1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
輸出組合法中改正法律案（政府提出）
重要輸出品工業組合法中改正法律案（政府提出）
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會議
昭和六年三月三日（火曜日）午後一時十七分開議
出席委員左の如し
委員長 井上剛一君
理事 手代木隆吉君
理事 岸田正記君
定塚門次郎君 中亥歳男君
飯塚春太郎君 瀬川嘉助君
堀切善兵衞君 上田孝吉君
出席國務大臣左の如し
商工大臣 俵孫一君
出席政府委員左の如し
商工政務次官 横山勝太郎君
商工參與官 野田文一郎君
商工省商務局長 川久保修吉君
商工省工務局長 吉野信次君
商工省貿易局長 立石信郎君
本日の會議に上りたる議案左の如し
重要輸出品工業組合法中改正法律案（政府提出）発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=0
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001・井上剛一
○井上委員長 ソレデハ是ヨリ開會致
シマス、御諮ヲ致シマス、輸出組合法
中改正法律案、重要輸出品工業組合法
中改正法律案、之ヲ一括シテ議題ニ供
シタイト存ジマスガ、御異議ゴザイマ
セヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=1
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002・井上剛一
○井上委員長 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ一括シテ議題ニ供シマス、是
ヨリ政府當局ノ御說明ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=2
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003・俵孫一
○俵國務大臣 先ヅ輸出組合法中改正
法律案ヲ御說明申上ゲテ見タイト思ヒ
〒ハ、現行ノ輸出組合法ハ御承知ノ通
リニ我國輸出貿易ノ進捗ヲ圖リマス爲
ニ秩序ト統制トヲ與ヘマシテ海外販路
ノ開拓ヲ圖ルコトヲ目的トシテ制定セ
ラレテ居ルノデアリマス、今囘ノ改正
ハ現行法ノ施行ノ實蹟ニ鑑ミ、且又輸
出貿易ノ現狀ニ照シマシテ現行法ノ不
十分デアリ、缺點デアルト思ハレル所
ノモノヲ補充致シマシテ、本法本來ノ
目的ヲ達スルコトニ致シタイト云フコ
トガ其趣旨デアルコトハ論ヲ俟チマセ
ヌ、ソコデ細目ニ互ッテ御說明ヲ申上ゲ
テ見タイト思ヒマスガ、本改正ノ理由
ノ第一ハ輸出組合ノ事業範圍ヲ擴張致
シマシタ點ニアルノデアリマス、ソレ
ハドウ云フコトデアルカト申シマス
ト、新販路ヲ開拓スル場合ニ於テ、組
合ヲシテ進ンデ組合員ノ取扱ッテ居ル
商品ヲ買取ッテ、組合其モノガ輸出事業
ヲ營ムト云フコトヲ致サセタイ、同時
ニ組合員ニ對シテ組合ガ金融ノ途ヲ付
ケル、斯ウ云フコトヲヤラシタイ、隨
テ組合員ノ貯金ノ受入、資金ノ貸付ヲ
致シテ輸出貿易上最モ關係アル金融ノ
便ヲ圖リ、以テ貿易ノ金融ヲ圓滑ナラ
シメルコトニ致シタイ、卽チ此經濟團
體ヲシテ其機能ヲ發揮セシムルコトニ
致シタイ、是ガ第一ノ改正ノ理由デア
リマス
第二ニハ輸出貿易ノ營業上ノ弊害ヲ除
去スル爲ニ、是ガ監督ヲ嚴密ナラシム
ルト云フ點デアリマシテ、組合ガ其事
業トシテ組合員ノ事業經營ニ關シテ其
制限ヲ爲ス場合ニ於キマシテ、具體的
ノ事項ヲ定メテ主務大臣ノ認可ヲ受ク
ル斯ウ云フコトニ致シテ、其制限事
項ガ適當デアリヤ否ヤヲ審査シテ、其
實行ヲ監督スルヤウニ致シ、同時ニ營
業上ノ弊害ノ取締ニ對シマシテハ單
ニ事後的ノ監督ニ止マラズシテ、事前
ニ主務大臣ハ組合其モノ又ハ組合外ノ
營業者ニ對シマシテモ、弊害ノ豫防的
命令ヲ發スルコトガ出來ル斯ウ云フコ
トニ致シマシテ、其組合ノ監督ヲ密ナ
ラシムルト云フノガ第二ノ理由デアリ
マス
第三ハ同一種類ノ品物ヲ輸出スル業者
ヲ以テ組織スル所ノ輸出組合又ハ其組
合員ニ付キマシテハ、同業組合トノ關
係ニ付テ、同業組合ニ加入シナイトカ、
又ハ脫退スルコトガ出來ルト云フ規
定ヲ設ケタ次第デアリマス、此點ハ輸
出組合ト同業組合トノ關係ヲ御說明申
上ゲテ置カナクテハナリマセヌ、同業
組合ハ營業上ノ弊害ノ矯正又ハ利益ノ
增進、斯ウ云フコトヲ專ラ致シテ居ル
ノデアリマスガ、輸出組合ハ同業組合
ノ目的トスル營業上ノ弊害ノ矯正竝ニ
共同利益ノ增進、斯ウ云フコトヲ致シ
マスノミナラズ、其他ニ經濟的ノ施設
ヲ併セ行フノガ輸出組合ノ任務デアリ
マンク、此度ノ改正ニ於テ、其經濟的ノ
方面ニ付テハ只今申述ベタ如ク、大一
其機能ヲ發揮シテ益〓輸出組合員ノ經
濟的援助ヲ致スト云フコトニシテ居ル
ノミナラズ、營業上ノ弊害ニ付テモ亦
監督ヲ密ニシテ其目的ヲ達スルヤウニ
致ス、斯ウ云フコトニナリマスト其
組合員ナルモノハ輸出組合ニ入會シタ
以外ニ、同業組合ニ更ニ重ネテ入會ス
ルコトノ必要ガ全クナイノデアリマ
ス、同業組合ハ御承知ノ通リニ强制組
合デアッテ、强制組合ニ付テハ更ニ相當
ノ理由ガアルナラバ、加入ヲセヌデモ
宜イコトニナッテ居リマスケレドモ、是
ハ公益團體デアッテ、營業上ノ弊害ヲ除
去スル、同業者ノ共同福社ヲ增進スル
ト云フ所謂公益的ノ消極〓體デアル
ガ、輸出組合ハ之ニ反シテ、只今申ス
如クソレモ致スガ、ソレ以外ニ積極的
ニ經濟援助ヲスル經濟團體デアル、併
シ任意デアル、斯ウ云フモノデアリマ
スガ、既ニ輸出組合ニ加入シテ其目的
ヲ達スルモノガ、何モソレヨリ目的ノ
幅ノ狭イ同業組合ニ加入スルコトヲ强
制スル必要ハナイ、斯ウ云フ見地ヨリ
致シマシテ、輸出組合ニ加入シテ居ル者
ハ同業組合ニ加入スルコトヲ要シナイ、
斯ウ云フコトニ致シタ譯デアリマス
第四ニハ輸出組合ノ組合員ノ保證責任
制度ヲ設ケタ點デアリマス、輸出組合
ガ經濟的ノ團體トシテ組合員ニ金融ノ
便宜ヲ與ヘ又經濟的施設ヲスルコト
ニ付キマシテハ組合ノ信用ヲ高メテ、
組合自身ガ他ニ對シテ相當ニ信用ヲ多
カラシムルコトニ付テハ、組合員相互
ノ保證ノ責任ト云フモノヲ作リマシ
テ、組合員御互ニ或ル程度ノ責任ヲ執
ル、斯ウ云フヤウニ致スコトガ、以テ
組合ノ信用ヲ增大シ、其組合ノ仕事ヲ
執行スルニ付テ便ナラシムルト云フ點
ガアリマスカラ、此保證責任制度ヲ認
メテ行キタイト思フノデアリマス
第五ニハ總會ニ於ケル組合ノ決議權ノ
割當ヲ之ヲ相當規定致シタコトデアリマ
ス、是ハ組合事業ノ發達ヲ期スル爲ニ、
組合ノ十分ナ統制ヲ行フニ付テハ、組合
ノ組合員タルモノハ、單ニ中小輸出業者
ダケデナクシテ、大輸出業者モ亦組合
加入ヲセシメル必要ガアル、此場合ニ
於キマシテ大輸出業者ト小輸出業者ト
其組合ノ決議權ニ於テ同一デアルト云
フコトニナリマスト、大輸出業者ハ此
組合加入ヲ喜バヌト云ッタヤウナ事態
ガ生ジテ參リマスカラ、之ヲ相當ニ規
定シテ、大輸出業者モ亦喜ンデ組合加
盟ヲ致スコトニ致シタイト思フノデア
リマス
第六ニハ更ニ統制ヲ密ナラシムル爲ニ
組合ノ聯合會ヲ作ラシムル、別々ニア
ル所ノ輸出組合ヲシテ、更ニ全國的ノ
聯合會ヲ作ッテ以テ全國的ノ統制ヲ付
ケルト云フコトニ致シタイト思フノデ
アリマス、詰リ組合ノ統制ヲ圖ルニ付
テハ、ドウシテモ其地域ヲ全國的ニ致
サンケレバナリマセヌ、商品ノ種類ニ
依リマシテハ、取引所ノ市場ガ散在シ
テ居リマスガ爲ニ、全國ヲ一括シテ組
合ヲ設クルト云フコトハ困難ナ事情ガ
ゴザイマスカラ、同種商品ニ對シマシ
テ、地域每ニ別々ノ組合ヲ作ル場合ニ
於テ、之ヲ全國的ニ統制スルニハド
ウシテモ聯合會ト云フ制度ヲ設ケマセ
ヌケレバ、全國的ニ統制ガ出來ヌ譯デ
アルノデアリマス
以上ノ六點ガ今囘ノ改正ノ要旨デアリ
やっ、其他ノ事ニ付キマシテハ御質問
ニ依ッテ御答申上ゲタイト思ヒマス
次ニ工業組合ノ改正案ノ趣旨ヲ御說
明申上ゲテ置キタイト思ヒマス、本改
正ノ趣意ハ曩ニ本會議ニ於テモ申述ベ
マシタガ、我國ノ中小工業ノ改善振興
ヲ圖ルノガ其趣旨デアリマス、元來我
國ノ產業狀態ヲ見マスルノニ、近時漸
ク大工業ノ生產組織ニ移リツヽアルノ
デアリマスルガ、我ガ工業ノ大部分ト
云フモノハ所謂中小工業ノ域ヲ未ダ
脫シナイ狀態デアリマス、隨テ是等中
小工業ノ盛衰如何ハ、以テ我ガ產業經
濟ノ上ニ重大ナル關係ガアルノデアリ
マスコトハ敢テ贅言ヲ要シマセヌ、然
ルニ御承知ノ如ク是等ノ中小工業家ト
云フモノハ多クハ薄資微力デアリマ
ス、其設備モ亦不十分デアリ、事業ノ
經營方法モ兎角舊態ヲ脫セズシテ、雜
然トシテ同業者間ノ連絡統制ヲ缺キ、
徒ニ不必要ナル競爭ヲ致スト云ッタ如
キ狀態ガ常デアリマス、是ガ爲ニ同業
者ガ自他共ニ相立タナイ所ノ窮境ニ陷
リ、遂ニハ其當該產業全體ヲ破壞スル
ト云ッタ如キ例ガ少クナイノデアリマ
ス、斯ノ如ク事業ノ經營ニ關シテ秩序
ト統制ヲ缺クト云フコトハ、輸出向工
業タルト內地向工業タルトヲ問フ暇ナ
ク一般ニ我國ノ中小工業ニ共通スル
根本的ノ弊害デアリマシテ、是ガ改善
ヲ圖ラザル限リハ、我國ノ產業貿易ノ
發展ヲ期スルコトハ今日ノ場合不可
能ト申シマシテモ過言デハナイノデア
リマス、仍テ此度工業組合ノ制度ヲ擴
充致シマシテ、單ニ輸出品ニ限ラズ、
一般工業品ニ適用スルト云フコトニ致
スト共ニ、其當業者ノ統制ノ徹底ヲ圖ッ
テ、之ニ依ッテ從來雜然トシテ居ル所ノ
中小工業ノ其工業組織ヲ整備シ、合理
的經營ヲ促進致シタイト云フコトガ
今度ノ改正ノ趣旨デアリマス
而已ナラズ是モ亦中小工業家ノ最モ要
求シ、最モ缺乏シテ居ルモノハ金融ノ
コトデアリマス、此金融ノ改善ヲ圖ルコ
トガ急務デアルト云フコトハ敢テ喋々
ヲ要シマセヌ、此改善ノ方法ト致シ
マシテハ、固ヨリ各種ノ事項ニ互ッテ
十分ナル盡力ヲシナケレバナラヌコト
ハ申スマデモアリマセヌケレドモ、工
業組合其モノガ自ラ金融ニ當ッテ、金融
ノ途ヲ付ケルト云フコト、是亦金融方
策ノ重要ナル一點トシテ認メラレルノ
デアリマス、故ニ工業組合ヲシテ統制
ニ關スル共同施設ヲ致シマスル外ニ、
貯金ノ受入、資金ノ貸付、斯ウ云フ事
ヲ致シマシテ、中小工業ノ金融機關ト
シテ、更ニ其機能ヲ發揮セシメルコト
ニ致シタイ斯フ云フ事ガ、今囘ノ改
正ノ眼目デアリマス
而テ從來現行法ノ重要輸出品工業組合
法ノ施行ノ實蹟ニ鑑ミマシテ、組合員
ノ責任ヲ擴張シ、先ニ輸出組合ニ於テ
申シマシタガ如ク、新ニ保證責任ノ制
度ヲ設ケテ、組合ノ信用ヲ高メ、金融
ノ途ヲ付ケサシメルト云フコトニ致シ
タイト考ヘルノデアリマス、以上ガ大
體ノ提出理由デアリマス、其以外ニ於
キマシテハ、御質問ニ應ジテ御答ヲ申
上ゲテ見タイト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=3
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004・井上剛一
○井上委員長 暫時休憩シマス
午後一時四十一分休憩
午後一時四十九分開議発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=4
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005・井上剛一
○井上委員長 ソレデハ休憩前ニ引續
キマシテ開會致シマス、是ヨリ質疑ニ
入リマス、質疑ハ通〓順ニ依フテ御許
致シマス、上田君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=5
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006・上田孝吉
○上田委員 私ハ先ヅ便宜上二案ノ中
主トシテ重要輸出品工業組合法中改正
法律案ニ對シテ先ヅ質問ヲ致シタイト
思ヒマス、唯此重要輸出品工業組合法
中改正法律案ト、輸出組合法中改正法
律案ト共通ノ點ハ共通トシテ質問スル
コトニ致シマス、先ヅ重要輸出品工業
組合法中改正法律案ノ質問カラ始メマ
ス第一ニ質問致シタイノハ只今ノ商
工大臣ノ御說明竝ニ本會議等ノ御說明
ヲ拜聽致シマスト此重要輸出品工業
組合法案ニ對シテ、此改正法案ハ十數
箇條ニ亙リマシタ廣汎ナ改正案デアル
ヤウニ思フノデアリマス、特ニ其ノ趣
旨目的等ニ於キマシテモ新ナルモノガ
加ハリマシテ、隨テ其根本ノ目的ニ
於テモ餘程多クノ改廢ヲサレテ居ルコ
トヲ吾々ハ玆ニ見出スコトガ出來ルノ
デアリマス、隨テ此大キナ改廢ト云フ
モノハ玆ニ改正法律案トシテハ出テ居
リマスルケレドモ、既ニ名目スラ御改
メニナラナケレバナラナイ程ノ大キナ
改廢デアル以上ハ、之ヲ所謂一種ノ新
法ト云フヤウナ意味ニ解釋スベキモノ
デハナイカト思フノデアリマスルガ、
此點ハドウデセウカ、ソレヲ一寸伺ヒ
タイト思ヒマス、詰リ從來ノ此重要輸
出工業組合法ノ殆ド大部分ヲ改廢ナ
サッタ新法ニ類似スルモノト私ハ解ス
ルガドウデスカ、聽キタイノデス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=6
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007・俵孫一
○俵國務大臣 御尤ノ御尋デス、其點
ハ考方ニ依リマシテ輸出品ニ對シテ組
合ヲ作ル點ニ付テ、所謂先刻申シマシ
タ公益團體ト云フコトデナクシテ、經
濟團體ト云フコトデ致シテ居ッタノデ
アリマス、而シテ加入者モ强制ハシナ
イ任意デアルト云フ點ニ於テハ改正案
モ現行法ニ一致シテ居リマス、只今ト
組合ノ性質トシテハ少シモ變リハナ
イ、唯其機能ヲ擴充致シタト云フ點ニ
於テ違ガアルダケデアリマス組合ノ
性質カラ論ジテ見テモ亦工藝品カラ論
ジテモ少シモ變リハナイ、唯前ハ輸出
品ニ限定シテ居ッタケレドモガ、今度ハ
重要工業品ニ輸出品デナクトモ此組合
法ヲ適用致シタイト云フ點ニ於テ變ヲ
テ居ルソコハ見方ニ依ッテ如何ヤウニ
モ解釋サレル、若シ是ガ同業組合法ノ
如キ精神ニ變ッタトスレバ、是ハ全然別
ナ組合法デアリマス、ケレドモ組合法
ノ意義ニ於テハ少シモ變ラナイ、唯組
合ノ種類ガ輸出品ノミニ局限ヲセスシ
テ、一般的ニ適用スルカラ種類ガ多ク
ナル、斯ウ云フコトニナルノデスソコ
ハ見方デス、如何ヤウニ見マシテモ宜
カラウト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=7
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008・上田孝吉
○上田委員 大體分リマシタガ、サウ
