1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
地租法案（政府提出）
營業收益税法中改正法律案（政府提出）
砂糖消費税法中改正法律案（政府提出）
織物消費税法中改正法律案（政府提出）
明治四十一年法律第三十七號中改正法律案（地方税制限に關する件）（政府提出）
大正十五年法律第二十四號中改正法律案（地方税に關する件）（政府提出）
都市計畫法中改正法律案（政府提出）
耕地整理法中改正法律案（政府提出）
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會議
昭和六年二月十七日（火曜日）午前十一時開議
出席委員左の如し
委員長 本田恒之君
理事 西脇晉君
理事 永田善三郎君
理事 中村繼男君
理事 高橋熊次郎君
理事 清水銀藏君
清水長郷君 菊池良一君
松井文太郎君 辻本豐三郎君
戸部良祐君 本多眞喜雄君
松本忠雄君 鏑木忠正君
前田房之助君 一柳仲次郎君
竹田儀一君 前田米藏君
武田徳三郎君 大口喜六君
東郷實君 土井權大君
松谷與二郎君
出席國務大臣左の如し
海軍大臣 男爵 安保清種君
出席政府委員左の如し
内務書記官 岡田周造君
大藏政務次官 小川郷太郎君
大藏參與官 勝正憲君
大藏省主税局長 青木得三君
大藏書記官 川越丈雄君
大藏書記官 野津高次郎君
大藏書記官 關原忠三君
專賣局長官 平野亮平君
海軍政務次官 男爵 矢吹省三君
海軍少將 寺島健君
本日の會議に上りたる議案左の如し
地租法案（政府提出）
營業收益税法中改正法律案（政府提出）
砂糖消費税法中改正法律案（政府提出）
織物消費税法中改正法律案（政府提出）
明治四十一年法律第三十七號中改正法律案（地方税制限に關する件）（政府提出）
大正十五年法律第二十四號中改正法律案（地方税に關する件）（政府提出）
都市計畫法中改正法律案（政府提出）発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912373X01219310217&spkNum=0
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001・本田恒之
○本田委員長 是ヨリ開會致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912373X01219310217&spkNum=1
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002・武田徳三郎
○武田委員 私ハ海軍大臣ニ對シ、此
政府ノ御提案ニ係リマス減稅諸案ニ關
シ海軍ノ補充計畫トノ關係ニ付テ御伺
致シタイト思フノデアリマス、私ノ質
問ノ趣旨ヲ申上ゲルニ先立ッテ一應吾
吾國民ノ代表ト致シマシテ、海軍ニ對
スル心持ヲ御聽ヲ願ッテ置キタイト思フ
ノデアリマス、私共ハ我國ノ政情カラ
申シマシテ、海軍ニ對シテハ多大ノ信
賴ト同情ヲ持ッテ居ルモノデアリマス、
申スマデモナク我國ハ四面環海デアリ
マシテ、海ヲ以テ立タナケレバナラヌ
コトハ申スマデモナイ、又頗ル狹イ國
柄デ、其割合ニ人口ガ頗ル多イノデア
リマス、而モ物資ハ比較的不足ヲ致シ
テ居ルノデアリマス、斯樣ナ地形ト國
情ニ鑑ミマスルト云フト、一旦緩急ア
ル場合ニ於テ、大陸ト連絡ヲ斷タル
ヤウナ事ガアッタナラバ、我國ノ死命ハ
其處デ決スルヤウナ狀態ニナッテ居ル
ノデアリマス、是ハ極メテ明瞭ナ事柄
デアリマスルガ故ニ、國民ノ如何ナル
者モ、我國ニ於テ、海軍ハ最モ必要デア
リ、海軍ニ付テハ最モ力ヲ入レナケレ
バナラヌモノダト云フコトハ三尺ノ童
兒モ之ヲ諒解ヲ致シテ居ルノデアリマ
ス、隨ッテ吾々國民ト致シマシテハ、我
ガ祖國ヲ安全ニ護ル爲ノ最少限度ノ兵
力量ニ付テハ、何ヲ差措イテモ之ヲ充
實シテ貰ハナケレバナラヌ、斯樣ナ信
念ヲ、言ハズ語ラズノ裡ニ六千萬ノ同
胞ハ皆抱イテ居ルノデアリマス、昨年
倫敦ノ軍縮會議ノ問題ガ世上ニ喧シク
ナリマシテ、或ハ國防ノ缺陷ガアルト
カナイカト云フ問題ガ世上ニ喧シクナ
リマシタ時ニ於テハ、國民擧ッテ此事ニ
付テハ非常ナ心配ヲ致シテ居ルノデア
リマス、殊ニ是ハ軍機軍令ニ關スル事
柄デアルダケニ、果シテ是ハ安全デア
ラウカ、安全デナイデアラウカト云フ
ヤウナコトハ、非常ニ國民ノ關心ノ焦
點ニナッテ居ッタノデアリマス、隨ッテ其
倫敦條約ガ樞密院ニ諮詢セラレタル當
時ニ於キマシテハ、御承知ノ如ク非常
ナ國民ノ此心理ノ間ニ一種ノ悲ムベキ
センセーシヨン」ガ起ッテ居ッタノデア
リマス、政府ニ於テモ旣ニ之ヲ御認ニ
ナッテ、大藏大臣ノ如キハ屢〓此本院ノ
有ユル機會ニ於テ、昨年ノ我國ノ正貨
ガ海外ヘ甚ダシク流出シタ原因ガ、此
政情ノ不安ニ主ナル原因ヲ持ッテ居ル
トマデ大藏大臣ガ說明セラレテ居ル
程、是ハ國民ノ重大ナ關心事デアッタノ
デアリマス、而シテ今日尙果シテ此海
軍ノ提出サレマシタル所ノ補充計畫
デ、我ガ國防ガ安全デアラウカドウデ
アラウカ、其兵力量ナルモノハ、我ガ祖
國ヲ護ルニ十分デアルカ、ドウデアラ
ウカト云フコトニ向ッテ多大ノ疑ヲ持ツ
テ居ルモノデアリマス、斯樣ニ國民ガ
焦慮シテ居ル際、我國ノ海軍ノ國防ニ
向ッテ非常ナ關心ヲ持ッテ居ル際ニ、此
減稅案ガ出タノデアリマス、故ニ吾々
國民ノ心情カラ申シマスルト云フト、
玆ニ責任アル海軍ノ當局者ガ、此御提案
ニナッタ補充計畫デ、我國ノ海軍ノ國防
ヲ責任ヲ以テ差支ナイト云フコトニナリマ
スレバ、假令一錢デモ一厘デモ、其剩レ
ル所ヲ減稅ニ御向ケ下サルコトハ非常
ニ感謝致スノデアリマス、併ナガラ是
デハマダ十分デナイ、尙ホ幾多ノ補充
ノ方法ヲ講ジナケレバナラナイ、其爲
ニハ相當ノ金ガ要ル、斯ウ云フヤウナ
實情デアリト致シマスレバ、吾々國民
ト致シマシテハ、實ニ昨今ノ此深刻ナ
ル殺人的不景氣ノ狀態ニ於テハ、幾分
ナリトモ減稅ヲシ、負擔ノ輕減ヲ圖ッテ
願ヒタイト云フコトノ希望ハ勿論十二
分デアリマスケレドモ、ソレヲ忍ンデ
サヘモ、我ガ國防ノ充實ヲシテ貰ハナ
ケレバナラヌト云フ考ハ、一層又熾烈
デアルノデアリマス、斯樣ナ國民ガ、此
負擔ノ輕減ヲ希望スル熱情ノアルト同
時ニ、國防ノ安全ヲ期シタイト云フ熱
望ハ一層ソレ以上デアル、此實情ヲ海
軍大臣ハ御承知下スッテ、此國防計畫ニ
付テ如何ナル狀態ニ在ルノデアラウ
カ、吾々國民ニ能ク理解ノ出來ルヤウ
ニ、軍機軍令ニ關シナイ範圍內ニ於テ
吾々ノ安心ノ出來ルヤウナ說明ヲ戴ク
ト云フコトハ、海軍ノ當局トシテ當然
ノコトデアラウト思フノデアリマス、
啻ニ其職責上當然デアリマスルノミナ
ラズ、吾々國民ガ斯クマデ海軍ニ同情
シ、海軍ニ信賴シテ居ル此國民ノ誠意
ニ對シテモ、海軍大臣トシテハ隱ス所
ナク、腹藏ナク吾々ノ諒解スルダケノ
御說明下サルコトガ當然デナカラウカ
ト思フノデアリマス、殊ニ私ガ申スマ
デモナク、海軍ノ國防ハ海軍ノ軍人ノ
方々ノミニ依ッテ維持サルモノデハ
ナイノデアリマス、國民一致ノ力ヲ以
テ、海軍ヲ支持スルコトニ依ッテ、初メ
テ日本ノ國防ハ完全ニナルト吾々ハ思
