1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六年三月二十四日(火曜日)午前十時三十七分開議
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議事日程 第三十八號
昭和六年三月二十四日
午前十時開議
第一 昭和四年度第一豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第二 昭和四年度特別會計第一豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第三 昭和四年度豫備金外に於て豫算超過及豫算外支出の件追加(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第四 昭和四年度特別會計第二豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第五 昭和四年度特別會計豫備金外に於て豫算超過及豫算外支出の件追加(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第六 昭和五年度第二豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第七 昭和五年度特別會計第二豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第八 昭和五年度特別會計豫備金外に於て豫算外支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第九 市制中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十 町村制中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十一 府縣制中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十二 北海道會法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十三 米穀法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十四 米穀需給調節特別會計法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十五 國立公園法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十六 土地收用法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十七 輸出組合法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十八 重要輸出品工業組合法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十九 無盡業法改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十 祐徳軌道株式會社所屬軌道補償の爲公債發行に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十一 「ロンドン」海軍條約實施に伴ふ海軍職工整理に關する公債發行に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十二 勞働者災害扶助法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十三 勞働者災害扶助責任保險法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十四 勞働者災害扶助責任保險特別會計法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十五 昭和四年度歳入歳出總決算、昭和四年度各特別會計歳入歳出決算報告 會議(委員長報告)
第二十六 昭和四年度國有財産増減總計算書報告 會議(委員長報告)
第二十七 辯護士法中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會
第二十八 行政執行法中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會
第二十九 家祿賞典祿給與未濟に關する法律案(衆議院提出) 第一讀會
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=0
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001・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ書記官ヲ
シテ諸般ノ報告ヲ致サセマス
〔小林書記官朗讀〕
昨二十三日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府
提出案ハ卽日裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆
議院ニ通知セリ
抵當證劵法案
不動產登記法中改正法律案
民事訴訟法中改正法律案
競賣法申改正法律案
民事訴訟用印紙法中改正法律案
日本勸業銀行法中改正法律案
農工銀行法中改正法律案
北海道拓殖銀行法中改正法律案
國稅徴收法中改正法律案
貯蓄銀行法中改正法律案
輸出生絲檢査法中改正法律案
蠶絲業組合法案
蠶絲業法中改正法律案
同日衆議院ヨリ左ノ議案ヲ提出セリ
辯護士法中改正法律案
行政執行法中改正法律案
家祿賞典祿給與未濟ニ關スル法律案
同日本院ニ於テ可決シタル左ノ建議ハ文書
ヲ以テ卽日之ヲ政府ニ呈出セリ
農村ニ對スル國策樹立ニ關スル建議
同日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
市制中改正法律案修正報〓書
町村制中改正法律案修正報〓書
府縣制中改正法律案修正報〓書
北海道會法中改正法律案修正報〓書
米穀法中改正法律案可決報〓書
米穀需給調節特別會計法中改正法律案可
決報告書
輸出組合法中改正法律案可決報告書
重要輸出品工業組合法中改正法律案可決
報〓書
無盡業法改正法律案可決報〓書
祐德軌道株式會社所屬軌道補償ノ爲公債
發行ニ關スル法律案可決報〓書
「ロンドン」海軍條約實施ニ伴フ海軍職工
整理ニ關スル公債發行ニ關スル法律案可
決報〓書
本日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
請願文書表(第九囘報告)
本日小作法案特別委員會ニ於テ當選シタル
正副委員長ノ氏名左ノ如シ
委員長公爵一條實孝君
副委員長木場貞長君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=1
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002・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 是ヨリ本日ノ會
議ヲ開キマス、日程第一ヨリ第八マデ、承
諾ヲ求ムル件、衆議院送付、會議、委員長
報〓、子爵立花種忠君
昭和四年度第一豫備金支出ノ件、昭和
四年度特別會計第一豫備金支出ノ件、
昭和四年度豫備金外ニ於テ豫算超過及
豫算外支出フ件追加、昭和四年度特別
會計第二豫備金支出ノ件、昭和四年度
特別會計豫備金外ニ於テ豫算超過及豫
算外支出ノ件追加、昭和五年度第二豫
備金支出ノ件、昭和五年度特別會計第
二豫備金支出ノ件、昭和五年度特別會
計豫備金外ニ於テ豫算外支出ノ件
右承諾スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和六年三月二十三日
委員長子爵立花種忠
貴族院議長公爵德川家達殿
〔子爵立花種忠君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=2
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003・立花種忠
○子爵立花種忠君 昭和四年度第一豫備金
支出ノ件外七件、承諾ヲ求ムル件ノ特別委
員會ノ經過竝ニ結果ヲ極メテ簡單ニ御報〓
ヲ申上ゲマス、委員會ハ正副委員長ノ選擧
ヲ行ヒマシテ、引續キ政府當局カラ說明ヲ
受ケマシテ、然ル後ニ審議ニ移リマシタ、
此豫備金ノ支出ノ總額ハニ一千二百五十五万
九千六百八十八圓デアリマシテ、其中昭和
四年度ニ屬スルモノガ二千五百十九万七千
二百八十八圓、昭和五年度ニ屬シマスモノ
ガ七百三十六万二千四百圓デゴザイマス、
昭和四年度ニ屬スル所ノ一一千五百餘万圓ニ
付テ申上ゲマスト、一般會計ニ於キマシテ、
豫算超過ノ支出ヲ致シタモノガ、第一豫備
金カラ六百餘万圓、昭和五年度一月、第五
十七帝國議會ニ於テ衆議院解散ノ結果、緊
急已ムヲ得ザル費途ニ對シマシテ、同年度
內ニ於テ、支出ヲ要スルモノガアリマシタ
ケレドモ、第一豫備金ノ豫算ガ拂ヒ切リト
ナリマシタニ付キマシテ、國庫剩餘金カラ
一千二十五万六千二十七圓ヲ支出シタノデ
アリマス、此合計ガ千六百二十五万六千二
十七圓デアリマス、其外國庫剩餘金ヲ以テ
豫算外ノ支出ヲ致シタモノガ六百十万三千
三百三十七圓デアリマス、又各特別會計ノ
支出額ハ二百八十三万七千九百二十四圓ニ
相成リマスガ、其細カイコトハ玆ニ御說明
ヲ省略ヲイタシタイト存ジマス、次ニ昭和
五年度ニ屬シマスル七百餘万圓中一般會計
第二豫備金カラ支出イタシマシタ所ノモノ
ガ、四百四十六万千三百九十一圓デアリマ
ス、各特別會計第二豫備金及豫備金外ニ於
テ豫算外支出ヲ致シタモノガ、二百九十万
千百九圓デアリス、此內譯ニ付キマシテハ、
玆ニ又御說明ヲ省略イタシタイト存ジマ
ス、質疑ニ入リマシテ其質疑ノ中ノ主ナ
ルモノヲ一二申上ゲテ置カウト存ジマス
ル、昭和四年度拓務省所管、朝鮮總督府特
別會計、第二豫備金支出總額百二十五万圓
中昭和五年一月二十九日支出、臨時機密費
四万九千餘圓、卽チ朝鮮ニ於キマスル危險
思想團體ノ取締費用デアリマシテ、之ニ付
キマシテハ特ニ速記ヲ止メマシテ詳細ナ
ル說明ヲ求メタノデアリマスルガ此議場
ニ於キマシテハ其內容ニ付テハ申上ゲル
コトヲ避ケタイト存ジマス次ニ昭和四年
度一般會計豫備金外支出中、衆議院議員總
選擧ニ要シマシタ所ノ經費ニ付テ一二ノ質
疑ハアリマシタガ、御參考ニ申上ゲテ置キ
マスルガ、其經費ハ剩餘金支出デアリマシ
テ、內務、遞信、司法ノ此三省ノ所管ノ費
用ガ全部デ四百二十五万九千餘圓ニナッタ
ノデアリマス、其他ハ臺灣霧社事件ニ要シ
タル費用等ノ質疑ガアリマシタガ、是レ以
下ノコトハコヽデ省略ヲ致シマス、質疑ガ
終リマシテ討論ニ移リマシタ時ニ、或一員
カラ次ノ如キ希望ヲ提出サレマシタ、「第二
豫備金支出及豫備金外支出ハ國庫歲計上重
要ナル處分ナルヲ以テ政府ハ其支出後可成
速カニ公表ノ手續キヲ採ラル可キ事」、斯ウ
云フ希望ガ出マシテ、採決ニ入リマシタ所、
滿場一致此希望ヲ是認ヲ致シマシテ、然ル
後ニ各案ニ對シテ承諾ヲ與フベキモノト決
定ヲ致シタ次第デアリマス、何卒御贊成下
サリマスヤウニ希望イタシテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=3
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004・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 別ニ發言者モ無
イト認メマスカラ採決ヲ致シマス只今特
別委員長立花子爵ノ報〓セラレマシタ各案
共承諾ヲ與フベシトスル諸君ノ起立ヲ請
ヒヨハ
〔起立者多數〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=4
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005・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 過半數ト認メマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=5
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006・徳川家達
○議長(公爵徳川家遠君) 日程第九、市制
中改正法律案、第十、町村制中改正法律案、
第十一、府縣制中改正法律案、第十二、北
海道會法中改正法律案、政府提出、衆議院
送付、第一讀會ノ續、委員長報告、特別委
員長伯爵酒井忠正君ノ登壇ヲ求メマス
市制中改正法律案
右別冊ノ通修正議決セリ依テ及報〓候也
昭和六年三月二十三日
委員長伯爵酒井忠正
貴族院議長公爵德川家達殿
一特別委員ノ修正ニ係ル條ノミヲ印
刷ニ付ス小字及-ハ修正ナリ
第九條第一項中「帝國臣民タル年齡二十
五年以上ノ男子ニシテ二年以來市住民タ
年齡二十五年以上ノ帝國臣民
ル者」ヲ「帝國臣民タル年齡二十年以上ノ
男子及年齡二十五年以上ノ女子ニシテ一
年以來市住民タル者」ニ、同條第二項及第
三項中「二年」ヲ「一年」ニ改ム
第十四條中「又ハ第十一條ノ規定ニ該當
スル者」ヲ削ル
第十八條第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
第十一條ノ規定ニ該當スル者ハ被選擧
權ヲ有セズ
第二十五條ノ三第一項ヲ左ノ如ク改メ同
ル
條第四項中「投票分會長又ハ」ヲ削り同條
ヲ第二十五條ノ四トス
投票ノ拒否ハ選擧立會人又ハ投票立會
人ノ意見ヲ聽キ選擧長又ハ投票分會長
之ヲ決定スベシ
第二十五條ノ三第十一條ノ規定ニ該當
スル者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ズ
第二十七條ノ二第二項ヲ左ノ如ク改ム
前項ノ計算終リタルトキハ選擧長ハ先
三
ヅ第二十五條ノ四第二項及第四項ノ投
票ヲ調査シ選擧立會人ノ意見ヲ聽キ其
ノ受理如何ヲ決定スベシ
第七十七條中「第十八條第二項又ハ第四
項」ヲ「第十八條第三項又ハ第五項」ニ改
ム
第八十四條第一項中「選擧權ヲ有セサル
ニ至リタルトキ」ヲ「選擧權ヲ有セズ又ハ
第十一條ノ規定ニ該當スルニ至リタルト
キーニ改ム
第百七十六條ノ二第二十七條ノ三、第
三十六條第一項及第三十六條ノ二第一項
第二項ノ選擧人、第二十二條ノ二第二
項及第二十三條ノ二第一項第七項第九
項ノ選擧人名簿ニ登錄セラレタル者竝
ニ第七十三條第八項、第七十四條第四
項第八十二條第二項及第八十三條第
二項ノ選擧權ヲ有スル者ニハ第十一條
ノ規定ニ該當スル者ヲ包含セズ
町村制中改正法律案
右別冊ノ通修正議決セリ依テ及報〓候也
昭和六年三月二十三日
委員長伯爵酒井忠正
貴族院議長公爵徳川家達殿
特別委員ノ修正ニ係ル條ノミヲ印)
刷ニ付ス小字及-ハ修正ナリ
第七條第一項中「帝國臣民タル年齡二十
五年以上ノ男子ニシテ二年以來町村住民
年齡二十五年以上ノ帝國臣民
タル者」ヲ「帝國臣民タル年齡二十年以上
ノ男子及年齡二十五年以上ノ女子ニシテ
一年以來町村住民タル者」ニ、同條第二項
及第三項中「二年」ヲ「一年」ニ改ム
第十二條中「又ハ第九條ノ規定ニ該當ス
ル者」ヲ削ル
第十五條第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
第九條ノ規定ニ該當スル者ハ被選擧權
ヲ有セズ
第二十二條ノ三ヲ第二十二條ノ四トス
第二十二條ノ三第九條ノ規定ニ該當ス
ル者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ズ
第二十四條ノ二第二項中「第二十二條
ノ三」ヲ「第二十二條ノ四」ニ改ム
第三十六條ノ二勅令ヲ以テ指定スル町
村ノ町村會議員ノ選擧ニ付テハ市制第
二十二條ノ二、第二十二條ノ三、第三十
條ノ三及第三十六條ノ二ノ規定ヲ準用
ス此ノ場合ニ於テハ第二十條第二項及
第四項、第二十二條第五項及第七項、
三
第二十二條ノ四、第二十四條ノ二第二
項、第二十五條、第二十六條竝ニ第三
十條第一項ノ規定ニ拘ラズ市制第二十
三條ノ二第一項乃至第七項及第九項、
第二十五條第五項及第七項、第二十五
三
條ノ四、第二十七條ノ二第二項、第二
〇四五
十八條、第二十九條ト〓第三十三條第
一項竝ニ第百七十六條ノ一一ノ規定ヲ準
用ス
第三十八條第一項中「選擧權ヲ有スル町村
公民」ノ下ニ「(第九條ノ規定ニ該當スル者
ヲ除ク)」ヲ加フ」
第六十五條中「第十五條第二項又ハ第四
項」ヲ「第十五條第三項又ハ第五項」ニ改
1ム
第七十條第一項中「選擧權ヲ有セサルニ
至リタルトキ」ヲ「選擧權ヲ有セズ又ハ第
九條ノ規定ニ該當スルニ至リタルトキ
コメイ
第百五十六條ノ三第二十四條ノ三及第
三十三條第一項ノ選擧人、第二十條第
二項及第四項ノ選擧人名簿ニ登錄セラ
レタル者竝ニ第六十三條第八項、第六
十八條第二項及第六十九條第二項ノ選
擧權ヲ有スル者ニハ第九條ノ規定ニ該
當スル者ヲ包含セズ
府縣制中改正法律案
右別冊ノ通修正議決セリ依チ及報〓候也
昭和六年三月二十三日
委員長伯爵酒井忠正
貴族院議長公爵德川家達殿
特別委員ノ修正ニ係ル條ノミ
ヲ印刷ニ付ス-ハ修正ナリ
第六條第一項中「市町村公民」ヲ「市町村
公民タル男子」ニ、同條第二項中「戰時若
ハ事變ニ際シ召集中ノ者ハ選擧權及」ヲ
「戰時若ハ事變ニ際シ又ハ兵役法第五十
五條第二項ノ規定ニ依リ召集中ノ者ハ」
三郎くん
第十八條ノ三第六條第二項ノ規定ニ該
當スル者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ズ
第百三十八條ノ二第二十六條、第三十
四條第一項及第三十四條ノ二第一項第
二項ノ選擧人竝ニ第十三條ノ二第二項
及第十六條第一項第二項ノ選擧人名簿
ニ登錄セラレタル男子ニハ第六條第二
項ノ規定ニ該當スル者ヲ包含セズ
北海道會法中改正法律案
右別冊ノ通修正議決セリ依テ及報〓候也
昭和六年三月二十三日
委員長伯爵酒井忠正
貴族院議長公爵德川家達殿
特別委員ノ修正ニ係ル條ノミ)
ヲ印刷ニ付ス-ハ修正ナリ
第三條第一項中「年齡二十五年以上ノ男
子ニシテ二年以來」ヲ「年齡二十年以上ノ
男子ニシテ一年以來」ニ、同條第二項中
「二年」ヲ「一年」ニ改ム
第四條中「戰時若ハ事變ニ際シ召集中ノ
者ハ選擧權及」ヲ「戰時若ハ事變ニ際シ又
ハ兵役法第五十五條第二項ノ規定ニ依リ
召集中ノ者ハ」ニ改ム
第十四條中「第百三十六條、」ノ下ニ「第
百三十八條ノ二、」ヲ加ヘ「請負ヲ爲シト
ス」ヲ「請負ヲ爲シトシ及第百三十八條ノ
二中第六條第二項ノ規定ニ該當スル者ト
アルハ北海道會法第四條ノ規定ニ該當ス
ル者トス」ニ改ム
〔伯爵酒井忠正君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=6
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007・酒井忠正
○伯爵酒井忠正君 只今上程ニナリマシタ
市制中改正法律案外三件ノ特別委員會ノ經
過竝ニ結果ニ付キマシテ御報告申上ゲマ
ス、三月五日ニ第一囘ノ委員會ヲ開キマシ
テ、先ヅ政府ヨリ提出ノ理由ヲ說明ヲ求メ、
引續イテ質疑ニ入ッタノデアリマス、何ニ致
セ我國ニ於キマシテ從來無カッタ所ノ婦人
ニ公民權ヲ與ヘルト云フ重要ナ法案デアリ
マスルガ故ニ、委員會ニ於キマシテモ愼重
審議ヲ致シマシテ、數囘ニ亙ル質問應答ヲ
重ネタノデアリマス案ノ內容ノ說明ニ付
キマシテハ旣ニ本議場ニ於キマシテ政府ヨ
リ縷々御陳述ガアッタコトデアリマスカラ、
此際案ノ內容ハ省キマシテ、質問應答ニ付
キマシテ簡單ニ其內容ヲ綜合シテ申述ベタ
イト思フノデアリマス、質問ノ種類ハ數多
ニ分レテ居リマスルガ、先ヅ其中ノ二三ヲ
申上ゲマスルト第一ニ根本理由デアリマ
ス、政府ガ今囘女子ニ公民權ヲ與ヘムトス
ル其根本ノ理由ハドノ邊ニアルノデアル
カ又政府ハ今囘ハ漸進的ニ進ムト云フ主
義ノ下カラ、市町村ノミヲ許ス意向デアル
ケレドモ、然ラバ政府ノ有スル所ノ理想ト
云フモノハドウ云フ點ニアルカ、女子ガ政
治ヲ通ジテ國家ニ盡スコトニ於テ、將來男
子ト全ク同ジ權利ヲ得セシムルト云フコト
ガ、政府ノ終極ノ目的デアルカラシテ、其
點ハドウ云フ考ヲ持ヲテ居ルカト云フ質問
デアリマス、政府ハ之ニ對シマシテ根本
ノ理由ト致シテハ矢張リ女子モ男子ト同
樣、國家社會ノ上ニ相携ハッテ政治ニ參與ス
ルコトガ當然デアルト思フ、併ナガラ兎ニ
角國家制度ノ上カラ見マシテ非常ナ變革デ
アルガ故ニ急激ナル變化ヲ避ケテ今囘ハ
市町村ノミヲ許スコトトシタノデアル、且
又衞生デアルトカ、社會事業デアルトカ、
〓育デアルトカ、サウ云フ事業ノ婦人ニ關
係ノ深イ問題ハ市町村ニ多イコトデアルカ
ラ此程度ニ於テ現在婦人ニ、市町村ノミ
ヲ許スコトガ適當デアルト考ヘル又理想
ト致シテ女子ノ將來ヲ考ヘル場合ニハ婦
人參政權ト云フ問題モ起ッテ來ルノデアル
ケレドモ、斯カル遠イ將來ノコトヲドウデ
アルカト云フコトハ、現在ニアッテハ政府當
局ニ於テハ何等考ヘテ居ラナイ、唯現在ニ
於テハ此市町村ダケニ公民權ヲ與ヘルト云
フコトガ、時宜ニ適シタコトデアルト思ヒ
且又延イテ府縣ニ及ボス考デアルト云フ意
向デアリマシタ、次ニ問題ニナリマシタノ
ハ女子ニ公民權ヲ賦與スルト云フコトガ
果シテ宜イコトデアルカ、此利害、弊害ト
申シマスカ、其利害ニ付テノ質問應答ガアッ
タノデアリマス此質問ハ婦人ハ〓シテ理
性的デナイ、感情ニ走リ易イモノデアルカ
ラシテ、自然種々ナルコトニ利用サレ煽動
サレルモノデアルカラシテ、所謂情實ニ依フ
テ色ミナ弊害ガ生ズル虞レガアルト思ハレ
ル、又婦人ニ公民權ヲ與ヘタガ爲ニ、其結
果家庭ノ平和ヲ害シ、我家族制度ニ惡影響
ヲ及ボシ、良風美俗ヲ害スル虞レガアリハ
シナイカ、又元來女子ノ天職ト云フモノハ
家庭ニアルモノデアッテ、此天職ヲ外ニシ
テ、ソレ以上ニ公民權ヲ賦與シナケレバ其
天職ヲ全ウスルコトガ出來ナイト云フコト
ハドウモ考ヘラレナイト云フヤウナ質問
モアッタノデアリマス、是等ニ對シマスル政
府ノ答辯ハ、婦人ト云フモノハ一體ニ保守
守勢ノモノデアッテ、且ツ考ヘモ純眞デアル
モノグカラシテ、此國家社會ノ秩序ヲ保チ、
急激ナ變化ヲ與ヘルヤウナコトヲ防止スル
ト云フコトニハ婦人ガ地方自治團體ニ參
與シタ方ガ大變宜イコトデアル、又今日ノ
地方選擧界ノ腐敗、墮落ト云フヤウナコト
ヲ屢〓聞ク今日ニアリマシテ、之ヲ救濟スル
ノニハ寧ロ婦人ガ參與スルト云フコトガ
與ッテ力アルノデハナイカト云フノデアリ
マス、又婦人ガ公民權ヲ得ルコトニ依タテ家
庭ノ平和ヲ亂スト云フヤウナコトハ、サウ
迄心配スルコトハナイト考ヘル、選擧權行
使ヲスル場合ニ當ノテハ、現在ノ制度デアッ
テモ、尙ホ親子兄弟ノ間ニ於テ意見ノ相違
ガアルト云フコトハ現在デモ亦想像スルコ
トガ出來ルノデアルケレドモ、日本ノ家庭
ト云フモノハ親子夫婦ノ間ト云フモノハソ
ンナ、モット情愛ノ厚イモノデアッテ、選擧
權行使ニ依ル意見ノ相違ニ依ケテ、家庭ノ平
和ヲ亂スト云フヤウナコトハ考ヘナイ、併
シ尙ホサウ云フ點ヲ顧慮シテ妻ガ名譽職ニ
就タ場合ニハ夫ノ同意ヲ要スルト云フ一項
モ之ニ差加ヘテアルト云フノデアリマス、
又天職ノコトニ付キマシテハ女子ガ家庭
ノコトニ付テ盡スコトハ是ハ天職デアルコ
トハ勿論デアルケレドモ、ソレノミガ天職
ヲ全ウスル所以デハナタ、自治ニ參與スル
コトモ今日ニ於テハ最モ相應シイ天職ノ
一ツデアルト考ヘルト云フ答辯デアリマス、
次ニ問題ニナリマシタノハ年齡デアリマ
ス、今囘ノ改正ニ依リマスル男子ノ公民權
ノ年齡ヲ二十五歲ヨリ二十歲ニ低下シテ居
ルノデアリマス、是ハ政府ガ漸進主義ト云
フコトヲ口ニセラレテ居リナガラ、此急激
ナ低下ハ矛盾ヲシテ居ルノデハナイカ、此
二十歲ニ低下セシメタ理由ハドウデアル
カ、若シ又此案ニ依ッテ年齡ヲ低下セシメル
場合ニハ二十歲乃至二十五歲ノ若イ靑年ガ
政黨ニ加入シ、政治ニ狂奔シテソレカラ
生ズル所ノ種々ナル弊害ヲ起スヤウナ心配
ヲ有ッテ居ラナイカト云フ質問デアリマス、
之ニ對シマシテハ男子ノ年齡ヲ二十歲ニ低
下シタト云フノハ、一ニハ民法ノ年齡ト步
調ヲ合スト云フコトト、又一ハ輿論ノ要求
ニ依ッテシタモノデアル、今日ノ靑年ノ政治
的意識ト云フモノハ相當ニ顯著ナ發達ヲ
遂ゲテ居ルノデアリマシテ近頃ノ靑年團
ニ於キマシテモ市町村公民〓育ト云フモ
ノニハ非常ニ力ヲ入レテ、市町村行政ニ對
スル理解ハ著シク增加シタモノト考ヘテ居
ルノデアル斯ウ云フ靑年ガ市町村ノ行政
ニ携ハリタイト云フ希望ハ非常ニ熾烈ナル
モノデアッテ、到底昔日ノ比デナイ、又市町
村制ヲ定メラレタ明治二十一年以來今日マ
デ男子ノ公民權年齢ハ一一十五歲ニ定メテ
〒 タ、一向現今マデ其改正ガナカッタノデ
アル、今日ニ至ッテ之ヲ二十歲ニ低下スルト
云フコトハ、全ク時代ノ要求ヲ制度上ニ現
ハシタ所以デアルト云フ答辯デアリマス
又政治ニ狂奔スルト云フコトヲ心配スル點
モ、是ガ國ノ關係デアッタナラバ又別デアリ
マスガ、少クトモ市町村行政ニ付テハ、サ
ウ政黨ニ加入シテ政治ニ狂奔スルト云フコ
トハ考ヘテ居ナイ、寧ロ近頃ニ於キマシテ
ハ靑年團アタリハ現在ノ旣成政黨ノ政治
ニ對スル反感ヲ有チマシテ、何トカ之ヲ矯
正シテ正シイ政治ニ向ァテ行キタイト云フ
ヤウナ傾向ガ多クナッテ居ル今日、寧ロ政黨
ニ關係シテ狂奔スルト云フ弊害ハ少ナイト
考ヘル、此純眞ナル投票ニ依ッテ市町村行政
上好イ影響ヲ及ボセシメルコトト考ヘルト
云フ答デアリマシタ、次ニ問題ユナリマシ
タノハ夫ノ同意デアリマス、妻ガ名譽職ニ
就ク場合ニハ夫ノ同意ヲ要スルト云フ項目
ガアルノデアリマスルガ、之ヲ其同意ヲ要
スルト云フコトニシタノハ一方女子ニ公
民權ヲ與ヘル根本的ノ精神ト矛盾シテ居ル
モノデハナイカ、又一方治安警察法ニ於キ
マシテハ、夫ノ許可ガナタシテ政社ニ加入
セシメルコトヲ認メムトシテ居ルノニ、叉
一面ニ於テ公民權ニ於テハ夫ノ同意ヲ要ス
ルト云フ風ニシタノハ矛盾シテ居ヤシナイ
カト云フ問デアリマス、此夫ノ同意ヲ要ス
ルト云フ點ハ、政府ユ於キマシテハ我國ノ
國情ト慣習ヲ考ヘマシテ立案シタモノデ
アッテ、又政社へ加入スルト云フコトハ全ク
自由デアリマスルガ······自由デアリマシ
テ、何等法律上ノ義務ヲ伴フモノデハアリ
マセヌケレドモ、名譽職ニ就任スル場合ニ
ハ法律上ノ義務ヲ生ジ、且又身體ヲ制限スル
ガ故ニ兩者ノ差違ヲ認メタモノデアルト云
フ答辯デアリマシタ、大體以上ノヤウナ質問
應答ヲ重ネマシテ、委員會ハ六囘ニ及ンダノ
デゴザイマス、昨日質問ヲ打切リマシテ
質問ヲ終了イタシマシテ討論ニ入ッタノデ
ゴザイマス、討論ニ入リマシテ一委員ヨリ
今囘ノ地方制度改正ノ諸法律案ハ未ダ十分
ニ練レテ居ラナイ、殊ニ婦人ニ市町村公民
權ヲ附與スルコト、又男子ノ公民年齡ヲ低
下スルコトニ付テハ尙ホ愼重ニ考究スベ
キ所ノ餘地ガ十分ニアルヤウニ考ヘル、然
ルガ故ニ今囘政府ガ提出シタ此改正法律
案ハ一應撤囘シテ、尙ホ政府ニ於テ審査ヲ
重ネテハドウデアルカト云フ意見ガ出タノ
デアリマス、又他ノ委員カラ此政府提出ノ
法律案ニ對シマシテ、修正ノ意見ガ提出イ
タサレマシタ、此修正意見ノ要領ハ次ノ二點
ニ歸著スルノデアリマス、卽チ第一點ハ政
府提出ノ案ニ於テハ、男子ノ市町村公民年
齡ヲ二十五年カラ二十年ニ低下スル、又府
縣會議員及ビ北海道會議員ノ選擧年齡及ビ
被選擧年齡モ同樣ニ二十五年カラ二十年ニ
低下スルコトニナッテ居ルノデアルガ、此男
子ノ公民年齡及ビ選擧年齢、被選擧年齡ハ
之ヲ此現行法通リ二十五年ニ獨置クコトト
云フノデアリマス、第二點ハ政府提出ノ案ニ
於テハ現役中又ハ召集中ノ陸海軍軍人ニモ
選擧權ヲ付與スルコトトシテ、唯其間投票
ヲ爲スコトヲ得ザラシメタヤウニ規定ノ改
正ヲ行フト云フノデアルケレドモ、男子ノ
公民年齡ヲ現行法通リニ引戾スナラバ地
方議會ノ議員選擧權ヲ得ルノハ兵役義務
ヲ終ッタ後ニナルノデアリマスカラシテ、此
點ノ改正ハ殆ト其必要ヲ認メナイ、從ヶテ陸
海軍軍人ニ選擧權ヲ付與スルト云フ改正及
ビ之ニ關スル規定ノ改正ヲ削除スルト云フ
此二點ガ修正案ノ骨子デアリマス、而シテ
右ノ修正案ニ贊成ガアリマシテ、其趣旨ハ
此法律案ニハ以上ノ修正案以外ニモ尙ホ修
正スベキ點ノ多々存シテ居ルト考ヘルノデ
アル、併ナガラソレハ地方制度モ近イ將來
ニ於テ更ニ改正サレル必要ガアルト思ヒマ
スノデ、其際政府ニ於テ十分考慮サレルモ
ノト認メマシテ、又其事ヲ期待シテ、今囘
ハ兎モ角モ此修正案ニ贊成スルト云フ贊成
意見ガアリマシタ、又他ノ委員カラハ婦人
ニ公民權ヲ付與スルト云フコトハ必シモ男
女ヲ平等ノ立場ニ置クト云フ、所謂男女平
等論ニ立脚シテ居ルモノトハ思ハレナイ、
男女平等論ニ反對デハアルガ、男子ト女子
トハ各〓特色ガアルノデ、此特色ヲ發揮シ
テ各、尊敬シ合フト云フコトニ重要ナル意
義ヲ存シテ居ルト思フノデアル此意味ニ
於テ婦人ニ公民權ヲ付與スルト云フコトハ
贊成デアル何トナレバ市町村ノ事務ハ日
常ノ實生活ニ極メテ密接ノ關係ヲ有スルノ
デ、婦人ガ市町村ノ事務ニ關與スルト云フ
コトハ、市町村ノ事務ヲ益、實生活ニ卽セシ
メテ、同時ニ女子トシテノ特色ヲ發揮セシ
ムル所以デアルカラデアル、此意味ニ於テ
男子ノ公民年齡ヲ二十五年ニ引戾シテ、婦
人ニ公民權ヲ付與セムトスル所ノ修正案ニ
贊成ヲスルト云フ、是ハ贊成意見ガアリマ
シタ、又他ノ委員カラハ右ノ修正案中、男
子ノ公民年齡ヲ二十五年ニ引戾スト云フコ
トニハ贊成デアルケレドモ、婦人ニ公民權
ヲ付與スルト云フコトハ反對デアル、政府
ハ輿論ニ據ルト云フケレドモ、今日ニ於テ
婦人公民權ヲ要求スルトコロノ聲ハホンノ
一部デアッテ、未グ其時期デナイ、婦人ノ日
常生活、社會上ノ習慣、〓育程度、ソレ等
ノモノヲ現在ニ於テ見ル場合ニハ今尙ホ時
期ガ早イヤウニ思フ、サウ云フ意見ガアッタ
ノデアリマス、仍テ討論ヲ終リマシテ、此
市制中改正法律案外三件ニ付キマシテノ採
決ニ入ッタノデアリマス、第一ノ政府提出ノ
三案ヲ一先ヅ引下ゲテ更ニ審議ヲ盡シタ方
ガ宜イト云フ動議ニ付テノ決ヲ採リマシタ
トコロ、是ハ少數ヲ以テ其意見ハ否決サレ
タノデアリマス、次ニ前述ノ修正意見ニ付
テ決ヲ採リマシタトコロ、多數ヲ以テ可決
サレタノデアリマス、仍テ修正意見以外ノ
點ニ付テ更ニ政府案ニ付テ決ヲ採リマシタ
トコロ、是亦多數ヲ以テ可決イタサレタノ
デアリマス、右樣ノ經過ヲ以チマシテ、市
制中改正法律案、町村制中改正法律案外二
案ノ政府提出案ニ對シマシテ、前述イタシ
タヤウナ修正ヲ加ヘテ、委員會ニ於テ可決
イタシタノデアリマス、修正イタサレタ
箇條一々ニ付キマシテハ、御手許ニ修正
案ガ〓ッテ居ルコトト思ヒマスノデ、此
席ニ於キマシテ一々各條ニ亙ッテ申述ベル
コトハ避ケタイト思ヒマス大體デアリマ
スガ、委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報告申上
ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=7
-
008・徳川家達
○議長(公爵德川家遠君) 只今酒井特別委
員長ノ報告セラレマシタ各案ノ第二讀會ヲ
開クコトニ同意ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス
〔起立者多數〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=8
-
009・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 過半數ト認メマ
ズ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=9
-
010・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ各案ノ第二讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=10
-
011・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 動議ニハ贊成者
ヲ要シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=11
