1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六年三月十八日（水曜日）午後二時十二分開會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=0
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001・大久保利武
○委員長(侯爵大久保利武君) ソレデハ是
カラ開會イタシマス、尙ホ皆樣ニ申上ゲテ
置キマス、昨日ノ委員會ノ初メノ間、組合
ニ關スル兩法案ヲ議題ニ質問ヲ始メタイノ
デアリマスガ、本特別委員會ニ附議ニナリ
マシタ產業統制ニ關スル法律案モ此組合法
案ト關聯シタ事柄モ多イノデアリマス、本
三法案ヲ一括シテ附議シテ進ンダラ宜カラ
ウト云フコトニ昨日ナリマシタ、今日ハ產
業統制ニ關スル法律案ヲ先ヅ初メニ當ッテ
商工大臣ノ之ニ對スル御說明ヲ煩シ、質問
ニ入ッタナラバ便宜ヂヤナイカト思ヒマス
ノデ、是カラ商工大臣ノ本案ニ對スル御說
明ヲ求メルコトニ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=1
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002・俵孫一
○國務大臣(俵孫一君) 昨日輸出組合ノコ
ト、工業組合ノコトヲ御說明申上ゲテ置キ
マシタ、只今委員長ノ御說明ノ通リ、產業
統制ノコトモ二ツノ組合法ニ關係ヲ持チマ
スノデ本案モ尙ホ說明ヲ申上ゲテ置キマシ
タ方ガ、御審議ノ上ニ御便利ガアリハセヌ
カト考ヘルノデゴザイマスカラ、是ヨリ產
業統制ニ關スル法律案ノ御話ヲ申上ゲテ置
キマス、本法ハ本會議ニ於テ御說明申上ゲ
テ置キマシタ通リ、我國ノ產業界ノ現時ノ
狀態ハ總テガ統制ヲ失ヒマシテ無統制ノ狀
態デアル、行詰ッテ居ル有樣デアリマス、ソ
レ故ニ其產業ノ無統制ノ狀態ニ規律統制ヲ
與ヘマシテ、而シテ其產業ノ安定ヲ計ルコ
トガ、產業界ノ繁榮ヲ期スル所以デアルト
思フノデアリマス、思フニ我國ノ產業界ノ
行詰リノ現狀ト云フモノハ、其因ッテ來ル所
ノ原因ハ種々ゴザイマセウ、從ッテ此現狀ヲ
打開シテ、國民經濟ノ立直シヲスルト云フ
コトヲ致スニ付キマシテハ、種々ノ施設ガ
必要デアリマセウ、是ニ對シマシテ政府ハ
其根本方策トシマシテ、產業ノ合理化ト云
フモノヲ十分ニ徹底セシムル、斯ウ云フコ
トニ致シテ努力イタシテ居ルノデアリマ
ス、卽チ生產ニ關シ、販賣ニ關シ、消費ニ關
シテ種々ノ缺陷ヲ正シ、無駄ヲ省キ、サウシ
テ良イ品物ヲ安ク生產ヲスルコトニ致シ、
以テ其消化······販賣ナリ消化ナリヲ合理化
シテ、國民經濟ト云フモノヲ合理化基礎ノ
上ニ置クト云フコトニ努ムルコトガ、是
產業ノ統制ヲ計ル所以デアルト思フノデア
リマス、然ルニ先ニ申スガ如ク、我ガ國ノ現
狀ハ產業界ニ於テ甚ダ遺憾ガ多イノデアリ
マシテ、例ヘバ技術方面ニ於キマシテモ、
經營方面ニ於キマシテモ、或ハ經營組織ノ
方面ニ於キマシテモ、幾多ノ缺陷ガアリマ
ス、殊ニ企業者間ノ相互ノ間ノ連絡ヲ缺キ
マシテ、動モスルト企業者ガ唯自己目前ノ
私益ニ走リマシテ、御互ニ競爭ヲスル······
極端ナ競爭ヲスル、是ガ爲ニ產業ガ安定ヲ
失フノデアリマシテ、其產業ノ發達人 は
全ナル發達ヲ爲シ得ナイ狀態デアリマシ
テ、之ヲ實例ニ付テ申シマスナラバ幾多ア
リマス、今日ハ國內品ニ致シマシテモ、輸
出品ニ致シマシテモ、殆ド同業者間ノ此競
爭ノ爲ニ、却ッテ我國ノ輸出ノ增進ヲ妨ゲ、
外國ノ商人ハ却ッテ我國ノ競爭ノ結果、價格
ノ値下リヲ憂ヘテ、其爲ニ損失ヲ被ッテ居ル
結果ヲ憂ヘテ、段〓我國ノ製品ヲ取扱フコ
トヲ止メルト云ッタ如キ狀態ガアルノデア
リマス、此狀態ヲ此儘ニ放ッテ置キマスレ
バ、遂ニ我國ノ重要產業ハ危殆ニ頻スルト
云ッタ如キコトガ考ヘラレルノデアリマス、
ソレ故ニ是カラ產業ヲ適當ナル規律統制ノ
下ニ於テ、之ヲ連絡統制ヲ附ケテ行キマス
ルコトガ、國民經濟ノ健全ナル發達ヲ期ス
ル上ニ於テ急務中ノ急務デアルト、斯ウ考
ヘマス、政府ハ此考ヨリ致シマシテ、本案
ヲ制定シマシテ產業ノ統制ヲ圖ルト云フコ
トニ致シマシタ譯デアルノデアリマス、本
法案ノ大體ノ骨子ヲ說明イタシマスレバ、
本法案ハ前述ノ如ク產業ノ現狀ニ對シマシ
テ、統制ヲ與ヘルコトヲ原則トシテ居ルノ
デアリマス、此統制ハ勿論當案者ノ自覺ニ
待チ、其自發的ノ協調ニ依ッテ統制ヲ圖ルト
云フコトハ、是ハ勿論本則デアリマス、從
ヒマシテ自分自ラガ同業者間ノ統制ヲスル
ト云フ產業ニ對シマシテハ、本法ヲ適用ス
ル限リデハ無論アリマセヌ、併ナガラ其自
ラガ自發的ニ統制ヲスルト云フコトノ狀態
ガムヅカシイ產業ニ對シマシテハ、而シテ
國家ノ爲ニドウシテモ統制ヲ强制シテモ附
ケナケレバナラヌ、附ケルコトガ、卽チ先ッ
キ申スガ如ク、我國ノ產業ノ發展ノ爲ニ
必要デアルト思フモノニ對シマシテハ、本
法ヲ適用シテ、强制手段ニ依ッテ其連絡協定
ヲ圖ル、斯ウ云フコトニ致サンケレバナラ
ヌト考ヘテ居ルノデアリマス、然ルニ果シ
テ自發的ニ產業ノ統制ガナシ得ルヤ否ヤ、
之ヲ既往ノ事實ニ鑑ミ、之ヲ現狀ノ狀態ニ
付テ見マスルノニ、ナカ〓〓自發的ノ協調
ト云フコトハ困難デアリマス、或ハ一部分
ニハ自發的ニ協調ヲセムト欲シマシテモ、
或一部分ガ此協調ニ同意シマセヌ、同意シ
マセヌ場合ニハ、全體ノ協調ヲ壞ハス、全
體ノ統制ヲ壞ハス、今日ノ產業界ノ現狀ニ
付テ右申シマスルヤウナ實例ガ決シテ少ク
ナイノデアリマス、一部分ノ不同意ノ爲ニ
全體ノ統制ヲ壞ハシマシテ、是ガ爲ニ全體
ノ產業ノ成立ノ根本ノ基礎ヲ壞ハスト云ッ
タガ如キヤウナ事實ガアルコトニ鑑ミマス
ト云フト、ドウ致シマシテモ、當業者ノ多
數ガ協調ヲ希望シ、而シテ一部分ニ此反對
ガアルト云フコトデアッテモ、其統制ガ國家
ノ爲ニ必要デアルト云フ場合ニ於キマシテ
ハ、國家ノ力ヲ以テ之ニ統制ヲ與ヘテ、完
全ナル連絡統制ヲ附ケルト云フコトニ致サ
ンケレバナラヌト思フノデアリマス、卽チ
本法ノ第二條ニ於テ未ダ協調ニ加盟セザル
モノニ對シマシテモ、加盟スルト加盟セヌ
トニ拘ラズ、主務大臣ガ之ヲ統制スル必要
ガアルト認メタ場合ニ於キマシテハ、本法
ノ力ヲ以テ之ノ統制ヲ强制スルト云フコト
ニ致シマスル所以デアリマス、斯ク致シマ
シテ既往ニ於テ統制ガ難カシイト云フモノ
モ、此統制ノ力ニ依ッテ之ニ協力ヲ與ヘル
ト云フコトニ相成リマスルシ、當業者モ安
ンジテ統制ノ下ニ服シテ以テ產業ニ努力ス
ル、斯ウ云フコトニ相成ルノデアリマス、
勿論協力ヲ以テ統制ヲ圖ルト云フコトハ、
是ハ決シテ好マシキモノデハアリマセヌ、
而モ此統制ノ各〓ノ下ニ於テ動モスルト價
格ノ均上ゲ等ガアリマシテ、消費者ノ利益
ヲ冒スト云ッタ如キ事モアルカモ知レマセ
ヌ、世ニ謂フ所ノ「カルテル」ノ外ニ更ニ「ト
ラスト」ノ弊害、斯ウ云フコトモ考ヘラレ
ヌデハアリマセヌ、寧ロ世界的趨向ヲ見マ
スルト、外國ノ先進國ノ生產者ハ、自己ノ
利益ヲ擁護スル爲ニ「カルテル」又ハ「トラ
スト」ヲ形造リマシテ、自己ノ生產ヲ保護ス
ル、而シテ一面消費者ノ利益ヲ顧ミズシテ
價格ヲ均上ゲルガ如キ弊害ガアルノデアリ
マス、此故ニ列國ガ或ハ「カルテル」制限、
「トラスト」制限、斯ウ云フモノニ對スル立
法ヲ以テ之ヲ强制イタシテ居ルト云フコト
ハ御承知ノ通リデアリマス、デ我國ニ於キ
マシテハ先モ申スガ如ク、協調ガナカ〓〓ト
レナイト云フコトニ付テ色ニ弊害ガアリマ
スルカラ、之ヲ協力ヲ以テ統制ヲセシメマ
スルト云フコトヲ圖ルト同時ニ、他面ニ於
テハ其統制協調ノ結果デ、第三者タル消費
者ヲ害スル、物ガ高クナッテ消費者ガ困ル、
斯ウ云フ場合ニ於テモ亦國家ハ之ヲ決シテ
放任スル譯ニ行カナイ、ソレ故ニ其協調ノ
內容ガ果シテ適當デアルヤ否ヤ、協調ノ內
容ガ果シテ第三者ノ消費者クル所ノ利益ヲ