フノデアリマス、故ニ國民ノ諒解ナシ
ニ、海軍ガ如何ニ御努力ニ相成ッテモ、
日本ノ國防ハ完全トハ言フコトハ出來
ナイト思フノデアリマス、斯樣ナ意味
合ニ於テ、隱シ隔テナク、吾々國民ニ諒
解サシムルヤウニ誠意ヲ以テ御說明下
サルト云フコトガ私ハ望マシイコトデ
アリ、又當然ノコトデアルト思フノデ
アリマス、或ハ此軍事費ガ多イト云フ
ヤウナ議論モ隨分アルノデアリマス、
是ハ議論ガ色々立テラレマセウ、併シ
吾々國民カラ見マスルト云フト今申
上ゲタル如ク、我國ノ國情トシテ海軍
ノ國防ハ絕對的必要ガアルト云フ見地
カラ考ヘテ見マスルト云フト、我國ノ
海軍ノ國防費ト云フモノハ、必ズシモ
多イトハ見ラレナイノデアリマス、之
ヲ列國ノ情勢ニ比較シテ見マシテモ
英吉利ニ於キマシテハ總豫算ノ七·八
〓パーセント」ノ海軍費ヲ支出シテ居ル
ノデアリマス、又佛蘭西ニ於テハ七·七
ㄱバーセント」ヲ支出シテ居ルノデアリ
マス、伊太利ニ於テハ八·七「パーセン
ト」ヲ支出シテ居ルノデアリマス、之ニ
對シテ我國ハ六·八「パーセント」ヲ支
出シテ居ルニ過ギナイノデアリマス
卽チ此費用ノ點カラ申シマシテモ五
大國ノ中ニ於テハ、我國ハ海軍ニ費ス
所比較的少イノデアリマス、此點カラ
申シマシテモ、若シ海軍ニ於テ絕對的
ニ必要アリト致シマスルナラバ、吾々
ハ如何ニ苦シクテモ、肉ヲ裂キ骨ヲ削、ツ
テモ、海軍ノ爲ニ支出スルコトヲ吝ム
者デハアリマセヌ、故ニ今此處ニ提案
サレテ居ル減稅案ヲ、如何ニ吾々ガ國
民ノ代表者トシテ扱フカト云フコトニ
付キマシテハ、ドウシテモ海軍大臣
ノ責任アル御答辯、吾々國民ノ了解シ
得ル程度ノ說明ヲ戴イテ、現在ノ補充
計畫ニ於テ何等ノ不安無シト云フコト
ノ確信ヲ得ラレナイ中ハ、吾々ハ此減
稅案ヲ扱フ上ニ於テ非常ニ困ルノデア
リマス、言葉ヲ換ヘテ申シマスト、若シ
海軍大臣ニシテ、我國ノ國防ヲ安全ナ
ラシムル所ノ、海軍ノ最小限度ノ兵力
ヲ御用意下サル上ニ於テ、尙ホ費用ガ
要ルト云フ確實ナル見込ガ前途ニ御ア
リニナルナラバ、吾々ハ如何ナル苦ミ
ヲ忍ンデモ、此減稅案ヲ忍ンデモ、負擔
ノ輕減ヲシテ貰ハナクトモ、之ヲ海軍
ニ提供シテ、我ガ此祖國ヲ安全ニ護ル
ダケノコトヲ、海軍大臣カラ責任ヲ持ッ
テ戴キタイト云フ、熱心ナル希望ガア
ルト云フコトヲ御承知ヲ願ヒタイノデ
アリマス、斯樣ナ意味合カラ私ハ御伺
ヲ致シタイノデアリマス
先ヅ第一ニ御伺ヲ致シタイト思ヒマ
スルコトハ軍縮ニ依ル海軍ノ留保財
源ト云フモノノ性質ヲ伺ヒタイノデア
リマス、私ノ承知致シマスル所ニ依ル
ト、此軍縮ニ依ル留保財源ノ五億八百
萬圓ト稱シマスルモノハ、現實ニ此處
ニ金ガ殘ッテ居ル譯デハ勿論ナイノデ
アリマス、之ヲ具體的ニ申シマスルナ
ラバ、前ニ御計畫ニナッテ、主力艦竝ニ補
助艦ノ建造費ヲ、昭和六年ヨリ十一年
度マデニ豫定サレタモノヽ金額ガ、五
億八百萬圓ニナルト云フコトデアリマ
ス、然ルニ倫敦條約ノ結果、其主力艦ハ
昭和十一年度マデ、海軍ノ休日ヲヤル
コトニ相成リ、隨テ主力艦ノ建造ヲ將
來ニ繰延ベルコトニ相成ッタノデアリ
マス、所謂今日政府ノ御計畫ニナッテ居
ル場合ニ於テハ、一種ノ繰延デアリマ
ス外ノ費目ニアッテハ、政府ハ歲入ガ
減ジタカラト云フテ、ソレガ辻褄ヲ合セ
ル爲ニ、色々ナ仕事ノ繰延ヲ爲スッテ居
ルノデアリマス、此海軍ノ場合ニ於テ
ハ、主力艦ノ建造ガ休日ニナッタカラト
云フ理由デ、繰延ニナッテ居ルノデアリ
マス、繰延ノ理由ハ違ヒマスケレドモ、
繰延ニ於テハ變リハ無イ筈デアリマ
ス、斯樣ニ私ハ承知シテ居ルノデアリ
やく、又補助艦ニ至ッテハ繰延ニナッテ
居ラナイノデアリマス、唯倫敦條約ノ
結果、補助艦ニ向ッテ或種ノ制限ガ加ヘ
ラレテ居リマスカラ、前ニ御計畫通リ
ノコトハ進マナイト云フダケデ、補助
艦ニ付テハ制限ハ加ヘラレテモ、所謂
「ネーヴアルホリデー」ガ確定サレテ
居ルノデハアリマセヌ、故ニ補助艦ト
云フモノハ、ドウシテモ御建造ニナラ
ナケレバナラヌノデアリマス、唯ソレ
ガ前ノ豫定通リニ御建造ニナルカ其
一部ハ其制限ノ關係上取止メニナル
カ、是ハ實際ノ狀況ハ、私素人ニハ分リ
マセヌケレドモ、ソレダケノ事アルノ
ミデ、決シテ是ハ御止メニナッタノデハ
ナイ、主力艦ハ繰延ニナッタガ、補助艦
ハ制限ノ關係上豫定ヨリ少クナッタト
云フ程度ノモノト私ハ承知シテ居ルノ
デアリマス斯樣ニ致シマスルト云フ
ト玆ニ五億八百萬圓ト云フモノハ確
實ニ殘リ得ルト云フコトニ相成ルモノ
トハ思ハレナイト云フヤウナ考ヲ私ハ
致スノデアリマス、先ヅ私ノ此軍縮剩
餘金ニ對スル、私ガ今申上ゲタ考ヘガ、
果シテ海軍ニ於テモ御同樣ナ御意見デ
アルカドウカト云フコトヲ先ヅ第一ニ
御伺ヒシテ、其次ノ質問ニ移リタイト
存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912373X01219310217&spkNum=2
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003・安保清種
○安保國務大臣 武田サンカラノ御尋
ニ御答致シマスルガ、武田サンノ最初
ノ仰セニナリマシタ、此度提出ノ海軍
兵力整備計畫ナルモノデ國防ガ安全ナ
リヤ否ヤト云フコトガ、國民ガ是非知
ラナケレバナラヌ所ダト云フ段々ノ御
話、先ヅソレニ對シテ御答ヲ致シマス
ル次第デアリマスガ、チヨット念ノ爲ニ
ソレカラ前提ヲ御置キニナッテ、此
保留財源ヲ御尋ネニナリマシタ、其前
ノ事ヲ一應申上ゲタ方ガ宜シケレバ此
處デ申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912373X01219310217&spkNum=3
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004・武田徳三郎
○武田委員 ドウゾ左樣ニ御願ヒ致シ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912373X01219310217&spkNum=4
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005・安保清種
○安保國務大臣 大體ノ數字ヲ申上ゲ
マスルト云フト、豫テ御協賛ヲ經テ居
リマシタ海軍ノ補充計畫ト云フモノ
ガ、此昭和六年度ヲ以テ略〓終リヲ〓
ゲルノハ御承知ノ通リデアリマス、又
豫テ御協賛ヲ經テ成立ッテ居リマス海
軍ノ航空隊ノ十七隊ト云フモノモ、此昭
和六年度ヲ以テ略〓終リヲ〓ゲマスル
次第デアッテ、申上ゲルマデモナク帝國
トシテハ海軍ヲ必要トスル限リ、ドウ
シテモ玆ニ一ツノ補充計畫ヲ立テナケ
レバナラヌト云フ時期ニナッテ居ッタノ
デアリマス、サウシテ其折柄、此倫敦會
議ガアリ、其協約ガ成立致シマシテ、其
結果ハ御承知ノ通リデアリマス、之ニ
付テ此協約ノ關係及ビ今日ニ於ケル各
方面ノ科學ノ進步其他ヲ考慮シテ、玆
ニ一ツノ新タナル計畫ヲ立テナケレバ
ナラヌト云フコトニナリマシタ結果、
此度ノ提案ト相成リマシタ次第デアリ
