1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
登録税法中改正法律案（政府提出）
印紙税法中改正法律案（政府提出）
砂糖消費税法中改正法律案（政府提出）
關税定率法中改正法律案（政府提出）
商事非訟事件印紙法中改正法律案（政府提出）
營業收益税法中改正法律案（湯淺凡平君提出）
清涼飮料税法中改正法律案（湯淺凡平君提出）
不在地主税法案（清瀬一郎君外一名提出）
登録税法中改正法律案（猪野毛利榮君外三名提出）
關税定率法中改正法律案（小池仁郎君外十八名提出）
關税定率法中改正法律案（東武君外十二名提出）
果物罐詰原料砂糖戻税法案（中村嘉壽君提出）
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會議
昭和二年二月二十一日（月曜日）午前十時四十八分開議
出席委員左の如し
委員長 武藤金吉君
理事 奥村千藏君
理事 高橋熊次郎君
理事 清水長郷君
小西和君 木檜三四郎君
淺川浩君 神部爲藏君
斯波貞吉君 佐藤富十郎君
堀切善兵衞君 松本眞平君
長田桃藏君 木暮武太夫君
吉良元夫君 岩切重雄君
丹下茂十郎君 沼田嘉一郎君
増田義一君
二月十七日營業收益税法中改正法律案（湯淺凡平君提出）、清涼飮料税法中改正法律案（湯淺凡平君提出）、不在地主税法案（清瀬一郎君外一名提出）の審査を、同月十九日登録税法中改正法律案（猪野毛利榮君外三名提出）、關税定率法中改正法律案（小池仁郎君外十八名提出）、關税定率法中改正法律案（東武君外十二名提出）、果物罐詰原料砂糖戻税法案（中村嘉壽君提出）の審査を孰れも本委員に付託せられたり
出席政府委員左の如し
内務省地方局長 潮惠之輔君
大藏省主税局長 黒田英雄君
委員長の許可を得て出席したる者左の如し
清瀬一郎君 猪野毛利榮君
本日の會議に上りたる議案左の如し
登録税法中改正法律案（政府提出）
印紙税法中改正法律案（政府提出）
砂糖消費税法中改正法律案（政府提出）
關税定率法中改正法律案（政府提出）
商事非訟事件印紙法中改正法律案（政府提出）
營業收益税法中改正法律案（湯淺凡平君提出）
清涼飮料税法中改正法律案（湯淺凡平君提出）
不在地主税法案（清瀬一郎君外一名提出）
登録税法中改正法律案（猪野毛利榮君外三名提出）
關税定率法中改正法律案（小池仁郎君外十八名提出）
關税定率法中改正法律案（東武君外十二名提出）
果物罐詰原料砂糖戻税法案（中村嘉壽君提出）発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=0
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001・武藤金吉
○武藤委員長 是ヨリ開會致シマス、今
日マデノ委員會ハ登錄稅法中改正法律
案、印紙稅法中改正法律案、砂糖消費稅
法中改正法律案、關稅定率法中改正法
律案ノ四件デアリマシタガ、政府ヨリ
商事非訟事件印紙法中改正法律案ガ提
出ニナリマシタ、其他營業收益稅法中
改正法律案、〓涼飮料稅法中改正法律
案、是ハ湯淺凡平君ヨリ提出ニナリマ
シテ當委員會ニ審査ヲ付託サレマシタ、
尙ホ其外ニ不在地主稅法案、〓瀨一郞
君外一名提出、登錄稅法中改正法律案、
猪野毛利榮君外三名提出、關稅定率法
改正法律案、小池仁郞君外十八名提出、
及關稅定率法中改正法律案、東武君外
十二名提出、果物罐詰原料砂糖戾稅法
案ハ中村嘉壽君提出、此諸案ヲ當委員
會ニ付託ニナリマシタカラ、是又一
括致シマシテ隨時提出者ノ說明ヲ承ル
コトニシタイト思ヒマス、又說明ヲ承
ラヌデモ一括シテ政府委員等ニハ質問
ヲ致シマシテ、審査ノ進行ヲ圖リタイ
ト思ヒマス、左樣御承知ノ上質問ヲ續
行セラレタイト思ヒマス、尙又登錄稅
法、印紙稅法、關稅等ニ付テハ大分質
問モ濟ミマシタガ、マダ少シク殘ッテ居
ル點ガアルヤウデアリマス、ソレカラ
山本愼平君、村山喜一郞君、佐藤富十郞
君、山本芳治君、沼田嘉一郞君其外ニ高
橋君、木暮君等ノ質問モ亦殘ヲテ居リマ
スガ、今日ハ其殘ッテ居ル分ヲ御願申シ
タイト思ヒマス、此際ニ不在地主稅法
案ノ說明ヲ〓瀨君カラ承ルコトニシマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=1
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002・清瀬一郎
○〓瀨一郞君 說明ノ機會ヲ與ヘラレ
マシテ感謝致シマス、此不在地主稅法
案ハ此院ニハ今マデ提出セラレナイ、
初メテノ問題デアリマスガ、一寸此構
成ヲ御聽キ願ヒタイノデアリマス、是
ハ不在者卽チ其市町村ニ居リマセヌ
地主ニ向ッテ、戶數割同樣ノモノヲ課稅
シ得セシメテ、以テ町村ノ財源ノ一部
ヲ補充致サウト云フ考デアリマス、斯
ウ云フ風ニ考ヘテ居リマスガ、今迄デ
モ多クノ町村ニ於キマシテハ、戶數割
ト云フコトハ餘程重大ナ負擔デアリマ
ス、又地方ノ農村アタリデ一番苦情ノ
多カッタ問題デアルコトハ御承知ノ通
リデアリマス、本年ノ四月一日カラシ
テ新シイ地方稅制ノ體系ガ日本ニ適用
サレマスルガ、ソレニ依リマスルト尙
ホ此戶數割ト云フモノガ農村ニ於テハ
重大ナ任務ヲ負擔スルト思ヒマス、何
故カナレバ從前矢張町村ノ財源デアリ
マシタ所得稅附加稅ト云フモノハ、全
部之ヲ府縣ヘ移シテシマッテ居リマス、
是ガ仝國デ五千萬圓位ノモノデアッタ
ノガ府縣ニ行ッテシマフ、去ル代リニハ
府縣デ取ッテ居ッタ戶數割ハ之ヲ町村ニ
委讓ジテ居リマス、是ハ前議會デ稅制
委員ノ御審査ノ上決ッタコトデアリマ
シテ、是モ一ツノ體系トシテハ宜イノデ
アリマスガ、サウシマスルト町村内ニ
於テ戶數割ヲ負擔スルト云フコトハ是
ハ重要ナコトニナリマスルガ、今日ノ
現狀カラ申シマスルト、町村內ニ在リ
マスル土地殊ニ田地田畑、ソレナドガ
町村ニ住マナイ人ニ依テ所有サレテ居
ルモノガ隨分アリマス、私ハ自分ノ力
デ調ベハ能ウ致シテ居リマセヌケレド
モ、二三ノ町村デ調ベマシタ所ガ、其町
村ニ住マナイ人ノ持ヲテ居ル田地ノ面
積ハ矢張五分ノ二マデ位ニ當ッテ居ル
ヤウデアリマス、所ガ其町村デ以テ施
行スル設備、例ヘバ道路トカ、橋梁トカ、
治水トカ云フ風ナモノハ、矢張此不在地
主町村ニ住ンデ居ラヌ人モ均霑致シテ
居ル、是等ノ仕事ヲスル主ナル財源ガ、
是カラ戶數割トナリマスト、戶數割ハ
申ス迄モナク戶ニ課スルモノデ、其町
村ニ住ンデ居ラヌ獨立ノ生計ヲ營マヌ、
斯ウ云フ人ニ對シテハ掛ケ得ナイノデ
アリマスカラ、貧弱町村卽チ其町村內
ノ者ガ田地ヲ持タヌヤウナ町村ニナル
程益戶數割ハ多クナル、幸ニ富裕ナ町
村、不在地主ノ少イ所ハ餘リ問題ヲ生
ジマセヌガ、貧弱ナ町村ニナリマス程
尙更戶數割ガ多クナルト云フ反比例ノ
狀態ヲ呈シテ居リマスカラ、玆ニ此不
在地主ニ對シテ課稅ヲシタイ、斯ウ云
フ考ガ起ッタノデアリマス、所ガ是ガ比
較的簡單ニ參リマス譯ハ、此法律ハタッ
タ二箇條デアッテ、實ニ簡單デアリマス
ガ、極ク簡單ニ之ヲ課稅スル譯ト云フ
モノハ、戶數割ノ法規ガ昨年ノ議會デ
以テ決ッテ、今年カラ施行サレマスガ、
今囘ノ戶數割ハ從前ノヤウナ疊數トカ、
住家坪數トカ、或ハ見立トカ云フコト
ヲ削除シテ、基本ヲタッタ二ツニ取ッテ居
ル基本ハ町村內ニ所有ノ財產卽チ資
產ト資產カラ生ズル所得、此二ツヲ以
テ戶數割ヲ掛ケテ居リマスカラシテ、
不在者デアッテモ其町村內ニ在ル資產
ト云フモノヲ一ツ押ヘテ、ソレカラ又
其資產カラ生ズル所ノ所得ヲ捉ヘテ課
稅標準ヲ作リマスト、戶ヲ構ヘテ居ル
者ト略同樣ナ標準デ以テ課稅ガ出來ル
ノデアリマス、又モウ一ツ便利ナコト
ハ、今度戶數割ハ法律第二十四號第二
十二條ニ書イテアリマスガ、ソレニ依
ルト、二ツ以上ノ町村ニ戶ヲ構ヘテ居
ル人、ソレニ付テハ各町村ニ持ッテ居ル
資產ヲ押ヘテ、別々ニ二箇所デ掛ケル
コトヲ新法デ認メテ居ル、是等モ不在
地主ガ居ル所ノ町村ハ其町村內ニ有ス
ル財產ニ依テ戶數割ヲ掛ケル、居ラヌ
所ノ町村モ其町村內ニ在ル財產ヲ捉ヘ
テソレニ戶數割ヲ掛ケル、斯ウ致シマ
スト兩方デ分割シテ戶數割ヲ掛ケルコ
トハ簡單ニ準用ガ出來ルノデアリマ
ス、ソコデ此不在者ニ課稅スルナドヽ
云フコトハ、社會主義者ノ言フコトノ
ヤウニ見エマスケレドモ、然ラバ不在
地主ソレ自身ガ重イ稅金ヲ出スカト云
フニサウデナイ、一箇所デ以テ集メテ
大キナ戶數割ヲ掛ケルヨリモ、財產ノ
所在地デ別々ニ掛ケルノデアルカラ、
不在者自身モ重イ課稅ヲスルノデナク、
或ハ細カニ計算スルト多少輕クナルカ
モ分ラヌ戶數割ハドウシテモ累進ス
ルカラシテ、五ケ所デ持ッテ居ル其田地
一町ヅヽニ五ケ所デ掛ケルノト、今迄
通リ一ケ所デ五町ノ田地ヲ持ッテ居ル
ト云フノデ、之ヲ集メテ戶數割ヲ掛ケ
ラルヽノト比較スルト、場合ニ依テハ
多少輕クナッテモ決シテ重クナルモノ
デナイ、地主ニモ決シテ迷惑ヲ懸ケズ、
貧弱町村ニ向ッテモ相當ノ財源ヲ與ヘ
ルコトヽ考ヘマスカラ、此立案ヲシタ
ノデアリマス、尙ホ此法律ハソレダケ
ヲ目標トシテ居ルノデアリマセヌガ、
