1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
抵當證劵法案（政府提出）
不動産登記法中改正法律案（政府提出）
民事訴訟法中改正法律案（政府提出）
競賣法中改正法律案（政府提出）
民事訴訟用印紙法中改正法律案（政府提出）
日本勸業銀行法中改正法律案（政府提出）
農工銀行法中改正法律案（政府提出）
北海道拓殖銀行法中改正法律案（政府提出）
國税徴收法中改正法律案（政府提出）
貯蓄銀行法中改正法律案（政府提出）
無盡業法改正法律案（政府提出）
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會議
昭和六年二月二十七日（金曜日）午後一時二十八分開議
出席委員左の如し
委員長 荒川五郎君
理事 小峰滿男君
理事 篠原陸朗君
理事 勝田永吉君
理事 大崎清作君
理事 板谷順助君
小村俊一君 本多眞喜雄君
關口志行君 山田又司君
瀬川嘉助君 磯部清吉君
名川侃市君 石崎敏行君
中田ろく郎君
出席政府委員左の如し
北海道廳長官 池田秀雄君
大藏政務次官 小川郷太郎君
大藏省銀行局長 大久保偵次君
司法省民事局長 長島毅君
委員長の許可を得て出席したる者左の如し
議員 植原悦二郎君
本日の會議に上りたる議案左の如し
抵當證劵法案（政府提出）
不動産登記法中改正法律案（政府提出）
民事訴訟法中改正法律案（政府提出）
競賣法中改正法律案（政府提出）
民事訴訟用印紙法中改正法律案（政府提出）
日本勸業銀行法中改正法律案（政府提出）
農工銀行法中改正法律案（政府提出）
北海道拓殖銀行法中改正法律案（政府提出）
國税徴收法中改正法律案（政府提出）
貯蓄銀行法中改正法律案（政府提出）発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=0
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001・荒川五郎
○荒川委員長 是ヨリ抵當證劵法外十
件ノ委員會ヲ續行致シマス、本日ハ北
海道拓殖銀行法改正法案ニ付テノ質疑
ノ殘ガアリマスカラ、ソレヲ終リマシ
テ、成ベク貯蓄銀行法竝ニ無盡業法ノ
質疑ダケハ進行シタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=1
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002・板谷順助
○板谷委員 私ハ北海道拓殖銀行法改
正案ニ付キマシテ、先達本會議ニ於キ
マシテ、政府ノ所見ヲ質シマシタガ、
不滿足デアリマスルノデ、此場合更ニ
質問致シタイト思ヒマス、勿論北海道
拓殖銀行法ノ改正ノ目的ハ、抵當證劵法
ガ實施サレタ場合ニ於キマシテ、是ノ
取扱ヲスルト云フノガ骨子トナッテ居
リマスケレドモ、先般來大藏大臣初メ
政府委員ノ說明ニ依リマシテモ、此機
會ニ於テ北海道拓殖銀行ノ權能ヲ十分
ニ發揮サセルト云フ御話ガアリマシタ
ノデ、之ニ關聯シテ御伺スルノデアリ
マスガ、現在北海道ニ於ケル所ノ不動
產ノ推定價格ハ、約五十億圓トシテアル、
然ルニ拓殖地ニ於ケル唯一ノ不動產金
融機關デアル所ノ北海道拓殖銀行ハ、現
在ノ資本金ガ先般來申上ゲマシタヤウ
ニ僅ニ千二百五十萬圓デアッテ、而シテ
債劵ノ發行額ハ現在ニ於テ一億二百七
十五萬圓ニ達シテ、殆ド行詰リヲ生ジ
テ居ルノデアリマス、所ガ此債劵ノ發
行額ヲ此度ノ改正ニ依テ十倍ヲ十五倍
ニスルニ付テハ稍〓改正ヲサレタ點
モアリマスケレドモ、今申上ゲマスヤ
ウニ此抵當證劵法ガ實施サレタ曉ニ
於キマシテハ興業銀行ガ四億千五百
萬圓、農工ガ七億三千百萬圓ノ債劵發
行能力ヲ持ッテ居ルニ拘ラズ、北海道拓
殖銀行トシテハ、僅ニアト八千四百萬
圓ヨリナイノデアリマス、政府ハ北海
道ニ於テ之ガ實施サレ、及ビ北海道ノ
拓殖地トシテノ不動產ノ金融機關トシ
テ、是デ御滿足ニナッテ居ルノデアルカ
ドウカヲ、先ヅ第一ニ伺ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=2
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003・小川郷太郎
○小川政府委員 此間本會議デモ板谷
サント私トノ間デ問答ヲ致シマシタ
ガ板谷サンノ御意見カラシテモ北
海道拓殖銀行ノ債劵發行額ヲ十五倍ニ
シテハドウカト云フヤウナ、御意見的
ノ御質問デアリマシタ、丁度政府モ同
ジヤウナ意見ヲ有ッテ居リマシテ、十五
倍ニスルト云フヤウニ提案シテ居ル次
第デアリマス現狀カラ申シマシテ相
當ノ債劵發行ノ擴張デアルト考ヘル次
第デアリマス、寧ロ北海道ノ金融ニ付
テ同情ヲシタ立法ダト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=3
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004・板谷順助
○板谷委員 政府ハ現在ノ北海道拓殖
銀行法ノ改正ニ依ッテ、滿足シテ居ルヤ
ウナ御話デアルガ、私ハ北海道ノ現在
ノ情勢カラ見マスルト、唯一ノ不動產
金融機關デアルニモ拘ラズ、ドウ云フ
仕事ヲシテ居ルカト檢討シテ見ルト、
前記ノ拓殖銀行ノ計算ニ依リマスト、
年賦貸付ガ一億千七百餘萬圓アリマス
ガ其半面ニ於テ手形ノ割引ト云フモ
ノハ五千四百萬圓、殆ド三分ノ一ト云
フモノハ普通銀行ノ仕事ヲシテ居ルヤ
ウナ狀態デアル、是ハ何處ニ原因ガア
ルカト申スト、現在北海道ノ農村ニ對
シテ貸付ケタル金額ガ、思フヤウナ囘
收ガ出來ナイ、從ッテ普通銀行ノ商賣ヲ
シナケレバ、此拓殖銀行ノ現在ノ維持
ガ出來ナイヤウナ有樣ニナッテ居ルノ
デアリマス、卽チ資金ガ非常ニ缺乏シ
テ居ッテ、是以上農村方面ニ貸付ケルコ
トハ固定ニナッテイカヌカラ、從ッテ普
通ノ銀行ノ取引モシテ、緩和ヲ圖ラネ
バナラヌヤウナ態度ヲ執ッタモノト、私
ハ看做シテ居ルノデアリマス、デアリ
マスカラドウシテモ此趣旨ニ副フニ
ハ、何ト言ッテモ債劵ノ發行額ガ十五倍
以上增加スルコトガ、出來ナイ事情
デアルトスレバ、增資ヲシテ發行額ヲ
殖ス、是以外ニ私ハ執ル途ガナイト思
フ、更ニ先達小川次官ハ北海道拓殖銀
行ノ金利ガ現在非常ニ高イ、卽チ最高步
合ガ八分六厘ニナッテ居ル斯ウ云フ髙
イ利子デアッテハ何商賣ニシテモ引合
ハヌ、農村ニシテモ商工業者ニシテモ、
是デハ引合ハヌト思ヒマス、之ヲ勸業
銀行ト同ジヤウニスル御意思ガアルカ
ドウカト伺ヒマシタガ、北海道ノ現在
ノ金融狀態ハ囘收ガ困難デアッテ、金利
ガ高イカラ其必要ガナイヤウナ御答
辯デアッタケレドモ、實際ハサウデハ
ナイノデアリマス、現ニ此年賦償還ノ
囘收ガ出來ナイ爲ニ、競賣ト云フモノ
ガ盛ニ行ハレテ居ル、是ハ銀行ノ立場
カラ言ッテモ、整理上無理ノナイコトデ
アルト思フケレドモ、銀行モ困難デア
ルシ、債務者カラ考ヘテモ非常ニ迷惑
ヲ來シテ居ルト云フ譯デアル、北海道
拓殖銀行ノ現在ノ八分六厘ト云フモノ
ハ安クハナイ、是ハ政府ニ能ク御再考
ヲ願ハナケレバナラヌ更ニ又低利資
金ニ付テハ、現在北海道ニ於ケル郵便
貯金ハ八千五百萬圓デアリマシテ、ソ
レニ對シテ四千九百萬圓出シテ居ルカ
ラ、各府縣カラ見レバ相當ニ廻ッテ居
ルト云フ御話デアルケレドモ、北海道
ノ如キ特殊ノ事情ニアル土地ニ對シテ
ハ、必ズシモ其半額ヲ出ストカ幾ラ出ス
トカ制限ガアルベキ筈ハナイ、府縣ニ
依ッテハサウ大シテ必要ノナイ場所モ
アルカモ知レナイ、デアルカラドウシ
テモ徹底的ニモット低利資金ヲ殖ヤス
ト云フ-是ハ勿論質問デハアリマセ
ヌ、希望デアルカモ知レマセヌガ、此
點ニ付テ先ヅ第一ニ拓殖銀行ノ增資ヲ
圖ッテ、之ニ改善ヲ加ヘルト云フコトニ
付テ、最大ノ御注意ヲ拂ッテ戴キタイト
思フノデアリマス、ソレカラ私ガ申上
ゲタヤウニ、北海道ノ現狀ニ於テ拓殖
銀行ガ資金ノ囘收困難ノ爲メ、競賣ガ
行ハレテ居ルト云フコトヲ御認メニナ
ルカドウカ、是ハ細カイ問題デ、或
御調ガ出來テ居ラヌカモ知レマセヌ
ガ、實際ニ於テ相當競賣ガ行ハレテ居
ル、之ヲ御認メニナリマスカドウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=4
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005・小川郷太郎
○小川政府委員 板谷君ノ御質問ハ御
意見モ加ッテ居ルヤウニ思ヒマス、北海
道拓殖銀行ガ普通銀行ノ業務ヲヤッテ
居ルト云フヤウナ御話デアルガ、是ハ
法律ノ第八條ノ三ニ依ッテ不動產金融
ト普通銀行業務トヲ並行シテ、營業ス
ルコトニナッテ居リマスカラ、法律上カ
ラ申シタナラバ、何モ不思議ナコトハ
アリマセヌケレドモ實質カラ見ルト、
ヤハリ不動產ノ方ニ力ヲ入レテ居リマ
ス、是ハ事實デアリマス、ソレハ板谷
サンモ既ニ御認メニナッテ居ルデアリ
マセウガ、不動產金融ノ方ニ資金ガ固
定シテ居ルカライカヌ、斯ウ云フ御意
見デアリマスガ、ソレデアリマスカラ
今度ノ改正法ニ依ッテ、其固定シテ居ル
モノヲ證劵化シ資金化スルト云フコト
デアリマスカラ、此改正法律ガ行ハレ
ルト板谷サンノ遺憾ニ思ッテ居ラレル
點ガ、大分除カレテ來ルシ、政府モサ
ウ云フ風ナコトヲ目標トシテ、斯ウ云
フ風ナ改正法律案ヲ提出シタヤウナ次
第デアリマス、次ニ北海道拓殖銀行ノ
金利ガ高イト云フコトデアリマスガ、
ソレハ成程勸業銀行ノ貸シテ居ルモノヨ
リハ高イコトハ認メマス、ケレドモ
銀行モ一ツノ經營デアリマスカラ、實
際債劵ノ利廻ガドウ云フ風ニナッテ居
ルカト云フコトモ見ナケレバナリマセ
ヌ、債劵ノ利〓ガ勸業銀行ノ債劵ノ利
廻ヨリハ高クナッテ居レバ、自然貸スノ
モ多少高クナルト云フコトハ已ムヲ得
マセヌ、ソレヲ同ジヤウニシヨウト云
フコトハ、銀行經營ノ上カラハ無理ヲ强
ヒルヤウナコトニナリハシナイカト考
ヘルノデアリマス、且ツ北海道ノ普通
ノ金利ガ高イ、水平線ガ高イノデアリ
マスカラ其高イ所ノ北海道拓殖銀行
ガ八分幾ラノ利子デ融通致シマシテ
モ、其他ノ所ノ金利カラ較ベテ見マシ
タ時分ニ、必ズシモ高イト、斯ウ云フ
風ニハ言ヘナイト思ヒマス、金利ハ安
イ程宜シウゴザイマスケレドモ、ナ·
リ土地ノ經濟狀態、金融狀態ト云フモ
ノニ相應シテ決マルト云フコトニナリ
マスカラ、已ムヲ得ヌコトデアルト考
ヘマス、內地ニ於キマシテモ、東北ノ
如キハ農工銀行ノ歩合ハ、殆ド北海道
拓殖銀行ノ歩合ト同ジヤウデアリマ
ス、其地方々々ノ事情ニ應ジテ、自然
金利ト云フモノガ定ヲテ來ルト云フコ
トハ、板谷サンノヤウナ金融ノコトニ
能ク通ジテ居ラレル方ハ、御承認下サ
ルコトヽ思ヒマス、ソレカラ低利資金
ノコトハ本會デモ申上ゲマシタヤウ
ニ、昔カラ色々ノ議論ガアリマシテ、
資金還元トカ云フヤウナコトヲヤカマ
シク申シマス、預金部ノ金ハ字義通リ
ニ資金還元ト云フコトニハナッテ居リ
マセヌ、サウ云フモノニ一ツノ目標ノ
アルト云フコトハ、是ハ已ムヲ得ヌコ
トデアル、預金部ガ郵便貯金ニ依ヲテ充
テガッテ居ルモノヨリモ、餘計ノ金ヲ貸
シテ居ルト云フコトハ資金還元ト云
フ原則カラ言フト其步合ガ良イト、
斯ウ云フコトニモ言ヘルノデアリマス
カラ、ソコニサウ云フ標準デ摑ヘラレ
マスト資金運用ノ上ニ於テ勝手ニド
ンナコトデモ構ハヌト云フ譯ニモイカ
ヌモノデアリマス、此間申シマシタヤ
ウニ、成丈ヶ北海道ノ方ニハ相當ノ低
利資金ヲ〓シタイト云フ風ニ考ヘテ居
リマシテ、事實ソレハ行ハレテ居ラウ
ト思ヒマス、北海道拓殖銀行ヲ通ジマ
シテ貸出シマシタ低利資金ノ額ヲ見マ
スニ、昭和五年十一月末現在ハ、四千
八百六十三萬九千八百圓デアリマス
ガ、昭和五年十二月ノ現在ハ、五千三
百八十六萬九千八百圓デアリマス、更
ニ昭和六年二月二日現在ハ五千四百
三十七萬九千八百圓ニナッテ居リマシ
テ段々低利資金ノ額ガ殖エテ居リマ
ス、サウ云フ氣持デ運用シテ居リマス
ト云フコトヲ御認メヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=5
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006・板谷順助
○板谷委員 只今小川次官ハ北海道拓
殖銀行ノ貸付資金ガ固定シテ居ルソ
レガ爲ニ此度抵當證劵ガ實施サレルコ
トニナレバ、卽チ非常ニ便宜ヲ得ルト
云フ御言葉ガアリマシタケレドモ、私
ハ先達勸業銀行、農工銀行、北海道拓殖
銀行ノ現在貸付ケテアル所ノ金額ノ中
ニ市制ガ布カレテ居ル、卽チ抵當證
劵ヲ實行サレル所ノ區域ニ於ケル貸金
ト其以外ノモノヽ數字ヲ擧ゲテ申上
ゲタノデアリマスガ、現在北海道拓殖
銀行ニ於キマシテハ、殆ド三分ノ二ト
云フモノハ市制施行地以外、卽チ此度
ノ抵當證劵ガ實施ヲサレナイ區域以外
ヘノ貸付金デアリマス、此點ハ能ク一
ツ御調査ヲ願ヒタイ、更ニ又拓殖銀行
ノ利子八分六厘ト云フモノハサウ高ク
ナイ、農工銀行ト同ジデアルト云フ御
話ガアリマシタガ、先達政府カラ頂戴
シタ參考資料ニ依リマスト福島ト宮
城ダト思ヒマスガ、此二縣ヲ除イタモ
ノガ八分四厘デアル、現在ニ於キマシ
テハ決シテ北海道ノ拓殖銀行ノ利子ハ
安クハナイ、利子ハ安クナイカラ、今御
話スルヤウニ競賣ト云フモノガ期日ニ於
テ年賦償還スルモノモ出來ナイ、農村
ガ米ヲ初メ總テノ生產物ガ激落シテ、
不動產ガ激落シテ居ルヤウナ關係カ
ラ、年賦償還ノ金額スラ拂ヘズ、競賣
ガドン〓〓行ハレテ居ル狀態デアリマ
ス、此點カラ考ヘテモドウシテモ拓殖
地ニ於ケル不動產金融ヲ定メルト云フ
コトニ付テハ、先ヅ第一ニ拓殖銀行ノ
增資ヲ圖ル、株主ノ立場カラ言ヒマス
レバ、九分ノ配當ヲシテ居ル、九分ノ配
當ト言ヘバ銀行トシテハ割合良イ配當
デアルカラ、成ルベク危險ヲ冐シテマ
デモ、餘計ナ貸付ヲシナイデ、極メテ安
全ナル方法ヲ執ルト云フコトハ、銀行
ノ立場カラ言ヘバ當然デアルカ知レナ
イガ、特殊銀行デアッテ、北海道開拓ト
云フ一大使命ヲ持ッテ居ルノデアルカ
ラ、增資ヲシテ改善ヲサセルト云フコ
トニ付テ、御考ガアルカドウカ、是ハ又
