第56回帝国議会　衆議院　本会議　第25号　昭和4年3月5日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  昭和四年三月五日（火曜日）午後一時十九分開議
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  　議事日程　第二十四號
  　　昭和四年三月五日
  　　　午後一時開議
  　第一　昭和三年勅令第百二十九號（治安維持法中改正の件）（承諾を求むる件）　（前會の續）
  　第二　船舶職員法中改正法律案（政府提出）　第一讀會
  　第三　無線電信法中改正法律案（政府提出）　第一讀會
  　第四　右各案の審査を付託すへき委員の選擧
  　第五　資源調査法案（政府提出、貴族院送付）　第一讀會
  　第六　右議案の審査を付託すへき委員の選擧
  　第七　鐵道營業法中改正法律案（政府提出）　第一讀會
  　第八　右議案の審査を付託すへき委員の選擧
  　第九　同盟及聯合國と獨逸國及其の同盟國との戰爭に因り損害を被りたる帝國臣民の追加救恤に關する法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　第十　臺灣事業公債法中改正法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　第十一　製鐵所特別會計に於て大藏省預金部の横濱正金銀行に對する債權の譲渡を受くることに關する法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　第十二　健康保險特別會計法中改正法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　第十三　健康保險法中改正法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　第十四　府縣制中改正法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　第十五　市制中改正法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　第十六　町村制中改正法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　第十七　北海道會法中改正法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　第十八　北海道地方費法中改正法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　第十九　登録税法中改正法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　第二十　北海道鐵道株式會社所屬鐵道外十三鐵道買收の爲公債發行に關する法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　第二十一　工場法中改正法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　第二十二　癈兵優遇に關する法律案（三浦虎雄君提出）　第一讀會
  　第二十三　衞生組合法案（大里廣次郎君外八名提出）　第一讀會
  　第二十四　衞生組合法案（田崎信藏君外四名提出）　第一讀會
  　第二十五　傳染病豫防法中改正法律案（田崎信藏君外四名提出）　第一讀會
  　第二十六　衆議院議員選擧法中改正法律案（二見甚郷君外一名提出）　第一讀會
  　第二十七　家祿賞典祿給與未濟に關する法律案（石井次郎君外五名提出）　第一讀會
  　第二十八　質屋取締法中改正法律案（鬼丸義齋君提出）　第一讀會
  　第二十九　古物商取締法中改正法律案（鬼丸義齋君提出）　第一讀會
  　第三十　刑法中改正法律案（牧野賤男君外二名提出）　第一讀會
  　第三十一　借家法中改正法律案（小久江美代吉君外二名提出）　第一讀會
  　第三十二　恩給法中改正法律案（山下谷次君外一名提出）　第一讀會
  　第三十三　市制中改正法律案（赤尾藤吉郎君提出）　第一讀會
  　第三十四　町村制中改正法律案（赤尾藤吉郎君提出）　第一讀會
  　第三十五　道路法中改正法律案（菅野善右衞門君提出）　第一讀會
  　第三十六　町村有建物火災保險相互組合法案（岩崎一高君外十六名提出）　第一讀會
  　第三十七　遠洋漁業奬勵法中改正法律案（原耕君提出）　第一讀會
  　第三十八　違警罪即決例中改正法律案（一松定吉君外二名提出）　第一讀會
  　第三十九　工場法中改正法律案（千葉三郎君外五名提出）　第一讀會
  　第四十　勞働組合法案（鈴木文治君提出）　第一讀會
  　第四十一　刑の執行又は勾留に因る補償に關する法律案（宮古啓三郎君外九名提出）　第一讀會
  　第四十二　陪審法中改正法律案（横山勝太郎君外三名提出）　第一讀會
  　第四十三　衆議院議員選擧法中改正法律案（小久江美代吉君外四名提出）　第一讀會
  　第四十四　衆議院議員黨籍變更に關する法律案（小久江美代吉君外四名提出）　第一讀會
  　第四十五　牧野法案（中島鵬六君外一名提出）　第一讀會
  　第四十六　健康保險法中改正法律案（西尾末廣君提出）　第一讀會
  　第四十七　國定教科書官給法案（樋口秀雄君外六名提出）　第一讀會
  　第四十八　未成年者飮酒禁止法中改正法律案（星島二郎君外六名提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　第四十九　未成年者飮酒禁止法中改正法律案（田中養達君外六名提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　第五十　六大都市に關する法律案（鈴木吉之助君外十三名提出）　第一讀會の續（委員長報告）
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• 001・元田肇

  ○議長(元田肇君)　諸般ノ報告ヲ致サセマ
  ス
  〔書記官朗讀〕
  一去二日貴族院ニ於テ本院ノ送付ニ係ル左
  ノ議案ヲ可決シタル旨同院ヨリ通牒ヲ受
  領セリ
  裁判所ノ設立ニ關スル法律案(政府提出)
  大正二年法律第九號中改正法律案(政府
  提出)
  借地借家臨時處理法中改正法律案(政府
  提出)
  又同日貴族院ニ於テ本院ノ送付ニ係ル左
  ノ議案ニ對シ承諾スルコトヲ議決シタル
  旨同院ヨリ通牒ヲ受領セリ
  大正十四年度第一豫備
  金支出ノ件
  大正十四年度特別會計
  第一豫備金支出ノ件
  大正十四年度第二豫備
  金支出ノ件
  大正十四年度豫備金外
  ニ於テ豫算外支出ノ件
  大正十四年度特別會計
  第二豫備金支出ノ件
  大正十四年度特別會計
  豫備金外ニ於テ豫算超
  過及豫算外支出ノ件
  大正十五年度第一豫備
  昭和元
  金支出ノ件
  大正十五年度特別會計
  昭和元
  第豫備金支出ノ件
  大正十五年度第二豫備
  昭和元
  金支出ノ件
  大正十五年度特別會計
  昭和元
  第二豫備金支出ノ件
  昭和二年度第二豫備金
  支出ノ件
  昭和二年度豫備金外ニ
  於テ豫算外支出ノ件
  昭和二年度特別會計第
  二豫備金支出ノ件
  昭和二年度特別會計豫
  備金外ニ於テ豫算外支
  出ノ件
  一去二日貴族院ヨリ受領シタル政府提出案
  左ノ如シ
  資源調査法案
  一政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  無線電信法中改正法律案
  鐵道營業法中改正法律案
  一議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  膠州灣舊租借地引渡ニ關スル條約實施ニ
  伴フ損害ノ補償ニ關スル法律案
  提出者
  小谷節夫君
  加藤鐐五郞君
  (承諾ヲ求ムル件)
  (以上三月二日提出)
  (以上三月四日提出)
  高橋熊次郞君
  竹內鳳吉君
  (以上三月四日提出)
  森林火災保險法制定ニ關スル建議案
  提出者矢野力治君
  朝鮮ニ於ケル鑛業助長ニ關スル建議案
  提出者橫堀治三郞君
  中國勝山倉吉間鐵道速成ニ關スル建議案
  提出者
  豐田收君久山知之君
  矢野晋也君岡田忠彥君
  下北條倉吉間鐵道速成ニ關スル建議案
  提出者
  豐田收君矢野晋也君
  若櫻新宮間鐵道敷設ニ關スル建議案
  提出者
  豊田收君土井權大君
  原惣兵衞君矢野晋也君
  鳥取上井間鐵道電化ニ關スル建議案
  提出者
  豐田收君矢野晋也君
  若宮貞夫君
  生山多里間鐵道敷設ニ關スル建議案
  提出者
  豐田收君矢野晋也君
  大山ヲ中心トスル國立公園設定ニ關スル
  建議案
  提出者
  豊田收君矢野晋也君
  若宮貞夫君
  北海道河川治水工事促進ニ關スル建議案
  提出者
  山本厚三君小池仁郞君
  淺川浩君神部爲藏君
  岡本幹輔君坂東幸太郞君
  北海道舊土人保護ニ關スル建議案
  提出者
  岡本幹輔君小池仁郞君
  山本厚三君淺川浩君
  神部爲藏君坂東幸太郞君
  勇拂原野開發竝勇拂川河口修築ニ關スル
  建議案
  提出者
  岡本幹輔君小池仁郞君
  山本厚三君淺川浩君
  神部爲藏君坂東幸太郞君
  室蘭港ニ海事部出張所設置ニ關スル建議
  案
  提出者
  岡本幹輔君小池仁郞君
  山本厚三君淺川浩君
  神部爲藏君坂東幸太郞君
  旭川市ニ高等工業學校設置ニ關スル建議
  案
  提出者
  淺川浩君坂東幸太郞君
  林政調査會設置ニ關スル建議案
  提出者
  東〓實君成〓信愛君
  出井兵吉君高田耘平君
  今井健彥君岸本康通君
  川崎安之助君岩本武助君
  佐々木長治君菅村太事君
  磯部〓吉君
  森林法中改正ニ關スル建議案
  提出者
  東〓實君成〓信愛君
  出非兵吉君高田耘平君
  今井健彥君岸本康通君
  川崎安之助君岩本武助君
  佐々木長治君菅村太事君
  磯部〓吉君
  森林火災保險ニ關スル建議案
  提出者
  東〓實君成〓信愛君
  出井兵吉君高田耘平君
  今井健彥君岸本康通君
  川崎安之助君岩本武助君
  佐々木長治君菅村太事君
  磯部清吉君
  林野基本調査ノ速行ニ關スル建議案
  提出者
  磯部〓吉君東〓實君
  成〓信愛君出井兵吉君
  高田耘平君今井健彥君
  岸本康通君川崎安之助君
  岩本武助君佐々木長治君
  菅村太事君
  林業金融ニ關スル建議案
  提出者
  磯部〓吉君東〓實君
  成〓信愛君出井兵吉君
  高田耘平君今井健彥君
  岸本康通君川崎安之助君
  岩本武助君佐々木長治君
  菅村太事君
  河川使用許可ニ關スル建議案
  提出者
  磯部〓吉君東〓實君
  成〓信愛君出井兵吉君
  高田耘平君今井健彥君
  岸本康通君川崎安之助君
  岩本武助君佐々木長治君
  菅村太事君
  國立公園調査機關設置ニ關スル建議案
  提出者
  磯部〓吉君東〓實君
  水久保甚作君成〓信愛君
  出井兵吉君高田耘平君
  今井健彥君岸本康通君
  川崎安之助君岩本武助君
  佐々木長治君菅村太事君
  北海道會及府縣會議員ニ對シ鐵道無賃乘
  車證交付ニ關スル建議案
  提出者
  水久保甚作君奧村千藏君
  小商工業者保護ニ關スル建議案
  提出者
  平賀周君蔭山貞吉君
  中井一夫君加藤鐐五郞君
  溫泉ノ調査機關設置ニ關スル建議案
  提出者
  加藤知正君木暮武太夫君
  震災荒廢林地復舊促進ニ關スル建議案
  提出者
  鈴木英雄君郡谷照一郞君
  森矗昶君貽中楠右衛門君
  津雲國利君田邊七六君
  國立癌〓究機關設置ニ關スル建議案
  提出者
  藤沼庄平君加藤鐐五郞君
  川島正次郞君
  筑波山霞浦ヲ中心トスル國立公園設定ニ
  關スル建議案
  提出者
  飯村五郞君山崎猛君
  (以上三月二日提出)
  「エスベラント」ヲ小學校及中學校〓科目
  ニ編入ニ關スル建議案
  提出者
  竹下文隆君山下谷次君
  英義彥君
  財團法人日本エスペラント學會國庫補助
  ニ關スル建議案
  提出者
  竹下文隆君山下谷次君
  矢野力治君英義彥君
  高知縣下ニ於ケル官行製炭事業廢止ニ關
  スル建議案
  提出者
  坂本志魯雄君矢野力治君
  中谷貞賴君
  鳥栖臼井間鐵道敷設ニ關スル建議案
  提出者
  久恒貞雄君坂井大輔君
  穴水飯田間鐵道速成ニ關スル建議案
  提出者
  佐藤實君靑山憲三君
  私立中等學校國庫補助ニ關スル建議案
  提出者山下谷次君
  兵庫縣宍粟郡及神崎郡ノ聯隊區復舊ニ關
  スル建議案
  提出者土井權大君
  (以上三月四日提出)
  相模川改修速成ニ關スル建議案
  提出者胎中楠右衞門君
  (以上三月五日提出)
  決議案(遞相ノ處決ニ關スル件)
  提出者
  橫山勝太郞君高木益太郞君
  野村嘉六君野田文一郞君
  八木逸郞君山本厚三君
  松田源治君牧山耕藏君
  增田義一君小西和君
  藤澤幾之輔君本田恒之君
  富田幸次郞君小川〓太郞君
  川崎克君田中隆三君
  賴母木桂吉君永井柳太郞君
  紫安新九郞君森田茂君
  俵孫一君大竹貫一君
  (以上三月二日提出)
  一議員ヨリ提出セラレタル質問主意書左ノ
  如シ
  八重山山林開拓ニ關スル再質問主意書
  提出者
  漢那憲和君伊禮肇君
  宮崎市騒擾事件ニ關スル再質問主意書
  提出者三浦虎雄君
  (以上三月二日提出)
  〔左ノ報告ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲
  玆ニ揭載ス〕
  一去二日內閣總理大臣ヨリ左ノ通發令アリ
  タル旨ノ通牒ヲ受領セリ
  特許局長官崎川才四郞
  商工省所管事務政府委員被仰付
  一去二日衆議院規則第十五條但書ニ依リ議
  長ニ於テ議席ヲ左ノ通變更セリ
  三九中西六三郞君
  四〇岩切重雄君
  四五太田信治郞君
  六小寺謙吉君
  六五四岩崎幸治郞君
  〇四
  崎山武夫君
  六一鶴岡和文君
  八五志波安一郞君
  一去二日理事補闢選舉ノ結果左ノ如シ
  決算委員會
  理事坂本志魯雄君(中島鵬六君二月
  二十七日委員辭任ニ付其ノ補
  關
  理事漢那憲和君(岡本幹輔君二月
  二十三日理事辭任ニ付其ノ補
  關
  肥料管理法案(政府提出)外一件委員
  理事安倍邦太郞君(理事村上國吉君
  本月一日委員辭任ニ付其ノ
  補關)
  一去二日議長ニ於テ選定シタル委員左ノ如
  シ
  特許法中改正法律案外三件委員
  鈴木英雄君箸本太吉君
  須之內品吉君小野寺章君
  櫻井兵五郞君岸衞君
  伊禮肇君野中徹也君
  鬼丸義齋君
  酒造組合法中改正法律案委員
  川口義久君蔭山貞吉君
  水久保甚作君平井信四郞君
  前田房之助君中村繼男君
  作田高太郞君三宅利平君
  原耕君
  一去二日ニ於ケル特別委員ノ異動左ノ如シ
  朝鮮簡易生命保険特別會計法案外三件委
  員
  辭任石坂豐一君補闕久恒貞雄君
  關稅定率法中改正法律案外一件委員
  辭任前田房之助君補闕坂東幸太郞君
  鐵道敷設法中改正法律案委員
  辭任佐藤正君補闕田中千代松君
  辭任石塚三郞君補闘〓水德太郞君
  肥料管理法案外一件委員
  辭任平川松太郞君補闕小山谷藏君
  辭任黑金泰義君補闘小山松壽君
  米穀需給調節特別會計法中改正法律案委
  員
  辭任井本常作君補闕森保祐昌君
  產業委員會法案委員
  辭任大西正幹君補闘三浦虎雄君
  未成年者飮酒禁止法中改正法律案外一件
  委員
  辭任山田毅一君補闕野中徹也君
  一昨四日理事補關選擧ノ結果左ノ如シ
  米穀需給調節特別會計法中改正法律案
  (三輪市太郞君外六十三名提出)委員
  理事谷口源十郞君(理事井本常作君
  本月二日委員辭任ニ付其ノ補
  關
  肥料管理法案(政府提出)外一件委員
  理事村上國吉君(理事平川松太郞君
  本月二日委員辭任ニ付其ノ補
  關
  一昨四日委員長及理事互選ノ結果左ノ如シ
  特許法中改正法律案(政府提出)外三件委
  員
  委員長鈴木英雄君
  理事
  須之內品吉君伊禮〓君
  酒造組合法中改正法律案(政府提出)委員
  委員長蔭山貞吉君
  理事
  木村〓治君作田高太郞君
  一昨四日ニ於ケル特別委員ノ異動左ノ如シ
  酒造組合法中改正法律案委員
  辭任川口義久君補闕木村〓治君
  辭任平井信四郞君補闘磯部〓吉君
  肥料管理法案外一件委員
  辭任瀨川光行君補關栗原彥三郞君
  辭任石塚三郞君補闕村上國吉君
  辭任小山松壽君補闘則元由庸君
  昭和二年度第一豫備金支出ノ件(承諾ヲ
  求ムル件)外九件委員
  辭任佐藤正君補闕松村謙三君
  辭任鈴木英雄君補闘靑山憲三君
  辭任國枝捨次郞君補闕兒玉右二君
  米穀需給調節特別會計法中改正法律案委
  員
  辭任森保祐昌君補闕谷口源十郞君
  辭任小山松〓君補關西英太郞君
  辭任一宮房治郞君補闕小坂順造君
  辭任野田文一郞君補闘森保祐昌君
  關稅定率法中改正法律案外一件委員
  辭任坂東幸太郞君補闘前田房之助君
  特許法中改正法律案外三件委員
  辭任鬼丸義齋君補關石坂豐一君
  辭任箸本太吉君補闕鈴木安孝君
  辭任石坂豐一君補闕鬼丸義齋君
  辭任鈴木安孝君補闕箸本太吉君
  府縣制中改正法律案外三件委員
  辭任藤井達也君補闕沖島鎌三君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=1

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• 002・元田肇

  ○議長(元田肇君)　是ヨリ會議ヲ開キマ
  ス、御諮リスルコトガゴザイマス、第四部
  選出決算委員坂本一角君、第四部選出請願
  委員國枝拾次郞君、右常任委員辭任ノ申出
  ガアリマシタ、之ヲ許スニ御異議アリマ
  セヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=2

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• 003・元田肇

  ○議長(元田肇君)　御異議ナシト認メテ許
  可致シマス、其部ノ諸君ハ速ニ補缺選擧ヲ
  行ヒ、議長マデ御屆出アランコトヲ望ミマ
  ス、小泉策太郞君病氣ニ付、三月五日ヨリ
  三月十三日迄請暇ノ申出ガアリマシタ、許
  可スルニ御異議ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=3

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• 004・元田肇

  ○議長(元田肇君)　御異議ナシト認メテ許
  可致シマス、本日ハ質問日デゴザイマスル
  ガ、都合ニ依リマシテ質問ハ之ヲ延期致シ
  やっ、此段御諒承ヲ願ヒマス、日程第一
  昭和三年勅令第百二十九號、承諾ヲ求ムル
  件ノ前會ノ續ヲ開キマス、當時內ケ崎作三
  郞君ノ發言中デアリマシタカラ、同君ノ發
  言ノ繼續ヲ許シマス
  第昭和三年勅令第百二十九號a
  安維持法中改正ノ件)(承諾ヲ求ムル
  他(前會ノ續)
  〔内タ崎作三郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=4

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• 005・内ヶ崎作三郎

  ○内ケ崎作三郞君　去ル二日ノ夜ノ討論ニ
  讀キマシテ、本案ニ對スル私ノ意見ヲ述べ
  ヤウト思ブノデアリマス、相成ベク簡潔ニ
  申シタイト思フノデアリマスカラシテ、何
  卒御〓聽ヲ願ヒタイト思ヒマス(拍手)私ノ
  議論ノ前半ハ、憲法ノ解釋及其間ニ處シタ
  ル政府當局ノ態度ニ對スル批評ヲ試ミタノ
  デゴザイマスルガ、私ノ意見ノ後半ハ、第
  一外交問題ト關係シテ、第二社會問題ノ立
  場ヨリ、第三ハ國體觀ト關聯致シマシテ、
  意見ヲ述ベヤウト思フノデゴザイマス、第
  一外交ニ關スル意見デゴザイマスルガ、是
  ハ詳シク申上ゲヤウト思ヘバ、限リノナイ
  問題デゴザイマスルカラシテ、極メテ簡潔
  ニ端折。シテ意見ヲ述べテ見タイト思フノデ
  アリマス、大正十四年ノ一月ニ日露基本條
  約ガ成立致シマシテ、兩國ノ國交ガ恢復致
  シマシテ、我國ハ相當ノ利權ヲ獲得スルコ
  トガ出來タノデアリマス、然ルニ其後現内
  閣ガ成立致シタノデアリマスガ、私共第三
  者トシテ觀察致シテ居リマスルト、勞農政
  府ハ田中外務大臣ノ外交方針ニ對シテ好マ
  シカラザル思ヲ致シテ居ルヤウニモ考ヘラ
  レルノデアリマス、ソレハ西伯利出兵以來
  色ニナル關係ガゴザイマシテ、田中內閣ニ
  對シテハ幾ラカ感情ヲ好クシテ居ラナイト
  云フヤウニ私共ガ見ルノハ必シモ僻目デ
  ハナイト思フノデゴサイマス、ソコデ第三
  「インターナシヨナル」が、我國ニ對シテ赤
  化宣傳ヲ開始シタカトモ思ハレルノデゴザ
  イマス、又政府ノ立場ト致シマシテハ、我
  國ノ利權中最モ大切ナル所ノ漁業ニ關ス
  ル協約ノ交涉ガ捗々シク參ラナイモノデア
  リマスカラシテ、一昨年ノ暮ニ或ハ後藤
  伯ヲ莫斯科ニ派遣シ、或ハソレニ先ジテ久
  原房之助君ヲ現內閣ノ特使トシテ、勞農
  政府ニ派遣シタヤウナコトガアッタノデア
  リマス、然ルニ現内閣ハ斯ル親善的態度ヲ
  勞農政府ニ示シタモノデアリマスカラシ
  テ、勞農政府-トハ申上ゲマセヌケレド
  モ、第三「インターナシヨナル」ハ此間ニ乘
  ジテ、又我國ニ對スル赤化運動ヲ開始シタ
  カトモ想像サレルノデアリマス、ソレハ單
  ナル想像ニ止マラナイノデゴザリマシテ、
  昨年ノ四月十一日ノ倫敦「タイムス」ニ「勞
  農露西亞ト日本」ト題シマシテ短イ記事
  ガ載ッタノデアリマス、ンレニハ斯ウ記シテ
  アルノデアリマス、「勞農露西亞ノ極東ニ於
  ケル位置ハ極メテ薄弱ナルニ反シテ、日本
  ノ立場ハ鞏固ニシテ有利デアル、隨テ日本
  ハ極東露領ニ於ケル各種ノ利權ヲ獲得スベ
  ク奔走シタ、其結果ガ所謂日露ノ接近ト親
  善ナルモノガ濃厚トナリ、後藤子爵其他ノ
  莫斯科該問トチッタ、同時ニ日本官憲ノ取締
  モ緩漫トナッダ、露西亞ハ之ヲ機會トシテ
  窃ニ日本赤化ノ陰謀ヲ進メ、遂ニ〓囘ノ結
  果トナッテ現レタノデアル」今回ノ結果ト
  ナッテ現レタト云フコトハ言フ迄モナク
  昨年三月十五日、日本共產黨ノ大檢舉ヲ行
  ヒマシタルコトヲ申シテ居ルノデゴザリマ
  ス、サウ云フ譯デアリマスカラシテ、田中
  内閣ニ對シテハ、勞農政府トハ申上ゲマセ
  ヌガ、第三「インターナシヨナル」ハ、何ト
  カシテ少シ之ヲ苦シメテヤラウト云フヤウ
  ナ態度ヲ執ッテ居ルヤウニ考ヘラレルノデ
  アリマス、要スルニ田中內閣ノ續ク限リ
  ハ、中ミ此感情ト云フモノハ容易ニ緩和サ
  レサウニモ見エナイクデアリマス、而シテ
  現政府ハ一方ニ於テハ赤化宣傳ヲ防止シテ
  居リマスケレドモ、他方ニ於テハ却テ之ヲ
  刺戟スルガ如キ立場ニム止クテ居ルト云フモ
  ノデアリマスルガ故ニ、單ナル治安維持法
  ノ改正ニ依テノミ赤化宣傳ヲ根本的ニ絕滅
  スルト云フコトハ、不可能ノ事デハアルマ
  イカト思フノデアリマス(拍手)尙ホ此問題
  ニ付キマシテハ、色と詳シイ事ヲ申上ゲタ
  イノデアリマスケレドモ、事外交ニ屬スル
  問題デゴザリマスルカラシテ、私ハ相成ベ
  ク遠慮ヲ致シマシテ、斯ノ如ク手短ク申上
  ゲタノデゴザリマスルカラシテ、ドウカ私
  ノ言外ノ意ヲ想像セラレンコトヲ希望スル
  ノデアリマス(拍手)次ニ第五十五議會ニ於
  テ院議トナリマシタル所ノ思想國難ニ關ス
  ル決議案ニ對シマシテ、現政府ハ果シテ誠
  意ヲ示シテ居ルヤ否ヤト云フコトヲ調ベテ
  見タイノデアリマス、其思想國難ニ關スル
  決議案ノ中ニハ、ドウ云フコトガ述ベデアッ
  タカト申セバ、繰返シテ申上ゲル必要ハナ
  イノデゴザリマスルケレドモ、話ノ順序ト
  シテ之ヲ繰返スノデゴザリマスルガ、單ニ
  刑罰ノミニ依テ惡思想ヲ撲滅セント欲スル
  モ、到底其目的ヲ達スル能ハザルコトハ
  古今內外事跡ノ證明スル所デアル、ソコデ
  其產黨事件ニ對シ政府ガ刑罰ノミヲ以テ之
  ニ臨ムハ不可ナリ、宜シク其環境ヲ改善ス
  ルノ途ヲ講ゼザルベカラズト、神聖ナル院
  議ヲ以テ決定シテ居ルノデゴザリマス、而
  モ是ハ殆ド全院一致ノ決議デゴザリマス
  又坊間傳ヘラレテ居ル所ノ樞密院ノ決議ト
  稱スルモノヽ中ニモ、各般ノ社會施設ヲ完
  備シテ、國民生活ノ安定ヲ圖ルベシト云フ
  警告ガアルノデゴザリマス、然ルニ是等ノ
  決議ニ對スル政府ノ態度ハ、果シテ忠實デ
  アッタト言ヘルデアリマセウカ、政友會ト實
  業同志會トノ政策協定ニ基ク所ノ所謂救護
  法案ナルモノモ、未ダ此議會ニハ提出サレ
  テ居ラナイノデアリマス、又現內閣唯一ツ
  ノ社會政策立法デアル所ノ勞働者警告助
  法案モ、目下特別委員會ニ於テ審査サレテ
  居ルノデゴザリマスケレドモ、果シテ是ガ
  何時ニナッテ本會議ニ廻テ參ルモノデアリ
  マスルカ、心細イ次第デゴザイマス、是デ
  ハ政府ノ社會政策的施設ト云フモノハ、全
  ク皆無ト言ハザルヲ得ヌノデアリマス、苟
  モ思想惡化ノ根本原因ヲ除カズシテ、聞いた
  嚴罰ノミヲ以テ之ニ對セントスル程、恐ル
  ベキ行動ハナイト思フノデアリマス(拍手)
  院議ヲ無視シ、樞密院ノ決議ヲ蔑視スル、
  是以上ノモノハアルマイカト考ヘラレルク
  デアリマス、成程政府當局者ハ社會政策的
  施設ヲ施シタクアルケレドモ、其財源ハナ
  イ、無イ袖ハ振ラレナイト申サレルカモ知
  レヌノデアリマス、然ラバ何ヲ好ンデ此際
  兩稅委譲ヲ敢テ斷行シナケレバナラスノデ
  アルカ又政府ニ金ガナイト云フナラバ
  富豪ヲ勸誘シテ多額ナル所ノ寄附金ヲ募X
  テ、サウシテ何等カノ社會政策的施設ヲ行
  フコトガ出來ルノデアルト思フノデアリマ
  ス
  〔此時發言スル者多シ〕

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• 006・元田肇

  ○議長(元田肇君)　靜ニ願ヒマス

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• 007・内ヶ崎作三郎

  ○内ケ崎作三郞君(續)　今日ハ富豪階級ノ
  中ニモ相當進步的ノ考ヲ抱イテ居ル人が多
  イノデゴザリマシテ、悅シデ社會政策ノ爲
  ニハ多額ノ金ヲ寄附スル人ガ少クナイト思
  フノデアリマス、要スルニ政府當局者ハ熱
  心ヲ示セバ少ナカラザル所ノ效果ヲ奏スル
  コトガ出來ルカト思フノデアリマス、彼ノ
  鐵血宰相ト謳ハレタル普魯西ノ「ビスマル
  ク」ハ如何デアリマシタカ、最初ハ社會主
  義ヲ壓迫シタノデアルガ、却テ其擡頭ヲ援
  ケタノデアル、故ニ後ニハ社會政策ヲ實行
  スルコトヽナリマシテ、サウシテ思想ノ惡
  化ヲ豫防シタノデアリマス、千八百八十四
  年ニハ勞働者疾病保險法竝工場負傷保險法
  ヲ制定致シマシタ、千八百八十九年ニ勞働
  者養老保險法ヲ設ケタノデアリマス、又現
  在ノ英國ニ於キマシテハ、議會ハ依然トシ
  テ國民多數ノ信賴ヲ博シテ居リマシテ、彼
  ノ勞働黨ヲ以テシテモ、一歩タリトモ合法
  的改革手段以外ノ方法ニ出デシメナイノデ
  アリマスガ、是ハ要スルニ英國歷代ノ內閣
  ガ時勢ノ推移ヲ洞察シ、絕エズ適當ナル社會
  政策ヲ行シテ居ルカラデゴザリマス、卽チ千
  九百十一年及千九百二十年ニ制定セラレタ
  ル失業保險法、又昔カラ存在シ來ッシテ渡を改
  正セラレタル救貧法、千九百八年初メテ制
  定セラレテ、其後度々改正ヲ見タル養老保
  險法、千九百二十五年ノ寡婦及孤兒年金保
  險法、千九百二十二年ノ健康保險法等ハ卽
  ヲ之ヲ語ルモノデアリマス、英國ニ於ケル
  議會政治ガ搖ガヌ基礎ヲ有スルノハ他也
  種々ナル原因ガアルノデアリマスガ主ト
  シテ此時勢ニ應ジタル徵底的社會政策ガ行
  ハレテ居ル事ニ原因ヲ有シテ居ルノデアリ
  マス、然ルニ田中內閣ノ此方面ニ於ケル施
  設ハ、旣ニ述ベタルガ如ク、全タ何等見ル
  ベキモノハナイノデアリマス(拍手)院議ヲ
  無視シタル點ニ於テ責ムベキハ當然デゴザ
  リマスガ、思想惡化ノ根本的原因ヲ除去ス
  ル諸種ノ具體的方法ヲ講ゼズシテ單ニ嚴
  罰ノミヲ以テ思想國難ニ對セントスル政府
  ノ時代錯誤的頭腦ニ憫マサルヲ得ナイノデ
  アリマス(拍手)私ハ現内閣ガ果シテ複雜紛
  綱セル新時代ノ諸事象ヲ處理スル能力アリ
  ヤ否ヤヲ東心ヨリ疑ハザルヲ得ナイノデア
  リマス、尙ホ之ニ關聯致シマシテ、政府當
  局ノ注意ヲ喚起セネバナラサイ事ハ就職
  難及失業問題デアリマス、我國ノ產業ハ歐
  洲大戰争中極度ニ膨脹發達シタノデアリマ
  ス、學校ノ卒業生ハ羽ガ生エテ飛ブヤウニ
  賣レタノデアリマス、然ルニ大正九年ノ經
  濟界ノ反動以來不景氣時代ガ繼續シテ、名と今
  日ハ供給過剩ノ狀態ヲロ壬シテ居リマス、全
  國ノ大學及專門學校ノ卒業生ハ、每年二万
  人ニ達シテ居ルノデアリマスルガ、其殆ド
  半數ハ職業ヲ見出スコトガ出來ナイ、誠ニ
  氣ノ毒ナル境遇ニ置カレテ居ルノデアリマ
  ス、勤勞ヲ欲シテ尙ホ職業ヲ得ル能ハザル
  コトハ·國家及政府ノ責任ナリト調ハナケ
  レバナラナイノデアリマス、而シテ此問題
  ヲ解決スルニアラザレバ、靑年學徒ノ思想
  ハ益〓惡化スルバカリデアルト思フノデア
  リマス、而シテ政府ハ之ニ對シテ何等ノ對
  策アリヤヲ聽カナイノデアリマス、如何ニ
  シタナラバ此問題ヲ解決スルコトガ出來
  ルカト言ヘバ今上陛下ノ朝見式ニ賜ハリ
  タル御勅語ノ御精神ニ基キ、卽テ模擬ヲ戒
  ノ、創造ヲ勗メテ、新ラシキ產業ヲ創始ス
  ルヨリ外ニ方法ハナイト思フノデアリマ
  ス、私ハ不幸ニシテ未ダ商工當局者ガ此方
  面ニ向シテ顯著ナル努力ヲ爲シツヽアルコ
  トヲ聽カナイノデアリマス、サレバ斯ル無
  爲無能ノ政府ニ依テ爲サレタル所ノ治安維
  持法ノ過重的改、ハハ、徒ニ窮鼠ヲ驅ッテ猫ヲ
  嚙マシムルガ如キ危險ナル結果ヲ惹起スノ
  デハチイカト思ハレルノデアリマス(拍手)
  最後ニ國體ノ根本義ト治安維持法改正案ト
  ノ關係ニ付テ意見ヲ述ベタイト思フノデア
  リマス、今更申上グル迄モナク、我ガ國體
  ハ萬世一系ノ皇室ヲ奉戴シテ、上下心ヲ合
  セ、其建國ノ理想ヲ實現シ、併セテ其道德
  的、人道的使命ヲ達成スル事デアルト思フ
  ノデアリマス、國體ノ尊嚴ハ種々ナル原因
  ニ依テ、三千年ノ傳統ヲ背景トシテ、我ガ
  民族ノ鞏固ナル信念ノ對象トナッテ居ルノ
  デゴザリマス、併ナガラ、其原因ノ一ツニ
  ハ、國家民族ニ取シテ大問題ノ發生シタル
  場合ニハ皇室ハ常ニ其指導的解決者ノ位
  地ニ立タレマシテ、國家民人ヲシテ其惠福
  ニ浴スルコトヲ得セシメ給ハリタル點デア
  ルト考フルノデアリマス、例ヘバ大化ノ
  革新、明治維新ノ如キ、其顯著ナル例デアリ
  マス、大化ノ改新ハ如何ニシテ生ジタノデ
  アリマスカ、家長制度、氏族制度ノ弊ガ極
  端ニ達シマシテ、豪族ガ各、土地ヲ所有シ、
  及人民ヲ使役致シマシテ、國家ノ節度ニ服
  セナイ者ガアリマシテ、動モスレバ無政府
  ノ狀態ニ陷ラントシタノデアリマス、面シ
  テ天下ノ百姓ハ豪族ノ爲ニ奴隷ノ如ク虐使
  セラレタノデアリマス、此時ニ當ッテ孝德天
  皇ハ中大兄皇子ノ輔弼ニ依テ、中央集權ノ
  郡縣制度ヲ確立シ、土地國有ヲ斷行シ、天
  下蒼生ヲ公民トシテ愛撫シ給フタノデアリ
  やっと、又武家專制ノ封建制度ガ病膏
  肓ニ入ッテ、殆ド濟度スルコトガ不可能
  ノ狀態ニナリマシタル時、天下勤王ノ士ハ
  明治大帝ヲ奉戴シテ、王政復古ノ偉業ヲ完
  成シ、明治新文化ノ根抵ヲ築イタノデアリ
  さつ、其他儒〓及佛〓ノ傳來シタル時、之
  ヲ攝取シテ國民文化ノ內容ヲ豐富ニセラレ
  タルハ、偏ニ皇祖皇宗ノ遺德ニ倚ッタノデア
  リマス、元寇ノ役、日〓、日露ノ戰役ノ如
  キ、國家ノ運命ヲ賭シタル國難ニ際シテハ
  皇室ハ常ニ其中心ノ位地ニアッテ國民ノ爲
  ニ勝利ノ鍵ヲ與へ給フタノデアリマス、明
  治ノ初年自由民權、議會政治ノ要望甚ダ盛
  ニナリマシタル時ニ之ニ憲法ヲ與ヘ帝國
  議會ヲ設ケ、更ニ進ンデ普通選擧法ヲ御裁
  可ニナリマシタハ、明治天皇及大正天皇ノ
  大ナル御事業デアリマス、然ルニ之ニ反シ
  テ露西亞ノ「ニコラス」一一世ノ如キ、獨逸ノ
  「ウィルヘルム」二世ノ如キハ、民意ヲ無視
  シ議會ノ要望ヲ斥ケテ、遂ニ沒落ノ運命
  ヲ迪ッテ居ルコトハ私ヨリ申上ゲル必要モ
  ナイノデアリマス、然ルニ我ガ皇室ハ隆々
  トシテ益〓御繁榮遊バサレマシテ、旭日冲天
  ノ勢ヲ示サレテアルコトハ寔ニ故アル哉
  ト申上ゲナケレバナラナイノデアリマス、
  (拍手)
  〔「朗讀ヲ止メ給へ」其他發言スル者多
  シ