害スルコトニ至ルヤ否ヤ、之モ十分ニ審查
イタシマシテ、其害ノアルト見タナラバ、
之ニ對シテ嚴重ニ監督シテ此協調ニ變更又
ハ取消ヲ命ズルト云フコトニ致サナケレバ
ナラヌ、本法ハ卽チ第三條ニ於テ此事ヲ規
定シテアリマスノデアリマス、斯ウ云フコ
トニ相成リマスルカラ、先ヅ第一ニ其協調
ガ成立シマスレバ、其成立シタ協調ノ內容
及其協調ノ組織ヲ先ヅ第一ニ主務大臣ガ知
ラナケレバナラヌ、ソレ故第一條ニ於テ其
協調ノ內容ヲ屆出デシメル、斯ウ云フコト
ヲ致シテ居ルノデアリマス、其屆出ヲ命ジ
タコトハ是レ監督ノ第一步デアリマス、而
シテ第二條ニ於テ其協調ニ參加シテ居ル所
ノ人ミノ三分ノ二以上ノ同意ガアルナラ
バ、以テ之ヲ加盟セザル所ノ第三者ニ向フ
テ之ヲ强制シテ協調セシメル、其協調ガ不
都合デアルナラバ、第三條ニ於テ之ヲ監督
スルト云フコトノ建前ニ此法律ハナッテ居
ルノデアリマス、本法ハ申ス迄モナク生產
者、消費者、第三者、此三ツノ者ニ對シテ
最モ重大ニ影響スルノデアリマスカラ、此
運用ニ付キマシテハ愼重考慮ヲ拂ハナケレ
バナリマセヌ、ソレ故主務大臣ハ其運用ヲ
遺憾ナカラシムル爲ニ、玆ニ自己ノ單獨ノ
考ヘヲ以テ之ヲ運用スルト云フコトニ致シ
マセヌデ、統制委員會ヲ設ケテ、其統制委
員會ナルモノニ萬事協議ヲ致シマシテ、而
シテ是ガ運用ヲ圖ル、斯ウ云フコトニ致シ
テ居ルノデアリマス、次ニ本法ハ原則トシ
テ自由營業、營業ノ自由、此自由ニ對スル
所ノ重大ナ制限デアリマス、自由營業ノ下
ニ於テ物ガ發達スル、物ガ進步スル、自由
營業卽チ各人ノ自由ト云フコトヲ致シマス
ル所ニ於キマシテ物ノ向上發展ガアルノデ
アリマスガ、併ナガラ現狀ニ鑑ミテ其營業
ノ自由ト云フコトヲ絕大ニ恣ニ致シタ結果
トシテ無謀不當ノ競爭ガアリマスカラ之ニ
制限ヲ加ヘル、其制限ハ極メテ必要デアル
ト同時ニ重大デアル、ソレ故本法ノ生存期
限ヲ有期限ニ致シタノデアリマス、卽チ五
年ヲ以テ此有效期限ト致シマシテ、五年ノ
間ニ略、我國ノ重要產業ノ統制ヲ付ケルコ
トニ致セバ、希クバ我國ノ產業統制ノ玆ニ
目的ヲ達スルデアラウ、卽チ本法ハ申サバ
營業ノ自由ニ對スル緊急立法デアリマス、
或ハ非常立法デアルト申シテ宜シイカモ知
レマセヌ、ソレ故出來ルダケ本法ノ期限ヲ
長ク引ッ張リマセヌデ、五箇年ニ致シマシタ
五箇年間ニ幸ヒニ今申上ゲマスル如ク、產
業統制ノ茲ニ一ノ國民的習慣ト申シマスル
カ、或ハ良キ慣行ガ出來ルナラバ、最早此
法律ヲ待タズシテ自カラ產業ニ付テ統制ヲ
造ルト云フコトニナッテ來ルデアラウト思
ヒマス、只茲ニ一言イタシテ置キマスコト
ハ、世間デハ此立法ハ所謂非常立法デアル
產業ノ上ニ於テ劃時代的立法デアルト云フ
コトヲ申シテ居ル批評モアリマス、併ナ
ガラ私ドモハサウ考ヘマセヌ、此立法ハ所
謂今中上ゲマシタ如ク、現時ノ混亂狀態ニ
於ケル所ノ必要ナル救護立法デアッテ、營業
ノ自山ニ對スル所ノ制限デアル、此重大ナ
ル立法デアルト考ヘマスガ、此所謂統制ノ
爲ニ加入セザル第三者ヲ强制スルト云フコ
トハ、實ハ從來ノ工業組合法ニ其コトガア
ルノデアリマス、之ハ昨日モ御說明申上ゲ
マシタガ、現在改正セント欲スル今囘ノ提
樂、現行法ノ重要輸出品工業組合法、此中
ノ第八條卽チ組合員ガ申合セテ營業上何カ
不都合ガアリト認メタモノ、弊害ヲ防止ス
ルト認メタモノ、其必要ナ事項ニ對シマシ
テハ同一地區內ノ組合ニ加入セザル所ノ同
業者ニ對シテ、强制ガ出來ルト云フコトヲ
以テ統制ヲ採シテ居ル、其實例モ昨日御說明
ヲ申上ゲマシタ、卽チ此强制ヲシテ統制ヲ
スルト云フコトハ、旣ニ現行法ノ重要輸出
品工業組合法ノ第八條ニ明文ガアルノデア
リマス、只之ハ工業組合以外ニ何等組合ヲ
造ラヌモノデアッテモ、第一條ノ如キ、第二
條ノ如キ、重要產業ニ對シテハ主務大臣ガ
指定スルナラバ、其指定ノ產業ニ對シテハ
廣ク統制ヲ强制ガ出來ルト云フコトニ於
テ、所謂工業法ノ第八條ノ意義ヲ擴大シタ
法律デアルノデアリマス、茲ニ於テ重大デ
アルト申ス譯デアリマス、敢テ今申上ゲマ
シタ統制ノ爲ニ、加入セザル第三者ヲ强制
スルト云フ意味ノ法文ハ旣ニ前ノ組合法ノ
內ニアルノデアリマスカラ、之ヲ以テ敢テ
劃時代的ノ立法デアルト云フ迄ニ考ヘルコ
トハ當ラヌト思フノデアリマス、要シマス
ルニ本法律ヲ更ニ搔摘ンデ要點ヲ申シマス
ナラバ、第一ニ重要產業······主務大臣ガ選
定ヲシタ重要產業ノ統制協調ヲ當業者ガス
ルナラバ之ヲ主務大臣ニ屆出デルト云フ
コトガ第一點デアリマス、第二點ハ重要產
業ノ統制ヲ圖ル爲ニ、其統制ヲ紊ル者ニ對
シテハ統制協調ノ加盟者タルト加盟者タラ
ザルトヲ問ハズ、等シク統制ノ下ニ服從ス
ルコトヲ强制スルト云フコトガ第二點デア
リマス、第三點ハ之等協調ノ內容ハ公益的
見地ヨリ立ッテ之ヲ監督シ而シテ其內容ガ
公益ニ反シ、又ハ他ノ產業ノ公正ナル利益
ヲ害スト認メタ不都合ナル協調ノ內容トス
ルナラバ之ヲ取消シ、又ハ變更スルコトヲ
命ズルコトガ出來ルト云フノガ第三點デア
リマス、第四點ハ本法ノ運用ニ關シマシテ
ハ統制委員會ヲ設ケテ、重要事項ヲ審議ニ
附シ、而シテ之ヲ運用スルコトニナッテ居
ル、之ガ第四點デアリマス、第五點ハ本法
又ハ本法ニ基イテ發シタ命令ニ背イタモノ
ガアルナラバ、罰則ヲ設ケテ之ガ徹底ヲ圖
ル、之ガ第五點デアリマス、第六點ハ此法
案ノ有效期限ヲ有限的ニシタ、斯ウ云フコ
トガ第六點デアリマス、之ガ大體本法ノ御
說明ノ要領デアリマス、私ハ玆ニ委員長及他
ノ委員諸君ノ御同意ガアリマスナラバ、衆
議院ニ於テドウ云フ點ニ於テ此法案ニ付
テ質問應答ガアッタカト申スコトヲ申上ゲ
ルコトガ、或ハ御考慮ノ御參考ニナリハセ
ヌカト考ヘマスガ、之ヲ委員長ヨリ皆サン
ニ御諮リヲ願ッテ、御同意下サルナラバ引續
イテ其點ヲ申上ゲテ見タイカト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=2
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003・大久保利武
○委員長(侯爵大久保利武君) 別ニ御異議
ハナイト思ヒマスカラ、ドウゾ御願ヒ致シ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=3
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004・俵孫一
○國務大臣(俵孫一君) ソレデハ私ヨリ衆
議院ニ於ケル質問應答ノ事項ノ大體ヲ申上
ゲテ御審議ノ御參考ニ供シマス、勿論全部
ノコトヲ申上ゲルト云フコトハ長キニ亙リ
マスシ、本件ハ衆議院ノ委員會ハ確カ開催
度數ハ七、八回カト思ヒマス、此間隨分時
間ヲ費シタコトモゴザイマスカラ、長キニ
亙ッテ御說明モ如何ト思ヒマスガ、要點ヲ申
上ゲマス、第一點ハ本法案ハ產業統制法ト
シテ必要ハ認メル、之ハ大體ニ於テ皆何レ
ノ質問モ其點ガ根柢デアッタヤウデアリマ
ス、只之ダケデ以テ一體果シテ統制ノ目的
ヲ達シ得ルヤ否ヤ、之デハ足ラヌデハナイ
カ、例ヘバ此規定ハ結局シタ所第六條ニ卽
チ罰則ガアル、罰則ヲ以テ統別ヲ强要スル
斯ウ云フ罰則ノ規定デアル、刑罰ヲ以テ產
業界ニ向ッテ產業ノ發達ヲ圖ルト云フコト
ハ飛ンデモナイコトデアル、產業統制ハ只
此刑罰ヲ以テヤルト云フコトデハ統制ハ出
來ヤウトハ思ハナイ、產業統制ノ苟モ政府
ハ此促進ヲ圖ラウト思フナラバ、之ニ幾多
ノ助成的計畫ノ考ヘヲ以テヤラヌケレバナ
ラヌヂヤナイカ、例ヘバ金融的援助ヲ與ヘ
ル、或ハ其他租稅ノ賦課ヲ減免スルトカ、
何カ國家トシテ統制ニ向ッテ助成ヲ與ヘル
ト云フ所謂用意準備ガナクテハナラヌデハ
ナイカ、ソレヲドウスル斯ウ云フ意味ノ質
問ガアリマシタ、之ニ對シマシテハ、政府
ハ本法案ハ協調其ノモノヲ强制スルト云フ
意味ノ點ニ於テ、其規定ノ內容ガアルノデ