シマスト組合デアル其本質ニハ變リハ
ナイケレドモ、輸出ト云フ點ニ重キヲ
置クノガ、內外共ニ之ヲ包含スルト云
フ風ニ範圍ヲ擴メタト云フコトデアル
カラ、見方ニ依ッテ何レトモ解釋サレ
ルト仰シヤルノデアリマスガ、併ナガ
ラ我國ノ從來ノ工業品ニ付キマシテ
輸出ニ重キヲ置イテ置クト云フコ
トヽ又內地品ニ重キヲ置クト云フコ
トニハ當業者間ニ非常ニ差異ガ私ハア
ルノデハナイカト思フノデアリマス
ガ、之ヲ內外共ニ合セタ一ツノ組織ト
スルコトハ、甞ツテ輸出品ニノミ重キ
ヲ置イテ居ッタ組織トノ間ニ於テハ、我
國ノ從來ノ工業ノ發達ノ順序カラ云ヒ
マシテモ、非常ニ差異ガアルヤウニ思
ヒマス、ガドウデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=8
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009・俵孫一
○俵國務大臣 ソレハ内容ニ於テハ少
シモ違ヘルヤウナ必要ハゴザイマセ
ヌ、輸出工業品ニ關スル組合ニ致シマ
シテモ、內地向ノ工業品ノ組合ニ致シ
マシテモ、其組合ノ性質、組合ノ機能
ニ付テ之ヲ區別スル必要ハ少シモナイ
ヤウニ思ヒマス-本會議デ迎ヘニ來
マシタカラ一寸失禮致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=9
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010・上田孝吉
○上田委員 只今ノ御說明ニ依リマス
ルト改正前ノ法律ト此法律トノ間ニ於
テ根本趣旨ニ付テ變リハナイト云フノ
デアリマスガ、然ラバ尙ホ進ンデ御聽
ヲ致シタイノデアリマスルガ、改正前
ノ法律ト、此法律案トハ根本ノ目的趣
旨ニ於テ變リハナイト致シマシテモ、
重要物產同業組合ト此法案トノ間ニ於
テハドウ云フ差等ガアリマスルカ、政
府ノ御意向ハ或ハ重要物產同業組合法
ニ對シテ此法案ヲ以テ代ラセヨウト云
フヤウナ御趣旨ガアルノデハナイカ、
寸其點ヲ承リタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=10
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011・横山勝太郎
○横山政府委員 御質問ニ對シテ私カ
ラ御答ヲスベキ順序デスガ、便宜上他
ノ政府委員カラ答ヘタ方ガ御質問ヲナ
サル御方ノ滿足ヲ買ウコトガ出來ルト
思ヒマスカラ、ドウゾ左樣御承知ヲ願
ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=11
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012・吉野信次
○吉野政府委員 只今ノ御尋ニ御答致
シマス、重要物產同業組合法ハ御承知
ノ通リ弊害ノ矯正ト云フコトヲ重ナル
目的ト致シテ居リマスソレデ法律ノ
規定ハ營業上ノ弊害ヲ矯正シテ共同ノ
利益ヲ圖ルト云フコトニハナッテ居リ
マスケレドモ、產業組合法トノ關係ナ
ドカラ見マシテモ、主トシテ弊害ヲ矯
メルト云フ方ノ消極的仕事ニ限ラレル
モノト、明治三十三年以來行政デノ慣
例ニナッテ居リマス隨ヒマシテ現行ノ
重要物產同業組合法ト云フモノヲ以テ
致シマシテハ、積極的ノ經濟施設-
丁度產業組合ノヤウニ原料ヲ共同デ買
入レル、或ハ共同デ金融ヲ圖ルト云ッタ
ヤウナ仕事ハ同業組合デハイケナイ
ト云フ風ニナッテ居リマシタモノデス
カラ、ソレデハ甚ダ不便デゴザイマス
カラ、大正十四年ノ此現行法ヲ作リマ
ストキニ、工業ニ關スル限リニ於テハ
同業組合法ノ其消極的ノ弊害矯正ト云
フ事業ト、加フルニ產業組合デ營ンデ
居ルヤウナ經濟上ノ積極的施設ト云フ
モノヲ併セテヤルト云フ風ニ作リマシ
タモノガ現在ノ現行法デゴザイマス、
今度ノ改正案モ其趣旨ヲ採ッテ居リマ
スカラ、隨ヒマシテ同業組合法トノ差
ハ同業組合ナルモノガ弊害矯正ノ消極
的施設ニ止ッテ居ルノヲ、ソレニ加フル
ニ積極的ノ經濟施設ヲモ營ムト云フ點
ガ重要ナル根本ノ差異デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=12
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013・上田孝吉
○上田委員 只今ノ御說明ニ依リマス
ルト從來ノ此改正前ノ法律モ此法律ニ
於テモ重要物產同業組合法ハ主トシテ
此同業者間ノ弊害矯正除去ト云フコト
ヲ目的トシテ居ルガ、此法案及ビ改正
前ノ法案ハ共ニソレヲ經濟的ノ意味ヲ
加味シタモノト云フ御說明デアッタヤ
ウニ思フノデアリマス、サウシマスル
トヤハリ重要物產同業組合法ト云フモ
ノハ此法案ノ中ニ所謂加味サレタモノ
デアル、重要物產同業組合法ノ上ニ更
ニ範圍ヲ擴大シタモノガ此法律案デア
ル斯ウ云フヤウニ解釋サレル譯デア
リマスルガ、サウシマスルナラバ重
要物產同業組合法ト云フモノヽ必要ハ
最早ナイノデアリマス、重要物產同業
組合法ト云フモノハ、此法案ニ依ッテ一
層範圍ハ擴大サレテ居ルケレドモ、兎
ニ角其目的ガ含マレテ居ルノデアルカ
ラ、隨テ重要物產同業組合法ト云フモ
ノガ此法案ニ變ッタモノデアル、又政府
ノ意思モ其處ニアルモノデアル、斯ウ
云フヤウニ吾々ハ解スル外ハナイト思
フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=13
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014・吉野信次
○吉野政府委員 御尋ノ通リニ工業ニ
關スル限リニ於テハ實ハサウ考ヘテ
居ルノデアリマス、但シ現在ノ同業組
合ノ中ニハ工業家バカリデゴザイマ
セヌデ、商業家ト兩方密接ナ關係ノモノ
ガ一〓ニナッテ、同業組合ヲ作ルコトガ
出來ルト云フ風ニナッテ居リマス、此工
業組合法ノ方ハ、商ト工ト云フモノハ
密接ナ關係ハゴザイマスルケレドモ、ソ
レヲ一〓ニ致シテ一ツノ組合ヲ作ルト
云フコトハ現行法ハ認メテ居リマセ
ヌ、隨ヒマシテ純然タル工業家ノミヲ
以テ組織シテ居ル同業組合ト云フモノ
ニ付キマシテハ、今度ノ工業組合法ハ
同業組合ヨリモ、今御話ノ通リ進ンダ
擴大シタル機能ヲ持ッテ居ルモノデア
リマスカラ、其方ニ變ヲテ貰ヒタイ、斯
ウ云フ考ヲ持ッテ居リマシテ、大分大正
十四年此法律ヲ施行致シマシテカラ、
同業組合ニシテ同業組合ノ衣ヲ脫イ
デ、新シイ工業組合ニ變ッタモノガ、二
十數組合ノ多キニ達シテ居ルノデアリ
マスケレドモ、商ト工ト兩方ヤッテ居ッ
タ所ノ現在ノ同業組合ト云フモノニ
餘リ急激ノ變化ヲ與ヘルト云フコト
モ是ハドウカト思ヒマスノデ、ソコ
デ現行法ノ大正十四年以來ノ實蹟カラ
申シマシテモ、サウ云フ組合デアル場
合ニハヤハリ同業組合ハ同業組合ト
シテ存續シテ居ルト云フモノモ多イノ
デゴザイマシテ、統計ノ數字カラ云ヘ
バ寧ロ其方ガ多イノデアリマス、八十
「パーセント」ハ同業組合ト工業組合ガ
併存シテ、今日マデ殘ッテ居ルト云フヤ
ウナ狀態デアリマス、併シ純然タル工
業家バカリノモノニ付テハ、弊害ノ矯
正バカリデハ目的ハ達シマセヌノデ、
ヤハリ更ニ進ンデ、經濟的ノ共同施設
ヲヤッタリ、中小工業ト云フモノヽ維持
改善ヲ圖ル方ガ必要ダト思ヒマスノ
デ、工業ニ關スル限リニ於テハ、サウ
云フ風ニ私ハ考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=14
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015・上田孝吉
○上田委員 サウ云フ御趣旨デアリマ
スレバ、詰リ重要物產同業組合法ト云
フモノヨリ、大正十四年ニ出來マシタ
此法律案ガ、尙ホ經濟的ノ意味ヲ加味
シ、更ニ此改正法案ガ一層經濟的意味
ヲ加味シタ、斯ウ云フ發達ノ徑路ヲ辿ツ
テ居ルモノト私ハ見テ宜イト思フノデ
アリマス、サウシテ同時ニ、重要物產
同業組合法案ニ、一層經濟的意味ヲ加
味シタ此法案ガ變ッテ來タ、斯ウ云フ
政府ノ御意思デアリ計畫デアルト考
ヘルコトハ當然ダト思フノデアリマ
スソコデ私ハ御伺シタイノデアリマ
スルガ、從來ノ重要物產同業組合ト云
フモノハ、既ニ政府委員ノ方カラモ御
說明ニナッタヤウニ、色々ナ弊害ノ矯
正デアルトカ除去デアルト云フヤウ
ナ、所謂同業者間ノ色々ナ公益的ナ非
難惡イ點ヲ除去スルト云フコトハ
是ハ詰リ一種ノ公益團體デアルト解シ
テ差支ナイ、所謂是ハ一種ノ公益團體
ト見ルベキ性質ノモノデアッタト思フ
ノデアリマニ然ル所既ニ此前ノ改正
前ノ法案ニ於テモサウデアリマスル
ガ、特ニ改正サレマスル此法案ニ依リ
マスルナラバ、一層經濟的意味ヲ加味
サレタノデアリマスルカラ、最早是ハ
一ツノ營利的ノ團體デアル、斯ウ云フ
ヤウニ解スベキモノデアル、詰リ重要
物產同業組合法ハ公益ノ團體デアリ、
此法案ハ營利的ノ團體デアルト解スベ
キモノト思フノデアリマスガ、政府當
局ハドウ云フ御解釋ニナッテ居リマス
カ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=15
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016・吉野信次
○吉野政府委員 工業組合ガ營利的ノ
經濟〓體デアルト云フ風ニハ、御說ノ
通リ考ヘテ居リマス併シ同業組合モ、
實ハ公益法人トカ或ハ公法人トカト云
フ解釋ヲ農商務省以來執ッテ居リマセ
ヌ、ヤハリ是ハ純然タル私法人デアル
ト斯ウ云フ解釋ヲ執ッテ居リマス、實
ハ弊害ノ矯正ト申シマシテモ、ヤハリ
當業者ノ經濟的ノ其弊害ヲ矯正スル
ト斯ウ云フ建前ニナッテ居リマスカ
ラ實ハ農會デゴザイマストカ、或
商工會議所デゴザイマストカ云フモノ
トハ、少シ性質ガ違ッタモノダト云フ
ヤウナ解釋ヲ、詰リ行政府トシテハ長
年執ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=16
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017・上田孝吉
○上田委員 只今ノ政府委員ノ御說明
ハ私ノ意ニ滿タヌ、私ノ御尋シテ居ル
ノハ法律的ニ考ヘテ、公法人デアルト
カ、私法人デアルトカ云フ御尋ハシテ
ナイノデアリマス、ソレハモウ分ッテ居
ル、公法人カ私法人カ法律的ノ別ヲ御
尋シテ居ルノデナクシテ、其實蹟ニ於
テ、運用ニ於テ、從來ノ重要物產同業
組合ト云フモノハ、サウ云フヤウナ御
互ノ弊害ヲ除去スルト云フヤウナ、所
謂公益的ナ立場ニ立ッテ居ルト云フコト
ヲ政府モ既ニ先程仰シヤッタ、經濟的ノ
意味ハ殆ド含マレテ居ラナイト仰シ
ヤッテ居ル所ガ大正十四年ニ此法律ガ
出來テ、又今度改正サレルト云フコト
ハ一段々々經濟的意味ガ加味サレテ
居ルト云フコトヲ仰シヤッテ居ルノミ
ナラズ、此重要物產同業組合法ガ出テ
居リマスカラ、此運用實蹟ニ於テ重要
物產同業組合法ト云フモノハ、一四ノ一
公益ノ意味ヲ含ンダ集リ、〓體デアル、
又此法律ニ依ル所ノ集リ、〓體ト云フ
モノハ一種ノ營利的團體ノ集リト見
テ相當デナイカト云フコトヲ御尋シテ
居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=17
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018・吉野信次
○吉野政府委員 私御尋ノ點ヲ誤解致
シテ居リマシタ、法律的ニハサウデア
リマスガ、今御話ノ通リ同業組合ハ此
工業組合ニ比ベマシテ、餘程公共的ノ
性質ヲ持ッテ居リマスコトハ、御尋ノ通
リデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=18
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019・上田孝吉
○上田委員 此際サウシマスト御尋致
シタイ、尤モ先程來ノ御說明ニ依リマ
スト又此法案ニ依リマシテ、從來ノ重
要物產同業組合ノ持ッテ居ル、或ハ同業
者間ノ色々ノ弊害ノ除去、斯ウ云フコ
トヲヤル、同時ニ經濟的ノ施設ヲヤル、
此コトノ目的ヲ持ッタモノデアルカラ、
二ツトモ出來ル、之ヲ此法文ノ體裁カ
ラ云フナラバ-其條文ノ體裁カラ云
フナラバ勿論サウ解釋サレマス、併ナ
ガラ實際問題カラ之ヲ考ヘテ見ルト
又法ノ推移カラ考ヘテ見ルト、是ハヤ
ハリ從來ノ此公益的ナ意味ヲ段々脫却
シマシテ、サウシテ營利的ノ方面ニ走ッ
テ居ルト云フヤウナコトモ、私共ニ見
得ラレルト思ヒマス、サウ云フ形ニナッ
テ來ルトシマスナラバ、從來此重要物
產同業組合ニ於テ爲シテ居リマシタ所
ノ同業者間ノ或ハ團結心ヲ鼓吹スル
トカ、或ハ又更ニ組合間ノ平和デアル
トカ、親睦ヲ旨トスルトカ又更ニ同
業者間ノ意思ニ疎隔ガアッタ場合ニ於
テ、其間ニ立ッテ調停シテヤル、サウシ
テ其間ニ圓滿ナル妥協ヲセシメルト云
フヤウナコトモ、能クヤッテ居ルノデア
リマス、又新加入者ニ對シマシテハ
能ク之ヲ指導シマシテ、サウシテ新加
入者ニ其事務ノ實情ヲ能ク知ラシムル
ト云フヤウナコトヲ致シテ居ル、或、
博覽會デアルトカ、展覽會デアルトカ、
サウ云フ場合ニ於テモ非常ニ便宜ヲ
圖ッテ居ルヤウナ、從來ニ於テ重要物產
同業組合ニ於テ公益的ニヤッテ居リマシ
タ所ノ、色々ノ仕事ト云フモノハ、此
法律ノ變遷シテ行キマス所ノ其形ニ於
テ、段々薄ライデ行クノデハナイカト
云フコトヲ私等ハ憂ヘルノデアリマス
ガ、ソレニ對シマシテ政府當局ハドウ
云フ御考ヲ持ッテ居ラレマスカ、又、此
運用ニ付キマシテ今私ガ申上ゲマシタ
ヤウナ點ガ薄ライデ行カントスルト云
フヤウナ傾向ノアッタ場合ニ於テ、之ヲ
ドウシテ防止シ、ドウシテ支持シテ行
クカト云フコトニ付テ御考ガアレバ承
リタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=19
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020・吉野信次
○吉野政府委員 御尋ノヤウナ同業組
合ノ現在ヤッテ居リマスヤウナ仕事ハ
此工業組合モヤハリソレヲヤルノデア
リマス、ソレニ加フルニ現在產業組合
デヤッテ居ルヤウナ、經濟的施設モヤル
ト云フノガ此工業組合ノ精神デアリ
マス、弊害矯正ト云フコトヲ同業組合
ガヤリマス、主ナモノハ、御承知ノ通
リ粗製濫造ノ檢査ノ取締ガ主ナル仕事
ニナッテ居リマスガ、矢張サウ云フヤウ
ナモノヲ今度ノ工業組合デモ其儘ヤッテ
居リマス、今御話ノ同業者ノ商標デア