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• 008・元田肇

  ○議長(元田肇君)　靜肅ニ

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• 009・内ヶ崎作三郎

  ○内ケ崎作三郞君(續)　而シテ現代ノ國家
  民族ノ大問題ハ何デアリマスカ、卽チ現代
  文化ノ基調ハ社會維新ト云フ言葉ヲ以テ表
  現スルコトガ出來ルノデアリマス、此文化
  ノ特色ノ一ツハ法制ノ社會化デアリマス、
  普通選擧法ノ成立ト、陪審法ノ實施ガ之ヲ
  證明シテ餘リアルノデアリマス、第二ノ特
  色ハ產業ヲ中心トシ、勞働ヲ本位トスル社
  會ク進化デアリマス、第三ノ特色ハ各國家
  ヲ貫通シ浸透シ、之ヲ包圍スル大社會ノ出
  現デアリマス、要スルニ産業ト資本ト勞働
  トガ國際化スルニ至ッタノデアリマス、世界
  大戰以來各國家ハ政治的ニハ獨立スルコト
  ガ出來ルケレドモ、經濟的ニハ互ニ相倚リ
  相助ケテ、世界ヲ擧ゲテ一國家トナル觀ガ
  アルノデアリマス、換言スレバ將來世界各
  國ハ共同シテ互ニ國民ノ自由ト權利トヲ尊
  重シ、組織的ニ共存共榮ノ原則ヲ適用シナ
  ケレバナラナイ時勢トナッタクデアリマス、
  斯ル時代ニ善處スル爲二ハ、一面ニハ忠勇義
  烈ナル愛國的良心ガ必要デアリマスルト其
  ニ、他方ニ於テハ公明正大ナル人道的良心
  ガ必要デアルノデアリマシテ、近頃最モ進
  步ンタル、又最モ信賴スルニ足ル所ノ學者
  ノ間ニ於テ、此意見ガ行ハレテ居ルト云ム
  コトハ私ヨリ申上ゲル必要モナイコトデ
  アルト思フノデアリマス(拍手)然ラバ近時
  最モ重大ナル國家民人ノ大問題デアル所ノ
  社會問題ヲ解決シ、國民生活ノ安定ヲ圖ハ
  ト云フ爲ニハ、八千万同胞ハ玆ニ又我ガ皇
  室ヲ奉戴シテ、此目的ノ解決ヲ爲サチケレ
  バナラナイノデゴザリマス、我ガ皇室ハ過去
  三千年ノ間常ニ國民ニ率先シ給ウテ幾多ノ
  大問題ヲ解決セラレタノデアリマスカラシ
  テ、此劃時代的ノ社會思想ノ問題、社會問
  題ヲ解決シテ、八千万同胞ノ生活ノ安定ヲ
  圖ル爲ニハ、皇室ハ必ズ國民ノ中心トヲツ
  テ、吾々ヲ指導シ給フコトヲ信ジテ疑ハナ
  イノデアリマス(拍手)サレバ所謂思想國難
  ノ今日ニ於キマシテハ、皇室ヲ奉戴シテ國
  體ノ精華ヲ發揮スルコトニ、御互ニ力メナ
  ケレバナラナイノデアリマス、然ルニ田中
  內閣ハ、消極的方法以外ニ何等積極方法ヲ講
  ジナイノデゴザリマシテ、社會思想ノ狂瀾
  怒濤東海ノ天ヲ浸サントスル今日ニ於キマ
  シテハ、國民ヲ指導スル能力ナキモノト判
  斷セザルヲ得ナイノデアリマス(拍手)殊ニ
  昨年ハ今上陛下ノ御卽位式ヲ控ヘテ居ッ
  タノデアリマスルガ故ニ、治安維持法改正
  ヲ緊急勅令ニ於テ御裁可ヲ願ッタモノデア
  ルト云フヤウニ、政府當局者ガ仄メカシテ
  居ルノデアリマス、此事ニ付テモ意見ヲ述
  ベタイノデゴザリマス、成程御大典ヲ中心
  トシテ、政府當局者ガ日夜心膽ヲ碎カレマ
  シテ、御警衞ノ上ニ於テ萬般漏レナク行ハ
  レタト云フ功績ニ對シテハ吾々國民トシ
  テ感謝ノ意ヲ表スルニ吝チラザルモノデア
  リマス、然レドモ幸力不幸力現內閣ハ緊急
  勅令ヲ發布シテシマッタノデゴザリマス、故
  ニ中外ヲシテ政府ハ餘リニ心配ヲシ過シタ
  ノデハナイカト疑ハシメタノデゴザイマス、
  苟モ八千万同胞ノ仰ギ奉ル今上陛下ノ曠
  古ノ御大禮ヲ前ニシテハ如何ニ深キ雲霧
  ガ閉罩メマシテモ、忽ニシテ霽渡リマシテ、
  朗ラカナ天日ヲ仰ギ奉ル感ヲ抱カシムルコ
  トハ確信致スノデゴザイマス、勿論不逞ノ
  輩ニ對シテハ宜シク嚴罰ヲ以テ處斷スベキ
  デアリマス、併ナガラ態、之ヲ仰々シク、
  表向キニ取沙汰ヲ致スト云フコトハ、却ッテ
  或ハ御遠慮申上グル方ガ宣イノデハナイカ
  ト考ヘラレルノデゴザイマス、明治天皇ノ
  御製ノ中ニハ「罪アラバ我ヲ咎メヨ天津神
  民ハ我身ノ生ミシ子ナレバ」ト云フ御製ガ
  アルノデゴザイマス、聖恩ハ廣大ニシテ無
  邊山ヨリモ高ク海ヨリモ深ク一切ノ民草
  ヲ其慈愛溢ルル御胸ノ裡ニ抱カレ給フノデ
  アリマス、皇室ノ尊嚴ト國體ノ精華ハ茲ニ
  其源泉ヲ有スルノデゴザリマス、抑、共產
  黨ハ特權階級ノ轉覆ヲ目的トスルノデゴザ
  リマス、然ルニ我ガ皇室ハ或ル特殊階級ノ
  ミヲ慈ミ給フト云フコトハナイノデゴザリ
  マシテ、有ユル階級ニ對シテ一視同仁ノ大
  御心ヲ持タセラレルノデアリマス、卽チ一
  君萬民ノ理想ヲ實現シ給フタノデゴザリマ
  ス、斯ル神聖ナル抱擁力ニ對シテハ、共產黨
  ト雖モ結局ヒレ伏シテ仕ヘ奉ルヨリ外ハア
  ルマイト思フノデアリマス、繰返シテ申上
  ゲマス、國體ノ變革ヲ、宣傳及陰謀ニ依テ
  之ヲ遂行セントスル者ニ對シテハ素ヨリ
  重刑ヲ以テ之ニ臨マナケレバナラナイ、併
  ナガラ我ガ國體ハ力ト共ニ德ヲ重ンジサセ
  給フノデゴザリマシテ、寬嚴宜シキヲ得、
  恩威竝ビ行ハルヽノデアリマス、而シテ不
  幸ニシテ田中內閣ハ國體ノ精華ヲ中外ニ發
  揚スベキ空前ノ好機會ヲ逸シタルコトハ
  私ハ遺憾千萬ナリト思フノデアリマス、私
  ハ去ル二日ノ夜ノ討論ニ於キマシテ、憲法
  論ニ基イテ私ノ意見ヲ述ベタノデゴザリマ
  スルガ、今日ハ只今述べマシタルガ如キ外
  交關係ノ紛糾、本院決議ノ無視、竝ニ國體
  ノ精華ノ發揮ニ積極的方法ヲ講ズル能ハザ
  リシコトヲ指摘ンテ政府ノ反省ヲ求メ、處
  決ヲ促ス意味ニ於テ本案ニ反對スルコトヲ
  重ネテ聲明スル者デアリマス

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• 010・元田肇

  ○議長(元田肇君)　眞鍋勝君
  〔眞鍋勝君登壇〕

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• 011・眞鍋勝

  ○眞鍋勝君　私ハ只今問題ト相成ッテ居リ
  マスル所謂緊急勅令其モノヽ內容自體ニ對
  シテハ異論ハアリマセヌ、サリナガラ政府
  ノ執リタル其手續、其見解ニ對シテハ聊カ贊
  成シ兼ネル所ノ點ガアルノデアリマス、仍
  テ警告ヲ付シ、而シテ此案ニ承諾ヲ與ヘン
  トスルノデアリマス、抑〓議會政治ヲ認メタ
  ル憲法政治ニ於キマシテハ、國民ノ權利義
  務ニ關スル重要事項ハ必ズ議會ノ決議ヲ
  經ナケレバナラヌコトハ明ナルコトデアリ
  マシテ、殊ニ懲罰法規ノ制度改廢ニ付キマ
  シテハ、憲法制度ノ發達ト、罪刑法定主義
  ノ沿革ヨリ致シマシテ、當然議會ノ決議ヲ
  經ナケレバナラヌコトハ是亦明ナコトデ
  アリマス、而シテ是ガ例外ハ所謂緊急勅令
  デアリマス、卽チ本議會ヲ經ベキコトヲ經
  ズニヤルノデアリマスカラシテ、正ニ一大
  例外デアルノデアリマス、而シテ此根據デ
  アリマス所ノ憲法第八條ニハ「緊急ノ必要
  ニ由リ帝國議會閉會ノ場合ニ於テ」トアル
  バカリデアリマスカラシテ、政府ガ緊急ノ
  必要ト認メタナレバ、議會閉會ノ場合ニハ
  何時デモ勝手次第ニ發令スルコトガ出來ル
  ヤウニモ見エルノデアリマス、而シテ又學
  者ノ中ニモ此見解ヲ執テ居ル者モアリマ
  シテ、此點ヨリ申シマスレバ私モ亦異論ハ
  ナイノデアル、サリナガラ無論同條ニハ議
  會開會ヲ待ツ能ハズナドト云フ、所謂憲法第
  七十條ニアルヤウナ字句ガアル譯デハアリ
  マセヌ、サリナガラ元來緊急ノ必要アリ、
  議會ノ議決ヲ要スル法律ニ代ル勅令デアリ
  マスル點カラ見マシテ、斯樣ナ字句ノ明記
  ハアリマセヌニ致シマシテモ、事態ノ切
  追、議會ヲ待ツコトガ出來ナイ場合ニ限リ
  マシテ、許サレルモノト解釋スルノガ當然
  デアルト信ズルノデアリマス、之ヲ議會開
  會ヲ待テルノニ、ソレニ頓著ナクヤルト云
  フコトニナリマシタナラバ假令同條第二項
  ニ依リマシテ、次ノ議會ニ提出シテ其承諾
  ヲ求メル條件ハアリマシテモ、議會ノ不承
  諾ト云フコトハ將來ニ向ッテノミ效力ヲ失
  フバカリデアリマスルガ、發令後議會ノ不承
  諾ノ間ハ立派ニ效力ガアルノデアリマスカ
  ラシテ、萬一亂暴ナル所ノ爲政者ガ現ハレ
  マシテ、此緊急勅令ヲ濫用スルニ於キマシ
  テハ、事甚ダ大ニナル虞ガアルノデアリマ
  ス、一體憲法第八條ノ所謂緊急ノ必要ト云フ
  コトハ事態ノ切迫、一日ヲ緩ウセバ公共
  ノ安全危殆ニ陷リ、國民ノ災厄避クルコト
  ヲ得ザル場合ヲ謂フノデアリマス、然ルニ
  是ガ昨年四月議會ニ提出致サレマシテ、政
  府ハンレ程其通過ニ努力セズ、審議未了ノ
  儘閉會ヲ致シマシタ、其後內部ニ反對ガア
  リ、或ハ其他ノ種々ノ政府ノ都合デ勝手ニ
  延ビ〓〓致シマシテ、四十日ヲ經過シテ漸
  ク樞府ニ提出ニナリ、六十日ニシテ初メテ
  緊急勅令ノ發布ト相成。タノデアリマス、
  而シテ世論ハ政府ハ議會恐怖病ニ罹ッタノ
  デアルト爲シ、輿論ハ明ニ緊急勅令ニ對シ
  マシテ反對ヲシテ居ッタヤウニ考ヘマス、尤
  モ大丈夫天下ノ國策ヲ爲サントスルニ當リ
  マシテハ世論ヲ顧ミル必要ハナイカモ知
  レマセヌ、サリナガラ政府ハ此世論ヲ恐レ
  タカノ如キ觀ガアルノデアリマス、卽チ議
  會ヲ恐怖シ、世論ヲ恐レタヤウナ觀ガアツ
  タノデアリマスルガ、吾人モ亦所謂政府ノ
  說明ヲ以テ致シマシテハ、如何ニモ尤デア
  ルトシテ滿足ガ出來ヌモノガアルノデアリ
  マス、否如何ニ考ヘマシテモ、此緊急勅令
  ナクシテハ此半年ノ間ニ國體變革ノ烽火揚
  リ、我ガ國體ノ危ウカルベキ事態ガ起ラン
  トスル兆候ガ迫リ來リツヽアルト云フコト
  ハ考へ得ラレナカッタノデアリマス、否正
  直ニ申シマスレバ、共產黨事件ヲ取扱フニ
  際シマシテ政府ノ執リマシタ見解、卽チ政
  府自ラ之ヲ吹聽セシコトハ、爲政者トシテ
  當ヲ得タモノデアルカ如何、私ハ此點ニ付
  テ深ク之ヲ疑ヒ、竊ニ政府ニ經國ノ見識ヲ
  懷ク人ナキヲ惜ミ、殊ニ本員ハ母校出身ノ
  俊才トシテ、且ツハ法曹界ノ鬼才トシテ現
  內閣ノ閣僚中最モ尊敬スル原法相ノ爲ニ惜
  ムノデアリマス、斯ク觀察スル所以ノモノ
  我國ハ建國三千年皇統連綿トシテ萬國
  無比ノ國體デアリ、古來我國ハ儒〓來ラバ
  之ヲ採リ、佛〓渡レバ之ヲ容レ、之ヲ同化
  シ、其長ヲ採リ其短ヲ補ヒ、神儒佛ノ融合
  ハ日本固有ノ精神ト爲リ、斯ノ如クニシテ
  東洋三千年ノ精神文化ハ元ト支那ニ發達致
  シマシタモノヲ、我國ガ之ヲ繼承スルコト
  ニ相成リマシタ、卽チ西洋ニ於キマシテ物
  質文明ヲ誇ル者ガアレバ、我ハ燦タル東洋
  三千年來ノ精神文化ガアルノデアル、我ガ
  萬國無比ノ國體ト、此東洋三千年來ノ精神
  文化ヲ有スル所ノ我國ニ於キマシテハ、健
  全ナラザル思想ガアリマシタト致シマシテ
  モ、私ハ斯ク政府當局者ノ如ク憂ヘルコト
  ハナカッタノデアリマス、否我ガ七千万國
  民ト共ニ、我ガ此世界ニ誇ルベキ所ノ此万
  國無比ノ國體ヲ有シ、此國民精神ヲ提ゲ
  テ、我國體ニハ微動ダモナシト信ジテ居ル
  ノデアリマス、サリナガラ今日ノ世態ヲ見
  マスト、憂國ノ士ノ言フガ如ク、人心ハ浮
  薄輕佻ニ陷リ、世道日ニ危ク、人心月ニ微
  ナリト云フ狀態ナキニシモアラズ、現在我
  國ニ於テ共產黨運動ノ相當ニ擴テテルコ
  トハ事實デアリマス、苟モ我ガ金甌無缺く
  大日本帝國ニ於キマシテ、千古不易ノ尊嚴
  ナル所ノ國體ノ變革ヲ企テントスルガ如
  キ者ハ一人アッテモ國史上ノ一大汚點デア
  リマス、空前ノ大事變デアリマス、朝野ヲ
  擧ゲテ其撲滅ニ力ヲ盡サナケレバナラヌノ
  デアリマス、殊ニ大戰以來破壞思想ノ浸潤
  シ來リマシテ、或ハ大逆事件トナリ、或
  各種祕密結社ノ計畫卜ナリ、遂ニ昨年ノ共
  產黨事件トナッタノハ、寔ニ設想ニ堪ヘザル
  モノガアルノデアリマス、事此ニ至リタル
  以上ハ速ニ是ガ善後ノ處置ヲ講ジ、之ヲ一
  掃スルニハ政府ト云ハズ、國民ト云ハズ、
  一致協力餘ス所ナキヲ努メナケレバナラヌ
  ノデアリマス、是レ恐クハ忠誠ナル全國民
  ノ意思デアルト信ズルノデアリマス、卽チ
  是ガ吾人ノ内容自體ニ異論ナキ所以デアル
  ノデアリマス、併ナガラ之ニ對シテ執ルベ
  キ處置方策ト云フモノハ、決シテ啻ニ之ヲ
  以テ滿足スルコトハ出來ナイノデアリマ
  ス、恐クハ政府ト雖モ死刑法ヲ制定致シマ
  シタナラバ、危險思想ハ立口ニ絕滅スル
  トハ考ヘテ居ナイノデアリマセウ、要スル
  ニ問題ノ眼目點トスル所ハ國民ノ弛緩セル
  所ノ精神ヲ緊張シ、汚濁セル思想ヲ其源ニ
  歸ラシメ、以テ益〓國民ノ國家的信念ヲ確實
  ニシ、之ヲ作興シ、將來永遠ノ基礎ヲ固定
  スルニ在リ、此事タル洵ニ言フニ易ク行フ
  ニ容易ナラザル所デアルノデアリマス、要
  スルニ此三千年來ノ我ガ國體ヲ-益〓國こ
  家ヲ泰山ノ安キニ置クト云フコトガ大眼目
  デアルノデアリマス、然ルニ是ガ對策トシ
  テ如何ナル嚴法ヲ制定致シマシテモ、爾ク
  權威ガアルモノトハ思ハヌノデアリマス、
  殊ニ人心思想ニ關スル刑罰ハ、國民全體ガ
  之ヲ無理モナキコトヽスルニ非ザレバ其
  威力ヲ發揮スルコトハ出來ナイノデアリマ
  ス、法律サヘアレバ行ハルヽト云フガ如キ
  ハ東洋思想ニ於キマシテ殊ニ之ヲ排斥
  シテ居ルノデアル、所謂古ノ名君名臣ノ爲
  サヾル所デアリマス、卽チ王者ノ政治ハ至
  誠ヲ以テ仁義ヲ行ヒ、覇道的ノ權力主義ヲ
  斥ケ、德化禮治ヲ主トシテ威壓法治ヲ卑
  天地自然ノ大法ニ基キ、上下和合、天
  地一致ノ政治ヲ行フト云フコトガ、卽チ王
  道的政治ノ理想デアルノデアリマス、尤モ
  絕對ニ權力ヲ排スル譯ニハ參ラヌノデアリ
  マスルガ、先ヅ事アル時ニハ之ヲ叱リ付
  ケルト云フヨリモ、之ヲ〓へ之ヲ指導シ、
  威嚇ヨリモ寧口之ヲ憫ミ、之ヲ善導スルト
  云フコトヲ忘レテハナラヌノデアリマス、
  樞密院ノ警告モ之ヲ要スルニ刑ノ重キガ政
  治ノ要諦デナイコトヲ明ニシタモノデアラ
  ウト思フノデアリマス
  〔此時發言スル者多シ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=11

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• 012・元田肇

  ○議長(元田肇君)　靜肅ニ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=12

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• 013・眞鍋勝

  ○眞鍋勝君(續)　前ニ申上ゲマシタ如ク、
  刑罰ハ重キガ故ニ威力ガアルモノデハアリ
  マセヌ、檢擧ノ周到嚴正ガ第一デアルベキ
  コトハ論ヲ俟タヌ所デアリマス
  〔此時發言スル者多シ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=13

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• 014・元田肇

  ○議長(元田肇君)　靜肅ニ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=14

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• 015・眞鍋勝

  ○眞鍋勝君(續)　要スルニ人ニ在リト信ズ
  ル、法律ハ死物デアリマス、之ヲ活用スル
  ト否トハ其人ヲ得ルト否トニ依テ岐レルノ
  デアル、檢擧ヲ補フニ嚴刑ヲ以テスルト云
  フコトハ、大ニ考慮ヲ要スルモノデアルト
  思フノデアリマス、凡ン世界ノ革命ハ之ヲ
  歷史ニ徵シマスルニ、革命ノ起ルノハ常ニ
  其國民ノ間ニ政治上又ハ社會上ニ於ケル所
  ノ不平不滿、是ガ勃發シ、瀰蔓シタルコト
  ニ其原因ヲ持ツコトハ、歷史ニ徵シテ明ナ
  ノデアリマス、若シ斯ノ如キ原因ガ强大デ
  アレバアル程、如何ナル嚴刑ヲ以テ之ヲ彈
  壓セントシテモ、其氣運ヲ防止スルコトハ
  甚ダムヅカシイノデアリマス、却テ其刑罰
  ヲ嚴重ニスレバスル程、一層反抗ノ氣運ヲ
  激成スルノ虞ガアル、サレバ政府ノ執ルベ
  キ方法トシテハ、嚴刑ヲ制定ヲ致シマシテ
  國民ヲ威嚇スルト云フヨリハ、政治ヲ公明
  正大ニシ、徒ニ言論ヲ抑制セズ、國民ノ不
  平若クハ社會ノ不滿ヲ除去スルト云フ方法
  ヲ講ジナケレバナラヌ、卽チ上ニ立ツ者ハ
  實踐躬行範ヲ國民ニ垂レル所ノ行ヒガナケ
  レバナラヌト私ハ考へルノデアリマス、而
  シテ從來緊急勅令ノ出タコトモ甚ダ少クナ
  イノデアリマスルガ、今度ノヤウニ刑罰法
  規殊ニ極刑ハ死刑マデモ含ム刑罰法規ヲ
  緊急勅令デヤッタ例ハ極メテ少ナイデア
  ラウト存ジマス、他ノ事項デサヘ憲法第八
  條ノ適用ハ最モ愼重ニシナケレバナラヌニ
  モ拘ラズ、死刑マデ含ム所ノ此刑罰法規ヲ
  殊ニ現內閣ハ昨年組閣前後、前內閣ガ財政
  上ノ緊急處分ヲ爲サントスルコトヲ非難ヲ
  致シマシテ、アノ場合ニモ實質上ノ損害ヲ
  顧ミズ、議會召集ヲ力說高調致シマシテ、
  憲法ノ正道ヲ踏ンダコトヲ誇リトスル同一
  內閣ガ、一年ヲ經ルヤ經ズシテ同樣ノコト
  ヲ行ハントスルコトハ、人ヲ責ムルニ急ニ
  シテ自ラ緩ナルノ憾ナキニシモアラズト私
  ハ信ズル、尤モ憲法第八章ト第七章ハ其規
  定ニ於テ多少異ナル所ガアリマスケレドモ、
  憲法ノ運用ニ於テハ私ハ同一デアルト信
  ズルノデアリマス、去リナガラ勅令ノ內容
  其モノニ對シテハ先刻申上ゲマシタ如ク、
  何等異論ハナイノデアリマス、故ニ私ハ之
  ニ對シテ警告ヲ付ケマシテ本案ニ對シテ承
  諾ヲ爲サントスルモノデアリマス、警告ハ
  「治安維持法改正ニ就キ非常立法ノ手續ヲ
  採リタルハ立憲ノ本義ニ鑑ミ頗ル遺憾トス
  今後斯ノ如キ重要法律ノ制定ニ關シテハ立
  法部ノ權限ヲ尊重セン事ヲ望ム」(拍手)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=15

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• 016・元田肇

  ○議長(元田肇君)　水谷長三郞君
  〔水谷長三郞君登壇〕

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• 017・水谷長三郎

  ○水谷長三郞君　私等ハ無產階級選出ノ代
  議士ト致シマシテ、斯ノ如ク暴虐飽ク所ヲ
  知ラザル階級的惡法、治安維持法緊急勅令
  ニ對シテハ斷乎トシテ反對スル者デアリマ
  ス、論者或ハ曰ク、本案ヲ以テ憲法違反ナ
  リトシ、其上ニ立ッテ反對スル人ガ多イノ
  デアリマスガ、吾々ハ本案ニ反對スルノハ、
  憲法違反デアルト云フ形式論ノ上ニ立ッテ本
  案ニ反對スル者デハアリマセヌ、今日無產
  階級ノ立場カラ考ヘマスレバ、憲法違反
  ナリノ疑ヲ懷ク者ハ獨リ緊急勅令ノミニハ
  止ッテ居ラナイ、憲法第二章ニ謳ハレタ所ノ
  臣民ノ權利、卽チ言論集會、結社ノ自由、
  或ハ信書ノ祕密、或ハ住居ノ保障、斯ウ云
  フモノハ今日ノ反動政府ノ下ニ於テハ-
  反動政治ノ下ニ於テハ木葉微塵ニ碎細サレ
  テ、動トモスレバ無產階級ノ立場カラ見レ
  バ憲法第二章ノ臣民ノ權利ハ一種ノ空文
  ノ如キ感ヲ懷カシムルノデアル、隨テ吾々
  ハ所謂此緊急勅令ノミヲ以テ憲法違反デア
  ルト云フ形式論ニ立ッテ居ル者デハアリマ
  セヌ、吾々ハモット深イ所ノ實質論、モン·
  深イ所ノ本質論ノ上ニユッテ本案ニ反對ス
  ル者デアル、卽チ治安維持法緊急勅令ハ愚
  カ、治安維持法其モノサヘモ廢止シナケレ
  バナラナイト云フ立場ニ立ッテ居ルノデア
  リマス、一部ノ經濟學者、一部ノ社會學者
  ノ說ク所ニ依リマスレバ、今日ノ經濟組織
  ハ資本主義的經濟組織ノ最後ノ段階デアル
  ト言ハレテ居ル、サウシテ其最モ特長的ナ
  表現ハ外、國際關係ニ關シテハ列强ノ弱小
  民族ニ對スル壓迫、本國ノ殖民地ニ對スル
  苛歛誅求トシテ現ハレ、内、國内關係ニ於
  キマシテハ、眼覺メントスル所ノ無產階級
  ニ對スル飽クナキ彈壓政治トナッテ現ハレ
  テ居ル、斯ウ云フ反動政治ノ下ニ於キマシ
  テハ、卽チ「ブルヂヨアー」ノ政治權力ヲ
  代表スル所ノ反動政治ノ尖銳化ニ對シマシ
  テハ、無產階級ノ陣營内ニ於キマシテモ、
  左翼、中間、右翼ト云フ、サウ云フ合法的政
  黨ノ外ニ、動トモスレバ斯ウ云フ合法的政
  黨ノ埒ヲ超エタル所ノ一種ノ思想、種
  思想團體ガ起ルト云フコトヲ、一部ノ人々
  ハ說イテ居リマス、吾々ハ必シモ其說ニ全
  部ノ信賴ヲ持チ、或ハ其說ヲ全部賛成スル
  者デハアリマセヌ、吾々ハソレニ對シテ或
  ハ多クノ反對論ヲ持ッテ居リマスガ、兎ニ
  モ角ニモサウ云フ說ヲ立テヽ居ル所ノ一部
  ノ經濟學者、一部ノ社會學者ガ存シテ居ル
  ノデアル、而モ吾々ハ斯ウ云フ說明ヲ聽ク
  ト共ニ、廣ク世界ノ情勢ヲ考ヘテ見マスト、
  英吉利ト云ハズ、佛蘭西ト云ハズ或ハ獨逸
  ト云ハズ、所謂支明國ト名ノ附イテ居ル所
  ノ國ミニ於キマシテハ一種ノ共產思想、
  一種ノ共產團體ガ存在シテ居ルノヲ吾々
  見セ付ケラレテ居ル、例ヘバ彼ノ「フアツ
  シスト」全盛ノ伊太利ニ於テモ、可ナリ多
  クノ共產黨々員ガ活躍シテ居ル、世界ニ於
  テ波蘭、伊太利ヲ除イテハ、總テノ國ニ於
  テ公認團體トシテ、彼等ノ團體ガ活躍シ
  テ居ル、斯ウ云フ事實ヲ吾々ガ見セ付ケラ
  レマシタ時ニ於テ、吾々トシテ考ヘナクテ
  ハナラナイノハ、斯ウ云フ共產思想ガ惡イ、
  或ハ斯ウ云フ共產團體ガ惡イト云フロト
  或ハ其他ノ價値判斷ヲ下ス前ニ、吾々ガ考
  ヘナクテハナラナイノハ、何故今日世界各
  國ニ於テハ斯ウ云フ思想ガ起リ、斯ウ云フ
  團體ガ起ルカト云フ所ノ根本義ニ遡シテ考
  ヘナクテハ吾々ハ問題ヲ根本的ニ把握ス
  ルコトガ出來ナイト一云フコトヲ、ハッキリ知
  ラナクテハナラヌノデアリマス「存在スル
  モノハ合理的デアリ、合理的ナルモノ又存在
  スル」トハ、單リ「ヘーゲル」學徒ノミノ言草
  デハアリマセヌ、吾々ハ此今日存在シタ所
  ノ思想、此今日存在シタ所ノ團體ニ對シテ、
  何故斯ウ云フ思想ガ存在シ、何故斯ウ云フ
  團體ガ存在スルカト云フ根本義ニ遡ラナク
  テハナラヌノデアル、是ハ單リ吾々ガ今日
  抽象的ニ何等ノ證據モ示サズニ言フノデハ
  アリマセヌ、既ニ特別議會ニ於テ尾崎行雄
  氏ノ思想國難決議案ノ說明ニ於テモ、此點
  ハ明ニ謳ハレテ居ル、又田中總理大臣ノ特
  別議會ノ施政方針ノ演說ニ於テモ、此點ガ
  明ニ謳ハレテ居ルノデアル、吾々ハ今日此
  儼然ト橫ノテ居ル所ノ思想、此儼然ト橫ッテ
  居ル所ノ團體ニ對シ、學者ハ學者ノ立場カ
  ラ、思想家ハ思想家ノ立場カラ考ヘナタテ
  ハナラナイ、就中政治家ハ-少クトモ現
  在政權ヲ握ノテ居ル所ノ政治家ハ、過去自分
  等ガヤッテ來タ所ノ政治形態ト云フモノガ、
  斯ウ云フ思想ノ發生、斯ウ云フ團體ノ發生
  ニ、何等カノ影響ヲ與ヘナカッタカドウカト
  云フコトヲ、ハッキリ反省シナタテハナラナ
  イト思フノデアリマス(拍手)然ラバ吾ガ謂
  フ所ノ根本的原因トハ何デアルカト云ヘ
  バ、ソレハ今日澎湃トシテ横ッテ居ル所ノ民
  衆ノ生活不安デアル、民衆ノ生活不安定デ
  アル、彼ノ有名ナ石川啄木ノ歌ニ「我ガ懷
  ク思想ハ總テ金無キニ因スル如シ秋ノ風吹
  ク」ト云フ歌ガアリマスガ、正ニ其歌ハ今
  日ノ所謂民衆ノ生活不安、隨テソレカラ發
  生スル所ノ思想ヲバ、簡單ナル文字デハア
  ルケレドモ、十分ニ說明シテ居ルノデアル、
  郎チ吾々ハ斯ウ云フ立、脚點ニ立シテ居ルガ
  故ニ、先ヅ勞働者ノ爲ニハ徹底的勞働組合
  法ヲ作ラナクテハナラナイ、罷業權ヲ認メ
  ナタテハナラナイ、團結權ヲ認メナクテハ
  ナラナイ、小作人ノ爲ニハ耕作權ヲ確立シ
  ナタテハナラナイ、彼等ノ罷業權ヲ認メナ
  クテハナラナイ、或ハ安月給取、或ハ小商
  人其他被壓迫民衆ノ生活不安ヲ取除ク爲
  ニ、吾々ハ思切ッタ徹底シタ所ノ生活安定
  ノ政治ヲ行ハナクテハナラナイト云フコト
  ヲ、吾々ハハッキリ知ラナクテハナラナイノ
  デアル、而モ今日政友會內閣ガ十七億何千
  万ト云フ豫算ヲバ吾々ノ前ニ押付ケテ、而
  モ其内ニ無產階級ノ生活安定ニ關シタ所ノ
  豫算ガ幾何アリヤト云フコトヲ考ヘルナラ
  バ吾々ハ轉夕感慨ニ堪ヘナイ、少クトモ
  緊急勅令ヲ出サントスル所ノ政府ハ此數
  宇ノ上ニ現ハレタ所ノ無產階級生活安定策
  ニ對シテ、十分反省シナクテハナラナイト
  云フコトヲ、吾々ハ斷言シテ憚ラナイノデ
  アリマス、總テノ物ハ流動シ、萬物ハ流轉
  スルトハ、單リ希臘ノ哲人ノミノ言葉デハ
  ナイ、吾々ガ棲ンデ居ル所ノ社會組織モ絕
  エズ動キ、絕エズ進化シテ居ル而モ此進
  化ニ付テ吾々人類ノ立場カラ考ヘナクテハ
  ナラナイノハ、此必然ニ流レテ居ル所ノ社
  會組織ノ進化ヲバ極メテ安ラカニ、極メテ
  滑カニ進化サセナクテハナラナイト云フノ
  ガ、吾々人類ノ上ニ課セラレタ大キナ義務
  デアル、社會進化ニハ血ヲ見ル所ノ進化
  1、血ヲ伴ハナイ所ノ進化トガアル、而モ
  其社會進化ヲシテ血ヲ件ハシムルカ、或
  血ヲ伴ハズニ滑カニ進化セシムルカ如何ト
  云フコトハ單リ其時代ノ支配階級ノ出方
  如何ニ懸シテ居ルト云フコトヲ、經濟學者ハ
  說イテ居ルノデアル、例ヘバ單リ基督ノ
  死或ハ「ソクラテス」ノ死、或ハ「ビスマ
  ルク」ノ彈壓政策、サウ云フヤウナ外國ノ
  例ヲ引イテ吾々ハ考ヘル必要ハナイ、少ク
  トモ吾々ハ明治維新ノ一ツノ例ヲ引イテモ
  能ク分ルノデアル、今日芝居デ觀タナラバ、
  彼ノ荒レ狂フ所ノ近藤勇ノ蠻勇ハ或ハ芝
  居デ觀タナラバソレハ面白イカモ知レナ
  イ、或ハ芝居デ見タナラバソレハ痛快デア
  ルカモ知レナイ、併ナガラ社會進化ノ立場
  カラ見タナラバ、アノ近藤勇ノヤウナ振舞
  ハ何等ノ益ガナイ、寧口害アルノミデアル
  ト云フコトヲ、吾々ハ知ラナクテハナラナ
  イ、ソレヨリモ彼ノ刀ニ衂ズシテ江戶城ヲ
  引渡シタ所ノ勝海舟ノ立場コソハ社會進
  化ノ上カラ見テ、吾々ハ十分認メナクテハ
  ナラナイ所ノ點デアラウト思フノデアル
  斯ウ云フ點ニ關シマシテ、斯ウ云フ立場ニ
  立ッテ、吾々ハ治安維持法緊急勅令ニ反對ス
  ル者デアル、今日治安維持法緊急勅令ニ關
  シテ色ニノ說ヲ爲ス者ガアル、併ナガラ此
  治安維持法緊急勅令ガ本當ニ正シイカ、本
  當ニ間違ッテ居ルカト云フ批判ヲスル資格
  アル者ハ、今日我國ノ「ブルヂヨアジー」デ
  ハナイ、又其「ブルヂヨアジー」ノ政治的代
  辯者デアル所ノ既成政黨デハナイ、治安維
  持法緊急勅令ガ本當ニ正シイカ、本當ニ間
  違シテ居ルカト云フ事ヲ批判スル資格ノア
  ル者ハ、我國ノ無產大衆唯一ツデアルト云
  フコトヲ知ラナクテハナラヌノデアル柏
  手、發言スル者多シ)斯ウ云フ意味ニ於キ
  マシテ、吾々ハ此治安維持法緊急勅令ガ正
  シイカ、或ハ間違ヲテ居ルカト云フコトヲ判
  斷スル爲ニ、吾々ハ卽座ニ議會ヲ解散シ、
  サウシテ不徹底デアルケレドモ、與ヘラレ
  タ普通選擧ノ下ニ、アノ特別議會ノ總選擧
  ト異ッテ、言論ノ自由ヲ保障セシメテ、今日
  我國ノ無產大衆ガ此治安維持法緊急勅令ニ
  對シテ、如何ナル憤ト、如何ナル憤激ヲ持ッテ
  居ルカト云フコトヲ、議會解散ニ依テ驗サ
  ナクテハナラナイト私ハ思フノデアル十日
  手)斯ウ云フ意味ニ於キマシテ吾々ハ卽座
  ニ議會ヲ解散シ、無產大衆ノ意思ヲ以テ、
  此治安維持法緊急勅令ヲ判斷シナケレバナ
  ラナイト思フ、最後ニ吾々ガ特ニ既成政黨
  ノ人とニ對シテ言フベキ所ノ問題ハ此治
  安維持法緊急勅令ノ採決ニ當リマシテ、記名
  投票ニ依ラズニ、無記名投票ニ依テ、簡單ニ
  片付ケヤウトスル策動ガ行ハレテ居ルト云
  フコトヲ知ッテ居ル、併ナガラ吾々ハソレニ
  對シテ、斷乎トシテ反對シナケレバナラナ
  イ、少クモ無產階級ノ利害ヲ代表スル吾々
  無產政黨ノ立場カラ言ヘバ、此大切ナル、
  此影響多キ所ノ治安維持法緊急勅令ヲバ
  單ニ起立ニ依テ、或ハ多數或ハ少數ト云フ簡
  單ナル態度ヲ以テ採決スルト云フコトニハ、
  吾々ハ絕對ニ反對デアル、吾々ハサウ云フ
  簡單ナ採決ニ依シテ、我國ノ無產大衆ヲシテ
  死刑ノ斷罪ニ、死刑ノ犠牲ニ送ルト云フコ
  トハ.絕對ニ反對デアルト云フコトヲ一言
  シテ、此壇ヲ降ラントスルノデアル
  〔此時發言スル者多シ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=17

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• 018・元田肇

  ○議長(元田肇君)　静肅ニ願ヒマス-名
  川侃一君
  〔名川侃一君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=18