私共ノ希望デアリマスルガ、政府ニ於
テ之ヲ斷行スルヤウナ方法ヲ執ッテ貰
ヒタイ、斯ウ思フノデアリマスガ、其
御意見ハドウデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=6
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007・小川郷太郎
○小川政府委員 板谷サンノ只今ノ御
話ノ中デ、北海道ハ市制ヲ布イタ所ガ
少ナイカラ、抵當證劵法ヲ發布サレテ
モ恩典ニ與カルコトガ少ナイト云フヤ
ウナ御趣旨ノ御話デアリマシタガ、曾
テ度々申シテ居リマス通リニ、抵當證劵
ノ發行モ其一ツデアリマスガ、又不動
產ヲ抵當トスル債權ヲ質トスル貸付ヲ
爲スト云フコトニナリマスカラシテ、
市制施行地以外ノモノモ、ヤハリ之ニ
依ッテ固定シテ居リマスル不動產貸付
ト云フモノガ流動資金化シテ行クト
云フコトニナルト思フノデアリマス、
ソレデアリマスカラ、北海道拓殖銀行
法中改正法律案ト云フモノガ成立致シ
マスレバ、北海道ノ不動產金融ト云フ
モノハ大變改善サレルモノデアルト、
斯ウ云フ風ニ考ヘテ居リマス、尙ホ東
北ノ比較ヲ私ガ申上ゲマシタニ付テ御
意見ガアリマシタケレドモ、東北デ農
工銀行ノ存シテ居リマスノハ、福島宮
城ノ二縣ダケデアリマスカラ、福島宮
城ノ農工銀行ノ金利ト云フモノヲ以テ
北海道ト比較スルト云フコトハ、私
決シテ不穩當デハナイト思ヒマス、ソ
レニ依ッテ見マスルト云フト、東北二縣
ノ農工銀行ノ金利ト云フモノハ、決シ
テ北海道拓殖銀行ノ金利ヨリハ安イト
ハ言ヘナイ、凡ソ經濟狀態ノ同ジ所ニ
於キマシテ、金利ガ同ジデアルト云フ
コトハ、決シテ不當デナイト思フノデ
アリマス、次ニ北海道ノ拓殖銀行ノ增
資ヲシナイカト云フコトデアリマス
ガ、增資ノ問題ハ銀行內部ノ事デアリ
マシテ、政府カラドウスル、斯ウスル
ト云フコトヲ斯ル席デ申上ゲタクナイ
ト思ヒマス、其事ハドウカ御諒察ヲ願
イタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=7
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008・板谷順助
○板谷委員 ソレハ勿論相手ハ株式會
社デアリマスカラ、株式會社ハ自由デハ
アリマセウケレドモ、特殊銀行トシテ
唯一ノ拓殖地ノ金融機關デアル、殊一
政府ガ監督シテ居ル銀行デアルカラ、
現在ノ北海道ノ不動產金融ニ付テ不滿
足デアルナラバ、適當ノ處置ヲ執ルノ
ハ私ハ政府トシテ當然ヂヤナイカト思
フ、政府ノ責任トシテ當然執ルベキ處
置デハナイカト私ハ考ヘルノデアリマ
スカラ、御所見ヲ伺ッタノデアリマスガ、
更ニ又伺ヒタイノハ現在北海道拓殖銀
行ノ出シテ居ル債劵ト云フモノハ、非
常ニ割ガ惡イ、成程今申上ゲタ通リ資
本金モ不足デアル、又勸業銀行カラ見
レバ看板モ惡イシ、信用モ伴ハヌ、債
劵發行ハ不利デアルカラ、隨テ利子ノ
高イ債劵ヲ出サナケレバナラヌト云フ
コトハ、小川次官モ御說明ニナリ、私
モ同樣ニ考ヘテ居リマスルガ、北海道
拓殖銀行ガ出シテ居ル債劵ト云フモノ
ハ大部分普通銀行ガ應募シテ居ル、其
殆ド半額ト云フモノハ低利資金ト云フ
ヤウナ狀態ニナッテ居リマスルノデ、勸
業銀行ノヤウニ廣ク債劵ヲ募集スル卽
チ一般ノ民衆ノ零細ナ資金ヲ集メルト
云フコトニ付キマシテハ、何ト言ッテモ何
等カ違ッタ方法ニ依ラナケレバナラヌ、
例ヘバ勸業銀行ノ如キ割增債劵ヲ發行
シ、而シテ一般ノ零細資金ヲ集メルト
云フコトニ付テ、吾々北海道ニ居リマ
スル者ガ多年此問題ニ付テ色々努力ヲ
シテ來タノデアリマスルケレドモ、其
實現ヲ今日マデ見ナイノデアリマス
ガ、政府ハソレニ對シテドウ云フヤウ
ナ考ヲ持ッテ居ラレルカ、卽チ民衆ノ資
金ヲ集メルコトニ付テ何等カ一ツ方法
ヲ御考願ヒタイト思フノデアリマスル
ガ、其御所見ヲ伺ッテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=8
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009・小川郷太郎
○小川政府委員 板谷サンノ御話ノ中
ニ增資ト云フコトヲ非常ニ强ク御話ニ
ナリマスガ、併シ今囘拂込資本金額ノ
十五倍ノ限度ノ債券ヲ發行スルコトガ
出來ルコトニナリマス、ソレニ依ッテ北
海道拓殖銀行ガ資金ヲ多ク得ルノデア
リマスカラ、資金ヲ多ク得マスレバ、
融通ガ能ク出來ルト云フコトニナルノ
デアリマス、此方法、デ相當ニ板谷サン
ノ訴ヘラレテ居ル所ノ事情ニ應ジテ行
クコトガ出來ルト考ヘテ居リマス、成
程債劵ヲ發行スルニハ色々應募者ノ多
イコトヲ考ヘルノハ當然デアリマス
ガ、併シ割增金ヲヤルカ斯ウ云フ問題
ニナリマスト、是ハ事頗ル重大ナ問題
ニ逢著致シマス、一體割增金制度ト云
フモノハ、御承知ノ通リニ、多少投機
的ノ分子ガ入ッテ來マスカラシテ、勸業
銀行ニ此制度ヲ認メマスニ付キマシテ
モ隨分ノ議論ガアッタト思フノデアリ
マス、サウ云フヤウナ制度ヲ何處モ彼處
モ用ヒルト云フコトハ、是ハ非常ニ愼
重ニ考究ヲ要スルコトデアルト考ヘマ
ス隨テ政府ガ今日ニ於キマシテ北海
道拓殖銀行ノ債劵發行ニ割增制度ヲ用
ヒルト云フコトニ付テハ、マダ考ヘテ
居リマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=9
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010・板谷順助
○板谷委員 同ジヤウナ問題ヲ繰返ス
ヤウデアリマスケレドモ、北海道ノ金
融ニ取ッテハ重大ナ關係ガアリマスル
カラ、私ハ自分ノ腑ニ落チルマデ、分
ルマデ能ク一ツ御尋ネシナケレバナラ
ヌノデアリマスガ、只今大藏次官ハ又
更ニ繰返シテ一度抵當證劵法ガ實行サ
レヽバ北海道ノ金融ガソレダケ宜ク
ナルト云フ御話デアリマスガ、私共ノ
見ル所ニ依リマスレバ、先程御話ノヤ
ウニ市制ノ布カレテ居ル以外ノ土地ニ
對スル金融ヲ望ムモノガ多イノデア
ル今日マデ貸付ケテ居ル所ノ實體ガ
サウナッテ居ルノデアリマス、是ガ實行
サレマシタ所ガ、私ハ市街地ノ如キ、
卽チ市制施行地ノ宅地、或ハ建物ニ對
シマシテノ需要ト云フモノハ、今御話
ノ如ク或ハ現在ノ十倍カ五倍ニナッテ、
八千四百萬圓程度ニ於テ、稍其希望
ヲ滿タスコトガ出來ルカモ知レマセヌ
ガ、拓殖銀行ノ使命ナルモノハソコニ
ナイノデス、農村ニ於ケル田畑、之ヲ
先ヅ第一ノ主眼トシテ立ッテ居ルノデ
アリマスカラドウセ改正ヲナサルト
云フコトニ付テハ、根本方針ニ觸レル
ヤウニ北海道ニ於ケル不動產、金融機關
トシテノ使命ヲ全ウスル上ニ於テ、モッ
ト一ツ御考慮ヲ願ヒタイ、此意味ニ於
キマシテ手ッ取リ早イ話ガ卽チ增資ヲ
シテ債劵發行額ヲモット殖ヤスカ、或ハ
十五倍ヲ二十倍位ニスルト云フ以外
ニ、私ハ途ガナイト思フカラソレハ政
府ノ責任トシテ監督ニアル責任トシ
テ、成程株式會社デアルケレドモ、
之ニ對應スル策トシテ、私ノ今御話シ
タコトヲ出來ルダケ實現スルコトニ努
力スルト云フ斯ウ云フ御話ガアルナラ
バ私ハ滿足シマス、併ナガラ現狀ニ於
テ殆ド滿足シテ居ルト云フ御答辯デア
ルカラ、勢ヒ私ハ同ジ質問ヲ繰返サナ
ケレバナラヌノデアル、此點ハ能ク一
ツ御諒解ヲ願ッテ置クノデアル、ソレカ
ラ現在北海道ノ不動產ニ對シマシテ
ハ勿論銀行ノ立場カラ行キマスナラ
が、株式會社デアルカラ成ベク損ヲシ
ナイヤウニ、出來ルダケ所謂自衞上安
全ナ途ヲ取ラナケレバナラヌコトハ當
然ナコトデアリマスケレドモ、併シナ
ガラ植民地デアリマスカラ、隨テ未開
地ガ多イ、例ヘバ政府カラ相當ノ土地
ヲ拂下ゲヲ受ケテ居リマシテモ、收入
ガ伴ハナケレバ銀行ハ金ヲ貸サナイ
隨テ五百町步千町歩ト云フ大キナ地積
ト云フモノガ、殆ド空漠タル原野トシ
テ其儘ニ放任サレテ居ルト云フコト
ハ私ガ申上ゲマセヌデモ、大藏次官
モ能ク御承知ノコトヽ思フ、之ヲ拓ク
ニハドウシタラ宜イカ、勿論金融機關
デアル北海道拓殖銀行ト云フモノガ、
先ヅ第一ニ之ニ對スル相當ノ方法ヲ講
ズルノガ當然デアル、收入ガアリマセ
ヌデモ、土地ヲ開墾シテ出來上ッタナラ
バ開墾助成法ト云フモノヽ補助ヲ貰
フモ宜シイ、或ハ又耕地整理ノ場合ニ
於キマシテモ、相當ノ補助金ガ出テ居
ルデアルカラシテ是等ヲ擔保ニシ
テヤルトカ、何トカ未開地ニ對スル相
當ノ金融ノ途ヲ講ズル、之ニ付テ何等
カノ御考ガアリマセヌカドウカ、是モ
一應承ッテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=10
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011・小川郷太郎
○小川政府委員 板谷サンノ只今ノ御
話ニ、政府ハ現狀ニ滿足シテ居ルヤウ
デハナイカト云フヤウナ御趣旨ノ御質
問ガアリマシタガ、實ハ其現狀ヲ改メ
ヨウトシテ此案ヲ提出シテ居ルノデア
リマシテ、第一ハ今申上ゲマシタヤウ
ニ抵當證劵ヲ發行致シマシテ、不動產
ヲ抵當トスル債權ヲ質トスル貸付ヲ行
フコトニスル、ソレデ今マデ固定シテ
居ッタ資金ヲ動カシテ行ク、斯ウ云フコ
トニナリマスカラ、農村ノ田畑ノ方ニ
モサウ云フ金ガ〓ッテ來ルコトニナル
ト思フノデアリマス
ソレカラソレニ對シテ債劵ノ發行額ヲ
拂込資本金ノ十五倍ニスル、ソレデ資
金ガ潤澤ニナル、斯ウ云フヤウナ兩方
面ヲヤッテ居リマスカラ、現狀ニ滿足ス
ルノデハアリマセヌデ、現狀ヲソレダ
ケ善クシテ行クト云フコトニナルト思
フノデアリマス、故ニ債劵發行額ヲ拂
込資本金額ノ二十倍ニシタラドウカト
云フ御話モアリマスケレドモ、ソレハ
程度デアリマシテ、板谷サンガ本會議
ニ於テ御聞キニナリマシテ、十五倍ニ
スル必要ハナイカト言ハレマシタノ
テ、物ニハ順序ガアリマスカラ、十五
倍位ニシタラバ程々ノ所デハナイカト
考ヘルト申上ゲタノデアリマス
次ニ未開地ニモ金ヲ貸スヤウニシタラ
ドウカト云フ御話デアリマスガ、ソレ
ハ御尤ノ御話デアルト思フノデス金
融ヲ求ムル方カラハサウデアリマス、
併シ金ヲ貸ス方カラ言ヒマスト、其資
金ガ還リ、サウシテ其利子ガ十分ニ拂
込マレルト云フコトヲ考ヘナケレバナ
リマセヌデスカラ、其處ハ事ノ宜シキ
ヲ得ルヤウニセナケレバナラヌト思フ
ノデアリマス、成タケ當業者ヲ督勵シ
テ御希望ニ副フヤウニ努メマスガ、銀
行經營ト云フモノヲ考ヘマスナラバ、
非常ナ無理ナ貸出ト云フモノハ出來
ナイ、是ハ又認メテヤラナケレバナル
マイト思フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=11
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012・板谷順助
○板谷委員 ドウモ私ハ未ダ自分ノ腑
ニ落チマセヌガ爲ニ、遺憾ナガラ同ジ
質問ヲ繰返サナケレバナラヌカラ、更
ニ御尋致シマスト云フコトヲ御承知置
ヲ願ッテ置キタイ、再三繰返シテ申スヤ
ウデスガ、抵當證劵法ガ實施サレヽバ、
ソレダケ資金ノ運轉ガ善クナルト云フ
コトヲ御話ニナルナラバ、私ハ更ニ聞
カナケレバナラヌ、今現在ノ北海道拓
殖銀行ガ如何ナル方面ニ貸付ヲシテ居
ルカ、如何ナル方面ガ最モ資金ノ需要
ヲ多ク望ンデ居ルカト云フコトヲ申上
ゲタノデアルガ、此抵當證劵法ガ實施
サレマシタナラバ、北海道拓殖銀行ハ
其取ッタ所ノ抵當證劵ヲ他ヘ持ッテ行ッタ
ナラバ、無論金ノ融通モ出來マセウケ
レドモ、御承知ノ通リ特殊銀行デアリ
マスカラ利子ガ安イ、利子ガ安イカラ
拓殖銀行ガ取ッタモノヲ、或ハ勸業銀行
ナリ、其上ノ銀行ニ持ッテッ行タナラバ
ソレハ別問題デアリマスケレドモ、今
アナタガ御話ノヤウニ、中々サウ各方面
シン、普通銀行ガ貸シテ居ル證劵ヲ外
ニ持ッテ行クヤウニ、拓殖銀行ガ取ッタ
抵當證劵ト云フモノハ。サウ廣ク運用
ナドヲサレルモノデハアリマセヌ、實
際ニ於テアリマセヌ又將來ニ於ケル
資金ノ需要ハ、北海道ノ開發ニ對シテ
ハ何ト言ッテモ市制ノ施行シテ居ル以
外ノ方面ニ於テ、最モ多イノデアリマ
スカラ、之ニ付テ御考慮ヲ願ヒタイ、勿
論現狀ニハ御滿足ニナッテ居リマスマ
イシ、又抵當證劵ノ發行ノ結果幾分ノ
效果ハアリマスケレドモ、拓殖銀行ハ
株式會社デアルト言ッテモ特殊銀行デ
アッテ、政府ガ監督ノ責任ノアル銀行デ
アリマス、勿論何レノ銀行ニ對シテモ
責任ハアルガ、殊ニ特殊銀行トシテ唯
一ノ使命ノアル拓殖地ノ不動產銀行デ
アリマスカラ、吾々モ出來ルダケ拓殖
銀行ニ向ッテ、一面ニ於テハ增資ヲサ
セ、或ハ一面ニ於テハ出來ルダケ內部
ノ改善ヲ圖ルコトニ付テ吾々ガ迫ル、
迫ルケレドモ政府ニ於テモソレダケ位
ノ勞ヲ執ッテ、北海道ノ爲ニ努力シテ戴
キタイ、ソレヲサセルト云フコトノ御
言明ガ出來ナイノデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=12
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013・小川郷太郎
○小川政府委員 同ジコトヲ繰返スヤ
ウデアリマスガ、少クトモ此改正法律
案ニ於テ、北海道拓殖銀行ノ資金ガ從
來ヨリモ潤澤ニナルト云フコトヲ御認
メニナレバ、農村、詰リ田畑ノ方ヘ融
通スルコトモ都合好クナル、斯ウ云フ
コトハ御認メ下サルト思フノデアリマ
スソレヲドレ位ノ程度ニスルカト云
フコトニナリマスト、其處ハ意見ノ相
違ト云フコトニナルカ知レマセヌ只
今申シマシタヤウニ、增資ノ問題トカ
債劵發行高トカ云フヤウナコトニナリ
マスト、色々ナ意見モアリマセウケレ
ドモ、政府ハ今日ノ程度デ宜イト考ヘ
テ居ル譯デアリマス、尙ホ具體的ノ問
題ニナリマスト、色々又銀行ト營業者
ト相談ノ仕方モアルト思フノデアリマ
スカ、大體ノ方針ト致シマシテハ此改
正法律案ハ北海道ノ金融ニ對シテ大變
都合好クナルト云フコトヲ、政府ハ信
ジテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=13