合理的ニ其經營ヲ·····產業ヲ合理化スルト
云フ點ニ於テハ又別ニ方法ヲ講ジテ居ルノ
デアル、產業ノ合理化ハ商工省ハ昨年以來
商工省內ニ合理局ヲ作ッテ、顧問ヲ置キ委
員ヲ囑託シ、而シテ委員諸君ガ此產業ノ合
理化ニ付テハ專ラ努メテ居ルノデアッテ、之
ニ付テハ幾多ノ或ハ財務的援助其他ノ方法
ヲ講ジテ居リ〓究モシテ居ルノデアル、デ
此產業合理化、或ル事業ノ合理化ノ點ニ付
テ政府ガ努力スルト云フコトト、而シテ協
調其モノヲ指導シテ其產業ノ無謀ノ競爭ヲ
阻止スル、强制スルト言っタガ如キコトハ自
カラ趣ガ違フノデアッテ、是ハ又更ニ別ノ方
面カラ其事ハ努力シテ居ルノデアルト云フ
コトニ答辯ヲシテ置イタノデゴザイマス
第二ノ點ハ協調ハ大變結構デアルケレドモ
ガ、是ガ爲ニ消費者タル第三者ノ利益ヲ害
シハシナイカ、卽チドウモ世間デ言フ「カル
テル」ノ弊害「トラスト」ノ弊害ト云フモノ
ガアルガ、其弊害ニ對シテ此方法ニ付テハ
第三條ノ考慮ガアルト說明ヲシテ居ルケレ
ドモガ、是デハ不十分デアル、又且ツ一般
消費者ノ立場ニ於ケル所ノ保護ガ第三條デ
以テ十分デアルトハ思ヘヌ、之ニ付テ之ハ
行ケルト云フ見込ヲ立"テ居ルト云フコト
ハドウ云フ譯デアルカト云フヤウナコトノ
質問モアリマシタ、ソレデソレニ對スル答
辯ハ政府ハ曩ニ一寸申シマシタ如ク世界的
ニ「カルテル」「トラスト」ガアッテ、其弊害ガ
甚ダシイト云フ世界的ノ產業界ノ趨向ハ當
局者ハ十分ニ認識致シテ居ル、ソレ故ニ一面
ニ於テハ第一條第二條ノ如キ統制協調ヲ促
進スルガ如キ規定ヲ作ルト同時ニ、他ノ一
面ニ於テハドウシテモ其「カルテル」「トラ
スト」ノ弊害ヲ除却スルト云フ、反「カルテ
ル」反「トラスト」ノ考ハ十分ニ付ケテ居ル
ノデアル、而シテソレヲ實行スルニ付テハ
第三條ヲ以テ十分ニ出來ルト申シテ居ルノ
デアル、第三條ノ規定ガ甚ダ漢トシテ是デ
ハ到底ドウモ運用······是デハドウモ到底共
强制ヲ實效ヲ擧ゲ得ナイト云フ點ノ非難ガ
アルガ、其廣ク規定ヲシテ居ル所ニ運用ノ
詰リ範圍ガアルノデアリマス、運用上カラ
シテ言ヘバ餘リ細カク規定ヲセザル所ニ此
運用ノ働キガ十分ニ出來ルト云フコトデア
ルノデアル、要スルニ本法ニハ一面ニ於テ
ハ「カルテル」ノ協調ヲ促進スルト云フ點ト、
他面ニ於テハ其弊害ヲ除却スル、此二樣ノ
働キガ本法ニ於テアルノデアル、斯ウ云フ
コトヲ申シタノデアリマス、ソレカラシテ
第三點ニ於キマシテハデス、外國ノ例ヲ見
ルト云フト此石炭ダトカ或ハ「カリ」トカ斯
ウ云フ品物ニ付テノミ「カルテル」ヲ促進ス
ル規定ハアルガ、斯ウ云フ重要產業ノ全體ニ
付テ「カルテル」ヲ勸誘スルト言ッタヤウナ
規定ハ外國ニハナイヤウデアル、本法ハ其
點ニ於テ廣ク重要產業ト云フコトニナッテ
居ルノデアルガ、此點ハドンナモノデアラ
ウカ、斯ウ云フ意味ノ點ガアッタト同時ニ
ドウ云フ重要產業ト云フコトヲ指定スルト
云フコトハ元來指定ハ何處マデ擴ガルカ
一體ドウ云フ點ニ於テ現時當局者ハ考ヘテ
居ルノデアルカ、斯ウ云フ質問ガアリマシ
タ、之ニ對シマシテハ成程是ハ當委員會ニ
於キマシテモ參考トシテ配リマシタ中ニモ
アリマセウガ、獨逸ノ石炭及ビ「カリ」、英
吉利ノ石炭、斯ウ云フモノニ於テ統制强制
ノ規定ガアリマス、其他ニハアリマセヌ、
併ナガラ是ハ國情ガ違フ、若シ我ミヲ以テ
見ルト云フト英吉利ヤ獨逸ハ其產業ノ同業
者ガ共同ノ利益ヲ圖ルベク寧ロ「カルテル」
ヲヤリ過ギテ困ルト云フ事情ガアルカモ知
レマセヌガ、ヤラナクテ困ルト云フヤウナ
風ニハ寧ロ獨逸ノ產業界、英吉利ノ產業界
ニ於テハ之ヲ見出シニクイ位デアル、我國
ハ甚ダ言葉ハ過ギルカ知レマセヌガ、ドウ
モ協調ガ取レニクイ、何ノ爲デアルカ分リ
マセヌガ、兎ニ角原因ハ色〓アリマセウガ
兎ニ角同業者間ノ相談ガ出來ニクイ、偶〓相
談ヲシテモ直ク裏カラ之ヲ裏切ルガ如キヤ
ウナコトガ段ミアッテ直グ破レル、ソレ故今
日ノ日本ノ產業ハ寧ロ協定ガ出來ナクテ、
今申スヤウニ產業其モノガ共潰レニナルト
云フタガ如キ狀態ニアルコトヲ寧ロ大ナル
弊害トシテ居ルノデアル、ソレ故我國ニ於
テハ英吉利ヤ獨逸ノ如キ產業界ノ國情ト我
國ノ國情ト違フ點ニ於テ、我國ニ於キマシ
テハ此重要產業ト云フ廣イ意味ニ於ケル所
ノ協調ノ促進ヲ圖ルト云フコトノ規定ヲ必
要トスル所以デアルノデアル、而シテ重要
產業ト云フコトハ如何ニモソレハ主務大臣
ノ行政······政府ニ於テドウデモ出來ルト云
フコトデアルガ、是ハ第二項ニアルガ如ク
指定スルノデアル、其指定ハ而カモ統制委
員會ノ議ヲ經テ指定スルノデアル、統制委
員會ト云フモノハ十分ナル權威アル機關ト
シテ此運用ニ付テ十分ニ考慮スル所ノ機關
デアルト云フコトニ致シタイ、ト思フカラシ
テ、其統制委員會ノ議ヲ經テ指定スルノデア
ルカラ、サウ强イテ亂暴ナル產業ノ指定ハアル
ベキモノトハ考ヘテ居ナイ、而カモ重要產業
ハ何ミカト云フ點ニ對シテハ、目下ノ所デハ大
體ニ於テ羊毛工業、或ハ電氣機械器具工業、
又ハ人造肥料工業、「セメント」工業、其以外
ニハ輸出物ニ於テ其弊ノ著シキモノヲ認メマ
スカラ、輸出ノ絹織物、輸出ノ綿織物、斯ウ
云フモノヲヤルト云フ風ナモノヲヤルト云フ
今考デアルト云フコトヲ申シテ置キマシタ
ソレカラシテ統制委員會ト云フモノヲ政府
ハ而カモ重要ナル機關ト言ッテ居ルガ、其構
成如何其內容如何、斯ウ云フコトデアリマ
シタ、之ニ對シマシテハ政府デハ目下ノ所
貴衆兩院議員卽チ國民ノ輿論ヲ代表シテ居
ルト云フ貴衆兩院議員ノ中ヨリ數名、學者
〓究家ヨリ數名、而シテ關係官吏ヨリ數名、
卽チ合ハシテ凡ソ十五名位ノ員數ヲ以テ此
組織ヲシタイ考デアル、斯ウ云フコトヲ答
辯シテ置キマシタ、其他ニ漏レタモノガア
ルカ知レマセヌガ、先ヅ大體ソンナモノデ
アッテ、之ヲ大分繰返シ〓〓應答ガアッタノ
デアリマス、其他ニモ段ミ議事錄ニ付テ見
マスレバアリマセウト思ヒマスガ、先ヅ私
ノ記憶ニ存シテ居リマスルダケヲ、數項目
中上ゲテ御參考ニ供シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=4
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005・大川平三郎
○大川平三郞君 只今商工大臣ノ御說明デ
此重要產業ノ統制ニ關スル問題ハ能ク了解
イタシマシタ、而シテ茲ニ伺ヒタイノハ、
工業組合法ト此重要產業ノ統制ニ關スル法
案ト間題ガ重複シテ居ルヤウナ、關聯ガア
ルヤウナ感ガ致シマスガ、是ハ重要產業ト
云フノハ特ニ大キイ重要ナル產業ニ關スル
統制法案デアッテ、ソレカラ小サイ方ノハ組
合ヲ設ケサシテ、其組合ニ依ッテ統制シテ行
クト云フ是ハ意義ナンデゴザイマセウカ、
其關係ヲ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=5
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006・俵孫一
○國務大臣(俵孫一君) 其事モ衆議院ノ應
答ニモアリマシテ、ツイ漏ラシマシタガ、
幸デアリマスカラ······工業組合法ハ昨日モ
チヨット申上ゲマシタガ色ミナ働ガアリマ
ス、第一ニハ、公益的ニ其組合ガ製品ヲ檢
査スルトカ、弊害ヲ除去スルトカ云ッタ如キ
コトモアリマス、第二ニハ組合員ニ對シ
テ金融的援助ヲ與ヘテ、其工業ノ資金ヲ供
給シテヤルト云フガ如キ經濟的方面ノ働モ
アリマス、ソレデアリマスガ唯〓御尋ネノ
事業ノ統制、斯ウ云フ點ニ行クト云フト、
云ハレタ通リニ此統制法案ト工業組合ノ法
律ノ或ル條文ト重大ナル點ガアリマス、是
ハ斯ウ云フコトニ考ヘテ居リマス、今御話
ノ通リニ組合法ハ大企業家ハ這入リマセヌ
ノデドウシテモ組合法ト云フモノハ、アレ
ハ中小ノ企業家ガ自己ノ金融的便宜ヲ受ク