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• 019・名川侃市

  ○名川侃一君　私ハ本案ニ付キマシテ、承
  諾ヲ與フルコトニ贊成スル者デアリマス、
  我國ハ天皇ガ統治權者デアルト云フコト
  ハ建國ト共ニ定シテ居ル所デアリマス、皇
  統ハ連綿ト致シマシテ天壤ト共ニ永遠無窮
  デゴザイマス、卽チ我國ハ天皇ガアッテ大
  日本帝國ハ存在シテ居ルノデアル(拍手)吾
  吾日本民族ハ天皇ノ下ニ統一セラレマシ
  テ天皇ハ臣民ヲ我子ノ如ク可愛ガッテ下
  サル、眞ニ君民一致デアル、其國體ノ精華
  ト云フモノハ字內ニ冠絕シテ居ルノデアリ
  やった。然ルニ第三「インターナシヨナル」ハ
  絕對ニ君主制、立憲制其モノヲ否認スルモ
  ノデアリマシテ、勞農獨裁ノ世界革命ヲ企
  テヽ居ルモノデアリマス、旣ニ御承知ノ通
  リ我國ニ於キマシテモ結社ヲ組織致シマシ
  テ、我ガ金甌無缺ノ國體ヲ、根柢ヨリ覆ザ
  ントシテ居ルノデアリマス、本案ノ委員會
  ニ於キマシテ、民政黨ノ橫山君ヨリ、斯ウ
  云フ過激思想ガ我國ニ起。タト云フコトハ、
  日〓及日露ノ戰爭以上ニ、我國ニ於テハ重
  大ナルコトデアルト云フコトヲ言ハレタノ
  デアリマスガ、吾々モ其樣ニ思ウテ居ルノ
  デアリマス、隨テ我ガ國民ト致シマシテ
  ハ、擧國一致自衞ノ手段ヲ講ゼナケレバナ
  ラヌ、又政府ト致シマシテモ、力ノ及ブ限
  リ必要ノ處分ヲセナケレバナラヌノデアリ
  マス、緊急勅令ノ條件ハ憲法八條ニ書イテア
  ル所デアリマシテ「天皇ハ公共ノ安全ヲ保
  持シ又ハ其ノ災厄ヲ避クル爲緊急ノ必要ニ
  由リ帝國議會閉會ノ場合ニ於テ法律ニ代ル
  ヘキ勅令ヲ發ス」斯ウ云フコトガ書イテア
  ルノデアリマス、政府ガ此憲法ノ條章ニ基
  キマシテ、共產主義ヲ撲滅スル爲ニ、本緊
  急勅令ヲ發シマシタコトハ、洵ニ適當ナコ
  トデアリマシテ、私ハ政府ノ勞ヲ多トスル
  者デアリマス、而シテ本案ガ極メテ適法ノ
  モノデアルト云フコトハ之ヲ形式的ニ及
  實質的ニ之ヲ觀察スベキモノデアリマス
  本案ノ緊急勅令ガ、發布ノ前ニ於テ之ヲ發
  布スベキ緊急ノ事情ノアッタト云フコトハ
  委員會ニ於テ政府ノ言明シテ居ル所デアリ
  マス、是ハ委員長ヨリ先回本會議ニ於テ報
  告シテ居ル所デアリマス、殊ニ彼等ガ
  我ガ皇室ノ殊遇ヲ非議致シマシテ、我ガ
  國民ガ感激シテ居リマスル所ノ最大ノ
  御盛候ノ擧行ニ絕對反對デアルト唱道致
  シ、露國ニ於キマスル所ノ東洋勤勞者共產
  主義大學、ソレニ在學シテ居ル所ノ邦
  人二十數人ノ者ニ對シマシテ、急遽我國
  ニ歸ノテ、サウシテ日本共產主義ノ組織整
  備.擴大ニ努力スベキ旨ヲ命ジテ、續々我
  國ニ歸フテ來タト云フ事實ガアルノデアリ
  マス此時ニ方リマシテ政府ガ安寧扶序維
  持ノ爲ニ、治安維持法ヲ改正スルト云フコ
  トハ洵ニ緊要ナ事デアリマシテ、政府ガ
  之ヲ緊急ノ要アリト認メテ之ヲ發シタト云
  フコトハ極メテ適當ナコトデアリマス
  (拍手)而シテ緊急勅令ノ要件デアル緊急ノ
  必要がアルカナイカト云フコトハ、何人ガ
  之ヲ決メルカト云ヘバ是ハ政府ガ決メル
  ノデアル、政府ガ其時ノ狀態ニ於テ、是一
  緊急ノ必要ガアルト認メレバ之ヲ發スル
  卽チ憲法ニ依ル緊急ノ必要アル所以デア
  ル、其緊急ノ狀況ノ有ル無シノ判定ト云フ
  コトハ議會ニ在ルノデハナイ、政府ニ在ル
  ノデアル、卽チ政府ガ緊急ノ必要アリト認
  メテ、此緊急勅令ヲ出シテ居ルノデゴザリ
  マスカラ、其緊急勅令ニ於テ憲法違反ナド
  ト云フ問題ノ起ルベキ筈ハ絕對ニナイノデ
  アリマス(拍手)民政黨ヲ代表セラレマシテ
  齋藤隆夫君ハ緊急勅令ノ規定ノ嚴罰ト云
  フコトニ付テハ吾々ハ反對セヌ、斯ル過激
  思想ガ起ルト云フコトニ付テハ、嚴重ニ取
  締ラナケレバナラヌ、斯ウ云フコトヲ言ウ
  テ居ラレル、卽チ實質ニ付テハ御反對ハナ
  イノデアル、形式ニ付テ反對シテ居ラレル
  ノデアリマス、共產主義ノ如ク大逆無道ノ
  行爲ヲ爲ス者ニ對シテ之ヲ嚴罰スルト云フ
  コトバ是ハ當然デアリマス、之ニ又反對
  ノアルヾキ筈ハナイノデアリマス、而モ斯
  ル大逆無道ノ者ガ、我國ニ起リマシテ、天
  壤無窮ノ國體ヲ根柢ヨリ覆サントシテ居ル
  ノデゴザイマスカラシテ、之ヲ取締ルト云
  フコトハ、一日モ忽セニスルコトハ出來ナ
  イノデアリマス、我國ニ於キマシテ是程緊
  急ナコトハナイト私ハ考ヘルノデアリマ
  ス、然ラバ之ニ對シテ緊急物令ヲ發シタ所
  ガ何處ガ惡イカ、何處ガ憲法ニ違反シテ居
  ルカ、民政黨ノ方々ハ憲法ノ所調緊急ノ必
  要アリト云フコトハ言ヘヌ、斯ウ云フコト
  ヲ言ハレル、然ラバ民政黨ノ方々ハ何時ニ
  於テ緊急ノ必要ガアッタカト見ラレルノデ
  アリマスカ、何時此法律ヲ改正スレバ宜イ
  ト言フノデアリマスカ、前回ノ齋藤若ノ議
  論デ見マスト、昨年ノ臨時議會ニ於テ宜シ
  ク議會ヲ延長シテ之ヲ決議スルヤウニシナケ
  レバナラヌ、ソレヲセナカッタノガ惡イト言
  ハレル、面シテ其時ニ民政黨ハ緊急ノ必要
  アリト認メテ居ラレル、此法律ヲ制定スル
  必要ガアルト認メテ居ラレル、ワレナラバ
  其議會ガ閉會ニナッタ後ニ於テ此法律ヲ制定
  スルコトハ適富デアル、緊急ノ理由ガアル
  ノデアリマス、議會ガ閉會シテ、店シテモ緊急
  ノ狀態ガ續イテ居ルナラバ緊急籾令ヲ出
  スコトガ何處ガ惡イカ、學者ノ言フ所ニ依
  リマスレバ、議會ニ法律ヲ出シテ其議會ガ
  解散ニナッタ場合、尙同ジ狀態デアルナラ
  パ直ニ緊急物令ヲ出スコトハ毫モ差支ナ
  イト言フコトニ學者ノ說ガ一致シテ居ルノ
  デアリマス、然ラバ議會ノ閉會ニナッタ時
  デアッテモ、民政黨ガ其時ニ出シテ解決シナ
  ケレバナラヌト云フ緊急ノ必要ヲ認メテ居
  ルナラバ其後ニ緊急勅令ヲ出シタコトニ
  就テハ寧口感謝スベキデアッテ、之ニ對シテ
  非議スベキ所ハナイ、議會ヲ延長シテ此法
  律ノ通過ニ努メナカッタト云フコトヲ責メ
  ルナラバ、責メル方法ガアリマセウ、此方
  法ヲ以テ此緊急勅令ヲ非難スル理由ニハナ
  ラヌ、又齋藤君ハ臨時議會ヲ召集シテヤレ
  バ宜カッタ、何故ニ臨時議會ヲ召集シナカツ
  タカト言フ、是亦繁急ノ必要ヲ認メテ居ル
  カラコン臨時議會ヲ召集セヨト云フノデア
  リマス、然ラバ緊急ノ必要ガアルデハナイ
  カ、アルノヲ緊急ノ必要ガナイト言フノハ
  ドウ云フ譯デアルカ、又齋藤石ハ次期議會
  卽ヲ本通常議會迄待夕レヌコトハナイト言
  フ、一體齋縣君ノ意兄ハ何處ニアリマスカ、
  昨年ノ臨時試會ニ於テ必ズ延長シテヤルベ
  キデアッテ、ヤラナカッタノガ不都合デアル、
  臨時議會ヲ召集シテ必ズヤラナケレバナラ
  ヌト言フ、今度ハ通常議會迄待アルモノヲ
  ヤッタカライカヌト言フ、論旨ハ何處ニア
  リマスカ、甚ダ理窟力分ラヌト思ヒマス、
  ソレカラ又本件ニ於キマシテ緊急ノ必要ア
  リトシテ政府ガ說明シタコトニ就テ、齋藤
  君ハ荒唐無稽ノ事質デアル斯ウ云フコト
  ヲ言ハレタ、齋藤君ハ辯護士デ在ラセラレ
  マスカラ、此議會ノ說明ヲ民事訴訟ニ於キ
  マスル所ノ當事者ノ主張ト同ジヤウニ考へ
  テ居ラレルモノト思ヒマス、民事ノ訴訟ニ
  於キマスル當事者ノ主張デアルナラバ、證據
  ガナケレバ其事實ヲ認ムルコトガ出來ナ
  イ、併ナガラ議會ニ於キマスル政府ノ事實
  ノ說明又ハ答辯ハ、決シテ證據ヲ擧ゲテ之
  ヲ證スル必要ハナイ、政府ガ責任ヲ負ウテ
  是ダケノ事實ガアルト云フコトヲ說明シテ
  居ル以上ハ、其事實ガ嘘デアルト云フ反對
  ノ證據ガアレバ格別、其證據ガナケレバ其
  事實ヲ眞實ト認ムルノガ當然デアル、ソレ
  ヲ荒唐無稽ト言ハレルノハ何處ニ荒唐無稽
  デアルト云フ證據ガアルカ、齋藤君ノ言ハ
  レル所、內ケ崎君ノ言ハレル所ヲ聽イテ見
  テモ、ソンナ理窟ハナイト思フ、甚ダ失禮
  ナガラ是ハ家デ坐ッテ居テ考ヘテ居ルダケ
  ノコトデアル、ソレハ屁理窟デアル、政府
  ハソレダケノ責任ヲ以テ事實ガアルト言
  3、其事實ガ虚僞デアルト一云フ反對ノ事實
  ガナイニ拘ラズ、此事實ヲ荒唐無稽デアル
  トシテ緊急ノ必要ガナイト言フノハ徒ニ
  反對センガ爲ニ反對スルト言ハレテモ辯解
  ノ辭ハナカラウト思ヒマス(拍手)ソレカラ
  齋藤君ハ露西亞カラ東洋勤勞者共產大學ノ
  生徒ガ二十人ヤ三十人歸ッテ來タノガ何ダ、
  ソンナコトハ恐レル必要ハナイト言ハレマ
  スガ、私等ハ是ガ恐ロシイ、金甌無缺ノ我
  國ニ於テ露西亞マデ行シテ共產主義ヲ修得
  シテ來テ大ニ宣傳セントスル者ガアル時
  分ニ、之ヲ取締ルノハ國ヲ憂フル者トシテ
  當然デアル、之ヲ放任シテ置クコソ國ニ不
  忠ナルモノデアル而シテ齋藤君ハ斯ウ云
  フ共產主義ノ者ハ嚴刑ヲ以テ取締ル必要ガ
  アルト言シテ贊成シテ居ルノデアリマスカ
  ラ、此緊急物令ヲ出スコトニ反對セラレル
  理由ハ私ハナイト思ヒマス、ソレカラ又民政
  黨ノ方ミハ形式上ノ攻擊ヲナサイマスケレ
  ドモ憲法ノ解釋カラ言ヘバ、形式上ノ攻
  擊ヲスルコトハ出來ヌモノデアル、全ク是
  ハ憲法ニ違反シタ誤シ夕主張ヲシテ居ラレ
  ルト思ヒマス、前ニモ申上ゲマス通リ、緊
  急勅令ニ於キマスル所ノ緊急ノ必要ガアル
  カドウカト云フコトニ付テハ、是ハ政府ガ
  解釋スベキモノデアル、政府ニ於テ緊急ノ
  必要アリトシテ之ヲ發布シテ居リマスカ
  ラ、隨テ此緊急勅令ハ有效ナルモノデアル、
  若シ民政黨ノ諸君ノ言ハレルガ如ク、憲法
  違反デアルナラバ、此緊急勅令ハ憲法ノ要
  件ヲ缺イタモノトシテ根本的ニ無效デナケ
  レバナラヌ、併ナガラ憲法ノ條章カラ言ッ
  テモ、根本的ニ無效ナモノデハナイ、唯將
  來ニ向ッテ其效力ヲ失フ旨ヲ公布スベシト
  書イテアリマス、之ニ依リマシテモ緊急勅令
  ハ根本的ニ無效ト云フコトハナイ、卽チ緊急
  デアルカ否カヲ政府ガ判斷シテヤルノデア
  ルカラ、是ハ適憲ノ行爲デアル、憲法ニ適
  シタ行爲デアル、憲法違反ノ行爲デハナイ、
  隨テ緊急勅令ヲ議會ニ提出致シマシテ、政
  府ノ承諾ヲ求ムルト一云フコトハ、此法令ヲ
  將來ニ向シテ、卽チ議會後ニ於テ尙ホ繼續
  スル必要ガアルカドウカニ付テ議會ノ意見
  ヲ求メルノデアル、ソレ以外ニハ何モナイ
  ノデアリマス、決シテ政府ノ責任解除ヲ求
  メル爲ニ出スモノデモ何デモナイ、隨テ緊
  急勅令ヲ出シテ、而シテ議會ノ開會マデニ
  其緊急勅令ガ廢止セラレタ場合ニ於テハ、
  決シテ此議會ノ承諾ヲ求メル必要ハナイ、
  是ハ諸君御承知ノ通リデアル、屢〓、先例ガア
  リマス、明治二十三年、明治二十九年、明
  治三十九年、明治四十三年ニ其先例ガ
  アリマシテ、議會ノ質問ニ對シテ政府
  ハ明ニ緊急勅令ハ議會後ニ於テ尙ホ存
  續スル必要アル場合ニノミ議會ノ承諾ヲ
  求ムベキモノデアル、ソレ以外ニ於テ議會
  ノ承諾ヲ求メル必要ハナイト云フコトヲ政
  府ニ於テ言明致シマシテ、議會ハ之ヲ承認
  シテ居ル、卽チ先例ニ依テ明ニナッテ居ル、
  サウ云フ次第デアリマスカラ、此勅令ガ將
  來ニ存續スル必要ガアルカドウカニ付テ
  ハ、議論ヲ進メル必要ガアリマスケレドモ、
  既往ニ遡テテ、此緊急勅令ヲ發スル當時、
  緊急ノ必要ガアッタカドウカト云フヤウナ
  議論ハ憲法ニ於テハ許サヌノデアル、其許
  サヌコトヲ民政黨ノ方こガヤッテ居ラレル
  ノデアッテ、全ク民政黨ノ諸君ハ憲法ノ解釋
  ヲ誤ッテ居ラレルモノデアラウト私ハ思フ
  ノデアリマス、而シテ民政黨ハ曩ニ申ス通
  リニ、此緊急勅令ニ依ル刑罰ハ適當デアル
  ト云フコトヲ認メテ居ラレルノデアリマ
  ス、卽チ緊急勅令ニ贊成シテ居ラレルモノ
  デアル、唯、何カ辭柄ヲ設ケテ之ニケチヲ
  付ケラレヤウトスルノデアッテ、實質ニ於テ
  ハ賛成シテ居ラレルモノデアルト吾々ハ斷
  定スルノデアリマス、若シ民政黨ノ諸君ノ
  言ハレルガ如キ方法ニ依リマスト、甚ダシ
  キ不利不便ヲ生ズルト思フノデアリマス、
  ソレハドウ云フ譯デアルカト申スト、若シ
  此緊急勅令ヲ議會ニ於キマシテ不承諾ヲ致
  シマシタ時ニハ、緊急勅令ニ依リテ變更セ
  ラレタル前ノ治安維持法其モノガ復活スル
  カドウカト云フコトハ大變ニ議論ノアル所
  デアル、モウ絕對ニ復活スルモノデナイト
  云フ說ガ中〓有力デアル、又復活スルト
  云フ議論モアリマス、若シ復活シナイト云
  フ議論ガ立ツコトニナリマシタナラバ、今實
  ニ大ソレタ大逆無道ノ被告人ガ澤山捉ッテ
  居ル、此緊急勅令發布ノ後ニ於テモ捉ヘタ
  者ガアル、所ガ是ガ不承諾ニナッテ前ノ維持
  法モ復活セヌト云フコトニナッタナラバ、此
  被告人ハ無罪トシテ放スヨリ外ニ方法ガナ
  イ、民政黨ハ之ニ不承諾ヲ主張セラレルト
  云フナラバソレニ對シテドウ云フ對策ヲ
  考ヘテ居ラレルカ、如何ナル方法ニ依リテ
  此不逞ナル者ヲ取締リ處罰セントシテ居ラ
  レルノデアリマスカ、其對策ノ方法モ考ヘ
  ズ徒ニ理論ニ囚ハレテ、之ニ不承諾ヲ唱ヘ
  ラレルト云フコトハ決シテ國ニ忠ナル所
  以デハナイト私ハ信ズルノデアル、ソレカ
  ラ齋藤君ハ樞密院ニ於テ一部ノ反對ガアッ
  タト言ハレルガ、ソンナコトハ議論ニナラ
  ナイ、議決ニナッタト云フコトハ當然デア
  ル、又吾々モ滿足シナカッタト云フコトヲ
  齋藤君ハ言ハレテ居ル、如何ニモサウデア
  リマセウ、一昨年民政黨內閣ガ倒レテカラ
  今日マデ、民政黨ノ御方デ御滿足ナル御方
  ハ一人モアルマイ、今議會始ッテ以來今日ニ
  至ルマデ、每日御不滿ナコトバカリデアラ
  ウ、如何ニモ御同情申上ゲマス、併ナガラ
  貴方ノ御不滿ヲ以テ直ニ此緊急勅令ガ違法
  デアルトカ不當デアルトカ云フコトハ、理
  由ニハナリマセヌ、齋藤君ノ御不滿ヲ以テ
  此緊急勅令攻擊ノ事情ニハナラヌト思ヒマ
  ス、又内ケ崎君ハ色ヒト御議論ナサレマシ
  タガ、其言ハレルコトハ何ヲ言ハレルノカ
  些トモ私ニハ分ラヌ、倫理ノ講義ミタヤウ
  ナモノデアル、何ノ事カ分ラヌ、何カ寬嚴
  宜シキヲ得テ善處シナケレバナラヌト言ハ
  レルガ、其寬嚴宜シキヲ得テ善處シナケレ
  バナラヌト云フコトハ何ノコトカ些トモ分
  ラヌ、又何カ社會施設ヲシナイカライケヌト
  云フコトヲ言ハレル、地租營業稅ノ委讓ヲ
  スルダケノ財源ガアルナラバ社會施設ヲ
  セイト言ハレルガ、地租營業稅ノ地方委讓
  ト云フコトガ社會施設デアルト云フコトガ
  御分リニナラヌノデアル、是ガ御分リニナ
  ラヌデ此處デ御議論ナサルト云フコトハ洵
  ニ不都合デアル、又英吉利ニ於テハ斯ウ云
  フ立法ヲヤッテ居ル、斯ウ云フ施設ヲシテ
  居ルト云フコトヲ色〓ト御讀上ゲニナリマ
  シタガ、ソレハ財政ノ問題デアル、英吉利
  ノ財政ト日本ノ財政ト比較シテ御考ニナラ
  ナケレバナラヌ、三井ガ多大ノ資產ヲ持ッテ
  居ッテ慈善病院ヲ拵ヘタカラ、吾々貧乏人ニ
  才前モ慈善病院ヲ拵ヘロト言ッテモ出來ナ
  イ相談デアル、是ハ國ノ財政ニ依テ決マル
  モノデアル、英吉利デ斯ウ云フコトヲヤッテ
  居ルカラ、日本デモヤラナケレバナラヌト
  云フコトハナイ、所謂學者ガ世事ニ迂イト
  云フノハ是ヲ言フノデアル、政治ト云フモ
  ノハサウ云フモノデハナイ、實際ノ財政ニ
  重キヲ置イテ、ドレダケノ施設ガ出來ルカ
  ト云フコトヲ以テシナケレバナラヌノデア
  リマス、要スルニ內ケ崎君ノ議論ハ學者ノ
  空理空論デアッテ、其結果ニ於テハ何ヲ言ッ
  テ居ルカ分ラヌ、反對ノ根據ハ一ツモナイ
  ト思フノデアリマス、又本會議ニ於キマシ
  テハ餘リ議論ガナカッタノデアリマスガ、無
  產黨ノ方ミニ於テハ此刑ガ重イトカ此
  法律ヲ廢止シナケレバナラヌト云フヤ
  ウナ質問ガアリ、議論ガアッタノデアリ
  マスルケレドモ、是ハ吾々トハ全然根
  本觀念ガ違フ、治安維持法ガ要ラヌト
  云フ御說デアル本件ハ要ル要ラヌ、
  ト云フノデハナクシテ、旣ニ出來テ居ルモ
  ノニ改正ヲシタコトニ對シテ、承諾ヲ與ヘ
  ルカ與ヘナイカト云フノデアルカラ、根本
  ガ違フノデアルカラ、之ニ付テハ深ク論ズ
  ル必要ハナカラウト思フノデアリマス、併
  シ此死刑其モノヲ緊急勅令デ出スノガ正當
  デアルカドウカト云フコトハ委員會ニ於
  テ色こ論議セラレタモノデアリマシテ、武
  富君ノ質問ニ於キマシテモ、刑法ノ內亂罪
  ノ規定ニ比シテ刑罪ガ重過ギルト云フヤウ
  ナ議論モアッタノデアリマス、併シ此內亂罪
  1、國體變革ニ關スル結社ヲ罰スル罪ト云
  フモノハ、全然内容ガ違フ、內亂罪ト云フ
  モノハ極メテ發覺容易デアッテ、其檢擧モ樂
  デアル、然ルニ祕密結社ハ容易ニ發覺出來
  ズ、犯スニ極メテ易イモノデアル、而モ內
  亂罪ト云フガ如キモノハ多クハ國體ニ關ス
  ルモノニアラズシテ、政治上ノ意見ニ依テ
  ヤルモノデアル、所謂西南戰爭ナドモソレ
  デアル、國體變革ニ關スル罪ハ全瓶無缺ノ
  我國ヲ根柢的ニ覆サントスル大逆無道ノモ
  ノデアルカラ、此事ニ對シテ重キ刑ヲ課ス
  ルト云フコトハ當然デアラウト私ハ思フ、
  之ヲ內亂罪ノ規定ト比較シテ彼此レ言ハレ
  ルノハ的ヲ外レタル議論デアルト思フ、
  刑罰ノ沿革ヲ考ヘマスルト云フト、昔ハ所
  謂復讐主義トカ、報復主義トカ、色ニトム
  ヅカシイ嚴罰ガ行ハレテ來タノデゴザイマ
  スケレドモ、其後「カント」「ヘーゲル」ノ精
  神派哲學ガ出テ來、「ルソー」ノ自由民權說
  ガ盛ニナルニ從ヒマシテ「ベッカリア」ナド
  ハ刑罰ト言フモノハ自由、正義、平等、博
  愛ノ觀念ニ基カナケレバナラヌト云フコト
  ニ於キマシテ、其刑ヲ成ベク博愛主義、自
  由主義ニシナゲレバナラヌ、刑ノ範圍ヲ極
  メテ狹ク、卽チ罪ヲ憎ンデ人ヲ憎マヌト云
  フ、罪ニ對シテ刑ヲ課スルト云フコトニナ。ツ
  ダ、佛蘭西刑法ガ之ニ則。タモノデアッテ、我
  舊刑法モ亦之ニ則ッタモノデアル、然ルニ
  其後「ロンブロゾー」ナドガ出テ來テ、斯ウ
  云フ刑ノ範圍ノ狹イコトハ極メテイカヌト
  云フ說ガ有力ニナッタ、卽チ「ロンブロ
  ゾー」ノ言フ所ニ依レバ、國ヲ刑罰其モノニ
  依テ治メルト云フコトハ醫者ガ病人ヲ診
  ルヤウナモノデアッテ、一律ニ輕イ刑罰デ國
  ヲ治メントスルノハ、反塊丹ヤ千金升デ總
  テノ病氣ヲ治サントスルノト同ジデアル
  是デハイケナイ、總テノ病氣ハ醫者ガ診テ
  適應スル藥ヲヤッテ始メテ病氣ガ治ルノデ
  アル、從テ刑罰ニ於テハ刑ハ餘程廣クシナ
  ケレバナラヌ、或ル意味ニ於テ刑法ノ刑ト
  云フモノハ惡イコトヲシタカラ罰スル位ニ
  シテ置イテ、其以上ハ裁判官ノ自由栽量ニ
  スベキモノデアルト云フノガ卽チ「ロンブ
  ロゾー」ノ說デアル、其後「リスト」ナドノ
  中庸ノ說ガ出マシテ、刑ノ範圍ハ成ベク廣
  クセヨト云フコトニナッテ、今日ノ立法政策
  ハ「リスト」ナドノ中庸說ガ主ニ活用サレテ
  居ル、卽チ緊急勅令ニ於キマシテハ重キハ
  死刑ヨリ無期、五年以上ノ懲役ト云フコト
  ニナッテ居ッテ、五年ノ懲役カラ死刑ト云フ
  極メテ廣キ範圍ニ於テ、其人ノ悔悛ノ狀
  況濟度スベカラザルモノデアル、感情ノ
  如何等總テヲ見テ適當ノ刑ヲ定メルト云
  フ、極メテ便宜ナル所ノ活殺自在ノ刑法ヲ
  設ケテアルノデアル、ソレヲ死刑ト云フ最
  極刑バカリ見テ、此罪ハ重イナドヽ言ハレ
  ルノハ全ク刑事政策其モノヲ知ラヌ所ノ
  愚論デアルト私ハ思フ(拍手)サウ云フヤウ
  ナ次第デゴザイマスルカラシテ、要スルニ本
  緊急勅令ニ於キマシテ、斯ウ云フ廣キ刑ノ
  範圍ヲ決メマシテ、大逆無道ノ犯罪ヲ鎭壓
  セントシテ、政府ガ緊急必要アリトシテ之
  ヲ設定シタト云フコトハ極メテ適當ナル
  事デアリマシテ、深ク議會トシテハ感謝シ
  ナケレバナラヌモノデアラウト思フ、反對
  ナドヽ云フコトハ以ノ外ノコトデアルト私
  ハ思フノデアリマス、徒ニ刑事政策ニノミ
  奔ッテハイカナイ、拔本塞源ノ途ヲ講ジテ社
  會政策ヲ實行シナケレバナラヌ、〓育ノ改
  善、諸設備ノ充實、種々ナル方法ヲ講ジナ
  ケレバナラヌ、是ハ當然デアル、是等ノモ
  ノヲ一面ニスルト同時ニ、一面ニ刑罰ヲ以
  テ之ヲ治メルト云フコトハ適當ナル事デア
  ル、昔ヨリ自分ノ子供ヲ育テルノニモ片
  方ニ劍ヲ持チ、片方ニ「パン」ヲ持タナケレ
  バ子供ハ育テラレヌト言ウテアルノデア
  ル、國ヲ治メルノデモ同ジ事デアル、一 四
  ニ於テ嚴肅ナル刑罰ヲ加味シタル法律ヲ以
  テ國民ヲ律シ、一面ニ於テ社會施設ヲシテ
  國民ヲ救フ、兩々相俟シテ卽チ國ト云フモノ
  ハ治シテ行ク、其刑罰法規ヲ設ケタコトニ對
  シテ徒ニ議論ヲ唱ヘテ、是ガネ當デアルト
  云フガ如キハ全ク刑事政策ト云フモノヲ
  知ラヌ所ノ愚論デアルト私ハ思フノデア
  ル、サウ云フ次第デゴザイマスルカラシテ、
  私ハ原案ニ對シテ賛成ノ意ヲ表スル者デア
  リマス、無產黨ノ方ミハ斯ウ云フ立法ハ無
  產大衆ノ意思ニ反スルモノデアル、斯ウ云
  フ立法ヲ作ルト云フト、無產大衆ハ澎湃ト
  シテ必ズ之ニ反抗スルト云フガ如キ意味ノ
  コトヲ、水谷君ハ委員會ニ於テ言ハレタノ
  デアル、併シ一體常ニ無產黨ノ方ニハ何カ
  ト云フト、吾々ハ無產者代表、吾々ハ無產
  者ノ代表ト仰シヤルケレドモ、吾々ハ甚ダ
  ソレニ不賛成デアル、日本全國ノ無產者ト
  云フモノガ、決シテ諸君ニノミ代表ヲ依賴
  シテハ居ナイノデアル、吾々ハ殆ド大部分ノ
  無產大衆ヲ代表シテ、有ラユル社會施設ヲ
  シテ無產者救濟ニ當ッテ居ル、決シテ無產黨
  諸君ダケノ一手販賣デハナイノデアル(拍
  手)諸君ハ斯ウ云フ治安維持法ヲ拵ヘルト
  無產大衆ガ反抗スルト言ハレルガ、是ハ甚
  ダ無產者其者ヲ虐ゲテ詰リ陷レル議論デ
  アル、我ガ忠良ナル國民ハ金甌無缺ノ國體
  ヲ維持スル爲ニ、何處迄モ嚴重ナル法律ヲ
  拵ヘテ之ヲ護ルト云フコトハ何人モ希望
  シテ居ルノデアル、此法律ニ反對スル忠良
  ノ國民ハ極メテ少ナイノデアル、ソレヲ何
  カ無產者大衆ノ全部ガ之ニ反對スルガ如ク
  言ハレルノハ無產者其者ヲ陷レル議論デ
  アル、甚ダ無產黨ノ爲ニ惜ムモノデアリマ
  ス
  〔此時發言スル者多ク議場騒然〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=19

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• 020・元田肇

  ○議長(元田肇君)　靜肅ニ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=20

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• 021・名川侃市

  ○名川侃市君(續)　民政黨ノ方ヒハ現内閣
  ハ社會政策ヲ行ハヌト云フコトヲ以テ攻擊
  シテ居ラレルノデアル、併ナガラ此共產主
  義其モノガ我國ニ抑、兆シテ來タト云フコ
  トハ餘程前カラデアル、故ニ民政黨內閣ニ於
  テハ治安維持法ト云フモノヲ拵ヘテ之ヲ
  取締ラントシテ居ラレル、ソレ程ナ民政黨内
  閣ニ於テ社會施設ノ何物ヲシテ居ルカ、酒
  ノ稅金ト煙草ノ値上ハヤッテ居ルケレドモ、
  何モノモ社會施設ヲシテハ居ナイデハナイ
  カ、其人間ガ現內閣ハ社會施設ヲシナイナ
  ドヽ言シテ攻撃スル資格ガ何處ニアル、私ハ
  一ミ列擧致シマセヌガ、本年ノ豫算ニ於テ
  多クノ社會施設ヲ致シ、一面ニ社會政策ヲ
  行ヒ、一面ニ刑事政策トシテ此緊急勅令ヲ
  出シテ居ル、極メテ適當ナル方法デアリマ
  スカラ、要スルニ民政黨及無產黨ノ方ミノ
  攻擊ハ一ツモ當ラヌモノデアル原案ニ承
  諾ヲ與ヘルノハ極メテ當然ノ事デアルト思
  ヒマシテ、之ニ賛成ノ意ヲ表スル者デアリ
  マス(拍手)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=21

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• 022・原惣兵衞

  ○原惣兵衞君　本案ニ對スル討論ハ之ヲ以
  テ終結セラレンコトヲ望ミマス
  〔「賛成」「贊成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=22

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• 023・元田肇

  ○議長(元田肇君)　原惣兵衞君ヨリ討論終
  結ノ動議ガ出マシタ、御異議ハゴザイマセ
  ヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=23

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• 024・元田肇

  ○議長(元田肇君)　討論ハ多數ニ依テ終局
  シタモノト看做シマス、是ヨリ採決ヲ致ス
  ノデアリマスルガ、本案ノ採決ニ對シ淺原
  健三君外三十名ヨリ記名投票ヲ以テスベシ
  トノ要求ガアリマス、仍テ本案ノ採決ハ之
  ヲ記名投票ヲ以テ致シマス
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=24

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• 025・元田肇

  ○議長(元田肇君)　是ヨリ記名投票ヲ行ヒ
  マスガ、念ノ爲ニ申上ゲテ置キマス、緊急
  勅令ニ承諾ヲ與フベシトスル贊成ノ諸君ハ
  白票、反對ノ諸君ハ靑票ヲ御持參セラレン
  コトヲ望ミマス閉鎖-氏名點呼ヲ命ジマ
  ス
  〔書記官氏名ヲ點呼ス〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=25

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• 026・元田肇

  ○議長(元田肇君)　投票漏ハアリマセヌカ
  〔「アリマス」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=26

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• 027・元田肇

  ○議長(元田肇君)　投票漏ハアリマセヌ
  カ-投票漏ハナイト認メマス、投票函閉
  鎖-開匣-開鎖
  〔書記官投票ノ數ヲ計算ス〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=27

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• 028・元田肇

  ○議長(元田肇君)　投票ノ結果ヲ書記官長
  ヨリ報告セシメマス
  〔中村書記官長朗讀〕
  投票總數四百十九
  可トスル者白票二百四十九
  否トスル者靑亜示百七十

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• 029・元田肇

  ○議長(元田肇君)　本案ハ承諾ヲ與フルコ
  トニ決定致シマシタ(拍手)
  〔參照〕
  承諾ヲ與フヘシトスル議員ノ氏名左ノ如
  シ
  石井次郞君石射文五郞君
  石坂養平君石坂豊一君
  岩崎一高君岩本武助君
  岩川與助君磯部尙君
  磯部〓吉君磯野庸幸君
  伊坂秀五郞君伊原五郞兵衞君
  井口延次郞君井上孝哉君
  井出繁三郞君池田龜治君
  今井健彥君飯村五郞君
  犬養毅君生田和平君
  板谷順助君出井兵吉君
  原惣兵衞君鳩山一郞君
  秦豊助君濱田國松君
  八田宗吉君箸本太吉君
  英義彥君林路一君
  西岡竹次郞君西方利馬君
  西村茂生君堀切善兵衞君
  星島二郞君土井權大君
  富田八郎君豐田收君
  大澤寅次郞君大口喜六君
  大橋亦兵衞君大崎清作君
  小用平吉君小山寬藏君
  小野寺章君岡田忠彥君
  岡田伊太郞君沖島鎌三君
  若宮貞夫君渡邊德助君
  加藤知正君加藤久米四郞君
  加藤鐐五郞君川口義久君
  川島正次郞君川原茂輔君
  河上哲太君蔭山貞吉君
  粕谷義三君上條信君
  金光庸夫君金澤安之助君
  龜割安藏君菅野善右衞門君
  吉津度君吉植庄一郞君
  吉木陽君横堀治三郞君
  橫山泰造君高橋光威君
  高橋金治郞君高橋熊次郞君
  高山長幸君田邊熊一君
  田邊七六君田子一民君
  竹內友治郞君竹內鳳吉君
  竹下文隆君立川太郞君
  胎中楠右衞門君武田德三郞君
  丹下茂十郞君玉野知義君
  多田勇雄君津雲國利君
  中村亨君中村巍君
  中島守利君中島鵬六君
  中井一夫君中川原貞機君
  中橋德五郞君中谷貞賴君
  中野猛雄君中山貞雄君
  鳴海文四郞君名川侃市君
  成清信愛君永田良吉君
  向井倭雄君武藤七郞君
  內田信也君內野辰次郞君
  上埜安太郞君上塚司君
  植原悅二郞君野田俊作君
  熊谷巖君熊谷直太君
  久山知之君久原房之助君
  國枝捨次郞君郡谷照一郞君
  倉元要一君工藤十三雄君
  葛原猪平君山本唯次君
  山本悌二郎君山本愼平君
  山本条太郞君山口義一君
  山口忠五郞君山口恒太郞君
  山崎猛君山崎達之輔君
  山下谷次君矢野鉉吉君
  矢野晋也君矢野力治君
  矢本平之助君安原仁兵衞君
  松本君平君松本孫右衞門君
  松村光三君松浦五兵衞君
  松岡俊三君松野鶴平君
  松田三德君松實喜代太君
  牧野賤男君牧野良三君
  前田米藏君枡谷音三君
  藤沼庄平君藤井達也君
  福井甚三君二神駿吉君
  小谷節夫君木暮武太夫君
  兒玉右二君遠藤柳作君
  靑本雷三郞君靑木精一君
  靑山憲三君安藤正純君
  赤尾藤吉郞君淺石惠八君
  秋田〓君有馬秀雄君
  東武君佐々木久二君
  佐々木長治君佐々木平次郞君
  佐藤安之助君佐竹直太郞君
  坂本一角君坂本志魯雄君
  坂井大輔君齋藤巖君
  齋藤藤四郞君木村〓治君
  木本主一郞君岸田正記君
  宮古啓三郞君宮澤裕君
  宮脇長吉君宮川一貫君
  三輪市太郞君三土忠造君
  三浦數平君三井德寶君
  水島彦一郞君水久保甚作君
  島田俊雄君嶋居哲君
  庄司良朗君庄晋太郞君
  〓水銀藏君志賀和多利君
  平賀周君平井信四郞君
  平出喜三郞君廣岡宇一郎君
  廣瀨爲久君匹田銳吉君
  肥田琢司君久恒貞雄君
  森〓昶君森恪君
  森正則君森田政義君
  森本千吉君望月圭介君
  鈴木吉之助君鈴木英雄君
  鈴木隆君鈴本五六君
  鈴木巖君鈴本安孝君
  菅原傳君砂田重政君
  須之內品吉君千葉三郞君
  太田信治郞君奧村千藏君
  鬼丸義齋君河崎助太郞君
  田崎信藏君田中善立君
  檀野禮助君堤〓六君
  武藤山治君藤原米造君
  小寺謙吉君河野正義君
  三宅利平君井坂豐光君
  原耕君花城永渡君
  本多貞次郞君東〓實君
  沼田嘉一郞君大內暢三君
  小野寅吉君高鳥順作君
  瀧正雄君津崎尙武君
  長島隆二君熊谷五右衞門君
  藏園三四郞君眞鍋勝君
  寺田市正君赤塚正助君
  崎山武夫君岸本康通君
  志村〓右衞門君志波安一郞君
  森肇君
  承諾ヲ與フヘカラストスル議員ノ氏名左
  /四
  井本常作君井上剛一君
  飯塚知信君飯塚春太郞君
  池田敬八君一宮房治郞君
  伊禮肇君原脩次郞君
  原夫次郞君原田佐之治君
  林平馬君濱口雄幸君
  坂東幸太郞君西脇晉君
  西村丹治郞君西英太郞君
  本田英作君本田恒之君
  戶井嘉作君戶田由美君
  戶澤民十郞君富田幸次郞君
  小野重行君小俣政一君
  小峰滿男君小山倉之助君
  小川郷太郞君大野敬吉君
  大西正幹君大里廣次郞君
  岡本實太郞君岡本幹輔君
  奧山龜藏君長內則昭君
  川崎安之助君川崎克君
  河西豐太郞君勝田永吉君
  勝正憲君神田正雄君
  神部爲藏君加藤鯛一君
  漢那憲和君橫山勝太郞君
  橫山金太郞君高木益太郞君
  高木正年君高橋元四郞君
  高田耘平君高島兵吉君
  田中万逸君田中千代松君
  田中養達君田中隆三君
  武內作平君武富濟君
  賴母木桂吉君谷口源十郞君
  俵孫一君添田敬一郞君
  土屋〓三郞君堤康次郞君
  中村繼男君中村啓次郞君
  中島彌團次君中崎俊秀君
  中野正剛君永田善三郞君
  永井柳太郞君村上國吉君
  村松恒一郞君紫安新九郞君
  鵜澤字八君海野數馬君
  內ケ崎作三郞君臼田久內君
  野田文一郞君野中徹也君
  野村嘉六君則元由庸君
  栗原彥三郞君工藤鐵男君
  黑金泰義君山田又司君
  山田道兄君山田毅一君
  山邊常重君山道襄一君
  山崎傳之助君山本厚三君
  八木逸郞君松田竹千代君
  松田源治君松尾四郞君
  松本忠雄君松井文太郞君
  松村謙三君前田房之助君
  枡谷寅吉君牧山耕藏君
  增田義一君町田忠治君
  藤澤幾之輔君藤田若水君
  藤井啓一君福田五郞君
  降旗元太郞君深水〓君
  小山谷藏君小泉又次郞君
  小坂順造君小橋一太君
  小池仁郞君木檜三四郞君
  寺島權藏君田昌君
  安倍邦太郞君安達謙藏君
  淺川浩君佐藤正君
  佐藤與一君佐藤啓君
  櫻內辰郞君櫻内幸雄君
  櫻井兵五郞君齋藤隆夫君
  齋藤太兵衞君柵瀨軍之佐君
  作田高太郞君澤本與一君
  木村秀興君木村小左衛門君
  岸衛君三宅磐君
  三浦虎雄君宮原幸三郞君
  〓水留三郞君〓水德太郞君
  斯波貞吉君下元鹿之助君
  重松重治君定塚門次郞君
  平川松太郞君松定吉君
  廣瀨德藏君比佐昌平君
  森峰一君森田茂君
  森保祐昌君瀨川光行君
  鈴木富士彌君鈴木憲太郞君
  菅原英伍君菅村太事君
  杉浦武雄君末松偕一郞君
  尾崎行雄君河上丈太郞君
  龜井貫一郞君鶴見祐輔君
  久野尊資君山本宣治君
  山崎延吉君小山邦太郞君
  安部磯雄君淺原健三君
  水谷長三郞君椎尾辨匡君
  鈴木文治君〓瀨一郞君

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• 030・元田肇

  ○議長(元田肇君)　議事日程第二、第三八、
  便宜上一括議題ト爲スニ御異議アリマセヌ
  カ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 031・元田肇

