第59回帝国議会　貴族院　本会議　第39号　昭和6年3月25日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  昭和六年三月二十五日（水曜日）午前十時三十七分開議
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  　議事日程　第三十九號
  　　昭和六年三月二十五日
  　　　午前十時開議
  　第一　請願委員長報告
  　第二　簡易生命保險法中改正法律案（政府提出、衆議院送付）　第一讀會の續（委員長報告）
  　第三　重要産業の統制に關する法律案（政府提出、衆議院送付）　第一讀會の續（委員長報告）
  　第四　關税定率法中改正法律案（政府提出、衆議院送付）　第一讀會の續（委員長報告）
  　第五　北海道石狩國に國立種馬所設置の請願　會議
  　第六　泊居港修築の請願　　　　會議
  　第七　滋賀縣信樂各町村に砂防工事施工の請願　會議
  　第八　富士山を中心とする國立公園指定の請願　會議
  　第九　自動車取締統一の請願　　會議
  　第十　農村救濟に關する請願（文書表第百八十二號）　會議
  　第十一　産馬の事業經營に關する請願　會議
  　第十二　漁村負擔輕減の請願　　會議
  　第十三　中等學校地理歴史科教員海外派遣の請願　會議
  　第十四　地方改善育英資金増額の請願　會議
  　第十五　未成年者飮酒禁止法の改正法制定に反對の請願　會議
  　第十六　國旗の樣式及ひ取扱等に關する請願　會議
  　第十七　忠清南道廳を大田に移轉の請願　會議
  　第十八　廣島、濱田間鐵道速成の請願　會議
  　第十九　商工會法制定の請願　　會議
  　第二十　航空行政の統一及ひ施設擴張に關する請願　會議
  　第二十一　國防調査會設置の請願　會議
  　第二十二　北海道天鹽川河口修築の請願　會議
  　第二十三　北海道遠別線鐵道速成の請願　會議
  　第二十四　北海道大津川河口改修の請願　會議
  　第二十五　煉乳原料砂糖戻税法中改正の請願　會議
  　第二十六　雪害に關し市町村義務教育費國庫負擔法の施行勅令改正の請願　會議
  　第二十七　東京に於ける震災の爲め土地區劃整理を施行せる地區内の本建築著手猶豫の請願　會議
  　第二十八　町村住民救濟に關する請願　會議
  　第二十九　北海道稚内港と利尻、禮文兩島間の連絡航路開始に關する請願　會議
  　第三十　融和事業の施設に關する請願　會議
  　第三十一　盲人保護法制定の請願　會議
  　第三十二　盲學齡兒童の義務教育制度制定の請願　會議
  　第三十三　京都府寺田郵便局に電信事務開始の請願　會議
  　第三十四　國産飛行機購入者に國庫補助の請願　會議
  　第三十五　航空機及ひ同器材の發明考案奬勵に關する請願　會議
  　第三十六　定期航空路擴張竝に民間飛行場増設の請願　會議
  　第三十七　新宮川治水工事速成の請願　會議
  　第三十八　女子園藝專門學校設立の請願　會議
  　第三十九　北海道落石燈臺に霧笛の設置及ひ納沙布水道に航路標識施設の請願　會議
  　第四十　北海道苫前村に航路標識設置の請願　會議
  　第四十一　北海道羽幌線鐵道速成の請願　會議
  　第四十二　北海道根室に航空港設置の請願　會議
  　第四十三　北海道花咲郡離島及ひ國後色丹各島に無線電信裝置の請願　會議
  　第四十四　東海道線鐵道品川、田町兩驛間に停車場設置の請願　會議
  　第四十五　知識階級失業者の救濟に關する請願　會議
  　第四十六　福島縣湯本驛北方暗渠開鑿に關する請願　會議
  　第四十七　小作爭議取締法制定に關する請願　會議
  　第四十八　釋放者保護制度制定の請願　會議
  　第四十九　農村救濟に關する請願（文書表第三百七十七號）　會議
  　第五十　水産審議會設置の請願　會議
  　第五十一　人造絹絲保税工場許可反對の請願　會議
  　第五十二　北海道紋別郡遠輕村に野付牛區裁判所出張所設置の請願　會議
  　第五十三　樺太に衆議院議員選擧法施行の請願　會議
  　第五十四　知識階級失業者救濟事業費國庫補助の請願　會議
  　第五十五　東京より北海道札幌及ひ樺太豊原間航空路開設の請願　會議
  　第五十六　島根縣簸川郡上津村に郵便局設置の請願　會議
  　第五十七　政府の緬羊飼育奬勵施設充實に關する請願（文書表第四百四號）　會議
  　第五十八　奉天榊原農場の既得權囘復に關する請願　會議
  　第五十九　政府の緬羊飼育奬勵施設充實に關する請願（文書表第四百九號）　會議
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• 001・徳川家達

  ○議長(公爵德川家達君)　是ヨリ書記官ヲ
  シテ諸般ノ報告ヲ致サセマス
  〔小林書記官朗讀〕
  昨二十四日本院ニ於テ承諸スルコトヲ議決
  シタル左ノ政府提出案ハ卽日之ヲ奏上シ又
  承諾スルコトヲ議決シタル旨ヲ衆議院ニ通
  知セリ
  昭和四年度第一豫備金支出ノ件
  昭和四年度特別會計第一豫備金支出ノ件
  昭和四年度豫備金外ニ於テ豫算超過及豫
  算外支出ノ件追加
  昭和四年度特別會計第二豫備金支出ノ件
  昭和四年度特別會計豫備金外ニ於テ豫算
  超過及豫算外支出ノ件追加
  昭和五年度第二豫備金支出ノ件
  昭和五年度特別會計第二豫備金支出ノ件
  昭和五年度特別會計豫備金外ニ於テ豫算
  外支出ノ件
  同日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出案
  ハ卽日裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆議院ニ
  通知セリ
  米穀法中改正法律案
  米穀需給調節特別會計法中改正法律案
  國立公園法案
  土地收用法中改正法律案
  輸出組合法中改正法律案
  重要輸出品工業組合法中改正法律案
  無盡業法改正法律案
  祐德軌道株式會社所屬軌道補償ノ爲公債
  發行ニ關スル法律案
  「ロンドン」海軍條約實施ニ伴フ海軍職工
  整理ニ關スル公債發行ニ關スル法律案
  勞働者災害扶助法案
  勞働者災害扶助責任保險法案
  勞働者災害扶助責任保險特別會計法案
  電氣事業法改正法律案
  牧野法案
  競馬法中改正法律案
  同日本院ニ於テ修正議決シタル左ノ政府提
  出案ハ卽日之ヲ衆議院ニ囘付セリ
  自動車交通事業法案
  同日本院ニ於テ否決シタル左ノ政府提出案
  ハ卽日更ニ廟議ヲ盡サレムコトヲ奏請シ又
  否決ノ旨ヲ衆議院ニ通知セリ
  市制中改正法律案
  町村制中改正法律案
  府縣制中改正法律案
  北海道會法中改正法律案
  同日衆議院ヨリ本院ノ囘付ニ係ル左ノ政府
  提出案ハ同院ニ於テ本院ノ修正ニ同意シ奏
  上セル旨ノ通牒ヲ受領セリ
  地方鐵道補助法中改正法律案
  寄生蟲病豫防法案
  同日委員長ヨリ左ノ報〓書ヲ提出セリ
  重要產業ノ統制ニ關スル法律案可決報〓
  書
  關稅定率法中改正法律案(政第七十一號)
  可決報〓書
  簡易生命保險法中改正法律案可決報告書
  本日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
  明治四十二年法律第二十二號中改正法律
  案可決報〓書

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• 002・徳川家達

  ○議長(公爵徳川家達君)　是ヨリ本日ノ會
  議ヲ開キマス
  〔公爵一條實孝君演壇ニ登ル〕

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• 003・一條實孝

  ○公爵一條實孝君　本員ハ此際一ノ動議ヲ
  提出イタシマス卽チ暹羅國皇帝皇后兩陛
  下ニ於カセラレマシテハ來月上旬御渡米
  ノ途次、本邦ニ御立寄リ遊バサレル御豫定
  ト承ハリマスガ、時恰モ議會閉會中デアリ
  マシテ、貴族院擧ツテ歡迎ノ衷誠ヲ表シ奉ル
  コトハ不可能デアリマスカラ、本院ガ兩陛
  下ヲ歡迎シ奉ルコトニ關スル一切ノ處置
  ヲ、豫メ議長ニ一任スルノ動議ヲ提出イタ
  シマスル次第デアリマス、何卒諸君ノ御贊
  成ヲ願フ次第デアリマス

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• 004・阪谷芳郎

  ○男爵阪谷芳郞君　贊成

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• 005・徳川家達

  ○議長(公爵德川家達君)　一條公爵ノ動議
  ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス
  〔總員起立〕

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• 006・徳川家達

  ○議長(公爵德川家達君)　全會一致ト認メ
  マス

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• 007・徳川家達

  ○議長(公爵德川家達君)　是ヨリ本日ノ議
  事日程ニ移リマス、日程第一、請願委員長
  報〓、〓岡請願委員長
  〔子爵〓岡長言君演壇ニ登ル〕

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• 008・清岡長言

  ○子爵〓岡長言君　請願委員會ノ第三囘、
  卽チ昭和六年三月八日ヨリ三月二十四日マ
  デノ御報告ヲ致シマス、請願委員會ハ三月
  十三日ト二十日ノ二囘開會イタシマシタ、
  而シテ同分科會ハ總計十四囘、卽チ第一分
  科ハ三月九日、十四日、十六日、十九日ノ
  四囘、第二分科ハ三月十日、十四日、十七
  日、二十日ノ四囘、第三分科ハ三月九日、
  十一日、十六日、十八日ノ四囘、第四分科
  ハ三月十日、十七日ノ二囘開會イタシマシ
  タ請願文書表報〓ハ三月十一日、十八日、
  二十四日ノ三囘デアリマス、請願委員會特別
  報〓ハ三月十三日二十日ノ二囘デアリマ
  ス、請願書受領件數ハ百十四件、同連署人
  名數ハ二万三千五百七十五名デアリマス、
  次ニ審査ノ經過及ビ結果ヲ御報〓イタシマ
  ス、第二囘委員長報告ノ際、文書表未揭載
  ノ件數六十件、第二囘委員長報〓ノ後ノ受
  領件數百十四件、之ヲ合計イタシマスレバ、
  百七十四件デアリマス、文書表第七囘、第
  八囘、第九囘ニ揭載シタル件數百六十六件、
  外ニ第二囘委員長報告ノ際文書表ニ揭載シ
  タルモノノ中、審査未了ニ屬スルモノ一一百
  件、合計三百六十六件、院議ニ付スベシト
  議決イタシタルモノ百二件、院議ニ付スル
  ヲ要セズト議決シタルモノ三件、卽チ百三
  十四號、二百十四號、二百十七號デアリマ
  ス、而シテ審査未了ノモノ二百六十一件デ、
  請願文書表ニ未ダ揭載ニ至ラザルモノ八件
  デアリマス、以上ハ昭和六年三月二十四日
  午後四時締切迄ノ報〓デアリマス、次ニ請
  願審査ノ總報〓ヲ申上ゲマス、請願委員會
  開會ハ八囘、同分科會開會ハ三十四囘、之
  ヲ內譯イタシマスト、第一分科ハ十囘、第
  二分科ハ九囘、第三分科ハ八囘、第四分科
  ハ七囘デゴザイマス、而シテ請願文書表報
  告ハ九囘、請願委員會特別報告ハ七囘デゴ
  ザイマス、請願書受領件數ハ四百九十件、
  之ニ連署イタシテ居リマスル人名數ハ三十
  六万三千百三十三名デ、此中請願文書表揭
  載件數ハ四百八十二件、此審査ノ結果院議
  ニ付スベシト議決シタルモノハ二百二件、
  院議ニ付スルヲ要セズト議決イタシタモノ
  ガ十九件、審査未了ノモノガ二百六十一件
  デ、尙ホ請願文書表ニ未ダ揭載ニ至ラザル
  モノガ八件デアリマス、以上ハ昭和六年三
  月二十四日午後四時締切迄ノ御報告デゴザ
  イマス、此機會ニ於キマシテ、只今御報〓
  イタシマシタ審査未了ニ屬シマス中ノ請願
  ニ付キマシテ委員會ノ希望ガゴザイマス
  之ヲ簡單ニ申述ベテ置キタイト思フノデゴ
  ザイマス、去ル二十日ノ請願委員會ニ於キ
  マシテ、請願文書表、第五囘報〓、第二百
  二號ノ樺太眞岡町電氣事業經營ニ關スル請
  願ニ對シマシテ、請願第三分科ニ於キマシ
  テ十分之ヲバ審議セラレタノデアリマス
  ガ、其結果審査未了ト云フコトニ決定イタ
  シタノデゴザイマス、更ニ請願委員會ニ於
  キマシテ特ニ拓務大臣及ビ樺太廳長官ノ御
  出席ヲバ求メマシタ而シテ詳細ニ之ヲ審
  議シ且ツ御意見ヲバ拜承イタシタイト思ヒ
  マスコトガ委員一同ノ希望デゴザイマシ
  ク、然ルニ拓務大臣ノ出席ヲ請ヒマシタ所
  ガ、同時刻ニ他ノ委員會ガアリマシテ、其
  方ニ出席セヌケレバナラヌト云フコトデ御
  斷リデゴザイマシタ、仍テ其際本日ノ請願
  委員會ハ件數凡ソ百件程アリマシテ、之ヲ
  バ愼重審議イタシマスニ付キマシテハ午後
  ノ七時迄カカルカ八時迄カカルカモ分ラナ
  イ、仍テ其時間內ニ何卒大臣ノ御出席ヲ仰
  ギタイ、時間ノ御都合ヲバ承ハリタイト申
  入レマシタ所ガ、コチラノ委員會モ何時ニ
  終ルカモ今カラ、ソレヲ豫メ知ルコトガ出
  來ナイカラ約束ハ出來ナイ、斯樣ナ頗ル冷
  淡ト申シマスカ、淡白ナル御返答デ遂ニ御
  出席ヲ得ルコトガ出來ナカッタノデゴザイ
  マス、勿論拓務大臣ハ請願委員會ヲバ輕ク
  見ラレタノデハナイコトハ勿論デアルト存
  ジマス、併ナガラ委員一同ハ頗ル遺憾ニ感
  ジタ次第デゴザイマス、併ナガラ樺太廳ノ
  長官ガ出席ヲセラレマシテ、其意見ヲバ詳
  シク拜聽スルコトヲ得タノハ、先ヅ仕合セ
  デゴザイマシタ此請願ハ御承知ノ通リ、
  樺太眞岡町ニ於ケル問題デ、同町ハ樺太唯
  一ノ不凍港デ、戶數ハ現ニ三千餘戶人口
  一万六千人ヲ有スル樺太主要ノ商工漁業都
  市デアリマス、然ルニ玆ニ大正五年二月頃
  ニ約五六万圓ノ投資ニ依テ會社經營ノ電
  氣供給事業ガ初メテ起。タノデアリマス、其
  後幾多ノ變遷ヲ經テ參リマシタガ、現ニ此
  會社ハ年額一割乃至一割ニ近イ利廻配當ヲ
  バスルガ爲ニ、樺太工業株式會社カラ其自
  家用發電所發生ノ電力ヲバ一「キロワット」
  ニ付キマシテ、平均五錢五六厘ナルモノヲ
  バ買入レマシテ、之ヲバ約七倍ノ四十錢デ
  以テ之ヲ需要者ニ供給シテ居ルノデアリマ
  ス然ルニ昭和五年三四月以來經濟界ノ恐
  慌ガ益、深刻トナリマシテ、眞岡町ノ經濟存
  立ノ資源デアル製紙ヤ蟹ノ鑵詰、或ハ製材
  其他ノ生產物ノ賣價ガ四割乃至七八割ノ暴
  落ヲ來シタノデアリマス、而シテ各種ノ生
  產悉ク危殆ニ陷リ、從シテ其收入ヲバ激減イ
  タシマシタ、同時ニ其生活ガ極度ニ脅威セ
  ラレタノデアリマス、然ルニ獨リ此電氣料
  金ノミガ舊率ヲバ保持イタシマシテ引下ゲ
  ナイ、此不條理ノ爲ニ眞岡町會ハ電氣料金
  値下要求ノ決議ヲ致シマシテ、其委員ハ數
  囘ニ亙ッテ會社重役ニ交涉スルト共ニ、一面
  電氣料金ノ統制權ヲ有スル樺太長官ニ屢、陳
  情イタシマシテ定額燈料三割、從量燈料
  四割ノ値下ヲバ懇請イタシマシタガ、會社
  重役ハ之ヲ承諾セズ、長官モ亦定額燈中
  需要家ノ最モ少イモノニ付キマシテハ
  割以上、其最モ多キモノニ付キマシテハ一
  割以下ノ低減ヲ行ヒマシタガ、需要ノ最大
  多數デアル從量燈ニ付テハ何等手ヲ觸ルル
  所ガナイ、玆ニ於キマシテ町民ハ極度ニ興奮
  イタシマシテ、遂ニ會社ニ對スル電氣不買
  同盟ヲバ組織シ、電燈ヲバ廢止イタシマシ
  テ、洋燈ヲ、又ハ「カーバイト」燈ノ照明ヲ
  以テ全町ヲバ暗黑ニ立至ラシメタノデアリ
  マス、此ニ依クテ同町會ハ之ガ救濟對策ト致
  シマシテ、電氣供給ノ町營企業案及ビ其起
  債案等ヲバ可決イタシマシテ、其生活上ノ
  負擔ノ輕減ヲ圖ルト共ニ現ニ破綻ニ瀬シツ
  ツアル自治團體ノ財政ヲバ其企業ノ利潤ニ
  依フテ救濟シ、豫テ永遠ニ亙ル恒久財源ヲバ
  確立セムト致シマシタガ、同長官ハ之ヲバ
  許可スル時ニハ既設電氣會社ノ營業權ヲバ
  害スルノ虞レガアルヲ以テ行政上適當ナラ
  ザルモノト思量スト稱シテ許サレナイ、玆
  ニ於テ貴族院ニ請願シ、暗黑ナル眞岡町デ
  ハ救ハレタイト云フ所ノ趣旨ノ請願デアリ
  やく、仍テ請願第三分科及ビ請願委員會ハ
  長官ヨリ詳細ナル說明竝ニ御意見ヲ承ハリ
  マシタガ、其答辯ト致シマシテハ旣設電
  氣會社ノ營業權ヲバ害スル虞ガアル且ツ
  電燈料モ段々低下シツツアルカラ當局ハ
  此際電氣事業ヲバ町營ニスルト云フコトハ
  許ス必要ハナイ、斯樣ナコトデゴザイマシ
  タ併ナガラ適當ナル方法ヲ講ジテ成ル
  ベク早ク是ガ解決ニ努ムルト云フ言明デゴ
  ザイマシタ委員ハ長官ノ此言ヲバ諒ト致
  シマシテ、*一日モ早ク誠意ヲ以テ之ガ善處
  解決セラルルモノト信ジマシテ町民ノ請
  願ヲバ採擇セズ、審査未了ニ決定イタシタ
  ノデゴザイマス委員一同ハ念ノ爲ニ本議
  場ニ於キマシテ更ニ當局ニ向ッテ町民ノ意
  思ヲバ尊重シ、危機ニ頻シツツアル眞岡町
  ノ財政ノ基礎ヲバ確立シ、誠心誠意一日モ
  早ク是ガ解決ニ善處セラレルヤウ、此處ニ
  大臣ノ御出席ヲ請ヒマシテ此委員ノ希望
  ヲバ申述ベル次第デゴザイマス

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• 009・徳川家達

  ○議長(公爵德川家達君)　日程第二、簡易
  生命保險法中改正法律案、政府提出、衆議
  院送付、第三、重要產業·····只今ノハ議長
  ノ誤リデゴザイマス······第一讀會ノ續、委
  員長報告、小松謙次郞君ノ登壇ヲ望ミマ
  ス
  簡易生命保險法中改正法律案
  右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
  報〓候也
  昭和六年三月二十四日
  副委員長小松謙次郞
  貴族院議長公爵徳川家達殿
  〔小松謙次郞君演壇ニ登ル〕

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• 010・小松謙次郎

  ○小松謙次郞君　簡易生命保險法中改正法
  律案ノ委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報〓イタシ
  やく、去ル三月十六日本法案ハ我〓委員會
  ニ付託セラレタノデアリマス、當時公爵德
  川〓順君ガ委員長ニ、私ガ副委員長ニ當選
  ヲ致シマシタノデアリマス、十六日以來委
  員會ヲ開クコト數囘デアリマス、詳細質問
  應答ヲ重ネマシタ上、特ニ委員外ノ諸君ニ
  シテ最モ本案ニ反對セラレタ所ノ議員諸君
  ニ質問ノ機會ヲ與ヘマシタ、二日ニ亙ッテ詳
  細質問應答ヲ重ネタ次第デアリマス而シ
  テ其審議ノ結果ハ、本案ハ可決スベキモノ
  ナリト決定イタシタノデアリマス、此法案
  ノ大體ニ付テ御報告ヲ致シタイト思フノデ
  アリマス、本法案ハ世ニ謂フ小兒保險ノ開
  始ヲ致ス爲ニスル所ノ改正案デアリマシ
  テ、小兒保險ナルモノハ此度初メテ此法案
  ニ依ッテ開始ヲ致スノデアリマス、此保險ノ
  要項ハ旣ニ本案提出ノ際政府當局ヨリ說明
  ヲセラレタノデアリマスルカラ、特ニ此處
  ニ詳細申上ゲル必要ハナイノデアリマスル
  ガ骨子ダケヲ申上ゲマスデアリマス、此
  加入スベキ小兒ノ年齡ハ滿三歲以上十二歲
  未滿ト云フコトニナッテ居リマス、保險金ノ
  制限ハ被保險者十二歲未滿ニシテ死亡シタ
  ル場合ニ於テ支拂フベキ保險金額ニ付テ
  ハ其死亡當時ノ年齡ニ應ジ左ノ制限ヲ設
  クト云フコトデアリマシテ是ハ月掛一圓
  ノ者ニ對シテ四歲未滿ハ六十圓、五歲未滿
  ハ八十圓、六歲未滿ハ百圓、七歲未滿ハ百
  二十圓、八歲未滿ハ百四十圓、九歲未滿ハ
  百六十圓、十歲未滿ハ百八十圓、十二歲未
  滿ハ二百圓、其最高ハ十二歲以上ニ至リマ
  シテ二百七十六圓ト云フコトニ相成ッテ居
  リマス、保險料ハ月掛五十錢及ビ一圓ノ二
  種トシテ居リマス、是ガ大體本法案ノ骨子
  デアリマシテ、所謂小兒保險ナルモノガ玆
  ニアル譯デアリマス、元來此小兒保險ハ其
  性質ニ於テ簡易生命保險中ニ包含セラルベ
  キモノデアリマス、又小兒保險ハ我國ニ於
  テハ民業トシテ營ムコトガ困難デアリマ
  ス、現ニ此小兒保險······小兒死亡保險ト
  云フモノニ對シマシテハ、現在ニ於テ民業
  トシテ起ッテ居ルモノハナイノデアリマス、
  此小兒保險ガ社會的施設デアルト云フコト
  ハ國民全般ニ適用スル仕組ミデアッテ、サウ
  シテ如何ナル薄資ノ者ト雖モ之ニ加入シ得
  ルト云フコトヲ根本義ニ致シテ居ルノデア
  リマス、又國民······小兒保險ハ非營利主義
  ニ立脚シテ居ルノデアリマシテ、斯樣ナ事
  柄ハ政府ナラデハ到底行フコトガ出來ナイ
  ノデアリマス、ソレカラ被保險者ニ對スル
  種々ノ健康保護增進ノ施設ヲ無料ニテ提供
  スル設備ヲ加ヘテ居ルノデアリマス、又郵
  便物ノ無料、印紙稅ノ免稅ト云フヤウナモ
  ノモ之ニ加ハッテ居ルノデアリマス、契約者
  ノ貸付利率ハ最モ低廉ニ行フ仕組ミニナッ
  テ居リマス、若シ此運用ニ於テ多少ノ利益
  ヲ生ズル場合ニ於テハ契約者ニ對シテ保險
  料ノ割增ヲ······割戾シヲ爲スト云フ制度モ
  行フノデアリマス、其他種々ノ利便ガアリ
  マスルガ、就中此被保險者ノ不具癈疾トナ
  リタル時ハ將來ノ保險料ヲ免除スルト云フ
  ヤウナ規定モアルノデアリマス、デ之ヲ官
  營ニ致サナケレバナラヌト云フ事柄ハ簡
  易保險ハ一般薄資者ニマデ適用シ得ル生命
  保險デアリマスルカラ、普通ノ保險ヨリモ
  特ニ其基礎ノ確實ナルコトヲ要スルガ故
  ニ政府デ之ヲ爲ス必要ガアルノデアリマ
  ス、又之ヲ普通保險ノ如キ制度デ執リ行フ
  コトハ營利事業トシテ不適當デアルノデア
  リマス、保險金額ガ小サイ爲ニ普通保險ト
  シテハ到底費用ガ多クシテ其營利ノ目的ヲ
  達スルコトガ不可能デアリマス、又保險料
  ハ月掛デアリマシテ、郵便局員ヲシテ集金
  セシムルノデアリマスルカラ、保險ヲ契約
  スル者ニ取リマシテハ頗ル便利デアルノデ
  アリマス、尙ホ其外最モ必要トスルノハ、無診
  査、所謂健康診斷ヲシナイ普通ノ簡易保險ト
  同樣ノ制度ニシテアルノデアリマス、又
  小兒保險ヲ普通保險ヲ以テシヤウト致ス場
  合ニハ此十歲未滿ノ小兒ノ健康狀態ト云
  フモノハ診査デ致スユハ、非常ニ的確ナルコ
  トヲ得ルコトハムツカシイノデアリマス、
  斯樣ナ意味合デ、此度政府ガ此コトヲ行フ
  ト云フノデアリマス、デ之ニ對シテ最モ非難
  ノ多イノハ豫テ簡易生命保險ハ民業ヲ大
  分壓迫シテ居ル、又小兒保險ナドヲ始メル
  ト云フト民業ニ非常ナ關係ガアルト云フコ
  トガ非難ノ最モ大ナル點デアリマシタ、其
  事ハ主トシテ是ト直接影響ヲ受クルデアラ
  ウト見ヱルモノハ、所謂徵兵保險ト云フノ關
  係デアリマスルガ、徵兵保險ハ生存保險デ
  アリマシテ、死亡保險トハ遠フノデアリマ
  ス、又保險金額ハ最低ガ三百圓、最高ガ二
  万圓デアリマシテ、是亦此保險ノ······簡易
  保險ノ最低三十圓、最高二百七十六圓ト云
  フモノニ比シマスレバ殆ド是ハ關係ノ無
  イ形デアリマス、又保險料ハ月額五十錢ト
  一圓トデアリマシテ、此普通ノ徵兵保險ノ
  千圓ニ付テ五十六圓乃至百五十九圓トハ
  餘ホド懸離レテ居ルノデアリマス、ゾレカ
  ラ保險料拂込ノ方法ハ月掛集金デアリマシ
  テ徵兵保險ノ年額トハ亦趣ヲ異ニシテ居
  ルノデアリマス、其外被保險者ガ男女ニ
  別ハナイノデアリマスルガ徵兵保險ハ固
  ヨリ男デアリマス、加入年齡ハ卽チ三歲以
  上デアリマシテ、微兵保險ノ零歲以上ト云
  プモノト是亦異ニシテ居ルノデアリマス
  斯樣ナ次第デアリマシテ果シテ民業ヲ壓迫
  スルヤ否ヤノ點ニ付テハ當局者ト民業ニ
  關係アル人ミトノ間ニ相當論議ヲ戰ハシタ
  ノデアリマスルガ、何等民業ニ影響ナキモ
  ノト云フノ說明デアリマシタ、尙ホ遞信當
  局ノ外商工省ノ保險當局ノ意見ヲ尋ネマシ
  タノデアリマスルガ小兒保險ハ旣設ノ徵
  兵保險若クハ生存保險ニ害ヲ與フルモノニ
  アラズト云フ見解ヲ有ッテ居ラレルノデア
  リマス、斯樣ニシテ政府ガ此際小兒保險ヲ
  開始スルト云フコトハ、最モ適當デアルト
  云フコトニ、委員ハ認メタノデアリマス、
  元來簡易生命保險ハ、御承知ノ如ク大正五
  年ニ行ッタモノデアリマシテ、當時非常ナ民
  業ノ壓迫ヲスルモノナリト云フ非難ノ下ニ
  論議ヲ鬪ハシタコトハ、皆樣方モ御記憶ノ
  存スル所デアルト思フノデアリマス爾來
  經過ヲ見マスルト、非常ナ好成蹟ヲ擧ゲテ
  居リマシテY加入者ノ總數ハ最近ニ於テ千
  六百万人、又其契約ノ保險金高ハ一一十一億
  圓ニ達シテ居ルノデアリマス斯樣ナ成功
  ヲ遂ゲマシタニ拘ラズ、民間ノ所謂普通生
  命保險ハドウデアルカト申シマスレバ契
  約ガ六百万人デサウシテ其總數ハ七十七
  億圓ニ達シテ居ルノデアリマス、郎チ全然
  相俟ヶテ互ニ繁昌ヲ致シテ居ルト云フ形デ
  アリマス、斯樣ノ成蹟ヲ得マシケコトハ
  是ハ我國初マッテ以來如何ナル制度デモ斯
  樣ニ好成蹟ヲ擧ゲタモノハナイト思フノデ
  アリマス現ニ進步シタル外國ノ保險業者
  ノ評論ニ依リマスルモ、日本ノ官營ノ簡易
  生命保險ナルモノハ、全ク典型的ノ日本ノ
  式ノモノデアルト云フコトヲ稱讚イタシテ
  居ルノデアリマス、詰リ是ハ日本ノ國民性
  ニ負フ所ガ頗ル多イト云フコトヲ稱讚シ
  尙ホ若シ自分ノ國ノ政治家ガ、此事業ヲ自
  分ノ國ニ於テモ出來ルト思フヤウナ人ガア
  レ ベソレハ大ナル間違デアラウト云フヤ
  ウナ事マデ申シテ稱讚ヲ致シテ居ルノデア
  リマス、唯其評論ノ中ニ、小兒保險ノ制ガ
  行ハレテ居ラヌト云フコトハ、日本ニ取ヶテ
  甚ダ遺憾ノ點デアルト云フ評論ヲ致シテ居
  ル位デアリマス、元來此國民ノ中ニ於テ、
  保險ニ加入ヲ致スコトノ出來ナイ人口ハ
  零歲カラ十二歲迄ノ兒童ガ千八百万人、三
  歲カラ十二歲迄ノ小兒ノ數ハ千五百万人ト
  云フコトデアリマス、是等ノ小國民ハ是マ
  デ如何ナル方面カラモ、死亡保險ニ加入ス
  ルノ制度ガナカリシ爲ニ、今日ニ至ッテ居ル
  ノデアリマス、若シ此制度ガ行ハレルヤウ
  ニナリマシタナラバ、更ニ此簡易生命保險
  ニ非常ナ領域ヲ殖ヤスコトデアリマシテ
  此結果ト云フモノハ餘程ノ好成蹟ヲ擧ゲル
  ニ至ルデアラウト存ズルノデアリマス、唯
  玆ニ惜ムベキコトハ零歲ヨリ始メルト云フ
  制度ガ行ハレデ居ラヌコトデアリマス、從ッ
  テ三百万人ノ人ハ此恩典ニ浴スルコトガ出
  來ナイト云フコトハ甚ダ遺憾デアリマス
  併シ是ハ小兒保險スラモ今日迄實施ヲ見ル
  ニ至ラナカッタ位ナコトデアリマシテ、我國
  最初ノコトデアリ、死亡率ノ關係、其他ノ
  危險ノ關係等ヨリ致シマシテ、尙ホ十分調
  査〓究ヲシテ漸次之ニ及ボスノ必要アリト
  認メテ居ルノデアリマス、若シ是等ノ人ミ
  マデ悉ク簡易生命保險ニ加入スルコトガ出
  來ルヤウニナリマシタナラバ、玆ニ至ッテ初
  メテ郵便貯金ヤ其他ノ如ク、簡易生命保險
  ナルモノハ國民ノ所謂生命保險デアルト云
  フコトニナラウト思プノデアリマス、此問
  題ニ付キマシテハ種々ノ質問モアリマシ
  テ、之ヲ御紹介スルコトガ宜シイノデアリ
  マスルガ、餘リニ煩デアリマスルノデ、只
  今グラヰノ程度ニ止メテ置キマス決議ニ
  當リマシテ、委員ノ全員ニ於テ協議ヲ致シ
  マシタ末ニ、或ル一員ヨリ希望ノ決議ヲ附
  ケタイト云フコトヲ發議サレタノデアリマ
  ス、ソレハ
  小兒保險ヲ此度開始スルノ趣旨ニ艦ミ又
  民業トノ關係ヲモ考慮シテ嚴ニ左ノ事項
  ヲ遵守セラレムコトヲ望ム
  一、保險料月額一圓以上ノ種類ヲ設ケザ
  ルコト
  保險料ハ月額一圓及五十錢ノ外更ニ
  三十錢ノ一種ヲ設クルコト
  保險金額ハ二百八十圓ヲ限度トシ將
  來之ヲ增額セムトスルトキハ特ニ帝國
  議會ノ協賛ヲ求ムルコト
  斯ウ云フ希望決議ヲ致シタノデアリマス、
  是ハ全員一致ノ意見デアリマシテ、此事ハ
  本員ヨリ本會議ニ御報告ヲ致スヤウニト云
  フコトノ決議デアリマシタ、尙ホ此事ニ付
  キマシテ遞信大臣ハ是等ノ事項ハ何レモ尤
  ナ意見デアルカラ、全部之ニ賛成ヲシテ必
  ズ此條件ニ副フコトヲ期スルト云フ意見ヲ
  表示セラレタノデアリマス、多分本會議ニ
  於キマシテモ、此事ニ付キマシテハ遞信大
  臣ヨリ特ニ言明ヲ得ルデアラウト考ヘテ居
  リマス、從ッテ簡易生命保險法中改正法律案
  ハ只今ノ希望決議ヲ添ヘマシテ、全部全會
  一致ヲ以テ可決スベキモノナリト決定ヲ致
  シタノデアリマス、何卒此千五百万人ノ小
  國民ニ對スル福音ノ現實ニ現ハレムコトヲ
  希望シテ已マザル次第デアリマス
  〔國務大臣小泉又次郞君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=10