-
012・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=12
-
013・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異仔ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=13
-
014・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=14
-
015・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 只今議長ガ日程
第九ヨリ第十二マデノ各案ノ第二讀會ヲ開
タベキヤノ決ヲ採リマシテ、西大路子爵ノ
動議ニ依リマシテ各案ノ一一讀會ヲ直ニ開ク
ト云フコトニ過半數ヲ以テ決シマシタ、併
ナガラ此際ハ日程第九竝ニ第十、市制中改
正法律案竝ニ町村制中改正法律案ノミヲ議
題ト致スコトハ御承知ヲ請ヒマス、贊否ノ
通〓者ガゴザイマスカラ、先ヅ以テ規則ニ
依リマシテ、反對論ヨリ發言ヲ許シマス、
井田男爵ノ登壇ヲ望ミマス
〔男爵井田磐楠君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=15
-
016・井田磐楠
○男爵井田磐楠君 私ハ本日御提案ノ婦人
公民權ノ問題ニ關シマシテハ信念上ノ相
違ガゴザイマスルノデ、從ヒマシテ此事ヲ
論議イタシマス上ニ付キマシテハ、多ク理
論ニ亙リ勝チデゴザイマス、定メシ御聽キ
苦シイコトト存ジマスルケレドモ、暫ク御
清聽ヲ煩ハシタイト思ヒマス、偖テ今般政府
カラ御提案ニナリマシタ市町村公民權ヲ婦
人ニ付與スル所ノ此法案ハ、安達內相ノ御
說明ニ依リマスルト、漸次府縣ニマデ之ヲ
及ボスト云フ所ノ、所謂漸進性ヲ御有タセ
ニナック所ノ法案デアリマス、是ハ只今委員
長ノ御報告ニモゴザイマシタ通リニ、結局
ハ男女同權ヲ理想トスル所マデ考ヘテ居ル
ノダ、斯ウ云フ案デアリマス、此事ヲ朝野
ノ二大政黨ノ政友會ト民政黨ニ如何ナル所
マデ此公民權ヲ持ッテ行タカト云フコトヲ
若シ尋ネマシタ所デ、何等恩想的ノ表現ヲ
持ッテ居リマセヌ所ノ朝野ノ兩政黨ハ之
ニ對シテハッキリシタ、判然トシタ標準尺度
ヲ玆ニ示シテ出スコトハ出來ナイト思フノ
デアリマス、併ナガラ兩政黨ハ此選擧權ナ
ルモノヲ目的トシテデハナク、手段トシテ
卽チ賣物トシテ、相互ニ之ヲ競リ上ゲルト
云フコトハ、政黨心理トシテ最モ明瞭ナル
コトデゴザイマスルカラ、此只今提案サレ
マシタ所ノ婦人公民權ノ問題ハ當然吾人
ハ參政權ノ問題トシテ考ヘナケレバナラヌ
ト思フノデアリマス、況ヤ女子政治參與ノ
要求ト云フモノハ、其理想ハ中途半端ノ公
民權ニアルノデアリマセヌ、勿論是ハ國政
參與ニアルノデアリマス、然ル限リ、此公
民權付與ノ問題ハ當然女子ノ參政權ノ問題
トシテ吾人ノ批判セネバナラヌト考ヘルノ
デアリマス、踏出ス一步デ江戶マデ屆タト
云フヤウナ諺ガアリマスルガ、只今玆ニ公
民權ヲ御認定ニナル、御贊成ニオナリニナ
ル御方ハ、當然是ハ將來ハ參政權ヲ婦人ニ與
ヘルモノトシテ御考ヘニナラナケレバナラ
ヌモノト考ヘテ居ルノデアリマス、今囘提
案ノ程度ノ生溫イ程度ノ公民權ダカラ、ソ
レデ宜イトカ、或ハ委員長ノ御報告ニモア
リマシタ通リニ、市町村行政ノ範圍ノ事柄
ハ女子日常ノ家庭生活ト密接セル關係ガ多
イカラソレデ之ヲ認メテ然ルベキモノデア
ルト云フヤウナ、非理想的ノ問題デハナイ
ノデアリマシテ、結局ハ是ハ內相御說明ノ
通リ、婦人ヲ政治ニ參與セシメルト云フコ
トガ最後ナノデアリマス.私ハカルガ故ニ
此問題ハ公民權ヲ與ヘル與ヘナイト云フ問
題デハナクシテ、是ハ婦入參政權付與ノ間
題トシテ是カラ論議ヲ進メル次第デアリマ
ス、偖テ茲ニ公民權付與ニ關スル政府ノ御
說明ヲ批判スルコトヲ御許シヲ願ヒタイ、
是ハ理論ノ方面ト現實ノ方面ト二ツニ分ケ
テ考ヘルノヲ至當ト思ヒマス、而シテ内相
ハ衆議院ニ於テ理論的ノ方面ニ關シテハ斯
樣チコトヲ仰セラレテ居リマス、政治參與
ノコトハ其理論的考察ニ於テ之ヲ否認スベ
キ理由ニ乏シク、疑ヲ存セザル所デアルト
申サレタキリデアリマスガ、偖テ貴族院デ
ハ何ト仰セニナッテ居ルカト云フト、之ヲ制
度トシテ認メルニ當リマシテハ、單ニ其理
論上ノ當否ヲ檢討スルノミニ止マラズ、更
ニ政治上ノ實際乃至社會ノ實情ニ鑑ミ云
云、斯ウ云フ風ニ御述べニナッタキリナノ
デアリマス、而シテ何等理論的ノ檢討ノ跡
ヲ御示シニナッテ居ラナイ、又內相ハ本案ハ
我ガ國家制度ニ於ケル一大革新デアルト申
サレテ居ルノデアリマス、是亦然ラバ何ガ
故ニ革新シナケレバナラヌカト云フ、其理
論ヲ少シモ御示シニナッテ居ラナイ、然ラバ
實際ノ方面ニ關シテハ何ト內相ハ仰セニ
ナッテ居ルカト云ヒマスト、是ハ兩院ニ於
テ、斯樣ニ、同ジ言葉ヲ使ッテ、斯樣ニ申サ
レテ居ルノデアリマス、我國現下ノ情勢ニ
見ルト民衆ノ政治的覺醒著シキモノアルニ
加ベテ、女子ノ政治參與ノ要求、亦逐年〓
誠ノ度ヲ增スノ狀況ニアリマス、從ノテ此機
會ニ女子ニ對シテ或ル程度參政ノ途ヲ開ク
ハ正ニ機宜ノ措置ナリ、斯ウ云フ風ナ御說
明ガアルノデアリマスルガ、女子一部ノ輿論
ヲ以テ、之ヲ簡單ニ片付ケラレテシマッテ
居ルノデアリマス、斯カル理論的根據ノナ
イ······御示シニナッテ居ラナイ案ハ恰モ私
ハ人生ノ紙屑ヲ集メテ造フタ所ノ巧ナ一ツ
ノ細工物デアルカノ如クニ思フノデアリマ
ス、又輿論デアルト云ウテ徒ラニソレニ追
隨スルノハ私ハ是ハ「コーラス·ガール」ノ
態度ダト思フノデアリマス、抑モ女子參政
權思想ノ根據ハ中スマデモナク、近代ノ「デ
モクラシイ」ニ依リマスル所ノ平等觀ニ基
ク所ノ男女同權論ニ依ルノデアリマス、彼
ノ產業革命以來家族生活ノ破壞ハ曰ク男
女同權、曰ク男女同職業、曰ク婦人解放、
曰ク婦人ノ政治ノ參與ト云フ風ナ思潮ト
ナッテ參クテ居ル、此思想ハ事實上ハ代議政
治デゴザイマシテ、此制限選擧ノ行ハレテ
居ル間ハ眞ナル「デモクラシイ」ハ行ハレナ
イノデアルソコニ於テカ之ヲ徹底センガ
爲ニハ、女子或ハ小兒ヲモ入レタ所ノ徹底
シタ所ノ普通選擧ト云フモノガ考ヘ出サレ
テ居ル、併シ吾人ハ此代議政治ニ於テ女子
ヲ政治ニ果シテ參與セシムベキモノデアリ
マセウカ否カ、或ル人ハ申シマス、女子ニ
參政權ヲ與フルノニハ女子ハ十分政治ノ
能力ガアル、此御說明ノ代表トシテハ、私
ハ高橋老ヲ擧ゲナケレバナラヌト思ウテ居
リマス、併シ是ハ一種ノ比較論デアリマ
ス、婦人參政權ノ問題ハ斯ノ如キ比較論デ
ハナイ、一種ノ目的論ヲ持ッテ居ルノデアリ
マス、斯ノ如キ比較論ニ依ッテ云々ヲシテ
婦人ニ參政權ヲ許スカ否カト云ラヤウナコ
トヲ以テ與フベキモノデハナイカト思ッテ
居ルノデアリマス、或ル人ハ又申シマス、
女子ニ參政權ヲ與ヘナイノハ婦人運動ヲ防
過スルモノデハナイカ、私ハ決シテ婦人運
動ヲ防遏シヤウトハ思ッテ居リマセヌ、併
ナガラ女子全般ヲ驅ッテ、女子ノ本分ニ背イ
テ、サウシテ女子全般ヲシテ此婦人運動ニ
參加セシムルト云フコトニ付テハ、大イニ
一考ヲ要サナケレバナラヌモノト思フノデ
アリマス、無論女子ノ權利ハ尊重シ、進展
セシムベキデアリマス、而シテ現今家庭ナ
リ、或ハ社會ニ於ケル女子ヲ奴隸的視スル
ヤウナ事實ハ是ハ當然解放ヲセナケレバナ
ラヌト考ヘテ居ル、併シ何モソレガ爲ニ女
子ニ參政權ヲ付與スベキモノデアルトハ私
ハ考ヘテ居リマセヌ、又參政權ヲ與ヘテ
後而シテ此女子ニ對スル只今申上ゲタヤ
ウナ社會的、或ハ家庭的ノ事實ヲ、參政權
ヲ與ヘテ後始メテ之ヲ決スベキモノデハナ
イト思フノデアリマス、何故ニ斯ノ如
キ〓···婦人參政權ヲ付與セント欲スル現內
閣ガ、何故ニ斯ノ如キ社會的女子ニ對スル
事實ヲ本日マデ等閑視シテ居ルカ、私ハ實
ニ是ハ政策上ノ矛盾デハナイカト考ヘテ居
ルノデアリマス、彼ノ佛蘭西ハ百年前ノ革
命以來婦人參政權ニ付テハ理論ト運動ガア
ルニ拘ラズ、マダ政治參政權ト云フモノガ與
ヘラレテ居ラナイノデアリマス、尙ホ又伊太
利ハ御承知ノ通リ一度與ヘマシタ所ノ婦人
參政權ヲ再ビ取戾シテ居ルノガ現況デハア
リマセヌカ、要スルニ女子參政權ハ······此女
子參政權ナルモノハ男子同權說ニ基イ
タ所ノ、女子ノ特殊性ヲ沒却シテ抽象
的チ普遍ナ平等觀ノ中ニ女子ヲ沒却セシ
ムル所ノ一ツノ思想ノ迷デアルト私ハ考
ヘテ居ル、神ノ與ヘラレク所ノ此婦人
ノ性ニ背イテ、サウシテ斯ウ云フ普遍ナ所
ニ迷ヒ込ンデシマフノデアル私ハ此理
論ハ灰色デアルト考へテ居リマス、本案ノ
御贊成者ハ直ニ私ノ說ヲ駁シテ、オ前
ノ說ハ古イ、斯ウ仰セニナル、新シキモノ
必シモ眞理ナラズ、然ルニ女子參政權ノ思
想ハ只今始マック問題デハナイデアリマス、
古イ新シイダケデ申スナラバ現今ハ如何デ
アリマス、各國トモ、政黨政治ノ現狀ニ鑑ミ
テ、之ニ飽カントスル傾向ガアルノデアリ
マリー或ハ之ヲ否認セントシツツアルノデ
アリマス、而モ現今ノ政治ト云フモノハ益〓
理論化シテ參リマス、而シテ益〓意思ノ强調
性ヲ要求スルノデアリマス、而シテ是ハ女
子ノ本質トハ益、背馳シタ方向ニ政治ノ傾
向ガ向キツツアルト私ハ信ズルノデアリ
マス、カルガ故ニ內相竝ニ高橋老ノ新シイ
御說ハ、私カラ見レバ寧ロ是ハ新酒ヲ古
イ革ニ盛ッタヤウナ感ジガスルノデアリマ
ス、女子ニ參政權ヲ與ヘマシタ曉ハ此家族
制度カラシテ一步家出ヲシタコトニチル、
女子ガ······サウシテ次カラ次ヘト權利ヲ主
張シテ一步々々ト眞直ニ無限ノ直線ヲ彼方
ニ步ムコトニナル、之ガ爲ニ女子ノ職業ハ
男子ニ一致シテ參リマス、換言スレバ女性
ヲ沒却シテノ男性化デアル、女子ノ機械化
デアル、女子ハ產兒制限ヲ越エテ產兒分娩
ヲ拒絕スルコトニナリマス、偶〓私ハ此案ヲ
考ヘテ居リマス時ニ、去ル二十日發紐育ノ
聯合通信ニアリマシタ所ノ通信ノ一節ヲ御
紹介ヲ申上ゲマス、亞米利加ニ於キマシテ
二千三百万人ノ信徒ヲ擁スル新〓派基督〓
會カラ成ル團體ハ今囘條件附デ避妊差支ナ
シト云フコトヲ認メルコトニ決定ヲシテ居
ル、是ハ條件附デアリマス、併シ私ハ多少
是ハ理想的ニ考ヘテ居ッタノデアリマスル
ガ、ソレハ既ニ現實トシテ條件附トシテ現
ハレテ居ル、此條件ノ取レル時代モ遠クハ
ナイ、玆ニ於テカ私ハ斯樣ニ考ヘル軈テ
ハ人間ヲ試驗管デ創造スル時代ガ來ルノデ
ハナイカ、併ナガラ女子ハ何所マデモ女子
デアル、大自然ノ與ヘタ所ノ女子ノ性的事
實ハ取去ラントシテモ取去ルコトハ出來ナ
1、デアルカラ結局女子ハ中性化シタ譯デ
アッテ、是ハ中性ノ御化ケニナッタ譯ニナル、
「フアウスト」ガ申シテ居リマス、永遠ナル
女性我ヲシテ引イテ行カシム、此「フアウス
ト」ノ言ウタ所ノ中性的永遠ノ女性トハ只
今申述ベマシタ所ノ機械的中性ノ女性ハ雲
泥ノ差、霄壤ノ差ガアルト思ッテ居リマス、
而シテ權利ハ飽ク迄モ主張シ獲得ヲスル
ガ、義務ハ如何デアル、義務ニ至ッテハ、婦
人ノ與ヘラレタル所ノ自然ノ義務ト云フモ
ノニ段〓段ミ一步々々遠ザカッテシマフ、サ
ウシテ國家ノ與ヘタ所ノ此義務トシテ中性
ノ義務ナドハ、決シテ男子ナラザル女子ニ
於テ此義務ヲ盡スコトガ出來ナイモノト、
私ハ考ヘテ居ルノデアリマス、私ハ更ニ一
轉イタシマシテ此國家ノ制度ト女子參政權
ト云フコトニ付テ考ヲ向ケテ見タイト思ヒ
そく、之ニ關シテ內相ハ斯樣ニ申シテ居ラ
レル、女子ヲ政治ニ參與セシムルコトハ我
ガ國家制度ニ於ケル一大革新デアル、或ハ
斯樣ニ申サレテ居リマス、我ガ家族制度ハ
我ガ社會組織ノ基本ヲ爲ス重要ナル制度デ
アル、斯樣ニ仰セラレテ居リマス、私ハ此
御說ハ御尤デアルト思フ、併シ是ハ獨リ我
ガ國ノ原理ノミデハナイト私ハ思ヒマス、
卽チ國家ハ家族ノ原理ト市民社會ノ原理ト
ノ合一デアッチ、而シテ愛ノ感情ガ家族ノ原
理ヲ統一シテ居ルト論ジテ居ル所ノ西洋ノ
哲學者ガゴザイマス、此愛ノ感情コソ··
愛ノ感情ガ國家ノ本質ノ中ニ織込マレテ··
是ハ吾人ガ忘レテハナラヌコトダト思フノ
テアリマスガ、ソコニ女子ノ本分ガアリマ
ス、實ニ女子ハ斯ノ如クニシテ國家ノ根基
ヲ培養シテ居ルモノト云ハナケレバナリマ
セヌ、私ハ更ニ之ヲ永井潜博士ノ生理學的
見地ノ一條ヲ御紹介申シタイト思ヒマス、
女子ハ男子ニ比シ「ヴイタミン·エー」ガ大
層多イ、是ガ婦人ノ曲線美ヲ發生セシメル
ト同時ニ子供ヲ發育セシムル必要缺クベカ
ラザル材料デアル、自然ハ同時ニ眞ト美ト
ヲ我ミニ示シテ吳レテ居ル、此點カラ見ル
ト云フト、男ハ現在ヲ支配シ、女ハ將來ヲ
支配スル、斯樣ニ仰セラレテ居ル、是ハ生
理的ノ見地カラ只今私ガ申述べマシタヤウ
ナコトヲ裏書サレタモノト私ハ思フノデア
リマス、實ニ女子ハ家庭ト斯ノ如クニ國家
トノ根基ヲ爲スモノデアリマシテ、玆ニ女
子ノ本分ガゴザイマス、此本分ノアル所ニ
女子ノ權利ガ確立サレテ居ル、此權利コソ吾
人ハ尊重シ發展セシメナケレバナラヌ所ノ
モノデアルト考ヘテ居ル、之ガ爲ニハ現行
法ノ改正スベキモノハ宜シク速ニ改廢ヲシ
テ、サウシテ斯ノ如キ本分ノ上ニ女子ノ權
利ヲ確立セシメナケレバナラヌト思フノデ
アリマス、女子ハドコ迄モ女子トシテ無限
ニ其發展ヲ望ム次第デアリマス、雪ハ銀盆
ニ盛フテ初メテ其純粹性ヲ發揮スルモノト
考ヘテ居リマス、然ルニ政府ハ公民權ヲ付
與シテ、家族制度ノ破壞ニ一步ヲ進メタ、
併ナガラ流石ノ政府モ家族制度ノ破壞ヲ恐
レテ、妻ガ常選シタ場合ニハ夫ノ同意ヲ要
スルト云フヤウナ規定ヲ御入レニナッテ居
ル、サウシテ之ニ對スル政府ノ辯明ニ曰ク、
「妻ガ一家ノ家庭ノ關係ヲ無視シテ公職ニ
就クノハ家庭ノ平和上少ナカラザル影響ヲ
及ボスモノデアル」、是ハ家族制度ノ破壞ヲ
前提トシテ立テラレタ法案デアルト思フノ
デアリマス、而シテ是ハ誠ニ女子ヲ蔑視シ
タ法案デアリマス、夫婦ノ道ト云フモノハ、
苟モ一度家庭ヲ作ッタ所ノ方ハ申ス迄モナ
イコト、夫婦ノ道ハ斯カル冷タイ法律デ以
テ繫ガレルモノデナイ、愛ノ感情ガ家族制
度ヲ繫グ唯一ノ綱デアルノデアリマス、斯
カル誤ヲタ觀念ノ上ニ築カレテ、サウシテ又
更ニ誤ヲク觀念デ其上ニ作ラレタ所ノ、此
法案ハ、誠ニ美的觀念モナケレバ、道德的
ノ要素モナイ、一口ニ言ヒマスレバ、誠ニ
御粗末ナ「バラック」的ニ建テラレタ法案デ
アルト申シタイノデアリマス、家族制ノ倫
理觀ハ、此法案ニ依フテ根本的ニ引ックリ返
サレタモノト云ハナケレバナリマセヌ、今
ヤ學問モ漸ク歐米模倣カラ覺醒セントシツ
ツアル時ニ、單リ政治ハ何等サウ云フヤウ
ナ目醒メガナク、イツ迄モ歐米模倣ヲ續ケ
テ居ル、宜シク政治家ハ思想的ニ目醒メテ、
思想的洞察ノ下ニ、國情ニ適スル所ノ獨創
ノ見ヲ立テネバナラヌト思フノデアリマ
ス、大層長ク御〓聽ヲ煩シマシテ誠ニ恐縮
ヲ致シマシタ、私ハ以上ノ理由ニ依リマシ
テ、女子ニ對スル多大ナル讚美ト、同情ニ
依ッテ此法案ニ對シテハ絕對ニ反對ヲ致ス
モノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=16
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017・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 高橋琢也君
〔高橋琢也君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=17
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018・高橋琢也
○高橋琢也君 只今婦人公民權ノコトニ付
テ井田君カラ反對ノ御說ガ出マシタ、私ハ
本案ガ第一讀會ニココニ上リマシタ時分
ニ、十分ニ私ハ自分ノ意見ヲ述ベマシタ積
リデゴザイマスカラ、今更此演壇ニ立タウ
トハ思ヒマセナンダ、併シ只今ノ反對ノ御
趣旨ハ、私トシテハ實ニ意外ニ感ジマシタ
ノデゴザイマス、就中政友會モ民政黨モ、
此婦人公民權ノコトニ付テハ、實際之ヲ認
メテハ居ラナイモノデアルト云フカノ如キ
御說ヲナサッタノデアリマス、是ハ第五十八
議會ニ出マシタ市町村制ノ改正法案ニ照シ
テモ分ッテ居ルノデゴザイマセウ、兩政黨ガ
飽ク迄、此婦人公民權ハ、而モ此樣ナ不備
ナ公民權デハナイ、完全ナ公民權ヲ希望シ
テ居ルコトハ、アノ法案デ分ッテ居ルノミ
ナラズ、今囘モ政府案ハ大多數ヲ以テ衆議
院ヲ通過シテ來マシタノハ、政民兩黨ガ之
ヲドコ迄モ贊成シタト云フコトハ明カデア
ル、今更之ニ向ッテ私ハ駁擊ハ加ヘマセヌケ
レドモ、今ノ御話ニ驚イタノデアル、婦人
公民權ハモウ前囘私ハ十一一分ニ此處デ話シ
マシタカラ、今更之ヲ繰返ス必要ハゴザイ
マセヌ、唯遺憾ナコトニハ、今囘ハ此町村
制ノ法案ヲ改正セラレルニ至ッタ、實ハ政府
ガ此樣ナ不完全ナ案ヲ出サウトハ思ハナ
カッタガ、併シ政府ガ旣ニ此案ヲ出シタ以上
ハ、而モ衆議院ヲ通過シテ來タモノデゴザ
イマスカラ、不完全デモ矢張リ無イヨリハ
宜イ、完全ナ公民權案デナイケレドモ、ソ
レハ仕方ガナイ、無イヨリハ宜シイト、斯
ウ云フ意味カラ、私ハ之ニ贊成スルノデス
ガ、私ハ願ハクバ······今囘ノ町村制中改正
法律案、此法案ヲ反對ニ實ハ修正セラレル
ノダラウト實ハ思ッタ、委員會ハ男子ノ二十
歲ハ生カシテ置イテ、サウシテ此女子ノ此
公民權ト云フモノハ完全ノ公民權ヲヤラル
ルコト、年齡モ男子ト同ジヤウニスルト、
斯ウ云フコトデアラウト思ッテ、修正ガ斯ウ
ナッテ來ヤウト思ッタ所ガ、何ゾ圖ラム、反
對ノ修正ガ出テ來タ、ソレ故ニ私ハ甚ダ遺
憾ニ思フ、併シ今日トナッテハ更ニ之ヲ修正
シテ完全ナ公民權ニシタイト云ウタ所ガ、
モウ日限モナイコトデゴザイマスカラ、私
ハ遺憾ナガラ此法案ニ、修正案ニ贊成ヲシ
テ置キマスル、女子ノ方ハ旣ニ申シマシタ
ガ、男子ノ方ガドウシテ二十歲ヲ修正セラ
レタノデアルカ、是ガ私ニ分ラナイ、日本
ノ男子ハ十五歲ニナレバ元服ヲシテ一人前
ニナッテ居ルコトハ、舊藩舊幕時代デスラ、
ソレデアッタ、ソシテ其人間ガ一人前ノ仕事
ガ出來ナカッタカ、皆一人前ノ仕事ヲシテ來
テ居ル、然ルニ是ハ丁年デス、滿二十年ト
云ヘバ曆年ノ二十一、若クハ二十二ニナル、
ソレデマダ町村ノ公民權モ得ルコトガ出來
ナイ、選擧權モ得ラレナイ、滅法界ナコト
ダト思フ、ナゼナラバ憲法第二十條デハ男
子ハ兵役ニ就ク義務ガアルノデゴザイマセ
ウ、兵役ニ就ク義務ガアッテ、サウシテ片方
ノ權利ヲ貰ハレナイト云フ、或ハ知ラン、
今囘衆議院議員選擧法改正案ガ樞密院ニ出
テ、樞密院デハ此二十年ガ認メラレテナカ。ツ
タト云フノデ、政府ハ撤囘セラレタトカ、樞
密院ハ通過シナカッタトカ承ッテ居ル、是ハ
別ノ問題デアル、是ハ天下ノ大勢ヲ變理ス
ル人ヲ選擧スルダケノ人間デアルノダカ
ラ、是ハ樞密院ガ二十年ヲ二十三年ニシタ
イトカ二十四年ニシタイト云ハレルノハ、
或ハ當然ノコトカモ知ラナイ、併シ町村ノ
公民權、之ヲドウモ二十歲デ、滿二十歲デ
出來得ナイト云フ道理ガナイノデス、一方
デハ義務ハヤリ、片方デ權利ハヤラナイト、
是ハ誠ニオカシナ話ナノデ、ソレ故ニ是ハ
私ハ無修正デ通過スルモノト思ッタラ、何ゾ
圖ラム、是ハ今日修正セラレタノデ、私ハ
今更此修正セラレタモノガ再ビ又玆デ元ニ
還ルコトハ出來マセヌデゴザイマセウ、併
シ政府案ニ贊成スルト云フト、オカシイヤ
ウデゴザイマスガ、此點ダケハ政府案ニ贊
成ヲシテ居ルノデアル、只遺憾ナコトダト
思フカラ一言玆デ所見ヲ述ベテ置キマス、
ソレ故ニ此法案ハ寧ロ修正ナシニ此儘行ッ
タ方ガ遙ニマシデアッタト思ビマスガ、修正
セラレタダケ惡法ニナッタト私ハ思ウテ居
ル是ハ今日トシテハ如何トモシヤウガナ
イガ、女子ノ公民權、進ンデハ參政權マデ行
クヤウニナリマセウ、當然ナ話デアリマ
ス、女子ニハ無論參政權ヲヤラナケレバナ
ラヌ、之ニ向クテハ私ハ澤山申上ゲタイコト
ガアルガ、モウ何分、時間モゴザマセヌ、
之デ私ハ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=18
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019・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 紀男爵ニ伺ヒマ
スガ、此次ハ紀男爵ノ御順デゴザイマスガ、
大分長ク時間ヲ要シマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=19
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020・紀俊秀
○男爵紀俊秀君 甚ダ何デスケレドモ、成
ベク三四十分、時間ヲ戴キタイノデアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=20
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021・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 然ラバ午後一時
三十分マデ体憩イタシマス
午前十一時四十六分休憩
午後一時四十六分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=21
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022・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 是ヨリ書記官ヲ
シテ報〓ヲ致サセマス
〔瀨古書記官朗讀〕
本日委員長ヨリ左ノ報〓書ヲ提出セリ
電氣事業法中改正法律案可決報告書
牧野法案可決報告書
競馬法中改正法律案可決報告書発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=22
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023・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ午後ノ會
議ヲ開キマス、紀男爵ノ登壇ヲ望ミマス
〔男爵紀俊秀君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=23
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024・紀俊秀
○男爵紀俊秀君 只今上程ニナッテ居リマ
ス三案ノ中、婦人ノ公民權ニ關スル問題ニ
關シマシテハ私ハ反對ヲ表シマスル一人
デアリマス、此問題ハ委員會ニ於キマシテ
愼重ニ御審議ニ相成リマシタシ、殊ニ委員
長カラ極メテ詳細ニ御報告モアリマスル
シ、先刻同僚ノ井田男爵カラ詳シク適切ナ
ル御議論ガアリマシタノデ、最早私ガ之ニ
對シマシテ蛇足ヲ加フルノ必要ガナイカト
モ思ヒマスルノデアリマスケレドモ、此問
題ハ相當重大ナル問題デアリマシテ、而シ
テ貴族院ガ之ヲ否決イタシマスルト云フコ
トニ付キマシテハ、誤解ノナイヤウニ致シ
テ置キタイト存ジマスノデアリマス、ソレ
故ニ會期切迫ノ折柄甚ダ恐縮デアリマスル
ガ、極メテ簡單ニ申述ベルコトニ致シマス
カラ暫ク御〓聽ヲ煩シタイト思フノデアリ
やく、私ガ嘗テ或ル女學校ヲ參觀イタシタ
コトガアリマス、其時ニ丁度其女學校ノ一
年生ニ歷史ヲ〓ヘテ居ル時間デアリマシタ、
歷史ノ復習ヲ十分ニ生徒ガシテ居ラナカッ
タノカ、ドウモ〓師ノ問ニ對シテ生徒ハ滿
足ナ答辯ヲ致シテ居ラナカッタノデアリマ
ス、〓師ハ參觀人等ガアリマスルカラ、ソ
レヲ見兼ネテ、サウシテ〓師ガ質問ヲ發ス
ルコトヲ止メテ、サウシデ生徒カラ質問ヲ
出サセテ、〓師ガ之ニ答ヘルト云フヤウナ、
謂ハバ座談式ノヤウナモノヲ催シマシタノ
デアリマス、デ其時ニ〓師ガ何デモ、一ツ
オ前サン達ノ考ヘテ居ルコトヲ聞イテ見ロ、
斯ウ申シマシタ時ニ、其女生徒ガ質問ヲ致
シマスノニハ、人生ノ最終ノ目的ト云フモ
ノハドウ云フモノデアリマスルカト云フ質
間ヲシマシタノデアリマス、先生ノ方デハ、
日本ノ歷史ヲ〓ヘテ居ルノデアルカラ、日
本歷史ノ中デ何カ尋ネルコトガアルダラウ
ト思ッテ質問ヲシロト言ヒマシタ所ガ、生徒
ハ豈圖ランヤ、人生ノ最終ノ目的ト云フモ
ノハドウ云フコトデアルカト云フ間ヲ發セ
ラレタノデ、先生モ是ニ答辯スルノヲ非常
ニ困ッテ居リマシタヤウデアリマス、デ段〓
考ヘテ見マスト、成程日本歷史ヲ通覽シ、
日本歷史ヲ〓究イタシマスルト、或ハ人生
ノ最終ノ目的ト云フヤウナモノハ質問ノ中
ニ出テ來ルカモ知レマセヌ、併ナガラ日本
歷史ニ付テ〓師カラ與ヘラレタル質問ニ何
等答ヘルコトガ出來ナイ、デ日本歴史ト云
フモノヲ何等解釋ヲ致シテ居ラナイデ、
ツ飛ビ越エテ、サウシテ人生ノ最終ノ目的
トハ何ゾヤト云フヤウナ質問ヲ出サレルト
云フコトハ、是ハ其〓師ガ答辯ニ當惑シタ
バカリデナク、參觀シタ者モ皆驚キマシタ
ノデアリマス、私ハ此一例ガ丁度婦人公民
權ノ問題ニ類シテ居ルノニアラズヤト考ヘ
ルノデアリマス、私共婦人ニ公民權ヲ與ヘ
ルト云フ前ニ、婦人ト云フモノハドウ云フ
天職ガアルモノデアラウカ、婦人ニハドウ
云フ使命ガアルノデアラウカト云フコト
ヲ、先ヅ考ヘナケレバナラヌト思フノデア
リマス、先刻此法案ノ贊成論者トシテ高橋
君ガ御起チニナリマシタ、今日ハ高橋サン
ガ贊成論ヲ御述ベニナルト云フコトデアリ
マスルカラ、先生ノ極メテ蘊蓄ノアル御話
ヲ十分今日ハ此壇上デ伺フコトガ出來ルダ
ラウ、御年ハ召シテ居ルケレドモ、極メテ
新イ御頭ヲ持ッテ居ル御方デアル、其新シイ
御考ヲ十分此處デ披瀝ヲサレルノデアラウ
ト私ハ實ハ存ジテ居ッタノデアリマス、所ガ
今日ハ甚ダ遺憾ニシテ、十分御說ヲ伺フコ
トガ出來ナカッタノデアリマスガ、此問題ガ
玆ニ上程ヲセラレマシタ時ニ、高橋君カラ
縷々質問ヲ發セラレマシタ、此高橋君ノ、
其時ニ高橋君ハ大分婦人禮讚ノ御話ガ出マ
シタヤウニ思ヒマス、私モ婦人、殊ニ日本
ノ婦人ニ對シテハ極メテ敬意ヲ拂ヒ、常ニ
體讚ヲ致シテ居ルコトハ、敢テ高橋君ニ讓
ラナイノデアリマス、高橋君ハ過日ノ御質
問ノ中ニモ、日本ノ產業等ニ關シテ、婦人
ノ力ニ與ッタ所ハ非常ニ大キナモノデアル、
紡績ノ如キハ殆ド女工ノ力ニ依ッテアレダ
ケノ生產額ヲ來シテ居ルノデアル、或ハ事
務ヲ執ルコトニ於テノ周密ナル點、或ハ怜
悧ナル點ニ於テハ實ニ婦人ト云フモノハ
エライモノデアルト云フ御話デアリマシタ
ガ、私共モソレヲ感ジテ居リマス、婦人ハ
極メテ怜悧ニシテ、極メテ銳敏ナル頭腦ヲ
持ッテ居ルヤウニ考ヘテ居リマス、殊ニ日本
ノ婦人ハ犠牲的ノ精神ニ於テハ、是ハ全世
界第一デアラウト思フノデアリマス、其夫
ノ爲ニ盡シ、其子ノ〓養ニ盡ス點ニ於テ、
是ハ日本ノ婦人ト云フモノハ、決シテ世界
ニ其類ヲ見ナイ位ノ犠牲的精神ニ富ンデ居
ルト思フノデアリマス、地方ニ參リマスト、
中產階級以下ノ細君タチ、母タル人ハ、殆
ド夜眠ラズニ子供ノ〓養ニ努メテ居リマ
ス、自分ガ一番マヅイ物ヲ〓べ自分ハ一
番晩ク眠ル、一番早ク起キル、サウシテ寒中
デモ自分ガ薄著ヲシテ居ッテモ、夫タル、子
タル者ニハ努メテ暖カクスルト云フヤウ
三、自分ノ身ヲ投ゲ捨テテモ自分ノ夫ノ爲
ニ盡シタイ、自分ノ子ノ爲ニ盡シタイト云
フヤウナコトニ於テハ、是ハ私ハ世界ニ於
テ其比ヲ見ザルモノダト思フノデアリマス、
又頭腦明晰ノ一例ト致シマシテハ、小學兒
童ナドデ或ハ珠算ヲヤリマストカ、或ハ暗
算ヲ致シマストカ云フヤウナ場合ニハ、女
子ノ能率ノ點ニ於キマシテハ男子ヲ凌グヤ
ウナ傾ノアルト云フコトハ、私共常ニ學校
ヘ參リマシテ見テ居ル所デアリマス、手先
ノ器用ナコトハ是亦殆ド世界ニ類ノナイコ
トデアラウト思フノデアリマス、映畫ノ作
製ナドニ當リマシテ、アノ「フイムル」ヲ繫
ギマス時ニ、外國デハ機械デナケレバアレ
ヲ繫グコトガ出來マセヌガ、日本ノ婦人ハ
手デ以テ之ヲ繫グ、而モ外國デ機械デ繫イ
ダヨリモ尙ホ一層精巧ナル繋ギ方ヲ日本ノ
婦人ガ手デヤルト云フヤウニ、手ノ器用ナ
ルコトハ、是ハ裁縫トカ、手工トカ云フヤ
ウナモノバカリデナク、サウ云フ方面ニ於
キマシテモ特ニ私ハ秀デテ居ルヤウニ思フ
ノデアリマス、故ニ或點ニ於テハ婦人ト云
フモノハ男子ヨリモ優レタ性質ヲ有ッテ居
ルト云フコトハ、是ハ是認シナケレバナラ
ナイト思フノデアリマス、併ナガラ婦人ガ
男子ニ優レタ長所ヲ有,テ居レバ有ッテ居ル
ダケニ、之ニ男子ト同樣ニ、公民權ヲ與ヘ
ラレルノデアラウカドウカト云フコトハ
是ハ深ク考ヘナケレバナラヌ問題デハナカラ
ウカト思フノデアリマス、婦人ノ眞ノ使命、
婦人ノ重大ナル責任ト云フモノハ、是ハド
ウ致シマシテモ家庭ヲ中心ト致サナケレバ
ナラナイト思フノデアリマス、男子ハ外ニ
於テ働キマスケレドモ、婦人ハ是ハ家庭ノ
中心トナルト云フコトガ婦人ニ取ッテ一番
大キナ使命デハナカラウカ、一番大事ナ責
任デハナカラウカト思フノデアリマス、丁
度日本歴史ヲ學ンデ居ル時ニハ、日本歷史
其モノヲ學ンデ居ルト云フコトガ必要ナノ
デ、日本歴史ヲ一ツ飛越エテ人生ノ最終ノ
目的ト云フヤウナコトヲ〓究スルノハ、日
本歷史ヲ能ク呑込ミ、日本歷史ヲ能ク分クテ
カラノ上ノコトニシナケレバナラナイト思
フノデアリマス、近時有閑階級ノ婦人方ニ
依ッテハ、大分公民權ト云フコトヲ得ヤウト
云フノデ運動モセラレ、懲慂モサレテ居ル
ヤウデアリマス、併ナガラ今日ノ日本全國
ノ婦人ガ果シテ之ヲ要求シテ居ルカト云フ
コトニナリマスト、私ハ大ニ疑問ヲ懷カサ
レルノデアリマス、殊ニ地方ノ中產階級ノ
婦人ニ至ッテハ、子供ヲ〓養シ、夫ヲシテ慰安
ノ途ヲ與ヘル上ニ於キマシテハ、是レ以上
ノ餘裕ヲ有ッテ居リマセヌノデアリマス、成
程有閑階級ノ婦人方ニナリマスルト、子供ヲ
產メバ是ハ直ニ乳母ニ渡ストカ、或ハ里子
ニヤルトカ、少シ大キクナッテ來テ〓養シナ
ケレバナラナイヤウニナルト家庭〓師ヲ附
ケテ、殆ド御自分ガ之ヲ顧ミナクテモ宜イ、
御亭主ノ世話ハ召使ノ者ガ世話ヲスルト云
フヤウナコトニナルト、相當暇モアリマス
ルカラ、一ツ公民權デモ得テ市長村長ニデ
モナッテ見ヤウ、或ハ市會議員、縣會······町
村會議員ニデモナッテ見ヤウト云フヤウナ
御考ガ起ルカモ知レマセヌ、併ナガラ假令
有閑階級ノ婦人デモ、自カラノ使命ヲ忘レ、
自カラノ責任ヲ棄テテ、サウシテサウ云フ
モノニ運動ヲサレルト云フコトニナルト、
其家庭ガ果シテ溫カイモノニナルダラウ
カ、其家庭ト云フモノガ十分滿足ニ發達シ
テ行クモノデアラウカト、疑ヲ懷カサレル
ノデアリマス、殊ニ此問題ハ多少不眞面目
ノヤウナ感ガアルト云フヤウナ批評モアリ
さく、此問題ニ關シマシテハ衆議院ヲ通過
シテ、衆議院ハ大多數ヲ以テ通過シテ居リ
マスルガ、或政黨ノ四五ノ人ノ說ヲ聞イテ
見マスルト、此問題ハ自分達ハ左程歡迎ハ
シナイノデアルケレドモ、此問題ガ通過シ
タ後ノ結果ヲ考ヘタナレバ、之ニ贊成シテ
置カナケレバナラナイノデアル、ト云フヤ
ウナ說ヲ時ミ私共聞カサレルノデアリマ
ス、又或政府委員ハ斯ウ云フコトヲ申シマ
シタ、或席場デ此婦人權ヲ說明シマシタ時
ノ話デアリマスガ、婦人ニ公民權ヲ與ヘテ
モ果シテ行使スル者ガドレダケノ者ガアル
ダラウカ、自分達ノ考デハ婦人ニ公民權ヲ
與ヘテモソレ程婦人ガ公民權ヲ行使スル者
ガナイダラウト思フノデアル、市町村長ニ
ナルトカ、或ハ市町村會議員ニナルトカ云
フヤウナ、サウ云フヤウナ者ハ殆ドナイダ
ラウ、又選擧スルニ當ッチモ家族制度云々ト
云フコトヲ言フケレドモ、決シテ心配ハナ
イ、必ズ夫ト同一ノ行動ヲ執ルダラウト思
フト云フヤウナ、私ハ御說明ヲ伺ヒマシタ
コトガアリマシテ、驚カザルヲ得ナカッタノ
デアリマス、婦人ニ公民權ヲ與ヘヨ、行使
ササウト云フノニ、婦人ハ公民權ヲ貰ッテモ
行使シナイダラウカラ安心シロトカ、或ハ
夫ノ意見ト同ジ意見ダカラ御心配ニ及バナ
イト云フヤウナ御說ヲ承ハリマシテハ、果
シテ此提出ノ理由ガ何處ニアルカト云フコ
トヲ疑ハザルヲ得ナイノデアリマス、是等
ノ理由ニ依リマシテ、婦人ト云フモノハ公
民權ヲ得ル前ニモットモット大事ナコトガア
ルノヂヤナカラウカ、天下國家ヲ論ズル前
三、先ヅ家庭ノ內務ニ付テ注目スル必要
ガアルノヂヤナカラウカ、社會ヲ〓メル前
ニ先ヅ家庭ヲ〓メル必要ガアルノヂヤ
ナカラウカ、ソコニ婦人ノ最モ大ナル
使命ガ存シテ居ルノヂヤナカラウカト恩
フノデアリマス、昔カラ賢イ人ハ大抵賢イ
母ニ依ッテ其〓訓ヲ受ケテ成ッテ居ルヤ
ウニ思ヒマス、此議場ニ於カレテモ、立身
出世ヲナスッタ方ハ、其御母堂ノ力ニ依〃
テ訓育ヲ受ケ〓化ヲ得ラレテ、サウシテ
立派ニナラレタ方モ隨分居ラッシヤルダ
ラウト思フノデアリマス、乃木將軍ガアレ
ダケノ立派ナ成蹟ヲ收メラレ、軍人トシテモ
〓育家トシテモ立派ナ成蹟ヲ收メラレタ其
裏ニハ、乃木將軍夫人ノ力ガ最モ大ナルモ