玆ニ一ツ御著眼ヲ願ヒタイノハ斯ウ云
フコトガアル、此都會地ノ附近ニ能ク
工場地帶トデモ申シマスカ、私共ノ住
ンデ居ル所ハ例ヘバ吹田ニ大キナ「ビ
ール」會社ガ在ル、或ハ神崎ノ驛ノ附近
ニモ「ピール」會社ガ在ル、斯ウ云フ大
キナ會社ノ所在地ハ從來ドウシテ財政
ヲヤッテ居ッタカト云ヘバ、其會社ノ所
得稅ニ對シテ所得稅附加稅ト云フモノ
ヲ取ッテ居リ、ソレデ以テ町村ノ財政ガ
行ケタノデアリマスルガ、今囘ノ改正
地方稅則ニ依テ、所得稅附加稅ガ府縣
ニ納マルト云フコトニナリマスルト云
フト、其財源ガ無クナッテ來ル、而シテ
會社ハ獨立ノ生計者デモナク、戶ヲ持
ツモノデモアリマセヌカラ、會社ニ戶
數割ヲ課ケルト云フ譯ニハ參リマセヌ、
此法律ガナカッタラ今年四月カラ、彼ノ
工場地帶ニ於ケル町村ト云フモノハ
相當財源ヲ失フモノト考ヘマス、ソレ
等ニ向ッテモ矢張會社營業所ニ於ケル
財產ト云フモノヲ町村內ノ資產ト見マ
シテ、之ニ戶數割準用ノ課稅ヲナスコ
トヲ得ト云フコトニナリマスルト、此
失ッタ財源ヲ囘復スルコトモ出來ヤウ
ト思ヒマス、甚ダ遺憾ナノハ、全國ニド
レダケノ不在者ガアルカ、ソレニ對ス
ル課稅ガ幾何デアルカト云フコトヲ、
私ノ機關デハ迚モ調ベルコトガ出來マ
セナンダカラシテ、ソレヲ明言スルコ
トハ出來マセヌケレドモ、各御出身ノ
町村等ニ比較シテ御考ヘ下サルト云フ
ト、極ク重大ナル大法案ト云フ譯デハ
アリマセヌケレドモ、相當理法的ノ效
果ヲ生ズルモノト考ヘマスガ故ニ、能
ク御考ノ上適當ナル修正ガアレバ、甘
ンジテ受ケマスルガ、斯ウ云フ風ナ案
ノ通過スルコトヲ私ハ希望スル次第デ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=2
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003・武藤金吉
○武藤委員長 不在地主稅法案ニ付テ
御質疑ガアリマスナラバ、此際願ヒマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=3
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004・奥村千藏
○奧村委員 一寸提案者ニ御尋致シマ
スルガ、今御說明ノ外ニ亙ル問題デゴ
ザイマスケレドモ、在來戶數割ヲ納メ
テ居リマスル其處ヲ住居ノ根據地ト致
シテアリマスガ、其處ニ於テ公民權ヲ
認メテ居ッタノデアリマスルガ、今ノ二
ツニナッタ場合ハドウナッテ居リマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=4
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005・清瀬一郎
○〓瀨一郞君 公民權ノ方ノコトハア
レハ市制町村制ニ依テ決マルコトデア
リマスカラ、公民權資格ニハチットモ影
響ガナイ、矢張住居ノ方ニ公民權ガア
ルモノト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=5
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006・奥村千藏
○奧村委員 私ノ言フノハ、在來戶數
割ヲ納メテ居リマシタ所ヲ住居ノ根據
地ト致シテ居ッタノデアリマス、其處ニ
公民權ヲ得テ居ッタ、今御尋ヲ致シマス
ルノハ、能ク農村ニ於テ地主ト小作ト
ノ間ニ於テ色ミナ感情ノ問題カラ來マ
シテ、地主ガ其土地ヲ離レル、所謂不在
地主ノ形ニナッテ都市ニ集ル場合ガア
ル、所ガ最近戾ッテ行ッタリナド色〓ス
ルノデゴザイマスガ、ソレハ村費負擔
ノ關係モアリマスルシ、又公民權ノ關
係モアッタモノデスカラ、此點ヲ一寸承ッ
テ置クダケノコトデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=6
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007・清瀬一郎
○〓瀨一郞君 此公民權ノコトハ、去
年改正ニナリマシタ地方制度、アノ結
果ニ依テ矢張私ハ住所ガ公民權ノ所在
地デアラウト思ヒマス、假令不在地主
トシテ戶數割準用ノ納稅ヲ致シマシテ
モ、其處ニ住マナケレバ公民權ハ發生
シナイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=7
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008・奥村千藏
○奧村委員 分リマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=8
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009・松本眞平
○松本委員 一寸提案者ニ伺ヒマスガ
「土地家屋其ノ他ノ資產」ト云フ、「其ノ
他ノ資產」ト云フコトガ判然致シマセ
ヌデスガ、大體ニ於テ私共提案者ノ此
御趣旨ニ於テハ異論ハナイノデアリマ
スルガ、併シ近來町村稅ヲ課ケルヤウ
ナ場合ニ於テモ、見立トカ何トカ云フ
方法ヲ以テ適當ニ其資產標準其他ヲ緩
和スル方法ガ行ハレテ居リマスノデ、
若シソレ等ヲ之ニ適用スルヤウニナリ
マスト云フト、此不在地主ト云フモノ
ハ全ク今奥村サンガ幾分御質問爲サレ
テ居ッタカ知レマセヌケレドモ、何シロ
發言權ヲ有セナイヤウナ方ガ多イ場合
デアルノデ、成ベク是ハ或ル限ラレタ
ル土地家屋トカ何トカ云フモノニ限定
サレル方ガ適當デハアルマイカト思ヒ
マス、少クトモ弊害ヲ生ズルコトヲ除
去スル意味ニ於テ、成べク限定的ノモ
ノガ宜カラウカト思フノデアリマス、
「其ノ他ノ資產」ト云フモノニ對スル限
界ヲハッキリ伺ッテ置キタイト、斯ウ思ッ
テ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=9
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010・清瀬一郎
○〓瀨一郞君 洵ニ御尤ナ御尋デアリ
マスルガ、不在地主デアリマスカラシ
テ、私モ本來田地田畑ノコトヲ眼中ニ
置イテ居リマスルガ、唯漏レンコトヲ
恐レテ「其他ノ資產」ト致シタノハ、主
トシテ建物ト言フコトノ出來ナイ定著
物、例ヘバ機械トカ、工場ノコトヲ私ハ
頭ニ置テ居リマスカラ、或ハ鑛山デモ
ヤリマスト云フト、鑛業上ノ設備トカ、
サウ云フヤウナコトヲ頭ニ置テ居ルノ
デアリマス、唯法文ノ體裁トシテ之ヲ
書キマシタノハ、今囘ノ戶數割法、卽チ
大正十五年法律第二十四號ト云フモ
ノ、ソレガ斯ウ云フコトニナッテ居ル、從
前ノ見立トカ住居坪數トカ云フモノヲ
取リマシテ、ソレモ無クシテシマヒマ
シテ、單純ナ普通ノ戶數割ハドウシテ
取ルカト云フト、此資產ト云フモノヲ
押ヘテ取ル、土地ソレカラ家屋ニ課シ
テ居ル、ソレカラ又資產カラ生ズル所
ノ所得ト云フモノデ取ッテ居ル、資產ニ
何ボ所得ニ何ボト云フコトガ、普通ノ
戶數割ノ取方ニ今年ノ四月一日カラナ
ルノデアリマス、ソレト語呂ヲ合セル
ト云フカ、バツヲ合セマス爲ニ、不在者
モ資產ト云フモノヲ標準トシテ取ッタ
方ガ適當デハナカラウカト云フノデ、
一ツハ私ノ頭ニ土地家屋以外ニ相當ノ
財產ガアルダラウ、一ツハ本法タル大
正十五年法律第二十四號ノ文字ト合セ
タ譯デアリマスケレドモ、何シロ不在
者デアリマスカラ或ハ明白ニスル爲
ニ、殊ニ新シイ法律デアルカラシテ、土
地家屋ニ限ッタ方ガ宜カラウト云フ御
意見デアレバ、强テ固執スル程ノモノ
デハアリマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=10
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011・長田桃藏
○長田委員 一寸今ノ問題ニ關聯シテ
伺ッテ置キタイノデアリマスガ、案自體
ハ多年農會邊リデモ要求シテ居リマス
案デアリマスシ、又昨年以來御話ノ通
リ、工場ニ對シテノ所得稅ノ附加稅ガ
課セラレヌ結果、非常ニ困ッテ居ル町村
ガアリマスカラ、極メテ適當ナ广播牛
思ヒマス、今御話ノ「其ノ他ノ資產」ト
云フモノヽ中ニ例ヘバ電燈電力ノ線、
或ハ電柱又ハ線路-電鐵ノ場合ニ於
ケル線路ト云フヤウナモノモ矢張資產
ト看ルノガ適當デアルト云フ意味デ立
法サレタノデアリマスカ、如何デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=11
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012・清瀬一郎
○〓瀨一郞君 今長田君ノ御質問ノ電
柱電線トカ、或ハ汽事ノ線路トカ左樣
ナルモノニ付テハ私實ハ考ガ及ビマセ
ナンダノデ、今長田君ガ仰シヤルコト
ヲ承ルト云フト、成程ソレハ考慮スベ
キ問題ダト思ヒマス、私ノ起案致シタ