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014・板谷順助
○板谷委員 意見ノ相違デアリマセ
ス、私ハ北海道ノ現狀、拓殖銀行ノ有
樣ヲ申上ゲテ質問シテ居ルノデアリマ
スカ、ドウカ政府ニ於カレテモ、現在
ノ拓殖銀行デハ吾々ハ滿足ヲシテ居ラ
ヌノデアリマスカラ、一面ニ於テ增資
ナリ、又出來ルダケ改善ノ方法ヲ講ジ
テ戴キタイ、是ハ私ハ希望トシテ政府
ニ極力御願ヲ申上ゲヲ置イテ、此質問ハ
此程度ニ止メテ置キマス、更ニ又北海
道ハ御承知ノ通リ島國デアリマシテ、
水產方面ニ對シマスル所ノ金融ト云フ
モノハ極メテ不圓滑デアル、此點ニ付
テ昨日大久保政府政員ニ對シテ現在ノ
漁業-水產ニ對スル貸付方法ガ不完
全デアルカト云フコトヲ御尋シテ置イタ
ノデアリマスガ、是モ私ハ希望ト致シ
マシテ、將來北海道ノ水產金融ニ對シ
マシテハ、唯一ノ不動產銀行デアル所
ノ拓殖銀行ニ對シテ、出來ルダケ此途
ヲ拓ク方法ヲ講ジテ戴キタイト云フコ
トヲ御願シテ置キマス、更ニ北海道ノ
金融問題卽チ拓殖銀行ニ關聯ヲ致シマ
シテ、最モ重大ナル關係ニアリマスル
北海道ノ拓殖計畫ノ財源ニ付テ御尋ヲ
シタイ、是ハ小川次官竝ニ北海道長官
ノ御兩君ニ對シテ御伺致シタイト思フ
ノデアリマスガ、先達ノ私ノ本會議ニ
於ケル所ノ質問ニ對シマシテ、小川次官
ハ昭和五年ニ於ケル所ノ北海道拓殖計
畫ナルモノハ前年度ノ北海道ニ於ケ
ル一般會計ノ超過收入ヲ以テ、其財源
ニ充テル、斯ウ云フ建前ニナッテ居ル
ノデアリマスガ、昭和五年度ノ豫算ハ
二千七百三萬圓ト計上サレテ居ルノデ
アリマス、併ナガラ拓殖計畫ノ年度割
カラ申シマスルナラバ、三千十三萬四
千圓ナケレバ出來ナイ、是ハ年度割デ
アル、所ガ前年度超過收入ハ一一千七百
三萬圓シカナイ、是ハ北海道廳カラ出
テ居ル所ノ北海道ノ拓殖豫算參考書ニ
明細ニ記載サレテ居ルノデアリマス、
然ルニ昨年ノ臨時議會ガ終了致シマシ
テ、三週間經ツカ經タナイ中ニ、實行
豫算ト稱シテ百八十八萬圓ヲ減ゼラレ
タ、卽チ北海道ノ超過收入ヨリ百八十八
萬圓ヲ奪取シタモノデアルト私ハ申上
ゲタノデアリマスルガ、サウヂヤナイ
ト云フ御話ニナッタノデアリマス、二千
七百三萬圓ト云フモノハ前年度ニ於ケ
ル所ノ超過收入デアッテ、一般會計カラ
一厘モ補充サレテ居ル金額デハアリマ
セヌカラ、之ヲ御認メニナルカドウカ、
若シ小川次官ガ御分リニナリマセヌナ
ラバ、北海道長官デモ宜シウゴザイマ
スカラ、ドウゾ御答辯ヲ願ヒタイト思
ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=14
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015・小川郷太郎
○小川政府委員 昭和五年度ノ北海道
ノ拓殖費ノコトニ付テノ質問デアリマ
ス、是ハチヨット私此前ノ本會議デ簡單
ニ答ヘテ置キマシタガ、此場合能ク御
話ヲシテ置キマス、只今板谷サンカラ北
海道拓殖計畫ノ、昭和五年度ノ年度割ガ
三千十三萬圓ニナッテ居ルト云フ御話デ
スガソレハ其通リデアリマス、是ハ御
承知ノ通リニ昭和二年ニ於キマシテ閣
議決定デ拓殖ノ方針ガ決マッテ居リマ
ス、其時分ノ歳入ヲ基準ト致シマシテ、
年々北海道ノ歲入ガドウ云フ風ニ增シ
テ來ルカト云フコトヲ考ヘ、卽チ自然
增收ヲズット考ヘテ、勿論經費ノ方モ
段々殖エテ來タノデアリマスガ其歲入
ノ超過額ト云フモノヲ考ヘテ、昭和五
年度ニナッタナラバ、約三千十三萬圓ニ
ナル、斯ウ云フ風ニ割出シタノガ、アナ
タノ仰シヤル所ノ年度割ダト思フ、然ル
所其後ノ財界ハ其當時豫想シタ如ク
ニ進マナカッタ、却テ財界ガ惡イデスカ
ラシテ、其增加收入ガ豫期ノ如ク這入ツ
テ來ナイ、從テ歲入ノ超過額ト云フモ
ノガ違ッテ來タ、斯ウ云フコトニナルノ
デスカラ、三千十三萬圓ト云フノハ今
標準ニナラナイト思フ、二千七百三萬
九千圓程ノモノガ、昭和二年ノ閣議決
定ニ基イタ拓殖費ノ財源ニナリマス
是ガドウ云フ風ニシテ出來テ來タカト
言ヘバ、丁度閣議決定ニ依ッテ出來タノ
デアリマス、此處ニ一ツ其計數ヲ申上
ゲマスガ昭和五年ノ財源ハ、昭和四年
度豫算ニ於ケル歲入超過額ガ、二千三
百六十四萬八百四十七圓ニナリマス
ソレカラ昭和三年度決算ニ於ケル剩餘
額ガ百三十一萬七千百八十三圓、昭和
三年度道外法人ノ收入、卽チ北海道以
外ノ所カラ、法人所得稅ヤ其他ノ法人
營業收益稅ナンカノ收入ガ這入ッテ參
リマス、是モ見テアリマス、ソレガ二百
八萬千八百九十一圓、此三ツヲ合計シ
タモノガ二千七百三萬九千九百二十一
圓デアリマス是ガ只今御話ニナッタ二
千七百萬圓餘ノ數字デアリマシテ、此
數字ハ若槻內閣ノ時分ノ閣議決定ノ、
アノ方針ノ儘デ計算シタモノデアリマ
ス、豫算ハ斯ウ云フ風ニ出來テ居リマ
スカラ、何モ間違ッタコトハアリマセ
ヌ所デ今アナタノ問題ニセラレテ居
リマス百八十八萬圓ヲ一般會計ニ奪ッ
タノデハナイカト云フコトデアリマス
ガ、ソレハサウデナイ、是ハ私ハ本會議
デ申上ゲタノデアリマスガ、御承知ノ
通リニ昭和五年ハドウ云フ時デアルカ
ト言ヘバ、非常ニ歲入ガ減ズル-世
界不景氣ノ影響ヲ受ケテ歲入ガ非常ニ
減ズル、斯ウ見タノデアリマス、原因ニ
付テハ人各〓觀ル所ヲ異ニシマセウガ、
實際收入ガ減ズルト云フコトハ何人モ
之ヲ認メザルヲ得ナイ、政府ハ昨年ノ
七月頃ニ、初メノ豫算ヨリハ八千萬圓
程モ租稅其他ノ經常收入ガ減ズルモノ
ト見タノデアリマス、政友會ノ皆サン
ノソレヨリモモット減ルノデハナイカ
ト云フヤウナ御話モアルヤウナ次第デ
アリマス、ダカラサウ云フヤウナ氣持
ヲ是認シテ行キマスト、ドウナルカト
云フト、北海道モ單リ例外タル能ハズ、
ヤハリ收入ガ減ルノデハナイカ、斯ウ
見ルノガ私ハ當然ダト思フノデアリマ
ス、ソレデ收入ノ減ズルト云フコトヲ
ヤハリ見テ來タ譯デアリマス、特ニ歲
入ハ減ゼナイモノト見テ、サウシテ豫
算ヲ行フト云フコトハ北海道拓殖計畫
ノ趣旨デハナイ、斯ウ考ヘタ譯デアリ
マハ、又他方ニハ物價ガ下ッテ居リマス
カラシテ、其物價ノ下ッタコトヲ金ヲ支
出スル方ニモ考ヘナケレバナラヌ、ソ
レヲ行政ノ經濟化ト政府ハ言ッテ居リ
やっ、兎ニ角物價ガ安イカラ、ソコニ
金ヲ出スコトヲ多少加減シテ行カナケ
レバナラナイ斯ウ云フ譯デ割出サレタ
モノガ、歲入ノ方ト歲出ノ方トデ百八
十八萬圓ト云フ金ガ出テ來タノデアリ
マリ、經費ノ方カラ言ヒマスレバ百八
十八萬圓ヲ節約シタノデアリマス、ソ
レダケノモノハ北海道ノ收入ガ減ル、
斯ウ云フ風ニ見タ譯デアリマス、或
モット突込ンデ八千萬圓ノ歲入減デハ
足リナイト云フ論者ニ言ハセマスト
北海道ノ歲入ハ百八十八萬圓ドコロデ
ハナイ、モット減ルト言フカモ知レマセ
ヌ、併シ政府ハマア此位デアラウト云
フ所ヲ抑ヘテ、百八十八萬圓位歲入モ
減ルデアラウカラ、歳出モ百八十八萬
圓位節約ヲシテ行カウ、斯ウ云フコト
デ百八十八萬圓ト云フ數字ガ出テ來タ
ノデアリマス、卽チ二千七百萬圓ノ豫
算ニ付キマシテ、實行豫算デ實行額ト
云フモノガ二千五百十五萬九千四百四
十八圓、斯ウ云フ數字ガ出テ來タノデ
アリマシテ、何モ之ヲ一般會計ノ方ヘ
奪フト云フコトニハナラナイノデアリ
マス、北海道ノ收入ガ減リ、北海道ノ拓
殖ノ歲出ガ減ル、斯ウ云フコトヲ見テ
取ッタノデアリマスカラ、何モ一般會計
ヘ少シモ奪ヒ取ルト云フヤウナコトニ
ナラナイ、其コトヲ私ハ本會議デ御答
ヘ申シタ譯ナノデアリマス、併シ將來
ニ於テ政府ノ思ッテ居ルヨリモ歲入ガ
多ク入ッテ來タト假ニシマス、サウシマ
スト歲入剰餘ト云フモノガ出テ來マス
カラ、歳入剩餘ト云フモノヲ今度ハ後
年度ノ拓殖費ノ財源ニ使用スルコトニ
ナッテ居リマス、ソレハ若機內閣ノ時ニ
閣議デ決マッテ居リマスカラ、其時ニ至
リマシテ若シ決算デ剰餘ガアルト致シ
マスト、昭和七年度ノ拓殖費ノ財源ニ
ナッテ來ルダラウト思フノデアリマス、
一般會計ガ之ヲ奪フトカ何トカ云フヤ
ウナコトハナイ譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=15
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016・板谷順助
○板谷委員 サウ致シマスト今ノ御說
明ニ依リマスレバ、昭和三年度ノ決算
竝ニ道外ノ收入二千七百三萬圓ト云フ
モノガ、北海道ニ於ケル前年度ノ超過
收入デアル、是ハ御認メニナルノデスナ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=16
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017・小川郷太郎
○小川政府委員 サウデス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=17
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018・板谷順助
○板谷委員 更ニ質問シタイト思フノ
デアリマス、昭和五年度ノ豫算ハ御承
知ノ通リニ、民政黨內閣時代ノ臨時議
會ニ於テ、一般會計カラ何等ノ補充ヲ
サレズシテ、前年度ノ超過收入二千七
百三萬圓ヲ決定シタノデアリマスガ
其後ニ於ケル大藏省ノ態度ハ其中カ
ラ三百七十六萬圓ヲ減ズルト云フヤウ
ナ、大藏省ノ原案デアッタノデアリマ
ス、所ガ色々長官始メ他ノ方面ノ人々
ノ努力ニ依ッテ、ソレノ半分ガ復活サレ
テ、百八十八萬圓ヲ復活サレタ、斯ウ
云フノデアリマシテ、大藏省ガ其節執ヲ
タ所ノ態度ハ、三百七十六萬圓ヲ減ズ
ルト云フ原案デアッタ、サウスルト今大
藏次官ノ御話ノヤウニ、北海道ノ超過
收入ヲ奪フ-ト云フ言葉ハ語弊ガア
ルカ知リマセヌガ-北海道ニ於テハ
所謂自給自足主義ハ當然執ラナケレバ
ナラヌ、ソレノニ三百七十三萬圓ト云
フモノヲ、唯無謀ニ中央ニ於ケル歲入
ガ減ジタガ爲ニ減ズルト云フ原案ガ出
タ以上ハ、私ハ今ノ御話ノ御趣意ト副
ハヌモノト思フ
更ニ伺ヒタイノハ昭和六年度ノ豫算
ハ、道廳カラ内務省ニ差出シタ所ノ金
額ハ慥カ二千八百四十七萬圓ト聞イ
テ居リマス、卽チ是ハ百八十八萬圓其
他前年度カラズット來タ所ノ金ヲ加ヘ
テ、長官ガ內務省ニ對シテ要求ヲサレ
タ、其中カラ四百四十三萬圓ト云フモ
ノヲ減ゼラレタ、更ニ又小川次官ノ御
話ノ如ク北海道ノ財源ノ大體ノ基本ト
云フモノハ二千五百十五萬圓ニナッテ
居ル、如何ナル場合ニ於テモ此基本ノ
二千五百十五萬圓ト云フモノハ動カ
スコトガ出來ナイ建前ニナッテ居ルヤ
ウニ私ハ聞イテ居リマス、然ルニ此基
本ノ二千五百十五萬圓カラ引クコト百
十一萬圓、是ハ政府ガ所謂五分ノ天引
ヲサレタ其飛バッチリヲ喰ッテ、ヤハリ
北海道ノ拓殖財源ト云フモノハ引カレ
タ形ニナッテ居ルヤウニ思フノデアリ
マスガ吾々ノ見ル所カラ言フト全
然前年度ノ超過收入ト云フモノハ基本
トセズシテ、而シテ唯政府ノ都合ニ依ツ
テ之ヲ引カレタモノデアル、斯ウ云フ
風ニ解釋シテ居ルノデアリマスガソ
レニ對スル御意見ハ如何デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=18
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019・小川郷太郎
○小川政府委員 初メノ昭和五年度ノ
財源ハ前申述ベタヤウナ譯デ、昭和
四年度ノ豫算ニ於ケル歲入超過額ト
昭和三年度ノ決算ニ於ケル剩餘額ト、
昭和三年度ノ道外法人ノ收入トノ三ツ
デ形作ラレテ居ル、是ハ前ノ閣議ノ決
定ノ通リデアリマス、ソレカラ昭和六
年ノ方デアリマスガ、六年モ亦今言フ
ヤウナ三ツノモノカラ出來テ居ルノデ
アリマシテ、詰リ二千四百四萬千八百
九十二圓ニナッテ居リマスガ、ソレモ昭
和五年度ノ歲入歲出實行豫算ニ於ケル
所ノ歲入ノ超過額ト、昭和四年度ノ決
算剩餘額ト、昭和四年度ノ北海道外法
人收入額ト云フモノヽ三ツヲ合セテ見
ルト、二千四百四萬千幾ラニナルノデ
アリマス、ソレデ此計算ノ仕方ハ、閣
議ノ決定ノ通リデアリマス所デ尙ホ
長官ノ方デ要求セラレタヤウナモノ
ハ此決定以外ニ、他ノ拓殖費ト云フ
モノハ是レ位要ルカラ、是ダケノ經費
ヲ認メヨト斯ウ云フ要求ガ出ルノ
デアリマスカラ、ソレハ「プラス」ニ
ナリマス、其事ハ曾テ昭和三年四年ニ
モアッタ例デアリマシテ、若槻內閣ノ閣
議決定ノ其財源以外ニ、更ニ一般會計
ノ方カラ金ヲ取ッテ來ヨウト云フヤウ
ナコトヲ考ヘラレルノハ、北海道長官
トシテ決シテ不都合デハナイ、ソレハ
職ニ忠實ナル爲ニサウ云フ要求ヲ出ス
ノハ當然ダト思ヒマスガ、併シ今日ノ
如ク財政ガ困ッテ居リマス時分ニハ、サ
ウ云フ若槻內閣ノ閣議決定以外ノモノ
ヲ一般會計カラオ助ケ申上ゲルコトハ
今出來兼ネル、斯ウ云フ事ニナッテ、北
海道長官ノ要求ガ其通リニナラナカッタ
ト云フコトハ、是ハ已ムヲ得ヌコトヽ
思フノデアリマス、其點ヲ一ツ能ク御
諒解ヲ願ヒタイノデアリマス、ソレデ
アリマスカラ今板谷サンノ御話ニナリ
マシタ昭和五年ノ實行豫算節約ニ付キ
マシテモ、初メ三百七十萬圓ト言ヲテ
居ッテ、ソレガ百八十萬圓ニナッタ、斯ウ
云フヤウナ事モ多少北海道拓殖ノ方カ
ラ言フト、金ヲ餘計使ヒタイト云フコ
トヲ北海道長官ガ御考ヘニナルノハ當
然デアリマスケレドモ、實ハ是ハ內輪
ノ話デアリマスケレドモ北海道ノ收
入ガドレ位減ルカ、是ハ見込デアリマ
スガ、今百八十八萬圓ニ落付イテ居リ
マスケレドモ、實際ハアナタデモ一寸
御考ヘ下サイ、政府ガ初メ三百七十萬
圓程要求シタト云フコトハ、是ハ虛心
坦懷ニ考ヘタラ、決シテ好イ加減ナ無
理ナ事ヲ言ッテ居ルトハ御考ヘニナル
マイト思フノデアリマスガ、併シ其處
ハ見込ニ付テ、北海道長官ト大藏省ト
ノ間ガ、百八十八萬圓ノ限度デ收入モ
減ルダラウ、經費モ其邊ノ所デ減ジテ
行カウ、斯ウ云フ事ニ折合ッタノデアリ
9月、是ハ見込ノ話デアリマスカラ、
決算ニ於テハ或ハ恐ル、大藏省ノ初メ
申上ゲタヤウナ數字ガ出ルノデハナイ
カ、斯ウ思ッテ居リマス、サウ云フ數字
ガ出タラドウスルカト云フト、昭和七
年ノ方ノ財源ガ苦シクナッテ來ルコト
ニナルト思フノデアリマス、何モ昭和