マスガ、倫敦協約ハ御承知ノ通リ、此方
ノ帝國ノ最初ノ主張トハ一致シテ居リ
マセヌノデアリマシタ、隨ッテ帝國ノ最
初ノ主張ハ總括的ノ七割ト云フコト
ト、ソレカラ八吋巡洋艦ノ七割、是ハ亞
米利加ト云フコトヲ云ッテモ無論差支
ナイノデアリマスガ、最大海軍國ノ七
割、ソレカラ潜水艦ノ軍備ト云フノハ
昭和六年度終リマデニ用ヰル七萬七千
八百噸ト云フモノヲ是非持タナケレバ
ナラヌト云フコトデアリマシタガ、此
兵力量ト云フヤウナモノハ、海軍ニ於
テ多年演習其他色々ノ方面カラ〓究ヲ
致シマシテ、各兵種ノ按配配合上、斯ウ
云フ配合ノ各〓違ッタ兵種ヲ綜合シテ
持フテ居リマスコトハ、作戰計畫ヲ立テ
ル上ニ於テ必要ダト云フ意味ニナッテ
居ルノデアリマス、其各兵種ノ中デ、倫
敦條約ノ結果ト致シマシテ、若シ亞米
利加ガ「オプシヨン」ヲ行使シナイデ、
ヤハリ八吋ヲ十八隻造リマス場合ニ
ハ、昭和十一年以後ニ於テ、日米ノ比率
ハ、日本ノ方ガ七割以下ニ下ッテ行クト
云フコトニナルノデアリマシテ、ソレ
カラ潜水艦ノ方モ、現有勢力七萬七千
八百噸ト云フモノガ五萬二千七百噸ト
云フコトニナリマシタノデ、約三分ノ
二ニ減リマシタ事柄ハ、是ハソレダケ
此計畫ノ上ニ兵力量ノ不足ト云フコト
ニナルノデアリマスガ、一方其減リマ
シタダケノ噸數ト云フモノガ、總括的
ノ方ガ變ラナイノデアリマスカラ、四
萬一千噸ト記憶致シマスガ、ソレガ六
吋巡洋艦ト驅逐艦ニ於テ增加致シタノ
デアリマス、ソレデ若シ各兵種ガ大體
ノ戰鬪力ト看做シテ宜イト云フモノデ
アリマスレバ、總括的ノ噸數ト云フモ
ノハ、大體日本ノ要求ノ通リニナッタノ
デアリマスカラ差支ナイヤウナモノデ
アリマスガ、申上ゲマスマデモナク、各
兵種ハソレ〓〓其戰鬪力ノ特長ガアル
ノデアリマスカラ、其色々ノ特長ノア
ル兵種ヲ綜合シテ作戰ノ計畫ヲ立テマ
スル其上ニ於キマシテハ、ソコニ不便
ヲ生ズルト云フコトニナルノガ、所謂
倫敦會議ノ結果トシテ、其處ニ影響ヲ
被ル譯デアリマス、ソレニ付キマシテ
海軍首腦部ニ於テモ段々〓究ヲ致シタ
ノデアリマスガ、玆ニソレ〓〓ノ對策
ヲ講ズルニ於キマシテハ、此條約ノ不
便カラ見タル所ノ影響ヲ緩和シテ、サ
ウシテ國防方面ニ基ク所定ノ作戰計畫
ヲ維持遂行スル上ニ遺憾ナイ、隨テ國
防ノ上ニ不安ヲ來サヌト云フコトニ意
見ガ一致シマシタ次第デアリマス、其
各種ノ對策ヲ講ズルト云フ事柄ガ、卽
チ保有量-條約上ニ權利ヲ有チマシ
タ艦艇ヲ造ル、制限外ニ必要ナモノガ
アレバ、ソレモ造ル航空隊ノ充實モヤ
ル、內容ノ充實、實力ノ向上ヲ計ルト云
フヤウナ、色々ノ方法ヲ講ズルニ於キ
マシテハ、所定ノ作戰計畫ヲ遂行スル
ノニ大體差支ナイト云フコトデアリ
マスカラ、ソレヲ考慮致シマシテ、此度
ノ計畫ヲ立テ、此度提出致シマシタ案
ニシテ幸ニ御協賛ヲ經マスルコトニナ
リマスレバ、只今申上ゲマシタ國防ニ
要スル兵力ノ必要ナル根幹ハ備ハル譯
デアリマシテ、之ニ依ッテ國防ニ不安ヲ
來タスコトガナイト云フコトハ、當局
トシテ申上ゲル次第デアリマス、申上
ゲマスマデモナク此根幹ガ備ハリマシ
テモ、緊急ナモノヲ此度揃ヘマシタノ
デアリマスカラ、是ハ今日ノ財政狀態
ニ顧テ後ニ延バシテ宜イ、ドウニカ延
バシテモ差支ナイト云フ見込ノ付キマ
シタモノハ後ニ殘シマシタ次第デアリ
やき、是ハ或モノハ一ツノ驅逐艦ノヤ
ウナモノデ、型ガ出來テ居リマシテ、其
型ノ大キナ、實際ニ造ル圖モ出來、其型
モ出來テ居リマスレバ、極メテ短イ期
日ノ間ニ建造ガ可能デアル、又驅逐艦
ノ如キハ、十以上我國ニ於テモ建造ス
ル工廠モアリ會社モアリマスル次第デ
アリマスカラ、極メテ短イ期間ニ、必要
ノ場合ニハ急造モ可能デアルト云フヤ
ウナモノハ此度全部造ラナクテモ、幾
ラカハ後ノ方ヘ殘シテ置イテモ宜カラ
ウト云フ意味ニ於キマシテ驅逐艦十二
隻ヲ此度建造致シマシテ、六隻分ニ當
ルヤウナ噸數ハ後年度ニ殘シテアリマ
スル次第デアリマス、又外國ノ此權利
ヲ行使シマスル其模樣ヲ見マシテ、ド
ウ云フ程度ニ行使ヲ致シマスカ、或ハ
行使ヲスル其內容デアリマス、ドウ云
フ兵種ニ重キヲ置イテ各國デヤルカト
云フ狀況ヲ見マシタ後ニ、大體ノ見當
ヲ付ケマシテカラ、ソレカラコチラデ
計畫ヲ立テヽ建造ニ著手シテモ遲カラ
ヌト云フ見込ノ付クモノハ、暫ク之ヲ
後年度ニ延バス、斯ウ云フヤウナ意味
ニ於キマシテ、此度ハ緊急ノモノヽミ
又併シ根幹トナルベキモノハ全部之ヲ
網羅シテ立テマシタノガ此計畫デアリ
マシテ、之ニシテ成立致シマスレバ、今
申上ゲマスヤウニ、國防上不安ナイト
認メテ居リマス次第デアリマス
次ニ保留財源ノ事ニ付テ、其性質ヲ
御尋ネデアリマシタガ、一寸私意味ヲ
十分呑込メナカッタ點モアルカト存ジ
マスルガ、違ヒマシタラ又更ニ御尋ネ
ノ上デ御答ヲ申上ゲマスガ、保留財源
ト云フノハ倫敦ノ軍縮會議ノ成立チマ
ス前ニ、先程申上ゲマシタヤウニ海軍
トシテハ六年度ニ終リマスルカラ、自
然五年度ナリ何ナリカラ一ツノ計畫ガ
立タナクテハナラヌト云フノニ付テ、
主力艦及ビ補助艦等モ加ヘテ或ル計畫
ヲ立テ、其計畫ヲ遂行スル上ニ必要ナ
ノデ、其處ニ大藏省トシテ保留サレマ
シタモノガ五億八百萬圓ト承知致シテ
居リマス、所ガ此度ノ條約デ、今武田
サンモ御話ニナリマシタ通リ、主力艦
ハ六年間建造ヲ延期スルト云フコトニ
ナリマシタ結果、主力艦ハ造ル必要ガ
ナイノデアリマシテ、隨テ此處ニ殘リ
マシタ此保留財源ト云フモノカラ、先
程御說明ヲ申上ゲマシタ是非トモ必要
トスル兵力ノ整備充實ヲ圖ルト云フ意
味ニ於キマシテ計畫致シマシタノガ三
億七千四百萬圓ヲ六年度ヨリ十一年度
マデニ支出スルト云フ意味デ計畫ヲ立
テマシタノデアリマス、切詰メ得ベキ
限リハ切詰メマシテ、今ノ保留財源ノ
中ニ餘剩ト云フモノガ一億數千萬圓ハ
生ジマシタノデ、之ヲ以テ政府ガ減稅
ニ充テラレタト云フ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912373X01219310217&spkNum=5
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006・武田徳三郎
○武田委員 大體御說明ヲ伺ヒマシテ
了承致シタ點モ多クアリマスガ、尙ホ
不明ノ點ニ付テ重ネテ御伺ヒ致シタイ
ト思フノデアリマス、今海軍大臣ノ御
說明ニ依リマスルト云フト、對米比率
ガ總括的ニ七割デアル、大體其點ニ於
テハコチラノ見込通リデアルガ、併ナ
ガラ其內容ニ至ッテ、例へバ大巡洋艦ガ
豫定通リニ行カヌ、潜水艇ガ豫定通リ
ニ行カヌデ、比率ノ點ニ作戰上不便ナ
點ガアル、斯ウ云フ御話ニ承ッタノデア
リマス其作戰上不便ナ點ガアルト申
シマスコトハ、國防上缺陷アリト云フ
言葉ヲ使ッテ宜シイノカ、兵力量ニ不足
ガアルト云フ言葉ヲ使フノガ適當デア
ルカ分リマセヌケレドモ、兎モ角モ總
括的ニ對米七割ヲ持ツト言ヒマシテ
モ、其內容ニ至ッテ、豫定ノ作戰計畫ニ
不便ガ生ズルヤウナコトガアルト云フ
意味ハ、兵力量ニ多少ノ缺陷ガアルト
云フ意味ニ解シテ宜シイノデアリマセ
ウカ、ドウデアリマセウカ、ソレニ伴ヒ