ノガ與ヲテ力ガアルノデアリマス、乃木將軍
ノ御二人ノ御子サンガ名譽ノ戰死ヲ遂ゲラ
レテ、アレダケノ立派ナコトヲナスッタ其後
三、、御母堂ノ力ガ大イニ與ッテ力ガアル
ノダラウト思フノデアリマス、楠正行ハ母
ノ力ニ依ラナカッタナレバ、アレダケノ忠孝
兩全ヲ全ウスルコトガ出來ナカッタト思フ
ノデアリマス、想フニ爰ニ至リマスルト云
フト、婦人ノ勤メト云フモノハ、夫ニ慰安
ヲ與ヘ、夫ヲシテ十分社會的ニ働クダケノ
餘裕ヲ造ルノデナケレバナラナイト思フノ
デアリマス、子供ヲシテ十分ニ〓養シテ立
派ナ者ニサスト云フノガ、是コソ女ノ務メ
デナカラウカト思フノデアリマス、然ルニ
其本分ヲ忘レ、其使命ヲ忘レテ、サウシテ
申セバ自分ニハ最モ不利益デアル方向ニ働
カウトスルノハ、是ハ餘程御考ニナルベキ
コトヂヤナカラウカト思ハレルノデアリマ
ス、婦人ノ頭腦ガ極メテ明晰ニシテ銳敏デ
アリマスルガ爲ニハ、時〓ハ新シイモノヲ御
好キニナルト云フヤウナ風習ガ一部ユハア
リマス、斷髪ガ流行ッテ來タト言ヘバ直グ
ニ髪ヲ切ラレル、「スカート」ヲ短カクスル
ノガ流行"テ來タト云フト、直グニ「スカー
ト」ヲ短カクサレル、所ガ焉ンゾ知ラン元
ノ本國デハ、短イ「スカート」、短イ髮ガ飽キ
テシマッテ、斷髪令ヲ出シテ禁止スルトカ、
或ハ又長イ「スカート」ガ流行ッテ居ルト云
フヤウナコトガ、往々見セ付ケラレルコト
ナンデアリマス、新シイコトモ誠ニ結構デ
ハアルケレドモ、其新シイコトヲ能ク〓究
シテ、良イ新イモノヲ取ッテ、惡イモノヲ捨
テナケレバナラナイト云フコトハ、是ハ先
刻井田男爵カラモ詳シク御話ガアリマシ
ク、明治二十年頃ノ日本ハドウ云フ有樣デ
アッタカ、アノ時ニハ一ニモ西洋、二ニモ西
洋、少シデモ變ッタモノヲ用ヰヤウ、少シデ
モ新シイモノヲ用ヰヤウトシタ弊ガ、送出
ハ西洋ノ文物ヲ悉ク入レルバカリデナクシ
テ、遂ニハ思想マデモ西洋ノモノヲ持クテ來
ヤウトスルヤウナコトニ相成リマシタ、或
時ノ大臣ハ日本語ト云フモノヲ止メテシマッ
テ、英語ニシヤウヂヤナイカ、英語ニシタ
ラ世界萬國ニ是ガ通用スルノデアル、英語
ニスレバ、最モ便宜デアルカラ、英語ニシ
ヤウヂヤナイカト云フ議ガ大臣ノ間ニモ
アッタサウデアリマス、サウ云フヤウナコト
ニナリマシタカラ、玆ニ畏クモ〓育勅語ヲ
渙發セラレテ、日本ノ國體ハ斯ウ云フモノ
デアル、日本ノ思想ト云フモノハ斯ウ云フ
モノデアルカラ、過ッテハイケナイゾト、有
難クモ戴キマシタノガ〓育勅語ト思フガ、
若シアノ時アノ大臣ガ唱ヘマシタ如ク、英
語ヲ以テ日本語ニシヤウト云フコトニ相成ク
テ居リマシタナラバ、今日ノ日本ノ思想ト
云フモノハ、ドウ云フコトニナッテ居ルカト
云フコトニ想ヒ及ボシマスルト、實ニ慄然
タルモノガアルノデアリマス、御承知通リ
一國ノ國語ト云フモノハドウシテモ一國
ノ思想ヲ發露シタモノデアリマス、一四、
精神ヲ顯現シタモノデナケレバ相成ラヌノ
デアリマス、故ニ日本人ハ日本語ニ依"テ總
テヲ現ハシ得ラレルノデアルノニ、其思
想ノ根元トナリマス言葉、是等モ改メヤウ
ヂヤナイカト云フヤウニ行過ギタノデアリ
マス、併シ幸ニシテ英語ト云フモノガ國語
ニナリマセヌデシタカラ、今日ノ思想ハ種
種惡化ハ致シテ居リマスルガ、此點ニ喰止
メ得ラレタノデアルト思フノデアリマス、
ソレト同ジヤウニ若シ今日婦人ニ公民權ヲ
與ヘルト云フヤウナコトニナリマシタナラ
バ前途甚ダ憂フベキモノガ澤山出テ來ル
ノヂヤナカラウカト思ヒ至ルノデアリマ
ス、御承知ノ通リ婦人ハドウシテモ子供ヲ
產ムト云フコトガ大イナル使命ニナッテ居
リマス、子供ヲ產ム以上ハ、子供ガ胎內ニ
居ル時ニハ旣ニ胎內〓育ヲ施サナケレバナ
ラヌ、產レテカラ三年ハ乳ヲ飮マサナケレ
バナラナイ、ソレカラ二十歲位ニナルマデ
ハ、到底〓養ニ暇ガナイ、一方夫ノ面倒ヲ
見ナケレバナラヌ、夫ヲ慰サメナケレバナ
ラナイト云フ職分ヲ持ッテ居ルノデアリマ
スカラ、自分ガ公職ニ携ハルト云フコトハ、
無論出來ナイコトデアリマスガ、又ドウ云
ウ人ヲ公職ニ選ンダラ宜カラウト云フヤウ
ナコトハ、是ハ社會全般ニ互リ、選擧界ノ
模樣ヲ能ク常ニ熱知シテ、サウシテ之ニ處
シテ行カナケレバナラナイノデアリマスル
カラ、殆ド內デ働クベキ力ヲ、總テ外ヘ力ヲ
注ガナケレバ、男子ト同ジヤウニ進ンデ行
クコトハ出來ナイカト思フノデアリマス、
若シ婦人ニシテ公民權ヲ何處マデモ得ナケ
レバ、婦人ノ天職ヲ全ウシナイ、男ト一〓
ニ竝ンデ行クコトガ出來ナイト云フコトナ
ラバ、何故ニ兵役ノ義務ニハ服從シナイカ
ト云フ、玆ニ疑問ガ起ヲテ來ルノデアリマ
ス、兵役ノ義務ハ體格ガ違フ、體質ガ違フ、
故ニ是ハ男子デナケレバナラヌ、斯ウ仰シ
ヤイマセウケレドモデス、若シ私ヲシテ言
ハシメレバ、婦人ニシテ出來得ベカラザル
公民權ヲ得ヤウト云フコトデアルナレバ、
婦人ガ兵役ニモ服シナケレバナラナイト思
フノデアリマス、併ナガラソコニ婦人ノ尊
イ所ガアルノダラウト思フ、同ジク戰場ニ
働キ、同ジク戰線ニ出マシテモ、男ハ戰フ
ト云フ方ノ···戰線ニ立チマシテモ、男、
戰フト云フ方ノ戰線ニ立テ働キマスガ、婦
人ハ或ハ負傷兵等トカ、或ハ病兵トカ云フ
モノヲ看護、慰撫シテ、サウシテ再ビ起ッテ
戰場ニ赴クダケノ勇氣ヲ付ケル仕事ヲシテ
居ル、戰場ノ戰線ニ立ッテ鬪フテ居ル勇士ノ
行動ニ對シテハ最モ敬意ヲ拂ハナケレバ
ナリマセヌガ、又一方男子ヲシテ是ダケノ
仕事ヲサス其裏面ニハ、婦人ガ之ヲ助ケテ
居ルト云フコトノ力ヲ大イニ認メナケレバ
ナラヌノデアリマス、ソコニハ決シテ大小
トカ輕重トカ云フコトハ私ハチットモ無イ
ダラウト思フ、デアリマスカラ、ドウゾ私
ハ現今ノ婦人ヲシテ婦人ノ本職ト云フコト
ヲ能ク見ツメテ、婦人ノ使命ト云フコトニ
卽シテ總テノコトヲヤッテ戴キタイト思フ
ノデアリマス、昔、後花園天皇ノ御宇デアリ
マシタカ寂室ト云フ坊サンガアリマシタ、
此人ハ學德兼備、識見ノ非常ニ高イ人デ、
誠ニ其行動ハ活佛トモ云ハレタ人デアリマ
シタガ、當時ハ非常ニ若カッタ、ソコデ其友
達ガ其坊サンニ尋ネテ言フノニハ、アナタ
ガドウシテ是ダケノ名僧智識ニ其位ノ歲デ
ナリマシタカト尋ネマシタ所ガ、私ハ決シ
テ名僧智識ト云フヤウナ、サウ云フ言葉ヲ
與ヘラレルヤウナ人間デハナイ、併シナガ
ラ私ハ朝起キタナラバ必ズ自分ノ頭ヲ撫デ
テ見ル、自分ノ袈裟ニ觸ハッテ見ル、サウシ
テ自分ガ僧侶デアルト云フコトヲ自覺スル、
一日ノ中ニハ僧侶ト云フコトヲツイ忘レテ
シマフコトガアル、併ナガラ朝起キテ一遍
頭ヲ撫デ、一遍袈裟ニ觸ハッタナラバ、自分
ハ僧侶デアルト云フコトヲ自覺スル、ソコ
デ總テノ邪念ト云フモノガ消エテシマッテ、
ドウカ斯ウカ大過ナキヲ得テ居ルト言ッタ
ト云フ話ガアリマシタガ、私ハ之ヲ以テ當
今ノ婦人ノ戒トシテ戴キタイト思フ、朝起
キテ自分ノ髪ヲ梳ルニ當ッテハ自分ハ婦人
デアル、廣イ帶ヲ締メルニ當ッテ自分ハ婦人
デアルカラ此帶ヲ締メルノダ、自分ハ婦人
デアルノダ、婦人デアルナラバ自ラ體格ヤ
性能ニ於テ男子ト異〓タ所ガアルノデアル、
男子ハ男子ノ長所ニ進マナケレバナラヌ、
婦人ハ婦人ノ使命、婦人ノ天職ニ進ンデ行
カナケレバナラヌノデアルト、斯ウ云フコ
トニ御考ヘニナッタナラバ、先刻申シタヤウ
ニ、先ヅ天下國家ヲ論ズル前ニ、自分ノ夫
ヲ慰撫シ、子供ノ〓養ト云フコトニ先ヅ努
メナケレバナラヌト思ヒマス、社會ヲ〓メ
ル前ニ先ヅ家庭ヲ〓メ、家庭ノ爲ニ働イテ
コソ本當ノ婦人デ、本當ノ婦人ノ天職ヲ全
ウスルモノデハナカラウカト考ヘラレルノ
デアリマス、此頃或ル雜誌ニ倫敦便リト云
フコトデ、日本ノ婦人ガ英國ニ留學ヲシテ
居フテ、サウシテ倫敦カラ通信ヲ寄越シマシ
タ、其通信ガ或ル雜誌ニ載ッテ居リマスガ、
其雜誌ニ載ッテ居ル所ヲ見マスルト、或ル講
演會ノ歸リニ英吉利ノ婦人ノ五六人ノ人ト
會談ヲシタ所ガ、其婦人ノ話サレルノニハ、
日本ニハ婦人參政權ト云フモノガ行ハレテ
居リマスカ、日本ニハ婦人公民權ト云フモ
ノガ盛ニ唱ヘラレテ居リマスカ、又ソレガ
實行サレテ居リマスカ、ドウデアリマスカ
ト云フコトヲ尋ネラレタカラ、日本デハ御
恥カシイコトデアリマスガ、マダ婦人ノ參
政權ハオロカ、婦人ノ公民權ト云フモノガ
行ハレテ居リマセヌト云フコトヲ答ヘタラ、
英吉利ノ婦人ハソレハ何ト日本ト云フ國ハ
理想的ノ國デアリマセウ、實ニ結構ナ國デ
アリマス、私共ハドウ云フコトデ間違ッタノ
カ、餘計ノオセッカイノ人ガ有ッテ、婦人公
民權ヲ與ヘラレテ見タリ、婦人參政權ヲ與
ヘラレテ見タリシマシタ、其禍ハ今日ノ家
庭ニ侵入シテ、婦人ハ相當打撃ヲ受ケテ居
ルト考ヘテ居リマス、然ルニ日本ニハ婦人
參政權ガ無イ、婦人公民權ガ無イト云フコ
トハ、實ニ理想ノ國デアリマス、ドウゾアナ
タモ一ツ御歸リニナッタラ、此コトヲ唱ヘテ
御貰ヒ申シタイケレドモ、ドウカ此通信
ヲ早速國許ニ仰シヤッテ戴イテ、サウシテサ
ウ云フ婦人公民權ヤ婦人參政權ニ携ハラナ
イヤウニシテ貰ヒタイト云フ話デアッタト
云フコトガ、或ル友人カラ私ガ頂戴イタシ
マシタ雜誌ノ中ノ倫敦便リニ載ッテ居リマ
ス、又イツカノ亞米利加ノ新聞ニモ、非常
ニ政治ニ見識ヲ持チ、政治ニ非常ナ趣味ヲ
持ッテ居ル或ル若イ婦人ニ、アナタガ其位ニ
政治ニ趣味ヲ持ッテ居ルナラ、何デ市會議員
トカ町會議員ト云フモノニ御立チニナラヌ
ノカ、一ツ婦人ヲ代表シテアナタニ出テ貰
ヒタイト云フコトヲ勸メニ行ッタ所ガ、婦人
ノ言ハレルノニハ、私ニハ大事ナ夫ガアリ
やく、私ニハ可愛イ子供ガアリマス、其子
供ヲ〓養シ、又其夫ヲ慰藉シテ行ク上ニ付
テハ、今日ナカ〓〓町會議員、或ハ市會議
員ト云フヤウナ仕事ハ出來マセヌ、是ハ夫
ヲシテ市會議員、町會議員タラシメ、自分
ノ子供ヲシテ縣會議員、衆議院議員タラシ
メルノハ宜イケレドモ、女ノ本分トシテハ
自ラ進ンデサウ云フコトヲスルモノデハア
リマセヌト云フコトヲハッキリ答ヘタサウ
デアリマス、婦人參政權、婦人公民權ノ殆
ド模範ダト言ハレテ居ル亞米利加デモ、英
吉利デモ、サウ云フ人モアルノデアリマス、
然ルニ日本ガ今日婦人公民權ト云フヤウナ
問題ヲ唱ヘルノハ、丁度「スカート」ヲ短カ
クシタ上ニモ短カクシヤウ、折角丈ナス黑
髪ヲ切ッテシマッテ短カイ髪ニシテシマフノ
ト何等私ハ異ナル所ガ無イノデハナイカト
思ヒマス、私ハ此主義ニ於テ此法案ニ反對
ヲスルノデアリマス、決シテ婦人ト云フモ
ノハ知識ガ劣ッテ居ル、體格ガ劣ッテ居ル、
低能デアルカラト云フヤウナ、サウ云フ決
シテ失禮ナ考ヲ持。ツテ居ルノヂヤアリマセ
又、先刻來申述べマシタヤウニ婦人ヲ最モ
尊敬イタシテ居リマス、其點ニ於テハ贊成
論者ノ高橋君ニモ決シテ一步モ讓ラナイ考
ヲ持ッテ居リマス、併ナガラ婦人ト云フモノ
ノ地位ニ鑑ミ、婦人ト云フモノノ使命ニ鑑ミ
テ、ソレ程日本ノ婦人ハ萬國ニ優レテ居ル
ノデアルカラ、ドウカ此美風ヲ失ハセタク
ナイ、折角此家族制度ト云フモノヲ亂シタ
クナイ、一昨年デシタカ、特ニ此官ニ於
テハ節婦孝子ト云フモノヲ表彰サレマシタ、
是ハ誠ニ私結構ナコトデアルト思ヒマス、
君ニ忠、父母ニ孝ト云フコトハ〓育勅語ノ
御精神デアリマス、併ナガラ一方夫婦相和
シト云フコトガアルノデアリマスガ、其孝
行ニモ次グ節婦ヲ表彰セラレタト云フコト
ハ、家族制度尊重ノ上ニハ、大イニ意義アル
モノト思ッテ居リマシタノニ、片一方ニハ節
婦ヲ表彰セラレナガラ、片一方ニハ婦人公
民權ナドヲ議決サセマシテ、サウシテ其家
族制度ヲ破ラウ、其日本ノ美風ヲ失ハセヤ
ウ、婦人ノ使命ヲ全ウセシメザルヤウニサ
セヤウ、婦人ノ重大ナル責任ヲ輕クシテシ
マハウト云フヤウナ法案ガ出マシタナラ
バ、是ハ誠ニ日本ノ美風ノ上ニ付テ、一大
缺陷ヲ來スモノデアラウト思フノデアリマ
ス、ソレ故ニ私ハ婦人ヲ尊敬シ婦人ソ天職、
婦人ノ責任ニ鑑ミテ、此法案ノ否決セラレ
ムコトヲ望ムノデアリマス、大體井田男爵
ヨリモ先刻御述べニナリマシタシ、又委員
長ヨリモ詳シク御述ベニナリマシタカラ、此
會期切迫ノ折柄私ガ申上ゲルノハ如何カト
思ヒマシタケレドモ、此點ニ付テハドウカ
世間ニ誤解ノナイヤウニ、少クトモ世ノ婦
女子ノ此問題ニ起タレテ居ル方ミニ、ドウ
カ誤解ノナイヤウニ、婦人ヲ思フノ餘リ日
本ヲ思フノ餘リニ此一言ヲ呈シナケレバナ
ラヌト思ヒマシテ立チマシタ譯デアリマ
ス、ドウカ此婦人公民權ヲ與ヘルト云フコ
トニ付テハ反對ヲセラレムコトヲ切ニ希望
シテ置キマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=24
-
025・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 有馬伯爵ノ登壇
ヲ望ミマス
〔伯爵有馬賴寧君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=25
-
026・有馬頼寧
○伯爵有馬賴寧君 私ハ委員長ノ修正案ニ
贊成ヲスル者デアリマス、此壇上ニ於キマ
シテ故ラニ贊成意見ヲ述ベント云フコトヲ
豫期シテ居ラナカッタノデアリマスルガ、ソ
レハ同僚諸君ノ大部分ノ方ミハ此案ニ御贊
成ダト信ジマシタ爲ニ安心シテ實ハ居ッタ
ノデアリマス、然ルニ追〓反對ノ御方ガ御
有リニナルト云フヤウナ噂ヲ聞キマスル
シ、又討論ニ反對意見ヲ御述ベニナリマス
ル方ガ大分多イコトヲ拜聽イタシマシテ、甚
ダ遺憾ニ思ヒマシタ爲ニ、突如トシテ此處
ニ上ボッタノデアリマス、私ハ簡單ニ贊成意
見ヲ申述ベタイト思ヒマス、此婦人公民權
付與ノ問題ニ付キマシテ、反對ノ色ミナ御
意見ガゴザイマス中ニ、一番主タル點ハ婦
人ノ天職使命ニ反スルト云フコトガ一番主
ナル點ノヤウニ伺フノデアリマス、私モ勿
論婦人ニ天職ガアリ使命ガアルコトヲ決シ
テ否定スルモノデハゴザイマセヌ、又妻ト
シテ又母トシテ其任務ヲ完ウスルコトガ婦
人トシテ最モ大事ナコトデアルト云フコト
モ無論肯定スルモノデアリマス、併シソレ
デアルガ故ニ公民權ヲ付與スルコトガ不當
デアルト云フ說ニ私ハ贊成シ得ナイノデア
リマス、御議論ヲ承。ツテ居リマスルト、一人
ノ人ガ、一人ノ婦人ガ妻トシ母トシ、サウ
シテ同時ニ市會議員トシ
〔副議長公爵近衞文麿君議長席ニ著ク〕
凡ユルモノヲ一人デ引受ケルガ如ク伺ハレ
ルノデアリマス、勿論一人ノ婦人ガ公私凡
ユルモノヲ引受ケルト云フナラバ、ソレハ
或ハ隨分不都合ヲ一方ニ生ズルカモ知レマ
セヌ、ケレドモ日本ノ婦人ノ玆ニ公民權ヲ
定メタカラト言ッテ、總テノ人ガ名譽職ニナ
ル譯デハナイノデアリマス、極ハメテ少數
ナ、極ク小數ナ人ガ之ニ選バレルニ過ギナ
イノデアリマス、廣ク婦人ト云フモノヲ對
象ニシテ考ヘベキモノデアッテ、個々ノ人ニ
付テ考ヘルコトハ誤ッテ居ルノデハナイカ
ト思アノデアリマス、私ハ婦人ノ天職使命
ヲ完ウシ得ナイカライカヌト云フ御議論
ハ、私ハ全然其點ニ於テ反對ナノデアリマ
ス、ソレハ婦人ノ天職ヲ完ウセシメル爲ニ
母トシ又妻トシテノ任務ニ携ラシメル
爲ニハ今日ノ時代ニ於テハ婦人ニ公民權
ヲ與ヘチケレバ完ウセシメルコトガ出來ナ
イト私ハ信ズルノデアリマス、何故デアル
カト申シマスルナラバ、現在ノ政治ト云フ
モノハ過去ノ政府トハ違ヒマス、今日ノ政
治ハ政治卽經濟ト言ッテモ宜イノデアリマ
ス、就中其經濟ハ從來ハ主トシテ生產經濟
デアリマシタケレドモ、今日デハ生產經濟
ニ竝ンデ、所謂消費經濟ト云フモノガ非常
ニ重要ナ地位ヲ占メテ來タノデアリマス、
言ヒ換ヘテ見レバ、今日ハ政治卽生活ト言,
テモ宜イト思フノデアリマス、玆ニ至リマ
スルト云フト、男子ト婦人ト云フモノガ、
此政治ニ關係ノ淺イカ深イカト云フコトヲ
考ヘテ見レバ、女子モ男子モ同等デアル、
而モ生活、消費經濟ト云フ立場カラ見マス
レバ、男子ヨリモ女子ノ方ガ遙カニ關係ヲ
深ク有ッテ居ルモノダト思セマス、就中市町
村ノ所謂自治制ノ問題ニナリマスルト云フ
ト、此國政サドトハ勿論違ヒマシテ、實際生
活ニ非常ニ近イモノガ多イノデアリマス、
サウナルト失禮デハアリマスガ、世間ノ偉
イ男ノ方ミヨリハ、矢張リ奧サン方ノ方ガ
此點ニ於テハ關係ガ深イノデアッテ、實際
ハ天下國家ヲ論ジテ居ラッシテモ、オ米ノ
値段ヤ瓦斯ノ値段ヲ知ラサカッタ方ガ澤山
アルト思フノデアリマス、斯ウ云フ點カラ
考ヘテ見マスルト、男子ヨリモ女子ノ方ガ
此自治制ニハ深イ關係ヲ有ッテ居ルカラ、之
ニ參加セシメルト云フコトハ私ハ當然デハ
ナカラウカト思フノデス、母トシテ任務ヲ
竭ス爲ニハ、〓育ノ問題ガアリ、衞生ヲ問
題ガアリ、色ミソ問題ガアリマス、又妻ト
シテノ任務ヲ果ス爲ニハ、所謂販賣組織ノ
問題ガアリ、購買問題ガアリ、凡ユル色ミ
ナ今日ノ問題ガアリマス、男子ノ、令ノ所
謂······人ミニ依ッテ、此婦人ノ利益ヲ考ヘ
テ、色ミナ施設ヲ施シテハ居リマスケレド
干、男子カラ見タ所謂生活ト云フコトト、
女子カラ見タ生活ト云フコトトハ、男子ノ
思ヒ及バザル點ガ澤山アルト思フノデアリ
マく、今日一般ノ國民生活ヲ良クスル爲ニ
色ミチ社會施設ガ行ハレテ居リマスルケレ
ドモ之ニハ婦入ガ參加シテ居リマセヌ、若
シ之ニ婦人ヲ參加セシメマシタナラバ、今
日ノ社會施設ト云フモノヲモット個々ノ生
活ニ必要ナ施設ガ殖エテ來ルンデハナカラ
ウカ、現在ノ社會施設ノ中ニ改良シナケレ
バナラヌ點ガ澤山ニアルンヂヤナイカト思
フノデアリマス、若シ今日ノ政治ガ所謂政
治卽實生活デアルナラバ、何處迄モ其生活
ヲ中心ヲ握ッテ居ル所ノ婦人ガ之ニ參加シ
ナケレバ、本當ノ政治ハ完成サレナイト、
私ハ考ヘルノデアリマス、サウ云フ意味カ
ラ、私ハ少クトモ此市町村ニ於キマシテハ、
婦人ニ公民權ヲ付與シ、婦人ニ之ヲ參加セ
シムルト云フコトガ、婦人ノ天職竝ニ使命
ヲ完ウセシムル上ニ於テ特ニ必要デアルト
私ハ信ズルノデアリマス
〔議長公爵德川家達君議長席ニ復ス〕
又輿論ニ餘リニ食シツイテ、行過ギル輿論ニ
引摺ラレテ居ルンヂヤナイカト云フヤウチ
御議論デアリマスガ、私ハ今日ノ政治ハ所
謂議會政治輿論政治デアッテ之ニ盲從ヌル
ト云フコトハ惡イカモ知レマセヌガ大體ニ
於テ輿論ニ聽キ輿論ニ從ッテヤルト云フコ
トガ今日ノ政治デアルト思ヒマス、一九〇八
ハ興論トハ言フケレドモ、ソレハ大都分ノ
聲デハナイヂヤナイカ、其中ノ極ク少數ノ
入ノ叫ビニ過ギナイヂヤナイカ、斯ウ云フ
コトヲ仰シヤイマスケレドモ、ソレハ初メ
カラ分ッテ居ルコトデアリマシテ、輿論デ
アルカラト云ッテ總テノ人ノ意見ガ一遍ニ
纏ルベキモノデハアリマセヌ、今日ノ流行
ヲ御覽ニナッタッテ、世間ノ女ガ同ジヤウニ
流行ダカラト言ッテ著ルカラト云ッテ、皆ガ
同ジヤウニ使アヤウニナッタト云フンヂ
ヤナイ、ソレハ「デパートメントストア」ノ
番頭ガ二三人デ考ヘタモノガ、所謂流行ト
シテ世間ニ廣クテ行クノデアル、輿論ト云フ
モノモ要スルニ中心ガアッテ輿論ヲ導イテ
行ク人ガアッテ輿論ガ生レテ來ルノデアリ
マス、少數ノ人ノ先覺者、所謂サウシク人〓
ノ意見ニ依ッテ輿論ガ出來ルモノデアル
ナラバ、其輿論ヲ尊重シテ行クト云フコト
ハ、私ハ當然ノ行キ方デアルト信ズルノデ
アリマス、殊ニ大分婦人ガ此公民權ヲ付與
サレテ、所謂斯ウシタ政治ニ關係ヲ有シテ
行クヤウニナルト云フコトハ、現在ノ行詰ッ
タ此日本ノ政治ヲ革新スル上ニ於テ、最モ
良イ方法デナケレバナラヌト信ズルモノデ
アリマス、皆サンハ如何ニ御考ニナルカ存
ジマセヌガ、世間デハ今日ノ政治ハ可成腐
敗ヲシテ居ルト言ハレテ居リマス、就中選
擧ニ於テ色ミナ弊害ガアル、ソコニ色ミノ
良タナイコトガ行ハレテ居ルト云フコトヲ
言フテ居リマス、私ハ婦人ガ之ニ參畫イタ
シマシタカラト言フテ將來ハ段〓矢張リ婦
人モ餘リ良クナラナイ、惡クナルカモ知レ
マセヌケレドモ、今日ノ行誥ッタ敷治ヲ
打開シ、之ヲ淨化シテ行ク上ニ於テハ少ク
トモ私ハ数果ガアルト信ズルモノデアリマス、
一般的ニ考ヘテ見マスルト云フト、イツノ
時代ニモ虐ゲラレ壓迫サレサウシチ常ニ抑
ヘラレテ來タ所ツ人ミト云フモノハ、多ク
ノ場合ニ於テ正シイコトヲ考ヘテ來テ居ル
ノデアリマヌ、是ハ餘談カモ知レマセヌ
ガ、政黨カラ見マシテモ、イツデモ野黨ト
云フモノハ言フコトハ立派ナコトヲ言ヒマ
又、是ハイツデモ野黨ト云フモノハ壓迫サ
シ、サウ云フ境遇ニ置カレマスルト、イツ
デモ理想論ヲ言フテ世間ニ受ケノ良イコト
ヲ仰セニナルカラデアル、イツモ抑ヘラレ
テ居ル不遇ヲ境遇ニ在ル時ハ、人間ハ正シ
イコトヲ言フノガ一般ノ傾向ダト、私ハ思
フノデアリマヌ、今日ハ男ヨリハ女ノ人タ
方ガ兎ニ角惡イコトヲスル人ガ少クテ、サ
ウシテ正シイコトヲ考へテ居ル婦人ガ多イ
ト思ヒマス、サウ云フ意味カラ考へマスレ
バ、今日ノ日本ノ政治ヲ淨化スル上カラ考
ヘテ見テ、婦人ガ之ニ參加スルト云フコト
ハ決シテ無益デハナイト、私ハ信ズルメ
デアリマス、此婦人公民權ガ付與サレルト
云フコトハ、將來參政權ニ迄延長シテ行力
レルダラウト云フコトガ、色ミ論議サルテ
居ルヤウデアリマス、ソレハ今此處デ論ズ
ル問題デハアリマセヌガ、將來ニ於テハ段
段ニサウシク要求ニ迄進ンデ行クデアラ
ウ、サウシタ傾向ヲ有ツデアラウト云フコ
トハ、是ハ何人ニモ考ヘラレルコトデアリ
ず、、婦人公民權ヲ付與スルト云フコトヲ
抑ヘテ置イテ、之ヲ永久ニ抑ヘテ行ケルモ
ノデアルカ、サウシタ婦入ノ要求ヲ絕對的
ニ容レナイデ行クコトガ出來ルカト云ヘバ、
決ツテソレハ出來ルコトデアリマセヌ、何
レノ時代ガニ、之ヲ與ヘナケレバナラヌ時
ガ來ルノデアリマス、若シ是ガ極端ナ者ガ
掛テ、段々時ガ遲レ、ルニ從ッテ極端ナ要求
が出デ來ルト云フト、我とガ大キナ變化ニ
ブッツカラナケレバナラヌト云フコトニナ
リマスカラ、是ハ私ハ避ケナケレバナラヌ
ト思ヒマス、サウ云フ意味ニ於テ、先ヅ公
民權ヲ付與シ、段々ニ之ヲ婦人ノ訓練ガ進
シデ行クニ從フテ其權利ガ增サレテ行タト
云フコトデナケレバ、是ハ平和ナ中ニ、社
會ノ進歩ヲ期待スルコトハ出來ナイト思フ
ノデアリマス、私ハ此婦人公民權付與ニ反
對ヲナサル方ノ御意見ヲ承ッテ居リマシテ、
稱共ガ一般的ニ持ノテ居ル一ツノ誤ガアル
ト思ブノデアリマス、ソレハ我とガ長イ間
婦人ト云フモノハ所謂夫唱婦隨デアッテ、婦
人ト云フモノハ男ヨリモ劣ッテ居ルモノデ
アル、女ト云フモノハ男ニ始終隨ヲテ行
ケバ宜イノダト云フタヤウナ風ニ婦人ヲ、
極端ナ言葉デ言ヘバ奴隸視スルト云フ其觀
念ガ、我とノ頭ヲ未ダニ支配ウテ居ルノデハ
ナカラウカト思フノデアリマス、此觀念ハ
我ミガ是非トモ打壞サナケレバナラヌモノ
デアリマシテ、斯ウシタ觀念ヲ持ッテ居ル
ト云フコトハ兎ニ角私共ノ一ヅノ誤デナケ
レバナラヌト思フノデアリマス、我ミハ自
分達ニ都合ノ好イ法律ヲ作リ、總テノ社會
ヲ自分達ノ都合ノ好イヤウニシテ置クト云
フコトバカリガ、私共ノ幸福デモナケレバ、
社會ノ幸福デモアリマセヌ、私共ハ自分
達ノ有ャテ居ル所ノ特權ヲ棄テ、自分達ノ
稱益ヲ棄テヽモ、今日此日本ノ國家社會ノ
淨化進步ト云フコトニ努メナケレバナラヌ
ト思フノデアリマス、私共ハ玆ニ講婦人
ニ公民權ヲ付與シテ、先ヅ市町村ニ於ケル
所ノ政治ニ參與スルコトノ機會ヲ與ヘテ、
サウシテ男ト女トガ提携シテ、サウシテ此
社會ノ建設ニ進マナケレバナラヌト思ヒマ
ス最初ニ申上ゲマシタ婦人ハ天職使命ガ
アルカラ之ニ參加サセルコトハイケナイト
云フ御議論ハ、私ハ全然反對デアリマシテ、
天職ヲ全ウスル爲ニハサウシテ權利ヲ與
ヘルト云フコトガ寧ロ其天職ヲ全ウセシム
ル所以デアルト、私ハ.信ズルノデアリマス、
此意味ニ於テ委員長ノ報告イタシマジケ修
正案ニ私ハ贊成ヲ致シマス(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=26
-
027・裏松友光
○子爵裏松友光君 討論終結ノ動議ヲ提出
イタジマス
〔「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=27
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028・徳川家達
○議長〔公爵德川家違君) 二十人ノ贊成者
ヲ要シマス
〔「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=28
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029・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 定規ノ贊成ガ
アッタト認メマス、討論終結ノ動議ニ同意ノ
諸君ノ起立ヲ請ヒマス
〔起立者多數〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=29
-
030・徳川家達
○議長(公爵德川家違君) 過半數ト認メマ
ス、故ニ討論ハ終局イタシマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=30
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031・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 採決ノ方法ニ付
キ要求ガゴザイマス、御異議ガナケレバ市
制中改正法律案第九條及町材制中改正法律
案第七條ヲ問題ニ供シマス、其採決ハ無名
投票ヲ以テセラレムコトヲ、松木伯爵外二
十五名ヨリ要求ガゴザイマシタ、特別委員
ノ修正ヲ可トセラルル者ハ白球ヲ、否トセ
ラルル者ハ黑球ヲ、投票函へ御投入ヲ請ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=31
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032・土方寧
○土方寧君 御探決ニナル點ヲモウ一度伺
ヒタウゴザイマス、ハッキリ聞エマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=32
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033・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 委員會ノ修正ニ
同意ノ諸君ハ白球ヲ、不同意ノ諸君ハ黑球
ヲ投票函へ御投入ヲ請ヒマス、投票ノ際御
名刺ヲ忘レナイヤウニ願ヒマス、本日モ此
演壇ニ於テ御投票ヲ講ヒマス、氏名點呼ハ
省略イタシマスカラ一條公爵ヨリ順次御登
壇ヲ請ヒマス、······時間ヲ省略スル爲ニ成ル
ベク早ク御登壇ヲ願ヒマス
〔投票執行〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=33
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034・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御靜肅ニ願ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=34
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035・水野錬太郎
○水野錬太郞君 只今ノ議長ノ御宣告ニ
依ッテ我〓投票ヲ致シタノデアリマスルガ、
段々諸方面ノ說ヲ承リマスト、趣旨ガ徹底
シテ居ラナイト云フ感ジガアルヤウデアリ
マス、ソレ故、或ハ白票ヲ投ジ、或ハ黑票
ヲ投ジタ者ノ間ニ、十分ナル意思ガ徹底シ
テ居ラヌト云フコトデアリマスルカラ、モ
ウ一度明カニ御宣告ヲ願ヲテ、サウシテ之ニ
依ッテ投票セラレルコトガ、後日ノ紛議ヲ起
スコトヲ避ケルコトニ相成ラウト思ヒマス
ルカラ、私ハ此意見ヲ提出イタシマス
〔「贊成」「同感デゴザイマス」ト呼フ者
アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=35
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036・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 只今水野鍊太郞
君ヨリノ前キニ議長ノ宣告イタシマシタコト
ガ明瞭ヲ缺イテ居ルト云フ趣デゴザイマス、
動議ニ贊成者ガゴザイマシタ以上ハ、水野
鍊太郞君ノ動議ニ付テ採決ヲ致シマス、水
野鍊太郞君ノ動議ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ請
ヒマス
〔起立者多數〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=36
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037・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 過半數ト認メマ
ス、議長ガ改メテ宣〓ヲ致シマスカラ、議
場ノ極メテ靜肅ヲ望ミマス、議長ハ幾度モ
同ジ宣告ヲ致サネバナリマセヌ、松木僧爵
ノ初メノ要求ニ依リマシテ無名投票ヲ以テ
採決ヲ致シマス、問題ヲ可トスル者、卽チ
婦人ニ······只今問題ト致シマシタ市制第九
條、及町村制第七條ニ關スル委員長ノ報告、
修正ニ對スル贊否デアリマス、卽チ年齡二
十歲ヲ二十五歲トシ、婦人公民權ヲ認メム
トスル諸君ハ、卽チ贊成者トシテ白球ヲ投
ゼラレムコトヲ望ミマス、只今議長ガ申上
ゲマシタコトハ御理解ニ相成リマシタカ、
如何デゴザイマスカ
〔「分リマシタ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=37
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038・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御了解ヲ得マシ
タナラバ、再ビ無名投票ヲ行ヒマス
〔子爵伊集院兼知君發言ノ許可ヲ求ム〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=38
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039・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 伊集院子爵ハド
ウ云フコトデスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=39
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040・伊集院兼知
○子爵伊集院兼知君 私ハ不幸ニシテ議長
ノ御宣告ニマダ疑ガアルノデアリマスカ
ラ、私ニ分ルヤウニ、ドウゾ御述べ下サル
ヤウニ願ヒマス、ソレハ婦人參政權ニ反對
スルモノハ如何ニスルノデアリマスカ、叉
贊成スル者ハ如何ニスルカト云フコトヲ簡
單ニ仰セラレテ下サイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=40
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041・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) モウ議長ハ只今
詳細ニ申上ゲタヨリ外ニ宣告ノ致シヤウハ
ゴザイマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=41
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042・三室戸敬光
○子爵三室戸敬光君 議長ハ只今贊成ノ者
ハ白球ト云フコトヲ仰モラレマシタガ、反
對ノ者ハ何球ヲ入レルト云フコトノ御宣告
ハゴザイマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=42
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043・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 總テ本院デ致ス
コトハ本院規則ニ從ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=43
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044・三室戸敬光
○子爵三室戸敬光君 規則ニ御從ヒニナル