ル爲ニ、其ノ他ノ弊害ヲ除去スル爲ニ作ル
ノデアリマス、是ハ任意デアリマス、ソコ
デ中小企業家ニ對スル統制ノ方ノ側ハアノ
組合法ニ依ッテ出來マス、出來マスガ、大企
業家ガ之ニ這入リマセヌガ爲ニ、大企業家
ヲ統制スル譯ニイカナイ、其點ハ或ル程度
ノ働ハ第八條デ昨日御話アリマシタガ、出
來マスガ、之デハ十分デアリマセヌ、ソレ
故ニ此統制案ガ大中小全體ヲ引括メテ、例
ヘバ生產ニ付テ生產ノ制限ヲシヤウト云フ
コトモ無論起"テ來マセウト思ヒマス、販賣
ニ付テ共同販賣ヲシヤウト云フタ如キヤウ
ナコトモ販賣ニ對スル統制ノ維持方法トナ
ルデアリマセウ、斯ウ云ッタヤウナコトヲ
大中小括メテ、統制ノ協定ヲシマスニハ、
此產業統制ニ關スル法律ニ依ルニ非ズンバ
シニクイ、而モ御承知ノ通リニ統制ト云フ
モノハ一ツノ事業家ガ同業者ノ統制ノコト
ニ這入リマセヌデモ、直グ壞レテシマフ、
今日ハ御案內ノ通リニ大企業家ガ中小企業
家ヲ壓迫シテ强食弱肉、是ガ普通ノ自由競
爭ノ原則デスガ、今日ハドッチカト云フト、
無謀ナ競爭ノ結果大企業家ノ足下ニ中小企
業ノ亂暴ナ企業家ガ潜リ付イテ、却ッテ大企
業家ノ基礎ヲ危ウクシテ、苛メコナスト云ッ
タ如キ變態ガアルノデス、ソレ故ニ大企業
家ダケ統制スレバ宜シイト云フ譯ニイカナ
イ、ドウシテモ同業者間ノ中小ノモノモ引
括メタ統制ガナイトイカナイト云フコトニ
實體ガアリマスノデアリマスルカラ、此法
案ハ大中小トモ引括メタ漏ラサヌ統制ヲ付
ケルト云フコトニ付テ、此法案ガ必要デア
ル、斯ウ云フ積リデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=6
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007・大川平三郎
○大川平三郞君 先刻來詳細ナ商工大臣ノ
御說明ニ依ッテ、能ク了解致シマシタガ、現
在ノ此日本ノ重要產業ナルモノノ完全ナル
統制ガ自發的ニ行ハレテ居ルノハ紡績聯合
會デアリマセウ、紡績聯合會ガ今日ノ發展
ヲシテ居ルノハ、全ク統制ガ完全ニ行ハレ
テ居ル其賜デアッテ、是ヨリ外ニハナイヤウ
ニ思フノデアリマス、而シテ紡績聯合會ガ
完全ニ自發的ニ統制ヲ行ッテ居ルカラ、ソ
レガ爲ニ紡績ノ製品ガ非常ニ高クナッテ、統
制ノ爲ニ公益ヲ害サレテ居ルヤウナ反對說
ハ承ラナイヤウデアリマス、寧ロ皆其紡績
聯合會ガ完全ナル働ヲナシテ居ル所ヲ見テ
皆大ニ之ニ讚辭ヲ呈シテ居ルヤウナ狀態デ
アリマス、故ニ此第三條デ、此統制法案ノ
第三條ニ依クテ、主務大臣ガ是ハ公益ニ害ア
リト見テ、差止ノ命令若クハ變更ノ命令ヲ
オ出シニナルト云フヤウナ必要ハナイ、ソ
コデ紡績聯合會ガアリマスガ、他ノ產業モ
皆之ニ傚シテ之ニ鑑ミテ自發的ニ相當ノ統
制ヲ行ッテサウシテ巧ク行ケサウナモノデ
アリマスケレドモ私共自ラ幾多ノ產業ニ從
事シテ、色ミナ聯合會ナドヲ拵ヘテ居リマ
スケレドモ、ドウモ其點ニ於テハ日本人ト
云フモノハ頗ル愚ナモノト思ヒマス、相當
ニ皆知識ノ發達シテ居ル今日ニ於テ、斯樣
ナ法律マデ設ケテ戴イテ御厄介ニナルト云
フコトハ、日本ノ產業界ト云フモノハ甚ダ
シク悲慘ナルモノダト云フコトヲ痛感スル
ノデアリマス、餘リニ自分ヲ知ラヌ淺間シ
イ狀態デアルノデアリマス、ソコデ左樣ナ
狀態デアリマスガ、現在此處ニ紡績聯合會
ト云フ良イ例ヲ見セテ貰ヒナガラ、ソレヲ
實行スルコトガ出來ナイト云フヤウナコト
デアリマスカラシテ、今日ハ甚ダ遺憾千万
ナコトデアリマスガ、今日デハ重要產業ノ
統制法案、工業組合法案ハ全ク其時宜ニ適
スル、最モ必要ナル法案デアルト私共ハ御
贊成申上ゲル譯デアリマシテ、唯〓商工大
臣ノ御說モ一々注意周到ナル御〓究ヲ遂ゲ
テ居リマスコトヲ深ク喜ブノデアリマス、
併ナガラ此圏外ニ立ッテ居ル卽チ組合ニ這
入ラヌ、此統制ニ同意シナイト云フモノヲ
强ヒテ之ニ入レルト云フコトガ出來ナイ、
唯其外ニ「アウトサイダー」ヲシテ組合ト同
一ナ行動ヲ執ラシメルコトヲ主務大臣ガ命
令セラレルト云フコトデスガ、是ガ昨日モ
チヨット申上ゲマシタケレドモ、圈外ニ立〃
テ居ルト云フモノハ、非常ニ强ク、ムヅカ
シイ連中ニ多クハアルノデアリマシテ主務
大臣ガ御命令ヲ爲サルニモ非常ニ御迷惑ヲ
ナサルヤウナムヅカシイ問題ニ實際ハナル
ノデアリマス、ソレデ此點ニ對シテハ少ナ
カラズ私共モ遺憾ニ思フノデアリマスケレ
ドモ、併シドウモ所謂人權ヲ蹂躪スルヤウ
ナコトニナルノデアリマスカラシテ、是位
ノコトヲ以テ滿足スルヨリ仕方ガナイ、但
シ此問題ガ實際的ニ行ハレナイ爲ニ、折角
ノ此大切ナル法案ガ實效ヲ奏サレナイト云
フコトニナル懸念ハ萬々アルノデアリマス、
アリマスケレドモソレデ寧ロナイヨリ宜イ
ト云フ位ノ決心ヲ以テ滿足スルヨリ仕方ガ
ナイダラウト云フコトヲ、實ハ私共申シテ
居ルノデアリマスガ、政府ハ之ヲ本當ニ勵
行スルト云フ御考ヲ持,テ居ラレルノデア
リマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=7
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008・俵孫一
○國務大臣(俵孫一君) 大川君ノ只今ノ御
質問ハ、最モ私ハ大川君ガ從変ノ狀況ニ遭
遇セラレテ痛切ニ考ヘラレテ居ル點デアル
ヤウニ私モ拜聽イタシマシタ、實ハ御承知
ノ通リニ、法ハ全ク運用ニアルノデアリマ
シテ、法ノ規定ヲ如何ニ立テマセウトモ、
此運用ヲ致シマセヌケレバ全ク空文ニナル
ノデス、先刻申上ゲマシタヤウニ第三條ガ
是デハ規定ガ足ルノ足リヌノ、文字ガ是デ
ハ不十分デアルノドウノト云フ、所謂反對
論ガ衆議院ニ於テ應答ガ取交ハサレマシタ
ガ、私共考ヘルニ第三條ハ規定ハドウデモ、
文字ハドウデモ、之ヲ運用スル所ニ至ッテ
始メテ其働キガアルヤウニ考ヘマス、只今
ノ御說ハ第二條ノ非加盟者ニ對シテ强制ス
ルト云フコトヲ、果シテ理事者ハヤリ得ル
ヤ否ヤ、斯ウ云フ點ノ御尋ネデアルノデス、
私共ハ實ハ現今ノ產業狀態ガ先刻申上ゲマ
ス通リニ、餘リニ無謀ナ競爭ヲシテ共倒レ
ヲシテ居ルト云フコトガ、其產業ノ爲ニモ、
國家ノ經濟ノ爲ニモ非常ナル害物デアル、
斯ウ痛切ニ感ジテ居ルノデアリマス、ソレ
ニ實ハ出來ルダケ產業ノ合理的ノ經營ヲ勸
〓シテ居リマス、而シテ其見地ヨリ致シマ
シテ昨日申上ゲマシタ通リニ、少シ從來ノ
解釋ト或ハ無理デアルト云フガ如キ意見モ
ナイデハアリマセヌデシタケレドモ、瀨戶
ノ陶器ノ製造ニ付テ、或ル二、三ノ組合ニ
對スル裏切者ニ强制命令ヲ發シマシテ、遂
ニ其組合ノ統制ノ下ニ服セシメタト云フガ
如キコトヲ致シタ實例モゴザイマス、我ミ
共ハ痛切ニ、餘リニ痛切ニ現時ノ產業ノ無
謀ナ競爭ヲ見テ居リマスガ故ニ、實ハ產業
合理局ノ顧問會議ニ於キマシテモ、ヨク此
點ヲ〓究イタシマシテ、而シテ此僅カノ條
文デアリマスガ之ヲ練上ゲテ此所マデニ
致シク譯デアリマス、旣ニ立法ヲ致スト云
フコトハ强キ決心ヲ以テ致シテ居リマスノ
デ、私共ハ此法ノ適用ニ向,テハ强キ決心
ヲ以テ當リタイト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=8
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009・大川平三郎
○大川平三郞君 此統制法案ナルモノハ後
デ出テ參リマシテ、サウシテ此組合法、其
他ノ二ツハ先ニ出テ參クテ居リマシテ、順序
カラ見マスレバ先ニ出テ居ルノヲ先ニ議ス
ノガ本當デアリマセウガ、只今商工大臣ノ
御說明ニ依ッテ、此重要產業統制法案ノ法ノ
精神ハヨク御說明ヲ承ッテ我々了解ヲシタ
ノデアリマスガ、丁度ソレダケ只今御話ヲ
承ッタバカリデヨク、分ッテ居ルノデアリマ
スカラシテ、此際ニ於テ先ヅ此重要產業統
制案ト云フモノヲ先ニ議スト云フコトニシ