自分ノ考ハ、唯電燈會社デアリマスレ
バ、發電所ヲ持ッテ居ルトカ、大キナ「モ
ーター」トカヲ持ッテ居ル、其發電設備ト
カ或ハ「モーター」トカ云フモノハ、土
地家屋以外ノ財產ト、斯ウ云フ考デ揭
ゲテ居リマスノデ、貴方ノ今御話ノ町
村內ヲ通ッテ居リマス電柱トカ電線ト
カ、其處ヲ通過シテ居ル汽車ノ線路ト
カト云フモノハ私ハ實ハ考ノ中ニ入レ
ズニ居リマシタガ、若シモソレ等ヲ考
ヘテ資產ニ相當スルモノデアルナラバ
課稅シテ宜シイガ、ドウモ町村內ニ鐵
道ガ通ッテ居ル、ソレヲ資產ニ見積ッテ課
稅スルコトモ如何カト思ヒマスガ、立
案者ノ考ニハ今ノ二ツノ事ハ這入ッテ
居リマセヌ、文字ノ如何ニモ不完全ナ
ルコトハ貴方ノ御指摘ナサッタ通リデ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=12
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013・長田桃藏
○長田委員 此機會ニ於テ主稅局長ノ
御意見ヲ聽イテ、尙ホ提案者ニ質問ス
ルコトガアレバ質問致シタイト思ヒマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=13
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014・潮惠之輔
○潮政府委員 私カラ本案ニ對スル政
府ノ大體ノ意見ヲ申上ゲマス、御提案
ニ係ル不在地主ニ關スル課稅ノ問題ハ
地方デハ間〓承ルコトデス、地主ガ他
市町村ニ居住ヲ移ス、隨テ其物件所
在地ニ於テハ甚ダ課稅ノ主體ヲ失フ爲
ニ、財政上困難ヲスルト云フコトヲ承
ルノデアリマス、政府モ之ニ就テハ始
終考ヘテ居リマスガ、本案ヲ拜見致シ
マスト、大體ニ於キマシテ所謂戶數割
ニ準ズル、戶數割ト略同樣ト申シテモ
宜シイヤウナ稅ヲ掛ケヤウト云フ御趣
旨ノヤウデアリマスガ、一面カラ考へ
マスト不在地主ト申シマシテモ、土地
ヲ或ル村ニ持チマスレバ田畑ニセヨ、
山林ニセヨ、相當ノ負擔ヲ致シテ居リ
マス、附加稅等ノ形ニ於キマシテ、矢張
其資產ニ對スル負擔ハ納メテ居ル、依
テ其町村ニ於ケル土木ナリ、其他ノ施
設ニハ幾分ノ貢獻ハ致シテ居ル次第デ
アル、然ルニモ拘ラズ更ニ之ニ加フル
ニ戶數割類似ノ稅ヲ掛ケルト云フコト
ハ、如何ナモノデアラウカト思フ、申上
ゲル迄モナク、戶數割ハ其性質カラ申
シマシテモ、其居村ニ於キマシテ團體
ノ構成分子トシテ生活ヲシテ居ル、其
世帶ヲ目標トシテ課スル稅デゴザイマ
スカラ、ソレガ他町村ニ居リマシテ其
村ニ一戶ヲ構ヘーテ居ナイ者ニ對シテ、
尙殆ド戶數割ト擇ブ所ナキ稅ヲ掛ケル
コトハ、稅ノ性質トシテモ如何ナモノ
デアラウカ、從來ハ今申上ゲルヤウニ
田畑或ハ森林ト云フモノヽ土地ニ關ス
ル負擔ダケハ致シテ居リマスガ、家、
殘シテ置イテ、他ノ町村ニ移轉スルト
掛ケラレヌト云フコトガアリマシタケ
レドモ、此度ハ幸ニ家屋稅モ施行致シ
マスノデ、少クトモ從來免レテ居リマ
シタ家屋ニ關スル課稅ハ、新シイ立法
ニ依テ課稅スルコトガ出來ル、其點ニ
於キマシテモ、不在地主ニ對スル負擔
:幾分カ緩和サレテ來テ居ル、一 p 1
シテ之ヲ要約致シマスレバ、御示ノヤ
ウナ案デアリマスト今直ニ御同意致ス
コトハ遺憾ナガラ出來兼ルノデアリマ
ス課稅スルト云フコトニナリマスレ
バ、今少シク考究ノ餘地ガアルデハナ
イカト考ヘマス、ソレカラ先程私ハ本席
ニ不在シテ居リマシテ直接伺ヒマセヌ
デシタガ、色〓本案ニ付キマシテハ御
提案者ノ方ニモ御心配ガアルヤウデ
ス唯單純ニ此法文ヲ拜見致シマスト、
不在地主ナルモノハ財產ノ所在地ニ於
テモ戶數割類似ノ稅ヲ取ラレ、居村ニ
於テモ戶數割ヲ取ラレル、同一人ユシ
テ二個ノ戶數割ヲ取ラレルコトニナリ
マスノデ、サウナリマスト其負擔ノ關
係モ餘程考ヘテ見ナケレバナリマセヌ、
併シ御說明中ノ或ハ分割シテモ宜シイ
ト云フヤウナコトガアッタヤウニ承リマ
シタガ、ソレモ或ハ適切ナ御意見デハ
アルマイカト考ヘル、ソレ是レ考ヘ合
セマスト、洵ニ遺憾デゴザイマスガ、本
案ニ對シテ直ニ御同意ヲ申上ゲルト云
フコトハ困難ト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=14
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015・清瀬一郎
○〓瀨一郞君 私ハ提案者トシテ議論
ハ致シマセヌ、隨テ今ノ政府ノコトニ
付テハ別ノ機會ニ私ノ所見ヲ開陳致シ
マスガ、分割ノコトハ私ノ說明デハナ
ク、本案第一號ニ「法律第二十四號第二
十二條以下ノ規定ヲ準用ス」ト云フコト
ガアリマシテ、此準用ニ依テ分割シテ
掛ケルト云フ意味デ此案ガ出來テ居ル
ノデアリマスカラ·····発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=15
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016・高橋熊次郎
○高橋委員 關聯スル問題デアリマス
カラ內務當局ニ伺ヒマスガ、從來ノ法
人建物稅ト云フモノト、ソレカラ改正
ノ家屋稅ニ依テ賦課サレル割合ト云フ
モノハ、ドンナ割合ニナッテ居リマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=16
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017・潮惠之輔
○潮政府委員 御答致シマス、家屋稅
ヲ布キマス際ニ參考書ニ依テ御目ニ懸
ケテ置キマシタガ、仰セノ法人建物稅
及建築稅、斯ウ云フモノハ雜種稅トシ
テ從來取ッテ居リマスモノハ家屋稅ト
性質ガ重複スルナラバ廢シタイト申シ
テ居リマス、建物稅ト申シマシテモ問
題ニナリマスノハ、恐ラク私法人建物
稅デアラウト存ジマスガ、サウ云フモ
ノハ兎ニ角性質ト致シマシテハ家屋稅
デゴザイマスカラ、家屋稅ヲ一般ニ施
行致シマスレバ私法人建物稅、之ニ類
スル稅ハ廢止スルコトニ運ンデ居リマ
ス、唯其割合ト云フコトニナリマスト、
割合ハ各團體ノ都合デ此方カラ決メル
譯ニハ參リマセヌ、原則カラ申シマス
レバ家屋稅ニ對シテ一律ニ課率ヲ決メ
マシタナラバ、矢張私法人建物ニ對シ
テモ家屋稅トシテ將來ハ賃貸價格、當
分ノ間ハ構造ナリ其他特別ノ賦課方法
ヲ認メマシテ、之ヲ賦課シテ行クト云
フ外アリマセヌ、是モ家屋稅ノ性質ニ
依テ家屋稅ヲ賦課シマス以上ハ、法人
ノ所有デゴザイマセウトモ、個人ノ所
有デゴザイマセウトモ、之ヲ一律ニト
云フ原則ハ巳ムヲ得ナイコトデアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=17
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018・堀切善兵衞
○堀切委員 此提案ノ御趣旨ニ付テハ
吾〓同感ノ點モアルノデアリマス、先
程〓瀨君カラ御說明ガアッタ通リ、各町
村ナドニ於テ不在地主ノ數ハ五分ノ二
位アリハセヌカト云フ御話ガアリマシ
タガ、内務省トシテ其邊ノ御調査ハアリ
マセヌカ、殊ニ近年提案ノ趣旨ノ如ク地
方ノ村ナドニ於テ非常ニ戶數割ガ餘計
ニナッテ來ル、之ヲ免レル爲ニ都會地ニ
移轉スルト云フ風習ガ非常ニ激シクナッ
テ居ルヤウニ私ハ感ズル、是レハ餘程
考慮ヲ要スル問題ダラウト思フ、〓瀨
君ハ自分ノ手許デハ十分調査ガ出來ナ
カッタト仰シヤル、御無理ハナイト思ヒ
wv、內務省ニ於テ不在地主ノ割合ガ
御見當ガ付イテ居ルナラバ伺ヒタイノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=18
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019・潮惠之輔
○潮政府委員 只今堀切君カラ御尋ノ
不在地主ノ割合ニ付キマシテハマダ
調査トシテ申上ゲル程纒マッタモノハ
アリマセヌ、唯大體ノ傾向トシテ御
述ノヤウニ戶數割ガ高クナレバ、土地
モ家屋モ捨テヽ都會地ニ引越スト云フ
コトガ耳ニ入リマスノデ、之ニ對スル
處置ヲ如何ニスルカト云フコトニ付キ
マシテハ、先刻モ申シマシタヤウニ內
務省トシテ幾分〓究ハ致シテ居リマス
ケレドモ、マダ其途中デゴザイマスノ
デ、數字ヲ以テ凡ソドノ位ト云フ御參
考ニナルコトヲ申上ゲル材料ヲ持合セ
テ居リマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=19
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020・武藤金吉
○武藤委員長 此案ニ付テハ質問ハア
リマセヌカ-ソレデハ各案ニ對スル
大體ノ質問ヲ續行致シマス、高橋熊次
郞君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=20