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• 011・小泉又次郎

  ○國務大臣(小泉又次郞君)　只今委員長ノ
  御報告中委員會ニ於ケル希望決議ニ對シテ
  政府ノ所信ヲ簡單ニ申述ベタイト存ジマス、
  決議トシテ擧ゲラレマシタル三點ノ事項ハ
  何レモ適當ト存ジマスルガ故ニ、政府ニ於
  キマシテハ-努メテ御趣意ノアル所ニ從ヒ
  マシテ、誠意ヲ以テ取運ブコトニ致スト云
  フコトヲ玆ニ改メテ言明イタシマス
  〔土方寧君發言ノ許可ヲ求ム〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=11

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• 012・徳川家達

  ○議長(公爵德川家達君)　土方君ハ何デス
  カ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=12

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• 013・土方寧

  ○土方寧君　簡單ニ意見ヲ述べタウゴザイ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=13

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• 014・徳川家達

  ○議長(公爵德川家達君)　宜シウゴザイマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=14

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• 015・土方寧

  ○土方寧君　簡單デスカラ此處デ御許シヲ
  願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=15

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• 016・徳川家達

  ○議長(公爵德川家達君)　宜シウゴザイマ
  ス、若シ御長クナリマシタラ登壇ヲ願ヒマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=16

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• 017・土方寧

  ○土方寧君　短イノデス、只今委員長カラ
  詳細ノ御報告ヲ受ケマシテ、一致デ可決ニ
  ナッタノデアリマスガドウモ私ハ不安ニ思
  ヒマス、十二歲未滿ノ兒童ノ保險ト申シマ
  スコトハ餘程ドウモ考ヘモノデアル、何處
  ノ國デモ幼兒ハ死亡率ガ高ウゴザイマス、日
  本ハ特ニ他ノ國ヨリ多イヤウデアリマスガ、ツ
  シガ爲ニ被保險者ノ死亡ニ付テハ危險ガ多
  イ、斯ウ云フコトデアリマシテ、今迄ハ實際ハ
  無カッタヤウデアリマス、故ニ此小兒ノ保險ヲ
  官鶯デヤラウト云フノガ本案ヲ趣意ト思ヒ
  マスガ是ニハ危險ガ伴フカト思ヒマス、我
  國デ從來子供ヲ里子ニヤルト云フコトガア
  リマス、色ミノ弊害ガアリマス、里子ニ貰ッ
  タ者ガ殆ンド餓死セシムルト云フコトガ間
  間アルノデアリマス、英吉利ニ「ベビー·ファ
  リミング」ト云フコトガアリマスガ同樣
  ノコトト思ヒマス、又英吉利ニ「インファン
  ティサイド」ト云フコトガアリマスガ、從
  來アリ勝チノコトデアリマス、本法ニ於キ
  マシテハ保險契約者ハ二親等內ト云フコト
  ニナッテ居リマスカラ、マサカ保險ニ附ケテ
  置イテ殺スコトモ無ササウニ思ヒマスガ
  里子ニヤリマシテモ普通ニ里子ニヤッタノ
  デハ保險契約者ニナレマセヌケレドモ里子
  ニヤル時ニ里子ヲ貰フ者ガ養父母ニナリマ
  シタナラバ、我國ノ法律デハ養親子ハ實親
  子ト同ジコトニナッテ居リマスカラ、保險契
  約者タリ得ルノデアリマス、サウシテカラ
  從來ノヤウニ里子ニ貰フタ者ガ證據ノ擧ガ
  ラヌヤウナ方法デ〓弱セシメテ病氣ニナッ
  テ死ヌト云フコトニナラヌトモ限ラヌ、サ
  ウ云フヤウナ危險ガアリマスノト、本來此
  保險ハ決シテ兒童ノ利益ニナルモノデハナ
  イヤウニ思ヒマス、保險契約者ハ二親等內ノ
  者デアッテ保險金ヲ貰フ時ニハ其者ガ貰フ
  ノデ子ガ貰フノデハナイ、折角何歲カ迄子
  供ヲ養育シタノガ死ンダト云フヤウナ場合
  ニハ實ニ精神的、物質的ニ損害デアリマス
  デノ其保險契約ヲシタ二親等內ノ者ハ保
  險金ヲ貰ヒマスレバ物質的ニ補償セラレル
  譯デアリマスカラ、子供ノ爲ニハ恰モ家
  畜ノ持主ガ附ケル所ノ家畜ノ保險ト似寄。ツ
  タコトニナリマス
  〔副議長公爵近衞文麿君議長席ニ著ク〕
  物質的ニ親子ノ關係ヲ認メルコトニナリマ
  スノデ、實ニ危險デアル、旁〓私ハ斯樣ナ案
  ハ餘計ナ御世話デアル、反對デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=17

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• 018・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　本案ノ第二讀
  會ヲ開クヲ可トスル諸君ノ起立ヲ求メマス
  〔起立者多數〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=18

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• 019・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　過半數ト認メ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=19

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• 020・西大路吉光

  ○子爵西大路吉光君　直ニ本案ノ第二讀會
  ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=20

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• 021・清岡長言

  ○子爵〓岡長言君　贊成

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=21

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• 022・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　西大路子爵ノ
  動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=22

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• 023・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　御異議ナイト
  認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=23

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• 024・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　委員長ノ報〓
  通リデ御異存ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=24

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• 025・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　御異議ナイト
  認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=25

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• 026・西大路吉光

  ○子爵西大路吉光君　直ニ本案ノ第三讀會
  ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=26

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• 027・清岡長言

  ○子爵〓岡長言君　贊成

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=27

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• 028・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　西大路子爵ノ
  動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=28

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• 029・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　御異議ナイト
  認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=29

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• 030・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　第二讀會ノ決
  議通リデ御異存ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=30

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• 031・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　御異議ナイト
  認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=31

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• 032・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　日程第三、重
  要產業ノ統制ニ關スル法律案、政府提出、
  衆議院送付、第一讀會ノ續、委員長報〓、
  委員長大久保侯爵
  重要產業ノ統制ニ關スル法律案
  右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
  報告候也
  昭和六年三月二十四日
  委員長侯爵大久保利武
  貴族院議長公爵德川家達殿
  〔侯爵大久保利武君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=32

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• 033・大久保利武

  ○侯爵大久保利武君　是ヨリ重要產業ノ統
  制ニ關スル法律案ノ特別委員會ノ經過ヲ御
  報告申上ゲマス、本案ハ現内閣ノ產業政策
  ノ最モ重要ナル一ツトシテ上程サレテ居ル
  ノデアリマスルガ、本法案ハ御承知ノ如ク
  重要產業ノ統制ニ關スル法案デ、此法案ノ
  內容ハ諸外國ノ例ニ照シマスト云フト、兎
  角「カルテル」「トラスト」ノ弊害ニ陷リ易イ
  內容ヲ有ッテ居ル法案デアリマスノデ、或ハ
  產業ノ自由ト云フ問題、又物價釣上ゲヽ消
  費者ノ利害ニ重大ナ關係ヲ持ツ點等ニ於キ
  マシテ頗ル經濟產業界ニ重大ナ關係ヲ特ッテ
  居ル法案デアリマシテ、隨分世間ノ······社會
  ノ注目ヲ致シテ居ル問題デアッテ、少カラズ、
  此問題ニ付テハ懸念ヲ持テテルルモモ多イ
  ノデアリマスル、本法案ノ說明ニ當ッテ、政府
  ハ兎角現時ノ經濟界ノ趨勢ニ鑑ミマスト云
  フト、當業者間無謀ナ競爭ノ弊ニ陷ヲテ、極端
  ナ競爭ノ結界、生產費ヲ切ッテ互ニ競爭ヲス
  ルヽ從ッテ重要ナ產業マデ諸倒レニナッテ
  產業界ニ少カラヌ不利益ヲ見ルト云フ現狀
  ニ照シテ、產業ノ統制ヲ政府ノ强制ニ依ッテ
  行ハウト云フ案デアルト云フ御說明デアル
  コトハ、御承知ノ通リデアリマスルガ本
  案ノ大體ノ內容ニ於キマシテハ第一條ニ於
  キマシテ同業者ノ中デ二分ノ一ノ加盟者ガ
  アッテ生產販賣ニ關スル統制協定ヲ行ッテ
  之ヲ政府ニ屆出デテ、サウシテ加盟者、三
  分ノ二以上ノ同意ガアレバ統制協定ノ申請
  ヲ致スノデアリマスガ、此申請ガアック曉ニ
  ハ政府ガ統制委員會ニ諮ッテマダ加盟シナ
  イ殘リノ同業者ニ向ッテモ强制力ヲ執行イ
  タシテ、ソレ〓〓統制ノ事業ヲ······ソレ〓〓
  ノ手續ニ依ッテ統制ノ仕事ヲ進メテ行ク
  ノデアリマス、又此法案ノ三條ニ限リマシ
  テ、若シ統制協定ノ內容ニ於テ苟モ社會ノ
  公益ヲ害シ、又ハ產業ノ公正ナル利益ヲ害
  スルト認メタ場合ニハ、政府ガ產業統制委
  員會ノ議ヲ經テヽ之ヲ取消シ或ハ變更シ得
  ルト云フコトニナッテ居リマス、又第四條ニ
  於キマシテハ此產業協定ニ加盟シテ居ル同
  業者ノ事業ノ報告又ハ檢査ト云フコトモ、
  政府ガ强制ヲ以テ之ヲヤリ得ルコトニナッ
  テ居リマス、次ニ第五條ニ於テハ此統制委
  員會ノ組織構成ニ付テ別段ノ勅令ヲ以テ之
  ヲ定メルト云フコトニナッテ居リマス、其他
  本法案ノ各條ノ命令等ニ於テ之ヲ違反スル
  トカ、或ハ命令ヲ奉ジナイトカ、或ハ檢査
  ヲ拒ムトカ云フヤウナ場合ニ於テハ千圓以
  下又ハ三百圓以下ノ範圍ニ於ケルソレム
  罰金ノ刑ガ設ケラレテ居ル罰則ガゴザイマ
  スソレカラ此法案ハ五年間ヲ限ッテ、之ヲ
  實施スルト云フコトニナッテ居リマスル、以
  上ガ大體ノ本法案ノ內容デアリマス、此法
  案ニ付キマシテ特別委員會ニ於キマシテハ、
  前申上ゲルガ如ク我ガ產業政策ニ於テ最モ
  重要ナル一ツデアルシ、又此運用如何ハ產
  業ノ自由ナリ又社會ノ公益、消費者ノ利益
  ニ重大ナル關係ヲ持ヲテ居リマスルガ故ニ、
  最モ愼重審議ヲ凝ラシマシテ、連日ニ亙シテ
  政府ニ向シテ質疑應答ヲ重ネタノデアリマ
  ス其詳細ノコトハ會期切迫ノ折柄速記ニ
  讓リマシテ略シマスルガ、最モ重要ナル點
  トシテ論議セラレマシタノハ第一此產業
  統制ハ如何ナル種類ヲヤルノデアルカ、又
  如何ナル方針デ政府ハ之ニ向シテ實施ヲス
  ルノデアルカト云フ問ガアッタノデアリマ
  スルガ、之ニ對シテハヽ政府ハ豫メ是ミト
  申シテ今確定的ニ考ヘテ居ル次第デハナイ
  ガ、先ヅ重要產業トシテ差當リ統制セムト
  欲シテ居ルノハ、或ハ羊毛デアルトカ、「セ
  メント」業デアルトカ、電氣器具デアルト
  カ、又ハ人造肥料ノ如キモノヲ差當リハ考
  ヘテ居ルガ、併ナガラ此統制ヲセントスル
  種類ハ統制委員會ニ諮ッテ之ヲ指定スルノ
  デアルト云フコトデアリマシテ、統制委員
  會ノ議ヲ經テ之ヲ定メルト云フコトニナフ
  テ居ルノデ、最モ愼重ニ是ヲ行ヒタイト思
  フト、決シテ政府ニ於テ强制的ニ是ミノ事
  業ニ向シテ强制的ニ之ヲ實施スル、統制ヲ行
  フト云フ譯デナクシテ、出來ルダケ當業者
  ノ自發ヲ待チ、又共鳴ヲ得テ、之ヲ成タケ
  執行スルヤウニシタイ、本法案ニハ種々ノ
  罰則ガ設ケテアルガ、是ハ唯萬一ノ强制力
  ノ爲ニ設ケテアルノデ、政府ハ當業者ノ自
  發ヲ待ッテ之ヲ行フコトニスル、勿論、指導
  ヲ圖ルコトハ無論デアルケレドモ、當業者
  ノ自發ヲ待フテ之ヲヤルト云フコトヲ原則
  トシテ、愼重ニ之ヲ取計ヒタイト云フコト
  デアリマシタ尙叉次ニ、先程申上ゲマシ
  タ第二條ノ、加盟同業者ノ三分ノ二ガ之ヲ
  申請シタ場合ニハ、其他ノ殘ル同業者ニ向ッ
  テモ、政府ハ統制ノ强制ヲスルト云フコト
  ニナッテ居リマスルガ、斯カル場合ニハ往々
  小工業ノモノガ大工業ノモノヲ壓迫シ脅ス
  ト云フ憂ガアル旣ニ民間ニ於テ行ハレタ
  統制ノ狀況ニ照シテ、斯カル例ガアッテ頗ル
  大工業ガ不利益ナ狀態ニ陷テ、事業ノ基礎
  ヲ危クスルト云フヤウナコトガアッタノデ
  アルガ、競爭ノ激シイ今日、斯カル例ナシ
  トセヌノデアルガ、此點ハドウ云フ考ヲ持ツ
  テ居ルカト云フ質問モ出タノデアリマス
  ガ、之ニ對シテモ政府ハ統制委員ニ一々斯
  ウ云フ問題ハ、手續方法等ハ諮ヲテヤルノデ
  アル、殊ニ統制委員會ハ此所謂基本委員
  トモ申スベキモノデアッテ、此外ニ其當業者
  ノ委員ノ如キ團體ヲ諮問團體ヲ一ツ設ケ
  テ、互ニ相談ヲ致シテ遺憾ノナイヤウニ
  之ヲ行フ之ニ例ニシテ申シマスレバ或
  ル一ツノ同業者ガアッテ、其統制協定ヲ行フ
  ト云フ場合ニ於テハ此基本委員ノ統制委
  員ニ諮ルコトハ無論デアリマスガ、其外ニ
  其同業者ノ中カラ若干ノ委員ガ出來テ、是
  ハ統制委員デハナイノデ、其同業者ノ中カ
  ラ、能ク事情ニ通ジタ者ヲ基本タル統制委
  員ノ別ニ之ヲ設ケテ、以テ實際ノ狀況ニ能
  ク適合シタ手續ヲ執ルノデアッテ、此點ニ於
  テハ、政府ハ頗ル愼重ニ扱テテヲリリタイ
  趣旨デアル、決シテ大工業ガ小工業ニ壓迫
  ヲサレルトカ云フヤウナ不公平ナコトノナ
  イヤウニ期スルト云フ答辯デアッタノデア
  リマス、ソレカラ第三條ノ社會ノ公益ト云
  フ問題デアリマスガ、所謂本法案ニ對スル
  最モ社會ニ重要視サレテル問題ハ、此消費
  者ノ利益デアリマス、往々此統制ノ實ヲ擧
  ゲムトスルト云フト、ドウシテモ同業者ノ
  利益、同業者ノ協調ニ依ッテ利益ヲ維持シテ
  行カウ、利益ヲ進メヤウト云フコトガ本
  法案ノ趣旨ニナリマスカラシテ、ドウシテ
  モ此諸外國ノ「カルテル」「トラスト」等ノ例
  ニ鑑ミマスト云フト、物價釣上ゲト云フ弊
  ニ陷リ易イノデアッテ、寧ロ今、日ニ於テハ
  「カルテル」「トラスト」等ノ弊害ヲ如何ニシ
  テ消極的ニ之ヲ抑ヘテ行カウカト云フコト
  ニ付テ、種々ノ法令ガ設ケラレテ居ル位デ
  アル、マルデ我國ハ反對ナコトニナッテ居ル
  ノデアルガ、今我國ニ於テ英國ヤ獨逸ニ於
  テ二三ノ例ハアルモノノ曾テ世界ニ斯ノ
  如キ統制案ハ行ハレタコトガナイ、之ヲ今
  政府ガ當業者ノ無謀ナ競爭ヲ矯正シテ、以
  テ產業ノ發達ヲ圖ル上ニ付テハ此統制協
  定ヲ行シテ、不幸ニシテ此物價釣上ト云フ弊
  ニ陷ヲテ、爲ニ社會全般ノ消費者ノ利益ガ之
  ニ害セラレルト云フコトニナッタナラバ、甚
  ダ國家ノ爲ニ寧ロ憂フベキ悲シムベキ弊害
  ニ陷ル、デアルカラ此公益ト云フコトヲ政
  府ガ大イニ鑑ミテ、或ハ取消トカ變更ヲ命
  ズルガ、果シテ其政府ノ趣旨ガ徹底ガ
  出來ルカト云フ疑念ヲ有ッタ問ヒ等モ··
  質問モアッタノデアリマスガ、之ニ對シテハ
  政府ハ最モ此點ハ同感デアッテ、特ニ第三條
  ヲ其爲ニ設ケタ次第デアッテ、是亦產業統制
  委員ノ議ヲ經テ、此點ハ屢。衆議院ノ特別委
  員會デモ論議サレタコトデアッテ、深ク注意
  ヲシテ行クト云フヤウナ問題デ、答辯デアフ
  タノデアリマス、要スルニ此本法案ノ運用、
  此目的ヲ達スル爲ニ政府ガ之ヲ運用スル如
  何ニ前述ベマシタヤウナ質問ノ、心配サ
  レル點、疑念等ハ總テ此運用如何ニ存ス
  ルト云フコトニ、我ミハ感ジタノデアリマ
  ス、而シテ其運用如何ト云フコトハ又此
  統制委員會ノ構成組織ト云フコトガ、頗ル
  重要ナ關係ニナッテ來ルノデアリマシテ、此
  統制委員會ノ構成組織ト云フコトニ付テ政
  府ニ質問イタシマシタ所、政府ノ答辯ハ
  此統制委員會ハ先ヅ十五名位ノコトニ考ヘ
  テ居ッテ、此十五名ハ貴衆兩院議員ソレカ
  ラ民間ニ於ケル此統制ト云フコトニ付テ〓
  究ヲ、深ク〓究シテ、斯道ニ通ジタ者、實
  業家方面ナリソレゾレ必要ナ人ヲ之ニ充
  テテ官吏ノ數ハ成ベク少クシタイ積リデ
  アルト云フ答辯デアッタノデアリマス、先程
  述べマシタ如ク、是ガ基本委員會ト云フコ
  トニナッテ、其別ニ統制ノ各、こノ場合ニ於
  テ、其同業者ノ中カラシテ、更ニ委員ヲ設
  ケル場合モアッテ、是ト相俟ッテ統制委員會
  ガ最モ公平ニ、適切ニ本案ノ趣旨ヲ徹底シ
  遺憾ナク實施シタイト云フ答辯デアッタノ
  デアリマス、ソレデ特別委員會ニ於キマシ
  テハ色ミト〓究モ致シ論議モ致シマシタ
  結果、先程申シマス通リニ、本法案ハ極ク
  重大ナ法案デアルノデ、我國、今日ノ經濟
  界ノ實際ニ鑑ミテ、此運用如何ト云フコト
  ハ努メテ注意ヲ政府ニ依ッテ拂ッテ貰ハヌ
  ト云フト、若シ一步ヲ誤ルト云フコトガアッ
  タナラバ却テ經濟界ヲ混亂シ、今日ノ國
  力ノ上ニ付テ、增進スルヨリ寧ロ反對ノ結
  果ヲ起ス憂ガアルト云フノデ、種々論議ガ
  アリマシタガ、又ソレニ對シテ政府ニ質問
  シタ點モ多カッタノデアリマス、結局討論ニ
  入リマシテカラ、一委員ヨリシテ此本法案
  ニ付キマシテ贊成ノ意見ガ出マシテ、此贊
  成ノ意見ニ付テハ、附帶決議ヲシタイト云
  フコトデアッタノデアリマス、此附帶決議ノ
  趣意ハ先刻カラシテ委員會ノ經過トシテ申
  上ゲマシタ如ク、第一ニ此統制協定ヲ致ス
  上ニ付テ、或ハ小工業者ガ大工業者ヲ壓迫
  スルト云フヤウナ憂ノアル點、又消費者ノ
  利害ニ關スル點等ヲ縷々述ベラレマシテ、最
  モ此統制委員會ノ構成ニ付テ深甚ノ注意ヲ
  拂クテ、最モ其公平ナル人、又最モ能ク實際
  ニ通ジタ人ヲ選ンデ、各方面ノ利害ヲ遺憾
  ナク代表シテ、立派ナ統制委員會ヲ政府ニ
  於テ選定シテ、以テ其議ヲ經テ統制ヲ行ッテ
  往ッテ貰ヒタイ、往々此統制委員會ノ諮問機
  關ハ是マデ歷代政府ノ施設ヲ見ルト云フト
  有名無實ニナッタリ或ハ又政府ノ責任ヲ
  囘避スル爲ニ設ケラレタ例ナドモ少クナイ
  ヤウニ思ハレルノデアルカラシテ此點ニ
  付テハ十分ナル政府ガ責任ヲ以テヤッテ貰
  ヒタイト云フ嚴重ナ附帶決議ヲシタイ此
  附帶決議ニ向フテ、政府ノ明白ナル言明ヲ得
  タイト云フ趣旨ノ附帶決議デアリマシタノ
  デアリマス、其附帶決議ノ文案ハ本案ハ效
  果ヲ收ムルト否トハ一ニ其ノ運用ノ如何ニ
  存スルヲ以テ政府ハ之レカ運用ニ當リテハ
  深甚ノ注意ヲ拂ハレムコトヲ望ム、殊ニ統
  制委員會ノ構成ニ付テハ最モ愼重ニ考慮シ
  各方面ノ利害ヲ代表セシムルト共ニ消費者
  ノ利益ヲ害フコトナキヲ期スヘシ斯ウ云フ
  附帶決議ヲ出サレタノデアリマス之ニ對
  シマシテ他ノ委員諸君モ同意ヲ表セラレマ
  シテ、全會一致ヲ以テ此法案ヲ可決イタシ
  タノデゴサイマス、尙ホ其際ニ商工大臣ヨ
  リシテ、此附帶決議ニ對シテ決議ノ趣旨ノ
  アル所ハ十分ニ了承イタシタノデ本法案
  通過ノ曉ニハ必ズ此附帶決議ノ趣旨、只
  今說明サレタ趣旨ヲ最モ嚴格ニ實施シテ遺
  憾ナキヲ期スルト云フコトヲ明白ニ聲明サ
  レマシタノデアリマス、以上、特別委員會
  ノ經過ヲ御報告申上ゲマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=33

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• 034・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　本案ノ第二讀
  會ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フアリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=34

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• 035・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　御異議ナイト
  認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=35

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• 036・西大路吉光

  ○子爵西大路吉光君　直チニ本案ノ第二讀
  會ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=36

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• 037・清岡長言

  ○子爵〓岡長言君　贊成

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=37

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• 038・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　西大路子爵ノ
  動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=38

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• 039・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　御異議ナイト
  認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=39

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• 040・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　直チニ第二讀
  會ヲ開キマス全部原案ニ御異議存ゴザイ
  マセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=40

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• 041・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　御異議ナイト
  認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=41

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• 042・西大路吉光

  ○子爵西大路吉光君　直チニ本案ノ第三讀
  會ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=42

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• 043・清岡長言

  ○子爵〓岡長言君　贊成

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=43

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• 044・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　西大路子爵ノ
  動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=44

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• 045・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　御異議ナイト
  認メマス

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• 046・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　第二讀會ノ決
  議通リデ御異存ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=46

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• 047・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　御異議ナイト
  認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=47

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• 048・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　日程第四、關
  稅定率法中改正法律案、政府提出、衆議院
  送付、第一讀會ノ續、委員長報告、委員長男
  爵東〓安君
  關稅定率法中改正法律案
  右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
  報〓候也
  昭和六年三月二十四日
  委員長男爵東〓安
  貴族院議長公爵德川家達殿
  〔男爵東〓安君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=48

