川界ノ革命デアラウト思フノデスガ、モウ一應其處ヲ
明カニ述べテ貰ヒタイ
〔國務大臣安達謙藏君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=20
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021・安達謙藏
○國務大臣(安達謙藏君) 水源地ト最初ニ申シマシタノハ、水源地ト云フヨ
リハ川ノ上流ト申上ゲタ方ガ宜カラウト云フ意味ニ訂正シタノデアリマス、
水源地ト川ノ上流トノ區別ノアルコトハ、私モ承知イタシテ居リマス、水源
ト最初申上ゲマシタノガ漠然タル言葉デアリマシタガ、土砂扞止ノ爲ニ堰堤
ヲ造ル所ハ川ノ上流ト云ウタ方ガ宜カラウト云フ意味カラ、川ノ上流ト云フ
風ニ訂正シタノデアリマス、左樣御承知ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=21
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022・高橋琢也
○高橋琢也君 私ハ此上質問ハ致シマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=22
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023・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 本案特別委員ノ氏名ヲ、書記官ヲシテ朗讀イタサ
セマス
〔小林書記官朗讀〕
河川法中改正法律案特別委員
子爵白川資長君子爵〓岡長言君大久保利武君
男爵伊江朝助君岡田文次君尾崎元次郞君
橋本萬右衞門君森廣三郞君山田惠一君
小山川王子発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=23
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024・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第五、保險業法中改正法律案、政府提出、第
一讀會ノ續、委員長報告、特別委員長樺山伯爵ノ登壇ヲ望ミマス
保險業法中改正法律案
右別册ノ通修正セリ依テ及報〓候也
昭和二年二月十九日
右特別委員長
伯爵樺山愛輔
貴族院議長公爵德川家達殿
(特別委員ノ修正ニ係ル部分ノミヲ印刷
シ其ノ他ハ之ヲ略ス小学ハ修正文ナリ)
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際保險會社ニ非スシテ其商號又ハ名稱中ニ保險事業者タルコトヲ示スヘキ文字ヲ用フ
ルモノハ本法施行後六个月內ニ其商號又ハ名稱ヲ變更スルコトヲ要ス
第九十七條ノ二ノ規定ハ前項ノ期間內之ヲ前項ニ揭ケタルモノニ適用セス
〔伯爵樺山愛輔君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=24
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025・樺山愛輔
○伯爵樺山愛輔君 玆ニ保險業法中改正法律案特別委員會ノ審査報〓ヲ致シ
マス、去ル十六日ニ正副委員長ノ互選ヲ行ヒマシテ、委員長ニ本員、副委員
長ニ松本烝治君ト決定シタノデアリマス、直チニ第一囘委員會ヲ開キ、國務
大臣ノ出席ヲ求メテ、本改正案提出ノ理由ニ付キ大體ノ說明ヲ聽キマシテ、大
體ニ亙ル質問ヲナシ、尙ホ第二囘ニ逐條ノ審議ヲ遂ゲテ、第三囘委員會ニ於
テ、御手許ニ配布セラレタ報〓ノ通リ、第十三條ヲ補フ爲ニ附則ニ二項ヲ加
ヘラ、此改正案全部ヲ結了イタシタノデアリマス、本案提出ノ理由ヲ簡單ニ
申上ゲマス、現行保險法ハ明治三十三年ニ制定セラレテ、其後明治四十五年
ニ一部ノ改正ガアッテ、其儘今日ニ至ッタノデアリマス、此二十五年餘ノ間ニ
發達シタル我ガ保險業ノ經營ノ監督上、法律ニ時勢ノ進運ニ伴ハザルモノアッ
テ、此不足ヲ補フ爲ニ此改正案ハ提出イタサレタモノデアリマス、現狀ニ鑑
ミ最モ必要ト認メタ點ニ付キ改正ヲナサムトスルモノデアリマス、改正セム
トスル主要ノ點ハ、保險會社資本減少ニ關スル手續、保險會社合併
ニ關スル手續ヲ簡易ナラシムルコト、其他ハ主ニ法文ノ解釋上疑義ノ存スル
點ガ成ルベク明ラカニナルヤウニト云フコトガ、目的ノ主タルモノデアリマ
ス、現今經濟界不況ノ爲メ、保險會社ニ整理救濟ヲ要スルモノモアルノデア
リマス、然ルニ現行保險法ノ規定ヲ其儘適用イタシテハ、手續ハ非常ニ困難