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021・高橋熊次郎
○高橋委員 私ハ大臣ノ御說明ヲ承ラ
ナケレバイケナイト云フコトヲ申上ゲ
テ置キタイノデアリマスケレドモ、大
臣ハ貴族院ノ豫算會議ニ御出席トノコ
トデアルカラ、黑田政府委員ノ責任ヲ
以テ御答ノ出來ル範圍內デ應答ヲ致シ
タイト思フノデアリマス、此稅制ノ問
題ハ數字ノ問題バカリデナク、又技術
上ノ方面バカリデナク、政策ニ重大ナ
ル關係ガアルノデアリマス、政策ニ關
係スルコトハ大臣ヨリ承ラナイト、ド
ウモ吾〓ハ之ヲ諒トスル譯ニハ行カヌ
ノデアリマス、ソレデ先日モ登錄稅ト
相續稅トノ關係ニ付テ色〓質問ヲ致シ
タノデアリマスケレドモソレニ對シ
テ明快ナル御答辯ガナカッタ、殊ニ相續
稅制定當時ニ於ケル當局ノ方針ト、今
囘登錄稅改正ノ跡ヲ見マスルト云フト、
非常ナル齟齬ヲ來シテ居リ、當時ノ立
法趣旨ト云フモノヲ政府デハ何等考慮
ノ中ニ入レテ居ラナカッタト云フヤウ
ニ思ハレルノデアリマス、口ノ上デハ
當時ノ事モ考慮致シタト云フコトヲ御
說明ニナリマシタケレドモ、其口ノ裏
カラ何等當時ノ事情ト云フモノヲ參酌
シテ居ラナカッタコトガ暴露サレタノ
デアリマス、ソレデ私ハ此事ニ付テ尙
ホ十分御考慮ノ上御說明ヲ承ルコトニ
シテ、前囘ハ保留致シテ置イタノデア
リマスガ、此前吾〓ガ疑問トシテ居リ
マシタ所ハ、政府ハ相續稅ノ逋脫ヲ免
レシメンガ爲ニ、今囘登錄稅ノ現行法
第二條第三號、改正案ノ二條ノ二號ト
云フモノ卽チ贈與ニ對スル登錄稅ト云
フモノヲ、千分ノ六十カラ千分ノ四十
五ニ下シタノデアル、相續稅制定當時
ノ二十二條、現行法ノ相續稅二十三條
ト云フモノヨリ土地竝ニ船舶ト云フモ
ノヲ除外シタト云フノハ、登錄稅ニ於
ケル課稅率ヲ高ムルコトニ依テ其逋脫
ヲ防ギ得ルガ爲ニ、之ヲ特ニ二十三條
ヨリ除外シタト云フノデアル、ソレニ
モ拘ラズ今囘ハ、贈與ノ登錄稅ヲ低下ス
ルト、是ガ爲ニ刺激サレテ、相續稅ヲ逋
脫スルト云フヤウナ行爲ハ、從來ハ賣
買ノ形式デ取ルモノガ多カッタガ、今度
ハ贈與ノ形式デ取ルモノガ多クナル、
斯ウ云フヤウナコトニ解釋サレルヤウ
ナ御答辯ノ外ハ承リ得ナカッタノデア
リマス、吾〓ハ其御答辯ノ跡ヲ見マス
ト、現政府ニ於カレマシテハ相續稅ノ
通脫ハ之ヲ登錄稅デ防グト云フ觀念
ト、登錄稅ニ於テ現行法第二條ノ第三號
第四號、改正案ノ第二號第三號、卽チ
賣買ノ形式ニ依ルモノト贈與ト云フモ
ノト、其相互間ノ關係ノミヲ考慮サレテ
之ヲ直ニ相續稅ノ關係ニ及ボサレタヤ
ウニ思ハレル、斯ウ云フ錯誤ニ陷ッタト
云フヤウナ事實ガ、念ノタメ速記錄ヲ
讀ミマシテモ、吾〓ノ頭ニ明ニ浮プノ
デアリマス、ソレハ非常ナル錯誤デア
ルカラシテ、此點ヲ能ク注意ヲシテ更
ニ〓究ヲ重ネラレンコトヲ望ンダノデ
アリマシタガ、之ニ對シテ明快ナル御
答辯ヲ煩シタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=21
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022・黒田英雄
○黑田政府委員 大藏大臣ハ只今貴族
院ノ豫算總會ニ出席シテ居ラレマスカ
ラ、親シク御答辯申上ゲルコトノ出來
マセヌノヲ遺憾ト思ヒマス、只今高橋
君カラモ御話ガアリマシタガ、大臣カ
ラモ私ニ代ッテ此趣旨ヲ御答辯申上ゲ
ロー云フコトデアリマシタノデ、私カ
ラ御答申上ゲタイト思ヒマス、高橋君
ノ此問題ニ關シテノ御質問ハ、屢承ッ
テ居リマスノデ、御趣旨ハ諒解致シテ
居ル積リデアリマス、高橋君ノ御質問
ノ趣旨ハ、相續稅法ノ二十三條ニ於キ
マシテ不動產船舶ト云フモノハ相續稅
ヲ課セズトシテ居ル、是ハ制定當時ノ
政府委員ガ說明シマシタ通リ、是ハ相
續稅ヲ課セズトモ、登錄稅ニ於テ千分
ノ六十ト云フ高イ稅ヲ掛ケテ居リマス
カラ、ソレニ依テ他トノ權衡ヲ取リ得
ル、然ニソレヲ千分ノ四十五ニ下ゲル
ト其目的ヲ達シナイ、卽ヲ政府ハソレ
ニ賴ルコトヲ棄テヽシマッタデノハナイ
カト云フ趣旨ノ御質問デアル、ソレデ
誤解シテ答辯シテ居ルカラ其點ヲ考ヘ
テ答辯ヲスルヤウニト云フ、最後ノ御
質問デアッタヤウニ承ハリマシタ、私共
ガ御答辯申上ゲテ居リマシタノモ、勿
論其趣旨デアッタノデアリマス、登錄稅
法ト相續稅法ノ二十三條ノ關係ハ、日
常私共ハ法律ヲ取扱ッテ居ルノデアリ
マスカラ、勿論今囘ノ改正ニ際シマセ
ズトモ、立法ノ趣旨ハ十分了解シテ居
ル積リデアル、而シテ今囘此法律ヲ改
正スルニ當ッテモ勿論其事ニハ考ガ及
ブノデアリマス、ソレ故ニ先年相續稅
法ノ改正ノ際ニ、登錄稅法モ更ニ考慮
致サウト申シテ居リマシタガ、今囘登
錄稅法ノ改正ニ當リマシテ、ソレ等ノ
點モ十分考慮致シマシタ、卽チ高橋君
ノ御述ニナル通リ、不動產、船舶ノ贈與
ハ相續稅法ノ二十三條ハソレヲ除外シ
テ、登錄稅ヲ課シテ居ルカラ、實際上弊
害ヲ生ズルコトハ起ラナイト云フコト
ノ趣旨ハ、相續稅法制定當時ト現在ト
ハ決シテ變ル所ハナイノデアリマス、
昨年相續稅法ノ改正ニ依テ相續稅ノ稅
率ハ引上ゲラレタコトハ高橋君ノ御
述ニナル通リデアリマス、併ナガラソ
レモ制定當時ニ比較スルト、最高ニ於
テ同ジク致シマシタガ、其最高ハ百萬
圓カラ九十五萬圓ト記憶致シマス、ソ
レデ最高ニ達シテ居リマシタモノヲ引
上ゲマシタノデアリマスカラ、結局其
中途ニ於テハ緩和サレテ居リマス、ソ
レ故ニ登錄稅法ニ於ケル千分ノ六十ハ
之ヲ低下スルカ、所ガ是ハ必ズシモサ
ウデハアリマセヌノデ、千分ノ六十デ
ナクテハ連脫防止ノ目的ヲ達スルコト
ガ出來ナイデハナイカト云フコトハ、
更ニ今日ノ現狀ニ於テ考慮シテ差支ナ
イモノデアラウト思ヒマス、制定當時
ニ相續稅ヲ掛ケマセヌ代リニ、登錄稅
ニ於テ高率ヲ掛ケテ相續稅ヲ免レント
スレバ登錄稅ガ掛ル、登錄稅ヲ掛ケラ
レルノガ嫌ナラバ相續稅ガ掛ル、併シ
百分ノ六十ガ果シテ現狀ニ於テ適當カ
ドウカト云フコトモ、是ハ考究ヲ要ス
ルコトヽ思ヒマス、當時ハ千分ノ六十
デアッタカラ、今日千分ノ六十ハ動カス
ベカラザルモノデアルト云フコトハナ
イト考ヘマス、而シテ千分ノ六十ト云
フモノハドウ云フ稅率カト申シマスト、
之ヲ現行ノ家督相續ニ付テ見マスト、
平均ノ稅金ガ八十萬圓ニ匹敵シテ居リ
マスカラ、ソレ以下ノモノニ付テハ負
擔ガ相續稅ヲ掛ケラレルヨリモ重クナ
リマス、例ヘテ見ルト一萬圓ノ財產ノ
時ニハ相續稅ナラバ五十五圓、登錄稅
ナラバ四百五十圓、五萬圓ノ時ニハ
相續稅ガ四百五十五圓、登錄稅ガ二千
二百五十圓デアル、是ハ登錄稅ヲ四十五
トシテノ改正案デ計算シテ居リマス、
四十萬圓デモ相續稅ハ一萬六千百五圓
デアリマスガ、登錄稅ハ一萬八千圓
ト云フ風ニ、五十萬圓ニ到ッテ初メテ幾
分カ相續稅ノ方ガ重クナリマス、五十
萬圓トシテ相續稅ハ二萬三千百五圓、
登錄稅ハ二萬二千五百五圓ト云フ風ニ、
登錄稅ガ輕クナリマスガ、ソレ以下ナ
ラバ相續稅ヨリ登錄稅ノ方ガ遙ニ多ク
ナッテ居ル、サウ云フ狀況デ、稅率ヲ六
十ニシテ置クト云フコトハ、其點カラ見
マシテモ、少イモノニ對シマシテハ負擔
ガ重クナルト云フコトモアリマス、ソ
レ故ニ此六十ノ稅率ハ多少下ゲルコト
ガ相續稅トノ關係ニ於テ適當デハナカ
ラウカ、卽チ相續稅法ノ二十三條ノ適
用サレテ居ル有價證劵、卽チ不動產、船
舶ヲ除ク以外ノモノニ付テ課稅サレテ
居ル千圓當リノモノガ、十三年度ハ十
三圓十八錢、十四年度ハ四十二圓八十
錢ニ當ッテ居リマスガ、是ハ時ニ依テ勿
論相違ガアリマス、ソレ等ノ點ヲ考盧
致シマシテモ、千分ノ六十ト云フモノ
デナクテハナラヌト云フ理由ハナイヤ
ウニ思ヒマス、ソレカラ登錄稅ノ稅率
ヲ千分ノ四十五ニ下ゲルト、一部ノ富
豪ガ之ヲ利用シテ合法的脫稅ヲ企テル、
今マデ防イデ居ッタ墻壁ガ低クナッテ脫
稅ガ起ル、其脫稅ヲ奬勵スルコトニナ
ルノデハナイカト云フ意味モアリマシ
タガ、是ハ非常ニ多額ノ不動產ナラバ
六十ヨリ輕クナルノデアリマスガ、是
ガ總テノ少額ノモノヨリシテ課稅スル
コトニナレバ、多數ノ納稅者ニ高率ナ
ル負擔ヲ强ユル結果ニナルノデアリマ
スカラ、其點ハ却テ課稅ノ適正ヲ得ル
モノデハナイト思ヒマス、殊ニ登錄稅
法ノ贈與ノ規定ハ、獨リ相續稅ヲ掛ケ
ラルベキ親族間ノ贈與ニ限ラズシテ、
一般ノモノモ含ンデ居リマス、少額ノ
モノモ相當アリマス、ソレ故ニ是等ノ
點ヲ考ヘマスト、不動產、船舶ノ贈與ニ
依テ相續稅ノ通脫ヲ完全ニ防グト云フ
コトハ、相續稅ノ或ハ最高稅率マデ
課ケルト云フコトニスレバ、是ガ完全
ニ防ギ得ルト云フコトハ、是ハ論理
ノ當然デアリマスケレドモ、是ハ千
分ノ六十ヲ更ニ課シテ來ナケレバ完
全ニ防グト云フコトハ困難デアリマ
スカラ、ソレ等ノ點ヲ考ヘマシテ、ソレ
ト次ニ申述べマスコトモ關係致シテ來
ルモノデアリマスカラ、混同シテ居ル
ト云フ非難ヲ受ケタノデアリマスガ、
更ニモウ一步進ミマシテ、ドウシテモ
考ヘナケレバナラヌノハ、千分ノ六十
ト云フコトガ高イトナルト、今度相續
稅ノ通脫ヲ防グニハ、登錄稅ノ千分ノ
六十ト云フモノデハソコニ打突カル