五年度ニ北海道長官ノ言ハレタコト
ヲ、吾々ガ削ッタト言ヒマスカ、値切ッタ
ト言ヒマスカ、サウシタ所デ北海道ノ
方ニ惡イ結果ガ來ルモノデハアリマセ
ヌ、若シ北海道長官ノ要求ニ應ジテ其
通リニヤッテ行ッタナラバ、昭和七年ノ
財源ガモット酷イコトニナリハセヌカ、
北海道ニ對シテ大藏省ノ今ヤッタコト
ガ迷惑ニナルコトニハナラナイ、サウ
云フヤウニ考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=19
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020・荒川五郎
○荒川委員長 板谷君ハ北海道ノ拓殖
ニ御熱心デアルカラ、成ベク寬容シマ
スガ、モウ此程度デ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=20
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021・板谷順助
○板谷委員 モウ一言ダケ-是デ止
シマス-只今小川政務次官ヨリ北海
道ノ昭和五年度ノ豫算、卽チ民政黨内
閣ニ於テ決定シタル所ノ金額二千七百
三萬圓ト云フモノハ前年度ノ超過收
入デアル、此明快ナル御答辯ヲ得マシ
テ私ノ質問ニ對スル此點ハ滿足致シマ
ス、併ナガラ其後ニ於ケル所ノ事ニ付
キマシテ、縷々御話ガアリマシタケレ
ドモ、是ハ私能ク諒解致シマセヌ又
御答辯モ極メテ不滿足デアル吾々ハ
卽チ前年度ノ超過收入ナルモノハ、北
海道ニ於テ全部使フモノデアル、中央
ニ於ケル所ノ歲入ハ減ジテモ、建前ト
シテ使フモノデアルト云フ此信念ニ於
テハ何等變リハナイノデアルガ、今前
年度ノ超過收入デアルト云フ御言明ヲ
得タコトデ滿足シテ置キマス、尙ホ此
問題ハ委員長カラ御注意ガアリマシタ
カラ、他ノ適當ノ機會ニ御質問致シタ
イト思ヒマス、尙ホ序デスカラ甚ダ
恐縮デアリマスガ、長官ニ對シテ一言
質問ヲ致シテ置キマス、先程申上ゲマ
シタ北海道ノ工業學校ノ問題ニ付キマ
シテ、道會デ既ニ決定シタ其後ニ、所謂
實行豫算トカ何トカ言ッテ學科ヲ縮小
シタト云フコトニ付テ道民ガ非常ニ心
配シテ居ルノデアリマスガ、之ニ對シ
テハサウ云フコトハアリマセヌカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=21
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022・池田秀雄
○池田政府委員 サウ云フコトヲ私ノ
方ヘモ地方ノ人ガ陳情シヨウトシテ來
タノガアリマス、私ハサウ云フコトハ
アリ得ベカラザルコトヽ思ッテ居リマ
シタガ、唯念ノ爲ニ學務部長マデ、斯ウ
云フモノガ來テ居ルガ、ソレハサウ云
フコトハナイ筈ダガドウカト云フコト
ヲ照會シテ居リマスマダ返事ハ來マ
セヌ、併シ私ハサウ云フコトハナイト
今ノ所思ッテ居リマス唯留守中デゴザ
イマスルカラ、返事ガ來レバ明ニナル
コトヽ思ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=22
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023・板谷順助
○板谷委員 サウスルト若シソレヲ
削減スルヤウナ返事ガ來マシタ場合ニ
ハアナタハソレニ反對シテ阻止シテ
下サルト云フ御考デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=23
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024・池田秀雄
○池田政府委員 ソレハ一寸事情ヲ聽
イテ見ナケレバ、今明ニ分リマセヌケ
レドモ、今ノ所ハサウ云フコトハアリ
得ベカラザルコトヽ思ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=24
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025・荒川五郎
○荒川委員長 是ヨリ貯蓄銀行法中改
正法律案ノ審議ニ移リマス、ソレニ付
テ政府ニ於テ必要ト認ムル所ヲ御說明
ヲ願ヒマス-小川政務次官発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=25
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026・小川郷太郎
○小川政府委員 貯蓄銀行法中改正法
律案ノ提案ノ理由ハ、本會議デ極メテ
簡單ニ說明ヲシテ置キマシタガ、是カ
ラノ御質問ノ便宜ノ爲ニモウ少シ進ミ
マシテ此提案ノ理由ヲ說明シテ置キタ
イト思ヒマス
我國ノ貯蓄銀行ハ沿革モ相當舊ク、又
郵便貯金及信用組合ノ制度ト相俟ッテ
貯蓄機關トシテ發達シテ來タモノデア
リマシテ、大正十一年貯蓄銀行條例ヲ
廢シ、貯蓄銀行法ヲ實施致シマシテヨ
リ、其制度モ略ミ整備シ、銀行ノ狀態
モ漸ク改善セラルヽニ至リマシタガ、
貯蓄銀行法ヲ施行致シマシテヨリ約十
年餘ヲ經過シ、其間財界ノ變遷、信託
法規ノ制定、其他實施後ノ實情ニ鑑ミ
マシテ、現行法ニ一部ノ改正ヲ加フル
必要ヲ認メマシテ本案ヲ提出シタル次
第デアリマス、而シテ今囘ノ改正ニ當
リマシテモ、貯蓄銀行ハ零細ナル資金
ヲ受入レ之ヲ安全確實ニ保管利殖スル
機關ナリトスル現行法ノ精神ハ毫モ變
更スル必要ヲ認メマセヌカラ、此方針
ハ依然之ヲ遵守スルコトヽ致シマシテ
改正ヲ企テタノデアリマス
改正ノ第一點ハ、貯蓄銀行ノ業務中ニ、
國債、地方債又ハ特別ノ法令ニ依リ設
立シタル法人ノ債券ノ割賦販賣及ビ是
等有價證劵ノ募集又ハ其元利金支拂ノ
代理取扱ヲ追加スル點デアリマスガ、
有價證劵割賦販賣ハ、庶民階級ノ貯蓄
ノ一方法トシテ極メテ適當デアリ、又
元來割賦販賣ガ貯蓄銀行ノ定期積金ニ
極メテ類似シテ居リマスノデ、之ヲ貯
蓄銀行ニ併營セシメルコトヲ認メマシ
テ、又販賣スベキ有價證劵ノ募集ヤ元
利金ノ代理支拂ヲ貯蓄銀行ニ取扱ハシ
ムルモ別段支障ナキノミナラズ、却テ
便宜ガ多カラウト思ヒマシテ、之ヲ追
加致シマシタ
改正ノ第二點ハ、資金及有價證劵ノ運
用範圍ノ擴張デアリマスガ、今囘運用
範圍ノ擴張ヲ認メマシタモノハ、道府
縣市町村ニ對スル短期貸付、小額短期
貸付、大藏省預金部ヘノ預ヶ金、信託
曾社ヘノ金錢信託及有價證劵ノ信託、
竝ニ信託會社ノ引受アル手形ノ買入デ
アリマスガ、右範圍ノ運用ハ、其確實
性ヨリ見テ、又ハ庶民階級ノ經濟力ノ
增進、又ハ貯蓄ノ美風涵養等ヨリ見マ
シテ、之ヲ貯蓄銀行ニ許スヲ適當ト認
メマシタ次第デアリマス、唯是等ノ資
金運用ニ付キマシテハ、種々ノ點ヲ考
慮致シマシテ、貯蓄銀行ガ放慢ナル經
營ニ流レナイヤウ相當制限規定ヲ設ケ
テ居リマス、特ニ小額無擔保貸付ノ如
キハ其性質上愼重ニ取扱フ必要ガア
リマスノデ、一人ニ對シテ千圓以内ニ
限リ、且ツ其總額ハ拂込資本金及準備
金ノ五分ノ一ヲ限度トスルコトヽシ、
又其貸付ニ付テハ二人以上ノ確實ナ
ル保證人ヲ要スルコトヽ致シマシタ
次ニ改正ノ第三點ハ大藏省預金部ヘノ
預ヶ金ヲ以テ貯蓄銀行ノ供託證劵ニ代
用セシムル點デアリマス、現行法ニ於
キマシテハ預金其他ノ受入金ノ拂戾
擔保ハ供託シテアル國債、其他ノ有價
證劵ニ限ラレテ居リマスガ、大藏省預
金部預金ハ國債ト同樣、拂戾擔保トシ
テ安全且ツ適當ナルノミナラズ、資金
運用ニ於テ之ヲ認メマシタ關係上供託
有價證劵ニ代用スルコトヲモ認メタイ
ト存ズル次第デアリマス、宜シク御審
議アランコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=26
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027・荒川五郎
○荒川委員長 是ヨリ各條文ノ改正ヲ
要スル主ナル點ニ付テ逐條御說明ヲ願
ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=27
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028・大久保偵次
○大久保政府委員 甚ダ勝手デゴザイ
マスガ、御手許ニ「貯蓄銀行法新舊條
文對照表」ト云フノヲ差上ゲテゴザイ
マス積リデアリマス、之ニ改正ニナリ
マシタ所ダケヲ黑イ線ヲ引張ッテゴザイ
マス、大體ソレニ依ッテ御說明申上ゲタ
方ガ便宜ト思ヒマノスデ御許ヲ願ヒタ
イト思ヒマス、主要ノ三點ニ付キマシテ
ハ只今小川政務次官カラ御說明ニナ
リマシタ通リデゴザイマス、貯蓄銀行
法ハ大體ニ於テ現在ノ制度ヲ崩サナイ
デ行キタイト云フ趣旨デ、三點ノ改正
ヲ加ヘマシタノデアリマス
其第一ハ第五條ノ六ニ載フテ居リマ
ス點デゴザイマス、先程小川政務次官
カラ御說明ニナリマシタ通リ、有價證
劵ノ割賦販賣ヲ認メルト云フ趣旨デゴ
ザイマス、六ノ所ニハ「國債、地方債
又ハ特別ノ法令ニ依リ設立シタル法人
ノ債劵ノ割賦販賣」、此割賦販賣ハ今日
有價證劵割賦販賣業法ト云フ法律ガゴ
ザイマス、是ハ大正八年デゴザイマシ
タカ出來テ居リマス、其有價證劵割賦
販賣業ノ現狀ヲ觀テ見マスト、頗ル振
ヒマセヌノデアリマス大正八年ニハ
二十三、大正九年ニハ二十六、大正十
年ニハ二十五、大正十一年ニハ二十四ト
云フヤウナ工合デ、其後ハ低減シテ參
リマシテ、昭和四年ハ八ト云フコトニ
ナリマス、昭和二年ハ十一、昭和三年
1九、昭和四年ハ八、斯ウ云フ風デ現
今ニ至ッテ居ルノデゴザイマス、是ハヤ
ハリ貯蓄ト同ジ性質ノモノデゴザイマ
シテ、所謂證劵ノ民衆化ト云フヤウナ
意味ヲ以チマシテ、諸外國ニモ行ハレ
テ居ルノデゴザイマス、ソレデ曩ニ政
府ニ於テハ有價證劵ノ民衆化ヲ圖リマ
ス爲ニ、有價證劵割賦販賣業法ヲ制定
セラレテ居リマスケレドモ、其數ト云
フモノハ頗ル振ヒマセヌ、現在ニ於テ
ハ益〓振ハナクナッテ來テ居リマス、ソ
レデ此振ハナイ原因ガ、ドウ云フ點ニ
アリマスカト云フコトヲ探究シテ見マ
スト、大體ニ於キマシテ採算ガ取レナ
イト云フコトガ主要ニナッテ居リマス
ガ有價證劵ノ民衆化、殊ニ國債ノ民
衆化ト云フコトハ非常ニ大切ナ事柄デ
ハアリマスケレドモ、其趣旨ガ民衆ニ
徹底シテ居リマセズ、隨テソレ等ヲ營
業ト致シマスニハ、種々勸誘其他ノ宣
傳ト云フヤウナコトニ金ガ掛リマシ
テ、募集其他ノコトニモ相當ナ施設ガ
要ルサウデアリマス、而モ思ウヤウニ
行カナイノデ、遂ニ引合ハナイト云フ
コトデ以テ、漸次斯ウ云フ風ニナッテ來
テ居リマス、然ルニ貯蓄銀行ノ方ハ、
御承知ノ通リ零細ナ資金ヲ取扱フテ居
リマス、昨今ハ募集、其他ノ方法ニ於
テモ餘程秩序アル、整頓セラレタル方
法ニナッテ來テ居リマス、之ヲ貯蓄事業
ト同時ニ併セテ行ヒマスレバ、要スル
ニ仕事ノ傍ラニ致シマス譯デアリマス
カラ是ハ經濟的ニ頗ル宜カラウ、大
體ニ於テ目的モ似テ居ルコトデアリマ
ス、結局スル所現金ヲ受取ルカ、國債
ヲ受取ルカト云フダケノ差デゴザイマ
スカラ、斯ウ云フ風ナ方法ハ、貯蓄銀
行ノ業務トシテハ最モ相應シイコトデ
アラウト云フノデ、追加致シタノデア
リマス、勿論一般的ノ有價證劵ト云フ
コトハ頗ル考物デアラウト思ヒマスカ
ラ、其點ニ付テハ嚴ニ制限ヲ致シマシテ、
國債、地方債又ハ特別ノ法令ニ依リマ
スモノ、勸業債劵ト云フ風ナモノニ之
ヲ限定シマシテ、所謂投機トカ云フ風
ナコトニ亙ラヌヤウニ、嚴ニ愼ンダ次
第デゴザイマス、其次ノ第七號ハ要
スルニソレノ追加デゴザイマシテ、既
ニ第六號ニ於テサウ云フ風ナモノヽ取
扱ヲ許シマス以上ハ、其證劵ノ募集、元
利金ノ支拂ト云フ風ナ、關聯シタ仕事
ヲサセテ行キタイト云フ趣旨ニ外ナラ
ヌノデゴザイマス
其次ノ第九條ガ、先程御說明ニナリマ
シタル大藏省預金部ヘノ預ヶ金ヲ以テ
供託有價證劵ニ代用サセルト云フコト
ヲ規定致シマシタノデアリマス、「主務
大臣ノ定ムル所ニ依リ大藏省預金部ヘ
ノ預ヶ金ヲ以テ前項ノ供託ニ代フルコ
トヲ得」大藏省預金部へノ預ヶ金ハ國
債ト變リマセヌコトデゴザイマス、既
ニ其預ヶ金ヲ許シテアリマス以上ハ、
之ヲ供託有價證劵ト同樣ニ扱ッテヤラ
ウト云フノデゴザイマス
ソレカラ第十條ハ、主トシテ現行法規
ノ補充ト申シテ宜シイノデゴザイマ
ス、現行法第十條ハ大略言ヒマスト預
金者ノ爲ニ、貯蓄銀行ハ每半期末ノ預ツ
テ居リマス金額ノ殘高ノ三分ノ一以上
ヲ、原則トシテ國債證劵ヲ以テ供託ヲ
シテ置ク、要スルニ預金者ノ保護ヲ其
點ニ付テ完全ニスルト云フ制度ニナッ
テ居リマス、其供託物ニ付キマシテハ、
預金者ハ優先シテ支拂ヲ受ケル權利ヲ
有ッテ居リマス、ソレダケ預金者ノ方ニ
ハ保護ヲ厚クシテアリマス制度デゴザ
イマス、今度ハ新ニ追加致シマシタ有
價證劵ノ割賦販賣ヲ致シマスカラ、其有
價證劵ノ割賦販賣ニ依ル債權者-掛
込金者、其人達ニモヤハリ同ジク優先權
ヲ認メルコトガ公平デゴザイマスカラ、
其事ヲ追加致シマシタ次第デコザイマス
其第二項ノ所ニ「前項ノ規定ニ依リ
優先辨濟ヲ受クル範圍ハ預金額、給
付金額又ハ給付ヲ受クヘキ有價證劵
ノ時價ヲ限度トス但シ給付金又ハ有價
證劵ノ給付ヲ受クヘキ債權ニシテ、給
付金又ハ有價證劵ノ給付時期到來セサ
ルモノニ付テハ既ニ拂込ミタル金額ヲ
限度トス」是ハ實際上ノ取扱ニ付キマ
シテ、現在ノ法律ノ趣旨ヲ解釋致シマ
ス上ニ、多少誤解デモ起ルコトガアッテ
ハイカヌト云フノデ、斯ウ云フ追加ヲ
致シマシタノデアリマス、現在ノ取扱
モ大體此趣旨デヤッテ居リマスノデス
ガ、此法ヲ執行シテ行キマス方面ノ側
カラ、明ニ此趣旨ヲ規定シテ置イタ方
ガ宜イヂヤナイカト云フ風ナ註文ガア
リマシタ、預金額ニ付テハチヤント定
マッテ居リマスガ、定期積金トカ、或ハ
今度有價證劵ノ割賦販賣ヲ認メマス方
面カラ見マスト、掛込金ト云フノガアリ
マス、從前ノ書キ方デハ稍〓其點ガ
立法ノ趣旨其他ニ於テハ此通リデゴ
ザイマスガ、適用ガ起ッタ場合ニ、誤解
デハナクテモ、適用ニ迷フコトガ
アリマスカラ、ソレ等ノ給付金トカ或
ハ有價證劵ノ給付ヲ受ケル債權トカ云
フモノニ付テハ、期限ガ到來シナイモノ