トナリ、費用モ莫大ニ上ボルノデ、事實整理モ救濟モ殆ド不能トナリ得ルノ
デアリマスカラ、此整理ヲ容易ナラシメントスルニハ、新ニ方法ヲ設クルヨリ
致シ方アリマセヌノデ、現行法ニ於キマシテハ、資本減少ノ場合ハ商法ノ規定
ヲ適用イタシテ居ルノデアッテ、資本減少ニ異議ヲ述ベタル者ニ對シ、辨濟
トカ擔保ノ提供ヲナストカ云フコトヲ廢シテ、一定ノ新聞公〓ヲナシ、此公
告ニ對スル異議ガ一定ノ數ニ達シナケレバ、實行ノ出來得ルヤウニ致シタイ、
又保險會社合併ノ場合ニハ、保險契約ニアル利益配當ニ關スル所ノ變更ガ必
要トナリマスルカラ、是亦公〓ヲ致シマス、此公〓ニ對シ異議者ガ一定ノ數
ニ達シナケレバ、實行ガ出來ルヤウニシタイ、要スルニ異議ニ效力ヲ有サセ
ルニハ、保險契約者ノ十分ノ一ヲ超ユル數ヲ要シ、又保險金額總數ノ十分ノ
一ヲ超ユル數ヲ要スルノデアリマス、此改正ニ依ッテ、合併モ資本ノ減少モ
容易ニナルノデアッテ、是ガ改正案ノ要旨デアリマス、保險會社ノ整理救濟
ニ付テ、實際ノ問題ニ遭遇シテ此解決ニ非常ナル困難ヲ感ジタト云フコトガ、
今囘改正案ガ立案セラレマシタ主ナル動機デアリマス、大體整理案提出ノ理
由ハ右ノ通デアリマス、次ニ委員會ニ於キマシテノ質問ニ付テ簡單ニ申上ゲ
ママ、一、相互保險ト株式保險トノ間ノ合併ニ付キ、何モ改正案ニ見エナイ
ガ必要ナイカ、出來ナイカ、ムツカシイカ、一、生命保險ノ方ハ此改正ニ依ツ
テ大變都合ガ好クナルガ、損害保險ノ方モ合併ヲ促進スル必要ガアルト思フ
ガ、此場合ニ於テハ隨分障碍ガアルト思フ、之ニ對スル改正ヲ加ヘル必要ハ
ナイカ、生命保險モ損害保險モ餘程多イヤウデアルガ、成ルベク合併ヲ
促進シテ新設シナイ方針ガ宜カラウト思フガ、政府ハ如何ニ御考ヘニナルカ、
助成金納付ノ義務ヲ背負ッテ居ル損害保險ニ付テ申上ゲマス、損害保險
同士合併ノ場合ニハ、助成金ノ義務ヲ背負ッテ居ル會社ガ義務ヲ背負ッテ居ラ
ヌ會社ト合併スルコトハ、助成金納付ノ義務ヲ果ス迄ハ合併ハ出來ナイ相談
デハアルマイカ、保險法ノ認可ト許可ノ定義ニ付テ、保險業法ニアル認
可ト許可ト云フコトノ改正ニ付テ問答ガアリマシタガ、是ハ直接改正案ニハ
關係ハゴザイマセヌカラ、略シマス、保險業合併ノ認可ニ付テ、保險會
社同士合併ヲ望ムニ付テノ理由ハ、要スルニ會社ノ利益ト會社ノ基礎ヲ堅固
ニスル、此二ツニアルベシ、此二ツノ理由ガ認メラレタトスレバ、會社ノ合
併ニ認可ヲ政府ハ與ヘラレルヤ否ヤ、勿論會社ニ於テ合併ヲ希望スル上ハ、
政府ハ此改正法ニ依ッテ成ルベク合併ヲ許サルル御精神ト思フガ、唯茲ニ甲ト
乙トノ會社ガアッテ、甲ハ利益ノ八割ヲ割戾シ、乙ハ其二割ヲ割戾スト云フ
契約ガアル場合ニハ、合併ハ中〓面倒ニナルト思フガ、折角勸誘ニ應ズルヤ
ウ改正法ガ立案サレテモ、割戾ノ八割ト二割ノ相違ヲ如何ニ手加減ヲシテ、
合併ノ目的ヲ達セシムルカ、實際取扱上困難ニ遭遇シテ、却テ合併ヲ促進セ
シメナイ結果ニナリハセヌカ、斯樣ナ場合、政府ハ手心ヲ御用ヰニナル考デ
アルカ否ヤ、改正案立案ノ方針ニ付テ、此改正法律案ハ保險業全體ヨリ
見テ立案ニ著手セラレタモノデアルカ、又一時ノ便宜ヲ圖ル爲カ、此改正案
ニ依ッテ多キニ過ギタル保險會社ノ合併ヲ促進シヤウト云フ精神デアルカラ、
其整理ガ付クマデハ新ニ許可ハ與ヘナイト云フ結論ニナルト思フガ、少シ明
カニ政府ノ御答ヲ得タイ、一、海上保險ニ付テ、海上保險ハ船舶業ト一心同
體ノモノデアルカラ、同ジ保險ノ業デモ、是ハ船舶業ヲ監督スル海法局トカ、
海商局トカ云フ局內ニアルベキモノデアルト思フ、政府ノ御考ハドウデアル
カ、以上ハ質問ノ大略デアリマス、右質問ニ對シマシテ政府委員ノ御答辯ニ
付テ申上ゲマス、保險會社ノ新設ニ付テ、保險會社ノ數モ多ク、又餘リ面白
クナイ經營ノ狀態ニアルモノモアルカラ、現在ノ保險會社ノ助長發達ニ重キ
ヲ置クモ、絕對ニ許可シナイト云フコトハアルマイガ、容易ニ許サナイ、萬
一許ストスレバ、何カ特別ノ理由アッテ、愼重ノ上ニモ愼重ノ考慮ヲ要スル、
新ニ保險會社ヲ許ストスレバ、現在整理ヲ要スル不況ニアルモノト競爭ニナ
ル、益〓現在ノ會社ヲ困難ニナラシムル、又助成金ノ納付ニ對スル重荷ヲ背
負ッテ居ル保險會社ト、新設ノ保險會社ト若シ競爭ヲ見ルニ至ラバ、是亦益、
非常ノ困難ニ陷ルコトトナル、相互保險ト株式保險ニ付キマシテ、相互保險
ヲ株式保險ニ合併スル場合ハ考ヘテ居ラナカッタガ、株式ヲ相互ニ合併スル方
法ハ研究サレテ居ル、ケレドモ今囘ハ差當リ必要ノ點ダケニ改正ヲ止メタ、
損害保險ニ付テ、現在ノ保險業法ハ古イカラ改正ヲ要スル點ハ多クアル、損
害保險法モ改正ヲ要スル、ケレドモ今囘ハ生命保險同士ノ合併ニ付キ、實際
問題ノ解決ニ改正ノ必要ヲ痛切ニ感ジタノデ、差當リ生命保險ニ止メ置キ、