  ○議長(元田肇君)　御異議ナシト認メ一括
  シテ議題ニ供シマス、日程第二、船舶職員
  法中改正法律案、日程第三、無線電信法中
  改正法律案ノ兩案ヲ一括シテ第一讀會ヲ開
  キマス-久原國務大臣
  第二船舶職員法中改正法律案(政府
  提出)第一讀會
  船舶職員法中改正法律案
  船舶職員法中左ノ通改正ス
  第一條第二項中「二等運轉士、機關長及一
  等機關士」ヲ「二等運轉士、三等運轉士、
  機關長、一等機關士、二等機關士及三等
  機關士」ニ改ム
  第五條第一項中「試驗ヲ受ケ」ヲ「體格檢
  査及學術試驗ヲ受ケ」ニ、同條第二項中
  「商船學校全科卒業證書ヲ有シ遞信大臣
  ニ於テ試驗規程ニ合格スト認ムル者ニハ
  試驗ヲ用ヰスシテ」ヲ「船船ノ運航若ハ機
  關ノ運轉ニ關スル學術ヲ〓授スル學校ノ
  所定ノ課程及練習ヲ卒リ遞信大臣ニ於テ
  學術試驗ニ合格スト認ムル者ニハ學術試
  驗ヲ行ハスシテ」ニ改メ同條ニ左ノ一項
  ヲ加フ
  小形船舶ニ乘組ム船舶職員ノ有スヘキ
  海技免狀ハ遞信大臣ノ定ムル所ニ依リ五海技免狀ノ行使停止中ノ者
  學術試驗ヲ行ハスシテ之ヲ授與スルコ六破產者ニシテ復權ヲ得サル者
  トヲ得遞信大臣ハ海技免狀受有者ニシテ前項
  第六條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ船第三號ニ該當スルノ疑アルモノニ就キ
  舶職員タルコトヲ得ス又前條ノ體格檢管海官廳ヲシテ體格檢査ヲ執行セシム
  査及學術試驗ヲ受クルコトヲ得スルコトヲ得
  -六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處第九條第一項中「刑法ノ數罪倶發」ヲ「刑
  セラレタル者法併合罪」ニ改ム
  二六年未滿ノ懲役又ハ禁錮ノ刑ニ處第九條ノ三朝鮮總督又ハ臺灣總督ノ授
  セラレ刑ノ執行ヲ終リ又ハ其ノ執行與シタル海技免狀ニシテ遞信大臣ニ於
  ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者テ第五條ノ規定ニ依リ授與シタルモノ
  三瘋癲、白痴、身體不具其ノ他精神ト同等ト認メタルモノハ之ヲ第五條ノ
  又ハ身體ニ缺陷ヲ有シ執職ニ不適當規定ニ依リ遞信大臣ノ授與シタル海技
  ナル者免狀ト看做ス
  四海技免狀ノ行使ヲ禁止セラレタル者第一號表ヲ左ノ如ク改ム
  第一號表
  (其ノ一)船長及運轉士定員表
  航路船舶種類總噸數船舶職員免狀種類定員
  平五百噸未滿船長乙種二等運轉士免狀一
  水千五百噸未滿船長乙種一等運轉士免狀一
  汽船
  航船長乙種船長免狀一
  千五百噸以上
  路一等運轉士乙種一等運轉士免狀一
  二百噸未滿船長乙種二等運轉士免狀一
  沿
  船長乙種一等運轉士免狀一
  千噸未滿
  海汽船一等運轉士乙種二等運轉士免狀一
  航船長乙種船長免狀一
  千噸以上
  一等運轉士乙種一等運轉士免狀一
  路
  帆船二十噸以上船長丙種運轉士免狀一
  艦長乙種一等運轉士免狀一
  五百噸未滿
  一等運轉士乙種二等運轉士免狀一
  近船長乙種船長免狀一
  千噸未滿
  一等運轉士乙種一等運轉士免狀-
  海船長乙種船長免狀
  二千噸未滿一等運轉士乙種一等運轉士免狀
  航二等運轉士乙種一等運轉士免狀
  汽船
  船長甲種船長免狀
  路五千噸未滿一等運轉士乙種船長免狀
  二等運轉士甲種二等運轉士免狀
  第船長甲種船長免狀
  一等運轉士乙種船長免狀
  五千噸以上
  一二等運轉士甲種二等運轉士免狀
  三等運轉士乙種一等運轉士免狀
  區二百噸未滿船長丙種運轉士免狀
  帆船船長丙種船長免狀
  二百噸以上
  一等運轉士丙種運轉士免狀
  船長甲種船長免狀
  三千噸未滿ノ旅
  遠客船又ハ五千噸一等運轉士甲種一等運轉士免狀
  未滿ノ非旅客船
  洋二等運轉士甲種二等運轉士免狀
  航汽船船長甲種船長免狀
  三千噸以上ノ旅一等運轉士甲種一等運轉士免狀
  路客船又ハ五千噸
  以上ノ非旅客船二等運轉士甲種二等運轉士免狀
  又
  ハ三等運轉士甲種二等運轉士免狀
  近甲種一等運轉士免狀
  船長橫濱口座水
  丙種船長免狀(Parametrium
  海二百噸未滿
  甲種二等運轉士免狀
  航一等運轉士近海航路第
  丙種運轉士免狀(二區ニ限ル
  路
  帆船船長甲種船長免狀
  第五百噸未滿
  一等運轉士甲種一等運轉士免狀
  一
  一
  一
  一
  一
  -
  一
  一
  一
  一
  一
  一
  -
  一
  一
  一
  一
  一
  一
  一
  一
  -
  二船長甲種船長免狀一
  區五百噸以上一等運轉士甲種一等運轉士免狀一
  二等運轉士甲種二等運轉士免狀
  備考石數ヲ以テ積量ヲ表示スル船舶ニ付テハ積石數十石ヲ以テ總噸數一噸ニ換算ス
  本表ノ定員ハ船長ヲ除クノ外最少員數ヲ示シタルモノトス
  (其ノ二)機關長及機關士定員表
  航路機關公稱馬力船舶職員免狀種類定員
  四百馬力未滿機關長三等機關士免狀一
  平
  七百馬力未滿機關長三等機關士免狀一
  水機關長二等機關士免狀
  千二百馬力未滿
  航一等機關士三等機關士免狀
  路機關長一等機關士免狀
  千二百馬力以上
  -等機關士二等機關士免狀
  三百馬力未滿機關長三笑機關士免狀一
  沿五百馬力未滿機關長二等機關士免狀一
  機關長二等機關士免狀一
  海七百馬力未滿
  -等機關士三無機關士免狀一
  航機關長一筆機關士免狀一
  二千馬力未滿
  -等機關士二等機關士免狀
  路機關長機關長免狀一
  二千馬力以上
  一等機關士一笑機關士免狀一
  二百五十馬力未滿機關長三等機關士免狀一
  近四百馬力未滿機關長三等機關士免狀一
  機關長二〓機關士免狀
  六百馬力未滿
  海-等機關士三等機關士免狀一
  機關長一等機關士免狀一
  千二百馬力未滿
  航一等機關士二等機關士免狀一
  機關長機關長免狀一
  二千馬力未滿
  路一等機關士一等機關士免狀一
  機關長機關長免狀一
  第四千馬力未滿一等機關士一等機關士免狀一
  二等機關士二等機關士免狀一
  一機關長機關長免狀-
  一等機關士一等機關士免狀一
  四千馬力以上
  區二等機關士一等機關士免狀一
  三等機關士二等機關士免狀一
  機關長機關長免狀一
  二千馬力未滿
  遠一等機關士一等機關士免狀一
  洋機關長機關長免狀
  航三千馬力未滿ー等機關士一等機關士免狀一
  路
  二等機關士ニ等機關士免狀一
  又
  ハ機關長機關長免狀一
  近五千馬力未滿ノ旅客一等機關士一等機關士免狀一
  船又ハ三千馬力以上
  海ノ非旅客船二等機關士一等機關士免狀一
  航
  三等機關士二等機關士免狀一
  路
  第機關長機關長免狀一
  二五千馬力以上ノ旅客-等機關士一等機關士免狀一
  區船二等機關士一等機關士免狀一
  三等機關士一等機關士免狀一
  備考本表ノ定員ハ機關長ヲ除クノ外最少員數ヲ示シタルモノトス
  附則
  本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  本法施行ノ際現ニ船舶職員トシテ就職中
  ノ者ハ遞信大臣ノ定ムル所ニ依リ本法施
  行後引續キ同一ノ船舶ニ於テ同一ノ職ヲ
  執ル期間內ニ限リ仍從前ノ例ニ依リ就職
  スルコトヲ得
  本法ノ適用ニ付テハ舊刑法ノ重罪ノ刑ニ
  處セラレタル者ハ之ヲ六年ノ懲役又ハ禁
  錮以上ノ刑ニ處セラレタル者ト看做ス
  第三無線電信法中改正法律案(政府
  提出)第一讀會
  無線電信法中改正法律案
  無線電信法中左ノ通改正ス
  第三條中「私設ノ無線電信ノ通信」ヲ私
  設ノ無線電信又ハ無線電話ノ通信」ニ改
  メ「資格」ノ下ニ「及配置定員」ヲ加フ
  第七條中「設備ノ變更ヲ命スルコトヲ得」
  ヲ「設備ノ變更、使用ノ制限若ハ使用ノ
  停止ヲ命スルコトヲ得無線電信、無線電
  話ノ混信防遏ノ爲必安ト認ムルトキ亦同
  シ」ニ改ム
  第八條ノ二無線電信又ハ無線電話ニ依
  ル通信公安ヲ妨害シ又ハ風俗ヲ壞亂ス
  ルモノト認ムルトキハ主務大臣ノ指定
  シタル電信官署又ハ電話官署ニ於テ之
  ヲ停止シ又ハ當該無線電信、無線電話
  ノ施設者若ハ當該通信ヲ發スル者ニ對
  シ其ノ通信ノ停止ヲ命スルコトヲ得
  第十三條ノ二主務大臣ハ私設ノ無線電
  信又ハ無線電話ノ機器、其ノ裝置又ハ
  運用ニ關シ監督上必要ト認ムルトキハ
  當該官吏ヲシテ其ノ施設ノ場所ニ立人
  リ機器工作物及關係書類ノ檢査ヲ爲サ
  シムルコトヲ得
  第十三條ノ三前二條ノ規定ニ依リ當該
  官吏無線電信又ハ無線電話ノ施設ノ場
  所ニ立入ル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ證
  明スヘキ證票ヲ携帶スヘシ
  第十五條中「船舶遭難」ノ下ニ、「航行ノ
  安全」ヲ加フ
  第二十條ノ二無線電信又ハ無線電話ニ
  依リ知得タル前條ニ該當セサル無線電
  信又ハ無線電話ノ通信ノ秘密ヲ漏泄シ
  タル者ハ一年以下ノ懲役又ハ二百圓以
  下ノ罰金ニ處ス
  前項ノ罪ハ〓訴ヲ待テ之ヲ論ス
  第二十二條ノ二無線電信又ハ無線電話
  ニ依リ公安ヲ妨害シ又ハ風俗ヲ壞亂ス
  ル通信ヲ發シタル者ハ一一年以下ノ懲役
  又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
  無線電信又ハ無線電話ノ事務ニ從事ス
  ル者前項ノ行爲ヲ爲シタルトキハ五年
  以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
  第二十六條中「前十條」ヲ「第十六條乃至
  第二十五條」ニ改ム
  第二十七條中「第十三條」ノ下ニ「若ハ第
  十三條ノ二」ヲ加フ
  第二十八條中「第五條」ヲ削ル
  第二十八條ノ二無線電信又ハ無線電話
  ニ非スト雖高周波電流ヲ使用シ通報信
  號フ爲スモノニ關シテハ命令ノ定ムル
  所ニ依リ本法ノ規定ヲ準用ス
  第二十八條ノ三主務大臣ハ無線電信又
  ハ無線電話ニ依ル公衆通信又ハ軍事上
  必要ナル通信ニ及ホス障碍ヲ防止スル
  爲必要ト認ムルトキハ高周波電流ヲ發
  生スル設備ニシテ無線電信、無線電話
  又ハ前條ノ通報信號施設ニ非サルモノ
  ニ關シ其ノ施設者ニ對シ設備ノ變更又
  ハ特殊ノ設備ヲ命スルコトヲ得此ノ場
  合ニ於テ設備ノ變更又ハ特殊ノ設備ニ
  要シタル費用ハ命令ノ定ムル所ニ依リ
  政府之ヲ補償ス
  前項ノ規定ニ依ル補償ニ關スル決定ニ
  對シ不服アル者ハ其ノ通知ヲ受ケタル
  日ヨリ三月內ニ民事訴訟ヲ提起スルコ
  トヲ得
  附則
  本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  〔國務大臣久原房之助君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=31

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• 032・久原房之助

  ○國務大臣(久原房之助君)　只今提案ニナ
  リマシタル船舶職員法中改正法律案ニ付キ
  マシテ一寸御說明ヲ申上ゲマス、現行船
  舶職員法ハ
  〔此時發言スル者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=32

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• 033・元田肇

  ○議長(元田肇君)　靜ニ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=33

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• 034・久原房之助

  ○國務大臣(久原房之助君)(續)　明治二十
  九年ニ制定セラレマシテ、三十八年僅ニ其
  一部ニ改正ヲ加ヘラレマシタニ過ギナイノ
  デゴザイマス、然ルニ海運界ハ異常ノ進步
  ヲ遂ゲテ居リマシテ、適應セヌ箇所ガ非常
  ニ多イノデゴザイマス、就キマシテハ今囘
  關係者ヨリノ陳情建議等ノ趣意ヲ參的按配
  致シマシテ、我ガ海運ノ現狀ニ滴應應シメ
  ンガ爲ニ、本改正案ヲ提出致シタ次第デゴ
  ザイマス、ドウカ御審議ノ上御協賛アラン
  コトヲ希望致シマス(拍手)尚ホ同時ニ提案
  ニナリマシタ無線電信法中改正法律案ノ事
  ニ付キマシテ一寸一言申上ゲマス、一昨年十
  月ヨリ十一月ニ亙リマシテ、米國華盛頓ニ
  開催セラレマシタ國際無線電信會議ニ於キ
  マシテ、帝國委員ガ各國委員ト共ニ調印致
  シマシタ所ノ改正國際無線電信條約ハ曩
  ニ御批准ヲ得マシテ、昨年末公布セラレマ
  シテ本年一月ヨリ旣ニ實施セラレテアル
  ノデゴザイマス、此條約ノ實施ニ伴ヒマシ
  テ、國內法規ニモ改止ヲ必要トスルモノガ
  生ジテ參ッタノデアリマスガ、尙ホ我國ニ於
  ケル無線電信、無線電話ノ普及發達ノ狀況
  ニ鑑ミ、廣ク電波ノ統制竝ニ通信ノ取締ニ
  付キマシテモ、亦新ニ規定スルノ必要ヲ見
  ルニ至ッタノデゴザイマス、斯樣ナ次第デ玆
  ニ無線電信法ノ一部改正ノ法律案ヲ提出致
  シマシタ次第デゴザイマス、何卒御審議ノ
  上、御協賛アランコトヲ希望致シマス(拍
  手)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=34

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• 035・元田肇

  ○議長(元田肇君)　別段ニ質問ノ通告ガア
  リマセヌカラ、日程第四、右各案ノ審査ヲ
  付託スベキ委員ノ選擧ヲ議題ト致シマス
  ☆
  第四右各案ノ審査ヲ付託スヘキ委員
  ノ選擧

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=35

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• 036・原惣兵衞

  ○原惣兵衛君　兩案ヲ一括シテ議長指名九
  名ノ委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=36

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• 037・元田肇

  ○議長(元田肇君)　御異議ガゴザイマセヌ
  ケレバ原君ノ動議ノ如ク決定致シマシタ-
  日程第五、資源調査法案ノ第一讀會ヲ開キ
  マス-宇佐美資源局長官
  第五資源調査法案(政府提出、貴族院
  送付)第一讀會
  資源調査法案
  資源調査法
  第一條政府ハ人的及物的資源ノ調査ノ
  爲必要アルトキハ個人又ハ法人ニ對シ
  之ニ關スル報告又ハ實地申告ヲ命ズル
  コトヲ得
  前項ノ資源調査ノ範圍、方法其ノ他必
  要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
  第二條當該官吏又ハ吏員ハ人的及物的
  資源ノ統制運用計畫ノ設定及遂行ニ必
  要ナル資源調査ノ爲必要ナル場所ニ立
  入リ、檢查ヲ爲シ、調査資料ノ提供ヲ
  求メ又ハ關係者ニ對シ質問ヲ爲スコト
  ヲ得此ノ場合ニハ其ノ證票ヲ携帶スベ
  第三條工業的發明ニ係リ其ノ他特殊ナ
  ル業務上ノ祕密ニ屬スル事項又ハ設備
  ニシテ命令ニ定ムルモノニ付テハ第一
  條ノ報告若ハ實地申告ヲ命ジ又ハ前條
  ノ規定ニ依リ檢査ヲ爲シ、調査資料ノ
  提供ヲ求メ若ハ關係者ニ對シ質問ヲ爲
  スコトヲ得ズ
  第四條第一條ノ規定ニ依リ報告又ハ實
  地申告ヲ命ゼラレタル者營業ニ關シ成
  年者ト同一ノ能力ヲ有セザル未成年者若
  ハ禁治產者ナル場合又ハ法人ナル場合
  ニハ其ノ法定代理人又ハ理事、業務ヲ
  執行スル社員、會社ヲ代表スル社員、
  取締役、業務擔當社員其ノ他法令ノ規
  定ニ依リ法人ヲ代表スル者ニ於テ報告
  又ハ實地申告ヲ爲スノ義務ヲ有ス
  第五條第一條ノ規定ニ依リ命ゼラレタ
  ル報告若ハ實地由-上口ヲ爲サズ又ハ虚僞
  ノ報告若ハ實地申告ヲ爲シタル者ハ二
  百圓以下ノ罰金ニ處ス
  第六條第二條ノ規定ニ依ル當該官吏又
  ハ吏員ノ職務執行ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌
  避シ、調査資料ノ提供ヲ爲サズ若ハ虛
  僞ノ調査資料ヲ提供シ又ハ質問ニ對シ
  虛僞ノ陳述ヲ爲シタル者ハ五百圓以下
  ノ罰金ニ處ス
  第七條當該官吏若ハ吏員又ハ其ノ職ニ
  在リタル者本法ニ依ル職務執行ニ關シ
  知得シタル個人又ハ法人ノ業務上ノ祕
  密ヲ漏洩シ又ハ竊用シタルトキハ二年
  以下ノ懲役又ハ二千圓以下ノ罰金ニ處
  ス當該官吏又ハ吏員第三條ノ規定ニ違
  反シタルトキ亦同ジ
  職務上前項ノ祕密ヲ知得シタル他ノ公
  務員又ハ公務員タリシ者其ノ祕密ヲ漏
  洩シ又ハ竊用シタルトキ罰前項ニ同
  附則
  本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  〔政府委員宇佐美勝夫君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=37

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• 038・宇佐美勝夫

  ○政府委員(宇佐美勝夫君)　只今議題ニ供
  セラレマシタ資源調査法案ニ付キ、簡單ニ
  提案ノ理由ヲ申上ゲタイト存ジマス、所謂
  國家總動員ノ準備施設ト致シマシテ、先ヅ
  廣ク資源調査ノ必要アルコトハ申ス迄モナ
  イ所デアリマス、而シテ其範圍ハ單リ現行
  軍事調査令ニ規定スル所ニ止マラズ廣ク
  人的、物的資源ニ付キ正確詳密、且ツ最モ
  新シキ資料ヲ整備シナクテハナラヌコトヽ
  存ズルノデアリマス、然ルニ一面其他ノ一
  般行政目的達成ニ付キマシテモ、時運ノ進
  展ニ連レ、資源ノ現況ヲ調査闡明スルコト
  ノ必要ハ益〓緊要ヲ告ゲテ參ッタノデアリマ
  ス。而モ其範圍ニ於テハ兩者殆ド一致ヲ見
  ルベク、其內容ニ於テモ大體大差ナキ關係
  ニアルノデアリマス、仍テ資源ノ調査ニ關
  シマシテ法律上ノ根據ヲ與フルト共ニ、制
  度ノ煩雜ヲ避ケ、人民負擔ノ重複ヲ來サシ
  メナイヤウ、一ツノ調査體系ニ纏メ、以テ
  諸調査ノ連絡ヲ確保スルト云フコトハ、今
  日最モ時宜ニ適シタル施設ト存ズルノデア
  リマス、本法案ハ以上ノ如キ趣旨ノ下ニ立
  案セラレタモノデアリマシテ、之ガ大綱ニ
  付キマシテハ、既ニ資源審議會ニ諮詢シテ
  其贊同ヲ得テ居リマス、何卒御審議ノ上御
  協賛ヲ與ヘラレンコトヲ御願申上ゲマス
  (拍手)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=38

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• 039・元田肇

  ○議長(元田肇君)　別段質疑ノ通告ガゴザ
  イマセヌカラ、日程第六、右議案ノ審查ヲ
  付託スベキ委員ノ選擧ヲ議題ト致シマス
  第六右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員
  ノ選擧

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=39

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• 040・原惣兵衞

  ○原惣兵衞君　本案ハ議長指名特ニ十八名
  ノ委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=40

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• 041・元田肇

  ○議長(元田肇君)　原君ノ動議ニ御異議ア
  リマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=41

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• 042・元田肇

  ○議長(元田肇君)　御異議ナシト認メマ
  ス、仍テ動議ノ如ク決定致シマシタ-日
  程第七、鐵道營業法中改正法律案ノ第一讀
  會ヲ開キマス-小川鐵道大臣
  第七鐵道營業法中改正法律案(政府
  提出)第一讀會
  鐵道營業法中改正法律案
  鐵道營業法中左ノ通改正ス
  第十一條旅客又ハ荷送人ハ手荷物。又ハ
  運送品託送ノ際鐵道運輸規程ノ定ムル
  所ニ依リ表示料ヲ支拂ヒ要償額ヲ表示
  スルコトヲ得
  前項ノ規定ニ依ル表雨額カ託送手荷物
  又ハ運送品ノ引渡期間末日ニ於ケル到
  達地ノ價格及引渡ナキ場合ニ於テ旅客
  又ハ荷送人力受クヘキ其ノ他ノ損害ノ
  合計額ヲ超ユルトキハ其ノ超過部分ニ
  付テハ其ノ表示ハ之ヲ無效ナス
  第十一條ノ二要償額ノ表〓アル託送手
  荷物又ハ運送品ノ滅失又ハ毀損ニ因ル
  損害ニ付賠償ノ責ニ任スル場合ニ於テ
  ハ鐵道ハ表示額ヲ限度トシテ一切ノ損
  害ヲ賠償スル責ニ任ス此ノ場合ニ於テ
  鐵道ハ損害額カ左ノ額ニ達セサルコト
  ヲ證明スルニ非サレハ左ノ額ノ支拂ヲ
  免ルルコトヲ得ス
  全部滅失ノ場合ニ於テハ表示額
  二一部滅失又ハ毀損ノ場合ニ於テハ
  引渡アリタル日(延著シタルトキハ
  引渡期間末日)ニ於ケル到達地ノ價
  格ニ依リ計鼻シタル價格ノ減少割合
  ヲ表示額ニ乘ンタル額
  託送手荷物、高價品又ハ動物ニ付テハ
  託送ノ際旅客又ハ荷送人カ要償額ノ表
  而ヲ爲ササル場合ニ於テバ鐵道ハ鐵道
  運輸規程ノ定ムル最高金額ヲ超エ其ノ
  滅失又ハ毀損ニ因ル損害ヲ賠償スル責
  ニ任セス
  前二項ノ賠償額ノ制限ハ託送手荷物又
  ハ運送品カ鐡「追ノ惡意又ハ重大ナル過
  失ニ因リテ滅失又ハ毀損シタル場合ニ
  ハ之ヲ適用セス
  第十二條引渡期間滿了後託送手荷物又
  ハ運送品ノ引渡ヲ爲シタル場合ニ於テ
  ハ延著トス
  引渡期間ハ鐵道運輸規程ノ定ムル所ニ
  依ル
  延着ニ因ル損害ニ付賠償ノ責ニ任スル
  場合ニ於テハ鐵道ハ左ノ額ヲ限度トシ
  テ鐵道運輸規程ノ定ムル所ニ依リ一切
  ノ損害ヲ賠償スル責ニ任ス
  要償額ノ表〓アルトキハ其ノ表示
  額
  二要償額ノ表示ナキトキハ其ノ運賃
  額
  前項ノ賠償額ノ制限ハ託送手荷物又ハ
  運送品カ鐵道ノ惡意又ハ重大ナル過失
  ニ因リテ延者シタル場合ニハ之ヲ適用
  セス
  第十三條鐵道カ引渡期間滿了後一月ヲ
  經過スルモ託送手荷物又ハ運送品ノ引
  渡ヲ爲ササル場合ニ於テハ旅客又ハ貨
  主ハ滅失ニ因ル損害賠償ヲ請求スルコ
  トヲ得但シ鐵道ノ責ニ歸スヘカラサル
  事由ニ因リ引渡ヲ爲ササル場合ハ此ノ
  限ニ在ラス
  前頃ノ規定ニ依リ賠償ヲ受ケタル者ハ
  其ノ請求ノ際留保ヲ爲シタルトキハ到
  ●達ノ通知ヲ受ケタル後一月內ニ限リ賠
  償金ヲ返還ンテ託送手荷物又ハ運送品
  ノ引渡ヲ受タルコトヲ得
  第十八條ノ二第三條、第六條乃至第十
  三條、第十四條、第十五條及第十八條
  ノ規定ハ鐵道ト通シ運送ヲ爲ス場合ニ
  於ケル船舶軌道自動車又ハ索道ニ
  依ル運送ニ付之ヲ準用ス
  第十八條ノ三鐵道ト船舶ト通シ運送ヲ
  爲ス場合ノ運送ニ付テハ請求ニ因リ荷
  送人ハ全運送ニ對シ運送狀ヲ交付スル
  コトヲ要ス
  前項ノ場合ニ於テハ荷送人ノ請求ニ因
  リ全運送ニ對シ貨物引換證ヲ交付スル
  コトヲ要ス
  前二項ノ運送狀又ハ貨物引換證ニ付テ
  ハ鐵道運送ニ於ケル運送狀又ハ貨物引
  換證ニ關ヌル規定ヲ準用ス
  第十八條ノ四前二條ノ規定ノ適用ヲ受
  クヘキ船舶ニ依ル運送ハ其ノ運送ノ狀
  態ニ於テ鐵道運送ニ附屬シタルモノニ
  限リ其ノ航路及之カ運送業者ハ命令ヲ
  以テ之ヲ定ム
  第二十七條削除
  第三十條託送手荷物又ハ運送品ノ種類
  又ハ性質ヲ詐稱シタル者ハ五十圓以下
  ノ割金又ハ科料ニ處ス記名乗車劵ヲ買
  求ムル際氏名ヲ詐稱シタル者亦同シ
  第四十三條削除
  附則
  本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  〔國務大臣小川平吉君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=42

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• 043・小川平吉

  ○國務大臣(小川牛吉丑石)　現行ノ鐵道營業
  法ハ明治三十三年ノ制定ニ係リマシテ、爾
  來約三十年ヲ經過致シテ居リマス、其間一
  方ニハ鐵道其他ノ交通機關ハ長足ノ進步ヲ、
  遂ゲ、又他方之ヲ利用スル社會、經濟ノ方
  面ニ於キマシテモ、著シキ發達ヲシテ來タ
  ノデアリマス、爲ニ同法ハ今日ノ狀態ニ適
  合シナイ嫌ヒモアリマスノデ、今囘同法中
  一部改正ヲ施スノ必要ヲ認メテ、本案ヲ提
  出致シマシタ次第デアリマス、而シテ主要
  ナル點ノ大略ヲ申上ゲマスト、損害要償額
  表示ノ制度ヲ設ケテ、商取引ノ實際ニ適合
  セシムルト共ニ、損害賠償ヲ迅速、簡單ニ處
  理セシムル方法ヲ講ジ次ニ引渡期間ヲ定
  メマシテ、鐵道輸送ノ期間ヲ保證スルト同
  時ニ、延著等ノ場合ニ於ケル賠償關係ヲ明
  確ナラシメ、更ニ又鐵道ト他ノ運送機關ト
  ノ連絡運送ヲ圓滑ナラシメ、殊ニ鐵道ヨリ
  船舶ニ跨ル所ノ運送ニ對シマシテ、貨物カ
  換證ヲ發行スルノ途ヲ開クト云フコトニ
  ナッテ居ルノデアリマス、何卒御審議ノ上御
  協賛アランコトヲ希望致シマス(拍手)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=43

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• 044・元田肇

  ○議長(元田肇君)　別段質疑ノ通告ガアリ
  マセヌカラ、日程第八、右議案ノ審查ヲ付
  議スベキ委員ノ選舉ヲ議題ト致シマス
  第八右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員
  ノ選擧

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=44

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• 045・原惣兵衞

  ○原惣兵衞君　本案ハ政府提出北海道鐵道
  株式會社所屬鐵道外十三鐵道等買收ノ爲公
  債發行二關スル法律案外三件ノ委員ニ併セ
  テ付託セラレンコトヲ望ミマス
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=45

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• 046・元田肇

  ○議長(元田肇君)　御異議ナシト認メマ
  ヌ、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
  九、同盟及聯合國ト獨逸國及其ノ同盟國ト
  ノ戰爭ニ因リ損害ヲ被リタル帝國臣民ノ追
  加救恤ニ關スル法律案ノ第一讀會ノ續ヲ開
  キマス、委員長ノ報告ヲ求メマス-委員
  長差支ナラ理事庄晋太郞君ノ報告ヲ求メマ
  ス
  第九同盟及聯合國ト獨逸國及其ノ同
  盟國トノ戰爭ニ因リ損害ヲ被リタル
  帝國臣民ノ追加救恤ニ關スル法律案
  (政府提出)
  第一讀會ノ續(委員長報告)
  報告書
  一同盟及聯合國ト獨逸國及其ノ同盟國ト
  ノ戰争ニ因リ損害ヲ被リタル帝國臣民
  ノ追加救恤ニ關スル法律案(政府提出)
  右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
  候此段及報告候也
  昭和四年二月二十七日
  委員長守屋榮夫
  衆議院議長元田肇殿
  希望條項
  一本法第三條ノ救恤審査會ノ組織ニ關
  シテハ貴衆兩院議員中ヨリ若干ノ委員
  ヲ擧クヘシ
  二本法追加救恤ト共、ニ尼港、琿春事
  變、青島農業團竝薩哈嗹州引揚被害者
  等ニ對シ速ニ粒恤ノ途ヲ講シ今期議會
  ニ提出セラレムコトヲ望ム
  〔庄晋太郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=46

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• 047・庄晋太郎

  ○庄晋太郞君　只今議題トナリマシタル同
  盟及聯合國ト獨逸國及其ノ同盟國トノ戰爭
  ニ因リ損害ヲ被リタル帝國臣民ノ追加救恤
  ニ關スル法律案ニ付キマシテ、委員長差支
  ノ爲ニ理事トシテ私ガ代テ簡軍ニ、此委員
  會ノ經過竝結果ニ付テ御報告申上ゲマス、
  本法案ノ趣旨ハ既ニ申上ゲル迄モナク、日
  獨戰爭ニ因リマシテ、我ガ同胞ガ戰爭ノ爲
  ニ
  〔元田議長議長席ヲ退キ〓瀨副議長代
  リ著席〕
  損害ヲ被リマシタ者ヲ、旣ニ第五十議會カ
  五十一議會當時ニ於テ、彼ノ國ヨリ賠償金
  ヲ取リマシタ一部ヲ以テ、第一回ノ救恤ト
  シテ五百万圓程支出ニナッテ居ルノデアリ
  マス、其當時我ガ衆議院ニ於テ、此戰爭ニ
  因テ損害ヲ被リタル者ヲ五百万圓デハ少ナ
  イカラ、速ニ追加救恤ヲスルコトヲ考慮セ
  ヨト云フ院議ヲ決定サレテ、所謂附帶決議
  ヲ附シテ本院ヲ通過シ、尙ホ貴族院ニ於キマ
  シテモ、其意味合ノ希望決議ヲ附シマシテ通
  過シタ實際デアリマス、既ニ「ドーズ」案ニ
  依リマシテ、獨逸國カラ賠償金ヲ取ッタノ
  ヲ此度四百万圓ダケ、前ニ少ナカッタ船
  舶若クハ其當時要求シテ居ッタケレドモ、
  其要求ガ間ニ合ハナカッタモノニ對シテ、追
  加救恤ヲスルト云フ案デアリマス、而シテ此
  案ニ付キマシテハゝ或ハ川崎君、原夫次郎
  君堤君、吾黨ト致シマシテハ石坂君、竹
  內君等ヨリ、交"政府當局ト質問應答ガアリ
  マシテ、之ヲ一々申上ゲルト長クナリマス
  カラ、是ハドウカ委員會ノ速記錄ニ依テ御
  取調ヲ御願スルコトニ致シマシテ、私ハ唯
  委員會ニ於テ希望條件ヲ附シテ、之ヲ可決
  確定致シマシタ事ニ付テ申上ゲマス「尼港、
  琿春事變、靑島農業團竝ニ薩哈嗹州引揚被
  害者等ニ對シ速ニ枚恤ノ途ヲ講ジ〓期議會
  ニ提出セラレムコトヲ望ム」斯ウ云フ希望
  條件ヲ附シマシテ、此法案ヲ可決スルコト
  ニ委員會ニ於テ決ヲタノデアリマス、而シテ
  是ハ色〓質問應答、〓究ノ結果、詰リ實際
  此戰爭ニ因テ損害ヲ受ケタル帝國臣民ノ損
  害ヲ、國トシテ必ズ幾分デモ餘裕ガアレバ
  之ヲ賠償シテヤル、「ドーズ」案ニ依テ獨逸
  國カラ賠償金ヲ取シタ以上ハ、其幾分ヲ救恤
  トシテ賠償シテヤルト云フコトハ、當然過
  ギル程當然ノ事デアルカラト云フノデ、各
  派悉ク一致ヲ以テ斯樣ナ希望條件ヲ附シテ
  可決確定シタヤウナ次第デアリマス、ソレ
  カラ本法第三條ニ救恤審査會ト云フモノガ
  アリマス、其審査會ノ組織ニ付キマシテハ、
  貴衆兩院議員中ヨリ若干ノ委員ヲ擧グベ
  シ、更ニ言ヒ換ヘマスト第一ノ希望ガ只
  今申上ゲタ通リ、第二ノ希望條項ガ「本法
  追加救恤ト共ニ尼港、琿春事變、靑島農業
  團竝薩哈連州引揚被害者等ニ對シ速ニ救恤
  ノ途ヲ講シ〓期議會ニ提出セラレムコトヲ
  望ム」是ダケノ希望條件ヲ附シマシテ、全
  部全員一致可決確定シタ次第デアリマス、
  此段御報告致シマス(拍手)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=47

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• 048・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　本案ニ關シテハ質
  疑ノ通告モ討論ノ通告モアリマセヌ、直直
  採決ニ入リマス、本案ノ第二讀會ヲ開クニ
  御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=48

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• 049・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　御異議ナシト認メ
  マって、本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=49

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• 050・原惣兵衞

  ○原惣兵衛君　直ニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、
  第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通リ可
  決確定セラレンコトヲ望ミマス
  〔「賛成」「贊成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=50

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• 051・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　御異議ナシト認メ
  マス、直ニ第二讀會ヲ開キ議案全部ヲ議題
  ト致シマス
  同盟及聯合國ト獨逸國及其ノ同盟國ト
  ノ戰爭ニ因リ損害ヲ被リタル帝國臣民
  ノ追加救恤ニ關スル法律案
  第二讀會(確定議)
  〔「異議ナシ」「贊成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=51

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• 052・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　別ニ御發議モアリ
  マセヌカラ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報
  告通リ可決確定致シマシタ(拍手)日程第十
  乃至十三ハ同一委員ニ付託シタル議案デア
  リマス、仍テ一括謙題ト爲スニ御異議アリ
  マセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=52

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• 053・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　御異議ナシト認メ
  マス、仍テ日程第十、臺灣事業公債法中改
  正法律案、日程第十一、製鐵所特別會計ニ
  於テ大藏省預金部ノ横濱正金銀行ニ對スル
  債權ノ讓渡ヲ受クルコトニ關スル法律案、
  日程第十二、健康保險特別會計法中改正法
  律案、日程、第十三、健康保險法中改正法律
  案ヲ一括シテ、其第一讀會ノ續ヲ開キマス、
  委員長ノ報告ヲ求メマス-委員長佐々木
  長治君
  第十臺灣事業公債法中改正法律案
  (政府提出)
  第一讀會ノ續(委員長報〓)
  報告書
  -臺灣事業公債法中改正法律案(政府提
  出
  右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
  候此段及報告候也
  昭和四年二月二十八日
  委員長佐々木長治
  衆議院議長元田肇殿
  第十一製鐵所特別會計ニ於テ大藏省
  預金部ノ横濱正金銀行ニ對スル債權
  ノ讓渡ヲ受クルコトニ關スル法律案
  (政府提出)
  第一讀會ノ續(委員長報告)
  報告書
  一製鐵所特別會計ニ於テ大藏省預金部ノ
  横濱正金銀行ニ對スル債權ノ讓渡ヲ受
  クルコトニ關スル法律案(政府提出)
  右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
  候此段及報告候也
  昭和四年二月二十八日
  委員長佐々木長治
  衆議院議長元田肇殿
  第十二健康保險特別會計法中改正法
  律案(政府提出)
  第一讀會ノ續(委員長報告)
  報告書
  健康保險特別會計法中改正法律案
  (政府提出)
  右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
  候此段及報告候也
  昭和四年三月四日
  委員長佐々木長治
  衆議院議長元田肇殿
  第十三健康保險法中改正法律案政
  府提出)第一讀會ノ續(委員長報告)
  報告書
  一健康保險法中改正法律案(政府提出)
  右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
  候此段及報告候也
  昭和四年三月四日
  委員長佐々木長治
  衆議院議長元田肇殿
  附帶決議
  政府ハ速ニ健康保險法改正ニ關スル調査
  ヲ完了シ之ガ根本的改正ヲ爲スベシ
  〔佐々木長治君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=53

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• 054・佐々木長治

  ○佐々木長治君　臺灣事業公債法中改正法
  律案ノ委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報告致シ
  や 、本案ニ付キマシテハ後デ討論モ行
  ハレルヤウデアリマスルカラ、政府委員ノ
  說明ニ付キマシテ、大略御紹介致シタイト
  考ヘマス、臺灣ニ於ケル鐵道運轉用石炭ハ、
  從來四脚亭ノ鐵道部所有ノ鑛區カラ採掘致
  シテ居。ツタノデアリマス、所ガ同鑛區ハ昭和
  三年度ヲ以テ採掘ヲ終ルノミナラズ、四脚
  亭附近ノ優良炭田ノ命脈ガ漸次縮小セラレ
  ツヽアル現狀ニ於キマシテハ、今後ハ條件
  ノ頗ル不利ナル購入炭ニ依ラナケレバナラ
  ナイコトニナルノデアリマス、隨テ新優良
  炭田ノ開發ハ鐵道政策上將夕一般產業ノ
  發達上喫緊ノ事デアリマシテ、政府ハ豫テ
  ヨリ是ガ對策ヲ考究シテ居リマシタガ、其
  結果トシテ有望ナル新炭田トシテ、所謂裏
  臺北一帶石底ノ炭田ヲ選ンダノデアリマ
  ス、今囘買收セント致シマスル臺陽鑛業株
  式會社所有、三貂嶺、菁桐杭間延長八哩一分
  ノ鐵道ハ、此炭田ノ中心ヲ通ズル現在唯一
  ノ交通路デアリマス、然ルニ本鐵道ハ會社
  ノ專用線デアリマシテ、爲ニ滑線炭田ノ開
  發ヲ望ミ得ナイノミナラズ、又假ニ沿線住
  民ノ希望ヲ容レマシテ、營業線ニ變更セシ
  メマシテモ、會社ハ資力ガ乏シクシテ、是
  ガ改良費ヲ負擔スルコトガ出來マセヌ、ソ
  レデ到底所期ノ目的ヲ達スルコトガ出來ナ
  イ憾ミガアルノデアリマス、仍テ政府ハ之
  ヲ買收致シマシテ、本鐵道ノ經濟的能率ヲ
  曾進シテ、以テ炭田ノ開發ヲ促進シ、鐵道
  運轉用炭ノ價格ヲ安クシ、且ツ供給ヲ潤澤
  ニ致シタイ、之ニ依テ延テ一般產業ノ發達
  ヲ期セントスルト云フ說明デアリマス、此
  買收價格ハ百五十万圓ト致シマシテ、公債
  ヲ時價ニ換算シテ交付シヤウト致スノデア
  リマス、委員會ハ前後三回ニ亙リマシテ開
  キマシタガ、本案直接ノ質問ト致シマシテ
  ハ民政黨ノ坂東君カラ、本鐵道買收ト同
  時ニ臺北鐵道ヲ買收シテ、將來兩鐵道ヲ連
  絡スルコトガ、鐵道政策上意義深キモノデ
  ハナイカトノ質問ガアリマシタ、之ニ對シ
  マシテ政府委員ハ、臺北鐵道ハ現在ニ於テ
  買收スル意思ガナイ、將來兩鐵道ヲ連絡セ
  シムルコトハ、地方交通發達ノ上カラ望マ
  シイコトデアルガ、多額ノ費用ヲ要スルノ
  デ、現在ノ財政ニ於テハ考慮スルコトガ出
  來ナイ、今回ノ買收ハ炭田開發ヲ主要ナル
  目的トシテ居ルコトヲ諒承セラレタイトノ
  意味ノ答辯ガアリマシタ、次ニ政友會ノ赤
  尾板谷兩委員カラ、本鐵道買收ノ價格ヲ
  百五十万圓ト算定シタノハ如何ナル計算
  ノ基礎ニ據ッタカト云フ質問ニ對シマシテ、
  政府委員ハ本鐵道ハ建設費ニ於テ二百三十
  餘万圓トナンテ居ルガ、政府ハ之ヲ現在建設
  スルモノト假定シテ之ヲ見積ッタ結果、百五
  十九万餘圓ノ計算ヲ得タガ、百五十万圓ヲ
  以テ買收スルコトニ決定シタト云フ意味ノ
  答辯ガアリマシタ、討論ニ入リマシテ民政
  黨ノ坂東君カラ、原案ニ反對ノ意思ヲ表示
  セラレ、政友會ノ赤尾君カラ贊成ノ意味ヲ
  表示セラレマシタ、採決ノ結果贊否同數デア
  リマシタノデ、委員長ハ可決スベキモノト裁
  定致シマシテ、本案ハ委員會ニ於テ可決セ
  ラレタノデアリマス、次ニ製鐵所特別會計
  ニ於テ、大藏省預金部ノ橫濱正金銀行ニ對
  スル債權ノ讓渡ヲ受クルコトニ關スル法律
  案ノ委員會ニ付キマシテ御報告致シマス、
  本案ニ付キマシテハ大口大藏政務次官ノ
  說明ノ後デ、淺原君竝堤君ヨリ詳細ナル質
  問ガアリ、之ニ對シマシテ中井、富田兩政
  府委員カラ又懇切ナル答辯ガアリマシタ、
  委員長ハ其御熱心ニ對シテ深ク敬意ヲ表ス
  ルモノデアリマス、詳細ナルコトハ速記錄
  デ御覽ヲ願フト致シマシテ、重要ナル多數
  ノ質問ノ中デ、本案ニ最モ關係ノ深イモノ
  二ツヲ御紹介致シタイト考ヘマス、第一ハ
  漢冶萍煤鐵廠鑛有限公司ニ對シテ、日本ハ
  幾ラノ貸金ヲ致シテ居ルカ、其元利ノ支拂
  ハ現在ドウ云フ風ニナッテ居ルカト云フ問
  デアリマス、之ニ對シマシテ政府ハ總計四
  千百十二万餘圓トナッテ居ル、元利金ノ支拂
  ニ付テハ、製鐵所ノ買取リマスル鑛石代カ
  ラ優先的ニ支拂ヲ受ケルコトニナッテ居ル
  ガ、其後同公司ハ戰亂其他ノ爲ニ全ク行詰ッ
  テ、元利金ノ支拂ヲ思フヤウニ受ケルコト
  ガ出來ナイ、愈行詰ッタ結果、今日ノヤウ
  ナ事情ノ下ニ、本案ニアリマスル二百万圓
  ヲ昭和二年ノ一月ニ鑛石銑鐵ノ相當量ヲ
  供給シ、且又元金支拂ヲ爲シ得ナイ場合ニ
  ハ一應正金ト製鐵所ト同公司ト商議ヲ致
  シマシテ、商議ガ二箇月內ニ整ハナイ場合
  ニハ日本ノ指名スル者ニ其經營ヲ一任ス
  ルト云フ意味ノ覺書ヲ取交スコトニ依テ、
  最後ノ二百万圓ヲ貸出シタノデアリマス、
  サウシテ同公司ノ經營ノ命脈ヲ繫イダノデ
  アリマスガ、現在ニ於キマシテ鑛石ニ付キ
  マシテハ、明治三十三年以來ノ最高「レコ
  ード」デアル年四十万噸以上ノ供給ヲ受ケ
  テ居ルノデアリマスルガ、銑鐵ハ供給ヲ受
  ケルコトガ出來ナイシ、元利金ノ支拂モ受
  ケルコトガ出來ナイ狀態ニ〓日デハナッテ
  居ルトノ答辯ガアリマシタ、第二ニ然ラバ
  多額ノ左樣ニ預金部カラノ貸付金ガアルト
  スレバ、其中デ二百万圓ノミヲ製鐵所ニ讓
  渡シヤウトスル所以ハドウデアルカ、尙ホ
  進ンデ所謂政友會ノ積極方針ニ則ッテ、先程
  ノ覺書ノ趣旨ヲ實行スルヤウニシナイカト
  云フ問ガアリマシタ、之ニ對シマシテ政府
  委員ハ二百万圓ノ借款ハ當時製鐵所ヨリ
  貸付クベキ筋合ノモノデアッタノガ、當時ノ
  製鐵所特別會計ノ規定ニ拘束セラレテ、臨
  機ノ處置トシテ預金部カラ融通シタモノデ
  アルカラ、其爲ニ今囘其二百万圓ノミハ
  取敢ヘズ製鐵所ニ肩代リシヤウトスルノデ
  アル、他ノ債權ニ付テハ成立ノ事情、其他
  金額モ大キイノデアリマスルシ、關係ガ重
  大デアリマスルガ故ニ、各方面共其整理ニ
  付キマシテハ今日ハ考慮中デアル、覺書ノ
  趣旨實行ニ付キマシテハ製鐵所正金銀行
  ヨリモ漢治萍ノ整理委員會ニ委員ヲ派シ、
  又顧問ヲ派シテ其趣旨實行ニ努力致シテ居
  リマスガ、經營ノ一任ヲ受ケルト云フコト
  ハ民國ノ政情カラ致シマスルモ、亦更ニ
  ソレ以上ノ理由ト致シマシテハ經濟的見
  地カラ考ヘマシテ、非常ニ考究ヲ要スル點
  ガアル、デアルカラシテ未ダ決定シテ居ナ
  イト云フ答辯ガアリマシタ、採決ニ這入リ
  マシテ討論ヲ用ヒズシテ、本案ハ原案通リ
  滿場一致可決セラレタノデアリマス、次ニ健
  康保險特別會計法中改正法律案デアリマス、
  本案ニ付キマシテハ、政府委員ヲ說明ノ後ニ
  簡單ナ質問ガアリマシタバカリデ、本案ノ改
  正ハ適當ナルモノト認メラレマシテ、滿場一
  致原案通リ可決セラレタノデアリマス、次
  ニ健康保險法中改正法律案デアリマス、委
  員會ハ開會二回ニ亙リマシテ、本法ノ根本
  ノ改正ニ觸レル事項ニ付キマシテ、意見ヲ
  含ンダ重要ナル質問ガ淺原君、大里君、久
  恒君等カラアッタノデアリマス、政府ハ之ニ
  對シマシテ大體健康保險法ガ實際社會ニ於
  テ有效ニ-有益ニ成績ヲ擧ゲテ、社會的
  ニ有力ナル法案タルベキコトヲ期待シテ、
  根本的改正ハ近キ將來ニ行ハルベキ時期ア
  ルベキヲ認ムルモ、今回ハ本法ノ根本ニ觸
  レズシテ、二年間ノ實蹟ニ徵シテ、諸般ノ
  事務ノ手續、保險料ノ强制徵收ノ方法デア
  ルトカ、保險給付ノ內容等ニ關シテ改善ヲ加
  く う本事業ノ施行ヲ圓滑ニシ、事務ノ簡
  捷ヲ圖ラント致シタノデアルトノ答辯ガアリ
  リマシタ、本案其モノニ付キマシテノ質問
  ト致シマシテハ四十七條ノ改正デアル、殊
  ニ六十一條ニ著シキ不行跡ノ一項ヲ加ヘル
  コトニ付キマシテハ段々御議論モアリマ
  スルシ熱心ナル質疑應答ガアッタノデアリ
  マス是等ノ事項ニ亙ッテ淺原君、中井君、
  大里君等カラ、政府當局ニ對シテ注意的希
  望ノ發言モアリマシテ、政府ハ其希望ニ付
  テハ十分注意スルトノ答辯ガアッタノデア
  リマス、採决ニ入リマシテ小谷君カラ「政
  府ハ速ニ健康保險法改正ニ關スル調査ヲ完
  了シ之ガ根本的改正ヲ爲スベシ」トノ附帶
  決議ノ提案ガアタノデアリマス、之ニ對シ
  マシテ淺原健三君、大里廣次郞君、中井一
  夫君カラ、各、本案ニ贊成スルニ至ル迄ノ
  立場ニ付テ、又希望ヲ含ンダ御演說ガアリ
  マシテ、本案竝ニ附帶決議共滿場一致可決
  セラレタノデアリマス、右御報告ヲ申上ゲ
  マス(拍手)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=54