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• 049・東郷安

  ○男爵東郷安君　只今議題トナリマシタ關
  稅定率法中改正法律案ノ特別委員會ノ經過
  竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマス、本案ハ木材
  及人造絹ニ關スル二ツノ項目ヲ含ンデ居リ
  々く、委員會ハ昨日マデ前後三囘ニ亙リマ
  シテ開催イタシマシタ委員會ニ於テ現レ
  マシタ質疑應答ノ大要ヲ玆ニ御紹介申上ゲ
  マス、先ヅ木材ニ付キマシテハ今囘木材
  關稅ノ引上ヲセラルル其理由如何ト云フ點
  デアリマス之ニ付キマシテ政府ハ先般當
  議場ニ於テ說明セラレマシタコトヲ敷衍
  シテ次ノ如ク說明セラレマシタ、昭和四年
  ノ關稅改正以來、大體ニ於テ外材ノ輸入ヲ
  調節シ得タ感ガアリマスルケレドモ、其當
  時課稅セザリシ、卽チ稅率ノ方面カラ申シ
  スルト、己ノ四ニ屬シマスル所謂沿海州
  材等ハ無稅又ハ低稅デアリマシタガ爲ニ、
  其後ノ實蹟ニ依リマスルト、頗ル其輸入ヲ
  增加シ、爲ニ內地ノ樺太及北海道產ノ材木
  ニ壓迫ヲ加ヘル虞ガアル、元來此種ノ材種ハ
  從來ハ「パルプ」ノ原料、輸出箱材ノ原料ニ使
  用サレタノデアリマスルケレドモ、最近ノ市
  場ノ模樣ヲ見テ居リマスルト、沿海州ノ紅松
  米國カラ入ッテ參リマスル「ノーブルフア
  ー」ノ種類ハ下級デハアリマスルガ、造作ト
  カ建具ノ用材ニ使ハレ、「ノーブルフアー」
  ノ如キハ建築用材ニ使ハレルト云フヤウナ
  有樣デアル、ソレデアリマスルカラ、此機
  會ニ於テ是ガ稅率ヲ適當ニ改正シマシテ、
  本邦ノ林業ヲ保護スルコトモ一策デアルト
  考ヘル、而シテ其稅率ノ程度ハ己ノ三ニ屬
  シマスル所ノ材種ト比較イタシマシテ、約
  一割七分程度ノ課稅ヲシタナラバ宜カラ
  ウ、斯ウ云フコトデ本案ヲ提出シタト云フ
  御答デアリマシタ、木材ニ關シマシテハ、此
  程度ノ質問デ終ッテ居リマス、次ハ人絹ニ關
  スル問題デアリマス、第一ノ質問ハ何故
  今囘突如トシテ著シク稅率ヲ引下ゲラレタ
  ノデアルカ、其理由如何、殊ニ其數字的根
  據ハ何處ニアルノデアルカ、斯ウ云フ質問
  デアリマス、ソレニ關シマシテ政府當局ノ
  答辯ハ先ヅ數字的ニ申シマスルナラバ
  現今內地ニ於キマスル主ナル人絹製造會社
  ノ生產費ノ原價ヲ平均シテ見ルナラバ百
  「ポンド」ニ付テ百八圓、而シテ之ニ種々ナル
  銷却、若クハ資本利子ヲ加ヘマスルト云フ
  ト、「百ポンド」ニ付テ百三十六圓ト云フ數字
  ガ出ル、而シテ一面只今問題ニナッテ居リマ
  スル伊太利カラ參リマスル最モ低廉ナル絲
  ノ値段ハ諸掛リヲ加ヘマシテ七十九圓五
  十錢、差引玆ニ五十六圓五十錢ト云フ數字
  ガ出テ參リマシテ、百斤ニ付テ七十四圓强、
  卽チ之ヲ繰上ゲマシテ七十五圓ニ査定イタ
  シマシテ、ソレデ今囘ノ稅率ヲ盛ッタ、斯ウ
  云フ說明デアリマス、ソコデ第二ノ質問ハ、
  若シ現存スル人絹諸會社ノ諸生產費ヲ平均
  シテ出スト云フナラバ之ニ付テハ相當考
  慮ヲ要スルコトガアリハシナイカ、一體化
  學工業ノ進步發達ト云フモノハ頗ル著シイ
  モノデアル殊ニ人絹ニ於テ最モ甚ダシイ
  ト申シテ差支ヘナイヂヤナイカ、然ラバ世
  界ノ進步發達ニ應ズル爲ニ、此平均ノ生產
  費ヲ算出スルト云フコトニ付テハ如何ナモ
  ノデアルカ、寧ロ最モ會社ノ內容ノ優良ナ
  ルモノ卽チ生產費トシテハ最低ノモノヲ
  標準トシ、卽チ平均生產費ト最低生產費トノ
  間ヲ押ヘテ考ヘル方ガ、寧ロ將來ノ輸入ニ
  對スル對策トシテハ適當デハナカラウカ、
  斯ウ云フ質問デアリマシタ併ナガラ政府
  ニ於キマシテハソレハ一應理篇トシテハ
  御尤モデアルケレドモ、今日我國ニ於ケル
  從來ノ人絹業者ノ成蹟ヲ見マスルト遺憾
  ナガラマダ其基礎鞏固ナラザルモノガア
  ル、仍テ弱體會社ニ對シテモ相當ノ考慮ヲ
  拂フ必要ガアル、今囘斯カル理由ニ依リマ
  シテ已ムヲ得ズ平均生產費ト云フモノヲ押
  ヘテ居ルノデアルガ、御趣意ノ點ハ十分諒
  トシテ將來相當考ヘル、斯ウ云フ答辯デアリ
  マシタ、次ニ問題ニナリマシタノハ世間ニ
  今日ヤカマシク申シテ居リマスル、人絹ノ
  保稅工場ニ關スル問題デアリマス、政府ハ
  衆議院ガ本案ヲ通過スルニ方リマシテ、附
  帶決議トシテ羅列イタシマシタアノ人絹
  ニ對スル所見ヲ何ト御覽ニナルノデアル
  カ又本改正案ハ一體稅率其モノヲ動カス
  ト云フコトガ目的デアルノカソレトモ今
  囘ノ保稅工場ニ絡マッテ居ル此問題ヲ解決
  スルト云フノガ趣旨デアルカ、何レガ主デ
  アルカ從デアルカ、斯ウ云フ質問モアリマ
  シタ、又保稅工場ノ存置ハ今日ノ人絹製造
  界ハ勿論、之ガ販路ノ上ニ於テ如何ナル弊
  害ガアルノデアルカ、其實情ヲ話シテ貰ヒ
  タイ、又保稅倉庫ノ中ニハ現ニ三ツバカリ
  染料ヲ取扱ッテ居ル會社ガアルヂヤナイカ、
  卽チ人絹ニ染料ヲ加へテ輸出織物トシテ居
  ル工場ガアルヂヤナイカ、之ニ對シテ內外
  ノ······内外卽チ保稅工場ト然ラザルモノト
  ノ間ニ、色〓負擔ノ均衡ヲ失スル虞レガア
  ルガ是ハ如何デアルカ、サウ云フヤウナ質
  問ニ對シマシテ政府側ノ答辯ヲ纒メテ申上
  ゲマスレバ、次ノヤウナコトデアッタト思ヒ
  マス、ソレハ現在ノ如ク保稅工場ヲ制限ナ
  ク許シタナラバ、是ハ明ニ內地人絹ヲ使ヒ、
  內地織物工場ニ於テ製造スル輸出織物トノ
  間ニ、種々ナル均衡ヲ失スルノデアル、殊ニ
  外國市場ニ於キマシテ此安ク出來タ輸出織
  物、卽チ保稅工場ヲ經テ輸出サレタモノハ、
  外國市場ニ於テ內國產ノ織物ニ對シテ頗ル
  脅威ヲ與ヘ、其市價ヲ攪亂スル虞ガアル
  現ニ其事象ガ幾ラモアルノデアル、カルガ
  故ニ此點ニ付テハ當業者ハ勿論、政府トシ
  テモ相當ノ考慮ヲ要スルノデアル、ソコデ
  次ニ起リマシタ問題ハ、成程ソレニ困リマ
  シテ當業者トシテ不利益ヲ受ケ、又衆議院
  トシテ憂慮ノ餘リ、之ニ對スル希望決議ヲ
  附ケラレタコトハ尤モデアル、併ナガラア
  ノ決議案ヲ讀ンデ見マスルト云フト、新設
  及ビ擴張ニ對シテハ相當、否寧ロ禁止的ノ
  態度ヲ執ッテ貰ヒタイ、又然ラズトモ現存ノ
  保稅工場ニ對シテハ嚴重ナル取締ヲヤッテ
  貰ヒタイ、斯ウ云ヲ希望デアリマス、又一
  部ノ論者、殊ニ人絹製造業者ノ立場カラハ猛
  烈ナル要求ガアッテ、更ニ進ンデソレノミニ
  止マラズ、保稅工場法ヲモ改正シテ、全然
  禁止的ナ、壓迫的ナ態度ヲ將來執テ貰ヒ
  タイ、斯ウ云フ要望ガアル、是ハ甚ダ行過
  ギタモノデハナカラウカ、政府ノ所見ハ果
  シテ如何デアルカ、デ政府ハソレニ對シマ
  シテ、固ヨリ今日ノ種々ナル貿易上ノ經緯
  ハ憂慮スルコトハ當然デアルガ、旣設ノモ
  ノニ對シテ今俄ニ之ヲ左右スルト云フコト
  ハ是ハ大イニ考ヘナケレバナラヌ問題デ
  アル、固ヨリ衆議院ノ意向ヲモ參酌ハスル
  ケレドモ、是ハ頗ル複雜ナル問題デモアル
  シ、今後內外ノ事情ニ處シテ善處スル積リ
  デアル、斯ウ云フ御答辯デアリマシタ更
  ニ質問者ハ一體衆議院ガ希望セラルルガ
  如ク、又世間、殊ニ人絹製造業者側ノ人ニ
  ガ猛烈ニ希望スルガ如ク、將來保稅工場ニ
  對シテ壓迫的ナ、禁止的ナ態度ヲ執ル結果、
  先年「ジユネーヴ」ノ國際經濟會議ニ於キマ
  シテ、締結セラレタル通商上ニ關スル主義
  ニ基イテ發布セラレタ、卽チ昨年ノ七月ニ
  發布セラレマシタ所ノ國際貿易市場ニ輸出
  輸入ノ制限禁止等ニ關スル條約及ビ之ガ附
  帶ノ議定書ノ精神ニ悖ル虞ナキヤ如何、斯
  ウ云フ質問デアリマス當局ニ於テハ此條
  約ノ第一條、第三條第四條及ビ是ノ補足議
  定書等ヲ解釋セラレテ、輸入及ビ輸出ノ制
  限、若クハ禁止ト云フコトデアルカラシテ、
  必シモ左樣ヲ憂ヒハナイト信ズル、斯ウ云
  フ御答辯デアリマス、之ニ對シテソレハ一
  應文理的ナ、表面的ナ解釋デハナカラウカ、
  今後若シ衆議院ノ如ク、若クハ一部保稅工
  場反對論者ノ如ク、種々ナル壓迫的ナ、禁
  止的ナ態度ヲ執ルニ於テハ此制度ノ運用
  上、必ズ國際紛擾ヲ起ス虞ガアルト思フ、
  是ハ政府ニ於テハ今後十分此條約ノ解釋ヲ
  究メラレテ、宜シク善處セラレムコトヲ希
  望スルト云フヤウナ意味デアリマシタ、ソ
  コデ質問ヲ終リマシテ討論ニ移ッタノデア
  リマス、一委員ヨリ意見ノ開陳ガゴザイマ
  シタ、ソレハ今囘ノ人絹ニ關スル改正案ハ、
  讀ンデ見レバ單ニ一行、卽チ簡單ニ稅率ヲ
  百二十五圓ヨリ每百斤七十五圓ニ引下ゲル
  ト云フコトデアルカノ如ク見エルケレドモ
  此關稅改正ノ意味及ビ其影響若クハ遡ッテ
  之ガ基ク所ノ國家ノ產業政策ト云フコトニ
  思ヒヲ及ボスナラバ、相當是ハ重大ナルモ
  ノデアル、卽チ人造絹絲其モノバカリデナ
  ク、之ヲ加エシテ之ヲ原料トシテ生產ス
  ル所ノ輸出織物ニモ關係ガアル、又此輸
  出織物ガ出テ行ク所ノ外國市場ニモ關係
  ガアル、卽チ單リ內地ノ產物バカリデナク、
  廣ク內外ノ市場ニ亙ッテ之ヲ考ヘテ見ナケ
  レバナラヌシ、今日想像シ得ル色ミナ場合
  ヲモ考慮シテ、此稅率ノ問題ヲ解決シナケ
  レバナラヌノヂヤナイカト思ハレルデ元
  來此輸出織物ニ使用スル絲ノ內地相場ト云
  フモノハ、其輸出織物ガ外國市場ニ於テ勝チ
  得ル市價ニ依ッテ、逆ニ內地ノ市場ヲ支配スル
  モノデアル、デアリマスルカラシテ、此問題モ
  此見地カラシテ矢張リ判斷シナケレバナラ
  ヌヂヤナイカト云フヤウナコトヲ前提ト
  セラレマシテ、更ニ進ンデ一部論者ノ議
  論卽チ製造業者ノミノ意見ヲ聽イテ居レ
  バ、如何ニモ保稅工場ト云フモノハ今日不
  都合極マルモノデアル、之ヲ撲滅スルト云
  フコトハ焦眉ノ急デアル、斯ウ云フ風ニ聲
  ヲ大ニシテ申サレルケレドモ、ソレハ或ハ
  一部金融資本ノ代表者ノ言ヲ誇大ニシタル
  モノニ傾聽シ過ギル嫌ヒハナカラウカ、暫
  ク保稅工場ガ何故ニ存置スル價値ガアリ、
  意味ガアルカト云フコトニ付テ以下述ベテ
  見タイ、斯ウ云フ意味デアリマシタ、ソレハ
  保稅工場ガ、今日福井地方等ニアリマス所以
  ノモノハ、一面ニ於テハ內地人絹ト外國人絹
  トノ市價ノ均衡ヲ保チ、其間ニ然ルベク價格
  ノ調節ガ出來テ居ルト云フ、此作用ヲ閑却ス
  ルコトハ、出來ナイヂヤナイカ又等シク輸入
  人絹ト稱シテ居リマシテモ、今日ノ科學ノ
  進步ニ依リマシテ其品質、其用途ニ於テハ
  種々ナル差等ガアルノデアル現ニ外國ノ
  製品ニ種々ナルモノガアッテ、ソレガ輸入サ
  レテ居ル、卽チ內地ニ於テ產出セザルモノ
  モアルノデアル、此品ヲ入レテ、是ト內地
  デ產出スル所ノ人絹トヲ混織ヲシテ、又貿
  易ノ需要ニ應ズルト云フ場合モ想像出來ル
  シ現ニ其事象ガアルデハナイカ、又一部
  少數ノ者、卽チ內地ノ人絹業者ハ今日目前
  ニ現ハレテ居ル伊太利ノ安イ絲ノミノ輸入
  ヲ目シテ、頗ル聲ヲ大ニシテ騷イデ居リ、
  又政府當局モ甚シク之ニ對シテ狼狽ヲシ
  テ、何等今マデ定見ガナカッタ結果、周章テ
  是ガ稅制ノ改革ヲセラルルト云フコトハ
  甚シク不見識デハナカラウカ、卽チ現ニ許
  サレテ居ル六ツノ保稅工場ノ中ニモ伊太利
  絲ノ如ク價格ガ安クハナタ其品質モ是ヨ
  リモ遙カニ優良ナモノヲ輸入シテ、之ニ加
  エヲシテ、輸出織物トシテ出シテ居ルモノ
  ガアルヂヤナイカ、卽チ保稅工場ノ設置ノ
  本然ノ使命ヲ全フシテ居ル、極メテ意義ノ
  アル正當ナル工場ガアル、之ヲシモ伊太利
  ノ「ダンピング」ノ絲ヲ入レテ、工作シテ居
  ル所ノ保稅工場ト同一視シテ論ズルト云フ
  コトハ果シテ如何デアルカ、若シ之ヲ强
  調スルコトニ於テハ世ノ中ヲ瞞著スルモ甚
  シイモノデハナカラウカ、斯ウ云フ意味デ
  アリマシタ、假ニ一步ヲ讓ッテ現存ノ保稅工
  場ヲ合法的ニ制限シ、禁止シ得ルト假定イ
  タシマシテモ、其結果ハ如何デアリマスカ、
  今日マデ我ミガ明カニ遭遇シテ居ル同ジヤ
  ウナ場合ヲ直ニ玆ニ御紹介スルコトガ出來
  ルヂヤナイカ、ソレハ綿絲ト綿布トノ關係
  デアル、我國ニ於テ著シク高率ノ關稅ヲ以
  テ太絲ニ課稅ヲ致シマシタ結果、今日我國
  ニがケル太絲ヲ加工スル所ノ綿布工場ノ形
  勢ハ如何デアルカ、而シテ支那ニ於ケル此
  種工業ノ生產品ガ今ヤ逆ニ我國ニ殺到シテ
  來テ居ル位デハナイカ、現ニ商工省ノ最近
  ニ御取扱ヒニナッタ所ノ縞三綾ノ保稅工場
  ニ關スル問題ハ何ヲ物語〓テ居ルカ、斯ウ云
  フ譯デアリマス、斯樣ニ考ヘテ來レバ此問
  題ハ單ニ絲其モノノ問題デハナイ、結局廣
  ク遠ク大キク考ヘテ見レバ、絲カラ之ニ加
  エシタ織物、而シテ之ヲ輸出スル所ノ外國
  市場、是ダケヲ全部系統的ニ考へ而ジテ
  其間ニ日本ノ各種ノ關係業者ガ、其利害ガ
  互ニ相共通スル共存共榮ト云フコトヲ目標
  トシテ行カナケレバナラヌ、只今ノ保稅工
  場ノ利益ト、ソレカラ人絹製造業者トノ利
  益トガ互ニ相一致セズ、矛盾ノ形ニアルト
  云フコトハ、此最モ將來アル所ノ我國ノ化
  學工業ノ進展ニ對シテ、唯一ツノ小波瀾ト
  目スベキモノデアッテ、モット〓〓我〓ハ遠
  大ナル考ヲ以テ此問題ヲ處理スル必要ガア
  ルト思フ又轉ジテ一部論者ノ如ク、極端
  ニ保稅工場ニ對スル壓迫ヲ現出シ得テ、保
  稅倉庫ノ此種ノ事業ニ關シテノ趣旨ガ滅却
  サレタト假定シタナラバ、我國ノ關稅制度
  ノ中デ他ニ之ニ代ルベキ、若クハ之ニ類似
  スルヤウナコトニ於テ拔ケ途ガアルカモ知
  レナイ、此事ニ付テ當業者ナリ當局者ハ如
  何ニ考ヘテ居ラレルカ、私共ハ誠ニ當局モ
  當業者モ甚ダ迂濶千萬デアルト思ハレル
  ガ、是ハ如何、斯ウ云フヤウナ意味デアリ
  マシタ、之ヲ要スルニ人絹ノエ業ハ非常ニ
  化學進步ノ發達ニ影響ヲ受ケルモノデアリ
  マスルカラ、將來益、品質ガ優良デアリ、高
  級ナモノ、サウシテ價モ亦安イモノノ出現
  シナイト云フコトハ保シ難イノデアリマ
  ス、我國ニ於ケル如ク、今日「ビスコース」
  氏ノ方法ヲ以テヤッテ居ル會社ガ大多數ヲ
  占メ、僅ニ銅「アンモニア」ノ製造方法ニ依。ツ
  テヤル會社ガ頭ヲ出シテ居ルト云フ程度ニ
  於テ、此事バカリヲ考ヘルベキモノデハナ
  イ、現ニ獨逸ニ於テハ更ニモット優良ナ製
  品ガ出デツツアルデハナイカ、ソレデアル
  カラ單ニ今ノ問題ノミヲ取扱ッテ、將來直グ
  次ニ來ルベキ所ノ重要ナ問題ヲ閑却シテヽ
  此問題ヲ考ヘルト云フコトモ甚ダ考ヘベキ
  モノデハナカラウカト云フヤウナ意見デ
  アッタノデアリマス、又若シ左樣ナ見地カラ
  串シマスルナラバ、此人絹ト云フモノハ單
  リ我國ニ於ケル重要ナル化學工業ノ產物デ
  アルノミナラズ、世界ニ於ケル所謂世界貿
  易品ノ重要ナルモノノ一ツトシテ數ヘラレ
  ベキモノデアル、而シテ此人絹ニ付テハ各
  國ヲ通ジテ絕大ナル威力ヲ揮ッテ居ル所ノ
  「カルテル」ノ存在ヲ忘レルコトハ出來ナイ
  デハサイカ、而シテ獨逸ノ「カルテル」ヲ通
  ジテ世界各國ニ及ンデ居ル其威力ト云フモ
  ノヲ見ナケレバナラヌ、又退イテ我國ニ於
  テダケ考ヘテ見マシテモ各會社ニ於テハ
  外國資本ノ系統ハ如何デアルカ、又之ニ拂。ツ
  テ居ル莫大ナル特許料ノ如キモノハ如何デア
  ルカ、色ミ考ヘテ來レバ此問題ノ及ボス所、
  考フベキ所ハ深ク且大デナケレバナラヌ故
  ニ唯今日ノホンノ國內ノ諍ヒノミヲ押ヘテ
  是ガ對策ヲ講ズルノデハ十分デナイ、只今會
  期切迫ノ際デアルカラ、最早之ニ付テ政府
  ト長ク論議スル機會ヲ特タナイカラ、政府
  ニ於テハ此案ヲ我ミガ可決シタナラバ、今後
  引續キ我國ノ人絹國策ト云フモノニ付テ、
  十分ヲ考慮ヲセラレンコトヲ希望シテ原案
  ニ贊成ノ意ヲ表スル、斯ウ云フ意味デアリ
  マシタ、ツコデ次ニ他ノ委員ヨリ自分モ亦
  政府ノ原案ニ付テハ同意ヲ表シタイソコ
  デ玆ニ一ツノ希望決議ヲ附シタイト云フコ
  トデ、採決ノ結果全會一致ヲ以テ本案ヲ可
  決イタシマシタ次第デアリマス、終リニ其
  希望決議ノ文章ヲ御紹介申上ゲマス
  政府ハ人造絹絲ノ內地生產及ビ人造絹織
  物輸出ノ狀況ニ照シ且ツ今囘關稅定率法
  改正ノ趣旨ニ鑑ミ將來宜シク適當ニ入造
  絹織物業者ノ保稅工場ヲ整理スルト共ニ
  速ニ現行保稅工場法ヲ改正シ重要輸出品
  ノ内地生產ニ對スル壓迫ヲ一掃センコト
  ヲ期スベシ、尙ホ本材輸入稅其他一般ノ
  關稅率ニ付テモ現行關稅定率ハ去ル大正
  十五年一般的ノ改正ヲ加ヘラレタル儘其
  後一部僅少ノ改正ヲ爲シ今日ニ及ベリ然
  ルニ今ヤ當時ニ比シ本邦始メ海外ノ產業
  狀況ハ著シク發達シ生產量ノ增加生產費
  ノ低減實ニ顯著ナルモノアルニ加へ更ニ
  我國ニ於テハ金解禁ノ結果對外爲替關係
  ノ急變ヲ來シタルヲ以テ現行定率ハ旣ニ
  制定當時ノ趣旨ニ副ハザルモノ少カラズ
  仍テ政府ハ速ニ總括的改正ノ案ヲ立テ關
  稅率ノ合理化ヲ期スルト共ニ本邦產業ノ
  基礎ヲ確立スベシ
  以上ヲ以テ私ノ報〓ヲ終リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=49

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• 050・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　長尾元太郞君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=50

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• 051・長尾元太郎

  ○長尾元太郞君　十七八分掛ルト思ヒマス
  ガ如何デゴザイマセウ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=51

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• 052・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿者)　宜シウゴザイ
  マス
  〔長尾元太郞君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=52

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• 053・長尾元太郎

  ○長尾元太郞君　只今上程ニナリマシタ政
  府提出ノ關稅定率法中改正法律案ニ關聯イ
  タシマシテ、山村住民救濟ノ意味ニ於キマ
  シテ、木材關稅ノ引上方法竝ニ其他數點ニ
  付テ農林大臣竝ニ大藏大臣ニ御尋ネ致シタ
  イノデアリマス、併ナガラ今日ハ農林大臣
  ノ御出席ヲ御願ヒシテ置キマシタガ御出デ
  ニナッテ居ラヌヤウニ考ヘマス······只今議
  長ニ伺ヒマシタカラ大臣ハ御差支ノヤウデア
  リマス、會期切迫ノ際デアリマスカラ、農
  林省ノ政府委員ガ御出デニナッテ居リマス
  ルカラ、ソレカラ御答ヲ願フコトニ致シマ
  ス、會期ガ最終日ノ今日、極メテ貴重ナル
  時ニ於キマシテ其質問ノ趣旨ハ極メテ簡單
  ニ玆ニ申述ベマシテ、僅カ十七八分御〓聽ヲ
  御願イタス次第デアリマス、此本案ヲ拜見
  シマスニ、木材關稅ノ改正ハ僅カ外材ノ數
  種ニ止リマシテ、只今委員長カラ報告セラ
  レマシタ如ク、此議案ニアリマス通リニ、
  目下下落シマシタ內地木材ノ市價ヲ緩和ス
  ルニハ極メテ微弱ト思ヒマスカラ、以下私
  ノ伺ヒマス理由ヲ申述ベマシテ後、數點ニ
  付テ御尋ネ致ス次第デアリマス、一昨年以
  來ノ財界ノ不景氣ハ昨年ニ入リマシテ一層
  其度ヲ加ヘマシテ、極メテ深刻ニ陷フタノデ
  アリマス、都會ト田舍ノ區別チク、資產家
  勞働者、地主、小作人ノ別ナク、貧當ノ別ナク、
  總テノ階級、總テノ地方ニ於キマシテ此不
  景氣ノ風ハ吹荒ンデ餘ス所ナク見舞ウタノ
  デアリマス、ソレガ爲ニ我ガ國民ノ昨年以
  來ニ於テ生活ノ困難ト其窮狀ヲ訴ヘル聲
  ガ、各地ニ充滿イタシマシタノハ皆樣御承
  知ノ通リデアリマス、故ニ之ガ救濟ノ對策
  ヲ行フト云フコトハ目下ノ急務デアリマス、
  政府モ此ニ見ル所ガアリマシテ、昨年以來
  種々ノ救濟法ヲ講ゼラレタルコトニ對シテ
  ハ其效果ノ如何、其方法ノ可否ハ暫ク措キ
  マシテ其御趣旨ニ付テハ感謝ノ意ヲ表ス
  ルモノデアリマス、其不景氣ノ原因ニ付キ
  マシテハ種々當春以來本議場ニ於テモ論議
  セラレタ所デアリマスルガ其不景氣ノ襲
  來ノ爲ニ政府ノ救濟法モ直ニ效ヲ奏スル能
  ハザリシハ、實ニ遺憾ノ次第デアリマシテ、
  卽チ政府ハ生絲相場ガ大下落ノ際ニハ生絲
  補償案ヲ以テシ又失業者ガ續出スレバ之
  ガ對策ヲ圖ラレ、米價下落ニ付テハ米穀法
  ヲ改正シテ之ガ調節ヲ圖リ、銀行資金ノ融
  通停滯ニ對シマシテハ抵當證劵法ヲ以テ
  不動產資金化ヲ圖ル等、ソレ〓〓各方面ニ
  向ッテ政府ニ於テハ之ガ救濟對策ヲ施サ.レ
  マシテ又之ヲ爲サントシツツアルノデア
  リマス、併ナガラ山村住民ノ救濟ノ方法ニ
  至リマシテハ初メテ本日木材ノ一小部分
  ノ關稅引上ヲ圖ラレタ外ハ山村住民竝ニ
  山林業者ノ救濟ニ付テ考慮セラレザルノ觀
  ガアルノデアリマス、是ハ甚ダ遺憾ニ堪ヘ
  ナイ次第デアリマス、山村ニ住スル人民ハ
  極メテ質朴デアリマシテ、何事モ控ヘ目デ
  アリマスガ故ニ、他ヨリ率先シテ救濟出願
  ノ策ヲ講ズル等ノ勇氣モ乏シクアリマシ
  テ、又其窮狀ヲ各方面ニ訴へ出ルト云フコ
  トガ少イ爲ニ、政府當局其他各方面ク識者
  ニ於キマシテモ顧ミラレルコトガ少イノデ
  アリマス、然ルニ關東大震火災後ニ、外材ノ
  輸入ガ激增イタシマシテ內地ノ木材ハ極度
  ニ壓迫ヲ受ケツツアル折柄、此大不景氣ノ
  襲來ノ爲ニ逐年材價ハ低落イタシマシテ、
  現今ノ市價ハ七八年前ノ價ニ比ベマスト、
  約五分ノ一ホドニ達シテ居ルノデアリマ
  ス、故ニ山村住民ハ疲弊困憊ノ極ニ沈淪イ
  タシマシテヽ前ニ述ベマシタ各階級ヲ超越
  イタシマシテ、其窮狀ハ最モ甚シキモノデ
  アリマス、一日モ之ガ救濟ヲ打棄テ置クコ
  トヲ許サナイノデアリマス、果セルカナ、
  全國三千有餘ノ山村住民ノ各代表者ヨリ、
  之ガ救濟ノ請願書ヲ本議院ニモ提出ニナツ
  テ居リマス、極メテ質朴ナル山村ノ住民ト
  雖モ生活ノ窮狀已ムヲ得ザル結果、斯樣ナ
  御願ヲ致シタコトト存ジマス、又衆議院ニ
  於キマシテハ山村救濟、且ツ山村住民ニ關
  スル建議案ガ多數提出セラレテ居ルト云フ
  コトデアリマス今ニシテ之ガ救濟ノ途ヲ
  徹底的ニ講ゼザル時ハ山村ハ全滅ノ狀態
  トナリマシテ、山林事業ハ益〓〓退ヲ來シマ
  ス、山林植樹伐採ノ均衡ヲ失スルコトガ甚
  シクナリマシテ、遂ニハ我ガ國土ノ殆ド六
  割以上ヲ占メテ居ル所ノ此山林地帶ヲ荒廢
  セシメマシテ、或ハ洪水ノ氾濫ヲ頻發シ
  又水源地ヲ涸渴セシメマシテ、以テ都會ノ
  ミナラズ全國デ使用シテ居ル所ノ發電水力
  及灌漑用水ニ不足ヲ來シマシテ、延イテハ
  國民一般ノ經濟ノ萎微ヲ益深刻ニ導クト
  云フコトハ、識者ヲ俟タズシテ明カナノデ
  アリマス、後日ニ至リマシテ之ガ囘復ヲ圖
  ラムト致シマシテモ最早不可能ニ陷ルノデ
  アリマス、之ヲ思ヘバ國家經濟上ノ根幹ヲ
  ナシテ居ル所ノ林業政策上、誠ニ憂慮、寒
  心ニ堪ヘナイ次第デアリマス、以上申述ベ
  マシタ如ク、山村ノ窮狀ハ片時モ拱手傍觀
  シテ居ルコトヲ許サザル現狀デアルノデア
  リマス、今盛ニ叫バレツツアル所ノ農村ノ
  救濟ト相俟ッテ、共ニ山村救濟ノ方法ハ目下
  政府ニ於テ取ラルベキ所ノ最大急務ノ一デ
  アルト信ジテ疑ハナイノデアリマス、故ニ
  此意味ニ於キマシテ之ガ救濟ノ方法ニ付テ、
  關係政府當局ニ御尋ネシタイコトハ左ノ六
  點デアリマス、第一ニハ只今提案ニナッテ居
  リマスル關稅率ノ引上ハ、前申上ゲマシタ
  如ク、外材ノ一部ノミニ關係シテ居リマス
  カラ、此低落シテ居ル內地材ノ市價ヲ緩和
  スル效ニ於テ少イト存ジマス、故ニ總テノ
  外國ヨリ輸入セラレル木材ニ對シテ、只今
  委員長ノ報告セラレマシタ附帶決議ニモア
  リマシタ如ク、關稅ヲ改正シ或ハ稅率ヲ上
  ゲ以テ內地產ノ材價ヲ調節サレルノ御意
  思ハアリマセヌカ、第二ニ御尋ネスルノハ
  現今政府ノ御執リニナッテ、居リ且ツ唱道セラ
  レテ居ル所ノ國產奬勵ノ意味ニ於キマシテ、
  內地木材使用ヲ奬勵セラレマシテ、其第一
  手段ト致シマシテ、先ヅ官行建築ノ用材ハ
  內地材ヲ使用イタサレマシテ、一般國民ニ
  國產品使用ノ模範ヲ示サルルノ御意思ハア
  リマセヌカ、第三ニハ國有林ノ伐採ヲ相當
  制限セラレマシテ、山村住民ノ業ヲシテ、
  其壓迫セラレテ居ルト考ヘマスルコトヨリ
  免レシメ、以テ其保護ヲ加ヘラレル御考ハ
  ゴザイマセヌカ、第四ニ御尋ネ致シマスコ
  トハ山林立木伐採ノ所得稅ヘ、ソレヲ伐
  採シマシタ時ニ一時ニ納稅スルノデアリマ
  スカラ、是ハ相當負擔ガ過重ニ失スルト考
  ヘラレマスルガ故ニ、之ヲ相當輕減セラレ
  ルノ御意思ハアリマセヌカ、又第五ニ御尋
  ネスルノハ內地ニ於キマシテ、木材鐵道運
  賃ヲ低減セラレマシテ、木材ノ需要者ト共
  山林業者ノ救濟ヲ圖ラレルノ御考ハナキ
  ヤ、最後ニ御尋ネ致シマスノハ、昨年低利
  資金ヲ山林業者ニ御貸出シニナリマシタケ
  レドモ、其金額ガ甚ダ少額デアリマシテ、
  需要者ノ需メニ應ズルコトガ出來ナカッタ
  ノデアリマスルカラ、是ガ增額ヲ圖リ、尙
  ホ廣イ意味ニ於キマシテ、例ヘバ林道ノミ
  ナラズ植樹及山林低利資金ヲモ受ケ得ル途
  ヲ開カレマシテ、相當植林ノ奬勵ヲ圖リ、
  以テ林業國策ノ根本ヲ確立セラルルノ御意
  思ハアリマセヌカ、以上ノ六點デアリマス
  ルガ、是ハ我國ノ林業國策上極メテ重大ナ
  ル點デアルト思ヒマスルカラ、責任アル所
  ノ農林大臣ノ御答辯ヲ承リタイト期待シテ
  居ッタノデアリマスガ、如何セム、今日ハ最
  終日デアリマシテ、又他ニ重要ナ委員會モ
  開カレテ居ルノデアリマスカラ、御出席ナ
  イト云フコトハ甚ダ遺憾デアリマスルガ、
  他日又速記錄ヲ御覽下サイマシテ、適當ナ
  ル機會ニ於テ農林大臣ノ御答ヲ得レバ滿足
  スル次第デアリマス之ニ對シマシテ御出
  席ノ當局ノ方カラ明細ナル且ツ山林ニ御同
  情アル所ノ御答辯アラムコトヲ御願ヒ致ス
  次第デアリマス
  〔政府委員平熊友明君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=53