相互、株式ノ關係竝ニ損害保險合併ノ關係等ニ付キ、更ニ研究ヲ重ネテ置イ
テ、保險法全體ヲ改正スル時ニ考ヘルコトニシタイ、助成金納付ノ義務ヲ背
負ッテ居ル損害保險同士ノ合併ハ、最モ困難ト思フノデアル、保險會社合併
ノ認可ニ付テ、保險會社合併ヲ望ム保險會社ノ利益金割戾シノ契約ニ非常ノ
差ヲ見ル場合ニハ、出來得ル限リ公平ニ、又相當ノ程度ニ於テ合併ノ目的ヲ
達セシメル考ヲ持ッテ居ルガ、ドノ程度ニ達シタトキ、或ハドコヲ標準トシ
テ合併スルト云フコトハ、其實際ノ問題ニ遭遇シテ、初メテ具體的ニナルモ
ノト考ヘル、又契約權利者ニ十分ノ一ヲ超ユル反對者ガアレバ、合併ハ成立
シナイ、又合併ニ付キ十分ノ一ヲ超ユル反對ガアル場合ニ、合併ハ出來ナイ、
要スルニ合併ヲ望ム雙方ノ會社ト其株主トノ了解ガ大體ニ纒マッテ相談ガ漸
漸進行スルノデアルカラ、政府トシテハ其了解ニ基イテ、一ツノ標準ヲ見出
シテ認可ヲ與ヘル、保險業改正ノ方針ニ付キ、此改正法案ヲ提出シタ理由ハ、
或會社ト或會社トノ合併ニ付キ、手續ニ非常ノ困難ヲ感ジ、此實際問題ニ遭
遇シテ、最善ノ策トシテ今囘ノ改正案ニ著手シタノデアル、併シ將來トシテ
モ合併ノ必要ハアルデアラウカラ、此改正ハ永久的ノモノトモ云ヘル、此改
正法ニ依ッテ合併ガ宜イトシタナレバ、自然需要供給ノ關係ガ完了スルマデ
ハ會社ノ新設ハ許サヌ考デアル、右ハ政府答辯ノ大略デアリマス、次ニ改
正案ノ第十二條ニ關シマシテ、制裁ノ力ヲ減ズル意味ニ於テ、保險協會ヨリ
修正ノ希望ガアリマシタノデアリマス、委員會ニ於テハ是ハ必要ナイト認メ
マシテ、唯政府委員ノ言明ヲ速記錄ニ止メ置クコトニ取計ヒマシタノデア
リマス、終リニ第十三條ノ四ニ付テ御報告イタシマス、此法文ニハ「保險會
社ニ非サルモノハ其商號又ハ名稱中ニ保險事業者タルコトヲ示スヘキ文字ヲ
用フルコトヲ得ス」トアリマス、之ヲ補フ爲ニ附則ニ二項ヲ加ヘルコトニナ
リマシタノデアリマス、其理由トスル所ハ、法律實施卽時ヨリ制裁ヲ加ヘル
コトハ穩當ヲ缺クト云フ點デアリマス、此修正ヲ加ヘテ、此改正法案ノ全部
ヲ解決シタ次第デアリマス、ドウゾ御賛成アラムコトヲ希望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=25
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026・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ通〓ニ依リマシテ、阪本釤之助君ニ質疑ノ
發言ヲ許シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=26
-
027・阪本さん之助
○阪本釤之助君 餘リ長ク申シマセヌカラ自席カラデハ如何デセウ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=27
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028・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御登壇ヲ願ヒマス
〔阪本釤之助君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=28
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029・阪本さん之助
○阪本釤之助君 只今特別委員長ヨリ御報告ニナリマシタ保險業法改正法律
案ノ內容ニ付キマシテ、聊カ質問ヲ致シタイト思ヒマス、實ハ十五日ノ第一
讀會ニ於キマシテ質問スベキデアリマシタガ、生憎缺席ヲ致シタ爲ニ、已ム
ヲ得ズ本日ノ機會ニ於テ暫時發言ヲ御許シヲ願ヒタイト思フノデアリマス、
政府ハ此度、保險業法ニ改正ヲ加ヘムトセラレマシテ、數條ノ修正ヲ作成シ
テ提出サレタノデアリマス、其要旨ハ只今特別委員長ヨリ縷々御述べニナリ
マシタ次第デ、極明瞭ニ分ッテ居リマスガ、私ガ御尋ネセムトスルノハ、此
改正案ノ第十一條十二條ノ如キハ、保險會社ノ取締ヲ一層嚴重ニシヤウ、現
狀ニ顧ミテモウ一層監督ヲ嚴重ニスベキ必要ガアルト云フ御見地ヨリ改正案
ヲ出サレタモノノヤウニ思ハレルノデアリマス、然ルニ本員ガ考ヘマスル所
デハ、此點ハ誠ニ御同感デ、至極結構ナコトト存ジテ喜ビマスルノデアリマ
スルガ、尙ホ進ンデ折角保險業者ノ監督ヲ今日ヨリモ嚴重ニシ正確ニシヤウ
ト云フ御考デアルナラバ、私共傳聞スル所ニ依リマスト、歐米諸國ニハ「マ
ニチュアリー」トカ申スモノガアリマス、亞米利加ノ如キハ政府ニ置イテアル
ト云フコトデアリマス、歐洲諸國デハ大抵會社ノ中ニ置イテゴザイマシテ、何