テ戴イタラ如何デゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=9
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010・大久保利武
○委員長(侯爵大久保利武君) チヨット申
上ゲマスガ、只今ハ此三案トモニ關聯シテ
質問ヲ皆シテ戴カウト、斯ウ云フ申合セデ
進ンデ居ルノデアリマスガ、今大川サンノ
御發議ハ、外ノ質問ハ兎ニ角後〓ハシニシ
テ、此重要產業ノ統制ニ關スル法律案ノ質
疑ニ止メテ進ンダラ宜クハナイカト、斯ウ
云フ御意見デスガ、如何デセウ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=10
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011・大川平三郎
○大川平三郞君 イヤ別ニ異議モゴザイマ
セヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=11
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012・大久保利武
○委員長(侯爵大久保利武君) ソレデドノ
法案ニ對シテ質疑シテモ宜シイ、併シ此討
論トカ議決トカ云フコトニナルト別問題デ
アリマスガ、今質問ノ間ダケハ一括シテド
ノ法案ニ付テモ質問スルコトニシテハ如何
デアリマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=12
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013・大川平三郎
○大川平三郞君 他ノ二案ト此重要產業統
制法案トハ如何ナル點ニ於テ關係ガアルカ
ト云フコトモ先刻商工大臣ノ御說明デ、關
係ノアル點ダケハ了解シテ居ルノデアリマ
スカラ、私ハ此ノ重要產業統制法案ヲ此際
審議シテモ差支ナイ、又却ッテソレガ簡便ノ
ヤウニ思ヒマス、如何デゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=13
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014・大久保利武
○委員長(侯爵大久保利武君) 今大川サン
ノ御發議ハ此重要產業統制ニ關スル法律案
ヲ先ヅ是ノミ審議ヲ進メタ方ガ良クハナイ
カト云フ御意見ガ出テ居ルノデスガ、如何
デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=14
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015・中島久萬吉
○男爵中島久萬吉君 質問ハ申合セノ時
ハ三案何レニ對シテモ隨時隨意ニスルト
云フ意味デシタガ、一應質問ダケヲ致スコ
トニシタラ如何デゴザイマセウカ、稍こ三
案相牽連シテ居ル點モアルヤウニ見エマス
カラ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=15
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016・大久保利武
○委員長(侯爵大久保利武君) ドウデセ
ウ、最初決ッタ通リニ三案一〓ニ質問ダケデ
ス、政府ニ對スル質問ダケハ三案一括シテ
ヤッタ方ガ審議上却ッテ便宜ヂヤナイカト思
フ、無論討論トカ議決トカニ至ッテハ別ニナ
リマスケレドモ、今質問デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=16
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017・大川平三郎
○大川平三郞君 宜シウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=17
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018・菊池恭三
○菊池恭三君 チヨット御伺ヒ致シマスガ、
此統制ト云フコトハ非常ニ範圍ガ廣イヤウ
デスガ、無論事業ニ依リマシテ統制ノ範圍
ハ違ヒマセウガ、凡ソドウ云フ風ニ此範圍
ヲ御決メニナリマスカ、事業上ニモ關係シ
やく、或ハ販賣上色ミ統制ト言ヘバ種々ノ
點ニナリマスガ、ドノ範圍內デ統制ヲナサ
ルカ、ソレヲチヨット御伺ヒ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=18
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019・竹内可吉
○政府委員(竹內可吉君) 御說明申上ゲマ
ス統制協定ノ範圍ハ、御質問ノ如ク非常ニ
廣イデアラウト思フノデゴザイマス、ソレ
デ此法律案ノ豫想イタシテ居リマスル所ハ
有ユル種類ノ統制協定ヲ全部初メカラ含メ
ルト云フ考ハ持タナイノデゴザイマシテ、
先程提案ノ說明ニモ中上ゲテゴザイマスル
通リ、當業者ニ大體サウ云フ統制協調ヲ致
シマス氣運ガ向イテ居ルト云フコトガ先ヅ
以テ前提デゴザイマスノデ、サウ云フ種類
ノモノヲ選ビマシテ、統制委員會ノ議ニ附
シマシテ命令デ定メマス積リデゴザイマ
ス、手續ハサウデゴザイマスガ、サテドウ
云フ種類ノモノヲ然ラバ大體豫想シテ居ル
カト申シマスト、私共ノ考ヘト致シマシテ
ハ、例ヘテ申シマスルナラバ生產制限、卽
チ生產額ヲ需要ニ合セマシテ需要供給ノ數
量ヲ調節スルト云フコトヲ目的ト致シマス
一ツノ統制協定ガアラウト思ヒマス、サウ
云フモノヲ先ヅ豫想イタシテ居リマス、ソ
レカラ生產品ノ販路ノ分野ト申シマセウカ、
全國ヲ協定イタシマシテ、ドノ方面ハ何處
ノ會社デ供給スル、又他ノ方面ハドウ云フ
工場デ之ヲ供給シヤウト云フヤウナ生產品
ノ販路ニ付キマシテノ分野ノ協定ヲスルト
云フコトモアリ得ルコトト思フノデゴザイ
やく、是ナドハ御承知ノ如ク「セメント」ノ
ヤウナ重量ノアリマスル運賃ノ餘計要リマ
スルヤウナモノハ、其ヤリ樣ニ依リマシテ
ハ値段モ安クナリマス、運用ノ如何ニ依リ
マシテハ大變ニ良イ結果ヲ齎ラスモノト考
ヘテ居ルノデアリマス、ソレカラ生產品ヲ
各工場デ色〓重複シテ拵ヘテ居ル實情ガ多
イノデゴザイマスルガ、此製品ノ分野ヲ協
定イタシマシテ、特ニ或ル甲ノ工場デ得意
ト致シテ居リマスル生產費ノ餘計掛ラナイ
ヤウナ設備ヲ持ッテ居リマスト云フヤウナ
モノガゴザイマスノデ、サウ云フモノハ其
得意トスル所ニ從ヒマシテ製品及ビ製品ノ
分野ヲ協定スル、斯ウ云フヤウナモノモ豫
想イタスノデゴザイマス、尙ホ其外價格ノ
協定デゴザイマストカ或ハ共同販賣デアリ
マストカ云フヤウナモノガ現在モ行ハレテ
居リマスルノデ、サウ云フモノモ指定ヲス
ルコトニナラウカト思フノデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=19
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020・山崎龜吉
○山崎龜吉君 私ハ輸出組合ニ付テチヨッ
ト御尋ネヲ致シタイノデスガ、輸出組合ノ
組織ヲ致シマス地域ト申シマスカ、昨日ド
ナタカノ御質問ニ對シテ御答ヘノアリマシ
タ際ニ產業別ト云フヤウナ風ナ御話モアリ
マシタガ、現在輸出組合トシテ既ニ全國ニ
亙ッテ組織サレテ居ル組合ハアルカノヤウ
ニ承知イタシテ居リマス、而シテ玆ニ此法
案ガ愈、實施サレマス場合ニ於テハ原則ト
シテ產業別デアリマスカ或ハ地區ヲ分ケテ
ノ組織ニナリマスカ、其邊ハドウ云フ程度