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• 055・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　議題トナッテ居リ
  マスル四案中先ヅ臺灣事業公債法中改正法
  律案ノ審議ニ入リマス而シテ此案ニ關シ
  テハ討論ノ通〓ガアリマス、之ヲ許シマ
  ス-堤康次郞君
  〔堤康次郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=55

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• 056・堤康次郎

  ○堤康次郞君　現在ノ財政狀態デハ成ベク
  新事業ヲ少クシ、成ベク公債ヲ少クシナケ
  レバナラナイノデアルガ、臺灣當局ノ遣方
  ハ成ベク新事業ヲ多クシ、成ベク公債ヲ多
  ク發行シヤウトシテ居ルヤウデアル、足ノ
  我ガ國策ノ根本ニ反スルノデアル、併シ今
  ドウシテモヤラナケレバナラナイト云フモ
  ノデアレバ、是ハ又別デアリマスガ、私
  本案ノ如キモノハ今決シテ急イデヤル必要
  ハナイ、寧口永久ニヤルベキ必要ノナイモ
  ノデアルト考ヘルノデアリマス(「ヒヤ〓〓」
  此意味ニ於テ本案ニ對シテハ反對ノ意見ヲ
  表明スルモノデアル、極ク簡單ニ其理由ヲ
  申上ゲマス、大體本案ハ今佐々木委員長ノ
  報告セラレマシタ通リ、臺陽鑛業會社ノ持ッ
  テ居リマスル石炭ノ採掘ノ爲メ專用鐵道約
  八哩ヲ、百五十万圓ノ公債デ買收シテヤラ
  ウト云フ案デアルザット一哩ノ單價ガ二十
  万圓位ニナルノデアリマス、今我國ノ私設
  鐵道ノ建設費ノ總平均ハ一哩約十四万圓位
  ニナッテ居ル、臺灣ノ如キ用地費ノ安イ處デ
  一哩二十万圓ト云フノハ餘リ安イ値段デハ
  ナイノデアル、ノミナラズ此鐵道ト云フモ
  ノハ非常ニ御粗末ナモノデアルト云フコト
  ハ委員會ニ於テ政府委員ノ說明ニ依テ明
  デアル、政府委員ハ委員會ニ於テ說明ヲ致
  シテ居リマスルガ、其要點ヲ朗讀シマス
  「隨テ所謂寶ノ持チ腐レトデモ申ノマスカ、
  隨分ヒドクナッテ居シテ、相當ノ金ヲ掛ケテ
  改善シナケレバナラヌ、斯樣ナ狀態ニアリ
  マスガ、其改善スラモ滿足ニ出來ナイ、斯
  樣ナ次第デアリマス、隨ヒマシテ列車ヲ動
  カス囘數ト云フモノモ極メテ少ナイ、唯自
  分ノ所ノ石炭ヲヤット出シテ居ルト云フヤ
  ウナ次第デアリマシテ」云々ト申シテ居リ
  マイ、之ニ依テモ此鐵道ガ極メテ御粗末ナ
  モノデアルト云フコトハ想像ガ出來ルノデ
  アル、先ヅ石炭採掘ノ爲ノ「トロッコ」ニ一
  寸氣ノ利イタ位ノモノデアッテ、少シ高イ處
  カラ見ルト松明ヲ立テヽ百足ガ行列ヲシテ
  居ルヤウニ見エル位ノモノデアル、斯樣ナ
  モノヲ一哩二十万圓デ買フト云フコトハ
  寔ニ御深切ナコトデアリマスガ、値段ハ別
  ト致シマシテモ、根本ニ於テ大體鑛山ヲ採
  掘スルガ爲ニ敷イテ居ル私設鐵道ヲ買收シ
  タト云フ例ハ殆ドナイノデアル、全國ニハ
  無數ノ優良ナル鑛區ガアル、鑛物ノ成分ハ
  豐富ニアルケレドモ、運搬ノ便ガ惡イカラ
  採算ガ引合ハナイト云フコトデ、脾肉ノ歎
  ヲ洩シテ居ル所ノ鑛山主ト云フモノハ澤山
  アル、ソレヲ此鐵道ノ如ク買收ヲシテヤル、
  更ニ又改良ヲシテヤルト云フコトニナッタ
  ナラバ、多數ノ鑛山ヲ持シテ居ル者、卽チ皮
  肉ノ嘆ヲ漏シツヽ唯徒ニ年々鑛區稅ヲ拂ッ
  テ居ル者ハドウモ今度ノ臺陽鑛業會社ノ
  如キモノハ三井ノ運動デ旨イコトヲスル
  癪ニ障ルト云フヤウナ感ジヲ持ツコトハ決シ
  テ居ル、斯ウ云フ考ヲ一部ノ者ニ持タスト
  云フコトガ、段々危險思想ヲ醸成スル本ニ
  ナッテ來ルノデアル(拍手)總テ此國民ノ經
  濟戰ト云フモノハ、公平ニヤラサナケレバ
  ナラヌ、優勝劣敗適者生存ノ原則ノ下ニ立。
  テ、同ジ「ハンデイキヤップ」ノ下デ「スター
  ト」ヲ切ッテコン、初メテ經濟戰ニ敗レテ悲
  況ノドン底ニ沈淪シテモ諦メルコトカ出來
  ルガ、一部ノ者ガ失敗シタ場合ニ於テハ
  政府カラ救助シテ貰ヘルト云フコトニナッ
  タナラバ、洵ニ是ハ不公平ナ事デアル、
  部ノ者ハ財閥ハ政府ト結托シテ旨イコトヲ
  スルト云フヤウナ感ジヲ持ツコトガ、知ラ
  ズ識ラズ危險思想ヲ釀成スルコトニナルト
  云フコトヲ考ヘナケレバナラヌノデアル、
  (拍手)私ハ本案ノ如キコトハ洵ニ餘計ナコ
  トデアルト思フ、其的確ナル證據ハ臺灣デ
  ハ政府ハ今、日月潭水力電氣ヲヤラウトシ
  テ居ル、此日月潭水力電氣ヲヤッテシマッタ
  ナラバ臺灣ノ鐵道ト云フモノハ殆ド全部
  電化セラレル、隨テ石炭ノ必要ハ大シテナ
  1、サウシテ見ルト〓此石炭採掘ノ爲ノ專
  用鐵道マデ買收ヲシテヤッテ、石炭ノ採掘ヲ
  保護奬勵スルト云フ必要ハナイノデアル、
  日月潭水力電氣ノ建設ヲ暫ク延バス、ソコ
  デ石炭ガ要ルソコデ此專用線マデ買收シ
  テヤッテ、石炭ノ採掘ノ保護奬勵ヲスルト云
  フノナラバ理窟ハ立チマスケレドモ、兩方
  ヲヤッテシマフト云フコトハ、何トシテモ理
  窟ガ立タヌ(拍手)是非之ヲドウシテモヤラ
  ナケレバナラヌト云フコトデアルナラバ
  私ハ日月潭水力電氣ノ工事ヲ延期シテ、其
  金デ以テ之ヲ買收スレバ宜シイ、豫算
  外國庫ノ負擔トナルベキ契約ノ承認ヲ求ム
  ル爲ニ、本院へ政府カラ提出セラレタ書類
  ヲ見ルト、昭和四年度デ臺灣電力會社ヘ三
  百万圓出資スルコトニナッテ居ル、其三百
  万圓ノモノヲ當分延バシテ、ソレデ此鐵道
  ヲ買牧シタナラバ、公債ヲ發行セズシテマ
  ダ百五十万圓殘ル、何故此方法ヲ採ラナイ
  ノデアルカ、卽チ日月潭水力電氣ノ工事ヲ
  延期スルナラバ、此案ヲ提出スルト云フ理
  由モ立ツガ、此案モ提出スル、日月潭水力電
  氣ノ建設モ急イデヤルト云フコトハ是一
  全ク議論ノ筋ガ立タナイノデアリマス(拍
  手)是ハ唯徒ニ一部ノ者ヲ保護スルガ爲ニ
  提出シタモノト見ナケレバナラヌ、私ハ是
  ニ於テ臺灣日月潭水力電氣ト云フモノヲ、
  今直グニヤルコトガ良クナイト云フコト
  ガ、此本案ノ結論ニ對シテ非常ナ重大ナル
  關係ガアリマスルガ故ニ、議論ノ前提ト致
  シマシテ臺灣日月潭水力電氣ノ問題ヲ明ニ
  シテ聊論ズル必要ガアル、此日月潭水力電
  氣ノ問題ハ豫算分科會ニ於テ我黨ノ田君
  カラ政府ニ對シテ詳細ニ質問ヲ致シテ居
  ル、其質疑應答ニ依テ、今不急ノ事業デア
  ルト云フコトハ既ニ明ニナッテ居リマスガ、
  政府ノ說明スル所ニ依ルト、此日月潭水力
  電氣ニ依テ十万「キロ」ヲ出スト云フ、差當
  テハ二万七千「キロ」ヨリ要ラナイト言ウテ
  居ル、サウスルト七万三千「キロ」ト云フモ
  ノハ電氣ノ使ヒ途ガナイノデアルガ、政府
  ハ年々二千五百「キロ」位ヅヽ需要ガ殖エル
  ト申シマスルガ、年々二千五百「キロ」位ヅヽ
  殖エタダケデハ是カラマダ全部使ッテシ
  マフニハ三十年掛ル、洵ニ是ハ遠イ話デア
  ル、ンコデ政府ハ此餘ッタモノデ肥料ヲ拵ヘ
  ルト中シテ居ル、併ナガラ政府ノ計算ニ依
  ルト、一「キロ」一錢六厘トノコトデアリマ
  スルガ、内地デモ窒素肥料ヲ拵ヘテ居リマ
  スノハ、何レモ一「キロ」五六厘ノ安イ電氣
  デヤッテ居ル、此位安イモノデナケレバ引合
  ハナイ、ソコデ政府ガ臺灣デ肥料ヲ拵ヘル
  ト申シマシテモ、電氣ナラバ海ヲ越エテ幾
  ラ安クテモ內地カラ臺灣マデ送ルト云フコ
  トハ出來ナイケレドモ、窒素肥料ガ安ク內
  地デ出來タナラバ、ドン〓〓臺灣へ送ルコ
  トニナル、是ハ競爭ニ勝テナイコトハ明デ
  アル、政府ハ今日月潭水力電氣ニ二千九百
  万圓ヲ固定サシテ居ル、ソレヲ固定シテ置
  クコトガ勿體ナイカラ此工事ノ進行ヲ圖ル
  ノダト言ヒマスケレドモ、二千九百万圓ト
  云フモノハ機械ヲ買ウテ固定サシテ居ルノ
  デアリマスカラ、三年五年延バシタ所ガ少
  シモ傷ムコトハナイ、錆止メサヘシテ置ヶ
  バ些トモ差支ナイノデアル、ソレニ此二千
  九百万圓ノモノヲ固定サスコトガ勿體ナイ
  ト言ッテ、更ニ四千八百万圓ノモノヲ固定サ
  スコトガ勿體ナクト云フ理由ハ立タナイノ
  デアル(拍手)デ之ヲ二三年假ニ延パスト致
  シマシテモ、四千八百万圓ニ年六分ノ利息
  ヲ乘ケルトシテモ、此二年ノ利息ノ總計ガ
  約六百万圓位ニナル、其六百万圓ノ金ヲ以
  テ火力發電所ヲヤルト云フト約三万「キロ」
  ノモノガ出來ル、現在一「キロ」二百圓位デ出
  來ルノデアリマスカラ、六百万圓アルト云フ
  !、三万「キロ」ノ火力發電所ガ十分ニ出來
  テ、而シテ是ガ後ニナッテモ決シテ無駄ニ
  ハナラヌ、十万「キロ」ニ對シテ約三分ノ一
  位ノモノハ火力發電所ノ準備ノ爲ニ、何處
  ノ水力電氣デモヤッテ居ルノデアルカラ、是
  ハ少シモ無駄ニナラヌ、何故斯ウ云フ方法
  ヲヤラナイノデアルカ、又技術ノ點ニ於テ
  モ尙ホ相當ノ疑問ヲ持ッテ居ル、政府ハ「ス
  トーン·ウエブスター」ト云フ會社ノ技師
  ニ見セタカラ安心ダト申シテ居リマスケレ
  ドモ、此「ストーン·ウエブスター」ト云フ
  電氣會社ハ世界的ニ權威ノアルモノダト云
  フコトハ私モ聞イテ居ル、併シ私ノ聞イテ
  居リマス所ニ依リマスルト、此會社ノ技師
  ガ調査シタ結果、マダ技術上多少ノ疑問ガ
  アルト申シテ居ルサウデアル、ソレハ砂ハ
  如何ニシテ取ルカト云フコトガ中ミムヅカ
  シイカラ、是ハ餘程〓究ヲシナケレバナラ
  ヌト申シテ居ル日月潭ト云フ湖水ヘハ濁
  水渓ノ水ヲ引入レルコトニナッテ居ル、濁水
  渓ノ水ハ讀ンデ字ノ如ク濁水デ、半分位砂
  ガ混ッテ居ル、シコデ湖水ノ入口デ其砂ヲ如
  何ニシテ取ルカト云フコトハ中〓技術上
  ムヅカシイノデアッテ、外國ニモ斯ウ云フ例
  ハナイカラ、先ヅ小規模デヤッテ見ナケレバ
  ナラヌト云フコトヲ「ストーン·ウエブス
  ター」ノ技師ガ言ウテ居ルト聞イテ居ルノ
  デアル、然ルニ斯ウ云フ技術上ノ疑問モ殘フ
  テ居ルノニ、今之ヲ直ニヤラナケレバナラ
  ヌト云フ理窟ハドウシテモ判斷スルコトガ
  出來ナイ、斯ウ云フヤウナコトヲドン〓〓
  ヤッテ居リマスルカラ、日本ノ公債ハ益〓膨
  脹スル是ハ名前ハ社債デアルケレドモ
  政府ガ保證スルノデアルカラ結局公債デア
  ル而シテ又當分利益ガ擧ラナイノデアル
  カラ、是ハ矢張不生產的ノ公債デアル、斯
  ウ云フ事ヲヤルカラ益〓こ公債ガ殖エルバカ
  リデアル、隨テ爲替モ下落スルバカリデア
  ル、現在ノ公債ハ既ニ約五十八億ニナッテ
  居ル昭和四年度ニ於テ一億九千八百万圓
  殖エル、更ニ又間モナク此議場ニ於テ鐵道
  ノ交付公債ノ議案ガ審議サレルコトニナル
  ガ、ソレダケデモ五千万圓、又西原借款ノ
  整理二二千一一百万圓、國際汽船ノ整理ニ三
  千万圓鹽田整理ニ一千百万圓、是等ノモノ
  ヲ合セマシテザット六十一億以上ニナル、之
  ヲ六千万ノ國民ニ割當テルト一人ニ百圓デ
  アッテ、一軒ニ五人トスルナラバドンナ貧之
  ナ者デモ五百圓宛國ノ借金ヲ背負フコトニ
  ナル、國民ハソレノ〓皆個人ノ借金ヲ持シテ
  居ル、其上ニドンナ貧乏ナ者デモ五百圓宛
  國ノ借金ヲ背負ハネバナラヌト云フコトニ
  ナルト、國民ノ士氣ニ及ボス影響モ少タナ
  イト思フ、ノミナラズ直接ニハ爲替ガ益、
  下落スル、正金銀行ノ表面ノ建値ハ現在四
  十五弗ニナッテ居ルサウダケレドモ、實際ニ
  於テハ四十五弗ヲ割シテ居ル、ソコデ政府ハ
  之ニ對スル對策ト致シマシテ、正金銀行ガ
  日本銀行ノ持ノテ居リマスル外貨公債ヲ借
  リテ、ソレヲ擔保ニシテ外國デ金ヲ借リテ
  決濟シタ、併ナガラ是ハ間接ニ通貨ヲ膨脹
  サスコトニナルノデアッテ、輸入商ガ金ヲ正
  金銀行ニ拂込ンデ正金銀行カラ日本銀行ヘ
  決濟スル間ハ一時 、矢張通貨ヲ膨脹サセ
  ルノデアリマスガ、併シ是ハ已ムヲ得ヌコ
  トデアリマスカラ、此方法ヲ執ルヨリ外ニ
  途ガナイ、非常ニ惡イケレドモ斯ウ云フ方
  法ヲ執ラナケレバナラヌト云フコトハ、是
  ハ「アルコール」ノ中毒ニナッテ居ル者ガ、仕
  方ガナクシテ「モルヒネ」ノ注射ヲスルヤウ
  ナモノデアル、サウカト思フト、政府ハ此
  法案、又後刻引續イテ鐵道公債五千万圓ヲ
  增發スル案ヲ續々衆議院デ審議セシメルノ
  デアル、是ハ丁度「アルコール」中毒ノ患者
  ガ、右ノ手ヲ出シテ「モルヒネ」ノ注射ヲシ
  ツヽ左ノ手デ酒ヲ飮ンデ居ルヤウナモノデ
  アル、此内閣ハ-醉拂ヒ內閣ト云フコト
  デアリマスガ、此醉拂ヒ内閣ノヤルコトハ
  徹底シテ居ルト思フ(拍手)此法案ノ如キモ
  ノハ何ノ理由ニ依テ臺灣總督ハ出スノデア
  ルカ、吾々ハ疑ハザルヲ得ナイノデアル、
  川村臺灣總督ハ臺灣ノ輿論デアルト言ッテ
  居ル、臺灣ノ輿論デアルニ違ヒナイ、臺灣
  ニ於テ五千万圓ノ金ヲ投ジテ吳レルト云フ
  コトデアレバ臺灣ニハ黃金ノ雨ガ降ルノ
  デアリマスカラ、是ハ歡迎スルニ違ヒナイ、
  併ナガラ國民ハ堪ラナイ、臺灣ノ總督ハ
  何レノ時代ニ於テモ臺灣ノ島民カラセガマ
  レテ居ルノダケレドモ、皆之ヲヤラナカッタ
  ノデアル、今日迄田、內田、伊澤、上山四
  代ノ總督ガ七年ノ間臺灣ノ島民ノ希望ヲ斥
  ケテ、國家的見地ニ立ッテ毅然トシテ此事
  ヲ中止シテ居ノタ英斷ニ對シテハ、吾々滿
  〓ノ敬意ヲ表セザルヲ得ナイノデアリマ
  フ川村臺灣總督ハ若シ臺灣ノ島民ニ媚
  ル爲ニ斯ル無謀ナル案ヲ出スニ於テハ、
  君ノ政治的價値ヲ疑ハザルヲ得ナイノデア
  リマス、若シ此議政壇上ニ於テ論ズルコト
  ヲ憚ルヤウナ或種ノ目的ヲ以テ之ヲヤルナ
  ラバ其罪惡タルヤ斷ジテ赦スコトハ出來ナ
  イ殷鑑遠カラズ、臺灣電力會社ガ今日ノ
  悲境ニ陷シテ居ルノハ何ノ爲デアルカト云
  フト、創立當時重役ガ「コンミッシヨン」ヲ
  取リタイ爲ニ、要リモシナイ機械ヲ三千八
  百万圓モ買ッテシマッテ、未ダ工事ガ出來ナ
  イ內カラ出來タ後デナケレバ据附ケラレ
  ナイモノヲ、「コンミッシヨン」ヲ取リタイ
  ガ爲ニ早ク買ウタ結果ガ、臺灣電力會社ヲ
  シテ斯ル悲境ニ至ラシメタノデアル、斯ウ
  云フ惡イ例ガ眼前ニ在ルノデアリマス、川
  村總督ハ決シテ左樣ナ考デハナイト思フケ
  レドモ、世人ガ疑感ヲ挾ムモノモ洵ニ無理
  カラヌコトデアル、李下ニ冠ヲ整サズ瓜田
  ニ履ヲ納レズト云フコトガアル、世人ノ疑
  感ヲ受ケルヤウナ事ハ餘程愼重ナル態度ヲ
  執ルコトガ必要デアル吾々ハ斯ル理由ニ
  依テ此臺灣事業公債デモ日月潭ノ水力電氣
  デモ、共ニ我ガ國策ト相容レズ、且又事業
  ノ本質ガ斷ジテ許スコトノ出來ナイモノデ
  アルト信ズルガ爲ニ反對スルノデアル拍
  き

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=56

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• 057・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　小谷節夫君
  〔小谷節夫君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=57

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• 058・小谷節夫

  ○小谷節夫君　私ハ只今議題トナッテ居リ
  マスル臺灣事業公債法中改正法律案ニ對シ
  マシテ、賛成ノ意ヲ表シ、先程ノ委員長報
  告通リ卽チ政府原案通リ可決確定セラレン
  コトヲ望ム者デアリマス、高ガ百五十万圓
  ノ問題ナドヽ申シマスルト、近頃流行ノ輕
  卒不謹愼ノ至リナドヽ言ハレマスカ知レマ
  セヌケレドモ、苟モ衆議院ノ壇上デ論ジマ
  スル問題トシテハシレガ何億ト云フ問題
  デハナク、何十万圓ト云フ問題デモゴザイ
  マセヌデ、百五十万圓ノ事業公債ノ問題デ
  アリマシテ、而モ其筋道ガ非常ニ通ッテ居
  ルノデゴザイマスカラ、私ハ之ニ對シテ餘
  リ口角泡ヲ飛バシテ論ズル必要ハナイト思
  ヒマスルノデ、至極簡單ニ明瞭ニ私ハ賛成
  ノ意思ヲ表示致シマス、私ハ常ニ世ノ中ノ
  問題トナリマシタモノヲ〓究致シマス場合
  ニ、自分ノ身體ヲピッタリト其當事者ノ立
  場ニ當箝メテ考ヘルコトヲ習慣トシテ居リ
  マス、客觀的デハナク、徒ニ抽象的デナク、
  兎ニ角自分ノ身體ヲ其立場ニ置イテ考ヘテ
  見ルト、一番公牛ナ判斷ガ出來ルノデアリ
  さつ、是ハ西〓南洲翁ガ常ニヤッテ居ラレ
  タ方法デアリマシテ、西〓南洲翁ノ遺訓ノ
  中ニモサウ云フコトガ書イテゴザイマス
  (「代議士ハ違ウゾ」ト呼フ者アリ)代議士
  トシテ此法案ヲ〓究致シマス時分ニハ特
  ニ其必要ヲ感ズルノデアリマス、私ハ今
  此問題ヲ、自分ヲ臺灣總督ノ立場及臺灣
  總督府鐵道部長ノ立場ニ置イテ考ヘテ見タ
  ナラバ、非常ニ公平ナ判斷ガ出來ルト思
  フ、先程堤君ノ御話ノ中ニハ不急ノ問題デ
  アルト云フ御話ガゴザイマシタケレドモ、
  只今臺灣ノ鐵道ガ使ヶテ居リマスル石炭ハ、
  四脚亭ト云フ炭坑カラ掘ッテ居ルノデゴザ
  イマスガ其炭坑ノ炭ハ昭和三年度ヲ以テ
  掘盡シテシマウノデアリマス、日月潭ノ水
  力電氣ハドウ致シマシテモ今直グト云フ間
  ニハ合ハナイノデアリマシテ、是ハ數年前
  カラノ懸案デアッタノデアリマス、シレデ色
  色ト石炭ヲ探シテ見ル中ニ、裏臺北ノ中ニ
  非常ニ良イ炭田ガアリマシテ、サウシテ三
  千百万噸ノ可採炭量ガアル、其三千百万噸
  ノ可採炭量ノ中千五百万噸ガ非常ニ優良炭
  デアリマシテ、鐵道ノ運轉用ニ非常ニ都合
  ノ好イ石炭デアルサウ云フ譯デ其石炭ヲ
  採リマス爲ニ、其炭坑所在地カラ鐵道ノ幹
  線トノ間ニアリマス八哩一分ノ鐵道ヲ、買
  收スルト云フコトニナッタノデアリマス、先
  程ハ如何ニモ變手古ナ鐵道デアルカノヤウ
  十、何カ「トロ」ダケデ動イテ居ルヤウナ鐵
  道ト云フヤウナ御批評モアリマシタガ、立
  派ニ三呎六吋ノ鐵道デアリマシテ、サウシ
  テ會社ハ經營難ノ爲ニ十分ニ此鐵道ヲ改良
  スルコトガ出來ナイ、所ガ其鐵道ノ八哩一
  分ノ沿線ニハ外ニ色ミノ炭坑モゴザイマス
  シ、或ハ米デアルトカ、茶デアルトカ、材
  木ト云フヤウナ物資モ澤山アリマスノデ、
  沿線ノ人間ハ非常ニ希望シテ居ル、是非此
  鐵道ヲ改良シテ營業用ニ供シテ貰ヒタイト
  云フコトヲ總督府ノ方ヘ出願シテ居ル、サ
  ウ云フコトニナッテ總督府ガ買收スルコト
  ニナックノデゴザイマスカラ、私ガ臺灣總督
  トシテノ立場ニ立チマシテモ、是ハ立派ニ
  買ッテ宜イモノデアルト私ハ思フノデアリ
  マス、サウシテ、此鐵道ヲ初メ造リマシタ
  時分ニハ、先程委員長ノ報告ノ通リ二百三
  十七万圓ノ經費ヲ投ジテ居ルノデアリマ
  ス、サウスルト〓度ハ立場ヲ變ヘテ其鐵道
  ヲ持ッテ居ル人間ノ方面カラ考ヘテ見マス
  ルナラバ、出來ルダケ高ク賣リタイノハ是
  ハ當然デアリマス、總督府トシテハ出來ル
  ダケ安ク買ヒタイ、賣ル方デハ出來ルダケ
  高ク賣リタイ、ダカラシテ是ハ一方バカリ
  ノ思フヤウニ安イ値段デ買ヘナイト云フコ
  トハ當然ノコトデアリマス、唯問題ハ其値
  段ガ高イカ安イカト云フ問題ニナッテ來ル
  ノデアリマスガ、私ハ數年來ノ日本ノ鐵道
  ノ買收ノ樣子ナンカヲ調ベテ見マシテ、決
  シテ不當ノ値段デナイト云フコトヲ判斷シ
  タノデアリマス、是ハ皆樣ノ中ニ先程ノ堤
  サンノ御言葉ノ中ニモ大分濁クテ居リマシ
  タガ、如何ニモ利權問題ト云フモノガ喰付
  イテ居ルト云フコトデ、非常ニ反對ニナク
  テ居ルト云フ御話デアリマス、所ガ政友會
  ノ總督ガ臺灣ニ居シテシマスル仕事ニハ民
  政黨ノ方ミガ皆利權問題ガ喰付イテ居ルト
  シテ之ニ御反對ナサル、又民政黨ノ總督ノ
  方ガ臺灣デ爲サレル仕事ニ對シテハ政友
  會ノ連中ガ利權問題ガ喰付イテ居ルトシテ
  之ニ反對スル、斯ノ如クナリマシタナラバ、
  臺灣ニ於ケル仕事ト云フモノハ絕對ニ出來
  ナイコトニナルノデアリマス、特ニ此問題
  ハ決シテ川村總督ガ行カレマシテカラ後ニ
  起ッタ問題デハアリマセヌノデ、特ニ天降リ
  ノ案デハナイノデアリマス、鐵道部ノ當事
  者ガ、ドウシテモアノ炭坑ノ石炭ニ賴ラナケ
  レバナラヌ、ソレニハアノ鐵道ヲ買收シテ、
  サウシテ改良スルノガ工合ガ宜イト云フコ
  トニナリマシテ、サウシテ鐵道部ノ方カラ
  上山總督時代ニ之ヲ上申致シマシテ、上山總
  督カラ政府ノ方へ上申セラレタコトガアル
  ノデアリマス、所ガソレガマダ議會へ提出
  スル運ビニナリマセヌデ、上山總督ガ辭セ
  ラレマシテ、サウシテ其後へ川村總督ガ行
  カレマシテ、川村サンノ時ニナッテ今度ノ
  議會ニ出タノデアリマス、サウシテ見マス
  ト、利權問題ノ臭ヒガ若シスルト致シマ
  シタナラバ、上山總督時代ノ其利權問題ノ
  臭ヒガシテ居ル譯デアリマス、私ハサウヤ
  カマシク仰シヤルト云フコトニナルト、泥
  棒ヲ捕ヘテ見レバ吾子ナリト云フ結論ニナ
  リハシナイカト思フノデアリマス(拍手)假
  ニ泥棒デアルトシテモト申シマス、私ハ御
  互ニ己ノ欲セザル所ヲ人ニ施サザルヤウニ
  シマシテ、サウシテ所謂德孤ナラズ必ズ隣
  アリト云フヤウナ遣方ヲシナケレバ、政治
  ハ段々暗黑ニナリマシテ、決シテ明ルクハ
  ナッテ來ナイノデアリマス、私ハ先程申シマ
  シタ通リニ、餘リ長ク申述ベル必要ハアリ
  マセヌノデ、先程日月潭ノ問題ヲ盛ニ論ゼ
  ラレテ居リマシタケレドモガ、是ハ問題外
  デゴザイマスカラ、私此處デ論ジマセヌ、
  只民政黨ノ方ハ公債ト言ヘバ非常ニ御嫌ヒ
  デゴザイマシテ、僅ニ百五十万圓デモ、公
  債ダカラト言っテ大變御嫌ヒニナッテ居ルヤ
  ウデゴザイマスガ、黨内ニ於テモ皆サン御
  交際ガ御嫌ヒナサウデ、民政黨ハ非常ニ冷
  ヤカデアルト云フコトヲ、民政黨ノ內輪ノ
  人ガ申シテ居ル、私ハ幾ラ公ケノ借金ノ公
  債ガ御嫌ヒデモ、御付合ノ交際ハ一ツ御好
  キ下サイマシテ、サウシテ滿場一致可決確
  定セラレンコトヲ望ムノデゴザイマス(拍
  手)

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• 059・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　討論ヲ終リマシ
  タ、採決ニ入リマス、本案ノ第二讀會ヲ開
  クコトニ賛成ノ諸君ノ起立ヲ望ミマス
  〔贊成者起立〕

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• 060・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　起立多數ト認メマ
  ス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クコトニ決シ
  マシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=60

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• 061・原惣兵衞

  ○原惣兵衞君　直ニ本案ノ第二讀會ヲ開カ
  レンコトヲ望ミマス
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=61

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• 062・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　御異議ナシト認メ
  せっ、直ニ第二讀會ヲ開キ議案全部ヲ議題
  ト致シマス
  臺灣事業公債法中改正法律案
  第二讀會
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 063・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　別ニ御發議モアリ
  マセヌ、第二讀會ニ於テハ委員長報告通リ
  決シマシタ、是ニテ本案第二讀會ハ終了致
  シマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=63

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• 064・原惣兵衞

  ○原惣兵衞君　直ニ本案ノ第三讀會ヲ開カ
  レンコトヲ望ミマス
  〔「賛成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=64

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• 065・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　御異議ナシト認メ
  やっ、仍テ直ニ第三讀會ヲ開キ議案全部ヲ
  議題ト致シマス
  臺灣事業公債法中改正法律案第三讀會
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=65

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• 066・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　別ニ御發議モアリ
  マセヌカラ直ニ採決ヲ致シマス、本案ニ
  賛成ノ諸君ハ起立
  〔贊成者起立〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=66

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• 067・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　起立多數ト認メマ
  ス、仍テ本案ハ可決確定致シマシタ、次一
  ハ製鐵所特別會計ニ於テ大藏省預金部ノ橫
  濱正金銀行ニ對スル債權ノ讓渡ヲ受クルコ
  トニ關スル法律案ノ審議ニ入リマス、別ニ
  御發議ガアリマセヌカラ本案ノ第二讀會ヲ
  開クニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=67

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• 068・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　御異議ナシト認メ
  マス、本案ハ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=68

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• 069・原惣兵衞

  ○原惣兵衞君　直ニ本案ノ第二讀會ヲ開
  キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
  リ可決セラレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=69

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• 070・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　御異議ナシト認メ
  マイ、仍テ直ニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、議
  案全部ヲ議題ト致シマス
  製鐵所特別會計ニ於テ大藏省預金部ノ
  横濱正金銀行ニ對スル債權ノ讓渡ヲ受
  クルコトニ關スル法律案
  第二讀會(確定議)
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=70

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• 071・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　別ニ御發議モナイ
  ト認メマス、本案ハ第三讀會ヲ省略シテ委
  員長報告ノ通リ可決確定致シマシタ(拍手)
  次ニ健康保險特別會計法中改正法律案、健
  康保險法中改正法律案ノ審議ニ入リマス、
  是モ別ニ討論ノ通告ハアリマセヌ、兩案共
  第二讀會ヲ開クニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=71

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• 072・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　御異議ナシト認メ
  マス、第二讀會ヲ開クニ決シマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=72

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• 073・原惣兵衞

  ○原惣兵衞君　直ニ兩案ノ第二讀會ヲ開
  キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
  リ可決セラレンコトヲ望ミマス
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=73

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• 074・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　御異議ナシト認メ
  マス、仍テ直ニ兩案ノ第二讀會ヲ開キ議案
  全部ヲ議題ト致シマス
  健康保險特別會計法中改正法律案
  第二讀會(確定議)
  健康保險法中改正法律案
  第二讀會(確定議)
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=74

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• 075・清瀬一郎

  ○副議長(清瀨一郞君)　別ニ御發議モアリ
  マセヌ第三讀會ヲ省略シテ、兩案共委員
  長報告ノ通リ可決確定致シマシタ(拍手)以
  上ヲ以テ只今議題ト致シマシタ四案共全部
  議了致シタノデアリマス、日程第十四乃至
  第十八ハ同一委員ニ付託シタル議案デアリ
  マス、仍テ一括議題ト爲スニ御異議アリマ
  セヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=75