ト申シマスカ、保險技師ト申シマスカ、技師ト云フト少シ安ク聞エマスガ、
會社內ノ監督者ノヤウナ、監査役トハ違ヒマス、事務ノ方ニ屬スル所ノ監督
者デアル、又亞米利加ハ政府ニ之ヲ置キマシテ、各會社ニ立入ッテ檢查監督
ヲスル、其費用ヲ會社カラ徵シテ、政府ハ支ヘテ居ルト云フ仕組デアルト云
フコトヲ聞イテ居リマス、何レニシテモ此者ガ居リマシテ、此死亡ノ率カラ
或ハ保險料ノ事、總テノ事ヲ調查イタシマシテ、一面ニハ會社ノ事業ノ保持
者トナリ、一面ニハ監督者ノ意味ニナッテ居ルヤウデアリマス、而シテ此者
二、若シ其間ニ不正ノ事ガゴザイマスレバ、重イ刑ニ處スルコトニナッテ居
ルヤウデアリマス、卽チ我國ノ會社ニアリマスル責任準備金······責任準備金
等ハ政府ガ幾分カ監督サレマセウケレドモ、其責任準備金ト云フモノハドウ
云フ基礎ニ依ッテドウ云フ金額ヲ算出シテ居ルカ、之ヲ會社ハ如何ニシテ積
立ッテ居ルカト云フコトヲ常ニ監督スル機關ハ無イ、唯會社ガ監査役ト申シマ
スルカ、タマニ政府ガ行ッテ見ルト云フヨリ監督者ガナイ、多クノ······巨万、
巨億ト申シマスカ、金額ヲ被保險者ニ與フベク契約シテ置イテ、其會社ノ內
部ノ基礎ガ甚ダ薄弱デアリ、常ニ之ヲ監督スル者ガ無イト云フコトハ、甚ダ
缺點デアルト思フノデアリマス、政府ハ折角監督ヲ嚴重ニシヤウト云フコト
デ改正法律案ヲ作ラレタノニ、此點ニハ著目サレナイノデアリマセウカ、或
ハ何等カ事情ガアッテ此改正案ニハ加ヘナカッタノデアルカト云フコトヲ伺ツ
テ見タイ、私共希望スル所ハ、是非置イテ貰ヒタイノデアル、此度ハ何等カ
ノ事情ニ依ッテ此改正法律案ニハ加ヘナカッタケレドモ、近キ將來ニ於テ斯ウ
スル積リデアルト云フヤウナ御考デモアリマスナラパ、ソレヲ承ッテ見タイ、
特別委員會ニ於テ松本博士ヨリノ質問ニ對シ、政府委員ハ、根本的ノ改正ヲ
加ヘテ見タイト思ッタケレドモ、左樣ニハ參リ兼ネタカラ、先ヅ差向キ必要
トスルダケヲ改正シタイト云フヤウナ意味ノ御答ヲサレテ居ルヤウデアリマ
スルガ、卽チ根本的ト云フノハ、只今私ノ述べマシタヤウナコトガ含ンデ居ッ
タノヲ、何等カノ御都合ニ依ッテ削ラレタノデアルカ、或ハソレニハマダ思
ヒ至ッテ居ラレナカッタノデアルカ、若シ左樣デアルナラバ甚ダ遺憾ナコトデ
アルト存ジマスルガ故ニ、政府ノ意思ノアル所ヲ聽キ、又希クハ一日モ早ク
此機關ヲ設ケテ、我保險界ノ安固ヲ保チ、被保險者ノ幸福ヲ增シタイモノト
存ジマスル考ヨリ御尋ヲスルノデアリマス、尙ホ特別委員長ニ於カレマシテ
千、未ダ速記錄ガ全部整ッテ居リマセヌガ爲ニ承知スルコトガ出來マセズ、
又只今ノ御報告中ニアリマセヌデアリマシタカラ、其御問答ハ無カッタダラウ
ト想像イタシマスルガ、若シ私ノ御尋ネセムトスルコトニ付テ、特別委員會
中ニ何カ御應答ガアリマシタナラバ、特別委員長カラモ御報告ヲ願ヒタイト
存ジマス
〔國務大臣藤澤幾之輔君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=29
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030・藤澤幾之輔
○國務大臣(藤澤幾之輔君) 只今阪本君カラ御尋ネニナリマシタコトデアリ
マスガ、「アクチュアリー」ノ制度ヲ法制ノ上ニ公認スルカ否カト云フ點ニ付
キマシテ、此度提出イタシマシタ改正案審議ノ際ニ、十分ナル研究ヲ遂ゲタ
積リデアリマスケレドモ、併ナガラ先キニ委員長カラ御報告ニナリマシタ通
リ、此度改正案ノ主ナル目的ハ、會社ノ減資合併ニ關スルモノヲ主ト致シマ
シタノデアリマス、從テ保險法ノ全體ニ付テハ、尙ホ改正ヲ要スベキモノガ有
ルノデアリマシテ、未ダ完璧ヲ見タノデハナイノデアリマス、「アクチュアリ
ー」ノコトニ付キマシテモ、尙ホ研究スベキ餘地ガ存シテ居ルノデアリマス
カラ、此度ノ改正案提出ニ當リマシテハ、未ダ之ヲ採用スルノ域ニ達シテ居
ラナカッタノデアリマスガ、併シ此上トモニ十分ナル考究ヲ重ネル積リデアリ
やく、尙ホ一言申上ゲテ置キタイコトハ、保險業ノ監督ノ點ニ付キマシテ、遺
憾ナキニアラズト云フ意見ヲ持ッテ居ラルル方モアリ、又商工省ニ於キマシテ
モ、此上周到ナル監督ヲ致ス必要ガアルト認メマシタカラ、此度御覽下サリ
マシタ通リ、豫算ノ上ニ勅任ノ事務官ヲ置キマシテ、周到ナル監督ヲ行ハシ
ムルコトニ致シタヤウナ次第デアリマス、御問ノ點ニ付キマシテハ、引續キ
十分ナル考究ヲ遂グルコトヲ申上ゲテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=30