ルトカ、或ハ調停ト云フヤウナモノモ、
ヤハリ工業組合ハ其儘ヤッテ居ルノデ
アリマス、吾々ガ此法律ヲ運用スルニ
當リマシテモ、其點ハ從來ノ同業組合
ノヤル所ヲ、其儘此工業組合ニモ行ハ
シメテ、サウシテ更ニ之ニ加フルニ現
在ノ同業組合デヤリ得ナカッタ所ノ經
濟的施設モ併セテ行ハシメル、サウ云
フ積リデ運用サシテ行クノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=20
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021・上田孝吉
○上田委員 私ノ申上ゲマスノハ此
法文ナリ何ナリガ出テ、從來多少公益
的ナ方面モ、金融的、經濟的ナ方面ト
兩方此法案ガヤルモノデアルト云フコ
トハ分ッテ居リマス、分ッテ居リマスガ、
ソレヲ聽クノデハアリマセヌ、私ノ聽
クノハ、此法ノ遷リ變リシテ來テ居ル
此經過ガ、段々公益的ノ立場ニアッタモ
ノガ、經濟的ノ立場ニ於テ變化シテ行ッ
テ居ルノデハナイカ、サウ云フヤウナ
考ヘ方ガ、此間ニ於テ一ツノ流レトシ
テアリマスルナラバ從來主トシテ公
益的ニ行ハレタ、私ガ先程例示致シマ
シタヤウナ色々ナ事柄ガ、段々經濟的
ノ方面ノミヲヤルヤウニ遷リ變ヲテ行
キハセンカト云フコトヲ私ハ憂ヘルノ
デアリマス、隨テ私ノ此憂ガ、一ノノ
全然𣏌憂ニ過ギヌト仰シヤルナラバ
是ハドウ云フ理由ヲ以テサウ仰シヤル
ノデアルカ、ソレハドウ云フヤウナ事
ガアルカラサウ云フヤウナ𣏌憂ハナイ
ト仰シヤルノカト云フコトヲ、私ハ御
聽キシタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=21
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022・吉野信次
○吉野政府委員 實ハ此工業組合法
モ、現行法モ、御承知ノ通リ其工業ノ
改良發達ヲ圖ルト云フコトガ目的ニ
ナッテ居リマスカラ、其意味ニ於テ御尋
ノ御言葉ヲ用ヒマスレバ、公益的ノ性
質ヲ有ッタ組合デアル、ソレデ法律的
ノ性質モ、是ハ營利法人トハ實ハ見テ
居ラヌノデアリマス、ソレデアリマス
カラ根本的ノ趣旨ニ於キマシテハ御
尋ノヤウニ同業組合ト大シタ違ッタモ
ノデハナイト私共ハ考ヘテ居リマス、
唯從來ノ同業組合ハ、仕事ノ範圍ガ消
極的ニ限ラレテ居リマスカラ、唯ソレ
ヲ積極的ノ方マデ向ケタイ、是ダケノ
考デ實ハ立法致シタ譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=22
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023・上田孝吉
○上田委員 サウシマスルト詰リ從
來ノ重要物產同業組合ニ於テヤッテ居ヲ
タ仕事ヲ支持スルニ努メルコトハ、勿
論法ノ精神モサウデアルガ、ソレニ唯
經濟的ナ、積極的ナル方面ヲモ加味シ
テ行ク心持ヲ以テ居ルト云フ御答ト
思ッテ居リマスカラ、尙ホ其程度ニシ
テ進ンデ御尋致シマスガ、併シ此法案
ハ所謂色々ノ目的モアリマセウガ、
面カラ考ヘテ見マスルト云フト、出資
ヲ目的トシタ一ツノ團結ヲ求メテ居ラ
レル法律ト云フ風ニ私ハ解釋シテモ宜
イノデハナイカト思フノデアリマス、
サウ致シマスルト云フト、其性質上隨
テ少數ノ同業者ヲ以テ組織スルヨリ外
方法ガナイコトニナルノデハナイカ、
出資ガ伴フモノデアリマスルカラ、所
謂從來ヨリモ範圍ガ非常ニ縮小サレテ
行クノデハナイカ、所ガ既ニ御說明ノ
中ニモアリマシタ通リ、此法案ハ他ノ
一面ニ於テハ此工業品ノ統制デアルト
カ、或ハ其間ノ連絡トカ云フヤウナコ
トヲ目的トシテ居ラレルヤウニ承ッテ
居ルノデアリマスガ、其大キナ統制、
連絡ト云フコトヽ出資ヲ目的トシテ、
サウシテ其範圍ガ追々ト縮小セラルヽ
ト云フコトヽハ、相反スル結果ヲ生ズ
ルコトヲ虞レルノデアリマスガ、サウ
云フヤウナ傾向ガアルカナイカ、又サ
ウ云フ傾向ガアリトスルナラバ、ソレ
ニ對シテ如何ナル善後策ヲ御講ジニナ
ル御積リデアルカト云フコトヲ御伺シ
タイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=23
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024・吉野信次
○吉野政府委員 御尋ノヤウナ虞ハナ
イト思ヒマス、ト申シマスノハ現行
法デモヤハリ當業者ノ三分ノ二以上ノ
同意ガナケレバ組合ハ作レナイト云フ
コトデ、丁度同業組合デモ同ジ規定ニ
ナッテ居リマス、幾ラ組合ヲ作リタイト
申シマシテモ、ヤハリ其全體ノ同業者
ノ三分ノ二以上ト云フ大多數ノ人ガ作
ルト云フ場合ニ、初メテ組合ガ作レル
ト云フコトニナッテ居ルノデアリマス、
ソコハ同業組合ト同ジヤウナ風ノ規定
ニナッテ居リマシテ、出資ハヤッテ居リ
マスケレドモ、出資ノ金額ト申シマシ
テモ工業家トシテサウ負擔ニ耐ヘラ
レナイヤウナ澤山ノ金額デハナイノデ
アリマス、組合ニ依ッテ違ヒマスケレド
モ、其出資ヲスルト云フコトノ爲ニ、
此組合ニ加入ガ出來ナイト云フヤウナ
コトハ今日マデ實ハ承知致シテ居リ
マセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=24
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025・上田孝吉
○上田委員 ドウモ私ハ聊カ政府委員
ト所見ヲ異ニスルノデアリマスガ、ド
ウシテモ出資ヲ目的トシタ〓體ニナリ
マスト其組合ノ範圍ト云フモノガ小
サクナルコトハ、私ハ經濟的ノ實情カ
ラ言ウテ當然デハナイカト思フノデア
リマス、ソレヲ政府當局ハ出資ヲ目
的トシタ團體デアッテモ、從來ノ公益的
團體ト比較シテ毫モ範圍ガ小サクナラ
ヌト仰ッシヤルノハ、其小サクナラヌト
云フ根據ガ、分ラナイ、今ノ三分ノ二
以上ト云フ點ガサウダト仰ッシヤルノ
デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=25
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026・吉野信次
○吉野政府委員 出資デアルカラ金額
ガ多イ、賦課金デアルカラ金額ガ少イ
トハ實ハ考ヘテ居リマセヌノデアリマ
ス、是ハ組合ノ事情々々ニ依リ、其仕
事ノ性質ニ依ッテ決マリマスノデ、細カ
イ實例ハ只今持ッテ居リマセヌケレド
モ恐ラク調ベマシタナラバ同業組
合ト云フモノヽ賦課金デモ、工業組合
ノ出資金ヨリハ金額ノ點カラ言ヘバ多
イモノデアラウト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=26
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027・上田孝吉
○上田委員 ソレハ出資ヨリモ賦課金
ノ方ガ多イモノモアルト致シマシテ
モソレハ例外デアリマセウ、私ハ例外
的ノ事ヲ聽イテ居ルノデハナイノデ
ス、是ハ能ク御聽キヲ願ヒタイ、般
的ニ考ヘテ、出資ヲ目的トシタ團體デ
アリ組合デアル以上ハ、ソレハドウシ
テモ出資金ト云フモノガ大キクナルコ
トハ當然デアル、賦課金ト云フモノ
ハ必要已ムヲ得ズシテ負擔金ヲ出ス
ノデアリマス、其性質ガ所謂必要已ム
ヲ得ザル所ノ負擔金デアリマスカラ、
總括的ニ、一般的ニ申シマスナラバ、
金額ガ減ッテ行クコトハ常識的ニ考ヘテ
當リ前ダト思フ、但シ一二ノ例外ハア
リマセウ、除外例ハアリマセウ、ケレ
ドモ私ハ例外ヤ除外例ヲ承フテ居ルノ
デハナイ、法ノ精神カラ言ッテ、出資ト
云フモノト組合ノ賦課金ト云フモノト
ハ其根本ノ目的ニ於テ差等ガアルデ
ハアリマセヌカ、ソレデアリマスカラ
例外的ノ場合デナクシテ、一般的ニド
ウナルカト云フコトヲ承リタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=27
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028・吉野信次
○吉野政府委員 或ハ一般的ニ申シマ
シタナラバ、御話ノヤウナ點モアラウ
カト思ヒマスケレドモ、唯問題ハ工業
組合ヲ組織セントシマスル工業者ガ、
其決メマシタ一口ノ金額ニ耐ヘラレル
カ耐ヘラレナイカト云フ問題デハナイ
カト思フノデアリマス、實ハ其御尋ノ
點ニ付キマシテハ現行法ヲ編ミマス
時ニモ、實ハ十分注意シマシテ、產業
組合法ノ條文ヲ準用致シマシテ、加入
ヲ困難ナラシムルヤウナ條件ヲ付シテ
ハイケナイト云フコトニナッテ居リマス
ガ、御尋ノヤウニ、出資ノ金額ガ餘リ
ニ多イ爲ニ、中小工業者ガ加入ガ出來
ナイト云フヤウナコトハ是ハヤラセ
ナイ、斯ウ云フ行政ノ方針デモアリ、
又サウ云フ方針ニ此法ハ出來テ居ルノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=28
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029・上田孝吉
○上田委員 政府當局ニ於テハ勿論サ
ウデアリマセウ、出來ルダケ負擔ニ耐
ヘラレナイト云フヤウナコトマデハヤ
ラセナイ方針デ御ヤリニナルコトヽ思
ヒマス又サウヤラネバナラヌ筈デス、
ケレドモ大體ニ於テ、ヤハリ從來ノ法
律ト、此重要物產同業組合法ト較ベテ
見マスナラバ、負擔金デアッタモノガ今
度出資ニナルノデアリマスカラ、其金
額ガ殖エテ行クト云フコトハ一般的
ニ常識的ニ考ヘテ見テ推知セラレル譯
デアリマス、隨テ金額ガ殖エテ行クト
云フコトニナリマスナラバ、其勢ハド
ウナルカト言フト、ヤハリ其範圍モ縮
小サレテ行クト云フコトハ是ハ已ム
ヲ得ナイコトデハナイカト思フ、ソ
レヲ御聽キシタイノデス、詰リ負擔ガ
伴フノデス、其負擔ハ從來共伴ヒマス
ガ、併ナガラ今度ハソレガ多クナル、
多クナルノデアリマスカラ、ドウシテ
モ其範圍ガ縮小サレルコトハ私ハ已ム
ヲ得ヌノデハナイカト思フ、範圍ガ縮
小セラレルナラバ、此法ノ根本ノ目的
デアル統制連絡ト云フコトニ相背馳ス
ルコトニナリハセヌト云フコトヲ私ハ
承リタイ、範圍ハ縮小サレヌモノダト
云フコトノ論據ハ何處ニアルカト云フ
コトヲ御聽キシタイ、ソレハ政府トシ
テハ成ベク負擔ニ耐ヘヌヤウニハセヌ
ト云フコトハ今御聽キシテ分ッテ居ル、
負擔ニ耐ヘヌト云フコトダケデハナ
イ、從來ノ負擔シテ居リマスモノヨリ
モ金額ガ、經濟的ニ營利的ニナリマスル
爲ニ多ク出シテ行カナケレバナラヌト
云フコトカラ、範圍ガ縮小サレル憂ガ
ナイカドウカ、範圍ガ縮小サレルナラ
一、此統制トカ連絡ト云フ目的ニ相背
馳スルコトニナリハセヌカト云フコト
ヲ御伺ヒシテ置キタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=29
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030・吉野信次
○吉野政府委員 假ニ負擔ガ多クナリ
マシテモ、ソレニ伴ッテ組合員トシテ
ハ、之ニ加ハルコトニ依ッテ利益モ受ク
ル譯デアリマスソコデ組合員ハ負擔
ガ伴ヘバ伴フダケ利益ヲ受ケマスカ
ラソコデ判斷致シマシテ、自分ノ利
害ヲ考ヘテ、適當ニ此組合員ニ入ルカ
入ラヌカト云フコトヲキメルダラウト
思フ、サウシテ組合トシマシテハ何
ト言ッテモ同業者ノ間ノ三分ノ二ノ同意
ガナケレバ設立ノ發起ノ申請ハ出來ナ
イノデアリマスカラ、ソレデ御話ノヤ
ウニ、單ニ出資デアル、賦課金デアル
ト云フコトノ爲ニ、段々ニ同業者ノ範
圍ガ狭クナルモノトハ實ハ考ヘマセム発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=30
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031・横山勝太郎
○横山政府委員 段々ノ御說デアリマ
スガ、其御質問ニ對スル答辯ハ只今
政府委員カラ御答ヘ致シマシタ通リデ
アリマス、御心配ノヤウニ、經濟的ノ
負擔ガ增加スルノ傾向ニアリト致シマ
スナレバ、御心配ノヤウナ事ガ當然起フ
テ來ルト想像サレマス、全然負擔ノナ
イモノヨリハ、負擔ガアル場合ニハ範
圍ガ縮小サレマス、又負擔ガ殖エレバ、
或ル程度マデ縮小サレル、是ハモウ當
然ノ事ダラウト思ヒマスガ、併ナガラ
先刻來政府委員ガ答ヘマスル通リニ、
負擔ニ耐ヘラレナイ程重大ナル負擔ヲ
課スルノデハナイ、恐ラク定款等ニ於
テ、相當ト決定致シタルモノヲ以テ標
準トスル譯デアリマスカラ、サウ云フ
事ヲキメル時分ニ、自然大キナ工業者
ガ、多數ヲ占メテ居ル中小工業者ヲ苦
メルヤウナ態度ニ出ルコトガ全然ナイ
トハ申シマセヌガ併ナガラ若シサウ
云フ事ガアリマスルナラバ、是ハ輿論
ノ批判モ受ケル譯デアリマス、多數ノ
意嚮ヲ無視シテ、大工業者ガ無理ナ負
擔ヲ課スルヤウナコトハ容易ニハ出來
ヌ筈デアリマス、又此法案起草ノ當時
ニ於キマシテ其金額等ニ付テモ議論ガ
アッタノデアリマスガ、苟モ產業振興ノ
意味ニ於キマシテ、之ヲ輸出工業品ノ
ミニ限ラナイデ、內地向ノ工業ニモ擴
張シテ行ク、而シテ連絡統制ヲ圖ルト
云フ最モ大キナ仕事ヲスルコトニナル
ノデアリマスカラ、是レ程ノ事ヲヤッテ
行キマスル上ニ於テ、多少ノ負擔ノ增
加スルト云フ位ノ事ハ相當考慮シテ居
ルコトデアリマス、又中小工業者ガ、
サウ云フ負擔ニハ耐ヘラレヌト云フ目
實ヲ設ケテ加入セズ、又實際ニ於テ負
擔ガ出來ヌト云フヤウナ者ガナイトモ
限リマセヌ、併ナガラサウ云フ極端ナ
場合ハ、此法案ノ草案ヲ作リマシタ當
時ニ於テ想像シナカッタノデアリマス
俺ハ貧乏ダカラ金ハ一文モ出セヌト言
ヘバソレハソレマデノ事デアリマス
併ナガラ苟モ相當ノ資本ヲ下シ、相當
ノ從業員ヲ使ヒ、相當ノ工業ヲヤッテ行
クト云フ人ニ於テ、サウ云フ極端ナ、
非常識ナ行爲ニ出ル者ハナイト思フ、
ソレ故ニ總テノ事情ヲ考慮致シマシ
テ御心配ノ點ニ付キマシテハ十分監
督ヲ加ヘル積リデアリマスカラ、既然
答辯致シマシタ通リ、之ニ依ッテ範圍ガ
縮小サレルヤウナ虞ハナイモノト御諒
承ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=31
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032・上田孝吉
○上田委員 大體只今ノ政府委員ノ御
說明デサウ云フ御心掛ヲ持ッテオヤ
リ下サルコトハ私モ非常ニ結構ト思ヒ
マハ唯實際問題トシテハ其御心掛
通リニ行クカドウカト云フコトヲ私ハ
憂ヘル、ソレハ多少ノ負擔ガ增シテモ.