ノコトニ實行サレマスデアリマセウカ、其
點ヲ伺ヒタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=20
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021・勝部兵助
○說明員(勝部兵助君) 輸出組合ニ於キマ
シテハ法律ノ第一條ニ於キマシテ、輸出組
合ノ作リ方ヲ二通リニ致シテ居ルノデアリ
マス、一ツノ作リ方ト致シマシテハ、先程
御尋ネニナリマシタヤウニ產業別ト申シマ
スト、製品ノ種類ニ依リマシテ、或ハ陶磁
器デアリマストカ或ハ琺瑯鐵器デアリマス
トカ云フ品物別ニ依リマシテノ輸出組合デ
アリマス、今一ツハ品物ノ輸出サレル輸出
先ノ區別ニ依ッテ作ル輸出組合ト云フモノガ
アリマス、例ヘテ申シマスト、對露輸出組
合ト申シマス、其場合ニハ露西亞ニ向ッテノ
輸出業者ガ取扱製品ノ如何ヲ問ハズ協同シ
テ組合ヲ構成スルコトガ出來ル、斯ウ云フ
風ニ致シテ居ルノデアリマス、今日出來テ
居リマスル輸出組合デモ兩方ガソレソレ存
在シテ居ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=21
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022・山崎龜吉
○山崎龜吉君 ソレニ關シテチヨット、御尋
ネヲスルノニハチット見當ガ果シテ合フカ
ドウカ分リマセヌガ、所謂輸出補償法ノ適
用デス、只今說明員ノ御答ヘニ依リマスト
大體補償法ノ適用ガ地域ヲ全國的ニシテ居
ル組織ト、ソレカラ產業別ニナッテ仕向地ノ
地域ニ限ラレテ居ルト云フコトニナリマス
ト、輸出補償法ノ適用ガドウ云フ風ニ運用
ガ出來ルモノデアリマセウカ、其點ヲチョッ
ト伺ヒタイ、是ハ或ハ餘リ見當ガ當シテ居ラ
ヌカモ知レマセヌ、若シ當ッテ居リマセヌケ
レバ差支ヘナイノデスガ···発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=22
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023・勝部兵助
○說明員(勝部兵助君) 今日ノ輸出補償法
ニ於キマシテハ、直接輸出組合トノ關聯ハ
原則トシテアリマセヌ、唯アリマスルノハ輸
出補償法デ規定シテ居リマスル御承知ノ通
リ約束手形ト爲替手形ト兩方アリマスノデ
スガ、約束手形ハ對露通商貿易ノ特殊ノ關
係カラシテ對露關係ニ於テノミ之ヲ認メテ
居ルノデアリマス、其對露關係ノ約束手形
ノ受取人ハ輸出組合員ナリ輸出組合ヲ原則
トシテ認メルト云フコトニ致シテ居ルノデ
アリマス、ソレカラ尙ホ爲替手形ニ付キマ
シテ甲種ト乙種ト兩方認メテ居ルノデアリ
マスガ、乙種ノ方ハ御承知ノ通リ甲種ト多
少違ヒマシテ保險的性質ヲ持チマシタ手形
デアリマスルノデ、相當手形ノ振出人ニ信
用ガナクテハヤリニクイヤウナコトニナッ
テ居リマスノデ、乙種補償手形ニ付キマシ
テハ其振出人ハ原則ト致シマシテ、輸出組
合員ナリ輸出組合、若クハサウ云フ資格ノ
ナイモノデアレバ少クトモ輸出事業ニ過去
二年間從事シテ居リマシテ相當信用ガ確實
ナモノト云フ規定ヲ設ケテ居ルノデアリマ
ス、ソレダケガ今日輸出組合ト輸出補償法
トノ關聯スル事柄デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=23
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024・山崎龜吉
○山崎龜吉君 是ハ申上ゲルコトガ希望ノ
ヤウナ風ニナルカモ存ジマセヌガ、此輸出
組合法ヲ斯ク改正セラレマシテ輸出貿易ヲ
奬勵セラレル意味ニナリマセウガ、現在ノ
補償法ヲ布イテ居ラレル地域ハ頗ル局限サ
レテ居リマシテ、果シテ此現在ノ輸出補償
法ガ改正サレタ後ニ玆ニチグハグ······マア
不徹底ト言ヒマスカ、折角輸出補償法ニ依〃
テ總ベテ準備ガ出來マシテ、而シテ一方ニ
補償法ノ適用地域ガ或ル部分ニ限ラレテ居
リマスト、洵ニ其點ガ遺憾ナヤウナコトガ
感ジラレマスノデスケレドモ、ソレ等ノ點
ニ付テ將來此法律ガ實施サレマス後ニ於テ
ハ、補償法ノ地域モ從シテ擴充セラレマスヤ
ウナ御見込ガアルノデアリマスカ、如何デ
セウカ、此點ヲ伺ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=24
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025・俵孫一
○國務大臣(俵孫一君) 如何ニモ現今補償
制度ヲ實施イタシマシテモ、其補償制度ニ
依ッテ適用ヲ受ケルモノガ少イト云フコト
ハ當局者ニ於キマシテモ洵ニ遺憾ニ思ヒマ
ス、實ハ御承知ノ通リニ、輸出補償制度ヲ
設ケマシタ譯ハ、仕向地ノ金融機關ガ相當
ニアリマシテ、貿易業者ガ商品ノ仕拂ヲ受
ケルニ付テ危險ノ餘リ少イ地方ニハ此制度
ハ適用セヌ、此制度ハ今申シマシタ金融機
關ガ十分デナク、貿易業者ガ商品ノ仕拂ヲ
受ケルコトニ甚ダ危險ガ多イ、而モ其地方
ハ我國ノ製品ノ輸出地トシテ、市場トシテ
將來大ニ見込ガアル、斯ウ云フ所ニ危險ヲ
冒シテ品物ヲ出シテ行カウト云フ其仕事ヲ
誘動スル、援助スル斯ウ云フコトニ趣旨ガ
ナッテ居ルノデアリマスカラ、實ハ今勝部課
長ノ申シマシタ如ク、此輸出組合法ノ改正
ト補償制度ノ施行地······ト云フテハ當リマ
セヌガ、補償制度ヲ適用スル外國ノ市場ハ
必ズシモ牽連ヲシテ居ラヌノデアリマス、
併ナガラ御話ノ如ク折角補償制度ガ出來テ
居ルニ拘ラズ、之ノ適用ヲ申請スル者ガ餘
リ十分デナシ、又爲替銀行ガ此手形ヲ買取
ル所ノ行爲ガ餘リ十分デナイ、申サバ目的
通リニ補償制度ガ廣ク行ハレテ居ナイ、斯
ウ云フ點ヲ洵ニ遺憾トシマスルカラ、之ヲ
今山崎君ノ御希望ヲ兼ネタ御質問ニ對シテ
ノ趣旨ヲ能ク一ツ〓究シマシテ、補償制度
ノ運用ハ是ハ商工大臣ノ指定ニ依ルノデア
リマスカラ、ドウデモ變更出來ル譯デアリ
そう、能ク〓究イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=25
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026・山崎龜吉
○山崎龜吉君 一寸勝部サンニ伺ヒタイノ
デスガ、所謂對露貿易ニ付テノ爲替ハ兎角
仕拂ノ期間ガ長イノデス、従ッテ關係銀行ニ
其買取ヲ交涉シマシテモ、ナカ〓〓思フヤウ
ニ行キマセヌ、是ハモウ當業者ガ非常ニ困ッ
テ居ルコトナンデスガ、其關係銀行ニ所謂
政府カラ何等カ特別ノ交渉ヲシテ戴イテ、
サウシテ圓滿ニ其爲替ノ買取ガ出來ルヤウ
ナ方法ニハ······他ノ國ト違ッテ、露西亞ノ如
キハ御承知ノ通リ貿易ヲ國デヤッテ居リマ
ス關係上他ノ商業會社ニ相談ヲ致シマスノ
ト違ヲテ甚ダ其點ガ不便デアリ、又不自由デ
アルノデアルノデスナ、從ッテ貿易ノ關係ニ
於テ金融上都合ヲ付ケヤウトシマスルノニ
ハドウシテモ銀行ニ了解ヲ求メナケレバナ
ラヌノデアリマスガ、其銀行トシテハ無論
特殊銀行ニ多ク依ル譯デアリマスガ、斯カ
ル場合特殊銀行ニ相當ノ交涉ヲシテ其爲替
ノ取引ガ圓滿ニ行クヤウナ風ニ政府ニ依ッ
テ便宜ヲ圖ラレルヤウナコトガヤッテ戴ケ
ルモノデアリマセウカ、如何デアリマセウ
カ一寸其點ヲ伺ヒタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=26
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027・勝部兵助
○說明員(勝部兵助君) 只今御尋ネニナリ
マシタ中デ通商代表ノ發行致シマス約手ハ
期限ガ非常ニ長イト云フコトデアリマスル