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031・阪本さん之助
○阪本釤之助君 只今御尋ノ中ニ申述ベマシタコトヲ、大臣ヨリ御補足ニナ
リマシタ點モ分リマシタガ、勅任技師ガ一人豫算ノ上ニ殖エルヤウニ見エテ
居リマスガ、卽チ此勅任技師ナルモノハ、矢張リ是迄ノ課長アタリノ人ガ昇
格スルノデアルカ、或ハ事務官タル課長ノ外ニ、此勅任技師ト云フモノガ一
人「マニチュアリー」ノ一小部分ニナリマスカ、其仕事ヲ御執ラセニナルガ爲
ニ勅任技師ヲ置イタノデアルカ、其點ヲ御尋ネシタイ、其他只今御述べニナ
リマシタノデ略、御意向ガ分リマシタガ、成ルベク早キ機會ニ此機關ヲ御設ケ
ニナル御意思アリヤ、或ハ餘リ必要デナイト御考ヘニナッテ居ルカ、或ハ必
要デアルケレドモ斯ウ云フ事情デアルカラ此度ハ置カナカッタト云フコトデ
アリマスルナラバ、モウ一應御聞カセヲ願ヒタイト存ジマス
〔國務大臣藤澤幾之輔君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=31
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032・藤澤幾之輔
○國務大臣(藤澤幾之輔君) 御答ヘ致シマス、勅任事務官ヲ課長トスルカ、
又ハ課長ノ外ニ勅任事務官ヲ置クカト云フコトニ付キマシテハ、尙ホ只今ノ
所ハ確定イタシテ居リマセヌ、考慮中デアリマスカラ、實行ノ上ニ御承知ヲ
戴クヨリ外ニハ、今日ノ程度ニ於テハ、無イノデアリマス、ソレカラ「アク
チュアリー」ヲ必要ト認メルヤ否ヤト云フコトニ付キマシテハ、政府モ之ヲ必
要ト認メマスノデアリマス、未ダ其時ニ達シテ居リマセヌカラ、暫クノ時ヲ
與ヘテ戴キタイ、斯ウ云フ趣旨ニ歸スルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=32
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033・阪本さん之助
○阪本釤之助君 了解イタシマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=33
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034・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 本案ノ第二讀會ヲ開クコトニ御異存ゴザイマセヌ
カ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=34
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035・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=35
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036・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開カレムコトヲ希望イタシマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=36
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037・池田政時
○子爵池田政時君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=37
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038・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 西大路子爵ノ動議ニ御異存アリマセヌカ
[「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=38
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039・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス
山東小布発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=39
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040・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 『第九條中「書類ノ規定」ヲ「書類ニ定メタル事項」