ニ付テハ拂込ミタル金額--掛込金額ヲ
以テ其限度トスルト云フコトヲ明瞭ニ
致シマシタニ過ギマセヌノデアリマス
次ニ第十一條ガ、今囘ノ主ナル改正ノ
第三點デゴザイマスガ、要スルニ貯蓄
銀行ハ今日資金ノ運用方法ニ付テハ非
常ニ制限セラレテ居リマス、其制限ヲ
或ル點マデ緩和シテ貰ヒタイト云フコ
トハ當業者ニ於テモ度々希望モ出テ
居ル次第デゴザイマスガ、此程度ナラバ
貯蓄銀行ノ本旨ヲ壞サズ、又實際ニ於テ
危險モナク、又一面庶民金融ノ方ニ役立
ツデアラウト云フコトデ追加致シマシ
タ次第デゴザイマス其第一ハ第六號
ニゴザイマス通リニ「第五條第六號ノ
規定ニ依ル有價證劵ノ給付ヲ受クヘキ
債權者ニ對シ既ニ拂込ミタル賦拂金
ヲ限度トスル貸付」是ハ有價證劵ノ給
付ヲ受ケル者ガ月々幾ラト云フモノヲ
掛ケテ參リマシテ、其掛ケタ金額ヲ限
度トシテ融通シテ貰ヒタイト云フノ
ハ何モ危險ガアリマセヌカラ許シテ
ヤラウ、是ハ既ニ預金ヲ限度トシテ貸
ストカ、或ハ定期積金ノ場合ニモ同ジ
ヤウナ例ガアルノデゴザイマス
第七號ハ「道府縣市町村ニ對スル一年
內ノ貸付」是モ公共團體ニ對スル貸付
ハ別段弊害モナカラウ、併ナガラ貯蓄
銀行ノ性質カラ見マシテ、餘リ長イノ
ハ如何デアラウト云フコトデ、一年以
內ニ之ヲ限リマシタ次第デゴザイマス
第八號「割賦償還ノ方法ニ依ル二年內
ノ貸付」是ハ一般ノ庶民金融ノ目的ヲ
達スル趣旨デアリマス、二年以內ノ貸
付ハ出來マスガ之ニ付テハ-少シ條
ヲ飛ビマスケレドモ、便宜玆ニ附加ヘ
テ御說明申上ゲテ置キマス、第十三條
ノ所ニ「第十一條第一項第八號ノ規定ニ
依ル貸付金ノ總額ハ拂込資本金及準備
金ノ五分ノ一ヲ超ユルコトヲ得ス」ト規
定致シテ居リマス、要スルニ此無擔保貸
付ニ付キマシテハ、拂込資本金及ビ準
備金ノ五分ノ一ノ限度ニ止メサシテ置
ク極ク安全ヲ期スル爲デアリマス
更ニ之ニ付テハ第十三條ニ一項ヲ加ヘ
マシテ「第十一條第一項第八號ノ規定
ニ依ル貸付金ハ一人ニ付千圓以下トシ且
確實ナル二人以上ノ保證アルコトヲ要
ス」ト致シマシタ、是ハ庶民金融ノ方
デ非常ニ實際上ハ希望セラレテ居ル點
デアリマスガ、併シ貯蓄銀行ノ方カラ
見マスレバ、餘程大事ヲ取ッテヤラナ
ケレバナリマセヌノデ、先程申上ゲマシ
タ拂込資本金及ビ準備金ノ五分ノ一ト
シテ安全性ヲ取リマシタ外ニ、一人ハ
付テ千圓ヲ限度トシ、且ツ又二人以上
ノ確實ナル保證人ヲ附ケサセルコトニ
致シマス、之ヲ實驗ニ徵シマスト云フ
ト案外斯ウ云フ庶民階級ニ對スル小
口ノ貸付ト云フモノハ、相當ノ成績ヲ
擧ゲテ居ル次第デアリマス、貯蓄銀行
デハアリマセヌガ、他ノ銀行ニ於テモ
此頃此趣旨デヤッテ居ル例モアリマス、
普通銀行等ニ於テモ、地方ニ依リマシ
テハ餘程是ガ能ク行ハレテ居ル例モゴ
ザイマス、無擔保デアルカラト云フ風
ナ懸念ガ、案外ニ實際ニハ能ク行ハレ
テ居リマス、斯ウ云フ風ニ金額ヲ限定
シ、保證人ヲ選バセ、且ツ又總高ニ於
テモ拂込資本金及ビ積立金ノ五分ノ一
ヲ限度トシテ始メマシタナラバ、左シ
タル危險ハナカラウト云フコトデ、時
勢ノ要求モ緩和シタイト云フ趣旨デ、
此規定ガ出來タ次第デゴザイマス
其次ニハ第九號「銀行若ハ大藏省預金
部ヘノ預ヶ金又ハ郵便貯金」是ハ郵便
貯金及ビ銀行ヘノ預ヶ金ハ、現行法デ
認メテ居リマス、先程申シタヤウニ大
藏省預金部ヘノ預ヶ金ヲ此際認メル、
是ハ供託ノ代リニナル譯デアリマス
第十號ハ「主務大臣ノ定ムル所ニ依リ
信託會社ヘ爲ス金錢又ハ有價證劵ノ信
託」是モ此信託會社ノ發達ニ伴ヒマシ
テ銀行ト擇ブ所ナキ狀態ニ信託會社モ
進ンデ來テ居リマスカラ、此場合金錢
信託又ハ有價證券信託ノ適用ノ途ヲ開
イテヤラウト云フ趣旨デアリマス
第十一號ハ「銀行又ハ信託會社ノ引受
アル手形ノ買入」從前ハ斯ウ云フ場合
ハ許シテ居リマシタガ、是モ前申ス通
リ信託會社モ、今日ハ敢テ銀行ト遜色
ナイモノモ澤山デゴザイマスカラシ
テ、是等モ付加ヘタ次第デアリマス
第十三條ハ大體ニ於テ前甲シタコトデ
盡キテ居ルト思ヒマスノデ、是ハ略シ
マス
第十四條モ殆ド條文ノ整理デゴザイマ
ス、其第十四條ノ末項ハ「一信託會社
ニ對スル信託財產及其ノ信託會社ノ引
受ケタル手形ノ買入高ノ總額ニ付之ヲ
準用ス」ト申シタノハ、是ハ銀行ニ付
テ規定ガアリマス、相手銀行ニ對スル
預金、信託會社ノ場合デアレバ、信託
會社ニ對シテノ金錢信託ト云フヤ.ウナ
モノモ、餘リ額ガ多クナッテ居ルト貯
蓄銀行ノ本質上ドウカト云フノデ、從
前雙方面カラシテ制限ガアリマス、詰
リ之ヲ銀行ニ預入レマス、貯蓄銀行ノ
側カラ申シマスルト云フト、第十四條
ノ前ノ方ニ書イテアルコトデアリマス
ガ、總テノ預入金ノ十分ノ一ヲ限度ト
サレテ居リマス預カッタモノヲ全部
一ツノ銀行ニ預ケルト云フコトハナイ
ヤウニ、最高限ヲ十分ノ一ニ限ヲテ居
リマスソレカラ又預カル側カラ申シ
マスルト同ジ項ニゴザイマスガ、其
四分ノ一ト云フ風ニ、詰リ預カル方ノ
銀行カラ見マスレバ、拂込資本金及ビ
準備金ノ四分ノ一、餘リ多クノモノハ
預カラヌヤウニト雙方面カラ此安全
性ヲ規定シテゴザイマス、此安全性ハ
信託會社ノ場合ニモ同ジク行ッテ置カ
ナケレバナラヌト云フ趣旨デ、信託會
社ノ方ニ追加シテゴザイマス
第十五條ハ條文ノ整理デアリマス
第十七條ハ「有價證劵割賦販賣業法ハ
第一條及第八條乃至第十一條ノ規定ニ
限リ貯蓄銀行ニシテ第五條第六號ノ業
務ヲ營ム者ニ之ヲ適用ス」卽チ有價證
劵割賦販賣業ヲ傍ラ營マセルコトニナ
リマスカラシテ、此法律ノ中ニ、細カ
ニ書クモノデアリマスガ、其貯蓄銀行
ガ行ヒマスル有價證劵割賦販賣ノ規定
ガ出來テ居リマスカラ、其貯蓄銀行ガ
行ヒマス必要ナル條項ヲ玆ニ引用致シ
タ次第デアリマス、其主ナル條項ヲ簡
單ニ御說明申上ゲマスレバ、第一ハ
有價證劵割賦販賣トハ如何ナルモノデ
アルカト云フ定義ヲ規定シテ居リマス
條文デアリマシテ、貯蓄銀行ニ有價證
劵ノ割賦販賣ヲ營マセル以上ハ當然其
定義ニ依ッテ營マシムルコトガ必要ダ
ト思フ次第デゴザイマス、其次ノ第八
條乃至第十一條ノ規定ハ、買入契約者
ガ不拂金拂込ミノ義務ヲ履行シナイ場
合ニ、營業者ガ無理ニ契約ノ解除ヲ行
使シテハ買入契約者ノ利益ヲ害スル
事ガナイトモ限リマセヌカラ、斯ノ如
キ場合ニハ、先ヅ催告シテ不拂金拂込
ノ督促ヲ爲スコトヽシ、尙ホ拂込マナ
クテ、而モ延滯ガ二囘以上デ、其延滯
金額ガ代金ノ十分ノ一以上ニ達シタル
時ハ契約ヲ解除シテモ宜イ、要スルニ
契約者ヲ保護シタ規定デアリマス、而
シテ契約ヲ解除シタル時ハ、直チニ原
狀ニ囘復スルコトヲ要ス、是等ノ手續
ヲ履マヌ時ハ其解除ハ無效デアルト
云フコトノ規定デアリマシテ、有價證
劵割賦販賣ノ際ニ、細民階級ヲ保護ス
ルト云フ規定ニナッテ居リマス、斯ル
規定ハ、貯蓄銀行ノ行ヒマス場合ニモ
同樣デアラウト思ヒマスカラ、サウ云
フ風ナ點ヲ適用スルコトニ致シマシタ
次第デアリマスガ、其他ハ特ニ申上ゲ
ル程ノモノハナクテ單純ナ條文ノ整理
デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=28
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029・荒川五郎
○荒川委員長 本案ニ對スル質疑ハア
リマセヌカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=29
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030・篠原陸朗
○篠原委員 割賦販賣ノ時ノ販賣契約
ヲ取消シマシタ場合ニ返還ハ幾ラノ
金ヲドウ云フ限度ニ返還スカ、之ニ付
テ何カ準則ガアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=30
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031・大久保偵次
○大久保政府委員 只今篠原君ノ御質
問ノヤウナ場合ハ、總テ大藏省ニ對シ
マシテ契約約款ト云フモノヲ出サセテ
居リマス、其契約約款ニ、第一囘ノ金
ダケハ、斯ウ云フ風ナ場合ニハ募集費
其他ノ費用トシテ頂戴スルト云フコト
ニ大體キマッテ居リマス、其點ハ、所謂
銀行側ハ契約ノ爲ニ色々ナ費用モ投ジ
テ居リマスカラ、ソレノ償フ程度ノモ
ノハ無闇ニ解約致シマシタ時ニハ
ソレダケヲ取ルコトヲ準則デキメテ取
締ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=31
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032・篠原陸朗
○篠原委員 其準則ト云フノハ第
囘ノ拂込金ハ代金ノドノ位ニ當ッテ居
リマスカ、保險契約等ニ比較シテ何カ
對照シテ〓究サレタ事ガアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=32
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033・大久保偵次
○大久保政府委員 大體準則トシテ取ッ
テ居リマスノハ契約高ノ十分ノ一位、
多クノ場合ニ於テ一囘分ヲ取ルコトニ
ナッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=33
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034・篠原陸朗
○篠原委員 ソレハ高過ギルヤウニ思
ヒマス、假リニ十囘ナラバ十囘、十二
囘ナラバ十二囘掛ケテ、契約ヲ解クト
云フ場合ニ對シテハ、第一囘ニ掛ケタ
分、卽チ十分ノ一或ハ十二分ノ一取ル
ガ、サウ云フ額ヲ取上ゲテシマウ程經
費ガ掛ルノデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=34
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035・大久保偵次
○大久保政府委員 先程モ一寸申上ゲ
マシタ通リ、此有價證劵割賦販賣ノ仕事
ニハ可ナリ金ガ掛ル、ソレガ今日此
業ノ成立ヲテ行カナイ主ナ原因デアリ
きや、ソレラノ點ニ付キマシテハ今
後併營業務トシテヤッテ行ク場合ニハ
餘程改良セラレルト思ヒマスガ、現在
ノ狀態デハ可ナリ費用ガ掛ルヤウデア
リマス、ソレデ大體ニ於テ今ノ制度ハ
已ムヲ得ナイト云フコトデアリマス
今日ノ所デハ一囘分卽チ十分ノ一程度
ヲ認メテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=35
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036・篠原陸朗
○篠原委員 此業態ガ進步シテ、盛ン
ニナッテ來ナイノハ、業者ガ不信用デア
ルノモ一原因デアラウト思ヒマス業
者ガ是等ノ知識ノ無イ人ヲ勸誘シテ、
加入シテモ一遍掛ケテ大抵ハ懲リル、
現金ヲ拂込ンデモ直グ證劵ガ來ナイ
其間ノ不安ノ念ガ强イ、ソレデ一二囘
掛ケテ、氣ガ付イテ、其氣ガ付イタ時
ニ解約スレバ、一囘ナリ二囘ナリノ掛
金ハ皆取ラレテシマウ、斯ウ云フ風ニ
ナルカラ、一遍ヤッテナニシタ人ハ皆羹
ニ懲リルダラウト思フ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=36
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037・大久保偵次
○大久保政府委員 只今ノ御意見ハ洵
ニ御尤ノ御意見デ、吾々モ其點ヲ非常
ニ心配致シテ居リマス次第デ、其業者
自身ガ信用ガアリ、非常ニ仕事ガ伸ビ
テ行クト云フコトデアリマスト、漸次
經費モ減ッテ行クコトデアラウト思フノ
デアリマス、御參考マデニ、今日マデ
ノ割賦販賣業ノ八ツノモノニ付キマシ
テ、大體ノ御說明ヲシテ置キマスレバ、
自然御諒解ガ願ハレルカト思フノデア
リマス、八ツノモノデ公稱資本金ガ漸ク
百四十五萬圓、其拂込資本金ガ六十七
萬六千圓、今日扱ッテ居リマスル金額ト
云フモノヽ「バランス」ト云フモノヲ
此處ニ擧ゲテ見マスト云フト引替ノ
有價證劵ハ僅ニ全體ヲ通ジテ三十五萬
圓ト云フヤウナ有樣デゴザイマス、斯
ウ云フヤウナ實情デアリマスルカラ、
非常ニ經費ガ掛ルモノデアルト云フコ
トハ自然御諒解ガ行クト思ヒマス併
シ是カラ先キズン〓〓斯ウ云フモノハ
大キナモノガ傍ニヤッテ行クト云フコ
トニナルト、漸次今御話ノヤウニ信用
ヲ得テ行クト云フ點ニ於キマシテ、サ
ウ云フ點ニ付テハ頗ル經濟的ニ行クカ
ト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=37
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038・篠原陸朗
○篠原委員 銀行ガヤル場合ニモ、募
集人ヲヤルノデアリマセウカ、實際募
集ノ狀態ト云フモノヲ聽イテ見マスト
云フト、詐欺ニ等シイト思フノデス、
多クハ各個人々々ノ家庭ニ行ッテ、アナ
タノ所ノ勸業債劵ハ當ッテハ居リハシ
マセヌカナドヽ言フ、サウスルト現在
ハドンナ家庭デモ勸業債劵ノ一枚ヤ二
枚持タヌヤウナ者ハ一人モナイ、吾々
預金部カラ押付ケラレタヤウナモノハ
例外デスガ、必ズ三枚ヤ五枚、多イ人
ハ二十枚モ三十枚モ持ッテ居ル、サウシ
テドレガ抽籤ニ依ッテ當籤シテ居ルカ
ドレガ利子ガ完全ニ入ッテ居ルカナド
ト云フコトニ付テハ、多ク主人ガ當ニ
シナイモノダカラ、子供ガヤルトカ女
房ガヤルトカシテ居ルカラ、能ク分ラ
ヌ、ソレデ偶〓サウ云フ專門ノ業者ガ
番號ヲ控ヘテ行ッテ見ルト云フト、其中
ニ三圓當ッテ居ルトカ、五圓當ッテ居ル
ト云フヤウナコトガアルト、ソレヲ非
常ニ好機ナリトシテ、斯ウ云フ債劵ヲ
モウ一遍御買ヒニナッタラドウデスカ
ト斯ウ云フコトヲ言フ、サウスルト大
抵ノ人ガ之ニ應ジテ、月々ニ掛ケル、
掛ケルト云フト金ダケ取ッテ、一年モ二
年モ經タナケレバ債劵ヲ寄越サナイ.