爲ニ、之ヲ今度千分ノ三十五ト云フ賣
買ノ形式ニ藉ッテ、其墻壁ニ打突カラズ
シテ、横道ニ行ッテ逋稅ヲ圖ルト云フコ
トハ起リ得ルノデアリマス、千分ノ六
十ト云フ墻壁ヲ設ケテ置イタ所ガ、此
墻壁ガ高イ爲ニ其方ニ行カズシテ脇道
ヲ通ッテ、千分ノ三十五ヲ通ッテ免レル
ト云フコトニナルト、千分ノ六十ヲ正
直ニ-贈與ト云フコトヲ何等カノ事
情デドウシテモシナケレバナラヌ、千
分ノ六十ト云フ墻壁ニ打突カル時、間
道ヲ通ッテ千分ノ三十五ニ行クト、課稅
ヲ受ケル者ノ間ニ負擔ノ公正ヲ失スル
カラ、ソレハ宜シクナイ、千分ノ六十ト
云フ相續稅法第二十三條ノ動スベカラ
ザル數字ヲモット今日低メル方ガ却テ
公正ナリト考ヘルト共ニ、一又ソレヲ少
シク下ゲルト云フコトニ依テ、今ノ千
分ノ三十五ト、千分ノ六十トノ二十五
ノ開キデアリマシタモノヲ、之ヲ十ノ
開キニ緩和スルト云フコトハ、左樣ナ
間道ヲ通ラズトモ、正當ナ負擔ヲスル
コトニナリ、却テ負擔ノ公正ヲ得ルト
云フコトニナルノデアリマスカラ、ソ
レ等ノ點ヲ考慮致シマシテ、卽チ髙橋
君ノ言ハレル相續稅トノ關係モ考慮シ、
相續稅ノ關係ヲ考慮スルト共ニ、關聯
シテ起ルベキ所ノ六十ト、賣買ノ三十
五トノ間ノ關係ヲモ考慮シテ、千分ノ
四十五ト云フコトガ適當デアルト云フ
風ニ考ヘタノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=22
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023・高橋熊次郎
○高橋委員 詳シク後段ノ方面ヲ論議
シマスルト、議論ニ亙ルト云フコトニ
御取リニナルカモ知レマセヌガ、吾〓
ハ今マデ引續イテ制定當時カラ終始一
貫シタル理論ヲ採ッテ居ルノデ、政府ハ
之ヲ變改サレタト云フコトニナル、ソ
レカラ前段ノ方ニ於テモ當時ノ登錄稅
ガ千分ノ六十デアルト云フ、此率ト云
フモノガ、果シテ適當デアリヤ否ヤト
云フコトモ、今日ニ於テ考ヘネバナラ
ヌト云フ、其言葉ノ裏ニハ、大變奇麗ナ
言葉デアルガ、當時ノ制定ガ間違ッテ居ツ
タト云フコトヲ認メルト云フコトニナ
ル、何トナレバ當時ト今日トハ時代ノ
推移ハアリマスルケレドモ、要スルニ
ソレハ高クナレバ格別、安クナルト云
フコトハナイ、相續稅ハ昨年改正ニナッ
タ、併ナガラ免稅點ハ高メラレ、而シテ
此相續稅ノ稅率ト云フモノハ下級ノ
方ハ三萬圓マデノ間ト云フモノハ家
督相續モ遺產相續モ同一デアルガ、四
萬圓ヲ超ユル分ノ家督相續ノ千分ノ十
二ト云フモノガ千分ノ十五トナリ、遺
產相續ノ千分ノ三十ト云フモノガ千分
ノ三十五ニナッタト云フ風ニ、累進的ニ
其以上ハ非常ニ上ッタノデアリマス、サ
ウスルト相續稅ニ關聯セル登錄稅ノ稅
率以下ノ相續稅率ヲ適用サルヽ相續財
產額ハ低下スルコトヽナリ、餘程影響
ヲ致スト云フコトニナル、ソレデアリ
マスカラ相續稅ハ改正サレタケレド
モ、非常ニ大キナ資產家ヲ除イテハ、左
樣ナ大ナル影響ハナイト云フ御言葉
ハ、ドウモ吾〓受取レナイト思フ、大體
富豪資產家ト稱スル程度ガ分ラヌ、ソ
レカラ、二十三條ニ依テ準遺產相續稅
ヲ課ケタト云フ今マデノ實績ニ依ル
ト、十三年ハ幾ラ、十四年ハ幾ラト云フ
數字ハ現ハレルケレドモ、是ハ相續稅
率改正以前ノ實績デアリマスカラ、改
正以後ノ今日ニ於テハ必シモ當篏マ
ル數字デハナカラウト吾〓ハ考ヘル、
ソレカラ登錄稅ノ方デ以テ贈與ト云フ
方面、又一方ニ於テ相續稅ニ依ル方面
デ登錄稅ノ方ガ餘リニ高クナルト相
續稅ノ方ト比較關係ガ取レナイト云フ
ヤウナ御說モアッテ、色〓相續稅ノ方ノ
數字ト實際ニ當篏メタ計數ヲ揭ゲラレ
タノデアリマスケレドモ、登錄稅ノ方
ハ是ハ單ナル定率稅デ、累進ノ意味ガ
ナイ、相續稅ノ方ハ累進課稅ナノデ、大
ナル資產家ノ方面ニナリマスト云フト、
其登錄稅以上ノモノガ〓登錄稅ニ依リマ
スルト云フト、唯定率卽チ一律ノ比例稅
ヲ課ケラレルダケデス、而シテソレガ
爲ニ累進ノ課稅ヲ玆デ免レルト云フコ
トニナリ、一方ニ於テ累進課稅ノ精神
ト云フモノガソコデ完全ニ沒却サレル
コトニナル、斯ウ云フヤウナ事ニ相成
ルダラウト思フ、ソレデアリマスカラ
今ノ御述ニナリマシタ登錄稅ト相續稅
トノ數字ノ關係ト云フモノハ、餘リ意
味ヲナサナイト思フノデアリマス、私
ノ申上ゲテ居ル論據ヲ覆スダケノ御意
見ニハナラナイ、又說明ニモ隨テナラ
ナイト吾〓ハ考ヘテ居ルノデアリマ
ス、ソレデアリマスカラ當時ノ登錄稅
ノ千分ノ六十ト云フモノハ、高過ギタ
ト云フヤウナ御意見ハ、ドウモ吾〓ハ
受取ルコトハ出來ナイト思フ、サウス
ルト當時ノ事情ハ今ノ時勢ニ照シテソ
レハイカヌノデアルト云フヤウナコト
ヲ御述ニナルダラウケレドモ、ソレハ
强辯デアッテ、矢張當時ノ事情ヨリハ今
日ハ幾分カ登錄稅ヲ上ゲナケレバナラ
ヌト云フ立場ニナッテ居ルノデアル、是
ハ脫稅ヲ防グト云フ意味ニ於テソレヲ
低メナケレバナラヌト云フノハ制定當
時ノ遺方ガ間違ッテ居ッタト云フコトヲ
御認メニナッタ上デナケレバ、サウ云フ
コトガヤリ得ナイ事ダラウト思フノデ
アリマス、ソレデアリマスカラ其當時
ニ高過ギテ居ッタト云フ御議論デアレバ、
ソレハ又別ノ問題デアリマス、是ハ其
制定當時ノ意思ト云フモノヲ何處マデ
モ稅制ノ上ニ於テハ御考慮ニナッテ居
ルト云フコトヲ承ッテ居ルカラ、諄ク此
點ニ付キ質問ヲシテ居ルノデアリマス
ガ、マダ細カイ點ニ於テ大分腑ニ落チ
ナイノデアルガ、先ヅ此制定當時ノ意
思ト云フモノハ間違ッテ居ル制定當時
ニ於ケル稅率ノ定メ方ガ登錄稅ノ贈與
ノ分ニ付テハ過重デアッタト云フヤウ
ナコトヲ眞ニ御認メニナルノデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=23
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024・黒田英雄
○黑田政府委員 十分細カク御說明申
上ゲタ積リデ居リマシタノデスガ、尙
ホ御諒解ヲ得ナイコトハ甚ダ遺憾デア
リマス、第一ニ稅率ノ御話デアリマシ
タガ、是ハ先程事實ヲ實ハ申上ゲタノ
デアリマス、制定當時ト比較シテ何時
モ高橋君ハ御述べニナリマスカラ、制
定當時ト實ハ比較シテ申上ゲタノデア
リマス、昨年ノ改正ハ御話ノ通リ四萬
圓以下ニ於テハ据置キマシテ、ソレカ
ラ段々上ゲマシテ、サウシテ最高千分
ノ百三十ト云フ制定當時ノ最高稅率ト
云フモノニ達セシメタノデアリマス、
達セシメタノデアリマスガ、制定當時
ノ最高稅率ハ百萬圓以下ノ所デ千分ノ
百三十ニ達シテ居リマスガ、昨年ノ改
正ハ五百萬圓ニ於テ百三十ニ達シマス
カラ、例ヘバ百萬圓ニ致シマスレバ制
定當時ノ稅率ハ千分ノ百三十デアルノ
デアルガ、現行法ニ依リマスレバ千分
ノ百ト云フ、千分ノ三十ダケ低イ稅率
ニナッテ居リマス、一萬圓トカ五萬圓ト
カ云フ所モ制定當時ハ千分ノ百十七デ
アリマシタガ、ソレガ現行法規デハ千
分ノ七、五萬圓ニシマシテモ制定當時
ハ千分ノ三十五デアリマシタガ、今日
ハ千分ノ二十ト云フ風ニ、制定當時ヨ
リハ五百萬圓以下ノ稅ニ於キマシテハ
低イ稅率デアルト云フコトヲ、實ハ御參
考ニ申上ゲタノデアリマス、ソレカラ
相續稅ノ方ハ比較シテ色〓數字ヲ言フ
ガ、相續稅ハ累進稅デアッテ登錄稅ハ定
率稅デハナイカ、ソレハ勿論其通リデ
アリマスカラ、私ハ說明ノ時ニモ實ハ
申上ゲタヤウナ譯デアリマシテ、財產
ノ非常ニ多イ所ニナルト云フト千分ノ
六十ヲ千分ノ四十五トシマシテ、上ノ
方ニナレバ登錄稅ノ方ハ輕クナリ、サ
ウシテ下ノ方ニ行ケバ登錄稅ハ重クナ
ルト云フコトハ、是ハ御述ニナル通
リデアリマス、吾〓政府モ其點ハ誤ッテ
居ル譯デハナイノデアリマス、私共ノ
申上ゲタノハ千分ノ六十ニシマシタ所
デ、千分ノ百三十ヲ掛ケラレルヤウ
ナ數字カラ見マスレバ、遙ニ輕イノデ
アリマス、千分ノ四十五ト云フノニシ
マシテモ斯ウ云フモノニナルト云フ譯
デ實ハ登錄稅ニ如何ナル平均デ當ル
カト云フコトヲ御參考ニ申述タニ過ギ
ナイノデアリマス、ソレカラ制定當時
ノ千分ノ六十ト云フモノハ今日千分ノ
四十五ニ直シタノデアルカラ、如何ニ
述テモ制定當時ノ千分ノ六十ト云フモ
ノハ誤ッテ居ッタト云フコトニナルト思
フガ、サウ云フ風ニ考ヘテ居ルノカト
云フ御話デアリマシタガ、是ハ私ハ少
シモ强辯ヲシテ居ル積リデハナイノデ
アリマス、率直ニ自分ノ考ヘテ居ル所
ヲ申述テ居ル積リデアルノデアリマス
ガ、制定當時ニ於キマシテハ千分ノ六
十ト云フモノハ誤ッテ居ッタノデハアリ
マセヌ、其當時ハ宜カッタノデアルケレ
ドモ、併ナガラ今日ノ現況カラ見テ稅
率ハ其時ミノ事情ニ依テ變更シテ行ク
コトハ、是ハ申スマデモナイ次第デア
リマス、相續稅ニシマシテモ、ソレデハ
制定當時ニ百三十ニシテ居ッタノヲソ
レヲ變ヘルトスルト、初メ間違ッテ居ッタ
ノデハナイカ、百萬圓以下ニ於テ百三
十ヲ掛ケテ居ッタノヲ、五百萬圓以下ニ
於テ百三十、斯ウ云フコトハイカヌデ
ハナイカト云フコトニ、極端ナ例ヲ取
ルト仰シヤルコトニナルカ知レマセヌ
ガ、兎ニ角ドノ稅法ニ致シマシテモ、其