負擔ニ耐ヘナイト云フコトハナイカラ
シテ、縮小サレル憂ハナイト仰ヲシヤル
ガサウナリマスレバ問題ハ實際問題
ニナルヨリ外仕方ガナイ、同業者ガド
ウ考ヘテ居ルカト云フコトヲ考ヘルヨ
リ仕方ガナイコトニナル、ソレハ政府
當局ハサウナルコトハナイ、ソレ程
困リハセヌト仰シヤルガ、實際問題ト
シテハ、同業者ノ事ヲ言フヨリ仕方ガ
ナイノデアリマスガ、現ニ政府當局ニ
對シマシテ、同業者ノ人達ガ、此法案
ニ對シテ反對ノ意嚮ヲ有シ、サウシテ
斯ウ云フヤウナ狀態デ遷リ變ヲテ行ク
ナラバ、其範圍ハ追々縮小サレルモノ
デアルト云フコトヲ、同業者ノ間ニ於
テ既ニ叫ンデ居ルト云フ事實ヲ政府當
局ハ御知リニナラヌノデアリマスカ
是ハ寧ロ此法案ニ對スル反對ト云フコ
トハ敢テ私ガ今御尋ネシテ居ル此點
バカリデハ勿論アリマセヌ、更ニ後ニ
御尋ネ致シマスル點ニモ、大キナ關係
ヲシテ反對シテ居ルノデアリマスケレ
ドモ、少クトモ此點モ今御尋ネシテ置
キタイ、此點モ反對ノ一ツノ理由ノ中
ニ數ヘラレテ居ル、卽チ同業者-實
際ニ其業ニ携ッテ居ルモノ自體ガ此組
合ノ發達經過ニ依ルナラバ、其範圍ハ
縮小サレテ行クト云フコトヲ現ニ言ッ
テ居ル、是ハ實際問題デアル、斯ウ云
フ實際問題ヲ、政府當局ハ御否定ニナ
ルノデアルカドウカト云フコトヲ御尋
シタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=32
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033・吉野信次
○吉野政府委員 工業組合ノ方ノ、出
資ノ一口ノ金額ハ、大キイノハ二百圓
三百圓ト云フノモアリマスガ、大體五
十圓ガ其一口ノ出資ノ金額ニナッテ居
ルノガ普通デアリマス、而シテ其拂込
額ガ四分ノ一デゴザイマスカラ、十二
圓五十錢ノ拂込ヲヤル譯デアリマス、
第二囘目ハ、其狀況ニ依ッテヤルト云フ
コトデアリマスカラ、實際問題トシテ
ハサウ云フ事情デアリマスカラ、
口以上或ハ數口ヲ持ツ人モゴザイマス
ケレドモ、其一口ノ金額モ拂込メナイ
ト云フヤウナ狀況ニアルモノトハ、實
ハ幾ラ中小工業者デモ考ヘマセヌ、又
組合員ヲ作リマス者ノ間ニ、自ラ負擔
能力ノアル人ハ多クノ口數ヲ持チマス
シ、負擔ノ力ノ少イ人ハ口數ガ少イト
云フ狀況ニナッテ居リマス、何千圓トカ
何萬圓トカ云フ金額ニハナッテ居リマ
セヌノデ五十圓ト云フノガ大體一口
ノ金額デアリマスカラ、ソレデ御承知
ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=33
-
034・上田孝吉
○上田委員 只今ノ政府當局ノ御說明
ハ、勿論他ノ方面カラ見レバ金額ガ少
イヤウニモ見ラレマセウ、併ナガラ其
業者間ニ於テ、特ニ又昨今ノヤウナ疲
弊シテ居ル此產業ノ狀態ノ下ニ於テ、
特ニ一口モ持テバ宜イト云フ御考デ
モ、サウハイカヌ場合ガ多イ、ソレハ
同業者間ノ關係ニ於テ、同業者間ノ利
益ト言フカ、情實ト言フカ、或ハ同業
者間ノ地位ノ保持ト言ヒマスカサウ
云フ色々ナ立場ニ於テ、當局ガ御考ヘ
ニナッテ居リマスルヤウニ、簡單ニ僅カ
ノ出資ダケヲシテ行ケバ宜イト云フ譯
ニイカヌト云フ場合ガ多々アルコトヲ
御知リニナリマセヌカ、ソレハ机上ノ
計算カラ言フテ、少イ場合モアルガ實
際問題カラ言ヘバ、今申シマシタヤウ
ナ同業者間ノ因緣關係ニ於テ、多額ヲ
出資セヌナラヌ場合ノアルコトヲ御知
リニナリマセヌカ、又サウ云フ場合ニ
於テ、今日深刻ニ疲弊シテ居ル同業者
間ニ於テ、一口以上數口ヲ持ッタ場合ニ
於テ、非常ニ困ッタ場合ガナイト政府當
局ハ言ヘマスカドウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=34
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035・吉野信次
○吉野政府委員 實際問題トシテ、絕
對ニナイト云フコトハ言兼ネルト思ヒ
マスガ、又實際ニ於テハ反對-反對
ト申シマシテモ同業者ノ間ニ-自ラ
組合ヲ作リマス者ノ間ニ、互ニ相助ケ
合フト云フ共同ノ精神ニ依ッテ、私ノ
知ッテ居リマス實例デモ、資力ノアル
人ガ、資力ノ無イ人ノ口數ヲ自分デ持ヲ
テ拂ッテヤルト云フ實例モ澤山アルノ
デアリマス、ソレデスカラ、其點絕對
ニナイトハ申上ゲラレマセヌケレド
モ、實際問題トシテ、其爲ニ組合ノ範
圍ガ狹メラレテ行クト云フ風ニハ、度々
申上ゲマシタヤウニ考ヘテ居リマセヌ
シ、又サウシナイ方針デ此法律ヲ運用
シタイ斯ウ思ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=35
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036・上田孝吉
○上田委員 是レ以上ハ意見ノ相違ニ
ナリマスカラ私ハ尙ホ他日又、此委員
會ガ續ケラレマスレバ其場合マデ質問
ヲ保留スルコトニ致シマスガ、只今ノ
所デハ政府當局ト私ト意見ヲ異ニシテ
居ルト云フコトヲ申上ゲテ置キマス
尙ホ進ンデ質問ヲ致シマスガ、ソレハ
當業者間ニ於テヤカマシク此改正案ニ
對シテ反對シテ居ル重要ナ事項デアリ
〓〓、サウシテソレハ獨リ重要輸出品
工業組合法中改正法律案ニ限ラズ、輸
出組合法中改正法律案ニモ共通ノ事項
デアリマス、ソレハ丁度此處ニ當業者
間ニ於ケル決議文ガ來テ居リマス、是
ハ多分政府當局モ委員ノ方モ御承知カ
トモ思ヒマスガ、本法ニ依ッテ設立セ
ラルヽ組合加入者ハ、其營業ニ關スル
重要物產組合法ニ依ル同業組合ニ加入
セズ、又ハ之ヨリ脫退スルコトヲ得ト
アル此條項ガ、ヤハリ尙ホ活キテ居ル
點デアリマス、此條項ガ活キテ居ルト
致シマスルナラバ、重要物產同業組合
法ニ依ッテ、是カラ尙ホ一層加入シナ
クテモ宜イ又、脫退スルコトモ出來ル
ノデアリマス、サウシテ他ノ一面ニ於
テ此法律ガ出來テ居ルノデアリマス、
此法律ガ出來テ居リマスルカラ益重要
物產同業組合法ニ依ッテ加入スル必要
ガ無クナルノデアリマス、所ガ私ハ
重要物產同業組合ノ中ニ加入サシテ置
ク必要ガナイト云フコトハ斷言ガ出
來ヌノデハナイカト思フ、今日ノ同業
組合法ノ狀態ニ於テ、又今日ノ當業者間
ニ於テハ、尙且ツ此重要物產同業組合
法ト云フモノハ必要デアルカラ存續シ
テ居ルノデアリマス、サウシテ此案ニ
於テハ先程カラ申上ゲマス通リ、公益
ノ團體トシテ種々實蹟ヲ擧ゲツヽア
ル又必要デアルカラシテ存續シテ居
ルニモ拘ラズ、尙且ツ此法律ガ出來テ、
サウシテ脫退スルコトガ出來ル、加入
シナクテモ宜イト云フヤウナ狀態デア
リマスルナラバ、重要物產同業組合法
ト云フモノハ有ッテ無キガ如キ形ニナ
ルコトヲ虞レルノデアリマスガ、之ニ
對シマシテハ政府ハドウ云フ御意見デ
アリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=36
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037・横山勝太郎
○横山政府委員 要スルニ第九條ガ存
續致シマスル爲ニ、只今仰セノ問題ガ
起ッテ來マスサウシテ是ハ第九條ヲ
取ッテシマヘバ問題ハ無クナ.リマスガ、
併シ是ガ存シテ居ル理由ハ、詰リ組合
ノ加入繼續ヲ强制シナイ趣旨デアルコ
トハ勿論-尤モ强制スルト云フコト
モ一ツノ方法デアリ、又强制セザルコ
トモ一ツノ方法デアルノデアリマス、
本法ノ制定ニ付キマシテハ、諸種ノ事
情ニ鑑ミマシテ、加入ヲ强制シナイト
云フコトニシテ、第九條ヲ存置セシメ
テ居ルノデアリマス、地方々々ノ事情
ニ依ッテ之ヲ任意ニスルト云フコトガ
本法運用ノ上ニ於テモ妥當デアルト考
^ ^勿論舊組合ニ屬シテ居ル人ガ、
何等ノ根據ナク其組合ヲ脫退スルト云
フガ如キコトハ想像ガ出來マセヌ其
組合ガ相當功績ヲ擧ゲテ居ルト云フヤ
ウナ場合ニ、甲モ乙モ丙モ皆其組合ヲ
脫退スルト云フガ如キコトハ、到底想
像シ得ラレヌノデアリマス、根本義デ
アリマスル所ノ、强制シナイト云フ趣
旨ニ立脚致シマシテ、ヤハリ地方々々
ノ事情ニ依ッテ組合員ノ自由ヲ認メル
ト云フコトニシタノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=37
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038・上田孝吉
○上田委員 ソレハ私政府當局トシテ
ハ實情ニ該當シテ居ナイ所ノ、御答辯
御說明デハナイカト思フノデアリマ
ス、勿論成ベク自由ヲ認メルト云フコ
トモ必要デアリマセウ、併ナガラ自然
斯ウ云フヤウナ法案ガ出ルト云フコト
ハ或ル一種ノ束縛ヲ爲スト云フコト
ガ、其業界ノ發達ノ爲ニ已ムヲ得ザル
必要ガアルカラ、斯ウ云フヤウナ法律
ヲ次ギ〓〓ニ出シテ行カレルノデアリ
やっ、勿論其人ノ極端ナル自由ヲ認メ
ル譯ニハ行カナイ、其自由ヲ幾分束縛
スルト云フコトハ其組合ノ全般ノ利益
ニナリ、又隨テ其人ノ爲ニモ利益デア
ル、ソレデ或ル點マデ束縛シナケレバ
ナラヌト云フノガ、是ガ斯ウ云フ種類
ノ法律ノ出テ來ル根據デアル、ソレデ
此九條ヲ其儘ニ存シテ置クト云フコト
ハ理窟ハ立タヌト思フ、ソレデ先程來
此點ガ重要デアルカラ色々ノ徑路ヲ辿
テ御尋シテ來テ居ルノデ、卽チ重要物
產同業組合法ト本法トノ關係ヲ御尋シ
テ居ッタノハ、此點ニ必要デアルカラ特
ニ御尋シテ居タノデアリマス、既ニ從
來ノ重要物產同業組合法ト此法案ト
ハ或ル意味ニ於テハ目的ハ同ジデア
ル、更ニ經濟的意味合ガ加ハテ來タノ
ガ此法律デアリマス、デアリマスカラ
此組合ニ這入ッテ居リマスルナラバ、從
來ノ重要物產同業組合ニ這入ッテ居ル
必要ガ無クナル、ソレハモウ一ツニ這
入ッテモ二ツニ這入ッテモ三ツニ這入ッテ
モ宜イチヤナイカト御考ニナルカ知レ
マセヌガ、併ナガラソレハ費用ノ點ニ
於テ色々煩瑣ナ點ニ於テ、總テノ點ニ
於テ損失ガ起ル場合ガ多イノデアリマ
ス、政府當局ハ一ツデモ二ツデモ三ツ
デモ、自分ノ拵ヘタ組合ニハドン〓〓
這入レバ宜イデハナイカト御考ニナル
カ知レマセヌガ、併ナガラ實際業界ノ
事ハサウ簡單ニハイカナイ、ソレニ對
シテハ負擔ガ伴フ、又煩瑣デアル、デ
アルカラ斯ウ云フ場合ニ於テ重要物產
同業組合法ト云フモノハ、全然必要ガ
ナイ、サウシテ此法律ノミデ行クナラ
バ別問題デアリマス、然ルニ拘ラズ重
要物產同業組合法ハ必要デアル、サウ
シテ尙ホヤハリ此法律モ必要デアル、
斯ウ云フ政府當局ノ御意向デアルト云
フコトハ、先程ノ御說明ニ依ッテ分ッテ居
ルシテ見レバ兩方共必要ナ場合ニ於
テ、重要物產同業組合ニ對シテ自由ニ
脫退シテモ宜イ、加入シナクテモ宜イ
ト云フヤウナコトデアルナラバ、之
對シテ脫退スル人、加入シナイ人ガ澤
山出ルコトハ當然デアルガ、サウ云ウ
事ハナイト言ハレル理由ハ何處ニ在リ
マスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=38
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039・横山勝太郎
○横山政府委員 法律ガ二ツアルノデ
アリマスカラ、當局トシテハ二ツトモ
運用シテ行クト云フコトハ勿論デアリ
マス、併シ大臣モ說明致シマシタ通リ、
新ニ工業組合法ヲ改正致シマシテ色々
ノ設備ヲ爲スコトヲ認メテ、一種ノ產
業統制ヲヤルト云フ趣旨デアリマスカ
ラ、此提案致シタル立法ノ必要性ヲ認
メラレテ、之ニ贊成シテ下サル以上ハ、
此法律ヲ何處マデモ運用シテ行カナケ
レバナラヌ、全然反對デアルト云フナ
ラバ別デアリマスケレドモ、併シ政府
ノ側カラ申シマスルト云フト、其必要
ヲ認メテ此制定ヲ決心シタノデアリマ
ス、サウシタ上デ重要物產同業組合法
ニ依リ組合ニ加入シテ居ル者ガ、續々
ト脫退ヲ致シテ、新法ニ依ル組合ノ方
ニ來ル、サウスレバ自然舊組合ハ無ク
ナッテシマウカモ分ラヌ、サウスレバ其
法律モ必要デナイカモ知レヌト云フ意
味ノ御說ノヤウデアリマスガ、卽チ本
法ノ制定ニ依ッテ、直チニ全部ノ舊組合
ガ消滅シテシマッテ、此法律ニ依ル組合
ニ全部集ッテ來ルト云フヤウナコトハ
考ヘテ居リマセヌカラ、ヤハリ存續シ
テ居リマスモノニ對シテハ其法律モ
存續セシメタイト云フ趣旨デアリマ
ス、御說ノ如ク目下ノ經濟狀態ニ於キ
マシテ、斯ル立法ヲスルコトガ必要デ
アルト認メテ提案ヲ致シマシタ以上
ハ本法制定ノ曉ニ於キマシテ、自然
御質問ノ通リ或ル程度マデ脫退スル者
ガ出テ來ルコトハ當然デゴザイマス
ガ、先刻モ申シマシタ通リ、之ヲ存續
スルコトニ依ッテ利益ガアリ、之ニ加入
シテ居ルコトニ依ッテ利益ヲ得ル組合
員デアルナラバ、サウ直チニ組合カラ
脫退スルト云フコトハ想像出來マセ
ヌ、假ニ御心配ノ通リ組合ヲ脫シテ、
新法ニ依ル組合ニ全然入ッテシマッテ、
舊組合ハ殆ド存續スルコトガ出來ナイ
ト云フヤウナコトガナイトハ申サレマ
セヌ、サウナレバソレハ當業者ノ必要
ト當業者ノ自由ニ依ッテ進退ヲスルノ
デアリマスカラ、サウ云フ場合ニ至ッテ
モ、尙且ツ舊組合ヲ何處マデモ保護シ
テ行カナケレバナラヌト云フ必要ハア
ルマイト思ヒマス、組合ヲ作ッテ居ル多
數ノ人ガ不必要ナルコトヲ認メ脫退ヲ
シテ、新タニ利益ノ有ル組合員ニナル
ト云フコトナラバ、ソレヲ尙且ツ引留
メテ何處マデモ古イ組合ヲ保護シナケ
レバナラヌ必要ハナイ、サウ云フ現象
ガ全國的ニ瀰蔓シテ參リマシテ、重要
物產同業組合法ニ依ル組合ヲ殆ド支持
スルコトガ出來ヌト云フコトニナレ