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• 054・平熊友明

  ○政府委員(平熊友明君)　山村住民ノ窮狀
  ニ付キマシテハ只今仰セノ如キ實狀ニア
  リマスルコトハ誠ニ私共遺感ト存ジテ居リ
  じく、ソレニ付キマシテハ此救濟ノ點ニ付
  キマシテ種々考慮ヲ拂ッテ居ルノデゴザイ
  きく、先ヅ其山村ノ振興ニ付キマシテハ
  御承知ノ如ク民有林ノ造林促進ナリ或ハ又
  森林金融ノ方法ナリ、進ンデハ森林火災保
  險ノコトニ付キマシテモ種々ノ努力ヲ拂ツ
  テ居ルノデゴザイマス、又荒廢ノ虞レガ此
  儘デハアルノヂヤナイカト云フ御心配デゴ
  ザイマシタガ、治水費ノ豫算ヲ以チマシテ、
  治水上ノ重要ナル點ニ付キマシテハ相當ナ
  ル補助ヲ與ヘテ、植林ノ奬勵ヲ致シテ居ル
  ノデアリマス、サウ致シマシテ現狀ヲ見マ
  スルト云フト荒廢ノ虞レノアルヤウナ伐
  採ハ民間ニ於テモヤッテ居ラナイヤウニ觀
  察シテ居ルノデアリマス、例ヘバ昭和三年
  ニハ二千五百万石伐ヲテ居ッタモノガ、次ノ
  年ニハ二千三百万石、昭和五年ニ於キマシ
  テハ、推定イタシマスト二千百万石、是位
  ノ用心ヲシテ伐ッテ居ル實狀ヲ見テ居ルノ
  デゴザイマスカラ、伐採ノ方ニ於キマシテ
  モ又一方植林ノ奬勸ノ上カラ申シマシテ
  モ、山林ガ濫伐セラレテ荒廢セラルヽニ至
  ルト云フコトハ今日ノ所ニ於テハ先ヅ發
  見シナイト存ジテ居リマス、ソレカラ項目
  ニ亙ッテノ御意見デゴザイマシタガ、關稅
  改正ノ關係ニ付キマシテハ今囘ノ改正ノ
  趣旨ハ其當時提案ノ理由ノ中ニモ提案者カ
  ラ述ベタノデゴザイマスガ、其通リニ稅ノ
  均衡ヲ得サセタイ、サウシテ理由ナクシテ
  無稅若クハ低稅トナッテ居リマスルガ爲ニ、
  之ニ關係シテ居リマスル所ノ林業者ガ謂ハ
  レナク壓迫ヲ受ケテ居ル、ソレヲ緩和シ救
  濟シタイ、斯ウ云フ考カラ、一部ノ引上ヲシ
  タ譯デゴザイマス、無論之ニ依ヶテ從來謂ハ
  レナク受ケテ居ッタ所ノ壓迫カラ救濟サレ
  ルト云フコトハ、山村民ニ對シテ一ツノ福
  音デアルト私ハ考ヘルノデアリマス、外材
  全部ニ對シテ改正ノ意思ナキヤト云フコト
  ニ付キマシテハ、方針ニ關スルコトデアリマ
  スルガ、希望決議モゴザイマシタコトデア
  リマスシ、尙ホ能ク考究シテ適當ナ方法ヲ考
  ヘタイト存ジテ居リマス、ソレカラ國產奬勵
  ノ關係ニ付キマシテノ御意見デゴザイマス
  ガ、是ハ私共ノ方モ誠ニ御同感申上ゲテ居
  ル點デアリマシテ、從來カラ種々ノ方法ヲ
  以テ宣傳ヲ致シマシタリ、或ハ各府縣廳ニ
  通牒ヲ出シマシテ、出來得ル限リ此國產木
  材ヲ使フヤウニシロ、又一方ニ於キマシテ
  ハ商工省ノ方ニ向ヒマシテ國產獎勵審査
  會ノ議ニ付シテ、此內地、木材ヲ國產品ノ中
  ニ入レテ奬勵品目ニシテ貰ヒタイト云フコ
  トハ餘程强ク交涉シテ居ルノデアリマシ
  テ、只今商工省ニ於キマシテモ相當審議中デ
  アルト存ジテ居リマス、ソレカラ國有林ノ伐
  採ヲ制限スル意思ナキヤト云フ御尋デゴザ
  イマスガ、結論カラ申上ゲマスト云フト、只
  今ノ所デハ其意思ヲ持チマセヌノデアリマ
  ス、ト申シマスルノハ國有林ハ御承知ノ通
  リ、一定ノ施業案ニ依ッテ百年ノ長計ヲ樹
  テテ居ルノデゴザイマスルカラ、一朝ニシ
  テ之ヲ紊スト云フコトハ計畫ニ於キマシ
  テモ非常ナ齟齬ヲ來スノデアリマス、ノミナ
  ラズ此國有林ノ伐採ヲ制限シタカラト言ッ
  テ、直チニ是ガ國民ノ爲ニ利益ニナルト云
  フヤウニハ思ハレナイノデアリマス、早イ
  話ガ此外材ガ從來隨分入ッテ參リマシタガ、
  若シ此國有林ノ伐採ヲ制限イタシマシテ
  國有林カラ生產スル所ノ材ガ少クナッテ參
  リマスル場合ニ於キマシテハ、折角今日米
  材ハ餘程ノ勢ヲ以テ減ジテ居リマスニ拘ラ
  ズ、私ハ却テ此米材ノ輸入ヲ喚起スヤウ
  ナ因ヲナス虞レガアルノデハナイカ、卽チ
  國有林ノ伐採ヲ制限シテ、外材ヲ迎ヘルト
  云フ結果ニナルト云フコトヲ恐レルノデア
  リマス又國有林ノ伐採ヲ制限スルガ爲
  ニ、施業案ヲ紊スト云フコトニナリマスル
  ト云フト、却テ是ハ國有林ノ常ニ此施業案
  ニ依ッテ健全ナル姿ヲ持續シテ行キタイト
  云フ其本來ノ精神ヲ失ッテ、老齡ナル林木ガ
  殘ッテ、其姿ハ甚ダ不健全ナル狀態ニナルト
  云フ虞レガアルノデアリマスルカラ、只
  今ノ所デハ此施業案ニ則テ仕事ヲ持續
  シテ行キタイト云フ考ヲ持ッテ居ルノデア
  リマス、所得稅ノ關係ハ大藏省ノ政府委員カラ
  御答辯ニナルト存ジマスルカラ、私ハ申上
  ゲマセヌ、鐵道運賃ノ低減ニ付キマシテモ、
  誠ニ私ハ御同感申上ゲテ居ルノデアリマ
  ス、鐵道ノ運賃ガ今日ニ於キマシテ、相當
  長イ距離ニ於キマシテハ、杭木、柚角丸太ノ如
  キモノハ幾ラカノ低減ニナッテ居リマスル
  ケレドモ、或ル一定ノ距離以下ノ短イ距離
  ニ於キマシテハ、却テ今長尾サンノ仰シヤ
  ル通リ低減サレテ居ナイヤウナ狀態ヲ呈シ
  テ居リマス、之ニ付キマシテハ實ハ鐵道省
  ノ方トモ交渉ヲ只今重ネテ居ルノデゴザイ
  やっく、低利資金ノ增額ノ意思ナキヤト云フ
  御尋デゴザイマスガ、此間、失業救濟ノ低利
  資金トシテ出シマシタモノハ、山林關係ニ於テ
  五百二十九万圓ヲ出シテ居ルノデゴザイマ
  ス、只今仰セニナリマシタ如ク、申込ハ是
  レ以上ニアックコトハ事實デゴザイマスガ、
  又徒ラニ中込ノミニ因ハレテ多クノ金ヲ融
  通スルト云フコトハ場合ニ依リマシテハ
  消化ガ国難ニナリマシテ、斯業ノ健全ナル
  發達ヲ害スル虞レモアル、ソコラノ考カ
  ラ五百二十九万圓ト云フ數字ヲ考ヘ出シ
  タノデアリマス、將來增額スル意思ナキヤ
  ト云フコトニ付キマシテハ、此方法ニ依リ
  マセヌデモ、平素森林組合若クハ產業組
  合ヲ通ジマシテ貸シテ居ル所ノ金ガアリマ
  ス、此金ヲ申上ゲマスト云フト最近ノ所
  ニ於キマシテハ森林組合ニ貸シテ居リマ
  スルモノガ三百七十四万圓ゴザイマス、
  併シ割當テマシタ金ガ四百六十七万圓ダソ
  タト記憶シテ居リマス、割當テタダケハ幾
  ラカ消化サレナイデ、マダアルト云フ狀態
  デアリマスガ、尙ホ是ハ山林業者ノ仕事ノ
  進展ト共ニ、其要求ノ益〓多クナラムコト
  ヲ希望シテ居ルノデアリマス、此低利資金
  ノ其意味ニ於キマシテノ增額ニ於キマシ
  テハ出來ル限リ努力シテ、其希望ニ應ズ
  ルコトノ出來ルヤウニシタイト考ヘテ居リ
  マス
  〔政府委員小川〓太郞君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=54

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• 055・小川郷太郎

  ○政府委員(小川〓太郞君)　長尾サンノ御
  質問ノ中ニ山林所得ニ關聯シタモノガアリ
  やく、ソレヲ極メテ簡單ニ御答ヘシテ置キ
  マス御承知ノ通リ山林所得ニ付キマシ
  テハ現行所得稅法ニ於キマシテモ、稅率ノ
  適用ニ付キマシテ、特別ノ取扱ヲシテ居リ
  やっ、是ハ山林所得ノ特別ノ事情ヲ考慮イ
  タシマシテ成ルタケ負擔ノ重カラシメナ
  イヤウニ考ヘタ次第デアリマス、尙ホ今日
  ノ現狀カラ致シマシテ、其所得稅ノ負擔ガ
  困難デアルト云フ御趣旨ハ拜承イタシマシ
  ク、政府ハ此昭和六年度ニ於キマシテ、稅
  制整理調査會ヲ開キマシテ、全體ノ稅制ニ
  付キマシテ、立テ直シヲ考ヘテ居リマスカ
  ラシテ、何レ此山林所得ノ問題モ併セテ調
  査〓究サレルコトニナルト考ヘマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=55

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• 056・長尾元太郎

  ○長尾元太郞君　簡單ニ此席カラ了解イタ
  シ難イ點ヲ二點御尋ネ致シタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=56

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• 057・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　宜シウゴザイ
  マス

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• 058・長尾元太郎

  ○長尾元太郞君　大變食事時間ヲ妨ゲマシ
  テ甚ダ恐縮デアリマスガ、モウ一應御尋ネ
  シタイ、只今山林局長カラノ御答辯ニハ我
  ガ山林地ハ荒廢スルヤウナ事ハナイコトニ
  考慮シテ居ルトノ仰セデアリマシタガ
  昨年丁度本議場ニ於キマシテ今ノ大臣トハ
  違ヒマスガ、前農林大臣ハ私ノ御尋ニ對シ
  テ御答辯ニナリマシタ時ニ全國デ殆ド二
  十万町步ホドヲ今伐採シテ居ル、然ルニ之
  ニ對スル植林ハ七八万町步シカ出來ナイカ
  ラ、差引十何万町歩ト云フモノノ開キガア
  ル、此補植ガ出來ナイ、甚ダ是ハ考慮イタ
  サネバナラヌカラ、之ニ付テハ十分對策ヲ
  立テテ考慮スルト云フ御話デアリマシタ
  ガ其趣旨モ繼續シテ今日デモ補植セラレ
  テ居リマスカドウカト云フコトニ付テ御尋
  ネシタイノデス、又前ノ御尋ネシマシタ中
  ノ大體ノ點ハ了解イタシマシタガ官有林
  ノ伐採ヲ差控ヘルト云フコトハ年々計畫ガ
  アルカラ、其方針ニ依テテッテ居ルカラ、
  是ハ同感シ兼ネルト云フ、斯ウ云フヤウナ
  御答デアリマシタガ、之ニ付キマシテ政府
  ノ山林伐採ノ收入ガ年々多少殖エテ行クヤ
  ウニ考ヘテ居リマス、サウシテ又伐採ノ量
  ハ同額ノ石數ヲ伐採セラレマシテモ、二三
  年前ノ價格ニ較ベマシテ非常ニ低下シテ居
  ル今日ノ狀態デアリマスカラ、如何ニシテ
  モ此伐採ノ量ガ非常ニ殖エテ居ラナケレバ
  豫期ノ收入ガ得ラレナイヤウユ考ヘマス
  ガ、此點ニ付テ參考ニ御尋ネシテ見タイト
  思ヒマス、又最後ニ御答ノナカッタ點ニ付テ
  御尋ネシマスガ、低利資金ノ融通ニ付キマ
  シテ、私ノ御尋ネハ山林業者ニ對シテ林道開
  發ニ對シテノミ御融通ユナッテ居ルヤウデ
  アリマスガ、尙ホ之ヲ植樹資金又ハ山林手
  入ノ資金ニモ御貸シ下サルコトヲ許サレタ
  ナラバ、此荒廢シテ行ク山林ヲ補植シ、且
  ツ林業者ノ救濟竝ニ奬勵ニ付テ大變效果ガ
  アルト考ヘマシタカラ、此點ヲ御尋ネシマ
  シタガ、此點ニ付テ御答ガナカッタヤウデ
  アリマスカラ、是ダケ御尋ネシテ置キマス
  〔政府委員平熊友明君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=58

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• 059・平熊友明

  ○政府委員(平熊友明君)　前囘ニ二十万町
  步伐採シテ居ルガ、七万町步位シカ植エテ
  居ラナイカラ、造林促進ノ途ヲ圖ルノデア
  ルト云フコトヲ前內閣ノ大臣ガ申シタガ
  尙ホ其趣旨ハ繼續スルノカト云フ御質問デ
  ゴザイマス、其趣旨ハ繼續シテ參ル積リデ
  居リマス、又繼續シツツアルノデゴザイマ
  ス、只二十万町步伐"テ七万町步シカ植エナ
  イデハナイカト云フヤウナ數字ノミカラ見
  マスト云フト、如何ニモ十三万町步ト云フ
  ノガ伐採サレタ儘ニ殘サレルト云フ形ニナ
  ルノデゴサイマスガ、此七万町步ト云フノ
  ハ人工デ植エル所ノ面積ヲ指サレタモノト
  考ヘマス、私ノ調ベマシタ所ニ依リマスト
  云フト、人工デ植エテ居リマスルモノハ
  最近ニ於テ一ケ年······最近年度ニ於テ十万
  町步デアリマス、サウシテ天然ノ力ヲ借リ
  テ造林シテ居リマスルモノガ十八万町步ア
  リマスルカラ、合計イタシマスルト云フト
  人工、天然、加ヘテ二十八万町步、是ダケ
  造林サレテ居ルヤウニ私ノ調ベノ數字ガナッ
  テ居ルノデアリマス、ソレカラ國有林ノ伐
  採ヲ年々增加シテ居ルデハナイカト云フ御
  尋デゴザイマスガ、幾分ヅツ增加イタシテ
  居リマス、併シソレハ數カラ申シマシテ、
  誠ニ九牛ノ一毛デアルノデアリマス、甚ダ
  御承知ノコトヲ申上ゲルヤウデ恐縮ニ堪ヘ
  マセヌガ、國有林ノ施業案ノ關係カラ申シ
  マスト云フト、先程申上ゲマシタヤウニ常
  ニ森林ヲ健全ナ姿ニ持續イタシマセヌケレ
  バ、其森林ハ荒廢シテ行クノデアリマス、
  例ヘバ間伐ノ如キモノデモ之ヲヤラズニ置
  キマスト云フト、其森林ハ大變惡イ森林ニ
  ナッテ來ル、又間伐デナクトモ一定ノ計畫ノ
  下ニ伐ルベキモノヲ伐ッテ參リマセヌト云
  フト老廢シタル林木ガ殘ルト云フコトニナ
  ルノデアリマスカラ、永久ノ計ヲ考ヘマス
  ト云フト、是ハ矢張リ其計畫通リニ伐ヲテ行
  クト云フコトガ眞ニ國家百年ノ大計ヲ爲ス
  所以デアルト考ヘル爲ニ伐採ヲ制限スル
  意思ナシト御答へ申上ゲタ次第デアリマ
  ス、ソレカラ金融ノ關係デアリマスガ、森
  林組合ニ貸シテ居リマスル金ノ中ニハ矢
  張リ只今御意見ニナリマシタ通リ、植樹ノ
  爲ニ其金ヲ使フコトモ認メテ融通シテ居リ
  マスノデアリマス

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• 060・長尾元太郎

  ○長尾元太郞君　略ボ了解イタシマシタ、
  ソコデ國稅關稅ノ改正、及ビ國產ノ奬勵、
  鐵道運賃ノ輕減、低利資金ノ融通等ニ付テ
  私ノ御尋ネニ付テ十分考慮スルト云フ御
  答デアリマシタカラ滿足デゴザイマスガ、
  今日ハ大臣モ御出席ガナイノデ、此程度ニ
  私ノ質問ハ止メテ置ク次第デアリマス

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• 061・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　午後二時マデ
  休憩イタシマス
  午後一時三分休憩
  午後二時十六分開議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=61

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• 062・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　書記官ヲシテ
  報告ヲ致サセマス
  〔瀬古書記官朗讀〕
  本日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
  違警罪卽决例中改正法律案可決報〓書
  本日委員會ニ於テ當選シタル正副委員長ノ
  氏名左ノ如シ
  辯護士法中改正法律案特別委員會
  委員長侯爵佐佐木行忠君
  副委員長子爵戶澤正己君
  家祿賞典祿給與未濟ニ關スル法律案特別
  委員會
  委員長子爵八條隆正君
  副委員長松浦鎭次郞君

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• 063・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　是ヨリ午後ノ
  會議ヲ開キマス日程第四、關稅定率法中
  改正法律案ノ第二讀會ヲ開クコトニ御異議
  ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 064・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　御異議ナイト
  認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=64

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• 065・西大路吉光

  ○子爵西大路吉光君　直ニ本案ノ第二讀會
  ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=65

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• 066・清岡長言

  ○子爵〓岡長言君　贊成

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=66

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• 067・近衞文麿

  ○創議長(公爵近衞文麿君)北西大路子爵ノ　動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=67

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• 068・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　御異議ナイト
  認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=68

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• 069・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　委員長報告通
  リデ御異存ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=69

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• 070・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　御異議ナイト
  認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=70

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• 071・西大路吉光

  ○子爵西大路言光君　直ニ本案ノ第三讀會
  ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=71

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• 072・清岡長言

  ○子爵清岡長言君　贊成

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=72

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• 073・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　西大路子爵ノ
  動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=73

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• 074・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　御異議ナイト
  認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=74

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• 075・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　第二讀會ノ決
  議通リデ御異存ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=75

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• 076・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　御異議ナイト
  認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=76

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• 077・清岡長言

  ○子爵〓岡長言君　日程變更ノ緊急動議ヲ
  提出イタシマス、卽チ明治四十二年法律第
  二十二號中改正法律案、違警罪卽決例中改
  正法律案ノ兩案ヲ日程第五ノ前ニ上程シ
  付議サレムコトヲ希望イタシマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=77

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• 078・西大路吉光

  ○子爵西大路吉光君　贊成

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=78

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• 079・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衛文麿君)　〓岡子爵ノ動
  議ニ御異存ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=79

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• 080・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　御異議ナイト
  認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=80

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• 081・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　明治四十二年
  法律第二十二號中改正法律案、政府提出、
  衆議院送付、第一讀會ノ續、委員長報告、
  鷹司公爵
  明治四十二年法律第二十二號中改正法
  律案
  右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
  報告候也
  昭和六年三月二十五日
  委員長公爵鷹司信輔
  貴族院議長公爵徳川家達殿
  〔公爵鷹司信輔君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=81

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• 082・鷹司信輔

  ○公爵鷹司信輔君　明治四十二年法律第二
  十二號ノ立木ニ關スル件中改正法律案ニ付
  テ其審査ノ經過及ビ結果ヲ御報告申上ゲ
  さく、本法律案ハ三月十九日議長ヨリ委員
  付託ニナリマシテ、三月二十日ニ互選ヲ致シ
  マシテ、私ガ委員長安立綱之君ガ副委員長
  ニ當選イタシマシタ、越エテ三月二十四日
  竝ニ二十五日ニ本件ニ關スル特別委員會ヲ
  開キマシテ審議ヲ致シマシタノデアリマス
  ガ玆ニ委員會ノ經過ヲ極ク簡單ニ申上ゲ
  マス其理由ハ既ニ政府委員ヨリ御說明ガ
  アリマシタノデ、此處デハ略シマシテ、改
  正案ニ於キマシテ登記スルコトヲ得ル樹木
  ノ集團ノ範圍ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ムトアリ
  マスノデ、其勅令ノ內容ニ付テ司法農林兩
  省ノ政府當局ヨリ色ミ詳細ニ說明ヲ聽取イ
  タシマシタ、而シテ審議ノ結果本案ノ制定
  ハ現下ノ林業趨勢ニ鑑ミマシテ、極メテ適
  切ナルモノト考ヘマシタニ依リマシテ、政
  府ノ提出法律案ヲ全會一致デ可決イタシマ
  シタ、右御報〓申上ゲマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=82

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• 083・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　本案ノ第二讀
  會ヲ開クコトニ御異存ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=83

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• 084・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　御異議ナイト
  認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=84

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• 085・西大路吉光

  ○子爵西大路吉光君　直ニ本案ノ第二讀會
  ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=85

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• 086・清岡長言

  ○子爵〓岡長言君　贊成

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=86

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• 087・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　西大路子爵ノ
  動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=87

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• 088・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　御異議ナイト
  認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=88

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• 089・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　委員長ノ報〓
  通リデ御異存ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=89

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• 090・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　御異議ナイト
  認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=90

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• 091・西大路吉光

  ○子爵西大路吉光君　直ニ本案ノ第三讀會
  ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=91

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• 092・清岡長言

  ○子爵〓岡長言君　贊成

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=92

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• 093・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衛文麿君)　西大路子爵ノ
  動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=93

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• 094・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衛文麿君)　御異議ナイト
  認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=94

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• 095・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　第二讀會ノ決
  議通リデ御異存ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=95

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• 096・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　御異議ナイト
  認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=96

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• 097・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衛文麿君)　次ニハ違警罪
  卽決例中改正法律案ヲ議題ト致シマス、第
  一讀會ノ續、委員長報告、中御門候爵
  遠警罪卽決例中改正法律案
  右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
  報〓候也
  昭和六年三月二十五日
  委員長侯爵中御門經恭
  貴族院議長公爵德川家達殿
  〔侯爵中御門經恭君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=97

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• 098・中御門經恭

  ○侯爵中御門經恭君　違警罪卽决例中改正
  法律案ノ特別委員會ノ御報告ヲ申上ゲマ
  ス、此法律案ハ刑事補償法案ト同ジ委員ニ
  併託サレマシテ、委員會ヲ開キマシテ審議
  イタシマシタ所、僅カ三條ノ改正デゴザイ
  マスケレドモ、人權保護ニ於テ······保護ヲ
  擴張スル意味ニ於テ、最モ適切ナル法案ト
  シテ、委員會ニ於キマシテハ直ニ滿場一致
  ヲ以テ可決確定イタシマシタ、右御報〓ヲ
  致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=98

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• 099・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　本案ノ第二讀
  會ヲ開クコトニ御異存ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=99

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• 100・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　御異議ナイト
  認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=100

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• 101・西大路吉光

  ○子爵西大路吉光君　直ニ本案ノ第二讀會
  ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=101

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• 102・清岡長言

  ○子爵〓岡長言君　贊成

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=102

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• 103・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　直ニ本案ノ第
  二讀會ヲ開クコトニ御異存ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 104・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衛文麿君)　御異議ナイト
  認メマス

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• 105・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　委員長ノ報〓
  通リデ御異存ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 106・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　御異議ナイト
  認メマス

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• 107・西大路吉光

  ○子爵西大路吉光君　直ニ本案ノ第三讀會
  ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス

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• 108・清岡長言

  ○子爵〓岡長言君　贊成

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• 109・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衛文麿君)　西大路子爵ノ
  動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 110・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　御異議ナイト
  認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=110

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• 111・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　第二讀會ノ決
  議通リデ御異存ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 112・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　御異議ナイト
  認メマス

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• 113・近衞文麿

  ○副議長(公爵近衞文麿君)　委員會ノ審議
  ノ都合上暫時是ニテ休憩イタシマス
  午後二時二十五分休憩
  午後九時十九分開議

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• 114・徳川家達

  ○議長(公爵德川家達君)　是ヨリ書記官ヲ
  シテ諸般ノ報〓ヲ致サセマス
  〔小林書記官朗讀〕
  本日衆議院ヨリ本院ノ囘付ニ係ル左ノ政府
  提出案ハ同院ニ於テ本院ノ修正ニ同意シ奏
  上セル旨ノ通牒ヲ受領セリ
  自動車交通事業法案
  本日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出案
  ハ直ニ裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆議院ニ
  通知セリ
  簡易生命保險法中改正法律案
  重要產業ノ統制ニ關スル法律案
  關稅定率法中改正法律案
  明治四十二年法律第二十二號中改正法律
  案
  本日本院ニ於テ可決シタル左ノ衆議院提出
  案ハ直ニ裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆議院
  ニ通知セリ
  違警罪卽决例中改正法律案
  本日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
  昭和六年度歲入歳出總豫算追加案第
  號)、昭和六年度各特別會計歲入歲出豫算
  追加案(特第一號)、豫算外國庫ノ負擔ト
  ナルベキ契約ヲ爲スヲ要スル件(追第一
  號)、昭和五年度各特別會計歲入歲出豫算
  追加案(特第一號)、昭和六年度歲入歲出
  總豫算追加案(第二號)、昭和五年度歲入
  歲出總豫算追加案(第一號)可決報〓書
  本日議員ヨリ左ノ議案ヲ提出セリ
  昭和六年度歲入歲出總豫算追加案(金).
  號)ニ對スル修正案
  昭和六年度各特別會計歲入歲出豫算追加
  案(特第一號)ニ對スル修正案(男爵坂本
  俊篤君外三名發議)
  本日衆議院ヨリ左ノ議案ヲ提出セリ
  產業組合中央金庫法中改正法律案
  農會法中改正法律案
  耕地整理法中改正法律案
  樺太ニ衆議院議員選擧法施行ニ關スル法
  律案
  六大都市ニ關スル法律案
  地方鐵道及軌道ニ對スル地方稅免除ニ關
  スル法律案
  河川法中改正法律案
  古物商取締法中改正法律案
  大正十五年法律第五十二號中改正法律案
  震災ニ因ル土地區劃整理施行地區内ノ假
  建築著手期限變更ニ關スル法律案
  產師法案
  出版權法案
  銀行法中改正法律案
  保稅工場法中改正法律案
  日本勸業銀行法中改正法律案
  日本興業銀行法中改正法律案
  農工銀行法中改正法律案