コトハ無論デアリマスガ、斯カル重大ナル
案ヲ採決イタシマスル場合ニハ、一人タリ
トモ不判明デアルト言っタ場合ニ於キマシ
テハ、成ベク御深切ノ扱ヲ願ヒタイノデア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=44
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045・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 本院規則第百二
十一條ヲ能ク御讀ミヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=45
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046・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 投票ノ方法ハ最
前ノ通リ、氏名點呼ヲ省略シテ一條公爵ヨ
リ順次御登壇ヲ願ヒマス
〔投票執行〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=46
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047・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御投票漏レハゴ
ザイマセヌカ··投票漏レナシト認メマ
ス、書記官ヲシテ計算ヲ致サセマス
〔書記官投票ヲ計算ス〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=47
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048・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 無名投票ノ結果
ヲ御報〓ニ及ビマス、投票總數二百四十六、
問題ヲ可トセラルヽ者卽チ白球ヲ投ジタル
者六十二、問題ヲ否トセラルル者、卽チ黑
球ヲ投ジダル者百八十四、是ニテ委員會ノ
修正ハ否決セラレマシタ
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=48
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049・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 次ニ原案、卽チ
政府提出ノ改正案ヲ問題ト致シマス、卽チ
政府案ニハ婦人公民權ヲ認メテ居リマス、
御了解ニ相成リマシタカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=49
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050・水野錬太郎
○水野鍊太郞君 議長ノ御宣告ハ私ハ了解
イタシマシタ併シ政府ノ提出案、卽チ原
案ニハ帝國臣民タル年齡二十年以上ノ男子
及ビ年齡二十五年以上ノ女子ト二ツガアル
ノデアリマス、之ニ付キマシテ年齡二十五
年以上ノ女子ニ公民權ヲ與ヘテ宜イト思フ
者モアリマセウ、但シ帝國臣民タル年齡二
十年以上ノ男子ハ尙ホ早イガ故ニ、是モ二
十五年ニシタラ宜カラウト云フ者モアルデ
アラウト思フノデアリマス、ソレ故ニ之ニ
付キマシテハ、或ハ二ツノ問題ニセネバナ
ラヌカト思フ、但シ此問題ニ付テ何等修正
ヲ提出スル者ガナイ以上ハ、議長ノ宣告通
リデ差支ナイト思フ次第デアリマス、此事
ダケハ私氣付キマシタカラ申上ゲテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=50
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051・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 水野鍊太郞君ニ
申上ゲマス、修正案ハ議長ノ手許ヘハ出テ
居リマセヌ故ニ議長ノ宣告通リデ、明瞭ニ
御了解下サレタコトト認メテ居リマス
〔「ヒヤ〓〓」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=51
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052・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 原案ニ同意ノ諸
君ノ起立ヲ請ヒマス
〔起立者少數〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=52
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053・徳川家達
○議長(公爵德川家遠君) 少數ト認メマ
ス、原案ハ否決セラレマシタ
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=53
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054・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 只今議長ガ宣告
イタシマスカラ、暫ク御靜カニ願ヒマス、
只今採決イタシマシタ以外ノ所ヲ問題ニ供
シマス、委員長ノ報〓ニ同意ノ諸君ノ起立
ヲ請ヒマス
〔起立者少數〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=54
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055・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 少數ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=55
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056・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 委員長ノ報〓ガ
否決セラレマシタカラ、原案ニ付テ採決イ
タシマス、原案ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ請ヒ
マス
〔起立者ナシ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=56
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057・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 原案ニ對シテ起
立者ガゴザイマセヌカラ、否決セラレタモ
ノト認メマス
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=57
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058・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 次ニ問題ニ供シ
マスノハ、府縣制中改正法律案竝北海道會
法中改正法律案、全部ヲ問題ニ供シマス、
委員長ノ報告ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマ
ス
〔起立者少數〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=58
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059・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 少數ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=59
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060・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 原案ニ同意ノ諸
君ノ起立ヲ請ヒマス
〔起立者ナシ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=60
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061・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 起立者ナシ、否
決セラレマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=61
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062・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第十三、米
穀法中改正法律案、政府提出、衆議院送付
第十四、米穀需給調節特別會計法中改正法
律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ
續委員長報告、堀田伯爵
米穀法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和六年三月二十三日
委員長伯爵堀田正恒
貴族院議長公爵德川家達殿
米穀需給調節特別會計法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和六年三月二十三日
委員長伯爵堀田正恒
貴族院議長公爵德川家達殿
〔伯爵堀田正恒君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=62
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063・堀田正恒
○伯爵堀田正恒君 只今日程ニ上リマシタ
米穀法中改正法律案外一件ノ特別委員會ノ
經過竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマス、本兩案
ノ提出ノ理山ハ先般、本議場デ說明サレテ
居リマスカラシテ省略イタシマス、又本兩
案ノ內容ニ付キマシテハ議會切迫ノ際デゴ
ザイマスカラ、是モ省略スルコトヲ御許シ
ヲ願ヒマス、此兩案ハ重大ナル法案デゴザ
イマス爲ニ、御承知ノ如ク衆議院ニ於キマ
シテハ可ナリ長イ間掛ッテ審議セラレタ法
案デゴザリマス、貴族院ニ於キマシモ、特
別委員會ハ七日間開キマシテ愼重審議イタ
テマシタ、從ッテ御質問ハ多々ゴザイマシ
テ、ソレヲ一々御紹介申上ゲルノハ長ク
ナリマスカラシテ、主ナルモノダケヲ御紹
介申上ゲマス、質問ヲ御紹介申上ゲマス前
ニ、便宜上內容ノ一部、卽チ米價ノ基準ニ
付キマシテ簡單ニ申述べテ置キマス、米穀
法中改正法律案ノ第五條ニ、米價ノ基準ト
致シマシテ米穀生產費、家計費竝ニ米價指
數ノ物價指數ニ對スル割合ノ趨勢ニ依リテ
算出シタル價格、此三ツガ基準トナッテ居ル
ノデアリマス、此終リニ申上ゲマシタノガ
卽チ御承知ノムヅカシイ基準デアル率勢米
價デゴザイマス
〔副議長公爵近衞文麿君議長席ニ著ク〕
此三ツノ基準ニ依"テドウ云フ風ニ米穀法
ガ發動スルカト申シマスルト、率勢米價ノ
上値二割、下値二割ニ米價ガナッタ時ニ、家
計費或ハ生產費ト照シ合セマシテ、米穀法
ガ發動イタスコトニ相成ルノデアリマス、
唯本案ノ附則ニ於テ家計費竝ニ生產費ノ調
査ガ出來ルマデ、當分ノ間率勢米價ノミニ
依ッテ米穀法ガ發動スルト云フ風ニナッテ居
リマス、是カラ質問ノ大體ヲ申上ゲマス、
米穀法其モノニ付キマシテノ御質疑ガゴザ
イマシタ、米穀法ハ果シテ米穀ノ根本政策
デアルカ、唯一ノ根本方法デアルカト云フ
質問ガゴザイマシタ、之ニ對シマシテ政府
ハ米穀調査會ニ於テ米穀ノ專賣問題、或ハ
米穀法廢止問題等ガアッテ、中ミヤカマシ
カッタ、併ナガラ遺憾ナガラ米穀調査會ニ於
テハ米穀法ニ依ルヨリカ仕方ガナカッタ、
今後三、四年經チマスルト、外米ニ對シマ
シテ統制ガ出來マスルシ、又朝鮮ニ於キマ
シテモ經濟的施設ガ十分行ハレ、又倉庫ノ
奬勵、貯藏ノ奬勵、又海外ニ輸出スル米ノ
奬勵等ニ依ッティ相當米穀法ト相俟ッテ效果
ガアルモノト思フ、斯ウ云フ答辯デゴザイ
マシタ、又米穀法ニ付キマシテ米穀法ノ今
囘ノ改正ハ根本的改正デアルカ、之ニ對シ
マシテ政府當局ハ從來米穀法ニ於テハ基
準ガナカッタ爲ニ、政府ノ思フ所デ以テ米穀
法ヲ運用シテ居ッタ、然ルニ此度基準ヲ設ケ
ラレルコトニナッタノハ根本的改正デアル
ト思フ、此基準ニ依ッテ相當公正ヲ期シ得ラ
レルコトト思フ、尙ホ又常時輸出入許可ノ
制度ヲ設ケタノモ亦根本的改正ト思フト云
フコトデゴザイマシタ、價格ノ基準ニ付テ
種々御質問ガゴザイマシタ、先ヅ生產費ニ
付テ申上ゲマス、生產費ノ調査ニ付テ先般
行ハレマシタ帝國農會ノ生產費ノ調査ノ結
果ト、農林省デ行ハレマシタ生產費ノ調査
ガ、五圓程ノ結果ニ於テ開キガアルノデア
リマス、此點ニ付テ政府ハドウ云フ風ニ思
フカ、之ニ對シマシテ政府ハ誠ニ其開キヲ
生ジタコトハ遺憾デアル、併ナガラ政府ノ
爲シタ生產費ノ調査、又今後爲サムトスル
生產費ノ調査項目其他ニ付テハ、政府ハ宜
イモノト信ジテ居ル、而シテ帝國農會ハ農
林省ノ補助ヲ受ケテ居リ、又監督ヲ受ケテ
居ル農會デアル爲ニ、今後ハ十分步調ヲ一
ニシテ行クコトガ出來ルト思フ、又步調ヲ
一ニシテ行キタイト思フト云フコトデゴザ
イマシタ、率勢米價ニ付キマシテ、率勢米
價ヲ採用シタノハドウ云フ譯デアルカ、又
率勢米價ノ算出ノ方法ヲ採用シタノハドウ
云フ譯デアルカ、之ガ新聞等ニモ戴クテ居リ
マス、非常ニムヅカシイ所デゴザイマス、
政府ハ從來ノ三十年ノ實蹟ヲ調ベテ、率勢
米價ニ依ルノガ適當デアルト認メタ、又斯
カルムヅカシイ算出法ヲ採用シタノハ色ミ
他ニモ曲線式トカ、複線式トカ方法ガアッテ、
學者間ニ〓究セラレタガ、此直線式ノ計算
ノ方法ガ一番實蹟ニ照シテ誤差ガ少イヤウ
ニ思ッテ、一番良イモノトシテ之ヲ認メタト
云フコトデゴザイマシタ、又生產費及ビ家
計費調査ハ何時頃完了スル積リデアルカ、
實ハ當分ノ間率勢米價ニ依ル、······卽チ家計
費、生產費ノ調査ガ出來ルマデハ率勢米價
ニ依ルト云フガ、率勢米價ノミニ依ルノハ
面白クナイト思フ、故ニ一日モ早ク三基準
ヲ揃ヘテ發動サセテ貰ヒタイト思フガ、就
テハ生產費、家計費ノ調査ハ何時頃出來ル
カト云フ御質問デゴザイマシタ、之ニ對シ
マシテ、政府ハ生產費ノ調査ハ昭和六年ノ
四月カラ開始スル、家計費ノ方ハ昭和六年
ノ九月カラ開始シテ、來年ノ八月マデニ終
了スル積リデ、早クモ兩者揃フノハ來年ノ
暮デアラウト云フコトデゴザイマシタ、又米穀
生產費及ビ家計費ノ調査ノ出來タ後ニ米穀
ノ生產費、又ハ家計費ノ調査ニ依ッテ算出シタ
ル所ノ米價ト、率勢米價ノ上値二割下値二割
ノ線トノ間ニ於テ、基準ノ價格ヲ決定スル場
合ニ於テ、自由ニ決定スルト云フノハ適當デ
ナイト思フ、例ヘバ衆議院ニ於テハサウ云フ
場合ニハ成ルベク生產費ニ近イモノデ決メ
テ貰ヒタイト云フ希望ガアルガ、政府ハ何等
カ其處ニ標準ヲ設ケル考ハナイカト、之ニ對
シテ政府ハ十分考慮スル積リデアル、サウ云
フ場合ニハ米穀委員會ニ諮ッテ適當ニ決定シ
タイト思フト云フコトデゴザイマシタ、又米
價調節ノ爲ノ買入、賣却ニ付キマシテハ、此
度規定ノ標準ガ出來タ譯デアルガ、米穀ノ買
換ニ付キマシテハ何等制限ガナイ、本來買
換ト云フノハ保存行爲デアル、然ルニ偶〓調
節賣買ノ意味デ行ハレタヤウニ思フガ、濫
用ト云フ迄ニハ言ヒニクイガ不都合ノヤウ
ニ思フ、之ニ付テ政府ハ何等カ制限ヲ設ケ
ル意思ハナイカ、命令ニ依クテ之ヲ制限スル
考ハナイカト云フコトデゴザイマシタ、之
ニ對シテ政府ハ十分〓究ノ上デ施行命令等
デ制限シタイト思フト云フコトデゴザイマ
シタ、米穀法ニ付テノ直接ノ御質問ハ以上
デゴザイマスルガ、關聯シテ重大ナル御質
疑ガゴザイマシタカラ御紹介申上ゲマス、
內地ニ於ケル米穀ノ需給關係ニ著シイ關係
アル朝鮮米ニ對スル調節ヲ政府ハドウ云フ
風ニ考慮シテ居ルカ、米穀法ノ運用ノ上ニ
於テ朝鮮米ノ移入問題ハ誠ニムツカシイ困
難ナル問題デ、政府ハ無論重要ト考ヘル、
〓究モシテ居ル、併シ偶、幸ヒニシテ朝鮮總
督府ニ於テハ經濟施設ヲ設ケ、卽チ常時對
策ト應急對策ニ分ケテ、朝鮮デハ著々ト調
節ノ目的ノ爲ニ施設ヲ行ッテ居ルカラシテ、
相當今度ノ效果ガアルモノト認メル、併ナ
ガラ若シモ是デ以テ十分デナイト思フ時ニ
ハ法制ノ力デ以テ解決ヲシテ行キタイト
斯ウ云フ、ソレニ付テハ或ハ米穀法ノヤウ
ナモノヲ施行スルカモ知レナイガ、又或ハ
植民地ヲ統一シタル所ノ法制ニ依ルカモ知
レナイト、斯ウ云フ御答辯デゴザイマシタ、
又米ノ調節ニ付テ政府ハ今後米ノ工業原料
ニ使用スルト云フコトニ付テ、十分ナル〓
究ヲナシテ居ルカ、又ナサムトスル考ガア
ルカト云フ御質問デゴザイマシタ、政府ハ
御同感デアッテ、米ガ工業用ノ原料ニ用ヒラ
レレバ米ノ買上數量ヲ幾分デモ減ズルコ
トガ出來ルカラシテ、今後トモ十分〓究ヲ
シヤウト思フト云フコトデゴザイマシタ、
次ニ米穀需給特別會計法中改正法律案ニ付
テ二點申上ゲマス、第五十六議會ノ貴族院
ノ希望決議ニ基イテ深甚ノ注意ヲ拂ヲタカ
ドウカ、政府ニ於テハ十分深甚ノ注意ヲ拂ッ
タ積リデアル、偶〓本年度ノ如キ大豐作ノ爲
ニ米穀法ヲ發動セシメタケレドモ、併ナガ
ラ是ハ全ク特別ノ場合デアッテ已ムヲ得ナ
イト存ジ、貴族院ノ希望決議ニ何等反シナ
イト思フト云フコトデゴザイマシタ、又此
特別會計ハ借入金ヲ以テ支辨シテ居ル爲ニ、
利子ガ段〓殖エルバカリデアッテ非常ナル
損失高ニナッテ居ルガ、之ヲ政府ハ改正スル
所ノ意思ハナイカ、又整理スル所ノ意思ハ
ナイカト云フ御質問デゴザイマシタ、之ニ
對シテ政府ハ、此特別會計法ハ誠ニ不都合
ナ法律デ、又誠ニ不成蹟ナル所ノ法律デア
ル、政府トシテモ根本的解決ヲ是非シタイ
ト思フ、併ナガラ何分ニモ近時ノ收入減ノ
財政狀態ニ於テハ、根本的解決ヲ致スコト
ガ出來ナイノガ誠ニ遺憾デアル、併シ成ル
ベク早イ時期ニ是ハ整理シタイト、斯ウ云
フ答辯デゴザイマシタ、討論ニ入リマシテ
カラ、種々御意見モゴザイマシタガ、
最後ニ希望決議ヲ附シテ、而シテ米穀法中
改正法律案外一件ヲ認メタイト云フ御動議
ニ委員ノ全部ガ御賛成デ、希望決議ヲ附ケ
テ委員會ハ全會一致可決ヲ致シタ次第デゴ
ザイマス、其希望決議ヲ朗讀イタシマス
第五十六議會ニ於テ米穀資金七千万圓ノ
增額ヲ議決スルニ當リ米穀法ノ運用ニ付
將來深甚ノ注意ヲ拂ハンコトヲ政府ニ警
告セリ然ルニ爾來僅々一一年ニシテ今復タ
八千万圓增額ノ已ムナキニ至リタルハ頗
ル遺憾ニ堪ヘス政府ハ今後一層思ヲ米穀
法ノ適正ナル運用ニ致シ其ノ過ヲ三タヒ
セザランコトヲ望ム
米穀買換ノ過去ノ實蹟ハ調節賣買ニ陷リ
クルノ感ナキヲ得ズ今米穀法ノ改正ニ依
リ調節賣買ニ一定ノ基準ヲ設クル以上ハ
將來ノ買換ハ一層規律アルモノナラサル
ヘカラス之カ爲メニハ施行命令中ニ適當
ノ規定ヲ設ケンコトヲ望ム
米穀生產費及家計費ト率勢米價トヲ對比
シテ調節基準ヲ定ムル場合ニ當リ其ノ組
合ハセノ割合ニ於テ偏重偏輕ナキヲ期セ
ンコトヲ望ム
以上ガ委員會ノ報〓デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=63
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064・近衞文麿
○創議長(公爵近衛文麿君) 兩案ノ第二讀
會ヲ開クコトニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=64
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065・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=65
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066・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ兩案ノ第二讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=66
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067・清岡長言
○子爵〓岡長言君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=67
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068・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ
動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=68
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069・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=69
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070・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 兩案全部ヲ問
題ニ供シマス、委員長ノ報告通リデ御異議
ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=70
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071・近衞文麿
○副議長(公爵近衛文麿君)御異議ナイト認 メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=71
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072・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ兩案ノ第三讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=72
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073・清岡長言
○子爵〓岡長言 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=73
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074・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ
動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=74
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075・近衞文麿
○副議長(公爵近衛文麿君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=75
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076・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 第二讀會ノ決
議通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=76
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077・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=77
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078・近衞文麿
○副議長(公爵近衛文麿君) 日程第十五、
第十六、政府提出、衆議院送付、第一讀會
ノ續、委員長報告、蜂須賀候爵
國立公園法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和六年三月二十三日
委員長候爵蜂須賀正詔
貴族院議長公爵德川家達殿
土地收用法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候世
昭和六年三月二十三日
委員長侯爵蜂須賀正詔
貴族院議長公爵德川家達殿
〔侯爵蜂須賀正韶君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=78
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079・蜂須賀正韶
○侯爵蜂須賀正韶君 是ヨリ國立公園法案
外一件ノ委員會ノ經過及結果ヲ御報告ニ及
ビマス、本委員會ハ正副委員長ノ互選其他
四囘ニ亙リマシテ開會ヲ致シマシタ、詳細
ノコトハ旣ニ速記錄モ出テ居リマス、ソレ
ニテ御覽ヲ願ヒマス、此國立公園設置ノコ
トハ數十年ニ亙リマシテ、本院デモ請願文
書トシテ現ハレタノデアリマシテ、國民ノ
切ニ要望セラレル所デアリマス、此要望ニ
對シマシテ政府ニ於キマシテモ、昨年一月
內務省ニ國立公園調査會ナルモノヲ設置イ
タシマシテ、審査〓究ヲ致シマシタル結果、
愈、今囘本案ヲ提出スルコトニナッタノデア
リマス、本案ノ趣旨ハ現時ノ如ク繁多ナル
國民ノ生活狀態、又殊ニハ都市生活ノ狀態
カラ致シマシテ
〔議長公爵徳川家達君議長席ニ復ス〕
國民ノ保健上、又休養ノ爲メ、尙ホ〓化ノ
上ニ於キマシテ、此大自然ノ風景ニ接スル
コトヲ必要ト認メ、然ル所此經濟事業ノ發
達ノ結果トシテ、斯カル大自然ノ風景ヲ其
核心ヨリ破壞セラレムトスル事例ガ往々ア
リマスノデ、之ヲ未然ニ防グ意味ニ於キマ
シテ、國家ノ至寶トシテ永遠ニ保護ヲシ、
國家百年ノ長計ヲ誤ラザランコトヲ期シ、
而シテ此公園ヲ國民ノ利用ニ供シ、併セテ
大自然ノ恩惠ヲ普タ外客ニ均霑セシメテ、
國際親善上ニ寄與スル所アラムトスル譯デ
アリマス、幾多ノ質問應答モ爲サレマシテ、
討論ニ移リ、委員ノ一人ヨリハ、斯カル法
案ハ既ニ出テ居ッテモ然ルベキ程ノモノト
心得ル、今日ニ至ッテ出タコトハ遺憾トスル
次第デアルト云フコトニ、委員諸君ニ於カ
レマシテモ熱心ニ至極贊成ダト云フ意思ヲ
表セラレマシタ、其結果ト致シマシテ全會一
致ヲ以テ可決イタシマシタル次第デアリマ
ス、次ニ土地收用法中改正法律案、是ハ至ッ
テ簡單ナル法案デアリマシテ、數文字ヲ收
用法中ニ挿入スルダケノモノデアリマシ
テ、是モ委員會ハ、委員一同異議ナク、全
會一致ヲ以テ可決イタシマシタ、此段御報
告イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=79
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080・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 別ニ發言モナイ
ト存ジマスカラ採決ヲ致シマス兩案ノ第
二讀會ヲ開クコトニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=80
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081・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=81
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082・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ兩案ノ第二讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=82
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083・池田政時
○子爵池田政時君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=83
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084・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=84
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085・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=85
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086・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 兩案全部ヲ問題
ニ供シマス、全部原案ニ御異存ゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=86
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087・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=87
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088・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ兩案ノ第三讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=88
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089・池田政時
○子爵池田政時君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=89
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090・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=90
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091・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=91
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092・徳川家達
○議長(公爵徳川家遠君) 兩案トモ第二讀
會ノ決議通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=92
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093・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=93
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094・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 日程第十七、輸