其利〓リト云フモノヲ、吾々ガ素人式
ニ極ク目ノ子算デヤッテ見テモ、預金
ニ比シテ、殆ド利子ガ附カナイト言ッ
テモ宜イ程度ノモノデス、大體此勸業
債劵トカ、復興債劵トカ、普通ノ社債
ノ利子ト云フモノハ「ディスカウント」
サレテ、額面ヨリ皆低イ、額面ヨリ利
子步合ヲ皆引イテ計算スル、ソレヲ今
ノヤウナ募集ノヤリ方ヲスル、其ヤリ
方自身ガ非常ニ不誠實デス、監督ヲナ
サルニ付テハ、恐ラクドウ云フ利附證
劵デ、ドウ云フ「ヴアリユー」デ、何箇月
ニ買フト云フヤウナ、利子ノ方ノ御監督
モナサレルノデアリマセウガ、實際ヲ
見ルト殆ド全部詐欺ニ等シイヤウナヤ
リ方ヲスルノデス、何誰カ監督官ノ御
方ガ割賦販賣會社へ、監督官デナイヤ
ウナ顏ヲシテイラシッテ見ルト分リマ
ス、私共見物シテ驚イタ、大抵職工ノ
オ內儀サントカ、勞働者ノオ內儀サン
トカ云フヤウナ者デ、殆ド之ヲ繼續ス
ルコトガ出來ナイト云フコトニナル
ト全部第一囘ノ分ハ沒收、斯ウ云フ
コトニナルノデ、ドウモ將來トシテモ
發展スル餘地ガナイヤウニ思フノデ
ス貯蓄銀行ガヤリマシタ場合ニモ、
今マデノ割賦販賣業者ガヤッテ居ルヤ
ウナ方法デヤルノデハ、私ハ、十圓ヅ
ツ十箇月貯金シテ、最後ニ百圓ノ滿鐵
ノ債劵ヲ買フトカ何トカ云フ方ガ、マ
ダ非常ニ有利ダト思フノデス、而モ其
「フエース·ヴアリユー」トノ間ノ鞘ダ
〃、完全ニコチラニ來ル、而シテ其債
劵ニ利子ガ附イテ居ルカラシテ、貯金
ヲシテ居ッタ利子ト、債劵ノ利子ト、及
ビ其額面ノ鞘ダケハ儲カル、斯ウ云フ
コトニナルノデアリマス、割賦販賣ノ
方デ行クト、恐ラク今マデノ市場ニ行
ハレテ居ル割賦販賣ニ對スル惡イ影響
ト云フモノハ、皆サンノ耳ニハイッテ
居ルト思フ、ソレニ斯ウ云フコトハ
餘リ上流ノ家庭ノ人ハソレヲヤッテ居
ナイ、大抵餘リ智識ノ高クナイ者ナド
ガヤッテ居ルノデアリマスガ、今度貯蓄
銀行ガ折角ヤッテモ、今マデノヤウナヤ
リ方ダト評判ガ惡クナル、サウナルト
又銀行ノ方ニ御迷惑ニナリハシナイカ
ト考ヘマスノデ、私ハ今マデノ割賦販
賣ノ實情ヲ御參考マデニ申上ゲテ御意
見ヲ伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=38
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039・大久保偵次
○大久保政府委員 非常ニ參考ニナリ
マス御說ヲ承リマシタノデスカラ、成
ベクサウ云フヤウナコトハ今後ハ貯
蓄銀行ノ場合ニハ防ギタイ趣旨デ以テ
之ヲ拵ヘマシタ次第デゴザイマス、有
價證劵ノ販賣ハ、先程カラ說明致シマシ
タ通リ洵ニ不振デアリマス、數カラ行
キマシテモ、額カラ申シマシテモ、今
ノ御話ノヤウナ事柄ガ餘程影響シテ居
ルコトダラウト思フノデアリマス、ノ
ミナラズ無免許ノ者モ幾分アリマシ
テ、餘程是ハ警察其他ノ方ニ於テ、度々
此停止ヤ何カヲ致シテ居ルヤウナ次第
デアリマス、併シ今後ハソレヲ信用ア
ル貯蓄銀行ガ行フト云フヤウナコトニ
付テハ、考ヲ持ッテ居ルコトモゴザイマ
ス、ソレ等ノ方ハ漸次馴レテ居ル方法
ニ依ッテ、今ノ御話ノヤウナ條件ト大體
似寄ッタヤウナ方法ニ於テ、掛金者ノ方
ニ有利ニナルヤウナ考ヲ持ッテ居ルヤ
ウデゴザイマスカラ、漸次是カラモ發
展サセルヤウニ致シマシテ、今日御擧
ゲニナッタヤウナ傾向ガ、ドウモ私等モ
アルト云フヤウニ思フノデ、是非一ツ
此風習ヲ改善シテ行キタイト云フ考
デ、旁〓此案ヲ出シマシタ次第デゴザ
イマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=39
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040・大崎清作
○大崎委員 私モ一二項一寸御尋シテ
見タイト思ヒマス、此國債若ハ地方債
ノ割賦販賣ヲ貯蓄銀行ニ御許シニナル
ト云フコトデアリマスルガ、政府ガ本
法ヲ御制定ニナッタ御趣旨ガ何處ニア
ルカ、詰リ銀行業者カラ斯樣ナコトヲ
請求シテ來テ、貯蓄銀行業者ト云フモ
ノガドウモ營業不振デ、成立ッテ行カナ
イカラ、斯ウ云フコトヲシナケレバナ
ラヌト、斯ウ云フヤウナ趣旨デアルカ、
或ハ又一般ノ者ニ債劵ヤ國債ヲ行渡ラセ
ルガ爲ニ、政府自ラ御立案ニナッタモノデ
アルカドウカト云フコトヲ御說明願ヒ
タイソレカラ只今政府委員ノ御說明
ニ依リマスルト云フト、有價證劵ノ割
賦販賣ノ方法ガ大正八年ニ制定ニナッ
テ、二十幾ツアッタノガ八ツニナッテ居
ルト云フコトヲ御說明ニナッテ居リマ
ス、サウシテ此狀態ガ如何ニモ不振デ
到底割賦販賣ハ營業ガ成立ッテ行カヌ、
已ムヲ得ナイカラ之ニヤラセルト云フ
ヤウナコトヲ先程御說明ニナリマシタ
ガ、私ハ是ハ大變相違シテ居ル御辯明
デハナカラウカト思フ、私共ノ知ッテ居
ル人ナドモ澤山アリマスガ、國債殊ニ
勸業債劵ノ割賦販賣ナドヲシタイト
言ッテモ、中々政府デハ許可シナイ方針
デハナカラウカト私ハ思ッテ居ル、民間
ノ者デソレヲヤリタイト云フコトデ出
願シテモ、身分ガドウデアルトカ斯ウ
デアルトカ、中々ヤカマシイコトヲ言ッ
テ許可シナイ、是ハ私ハ許可シナイ御
方針ノヤウニ承ッテ居リマスガ、事實不
振ノ爲ニ出來ナイノカ、或ハモウ政府
デハ出願シテモ斯ウ云ウヤウナ御方針
ノ下ニ、既設會社ヲ皆潰シテシマウト
云フ御方針ノ下ニ、斯ウ云フ風ニヤル
ノカドウカ、之ヲ承リタイ、ソレデ銀
行ニ此事ヲヤラセルコトニナリマス
ト現在八個ニナッテ居ルサウデアリマ
スガ、此八個ノ會社ハ、是ガ爲ニ非常
ナ影響ヲ受ケル、貯蓄銀行ガ之ヲヤル
コトニナレバ、此八個ノ會社ト云フモ
ノハ-勿論勸業銀行デ御ヤリニナッテ
居リマス會社ハ特別デアリマセウケレ
ドモ、其他ノ會社ハ殆ド全部潰レテシ
マハナケレバナラヌモノト私ハ思フ
ガ一方サウ云フヤウニ損害ヲ受ケル
モノガアッテモ、政府ハサウ云フ御方針
ヲ採ルカドウカト云フコトモ承ッテ置
キタイ、又其他ノ點ニ於テモ、此事業
ニ付テハ政府ノ方ト吾々トハ意見ヲ異
ニシテ居リマスガ總テノ事業ト云フモ
ノハ成ベク國民全般ニ、自由競爭ニ
シテヤラセルコトガ宜シイト思フ、現
在失業者ガドン〓〓アッテ、何等ノ職業
モナクテ困ッテ居ルト云フ狀態ハ私ガ
申上ゲルマデモナクアルノデアリマス
カラ、種々ナル制限ヲ加ヘテ、サウシ
テ是等ノ國債賣買ト云フヤウナ商賣
モ現在相當ニヤッテ居ル貯蓄銀行ト
云フヤウナモノノミニヤラセル必要ハ
ナカラウト思フ、國民全體ガ働カナケ
レバ、國家ノ機能ハ動イテ行カナイノ
デアル、ソレデドウモ此コトニシテモ、
現政府ノ御方ハ、兎角資本財閥ニ總テ
ノコトヲ偏重サセテシマッテ、何デモ銀
行トカ何トカ云フヤウナモノニ事業ヲ
ヤラセサヘスレバ事業ハ完全ニ行ク
ト云フヤウナ考デ、一般ノ者ノ事業ヲ
段々奪ッテシマウ、ソレデハ仕方ガナ
イ、終ニハ金ヲ澤山持ッテ居ル人ノ社會
ト勞働者失業者ノ社會ト、此二ツノ社
會ニナッテシマウ、產業ニ從事スル者
ハ何ニ從事シテモ儲カラナイカラト
云フヤウナコトデ、是ガ爲ニ產業ハ
段々不振ニナリ、金ハ大銀行、貯蓄銀行
デ取扱フト云フコトニナッテ、此處ニ死
藏シテシマウカラ、玆ニ社會ノ不景氣
ガ來ルノデアリマス、斯ウ云フヤウニ
シテ、段々ト資本財閥ニ偏重シテ行ク
ト云フヤウナコトハ、私共ハ最モイケ
ナイコトヽ思ッテ居リマスガ、其點ニ對
スル政府ノ御考ハ何何デアリマスカ、
ソレカラ又第九條ニ行キマシテ、預金
部ノ預金ヲ供託金ニ代ヘルト云フヤウ
ナコトニナッテ居リマス、殊ニ其受入レ
ノ金額ハ、毎半期ノ末日ノ現在ニ於テ
之ヲ定メルト云フヤウナコトニナッテ
居リマスガ、是モ私ハ今現行法ヲドウ
斯ウト言フ譯デハアリマセヌガ、若シ
サウ云フコトニナレバ弊害ガ起ルノデ
ハナイカト思フ詰リ每半期ノ末日
現在ト云フノデアリマスカラ、其時ニ
澤山預金部ニ金ヲ預ケテ置イテ、後デ
其預金ヲ引出シテシマッテ、殆ド供託
金ガナイヤウニナルト云フヤウナ弊害
ガ起ルノデハナイカト思ヒマスガ、サ
ウ云フコトガ出來ナイヤウナ方法ガナ
ケレバナラナイト思ヒマスガ、其點ニ
付テモ伺ッテ置キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=40
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041・大久保偵次
○大久保政府委員 私只今ノ御質問ハ
四ツアッタヤウニ思ヒマス、第一ハ有價
證劵割賦販賣ヲ營ムニ付テハ、ドウ云
フ理由デアッタカト云フヤウナ御趣意
ノヤウデアリマス是ハ先程申上ゲマ
シタヤウニ、割賦販賣ハ庶民階級ノ貯
蓄ノ方法ト致シマシテハ、制度其モノ
ハ極メテ適切ナモノデアラウト云フ考
ヲ吾々ハ持ッテ居リマス、ソレデ元來此
割賦販賣ト云フ制度ハ其遣方ガ所謂
貯蓄銀行ノ定期積金ト云フノト殆ド同
ジデアリマスソレデ此頃ハ貯蓄銀行
ガ定期積金ト云フモノヲ主トシテヤツ
テ居リマス關係上、彼是權衡上ノ工
合ニ於テ是ハ大變相應ハシイト云フ趣
旨カラ貯蓄銀行ノ仕事ニ之ヲ認メタ
ト云フ趣旨デゴザイマス、其次ニ第
二ニ、然ラバ現在ノ割賦販賣業者ニ影
響ヲ與ヘルデハナイダラウカ、斯ウ云
フ風ナ御質問ダッタト思フノデアリマ
ス、ソレハ吾々ハ左樣ニハ考ヘマセヌ、
先程是ハ他ノ方面カラ御質問ガゴザイ
マシテ御答致シマシタ通リ、此業態自
身ニ付キマシテ、中々世間ノ信用ヲ得
テ居ラヌノデアリマス、將來間違ヒガ
ナイ、好ク行クト云フ風ニ馴致シテ行
キマシタナラバ、無論貯蓄銀行ガ、此
際一齊ニ仕事ヲ始メルト云フ次第デモ
ゴザイマセヌコトデ、是ハ極メテ徐々
ニ行クモノト吾々ハ考ヘテ居リマス次
第デアリマスカラ、サウ云フ風ナ工合
ニシテ、世間ノ印象ヲ好ク致シテ行キ
マシタナラバ、此業態ニ付テノ信用モ
漸次囘復サレ、世間ノ人ノ思惑モ改マ
リマシテ、追々ソレ等ノ業者ニハ好
影響ヲ與ヘルデアラウト斯ウ云フ風ニ
考ヘテ居リマス次第デアリマス、ソ
レカラ第三ニ、現在ノ遺方ハ割賦販賣
ノ業ヲ希望シテ居ル者ガアッテモ、當局
デハ抑ヘテ居ル、斯ウ云フ風ナ仕事ハ自
由ニサセテ置イタラ宜イデハナイカ、
抑ヘルカラ却テイカヌノデ、決シテ希
望者ガ少ナイノデハナイ、或ハ隨分民
間ニヤラシテ置イタラ發達スルダラ
ウ、ト云フ風ナ御趣旨ノ御質問ト諒解
致シマシタガ、今日マデノ所デハ先
程カラ申シマシタ通リ、相當長イ間ヤ
リマシテ、地盤ヲ持ッテ居ッタ人間デアッ
テモ、中々成功致シマセヌト云フコト
ハ先程ノ例デ申上ゲマシタヤウナ次
第デ、今日サウ云フ種類ノ割賦販賣ヲ
ヤリタイト云フテ出願シテ居ル者ハ最
近ニハゴザイマセヌノデアリマス、偶〓
希望者ガアルヤウニ承ルノデアリマ
スケレドモソレ等ハ皆株式ノ割賦販
賣ヲヤリタイト云フノガ主デアリマシ
テ、吾々ガ玆ニ考ヘテ居リマスヤウナ
趣旨トハ違ヒマスヤウデアリマス、ソ
レデサウ云フ風ナモノハ決シテ吾々
ハ貯蓄ノ一端ダト云フ意味ニハ解釋致
シマセヌ、大體サウ云フ風ナ趣旨ノモ
ノハ、餘リ今日デハ希望者ト云フモノ
ハ出テ居リマセヌ次第デアリマス、無
論茲ニ眞面目ナ業者ガアリマシテ、サ
ウ云フ風ナモノヲ希望シタ場合ニハ
吾々ハ相當詮議スルコトハ勿論ノ議デ
ゴザイマス、唯全般ニ、斯ウ云フ風ナ
モノハ自由營業ニシタラドウカト云フ
ヤウナコトニ對シマシテハ、吾々ハ多
少見解ガ違ヒマス、銀行其他信用機關
ハ大體ニ於テ是ハ免許事業ト云フコ
トニナッテ居リマス事デアリマスカラ、
今日之ヲ自由放任ノ事業ニシヨウト云
フヤウナ考ハアリマセヌ、第四ニ供託
ノ點ニ付テ、每半期末デハ危險ガナイ
カト云フ風ナ御心配デアッタト思フノ
デアリマスガ、今日マデノ所ハ、普通
其日々々ノモノデ以テ供託サセレバ、
是ガ最モ精確ナ方法デゴザイマスガ、
併ナガラヤハリ其日々々デ供託シテ行
ク手續ハ洵ニ煩瑣デゴザイマス、大體
ノ監督ノ上カラ見マシテモ、今日マデ
ノ所長イ間ノ經驗上、是ハ前ノ貯蓄銀
行條例ヲヤッテ居ッタ時代カラゴザイマ
スガ、此方法ヲヤッテ來マシテ、サシタ
ル弊害ヲ認メテ居リマセヌ、今度ノ法
律モ別段此點ニ付テハ改正ヲ加ヘル意
思ハゴザイマセヌ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=41
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042・石崎敏行
○石崎委員 私モ一言伺ッテ見タイト
思ヒマス、先程カラ政府當局ノ御說明
モアリマシテ伺ッテ居リマス、所ガ貯蓄
銀行ノ不振ト云フコトガ洵ニ遺憾千萬
デアル、此不振ノ原因ハ色々アリマセ
ウガ私ガ見ル所デハ近年都鄙ヲ問ハ
ズ、信用組合ノ事業ガ甚ダシク發達シ
テ居ルヤウニ見受ケマス、此信用組合
ノ發達ノ爲ニ、貯蓄銀行ノ不振ヲ招イ
テ居ル、御案内ノ如ク都市ハ勿論相當
ノ町デモ、信用組合ガ一方ニ於テ貯蓄
的ノ奬勵ヲドン〓〓ヤッテ居リマスソ
コデ私ガ先日來當局ニ伺ッテ見マシタ
ヤウニ、餘リ經濟金融ノ狀態ガ都市ニ
集ル傾向ガアリマスノデ、之ヲ圓滑ニ
スルニハ、ヤハリ斯ウ云フモノヲ貯蓄銀
行同樣ニ、相當ナ位置ニ在ル信用組合
ニハ扱ハセルヤウニスルコトモ一ツノ
方法デハナイカト云フ感ジモ致シマ
ス、其邊ニ付テノ政府ノ御腹案ハ如何
デアリマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=42
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043・大久保偵次
○大久保政府委員 石崎サンノ御質問
ニ御答申上ゲマス、私ノ申シ方ガ惡ウ
ゴザイマシタ爲ニ、貯蓄銀行ガ不振デ
アルト云フ御趣旨ト伺ヒマシタガ、私
ハサウ云フ意味デ申シタノデハアリマ
セヌ、若シサウ云フ印象ヲ御與ヘシマ
シタナラバ取消致シマス、貯蓄銀行ハ
最近益〓基礎ヲ鞏固ニ致シマシテ、コ
コ數年來ノ發達ハ洵ニ著シイモノガゴ
ザイマス、先程カラ不振ト申シマシタ
コトハ、有價證劵割賦販賣業ノコトヲ
申シテ居リマスノデ、貯蓄銀行ノ方ハ、
大體ニ於テ最近十箇年ノ數字ヲ取ッテ
居リマスガ、預金ナドモ此不景氣ニ拘
ラズ增加シテ居リマシテ、今日デハ十
五億ヲ超エテ居ル次第デアリマス
年々貯蓄銀行ハ殖エテ居リマスシ、基
礎モ益〓確實ニナッテ居ル次第デアリマ
ス、其趣旨ニ御諒承ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=43
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044・石崎敏行
○石崎委員 私ノ質問シマシタノガ間
違ッテ居リマシタガ、所謂割賦業ノ方
ト信用組合トノ關係ハ如何デアリマス
カ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=44
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045・大久保偵次
○大久保政府委員 石崎サンノ御質問
ガ信用組合ニ割賦販賣ヲ認メテヤッテ
宜イデハナイカト云フ御趣旨デアリマ
スレバ、實ハ信用組合ノ方ハ、大體農
林省所管ニナッテ居リマス、大正六年
デシタカ、勅令ガ出テ居リマシテ、信
用組合中所謂市街地信用組合ト云フモ
ノガゴザイマスガ、全國デ信用組合ノ
數ハ今一萬二千ヲ超エテ居ルカト思ヒ