一、ソレハ法律ノ改廢ニ付テ、其時ニ
於テ相當考慮スベキデアルト考ヘル、
只今ノ程度ニ於キマシテハ本法制定
ノ曉ニ於テ、重要物產同業組合法ニ依
ル組合員ガ、直チニ悉ク脫退シテ舊組
合ガ無クナルト云フヤウナ心配ハ致シ
テ居リマセヌ、寧ロサウ云フコトハア
ルマイト思ヒマス、ソレガ漸次上田君
ノ御質問ノ通リ、サウ云フ傾向ヲ帶ビ
テ參リマスナラバ、其時ニ及ンデ立法
手段ヲ講ズベキモノデアルト考ヘマ
ス、尙ホ詳シイコトガ御必要デアレバ
他ノ政府委員カラ御答致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=39
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040・上田孝吉
○上田委員 私ハ只今ノ政府委員ノ御
答辯ハ洵ニ以テノ外ト思フ、苟モ爲政
者ガサウ云フヤウナ法律ニ依ッテ設ケ
ラレタ團體ヲ、盛衰ノ結果ガ現レタ後
ニ於テ、其法律ヲ改廢シテ宜イト云フ
爲政者ガ何處ニアリマスカ、サウ云フ
不定見ナ成算ノナイ爲政者ガ何處ニア
リマスカ、斯ウ云フ法律ヲ拵ヘルナラ
バ從來アッタ法律、之ニ類似ノ法律ガ、
ドウ云フ影響變化ヲ受ケルモノデアル
カト云フコトヲ能ク御考慮ニナッテ、始
メテ爲政者ノ責任ヲ盡スノデハアリマ
セヌカ、然ルニモ拘ラズ、今ノ政府ノ
御說明ニ依レバ、此法案ガ出來テ、サ
ウシテ從來ノ組合ニ加入者ガ無クナッテ
シマウマデ全然投ッテ置ク、サウ云フヤ
ウナ場合ガ來タ後ニ於テ始メテ考ヘル
ト云フヤウナコトハ當業者ノ爲ニ考
ヘザルモ甚シイモノト謂ハザルヲ得
ヌ、願クハ政府當局ハモウ少シ-此
法案ヲ拵ヘルナラバ、從來ノ同業組合
法ガドウ云フ經過ヲ辿ルモノデアルト
云フコトヲ能ク考ヘテ、サウシテ斯ウ
云フヤウナ法律ヲ御提案ニナルノガ、
當然ノ責務デハナイカト思ヒマス、餘
程是ハ御注意ヲ願ヒタイ、サウ云フヤ
ウニ此法律ガ出來上ッタ後ニ於テ、此重
要物產同業組合ノ加入者ガ無クナッタ
後ニ於テ考ヘルト云フヤウナコトハ
此席限リ斷ジテ御考ヲ改メテ戴キタ
イ、此事ヲ申上ゲテ置イテ、サウシテ
私ハ尙ホ御尋シタイ、ソレデアルカラ
私ハ先刻カラ可ナリ長イ間色々ナ經過
ヲ辿ッテ御尋ヲシテ居ル詰リ重要物產
同業組合法ト云フモノハ公益的ニ、互
ニ色々ナ弊害ヲ除去シタリ、親睦ヲ圖ッ
タリ、或ハ又色々ナ紛議ヲ調停ヲシタ
リ、種々ノ利益ヲ擧ゲテ來テ居ルモノ
デアルガ、之ヲ全然無クシテ、サウシ
テ今囘ノ此法律ヲ御設ケニナルノデア
ルカドウカト云フコトヲ、數囘ニ互ッテ
私ハ御尋シテ居ルノデアリマス、政府
當局ニ於テモ、既ニ此法律ヲ尙ホ廢止
セズ-此法律ト云フノハ重要物產
同業組合法ト云フモノヲ廢止セズシ
テ、存續ヲサセテ置イテ、尙且ツ此法
律ヲ更ニ設ケヤウト爲サルノデアリマ
スカラシテ、今囘ノ此法律ガ必要デア
ルト共ニ、他ノ一面ニ於テハ、重要物
產同業組合法ト云フモノハ尙且ツ必要
デアル、所謂公益的ノ〓體トシテ、公
益的ノ組合トシテ、尙必要デアルト御
認メニナルカラシテ、今囘ノ此法律ヲ
御出シニナッテモ、尙且存續サセテ置ク
所以ダト思フ、ニモ拘ラズ、此二ツノ
法律ハ、兩方竝ンデ今囘是ガ成立致シ
マシタナラバ、存續スルコトニナルニ
拘ラズ、此重要物產同業組合ノ方ニ加
入スル者ガ段々減ッテ來タ、或ハ脫退ス
ル者ガ多クナッタト云フコトデモ様
ヌト云フコトノ當局ニ御意思ガアルノ
デアルカ、ソレヲモウ一遍明瞭ニ伺ヒ
タイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=40
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041・横山勝太郎
○横山政府委員 私ノ申上ゲヤウガ惡
カッタカモ知レマセヌガ、私ノ申上ゲタ
意味ハ詰リ兩方共ニ只今ノ所デハ必
要デアルト思フ、從來ノ重要物產同業
組合法モ必要デアリマスガ、又本法案
ニ依ルガ如キ立法モ亦必要デアル其
理由ニ付テハ再三申上ゲタコトデアリ
マスカラ、之ヲ略シマス、私ノ申上ゲ
マシタ趣旨ハ、本法ノ成立ニ依ッテ新ニ
工業組合ガ出來マシテ、其方デ舊來ノ
重要物產同業組合法ニ依ル組合ノ組合
員ガ、一時ニ悉ク脫退シテ加入スルト
云フヤウナ事實ハ認メナイノデアリマ
ス、サウ云フコトハアルマイト思フ、
御質問ノヤウナ御心配ハアルマイト、
斯樣ニ申シタノデアリマス、然レドモ
御心配ハ一理ナシト云フコトハ出來ヌ
ノデアリマシテ、自然新ナル工業組合
法ニ依ル組合ニ加入スルコトヲ利益ナ
リトシテ、重要物產同業組合法ニ依ル
組合ノ組合員ガ、續々ト加入スルト云
フコトハナイトハ限リマセヌ、ソレハ
十年先カ五年先カハ知リマセヌガナ
イトハ申セマセヌ萬一左樣ナコトガ
アリマシタナラバ、所謂時勢ノ變化ニ
依ッテ其組合ノ必要ガナクナッタノデア
リマス、時勢ノ進步ニ依ッテ其法律ノ
必要ガナクナッタノデアリマスカラ、サ
ウ云フ傾向ニ至ッタ場合ニ於テ、尙ホ脫
退スルコトヲ得ズト、之ヲ强制シテ引
止メテ、其組合モ尙且ツ存續セシムル
ノ必要ハナイデハナイカ、卽チ時勢ノ
變遷ニ依ッテ必要ガナクナッテ來レバ、
其場合ニ於テハ相當立法手段ヲ講ジナ
ケレバナラヌ、斯樣ニ申シタノデアリ
マシテ、只今本法ヲ制定スルコトニ依ッ
テ、重要物產同業組合法ニ依ル組合ト
云フモノハ、直チニ壞レテモ宜シイ、
直チニ無クナルコトヲ希望スルト、斯
ウ云フ意味デハ全然ゴザイマセヌ、何
處マデモ同業組合法ニ依ル組合ト云フ
モノヲ保護シ、又助長シ之ヲ監督シテ
行カナケレバナラヌト考ヘテ居リマス
カラ、決シテ政府ガ進ンデ本法ヲ作ル
コトニ依ッテ、重要物產同業組合法ニ依
ル組合ヲ潰シ、又其法律ノ存續セザル
コトヲ希望スルト云フ考ハゴザイマセ
ヌ、只今ノ所デハ兩々相俟ッテ產業ノ發
展ニ資スルコトガ出來レバ結構デアル
ト斯樣ナ意味ニ於テ申上ゲタノデア
リマス、尙ホ言葉ノ惡カッタ點ガアリマ
スレバ、ソレハ何時デモ訂正致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=41
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042・上田孝吉
○上田委員 政府當局ノ方ニ於テ大分
御訂正ニナリマシタケレドモ、併ナガ
ラ趣旨ハ益分ラナクナルノデアリマ
ス、ソレハ只今ノ所デハ重要物產同
業組合法ト、今囘ノ輸出組合法トハ共
ニ必要ダ、斯ウ云フコトヲ仰シヤッテ居
ラレマスガ、私モ共ニ必要ダト思フノ
デス、共ニ必要デアルナラバ、何故ニ
此第九條ノ二ノ點ニ於テ、所謂重要物
產同業組合ヲ脫退スルコトヲ得、及ビ
加入シナクトモ宜イト云フ規定ヲ削除
ナサラヌカト云フコトヲ御聽キシタ
イ、兩方共必要デアッテ、一方ノ方ニハ
之ヲ脫退スル事モ出來、加入シナクト
モ宜イト云フ、是ハ法律デアル、所ガ
今政府當局ノ御說明ニ依リマスナラ
バ、ソレハ兩方入ッテ居ルダラウト御考
ニナルカモ知レマセヌ、政府ガ必要ダ
ト思ッテ出シタ法律デアリ、組合デアル
カラシテ、ソレハ一ツノ上ニ二ツ、二
ツノ上ニ三ツ、政府ガ宜イト思ッテ出サ
レタモノニハ、段々入ッテ居ルト御考ニ
ナリマスガ、ソレガ非常ナ矛盾デス、
ソレデ先程私ハ其事ヲ御話シタノデ、
同ジ事ヲ繰返シタクナイケレドモ、此
處ニ同ジ事ヲ繰返サナケレバナラヌ、
吾々ガ日常ノ事ニ付テ考ヘテ見タ所
デ、同ジヤウナ目的ヲ持ッタモノニ二
ツモ三ツモドウシテ入リマスカ、既此
其事ガ非常ナ手數デアリ、非常ナ時間
ガ掛ル、ソレノミデナイ、負擔金ガ增
スンデス、或ハ甚シキニ至ッテハ、負擔
金ノ增ス上ニ於テ競爭ト云フヤウナ事
ガ行ハレルカモ知レヌ、詰リ屋上屋ヲ
架スルヤウナ場合ガ多々出テ來ル、サ
ウ云フヤウナ場合ニ於テ、政府當局ハ
此法律ヲ出シタ以上ハ、サウシテ組合
ガ二ツモ出來タ以上ハ、此二ツノ組合
ニ入ッタラ宜カラウ、三ツ出來タラ三ツ
入ッタラ宜カラウト御考ニナルガ、實際
其局ニ立ツ當業者トシテハサウハ行カ
ナイ、サウ行カヌ事情ニアルコトハ御
分リデセウ、ソコデモウ一遍申シマス、
費用ノ點ニ於テ、或ハ手數ノ點ニ於テ、
或ハ時間ノ點ニ於テ、色々ナ問題ノ爲
ニサウハ行カヌ、併シ政府當局ハ法律
ヲ御拵ヘニナッテ、組合ヲ幾ツモ御拵ヘ
ニナッテモ、ソレニ入レバ宜イト言ハレ
ル、此點ハ恐クハ否ム事ハ出來マイ、
斯ウ云フ事情ガアッテ、サウシテ尙且他
ノ一方ニ於テハ入ラナクテモ宜イ、或
ハ又脫退シテモ宜イト云フ規定ガア
ルサウスレバ今囘出來タ此工業組合
或ハ輸出組合ニモ入ル、是ハ當然デハ
アリマセヌカ、之ヲドウ御考ニナルカ
ト云フコトヲ御聽キシタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=42
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043・横山勝太郎
○横山政府委員 工業組合法ノ第九條
ヲナゼ削ラヌカト云フコトニ出發シテ
ノ御質問デアリマスガ、第九條ノアリ
マス理由ハ、要スルニ加入ヲ强制シナ
イト云フ意味デアリマス、加入ヲ强制
セザルコトガ、其法律ノ立法ノ精神デ
アリマス、又產業界ニ於キマシテ、斯
ウ云フ組合ヲ作ル場合ニ於テ、之ヲ强
制スルト云フコトハ官クナイ、斯ウ云
フ意味ニ於テ第九條ガ出來テ居ル、隨
テ之ニ關聯スル本法ニ於キマシテモ、
ヤハリ其精神ヲ認メタ方ガ宜カラウ、
斯ウ云ウ意味デアルノデアリマス元
來ガ產業界ニ於テ、企業者或ハ其他ノ
關係者ガ、相當ニ資本ヲ下シテ仕事ヲ
スル場合ニ於キマシテ、成ベクナラバ
政府ガ進ンデ干涉ヲ加ヘルト云フ事ハ
宜クナイ、其人ノ自由ヲ認メ、又其人
ノ鑑識ニ依ッテ進退ヲスルト云フコト
ヲ認メタ方ガ、大體ニ於テ宜シイト思
ヒマス、併ナガラ絕對ニ其人々ノ自由
ニ放任シテ顧ミヌト云フ譯デハゴサイ
マセヌ、產業統制ノ意味ノ中ニハ、自由
ノ觀念モアリマスレバ强制ノ觀念モア
リマス、此本法ニ於テハヤハリサウ云
フ規定ヲ存續シタ方ガ宜シイ、斯ウ云
フ趣旨デアリマス、尙ホ直接ニ是ガ起
案ニ當ラレタル他ノ政府委員カラ、モ
ウ一層明瞭ニ答ヘテ戴キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=43
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044・上田孝吉
○上田委員 モウ一遍申上ゲテ、ソレ
カラ政府當局ニ御伺致シマス、只今ノ
御答辯ハ益要領ヲ得マセヌ、ソレハ成
ベク其當業者ノ自由ヲ束縛シナイ
シ、制限モシナイ、强制モシナイト云
フ趣旨デ、此第九條ハ存續セシムルノ
ダ、要スルニ斯ウ云フ御答辯ノヤウニ
思ヒマスガ、元來此重要物產同業組合
法ト云フモノハ、私ノ解釋ガ違ヒマス
レバ御訂正ヲ願ヒタイト思ヒマスガ
私ノ考デハ是ハ一種ノ强制組合ダト思
フ、是ハヤハリ入ルコトニナッテ居ル、
唯茲ニ書イテアリマス通リ、本法ニ依
リ設立セラレタル組合又ハ其加入者
ハ其營業ニ關スル重要物產同業組合
法ニ依ル同業組合ニ加入セズ又ハ之ヨ
リ脫退スルコトヲ得トアル、詰リ本法
ニ依ッテ設立セラレタル組合ノ組合員
ハ加入シテモ脫退シテモ宜イトアリマ
スデアリマスカラ今政務次官ノ言ハ
レタヤウナコトハ當ラナイ、元來斯ウ
云フヤウナ組合ヲ作ルコトハ、其處ニ
一種ノ强制ガアル、强制ガアッテモ、先
程私ガ御說明シタ通リ、是ハ其人ノ自
由ヲ束縛スルヤウナ形デハアルガ、ソ
レハ當業者ノ福利增進デアリ、事業ノ
發達ヲ圖リ、延テハ其人自身ノ幸福ニ
ナリ、其業務ノ發達ニナルカラ、多少
强制シテモ、制限シテモ此組合ニ加入
セシメル、斯ウ云フコトデナクテハナ
ラヌ、隨テ私ガ御尋シテ居ルコトハ
此工業組合ナラ工業組合、輸出組合ナ
ラ輸出組合ニ入ルコトニ依ッテ、重要物
產同業組合ニ入ラナクテモ宜イ、脫退
シテモ宜イトアルカラ、隨テ此法律ガ
出來タ爲ニ、重要物產同業組合ト云フ
モノヽ組合員ノ人數ガ段々減ッテ行ク、
之ニ加ハル者ガ無クナッテ行キハセヌ
カト云フコトヲ御尋シテ居ルノデアリ
マス私ノ御尋ヲ間違ッテ取ッテ居ラレ
ルト思フ、デアルカラ此法律ガ出來タ
爲ニ、此組合ガ出來タ爲ニ、從來ノ重
要物產同業組合ト云フモノハ、段々衰
微シテ行クコトニナリハセヌカ、衰微
シテ行ッテ、此重要物產同業組合法ト云
フモノガ必要ガナイト仰シヤルナラ
バ、何故ニ此法律ヲ御出シニナッタ時ニ
此法ヲオヤメニナラヌカ、一方ハ必要
ガナイト云フ政府ノ御意見デアルナラ
が此重要物產同業組合法ハ廢止シテ
シマッテ、サウシテ此法律ヲ御出シニナ
ルナラバ-ソレガ善イカ惡イカハ別
問題デアル、私ハ善イトモ惡イトモ申
シマセヌガ、ソレナラバ政府ノ一定見
デス一ツノ定ッタ見方デスケレドモ
サウデナクシテ從來ノ重要物產同業
組合法ト云フモノヲ其儘生シテ置イ
テ、此法律ヲ御出シニナタ、サウシテ
今政府當局ハ兩方共必要ダト仰シヤツ
テ居ラレル必要ダト仰シヤッテ居リナ
ガラ、一方ノ組合ト云フモノハ加入ス
ル者モ無クナル、段々脫退スルヤウナ
コトニナッテ行クナラバ一體ドウナル
カト云フコトヲ御尋シテ居ル、所ガ政
府ハサウ云フコトハナイ、兩方共入ッテ
居ルト仰シヤルガ、私ハサウハイカヌ
ト云フコトヲ、色々ナ點ニ於テ、費用、
時間、手數等カラ見テ、二ツモ三ツモ
入ルコトハ出來ヌト云フコトヲ申上ゲ
テ居ル、デアルカラ此點ハドウ云フ風
ニ政府當局ハ御考ニナッテ居ルカト云
フコトヲ御聞キシテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=44