ニ改ム』ヨリ『第百十二條中「第二十條乃至第二十二條」ヲ「第十九條ノ二乃至
第二十二條ノ二」ニ改ム』迄ヲ問題ニ供シマス、原案ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=40
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041・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=41
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042・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 次ハ附則、卽チ特別委員會ノ修正ヲ問題ニ致シマ
ス、委員會ノ修正ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=42
-
043・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=43
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044・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第三讀會ヲ開カレムコトヲ希望イタシマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=44
-
045・池田政時
○子爵池田政時君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=45
-
046・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 西大路子爵ノ動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=46
-
047・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス
北山吉発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=47
-
048・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 第二讀會ノ決議ノ通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=48
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049・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス
市小米훌発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=49
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050・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第六、切山別村ニ漁港修築ノ請願、第七、岡
崎.多治見間鐵道敷設ノ請願、第八、明治節制定ノ請願、會議
〔左ノ意見書案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス以下之ニ倣
フ〕
意見書案
初山別村ニ漁港修築ノ件
北海道苫前郡初山別村商前田安次郞外二百四十九名呈出
右ノ請願ハ北海道苫前郡初山別港附近ハ從來鰊漁豐富ナリシモ近時魚族ハ
主トシテ沖合ニ集中シ之カ漁獲ハ沖合漁業ニ俟タサルヘカラサルニ拘ラス
同港ニハ完全ナル漁船避難ノ設備ナク爲ニ漁民モ危難ヲ慮リテ出漁ヲ逡巡
シ徒ラニ天惠ヲ逸スルハ甚遺憾ナルニ依リ速ニ漁港修築ノ工事ヲ實施セラ
レタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因
テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣若槻禮次郞殿
意見書案
岡崎、多治見間鐵道敷設ノ件
愛知縣岡崎市長本多敏樹外二百三十九名呈出
右ノ請願ハ東海道本線鐵道岡崎驛ヨリ愛知縣岡崎市、西加茂郡擧母町及東
春日井郡瀨戶町ヲ經テ中央本線鐵道多治見驛ニ至ル鐵道ハ沿線地方ニ於ケ