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• 115・徳川家達

  ○議長(公爵德川家達君)　前刻ニ引續キマ
  シテ會議ヲ開キマス

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• 116・林博太郎

  ○伯爵林博太郞君　此際日程ヲ變更シ直ニ
  昭和六年度歲入歲出總豫算追加案、第一號、
  昭和六年度各特別會計歲入歲出豫算追加
  索、特第一號、豫算外國庫ノ負擔トナルベ
  キ契約ヲ爲スヲ要スル件、追第一號、昭和
  五年各特別會計歲入歲出豫算追加案、特第
  一號、昭和六年度歲入歲出總豫算追加案、第
  二號、昭和五年度歲入歲出總豫算追加案、
  第一號ヲ追加シ、之ヲ議題トセラレムコト
  ヲ要求イタシマス

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• 117・櫛笥隆督

  ○子爵櫛筍隆督君　贊成

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• 118・徳川家達

  ○議長(公爵德川家達君)　林伯爵ノ議事日
  程變更ノ動議ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ求メマ
  ス
  〔起立者多數〕

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• 119・徳川家達

  ○議長(公爵德川家達君)　過半數ト認メマ
  ス

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• 120・徳川家達

  ○議長(公爵徳川家達君)　昭和六年度歲入
  歲出總豫算追加案外五案ノ會議ヲ開キマ
  ス、委員長報告、豫算委員長林伯爵
  一昭和六年度歲入歲出總豫算追加案第
  一部
  一昭和六年度各特別會計歲入歲出豫算追
  加案(特第一號)
  一豫算外國庫ノ負擔トナルベキ契約ヲ爲
  スヲ要スル件(追第一號)
  一昭和五年度各特別會計歲入歳出豫算追
  加案(特第一號)
  一昭和六年度歲入歲出總豫算追加案第
  二號)
  一昭和五年度歲入歲出總豫算追加案第
  (株)
  右衆議院ヨリ受領シタル各案ヲ審査シ總
  テ衆議院議決案ノ通可決スヘキモノナリ
  ト議決セリ依テ及報〓候也
  昭和六年三月二十五日
  委員長伯爵林博太郞
  貴族院議長公爵德川家達殿
  〔伯爵林博太郞君演壇ニ登ル〕

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• 121・林博太郎

  ○伯爵林博太郞君　只今、日程ニ上ボリマ
  シタ昭和六年度歲入歳出總豫算追加案第一
  號外五件ノ追加案全部ニ付キマシテ、豫算
  委員會ノ經過竝ニ結果ヲ簡單ニ御報告ヲ致
  シマス、三月十九日衆議院ヨリ受領イタシ
  マシテ、三月二十日午後三時ヨリ豫算總會
  ヲ開會イタシマシタ二十三日午前十時四
  十五分第三分科ヲ豫算總會ト併行シテ開會
  スルコトト致シマシタ而シテ三月二十五
  日、卽チ本日第三分科ノ報告ヲ得マシテ、
  午後ニ總會ヲ開キマシテ採決ヲ致シマシタ
  次第デゴザイマス、其順序ハ更ニ又後ニ申
  上ゲルコトニ致シマス、議會モ切迫ノ際デ
  ゴザイマスルカラシテ、簡單ニ申上ゲテ置
  キタイト思フノデゴザイマス、總豫算追加
  案第一號ハ歲入二千八百九十四万七千三百
  八十六圓、歲出三千九百八万九百二十八圓、
  差引歲入ノ不足ガ千十三万三千五百四十二
  圓ト云フモノハ、昭和六年度豫算ノ歲入超
  過額デ支辨スルト云フ說明デアリマス、歲入
  ニ付キマシテハ其重ナルモノハ生絲格付檢
  査事業擴張ニ伴フ······抵當證劵法制定施行
  等ニ拌フ印紙收入增加九十二万圓、失業救濟
  道路改良費地方分擔金五百五十万圓、失業
  救濟ノ道路公債二千二百万圓等デアリマ
  ス、歲出シ重ナルモノハ失業救濟ニ二千七
  百五十万圓ヲ要シマス、內國デハ國道改良
  費千七百五十万圓、北海道デハ百万圓、地
  方團體ニ對スル補助費ハ九百万圓トナッテ
  居ルノデアリマス、昭和五年中ノ風水害ノ
  災害費ヤラ、靜岡、神奈川震災復舊費ヤラ、
  海運界ノ不況ニ伴フ失業船員ノ補助金等計
  上シテアルノデアリマス、昭和六年度各特
  別會計歲入歲出豫算追加案特第一號、、此中
  デハ主ナルモノデ問題トナッテ、色ミ討議
  イタシマシタ大阪府立大阪醫科大學ヲ國ニ
  移管スルト共ニ、理學部ヲ新設シ大阪帝
  國大學ヲ創設スルト云フノデ、其歲入歲出
  百三十二万八千九十九圓、ソレガ經常部
  デ、臨時部ハ二十一万圓トナッテ居リマス、
  尙ホ昭和六年度愛知縣立愛知醫科大學ヲ矢
  張リ國ニ移管イタシマシテ、名古屋醫科大
  學トスルト云フノデアリマス、此經費ハ經
  常部ニ於テ九十七万圓デアリマス、其他米
  穀需給調節特別會計法ノ改正ニ伴フ經費ヤ
  ラ、簡易生命保險法ノ改正ニ伴フ經費等ガ
  計上サレテアリマスガ、委細ハ速記ニ於テ
  御覽ヲ願ヒマス、質問ニ付キマシテモ極
  ク簡單ニ申上ゲテ置キマス、先ヅ濱口首相
  ニ對シテノ質問ガアリマシテ、是ハ海軍ノ
  第二次計畫ニ付テ海相竝ニ首相代理ニ應答
  ヲ致シマシタコトト同一ナリヤ否ヤニ付テ
  ノ、確カメルヤウナ質問ガゴザイマシテ、
  首相ハ之ヲ豫算總會ノ時ト同ジコトデア
  ルト云フコトヲ申サレタノデアリマス、豫
  算ノ歳入減ヲ防グ爲ニ結局苛歛誅求ニ陷ル
  ヤウナ虞ハナイカ、是ハ各官廳デ十分公正
  ナル基礎ノ下ニ計算ヲナシタノデアルカ
  ラ、豫算面ノ歲入ハ得ラレルモノト信ズ
  ル昨年ノ議會ト今日ノ議會トハ環境ガ大
  ニ違フ、昨年ノ議會ノ當時ニアリマシテハ
  未ダ世界的不況ガ襲來シテ居リマセヌ而
  シテ內地ノコノ環境デ、豫算ヲ見積ッタノデ
  アリマス、然ルニ世界的ノ不況ガ來テ、今
  日ノ場合歲入ガ激減スルコトトナッタノデ
  アリマスルカラ此差別ガアルト云フコト
  ハドウソ御含ミヲ願ハレタイト云フ首相
  ノ答辯デゴザイマス、其他ノ問題ハ失業問
  題ニ付キマシテ、自由勞働者ノミニ重キヲ
  置イテ、之ヲ救護スルト云フコトデアリマ
  シテ、知識勞働者竝ニ熟練職重等ニ付テハ
  餘リ考慮シテナイト云フコトニ付テノ質問
  應答ガアリマシタ、ケレドモ其內容ニ付キ
  マシテハ速記ニ之ヲ讓リマス、其他產業統
  制、恩給、減俸問題等ニ付キマシテモ質問
  應答ガゴザイマシタガ、ソレ等モ總テ速
  記錄ニ讓リマス、デ要スルニ、今囘ノ總追
  加豫算案ニ付キマシテ、最モ重大ナルモ
  ノデアッテ、問題トナッタノガ大阪帝國大學
  卽チ理學部ノ新營費デゴサイマスデスカ
  ラ此問題ニ付キマシテノ質問應答ヲ簡單ニ
  述ベテ見マス、是ハ極メテ重大ナル〓育上
  ノ問題デアリマス、綜合大學ヲ大阪ニ置クト
  云フコトハ決シテ輕イ問題デナイノデアル、
  卽チ是ハ本豫算ニ計上スベキモノデアル、而
  シテ次年度ヲ待テナイデ緊急ヲ要スルト云
  フヤウナコトハ一目瞭然疑ヒノナイモノ
  デアルト云フヤウナモノニ限ルノデアリマ
  スノニ、此大阪帝國大學ノ創設ハ一年待ッ
  テモ遲クナイノデアル、其點ハ如何デアル
  カ、如何ニモ文部大臣ハ文〓ニ忠實ナモノ
  デナイヤウニ見エルガ其點ハドウデアルカ
  ト、斯ウ云フ質問ガアリマシタ、此大阪ニ
  帝國大學ヲ置クト云フコトハ、文相ノ答ニ依
  リマスト云フト、是ハ長イ間ノ案件デアル、
  嘗テ衆議院ニ於テ決議案ヲ決議シタコトモ
  アル、大阪ト云フ場所ノ商工業ノ中心デア
  ルト云フ環境ニ依リマシテモ、大阪ニハ當
  然應用ヲ主トシタ所ノ綜合大學ガアッテ然
  ルベキデアルノデアリマスカラ、是ハ決シ
  テ一朝一夕ノ思ヒ著キデ提案ヲ致シタモノ
  デナイ、深イ根柢ヲ有スルモノデアルト云
  フコトデアリマス又此世界的不況ニ直面
  シマシテ商工業ヲ根本的ニ立テ直スト云フ
  コトハ是ハドウシテモ學理的ノ基礎ニ依
  ラナケレバナラナイノデアルカラ、大阪ノ
  商工業ノ中心地ニ此種ノ大學ヲ造ルト云フ
  コトハ最モ意義ノアルコトデアルト云フ
  コトモ申サレテ居リマス、京都ニハ四十分
  デ自動車デ行ケルト云フヤウチ極ク近イ所
  ニ大學ガアル、ソレデアルカラシテ是ハ京
  都帝國大學ノ附屬ノ一理學部トシテ置イテ
  モ差支ヘナイデハナイカ、必シモ玆ニ獨立
  シタ綜合大學ヲ置クト云フコトハ必要ナイ
  デハナイカ、尙ホ又單科大學ニシテ置イテ
  モ宜イデハナイカト云フヤウナ質問ニ致シ
  マシテハ大阪ハ工業ノ中心地デアル、從「ラ
  テ大學ノアルベキ然ルベキ土地デアリマシ
  テ、各地ノ大學ハ各、其環境ニ應ジテ特色
  ヲ喚起スベキモノデアル、大阪デハ大阪ノ
  特色ヲ喚起スベキモノデアルカラ、此特色
  アル使命ヲ實現サセル爲ニハ、自然大阪獨
  自ノ特色ヲ持。ッテ居ル所ノ大學ヲ造フテ、而
  シテ之ニ依シテ國家ニ貢獻セシムルト云フ
  コトハ決シテ惡イコトデハナイ、色ミノ大
  學ガ色ミノ使命ヲ以テ其特色ヲ發揮シテ
  高等學府ノ理想ニ步ンデ行クト云フコトモ
  結構デハナイカト思フ、ソレカラ共寄附ニ
  依ッテ大學ヲ設置スルト云フヤウナコトハ
  聊カドウ云フモノデアラウカ、又寄附モ忽
  チニシテ無クナルノデアッテ、其後ハ國家ノ
  經費ガ非常ニ大キナモノニナルデハナイ
  カト云フヤウナ質問モ出マシタ、所ガ今
  囘ノ寄附ハ百八十五万圓ト云フモノデア
  リ、且ツ其土地ハ之ヲ評價スルト一千五百
  万圓ニモ上ボルノデアリマシテ、大阪ノ土
  地ガ大學ヲ希望スルト云フノニ加ヘテ、斯
  カル多額ノ金額ヲ寄附スルト」云フコトニ
  ナルノデアルカラ、誠ニ好イ機會デアルカ、
  ラ、此際之ヲ造ルト云フコトモ極ク宜イコ
  トデアルト云フ話デアリマシタ、デ大阪工
  業大學ト云フモノガ、軈テ之ヲ移管スルト
  云フコトニ付キマシテノ問答ガアリマシ
  タ國家ノ負擔ガ軈テ殖エルト云フ議論ニ
  對シマシテ文相ハ當分此三ツダケノモノ
  デヤッテ行クガ、若シ將來ニ於テ他ノ學部ヲ
  綜合シテ行ク或ハ新設シテ行クト云フコ
  トガ不都合デアルト云フ考ガアルナラバ
  ドウシテモ是ハ帝國議會ニ出ス問題デアリ
  マスカラ、貴衆兩院ガ之ヲ否決スルト云フコ
  トニナレバ實行ガ出來ナイ、贊成スレバ實
  行ガ出來ルト云フコトノ、共機關ヲ經ナケ
  レバナラナイノデアルカラ、今日將來ノ經
  費ニ付テ云々ト云フコトハ問題ニナラナイ
  コトデアル又九州大學ニ理學部ヲ置イタ
  方ガ大阪ニ新營スルヨリハ宜イノデハナイ
  カト云フヤウナ話ニ對シテハ元來是ハ寄
  附ガ動機トナッテ居ルノデアルカラ、此寄附
  金ヲ以テ九州ニ理學部ヲ置クト云フコトハ
  如何ナモノデアラウカ、是ハ不可能ナコト
  デアラウト思フ、又〓究所ヲ作ッテ實際的ニ
  〓究シタ方ガ大學ヲ作ルヨリ宜クハナイカ
  ト云フ議論ニ對シテモ、寄附ト云フモノノ
  精神目的ガ大學ヲ作ルト云フコトニアルノ
  デアルカラ、是モ不可能デアルト云フヤウ
  ナ答辯デアリマス、ソレカラ又大學ト云フ
  モノハ方々ノ帝國大學モマダ本當ニ完備
  シテ居ラナイ、特ニ東京ナドハ震災後ニ於
  ケル復舊ナドガ十分ニ出來テ居ラナイノデ
  アル、然ルニ又新シク屋上屋ヲ加ヘテ、玆
  ニ大阪ニ大學ヲ造ルト云フヨリモ從來ノ不
  完全ナル大學ヲ完成シタ方ガ順序デハナイ
  カ、特ニ今日財政ノ窮乏セル時ニ於テハ然
  リト思フノデアルト云フヤウナ質問ニ對シ
  テハ、過去ノ大學ガ完成シナレケレバ大阪ニ
  大學ヲ造ルコトノ出來ナイト云フコトニハ
  ナッテ居ラナイ、特ニ大阪ニハ此醫、理工
  ノ綜合大學ト云フモノガ必要デアルノデア
  ル而シテ二ツ以上ノ大學ガアレバ、是ハ
  綜合大學ト云フコトガ出來ルノデアッテ、
  極メテ是ハ今日緊急ニ必要ナモノデアルト
  云フ答辯デアリマス、然ラバ斯ノ如キ重要
  ナル問題ハ國民精神ノ作興、〓育ノ方針、
  文政ノ重要ナル事項ニ關シテハ文政審議
  會ニ付議スルト云フコトニナッテ居ルノデ
  アルカラ、此問題、卽チ大阪ニ理學部新設
  ノ如キ綜合大學ヲ作ルト云フヤウナ大キナ
  國家ノ〓育問題ニ對シテハ、宜シク文政
  審議會ニカケテカラ追加豫算ナリ、本豫
  算ナリニ出スベキモノデアルト思フノデア
  ルガ、其點ハドウデアルカ、大學令ノ改正
  デアリマストカ、學制ノ根本的改革等ニ付
  テハ從來文政審議會ニカケタノデアルガ
  一度決マッテ居ル所ノ大學令ニ基イテ新シ
  ク大學ヲ作ルト云フ場合ハ、其法規ノ實行
  デアルカラシテ、殊更ニ文政審議會ニ從來
  カケテ居ラナイ、九州大學ノ如キモ文政審
  議會ニカケズニ實行サレタ位デアルカラ、
  從來ノ例ニ傚ッタノデアッテ、決シテ違法デ
  ハナイト考ヘルト云フヤウナ議論デアリマ
  ス、是等ニ付テハ委細ノコトハドウカ速
  記ニ於テ十分ニ御覽ヲ願フ、又新聞紙等ニ
  於テ十分ニ載セラレテアリマスカラシテ、
  ドウカソレニ付テ御覽ヲ願ヒマス、斯ク致
  シマシテ、本日卽チ三月二十五日午後四時
  二十分ニ總會ヲ開キマシテ、而シテ第三分
  科ノ主査ヨリ共經過ノ報告ヲ得マシタ、而
  シテ先ヅ大阪帝國大學ニ關スル追加豫算ヲ
  除イテ討議ニ入リマシタ、而シテ討論ニ移ッ
  タノデアリマス、時ニ一委員ヨリ內務省ノ
  追第一號第三十四款ニ於テ、失業救濟ノ費
  用ガ二千七百五十万圓アリマシテ、其中デ
  政府ガ直轄シテ國道ヲ修理スルト云フ事業ノ
  費用ガ一千七百五十万圓ト云フ大キナモノ
  ガ見積ッテアル、而シテ之ニ要スル事務費ト
  シテ八十五万八千圓ト云フ又大キナモノガ
  見積ッテアッテ、勅任官一人云々ノ官吏モ新
  シク之ガ採用スルト云フコトニナッテ居ル
  ガ、今日官吏ノ免官モ控ヘテ、失業ヲ防グ
  ト云フヤウナ場合デアリ、而シテ色ミノ方
  面ニ於テ内務省モ官吏ガ餘テテルル筈デア
  ル、デアルカラシテ、本省ニアル所ノ勅任
  官以下ノ技師モアルコトデアルカラ、之ヲ
  以テ十分間ニ合ハスベキデアルノニ、新ニ
  此際八十五万八千圓ト云フ金ヲ事務費ニ使
  フト云フコトハ穩健デナイト思フ、ドウカ
  是ハ失業ノ方面ニ有益ニ且ツ生キルヤウニ使ッ
  テ貰ヒタイト云フ希望ガ出マシテ、此意見ト
  云フモノハ皆サンノ御贊成ガアッタ次第デゴザ
  イマス、斯ノ如ク致シマシテ、採決ニ移リマシ
  タル所、過半數ヲ以テ可決ニ相成リマシタ、次
  ニ大阪帝國大學ノミノ追加豫算ニ付テ討議
  ニ移リマシタ次第デゴザイマス、此際ニ修
  正案ガ提議サレタノデゴザイマス卽チ大
  阪帝國大學ニ關スル豫算全部ヲ削除スルト
  云フ修正ノ動議ガ出マシテ、其動議ハ成立
  イタシマシテ、討議ニ入ッテ採決ヲ致シマシ
  タ次第デゴザイマス、旣ニ先程來議論ノ
  此大阪大學ニ付テノ可否ノコトハ、只今モ
  ウ一通リ申上ゲマセヌデモ、重複イタシマ
  スカラ是モ省イテ置キマス、此修正案ノ採
  決ノ結果十六對三十二デ以テ是ハ否決ニ相
  成リマシタ次第デゴザイマス、次ニ大阪帝
  國大學追加豫算ノ原案ニ付キマシテ討論ニ
  入リマシタ、圖ラズモ玆ニ附帶決議ノ問題
  ガ出マシテ、ソレニ付テノ議論ガ出タノデ
  ゴザイマスガ、其附帶決議ト申シマスノハ
  大阪帝國大學創設ニ關スル豫算ハ之ヲ承認
  スルモ共實行ニ方リテハ文政審議會ノ議ニ
  付スルヲ要ス
  此附帶決議ノ意味ニ付キマシテモ質問
  應答ガゴザイマシテ、先ヅ其實行ニ方リ
  テハト云フ、實行トハ何デアルカト云フ
  コトニ付キマシテハ卽チ講座ガ幾ツア
  リ、〓授ガ何人要リ、助〓授ガ何人要ルト
  カ云フコトニナッテ居ル、其人ナリ、其室
  ナリ、其內容等ヲ如何ニスルカト云フヤウ
  ナコトニ付テ、此運用如何ニ付テハ文政審
  議會ニカケル、豫算ハ可決スルケレドモ、
  其實行方法ニ付テハ文政審議會ニカケテ貰
  ヒタイト云フ意味ダト云フコトニ付テノ質
  問應答ガアッタノデゴザイマス、之ヲ文相
  ニ質問ヲサレタ方ガゴザイマスガ、文相ハ
  此文政審議會ニカケルト云フコトハ、文相
  トシテ申スノデハナイ、若シモ此附帶決議
  ガ希望トシテ通過イタシマスレバ文相ニ
  於テハ之ヲ考ヘマシテ文政審議會ニカケ
  テモ宜シイ其結果ガ否決サレタラドウデ
  アルカ、是ハ否決サレナイト云フコトヲ確
  信シテ居リマス、否決サレル場合ノコトハ
  考ヘテ居ラナイト、斯ウ云フ返事デアリマ
  ス、サウシテ此附帶決議ト云フコトハアト
  ニ〓シマシテ、原案ニ付キマシテ決ヲ採リ
  マシタ所、過半數ヲ以テ此原案ガ可決ニ相
  成リマシタ、其附帶決議ニ移リマシタル
  所或委員ヨリ豫算ノ決議ニハ協贊權ヲ犯
  サザル範圍ナラバ宜イガ、今日ノ此附帶決
  議ノ如キハ全ク重イモノデアッテ、而モ此豫
  算ノ決議ヲ束縛スル意味ヲ有ノテ居ル、是ハ
  從來ノ例トシテハナイコトデアル、而モ未
  ダ生ゼザル將來ノ、卽チ事後ノコトヲ決ス
  ルト云フコトガ附イテ居ルノハ誠ニ不都合
  デアルト云フ意味ノ意見ガ出タノデアリマ
  ス、又此豫算ヲ出ス前ニ文政審議會ニカケ
  ルナラバ宜シイ、一旦此議會ヲ經テ然ル
  後ニ文政審議會ニカケルト云フコトハ不當
  デアル、若シモ實行ニ當,テ不明ナ點ガアル
  ナラバ、宜シク豫算委員會ニ於テ之ヲ尙ホ
  更ニ詳シク論ズルノモ宜シ、本會議ニ於テ
  モ論ズルノモ宜シ、議會ハ議會トシテノ權
  能ヲ發揮シテ議會ノ中デ豫算ノ全部ヲ議了
  スルト云フノガ本議デハナイカ、事後ニ之
  ヲ文政審議會ニ諮ルト云フガ如キハ是人
  貴族院ノ豫算ノ審議ノ權威ヲ輕ンズルモノ
  デアル、而モ自ラ輕ンズルモノデアリ、責
  任ノ轉嫁ト謂ハナケレバナラナイト云フヤ
  ウナ御議論ガ出タノデゴザイマス、是デ附
  帶決議ニ付キマシテノ可否ヲ間ヒマシタル
  所三十二對二十四デ以テ、此附帶決議ヲ通
  過イタシマシタ次第デゴザイマス、之ヲ以
  テ豫算追加案全部ガ結局可決ニ相成リマシ
  タ次第デゴザイマスガ、最後ニ一委員カラ
  個人トシテノ希望ヲ申出デラレマシタ、「特
  別會計豫算案ハ從來一切ノ特別會計ヲ一册
  中ニ網羅シ之ヲ要求スルノ例ナルモ、偶〓其一
  部ニ修止削除ヲ加フルノ必要アル場合ニ於
  テ他ノ何等關係ナキ特別會計ヲ之ニ伴パシ
  ムルコトハ甚ダ不合理ナルヲ以テ今後其取
  扱ヲ變更シテ一部ノ修正削除ニ依リ他ノ關
  係ナキ特計會計ニ累ヲ及ボサザルヤウ處理
  ニ付考慮セラレムコトヲ望ム」、今囘ノ此追
  加豫算案ヲ見マシテモ、從來ノ如ク大阪帝
  國大學ノ經費ダケヲ削除セムトシテモ他
  ノ特別會計其他ニ亙ッテ煩瑣ナル方面ニ及
  ンデ居ルノデアリマシテ、其多岐ニ亙シテ居
  リ、煩雜ニ亙ッテ居ルノデアリマシテ誠
  之ヲ議決スル上ニ於テ處理ニ苦シム次第デ
  アルカラ、將來ハ豫算ノ編成ヲ簡潔ニシ
  テ其款項目ヲ明カニシテ而シテ單純化
  シテ能ク是ガ分ルヤウニシテ提出セラレム
  コトヲ望ムト云フ意味デゴザイマスルガ、
  此希望ハ誠ニ尤モナコトデアリマシテ、皆
  サンノ贊成サレタ點デゴザイマスルカラ
  私ガ此處ニ皆サンニ、諸君ニ御報道ヲ致シ
  テ置キマス、右ノ經過ニ依リマシテ追加
  豫算案全部ハ可決ニ相成リマシタ次第デゴ
  ザイマス、此段御報告ヲ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=121

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• 122・徳川家達

  ○議長(公爵德川家達君)　是ヨリ修正案發
  議者ノ說明ヲ許シマス、坂本男爵
  昭和六年度歲入歳出總豫算追加案第
  一號)ニ對スル修正案
  昭和六年度各特別會計歲入歲出豫算追
  加案(特第一號)ニ對スル修正案
  右議院法第四十一條ニ依リ提出候也
  昭和六年三月二十五日
  發議者
  男爵坂本俊篤男爵斯波忠三郞
  男爵千秋季隆南弘
  贊成者
  嘉納治五郞眞野文二
  男爵平野長祥男爵小原詮吉
  男爵神山郡昭男爵長松篤棐
  內田重成岡喜七郞
  男爵上田兵吉男爵北大路實信
  男爵今枝直規男爵千田嘉平
  男爵〓誠之助男爵金子有道
  男爵赤松範男爵藤村義朗
  男爵小畑大太郞男爵有地藤三郞
  男爵黑田長和男爵井田磐楠
  男爵今園國貞男爵東〓安
  男爵伊藤文吉男爵足立豐
  男爵寺島敏三男爵井上〓純
  男爵高崎弓彥男爵伊江朝助
  男爵中村謙男爵北島貴孝
  男爵沖貞男男爵關義壽
  男爵三須精一男爵長基連
  男爵稻田昌植男爵肝付兼英
  男爵大寺純藏男爵園田武彥
  石渡敏竹越與三郞
  小久保喜七林平四郞
  坂田貞花井卓藏
  瀨谷勇次郞根本祐太郞
  佐藤信古田中〓馬
  鳴海周次郞男爵渡邊汀
  貴族院議長公爵德川家達殿
  (小字及-ハ修正ナリ)
  (第一號)
  昭和六年度歲入歲出總豫算追加
  九頁
  貳十八
  第一條昭和六年度歲入追加額ヲ貳千八
  百七拾五萬貳千參百八拾六圓
  百九拾四萬七千參百八拾六圓歲出追加
  參千八百八拾八萬五千九百貮拾八圓
  額ヲ參千九百八萬九百貮拾八圓ト定ム
  其ノ款項ノ金額ハ別册甲號歲入歲出豫
  算ニ據ルヘシ
  甲號
  歲入臨時部
  一二頁
  第六款特別會計ヨリ繰入
  九五、〇〇〇
  帝國大學特別會計ヨリ
  第三頃
  一丸五、〇〇〇
  藏入臨時部合計
  二七、六三三、一〇六
  二七、八二八〇六
  一八、七五二三八六
  歲入總計二八、九四七三八六
  歲出臨時部
  大藏省所管
  一八頁
  第一黴橙隱費一九五、〇〇〇
  第十七頃大阪帝國大學理學部
  一九五
  一九頁
  六三、五七八
  大藏省所管合計二五八、五七八
  二二頁
  議出臨時都合計
  三化、二一六。四三
  三七、四
  三八、八八五、九二八
  歲出總計三九、〇八〇、九二八
  乙號
  大藏省所管
  二四頁-一五頁
  大阪帝國大學理學部新營費
  總顧
  トンズ營繕費
  大阪帝國大學理學部
  七六四、六九四
  〓額
  昭和六年度一九五、〇〇〇
  昭和七年度一三五、〇〇〇
  昭和八年度三三四、六九四
  (小字及-ハ修正ナリ)
  (特第一號)
  昭和六年度各特別會計歲入歲出豫算追
  加
  一貫
  第二條別冊乙號所揭ノ費途ハ其ノ規
  畫スル所ニ隨ヒ昭和六年度以降ノ繼
  續費ト爲ス
  製作昭和六年度幾出豫算追加中別
  册丙號所揭ノ費途ハ年度末支出殘額
  ヲ翌昭和七年度ニ繰越使用スルコト
  ヲ得
  甲號
  文部省所管
  帝國大學
  歲入
  經常部
  六頁-七頁
  第六款大阪帝國大學
  三二八、〇九九
  第一傾諸敗入〇九九
  經常部合計三八九、
  臨時部
  第六款大阪帝國大學二〇、〇〇〇
  第一項資金繰入○
  第二項棚途指定寄付金
  0
  六八、八
  臨時部合計二七八八
  一己九四
  合計、六六七、二九三
  歲出
  經常部
  八頁-丸頁
  第六款大阪帝國大學
  、三二八、〇九九
  第一頃降給二九三、二七〇
  第二項校費〇三一、八二九
  第三項諸支出金三、〇〇〇
  經常部合計、三八九
  臨時部
  第六款大阪帝國大學三〇〇〇
  第一項理學部設備費五〇〇〇
  第二項用途指定費〇〇〇
  第三項般會計へ繰入
  一九五、〇〇〇
  六八、一八二
  臨時部合計二七八八二
  一二九、一丸四
  合計、六六七、一丸
  資金部歲八
  第六款大阪帝國大學
  、九八一、三五〇
  第一項特別資金收入
  、九八一、三五〇
  資金部歲出
  第六款大阪帝國大學二九〇、一〇〇
  第一項特別資金支出
  二九〇、〇〇
  吾八
  合計三四八、一八
  乙號
  文部省所管
  帝國大學
  一七頁
  大阪帝國大學理學部設備費
  機態
  圖大阪帝國大學
  理學部設備費
  円
  四二〇、〇〇0
  作權
  昭和六年度〇〇
  昭和七年度〇〇〇
  〓和八年度五〇、〇〇〇
  昭和九年度三五〇、〇〇〇
  〔男傳坂本俊篤君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=122