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• 076・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　御異議ナシト認メ
  マス、日程第十四、府縣制中改正法律案、
  日程第十五、市制中改正法律案、日程第十
  六、町村制中改正法律案、日程第十七、
  北海道會法中改正法律案、日程第十八、北
  海道地方費法中改正法律案、此五案ヲ一括
  シテ第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報
  告ヲ求メマス-委員長三輪市太郞君
  第十四府縣制中改正法律案(政府提
  出)第一讀會ノ續(委員長報告)
  報告書
  一府縣制中改正法律案(政府提出)
  右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノ
  ト議決致候此段及報告候也
  昭和四年三月一日
  委員長三輪市太郞
  衆議院議長元田肇殿
  〔別紙〕
  府縣制中改正法律案中左ノ通修正ス
  第四條ニ左ノ二項ヲ加フ
  府縣知事ハ府縣會ノ議決ヲ經內務大臣
  ノ許可ヲ受ケ前項ノ規定ニ依ル選擧區
  ヲ分チテ數選舉區ト爲スコトヲ得
  前項ノ規定ニ依リ選舉區ヲ分ツ場合ニ
  於テ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定
  ム
  第十五條第一項ニ左ノ但書ヲ加へ同條第
  四項中「市町村ノ區域」ヲ「第一項ノ規定
  ニ依ル投票區ノ區域」ニ改ム
  但シ第四條第三項ノ規定ノ適用ニ依リ
  市ノ區域內ニ數選舉區アルトキハ其ノ
  選擧區ニ依ル
  第十五市制中改正法律案(政府提出)
  第一讀會ノ續(委員長報告)
  報告書
  一市制中改正法律案(政府提出)
  右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノ
  ト議決致候此段及報告候也
  昭和四年三月一日
  委員長三輪市太郞
  衆議院議長元田肇殿
  〔別紙〕
  市制中改正法律案中左ノ通修正ス
  第二十條第一項ヲ左ノ如ク改ム
  市會議員中闕員ヲ生ジタル場合ニ於テ
  第三十條第二項ノ規定ノ適用ヲ受ケタ
  ル得票者ニシテ當選者ト爲ラザリシ者
  アルトキハ直ニ選擧會ヲ開キ其ノ者ノ
  中ニ就キ當選者ヲ定ムベシ此ノ場合ニ
  於テハ第三十三條第三項及第四項ノ規
  定ヲ準用ス
  前項ノ規定ノ適用ヲ受クル者ナク若ハ前
  項ノ規定ノ適用ニ依リ選者ヲ定ムル
  モ仍其ノ闕員ガ議員定數ノ六分ノ一ヲ
  超ユルニ至リタルトキ又ハ市長若ハ市
  會ニ於テ必要ト認ムルトキハ補關選擧
  ヲ行フベシ
  第十六町村制中改正法律案(政府提
  出)第一讀會ノ續(委員長報告)
  報告書
  一町村制中改正法律案(政府提出)
  右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノ
  ト議決致候此段及報告候也
  昭和四年三月一日
  委員長三輪市太郞
  衆議院議長元田肇殿
  町村制中改正法律案中左ノ通修正ス
  第十七條第一項ヲ左ノ如ク改ム
  〔別紙〕
  町村會議員中闕員ヲ生ジタル場合ニ於
  テ第二十七條第二項ノ規定ノ適用ヲ受
  ケタル得票者ニシテ営選者ト爲ラザリ
  シ者アルトキハ直ニ選舉會ヲ開キ其ノ
  者ノ中ニ就キ當選者ヲ定ムベシ此ノ場
  合ニ於テハ第三十條第三項及第四項ノ
  規定ヲ準用ス
  前項ノ規定ノ適用ヲ受クル者ナク若ハ
  前項ノ規定ノ適用ニ依リ當選者ヲ定ム
  ルモ仍其ノ闕員ガ議員定數ノ六分ノ一
  ヲ超ユルニ至リタルトキ又ハ町村長若
  ハ町村會ニ於テ必要ト認ムルトキハ補
  闕選擧ヲ行フベシ
  第十七北海道會法中改正法律案政
  府提出)第一讀會ノ續(委員長報告)
  報告書
  一北海道會法中改正法律案(政府提出)
  右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノ
  ト議決致候此段及報告候也
  昭和四年三月一日
  委員長三輪市太郞
  衆議院議長元田肇殿
  〔別紙〕
  北海道會法中改正法律案中左ノ通修正ス
  第一條第二項ノ次ニ左ノ二項ヲ加フ
  北海道廳長官ハ北海道會ノ議決ヲ經內
  務大臣ノ許可ヲ受ケ前項ノ規定ニ依ル
  選擧ヲ區分チテ數選擧區ト爲スコトヲ得
  前項ノ規定ニ依リ選擧區ヲ分ツ場合ニ
  於テ必要ナル規定ハ勅令ヲ以テ之ヲ
  定ム
  第十八北海道地方費法中改正法律案
  (政府提出)
  第一讀會ノ續(委員長報〓)
  報告書
  一北海道地方費法中改正法律案(政府提
  出)
  右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
  候此段及報告候也
  昭和四年三月一日
  委員長三輪市太郞
  衆議院議長元田肇殿
  〔三輪市太郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=76

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• 077・三輪市太郎

  ○三輪市太郞君　議題トナリマシタ地方制
  度、卽チ府縣制中改正法律案外四案ノ委員
  會ノ經過結果ヲ御報告ヲ致シマスルガ、ソ
  レニ先ッテ御了解ヲ得テ置キタイノハ、此委
  員會ハ委員諸君ガ熱誠ニ質疑ヲサレマシ
  テ、就中女子ニ公民權ヲ付與スルト云フ問
  題ノ如キニ當ッテハ、西岡委員若クハ〓水委
  員ノ如キハ最モ熱心ナル質問應答ヲ重ネ
  ラレマシテ、是等ノ事ノ詳細ニ御報告致シ
  タイト思ヒマスルガ、之ヲ報告ヲ致シマシ
  タナラバ他ノ諸君ノ質疑應答モ是亦御報
  告ヲセンケレバナルマイト思フノデゴザリ
  マスルガ、委員長ハ此點ニ付テハ、假令簡
  單タリトモ皆サンノ質疑應答ノ要點ダケヲ
  申述ベヤウト云フノ用意ハ致シテ置イタカ
  ナレドモ、モウ議會ノ會期モ迫リマシタシ、
  殊ニ今日ハ尙ホ餘ス所ノ案件ガ三十件餘ニ
  モ亙ッテ居リマスルカラ、經過ノ報告ダケハ
  總テヲ略スルコトニ御了〓ガガタヒタイノデ
  ゴザリマス、殊ニ又此機會ニ一言諸君ノ御
  諒察ヲ願ッテ置キタイノハ、質問應答ヲ終リ
  マシテ、討論ニ入ル其間十餘日委員會ヲ開
  カナカッタノデアリマスガ、此點ニ於テハ實
  ハ委員長ハ每日出勤ヲ致シテ居リマシタ
  ガ、色ミノ事情デ其運ビニ至ラナカッタコト
  ハ汗願ノ至リデアル、要スルニ委員長ガ其
  責ヲ負フ事ヲ御諒察ヲ願テテ置キマス、討論
  ニ入リマシテ川島正次郞君ヨリ修正案ガ出
  マシタノデゴザリマスルガ、是ハ何レ諸君
  ノ御手許ニ修正ノ報告書ガ配付ニナッテ居
  ルトハ思ヒマスルガ、此場合是ダケハ一讀
  シテ置イタ方ガ便宜カト思ヒマス、府縣制
  中改正法律案中ノ「第四條ニ左ノ二項ヲ加
  フ、府縣知事ハ府縣會ノ議決ヲ經內務大臣
  ノ許可ヲ受ケ前項ノ規定ニ依ル選擧區ヲ分
  チテ數選擧區ト爲スコトヲ得、前項ノ規定
  ニ依リ選擧區ヲ分ツ場合ニ於テ必要ナル、事
  項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム、第十五條第一項
  ニ左ノ但書ヲ加ヘ同條第四項中「市町村ノ
  區域」ヲ「第一項ノ規定ニ依ル投票區ノ區
  域」ニ改ム、但シ第四條第三項ノ規定ノ適用
  ニ依リ市ノ區域内ニ數選擧區アルトキハ其ノ
  選擧區ニ依ル」之ガ府縣制中ノ改正ノ修正ノ
  條項デゴザイマス、次ニ市制中改正法律案
  ニ於テ修正ヲサレマシタル點ハ「第二十條
  第一項ヲ左ノ如ク改ム、市會議員中闕員ヲ
  生ジタル場合ニ於テ第三十條第二項ノ規定
  ノ適用ヲ受ケタル得票者ニシテ當選者ト爲
  ラザリシ者アルトキハ直ニ選擧會ヲ開キ其
  ノ者ノ中ニ就キ當選者ヲ定ムベシ此ノ場合
  ニ於テハ第三十三條第三項及第四項ノ規定
  ヲ準用ス、前項ノ規定ノ適用ヲ受クル者ナ
  ク若ハ前項ノ規定ノ適用ニ依リ當選者ヲ定
  ムルモ、仍其ノ關員ガ議員定數ノ六分ノ一
  ヲ超ユルニ至リタルトキ又ハ市長若ハ市會
  ニ於テ必要ト認ムルトキハ補關選舉ヲ行フ
  ベシ」之ガ市制中ノ修正デゴザイマス、次
  ニ町村制中ノ改正法律案中ニ修正ヲサレマ
  シタル點ハ「第十七條第一項ヲ左ノ如ク改
  ム、町村曾議員中闕員ヲ生ジタル場合ニ於
  テ第二十七條第二項ノ規定ノ適用ヲ受ケタ
  ル得票者ニシテ當選者ト爲ラザリシ者アル
  トキハ直ニ選擧會ヲ開キ其者ノ中ニ就キ當
  選者ヲ定ムベシ此ノ場合ニ於テハ第三十條
  第三項及第四項ノ規定ヲ準用ス、前項ノ規
  定ノ適用ヲ受クル者ナク若ハ前項ノ規定ノ
  適用ニ依リ當選者ヲ定ムルモ仍其ノ闕員ガ
  議員定數ノ六分ノ一ヲ超ユルニ至リタルト
  キ又ハ町村長若ハ町村會ニ於テ必要ト認ム
  ルトキハ補闘選擧ヲ行フベシ」是ガ町村制
  ノ修正ノ點デアリマス、今一ツ北海道會法
  中改正法律案ノ中ニ修正サレタノハ第
  條第二項ノ次ニ左ノ一一項ヲ加フ、北海道廳
  長官ハ北海道會ノ議決ヲ經内務大臣ノ許可
  ヲ受ケ前項ノ規定ニ依ル選擧區ヲ分チテ數
  選擧區ト爲スコトヲ得、前項ノ規定ニ依リ
  選擧區ヲ分ツ場合ニ於テ必要ナル規定ハ勅
  令ヲ以テ之ヲ定ム」以上川島君ノ修正デゴ
  ザリマス、續イテ〓水留三郞君ヨリ又修正
  ガ出マシタ、此修正モ是ニテ朗讀スルガ便
  宜ト思ヒマスルデ、御〓聽ヲ願ヒマス「市制
  中改正法律案中左ノ通修正ス、第九條第一
  項中「帝國臣民タル年齡二十五年以上ノ男
  子」ヲ「年齡二十五年以上ノ帝國臣民」ニ改
  ム、第二十條第一項中「闘員ヲ生シタルト
  キハ」ヲ「闘員ヲ生シ其ノ闕員議員定數ノ五
  分ノ一以上ニ至リタルトキ又ハ市長若ハ市
  會ニ於テ必要ト認ムルトキハ」ニ改ム、第
  百六十四條第一項中「市長、助役、收入役
  又ハ副收入役ニ」ヲ「市長及助役又ハ收入役
  及副收入役共ニ」ニ改ム」次ニ町村制中ニ於
  テ修正ヲサレマシタル點ハ「第七條第一項
  中「帝國臣民タル年齡二十五年以上ノ男子」
  ヲ「年齡二十五年以上ノ帝國臣民」ニ改ム、
  第十七條第一項中「闕員ヲ生シタルトキハ」
  ヲ「闕員ヲ生シ其ノ闕員議員定數ノ五分ノ
  一以上ニ至リタルトキ又ハ町村長若ハ町村
  會ニ於テ必要ト認ムルトキハ」ニ改ム、第百
  四十四條第一項中「町村長、助役、收入役
  又ハ副收入役ニ」ヲ「町村長及助役又ハ收入
  役及副收入役共ニ」ニ改ム」次ニ北海道會法
  中改正法律案ニ於テ「第三條中「帝國臣民タ
  ル年齡二十五年以上ノ男子」ヲ「年齡二十五
  年以上ノ帝國臣氏」ニ改ム」是ガ〓水君ノ修
  正案デゴザリマス、此討論ニ入リマシテ藤
  井啓一君ハ清水君ノ修正案中ニテ、市制ノ
  第九條及町村制第七條ノ婦人公民權ノ點ハ
  國家社會ノ現狀ガ、今尙ホ許サヌト云フ理
  由ノ下ニ反對ヲ表示ザレタノデゴザイマシ
  テ、其他ノ修正案ハ總テ〓水君ノ修正案ニ
  贊成ヲ表示サレタノデゴザイマス、西尾君
  ハ〓水君ノ修正案モ不徹底デハアルガ政
  友會ノ案ニ較ベテ稍、進步的デアルト思ヒ
  賛成スルトノ意見デアリマシタ、再度發言
  ヲ求メラレマシタ場合ニハ、私ハ面倒デアツ
  タカラ總括的ニ賛成ト申シタノデアリマス
  ルガ、例ヘバ是ガ第二讀會ニ入リマシテ、
  逐條審議ニ入ッタ時分ニハ、又別ニ考慮スル
  點ガアルコトヲ申上ゲテ置クト云フ、斯ウ
  云フ附言ヲサレタノデゴザイマス、藤井達
  也君ハ政友會ノ修正案、卽チ川島君ノ修正
  案ニ對シテハ全然同意デアルト云フ賛成
  ノ意ヲ表示セラレ、民政黨卽チ〓水留三郞
  君ノ修正案ニ對シテハ政府案ヲ修正スル
  コトハ絕對ニ反對デアル、併シ其反對ノ理
  由中ニ於キマシテ、婦人ニ公民權ヲ與ヘル
  問題ニ對シテハ民政黨ヨリモ別箇ノ法律
  案ガ議員ヨリ提出サレテ居リ、政友會ヨリ
  モ又別箇ノ婦人公民權ノ議案ガ提出サレテ
  居ルカラシテ、此問題ニ對シテノ意目九
  其案ヲ審議サレル時ニ於テ述ブル、斯ウ
  云フコトデゴザイマシタガ、此述ブルト云
  フコトニ付テ、保留ト云フ言葉ヲ用ヒ
  ラレマシテ、此保留ト云フ言葉ニ付テ
  森田君若クハ藤井····(「簡単ニセヨ」ト呼
  フ者アリ)簡單ハ望ム所デアリマスガ、諸
  君ノ爲ニ報告ヲシテ居ルノデアル-藤井
  君トノ間ニモ色々保留ノ言葉ニ付テノ質問
  應答ハアリマシタガ、要スルニ藤井達也君
  ハ尙ホ再度發言ヲ求メテ言ハレルニハ
  矢張保留ノ意味ハ賛否ヲ保留スルニアラズ
  シテ、意見ヲ述ブルコトヲ此場合セヌト云
  フノデアッテ、政府案ニ對シテ〓水君ノ修正
  サレルト云フコトハ。總テヲ反對スルト
  斯ウ云フ御意見デアリマシタ、ソレデ〓水
  君ノ又御求ニ依リマシテ、此採決ニ入リマ
  シタル場合ニ、婦人參政權ノ問題ニ付テ
  ハ、民政黨ハ自由問題トナッテ居ル關係上、
  之ヲ一案每ニ採決ヲ要求サレマシタ、其爲
  ニ〓水君ノ修正案ニ對シテハ一ツ宛採決
  ヲ致シマシタガ、何レモ少數デ否決ニナリ
  マシタ、今申ス如ク其少數ノ中ニデモ、-
  案ダケハ藤井啓一君ハ之ニハ賛成ヲサレナ
  カッタノデアル、政友會ノ修正案、卽チ今申
  ス川島君ノ修正案ニ對シテハ一括シテ採
  決ヲ致シマシタガ、是ハ多數デ通過ヲ致シ
  マシタ、其修正ヲ可決致シタル殘リノ政府
  案全體ニ對シテ採決ヲ致シマシタ、之ニハ
  全會一致デ御贊成ニナッタノデゴザイマス、
  序ナガラ一言中シテ置キマスルガ、西岡君
  ノ如キハ餘程御議論ガアッタヤウデアリ
  マスガ、是ハ黨議ノ下ニ服サレタ關係上、委
  員ヲ辭職サレタコトデゴザイマスルカラシ
  テ、此點ハ諸君ニ於テモ諒トセラレンコト
  ヲ御願致シテ置キマス、以上ノ通リデアリ
  マシタ、然ルベク御審議アランコトヲ望ミ
  マス(拍手)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=77

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• 078・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　星島二郞君ヨリ本
  件各案ニ關聯致シテ、政府ニ對シテ質疑ヲ
  致シタイ事ガアルト云フ申出デアリマス
  之ヲ許シマス星島二郞君
  〔星島二郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=78

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• 079・星島二郎

  ○星島二郞君　私ハ此機會ニ於キマシテ、
  政府ニ質シテ置キタイト思フコトガアリマ
  スノデ、暫時御〓聽ヲ戴キタイト思フノデ
  アリマス
  〔此時發言スル者多シ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=79

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• 080・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　靜肅ニ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=80

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• 081・星島二郎

  ○星島二郞君(續)　本案ノ上程サレマシタ
  時ニ、私ハ殊ニ婦人公民權ノ問題ニ付キマ
  シテ、詳シク政府ニ御尋シタ事ガアルノデ
  アリマス、私ハ今回ノ地方制度ノ大改正、
  地方自治制ノ擴充ヲ圖ルコトニ付キマシテ
  ハ非常ニ贊成ヲスル一人デアリマス、殊
  ニ全會一致テ政府ノ原案ノ主ナル部分ガ通
  過シタト云フコトハ、何ヨリノ證據デアリ
  マスガ、唯一點折角ノ此大改正ニ、婦人ノ
  公民權ヲ何故與ヘラレヌカト云フコトハ
  上程ノ日ニ質問致シタノデアリマス、吾々
  モ亦議員ト致シマシテ、是非トモ昭和新政
  ノ當初ニ當ッテ、之ヲ與ヘテ欲シイト云フノ
  デ、殆ド議員ノ絕對過半數ノ贊成ヲ得マシ
  テ提案サレテアルノデアリマス、其後政府
  ノ答辯其他ヲ見マスト云フト
  〔此時發言スル者多シ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=81

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• 082・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　靜肅ニ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=82

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• 083・星島二郎

  ○星島二郞君(續)　政府ハ決シテ反對デハ
  ナイ、唯問題ハ時機ノ如何ニアルト云フノ
  デアリマシタガ、委員會ノ經過ヲ見マスト
  云フト吾々ハ此問題ニ付キマシテ、政府
  ノ原案ヲ修正シテ、サウシテ之ヲ通過サセ
  タイト迄ノ希望ヲ、實ハ打開ケテ申シマス
  レバ持ッテ居リマシタ、ケレドモ吾々ガ單ニ
  其時ノ面目ヲ維持スル爲二、或ハ言懸リヲ
  通ス爲ニヤルノデナク、眞ニ最モ早ク之ヲ
  實現シタイト云フ爲ニハ-ソレハ立憲政
  治ハ一見シテ言ヘバ妥協政治デアリマス
  吾々ノ原案ハ或ハ民政黨ノ出サレル案モ
  其實施期ハ今年ニアラズシテ、四年ノ後ノ
  總選擧、今年之ガ通過シマシテモ、名簿ノ
  調製ガ出來ナイノデアリマスカラ、若シ是
  ガ四年ノ後ノ總選舉ニ間ニ合フト云フヤウ
  ニ、政府ガ自ラ進ンデ提案サレルナラバ
  吾々ハ必シモ他ノ重大ナル法案ガ、或ハ此
  會期切迫シマシテ、貴衆兩院ヲ通ル點ニ於
  キマシテ不安デアリマスカラ、1,若シ此際ニ
  於キマシテ、政府ガ誠意アル聲明ヲサレ、
  且ツ吾々與黨、此政友會ノ幹部ニシマシテ
  責任ヲ以テ、將來此問題ニ付キマシテ相當
  ノ處置アルナラバ吾々ガ又提案者モ茲ニ
  考ヘテ見タイト思フノデアリマス、茲ニ明
  瞭ニ政府ノ聲明ヲ得タイト思フノデアリマ
  ス(拍手)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=83

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• 084・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　望月內務大臣
  〔國務大臣望月圭介君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=84

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• 085・望月圭介

  ○國務大臣(望月圭介君)　婦人公民權ノ問
  題ニ付キマシテハ今日マデ屢〓申シテア
  ルノデアリマスルガ、只今又星島君ノ熱誠
  ヲ籠メラレタル質問ニ付キマシテ、政府ハ
  答辯ヲシタイト思ヒマス是迄申シマシタ
  ガ如クニ、婦人ニ公民權ヲ付與スルト云フ
  コトハ主義トシテ決シテ政府ハ反對ヲシ
  テ居ルノデハナイ、是ハモウ屢〓申シテア
  生、隨テ政府ハ相當ノ時期ニ於テ、或ハ進
  ンデ之ヲ提案スルト云フコトノ考ヲ有ッテ
  居ルト云フコトヲ、此場合ニ言明ヲ致シテ
  置キマス(拍手)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=85

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• 086・星島二郎

  ○星島二郞君　內務大臣ノ御答辯ニ依リマ
  조 +
  〔「登壇々々」ト呼ヒ其他發言スル者多
  シ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=86

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• 087・星島二郎

  ○星島二郞君(續)　相當ノ時期ニ改正ヲ加
  ヘルト云スコトデアリマス、其時期ハ最モ
  近イ時期〓解釋シマシテ、吾々ハ提案致シ
  マシケル婦人公民權ニ關スル議案提出者ノ
  同意ヲ得マシテ、撤囘致シタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=87

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• 088・清瀬一郎

  ○副議長(清瀨一郞君)　只今星島二郞君ヨ
  リシテ、婦人公民權ニ關スル議案撤回ノ意
  思表〓ガアリマシタ、是ハ本院ニ於テハ
  其上孝哉君外四名提出、市制中改正法律
  案内、井上孝哉君外四名提出、町村制中改正
  法律案、竝拜上孝哉君外四名提出、北海道
  會法中改正法律案ノ三案ヲ指スノデアリマ
  不、而シテ此三案ニ對シテハ、星島君以外
  ノ提案者ヨリモ、撤回ノ申出ガ全部出テ居
  リマス、之ヲ許可スルニ御異議アリマセヌ
  カ
  〔「異議ナシ」ト呼ス者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=88

  ---

• 089・清瀬一郎

  ○副議長(清瀨一郞君)　御異議ナシト認メ
  マス、仍テ之ヲ許可スルコトニ決シマシタ、
  此際議事ノ進行ニ關シ、宣告スルコトガア
  サマス、層田義一君外三十名ヨリ異議ノ申
  密ガアリマシタ、仍テ採決致シマス、右
  〓〓ヲ許スニ付キ同意ノ諸君ハ、起立ヲ請
  ヒマス
  〔賛成者起立〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=89

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• 090・清瀬一郎

  ○副議長(清瀬一郞君)　多數ト認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=90

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• 091・清瀬一郎

  ○副議長(濤瀨一郞君)　多數ニ付キ撤回ス
  〓コトニ浜シマシタ、尙ホ本案ニ關シ質疑
  ガ出マシダ、工藤鐵男君
  〔工〓徵男〓〓登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=91

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• 092・工藤鐵男

  ○工藤鐵男君　現内閣ハ重要ナル政策ノ一
  ツトシテ、地方分權ヲ高調致サレタノデア
  リマス、地方分權ノ内容如何ニ依リマシテ
  ハ私共ハ或ハ之ニ賛成シ得タカモ知レナ
  カッタノデアル、面モ此度提出セラレマシタ
  ル地方制度ニ關スル諸案ヲ拜見致シマシタ
  ガ、地方分權テシイ所ハ、一ツモ發見シ得
  ナカッタト云フコトガ、如何ニ現內閣ノ看板
  ニ僞アルカト云フコトハ明瞭デアリマス、
  現内閣ハ此度ノ地方制度ヲ以テ、地方分權ノ
  内容ヲ具ヘタリト言フガ如キハ羊頭ヲ懸
  ゲテ狗肉ヲ鬻グモノデアリマス、吾々ノ此
  本案ニ賛成シタ理由ハ、斯樣ナ意味ニ於テ
  賛成シテ居ルモノデハナイ、地方制度ヲ完
  成スルコトハ、如何ナル内容、如何ナル時デ
  アッテモ、常ニ實行シナケレバナラヌノデア
  リマス、此意味ニ於テ地方制度ノ改正ニハ
  賛成致シマシタガヾ之ヲ捉ヘテ以テ現内閣
  ノ重要ナル政策、卽チ地方分權ヲ包含スル
  ナドト云フコトハ夢ニモ想ハザルモノデア
  ルト云フコトヲ聲明致シマス、先以テ現内
  閣ハ、地方分權ニ關シテ徹底シタル所ノ政策
  ヲ、遂行シ得ナカッタトシタナラバ、玆ニ私
  共ハ此度ノ改正案ニ對シテ、種々ナル疑ヲ
  起スノデアリマス、若シ現内閣ハ多年主張
  致シ、政友會ハ其說ヲ支持シテ、眞ニ斯樣
  ナ政策ヲ實行スルノデアッタナラバ、實ニ明
  治以來ノ大改革、卽チ中央ニ集中セル所ノ
  權力ヲ地方ニ分チテ、以テ地方ノ自治團體
  ヲ發展セシムルト云フコトニ付テハ、天下
  何人カ之ニ異議ヲ唱ヘル者ガアルデアリマ
  セウ、是ニ於テ私ハ斯ノ如ク內容空虛ナル
  所ノ地方分權案、卽チ只今吾々ノ審議シテ
  居リマスル所ノ府縣制改正ニ付キマシテ
  ハ、多大ノ不安ト疑惑トヲ持シテ居リマスカ
  ラ、玆ニ現內閣、殊ニ總理大臣竝内務大臣
  ニ、地方行政ニ對スル所ノ監督ノ問題ニ付
  テ、私ハ質疑ヲ致シタイノデアリマス、地
  方長官ノ更迭ニ付キマシテハ、貴衆兩院共
  ニ、餘リニ其頻繁ナルコトニ、心ヲ惱マシ
  テ居ルノデアリマス、故ニ常ニ貴衆兩院共
  ニ、屢〓問題二相成リマシタガ現内閣ハ成
  立ノ際ニ、地方長官ノ大更迭ヲ行ヒマシテ、
  爾來其人選ヲ誤リ、人事行政ノ不當デアッタ
  ト云フコトハ天下齊シク知ッテ居リマス、
  (「ソンナ黴ノ生エタヤウナ問題ハ止メ給
  へ」ト呼フ者アリ)其黴ノ生エタヤウナ問題
  ヲ屢、繰返ス所ニ問題ガ伏在シテ居ルノデ
  アリマス、卽チ去ル二月十八日新庄靑森縣
  知事赴任ノ途上聲明書ヲ天下ニ發表シタノ
  デアリマス靑森縣知事ノ新庄君ガ赴任ノ
  途上發表シタル所ノ聲明書ハ、如何ニ現内
  閣ノ官紀ガ紊亂シテ居ルカト云フコトヲ立
  證スルニ足ルモノガアルノデアリマス、試
  ニ私ハ其文書ヲ朗讀致シマス、去ル十八日
  發表二月二十一日赴任、新庄靑森縣知事談
  「政友會ノ往年分裂シテ以來、其間ニ益〓感情
  ニ阻隔ヲ來シ、是ガ根本ノ原因トナリ、昨
  今縣政萬般ノ上ニ甚ダ面白カラザル所ノ事
  情ヲ簇生シ云々」ソレカラ「先ヅ以テ第一ニ
  此根本問題ニ付キ至誠至情ヲ以テ、飽迄兩者
  ノ阻隔ヲ碎イテ、團滿ニ一致協力セラレル
  ヤウニ全幅ノ力ヲ注ギタイ」又靑森縣政ノ
  問題トシテ傍觀スルコトヲ許サナイ、卽チ
  靑森縣政ニ於テ絕對ニ多數ヲ占ムル政友會
  會ノ現狀ハ其事自態ガ縣ノ政治行政ノ上
  ニ非常ナル關係ヲ有スルモノデアルカラ
  此意味ニ於テ政友會ノ分裂セル現狀ヲ融合
  一致セシムルト云フコトハ取リモ直サズ
  今日マデ此分裂抗爭ニ依リ、迷惑ヲ蒙レル
  八十万縣民ノ福利ヲ增進スル最モ根本的ノ
  宿題デアラウト考ヘル
  〔此時發言スル者多シ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=92

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• 093・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郎君)　靜肅ニ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=93

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• 094・工藤鐵男

  ○工藤鐵男君(續)　又更ニ新庄君ハ赴任ノ
  途上何故劈頭ニ於テ之ヲ言ハナケレバナラ
  ナカッタカ、卽チ我國ニ於テ天皇陛下ノ命ヲ
  奉ジ、太臣ノ命ヲ受ケテ、各地ニ赴任シタ
  ル所ノ地方長官ハ澤山アリマス、然レドモ
  或ル政黨ノ分裂ヲ防止シ、之ヲ融合一致セ
  シムルガ爲ニ、是ハ根本的ノ縣治上ノ問題
  ナリト聲明シ、恰モ政友曾ノ特使大使ノ如
  キ態度ヲ以テ臨ンダ地方長官ガ卽チ此新庄
  知事デアルノデアリマス、私共ハ一縣ノ知
  事ヲ目標トシテ唯徒ニ論議スル者デハナイ
  ケレドモ、新庄知事ハ前任地タル佐賀ニ於
  キマシテハ、極メテ令名ノアッタ人デアリマ
  ス、極メテ評判ノ好カッタ人デアッタノデア
  リマス、唯〓賀縣ニ於ケル政友會ノ大物ノ
  言フコトヲ聞カヌ知事デハ仕方ガナイトシ
  六、無理ニ靑森縣ニ放逐シタト云フコトガ
  傳ヘラレテ居ルノデアリマス、適任者トシ
  テ地方長官ノ地位ヲ占メル所ノ知事ヲ、-
  黨派ノ有力者ニ服從セザル所以ヲ以テ、之
  ニ濫ニ轉任セシムルガ如キハ卽チ現政府
  ガ地方民ノ感情ヲモ考ヘズ、獨立セル官吏
  ノ身分ノ保證ヲモ考ヘズ、徒ニ黨派ノ爪牙
  トスルガ爲ニ地方官ヲ更迭ヲスルガ如キコ
  トヲ見ルニ至ノテハ、吾々ハ斷ジテ許スコト
  ハ出來ナイ
  〔此時「議長々々」ト呼ヒ發言スル者多
  シ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=94

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• 095・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郎君)　工藤君-工藤
  君、本案ニ關係シタル發ニロヲシテ下サイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=95

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• 096・工藤鐵男

  ○工藤鐵男君(續)　私ハ府縣制ノ中ヲ見マ
  シテ地方分權卽チ或ル意味ニ於キマシテ
  ハ地方長官ヲ公選トスルト云フ如キ重要ナ
  ルモノモアルデアラウト思ヒマス、然ルニ
  地方長官ニ關スル身分上ノ規定ハ勿論ナイ
  ノデアリマスケレドモ、之ニ關聯シタル一
  條項ヲ發見シナカッタ爲ニ、此點ニ關スル
  質問ヲ致スノデアリマス、即チ政府ハ地方
  分權ヲバ高調シテ居ッタガ、此度ノ改正案ニ
  ハナイ將來地方長官ヲ公選スルノ機會ア
  リヤ、若クハ其用意アリヤ、若クハ之ニ對
  スル所ノ調査ヲ遂ゲタカドウカト云フコト
  ヲ伺フノデアリマス、何ガ故ニ私ハ斯樣ナ
  質問ヲ起シタノデアルトカト云フト此微
  微タル一地方長官ノ聲明書デアリマスルケ
  レドモ、一縣ノ知事ガ己ノ使命ヲ完フスル
  コトヲセズシテ、唯或ル黨派ノ分裂ヲ融合
  スルガ爲ニ赴任スルト云フニ至ッテハ、實ニ
  地方自治團體トシテノ府縣政ノ精神ヲ蹂躪
  スルノ甚シキモノデハアリマセヌカ(拍手)私
  共ノ記憶ニハ鮮カデアリマス、卽チ五十五議
  會ニ於テ衆議院ハ如何ナル決議ヲ致シタノ
  デアリマスカ、其中ノ二三ノ要項ヲ申シマ
  シテモ「君國ノ爲ニ奉仕スベキ事務官ヲ誘
  感シテ私黨ノ爪牙ニ供シ、以テ輿論民意ノ
  公正ナル發露ヲ妨碍ス、是ハ一ハ以ア陛
  下ノ聰明ヲ擁蔽シ奉リ、一ハ以テ民意ノ暢
  達ヲ抑塞スル所以ニシテ閣臣ノ非違貫ニ是
  ヨリ大ナルハナシ」トアリマス、此一事ハ
  卽チ地方事務官ナルモノガ動モスルト政黨
  ノ爪牙ニナッテ居ルト云フ、此點ニ關スル本
  院ニ於ケル意思ノ表明デアリマス、次ニハ
  「事務官ハ凡テ通當ノ位地保障ヲ與ヘ以テ
  選舉干涉ノ本源ヲ杜絕シ、將來再ビ斯ノ如
  キ汚點ヲ我憲政史上ニ印スルモノナカラシ
  メンコトヲ期ス」是ハ固ヨリ選擧干涉ヲ認
  メテノコトデアリマスガ、併ナガラ事務官
  ノ位地ヲ保障シ、事務官ラシク仕事ヲセシ
  ムルト云フコトノ保障ガナイ爲ニ、動モス
  ルト政黨ノ爪牙ニ掛リ、政府ノ不當ナル命
  令ヲモ奉ジナケレバナラヌノデアリマスカ
  ラ、本院ノ此點ニ關スル意思ガ、如何ニ地
  方官ノ獨立性ヲ飽迄モ保護スルコトヽ云フ
  コトガ明瞭デアルカハ私共ノ言ヲ俟タナイ
  ノデアリマス、第三ニハ「政務官ヲ設置シタ
  ルハ其目的一ニ事務官ヲ永久官トナシ、內
  閣ノ交替ニ拘ラズ其職ニ安居シテ國家必要
  ノ常務ヲ執ラシムルニアリ」「政務官ト事務官
  ノ區別ヲ混亂シ、事務官ニ向ッテ黨派的任免
  ヲ爲ス是レ綱紀紊亂ノ本源ニシテ」ト云フ
  コトヲ本院ニ於テ決議シタデハアリマセヌ
  カ、更ニ又「本院ハ事務官ニシテ苟モ黨派
  ニ編倚スルガ如キモノハ悉ク之ヲ罷免シ、
  代フルニ純忠無私ノ能吏ヲ以テセン事ヲ要
  求ス」如何デアリマス、地方長官ハ純然タ
  ル事務官デハアリマセヌカ、八十万縣民ニ
  臨ムニ當ノテ、一黨一派ノ內訌ヲ治ムルガ爲
  二、最大使命ハ玆ニアリ、根本問題ハ玆ニ
  アリトシテ、黨派ノ爭ヲ救濟スルガ爲ニ、
  縣ノ政治ヲ度外視スルガ如キ知事ハ、明ニ
  現內閣ノ方針ニモ違ヒ、又本院ノ意志ヲモ
  蹂〓スルモノナリト私ハ考ヘテ居ルノデア
  リマス(拍手)斯ノ如ク萬々一地方長官ニシ
  テ一黨一派ニ使嗾セラレ、其爪牙トナルト
  云フコトニナリマスレバ、現內閣ガ綱紀肅
  正ヲシ、地方自治ノ作興ヲ標榜シテ居ル此
  時ニ、何デアナタ方ガ地方政治ニ對スル責
  任ヲ完ウスルコトガ出來ルト言ヘマセウ
  カ、卽チ地方政治ノ作興ニ對シテ責任アル
  アナタ方ガ、面シテ府縣制ノ改正ニ付キマ
  シテ、最モ大切ノ精神的方面ニ付テ、現ニ
  斯ノ如キ事柄ガアリト致シマスナラバ、此
  點ニ關スル現内閣ノ地方監督ニ對スル御方
  針ヲ伺ヒタイノデアリマス、私共ハ新庄知
  事其人ニハ恩怨ハアリマセヌ、靑森縣ノ政
  友會ハ確ニ二分致シマシタ、隨テ縣治上ニ
  及ブ影響モ固ヨリアルデアリマセウ、縣ノ
  政治ニ影響ノ及ブ所ハ、豈獨リ政友會ノ內
  訌ノミナランヤ、總テニ付テ一致セシムル
  ト云フコトニハ、私共敢テ異存ハナイガ、
  政友會ダケヲ纏メルト云フ必要ハナイ、別
  段政友會カラ俸給ヲ貰ヲテ居ル知事デハナ
  イノデアリマス、然ルニ政友會ノ內訌ニ沒
  頭シテ居ルノデアル、若シ縣一致ヲ說ク、
  黨派ノ如何ヲ問ハズ、縣民一致シテ以テ縣
  治ニ當ルト云フナラバ、吾々ハ此事ニ付テ
  ハ或ル意味ニ於テハ敬意ヲ表シマス、然
  ルニ何等縣一致ヲ說カズ、縣政ノ前途ニ向ッ
  テ、何等ノ布望ヲモ與ヘズ、唯、一縣ノ長官
  トシテ其地方ニ臨ム根本的方針ガ、政友會
  ノ內訌ヲ無クスルノガ、地方官ノ第一ノ使
  命ナリト云フニ至ッテ、實ニ斯樣ナル知事
  ハ洵ニ私共國家ノ爲ニ〓ハシイト考ヘマ
  スカラ、此點ヲ申スノデアリマス、(「ソレガ
  ドウシタ」ト呼フ者アリ)此問題ハ私ノ府縣
  制ニ關スル-詰リ府縣制ノ運用ニ關シテ
  ハ、地方長官ガ其中心トナルノデアル、然
  ルニ此人ガ一黨一派ノ便宜ノ爲ニ、役所ニ
  出デズ、縣ノ官舍ニ居クテ、政友會系統ノ人
  人ヲ集メテ、色と相談ヲシテ居ル、縣民ハ
  之ニ對シテ非常ナル反感ヲ持シテ居ルノデ
  アリマス、聞ク所ニ依レバ佐賀縣カラ靑
  森縣ニ赴任スル當時、政友會ノ最高幹部ノ
  某々ト、現内閣ノ有力者ガ、靑森縣ハ政友
  會ガ分裂シテ困ルカラ、君ノ仕事ハ是ダゾ
  ト云フコトノ內命ヲ傳ヘタ所ガ、正直ナル
  新庄知事ハ、一刻ニ考ヘテ、此聲明書ヲバ
  東京ニ居ッテ之ヲ印刷致シ、面シテ去ル十八
  日靑森縣ノ知事官房ニ各新聞記者等ヲ呼ン
  デソレヲ配付シタ、其原本ハ此所ニ私ツ手
  ニ這入ッテ居ルノデアル、私共ハ一地方長官
  ノ進退ニ付テ、彼此レ中ス者デハアリマセ
  又、吾々ハ事務官ニ對シテハ、出來ルダケ
  身分ノ地位ヲ保障シテ、黨爭ノ渦中ニ入ラ
  ザルコトヲ、豫テヨリ警メテ居ルト云フコ
  トヲ伺ヒマシタ、然ルニ現實ニ茲ニ斯樣ナ
  者ガアリトスレバ、新ニ改正セラレタル府
  縣制モ、其人ヲ得ザレバ如何ニシテ之ヲ運
  用スルコトガ出來ルデアリマセウカ、如何
  ニシテ貴方ハ眞ニ官紀ヲ正シ、地方民ヲ安
  堵セシメ、而シテ君國ノ爲ニ上下一致シテ
  當ル所ノ所謂義勇奉公ノ念ヲ起サシムルコ
  トガ出來ルト考ヘルカ、此點ニ關シテ、ド
  ウゾ內務大臣ノ御說明ヲ伺ヒタイ、巨細ニ
  亙ヲテ伺ヒタイコトガアリマスガ、軈テハ豫
  算委員會ヲ開カレルデアリマセウカラ、事ノ
  細カナ點ハ、何レ豫算委員會ニ於テ申上ゲ
  マス、大體現内閣ノ地方長官ノ監督ニ關シ、
  黨派トノ關係如何、而シテ斯樣ナコトガ果
  シテ縣民ノ幸福ヲ增進スルコトニナルト、
  現内閣ハ認メテ居ルカドウカ、更ニ進ンデ
  五十五議會ニ於テ本院ガ決議シタ事務官ノ
  身分保障ニ關シテ、政府ハ如何ナル處置ヲ
  執リ、而シテ今囘ノ如キ場合ニハ如何ナ
  ル方法ニ依テ其知事ヲ監督スルカト云フコ
  トヲ伺ヒタイノデアリマス(拍手)
  〔「答辯ノ必要ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=96

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• 097・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　望月內務大臣
  〔國務大臣望月圭介君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=97

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• 098・望月圭介

  ○國務大臣(望月圭介君)　地方長官ニ對シ
  テハ、其言動ニ付テモ又長官トシテ地方へ
  臨ムニ付テモ、能ク公平ニ、能ク至誠ニ其
  職務ヲ行フベキ旨ヲ、政府ハ常ニ申付ケテ
  居ル譯デアリマス、而シテ之ニ對シテノ監
  督ハ、決シテ息クテ居リマセヌ、只今工藤君
  ノ新庄知事ニ對シテノ事柄ハ、是ハマダ存
  ジマセヌ、是ハマダ私ハ聞イテ居リマセヌ
  ガ是ハ君モ彼ノ聲明書トカ云フコト
  ヲ今仰シヤッタガ、其聲明書ニシテ果シテ
  不都合ナ點ガアルナラバ、其點ニ付テハ
  能ク戒メマセウ、ソレカラ知事公選トームフ
  コトノ問題ニ付テノ御尋ガアリマシタガ、
  知事公選ト云フコトノ主義ハ政府ハ尊重
  ヲ致シマス、併シ是ハ今回ノ地方制度ノ改
  正ニハ、之ヲ提案シナカッタ、併シ之ニ付テ
  ハ政府ハ調査ヲ怠ッテハ居リマセヌ(拍手)
  〔工藤鐵男君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=98