ル豐富ナル資源ヲ開發シ民衆ノ福利ヲ增進スル重要ノ線路ナルヲ以テ速ニ
之ヲ敷設セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノ
ト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣若槻禮次郞殿
意見書案
明治節制定ノ件
東京市日本橋區蠣殼町平民田中巴之助外十七名呈出
右ノ請願ハ明治節ヲ制定シ明治大帝ノ聖德偉業ヲ憶念欽仰スルハ民意ヲ肅
〓向上セシメ世態民風ヲ統一正導スル所以ナルニ依リ速ニ之カ實現ヲ圖ラ
レタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因
テ議院法第六十五條ニ依リ別冊及送付候也
昭和二年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣若槻禮次郞殿発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=50
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051・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是等ノ請願ハ請願委員長ノ報告通リデ御異存ゴザ
イマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=51
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052・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス
善見発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=52
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053・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 次ニ第九ヨリ第十六マデ、請願、會議
意見書案
滋賀縣東黑田郵便局ニ集配事務開始ノ件
滋賀縣坂田郡東黑田村長常喜榮太郞外七名呈出
右ノ請願ハ滋賀縣坂田郡東黑田村ハ近時產業ノ發展著シク貨客ノ集散頻繁
ニシテ通信事務夥多ナルニ拘ラス東黑田郵便局ハ集配事務ヲ取扱ハサル爲
村民ノ齊シク不利不便ヲ感スルコト痛切ナルヲ以テ同郵便局ニ集配事務ヲ
開始セシメラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノ
ト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣若槻禮次郞殿
意見書案
茂生漁港築設ノ件
北海道濱益郡濱益村平民漁業竹內〓太郞外五百八十八名呈出
右ノ請頗ハ北海道濱益郡濱益村茂生港ノ近海ハ由來鰊ノ良漁場ナルニ拘ラ
ス未同港ニ漁港ヲ修築セラレサル爲漁民ノ不利不便尠カラス從テ漁業ノ發
達ヲ阻碍スルコト多大ナルハ甚遺憾ナルニ依リ速ニ該港ニ之カ實現ヲ圖ラ
レタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因
テ議院法第六十五條ニ依リ別冊及送付候也
昭和二年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣若槻禮次郞殿
意見書案
新宮川治水工事ニ關スル件
三重縣南牟婁郡鵜殿村平民公吏倉本德之助外九十三名呈出
右ノ請願ハ新宮川ハ其ノ流域和歌山、奈良及三重ノ三縣ニ亙リ運輸上重要
ナル河川ニシテ地方產業ノ消長ニ至大ノ關係アルニ拘ラス明治二十二年ノ
大洪水ノ爲甚シキ慘禍ヲ蒙リ今ヤ其ノ支流ニ至ル迄惡影響ヲ蒙リツツアル
ハ遺憾ナルヲ以テ河川法ニ依リ速ニ治水ノ方法ヲ講セラレタシトノ旨趣ニ
シテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五
條ニ依リ別冊及送付候也
昭和二年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣若槻禮次郞殿
意見書案
樣似漁港修築ノ件
北海道樣似郡樣似村長十倉十六美外一名提出
右ノ請願ハ北海道日高國沿岸就中襟裳岬沖合ハ本邦屈指ノ大漁場ニシテ將
來大ニ開發セラルヘキ運命ヲ有スルニ拘ラス同沿岸ハ港灣ニ乏シク船舶ノ
繫留不能ニシテ唯一ノ避難港タル樣似港スラ强風ニ際シテハ船舶ノ出入困
難ニ陷リ屢港口ニ於テ遭難スルモノアルハ甚遺憾ナルニ依リ速ニ國費ヲ以