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045・吉野信次
○吉野政府委員 現行法ノ第九條ノ規
定ニ付テノ御尋デゴザイマスガ、政務
次官カラ段々御話ガゴザイマシタガ
工業ニ關スル限リ、工業組合ト云フモ
ノニ組織ガ變リマシタガ、此工業組合
ノ目的ハ、現在マデ入ッテ居ッタ同業組合
ト全ク同ジデアッテ、サウシテ同業組合
ト云フモノニ入ル必要ヲ認メナイト云
フ場合ニソレデモ尙且ツ同業組合ハ
御承知ノ通リ强制加入ヲ原則トシテ居
リマスカラ、其場合デモ尙且ツ元ノ同
業組合ト二重ニ入ルカラ、經費ノ分擔
ヤ何カニ於テ不便デモゴザイマスカ
ラ、サウ云フ風ニ退キタイト云フ意思ヲ
持ッテ居ル人ニハ、退クコトヲ認メヤウ
ト云フノガ、第九條ノ規定デゴザイマ
シテ、工業組合ノ組合員ニナッタナラバ、
當然ニ如何ナル場合ニモ同業組合ノ組
合員ニナラナケレバナラヌト云フ規定
デハナイコトハ御承知ノ通リデゴザイ
マス、ソレデ寧ロ此規定ヲ置キマシタ立
法ノ事情ヲ率直ニ申上ゲタ方ガ宜カラ
ウト思ヒマス、實ハ御承知デモゴザイ
マセウガ、同業組合ハ適用ノ範圍ハ重
要物產ト云フコトニナッテ居リマスカ
ラ商業工業ダケデハアリマセヌ、農
林省關係ノ木炭トカ色々ノ關係ガゴザ
イマス、本當ヲ申上ゲレバ組合ニ關ス
ル法制ハ隨分複雜デモゴザイマスカ
ラ、モウ少シ時勢ノ進運ニ應ジテ單純
ニシタ方ガ宜イカモ知レマセヌ、サウ
云フコトハ前ニ私共農商務省時代ニ於
テモ考ヘタコトモゴザイマスガ、隨分
色々ノ方面ニ關係ノ範闡ガ廣イモノデ
アリマスカラ、商工省ダケデドウ斯ウ
ト云フ譯ニモ參ラヌノデアリマス、唯
工業ニ關スル同業組合ノ數ハ今日六百
餘リアリマスガ、其成績ハ不良デス、
中ニハ御說ノ通リ工業ニ關スル同業組
合デモ成績ノ良イモノモゴザイマスケ
レドモ、大多數カラ申シマスト成績不
良デゴザイマシテ、同業組合ニ關シテ
ハ實ハ經費ノ豫算ナリ成ハ事業ノ報〓
ナリト云フヤウナモノヲ役所ニ屆出ル
ト云フコトニナッテ居リマスケレドモ
サウ云フヤウナコトモ一向ヤラナイモ
ノモアリ、又ソレニ對シテドウシタカ
ト云フコトヲ聞イテ見テモ、既ニ實體
ガ無クナッテ居ルヤウナ組合モアリマ
ス、ソレデ大正九年以來他ノ業ハ別ト
シテ、工業ニ關スルモノニ對シテハ同
業組合ノ整理ト云フコトヲ地方廳ニ命
ジテ、不良ノモノハ段々整理スル方針
ヲ執ッテ居リマス、而シテ同業組合ハ今
日六百程ゴザイマスケレドモ、工業ニ
關スル施設ト云フモノハ殆ド致シマセ
ヌデス、年ニ一度カ二度懇親會ノヤウ
ナモノヲヤルト云フコトデ終ッテ居ル
ヤウナ氣味合モアリマス、ソレニ加ッテ
居ル工業者ハ、同業組合ニ加ッテ居ッテ負
擔金ハ取ラレルケレドモ、之ニ依ッテ營
業上利益スル所ハナイ、ソレヨリモ積
極的ニ、此組合ニ這入レバ例へバ原料
ヲ共同購入スル便宜ガアルトカ、或ハ
共同工場ガアッテ、サウシテ自分ノ生產
過程ヲ共同工場デヤッテ貰フトカ云フ
ヤウニ、共同ノ利益ヲ得ラレルヤウナ
コトガアレバ宜イケレドモト云フコト
ガ、工業組合法制定以前ノ一部ノ工業
者ノ熱心ナ希望デゴザイマスソレガ
同業組合ノ方デハサウ云フ經濟的施設
ヲスルコトガ出來ナイヤウニナッテ居
リマスカラ、工業ニ關スル限リハ現在
ノ同業組合ノヤッテ居リマス機能ニ加
ヘーハ更ニ經濟施設ヲ加ヘテ來タト云
フノガ先程申シマシタ通リ工業組合ノ
立法ノ精神デアル工業組合ニ加ッテ前
ノ同業組合ニ加ハル必要ヲ認メナイ
ソレニ加ハリタクナイト云フ時ニハ
二重ニ經費ヲ分擔スルト云フコトハ無
駄ノコトデアルカラ、サウ云フ意思ヲ
持ッテ居ル場合ニハ、其加入ノ除外ヲ認
メヤウ、斯ウ云フ規定デゴザイマシテ、
現行法ニ於テモ御承知ノ通リ强制加入
ノ規定ニハナッテ居リマスガ、是モ絕對
デハアリマセヌ、但書ニ於テ營業ノ狀
況ニ應ジテ、特別ナ場合ニハ主務大臣ハ
其加入ヲ免除シテ居ル、尙ホ工業組合ノ
關係ニ於テ工業組合員ハ工業組合ニ這
入ッタコトニ依ッテ、現在ノ同業組合ニ這
入ッタダケノ機能モ受ケ、又新シク工業組
合ニ這入ッタダケノ機能ヲ受ケルト云フ
場合ニ於テ、必要ヲ認メナイト云フ場合
ニ於キマシテハ、現在ノ同業組合法ノ營
業上特別ノ狀況ニアルモノト見テ加入
ヲ免除シテモ宜シカルベキモノデハナ
イカト考ヘマス、又一々サウ云フ行政處
分ヲスルノモウルサイコトデアルカラ、
玆デ第九條ノ規定デ以テ工業組合ノ其
精神ヲ明カニシタト云フノガ立法當時
ノ精神デゴザイマス、隨テ御尋ノ如ク
果シテ然ラバ他ノ業ハ暫ク別トシテ、
工業ニ關スル限リハ工業組合ガ段々盛
ニナレバ同業組合ハソレダケ減ルデハ
ナイカ、基礎ガ危クナルデハナイカト
云フ御尋ニ對シテハ、其通リト申スヨ
リ外仕方ガナイノデアリマス、併ナガ
ラ現在ノ同業組合ニハ先程モ申シマシ
タ通リ、商ト工トガ兩方ヤッテ居フテ圓滿
ニヤッテ居ル場合モアル、年ニ一遍宴會
ニ集ルダケダト云ッテモ、其間ニヤハリ
唯宴會ダケデハナク、同業ニ關スル意
思ノ疏通ヲヤルト云フ妙味モ其間ニ自
ラアリマスカラソコデ急激ナル變化
ハ避ケタイト云フ行政方針ヲ執ッテ居
ル先程申シマシタ通リ現行法ヲ大正十
四年實施シテカラ、工業組合ヲ造ッタモ
ノハ百餘リゴザイマス、其中デ同業組
合ト云フモノガ解散致シマシテ、新シ
ク工業組合ノ衣ヲ著タ者ガ二十五アッ
テ、後ト七十幾ツハ同業組合ト工業組
合ト併存シテ居リマス是ハ御說ニ從
ヘバ其場合ニ組合員ハ二重ノ經費ヲ負
擔スルト云フ結果ニナリマスケレド
モ既存ノ組合ニ急激ノ變化ヲ與ヘマ
イ、組合經費ハ二重ニナッテモヤハリ工
業組合、同業組合ニ這入ッテ居ッテモ、
利益ト見テサウシテ這入ッテ居ル場合
ニハ之ヲ强テドウスルト云フ必要モ
ナイカラ、ソレハ併存サセテ居ル實情
デゴザイマス、要スルニ先程政務次官
カラ申上ゲマシタ通リ、組合員ガ唯自
分デ以テ同業組合ニ這入ル必要ガナ
イ、新シイ方ノ組合ニ加入シタカラ拔
ケタイト云フ時ニハ、唯本人ノ意思ニ
依ッテ脫ケル道ヲ置イタト云フノガ第
九條ノ規定ノ精神デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=45
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046・上田孝吉
○上田委員 只今ノ政府委員ノ率直
ナ、立法サレタ經過ニ付テノ事情ハ能
ク分ッタ、政府當局ノ御意向モサウデア
ルトハ思ヲテ居ッタガ、ソレヲ率直ニ仰
シヤラヌカラ私ハ追窮シタノデアル、
而シテ私ハ政府當局ノ只今ノ御說明自
體ヲ全部是ナリトモ思ヒマセヌ、只今
ノ政府當局ノ御意見ニ依レバ、此重要物
產同業組合法、所謂從來ノ同業組合ト
云フモノガ衰微スレバシタデ已ムヲ得
ナイ、所謂過渡時代ノ經過トシテ今急
ニ廢スルノモ如何カト思フカラ、是一
存續セシメテ置イテ、軈テ工業組合ノ
方ニ這ッ入テ來ル、工業ニ關スル限リ工
業組合ニ這入ッテ來ルト云フ積リデ此
法律ガ出來タ、斯ウ云フヤウナ御答辯
ノヤウニ思ヒマス、ソコデ私ハ九條ノ
問題ニ付テノ最後ノ御尋ヲ致シマス
ガ、サウ云フヤウナ御意向デアルナラ
バ何故ニ此重要物產同業組合法自體ヲ
直グニ廢止サレナイカヲ伺ヒタイ、政
府當局ノ只今ノ御說明ハ分ッテ居リマ
ス、急激ニ變化セシムルノハイカヌカ
ラ、一時置クト云フノデアリマスケレ
ドモ、急激ニ變化スルコトノ弊害ト云
フヤウナコトハ、斯ウ云フ場合ニハ私
ハ必要ガナイデハナイカト思フ、是ハ
何故カト言ヘバ、政府當局ノ御說明ニ
依レバ、工業組合法ト云フモノハ從來
ノ組合法ノ上ニ經濟的意味ヲ加味シタ
モノデアル、從來ノ組合ノ外ニ更ニ經
濟的ノ意味ガモウ一ツ加ハッタモノデ
アッテ、單ナル營利的ナモノデハナイト
御說明ニナッテ居ルノデアル、既ニ單ナ
ル營利的ノモノデナク、公益的ノ意味
ガ含マレタ、モウ一ツ言フナラバ重要
物產同業組合ガヤッテ居ル仕事ノ全部
ヲヤッテ居ル外ニモウ一ツ經濟的ノ仕
事ヲヤルノダト云フコトニナル、サウ
シテ置イテ尙且ツ重要物產同業組合法
カラ脫退シヨウガ、或ハ加入シマイガ、
サウシテ今囘法案ガ成立スルナラバ此
法律ニ依ッテ出來ル組合ノ方ニドンド
シ加入シテシマッテモ構ハヌ、是ハ急激
ニ廢スルノハイカヌカラ斯ウ云フ風ニ
シテ居ルト仰シヤル、シテ見ルナラバ
何故ニ必要ガナイト政府ガ認メラレル
ナラバ、此重要物產同業組合法ヲ、此
法律ヲ出スト同時ニ廢止セヌノカ、詰
リ過渡的ノ經過ニ依フテ之ヲ兩方トモ
存續セシメテ置ク必要ガ何處ニ在ルノ
カト云フコトヲ伺ヒタイ、尤モ政府當
局ハ仰シヤッタ、マルキリ全部惡イトハ
言ハナイ、或ハ多少親睦ヲ圖ッテ居ルヤ
ウナコトモアル、或ハ商ト工トガ一〓
ニナッテヤッテ居ル所モアルト言ハレ
タ、ソレハ極ク僅カデアリマセウケレ
ドモ、政府當局ガ御說明ニナッテ居ル通
リニナッテ居ル、是ハ特ニ工業ニ關スル
限リノ組合ト云フモノハ從來ニ於テ餘
リ能ク運用サレテ居ナイト云フコトヲ
御說明ニナッタ、從來ニ於テ餘リ經過ガ
良クナイト云フコトヲ御說明ニナッテ
居ル、サウシテ一年ニ一遍カ寄ル位ノ
程度デアルト御說明ニナッテ居ル、サ
ウ云フ必要ノナイモノデアルニ拘ラ
ズ-私ハ必要ガナイトハ思ヒマセヌ
ガ、政府當局ハ必要ガナイト御認ニナッ
テ居ル、ソレハ能ク運用サレテ居ナイ
ト御認ニナッテ居ル、私ハ是ハ否定シマ
ス、否定ハシマスケレドモ、併シ政府
ハ之ヲ御認メニナッテ居ル、サウ云フヤ
ウナモノデアルニ拘ラズ、何故ニ之ヲ過
渡的ニ必要デアルトシテ存續サセテ置
クコトガアルカ、先程一寸仰シヤッタケ
レドモソレダケノ理由デハ不十分デ
アリマセヌカ、不十分デアルノミナラ
ズ、政務次官ハ此二ツノ法律案ハ尙ホ
必要ダト仰シヤッタ、今政府委員ノ仰シ
ヤッタ御意見ト橫山政務次官ノ御意見
トハ違ッテ居ルサウ云フ風ニ政府當局
ノ御說明ガ相違シテ居ルノミナラズ、
實際問題トシテ、必要デナイモノナラ
ー、何モ過渡時代ノ二重ナ經過ヲ辿ル
必要ハナイ、サウシテ徒ニ當業者ヲ混
亂セシメ、其間ニ勢力爭ヒヲ起シテ、
尙ホ其間ニ多クノ負擔ヲ掛ケテ、色々
面倒ナコトヲスル必要ガ何處ニアリマ
セウカ、隨テ斯ウ云フ過渡的ナ徑路ヲ
經テ、一方重要物產同業組合法ヲ衰微
セシメ、軈テ自然ニ止メサセナケレバ
ナラヌヤウナ經過ヲ御辿リニナルサ
ウ云フコトヲ爲サル必要ガ何處ニアル
ト御認メニナルカ、明確ニ伺ヒタイノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=46
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047・吉野信次
○吉野政府委員 洵ニ御尤モナ御尋デ
アリマス、政務次官カラ兩方必要アリ
ト申シマシタ意味ハ私カラ是ハ斯ウ
云フ意味ダト言フ必要ハ無論ナイノデ
アリマスケレドモ、先程申シマシタ通
リ同業組合法ノ適用ノ範圍ガ工業バカ
リデハゴザイマセヌ、農林關係ニ於テ
ハ今ノ同業組合ト云フモノハ、ヤハリ
必要ナイト認メテ居ラレル譯デアリマ
ス御尋ハ唯工業ダケニ關シテドウダ
ト云フ御尋デアリマスガ、是モ實ハ私
ハ大正十四年ニ此立法ヲヤリマシタ時
ニ關係シタ一人デアリマシテ、其當時
ノ事情ヲ率直ニ申上ゲタ方ガ宜カラウ
ト思ヒマス、併シ其方針ヲ今ノ大臣次
官ガ裏書サレルカドウカト云フコト
ハ別問題トシテ、工業ニ關シテハ御尋
ノ通リ斯ウ云フ風ナ新シイ制度ヲ布キ
マスモノダカラ、或ハ現在ノ同業組合
ガ持ッテ居ル機能ハ全部之ニ含マレ得
ルモノデアリマス、ソコデ何モ古イ衣
ヲ此上殘シテ置ク必要ハナイト初メニ
考ヘテ、從來ノ工業組合ヲ新シイ法律
一本デスッカリ變ラシテシマフヤウナ
意味デ立法セント實ハ考ヘタノデアリ
マス、所ガ同業組合法ト云フモノカラ工
業ダケヲ除イテ立法スルコトモ、色々
ナ事情ニ於テ困難デアリマスシ、サウ
シマストドウシテモ同業組合法ト云フ
モノヽ始末ヲ付ケナケレバナラヌソ
レニ同業組合ハ重要物產ト書イテ居ッ
タガ爲ニ、產業ノ廣イ範圍ニ互ッテ組織
サレテ居リマスカラ、其實情ニ適當ス
ルヤウニ一本ノ法律ヲ分化シテ立法ス
ルト云フコトモ、實ハ中々容易ナ事業
デハナカッタ、ソコデ實ハ工業ト云フモ
ノヲ其處マデ行クコトヲヤメマシテ、
重要輸出品ダケニ限リ、兎モ角工業ダ
ケニ付テハ他ノ業ニ先ンジテサウ云フ
方針デ行キタイト思フガ、先ヅ重要輸
出品ダケヲ其方針デ行カウト云フノ
デ、大正十四年ニ現行法ヲ踏出シタ譯
デス、大正十四年ニ現行法ヲ出ス時ハ
重要輸出品ニ限ッタ譯デアリマスガ內
地品ニ付テハ尙ホ同業組合ハ存續スル
カラ、其當時ノ說明トシテハ同業組合
ト云フモノモ亦其適用ノ範圍ニ於テ、
ヤハリ必要ガアルノダト云フコトデ
參ッタノデアリマス、今度ハ其適用ノ範
圍ヲ擴ゲルト云フコトデアリマシタカ
ラ、御尋ノ點ニ付テハ私共ノ考ヲ率直
ニ申シマスト答辯ガ實ハ多少鈍ッテ
來ル譯デアリマス、鈍フテ來ルト云フノ
ハ言葉ガ惡ウゴザイマスガ、マア御尤
ナ御尋ヲ受ケル譯デゴザイマス唯
併シソレハ不十分ダト仰シヤイマスレ
バソレギリデアリマスガ、併シ又現在
ニ於テモ商ト工トガ一〓ニナッテ居ル
組合デ、相當ノ效果ヲ擧ゲテ居ル組合
モゴザイマスシ、又變ヘルト云ッテモ色
色變ルニハ變ルダケノ手續ヲ取ラナケ
レバナラヌモノモゴザイマスカラ、急
激ナ變化ハ成ベク避ケタイ、斯ウ云フ
方針デ今囘ノ改正法ニ於キマシテハ適
用範圍ヲ擴ゲマシタケレドモ、尙且ツ
二ツノ法制ト云フモノヲ其儘ニシテ置
イタ、斯ウ云フ譯デゴザイマス、是一
併シ將來ニ於テ先程政務次官カラ御話
ガアリマシタヤウニ、若シ組合法全般
ニ亙ッテ改正スルト云フヤウナコトガ