時ミノ實情、實際ノ狀況ヲ能ク考慮シ
テ適切ニ變ヘテ行クコトガ必要ナノデ
アリマス、制定當時誤ッテ居ッタカラ、今
日ニナッテ始メテソレヲ改メルト云フ
ノデハナイノデアリマス、今日モ制定
當時ト少シモ變ラナイ、相續稅ノ二十
三條ニ於テ不動產、船舶等ヲ除イテ之
ヲ登錄稅デヤッテ行カウト云フ精神ハ、
少シモ變ラナイノデアリマスガ、其時
ノ登錄稅ノ千分ノ六十ト云フモノハ、
今日ハ寧ロ四十五ノ方ガ諸種ノ關係カ
ラ考ヘマシテ、適當デアルト考ヘテ居
ルノデアリマス、當時ハ誤ッテ居ッタカ
ドウカト云フコトマデモ考ヘル必要モ
アリマセヌシ、又當時誤ッテ居ッタトモ
考ヘテ居ル譯デハナイノデアリマス、
其點ハ決シテ强辯デモ何デモナイ今日
モ同樣ニ考ヘテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=24
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025・高橋熊次郎
○高橋委員 ドウモソレハ强辯ダ强辯
デナイト云フコトハ言葉ノ上ノ爭ニナ
リマスカラ、ソレハソレデ宜シウゴザ
イマスガ、併ナガラ只今言ハレタコト
ハ、時代ノ相違ト云フヤウナコトデ、其
時ハ適當デアッタモノガ今日ハ適當デ
ナイト云フヤウナコトモ無論アリマセ
ウ、無論アリマセウガ、其事實ト云フモ
ノハ何等變ッテ居ナイノデアリマス、ソ
レダカラ其事實ヲ吾〓ハ捉ヘテ制定當
時ト餘リ變ッテ居ナイ、日露戰爭ノ際ト
サウ云フ登錄稅ヲ遁ガレヤウ、或ハ相續
稅ヲ遁ガレヤウト云フ精神ハ毫モ變ツ
テ居ナイノデアリマス、其當時ハドウ
デアッタ、ドノ位ナ度デアルト云フヤウ
ナ、其度ト云フモノハ今日ハ申上ゲズ
トモ減ッテハ居ナイ、當局ハソレハ其程
度ト云フモノハ今日ハモット低クナッタ
ト云フ理窟ハナカラウト思フ、併シ是
ハ非常ニ細カイ議論ニナリマスカラ、
口頭デハ互ニ長クナリマスカラ、私ハ
後程文書ニ認メテ文書デ應答ヲ致シ
テ、サウシテソレガ濟ンデカラ又次ノ
機會ニ於テ質問ヲ致スコトニシマス、
尙又是ハ純理上ノ爭ニモナリマスカラ、
他ノ委員諸君ノ御倦怠ヲ招クト云フ虞
レモアリマスカラ、サウ云フコトニ致
シタイト思フノデスガ、兎モ角モ當局
ハ稅ノ連脫防止ヲ改正ノ第一義トサル
ルガ、此登錄稅ノ千分ノ四十五ト云フ
改正率デ以テ、家督ノ相續稅ナリ遺產
相續稅ナリト云フモノヲ、完全ニ逋脫
ガ防止出來ルト云フ御見込ガアルノデ
スカ無イノデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=25
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026・黒田英雄
○黑田政府委員 先程モ申上ゲマシタ
通リ、完全ニ防止シヤウト致シマスレ
一、相續稅ノ最高稅率卽チ家督相續ノ
方ハ千分ノ百三十、遺產相續ノ方ハモッ
ト高クナル、一寸最高ヲ記憶致シマセ
ヌガ、其最高稅率ヲ適用スルト云フコ
トニナレバ完全ニ防止出來ルト考ヘマ
ス、併シナガラソレハ先程モ左樣ナ事
ハ適當デナイト云フコトヲ申上ゲタノ
デアリマスカラ、是ハ繰返シマセヌ、速
記錄ニモアルコトデアリマスカラー
此四十五ニ依テ完全ニ是デ以テ全部防
ギ得ルトハ考ヘマセヌ、併ナガラ從來
ノ如ク千分ノ六十ニ行カズニ千分ノ三
十五ニ行クト云フヤウナコトハ稍緩
和シテ行クコトガ出來ル、ソレカラモウ
一ツ相續稅ニ於キマシテハ七年ノ分割
年賦ニスルコトノ利益ガアルノデアリ
マス、然ルニ登錄稅ニナリマスト云フ
ト一時ニ取ラレマスカラ、是ハ相當大
キナ額ニナリマスト、或ル場合ニハ年
賦ノ方ガ便利デアルト云フ風ナコトモ
アルノデアリマシテ、一〓ニ稅率ノミ
デモ比較ハ出來マセヌガ、要スルニ千
分ノ四十五ニ依テ完全ニ防止シ得ルカ
ト云フ御質問ニ對シテハ、必シモ完全
ニ防止シ得ルトハ考ヘマセヌ、併ナガ
ラ此方ハ寧ロ從來ヨリハ、稍緩和シテ、
適當ナル課稅ノ負擔ヲサセルコトガ出
來ルト云フ風ニ考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=26
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027・高橋熊次郎
○高橋委員 ドウモハッキリシナイデ
スガ、是バカリデ暇ヲ取ルト云フコト
ハ非常ニ遺憾デスガ、モウ少シシッカリ
シタ答辯ヲシテ戴キタイト思フ、七年
デ以テ無利子デ年賦ニナルト云フヤウ
ナコトハ、十萬圓ニ付テ家督相續稅ノ
後ノ低イ方ニ致シテモ一割宛違ッテ行
クノデス、ソレデスカラ是デハ二十萬
圓以上ノ人〓ト云フモノハ全ク公々
然ト公正ノ手續ニ於テ登錄稅ヲ納メテ、
サウシテ相續稅ト云フモノハ免レルコ
トガ出來ル、今度ノ方ニナリマスト今
マデハ千分ノ六十ト云フモノデアッテ、
相續稅ト云フモノハ累進課稅ノ率ガ低
イカラシテ、中〓餘程ノ資產家デナケ
レバサウ云フ逋脫ノ途ハナカッタノデ
アリマスガ、今日ハ中通リノ資產家ト
云フモノハ皆サウ云フコトガ出來ルノ
デアリマス、私完全ト云フコトヲ申上
ゲタカラ、ソレデ完全ト云フ點ニ大變
力ヲ入レテ申サレタヤウデアリマスガ
ソレヲヤラウト思ヘバ二十萬圓以上ノ
者ハ皆合法的ニ脫稅ガ出來ル、此二十
萬圓以上ノ者ト云フヤウナ人〓ハ、七
年間ニ分割シテヤルト云フト利子ダケ
ハ利得トナル、併シ之ニ對シテハ相當
ノ不動產ナリ何ナリノ擔保ヲ入レナケ
レバナラヌ、斯ウ云フコトニナッテ居リ
マスレバ、サウ云フ人〓ハ、モウ銀行邊
リカラデモ融通シテ、一遍ニ登錄稅ヲ
納メマシテモ、利子ノ差ハ非常ニ大ナル
モノデナイダラウト思ヒマス、ソレデ
スカラ五十萬圓六十萬圓以上ノ人〓ハ、
公々然ト其合法的脫稅ヲヤッテ行クト
云フコトガ出來得ルノデアリマス、勿
論此國家ニ忠實ナル人デ、法律ニ是非ト
モ遵奉シナケレバナラヌト云フ、良心ヲ
持合セタ人ノミガ相續稅ヲ納メルコト
ニナッテ、其他ハ皆此合法的脫稅ノ下ニ
登錄稅ヲ以テ財產權ノ移轉ヲヤッテ行
クト云フコトニ相成ルト思フノデアリ
マス、私ノ言フコトハ極端ナコトデハ
ナイ、當リ前ノコトデアル、私ハ玆デ以
テ五十萬圓ノ財產ヲ子供ニ讓ルト云フ
場合ニ、相續稅ヲ以テヤルナラバ五十
萬圓ハ千分ノ八十、一萬圓ニ付テ八百
圓ノ割合デ以テ直グ納メテ行カナケレ
バナラヌト云フ場合ニ於テ、登錄稅ト
ナレバ千分ノ四十五デ行ケルトナレバ、
何モ相續ノ手續ナドヲシナイデ、寧ロ
讓與ノ手續ヲシテ登記スルト云フコト
ハ人情ノ常理デアッテ、此法律ハソレヲ
認メテ居ル、何モ相續ニ依ラナケレバ
ナラヌト云フコトハナイ、サウデスカ
ラ斯ウ云フ場合ニソレハ無論相續開始
前三年以內云々トカ何トカノ場合ニ、
斯ウシタモノハ相續ト看做ストカ云フ
ヤウナ條件ハアリマセウケレドモ、サ
ウ云フコトニナリマスト豫メ三、四年
ノ前ニ此相續稅ノ條件ニ當嵌ラナイヤ
ウナ程度ニ於テ之ヲヤルト云フコトハ
是ハ不思議デナイト私共ハ考ヘル、之
ヲ防止スルニハ極度ノ處マデ登錄稅ヲ
上セナケレバナラヌト云フヤウナ御考
ガアルカモ知レヌケレドモ、何モ極端
ナル非常ニ大ナル資產家ヲ目標トシテ
バカリモ居ラレマセヌ、吾〓ハサウ云
フモノヲ防止スルナラバ、最高ノモノ
モ登錄稅ヲ以テヤッタ方ガ宜イダラウ
ト思フ、而シテソレノ間ニ區別ヲ定メ
ルコトモ出來マセウ、登錄稅モ一律ニ
スル、登錄稅デアルカラ定率稅ニシテ
置カナケレバナラヌト云フコトハナイ、
是モ累進ノ課稅ノ精神ヲ認メテ、無償
讓與ニ對シテハ甲乙丙丁ト云フヤウニ
分ケテモ宜カラウ、何ハ幾ラ、何以上ハ
幾ラダト云フヤウニ規定シテモ宜カラ
ウト思フ、サウシテ先程カラ親族間ノ
ミデナクテ、其他一般ノモノモ登錄稅
デ押ヘルノデアルト云フコトヲ言ハル
ルガ、親族間ノ贈與コソ是ハ多少理窟
モアリマセウ、併ナガラ他人ニ只ヤル
ト云フモノニ對シテ、只貰フ方ノコト
ヲ考ヘタナラバ、ソレヲ只貫フナラバ
全部稅金ニ納メテモ悔シクハナカラウ
ト思フ、ソレデスカラ一般ノ者ナドト
云フ、公共的ノモノデアッタナラバ、無
論無稅ナンデアル、公共的ノモノデナ
クシテ他人ノ緣故ノ無イ者ニ物ヲヤル
ト云フ、只貰フト云フ者ニ對シテ何モ
情狀ヲ酌量シテ、之ニ減稅ノ恩典ヲ與
ヘルト云フコトハ無用ノ事ダラウト思
フ、サウ云フヤウナモノデアリマスル
カラ、私ハ登錄稅ト云フモノハ矢張曩
ニ編成ニ當ッテ百圓ニシタ方ガ宜イト
云フ御論ガアッタト云フコトヲ、新聞紙
上デ六月頃デシタカ七月頃デシタカ、
吾〓見タコトモアリマスガ、是ハ理由
ノ明ナコトデアル、ソレデスカラ只物
ヲヤルト云フコトハ相續以外ニ付テハ
サウ大ナル考慮ヲ拂ハレヌデモ宜カラ
ウ、公共ノ性質ヲ帶ビタモノハ無稅ニ
シテアル、サウ云フコトナラバ何等斯
ウ云フ風ニ只物ヲ貰フト云フヤウナ行
爲ニ對シテハ、恩典ヲ與ヘル必要ハナ
カラウト吾〓ハ考ヘテ居ルノデスデ
之ニ付テ質問應答シタ所ガ先ノヤウナ
工合ニ、ソレハ御前ノ見込違ヒデ意見
ノ相違ダト云フヤウナコトヲ言ハレテ
ハ一向何モナラナイカラ、是ハ私ハ文