ガ、私共ノ聞イテ居リマスル所デモサウ云
フ風ニ伺ッテ居リマスルノデ、其爲ニ其補償
法ノ施行細則ヲ作リマス際ニ一應ノ期限ヲ
造ヲタノデアリマスルガ、此對露關係ニ於キ
マシテハ、サウ云フ事情ヲ考慮致シマシテ特
ニ長ク期間ノ約手デモ保證銀行ハ之ヲ買取ル
コトガ出來ルト云フコトニ特ニ施行細則制
定ノ際ニ考慮ヲ致シテ置イタノデアリマス、
且ツ其期間モ又商工大臣ノ承認ヲ經レバ更
ニ期間ヲ延長スルコトガ出來ルト云フ規定
ニ附加ヘテ置キマシテ、大體ニ於キマシテ
ハ今日マデ行ハレテ居リマスル此露西亞ト
ノ關係ニ於キマシテハ、期間上ノ關係ニ於
テハ差支ハナカラウト思ッテ居リマス、唯問
題トナリマスルノハ、後ニナッテ特定ノ期間
ガ切レテ更新スル際ニ商工大臣ガ承認ヲ與
ヘテ吳レナイデハ困ルデハナイカ、ト云フ
ヤウナ懸念ガ起ルト銀行ノ方デモ御困リニ
ナルダラウト考ヘマスノデ、今日デハ實際
ノ運用ト致シマシテ特定ノ期間ヲ經過致シ
マスト、商工大臣ガ其際ニ更新ヲスルノデ
アリマスケレドモ露西亞ノ手形ニ付キマシ
テハ其次ノ期間ガ來マシタ際ニ更新ヲ承認
シテ頂キタイト云フコトヲ初メノ約手ヲ買
取ル時ニ商工大臣ノ承認ヲ受ケル、サウシ
テ商工大臣ガ豫メ承認シテヤルト云フ便宜
方法ヲ今日ハ講ジテ居リマスノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=27
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028・俵孫一
○國務大臣(俵孫一君) 尙ホ私カラ山崎サ
ンノ御尋ネニ付テ補充シテ置キマスルガ、
對露貿易ノ現狀ニ對シテ補償制度ヲ適用ス
ルト云フコトニ付テハ山崎君ノ御述べノ通
リ洵ニ遺憾ガアリマス、露西亞ノ如キ國情
デアリマスルカラ、萬々國家ガ債務者デア
リマスルカラ、之ヲ仕拂ハヌガ如キ危險ハ
ナカラウト思ヒマスルガ、併ナガラ之ヲ相
手ガ一ツデス、若シ損失ニナレバ全部損失
ニナル、ソレデ洵ニ之ニ對シテ銀行ガ思切ッ
テ買取リヲ能ウヤラヌ、之ニ付テハ何トカ
工夫ヲシマシテ、便宜上方法ヲ講ジタイ、
當局デモ考慮シマスルシ、又大藏省トモ段
段相談シテ居ルノデアリマスガ、マダ結論
ニ至リマセヌ、何トカ之ニ付テハ一ツ尙ホ
考慮シマシテ、今申シタ如キ御指摘ノ缺陷
ニ對スル善後策ヲ講ジテ見タイト思ヒマ
ス、マダ此所デ纏ッタ御返事ノ出來ヌコトヲ
御了承ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=28
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029・大久保利武
○委員長(侯爵大久保利武君) 尙ホ序デニ
私カラ伺ヒマスガ、輸出補償法ノ實施後ノ
一般ノ狀況ヲ御話シ下サレバ、大變審議上
便宜カト思ヒマスカラ、若シ出來レバ此際
ニ關聯シテ御尋ネシテ置キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=29
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030・勝部兵助
○說明員(勝部兵助君) 本日手許ニ持ッテ
居リマス資料ハ少シ古イノデアリマスルガ、
一應之ニ付キマシテ申上ゲタイト思ッテ居
リマス、丁度三月五日マデノ實績デアリマ
ス相當時日ヲ經過イタシテ居リマスカラ、
モウ少シ狀勢ガ變ヲテ居ルダラウト考ヘテ
居リマスガ、ソレ迄ノ狀勢ニ於キマシテハ
補償手形ノ買取リ總額ガ百二十六万一千五
百二十三圓ニナッテ居リマス、サウシテ件數
ハ七百二十一件デ手形ノ買取リマシタ件數
ガ七百二十一件ト云フコトニナッテ居ルノ
デアリマス、其手形ノ內容ニ付テ見マスル
ト、其仕向ケ先ハ露西亞ノ方ガ件數ト致シ
マシテ十四件、金額ガ二十八万四千圓餘、
阿弗利加方面ガ金額ニ致シマシテ四十七万
五千圓餘、件數ガ三百七十五件、南米ノ方
ガ金額ニ致シマシテ三十七万二千圓餘、件
數ガ百九十一件、中米方面ガ六万六千圓餘
デアリマシテ、六十七件、巴爾幹方面ガ七
千圓餘デアリマシテ十二件、小亞細亞方面
ガ五万六千圓デアリマシテ六十二件ト云フ
ヤウニ仕向ゲ先ノ區別ニナッテ居リマス、種
類別ト致シマシテハ甲種補償手形ノ方ガ六
十九万二千圓餘デアリマシテ五百五十八件
デアリマス、乙種手形ノ方ガ五十六万九千
圓餘デアリマシテ百六十三件ニナッテ居リ
そく、サウシテ是ハ扱ヒマシタ銀行ノ區別
ニ依ッテ見マスルト、横濱正金銀行ガ九十八
万八千圓餘ヲ買取ッテ居ルノデアリマシテ、
件數デハ六百五十三件デアリマス、朝鮮銀
行ガ金額ニ致シテ二十一一万、約二十三万圓
見當デアリマス、十二件デアリマス、臺灣
銀行ガ三万八千圓餘デアリマシテ四十八件
デアリマス、住友銀行ノ方ガ約千圓餘デア
リマシテ二件デアリマス、山口銀行ノ方ハ
三千七百圓見當デアリマシテ六件デアリマ
ス、サウシテ之マデ買取リマシタ補償料ノ
總額ハ約一万四千五百圓バカリヲ補償料ト
シテ納メテ居ルヤウナ次第ニナッテ居ルノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=30
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031・服部金太郎
○服部金太郞君 只今伺ヒマシタノハ今年
ノ三月五日デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=31
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032・勝部兵助
○說明員(勝部兵助君) 左樣デアリマス、
昨年ノ八月一日カラ施行イタシタコトニナツ
テ居リマスケレドモ、實際買取リヲ始メマ
シタノハズット後ニナッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=32
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033・大久保利武
○委員長(侯爵大久保利武君) 尙ホ伺ヒマ
スガ、各方面色ミニナッテ居ルヤウデアリ
マスガ、將來此方面ニ依ッテハ大イニ開拓サ
レヤウト云フ見込ミノアル所デ、豫想ノ付
テ居ルヤウナ所モ出テ參ッテ居リマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=33
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034・勝部兵助
○說明員(勝部兵助君) 補償法ノ性質カラ
言ヒマシテ特ニドコガ目覺シイト云フコト
モチヨット判斷ヲシ兼ネルト思ヒマスケレ
ドモ、先程申上ゲマシタヤウニ阿弗利加方
面ガ相當之ニ依ッテヤッテ居リマスガ、阿弗
利加方面ハ御承知ノ通リ從來日本ノ貿易地
トシテハ處女地デアリマシタモノガ、最近
阿弗利加ニ對シマシテハ輸出組合モ出來テ
居ルノデアリマス、サウ云フ方面ノ活動モ
加ハリマシテ此補償法ノ施行ト相俟ッテ將
來モ相當貿易額ガ殖エテ來ヤセヌカト云フ
ヤウナ豫想モ有ノテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=34
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035・大久保利武
○委員長(侯爵大久保利武君) 各方面ニ行
ク品物ハドンナモノガ行クノデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=35
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036・勝部兵助