出組合法中改正法律案、第十八、重要輸出
晶工業組合法中改正法律案、政府提出、衆
議院送村、第一讀會ノ續、委員長報告、大
久保侯爵
輸出組合法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ使チ及
報告候也
曜和六年三月二十三日
委員長侯爵大久保利武
貴族院議長公爵徳川家達殿
重要輸出品工業組合法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和六年三月二十三日
委員長候爵大久保利武
貴族院議長公爵德川家達殿
〔候爵大久保利武君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=94
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095・大久保利武
○侯爵大久保利武君 是ヨリシテ輸出組合
法中改正法律案及ビ重要輸出品工業組合法
中改正法律案ノ特別委員會ニ於ケル經過ヲ
御報告申上ゲマスルガ、此兩案ニ付キマス
ル提出ノ理由ハ、旣ニ上程當時大臣ヨリシ
テ詳細說明ニナッテ居ル事柄デ、今更詳シク
申述ベル必要モナイコトデアリマスルガ、
此兩組合トモ去ル大正十四年實施以來、相
當ノ成績ヲ擧ゲテ居ルノデアリマスルガ、
併ナガラ今日ノ時勢ニ於キマシテ種々缺陷
ノアル所、不備ノ存スル所ヨリシテ、改正
ノ必要ヲ認メタノデアリマス、其改正ノ必
要ヲ認メマシタ要點ヲ申上ゲマスレバ、兎
角此兩案トモ中小工業ノ組合デアリマスノ
デ、營業ノ間ニ於テ無謀ノ競爭ヲスルトカ、
一致ヲ缺クトカ云フ、統制ヲ缺ク弊ガ往々
生ジテ居ルノデアリマス、又中小工業ノ組
合デアリマスカラシテ、資金ノ缺乏ヨリシ
テ販路ノ開拓ノ上ニ付テ十分ナル活動ヲ見
ルコトガ出來ヌト云フ憾ミガ生ジテ參リマ
シタノデ、此統制ヲ缺キ且ツ金融ノ事柄ガ
頗ル此改正ノ要點トナッテ居リマシタノデ、
此度法律ヲ改正シテ組合ノ統一ヲ圖リ、全
國的ニ聯合會ノ設ケモ致ストカ云フヤウナ
改正ヲ施シ、且ツ組合ヲシテ金融ノ便ヲ開
カシムルト云フ點ガ、此輸出組合ニ於ケル
改正ノ要點トナッテ居ルノデアリマス、從
テ是マデ中小工業ノ組合デアリマシタガ、
尙ホ之ニ加フルニ大事業家モ加ヘテヤルト
云フ必要ヨリシテ、特ニ此組合ニ於ケル議
決權ニ於テ相當ノ改正ヲ施シテ大工業者モ
之ニ加ッテ共ニ組合ノ經營ニ當ルト云フコ
トニナッタノデアリマス、尙ホ此重要輸出品
工業組合法案ニ於キマシテハ、此改正ノ理
由、又改正ニナリマシタ案ノ內容ハ、略ボ
共通ノ點ガ多イノデアリマスルガ、此重要
輸出品工業組合ノ改正ハ第一、是マデ重要
輸出品トナッテ居リマシタノヲ、此度ノ改正
案ニ於キマシテハ輸出品ニ限ラズ、內地向
キノ工業品モ之ニ加ヘテヤラウト云フコト
ニナリマシタノデ、此法律ノ題目ヲ改メマ
シテ、單ニ工業組合ト之ヲ改メテ、內外ニ
掛ケテ關係ヲ持ツヤウニナッタノデアリマ
ス、其他此工業組合ノ方ノ改正ハ、輸出組
合ト同樣ニ統制ヲ圖リ、金融ノ便ヲ組合ニ
於テ開クト云フ點ハ輸出組合ト同樣デアリ
マスルガ、尙ホ此工業組合ノ方ニ於キマシ
テハ、衆議院ニ於テ修正ニナック個條ガゴザ
イマスル、是ハ第九條ニ、是マデハ重要輸
出品ニ限ラレタ組合デアッタノデ、第九條
ニ、此重要輸出品工業組合ニ加入シタモノ
ハ、場合ニ依ッテハ重要物產同業組合ヲ脫退
シテモ宜イト云フ箇條ガアリマシタノデ、
然ル所此度工業組合トナッテ內外ノ關係ヲ
持ツヤウニナッタノデアリマスルガ、若シ此
九條ガ依然トシテ存シテ居レバ、內外ニ關
係スル工業組合トシテ立ッテ、場合ニ依ッテ
ハ重要物產同業組合ヲ脫退スルコトガ出來
ルトナルト云フト、重要物產同業組合ノ基
礎ヲ危クスルト云フ點ガアルカラシテ、エ
業組合ト云フコトヲ······、第九條ノ工業組
合ト云フ上ニ「重要輸出品ニ關スル」ト云フ
文字ヲ加ヘテ、詰リ現在ノ通リニシテ、內
地向キノ工業組合ハ此第九條ハ詰リ適用サ
レヌ、重要輸出品ニ關スル工業組合ダケ第
九條ハ適用サレルト云フコトニ修正ニナッ
タノデ、政府モ同意シテ居ラレマスガ、此
點モ併セテ特別委員會ニ於テ種々審議ヲ致
シマシテ、政府ト種々ノ點ニ於テ質疑應答
ヲ重ネタノデアリマス、或ハ金融ノ便ヲ圖
ルト云フ上ニ付テモ、政府ノ從來ヤラレタ
低利資金ノ利用ト云フコトニ付テモ、兎角
其運用實行ニ付テ利便ヲ缺ク點ガアッテ、十
分ニ當業者ガ其利便ニ浴スルト云フコトガ
出來ナイ憾ミガアッタノデ、此點ニ於テ政府
ハ如何ナル考ガアルカト云フヤウナ質問ニ
對シテハ、色々政府ニ於テ之ニ對スル實際
ニ付テ、具體的ノ考究ヲシテ居テレルコト
モアッテ、深甚ノ注意ヲ將來此事ニ拂ヲテ、
金融ノ便ヲ圖ルト云フ答辯デアリマシタ、
其他、或ハ輸出品檢査ノ上トカ種々ナ點ニ
於テ質疑應答ヲ重ネマシタガ、結局討論エ
入リマシテ、各委員ノ意見ノ一致スル所ニ
依リマシテ、全會異議ナク一致シテ、此兩
案ヲ可決イタシマシタ次第デアリマス、此
點ヲ御報告ヲ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=95
-
096・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 只今大久保特別
委員長ノ報告セラレマシタ、兩案ノ第二讀
會ヲ開クコトニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=96
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097・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=97
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098・池田政時
○子爵池田政時君 直ユ兩案ノ第二讀會ヲ
開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=98
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099・清岡長言
○子爵〓岡長言君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=99
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100・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 池田子爵ノ動議
ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=100
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101・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=101
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102・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 兩案ノ第二讀會
ヲ開キマス、本案全部ヲ問題ニ供シマス、
全部原案ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=102
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103・徳川家達
○議長(公爵德川家違君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=103
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104・池田政時
○子爵池田敢時君 直ニ兩案ノ第三讀會ヲ
開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=104
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105・清岡長言
○子爵〓岡長言君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=105
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106・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 池田子爵ノ動議
ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=106
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107・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=107
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108・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 兩案共第二讀會
ノ決議通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=108
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109・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=109
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110・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第十九、無
盡業法改正法律案、政府提出、衆議院送付、
第一讀會ノ續、委員長報告、伊東子爵
無盡業法改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和六年三月二十三日
委員長子爵伊東祐弘
貴族院議長公爵德川家達殿
〔子爵伊東祐弘君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=110
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111・伊東祐弘
○子爵伊東祐弘君 無盡業法改正法律案ノ
特別委員會ノ御報告ヲ申上ゲマス、現行ノ
無盡業法ハ大正四年ニ初メテ制定サレタモ
ノデアリマスガ、其實施後ノ實蹟ニ鑑ミマ
シテ此度改正法律案ガ提出サレタノデアリ
マス、其主モナルモノヲ列擧イタシマスレ
バ第一ハ無盡業者ノ營業上ノ資金運用ノ
範圍ヲ擴ゲマシタ點ト、第二ハ無盡ハ營業
トシテ爲ストキハ之ヲ商行爲ト爲スト云フ
規定ヲ設ケタ點、第三ハ無盡業者ノ主體ヲ
株式會社ニ限定シタ點、第四ハ無盡會社ノ
監査役ヲシテ、每營業年度一囘、監査書作
成ノ義務ヲ負ハシメタ點デアリマス、其他
ハ銀行法、貯蓄銀行法及信託業法等ニ規
定スベキモノデ、本法ニ於テモ規定スルヲ
適當ト認メタモノガ新タニ加ハッタダケデ
アリマス、特別委員會ニ於キマシテハ一二
ノ質問應答ガアリマシタノミデ、討論ニ移
リマシテ何等意見モナク、採決ノ結果ハ
全會一致、本案ヲ可決イタシタ次第デアリ
てい、右御報〓ヲ申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=111
-
112・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 本案ノ第二讀會
ヲ開クコトニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=112
-
113・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=113
-
114・池田政時
○子爵池田政時君 直チニ本案ノ第二讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=114
-
115・清岡長言
○子爵〓岡長言君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=115
-
116・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 池田子爵ノ動議
ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=116
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117・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=117
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118・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 本案全部ヲ問題
ニ供シマス、全部原案ニ御異存ゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=118
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119・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=119
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120・池田政時
○子爵池田政時君 直チニ本案ノ第三讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=120
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121・清岡長言
○子爵〓岡長言君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=121
-
122・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 池田子爵ノ動議
ニ御異存ゴサイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=122
-
123・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=123
-
124・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 第二讀會ノ決議
通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=124
-
125・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=125
-
126・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 日程第二十、法
律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ
續、委員長報〓、侯爵德川賴貞君
祐德軌道株式會社所屬軌道補償ノ爲公
債發行ニ關スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和六年三月二十三日
委員長侯爵德川賴貞
貴族院議長公爵德川家達殿
〔侯爵德川賴貞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=126
-
127・徳川頼貞
○侯爵德川賴貞君 祐德軌道株式會社所屬
軌道補償ノ爲公債發行ニ關スル法律案ヲ審
議イタシマシタ特別委員會ノ經過竝ニ結果
ヲ御報告申上ゲマス、本案ハ三月十八日、
地方鐵道補助法中改正法律案特別委員ニ付
託セラレマシテ、去ル二十日、鐵道大臣ヨ
リ提案理山ノ說明ヲ聽取シ、爾後、愼重審
議ノ結果、昨二十三日全會一致、本案ヲ原
案通リ可決イタシマシタ、以上御報告申上
ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=127
-
128・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 本案ノ第二讀會
ヲ開クコトニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=128
-
129・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=129
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130・池田政時
○子爵池田政時君 直チニ本案ノ第二讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=130
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131・清岡長言
○子爵〓岡長言君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=131
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132・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 池田子爵ノ動議
ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=132
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133・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=133
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134・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 本案全部ヲ問題
ニ供シマス、原案ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=134
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135・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=135
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136・池田政時
○子爵池田政時君 直チニ本案ノ第三讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=136
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137・清岡長言
○子爵〓岡長言君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=137
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138・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 池田子爵ノ動議
ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=138
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139・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=139
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140・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 第二讀會ノ決議
通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=140
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141・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=141
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142・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第二十一、
第一讀會ノ續、委員長報告、西〓侯爵
「ロンドン」海軍條約實施ニ伴フ海軍職
工整理ニ關スル公債發行ニ關スル法律
案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和六年三月二十三日
委員長侯爵西〓從德
貴族院議長公爵德川家達殿
〔侯爵西〓從德君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=142
-
143・西郷從徳
○侯爵西〓從德君 「ロンドン」海軍條約實
施ニ伴フ海軍職工整理ニ關スル公債發行ニ
關スル法律案ハ我〓共委員ニ付託ニナリ
マシタ、案ノ內容ヲ簡單ニ申上ゲマスト、
「ロンドン」海軍條約實施ニ伴ヒマシテ、關
係職工約八千九百四十人ノ多數ガ解雇ニナ
ルノデアリマシテ、是等解雇者ニ特別手當
及旅費ヲ支給スル、其金額ハ六百二十六万
餘圓デアリマシテ、內現金十五万餘、公債
六百十一万餘ヲ用ユ、其公債ヲ時價ニ換算
イタシマスト、約六百八十万圓ト云フコト
デゴザイマス、右ニ付キマシテ委員會ニ於
キマシテハ、政府委員ヨリ型ノ如ク提案ノ
理由ヲ說明ニナリマシテ、次ニ自他共ニ本
院第一ノ勉强者ヲ以テ任ゼラレテ居ル所ノ
高橋老翁ガ事細カニ質問ヲ爲サレマシタ、
大藏海軍兩政府委員ノ一々答辯ガゴザリマ
シテ、委員ノ意見モ、誠ニ結構デアルト云
フコトニ一致ヲ致シマシテ、全會一致、原
案ヲ可決イタシマシタ次第デゴザイマス、
右報〓イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=143
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144・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 本案ノ第二讀會
ヲ開クコトニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=144
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145・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=145
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146・池田政時
○子爵池田〓時君 直チニ本案ノ第二讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=146
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147・清岡長言
○子爵〓岡長言君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=147
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148・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 池田子爵ノ動議
ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=148
-
149・徳川家達
○議長(公爵德川家違君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=149
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150・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 本案全部ヲ問題
ニ供シマス、全部原案ニ御異存ゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=150
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151・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=151
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152・池田政時
○子爵池田政時君 直チニ本案ノ第三讀會
ヲ開レムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=152
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153・清岡長言
○子爵〓岡長言君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=153
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154・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 池田子爵ノ動議
ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=154
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155・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=155
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156・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 第二讀會ノ決議
通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=156
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157・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=157
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158・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 日程第二十二ヨ
リ日程第二十四、政府提出、衆議院送付、
第一讀會ノ續、委員長報告、松木伯爵
勞働者災害扶助法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和六年三月二十三日
委員長伯爵松木宗隆
貴族院議長公爵德川家達殿
勞働者災害扶助責任保險法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和六年三月二十三日
委員長伯爵松木宗隆
貴族院議長公爵德川家達殿
勞働者災害扶助責任保險特別會計法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和六年三月二十三日
委員長伯爵松木宗隆
貴族院議長公爵德川家達殿
〔伯爵松木宗隆君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=158
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159・松木宗隆
○伯爵松木宗隆君 只今議題トナリマシタ
ル勞働者災害扶助法案外二件ニ付キマシテ
便宜一括シテ委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報
告申上ゲマス、委員會ニ於キマシテハ、本案
ノ規定イタシマスル所ハ大體適當ナルモノ
ト認メラレマシテ、委員會ニ於キマシテハ、
餘リ問答ガ重ネラレナカッタノデアリマス、
而シテ一委員ヨリシテ希望ヲ述ベラレタノ
デアリマス、ソレハ本案ハ御覽ノ如ク單ニ
立法ノ骨子ヲ現ハスニ止マッテ居ルノデア
リマシテ、多クノ場合ハ總テ之ヲ勅令ニ讓〃
テ居ルノデアリマス、斯ノ如ク勅令ニ廣汎
ナル委託ヲナシテ居リマスルニ依ッテ、此勅
令制定ノ際ニハ十分政府ハ當業者、關係者
ノ意見ヲ徵シテ、サウシテ之ガ實施ニ當ッテ
遺憾ノナイヤウニ希望スルト云フコトデア
リマシタ、而シテ他ノ委員ヨリモ亦同樣ナ
ル希望ヲ述べラレタノデアリマス、全委員
ハ全然此兩委員ノ御希望ニ贊成ヲ表サレタ
ノデアリマス、當局者ハ之ニ對シテ、本案制
定ノ際ニモ旣ニ關係當事者ノ意見ヲ徴シ、了
解ヲ求メ、而シテ本案ニハ異議異存ハナカッ
タト思フト云フコトデアリマス、斯ノ如クシ
テ本案ヲ提出シタコトデアリマスルカラ、
尙ホ將來勅令ノ起草若クハ命令ノ規定ノ場
合ニ於テハ、十分當事者ト協議ヲ遂ゲテ、サ
ウシテ御希望ニ副フベク努力スル積リデア
ルト云フ御答辯デアリマシタ、故ニ此點ヲ
御報〓申上ゲテ置キマス、斯クシテ委員會
ハ全會一致ヲ以テ三案共可決ニ相成リマシ
タコトデゴザイマス、右御報〓申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=159
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160・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 只今松木特別委
員長ノ報告セラレマシタ各法律案ノ第二讀
會ヲ開クコトニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=160
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161・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=161
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162・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ各案ノ第二讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=162
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163・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=163
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164・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=164