マスケレドモ、其中市街地信用組合ト
云フモノガ大體二百八十バカリデアッ
タト記憶シテ居リマス、ソレダケニ付
テ大藏省ノ方ハ監督權ヲ有フテ居ル次
第デアリマスカラ、ソレハ全國一萬二
千ノ信用組合ニ比シマシテハ極ク〓々
タルモノデアリマス、全體ニ付テハ農
林省所管ト云フコトニナッテ居ル次第
デアリマスガ、吾々今日玆ニ提案致シ
マシタ通リ、貯蓄銀行ノ範圍內ニ於キ
マシテ、此業務ガ適當デアラウト思フ
次第デアリマス、尙ホ足ラナイ點ハ政
務次官ノ方カラ申上ゲルデアラウト思
ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=45
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046・小川郷太郎
○小川政府委員 信用組合ノコトニ付
キマシテハ實ハ只今農林省トモ共ニ
〓究ヲシテ居リマスノデ、信用組合ノ
現狀ニ付キマシテハ、尙ホ之ヲ改善シ
テ行カウト云フコトモ考ヘテ居リマ
ス、隨テ何レ〓究ノ結果何カ提案スル
時期ガアルカモ知レマセヌガ、今ノ所
信用組合ニ割賦販賣業ヲ營マシムルト
云フヤウナコトハ考ヘテ居リマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=46
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047・荒川五郎
○荒川委員長 貯蓄銀行法改正案ニ付
キマシテハ外ニ御質疑モナイヤウデア
リマスカラ此程度ニ止メマシテ、曩
ニ申シマシタ委員外ノ植原悅二郞君ヨ
リ抵當證劵法案ニ付テ質疑ヲ致シタイ
ト云フコトデアリマス、之ヲ許シマス、
委員諸君ノ御諒承ヲ乞ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=47
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048・植原悦二郎
○植原悅二郎君 若シ此委員會ノ速記
錄全部ガ出來テ居リマシタナラバ、敢
テ御尋ヲシナクテモ宜イコトカモ知レ
マセヌガ、本委員會ノ經過ヲ見テ居リ
マシテ、一二點是非確メテ置カナケレ
バナラヌモノガアリマスノデ委員外ト
シテ質問ノ御許ヲ願ッタ譯デアリマス、
第一ニ是ハ、白イ物ヲ白イカドウカト
聞クヤウナ質問デアリマスガ御答ヲ
願ヒタイ、何時デモ國務大臣デナケレ
バ政府ヲ代表シテ居ル者ノヤウニ思ハ
レナイノガ日本議會ノ癖デアリマス
ガ、私ハ政務次官デモ政府ヲ代表シテ
差支ナイト思ヒマス、此處ニ小川政務
次官ガ居ラレルガ、小川政務次官ノ御
答ハ全責任ヲ以テ此內閣ヲ代表シテノ
御答デアルト初メカラ諒解シテ宜シイ
カ御尋致シタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=48
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049・小川郷太郎
○小川政府委員 私ノ御答致シマスコ
トハ、政府ヲ代表シテ居ル積リデアリ
マスガ、アナタノ御質問ガドウ云フコ
トデアルカ、大臣デナケレバ御答辯ノ
出來ナイヤウナ事デアルカ能ク分リマ
セヌガ、大抵私ノ答ヘルコトハ政府ノ
考ヘテ居ルコトヽ御諒承下サッテ宜シ
ウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=49
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050・植原悦二郎
○植原悅二郎君 小川政務次官デ結構
御答ノ出來ルコトデアリマスカラ、政
府ヲ代表シテ居ルト云フ御積リデハナ
〃明瞭ニ全責任ヲ以テ答辯ヲ致スト
ノ言質ヲ與ヘテ戴キタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=50
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051・小川郷太郎
○小川政府委員 ソレデ宜シウゴザイ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=51
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052・植原悦二郎
○植原悅ニ郞君 第一ニ御尋シテ置キ
タイノハ現政府ハ依然トシテ緊縮政
策消費節約ヲ國民ニ求ムル政
策失業公債ニ付テハ一時的デアッ
テ、非募債主義ダト言ッテ御出デニナ
リマスガ、此聲明ヲ依然トシテ嚴守シ
テ御出デニナルモノト諒解シテ宜シウ
ゴザイマスカ、此點ニ對スル御答辯ヲ
願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=52
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053・荒川五郎
○荒川委員長 植原君ニ申シマスガ、
色々ナ方面ノ質疑ヲスルコトニナレバ
マダ澤山アラウト思ヒマスガ、本委員會
ハ抵當證劵法外九件ノ委員會デアリマ
スカラ、成ベクソレニ直接關係ノ問題
ダケニシテ戴キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=53
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054・小川郷太郎
○小川政府委員 緊縮政策トカ、消費
節約トカ云フヤウナコトハ是ハ本會
議ニ於キマシテモ、豫算總會ニ於キマ
シテモ、、度々論議サレテ、度々大藏大臣
ガ御答ニナッテ居リマスカラ、其趣旨ニ
依テ御了解ヲ願ヒタイト思ヒマス、此
處デサウ云フ問題ヲ繰返シテ論議サレ
マシテハ際限ガナイコトニナリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=54
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055・植原悦二郎
○植原悅二郞君 此處デ繰返ス譯デハ
アリマセヌ、唯私ノ質問ノ要旨ヲ明瞭
ニスル爲ニ其點ヲ確メテ置イテ質問ヲ
致ス譯デアリマス、ソコデ此抵當證劵
法ハ、是ガ兩院ヲ通過致シマスレバ、
七月カラ實施サレルコトヽ了解致シテ
居リマス、而モ此法案ガ通過致シマス
レ、先ヅ大體ニ於テソレガ實現サレ
ルカサレナイカハ兎ニ角トシテ、此法
律ノ目的トスル所ハ、少クモ二十四五
億ノ不動產、之ニ對シテ金融ノ圓滑ナ
ル方法ヲ講ゼシメヨウト云フ御趣旨ニ
依ッテ之ヲ御定メニナッタモノデアルト
思ヒマスガ、其點ハ間違アリマセヌカ
ドウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=55
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056・小川郷太郎
○小川政府委員 此抵當證劵法ガ實施
セラレマスト、今マデ固定シテ居リマ
ス不動產金融ヲ滑カニシテ行クト云フ
コトニナリマス、併シ既ニ度々質問應
答ガアリマシタヤウニ、本年七月カラ
實施シマストシマシタ所デ、市制施行
地、借地法施行地、縣廳所在地、卽チ浦
和町ト云フヤウナ所ニ限ッテ行フト云
フコトニナリマシテ、今植原君ノ述べ
ラレマシタ數字デアリマスガ、其數字ガ
ドレ位當箝リマスカ、先ヅソコノ見當
ハ付キ兼ネルト思ヒマス、ドレダケノ
融通額ニ抵當證劵ガ發行サレマスカ
隨ッテドレダケノ今日マデノ不動產ガ
資金化スルカ、其ノ事ハ植原君ノ申サ
レタヤウナ數字ニビタット箝ルト云フ
ヤウナコトハ申上ゲ兼ネマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=56
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057・植原悦二郎
○植原悅ニ郞君 私ハ敢テ正確ナコト
ヲ申スノデハアリマセヌガ、大體只
今地方勸業各銀行ヲ通ジテ、不動產デ
借リテ居ルモノハ六十二三億ト睨ンデ
居リマス、其中デ十二億ハ御承知ノ通
リ、是ハサウ抵當證劵化セナイ部分ト
思フ其約半額ハ地方的ノモノト大睨
ミデアリマス、ダカラシテ約二十四五
億ハ大摑ミノモノデ、サウシテ其問題
ニ付テ細カシイコトヲ申スノヂヤナイ
ガ、大體二十四五億ノ不動產ニ對シテ
此法律ガ適用サレベキモノデアルト云
フ御見込ノ下ニ、此法律ヲ御提出ニナッ
タモノデアルカドウカト、斯ウ云フコ
トデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=57
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058・小川郷太郎
○小川政府委員 ソレハ土地ノ不動產
ヲ抵當トシテ貸シテ居ル額ガ二十四五
億アルト云フヤウナコトハ、ソレハ摑
メマセウガ、昭和六年ノ七月カラ始メ
マシテ、直グ是ダケノモノニ抵當證劵
ヲ發行スルカドウカ、ソレハ分リマセ
ヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=58
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059・植原悦二郎
○植原悅二郎君 左樣ナコトヲ私ハ申
シマセヌ、七月カラ是ガ直グ證劵化サ
レルカドウカナント云フ、ソンナ質問
ヲシヤシマセヌ、少クモソレヲ狙ッテ
此法律ヲ定メタモノデアル、此法律ヲ
通過致シテ施行サレル範圍ニ於テ、少
クモソレダケノ不動產ハ證劵化スベキ
性質ヲ有シテ居ルモノデアラウ、勿論
是ガ七月カラ直ニ證劵化スルナドト、
ソンナ無法ナ質問デナイコトダケヲ御
了承願ヒマス、私ノ質問ハ極メテ明瞭
デアリマスカラ、橫道ニ入ラズニ「イ
エス」カ「ノー」ヲ御答ヘ下サレバ宜
シイノデアリマス、サウ致シマスト
此二十四五億ガ全部直ニ證劵化スルモ
ノトハ思ヒマセヌガ、一度此法律ガ實
施サレルヤウニナリマスレバ、政府ガ
之ヲ成ルベク有效ニ施行シタイガ爲ニ
御出シニナッタト云フ前提ヲ以チマシ
テ考ヘマスル時ニ、此法律ガ實施サレ
ル曉ニハ相當不動產ガ證劵化サレ、
其爲メ可ナリ金融市場ニ於テ「インフ
レーシヨン」ガ起ル、之ヲ認メテ居ル
カドウカ、是モ「イエス」「ノー」ノ御
答デ宜シイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=59
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060・小川郷太郎
○小川政府委員 「インフレーシヨン」
ガ起ルト云フ趣旨ガ私ニ一寸分リマセ
ヌガ、ドウ云フヤウナ御趣旨デゴザイ
マセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=60
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061・植原悦二郎
○植原悅二郎君 私ハ小川政府委員
ハソレ位ノコトハ經濟學者トシテ御
存知デアルト思ッテ說明ヲ避ケタ譯デ
アリマスガ、此法律ハ元來約二十四五
億ノ不動產ガ、地方銀行ナドニ縛リ付
ケラレテ動カナイ、是ノ金融ヲ圖ラウ
ト、斯ウ云フ御見込デアルト思ヒマス、
サウスレバ二十四五億ノ不動產ガ、是
ガ他ノ勸業ナリ、其他ノ銀行ヘ融通シ
テ、金ヲ借リル物權トシテ行使サレル
ノデアリマス、今マデサウ云フモノハ
ナイ二十四五億ノ、金融市場ニ直ニ
融通サルベキ物權ガ起リマシテ、是ガ
「インフレーシヨン」ヲ起サナイト云フ
理由ハナイノデアリマスカラ、サウ云
フ理由デ私ノ質問ヲシテ居ルト云フコ
トヲ御了承ノ上、「イエス」トカ、「ノー」
トカ御答ガアレバ宜シイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=61
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062・小川郷太郎
○小川政府委員 私ハ植原君ノ御話ガ
能ク分リマセヌ、「インフレーション」
ガ起ルト云ヘバ、何カ兌換劵ガ膨脹ス
ルトカ云フヤウナコトガ考ヘラレルノ
ダラウト思ヒマス、日本銀行ヘ借リニ
行ッテ、サウシテ日本銀行ガ兌換劵ヲド
ン〓〓出シテ來ルト、サウ云フヤウナ
仕組ニナレバ、ソレハ「インフレーシ
ヨン」ト云ヘルカモ知レナイ、ケレド
モ是ハサウ云フ建前デハアリマセヌ、
是ハ片方ニ於キマシテ、勸業銀行ナラ
勸業銀行、農工銀行ナラ農工銀行ガ債
劵ヲ發行スル、民間ノ市場ノ金ガソコ
ニ行クノデアリマス、ツマリ勸業銀行
ノ庫ノ中ニ市場ノ金ガ行クノデアリマ
シテ、日本銀行カラ金ガ流レテ行クノ
デハアリマセヌ、ソレデアリマスカラ
市中ニ在ル所ノ銀行ノ金ガ、アッチヘ
行ッタリ、コッチヘ行ッタリスルダケデア
リマス、ソレガ爲ニ日本銀行ノ兌換劵
ガ二十億膨レルトカ何トカ云フ問題ニ
ナリマセヌ、隨テ「インフレーション」
ト云フ問題ニハ關係ナイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=62
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063・植原悦二郎
○植原悅二郞君 小川政務次官御存知
デアリマセウケレドモ、通貨ノ效力ハ
唯高ノミデハアリマセヌ、是ガ如何ニ輾
轉融通サレルカト云フコトニ依テ其效
力ヲ發揮スルモノデアルコトハ御承知
ノ通リデアル、私ハ日本銀行ノ通貨膨
脹ニナルトハ申シマセヌ、二十四五億
ノ物權ガ新ニ金融サレル狀態ニ置カレ
マスル時ニ、可ナリ金融市場ニ新シイ
活力ヲ持ッテ來テ、金融ガ滑カニナル、
幾多ノ資金ガ融通サレルヤウニナルト
云フコトヲ、御認メニナラナイ譯ニハ
行キマスマイ、私ハ通貨ガ膨脹スルト
ハ思ヒマセヌ、實際經濟上ノ問題ニ於
テ、數年前ノ不景氣ト、昨年ノ年末アタ
リニ隨分制限外ノ通貨ヲ御發行ニナッ
テ彌縫ナスッタ、通貨ノ總額ニ於テハサ
ウ違ッテハ居リマスマイガ、併ナガラ田
舍ニ行ッテモ不景氣ダ、金ガナイ、二進
モ三進モ行カナイト言フノハ金ガ偏
在シテ居ッテ、其通貨ノ效力ヲ十分ニ發
揮シナイ所ニアルコトハ、御否定ナサ
ル譯ニハ行キマスマイ、然ラバ玆ニ新
シイ法律ヲ設ケテ、二十四五億ノ物件
ガ金融ノ力ヲ持ッテ市場ニ投出サレタ
場合ニ於テ、是ガ貨幣ノ融通力ヲ激增
シナイトハ申サレマイト思ヒマス-
ソレナラバ言葉ヲ換ヘテ、之ガ爲ニ縱
シ、通貨ハ其總額ニ於テ膨脹サレズト
モ、貨幣ノ輾轉スル所ノ融通力ハ激增
サレルト御考ヘニナルカドウカ、之ヲ
伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=63
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064・小川郷太郎
○小川政府委員 サウ云フ御意見ガア
ルカラ私ハアナタノ「インフレーシヨ
ン」ト云フノハドウ云フ意味カト云
フコトヲ御尋シタノデアル普通ニ「イ
ンフレーシヨン」ト云フ言葉ヲ使ッテ居
ハ·ハー通貨ノ分量ガ殖エルト云フコ