マシテ其全體ニ於テ七割デアルカラ、
或ル兵種ニ付テ不足デアッテモ、他ノ兵
種ノ、或ハ旣成船艦ノ近代化ト云フヤ
ウナ裝備ノ改良ヲヤルト云フ手段、或
ハ制限外ノ兵器飛行機等ヲ增設スルト
云フヤウナ方法ヲ以チマシテ、其作戰
計畫ニ缺點ノアル所ヲ補ヒ得ルカラ差
支ヘナイト云フヤウナ意味ニ承ッタノ
デアリマスガ、左樣致シマスド、ソレ等
ノ作戰計畫ニ不利ノアル點ヲ補フト云
フコトガ、所謂補充計畫ト云フモノニ
ナルデアラウト私ハ解シテ居ルノデア
リマス、左樣ニ諒解シテ宜シイノデア
リマセウカ、重ネテ御尋致シマス
ソレカラ第二ノ留保財源ノ性質ノコ
トニ付キマシテハ、私ハ斯樣ニ伺ッタノ
デアリマス、今海軍大臣ノ御說明ノ如
クニ、所謂此度ノ五億八百萬圓ノ留保
財源ナルモノハ、豫テノ豫定ノ計畫ト
シテ、昭和六年度カラ十一年度マデニ
支出スルコトニ相成リマシタ、卽チ昭
和六年度ニ於テ千八百五十餘萬圓、七
年度ニ於テ八千七百餘萬圓、八年度ニ於
テ同ジク八千七百餘萬圓、九年度ニ於テ
九千六百餘萬圓、十年度ニ於テ一億五
百餘萬圓、十一年度ニ於テ一億一千二百
餘萬圓、斯ウ云フ豫定ノ計畫ガ、使ハナ
クテ宜イト云フコトニナッタ、其計ガ五
億八百萬圓ニナッタモノト私ハ諒解致
スノデアリマス、併シ六ケ年度ニ亙ッテ
斯樣ナ支出ヲスル所以ノモノハ何カト
云フト、私ノ承知致シマス所ニ於テハ、
主力艦ノ代換建造ト補助艦ノ建造デア
ルト思フノデアリマス、所ガ主力艦ガ
海軍休日ノ條約ノ結果、之ヲ後日ニ繰
延ベルコトニナッタ、今大臣ノ御話デ
ハ、私ハ繰延ベニナッタモノト承知シテ
宜シイノデアリマスカト云フコトヲ伺ツ
タノニ對シテ、條約デ主力艦ヲ昭和十
一年度マデ造ラヌコトニシタカラ、主
力艦ヲ造ルコトハ要ラナクナッタト仰ツ
シヤッタ、ソコハ大變ニ意味ガ違フノデ
アリマスガ御言葉通リ、主力艦ノ建造
ハ無用ナリトノ海軍當局ノ御意見ト承
知シテ宜シイノデアリマスカ、或ハ最
初私ガ伺ッタヤウニ、昭和十一年度マデ
主力艦ニ付テハ海軍休日ノ條約ガ出來
タカラ、十一年度マデハ代換建造ヲシ
ナイデ宜イ、唯之ヲ十一年度以後ニ繰
延ベタモノ-ソレデ他ノ例ヲ取ッテ
申上ゲタノデアリマス、昭和五年度ニ
於テモ、四年度ニ於テモ、政府ハ海軍ノ
ミナラズ、種々ナル他ノ費目ニ付テモ
多大ノ繰延ヲサレテ居ル、現ニ昭和六
年度ノ豫算ニ付キマシテハ、昭和五年
度ノ豫算ニ對シテ一億三千萬圓カラノ
繰延節約ヲサレタ、其中ノ約半額ガ繰
延ニナッテ居ルノデアル、繰延ト、全然
止メタトハ大分其性質ガ違フ、是ハ
倫敦條約ガナケレバ、十一年度マデニ
主力艦ノ代換建造ヲシナケレパナラナ
イモノヲ、海軍休日ノ爲ニ後年度ニ
繰延ベタカラ、ソレダケノ金ガ浮ク、斯
樣ニ私ハ解シテ居ルノデアリマスガ、
海軍大臣ハ主力艦ノ建造ハ要ラナク
ナッタト仰シヤル、其要ラナクナッタト
云フコトハ後年度ニ繰延ベタト云フ私
ノ申上ゲタヤウナ意味ト同一ナ意味デ
アリマセウカ、全ク主力艦建造ハ必要
ナルト云フ意味ナノデアリマセウカ、
其點ヲ御伺ヒ致シタイノデアリマス
モウ一ツハ五億八百萬圓ト云フ餘剩
財源ト云フモノハ、主力艦ノミニ當テ
ラレタ金デハナイ、補助艦ニモ當テラ
レタ金デアルノデアリマス、然ルニ主
力艦ハ昭和十一年度マデ延期ニナリマ
シタケドモ、補助艦ニ於テハ必シモ左
樣ナコトデハナイ、若シ倫敦條約ニ於
テ昭和十一年度マデ主力艦ト同一ニ補
助艦ノ建造モ休日ニスルト云フコトデ
アルナラバ、五億八百萬圓ノ金ハ現實
ニ殘リ得ルト一應ハ見做シテモ宜シイ
ト思ヒマス、ケレドモ補助艦ニ至ッテハ
海軍休日ニナッテ居ラヌノデアリマス
ルカラ、必ズシモソレハ全部殘フテ居ル
トハ言ヘナイ、斯樣ニ考ヘマスルガ故
ニ、正確ナル意味ニ申シマスナラバ、五味、
億八百萬圓ト云フモノハ、軍縮條約ニ
依ル餘剩金デアルト云フコトハ非常ナ
考ヘ違ヒデアルマイカ、斯樣ニ私自身
ハ諒解致シタノデアリマシテ、此考ヘ
方ニ對シテ海軍大臣ハ如何ヤウナル考
ヲ持ッテ居ラレルカ、御伺ヒ致シタノデ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912373X01219310217&spkNum=6
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007・安保清種
○安保國務大臣 只今ノ武田サンカラ
ノ重ネテノ御尋ニ付テ御答申上ゲマ
ス、倫敦條約ニ依ッテ、コチラノ兵力ハ
總括的ニハ大體七割ト云フノデ、其內
容ニ付テソレ〓〓ノ兵種ノ中ニ要望ニ
達セヌノガアッテ、ソコニ豫定ノ作戰計
畫ヲ維持遂行スル上ニ於テ不便ヲ感ズ
ル、ソレデソレヲ兵力量ノ缺陷ト解シ
テ宜イカト云フノデアリマシタ、必要
トスル兵種ニ不足ヲ感ジタノデアリマ
スガ、併ナガラ其八吋巡洋艦及潛水艦
ノ不足ニ對シテ、其噸數ダケ六吋巡洋
艦ト驅逐艦トガ殖エマシタ、其六吋巡
洋艦ト驅逐艦ハ、決シテ要ラナイモノ
ガ殖エタト云フ意味デハナイノデアリ
マシテ、其兵種ヲ相當ノ補ヒニ使ヒマ
スガ、全部ノ補ヒニハナラヌト云フ意
味デアリマシテ、御尋ノ趣意ハ先程私
モ申上ゲマシタ、此國防方針ニ基ク所
定ノ作戰計畫ヲ維持遂行スル上ニ、ソ
レ〓〓ノ兵種ノ配合按配ガ十分デナ
イ、ソコニ不安ヲ感ズル、斯ウ云フ意
ソレノ補ヒノ方法ハ是レ々々ノ方
法ヲ立テレバ補ヒガ出來得ル、卽チ其
補ヒヲ付レバ作戰計畫ノ遂行ニ支障ヲ
來サズ、國防上不安ナキモノト認メル
ト斯ウ云フ意味ニナリマス
ソレカラ次ニ、倫敦條約ノ結果トシ
テ、兵力ニ不足ヲ感ジタ、其補塡ヲ補充
ト了解シテ宜シイカト、斯ウ云フヤウ
ナ御尋ト承リマシタガ、一番最初ニ私
ガ御說明申上ゲマシタヤウニ、海軍ノ
軍備ト云フモノヲ、國トシテ備ヘマス
ルト云フコトノ爲ニハ、何年カ每ニ必
ズ一ツノ補充計畫ト云フヤウナモノヲ
立テヽ、サウシテ或ル高サノ兵力ヲズッ
ト保持シテ行クト云フノガ、卽チ海軍
軍備ノ建前デアリマスルカラ、其間ニ
此度ハ倫敦條約ニ依ッテ、兵力量ノ上
ニ、作戰上不便ヲ感ズルト云フヤウナ
事柄カラ、相當ニソコニ補塡ヲ必要ト
スルト、斯ウ云フ意味ニナリマス、申上
ゲマスマデモナク震災マデハ補助艦ノ
艦艇製造ト云フコトニ付キマシテハ、
一億一千萬圓ト云フモノガ每年アルヤ
ウニナッテ、卽チソレガ出來テ、海軍ノ
兵力ガ、陸軍ノ二十師團ト云フモノト
同ジヤウナ意味ニナッテ居ッタ、ソレガ
震災ノ爲ニ、ソレヲ八千八百萬圓ニ致
シタモノガ、、ズット大體昭和六年度マデ
續キマシタノデアリマシタ、是カラ以
後ニ於キマシテモ、額ハ多少減リマシ
テモ、或ル高サノモノヲドウシテモ持ツ
テ居ッテ、所謂艦齡ノ來タモノヽ代換ト
云フヤウナ意味モアッテ、ズット參ラナ
ケレバナラヌノデアリマス、不足ノコ
トヲ今マデノ補充ト諒解シテ宜イカト
云フコトハ、今申上ゲマシタ意味デ御
分リカト思ヒマス
第三ニ主力艦ニ付テハ繰延デアル、
ソレガ要ラナクナッタカラト云フコト
ヲ私ガ申シタノデハナイ、私ハ主力艦
ノ建造ガ倫敦會議ニ於テ延期サレタト
云フコトヲ申上ゲタ、延期サレタカラ、
今此保留財源ヲ以テ主力艦ヲ造ル必要
ハナクナッタカラ、其コトデ補助艦ヲ造