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• 099・工藤鐵男

  ○工藤鐵男君　只今內務大臣カラ一應ノ御
  答ガアリマシタ、御存知ガナイト云フコト
  デアリマスカラ、私ハ重ネテ申上ゲマス、
  去ル二月十九日ノ束奧日報ニ載ッテ居ルコ
  トデアルカラ、天下公知ノ事デアル、卽チ
  官房ニ於テ新聞記者ニ謄寫版摺ヲ吳レタノ
  デアリマス、新聞記者ハ其官房デ貰ッタ謄
  寫版摺ヲ新聞ニ載セテ居ルノデス、「新庄知
  事ノ重大ナル使命トハ、分裂セル政友會ノ
  融合ガ第一ノ根本問題」斯樣ナ標題デ出テ
  居ル、内務大臣ハ多忙デアラセラレルカラ、
  一地方ノ事ハ知リハシマスマイ、然レドモ
  是ハ現内閣ノ綱紀肅正、若クハ官紀肅正ニ
  關スル大問題デアリマス、縱令一地方ニ起ッ
  タコトデアリマシテモ、一事ハ以テ萬事ヲ
  知ルニ足ルノデアッテ、此事ハ偶〓以テ靑森縣:
  ニ起リマシタコトデハアルガ、恐クハ日本
  全國ニ、之ト共通ノ點ハ澤山アルデハナイ
  カト考ヘルノデアリマス、若シ內務大臣ガ
  斯ル事實アルコトヲ知ラズ、貴方ノ監督ノ
  下ニ在ル地方長官ノ手カラ現ハレタル此文
  書ヲ知ラヌト云フコトデアレバ知ラヌト
  シテモ宜シイノデアリマスケレドモ、政務
  官以下其他事務官ハ、之ニ對シテ相當ナル
  注意ヲ拂ッテ居ラナケレバナラヌ筈ト私ハ
  考ヘル而モ此事ハ、政友會ノ分裂ハ地方
  ノ事情カラ見テ、固ヨリ長官モ御心配デア
  リマセウ、吾々モ或ル意味ニ於テハ心配ダ、
  若シオセツカイニ言フナラバ、何ガ故ニ縣
  一致ヲ以テ縣民ニ要望セラレナイノデアリ
  マスカ、地方長官ガ己ノ地位ヲ辨ヘズ、時
  ノ政府ニ屬シテ居ル黨派ノ內訌ニ恐レ、之
  ニ指ヲ染メ、而シテ縣ノ政治ニ關シテハ
  未ダ何等聲明モスル所ガナイト云フコト
  ハ誠ニ遺憾デアリマスカラ、此點ヲ伺ヒ
  タイノデアリマス、此騰寫版摺ハ東京ニ於
  テ印刷シタサウデアリマス、サウシテ之ヲ
  輸送シテ靑森ノ懸廳ノ官房ニ送ッタサウデ
  アリマス、知ラザル者ハナイノデアリマス
  カラ、何レ豫算委員會其他ノ機會ニ申上ゲ
  マスケレドモ、新聞紙上既ニ公ナルコトデ
  アリマスカラシテ、私ノ申上ゲルコト果シ
  テ眞ニ出ヅルカト云フ疑ガアルナラバ、速
  ニ相當ナル方法ヲ以テ調査ノ上、適當ノ時
  期ニ其結果ヲ發表セラレンコトヲ希望致シ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=99

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• 100・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　以上ヲ以テ本案ニ
  關スル質疑ヲ終リマシタ-此際議事進行
  ノ方法ニ付キ一言致シテ置キマス、議題ト
  ナリマシタ五案中、市制中改正法律案、町
  村制中改正法律案竝北海道會法中改正法律
  案ノ三案ニ對シテハ各少數意見ノ提出ガア
  リマス、此少數意見ハ總テ修正デアリマス
  カラ、第二讀會ニ於テ其報告ヲ求メルコト
  ニ致シタイト思ヒマス、尙ホ討論ハ便宜上
  第二讀會ニ於テ爲スコトト致シタイト是亦
  思ヒマス、左樣御諒承ヲ願ヒマス、就キマ
  シテハ先ヅ府縣制中改正法律案外四件ノ第
  二讀會ヲ開クヤ否ヤヲ御諮リ致シマス、之
  ヲ開クニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=100

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• 101・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　御異議ナシト認メ
  マス、仍テ五案トモ第二讀會ヲ開クニ決シ
  マシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=101

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• 102・原惣兵衞

  ○原惣兵衞君　直ニ五案ノ第二讀會ヲ開カ
  レンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=102

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• 103・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　御異議アリマセヌ
  カ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=103

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• 104・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　御異議ナシト認メ
  アッ、仍テ直ニ五案ノ第二讀會ヲ開キ、議
  案全部ヲ議題ト致シマス
  府縣制中改正法律案第二讀會
  市制中改正法律案第二讀會
  町村制中改正法律案第二讀會
  北海道會法中改正法律案第二讀會
  北海道地方費法中改正法律案第二讀會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=104

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• 105・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　此際市制中改正法
  律案外二件ニ對スル少數意見ノ報告ヲ求メ
  ルノデアリマス、〓水留三郞君
  少數者意見書
  一市制中改正法律案(政府提出)
  右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノ
  ト認ムルニ依リ少數者意見書及提出候也
  昭和四年三月一日
  委員少數意見者高橋元四郞
  外八名
  〔別紙〕
  市制中改正法律案中左ノ通修正ス
  第九條第一項中「帝國臣民タル年齢二十
  五年以上ノ男子」ヲ「年齢二十五年以上ノ
  帝國臣民」ニ改ム
  第二十條第一項中「闘員ヲ生シタルトキ
  ハ」ヲ「闕員ヲ生シ其ノ闕員議員定數ノ
  五分ノ一以上ニ至リタルトキ又ハ市長若
  ハ市會ニ於テ必要ト認ムルトキハ」ニ改
  ム
  第百六十四條第一項中「市長、助役、收入
  役又ハ副收入役ニ」ヲ「市長及助役又ハ收
  入役及副牧入役共ニ」ニ改ム
  少數者意見書
  一町村制中改正法律案(政府提出)
  右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノ
  ト認ムルニ依リ少數者意見書及提出候也
  昭和四年三月一日
  委員少數意見者高橋元四郞
  外八名
  〔別紙〕
  町村制中改正法律案中左ノ通修正ス
  第七條第一項中「帝國臣民タル年齡二十
  五年以上ノ男子」ヲ「年齡二十五年以上ノ
  帝國臣民」ニ改ム
  第十七條第一項中「闕員ヲ生シタルトキ
  ハ」ヲ「闕員ヲ生シ其ノ闕員議員定數ノ
  五分ノ一以上ニ至リタルトキ又ハ町村長
  若ハ町村會ニ於テ必要ト認ムルトキハ」
  二郎ん
  第百四十四條第一項中「町村長、助役、收
  入役又ハ副收入役ニ」ヲ「町村長及助役又
  ハ收入役及副收入役共ニ」ニ改ム
  少數者意見書
  一北海道會法中改正法律案(政府提出)
  右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノ
  ト認ムルニ依リ少數者意見書及提出候也
  昭和四年三月一日
  委員少數意見者高橋元四郞
  外八名
  〔別紙〕
  北海道會法中改正法律案中左ノ通修正ス
  第三條中「帝國臣民タル年齡二十五年以
  上ノ男子」ヲ「年齡二十五年以上ノ帝國臣
  民ニ改ム」
  〔〓水留三郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=105

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• 106・清水留三郎

  ○〓水留三郞君　私ハ只今委員長ヨリ御報
  告ノアリマシタ地方制度ノ改正ニ關シマシ
  テ少數意見ヲ陳述シ、其內容ヲ明ニ致シタ
  ク思フノデアリマス、私共ハ修正ノ項目ハ
  三ツデアリマス、一ハ補闕選舉ニ關スル規
  定ノ改正、一ハ職務管掌ニ關シマシテ時ノ
  政府ガ自治體ニ干涉スルコト能ハザラシム
  ルヤウニ法文ヲ修正シタノデアリマス、第
  三ハ婦人公民權ノ問題デアリマス、今囘ノ
  地方制度ハ府縣制、市制、町村制、北海
  道會法ヲ通ジマシテ、兩稅委讓ニ關係セル
  項目ガ多イノデアリマシテ、兩稅委讓ニ對
  シマシテ私共民政黨ハ反對意見ヲ持ッテ居
  ル者デアリマス、反對意見ヲ持ッテ居リマ
  スカラ、之ニ關係セル箇條ヲ削除若クハ修
  正スルノガ、或ハ順序デアルカモ知レマセ
  ヌ、併シ兩稅委譲ハ衆議院ニ於テ既ニ通過
  シタノデアリマス、通過シテ是ハ院議トナッ
  テ居ルノデアリマス、其差ガ僅カ十五票デ
  アリマシタ、貴族院ニ於テ今日兩稅委讓ガ
  否決ニナルカ、審議未了ニ終ルカ、是ハ了
  解スルコトハ出來マセヌ、兎ニ角衆議院ニ
  於テハ之ガ院議トシテ確定シタノデアリマ
  ス、故ニ私共ハ院議ニ反對スルコトハ心地
  好クナイノデアリマスカラ、院議尊重ノ意
  味ニ於テ兩稅委譲關係ノ法案、兩稅委讓關
  係ノ箇條ノ修正ハ之ヲ今回ハ見合セタノデ
  アリマス、補關選擧ニ關シマシテ、市制第
  二十條、町村制第十七條ノ規定ヲ改正シタ
  ノデアリマス、現行法ニ依リマスルト、市
  會町村會ヲ通ジマシテ、府縣會同樣、議員
  ノ闕員一名デモアリマシタ場合ハ、三箇月
  以内ニ補關選擧ヲ行ハナケレバナラヌ强制
  的ノ規完デアリマス、法理上カラ申シマス
  ルナラ少シモ差支ナイノデアリマスルガ、
  實際ノ運用上カラ見ルト云フト、非常ナル
  不便ヲ生ズルノデアリマス、故ニ全國ノ市
  長會、町村長會議ニ於キマシテハ、幾度カ
  其修正ヲ政府ニ迫シテ居ルノデアリマス、政
  府ハ之ニ對シマシテ、委員會ニ於テハ敢テ
  之ニ反對デハナイ、併ナガラ現行法ハ第五
  十一議會ニ於テ此箇條ヲ修正シタノデア
  ル、今日之ヲ改正スルコトハ朝令暮改ニ陷
  ルカラ出來ヌト云フノガ政府ノ答辯デアリ
  マシタ、假令朝令暮改ニ陷ルト申シマシテ
  モ實際不便デアル、之ニ依テ各市町村ガ困ッ
  テ居ルノデアリマスルカラ、之ヲ修正スベ
  キガ當然ナリト信ジマシテ、私共ハ修正ヲ
  加ヘタノデアリマス、ナゼ五分ノ四ト規定
  シタカ、舊法ニ依リマスルト其規定ハ三分
  ノ一ニナッテ居ルノデアリマス、現在市會ノ
  多クハ定員三十名ノ所ガ多イノデアリマス、
  町村會ニ於テハ定員十五名ノ所ガ多イノデ
  アリマス、是等ノ關係カラ五分ノ一ニスル
  コトガ最モ便宜ナリト信ジテ私共ハ五分
  ノ一ニ訂正シタノデアリマス、舊法ニ依リ
  マスルト、市會ニ對シテハ知事ノ命令權、
  町村會ニ對シテハ郡長ノ命令權ガアリマシ
  タガ、是ハ干涉ヲセシムルヤウナ餘地ヲ存
  スルノデアリマスルカラ、此規定ハ私共ハ
  舊法ト違ヒマシテ、唯市會、町村會若クハ
  市長、町村長ノ命令ニ依ラザレバ如何トモ
  スルコトノ出來ナイヤウニシタノデアリマ
  ス、第二ニ私ハ職務管掌ニ關スル現行市制
  第百六十四條、町村制第百四十四條ノ解釋
  ニ付テ、現在動トモ致シマスルト、時ノ政
  府ハ自治體ニ干涉セシムルコトヲ得ルヤウ
  ニナッテ居ルノデアリマス、如何ナル政府デ
  モ自治體ニ干涉セシムルト云フコトハ面白
  クナイ、之ニ付キマシテ委員會ニ於テ、內
  務當局ハ私共同僚ノ質問ニ對シテ次ノ如ク
  答ヘラレテ居ルノデアリマス、秋田政務次
  官ノ答辯ニ依リマスルト、政府ガ職務管掌
  ヲ任命致スト云フヤウナコトハ獨立ヲ主
  眼トスル地方ノ自治ニ對スル一種ノ干涉ニ
  ナリマスカラ、出來ルダケ是ハ避ケタイ、
  隨テ極メテ制限シテ解釋スルノガ相當ダト
  考ヘテ居リマス、但シ法文ノ解釋上ニ於キ
  マシテ、具職務管掌ヲ任命致スト云フコト
  ハ必シモ違法ニナルトハ思ッテ居リマセヌ、
  町村長ガ關員ニナッテモ助役アリ、或ハ町村
  長ガアンテモ助役ニ關員ヲ生ジタト云フ場
  合二、絕對ニ職務管掌ヲ任命スルコトガ違
  法トハ考ヘテ居リマセヌ、ト云フノガ之ガ
  委員會ニ於ケル政府ノ答辯デアリマス、ナ
  ゼ此問題ガ起ッタカト申シマスルト、熊本
  縣秋田縣、其他ノ縣ニ於キマシテ、職務
  管掌ガ斯ウ云フ風ナ不法デナイト云フ解釋
  ノ下ニ於テ行ハレタノデアリマス、熊本縣
  ハ日本ニ於キマシテ政爭激甚ナル地方ノ一
  ツデアリマス、而シテ今日熊本縣ニ於キマ
  シテ職務管掌、例へテ見レバ町村長ガ辭職
  スル、或ハ闘員トナル、助役ガアルナラバ
  助役ガ町村長ノ職務ヲ代理スルカラ差支ナ
  イニ拘ラズ、熊本縣ニ於テハ町村長闕員ノ
  場合、助役ガ居リマシテモ、職務管掌ヲド
  ン〓〓置イテ居ル、或ハ町村長ガ居シテ助役
  闕員ノ場合ニモ矢張職務管掌、其職務管掌
  ナルモノハ多クハ知事腹·心ノ官吏ヲ派遣致
  シマシテ、極端ニ自治制ニ干涉セシメテ居
  ル、其結果熊本縣ニ於テ幾多ノ紛糾ガ起ッ
  テ、町村ノ自治ハ破壞セラレントシテ居ル
  ノデアリマス、此關係カラ委員會ニ於キマ
  シテ、私共ハ職務管掌ハ法文上受入レラレ
  ルカ、受入レラレザルカ、法文ノ解釋ヲ迫ッ
  タ所ガ、政府ハ法文上差支ナイト云フノデ
  アリマス、是ハ將來ニ於キマシテ、如何ナ
  ル内閣ノ下ニ於テモ、無暗ニ自治體ニ干渉
  セシムルノ風ヲ造ルト云フコトハ面白クナ
  イノデアリマスカラ、ソレヲ嚴格タラシム
  ル意味ニ於テ、私共ハ職務管掌ノ規定ヲ設
  ケタノデアリマス、卽チ市長助役或ハ收入役
  及副收入役共ニト云フ文字ヲ入レマシタ、
  市長助役或ハ收入役、副收入役共ニ缺員ニ
  ナラザル場合ニ於テハ、絕對ニ職務管掌ヲ
  置クコトハ出來ナイ、所謂絕對ニ出來ナイ
  ト云フ意味ニ於テ、此法文ノ訂正ヲ爲シタ
  モノデアリマス、第三ニ申上ゲタイノハ
  婦人公民權ニ關スル問題デアリマス、婦人
  公民權問題ハ政友會ニ於キマシテモ、民政
  黨ニ於キマシテモ、黨議ニ於テ之ヲ拘束シ
  テ居ルノデハアリマセヌ、全クノ自由問題
  デアリマス、故ニ私共民政黨ノ委員ハ、委
  員トシテノ自由ノ立場カラ、政府案ニ修正
  ヲ加ヘタノデアリマス、卽チ市制第九條第
  一頁、町村制第七條第一項、北海道法第三
  條ヲ改正シテ、婦人ニモ男子同樣ニ公民權
  ヲ與ヘントシタノデアリマス、或黨派ノ如
  キ婦人公民權問題ニ關シマシテハ委員會
  ニ於テ議員ノ行動ハ絕對ニ束縛シナイト云
  フコトヲ誓ノテ置キナガラ、間際ニ委員ヲ變
  更シテ、オカシナ態度ヲ執ッタ、サウ云フ風
  ナコトヲ私共ハシタノデハアリマセヌ、民
  政黨ノ委員十名中ニ於キマシテ、九名ハ
  贊成ノ意ヲ表シ、一名ハ堂々ト反對ノ意見
  ヲ述ベマシタ、飽迄モ自由問題トシテノ態
  度ヲ、私共ハ天下ニ明ニシタノデアリマ
  ス、府縣制ニ付テ改正ヲ致シマセヌノハ、
  現在ノ府縣制ニ於キマシテハ公民權ヲ有
  シテ居ル者ガ選擧權、被選擧權ヲ有シ
  テ居ルノデアリマス、故ニ府縣制ハ改
  正セズトモ、市制、町村制ヲ改正シ
  タ場合ニ於テ、所謂公民權ノ規定ノ
  內容ヲ改正シタ場合ニ於テハ當然
  府縣會ニ於テモ婦人ノ選擧權、被選擧權ヲ
  認メル譯ニナルノデアリマスカラ、私共ハ
  府縣制ニハ手ヲ著ケナイノデアリマス、婦
  人公民權問題ニ關スル政府ノ反對ハ輿論
  ガ未ダ熟サナイ、婦人ノ能力ハ男子ニ及バ
  ナイト云フコトガ唯一ノ理由ナノデアリマ
  ス、今日輿論ト申シマスガ、一體輿論ヲ知
  ルト云フノハ何ニ依テ輿論ヲ知リ得ラレ
  ルノデアリマスカ、輿論ヲ知ルニハ一ハ新
  聞ノ論調デアル、一ハ議會ノ空氣デアル、
  處ガ現在新聞ノ論調ハドウデアルカ、天下
  ノ大新聞デ婦人公民權ノ問題ニ反對シテ居
  ル新間ガ幾ツアリマス、殆ド新聞ノ論調ト
  云フモノハ婦人公民權問題ヲ歡迎シテ居
  ル、議會ノ空氣ハドウカ、議會ニ於テハ、
  アノ婦人公民權ニ關スル單獨ノ法律案ガ、
  各派ヲ通ジテ二百八十五名ト云フ者ガ署名
  ヲ爲シテ提出サレテ居ルノデアリマス、本
  日政友會ノ諸君ハ、其單行法案ヲ撤回サレ
  マシタガ、兎ニ角婦人公民權問題ニ反對者
  ノ少イト云フコトダケハ明ダト私共ハ思フ
  ノデアリマス、又今日婦人ノ要望ガ男子ノ
  ヤウデナイ、普選運動當時ニ於テ、彼ノ男
  子ノ要望ガ白熱化シタト同樣ナル行動ガナ
  イカラ、マダ早イト云フ意見ヲ爲ス者ガア
  リマスガ、私共ハ婦人ガ男子ノ如ク日本婦
  人トシテノ性格ヲ無視シテ、粗暴ニ涉ルヤ
  ウナ行動ヲ爲シタ場合ニハ、或ハ多少考へ
  ナケレバナラナイカモ知レヌノデ"アリマ
  ス、寧口婦人ノ示威運動ガ猛烈ニナラザル
  ニ先チマシテ、婦人公民權ヲ與ヘテコソ、
  ソコニ初メテ日本人トシテノ特色ガ發揮セ
  ラレルト思フノデアリマス、英國ノ議會ニ
  於キマシテ、傍聽席ニ金網ヲ張シテ居ル、而
  モソレガ婦人傍聽席ナルニ於テハ、如何ニ
  英國ノ婦人參政運動ト云フモノガ猛烈デ
  アッタカト云フコトヲ知リ得ラレルノデア
  ル、私共ハ婦人ノ示威運動ナリ、或ハ英國
  ニ於テ行ハレタル婦人ノ絕〓同盟ナリ、ア
  ア云ナ風ナ行爲ヲ、吾々ハ日本婦人ニサセ
  タクハナイノデアル、故ニ寧ロ婦人ノ運動
  ガ激烈ナラザルニ先チマシテ、婦人ノ公民
  權ヲ認メ、安ンジテ婦人ノ本分ヲ盡サシムル
  ヤウニスルコトガ必要ナリト信ズルノデア
  リマス、殊ニ婦人ヲシテ選舉界ニ入レシム
  ルト、選擧界ヲ淨化セシメル一ツノ緣トモ
  ナルノデアリマス、能力ガナイト申シマス
  ガ、婦人ガ男子同樣ニ能力アリトハ私共モ
  信ジナイ婦人ハ婦人獨特ノ能力ガアリマス、
  殊ニ臺所ノ問題ヨリ見マシタナラバ市町
  村經濟ニ於テハ、現代ニ於テ最モ要求スル
  知識ナリト私共ハ信ズルノデアリマス、社
  會政策ヲ實施スベキコトハ、各政黨トモ主
  張シテ居リマス、社會政策ニ關係ヲ有スル
  モノヽ中ニ於キマシテ、或ハ公設質屋ノ問
  題トカ、公設市場ノ問題トカ、公設食堂ノ
  問題トカ、乃至ハ施療制度トカ、育兒制度
  トカ、若クハ工女ノ問題トカ、今日婦人ノ
  知識ヲ要求スルコトガ少クナイノデアリマ
  ス、婦人ノ能力ガ男子ニ及バナイト云フガ、
  現在ノ地方制度ニ於キマシテハ、府縣會、
  市會、町會ヲ通ジマシテ、婦人ノ能力-
  男子ノ及ザル婦人ノ能力ヲ要求スル點ガ多
  イト私共ハ信ズルノデアリマス、婦人ニ公
  民權ヲ與ヘマシテモ、決シテ危險デナイコ
  トハ、旣ニ實施サレテ居リマス商工會議所
  ノ選擧其他ノ選擧ニ依テ明デアリマス、故
  ニ先ヅ婦人ニ公民權ヲ與へ、漸次婦人ニ政
  治的ノ知識ヲ注入シ、進ンデ婦人ニ參政ノ
  權利ヲ與ヘルコトガ、私共ハ必要ナリト信
  ズルノデアリマス、委員會ニ於キマシテ、
  政友會ノ諸君ハ賛否ヲ保留セントシタノデ
  アリマスガ、保留ノ場合ニハ却テ修正案ガ
  通過スルコトニナル、是ニ於テカ急ニ政府
  案ノ修正ニ反對セラレタノデアリマス、今
  日政府ハ星島君ノ質問ニ對シマシテ、內務
  大臣ハ婦人公民權ヲ次ノ議會ニ與ヘルト云
  フ風ナコトヲ言ハレタコトヲ聞イテ居リマ
  ス、一體此政府ノ言明ニ何ノ效力ガアル
  デゴザイマセウ、モウ命旦夕ニ迫シテ居ル内
  閣デハアリマセヌカ(「馬鹿言へ」「取消セ」
  ト呼フ者アリ)來議會迄此內閣ガ續クト信
  ズル者ハ、恐ラク政友會ノ諸君デモアルマ
  イト思フ、政友會ニ於キマシテハ果シテ
  眞ニ婦人ニ公民權ヲ與ヘル考デアルカ、或
  ハ單ニ婦人ノ歡心ヲ買シテ選擧ニ利用セン
  トスル魂膽デアルカ殆ド了解スルニ苦シ
  ムノデアリマス、委員會ニ於テ私ノ質問ニ
  對シ秋田政務次官ハ、斷ジテ與黨ノ議員ヲ
  壓迫セズト誓ヒ、提案者ノ西岡君ハ自分ノ
  人格ヲ信ジテ貰ヒタイト言ハレタ更ニ婦
  人公民權附與ニ關シ、苟モ政友會ノ婦人公
  民權ノ單行法ニ贊成セラレテ居ル諸君、提
  案者トナッタ諸君ハ、マサカニ世ヲ欺キ、人
  ヲ欺キ、自ラヲ欺クヤウナ行動ニハ出デラ
  レナイト私共ハ思フノデアリマス、故ニ必
  ズヤ私共ノ出シタ此婦人公民權ノ修正案ニ
  御賛成下サルモノナリト私共ハ信ズルノデ
  アリマス、一事不再議ノ原則ニ依リマシテ、
  議員提出ノ婦人公民權ニ關スルモノハ、此
  議會ニハ上程スルコトハ出來ナイ、少クト
  モ此議會ニ於テ婦人ニ公民權ガ與ヘラレナ
  イト云フ結論ニナルノデアリマスルガ、各
  政黨トモ婦人公民權ハ自由問題ニナッテ居
  リマスル關係上、諸君ハ政黨政派ヲ超越シ
  テ虛心用懷ニ初メノ意志速リ此婦人公民
  權ニ御賛成アランコトヲ私ハ願フノデアリ
  マス、尙ホ婦人公民權問題ニ關シマシテハ
  高本正年君ヨリ賛成ノ演說ガアル筈デアリ
  マスルカラ、私ハ是以上申上ゲマセヌ、又
  政友會ノ提出致シマシタ修正案、殊ニ選擧
  區分割ノ問題ニ付イテハ村松君ヨリ反對意
  見ヲ述ベル筈デアリマスガ、是又私共ハ重
  複ヲ省略致シマス、之ヲ要スルニ、政府ハ
  地方分權ノ爲ニハ地方制度ヲ改正シタト云
  ヒマスガ、地方制度ノ改正ト云フモノハ單
  ニ此內閣ノミノ專賣特許デハアリマセヌ、
  原內閣當時ニ於キマシテモ地方制度ヲ改正
  シタ、殊ニ若槻内閣當時ノ五十一議會ニ於
  キマシテハ今日ノ地方制度ノ改正ヨリハ
  寧口大規模ニ此改正ヲ行タ、今日ノ地方制
  度ノ改正ハ單ニ其當時改正ニ漏レタル點
  カ、或ハ其當時委員ノ要望ニ出タモノヲ爲
  シタノミデゴザイマシテ、是ハ單ニ自治權
  ノ一部擴張ト云フダケデアッテ、地方分權ト
  云フベキモノデハナイノデアル、現內閣ノ
  地方分權ト云フモノハ、一體何ヲ指シテ言ッ
  テ居ルノデアリマスカ
  〔此時發言スル者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=106

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• 107・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　靜肅ニ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=107

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• 108・清水留三郎

  ○〓水留三郞君(續)　地方分權ハ兩稅委讓
  ト地方制度ノ改正以外ニ何モノガアルデア
  リマセウ、私ノ質問ニ對シマシテ、政府當
  局ハ兩稅委讓ト地方制度ノ改正以外ハ、行
  政審議會ニ諮問中ダト答ヘラレマシタ、私
  共ハ將來ノ事ヲ論ズルノデハアリマセヌ、
  又希望ノ點ヲ聞イテ居ルノデアリマセヌ、
  政友會ガ地方分權ト大言壯語シテ居リナガ
  ラ何ガ行ハレテ居ルカ、行ハレテ居ルノハ
  兩稅委譲ト地方制度ノ改善:
  〔此時發言スル者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=108

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• 109・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　静肅ニ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=109

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• 110・清水留三郎

  ○〓水留三郞君(續)　而モ其兩稅委讓ハ地
  方分權トモ言ヒ、社會政策トモ言ヒ思想ノ
  差導トモ言ヒ、國民負擔ノ輕減トモ言ヒ、
  一定シテ居ラヌ、丁度賣藥ノ廣告ガ萬病ニ
  利クト同ジヤウニ廣生ロダラケデアリマス、
  併シ何モ利カナイコトガ兩稅委讓デアリマ
  ヌ、眞ニ地方分權ヲ行ハントスルナラバ
  市町村長ノ直接選擧或ハ知事ノ公選、是等
  ノモノハ當然行ハナケレバナラヌ、處ガ市町
  村長ノ直接選舉ハドウナッタ、知事ノ公選ハ
  ドウナリマシタ、委員會ニ於テ政府ハ市町
  村長ノ直接選擧ノ問題ニ關シマシテ、曾テ
  若槻内閣當時ノ委員會デ、丁度時ノ內閣ガ
  反對シタト同ジヤウナ理由ヲ以テ政府當局
  ハ市町村長ノ直接選擧問題ニ反對サレテ居
  ルノデアリマス、第五十一議會、大正十五
  年三月十六日ノ本會議ニ、政友會ノ諸君ハ
  黨議ヲ以テ修正案ヲ出シテ居ル、其修正案
  ノ中ニ、市長ノ選擧權ヲ有スル市公民市長
  ヲ選擧シ、町村長ハ選擧權ヲ有スル町村公
  民之ヲ選擧スルト云フコトデ、明ニ此修正
  案ヲ出シテ居ル、而モ修正ノ意見ヲ述ベタ
  植原悅二郞君ノ意見ハ次ノ如クデアル、現
  在ノ都市ニ於テ總テノ市長ハ全部間接選擧
  デアリマス、言葉ヲ換ヘテ申セバ市會議
  員ノ選舉デアルガ故ニ、市長ナルモノハ多
  クノ場合官吏ノ古手カ或ハ市會ニ於テ多數
  ヲ制スル所ノ議員ノ情實因緣ニ依テ選擧サ
  レタモノガ市長ノ椅子ヲ占メルト云フコト
  ニナッテ居ルノデアリマス、恐ラク東京市程
  全體ノ市ノ總テニ於テ腐敗シテ居ルモノハ
  世界稀チルモノデアリマセウガ、其根本ヲ
  質セバ何處ニアルカ、市長ノ間接選擧ニ因
  由スルノデアリマス、市會議員ガ多數デ運
  動シ、情實因緣ヲ以テ擔上ゲタモノデアリ
  マスガ故ニ、如何ニソレガ手腕ヲ有スル者
  デモ、思フ通リニ其說ヲ實行スルコトガ出
  來ナイ、又市會議員ト市長トノ間ニ色と情
  實因緣ガアリマシテ、總テノ都市ノ腐敗ヲ
  誘致シテ居ルコトハ諸君御承知ノ通リデア
  リマス、現在ノ改正ヲ試ルニ就テ政府當局
  ガ之ニ一指モ染メザルト云フヤウナコトハ、
  實ニ時代ヲ知ラザルモ甚シキモノト申サチ
  ケレバナリマセヌ、私共ハ玆ニ市長ハ常ニ
  選擧權ヲ有スル公民ノ公選タラシムルノ規
  定ヲ設ケタノデアリマス、ト植原君ハ堂々
  ト此席上デ演說シタ、又町村制ニ於テハ
  市制ト同一ニ私共町村制ニ對シテモ、根本的
  ノ重要ナ改正ヲ試ルト、町村長ヲ選擧權ヲ
  有スル所ノ公民ノ公選トスル規定ニシタノ
  デアリマヌ、政友會ガ在野黨ノ當時唱ヘテ
  居リマシタ市長町村長ノ直接選擧ノ問題ヲ
  弊履ノ如ク捨テ顧ミナイ、ソレデ果シテ政
  黨内閣ノ値打ガアリマスカ、政友會ノ諸君、
  現内閣ハ植原君ノ所謂時代ヲ知ラザルモ甚
  シイモノデハナイカ、次ニ知事ノ公選ハド
  ウナリマシタ、第四十五帝國議會ノ當時デ
  ゴザイマシテ、議會ニ府縣制中改正法律案
  ガ出テ、其當時私ハ時ノ內務大臣ニ對シ、知
  事ヲ公選ニスル考アリヤ否ヤト云フコトヲ
  聞イタコトガアリマス、之ガ抑〓議會ニ於テ
  知事公選ノ問題ノ現レタ所以デアル、所ガ
  ソレガ偶、地方官會議、府縣會議長會議ノ問
  題トナリ、其翌年ノ第四十六議會、大正十
  二年ノ三月十日革新倶樂部ノ建議案トナッ
  テ、知事公選ガ議會ニ現レマシタ、其革新
  倶樂部ノ犬養君ノ一派ガ政友會ニ合流シ、
  大正十四年ニハ政友會ノ政策トナリ黨議ト
  ナッタモノガ知事ノ公選デアリマス、昨年六
  月首相官邸ニ於テ政友會ハ政務調査會ヲ開
  キマシテ、次ノ議會ニハ必ズ知事公選ノ議
  案ヲ提出スベシト決議シテ居ルノデアリマ
  ス、次ノ議會トハ何時カ、此議會デハアリ
  マセヌカ一月十四日大阪中ノ島公會堂ニ
  於ケル政友會ノ近畿大會ノ決議ノ中ニモ、
  地方分權ノ主義ニ則リ知事公選特別市制ノ
  實施ヲ期ストノ一項目ガアッタコトハ諸君
  ノ御承知ノ通リデアリマス、政友會ガ重要
  政策トシテ天下ニ發表シテ居リマス、知事
  ノ公選、地方分權中ノ重要ナル項目、何故
  之ヲ實施シナイ、昨年ノ地方官會議ニ鈴木
  內務大臣ガ地方長官ノ質問ニ對シ、知事公
  選ナドガ出來ルモノデハナイト言ッテ大問
  題ヲ起シ、少壯議員ノ諸君ガ押掛ケタト云
  フコトヲ新聞デ見テ居ル、現在知事公選ヲ
  スル考ガアルカナイカ、此間委員會ニ於テ
  秋田政務次官ハ、其調査ノ內容ナルモノヲ
  發表シタ、少クトモ九箇條ニ亙ッテノ調査ノ
  内容ナルモノヲ發表シタ、其内容ノ事實ヲ
  見ルト、如何ニ知事公選ノ困難デアルカト
  云フコトヲ事實ニ於テ此發表ハ〓シテ居
  ル恐ラク私ハ現内閣ハ知事ノ公選ヲスル
  コトガ出來ナイト思フ、サウスルト所謂現
  内閣ノ地方分権ト云フモノハ何カ、何モナ
  イ、兩稅委讓ガアノ通リ、而モ地方制度ノ
  改正ハ地方分權トモ謂フベキモノデハナイ
  カ、サウスルト現内閣ハ餘リニ地方分權ト
  云フコトヲ大袈裟ニ言ッテ居ッテ、之ヲ實行
  シナイ、唯國民ヲ欺クノミデアル、故ニ大
  政黨トシテ其政策ノ實行ヲスルコトノ出來
  ナイヤウナ政黨ハ其價値ナキ所ノ政黨
  ハ、能力ナキ所ノ政黨ハ潔ク國民ニ謝罪
  シテ辭職ヲスベキガ當然デアル(拍手)之ヲ
  敢テシナイ、故ニ私共ハ地方制度ノ改正ニ
  關シ、玆ニ少數意見ヲ陳述シ、其内容ヲ明
  ニスルト同時ニ、政友會諸君ノ反省ヲ希望
  致シマシテ、私共少數意見說明ト致スノデ
  アリマス(拍手)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=110

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• 111・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　〓水君ノ提出セラ
  レマシタ少數意見ニハ、成規ノ賛成アリト
  認メマス、仍テ各少數意見ハ何レモ修正案
  トシテ成立致シマシタ、是ヨリ討論ニ入ル
  ノデアリマスガ、討論ノ順序ハ便宜上修正
  意見ニ對スル側ヨリ始メタイト思ヒマス、
  土井權大君
  〔土井權大君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=111