トデアルト解釋シテ居ルト思フノデア
リマスガ、併シ植原君ガ若シ通貨ノ分
量ヲ增スノデナイト云フコトヲ御認メ
ニナルナラバ、是ハ「インフレーショ
ン」ト云フ言葉ノ使ヒ方デアリマスガ、
世間ハサウ云フ言葉ノ使ヒ方ヂヤナイ
ト私ハ思ッテ居リマス、植原君ハ只今
年末ニ於テ大變制限外發行ガ多クナッ
テ「インフレーション」ヲ起シタト言
ハレル、其事ハヤハリ數量ガ多クナッタ
ト云フヤウナコトデアリマスカラ「イ
ン·フレーシヨン」ト云フ意味ヲ確メマ
セヌト、問答ガ混雜スル、斯ウ云フコ
トヲ申シテ居ルノデアリマス-ソレ
デ私ハ今ノヤウナ數量ヲ增スト云フコ
トニ關係シテハサウ云フコトハアリ
マセヌト答ヘテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=64
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065・植原悦二郎
○植原悅ニ郞君 私ハ數量ノ增ス點ハ
局限シマシタ、ソレヲ增サズトスルモ
二十四五億ノ物件ガ融通サレル所ノ資
料トナッテ、市場ニ出テ來ル時ニ、同ジ
通貨ノ高デアルト致シマシテモ、餘程
貨幣ノ融通力ヲ激增スルト云フコトヲ
御否定ナサル譯ニハ行キマスマイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=65
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066・小川郷太郎
○小川政府委員 貨幣ノ輾轉スルコト
ハ頻繁ニナルデアリマセウ、ソレハ貨
幣ノ作用デアリマスカラ何モ不思議ハ
アリマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=66
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067・植原悦二郎
○植原悅ニ郞君 怪シカラヌ答辯デ
ス貨幣ノ輾轉スルコトガ貨幣ノ作用
デアルナドヽ云フコトハ、誰デモ承知
シテ居ル、私ハ此法律ヲ以テ根據トシ
テ、此法律ニ依ッテ二十四五億ノ固定
シテ居ル所ノ不動產ガ市場ニ於テ金融
ノ目的物トナルコトガ出來ル-實際
ニ其通リ全部ナルカナラナイカハ別問
題トシテ、ソレガナル以上ハ貨幣ノ融
通サレル力ハ可ナリ激增スルモノト見
ナケレバナリマスマイ、ソレヲ言葉ヲ
左右セラレルガ、貨幣ノ輾轉スルノハ
當リ前デアル、サウ云フコトヲ尋ネテ
居ルノデハアリマセヌ、モウ少シ眞面
目ニチヤント御答辯ナサイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=67
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068・小川郷太郎
○小川政府委員 私ハアナタノ御尋ニ
眞面目ニ御答シテ居ル積リデアリマス
ガ-貨幣ノ數量ト云フモノハ關係ハ
ナイ、今マデノ固定シタモノガ流動ス
ル作用ヲ爲スノガ、今度ノ抵當證劵ヲ
發行スル趣旨デアリマスカラシテ、今
マデノ金ガ割方多クナルト云フコトハ
アリマセウ、斯ウ申シテ居ルノデアリ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=68
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069・植原悦二郎
○植原悅二郎君 其通リ答ヘレバ宜イ
ノデス率直ニ御答辯ニナレバ何モ文句
ハナイ-サウスルト可ナリ貨幣ノ融
通力ガ增ス、其ノ結果ハドウナルカト
言ヘバ、今マデ固定シタ金ガ持タナイ
所ニ行クヤウニナル、融通サレ輾轉サ
レテ行クコトニナルト、隨テ經濟界ニ
活氣ヲ呈シマセウ、同ジ數量ノ貨幣デ
アリマシテモ、現在ノ如クニ偏在シテ、
或ハ農村漁村ニ行ケバ金ハ藥ニシタク
モ無イト云フノガ是ガ今日ノ狀態デア
ル是ダケ物價ガ下ッテ丁度宜イト大藏
大臣ハ屢〓言ッテ居ル、シテ見レバ
私此法律ノ善イ惡イヲ言フノデハナ
イ、此法律カラ起ッテ來ル現象ヲ問フ
ノデス-隨テ、貨幣ノ融通力ハ必ズ
激增シマス、左樣ニナリマスレバ、政
府ガ成ベク低物價主義ヲ執ル、緊縮政
策ヲ執ル消費節約ヲ奬勵スルト云フコ
トヽ逆ノ結果ヲ生ズルコトハ是ハ言
ヲ左右ニシナケレバ否定スルコトハ出
來ナイ、私共ノ考デハ、此案其モノヲ
善イトカ惡イト言フノデハナイ、是一
民政黨ノ今マデ御執リニナッテ居ッタ政
策ト根本的ニ反對スル法律案デアル、
是ハ金融市場ヲ滑カニシ、固定シテ居
ル不動產ヲ證劵化スルヤウニシテ、融
通資金ノ輾轉スルヤウニスル所謂金融
上ノ積極政策デアル、是ハ從來民政黨
ガ御執リニナッテ居ッタ政策トハ全ク相
反スル根本的ノモノニナル、一面カラ
見レバ困ッテ居ル地方銀行ヲ救濟スル
モノト見ル、又一面カラ見レバ隨分資
本家ニ便利ナ法案トモ見エル、之モ結
局現在ノ金融市場ガ梗塞サレテ、經濟
界ノ沈滯シテ居ル現狀ヲ何トカシテ展
開シタイ、失業救濟ト云フ名ヲ以テ非
募債政策ヲ棄テタト同ジヤウニ、此
ツノ法律ヲ以テ、金融上ニ於テ、今十
デ民政黨ガ御執リニナッテ居ッタ政策
ト、逆ノ政策ヲ執ルモノダト私ハ解釋
スルガソレニ對シテ御意見ガアルカ
ドウカ私共ハソレヲ固ク信ジテ居リ
マスルガ故ニ、私ハ前提ヲ置イテ御尋
スル次第デアリマス、若シ率直ニ御答
ヘ下サルナラバ、サウ云フ風ニナリマ
セウト云フ位ノ御答ガ、出ベキデアラ
ウト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=69
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070・小川郷太郎
○小川政府委員 植原君ノ御考ニハ私
不幸ニシテ贊成出來兼ネマス、之ヲ譬
ヘテ言フナラバ血液ガ塊ッテ居ルノヲ
循環スルヤウニスルダケノコトデ、ソ
レガ何カ物價ノ上ニ影響ヲ及ボシテ、
エライドウモ、不景氣ガ景氣ニ直グ
ナルト云フ云フヤウナ御話デアリマス
ケレドモ、一體物價ト云フヤウナコト
ヲ議論セラルヽニハ、私ノ承知シテ居
ル所デハ、貨幣數量說カ何カニ依レバ
同ジ品物ガアルナラバ、品物ト通貨
トノ睨ミ合セデアルト通貨ガ殖エレ
バ物價ガ高クナルト云フヤウナ、サウ
云フ議論デ「インフレーション」ト云フ
言葉ガ謂ハレルノデアリマス、今金融
ガ滑カニナッタカラト云フテ、物價ガ
上ッテ何處へト云フヤウナ議論ニハナ
ルマイト思フノデアリマス、ドウ云フ
所デ植原君ガ民政黨ノ政策ニ逆行スル
ト言ハレルノデアリマセウカ一寸考
ヘ方ガ私ニハ能ク解リマセヌガ、私共
ハサウ云フ風ニハ思ッテ居リマセヌ、是
ハ意見ノ相違カモ知レマセヌガ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=70
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071・植原悦二郎
○植原悅ニ郞君 今ノ御答デ出テ居リ
一六、是ハ血液ノ循環ガ止ッテ居ルノ
ヲ付ケルノダト云フコトハ、是ハ明ニ
私ノ質問ニ御答ニナッテ居ル、何故血液
ノ循環ガ止マッタカ、御承知ノ通リ此政
府ニナッテ緊縮シタ事業幾何ゾ、消費節
約ノ宣傳ニ依ッテ地方ヲ困ラセタ結果
幾何ゾ、通貨ノ「インフレーシヨン」ノ
コトヲ御說キニナッテ彼此レ仰シヤル
ガ、通貨ト云フ日本銀行ガ出シタ通貨
ガ何處ニ在ッテモ、其通貨ヲ通貨ノ高ト
シテ數ヘルノハ私ハ間違ッテ居ルト思
フ、是ガ銀行ノ庫ノ中ニ入ッテ融通サレ
ナイヤウニ、楔ニ付ケラレテアレバ
ソレハ通貨ハ通貨ニ違ヒナイノデアリ
マスケレドモ通貨ノ效力ヲシテ居ラ
ナイノデアリマスガ、其通貨ノ效力ヲ
シテ居ラナイノガ銀行ノ庫カラ出テ來
テ運轉スレバ、ソレハヤハリ一種ノ「イ
ンフレーシヨン」ニナル、唯日本銀行デ
十三億ノ通貨ガ出テ居ルソレガ皆活
用サレ、渾轉スルモノダナドヽ御考ニ
ナルノハ、此實社會ヲ知ラザル甚ダシ
イ盲目的ノコトデアリマセウ、何處ニ
行ッタッテ、動イテ居ルモノト動カナイモ
ノトアル、偏在シテ動カナクナッテシマ
フ、今亞米利加デハ非常ニ金ヲ持ッテ居
ルケレドモ、是ガ偏在シタラ動カナク
ナルデセウ、アナタガ血液ノ循環ガ止ツ
テ居ルト言フ、是ハ消極政策、緊縮政
策、消費節約宣傳、無謀ナル金解禁、是
デヤッタ結果、國民ノ金融界ニ於ケル血
液ヲ硬化サシタ、其硬化ノ一部ヲ是デ
解キナサル積リデ本案ハ御出シニナッ
タモノト考ヘル、洵ニ滿足ナ御答辯ヲ
承ッテ感謝シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=71
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072・小川郷太郎
○小川政府委員 一寸植原サンニ誤解
ガアルヤウデアリマスガ、何カ現内閣
ノ政策ニ依ッテ不動產ノ固定ガアッタヤ
ウニ言ハレマスケレドモ、不動產ガ固
定致シマシテ、金融ノ困難ヲ〓ゲテ居
ルコトハ、決シテ現內閣ヲ以テ嚆矢ト
スルノデハアリマセヌ、前ノ內閣、其
前ノ内閣、ズット不動產ノ金融ト云フモ
ノハ滑カデナイノデス、ソレヲ滑カニ
シヨウト云フノデアリマスカラ現内
閣ノ政策ノ爲ニ血ガ固マッタ、サウ云フ
ヤウナコトヲ御考ニナルノハ少クトモ
不動產金融ニ關シテハアナタノ御觀察
ハ私ハ間違ッテ居ルト思フノデス、其間
違ヲタモノヲ引付ケテ、何カ現內閣ノ政
策ガ不動產ヲ固定セシメタ、今度ハソ
レヲ流通セシメルノダ、サウ云フ風ニ
御考ニナルナラバ、私ハ植原君ハサウ
御考ニナッテモ、世間ノ人ハサウ云フ風
ニハ考ヘナイト思フノデス、私ハサウ
考ヘテ居リマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=72
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073・荒川五郎
○荒川委員長 此抵當證劵ノ法案ニ付
テ、前カラ說明殘リモ多少アッタカノ
ヤウニ思ヒマスガ、此際政府委員ヨリ、
序デニ其說明ヲ願ッテ此審議ノ局ヲ結
ンダ方ガ宜カラウト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=73
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074・長島毅
○長島政府委員 實ハ十三條ノ「手形
ハ爾後效力ヲ有セス」ト云フコト二
十六條ノ延滯利息ノコトニ付キマシテ
委員ノ方カラ御尋ガ出マシテ、私ノ答
辯ガ少シ明瞭ヲ缺クヤウナコトニナリ
マシタカラ、モウ一度其點ダケヲ釋明
ヲ致シテ置キタイト存ジマス、十三條
ノ「手形ハ爾後效力ヲ有セス」ト云フノ
ハ手形ガ全然無效ニナッテシマフ譯
デアルカ、ソレカラ後ニ裏書ヲ止メテ
シマフト云フ意味デアルカ、ト云フ御
問デアリマシテ、私ハ初メハ全然無效
ニナルノダト御答致シマシタガ、後一
ナッテ少シ其答ニ付テ疑ヲ挾ムヤウニナ
リマシテ、答辯ガ暖昧ニナッテ居リマシ
タガ、其後段々〓究致シマシタ結果ハ、
ヤハリ一番初メノ御答ノヤウニ、手形
ハ效力ヲ持ッテ居ラヌモノデアルト云
フ風ノ意味ニ解スルノガ宜シイト云フ
コトニ考付イタノデアリマス、其理由
ハ今甲シタヤウニ、手形ノ裏書ヲ爾後
停止スルト云フヤウニ解シタノガ宜イ
ノデハナイカト考ヘマシタコトハ其
手形ガ抵當證劵ノ交付ヲ請求スル者ノ
裏書ニ依ッテ移轉セラレタル場合ノコ
トヲ考ヘタカラデアリマス、此場合ニ
於テ、若シ手形ハ無效ト致シマスト、
抵當證劵ノ交付ヲ受ケタ者ノ手形ノ前
者ニ對スル償還請求權ヲ失ハセルコト
ニナルカラ、ソレハ不公平デハナイカ
ト云フコトヲ考ヘタノデアリマシタ
ガ其後段々考ヘテ見マスト、手形ノ
裏書ト云フモノガサウ云フ風ニ輾轉シ
テ、所持人ノ手ニ入ッテ、ソレカラ抵當
證劵ノ發行ノ交付ヲ求メルト云フコト
ハ非常ニ稀デアルシ、手形ノ償還期ト
云フモノハ非常ニ短カイノデアリマス
カラ、抵當證劵ヲ實行スル前ニ手形ノ
還償請求權ガ無クナルト云フコトニナ
リマスカラ、結局サウ云フモノハ實益
ガナイ、手形ハヤハリ無效ニシテシマッ
テモ、抵當證劵交付請求者ニハ餘リニ
損害ガナイカラ、其趣旨ニ於テ無效ニ
スル方ガ宜イノデハナイカト云フヤウ
ニ考ヘタノデアリマス、ソレカラモウ
一ツノ問題ハ、證劵ノ成立前、證劵發
行前ノ延滯利子ト云フモノガ一體證劵
ノ權利執行ノ際ニ入ルカドウカト云フ
問題デアリマシテ、初メハヤハリ入ラ
ナイノデアル、證劵發行後ニ辨濟期ノ
來タ利息ダケガ問題ニナルノダト御答
ヲ致シマシタガ、其後此點ニ付テ稍疑
ヲ挾ムヤウナ御答ヲ致シテ居リマシタ
ガヤハリ是モ初メノ御答ガ宜カッタト云
フコトヲ發見致シタノデアリマス、結
局證劵ハ證劵的ノ權利デアリマスカラ、
而シテ證劵ニハ元本トソレカラ利率ノ
割合ヲ記載スルコトニナッテ居リマス、
隨テ其以前ニ於テ辨濟期ガ來タ、而シ
テ元本カラ離レタル獨立ノ利息債權ニ
ナッテ居ルモノハ證劵ニハ加算シテ居
ラヌト云フ解釋ガ宜シイノデアリマス
カラ、ヤハリ是ハ證劵發行當時ニ辨濟
期ノ來テ居ルモノハ入ラヌモノデアル
ト云フ風ナ解釋ガ正シイト思ヒマシ
テ、一番初メノ解釋ヲ維持スル次第デ
アリマス、此二點ガ私ノ御答ガ稍〓瞹
味ニナッテ居リマシタカラ、ソレヲ明
確ニ致シテ置ク次第デアリマス、ソレ
ダケデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=74
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075・荒川五郎
○荒川委員長 是デ抵當證劵法案外九
件ノ質疑ヲ終リマシタ、尙ホ後カラ付
託サレタ無盡業法案ガ殘ヲテ居リマス
ガ、是ハ手續等ノ細カイコトデアリマ
スカラ、今日ハ此程度ニシテ、皆サンノ
御意向モアリマスカラ、明日ハ本委員
會ヲ休ミマシテ、三月二日午前十時カ
ラ此抵當證劵法案外九件ノ討議ヲシマ
ス三月三日ノ午前十時ニ無盡業法ノ
質疑及討論ヲヤリタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=75
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076・大崎清作
○大崎委員 只今委員長カラ質問ハ全
部打切ルト言ハレマシタ、私共ハ賛成
デアリマスガ、討論ニ先ダッテ輕微ナ質
問ヲ許スコトハ先例ニナッテ居リマス
カラ、ソレヲ御承知願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=76
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077・荒川五郎
○荒川委員長 質問ハ是デ打切ルコト
ニナッテ居リマスガ、場合ニ依ッテ必要
ナル質問ハ許シマス、ソレデハ今日ハ
此程度デ散會致シマス
午後四時四分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005912563X00619310227&spkNum=77
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