ルヤウニナッタノダト云フ意味ヲ申上
ゲマシタノデ、決シテ主力艦ガ要ラナ
イト云フ意味デハナイノデアリマス、
今武田サンノ御話ノ通リ、是ハ主力艦
ヲ建造スルコトガ昭和十一年度マデ延
ビタ-延期シタノデアリマス、其以
後ノ事柄ハ、無論造ラナケレバナラヌ
ノデアリマスガ、其造ルト云フコトニ
付キマシテハ、是ハマアドウセ次ノ會
議ガ昭和十年ニゴザイマシテ、其艦齡
トカ、大キサトカ、色々ナコトハドウ云
フ風ニナリマスカ、是ハマア會議ニ依
ルコトデアラウト思ヒマスガ、決シテ
ソレガ要ラナイト云フ意味ヲ申上ゲマ
シタ次第デハナイノデアリマス
ソレカラ一番終リニ保留財源ト云フ
モノハ、主力艦バカリデナク、補助艦ヲ
モ含ンデ取ッテアッタモノデアッタ、所ガ
今度ノ倫敦會議ニ於テハ、主力艦ダケ
ハ延ビタケレドモ、補助艦ト云フモノ
ハヤハリ造ルコトニナッテ居ルカラ、是
ガ全部餘剩金ニナッタ次第デハナイダ
ラウト云フ御話デアリマシタガ、無論
サウデアリマシテ、是ハ其中カラドウ
シテモ補充計晝、又兵力ノ不足ト云フ
ヤウナ意味ノ補塡ト云フモノハヤラナ
ケレバナラナイノデアリマシテ、是ガ
全部餘剰金ニナルト云フヤウナ意味デ
ハナイノデ、ソレハ御尋ノ通リデアリ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912373X01219310217&spkNum=7
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008・武田徳三郎
○武田委員 大體諒解ヲ致シマシタ
ガドウモ或ハ海軍大臣ニ對シテ、禮ヲ
失スル言葉ニ當ルカモ知リマセヌガ、
先般來豫算委員會竝ニ貴族院ノ本會議
ニ於テ、各議員ト海軍大臣ノ間ニ行ハ
レマシタル質問應答ニ關スル速記錄ヲ
共ニ拜見ヲ致シマスルノニ、一言ニシ
テ御答ニナッテ明瞭デアルベキ事柄ヲ、
色々ニ言ヒ廻シヲ巧ミニナサル爲ニ、
却ッテ海軍大臣ノ御趣意ガ明瞭ニナラ
ヌヤウナ點ガ屢〓アルノデアリマス、私
ハ甚ダソレヲ遺憾ニ感ジテ居ル者デア
リマス、何故色々ナ斯ウ廻リ諄イ言ヒ
廻シヲ爲サルノデアラウカト云フコト
ニ對シテ私ハ疑ヲ抱イテ居ル者デアリ
マス、率直ニ御答下サレバ宜カラウト
思フノデアリマスルガ、今モ私ノ第一
ノ質問ニ對シテ、私ハ言葉ハドウ云フ
言葉ヲ使ッタラ宜シイカ知レマセヌケ
レドモ、對米七割-總括的ニ對米七
割ト云フモノガアルト致シマシテモ、
海軍大臣御自身ノ御說明ニアリマスル
如ク、作戰計畫ニ對シテ考ヘテ見ルト
云フト、各兵種ノ機能ガアルカラシテ、
總括的ニ對米七割デアルカラト云ッテ、
豫定ノ作戰ハ出來ナイ、詰リ作戰ニ不
便ヲ感ズル、斯ウ云フ御言葉デアリマ
シタ、其不便ヲ感ズルト云フコトハ軈
テ兵力量ニ不足ガアルト云フ意味ニ解
シテ宜シイノデアリマセウカ、斯ウ云
フコトヲ承ッテ居ルノデアリマス、故ニ
兵力量ニ不足ナシナラナシ、アルナラ
アル、斯ウ云フ工合ニ仰シヤッテ戴ケバ
宜イヤウニ私ハ思フノデアリマス、然
ルニ其點ハハッキリ仰シヤラナイ、不足
デアルカ不足デナイカト云フコトヲ、
ハッキリ仰シヤラナイ、不便ヲ感ズル、
併シ兵種ニ於テハ違フケレドモ、總括
的ノ噸數ハアルンダカラ遣繰ハ出來
ル、斯樣ナ御話デアリマス、遣繰ガ出來
ルト云フコトハ、國防上-此軍事上
ノ專門ノコトハ吾々ニ解シマセヌカ
ラ、敢テソレヲ伺フ譯デハナイ、唯其
遺繰ト云フコトハ如何ナルコトデアッ
テ、ソレガ此財政ニ如何ナル影響ヲ及
ボスカ、隨ッテ又吾々ニ今委託サレテ居
ル、減稅案ニ如何ナル影響ヲ及ボスカ
ト云フコトヲ知ランガ爲ニ承ッテ居ル
ノデアリマス、故ニ其遺繰ト云フコト
ハ、ソレダケ特別ナル、所謂補塡ト申シ
マス-私ガ補充ト云フ言葉ハ、詰リ
從來ノ代換建造ノヤウナ、今大臣ノ御
說明ノ如クカト思ヒマス、海軍ハ常ニ
ハ一定ノ高サヲ持タナケレバナラヌ、
ソレガ年所ヲ經ルニ隨ッテ、段々ト下ッ
テ來ルカラ、其下ルモノヲ補充スルノ
ガ補充計畫デアル、斯ウ云フ御說明デ
其點ハ能ク吾々素人ニハ分リマシタ、
サウシマスルト兵力量ノ不足、所謂大
臣ノ御言葉デハ補塡ト云フ-補塡ト
云フコトニ相成リマスルト、ドウシテ
モ此處ニ缺陷ガアル、穴ガアル、穴ガア
ルノヲ塡メルカラ補塡デアル、故ニ兵
力量ニ缺陷アリト云フ前提デナケレ
バ、補塡ト云フコトハ私ハナカラウト
思フノデアリマス、故ニ私ハ詰リ補塡
ヲ要スルト仰シヤル以上ハ其補塡ハ
如何ナルコトノ補塡ヲスルカト云フヤ
ウナコトヲ私共ハ聽カヌデ宜シイノデ
アリマス、制限內ノ艦艇ダケノ遣繰ダ
ケデ濟ムカ、制限外ノ艦艇、船艦モ造ラ
ナケレバナラヌカ、或ハ船艦ノミナラ
ズ、此飛行機ノヤウナ特殊ノ兵器ヲ造
ラナケレバナラヌカ、或ハ艦船ノ裝備
ノ近代化ト云フコトヲシナケレバナラ
ヌカト云フヤウナ、色々ナコトガアル
デアリマセウ、今現ニ大臣ノ御說明ノ
中ニモソレガアリマシタ、マア兎モ角
モ此處ニ穴ガアル、穴ガアルカラ塡メ
ルカラ補塡ト云フコトニ相成ルノデア
リマスカラ、先ヅ此補塡ト云フ以上ハ、
此倫敦條約ニ於テハ我ガ海軍ノ兵力量
ノ所定ノ作戰ヲ遂行ナサル上ニ於テ穴
ガアルヤ否ヤ、之ヲ唯穴ガアルカナイ
カ、斯樣ニ承ハレバ宜イノデアリマス、
ソレカラ此第二ノ點ニ於テモ略"分リ
マシタガ、延期スルト云フコトハ普通
ニ政府デ他ノ豫算關係ニ於テ爲サル如
キ繰延ト承知シテ宜シイノデアルカ、
斯樣ナコトヲ伺ッタノデアリマスガ、併
シ略〓私ノ意ヲ御認メニナッタヤウニ思
フノデアリマス、無用デハナイ、延期デ
アル、他日主力艦ガ入用デアル、唯如何
ナルモノヲ造ルカト云フコトハ、又千
九百三十五年ノ會議ニ於テ色々ナ相談
ノ結果ヲ見ナケレバナラヌカラ、前ノ
計畫通リ其儘トハ言ヘナイガ、必要デ
アル是ダケハ御認メニナッタノデアリ
マス、サウスルト同ジ繰延デハアルガ、
普通ノ繰延ハ其計畫通リヲ後年度ニ繰
延ベルノデアルガ、此主力艦ノ繰延ハ
其前ノ計畫通リ繰延ルトハ言ハナイ、
多少ノ變更ハアルカモ知レナイケレド
モ繰延ニハ相違ナイ、斯ウ云フヤウヤ
意味ト私ハ了解ヲシテ居ルノデアリマ
スルガ、重ネテ今ノ二點ニ付キ御說明
ヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912373X01219310217&spkNum=8
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009・安保清種
○安保國務大臣 重ネテノ御尋ニ對シ
テ御答致シマスルガ、曖昧ニ申シタ積
リデハナイト思フノデアリマス、對米
七割ニ對シテハ大體宜イガ、此內容ニ
付テノ事、是ハ御尋ノ通リ作戰計畫ヲ
維持遂行スル上ニ所要ノ兵力ニ不足ヲ
感ジタノデアリマス、不足ヲ感ズルカ
ドウカト云フ點ニ對シテハ不足ヲ感ジ
タノデアリマス、併ナガラ此不足ト云
フモノニ付テハ、補フ方法ガアル、ソ
レハ今モ御話致シマシタヤウニ、又武
田サンモ說明ヲサレマシタヤウニ補塡
ノ途ガアル、斯ウ云フ意味デアリマス
ソレカラ第二ノ主力艦ノ方ノハ繰
延ト御了解ニナッテモ宜シウゴザイマ