アリマシタナラバ、其時ニハ餘程立法問
題トシテ考慮シナケレバナラヌモノダ
トハ私共考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=47
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048・上田孝吉
○上田委員 私ハ第九條ノ加入、脫退
ノコトニ付テ尙相當意見ヲ持ッテ居リ
マスガ、最後ノ意見ハ保留シテ置キマ
ス、唯私考ヘテ見マスニ、ドウシテモ今
囘ノ工業組合法ト云フモノハ、先程來
縷々質問ノ中ニ申上ゲマシタ通リ、公
益ト營利ノ兩方ノ目的ハ持ッテ居ルケ
レドモ、其經過ニ於テドウシテモ私ハ
ヤハリ實質ト云フモノヲ主ニシタ營利
的ナ經濟的ナ方面ニ此組合ガ將來勢七
ナラザルヲ得ヌ形ト私ハ思フ、隨テ兩
方ノコトガ含マレテ居ッテモ一方ニ偏
ル傾向アリト致シマスナラバ、ドウシ
テモ從來ノ重要物產同業組合法ノヤウ
ニ、公益的ナ方面ニ於テ、此組合ヲ存續
シテ置ク必要ト云フモノニ對シテハ、政
府當局ハモウ少シ御考ヘナサル必要ガ
アルノデハナイカト私ハ思フ、此點ニ
對シテ、私ノ最後ノ意見ハ後ニシテ、
瀨川君カラ何カ之ニ關聯シテ質問ガア
ルサウデスカラ、是デ止メテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=48
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049・立石信郎
○立石政府委員 上田サンノ御質問ノ
一番初メノ九條ノ削除ノ問題ト同時
ニ輸出組合ノ方デハ同一ノ趣旨ノ規定
ヲ今度新設シテ居リマス、ソレモ同ジ
ク御質問ノ範圍ニハイッテ居ルヤウニ
伺ヒマシタカラ、一寸申上ゲテ置キタ
イト思ヒマスガ、實ハ重要輸出品ニ關
スル限リハ既ニ重要輸出品工業組合ガ
出來マシタ時ニ、モウ其趣旨ハ認メラ
レテ居リマス、ソレガ惡イト言フナラ
別デアリマスガ、寧ロ此工業組合ノ
方ハ重要輸出品工業組合ヲ、廣ク工業
組合ニスル爲ニ問題ガ起ルノデアッテ、
輸出品ニ關スル限リハ既ニ其趣旨ハ議
會ノ協賛ヲ經テ居ル趣旨デゴザイマス
シ、ソレヲ輸出品ノ組合ノ方ニ擴張ス
ル方ノ範圍ハ寧ロスルノガ遲カッタノ
デアッテ、重要輸出品工業組合ニ付テ規
定ガアレバ、輸出組合ニ付テモ其規定
ガアルノガ當然ダト私ハ考ヘル、又其
影響カラ申シマシテモ、今日輸出組合
ト云フモノハ極メテ少數デアリマス
全體ノ重要物產同業組合ニ及ボス影響
モ少ナイト思ヒマス、全體ノ問題トシ
テハ今工務局長カラ御話ガアリマシタ
ガ、輸出品ノ方ハ別ノ問題ニシテ戴キ
タイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=49
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050・上田孝吉
○上田委員 ソレハ能ク分リマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=50
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051・井上剛一
○井上委員長 今瀨川君カラ只今ノ事
項ニ關聯シテ質問シタイト云フ申出ガ
アリマスカラ、此際瀨川君ニ許シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=51
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052・瀬川嘉助
○瀨川委員 今囘ノ改正ノ中心ハ第三
條ニアルコトヽ思ヒマスガ、是ハ私ハ
機會ヲ得テ質問ヲスルコトニ致シマ
ス、今上田君ノ應答ニ關聯致シマシテ
承リタイノデスガ、政府委員ガ重要物
產ノ同業組合ヲ非常ニ侮辱シタヤウナ
御言葉ガアッタ、立法當時既ニ御關與ナ
サッテ居ラレタトスルナラバ、此新シイ
法律ダケヲ生カシタイト云フノデ、從
來ノ長イ歷史ヲ持ッテ居ル所ノ同業組
合ヲ無視シタヤリ方デアラウト思フ、
殊ニ政府委員ハ公開ノ席デ左樣ナコト
ヲ言ヘタ義理ヂヤナカラウト思フ、申
スマデモナク主務大臣ノ許可ヲ得タ地
方長官ガ監督シテ居ル同業組合デア
ル、ソレガ唯〓經費ヲ取ッテ盆暮ニ集ッテ
酒ヲ飮ムト云フヤウナコトヲシタト云
フガ、何故ソレヲ知ラヌ顏ヲシテ居ル
カヲ私ハ御尋シタイ、全國ニ六百モ七
百モ-數ハ私ハ存ジマセヌガ、多ク
ノ組合ガアリマシテ、ソレガ政府委員
ノ仰シヤルヤウナ組合ハ多數ハナイト
思フガ、若シアッタトスルナラバ、ソレ
ハ政府當局ノ責任デアリマス、地方ニ
依リマシテハ新シイ工業組合ヨリ同業
組合ノ方ガ非常ニ業者間ニ於テ利益ヲ
得テ居ルモノモアルノデアリマス、固
ヨリ是ハ同業組合ハ營利ヲ目的トハシ
ナイノデアリマスガ、事業ノ性質ニ依ッ
テハ工業組合ヨリモ同業組合デナケレ
バイカヌト云フヤウナノモアルノデア
リマス、私ハ其點ハ政府委員ノ揚足取
リヲスル譯デハアリマセヌガ、此法律
ハ今アルノデアリマスカラ、遡ッテ不足
ガマシイコトヲ申ス必要ハナイガ、此
法律ヲ作ル前ニ何故同業組合法ノ御改
正ヲナサラナカッタカ同業組合ヲ經營
シテ居ルモノハ、其地區内ニ於テ同ジ商
賣ニ從事スル者ハ加入スベシト云フ强
制組合法デアル、シテ見レバ同業組合ノ
經營ハ同ジ商賣ヲシテ居ル者ハ必ズ入
ラナケレバナラヌト同ジ商賣ノ者ハ心
得、又組合モソレヲ入レナケレバナラ
ヌト心得テ居ルニ拘ラズ、別ニ同ジ方
面カラ新シイ法律ヲ出シテ、勝手ニ止
メテモ宜イト云フコトヲ規定シテ居ル
ノハ矛盾シテ居ルト思フ、議論トシテ
ハ兎ニ角、實際問題トシテ地方ノ同業
組合ガ工業組合ニ變リ行キツヽアルモ
ノガ澤山アルノデアリマス、併ナガラ
工業組合ノ第八條ノ規定ニ依リマシ
テ、殊更ニ同業組合ヲ止メテモ宜イト
シナイデモ宜イノデアル、此處ハ少シ
ク矛盾スルノデアル、實際ニ於テハ三
分ノ二以上ノ同ジ商賣ノ者ガ、今日マ
デ總テ同業組合ニ入ラナケレバナラヌ
規定ガアッタ、所ガ工業組合ヲ組織スル
ニモ同ジ商賣ノ者ガ三分ノ二以上ナケ
レバナラヌ、ト云フナラバ同業組合ヲ
壞サナケレバ工業組合ハ出來ナイコト
ニナル、地方ノ組合ノ狀況ヲ見マスル
ト從來ノ同業組合員ガ話合ッテ、ソレ
デハ御互工業組合ヲ組織シヨウチャナ
イカト云フヤウナ形ニナッテ居ルデ
アルカラ今ノヤウナ話デ、地方ノ狀況
ニ依ッテハ工業組合ヲ組織シナイデ、同
業組合ノ方ガ宜イト云フノモアル、デ
アルカラ私ハ上田君ノ御尋ネシテ居ル
コトト同ジヤウナコトデアリマスガ、
關聯シタ事項トシテ御尋スル
折角此法律ヲ改正スルト云フ、最モ好
イ機會ニ於テ、第九條ヲ削除スルト云
フコトハ御考ヘ付カナイノデアリマセ
ウカ、是ハ有ッテモ無クテモ宜イ、今私
ノ申上ゲタヤウナ譯デ、同業組合法ニ
依ッテ組織スル組合デナケレバ其商賣
ガ不利益ダト云フ組合モアル、殊更ニ
同業組合カラ勝手ニ出テモ宜イ、イラ
ヌデモ宜イトマデシナイデモ其組合ハ
三分ノ二以上ノ組合員ガナケレバ組織
ガ出來ナイノデアルカラ、同業組合員
ガ話合ッテ
〔委員長退席手代木理事著席〕
工業組合ニ看板ヲ塗替ヘ、或ハ話合ヲテ
工業組合ニ入ラウカト云フコトニナル
ノデアリマスカラ、殊更ニ同業組合ヲ
脫退シテ宜イトカ、加入シナイデモ宜
イトカ云フ第九條ヲ削ルヤウナ御考ガ
アルカナイカ、十分ニ之ヲ承リタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=52
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053・横山勝太郎
○横山政府委員 先刻上田君ノ御發言
ニ付テチヨット一言申上ゲテ置キマス
ガ、私ノ言葉ト工務局長ノ言葉ト相違
ガアル、卽チ重要物產同業組合法ノ存
續ニ關スル意見ヲ異ニスルト云フ御話
デゴザイマスガ、吾々ノ方デハサウハ
考ヘマセヌ、言葉ハ多少行違ッテ居ルカ
知レマセヌガ、現ニ是等ニ關聯スル法
律ノ改正案ヲ出シナガラ重要物產同業
組合法ト云フモノハ其儘ニナッテ居リ
マスガ、此二ツノ法律ガ存續シテ圓滿
ニ運用サルヽコトヲ當局ハ希望シテ居
ルト云フ點ニ付テハ同一ノ意見デ、其
意味ニ於テ決シテ矛盾致シテ居リマセ
ヌ、卽チ重要物產同業組合法ト云フモ
ノノ存續ヲ希望スル、又隨テソレニ依ッ
テ出來タ組合ノ存續モ希望スルト云フ
ノデ、唯吉野君ノ話シタ中ニ色々ノ事
柄ガアリマシタガ、ソレハ法案制定ノ
經過ヲ語ラレタ時ニハ、反對スル者モ、
贊成スル者モアルデセウカラ、サウ云
フ意味ノ經過ヲ御話ニナッタ、沿革ヲ御
話シタト云フニ過ギナイ、只今ノ所デ
直ニ重要物產組合法ヲ廢止スル、是ガ
適用ヲ好マヌト、斯ウ云フ意味デハア
リマセヌ、サウ云フ沿革ガアッタト云フ
話デゴザイマスカラ、或ハ只今ノ所ニ
於テ此法律ガ存續スル必要ヲ認ムル程
度ニ於テハ、私ノ意見ト工務局長ト異
ナルカ知レマセヌガ、今日ノ場合、雙
方併存シテ、兩法ガ圓滿ニ行ハルヽコ
トヲ希望スル點ニ於テ毫モ變ル所ハア
リマセヌ、又瀨川サンノ御言葉ノ中ニ、
同業組合ヲ侮辱シタ言葉ガアルト云フ
御話デアリマシタガ、是ハ間々サウ云
フモノモアルト云フ意味デゴザイマ
ス、私ハサウ考ヘテ居リマス、全部ガ
サウダト云フ意味ヂヤナイ、之ニ對シ
テハ相當ノ監督ヲ加ヘル考デゴザイマ
スカラ、ドウゾ御了承ヲ願ヒタイ、而
シテ第九條ヲ廢止スルノ意思ハナイカ
ト云フ御話デゴザイマスガ、是ハ先刻
來申上ゲルト同樣ノ理由デ、只今ノ所
デ之ヲ廢止スル意思ハナイ、寧口只今
ノ所デハ此九條ノ存續スルコトヲ必要
ト認メテ居リマス、其理由ニ付テハ前
段述ベタ通リデアリマスカラ之ヲ略シ
テ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=53
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054・瀬川嘉助
○瀨川委員 只今ノ橫山次官ノ御答辯
ハ少シ矛盾シテ居ルト考ヘマス、同業
組合ノ圓滿ニ發達シテ行クコトヲ希望
シテ居ルト云フ其御言葉ノ裏ニ、是ガ
必要ダト云フ所ガ矛盾デアルト考ヘ
ル是ガアレバ同業組合ハ圓滿ニ發達
シテ行キマセヌ、工業組合ノ方デハ是
ハ營利モ目的トシテ居ルシ、新シキ改
正案ニ依レバ金ノ融通モツクト云フ譯
デ、工業組合ニ入ルト云フ人ガ續々出
タ場合ニハ、同業組合ノ發達ト云フモ
ノハ期シ得ラルナイ、$同業組合ト云
フモノハ確ニ認ムルト仰シヤルナラバ
此法律ハ洵ニ邪魔ニナルモノデアルカ
ラ取ッテ戴キタイ、私ハ先程上田君ガ御
讀ミニナッタ印刷物ノヤウナモノガ、私
共ノ手許ニモ參リマシタガ、私ハ之ニ
ハ一向關係ガアリマセヌ、アレニ基イ
テ御尋ヲスルノデハナイ、私ハ地方ニ
居ッテ或ル一ツノ同業組合ノコトヲヤツ
テ居ル、中々三十年カラノ古イ歷史ヲ
持フタ組合ノコトヲヤッテ、實際經驗シ
テ居リマシテ、痛切ニ感ジマスカラ御
話スルノデアリマスガ、何レ關聯事項
以外ニ亙ッテモ御質問致シタイノデア
リマスガ、他ノ委員ニ相濟マヌノデア
リマスカラ、折ヲ見テ質問致スコトニ
シテ、此點ダケヲ申上ゲテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=54
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055・上田孝吉
○上田委員 第九條ヲ削除シタラドウ
カト云フアノ問題ニ付テハ私ハ意見ヲ
保留シテ、質問ハアレダケデ止メテ置
カウト考ヘテ居ッタ所ガ、只今橫山政務
次官ノ御話ニ依ッテ第九條削除ニ關ス
ル私ノ質問ヲ止メルコトガ出來ナク
ナッタ、先程工務局長サンデスカ、政府
委員ノ第九條削除ニ關スル御答辯及ビ
其御說明ニ對シマシテ、斯ウ云フモノ
ハ勿論政黨政派ヲ超越シタ問題デアリ
マシテ、勢ヒ私ハ其意見ニハ同意スル
コトハ出來マセヌケレドモ、併シ其內
情ニ對シテ洵ニ釋然タル所ガアッタニ
モ拘ラズ、政務次官ガ殊更ニソレヲ曲
庇セントセラレルコトヲ遺憾ト致シマ
ス
〔手代木理事退席委員長復席〕
隨テ私ハ更ニ御尋致シマス、先程瀨川
君ノ質問ニ關聯シテ私ニ對スル答辯ト
シテ橫山政務次官ノ爲サッタアノ答辯
ニ依リマスナラバ、工務局長ノ此本案
立法ニ關スル沿革ノ其御說明ト、橫山
政務次官ガ先程來申サレマシタ立法ニ
關スル其沿革トニ於テハ差異ガアルコ
トヲ認メルノデアリマスガ、尙ホ同一
ダト云フコトヲ橫由政務次官ガ仰シヤ
ルカ、ドウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=55
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056・横山勝太郎
○横山政府委員 私ハヤハリ同一ダト
思マス、詰リ法律ガ此處ニ存在シテ居ツ
テ之ヲ改正スルノ意思ガナイ、然ラバ
是ガ運用ノ衝ニ當ル者ガ其存續シタル
國家ノ法律ガ圓滿ニ行ハレルコトヲ希
望スルコトハ勿論デアリマス、私ハ寧
ロソレハ責任デアルト思ヒマス、唯工
務局長ハ立法ノ沿革ヲ述ブルニ當ッテ
斯ウモ考ヘタコトガアッタト斯ウ云フ
意味ニ於テ申サレタコトト思ヒマス、
隨テ將來若シ立法改正ノ問題ガ起ルカ
モ存ジマセヌガ、重要物產同業組合法
ト云フモノヽ存續スルコトヲ希望スル
意思ノ程度ハ吉野君ト私ハ多少異ナッ
テ居ルカモ存ジマセヌガ、併ナガラ今
日ノ場合國法運用ノ衝ニ當ッテ居リマ
ス吾々ト致シマシテハ、兩方ガ併存シ