テ天與ノ良港タル同港ヲ漁港トシテ修築シ地方產業ノ振興ニ資セラレタシ
トノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院
法第六十五條ニ依リ別冊及送付候也
昭和二年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣若槻禮次郞殿
意見書案
頓別川河口改修ノ件
北海道枝幸郡頓別村長渡邊嘉藏呈出
右ノ請願ハ北海道枝幸郡頓別村頓別川河口ハ本邦唯一ノ大漁場タル「オコツ
ク」海ニ面シテ漁船ノ碇泊ニ恰適シ且其ノ流域地方ハ有望ナル農耕地ナル
ニ拘ラス先年海嘯ノ爲著シキ河口ノ變動ヲ來シ爾來風波每ニ閉塞シ逆流汎
濫ノ爲漁業竝農業上ノ損害尠少ナラサルハ本道拓殖上甚遺憾ナルニ依リ速
ニ工事容易ナル同川河口ノ改修工事ヲ實施セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族
院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ
別册及送付候也
昭和二年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閤總理大臣若槻禮次郞殿
意見書案
伊達紋別、京極間鐵道敷設ノ件
北海道有珠郡德舜瞥村長桑原〓之助外七百八十三名呈出
右ノ請願ハ室蘭本線鐵道伊達紋別驛ヨリ有珠郡壯瞥村德舜瞥村及虻田郡喜
茂別村ヲ經テ京極線鐵道京極驛ニ達スル鐵道ハ沿線地方ニ於ケル豐富ナル
農產、鑛產竝畜產等ノ資源ヲ開發スルノミナラス運輸交通上及本道拓殖上
重要ノ線路ナルヲ以テ速ニ之ヲ敷設セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願
意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及
送付候也
昭和二年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣若槻禮次郞殿
意見書案
財團法人私立中等學校協會國庫補助ノ件
鹿兒島縣鹿兒島市〓水町鶴嶺高等女學校長男爵島津長丸外百九十三名
呈出
右ノ請顧ハ私立中等學校〓員ノ移動多キハ主トシテ恩給ノ給與ナキニ依ル
ヲ以テ曩ニ全國私立中等學校聯合會ニ於テ恩給財團ヲ設立シ自營的ニ一時
給與金及年金ヲ支給スルコトトナシタルモ其ノ額十分ナラサルハ甚遺憾ナ
ルヲ以テ官公立學校職員ニ等シキ恩典ニ浴セシムルヤウ財團法人私立中等
學校協會ニ對シ國庫ヨリ相當ノ補助金ヲ交付セラレタシトノ旨趣ニシテ貴
族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依
リ別册及送付候也
昭和二年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣若槻禮次郞殿
意見書案
瀨棚港修築ノ件
北海道瀨棚郡瀨棚町長森野芳太郞外百十名呈出
右ノ請願ハ北海道瀨棚郡瀨棚港ハ瀨棚、太櫓兩郡ニ於ケル貨物ノ集散地ニ
シテ船舶ノ出入夥シキノミナラス他日國縫、瀨棚間鐵道開通ノ曉ニハ海陸
交通ノ連絡點ト爲リ且漁業ノ發展ニ資スル大ナルヲ以テ速ニ同港ヲ修築セ
ラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候
因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣若槻禮次郞殿発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=53
-
054・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是等ノ請願モ請願委員長ノ報告通リデ御異存ゴザ
イマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=54
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055・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス、次ノ議事日程ハ決定次第、
御通知ニ及ビマス、本日ハ是ニテ散會イタシマス
午前十一時四十二分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005203242X01419270222&spkNum=55
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