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• 112・土井權大

  ○土井權大君　今囘特別委員會ニ於テ可決
  サレマシタル政府提出ノ地方制度改正ニ關
  スル各般ノ法律案、竝ニ之ニ對スル政友會
  提出ノ修正案ニ私ハ賛成ヲスル者デアリマ
  ス、民政黨カラ御提出ニ相成リ、只今縷々
  ト御述ベニナリマシタル少數意見ニハ遺
  憾ナガラ反對ノ意思ヲ表元スルモノデアリ
  マス(拍手、「民政黨ノ一部ダ」ト呼フ者アリ)
  民政黨ノ一部ヨリ御提出ニナリマシタ少數
  意見ニ反對デアル諸君、今回政府ヨリ提
  出セラレマシタル地方制度改正ニ關スル諸
  法律案ハ、御承知ノ通リ其根本精神ハ地方
  分權ニアルノデゴザイマス、卽チ此根本精
  神ヨリ致シマシテ、自治權ノ擴充ト云フコ
  トニ重キヲ置カレテ居ルコトハ御承知ノ通
  リデアル、之ヲ仔細ニ點檢致シマシタナラ
  バ、敢テ私ハ完全無缺ノ改正案ナリトハ言
  ハナイ、併ナガラ之ヲ總括的ニ觀察ヲ致シ
  マシタナラバ、我黨ニ於テ年來主張致シマ
  シタル所ノ地方分權ノ重要ナル一部ヲ實行
  セント致シテ居ルノデアリマス(拍手)時代
  ノ趨勢ニ鑑ミ極メテ適切ナル改正デアルト
  考ヘル次第デアリマス、仍テ私ハ此各法律
  案ノ重要ナル點ノ一二ニ付キマシテ論究ヲ
  試ミテ見タイト思ヒマス、先ヅ第一ハ地方
  議會ノ權能ニ關スル問題デアリマス、言フ
  迄モナク地方議會ハ地方自治體ノ意思決定
  ヲ爲スベキ最モ基本的ノ機關デアルニ拘ラ
  ズ、從來ノ法規ニ於テハ其權能ニ對シ、不
  必要ナル制限ガ加ヘラレテ居ッタルコトハ、
  諸君御承知ノ通リデアリマス、此點ニ付テハ
  我黨ニ於テモ既ニ〓究調査ヲ重ネ、十分其
  權能ニ向シテ合理的ナル擴張ヲ圖ラナケレ
  バナラヌト論ジテ居ッタ、更ニ地方自治ヲシ
  テ眞ニ公民自治タル理想ニ合致セシメナケ
  レバナラヌト云フコトヲ說イテ居ッタノデ
  アリマス、今回政府ノ提案ニ於テハ御承知ノ通
  リニ、或ハ地方議會ノ議員ニ發案權ヲ認メ、
  或ハ府縣會議員ニ府縣會ノ招集請求權ヲ認
  ノ、或ハ原案執行權ニ對シテハ可ナリ嚴重
  ナル制限ヲ加ヘテ居ルノデアリマス、卽チ
  今囘ノ改正ノ點ニ於キマシテハ、只今申シ
  タ此點ニ重キヲ置イテ居ル、正シク是ハ多
  年吾々ノ主張シテ居ッタル點ト取リモ直サ
  ズ一致致シテ居ルノデアリマス(拍手)就中
  發案權ノ附與ニ付テ申シマスルナラバ從
  來地方議會ハ地方自治ノ意思機關デアルニ
  拘ラズ、其議決スベキ事項ニ付キマシテハ
  全ク消極的地位ニ置カレマシテ、理事者ノ
  提案シタルモノヲ議スルコトヲ得ルノミデ
  アッタノデアリマス、自ラ議案ヲ發スルコト
  ハ御承知ノ通リ全然出來ナカッタノデアリ
  マイ、今囘ノ改正ニ依リ、新ニ發案權ヲ認
  メルコトニ相成リマシタ、之ニ依テ地方議
  會ノ活動ハ一層ノ活氣ヲ呈シ、眞ニ自治體
  ニ於ケル意思機關トシテノ眞價ヲ發揮スル
  ニ至ルコトハ、私ガ申サズトモ御承知ノ通
  リデアリマス、又原案執行ト云フコトガ、不
  當ニ地方議會ノ意思ヲ拘束シツヽアッタコ
  トモ御承知ノ通リ、卽チ現在ニ於テハ議決
  ガ公益ヲ害スル場合ハ暫ク措キ、自治體ノ
  收支ニ關スル議決ニ付キマシテモ、ソレガ
  不適當デアルト認ムルナラバ、如何ナル場合
  ニ於テモ原案執行ノ請求ガ出來ルコトニ、
  從來ハ相成シテ居ッタノデアリマス、是ガ爲
  メ地方議會ノ意思決定ハ動モスレバ必要以
  上ニ干涉ヲ受ケナケレバナラヌト云フ危險
  ニ陷ル虞ガアッタノデアリマス、斯樣ナ法律
  的構成ガ自治ノ理想ニ適合シナイト云フコ
  トハ、是亦夙ニ我黨ニ於テ力說致シテ居シタ
  所デアリマス、今回ノ改正案ハ此點ニ關シ
  テモ嚴重ナル制限ヲ加ヘ、收支ニ關スル原
  案執行ヲ申請シ得ルハ、單ニ收支ニ關シ其
  議決ガ執行スルコトノ出來ナイ場合、更ニ
  義務的費用及應急的ノ費用ノ如キ法律ニ列
  擧スル費用ノ收支ニ關スルモノヽミニ限定
  ヲ致シタノデアリマス、斯ノ如タ原案執行
  權ニ對スル制限ト云フモノガ緩和サレ、更
  ニ第二段ト致シマシテハ如何ナル點ニ重キ
  ヲ置イタカト云フナラバ、地方自治ニ對ス
  ル監督權ニ關スル問題デアリマス、自治體
  ニ對スル國家ノ監督ハ自治ノ發達ニ伴ヒ漸
  次緩和シナケレバナラヌト云フコトハ、年
  來吾々ガ主張致シテ居シタノデアリマス、隨
  テ此點ニ付テ度々法律或ハ法令ノ改正モ金
  テタノデアリマスガ、今回政府提案ノ改正
  案ハ、此監督權中特ニ許可事項ニ關シマシ
  テハ現行法ノ主義ヲ一變致シマシテ、府縣
  行政ニ關シテ特定ノ事項ニ付テハ内務大臣
  ノ許可ヲ受クベキコトヲ原則トシテ居ツタ
  ノヲ、特ニ其中デ指定セラレタル問題ニ付
  テノミ許可ヲ受クルコトヲ要ストシ、又市
  町村ノ行政ニ關シマシテハ、從來主務大臣
  ノ許可ヲ要シタ事項ニ付テ特ニ大臣ノ許可
  權ヲ留保スルノ必要ナル重要ナル事項ノ外
  ハ、總テ之ヲ府縣知事ノ權限ニ移ス方針ヲ執。ツ
  タノデアリマス、此點ハ監督權緩和ヲ實行
  スルコトニ於テ從來ノ行キ方ト全ク其選ヲ
  異ニシ、地方分權ノ執行、自治權ノ擴充ニ
  資スル所尠ナカラザルモノアリト私ハ信ズ
  ルノデアリマス、此點ニ付テ吾々ハ改正案
  ニ對シ賛意ヲ表スル次第デアリマス、其他
  小サナ問題デアリマスガ政府案トシテ言フ
  ナラバ府縣ニ付テハ府縣條例ノ制定權ヲ
  認メ、府縣知事ノ府縣會停止權及内務大臣
  ノ府縣豫算削減權ヲ廢止シタコト、市町村
  ニ就テ申セバ市町村吏員ニ對スル事務ノ委
  任ハ、將來ニ於テハ法律勅令ニ依ラナケレ
  バ事務ノ委任ト云フモノヲセシメナイ、斯
  ノ如ク致シテ地方負擔ノ增加ヲ緩和シタト
  云フ點デアリマス、市參事會ノ組織ヲ改メ、
  之ヲ自治的ナラシメタコトヲ初メ、相當多
  岐ニ亙ッタル所ノ改正ガ含ンデ居ルノデア
  リマス、併ナガラ之ヲ一々調査致シマスル
  ニ、孰レモ地方自治權ノ擴充、且又吾々ノ
  多年唱ヘテ居リマスル所ノ地方分權ノ一部
  ノ實行ト云フコトニ相成。ツテ居ルノデアリ
  ママ、今日ノ狀勢ニ照シ極メテ適切ナル改
  正デアルト吾々ハ信ズルノデアリマス拍
  手)仍テ本員ハ其全部ニ對シ贊成ノ意思ヲ
  表示スル者デアリマス、次ニ委員會ニ於テ
  可決ザレマシタル政友會提出ニ係ル修正案
  ニ付テ、本員ハ是亦賛成ノ意ヲ表〓致シマ
  ス、卽チ修正案ノ第一ハ府縣會議員及北海
  道會議員ノ選擧區ニ關シ、只今御反對ガア
  リマシタガ、所講選舉區分制ヲ吾々ハ認メ
  ヤウトスルノデアリマス、府縣會議員及北海
  道會議員ノ選擧ニ關スル選擧區分制度ハ
  御承知ノ通リ大正十五年ノ地方制度改正ニ
  於テ廢止セラレタノデアリマスガ、現在ノ
  制度ニ於キマシテハ府縣ニハ郡市ノ區域、
  又北海道デハ市又ハ支廳長管轄區域ガ選擧
  區ニナリマス關係上、其區域ガ餘リ廣キニ過
  ギルノデアリマス、又選擧區ニ於ケル配當
  議員ノ數モ、其多キモノハ市ニ於テハ一區
  十八人、斯樣ナ所ガアリマス、郡ニ於キマ
  シテハ一區十三人ト云フヤウナ所ガアルノ
  デアリマス、選擧ノ實際ニ鑑ミ實ニ吾々ハ
  不適當ナルモノデアルト考ヘマスルガ爲
  ニ、便宜ニ從ヒ之ヲ分區スルコトニ致シマ
  シタノハ極メテ實情ニ適シタ修正デアルト
  考ヘル次第デアリマス(拍手)或ハ斯ル制度
  ヲ復活致シマシタナラバ所謂黨略的選擧
  區制定ノ弊害ニ陷リハセナイカ、斯樣ナ論
  ヲ爲サル方モナキニシモ非ズデアリマスル
  ガ、此點ニ付テハ分區スルニ付テハ國家ノ
  監督權ト云フモノヲ留保スルコトニナッテ
  居リマスルガ爲ニ、其弊害ニ陷ルト云フコ
  トハ斷ジテナイノデアリマス、ソレカラ政
  友會ノ修正案ノ第二ハ市町村會議員ノ補
  關選擧執行ニ關スル修正デアリマス、是亦
  市町村ノ實情ニ立脚シタ適切ナル改正デア
  ルト考ヘマス、卽チ現行法ハ大正十五年ニ
  改正セラレタモノデアリマシテ市町村會
  議員中一人デモ缺員ヲ生ジタナラバ直ニ
  補闕選擧ヲ行ハナケレバナラヌ、斯ノ如キ
  ハ寧ロ理論ニ偏シ實情ニ適合シナイ制度デ
  アルト考ヘル其證據ニハ各地デ開催サレ
  タル所ノ市長會議、町村長會議等ニ於テ、
  此規定ヲ改正シナケレバナラヌト云フ決議
  ノ出テ居ルコトニ依テ明デアルト御承知ヲ
  願ヒタイノデアリマス、其次ニ缺員ガ定數
  ノ六分ノ一ヲ越エルニ至ッタ時、又ハ市町村
  長若クハ市町村會ニ於テ必要ト認ムル場合
  ニ、補關選擧ヲ行ハントスルノガ修正ノ一
  ツデアリマス、何故ニ斯樣ナコトニシ夕な
  下申セバ、何故ニ此六分ノ一ト云フコトニ
  シタカト云フナラバ、實ハ市或ハ町村デハ
  六ト云フモノヲ單位ト致シテ居ル、村會
  議員ナドニ於テモ所謂十一一人或ハ三六·十
  八人ト云フ風ニ六ニナッテ居ル、或ハ民政黨
  ノ方ハ五ト云フコトヲ言ハレマシタガ、吾
  吾ノ調査スル所ニ依ルト六トナッテ居ル、下
  度衆議院ノ委員ガ九ト一云フコトヲ單位ト致
  シテ、卽チ九ニ二ヲ掛ケテ一一九·十八、斯
  ウ云フコトニナッテ居ル、卽チ吾々ガ六分ノ
  一ト云フコトニ修正ヲシナケレバナラヌト
  云フ根據ハ此處カラ出タノデアリマス、六
  ノ理由ヲ述べヨト言ハレ、賛成ノ理由ヲ述
  ベヨト言ハレルガ爲ニ之ヲ述ベル次第デア
  リマス、要スルニ議會ノ構成ニ不自然ナル
  缺陷ノアルノヲ補ヒ、他ノ一面ニ於テハ市
  町村ノ實情ニ適合セシメントスルモノデ
  アッテ、極メテ適切ナル修正デアルト考ヘル
  故ニ、私ハ以上政友會ヨリ出シマシタル所
  ノ第一、第二、第三ノ修正案ニ贊成ヲスル
  者デアリマス、最後ニ委員會ニ於テ否決ト
  ナリ、少數意見トシテ只今御述べニナッタ、
  卽チ民政黨ノ一部ノ修正意見ニ遺憾ナガラ
  私ハ反對ノ意見ヲ表市スルノデアリマス、
  第一ハ婦人ニ公民權ヲ付與セントスル市町
  村制ノ修正、及婦人ニ北海道會議員選擧權
  及被選擧權ヲ付與セントスル北海道會令ノ
  修正案デアリマス、此問題ハ時ニ重要ナル、
  意義ヲ持シテ居ル案件デアリマスルガ故ニ、
  此機會ニ極メテ簡單ニ一言ヲ費シテ置キタ
  イト考ヘマス(拍手)所謂婦人公民權ニ關ス
  ル吾々ノ考ハドウ云フ考デアルカト云フ
  二、思フニ婦人ニ公民權ヲ付與スルヤ否ヤ
  ト云フ問題ハ畢竟スルニ如何ナル時機ニ
  於テ之ヲ付與スルカ、如何ナル時機ニ於テ
  之ヲ與ヘルカト云フ問題ニ過ギナイノデア
  ル吾々ハ決シテ婦人ニ對シ、絕對ニ公民
  權ヲ付與スベキモノニ非ズト云フ議論ノ如
  キハ持ッテ居ル者デハアリマセヌ(拍手)決
  シテ左樣ナ絕對ニ婦人ニ公民權ヲ與フベカ
  李
  ラズト云フガ如キ議論ニ贊成スル者デハア
  リマセヌ、唯時機ノ問題デアル如何ナル時
  機ニ婦人ニ公民權ヲ與ヘルカ、此問題デア
  リマス、卽チ公民權ヲ婦人ニ附與スルニ付
  キマシテハ其時機宜シキヲ得ルコトニ深
  甚ノ考慮ヲ拂ハナケレバナラヌコトハ疑ヲ
  存シナイノデアリマス、卽チ諸君モ御承知
  ノ通リ普通選擧ト云フモノハ選擧ノ理論
  カラ致シタナラバ當然ノ歸結デアル、併
  ナガラ之ヲ實施スルニ付テハ如何デアリマ
  セウカ、其制度ノ運用ガ極メテ圓滑ニ行ハ
  レ、極メテ圓滿ニ行ハレル所ノ潮時ヲ見究
  メルト云フコト所謂時ヲ巧ク運用スルト
  云フコトガ最モ重要ナル事柄デアッタト云
  フコトハ諸君御承知デアリマセウ、是ハ私
  ガ申スマデモアリマセヌ、恰モソレト同ジ
  ク、婦人ニ公民權ヲ附與スルコトモ自治ノ
  理想カラ致シタナラバ當然ノ歸結ト謂ハ
  ナケレバナリマセヌ、併シ其實行ニ當リマ
  シテハ婦人ノ政治的知識ノ程度、婦人ノ社
  會ニ於ケル地位乃至婦人公民權ニ關スル社
  會一般ノ輿論ト云フヤウナ事ヲ十分考慮ニ
  加ヘナケレバナラヌト吾々ハ考ヘテ居ルノ
  デアリマス、隨ヒマシテ吾々ハ婦人公民權
  ノ附與ト云フコトハ必ズヤ極メテ近キ將
  來ニ於テ、解決シナケレバナラヌ問題デア
  ルト信ジテ居ル、其事ハ忌憚ナク申上ゲマ
  ス、併シ今日直ニ婦人ニ公民權ヲ附與スベ
  "、今回ノ地方制度改正法律案ニ對シ修正
  ヲ加ヘントスルコトニハ、今日ノ情勢ニ鑑
  ミテ遺憾ナガラ賛同ノ意思ヲ表示スルコト
  ガ出來ナイノデアリマス(拍手)其他民政黨
  ノ一部卽チ少數意見トシテ御說明ニナリマ
  シタ市制町村制中ノ職務管掌ニ關スル改正
  規定ニ付キマシテハ、私ハ現行法ガ彈力性
  ニ富ミ最モ良キ規定ナリト認メテ居ル、更
  ニ修正意見ト致シマシテ市町村會議員ノ補
  關選舉ニ關スル改正意見ハ、政友會ノ修正
  意見ヲ以テ、ヨリ以上適當デアルト認メテ
  居ル、故ニ吾々ハ職務管掌ノ點ニ付キマシ
  テハ、現行法ガ良イト云フ民政黨一部ノ修
  正ハ宜シクナイ、是ハドウゾ御聽違ヒノナ
  イヤウニ願ヒタイノデアリマス、又補闕選
  擧ノ點ニ付キマシテハ前段ノ理由ニ依テ民
  政黨ノ意見ニ賛成スルコトガ出來ナイ、政
  友會ノ修正案ニ賛成スル理由ヲ申述ベタ次
  第デアリマス、此理由ニ依リマシテ遺憾ナ
  ガラ民政黨ノ一部ノ少數意見トシテ只今陳
  述ニナリマシタル修正案ニハ、反對スル次
  第デアリマス(拍手)大要以上ノ如クデアリ
  さく、何卒政府原案及政友會提出ノ修正案
  ニ對シ、滿場ノ御贊成アランコトヲ希望シ
  テ此壇ヲ降リマス
  〔村松恒一郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=112

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• 113・村松恒一郎

  ○村松恒一郞君　私ハ委員長ノ報告中、政
  友會ノ修正ニ反對シ我黨ノ少數意見ヲ支持
  スル者デアリマス、同時ニ吾々ハ委員會ニ
  於キマシテ政府原案ニハ贊成致シマシタノ
  デアリマスルガ、併ナガラ此賛成タルヤ決
  シテ滿足ヲ以テ贊成ヲシタノデハナイノデ
  アリマス、此點ハ少シク明ニシテ置カナケ
  レバナラナイノデアリマス、今囘政府ハ兩稅
  委讓案ヲ提出スルニ方リマシテモ、亦其前ニ
  施政方針ヲ演說サレマシタ場合ニモ、總理大
  臣、大藏大臣皆此地方分權ノ爲ニ地方ニ財
  源ヲ與ヘテ、地方ノ財政ヲ鞏固ニスルノハ、地
  方分權ヲ行フ爲デアルト云フコトヲ說明サ
  レテ居ルノデアル、又内務大臣ガ府縣制及市
  町村制ノ改正ノ理由ヲ說明ナサッタ際ニモ、
  同ジ樣ニ御述ベニナッテ居ルノデアリマス、
  尙ホ此府縣制及市町村制ハ、此地方分權ノ
  爲ニ提出シタモノデアルト云フ御說明デア
  リマシタ、ソコデ此地方分權トハ一體ドウ
  云フモノデアルカト云フ質問ニ對シテ田
  中總理ハ地方分權トハ行政制度ノ變革ニ依
  テ漸次自治體ハ地方分權ニ還ルヤウニナル
  ノデアル云々、少シ漠然トシテ居リマスガ、
  肥料ノ公平ナル分配ヨリハ少シハッキリシ
  テ居ル、詰リ政府ハ一面ニ於テ物質上ノ財
  源ヲ與ヘテ、一面ニ於テハ行政制度ヲ改革
  シテ、サウシテ地方分權ノ實ヲ舉ゲヤウト
  シテ居ル、其觸レ出シハ非常ニ大袈裟デア
  ルノデアリマス、尙又秋田政務次官ガ過日
  本會デ述ベラレタノニハ今囘ノ如ク徹底
  シタル所ノ地方分權ノ意義ニ基ク制度ノ改
  正ヲ爲シタルコトハ二十一年四月以來稀
  ニ見ル現象デアルナドヽ言ハレテ居ル、餘
  程ノ大改正ヲヤッタ如クニ吹聽サレテ居ル
  ノデアル、故ニ若シ之ニ此儘贊成ヲシタト
  云フコトニナレバ、吾々ハ非常ナル責任ヲ
  負ハナケレバナラヌ、實ヲ申スト今回ノ改
  正案ト云フモノハ極メテ薄弱ナモノデア
  ル、旣ニ〓水君モ述ベラレマシタ通リ、今
  囘ノ此府縣制及市町村制ノ改正中ニ、現內
  閣ノ創意ニ基クモノハ一モナイノデアル
  過日內務大臣ハ此壇上ニ於テ、此地方制度
  ノ改正ニ付テノ效能書ヲ御吹聽ニナッタノ
  デアリマス、ソレハドウデアルカ、皆是ハ
  第五十一議會及第四十四議會ニ於テ各委員
  等カラ希望的ニ述べタノヲ、今回之ヲ取
  入レラレタノデアル、現内閣ノ創意ト云フ
  モノハ一ツモナイ(「ソレデ宜イデハナイカ」
  ト呼フ者アリ)通常ノ場合ナラバソレデ宜
  シイガ、苟モ兩稅委讓ノ如キ日本ノ歷史アツ
  テ以來ノ稅制ノ大改革ヲヤラウト云フノモ、
  要スルニ地方分權ノ爲テアルト云フ位ナラ
  バ、此地方制度ノ改正ニハ、モウ少シ有意
  義ナ箇條ガナクチヤナラナイノデアル、如
  何デスカ、只今土井君ハ何時政府委員ニ御
  ナリニナッタカ知ラヌガ、頻ニ政府案ノ御說
  明ヲナサッタガ、例ヘバ市町村府縣會ノ議員
  及府縣竝ニ市ノ參事會ニ發案權ヲ與ヘタト
  云フ是モ五十一議會、四十四議會ニ現レ
  タル事デアル、又條例規則ノ制定權ヲ與ヘル
  ト云フコトモ同樣デアル、又臨時會招集ノ
  權ヲ市町村會ニ與ヘルト云フコトモ是モ前
  ニ出テ居ル、原案執行權ノ範圍ヲ制限スルコ
  トモ是モ前ニ現ハレテ居ル許可權、認可
  權ノ條項ヲ緩和シタト云フコトモ、是モ前
  ニ現ハレテ居ル、其他豫算削減權ヲ削除シ
  タトカ或ハ府縣知事ノ府縣會ノ停會權ヲ削
  除シタト云フコトモ、皆是モ前ニ出テ居ル
  問題デアル、普通ナラバソレデ宜イ、今回ノ
  如キ地方分權ノ實ヲ擧ゲルト云フノニ、斯
  ンナ平凡ナ案ガ何處ニアル(拍手)ソレヨリ
  モ同ジ今マデ議會ニ現レ、若クハ委員會ニ
  現レタ、總テノ希望ヲ取入レルト云フナラ
  バ何故是ヨリモウ一步進ンダ案ヲ入レラ
  レヌカ(「委員會デハ原案ニ賛成シタヂヤナ
  イカ」ト呼フ者アリ)今聽イテ居レ分
  ル-例ヘバ知事公選ノ如キ、政友會ガ多年
  唱へ來ッタモノデアル、ソレヲ何故〓回入レ
  ナイカ、兩稅委讓ニ伴ウテ此地方制度ノ改
  正案ヲ出スト云フ、其兩稅委讓ハ數年前カ
  ラ政友會デ唱ヘテ居ル、知事公選モ數年前
  カラ唱ヘテ居ル然ラバ何故同時ニ之ヲ出
  サナイノデアルカ、又婦人公民權ノ如キデ
  モ、此是非ハ旣ニ論ジ盡サレテ居ルカラ言
  フ必要ハナイノデアル是等ヲ何故〓回入
  レナイノデアルカ、是モ數年前カラノ問題
  デアルノデアル、殊ニ此婦人公民權ノ事ニ
  付テハ、第五十二議會ニ政友會ノ高橋熊次
  郞君外四名カラ建議案ヲ提出シテ、此衆議
  院ハ滿場一致デ通過シテ居ルノデハナイ
  カ、然ラバソレカラ以後何故之ヲ提案スル
  ダケノ順序ヲ取ラナイノデアルカ、現內閣
  成立以來既ニ滿二箇年デアル、其間ニ幾ラ
  デモ此準備ハ出來ルノデアル、五十議會以
  來數年ヲ經過シテ居ルノデアル、政友會ト
  シテモ是位ノ案ハ出來テ居ル筈デアル、唯
  徒ニ時期尙早ニ名ヲ藉リテ一時ヲ糊塗ス
  ルトハ何事デアル(拍手)只今望月內務大臣
  ガ星島君ノ質問ニ對スル御答ニハ、相當ノ
  時期ヲ以テ之ヲ實現スル、相當ノ時期トハ
  何時ノコトカ、三年先モ相當ノ時期、五年
  先モ相當ノ時期、斯ンナ事ニ滿足ヲシテ
  今マデ婦人公民權ノ意見ヲ主張シテ居ッタ
  政友會ノ諸君ガ、弊履ヲ捨ツルガ如ク之ヲ
  撤回シテシマッタトハ何事デアル(拍手)若
  モ此ガ黨議ヲ以テ束縛サレテノ事デアッタ
  ナラバ、此婦人公民權ヲ付與スベシト云フ、
  是案ガ黨議ヲ以テ縛ラレタノデアッタナラ
  バ、或ハ後日ニ至ッテ··
  〔此時發言スル者多シ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=113

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• 114・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　靜肅ニ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=114

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• 115・村松恒一郎

  ○村松恒一郞君(續)　其意見ヲ飜スト云フ
  コトガアルカモ知レナイ、然ルニ是ハ政友
  會ニ於テ自由問題トシタノデアル、之ニ提
  案者トナリ賛成シタ諸君ハ自由意思ヲ以
  テ之ニ贊成ヲシ提案ヲ致シタノデアル、諸
  君ノ自由意思ハ尊イモノデアル、苟モ婦人
  ニ公民權ヲ付與スベシト云フ意思ヲ定メタ
  以上、男子トシテ徒ニ之ヲ飜スベキモノデ
  ハナイ、〓水君モ言ハレタ通リ、過日西岡
  君ノ如キハ自己ノ人格ヲ信ジテ吳レトマデ
  言ッタノデアル、ソレガ一朝ニシテ弊履ヲ捨
  ツルガ如ク、自分達ノ主張ヲ撤囘シテシマ
  フトハ何事デアルカ(拍手)政友會ノ諸君ハ
  面目ト云フコトヲ御承知ニナッテ居ルノデ
  アルカ、政友會ノ諸君ハ恥ヲ知ルト云フコ
  トヲ御承知ニナッテ居ルノデアルカ(拍手)
  苟モ男子ガ政治上ノ意九ヲ定メテ議會ニ提
  出シタモノヲ、漠然タル、-相當ノ時期
  ニ實現スルナドヽ云フ甘イ言葉ニ瞞サレ
  テ、寧口八百長的ナ斯樣ナ答辯ヲ得テ、ソ
  レデ甘ジテ此案ヲ撤囘スルトハ何事デアル
  カ(拍手)恥ヲ知ラナイノモ甚シイト謂ハナ
  ケレバナラヌ、ソレカラ市町村長ヲ一般公
  民カラ選擧スルト云フコトモ、多年諸君ノ
  唱ヘラレテ居ッタコトデアル、是モ今迄五十
  一議會ニモ四十四議會ニモ出テ居ル、然ル
  ニ是モ一切顧ミナイ、言責ト云フコトヲ一
  體諸君ハ御承知ニナッテ居ルノカ居ナイノ
  カ、苟モ立憲政治ニ參與シテ、ソレ位ノ事
  ハ御承知デナケレバナラヌ筈デアル、斯ノ
  如キ重大ナル問題ハ、一ツモ今度ノ案ニ人
  レラレテナイガ、之ヲ地方分權トハ何事ダ、
  又苟モ地方分權ト言フナラバ、彼ノ多年此
  議會ノ問題トナッテ居ル特別市制、卽チ此
  大都市制度ノ如キハ、速ニ之ヲ解決シナケ
  レバナラヌノデアル、此問題ハ困難ハ困難
  デアルガ、困難デアルケレドモ、苟モ勇氣
  ヲ以テ解決スレバ出來ナイコトハナイノデ
  アル、〓究サレ調査サレルコト既ニ三十年、
  内務省ニモ山ノ如ク案ガ出來テ居ルノデア
  ル他ノ關係ノ市ニモ山ノ如ク案ガ出來テ
  居ルノデアル、政府若シ勇氣ヲ以テ之ヲ斷
  行セントスレバ直グ出來ルト思フ、ソレヲ
  何時ノ場合モ調査々々ト言ッテ之ヲ延期シ
  テ居ル、是デ地方分權トハ何ダ、地方分權
  ナラ第一ニ之ヲヤラナケレバナラヌ、若シ
  又此特別市制ガ困難デアルト言フナラバ
  暫ク是ハ寬恕シテモ宜シイ、然ルニ大正十
  一年ニ原內閣ノ時ニ、區制案ト云フモノヲ
  出シタノハ諸君御承知デアラウ、是ハ衆議
  院ヲ滿場一致ヲ以テ通過シテ居ル、此區制
  案ハ卽チ大都市制度ノ先驅デアルノデアル、
  是ハ既ニ政府案トシテ出シタノデ、而モ
  政友會內閣ノ時ニ出シタノデアル、然ラバ
  政府ハ今回斯樣ナ地方制度ノ大改正ヲスル
  場合ニハ此區制案モ同時ニ提出スルノガ
  是ガ當然ナ事柄デアル然ルニ是亦殆ド忘
  レタルガ如ク、恐ラク忘レテ居ルノデアラ
  ウ、斯ノ如ク無責任ナルコトハアル譯ハナ
  イ(「君ハ革新倶樂部ノコトハ忘レタノカ」
  ト呼フ者アリ)忘レテハ居ナイ、私ハ革新
  倶樂部ニハ一度モ入ッタコトハアリマセヌ、
  大正六年ニ普通選擧案ノ時、舊國民黨ト意
  見ヲ異ニシテ別レテカラ、吾々革新倶樂部
  ト行動ヲ共ニシタコトハナイ(拍手)ソレカ
  ラ〓迄地方制度改正ノ都度問題トナッタ地
  方公吏ノ優遇問題ハドウデアルカ、市町村
  長其他地方ノ公吏ニ對シテ、モウ少シ優遇
  ヲセヨト云フコトハ、是亦建議案モ通過シ
  テ居レバ屢〓本會及委員會デモ述ベラレ
  タコトデアル、是レ以テ今囘ノ案ニハ見エ
  テ居ナイヂヤナイカ、市町村長ニ對シテ叙
  動ノ途ハ開カレテ居ルガ、事實ニ於テハ少
  シモ是ガ實現シテハ居ナイ、斯樣ナ無責任
  ナコトハナイヂヤナイカ、而モ大口君ハ多
  年此事ヲ唱ヘラレテ居ル-苟モ斯ノ如
  キ、政府ノ言フガ如キコトガ果シテ事實デ
  アルナラバ、地方分權ノ爲ノ劃期的ノ大改
  正デアル以上、斯樣ナ事ハドウシテモ入レ
  ナケレバナラヌ譯デアル(拍手)是デ以テ是
  ガ二十一年四月ノ地方制度發布以來ノ大改
  革デアルナドヽハ何事デアルカ、如何ニ賣藥
  ノ效能書ト雖モ餘リニ甚シイ、モウ少シ徹
  底ヲシタモウ少シ意義ノアル案ヲ出スコト
  ガ出來ナイノカ、唯併ナガラ現在ノ政府ノ
  改正案ニ取入レテアル所ハ、其部分ハ是迄
  ノ本會及委員會、卽チ五十一議會及四十四
  議會ニ於テ、我黨ノ人々ノ希望シタ所ノ箇
  條ガ多ク取入レラレテアルカラ、ソレデ吾
  吾ハ之ニ贊成スルノデアル、又兎ニモ角ニ
  モ現行法ヨリハ一分デモ二分デモ進ンデ
  居ルカラ、其點ニ於テ吾々ハ澁々ナガラ贊
  成ヲシテ居ル、如何ニモ地方制度ノ大改革
  デアル如ク吹聽スル政府ノ案ニ贊成スルノ
  デナイト云フコトダケヲ明ニシテ置キマ
  ス、次ハ政友會ガ今囘突如トシテ府縣會議
  員ノ選擧ニ分區ヲ設ケルコトノ案ヲ提出サ
  六ノ是ハ私共ガ委員會ニ臨ミマシタ際ニ
  ハ政友會ノ案トシテ聽イテ居ツタモノ
  中ニハ入ッテ居ナイデ、突如トシテ最後ノ
  日ニ提出サレテ、而モ殆ド其理由モ明ニセ
  ズシテ之ヲ可決サレテシマッタノデアル、既
  ニ是迄ノ諸君モ述ベラレタ通リ、此府縣會
  議員ノ選擧ニ小分區ヲ設ケルコトハ、大正
  十一年ニ矢張政友會ノ内閣ノ時ニ出夕、ド
  ウシテ出タカト云ヘバ、大正九年ニ政友會
  デハ小選擧區ヲ始メテ實施シテ、過半數ノ
  頭數ヲ得タノニ味ヲ占メテ、サウシテ府縣
  會マデモ同ジヤウニ基礎ヲ固メンガ爲ニ、十
  一年ニ小分區ト云フモノヲ考ヘタ、然ルニ
  此小分區ニ付テハ非常ニ弊害ガアル、是ハ
  小選擧區ニ對スル弊害ト同ジデ、選擧干涉
  モ、買收モ、之ニ依テ出來易イ、其他ニモ
  色ニナ弊害ガ此小サナ選擧區カラ起ルカ
  ラ、十五年ニ於テ若槻内閣ノ時ニ之ヲ廢シ
  タ、之ヲ廢シテマダ數年モ經タナイノニ、
  復タ再ビ之ヲ元ノ小分區ニ引戾サウト云フ
  コトハ、要スルニ黨勢擴張ノ外何モノモナ
  イ、聞クガ如ンバ政友會及新黨ハ衆議院
  議員選擧法ノ別表ヲ改正シテ、小選擧區ニ
  スルト云フ案ガ近日提出サレルサウデアル
  ガ、要スルニ府縣會ノ小分區ハ此前驅ヲ爲
  スモノデアル兩方共同ジデ、詰リ是ハ黨
  勢擴張ノ意味デ來タノダ、アノ大正九年ノ
  有樣ハドウデアル、成程政友會ハ一擧ニシ
  テ過半數ヲ得タ、其過半數ヲ得タノハ何デ
  アル、小選舉タルコトヲ利用シテ、極度ノ
  選擧干涉ヲヤッテ、漸ク頭數ヲ殖ヤシタノ
  デアル(拍手)小選擧區ニ對スル弊害ニ付
  テハ、是マデ論ジ盡サレテ居リマスカラ
  私ハ略シマスガ、又之ヲ實行スルコトニナ
  レバ又舊日ノ弊害ヲ繰返スコトニナル
  ノデアリマス、ソレ故ニ私ハ之ニ反對ヲ
  致スノデアル、ソレカラ次ニ政友會デ
  ハ、補關選舉ノ際ニ六分ノ一以上缺員ノアッ
  タ時ニ補闘選舉ヲ行フコトニシテ居ル、
  我黨ハ之ヲ五分ノ一ト云フコトニ致シ
  タ是ハ何處ニ違ヒガアルカト云ヘ
  今日町村會ノ最少數ハ十二人デアル、十二
  人ヲ六デ割レバ二ニナル、此二ト云フコト
  カラ、二人以上ニナッテ始メテ補闕選擧ヲ行
  フコトニナッテ居ルノデアリマスガ、二人デ
  モ行フト云フコトニ付テハ或ハ三輪委員
  長ノ一個ノ御意見カモ知レマセヌガ、二人
  デモ補關選擧ヲ行フト云フコトデハ是デ
  ハ殆ド一人ト二人ノ違ヒデ、其煩雜ナルコ
  トハ同ジデアル若シ之ヲ五分ノ一トスレ
  バ十二ヲ五デ割レバ、後ニ二ト云フ餘剩
  ガ出テ分數ガ出ルノデアル、此意味カラ申
  セバ二人以上ノ時ニ始メテ補闕選擧ヲ行
  フ、卽チ三人ノ缺員ニナッタ時ニ始メテ補闕
  選擧ヲ行フト云フコトガ意味ガ明ニナルカ
  ラ、我黨ハ之ヲ五分ノ一ト致シタノデア
  ルソレカラ次ニハ職務管掌ノ事デアリマ
  スガ、常識ヲ以テ考ヘタナラバ市長ノ差
  支、卽チ市長ノ缺員デモアッタ場合ニハ、助
  役ガ之ニ代ル、又收入役ガ差支ガアレバ副
  收入役ガ代ル、其市長モ助役モ、町村長モ
  助役モ無シ、或ハ收入役モ副收入役モ全部
  無カッタ時ニ、始メテ職務管掌ヲ置クト云
  フコトハ是ハ法律ノ明文ノ上カラ明デア
  ル、然ルニ此百六十四條デアリマシタカ-
  市制ノ百六十四條、町村制ノ百四十四條デ
  アリマスガ、如何ニモ吾々常識ヲ以テ考へ
  テハ、市長カ若クハ助役ノ在ル場合、町村
  長カ若クハ助役ノ在ル場合ニ、職務管掌ヲ
  置クト云フ間隙ハ無イ筈デアルト思フ、私
  ハ之ニ付テ過日委員會デ地方局長ニ尋ネル
  ト、假ニ市長ノ差支ガアッテ助役ガ代ッタ場
  合ニ、ソコデ職務管掌ヲ置ケバ市長ノ差
  支ト云フコトガ無クナッテ來ルカラ、最早助
  役ガ代理ヲスル必要ガ無イ、隨テ其職務管
  掌ガ行ハレルノデアル、斯樣ニ解釋ヲス
  ル、是ハ苟モ吾々常識ヲ以テ判斷スルコト
  ハ出來ナイ、是ハ要スルニ不備ナル法文ヲ
  故意ニ解釋ヲシテ、斯樣ナコトニシテ、サ
  ウシテソレヲ事實ノ上ニ適用シテ、屢〓アノ
  熊本縣ノ如キコトヲ繰返スノデアル、是ハ
  明ニ地方政治ノ蹂躪デアル、自治制ノ蹂躪
  デアルノデアルソレ故ニ吾々ハ之ヲ改正
  シテ、市長、町村長若クハ助役共ニ缺員ノ
  アル場合デナケレバ、職務管掌ヲ置カナイ
  ト云フコトニ致シタノデアル、是ハ極メテ
  大切ナル事柄デアル、今日政友會ノ諸君
  ハ政友會ガ多數デアルカラ、自分ノ都合
  ノ好イヤウニ解釋ヲシテ居ラレル、若シ他
  ノ政黨ガアッテ、是ト同ジ事ヲヤッタ時ニハ
  如何デアルカ、是ハ政黨ノ問題デハナイノ
  デアル、總テノ政黨ヲ通ジテ、斯ノ如キ瞹
  眛ナル法文ハ、之ヲ明ニスル必要ガアルト
  思フノデアル、ソレ故ニ私ハ政友曾ノ修正
  ニハ反對ヲ致シ、我黨ノ少數意見ヲ支持ス
  ル次第デアリマスカラ、ドウカ御賛成ヲ願
  ヒマス(拍手)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=115

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• 116・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　原惣兵衞君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=116

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• 117・原惣兵衞

  ○原惣兵衛君　討論ハ此程度ヲ以テ終局セ
  ラレンコトヲ望ミマス
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=117

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• 118・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　御異議ガナイヤウ
  デアリマス、原君ノ動議ニ贊成ノ諸君ノ起
  立ヲ求メマス
  〔賛成者起立〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=118

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• 119・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　起立多數デアリマ
  ス、仍テ討論ハ終結サレマシタ是ヨリ採
  決ニ入リマス、先ツ議題トナッテ居リマス五
  案中府縣制中改正法律案ヲ採決致シマス、
  府縣制中改正法律案ノ委員長報告ハ修正デ
  アリマス、此修正ハ選擧區區分制度ニ關ス
  ルモノデアリマス、委員長報告ノ此修正ノ
  部分ニ賛成ノ諸君ハ起立
  〔贊成者起立〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=119

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• 120・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　起立多數ト認メマ
  ス、仍テ委員長報告ノ修正ノ部分ハ可決サ
  レマシタ(拍手)修正ノ部分以外ノ部分ハ、
  原案ノ通リ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=120

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• 121・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　御異議ナシト認メ
  マッー其通リ決シマシタ、次ニ他ノ四案ニ
  付キ採擇ヲ致スノデアリマス、此中市制中
  改正法律案、町村制中改正法律案、北海道
  會法中改正法律案ノ三案ニ對シテハ、〓水
  君外八名提出ノ修正ト、委員長報告ノ修正
  トノ二ツノ修正ガアリマス、此修正中補
  闕選擧ニ關スル點ハ〓水君ノ修正ト、委
  員長報告ノ修正トハ、趣旨ニ於テハ同一デ
  アリマスルガ、手續其地ノ點ニ於テ相違致シ
  テ居ルノデアリマス、ソレ故ニ是ハ別個ノ
  モノトシテ取扱ヒタイト思ヒマス、ソレニ
  御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=121

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• 122・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　御異議ナシト認メ
  やっ、仍テ左様計ラヒマス、先ヅ〓水君ノ
  修正中、市制中改正法律案、町村制中改正
  法律案、北海道會法中改正法律案ノ三案ニ
  對シテ「女子ニ公民權ヲ與フル」ト云フ點、
  此點ハ三案トモ共通デアリマスカラ、一括
  シテ此修正ノ點ニ付キ採決致シマス、〓水
  君ノ此三案ニ對スル修正、卽チ女子ノ公民
  權ヲ認メルコトノ修正ノ賛成ノ諸君ノ起立
  ヲ求メマス
  〔贊成者起立〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=122

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• 123・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　少數デアリマス、
  仍テ三案ニ對スル〓水君外八名提出ノ修正
  案ハ否決サレマシタ(拍手)次ニ〓水君ノ修
  正中、市制中改正法律案、町村制中改正法
  律案ノ兩案ニ對シ、補關選擧ニ關スル點ト、
  職務管掌ニ關スル點ノ修正ハ兩案トモ共通
  デアリマス、之ヲ一括シテ採決致シマス、
  此二ツノ修正ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマ
  ス
  〔賛成者起立〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=123

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• 124・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　起立少數デアリマ
  ス、仍テ〓水君外八名提出ノ修正案ハ否決
  出ラレマシタ(拍手)之ニテ〓水君外八名提
  出ノ修正案ハ、全部否決サレタノデアリマ
  ス、次ニ市制中改正法律案、町村制中改正
  法律案ノ兩案ノ委員長報告ハ、是亦修正デ
  アリマス、此修正ハ補闕選擧ニ關シテ居リ
  やく、先ヅ此點ニ付テ採決致シマス、此兩
  案ノ委員長ノ報告ノ修正部分ニ賛成ノ諸君
  ノ起立ヲ求メマス
  〔贊成者起立〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=124

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• 125・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　起立多數デアリマ
  ス(拍手)仍テ兩案ノ委員長報告ノ修正ノ
  部分ハ可決致シマシタ、兩案ノ修正部分
  以外ノ部分ハ、原案ノ通リ御異議アリマセ
  ヌカ
  〔「異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=125

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• 126・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　御異議ナシト認メ
  マス、仍テ其通リ決シマシタ、次ニ北海道
  會法中改正法律案ノ委員長報告ニ付テ採
  決致シマス、此案ノ委員長報告モ亦修正デ
  アリマシテ、選擧區々分ニ關スル點デアリ
  やっ、委員長報告ノ修正ノ部分ニ贊成ノ諸
  君ノ起立ヲ求メマス
  〔賛成者起立〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=126

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• 127・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　起立多數ト認メマ
  ス、仍テ本案ノ委員長報告ノ修正ノ部分ハ、
  可決致シマシタ(拍手)修正ノ部分以外ハ、
  原案ノ通リ御〓議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=127

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• 128・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　御異議ナシト認メ
  やっ、仍テ其通リ決シマシタ、次ニ北海道
  地方費法中改正法律案ハ委員長報告ハ可
  決デアリマス、委員長報告通リ御異議アリ
  マセヌカ
  〔「異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=128

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• 129・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　御異議ナシト認メ
  アト、本案ハ委員長報告通リ決シマシタ
  之ニテ府縣制中改正法律案外四件ノ第二讀
  會ハ終シタノデアリス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=129

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• 130・原惣兵衞

  ○原惣兵衞君　直ニ五案ノ第三讀會ヲ開カ
  レンコトヲ望ミマス
  〔「賛成」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=130

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• 131・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　御異議ナシト認メ
  マス、仍テ直ニ五案ノ第三讀會ヲ開キ、議
  案全部ヲ議題ト致シマス
  府縣制中改正法律案第三讀會
  市制中改正法律案第三讀會
  町村制中改正法律案第三讀會
  北海道會法中改正法律案第三讀會
  北海道地方費法中改正法律案第三讀會
  〔「異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=131

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• 132・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郞君)　五案ノ委員長報告
  ニ贊成ノ諸君ハ起立
  〔賛成者起立〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=132

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• 133・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郎君)　起立多數ト認メマ
  ス、仍テ五案トモ可決確定致シマシタ(拍
  手)此際報告致スコトガアリマス、明三月
  六日ハ水曜日デアリマスガ、議案審查上特
  ニ必要アリト認メ、午後一時ヨリ本會議ヲ
  開キマス、日程ハ公報ヲ以テ御報告致シマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=133

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• 134・原惣兵衞

  ○原惣兵衞君　殘餘ノ日程ヲ延期シ、本日
  ハ之ニテ散會セラレンコトヲ望ミマス
  〔「異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=134

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• 135・清瀬一郎

  ○副議長(〓瀨一郎君)　御異議ナシト認メ
  マリ、仍テ本日ハ之ニテ散會致シマス
  午後六時四十六分散會
  衆議院議事速記錄第二十四號中正誤
  頁段行誤正
  五〇七二三四關稅定率法中改正法律
  三五案外一件委員
  辭任勝正憲君補闕澤本與
  一君ヲ削ル
  五一二二三八不都合ハ不都合デハ
  同四二四職務ヲ行フ職務ヲ失フ
  五一四三三禁止スル力禁止スル法
  五二三一四〇預金部委員會積立金委員會
  二一同上同上
  同同同同三預金部積立金委員會
  二二二九七同上積立金
  同上同上

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005613242X02519290305&spkNum=135