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165・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=165
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166・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 各案全部ヲ問題
ニ供シマス、原案ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=166
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167・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=167
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168・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ各案ノ第三讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=168
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169・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=169
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170・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ呼アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=170
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171・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=171
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172・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 第二讀會ノ決議
通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=172
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173・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=173
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174・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第二十五、
第二十六、會議、委員長報告、紀男爵
昭和四年度歲入歳出總決算竝昭和四年度
各特別會計歲入歲出決算及旣往年度檢査
未確定金額ノ檢査確定シタルモノヲ審査
第
昭和四年度歲入歲出總決算歲出臨時
部內務省所管第七款北海道攝殖費第
三項產業費中北海道廳ノ支出ニ係ル
件第四項土地改良費中北海道廳ノ
支出ニ係ル件、第三十一款災害費第
七項靜岡縣災害土木費補助中靜岡縣
ノ支出ニ係ル件か第四十六款震災復
舊費補助第一項震災土木費補助中神
奈川縣ノ交出ニ係ル件
昭和四年度歲入歲出總決算歲出臨時
部大藏省所管第十六款災害費第七項
横濱稅關建造物其他震災復舊費中橫
濟稅關ノ支出ニ係ル件、第二十款大
禮施設費第一項大禮施設費中內閣ノ
支出ニ係ル件
昭和四年度歲入歲出總決算歲出臨時
部陸軍省所管第二十八款支那事件費
補足第一項支那事件費補足中陸軍省
ノ支出ニ係ル件
昭和四年度歲入歲出總決算歲出臨時
部司法省所管第八款議員總選擧檢察
費第一項衆議院議員總選擧檢察費中
司法省、名古屋控評院及浦和外五地
方裁判所ノ支出ニ係ル件
昭和四年度各特別會計歲入歲出決算
大藏省所管專賣、局歲出第一款專賣局
作業費第二項事業費中大阪外四地方
專賣局ノ支風ニ係ル件
昭和四年度各特別會計歲入歲出決算
遞信省所管簡易生命保險歲出第三款
營繕費第一項簡易保險局新營費中遞
信省ノ支出ニ係ル件
昭和四年度各特別會計歲入歲出決算
招務省所管樺太廳蔵入經常部第二款
官業及官有腱產收丸第六啄森林收入
中樺木廳敷香支廳ノ徵收ニ係ル件、樺
太廳泊居支廳ノ徵收ニ係ルモノ二
件、樺太廳眞岡支廳ニ於テ收及未濟
ニ係ル伴、歲出臨時部第五款鐵道改
良費第一項鐵道改良費中樺太廳鐵道
事務所ノ支出ニ係ル件
官金中預金部資金ノ運用ニ關スル件
昭和三年度歲入歲出總決算歲出臨時
部內務省所管第七款北海道拓殖費第
三項產業費中北海道廳ノ支出ニ係ル
モノ二件、第三十六款震災復舊費補
助第一項震災土木費補助中神奈川縣
ノ支出ニ係ル件
右ハ政府ノ措置穩當ヲ闕クモノト認ム
第二
昭和四年度歲入歲出總決算歲入經常
部第一款租稅第一項所得稅中板橋稅
務署、伏見外八稅務署、札幌稅務署、
厩橋稅務署、永代橋稅務署、南稅務
署、南稅務署、足利稅務署、新發田
稅務署、東稅務署、南稅務署、伏見
稅務署、上京稅務署、札幌稅務署
東稅務署、上京稅務署、四谷稅務署
ノ徵收不足ニ係ルモノ十七件、西宮
稅務署、神田橋稅務署ノ徵收過ニ係
ルモノ二件、第三項營業收益稅中西
宮稅務署ノ後牧過ニ係ル件、第四項
資本利子稅中足科稅務署、新發田稅
務署ノ徵收不足ニ係ルモノ一一件、第五
項相續稅中明石稅務署、和歌山稅務
署ノ徵收ニ係ルモノ二件
昭和四年度歲入歲出總決算歲出經常
部大藏省所管第十三款諸支出金第一
項諸支出金中大藏省ノ支出ニ係ル
件
昭和四年度歲入歲出總決算歳出經常
部陸軍省所管第二款軍事費第五項兵
器及馬匹費中第一師團經理部ノ支出
ニ係ル作
昭和四年度歲入歲出總決算歲出經常
部海軍省所管第二款軍事費第五項造
船造兵及修理費中海軍省經理局ノ支
出ニ係ル件、第九項艦營費中横須賀
海軍經理部ノ支出ニ係ル件、横須賀
及吳海軍經理部ノ支出ニ係ル件
昭和四年度歲入歳出總決算歲出經常
部司法省所管第三款刑務費第三項收
容費中小菅外四十五刑務所及小田原
外七少年刑務所ノ支出ニ係ル件
昭和四年度歲入歲出總決算歲出經常
部農林省所管第三款試驗場及調査所
費第二項事業費中獸疫調査所ノ支出
ニ係ル件
昭和四年度歲入歲出總決算歲出經常
部遞信省所管第二款遞信費第二項遞
信事業費中遞信省ノ支出ニ係ル件、
遞信省經理局大阪出張所ノ支出ニ係
ル件、第五款年金及恩給第二項恩給
中時金局ノ支出ニ係ル件
昭和四年度歲入歲出總決算歲出經常
部拓務省所管第一款拓殖本省第二項
事務費中拓務省ノ支出ニ係ル〓
昭和四年度歲入歳出總決算歲出臨時
部外務省所管第九款國際會議諸費第
四項倫敦海軍會議參列費中外務省ノ
支出ニ係ル件
昭和四年度歲入歲出總決算歲出臨時
部大藏省所管第八款震災復舊及新營
費第二項工事費中內閣印刷局ノ支出
ニ係ル件
昭和四年度歲入歲出總決算歲出臨時
部海軍省所管第一款艦艇製造費第一
項補助艦艇製造費中海軍省經理局ノ
支出ニ係ル件
昭和四年度歲入歲出總決算歲出臨時
部司法省所管第二款營繕費第九項新
營費中市谷刑務所ノ支出ニ係ル件、
第三款震災復舊諸費第二項巢鴨刑務
所移築費中巢鴨刑務所ノ支出ニ係ル
件昭和四年度歲入歲出總決算歲出臨
時部農林省所管第四款營繕費第二項
新營費中獸疫調查所ノ支出ニ係ル件、
第三項修築費中獸疫調查所ノ支出ニ
係ル件
昭和四年度歲入歲出總決算歲出臨時
部遞信省所管第二十二款震災復舊及
新營費第三項電信電話施設費中東京
遞信局ノ支出ニ係ル件
昭和四年度各特別會計歲入歲出決算
文部省所管帝國大學歲入經常部第三
款東北帝國大學第二項諸收入中東北
帝國大學ニ於テ歲入ニ編入スヘキ件
昭和四年度各特別會計歲入歲出決算
鐵道省所管帝國鐵道收益勘定歲出第
一款鐵道作業費第一項事業費中鐵遣
省ノ支出ニ係ル件
昭和四年度各特別會計歲入歲出決算
拓務省所管朝鮮總督府歲入經常部第
一款租稅第三項營業稅中仁川府ノ徵
收不足ニ係ル件、第三款官業及官有
財產收入第二項鐵道收入中朝鮮總督
府鐵道局ニ於テ歲入ニ編入スヘキ
件、第三項森林收入中江原道金化郡
ク徵收ニ係ル件、第五項度量衡收入
中朝鮮總督府及同府殖產局商工課龍
山分室ニ於テ收入未濟ニ係ル件
昭和四年度各特別會計歲入歲出決算
拓務省所管臺灣總督府歲入經常部第
一款租稅第二項製茶稅中臺灣總督府
稅關ニ於テ收入ニ至ラサリシ件
昭和四年度各特別會計歲入歲出決算
拓務省所管關東廳歲入經常部第一款
租稅第三項所得稅中大連民政署ノ徵
收不足ニ係ル件、大連民政署ノ徵收
過ニ係ル件
昭和四年度各特別會計歲入歲出決算
拓務省所管樺太廳歲入經常部第一款
租稅第二項所得稅中樺太廳泊居支
廳、樺太廳豐原支廳、樺太廳泊居支
廳ノ徵收不足ニ係ルモノ三件
大正十二年度歲入歲出總決算歲出臨
時部內務省所管第二款治水事業費第
二項河川費中內務省仙臺土木出張所
ク支出ニ係ル件
大正十四年度歲入歲出總決算歲入經
常部第一款租稅第三項營業稅中橫濱
稅務署ノ徵收不足ニ係ル件
大正元五五年度歲入歲出總決算歲入經
昭和
常部第一款租稅第三項營業稅中橫濱
稅務署ノ徵收不足ニ係ル件
昭和二年度歲入歲出總決算歲入經常
部第一款租稅第一項所得稅中品川稅
務署、幸橋稅務署、玉造稅務署ノ徵
收不足ニ係ルモノ三件、第三項營業
收益稅中幸橋稅務署ヲ徵收不足ニ係
ル件
昭和二年度各特別會計歲入歲出決算
大藏省所管樺太廳歲入經常部第一款
租稅第二項所得稅中樺太廳泊居支廳
ノ徴收不足ニ係ル件
昭和三年度歲入歳出總決算歲入經常
部第一款粗稅第一項所得稅中幸橋稅
務署、南稅務署、品川稅務署、南稅
務署ノ徵收不足ニ係ルモノ四件、西
稅務署、西宮稅務署、幸橋稅務署、
西宮稅務署、神戶稅務署ノ徵收過ニ
係ルモノ五件、第三項營業收益稅中
西稅務署、神戶稅務署ノ徵收過ニ係
ルモノ二件、永代橋稅務署ノ徵收不
足ニ係ル件、板橋稅務署ノ徵收過ニ
係ル件、第四項資本利子稅中南稅務
署ノ徵收不足ニ係ル件
昭和三年度歲入歳出總決算歲出經常
部海軍省所管第二款軍事費第四項衣
糧費中海軍省經理局及佐世保海軍經
理部ノ支出ニ係ル件
昭和三年度歲入歲出總決算歲出臨時
部海軍省所管第二十二款支那事件費
補足第一項支那事件費補足中佐世保
海軍經理部ノ支出ニ係ル件
昭和三年度各特別會計歲入歲出決算
大藏省所管樺太廳歲入經常部第一款
租稅第十項營業收益稅中樺太廳大泊
支廳ノ徵收過ニ係ル件
右ハ政府ニ對シ將來ノ注意ヲ促スヘキモ
ノト認ム
第三
其ノ他異議ナシ
右之通議決セリ依テ及報告候也
昭和六年三月十九日
決算委員長
男爵紀梭秀
貴族院議長公爵德川家達殿
昭和四年度國有財產增減總計算書ヲ審査
第
陸軍省所管第五師團經理部ニ於テ廣
島市外似島所在土地ノ買收ヲ爲シタ
ル件
樺太廳ニ於テ敷香郡所在國有林木ノ
無償讓與ヲ爲シタル件
樺太廳ニ於テ島內販賣用薪材トシテ
國有林木ノ拂下ヲ爲シタル件
右ハ政府ニ對シ將來ノ注意ヲ促スヘキモ
ノト認ム
第二
其ノ他異議ナシ
右之通議決セリ依テ及報〓候也
昭和六年三月十九日
決算委員長
男爵紀俊秀
貴族院議長公爵徳川家達殿
〔男爵紀俊秀君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=174
-
175・紀俊秀
○男爵紀俊秀君 決算委員會ノ經過竝ニ結
果ヲ御報告申上ゲマス、決算ハ本議場ニ於
キマシテ、政府カラ別段御說明ガアリマセ
ヌノデ、極メテ簡單ニ申上ゲマスルガ、多
少數字ニ涉リマスノデ、御聽苦シイダラウ
ト思ヒマスケレドモ御聽キノ程ヲ願ヒタイ
ト存ジマス、昭和四年度ク經常部ノ歲入額ハ
十四億八千百十四万三千三百四圓、臨時部
ノ歲入額ハ三億四千五百三十万千四百四十
七圓、故ニ藏入合計十八億二千六百四十四
万四キ七百五十一圓、之ニ對シマシテ、歲
出ハ經常部ニ於キマシテ十二億千二百七十
二万六千八百六十圓、臨時部ニ於キマシテ
ハ五億二千三百五十九万百九十四圓、歲出
合計八十七億三千六百三十一万七千五十五
圓デアリマス、而シテ歲入歲出ノ差引剩餘
金額ハ九千十二万七千六百九十六圓、此差
額剩餘金額ハ昭和五年度ノ歲入ニ繰入レテ
ゴザイマス、此外ニ特別會計ハ此決算ニ於
キマシテ、三十四會計デアリマスルガ、此
金額ハ頗ル繁雜ニ涉ッテ居リマスルカラ、茲
ニ之ヲ省略イタスコトニ致シマス、委員會
ハ二月二十八日ニ第一囘ノ會議ヲ開キマシ
テ審査方針ヲ決定イタシタノデゴザイマ
ス、而シテ審査期限ニ付キマシテハ三月二十
日ト定メマシテ、之ガ審査ヲ各分科ニ付託イ
タシタノデアリマス、分科會ニ於キマシテ
ハ、各所管ノ部ニ付キマシテ愼重ニ審議ヲ
盡サレマシタ、各分科ハ假決議ヲ終リマシ
テ、三月十六日ニ主査ノ打合セ會ヲ開催イ
タシマシタ、十七日ニ各分科ニ於カレマシ
テ各所管ノ部ヲ議決シ、三月十九日ニ第二
囘委員總會ヲ開會イタシタノデゴザイマ
ス、委員會ニ於キマシテハ、各分科ノ主査
ヨリ詳細ナル報告ガアリマシタ、卽チ各分
科ヲ通ジマシテ議決セラレマシタ件數ハ、
政府ノ措置穩當ヲ闘クモノト認メタモノガ
十九件ゴザイマシタ、政府ニ對シ將來ノ注
意ヲ促スベキモノト認メマシタモノガ八十
件、其他ノ全部ハ、異議ナキモノト云フコ
トニナッタノデアリマシテ、之ガ採決ノ結果
ハ各分科主査報〓通り全會一致可決確定イ
タシタノデアリマス、其間第一分科ニ於キ
マシテ、又委員會ニ於キマシテ、官金中ノ
預金部資金ノ運用ニ關シマシテ、十分論議
ヲ盡サレタノデアリマスルガ、是ハ詳細ノ
コトハ速記錄ニ依クテ御覽ヲ戴キマシタ方
ガ便利カト存ジマス、第五分科ニ於キマシ
テハ、樺太廳ノ山林行政、卽チ材木ノ拂下
ニ對シマシテ、會計檢査院ノ批難ハ是ハ年
年ニアサマスノデ、之ガ審査ニ當リマシテ
ハ、其都度政府ノ方へ注意ヲ促シテ居ッタノ
デアリマシタガ、今年、四年度ノ決算ニ
於キマシテモ、四件現ハレマシタノデ、分
科會ニ於キマシテモ、段ミ論議ノ結果、次
ノヤウナ希望決議ヲ議決セラレタノデアリ
マス、希望決議ヲ御手許ニ配ッテ居リマスケ
レドモ御參考迄ニチヨット朗讀イタシマス
昭和四年度決算ヲ審査スルニ樺太廳ニ於
テ林木ノ拂下ヲ爲スニ當リ其措置宜シキ
ヲ得ザルモノ少カラズ甚タ遺憾ナルニ依
リ政府ハ將來十分ノ注意アラムコトヲ望
ム
斯ウ云フ希望決議ヲ附シタノデアリマス、
是ハ每年林木ヲ拂下ゲマスニ當リマシテ、
或ハ枯損木デナイノヲ枯損木トシテ計算イ
タシマシタリ、或ハ燒失木デナイモノヲ燒
失木ト致シマシタリ、或ハ又島內デ使用イ
タシマスル分ニ付キマシテハ、相當廉價ヲ
以テ拂下ゲルノデアリマスガ、ソレヲ島外
ニ移出イタシマシタリシテ居ルヤウナ、ド
ウモ每年拂下ニ關シマシテハ間違ッタコト
ヲ致サレテ、其都度決議ヲ致シテ居ルノデ
アリマス、然ルニ每年是ガ出テ參リマシタ
ノデ、今年ハ特ニ斯ウ云フ希望決議ヲ附シ
テ、サウシテ穩當ヲ闕クモノト決定イタシ
タノデゴザイマス、委員會ニ於キマシテハ
此希望決議ヲ諮リマシタ所ガ、全會一致可
決イクサレマシタノデ、玆ニ之ヲ御報告申
上ゲルコトニ致シマス、次ニ國有財產增減
ノ審査ニ付テ申上ゲマスガ、是ハ先例ニ依
リマシテ、二月二十八日ノ第一囘委員會ニ
於キマシテ、各分科カラ二名ヅツ選出ヲ致
シマシタ委員ト正副委員長ヲソレニ加ヘ
マシテ、此十二人ガ小委員會ニ於キマシテ
審査スルト云フコトニ相成リマシタノデ、
其小委員會ノ審査期間ハ矢張リ決算ト同ジ
ク三月二十日迄ニ審査方針ヲ定メマシテ、
之ガ審査ヲ此小委員會ニ付託イタシタノデ
ゴザイマス、小委員會ニ於キマシテハ委員
長ヲ互選イタシマシテ、是亦愼重ニ審査ヲ
セラレマシタ、其結果三月十八日ニ議決サ
レタノデアリマス、其〓要ヲ申上ゲマスト、
政府ニ對シマシテ將來ノ注意ヲ促スベキモ
ノト認メマシタモノガ三件アリマシテ、其
他ハ全部異議ナシト云フコトデ三月十九日
ノ委員總會ニ之ヲ御報〓ニナリマシタノデ
アリマス委員會ニ於キマシテハ其御報〓
ヲ問題ニ供シマシテ、採決ノ結果全會一致
小委員長報告ノ通リ可決イタシタノデゴザ
イマス、尙ホ或ル委員ヨリ政府ハ現國有財
產法ヲ植民地ニ適用スルノ意思アリヤ否ヤ
ト云フコトニ付テ、政府ト段と質疑應答ヲ
重ネマシタガ、結局政府ハ出來ルダケ速カ
ニ同法ヲ植民地マデ適用セラレルヤウニ考
ヘタイト云フ希望ヲ述べラレマシタ、其他
ノ事項ニ付キマシテハ、管ミシク相成リマ
スルカラ速記錄デドウカ御覽ノ程ヲ願ヒマ
ス、極メテ簡單デアリマスケレドモ、時節
柄此位ノ程度ニ止メテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=175
-
176・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 決算委員長ノ報
告ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ」発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=176
-
177・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=177
-
178・東園基光
○子爵東園基光君 私ハ玆ニ議案緊急上程
ノ動議ヲ提出イタシマス、卽チ本日委員長
ヨリ御報〓ガアリマシタ電氣事業法改正法
律案、自動車交通事業法案、牧野法案、競
馬法中改正法律案、以上ヲ此際追加セラレ
マシテ、直ニ委員長ノ御報告ヲ求メラレ審
議ヲ盡サレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=178
-
179・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=179
-
180・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 東園子爵ノ動議
ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ヲ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=180
-
181・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=181
-
182・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 電氣事業法改正
法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ
續委員長報告、大隈侯爵
電氣事業法改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和六年三月二十四日
委員長侯爵大隈信常
貴族院議長公爵德川家達殿
〔侯爵大隈信常君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=182
-
183・大隈信常
○侯爵大隈信常君 只今上程ニナリマシタ
電氣事業法改正法律案ハ申ス迄モナク基礎
產業タル電氣事業ノ統制ヲ目的トシテ居リ
マスル改正ヲ中心ト致シテ居ルモノデアリ
マス、而シテ我國ノ產業合理化ニ付キマシテ
ハ、最モ急ヲ要スル重要ナル法案ト認メラレ
ルノデアリマス、故ニ愼重ナル審議ヲ遂ゲマ
シタ次第デゴザイマス、電氣事業ハ輓近異
常ナル發達ヲ遂ゲマシテ、國民日常生活及
ビ各種產業ノ上ニ緊要缺クベカラザルニ立
至ッタノデアリマスガ、之ニ對シマシテ、現
行電氣事業法ハ其制定ガ既ニ古クシテ且ツ
規定ノ不十分デアリマスガ爲ニ、現在竝ニ
將來ニ對スル統制監督ノ基準トシテ不十分
ナルコトガ痛感サレルニ至ッタノデアリマ
ス、是ガ卽チ本改正法案ノ制定ヲ促シタ所
以デアリマス、從ッテ本案ニ於キマシテハ電
氣設備ノ合理化ヲ圖ル、所謂統制命令ノ規
定ヲ初メ、其事業ノ公共ニ對スル責任ヲ全
カラシメムガ爲ノ監督規定、事業者ニ對ス
ル諸般ノ業務ノ規定ヲ設ケマシテ、而モ巨
大ナル設備投資ヲ必要トスル事業ノ得失ニ
鑑ミマシテ電線路ニ關シマスル特權、事
業資金ノ調達方法等ニ關シ保護助長ノ規定
ヲナシマシテ、事業遂行ニ伴ヒマスル危險
公害ノ豫防ニ迄及ンデ居ルノデアリマス、
特ニ此統制命令ト、電氣料金ヲ認可制ニ依〃
テ公正妥當ナルモノニ導イテ行カウト云フ、
所謂料金認可制トノ二ツノモノハ、本案ノ
眼目ト考ヘラレルモノデアリマス、此故ヲ
以テ特別委員會ノ審議ニ於キマシテモ、是
等ノ諸點ハ最モ論議サレタ所デゴザイマ
ス、殊ニ統制命令ト申シマシテモ、是ニハ
完全ナル發電送電、各方面ノ基本計畫ヲ要
スルコトデモアリマスノデ、多數ノ委員諸
君カラハ政府ハ電力統制、就中國家資源ノ
利用ヲ如何ニ實行スル考デアルカ、本案中
ニハ所謂發電水力ニ關スル規定ガナイノハ
不十分デハナイカト云フヤウナ御質疑ガ
アッタノデゴザイマス、之ニ對シマシテ政府
ニ於キマシテモ我國水力資源ノ利用方法ヲ
決定スルニハ貯水池等ノ施設ヲ加味イタシ
マシタル、進步シテ居ル所ノ開發方法ヲ採
リ、石炭石油等ノ資源ノ節約ノ見地カラ、
水火力併用等ヲモ愼重考究ヲ致ストノコト
デアリマス、其他電氣設備ノ共用、電氣ノ
流用等ニ依リマシテ、電氣事業界ノ統制ヲ
其設備方法方面ヨリ實施シテ行キタイト云
フコトデアリマシタ、發送電ノ基本計畫モ
銳意調査ヲ進メテ居ルト云フコトデゴザイ
マシタ、尙ホ發電水力統制ハ水力ニ惠マレ
テ居ル所ノ諸外國ニ於キマシテハ既ニ此方
面ノ立法モ備ハッテ居ルモノガ多イノデア
リマシテ、政府ニ於キマシテモ是亦愼重ニ
調査ヲ進メテ居ルト云フ御答辯デアリマシ
ク、又電氣料金ノ基準ノ決定ハ一般需要家
タル國民ノ利害休戚ニモ關係スル所ガナカ
ナカ重大ナモノデアリマスルガ故ニ、此點
ハ又特ニ議論ノ多イ所デアリマシタ、政府
ニ於キマシテモ認可制ヲ採用シテ、成ルベ
ク供給條件ニ對シ公正ナル決定ヲ致シ得ル
ヤウ業務監督ヲ厲行シ、會計方面ノ準則ヲ
設ケ、豐富且ツ低廉ナル電氣ヲ確實ニ供給
スルコトヲ期スル趣旨ニ於テ之ガ運用ノ全
キヲ圖リタイト云フ御意見デアッタノデア
リマス、其外企業形體ニ關スル問題、發送
電ノ豫定計畫ニ關シマスル技術的方面ノ御
質疑等、各方面ニ亙ッテ、極メテ切實且ツ重
要ナル質問應答ガアッタノデアリマス、併ナ
ガラ此大體ハ速記錄ニ讓リマシテ、玆ニハ
省略シタイト思ヒマス、尙ホ本案ニ關シマ
シテ、衆議院ニ於キマシテ、第三十一條及
第三十二條ノ兩條ニ對シマスル所ノ修正ガ
アッタノデアリマス、卽チ第三十一條ハ、國
ニ於テ電氣事業ヲ營ム場合ノ規定デゴザイ
マスガ、第二十四條卽チ所謂統制命令ノ條
項ハ此種ノ事業ニモ適用セラルルコトニ
ナッテ居リマスケレドモ、此第三項ニ於テ、
此點ニ關シ勅令ヲ以テ別段ノ定メヲ爲スコ
トヲ得ルト云フ旨ノ規定ガアッタノデゴザ
イマス、之ヲ衆議院ニ於キマシテハ削除シ
タノデアリマス、ソコデ此第三項ヲ設ケラ
レマシタ所ノ理由及ビ此衆議院ノ削除ニ政
府ガ同意ヲ致シマシタ所ノ理由ヲ質シマシ
タノデアリマスガ、政府ノ說明ニ依リマス
ルト、統制ガ國家事業ニモ及ブノハ勿論デ
アルケレドモ、國家ノ機關相互ノ關係デア
リマスカラ、何カ特殊ノ形式ヲ採リタイト
云フ意味ヲ以テ此第三項ヲ設ケタ次第デア
ル、此事ハ併シ處理上ノ問題ニ屬シテ居ル
モノデアリマスカラシテ、此衆議院ノ削除
ガアッテモ何等ノ差支ガナイ故ニ、卽チ其實
質ニ於テ觸レル所ハナイガ故ニ、之ニ同意
シタト云フコトデアリマシタ、又第三十二.
條ハ新ニ設ケラレマス所ノ電氣委員會ノ規
定デアリマス、此機關ニ對スル諮問事項ノ
例示ガ原案ニ於キマシテハ統制命令ヲ發ス
ル場合ノミデアリマシタノヲ、衆議院ニ於
キマシテハ、第二十八條ノ第一項ノ場合、
卽チ事業特許ノ取消及會社ノ役員ノ改任ノ
各處分ニ關シマシテモ、例示スルコトニ修
正サレタノデアリマス、此點ニ關シマシテ
モ、政府ハ固ヨリ斯カル重大ナル處分ハ同
委員會ニ諮詢スル所ノ考デアルノデアル、偶、
此修正意見ニ接シタノデアルカラシテ、此
特許ノ取消ハ無論ノコト、會社ノ役員ノ改
任ノ如キ重大ナル處分ハ濫ニ行ハルベキモ
ノデハナイカラシテ、之ヲ衆議院ノ修正ニ
同意ヲ表シタ所以デアルト云フコトデゴザ
イマシタ、デ此二點ニ於キマシテモ政府ノ
意ノアル所ヲ諒ト致シタ次第デゴザイマ
ス、尙ホ此電氣委員會ノ構成デアリマスガ、
此構成ノ如何ニ依リマシテハ代表セラルル所
ノ社會上ノ利益モ種々ニ亙ッテ居リマスコ
トハ申スマデモナイ所デゴザイマスガ故
ニ、政府ニ於キマシテモ、其所見ヲ質シマ
シタル所、政黨政派又ハ地方的利害ニ偏セ
ザルコトハ無論、需用、事業兩方面ノ利益
ヲ公平適切ニ調和スルコトガ出來ルヤウ
ニ、朝野ノ有識者ヲ集メ、關係各方面カラ
モ適當ナル者ヲ選ンデ、各方面ノ利害ガ此
委員會ノ上ニ如實ニ反映スルヤウ善處スル
考デアルト云フ御說明デアッタノデアリマ
ス、而シテ本特別委員會ニ於キマシテハ
玆ニ希望條件ヲ付議イタシマシテ、全會一
致本案ヲ可決シタ次第デアリマス、其希望
條件ハ
政府ハ電力統制上重要ナル發送電豫定計
畫ノ重大性ニ鑑ミ其調査〓究ヲ最モ愼重
ニシ現在竝ニ將來ニ於ケル我國各般ノ產
業竝ニ國民生活上合理的ナル電力消費ヲ
計ルト共ニ電氣委員會ノ制定ニ當リテハ
單純ナル諮問ノ機關ニ止メス
法案第三十二條ノ規定ニ揭クル事項ハ勿
論其他電氣事業ニ關スル重要事項ニ付テ
ハ必ス付議スル機關トシ其組織權能ク最
モ適正ニ定メ以テ本法運用上遺憾ナキヲ
期セラレムコトヲ望ム
斯ノ如キ附帶決議ヲ致シマシテ本案ヲ可決
スルコトニ致シマシタ次第デアリマス、右
御報告申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=183
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184・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 本案ノ第二讀會
ヲ開クコトニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=184
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185・徳川家達
○議長(公爵德川家違君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=185
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186・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ本案ノ第二讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=186
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187・清岡長言
○子爵〓岡長言君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=187
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188・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=188
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189・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=189
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190・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 本案全部ヲ問題
ニ供シマス、全部原案ニ御異存ゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=190
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191・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=191
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192・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ本案ノ第三讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=192
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193・清岡長言
○子爵清岡長言君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=193
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194・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=194
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195・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=195
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196・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 第二讀會ノ決議
通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=196
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197・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=197
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198・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 報〓ヲ致サセマ
ス
〔瀨古書記官朗讀〕
本日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
自動車交通事業法案修正報告書発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=198
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199・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 自動車交通事業
法案、政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ
積委員長報告、東園子爵
自動車交通事業法案
右別冊ノ通修正議決セリ依テ及報告候也
昭和六年三月二十四日
委員長子爵東園基光
貴族院議長公爵德川家達殿
第三十七條國ニ於テ經營スル自動車運
輸事業及自動車道事業ニ付テハ第一條
乃至第三條、第九條(會計ニ關スル規
定ヲ除ク)、第十七條、條二十二條、第
二十四條及第五十四條乃至第五十七條
ノ規定ニ限リ本法ヲ適用ス
■ニ於テ自動車運輸事業又ハ自動車道
事業ヲ經營セントスルトキハ當該官廳
ハ主務大臣ニ協議ヲ爲スベシ
國ニ於テ自動車運輸事業ヲ經營シタル
爲之ト路線ヲ共通ニスル自動車運輸事
業者ガ其ノ區間ニ付事業ヲ繼續スルコ
ト能ハザルニ至リタルトキ又ハ著シク
收益ヲ減少スルニ至リタルトキハ政府
ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ事業者ノ
受ケタル損失ヲ補償スルコトヲ得殘存
路線メミニ付事業ヲ繼續スルコト能ハ
ザルニ至リタルトキ亦同ジ
〔子爵東園基光君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=199