ス、ソレハ經費ノ意味デハナク、主力艦
其モノヽ建造ト云フコトノ繰延ト斯
ウ云フ御趣意カト存ジマスガ、六年間
後ニ延バスト云フコトニナリマシタノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912373X01219310217&spkNum=9
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010・武田徳三郎
○武田委員 更ニ次ノコトヲ御尋申上
ゲマス、今ノ御答辯ヲ承リマスト云フ
ト、大體ニ於テ海軍ノ兵力量ニ缺陷ア
リト云フコトヲ御認メニナッタヤウニ
私ハ了解致スノデアリマス、卽チ補塡
スベキ穴ガアッタカラ補塡スルノデア
ル、斯樣ニ私ハ了解致シマス、就キマシ
テハ此度ノ整備計畫ナルモノ中ニハ、
所謂其穴ヲ補塡スル意味ノモノモ當然
含マレテ居ルト思フノデアリマスガ如
何デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912373X01219310217&spkNum=10
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011・安保清種
○安保國務大臣 御尋ノ通リデアリマ
ス、含ンデ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912373X01219310217&spkNum=11
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012・武田徳三郎
○武田委員 然ラバ其補塡ヲ含ンデ居
ル卽チ穴ヲ埋メルト云フ意味ノ含ン
デ居ル此整備計畫ナルモノハ私共ノ
漏レ承ッテ居リマス軍事參議官會議ニ
於テ陛下ノ御諮問ニ奉答シ奉ッタ其
奉答文ノ趣意ナルモノハ、豫定ノ作戰
ノ兵力量ニ不足ガアル、其不足ヲ斯ウ
斯ク斯ク々々ノ方法デ補充スレバ不十
分ナガラ稍々其不足ヲ補フニ足ルト云
フヤウナ意味ノ奉答文デアルヤウニ仄
ニ承ッテ居ルノデアリマス、併シ其內容
ノ如何ハ兎モ角トシテ、是ハ吾々ノ知
ル必要ハナイ、海軍大臣御自身能ク御
承知ノコトデアリマスガ、其重大ナ奉
答文ノ趣意ニ副フヤウニ整備計畫ガ出
來テ居ルモノデアルカドウカ、其點ヲ
伺ヒタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912373X01219310217&spkNum=12
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013・安保清種
○安保國務大臣 御尋ノ通リ此度提出
致シマシタ計畫ニ於テハ、其邊ヲ考慮
致シマシテ、軍令機關トモ能ク相談ヲ
重ネテ、奉答文ノ趣意ニ副フヤウニ致
シテ居ル考デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912373X01219310217&spkNum=13
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014・武田徳三郎
○武田委員 然ラバ更ニ御伺ヲ致シタ
イノデアリマスルガ、此整備計畫ノ中
ニ豫定ノ計畫ノ、先程最初ニ御伺ヒ
ヲ致シマシタ、海軍ガ一定ノ高サヲ持
タナケレバナラヌト云フ補充計畫ノ分
トソレカラ缺陷アリ、穴ガアル、ソレ
ヲ補塡スル計畫ノ意味ノモノトハ、如
何ヤウニ分レテ居リマセウカ、私共ハ
其細カナ、ドノ船艦ヲドウト云フヤウ
ナコトヲ必ズシモ伺ハヌデモ宜シイノ
デアリマス、伺フコトガ出來レバ尙ホ
結構デアリマスケレドモ、詰リ大體ノ
金額デ宜シイノデアリマス、ドノ位ノ
モノガ普通ノ補充計畫デアッテ、ドノ位
ノ程度マデハ補塡卽チ穴ヲ埋メル爲ノ
補塡ノ計畫デアルカト云フコトノ說明
ヲ承リタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912373X01219310217&spkNum=14
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015・安保清種
○安保國務大臣 此度ノ計畫ガ普通ノ
補充計畫ト、不足ヲ補フ爲ノ補塡ノ事
ガ含ンデ居ルト云フコトハ其通リデア
リマスガ、ドレカラ何處マデドウ云フ
種類ノモノガ補充デアリ、何處ガ補塡
デアルト云フコトヲ、其種類ナリ金額
ナリデ之ヲ分ケマスコトハ困難デアリ
マシテ、强ヒテ理窟ヲ附ケレバ分ケラ
レヌコトモナイカモ知レマセヌケレド
モ、是ダケガ補充デアリ、是ダケガ補塡
デアルト云フコトノ金額等ヲ分ケマス
コトハ困難デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912373X01219310217&spkNum=15
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016・武田徳三郎
○武田委員 左樣ナ精密ナコトハ承リ
マセヌデモ宜シイノデアリマス、大體
今大臣ノ御言葉デモ、嚴密ニ言ヘバ分
ケラレヌコトハナイト云フ御言葉ノア
リマシタ通リ、極ク大體デ宜シイ、約ソ
何割位ガ補充ノ方デ、
塡ノ方ニ向クカト云フヤウナ程度ノ御
答辯デ宜シイノデアリマスガ、其點ニ
付テノ御說明ヲ願ヒタウ存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912373X01219310217&spkNum=16
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017・安保清種
○安保國務大臣 何割ト云フコトモ一
寸難カシイノデアリマスガ、例ヘバ潛
水艦ナラ潜水艦ト云フモノヽ勢力ガ不
足デアルカラ、其補ヒト云フ意味ニ於
テハ、潛水艦ト云フノデナシニ、ソレヲ
驅逐艦デ補塡スルト云フ場合ニ、併ナ
ガラ驅逐艦ダケデハ補塡ガ出來ヌト云
フ意味ニモナリマスカラ、機械水雷ヲ
應用スルト云フ場所ハソレデ補ヒヲ附
ケルト云フコトニナル、ソレカラ飛行
機ヲ以テ潜水艦ノ不足ナ所ヲ補フト云
フヤウナ意味ニナリマスレバ、飛行機
ト云フモノガ若干ノ補ヒニナル、斯ウ
ナリマスシ、ソレカラ濳水艦其モノヽ
二次電池等ヲ換裝スル-中ヲ潜ッテ
動キマスル動力ノ土臺トナルモノヲ換
裝スル費用ヲ要求シテ居ルノデアリマ
スガ、ソレカラ人ヲ養成致シマシテ、活
動能力ヲ殖ヤシマスト云フコトハ、先
般ノ大戰ニ獨逸ガ使ヒマシタ潜水艦ト
云フモノモ、持ッテ居ル三分ノ一ハ活動
シテ、後ノ三分ノ二ハ休養スルト云フ
意味デヤッテ居ッタノデアリマスガ、之
ヲ活動ノ十分ニ出來ルヤウニ、人モ其
數ヲ殖ヤシテ訓練ヲシ、中ノ二次電池
ト云フヤウナモノヽ方法ヲ取レバ、十
約ソ何割位ガ補一艘ナラ十艘ト云フモノデ以テ、比較的
ソレガモウ少シ餘計ノ數ノ活動ガ出來
ルト云フヤウナ意味モ今度含ンデ居リ
やす、隨テ何處カラ何處マデガ補塡ト
云フ風ニハ一寸分ケ難イト云フノハ、