○說明員(勝部兵助君) 品物ハ地方ニ依リ
マシテ非常ニ區々ニナッテ居リマスガ、露西
亞方面ニ參リマスノハ、魚網、魚具、麻繩
デアリマストカ、漁撈ニ使ヒマス道具ノ如
キモノガ相當向フヘ參リマス、ソレカラ阿
弗利加方面へ今日出シテ居リマスノハ、ドッ
チカト申シマスルト雜貨類デアリマスルト
カ、綿布類デアリマストカ云フモノガ出テ居
リマスヤウデアリマス、露西亞ニモ今ヤッテ
居リマスガ沃度ガ相當補償額ノ中ニ入ッテ
居リマスガ、所謂日本デ稱シテ居リマス中
小工業ト申シマスカ、中小階級ノ工業品デ
アリマスガ此製品ガ大部分ヲ占メテ居ルノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=36
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037・土岐章
○子爵土岐章君 只今ノ所多クノ輸出業者
ガ折角補償法ヲ適用サレテ居ルケレドモ、
其手數料ガ非常ニ高イノデ十分活用ガ出來
ヌト云フコトヲ聞イテ居リマスガ、政府當
局トシテ其手數料ヲオ下ゲニナル御考ハア
リマセヌカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=37
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038・勝部兵助
○說明員(勝部兵助君) 實ハ只今ノ點ニ付
キマシテハ從前カラ私共相當多方面カラ其
非難ハ耳ニ致シテ居ルヤウナ次第デアリマ
シテ、是ハ必ズヤ過去ノ實績ニ徵シマシテ、
場合ニ依リマシテ引下ゲテモ宜イヤウナ餘
地モアリハセヌカト存ズルノデアリマスケ
レドモ、之ヲ修正イタシマスル際ニハ御承
知ノ通リ相當審議會等ノ議モ經マシテ、尙
ホ大藏省方面トモ協議ヲ致シマシタ結果一
應今日ノ料率ヲ算出シタノデアリマスガ爲
ニ、實ハ多少經驗ノナイコトデアリマスモ
ノデスカラ、ドコアタリ迄ノ料率ヲ取ッテ置
ケバ宜イカ、政府モ損モシナイシ、當業者
モ宜イ結果ニナルト云フコトハ、矢張リ或
ル程度迄ハ此施行ノ實績ニ徵スル外ハナカ
ラウト考ヘテ居ルノデアリマス、幸ニ今日
マデノ實績ニ依ッテ見マスト、實ハ滿期々日
ニナッタモノハ比較的少イノデアリマスケ
レドモ、今日迄私共ノ耳ニシテ居ル所デハ
左程不渡ニナリマシタ件數ノ多イコトヲ聞
イテ居ラヌノデアリマスカラ、若シサウ云フ
ヤウナ調子デズット行クモノト致シマスレ
バ、或ハ相當將來ニ於テハ料率ノコトニ付テ
ハ考ヘベキデナカラウカト私主務省トシマ
シテハ考ヘテ居ルヤウナ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=38
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039・服部金太郎
○服部金太郞君 今伺ヒマシタノハ八月力
ラ三月迄丁度六箇月デゴザイマスガ、期日、
實績ト言ッテモマダマル六箇月ナンデゴザ
イマスカラ御分リニナリマセヌデセウカ、
滿期日ニナッタモノガ一度モ不渡ガナイノ
デスカ、政府モ銀行モ損ヲシナイ、2 十
ニハ稀ニハアルノデアリマスカ、マルキリ
ナイノデゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=39
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040・勝部兵助
○說明員(勝部兵助君) 實ハ先程チヨット
申上ゲマシタヤウニ八月一日カラ施行ハ致
シタノデアリマスルケレドモ、之ヲ施行シ
マスニ付キマシテハ相當銀行トシマシテハ
準備ヲシナケレバナラヌ仕事ヲ非常ニ澤山
持シテ居リマシテ、ソレガ只內地ダケノ關係
デハアリマセヌデ、外國ノ取引先等ニ付テ
相當綿密ナ調査ヲ致ス必要ガアリマス關係
上實際上銀行ガ買ヒ始メマシタノハ約二箇
月位經ッテカラ之ヲ買ヒ始メタヤウナ實際
デアリマスノデ滿期日ニナリマシタノモ比
較的今迄ノ所ハ少クハナイカト考ヘテ居リ
マス、唯今日迄デ私共ノ手許ニ這入ッテ居リ
マスル故障手形ノ實情ニ付テ御參考迄ニ申
上ゲテ見タイト思フノデアリマス、是ハ矢
張リ今月ノ二日現在ノ實狀デアリマス、ソ
レニ依リマスト二日デアリマスルカラ大體
買取リマシタ手形ハ三月五日ノ手形ノ件數
ト略マア同様ナ基礎ノ上ニアルト御考ヘ下
スッテ宜カラウト考ヘマスガ、ソレ迄ノ實狀
ニ於キマシテ故障手形金額及ビ件數ガ七万
圓强デアリマス、サウシテ件數トシマシテ
二十九件ニナッテ居リマス、尙ホ御參考マデ
ニ其理由ヲ區別シテ申上ゲマスレバ、引受
拒絕ト申シマスルノガ一万圓强デアリマシ
テ、五件デアリマス、ソレカラ支拂拒絕ト
申シマスルノガ二万二千五百圓强デアリマ
シテ七件デアリマス、ソレカラ其他ノ色ミ
ナ値引ノ交渉デアリマストカ色ミナ點ガ
アルト思ヒマスガ金額ニシマシテ三万七千
四百圓デアリマシテ件數デ十七件デアリマ
ス、ソレガ或ル程度マデ解決イタシマシテ
此二十九件ノ中十一件ハ旣ニ解決イタシマ
シテゴザイマス、サウシテ今日未解決ノ所
謂故障手形トシテ今日マダ現存シテ居リ
マスモノガ十八件存在シテ居ルノデゴザイ
やっ、其中デドレダケガ結局此補償法ノ適
用ヲ受クベキ所謂手形法上、此輸出補償法
上申ス所ノ不渡手形トナルカト云フコトハ
マダ調ベテ見マセヌト分ラヌノデアリマス
ケレドモ此十八件ガ全體デハナカラウカト
思ヒマス、此中ノ若干ハ又銀行ト當業者ト
ノ間ニ於キマシテ何等カノ解決ガ付クモノ
デアラウカト云フ風ニモ考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=40
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041・服部金太郎
○服部金太郞君 其十八件ノ金額ハ······発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=41
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042・勝部兵助
○說明員(勝部兵助君) 十八件ノ金額ハ五
万五千圓デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=42
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043・大久保利武
○委員長(大久保利武君) 他ニ御質疑ガナ
ケレバ今日ハ此位デ打切ッテハ如何デスカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=43
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044・大久保利武
○委員長(大久保利武君) ソレデハ今日ハ
是デ散會イタシマス
午後三時四十五分散會
出席者左ノ如シ
委員長侯爵大久保利武君
副委員長男爵中島久萬吉君
委員
伯爵樺山愛輔君
子爵土岐章君
服部金太郞君
菊池恭三君
大川平三郞君
山崎龜吉君
國務大臣
商工大臣俵孫一君
政府委員
商工省工務局長吉野信次君
商工省貿易局長立石信郞君
臨時產業合理局事務官竹內可吉君
說明員
商工書記官勝部兵助君
貴族院瓦斯事業法中改正法律案特別
委員會議事速記錄第二號正誤
頁段行誤正
三二一五ヌケレバズニ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903488X00219310318&spkNum=44
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