書ニ認メテ質問應答ヲ致シタイト思ヒ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=27
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028・黒田英雄
○黑田政府委員 一丁発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=28
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029・武藤金吉
○武藤委員長 御答ヘスルコトハ差支
ナイデスガ、如何デゴザイマス、此質疑應
答ハ大體ハ吾〓ニモ分リマシタ、兩者
ノ質問ノ趣意、御答ニナル所ノ趣意モ
分リマシタガ、尙ホ要點ニ付テ高橋君
ノ言ハレル通リ、事實ダケノ質問ヲ文
書ニシテ御出シ下サレテ、政府ニ於テ
ハソレニ矢張簡明ニ事實ヲ御答ニナッ
テ、吾〓ガ之ヲ決定スル參考ニ供セラ
レル方ガ宜カラウト思ヒマス、モウ大
體ハ兩者ノ答ヘル所問フ所ハ分リマシ
タカラ、サウ願ヒタイト思ヒマスガ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=29
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030・黒田英雄
○黑田政府委員 文書デ御提出ニナル
サウデアリマスカラ、ソレニ對シテハ
文書デ御答ヲ申上ゲルコトニ致シマス
ガ、唯其中ニ少シ今迄ニ御述ニナッタコ
トヽ違フ點モアリマスカラ、一言申上
ゲテ置キタイト思ヒマス、其第一ガ累
進率ノコトデアリマスルガ、二十萬圓
ト云フコトヲ頻ニ御話ニナリマシタ
ガ、此點ハ先程モ申上ゲマシタ通リ、相
續稅ハ累進ニナッテ居リマス結果トシ
テ、二十萬圓ノ稅率ヲ以テ直ニ此稅率
ニスルコトノ出來ナイコトハ、御承知
ノ通リデアリマスガ、五十萬圓ニ至リ
マシテ四十五ト致シマスト、相續稅ガ
二萬三千百五圓デアリマス、登錄稅ガ
二萬二千五百圓デアリマス、是ハ登錄
稅ノ方ガ少シ安クナル、五十萬圓デア
リマス、正確ニ言ヒマスレバ四十七萬
六千圓ノ財產ニシテ初メテ登錄稅ト相
續稅ト同一ノ稅率ニナル、五十萬圓以上
ニナッテ初メテ幾分カ登錄稅ノ方ガ輕ク
ナルノデアリマスカラ、五十萬圓以上
ノ人ガ日本ニ於テ多數ヲ占メテ居ッテ、
是等ノ者ガ一番多イト云フ風ニ聞エマ
スル御議論モアリマシタガ、私共ハ其
點ハ如何デアラウカト考ヘルノデアリ
マス、寧ロ五十萬圓以上ニナルト稅額
モ二萬何千圓ニナル、斯ウナレバ七年
年賦ト云フコトニナリマシテ、相當利
益ガアリマスルガ、五十萬圓ヨリモウ
少シ上ゲタ所ニ於テ初メテ-ソレ等
ノ金利モ換算スレバ正確ニ出ルカモ知
レマセヌガ、モウ少シ上ッタ所デ同ジニ
ナッテ來ル、五十萬圓以上ニナレバ登錄
稅ノ方ガ利益デアリマス、ソレヲ防グ
爲ニ稅率ヲ重クスルコトニナルト、五
十萬圓以下ノ者ニ對シテハ非常ニ多イ
負擔ヲ强ユルコトニナル、卽チ少資
本家ノ讓與シナケレバナラヌ何等カノ
事情アル時ニ、非常ニ重キ負擔ヲシナ
ケレバナラヌコトニナルノデアリマ
ス、是ハ私ハ考ヘナケレバナラヌト先
程モ申上ゲタノデアリマス、ソレカラ
次ニ親族間デナイ場合ノ贈與ト云フモ
ノハ、決シテ下ゲル必要ハナイデハナ
イカト云フコトデアリマス、是ハ御說
ノ通リト思ヒマス、併ナガラ親族間以
外ノ者、親族間ノ贈與ト云フモノヲ高
率ニ致シマスルト云フコトハ、是ハ唯
徒ニ法ノ上ニ文面デ體裁ヲ止メルノニ
過ギナイノデアリマシテ、親族間ナラ
バ賣買ノ形ヲ取ルナラバ容易イノデア
リマス、此親族デアリマスカラ賣買ト
云フコトハ、親子ノ事ダケハオカシイ
ト云フコトデアリマスガ、他人トノ賣
買ニハ千分ノ三十ノ適用ヲ受ケルト同
ジヤウニ、法律ノ上ノ適用ヲ受ケルノ
デ其實ニ於テハ賣買ノ場合ハ千分ノ三
ト云フコトニナルノデアリマスカラ、
ソレハ前ニモ屢申上ゲテ居ッタ所デアリ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=30
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031・武藤金吉
○武藤委員長 今日ハ午後ハ速記ガ差
支ヘマスカラ、モウ三十分バカリ致シ
タイト思ヒマス、尙ホ此機會ニ各委員
カラ質問漏レニナッテ居リマス中デ大
切ナ點ガアリマスカラ、當席カラ極ク
簡單ニ尋ネテ置キマス、印紙稅法ノ中
ノ、第五ニ傭船契約書ト賃貸借トノ權
衡ハドンナ風ニナッテ居リマスカ、政府
デ御調ベニナッタカナラヌカ、傭船契約
ト賃貸借トノ權衡ハ如何ニ、ソレカラ尙
ホ第四條ニ三十幾ツ茲ニ列擧シテアル
中ニ、保證金ノ納入書ニ印紙ヲ用キナ
イコト、又報償契約書ニ印紙ヲ用ヰナ
イ、賣買契約書ニ印紙ヲ用ヰナイコト
ニナッテ居リマスガ、是ハドノ點カデ之
ヲ含ンデ居ルカ含ンデ居ナイカ、保證
金ノ納入ト云フコトハ各總テニ對シ
テ、官署其他ニ對スル報償契約書ニハ
例ヘバ辯護士ガ報酬ノ契約ヲシタ如キ
モノ、其他ヲ言フノデアリマス、ソレカ
ラ賣買契約ハ一般ノ賣買契約ヲ指スノ
デアリマスカ、是等ハ重要ノ印紙貼用
ニ付テノ事柄デハナイカト思ヒマス
ガ、玆ニ三十幾ツノ中ニ見當ラヌヤウ
デアリマスガ、是等ハ政府ハ立案ノ時
分ニ御〓究ニナッタノデアリマスカ、御
〓究ニナッテモ必要ナシトシテ載セナ
カッタノデアリマスカ、念ノ爲ニ承ッテ置
キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=31
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032・黒田英雄
○黑田政府委員 始メノ傭船契約ト賃
貸借トノ權衡ノ問題デアリマスガ、是
ハ從來ハ傭船契約ト云フモノハ二條ニ
依リマシテ比例稅ヲ課ケルベキモノデ
アッタノデアリマス、然ルニ比例稅デハ
非常ニ重イノデ、賃貸借ト云フヤウナ
形式ニシテ、成ベク今囘傭船契約ト云
フモノヲ低額稅ニ致シマシタニ付キマ
シテモ、ソレ等ノ點ハ考ヘマシタノデ
アリマスガ、此賃貸借ノ傭船契約ト云
フモノニ付キマシテハ、是ハ申上ゲル
マデモナク困難ノコトデアリマシテ、
傭船契約ハ船ノ一部又ハ全部ヲ目的ト
シタ場合ニ多ク行ハレルモノデアルノ
デアリマス、之ヲ直ニ三錢ニシテ仕舞
フト云フコトハ、現在ノ他ノ或ハ運送
ニ對スル請負トカ、或ハ不動產ノ移轉
トカ云フモノヽ權衡]カラ見マシテ、負
擔力カラ比較シテ見マシテモ、同ジニ
取扱ハヌ方ガ適當デアル、賃貸借ニ付
キマシテ單リ船舶ノミナラズ、建物ト
カ不動產ト同ジヤウナモノデアリマス
カラ、是ハ其方カラ權衡ヲ取ッテ宜シイ
ト考ヘマシタ、船ニ對シテノ傭船契約
ト賃貸借トハ、傭船契約ノ方ハ特殊ノ
契約デアリマスカラ、是ハ他ノ不動產
ノ移轉トカ、只今ノ二條ニ規定シテ居
ルモノト比例ヲ取ル方ガ適當ト考ヘル
次第デアリマス、ソレカラ保證金ノ納
入書トソレカラ報酬契約ト云フ風ナモ
ノハ、是ハ特ニ揭ゲテアリマセヌノデ
ゴザイマス、總テノ權利ノ移轉登記ニ
關シマスル證書ニハ、總テ課稅ヲスル
コトヲ原則ニ致シマシテサウシテ、課
稅シナイモノダケヲ五條ニ規定致シマ
シテ、茲ニ拔カレタ以外ノモノハ總テ
課稅ヲスル、何處カニ入ルト云フ仕組
ニ致シテ居リマス、其中デ著シイモノ
ハ特定ヲ致シマス、サウデナイモノハ
總テ前各號以外ノ證書ト云フ中ニ包
含セシムル積リデアリマス、唯賣買契
約ノ中デ不動產ニ關シマスルモノニ付
キマシテハ、一號ニ依リマシテ課稅ヲ
致スコトニ相成ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=32
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033・武藤金吉
○武藤委員長 尙ホ一寸御尋ネ致シマ
スガ、此報酬契約書ト賣買契約書トカ云
フモノハ、列擧致シマシタ中ノ主ナル
モノデアルニモ拘ラズ、前各號以外ノ證
書ト云フ中ニ含マレテ居ッテ、茲ニ明ニ
明記サレナイノハ、何カ理由ガアッタノ
デアリマスカ、是デ宜イトシテ立案ニ
ナッタノデアリマスカ、尙ホ承リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=33
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034・黒田英雄
○黑田政府委員 是ハ特ニ列擧致サナ
クテモ宜イト考ヘタノデモアリマセヌ
ガ、大體現行ニ規定シテ居リマスルモ
ノハ旣ニ馴レテ居ルノデアリマスカラ、
此中カラ免稅ニナルモノダケヲ拔イテ
アリマス、ソレカラ比例稅カラ定額比
例稅ニ直シマシタモノヲ入レル程度ニ
止メマシテ、其他ノモノニ付キマシテ
ハ先ヅ現行ノ儘ニシヤウト云フ考デア
リマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=34
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035・武藤金吉