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• 123・坂本俊篤

  ○男爵抜本後篇君　本員ハ既ニ御手許ニ配
  付サレマシタ案ノ如ク、此度大阪市ニ帝國
  大學ヲ創設セントスル所ノ追加豫算ニ對シ
  マシテ修正削除ヲ施サムトスルノ理由ヲ申
  述ベタイト存ズルノデアリマス、今同大阪
  ニ帝國大學創設ノ問題ハ、極メテ不可解ナ
  ル問題ト言ハネバナリマセヌ、卽チ文政上
  斯カル重大事項ガ全タ文政審議會ニモ諮問
  サレズ、且ツ斯カル經費ヲ要求セムト欲セ
  バ、當然本豫算ニ計上サルベキ性質ノモノ
  ナルニモ拘ラズ、遽々然トシテ之ヲ昭和六
  年度追加豫算ニ計上サレタル如キハ、眞ニ
  近來ノ咄々怪事ト言ハネバナリマセヌ或
  ハ辯ジテ申シマスニ、曰ク文政審議會ニ諮
  問サレナカッタノハ其先例ガナカッタカラト
  云フノデアリマスガ先例ノ有無ハ必シモ
  其手段ヲ公正ナラシムル所ノ理由トハナラ
  ヌノデアリマス、宜シク事ノ輕重ニ鑑ミマ
  シテ、其最善ヲ選ブコトニ從フベキデアル
  ト思フノデアリマス卽チ先例ナクトモ新
  ニ例ヲ開クベキモノデアリマス、斯クテコ
  ソ文數ノ發達改善ヲ玆ニ見出サルベキモノ
  デアルト思フノデアリマス然ルニ事此處
  ニ出デズシテ、今回ノ豫算委員會ニ村サレ
  タルガ如キノ、實施ニ先ダッテ文政審議會ノ
  諮問ニ付スベシトスルノ案ハ··訂訂イタ
  シマス、文政審議會ニ後デ諮問サルベシト
  シマスルガ如キハ其理由ヲ發見スルニ苦シ
  ム者デアリマス、卽チ今玆ニ歲出追加豫算
  ニ於テ其經費ガ決定サレ而シテ後、文政
  審議會ニ諮開サレタ時、若シ審議會ガ大阪
  大學新設ノ議宜シカラズトシテ之ヲ否認サ
  レマシタ場合ハ如何ニシテ其後ヲ善クスル
  コトガ出來マセウカ、勿論、法律上カラ申
  シマヌレバ諮問ノコトデアリマスカラ
  何等文相ヲ之ニ依ッテ拘束スルモノデアリ
  マセヌ、併ナガラ既ニ文相モ豫算總會ニ於
  テ申述ベラレタ如ク、政治的ニ又道德的ニ
  ハ大イニ其拘束ヲ受クベキモノデアル、斯
  樣ナ意味ヲ申述ペマシタノデアリマス、我
  我ノ見ル所ニシテ正シト致シマスレバ若
  シ斯樣ナコトガ文政審議會ニ諮問サレマシ
  タナラバ必ズヤ本員ハ是ガ否認サルベキ
  運命ヲ持ヲテ居ルモノト確信スルノデアリ
  そく、如何トナレバ我ミノ知ル限リニ於テ
  文政ニ經驗アリ且ツ大學行政ノコトニ携ハ
  リテ經驗アル斯界ノ權威者ト申ス者ハ悉
  タ此大阪ノ帝大新設ニ對シテ同意ヲ表スル
  者ナキヲ見テ殆ド其歸結ハ明瞭デアルト思
  フノデアリマス、殊ニ不可解ニ感ジマスノ
  ハ議會ノ權能ト附帶決議トノ關係デアルノ
  デアリマス卽チ見ヤウニ依リマシテハ
  議會ノ權能ヲ一部、文政審議會ノ責任ニ之
  ヲ委スル如キ感ガアルノデアリマシテ、是
  ハ議會自ラガ其權能ヲ輕ンズル所ノ狀態ニ
  アルト云フコトハ甚ダ惜ムベキコトデアル
  ト思フノデアリマス又文相ハ斯樣ニ申サ
  レテ居ルノデアリマス、文政審議會ニ諮問
  スレバ乾度其承諾ヲ得ベキコトヲ確信スル
  ト言ハレテ其他ヲ言ハレナイノデアリマ
  ス、殆ド否決セラレルト云フガ如キコト
  ヲ想像サレテ居ラヌノデアリマス是ハ隨
  分不可思議ナ言動ト言ハネバナラヌノデア
  リマス、如何トナレバ初メカラ斯樣ニ承諾
  ヲ得ベシト豫斷スルナラバ、文政審議會ニ
  付議スルコトハ唯形式ニ過ギナイコトニナ
  リマシテ當豫算委員會ガ其實行ニ當リ文
  政審議會ノ審議ニ付スベシトスル其眞意ニ
  副ハナイモノデアリマス、果シテ斯ノ如キ
  ハ此附帶決議ナルモノハ結局無用ノ長物
  ト言ハネバナラヌコトニナルノデアリマ
  ス、尙ホ是ヨリ簡單ニ、大阪大學新設ニ反
  對シマスル所ノ理由ヲ申遂ベテ見タイト思
  フノデアリマスゝ其第一ハ現在ノ大阪府立
  醫科大學ニ新タニ理科大學ヲ加ヘ、之ヲ以
  テ綜合大學トスル案ハ眞正ナル所ノ綜合大
  學ノ要素ヲ缺クモノト云フコトデアリマ
  ス、眞ノ綜合大學ノ意義ヲ充サムト致シマ
  スルニハ少クモ之ニ法科、文科ヲ加ヘネ
  バナリマセヌ、然ルニ今囘ノ大阪帝大ノ計
  畫ハ此要素ヲ缺クモノデアリマス、而カモ
  此要望ハ京都ノ帝大ヲ利用スルコトニ依リ
  マシテ十分ニ其要望ハ充シ得ルノデアリ
  マツ、京都ト大阪ノ間ハ其往來ハ約三十五
  分若クハ三十八分間デ、十分デアルノデア
  リマス、此場合ニ於キマシテハ京都ノ大
  學ハ······京都、大阪ハ單ニ地ノ名稱ト、行
  政區劃ノ相違ニ過ギナイノデアリマス京
  都帝國大學ハ大阪ノ帝國大學トシテ存在シ
  テ居ルト見テ實質上何等變ル所ノアルヲ見
  ナイノデアリマス、何ヲ苦シンデ國費多端
  ノ折柄、ソレヨリモヨリ以上ノ經費ヲ要ス
  ル急ナルモノアル日ニ於テ、尙且ツ忍ンデ
  之ヲ繰延ベ又ハ手ヲ拱イテ實施スル能ハ
  ザルコトヲ憾ムノ日、何ノ餘裕ガアッテカ、
  之ナクトモ濟ム所ノ大阪ノ帝大ヲ新設スル
  ノ要アラムヤト思フノデアリマス例ヘバ
  東京帝國大學ノ如キ、又ハ東京工業大學ノ
  如キ震災後、其囘復ニ要スル所ノ施設ハ
  昭和七年又ハ八年ニ完成スベキ筈ノモノ
  ガ、ソレヲ繰延ベテ、昭和十九年マデ待ッ
  テヤット完成スルト云フ狀態ニアル、斯
  樣ナ狀態ニアルノ日ニ於テ、斯樣ナ不急ナ
  モノヲ設クル所以ヲ知ラヌノデアリマス、
  其第二ハ明年ヨリ現在ノ大阪工業大學ヲ之
  ヲ新計畫ノ大阪帝大ニ合併スベキ所ノ案
  ハ、是ハ單科大學ノ工業大學ヲ設立イタシ
  タ所ノ其趣旨ニ反スルモノデアルト云フコ
  トデアリマス、文部大臣ハ曰ク、大學ハ必シ
  モ山紫水明ノ〓ヲ選ブ要ハナイノデアル、
  大阪ノ如キ工業竝ニ商賣ノ殷賑ナル塵埃ノ
  中ニ生レテコソ、其特色ヲ期待シ得ルノデ
  アル、洵ニ味アル御言葉トシテ御同感ヲ表
  スルモノデアリマス唯夫レ同感デアリマ
  スガ故ニ、現在ノ工業大學ハ之ヲ大阪ノ特
  色アリ、大阪ノ香ノ高イ單科大學トシテ依
  然存在セシムベキモノデアルト思フノデア
  リマス、由來、大阪ハ煙ノ都ト唱ヘラレテ、
  其工業ノ旺盛ナルヲ以テ特色トサレタモノ
  デアリマス、此特色ノ中ニ生レタ特色ノ一
  部コソ、彼ノ他ノ大學ニ今日其類例ヲ見ザ
  ル所ノ燃料ニ關スル講座ノ如キ、近來初メ
  テ大阪ノ工業大學ニ其講座ノ創設ヲ見ルニ
  至ッタノデアリマス、此一例ノ如キ應用ヲ主
  トセル所ノ大阪ノ工業大學ヲ單科大學トシ
  テ初メテ其特色ヲ味フコトガ出來ルノデア
  リマス、諸君信州ノ更科ノ蕎麥ハ其土地ニ
  於テ初メテ其好味ヲ味フコトガ出來ルノデ
  アリマス近頃ハソレガ平凡化イタシマシ
  テ體飩粉ノ多イ東京ノ白イ蕎麥ト同樣ニ
  ナッテ、又昔日ノ好味ヲ味フコトガ出來ヌヤ
  ウニナッタノデアリマス、大阪ノ工業大學モ
  綜合大學ノ名ヲ僣稱シテ他ノ醫科ヤ理科ヤ
  ト一〓ニナリマシタナラバ折角ノ工業單
  科大學ノ好味ト云フモノヲ失ヲテ眞ニ平凡
  化シテシマハムコトヲ恐レルモノデアリマ
  ス其第三ハ未完成ノ儘ニアル所ノ諸大學
  ニ必要ナル諸經費ガ繰延ベラレテ顧ミラレ
  ズ、此日ニ於テ不完全ナル綜合大學ヲ造ル
  コトノ必要ナキコトデアリマス、是ハ例へ
  バ自分ノ子供達ノ學校用ノ〓科書ヤ筆紙墨
  サヘ調フルコトガ出來ナイノニ一箇ノ「パ
  ナマ」帽子ガ三十圓、四十圓スルモノヲ其身
  分不相應ヲ帽子ヲ銀座ノ有名ナル洋品店カ
  ラ買ッタト云フモノト擇ブコトガナイノデ
  アリマス、當局ノ說明ハ工業、貿易ノ殷賑
  ナル特色アル大阪ニ、他日ノ飛躍ノ基ヲナ
  ス爲ニ綜合大學ヲ造ルモノデアル、斯樣ナ
  御說ハ至極結構デアルト思フノデアリマ
  ス然ラバ大阪カラ往來ノ便宜ノ距離ニア
  ル所ノ京都大學ニ御出デナサレバ宜シイト
  申上ゲル迄デアリマス而シテ其理由ハ前
  ニ申述ベタ通リデ澤山デアルト思フノデア
  リマス、然ラバ何ノ爲ニ斯樣ナル創設ヲサ
  レルカト申シマスレバ、是ハヤッパリ前ニ述
  ベマシタ如ク子供ノ學校用品モ調ヘズニ高
  イ「パナマ」隋ヲ買入レルト一般ノ心理狀態
  ニ陷ッタモノデハアリマスマイカト思フノ
  デアリマス大阪ニ帝國大學アリト云ヘバ
  如何ニモ大阪人ハ鼻ガ高イヤウナ心地ガス
  ルデアリマセウ、學校ノ先生達モ帝大ノ〓
  授ト云ヘバ如何ニモ肩身ノ廣イヤウナ心地
  ガスルノデアリマセウ、大阪人ガ帝大ノ新
  設ヲ欲スル心持ハ本員ハ之ヲ諒ト致シマ
  ス、此意味ニ於テ同情ヲ致スモノデアリマ
  ス、然ルニ單リ怪シム
  〔「簡單明瞭ニ願ヒマス」ト呼フ者アリ〕
  文〓ノ中心トシテ例ヘバ頑是ナキ子供等ガ
  身分不相應ノ玩具ヲ欲シイト言ウテモ、ソ
  レハマダチト分ニ過ギテ居ルノダト訓戒ノ
  立場ニアルベキ親父ガ、眞先ニナッテ其子供
  ト一緒ニ騷グト云フノハ如何ニモ心得難イ
  コトデアリマス、輕佻風ヲ成スコトハ今日
  ノ時弊トシテ、文〓ノ府ニアル者ハ先以テ
  之ヲ戒ムベキ地位ニアル者ト致シマシテ
  ハ頗ル不可解ナコトト言ハネバナリマセ
  ヌ、文相ハ今日我財政狀態ハ如何ナル時期
  ニ際會シテ居ルト云フコトヲ御存知デアリ
  マセウカ、若シ經費ガ許スナラバ文政ノ管
  轄內ニ於テ尙ホ幾多ノ未了事件ニシテ施設
  ヲ要スルコトノ急ナルモノガ澤山アリマセ
  ウ、又國家トシテ幾多經費ノ支出ニ惱ンデ
  居ルモノガアリマセウ思想善導ハ現内閣
  ノ最モ重キヲ置ク所ノ政策デアリマス然
  ルニ救護法ヲ實施スル爲メ其財源ノ出所ニ
  苦シムノ餘リ射倖心マデヲ挑發スルノ虞
  アリトシテ幾多非難ノ定評アルニ拘ラズ、
  尙且ツ之ヲ忍ンデ其財源ヲ、競馬法ニ求メ
  ントスル程切迫シテ居ル財政難ノ今日デ
  アリマス、本員ハ只今玆ニ文相ニ向シテ、國
  家風〓上、何故ニ競馬法改正案ノ提田ニ當
  リ閣議ニ於テ承認ヲ與ヘラレタカヲ、之ヲ
  咎メムトスル者デハアリマセヌ、唯斯カル
  見易キ道理ヲ等閑シ去ラレタコトヲ最モ遺
  憾トスルト云フコトヲ申シテ置キマス、要
  スルニ本員ト雖モ若シ財敢ガ之ヲ許スナラ
  國內到ル所ニ多數ノ帝國大學ノ設立サレム
  コトヲ希望スル者デアリマス、併シソレハ
  言フベクシテ實行シ能ハザル事柄デアリマ
  ス要ハ其財政ト相談シテ其緩急如何ヲ顧
  ミルコトデアリマス、然ルニ當局ノ爲ス所
  ハ玆ニ出デズシテ、財政ノ前途モ顧ミズ、
  文政當局ニモ不似合ナル輕佻浮華ノ謗ヲ免
  レヌ大阪帝大設置ノ希望ヲ奬順セラレル
  ニ至テハ、其本末緩急ヲ誤ル甚シキコトヲ
  嘆ゼザルヲ得ナイノデアリマス、是茲ニ本
  豫算案ニ向セマシテ修正ヲ施サムトスル所
  以デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=123

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• 124・徳川家達

  ○議長(公爵德川家達君)　石渡敏一君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=124

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• 125・石渡敏一

  ○石渡敏一君　私ノハ簡單デアリマスカ
  ラ本席カラ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=125

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• 126・徳川家達

  ○議長(公爵德川家達君)　ドウ云フ問題デ
  アリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=126

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• 127・石渡敏一

  ○石渡敏一君　希望決議ニ付キマシテ少シ
  御尋ネシタイト存ジマシテ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=127

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• 128・徳川家達

  ○議長(公爵德川家達君)　成ルベク大キナ
  聲デ願ヒタウゴザイマス、議長ハ石渡君ノ
  御言葉ヲ大聲デナケレバ伺ヒ取レヌト惧レ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=128

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• 129・石渡敏一

  ○石渡敏一君　ソレデハ老人デアリマスカ
  ラ聲ガ潰レテ居リマスカラ、其所ニ行ッテ
  簡單デモ申上ゲルコトニ致シマス
  〔石渡敏一君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=129

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• 130・石渡敏一

  ○石渡敏一君　此切迫シタル時ニ〓聽ヲ汚
  スノハ甚ダ恐入リマスガ極ク僅デ宜シウ
  ゴザイマスカラ暫ク御猶豫ヲ願ヒタイト思
  ヒマス、皆樣モ先程御聽キニナッテ居ルト
  思ヒマスガ
  〔「聲ヲ大キク願ヒマス」ト呼フ者アリ〕
  豫算委員長ヨリ報〓ガアリマシタ、其報告
  中ニ斯ウ云フコトガアリマシタ、「希望決
  議、大阪帝國大學創設ニ關スル豫算ハ之ヲ
  承認スルモ其實行ニ當リテハ文政審議會
  ノ」此所ハ少シ私聲ヲ大キクシテ何シヤウ
  ト思ヒマスガ、「議ニ付スルコトヲ要ス」ト
  云フコトヲ言ッテ居ルノデアリマス、斯ウ
  云フ委員長ノ御報告ガ先程アッタノデアリ
  Pさ、之ニ付キマシテハ珍シクモ委員會ニ
  於テ希望決議ニ付テ文部大臣ニ對スル質問
  竝ニ議員ノ間ニ於テ議論ガアッタノデ、斯ウ
  云フコトハ餘リ無イ、サウシテオマケニ此
  表決ノ際ハ唯御贊成デスカト云フ委員長ノ
  言葉バカリデナク、立ッテ三十二ト二十四ノ
  數マデモ鬪ハシタ位ナ問題ナノデアリマ
  ス、希望決議トシテハ非常ニ重大ナル問題
  トシテ之ヲ議シタノデアリマス、所ガ私考
  ヘマスルノニ貴族院ニ於テハ貴族院規則
  ノ百十二條ニ依リマシテ、表決デスカ···
  「表決ニハ條件ヲ附スルコトヲ得ス」ト云フ
  コトニナッテ居ルト存ジテ居ルノデゴザイ
  PV、サウシマスルト此希望決議ハ豫算委
  員會ニ於テハ極メテ重大ナルモノトシテ取
  扱ッタノデアリマス、重大ナルモノトシテ取
  扱ヒマシタガ、本議場ニ於テハ問題ニモナ
  ラヌ、表決ノ中ニモ入レヌト云フモノデア
  ラウト思ヒマス從ッテ追加豫算ノ決議ハ
  大阪ノ帝國大學理學部經常費、經常費ニ付テ
  ハ唯可否ノ決議ダケデアッテ、此希望條件ト
  云フモノハ風ノ如ク消エタモノ、煙ノ如ク
  見エナクナッタモノト思フノデゴザイマス、
  此點ヲ議長ニ一ツ伺ヒタイノハ先例モア
  ルヤウニモ思ヒマス、私ノ知ッテ居リマス
  ル先例モアリマスルシ、明カニ此貴族院規
  則ノ百十二條ニ規定ガアルノデアルカラシ
  テ、是ハ議題ニハナラヌ、表決ノ中ニモ入
  レヌト云フコトノ御答辯ガ欲シイノデアリ
  V 、併シ若シサウデナイトナルナラバ、
  玆デ今一應豫算委員會ニ於テノ討議ヲ一ツ
  繰返サナケレバナラヌカト思フノデゴザイマ
  ス、ソレニハ及バナカラウト存ジマシテ、
  議長ニ一ツ百十二條ニ付テ聽取シ難シカラ
  來マシタ決議ハ如何ナル結果ニナルモノデ
  アラウ、希望決議ハ此所デハ消エテツマフ
  モノデアラウト云フコトニ付テ御伺ヒヲ致
  ス次第ナンデゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=130

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• 131・徳川家達

  ○議長(公爵德川家達君)　石渡敏一君ニ御
  答ヘ致シマス、議長カ採決ヲ致シマスノハ
  議案ノ可否ノミニシテ、所謂希望條件、又
  ハ附帶決議ノ如キハ議案デゴザイマセヌカ
  ラ表決ニ付シタコトハゴザイマセヌ、ソ
  レデ御了解ニ相成リマシタカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=131

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• 132・石渡敏一

  ○石渡敏一君　分リマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=132

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• 133・徳川家達

  ○議長(公爵徳川家達君)　便宜上坂本男爵
  等ヨリ提出セラレマシタ修正案ヲ此際議題
  ト致シ討議ヲ許シマス通〓順ニ依リマシ
  テ田所君ノ登壇ヲ望ミマス
  〔田所美治君演壇ニ登ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=133