テ圓滿ニ行ハレルコトヲ希望スルコト
ハ勿論デアリマス、將來反對ノ意見ヲ
以テ之ヲ改正スルコトニナレバ別デア
リマスケレドモ、只今ノ所ニ於キマシ
テハ責任ヲ以テ法律ノ圓滿ニ行ハレル
コトヲ希望致シマス、此意味ニ於テ兩
人共同一ノ意見デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=56
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057・上田孝吉
○上田委員 橫山政務次官ハ私ノ只今
ノ御問ヒシタ趣旨ト全然相副ハザル御
答辯ヲ爲サルコトハ私ハ甚ダ遺憾ニ存
ジマス、私ハサウ云フ質問ヲシテ居
ルノヂヤナイ、橫山政務次官ノ只今ノ
御答辯ニ依リマスレバ重要物產同業組
合法ト、ソレカラシテ工業組合法トガ
併存シテ居ル限リニ於テハ此二ツノモ
ノガ圓滿ニ運用サレルコトヲ希望スル
ト仰シヤッタ、其點ヲ聞イテ居ルノデ
ハナイ、其點ハ後デ御尋シマス、先程來
工務局長ノ御說明ニ依リマスレバ、此
工業組合法ノ立法ニ關スル沿革、モウ
一遍申上ゲマス、沿革デス、其沿革ガ
斯ウ云フヤウニシテ第九條ヲ存續セシ
メナケレバナラヌヤウニナッタ其實狀
ヲ御說明ニナッタ、其沿革ガ橫山政務
次官ノ仰シヤッタ沿革トハ違フ、モウ
一遍繰返スナラバ、工務局長ノ御說明
ニ依リマスナラバ、多少從來ノ同業組
合ト云フモノガ弊害ガアッタ、ソレ程
運用ニ於テ顯著ナ效果ノアッタ點ヲ認
メラレヌコトモアッタ、色々アッタカラ
ソレト同ジ目的ヲ以テ尙ホ之ニ經濟的
意味ヲ加味シタ所ノ此工業組合法ト云
フモノヲ設ケテ、サウシテ第九條ヲ削
除シナカッタガ爲ニ、ソコデ一方ノ此
同業組合ノ方ガ追々衰微シテ來テモ是
ハ仕方ガナイ、詰リ從來ノモノハ餘リ
效果ガナカッタカラ今囘效果ノ舉ルヤ
ウニ拵ヘタカラシテ其方ニ追々加入者
ガ多クナルコトハ一種ノ過渡時代ト見
テ差支ナイ、ソウ云フ意味デ是ハ出來
テ居ルノデアルト云フ沿革ヲ御說明ニ
ナッタ、其沿革ノ御說明ヲ橫山政務次
官ガ同一ノ事トシテ御認メニナルカド
ウカト云フコトヲ御聞キシテ居ルノデ
アル発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=57
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058・横山勝太郎
○横山政府委員 段々ノ御話デゴザイ
マスガ、實ハ餘リ古イコトハ僕ハ知ラ
ナイノデスデスカラ知ラヌコトヲ認
メル譯ニモ參リマセヌ、隨テサウ云フ
事情ガアリマシタカドウカ是ハ本日
デ此委員會ガ濟ム譯デモアリマスマイ
カラ、能ク取調ベマシテ御滿足ノ行ク
ヤウニ答辯致シマス、今日ハ是デ此點
ダケハ打切ッテ置イテ下サイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=58
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059・上田孝吉
○上田委員 只今ノ沿革ノ點ダケハ留
保シテ置キマス、私ハ何モ斯ウ云フモ
ノヲ眞赤ナ顏ヲシテアナタヲ別ニトッ
チメヨウトモ何トモ思ッテ居リマセヌ、
併ナガラ政府委員ノ間ニ意見ガ二三ニ
ナッテ、サウシテソレヲ同一ニ爲サラウ
トナサルカラ、私ハ一旦打切リニシヨ
ウト思ッタ質問ヲ又繰返サナケレバナ
ラヌヤウニナッタ、ソコデ只今ノ沿革ノ
點ハ次囘ニ留保スルト致シマシテモ、
唯第九條ヲ削除スルカ、セヌカト云フ問
題、所謂此重要物產同業組合法ト、ソ
レカラ今囘ノ此工業組合法ト云フモノ
ハ併存シテ置ク必要ガアルト云フ此意
見ハ、過渡時代デアラウガ、ナカラウ
ガ、ヤハリ政府ノ御意見ト見テ宜イヂ
ヤナイカト思ヒマス、此二ツノモノヲ
併存シテ置ク必要アリト御考ニナルナ
ラバ、サウシテ各〓其作用ニ於テ特徵ヲ
發揮シテ居ルモノト御考ヘニナルナラ
ー、然ラバ何故ニ第九條ヲ削除ナサラ
ヌカト云フ問題ガ玆ニ出テ來ル、サウ
スレバ政府當局ハ仰シヤルカモ知レナ
イ、第九條ハ色々說明シテサウシテ從
來ノ重要物產同業組合ハ組合トシテノ
一種ノ作用ヲ持ッテ來テ居ル、今囘ノモ
ノハ今囘デ更ニ之ニ新シイモノヲ加ヘ
テ來テ居ルカラ必要ダト仰シヤルカモ
知レマセヌケレドモ、ソレハ何遍モ私
ハ說明ヲシテ居ル屋上屋ヲ架スコトニ
ナリハシマセヌカ、政府ノ當局ノ御說
明ノ通リナラバ-サウデナクシテ私
ガ從來質問ノ中ニ自ラ私ノ一貫シタ意
見ガアル通リ、此重要物產同業組合ハ
主トシテ公益的方面ニ重キヲ爲サレテ
居ルカラ必要ダ、サウシテ今囘ノ此工
業組合ト云フモノハ公益的ノ意味モ含
マレテ居ルガ、ソレヨリモヨリ以上ニ
經濟的ノ意味ガ加味サレタモノデアル
ト云フコトニナッテコソ、此二ツノモノ
ヲ併存シテ置ク必要ガアル、サウシテ
同業者間ニ於テハ假令手數ガ掛ラウ
ガ、時間ガ掛ラウガ、又負擔金ガ二重
ニナラウガ、此二ツノ組合ニ入ッテ置ク
必要ガアル、斯ウナラナケレバナラヌ、
然ルニ拘ラズ政府當局ノ御說明ニ依リ
マスト、全然一方ノモノト同ジモノガ一
ツアッテ、ソレニ又一ツ經濟的ノ意味ヲ
加味シタモノヲ加ヘタト云フコトデア
ルナラバ、政府當局ノ說明ハ眞デアル
ナラバ、ソレヲ肯定スルナラバ、サウ
スレバ重要物產同業組合ニ加入シテ置
ク必要ガナイコトニナリハシマセヌ
カ、ソレニ拘ラズ政府當局ハサウ云フ
趣旨ヲ仰シヤッテ居リナガラ尙ホ且ツ
兩方ノ組合ヲ併存スル必要ガアルト御
說明ニナル理由ガ何處ニアリマスカ、
モウ一遍御聞キシタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=59
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060・横山勝太郎
○横山政府委員 此點ハ上田君ト多少
意見ガ違ッテ居ルノダト思ヒマスガ、本
法改正ノ趣旨ニ付テハ既ニ說明ヲ申上
ゲ、又御了承ノ通リデアリマス、、第九條ヲ
存續セシムル意味ハ之ヲ存續スルコト
ニ依ッテ、要スルニ企業者、其他產業ニ關
係ノアル者ノ自由ヲ尊重スルト云フコ
トガ其根本義デアルコトハ先刻申上ゲ
タ通リデアリマス濫ニ產業界ニ干涉
スルト云フコトハ宜クナイト云フ大原
則ノ下ニ、出來ルナラバ政府ハ干涉ヲ
シタクナイト云フコトガ其根柢ヲ爲シ
テ第九條ト云フモノガ出來テ居ルノデ
アリマス、之ヲ絕對ニ止メテシマッテ
脫退ヲスルコトガ出來ナイト云フコト
ニ强制スルコトガ良イカ、、惡イカト云フ
コトハ、是ハ自ラ別ノ議論デアルト私
ハ考ヘル、卽チ本法改正ノ意味ハ重要物
產同業組合法及ビ組合法ニ依ル組合ヲ
今日ヨリヨリ以上發達セシメタイト云
フ積極的ノ希望ハ持ッテ居リマセヌ、ソ
レカト云ウテ先刻モ工務局長ノ申上ゲ
タ通リ之ヲ急激ニ廢シ、之ヲ急激ニ止
メテシマッテ、從來ノ同業組合ハドウ
ナッテモ宜イノダト云フコトハナイノ
デアリマス、今日以上ニ同業組合ト云
フモノヲ發達セシメタイト云フコトノ
考モゴザイマセヌケレドモ、兎ニ角上
田君ノ御話ノ通リ、相當業績ヲ擧ゲテ
居ルモノモアリ、相當功勞ノアル人モ
之ニ加盟シテ居ル、之ヲ直ニ廢メテシ
マフト云フガ如キコトハ致シタクナ
イ、卽チ法律ガ圓滿ニ行ハレテ、サウ
シテ、同業組合ト云フモノモ存立スル
理由ガアルナラバ、永續セシメタイ、
保護モ致サナケレバナラズ、監督モシ
ナケレバナラヌト云フ斯ウ云フ意味
デアリマスカラ、要スルニ今囘ノ改正
ノ意味ハ從來輸出品ニ限ラレテ居ッタ
モノヲ內地向キノ工業ニモ之ヲ振向ケ
テ、其方ノ加入ヲモ之ヲ認メテ、是等
ノ業界ニ於ケル聯絡統制ト云フモノヲ
圖リタイト、斯ウ云フ意味デゴザイマ
ス隨テ九條ノ法文、卽チ從來ノ原則
ニ變更ヲ加ベル必要ハ認メマセヌ、併
ナガラ段々御話ノ通リ、又沿革ノ御話
ヲ申シタ中ニ工務局長モ申シタ通リ、
時勢ノ變化ニ依ヲテ、經濟界ノ變動ニ依ッ
テ、自然同業組合ノ者ガ脫退ヲシテ、
漸次工業組合ノ方ニ加入シテ來ルト云
フ傾向ニナルカモ知レマセヌ、ナラシ
メヨウトハ思ヒマセヌガ、ナルカモ存
ジマセヌ、ソレガ全國的ニ彌蔓シテ來
テ到底此法律ノ存在ヲ維持スルコトガ
出來ズ、又其同業組合ノ必要ガナイト
云フコトニナレバ、其時分ニハ進ンデ
立法上ノ手續ヲ執ル斯ウ云フ意味デ
アルコトヲ御諒承ヲ願ヒタイ、只今ノ
所ニ於キマシテハ、直ニ上田君ノ御心
配ノ通リ、全部擧ッテ工業組合ニ入ッテ
シマウモノト、斯ウハ認メテ居リマセ
ヌ、其邊ノ事實ノ鑑識ニ付テ吾々ト上
田サント意見ノ異ナル點ハ巳ムヲ得マ
セヌガ、只今ノ所ニ於キマシテハ本法
ノ改正ニ依リ同業組合法ニ依ル組合、
若クハ其法律ガ直ニ生命ヲ失ッテシマ
ウモノデアルト、斯ウハ考ヘテ居リマ
セヌ、大體此樣ニ考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=60
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061・上田孝吉
○上田委員 私ハ此九條ノ質問ヲ一旦
打切ラウト思ヒマシタガ、色々ト沿革
ノ點ニ於テ、更ニ橫山政務次官ノ答辯
中ニ矛盾ガ澤山出テ來タ點ニ於テ、尙
ホ此質問ヲ打切ルコトハ出來マセヌ、
隨テ九條ノ質問ヲ繼續シヨウト思ヒマ
スガ、之ニ付テハ私ハ商工大臣ノ出席ヲ
求メタイト思ヒマスカラ、九條ニ對ス
ル質問、及ビ本案ニ對スル質問ハ此程
度デ本日ハ留保シテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=61
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062・中亥歳男
○中委員 私ノ質問ハ極メテ簡單デア
リマス、只今ノ九條ノ問題ニ關聯シテ
當局ニ御伺致シタイト思ヒマス、先刻
來上田君ト政府當局ノ應答ヲ伺ッテ居
リマスト、其處ニ多少工務局長ト橫山
政務次官トノ間ニ相違ガアルヤウニ聽
エテ居リマスガ、此問題ハ頗ル重大ナ
問題デアリマシテ、九條ニ付テハ一般
實業家モ非常ニ問題視シテ居ルノデア
リマスカラ、政府ノ意ノ在ル所ヲ十分
明カニスル必要ガアラウト思ヒマス
ガ、私ガ承ッテ居ルト、政府ノ御答辯ノ
要旨ハ工業組合ニ限リ或ハ輸出組合
ニ限リ、輸出組合ナリ工業組合ヲ組織
シテ居リマス者ニ限ッテハ、其組合員ノ
自由ヲ認メル意味ニ於テ、工業組合ニ
加入シテ居ル以上ハ、其本人ガ同業組
合ニ加入スル必要ナシト認メタ場合
一、其自由ヲ束縛セズ、脫退ヲ許シ
加入セザルコトモ許スト云フコトニ
ナッテ居ッテ、同業組合ト云フモノヲ相
對的ニ見タ所カラ云ヘバヤハリ橫山
政務次官ノ言ハレタヤウニ、何處マデ
モ同業組合ハ必要デアリ存續サスベキ
意思デアル、斯ウ云フコトガ政府ノ御
趣旨デアッテ、但シ今申上ゲルヤウニ、
工業組合ニ限リ輸出組合ニ限ッテノミ、
工務局長ナリ貿易局長ノ御話ニナッタ
ヤウナ意味ニ於テ、組合員ノ自由ヲ認
メル意味ニ於テ、同業組合ニ加入セザ
ルコトモ脫退モ認メルト云フ政府ノ御
答辯ノ要旨デアルト承知致シテ宜シウ
ゴザイマスカ尙ホ一言先刻カラ上田
君ノ御質問ニ對シテハ重要物產同業
組合ト云フモノガ必要ナラバ、工業組
合輸出組合ノ九條ガ不必要デアルヤウ
ナコトニナリハセヌカ、此九條ヲ存續
スル以上ハ、同業組合ヲ寧ロ存續スル
ノ必要ハナイデハナイカト云フヤウニ
伺ッタノデアリマスガ、私ノ今申上ゲ
ルヤウナ解釋ガ政府ノ御答辯ノ要旨デ
アルトスレバ、其矛盾ハ解ケルノデア
リマスカラ、其邊ヲハッキリ御答辯ヲ願
ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=62
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063・横山勝太郎
○横山政府委員 御質問ノ通リデアリ
マハ詰リ同業組合法ニ依ル組合ト云
フモノハ工業以外ニ澤山アルコトハ工
務局長モ申シタ通リデアリマス、隨テ
兩人ノ間ノ意見ノ衝突ハナイト斯ウ考
ヘマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=63
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064・中亥歳男
○中委員 先刻工務局長ノ御話ニナリ
マシタ沿革ト言ハレマシタコトハ、卽
チ工業組合法ヲ立案サレタ工務局長ノ
立場トシテ、工業組合法ヲ立案サレル
時ノ沿革ト承知致シテ宜シウゴザイマ
スカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=64
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065・横山勝太郎
○横山政府委員 其通リデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=65
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066・井上剛一
○井上委員長 ソレデハ本日ハ此程度
デ散會致シマシテ追ッテ次囘ノ期日ハ
公報ヲ以テ申上ゲマス、成ベクドウカ
時間勵行ヲ願ヒマス
午後三時五十分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00219310303&spkNum=66
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