○武藤委員長 尙ホ念ノ爲ニ承ッテ置
キマスガ、課稅率ハ現行ノ通リデ保證
金納入トカ、或ハ報酬契約トカ、賣買契
約トカ云フモノハ現行ノ儘デ宜シイト
云フ考デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=35
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036・黒田英雄
○黑田政府委員 左樣デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=36
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037・武藤金吉
○武藤委員長 私ノハ是ダケデス、此
機會ニ猪野毛君ノ登錄稅法中改正法律
案御提出ノ理由ヲ簡單ニ承リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=37
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038・猪野毛利榮
○猪野毛利榮君 簡單ニ理由ヲ申上ゲ
タイト思ヒマス、卽チ登錄稅法中ニア
リマスル、土地ヲ交換ヲシマス時ニ於
テハ賣買契約ニ於テノ形式ニ依ラナク
テハナラヌノデアリマスガ爲ニ、非常
ニ登錄稅ガ高イ、此爲ニ其交換ガ便法
ナリト知リツヽモ、容易ニ行フコトガ
出來ヌ、斯ウ云フ今日ノ狀態ニナッテ居
リマスルガ爲ニ、全國ノ農會ナドニ於
キマシテモ、是ガ方々デ問題ニナッテ居
ルノデアリマス、ドウモ日本ノ農業組
織ハ小農デアリマスルノト、又山間部
ノ耕作デアリマスルガ故ニ、地主ガ方
方ニ點々シテ土地ヲ持ッテ居リマスデ
スカラ肥料ヲ運搬スル、或ハ耕作ヲス
ル、又灌漑ノ爲ニ水利ヲ作ルト云フヤ
ウナ場合ニ於キマシテモ、頗ル不便ガ
多クテ困ルノデス、特ニヒドク感ジテ
居リマスルノハ、勞力問題デアリマス
ルガ、實ニ今日ノ農村ニ於キマシテハ、
明治二十三年以後カラ二十倍カラ勞力
賃銀ガ上ッテ居ル、然ルニ米價ニ於キマ
シテハ六倍位シカ上ッテ居ナイト云フ
ノデ、兩方ノ均衡ガ保タレヌト云フ狀態
ニナッテ居ルノデアリマス、若シ私共ノ
希望スルガ如ク、隣接ノ土地ヲ無料デ
以テ交換シテ貰フテ、登錄稅ヲ免ジテ
貰フト云フコトニナッタナラバ、此利益
ガ多大ナモノデアルト考ヘテ居ルノデ
ス、便法デアルト云フコトハ知リツヽ
モ、登錄稅ニ於キマシテ千分ノ三十五
ト云フモノヲ、土地賣買ノ形式ニ依テ
取ラレル、隨テ府縣稅ニ於キマシテモ、
亦千分ノ十ヲ取ラレル町村附加稅ト
シテ亦千分ノ十ヲ取ラレル、合計千分
ノ五十五モ取ラレテ仕舞フト云フヤウ
ナ狀態デアリマスルガ故ニ、迚モ此大
金ヲ負擔スルコトガ叶ハヌ爲ニ、不便
ナガラ一時ニ方々ニ土地ヲ入リ亂レテ、
各人ガ所有シテ耕作ヲシテ居ルト云フ
ヤウナ狀態デアリマス、丁度五十議會
ノ時ニモ此法律案ヲ私ガ提出致シマシ
テ委員會ニ掛ケタノデアリマシタガ、
何分ニモ三月ノ末、時期ガ切迫シテ居
リマシタ時デアリマスノト、今一ツハ
稅法ノ改正ヲ五十二議會トカニヤルカ
ラト云フ話ガアッタノデアリマスガ、併
ナガラ其時ニ於ケル政府委員及委員諸
君ノ意思表示サレタ大體ハ、稅法ノ精
神ニモ適フシ、農村振興ノ爲ニモ是ハ
必要デアルト云フ大體ノ空氣デアッタ
ノデアリマス、尙ホ此交換ヲ無稅ニス
ルガ爲ニ、依テ以テ生ズル弊害ヲ除去
スル爲ニ、第二項ノ規定ヲ設ケタイト
思フノデス、ソレハ卽チ相互ノ交換農
耕地ガ、各〓間ニ於テ二分ノ一ニ滿タ
ヌ時ニ於テハ、之ヲ交換ト認メズト、斯
ノ如ク規定致シタイト考ヘテ居ルノデ
アリマス、何卒御審議ヲ給ハランコト
ヲ御願致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=38
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039・丹下茂十郎
○丹下委員 一寸此場合政府當局ノ御
意見ヲ承ッテ見タイト思フ、同時ニ提案
者ニモ御尋致シタイノデアリマスガ、
實ハ私ハ此土地ノ交換ニ關シマスル登
錄稅ノ事ニ付テ政府ニ御尋シタイ積リ
デ後ニ保留シテアリマシタガ、幸ヒ猪
野毛君ノ提案ニ對シマシテ此際政府ノ
御意見ヲ伺ッテ見タイノデアリマス、旣
ニ猪野毛君ヨリ述ベラレマシタ通リ、
日本ノ農業ノ經營狀態ガ極メテ小サイ
ノデアリマシテ、將來農業ノ改善發達
ヲ圖ル上ニ於キマシテハ經營ノ組織ヲ
モット改善シナケレバナラヌ、其第一段
ト致シマシテ農耕ニ供スル土地ガ今日
ノ如ク細カク散在致シテ居リマシテ、
其耕作ノ爲ニ非常ナル勞力ヲ徒費スル
ト云フ傾ガアリマスノデ、近來地方ニ
依リマシテハ此土地ノ交換問題ガ起ル
ノデアリマス、然ルニ耕地整理法ニ依
ヲ計畫スルノハ素ヨリ結構デアリマス
ケレドモ、ソレマデニ及バナイデ甲乙
ノ者ガ互ニ相接近シタル所デ、自分ト
シテハ非常ニ懸離レタル土地ヲ耕作シ
テ居ル、或ハ所有シテ居ルト云フ場合
ニ之ヲ一箇所ニ纒メテ互ニ交換スルト
云フコトニナリマスト、農業ノ經營上
非常ニ利便ヲ得ルノデアリマス、併シ
耕地整理法ニ依レバ登錄稅ハ總テ免除
サレマスケレドモ、如何セン此交換ニ
依リマス場合ニ於キマシテハ、矢張賣
買ニ依テ登錄稅ヲ徵サレルコトニナリ
マス爲ニ、折角適當ナ所ト思ッテモ登錄
稅ノ爲ニ制セラレテ之ヲ行フコトガ出
來ヌノデアリマス、此點ニ付キマシテ
今猪野毛君ノ御說明ハ洵ニ適當ナコト
ト考ヘルノデアリマス、政府ニハ是等
ノ點ニ付キマシテ從來考慮サレタコト
ガアリマセウカ、又本案ニ對シテ如何
ナル御所見ヲ御持チニナッテ居リマス
カ、之ヲ御尋致シタイト思フノデアリ
TV、ソレカラ提案者ニ御尋致シマス
ガ、此交換地ガ一方ガ半分ニ充タナイト
云フト是ハ交換デナイト云フヤウニ扱
フト云フ、此二分ノ一ト云フノハ一體
ドウ云フ所デ斯ウ云フ分界ヲ立テラレ
ルノカ實際ニ其目的ニ對スル交換ナ
ラバ斯ウ云フ標準ガナクテモ宜イヤウ
ナ感ジモ致シマスガ、只今ノ御說明デ
ハ少シ諒解ガ致シ惡イ點モアリマスカ
ラ、尙ホ御說明ヲ願ヒタイノデアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=39
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040・黒田英雄
○黑田政府委員 本案ノ如キ場合ニ於
キマシテ免稅ヲ致スコトニ付キマシテ
ハ昨年モ斯ウ云フ問題ガアリマシタガ、
今囘ノ改正ノ際ニ於キマシテモ考究ヲ
致シタノデアリマス、併シ改正案ニ之
ヲ戴セマセナカッタノパ、卽チ本案ニ對
シマシテモ遺憾ナガラ御同意ガ出來ナ
イ結果ト相成ルノデアリマス、只今丹
下サンノ御述ニナリマシタヤウニ、斯
ノ如キ場合ニハ多ク耕地整理ノ方法ニ
依リマスト云フコトニナリマスレバ、
登錄稅モ免除致シテ居ルノデアリマス、
併シ耕地整理ニ依ラズシテ致シマスル
ト云フ場合ニ於キマシテハ、此所有權
ノ移轉ガ普通ノ賣買ニ依リマスル場合
ト之ヲ區別スルト云フコトハ、實際上
到底困難デアリマス、登記所ニ於キマ
シテモ困難デアルト云フヤウナ關係カ
ラ致シマシテ、斯ノ如キ場合ハ耕地整理
事業ニ依テ多ク爲サレル、ソレ以外ノ
場合ハ只今中ス通リ困難デアリマス、
是ハ遺憾ナガラ採用ガ出來ナイト云フ
結果ニ相成ッテ居ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=40
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041・猪野毛利榮
○猪野毛利榮君 交換ヲ致シマス相互
ノ農耕地間ニ於キマシテ、御互ニ二分
ノ一ニ達セヌ時ハ交換ト認メズト云フ
コトニ付キマシテ、二分ノ一トハ如何
ナル點ヲ根據ニ致シタカト云フ御尋ノ
如ク承リマシタガ、二分ノ一デハッキリ
ナクチヤナラヌト云フ別ニ科學的ノ根
據ガアルノデハナイ、唯常識的ニ又實
際上カラ考ヘテ見マシテ、苟モ土地ノ
交換ヲ爲ス場合ニ於キマシテ、二分ノ
一ニモ達セズシテ交換ヲ行フト云フコ
トハ、是ハ常識上カラデモ、事實ノ上カ
ラデモアルベキコトデナイ、斯ウ云フ
意味ニ於キマシラ二分ノ一ト云フ規定
ヲ致シタノデアリマス、左樣御承知ヲ
願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=41
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042・武藤金吉
○武藤委員長 本案ニ就テ御質問ハア
リマセヌカ-別ニ御質問ガゴザイマ
セヌケレバ、今日ハ是デ散會致シマス
午後零時三十一分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005212672X00919270221&spkNum=42
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