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• 134・田所美治

  ○田所美治君　私ハ委員長ノ報〓ニ贊成ヲ
  表シマシテ
  〔副議長公爵近衞文麿君議長席ニ著ク〕
  只今坂本男爵ノ御發議ニナリマシタ修正ニ
  反對スルモノデアリマス、帝國大學ヲ創設
  スルト云フコトハ文部當局ニ取リマシテ
  ハ最モ重大ナ問題デアラウト思フノデアリ
  マス最高等ノ〓育機關デアルシ最大ノ
  經費ヲ要スルモノデアルノデアリマスソ
  レ故ニ從來大學ヲ創設シマシタ沿革ヲ見マ
  スルト云フト何十年ニ一囘、卽チ東京ノ
  大學ハ御承知ノ通リ明治初年カラ數十年間
  成立シテ居ルモノデアルノデアリマスルガ、
  第二ノ大學タル京都大學ニ於キマシテハ御
  承知デモアラセマス通リ日〓戰爭ノ戰後ノ
  經營ト致シマシテ今日マデ三十有餘年間掛
  リマシテ、十コト完成ヲ〓ゲテ居ルヤウナ
  譯ナンデアリマス、卽チ各部ノ分科大學ハ
  揃ヒマシテ先ヅ完成ヲ〓ゲテ居ルト云フ
  譯ナンデアリマス、又其次ニ起リマシタ東
  北大學或ハ九州大學ノ如キモノハ、是亦明治
  三十七八年ノ戰役後ノ我ガ國運ノ將來ニ照
  シマシテ、戰後ノ經營トシテ〓育上ノ最モ
  重大ナル施設トシテ創立ヲセラレタノデア
  リマス、今日ニ至ッテ先程來坂本男爵モ御
  述べノ通リ未ダ完成ヲ告ゲテ居ラヌ部分モ
  アルノデアリマス、北海道ノ大學ハ又明治
  ノ初年カラ農學校ガ變遷イタシマシテ今日
  ノ體形ニナッテ居ルノデアッテマダ是モ完
  成ト云フ譯ニモ參リマスマイ、大學ノ創設
  ニ關シマシテハ莫大ノ經費ヲ要スル、又多
  年ノ期間モ要スル、其譯ハ〓員ヲ養成セナ
  ケレバナラヌ、大學ハ最高ノ〓育機關デア
  リマスルカラ、之ニ堪能ナル〓員ヲ養成ス
  ルガ爲ニハ或ハ我國デ優秀ナル學生ヲ選拔
  シテ數箇年間海外ニ〓究ヲサスト云フヤウ
  ナ必要モアル、各分科ニ亙リマシテ數十百
  名ノ〓員ヲ造ラナケレバナラヌ、斯ウ云フ
  コトノ困難ガアルノデアリマス、又旣往ノ
  數十箇年ヲ見マスト云フト學生ガソレ程居
  ラナイ斯ウ云フ爲ニ徒ラニ地方ニ分在シ
  テ大學ヲ創立スル必要ハナカッタノデアル
  ケレドモ、ソレ故ニ帝國大學ノ創立ハ中ミ
  中〓重大ナコトデアッテ、之ヲ輕率ニ扱フベ
  キコトデナイノミナラズ、扱ハムト欲シテ
  出來ナイ問題ナノデアルノデアリマス、ソ
  レヲ此度ハデス、ソレヲ此度ハ大阪カラ莫
  大ノ寄附金ヲ持ヲテ參リマシテ、ソレガ自分
  ノ聞ク所ニ依レバ昨年ノ十二月ノ末ニ府會
  ノ決議ヲ得マシテ、サウシテ政府ニ陳情シ、
  固ヨリソレマデニハ數年間ノ問題ニモナ,
  テ居リマシタラウ、又具體的ノ確定議ハ昨
  年フ十二月ノ二十日過ギデアッタサウデア
  リマスガ、二十日前後ニ府會ノ決議ヲ經テ
  文部省ニ之ヲ提出シ、ソレガ爲ニ總豫算ノ
  編成ニモ後レ追加豫算デ、急遽此莫大ノ
  寄附金ヲ喜ンデ受取ッテ、提出シタト云フ形
  ニナッテ居ルノデアリマス、坂本男爵ガ先程
  御話ノ通リ唯愼重ナル考慮ヲナシテ、文政
  審議會ニモ諮問ヲシテサウシテ可決シタ上
  ニ、徐ロニ將來ニ考ヘテ之ヲ施設スルト云
  フヤウナ點ニ付テハ缺ケテ居ルノデアリマ
  ス文部大臣ハエライ御馳走ノ据膳ヲ供セ
  ラレタモノデアリマスカラ、鵜呑ミニシテ
  シマッテ飛付イタト云フ形ニナッテ居ルノデ
  アリマス、私モ初メハ此事ヲ聞キマシテ頗
  ル是ハ輕率ナル扱デアル、而モ其大學ノ內
  容ハト申シマスルト云フト、現ニ存シテ居
  ル所ノ府立ノ醫科大學ニ加フルニ理科大學
  ヲ以テスル、二ツアルカラシテソレハ絵合
  大學デアル一ツハ單科デアリマスカラ成
  程二ツ以上ナラソレハ綜合デアル、斯ウ云
  フ解釋ノ下ニ帝國大學ノ創立費トシテ寄附
  ノ儘ヲ共儘所謂審議ノ機關ニモ掛ケズシテ
  ヤッタ、ソレハ掛ケタ先例ハナイト云フコト
  デアリマスガ、サウ云フ扱ニナッテ居ルノ
  デアリマス、チヨット考ヘマスト云フト、
  大阪ニハ工業大學ハアル、旣ニ官立ノ工業
  大學ガアルノデアリマス、マア官ノ······政
  府ノ方カラ申シマスルト云フト、之ヲ本ト
  シテ之ニ醫科大學ヲタッ附ケル、ト云フト
  語弊ガアリマスガ、ソレヘ併合シ、又新ニ
  必要ガアレバ理科大學ヲ附ケルト、斯ウ行
  カナケレバナラヌ順序ガ、醫科ガ先ニナリ
  ソレニ理科ヲ附ケル、工業大學ハ間ニ合ハ
  ザッタカラ來年ニスルト云フ、斯ウ云フ案
  ニナッテ居ルノデアリマス、卽チ醫ト理ト工
  ト此三ツデ、先ヅ一ツ第一期ノ帝國大學ヲ
  造ラウ、斯ウ云フ案ニナッテ居ルノデアリマ
  ス私ハ只今申上ゲマシタダケデモ御了解
  デアリマセウガ、是ハ丁度坂本男爵ノ御話
  ノヤウニ、モウ少シ愼重ニ調査ヲ致シ
  丁度今囘ノ醫科大學······愛知ノ醫科大學ノ
  如ク、先ヅ大阪ノ府立ノ醫科大學ヲ政府ノ
  官立ニ移シマシテ、醫科大學ヲ單科大學トシ
  テ初メ受取ッテ、之ニ金ガ附イテ來レバ尙ホ
  宜シイ、將來ノ施設卽チ理科トカ或ハ工科
  トカ云フモノヲ設ケル費用ニヤッテ行ク、ソ
  レヲ徐ロニ第二囘ノ愼重〓究ノ上ニヤッタ
  ナラバ、必ズ滿場ノ一致ノ御贊成ヲ得テ、何
  ノ異論ナク通過シタコトダトモ思フノデア
  リマス、又ソレハ本議院ガ學術ノ〓究ニ〓
  心ナル、過日ハ學術振興ニ關スル建議モ致
  シタヤウナコトニ鑑ミテ、理科大學ヲ將來
  設置スルト云フコトニ付テ何等異存ノアル
  ベキ筈ガナイ、斯ウ思ハレルモノガデス、
  前後イタシマシテ、總豫算ノ中ヘ工業大學
  ガ這入"テシマッテソレヲ引出スコトガ出來
  ナイ、サウシテ醫科大學ト理科大學トガピ
  ヨント追加豫算デ現ハレタ、而モソレハ帝
  國大學デ莫大ナ經費ヲ要スルモノデアル、
  京都ニモアルヂヤナイカト、色ミナ非難ガ
  起ッテ、連日豫算委員諸君ノ御面倒ナ問題ニ
  ナッテ居ッタヤウデアルノデアリマス、文部
  大臣ガ大學······帝國大學創立ト云フモノニ
  付テ、一層愼重ナル御考慮ノアルベキ筈デ
  アッタト云フコトニ付キマシテハ、坂本男爵
  ト其感ヲ同ジウスル者ナノデアリマス、ガ
  其内容ハ······此案ノ内容ハ如何ト云フコト
  ヲ顧ミマスレバ、之ヲ否決スル譯ニハ行ク
  マイト思フノデアリマス、一番ノ··色ミ
  ナ理由ハアリマセウガ、私ガ想ヒ出ス第一
  ノ理由ハ今日高等學校ヲ卒業シマシテ大
  學ニ這入レヌ者ガ二千一一百名モ居ルノデア
  リマス、モット殖エテ居リマセウ、昨年ノ統
  計デ二千二百名大學ニ這入レナイデ、高等
  學校ヲ卒業シテ彷徨シテ居ル者ガアル小
  學校ヲ卒ヘ中學校ヲ卒ヘ高等學校へ這
  入ル時分ニハエライ競爭試驗ヲ受ケマシ
  テ、十數箇年ノ閱歷ヲ以テ、サウシテ大學
  へ這入ル積リデ來タヤツガ、大學へ這入レ
  ナイ、門戶ハ鎖サレテ居ル、既設大學五大
  帝デナンボ多ク募リマシテモ這入レナイ者
  ガ二千何百名アルノデアリマス、當局ニ於
  テモ、歷代ノ當局苦心ヲ致シテ居ルダラウ
  ト思フノデアリマスガ、這入ルコトガ、出來ナ
  イ、ソレ故ニデス、私ハ昨年······其前モデ
  アリマセウガ、是ガ學制上憂慮スベキ最
  モ憂慮スベキ點ノ一ツデアル、少シ前ノコ
  トヲ申上ゲマスト云フト大正七八年頃ニ
  學制ノ改革ヲ當時ノ臨時〓育會議デ致シマ
  シテ下ハ小學カラ上大學ニ至ル各種ノ制
  度ノ改正ヲ行フタ其際ニ、小學校カラ中學校
  ヘ這入ル關係ダトカ、中學ヲ出テ高等學校
  ニ這入ルト云フ關係ニ付キマシテハ深キ
  考慮ガ拂ハレマシテ、サウシテ今日中學校
  モ相當ニ增加ヲ致シ、又高等學校モ非常ニ
  增加ヲ致シタノデアリマス、高等學校ノ學
  制ヲ當時變更イタシマシテ大學ノ豫備機關
  デアッタモノヲ普通〓育機關ニシタ、ナンボ
  デモ入レテ宜シイ、尤モ性質上幾ラ入レテ
  モ宜シイノデアリマスルガ定員ニモ制限
  ハ相當イタシテ學級ノ定員、全校ノ定員
  ニモ制限ハ付シテアリマスルガ、性質ガ一
  變シアシテ、大學ノ豫備〓育ノ機關ト云フ
  コトヲ改メテ男子ノ高等普通〓育ヲ完成ス
  ル機關デアル、斯ウ云フコトニ致シタノデ
  アリマス、高等學校令ノ第一條ニ「高等學校
  ハ男子ノ高等普通〓育ヲ完成スルヲ以テ目
  的トシ」ト云フコトガアリマス、ソレ故官立
  ノ外ニ、公立モ許シ、私立モ許シタノデア
  リマス、凡ソ他日大學ニ行クベキ人員ヲ見
  積リマシテ入學ヲセシムルト云フ考デアリ
  マセウケレドモ、中學カラ卒業スル者ガ年
  年殖エテ參リマシテ、從ッテソレヲ解決スル
  爲ニハ、官公私立ノ高等學校ニ於テ又出來得
  ルダケ餘計收容シナケレバナラヌ、斯ウ云
  フ事情ガ相俟チマシテ、到頭大學ニ來ル時
  分ニ大學ノ門戶デ二千人モ道路ニ漂ウテ居
  ル斯樣ナ狀態ナンデアリマス、必ズヤ諸
  君ノ御近親ノ中ニモサウ云フ惱ミヲ持テ
  御出デニナル御方ガアルダラウト思フノデ
  アリマス今年高等學校ヲ卒業シテ來テ十
  數年ノ普通〓育ヲ完成シテ、サウシテ大學
  ニ這入ル積リデアッタラ這入レナイ、來年這
  入レルカト云フト這入レナイ、這入レナイ
  カモ知レナイ又競爭試驗ヲ受ケナクチヤ
  ナラヌ、斯ウ云フ狀況デアリマス、其數二
  千有餘名ニ達シ、今其者ガ方向ニ迷フコト
  ハ深キ同情ニ値スルノミナラズ、一方ニ於
  テハ此間ニ爲スコトナク、進マント欲シテ
  進ム能ハズ、退カムト欲シテ高等學校ニ再
  ビ殘ル能ハズ、何處カノ學校ニ籍ヲ置イテ
  徵兵ノ關係ヲ解決シ、徐ニ來年ヲ待ツ若
  シソレ健全ナル準備〓育ヲ受クルモノデア
  リマスルナラバ宜シイケレドモ、此間ニデ
  ス、此間ニ幾多ノ誘惑ガアッテ、今日最モ恐
  ルベキ思想ノ問題ニ逢著スルコトガ多イノデ
  アリマス私ハ總數二千二百名ト云フコト
  ヲ昨年度ノ統計ヲ承ルニ至ッテ、實ニ驚カザ
  ルヲ得ヌノデアリマス、半分······約半分バ
  カリ這入レナイ、ソレ故私ハ昨年文部大臣
  ニ向ヒマシテ豫算總會ニ於テ此點ハ何トカ
  シテ改良セナケレバナラヌ、高等學校ヲ普
  通〓育ノ機關ニシタコトハ宜カッタ、中學校
  ヲ卒業シテ來タ者ヲ餘計入レルト云フコト
  ニ於テハ宜カッタ、又ソイッガ出テカラニ實際
  ノ獨立ノ働キヲシテ吳レレバ宜シイノデア
  リマスケレドモ、今ノ組織ガサウナッテ居ラ
  ヌ、一箇年ノ專攻科ト云フモノヲ置キ得ル
  コトニナッテ居ル、然ルニ政府ハ一ツモ置イ
  テ居ラヌ、是モ政府ノ落度ダラウト思フノ
  デアリマスガ一校モ專攻科ト云フモノヲ
  置イテ居ラヌ、專攻科ハ一箇年置キマシテ、
  大學ニ這入ラヌ者ヲ其處デモノニシヤウ、
  獨立ノ生計ノ出來ルモノニスル亞米利加
  ノ「カレッヂ」ノヤウナモノニスル、斯ウ云フ
  趣旨デアッタノデアリマス、ソレガ一ツモ出
  來テ居ラヌ、之ヲ置クノモ一ツノ方法デア
  ラウガ、モウ一ツハ二千何名モ居リ今年
  ニナレバ又殖エル、來年ニナレバ亦殖エル、
  累年增加シテ行クノデアリマス、其中ノ幾
  部分ノモノハ危險思想ニ傾イテ行キ一生ヲ
  亡ボス者モアル、斯ウ云フ時ニ當ッテ大學ヲ
  創設スルヨリ仕方ガナイ、斯ウナッタ以上
  ハ旣ニ高等學校ハ三十二校アルノデアリ
  Vく、私共昔ノ時代ニ、二十年モ前ニハ唯
  五ツカ七ツバカリノ高等學校ガ、今日ハ三
  十有二ニナッテ居リマス、其生徒數ハ一万八
  千人モ居ル、依ッテ以テ中學校カラ卒業シテ
  來タ者ガ相當ニ收容サレ、解決セラレル、
  斯ウ云フモノデアリマスガ大學ノ方ハ曩
  ニ御話シタヤウニ、明治ノ初カラ出來テ來
  マシタ數十年經ッテ居ル東京帝國大學ヲ初
  メ、京都ハ二十八年以來、東北大學、九州
  ハ三十七八年以來、北海道ノ大學ハ農科大
  學、此五ツノ大學ニ限ラレテ居リマシテ、
  各大學ノ總長ハ、文部ノ當局カラハ熱心ニ
  一人デモ餘計入レテ吳レロト云フコトヲ每
  年責メラレルノデアリマスガ、サウ無限ニ
  一ツノ〓育機關ニ包容スルコトガ出來ナ
  イ、今日ニナッタラドウシテモ太學ヲ創設シ
  ナケレバナラヌ、大學ヲ建テマスヨリ外仕
  方ガナイ、學制ヲ改革ヲシマシテ多少ノ弛
  ミハ付キ得ルカモ知レマセヌガ、旣ニ三十
  二ノ高等學校ニ於テ一万八千人ノ學生ヲ收
  容シテ居ル場合ニ於テハ······サウシテ其半
  分位ガ這入レナイ、斯ウ云フ狀況ハ是ハ決
  シテ、決シテ輕ク視ル譯ニハ行カヌト思フ
  ノヂアリマス、我〓將來最モ憂フベキ、憂
  フベキ問題ハ此點ニ介在シテ居ルト思フノ
  デアリマス、然ルニ大學ノ創設ハ殊ニ帝
  國大學ノ創設ニ付テハ數百万圓ノ金ガ要
  ル、若シソレ完成マデヲ入レマシタナラバ、
  千何百万圓、二千万圓ニモ及ブダラウト思
  フノデアリマス、ツレ故ニ政府ハ著手スル
  コトガ出來サイ、單科大學ナルモノヲ各地
  ニ蒋ヘマシテ、ソレハ多クハ是マデノ專門
  學校ヲ昇格シテサウシテ拵ヘテ居ルモノガ
  多イノデアリマス、手ッ取リ早ク「バラック」
  ノ不完全ナル設備ヲ變ヘマシテサウンテ
  名ヲ變ヘテ、漸次其實ヲ充塡スル、斯ウ云
  フコトガ所謂昇格ト云フモノガ各地ニ起ッ
  タ大阪ノ工業大學ノ如キモ其一ツデアル
  ノデアリマス、サウ云フヤウナ情勢デアリ
  マスニ依シテ、拵ヘムト欲シテモ金ハ無イ、
  既ニ坂本男爵モ御話ノ通リ繰延ヲヤッテ居
  ル、既設大學ヲ完成スレバ宜イヂヤナイカ、
  擴張スレバ宜イヂヤナイカ、斯ウ言ッテ見タ
  所デ、無イ袖ハ振レナイ、政府ニハ金ガ無
  イノデス、一文モ無イ、而シテ尙ホ繰延バ
  テ居ル、昭和十七年デスカ、十九年デスカ
  マデモ繰延ベテ居ル、旣設大學ヲ繰延ベラ
  レルダケハ繰延ベテ其處ニ向ッテ求メテモ、
  昭和十九年後ナラ知リマセヌガ、今日以後
  近イ將來ニ於テハ望ムコトガ出來ナイ、擴
  張セヨト言ッテモ擴張スルコトガ出來ナイ、
  新シク建テヤウト言ッテモ出來ナイ、旣
  決ッテ居ル經費マデ勝手ニ延バシテ行ク、斯
  ウ云フヤウナ情勢デアル、是ハ深甚ニ我ミ
  考ヘナケレバナラヌ、一人デモ多ク大學エ
  入レテヤラナケレバナラヌ、旣ニソコマデ
  來夕以上、又來ツツアルノデス、ソレ故高
  等學校ノ入學者ヲ制限スルノモ、一ツノ方
  法デアリマセウガ、最早來年モ、今年モ
  募集スル者ヲ何百名滅ジテモ、是モ出來ナ
  イ、是モ事實出來ナイ、中學校ノ者ガドン
  ドン來テ居リマス、我國ホド由來御承知ノ
  如ク〓育ノ向上ヲ望ム國民ハナイノデアリ
  マスカラ、又幾ラカ高等學校ヲ斯ノ如ク變
  ヘマシタ時ニモソレ程多クハ帝國大學ニ
  志望スマイト云フ一ツノ豫想ガアッタノデ
  アリマヌ、高等學校デ止ス人間モ一割位ア
  ルダラウ、又單科大學ニ行ク人間モ澤山ア
  ルダラウ、斯ウ色ミニ考ヘテ全國ヲ見渡ス
  ト云フト一万八千人ノ中三分ノ一六千人
  ガ出テ來ル斯ウシタ所ガマア五百カ千ハ
  何處カ外ノ所へ捌ケルダラウ、斯ウ云フヤ
  ウナ豫想デアッタノデスガ、焉ンゾ知ラム、
  スッカリ裏切ラレテ居ルノデアリマス、帝國
  太學へ這入リタイ、我ミノ子供デモ帝國大
  學へ這入ラナケレバ來年迄モ、再來年迄モ
  待ツ待ツ間ニ誘惑ニ掛ル是ガ〓育土ノ
  一大缺陷ニ今ナッテ居ル、斯ウ云フ事情ガア
  ルノデス、ソレヲ解決スルノニハ色ニナ方
  法ガアリマセウ、制度ノ上ニ付テモ改良ス
  ベキコトモアリマセウ、ガ、玆ニ帝大ガ一
  ツ只〓ニ出來ルト云フ場合ニ於テハ國費
  多端デアルトカ財政云々ト云フ話ガアリマ
  シタガ、一文モ出サナイデ、千五百万バカ
  リ大阪ガ金持ト雖モ······持テ來タ譯デ、
  四万何千坪アリサウデアルマスガ、四万何千
  坪ノ土地ト二万坪バカリノ建物、而モ其建
  物ハ太正十三年頃ニ拵ヘタノデアル、恐ラ
  ク官立ノ大學中デモ之ニ匹敵スベキモノハ
  少イダラウト思フノデアリマスガ、立派ナ
  新シイ設備ヲ以テ參リマシテ、スッカリ之ヲ
  差上ゲルカラ、ドウゾ醫科大學ヲ移管シテ、
  サウシテ是ハ理科大學ヲ一ツ增設シテ貰ッ
  テ帝國大學ニシテ貰ヒタイ、斯ウ云フ希望
  ヲ持ッテ來タ譯ナンデアリマス、ソレデ文部
  大臣ハ之ヲ採リマシテカラニ、追加豫算デ
  出シタト云フコトニ付テハ緊急避クベカ
  ラザル費用デアルヤ否ヤト云フコトニ付
  テ、御議論モアルヤウデアリマスルガ
  〔議長公爵德川家達君議長席ニ復ス〕
  兎ニ角サウ云フ希望ヲ具體的ニ申出テ來ク
  ノハ昨年ノ十二月ノ末デアル、總豫算ハ
  出來テ居ッタ時デアッテ、不完全ナガラタツタ
  二ツノモノヲ單科トスル······綜合トシ得
  ル、僅ニ二種ノ大學ガ出來ルト云フコトデ、
  之ヲ綜合大學トシテカラニ提案ニナッテ居
  ル、斯ウ云フ譯ナンデアリマス、是ハ只今
  理科大學ガ出來ルトシタ所デ、サウ多數ノ
  生徒ヲ收容スル譯ニハ行キマスマイ
  理科大學ノ牧容力ハ設備其他ノ關係ニ
  於キマシテ法科トカ文科トカ云フヤ
  ウニ餘計ニ入レル譯ニハ參リマヌマイ
  ガ、兎ニ角三分科ニ於キマシテ、數學、物
  理、化學ノ三科デアルト思フ、凡ソ六十
  名バカリガ三學級、サウシテ百八十名
  バカリガ收容ガ出來ルト云フコトデア
  リマス、工夫ヲスレバモウ少シ行クダラ
  ウト思フ、私ハソレ故高等學校ノ卒業生ヲ
  收容シテ、大學ヘノ入學難ヲ緩和シ、〓育
  ヲ健全ナラシメルト云フコトニ村テ是
  ハ實質ニ付テ否決スベキモノデハナイダラ
  ウト思フノデアリマス、第二ニ是ガ若シ法
  文デアレバ色ミノ議論モアリマセウガ理
  科大學デアルノデアリマス、理科大學ニ村
  テハ本院ハ建議ヲ致シマシタ此議會ニ於
  テ建議ヲシテ、又藤澤議員ノ如キハ學術ノ
  振興ニ付テ長イ意見モ述ベラレ、歐洲ノ
  世界ノ列國ノ大勢ニ鑑ミテ、ドウシテモ學
  術ノ振興、殊ニ理學ノ〓究ヲヤラナクチヤ
  ナラヌ、ソレニモ當嵌ル譯ナンデアリマス、
  又大阪以北京都ニアルカラト云フコトデア
  リマスガ、京都以西ニハ理科大學ガ一ツモ
  ナイ、九州ニ先程御話ノ通リ拵ヘヤウトシ
  テ出來ナイデ居ル、恐ラクハ近イ將來ニ於
  テハ出來マスマイ、何故ナラバ財政ガ許サ
  ナイ、サウ云フコトニナコテ居ルノデアリ
  マス、京都以西ニハ一ツモサイノデアリマ
  ス、京都ト太阪トハ輔車唇齒ノ所デアルト
  ハ言ヒナガラa若シソレ、ソレニ對シテハ
  大學ハ必ズシモ「ローカル」ナモノデハナ
  イ地方的ノモノデハナイ、京都ニ這入ッテ
  居ルモノハ近畿ノ學生ニハ眼ラヌ、全國ノ
  學生ガ蝟集スルノデアリマスカラ、全數ニ
  於テハ只今申上ゲタ通リデアルノデアリマ
  スカラ、京都ニアッテ大阪ニアッテ尙ホ足ラ
  ヌト私ハ考ヘルノデアリマス而シテ大阪
  ニ置クベキ理由ニ付キマシテハ今更申土
  ゲル理由ノアルコトニ付キマシテハ卽チ
  商工業ノ中心トカ色ミノコトニ於キマシ
  テ、ソレハ最早申土ゲル必要ハナイノデア
  リマス、尙ホ第三ニハ將來國家ノ經費ハ當
  分要サナイ、何ニモ要ラナイ、將來此財政
  多端ノ際ニ云々ト云フ御話ガアリマシタ
  ガ、今度百八十万圓ハ理科大學ノ爲ニ寄附
  ヲスルガ爲ニ、向フ五箇年間ト云フモノハ
  經費ガ何ニモ要ラナイ、若夫レ此醫科大學
  、、理科大學ト、ソレニ工業大學ヲ來年度
  ニ於テ合併イタシマシテモ、工業大學ハ今
  目ニ於テ旣ニ官立ニナッテ居ルノデアリマ
  スカラ、若シ現狀ノ儘推移スルト云フコト
  ニ於キマシテハ何等ノ經費ヲ當分要サヲ
  イ尙ホ其上ニデス、法文ノ如キヲ加ヘル
  ト云フコトニナレバ、其時ニハ經費ノ要求
  ヲ議會ニ出スノデアリマスカラ其時ニハ
  我ミガ審議ヲスレバ宜シイ、斯ウナルノデ
  アラウト思フノデアリマス、デ經費モ將來
  莫大ノ經費ガ掛ルモノ云々ト云フ御話デア
  リマスルガ、旣ニ千五百万圓バカリ此際掛
  ケタト同ジモノヲ持ッテ來テ、ソレヲ移スト
  云フコトニナルノデアリマスカラ、經費ノ
  關係ニ付テ憂フベキ狀況ガナイト思フノデ
  アリマス、マダ幾ラモ理由ヲ付ケレバアリ
  マセウガ、私ハ以上ノ二ツ三ツノ點ニ鑑ミ
  マシテモ、此案ヲ追加豫算ニ輕忽ニ出シタ
  ト云フガ爲ニ、其質ヲ否認スベキモノデナ
  イ斯ウ思ハレルノデアリマス、況ヤ先程
  ノ文政審議會ニ付議云々ノ附帶希望モ付イ
  テ居ルヤウデアリマスガ、之ニ付テ色ミ又
  法律上ノ御見解モヤルヤウデアリマスケレ
  ドモ、工業大學ト云フモノガ特殊ノ大學デ
  アル、斯ウ云フ御話モアリマシタ、特殊ノ
  大學デ、私ハ其儘結構ダラウト思フノデア
  リマス、大阪ノ帝國大學ノ工科大學ハ詰リ
  大阪ノ地方ニ最モ適當シタ工科大學デア
  ル、斯ウ云フモノデ宜カラウト思ヒマスガ、
  是ハ是等ノ點ニ付テハ文政審議會ノ審議ヲ
  愼重ニスルコトデアルト思フノデアリマ
  スサウ云フ意味ニ於キマシテ、文政審議
  會ノ審議ヲ經ルコトヲ要スト云フ、要スト
  云フ言葉ハ誠ニドウモイカント思ヒマスケ
  レドモソレハ希望ノ條項トシテカラニ、
  此上官立ノ工業大學ヲ入レルト云フ問題モ
  アリマスルシ、尙ホ理科大學ニ數學、物理
  化學ヲ置クコトニナッテ居リマスルガ、是等
  ニ付テノ審議モ經テ居ラヌコトデアリマス
  カラ、幸ヒサウ云フ專門ノ機關ガアレバ之
  ニ付議シテ、然ル後來年度以降ノ計畫ヲ立
  テルト云フコトモ宜カラウト思フノデス
  要スルニ此儘行キマスレバ、何等財政上ノ
  增額ノ必要ハナク、寄附ノ儘デ數年間行ケ
  ル斯ウ云フモノデアリマスカラ、私ハ其
  質ヲ取リマシテ、是ハ否決スベキモノデハ
  ナイ、斯ウ云フ考デアリマス、折角ノ提案デ
  アリマスルカラ大阪ニ帝國大學ヲ造リ
  サウシテ國家財政ニ影響ヲ及ボサヌ範圍ニ
  於テ成立ヲ希望イタシマス
  〔男爵斯波忠三郞君演壇ニ上ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=134