サウ云フ點ヲ意味シテ居ルノデアルカ
ラ左樣御了承ヲ願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912373X01219310217&spkNum=17
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018・武田徳三郎
○武田委員 其點ハ了承致シマシタ、
兎ニ角モ此度ノ整備計畫ノ中ニハ、補
充計畫ノ缺點ヲ補フ所ノ補塡計畫ガア
ルト云フコトハ了解シテ宜シイト思フ
ノデアリマス、ソレニ付キマシテ伺ヒ
タイコトガアルノデアリマス、昨年ノ
臨時議會ニ於キマシテ、此倫敦條約ニ
缺陷アリヤ否ヤト云フ問題ノ起リマシ
タ時ニ、總理大臣濱口氏ノ說明ニ對シ
テ、我黨ノ犬養總裁ハ質問ヲ致サレマ
シタノデアリマス、ソレハ幾ツカノ質問
ガアリマシタガ、第一ノ質問ハ、此倫
敦條約ニ依ッテ、國防ノ兵力量ニ缺陷ア
リヤナシヤト云フコトガ第一ノ質問デ
アリマシタ、第二ノ質問ハ、倫敦條約ノ
目的ハ、世界ノ平和ト、國民負擔ノ輕減
ニアルト云フコトデアルガ、然ラバ一
體ドノ位負擔ノ輕減ハ出來ルカト斯
樣ナ質問デアッタノデアリマス、第一ノ
質問ニ對シテハ斯樣ナ御答辯ニナッテ
居リマス、ソレハ濱口總理大臣御自身
ノ言葉、速記錄ヲ其儘ニ申上ゲマス「此
度協定ヲ致シマシタ條約案ニ記載ヲ致
シテアリマスル帝國ノ保有勢力ニ依ツ
テ」此點ニ御注意ヲ願ヒタイ、帝國ノ保
有勢力ト云フコトハ、言葉ヲ換ヘテ言
へバ帝國ノ保有兵力量ト云フ意味ト解
シテ宜イト思フノデアリマス、此意味
ニ於テ、「帝國ノ保有勢力ニ依ッテ帝
國ノ國防ハ極メテ安固デアルト云フコ
トヲ責任ヲ以テ申シマス、其次ニハ軍
縮ニ依ッテ生ズベキ所ノ剰餘金ヲ以テ、
國民負擔ノ輕減ニ充テルコトガ出來ル
ヤ否ヤト云フ御質問デアリマス、是丘
此度ノ協定通リニ致シマスレバ、果シ
テ幾何ノ財源ノ剰餘ガ出來ルカト云フ
コトハ、今日計算ハ出來マセヌ、ソレ
ハ大養君モ言ハレル通リ此度ノ保留條
項ニ依ッテ、相當ノ代換建造ノ繰上ゲノ
權利ヲ得テ居ルノデアリマス、其得マ
シタ權利ヲ如何ナル程度マデ行使スベ
キヤト云フコトハ、條約ノ批準ガアリ
マシタ後ニ於テ愼重考究ヲ致シ、然ル
後ニ決定スベキ問題デアリマス」斯樣
ニアルノデアリマス、故ニ犬養氏ノ國
防ニ缺陷アリヤ否ヤ、兵力量ニ缺陷ア
リヤ否ヤト云フ第一ノ御質問ニ對シテ
ハ、濱口首相ハ帝國ノ兵力量ニ依ッテ、
卽チ倫敦條約ニ依ッテキメラレタル帝
國ガ保有スベキ兵力量ニ依ッテ、國防ニ
何等ノ不安ナシ、斯ウ云フ御答辯デアッ
タノデアリマス、其意味カラ言ヘバ、今
穴ガアルトハ言ヘナイコトデアルノデ
アリマス、穴ガアッテ補塡ト云フコトガ
アルノデアリマス、是ハ今海軍大臣ノ
御認ニナッタ所デアリマス、穴ガアルト
云フ前提ノ下ニ、今ノ整備計畫ノ中ニ
ハ補充計畫ト補塡計畫ガアル、斯樣
ナ御說明デアッタノデアリマス、併ナガ
ラ昨年ノ議會デ濱口總理大臣ガ內閣全
體ヲ代表シテノ御答辯ニ於テハ、條約
ニ依ッテ我國ノ保有スル兵力量ニ於テ
何等ノ缺陷ナシ、隨テ國防ニ不安ナシ
ト、斯樣ニ斷言ヲサレテ居ルノデアリ
やす、是ハ海軍大臣ノ今ノ御說明ト大
分矛盾シタ點ガアルヤウニ思ハルヽノ
デアリマスガ、海軍大臣ハ如何ニ御考
ニナルカト云フコトガ一ツ、其次ハ今
濱口總理ノ速記ヲ讀ミマシタ如ク、ド
レダケノ餘剰財源ガ出來ルカト云フコ
トハドウシテキメルカト云フト倫敦
條約ニ依ッテキメラレタル代換建造ノ
權利ヲ持ッテ居ル、其代換建造ノ繰上ゲ
タ權利ヲ持ッテ居リマスカラ、其權利ヲ
如何ナル程度ニ於テ行使スルカト云フ
コトガ分ラヌカラキマラナイガ、其繰
上建造ノ權利ヲ如何ナル程度ニ於テ行
使スルカト云フコトガキマレバ、餘剩
財源モ自ラキマル、斯樣ナル說明デア
リマス、シテ見マスト云フト、今ノ海軍
大臣ノ說明ノ中、此度ノ整備計畫ノ中
補充計畫ト補塡計畫ガアル、斯ウ仰セ
ラレマシタ、其補充計畫ナルモノハ申
スマデモナク內容ヲ此豫算ニ於テ承ハ
レバ、卽チ濱口總理大臣ノ前議會ニ於
テ言ハレマシタ所ノ留保條項ニ依ッテ、
相當代換建造ノ繰上ノ權利ヲ得テ居ル
カラ、其權利ノ行使ノ程度デアルト私
ハ諒解スルノデアリマス、サウシマス
ト云フト、濱口總理大臣ノ當院ニ於テ
責任ヲ以テ述ベラレタ言葉カラ申シマ
スト、此度ノ軍縮條約ニ依ッテ剰サレタ
ル財源ト云フモノハ、倫敦條約ニ依ッテ
我國デ保留スベキ代換建造ノ爲ニ費シ
得ル外、他ノ使用ニハ費シ得ベカラザ
ルコトデナケレバナラヌノデアリマス
ガ、此說明ハ私ノ解スル所ニ依レバー
-今讀上ゲマシタ濱口總理大臣ノ御言
葉ハ、ソレ以外ニ解スルコトガドウシ
テモ出來ナイト思フノデアリマス、然
ルニ此度ノ整備計畫ノ財源ト云フモノ
ハ、卽チ此補充計畫ト補塡計畫ノ二ツ
ヲ含ンデ居ル所ノ此補充計畫ノ財源ト
云フモノハ、我國ガ倫敦條約ニ依ッテ保
留シタ代換建造繰上、權利行使以外ノ
補塡計畫ト云フモノハ均シク此餘剩財
源ニ依ッテ補塡サレルト云フコトハ、濱
口總理大臣ノ當院ニ於テ言明サレタ事
柄ト私ハ違ッテ居ルト思フノデアリマ
ス、此二ツノ點ニ付テ海軍大臣ノ御說
明ヲ御願ヒ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912373X01219310217&spkNum=18
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019・安保清種
○安保國務大臣 武田サンカラノ重ネ
テノ御尋ニ御答致シマス、只今ノ最初
ノ保有勢力ヲ以テ、倫敦條約デ協定シ
タ其保有力ヲ以テ國防ニ不安ナシト申
サレタノト、只今私ガ此委員會ノ席上
デ申シマシタノト違ッテ居ルヤウナ御
話デアリマシタケレドモ、私ハ違ッテ居
ルトハ考ヘナイノデアリマス、是ハ當
然濱口總理ノ趣意モ、兵力量ノ中デ、兵
種ノ中デ、ドレカニ不足ノアルコトハ
認メテ居ッテモ、之ニ對シテ穴ヲ埋メル
コトハ攻究シ得ルト云フコトヲ含メ
テ、隨テ國防ノ上ニハ不安ナシト云フ
コトヲ答辯サレタモノト私ハ信ズルノ
デアリマス、隨テ只今段々ノ御質問ニ
對シテ御說明申上ゲマシタ趣旨ト、何
等違ヲテ居ル意味ハナイ、斯ウ存ジテ居
リマス、ソレカラ第二ノ點ハ、十分ニ頭
ニ入レ兼ネタ點モアルヤウニ存ジマス
ガ、犬養サンノ御尋ニ對シテ濱口首相
ノ答ヘラレタノハ、此度ノハ繰上代換
ノモノニ使フノダカラ、ソレ以外ノモ
ノニ使フノハ間違ヲテ居リハセヌカト
云フ御趣意デアルカノヤウニ考ヘマシ
タガ、倫敦條約ニ依ッテキメラレタ其權
利ヲ全部使行スルカ、幾分使行スルカ
ハハ色々其狀勢ニモ依ルノデアッテ、ソ
レニ依ッテ適當ノ計畫ヲ立テタモノ
費用ヲ引去ッテ、後ノ殘リヲ減稅ニスル
ト云フ意味ノコトヲ言ハレタノデハナ
イカト存ジマスガ、一寸其邊ガ私ニ明
カニナッテ居ラヌノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912373X01219310217&spkNum=19