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200・東園基光
○子爵東園基光君 只今上程セラレマシタ
自動車交通事業法案ノ特利委員會ノ經過竝
ニ結果ヲ御報告申上ゲマス、本案ハ重要ナ
ル性質ニ鑑ミラレマシテ、特ニ十五名ノ委
員ニ委託サレタノデアリマスガ、去ル十九
日以來前後五囘ニ跨リマシテ、其審議ヲ盡
シタメデアリマス、此經過ニ付キマシテハ、
時間ノ關係モゴザイマスルデ、遺憾ナガラ
詳細ニ申上ゲ兼ネマスルガ、主ナルモノニ
付キマシテ一應申上ゲタイト存ジマス、自
動車運輸事業ノ免許ニ當リマシテ、政府ハ
一路線一營業主義ヲ執ル方針デアルカト云
フヤウナ質問ガ、或ル委員ヨリ出マシタノ
デアリマス、之ニ對シマシテハ、一路線一
營業主義ヲ執ル方針デアルガ、既存ノ營業
者ガ餘リニ貧弱デアリマストカ、其他ノ關
係デ地方交通ノ需要ヲ十分滿クサヌト云フ
ヤウナ場合ニハ、極メテ稀ナル例外トシテ、
已ムヲ得ズ免許スル場合モアルト云フヤウ
ナ意味ノ返答デアリマシタ、又本法案第三
條ニ規定イタシマスル事業ノ基準ト申シマ
スルコトト、第四條ニ規定サレテ居リマス
ル有效期間ト云フコトニ付キマシテハ、ド
ウ云フ關係ガアルカト云フ質問ナドガアリ
マシタ、是ハ一見イタシマスルト、無關係
ノ條文ノヤウニ見エマスガ、此兩者ガ免許·
ヲセラルルニ當リマシテ、互ニ關聯スル條
項ニナッチ居リマス、卽チ一定ノ基準ニ適合
イタシテ居リマスモノナラバ、之ニ對シマ
シテハ有效期間ヲ附セナイト云フコトヲ免
許ノ原則ニサレテ居リマス、又之ニ反シマ
スルモノハ一時的ニ免許ヲスルトカ、或ハ
相當ノ有效期間ヲ限ルト云フヤウナコトニ
ナルノデアリマス、又次ニ起リマシタ質問
ハ現在警視廳令等ニ於テ規定サレテ居リ
マス現行ノ自動車取締令ト云フモノガゴザ
イマス、是ト本法案ノ關係ガドウデアルカ
ト云フヤウナ質問ガアリマス、是ハ今囘ノ
自動車交通事業法ハ自動車運輸事業ノ監
督、卽チ交通行政上ノ見地カラ是ガ助長發
達ヲ促ス爲ニ適當ノ監督統制ヲ爲スヲ主眼
トサレテ居ルノデアリマス、従ヒマシテ警
察的ノ取締ヲ內容ト致ツテ居リマスル自動
車取締令トハ其性質ヲ異ニ致シテ居リマシ
テ、各、獨自ノ別個ノ目的ヲ持〓テ〓ルノデ
アリマス、其故ニ本法案ガ成立イタシマシ
テ施行サレマス場合ニハ、自然兩者ニ重複
イタシテ居リマス關係ハ除カレマシテ、自
動車取締令ハ相當改正セラレル順序ニ相成
ルデアラウト云フコトデアリマス、斯ク致
シマシテ、一方全體ヲ統制サレマシテ、運
輸事業ノ發達ヲ圖リ之ガ統制ヲ掌ラレマス
ノハ專ラ鐵道省デ行ハレルコトニ相成ルノ
デアリマス、ソレカラ次ニ又自動車運輸事
業ニ對シマシテ鐵道大臣、内務大臣及地方
長官ノ權限ノ關係ハドウデアルカ、斯ウ云
フ質問ニ對シマシテ政府ノ答辯ハ、自動車
運輸事業ニ關スル主務大臣ハ專ラ鐵道大臣
デアル、唯官廳內部ノ事務ノ聯絡ノ爲ニ或
ル事項ニ付キマシテハ其關係上、內務省ノ
關係局ニ諮ルト云フヤウナコトニナッテ居
ルサウデアリマス、又地方長官ニ對シマシ
テハ、從來ハ御承知ノ通リ、自動車ノ許否
ニ關シマスルコトハ地方長官ガ致シテ居リ
マシタガ、今同ハ總テ是ハ鐵道大臣ノ方ニ
移ルコトニ相成リマシタガ、尙ホ事業ノ監
督上ノ必要カラ相當ノ權限ヲ委任セラレル
方針デアル、斯ウ云フ答辯デアリマス、又
次ニ自動車道ト云フコトニ付キマシテ、自
動車道ハ道路デアルカ、或ハ道路法ノ適用
ヲ受クルモノデアルカ、又ハ地租免除ノ關
係ハドウデアルカ、若シ道路法ノ適用ガナ
ク、地租ノ免除モ受ケナイモノトスルナラ
が、別段之ヲ道路ト云フ必要ガナク、字口
鐵道軌道ト相似タ別個ノ通路ト云フ方ノ觀
念ニシタ方ガ實際的デハナイカト云フヤウ
ナ御質問モアリマス、之ニ對シマシテ政府
ハ、本法ノ自動車道ニハ、一般自動車道ト
專用自動車道トノ二種ガアル、前者、卽チ
一般自動車道ハ道路デアル、廣ク道路ト云
フ中ニハ道路法ニ依ル道路、卽チ公道ノ中
ニ私道······私ノ道、ヲ包含シテ居ル、之川
ハ別段ノ法律ハ制定サレテ居ナイケレド
モ、此一般自動車道ハ私道ノ一種トシテ本
法中ニ規定シクノデアル、併シ後者、卽チ
專用自動車道ハ、事業者ノ專用ニ供スルモ
ノデアリマスカラ、道路デハナイト云フ答
辯ガアリマシタ、之ニ付テ委員ノ中ニハ
同ジ法律ノ中ニ似寄リノモノヲ規定シテ、
一ツハ道路デアルガ、他ハ道路デハナイト
云フコトハ適當デナイカラ、寧ロ是ハ一般
及專用通ジテ、本法中ノ自動車道ハ是ハ
道路以外ノ別個ノ觀念デアルトシタ方ガ宜
イト云フヤウナ意見モアリマシタ、斯ノ如
ク種々ナル關係ヨリ相當質問ガ多クゴザイ
マシテ、色ミノ意見モ現レタノデアリマス
ルガ、其中ニ於キマシテ最モ論ジラレマシ
タコトハ、國ガ自動車營業ヲ始メマシタ場
合ニ於キマシテ、之ニ共通シテ居リマス所
ノ路線上ニ於テ既設ノ自動車營業者ノアス
タ場合ニ於ケル是ガ補償ハ如何ニスベキ
カ、或ハ既設ノ地方鐵道又ハ軌道ノアリマ
シタ時ニハ之ニ對スル損害ノ補償ハ如何
ニスベキカト云フヤウナ論ガ最モ深ク議セ
ラレタノデアリマス、之ニ付キマシテ衆議
院ニ於キマシテモ、自動車ノ、旣設ノ自動車
ニ對シマシテノ補償等ニ付キマシテハ相當
ノ補償ト云フヤウナ意味ノ希望ガアッタサ
ウデアリマスルガ、此本委員會ニ於キマシ
テモ、種々論議ノ緒果、玆ニ第三十七條ノ
中ニ次ノ一項ヲ加ヘマス(コトヲ決定イタシ
マシタ、卽チ「國ニ於テ自動車運輸事業ヲ經營
シタル爲之ト路線ヲ共通ニスル自動車運輸
事業者ガ其ノ區間ニ付事業ヲ繼續スルコト
能ハザルニ至リタルトキ又ハ著シク收益ヲ
減少スルニ至リタルトキハ政府ハ勅令ノ定
ムル所ニ依リ其ノ事業者ノ受ケタル損失ヲ
補償スルコトヲ得殘存路線ノミニ付事業ヲ
繼續スルコト能ハザルニ至リタルトキ亦同
ジ」、此一項ヲ加ヘルコトニ致シマシテ、大
體本案ノ原案ヲ認メタ次第デアリマス、尙
ホ討論ヨリ採決イタスニ當リマシテ、茲ニ
二ツノ希望ヲ添ヘマシテ本案ヲ決定イタシ
タ次第デアリマス、卽チ其
一「國ニ於テ自動車運輸事業ヲ經營シタ
ル爲旣存ノ地方鐵道又ハ軌道ニ損害ヲ
與フル場合ニ於ケル補償問題ニ關シテ
ハ政府ニ於テ更ニ十分ナル攻究ヲ遂ゲ
速ニ適當ナル方策ヲ立テラレムコトヲ
望ム
二國ニ於テ經營スル重要ナル自動車運
輸事業ニ付テハ鐵道會議ノ諮詢ヲ經ル
コトノ制ヲ設ケラレムコトヲ望ム
此二ツノ希望決議ヲ附加セラレタノデア
リマス、斯ク致シマシテ本自動車交通事業
法案ハ只今申上ゲマシタ如ク、補償ニ關シ
マスル規定ノ一項ヲ加へ、更ニ二ツノ希望
ヲ附帶イタシマシテ玆ニ原案ヲ可決イタシ
タ次第デアリマス、此段報告イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=200
-
201・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 本案ノ第二讀會
ヲ開クコトニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=201
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202・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=202
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203・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=203
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204・清岡長言
○子爵〓岡長言君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=204
-
205・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=205
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206・徳川家達
○議長(公爵徳川家違君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=206
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207・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 委員會ニ於テノ
修正案ヲ書記官ヲシテ朗讀ヲ致サセマス
〔瀨古書記官朗讀〕
第三十七條ニ左ノ一項ヲ加フ
國ニ於テ自動車運輸事業ヲ經營シタル
爲之ト路線ヲ共通ニスル自動車運輸事
業者ガ其ノ區間ニ付事業ヲ繼續スルコ
ト能ハザルニ至リタルトキ又ハ著シク
收益ヲ減少スルニ至リタルトキハ政府
ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ事業者ノ
受ケタル損失ヲ補償スルコトヲ得殘存
路線ノミニ付事業ヲ繼續スルコト能ハ
ザルニ至リタルトキ亦同ジ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=207
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208・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 本案全部ヲ問題
ニ供シマス委員長ノ報告通リデ御異存ゴ
ザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=208
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209・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=209
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210・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=210
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211・清岡長言
○子爵〓岡長言君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=211
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212・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=212
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213・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=213
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214・徳川家達
○議長(公爵德川家遠君) 第二讀會ノ決議
通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=214
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215・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=215
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216・徳川家達
○議長(公爵德川家違君) 牧野法案、競馬
法中改正法律案政府提出、衆議院送付、第
一讀會ノ續、委員長報告、黑木伯爵
牧野法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和六年三月二十四日
委員長伯爵黑本三次
貴族院議長公爵德川家達殿
競馬法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和六年三月二十四日
委員長伯爵黑木三次
貴族院議長公爵德川家達殿
〔伯爵黑木三次君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=216
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217・黒木三次
○伯爵黑木三次君 只今議題トナリマシタ
ル牧野法案ノ委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報
〓イタシマス、本案ハ委員會ヲ開催イタシ
マシタノハ今日ノ午前デゴザイマシタ、愼
重審議イタシマシテ可決イタシマシタ次第
デゴザイマス、其質疑應答ノ主モナルモノ
ヲ御報告イタシタイト存ジマス、是ハ主ト
シテ馬ヲヤルモノデアルカ、又ハ牛ノ爲デ
アルカ、斯ウ云フ御質問ガゴザイマシタ、
是ハ第一條ニゴザイマス「牛馬ノ生產飼育ノ
爲放牧又ハ採革ヲ爲スヲ目的トスル土地」ト
云フ、此點ニ關シテデゴザイマシタ、政府
當局ハ法ノ對象トシテ牛馬ト言ッテ居リマ
スルケレドモ、今囘ノ奬勵金ハ馬ニノミ限〃
テ居ッテ、牛ニハ之ヲ出サナイ、斯ウ云フコ
トデゴザイマシク、而シテ其奬勵金ノ額ハ
ドノ位デアルカト云フ御話デゴザイマシタ
所ガ、今年度ハ約九万五千圓、來年度ニ於
キマシテハ二十六万七千圓ヲ支出スルコト
ガ出來ル、斯ウ云フ御話デゴザイマシタ、
我國ノ一體放牧地ト云フモノハドノ位アル
ノデアルカ、斯ウ云フ御尋ニ封シマシテ、
採革地ト申シマスカ、是ハ草ヲ刈ルニ適シ
タル所デゴザイマス、是ハ六十五万町步ゴ
ザイマシテ、放牧地ハ八十四万町步アルト
云フコトデゴザイマシタ、而シテ此牧野法
ガ出來マスレバ牧野組合ト云フモノガ出來
マスノデゴザイマスガ、此組合トシテ、ド
ノ位出來ル見込デアルカト、斯ウ云フ質問
ニ對シマシチ、約此法律ニ依クテ出來ル組
合ハ四千クラヰノ程度デアラウ、斯ウ云フ御
話デゴザイマシタ、又此牧野組合ト云フモ
ノハ、主トシテドウ云フ組合ノ例ニ倣ヲテ居
ルモノカ、斯ウ云フ御質問ニ對シマシテ、
是ハ强制加入ト云フ點ニ於キマシテハ畜產
組合ニ似タモノデアリマスルガ、全體トシ
テハ民法ノ法人ニ做フテ居ルノデアル、斯ウ
云フ答デゴザイマシタ、又組合員ノ資格ヲ
法律デドウ定メテ居ルカト云フ斯ウ云フ御
質問ニ對シマシテハソレハ第四條ニゴザ
イマスル、牧野ニ於テ放牧又ハ採草ヲ爲ス
者是ガ其資格者デアル、斯ウ云フ風ニ答
ガアリマシタ、而シテ課稅ニ付テハ僅ニ此
牧野組合ト云フモノハ登錄稅ノミヲ二十三
條ニ於キマシテ免除シテ居ルケレドモ、是
バカリデ宜イノデアラウカ、外ニ何モ免除
規定ヲ置タ必要ハナカラウカ、斯ウ云フ御
質間ニ對シマシテハ、右ノ課稅ノ、登錄稅
デゴザイマス、ソレノ外ニハ特ニ是ト云クテ
課ス必要ハナイモノデアル、斯ウ云フ御答
デゴザイマシタ、ソレデ基本財產ノ如キモ
ノハ、ナカ〓〓今ノ狀態ニ於キマシテハ持ツ
コトガ出來難イノデアル、カルガ故ニ奬勵
金ヲヤルノデアル、斯ウ云フ御話デゴザイ
マシタ、其他種々質疑應答ヲ重ネマシテ討
議ニ入リ採決ヲ取リ、マシタ所、滿場一致、
可決イタシマシタ次第デゴザイマス、次ヘ
競馬法中改正法律案ニ付キマシテ此經過竝
ニ結果ヲ御報〓申上ゲタイト存ジマス、是
ハ二十二日午前十時カラ始メマシテ、二十
二日ハ約八時間ホド審議イタシマシタ、又
二十三日同ジク其位イタシマシタ、本日正
午ニ討論ニ入"テーツノ希望決議ヲ······條
件ヲ附帶イクシマシテ之ヲ可決イタシマシ
タ次第デゴザイマス、先ヅ其希望ノ決議ヲ
讀ンデ見マス
一敷府ハ勝馬投票劵ヲ分割シテ投票シ
得ル途ヲ開クベク本法實施ニ際シ考慮
セラルルト共、ニ將來競馬法改正ノ際ニ
於テ勝馬投票劵ノ合理化ニ關シ更ニ充
分留意セラレンコトヲ望ム
一政府ハ複勝式ノ實施ニ當リ歐洲ニ於
テ普ク行ハルル佛國式ヲ採用シテ單勝
式複勝式併用ノ趣旨ヲ徹底セシメラレ
ンコトヲ望ム
此二ツデゴザイマシタ、是ハ衆議院ニ於
テモ亦希望ノ條件ヲ附セラレテ居リマスル
ノデ、是ハ旣ニ御手許ニアリマスル速記錄
ニ依ッテ旣ニ御承知ノコトト存ジマスルカ
ラ是ハ省キマス、而シテ是ノ主タル質疑
應答ヲ御紹介申上ゲタイト存ジマス、今囘
ノ此法律案ノ改正ニ於キマシテ、社會事業
ニ投ズル爲メ、他ニ納付金ノ金額ノ三分ノ
一ヲヤルト云フコトハ少シク意ヲ得テ居ラ
ナイ、是ハマダ今ノ所ノ產馬ノ狀態ヨリ見
ルト、非常ニ遺憾ノ點ガアルカラ、宜シク
全部ヲ使用スルヤウナ產馬改良ニ使用スル
ト云フ意思ハナイカ、斯ウ云フ御質問ガゴ
ザイマシタ、是ハ政府ノ御答辯ト致シマシ
テハ、牧野法ノ制定ト云フヤウナコトモア
リ、豫ネテ競馬法ノ改正デハ調査中デアッタ
ガ、社會事業ノ急施ヲ要スルモノガアッテ
改正ノ機ヲ早メタモノデアッテ、サウシテ新
タニ二百万圓バカリノ之ニ依ッテ得マスル
財源ヲ得マシタカラ、從來競馬倶樂部ヨリ
地方納付金トシテ納メタモノヲ、今囘ハ地
方稅ヲ課セザルコトトシテ以テ、競馬收得
金ノ三分ノ一ヲ超エナイ金ヲ社會事業ノ爲
ニ支出スル次第デアッテ、財源ガアルニ至レ
バ或ハ社會事業ノ金額ヲ成ベク減少セシメ
ルヤウ努力スルケレドモ、必ズ新財源ハ社
會事業ニ充テ、以テ其額ヲ減少セシメ、ト
云フ風ニ斷言スルコトガ出來ナイ、斯ウ云
フ御答デゴザイマシタ、又產馬法實施以來
馬匹ノ改良ハドウ云フ、ドノ位ノ程度デア
ルカ、斯ウ云フ風ナ御質問デゴザイマシタ、
馬匹ハ約百五十万頭、是ハ馬匹ノ改良ノ計
畫ノ第一期ノ······第二期ノ理想ノ頭數デゴ
ザイマスガ、之ニマダ全部達シテ居ラナイ
ケレドモ、漸々其理想ヲ實現スルニ近イト
云フ御答デゴザイマシタ、玆ニ改正ノ第六
條ノ第二項「勝馬投票的中者無キ場合ニ於
ケル賣得金又ハ前項但書ノ規定ニ依リ生ジ
タル超過金ハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ勝
馬投票劵ヲ購買シタル者ニ拂戾スベシ」ト
云フ、此「超過金ハ命令」ト云フ、此命令ノ
內容ハドウ云フモノデアルカ、斯ウ云フコ
トヲ承リタイ、斯ウ云フ御質問デゴザイマ
シタ、是ハ倶樂部ノ事情ニ依リマシテ、許
ス限リ成ベク拂戾サセルト云フノデゴザ
イマス、併ナガラ或モノハナカ〓〓會計不
如意ナモノガアルカラ、其點ハ能ク事情ヲ
察シテ命令ハ作ルノデアリマス、斯ウ云フ
御答デゴザイマシタ、ソレカラ此第十四
條ニゴザイマスル處罰規定ノ中デ、是ハ
所謂呑屋ト云フ者ノ横行ヲ之ニ依ッテ制セ
ムトスル規定デゴザイマスルガ、此呑屋
ノ橫行スル原因ト云フノハ馬劵ガ餘リ
高過ギテ居ルカラ却テ斯ウ云フモノガ出
來ルノデアッテ、馬劵ノ二十圓ト云フヤ
ウナモノヲ、モウ少シ低クシタナラバ
之ガ却テ斯ウ云フ規定ヲ置カナクトモ
自然ト消滅スルモノデアルマイカ、斯ウ云
フ御質疑ガゴザイマシタ、所ガ此點ニ關シ
マシテ内務省當局ニ嚴重ナ取締ヲ打合セテ
居ルカラ、サウ云フヤウナコトニシナクトモ
十分ニ取締ルコトガ出來ルト思フ、ソレニ
且ツ此度ハ單勝式バカリデナク複勝式モ併
·セタカラ、之ニ依ッテ幾ラカ額モ小サクナルカ
ラ、此點ニ於テ防グコトガ出來ル、斯ウ
云フ御話デゴザイマシタ、ソレカラ第二條
ノ第二項ニ「六日內ヲ八日內ニ改ム」ト云
フ風ニゴザイマシテ、日數增加ノコトガゴ
ザイマス、是ハ今マデモ六日內デモ、ナカ
ナカ苦シカッタモノヲ八日トシタナラバ却
テ番組ノ趣味ヲ缺イタリ、又色ミナ馬ガ傷
ミ、又騎手ノ八百長ト云フヤウナコトガ行
ハレヤシナイカ、斯ウ云フヤウナ御話デゴ
ザイマシタガ、所ガ併シ是ハ今ハ馬ガナカ
ナカ多クナッテ居フテ、八日ト云フコトニシ
テモ優ニ競走ノ興味アリ、又不正ノ行爲ナ
クシテ行フコトガ出來ルモノデアルカラ、
八日ニシタノデアッテ、ドノ競馬場モ皆八日
ニシロ、斯ウ云フヤウナ意味デナイ、出來
ナイ所ハ五日デモ構ハナイ、サウ云フヤウ
ナ御話デゴザイマシタ、而シテ是ハ少シク
法案ニハ關係イタシテ居リマセヌガ、歐洲
大戰爭ニ使用シタル馬ノ數及馬ニ對スル對
策ハドウ云フ風ナコトヲシテ居ルカ、斯ウ
云フ御質問ガゴザイマシタ、是ハ大戰ノ馬
ノ數ハ聯合側ガ四千四百万頭位ゴザイマス、
ソレカラ又獨逸側ノモノガ九百九十万頭近
ク使用サレ、而シテ馬ノ使用ニ關シテハ機
械ガ幾ラ發達シテモ、ドウシテモ軍部ノ要
求ト云フモノハ減ルモノデハナイ、斯ウ云
フ御答ガゴザイマシタ、而シテ此第四條ニ
ゴザイマスル一人一枚ヲ限ッテ單勝式······
複勝式トナッタ場合ニハ二枚トナリマスガ、
一枚ト云フモノニ限フテ居ル、之ヲイツマデ
モ嚴守シテ下サルモノデアルカ、斯ウ云フ
御質問ガゴザイマシタ、是ハ將來一般ノ考
ガ進ンデ、何枚買"テモ割合ニ、弊害ニ陷ラ
ナイト云フヤウナ歐羅巴各國ノ狀況ヲ見マ
スレバ、其程度マデニ馬匹ニ關スル皆サン
ノ了解ガ出來レバ、サウ云フ風ニ改正ヲス
ル、又多クスルカモ知レナイケレドモ、今
ノ所ニ於テハ、サウ云フ考ハナイ、斯ウ云
フ御話デゴザイマシタ、而シテ地方競馬ニ
モ競馬法ヲ制定スル意思ガナイカ、斯ウ云
フ御尋ガゴザイマシタ、地方競馬ニ付テハ
規則属行ニ努ムルト共ニ競馬場ノ整理統一
ヲ圖ッテ設備ノ改良ヲ奬勵シテ、出走馬ノ調
〓、騎乘技術向上等ノ指導ヲスルコトニ留
意シテ居ル、又競馬施行ノ良否ハ馬事ノ振
興上重大ナル關係ヲ有スルヲ以テ、地方競
馬ノ特質ヲ發揚セシムルニ努メツツアルノ
デアッテ、地方競馬ノ爲メ法律ヲ制定スルコ
トニ付テハ、現行法規施行後未ダ日淺イノ
デアルカラ、〓究スル事項ガ多イカラ目下
考究中デアルト、斯ウ云フ御答デゴザイマ
シリ、而シテ此度八日ト云フ風ニ競馬ノ日
ニチガ延ビタニ付テハ定メテ此競馬ヲ一
年中ニヤル日ニチガ多クナリハシナイカ
ト、斯ウ云フ御質問デゴザイマシタガ、併
ナガラ今度ノ此八日トナリマスルト重複ス
ル、例ヘテ申シマスレバ、關西ニ於テ行ハ
レテ居リマスル日ニチニ於テハ、今ハ關東
デハ行ハレテ居リマセヌガ、ソレガ兩方重
複スルヤウナコトニナルコトガ、八日トナ
ルト起ルカラ、結局現行ハ一年ノ中ニ百三
十二日位ヤッテ居ルケレドモ此案ガ通クテ
八日トナレバ、案外少クナッテ百二十二日位
ノコトニナリハシナイカト云フ御話デゴザ
イマシタ前囘ニ此法律ガ改正ヲサレマシ
タル際ニ競馬場ノ增設ト云フコトガ非常
ニ强ク主張サレテ居リマシタガ、今囘ハ何
故ニ其點ニ對シテハ改正ノ意思ガナイノデ
アルカ、斯ウ云フ御問ガゴザイマシタ、之
ニ對シテ競馬場ノ新設ハ競馬界ノ諸般ノ
狀況ニ依ッテ決シナケレバナラナイノデ、今
ハ其時機ニアラズト認メタカラ、今囘ハ增
設ト云フヤウナコトハ致サナイノデアル、
斯ウ云フ御答デゴザイマシタ、又是ハ主ト
シテ農林當局及ビ陸軍當局トノ問答デゴザ
イマシタガ、一番最後ノ日、卽チ今日ノ午
前ニ於キマシテ、內務大臣ノ出席ヲ求メラ
レタ委員ガゴザイマシテ、其方ヨリ地方廳
ニ於テ公認競馬ヨリ徵收シテ居ル納付金ハ、
今囘ノ改正ニ依ッテ徵收シ得ザル結果トナッ
テ、之ニ代ルモノハ何ヲ以テスルカ、斯ウ
云フ御質問カゴザイマシタ、殊ニ之ヲ地方
競馬ニ求メラレタナラバ、地方競馬ノ發達
ヲ阻害スルコトニナリ。ハシナイカ、救護法
實施ノ財源ヲ地方競馬ニ求メタナラバ、地
方競馬ノ發達ヲ阻害シハシナイカ、斯ウ云
フ御質問ガゴザイマシタ、之ニ對シテ內務
大臣ハ公認競馬ニ對シ、地方稅ヲ課セザル
ニ至ルヲ以テ、多少ノ影響ガアルカモ知レ
ナイ、現ニ課稅シテ居ルノハ橫濱ト福岡縣
デアッテ、此地方競馬ノ入場劵發賣高ハ約二
千万圓デアッテ、五分ノ稅ヲ課ストシテモ、
百万圓デアルガ、地方ニ依ッテ多少異。テ居
ルケレドモ、之ニ依ッテ大抵其憂ハナイト、
斯ウ云フ御答デゴザイマシタ、又福岡縣ノ
如キハ大キナ縣デアルカラ、且ツソレニ今
度ノ此事ニ於キマシテ、五万圓バカリノ負
擔ニナルノデアルカラ、是ハ何トカソチラ
ノ方デ善處スルコトガ出來ルノデアル、斯
ウ云フ御答デゴザイマシタ、又競馬法ノ制
定及ビ改正ノ際ニハ十分〓究シ、風〓上害
ナシト認メタルモノヲ、今日改正シテ日數
ヲ增加シ、又枚數ヲ二枚トスルガ如キハ、
風〓ニ影響ガナイカ、斯ウ云フ御問ニ對シ
マシテハ、枚數モ複勝式ニ依ッテ增加シテ、
且ツ二日間位ノ日數ノ增加ト云フモノナラ
バ大シタ弊害ハナイ、斯ウ云フ風ニ認メテ、
內務大臣モ主務大臣タル農林大臣ノ提案ニ
贊成シタモノデアリマス、斯ウ云フ風ナ質
疑デゴザイマシタ、ソレデ御質疑應答ヲ打
切リマシテ、討論ニ入リマシタ、其際ニ西
星子爵ヨリ本案ニ對シテハ個人トシテハ修
正シタイ所モアルケレドモ、會期逼迫ノ今
日デアルカラ、原案ニ贊成スル、併シ之ニ
對シテ希望ノ決議ヲ附シタイ、斯ウ云フ御
要求ガゴザイマシテ、先程讀上ゲマシタル
ヤウナ希望ノ決議ヲ要求サレタ次第デゴザ
イマス、而シテ又中村君ヨリ修正ノ意見ガ
出マシタ、ソレハ納付金ノ三分ノ一ト云フ
モノヲ社會事業ニヤルケレドモ、是ハ寧ロ
外ノ財源ヲ以テソレニ充テテ、此財源ハ須
ク馬事改良ニ用フベキデハナイカ、カルガ
故ニ此點ヲ「竝ニ社會事業ノ爲必要ナル經費」
ト云フヤウナ文句ガアリマス、之ヲ削ヲタラ
ドウカ、斯ウ云フヤウナ修正ノ動議ガ出マ
シタ、此修正ノ動議ヲ委員會ニ諮リマシタ
ル所、贊成者ハゴザイマセヌデ、其動議ハ
破レマシタ次第デアリマス、サウシテ只今
御紹介申上ゲマシタ如ク西尾子爵ノ希望決
議ト云フヤウナモノヲ附シテ、此案ノ可決
ヲ議場ニ問ヒマシタ所、滿場異議ナク議決
サレタ次第デゴザイマス、之ヲ以テ競馬法
中改正法律案ノ委員會ノ經過竝ニ結果ノ御
報〓ヲ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=217
-
218・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 委員長ノ報告ハ
兩案一括セラレマシタガ、採決ハ先ヅ以テ
牧野法案ノミト御承知ヲ請ヒマス、本案ノ
第二讀會ヲ開クコトニ御異存ゴザイマセヌ
ガ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=218
-
219・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=219
-
220・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ本案ノ第二讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=220
-
221・清岡長言
○子爵〓岡長言君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=221
-
222・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=222
-
223・徳川家達
○議長(公爵德川家違君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=223
-
224・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 本案全部ヲ問題
ニ供シマス、全部原案ニ御異存ゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=224
-
225・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=225
-
226・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ本案ノ第三讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=226
-
227・清岡長言
○子爵〓岡長言君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=227
-
228・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=228
-
229・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=229
-
230・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 第二讀會ノ決議
通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=230
-
231・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=231
-
232・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 次ハ競馬法中改
正法律案ヲ問題ニ供シマス、是ニハ土方寧
君ノ通〓ガゴザイマス、同君ノ發言ヲ許シ
マス、此際デゴザイマスカラ御自席デ願ヒ
タイト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=232
-
233・土方寧
○土方寧君 自席デモ長クナルカモ知レマ
セヌ、此度政府ガ提出ニナリマシタ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=233
-
234・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 土方君ハ餘リ簡
單デモナイト云フコトデゴザイマスカラ登
壇ヲ願ヒマセウ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=234
-
235・土方寧
○土方寧君 サウデゴザイマスカ、サウ長
クハナリマセヌガ··
〔土方寧君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=235
-
236・土方寧
○土方寧君 此競馬法改正案ニ付キマシテ、
遺憾ナガラ私ハ反對ヲセザルヲ得マセヌ、
此意見ヲ成ルベク簡單ニ申上ゲマシテ、成
ルベクハ御贊成ヲ得タイト思ヒマス、實ハ
私ハ海軍軍縮問題ト此問題ヲ除ク外、般
ニ申シマスト云フト現政府ノ施政ノ方針ニ
全然贊成ヲシテ居ルモノデアリマス、軍縮
問題ハモウ條約モ出來マシタカラ、後カラ
何ト云フテモ、後始末ヲ考慮スル外仕方アリ
マセヌガ、此法案ニ付テハ是非否決セヲレ
ルヤウニ希望シテ居ルモノデアリマス、ズン
ト前ニハ今日ノ現行ノ法規、所謂勝馬投票
劵ト云フコトヲ、同ジコトヲ馬劵ナドト云〃
テ居タタ期期ガアリマス、其馬券附ノ競馬ガ
一時大變ニ盛ンニ行ハレマシテ、非常ニ弊
ガアルト云フコトヲ認メテ、確カ四十年デ
アリマセウ、禁止セラレタノデアル所が
馬匹ノ改良ト云フコトハ實際必要ニハ相違
アリマセズ、其必要トソレカラ競馬ヲ開催
スルモノノ方ハ、無論表面ハ營利的デアリ
マセスガ、實際ハ彼等經營者ト云フモノノ
私腹ヲ肥スヤウナコトモアルヤウデアリマ
シテ、其方面カラノ主張モアリマセウ、
衆議院ニ丁度何デシタカ、誰ノ内閣デアリ
マシタカ、四十一年ニ衆議院カラ提案ニナ,
タケレドモ、ソレハ否決ニナッタ、是ハ四十
一年デアリマス、其後其儘ニナッテ居ッタヤ
ウデアリマスガ、大正十一年ニ現行ノ競馬
法ガ法案トシテ時ノ內閣、加藤友三郞內閣
2枚四十六議會ニ提案セラレタ、之ニ
對シマシテハ私ハ今日同樣ニ反對ノ意見ヲ
述ベタノデアリマス、自分ノ考ハ、要點ハ、
馬匹ノ改良モ必要デアラウ、併シ外ニ方法
モアラウ、斯ウ云フ賭博類似ノ方法デ競馬
ヲスルト云フコトハ人心ヲ惡化セシメルカ
ラ、望マシクナイト云フノガ主眼デアリマ
シテ、同樣ナ考ヲ有フテ居ル人モ外ニアリマ
シテ、今日ハ見エナイヤウデアリマスガ、
同僚ノ上山君ナドカラモ委シクサウ云フ同
趣意ノ質問ガアリマシタ、私ハ當時ノ陸軍
大臣ガ山梨大將デ、主トシテ政府ノ提案ノ
說明ヲセラレ、答辯ノ任ニ當ラレタ、十何
點ノ質問ヲ致シマシタ、幾分ハ大臣自身ニ
御答ニナリ、幾分ハ司法次官、今大審院次
席檢事ノ林君ガ答辯セラレマシタ、何レモ
失禮ナガヲ試驗問題ニスレバ落第ナヤウナ
御答デ、滿足ヲ得ナカッタノデアリマス、欠
レドモソレハドウデモ宜イ、自分ノ意見ヲ
言ヘバ宜イノデアリマス、上山君ノ總理大
臣·······加藤總理大臣ニ對スル御質間ノ要點
ハ此内閣ハ官紀肅正ト云フコトヲ施政ノ
縄紀トシテ居ルト云フコトダが、ソレデド