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• 135・斯波忠三郎

  ○男爵斯波忠三郞君　會期切迫ノ折柄誠ニ
  恐縮デアリマスルケレドモ一言坂本男爵
  ノ御提案ニナリマシタ修正案ニ贊成ノ意ヲ
  表シタイト存ジマス、實ハ衆議院ヲ通過イ
  タシマシテ本院ニ廻リマシタ、此豫算ノ
  一部ヲ削除イタスト云フコトハ、誠ニ忍ビ
  ナイノデゴザイマス、併ナガラ我ガ帝國ノ
  最高學府ノ爲ニ、是ハ已ムヲ得ズ、私ハ坂
  本男爵ノ提案ニ贊成セザルヲ得ナイコトニ
  ナッタコトヲ悲シムノデアリマス、今囘政府
  ニ於テハ計畫サレテ提出サレタモノノ要領
  ハ現在大阪府ニゴザイマスル府立ノ醫科
  大學ヲバ移管イタツマシテ、之ニ理學部ダ
  ケヲ新設サレマシテ、醫學部ト理學部ノ二
  學部ヨリ成ル帝國大學ノ綜合大學ヲ設立ス
  ルト云フ案デアルノデアリマス、而シテ醫
  科大學ノ土地建物ノ外現金百八十万圓トカ
  云フモノヲ大阪府ヨリ寄附サレルコトニ
  ナッテ居ルノデアリマシテ、此寄附金ヲ以テ
  理學部ノ新營設備費ノ費途ニ充テルト云フ
  案デアルサウデアリマス、而シテ理學部ノ
  完成マデノ經常費ヲモ其寄附金デ以テ支辨
  スルトカ云フ話デアルノデアリマス、而シ
  テ將來醫科大學ニ關スル限リ、醫科大學ハ
  病院其他ノ收入ガアルガ爲ニ、醫科大學ノ
  經費ハ敢テ國庫ノ支辨ヲ要シナイト云フノ
  デアルサウデアリマス、而シテ理科大學ニ
  關シマシテハ昭和十一年度ヨリ二十八万圓
  程度ノモノヲ國庫ノ支辨ニ仰グト云フコト
  エナッテ居ル計畫デアルサウデアリマス、而
  シテ今年度ニ於テ、醫學部ト理學部ヲ二ツ
  竝ベマシテソレヲ綜合大學ト稱シテ之ヲ
  設立イタシテ、明年ヨリ現在大阪市ニゴザ
  イマスル大阪工業大學ヲバ此綜合大學ノ一
  學部トスルト云フ案ガアルサウデアリマス、
  此事ハ豫算面ニハ現ハレテ居リマセヌケレ
  ドモ當局ノ御說明等ニ依リマシテ其樣
  ニ拜承シテ居ルノデアリマス此案ハ特別
  追加豫算トシマシテ出タコトニ付テ先刻
  カラ大分議論ガアッタノデアリマスト申シ
  マスルノハ、本豫算ヲ決定サルル時分ニハ
  マダ大阪カラノ寄附ガハッキリシテ居ラナ
  カッタ關係カラデアラウト思フノヂアリマ
  ウテ、明年ヨリ合併スルト申シマスル工業
  大學ノ經費ハ既ニ一般豫算ニ於テ協賛ヲ經
  テ居ルノデアリマスソレ位是ハ突如トシ
  テ提出セラレタ案デアルノデアリマス、又
  事程左樣ニ此案ハ能ク練ラレテ居ナイデハ
  ナイカト云フコトヲ疑ハシムル案デアルノ
  デアリマス、ソレハ兎モ角モト致シマシテ、
  一體綜合大學トシテ現在文部省ガ茲ニ提出
  セラレテ居リマスル此特別豫算ニ於テ出
  來マスル所謂交部省ノ所謂綜合大學ガ果
  シテ綜合大學ノ實ヲ擧ゲルカ否ヤト云フコ
  トニ付テ、私ハ多大ノ疑問ヲ有スノデア
  リマス、帝國大學令ニハ御承知ノ通リ、第
  一條ニ於テ、「帝國大學ハ數個ノ學部ヲ綜合
  シテ之ヲ構成ス」トナッテ居リマスカラ、
  ツ以上ノ學部ガアリマスレバ、ソレハ綜合
  大學、卽チ帝國大學ダト言ヘルデアラウト
  思ヒマス、併ナガラ綜合大學ノ本質體ト致
  シマシテ、學問ノ基礎トナルベキ學部ガ完
  備シテ居ナケレバ綜合大學ノ實ハ擧ゲ得
  ルコトニ足リナイノデアラウカト思フノデ
  アリマス、學問ノ基礎ヲ爲ス學科ト申シマ
  スレバ、理學ト文學、是ガ總テノ學科ノ學
  問ノ基礎デアリマス、醫學、法學、是モ學
  問ノ基礎ヲ爲スモノトモ言ヒ得ルノデアリ
  マス、農學部デアルトカ、工學部デアルトカ
  云フモノハ是ハドチラカト申セバ應用ノ
  學問デアルノデアリマスルカラ、綜合大學ニ
  於テハ工學部、農學部ガ縦シ〓ケテ居"テモ、
  此基礎學科タルベキ所ノ理學部、文學部乃至
  ハ法學部、醫學部ト云フヤウナモノガ完備シ
  テ居ナケレバ綜合大學ノ實ヲ擧ゲ得ルコト
  ガ難イノデアラウト思フノデアリマス、而
  モ醫學部ト理學部ダケデ綜合大學ヲ造リ
  之ニ特殊ノ使命ヲ有シテ居ル單科大學ノ工
  業大學ヲ附加セシメテ、之ヲ綜合大學トス
  ルト云フコトニ至ッテハ、此綜合大學ノ本體
  ヲ果シテ、是ガ充タシ得ルモノデアルヤ、
  又斯樣ナコトヲ考ヘラレタ當局ハ果シテ綜
  合大學ノ如何ナルモノデアルカト云フコト
  ノ眞諦ヲ御承知ニナッテ居ルノカ否ヤト云
  フコトヲ私ハ疑ハザルヲ得ナイノデアリマ
  ス、工業大學ノ特別ノ使命及帝國大學ニ於
  ケル工學部ノ使命ト云フコトニ付テノ其違
  ヒヲバ玆ニ詳シケ申述ベルコトハ時間
  ヲ取リマスルカラ省略ヲ致シマス、併ナガ
  ラ工業大學ガ單科大學トシテ大阪ニ設立サ
  レタ時ノコトヲ考ヘテ見マスルト云フト
  是ハ我ガ貴族院ニ於キマシテモ、是ガ設
  立······單科大學ヲ設立スルト云フコトニ付
  テハ、往年非常ナ議論ガアッタノデアリマ
  ス、併ナガラ遂ニ單科大學タル所ノ工業大
  學ヲ造ルコトガ我國ノ情勢ニ鑑ミテ必要デ
  アルト云フ、卽チ大學令ノ······所謂大學令
  ノ卽チ第二條ニ當ルノデアリマス「大學ニ
  ハ數個ノ學部ヲ置クヲ常例トス、但シ特別
  ノ必要アル場合ニ於テハ單ニ個々ノ學部ヲ
  置クコトヲ以テ一大學トナスコトヲ得」云々
  トアルノデアリマス、卽チ是ニ該當スルノ
  デアリマシテ、卽チ特別ノ必要アル場合ト
  云フコトノ爲ニ、此工業大學ガ設立サレタ
  ノデアリマス、卽チ單科大學トシテ特別ノ
  必要アル場合ト云フコトデ、大阪ニ單科大
  學ガ設立サレタノデアリマス、特別ノ必要
  アル場合ト云フコトハ卽チ特別ノ使命ヲ
  有シテ居ルト云フコトデアルノデアリマ
  ス、帝國大學ノ工學部ニ於ケル使命ト單科
  大學ノ工業大學ニ於ケル所ノ使命トハ自ラ
  異ナルト考ヘテ宜シイト思フノデアリマ
  ス、從シテ單科大學ノ工業大學ノ學科目ノ配
  當デアルトカ、或ハ帝國大學ニ於ケル工學
  部ノ講座制ノ如キ、是等ヲ對照シテ考ヘテ
  見マスルト云フト、其使命ノ異ナルコトガ、
  自ラ明カデアルノデアリマス、帝國大學ニ
  ハ御承知ノ如ク講座制ナルモノガゴザイマ
  ス、而シテ其講座ヲ擔任イタス所ノモノハ
  〓授デアリマス擔任〓授ガ一ツノ講座ヲ
  擔任イタシマスレバ其講座ヲ擔任イタシ
  テ居ル所ノ〓授ハ自分ノ蘊蓄ヲ傾ケテ、所
  謂〓授ノ自由ヲ得テ居ルノデアリマス、然
  ルニ單科大學ニ於テハ此講座制ハナイノデ
  アリマス、此處ガ大ヒニ違フ所デアルノデ
  アリマス、其違ヒニ付テ詳シク申述ベレメ
  非常ニ時間ヲ取リマスルカラ先程カラ
  簡單々々ト云フ御聲ガ田所君ノ御演說中ニ
  於テモ起ルノデアリマスカラ、私ハソレヲ
  遠慮イタシマスルケレドモ、ソコニ大イナ
  ル違ヒガアルト云フコトダケヲ申上ゲテ置
  キマス、其違ヒノアル、特別ノ使命ヲ有シ
  テ居ル工業大學ヲ唯數サヘアレバ宜イト云
  フ、數ヲ充ス爲ニ、頭數ヲ揃ヘル爲ニ、此
  大學ニ帝國大學ニクッ付ケルト云フ案ノ如
  キハ綜合大學ヲ作ルト云フ其精神ニ悖。テ
  居ルモノデアルト私ハ考ヘルノデアリマ
  ス、又或場合ニ於テ、私ハ當局カラ說明ヲ
  聽イタコトガアルノデアリマス、單科大學
  ノ使命ヲ其儘沒却セズシテ、綜合大學ニクツ
  付ケルンダト、斯ウ仰シヤル、單科大學ノ、
  現在アリマス所ノ單科大學ノ工業大學ヲ改
  造シテ、帝國大學ノ工學部ニ適スルヤウニ改
  造シテ、之ヲク"付ケルノダト仰シヤレバ
  工業大學ヲ潰ス云々ノ事ノ善シ惡シハ別
  問題ト致シマシテモ綜合大學ヲ作ルト云
  フコトノ意味ニハナルノデアリマス、併ナ
  ガラ特別ノ使命ヲ有シテ居ル工業大學ヲ其
  儘其趣旨ヲ失ハズシテ帝國大學ニク"付ケ
  テ之ヲ行フノデアル、綜合大學ヲ作ルノデ
  アル、斯ウ云フコトヲ承ルニ至ッテハ
  綜合大學ノ何タルモノデアルカト云フコト
  ノ御了解ガ有ルノデアルカ、無イノデア
  ルカ、私ハ其點ヲ疑ハザルヲ得ナイノデア
  リマス、斯カル事ヲ爲サレルノニ至ッタ
  所以ト申スノモ、畢竟是ハ餘リ事ヲ御
  急ギニナッテ、十分ナ御〓究ガ詰マナイ結
  果デアリハシナイカト思フノデアリ
  マヌ、十分ナ御〓究ガ詰ンデ居リマス
  ナラバ、斯カル事ハ有リ得ナイト私ハ
  思フノデアリマス、併シ此處ニ或ル論者アッ
  テ、單科大學ノ工科大學ノ必要ハナイト云
  フ論者モゴザイマス、大阪ニ綜合大學ヲ作
  ルコト是ナリト云フ論者ノ中ニハゴザイ
  やく、是ハ綜合大學ヲ大阪ニ、此財政缺乏
  ノ際ニ置ク事ノ善シ惡シト云フコトハ別問
  題ト致シマスレバソレハ理論トシテハ通
  ルノデアリマス、併ナガラ當局ノ言ハルル
  ガ如ク、現在ノ單科大學ノ工業大學ノ趣旨、
  其儘ヲ失ハズシテ、綜合大學ニ之ヲクッ付ケ
  ルト云フニ至ッテハ、私ハ之ヲ了解ニ苦シム
  ノデアリマス、其目下ノ急務ハ人間ヲ澤山
  作ルト云フコトヨリモ、國家ノ須要ニ應ジ
  テ、ドウ云フ者ガ必要デアルカト申シマス
  レバ、量ノ問題ニ非ズシテ質ノ問題デアリ
  マス、過日モ本院ニ於テ滿場一致ヲ以テ可
  決セラレマシタ學術〓究ニ關スル建議案ノ
  如キ、是ハ何ヲ意味スルモノデアルカト申
  シマスレバ、徒ラニ、ト申シテハ語弊ガアル
  カモ知レマセヌガ、此〓育機關ヲ擴張スル
  コトデナクシテ、此〓究機關ヲ充實シテ貰
  ヒタイト云フコトガ、建議案ノ趣旨デアッタ
  ト存ズルノデアリマス、卽チ學生ノ數ヲ增
  シテ欲シイト云フ意味デハナカッタノデア
  リマス、要スルニ此學問ノ向上ヲサセタイ、
  學問ノ向上ヲサスルニ付テハ〓究機關ヲ充
  實サセタイト云フコトガ過日ノ建議案ノ趣
  旨デアッタト存ズルノデアリマス、先程、田
  所君ハ高等學校ヲ卒業シテ來ル學生ガ年々
  非常ニ增シテソレガ大學ニ入學スルコトヲ
  得ザルガ爲ニ惡結果ヲ生ジテ居ル、是ハ事
  實デアリマス併ナガラ今囘、大阪ニ此帝
  國大學ヲ御設置ニナッテモ、果シテ二千何百
  人トカト云フ年々入學····大學ニ入學シ得
  ザル憫レナル學生ノ救濟ニ是ガ幾ラカナル
  ニハ相違アリマスマイソレガ幾ラカ助ケ
  ニナルカ存ジマセヌガ、極ク僅カナモノデ
  アルトシカ思ハレナイ、何トナラバ現在モ
  ウ既ニ醫科大學ガゴザイマスノデアリマス、
  工科大學·····工業大學モアルノデアリマ
  ス、新タユ出來ルモノハ理科大學ダケガ出
  來ルノデアリマス、理科大學ノ收容力ト云
  フモノハ、是ハドコノ大學ヲ御覽ニナッテ
  モ、是ハ僅カノモノデアリマス、大阪ノ理
  科大學······今度新設ニナルト云フ理科大學
  ハ果シテドノ位ノ收容力ガゴザイマスカ
  知ラヌガ、年々ノ收容力ハ數十人ニ止マル
  モノデハナイカト思フノデアリマス、田所
  君ノ先程御述べニナリマシタ、二千何百人
  ノ人間ノ收容ニ付テ大イニ貢獻スル所アル
  ヤウニ仰セラレタケレドモ、是ハサウ云フ
  コトニハナラヌト私ハ考ヘテ居ルノデアリ
  マス、尙ホ經費ノ點ニ付キマシテ私ハ玆
  ニ餘リ申述べタクハゴザイマセヌケレド
  モ、或ル期間ダケハ成程大阪府ヨリ寄附ス
  ル所ノ費用ヲ以テ支辨スルコトガ出來マセ
  ウ、併ナガラ綜合大學ノ實ヲ將來ニ於テ擧
  ゲルト云フ以上、文學部モ必要トナリマセ
  ウ、法學部モ必要トナリマセウ是ハ從來
  設置サレタ帝國大學ノ實例ニ鑑ミテ見マス
  レバ最初ハ一二學部置キマシテ、漸次ニ
  之ヲ······學部ノ數ヲ殖ヤシテ、綜合大學ノ
  實ヲ擧ゲテ居ルノデアリマス、必ズ大阪ニ
  於テモ此要求ガ起ルコトハ明カデアリマ
  ス、又其帝國大學タル以上、其要求ノ起ル
  コトハ當然デアルト存ズルノデアリマス
  之ヲ何故カ當分ト云フ言葉ハアッタカ存ジ
  マセヌケレドモ、兎ニ角、法文ノ如キハ
  作ラナイノデアル如何ニモ國庫ノ經費ヲ
  是カラ要シナイノデアルカラ、是非之ヲ贊
  成シテクレト云フヤウナ御說明ニ承ッテ、私
  ハ甚ダ遺憾ニ存ジテ居ルノデアリマス大
  學ヲ作ルト云フ位ノ御決心ガアルナラバ
  何モ左樣ニ御遠慮ニナッテ仰シヤルコトノ
  必要モナカラウト思フノデアリマスケレド
  モ、何故カ此際ダケヲ通過スレバ結構デア
  ルト云フヤウナ風ニ聞エルノハ私ハ甚ダ
  心外ニ感ズルノデアリマス我ガ帝國ノ學
  府ノ爲ニ、斯ノ如ク當局ガ仰セラレルコト
  ハ、如何ニモ心外ニ堪へナイノデアリマス、
  併シ費用ノ點ニ付キマシテハ是ハ綜合大
  學ト致シマシテ、現存既設ノ帝國大學ニ於
  キマシテハ少クトモ二百万以上ノモノハ
  使クテ居ルノデアリマス、是等ノ費用ニ付キ
  マシテモ、一部ハ醫科大學ガ稼グカラ、其
  點ハ出來ルダラウト云フヤウナコトモ承ッ
  テ居ルノデアリマス、併シ醫科大學ノ收入
  ノ多イト云フコトハ、是ハ醫科大學ガ收入
  ガ多イカラ其醫科大學ガ學問的ニ見テ立派
  ナル醫科大學デアルト云フコトハ言ヘナイ
  ト思フノデアリマス、醫科大學ノ收入ヲ增
  サウト思ヘバ一等二等ノ病室ヲ澤山拵ヘ
  テ、有產階級ノ病人ヲ澤山收容スレバ收
  入ハ幾ラデモ殖エマスダラウト思ヒマス、
  民間ノ病院ヲ經營シテ居ルヤウナコトヲ御
  ヤリニナレバヤレバソレハ收入ハ殖エル
  ダラウト思ヒマス、併ナガラ斯ノ如キコト
  ヲ學府トシテ爲スコトガ善イカ惡イカト云
  フ點ニ至ッテハ、是ハ大イニ疑問トセザルヲ
  得ナイ、學府トシテ醫科大學ヲ有スル以上、
  是ハ何ノ爲ニ醫科大學ガ必要デアルカト云
  >是ハ事實ニ付テ申セバ、施療患者ヲ
  增シテ其施療患者ヲ〓究用ニ使フト云フコ
  ト〓究ノ目的ニ資スルト云フコトニアル
  ノヂヤナイカト思ヒマス、サウ致シマスル
  ト收入ガ增スト云フコトハ、始終收入ノ澤
  山アルト云フコトハ、期待シ得ナイノデハ
  ナイカト思ヒマス、斯カルコトヲ目標トシ
  テ大學ヲ造リ、又寄附金ガ此處ニアルカラ
  何デモ、ソレハ追加豫算デモ何デモ、是ハ
  計畫ハ杜撰デアッテモ、之ヲ設立シナキヤナ
  ラヌト云フヤウナ御考デ大學ヲ造ルト云
  フコトハ是ハ極端ナ言葉カモ知レマセヌ
  ケレドモ、學界ヲ侮辱シタモノト言ヘナイ
  コトモナイカトモ存ジマス、醫科大學ガア
  リ、又片ッ方ニ特別ノ使命ヲ有シテ居ル大學
  ガアリ、ソレニ理科大學ヲ添付サヘスレバ
  帝國大學ニナルト云フヤウナコトガ、若シ
  實行サレタナラバ此帝國ノ學生竝ニ學徒
  ニ對スル影響ハ如何デアリマス寄附金サ
  ヘ出セバ帝國大學ガ出來、又其土地ニ目的
  ガ違ハウト違フマイト、或程度ノ學校サヘア
  レバ、ソレガ二ツ以上寄ルナラバ帝國大學ガ
  出來ルト云ッタヤウナコトヲ、早呑込ミナリ
  トモ、學徒ニサウ云フコトヲ示シタナラバ、
  學徒ガ左樣ナコトヲ感ジタナラバ、其影
  響ハ如何デアリマセウ、往年各地ニ起リマ
  シタ昇格問題ノ如キモノガ起リハ致シマス
  マイカ早イ話ガ名古屋ノ例ヲ御覽ニナツ
  テ見レバ名古屋ト申ス所ハ商工業ノ盛ナ
  所デアリマス從ッテ寄附金ナドヲ募ラウ
  ト思ヘバ募レナイ土地ヂヤナカラウト思ヒ
  マス醫科大學ハ今囘國立ニナリマス
  彼處ニ相應ニ發達シタ所ノ工業ノ學校ガゴザ
  イマス、是等ガ又醫科大學ト工業大學······
  工業學校トガ一緒ニナリマンテ土地ノ所
  調有志ト一〓ニナリマシテ帝國大學設立
  運動ヲ起サナイトモ限リマセヌ又廣島ノ
  如キモ、彼處ニハ文理科大學ガゴザイマス、
  高等工業モゴザイマス、是等ノモノガ同ジ
  ヤウナコトヲ段〓仕出カサナイトモ限リマ
  セヌ斯ノ如ク學生竝ニ之ニ從事シテ居リ
  マス〓員ニ對シテソレコソ何ト申シマス
  ルカ、妙ナ虛榮心ト申シマスルカ、妙ナ向上
  心······不必要ナル向上心ヲ起スヤウナコ
  トニナリハ致シマスマイカ、是等ノ點ハ
  我ガ學界ノ爲ニ大イニ考フベキ事柄デア
  ラウト思ヒマス、今囘設立セラレル大阪
  ノ帝國大學ガ、突如トシテ寄附金ニ依リ、
  ソレヲ充テマシテ、先程田所君ノ言ハレ
  タヤウニ、コンナ好イ機會ハナイカラシ
  テ、此機會ヲ逸スベカラズ、寄附金ガア
  ルカラ飛ビ付クノダト云フヤウナ動機デ以
  テ、帝國大學ガ今後續々生レルモノト致シ
  マスレバ、我ガ帝國ノ學問ハ是ハ「ゼロ」トナ
  ルノヂヤナイカト私ハ憂フルノデアリマ
  ス此點カラ私ハ此案ニドウシテモ贊成ス
  ルコトガ出來ナイ爲ニ、坂本男爵御提案ノ
  修正案ニ贊成スル所以デアリマス、要スルニ
  綜合大學ト致シマシテハ要素ヲ缺イテ居リ
  マス又特別ノ使命ガアッテ折角新設セラ
  ルノ所ノ工業大學万事管ノ虛榮心ヲパ滿足
  スルト云フ結果ニ相成ルノデアリマス、又
  將來ノ維持ハ困難トナリ、國庫ハ之ニ對シ
  テ多大ノ經費ヲ支辨スルコトニナルダラウ
  ト豫想サレルノデアリマス、是モ國庫ニ餘
  裕ガアル場合ナラバ、私ハ之ニ贊成ヲ致シ
  マス、併シ目下國庫ニ餘裕アルドコロヂヤ
  ナイノデアリマス、在ルモノモ潰シテシマ
  フ位ナ所デアルノデアリマス、現ニ本郷ヘ
  行ッテ御覽ニナッタラ分リマス、 鐵骨ガ腐レ
  掛テ立テ立ッテ居ルヤウナ次第デアリマス、ソ
  レモ經費ヲ節減サレタ……繰延ベサレタ爲
  ニ、折角起ッタ所ノ工事ヲ半途ニシテ鐵骨ガ
  錆ビ付イテ居ルヤウナ狀態デアルノデアリ
  マス、斯カル場合ニ於テ之ヲスル……國庫
  ノ經費ヲ增スヤウナコトヲスル必要ハ、私
  ハ無カラウト思フノデアリマス、デアリマ
  スルカラ之ヲ眞面目ニ考ヘマシテ何等得
  ル所ガナイヤウニ考ヘル寧ロ學界ニ將來
  禍根ヲ貽スモノデハナイカト考ヘラレルノ
  デアリマス、尙ホ詳細ニ涉ッテ申述ベタイコ
  トモゴザイマスケレドモ時間ノ切迫ノ折
  柄、遺憾ナガラ是デ止メルコトニ致シマス
  ドウゾ此趣旨ヲ御諒承下サイマシテ坂本
  男爵ノ御提案ニ御贊成アラムコトヲ希望ス
  ル次第デアリマス(拍手起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=135

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• 136・徳川家達

  ○議長(公爵德川家達君)　是ニテ討論ノ通
  告者ハ終リヲ〓ゲマシタ、是ヨリ修正案ニ
  付キ採決ヲ致シマス、柳原伯爵外二十六名
  ヨリ記名投票ヲ以テ、坂本男爵外二十三名
  ヨリ無名投票ヲ以テ表決ヲ行フト云フ要求
  ガゴザイマシタ、 而シテ柳原伯爵外二十六
  名ヨリ右記名投票又ハ無名投票ノ決定方法
  ヲ記名投票ヲ以テスルノ要求書ヲ提出セラ
  レマシタ、依ッテ投票方法ヲ決定スル爲メ記
  名投票ヲ行ヒマス、 記名投票ヲ可トセラル
  ル諸君ハ白票ヲ、 無名投票ヲ可トセラルル
  諸君ハ、靑票ヲ投函セラレムコトヲ望ミマ
  ス、本日モ一條公爵ヨリ順次御登壇ノ上、
  御投票ヲ願ヒマス
  〔投票執行〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=136

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• 137・徳川家達

  ○議長(公爵德川家達君)　御投票漏レハゴ
  ザイマセヌカ投票漏レナシト認メマ
  ス、書記官ヲシテ投票ヲ計算イタサセマス
  〔書記官投票ヲ計算ス〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=137

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• 138・徳川家達

  ○議長(公爵德川家達君)　投票ノ結果ヲ御
  報〓ニ及ビマス、投票總數二百六十四、白
  票卽チ記名投票ヲ可トセラルル者百八十
  一靑票卽チ無名投票ヲ可トセラルル者八
  十三、故ニ採決ハ記名投票ト決シマシタ
  〔參照〕
  贊成百八十一名
  反對八十三名
  贊成者氏名
  公爵一條實孝君　公爵近衞文麿君
  侯爵蜂須賀正韶君　侯爵大久保利武君
  侯爵細川謹立君　伯爵松木宗隆君
  伯爵柳澤保惠君　伯爵川村鐵太郎君
  伯爵林博太郎君　伯爵柳原義光君
  伯爵奧平昌恭君　伯爵樺山愛輔君
  伯爵溝口直亮君　伯爵小笠原長幹君
  伯爵酒井忠克君　伯爵黒木三次君
  伯爵二荒芳徳君　伯爵堀田正恒君
  伯爵有馬軽寧君　伯爵酉井忠正君
  男爵木越安綱君　男爵大井成元君
  子爵高倉永則君　子爵藤谷爲寛君
  子爵梅小路定行君
  子爵五辻
  子爵靑木
  子子爵 爵
  科技大學大學
  子爵渡邊千冬君
  子子吉田
  特價$4000
  千子子子干子
  子子
  子爵東園昌隆直俊友忠春直基太祐正政貞種篤〓
  子子子
  成光方朝知
  子子子爵 爵 傳 爵 爵 爵 爵 爵米谷商業基地處理
  子子
  子爵梅園
  通廣塲
  エリー·タクシー
  中国語
  川
  原保
  岡崎之邦
  國多
  廣
  釜山線網之間之間
  菅原
  田所
  治仲君
  信光君
  立君
  資長君京都府京都市八幡町
  達德繩成光方朝知光郞邦昭賢央英麿風
  護君
  郞
  助輔
  通敬君
  美治君
  子爵毛利
  子爵松平
  子爵冷泉
  子爵牧野
  千葉縣
  千尋錦
  子爵池田
  千割〓岡隆長
  千代田
  子
  子子價 時 算 量立花岡花城
  子千子千小
  子爵岡部
  子爵
  子爵大三井
  君君君君君君君君君君君君君君君君君干番
  君君君君君君君君君子爵牧野
  子爵士課程度
  子子爵爵戶秋澤田
  田家元信正重
  子子子爵爵爵植 毛織村利
  工程師院〓
  君君君子干脇岐岐
  第145回
  君君石塚
  男爵床
  男爵幣原喜重郞君
  江
  長崎
  君君君君君君君君君君君君君君君君
  
  片岡
  倉知
  湯川上
  川.文幸寛親
  湯地
  岡田
  高範君
  乾淨
  得錢點
  俊久電機製造專業
  政時
  加入者名古屋郵便局
  圭資君
  祐弘君
  直方
  日発売
  兼一
  一成
  二郞丸
  宏光
  井慶四郞君
  省三
  督言
  種忠君
  一家電球工程
  己季
  賢治恒恒君君君君君君君君君君君
  章
  英藏君
  翼君
  次平吉晴君君君君
  渡
  石森
  橋
  澤奧大森
  反對者氏名
  男爵坂本
  男爵平野
  男爵紀
  男爵神山
  男爵上田
  男爵千秋
  男爵〓
  男爵金子
  男爵藤村
  男爵井田
  男爵今園
  男爵伊藤
  男爵松尾
  男爵寺島
  靑木周三西野
  加藤政之助君
  樺山茶炊き
  馬越林家小說
  菊池
  大沼所左衛門
  山田町
  平
  川
  
  源次大萬大吉祥
  金錢商業專業三大次衞郞.
  銀
  山崎三龜
  廣本田町
  田田城十嵐甚藏君
  松本勝
  野村
  絲原武太郞君
  濱平右衞高廣
  本間千代吉君瀨川彌右衞門君
  八馬兼介君
  侯爵佐佐木行忠君侯爵松平
  男爵北里柴三郞君田中館愛橘君
  佐藤三吉君大島
  俊篤君土方
  嘉納治五郞君眞野
  長祥君男爵鍋島
  俊秀君男爵小原
  郡昭君男爵長松
  內田重成君岡喜七郞君
  兵吉君男爵今枝
  川村竹治君男爵千田
  男爵斯波忠三郞君森
  季隆君男爵北河原公平君
  KONG男爵辻
  男爵赤松
  魯力克男爵小畑大太
  男爵有地藤三郞君男爵黑田
  磐楠君男爵岩倉
  國貞君男男爵床上豆腐
  文吉君
  義夫君男爵松岡〓均
  敏三君男爵井上
  元君
  修理課程
  新吉君
  郞
  重舍君
  章君
  德七君
  次平君
  康昌君
  健一君
  寧君
  文二君
  直明君
  黔吉君
  篤業君
  直規君
  嘉平君
  賢吾君
  太郞君
  範一君
  郞君
  最〓8
  (通商
  純平豐安
  君君君君君君
  君君君君
  男爵高崎弓彥君男爵伊江朝助君
  男蠶中謙君男爵周布兼道君
  男爵近藤滋藏君男爵北島
  男爵沖貞男君男爵關
  男須精君男爵長基連
  男男藏植君君男爵肝付兼
  書大寺男爵園田武郞彥英大阪市立高等学校高等学校
  石渡敏純君(Arra)
  竹越與三郞君づけて丼一次
  南郞弘君(三四)七五
  小長岡保隆後藤文郞夫
  久喜君君君田部金〓太
  木ノ村清"郎藏
  厚切牛左衞四君坂尾大服次郞
  林手下があなた。未来田
  小塩八君花
  漸勇君
  鵜君佐藤
  田中馬君森田福市君
  男爵渡江君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=138

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• 139・徳川家達

  ○議長(公爵公爵徳川家達君)　念ノタメ申上
  タ方ガ宜カラウト考ヘマス、修正案ニ同意
  ノ諸君ハ白票、反對ノ諸君ハ靑要ヲ御投函
  アラムコトヲ望ミマス、 玆ニ御謠リヲ致シ
  タイコトハ渡邊千代三郞君足痛ノ爲メ何分
  歩行ガ困難ノ趣ヲ申出デラレマシタ、諸君
  に於テ御異議ガナケレバ隣席ノ御方ニ投票
  ヲ委託サレテハ如何デゴザイマセウ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=139

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• 140・徳川家達

  ○議長(公爵徳川家達君)　御異議ナイト認
  メ、ス一條公爵ヨリ順次御登壇ヲ煩ハシ
  マ
  〔投票執行)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=140

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• 141・徳川家達

  ○議長(公爵德川家達君)　投票漏レハゴザ
  イマセヌカ投票漏レナシト認メマス
  書記官ブシテ授票ヲ計算イタサセマス
  〔書記官授票ヲ計算ス〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=141

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• 142・徳川家達

  ○議長(公爵徳川家達君)　投票ノ結果ヲ御
  報告ニ及ビマス投票總數二百六十三
  票卽チ修正案ヲ可トセラルルモノ七十四
  青票卽チ修正案ヲ否トセラルルモノ百八十
  九故ニ修正案ハ否決セラレマシタ
  〔参照〕
  賛成七十四名
  反對百八十九名
  贊成者氏名
  公爵一條實孝君男爵北里柴三
  佐藤三吉君男爵坂本
  土方寧君嘉納治五郞驗大正修三 三
  眞野女〓大阪府
  男爵平野長前期男爵小原
  ゲ
  議君
  白
  君君君君君
  男
  男爵
  男
  男
  男
  男
  男
  男
  男
  男
  男
  男
  男爵
  男爵
  男
  男爵
  侯爵
  伯
  伯
  男伯
  子
  千尋
  子千千千千
  男爵神山郡昭君男爵長松篤秦君
  內田重成君岡
  男優上田兵吉君. Hill
  詩蘭 明直規君村
  御津印嘉平君
  森堅持つ男爵千秋上海市药材有限公司
  郷誠2枚 26義務組合書男爵辻地検 秋波
  爵金子君君男爵赤松吉真利郎 郞藤郎郞一郞
  三菱有楠郞朗道
  錢得地藤君男爵黑田君
  田磐君男爵今園
  爵安君男爵伊藤君君君君
  井松足東井上岡立郷豐君男爵松尾義夫
  均平君男爵寺島敏三
  溝純君男爵高崎弓彥
  周伊江朝助君男爵中村時尚書記錄
  爵布兼道君男爵近藤
  島貴孝君男爵沖貞男君
  男爵麗君君男爵三須精君君
  兼基義英連壽男博稻田昌植
  餘園肝長付君男爵大寺
  田武彥君中村純九郞
  石渡敏一橋本主三郞
  竹越與郞山之め一次
  南弘君君君君君中華
  我聽
  宮一貞吉郞
  換答
  花坂井田君小野君
  根本祐信太卓古郞藏君君君鵜澤總明君
  佐藤田中一馬君
  森町福市君男爵渡邊江君
  反對者氏名
  公爵近衛文麿君侯爵蜂須賀正詔君
  侯爵大久保利武君侯爵細護立君
  佐佐木行忠君侯爵松本康昌君
  松宗隆君伯爵柳澤保惠君
  村鐵太郞君伯爵林博太郞君
  樺柳川山原伯爵奥平昌恭君
  爵三長愛義幹輔次幹輔光君君君君君伯爵溝口直亮君
  爵笠原君12月25日忠克君
  荷蘭 ·芳德君
  爵駅田正恒君伯爵有馬賴寧君
  鱒酒井あきま男爵本越安綱君
  解禁盛大路子爵高倉永則君
  和德大爲寛君子爵梅小路定行君
  高範君子爵五辻治仲君
  直平君信光君
  出身黑字爲勇君高等商業大厦
  忠篤君子爵口味小學生立君
  利定君
  子爵柳生俊久君子爵白川
  子爵池田政時君子爵西大路吉光君
  子爵〓岡長言君子爵野村
  子爵櫛笥隆督君子爵渡邊
  子爵今城定政君子爵吉田
  子爵立花種忠君子爵藪
  古墳氏主資君子爵秋月貞種
  ·上田康太祐弘君子爵片桐
  子爵大河內輝耕君子爵米津正政
  子爵八條隆正君子爵保科
  子爵岡部長景君子爵曾我
  子爵井伊直方君子爵花房
  子爵三室戶敬光君子會會篤昌隆直俊友忠春直基太祐正政貞種篤〓千忠春直基太祐
  子爵大浦兼一君君佐藤
  子爵牧野一成子
  子爵伊東二郞丸君
  子爵渡邊七郞君子千里
  子爵秋田重季君子爵森直俊友
  子爵戶澤正己君子爵鍋島
  子爵織田信恒君子爵岩城
  子爵毛利元起源子爵米倉
  子爵植村家治君子爵梅園
  子爵舟橋〓賢君子爵松平康
  子爵土岐業子爵三島通
  子爵瀧脇/ 860子爵綾小路
  男爵山本達雄君田中館
  大島健一君特別純粋
  石塚英藏君これ數に二位
  男爵鍋島直明君松鎭
  男爵幣原喜重郞君志有卓喜之次一忠次四芳愛
  江木翼君澤上松 木吉浦
  武富時敏君井小多準謙小
  次君君
  利滿禮之郎進郞伊
  八君川崎
  太田政弘君北塚河本
  山川端夫君男原
  男爵岩倉道倶君男男電機械工程度之邦太省公〓
  男爵佐藤達次郞君尾隆
  原保本郞君
  藤阪田本釤
  倉片知岡直溫
  鐵萬
  川馬靑田菅安山場木所原立岡
  野田地川上大事件中心無人美通
  松大後西岡湯湯川
  村津藤淳業務大學馬樺加越山鐵酸
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  成光方朝知光郞
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  護陽君君君
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  敬君君君
  治
  周三君
  春季之寶平英助君君君君
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  服部金太郞君菊木
  內藤久寛君池
  今井五介君邊稻
  本田渡郞
  其〓線ハ崎村郞
  平
  根石森川山郞吉一郞
  津嘉
  磯奧榮喜
  八
  橋本子村本萬貝田右嵐
  源
  金磯西元豊健野三濱橫五津八北藤士高平齋齋田本尾中SHARPUAN
  上海市药物学工研究科宗銀
  崎村木口山十村木村原田橋田藤藤村
  廣
  城舍
  長松澤奧大森山亀造
  堺尾平田国勝與儀
  林文藝總統領選舉
  PARAME熱
  衞門高廣
  瀨川彌右衞門君
  八馬兼介君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=142

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• 143・徳川家達

  ○議長(公爵德川家達君)　此際問題ト致シ
  マスノハ繁榮一號全國ヲ開野生命人來如意思想通過
  全部原案
  ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス
  〔起立者多數〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=143

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• 144・徳川家達

  ○議長(公爵德川家達君)　過半數ト認メマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=144

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• 145・徳川家達

  ○議長(公爵德川家達君)　殘リノ豫算案五
  件ヲ問題ニ供シマス全部問題ト致シ
  部原案ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ講ヒマス
  〔起立者多數」

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=145

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• 146・徳川家達

  ○議長(公爵德川家達君)　過半數ト認メマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=146

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• 147・徳川家達

  ○議長(公爵德川家達君)　只今内閣總理大
  臣ヨリ明後二十七日迄二日間會期延長ヲ命
  ゼラルル旨ノ詔書ヲ傳達セラレマシタ
  日ハ是デ散會イタシマスガマダ申上ゲル
  コトガゴザイマス明日ハ午後一時ヨリ開
  會イタシマス、議事日程ハ本院彙報ヲ以テ
  御通知ニ及ビマス、本日ハ是ニテ散會イタ
  シマス
  午後十一時四十一分散會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X03919310325&spkNum=147

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