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020・武田徳三郎
○武田委員 心持ヲ率直ニ申上ゲテ置イタノデアリ
マスガ、斯樣ナル場合ニ對シテ、面白カ
ラナイ感情ヲ持ッテ質問應答スルコト
ハ苦シイカラ、豫メ申上ゲテ置イタノ
デアリマス、海軍大臣ハ、吾々國民ハア
ナタニ對シテ最モ懇切ナル心持ヲ持ツ
テ居ル所ノ者デアルカラ、極メテ親善
ナ御相談ヲスルト云フ心持デ御答辯ヲ
願ヒタイト云フコトヲ私ハ申シテ置イ
タノデアリマス、然ルニ濱口總理大臣
ガ、斯程マデ明白ナ言葉ヲ以テ問フテ
居ルモノヲ、故ラニ之ヲ他ノ意味ニ解
スルヤウナ御答ヲ爲サルト云フコト
ハ、甚ダ私ハ遺憾ニ存ジマス、日本ノ國
防上必要トスル兵力量ニ缺陷アリヤ否
ヤト云フ質問ニ對シテ、條約案ニ記載
シテアリマスル帝國ノ保有勢力ニ依ツ
テ、帝國ノ國防ハ極メテ安固デアルト
云フコトヲ、責任ヲ持ッテ申シマスト
言ッテ居ルノニ、穴ガアルノヲ埋メルト
云フ意味ヲモ含メテ、其上デ安全デア
ルト云フヤウニ御解釋ニナルト云フコ
トハ、常識上許サレナイコトデハアリ
マセヌカ、ノミナラズ此處ニ御出デニ
ナル吾々ノ先輩前田米藏君ガ、同ジク
前議會ノ豫算委員會ニ於テ此點ニ向ツ
テ詳シク意味ヲ申シテ質問致シテ居ル
ノデアリマス、斯ウ云フコトヲ前田君
ハ言フテ居ラレルノデアリマス、軍令部
最初ニ海軍大臣ニ吾々ノ長ハ倫敦條約ノ兵力量デハ國防ニ缺陷
アリト天下ニ聲明シテ居ルガ、然ルニ
總理大臣ハ國防ハ安全ナリト言ッテ居
ル、軍令部ノ主張ト政府ノ主張トガ、ソ
コニ合ハナイ點ガアッテ吾々ハ甚ダ心
配ニ堪ヘナイ、是ハドウデアルカ、卽チ
先程私ガ申上ゲタヤウニ全國民ガ此祖
國ヲ安全ニ護ルニ第一ニ必要タル海軍
ヲドウシテモ充實シテ置キタイト云フ
心持カラ、此祖國ヲ護ル所ノ國防ヲ安
全ニシタイ、アナタ方海軍ニ對シテ十
二分ノ同情ノ心持ヲ持ッテ聞イテ居ル
ノデアリマス、軍令部長ハ缺陷アリ總
理大臣ハ缺陷ナシト言フ、國民ハ迷ハ
ザルヲ得ナイノデアリマス、此國民ノ
不安ノ心持ヲ、前田君ガ代表シテ質問
致シテ居ルノデアリマス、ソレニ對シ
テ濱口總理大臣ハ斯樣ニ答ヘテ居リマ
ス、其速記錄ヲ讀上ゲマス「軍部ノ專門
家ガ、是デハ國防ガ安全デナイ、責任ガ
取レヌト言ッテ居ルト云フコトヲ私ハ
認メナイ、其假定ナ上ニ立ッタル御質問
ニハ隨テ答辯ノ必要ハ自然ナイノデア
リマス、而シテ國民ガ安心ヲセヌト申
シマスケレドモ、私ハ敢テ申シマス、是
ハ政府ガ責任ヲ以テ此度ノ協定ニ依ツ
テ國防ニ缺陷ヲ生ゼシムルコト斷ジテ
ナイ、國民ハ安心ヲシテ居ルト云フコ
トヲ確信シテ居リマス、斯樣ニ又同ジ
事ヲ繰返シテ言ハレテ居ルノデアリマ
ス、故ニドウシテモ常識上ノ判斷カラ
申セバ、倫敦條約ニ於テ國防ニハ-
豫定ノ兵力量ニハ何等ノ缺陷ナシ、斯
樣ニ濱口總理大臣ハ言明シテ居ラレル
ノデアリマス、然ラバ軍縮條約ノ主ナ
ル目的タル國民負擔ノ輕減ト云フ點ニ
對シテ、幾ラ輕減シテ吳レルノカト云
フ質問ニ對シテハ、決シテ今海軍大臣
ノ御話ノ如ク、穴ガアッテ、ソレヲ埋メ
ル費用ヲ引去ッタ殘リノモノガ剰餘デ
アルト云フ意味ヲ濱口總理大臣ハ言ツ
テ居ラナイノデアリマス、是ハ先程モ
申上ゲタ通リデスガ、海軍大臣ノ誤解
ヲ避クル爲ニモウ一遍讀上ゲマス「此
度ノ保留條項ニ依ッテ、相當ノ代換建造
ノ繰上ノ權利ヲ得テ居ルノデアリマ
ス、其得マシタ權利ヲ如何ナル程度マ
デ行使スベキヤト云フコトハ、條約ノ
批准ガアリマシタ後ニ於テ愼重考究ヲ
致シ、然ル後ニ決定スベキ問題デアリ
やっ、隨テ其金額ヲ具體的ニ申スコト
ハ出來マセヌケレドモ、之ヲ軍縮會議
ノ目的ニ照シマスルニ、政府ハ相當ノ
財源ノ剩餘ヲ生ズルト云フコトヲ期待
ヲ致シ、且ツ希望シテ居リマス」斯ウ
言ッテ居ラレルノデアリマス、之ヲ言葉
ヲ換ヘテ申シマスレバ、餘剩財源ハ幾
ラ出來ルカ分ラヌ、分ラナイト云フ所
以ノモノハ、此倫敦條約ニ於テ我國ガ
相當ノ代換ノ建造繰上ノ權利ヲ持ッテ
居ル、
使スルカト云フコトガキマラナイ中
一、剩餘財源ト云フモノガ幾ラアルカ
ト云フコトヲ今明白ニ言フコトハ出來
ナイ、斯樣ナ事デアルノデアリマス、今
海軍大臣ノ申サレタヤウナ、穴ガアッ
テ、其穴ヲ埋メテ、餘ッタ金ヲ餘剩財源
ト言フノデアルト云フヤウナ意味ハ毛
頭此中ニ含マレテ居ラナイノデアリマ
ス、如何樣ニ牽强附會ナ議論ヲ致シマ
シテモ、此明白ナル濱口總理大臣ノ御
言葉、ソレモ速記ニアリマスモノヲ解
スルノニ、一人前ノ常識ヲ以テ判斷致
シテドウシテ海軍大臣ノ仰シヤルヤ
ウニ之ヲ解スルコトガ出來マセウカ
ドウシテモ此倫敦條約ノ兵力量ニハ〓
陷無シ、唯此餘剩財源カラ控除サレル
モノハ、倫敦條約ニ依テ得タ所ノ我國
ノ代換建造ノ繰上ノ權利ヲ行使スル程
度如何ニアル、其權利ヲドノ程度ニ行使
スルカト云フコトガキマレバ、ソレダ
ケノ金ヲ引去ッタ殘リハ之ヲ餘剩財源
トシテ負擔ノ輕減ニ充テル財源ニナル
ベキモノデアルト云フ說明ヲシテ居ラ
レルノデアリマス、故ニ私ハ此總理大
臣ノ說明カラ致シテ、此度ノ整備計畫、
ハ所謂補充計畫ト云フモノハ、勿論此
餘剩財源ノ中カラ支辨サレルモノデア
ルト濱口總理大臣ノ御說明カラ認メル
ノデアリマス、併シ穴ヲ補塡スル所ノ
其權利ヲ如何ナル程度ニ於テ行費用ト云フモノハ濱口總理大臣ノ御說
明ノ如クニ、此餘剩財源ヲ以テ支出ス
ベキモノデナイト云フコトハ明カニ總
理大臣ガ言フテ居ルノデアリマス、然ル
ニ海軍大臣ガ、餘剩財源ヲ以テ補塡ス
ルコトハ濱口總理大臣ノ意ニ反シナイ
ト云フコトハ、如何ナル理由デ仰シヤ
ルノデアリマスカ、ドウゾ此點ニ付テ
ハ海軍ニ同情シテ居ル吾々國民ガ、能
ク諒解スルヤウナ御說明ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912373X01219310217&spkNum=20
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021・安保清種
○安保國務大臣 重ネテノ御尋ニ御答
ヲ致シマス私ハ第一ノ御尋ニ對シマ
シテハ前ニ御答ヲ申上ゲタヤウニ解釋
シテ居リマス、ソレカラ第二ノ代艦建
造ト云フ意味ノモノダケデ、其以外ニ
ハ此保留財源ハ使フコトガ出來ヌヤウ
ニ濱口首相ガ答ヘラレタト云フ風ニ仰
シヤイマスケレドモ、私ハサウハ認メ
テ居ラヌノデアリマス、是ダケヲ御答
致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912373X01219310217&spkNum=21
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022・本田恒之
○本田委員長 本日ハ是デ散會致シマ
ス次囘ハ明日午前十時ニ開キマス
午後零時二十分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912373X01219310217&spkNum=22
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