ウモ〓博類似ノ競馬ノ法ヲ提出スルト云フ
ユトハ矛盾シテ居ヤシナイカ、官紀肅正
ノ主義ニ反シハシナイカト云フノガ主眼デ、
私モ同感デ、私等モ總理大臣ノ意見ヲ······
多少似寄ノタコトヲ御尋ネシマシタラ、其御
答ハ速記錄ヲ御覽ニナレバ分リマスガ、官
紀肅正トノ關係ニ付チ上山君ノ言ハレルコ
トハ洵ニ御尤モナヤウニモ思フ、私自身ト
シテハ實ハ斯ウ云フ案ハ好マナイケレド
モ、馬匹ノ改良ハ如何ニモ必要デアッテ、外
ニ良イ方法ガナイカラ已ムヲ得ナイ、斯ウ
言ヒマシタ、實ニドウモ承服出來ナイマア
御答辯デアリマス、已ムヲ得ナイト云フコ
トニ付チモ追究ツマシタガ、思フニ軍部關
係カラ是非提出セヨト云フコトデアッテ屈
服セラレタカト想像シテ居リマス、ソンナ
譯デ到頭アレガ出來タ、私ノ其案ニ對スル
十幾ツノ質問ト云フモノノ主眼ハ、前ノ馬
劵附ノ競馬ヲ許シテ居フタ時分ニハ、何モ別
段取締規則ガナカッタカラシテ色ミナ弊害
ガアッタ、其經驗ニ徵シテ今度ハ色〓綿密ナ
取締ノ規則ヲ設ケルカラ、サウスレバ其弊
害ハ除クコトガ出來ルト云フノガ由梨大將
ノ、陸軍大臣ノ御答辯デアッタ、ドウモ私ノ
考デハ、ソレハ取締規則デ嚴守セシメルヤ
ウニ十分力ヲ盡セバ幾分效能ガアラウガ
元ヒアヽ云フコトハ中ミ文字通リ取締リ出
來ルモノデナイ、幾ラ細ク規則ヲ作ラレテ
モ、ソレガ行ハレルモノデナカラウト云フ
コトヲ申シテ置キマシタ、其後自分ニハ能
ク分リマセヌガ、ドウモ每年競馬ノアル度
ニ可ナリ多クノ反則者ガアルヤウニ聞イテ
居リマシタカラ、ソレデ先日此議案ガ第一
讀會ニ日程ニ上ポリマシタ時ニ、政府當局
ニ此一兩年ニ每年全國デ開催セラレル十一
倶樂部ノ重モナ競馬ト、地方的ナ小サナモ
ノノ數、其競馬場ニ於ケル反則者ノ種別ト
數ト云フコトヲ伺ヒタイト云ッテ、ソレカラ
又比較スル積リデ、普通ノ賭博犯ノ近年一
兩年ノ數ト云フモノヲ伺ヒマシタ、是ハ書
付デ御返事デ宜シイト云フコトデ戴キマシ
タ、所ガソレヲ今日日程ニ上ボルト思ヒマ
セヌデシタカラ宅ヘ忘レテ來マシテ、折角
戴イタケレドモ、色ミ數ガ書イテアリマス
ガ覺エテ居リマセヌ、購博犯ノ數ハ每年多
イ、ソレニ比ベマスト競馬場ノ反則者ト云
フモノハ私ノ想像ヨリハ大變ニ少イ、ソレ
ガ事實有リノ儘デアラウト、私ハマダ十分
ニ信用ガ出來マセヌ、普通ノ賭博犯ニ對シ
マシテハ警察力ヲ以テ檢擧シテ居リマス
決シテ競馬場ニ於ケル反則者ト云フモノヲ
同ジ程度ニ於テ、取締ルヤウナ態度ヲ示シ
テ居ナイカラ、大部分ハ反則ハ見遁ガサレ
テ居ルデアラウト私ハ思ヒマスケレド
モ、ソレハ私ノ想像ダカラ當テニナリマセ
メガ、決シテ反則ハ少クナイト思フ、政府
當局ノ御答ノ中ニハ種別ガ出ナイノデアリ
Vく、反則ニモ、色〓通リガアラウト思
フ、御分リニナッテ居ナカッタノデアラウト
思フ、全體政府デハ監督スル意モ十分ナカ
ラウト思フ、反則ノ種別ト數ト云フノデ
數ダケ出テ來マシタ、僅カナ數ガ······種別
ノコトハ御答ガナイカラ、多分御分リニナッ
テ居ナイト思フ、監督シテ行カナイカラソ
コマデ調ベテナイト思フ、地方的競馬
ノ數モ伺ッタケレドモ、一向御知セガナ
1、十一倶樂部ノ春秋二囘ヅツ催スト云フ
コトダケハ私共聞カナクテモ知ッテ居ル
其外地方的ノハ幾ツ每年アルカト伺ヒマシ
タガ、ソレガ御答ガナイ、或ハ特ニ御調ベ
ニナラナケレバ分ヲテ居ナイノデナイカ、此
地方的競馬ニ於テハ勝馬投票劵ト云フモノ
ハ發賣ヲ許シテナイ、唯勝馬ト賞金ヲ、賞
品ヲ與ヘルト云フコトダケデアル、若シ其
競馬ヲ催ス開催者ガ、勝馬投票劵類似ノモ
ノデモ發行スルトカト云フコトヲスレバ、
無論制裁ヲ受ケルコトニナリマセウ、法デ
以テ許ウテナイカラ······又ソレカラ見物ニ
行ッタモノガ、彼等デ購ヲスル、ソレハ野球
ノ賭デモ相撲ノ賭デモ同ジコトデアリマ
ス、普通ノ賭博犯ニナリマスカラ、賭事ニナ
レバ普通ノ刑法デ罰セラレルデアリマセ
ウ、ソンナ譯デアルカラ、地方的ノ競馬ニ
モ色ミナ反則者ガアルニ相違ナイト思ヒマ
スカラ、十分監督シナクチヤナラヌト思
フ、地方官ヲ監督シ、地方官ガ又其競馬場
ノ實況ヲ能ク見テ監督シナタチヤナラヌト
思ヒマスガ、ソレモ十分シテハ居ナイダラ
ウト私ハ思フ、何シロ農林省ノ方ガ、地方
的ノ競馬ガ年々幾ツアリマスカト云フコト
ヲ御存ジナイノカ、聽イテモ御答ガナイ、
ソンナ譯デ放任シテ置キマシタ日ニハ、私
ノ考デハ競馬法ノ中ニ可ナリ綿密ノ取締規
則ガアリマシテモ、決シテ行ハレルモノヂ
ヤナイ、反則者ハ、私ハ御答ガアリマシタ
ガ、其數ハ此處ニアリマセヌ、家ニ置イテ
來マシタカラ······意外ニ少イノデス、ソレ
ハ私ノ考ヘルノニ、ヨク〓〓目ニ餘ル者ガ
處刑ヲ受ケタノデ、本當ノ取締精神デ檢擧
ヲスレバ、更ニ何倍モ何十倍モアラウト思
フ、是ハ私ノ推測デアリマスカラ分リマセ
天カ、ソンナ譯デドウシテモ私ノ考デハ、
此勝馬投票劵附ノ競馬ヲ許スト云フコトニ
ナリマスト云フト、サウ云フ法律ガナケレ
バ生ジ得ナイ反則者ヲ作ルヤウナモノデア
リマス、斯ウ云フ勝馬投票劵ヲ發行シ得ル
競馬ヲ許可シテナケレバ、ソンナ反則者ハ
出來ハシナイ、無制限ニ許シテハ······取締
ヲ細カク煩瑣ナ規則ヲ拵ヘテ、其制限ノ下
ニ許シテモ其制限ガ行ハレナイ、ソレガ法
律ガアル爲ニ出來ル反則者デアリマス、實
ニ愚ナ話ト私ハ考ヘル、此十一年ノ現行ノ
競馬法ノ提案ニナッタ時分ニハ、モウ既ニ我
國ノ民心ハ餘程廢頽シテ、動モスルト惡化
スル傾向一方デアル時デアリマス、世人ハ
民心ノ善導ヲ主張スルト云フコトヲ一般ニ
唱ヘテ居ッタ時分デアリマセウ、其必要ハ今
日ヨリモモウ少シ多イノデス、ケレドモ如
何ニ馬匹ノ改良ガ必要デアラウトモ、馬ノ
改良ヲスル爲ニ人心ガ惡化スルト云フコト
ヲ無視スルト云フコトデハ、實ニ輕重ヲ〓
倒シタ話ト思フ、之ニ付テハ重ネテ申スモ
オカシイノデアリマスガ、當時同僚デアッタ
御方デ他界セラレタ方モアルノデアリマ
ス、十一年後ニ新タニ議席ニ出ラレタ方モ
アリマスカラ、御聞キニナッタラ驚クヤウナ
コトガアルカラ、序ニ御參考ニ申上ゲル、
ソレハ何故カト云フニ馬匹ヲ奬勵スル熱心
ノ餘リ、他ノ事ヲ全ク無視シテ殆ド盲目同
然ノ態度デ居ラレルト云フコトガ分ル、ソ
レハ明治三十年頃デアッタト思ヒマスガ、
當時ハ日本帝國ニ最高學府ハ、帝國大學ト
云フモノガ東京ニ一ツシカナイ時デアリマ
ス、其時ノ總長ノ官制ハ勅任官デアリマ
ス、所ガ馬匹改良ノ必要カラ其馬政局ガ設
置セラレタ時ノ、其官制ガ樞密院ニ諮詢セ
ラレタ、其官制ニ依ッテ總裁ハ親任官、ソ
レハ事情カラ云フト大イニ譯ガアッタ、前
ニ大臣ヲセラレタ方デ、曾禰荒助サンガ擬
セラレテ居ノタノダケレドモ、樞密院デハ
ドウシテモソレヲ承服シナイ、最高學府ノ
總長ガ勅任官、馬政局總裁ガ親任官、ドウ
シテモソレハ〓倒シテ居ルト言ハレテモ
ソレハ一言モナイデセウ、故ニ官制ハ樞密
院ノ意見ニ依ッテ勅任官ニ改マッテ、サウシ
テ人ハ前ニ大臣モシタ方デアリマスカラ、
馬政局長官ハ勅任官デアッテ、特ニ親任官
ノ待遇ヲ賜フト云フコトニナッタコトガア
ル樞密院デサウ云フ意見ガナカッタナラ
バ、馬政局······馬ヲ世話スル親方、一番上ノ
役人ガ人間ヲ支配スル者ヨリ上デアルト云
フコトニナル、是程馬鹿ゲタコトハナイト
思フ、ソンナ心持ガドウモ馬ノ改良ヲ主張
スル人ハ、馬ノ改良バカリ考ヘテツイ極端
ニ行クコトガアルト思フ、十一年カラコ、
八九年ノ違ヒデアリマスガ、無論馬匹ノ改
良ハ今尙ホ必要デアリマセウ、ケレドモ其
必要ハ十一年ヨリハ今ノ方ガ少イト思フ、
飛行機ガ發達シ、自動車ガ發達シ、軍用ト
シテモ或ハ產業上ノ駄馬トシテモ、飛行機
ヤ自動車モ今日ダケ發達シテ居ナカッタ十
一年ヨリ必要ハ少イト思フ、民心ハドウカ
ト云フト十一年ヨリ今日ノ方ガ更ニ惡化シ
テ居"テモ善クハナッテ居リマセヌ、國民殊
ニ靑年ナド將來我國ヲ雙肩ニ擔ノテ立ツベ
キ年齡ノ人ガ、質實剛健ノ精神ニ乏シク、
輕佻浮薄ニ流レ、ドウモ自己的判斷心ガ乏
シイ所カラシテ、危險ナル外來思想ニ感染
スルト云フヤウナコトガアル、實ニ憂フベ
キ事デアリマス、ドウシテモ民心ノ善導ト
云フコトハ目前ノ必要デアリマス、ト云ッテ
ドウモドウ云フ手段方法ヲ取レバ今迄惡ク
向イテ行ク人心ヲ良イ方ヘ向ケルコトガ出
來ルカ、ナカ〓〓人爲的ニ容易ニ出來ルモ
ノデアリマセヌ、先ヅ遠イヤウデアリマス
ガ詰リ結局ハ〓育ノ效果ニ仰グヨリ仕方
ガナイ、誰カマア路ニ迷ッテ居ル者、ソレ
ハアナタ彼方ヘ行ッタラ間違デス、此方ヘ
行ッタ方ガ宜シイト云フヤウニ、簡單ニ善
導スルコトハ出來マセヌ、所ガ〓育ハドウ
カト云フト、私ノ考デハ、私モ先年五年バ
カリ麴町ノ學務委員長ニナッタコトガアリ
マスノデ、初メテ初等〓育ノ實況ヲ見マシ
タ、〓科書モ直グニ讀ンデ見マシタ、スッカ
リ、ソレカラ參觀モ同僚ノ學務委員トシマ
シノ、見タ所デハ小學校ノ〓育ノ方ガ、ソ
レ以上ノ〓育ヨリハ〓育ノ方法トシテハ〓
シテ整ッテ居ルト思ヒマス、ケレドモ結果
ハ餘リ現ハレナイト云フモノハ學校ダケ
ノ事ニ考ヘテ居ルシ、今日ノ小學兒童ノ父
母ハ大體同ジヤウナ小學〓育ヲ受ケテ來タ
人デアリマスケレドモ、學校ヲ出ルト云フ
ト、モウ自分ノ習ッタコトハ些ットモ頭ニ
殘ッテ居ナイ、自分ノ子供ガ學校へ行ッテ
習ッテ來ル、歸ッテ來テ自分ノ父母ノスル事
ヲ見ルト、學校デ先生ニ〓ハック事ト合ハ
ナイヤウナコトヲシテ居ル、ソンナヤウ
ナコトヲシテ折角學校デ能ク〓ヘテ下
サッテモ、父母ガ打壞ハスト云フコトニナ
ル、コンナ事デハ果シテイツニナッタラ我ガ
國民精神ト云フモノガ作興セラレ、鞏固ナ
忠良ナ臣民トナルコトガ出來ルダラウ
カ、實ニ慨カハシイコトト考ヘルノデアリ
マス、私ノ考ヘマスル所デハ此法案ノ如キ、
改正案ノ如キ前カラアリマスル、私カラ言
ヘバ廢シテ貰ヒタイ現行ノ競馬法モ、ソレ
ハ問題ニナリマセヌカラ仕方アリマセヌケ
レドモ、今度ノ改正案デアルト每年開催セ
ラレル春秋十一倶樂部ノ競馬ノ日數ヲ殖ヤ
ス、ソレカラ複式ノ勝馬投票劵ト云フモノ
ヲ發行シテ居ルカラ、一人ヨリ二人餘計出
來ルト云フト、ドウシテモ賭事ニ類似シタ
コトガ出來ル範圍ト、ソレヲ爲シ得ル時間
ガ延長スルダケ、多ク弊害ガ生ズルダラウ
ト思フ、尙更ソレダカラ反對スル、實ハ全
廢ヲ主張シタイケレドモ、ソレハ問題ニナ
リマセヌカラ、其弊害ヲ益〓大ナラシムル
ヤウナ改正法ト思ヒマスカラ反對シマスノ
デアリマス、現行ノ競馬法デアリマシテモ、
私ノ考ヘテ居ル所デハ〓育勅語、是ハ〓育
勅語ト云フコトニ名ガナッテ居リマスガ、實
ハ大變ニ誤解ヲ招イテ居ルト思ヒマスガ、
明治二十三年十月三十日ニ御發布ニナリマ
シタ〓育勅語、ソレカラ明治四十一年デアツ
タト思ヒマスガ御發布ニナリマシタ戌申詔
書、ソレカラ關東地方ノ大震火災後ニ御
發布ニナリマシタ精神作興ニ關スル詔
勅是等ノ勅語、詔勅ナドヲ拜讀イタシマ
スト云フト、何レモ競馬法ノ勝馬投票劵ト
云フモノヲ發賣スル競馬ヲ許スト云フヤウ
ナコトハ、ドウシテモ是等ノ勅語、認勅ノ
御精神ト兩立シナイト思ヒマス、私ノ考デ
ハ······教育勅語ノ中ニ「恭儉己レヲ持ツ」ト云
フコトガアリマス、「兩臣民父母ニ孝ニ兄弟
ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ恭儉己レヲ持
シ博愛衆ニ及ホシ學ヲ修メ業ヲ習ヒ」云々、
「恭儉己レヲ持シ」ト云フコトト此賭博類似
ノコトヲスルト云フコトハ決シテ兩立シナ
イト思ヒマス、ソレカラ戊申詔書、是ハ日
露戰爭後······實ハ日〓戰爭後ノアノ三國干
渉デ遼東還付ノ後、所謂臥薪嘗膽ト云フ譯
デ、大變ニ人間ガ奮發シタ、國ノ存亡ヲ賭
シテ大國露西亞ト戰ッテ勝ッタト云フノデ、
勝誇ッテ一時商賣繁昌シ、成金ナドモ澤山出
來タ時ガアリマスガ、大變ニ民心ガ浮華放
縱ニ流レタノデアリマス、ソレヲ明治天
皇ガ御憂ヒニナラレテ、明治四十一年十月
十三日ニ御發布ニナリマシタノガ戊申詔書
デアリマス
〔副議長公爵近衞文麿君議長席ニ著ク〕
長クナリマスカラ皆ハ讀ミマセヌガ、其中
ノ一部分ヲ拜讀イタジマス、「宜ク上下心ヲ
一ニシテ忠實業ニ服シ勤儉產ヲ治メ惟レ信
惟レ義醇厚俗ヲ成シ華ヲ去リ實ニ就キ荒怠
相誠メ自彊息マザルベシ」、斯ウ云フヤウナ
御言葉ト、博打、賭博ニ似寄ッタヤウナコト
ヲスルト云フコトハドウシテモ兩立シナ
イ、ソレカラ又大正十二年九月一日ノ大震
火災後、東京市及附近ノ郡部ノ人心ガ全ク
混亂狀態ヲ呈シ、戒嚴令ガ布カレタ位デア
リマス、私ナドモ夜警ヲ三週間モヤッテ居リ
マシタ、併シ自分ノ居ル所ハ比較的被害ハ
少カッタノデアリマスケレドモ、郡部ハ餘程
酷カッタ、其時分ニ大正十二年ノ十一月ノ十
日ニ、國民精神作興ニ關スル詔勅ト云フモ
ノガ御發布ニナッテ居リマス、此初メニ「朕
惟フニ國家興隆ノ本ハ國民精神ノ剛健ニ在
リ」云々、ソレカラ中略イタシマスガ、「是
ヲ以テ先帝意ヲ〓育ニ留メサセラレ」、是ハ
明治天皇ノ〓育勅語ノコトデアリマス、是
ハ大變ニ······皆讀ミタイノデアリマスガ長
クナリマスカラ略シマスガ、ソレカラ先ヘ
行キマシテ「輓近學術益〓〓開ケ人智日ニ進ム
然レトモ浮華放縱ノ習漸ク萠シ輕佻詭激ノ
風モ亦生ス今ニ及ヒテ時弊ヲ革メスムハ或
ハ前〓ヲ失墜セムコトヲ恐ル」ト云フコト
ガゴザイマシテ、實ニ畏イ御言葉デアリマ
ス、「今ニ及ヒテ時弊ヲ革メスムハ或ハ前〓
ヲ失墜セムコトヲ恐ル、ソレカラ先ノ方ニ
行キマシテ、宜ク〓育ノ淵源ヲ崇ヒ」ト云
フノハ〓育勅語ノ御精神ヲ實行スルコトデ
アリマセウ、ソレカラ「智德ノ竝進ヲ努メ綱
紀ヲ肅正シ風俗ヲ匡勵シ浮華放縱ヲ斥ケテ
質實剛健ニ趨キ輕佻詭激ヲ矯メテ醇厚中正
ニ歸シ人倫ヲ明ニシ親和ヲ致シ公德ヲ守リ
テ」云々、ソレカラ先ニ行キマシテ、「入リ
テハ恭儉勤敏業ニ服シ」、是ハ「恭儉己レヲ
持シ」ト云フコトト同ジ意味デアリマセウ、
ソレカラ「產ヲ治メ」云々ト云フコトガアリ
マス、〓育勅語ト云ヒ戊申詔書ト云ヒ大正
十二年ノ大震火災後ノ精神作興ノ詔勅ト云
ビ、何レモ堅實ナル忠良ノ國民タルニ必要
ナル所ノ聖旨デアリマス、サウシテ此賭博
類似ノ馬劵附ノ競馬ヲ許スト云フコトハ、
此聖旨ニ正ニ相反スルモノト私ハ思ヒマ
ス、此勅語ノコトニ付テ誰ガ〓育勅語ト申
シタノカ、實ハ〓育勅語ト名ガ付イテ居ル
ガ爲ニ誤解シテ居ルモノデハナイカト私ハ
豫テカラ考ヘテ居リマス、所謂〓育勅語ノ
中ニ、前略「此レ我カ國體ノ精華ニシテ〓育
ノ淵源亦實ニ此ニ存ス」〓育ト云フコトハソ
コニアルダデケアリマス、何モ〓育ト云フコ
トガ······〓育ト云ヘバ主ニ普通ノ人ハ學校
ノ〓育ヲ指スノデアリマスガ、ソンナコト
デハナイ、サウ云フヤウナ考デアレバコソ、
小學校ノ生徒ニ〓育勅語ヲ〓ヘテモ、學校
ヲ出テシマヘバ忘レテシマフノデアリマ
ス、ダカラ世ノ中ニ出テ居ル者ハ殆ド忘レ
テシマッテ居ル、甚ダ失禮デアリマスガ、內
閣諸公モ空デ仰シヤッテ御覽ナサイト云ッタ
ラ、字句ハ多少間違ノテモ宜シイトシテモ、
大體空デ仰シヤルコトハ出來ナイデハナカ
ラウカト思ヒマス、此〓育勅語ト云フモノ
ハ決シテ唯學校ノ〓材ニスルト云フダケノ
モノデハアリマセヌ、是ハ勅語ノ終リニア
ル所ノ句デモ分リマセウ、「朕爾臣民ト倶ニ
眷々服膺シテ咸其德ヲ一ニセンコトヲ庶幾
フ」ト仰セニナッテ、天子樣御自身ガ自分モ
守ルカラオ前達モ守レト仰シヤッテ居ラレ
ル、サウシテ又勅語ハ何時發布ニナリマシ
タカト云フト、明治二十二年ニ發布セラレ
タ欽定憲法ニ依リマシテ、明治二十三年ヲ期
シテ第一議會ガ開カレル約一箇月前ノ二十
三年十月三十日ニ發布ニナッタ、約一箇月前
デアリマス、私ノ考デハ此〓育ノ御趣旨ト
云フモノヲ能ク奉體シテ居ナケレバ、欽定
憲法ニ依ル立憲政治ト云フモノモ十分ニハ
行フコトハ出來ナイ、其任ニ當ラルル內閣
ノ諸公ヲ始メ、之ヲ根本ト致サナケレバ立
憲政治ト云フモノニ適フヤウニ、又國民ニ
幸福ヲ與ヘルヤウニ行フコトハ出來ナイト
確信シテ居リマス、サウ云フヤウナ譯デ、
ドウモ私共ノ考デハ、現行ノ競馬法モ成ラ
ウナラ廢シタイ、併シソレハ問題ガ今サウ
ナッテ居ラヌカラ仕方ガアリマセヌガ、今度
ノ改正案ハ會期ヲ長クシ、ソレカラ勝馬投
票劵ヲ買フ機會ヲ多クシ便利ニシテ、多ク
ノ人ニ買ハセルヤウニスルト云フヤウナコ
トガアッテ、旣ニ在ル弊害ガ益、增大スルコ
トニナリマスカラ、セメテハ弊害ヲ大ナラ
シムル修正ハ廢メテ貰"テ、差支ガアッタナ
ラバ全廢シヤウト思ッテ居ル位デアリマ
ス、所ガ此競馬法ノ一體、改正案ガ出タノ
ハ新聞ナドノ云フコトハ必シモ當テニナリ
マセヌケレドモ、ドウモ救護法ノ財源ノ爲
ニ起ッタラシク思フ、サウスルト云フト
馬事ニ關係ノアル人カラハ默ッテ居マセヌ、
牧野法ナドハ前ニ提案ニナヲテ否決ニナッ
テアルコトモアルヤウデス、成程、必要
ナ立法デアラウト思ヒマス、今度政府ノ方
デハ財源ニ窮シ改正ヲ圖ルト云フコト
ニナリマスト云フト、サウ云フ譯ナラバ前
カラ主張シテ居ル牧野法ヲ拵ヘヤウト云フ
コトデアッテ、政府納入金ノ三分ノ二ハ其方
ニ充テル、ソシテ三分ノ一ヲ社會事業ニ充
テル、此競馬法ナルモノヲ馬匹改良ノ目的
ヲ以テ充テルト云フ、所ガソレハ馬ヲ改良
スルノハ宜シイガ、人心ヲ惡化スルノデア
リマスカラ、是ハ社會的ニ考ヘテ何トモ彼
トモ解シヤウガナイ、前ニモ御話シタ通
リ、人ト馬トノ輕重ヲ辨別シナイヤウナ盲
目同樣ナコトヲスル人ガアッタ位デアリマ
スカラ、實ニ私共ノヤウナ者ハ、私ガ氣違
ヒカ、私ガ氣違ヒデナケレバ、ソンナコト
ヲスル人ガ氣違ヒデ、常人ノ穩健ナル頭デ
判斷ガ出來ナイ、鹿ト馬ト辨別出來ナイノ
ヲ馬鹿ト世間デ言ヒマスガ、小サイ馬ト大
キナ角ノナイ馬トハ、チヨット見分ケガツカ
ヌカモ知レナイガ、人ト馬トノ輕重ノ辨別ガ
出來ナイノハ何ト云ヒマスカ、一體ソンナ
人ハナイ譯ダカラ言葉ガナイ位デアリマ
ス、サウ云フ位デアリマスカラ私ハ極力其
修正案ニ反對シマスガ、其結果、好イ財源
ガ無クナルト云フノハ、私モ何トカ別ニ考
ヘナケレバナラヌト思ヒマス、救護法ト云
フモノノ財源ガ必要ダト云フ、此救護法ハ
成程、必要デアリマセウ、我ガ同胞ノ國民
ガ原因ノ如何ニ拘ラズ、目前ニ現ニ生活ノ
途ヲ失ッテ打ッチヤッテ置クト餓死スルカモ分
ラヌト云フ者ガアル場合ニハ、ドウシテモ
救ッテヤラナケレバナラヌ譯デアリマス、人
道トシテモ看過スルコトガ出來ナイモノデ
アル、救護法ハ非常ニ必要ナモノデアリ
マセウ、所ガ唯今、財政窮乏デ、ドウモ財
源ガ無イモノダカラ、據所ナク斯ウ云フ所
ニ財源ヲ求ムルケレドモ、私ハソレナラバ
斯ウシタラ宜カラウト思フ、官邸費ト云フ
モノヲ廢シテシマフ、機密費ヲ廢シテシマ
フ、マア多少例外ヲ設ケマス、現在、總理
大臣始メ皆官舍ヲ持フテ居ル、拓務省ガ出來
タ時分デ、急ニ買フカ借リルカシテ拓務大
臣ノ官舍ニ付テ問題ガ起,タ、コンナ馬鹿ナ
コトハナイヂヤアリマセヌカ、大臣ガナゼ
官邸ニ入ラナケレバナラヌカ、職務ハ所屬
官廳ニ出勤シテ執レバ宜イ、自宅デハ何モ
職務ヲ執ラヌデモ宜イ、自分ノ家ガナケレ
バ借家デモ「ホテル」ニ居フテモ構ハヌ、其方
ガ能率モ上ガリマス、今ノヤウニ不經濟ナ
ル官舍ニ居ッテ、大臣ニ依ッテハ所屬官廳ニ
出勤セヌ人ガアル、サウスルト官吏ガ官廳
ト官邸ノ間ヲ書類ヲ持ッテ往復シテ居ル、實
業界デ合理化ト云ヒマスガ、無駄ヲ省ク今
日、コンナ無駄ナコトハナイ、或ハ私ノ考
デハ、總理大臣ハ仕方ガナイ、所屬官廳ガ
別ニナイカラ是ハ必要デアル、外務大臣モ
巳ムヲ得ヌカモ知レナイ、其外ノ人ハ何ニ
モ要ラナイ、陸軍大臣ヤ海軍大臣ハ本省ノ
御隣リニ建物ガアル、役所ヤラ大臣ノ住宅
ヤラ分ラナイ、アンナ近所ノ所ニアル、何
モソンナモノハ要ラヌ何所デモ宜イ、郡部
デモ構ヤシナイ、自宅ニ居ッテ通ヘバ宜イ、
實ニ無駄ナ、官邸ニドレダケ費用ガ入ルカ、
私ソレヲ調ベテ貰ッタ、先年少シ調ベテ貰ッ
タコトガアルガ、今度大藏省ノ方へ私ガ
伺シテ見ルト非常ニ少イガ、是ハ官邸費ト
云フモノハ成ベク少ク見エルヤウニ見積〃
テアルト思ヒマス、後カラ能ク詮議シテ見
レバ分リマスガ、ココニアルノハ總理大臣
ノ官邸費ガ四万五千圓、ソレハ本當ダラウ、
ソレカラ各省大臣官舍ト云フノガ約一万圓
トアリマスガ、是ハ一人ニ付テ一万圓ダラ
ウガ、サウシタラ少クトモ十一万圓デア
ル、ソレカラ總理大臣ガ四万五千圓デアル
カラ十五万五千圓デアル、私ガ調ベテ貰ッタ
時ハモット、四五十万入ルダラウ、全體デ······
ソレハ分リマセヌガ、多少ニ拘ラズ、無駄
デアリマス、政府ハ窮乏シテ居ル、消費節
約ヲシテ、國民ニ消費節約ヲ勸メテ居ル
ガ、其大臣ガ無駄ナコトヲ、シテ、却テ時ヲ
餘計費シ、能率モ妨ゲルヤウナ官舍ト云フ
モノハ御全廢ニナッタラ宜カラウ、ソレデ是
ダケノ官邸費ナラ十四五万デ、幾ラデモア
リマセヌガ、此外ニ機密費ガアル、機密費
ハドウデアルカ、此機密費ハ貰ッテナイ人
モアリマス、文部大臣ダトカ云フヤウナモ
ノハ貰ッテナイヤウデアリマス、外務省ハ是
ハ事ニ依ルト或ル程度マデ必要デセウ、ソ
レハ機密ノ程度ニ依ルト思フ、機密費ト云
フモノハ檢査院ノ檢査ヲ受ケナケレバナラ
ヌケレドモ、議會ノ決算ノ時ニ公然ト報〓
シナイデモ宜イ、若シ宜ケレバ祕密會デ報
告スル程度デ勝手ニ使ヘル、何ニ使ッタカ明
カニスル程度ナラバ或ル程度マデ與ヘテ
宜イカ知ラヌガ、今ノ所マルデ何ヲシテモ
分ラヌ、此內閣デハ餘リ新聞ノ種ニナラヌ
ガ前內閣ノ時代ニハ待合政治トカ云フモノ
ガアッタ、其中デハ何ニナルカ分ラヌノデア
ル、斯ウ云フコトデハ實ニ純良ナル所ノ立
憲政治ト云フモノハ行ハレナイノデアル、
總理大臣ハ前ノ議會デアリマシタカ、特別
議會デアリマシタカ、强ク明ルキ政治ヲス
〓、內〓ノ金ヲ貰ッテ、ドウシタカ言ヘナ
イヤウナ金ヲ貰ッテ居ルノデハ公明正大ト
言ヘマセヌ、此方ハ大分多イ、總額ガ二百
四十六万何ガシデ、其內、外務省ガ幾ラカ
入リマセウ、陸軍省ガ大變、割ニ多イノデ
スガ、是ハ支那ノ方面ニ色ミ內情ヲ探リニ
軍人ガ始終澤山參ノテ居リマスカラダラウ
ト思ヒマスケレドモ、アレモモウ少シ縮小
シタラ宜カラウト思ヒマス、兎ニ角、二百
四十六万圓ト云フモノガアリマス、此何ハ
多分從來ノ豫算ヨリ減ジテ居ルト思フ、總
テ豫算ガ緊縮豫算デアリマスカラ、私ハ豫
算ノ點ニ付テ調ベテ見タコトハアリマセヌ
ガ、是ハ前ヨリ減シテ居ルデアラウ、減シテ
モ尙ホ二百四十六万圓何ガシト云フモノガ
機密デドウシテ使ッタカ分ラヌ金ガアル、ソ
ンナモノハ入用ガナイ、公明正大ニ立憲政
治ヲ行フ、之ヲ廢シテシマッタラ救護法ノ
財源ハ有リ餘ル、ソレダカラ救護法ハ必要
デアル、財源ハ斯ウ云フ方面ニ求メルコト
ガ出來ル、馬ノ改良ハ必要デアラウガ外ニ
方法ガアル、斯ウ云フコトハ人心ヲ惡化ス
ル〓育勅語ニモ、戊申詔書ニモ、精神作
興ノ詔勅ニモ反シテ居ル、是等ハ決シテ子
供ニ對スル〓材ノミデハナイ、國務大臣初
メ日常眷々服膺實踐躬行シナケレバナラ
又、ソレガ出來ナイデ立憲政治ノ大臣ノ資
格ハナイ、斯ウ云フ見地カラ反對イタシマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=236
-
237・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 本案ノ第二讀
會ヲ開クヲ可トスル諸君ノ起立ヲ求メマス
〔起立者多數〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=237
-
238・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 過半數ト認メ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=238
-
239・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ本案ノ第二讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=239
-
240・清岡長言
○子爵〓岡長言君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=240
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241・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ
動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
「「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=241
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242・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=242
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243・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 全部問題ニ供
シマス、委員長ノ報告通リデ御異存ゴザイ
マセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=243
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244・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=244
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245・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ本案ノ第三讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=245
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246・清岡長言
○子爵〓岡長言君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=246
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247・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ
動議ニ御異存ゴイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=247
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248・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=248
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249・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 全部第二讀會
ノ決議通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=249
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250・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=250
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251・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 日程第二十
七、辯護士法中改正法律案、衆議院提出、
第一讀會、第二十八、行政執行法中改正法
律案、衆議院提出、第一讀會
辯護士法中改正法律案
右本院提出案及送付候也
昭和六年三月二十三日
衆議院議長藤澤幾之輔
貴族院議長公爵德川家達殿
辯護士法中左ノ通改正ス
第五條第三號ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ衆議院議員選擧法罰則違反ニ依リ
禁錮ノ刑ニ處セラレタル者ニシテ同法
第百三十七條第二項前段ノ宣告ヲ受ケ
且執行猶豫ノ言渡ヲ受ケタル者ハ此ノ
限ニ在ラス
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
行政執行法中改正法律案
右本院提出案及送付候也
昭和六年三月二十三日
衆議院議長藤澤幾之輔
貴族院議長公爵德川家達殿
行政執行法中左ノ通改正ス
第一條第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ加へ第二
項中「前項」ヲ「第一項」ニ改ム
釋放シタル被檢束者ヲ同一事由ヲ以テ
再ヒ檢束スルコトヲ得ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=251
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252・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 特別委員ノ氏
名ヲ書記官ヲシテ朗讀イタサセマス
〔瀕古書記官朗讀〕
醫護士法中改正法律案外一件特別委員
侯爵佐佐木行忠君伯爵溝口直亮君
子爵牧野一成君子爵戶澤正己君
男爵池田長康君山岡萬之助君
大津淳一郞君關直彥君
花井卓藏君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=252
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253・近衞文麿
○副議長(公爵近衛文麿君) 日程第二十
九、家祿賞典祿給與未濟ニ關スル法律案、
衆議院提出、第一讀會
家祿賞典祿給與未濟ニ關スル法律案
右本院提出案及送付候也
昭和六年三月二十三日
衆議院議長藤澤幾之輔
貴族院議長公爵徳川家達殿
第一條明治三年九月十日藩制施行以後
家祿賞典祿ヲ有シタル者及其ノ家名承
繼人ユシテ明治九年太政官第百八號布
告及同年太政官第百五十二號布告ニ依
リ公債證書ヲ給與スル迄ノ間ニ於テ其
ノ祿高ニ對スル全部ノ給與ヲ受ケサル
者若ハ相當額ノ給與ニ不足アル者ハ明
治三十年法律第五十號家祿賞典祿處分
法及明治三十二年法律第八十四號家祿
賞典祿處分法施行法ヲ準用シ祿髙整理
ノ爲發行スル公債證書ヲ以テ之ヲ給與
ス國事ニ關スル犯罪ノ爲家祿賞興祿ヲ
沒收セラレタル者亦同シ
第二條前條ノ給與ヲ受ケムトスル者ハ
本法施行ノ日ヨリ六箇月以內ニ其ノ理
由及證據ヲ具シ地方廳ヲ經由シテ大藏
大臣ニ願出ツヘシ
第三條前條ノ願出ニ對シ處分ヲ受ケタ
ル者其ノ處分ニ不服アルトキハ其ノ指
令ヲ受取タル日ヨリ六箇月以內ニ行政
裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第四條本法施行以前ニ於テ出願又ハ出
訴シタル者ハ本法ニ依ル出願又ハ出訴
ト看做ス
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=253
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254・近衞文麿
○副議長(公爵近衛文麿君) 特別委員ノ氏
名ヲ書記官ヲシテ朗讀ヲ致サセマス
〔瀨古書記官朗讀〕
家祿賞典祿給與未濟ニ關スル法律案特別
委員
侯爵中御門經恭君伯爵奥平昌恭君
子爵八條隆正君子爵井伊直方君
松浦鎭次郞君三井〓一郞君
男爵今園國貞君菅原通敬君
瀨谷勇次郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=254
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255・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 明日ハ午前十
時ヨリ開會イタシマス、日程ハ〓報ヲ以テ
御通知ニ及ビマス、本日ハ是ニテ散會イタ
シマス
午後六時三分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03819310324&spkNum=255
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